宇宙のステルヴィア〜星の軌跡〜 (九龍)
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プロローグ1 〜まさかの浪人〜
みずへび座ベータ星ハイドラスベータの超新星爆発は
20光年離れた地球に大きな被害をもたらした・・・・
『ファーストウェーブ』
光の早さでやって来た電磁波と放射線は地上を焼き南極の氷を溶かしていった
そして・・・
ガスに包まれた緑の宇宙・・・・
それが俺が知っている宇宙の色・・・・
今は西暦2355年
今は西暦2355年
Side 狛江 真也
「どういうことだ!糞親父!!」
俺は理不尽きわまり無い糞親父の言葉にぶち切れ寸前・・・・いやぶち切れていた。
「だから真也・・・お前のステルヴィア入学・・・・今年諦めてくれ」
「俺に!理由も無く!ダブれって言うのか!!」
「いや、理由ならある。私の研究を1年間手伝え・・・ということだ。
安心しろステルヴィアのリチャード教授にはもう伝えてある」
「はぁ!!なんだよ!それ!!」
まぁいい、親父の都合なんて知ったこっちゃ無い。受験票をもって勝手に受けに行けば問題ないはず
「とりあえず、話は以上だ」
俺は最後に悪態ついて
「地獄に落ちろ!糞親父!!」
リビングから出て行った
side out
Side 父
うーむ、まぁ勝手に理由をつけて入学を遅らせたが・・・・言えない
真也の受験票と重力船『フジヤマ』の両方入った袋を煙草の火種を落として燃やしたなんて
ばれたら・・・・・・・殺されるな・・・・・・まぁ試験は明後日、その前に研究所に突っ込んで真也にオーバビスマシン『ストラーダ』のバグ取り・・・・もとい、テストパイロットをやってもらはねば。
後は・・・ん?何時もなら1時過ぎても起きているくせに今日はもう寝たのか・・・・今のうちに簀巻きにして研究所に詰め込むか・・・・
side 真也
眠い・・・つか、何でこんなに揺れているんだ?
昨日はちゃんと布団で寝たはず・・・・しかし、全身に感じるこの不快な締め付け具合といい目を覚ました筈なのに未だ暗闇のまま・・・うーん、まだ意識がはっきりしないな・・・・ん?揺れがおさまっ!!
「ぐへっ!!」
「おー起きたか真也、もう研究所に付いたぞ」
なんかとんでもないこと言い出しやがったぞ
「どういうことだ糞親父!!俺は明日、受験日なんだぞ!!」
「そう、怒鳴るな、昨日も言ったようにリチャード教授には、話を通してある、
それにお前に頼みたいのは、父さんが作った試作オーバビスマシンのテストパイロットをしてもらう為だ。
小さい時から研究所のシュミレーターで遊んでたお前なら、オーバビスマシンのシュミレーターくらい楽なもんだろう・・・
あぁ、言い忘れたがその試作機は今年の10月にステルヴィアに打ち上げる。その時には、真也お前も来るんだ。
父さんはこの試作機が仕上がり次第にセカンドウェーブ対策でウルティマにいる風祭技官のサポートに行く
その間に真也、お前はレイラ教官に宇宙での実機機動を学んでこい。来年の2月までには終わる予定だ」
うん、もう嫌だこの親父・・・・・2月に終わる?勉強する時間すら無いじゃないか!でもまぁ・・・・ステルヴィアに入学する前からオーバビスマシンに乗れるのは有難いかなー
「まぁ受験に関しては12月辺りにやって貰うように話しておこう」
仕方ない・・・もう、何を言っても無駄だな・・・・ポジティブに考えよう
「分かったよ、とりあえずそのストラーダの機動シュミレーターに案内してくれ」
「納得してくれたか・・・・じゃぁその前に航行プログラムを組んでくれ」
へ?イマナンテイッタ・・・・・
「親父・・・・よく聞こえなかった・・・なんだって?」
「だからストラーダの航行プログラムを組んで欲しいんだが・・・・駄目か?」
駄目だこの親父、早く何とかしないと
「んなもん駄目に決まってんだろ!!航行プラグラムなんて重大な部分をこんな餓鬼にやらせるか普通!!」
「やらせるな・・・・ただの中学生やらせんがな、だが一応お前は世界プログラムコンテスト実技部門で最優秀者だろ」
確かにステルヴィアに入る為に色々資格やコンテストに出ていたが・・・・
「あれは、たまたまに決まってんだろ!」
「つべこべ言わずさっさとやりなさい、コレは決定事項なんだよ
それに自分で組んだ航行プログラムなら癖が分かるだろ。
あぁ、安心してくれ、ちゃんとサポートは着けるから」
それならその人にやらせてくれ・・・・
「豪徳寺君」
ゴウトクジって言う人なのか、サポートの人は
「なんですか?所長」
綺麗な人だな・・・・名前は厳ついが
「紹介しよう、ストラーダの航行プログラムを担当させる私の息子の真也だ、あぁ君をあのコンテストで負かした少年だよ」
ん?見とれていたら、親父がなんか言った気が・・・・
「へ~彼が・・・よろしく真也君、私は豪徳寺 朱音、豪徳寺でも朱音でも好きな方で呼んで頂戴
彼方のプログラムには純粋に興味があるわ・・・・この機会に是非研究させてもらうわね」
「え~よろしくお願いします、朱音さん。とりあえず自分のプログラムなんか研究してもしょうがないですよ・・・・それに朱音さんからも親父になんか言ってやってください。」
「あら?私はかまわないわよ?私より優秀な彼方のプログラムを研究できるのだから」
へ?俺が研究所で働いている朱音さんより優秀?そんなわけあるか?いやあるはずが無い!反語!
「なにをご冗談を、自分なんかより此処で働いてる朱音さんの方が「そんな事無いわよ」へ?」
「私は、去年のコンテスト21歳以下の部で彼方に負けたのだから、だから是非とも彼方のプログラムを研究したいのよ。」
馬鹿な!確かに21歳以下の部が受けられる唯一のものだったけど、朱音さんも受けていたとは!
「まぁ、そんな訳だからよろしくお願いね」
「分かりました。至らない点が多々あると思いますがよろしくお願いします。」
「話は纏まったかな?じゃぁ早速作業を始めようか」
あーもう逃げられない・・・やるしかないか
「豪徳寺君、作業場まで真也を案内してくれ、何かあったら工房まで内線をくれ、仮組みをしているから、」
なんだと、まだ完成していないのにこんな所につれてきたのか
「親父、完成してないのに連れて来たのか?」
「ん?あぁ、確かにまだ仮組みだ、だがそれには理由があるのだよ、プログラム次第でノズルの長さ、バッテリーの総量や重力制御装置とか他もろもろの設定をしなきゃいけないからね、完成した機体を改修するより費用も掛からないし時間も短縮できる」
なるほど、行き当たりばったりかと思ったらちゃんと考えてるんだな、そうだよな、親父は此処の局長だもんなー
「もういいか?真也」
「あぁ、大丈夫」
「じゃぁ豪徳寺君、後は頼んだよ」
「えぇ、お任せください局長」
Side out
Side 朱音
私は今信じられない物を観ている
所長のご子息のプログラミングは私より数段高みにいる、作業を始めてもう6時間、休憩なしでやっている
このペースでやって行くと本日中に1.5割がた、あの複雑なオーバビスマシンの航行プログラムが完成する、
彼のプログラムは、機能美を追求していくタイプみたいね、それに例えるなら、そう!日本刀、全てにおいて無駄が無い設計
というか剃りや鞘走りなどを考慮して作られ、美術的価値があるあの日本刀・・・・彼のプログラムからそんなイメージを持った
ん?彼は何をやっているのかしら、邪魔しちゃうみたいで悪いけど聞いてみるのも・・・・まぁいいかな
Side out
Side 真也
うーっし、大体重力制御系のプログラムは8割くらい出来たな 後はバッテリーの制御系や緊急停止用ガスブレーキのシステム構成etc・・・・全体の1割くらいかな~、でも今のプログラムじゃOSが追い付いて来ないからOSも一から組んじゃおうかな
とりあえずOSを「信也君、ちょっといいかしら」なんだろう?どこかミスったかな
「どうかしましたか?朱音さん」
「いえ、ちょっとね・・・今やっているプログラムは航行プログラムじゃないでしょう、で何をやっているのか興味を持ったのよ」
なるほど・・・・こっちもOS関連で処理能力関連の事が聞きたかったから、渡り舟かな
「その前に聞きたいんですが、ストラーダの処理能力はどの程度なのですか?」
「え?確かケイティより上よ、DLSを使えばさらに性能は上がるはずよ、けどそれがどうしたの?」
なるほど・・・今描いてる構想のOSでいけるな
「いえ、既存のOSだと処理落ちしそうなので、OSを組んでいるのです、一応オーバビスマシンのOSやDLSなどのプログラムは
親父の書斎に勝手に入って調べたりしていたので大丈夫だと思うのですが後で見てもらえますか」
「えぇ、お安い御用だわ、もういい時間だからそろそろ終わりにしなさい。時間はたっぷりあるのだから」
ふむ、OSは一週間あれば完成するかな?後はそれに合わせて航行プログラムを組めばいいかな
「分かりました、じゃぁ今日は上がりますね・・・・で、自分は何処で休めばいいでしょうか?」
「あ、そうね今所長に聞いてみるわ」
うーんやはり綺麗な人だ・・・
「所長、豪徳寺ですが、信也君の部屋の件ですが・・・・はい、はい・・・分かりました、はい、その様にします、では失礼します」
電話が終わったようだ
「えっと真也君の部屋は研究所員のアパート、所謂社宅みたいな場所ね、一応研究所内にあるから鍵は信也君がつけてる局員証ね・・・・IDが登録されているらしいからそれで開くはずよ、とりあえず部屋まで案内するわね」
ふむ完全に缶詰状態か・・・しかし此処はいい勉強になると思い諦めるしかないか・・・・
「信也君、此処が彼方の部屋よ、中にはPCとテレビ、冷蔵庫にお風呂、これらは自由に使っていいわ、それに食事とかはこの上の階にコンビニと局員食堂があるわ・・・・支払いも局員証で出来るからそれをつかってね、此処まででなにか質問は?」
ふむ、局員証=財布だな、なくしたら・・・・・最悪だな
「いえ、特にはありません」
「なら大丈夫ね、あと女性用住宅ブロックには入らないようにね」
「分かりました」
うん入ったら・・・・・殺されるな、朱音さん目が笑ってなかった
「それじゃ、お休みなさい」
「はい、お休みなさい」
これからこういう生活が続いていくのか・・・・まぁステルヴィアも寮だったはずだし、まぁ慣れておくにはちょうどいいな、
とりあえずご飯は・・・・局員食堂でいいかな、うん
はい、局員食堂で食べました、人が全く居ないのは時間帯の所為だと思ったら・・・・まさかこんなに不味いなんて・・・・まぁ、一食350円じゃしょうがないのかな・・・・・・
うん自炊しよう、今度スーパーは何処にあるか聞かなきゃ・・・・
Side out
お読み頂きありがとうございます
再アップ作業は合間を見て行って行きますので最後までお付き合い頂けたらと思います
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プロローグ2 〜気が付けば〜
side 真也
《pipipipipipi・・・・・・pipipipipipi》
ん?なんの音だ
聞き覚えの無い電子音に起こされ辺りを確認する。
「電話?」
「もしもし」
《あ、真也君?豪徳寺です。昨日は良く寝られましたか?》
どうやら心配して電話をしてくれたみたいだ。
「おはようございます。朱音さん、はい良く寝れましたよ」
《そう、それは良かったわ、それじゃぁ今日も昨日と同じ部屋に来てください
ね》
「分かりました、何時頃行けばいいですか?」
《そうですね・・・・10時くらいで大丈夫ですよ》
「分かりました。10時ですね、それではその時間に向かいます」
《それでは今日もお願いしますね、ではまた後ほど・・・》
「はい、では失礼します」
そう言い電話を切った
さーて、今日は昨日の続き、OSを仕上げよう・・・・・大体基礎は他のオーバビスマシンと変わらないから、大体1週間くらいで仕上がるはず・・・・
その後航行プログラムを組んで行って、デバック作業も合わせれば・・・・
長くても3ヶ月でプログラム自体は終わるはず、
まぁ頑張っていきますか・・・・っと腹の虫が鳴いたな
今日はコンビニにしよう
「いらっしゃいませー」
店員のマニュアル化した挨拶を聞き流しながら朝食を決める
とりあえずおにぎり・・・ツナマヨ、紅鮭は外せない、後は・・・・ん?
新発売!スパイシー唐揚げ山葵マヨ
なんだろう、凄く気になる・・・・145円・・・・微妙に高い・・・
うん・・・・まぁ、買うか
レジへ向かい
「105円が一点・・・・115円が一点・・・・145円が一点、合計三点で365
円になります」
「局員証で」
「はい、畏まりました、そちらにかざして下さい・・・・・《pi》はいありがとうござい
ます。こちらレシートと、商品になります。」
商品を受け取り出口へ向かう「ありがとうございました、またお越しくださいま
せー」っとやはりマニュアル化された挨拶を背に自室に戻って行った
自室に着き冷蔵庫から水を取り出し、おにぎりを消化する
「・・・・・新発売のスパイシー唐揚げ山葵マヨ・・・・・微妙だ・・・・兎に角山葵が邪魔だ、
マヨネーズだけにしとけばそれなりに・・・・」
うん、そんな事考えて食事を終えると時間は9時30分、
「さて、行きますかね」
と呟き自室を出た
局員に挨拶しながら目的地に到着、携帯で時間を確認すると9時45分・・・
・ちょっと早く着きすぎたな・・・・
部屋に入ろうとすると「真也君」と後ろから朱音さんの声が聞こえる
「おはようございます、朱音さん」
「おはよう、随分とはやいわね、きっちり15分前、」
「えぇ、やはり時間ぎりぎりよりも、余裕が欲しいですから」
「良い心掛けですね、では少し早いですが、作業を始めましょうか」
「はい」
そして部屋に入り作業を始める
う~ん、ビアンカやケイティとの性能差はどの程度なのだろう
それが分かれば、ストラーダの予測数値を的確に出せるのだが
「すみません朱音さん、ストラーダと他のオーバビスマシンの性能差はどの程度なのですか?」
「教えて無かったかしら?
