二人の転生鬼殺隊士と三人の鬼になった転生者 (是非)
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新たな幕開け
旅立ちと邂逅


鬼滅の刃の原作とアニメを見て、興奮と勢いのままに書きました。

処女作です。
見切り発車のために、駄文と不定期更新ですが、よろしくお願いします。


ここに来てから随分経つ。ここが明治時代で、何より生まれた家が、藤の家紋を掲げていることでここが鬼滅の刃の世界だとようやく分かった。

いわゆる自分は、よく聞く「転生者」ということが分かり何よりよくここに鬼殺隊士が来て手当などを行なっているのを見て確信した。

 

因みに俺の名前は林 和星(はやし わほし)というらしい。

 

ここが鬼滅の刃の世界と分かってから、決意したことは原作主人公達に会いたいという思いが溢れると同時に鬼に憎しみを持っている人や未来の子供達のために鬼がいない未来にしたいという人たちの世話と話を聞く内に自分もそうなりたいと思い、鬼殺隊士の人に治療の合間に思い切って呼吸法を知りたいと思い指導をお願いしてみた、最初は渋っていたけど何度もお願いしている内に教えてくれることになった。

 

そして、その人の傷が癒えた頃に呼吸法の仕方とそのための鍛錬方法の書いてある紙の本を渡された。

それからも呼吸法や鍛錬を時間が出来た時からやり続けた。

 

ある日の夜に鬼が家に来た。

その姿は頭には角が生えており上着を羽織りながらも腕は異様に長く何より異形だったのが()()()()()()()()()その鬼は言った。

 

「ここは鬼狩りを匿ってると聞いているぜ。鬼狩り達と戦ってほとんどのやつは食ってやったが、鬼狩りの中に希血がいて食いたかったが、逃したからな。希血だけは食いたかったからな。後を追っているとこの家に着いたのを見たぜ。早く渡せ!そうすればおまえだけは生かしておいてやる。」

確かに、今日の朝方で家の前に倒れていた。全身傷だらけの鬼殺隊の女の人を家に運んで治療をしているが、まだその鬼殺隊の人は、傷だらけでとても戦える状態じゃない。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

だから、悪いと思ったがその人の日輪刀を持って戦おうと思ったけど、初めての鬼と初めての戦闘と何より、その恐ろしい姿をした鬼を見てビビって体が震えてきたけど、後ろの家に父母を含めた多くの人達がいると思うと、やるしかないと思うと同時に勇気がわき体の震えが止まった。

 

手長鬼は、

「たかがただの人間風情が」と言いながら、

長い腕を振り回してどんどんと間合いに詰めてきていたが、いざという時に持っていた藤の花で作った毒をぶつけたら怯んだのでその瞬間に一気に距離を詰めたが鬼の腹の顔の口から液体を吐き出してきた咄嗟に避けたがその液体にあたった地面がジュワーと溶けた。

それを見た瞬間に体中に恐怖心が湧いてあれが当たったらと戦慄していると

 

「俺の胃酸がそんなにこわいか?」

ニタニタと下卑た笑いを見せてきてつい体が萎縮してしまい、その隙を突かれ長い腕に捕まってしまった。

すぐに振り解こうとしたが鬼の力が強く振り解けずにもうダメかと思ったら、

 

 

脳裏に浮かんだのは多くの大切な人達の笑顔!

 

その瞬間

「こんなところで死んでたまるかー!」

叫び刀を鬼の手に突き刺したら鬼が叫び手の力が緩んだその時に振り解いた。

改めて鬼と向かい合う。

そして、生で鬼を見た所為で忘れていたが今際の際で思い出した「全集中の呼吸」を使い切り込んだ。

 

鬼は驚きながらも自分の長い腕と腹の顔から胃酸を吐き出してきたが、それら全ての攻撃を回避しながらも間合いを詰めていき遂に鬼に刀が届く間合いに入ってすかさずに鬼の頸を斬った。

 

鬼の断末魔とともに鬼の体が崩れて消えていった。

 

その後には父と母にすごい怒られた。

でも、その時に確信してしまったたとえ戦いに行かずともこんな風に何の前触れもなく鬼が襲ってくるという事を考えそして決意した。

 

ある日、思い切って決意と覚悟の旨を両親に伝えた。

 

「父さん…母さん…俺は鬼殺隊になりたい!」

父と母は途端に驚き

「ダメだ、お前には無理だ!」

など言ったが私が鬼殺隊に入りたいという決意の固さを知った両親は承諾してくれて、さらに育手のところに修行をさせてくれる旨を出すことを約束してくれた。

 

その育手の名前を聞いた時は聞き覚えがあったが「元鳴柱の桑島 慈悟郎(くわじま じごろう)」と聞いて納得した。

早速会いに行こう!

 

ーーー数日後

和星「父さん母さん、行ってきます」

父の青藍「和星、達者でな。武運を祈っている」

母の誠子「体には気をつけて行ってらっしゃい」

 

両親の涙ながらの旅立ちは本当に応えるけれどももう決めたから。

 

さあ、行こう!!!

 

 




遅ればせながらもどうかこの物語をお願いします。


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道中

和星が桧原山まで行く話です。
どうぞ、ご覧下さい。


桧原山という山を目指して歩いているが、その道中には、全集中の呼吸・常中の呼吸を忘れずにやりながら歩いているが、

「やっぱり、すげぇーーー、きつい!、はっ!・・・・・本当に耳から脳味噌が出てくるかと思った.....」

 

原作でも炭治郎達が、やっているのを見て鬼殺隊の人に教えてもらったが、家でやっていた時にも本当に耳から脳味噌が出るかと思った。

 

こんなきついのをよくやって来れたなと思った。

家でも、密かに修行して、少しは慣れていたから鬼が襲ってきた時にも、戦えると思ったけど、結果は散々で両親にも怒られる羽目に、やっぱり本格的に強くなるために、育手の指導が必要だ。

でも、まだ目的地まで遠いし、それまでには育手の人の修行でもついて行けるよう、少しずつ、全集中の呼吸を続けよう!

 

 

ーーーそして、その数ヶ月後に人に聞きながらやっと、桧原山に着いた。

早速、育手の人に会いに行こうと、登っていたら、頂上付近に一軒のそこそこ大きい小屋があったので、近づいてみると、いきなり、背後に人の気配がしたので、振り返ったら、

「お主が、文を書いてあった鬼を倒したという和星か?」

と、唐突に言われ「はい、そうです」と答えて、姿を見て、正に原作のおじいちゃんだと心の中で感激した。

 

俺が、答えているのを見て、「ふむ、そうか」と育手の桑島さんが、私を見て、

「なるほど、なかなか良い体格じゃが、まだまだ未熟じゃのう」と、褒めながらも、未熟だと言った。

 

「はい、ですから、先生のご指導をお願いしたく来ました。林 和星です。どうぞ、よろしくお願いします。」

と俺が頭を下げて、お願いすると、

「うむ!、その域やよし!よかろう、林 和星よ、お主を認めよう!」

と力強く頷いた。

「じゃが、今日は、もう遅い、鍛錬は、明日にしよう。」

と言うと、

「はい、ありがとうございます、先生!」

和星もそれに元気よくと応えた。

 

そして、これが、和星にとっての修行の始まり。

 

ーーーーー

 

桑島 慈悟郎の独白

最初に鎹鴉から、届いた手紙に修行もしていない子供が鬼を倒したのは、信じられない気持ちだったが、その本人である和星という少年を見て、疑惑は確信に変わった。

傍目から見ても、全集中・常中の呼吸をやりながら、目の前に立っている少年の気迫と強さがよくわかる。

 

だがしかし、まだ剣士としては、未熟もいいところで、わしがそれを言うと、それを承知で、さらにそのために指導してくれと言うから、その礼儀と気迫と元気良さには、内心舌を巻いた、この少年ならばと思い、弟子入りを認めた。

明日から楽しみじゃのう。




ここまで、読んでくださってありがとうございます。
これからも亀更新になりますが、よろしくお願いします。


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時は遡り、江戸時代へと

タイトルにも書いてある通り、この作品は、群像劇であり、鬼殺隊の物語であると同時に、鬼の物語でもあります、それでもいいという方は、どうぞ、見ていってください。


ーーー火、火、火、町が燃えている、その中には俺のお袋や親父とまだ幼い弟が古くから知り合いの隣人のおじいちゃんとおばあちゃんやみんながみんな、あの炎の中で叫びながらもがき苦しんでいる。

 

なぜ…俺は…それを遠くで見ているんだ?

()()()()()()()()()()()()()なぜなら両手両足を縛られてこの悲劇を起こした張本人である鬼になった男達に抑えられているから。

 

「ぎゃっはハハハハハ!見ろよあいつらすげぇ声を出してるぜーー!たまんねーーー!最高ーーー!」

「本当にねあんな風に偉ぶった奴らが、燃えて叫び声を上げていると思うと痛快だわ!」

「本当に面白いね、何より正義感ぶってるこいつ、空夜(くうや)もこれから奴らが燃やされると言うとすごい抵抗してきてなんだか死ぬ前にもがき苦しんでいる虫を見ているみたいで滑稽で面白過ぎるし。炎が街中を覆い尽くしたらすごい抵抗して金切り声を上げたのもよかった。」と燃えている町を見て嘲笑している奴らを見ると思い出してしまうあの時のことを。

 

 

 

 

こいつらはもともとこの町の代官の息子とその取り巻き達だ。その権力と暴力をふりかざして同年代の子供やその家族を虐めていき挙句の果てに虐めた子供を自殺に見せかけて、殺してきたという人間の頃から、性根の腐ったクソ野郎どもだ、

 

それが許せなかった俺は、突然前世を思い出した。前世の自分は、まだ高校生で、車による事故で死んだということをそれと共に、古くからの友達が、いじめられて自殺未遂まで起こしたことと、犯人達をインタネットなどで調べあげる限りの方法を使い告発して更にいじめの首謀者とそれを見て見ぬフリをした担任教師も一緒に断罪したことを思い出してその方法をここでも使えると思った。

 

そして前世の知識を使って奴らの犯行の証拠を暴き、街中のみんなにも働きかけて旗本の侍でもある親父も手伝ってくれた。さらにたまたま視察に来た、将軍家の方が来るという情報を得た俺は作戦を決行した。

奴らをわざと挑発して、将軍家の方にも見える場所で虐められている振りをした、

 

そうとは知らずに奴らは、将軍家の方にも舐めた態度をとり終いには石を投げた。

その結果、将軍家の方の怒りを買った奴らは家を追い出され罪人となり、その親達も家の領地を剥奪され家は没落した。

 

その後には「終わったよ」と奴らに虐められていた人達や俺の友達の墓参りをしているとその子供達の親達が来て頭を下げてきた。

俺がそれに驚き頭を上げてくださいと言っても聞かずに口々にみんなが

「ありがとう、息子の無念が、晴れました。」

「死んだ娘の仇をとってくれてありがとうございます」と言った。

なんだか町のみんなが頭を下げてそんなことを言うのはすごい複雑だけど、俺自身悪い気はしなかった。

 

最初に鬼滅の刃の世界だと確信してからは、江戸時代ということもあり悲嘆にくれていたがこんな形で報われるとは思わなかった。

 

それからは、町のみんなからお礼と言って畑で採れた山菜を分けてくれて本当に幸せな毎日を送った。

そして、弟が生まれた時にはこれからの弟と町のみんなの明るい未来が見えるような気がして毎日が幸せだった。

 

さらに未来のために出来るだけのことをしようと前世で知った鬼殺隊の存在を探して見つけて協力したいと産屋敷の使いの方と鎹鴉に会って鬼から人を守るという方達の姿を見て感動した俺は、親父にお願いして鬼殺隊士から直々に教えを乞い呼吸法を身につけるために修行をして会得した。

親父からも鬼殺隊への助力を惜しまないと言って支援してくれたりと充実した毎日だった。

 

それがこんな形で終わるのかと思うと悲しいと思うと同じくらいに奴らが心の底から憎くなる。

 

「鬼ごっこをしないかい?」とその三人の中のやつが言った、

「鬼ごっこ?」と俺が聞き返すと、

「君には散々な目に遭わせられたからね。ただで殺すのはつまらないからな。

これから僕たちは君を逃がすから1分くらいは待っていてあげるよ。そのあと追いかけて君を殺す!

いやだったら今ここで死んでもらうけどね」

「さすが!」

「いい遊びね!」

こいつらは、どこまでも人をコケにしやがって・・・・・でも、これはチャンスだ、

「分かった、やるよ」

というとリーダー格の男は俺の頭を鷲掴み、

「ん?今なんつった?てめえ?分かりました、ご主人様だろうがよ、え?ほら、もう一度!」

「・・・かりました」

「んー?声が小さいなー?」

「分かりました…ご主人様」泣きながら言うとリーダー格の男は満足したように

「ほら、早く行け」と俺の両手両足を縛った縄を解いて蹴飛ばした。

 

それを見た取り巻きの鬼達がゲラゲラと下卑た笑いをしたがその隙を突いてすぐに胸元に忍ばせた日輪刀の小太刀を取り出し、まず一人目の女鬼の頸を切り捨てた。

「なんだ、それは?」という取り巻きの男の頸にも日輪刀を振るい斬った。

 

「てめえ!どういうことだ!それは!」

リーダー格の男は、先程までの態度がガラリと変わった。

 

実のところ呼吸法を身につけるために指導している鬼殺隊士の人の持っている日輪刀の美しさに見惚れた刀狂いの親父が、土下座しながら懇願してその刀を譲って欲しいと言った。

鬼殺隊士の人も最初は渋ったが俺が、鬼殺隊に入ることとこれからの鬼殺隊への惜しみない支援をを条件に鬼殺隊士の人が刀鍛冶の人お願いして小太刀を作って譲ってくれた。

 

そして、先日に正式に俺に家督を譲ると宣言した時に党首の証であり守り刀として親父が、俺にこの小太刀の日輪刀を譲り受けた。

結果的には家族を守ることは、出来なかったが憎いこいつらを斬ることは出来る。

 

先ほど捕まったのだって、暗闇から不意に背後から奴らに襲われたからだと言い嘲ると、奴は

「俺の仲間は、まだ、死んでねぇよ」

と言って、聞きもしないのに自分達はあの方に鬼にしてもらったこと、その際に自分達は三人で一心同体で一人でも生き残っていれば死なないことを言っていたがそんな奴の自慢話に付き合う時間と義理もなかったので油断している奴と復活した奴らの頸を切り捨てたら、奴らは呆気に取られたという顔から自分達がすでに斬られたことを自覚すると、

「ふざけんな!てめ「グチャッ」ぐぇ」

「いやぁー!助けてー!こん「グチャッ」ひでぃ」

「嘘だ!こんな馬鹿なー!やっと復讐できると思「黙れ」「グチャッ」ぎぐあ」と、

これ以上奴らの言葉は耳障りだとその頭ごと踏み潰した。

人間の頃から腐った奴らだった。

 

せめて、生き残っている人達の救出だけでも......

俺が町まで、行こうとすると、

 

 

 

 

 

???「先程の奴らは使えないなー。とはいえ三人の鬼を相手にしてここまでの戦いぶり面白い。お前を鬼にしてやろう。」

 

と、背筋が凍るような嫌な予感がして振り返ってみると額に指を突き立てられた。

その後には男は、去ったようだがあの言葉遣いと鬼にする能力。

間違いない。

 

 

 

鬼殺隊にとっても人類にとっても最悪の仇敵で鬼の首魁の鬼舞辻 無惨(きぶつじ むざん)!!!

 

そのまま倒れてしまった俺だがこのままじゃまずい。まず、まだ鬼にならないように呼吸を使い一気に町まで行って来る。鬼になりつつある影響か炎の中でもある程度人よりも早く動けた。

その時には、鬼殺隊士の方も手伝ってくれたおかげで多くの人達を助けられた。

 

そして、残念だが生き残ったのは町の3分の1の人達だけだった。

それも全員が全身火傷の重体。

それでもできる限り助けようと運んで来た後に町から持って来た薬と包帯を使い、鬼殺隊士の人と一緒にみんなの治療して回った。

そして、生き残ったみんなにはこんな姿は見せたくなかったのでそのまま会わずに去って行き。

もう亡骸になってしまったお袋と親父とまだ幼い弟達に自分が町を焼いた犯人達を倒したことや自分の体が鬼になりつつあること、こんな悲劇の元凶の鬼を生み出した鬼舞辻 無惨を倒してみせると話してそのままみんなの元から去っていった。

 

このまま鬼殺隊士の方に斬ってもらうことも考えたが原作メンバーの特に煉獄さんや炭治郎達にに会いたいという気持ちと彼らを助けたいと思い、彼らの悲劇を阻止しそれを見届けてから死のうと決めた。

 

そして、まずはこの食人衝動は全くなくなった。

呼吸法の影響と初めに長く眠りについたおかげで、更に長い眠りから目覚めた後に人を襲っていた鬼を食っていたおかげかもしれない。

 

これなら、彼らに……原作メンバー達に会える!

早く会いたいと決意した。




ここまでご覧いただき誠に感謝の至りです。
ここから先は仕事が忙しくてあまり更新も不定期更新になりそうですが時間の合間には少しずつやっていきますのでよろしくお願いします。


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鬼になって時が流れて~(空夜編)

前回書いた鬼になっても人を食わないことを誓い旅立った空夜のその後です。
拙い文章力で長くなりますが、どうぞよろしくお願いします。

さらに鬼滅の刃のあのキャラのご先祖様も出てきます。
捏造設定とあの人のご先祖様ならこういった人だろうなーということで作ったキャラですがよろしくお願いします。


・・・・・鬼になってから、人に紛れて生活していって早数年。

 

俺は人であった頃と鬼を必ず全て殺すことを誓ったことを忘れないように家族の形見として父親からもらった今は俺の相棒の小太刀の日輪刀と母親が収集していた数枚のお面を持ち歩いてきた。

 

だが、鬼になり体がそのままの状態の俺と違い刀とお面は、ボロボロになりつつある.....

刀の方は、砥石で研いでいっていたおかげで、なんとか形を保っているがお面の方は、時間を見つけては磨いてきたがそろそろヤバい。

一体どうしたものかと思い、いつものように鬼退治ならぬ鬼食いをするために夜に出歩いてると突然向こうの方から鬼の気配が!

 

更に人の気配も!

早く急がねば!

と俺は、全速力で走る。

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

「どうした、どうした鬼狩り?、たった一人でも俺を倒せると思ったか?」

言い、鬼は可笑しそうに笑った。

鎹鴉により、次々と行商人や旅人が姿を消していると聞きこの村に、来て村人達に話を聞いて時折、夜になると大きな化け物が来て村を襲ってくることと、森の中で唸り声がしていると聞きこの森の中に十名程で馳せ参じ、鬼を発見して全員で切りかかったが、刃が通らず傷つくことも出来ずに日輪刀が折れてしまった者もいた。

 

目の前の鬼は体長は、そこら辺の熊と同じくらいで全身が毛むくじゃらだが違いがある。それは頭が人間の顔をしているということだ!

 

そのくせ巨体だというのに素早く、十名いた隊士達がほとんど死に逃げた者を逃がそうとしたが、

「逃げんじゃねーよ、お前らから、絶望と怯えきった表情が見えねだろーが」

言いながら逃げた隊士達を嬲り殺しにした。

 

階級が乙の俺が、捉えられず熊の手の攻撃に当たりかけたが咄嗟に避けようとして爪が当たり切り裂かれていた。

幸い体は、まだ動くが、刀も全力でも切りつけても傷つかず怯えた俺を見て熊鬼が、

「ギャーーハハハハハー!その表情、最高!やっぱり切れねえよなあ?何せ、この俺様の 「血鬼術、鉄鬼獣」の前に何人も刃が通らなかった。」

俺が茫然としていると、

「やっと、その表情になったな、怯えきった表情で食うのが、最高なんだよー!」

鬼が、耳障りな声で喋ってきた。

 

だが、それでも逃げるわけには「ちょっっっっと待った!」

………何だ?

 

「ふぅー間に合ったー」

いきなりの大声に横目で見たら黒毛で黒い衣を纏っている姿だが、瞳孔を開いた目と口から覗く牙は紛れもなく、

「な、何で、鬼が、もう一体......」

驚愕する俺を尻目にその鬼を見た熊鬼は、

「何だ、てめえは、こいつは、俺の獲物だぞ!」

と怒鳴った。

 

「黙ってろ、クソ野郎」

その鬼は一喝した。

「あぁ?てめえ、今、何つった?、十二鬼月であるこの俺に対していい度胸だな!おい!」

自分が十二鬼月であることを言い怒鳴った。

・・・・・十二鬼月!確かによく見ると左目に下陸と刻んでいる。

 

それを聞いた黒い衣を纏った鬼は、

「十二鬼月!………確かにヤバいな…だが、俺の目の前で人を殺させないし守ると決めているでね。引くわけにはいかない!」

 

・・・・・今、こいつなんて言った?

鬼が人を守るだと?

 

それを聞いた熊鬼は、

「ギャーーハハハハハーーー!…………………ぶっ殺す!」

熊鬼は、衣を纏った青年の鬼に襲いかかった。

すると青年の鬼は、ニヤリと笑い目にも止まらない速さで避けた!

 

「血鬼術 細胞変異層」と言い、青年の纏う衣が何やら動いたと思ったら次の瞬間には、衣の中から小太刀を取り出して構えた。

 

「何だ?え?何で?鬼がそんなものを持ってやがる」

熊鬼はぼやいた。

「父の形見だ!お前を斬る!」

青年の鬼は、叫んでた。

 

熊鬼は、驚きながらも自分の方が強いと疑わなかった。

熊鬼(日輪刀にはびっくりしたが俺様の「血鬼術 鉄鬼獣」は、毛皮を鉄のように固くさせる絶対の防御力だ。破れる筈がねえー!鬼だからとか関係ねえ!こいつも今まで食ってきた奴ら同様に食ってやる!)

 

そして、次の瞬間には両者激突した!!!

・・・・・あまりの衝撃に目をつぶってしまった。

まぶたを開いて見るとそこには、

「何だ?何で?地面が反転してやがる?何だこの肉片は?」

と言いながら、頸が宙を舞い奴の体がバラバラにされた姿だった。

 

空夜「お前は、もう死んでいる(一度言ってみたかったーーー!)」

と内には、すごい歓喜しながらも顔には出さずに空夜が冷静に言った時には熊鬼は状況を把握して、

「な、なあああにぃぃぃぃぃ」

と絶叫した、

「お、お前は一体?」

と素直な疑問を言おうとすると、

「ふざけんじゃねーーー!何で、俺がこうなる!十二鬼月に入って、これからより多くの餌どもを食ってやろうと思ったのにひでぇーよ!あんま「黙れ!人はお前の食い物じゃない!」

と熊鬼が叫ぶのを遮るかのように頭ごと斬り捨てた。

 

「さてと」

青年の鬼が俺に近づいて来た、

「来るな!、鬼!」

俺が刀を構えると、

「おいおい、命の恩人にそれは…否…当たり前か。ただ貴方に触れたいだけだよ。」

とその青年の鬼は、俺に近づいて来た。俺は怯えて刀で斬ろうとしたがあえなく、かわされて伸ばした腕を掴んで後ろに回りこんで刀を落とさせて捻り上げた。

「くっ」

と言うと

「じっとして」

さっきまでと違い優しく声をかけてから、なんだか体の痛みが引いて来た。

彼が離した後に見ると先程熊鬼に切り裂かれた傷が塞がっていた。

 

「ど、どう言うことだ」

と俺が疑問をぶつけると

「俺の「血鬼術 細胞変異層」は、文字通り自分の細胞を組み替えることだが効果は、もう一つあってね。

触れた対象の体の細胞を活性化させることも出来るんだよね。鬼狩り様」

優しいが、どこか間の抜けたようなことを喋っていたら即座に離れた。

 

「それでは、鬼狩り様お気をつけて」

と言い残して去って行こうとした時、俺は叫んでた。

「な、何で、鬼のお前が、俺を助けた、答えろ!」

そしたら、その鬼が振り返りとても泣きそうになりながら、

 

 

 

「もう…目の前で誰かが死ぬのは………嫌なんだ。」と言った。

その鬼の姿には、先程熊鬼に対して容赦ない雰囲気が全くなくむしろ弱々しい姿が見えて来た。そんな姿を見た俺はもう「彼」を鬼と思えなくなった。

 

同時に、俺の背後を見て驚愕した彼は急に走り出して来た!

俺が身構えると

「離れろ!後ろに何かいる!」

次の瞬間!すぐに横に避け振り向くと、

 

???「ひぃぃぃぃぃ、恐ろしい、恐ろしい」

と言いながらいつのまにか背後には、頭に角を生やし涙を流した弱々しい爺さんがいた、

「なぜじゃ….なぜ…すぐに楽にしてやろうと思うたのに」

と訳の分からないことを言い、いきなり、飛びかかった!

 

それを俺が身構え、刀で斬ると、

「ひぃぃぃぃぃ、やめてくれぇぇ、いじめないでくれぇ」

と斬られた腹に手を当てながら言い放ち、

「いやいや、いきなり襲って来たのは、あんただろ。」

と俺が言うと、

「じゃから、さっさと楽にしてやろうと思っただけじゃ。それをお前が斬ったのが悪いんじゃ!」

と自分勝手な物言いを言ってきた。

普段なら、鬼の言うことなどと言う俺だが傷を治し、守る鬼もいると思うと、この弱々しい爺さんも説得すればいいのかもしれないと思った俺は、

 

「爺さん、貴方が鬼になって、人を食わないといけないのが、辛く、何よりも、可愛そうなのが、わかるが、それでも、人を襲って食うのは、許せないことだし、いけないことだよ、そんなことをしたら、多くの人が悲しむんだよ。こうやって、刀で斬られることもあるんだよ、即座に頸を斬られることになるからね、だから、人を殺した罪を償ってほしい」と、口下手ながら、懇切丁寧に説得すると、

 

それを聞いた、爺さんが、泣きながら、恨めしそうに「そんなことを言って、お前こそ、悪人じゃろう、こんな年寄りに対して、それはあんまりじゃろう」と一蹴された。

 

「えー」と俺が呆れていると、今度は、目にも止まらない速さで襲って来て、「この手が悪いんじゃ」と言い、俺を鷲掴もうとして、気を取られている瞬間には、

「よもやよもやだ、鬼に対して、警戒心がなさすぎるぞ、君」と言う言葉と共に、爺さんが伸ばした腕を斬って、その場に悠然と立ったのは、

 

 

煉獄 正寿郎(れんごく せいじゅろう)さん……!」と俺が、憧れている柱の方がいた。

 

 

 

空夜side

まさか、こんなところで!

十二鬼月の下弦の陸を何とか、危なげなく、倒したと思ったら、上弦の肆の半天狗が、くるとは、早速、倒そうとしたら、あの隊士が、半天狗の姿を見て、何を勘違いしたのか、説得しようしてやがる。

 

俺が、呆気にとられていると、半天狗が、あの隊士に襲いかかって来た!

間に合わないと思ったら、

いきなり、炎が来たと思ったら、目の前で半天狗の腕を斬り落とし、腕を斬られた半天狗が叫んでる姿を見て、驚き、それをやった人物を見ると、燃えるような髪型してるその姿を見て、思ったのは。

 

前世の時から憧れていた炎柱の「煉獄さん!」

その人だった。




炎の呼吸は、いつの時代もいて、代々継承してるということで、この場面で登場と相成りましたー!

さらに、ここで、コソコソ大正裏話、半天狗がここに来たのは、最初は、半天狗が先に来ていましたが、熊鬼の姿を見て、怯えたために、すぐ、隠れていたということです。
ご都合主義ですね。


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上弦の月との遭遇と煉獄正寿郎

前回の続きです。
長くなっております。


鬼舞辻無惨とは、千年以上前に、一番最初に鬼になった人喰い鬼の原種にして首魁であり、数多の人々を人食い鬼に変貌させてきた、全ての悲劇惨劇を生み出してきた残忍無慈悲かつ傲慢に生きる怪物。

 

そして、その鬼舞辻無惨が、変貌させ、生み出してきた鬼の中でも、特に、鬼舞辻無惨が選別した、直属となる“最強”の十二鬼に選ばれ、大量の血(鬼にとっては、これ以上ないご褒美と凄まじい力そのもの)を与えられ、その直属となる“最強”の十二鬼を通称

 

 

()()()()」と呼ばれる。

 

ただし、その十二鬼月の中でも「上弦」「下弦」とある。

 

上弦が真に“最強”にして、鬼舞辻直属たる六鬼。

下弦が、その“最強”に列席する事を許された六鬼。となっている。

 

文字通り、最強が上弦の壱であり、最弱が下弦の陸である。

それ故に、下弦の鬼達と上弦の鬼達とでは、実力差が天地の差ほどあり下弦の鬼達は、上弦の鬼から蔑まれている。

 

そして今、目の前にいる弱々しい外見で頭に角を二つ生えていて、涙を流しながら怯えながらも、数多の人々を喰らい、先程襲ってきたのが、十二鬼月で四番目に強く、真に“最強”の一鬼。

 

 

上弦の肆(じょうげんのし)を冠する半天狗(はんてんぐ)!!!

 

それに相対するのが、古より人食い鬼から人を守ってきた鬼狩りの組織『鬼殺隊』の最高位に立つ剣士で、一般隊士とは隔絶した強さを持っており、文字通り鬼殺隊を支えている、文字通り柱の一人の

 

炎柱の煉獄 正寿郎。

 

空夜side

時代が違うからまだ会えないと思ったら、まさかここで上弦の肆の半天狗に続き、煉獄さんのご先祖様に会えるとは、感激だ。

と思ったら、腕を斬られた半天狗が、

「ギャーー、いきなり、何するんじゃー!、」と、泣き叫びながら、言ったら、

「何を言っている?先にそこの少年を襲ってきたのは、おまえの方だろ、鬼」

煉獄さんが冷静に返したら、

「儂が悪いのではない!!この手が悪いのだ この手が勝手に!!、仕方なく.....」

半天狗が自分勝手な主義主張を述べていると、

 

「いやいや、何言ってる!手が勝手に動くわけないだろう!しかも、足でおもいっきり飛んできてから、「手が悪い」とは言えないだろうが!

そういう嘘をつく行為を二枚舌の大嘘つきというんだぞ!」

少年隊士が言い返すと、

 

「だ、誰が二枚舌じゃ!儂は二枚舌ではない!何より貴様よくもそのようなことを」

二枚舌という言葉に過剰に反応し、目の前の隊士を涙目になりながらも睨んだ。

 

「いやいや、さっきから矛盾した言葉と嘘ばかりだろうが。」

隊士が睨まれても、毅然とした対応で言い返すと、

「儂は生まれてから一度たりとも嘘など吐いたことがない善良な弱者だ 此程可哀想なのに誰も同情しない!」

耳を塞ぎ、泣きながら、頭を抱えた。

 

だが、俺は、知っているし、分かる。

こいつは、半天狗は、

「嘘をつくな鬼、その全身から漂う禍々しい感じと匂いから分かる、食ってきた人達は、百いや、二百人は、食ってきたのだろう!」

尚も言い逃れをする半天狗に対して、煉獄さんが言い放った。

 

「儂は悪くない悪くない、そんな儂をそこまで言うお主らこそ、力のない弱い者(自分)をイジメる悪者じゃろうが!」

半天狗は、尚も言い逃れしようとして、襲ってきたが、即座に煉獄さんが反応して、

「炎の呼吸 壱ノ型 不知火」

言いながら、技を放ち頸を斬り落とした。

 

「ヒィィィ!斬られたああ!頸を斬られたああー!」

喚いた、半天狗だが、

「命をもって罪を償え!」

煉獄さんが、そのまま刀を鞘に納めようとするが、

 

「待ってください!その鬼は、'まだ '死んでない!」

俺が叫ぶと同時に、斬られた半天狗の頸と胴体が、再生していき、それぞれが、二つの肉体となった。

 

一人目は、半天狗の頭部から下の肉体から生まれたのは、怒りを帯びた表情を浮かべる常時顰めっ面な風貌で、老人形態の着流しをそのまま着て錫杖を手に持つ鬼。

二人目は、半天狗の切断された胴体から生まれたのは、手にヤツデの葉のような羽団扇を持つ半裸の修験者のような服装という、いかにも天狗らしい姿をした鬼。

 

そして、その姿を見た煉獄さんがその鬼達の頸を斬ろうと、間合いを詰めていくと

手にヤツデの葉を持った鬼が、その葉を煉獄さんに向けようとして、それを見た俺は、煉獄さんを助けようと、彼の所に行こうとしたが、時すでに遅し、ヤツデの葉を振るわれ、直後に、突風が吹き、近くにいた隊士の人は、木にしがみついたが、煉獄さんが吹き飛ばされかけたが、俺が、彼の腕を掴んで、血鬼術を使い、指の力を強化して、地面を掴み、何とか、耐えた。!

 

「カカカ、楽しいのう!のう!積怒(せきど)!」

「何が楽しいものか、儂はただ腹立たしい!可楽(からく)、おまえと混ざっていたことも、鬼狩りを吹き飛ばせずにしまいには何故か鬼が鬼狩りを助けたことにも。」

「そうかい、それは、離れられて良かったのう、ならば、そこの鬼狩りと鬼を殺せばより楽しそうだのう」

 

途端に積怒が錫杖を振りかざすと周囲に雷が落ちた!

 

瞬間に俺は煉獄さんと隊士の方が雷に落ちないように二人を両手に抱えて一旦間合いを取った。

すると、煉獄さんと隊士の方が

「何の真似だ!お前!」

「何故だ。鬼であるお前が、どうして?」と煉獄さんと隊士の方が助けた俺に素直な疑問をぶつけてきた、

 

「貴方方、鬼狩り様達を助けると決めているもので、何より、目の前の人は必ず助けると家族との約束ですから。」と応えると、煉獄さんは、一瞬、何を言っているという顔から、突然笑い出すと、

「いい心がけだ。よろしい、共に戦おうぞ!」と言ってくれた。

 

隊士の方は、一瞬驚いた顔をしていたが、

「わかった!お前は信用しよう!ただ俺は隊士じゃなくちゃんと「村田 達郎」という名前がある、村田と呼んでくれ!」

嬉しくなった俺は「はい!」と応えたと同時に

 

(村田って、何処かで聞いたことのあるような?、否!今は力を合わせて戦うことに集中しよう!)と何かを思い出そうとしたが、今は戦うという決意の元、積怒達に向き直る。

 

 

「儂らを無視するな!腹立たしい腹立たしい!」

「楽しそうだのう」

と錫杖を持った鬼、積怒が錫杖を振りかざすと、雷が降り注いだ。

 

それを見て、煉獄さんと一緒に奴らの元に駆けていき、煉獄さんが積怒と、俺が可楽とそれぞれ、交戦することに。

 

「腹立たしいぞ、鬼狩り!」怒りながら言って、錫杖を振りかざそうとしたが、煉獄さんが、日輪刀で錫杖を止めて、

「雷は起こさせんぞ」と言いながら、攻防戦を繰り広げ、

 

俺はというと、可楽と格闘戦に、

「カカカ、楽しいのう、楽しいのう!」

「そうかい、だったら、そのにやけ面に拳を叩き込んでやるよ!」と俺は、格闘の最中、可楽の顎の横に拳を叩き込んだ。

そのまま、倒れ込んだ可楽が立ち上がろうとしたが、すぐに、起き上がれなかった。

 

「可楽!何をしている?!」

「カカ、カ?、なんじゃ、体が思うように動かん?」と可楽が、体を起き上がれずにいると、

「無駄だ、顎を揺らせば、脳も揺らしているからな、再生力がいくら高くても、これは、鬼でもすぐには起き上がれねえよ。」

と俺が言うと、

 

「だったら、頸を斬るのは、今しかねえだろうが!」と村田さんが可楽の頸を斬ろうとして、

「待て!やめろ!、こいつらは、斬ったら、斬っただけ、増えていくんだよ!」と俺が叫ぶが、既に、村田さんが可楽の頸を斬った後でさらに、煉獄さんも積怒の頸を斬った後だったために、体が分裂していき、鬼が二人から四人に増えた。

 

それを見た二人が、

「なんだって!」

「しまった!」

 

そして、分かたれた瞬間に、背中から翼を生やし、両腕の肘から先と下半身が鳥類の足の様な鉤爪になっている分裂体の中では一番の異形の鬼が、村田さんの方に「喜ばしいぞ」と言いながら、向かってきた、俺は、すぐに向かおうとしたが、

 

「カカカ、さっきは、よくもやってくれたな、」

「悲しいなあ、同じ鬼でありながら、人間の味方をするとは、」

と可楽が立ち上がり、襲ってきたと同時にもう一人の黒い装束を身にまとった哀愁漂う陰気な表情をし、身の丈以上もある十文字槍を手に持つ鬼も俺に向けて、襲ってこようとしたが、

 

「手を出すな、哀絶(あいぜつ)、こやつは、儂の獲物じゃ、お前は、他所へ行け!」

「確かに、悲しいことに、こやつより、積怒と戦っておる、鬼狩りを先に始末した方がいいのう」

と可楽が俺を獲物と言い、それを聞いた哀絶とやらが、今、積怒と戦っている煉獄さんを殺しに行こうとする。

 

「待て、煉獄さんの所へは行かせねぇぞ、てめえ」と、俺が止めようとすると、

「おっと、お前の相手は儂じゃ!」可楽が俺の前に立ちはだかる。

「くっ仕方ない、先にてめえを倒す!」と俺が、啖呵を切ると

「カカカ、やってみよ小僧」とせせら嗤いながら、可楽が、向かってきた。

 

煉獄side

「炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天」と同時に、積怒という鬼の頸を斬ったが、またも、分裂してきた。

 

「くっ、これではキリがない」

「儂の方じゃ腹立たしい鬼狩りめ!」と積怒が、分裂しながらも、再生しようとしてきたが、再度技を放ちながらも、回りを確認すると、

「加勢に来たぞ、積怒」と言い、十文字槍を突き出しそれをかわし、間合いを取る。

 

「腹立たしい!遅いぞ、哀絶!」怒りながら再生した積怒の隣に陣取るように哀絶という同じように頭に角を二つ生やし黒い装束を纏って、十文字槍を構えた鬼が来た!

 

そのまま、十文字槍で攻撃してきたので、こちらも技を放ち応戦した、

「炎の呼吸 漆ノ型 盛炎のうねり!」

何とか、打ち消したが、錫杖の音が聞こえたと思ったら、雷が落ちてきた!

 

咄嗟に避けたが十文字槍を襲ってきて防戦一方に

「くっ…雷と十文字槍の二つを同時に相手をせねばならないとは、だが、俺は俺の責務を全うする!ここにいる者は誰一人死なせない! 」

煉獄さんそう叫び、積怒と哀絶に切り込んだ。

 

空夜side

(まずい!非常にまずい展開だ!)

煉獄さんは、積怒と哀絶を相手に、槍と雷で防戦一方に、向こうの方で、隊士の方が空喜(うろぎ)に襲われている。

 

あの隊士は、何とか戦えているように見えるが、実際には空喜に遊ばれている!

その証拠に隊士が刀を振り回すのを見て、飛び回りながらニヤニヤと笑ってやがる。

 

俺も、加勢に行きたいが、

「何を見ておるのじゃ?ほら、もっと頑張れ小僧!」可楽と組み合ってる状態では動けない。

(どうすれば?)

 

その時、「ギャーー!」隊士の人が、叫び声を上げた、空喜が、鉤爪で切り裂いた瞬間、

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()()()()()()()

 

 

「・・けんな」

「ん?何じゃ?」可能楽が怪訝な顔していると、

「ふざけんなーーー!ここでは誰も死なせてたまるかーーー!どんなことになってもいい必ず助けるーーー!」

 

叫んだ途端に、俺の懐から、お面が、飛び出してきた、そのあとに、そのお面の中から、それぞれにボコボコと何かが出てきた瞬間に、それは、人の形を成した。

 

翁のお面からは、忍者の格好をした爺さんが出て、

小面のお面からは、男装した白装束を着た武芸者の女性が出て、

童子のお面からは、体に鎧を纏って、頭には髪を後ろで纏めている青年の男が出て、

般若の面からは、頭に角を二本生やし、正に鬼の形相をした白い道着を着た大男が出てきた!

 

そのあとに大男が可楽を拳で吹っ飛ばした後に俺に向き直り、跪き、

 

 

「「「「我ら能面四天王参上致しました、殿!」」」」

 

 

「・・・・・は?、どういうこと?」

と俺だけじゃなく、この場にいた全員が唖然とした。

 

「殿、我らは、殿の血鬼術によってお面に込められた思いと共に生み出されし殿の分身でございます。」武芸者の女性がそう言ってると、

「はあ?何のことだか、さっぱりなんだが?」と俺が素直な疑問をぶつけると、

「詳しい話は後で!まずはあの二枚舌の大嘘つきどもをを倒しましょうぞ!」と大男が、大きな声で言った

 

「確認しておくが、お前たちは味方でいいんだよなぁ?」と俺が言うと、

「「「「無論!」」」」

 

「わかった、なら、一緒に戦おう!」

「楽しいのう、また、ワラワラと集まって来おったわ!」可楽が、笑いながら、向かってくると、

 

「こいつは、俺に任せろ!お前たちは、あそこにいる羽織を着た煉獄さんと今、翼を生やした鬼と戦っている村田さんを助けてくれ!」

「「「「御意」」」」というと、大男と女武芸者が煉獄さんの所へ、忍者の爺さんと鎧武者の男子が、隊士の方への向かった!

 

村田side

(くそ!くそ!このままじゃ)

「喜ばしいぞ、もっと、歓喜の血飛沫を上げてみせろ!」

俺が、肩を裂かれて、肩を庇いながら、立っていると、目の前の鬼が嘲笑いながら、そんなことを言っていると、目の前に忍者の格好をした爺さんと鎧武者姿の男子が来た。

「ここまでよく持ちこたえた!あとは、拙者らに任せろ」

「ファッファッファッさあて、始めようかのう空喜どの」

 

今、新たな増援が到着し新たな局面を迎える!




ここまで、ご覧いただきありがとうございます。
次回で空夜編ラストです。


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舞い降りる脅威と決着の時

鬼殺隊に
憧れながら、鬼に全てを奪われて、それでも、未来のために人々を守るために戦う道を選んだ空夜編のひとまずの区切りです。

長いですが、どうぞ、最後まで、お付き合いください。
感想、評価、質問、誤字脱字報告お願いします。


空喜side

鬼狩りを切り裂いて、肩から血飛沫を上げている鬼狩りが睨みながらも恐怖で体が震えているのを喜ばしいと歓喜極まる思いで空から眺めてると、突然目の前に鎧武者の小僧と忍者の姿をした老いぼれが現れた。

 

(おきな)よ!ここは拙者に任せよ、あの鬼狩り様を頼む」と小僧が言うと、

「ファッあいわかった。」といつ間にやら老いぼれが儂の目の前から消え、鬼狩りを肩に乗せた。

「なんだ、貴様らは?」と尋ねると、

 

「我が名は天羅(てんら)!お前を倒す者だ」と鎧武者の小僧は、そう宣言した。

「実に喜ばしいぞ!そのような妄言を垂れるとは。」儂が笑いながら言っている隙に

「村田殿、こちらへ。」

「待て!奴は強い!俺より、彼に助太刀した方が…」

「ご心配めされるな!天羅は強い!それ故に今は逃げましょうぞ村田殿。」

 

いつのまにか、老いぼれが、鬼狩りを連れて行っていた。儂が追いかけようとすると小僧が立ち塞がり、

「彼らの元に行かせん!」

「喜ばしいぞ!ならばお前からじゃ!八つ裂きにしてくれようぞ!小僧!」空喜が両足の鉤爪を広げて向かってくると

「やってみろ!鳥頭め!」少年武者は受けてたとうと八相の構えをした。

 

激突の瞬間に少年武者の鎧が切り裂かれ血が吹き出た!

「どうだ!儂の鉤爪は金剛石を切り裂くほどの切れ味は!震えるがいい 歓喜の血飛沫をもっと上げてみせろ!!」空喜が少年武者を切り裂きながらいうと、

「お前もな鳥頭!」

という言葉と共に空喜の体が真っ二つになった。

 

それでも半分に分裂した口二つから音波を出そうとするとすかさず少年武者が

「血鬼術 刹那斬り(せつなぎり)!」

と言い、目の前から消えたと思ったら、体がバラバラにされた。

それでも再生しようとするが、またも斬られた!

「どんな再生しようとも、その時に切り続けるだけだ!」

 

積怒side

「何者じゃ貴様ら!腹ただしい!」鬼狩りを追い詰めた所で、道義を着た大男と白い装束を着た女が立ち塞がり、

「我が名は、般若丸(はんにゃまる)!二枚舌め!成敗してくれる!」

「私の名は佐季(さき)!これ以上は、やらせません!」

鬼狩りの前に守ろうとするとかのように立った。

 

「実に腹ただしい!腹ただしいぞ!貴様ら、一体何者じゃ?」儂が苛立ちながら聞くと、

「我ら!殿の血鬼術により能面から生まれし殿の分身なり!」と大男の方が訳の分からんことを言いおった。

「・・・・・悲しくなってくる、いくら雑魚がこようとも儂らには勝てぬ」哀絶が涙ながらに言うと、

 

「雑魚とは言ってくれますね、ではその雑魚に切り殺されても同じことを言えますか?」

沙生が殺気を放ちながら長刀を構えた瞬間、哀絶の前に移動していた!白装束の女が哀絶を袈裟斬りをしてから畳み掛けようとすると哀絶が十文字槍を振り回し、それを避けた白装束の女が一旦距離を置いた。

「悲しいのう」

「貴方は哀れですね。」

 

「腹ただしい!可楽も哀絶も空喜も何をしているのか!何より何者なのだ!あやつらは鬼狩りに与しおって!腹ただしい腹ただしい!」

積怒がほかの三人の不甲斐ない無さと新たな敵の増援に対して怒り狂っている時

「それよりも自分の身を心配したらどうだ!二枚舌め!」

と般若丸が正拳突きで積怒に放ち、気づいた積怒は錫杖で防いだが衝撃が強く吹き飛ばされ、地面に仰向けの状態で倒れた。

 

「お前たちは一体?」

と煉獄さんがいきなり現れ、さっきまで雷と十文字槍で猛攻をしてきた鬼二人組みとの間に割って入り、目の前の鬼達に戦闘を仕掛けた新たな鬼達に対し疑問を投げかけると、

「我らは、鬼狩り様の味方なり、安心されよ!まずは目の前にいる二枚舌どもを殲滅しましょうぞ!」

と般若丸が高らかに応えると、煉獄さんは内心

「(・・・・・訳がわからんが、今は「味方」と思っていいかもしれん)良かろう、こちらも敵二人に苦戦していたところだ。共に参ろうぞ、般若丸とやらよ。」と煉獄さんが般若丸の隣に立った。

 

「鬼狩り様、よろしいか?我は鬼であるが?それに体の傷が.....」

般若丸が心配して言うと

「先程言っただろう、「共に参ろうぞ」とそれにこの程度の傷で引く訳には」と煉獄さんが言いかけると

 

「腹ただしい腹ただしい!儂を前にして何を喋っている!何より先程はよくもやってくれたな!雑魚どもめ!」

積怒が倒れた状態から起き上がり、苛立ちながら錫杖を振りかざし、雷を落としてきたが煉獄さんと大男の二人が避けて、左右から積怒に向かって行く積怒は雷を降らせていくが二人がジグザグに動き、全く当たらず先に大男が正拳突きで積怒を攻撃してきたが、同じように錫杖を盾に使い、今度は耐えていると後ろから煉獄さんが

「炎の呼吸 壱ノ型 不知火」

と積怒の頸を斬ったがすぐに分裂してこようとしたが、

「させぬぞ二枚舌!血鬼術 炎重拳(えんじゅうけん)!」

と奴の拳が炎に包まれ、儂に正拳突きをした直後に拳が当たった場所から炎が広がっていく!