性能差さね・・・・カスタムパーツを着けないノーマルスペックは
加速は、ケイティの1.5倍、旋回性能は、ビアンカの1.75倍、装甲はビアンカの1.1倍、バッテリーはケイティの2.75倍・・・・その性能を発揮させる為に機体サイズがケイティの1.5倍・・・・コストは・・・・・あまり考えたく無いけどケイティ5台分くらいね
航行プログラム次第なんだけど、どんなに上手く作ってもかなりピーキーな機体になるわね
あとアンカーワイヤーがストラーダには標準装備よ
使いどころが分からないけどね・・・・・
後、そういう情報は基本的にPCのストラーダフォルダに入っていから自由に見ていいわよ」
なるほど、ちょっと見てみようかな・・・・アンカーワイヤー、概要を読んでも実に意味が無さそうだ、360度打てる意味が分からん
機構がストラーダのフロントについてるのか・・・・
まぁ一応OSに組み込んでおこう、さて後は姿勢制御プログラムと
あ・・・・良い事思いついた、どんな機体にもリミッターが付いてるからその解除コードも組んでおこう、そうすればカタログスペック以上の性能が出るし
さーてプランも決まったしこのプランなら9月にはステルヴィアに行ける、
さて頑張りますか、
side out
side 朱音
うーん失敗したわ
まさか機体スペックを伝えるの忘れていたなんて
もうそろそろ13時ね、お昼は何にしようかしら
簡単にコンビニでいいかしら?
さて、真也君の作業状況は・・・・・・あ、相変わらず凄いわね
こういうのを天才って言うのかしらね
あ、作業もちょうどひと段落付いたわね
「真也君、そろそろお昼にしましょ」
「はい、分かりました」
うん、休憩前に首を鳴らす癖は局長にそっくりね
「私は、コンビニにしようと思うのだけど真也君はどうする?」
「自分もご一緒します。」
「じゃぁ行きましょうか」
今日は、何を食べようかしら
side out
そして240日が経過しプログラム、OS両方を完成させ
オーバビスマシン、ストラーダのシュミレーション過程を終えた真也は初めての宇宙へと繰り出す。
真也の新たなステージはファウンデーションⅡステルヴィアへと移ろうとしていた
side 真也
親父に無理やり連れてこられ、約8ヶ月、明日・・・・ようやくステルヴィアに行ける
航行プログラム、OSの完成自体は3ヶ月ちょいくらいで終わったがシュミレーターにインストールする前がデバックの嵐でもう1ヶ月、シュミレーターでの練習が4ヶ月・・・思い返せば色々あったが良い勉強になった
あの後、炊事洗濯掃除・・・・・母親がしてくれた事を自分でやるようになりこれからの寮生活も随分と楽になった
朱音さんも自分の料理をおいしいといってくれるまでになった
それからは料理が趣味のようになったがこれは些細なことだ
明日は早い、今日はもう寝て明日に備えるとするか
side out
side 朱音
あっというまに真也君が宇宙に上がる時が来てしまった
最初、心の中ではこんな子供にっていう思いがあったけど、それは最初の彼のプログラムを見て180度気持ちが変わったわ
今では弟のように思える
さぁ、明日は弟の門出よ、笑顔で送らなきゃね
side out
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プロローグ3~宇宙へ~
side 朱音
とうとう真也君が宇宙に上がる日が来た
『ナスカ発ファウンデーションⅡステルヴィア行きは定刻通り運行致します。当機ご利用のお客様は搭乗手続きを済まし第三ゲートにお進みください』
「そろそろね、じゃぁ真也君・・・短い間だったけど私もいい勉強になったわ
地球に帰って来たら、宇宙での話しとか聞かせてね、休みの時とかも基本的に研究所にいるから遊びに来てね」
「ええ、では朱音さん・・・・行ってきます」
「では豪徳寺君、私が居ない間、研究局の管理は頼むぞ」
「お任せ下さい、局長」
さぁ、これから大変になるわよ・・・
局長が指揮を執ってたストラーダのオプションパーツ
完成の目途は来年の11月あたり、これは研究所に缶詰めね・・・・頑張りますか
side out
side真也
『当機は間もなく、ファウンデーションⅡステルヴィアに到着致します。
指定座席に御戻りになり、今しばらくお待ちください』
アナウンスが聞こえ座席に戻る
今まで見上げるだけの宇宙に・・・・今俺はそこにいる
そして、これからの数ヶ月をこの宇宙で過ごす
・・・・・・・不安と期待が入り混じるこの高揚感
「これからが本番だ」
さて、これから教えを請うレイラ・バルト教官はいったいどんな人なのだろうか
まぁ気にしても仕方がない
そうこう考えている内にステルヴィアに着いた
「さて、真也これからリチャード教授に挨拶に行くぞ」
急に親父が話しかけてきたが・・・・・
親父・・・・・存在感が無いぞ
「ん?どうした真也、鳩が豆鉄砲食らったような顔をして」
みなまで言う必要は無いだろう
「いや、なんでもない」
「そうか、挨拶に行こうか。
けして失礼の無いようにな」
「分かってるよ」
side out
side リチャード
さてそろそろですかな
「おや、もうこんな時間ですか」
ヒュッター先生も気がついたようですな
「そうですな、そろそろ見えるころでしょう」
「では、今回は私の勝ちで締めくくるとしましょうか・・・・・では、チェックメイト」
「ふむ、これはやられましたな」
ヒュッター先生もなかなかやるようになってきたようですな
「では台を片付けけますかな」
「ええ」
ちょうど片付け終えた所でベルが鳴る
『リチャード教授、狛江です』
ふむ、ちょうどいいですな
「あいていますよ、どうぞお入り下さい」
「失礼します、どうも教授、この度はこちらの我侭を押し通してしまい申し訳ありません」
「いえいえ、それにしても立派なお子さんをお持ちで、親として誇らしいでしょう、狛江局長」
「そういって頂くと私も喜びを隠せませんな」
「自分の意思を折ってまで協力する、それを行動に移す人極わずかだ」
ヒュッター先生の言うとおりこの年頃の子は自分の我を通し続ける傾向にある
さらに言うなら大人になるにつれてその傾向は強くなる・・・・まぁ一般論なのですがね
「さて、狛江 慎也君、君はこの宇宙に何を思い着たのかね」
さてこの少年はどう答えるかな
「自分は、この宇宙の、広大な宇宙の幾重に連なる一本の道の一つを目指したいと思っています」
なるほど、出来た子だ
「子は親を追い、親は子を思う」
ヒュッター先生は何を・・・・・ふむ、狛江局長のオーバビスマシンのことか
「確か、狛江局長・・・・あなたの研究局のオーバビスマシンの名前はストラーダでしたな」
「ストラーダ、イタリア語で道の意味」
「ふむ、なるほど、真也君・・・・星の道のりは長く険しい、ステルヴィアでその術を学びその思いを胸にがんばって欲しい
私は君の面接を担当する筈だったんだが、君には必要ないようだね、後は筆記試験のみを頑張りなさい。
学園長には話しを通してくよ、それにこれからレイラ教官が来ることになっているからこれからの事を聞いてみてはどうかな」
「はい、そうさせて頂きます」
『失礼します、レイラ・バルトです』
「丁度いいですな、では狛江君、頑張りたまえ、それと彼女が君に宇宙でのオーバビスマシンの教導してくれるレイラ・バルト教官です」
「レイラ・バルトだ、よろしく」
「よろしくお願いします。狛江 真也です」
「早速だが場所を変えてこれからのプログラムを説明する。着いてきなさい・・・・では、失礼します」
「分かりました、では失礼します」
ふむ、さて狛江局長を待たせ過ぎてしまったかな
「では狛江局長、ストラーダの調整やデータ取りの場所へ案内します、場所は一般学生立ち入り禁止区域・・・・シークレットルームです」
「ほう、確かあそこにはギガンティック・アクティモ・ソーマ試作1号機、インフィニティが置いてあるはずでは?」
「やはりご存知でしたか、しかしあの場所程に適当は無いのでね」
「ご存知もなにもあれのレーザ砲は内の局も一枚噛んでいますからな・・・・・それにストラーダのオプションパーツにはそれの小型版もコンテナに入っているのですよ」
「確かバッテリー内蔵型でしたな・・・・しかし何でまた?」
「備えあれば憂いなしとも言いますし、何より・・・・・これから何が起こるか分からない、それが必要な時にこんな事もあろうかとっと出してみたくなるのが研究者の性ですよ」
「なるほど、えてして研究者はそういうものですか」
「「はっははははは」」
side out
side 真也
親父に連れられて
リチャード教授の部屋に行った
親父とリチャード教授が話しをしていると急に此方に話しかけてきた
「さて、狛江 慎也君、君はこの宇宙に何を思い着たのかね」
この質問は俺の夢を言えば大丈夫だな
「自分は、この宇宙の、広大な宇宙の幾重に連なる一本の道の一つを目指したいと思っています」
「子は親を追い、親は子を思う」
俺の言った事になにかあったのか?
「確か、狛江局長・・・・あなたの研究局のオーバビスマシンの名前はストラーダでしたな」
ん?ストラーダがどうしたんだ?
「ストラーダ、イタリア語で道の意味」
「ふむ、なるほど、真也君・・・・星の道のりは長く険しい、ステルヴィアでその術を学びその思いを胸にがんばって欲しい
私は君の面接を担当する筈だったんだが、君には必要ないようだね、後は筆記試験のみを頑張りなさい。
学園長には話しを通してくよ、それにこれからレイラ教官が来ることになっているからこれからの事を聞いてみてはどうかな」
え!今ので面接試験はいいのか!?確かに面接で同じ事を聞かれたらそういうふうに答えるが
後話しの最後の方に言ってたレイラって人が俺にオーバビスマシン教導を担当してくれるのか
とりあえず返事をしなくては
「はい、そうさせて頂きます」
『失礼します、レイラ・バルトです』
「丁度いいですな、では狛江君、頑張りたまえ、それと彼女が君に宇宙でのオーバビスマシンの教導してくれるレイラ・バルト教官です」
「レイラ・バルトだ、よろしく」
この人が教えてくれるのか・・・
「よろしくお願いします。狛江 真也です」
「早速だが場所を変えてこれからのプログラムを説明する。着いてきなさい・・・・では、失礼します」
とりあえず着いていきますか
「分かりました、では失礼します」
「簡単にだが、今後のプログラムを説明する。
私は学生の実機校外演習を担当している、その都合上君に教えられるのは授業が終わった後になる・・・・なので君は私の手が空くまではシュミレーターで訓練していて欲しい
そして、ある程度慣れてきたら、授業を見学し私の判断でそれに参加させる・・・・・以上で何か質問は?」
なるほど、学生を教えているのではしょうがないよな・・・・でもそしたらレイラ教官は何時休みをとるのだろうか
「しかしレイラ教官は何時お休みを?」
「問題ない・・・これも仕事の内だ」
「そうですか、ではこれからよろしくお願いします」
「ああ、こちらこそよろしく
では、早速明日から始めたいと思う、今日はゆっくり休んで明日に備えて欲しい、」
「分かりました、では明日は何処に行けばよろしいですか?」
「すまない、言ってなかったな・・・・とりあえず案内版を見てくれれば分かると思うが演習を行う時は格納庫に来て欲しい
シュミレーターは案内版を見て分からなければ、聞いてくれ、後君の部屋なのだが学生寮になる・・・・君は学生では無いのだが特例処置だな。
普通は二人部屋なのだが、今回は君一人になる、これがその部屋の鍵だ、学生寮はこのまま真直ぐ行けば着君の部屋は一番端だ」
なるほど、しかし親父は何処で寝るんだ?部屋は俺一人らしいが
「分かりました、それで親父は何処で?」
「君のお父さんは、研究機材があるシークレットルームで寝泊りするらしいが」
「そうですか、分かりました」
さて、親父の事はいいとして明日の為に今日は早く休むかな・・・・
「それではレイラ教官、今日はこの辺りで失礼します」
「ああ、ゆっくり休んでくれ」
side out
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プロローグ4 ~合同演習!?~
真也が教導を受け始めて三ヶ月
明日、予科生との合同演習をする事なった
side 真也
「よし、今日はこれまで」
「ありがとうございました」
「明日は予科の演習を見学してもらう、搭乗機はストラーダだ、そして何時も通り格納庫へくるように
そして明日の予定は通常機動と・・・・これは狛江局長からの要望だがアンカーワイヤーのデータ取りをして欲しいそうだ
何分使う機会が無いからデータが不足しているらしい。
狛江局長曰く壊しても構わないそうだ」
「分かりました、それでは明日もよろしくお願いします。」
「ああ、それではちゃんと体を休めるようにな」
「はい、それでは失礼します。」
とりあえず体を休めるようにって言われてたがアンカーワイヤーをどう使うか・・・・
簡単に思いつくのは運搬かな・・・・・そうなるとストラーダの重力推進器の出力で動かせる物に限るな
小さい隕石なら楽だろうが大きい物になるときついかな
でもアンカーワイヤを大きい隕石に固定すればストラーダのフロント部分に付いてるアンカーワイヤーを軸に変則的な機動が出来るかもしれないな
これは明日レイラ教官に聞いて許可が出たら試そう
さて、考えるのはこれくらいにして今日はもう寝るとしますか
side out
side レイラ
「今日の演習には見学者がいる!各自習ったことを存分に発揮し無様な姿は見せないように」
『はい!』
たく・・・・・返事だけは一人前だな
今日の演習で活を入れる為に狛江に参加してもらうか・・・・
『教官、あのオーバビスマシンはなんですか』
「あれは、狛江研究局で作られた物だ、詳細は機密だがパイロットはお前達と同年だ」
『あのオーバビスマシンは今日の演習に参加するのですか』
「あぁ、だからお前達・・・気合入れて励めよ」
そういえば狛江が演習前にアンカーワイヤーを使った機動をやりたいと言っていたな
演習中は許可できないが終了後なら試してみる価値はありそうだ・・・・・ビック4に頼んで隕石を牽引してもらうか
「こちらレイラ・バルト、迅雷は居るか」
『どうしたレイラ、何か問題か』
「いや、狛江局長に頼まれていたアンカーワイヤーの実験に必要な隕石をビッグ4に牽引して来てもらおうと思ってな」
『確かにあいつらなら信頼できるからな、分かったこっちで頼んでおく』
「よろしく頼む」
さて、予科生の演習を始めるか
「よし、準備が出来た者から障害物を避けながら私の機体を目印に集合!」
『はい』
さて、全員きたら狛江にも参加させるか
side out
side 真也
なるほど、練度はそこそこって感じかなこのくらいなら俺も参加できそうな感じ
ん?