 

「ぎゃあああああ、貴様よくも!」

「自身の犯した罪の苦しみを味わうがいい!」

 

空夜side

「全員すげぇ・・・・・」と俺の血鬼術で生み出されたという奴らが半天狗の分身体達を追い詰めていることに感嘆していると、

「お?なんじゃ!あっちで戦っている奴らの方が楽しそうだのう!小僧!お前はもういいぞ!」可楽が組んだ状態から足で俺の腹を突き破ろうとするが、

 

「血鬼術 細胞変異層 鉄意(さいぼうへんいそう てつい)!」と俺が自分の細胞を活性化させて、体を鋼鉄の細胞に変える。奴の渾身の蹴りを防いだ!

「ぎゃあー!なんじゃ!儂の蹴りが通じぬ!」と奴が痛がっている隙に

「今度はこちらの番 細胞変異層 剛腕(ごうわん)」と鉄意をかけながら手の細胞を活性化・強化して組んでる状態から、奴の腕を握りしめて、奴が

「ぎゃあー!離せ!離せ!」と言うのを無視して、片手だけを離して、奴の顔面を思いっきり殴った!

「ぐぎゃあ!」

「いくら再生するとはいえ、再生する前に、殴り続ければいい!」と俺が連続で殴っていると

 

「調子にのるなー!小僧!」と可楽が団扇を出して振ろうとしたが、その団扇を持っている手ごと握りつぶした!

「ぎゃあー!おのれ!小僧ー!」

 

「そろそろ決めるか! 血鬼術 細胞凝固弾(さいぼうぎょうこだん)!」と俺が殴るのを一旦止めて、手の平から赤い塊を出して可楽にぶつけた。

「なんじゃ!ぐああああー」塊が当たった所から粘土のように可楽の体中に広がり、遂には、顔まで覆い尽くした。途端に固まった。

 

「どうだ、俺の細胞凝固弾は、この塊は当たったものにへばり付き、覆い尽くし最後には固まるからな!いくら再生しようとも固められてしまえば何も出来まい!」

と言いながら、周囲を見回すと、あと残っているのは、哀絶だけだが、白装束の女が既に奴の腕を切り落として十文字槍で哀絶を木に貼り付けた!これで全員を倒したと思いがちだが、前世の知識のある俺には分かる!

 

「(まだ五体目の()()がいる!みんなにもそれを伝えないと!)」

俺がそれを伝えようと大声で叫ぼうとすると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「何を無様な姿…を晒している…半天狗…上弦の肆…ともあろう者が…」

 

 

瞬間時が止まったようだった、その場で戦っていた鬼殺隊士柱である煉獄さん、能面から生み出された四人、半天狗の分身体達でさえも動かなかった何故なら、この静寂とこの冷え切った感情は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()それは

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()殿()()

哀絶が悲しみを抱えながらも誰よりも怯えた表情で話しているのを見た時には、思い出した、否()()()()()()()()()

 

 

そう!この感情は、()()()()()!!!

 

 

前世で漫画を読んで数コマだけだが、その長い黒髪を後ろで縛り、六つ眼を持った異貌の鬼。

さらに額や首元から頰にかけて揺らめく炎のような黒い痣がある。衝撃過ぎて印象に残ったのを覚えている。

更に左右にある六つ目の真ん中両目に左目が「上弦」右目が「壱」と刻まれている。

間違いない!!!

そんな十二鬼月の上弦最強の鬼がどうしてここに?!!

 

「私は…あの方に…命を仰せつかって…ここに来た。その命…というのが…」

と不意に俺の方を見て

「そこにいる…逃れ者…の始末…だ。」

瞬間!俺に殺意が向けられる!

 

「それと…半天狗よ…いや、お前達は…何を…しているのだ?」

「儂らは、この鬼狩り供を片付けようと…」哀絶がここにいた理由を説明していると

「そんな事を…聞いて…いるので…はない。何故…上弦の肆…ともあろうものが…そんな無様な…姿を晒している…のかと…と聞いて…いるのだ?」

と怒りをあらわにしてきた黒死牟。

「ひっ!ちょっと待ってくれ!今からこやつら全員始末を…」

 

「始末…?…空喜は…バラバラ…にされ…可楽は…そこで…血の塊と化し、積怒は…炎に…包まれ…動けなくなり……そして…哀絶…お前は…そこの木に…槍で…貼り付け…させられている…という…のにか?」

黒死牟が独特な喋り方で疑問を投げかけると、哀絶はバツが悪そうにしていると、

 

「もう良い…そもそも…其処にいる…逃れ者は…最初から…私が…狩るべき獲物だ…ここは…私に任せよ…お前達は…下がるが良い。」

黒死牟がそう言うと、再生した空喜と炎から抜け出た積怒が喚いた

「待て!こやつら全員儂らの獲物じゃぞ!」

「腹ただしい!後から出てきて勝手に決め」

 

瞬間!空喜と積怒の体が細切れになった!

俺たちが戦慄していると

「積怒…空喜…お前達は…度が過ぎる…」黒死牟が哀絶のそばにいた

「も、申し訳ない。」と哀絶が謝っていると

 

「何も…怒っている…のでない…後から…出て来た…ことには…確かに悪い…と思うが…お前達は…「上弦の肆」だ。…「上弦の壱」である…私に…逆らって…はいけない…序列の乱れ……ひいては従属関係に皹が入ることを憂いているのだ。」

黒死牟が言い、

「気に食わぬの…であれば…入れ替わりの…血戦を申し込む…が良い」

「いやいや、それは無理じゃろう、悲しくなってくる。

仕方ないここは儂らは引こうぞ」

哀絶がそう言うやいなや、再生した空喜は固まった可楽を連れて行き、積怒も怒りながらも哀絶と共に引き上げた。

 

俺たちは、それを黙って見ていた。あの半天狗達より遥かに恐ろしく強大な敵が目の前にいたから、一歩も動けなかった。

 

「さて…始める前に…聞くが…逃れ者よ」 黒死牟と聞いた。

「なんだ?」と俺が言うと、

 

「何故…あの方の血を…与えられ…鬼に…なりながら…人を…守ろうとし…鬼狩り…に与して…おるのだ?」

黒死牟が怒りをあらわにしていたので、俺は冷静に返した。

 

「それは、俺の目の前人たちを死なせないを両親と弟に誓い、後の世の子供達の未来を守るためだ!」

 

「……実に…くだらぬな…」黒死牟がそう一瞥すると

「くだらぬだと……?」俺は内心怒りながらも聞いた。

 

「わからぬのか?…鬼である…ならば…人であった…ことなど…捨てよ…と言う…意味だ…」

「言ってくれるな!お前こそわからないのか! 鬼にはなく、人だからこそ持てる大事なものと強さを!!!」

 

そう言った途端に俺の側に能面の四人組が来た!

「鬼狩りの村田殿と煉獄さんは、無事に遠くの方に移動しました、煉獄さんは、最後まで戦うと言ってくださいましたが、相手はあの上弦の壱!

今は生きて帰り、このことを知らせた方が良いと説得したら、渋々ながらも、村田殿と一緒に逃げました。」

翁の面を頭後ろに付けた忍者がそう報告してくれた!

 

「そうか!ありがとう!」と俺が言うと

「話は済んだか?」

黒死牟が構えて来た。

俺は深呼吸して、目の前の敵に向き直ると

 

「行くぞ!黒死牟ー!」

その時!黒死牟と俺たちは激突した!!!

 

 

 

ーーーーーーー

 

結果から言えば、俺たちは負けた……

 

能面の四人組も倒されてしまい、日輪刀も折れてしまい、血鬼術も通じずに後に残ったのは俺一人……

それでも、逃げることと時間を稼ぐことにして、もう夜明けという所で黒死牟が迫って来た

ここで、俺は翁から俺の血鬼術は、自身の細胞の他にも普段から触れている物などを形を与えることが出来ると言われたのを思い出し、あることを試した。

 

それは''折れた日輪刀''を我が身に取り込み、''自分の刃''とすること、このままでは、原作の彼らに会えずに死ぬと思ったら、折れた日輪刀を自分の体に取り込んだ。

 

黒死牟はそれを見て一瞬驚いたが、すぐに襲って来た!

 

そして俺は、片腕を変化させて、一本の刀にしたそして日輪刀は、日の光を浴びて溜めている。

「血鬼術 ''日輪光''!!」

と黒死牟に向けて自分の腕の刀を太陽光で光らせ、放った!

 

「ぐああああー!」と黒死牟が光を六つ目に当てられて、顔が崩れて怯んでいる隙に、

俺の分身の能面鬼達を担いで血鬼術で強化した足で一目散に駆け走った!

 

「ま、まて!」黒死牟が追いかけようとするが、まだ、直接日の光を顔に浴びたダメージが残っているのか、顔の再生が遅くフラフラ状態だった。

 

「待たない!だかしかし!黒死牟!そして、見ているんだろう!無惨!いつか必ず、お前達を叩き潰してやるからな!」

 

と捨て台詞を吐いたものの、胸中は屈辱と敗北感でいっぱいだった。

今まで修業、鍛錬してきたというのに、これほどの力の差があるなんて、

それでも、今は耐えて人を守りぬいて、未来を守るために戦ってやる!

そして、原作メンバー達に会いに行こう!

 

それだけを胸に刻み前を向いて全力で走って行く!

 

 




ここまでご覧いただきありがとうございます。

次回からは、和星編に戻ります。
どうぞ、よろしくお願いします。


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松原山から最終選別へ

善逸がしていたという「雷の呼吸」の修行の情報と善逸のじいちゃんこと桑島 慈悟郎さんの情報がなかったので、完全なる捏造設定な修行内容ですが、ご理解のほどよろしくお願いします。


ーーー松原山に登って数日が過ぎて、まず俺が心の底から思ったのは「恐怖」だった。

「ぎゃあああああーーーーー!、助けてーーーーー!死ぬーーーーーー!ア''ーーーー!(汚い高音)」

「死にはせんこの程度で!!男が弱音を吐くな!馬鹿者!」という

俺が修行のあまりの辛さに泣きわめき、それを先生いや、師範が怒鳴っているという自分でも情けない光景だった。

 

ーーーーー

 

本当にここ松原山の修行はやばい、いきなり山頂まで行けと言われて、最初の内には、山中に仕掛けてある罠に引っかかりまくって、更にこの山の空気が薄く、知らず知らずの内に疲労が溜まりまくった。

更にいきなり体に縄で縛ってもう一方の先端を猪に括り付けられてそのまま、猪に走らせ、結果猪に括り付けている縄で引き摺り回され、山中を延々と駆けずり回された。

 

未来の弟弟子の善逸へ

前世で「鬼滅の刃」を読んで、善逸が修行のあまりの辛さで何度も逃げようとした時にはどんな修行なんだろうとともに、泣いてばかりで情けないと思っていた。

 

だが今はそんな昔の自分を思いっきり殴りたい!

(これ本当に死ぬほどキツーーーーーい!こりゃ逃げ出したくもなるよーーーーー!情けないと言ってごめんなさい!今なら善逸の気持ちがすげぇーーーーよく分かる!)

 

それでも全集中・常中の呼吸をやっていたおかげで悲鳴をあげながらもこなしつつ、なんとなくだが気配で罠の位置がわかり、空気の中にも慣れてきた。それに師範は修行をしてくれている時以外はとても優しく照れ屋だということがわかった。

 

例えばいつもヘトヘトになりながらも家路に着くと

「今日は前より良くなっておるぞ、さあ、風呂に入ってこい。その後には飯じゃぞ」と言い修行で疲れた俺を労わったり、ここでの修行がきついなら他の所に紹介してやろうか?と言われた時に

 

「俺は師範のような強い人になりたいからここがいいです!」と言うと、師範の顔が照れたようにポッとなったこともある。

 

そんな師範と一緒だからこそきつい修行でも耐えていける。

 

そんなある日

「和星、何故鬼殺隊に入隊しようと思ったのじゃ?」

食事をしていると唐突に師範から疑問を投げかけられた。

 

それに俺は、家が代々藤の花の家紋を掲げてきたこと、そこに希血目当てで鬼が襲ってきたこと、あの場では鬼と戦えるのは自分だけだったこと。

何より、鬼に殺されそうになって思い出したのは、

 

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と思い、その一心で鬼を倒したこと。

 

そして、戦いにいかなかったのにもかかわらず鬼が襲って来たことに気づいた瞬間、こんな風に他の場所でも鬼が襲って来ることがあってその人達の日常と未来が奪われてしまう。

 

それだったら鬼殺隊に入って多くの人達の日常と未来を守り、悲劇を起こさせない!

そのために鬼殺隊に入隊して、多くの人達を助けよう!!

 

「それが俺が鬼殺隊に入ろうとした理由です。」というと、師範はいつも以上に真剣な顔で

「剣士にとって大切なものを持っておるようじゃのう」と力強く頷いた。

 

 

 

ーーーその数日後

山登りと山下りを繰り返したある日、刀を渡された。

内心遂に来た!と思った。

 

それからは刀を持っての素振り千回!

刀を持って素手の師範との組手、無論俺は何度も挑んでは投げられまくった!

高齢だというのに師範の強さを改めて噛み締めた。

 

次に刀を持ったまま山頂まで行って、下山してくるものもちろん今までよりきつい ( 殺す気満々 ) 罠の数々!

何度も死ぬかと思った(涙目)。

 

その後には、「呼吸法の仕方」。

 

前に家に来た鬼殺隊士の人から教えてもらった全集中・常中の呼吸はやってきたからといっても「雷の呼吸」の習得するのには、数日かかった。

次にはいよいよ「雷の呼吸の型」を教えてもらった。

 

まずは基礎の技の居合術の

雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃(へきれきいっせん)!

 

雷の呼吸 弐ノ型 稲魂 (いなだま) !

 

雷の呼吸 参ノ型 聚蚊成雷 (しゅんぷうせんらい) !

 

雷の呼吸 肆ノ型 遠雷 (えんらい) !

 

雷の呼吸 伍ノ型 熱界雷 (ねつかいらい) !

 

最後に雷の呼吸 陸ノ型 電轟雷轟 (でんごうらいごう) !

 

・・・・・出来たとは言えなかった。技も威力も中途半端だった。

俺がそう落ち込んでると師範は

「馬鹿者!最初から完璧に出来るやつなぞおらん、むしろよく六つの型全てをよく覚えたことを誇れ!」

と俺に怒りながらも励まして褒めてくれた。

 

嬉しい!もっと頑張ろう!

 

そう誓い、よりきつい修行にも取り組んだ。

 

 

 

ーーーーー

そして半年が過ぎ、

改めて「雷の呼吸の技の型」をやった。

 

まずは基礎であり居合術の

 

雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃 !

対象の丸太を真っ二つにした。

 

雷の呼吸 弐ノ型 稲魂 !

対象の丸太を五連の斬撃を叩き込み、バラバラにした。

 

雷の呼吸 参ノ型 聚蚊成雷 !

対象の丸太の周囲を高速で旋回しながら切り刻んだ。

 

雷の呼吸 肆ノ型 遠雷 !

対象の丸太から遠間から強烈な踏み込みで相手に接近し、横一文字に斬り捨てた。

 

雷の呼吸 伍ノ型 熱界雷 !

対象の丸太を衝撃を伴った強烈な斬り上げをし、宙に吹っ飛ばした。

 

最後に雷の呼吸 陸ノ型 電轟雷轟 !

周囲にある大量の丸太全部に広範囲に雷の様な斬撃を炸裂させて、全ての丸太全部を切り刻んだ。

 

「ふうー、師範今のはどうで.....」俺は言いかけたが、固まった。

何故なら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

なんて事だ!もしかして半年も経ったのにこの程度でしかない俺に対して、情けなさ過ぎて、泣かせてしまった!

と俺がすぐに謝ろうとすると、

 

「和星…よくやった!お前は儂の誇りじゃ!」

 

涙ながらにそう言われて、俺は驚き、嬉しくて嬉しくて俺まで泣いてしまった。

 

その夜にはいつもより豪勢な食事を出され、数日後にある

()()()()に行くことを言われた。

 

正直怖いという気持ちがあるが、それ以上に師範がこれだけ俺のことを考え期待してくれていると思うと胸が高鳴り誇らしい気持ちだった。

それにずっと技の型をやっていて、遂に自分でも技が出来てると思った時から心から覚悟が決まった!

 

それから師範が俺の身なりを整えてくれた。

しばらくして鏡の前に立ち、自分の姿を見た。

髪の色は茶髪で目が切れ長の目をしている身長は普通の人と同じ。

 

 

ーーーーーそして数日後

最終選別に行く日が来た!

 

慣れ親しんだ松原山の家から出る時に師範は

「必ず突破して戻って来い!!!」と激励してくれた。

それに俺は

「はいっ!師範!必ず突破して戻って来ます!!!」

そう言って師範が力強く頷いたのを見て、そのまま俺は出発した。

 

そして、藤襲山へ着いた。

夥しい薄紫が出迎えた。

視界を染め上げる大量の藤の花。山の中腹へと至る階段を彩るように咲き狂うそれは、鬼を寄せ付けず、鬼を閉じ込める結界。

「うわー!すごい数の藤の花だー!正に荘厳な雰囲気!」

とあまりにも幻想的な光景に見惚れ感嘆して階段を登っていると門を模した紅い柱があった。

そこを抜けた瞬間、そこはもう広場であり試練の場へとなった。

 

そこには既に多くの子供達が居た。

( 改めて見ると、みんな強そう人達ばかりだな )

俺が周囲の人達を観察していると、俺の後にも門から来た子供達がいた。

 

(ん?誰だろう?………! )

途端に俺は気づいたけど、内心、早く彼等二人と接したい!

だが、俺と彼等は初対面、いきなり過剰に接すると、気持ちが悪がれると思い直し、まずは深呼吸して心を落ち着かせた!

 

俺がこんなに動揺しているのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

その人達が周りを見渡している時にさり気なく、心臓がばくばくいいながらも内心興奮しまくりだが、必死に顔には出さないようににこやかにゆっくりと近づいて声を掛けて自己紹介した

「初めまして、俺の名前は林 和星。よろしく。育手の桑島 慈悟郎の紹介で来たものだ!

君達の名前は?」

 

というと彼等二人は少し戸惑いながらも名乗った

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「育手の鱗滝 左近次(うろこだき さこんじ)の紹介で来た|()()()()()()()》だ」と名乗った。

 

もう一人の()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

|()()()()()()()》」と短く名乗った。

 

 

「そうか!やはりその厄除の面は鱗滝さんのお弟子さんでしたか。」と言いながらも、もう内心は感動の嵐だ。

 

 

 

( 奇跡だー!やっと会えたーー!・・・・・はっ!そういえばここには、()()()がいるんだった。せっかく会えたこの奇跡を台無しにされてたまるか!!!

二人とも必ず守って助けてみせる!!!!! )

と静かに決意と覚悟を決めた。

 

 

 




やっとここまで来たー!
遂に義勇さんと錆兎さんとの邂逅を果たしたー!
次回はいよいよ最終選別!
どうかこれからもよろしくお願いします。


誤字脱字報告お願い致します。


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最終選別開始

ようやく叶った義勇さんと錆兎さんとの邂逅!
そしていよいよ最終選別開始です!

・・・・・アイデアを詰め込んだ結果長くなってしまいました。
それでもどうかお付き合いください。


錆兎side

ーーーーー思い出すのは、あの時だ。

 

その日は朝から身支度を整え、腰に日輪刀を差し、頭に鱗滝から授かった厄除の面を付けた錆兎と義勇が共に最終選別が行われる藤襲山へ出発する前に

 

鱗滝さんからは力強く、

「最終選別、必ず生きて帰ってこい。儂も真菰も、此処で待っている。」と言われ

真菰からは「絶対に……絶対に、帰って来てね……私……待っているから……」

 そして、今にも泣き出しそうな顔から精一杯の笑顔を浮かべた。

 

「行ってらっしゃい、錆兎、義勇!」

 

・・・・・必ず帰ってくると約束して!

 

ーーーーーそして、今俺達は藤襲山に着いた!

 

視界を染め上げる大量の藤の花、山の中腹へと至る階段を彩るように咲き狂うそれを見入っていながらも覚悟を決めて階段を登り切り、真っ赤な鳥居を抜けた瞬間、そこはもう試練の場へと様変わりした広場が広がり、そこには既に大勢の人がいた。

 

 みな服装も歳もバラバラで、けれどただ一つ同じところを挙げるとすれば、皆大正の時代には不似合いな一振りの刀を帯びていることだろう。

俺達もそこら辺の所で待とうとすると、向こうの方から茶髪で切れ長の目をしている子供が近づいて来て、

 

「初めまして、俺の名前は林 和星。よろしく。育手の桑島 慈悟郎の紹介で来たものです!君達の名前は?」

と唐突に挨拶と自己紹介をして来た。

 

その茶髪を一言で言い表すなら「強い男」

その体格と全身から溢れ出る強さには俺と義勇も一瞬後ずさるほどだ

 

しかし挨拶と自己紹介されたのだから俺達も挨拶と自己紹介しなければ失礼だと思い

「育手の鱗滝 左近次の紹介で来た錆兎だ」と名乗った。

「義勇」と義勇も挨拶を短いながらも返した。

 

「そうか!やはりその厄除の面は鱗滝さんのお弟子さんでしたか。」

相手の茶髪はそう言い、納得したように頷いた。

 

「鱗滝さんを知っているのか?」と俺が質問すると

「ええ!うちの師範の旧友と聞いております。鱗滝さんの弟子みんなは鱗滝さんから「厄除の面」といい狐の面を送られると聞いていたので、是非お会いしたいと思っておりました。」とその茶髪は落ち着き払っていながらも何故か途中から興奮したように喋ってきた。

 

・・・・・なんだ、鱗滝さんの友の弟子だったのかと安心していると

 

 

「皆さま、今宵は最終選別にお集まりくださってありがとうございます」と凛とした声を発した。

白樺の木の精と見紛う現実離れした美貌を持つその女性が中央に立っていた。

 

「この藤襲山には鬼殺の剣士様方が生け捕りにした鬼が閉じ込めており、外に出ることはできません。ご覧の通り、山の麓から中腹にかけて、鬼共の嫌う藤の花が一年中狂い咲いているからでございます」

その女性はゆっくりと集まった子供達に聞こえるように喋ってきた。

 

「しかしここから先には藤の花は咲いておりませんから、鬼共がおります。この中で七日間生き抜く。それが最終選別の合格条件でございます」

瞬間、緊張の糸がピンとこの場に張り詰め降りた。

それは参加者が全員はっきりと条件を理解した証左であり、試練の始まりを感じさせるものであった。

 

「では、行ってらっしゃいませ」

 

 

ーーーーー

 

 

最終選別初日の夜。

 今この瞬間から命の保証が無くなり、山内に蔓延る鬼共との邂逅が余儀無くされた。

 

 最終選別突破の条件は七日間生き残ること。

そのために錆兎は

「二手にわかれよう」と義勇に言った。

「……何故だ?」

「二人で行動すれば生存率は上がるだろう。事前説明から反則事項ではないとも思う。だが、それで本当にいいと思うか?」

「……思わない。鬼殺隊員として単独で任務に就くことも考えられる。雑魚鬼しかいないとされるこの試練の場で一人で生き残れないようなら、いずれ死ぬ」

「俺もそう思う。だからこそ二手にわかれよう義勇!……ただし約束しろ……男として死ぬなよ義勇!」

「お前もな錆兎」

と方針が決まり、二手にわかれた。

 

義勇side

俺はそのまま走った。

道行く時に鬼に出くわしたが、皆倒した。

 

これなら、俺より強い錆兎も順調に行っているだろう。

 

・・・・・しばらく走っているとまた鬼に出くわした。

今度は二体、

「ひひひ、久々の人肉だ!」

「おい邪魔すんな!あいつは俺の獲物だ!」

と言いながら襲ってきたが、難なく倒そうとすると、

「ぎゃっははは、子供の肉だー!」と後ろからも襲ってきた!

 

俺は咄嗟に避けた。

 

周りを見ていると、周囲には、十体の鬼達が取り囲んでいた!

 

「おい!てめえらこいつは俺の獲物だぞ!」

「はっ!知るかよ見つけたもんの価値だろうが!」

「げっげっげっ!」

「こいつの肉の方が美味そうだ!」

「やっちゃうぜ!やっちゃうぜ!」

「うるせえなー!」

「どいつもこいつも」

「あ?なんか言ったか?まあいい!まずはこのガキだ!」

「めんどくせえ!」

「こいつを食ったらすぐに他の餓鬼どもを……」

 

( まずいな、だがそれでもやり遂げて帰らなかければ…… )

脳裏には鱗滝さんと真菰、そして錆兎!

俺は切り込んだ!

 

「おおおおお!全集中・水の呼吸 肆ノ型 打ち潮 (しのかた うちしお)

一気に三体の鬼達の頸を斬った!

次は……

 

「ひゃっはーー!」後ろががら空きだぜ!」

後ろから襲ってきた!

間に合わない!

 

 

「全集中・雷の呼吸 弐ノ型 稲魂」

瞬間、鬼達五体が一気に頸を斬られた!

 

「なんだおい!まだガキが……」「全集中・水の呼吸 肆ノ型 打ち潮 」

と残り二体の鬼を倒したのは錆兎だった。

 

「胸騒ぎがして駆けつけてみたが、怪我はないか義勇?」

錆兎が心配そうに言うと義勇は

「油断した済まない。それと確か和星と言ったか、礼を言う。」

 

「これぐらいお安い御用ですよ!」茶髪はそう言った。

「そうか、お前が義勇を、ありがとう恩にきる」錆兎からもお礼を言われ、一瞬ポッとなった

 

「いやいや、貴方達二人そこまで言われるとは……」と照れたように言った。

 

「はっ!それよりも分かった筈です。こんな風に雑魚鬼といえど、集団で襲いかかってきたらひとたまりもないと!」

と和星は思い出したように喋ってきた。

 

「だがしかし、これぐらいの試練の場で一人で生き残れないようなら……」錆兎が言うと

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

と言って来たので、俺と錆兎は、はっとして、鱗滝さんと真菰の顔が脳裏をよぎった。

 

「何より鬼達が集団で襲いかかっくる状況でたった一人で戦えません!あちらが集団ならこちらも集団で協力するべきです!」

と説得してきた。

「……分かった。協力しよう。」錆兎が言い、義勇も頷いた。

 

すると和星は安心したように

「では、他のみんなと合流しましょう。実はもう話はつけているので案内します。まだ鬼がいるかもしれないので気を引き締めて急ぎましょう!」と言って、俺達を伴い走り出した!

 

 

和星side

 

・・・・・良かった!本当に良かった!

二人が話し混んでいる間に最終選別にいるみんなを死なせないために他のみんなと協力関係を結ぶために話し、幸いにもほとんどの人はは同じ考えらしく、すんなり俺の提案を受け入れてくれた。

 

驚きなのは、その中には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()がいたこと!

 

名前を聞いたら

「私は胡蝶カナエ」

「俺は煉獄 杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)

 

 

まさか同期だったとは!正に奇跡だと思った!こんな所で憧れている人達四人と出会えるなんて!

内心感動した!

 

 

そして話がついて、二人を見ようとしたらもういつのまにか二人ともいなくなっていて焦った。

 

それでも、気配は覚えているので、急いで探し回ったら、大勢の鬼達がいて、見ると義勇さんが戦っている!

義勇さんが三体の鬼達を倒して、すげえと思っていると義勇さん後ろから鬼が来たのですぐに助けた!

 

その後にも単独で行動しようとする錆兎さんを説得して、他のみんなと合流することになった。

 

そして、既に多く集まっていた他の参加者の皆と合流した。

 

「おお!ようやくきたか!和星!」と杏寿郎さんが出迎えてくれた。

「はい!戻りました。こちらの二人も協力関係に同意してくれました。」俺は二人を杏寿郎さんに紹介する。

「錆兎だ」

「義勇」

とそれぞれ自己紹介した。

 

「煉獄 杏寿郎だ。よろしくな。」

杏寿郎さんからも自己紹介を終え、本格的に集団活動を開始した!

 

ーーーーーあれから六日間.....

最終選別に参加者の皆が初日と比べて格段に強くなった。

 

もちろん、これは試練なので鬼を探し倒すために交代でいくつか班に分けて、二人一組になって各個撃破となった。

倒せそうな鬼なら一人で戦うということにもなり、さらにお互いに情報交換。怪我をしていたら駆けつけて、手当を行う。

何せ、元藤の花の家の者だから、医療用具はいくつか持って来ていた。カナエも医療の知識があり手伝ってくれた。

及び互いの技術向上のために、稽古したり何かダメな所があったら指摘しあったりと。

その結果、皆が強くなり、死者も一人も出なかった。

 

その中でも抜きん出たのは、杏寿郎とカナエ、錆兎、義勇と自分でいうものなんだが和星。

 

そしていつもの稽古の最中に錆兎さんから

「和星、お前と稽古を始めて幾日かたったが、お前だけには一向に勝てない。何か強さの秘訣でもあるのか?」

錆兎さんが素朴な疑問をぶつけてきたので

「大したことないですよ。・・・・・強いて言うなら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

俺が言うと

 

「なっ!()()()()()()()()()()()()

錆兎さんが驚いたのを皮切りに

 

「どうした錆兎?」

「何事だ?」

「何かあったの?」

 

錆兎さんの声を聞きつけ、義勇さん、杏寿郎さん、カナエさん、他のみんなが集まって来た。

錆兎さんから俺が毎日欠かさずに全集中の呼吸をしていると聞いたら、みんなが驚いていた。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「最初はすごいきつかったですよ。耳から脳味噌が出るかと思ったのも一度や二度どころじゃないですし……。」

 

杏寿郎side

煉獄家の長男として今までに厳しい修行に耐え、この最終選別に望んだが世界は広い!

この六日間で皆と共に稽古修行してに強くなってきたが目の前にいる和星という男には勝ててない。

それは俺だけじゃなく、カナエと錆兎と義勇でさえ歯が立たない。

 

そこでそれとなく俺達とはどう違うのか錆兎に聞いてもらった所、まさかあの短時間でもきつい全集中の呼吸を二十四時間とは・・・・・

 

俺は唖然としつつも聞いてみた

「何故そこまでする?」というと和星は、

 

「鬼に怯えることのない世の中にしたいことと、みんながみんな何気にないけどかけがえのない日常を送れる未来にしたいから。」

 

その言葉を聞いた瞬間!目の前の男が毅然とした姿を見て、凄いと思った!

( 日常を守ろうとするその姿と理想!素晴らしい!俺も負けてられないな!)

どうやら、そう思ったのは俺だけじゃなく、義勇もカナエも錆兎も驚きながらも、即座に覚悟を決めた顔をした!

 

「さあ!鍛錬を続けよう!」

 

 

 




最終選別での同期の方々との交流いかがだったでしょうか。

次回はいよいよ、あの鬼との遭遇です。


ちなみに書き忘れてしまったことをお詫びします。

ここで大正コソコソ噂話
和星が敬語をやめたのは錆兎と煉獄に「友ならば、敬語を使うな!」と言われたからです。


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最終選別の最終日の夜の死闘

連続投稿です。
長いですがどうぞよろしくお願いします。


そして最終選別、最終日の夜

 

和星side

皆で鬼を倒すまくった所為か周囲に鬼の気配がなかった。

だが、俺は知っている。

まだ()()()がいることを

 

「待ってくれ!錆兎!義勇!俺も行きます!」

といつもどおりに二人で行こうとする二人を呼び止めて自分も行くと言った。

 

「どうした和星?」

錆兎が聞くと

「嫌な予感がする!それにあちらの方に気配を感じる。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

と言うと二人の警戒心が上がった!

 

「分かった!和星!共に行こう!」

錆兎が承諾し、義勇も頷いた。

 

「ならば俺達も」と煉獄が言ってくれたが、

「すまない。まだ、この辺りに鬼が出るかもしれない。カナエが怪我人の手当てをしている間はここを守って欲しい!」

と俺がお願いすると、

 

「・・・・・仕方ない、ならば必ず三人供帰って来い!約束だぞ!」

「ああ!約束だ!」

杏寿郎と約束を交わし今度こそ山の奥深くへ向かった。

 

 

そして三人で山の中へ前より深く移動しつつ気配を探るも、まだ気配はしない。

 もっと。もっと深く。集中しろ。集中。していると……

 

ーーーーーいた

今までにない悍ましい巨悪の気配!間違いない!

 

「錆兎!義勇!」

「ああ!分かっている!今までに嗅いだことのない腐った匂いだ!」

「無論、俺もだ!」

 

その気配に近づく。

 

だが、木の陰に隠れながらもその姿を目にした瞬間、足が止まった。

 

その鬼は不気味な抹茶色で全身のあらゆる箇所から太い腕が何本も生え、体や首を覆うように巻き付いていた。体長も縦も横も成人男性三人分にも達する巨体で、正に異形。

更にその鬼は

「あっちに人間の餓鬼を匂いがする、早くそこへ向かわねえとな。」

と言いながら、皆がいる場所へ向かおうとしている!

 

「待て!鬼!」と自分でも気づかない内に錆兎が鬼を呼び止めていた!

「ここから先へは行かせん!」義勇も錆兎の隣に立ち。

「俺を忘れてもらっちゃ困りますよ。」俺も前に出た。

 

 

「また来たな、俺の可愛い狐が二匹も」

手鬼が目玉をギョロリとしながらどこか悦びに染まった表情で呟いてきたが何を意味するのか錆兎と義勇はすぐに知ることになる。(俺は既に知っているが……)

 

「おい!狐小僧供、今は明治何年だ?」手鬼が聞いてきた。

 

手鬼は俺達に年を聞いてきた。

 

「質問に応える義理はない!」

と錆兎が質問を無視して刀を構え、義勇も無言のまま構えたが

「今は、もう明治40年だ。」

俺はそう応えると

 

明治40年だと知った異形の鬼は

「明治40年???………………!!!あ"あ"ぁ"ぁ"ーーーー!!!40年も!!!40年も経っているぅ!!!まただ!!また!!俺がこんな所に閉じ込められている間に!!!アァアアアアァ許さん許さんん!!、鱗滝め!!鱗滝め!!鱗滝め!!」

 

年号が変わっていることを知った異形の鬼は一瞬沈黙したかと思ったら突如叫び出した。全身の手をデタラメに暴れてまくり、手で手を搔きむしり、地団駄踏んで暴れた。

 

「……鱗滝さんを知っているのか?」

錆兎と義勇が驚愕した表情で聞いた。

「知ってるさァ!!俺を捕まえたのは鱗滝だからなァ」

錆兎の鱗滝さんのことについて聞くと手鬼が応えた。手鬼は話を続けて

 

「忘れもしない四十年前!!アイツがまだ鬼狩りをしていた頃だ。時代は江戸時代慶応の頃だった」

「四十年?!、バカな!」

錆兎が驚愕を露わにして、義勇も唖然としていた。

 

「驚いたな、そんな長く生きてる鬼がいるなんて、本来ならここ藤襲山は人間をニ、三人食った鬼しかいないはず。しかも、ここでは選別で斬られるか共食いするから鬼は増えないはずだが……何故そこまで?」

俺は手鬼の言ったことを冷静に受け止めつつ、疑問をぶつけた。(前世で知っているから冷静になれた。)

 

「でも俺はずっと生き残ってる。藤の花の牢獄で。三十人は喰ったなぁガキ共を。………何より!!鱗滝に復讐するまで死んでたまるかーー!!

共食い?

俺にとってはここにいる鬼達などただの餌だ!!何人か俺を喰おうとしてきた鬼共も返り討ちにして喰ってやった!!……まあ人間のガキと比べてすげぇ不味いけどな……」手鬼が自慢するように言い放つ!

 

(やはり、同族の鬼達をも喰らってきたのか。)俺は納得していると

 

「十一……」

急に手の指で数える仕草をしたと思ったら、錆兎を指差して

「十二で」

と言って次に義勇を指差して

「お前で十三だ。」

 

錆兎が訳がわからないといった顔から

「!?、何の話だ。」

義勇も困惑しているようだ。

 

 

そして手鬼は、口元に無数の手で覆い下卑た笑いをしながら言い放った。

「フフフフッ!俺が喰った鱗滝の弟子の数だよ。アイツの弟子はみんな殺してやるって決めてるんだ」

 

「「なっ!!!」」と二人が驚愕して真っ青になっているのを見た手鬼は気を良くきたように考え込むようにな 言った。

 

「そうだなァ、特に印象に残らないやつばかりだったな、何せ久々だからな、鱗滝の弟子と会うのは。それと……」

突然手鬼が錆兎達が身につけている「厄除の面」を指差して

「そのお前等が身につけているその狐の面がな、目印なんだよ。鱗滝の彫った面の木目を俺は覚えている。アイツがつけてた天狗の面と同じ彫り方だ。

''厄除の面''と言ったか?それを付けてるせいでみんな喰われた。滑稽だよなァ!アイツが自分の弟子のためにした行為が結果的に弟子を殺すんだ!」

 

ーーーーーブチッ、と何かが切れた音が側から聞こえた!

殺気と怒気が伝わってくる!

 

それを発しているのはやはり錆兎と義勇。

かく言う俺も怒り心頭だ。前世のある俺は鱗滝さんの人となりを知っているからこそ目の前鬼が許せない。

何せ厄除の面は、鱗滝さんの弟子への愛情の形なのだから、それを目の前の鬼は鱗滝さんの愛を侮辱し殺しに利用した。

だから俺も日輪刀を構えた。

 

手鬼がどうやって鱗滝さんの弟子を見分けたのかを話している間中にも二人を見ると、錆兎は額に青筋を浮かべ、目を鋭くして歯をくいしばって、今にも手鬼に飛び掛かりそうなのを必死になって耐えている。

義勇は無表情だが、食い入るように手鬼を睨んでいる。

 

「フフフッみんな俺の腹の中だ。鱗滝が殺したようなもんだ。あいつらの悲鳴は最高だったな。特に手足を引き千切った時は」

「「「黙れ!!!」」」

と同時に俺たちは叫んでた!

 

「鱗滝さんを侮辱するな!この面はあの人からの大切な贈り物だ!」

「それを汚したお前を許さない!」

「俺もこの二人の友人としても、一人の人間としても許せない!」

 

「ほう?許さないでどうするんだ?」

 

「「「お前を斬る!」」」

三人で駆け出した!

 

手鬼は俺達が向かってくるやいなや、無数の手を伸ばしてきた。錆兎さんと義勇さんがそれぞれで切り飛ばした!

俺も続こうとしたが、地面に違和感を感じ

「二人共!地面に気をつけろ!」

俺が言ったが手鬼は嘲笑うように

「遅えよ!小僧!」

 

突如地面からも無数の腕が出てきた。

錆兎と義勇は即座に気づいて避けようとしたが、間に合わず、義勇さんは、腕の一本に殴られ木に叩きつけられ、錆兎さんは数本の腕に掴まれた。俺は避けたが、腕に掴まれ、そのまま投げ飛ばされた。

「フフフフッ鱗滝の弟子以外には用はねぇ、あっちにいってな!さてと!鱗滝の弟子を殺す時に一番笑える殺し方はな、手足を引きちぎってからそれから……」

手鬼が俺を投げ飛ばした後に錆兎さんの手足を引きちぎろうとした時

 

「雷の呼吸 肆ノ型 遠雷」と俺が一気に踏み込み、錆兎さんを捕まえている腕全てを切り捨て、錆兎さんを助けた。

「おい!何しやがる!俺は鱗滝の弟子以外には用はねえと言っただろうが!」

手鬼が怒鳴ってきたが、

 

「関係ない!目の前の人は助ける!それが鬼殺隊だ!何よりこの二人は俺の大切な友達だ!」と俺が言い放つと

 

「そうかい…じゃあ!その大切な友達と一緒にお前も殺してやる!」

手鬼は無数の腕を伸ばしてきた。

 

迫り来る腕を見ながら自分を落ち着かせた。

(さっきやられたのは、俺も怒り心頭のまま突っ込んでしまっただからだ、錆兎と義勇を守ってみせると決めたのに情け無い。

その醜態をここで償う!)

 

「雷の呼吸 伍ノ型 熱界雷」

衝撃を伴った斬り上げで向かってきた無数の腕をまとめて吹っ飛ばした!

 

「なあ!」

手鬼が驚いている隙に

 

「錆兎!鱗滝さんを侮辱されて怒るのは、分かるが怒りは呼吸を乱してしまう。だから…」

「だがしかし…」

「落ち着いてとは言わないが、その鱗滝さんがお前達の帰りを待っているのを忘れるな!」

「!!!」

「お前達二人共!鱗滝さんから技だけじゃなく鱗滝さんの魂を託されているのを思い出せ!!!」

錆兎がまだ怒り心頭のままで向かおうとしていたが、俺の言葉を聞いて何かを思い出したのか冷静になった。

 

「何を目の前で話し込んでやがる!」

手鬼が新たに無数の腕を伸ばして攻撃を開始する。伸びてくる腕を次々と切り伏せる。

「いくら腕を斬ろうが、腕はいくらでもあるんだよ!それに俺の頸回りは硬い!多くのガキ共が斬ろうしたが、誰一人として斬れなかった!。」

 

手鬼が腕を伸ばしながらも、自分の頸回りの腕をビクつかせながら言い放った!

 

錆兎が手鬼を引きつけている間に俺は義勇の元に行った。

 

義勇は木に叩きつけられたようだ。まずは、脈は良し!次に体を担いで手鬼からなるべく離れた所に移動しようとすると、

「・・・・・此処は?」

「義勇!目を覚ましたんだな!」

義勇は目を覚ましたので横にすると一瞬で理解したのか、すぐに立ち上がった。

 

「まだ、無理しない方が・・・・・」

と俺が心配して言うと

「いや!それよりあの後どうなった!」

 

義勇が必死になって聞くので、手鬼と戦って義勇が木に叩きつけられたことと今、錆兎が手鬼を引きつけていることを話すと

「 行かなければ・・・・・」

 

本当ならここで気絶させてでも止めるべきだが、見れば錆兎は防戦一方!助けが必要だ!

それに

 

前世で鬼滅の刃を見て、義勇の肝心な時に戦えなかった自分を責めてきた苦悩を見てきた。なら俺がすべきは!!!

 

「まず、落ち着け、俺に考えがある!だが、この作戦には、俺と義勇と錆兎が力を合わせる必要がある。聞いてから行け!」

俺が義勇の目を見ながらそう言うと、義勇は頷いた。

 

そして、錆兎が腕を斬り続け、下からくる腕にも注意して動き回ると、

「弐ノ型 水車」

 

義勇が錆兎に割って入って来た!

 

「義勇!無事だったか!」

「ああ、すまない。遅れを取った。」

 

「フフフフッ狐小僧が二人共俺に殺されに来たか?そのボロボロの姿で俺を倒せるかな?まあ、遊んでやるのもいいな!

鱗滝の奴、自分の弟子が二人共帰って来なかったらどんな顔をするんだろうなー。見たかったなぁ。」

手鬼が酔い痴れながら呟くと

 

「残念だが、そんなことにはさせんぞ!」

「お前を斬って必ず鱗滝さんの元に帰る!」

錆兎と義勇は二人並んで構えて言い放つ!!!

 

「おもしれえー!やれるもんならやってみろよ狐小僧供が!!!」

手鬼がさっきよりも多く腕を伸ばしてきた。

 

その時!

「雷の呼吸 参ノ型 聚蚊成雷」

俺が奴の回りを旋回して奴の回りの腕と伸ばしてきた腕全てを切り刻んだ!

 

「チィッ!またお前か!」

と斬られた腕を再生しようしたが、

「行くぞ!錆兎!」といつもの義勇らしくない大声を出す義勇を見て、瞬時に理解した錆兎は共に手鬼に向かって一目散駆け出した!

 

ーーーーー数分前

「作戦はといっても単純だ!

まず義勇、お前が錆兎と手鬼との間に割って入ってくれ、そしたら俺が奴の回りの腕全てを斬り刻んで、奴の動きを一瞬だけ止める!

そして、お前と錆兎が一目散に奴の頸を目掛けて突進してくれ。

そのあとは、俺は援護に徹する俺を信じて奴の頸を斬ってくれ!奴はお前達鱗滝さんの弟子の手でやるべきだ!」

 

そして、今錆兎と義勇は雄叫びを上げて突入していく!

 

手鬼は即座に腕を再生させ、体から地面から腕を出してこようとしたが、

 

体から伸ばした腕を和星に斬られ、地面から攻撃は

 

「下からの攻撃はもう見切っている!」

と言い錆兎と義勇は天高く飛んだ。

 

(たっ高い!!地中の手に気づかれ、仕留め損なった!!でもな、空中ではこの攻撃を躱せない!!」

手鬼が無数の腕を合わせて一本の巨大な手の平で伸ばしてきたが、

「壱ノ型 水面斬り」

義勇がその伸ばしてきた手の平を切り落とした。

手鬼が驚いている隙に、手鬼の体に降り立ち、手鬼の頸に向かおうとする二人に体中から生えてくる腕が襲い掛かったが、義勇が切り落とした。

 

遂に義勇と錆兎が手鬼の間合いに入った!!!

 

(くそ、伸ばした手を斬られ、すぐには戻せない。狐のガキ共に間合いに入られた!!・・・・・大丈夫だ!俺の頸の守りは硬いから斬れない!!今までもそうだった!ガキ共が俺の頸を斬り損ねたところで二人共頭を握りつぶして・・・・・)

 

「雷の呼吸 弐ノ型 稲魂」

途端に手鬼の頸回りの腕を五連の斬撃が襲った!

 

瞬間!手鬼の頸回りの腕は斬撃により傷だらけになった!

 

(はっ?!畜生!あの小僧がーーー!)

 

そして遂に

 

ヒュウウウウーーー

(この音!あの時。アイツも同じ音を立てた。風が逆巻くような音だ!)

その時手鬼は錆兎の姿を見て、一瞬鱗滝に見えた!

(鱗滝!!!)

「壱ノ型 水面斬り」

風切り音を最後に、地面に向かって落ちていく光景が網膜に焼き付いた。

 

(・・・・・くそっくそっくそォオ!!死ぬ!!体が崩れて消えていく。止められない。どうせアイツらも・・・・・?)

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

(遂に錆兎が手鬼の頸を斬った!

その瞬間俺の中で込み上げたのは手鬼を倒して鱗滝さんの弟子達の仇を取れた達成感と共に………虚しさを込み上げてきた……奴は確かに許されないことをしてきたが、前世で知っているから、「彼」の悲しい過去を。

彼の犯してきたことを許しはしない!

だが、ほんの少しだけなら……)

 

だから俺は手を差し伸べた。

 

「もう戦いは終わった。お前の本当の望みは復讐じゃない。()()だろう。」

とその鬼に優しげな表情を浮かべながら手を差し伸べた。

崩れていく体に残った手は和星の手を優しく握った。

「神様どうか。この人が今度生まれてくる時は鬼になんてなりませんように(本当ならこれは炭治郎の役割なんだがな。)」

そして手鬼は逆さまになりながら涙を浮かべた。

 

そうだ!

俺は呆然としながらも思い出した!

俺はただ、にいちゃんに手を握って欲しかっただけなんだ!