『狛江、最後の機体が着いたら私の機体の所まで来るように』
なるほど、参加させて貰えるのか
「はい、分かりました」
さて、周辺の障害物捕捉、出力60%、レイラ教官のオーバビスマシンの位置を確認
「行きます!」
正面右上障害物確認、その前方に障害物、その先10m圏に障害物8確認
それを避けて行く最短ルートは・・・・・これか
最初の障害物を避け順調に避けていく
・・・・・良し、後は最後の・・・・っ!
ここにきて障害物を見落とすなんて!
前面の障害物に重なっていたのか!?
避けるにしても距離がたりない、左側面のサブエンジンを使って・・・・・横を抜ける!
っ!
なんとか切り抜けたか・・・・
これは後で何を言われるか・・・・・
『狛江、見事な状況判断と操作技術だった・・・・・だが終盤でのあの機動、見るからに最後の障害物を見落としていたな、本来なら常に気を配ら無ければならないが、今回はストラーダに助けられたな・・・・・最後以外は良かった、これからは本日の演習で気付いた事を忘れないように・・・・いいな』
やはり言われてしまったか、今回は完全に俺のミスだった、この様じゃ提案したアンカーワイヤーの機動はやらせて貰えないだろうな・・・・
「はい!」
『最後に、予科生達にいい刺激になった・・・・感謝するぞ
それとこの後はお前が提案したアンカーワイヤを使った機動を行う、出力は30%固定、予科生達が戻り次第に始めるぞ』
さっきの様なミスをしたのにやらせてくれるのか
「はい」
今度は気をつけるぞ
side outo
side レイラ
狛江の奴、最後の機動は危なかった、ストラーダの装甲ならぶつけて大事にはならないと思って経験を積ませるつもりで何も言わなかったが・・・・あの場面での状況判断、操作技術には眼を瞠るものがあった
今回の一件を糧に出来れば更なる上達が見れるだろう、来年入学して来るのが楽しみだ
『レイラ教官、隕石を持ってきましたよ』
ビッグ4のケント・オースチンか
流石に仕事が早いな
「わざわざすまないな」
『いえいえ、それでアレが例の・・・』
ビッグ4と言えども流石に気になるか・・・・
「あぁ、狛江研究局が開発したストラーダだ」
『あれが・・・・・それにしても機体の性能も然る事乍らパイロットの腕もなかなかですね、最後はぶつかると思いましたよ』
見ていたのか、私もぶつかると思っていたからな
「そうだな、だがまだ機体に乗せられているな、しかしあの機体は本科生でも操るのが難しいだろう、私も好んで乗りたいとは思わん」
機体の機構上仕方ないのだろうが・・・私に言わせて見ればとんだじゃじゃ馬オーバビスマシンだな
加速性、制動性、旋回性、あれもこれもと節操無しに追求した形なのだろうけど・・・・その分コストがな・・・・確かケイティ五台くらいとか
もし世に出回るとしたら操作性も簡易になりコストを下げた物になるだろうな、それでもケイティ二台分くらい掛かりそうだ
『僕や初佳達でもきつそうですね・・・・・しかし乗ってもみたいですがね』
まったく
「それは私の一存では決められないからな・・・・取り合えずストラーダのシュミレーションでBランク以上取ってからだな
この後も運んで来て貰っ物を使って教導するが・・・・見ていくのか」
『出来ればそうさせて頂きたいですね』
「分かった、ただ此れは一応狛江研究局の預かりだから映像記録等は撮るなよ」
『ありがとうございます。』
まったく仕様が無い奴だ
さてそろそろ始めるか
『狛江、今から始めるぞ』
side out
side 真也
『狛江、今から始めるぞ』
よし、頑張るぞ
『障害物は全部で4つだ、では、スタート!』
「はい!」
出力30%、障害物を・・・・ロック・・・・距離は・・・・・今!
《ガツ!!》
よし固定完了!これで後は曲がれっつ!この衝撃はつらいな
この辺りでアンカーを外して次に固定!
・・・・よし!今だ!、こっちも半周ぐらいして・・・・・急旋回《ばきぃん》!!アンカーワイヤーのジョイント部分にエラーが!!
くっ!緊急停止!
前面に緊急停止用の高圧ガスの噴射
急制動が掛かりストラーダは停止する
『狛江!大丈夫か!?』
「大丈夫です、しかし強度が足りなかったようですね」
『あぁ、この強度ではオーバビスマシンの牽引にも影響が出るかもしれないからな、狛江局長には今回のデータを送信しておく
ストラーダがこの様子では今日はここまでだな、格納庫へ戻り自室でじっくり休めよ』
「わかりました、今日もありがとうございました」
さて、ストラーダがこんな様子では仕方ないな・・・
それよりも
「無茶させてすまない、ストラーダ・・・・」
損傷してしまったストラーダに誰に聞かれることも無くそう呟いた
side out
side ケント
白銀教官に言われ隕石を引張って着たけどまさかこんな事をするためとは・・・・
あのワイヤーの使い方はきっと本来のそれとは違うのだろうけど
あの操作技術・・・・あれで予科生ですら無い言う
「来年が楽しみだ」
でも・・・あの機動はケイティじゃ出来ないな
初佳が見たらなんと言うか・・・・ここに居ないのが勿体無かった
さて、演習も終わりみたいだからそろそろ戻ろうか
side out
あれから数ヶ月・・・・
ワイヤーアンカーの強度不足の発覚に狛江局長は材質の改善、ショックアブソーバや遊びを付ける事で実用段階まで持っていった
ストラーダの実用実験を終えた狛江局長、真也の父はセカンドウェーブ対策でウルティマにいる風祭技官のサポートに行き
真也は地球へ戻った
そして入学試験を終え
ステルヴィアの入試に合格した真也は晴れて一年送れの入学となった、
今後の真也の活動は本格的に宇宙、ファウンデーションⅡステルヴィアへと移すのであった
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第1話 ~真也再び~
side 真也
『ナスカ発ファウンデーションⅡステルヴィア行きは定刻通り運行致します。当機ご利用のお客様は搭乗手続きを済まし第三ゲートにお進みください』
またステルヴィアに行く日が来た、
今度はちゃんと学生として・・・・
他の入学生は親とか見送りに来るだろうけど、親父はウルティマ、母は新規のプロジェクトで忙しいみたいで来れなかった
まぁ出立前にはちゃんと声をかけてくれたが・・・・
未だにハンカチ、チリ紙等言われるとは思わなかった・・・・・ちゃんと持ってきたぞ、ハンカチ、チリ紙・・・・
まぁそうこうしてる内に第三ゲートまできたが
「なによ!こないんじゃ無かったの!!」
ん?いったいなんだ?
「来るわよ、志麻ちゃんの出発だもん!日本からわざわざ交通費払ってペルーまで見送りににやってきたのよ!」
ここまできて喧嘩か?まぁ聞き耳立てるのも悪いし先に行くとしますか、
side out
side 志麻
「なによ!こないんじゃ無かったの!!」
なんでここにちーちゃんがいるの?
「来るわよ、志麻ちゃんの出発だもん!日本からわざわざ交通費払ってペルーまで見送りににやってきたのよ!
親と揉めて出て行くなら優しい言葉なんて当てにするな!」
な!
「離れ離れになっても寂しくなーい!
・・・・私には海人君がいるもん、真人がいるもーん!
いーか甘えん坊娘!物になるまで帰って来るな!べ~っだ・・・ふん!」
な・・・なによちーちゃんの馬鹿
ちーちゃんなら分かってくれると思ったのに
「帰ってくるよ!物になって帰ってくるよ!その時は・・・・・・ベーっだ!!」
もうちーちゃんなんて知らない
「・・・・・うう」
泣きたくなんか無いのに
「ほれ」
え?
「折角の門出だ、何も涙で飾る事もないだろ?
ほら、これあげるから涙拭いて・・・・」
そういってハンカチを渡してくるこの人は・・・・
「さて、君の知り合いだろ?今こっちに駆けてくるのは」
「ねーちゃーん!」
この声は、真人!
「すみません、これ借ります」
そういって涙を拭き取っている内に
「はい、餞別・・・」
「ありがと」
「大事に食べてよー」
まったく、でもなんだろ?あ!
「これ、ありが・・・・あれ?」
ハンカチを渡してくれた男の人はどこいったんだろう?
あとで探して返さなきゃ!
「あ!そうだ」
でも本当になんだろ、
《カシャッカシャ》
取り合えず振ってみたけどこの音だけじゃ分からないよ
む、とれない・・・・えい!
「あ・・・わぁー」
金平糖だ~
「それはなんですか?」
「え!・・・あ、え、あ!金平糖といいます」
「かわいいお菓子ですね~」
「あ!食べますか?」
「いやいや、それは大事にとっておきなさい」
「はぁ」
『まもなく、ナスカ発ステルヴィア行き離陸いたします。速やかにご着席ください』
『まもなく、離陸いたします』
こらから、私は宇宙へ
「うっひゃ~待って待って!悪かった!私が悪かったです!」
え?
「はぁ・・・・・ふぇ~・・・・寝坊!」
「え?」
『これより離陸いたします』
「はぁ~」
『重力ジャンプ順調に開始しました、これから3時間30分空の旅をお楽しみください。』
「しかしやっぱりピンとこないね~いざ宇宙へって行ってもほら!表は見えないし!」
「はぁ」
元気な人だな~
「で、あなたもやっぱり宇宙学園に行く人なのよね!」
「え、えぇ」
「てゆ~かファウンデーションに行くのは新入生か商売関係の人でしょうからね」
「お爺さんはー」
「んー、あててごらん」
「お!そうきたか・・・・・じゃぁアレだ!喫茶店のマスターか売店でフライドチキンとか売ってる人?」
「はっははは、それはいい」
なんか凄い人だ
「で、あなたは名前はなんて言うの?・・・・私はアリサ・グレンノース」
「えっと、私は片瀬 志麻です」
「ですって他人行儀だな~まぁ仲良く行こうよ仲良く・・・ですを抜いてもう一回!」
「私、片瀬 志麻」
ハンカチを貸してくれた人を探さなきゃ
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
・・
駄目だ~人が多すぎて見つからないよ~
取り合えず、席に戻ろうかな
そうだ、金平糖をたべよう
ハンカチを貸してくれた人にも今度お礼としてあげようかな
一人で食べるのもなんだし、あ!あのお爺さんにもあげよう
「どうぞ」
「ん?いいのかい?」
「あ!いや、私も食べますので」
「どれ」
「それは、お砂糖、メイプル味」
「これは?」
「ソーダ味です」
アリサは・・・寝てる
《カリ》
ん、おいしい
「ステルヴィアに行って何をするつもりなのかな」
「それは、やっぱり勉強して」
うん今はそれしか思いつかないかな、漠然とし過ぎて
「当然勉強はするね、問題は勉強して何をするのか、何の為に勉強をするのか」
「とにかく、宇宙に行きたかったんです」
「ほう」
「見上げるんじゃなくて、普通に見たい、なんていうか・・・・正面から真直ぐ」
そう、これが今の私の気持ち
「はっははは、宇宙を真直ぐか、あなたはなかなか哲学的な事を言うね」
「私、言い方が突拍子もないってよく言われます」
「ほう」
「だから不思議なんです、よく宇宙学園の面接試験通たなーって、舞い上がって一杯一杯だったんですよ、ラッキだなーて」
《ガバ!》
え?ア、アリサ・・・・起きたの?
な、なんか眼が据わってて怖いんだけど・・・・
「睡眠終了ー!」
「「っ」」
「「あははははは!」」
『間もなくファウンデーションⅡステルヴィアが見えて参ります、只今、高度3000メートル』
「ステルヴィアだ!」
え!何処!?
ん~見えない・・・・・・あ!
「アレが・・・・ステルヴィア」
『こちらは、総合リーダー本科二年、町田 初佳です、新入生の皆さん、ようこそステルヴィアに、私達はあなた方を歓迎します』
「気分はまるでピーターパンね、窓の外にはティンカーベル・・・・そして側には」
「そして側には、ウェンディー」
私達もあんな風に飛べるのかな
「片瀬さん、お友達になりましょう」
「え?」
「あなたとなら、友達になりたい・・・・・ダメ?」
「えぇ、いいわ」
アリサと握手を交わしていると
「星の道のりは長い、オーバビスマシンケイティ、アレに君達が乗るのは何年後か・・・・・本当に覚えていないようだね・・・・・・ 受験番号B3048」
もしかして!