それなのに ああ、何故こんなことになってしまったんだろう。

 どうして自分は、人を喰っていたんだろう。

 どうして自分は、兄を喰ってしまったんだろう。

 どうして自分は……大勢の子供を弄び喰ってしまったんだろう。

 

・・・・・ただただ…寂しかっただけなんだ。

年号を聞いたのも時が流れていくのが怖かったから、何かに置いていかれそうで不安ていっぱいだったから・・・・・

(兄ちゃん……)

 

 暗闇の中、一筋の光が見える。

 温かなそちらに走り出すと、一人の少年がこちらに手を差し出していた。

 

「兄ちゃん!」

 

 駆け寄って、笑う。

 

「手を握ってくれよ、兄ちゃん!」

 

 少年は微笑んだ。

 

「しょうがない奴だな。いつまでも、怖がりで」

 

 兄に手を引かれて、二人は消えていく。

 鬼の呪縛から解放された少年は、光の中へと溶けていこうとしたが、

「あっ!待って兄ちゃん!」

「どうしたんだ?」

 

「俺みんなに沢山酷いことをしたから謝らないといけないから、ちょっと待っててくれる兄ちゃん。」

「しょうがない奴だな。当たり前だろう、大丈夫だ!兄ちゃんがついてる!」

「うん!待ってて!」

 

ーーーーー

「何をやっているんだ?和星?」唖然となりながらも錆兎は質問した。

義勇も同様に和星が消え行く鬼に手を差し伸べていることに訝しんでいる。

 

「鬼は元々は人だった。鬼全てが自ら鬼になった訳じゃない。鬼にならされてしまったんだ。だから最後くらいは・・・・・」

和星はあくまでも、鬼に対して感情移入している様子。

 

「和星、お前なぁ・・・・・!」

錆兎が窘めようとすると、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

即座に警戒する錆兎と義勇だが、和星は動かず、ジッと見ていると

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

その幼い少年は涙を流し泣きながら

 

「ごめんなさい、ごめんなさい、子供達みんなを食べてしまってごめんなさい!手足を引きちぎってしまってごめんなさい!鱗滝さんに酷いことを言ってしまってごめんなさい!」

その幼い少年はそう言った。

 

錆兎と義勇はただただ唖然とした()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

涙を流しながらもまだ謝ろうとしていると

和星はその幼い少年の頭を優しく撫でて、

「君は確かに許されないことをしてきた、その背負った罪は永劫消えることは無い!

 

だからこそ今まで犯してきた罪の分まで償うために頑張りなさい!」

それを見た錆兎と義勇は複雑な顔をしながらも頷いた。

 

そしたら、その少年は、涙を流しながらも

「ありがとう・・・・・」と言って消えて逝った。

 

それを見た三人は疲れた様に

「終わったんだな」

「ああ」

「やっとだよー!」

 

 

(勝ったよ。みんな安心していいよ。殺された他の子供達もきっと、さっきの元鬼の少年の懺悔をみて安心して、帰るという約束どおりに帰って行くだね、魂だけになろうと

大好きな鱗滝さんの元に故郷の狭霧山にみんなで)

「おい!何を考え混んでる!」

「いや!済まない、何でもない。」

俺がそう思っていると錆兎に叱られた。

 

「言っておくが、俺は認めた訳じゃないぞ!お前が鬼に感情移入したことを!」

「俺もだ!」

「いやー済まない!もう頸を斬ったから安心したから!・・・・・それに俺は全ての鬼を許した訳じゃない。もちろん相手が鬼だったら、容赦なくその頸に刃を振るう!

でも鬼の中にもさっきみたいに自分の行い悔い改める鬼がいたら、俺は助ける!」

と俺が言うと錆兎と義勇は複雑な顔しながら、ため息を吐いた。

 

「だが、今回の戦いは和星!お前がいたからこそ勝てたんだ!それについては礼を言う!」

「俺も同じだ!ありがとう!」

と二人共頭を下げてきた。

 

「よっ止してくれ、俺達は友達だ!当たり前のことをしただけだよ。」

と俺が言うと二人が頭を上げて微笑んでいた。

 

 

そして、まるでそんな三人を祝福するかの様に朝日が昇った。




最後までご覧いただきありがとうございます。
手鬼の最後の部分は自分なりの解釈とアレンジを加えてみました。

これからもどうぞよろしくお願いします。


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それぞれの帰郷と色変わりの刀

最終選別が終わり、それぞれの旅立ちの日です。

ちなみに錆兎さんと義勇さんと煉獄さんとカナエさんの帰郷の様子は「原作」の情報をもとに独自解釈権捏造設定で書きましたが、何か至らぬところがあれば、遠慮なく言ってください。


七日間の最終選別が終わった。

そして、怪我して包帯でぐるぐる巻きしている者が半分以上居たが、それでも参加者みんなが生きている!

 

・・・・・もっとも俺和星と義勇と錆兎の三人も手鬼との死闘で傷だらけになり同じように包帯でぐるぐる巻きにされていた。

だが、原作では死んでいた錆兎と生き別れになってしまった義勇が生きて揃ってここにいるだけで痛みもあるが心は喜びで満ち溢れている。

カナエには小言を言われたけど。.....

 

そして、早朝。

俺達は藤襲山を降りて、最終選別を開始した場所まで戻ると、初日にも居た白樺の木の精と見紛う現実離れした美貌を持つその女性、あまね様が中央に立ち凛とした声を発した。

「お帰りなさいませ皆様。おめでとうございます。全員ご無事でなによりです。」

と言ってきた。

みんなが安堵の表情と達成感に満ち溢れているのが伝わってくる。

 

「まずは隊服を支給させていただきます。体の寸法を測りその後は階級を刻ませていただきます。

ちなみに階級は十段階ございます。

 

(きのえ)(きのと)(ひのえ)(ひのと)(つちのえ)(つちのと)(かのえ)(かのと)(みずのえ)(みずのと)

 

今現在皆様は一番下の癸でございます。

本日中に玉鋼を選んでいただき刀が出来上がるまで十日から十五日となります。さらに今からは鎹鴉をつけさせていただきます。」

と言うと、両手でパンッと音がしたと思ったら、空から多くの鎹鴉が来た。

 

「カアァー!ヨロシクナー!」

「はい、こちらこそよろしくお願いします」

そしてみんなが自分の鎹鴉と自己紹介をし合ってると

 

「ではそろそろ、ご自分玉鋼を選んでもください。」

 

と言い、手の平で向こうを指した。

 

 

・・・・・見ると、玉鋼が山のように積んであった!

 

みんなが驚いた顔をしていると、

「最終選別で一人も死者が出なかったのは過去に例が一度としてなかったことので、玉鋼をこちらに大量に運んできました。」

と言いながらもう心なしかあまね様の顔に冷や汗が滲んでいた。

 

そしてみんながみんな自分がこれだという玉鋼を選び、最終選別を乗り越えたことを皆で喜びながら、それぞれの育手のいる故郷に戻って行った。

 

特に錆兎と義勇とカナエと煉獄達は

「お前には世話になった。今度会う時はお互いに鬼殺隊だ!その時は共に戦おう!」

「錆兎を助けてくれてありがとう。」

錆兎は元気良く言ってくれたが、義勇は、この七日間でカナエと煉獄達みんなとの触れ合いと会話の中で少しは天然言葉足らずのところは、緩和されていたが、無表情で言葉足らずなのは相変わらずでみんなで苦笑した。

「今度会う時もよろしくね。和星君。」

「またな和星。今度会うことがあったら、また稽古しよう!」

そしてカナエと杏寿郎ともまた会うことを約束した。

 

「ああ!俺こそありがとう!また会おう!みんな!」

 

 

俺もこれから鬼殺隊に入っていくと思うと感慨深いものが込み上げてくる。

前世の自分は鬼滅の刃を見てから、どこか達観としていたけど、多くの人達、初めて見た鬼の恐怖。手鬼との死闘と原作では起こらなかった手鬼いや、あの少年の懺悔。

そして原作メンバーでもある人達との出会いと別れを経て、俺はここに来て漸くここが俺にとっての''現実''だと確信した。

 

ならば、俺がやるべきはこれから多くの人達を守り続け原作で起こってしまった悲劇を防ぐこと!

これからの目標は決まり、俺は足早に松原山にいる桑島師範の元に帰ろう!

 

ーーーーー

煉獄side

 

最終選別では大変だったが、良い友人達を持ったのは良かった!

そして俺は、煉獄家の前に立つと、門をくぐり家に入ると俺の可愛い弟の千寿郎がいた。

俺だと気づくと千寿郎は一目散に走って俺に抱きついて来た!

 

「兄上!おかえりなさい!」

「ああ、ただいま。」

そう言っていると

 

「帰ったか杏寿郎」と言い俺の父上

 

現炎柱の隊服の上から羽織を着ている煉獄 槇寿郎(れんごく しんじゅろう)が立っていた

 

「はい父上!杏寿郎!ただいま帰って参りました。」

「うむ!元気があってよろしい!」

そう言うと父上は俺の頭に手を置いて撫でてくれた。

そして、庭で話しをしてから、母上の待つ部屋まで行った。

「杏寿郎帰って来たのですね、ゴホッゴホッ!」

 

「母上!!お体に気をつけて!」

「良いのです。私にとっては息子の成長を見られることこそ何よりの薬です。」

見ると、母上の煉獄 瑠火(れんごく るか)が病弱でありながら出迎えてくれた。

 

「母上………」

「ふふふ、元気そうで何よりです。母は嬉しゅうございます。」

俺が帰ったことを言うと母上は気丈に振る舞い嬉しそうにしてくださった。

 

そして、その晩は父上と母上と千寿郎を交えながら、久しぶりの夕食を嗜んだ。

 

 

ーーーーー

胡蝶side

「姉さん!おかえりなさい!」

「ただいましのぶ!」

今私は、育手の師範の家に帰って来てしのぶが涙目になりながら、抱きしめられている。

 

そして、師範にも帰ったことを報告した。

 

その後に師範は

 

「やっと帰って来たんだ、今は姉妹水要らずで話して来なさい。」と言ってくださった。

 

その後には久しぶりのしのぶとの楽しい会話も弾んでいる!

 

「最終選別ではどうでしたか?」

「ええ、色んな人達と友達になれたの!」

と私達が楽しい会話をした。

 

ーーーーー

錆兎と義勇side

 

狭霧山へ帰って来た

「我ながら情けない、最終選別でここまで深手を負うとは、すまないな義勇、肩を貸してもらって.....」

「これくらいなんてことない」

 

  狭霧山へと続く田畑に囲まれた一本道を義勇と錆兎は歩いていた。

 手鬼との戦いで傷だらけになり、特に錆兎の傷は深かったが、カナエと和星の診断と手当により後遺症は残らずに完全回復が可能だと言われた。

 

 二人は一歩一歩、確実に帰り道を進んでいく。

 山の麓に至り、そこから少しだけ登って。

 

 長く暮らしてきた家が見えた。

すると、急に家の扉が開き、そこから顔を出したのは

 

「…………錆兎…義勇…」

 真菰が居た

その表情は心在らずと言った顔から徐々に目に涙を浮かべていた。

 

「真菰……」

 

 錆兎がいた。

 義勇がいた。

 

真菰はゆっくりと二人に歩み寄る。

 

「錆兎、義勇……」

 

 ふらふらとした足取りで真菰は歩を進めて、次の瞬間には走り出していた。

 

「錆兎! 義勇!」

 

 真菰は二人に思いっきり抱きついた衝撃で三人共、地面に倒れ込んだ!

 

「「ぐはっ!」」

「ご、ごめん!つい嬉しくて……」

錆兎と義勇が地面に倒れたのを見て真菰が謝罪をしてから

「いや、いいこっちこそ心配かけてごめん……」

「すまない真菰……」

と錆兎と義勇が強がって言うと真菰はまた泣き出した。

 

「良かった!、良かった良かったよー!二人とも帰ってくれたー!」

「ああ!真菰。心配をかけた」

「すまない」

「ううん!いいの!二人が無事に帰って来てくれたことだけで!」

 

 泣きながら言う真菰に義勇と錆兎は苦笑して、真菰を抱き締め返しながら、地面から立ち上がる。

そして、抱き合っていた三人を、今度はまとめて鱗滝の大きな手が覆った。

 

「……よく、帰ってきてくれた」

 

 長い間、本当に長い間弟子が最終選別から帰って来る姿を見れなかった。

 鱗滝の言葉には万感の思いが込められており、天狗の面の下では滂沱の涙を零している。

 

 温かい。家族の温もりがただひたすらに温かい。

 義勇と錆兎の瞳にも涙が浮かんでいた。

……ああ、漸く帰って来たんだ。

四人がそれを実感してから

 

真菰と鱗滝から

『おかえりなさい』

 

錆兎と義勇が

『ただいま』

 

それは。やっと、訪れた家族との再開の時ーーー

 

ーーーーー

 

和星side

「………みんなは家族との再開でどんな風になっているのかな?」

と呑気なことを考えてから

 

「今回は錆兎と義勇が生き別れせずに済んだけど、今回の最終選別では自分にとって反省すべき点を顧みたな……よし!これからも精進しよう!」

と心の中で改めて覚悟してから、松原山の麓に着いて、登り山頂の家に帰って来ると目の前の扉が勢いよく開いたと驚いているとそこには

 

額から汗をかいて焦った表情を浮かべた師範が居た!

 

「和星、よくぞ帰ってくれた!」と言うと

俺に両手を広げたそれを見た俺は嬉しくて涙が出て師範に抱きついた!

「ただいま師範!」

師範は俺を力強く抱きしめた!

その後に家に入って最終選別での友達との出会いと別れ、再開の約束の話をした。

 

 

そうしてそれぞれにとっての終わりであり新たな始まりの夜は更けていったーーー

 

 

 

 

ーーーーーそして十五日後………

 

俺がここ松原山で最終選別で負った傷が完治した後に日課となった走り込みと庭で木刀の素振りをやっている頃。

 

霧の奥の方から編笠を被ったひょっとこのお面を被った人が来た。

 

「ごめんください。私は詩鋼印 鉄根《しこういん てつね》だ。君が林 和星で間違いないか?」

「はい!そうです。」

というとその鉄根という方は、俺のことをジロジロと見ると

 

「成る程!確かに良い体格をしている!」

「ありがとうございます。ではまず家に上がってください。」

そう言うと鉄根さんは家の中に入って、師範と会話した。

 

「久しぶりだな、桑島!いい弟子を持ったな!」

「まぁな、そうじゃそろそろ和星に例の物を見せてくれ。」

「ああ!そうだった!そうだった!」

 

鉄根が慌ただしく腰に背負っていた風呂敷包みを下ろし、風呂敷を取る。

 

木箱を開けると、そこには一本の刀があった。

 

(凄え!生の日輪刀だ!)

心の中で感動してたら

「どうだ!凄いだろう!こいつが君の日輪刀だ。陽の光を吸収する“猩々緋砂鉄”と“猩々緋鉱石”を原料としているから、不死身である鬼に対して、その頸を斬る事で“殺す”事ができる唯一の武器」

刀を取り出し、俺へと差し出す。

 

「日輪刀は、別名“色変わりの刀”と呼ばれていてな、持ち主によって、その刀身の色を変えるんだ」

 

「色が変わる?」

前世で知っているが、ここでそれを言う訳にはいかないので、あえて俺はそう返事した。

 

「そうだ!呼吸の適正によって、日輪刀の色は異なるんだ。炎の呼吸なら赤、水の呼吸なら青、雷の呼吸なら黄、風の呼吸なら緑、岩の呼吸なら灰って具合にだ。

君の場合は雷の呼吸を完璧に会得しているから、黄色になるはずだ」

 

「成る程、だから''色変わりの刀''……」

と俺が感嘆しながらも、日輪刀を鞘から抜くと日輪刀の刀身が変わり始めた。

 

「………ん?」と俺が顔をしかめて、

 

「な!」師範が驚き、

 

「こいつはたまげた……」鉄根さんが唖然としている

 

何故なら俺の刀は雷の呼吸の黄色ではなく、白く、真っ白になった。

それも刀本来持つ鋼色さえも白くしてしまった。

 

(えーー!こんなの原作でも見たことないぞ!」

と内心びっくりしながらも

「あの……こんな風に、刀が白くなることってあるんですか?」

 

「いや、儂が知る限りではないな……」師範が答えて

 

「私は聞いたことはあるぞ!歴史上でも白い刃を持つ者はいた「黒い刃」と同じで数が少なかったが、「黒い刃」と違い前線で活躍した剣士もいたという記述もある……少しばかり見せてくれないか?」

 

そう言うので刀を渡すと

 

「ふむ…ここまで白くなるとは……だが、刀の強度は問題なさそうだ!…こちらでもこの現象を調べてみよう。」

刀を鞘に納め、俺に返してくれる。

 

その後、鉄根さんは帰り支度をし、早々に帰っていった。

 

「しかし驚いたのう……まさか白くなるとは……」

「師範!俺は例え刀がどんな色でも師範のような立派な「雷の呼吸の使い手」として極めてみせます!」

師範が白色の刀に唖然としているので俺がそれでも雷の呼吸を極めるというと

 

「!……当然じゃ!」と言いながらも師範は照れていた。

そんな師範とのやりとりをしているとこの前渡された鎹鴉が泣き叫びながら、俺の下に来た。

 

「林 和星!鬼狩リトシテノ!最初ノ仕事ダ!南東ノ村へ向カエ!ソノ村デ男ダケガ!忽然ト行方ヲ晦マシテイル!コレヲ調査セヨ!」

 

来た!

 

「師範、行って参ります!」

「うむ!頑張ってこい、和星!」




ちなみにこの時までは、霞の呼吸がまだありませんでしたので、''まだ''知らないということにしました。
次は初任務です。


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初陣

最初の任務であり鬼退治です。
何か至らぬところがあれば、誤字脱字、報告をお願いします。


鎹鴉の案内に従い、その村へ向かった。

(………というかなんで男だけが行方不明に?………ホモじゃあるまいし……)

 

俺が疑問符を頭に浮かべていると、件の村に着いた。

 

村を見ると、村には女の人ばかりがいたが、皆憔悴しているようだった。

もちろん男の人もいたから、そちらを見ると、

 

「離してくれ!頼む!行かせてくれ!君の弟の秀太(しゅうた)君を探さないと……」

「ダメよ!貴方も居なくなったら……」

猟銃を持った男が向かおうとしてそれを女の人が腕に縋り止めようとしている様子と何か言っている。

 

「すいません!少しお話しを聞きたいのですが、よろしいでしょうか?」

俺が男女二人に言うと

 

「よそ者は引っ込んでてくれ!」男の人が突き放すように言ってきた。

「確かによそ者ですが、私は件の行方不明事件を調査・解決するために来ました!ですので、どうかお話しだけでもお願いします。」

 

俺が頭を下げてお願いすると

吉郎(よしろう)さん……」

「……分かってるよ、美津子(みつこ)さん。」

 

そう言うと俺に夜に男ばかりが行方不明になっていること、用心のために家にこもっていた男子ですらも居なくなってしまったことなどを教えてくれた。

 

「わかりました。では、夜になるまでも出来る限り情報を集めますので、お二人は家にこもって……」

「そんな事出来るはずないだろう。俺も一緒に行く!」

「な!何を言っているんですか!貴方はまず……」

 

「美津子さんの弟であり僕の家族の秀太君が居なくなったんだ!僕が探さなければ……」

その後も必死に説得していたが、吉郎は頑として譲らず。

 

「(……どうしよう、このまま力づくでも帰らせればいいが、それでもこの人のことだ、すぐに家を出て探しに向かうつもりだろう。挙句に今度はこの人が鬼の餌食に……仕方ない )わかりました。ただし、俺から離れないことと勝手な行動を取らないことを約束してくださるなら、共に参りましょう!」

「ありがとう、助かる!」

 

ーーーーーそして、夜が来た。

「気配が濃くなって来た。こっちの方です。」

と俺は最終選別で鬼を探すのに匂いや音じゃなく、気配察知に磨きをかけた結果、気配察知がよく分かるようになった。

 

そして、吉郎さんと共に向かうと、

 

「やめてー!お兄ちゃんを返してー!」

女の子供の泣き声が!

 

急いでそこへ向かうと、そこには、

身の丈が大きい男がいたがその風貌は

 

厳つい顔の頭には角を二本生やして、体中が緑色で足が四本もあった、まるで飛蝗(バッタ)そのもの。

 

「ぎはははは」

笑いながら飛蝗鬼は手に持った男の子をそのまま食おうした!

 

雷の呼吸 肆ノ型 遠雷

 

俺はすぐに鬼の懐に入り、男の子を掴んでいる鬼の手を切り捨てたと同時に一緒に来ていた吉郎さんに男の子を投げて渡した。

 

「てめえ何しやがる!」

鬼は俺を睨みつけた。内心怖かったが、表情に出さないように

「お前こそ何をしている?人を、しかもまだ幼い子供を……」

俺がそう言うと

鬼が目をギョロギョロさせながら、

「ハッ、ガキを何人食おうと俺の勝手だろうがよ!それを邪魔しやがるてめえは必ず喰い殺す!」

 

「おい、化け物!一昨日に攫った秀太君はどうした!」吉郎さんが飛蝗鬼にくってかかる。

「一昨日……?ああ!そのガキなら……」と鬼は自分の腹を叩いて、嘲笑い、

 

「とっくに俺の腹の中だ。」

 

そう言うと吉郎さんは、顔面が蒼白して絶望したような顔をした。

俺もそれを知った途端に頭の奥の方で

ブチっと何かが切れた音がした瞬間、飛蝗鬼に斬りかかった!

 

すると飛蝗鬼は、後ろ足で曲げた途端に跳躍して家の屋根の上に立った。

「ぎはははは、惜しかったな!」

鬼が嘲笑い、

 

「何故だ?何故こんなことを……」吉郎さんが女の子と男の子を側に抱き寄せて、泣きそうになりながら鬼に聞くと

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「……は?」飛蝗鬼の突然の言葉に俺と吉郎さんが疑問符を浮かべていると、

 

「女はダメだなぁ柔らかすぎて俺の口には合わねえ。だが男の肉と骨は良い。食いがいがあるからな。まあ最も最近は男のガキもうまいと感じるようになってきたから、家にこもっているガキや男を食いまくる!

……俺の楽しみだ。」

飛蝗鬼が手を広げて、酔い痴れるように自慢するように言い放った。

 

それを聞いた俺を含めた吉郎さんだけじゃなく、男の子もドン引きしていた。

更に飛蝗鬼は吉郎さんを目を向けて

「お前のことも知ってるぜ、永くこの村に居たからな。お前確かこの村の村長の息子だろう。

俺が食ったあのガキの家は貧乏でそれをお前が美人な姉の方に惚れてあの家を養う代わりにあの姉を嫁にもらうことになっていたんだろう?

感謝してほしいな。あのガキを俺が食ったからこそ邪魔なガキもいなくなって…」

「邪魔なんかじゃない!」

「あぁ?」

 

鬼に言葉に吉郎さんが叫んでた!

 

「俺が美津子さん惚れているのは確かだ。でもそれだけじゃない!

美津子さんを俺が惚れた理由は「貧乏にも負けずに家族と一緒に笑い合う姿」を見たからなんだ!俺は村長の息子だが、親父とお袋は俺を見ようとしなかった!

だからこそあの優しいあの輪の中に俺も入りたいと思ったんだ!秀太君共仲良くなってこれから家族みんなで幸せになろうと思ったんだよ……」

吉郎さんの涙ながらの突然の言葉に俺が衝撃を受けていると

 

「………お前……良いなぁ。骨太だなぁ美味そうだ。」

飛蝗鬼が涎を垂らしながらそんな気持ち悪いことを呟いた。

「そんなことをさせない!」俺は屋根に上がって飛蝗鬼と向かい合う。

 

「……お前も良いなぁ…その足の筋肉…食いがいがありそうだ……」

「……悪いがそうはならない。お前は俺が斬るからな!雷の呼吸 肆ノ型 遠雷」

雷の呼吸を使い、やつの懐に入って斬ろうとすると刀は空を斬った。

 

「残念だったな、俺の''血鬼術 跳躍速''は俺の足をバネのようにして関節の動きを操作して瞬時に反応するから、おまえの攻撃は当たらねえんだよ!」

と言いながら飛蝗鬼が瞬間に俺に向かってきたが、俺はすぐに避けた。

雷の呼吸は主に足の強化だ。速さならばこちらも負けない。

 

それを見た飛蝗鬼は舌打ちしてから標的を吉郎さんに変えて吉郎さんに向かって来た!

「させるか!」俺はその間に入って飛蝗鬼の攻撃を日輪刀で凌いだ。

 

「ぎはははは、いつまで持つかな?」飛蝗鬼が嘲笑いながら、攻撃を続けて来た。

 

俺もやられぱなしではいかない。だが、やつの攻撃は激しい。

だが…あと少しだ……あと少しで

 

そしたら吉郎さんが猟銃で飛蝗鬼の撃った。

だが、飛蝗鬼の体は猟銃が当たっても傷一つつかなかった。

 

それを見た吉郎さんが絶句していると、

「ぎはははは、俺の体はそんじょそこらの攻撃にはビクともしねえ!体は岩よりも固くしているからなぁ!」

「そんな……」

吉郎さんが絶望していたが、

 

「大丈夫…今反撃するから」俺はそう言うと

飛蝗鬼は笑いながら

「さっきまで俺になすすべなくやられた男が言うじゃねえか!ますます食いがいがありそうだ!」

 

「残念ながらそうはいかない!行くぞ!」

 

雷の呼吸 伍ノ型 熱界雷

 

衝撃でやつの攻撃全てを薙ぎ払うと飛蝗鬼が一旦引いて、手を再生させた。

 

「俺の速さに勝てるか!おまえを食ったら、次はそこの野郎だ!」

飛蝗鬼が向かって来た。俺は刀を鞘に納め同時に構えて

 

雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃

 

瞬間に俺と飛蝗鬼は交差した。

 

俺は傷を受けたが、やつの頸を斬った。

 

「そ、そんなバカなー!」と言いながらも飛蝗鬼は頸は地面に落ちたと共に体も倒れ、崩れていった。

そして、吉郎さんを見ると、涙を流して地面に座っていた。

 

「秀太君……!秀太ーーー!」

嗚咽を交えながら泣き叫んだ。

 

「吉郎さん……」俺が声を掛けると

「俺はどうすればいい……どうすれば……」

吉郎さんが絶望しているのを見て俺は、

 

「吉郎さん、大切な弟さんが居なくなって辛いのは分かりますか、それでも生きていくしかないんです。

貴方にはまだ帰りを待つ家族の美津子さんの元に帰らないと……」

地面に目を落としいた吉郎さんは俺の言葉を聞くとすぐに立ち上がって俺に掴みかかった。

 

「お前に!お前なんかに何が分かる!お前の子供に!」

俺はただただ悲しい気持ちのままに見つめ返していた。

 

今世の俺には、確かに誰も失っていないが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だから吉郎さんの気持ちはよくわかる。

 

吉郎さんは俺の目を見つめているとハッとして手を離してくれた。

「す、すまない。君も……」

 

「……吉郎さん。どうかお願いがあります。この子達を家族の元に連れて帰ってくださいませんか?」

吉郎さんはおもむろに子供達を見ると、力強く頷き「分かった」

と言ってくれた。

俺は深々と頭を下げて

「ありがとうございます。では、私はこれで……」そうして去ろうししたら、

「待ってくれ!先程はすまなかった!」というので、俺は手を振りつつ、その村から出た。

 

 

「カアアア!次ハココカラ北北東へ進メ!」

「分かった分かった!」と言い、そのまま次の目的地に向かった。




和星の鬼殺隊としての始めて任務と人々の触れ合いどうでしたでしょうか?
ここまで読んでくださってありがとうございます。


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煉獄家との交流と継子

おかげ様でUA3000お気に入り15になりました。これも応援してくださった皆様のお陰でです。

自分は他の作者さんの方々から見てもまだまだ若輩者で未熟者ですが、これからも今作を宜しくお願いします。


最初の任務から数日経った。

その間にも多くの人を守って鬼と戦って倒してきた。

 

そして今俺はお食事処にいた。鎹鴉こと弥助とともにご飯を食べている。

ふと自分の階級を見ようと

「階級を示せ。」

言い、手に力を込めると手の甲に文字が浮かび上がった文字は「癸」。

「おお…本当に浮かんできた」

俺が感心していると

 

「カアアア!次ノ任務ダ!次ノ任務ハ!海沿イノ街デ!数人ノ!行方不明者!並ビ二全身ヲボロボロ二ナッテシマッタ死体ノ調査及ビ解決セヨ!」

「わかったよ。弥助。………よし!ご飯も食べた!行こう!」

「カアアア!途中ノ茶屋デ!他ノ隊士ト合流シテ!任務二当タレ!」

(………にしても酷いなぁ………全身をボロボロにするなんて、許せない!

それと………他の隊士とは誰だろう?)

悲惨な事件に憤りながら、任務を共にする隊士に思いを巡らせた。

 

ーーーーー

 

そうこうしているとその街に着いた。

そして弥助の案内に従って茶屋に行くとそこには、

「うまい!うまい!うまい!」

………この声は!

口元が緩み、気がつくとその茶屋に駆け出した。

 

「煉獄!久しぶりだな!」

「うまい!、おお!久しぶりだな!和星!」

任務を共にする隊士が杏寿郎だとは、嬉しい!

 

そして俺たちは互いに話をして盛り上がった。

 

ーーーーー

そして、街の人達に話を聞こうとして、広場に向かうとそこには何やら大勢の人達が、もめている様子が。

 

「今こそあのクソ領主を倒そう!」

「やめとけ!そうして向かっていた奴らがどうなったか忘れたのか!」

「だからってこのままで……」

 

「あのー!何をしているんですか?」

広場にいた彼らは、一斉にこちらを見て子供だと見ると

「子供は引っ込んでろ!」と言いながら向かってきたので即座に反応して、捻り上げた。すると彼ら全員が驚いた顔をしたので名乗った。

 

「名乗らせてていただきます。私の名前は林 和星という者です私達は確かに子供ですが、この街で起こった''事件''を調べに来た者達です。」

「俺の名は煉獄 杏寿郎です。どうかご協力お願いしたい!」

俺と杏寿郎が頭を下げて言うと彼らは渋々事情を話してくれた。

 

ーーーーー

 

「この街は漁業と貿易で成り立って発展していたんだが、前の領主はとても良い人で俺たちを励まして一人一人を大切にしてくれた人で俺たちもそれに応えたいと頑張って来たんだ。

お陰で、前までは廃れかけたこの街も活気付いて今ではこんなに豊かな街になったんだ。

………だが、前の領主が原因不明で亡くなって今の領主になってから全てが狂ってしまったんだ!

多額の税を徴収するようになって俺たちの生活が酷いことになっていった。それに逆らったら処刑の対象にされて始末される。

毎夜毎夜行方不明になる奴も出てきて、それに耐えかねて逃げ出した連中も翌日には無残な死体になってしまった。

それもこれも全てあのクソ領主の所為で………」

 

「分かりました。では私達がその領主の正体を見破って前の平和な街に戻すように尽力を尽くします!」

「本当か!どうか俺たちを助けてくれ!」

街の人みんなから頭を下げられ俺たちは慌てて頭を上げさせてから領主の館に向かった。

 

ーーーーー

 

その領主の館は街の奥の方にあって山の影が当たっていて陽の当たらない場所にあった。

館は見たところ木造建築だった。

 

………ますます怪しい……

俺と杏寿郎はその館に忍びこんだ。

 

すると中に入ると人の悲鳴が!

すぐに俺たちが向かうとそこには

「いやああああ!やめてー!助けてー!」

「やめてください!その人は僕の婚約者なんです!」

 

そこに向かうとそこには、衣服は奇抜な服装をしていて身長が高くて体が細く顔は美形でいかにもオカマという感じの軽い化粧をしているが、四本の腕を生やしている異形そのもの。

その四本の腕の左右一本の腕に二人の女の頸を掴んだままで跪いている男達に向かって声をかける。

「あらあら!あたしに逆らったらどうなるか教えてあげるわね。まずはこの小娘から…」

「待ってください!ちゃんと税は払って…」

「そうです俺たちはちゃんと…」

「あんだけじゃ!少ないってのよ!あたしにもっと金を持って来なさい!さもないと…」

 

女の人達の頸を掴んだ腕に力を入れた途端に女の人が苦しんだと思ったら、咄嗟に俺たちは行動した。

 

炎の呼吸 壱ノ型 不知火(しらぬい)

雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃

 

それぞれの技で女の人達を掴んでいる腕を切り落とした。

「ぎゃあああああー!」とオカマ鬼が叫んでる隙に

「さあ!今のうちに」

「あとは俺達に任せて!」

 

女の人を抱き抱えてふたりの男の人達に言い、避難させた。

 

「小僧供……!この私をここの領主の利願様と知っての狼藉か!」

あの野郎の名前は利願というらしい。

 

「黙れ。鬼!どんな偉い者であっても人を傷つけていいはずがない。」

杏寿郎がそう叫ぶと、目の前の鬼の利願がゆらりと動いてきたと思ったたら目を細めた途端に

「あら、可愛い坊や達ねー!美味しそうー!」

そんなことを言う鬼に杏寿郎と俺はぞくりとした。

 

「おい利願とやら何故こんなことを………」俺は話題を変えようとして質問した。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

高らかな笑い声を上げながらそんなことを言った。

驚く俺たちを余所に利願が自慢話を始めた。

 

「最初にこの街に来た時に思ったの。………()()()()()()()()()()()()()()()()()()

…だからまずは、邪魔な領主を殺して食って、ここの領主に成り変わったのよ。そして、多くの金を徴収して楽して儲けよう思ったのよ!」

 

杏寿郎が険しい顔をしていた。かくいう俺もこの鬼を心底許せないと思った。

知っているからだ。この街の人達と亡くなった領主の人がどんな思いこの街を築き上げてきたのかを。

この鬼はそれを踏みにじり奪った。許せない!

 

「………話は終わりだな!改めてお前を斬る!」

「ああ!共に行くぞ煉獄!」

そして俺たちは鬼に向かって駆け出した。

 

「あははー!舐めてんじゃねーぞ!小僧ども!」

と言い途端に腕四本から鞭を取り出した。

 

血鬼術 邪更鞭(じゃこうべん)

 

瞬間に鞭が俺達に襲ってきた。俺たちは咄嗟に避けたが鞭がひとりでに曲がってきた。刀で防ぎ斬り落とそうとしたが、鞭が硬かった。

それでも今度は斬ったがすぐに再生して鞭がすぐに伸びて襲ってきた。

「あたしの血鬼術の邪更鞭はね。四本の鞭を自分の意思で操り更に鞭は岩よりも硬いから斬れない。例え斬ってもすぐに再生出来ちゃうのよ。

………だからお前達がどんなに斬ろうと無駄なのよねー。」

 

「くそっ」

「まずいな。」俺達が鞭を避けながら刀で防いでいると

 

「あははははは。安全安心はやっぱり良いわね!鞭を使って遠くから攻撃していればあんた達が力尽きるのを待ってから思う存分に食ってやるわ!」

利願が高笑いをしながらそんなことを言ってる。

事実このままでは………と思っていたら、ふと思い付いた。

俺は煉獄の側に寄り

 

「煉獄!俺が奴を引きつけるからその隙に頼む!」俺が言うと、

「あいわかった!」煉獄は力強く頷き、再び駆け出した。

そして俺は足をより空気を送り集中して技を出した。

 

雷の呼吸 参ノ型 聚蚊成雷

 

利願の周囲を高速で旋回しながら四本の鞭全部、切り刻んだ。

「なっ!」

利願が驚いた隙に煉獄が駆け出した。

 

「舐めんじゃねーぞと言ったろうが!」

利願が新たに鞭を伸ばして襲ってきたが、それよりも煉獄が早く

 

炎の呼吸 伍ノ型 炎虎

 

途端に燃え立つ闘気が猛虎となって利願の腕四本もろとも頸をも斬った!

 

「ぎゃあああ!なんであたしがこんな不幸な目に!これからもっともっと楽して………」

奴が喚いたが瞬間に煉獄が頭も斬った。

「罪なき者に牙を剥いた鬼がそれ以上言うな!」

煉獄が倒してからそう言う。

 

「やったなぁ!煉獄!」

「和星、お前のお陰でだ!」

俺たちはお互いに喜びあった。

 

ーーーーー

 

俺達が街の人達に報告に行くと、そこには多くの人達がここにきていた。

あの時に助けた人達が助けを呼んだらしい。

そして俺たちは事のあらましを話すとみんながみんな喜びあった!

 

「本当にありがとうございます。これは少なからずのお礼です。と言い、多くの魚介類をもらった。

 

「鬼は倒しました。私達これで失礼しますが、皆さまはどうなされますか?」

と俺が聞くと

「最初からやり直して、以前の街にして見せます!」

力強く頷きながら街の人達が宣言した。

 

俺達は安心してすぐに街を出た。

そしたら、街の人達が大声で激励の言葉と感謝の言葉を叫んでた。

俺達はそれに手を振って応えた。

 

ーーーーー

 

せっかくもらった魚介類をどうしようか相談すると。

煉獄が自分の家が近いので来て欲しいと言うのでお言葉に甘えて付いて行った。

煉獄家に着く前に鎹鴉を使い実家にある届け物をしてもらった。

 

そして煉獄家に着くとその屋敷の大きさに目を向けてから煉獄に連れられ家に入った。

同時に鎹鴉が戻って来て、大きめの包みを渡された。

俺は中身を確認すると満足してそのまま行くと。

 

そこには煉獄をそのまま成長したような人がいてシャツ、詰襟共に型どおりに着こなし、また、白地に炎を象ったデザインの羽織を着用している

人と煉獄と瓜二つの顔立ちをしているがどこか気弱な印象を持つまだ小さい幼子がいた。

その人達は俺達を見ると

まず幼子が煉獄に抱きつき、

「こちらは俺の弟の千寿郎だ仲良くしてくれ。」

次に羽織を着た人が

「杏寿郎。帰ったか。」

と言うと

「はい!父上!ただいま戻りました!こちらは俺の友の林 和星です。」

煉獄いや杏寿郎が力強く返事してそのまま俺を紹介してくれた。

 

「和星!こちらは俺の父上であり鬼殺隊の柱の……」

「煉獄 槇寿郎です。息子がお世話になりました。」

と礼儀正しく言ってきたので、俺も慌てながらも

「いえいえこちらこそどうも宜しくお願いします。」

 

………原作とはえらい違いだと俺は内心失礼なことを思った。

そして、その後には食事をご馳走にさせてもらった。

その最中におもむろに

「すまない。少し失礼する」

槇寿郎さんは食事の席を抜け出したが、俺は分かっていた。

「………失礼を承知の上で言わせていただきます。実は私は元藤の花の家出身ですので医学に関して精通していますのでお困りならお力になれれば思いますがよろしいでしょうか?」

と言うと槇寿郎さんは目を見開いて、そのまま相談してくださった。

 

ーーーーー

 

曰く、妻の瑠火さんの容体が悪いとのこと。

その後に俺は瑠火さんの部屋に行き容体を見た。

 

槇寿郎さんと杏寿郎が緊張した面持ちでこちらを見ていて、千寿郎君はまだ物心がついてないようで不思議そうにこちらを見ていた。

(………………ギリギリかな。)と診断してから

俺はある大きめの包みを渡した。

 

「この薬を決まった容量、用法で分けて飲ませてください。」

これこそ俺が藤の花の家に住んでいた時から、調合して作り上げた(これを作る材料集めには苦労しまくった(涙目))まだこの時代ににはない万能薬とも言うべき薬。

 

抗生物質(こうせいぶっしつ)だ!!!

 

これを煉獄の母の瑠火さんに飲ませようと思い実家から持ってきてもらった。

 

ーーーーー

 

その後には俺と杏寿郎と槇寿郎さんが任務を遂行した後には瑠火さんの具合を確認すると徐々に瑠火さんが回復していた。

 

「貴方には感謝しきれません。私を助けてくださりありがとうございます。」

「君には感謝している瑠火を救ってくれたありがとう!」

「俺からもありがとう!母上の病気を治してくれてありがとう!」

深々と煉獄家の人達が土下座していて、俺は慌てて頭を下げないでくださいと言ったが。

 

「君は我が妻を助けてくれた恩人だ!これでも足りないくらいだ!」

と言うので照れ臭いが悪い気はしなかった。

 

そして、槇寿郎さんは俺と杏寿郎に

 

「私の継子にならないか?君には世話になったから妻を救ってくれた恩を返したい!」

槇寿郎さんの提案に俺達は顔を見合わせて微笑んで

 

「「謹んでお受け致します!」」

そうして俺と杏寿郎は槇寿郎さんの継子になった。




書いている内に色々なアイデアを詰め込みました。
ご都合主義感が否めませんがどうぞよろしくお願いします。

ではまた次回で。


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胡蝶カナエと胡蝶しのぶ

次は胡蝶カナエさんとの交流と共同任務です。
色々とアイデアを詰め込んだら、長くなりました。
花の呼吸に関しての本誌バレがあります。それでもどうかよろしくお願いします。


槇寿郎さんの継子になってからは………………まさに「命がけ」!!!

 

 

「さあ!行くぞ!杏寿郎!和星!」

「はい父上!」

「はい!(………何この熱血親子!?)」

………まず槇寿郎さんとの模擬戦は何度か死にかけた。俺も杏寿郎も未だに槇寿郎さんから一本とっていない。

さらにその後にも槇寿郎さんの考案の元に杏寿郎との模擬戦と稽古した。

 

「そういえばお前達の階級はどこまで上がっている?」

槇寿郎さんに問われ、俺達は気になって

「「階級を示せ」」

という言霊と共に俺達は手に力を込めると手の甲に文字が浮かび上がり、そこには「己」の文字があった。

 

「ふむ、まずまずだな。これからも精進するように!」

槇寿郎さんの激励に俺と杏寿郎は共に力強く

「「はい!」」

返事した。

 

そうこうしていると

「カアアア!新タナ任務ダ!山沿イの村デ鬼ノ目撃情報ガ出タ!スグニ向カエ!」

俺の鎹鴉に続いて杏寿郎と槇寿郎さんの鎹鴉も来て任務を言い渡された。

「師範!私は行かなければ!」

「父上私も!」

「うむ!二人とも行って良し!別行動になるが、二人とも気を引き締めて任務に当たるように!」

「「はい!」」

そして俺たちは任務に向かった!

 

ーーーーー

 

そして件の村に向かう途中であらかじめ鎹鴉の弥助から今回も共同任務だと言うことで山の麓の茶屋に向かうと

 

そこには、長い髪に、紫掛かった黒の長髪、蝶の羽を模した羽織、硝子細工の蝶の髪飾り、それが頭の左右に二つの蝶の髪飾りをつけている少女が朗らかに茶屋でお団子を食べていた。

「カナエ!久しぶりだな!」

俺が声を掛けると

 

「あら、和星。久しぶりね。」

と凛とした声で返してくれた。

更に俺は気づいた、カナエの呼吸が

「カナエもしかして全集中・常中の呼吸を………!」

「ええ!私もこの一年の間に会得したのよ。」

「凄いなぁ……」

 

俺とカナエはそのまま茶屋でお互いのこれまでのことを話した。

 

ーーーーー

 

そして村に着いて話を伺うと、角の生えた(なた)を持った女の鬼と木々を連れた男の鬼が毎夜山から降りて現れてこの一帯の村々を襲っていると言うので俺達は件の山、「千年山」に向かった。

 

そこは木々が生い茂り不気味な雰囲気で満ちていた。

そして、俺たちが進んで行くと、急に木が動いてきた。

そして()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

俺とカナエが驚いているとおもむろにその人面樹が喋ってきた。

「お前達は何者だ?ここに何しに来た?」

 

と言うので

「私達はここにいる鬼に話があって来ました。」

とカナエが言うと

 

「………残念だが主人からお前達には会いたくないと言っている。だがそのまま帰らせるのも忍びない。お前達二人共、………()()()()()()()()

と言うと人面樹が襲って来た。

 

「雷の呼吸 弐ノ型 稲魂」

同時に俺が技を出して人面樹を斬り捨てると、回りの木々も人面樹と化して襲って来た。

 

「ヒャハハハは久々の肉だぞ!」

「ああ!まずあの小娘から食らおうぞ!」

「あいつの体は柔らかそうだ!」

と喚いて来た。

 

「………カナエ、下がって「いいえ」」俺がカナエを庇おうとするとカナエが前に出た。

「私だって鬼殺隊だもの!一緒に戦いましょう!」

と凛々しい姿に俺は面食らいながらも、気を引き締めて

「ああ!そうだったな!すまない!共に行こう!」

「ええ!」

同時に俺達は駆け出した。

 

ーーーーー

 

一方の山の頂上にある家の方では二人の男女が居た。

だが、二人共人間ではない鬼だった。

 

男の方は角の生えた頭をしており髪型は黒髪の短髪で黒い着物を着ている男の姿をした鬼。

 

女の方は手には鉈を持っており頭に角が生えており髪型はロングで前髪を切り揃えている。服装は白い着物を着て下にはミニスカートを履いた女の姿をしていた鬼。

 

「どうしよう!梨乃(りの)!あいつらだんだんとこっちに来てるよ!」

「落ち着いて潤也(じゅんや)!…大丈夫だよ…潤也は…私が守ってあげる!私達の中を邪魔する奴らは皆殺ししてあげるから。」」

とアワアワとした潤也に梨乃が虚ろな目と笑顔のままなだめていた。

 

そして、数十分後には和星とカナエが山頂に着いた。

「はあ、はあ、はあ、凄い数だったな。カナエ大丈夫か?」

俺が聞くと

「はあ、はあ、大丈夫よ気にしないで。」

俺達が息を整えてから山頂の家に向かうと

 

 

そこに鉈を持った女が立っていた。

その表情はまさに狂気の笑顔を浮かべながら。

 

「へえーーー、こいつらか。私と潤也の平穏な生活を邪魔しようとしているのは………うん!殺そう!」

と言いこちらに向かって狂気の笑顔を浮かべながら襲って来た。………怖い!

だがここは俺がやらなければならない。

 

雷の呼吸 肆ノ型 遠雷

 

俺が一気に踏み込んで横一文字に斬ると女鬼は

 

「血鬼術 柔剛相(じゅうごうそう)

と言い体を有り得ないほどに背中を後ろに曲げると同時に腕を伸ばして足の間から鉈で俺に斬りかかった。

 

花の呼吸 肆ノ型 紅花衣(べにはなごろも)

一瞬、羽衣かと思うほどの下から上にかけて捻れる特殊な軌道をした斬撃で鉈を防いだ。

 

「大丈夫!和星!」

「ああ!すまない。」

カナエが心配して俺に声を掛けてくれたのを俺は応えた。

 

「あーあ、あと少しだったのに………」と言いながらケタケタと笑う姿にはゾッとした。

途端に

 

「血鬼術 樹帯増(じゅたいぞう)!」

と言う声と共に辺り一帯の木々が生い茂り人面樹となって襲って来た。

鬼はもう一人いる!

それに即座に反応して俺達はそれぞれに背中合わせになって

 

「雷の呼吸 伍ノ型 熱界雷」

「花の呼吸 弐ノ型 御影梅(みかげうめ)

 

俺の衝撃を伴った斬撃とカナエの自身の周りを囲うように斬撃を放って人面樹達を薙ぎ払い、

「出て来い!もう一人いるんだろう!」

俺が言っても応えずにまた人面樹達が襲い掛かり同時に梨乃も体を柔らかくする血鬼術を使いながら襲って来た。

 

さっきと同じように人面樹達を薙ぎ払い梨乃の攻撃を躱してから

「雷の呼吸 弐ノ型 稲魂」で五連の斬撃を梨乃に叩き込み頸を斬った。

 

その後にも人面樹が襲い掛かって来たが俺達は応戦した後には再度声を張り上げた。

「いい加減にして出て来い!お前の手下は倒した!」

「違う!手下じゃない!恋人(こいびと)だ!」

 

………………?!俺達は面食らった。

「貴様…恋人に戦わせて自分だけは、隠れるなんて恥ずかしくないのかーー!

お前の恋人が戦っていると言うのに!この卑怯者!」

「大切な人なんでしょう!あなた一体何をやっているの!」

俺とカナエが激怒すると

 

「うるさい!仕方ないだろう、だって俺は弱いんだー!」

潤也の信じられない言葉に俺とカナエが唖然としていると、

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

瞬間に振り向いて刀で攻撃を防御した。

 

そこには先程頸を斬った梨乃が立っていた!