「あなたは!面接試験の時の!!」
「えーーーー!喫茶店のマスターじゃないの!!」
「リチャード・ジェームズ、宇宙学園ステルヴィア学園の主任教授です。
ようこそステルヴィアへ」
side out
side 初佳
さてそろそろかしらね
『フジヤマを肉眼でも確認!時間道理だ、初佳まずはよろしく!』
「了解、任せください」
さてケントの開会宣言の後ね
『これより、西暦2356、宇宙学園ステルヴィア校、新入生歓迎会を始めます」
さて時間ね
「さぁ、始めましょう・・・・・・全機、発進」
さて、行きますか
「一気に、仕上げます、GO!」
さてそろそろ良いころあいかしら
「こちらは、総合リーダー本科二年、町田 初佳です、新入生の皆さん、ようこそステルヴィアに、私達はあなた方を歓迎します」
さて、後は適当に流してステルヴィアに戻りますか・・・
「歓迎飛行、お疲れ様」
ケントか実行委員も大変だったでしょうに。
「実行委員長こそ、お疲れ様」
「あんなもの初めて見せられて、今年の予科生はついてるよ」
ふふ、嬉しいこといってくれるわね
「あこがれて、励みになって、勉強して、そうなると競争相手が増えちゃうな」
確かにそうなると学園としては良いでしょうが
「その時は、遠慮なく叩き潰します」
そう、私は負ける訳には行かないのよ
side out
side 真也
さてフジヤマも順調に運行中か取り合えずソファー辺りで休むとするか
「ふう、」
一息ついてコーヒーを飲む
「やっぱ休憩時はコーヒーでしょ」
うん、やはりコーヒーは美味い、砂糖ミルクは邪道!ブラックこそ一番楽しめる
「ここ、いいかい?」
ん?だれだ・・・こんだけ空いているんだから自由に座ればいいのに
「あぁ、ここは公共の場だ、好きに座ればいいさ」
「ありがとう、僕は音山 光太、君は?」
「俺か、俺は狛江 真也だ」
簡単な自己紹介を終えコーヒーを飲みだす
しかし、音山よ、それはなんだ、コーラじゃないようだが
「ん?これ?これは麦茶のコーラ割りだよ、好きなんだこの味
それにしても狛江君はコーヒーか、僕はコーヒー苦手なんだ」
麦茶のコーラ割りだと、しかしフジヤマに麦茶はあったか?もしや持参・・・・まさかな
それにしてもコーヒーが苦手だと、こんなに美味いものを・・・・まぁ、人それぞれか
「そうか、嗜好は人それぞれだ、まぁコーヒーが苦手な奴の大半の理由は苦味と酸味だがな、それが美味いというのに」
絶妙なバラスで調合されたコーヒーなど飲んだらそれ以外飲めなくなるほどの物だ
「そうなんだ・・・・僕は苦いのがダメだね、そうだ狛江君も飲んでみるかい?麦茶のコーラ割り」
まぁ飲まずに否定するのもなんだが聞いただけであまり飲みたい物ではないな
「いや、今回は遠慮しておくさ、まだコーヒーが残ってるからな」
「そう、じゃぁ今度試してみなよ、結構おいしいからさ」
いやいや、音山よ、そんなに飲ませたいのか?
しかしこの音山っていうやつは不思議な感じのする奴だな
独特の空気を持っているな
『間もなくファウンデーションⅡステルヴィアが見えて参ります、只今、高度3000メートル』
お!そろそろか
「じゃぁ、そろそろ行きますかな、それじゃな音山、今後ともよろしく」
「それじゃね狛江君、今後もよろしく」
音山と分かれて窓の付近に行く
ここからステルヴィアを眺めるのは2回目か
お!ケイティが出てきたな、さて、此れから俺が乗るのはビアンカだ
ストラーダはちょっとお休みか、
『こちらは、総合リーダー本科二年、町田 初佳です、新入生の皆さん、ようこそステルヴィアに、私達はあなた方を歓迎します』
よし!これから気合入れて頑張るぞ!
side out
そして真也は再びステルヴィアへと戻って来た
今度は新入生として
これからの物語はどのように進んで行くのか
次回宇宙のステルヴィア~宇宙の奇跡~ 第2話 始まり
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第2話 ~始まり~
side 真也
さて、入学式の・・・・まぁ良くある学長の長い話、眠気を抑えながら聞いている
まぁなんだ、これが終われば各クラスに戻って授業の話を聞いて・・・・・っと学長の話が始まったな
「今年は取り分け、記念すべき年になります。君達は、グレートミッションを間近で見ることが出来る訳ですから、それだけでも非常に幸運だとおもいます。189年前、地球は滅亡寸前まで行きましたが、我々の祖先から今の我々に連なる人々の力でここまで来ました。これはけして幸運ではありません。知恵と努力を惜しむことなく繰り出してきたからです。かつて人類は御互いの信ずる者の為に争い、戦争してきた歴史がありました。しかし、ファーストウェーブの猛威を受け、新たなる道を歩んでいます。セカンドウェーブは後数ヶ月で太陽系にやってきます。しかし、今回は必ず、人類の英知と勇気によってこれを防ぐでありましょう、そして君達はこれを足がかりに太陽系の外へ、星の道のりを伸ばしていって欲しい・・・・・入学おめでとう、ようこそステルヴィアに」
なるほど、俺らが参加するわけでは無いだろうが見て学べ・・・・とそういうことか、
さて、クラスに戻るとするか
「やぁ、狛江君」
聞いた事ある声に振り返る
「あぁ・・・・音山・・・・だったか?」
確か音山 光太って言っていた気がする。
「ひどいな~、もう忘れちゃったのかい・・・・ほら、フジヤマのラウンジで話した」
うんそれは覚えている
「いやいや、ちゃんと覚えているよ、ここに居るって事は同じクラスか」
「そうだね、とりあえずフジヤマでも言ったけど、これからよろしく」
「あぁ、よろしく」
そうこうしている内にクラスに戻って迅雷教官の話を聞く
「俺からも言わせてもらおう、ようこそステルヴィアに・・・・これから約一年の間、君達は本科生になる為の準備をする、第一語学、第二語学、人間学、実験科学そして宇宙船実技・・・・・君達は君達の最善と思われる授業を選択し、単位を取得していかなければならない」
話に聞いていたが授業は自分で選択する・・・・自分の得意科目だけじゃなく幅広く知識を得る必要があるのか
「それに加えて三つの課題をクリアしなければならない・・・・一つは知識の実践、創造性、並びに様々な活動、最後に論文、これら三つだ・・・・これらは出席率や暗記では到底単位はとれない、まぁ他の授業も同じ様なものなのだが・・・・・ここは教わる場ではない、学び考える所だ、君達の進むべき道は君達で切り開け!」
なるほど、まぁこの後掲示板に選択できる講義が表示されるからそれを見て判断するか
「狛江君」
あぁ音山か・・・・
「どうかしたか、音山」
「いや、講義の選択をどうするのかなって思ってね」
まだ掲示板を見ていないからどうにも言えないが・・・・
「どうするもこうするもまだ掲示板を見ていないからな・・・・・音山もまだだろう」
「そうだね、どう?一緒に見に行かない」
「別にかまわない」
そうして音山と歩いていく
「そうそう狛江君、この後暇?良かったら僕の部屋に来ない?」
とりあえず講義が終われば暇だが
「それは講義を終えた後だよな・・・・・それならいいが」
「じゃぁきまり・・・・それじゃ講義終えたら此処に集合で」
「あぁ、ちょっといいか・・・・ルームメイトが気を使っちゃ何だ、俺の部屋にしないか」
いまさらだが俺の部屋は前回ステルヴィアに居た時と同じ部屋だ、何でもその方が都合がいいらしい
何より一人部屋、他人に気を使う心配もない・・・・それに前からそのままだからちゃんと片付いている
「別にいいけど、ルームメイトに悪くない?」
「いや、俺は一人部屋だ、それを心配する必要は無いさ」
「そうなんだ、じゃぁ御邪魔させてもらうね」
「あぁ、それじゃぁまた後でな」
とりあえず講義はプログラムを選択した
正直これくらいは余裕、まぁ、体験だからだと思うが
「うわー!間に合わない!!・・・・あぁ!」
っと叫び声が聞こえるがこんなのテトリスと変わらない
もともと組まれたプログラムパーツを組み立てて行くだけ・・・・・まぁ速さを要求されるだけ
本来は一から作り形にしていく・・・・・まぁテトリス・・・・楽しいよな、あれ・・・・・昔8時間位やってた記憶がある
とまぁそうこうしている内に講義が終わった、
さて、この後音山と合流しなきゃならないからな・・・掲示板に行くか
「よお、音山」
待たせちまったかな・・・・
「やぁ、狛江君とりあえず君の部屋に行こうか」
「あぁ、こっちだ」
まぁ部屋について俺はサイフォンに火を入れる
「良いにおいだね、これはなんて言うの」
サイフォンを指す音山、しらないのか・・・・
「これは・・・・まぁ簡単に言うとコーヒーを淹れる物だな、サイフォンって言うんだけど知らないよな」
まぁコーヒーメイカーが主流だからな・・・・・こんな骨董品を使ってる俺が珍しいのか・・・・だがこれで入れた方が味もいいし匂いもいい
「うん、初めて見たよ・・・・・・あ、これ持ってきたんだけど飲んでみない」
と言って取り出すのはコーラと麦茶・・・・・・おい、音山・・・・・どんだけお前はそれを俺に飲ませたいんだ
てかそれを広める気か!?
「飲んでもいいが、一つ条件がある」
ここは音山にもコーヒーを勧めよう・・・・・確か苦味が苦手といっていたが今入れてるコーヒーは俺が良く行く喫茶店のマスターに調合表を頼み込んで貰って作ったオリジナルブレンド
酸味と苦味の調和の取れた最高の一品だ
「なんだい、その条件は」
「お前もコーヒーを飲んでくれ」
「・・・・分かった、それじゃコップ借りるよ」
そういって麦茶をコーラで割る音山
それを俺に差し出す
「はい、どうぞ」
「あぁ、ありがとう」
一口飲む、あのコーラの甘ったるさが麦茶の後味で見事に消されている
だが・・・・うん・・・・不味くは無い・・・・・だが、美味くも無い
可もなく不可もない味だ
っと考察している内にコーヒーが出来た
「なかなか興味深い味だったよ、さて今度は俺の番だな・・・・」
と言い席を立つ
コーヒーカップを二つ取りサイフォンから取り出し淹れる
「さて、どうぞ」
「良い匂いだね、じゃぁ頂きます」
そういって一口飲む音山
それを確認し俺も飲む
うん、美味い
「あ・・・・美味しい」
と音山が言う・・・・俺は心の中でガッツポーズを取る
「どうだ、音山・・・コーヒーの味は」
「うん、凄く美味しいよ」
「そうかそうか・・・・音山、また飲みたくなったら来いよ」
「ありがとう」
「後、俺の事は真也で構わないぞ」
「じゃぁ僕の事も光太でいいよ、真也君・・・・・そろそろ帰るよ」
「そうか、じゃぁまたな、光太」
「うん、また」
そう言って光太は帰って行った
うん、苦いの苦手と言っていたが多分、酸味の低い物を飲んだのだろう
あれを味わえば光太もコーヒーの道に目覚めるだろう
しかし入学早々仲良くなったもんだ
さて今日はもういい時間だし寝るとするか
said out
said 志麻
今日は入学式、これが終わったらクラスに戻るんだけど・・・・
なんと、フジヤマで知合ったアリサとルームメイト、そしてクラスも一緒。
そうこう考えている内に学長の話が始まった。
集中しなきゃ
「今年は取り分け、記念すべき年になります。君達は、グレートミッションを間近で見ることが出来る訳ですから、それだけでも非常に幸運だとおもいます。189年前、地球は滅亡寸前まで行きましたが、我々の祖先から今の我々に連なる人々の力で」
「でも良かったね、同じクラスで」
え!アリサ?
今、学長が話してる最中だよ!?
「新しいクラスで親友作るのもいいけど、親友と新しいクラスが同じになるっていうのもい~よね、親友度合いは先行逃げ切りで、こっちの勝ちって感じ」
「え?なにそれ」
「ちょっと、静かにしてくれる」
「す、すみません」
「こえ~」
もう、アリサのせいで怒られちゃったじゃない
「しかし、ファーストウェーブの猛威を受け、新たなる道を歩んでいます。セカンドウェーブは後数ヶ月で太陽系にやってきます。しかし、今回は必ず、人類の英知と勇気によってこれを防ぐでありましょう、そして君達はこれを足がかりに太陽系の外へ、星の道のりを伸ばしていって欲しい・・・・・入学おめでとう、ようこそステルヴィアに」
学長先生の話も終わり、クラスに戻る
あ!あの人同じクラスだったんだ・・・・・今日はハンカチもって来ていないし・・・・それにいざ会うと緊張するな・・・・・
「俺からも言わせてもらおう、ようこそステルヴィアに・・・・これから約一年の間、君達は本科生になる為の準備をする、第一語学、第二語学、人間学、実験科学そして宇宙船実技・・・・・君達は君達の最善と思われる授業を選択し、単位を取得していかなければならない」
気がついたら迅雷教官の話が始まってる・・・・
「それに加えて三つの課題をクリアしなければならない・・・・一つは知識の実践、創造性、並びに様々な活動、最後に論文、これら三つだ・・・・これらは出席率や暗記では到底単位はとれない、まぁ他の授業も同じ様なものなのだが・・・・・ここは教わる場ではない、学び考える所だ、君達の進むべき道は君達で切り開け!」
とりあえず、ハンカチの人がこのクラスに居る事が分かっただけでも良かったな・・・・・
「志麻~掲示板行こー」
あ、もう・・・・アリサは慌しいな~
「おいてっちゃうよ~」
「今行く~!」
こうして掲示板で体験講義を選んで回ってきたけど結構疲れたよ・・・・・
あ~ソファーがある・・・・少し、休もうかな
「はい、これ」
アリサが飲み物を持ってきてくれた
「あ、サンキュ~」
あれ、もう一人歩いてきた
「もう知っているでしょ?我がクラスの藤沢 やよいちゃんで~す」
それは知っているけど
「こんにちわ」
「この子、私の大親友~、じつは私達、今さっき友情の誓いをたてたので~す。今なら友情のサービスプライス・・・・と、いうわけで大親友の称号があなたに!いや~新しいクラスで親友を作る・・・・何より旬な感じでいいよ~ね」
あれ?でもアリサは入学式の時には
「先行逃げ切りの方がいいって・・・・・」
「なにそれ」
え?もう、いいや・・・・・
「あぁ!安心して、志麻にもちゃんと友情のボーナスポイントが付いて来るから、あ、な、た、も・・・・なんと大親友に繰上げで~す」
もう笑いしかないよ・・・
「面白いわね・・・・アリサちゃん、自販機の前で絡まれていた私を助けてくれたの」
「絡まれて?」
自販機の前に女の子二人と子犬がいるけど、一定の間隔で黄色い声がする
「ああやって可愛がりの無限地獄に陥っていた所を、アリサちゃんに助けて貰ったの」
「無限地獄って・・・・確かにきりが無いよね・・・・ワンちゃん」
「さぁさぁ、講義のお試し期間も今日で終わりな訳ですから、作戦会議といきましょう」
「作戦?」
「何の講義を選ぼうか・・・・その傾向と対策よ」
なるほど、アリサも考えているんだ
私もちゃんとしなきゃ
「それなら私のルームメイトも一緒にいいかな?」
うん、みんなでやった方がいいよね
・・・・・ちょっとして藤沢さんが連れて来たのは・・・・入学式の!!