「何故………?」

 

「ふふふ潤也と私はね、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()」」

 

………成る程。ここにも居たのか、某兄妹鬼達と同じ様に二人同時に頸を斬らないと倒せない鬼が。

 

「さっきまでは遊んであげたけど…もう容赦しないわよーー!」

そう言うと梨乃は手に持った鉈を、何と食った!

次の瞬間に自らの身体を軸として螺旋状の刃を繰り出し、

 

「私の血鬼術 柔剛相は体を柔らかくすることも硬くすることも出来るの。更に刃を取り込むことでこんな風に体から刃を生やすことも出来るのよ!」

 

自らを回転し、ドリルと化して地中に潜って俺に攻撃した!

「ぐっ」

俺は咄嗟に避けたが、螺旋状の刃に抉られた。

「和星!」

カナエが叫んで助けようとしたが、人面樹達の攻撃で動けずにいた。

 

俺は即座に回復の呼吸を使い、必死に動き回るが、地中からの攻撃は気配が分かりづらいために苦戦を強いられてる。

そんな俺達を横目に潤也と梨乃が愉しげに会話している。

 

「潤也。あいつらの言うことに耳を貸しちゃダメ。私達は私達のやり方でやりましょう。」

「そうだね。ありがとう、梨乃。さっさとあいつらを殺そう。」

 

………………なんだろう、この二人のやり取りを見ていると苛々してくる。

イチャついている夫婦を何度か見ているがそれを見た時は微笑ましいのに。

 

 

潤也と梨乃のあのやり取りを見るとあんな風になりたくないと思ってくる。

カナエも複雑な顔をして見ている。

 

 

「くそ!この人面樹達と梨乃の地中からの螺旋攻撃をなんとか出来ればすぐにあの卑怯者を倒しに行けるのに………」

「えっ!和星!もう一人の鬼の居場所分かるの?」

「ああ、気配察知に関しては自信がある。さっき攻撃を食らったのも直前まで気配を探っていたからな…」

「………………それじゃ和星、耳を貸して!」

「ん?なんだい?」

 

そして俺がカナエからある作戦を言われた。

「はっ!?カナエ何を言って…」

「大丈夫!私を信じて!」

「………………仕方ない、だがすぐに無理だと思ったら………」

 

戦いの最中に相談していると、梨乃が俺達の間を裂く様に地中からの攻撃してきた。

見ると、人面樹達も俺とカナエを引き離そうと攻撃してきた。

「じゃあ手はず通りに!」

「分かった!死ぬなよカナエ!」

俺達は二手にわかれた

 

 

カナエside

「とは言ったものの、やっぱり厳しいわね。」

その後にも人面樹達の攻撃と地面の攻撃に気をつけていると。

 

後ろから梨乃が来て

「終わりよ!」

刀を使いその螺旋攻撃を防いでいる間にも後ろからの人面樹達の攻撃を躱している時にも時間を稼ぐことを考え持ち堪えるために。

そうすれば、和星がもう一人の鬼の頸を斬ってくれる。

 

「後もう少し………」

カナエが人面樹と梨乃の攻撃を防いでいると

 

「うおおおおおー!」

「えっ!」

途端に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()がカナエに飛び掛かった。

カナエが後ろを取られ両手を組まれてしまう。

 

「今だ!梨乃!」

(そんなよりによって自分が生み出した木の中に隠れているなんて!!……はっ不味いこのままじゃ………)

地中からの梨乃が襲って来た。

 

目の前に梨乃の螺旋状の刃が迫り来る!

(いや!このままじゃ!私が死んだらあの子を一人にしてしまう!)

カナエの胸中にはたった一人の妹の姿が見えて

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

次の瞬間には梨乃が弾かれ潤也の腕が斬れていた。

潤也が叫び声を上げている隙に和星がカナエを助け出した。

「和星!」

「すまないカナエ」

 

和星side

カナエから「自分が囮になる」と言われた時は焦った。それでも彼女の決意のこもった真っ直ぐな目と「信じて!」と言う言葉には動かされた。

だから俺とカナエは一旦別れたが、近くにいた。いつでも助けられる様に………

 

最初から違和感があったいくら卑怯者とはいえ恋人から遠くに離れている訳ない。

何より()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

案の定、奴は近くにいた人面樹の中にいた。カナエが時間を稼いだおかげだ。

そして、たった今カナエを助け抱えたカナエを下ろすと

 

「うわあああー!よくも!勇気を出したのに嵌めたな俺を!そっちの方がよっぽど卑怯者じゃないか!」

「私の潤也をよくも許せない!何よりよくも騙したな!」

口々に梨乃と潤也が自分勝手なことを言ってきた。

 

「ふざけるな!

散々多くの人の命を奪っておいて自分達が傷ついたら、まるで被害者の様な言い方するな!」

 

「なんだと?」潤也が怒り心頭の表情で睨んできた。

「潤也!梨乃!お前達のことは付近の村から聞いているぞ!多くの人を食らったことも知っている!」

それも許せないが、先程から胸中にあったものをこいつらにぶつけた。

 

「それに潤也!何が勇気を出しただ!二手にわかれた時に俺ではなく女一人に対して人面樹達を集中攻撃して、あまつさえカナエの背後から飛び掛かって二人掛かりで襲うとは最低だ!。

それに何より、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

前世と今世今までの愛を見てきたからこそ梨乃にずっと守ってもらっているくせに、自分は戦いもせず人面樹達に攻撃させて、ただわがままなことばかり言うその態度には許せなかった。

 

俺の言葉に唖然とした潤也。

「お前に……潤也の何が!」

「梨乃、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()<()b()r()>()()()()()()()()()

 

「!!!お前許さない」

俺の言葉に怒った梨乃が再度地中に潜った。潤也も人面樹達を生み出して自分だけは下がった。

「くっ、………それでも僕らは間違って無い。お前達を殺し食って、これからもずっと………」

 

「これからなんてないよ。お前達をここで斬るからな!これ以上お前達の愛のために他の人達の未来を奪わせない!」

俺とカナエが構えると

「さっきまで防戦一方だったくせに。」

潤也が嘲笑い、それに対して俺は

 

「俺がいつ本気を出した?」

笑って返した。さっきは先にこの技を使うと警戒して出て来ないと考えだから出す訳にいかなかった。

だが潤也の姿が見えている今だからこそ出せる。

 

雷の呼吸 陸ノ型 電轟雷轟

瞬間俺は全ての人面樹達を斬りさいた。驚く潤也の隙をついて近づきながら刀を鞘に納め

 

雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃

居合で潤也の頸を斬った。

 

その直後に地面から

「よくも潤也の頸をー!」

梨乃が襲って来た。俺が避けていると今度は空中から来たが、そこにはカナエの姿も!

瞬時に気づいた梨乃がカナエに向かって来た。

 

「くらえーーー!」

と同時にカナエも刀を構え

 

花の呼吸 陸ノ型 渦桃(うずもも)

体を捻り梨乃の攻撃をいなして、梨乃の頸を斬った。

 

そして梨乃の頸が転がって崩れていく顔を動かし潤也の側に近づこうとしていた。

「潤也…ごめん負けちゃった。」

「梨乃!そんなどうして?」

「お前達が多くの人達を食って来たからだ。どんな幸せを願おうと他人の思いを踏みにじりことは許されないことだからだ!」

途端に潤也と梨乃はハッとした顔から悲しげに涙を流し納得した様に

 

「………ごめんなさい。鬼になった時に友達と家族を既に食べてしまったんだ。………それに耐えられなかった。」

「私もごめんなさい…」

そう言うと二人とも灰となって崩れて消えていった。

 

俺はそれを見届けてから死んだところに向かって手を合わせて成仏して下さい。と黙祷した。

「ふうー何とか倒し…ゴホッガハッ」

「和星!大丈夫?」

カナエが心配してくれるので、少し休むことになった。

 

その後には彼女の家こと屋敷に怪我の治療の為に寄ることにした。

 

其処は自然に囲まれている森の中にあった屋敷だった。

カナエが呼び鈴を鳴らしてしばらくすると

戸が開いて

「はい、どちら様…って姉さん!」

「ただいま、しのぶ。」

 

その名前を聞いた瞬間に玄関口に立つ彼女を見ると

毛先が紫掛かった黒髪。

 それを後ろで纏める蝶の髪飾り。

 笑顔とは縁遠い不機嫌そうな表情でありながら驚いた表情のしのぶさんが立っていた。

 

「和星こちら、私の自慢の妹の胡蝶しのぶ。仲良くしてね。」

「初めまして、胡蝶しのぶです。よろしくお願いします。」

「はい、こちらこそよろしくお願いします。」

その後には彼女達の屋敷で治療を受けている間に何度か会話をしてしのぶさんとも仲良くなった。

 

ーーーーー

 

そんなある日に彼女が寝る間も惜しんで何故藤の花の毒を研究して鬼殺隊に入ろうしたのかを聞くと

「……両親が鬼に目の前で殺されました」

 

 前世で知ってはいたが出だしから重過ぎる。

 この時点で和星は決して表情には出さずに無言で続きを促す。

 

「私と姉さんは鬼殺隊員の救助が間に合って九死に一生を得ましたが、両親はまともな骸も残らなかった。……意味が分からなかった。どうしてこんなことになったのか。私と姉さんはずっと泣いていました」

 

 思い出して、しのぶの頰にまた涙が伝う。

 地雷を踏んでしまったと和星は悟った。わざわざ思い出させるようなことを言ってしまい彼女を悲しませてしまった。

 しかしここでやっぱり止めようとは口が裂けても言えない。

 慰めも出来ないまま、和星は静かに聞き続ける。

 

「だけど、姉さんと誓ったんです。鬼を倒そう。一体でも多く、二人で。私たちと同じ思いを、他の人にはさせない、って。その誓いを胸に、私たちは鬼殺隊の門を叩くことにしました」

「そうでしたか…」

 

それからは重苦しい空気になってしまった。

だからこそ、和星は思った。

「悲しいことを思い出させたお詫びにしのぶの研究の手伝いと剣術の稽古お願いさせてもらって良いでしょうか?」

「えっ?」

 

ーーーーー

 

それからは、俺の持つ前世の知識をしのぶに教え、そのおかげで彼女の研究は飛躍的に進んだ。

そして、カナエとしのぶが共にいる時間を増やしたり、時にはすれ違いをした二人の仲を取り持ったりとした。

俺の怪我が完治して、任務に行こうとする前にしのぶと指切りげんまんをした。

 

「しのぶ、君の技と研究は必ず身を結ぶ。そして君の姉のカナエはもちろん多くの人達を助けになる。

そして、鬼殺隊になった時には共に戦おう!」

最初呆然としていたしのぶもすぐに笑顔になり

「はい!その時は共に!」

 

そうして俺は蝶屋敷を後にした。

 

ーーーーーそして月日は流れた………




次回はあの人達の活躍の話です。


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同期達との再会と新たな仲間、そして下弦の月達との激闘。(前編)

大変長くお待たせして申し訳ありません。構想に時間が掛かりました。

そして、お待たせしたにもかかわらずに
UA4585、お気に入り24達成させていただきました。
これも応援してくださった皆様のおかげです。ありがとうございます!

今回の話は初任務完了してから三年程経ったあとの話で皆さんご存知の方達が出てきます。その為に長くなっておりますのでご注意下さい。
更に時透家の両親の名前が情報がなかったので、完全な捏造設定で登場させて頂きました。

それでもいいという方もどうぞ心ゆくまでご覧ください




槇寿郎さんの継子になって二年が経った。

 

「階級を示せ」

と言い俺と杏寿郎は手に力を込めると手の甲に文字が浮き出した。

 

最初はいちばんしたの「癸」で数週間経った後には「壬」更に研鑽と任務をこなしていたら「辛」へと浮き出たから余計にそう思った。

更に槇寿郎の継子になって、指導を受けて戦い続けていき「庚」更に「己」「戊」「丁」「丙」と順調に上がっていき…

 

そして、今現在の俺達二人のの階級は遂に「乙」になった!

ということは今は九段目の階級と同時に柱に次いでの階級かと思うと感慨深いものが込み上げ、この三年を振り返ってみれば、本当に色々あった………

 

ーーーーー

 

鬼と戦うために杏寿郎との共同任務を遂行した後に煉獄家でお邪魔させてもらって杏寿郎の弟の千寿郎君と父上であり現柱の槇寿郎さんと母上の瑠火さん達煉獄家の人達と出会えた。

 

その時に瑠火さんに抗生物質を処方して、「原作」では既に故人となっていたのを助けて瑠火さんが全快した後に煉獄家の皆さんに凄い感謝され、そのまま槇寿郎の継子になった。

その後に杏寿郎を含めて、他の隊士達と共に修行に励んでいると槇寿郎さんが影で炎柱の手記を読んで自分の無能さに自信を無くしていたので、瑠火さんと杏寿郎と共に槇寿郎さんを励まして、それでも落ち込んでいたのを見て、

 

「なら、超えればいい!自信を無くした先祖を!日の呼吸をも!」

という言葉を皮切りに再度みんなで説得すると槇寿郎さんが呆気に取られた表情をした。

しばらくすると以前より体中から気迫をみなぎらせて、俺と杏寿郎と煉獄家の門下に入った隊士達みんなを見てより本格的に時に厳しく、時に褒めて、修行を見てくれる様になった。

 

 

鬼と戦い続けていたら路銀が底をつき、山で行き倒れになりかけた所を杣人(そまびと)という人に助けてもらった。

名前を聞く所によるとなんと、()()()()()と言った!

 

見ると俺を助けてくれた男の人は静一郎さんと言いと妻の女の人はお菊さんと言った。

更に子供を紹介してくれて、まだ小さい双子の兄の有一郎君がこちらを無愛想に警戒して見ていて、弟の無一郎君はこちらを不思議そうに見ていた。

 

俺は内心、凄い巡り合わせ!と歓喜した。

 

それとお菊さんが調子悪い様子だったので診断して静一郎さんにも聞いてみると働きすぎて風邪を拗らせて肺炎になってしまったことがわかった。

助けてくれたお礼に鍛錬で鍛えた脚力と藤の花の家で山菜取りをしていた経験を活かして薬草を集めて回って静一郎さん達に届けた。

すると静一郎さん達家族みんなが喜んでくれた。更に前世の知識を使って実家で作った抗生物質も届けた。

 

その後には、お菊さんが全快したとの知らせが入った!

静一郎さんと無一郎君には凄い勢いでお礼を言われた。

その時に有一郎君に

「何故ここまでする?」

と聞かれたので、

 

「助けてくれたお礼と目の前にいる人は助けるのは当たり前だから」

というと有一郎君が一瞬驚いた顔から、

「………ありがとう」

顔を赤らめながら言ってくれた。

 

それに、竈門家の人達との交流もあった。母親の葵枝(きえ)さん、弟の竹雄君、茂君、六太君、妹の花子ちゃん。

そして、まだ小さい炭治郎君と禰豆子ちゃん。

 

あの人達にも本当にお世話になった………炭を買って近場の村で鬼退治のために一時的に泊まったり、一緒にご飯を食べたり飲んだりと色々とお世話になった。

そして………竈門家は火の仕事をするために怪我や災いが起きないように年の始めにヒノカミ様に舞を捧げてお祈りする

 

炭十郎(たんじゅうろう)さんののヒノカミ神楽も素晴らしかった………

 

ーーーーー

 

と次の任務を思い出した。

 

「ちなみに今回の任務は……」

俺が呟くと俺の鎹鴉が

「カアアア!次ノ任務ノ場所ハ何十人モノ行方不明者ト何十人モノ隊士達ガ向カイ行方不明ニナッタタメ!他ノ隊士達トノ共同任務ダ!待チ合ワセ場所ハコノ先ノ村ノ中ノ茶屋ダ!心シテ掛カレ!」

というので、内心(ぶっちゃけ帰りたい………)と思ったが、

「大丈夫だ!和星!、俺達二人と合流する仲間達と力を合わせれば大丈夫だ!」

杏寿郎の激励で勇気を出して向かった。

 

 

………………恐怖で強張る足を引きずりながらも。

 

そして村に着いて、茶屋に向かうとそこには見知った顔が四人とどこかで見たことのある女の子が居た。

 

「錆兎!義勇!カナエ!久しぶりだね。そしてしのぶもようやく来たんだね。そちらの方は?」

久しぶりの再会なので興奮して言うと

五人もこちらに気づいて来た。

 

「久しぶりだな和星!そういえば初対面だったな。俺の隣にいるのは、今年の最終選別で合格して鬼殺隊に入隊した……」

錆兎が元気よく言いながらも紹介したのは、鬼殺隊の女物の隊服を纏って(まとって)顔の側頭部に被っている狐面には右頬に花が描かれている。

その少女は

 

「私の名前は真菰(まこも)。錆兎から聞いているよ。よろしくね。」

本当に言葉がふわふわしたかわいらしい少女そのものだ。「原作」では故人だったから、生きて会えるのが凄い嬉しい!

 

「あの時の言葉通りにお互いに鬼殺隊としてその時は共に戦おう!」

錆兎が元気よくあの時のことを言い

「和星(久しぶりだな)。(お前と錆兎共に戦うために)俺は(この時を)待ちわびたぞ。」

相変わらずの言葉足らずの義勇

「ああ…俺も待っていたよ。みんなで戦うこの時を。」

 

「ふふふ、やっと再会出来たわね。」

いつもの凛とした物言いのカナエ

そして、その隣で毛先が紫掛かった黒髪。

 それを後ろで纏める蝶の髪飾り。こちらも女物の隊服を着て真剣な表情をした少女は

「胡蝶しのぶです。お久しぶりですね。和星さんあの時の約束を果たしに来ました。共に戦いましょう。」と頭を下げた。

「ああ!あの時の約束通り共に戦おう!」

豪華メンバーが揃い踏みだった。

 

そして再会した俺たちは、お互いのこれまでと近況を話合った。

 

「あれ?もしかして錆兎、義勇二人共全集中・常中の呼吸を会得したのか!」

「まぁな!男として和星に負けていらないからな!」

「そこに気づくとはな。」

 

「みんな凄いなー!、この三年でみんな成長したんだ。」

その後にはみんなと近況報告と談笑した。

 

ーーーーー

 

そして再会の喜びから一転して任務のためにみんなが気を引き締めて、聞き込みしたところによるとこの村だけじゃなく、周辺の十の村から人が拐われているとの目撃情報と共に、森の中の奥にある古い洋館で悲鳴が上がって助けに向かった者みんな帰って来ないという………

そのためにその洋館に向かった。

 

「ここが、件の洋館か。」

そして俺たち七人は洋館にたどり着いた。

森の中にあって、まさに西洋風な庭園と屋敷だがどことなく不気味な雰囲気と今までとは違う異質な気配!

「慎重に進みましょう。」カナエの提案に従って中に入った。

 

………最初に見たのは、大きなリビングと階段。

「手分けして進もう」

錆兎がそう言うと俺を含めたみんなが頷いた。

 

そして、皆で手分けした時に俺と杏寿郎は共に階段にある大鏡に違和感を感じた。共にいた杏寿郎と共にその鏡を見ると、突然鏡の中から巨大な腕が出てきた!

俺達は咄嗟にその腕を切り落とした。

 

騒ぎを聞きつけたカナエとしのぶ、錆兎、真菰、義勇が駆けつけた。

俺達二人は先程起こった事を言い鏡の中に腕を伸ばすとそのまますり抜けた!

 

「恐らく血鬼術だろうな。」

錆兎が言い、

「鏡の中か…絶対罠だぞ。みんな気をつけろよ。」

俺が言うと

「男としてここは引く訳にはいかない!」

錆兎が力強く言い、他のみんなも頷き、鏡の中に入った。

 

ーーーーー

其処は異質な空間だった。

「酷い匂いだな………」

 

鏡の中に入って、最初に俺達を出迎えたのは噎せ返るような血の匂いと死臭だった。

 

床には折れた日輪刀や、血濡れたボロボロの隊服が落ちていた。

 

そして、隊士と思われる遺体もいくつかあった。

まさに鏡合わせの様に家具類や戸の配置などが最初に見回した屋敷の逆位置の場所。

 

痛ましい状況に俺達は遺体を確認しながら固まりつつ二列の陣形を組んで慎重に歩いていると

 

???「………クケケケ……おいおい、可愛い女揃いじゃねえか?食欲が唆るねえ。」

いきなりの声と共に目の前に全身が青くでかい顔面の筋肉隆々の大男が現れいきなり襲いかかった!

 

水の呼吸 肆ノ型 打ち潮

雷の呼吸 陸ノ型 電轟雷轟

瞬間、俺と錆兎の斬撃で襲ってきた大男をバラバラにした。

そして、階段の上の方に目を向けると其処に気配からして鬼が二人居た。

 

「チッ、呆気なくやられやがって……」

「あらあら、可愛い子達じゃない。」

 

男の方は赤毛で顔は整っていたが、目つきから見下している印象を受け、格好はモダンな服装をしているチャラ男風の男。

 

女の方は金髪で髪型は髪を一本にまとめて三編みにしている。耳はやや尖んがっている。綺麗な顔立ちをしており、全身を鎧で固めている女武者の姿と更に驚くべきは、一回り大きな野太刀を持っていたことだ。

 

「お前達が、この洋館の主人か!」

杏寿郎が叫ぶと

「違うわよー。私達二人はただここに雇われてるだけ。それと………」

女武者がそう言うと同時に姿が消えた。

 

「貴方、いい匂いしているわね…」

突然杏寿郎の目の前に現れ野太刀を振るった。

杏寿郎がそれを防いで、俺とみんなが斬りかかると

「うるせーガキ共。………殺すぞ。」

凄まじい殺気と共に地面を大きく蹴ってその瓦礫をぶつけてきたが、すぐに避けて難を逃れた。

いつの間にか女武者が消えた。

 

そして、先程の階段の上に立つと

「ごめんなさいねー好きなのよー私って、貴方みたいな特に毛色の変わった男って………」

先程の態度とは一変して目が笑っていない獰猛な笑顔を向けて来た。

 

 

 

???「我が鏡屋敷になんの用だ?小僧共!」

 

瞬間、さっきまで余裕だった二人の鬼が動揺して跪いた。

途端に鏡の一枚が動いて、空中に静止した。その後にその鏡に映し出した姿は白髪の丸刈りの頭と目付きが鋭く羽織袴姿をした老人の姿が映し出した。

「俺達はここに鬼を退治しに来た。」

俺が答えるとその老人は

「じゃかわしい!そんなことでここに来るな!愚か者共!」

怒鳴り出した。俺達が驚いているとその老人が階段の上にいる二人の鬼達に睨むと

 

卓蘭(たくらん)折江(おりえ)!何をしている!()()()()である私の屋敷に入って来た汚らわしい虫けら共を早々に片付けろ!」

「「はい。かしこまりました。金城(きんじょう)様。」」

そう言うと老人鬼の映し出した映像が消えて鏡も割れて無くなった。

 

 

………()()()()()

 

俺達は驚愕した。確かに先程の鏡に映った老人鬼の金城という鬼の左目に()()と刻まれているのを思い出した。

成る程、鬼は本来群れないというのにあの男女の鬼達は雇われてここにいると聞いた時から腑に落ちなかったが、十二鬼月がいると言うなら納得できる。

何故なら十二鬼月となった者にはある程度の自由(群れをつくるなど)が許されると「前世」の記憶から分かったからだ。

 

「ここでとうとう十二鬼月と当たるとは………」

錆兎が刀を握りしめて

「よもやよもやだ!だが、ここは絶対に引く訳にはいかない。」

杏寿郎も含めたみんながみんなが刀を握りしめて向かった!

 

すると、卓蘭が両手を広げて

「おっと!お前達はこの俺、卓蘭と折江がやることになっているんだよね。」

 

''血鬼術 腐敗髑髏劇獣(ふはいどくろげきじゅう)''

 

途端に周囲にある死体がひとりで動き出して、何ヶ所に集まって先程の青い大鬼が数体程になった。

「俺の血鬼術は死体を操作、集めてそれを使って死体を組み合わせて複数体の大型の死体人形を作り出すことができるんだよね!何せここには材料がいくらでもあるからさ!使い放題なんだよなぁ。」

卓蘭がケラケラと笑いながら言うと同時に青い屍鬼達が襲って来た。

 

炎の呼吸 漆ノ型 盛炎のうねり

水の呼吸 弐ノ型 水車

水の呼吸 肆ノ型 打ち潮

雷の呼吸 伍ノ型 熱界雷

花の呼吸 弐ノ型 御影梅

 

それぞれの呼吸の技で屍鬼達を倒したが、まだワラワラと出てきた。

と思ったら、

「あっはー!」

野太刀を持った折江が襲って来た。

 

しまったと思ったら

「させない!」

「私達も居ることをお忘れなく。」

水の呼吸 壱ノ型 水面斬り

虫の呼吸 蝶ノ舞 "戯れ"

それに応戦したのは、しのぶと真菰だった。

 

「この女の人は私達に任せて!」

「共に行きますよ!真菰!」

「うん!しのぶちゃん。」

………あれ?いつの間にか二人が仲良しで息がピッタリだった。

 

「真菰はああ見えて、鬼殺隊に入隊してから十体の鬼を倒して来たからあれぐらいの相手ならば大丈夫だ!」

「しのぶも真菰ちゃんと一緒に任務を遂行してきたから、お互いがお互いの動きがよく分かるの。」

錆兎とカナエから説明が入った。

 

成る程!正に相棒といった感じか!

俺が頷いた。

 

「おいおい?折江。その女共寄越せよ…」

卓蘭が言うと

「うるせえんだよ!卓蘭。てめえから先に殺すぞ。」

ドスの効いたの声を折江が発した後に卓蘭がため息を吐き、カナエの方を見ると

「んじゃ、こいつだけでももらうか。」

 

屍鬼をけしかけて来たので、応戦しつつ、

「させるか!女をただの好物だと思っているお前なんかにカナエは殺させない!」

「はあー?何言い出してんだ?俺は女をただの好物と思ってねぇぞ。」

突然の卓蘭の物言いに

「な、では何故?」

和星の質問に卓蘭は何かを懐かしむ様に

 

「………お前達がここに来る前にも鬼狩り達が来ていてな。

屍鬼達を襲わせるごとに手足を吹き飛ばし胴体が割れ首が飛ぶ、それでも驚愕と恐怖を向けながらこちらに向かってくる鬼狩り共。

それが、()()()()()()()()()()()()()()()

 

突然のクズそのものの言葉に衝撃を受けた俺達を嘲笑いながら、自慢げに話しを続けた。

 

「さっきまで男の鬼狩りも女の鬼狩り達も、俺達を倒して人々を助けると息巻いておきながら、その後には目の前の圧倒的な暴力に恐怖におびえる鬼狩り達。

その姿が面白くて滑稽で仕方がないんだ。

…暴力を振るうのは気持ちいい。

ははっ…これは可笑しくなるのもしょうがないだろう?

何せ、泣き叫び怒りに震え死におびえる人間は、痛めつけると、とても面白い反応を返すんだよ。

それを見る度に俺は歓喜の声をあげられる!

特に女の必死な姿は………最高なんだよなぁ!」

 

折江も同調するように嘲笑い

「そうそう!私もそういうのが大好きなのよねー!

前にも親子を攫った事があってね。母親と父親が子供だけでもと言った親達がいてたのよ。

そいつらに子供だけでも見逃してあげると言って少しだけ希望を見せてあげてから、子供を食い殺すと途端に泣き崩れて、そいつらも殺して食った時も本当に可笑しくて面白かったー!」

 

 

 

 

………ブチッ

奴らの突然のクズ過ぎる発言に頭の中の何かが切れた音だった。

 

今までにも沢山の鬼と戦ってきた。もちろんその鬼達も許せないが、今目の前にいるコイツらは、''人の命だけでなく、愛、夢、希望、未来を奪うだけじゃなく、弄んできた正真正銘の外道供だ!!!

 

俺がそう思い怒りと悲しみに打ち震えていると、杏寿郎はいつもの真剣な表情を浮かべながらも険しい表情を、

錆兎が最終選別と同じかそれ以上の怒りを内包した表情を、

義勇がいつもの無表情と共に憤怒の表情を、

カナエが信じられないものを見るような表情を、

しのぶは怒りに打ち震えながら、

真菰もしのぶ同様怒り心頭という表情を浮かべた。

 

それを見た折江はクスクスと嘲笑いながら先程の真菰としのぶと斬り合った時に野太刀に着いた血を舐め呑んだ後に目を閉じ

 

''血鬼術 記憶食い''

何かに酔い痴れた瞬間

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「えっ?」「なっ?」

真菰としのぶだけでなく俺達も折江の発言に仰天した!

何故と問う前にクスクスと折江が笑いながら

 

「私の''血鬼術 記憶食い''は相手の血を飲めばその人の記憶が観れるの。だからこそ、観させてもらったわ。……………()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

………途端に物凄い殺気と怒気が膨れ上がった!

 

「みんな、この女の人は私達に任せて……」

「あの鬼は私と真菰で頸を斬ってみせます。」

 

そこには怒り心頭の真菰としのぶが居た。

自分達の過去を勝手に見た挙句に二人の大切な思い出と大切な人達を踏みにじった折江のことが、どうして許せないのが伝わってくる。

 

「………なら俺達も」

「ん?なんだもう命乞いか?」

 

「そんな訳ないだろう!!お前らがどんだけ外道かがよくわかった!もう容赦しない!すぐに叩っ斬る!」

「無論だ!和星!」

「うん!あの悪鬼達を倒そう!」

瞬間にみんなで悪鬼達に向かって行くとカナエの足元に鏡が滑り込んだ!

 

そして鏡の中から

「ほう、よく見れば良い顔立ちをしている。お前は儂が貰おう」というさっきの老人鬼の声が………

 

「きゃあ!」「カナエ!」「カナエ!和星!」

俺と杏寿郎は咄嗟に走ってカナエの手を掴んだ。錆兎と義勇と真菰としのぶも手を伸ばそうとしたが、鏡はそのまま俺達三人を飲み込んだ。

 

「錆兎!義勇!真菰!しのぶ!そいつらは任せた!俺達三人はこれからあの十二鬼月を倒してくる!」

「みんな!死なないで!」

「ここは任せろ!」

という言葉を最後に和星達は、鏡の中に消えて行った。

 

「おいおい、あの女は俺がやろうと思ったのに………仕方ねえ。」

という卓蘭の声と共に屍鬼達が再度襲って来た。

「コイツらだけでも遊んでやるか。」

嘲笑いながら言う卓蘭に錆兎と義勇が立ち塞がり

 

「舐めるな!」「お前は必ず斬る。」

屍鬼達を切り捨てて卓蘭に向かって行く。

 

「真菰。私達も!」

「うん!行こうしのぶちゃん!」

再度構え直すしのぶと真菰を見た折江が嘲笑い

「うふふふふ、可愛いお嬢ちゃん達ね。たっぷりと………殺してあげる。」

折江が言った後に真菰としのぶに斬りかかった。

 

ーーーーー

そして、鏡の中に吸い込まれた和星達は突然地面に投げ出された。

 

「あ、いててて…ここは?」

回りを見るとそこは大きな部屋だった。部屋の至る所に鏡が所狭しとあった。

更にその奥の方に先程会った十二鬼月の下弦の肆の金城が長椅子に腰掛けこちらを見ていた。

 

「ふん。おまけも付いて来たか。まあ良い。早々に片付けてくれる。」

''血鬼術 鏡手''

という言葉共にいきなり部屋にある沢山の鏡の中から手が無数に出てきた。

 

それを斬って躱し、改めて俺達は金城に向かい合い刀を構えて

「お前をここで斬ってこれから先の未来を守ってみせる!」

「罪無き者達を食い殺したその罪を償ってもらう!」

「終わりにしましょう。」

途端に金城は笑い

「やってみろ小僧供!」

 

そして戦いが始まった!

 




ここまでお読みくださりありがとうございます。
次回は鏡屋敷編決着です。お楽しみに。


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同期達との再会と新たな仲間、そして下弦の月達との激闘。(後編)

大変長くお待たせしてしまい申し訳ありません。
言い訳はしません。構想に時間がかかり投稿が遅れました。
これからもこの様に不定期更新になってしまうと思いますが、どうぞよろしくお願いします。

前回の続きであり鏡屋敷の下弦の肆達との死闘の決着です。


和星side

下弦の肆の金城に向かって行く俺達だが、

「無駄だ。」

鏡の中から無数の手が俺達に向かって襲い掛かって来た。

 

雷の呼吸 陸ノ型 電轟雷轟

一気に広範囲の手を切り落とした。

更に俺達が向かって行くが、

 

「ほう。大したものだ。ならば''血鬼術 透矢(とうや)''」

途端に無数の鏡から無数の矢が俺達に向かって放たれた。

 

花の呼吸 弐ノ型 御影梅

炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねり

雷の呼吸 陸ノ型 電轟雷轟

それぞれの広範囲の技で防いだが、次々と放たれる矢の数に防戦一方に………

 

金城は不敵に笑い

「ふふふ。いつまでもつのかのう。」

俺と杏寿郎はお互いに目配せして

「だったら攻め込むまでだ!共に合わせるぞ!杏寿郎!あとカナエは俺達の後ろを頼む!」

「無論だ!和星!」

「任せて!」

 

雷の呼吸 伍ノ型 熱界雷

炎の呼吸 伍ノ型 炎虎

俺の衝撃の伴った斬撃と虎の形をした炎を出す斬撃により金城に一気に近づくと、金城は長椅子から立ち上がり、

 

''血鬼術 鏡巨魁(かがみきょかい)''

金城が両手を広げて呟いた途端に鏡が一斉に光って、俺達がその光に一瞬目を瞑るとそこには、先程会った屍鬼よりも大きく透明な角の生えた鬼が居た。

 

「これで最後だ……小僧供。」

その透明な大鬼が拳を振るおうとすると、

ドガッという音が響いた。すると、金城が慌てて、

真子(まさこ)!」

という声が向けられた先には

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。その少女は、

「うう!ぅゔがう!血肉!がるるゔぅらああゔぅ!」

と少女の姿からは考えられない唸り声を発した。

「おお…待っておれ!今ここに上質な血肉があるからな………」

さっきまでの高慢な態度とは違う優しげな表情を浮かべ(なぐさ)めた後。

 

「今の方は誰ですか?」

俺は呆然となりながらも質問すると金城は

()()()()()」と言った。

 

「何故…娘を鎖で繋いでいるのですか?」

続けての質問に金城は鼻を鳴らして

「すぐにここを出ようとするからだ。ここに居れば、血肉には困らぬというのに、せっかくあの方に鬼にしてもらっておきながら、血肉を最初は食べようとしなかったのだ。

まぁ、もっとも今ではあのように血肉を欲しがっているがな。」

金城がせせら笑うのを見て俺はある確信を抱いた

 

「まさかと思うが………()()()()()()()()()()()()()()()()()()

という疑問を口にすると杏寿郎とカナエが驚いたと同時に金城が怒鳴った。

 

「変な言い方をするでないわ!

娘の真子は、不幸な事故になって死にかけておった所にあの方が、私と娘を鬼にして下さったからこそ娘もこうして元気になることができたのだ!

そう!全ては娘の為に「ふざけんな!」ん!?」

 

金城の言葉に俺は叫んでた!

「何が娘のためだ!分からないのですか?多くの人達を喰らい、挙句に娘さんを鎖で繋いで自由を奪って、無理矢理血肉を食わせ、何が娘の為ですかー!」

俺がそう言うと金城は無表情になり、

 

「お前には分からぬ………親の気持ちなど………」

という金城の言葉に俺は

 

「少なくとも、娘を苦しませるような親の気持ちなど分かりません!」

 

俺が言った瞬間に金城は俺達に憤怒の形相を浮かべ、

「もう容赦はせん!片付けてくれる!」

同時に透明な巨大な鬼の中に入って、俺達に襲いかかって来た!

「こっちのセリフだ!終わらせてやる!貴方の自分勝手な愛を!」

 

ーーーーー

 

錆兎と義勇side

一方の錆兎達の方でも、激戦を繰り広げていた。

錆兎と義勇が卓蘭の操る屍鬼達と戦っているが次々と屍鬼は、湧いて出て襲って来た。

 

それでも錆兎と義勇がそれぞれの

水の呼吸 壱ノ型 水面切り

水の呼吸 肆ノ型 打ち潮

斬り倒し続けた。

それでも屍鬼は元に戻り襲いかかって来た。

 

「クケケケ!お前達は、どんな命乞いするのかな?楽しみだ!精々足掻いてくれよ?」

下卑た笑い声を上げながら、卓蘭が錆兎と義勇を追い詰めていく。

 

 

かに見えたが、

「義勇。男としてあの鬼の暴挙を許すわけにはいかない!そろそろ行こう!」

「無論だ!錆兎!」

錆兎と義勇は一気に駆け上がって行く。

 

「はっ!俺に向かって来ようが屍鬼達はいくらでもいるんだぜ!一気にとどめを刺してやる。」

屍鬼達が、前を走る義勇に襲い掛かりそれを義勇が

 

水の呼吸 肆ノ型 打ち潮・乱

間合いに入った屍鬼達を全て切り裂いた。

それを見た卓蘭は一瞬驚いた。

 

その隙に階段を上って遂に卓蘭の元に来た。それでも卓蘭は周囲を屍鬼で囲んでいる。

それを錆兎が、

 

水の呼吸 弐ノ型 水車

その瞬間を狙って屍鬼達を切り裂いた。残るは卓蘭のみ。

「舐めるなー!俺の血鬼術は死体で作った人形を操るだけじゃねえぞ!」

卓蘭が言った途端に卓蘭の元に死体が集まって正に死体での肉団子の姿となった。

 

「クケケケ!これならお前達の刀が届くことはねえ!」

 

それを見た錆兎と義勇は最終選別で戦った手鬼を思い出していた。

「驚いたな…まるで最終選別で戦ったあの鬼のようだ。」

「確かに…だが、俺達はあの時より強くなっている。」

「全くだ。行くぞ義勇!」

「無論だ。錆兎!」

そして、二人は卓蘭の元に向かった。

「はっ!無駄だ!」

それに応戦しようと死体で作った体から無数の手と刀で攻撃して来た。

 

だが、二人での

水の呼吸 参ノ型 流流舞い

水流のごとく流れるような足運びによる、回避と攻撃を合わせた技により全ての攻撃を躱され、斬り落とされた。

 

「嘘だろ?!だが、それでも俺の頸には届かねえ!」

「ならば、錆兎。あの技で」

「ああ!男として引く訳にはいかない!」

 

途端に義勇の

水の呼吸 拾壱ノ型 凪

が無数の手と刀をいなし死体で作った肉団子を切り裂いたが、直ぐに後退して更に体が分厚く卓蘭の頸には届かない。

 

「残念だったな!これなら離れればいい。死体はいくらでも………」

瞬間に背後から錆兎が

 

水の呼吸 拾ノ型 生生流転

うねる龍の如く刃を回転させながらの連撃が卓蘭に迫る。

 

「無駄だと言ったろうが!」

途端に錆兎に無数の手と刀が襲って来たが連撃が切り裂いた!

「な、何故!」

 

瞬間に死体の肉団子諸共に卓蘭の頸を斬り裂いた!

 

そして、頸を斬られた卓蘭は、死体の側に落ちた。

「ぎゃあああーー!何でだ!俺の防御は完璧だったはずなのに!」

「この技、水の呼吸 拾ノ型 生生流転はな回転すればするほど一撃目より二撃目の、二撃目より三撃目の威力が上がっていくんだ。それを俺はさっき攻撃を仕掛けた時から技を出し、更に義勇が引きつけたおかげで充分な回転が出来た。おかげでお前の肉の壁をも超えてお前の頸をも斬ることが出来たんだ。」

 

それを聞いた卓蘭は唖然とすると同時に卓蘭が喚いた

「ふ、ふざけんなー!何で俺がこうなるんだよ!

俺はいじめられ裏切られたからこそ全ての人間に復讐すると決めたんだ!それを邪魔したお前達こそが、」

 

「黙れ!お前が無関係な人達をも殺した時点でそれはもう「復讐」じゃなく、ただの「八つ当たり」だ!

挙句にそれを愉しんだ時点でお前に対しては全く同情も憐れみもしない!

何より、真に強い男とは弱き者を守り導いていく者のことだ。お前のような人を見下し多くの罪無き者から奪って弄んでいるような奴が強い男である者か!!!」

 

錆兎が一括し、それを聞いた卓蘭は

 

「そ、そんなー!や、やめろ!俺はやっとここまで来たのにー!いやだーーー!」」

卓蘭の断末魔の叫びを聞いた錆兎と義勇が

 

「「地獄で罪を償え!」」

叫びその頭ごと切り裂いた。

しばしの沈黙の後に

「さあ、みんなと合流しよう!義勇」

「ああ。錆兎。」そして、二人は走り出した。

 

ーーーーー

 

しのぶと真菰side

そして、場所は変わり錆兎達が戦った所とは違う鏡屋敷のある一室で鬼の折江としのぶと真菰が対峙していた。

「あらー。卓蘭の気配が消えちゃった。」

折江がつまらなそうに言うと

 

「次は貴方の番ですね。」

「私の家族の鱗滝さんとしのぶちゃんの大事な家族を侮辱したことを後悔させてあげる!」

しのぶと真菰が折江を睨んでいた。

 

「あらあら?私に勝てると思ったの?」

言いながら折江が野太刀で襲いかかった。

それをしのぶと真菰が避けたが、それを予測されたように回り込まれ野太刀を振るまれたしのぶが何とか刀で防御したが、弾き飛ばされた。

 

「しのぶちゃん!」

「大丈夫ですよ!真菰!」

真菰が叫び、飛ばされたしのぶが何とか着地して難を逃れた

「記憶を観たからその動きも分かるのよ!」

折江が言い放ち、再度襲いかかった。

 

それに真菰が

水の呼吸 弐ノ型・改 横水車

で応戦したが、避けられて上から攻撃を迫るが、それにしのぶが

 

虫の呼吸 蝶ノ舞 ”戯れ”

の複数回の突き技により、野太刀をいなして真菰を助けた。

 

「大丈夫ですか?真菰。」

「うん、ありがとう。しのぶちゃん!」

そして、改めて折江に向かい合い、

 

虫の呼吸 蝶ノ舞 ”戯れ”

水の呼吸 参ノ型 流流舞い

で再度斬りかかるが、動きを読まれ攻撃を受けてしまった。

 

「くっ!」

「厄介だね。」

 

「あははははー!無駄よ!あんた達の動きと剣術は記憶を観た時点で把握しているのよ!……………にしても、残念ねー!

しのぶちゃんは腕力が無いから鬼の頸を斬れないから毒に頼らざる得ないし、真菰ちゃんも腕力があまりない変わりに動きは早いけど動きを読まれちゃ、意味ないからねー!

鱗滝とか言う爺さんも哀れよねー!」

 

「!!!黙れ!」

突然の折江の嘲笑と鱗滝を嘲笑う発言に真菰がキレた!

同時に真菰が

水の呼吸 肆ノ型 打ち潮

で斬りかかるが、それに折江が対応して、真菰を斬ろうとした瞬間にしのぶが刀でいなして助けた。

 

その後にしのぶが真菰と目を合わせて

「真菰!

鱗滝さんが大好きだからこそ怒るのは分かりますが、大好きだからこそ、必ず帰らないと鱗滝さんが悲しむという事を理解して下さい!」

「はっ!………ごめん、しのぶちゃん。うん!そうだよね。鱗滝さんならこんな所を見たら「落ち着け!判断が遅い!」って怒るだろうし………」

しのぶの叱責に真菰が落ち着きを取り戻し、改めて折江に向かい合う二人。

 

それを見た折江は嘲笑い

「あら、今落ち着いた所で記憶を読まれた時点でもうあんた達の敗北は決まっているのよ。」

 

それを見たしのぶと真菰は無表情のままで

「記憶を読んだくらいで調子に乗らないで下さい。」

「鱗滝さんの教えてくれた事を見せてあげる!」

途端に二人が走り出した!

 

それを迎え撃つ折江だが、一瞬で二人の姿が目にも止まらない速さで来た。

「なっ!」

 

しのぶと真菰は実は既に「全集中・常中の呼吸」を会得していた。真菰は、錆兎と義勇がやっているのを見て兄弟子達に負けたくないと思い会得していた。

しのぶは和星から教えられて、カナエもやっているのを見て自分も出来る様になりたいとカナエの監督の元に会得した。

更に

「確かに私には鬼の頸を斬れませんが代わりに押す筋力、突く筋力が強いとある人に教え貰い、更にそのある人に「君には、力がないけど速さを鍛えれば誰よりも早くなる!」と言われ、鍛え上げました。」

「私も確かに腕力はあまりないけど、速さだったら、家族の誰よりも上なんだよ!」

 

「はっ!記憶を読まれといて、さっきまで、防戦一方だったくせに………」

折江が言うとしのぶと真菰はクスっと笑い

 

「私達が先程本気を出した様に見えますか?」

「貴方の動きを読むために、探っていただけだよ。」

 

「なっ!」

折江が戸惑っているのを隙に真菰がまず

水の呼吸 参ノ型 流流舞い

水流のごとく流れるような足運びによる移動で翻弄し、折江の気を引いて

 

次にしのぶの

虫の呼吸 蜂牙(ほうが)の舞い ”真靡(まなび)き”

の相手に反応をさせない鋭く力強い突きで防御しようとした折江の持つ野太刀をも貫いて折江の顔に刀を突き刺し怯ませ、とどめに真菰の

 

水の呼吸 壱ノ型 水面切り

で遂に折江の頸を斬った。

 

斬られた折江は呆気にとられながらも自分の頸が斬られた事を理解するとなきじゃくった。

 

「そ、そんな!嘘よ!なんで私が斬られるのよー!

全部、全部私に暴力を振るった奴らのせいなのにー!そうよ!あんた達のせいで………」

 

折江の自分勝手な言い分を見た真菰としのぶは怒りに震え

「ふざけないでください!貴方が傷つけた人達が、その全員が貴方を傷つけましたか?命を持って償わなければならないことをしたのですか!?