「こちら、栢山 晶ちゃん・・・・って同じクラスだから知ってるわよね」
「結構怖そうだよね」
ちょっと!アリサ!なに言ってるの!!
「そうね、いつも晶ちゃん怖そうな顔してるわよね、生真面目なのよね」
「ふん」
アリサ達と作戦会議?をして講義を決めた
得意な科目、ちょっと得意な科目・・・・苦手な科目
でも、大丈夫だよね、だって明日はいよいよ・・・・・
side out
真也達予科生は、明日・・・初めての実機演習をする
真也はストラーダでの実績があるが、ビアンカでは初めてだ
予科生達との演習で何を掴むか・・・・それは明日の演習次第だ
次回、宇宙のステルヴィア~星の奇跡~ 第3話 ~頑張ります~
本日の再アップ作業はここまでにしておきます
明日仕事から戻ってから再開したいと思います
誤字脱字、感想等ありましたら、よろしくお願いします
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第3話 ~頑張ります~
真也達予科生は、今日始めての演習を行う
各自注意事項を聞く為に、レイラ教官より話を聞いている
side 真也
「さて、いよいよ予科生初めての宇宙演習だ・・・諸君は地上でのシュミレータ経験は十分に有ると思うが、オーバビスマシンの操縦は従来のそれとは、かなり異なるものだ・・・・・・パイロットスーツもこれまた異なる、まずはマニュアルを熟読し、10分後格納庫に集合!!」
久しぶりにレイラ教官に会ったが・・・・相変わらず勇ましい人だ・・・・
きっと姉御肌なんだろう
後で声をかけるか・・・・さて、着替えて格納庫に向かいますか
「狛江」
っと、レイラ教官か・・・・なんだろう、先に声を掛けられたが
「何でしょうか」
「確かお前はビアンカは初めてだったな」
確かにストラーダしか乗った事ないよな、俺
「はい」
「そうか、お前も知っていると思うがストラーダとビアンカでは性能、操縦性共々違うからな・・・・今日の演習で感覚を掴むように」
なるほど、一応注意を促しにきたのか
「分かりました」
「それでは遅れないようにな」
「はい」
とりあえず更衣室にいくとみんな着替え始めていた
そして着替え始めようと思ったら
「おい、ジョーンズ・・・・・それは何だ、お前は風呂でも行く気か?」
「ちっ違うよ!・・・・・ただ、ちょっと恥ずかしくてな・・・・」
なにを言っているんだ、他の奴はそんなそぶりも見せてないぞ
「しかし、まぁ・・・・止めやしないが、回りを見ろジョーンズ・・・・誰も着けてないぞ」
「確かに・・・・でも、今回は見逃してくれ!」
見逃すも何も・・・・
「俺は教官じゃないからな、まぁ、忠告はしたぞ」
「あぁ、ありがと・・・・それと俺はジョジョでいいよ・・・・・なんかくすぐったくてな」
「そうか、分かった・・・俺も真也でいいぞ、それじゃな、ジョジョ」
といって離れる、光太は・・・着替え終わってるな
「光太、そろそろ時間じゃないか」
「そうだね真也君・・・・けっこう落ち着いてるね、初めての演習なのに」
まぁ俺は宇宙は初めてじゃないからな・・・・・ビアンカは初めてだが
「そうか?ビアンカは初めてなんだが・・・・・そういう光太も落ち着いてるじゃないか」
「そうかな・・・・・まぁ、そろそろ行こうか」
「そうだな」
そして格納庫に向かった
暫くしてレイラ教官が来た
「片瀬、てるてる坊主じゃビアンカは操縦できんぞ・・・・・これは君達パイロット生命の安全を守る為のもだ、恥ずかしがる必要は無い、他のみんなもそう・・・・・取りなさい!!」
慌てて取る3人
何をやってんだか
「宇宙船のコクピットは風呂でも温泉でもない!・・・・まずは、スーツの機能性を実感して貰う・・・・・格納庫を大きく回って10週!」
半分くらい走った所で声を掛ける
「各自、自分の脈拍と血圧をチェックして・・・・どんな状況でも自分の状態を常に把握しておきなさい」
さて、チェックしますか・・・・うん問題なし
そうこうしてる内に走り終わり移動する
「本来なら0Gで搭乗するがしばらくはG有りで行う・・・・・まずはシートの感触を実感しなさい・・・・セット」
よし!それじゃ行きますか・・・・・
「セット」
『どうだ、各人固定できたか?君達のIDはそれぞれのビアンカに登録された、これからそいつらは君達の相棒という訳だ・・・・・・身長、体重、脈拍、血圧、その他の各種データはビアンカを通じて管制センターでモニタリングされている・・・・・最初は出力もバッテリーも抑え目にしてある・・・・・各所のチェック、後に待機』
まぁそうだろうな、チェックも終わったしそろそろかな
『これより格納庫並びにコクピットは0Gになる、スタンディングポジションはその際に調整するように・・・・・・・・・・重力制御オフ!!』
『これよりB-1クラスオーバビスマシンビアンカ発進します・・・・・・・エアー放出、ゲートが開きます』
『第1団、テイクオフ』
おっと、ストラーダと違ってビアンカは下に落とされるのか
まずは、姿勢制御して、第2、第3団の邪魔にならないところで静止しますか、
『各機、自分の位置を確認、まずは、各データのチェック、スタンディングポジションの調節・・・・・どう、初めての宇宙飛行は』
俺は初めてじゃないが・・・・まぁ、出力やバッテリー辺りを調べますか・・・・
出力は25パーセント、バッテリー40パーセントか・・・・
ストラーダで考えると出力は16パーセントくらいかな、他はどうかな
『それじゃ、私のビアンカを目印に集合』
おっと、それじゃあまず、レイラ教官の位置を確認、障害物は・・・・周りのビアンカのみ
まぁ、周りを避けながら行きますか
side out
side レイラ
「それじゃぁ私のビアンカを目印に集合」
ふふ、みんな四苦八苦して飛んでるな
お、もう二機着いたか
「うん、流石だな」
やはり藤沢、狛江は余裕だな
他のみんなももう少し経験を積めば、まともになるだろ
「よーし、良くやった、立って操縦ってうのは最初の内は馴染まないと思うが、追々これがベストなスタイルと分かって来るはずだ、さて」
『レイラ教官』
「ん、なんだ」
『片瀬さんが、まだ・・・・』
なんだと、とりあえず周囲を調べて・・・・・居た!
馬鹿な!なんであんな所に・・・・
「片瀬!なにをやっている!片瀬!!」
聞こえて無いのか・・・・しょうがない、強制制御・・・・・・
え!なんでアクセスできないの!
『御手伝いします』
町田か・・・・・バッテリーの残量から考えると
「そろそろだな」
『え?』
「町田、悪いがステルヴィアまで牽引してやってくれ」
『分かりました』
さて、どうしたものか
side out
side 志麻
落ち着いて落ち着いて落ち着いて、
『片・・・・なに・・・・・瀬!」
ここのプログラムはいらないし、この制御系の数値はこんなにいらない
「大丈夫、私は、上手くやってる、深呼吸して・・・・落ち着いて落ち着いて落ち着いて」
《エンプティ・・・・エンプティ・・・・》
あ・・・・これで、終わりなのかな
「片瀬、どうしてこうなったんだ」
どうしてなんだろ、もう無我夢中で
「えっと、もう無我夢中で操作していたらあんな事になっちゃって」
「とりあえず、操縦中に航行プログラムは弄らない様に・・・・それから・・・・・」
やっと終わった・・・・アリサ達が待ってるから早く行かなきゃ
「宇宙って外の景色を見ないで飛ぶんだね・・・・そんな事は分かってたつもりなんだけど、実際飛んでみると違和感たっぷり」
「たっぷり過ぎたかも」
アリサの言う通りかも・・・・でも
「ここ、いいかしら」
え!町田さん!?
「ど、どうぞ!」
「片瀬さん・・・だっけ、大丈夫だった?」
「はい・・・・・レイラ教官には絞られました・・・30分程・・・」
「単刀直入に聞くわ・・・・どうしてあぁなっちゃったの?」
「はぁ、とにかく何とかしなきゃと思って、色々邪魔なものを取っ払って行っちゃったらああなってしまって」
うんあの時は無我夢中だったから、ほんとに邪魔だと思ったもの全部書き換えちゃったし・・・・
「普通、教官機からのコントロールプログラムなんか、解除できないだろう」
うぅ、晶ちゃんまで・・・・でもあの時は無我夢中だったし・・・・
「まぁしーぽん、明日があるよ」
「しーぽん?なにそれ」
アリサはいったい何を言っているの?
「あなたのニックネームよ・・・あなたのビアンカ、ぽんぽん飛んでたじゃない・・・・だからしーぽんこれ決定」
「え!やめてよ~」
「可愛くていいじゃない」
やよいちゃんまで・・・・・
「まぁそんな事気にしないでカラオケでも行きましょ」
「アリサ・・・・・」
「そうね、カラオケで気分を変えて、また明日から頑張りましょう・・・・晶ちゃんも行くわよね」
「やよいちゃん・・・・」
うん、気分を変えて、また明日・・・頑張ります!
side out
それぞれの道は何処へ向かうか
そして時は流れ、来週・・・・真也達に前期中間試験が襲いかかる
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第4話 ~退学!?~
真也達予科生の宇宙演習を終え早数週間
毎日の講義を受け、その結果を出すべき試練が今立ちはだかる・・・・・
学生の試練・・・・所謂テストだ・・・・そのテストを来週に控えた予科生達は白銀教官の授業を受けている
side 真也
「少々難しいかったが、君達ならば出来るはずだ・・・・・いや、出来るように努力して欲しい」
そう白銀教官が言い切るとチャイムの音が鳴る
「よし、今日はここまで・・・・来週はいよいよ前期中間テストだ、気合入れて勉強しておくように」
そして教官が教室を出て行くと周りからため息が聞こえる
「あーヤダヤダヤダ!補習なんてヤダー!!迅雷のやつ、こんなもんどうやって解けっていうのよ!」
とまぁクラスの声を代表して言うが如くグレンノースが叫ぶが・・・
まぁ俺はこの後の各ファウンデーションの総会中継を見るべく足早に自室に戻りテレビをつける
「なんとか間に合ったな・・・・」
サイフォンに火を入れ、ソファーに座る
『それでは、ファウンデーションⅥ、セルゲイ・ロスコフ君、お願いします』
『はい、それではモニターをご覧ください、みずへび座ベータ星の超新星爆発・・・・所謂ハイドラスブラストですが、純粋な電磁エネルギーだったファーストウェーブとは違い、セカンドウェーブは質量を持っています。速度こそ1/10ですが、破壊力はファーストウェーブを凌駕するやも知れません、現在太陽より7光日の距離まで接近中』
7光日っていうと約70日後か・・・・・丁度クリスマス前ぐらいか
お!コーヒーが出来たな・・・・コーヒーを淹れ、ソファーに座りなおす
『セカンドウェーブは黄道面にたいしほぼ垂直に進行していますから第Ⅵ以外の各ファウンデーションの作戦実行時刻はほぼ同時になります』
『ファウンデーションⅣ、エルサント指令プルト・ワーグナー君』
『ファウンデーションⅥは、まだ二割未完成ということですが・・・お尋ねしたい、それでグレートウォールの先行テストは実施出来るのですかな』
『はい、ファウンデーションⅥウルティマは地球の狛江研究局より狛江局長を召喚しており、狛江局長の協力により、セカンドウェーブ接触の20日前にはバリア展開設備完璧に稼動できます・・・・・ウルティマの備えは万全です』
まさか、ここで親父の名前を聞くことになるとは・・・・確かにウルティマに行っている事は知っているが
それにしても緊張感の無い会議だ、ブラボーとか言ってるし・・・・拍手喝采だな
《キーンコーン》
誰か来たな、といっても俺の部屋に来るのは光太くらいか
「やぁ」
やはり光太だったか
「どうした光太、コーヒー飲んで行くか」
「うん、じゃぁ貰おうかな、これ飲みおわったら来て欲しいだけど時間平気?」
まぁ予定は無いが・・・
「いいぞ、とりあえずブレイクタイムが終わってからな」
そういってコーヒーに口をつける
うん、美味い
side out
side しーぽん
「少々難しいかったが、君達ならば出来るはずだ・・・・・いや、出来るように努力して欲しい」
さて、集中してやりますか
「よし、今日はここまで・・・・来週はいよいよ前期中間テストだ、気合入れて勉強しておくように」
なんか隣でアリサがわめいてるな~
「今日のランチはしーぽんの奢り・・・」
さっきから同じ相槌しかしてなかったら凄いこと言ってるし
「やだよ」
とりあえずわめいてるアリサの為に説明しますか
「これが授業に出たプログラム、これを先生のプログラムに変数足してもうちょっとリアルなシュミレーションにしてみたんだ・・・・だめ?やっぱり?」
「しーぽん・・・・・勉強教えて」
「「「教えてくださーい」」」
なんか男子が増えてるし・・・・・
あ、狛江君は帰っちゃった・・・・フジヤマのゲートでハンカチを貸してくれた人
なんか返す機会が見つからないよ・・・・
「それじゃぁ私達の部屋で勉強会ね」
「わかった」
あれ?なんか考え事してたら勉強会やる流れに・・・
「しーぽんは部屋片付けてね・・・・じゃぁ私買出し行ってくるね」
「え、ちょっとアリサ!」
とりあえず部屋に戻ろう
大体こんな散かった部屋を一人で片付けるのなんて無理だよ~
とりあえずクローゼットの中に入れて・・・・その前にアリサの私物を分けなきゃ
「あ~もう!どこをどう掃除すればいいの~!!アリサは買出し行っちゃうし・・・・」
《キンコーン》
あ、アリサかな
「もう、なんで私一人で片付けなきゃいけないの!?大体勉強会するって言ったのアリサじゃない!」
ドアを開けて
「アーリーサー!」
あれ?アリサじゃない・・・・・え?え!?