多くの人達を苦しめ惨殺し私と真菰の家族を侮辱しておいて被害者ぶらないで下さい!」

「誰かのせいだというなら、()()()()()()()()()()()()()貴方がそんな風に人の大切なものを傷つけたからそんな目に合うんだよ!」

しのぶと真菰が一喝した。

 

「そ、そんな………」

という言葉と共に折江は、自分の頭に受けた毒の進行と頸を斬られたことにより、灰となって崩れていった。

 

それを見た真菰としのぶは、

「やったね!しのぶちゃん!」

「そうですね!」

言い二人は喜びあった。

 

「さあ、先を急ぎましょう!」

「うん!行こう!」

そして、二人はそのまま走って錆兎達と合流した。

 

ーーーーー

 

場面は変わり、和星達と金城との決戦。

 

鏡巨魁が、拳を振るう度に周囲が破壊され、衝撃が和星達に来たがそれを避けつつ、腕を斬っていく和星達だが「全集中・常中の呼吸」を会得した和星達でも容易には斬れず、更に斬ったとしても、すぐに再生してしまう。

 

「無駄だ。この鏡巨魁の体は鉄と同等の硬度だ、何よりも再生力は早い!」

という金城の声と共に大鬼の腕が伸びて来たが、

「ならば、本体を狙うまでだ!」

という杏寿郎の掛け声と共に、皆で鏡巨魁の腕の上を駆け出して、鏡巨魁の懐に入り、それぞれの技の

 

雷の呼吸 参ノ型 聚蚊成雷

炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねり

花の呼吸 伍ノ型 徒の芍薬(あだのしゃくやく)

鏡巨魁の腹を斬り割いて金城に目掛けて

 

雷の呼吸 肆ノ型 遠雷

で金城に斬りかかると

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()甘く見るな小僧供!」

の言葉を皮切りに金城が体術を使い、和星の攻撃をいなし、拳を叩き込んで来た。何とか防ぐが、吹っ飛ばされた。

 

更に続けて来た杏寿郎の

炎の呼吸 壱ノ型 不知火

 

で斬ろうとしたが、躱され蹴りを食らうも防いで、次にカナエの

 

花の呼吸 陸ノ型 渦桃

による宙で体を捻りながら繰り出す斬撃をも腕が少し斬られただけで終わる。

「私は接近戦であろうとも、負けはせん!何より私の体は鏡巨魁よりも硬い!」

金城がそう宣言するが、和星達は諦めずに構え直し

 

「今までの鍛錬の成果を見せる時だ!」

「無論!」

「ええ!」

という和星の掛け声と共に奴に向かった。

 

「悪あがきを………」

という言葉の後に金城は再度鏡巨魁の中に入った。

更に鏡巨魁が和星達に襲いかかった。

 

「和星!カナエ!まずはあの巨体の鬼を倒そう!その後にあの十二鬼月には、俺の持つ「炎の呼吸 奥義」で倒して見せる!」

その杏寿郎の力強い言葉に和星達は頷き、

「ああ!分かった!杏寿郎!」

「うん!任せて!」

襲いかかった鏡巨魁に俺達は、全身全霊の技の

 

雷の呼吸 陸ノ型 電轟雷轟

広範囲に雷の様な斬撃を炸裂させて、鏡巨魁の手足を斬り割いて腹にも亀裂をつけて、そこにカナエの

 

花の呼吸 伍ノ型 徒の芍薬

による九連撃で金城の周囲の鏡巨魁の壁を斬り割いて道を作った。

「何度やったところで無駄だ!」

 

金城が構えるのを見て杏寿郎が走り出し、そこに俺とカナエが援護しての

雷の呼吸 弐ノ型 稲魂

花の呼吸 伍ノ型 徒の芍薬

 

和星達の連撃を金城は食らってもいなして来たが、そこに杏寿郎が突進して来た!

 

金城も構えた瞬間!

 

「舐めるなー!小僧!」

「炎の呼吸 奥義…」

 

次の瞬間!!両者のは咆哮と共に激突した!!

 

「 玖ノ型 煉獄!」

 

突然の衝撃と轟音に俺達が、一旦引いた。

そして、土煙が晴れた後に見ると

 

 

 

 

「ば…馬鹿な…!な…何故……人間……なんぞ…に………」

 

そこには広範囲を焼け野原にした場所に杏寿郎が立ち、金城の体がかき消えて、頸が宙を舞っていた。

 

「おお!遂にやったんだなぁ!杏寿郎!」

「凄い!」

俺とカナエが杏寿郎の奥義の凄さに感嘆していると、

 

ガッシャーン

 

という音がして見ると、鎖で繋がらていた真子が居た。

先程の衝撃で鎖がが千切れた様だった。

その後に奇声を発して俺達に襲いかかった。

 

俺がすぐさまに斬ろうとすると、真子は立ち止まって

 

「……ウゥヴウゥ…お願い………」

と言い自ら頸を差し出して来た。

 

瞬間に俺は新たに作った技にした。

 

雷の呼吸 肆ノ型・改 遠雷・慈光(じこう)

 

義勇と錆兎から水の呼吸 伍ノ型 干天の慈雨を教えてもらった時に肆ノ型 遠雷を改良・応用して作った技だ。普段の遠雷よりも早く、更に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そして、俺が真子の頸を斬ってるのを見た金城は憤怒の形相をして

「ま、真子ーー!おのれー!許さんぞー!貴様らー!こうなれば貴様らまとめて屋敷もろとも………」

 

と金城が言った後に屋敷全体が大きく振動した!

 

「このまま貴様ら全員屋敷の下敷きにしてくれるー!」

 

それを見て俺は

 

「いい加減にしないか!まだ分からないのですか?貴方の娘さんが自ら頸を差し出していたのかをよく考えて下さい!」

 

俺が一喝して斬った真子の頸を金城の方まで持っていくと、

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「な、何を言っとるんじゃ!?」

突然の真子の言葉に衝撃を受ける金城。

 

カナエと杏寿郎も驚いていた。続けて真子は

 

「私はこんな風に誰かを殺さないと生きられないのは耐えられません。何よりも多くの人を殺し苦しませてまでこんな風に殺し合いをしてまで、私を生かし続ける為だけになんて悲し過ぎます。」

真子の言葉に金城は

 

「で、では、私が今までなんの為に?!」

金城の疑問にカナエと杏寿郎は黙り込むが、俺は俺なりの言葉を言った。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

言葉を聞いた金城はハッとした後に悲しげになり、

 

「そうか………すまない。」

と金城が言った後に三枚の鏡がひとりでに動いて俺達の方に動いた。

 

悲しげに微笑み合った金城と真子は

「せめてもの償いだ。」

「お父様、共に冥府で罪を償いましょう。」

「ああ、そうだな。」

という言葉を最後にボロボロと灰になっていった後に俺達は鏡に吸い込まれた。

 

ーーーーー

 

 

そして、気がつくと俺達七人全員は、最初に入った大鏡の前に投げ出されていた。

そして、俺達は下弦の肆を倒した事を伝えた。

 

「やったんだな。和星、杏寿郎、カナエ。」

「見事だ。」

「凄いよ!三人頑張ったんだね。」

「姉さん達やったんですね!さすがです!」

錆兎、義勇、真菰、しのぶから賞賛された。

 

でも、俺達は、内心あまり喜べなかった。

確かに金城は許せない事をして来た。だが、あの悲しい親子のことを思うと、居た堪れなかった。

それでも、みんながみんな生きてここに居る事を感じて、あの悲しい鬼の親子の事を胸に秘めて向かおうと思った。

 

カナエが悲しい顔をして、杏寿郎もいつもの顔から悲しげに微笑み、俺も微笑み返した。

 

すると、しのぶが

「何かあったんですか?」

と聞いて来たが、

「話が長くなるから藤の花の家でいいかな?」

という提案にみんながみんな頷いてくれた。

そして、ボロボロになったおれと杏寿郎とカナエの三人はそれぞれに肩を持たれて藤の花の家に入った。

 

ーーーーー

 

傷が癒える頃にみんながみんなそれぞれに鎹鴉の任務を言い渡されたのでまた、別れて行動することになった。

「また会おうー!みんな!」

元気よく錆兎が言ったのを皮切りに

 

「さらばだ。」

義勇が言い

 

「みんなー!ありがとうー!」

真菰が言い

 

「今度会う時も宜しくね。」

カナエが言い

 

「みなさんとまた会えるのを楽しみにしています。」

しのぶが言い

 

「次に会う時は、より強くなっているぞー!」

杏寿郎が言い

 

そして俺も「みんなー!また会おうー!」

俺も言った。

 

 

そうして時が流れたーーーーー




ここまでお読みくださりありがとうございます。

では、次回で。


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柱就任

大変長らくお待たせしてしまい申し訳ありません。
構想を練るのと仕事が忙しく遅くなりました。

今回の話で和星達が柱への就任での話です。


誤字脱字等がありましたら、遠慮なく申し上げて下さい。


ーーーーー和星達が下弦の肆を倒した半年後………

 

 "柱合会議"

 

 半年ごとに行われる鬼殺隊を支える柱が集まる会議である。現在は六人が柱に任命されていたが、和星達が下弦の肆との戦闘及び討伐から半年の間に()()()()()()()()()との戦いが起こった!

 

十二鬼月と鬼殺隊との戦いでは、幾度なく戦い打ち勝って来たのは、下弦の鬼達のみ。

無論、下弦の鬼達も鬼舞辻から選別・認められるだけはあり、その力は強く、血鬼術も並の鬼とは比べ物にならない。一般の鬼殺隊士では、全く刃が立たない強さを持つ。

 

だが、上弦の鬼達は、その下弦の鬼をも遥かに上回る強さを持つ。

 

 

十二鬼月の上弦とは………十二鬼月の真に“最強”の六鬼。

 

この百年余り顔ぶれが変わっておらず、それは即ち鬼殺隊最高位の剣士である“柱”を幾人も葬り、百年もの間無敗の歴史を刻んで来た事を意味する。

選別に次ぐ選別を潜り抜けてきた彼らの身体能力と超再生力は、超越生物である人喰い鬼の中でも一段と極まっており、更に応用範囲の広い血鬼術を攻撃・防御・機動力の全てに上乗せする戦術を採る者が多い。これに、長きにわたる闘争の年月を経てきた修羅としての戦闘経験を加味すると、その総合個体戦力はもはや人間の手に届く範囲を大きく逸脱していると言っても過言ではない。

 

その時の戦いで倒壊に巻き込まれた一般人並びに隊員は重傷を負った者も居たが、柱二人による活躍により死者は誰一人出なかった。

 

 

 

 

 

だが、生き残った柱二人が重傷になった。その二人の柱の名は

 

 

 "水柱"水野 豊船(みずの きふね)

''炎柱''煉獄 槇寿郎の二名。

 

更にその二人は戦線復帰不可能となった為に引退となり新たな柱を四名迎えることとなった。

その為に柱合会議が開かれ、和星達も呼ばれることになった。

 

 

 

ーーーーー

 

上弦の参との戦いで大怪我を負ったという知らせを聞いてから、俺と杏寿郎は急いで槇寿郎さんに会いに行くと………そこには、包帯塗れになっている槇寿郎さんとそれを献身的に看病している瑠火さんが居た。

 

槇寿郎さんは一見元気そうだが医者からの話では今まで一週間の意識不明、左手は無くしており右手は一部の腱が切れ、肋骨全部骨折および一部が肺に突き刺さり、左目失明、右足の肉離れ、擦過傷多数の重症の痛々しい姿だった。

 

「済まない………杏寿郎…和星……私は………上弦の参に………負けてしまった。」

槇寿郎さんが詫びる様に言うと俺達二人は、泣きながら駆け出し槇寿郎さんを抱きしめた。

 

「父上!何をおっしゃるのですか!貴方は負けてない!!誰も死なせなかった!!俺の自慢の父親で最高の柱です!!!」

「そうですよ!!!師範!!貴方は友と一緒に立派に戦い抜いた!!守り抜いた!!貴方は上弦の参に勝ったんなんですよーーーー!!!」

俺達が泣きながら、そう言うと、槇寿郎さんも泣きながらも俺達を抱きしめ返してくれた。

 

その晩は皆で泣き続けた………

 

 

 

ーーーーー

 

 

俺はあれからも頻繁に会いに行っている。槇寿郎さんが「原作」の様に自信を無くし、呑んだくれる姿になってしまうのではないか?と俺が内心心配していたが、あの日に皆で泣いたあの時以来からも、瑠火さんと杏寿郎と千寿郎君の支えもあり、少しずつ、回復して、リハビリに励んでいる

槇寿郎さんの笑顔を見て一安心した。

 

そして、槇寿郎さんから柱襲名の受けて欲しいと言われ、俺と杏寿郎は、その話を受けることになった。

 

ーーーーーー数日後………

 

俺と杏寿郎が待ち合わせ場所に向かうと其処には、いつもの同期達皆が居た。

 

その後にも皆から心配されていたが、俺達は気丈に振る舞いさりげなく話題を逸らそうと皆が此処にいる理由を尋ねると

 

ーーーーー

 

半年程前に下弦の肆を倒した功績により以前から柱襲名の話が出たが、本人達は、「下弦の肆を倒したのは仲間達の力によるものが大きい。それ故に自分達には柱は相応しくないので丁重にお断りします。」

という発言の為に柱襲名は見送りにしていたが、今回引退する柱達の打診により、改めて柱襲名を受け入れた次第である。

 

和星と杏寿郎は煉獄 槇寿郎の継子であり、そして、胡蝶カナエも槇寿郎の直々の推薦と鬼を五十体倒したこと及び下弦の肆を討伐した功績を挙げた為に柱に迎え入れられる。

 

豊船自身は継子を連れていなかった為、階級・甲の隊員で目覚ましい活躍をする水の呼吸の使い手の中で豊船自身が直接会いに行き見定めて、自分の「水柱」を受け継ぐに相応しいとして新たに迎えられることとなったのが………半年間の間に鬼を五十体倒し、更に下弦の陸を倒した者

 

「冨岡 義勇」が柱襲名することになった。

 

ーーーーー

 

俺達は驚いた。

 

「義勇が!?凄い!さすがだなぁ!」

「うむ!同期であり我が友の門出だな!」

「本当に凄いわぁー!」

同期組みんなで義勇の出世と門出を祝うと

 

義勇はいつもの無表情から

「………俺はお前達とは違う。」

義勇が言い放つ。

 

「………もしかして、義勇。それは、「お前達と違い、俺が倒したのは十二鬼月の中でも最も弱い下弦の陸で、下弦の陸より遥かに上回る強さを持ったあの下弦の肆を倒したお前達と違い、俺には柱は相応しくないという意味?」

義勇の言葉足らずを補足すると

 

「俺はそう言ったはずだが………」

義勇が言うと

 

「いや!言って無いから!」

俺の言葉に他の皆も

 

「済まない、みんな、義勇の言葉足らずは真菰と協力して、少しずつ直ってきたんだが……」

「うん!義勇が、錆兎の方がふさわしいって言ったら、錆兎も義勇の方が強いと言って、柱の人に苦笑させて、その後に二人が、試合をして僅差で義勇が勝った後にも大変だったよねー。」

錆兎と真菰が苦笑しながら言い、

 

「うむ!義勇の言葉足らずは相変わらずだな!」

と杏寿郎が言い

「そんなんだから、誤解されて嫌われるんですよ。」

しのぶが呆れて言い。

他の皆も頷くと、義勇は

 

「俺は嫌われていない。」

と言った。

「まぁ、少なくとも、俺達は嫌っていないのは確かだが………。」

と言いながらも、皆で談笑していると、隠の方が近づいて、

 

「申し訳ありませんが、もうそろそろ………」

「はい!」と言う皆の掛け声と共に、俺達全員は目隠しと耳栓をしてから隠の方達に背負われ、そのまま向かう。

 

ーーーーー

 

そして、俺達は産屋敷の中庭の端の方に着いた。

 

其処には、現柱の方々が勢ぞろいしていた。

そして、其処には既に

槇寿郎さんと豊船さんはもちろんのこと、

 

数珠を持つ手を合わせ、「南無阿弥陀仏」の文字で染められた羽織を着た巨漢。

瞳孔の映らない両目から涙を流し………ていない"岩柱"悲鳴嶼 行冥(ひめじま ぎょうめい)さんが居た。!!!

「原作」とは違うことで俺がキョトンとしていながらも他の方を見回すと、

 

身長は大正時代には珍しい六尺(約180センチメートル)以上という長身で筋骨隆々という、恵まれた体躯を持った伊達男。輝石をあしらった額当てを着け、パンクファッション風の化粧をした''音柱''宇髄 天元(うずい てんげん)さんも居た!!!

 

そして

「お屋形様のお成りです」

 

その瞬間に俺達は皆で片膝ついた。

 

 白髪の妻が屋敷の襖を開らき、黒髪の美青年が現れる。

 

「お待たせしたね、私の剣士(こども)たち。今日はとてもいい天気だ。晴天がどこまでも続いている」

 

 美青年という枠で括るにはあまりにも大人びていた。思慮深い光が瞳に宿り、心を震わせるような心地の良い声。絶やされる事ない穏やかな微笑み。上に立つものの理想を具現化したような男、それが鬼殺を統べる産屋敷 輝哉(うぶやしき かがや)という男だった。

 

俺は生で見るお館様の荘厳さを感じ、身震いしながらも、他の柱の方達を見回す。

 

 まず"炎柱''煉獄 槇寿郎。きっちりと隊服は来ているもののそこから覗く右腕や足には包帯が巻かれていて左腕を義手にしている痛ましい見た目をしていた怪我人だと否応無くわかる。

 

次に"水柱''水野 豊船。高齢でありながらも気迫溢れる姿をしていたがこちらも隊服を羽織っておりながらもそこから覗く腕や足と左足には義足をしていて包帯が巻かれていて痛ましい見た目をしていた。

 

屋敷内に入り会議に入り産屋敷と対面の位置に座った二人の柱が進み出た。

「槇寿郎、豊船。無事とは行かなくてもよく生きて戻ってきてくれたね。ありがとう」

 

「「ご心配いただきありがとうございます。お屋形様」」

 

 二人が恭しく礼をする。

その後には槇寿郎と豊船の両名による証言により、

上弦の参は武闘派で 自らを「武の道を極めるもの」と豪語する。上弦の鬼で武具や 血鬼術を用いた飛び道具を一切使用せず己の手足だけを武器とし、素の身体能力が非常に高く、拳のみで建物を木っ端微塵にした破壊力と謎の氷の結晶のような文様が出たあとから正確性が増したことからアレがなんらかの補助効果があるのではなどだ。

 

それ故に非常に正確性の高い迎撃能力を持った体術使いであり衝撃波の遠距離攻撃をも持ち合わせていた事などが二人からの証言で分かった。

 

圧倒的な重圧を発したあの鬼の話を。

 

名を上弦の参の猗窩座(あかざ)という者との戦闘を行ったことがわかった。

 

 

「ありがとう、槇寿郎、豊船。今までその輪郭すらほぼ分からなかった上弦の月を知ることができた、これは大きな一歩だよ。未だ切り崩すことは叶わない。それでも目標が見えたことはとても喜ばしいよ。」

 

ごほん、と産屋敷が小さく咳を吐いた。

 仕切り直しと言わんばかりに微笑んで口を開く。

 

「さて、それでは、槇寿郎、豊船。最後に伝えておくことがあるそうだね。」

 

お館様がそう言うと同時に槇寿郎さんと豊船さんは立ち上がる。

 

「はい、私''水柱''水野 豊船は本日をもって柱を引退させていただきます。」

「同じく、私''炎柱''煉獄 槇寿郎も本日をもって柱を引退させていただきます。」

 

この事は、周知の事実の為に、驚きの声はなかったが、重苦しい空気が満ちていた。

 

「我ら二人は、上弦の参との戦いにより、私は片目と片腕を豊船殿は片脚を無くしており、最早戦線復帰不可能な程に傷を負い引退となりました。」

言いながらも、槇寿郎さんは悔しそうに、病室で会った豊船さんも険しい顔をしていた。

 

悲鳴嶼さんが重々しく

「ではどうする? 柱がまた欠ければ鬼殺隊も危うい」

 

「我らの次を担う者がいます」

 

 その二人のその微笑みは安心して任せられるという思いが現れていた。

産屋敷は微笑みながら頷いた。

俺は内心(遂に来たー!)とガクブルしていると杏寿郎とカナエが俺の肩に手を置いて、俺に微笑んでから前を向いて歩いて行き更に義勇も俺に頷きながらも前を向いて歩いて行く。

 

そんな三人の姿を見た俺は、顔を叩き、覚悟を決めて前を向いて歩いて行き、あらかじめに隠の方から言われた順番通りに三人に習い片膝ついていると、

 

「では、新たな柱を四名紹介しよう。みんなももう活躍と話は聞いているから大丈夫だね」

産屋敷が促すと妻のあまねの進行にて、とある式典が遂に開かれた。

「これより、柱就任の儀を執り行います」

と言う言葉の後に

 

「煉獄 杏寿郎様、前へ。」

「はっ!」

 

杏寿郎は立ち上がり、数歩前へと進んだ後に縁側の手前に居る産屋敷の元まで近付いて、再び片膝を付く。

そして、産屋敷は、杏寿郎に進み出た。

 

「杏寿郎。君を''炎柱''に任命する。槇寿郎が認め、信じた力を貸してくれるかい?」

「御意!」

 

簡易的な儀式だが、産屋敷から日輪刀を授かる杏寿郎。手の込んだものではないのに、その光景は一種の神聖さを秘めていた。

 刀を授かった杏寿郎はそのまま下がり、元の位置で片膝を付く。

 

そして、次は隣で顔を下げている俺の番だ。

 

「林 和星様、前へ。」

「はっ。」

 

緊張で胸が熱くなり、心臓がバクバク言いながらも、数歩前へと進んだ後に縁側の手前に居る産屋敷の元まで近付いて、再び片膝を付く。

 

そして、お館様のお顔を間近で拝見した。

線の細い男性だ。さらさらと流れる黒髪。額が所々が黒ずみ始めており、とても健康とは言い難いが優しい微笑みを浮かべている。

 瞳は黒眼の部分がやや掠れていて、恐らく視力は大分落ちているのだろう。

 一見すると頼りなく思える容姿をしている彼だが、何故だか不思議な魅力をたたえている。人の上に立つ資質を備えもった人とは彼のような人間を言うのだと、そう思わずにはいられない。

 

更に

「そこまで緊張しなくてもいいんだよ、和星。君はありのままでいいんだよ。」

その優しげな表情を浮かべ声を掛けてくださった瞬間、俺の中の不安感が消え去り、代わりに頭がふわふわとして、不思議な高揚感が胸いっぱいに満ちていた。

 

前世の知識でみんながお館様をどんな慕っているのかが分かっていたが、だからこそ、俺もこのお方の為に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()を決意した。

 

そして、

「和星。君を''鳴柱''に任命する。君の持つその速さと力を私に貸してくれるかい?」

「御意。」

杏寿郎と同じ様に、産屋敷から日輪刀を授かった。刀を受け取った俺はすぐに下がった。

 

次は、

「冨岡 義勇様、前へ。」

「御意。」

言われ、無表情ながらに義勇も立ち上がる。

杏寿郎と和星と同じように産屋敷の元まで近付いて、片膝を付いた。

 

「義勇。君を"水柱"に任命する。君には、その力がある。その力を貸してくれるかい?」

「御意」

 

 義勇も刀を授かる。そしてすぐに下がった。

 

そして、最後に

「胡蝶 カナエ様、前へ。」

「はっ!」

凛とした声がして、産屋敷の元まで近づいて、片膝付いた。

 

「カナエ。君を''花柱''に任命する。君の柔軟な技に私は期待している。頼まれてくれるかい?」

「御意。」

産屋敷から日輪刀を授かったカナエもすぐに下がり、みんなの所に戻った。

 

そして、ここに鬼殺隊の最高位たる柱が四名誕生した!!!

 

ーーーーー

 

その後に、柱合会議が終わってからも、みんながみんな賛辞の言葉を受け、祝賀会を開いて、楽しんだ。

 

 

そして、俺は松原山に行き、師範に俺が柱になったことを知らせると、

「よくやったぞ!和星!流石儂の弟子じゃ!」

「はい!ありがとうございます。」

その後に祝いとして、松原山で師範と一緒に祝った。

 

その後にもいつもは正月にしか帰らない実家の藤の花家紋の家に帰って両親に報告すると、両親からも喜ばれた。

 

ーーーーー

 

そして、俺は知らなかったが、これから、何かが始まるそんな予感がした。




ここまで、お読みくださりありがとうございます。
では、また次回も楽しみ。


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幸せが壊れる時には血の匂いがする。

皆さまの応援のお陰でUA6523!
お気に入り31!
になりました!
これもひとえに皆さまの応援のお陰です
ありがとうございます。

時逸家での話です。
鬱描写がありますのでご注意下さい。


そこは山奥の家。

その家の名は時逸家と言った。

 

ある年の春頃に、産屋敷 あまねが訪ねて来ていた。

時逸家の方達皆は、最初その方を白樺の木の精だと思ったが、話を聞くと、

 

日本各地で鬼が暴れていて、多くの人々を喰らい、人々の生活を脅かしているということ。

それを阻止する為に、我ら鬼を滅する鬼殺隊がいること。

自分達は、剣士の子孫であり、更に一番最初の「始まりの呼吸」を生み出し使う凄い剣士だと言うことを伝えられた。

 

それを見込んで、我ら鬼殺隊に助力して欲しいと言われたが、

「ふざけるな!」

と言う有一郎の一言の後に、罵声を浴びせかけ、父の静一郎と母のお菊に止められたが、その後に静一郎の

 

「申し訳ありませんが、丁重にお断りします。」の言葉により、その後にあまねは、帰った。

 

ーーーーー

 

「父さん!僕達が剣士の子孫で、しかも一番最初の呼吸ていうのを使う凄い人の子孫なのは本当なの?!」

無一郎が興奮して静一郎に言うと

 

「あの人の言葉には嘘偽りは無かった。まず間違いないだろう。」

と静一郎は認めたが、有一郎は、興味無さげに料理の支度をするお菊の手伝いで野菜を切りながら

「そんなことはいいから米を研げよ。」

 

その後にも無一郎は、

「ねぇ父さん。なんであの話を断ったの?剣士になろうよ父さん!

鬼に苦しめられている人達を助けてあげようよ。僕達家族ならきっと………」

 

途端に 、ドン!! ドン!!ドン!!

 

まな板の上の野菜ごと包丁を思いっきりぶっ叩いた。

 

そこへお菊が、有一郎を諌めるように

「有一郎!」

 

それでも御構い無しに有一郎は無一郎に

「お前に何が出来るって言うんだよ!」

 

更に怒鳴った。

「米も一人で炊けないような奴が、剣士になる?

人を助ける?

馬鹿も休み休み言えよ!本当にお前は無能の無だな無一郎!!」

 

「有一郎!やめなさい!」

静一郎が止めるが、それでも有一郎は、

 

「楽観的すぎるんだよ!どういう頭してるんだ!

父さんも母さんもだよ!!

なんで……父さんは、前に助けてくれた和星さんから体調が良くないって言われた時も、なんで体を壊してまでそんなに働くんだよ!

母さんもあんなに止めたのに…!!

休んでって何度も言ったじゃないか!!

風邪をひいてもそれでも働くなんて………!!

しかも前から、挙句に肺炎にまでなりかかって……………!!」

 

そう言う有一郎の瞳からは、涙が出ていた………それを聞いた静一郎とお菊と無一郎からも………

 

「俺がどんなに怖かったのか?分かる?!!

家族がいなくなってしまう………そんなのは、嫌だ!!!

いいか無一郎!!!

人を助けるなんてことはな、選ばれた人間にしか出来ないんだ!

先祖が剣士だったからってそんな今まで杣人の生活をやってきた俺達に何が出来る!

結局はあの女に利用されるだけだ!!

何か企んでるに決まって「有一郎!」はっ!」

途端に静一郎からの怒鳴り声が有一郎の声を遮った。

 

そして、静一郎は涙を流しながら、

「すまない…有一郎。お前達だけでも、楽な生活を送って欲しかったんだ………でも…それが返って…お前達を悲しませてしまった。

すまない!」

と言うと静一郎は頭を下げた。

 

それを見た有一郎と無一郎は慌てて

 

「父さん!もういいんだよ!一緒に生きて側に居てくれるだけでも……」

「僕も一緒だから…」

そして、お菊も静かに家族みんなで泣きながら抱きしめた。

 

 

 

その光景を外から見ていたあまねは、頭を下げて静かに立ち去った……………

 

ーーーーー

 

そして、この事を産屋敷に報告すると、悲しそうに微笑み

「……………焦り過ぎたね。私も………あまね。」

「はい」

「次に会う時は、「勧誘」ではなく、「謝罪」として品物とまとまった額の金を渡してそのままこの話はなかったことににさせて頂きます。申し訳ありません。と言って来てくれるかい?

人手は他で探そう。」

そう言うとあまねは、少しホッとしたように

「はい」

と言った。

 

そして産屋敷は、

「それに前に和星が提案してくれた、「自分の屋敷を隊士達用の学校にしてそこで教育、鍛錬して隊士達の質の向上を目指すという案件もあるからね。それなら、人手の問題も解決出来るかもしれない。」

 

その後にあまねが再度向かい、時逸家にこの話はなかったことにさせて頂きます。という言葉と共に、一緒に連れて来た、柱の者から少しばかりの金と食料を渡された。

そのまま、あまね達は帰って行った。

 

ーーーーー

 

その後には時逸家では平穏な日々が続いた………

 

そうして夏になった。

その年の夏は暑く、夜になっても蝉が鳴いていた。

それで少しでも換気をする為に戸を開けて家族みんなで寝ていたある日。

 

 

 

 

 

 

 

鬼が入って来た!

その音に気づいた静一郎とお菊は、子供を守ろうとして、静一郎は斧を振りかざし、お菊は有一郎と無一郎を庇ったが、鬼の力は強く、立ちはだかった静一郎を爪で切り裂いて倒れて鬼の魔の手がお菊達三人に迫り、庇ったお菊の背中を切り裂いた。

 

それを見た有一郎と無一郎はお菊を抱き抱えながら

「「父さん!母さん!」」

と泣き叫ぶと鬼は嘲笑い

 

「うるせぇうるせぇ、騒ぐなガキ共。

どうせお前らみたいな貧乏な木こり共はなんの役にも立たねぇだろ?

いてもいなくても変わらないようなつまらなぇ命なんだからよ。それを俺が食ってやるんだ、感謝しろ。」

 

それを聞いた有一郎と無一郎の目の前が真っ赤になっていき………

 

???「()()()()()()()()()()()()()()()()()

という叫び声と轟音を聞いた鬼は焦り咄嗟に飛び退いた。

 

そして、そこには、お菊と有一郎と無一郎の前に彼らを守る様に立っていたのは、

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

その姿を見た有一郎は見覚えのある姿を認識して

「林……さん………なんで…ここに………」

 

「近くに寄ったものでね。」

和星は短く返したが、実際は

 

(危なかった。前世で得た知識を思い出して、時逸家の皆が鬼に襲われることはわかっていたが、いつなのかが分からなかった。

だからこそ遅れてしまった!

そのせいで静一郎さんとお菊さんが………でもまだ生きている!怪我は後で治すとして………まずは、目の前の鬼の頸を斬る!」

 

和星が睨んでいると鬼は、不愉快そうに

「畜生!なんでこんなところに鬼狩りが!」

と言いながら再度和星に襲い掛かったが、すぐに和星の

 

雷の呼吸 肆ノ型 遠雷

遠間から強烈な踏み込みによる素早い速さで頸を横一文字に斬り捨てられた。

 

「ぎゃああー!そんなバカな俺がこんなことでーー!」

という断末魔と共に灰となって消えていった。

 

そして、鬼を倒した和星は日輪刀を鞘に収め、すぐに静一郎とお菊の手当てを行なった。

突然のことで驚いた有一郎と無一郎も父と母が血まみれになっていて、ひとまず疑問は言わずに、そのまま和星を手伝った。

 

ーーーーー

 

そして、静一郎とお菊の手当てが済んで容体も安定した頃に改めて和星は自分が鬼を滅する組織、鬼殺隊の一員でありその最高位の柱の一人の鳴柱だと名乗った。

 

それを聞いた静一郎は複雑な顔をしていた。

「一つ聞きたい、君は私達が先祖が始まりの呼吸の剣士」の子孫だから助けたのかい?」

と聞くと、和星は真剣な面持ちで

 

「確かにそれは知っていましたが、そんなことより私は、命を救って下さった貴方達に恩返ししようと思い、薬草を集め、薬を渡しただけです。

それに目の前で困っている人達は助けたいと思ったからです。」

と和星が答えると静一郎はホッとしたような面持ちから

 

「そうか…安心したよ。疑ってすまない。そして………」

深々と頭を下げて

 

「この度は家族共々命を救って下さりありがとうございます。」

それを見てお菊と有一郎と無一郎も一緒に頭を下げた。

 

それを見て和星は慌てて

「よ、止して下さい!私は当たり前のことをしただけですので………」

「いいや、私にとっては家族は一番大切な宝物だ。それを守ってくれた恩人にはこれくらいしても足りないくらいだ!ただ………」

そして、頭を上げた静一郎は言いにくそうに

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()

突然の言葉に和星は唖然とした。

 

「私達家族はこれまで通り杣人として暮らしていこうと思う。無論、有一郎と無一郎を鬼殺隊に入れるつもりはないし、鬼という化け物にも関わりたくないのだから………」

それを聞いた無一郎は何かを言おうと前に出たが、有一郎に止められた。

 

それを聞いた和星も静一郎の思いを汲んで

「分かりました。」

悲しげに微笑みその提案を受け入れた。

 

「ですが、何かあればすぐに呼んでください。私と貴方達とはもう友達ですので………」

和星がそう言うと静一郎は面食らいながらも頷いた。

「本当にありがとうございます。

そして、命の恩人に対して申し訳ありません。」

 

という言葉共に静一郎と和星との話は終わった。

その後に何日か家に泊まり、そのまま和星は時逸家から出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

ーーーーー

 

時逸家の事件から三カ月程が経ち、和星の発案による隊士の質の向上を目指した教育及び訓練も軌道に乗った。

そして今和星は数人の隊士達と共に村近辺に潜伏していた鬼を退治していた。

 

「ふうーー、川内くん、矢田くん、千田くんもいい動きになったね!」

と隊士達みんなを労う和星の言葉を聞いて

「ありがとうございます。」「やったな!」「嬉しいです!」

三人共に喜んだ。

「よし!お祝いとしてそこの茶屋で好きなものを奢ってあげよう!」

 

そしてその日は、茶屋で昼食をとりそのまま藤の花の家に泊まった。

そして、寝床についた和星は、このまま帰路につくと、丁度時逸家の家のある山とその山の麓にある村に行くことを確認すると、

「あの約束からまだ、三カ月か………静一郎さん達は元気にしてるだろうか?………今側にいるこの子達も俺の教えを受けて、鍛錬にも励んで今では多少強い異能の鬼に苦も無く倒せるようになって来たな………」

感慨深く思いながらも眠りについた。

 

ーーーーー

 

そして、そのまま帰路について、夜になって、近くの村に泊めてもらおうとすると、

 

 

()()()()()()()()()()

 

それを聞いて和星達は急いでそれが聞こえた場所に向かうと

 

山の麓の村が鬼達に襲われていた!!!

 

すぐさまに和星達が、その村を襲った鬼達を全員倒したが、その戦闘で隊士の一人が怪我を負ってしまった。

更に助けた村人達によると鬼が一人だけ山の方に入っていったらしい。

胸騒ぎがした和星はまた村が襲われるかもしれないので、和星は隊士達に村を任せて更に鎹鴉の一匹に隠の応援と救助を要請して山の中に入った。

 

ーーーーー

 

「くそっ!」

和星は、自分の浅はかさを後悔していた。

時逸家を襲った鬼は倒したが、それは、数多くいる鬼の一人だけだということに………

そして、願った。

 

(間に合ってくれ!!)

何度もそう念じながらも、時逸家の家に着いた。

 

 

 

 

 

 

半壊して辺りが荒らされていた状態で………

 

和星は焦りながらも気配を察知して、その奥に行くと不気味で不快な咀嚼音と

「返せ………父さんと……母さん………を返せ……」

「………やめろ………やめ……て…くれ」

という泣き崩れる二人の聞き慣れた声が聞こえる。

 

そこへ向かうと

 

そこには……………

 

 

''静一郎が作務衣を着用した鬼に喰われている姿''

''すぐ近くに動けない様に体中から血を流して両手両足を泥の様なもので縛りつけられていたお菊''

''有一郎と無一郎が頸から下全部を巨大な土器の形をした泥で覆われていた姿だった''

 

 

その時和星の頭の中でブチッと音がした後に

「うおおおーー!」

叫びながらも静一郎を食っている鬼に向かって行くと、すぐに静一郎を離し飛び退いた。

 

その後に、羽織のポケットにある薬と包帯で可能な限り静一郎の血を止めようとすると、その鬼が襲いかかって来たので応戦した。

その瞬間に衝撃が走った!

 

そして、お互いに間合いを取ると、急に相手の鬼が興奮したように言い放つ。

 

「これは僥倖だ!まさか柱と戦えるとはな。

何よりたった今、今までに食って来た希血の中でもより良い希血を食って力が漲るという好機で会うとは、ついてるな!

柱、私と戦え!これで私も認められる!」

 

見るとそこには、作務衣を着用し、顔の上半分に血管のような模様が浮かんだ顎髭の鬼で左目に文字が入っていた。

 

()()」と

 

瞬間に和星は理解したが、頭の中では怒りでいっぱいだったが、冷静になろうと呼吸を深く吸って宣言した。

 

 

「許さない!!この俺、鳴柱の林 和星がお前の頸を斬る!!」

というと下弦の弐も構えて

 

「やってみろ!!鳴柱の和星とやら!この下弦の弐の轆轤(ろくろ)が貴様を殺してくれる!!」

 

今ここに柱対十二鬼月の下弦の鬼との戦いが始まった。

 




ここまで最後までお読みくださりありがとうございます。

時逸家を襲った鬼を倒して平穏な日々に。だが、その為にこんなことに………
そして、遂に下弦の弐の轆轤が登場です。

次回、死闘開幕。


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下弦の弐の力、柱の力

下弦の弐との死闘開幕。


怒りで血が上った俺だが、有一郎君達の助けを求める声を聞いて我に返った。

 

怒りを抑えて静一郎さん達の救助を優先するために俺は懐から「前世」の知識で作った煙玉を地面に投げて煙幕を発生させた。

 

そして、この煙玉はただの煙幕ではなく、しのぶと協力して、藤の花の毒を仕込んでいる。最も鬼を倒すことは出来ないが、代わりに鬼に対しての目くらましと臭いを嗅いだ鬼が、動きが鈍るのが特徴だ。

 

下弦の鬼に試していないから警戒しながら見ると、

 

「ゴホッゴホッ、なんだこれは………くっまずい!」

咳き込みながらも、この煙が危険だと分かり一旦引いていたが、あまり動きが鈍っていないようだった。それでも俺は、手持ちの煙玉を全部を投げてからそのまま静一郎さん達の元へ向かった。

 

 

 

 

 

 

………静一郎さんは、両腕と頸の付け根と肩を喰われていて、大量出血に、お菊さんは、体中を斬られて血だらけの見るも無残な姿に………

 

有一郎君と無一郎君の体を縛っていた泥の塊の日輪刀で二人の体を傷付けないように、取り除くと、そこには、二人共が体中を斬られた傷だらけで、両腕共に折れていた。

 

俺はすぐに羽織のポケットからあらゆる薬と包帯を取り出して、まずは一番重体の静一郎さんを優先して応急処置をすると静一郎さんが、息も絶え絶えに

 

「…ゴホッ……林…さん来て……ガハッ……くれたん…ですね。」

「ええ、あまり喋らないでください!お体に障ります。」

 

俺はそう言いながらも、治療を続けようとすると、静一郎さんは

「いや……いいんです。………自分の……ゴボッ……体の…ことは自分が…よく…分かります。ガハッ……血を……流し過ぎた。どうあって…も私は……ゴホッ……死ぬ。それ…にこれは……私……自身ゲフォ……の……愚かさに…よって……起こった……こと…なんです。です…から、私ガハッ……よりも妻を……子供達…を」

 

「父さん……何…言ってるんだよ!」

見るとそこには、有一郎君が地面に倒れながらも目から涙を流し声の限りに叫んでた。

 

「お…願い……だよ。父さん……生きて………」

無一郎君も傷だらけになって意識がはっきりしない状態なのに涙を流して懇願していた。

 

「いい……んだ。私が…ガハッ…友人で……ある林……さんに……ゴホッ……あんな……酷い…言葉を言って……関わらせ……ないように……してしまっ…たことが…返ってこんな……事に、家族……を守ろうと……したことが、逆に……家族を……危険に……巻き込んで……しまった。……だから「そんなことない!」え?」

静一郎さんは、喋ることすら苦しそうに言い、それに俺はそれを遮り、

 

「何を言ってるですか!貴方は家族を守る為に頑張って来たんでしょうがー!そんな貴方は間違ってないんだー!

俺達鬼殺隊は、そんな誰もが持つ幸せと命と未来を守る為に頑張って来たんですよ。

そんな貴方達の幸せをも含めて私達は守る為に戦って来たんだーー!」

 

俺がそう言うと静一郎は、驚いた表情から涙を流しながらも少しずつ

 

 

 

 

 

 

 

 

微笑んだ。

 

「そうですか………私は鬼殺隊に……入ればは鬼と日夜………戦う為に……ガハッ!……危険が付きまとうから、有一郎と…無一郎が…、戦いに……巻き込まれるのが……怖かった。

ですが、貴方方…はそういう…理由で…戦って…来たん…ですね。そんな…立派な…貴方…ゴホッ…だからこそ…来てくれた。それだけで……充分です。どうか、……お菊と…有一郎と…無一郎………を頼みます。」

 

そう言う静一郎さんに俺は目から涙を流し静かに頷くと、静一郎さんは安心したように事切れた。

 

 

そして、俺はお菊さんと有一郎君と無一郎君に応急処置をしてから、煙幕が晴れたのを見計らってすぐに轆轤の元に戻ると

 

 

下弦の弐の轆轤はあくびをしながら、

「別れの挨拶は済んだか?」

 

俺は心の底から怒りと悲しみを鎮めながらも

「ああ………」

と返事をすると

 

轆轤は顎を向こうに向けて

「ならば場所を変えるぞ。此処で戦えば、其処にいる奴らをも巻き込んでしまう。

母親の方とガキ共も後で食いたいしな。」

 

轆轤の自分勝手な言葉にキレかけていたが、あの人達を巻き込みたくないのは、俺も同感だったので、それを受けた。

 

 

ーーーーー

 

そして、場所移動した後に向かい合い俺はまず質問した。

 

「一つ聞きたい。」

「何だ?」

頸を傾げながらも轆轤は、返事をする。

 

 

「何故幼いあの二人をあそこまで傷つけた。」

俺が怒りを抑えながら言うと轆轤は、忌々しげに

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

私が奴らの父親と母親を傷つけて、ギャーギャーうるさいから、私はこう言ったんだ。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

瞬間に俺は、自分の怒りを抑えながらも奴の話を聞く。

 

「ところが、あのガキ共は、いきなり切れて、私を殺そうとしやがった。

ガキ共の動きが速く、何より力が強くなっていた。

あれなら底辺の鬼よりも上だと思うくらいにな。

………最も下弦の弐である私に対して斧で斬ろうと、釘を刺そうと、鉈で斬ろうとも俺の体はそこらの底辺の鬼よりも遥かに硬いから、あのガキ共が絶望し切ってからは、痛めつけて骨を折って後で食う為に私の血鬼術で封じさせてもらったがな…」

 

そこまで聞いた俺は、思い返していた。

(………確かにあそこの周囲には、壊れた鎌と斧、砕けた岩と杭があった………「原作」でも、無一郎君が、最愛の兄を殺され、その怒りで鬼を倒したとあった。

だが、今回の鬼は、普通の鬼とは桁違いの強さを持つ下弦の弐の鬼。

 十二鬼月の中では八番目の強さを持つ鬼だ。)

 

質問を終えた俺は刀を抜いて、

 

「質問は以上だ。お前のその罪を裁いてやる!!」

 

好戦的な顔になった奴も

「面白い!!やってみろ!!柱!!」

 

 

そして、「「うおおおーーーーーー!」

俺と下弦の弐の轆轤が、同時に駆け出した。

 

* 雷の呼吸 弐ノ型 稲魂

瞬く間に一息で五連の斬撃を叩き込んだが、

 

「無駄だ!」

血鬼術 螺旋道(らせんどう)

 

途端に轆轤の腕に表面に土が纏い硬くなり回転した。

 

ギャリーン!

 

と音がして俺の五つの斬撃が弾かれる。

「くっ!」

 

俺が一旦距離を取ると轆轤は、自慢気に

「どうだ!我が血鬼術の威力は!

私の血鬼術は、土の性質を自在に操ることができる。

その応用として、土を鉄に変えて、腕に纏い刀を弾くことができる!

更にそれだけじゃないぞ。

あの希血以上の希血を食ってこんな事も出来る!」

 

血鬼術 白士爪(はくしそう)

 

同時に轆轤の両手が白い鉤爪になって、斬撃を飛ばして来た。

俺はそれをすんでのところで躱し

 

「だったら、これならどうだ!」

 

雷の呼吸 参ノ型 聚蚊成雷

 

の周囲を高速で旋回しながら切り刻む波状攻撃をすると、轆轤は頸を守ろうと腕を固めて回転しながら、防御した。

その隙をついて、奴の後ろから頸を斬ろうとすると、

 

「舐めるな!」

 

血鬼術 土偶伸(どぐうしん)

 

瞬間、轆轤の背後の地面が盛り上がって、無数の棘となって襲いかかった。

それに気づいた和星は、一旦引いたが、棘に腹を刺された。

 

その為に腹から血が出るが、それでも回復の呼吸を使い再度畳み掛けた。

それを見た奴も地面を踏みしめた瞬間

 

血鬼術 土偶重(どぐうじゅう)

 

轆轤の前の地面が盛り上がって今度は爆発したように土の大波が襲った。

 

俺は応戦しようと、*

雷の呼吸 伍ノ型 熱界雷

 

衝撃を伴った強烈な斬り上げで相殺した。

 

「くっ!流石柱だな……だが、舐めるな!」

 

そう吠えた奴は、先程の鉤爪の斬撃を今度は連続で飛ばして来た。

 

 

俺はそれを横に移動して避けてから、

 

雷の呼吸 弐ノ型・改 稲魂 連

 

五連の斬撃から十連の斬撃に変えて斬撃で、腕だけでなく体全体に斬撃を叩き込もうとするが轆轤の地面が盛り上がって

 

血鬼術 土偶重

により防がれる。

 

「ははっ!残念だったなあ!私の血鬼術の前には、柱であろうとも………」

と轆轤が勝ち誇るが、その隙に和星が背後に回り、

 

「舐めてるのは、お前だろう?」

と言う和星の言葉と背後からの殺気により、気がついた轆轤が

 

血鬼術 螺旋道

により、防御しようとしたが、和星の

 

雷の呼吸 弐ノ型・改 稲魂 連

 

の十連の斬撃により押された轆轤が後退して、体勢を整えると先程出した

血鬼術 土偶伸・土偶重

の地面の土を使った大波と無数の棘の合わせ技で一気に和星を葬ろうとする

 

「これで終わりだ!!柱!!」

 

が、和星の

 

雷の呼吸 陸ノ型 電轟雷轟

 

の広範囲に雷の様な斬撃を炸裂させた技を連続で出したことにより、土の無数の棘と大波が切り裂かれ、それを見た轆轤は瞬時に鉤爪の斬撃を飛ばしたが掻き消えた。

 

螺旋道による腕の土の回転により、頸を斬られず難を逃れるが自慢の血鬼術を破られて、唖然として恐怖していた。

 

「な、何故だ……?私は…あのお方に…十二鬼月に認められて……血を与えられ、更にさっきの男から希血の中の希血により今までよりも数段強くなったのに………何故だ!!」

と絶叫する轆轤を尻目に和星は警戒を緩めずに淡々と

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

和星の言葉を聞いた轆轤は、唖然した。

 

「お前は確かに強くなっているが、それにより無意識のうちに俺を軽く倒せると思い慢心している。

基礎体力と血鬼術がいくら優れていても………痛みと恐怖への耐性がなさすぎる。

それ故にお前が自分の血鬼術と血の力に溺れ、相手の成長と人の怒りと大切なものを見ようとしなかったからだ。」

 

呆然となりながら聞いた轆轤は、瞬時に理解、判断した。

 

(………これが柱!!

……だからか、何故、下弦の鬼だけが倒され続けられているのかがよく分かった。

私もそうだが、十二鬼月に入った鬼はそれだけで満足して慢心してしまう。

それ以上を求めずに成長しない。

だが、この柱を含めた他の柱いいや、私が出会っていない鬼狩り達は違う!!

慢心、油断をせずに強く成長していく奴らがいる!!

………だが、それを超えてこそだ!!)