「アリサッサー・・・・・・こんにちは」
恥ずかしいよ~間違えちゃったよ~
「勉強会、ここでいいんだよね」
えっと誰だっけ
「音山 光太です」
「片瀬 志麻です」
「アリサッサーって何の歌?」
アレは歌じゃなくて・・・・えーっと
あ!みんな来た!!
「たっだいまー」
「あれ?光太」
「やぁ」
「あの子は?」
「いつももう一人と一緒なんだけど、今日は一人だったから僕が誘ったんだ」
「それならもう一人呼んでいいかな?」
「ん?光太は誰を呼ぶんだ」
「もう一人、先生を呼ぼうかと思ってね、ちょっと待ってて」
「分かった」
誰だろう、もう一人って
とりあえず、みんな中に入って貰おうかな
「じゃぁとりあえず中に入ろう・・・しーぽん、お皿と飲み物用意して」
そうね、何か食べながら待ってよう
《キンコーン》
あ、光太くん帰って着たみたい
アリサがドアを開けに行く
「ただいま」
「もう一人ってこの人?」
「そうだよ」
ここからじゃ顔が見えないよ
あ、入ってきた・・・・
え!あの人は・・・・
「狛江 真也だ、よろしく」
ハンカチの人でした
どうしよう・・・ハンカチはクローゼットの中に入れたままで出したら中身があふれ出すし
とりあえずお礼を言わなきゃ・・・・・いままで言えなかったけど・・・忘れちゃったかな
「あの!」
「ん?どうした片瀬さん」
「フジヤマの時、ハンカチありがとうございました!」
やっと言えたよ・・・・
「あぁ、あの時の・・・・・別にお礼はいらないよ」
「あの・・・・それでハンカチを返そうと思いまして」
「それあげるよ、まぁいらなければ捨てていいから」
そんな捨てるなんて!内緒だけど私の宝物に入ってるんだから
「えっとありがとう、大切にするね」
「さてさて、しーぽんの用事も終わった事だし勉強を始めましょうか」
アリサがそう言って勉強を始める
後でアリサになんか言われそうだな~
少し経つとアリサが口を開きだした
「もう!なんでこんな難しいプログラム組まなきゃいけないのよ!」
「これグレートウォールのシュミレーションでしょう?僕らが使う訳じゃないんだよね」
「でも太陽系の命運が掛かった作戦だから、基本くらい知っておかないと」
「優等生的な発言の割りには、辛いね・・・・・狛江君は?」
「ん?ほれ」
「うわ!すご!しーぽん並みに凄いじゃん」
「プログラムは得意だからな」
狛江君プログラム得意なんだ~私も得意だから親近感沸くな~
「光太、教えてやろうか?片瀬さんも手伝ってくれる」
「あ!はい!」
狛江君の頼みだもの・・・・頑張れ片瀬 志麻
「わー助かるな~、二人ともよろしく」
そう言って狛江君はプログラムを組み始め説明する
「これは電磁バリアと反重力斥力場を重ね合わせるのがポイントなのは分かるな」
「うん、でもどうしてバリアが二層なんだっけ?」
大ちゃん、ナイス質問
「それはね、電磁バリアが荷電粒子とか磁気を帯びた粒子とかを弾いて」
「斥力場はもっと大きな質量を持った物を跳ね返す為だ」
「もう、しーぽんも狛江君も頭良い!」
あはは、なんかアリサが言ってるよ
「さてそれでは問題!バリアは何層あるでしょう?」
たしか120層だったかな
「120層」
「ピンポーン」
あピエール君凄い、ちゃんと勉強してるんだ
「なぁ、これウサ子の縫い包みだろ、でっけーなぁ、見せて見せて」
え!ウサ子の縫い包みはクローゼットの中!!開けたら雪崩が!詰め込んだのばれちゃう!!
狛江君達が居るのにそれはダメ!!
「おいジョジョ、仮にも女の子の部屋なんだ・・・・勝手に開けたりするなよ」
さすが狛江君!言うことが違うわ
「わっわかってるよ」
「開けるにしても本人達の許可を取らないとな」
《pi》
あぁ!ジョジョ君の肘が開閉スイッチに・・・・・・・雪崩が・・・・・
「お前ら!クローゼットの中に何でもかんでも突っ込むなよ!きちんとしろ!!」
そんな事言ったって片付かないよ
「その前にジョジョ、わざとじゃないにしても、まず謝ろうか」
狛江くん・・・・狛江君ってなんかお兄さんみたいだな・・・・
「ごめん」
「とりあえず片付けましょう」
「そうだね・・・・あ、スパッツ」
「っ!ばか!!」
もう勉強する状況じゃないよ・・・・・
「はぁ、まったくとりあえず片瀬さん、光太・・・勉強の続きをしようか」
しばらくしたら
もうみんな歌とか歌い始めちゃって
アリサ達試験がどうなっても知らないよ
とりあえず、光太君に勉強を教えないと
そうだ!ステルヴィアのメインサーバーにアクセスして本物のデータを使えばもっとリアルに出来るかも
「とりあえず詳しく説明するね」
「三人とも何してるの?」
びっくりした被り物してるけど・・・・大ちゃん?
「見て見て凄いんだよ」
えへへ、そういえば狛江君は難しい顔してるけど・・・
「片瀬さん、流石にメインサーバーにハッキングは不味いでしょ」
「大丈夫だよ、別に書き換えてる訳じゃないし」
「まぁ、あまり褒められた手段じゃないが「うるせーって言ってんだろうが!!!」ん?」
びっくりした・・・・あ
「栢山さんご来場~」
「わーい晶ちゃんだ~」
「あーびっくりした」
《Pi》
え、え!?え!!
大ちゃんの手・・・・・
「あぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「ステルヴィアのデータ書き換えちゃった・・・・・」
「しーぽん早く戻して!!」
「データは戻したけど、アクセスログは消せないよ」
「マシン室に行けばアクセスログも消せるかも」
「それだ!」
そういってマシン室を目指して移動する
途中ビック4のケント先輩や忍者の人に助けて貰い
ステルヴィアの外周を回り、
やっとの思いでマシン室に着いた
「でもステルヴィアの警備システムはどうなってんだろう」
「システムなら切っちゃった」
「しーぽん大泥棒になれるよ」
扉が開いて
「しーぽん急いで!」
アクセスログの場所を探さなきゃ
「あなた達!!」
「みんな・・・・・」
「破壊工作!?どうなの!?答えなさい!!」
《pi》
へ?大ちゃんの手が・・・・・また・・・・・
「なんかとっても嫌予感」
「いやそれもう予感じゃないだろう」
「退学だ~逮捕だ~」
side out
side レイラ
まったく今年の予科生は!!優秀なのは分かったから問題を起こさないでくれ!!!!
あの、狛江までこんな事に首を突っ込むとは!!!!
とりあえず耐G訓練機に放りこんで反省して貰う!!体罰上等だ!!
「こぉら!!まだまだ先は長いぞ!!ちゃんとしろ!!!」
《ダン!!》
机を割る勢いで叩く
「お前らみたいな危険な連中を誰が退学にするか!!!」
side out
この後真也達は耐G訓練機を30分続けられた
その最中しーぽんの叫びが聞こえたとか
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閑話 ~男達の会合~
同じタイミングでアップさせて頂きます
前期中間テストを終えた真也達は、テスト後の開放感と共に遊び歩いていた
side 真也
光太、ジョジョ、ピエールそれに大とボーリングやらビリヤード等で遊び
時刻は18時
「なぁ、この後どうする?」
ジョジョがそんな事を言うが・・・・18時だろ
他にする事あるか?
「僕は真也君の部屋でコーヒーをご馳走になって帰ろうかな」
光太よ、最近コーヒーに填ったな、うん良い傾向だ
よし、茶請けにベルギーチョコを出してやろう
「僕らも一緒にいいかい?」
コーヒー好きが増える事は良い事だ、だが如何せん茶請けが足りないな・・・
「来るのは構わないが、御茶請けが足りないから、各自持ち込みで・・・・とりあえず、18時半に俺の部屋に集合だ」
「「「分かった」」」
「また後でな」
さて、部屋は片付いているから、皿とカップを用意しなきゃな
時刻は18時20分
そろそろサイフォンに火を入れよう
それまでは音楽を聞いて待つとするか・・・
J−POP、jazz、クラシック、ロック・・・・・気分は・・・・jazzだな
さてファイルはっと・・・・あった、再生っと・・・・・
《キーンコーン》
来たみたいだな、
「時間どうりだな、まぁ入れよ」
「「「「おじゃまします」」」」
俺はコーヒーを淹れ、みんなに配る
「俺の茶請けはベルギーチョコだ・・・・お前達は?」
「僕はクッキーだよ」
「僕はケーキ」
「俺はキャラメル」
「僕はスフレ」
光太がクッキーで大がケーキ・・・・・しかもワンホール
ジョジョがキャラメルでピエールがスフレか・・・・・しかしジョジョ、その足元に置いた物はなんだ?
まぁそこまで気にする事は無いか
「皿は出してあるから適当に配ってくれ」
配り終わりコーヒーを飲む
それを飲み終わりゆっくりしていると
「それで、君達はもう御目当ての女性は出来たのかな」
ピエールが口を開いたが、
「ちなみに僕は、やよいさん」
何時の間にやら恋話に発展しかけてる
「俺は栢山 晶かな」
ジョジョ、お前もか・・・
「僕はそういうの分からないな」
光太は、まぁそうだろうな・・・・
「ちなみに俺も今の所いない」
「僕はそういうの興味は無いけど、女の子達の情報は持ってるよ」
「「なに!!」」
大の発言に食いつくな・・・・ピエールにジョジョ
「ちなみに、今のところ、やよいさんの好感度はみんな友達感覚かな・・・・晶さん、アリサも似たり寄ったり・・・・
あと、しーぽんは真也君と光太君に若干脈有りって感じかな・・・・まぁ、仲良くなって間もないから今後の努力次第じゃないかな」
そういってケーキを頬張る大、
一人でワンホール食べる勢いだな・・・・
「ジョジョ・・・・クリスマスまでには彼女作ろうな」
「あぁ、御互いがんばろうぜ」
なにか友情を確かめあってるな・・・・二人とも
それにしても何故、恋話になったんだ・・・・ピエールは多分牽制を仕掛けたかったんだと思うが・・・・・
ジョジョはなんにも考えて無いかな
「とりあえず頑張りな・・・・二人とも」
「「おう!」」
おっと、もうこんな時間か・・・・・そろそろお開きかな
「とりあえず良い時間だ、話も丁度終わったしお開きにしようか、片付けはやっておくからそのまま帰っていいぞ」
「なんだか悪いね」
「気にするな光太、それじゃまたな」
「また」
「ピエールにジョジョ、大も何時でも来なよ、コーヒーの一杯くらいご馳走するぞ」
「ありがとう・・・僕達も帰るよ」
「おう、それじゃまたな」
とりあえず片付けをしますか
・・・・・しかし、ピエールだけが上手くいかない気がする
片付けをしながらふと、そんな考えが浮かんだ
side out
こうして男達の会合は終わった
今は青春真っ盛り
真也達の恋の行方はどうなるのか
また女性陣の動きは・・・・それは彼らの今後の努力次第だろう
掲載時の閑話の男性陣の内容です
ピエールは原作でもゲームでも、お嬢に対しラブコールをしていましたが、柳に風状態のお嬢・・・・ゲームで思いだしましたがお嬢スパイラルに嵌まった人は何人居る事やら
自分も見事に嵌まりました。懐かしい思い出です
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第5話 ~しーぽんの本気~
真也達予科生もステルヴィアの生活に慣れて来たころ
各々の星はどのように見えるのか
side 真也
グレートミッションまで約5ヶ月
そんな事を考えている内に午前の講義が終わった
確か、午後は宇宙演習だな・・・・
「真也君、ご飯行かない?」
光太か・・・・さて、今日の日替わりランチは何だったかな
「今日の日替わりは煮込みハンバーグだよ」
「そうか・・・・とりあえず、皆に声を掛けるか」
「そうだね、僕はピエール君達に声を掛けるから、真也君は片瀬さん達をお願い」
「分かった、とりあえずそのまま現地集合でいいか?」
「そうだね、じゃぁまた後で」
「あぁ」
さて片瀬さん達を誘いに行くか
っといたいた
「片瀬さん、これから光太達と昼ご飯食べに行くんだが、君達もどうだい」
「はっはい!行きます!!」
「こ~ら、狛江 真也!片瀬さん、じゃ無くてしーぽんでしょ」
「わざわざフルネームで呼ばなくてもいいんじゃないか?アリサ・グレンノース」
「そっちこそわざと言わない!もっと愛をこめてアリサって言って」
ふざけているのか半ば笑いながらそんな事を言うアリサ
仕方ない、ここは・・・・・スルーだ
「藤沢さんと栢山さんはどうする」
「折角だから、ご一緒させて貰おうかな、晶ちゃんもいいよね」
「別に構わないわ」
「そうか、とりあえず現地集合になっているからカフェエリア集合で」
「ちょ、ちょっと無視しないでよ~」
最後まで騒ぐアリサを無視して歩みを進める、
片瀬さん達と一緒にカフェエリアを目指す・・・・・・ついでに言うとアリサは終始騒がしかった
「お待たせ」
そういい光太達が座る席へ行った
「それじゃ、はい、メニュー」
片瀬さん達に、メニューを渡す光太
それまではいいが、何故俺に渡さない
と疑問に思っていると
「真也君は日替わりでしょ、頼んでおいたよ」
「そうか助かる」
確かにそれを食べようと思ったが、いや、まぁいい
「それじゃぁ私も日替わりにしようかな」
片瀬さんも日替わりか
「それじゃ私はカルボナーラ!しーぽん!後で交換しよ!」
「いいよ、でも全部食べちゃダメだよ」
「あははは、いくら私でもソレはしないよ」
注文を終え、暫くそんな会話を聞きながら各々が頼んだ物を待つ
「お待たせしました、日替わりがお二つにカルボナーラお一つ、ペペロンチーノがお二つに月見うどんがお一つ、和風定食が三つになります」
そして手を合わせ食事を始める
しかし藤沢さんは箸の持ち方が綺麗だな、何処と無く良い所の出の雰囲気がある、
「決めた!今日から私は君をお嬢と呼ぼう」
急に声を上げたアリサ
「だってやよいちゃん、雰囲気もそうだし食べ方も上品だからお嬢様っぽいな~って思ったから、だからお嬢」
「そんな事無いわよ」
しかし、俺も似たような事を考えていたが・・・・お嬢か・・・・少々安直な気もするが
「よし、俺もこれからお嬢と呼ぼう」
「もう、狛江君まで」
「いいじゃないか、お嬢とは言いえて妙だ」
うむ、そんなこんなしている内にお昼が終わってしまうな
「この後って宇宙演習だっけ」
「あぁ、その通り・・・だ・・が」
凄い勢いで暗くなる片瀬さん、まぁ毎度レイラ教官に絞られれば・・・な
「片瀬さん、次はきっと上手く行くさ、今回がダメでも諦めなきゃ・・・・努力は報われるはずだ」
在り来たりだが、こんな言葉しか出ない・・・・ピエール辺りならもっと気の利いた事をいうのだろうが
「真也君・・・・・よ~し頑張るぞぉ!!」
「その意気だ片瀬さん、それじゃぁそろそろ格納庫に向かおうか」
各々が支払いを済ませ格納庫に向かう
「それじゃ、何時も通りランニングだ」
レイラ教官の掛け声と共に走り出す
ランニングを終えビアンカに搭乗
レイラ教官の指示を待つ
『今日は障害物を設置したエリアでの演習だ、綺麗に飛ぼう、なんて考えなくて良い・・・・障害物を回避して私の後について来る事だけを考えろ』
なるほど、この演習では空間認識能力が問われるな・・・・アリサの機体を抜いたジョジョだが・・・多分その先の障害物が見えていない、ジョジョの行う起動パーターンを姿勢制御から計算、機体の姿勢上、上昇での回避は難しい・・・・なら!
やはりジョジョは下に避けたか
『目の前の障害物だけじゃない!その先の先ま見ててコースを決めるんだ!!反射神経だけではオーバビスは操れないぞ』
うん、演算は上手く行った、後はレイラ教官の飛行経路から障害物の位置を計算して行けば
《警報!後方より接近する機影有り 警報!後方より接近する機影有り》
っ!なんだってって・・・・片瀬さん!あーレイラ教官が追いかけてるな
って片瀬さん、そこで制動をかけたら・・・・やっぱり、ぶつかっちゃたか
side out
side やよい
「しーぽん大丈夫かな」
「何がだ、ジョジョ」
「いやこれで三回目だろ・・・・停学・・・とかさ」
「レイラ先生はそんな事しないわ、そんな事しても学習が遅れるだけだもの」
うーんレイラ教官の事だから
「今回は、磨きってところかな」
「片瀬 志麻予科生、罰として通信用レーザーのレンズ磨きを命ず」
「ほらね」
「さすがお嬢、あ!しーぽんが行っちゃった、私、様子見てくる!」
流石アリサちゃん、でもこの勢いなら手伝い出しちゃいそうね・・・・
その時は止めなきゃね・・・・なにより片瀬さんの為にならないわ
「あーもう、何やってんだか・・・ここは掃除暦10年のアリサちゃんが」
「甘やかすと為にならない」
「え~」
アリサちゃん、やっぱり手伝うつもりだったのね
「私も手伝わない方がいいと思うな・・・手伝ってもらったらしーぽん・・・余計にプレッシャーだよ」
「うーん・・・でも大親友としてはな~」
「ほらほら、罰当番してる姿なんて、大親友に見られたくないでしょ」
そう言ってアリサの腕を掴んで引っ張っていく
「あ!ちょっと~・・・し~ぽ~ん~~」
アリサちゃんの気持ちも分からない訳じゃ無いけど
「それならアリサちゃん、罰当番を終えたしーぽんに一番に話掛けるのも大親友の役目じゃないかしら」
「む、それもそうね・・・・よ~し、そうしよう!・・・で掃除用具入れって何処にあったけ」
「掃除用具入れはケイティの格納庫の近くよ」
「詳しいな」
「お嬢、何時の間に罰当番したの」
「教わったのよ」
知ってて当然だもの、だって私はこれで・・・・あれは・・・
「ビッグ4の町田先輩だ」
「うひゃー近寄り難い雰囲気」
私はまだ・・・・・彼女の事を許した訳じゃない・・・・あんな事を・・・
でも
「町田さん、私の友達、見ませんでしたか」
「あぁ・・・あの子ね・・・会ったけど、探しても無駄かも」
「どういう意味ですか」
「あの子、ステルヴィアを降りるかもしれない」
そう言って歩き出す町田さん
見えなくなった所で
「感じ悪ー」
「町田さんの事なんかよりしーぽんの方が心配だわ」
「そうだね、待ってろよーしーぽん!この大親友のアリサちゃんが今行くぞー」
「入れ違いで部屋に戻るかもしれない」
「晶ちゃんの言う通りね、私が部屋で待ってるから」
そういうとアリサちゃんと晶ちゃんはしーぽんを探しに行った
side out
side 志麻
はぁ~またやっちゃたよ
それにさっきの町田さんの言った事
《私は入学以来罰当番なんかした事ない・・・私は運がよかっただけなのかしら・・・・そうね違うわね・・・あなたに足りないのは運じゃない・・・実力よ!》
はぁ~私、向いて無いのかな・・・・・何処か一人になれる場所は
「ん、片瀬さんか・・・・どうかしたか」
え、この声は
「ここはシークレットルームだ・・・一般学生は立ち入り禁止のエリアだよ」
真也くん!?でも一般学生なら真也君も・・・
「俺か・・・一応許可を貰って入っているが・・・・それにしても元気が無いな・・・相談くらいなら乗るが」
真也君・・・・そうだね一人で考えてもしょうがないよね
「それじゃぁお願いしようかな」
「まぁ立ち話も何だし、俺の部屋に行くか?」
!真也君の部屋・・・・でも、いいのかな
「片瀬さんが嫌ならこの場所でも構わないが」
「えっと、真也君の部屋でも・・・いいかな」
「了解、それじゃ行くか」
少し歩いていると真也君が
「ここが俺の部屋だ、まぁ散かっているが気にしないでくれ」
入ってみると、全然散かってない!私達の部屋より綺麗かも・・・
「片瀬さんはコーヒーは飲めるかい」
「え、ミルクと砂糖が有れば」
「分かった、ソファーにでも座ってちょっと待っててくれ」
そう言って台所にある・・・・なんだろうアレ
それにマッチで火を付けると戻って来た
「少し時間が掛かるが・・・まぁ気にしないでくれ・・・・それで、どうしたんだい」
「あの、何か話を聞いて貰うのに何も無くて、その、えっと、金平糖が有るんだけど」
「金平糖か、懐かしいな・・・食べてもいいのかい」
「どうぞ、何時も持ってきてるの、その一掴み、お守り代わりに」
「そうなんだ」
「真也君はあんな所で何してたの」
「俺か、俺は相棒の調整かな」
「相棒?」
部屋にコーヒーの香りが漂い始めると真也君は台所に向かってった
「はい、砂糖とミルクはそのカップの中に入ってるから自由に使って」
「あ、ありがとう」
「まぁ、俺はあの場所に・・・最近調整ぐらいしか出来ない相棒が置いてあるんだ・・・暇を見つけて調整してやらないと拗ねちゃいそうでな」
相棒ってなんだろう、でも真也君が大事にしている物があそこに有るんだよねきっと
「片瀬さんは如何してあそこに?」
「ちょっと一人になれる所を探してたらあそこに・・・ね」
あ、おいしいな、このコーヒー・・・なんか落ち着くな
それにしても真也君はそのまま飲んでるな・・・・
「そうか、しかし今日の授業も大変だったね、片瀬さん」
う、でも私だって頑張ったんだよ
「でも止まろうとしたんだよ、でも新しいコースの設定とか姿勢制御の設定とか考えてて・・・・気がついたらレイラ先生に体当たりしてた・・・・・ダメなんだ~乗っている内に色々な情報がばーっと襲い掛かってるみたいで」
「そうなんだ、でも片瀬さん・・・プログラムでの情報とオーバビスでの情報の意味は全然違うよ、オーバビスでの情報はある程度無視しても大丈夫さ、きっと片瀬さんは宇宙に散らばってる大量の情報を全部確認しちゃって制御が追いつかないだと思う」
「そうかな」
「だから、オーバビスに乗っている時は、自分の欲しい情報だけ拾うんだ、それでもパンクしちゃいそうなら、一回目に入る情報を全部取っ払ちゃうんだ」
そんな訳には行かないよ~
「もし焦っちゃたら今の事を思い出して・・・・リセットだよ、片瀬さん」
リセット・・・・
折角、真也君にアドバイスを貰ったんだもん、頑張らなくちゃ
とりあえず部屋に戻ろう
「じゃぁそろそろ帰るね、御邪魔しました」
ふー部屋に着いたな~・・・・アリサ達に心配掛けちゃったかな
「御帰り、しーぽん」
え!!やよいちゃん!?なんで
「私は御出迎えの御留守番、アリサちゃんはしーぽんを探しに行ってるよ」
「そうなんだ」
「掃除用具、出しっぱなしだったぞ」
あ、あの時のままだっけ
「元気出して、最初は誰でも上手く行かない物よ」
でも、やよいちゃんは
「やよいちゃんは最初から凄く上手だから・・・・私は無理だな・・・・やよいちゃん見たいに動かせないよ」
「私はね、ちょっとズルしてるから・・・・二回目なんだ・・・・予科生やるの」
え、どういうこと
「二年前にね、私・・・ここに入学してるんだ、半年くらいだけど、降りちゃった」
え、でもなんで
「事故でね・・・リタイアしたの・・・・成績が良かった所為で油断もあったのかな・・・・ビアンカのコントロールを失って演習宙域の外に流されたの・・・・・最後にはレイラ教官が助けてくれたけど・・・・・・それまでの間ビアンカに一人ぼっちになって、その時・・・宇宙を怖いって思ったの・・・・・・宇宙ってね、怖いんだよ、しーぽん・・・本当に一人ぼっちになっちゃうの、頼れるものは何にも無い、だから自分を鍛えるしかない、先送りの優しさは結局私達の為にならないって、レイラ教官は知ってるんだと思うな・・・・病院のベットでね、ようやくそれに気が付いたの・・・・だから私は、ステルヴィアに戻ってきたんだと思うの・・・・・しーぽんはどう」
私は・・・そう、私は見上げるんじゃなくて・・・宇宙を・・・・
「私は・・・・・」
《ウィーン》
「ただいま~あぁ!!」
「あ、アリサちゃん!!」
「しーぽん!!」
「「あはははははは」」
「この、心配掛けよって」
ごめんねアリサちゃん・・・・でも私はもう大丈夫だよ
「しーぽん帰って来たって!?」
音山君、それにジョジョ君に大ちゃん・・・ピエール君まで
「真也にもう帰っているはずだって聞いて」
「こ~ら~、女の子の部屋に勝手に入ってくるな」
「何だよ、友達だろう」
「女の子限定!あんた達は、アウト!!」
皆に心配掛けちゃったな・・・・
今はもう皆何時も道理
音山君達には真也君が話してくれたんだろうな・・・・
よーし!これからも頑張るぞ
そして一週間後
『先週と同じコースだ、誘導方程式はBに設定しろ』
よし、頑張るぞ!!
前方に障害物確認、相対位置と速度確認、次の障害物までの距離は・・・・回避経路を選択して・・・
えっと・・・・・ダメ、頭が真っ白に・・・・あ
《リセットだよ》
あ・・・・情報は多少無視しちゃっても、大丈夫・・・・・
「出来たぁ!!」
その後は調子よく演習をこなしていき
「ふう」
「しーぽーん!大進歩じゃん!ランクB!いきなりどうしちゃったの!?」
アリサちゃん・・・真也君のアドバイスのお陰だよ
「リセットが効いたかな」
「え?何だって」
「なんでもな~い」
ありがとう、真也くん
「片瀬」
あ・・・レイラ・・・教官・・・
「姿勢制御がまだまだ甘い!機体のバランスを考えろ!・・・・お前の航行記録だ、ほら、ここだ・・・片瀬見てみろ」
「あ、はい」
「機体のピッチがずれ過ぎている、だから次を避けるのが苦しくなる、地上でのシュミレーターでの減点の27%が姿勢制御を怠ったからついたものだ」
レイラ教官・・・・私の昔のデータまで見てくれてたんだ・・・・
「おい!聞いているのか!片瀬!」
「はい!教官!!」
side out
真也達予科生に次なるイベントが迫り来る
各ファウンデーションを巻き込んだ合同体育祭
各ファウンデーションの動きは
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第6話 ~アストロボール選考会~
真也達予科生も授業に慣れ余裕が出来てきた
しかし全ファンデーションで行われる体育祭
そして新たな講習科目が予科生達に襲い掛かる
side 真也
今日は1限から宇宙演習だ
しかし、説明があるみたいで何時ものメンバーで教室に向かっている
「それにしても僕達、上手くなってると思わない?」
大よ、いきなり何を言っているんだ
「ビアンカの操縦だろ」
うむ、そういうことか・・・
「私、今でも時々戸惑う・・・」
片瀬さん・・・・未だに情報を受け取り過ぎなのかな
「しーぽんはマイペースだもんね~」
アリサ・・・君もマイペースだよ・・
「マイペースって言われても・・・・」
まぁ、人それぞれだな・・・とりあえず言える事は
「浮かれて足をすくわれないようにな」
と、話ている内に着いたな・・・・・ん?