 

和星がわざわざ轆轤の疑問に応えたのは、事実を突きつけ、戦意を喪失する為だった。

だが、逆に轆轤を油断と慢心を消す事にしてしまう。

 

それでも和星は、悠然と構えた。

 

そして覚悟を決めた轆轤は、不敵に笑い、

 

「………成る程な……………だからこそお前は、ここで倒す!!」

 

血鬼術 赤機兵(せっきへい)

 

奴の周囲の土が持ち上がった。

しかも一つだけではない。いくつも、いくつも......十分な厚みをそなえたそれらは、醜悪に歪んだゴム人形のように見えた。のっぺらぼうの顔にあたる部分に赤い裂け目が走り、ぞろりと鋭い牙が光る。

 

「まだ見せていない血鬼術だ!!土の兵隊供の猛攻を喰らえ!!」

と言う同時に土の兵隊達が和星に一斉に襲い掛かった

 

和星はそれを見ても動じずに刀を構え

 

雷の呼吸 陸ノ型 電轟雷轟

 

広範囲に雷の様な斬撃を炸裂させ、土の兵隊達の全員倒したが、其処には

 

「流石だな!ならば我が最強の血鬼術を見せてやる!!」

 

血鬼術 螺旋尽(らせんじん)

 

瞬間に轆轤の全身を白い土が覆って、そのまま全身を白いドリルと化してそのまま地面に潜った。

 

その後には和星は地面に目を閉じて音を済ませたが、だが無音のままで地面から飛び出して、和星の体を少し抉った。

そのまま地面に潜った。

 

和星は、傷ついた体を回復の呼吸で治していると共に考えた。

 

(くっ!!これが奴の最強の血鬼術か!!成る程、''無音''のまま地面を掘り進み、全身を纏う土のドリルでの正に攻防をあわせ持っている。ならば!!

)

と同時に和星は刀を鞘に納め、気配感知に集中した。

 

轆轤もまた攻撃しようとしていた。

 

(この血鬼術はどんな硬い岩だろうと地面であろうと私の血鬼術で地面を柔らかくすることで“無音”で掘り進むことが出来る非常に強力な血鬼術だ。この血鬼術で私は下弦の弐に上り詰めた!!

そして、希血を食ってより速く硬くなってる………だが、油断はしない!!)

 

とそのまま和星目掛けて来たが、和星はある

技を出した。

 

雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃 ()() ()

 

轆轤の纏うドリルが来たと同時に轟音と共に和星は十回程縦横無尽に駆け回り、ドリルが来るタイミングで、ドリルに向かい

 

雷の呼吸 参ノ型 聚蚊成雷

のドリルの逆回転からの攻撃で轆轤の纏うドリルを斬り割いた。

 

「ば、馬鹿な!!」

轆轤が防御しようとして螺旋道を纏った腕をも回転とは逆方向から斬り付けて、腕ごと斬り割いた。

 

「終わりだ!!轆轤!!」

と言う掛け声と共に轆轤の頸に刃を入れ斬ろうとした………

 

 

 

()()()()()()()()()

突然の轆轤の不吉な言葉で、和星は一旦距離を取った後に気配を探ると時透家の方に土の兵隊の気配が!!!

 

「この卑怯者!!」

と罵る和星に対し轆轤はその言葉を受けながら腕を再生させて悔しげに怒り、叫び返した。

 

「ああそうだ!!

私は鬼でまだ弱い下弦の弐の鬼だ!!

だからこそ、こういう卑怯なやり方を使わせてもらう!!

………何より時間切れだ」

 

その言葉を聞いて空を見ると朝日が昇っていた。

 

「勝負は預けるぞ!!

鳴柱の林 和星!!

お前だけは必ずこの私、轆轤が倒してみせる!!」

 

と言う言葉共に地面に潜った轆轤を見て、和星は怒りに震えながら、

 

「こっちのセリフだ。轆轤!!

顔と名前は覚えた!!

次に会う時には、必ずその頸に刃を振るう!!

お前を許さない!!」

 

そのまま和星は叫び、時透家の方に向かい、土の兵隊達を倒した。

 

そして、そのまま時透家の中で家族みんなの治療して命を繋いで、その後に救助に来た隠の者達とで手当て及び蝶屋敷まで運んで懸命な治療により、お菊、有一郎、無一郎の命は助かったが、静一郎はそのまま亡くなった………

 

ーーーーー

 

轆轤side

 

地面を掘り進みながらも怒りに震えていた。

 

(下弦の弐に上り詰め希血を食って力を付けたはずがこの体たらく。私に今必要なのは、あの方のさらなる血………ではなく血鬼術の向上。

それとあれも習い強くならなければ!!

確かあれは………()()と言ったな………次に会う時に必ず!!」

 

その身に余る憎悪を胸に刻み掘り進んだ………

 

ーーーーー

 

和星side

 

俺は絶望感に打ちひしがれていた………俺の浅はかさで静一郎さんを………

 

そこへ隠の人としのぶが来てお菊さんと有一郎君と無一郎君達の容体が安定したこと、無一郎君はまだ意識が戻らないが、有一郎君とお菊さんは目が覚めたこと。

そして、お館様が来ていることを教えてくれた。

俺が急いで病室へ向かうと其処にはお館様が居た。

 

俺は涙ながらに土下座をした。

「………お菊さん……有一郎君………お館様………申し訳ありません。」

 

それを見たお館様は、優しい声で

「和星………顔を上げなさい。」

俺が顔を上げて見ると、お館様が真剣な表情をして、

 

「まずは謝る前に彼らの言葉を聞いてあげてくれ。」

そう言うので彼らを見ると、

 

 

お菊さんと有一郎君が頭を下げていた!

 

驚く俺をよそに二人は、

 

「「この度は私達家族を守ってくださりありがとうございます。」」

と二人がお礼を言っていた。

 

「な、何を言いますか!」俺が狼狽えてると有一郎君が涙ながらに

 

「俺があんなことを言ったから……でも貴方は来てくれた!父さんは俺達に生きて欲しいと言った!

だから俺と母さんと無一郎は鬼殺隊に入り、もうこんな悲劇を終わらせます!

それに貴方は、あんなことを言った俺達を助けてくれた!それだけでも十分です!」

俺がなをも狼狽えてるとお館様が優しい表情を浮かべながら

 

「和星………君は確かに静一郎さんを守れなかった。

だが、静一郎さんの意思を汲み取りこの三人の家族を守り抜いた。

それも事実だよ。」

 

お館様の澄んだ優しい言葉に俺は大泣きしてしまった。

 

そして、誓った今度こそ必ず大切なものを守り抜いてみせると

 

ーーーーー

 

それから傷が治ったお菊さん達は鬼殺隊に入ることなった。

 

お菊さんは蝶屋敷での怪我人の手当てを、

 

有一郎君と無一郎君は、それぞれ自分達に会った呼吸法の育手の元で修行することになった。

 

これは勝利者のいない戦い。

 

故にこの柱と鬼の因縁が生まれた瞬間。

 

されど、失った命があれど、守れた命が存在したことも事実。

 

そうして月日が経っていたーーーーー




最後までありがとうございます。
次回からは、幕間を挟んでいよいよ原作突入したいと思います。

応援よろしくお願いします。


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幕間
とある転生者の悪鬼の始まり


連続投稿です。

二人目の鬼になってしまった転生者です。
そして鬼に堕ちてしまった者の物語です。

この話は鬱展開が続いておりますのでご注意下さい。

ちなみにこの話には原作でも出ていた鬼舞辻無惨と上弦はもちろん、下弦の鬼達も出て来ます。








ーーーーー父親と母親からは蔑まれてきた。

弟だけを可愛がり、俺はいないもの扱いされてきた。

少しでも近づいていこうとすると暴力を振るわれてきた。それからは、心を閉ざした日々を過ごしていた。

 

ある時に親から人買いに売られた。

その後に俺は親から捨てられたということに気がついた瞬間に心の中が無になっていた。

でもある時、ある夫婦が俺を人買いから買いたいと言った。

 

最初は怖かったが、その夫婦は俺に優しくしてくれた。

これから私達は家族になるんだと、言ってくれて嬉しかった………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、それは奴らの演技だった。

 

ーーーーー

 

俺の育手達は酷い奴らだった。

夫婦仲は良く父親の方が溝口 海奈(みぞぐち かいね)で母親の方は保音(やすね)という。

 

ただし他の者に関しては全くの無関心というまさしく「毒親」そのもの。

 

身寄りのない俺達を引き取った時には良い人達だと思ったがその実、弟子を多く取ったのはその方がより鬼殺隊から多くの金が入ってくるだけという理由。

しかもその金も自分達が独占して俺達には粗末な腐りかけの食べ物しか与えなかった。

 

修行だのなんだの言って俺達を水責めや自分のストレス発散のためにひたすら木刀で殴られた。

朝会うだけでため息を吐かれ殴られた。

 

奴らの口癖は……「普通の生活が一番!」

「なんで俺はただ幸せな生活をしたいだけなのに鬼殺隊に入って柱にされてからはきつい任務ばっかりだ!」

「もういいじゃないの貴方………これからは普通に暮らせるんだから。」

 

 

どうやら普通の生活をしている自分達こそが偉いと思っている様だった。その鬱憤晴らしとして俺達弟子を引き取って日々拷問していた。

そのために兄弟や新しく入って来た妹達は何人も死んでいった。

 

 

俺も恐怖に震え、最も仲良くしていつかここを出て一緒に暮らそうと言ってくれた妹の亡骸を抱きしめて泣いてばかりいたが、それをうるさがった奴らに頭を殴られた瞬間に、

 

()()()()()()()()()()()

 

前世の私は、両親が既に死んでからもあるブラック企業で働いていたが、その時の交通事故によりそのまま亡くなった記憶を思い出した瞬間。その時から俺否、私はある決意をした。

 

その日から、死なないように奴らに媚びへつらい奴らの目を盗んで密かに倉庫の本を読み鍛錬に励み全集中の呼吸「光の呼吸」を会得した。

 

その後には最終選別に行き見事に突破した。その後にも奴らからの無関心の日々が続いたが遂に私の日輪刀が届いた。

もっとも持って来た刀鍛冶すらも私を無視して育手の方にしか話さずに帰っていった。………

 

その後には、鬼殺隊に入って鬼を倒して回り遂には私は階級が「光柱」となった。

そしてその道中の鬼退治と鍛錬に励み、その道中に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上弦の参(じょうげんのさん)猗窩座(あかざ)が現れた!

そして私に攻撃を仕掛けて来た。

 

「光の呼吸 一の型 閃尽」

俺が技を出して奴の拳を両断すると、一瞬で腕を再生して

「いい刀だ。俺の名は猗窩座。お前の名は?」

「私の名は我動(がどう)。」

 

「そうか、では我動、素晴らしい提案をしよう………鬼にならないか?」

 

「………………何故私なのだ?」

「見れば解るお前の強さ。素晴らしい程に闘気を練り上げられている。()()()()()()()()()

 

「だが、我動、何故お前が至高の領域に踏み入れないのか教えてやろう。

人間だからだ。

老いるからだ。

だが鬼になれば百年でも二百年でも鍛錬し続けることができる!強くなれる!

さあ、共に武を極めよう!」

 

その爽やかに誘う姿を見て私は笑い、決断した。

「………ふふふ…ははははーー!面白い!いいだろう!お前が私に勝てば鬼になろう。」

「そうか!よし!戦おう!」

 

そして数時間後………

私は全ての技と力を出して猗窩座を幾度も斬り刻んだが、一瞬で再生してすぐに向かって来た。

「光の呼吸 奥義、瞬光刃!」

「破壊殺・滅式!」

奥義で猗窩座を幾重にもバラバラに斬ろうとしたが、拳で防がれ斬れずに目の前に猗窩座の拳が迫って来た。

そして今俺は猗窩座に腹に腕を貫かれた。

 

「我動!死ぬ!死んでしまうぞ!鬼になれ!鬼になると言え!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガハッゴホッ………………ふふふ………分かった………………鬼になろう!」

 

 

瞬間に猗窩座に貫かれた腕から流れた血が私に入って来て私の体を鬼の体に変異させようとした。

そして、腹の傷が治った。

「おお!遂にだ!共に武を極めよう!」

 

ーーーーー

 

そして、俺は猗窩座に連れられて広い座敷に案内された。

その方はそれは青年のようにも、妙齢の女性のようにも、子供にも老人にも見えた。

 帽子の下から覗く整った顔立ちはどこか作り物のようで、柔和な笑顔を浮かべながらもその内から滲み出る威圧感はまるで隠せていないその出で立ち。まさしく鬼の始祖にして鬼の王。

 

鬼舞辻 無惨様!!!

 

「ご報告に参りました、無惨様」

「ほう、猗窩座。ようやくお前が認める者を連れて来たか。」

「はい!彼は肝も座り、尚且つ私との戦いで素晴らしい強さを見せてくれました。この先きっと強くなり貴方様のお役に立ちましょう!」

「……………ふむ。よかろう。」

瞬間に俺の頭に無惨様の指が突き立てられ、血が入って来た。

 

ーーーーー

 

その後に十日ほど経ち完全に鬼になった後に憎き育手の元に来た。

俺があの時に前世を思い出してここが「鬼滅の刃」の世界だと気づいた時から決意したのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

''極限まで強くなり俺から優しかった兄弟と妹達を奪った憎きこいつらに復讐すること''。

 

「やあ、溝口夫妻………と刀鍛冶殿も一緒か、好都合だな」

と俺が言い殺意を向けるとその時に奴らは俺が鬼だと気づいた様で日輪刀で斬りつけようとしたが奴らの動きは手に取る様に分かるので刀で奴ら全員の足を少し斬った。

簡単には殺さない。

そして奴らに今までの恨みを全てぶつけた。

 

「お前、なんのつもりぎぎゃああー!やめろ!助けてくれよー!ぎいやあああ!!!」

男が刀で襲いかかって来たが、何年もの間に見て覚えたこいつの動きには対応して両腕両足ともに折った。

「あんだけ世話してあげたじゃないかグブグブ……嫌!止めて!グブグブ……………」

耳障りな声を出す女両手両足を折って前にやられた水責めをこの女に対しやり、そして息を吸わせてからまた水責めというのを繰り返した。

「お前!俺の刀を受け取っておきながらよくも!うぎゃああ!やめてくれー!俺の腕だけはー!」

俺をいない者扱いした刀鍛冶は何度も殴り骨をも折った。

特にこいつが大事だと言ってる腕を念入りにして………

 

その後にも何日も何日も奴らを拷問して奴らが死を懇願した時にも無視して拷問しての日々を過ごして来た。

最後には私が死んだという嘘の情報をそこらに居た鬼狩りを使って与えて奴らが喜び自由になったと希望に塗れた奴らの前に現れて、「先程の情報は嘘だ!」と言い奴らがこれ以上ないほど絶望感に落ちている時に命乞いした奴らを惨殺し食った。

 

その後には私を捨てた両親を探し出した。

奴らは、まだあの家に住んでいたので、簡単に見つかった。

 

そして奴らに会い、にこやかな笑顔で話して「あの時は捨ててくれたよな」と言うと途中で私が昔捨てた子供だとわかった後に奴らの前で私を両親共と一緒に虐めて来た弟を全身の骨を折って殺して食った。

そして、奴らが泣き叫んだ後に改めて復讐をした。

殴って悲鳴を上げさせて両手両足の指の骨を折ってやると奴らは実の母親だぞ!だの俺はお前の父親だぞと言ったふざけたことを言って来たので

 

「何が両親だ!都合のいいことをいうな!」

その後にも拷問をした。

奴らが悲鳴を上げなくなって来た頃合いに食ってやった。

 

ーーーーー

 

そして、その後に私は復讐が終わった時の最高の達成感と共に眠った。

起きてからは

(復讐は終わった。もうこんなことはやめよう)と思いむやみやたらに人を喰わない決心した。

 

それからは犯罪者や時には、子供を人買いに売った親達だけを喰らい続けた。

だが、当然鬼殺隊との戦闘にもなった時には、せめてもの慈悲として苦しまずに斬った。だが、明らかに復讐鬼と化した隊士達だけ(女を除いて)を殺して食った。

 

更に当時の柱の中で鬼をいたぶり殺すことを愉しんでいる奴を見つけて殺し食った。

 

ーーーーー

 

その後に大正時代に入った道中に偶然に短髪ツリ目で顔中傷だらけの男。下弦の参に遭遇したので手合わせしたが、血鬼術と無惨様の血の力に溺れていたので余裕で倒した。

 

その後に突然視界が変わり。代わりに現れたのは和風の屋敷だった。360度全てが木造で、瞬間移動よりさらに異常なことに、まるで空間がねじくれたかのように床と壁と天井が縦横無尽に入り乱れているのだ。その上を、俺の視点では壁や天井にあたる部分に立ったり歩いたりしている人影がチラホラ。遠くには無表情で琵琶をべべンベンべべンと鳴らす妙に独特の雰囲気を醸し出す前髪で顔を隠した女がおり、他の数人は怯え、一人は困惑している。平静な顔をしているのは髪の長い男一人だけだ。見た目イケメン風味の優男なのに随分と肝が座っていた。

 

更に突然俺の目の前に現れたのは、鬼舞辻様。

俺はすぐにその方に跪ついた。

俺を含めた全員が頭を下げたのを見てから、鬼舞辻様が口を開いた。

 

「下弦の参!なんだそのざまは!せっかく十二鬼月に入れたというのにあっさり負けおって!」

「も、申し訳ありません!油断してしまいました。」

「言い訳するな!」

という無惨様と下弦の参とのやり取りに俺が

下弦の参のそのなんとも言えない醜態に俺の口から大きなため息が漏れた。

鬼舞辻様が横目でこちらを睨みつけてくる。

 (申し訳ございません。少しばかり発言の許可を)と思うと

 

「許す。なんだ」

「はい、彼の血鬼術は貴方様が精鋭にお選びになるほどに優れていますが十二鬼月に選ばれたことと貴方様の血を頂いたことに慢心し、自身の血鬼術の開発がおざなりであるように見受けられます。

人を食らうことにのみ執着した結果、どうにも自身の研鑽に目が行っていない。ですが、その反面今から彼を教育しなおせば必ずや貴方様のお役に立ちましょう。何故ならば貴方様がお選びなった者ですから。」

 

鬼舞辻様はしばし考え込んでから

「よかろう!此奴の教育をお前に任せよう。そして………」

 

鬼舞辻様は俺の左目を指差してた。それだけで左目に熱がこもる。眼球を形成する細胞がひとりでに動き回る感覚。これか数字を刻まれるということか。

更に鬼舞辻様は俺に

「両手を広げよ。」

言ってくださり、俺がその通りにすると、ポタリポタッと鬼舞辻様の神聖なる血が俺の両手に落とされた。

「飲め。」

と言い、俺がその通りに飲むと、飲んだ瞬間、今までとは、桁違いに強くなるのを感じた。

 

次に下弦の参にも指差した、ひとりでに彼の左目に刻まれた「下参」の数字にバツ印が刻まれた。

うぐぅと呻き左目を痛そうに抑えている彼に目もくれずに

 

「今日から彼を新たに下弦の参とする」

と下弦の鬼達に宣言した。

 

こうして俺は現下弦の参と入れ替わりした。

 

無惨様は納得した様にそのまま去っていった。

その後には俺は琵琶の音を最後に、元いた森に落とされた。

足元に突然現れた襖が開き、そのまま重力に引かれて腐葉土の香り漂う地面に着地した。

 

その後に元下弦の参が俺を睨みつけて

「貴様…よくも…俺から数字を奪ったな…いつか必ずお前を殺し必ず十二鬼月に返り咲いてやる!」

という鬼らしい言葉が出てきたので、嬉しくなり

「面白い。いいね。その憎悪!素晴らしいね、好感が持てるよ。」

 

と笑って言うと元下弦の参こと病葉(わくらば)は一瞬で怯えた表情になった。面白くないと思いつつあえて生かしてそのまま連れだって行った。

 

道中に他の下弦の鬼達と出会って手合わせしての彼らが慢心してせっかく血鬼術を疎かにしているので指摘したりとした。

更に上弦の壱の黒死牟殿、上弦の弐の童磨殿、更に私を鬼にしてくださった上弦の参の猗窩座殿との入れ替わりの血戦を申し込んだ。

 

それでも、後一歩というところで負け続けた。それ以降は自分の血鬼術と武術を鍛え直した。

 

 

 

ーーーーー

 

時が過ぎ………

そこは森深くにある古びた屋敷。

そこには肩・腹・脚に鼓が埋め込まれた異形の姿をしており、元十二鬼月の下陸であり今はそのの数字にバツ印の付けられ右目に宿しながらも十二鬼月に返り咲こうとする響凱と言う鬼がいた。

 

「希血…希血を五十人、百人食えば小生は…」

響凱がブツブツ言っていると

 

突如

「ごめん下さい。」

という声が聞こえてきた。

 

内心、何奴だと思うも玄関に向かい、匂いからして同類の鬼だと分かり

「何奴だ?」と聞くと

 

「すいません。ここに響凱さんという人物に会いに来ました。私は下弦の参の逢蠱(おうこ)という者です。」

途端に響凱は驚いた。何故現十二鬼月の者が来ているのかと。

だが、響凱はある事を考え思い付いた。

 

「入ってもいいぞ。」

入ることを許すとゆっくりと戸が開けられて、目にした鬼の姿は

 

軍服を着てトンビと呼ばれる黒いコートに身を包み、手には包帯を巻いている黒髪の前髪を切り揃えた左目に下参の数字が刻まれている青年と

左目に下参にバツ印を付けられている短髪ツリ目で顔中傷だらけの男の二人組みの鬼がいた。

 

「何の用だ?」響凱が聞くと

「貴方の血鬼術を見たいのです。」

と言った逢蠱に面食らう響凱に対し逢蠱は続けて

 

「それで貴方と手合わせして頂きたくここに馳せ参じました。」

突然の言葉に驚いたが、好都合だと思い

「いいだろう。だが、そのかわりにお前に''入れ替わりの血戦''を申し込ませてもらう。」

「分かりました。」

 

 

 

ーーーーー

そして、数時間後………

 

響凱が倒れていたが、逢蠱は丁寧に部屋に散らばる紙を拾い響凱に

「血鬼術。見せて貰いました。凄かった!」

 

と言った時に響凱は

「小生の血鬼術は凄いか?」

「はい、凄いです!それで貴方を見込んで私の群れの一員になっていただきたいのです。」

 

「………いや、だが小生はまだここで………」

 

「強くなる為に希血を食って十二鬼月に返り咲く為ですね。」

「!!!」

 

驚愕する響凱に逢蠱は続けて

「そんな貴方に朗報です。

これをお食べください。」

 

血鬼術 改造印

 

逢蠱は自分の手のひらを切り裂き、血が出てくると、それが固まった。

 

「これは?」

「我が血鬼術で作ったものです。

これを食った鬼はあの方の忠誠心をより強く、何より今までとは桁違いに強くなります。………激痛が伴いますが………」

 

それを聞いて響凱は、悩みながらも、それを食った瞬間

 

「うぐああああーーー!」と叫んでいた。

 

「大丈夫ですよ。貴方は今までより強くなります。あの方の元で返り咲きます。」

その後には、叫び声を上げる響凱が意識を失い、そのままその家で過ごした。

 

ーーーーーー

 

その後には、逢蠱達は、橋の上で女の子を縄で連れている男と二人組の女の人が揉めて、その後には、その人買いらしき男に妹らしき女が多くのお金を投げつけていた。

 

だが、逢蠱は、女の方に目もくれずに人買いの男が金を拾い上げるのを待ち、それが終わったのを見て、

 

「すいませんちょっといいですか?」

「ん?なんだよ」

 

男は、先程の事があったのか不機嫌そうだったが、

 

「実は私は買いたいものがありまして………」

そう言い逢蠱が、男の目の前に大枚がぎっしり入った巾着袋を見せると男の顔色が変わり、

「おっ!それじゃ詳しい話はそこでしねぇか?」

「はい!」

 

ーーーーーー

 

その夜に

「ここで間違いないか?」

「はい…そうでさぁ。ここであのガキを………」

 

そこはボロボロの長屋だった。

その前には、逢蠱が先程の男の頭を鷲掴み、他に病葉と響凱とまだ幼い少女がいた。

 

「喋りましたから助けて……」

「ああいいぞ。」

「いぎゃああーー!」

とそのまま男の頭ごと握りつぶした。

 

「ああ!なんだ!」

と長屋の戸が開いて、みすぼらしい男が出ると、逢蠱はそのまま男に

 

「貴方達が人買いに女の子を売った夫婦ですね。」

 

「はあ!それがどうした!」

と叫んでた男に逢蠱は無表情のままに男の胸ぐら掴んで殴り続けた。

更に男が

「テメェ何しやがイギャアアー!!」

文句を言う男の腕を握りつぶした。

それを見た家の中いた女の方は逃げて行くが、逢蠱が目にも止まらない速さで追いついて女の頸を掴んだ。

 

「いやあああーーー!助けてーー!」

と叫ぶ女に逢蠱はその女の髪の毛を引きちぎり耳元で囁いた。

 

「お前達が子供達に与えた痛みを教えてやる。」

その後にその家から悲鳴が響き渡った………

 

ーーーーー

 

「助けて………」

「いで……よ……助け………」

 

其処には夫婦共に体中を青あざだらけになって、男の方は両腕を引きちぎられ動けなくなり、両足ともに折られた体中の皮を剥がされた姿と、女の方は顔を切り裂かれ、無理やり顔の皮膚を剥がされ、両腕両足ともに折られ水の中に何回も入れられて、その度に命乞いする無惨な姿だった。

 

そしてそのまま地面に叩きつけられた瞬間

「うぎゃああーーー!!」

「いやあああーー!!」

夫婦共に背骨を粉砕され金きり声を上げた後に逢蠱の持つ刀により夫婦共に両断された。

 

「さてと、他の三人は順調に周囲の奴らを食っていますね。」

 

長屋を出て其処らの家から火の手が上がる様子見上げて、無表情のままに呟いた。




ここまでお読みくださりありがとうございます。

鬱描写満載で申し訳ありません。


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狂気の芸術気取りの弟子

三人目の鬼に堕ちてしまった転生者です。


明治時代ーーーーー

 

 

 

ここが、鬼滅の刃の世界だと気づいた時から、どれだけ経ったのでしょう。

あの時は、大好きな鬼滅の刃の物語に自分が入れたー!

 

と興奮と喜びに包まれたものの今の時代じゃ、炭治郎君に会えないとガッカリしたなあ………

 

 

私の名前は綾辻 桐枝(あやつじ きりえ)

ここ綾辻家の一人娘であり、大商人の家でもある。

ただ、父親の綾辻 剛造(ごうぞう)は「金が全てだ」が口癖で、その為なら手段を選ばない最悪の金の亡者。

 

金に物を言わせたやり方で自らの欲望を全て叶えてきた。

例えば、母親に恋した時には、彼女の周囲の人達を皆殺しにして何も知らず道端で泣き崩れる彼女を騙して自分の元に招き入れたり、子供を誘拐して奴隷にしたり、私が小さい頃に密かに家を抜け出し河原に行った時に知り合い、仲良くなった優しいおじいちゃんと頼り甲斐のあるお兄さんを町の奴らを金と権力で動かして、惨殺した。

 

損失を出した者は「不良在庫の処分」と称して秘密裏に始末し、その裏では麻薬商売をしながら裏社会と手を組んでおり、自分に敵対する者を金と裏社会と大麻の力による陰湿かつえげつない報復で徹底的に潰す横柄かつ尊大、傲岸不遜と冷徹を見事なまでに体現する男でもある。

そして、私の母親もこの男によって秘密裏に始末されたことを、酒に酔った父親から聞いた。

 

奴曰く「真相を知ったあの女がうるさかったので始末した。」と言い放った。

私は密かに固くこの男に復讐を決意した。

 

無論、私から大切な人達を奪った町の奴らもそれを実行に移し影で嘲笑った使用人達も全員殺そうと決意した。

 

まずは勉強して賢くなろうと思い勉学に励んだ。

 

更に父親が鬼殺隊と手を組んでいたのを知り(理由は産屋敷家が金を持っており、未来を予見する才能を見抜いていたから)

 

それで「金になるから」と説得して、私は鬼殺隊士の方から呼吸法を学んで、「全集中・常中の呼吸」を会得した。

それでも一人では、父親の持つ権力・財力に勝てない事に気付いたが、まずは従順な振りをしていた。

 

そんな日々を過ごし、習い事が終わり、家に帰って来ると、家の使用人達が出迎えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()()()

 

 

 

 

 

桐枝がそれに驚いていると、

「ヒョッヒョッヒョッ」

「!?」

後ろから気味の悪い笑い声が聞こえた。

 

 

「どうですかな?私の芸術は?」

 

振り返るとそこには高価そうなな壺があった

そしてその壺から声が聞こえたと思ったら、中から目の位置には口があり、額にある目には「上弦」口の位置にも目がありその目には「伍」と描かれて、体?には小さい腕が虫の足のようにたくさん付いている非常に不思議な生き物が出てきた。

 

でも、私は知っている。前世の知識がある私には分かる。

この鬼の名は玉壺!

 

「題して"使用人の上半身のお出迎え''でごさいます!どうですか?この芸術は?おお!?この芸術を見て涙を流されますか!あなたは芸術を分かってらっしゃるようで!!」

 

それは河原に居た大好きなおじいちゃんとお兄さんの亡骸を抱きしめて私が必ずやり遂げると誓ったことだった。だが、私一人だけではやり遂げることは無理だと諦めていた。それをやって下さった。

「はい………感動しました。」

 

 

前世では、まだOLとしてブラック会社で働いて、唯一の趣味の漫画を読むことを生きがいとしていたがそのまま過労死したからこそ、今世では桐枝は幸せになろうした。

 

だが、父親の恐怖と某逆、ようやく出会えた回りの大切な者を奪われて桐枝の心はとうの昔に歪み狂ってしまった。

それ故に桐枝は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

その為に常人なら受け入れられない玉壺の芸術と言う名の狂気の殺戮を見ても平然といや、むしろ()()()()()()

 

 

「ヒョヒョッ!この作品の良さを分かってくださるあなたには、この作品のこだわりをご説明させていただきましょう!」

「はい!喜んで!」

 

桐枝に続きを求められた玉壺は喜び勇んで話を続けた。

 

「使用人として顔を笑顔にしている彼らの顔をあえて恐怖という今まで前面に出してこなかったもの強調する。この部分がこの作品の味を出しているのですよ!」

「そうなんですか!!素晴らしい!!」

「……しかしながら、使用人という奥ゆかしさも表現せねばと思い、邪魔な下半身を取り除き上半身のみで主人に対する姿勢を表現しています」

「ほほう!」

 

作品の説明して桐枝が良い反応を返してくれるので玉壺は今までにないやりがいと達成感を感じる玉壺。

 更に、説明の続きを促されて、今まで同じ同胞である鬼、上弦達からも認めてもらえなかった作品を拝見して感動した桐枝の姿を見て、玉壺は充実した気持ちになった。

 

「世のはかなさを表現するために、一部は骨がむき出しにしてあります。赤い血に混じり白い骨の色がまた艶やかでしょう?」

「なるほど、それもこだわっていらしているんですね。」

「ヒョッヒョッヒョッ!極めつけは、ここの腹を押すと断末魔を再現する絡繰りが施されているのです! どうです、すばらしいでしょう?」

「成る程!成る程!」

 

 玉壺が自身の作品について熱弁するのを、桐枝が興奮した様子で返すと玉壺も喜んで熱弁した。

 そんなやり取りが小一時間続いた………

 

ーーーーー

 

その後には、玉壺との素晴らしい時間を過ごした桐枝は生まれて初めて生きた心地だった。

そして、玉壺の説明を最後まで聞いた後に桐枝は拍手した。

 

「ヒョッヒョッヒョッ!良い!とても良い!こんなにも素晴らしい審美眼を持つ者に出会えるとは!」

 

玉壺様に褒めてもらい桐枝は嬉しくなった。

 

「私も貴方様の作品を拝見させていただき光栄でございます。」

「ヒョッヒョッヒョッ!こちらこそ!!」

 

と玉壺と桐枝達の話が弾んでいるとドアを開ける音がして、

 

屋敷の主人の剛造が帰って来ていた。

そして玉壺の作品を見て言葉を失って、

「な、なんだこれは!?」

 

玉壺が父に話しかけた。

「ヒョッヒョッ!これはこれは、貴方様が、この素晴らしい審美眼があるお嬢さんの父親ですか。

私は上弦の伍の玉壺と申す………」

 

玉壺が話すのを遮りそのまま無表情で剛造が懐から拳銃を出して、玉壺様に向けて撃った。

 

ドォーン!!「ヒョッ?!」

 

壺の中に入ってそのまま瞬間移動して避けた。

 

それを案じた桐枝が

「玉壺様!」と叫ぶも剛造は構わずに大声で

 

「警備兵!さっさと私の屋敷に入った化け物を殺せ!」

剛造は銃を乱射しながらも大声で命令し、警備兵達が集まって来た。

 

「ヒョッ?!まずは話を聞かれよ!」

玉壺は必死になって静止しようとするが、

 

「黙れ!!こんな金にならん、くだらん気持ち悪い物をよくも私の屋敷に!!警備兵!!」

と言い、玉壺の作品の''使用人達の上半身のお出迎え''を壺ごと銃で壊した。

 

そして、それを見た玉壺は怒りに震えた。

「よくも………私の壺と作品を壊してくれましたね………芸術を!!………審美眼があるお嬢さんの父親だからと穏便に済ませようと思ったのに………審美眼がない猿め!!」

 

「はっ!何が芸術だ!世の中は金なのだ!!金が全て!!芸術とやらも所詮は金の前には()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

それを聞いて桐枝のはらわたが煮えくりかえった。

そして玉壺も………怒り心頭といった顔で、

 

「………そうですか。それもまた良し!!その大切な金と共に!!お前を我が芸術にしてやる!!」

 

ーーーーーー

 

その後には警備兵達と剛造の私兵達、剛造が秘密裏に作った直属の始末屋達全員が襲いかかった。

 

だが、玉壺の血鬼術により、ある者は体をねじ切られ壺に生けられ、ある者は水の壺の中で息絶えた。いずれも恐怖に顔を歪ませていた。

桐枝から大切な人達を奪った奴らが全員死んでいく姿を見て桐枝の心はは爽快と興奮が入り混じっていた。

 

そして、残ったのは、剛造だけとなった。玉壺の力に恐れおののいた剛造は体を切り裂かれ、服がボロボロになって恐怖に震えている憐れな姿だった。

 

「ま、待て!金ならある。ここは!………」

 

桐枝が、金で命乞いするが、玉壺は、不敵に笑い懐から出した金魚の鎌で斬りつけた。

それを受けた剛造がのたうち回るのを楽しみながら微笑んで

 

「ヒョッヒョッ!金でこの玉壺を懐柔しようとは、本当に間抜けな猿だ!それも良い!!

何より貴様の様な芸術も理解できぬ薄汚い猿を芸術にしてやろうというのだ!

感謝するがいい!!」

 

 

「ひっ!私には娘が「黙れ!」なっ!」

都合のいい時だけ父親面する剛造に桐枝は大声で怒鳴った。

 

「お前の様な奴が都合のいい時だけ私の父親を名乗るな!!私の母を殺し、私から大切な人達を奪った屑の癖に!!」

 

「貴様!!父親に対してよくも!!」

 

「貴様を親と思うかー!」

 

桐枝が怒鳴った後に、急に静かに玉壺に話しかけた。

 

「玉壺様、どうぞお願い致します。この愚かな金の亡者をせめて素晴らしい作品にして下さいませ。」

と桐枝が言うと玉壺は笑い

 

「ヒョッヒョッヒョッ!お安い御用ですよお嬢さん!!

………さあて、そろそろ私の作品になって頂きましょう!!

ああ!それとお嬢さん!

貴方はよく見てください。

このつまらなく、くだらない存在を素晴らしい芸術に変える姿を!!」

「はい!玉壺様!!」

 

「や、やめろ。桐枝!助け………」

そう命乞いする剛造を桐枝は笑いながら、蹴り飛ばした。

 

「あはははーー!では玉壺様!お願い致します。」

「ヒョッヒョッ!それも良い!喜んで!!お嬢さん!!」

 

「う、うぎゃああああーー!」

 

ーーーーー

 

そして、その其処には、顔が恐怖、あるいは虚ろな表情をした体をねじ切られた屋敷のかつての警備兵、私兵、始末屋達。

 

そして、その中央には、体の腕と足を千切られ逆の部位に付けられ腹の方には、無理矢理金を押し込まれ血だらけになった体、顔は恐ろしいものを見た様に絶叫と恐怖に歪んでいた憐れな姿だったこの屋敷の元主人の綾辻 剛造が巨大な壺に活けられていた。

 

それをやった玉壺は、満足した様に

「題して''憐れな金の亡者とそれに群がる愚かな従者の断末魔と末路''でございます!!」

 

それを見た桐枝は興奮していた。

「きゃーー!!素晴らしい作品ですね!あの汚らしいクズ共を、こんなに素晴らしい作品にするとは、感服です!!」

 

そう桐枝に絶賛され玉壺はご満悦の表情となる、

「ヒョッヒョッヒョッ!!こちらこそ、ここまで素晴らしい審美眼があるお嬢さんに会えて私は感激です。」

 

そしておもむろに玉壺は思い付いた

「………そうだ!お嬢さん!!」

「はい!なんでしょう?玉壺様!!」

 

玉壺は真剣な表情を浮かべながら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

と言うと桐枝は無表情になった。玉壺は一瞬駄目かと思ったが、

「………こんな私で宜しければ、お願い致します!!」

 

と桐枝は土下座してきた。それを見た玉壺は嬉しくなり、

「良い!!とても良い!!では………」

 

懐から壺を作り出し、その中に自分の血を流し入れた。

そのまま桐枝に血が入っている壺を渡した。

 

「お飲みなさい。これは、あるお方の尊き血です。これを飲めば貴方も鬼になれます。因みに、ある者は、鬼になるのに、三日程かかったと言います。」

それを渡された桐枝は、真剣な表情で静かにゆっくりと壺を手にとって、壺の中の血を飲み干した。

 

「うぐあああー!」

その後に桐枝は呻きながら意識を失った。

「お嬢さん!!」

それを見た玉壺は心配そうに抱き抱えた。

 

そして、桐枝が生きているのを確認した玉壺は、安心してそのままベッドに向かい、寝かせた。

 

ーーーーー

 

そして、十日後………

 

桐枝は、目を覚ました。

そして、玉壺は、優しく、

「気分はどうですか、お嬢さん?」

桐枝はニッコリと笑って

 

「最高です!!」

それを聞いて玉壺も笑った。

 

ーーーーー

 

そして、玉壺と桐枝は鬼舞辻 無惨に会いに行き、そのまま無惨に認められて、桐枝は完全なる鬼となった。

 

その後、玉壺と桐枝は街を襲った。

 

ーーーこいつが私の大切なおじいちゃんを撃ち殺した。

 

「ギャーーー!やめてくれ!!

と官憲の腕を引きちぎって、そのまま頸をへし折った。

 

ーーーこいつらはお兄さんを嬲り殺した。

 

「いやあああー!」

「痛えーよ!うぐあああー!」

「ひい!た、助け!うぎゃああー!」

 

と不良達を、切り裂き、そのまま背骨を折ったり、女はそのまま顔ごと食らいついて、顔面の皮膚を喰いちぎった。

 

そして、その後には、その街には、大勢の悲鳴と助けを呼ぶ声が響いていたが、玉壺と桐枝は、それを聞きながら、街を焼き、多くの人達を惨殺し、玉壺と桐枝は、街にいた大勢の人間達を食い尽くした。

 

ーーーーー

 

そして、その街は、大商人の綾辻 剛造が治める街で日本でも有数の規模を誇る多くの品物と商人達が行き交う街として、名を馳せていたが、一夜の内に街が焼き払われていた。

 

その原因と真実には、誰も知る由がない。

 

 

それをやった張本人達とそれをやったのを確認し、鬼がやったのだと確信した鬼殺隊以外は………

 

 




ここまでお読みくださいましてありがとうございます。
今回の話も鬱描写満載で申し訳ありません。

因みに玉壺がここに来た理由は、剛造が人間に化けている無惨に対して「邪魔な商売敵」として、口汚く罵り、更に殺し屋を送って来た事に無惨が激怒して、たまたま近くに居た玉壺に''剛造とその周辺の奴ら全員を始末せよ''、という命令でここに来た為です。

ですが、次回の話は救いのある話になります。
ではまた次回で。


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沙代

二人目の人に転生した転生者の物語であり、彼女の贖罪の物語。

因みにこの話には、行冥が引き取り育てていた寺の子供の一人が獪岳であるという捏造設定とありましたが、単行本の17巻から、それこそが事実であり真実の情報だと明記しておりました。

それを元に改稿・再構成しております。

手前勝手なのは重々承知ですが、鬼滅の刃が大好きですので、改稿することをお許し下さい。


私の名は紗代(さよ)。私には親がいない。私が赤ん坊の時に死んでしまったそうだ。なので、親の顔はわからない。でも、私にとって父と呼べる存在、そして家族と呼べる存在がいる。

 

悲鳴嶼行冥、彼こそが私にとって、いや私たちにとって父のような存在だ。この時代において珍しい高身長、そして肉付きはよいとは言えないがしっかりした体。特質する点は彼は目が見えていないという点だ。

 

彼は身寄りのない子供を自分の寺で引き取って育てていた。

 

 

行冥は目が見えなかった。

それでも、心から子供たちを理解しようとして、どんな相談にも乗って、みんなに分け隔て無く接していた。

そうする姿を見た子供達は行冥を信頼していた。だからこそ、みんな血は繋がっていなかったが互いを助け合い、行冥が父、そしてほかの引き取られた子供たちが兄弟姉妹として。本物の家族のように暮らしていた。

 

 

この寺のでの必ずやらなくてはいけない唯一のことはこの寺の周りに藤の花の香が焚くことだった。ある日疑問に思った子供の一人は行冥に聞いてみたのだ。

 

「なんでいつもお香なんて焚くの?」

 

行冥はいつになく神妙な表情とともに返事をした。

 

「ちゃんと理由があるのだ、皆も聞きなさい。」

 

そうして行冥が話してくれた内容は、ある昔ばなしだった。

 

ーーーーー

昔々、人を食ってしまう鬼がいました。

 

 

それは村の人が多くの人がいなくなってしまうほど、鬼に食べられてしまいました。

 

それを見た村の人達は、その村から逃げましたが、鬼はどこまでも追いかけて来ました。

 

そして、鬼に追い詰められて、もう駄目かと思った村の人達の前には颯爽と鬼の前に立ちはだかる高名な剣士様が村の人々のために助けてくださいました。

 

 

剣士様は、不思議と光る刀と、藤の花で鬼を退治しました。

 

 

 そんな不思議な話だった。

 

村の人が食べられてしまう話の下りで、泣きそうになってしまった私と姉の笹根は、山仕事で凸凹になってしまった行冥の手が私をなでてくれた。

 

「その村がこの辺りにあったらしい。そして、いつしか鬼が来ないようにこの藤の花のお香を焚くのが、風習となったのだ言われている。」

 

藤の花のお香を焚くのにはちゃんと理由があったのか。そう思い、先ほど聞かされた昔話を思い出し、ぶるりと体を震わせる。

 

また頭をなでられる。

 

「さあ、鬼が来ないうちに部屋に戻ろう。もう晩御飯もできている」

 

そうして私達は、部屋に戻って眠りについた。

 

……………()()()()()()()()()()

 

見たことのない建物、自分が見たことのない丈の短い服を着て()()()()などと言うものに行き、自分より年上の人達と一緒に()()()と言うものに行くという夢を………

 

その妙な夢をを何回も見た為にその後に行冥に相談すると、

 

「紗代、君は疲れているのだよ………」

と言う言葉を言われた紗代は自分でもそうじゃないかと思い、そのまま平穏な日々を過ごした。

 

ーーーーー

 

その日は月のない夜だった。そんな中でも兄妹達が談笑して行冥はいつも通りお香を焚いていた。

それを見た紗代は、いつにない胸騒ぎを覚えた。

 

(どうして?何この光景?どこかで覚えが?)

 

紗代は、そのまま頭を抱えて、行冥に心配されたが、

「何でもないよ、行冥父さん。」

 

と言い、そのまま、行冥はいまだに金品を盗んで他の兄妹達から責められその結果、この寺から出た少年、獪岳を心配するように、寺の周りに広がる森の方を向く。

 

「私、獪岳は嫌い!!」

 

「そんなことは言ってはいけない」

 

獪岳はとても自己中心的な少年だった。でも、それは行冥父さんに可愛がられているのを見たみんなが羨んでいじめていたせい。

私も小さいながらもそれとなく庇っていた。

ほかの子供たちよりも体が成長しており、力があり、年上という立場からさんざん偉そうに威張り散らしていたせいだ。そのたびに行冥はたしなめていた。 

それ故に兄弟達の中でも一番年下の小さい私が狙われるようなことはなかった。

 

 

 

 

だが、それも寺の金品を盗んだことで私を含めた他の兄妹達から責め立てられ、寺から追い出されたことで終わりを告げた。

最初は、みんなは行冥父さんには、知らせずに獪岳はそのまま寝ていると嘘をつこうとしたが、

「行冥父さんに嘘をつくのは嫌!!」

と私が大声で言ったことで行冥父さんにも知ることになり、事の事実を知りそれに悲しんだ行冥父さんのことを見て獪岳も自分のやったことがどんな悪いことか分かった様で土下座して泣いて詫びた。

それを見たことで行冥の知り合いのお寺の方に修行の為に昼間の内に行冥の紹介状(父は盲目な為に姉の一人が代筆した)と一緒に旅に出された。

 

 

あんな男でさえ追い出しながらも、少しの金品と食料を渡して心配している行冥はやはりすごいな、そんなことを考えながら寺の中に入っていった。

 

その後に、私の胸騒ぎは収まらず、行冥の所に行って

「行冥父さん?」

 

私の言葉に行冥は心配そうに返事をした。

 

「何だい?」

 

もじもじしながら言った。

 

「何だか怖いの。側に居てもいいかな?」

一瞬キョトンとした行冥は、微笑んで、

「ああ、こちらへ来なさい。」

 

そのまま晩御飯の支度が済んでみんなで晩御飯を食べていた時、

 

 

ドゴォ!

 

 

いきなりの大きな音とともに寺の扉が吹き飛んだ。

 

 

あまりの出来事に、行冥を含めた子供達みんなは声を上げることすらできなかった。

 

そして、破壊された扉のあった出入り口のふちに、鋭い爪の生えた手がかけられ、そして、行冥よりもはるかに大きい肉体。赤く見開かれた鋭い目、轟々と燃える炎のように不自然に揺れる髪。そして極めつけは、頭部から生える一対の角頭の異形の化け物が入って来た。

 

「ひう………」

 

無意識に声が漏れていた。何かがのどを塞いでしまったようで、いつも通りの呼吸ができない。頭がくらくらすると同時に自分はこの化け物を、鬼だと確信した。

 

 

すぐに扉の近くに居た兄弟達四人が真っ先に喉を噛み千切られて死んだ。

 

あまりのことで私を含めた兄弟達みんなが現実感を持てなかった。

今さっきまで、ここに居て、一緒に晩御飯を食べようとしていた兄弟達が一瞬の内に物言わぬ無惨な姿になったことで私達みんなの頭は混乱していた。

 

異常を察知した行冥が、私たちの前に立ち、庇うように手を広げた。

 

漂う血の匂いと喉を噛み千切られて死んだ姿を見て既に手遅れだったことを悟り、血がにじむ程手のひらをを握り締めた。

 

恐怖心に震えながらも、私はこの光景をどこかで見たことがあった。

 

初めて対面する『死』という状況

 

愛する家族の突然の死

 

全身の血が凍り付いたと錯覚するほどの寒気に襲われた。

 

「はっ!ガキ共が予想以上にこんなにいるとはな!あの小僧の言う通りだったなぁ!」

 

「小僧?」

 

いきなり目の前で家族を殺されたことで呆然としてたが、目の前の鬼が何と言っているのかわからなかった。

 

「目つきの悪い小僧だよ、お前の所の子供だろう?」

 

瞬時に理解した。獪岳のことだ。

 

「こんな夜更けに若い小僧を見つけて、殺して喰ってやろうかと思ったんだがな、顔面涙と鼻水でぐしゃぐしゃにして俺に

『待て、俺は寺から来たんだ!寺にいる大人の男一人と八人の子供の人間がいるんだ!助けてくれ!!』って言ってきたわけだ。」

私達が信じられないと言った表情をすると鬼は畳み掛ける様に

 

「その証拠に、藤の花のお香が無いだろう?

あの小僧が片付けてくれたからなぁ!俺はこのにおいが大っ嫌いでな、此処には近づくことはしなかったんだ。

………最もこんな寂れた寺に人間がいるとは思えねぇから無理にとは、行かなかったからなぁ。」

 

「確かにいつもは炊いている藤のお香の香りが無い…………………まさか!?」

 

そこで私もあることに気が付いてしまった。

 

見ると行冥が悲しみが溢れ出していたが、私の心から湧き上がるのは''怒り''、''憎悪''

 

『こんなに楽に入れるとはなぁ。あの小僧のおかげだぜ!ハッハッハッハ、これを笑わずにいられるか人間。金品を盗んだことで追い出され、そんな奴のせいで、今から殺されるってのはどんな気持ちだ?』

 

よほど面白かったのか、腹を抱える鬼。

 

その話を聞き目の前の状況が現実であると正しく認識した私達。ついに我慢ができなくなり、恐慌状態に陥った私以外の三人の子供が寺から逃げ出そうと立ち上がり、走り出した。

 

「笹根、悠二、亮介、沙代、私の後ろに・・・!」

「で、でも、父ちゃん目ぇ見えないじゃん!」

「いやだー!死にたくないよ!」

「窓からにげろー!」

「待ってみんな!!父さんの言うことを聞いて!!」

 

と叫び、行冥の言いつけと私の必死の制止の声を無視して窓から逃げ出す三人の兄弟達の背後にあの鬼が!

 

「逃がさねぇよ」

 

鬼はその一言とともに窓から逃げ出そうとした三人は喉を搔き切られて絶命した。

 

悲しいことに当然だ。目も見えない、身長の、体の置き差に見合わない細い体。そんな行冥が自分たちを守ることはできないのだと兄弟達は判断したのだ。

その結果、私と行冥以外の家族はみんなこの鬼に殺されてしまった。

 

「いやああああーーーー!」 

私は、まだまだ頭が混乱していて更に家族を失ったことで泣き叫んだ。

そんな私を行冥は、落ち着いた声で

 

「私の後ろにいなさい、沙代。大丈夫、沙代だけは必ず守ってみせる!!」

彼の背中の後ろに居続けた。

 

「さて、あとはお前たちだけだな。安心しろよ、すぐにあいつらに合わせてやるからな」

 

「まて、獪岳は、お前のいう小僧はどうした?」

 

「あ?俺に飯を提供してくれたからな、すぐには殺さなかったさ。

藤のお香の火を消して始末した後に腹を爪で裂いてやったよ。夜明け前には食うけどな!!最も別に一人いないくらいどうってことないぜ、なんせここにはこんなにも飯があるんだからな」

 

その一言で、行冥の雰囲気が瞬きの合間に変わった。

 

それでも私は、悲しみと絶望感に打ちひしがれいた。結局のところ、私も盲目であり頑丈でない体の行冥が本当に私を守ってくれるとは信じ切れていなかったのだ。

 

ギシ

 

寺の床がきしむ音がする。

 

「さぁ、後はお前達だけだなぁ!どう殺してやろうかな」

 

また一歩、一歩。玄関先にいた鬼はよだれを垂らしながらどんどんと私たちに近づいてくる。

それでも私は、目を瞑らずに行冥父さんの背中に居た。

 

そして、次の瞬間、

「ヒャッハー!」

と言う叫びと共に鬼が行冥に襲いかかった

 

その時に行冥は自分の額を爪で横一文字に切られ、血がこぼれ続けているのも気にせず、逆に鬼を一方的に殴り続けていた。

 

あの細く見えた腕からは想像もできない力で鬼の顔面を殴り続ける。

 

殴る

 

殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る

 

途中まで顔面の傷の再生をしながら、怒り狂い襲いかかろうとした鬼も次第に生傷を増やしながら

 

「テメェ!殺してやる!!そこのガキと一緒にギイヤアアア」

と叫び始めた。

 

それでも、行冥は殴るのをやめない。

 

これをやめれば殺されると直感で感じていたからだ。

行冥の顔を見る。恐怖と憎悪と怒りと言葉にできないどす黒い感情と()()()()()()()()()()()()()()を混ぜたような表情を浮かべ、血と涙が混じった液体を滴らせながら行冥は吠える。

 

 

「守らなければ!!

せめて紗世だけは!!」

 

 そして次第に鬼の顔は原形をとどめないほど壊れた。しかしまだやめない。

それを見た私は、

 

「お父さん!!もういい!!もういいの!!」

と言い行冥の背中に抱きつくと行冥は、私の叫びが聞こえたのか、次第に落ち着いて、そのまま自分の目の前の鬼の姿と自分の拳を見て、呆然となってしまった。

 

 

「よ……よく…も!やって……くれたな!!」

そこには、先程まで、原形をとどめないほど壊れたはずの鬼が居た。

 

「このクソ共がーー!」

鬼が怒り狂い襲いかかろうしたが、其処に暗闇がわずかに白く、明るくなる。あれほど長く感じた夜がようやく終わるのだ。

 

太陽が顔を出し、その光が行冥と鬼を照らす。

 

「はっ!しまっグワァァァアアアアアアアアア、チクショ!!あ、熱い、篤い暑いアツいィィィィイイイ!!」

 

どこにそんなに叫ぶ力が残っていたのかと思うほどの雄たけびを上げ、鬼は灰になって消滅した。

 

私と行冥に残されたのは、どうしようもない虚しさ、絶望感と悲しみだけとなってしまった。

 

魂が抜けてしまった様な痛々しい行冥の背中に縋り付き、

 

私は大声で泣いた。

 

「ごめんなさいお父さん!!お父さんに怖い思いをさせてしまってごめんなさいごめんなさい!!」

そして、不思議そうに見る行冥に私は、

 

「それでも怖い思いをしたのに私を守ってくれてありがとう!!助けてくれてありがとう!!」

 

なおも私が泣きじゃくると行冥は、静かに抱きしめて一緒に泣いてくれた。

 

ーーーーー

 

その後に寺に駆けつけた人達にそれでも混乱した私は言った。

 

「あの人は化け物。みんな、みんなあの人が殺した!!

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

と私が行冥を守る様に叫ぶと、

 

「しかし、この状況は……………」

「それに子供の言うことだし。」

私の言うことを無視して、行冥を奉行所に連れて行こうとして、私が何度も

 

 

「お父さんは私を守ってくれたの!!お願い連れて行かないで!!

みんなを殺してなんかいない、みんなを殺したのは他の人だ」って言ったのに、

 

駆けつけた人達は悲しそうな顔をして

「父が兄弟を殺して混乱してるんだな」「無理もない、4つくらいの子供だろう」「父を守ろうとしてるんだろうな」「可哀想になぁ」そう言い合って取り合ってくれなかった!!

 

それでも私が叫ぶと行冥はは落ち着いた姿で

 

「沙代………私は紗代をきちんと守れたか?怪我はしていないか」

「う?うん大丈夫だよ!」

 

「そうか、そうか・・・守れたならそれでいい。紗代、どうか私を労ってくれないか。過ぎた願いとは知っているが、もう一度でいい。ありがとうと言って欲しい」

 

そんな風に痛々しい悲壮感漂う姿を見て私は泣きながらも

 

「うわああぁぁー!ありがとう!!ありがとう!!行冥父さん守ってくれてありがとう!!だから行かないでお願いお願い!!」

 

と私が叫ぶと行冥は、どうしても堪えきれず、行冥に捕まりながら泣き出してしまった。女の人が慌てて私を抱き起こそうとするけどそれも振り払って行冥に抱きついた。

その後に行冥が私の手に片手を重ねて、もう一方の手で私の頭を撫でた。ふと行冥の顔を見ると・・・笑っていた。

 

「ありがとう、ありがとう紗代。私は救われた。君だけでもを守れて良かったと思っている。もういつものように撫でることが出来ないのが心残りだが・・・覚悟は決まった」

「覚悟?覚悟って?!」

「もうどうにもならない状況だ。紗代、私のことは忘れて幸せに暮らしなさい。」

「やだ、やだ、やだよお父さーーーん!」

「………皆さん。紗代は混乱しているようなのでどうかお願いします。」

 

そのまま呆然となってしまった私を抱え上げた他の人達により連れて行かれた。

最後に見た行冥父さんの姿は泣いていた。

 

その後に糸が切れた様に意識を無くした。

 

ーーーーー

 

そして、今までにない長い睡眠をとって、そうして今までに見た夢は、現実であり、そして自分の()()であるとようやく思い出した。

 

そして、私が前世を思い出したまま朝目覚めた時には、私が何日も意識を無くしたこと知らされ、悲鳴嶼行冥の死刑執行がされたと翌日の朝に風の噂で聞いた。

 

 

それでも「前世」での知識を持って確信していた。

 

 

 

()()()()()()()()()()()()

その後には、紗代は、決意した。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

紗代は行冥に守られて生き延びた、だが、その為に自分の大切な人が無実の罪で捕まってしまった。

行冥はああ言ったが、それに紗代は、仕方ないと思いたくなかった。

 

そして、このまま会えないことにも、守られ続けるのも嫌だった。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

そう言って紗代は立ち上がった。

 

「そして貴方に会いに行くからね、行冥(父さん)。」

そして、家の近くに鬼殺隊の服を着て、その上に羽織を着ている「柱」らしき人を見つけた時にその人に頼み込んで「育手」を紹介してもらい、まだ四歳だと言うので、その柱の人に連れられて、育手に出会い、そのまま弟子入りした。

 

そうして紗代は、その育手の元で修行した。




ここまで最後までお読みくださりありがとうございます。
単行本と本誌で行冥さんと紗代のことを知り、二人を救済したいと思い、この話を書かせていただきました。

そして、遂に次回からはようやく原作突入開始です!
お楽しみに!


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竈門炭治郎との邂逅と始まり
竈門家の悲劇


気づけば二週間以上経っていました。遅れてしまい申し訳ありません。

それなのに、お気に入り39、UA9103にしてくださりありがとうございます。
これからもより一層執筆活動に励みますのでよろしくお願いします。


ここからようやく原作開始です。




ーーーーーそこは雪深い山の中

 

 雪が降り積もり、足取りが悪い日だった。

その日にも、炭治郎は、正月にみんなに腹一杯食べさせてやりたいと母に止められるも町に炭を売る為に出かけて行こうとすると花子と茂は兄である炭治郎について里に下りたがっていたが、足取りが悪く危なく、帰りは、荷車引いて行かない為に乗せてもらい、休むことは出来ないという母の一言により家で留守をすることとなった。

 

その後には、炭治郎は幼い花子と茂に帰ったら、美味いものを買って帰ると言い、弟の竹雄に薪割りをやってほしいと頼んでいた。

竹雄は炭治郎が一緒に薪割りを手伝ってくれると思ったらしく拗ねていた。

 

妹の禰豆子は、まだ幼い六太を寝かしつけていた。

 父が死んでまだ間もない竈門家は父を求めるかのように炭治郎に毎日引っ付いて悪戯と称して甘えていた。長男である炭治郎は余程の事でなければ怒ったりせず当たり前のように幸せを噛み締めながら毎日を過ごしていた。

 

家族を愛し支えにして頑張ってきたのだから。

 

 そして、炭治郎は何故か鼻の利く少年だった。他の家族はそうでもなく、ただ炭治郎だけがだけが持っていた特技だった。それもあり、周りの人々に頼られることも多々あった。

 

そうして、今日も炭治郎は、その鼻で持って、皿を割ったのが猫だと言って無実の人を助けたり、炭を売ったり、障子を張り替えたりとしていた。

そうして炭は売れたが時間がかかってしまい、気づけば日が傾いていた。

 

ーーーーー

 

(遅くなってしまった……」

その後に炭治郎は、帰路に着こうとして山に登ると

 

「こら!炭治郎、山に帰るつもりか?」

「えっあっはい。」

三郎爺さんが炭治郎を引き止めていた。

 

「危ねえからやめろ……」

心配する三郎に炭治郎は

「俺は鼻が利くから平気だよ。」

と言うが、三郎はなおも

 

「うちに泊めてやる、来い。戻れ。」

「でも………」

「いいから来い!!………鬼が出るぞ!!」

と言う切羽詰まった声に炭治郎は渋々ながらも、三郎の家に泊めてもらった。

 

そして、その後に夜も更けていき炭治郎が三郎から出された食事をしながらも三郎は鬼について話した。

 

「昔から人食い鬼は日が暮れるとうろつき出す。だから夜は歩き回るもんじゃねぇ。食ったら寝ろ。」

明日早起きして帰りゃいい」

それを聞いて炭治郎は、

「………鬼は家の中には入ってこないのか?」

 

三郎はしんみりとして

「………いや、入って来る。」

 

炭治郎は心配になり、

「じゃあ、みんな鬼に………」

 

三郎はキセルを吹かしながら、

「いや、大丈夫だ。

鬼は鬼狩り様が斬ってくれるんだよ。昔から………()()()()()()

炭治郎、お前も前に会っただろう?」

 

と言われた炭治郎は、内心何のことだろうと頭に疑問符を浮かべていると、

 

その時に外から雪の中を歩く足跡の音がした。

そして、家の戸に向かってきた。

 

突然、三郎は、血相を変えて炭治郎を引っ張って

「炭治郎!!押入れの中に入れ!!それとこれを持ってろ!!」

とそのまま炭治郎を押入れの中に無理やり、隠れさせて、藤の花の香り袋を持たせた。

炭治郎も先程の話を聞いたからか、素直に従った。

 

三郎が、近くに置いてある斧を持って戸の前に出て、更に胸元に藤の花の香り袋を持って、場の空気が緊張感に包まれた。

 

 

 

 

 

???「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

だが、外から聞こえた声と戸を叩き、馴染みのある声で空気が和らいだ。

 

「ごめんください!道に迷ったので、泊めてくれませんか?」

三郎と炭治郎は、安心して、その戸を開けると

 

雪に当たり積もらせながらも黒い詰襟の上から白地に雷を象ったデザインの羽織を着用した。

雷のような形の鍔、黒い柄と鞘を持つ。茶髪の短髪の青年、和星が居た。

 

こちらを見て和星が驚いていた。

「あっ!お久しぶりです。三郎爺さん!!………ん?………あっ!炭治郎君!!」

元気よく挨拶する和星が居た。

 

「はい!和星さん!!お久しぶりです!!」

「テメェ!!和星!!びっくりさせるなよ!」

炭治郎がそれに元気よく返し、三郎は、憎まれ口の叩きながらも、顔には嬉しさがあった。

 

そうして、和星も中に入り、そこで少し話込んだ………

 

「今回は、ある事情により友と一緒に来たんですが、効率を考え、私が西、もう一人が東から回ることになったんです。」

和星が言うと三郎は、キセルを吹かしながら楽しそうに聞いていた。

 

「そうかい、元気そうで良かった。」

 

と和星は、不思議そうに炭治郎の方を見ると、

「そう言えば、珍しいねぇ、炭治郎君が三郎爺さんの家にいるなんて………」 

 

和星が疑問を口にすると炭治郎は、ハキハキと喋った。

「はい、今日は、正月に家族みんなに腹一杯飯を食わせてあげようと炭を町に売りに来ていて、それが終わったので、山に帰ろうとしたんですが………」

そこへ三郎は、

「夜には鬼が出るって言って俺が泊めたんだよ。」

 

「成る程………ん?………しまった!!」

話を聞いた和星は何かを思い出して、血相を変えて瞬時に席を立ち、戸を開けて出て行こうとする。

 

それを見た三郎と炭治郎は、慌てて、引き止めた。

「おい!どうしたんだ和星?!」「何かあったんですか?!和星さん?!」

 

それでも和星は止まらずに叫んだ。

()()()()()()()()()()()()()()()

「「えっ?!!」」

 

それを聞いて三郎と炭治郎は、一瞬にして、和星の様子で理解して

三郎は顔面蒼白になり、

「まさか……そのある事情って【鬼】の事なのか?!しかも、葵枝達にも関係が?!」

 

それを聞いて和星は、重々しく頷いた。

 

まさか、前世で知っていたとは言えずに、和星が前から自分が作った学校で育て上げた偵察部隊の情報と、この土地に詳しい自分とこの地域の管轄権を持っている義勇と共にお館様から受けた命をそのまま言った。

 

「はい、実はとある情報でこの近辺で鬼の目撃談が多く出たんです。それもこの山の近くから……それも何人もの死者が出ると言う事態になっていると………」

 

それを聞いた三郎は放心して

「なんて事だ………」

言い、それを見た和星は、三郎の肩を掴んで

 

「だからこそ俺が来たんですよ!!!だから、大丈夫だ!!」

と和星が力強く言い放つと三郎は、目に力を込めて

 

「頼む!!和星!!」

三郎は、精一杯頭を下げて頼むと和星は

 

「承知!!」

と返すと炭治郎が

 

「待って下さい!!」

炭治郎は叫んだ

「俺も行きます!!」

 

それを聞いて和星と三郎は

「駄目だ!炭治郎君!!」

「何を言っている炭治郎!!危険だ!!お前はこのままここにいろ!!」

と炭治郎に和星が制止する様に言うが、炭治郎は、引かずに

 

「家族が危ない目にあっているかもしれないのに俺だけがただ待つなんて出来ません!!!」

炭治郎の曇りなき真っ直ぐな目と頑固な性格を知っている和星と三郎は、何を言っても無駄だと思い、和星は覚悟を決めて条件付きで一緒に行くことにした。

 

「分かった。だが、約束して欲しい!!必ず俺の側を離れない事を!!」

和星がそう言うと炭治郎は大きく頷いた。

「はい!!」

 

それを見た三郎も覚悟を決めて和星に、

「和星………炭治郎を頼む!!」

「承知!!」

 

そして、和星は炭治郎を背負いそのまま走り出し、それを三郎は心配そうに見送った。

 

ーーーーー

 

その後にそのまま夜の中をひた走った。

 

和星は、内心自分の事を毒づいていた。

 

(くそ!!俺は惚けていた!!)

 

数週間前の柱合会議で、不死川実弥が、柱に昇格した後にお館様に対しての物言いに驚いた。

でも、その後にお館様が、

''私も君達と共に戦いたかった''

と言う言葉を皮切りに自身の葛藤と傷ついた隊士達、死んでしまった隊士達の事を覚えてくれたと知った時には、不死川はもちろん俺達柱全員はお館様に対して新たに忠誠心を強固にした。

 

更に下弦の壱との戦いで粂野 匡近(くめの まさちか)が生きていてくれたという知らせには凄い嬉しかった。

………その時の戦いで片腕を無くしてしまったが………

 

不死川曰く俺が提案・創設した鬼狩りを育てる学校での呼吸法の鍛錬と鬼に遭遇した場合の時の対処法、その他の現在分かっている上弦の鬼の壱、参、肆の情報など更にそこでの鍛錬により全集中・常中の呼吸を会得したことが、生き残ることが出来た理由だと、お見舞いに行った時にそう言われて粂野と不死川が俺にお礼を言ってくれて嬉しかった。

 

更に、年々隊士の質が落ちている原因が育手の何十人かが横領・弟子に修行と称しての酷い虐待と適当な修行を施していたことが判明した。

 

挙句の果てに鬼を残滅する事を諦めてきった奴もいて、弟子の分の食費なりを産屋敷家に負担してもらっていた資金を弟子の数を過大報告してちょろまかしたり、弟子に特に飯をやらずに適当な修行をして半端な強さの子供を藤の山に放り込んだ酷い育手もいることも分かった。

 

それを柱合会議で確かな証拠と一緒に報告したら、他の柱のみんなは怒っていた。

 

………何よりお館様も、いつも笑っていた分いつになく怒っていた。

………俺を含めた柱みんなが恐怖する程に!!

………凄い怖かった(恐怖)!!

 

その後にその横領・弟子を虐待した愚かな酷い育手達は、辞めさせられ、罪に問われ、牢屋行きとなって、その被害にあった元弟子達も俺の創設した学校で引き取り育てることとなった。

 

そうして、年々、俺の学校からの最終選別の合格者数が出てきた。

 

更に隊士達にあったら、その時の検分役兼指導したりして、多くの隊士達を育てたり、柱合会議の後に柱と同期達での手合わせによりみんながメキメキと力をつけていった。

それもあり、年々落ち始めていた隊士の質が高くなったとお館様と柱のみんなから褒めて貰えて嬉しかった。

 

そんないい事づくめがあった。

 

 

 

 

だから、油断していた。早くあの人達の元へ!!

 

ーーーーー

 

炭治郎は、和星に背負われながら言った。

「和星さん、みんなは大丈夫ですよね?」

「………大丈夫すぐに着くから。」

 

炭治郎は尚も言った、自身を落ち着かせる様に、

「父さんが亡くなった後には父さんの意思を継いで家族みんなと一緒にこれから頑張っていこうと母さんと、弟の茂と妹の花子には、帰ったら、本を読んで上げてお土産に美味しい物を持って帰ってあげるって約束したんです。」

 

それを黙って和星は聞いていると炭治郎は話を続けて

 

「弟の竹雄は、少し生意気になったけど、頭を撫でると照れる癖があって、六太も前よりも大きくなって、禰豆子も前に和星さんから''ヒノカミ神楽''を見せてもらったお礼にと頂いた新しい着物を気に入ってまだ着ているんです。それに大きくなっていて、大きい着物も着れる様になりました。」

 

確かに和星は炭十郎の''ヒノカミ神楽''を見せてもらったお礼にと竈門家の家族みんなに新しい着物を差し上げたこともあった。

「和星さんに見てもらいたいんです。」

 

それを黙って聞いていた和星は静かに頷いて

「ああ、是非とも。」

 

そうしている内に、竈門家にもう少しで着くという時に

 

 

 

 

 

 

 

 

???「()()()()()()()()()()()()

???「()()()()()()()()()()()()()()()()

その悲鳴が響き渡ると同時に炭治郎は

「禰豆子!!」

途端に炭治郎は叫び、和星も速度を上げた。

 

そして急いで家に着く直前、炭治郎は鼻で和星は異質な気配を感じ取った。

 

「血の……匂い?」

「くっ!!」

瞬間に和星は鞘から日輪刀を抜きその家に駆け出した。

そして其処には、竈門家が目に入ったのは末っ子の六太を庇い、()()()に斬られ、血飛沫を出して悲鳴を上げる禰豆子の姿であった。

 

それを見た和星は瞬時に鬼だと確信して

 

雷の呼吸 肆ノ型

 

でその鬼に遠間から強烈な踏み込みで接近し、横一文字に斬りつけた。

だが、その鬼は、瞬時に上に飛び上がり、避けていた。

 

???「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

そのナニカを月明かりで照らされてよく見れば、その姿は!!

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()西()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()

 

その姿を見て和星は瞬間に確信・理解してある言葉を言った。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

和星が呟くと目の前の人物は、目を血走らせ、そのまま和星に腕を変容させて襲って来た。

 

すぐに和星は、避けてなるべく竈門家から遠くの方にその鬼を移動・誘い出した。

 

その後にもその鬼は、怒り狂い殺気を放ちながらも呟いた。

「私の()()()()()見えるか?

私の顔は()()()か?

()()に見えるか?()()()()()()()()()()()見えるか?

()()()()()見えるか?」

 

そう言うと腕を醜く肥大化・変容させて襲って来た。

それを見た和星は避けながら言い放つ。

 

「ええ!()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

目に数字が刻まれていないから其処らの雑魚鬼か?

名前は?

名乗れないならこちらで勝手に青白鬼と呼ばせてもらう!!」

 

それを聞いた鬼はそんな名前で呼ばれる事に我慢出来ずに怒り狂い、怒鳴った。

 

「ふざけるな!!

私は、私こそが鬼の始祖にして誰より進化した生物の頂点!!

 

 

 

 

 

 

 

()()() ()()()()()()()()

 

そして、和星は、表情では驚きと恐怖を出したものの、内心では、

 

(遂に!遂に!見つけたぞ!!鬼舞辻 無惨!!!)

 

そして、鬼の始祖に和星は悠然と立ち向かった。

 

 

 




ここまでお読みくださりありがとうございました!!

冒頭でかなりのオリジナルの部分を導入することをお許しください。
これからも原作沿いの中にオリジナル展開をしていきますのでよろしくお願いします。

最後に鬼滅の刃の映画化はとても嬉しいです!!!
………でも、無限列車編ですから嬉しさ半分心配半分ですね。



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鬼舞辻 無惨との邂逅と死闘

早い段階で鬼舞辻 無惨との死闘になることをお許しください。

もっと早ければこんな展開になるだろうと思い、こうさせて頂きました。


『鬼滅の刃』とはジャンプで連載中の大人気マンガだ。

主人公、竈門炭治郎が鬼となった妹、竈門禰豆子を人間に戻すべく色々な人達との出会いと別れを繰り返して冒険する話。

そこで登場する多くの魅力溢れる個性的なキャラクター達と独特なセリフ回し、和風の大正時代の日本を舞台とした世界観、鬼の凄まじい程の強さ、特に上弦の鬼の「無理ゲー」と言わしめる程の圧倒的な強さ、それに対し剣一本と特殊な呼吸法で絶望的な状況化でも戦い続ける人間達の物語。

ダークファンタジーでありながら日常生活ではギャグもテンポ良く噛み合わさり、アニメ化を切っ掛けに一気にブームになった。

 

 俺がそんな大好きな鬼滅世界に転生して早数十八年………

だが、そんな大好きな漫画において、俺が唯一大嫌いな鬼がいる。

それが今目の前にいる鬼の始祖にして最強最悪の敵ことスーパーパワハラブラック上司こと

 

鬼舞辻 無惨!!!

 

ようやく出会えた。

 

ーーーーー

 

 

和星は炭治郎に、竈門家に置いて、もちろん藤の花の香り袋を持たせて家で待つ様に言った後に生き残っている禰豆子を背負って遠くに行けという指示を出した。

 

気配察知により、禰豆子だけが生きていることは分かっていたが、無惨の目の前では、応急処置は出来ないと判断してそのまま自身を囮に、無惨にあえて挑発して、離れた場所に移動した。

 

無惨と確信した後に無惨に鬼殺隊に入ってからの鬼によって引き起こされたカナエ、しのぶ、実弥、それ以外にも会った鬼に大切な人達を奪われた多くの人達の涙を見る度に絶望の叫びを聞く度に和星の中に蓄積されて来た怒り、悲しみ。

 

だから鬼舞辻 無惨本人に会ったら必ず聞こうと思った事を努めて冷静になって質問した。

 

「………申し訳ない、それでは………鬼舞辻殿……」

「誰が喋って言いと言った?柱風情が口を開くな!!」

無惨は和星の話を遮り、怒り狂い、腕を巨大・変容させ無数の目と口をした怪物を向かわせ大口を開けて喰らおうとして来た。

 

(前世で見たときからただただ衝撃を受けたけど、生で見るとその衝撃感は、段違いだな!!)だからといって負ける訳には行かない!!」

 

和星は避けつつ覚悟を決め、、何より

 

(前世で見た時から……その腕を見た時から………)

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

和星がそう叫び、

 

雷の呼吸 参ノ型 聚蚊成雷

 

無惨の周囲を高速で旋回しながら無惨の異形化した腕を切り刻んだ。

 

「ギャアアアーー!」

「ぐうあーー!おのれー!」

腕を切られ、その異形化した腕が鳴き喚き、無惨も痛がって憤怒の形相で和星を睨んだ。

それを見た和星は、叫んでた。

 

「無惨!!貴方が、鬼を増やし続け、その為に多くの人々、ある者は両親を殺され、残された姉妹は、悲しみに暮れ、泣き悪夢にうなされる日々を過ごししまった。

ある者は、母親を鬼にされて、その為に子供達を食われ殺され、その母親を止める為に長男の子が殺してしまい、実の弟から誤解されて「人殺し」呼ばわりされて、仲の良い兄弟の仲を引き裂いた。

ある者は、ようやく女として幸せを掴める姉を目の前で殺された弟。

そんな多くの家族を引き裂いた悲劇を引き起こした元凶の鬼を増やし続けた事に何を思うんだーーーーー!!!」

 

ただ心の叫びを和星はそのまま無惨に叩きつけた。

それを聞いた無惨はただ無表情のままに

 

 

()()()()()()()()()()

 

無惨の予想通りだが、冷徹な言葉に和星は絶句していると、それを見て気を良くした無惨は、微笑を浮かべ言い放つ。

「何をだと?笑わせるな。知ったことではない。

私にとっては人など、ただの脆弱な生物に過ぎん。

私には、()()()()()があるその為ならば、お前の言う、家族を引き裂いた鬼が何をしようとした所で私には関係無い。」

 

無惨の横暴な言い分に和星は涙を流して尚も聞いた。

 

「ふざけるな………失った命は二度生き返らない。

生身の人間は鬼の様に傷を回復出来ない。

何故命を踏みつけに出来る?

何が楽しい?

何が面白い?

貴方もかつては人間だった………痛みや苦しみに踠いて涙を流していたはずだ。」

 

ドギャーーーン!!!

 

同時に其処らの木々を無惨の腕がなぎ倒していた。

そして、無惨が般若のような表情にして

 

「前にもあったな………忌々しい!!………ごちゃごちゃごちゃごちゃ五月蝿いぞ!!

人間だった頃?笑わせるな!!

今の私は限りなく完璧な生物なのだ!!

私は、この千年もの間、神も仏も見た事は無い。

多くの人間を喰らい、多くの鬼を増やし続け人を襲わせて来た………それに関して何を思うことは無い。

何よりも私に罰は下っていない。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

その無惨の身勝手な傲慢な言葉に和星は、絶句して涙を流して頭の中でブチっという音がした。

そして、改めて無惨に和星は向かい合う。

「………そうか………じゃあ!!この鳴柱の和星がお前のその傲慢さと罪をを裁く!!」

 

それを聞いた無惨は、

「やってみろ!!和星とやら!!」

再度今度は、もう一方の腕を向けて、

 

血鬼術 黒血枳棘(こっけつききょく)

 

血液を無数の有刺鉄線のような触手を変化させ、触手を伸ばして和星に襲って来た。

それを和星は、

 

雷の呼吸 参ノ型 改 聚蚊成雷 円

 

本来なら敵の周囲を高速で旋回しながらの技を自分の周囲を刀を高速で旋回させて攻撃を防いだ。

それを見た無惨は、再度今度は、両腕を変容させて更に、

 

べべん!!

 

と言う琵琶の音と共に無惨の周囲に多くの鬼達が出てきた。

出てきた鬼達は困惑していたが、その内の黒髪の男と二人組の女鬼達が無惨に掴みかかり

 

「何をするのです!!これからという時に!!」

「そうです、ご主人様の楽しみの時間を!!」

「そうだ!!てめえ!せっかく人をいたぶって楽しい時にいぎあああーー!」

とすると突然その三人の鬼達の体がひび割れて更に無惨の両腕の異形化した怪物達に捕らえられ

 

「ひいー!たすけ………」「嫌ーーー………」「や、やめてくれーー!」

 

変容させた両腕で三人の鬼達を口を大きく開く両腕の怪物で鬼達を咀嚼し嚥下する。

それを見た鬼達と和星はただただ唖然としていた。

 

「お前達もこうなりたいか?」

無惨が言い放つと呼び出された鬼達は頸を横に振った。

 

「では、全員、あの鬼狩りを殺せ。殺せば血を分けてやる。」

と言う無惨の言葉に鬼達は困惑しながらも和星に襲おうとすると、

 

 

水の呼吸 肆ノ型 打ち潮・乱

 

で鬼達を一気に十体程倒した。其処に居たのは………

 

 

「義勇!!」

義勇が来ていた

「遅くなった和星。あれが新手の鬼達だな?」

と義勇が言い構えていた。和星はすぐに

 

「いや、ただの鬼じゃない!!あそこにいる洋服を纏った鬼こそが、()()()()()()宿()()()()()() ()()()()()()()

 

 和星が叫びながら無惨に指を刺すと義勇は目を見開き、

 

(奴が!!)

眼光を鋭くさせすぐに和星と共に無惨率いる鬼達に向かっていった。

 

それを見て無惨は舌打ちをし、

 

「柱が二人?!……仕方ない」

同時に

 

べべん

 

という琵琶の音がしたと思ったら、無惨の背後に襖が現れて、無惨がそのまま逃げようと襖の中に入ろうとした、それを見て和星は叫んでた。

 

「逃げるなー!臆病者!!」

と言いながらも義勇と共に鬼達を技を使いなぎ倒していくが、鬼の数と中には、異能鬼もいて足止めをくらい、遂には、無惨が襖の向こうで勝ち誇った様に笑い、

 

「ふははははーーー!私を斬れると思ったか?残念だったな柱共!!」

 

和星と義勇が悔しがると無惨が笑いながら目を細めて

 

「確か名前は、()()()()()だったな………()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

精々短い余生の中で恐怖するがいい!!」

 

という無惨に対して和星と義勇は声を張り上げた。

「ふざけるな!!無惨必ずお前の頸に刃を振るい罪を償わせてやる!!」

 

「無惨!!貴様だけは必ず斬る!!」

 

和星と義勇の言葉を聞いた無惨は

「やってみろ!!やれるものならな!!和星!!義勇!!」

 

そうして無惨は襖の奥に立ち去り、襖は閉じられた。

それを見て和星は、悔しげに叫んだ。

 

「クソ………チクショーーーーー!!!」

 

義勇もまた無念と怒りを内包した顔をした。

 

「ゲヘヘヘーー!」

「さっさとこいつらを殺そうぞ!!」

無惨に呼び出された鬼達はせせら笑い襲って来たが

 

雷の呼吸 陸ノ型 電轟雷轟

水の呼吸 参ノ型 流流舞い

 

怒りに満ちた和星と義勇は鬼達をなぎ倒して行く。

そうして朝日を迎えた……………

 

………それは、「原作」、引いては「正史」では起こらなかった出来事と邂逅、これが何を意味するのか誰にも分からない………




無惨との早過ぎる邂逅如何でしょうか?

では次回で。


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残酷の中で残された最後の家族

本誌では大変な事に!!
ですが、本作品はまだ始まったばかり、遅れてしまい申し訳ありません。

炭治郎と和星と義勇との邂逅です。


 なんで‥こんなことに‥

___荒れ狂う吹雪の中を必死に歩き行く少年がいた。その背には力なく紅色に染まった、彼によく似た青白く美しい面立ちの少女が一人。

「禰豆子、死ぬな。死ぬな。絶対に助けるからな‥死なさせない。俺が絶対に助けるから!」

(生き延びてくれ‥お願いだ………)

 

ーーーーー

和星と義勇が無惨と戦っている同刻。

 

血、血、血………………

 

竈門家での炭治郎は、ただただ目の前の現実を受け入れなかった。

 

「母ちゃん、花子、竹雄、茂、六太、禰豆子………」

 

 炭治郎の力なき声。和星に貰った薬でみんなの傷の手当てをしようとそれぞれの家族のみんなに触れて生きていることを願ったが、みんなの体が冷たくなっていて、家の中に生きているものは誰も居ない。昨日まで騒がしかった家の無音が炭治郎の心を抉る。

 

 台所には作りかけの晩御飯があった。

 家の中では血が辺り一面に飛びちっていた。

 

そのまま炭治郎は呆然となっていたが、唯一体に温もりがある妹の禰豆子を抱えた。和星が悪い鬼の相手をしてくれている間に一刻も早く医者に妹を見せる為に炭治郎は、走った。

「時間が経つ度に血の匂いが溢れて止まらない! 禰豆子は呼吸しているみたいだけど早く医者に診せないと……!絶対死なせない……!」

 

 唯一、息があった禰豆子を薬と包帯を使い、長い時間にでき得る限りの応急処置をしていると禰豆子が僅かに意識を取り戻し、血を吐き苦しそうに炭治郎に話しかけた。

 

「お………兄……ちゃん?」

「喋るんじゃない!!禰豆子!!今、にいちゃんが助けてやるからな!!」

と言い炭治郎は和星から貰った薬と包帯を使い切り、その後に医者に見せようと禰豆子を背負い炭治郎は駆け出す。

 

 

ーーーーー

 

 

その後にも吹雪の中を炭治郎は何時間もの間を走り続けた

先ほど登ってきたばかりの山を全速力で駆け下りる。荒い呼吸の炭治郎に比べ、禰豆子の呼吸は小さくなるばかりであった。

 

空が白み始めた頃に炭治郎の背の禰豆子が吼えた。

 

「グオオオオオ!!!!」

「?!」

同時に禰豆子は暴れそれに驚いた炭治郎は、崖を降りる途中に足を滑らせてそのまま崖下に落ちた。

幸いに雪の上だった為に怪我がなかったが、禰豆子がいないことに焦った炭治郎が周りを見渡すと血だらけの禰豆子が、俯いて立っていた。

「禰豆子!無事だったんだな!すぐに医者に見せてやるから………」

心配した炭治郎が禰豆子に駆け寄って言うも禰豆子は応えなかった。

「禰豆子?」

 

炭治郎の問いかけに伏せていた顔が上がる。そこに、いつもの優しい顔をした禰豆子はいなかった。

 

 其処には目は血走り、牙が生えた禰豆子がいた。

すると急に禰豆子が襲いかかった。

それに驚いた炭治郎は、禰豆子の口に斧を押し当てて、口を塞いだ。

混乱する炭治郎の頭に過ぎったのは

(鬼だ!

三郎爺さんと和星さんの言葉を今思い出した。

禰豆子が人食い鬼?

いや違う!

禰豆子は人間だ!

生まれた時から!

だけど匂いがさっきまであった、いつもの禰豆子じゃなくなってる!

でもあれらの行為は全てあの鬼の仕業だ!六太を庇う様に切り裂かれていたし、何より和星さんが戦って引きつけてくれていて、姿は見えなかったけど………確かに居た!!)

炭治郎が混乱状態でも考えている内に禰豆子の体が大きくなってきた。力も強くなっていき、炭治郎の力でも抑えられそうなかった。

 

(俺がもっと早く来ていれば、みんなはあんな惨い目には合わずに済んだのに………痛かったろう……苦しかったろう………助けてやれなくてごめんな!………せめて禰豆子だけは、何とかしてやりたい!)

それでも禰豆子の力は強く抑えていられなくなりつつあった炭治郎は禰豆子に呼びかけた。

 

「頑張れ禰豆子!!こらえてくれ!!頑張れ鬼なんかになるな!!頑張れ!!」

炭治郎がそう叫ぶと禰豆子の目から涙が出て来た。

やり場のない悲しみに、互いに涙がこみ上げてくる。雪がやや弱まってきたまさにその時、

「待て!!義勇!!」

 

その声と同時に炭治郎は妹の背後に近づくものを目で捉えた。禰豆子も兄の視線を辿り振り返った刹那、炭治郎が禰豆子の頸に刃を当てないよう横に倒れた。

それを見た義勇は驚き、刃を咄嗟に剃らせた。

炭治郎は混乱しながらも見た、突然黒髪の無表情の半々羽織りの青年が現れていたことと手に持つ【悪鬼滅殺】の文字が刻まれた刀に。

(なんだ………誰だ?……なんで………和星さんと同じ刀を?!………)

 

 

義勇はそのまま炭治郎に問いた

「何故庇う?」

「妹だ!!俺の妹なんだ!!」

 炭治郎が抑えている間も禰豆子は唸り声を上げ、暴れていた。

「それが妹か?

よく見ろ、お前の妹は既に鬼になっている」

 

「鬼…?そんな…禰豆子は人間だ!生まれた時からずっと一緒に……」

「簡単な話だよ。

炭治郎君、禰豆子ちゃんの傷口に''奴''の血が入ったんだろう。人食い鬼はそうやって増えてしまうんだ。」

と其処に和星も来ていた。

「和星さん………」

「和星、先程は何故?!」

炭治郎と義勇にそれぞれ疑問を持たれた和星はそれに応える様に

「彼は俺の知り合いだ、だからこそ知るべきなんだ、炭治郎君の妹、禰豆子ちゃんがどうなったのかを………」

そう言う和星はどこか悲しげだった。

その瞬間に義勇が炭治郎に迫り、それを見た炭治郎は咄嗟に禰豆子を守ろうとして覆い被さったが、いつの間にか姿が消えて、既に禰豆子は義勇に両手共に拘束されていた。その間も禰豆子は「ウガウゥゥゥ………!!」と唸り声を上げていた。

それを見た炭治郎は

「禰豆子!!」

叫ぶと義勇の隣に並び立っている和星は悲しげにしていた。

そして義勇は

「動くな。」

と呟いた。途端に炭治郎は動きを止めた。そして義勇は

「俺達の仕事は鬼を斬ることだ。

もちろん和星の知り合いだと言ってもお前の妹の頸を刎ねる。」

と言うと炭治郎は必死になって

 

「待ってくれ!!禰豆子は誰一人殺していない!!

和星さん、貴方もさっき会っただろう?俺の家には今まで嗅いだことのないあの鬼が居たんだ!!

みんなを殺したのはあの鬼だ!!」

和星は頷いて

 

「無論、禰豆子ちゃんが炭治郎君の家族を殺したと疑っていないよ。

炭治郎君が言った通りに炭治郎君の家族を殺した鬼は俺達二人が先程まで戦っていたからね。」

「じゃあ………」

炭治郎が藁にもすがる様に和星を見ると悲しげに和星は頸を振り返した。

「それでも、今の禰豆子ちゃんはさっき言っていた様に''奴''の血が入って人食い鬼になってしまっている。だから………」

炭治郎は必死になって叫んだ。

 

「禰豆子は違うんだ!!

禰豆子は人を食ったりしない!!」

義勇は呆れて

「よくもまあ今しがた己が喰われそうになっておいて。」

和星は炭治郎のことを補足した。

「炭治郎君は家族思いで頑固なんだよ。」

 

それでも炭治郎は叫んでた。

「違う!!

俺のことはちゃんと分かってるはずだ。

俺が誰も傷つけさせない!!

きっと禰豆子を人間に戻す!!絶対に戻します!!」

それを聞いた義勇と和星は

「治らない、鬼になったら人間に戻ることはない。」

「今までも試してきたんだよ、でも………見つからないんだ。」

と淡々と言い放つが、炭治郎はなおも叫んだ。

「探す!!

必ず方法を見つけてみせる!!

だから俺の妹を殺さないでくれ!!

家族を殺した鬼も見つけ出すから、俺がちゃんとするから!!

だから、だから………」

 

それを聞きながらも義勇と和星は禰豆子に刃を向けると炭治郎は蹲り、懇願した。

「やめてくれ!!

やめて下さい……どうか妹を殺さないで下さい……お願いします………お願いします………」

 

生まれた時から今まであったものが、一夜で溢れ落ちた幸せはあまりに多く、十三の少年にとって重すぎる現実だった。それは義勇と生前から竈門家の人達と触れ合っている和星も痛いほどわかっている。だからこそだった。

 

 

それを見た義勇は炭治郎を叱り付けた。

 

「生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」

炭治郎が驚くと義勇は続けて

「惨めったらしく蹲るのはやめろ!!

そんなことが通用するならお前の家族は殺されていない!!

奪うか奪われるかの時に主導権を握れない弱者が、

妹を治す?

仇を見つける?

笑止千万!!

弱者には何の権利も無い!!

悉く力で強者にねじ伏せるのみ!!

妹を治す方法は鬼なら知っているかも知れない。

だが、鬼共がお前の意思や願いを尊重してくれると思うなよ!!

当然俺もお前を尊重しない!!それが現実だ!!

何故、さっきお前は妹に覆い被さった!?

あんなことで守ったつもりか!?

何故斧を振らなかった!?

何故俺に背中を見せた!!

そのしくじりで妹を取られている!!

お前ごと妹を串刺しにしても良かったんだぞ!!」

 

和星も一喝し

「残念ながら炭治郎君、嫌、()()()()()

妹の禰豆子ちゃんを救いたいのならば、まず、俺達から禰豆子ちゃんを取り返し、君の言葉を実践して証明してみせろ!!

それ以外には道は無い!!

そうしなければ、君は前に進めない!!

そうしなければ君の妹の頸はここで斬る!!」

それを聞いた炭治郎の目には覚悟の光が出た。

 

(泣くな。絶望するな。お前が打ちのめされているのはわかってる。家族を殺され妹は鬼になりつらいだろう、叫びだしたいだろう。わかるよ。俺達がもっと早く来ていればお前の家族は死んでなかったかもしれない。だが、時を巻いて戻す術は無いんだ。

怒れ。許せないという強く純粋な怒りは手足を動かすための揺るぎない原動力となる。脆弱な覚悟では、妹を守ることも、治すことも、家族の仇を討つこともできない。)

義勇の覚悟と先程の叱咤激励の意味を知っている和星も同様のことを思っていた。

(俺を憎んでもいい、けれども、君は嫌、()()()()()()()()()()()()

前世から俺はそれを見てきたから信じてる!!

だからこそ………来い!!)

義勇は勢いにまかせ禰豆子へと刃を突き立てた。

「やっ‥」

 

戦うしか道は無い。

「やめろー!!」

気づけば手にある石と雪を掴み投げながら、炭治郎は走り出していた。斧を片手に、腕を大きく振りあらん限りの速さで木々を駆け抜ける。

「ああああ!」

大きく振りかぶりながら近づいてきた炭治郎をよそに、義勇は至って冷静に、和星は油断なく見ていた。

「(感情に任せた単純な攻撃。)愚か!!」

(……………)

向かってきた炭治郎の低くなったその背中へとドガと峰を打ち込む。兄が雪の上へ崩れ落ちていくのを目の当たりにした禰豆子は途端に静かになった。ふと義勇は炭治郎を見下ろし、あることに気づく。

「!?」

倒れた炭治郎の手には何もなかった。

(斧はどこだ?)

 

「義勇!!上だ!!」

和星の声に反応し、炭治郎の妙な殺気を感じてとり、頭上を見上げて確信した。

それは徐々にはっきりと迫ってきていた。

弧を描きながら、義勇の頭上へ斧が落ちていく。

「!」

咄嗟に頸を傾けて木へと刺さらせることで免れたものの、義勇と和星の呼吸は衝撃で僅かだが乱れていた。

(丸腰なのを悟られないよう、振りかぶった体勢で手元を隠す。俺に勝てないのをわかっていたからか、自分が斬られた後で俺を倒そうと、こいつは‥。)

その時に義勇と和星ははっきりと分かった。

それほど守りたいのだろう、残された最後の家族を………

 

「グァウ!」

義勇の拘束が僅かに緩んだ隙に、禰豆子は義勇をを突き飛ばした。

(しまった!)

すぐさま妹へと駆け寄る。

 

だが、其処には信じられない光景があった。

『禰豆子は人を喰ったりしない』

禰豆子は炭治郎を守るように義勇と和星の前へ立ちはだかっていた。

(昔同じようなことを言って喰われた奴がいた。)

‘’飢餓状態’’になっている鬼は親でも兄弟でも殺して喰べる。栄養価が高いからだ。今までそういう場面を山ほど見たきた。しかし、この兄妹は今までと明らかに違う。鬼に成り果ててどれほど追い込まれようとも、兄を必死に守ろうとする妹の姿に義勇の心は揺らぎ始めていた。

和星もその姿を見て腹を決めた。

(この女は怪我を負わされておりそれを治すために力を消費している。鬼に変わる時もかなり体力を消費するはずだから間違いなく今は重度の飢餓状態。一刻も早く人の血肉を喰いたかっただろうに。)

飛びかかって来た禰豆子に、義勇と和星は日輪刀を腰の鞘へと納め、構え直しながらも戦い、

(こいつらは何か違うかもしれねい。)

そして間髪入れずに、手刀を禰豆子へと打ち込んだ。

 

その後に義勇は

「和星………俺は………」

と言い、見つめて来た。和星は言葉下手ながらにも真剣な表情をする義勇に大きく頷いて

「俺もこの子達を助けたい!!」

そして………

 

ーーーーー

 

 

______暗闇の中にいた。目を瞑っていても心配そうな、さびしさや悲しさが入り混じった顔をしていた兄弟達が見下ろしているのがわかる。息子の炭治郎に顔を近づけながら、父と母が炭治郎へ語りかける。

 

「置き去りにしてごめんな炭治郎。禰豆子を頼むよ。」

「しっかり生き抜いて。」

 

はっと目を開けると同時に何かを掴み直していたことに気づく。それは竹のような枷を噛ませられている禰 豆子へ掛けられた、見た覚えのない羽織りと和星の羽織りが二人を包む様に掛けられていた。空模様は灰色のままだったが、雪は大分弱まっている。

「起きたか。」

その声を合図にカバッと炭治郎は禰 豆子を包み込んで起き上がったが、義勇と和星はただ静かに炭治郎達に掛けていた羽織りを取るとそのまま二人は木々の間で黄昏ていた。

「狭霧山の麓に住んでいる鱗滝左近次という老人を訪ねろ。冨岡義勇に言われて来たと言え。今は日が差してないから大丈夫なようだが、妹を太陽の下に連れ出すな。」

そう言い残し背を向けて立ち去ろうとしたが、

「義勇………俺は葵枝さん達の埋葬をしてから行くよ。彼等には恩があるんだ。」

そう言う和星に目を見い開く義勇は黙って、そのまま和星と一緒に残った。

その後に和星は炭治郎に酷いことを言ったことを謝った。

目覚めた禰豆子の目は虚だった。無言のまま四人で帰るはずだった家へと戻り、埋葬を行なった。

 

ーーーーー

 

そして竈門家の埋葬を終えてその後に義勇と和星そのまま無言で立ち去り、雪しぶきが落ちる頃には、その姿は見えなくなっていた。

 

そして炭治郎と禰豆子は、最後にもう一度振り返る。絶対に忘れないように。

 

 

 

 




長くなってしまい申し訳ありません。ここまでお読み下さりありがとうございます。
では、次回で。


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緊急柱合会議

鬼舞辻無惨を見つけたので、当然この流れになると思い書かせて頂きました。
どうぞ。


其処は池を中心にして、土地の起伏を生かし、築山を築いて、自然石としての庭石や草木を配し、四季折々の木々が立ち並ぶ林のある大きな屋敷。

その場所こそ鬼殺隊の当主の産屋敷家の屋敷。

其処へこの家に一羽の鴉が手紙を届けに舞い降りて来た。

 

 

略啓 産屋敷 輝哉殿

我ら林和星並びに冨岡義勇は、お館様の命により、鬼の出没地域に向かった所、鬼の首魁

鬼舞辻 無惨と遭遇及び交戦しました。

ですが、力及ばずに鬼舞辻を取り逃がしてしまいました。

ですが、その時に得た鬼舞辻 無惨の能力の情報をお館様に直接''柱合会議''にてご報告させて頂きたいと願い筆を取らせて頂きました。

更にもう一つお許し頂きたいことがあります。

鬼殺の剣士になりたいという少年を狭霧山にいる鱗滝 左近次殿の元にに向かわせました。

丸腰で私達に挑んでくる度胸があります。身内が鬼により惨殺され生き延びた妹、竈門禰豆子は鬼に変貌していますが、

''重度の飢餓状態にもかかわらず、人を喰わず家族を守ろうとしたその姿''を見て人間を襲わないと判断致しました。''俄には信じ難い状況ですが紛れもない事実です''この二人には何か他とは違うものを感じます。少年の方は鱗滝殿と同じく鼻が利くようです。

もしかしたら「突破」して「受け継ぐ」ことができるかもしれません。

''どうか少年、竈門炭治郎が鬼の妹と共にあることをどうか御許し下さい

''もしも禰豆子が人に襲いかかった場合は''

''竈門炭治郎及び林和星、冨岡義勇が腹を切ってお詫び致します''

''手前勝手な頼みとは承知しておりますが、何卒(なにとぞ)ご容赦を。御自愛専一(ごじあいせんいつ)にて精励(せいれい)くださいますようお願い申し上げます。

怱々

林 和星

 

 

一週間後……… 緊急柱合会議

産屋敷の美しい庭に面した部屋の中に柱の全員収集がかかった。

この数年で柱は引退、殉職が相次いでいたがその継子あるいは新たな呼吸を持つ者が柱になった為に、現在は八人が柱に任命されていた。

鎹烏が情報を柱に伝え回ってから一週間後、緊急の柱合会議が執り行われることとなった。

その理由はお館様の緊急招集及び鬼舞辻の情報を掴んだということで皆も一も二もなくここへ来ていた。既に鬼殺隊本部である産屋敷の屋敷の中に集まっていた。

 

「うむ!!遂に鬼舞辻の情報を掴んだとは驚きだ!!」

''炎柱''煉獄杏寿郎が力強く頷いて

 

「全くだ!!俺の知らねえ内にそんなド派手なことが起きていたとはな、俺でさえ驚いたぜ!!

こいつはド派手な事になりそうだ!!」

''音柱''宇髄天元も興奮冷めやらない様子でいた。

 

「俺としては鬼舞辻の情報を早く知りたい。誰が知っている!!」

''牙柱''大前田銀郎は逆立てた白髪のメガネをかけた姿でありながらもまくし立てる。

 

「おい!!鬼舞辻の情報を掴んだっていう奴はどいつだよ。悲鳴嶼さんよォ」

''風柱''不死川の荒々しい声が苛立ちも露わに疑問が投げかける。

 

「みんな落ち着いて、悲鳴嶼さんも困っているから!!」

''花柱''胡蝶カナエが皆に落ち着く様に言う。

 

「林と冨岡の両名だ」

''岩柱''悲鳴嶼行冥の静かに告げられた言葉で柱皆の視線が一気に

 

''鳴柱''林和星の驚く姿と

''水柱''冨岡義勇の無表情な姿を捉えた。

 

そして、すぐに質問攻めが始まった。

「っ!?そんな、まさかよりによって林と冨岡だと・・・!」

「歴代の柱でも接触したことがないというのに・・・!コイツらが!?」

「どんな姿だった!場所は!どんな能力だった!?」

「戦ったのか?」

「鬼舞辻は何をしていた!?」

「根城は突き止めたのか!?」

「仲良くできそうな感じだった?」

「胡蝶!?」

「おい、答えろっ!」

質問攻めにあった義勇と和星はただただ混乱していた。

と其処へ

「お館様のお成りです!!」

と同時に柱全員が鎮まり返った。

「お待たせしたね、それでは緊急の柱合会議をはじめようか、私の剣士(こどもたち)。」

 

 そして、妻であるあまねと産屋敷の子供の輝利哉(きりや)とひなきに連れられ美青年という枠で括るにはあまりにも大人びていた。思慮深い光が瞳に宿り、心を震わせるような心地の良い声。絶やされる事ない穏やかな微笑み。上に立つものの理想を具現化したような男、鬼殺を統べる現当主の産屋敷輝哉がこの場に現れた。

「義勇に和星。よく生きて戻って来れたね。ありがとう。」

「「ご心配いただきありがとうございます。お館様」」

 

 二人が恭しく礼をする。

「それでは二人からの報告を聞こう。私は居ないものとしてくれて構わないから」

 

 産屋敷が少し下がる。

更に柱全員が息を飲んだ。場が緊張感に包まれた。 

「それでは、私達の遭遇した鬼舞辻無惨について報告させていただきます」

と言うと義勇が進み出た。

 

ーーーーー

 

炭治郎に叱咤激励した後に林に

「いつもあんな風に心の声を言えばいいんじゃないかな?」

と言われたことで会議に参加前から林に「自分で話す」と言われた。

それで林はこの会議に参加する前に冨岡に色々とアドバイスした。

「ちゃんと言葉を選んで話さないと誤解されるのでゆっくりといいので口にする言葉を選んでくれ。」

というアドバイスした。

 

ーーーーー

 

 そして、今、冨岡はしばらく思案した後、言うべき言葉を決めたようで強く頷いて和星に向き合う。

 

「では、まず冨岡からの報告を。」

と言うと冨岡は、静かに発した言葉はーー

 

「奴は男です!!」

一言。

 それだけであった。

 

(…………………………え??!)

 

あまりの意味不明さに柱全員がピシリと表情が固まる。

あまねと輝利哉とひなきも呆然としていた。

そして、産屋敷も目を見開き笑顔のまま硬直していた。

林は内心

(………や………やってしまったーーーーー‼️‼️‼️

なんていう事だ!!

ヤバイ!!

というか義勇、それだけ?!

性別じゃなく特徴とか能力とかを言えば良いのに!!

男です。だけって、ヤベエよ!!

俺があの時に心の声を言えばいいって言ったけど、言葉の選び方が壊滅的過ぎ!!

口数がただでさえ少ないのにじっくり言葉のチョイスを選んだ結果がそれだけなんてあんまりじゃ……………………………ハッ!!)

そして、恐る恐る自分達に向けられる鋭く多くの視線感じ振り返って見てみると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(うわぁ………みんながすごい目で俺達を睨んでる………)

柱全員がすごい目で見ていた。

中には呆れと困惑の視線も混じっていた。

因みに冨岡はそれを見てキョトンとしていた。

(報告出来てないからね!!

混乱をもたらしただけだからね!!)

と和星が内心冷や汗と混乱の渦の中にいながら、この状況をどうやって切り抜けようか必死になって考えていると其処へ産屋敷が苦笑しながらも

「あ、ありがとう義勇………性別がわかっただけでも何よりだよ。」

産屋敷がフォローもとい冨岡のことを褒めて場をとりなしてくれた。

そのおかげでなんとか場は和んだ。

林は内心、産屋敷に感謝と謝罪をしていた。

(………ありがとうございます!!お館様!!一生付いていきます!!

何より………本当に申し訳ありません!!!)

そして、次に林に視線を向けて

「では、次に和星からも報告をお願いできるかな?」

「御意。」

 

そうして冨岡の言葉足らずにより混迷しそうになったが、なんとか産屋敷の計らいにより本題に持ち込まれた。

「鬼舞辻無惨の姿は先程の冨岡が言う様に男性であり、特徴は髪は波打つ長い黒髪のオールバックに撫で付けていて顔は瞳が紅梅色で瞳孔が猫の様になっており縦長体躯は細身ながらも西洋の着物を着ている線の細い青年の姿をしています。」

林が話している間にあまねが万年筆で今の報告を紙に書いていた。

更に続けて

「能力については、腕を異形・変容させ無数の目と口が全身にある怪物に変えて敵を捕食してきます。その威力は大木のある木々を一瞬でなぎ倒す程の威力と速さがあります。

別の能力には、血液を無数の有刺鉄線のような触手に変化させ、伸ばして攻撃してきます。

更に鬼舞辻ではないですが、奴の配下の鬼の血鬼術で厄介なものがありました。

琵琶の音を響かせ、空間移動・転移の能力がありました。

例えば、琵琶の音がした直後に大量の鬼達が鬼舞辻の側に呼び出されたり、襖を出現させて移動するというものです。

そのせいで我ら二人は鬼舞辻を取り逃がしてしまいました。」

最後に林が苦虫を噛み潰したような顔をして、冨岡も無表情ながらに奥歯を噛み締めている。

それを聞くと産屋敷は、重々しく頷いた。

他の柱全員も緊張感を持って聞き入る。

「最後に鬼舞辻無惨は、''臆病者の癇癪(かんしゃく)もち''です。」

突然の言葉に産屋敷は、目を見開いた。

そこへ宇髄が疑問を投げかけた。

「奴の性格がどうだって言うんだ?」

それに林は応えた。

「奴の性格が分かれば奴が次にどうするか読めるからだ」

と言うと

「成る程な。」

納得した様に宇髄が言うと

「和星、何故、鬼舞辻がその様な性格だと分かったんだい?」

産屋敷が質問すると林は淡々と応えた。

「奴は私が''顔色が悪く、青白い死にそうな顔''と言った直後に目を血走らせ、私に攻撃をしてきました。

先程も申し上げた様に、琵琶の血鬼術を使えば、大量の鬼達を呼び出せるというのに鬼舞辻は使いませんでした。

そんな簡単な事にも気づかず怒りに身を任せたからこその行動だと思えば思うほど、鬼舞辻は癇癪もちだと思えば、納得がいきます。

その後にも私が挑発行為を続けたら、自分から''私こそが鬼舞辻無惨''だと言い放ったんです。」

その言葉に柱全員がどよめいた。

皆、鬼舞辻無惨が鬼を生み出した元凶だと知った時から鬼殺隊員として何回も試みたことがあった。

 

それが鬼に直接、鬼舞辻無惨の事を質問すること。

だが、どの鬼達も鬼舞辻を「あの方」としか言わず、言ったとしてもそのまま自壊する鬼を見てきたからこそ、林の言うことの信憑性が確信に変わった。

「更に戦い続けて、琵琶の音の血鬼術により呼び出した鬼の何人かに掴みかかれた時には有無を言わせずその鬼達を喰い殺す残忍性を見ました。

そして、私が冨岡と合流するや否や、踵を返して、琵琶の血鬼術で逃げ出したのです。

以上の点を踏まえて、私は鬼舞辻無惨を臆病者の癇癪もちと断定しました。」

そうして、林の報告を終えると場に沈黙が満ちた。

 

おもむろに産屋敷が

「ありがとう和星、義勇。今まで分からなかった鬼舞辻の情報と能力が分かっただけでも大きな収穫だ。」

そう林と冨岡を労った。

「あ、あとお館様、更に冨岡と相談して決めていたことがあります。」

「ん?なんだい?」

産屋敷が聞くと

「鬼舞辻は去り際にこう言い残しました。

''これよりお前達は他の柱より先に全ての鬼、更に、十二鬼月の下弦、そして上弦の鬼達の最優先の標的となる''と」

瞬間に柱全員はもちろん産屋敷はどよめいた。

「我らはこれを利用して奴を釣り上げようと決意しました。」

すると産屋敷は神妙な顔になり

「和星、義勇。自分達が何を言っているのか分かっているのかい?

下弦ならともかく上弦と戦うという事にもなるんだよ?

それでもかい?」

と言うと林と冨岡は大きく頷いて

「「覚悟の上です!!」」

それを聞いた産屋敷は、目を閉じて、悲しみに歪みながらも覚悟を決めた様に言い放つ。

「分かった。ならば、他の柱皆にも和星と義勇と常に居てもらう。君達を死なせない。」

そう言う産屋敷に柱全員は、

「「「御意」」」

と返した。

 

……………最もその後に冨岡の説明不足に対しての柱からの文句と注意(主に不死川)及び怒られたのは言うまでもなかった。

 

 

だが、この鬼の首魁と鬼狩りの邂逅。

それは100年もの停滞した状況が変わる瞬間が始まった。




原作よりも早いですが、この後の展開も色々と考ておりますのでどうぞ宜しくお願いします。


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十二鬼月集結

遅くなってごめんなさい。

鬼舞辻無惨が、和星と義勇との邂逅の後に十二鬼月を全員収集して叱責の時。




 べん べん べん

 

琵琶の音が聞こえた。

 

あまりに唐突な視界の変化。視界に映る四方八方に階段が伸び、しかしその配置に統一性はなく、空間が捻れ歪んでいて、地平線が見えない。

摩訶不思議な構造の城で床と襖が彼方此方にあって、天井がなく、底もない空間。

まさに''無限城''

 

 

軍服を着てトンビと呼ばれる黒いコートに身を包み、手には包帯を巻いている黒髪の前髪を切り揃えた左目に下参の数字が刻まれている青年の鬼も其処にいた。

 

ーーーーー

 

私の名前は逢蠱、転生者であり、下弦の参をやっている。

「鬼滅の刃」の世界に来て、61年で私は今、呼び出された。

 

「!?!?!?」

 

 まさか!?ここは無限城……。

 

流石は次期上弦となる鳴女殿の血鬼術により作られた広大いや、''無限の空間そのもの''

 

 

 

 ここが無限城で鬼舞辻様に呼ばれた事に理解が追いついた後にここに呼ばれた事に疑問を持つ。

(あの有名な下弦のパワハラ会議?)

 その疑問深めるように、べんっという琵琶の音が響く。その琵琶が鳴るごとに視界が飛び、続々と気配が増えていく。その気配は十二体。

そして捻じ曲がるように空間が歪んでいく。

 

 飛んでいく視界の中、琵琶を鳴らす女の鬼であり、鬼舞辻様のお気に入りの鬼の''鳴女''の姿をみた。

 琵琶の音を使い中心に空間が歪んでいる。

 

「……(十二鬼月が集まっている!!下弦だけじゃなく、上弦達まで!!)」

 

 べべんっ、という音を最後に、気配が集結する。

 

「お久しぶりです。黒死牟殿、猗窩座殿、玉壺殿、墜姫殿。童磨殿と半天狗殿も隠れていないで出て来たらどうですか?

 

「''入れ替わりの…血戦''…以来だな…逢蠱…」

 

「ああ、久しぶりだな、逢蠱。」

 

「ヒョッヒョッヒョッこれは皆様お揃いで。上弦が呼ばれたのは90年ぶりでしょうか?

まさか、下弦共も此処に呼ばれるとは………」

 

「恐ろしい………恐ろしい………玉壺は数が数えられなくなっておる上弦が呼ばれたのは111年ぶりじゃ。

下弦共と共に此処に呼ばれることは初めて。

恐ろしい…恐ろしい。」

 

「逢蠱とも本当に久しぶりよねぇ。」

 

「あれぇ……? 流石、逢蠱殿だよねぇ? 気配を消していたのに相変わらず感覚鋭いねぇ。前の''入れ替わりの血戦''以来かなぁ。嬉しいねぇ。いや……猗窩座殿も奇遇だなぁ……下弦だけじゃなく上弦も集められてるのかなぁ……?」

 

 

「そうみたいですよ。」

 

 黒死牟と猗窩座と玉壺と半天狗と堕姫にニコッと挨拶しながら背後から声を掛けられる童磨に逢蠱にそう言いながらも観察した。

童磨も相変わらず軽薄そうでいて、何の感情も感じられない気味の悪い声。その両目には上弦の弐と刻まれていた。

 

 急いで辺りに目を向ける。見れば、集められた鬼は十二…。

 

 上弦の壱。

黒髪の長髪を後ろで一括りにした剣士姿であり六つの目を持つ異形の貌を有するが、額と頬には揺らめく火を思わせる痣がくっきりと浮かんでいる。

 ''黒死牟''

 

 上弦の弐。

頭から血を被ったような鬼でニコニコと屈託なく笑う。穏やかに喋る優男風の青年姿をした鬼。

 ''童磨''

 

 上弦の参。

紅梅色の短髪に、細身で筋肉質な少年~青年くらいの外見。

服装は、上は素肌に直接袖のない羽織、下は砂色のズボンに両足に数珠のようなものをつけているだけの軽装。

顔を含めた全身に藍色の線状の文様が浮かんでおり、足と手の指先は同じ色で染まっている。

目はアーモンドのような釣り目でひび割れのような模様が浮かび、黄色い瞳にはほかの十二鬼月と同様に文字が刻まれている。

 ''猗窩座''

 

 上弦の肆。

角が生え、額に大きな瘤を持つ小柄な老人の姿でいつも何か怯えている様に常に物陰に隠れて「恐ろしい………恐ろしい………」と呟いている弱々しい姿の鬼。

 ''半天狗''

 

 上弦の伍。

壺の中から煙の如く罷り出る人外の容姿をした鬼。その姿は両目に“口”が、口と額に“眼球”が存在するという正しくの怪異である。 更に自身を芸術家と称する鬼。

 ''玉壺''

 

 上弦の陸。

その顔はどんな遊女や、花魁でさえも色あせて見えるほどに美しい。格好は、ランジェリーじみた服装に三本歯下駄、身体に着物の帯を身に着けるという露出度が高い服装をしている。

 ''堕姫''

 

続けての

 下弦の壱。

 下弦の弐。

 下弦の肆。

 下弦の伍。

 下弦の陸の鬼達。

 そして、現下弦の参である自分。

 私にとっては数字よりも鬼舞辻様に選ばれた事に誇りに思い、まずは自分自身の強さを確かめる為に上弦達との''入れ替わりの血戦''を挑み続けた。

 その為に私は''まだ''下弦の参だ。

 十二鬼月が全て集められている……。

 こんな事は初めてだ。

だが、その前にやることがある。

 

 血鬼術 自我隷属

 

自分自身に暗示をかけて、精神改造し、ただただあの方の為に行動、沈黙等にさせる血鬼術。

 べんっ、と。また琵琶の音が鳴る。

 移動した瞬間にあの方の気配を感じた時に即座に私は平伏した。

 既に上弦の方達はもちろん下弦の鬼達も私が助言したおかげか、上弦達と同じ速さで平伏した。

 正面にあの方がいた。

 

 

「お前たちには失望した……」

 

「………?」

 

「お前達がどこぞの場所で人を喰らっている間に私は……………忌々しい鬼狩りに………しかも柱二人に襲われ挙句侮辱された!!」

 

「!!!」

 

一瞬、鬼舞辻様が何を仰られているのか分からなかったが、理解した瞬間に怒りが込み上げた。

 自身の無能さによって……

 無惨様が襲われた?

 柱二人に?

 

 その情報は上弦の鬼たちにとっても衝撃だったらしく、上弦の鬼たちからも動揺した気配が伝わって来る。

 

「私が問いたいのはただ一つ。『何故に貴様ら十二鬼月は私の顔に泥を塗るのか』。私が心血と多大なる時間を注ぎ作り上げた十二鬼月。

だが十二鬼月に数えられたからと言ってそれで終わりではない。そこから始まりだ。より人を喰い、より強くなる。私の役に立つための始まり。

そのはずがお前達の無能さのせいで私が鬼狩り共に襲われた!!!」

 

我々十ニ鬼月に相応の血と異能、特権を与えてたはずで、にもかかわらず御身を危険に晒してしまった。格下である人間共に侮辱されたとなればそれは不快にもなろう。そのお気持ちは私ごときでは慮るに余りある。

 

 

「なんなのだ? 何故貴様らは私の役に立つ為に生きているというのに………貴様らは私の役に立つどころか私の顔に泥を塗りつけた。怒りでハラワタがが煮えくり返りそうだ。」

 

 ああ、鬼舞辻様の怒りと失望が声の震えから伝わる。なんておいたわしい、鬼舞辻様。その怒り、我らをまとめて惨たらしく殺処分しても晴れぬほど深いものでしょう。

忌々しい。怒りでハラワタが煮えくりかえる。

その鬼狩りの柱共を惨たらしく、残酷に殺し、鬼舞辻様を侮辱したことを地獄の苦しみを与えて後悔させてやりたい。

私いや、私の配下の鬼達の察知・探索能力でもって必ずや……………

 

「その為にこれからは、上弦………お前達は下弦共を効率良く使え。特に下弦の参の逢蠱の配下達は、察知探索能力に優れている。」

途端に下弦はおろか、上弦の方達からも動揺が広がった。

 

ーーーーー

 

 

十二鬼月。

 私が作り出した強い鬼のみで作り上げた直属の鬼共。

 十二鬼月は上弦と下弦に別れており上弦と下弦の鬼はそれぞれ数字を持ち、壱から陸まである。

 上弦が両目に対して下弦共は片目だけに数字を刻んでいる。

 一番強いのが上弦の壱で、弱いのが下弦の陸だが、一人だけ下弦の参でありながらも、上弦の猗窩座、童磨そして黒死牟との''入れ替わりの血戦''で上弦に並ぶ強さを持っている鬼がいる。

 

特に下弦で唯一、鬼狩りの柱を二人喰っている強さを持つ。

それがかつて猗窩座が連れてきた元''柱''の逢蠱だ。

こいつには累と同様に期待出来る。

最もその気になれば上弦の肆になれるものを………だが、今はそんなことより私の顔に泥を塗ったこいつらを叱責した後に言うことがある。

 

 

……………あの忌々しい鬼狩り共のことだ!!

 

ーーーーー

 

 「私は『変化』が嫌いだ。状況の変化。肉体の変化。感情の変化。あらゆる変化の殆どの場合は『劣化』だ。衰えだ。私が好きなものは『不変』。完璧な状態で永遠に変わらない事」

 

「……」

 

「三百年ぶりに鬼狩りに見つかり襲われ挙句に侮辱されて不快の絶頂だ。これからはもっと死に物狂いになれ。上弦の鬼達よ、お前達個々としてだけでなく下弦の鬼達を上手く使え。これ以上私の顔に泥を塗るような真似をするな」

 

 

鬼舞辻は激昂を十二鬼月にぶつけた後にそのまま自分を襲い侮辱した柱二人の情報を伝える。

 

 「中性的な体格をした詰襟の上から、右半分が無地・左半分が亀甲柄の羽織を着用している。黒髪の熱を感じない鋭い瞳の義勇と言う鬼狩り。

もう一人も中性的な体格をした黒い詰襟の上から白地に雷を象ったデザインの羽織を着用している茶髪の和星と言う鬼狩り、この者共を見つけたら必ず殺せ。

いいな!!」

鬼舞辻はそれだけ言うと途端に琵琶の音共に消えた

 

その後に黒死牟の提案により、上弦がいくつかの下弦の鬼達を配下に鳴女にそれぞれの元いた場所に送られた

 

 

 

上弦が選んだ下弦の鬼達と共にという今までなかったこと共に……………

 

 




最後まで読んでくださりありがとうございます。
鬼サイドの新たな試みの始まり。

次回からは鬼殺隊に戻ります。


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頼りになる仲間と師範達

更新遅くなってしまい申し訳ありません。
ですが、冬になると仕事が忙しくなってしまうためにこれからも不定期更新になってしまうかもしれません。
それでもどうかこれからも宜しくお願いします。


柱合会議の後に和星が知り合い達に交渉に行く話。



柱合会議の後………

 

産屋敷に和星と義勇は共に呼び出された。

前々から林の持っている医術(未来の)のおかげで産屋敷の体調が良くなっていた。その医術は医者でさえも舌を巻く程に凄いと言われた。

その為に他の柱達には、

 

「いつもと同じでお館様の検査と治療」と言った為にそのまま何事もなかった。

検査と治療が終わった後に林は包み隠さず鬼になった妹が人である兄を庇った、その時の状況を他の柱達には秘密で話した後に産屋敷に

 

「和星と義勇がそう言うなら私も二年程様子を見よう。

お目付役として錆兎と真菰に頼んでおくとしよう。」

 

産屋敷は容認してくれた。

更に

「それと和星が前々から提案してくれた例の案件、柱を補助及び助けるための部隊''暁''を採用することに決まったんだ。

その為の''全集中・常中の呼吸''を成し遂げた対象者に対しての説明を頼みたい。」

 

「御意!!」

 

 '''暁''

和星が柱に就任した後に酷い育手達を逮捕した後に和星が自分の屋敷を学校とした後に提出していた人事案。

和星の鬼殺隊の養成学校でのカリキュラムによって順調に鍛錬を積んで''全集中・常中の呼吸''習得した強者達やそれに準ずる強さと技術を持っている甲と乙と丙の階級の隊員達で構成された部隊。

 

それが遂に採用されたとあって和星が気分が高揚した。

 

 

そして、帰り道に胡蝶カナエと会って

 

「カナエ、少しいいかい?」

と言うとカナエは微笑んでから心配する様に言う。

 

「ええ、いいわよ。でも和星。貴方の顔色が悪いわよ?ちゃんと寝てる?」

和星は苦笑して

 

「すまない。ここのところ忙しくてね、それよりここじゃなんだからね、しのぶと一緒に大事な話があるんだ。」

そう言うとカナエはキョトンとしながらも頷いた。

 

ーーーーー

 

そして、場所変わって 鬼殺隊治療院の一つ。

 屋敷の主人の名前と、敷地内を色とりどりの蝶が舞い遊ぶ光景から『蝶屋敷』と親しまれその場所に向かう……………

 

其処に栗花落カナヲが蝶と戯れており、その横で神崎アオイと時透お菊とその手伝いをしているなほ、きよ、すみが一緒に布団を干していた。

 

和星はその光景を見ていて、みんなが蝶屋敷に初めて来たことを思い出していた。

あの時からずいぶん変わったなぁと思いつつカナエと共に挨拶した。

 

「お久しぶり。アオイちゃん、カナヲちゃん、お菊さん、なほちゃん、きよちゃん、すみちゃん。」

「みんな!!ただいま。」

 

和星とカナエが挨拶するとそれに気づいたアオイは元気よく

「はい!!お帰りなさいカナエ様。お久しぶりです!!林さん。」

 

お菊もゆっくりと挨拶した。

「お帰りなさいカナエさん。お久しぶりね。林さん。」

 

更になほ、きよ、すみも元気よく挨拶した。

「「「お帰りなさいませ、カナエ様!!お久しぶりです、林さん!!」」」

 

その後にカナヲは硬貨をぴんと弾いて、掌の上に落とした。そこに出たのは、表。

「お帰りなさいませ、カナエ様。お久しぶりです。林さん。」

 

と言うカナヲに思わず和星は苦笑した。

その後にしのぶも出てきた後に

 

「お帰りなさい姉さん。それにお久しぶりですね。林さん。」

「ただいましのぶ」

 

と言うカナエに続いて和星も

 

「お久しぶり、しのぶ。………実は折いって二人に大事な話があるんだ。」

そう言うと和星の様子を察したカナエとしのぶは、

神妙な顔つきになり、部屋に案内した。

 

その後に蝶屋敷のしのぶの部屋にて和星はカナエとしのぶに産屋敷に話した事を話したが、

 

「はぁ?!鬼を庇った?!」

 

しのぶの驚いた声に和星は「静かに」と言うが、

 

「何考えてるんですか!!立派な隊律違反ですよ!!」

怒って言うしのぶと対象的にカナエは

 

「仲良くなれそう?」

と言うカナエにしのぶが

 

「姉さん!!何言ってるの!!」

注意する様に言う。

 

「いやいや、でも、重度の飢餓状態にもかかわらずに人である兄を守ろうとしていたんだよ!!」

 

そう言うとしのぶは信じられないという表情でカナエは興味深々の顔をして

 

「仲良くなれそう?」

「姉さん?!」

 

和星は頷いて淡々と応えた。

 

「仲良くなれる。まずは、二年程鱗滝さんの所で様子を見ておこうと思うんだ。そしたら、その後にその子を見て欲しい。」

 

と言うとカナエは嬉しそうに

「良かった、良い鬼もいたのね。」

 

しのぶは、尚も

「何を言っているんですか?鬼ですよ!!隊律違反までしてそんな馬鹿な事をするなんて………」

 

其処へ和星は

「安心してくれ。お館様にはちゃんと話して、容認してくれた。だから、隊律違反にはならない。」

 

応えるとしのぶは驚いて

「なっ?!」

「何より今まで影も形も見せなかった鬼舞辻がわざわざ自分から出向いて炭治郎君の家族を皆殺すなんて事をしたぐらいだ。何らかの理由があるんだと思うんだ。

炭治郎の妹の禰豆子を殺せば、鬼舞辻を殺す機会が、潰えることになる・・・そうなれば、また今まで通りに人が死ぬ。でも彼らを許容すれば・・・」

「鬼舞辻を殺す機会ができて被害が減ると言う訳ですか?」

 

和星が頷くのを見て、しのぶは諦めた様にため息をはいた。そしてしのぶは真剣な表情をして

 

「分かりました。皆には黙っておきます。ですが条件があります。……………何が起こっても姉さんを「いいえ、しのぶ」って?!」

 

しのぶの言葉を遮ったのは、カナエだった。

其処には、いつものニコニコとした表情ではなく、真剣な顔をしたカナエがいた。

 

「私にも見せてあげて欲しいの。その兄を庇ったっていう鬼を………お願い。」

 

その静かな圧を放つカナエに和星は重々しく頷いた。

「分かった。それと………………」

 

和星は懐から血の入った試験管と肉片の入った試験管をそれぞれ十本程をしのぶに渡した。

 

「なんですか?これは?」

 

訝しむしのぶに和星は

「鬼舞辻との戦いで奴の腕を斬った時に手に入れた''血と肉片''」

「えっ!!!」

 

それを聞いたしのぶは驚愕した。

そして和星は淡々と

 

「それを君に託す。」

 

と言い頭を下げた。

それを見たしのぶも先程とは違い和星の意思を汲み取り頭を下げて

 

「はい、分かりました!!」

 

そうして胡蝶姉妹との話はついた。

因みにその後に義勇と合流してその後に

 

「なっ?!鬼になった妹を庇っただと?!」

「ど、どう言うこと?!」

 

錆兎と真菰に炭治郎との事を話した。

最初二人は驚いたものの義勇と和星の説得に応じて

 

「仕方ない!!

それ程の覚悟なら、男として引き受けよう!!」

「うん!!私も錆兎の意見に賛成!!」

人を襲わないことを信じて秘密にしてくれた。

 

ここまではいいが、和星にとってはここからが試練であり、必ず話さなくてはいけないが一歩間違えば大変な事態になるが、それでも行くと決めて震える足を引きずって歩き出した。

 

「………ここからが大変だぞ………正直殴られるんだろうなぁ………でも、行かなければ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、着いたのは煉獄家の屋敷。

其処で

 

「くぅぅおのおおお馬鹿者ーー!!!」

 

と言う槇寿郎の大声が響いた後に部屋から殴り飛ばされた和星が庭に飛び出した。

 

「何故そんな事をした和星!!」

と杏寿郎からも叱り飛ばされた。

 

「説明なさい!!」

瑠火からも叱り飛ばされた後に和星は

 

「はい………詳しく説明します……」

 

その後に産屋敷としのぶ達に言った事を言い、鬼舞辻を倒せる可能性のことも話した後に槇寿郎から険しい表情で

 

「要するにお前は打算で助けたのか?」

 

「えっ?!」

 

槇寿郎の突然の言葉に和星は絶句した。

 

その後に槇寿郎から木刀を投げつけられ、

 

「表に出ろ。」

 

ーーーーー

 

その後に庭で槇寿郎との決闘して、槇寿郎から

 

「お前は確かに柱として才能がある。

私と杏寿郎との稽古と鍛錬によって強くなった。

だが、鬼舞辻に遭遇という幸運にも恵まれていたと調子に乗っているだけだろう!!」

と言う言葉と共に木刀で来た槇寿郎に反発する様に返すようにすると

 

「更に人を喰わずに人を庇った鬼を助けた!?

ふざけるな!!

そんな理由でか!!」

それに和星は大声で張り上げた。

 

「ふざけてない!!

調子に乗るはずがないだろう!!

俺がどんだけ自分の無力さに打ちひしがれていると思っているんだーーー!!」

と同時に和星は

 

雷の呼吸 肆ノ型 遠雷

 

で一気に槇寿郎の間合いに遠間から強烈な踏み込みで切ろうとするが

それに槇寿郎が

 

炎の呼吸 壱ノ型 不知火

で返した。

「くっ!!」

「それで終わりか?

和星!!」

 

途端に槇寿郎は肩に刀を担ぎ奥義の構えを取ると和星も対抗する様に刀を鞘に納め居合抜きの構えを取った。

 

そして次の瞬間に槇寿郎と和星は激突した。

 

炎の呼吸 奥義 玖ノ型 煉獄!!

 

()()()() ()()()() ()|()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

ーーーーー

 

その後、数時間後……………

そして槇寿郎と和星ともに地面に倒れていた。

 

そして和星は泣きながら

「俺は……………妹を思う兄の炭治郎君と鬼になっても兄を守ろうとした禰豆子ちゃんを………………助けたいんです。」

 

それを聞いた槇寿郎はため息を吐いて

「最初からそう言え、馬鹿弟子。」

 

それを聞いた和星は気づいた。

槇寿郎は和星がどういった意図で兄妹を助けたのかを確認したかったということを………………

 

ーーーーー

 

その夜に……………

槇寿郎は杏寿郎を部屋に呼び出して、この事は内密にすることと更に

 

「二年後の最終選別でその炭治郎なるものが突破して隊員として任務に就く時は気づかれぬ様に監視しろ。

お館様には私から話しておく。

その鬼になった禰豆子が人に襲いかかった時には、隊律に則りその禰豆子の頸を斬れ!!」

 

それに杏寿郎は頭を下げて

「はいっ!父上っ!」

槇寿郎はそれからと言い

 

「だが、その鬼の禰豆子が人を襲わずに人を守ったなら……………その隊員を継子として迎え入れろ!!無論お目付役としてもだ!!」

「はいっ!父上っ!」

 

その後に空に目を向けて

(……………悪く思うなよ、和星。)

 

……………それは鬼殺隊での新たな始まり。

 




柱合裁判では鬼と一緒に炭治郎を斬首する事を言いましたが、炭治郎の''鬼舞辻無惨を倒す''という言葉を聞いて、柱みんなが笑う中、ただ一人だけ
「良い心がけだ!」
と言った時にちゃんと話せば分かってくれるだろうと思い、この話にしました。


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帰郷と思い出

煉獄家から胡蝶カナエとしのぶと合流して出発して松原山へ戻る話です。

因みにこの話には、本編に入れなかった思い出を回想として話します。
更に本誌バレの話もありますご注意をください。
本誌では、しのぶさんの悲惨な最後と壮絶な覚悟がありました。

読んだ後にこの''原作改変された世界''ではこの三人を救済する為に急な展開を入れることをお許しください。


煉獄家での数日後………

その家の玄関口にて。

「ごめん下さい!!」

と言う声を出しているのは、長い髪に、紫掛かった黒の長髪、蝶の羽を模した羽織、硝子細工の蝶の髪飾り、それが頭の左右に二つの蝶の髪飾りをつけている少女胡蝶カナエと毛先が紫掛かった黒髪。それを後ろで纏める蝶の髪飾り。笑顔とは縁遠い不機嫌そうな表情をした胡蝶しのぶが立っていた。

 

その声を聞いて和星と杏寿郎はすぐに向かった

「カナエ、しのぶ!!」

「よく来た。さあ、中へ。」

と言い杏寿郎はカナエとしのぶを中に迎え入れた。

その後に家に入り、槇寿郎と瑠火達煉獄家と交えての開口一番に

「約束通り、兄を庇ったって言う鬼に合わせて欲しいの。」

カナエが真剣に言うと

「無論だ!!」

和星も頷いた後に更にカナエは

「それと鬼舞辻無惨に会ったのでしょう?

その時に何か会話がしたのなら教えて欲しいの。」

和星は無表情になり、

「………………嫌な話になるよ。」

槇寿郎とカナエと杏寿郎は重々しく頷いた後にしのぶも節目がちになりながらも

「お願いします。」

 

「分かった。」

 

ーーーーー

 

その後に和星は皆に鬼舞辻無惨との対話を話した。

皆から憤怒が吹き出ていた。

しのぶも悔しさからか歯を食いしばり涙を流して槇寿郎と瑠火と杏寿郎は無表情になった。

中でも話し終えた後に目を細めた無表情と悲しみが入り混じる顔でカナエが

「………………仲良くなれそうにないわね。」

 

常に「鬼とは仲良くできる」という持論の朗らかなカナエが言う程のことだからこそ和星達もその言葉を皮切りに頷いた。

 

場は重い空気に満ちていた。

 

ーーーーー

そして、数日後

 

「まずは松原山へ戻るのか?」

槇寿郎が聞くと和星は頷いて

「はい。その後に狭霧山へ。」

槇寿郎は苦笑し、

「大変だが、それも含めてだろう?

精々ぶっ飛ばされてこい!!

だがその前に杏寿郎、カナエとしのぶ、和星についてやれ。途中で十二鬼月に出くわすかもしれん。」

杏寿郎は元気よく

「分かりました父上!!俺も一緒に行こう!!和星!!」

 

「それじゃあ、今度こそ、その禰豆子さんにも合わせてね。」

「姉さんと槇寿郎さんが言うなら、私も行きます。」

 

そう言われた和星は笑い

「はい。」

そうして杏寿郎とカナエとしのぶと共に旅立った。

 

ーーーーー

 

道中………………

 

「あっ!!ここってカナエと任務で一緒になった時に来た街だ!!」

「懐かしいわね。」

と言い和星とカナエが懐かしんでいた。

 

「あの時も大変だったな。何とか鬼を倒したものの、路銀が尽きていて困っている時に助けた藤の花の旅館の方に泊まらせてもらった時には助かったよね。」

和星が楽しげに言うとカナエもその時の事を思い出したのか、にこやかにして

「そうそう!!その時に出た食事も美味しかったし、その後の………」

途端にカナエが頬を赤らめた。

和星もその時の事に気づいた瞬間に顔がボッとなった。

「さ、さあ!!無駄話はここまでにして、先を急ごう!!」

「え、ええ!!そうね!!」

と言い和星とカナエが先を急ごうとすると、杏寿郎が

「何だ?何かあったのか?」

しのぶも顔を引きつらせて

「………和星さん、姉さん。その後に何を?」

と言うとカナエと和星が顔を赤らめて

 

「いやいや、何でもないよ!!」

「そうそう、()()()()()()()()()()()()()()()

 

途端にカナエと和星はしまったと思った瞬間。

杏寿郎が其処へ

「うむ、そうだったか。」

と言うもしのぶは顔を赤らめた後に

「何してんですか!!!」

と叫び和星を蹴り飛ばした。

「ギャアアアーー!」

そうして和星はぶっ飛ばされた。

その後にもしのぶに掴みかかれてそれを宥めたカナエと杏寿郎との膠着が続いた………………

 

ーーーーー

 

その後に任務をこなしながらも、松原山に向かう途中駅の近くを通ると丁度列車が走り出した所を見て皆ではしゃいでいると和星は真剣な表情になり、思案していた。

 

(こんな風に皆といると、本当に俺は鬼滅の刃の世界に来たんだと思う。

同時に杏寿郎が、カナエが、しのぶが、

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

あの時は何度、読んだ後に悲しかった。

この三人が死んでしまうなんて………………

 

原作では煉獄杏寿郎は、熱血キャラなのになんかかわいい。表情が笑顔で固まりきっていて困っていると言いながら全力で笑っている強烈ポジティブ野郎なのだがそれが良い。兄貴好き。理屈などなく俺は煉獄さんを心から好きになった

 

今でも心の中で兄貴感ハンパねえーと思う程に。

激闘だった。杏寿郎は強くてかっこよくて熱くて、力の限りを尽くして上弦の鬼の猗窩座と戦った。

 

でも及ばなかった。実力は拮抗していたのかもしれない。でも向こうは鬼なのだ。同じだけの手傷を負わせても鬼は瞬きの間にそれを癒してしまう。人間と鬼との間にはあまりにも差がありすぎる。同じ技量を持っていたとしても人間は絶対に勝てないのだ。

 

それでも杏寿郎は強かった。腹を貫かれても相手の首に刃を振るい振り抜かれた拳を受け止め堂々と戦った。

 

そして最後はとても穏やかに死んでいった。弟と父に言葉を残し次世代に、炭治郎達に思いを伝え、そして変わらぬ笑顔で逝ったのだ。とてもつらい。悲しかった。

 

カナエも童磨との戦いに敗れて死に、そのせいでしのぶもその仇を討つ為に、修行して最終決戦で童磨に挑むものの圧倒的な強さの前に倒れ、童磨に吸収された。

 

でも、それは童磨を倒す為にしのぶが自分の体を藤の花の毒で蓄積させて童磨に自身を食わせるという、自分の身を犠牲にした壮絶な罠。

 

その後に毒を喰らった童磨にカナヲと伊之助は勝利した。

 

その後のカナエとしのぶが幼い少女に戻って両親に会いにいく幸せそうになる場面を見て、

 

ああ、死んでしまったんだなぁ、もう会えないんだな……と実感してしまった。

彼女達が悔いなく幸せになっているのは分かったが、それでもファンの一人として、彼女達には、

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

だからこそ、前世で自分が事故で死んでしまった思い出した後にこの''鬼滅の刃''の世界に来たことを理解した瞬間に思ったのは、彼女達胡蝶姉妹を含めた鬼滅の刃の世界の人間達を救い出したいと願ったから、他の人の力を借りて上弦の鬼達を、鬼舞辻無惨を倒して、

 

()寿()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

ーーーーー

「どうしたの、和星?」

とカナエがキョトンとしていた。

その後に和星はカナエの手を取り、それを見たしのぶが咎めようとしたが、

 

「これからは、上弦の鬼達も出てくる。

でも、命に代えても、必ず君達全員守り抜く!!

皆で笑って生きて幸せな未来にしてみせる!!!」

と言う和星の叫びを聞いたカナエ、しのぶ、杏寿郎達はびっくりした後に

「ええ。ありがとう。」

とカナエが頬を赤らめて笑って言い、

しのぶは、

「急に何を言い出すかと思えば………」

苦笑して杏寿郎は真剣になり

「それは俺もだ、和星!!」

と叫んでた。

 

それは、原作、運命に抗うと決めた和星の決意表明の時

 

ーーーーー

 

 

 

松原山の麓にて和星と杏寿郎が着いて、

「また怒られるだろうなぁー。」

和星が心配そうに言うと

「大丈夫だ!!お前の育手なら分かってくれる!!」

「私達も弁護するから。」

「いつまでもヘタレないでください。

そんなんだから、みんなからヘタレ野郎と呼ばれるんですよ。」

そう言われて和星も勇気が出てきた後に

 

「えっ?!、俺ってそんな風に思われていたの?!」

と和星が言うとカナエとしのぶと杏寿郎は重々しく頷いた。

それについて落ち込んだが、頭を振ってその後に和星は皆に

 

「ありがとう、カナエ、しのぶ、杏寿郎。それと頼みがあるんだが……」

「なんだ?」

和星の言葉に杏寿郎が訝しんでカナエとしのぶが首を傾げていると

「育手のじいちゃんには話すけど、弟弟子には話さないで欲しいんだ。

言ったら、そのまま突っ込んでいくからね。」

そう言われて杏寿郎とカナエとしのぶは神妙な顔になって頷いた。

「心得た!!」

そう言って共に山に登り、頂上付近に着くと

 

「あっ、兄さん久しぶりですね!!そちらの方達は?」

声をした方を見て和星も少しビクッとした後に笑った後に挨拶した。

「久しぶりだねー!獪岳。こちらは俺の友人で炎柱の煉獄杏寿郎だよ。」

目の前に居る黒い目に翡翠色の瞳が特徴的な青年の服装は鬼殺隊の隊服の上に黒い着物を着込んでおり、腰には青い帯を巻いている。

更に首や腕には青い勾玉が付いた装飾を身に着け、木刀を持って鍛錬している獪岳(かいがく)と再会した。

「宜しく頼む!!」

杏寿郎が挨拶すると獪岳は興奮したように

「柱の方ですか!!」

 

杏寿郎とカナエは頷いて

「いかにも!!炎柱の煉獄杏寿郎だ!!」

「同じく花柱の胡蝶カナエです。よろしくね。」

しのぶは

「私は柱ではありませんが、階級は甲の胡蝶しのぶです。よろしくお願いします。」

獪岳すぐに

「あっはい!!己の獪岳です。よろしくお願いします!!」

 

そう言う間に家の中から和星と獪岳の育手の桑島 慈悟郎も出てきた。

それを見て和星はすぐに挨拶した。

「お久しぶりです。師範!!」

「おお!!和星よ、そして皆も久しぶりじゃな!!」

そう言って桑島は和星と杏寿郎とカナエとしのぶを迎え入れた。

 

 

 

 




カナエとしのぶの最後の場面を見て衝動的にこの話にしました。
後悔はありません!!

では、また次回で!!


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