歩みを戻し皆で確認する
『必勝』
ドアの上に浮世絵のような絵の中に大きく書かれた必勝の二文字
何が必勝なんだ!?何に必ず勝つ必要があるんだ!?
「そうか・・・また、そんなシーズンなのね」
お嬢の呟きに気になる点があったが取り合えず教室に入る
「全員いるな、今日から講義は特別訓練に入る・・・まずはスラーロームだ」
「スラロームだ!!!」
レイラ教官に続いて白銀教官が叫ぶ
てか気合入りすぎだろ
「まずはコースの説明に入る、コースはB-22エリアを使用する、最低速度は12/秒速に設定後は障害物を交互に交わしながら移動する・・・基本は以上だ・・・それではビアンカに搭乗後B-22エリアに集合」
さて、スラロームね・・・・まぁストラーダではやった事あるがビアンカでは初めてだ・・・・油断せずしっかりやろう
『次!狛江』
「はい」
さて、秒速は25、入射角は・・・34、旋回動作時機体ピッチは15
『その調子だ!!その速度を維持してゴール地点まで突っ走れ!!!』
し、白銀教官・・・・今日は如何したんだ・・・・
『よし、次』
まぁ何とかなった・・・今度ストラーダでも訓練しよう・・・・最近ビアンカばかりだからな・・・・
『そんなんで如何する!!!なんでもっと速度を出さない!!燃え上がれお前達!!ファイアーーーー!!!!』
誰か白銀教官を止めてくれ
授業を終え格納庫でレイラ教官を待つ
「なんだ、お前達・・・だらしないぞ」
「いきなり酷いですよ~」
いや、アリサ・・・講義が項目が変わるのは普通だろ
「昨日と全然違うから・・・・」
大も何時も同じ項目ばかりな訳が無いでしょう
「体育祭が近いからな」
あーなるほど、体育祭が近いから特別演習なのか
あれだな、中学の体育祭とか近くなると授業が体育祭の種目を練習するみたいな、あんな感じなのか
「そうだ、体育祭だ、五第ファウンデーション対抗合同体育祭がまもなくだ・・・・必勝だ!!」
なるほど・・・・それで必勝か、これは大変そうだ・・・・・
side out
side 初佳
「実行委員が君達ビッグ4と言うのは頼もしい・・・・ステルヴィアの優勝は硬いかな」
「任せてください」
「優勝経験の無いアカプスは相当気合を入れている様だし、ビジョンもエルサントも覇権奪還を狙っている・・・・・何より連覇を狙うオデッセイはこんな物まで作って寄越した」
《ピッ》
『今年もまた、アステロイトベルトに熱い嵐がやって来る、五つのファウンデーションが互いの技量を競い合う合同体育祭が始まるのだ・・・・体育祭の花形競技、アストロボール・・・・優勝を狙う我がオデッセイは今年も最高のチームを用意した・・・・三ヶ月後、凱歌は火星に響くだろう』
なんて趣味の悪い映像かしら・・・
「ミゲルめ・・・・・アストロボールはステルヴィアのお家芸と言われていた時代もあったのだ・・・君達に、黄金時代を取り戻して貰いたい」
勝つのは私達、その為には・・・
「予算と時間はどの程度、振り分けて貰えますか」
「余程の無茶を、言わん限り」
なるほど、これから忙しくなるわね
「では、今週中に要望書を出しますので」
そう言って学園長室を後にする
《プシュー》
「学園長、ずいぶんと入れ込んでいますね」
「自分が参加したいみたいだな」
「生徒の為の体育祭何ですけどね」
「今年の予科生、狛江と言う生徒は使えそうだが」
笙人・・・そう、私の背後を脅かすかも知れない存在、でも今回はありがたいわね
「でも他はダメ、呑気すぎるわ」
ナジィー、でもソレを鍛えるだけの時間と予算は取れそうだわ
「さてどうしよう、火星のオデッセイは挑戦状まで寄越して来たし・・・・」
「予科生達に気合を入れてやろうか」
「気合?」
ナジィー、そんなあからさま相槌しなくても・・・・そうね、それなら
「人参でもぶら下げるとか?」
「それだ!」
なに、ケント・・・いいこと思いついたの?
side out
side ケント
さて、予科生達はマニュピレーターを使った精密作業の演習だな・・・・取り合えず人参をぶら下げるか
「予科生諸君、注目!合同体育祭の各競技はグレートミッションを行う上での技術が盛り込まれてる、各ファウンデーションとの技術を比べあう名誉ある戦いが体育祭だ・・・そこで、各競技の優勝者にはグレートミッションへの参加が考慮される様になった・・・そしてアストロボールには、予科生から一人出場して貰う・・・我々ビッグ4に加わるチームメイトだ、共に優勝を目指しグレートミッションへの参加資格を手に入れよう」
これで、少しは気合が入ったかな
「良くぞ言ってくれた、あいつ等、いまいち真剣身がなくて困ってた所なんだ」
「白銀教官が発破掛け切れないなんて、珍しいですね・・・・学園長は僕達にアストロボールの黄金時代を取り戻せって発破掛けてきましたよ」
「そうか・・・・・・」
あ、地雷踏んだかも
「あの時・・・・俺がレッドカードさえ食らわなければ・・・・ステルヴィアの黄金時代は、まだ続いていたはずなんだ・・・・」
白銀教官にそんな事があったのか・・・・完全に地雷踏んだな・・・・
さて、白銀教官にはその悔しさを生徒に託してもらうとして、予科生達はこれでマシになるかな
side out
side 真也
取り合えず昼食を皆で取りながら、体育祭の話をしている
「アストロボール以外にも色々な競技があるんだ」
「体育祭って言うからにはそうでしょう」
端末で確認する
アストロボール
トライアングルマスゲーム
マニュピレーターアート
ライトニングジョウスト
デブリベルト長距離走
etc・・・
デブリベルト辺り面白そうだな・・・・
「やっぱり、アストロボールかな」
ピエール・・・しかし予科生全体で一人だろ
「熾烈な競争になるってわけ」
確かに大の言う通りだな
しかし、そんなのより、俺はデブリベルトを狙うか・・・・予選参加人数が30名
その中の5名で決勝を行うか・・・・
以外にきついんじゃないか?ストラーダが出られるなら少しは楽になるだろうが、如何せんビアンカだ・・・・オプションパーツで何処までストラーダに近づけるかが鍵か・・・・プログラムも少し弄ればマシになるかも知れない
「わぁ~私これ出てみたい!マニュピレーターアートだって、プログラムを新たに組んで絵を描くんだって!面白そう!ねぇ、真也君はどう思う」
そうだな・・・・
「片瀬さんはプログラムが得意だし、結構いいんじゃないか?」
「そうかなぁ・・・・えへへ、これにしようかなぁ・・・・真也君は、どれにするの」
「俺は、デブリベルト長距離走かな・・・面白そうだし」
アストロボールなんかは、花形競技だけあって予選、決勝二日に渡ってやるのか・・・・時間が重なって無いから出られるかもしれないが、やはり一つに絞るか
「しーぽんや真也はアストロボールに興味無いのか」
「私は、あんまり興味無いかな」
「俺は興味は有るが、争ってまで出たいとは思わないな」
「じゃぁ、もし真也がアストロボールに選ばれたらどうする」
「選ばれれば出る・・・・がまずそんな事はないだろう」
皆気合を入れているみたいだしな
俺はデブリベルトに向けて障害物区間で練習でもしようかな
昼食を終え格納庫にて行われるレイラ教官の講義に向かう
「オーバビスマシン:ビアンカは様々なカスタマイズを前提として設計されており、用途に添って各種ユニットを装着し、様々な性能を発揮できるようになっている・・・・能書きはこの辺にしておこう・・・・各人、参加競技に合わせて機体の改造に掛かれ!」
なるほど・・・取り合えずコンセプトを決めて、やらなきゃな・・・・考え無しにやっても効率が悪いだけだ
もちろんコンセプトはストラーダ、その一言に限る
まずは、ブースターに調整用のブレーキ、さらに制御用のウィング、デブリでの接触を考えて装甲板、それに障害物を正確に確認する為のセンサーか・・・・
装甲板自体は装着しても然程プログラムは弄らないが他はちゃんと弄らないと大変な事になる
まずは、旋回時の角度やピッチの上昇幅を設定してブースターでの加速を段階に訳て急加速を防ぐ、ブレーキは強化されているから既存の設定より高い数値で、それにセンサーは感度調整しないと大変な事になるな・・・・後は機体バランスの設定か・・・・後はリミッターカット機構も着けるか
これでもストラーダに届かないな・・・・・それでも前よりはマシかな
「一通りすんだら、テスト飛行で状態を確認するんだ」
さてプログラムはこれくらいで良いだろう、取り合えずテスト飛行だな
・・・・・一通りテスト飛行は良好、でもまだ煮詰められるな・・・っと光太は改造しないのか
「光太は改造しないのか?」
「真也君、うん、そこまでしなくても僕は今のままで十分だし」
「そうか」
「それにしても真也君はかなり改造したね」
「あぁ、俺の相棒に近づけようと思ってね」
「そうなんだ」
「取り合えず俺はもうちょっと煮詰めてくる」
「分かった、頑張って」
「おう」
さて、頑張りますか
side out
授業は体育祭に向け、着々と難しくなって行く
新たな科目、スラロームそれに戸惑う志麻
そんな志麻は相談しようと真也の部屋を訪れた
side 志麻
はぁ・・・なんで上手くいかないんだろう
取り合えず真也君に相談しよう
《キンコーン》
「こんにちは」
「あれ?なんで真也君の部屋に光太君が居るの?」
「あぁ、僕は真也君の部屋でコーヒーをご馳走になっていたんだけど真也君が豆を切らしたとか言って買いに行ったんだ、それで僕は御留守番」
「そうなんだ」
どうしようかな、一回帰ろうか
「何かあったの?」
「え?いや、あの真也君に相談しようかと思って・・・」
「僕でよければ、話聞くよ」
それじゃぁお願いしようかな
「私、新しい事やらされると必ず失敗しちゃうんだ・・・・」
「焦っちゃうの?」
「自分でも良くわからない」
「前に真也君に聞いたけど、情報の全部をまだ受けようとしてない?」
それでも、
「だいぶ減らしたんだけど」
「あのさ、自分が感じたいように感じた事ある?」
自分の感じたいように?
「感じるんだよ・・・自分が宇宙の中心だってね」
光太君は何時もそうしてるのかな
「データが伝えてくる事は全て相対値だからね、自分を絶対値に置くんだ」
自分を絶対値に・・・・
「ありがとう光太君、なんか分かった気がする」
「そう、なら良かった」
自分を中心に・・・・よ~し頑張るぞ
side out
side 真也
「今日の授業はアストロボール選考会とする、これからテストするのは私ではない、彼らだ」
なるほど、ビッグ4か・・・・
これは、テスト云々より、本科生トップクラスにどの程度通用するか試したくなってきた
『君達は、一方のゴールサイトからもう一方のゴールサイトまで突破してくれ』
『私達はそれをディフェンスします』
『怪我しない程度に頑張りたまえ』
『戦いの雄たけびを上げろ、戦争の犬達を解き放て・・・シェイクスピア、ジュリアス、シーザー』
それにしても・・・ハーフラインは超えたいものだな
『誰から行く、誰が行く』
『行ってくる』
アリサの問いに光太が先陣をきった
それにしてもハーフラインを超えたか
俺も負けていられないな
それにしても
大、ジョジョ、ピエール、アリサとハーフラインすら超えられない
さすがビッグ4と言った所か
さて俺も行くか
『GO!』
レイラ教官の掛け声と共にスタートを切る
取り合えず障害物を確認、
左から町田先輩の機体が来るな
障害物を中心に圧力ガスを使って急旋回で回避だ
『初佳が抜かれたぞ』
『なかなかやるな』
なるほど、笙人先輩がゴール前で待機で後の3機で追い詰める形か
くっ!前を取られたか・・・・でも、前面の圧力ガスを噴射、急制動を掛け上から抜く!
良し!ハーフラインは超えた・・・それにしても町田先輩の機動は凄いな
障害物を中心に急旋回・・・・と見せ掛け反対側に圧力ガスを噴射して急旋回
これでゴールまで後1200・・・・っ!笙人先輩がゴールに居ない!!
囲まれた!!・・・・・ここまでだなゴール手前600かそれなりの好成績かな、ビッグ4に対してここまでやれれば
『なかなか面白い機動だった』
「ありがとうございました」
さて残るは片瀬さんのみか
『惜しかったね』
『あと少しだったのに』
「いやいや、流石ビッグ4だな、さて片瀬さんを応援しようか』
『だな』
って片瀬さん早く動かないとって!!なんて軌道するんだ・・・・そこで逆走!?
凄い起動だな・・・そのままゴールへ!
『やった!』
『凄い!』
各々から声が上がる
格納庫に戻り片瀬さんを称える
こうして片瀬さんがアストロボールの予科生メンバーに選ばれた
最後に片瀬さんの声が響いた
・・・・確かにマニュピレーターアート出たがってたもんな
side out
そして次回、合同体育祭が幕を上げる
学生達はグレートミッションの参加資格を手に入れる為に
己の技量を掛ける
ステルヴィアはかの黄金時代を取り戻す事が出来るのか
本日の再アップはここまでです
明日も引き続き行いますのでお付き合い頂けたらと思います
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第7話 ~合同体育祭~
開会宣言と共に流れ出すアナウンス
それに同調する様に盛り上がりを見せる会場
ファウンデーション対抗合同体育祭が今始まる
side 真也
『ついに始まった第37回全ファウンデーション対抗合同体育祭、今回はファウンデーションⅡステルヴィアを会場に熱いバトルが繰り広げられます。もはや学園内だけでは無く、全世界に注目を浴びている体育祭、各惑星から報道機関も多数参加、全太陽系に衛星中継されます』
さて、俺は第2種目・・・アストロボールは第9種目か、応援には間に合うな
ビアンカの整備も昨日やったが念のためもう一回チェックするか
しかし凄い熱気だな・・・まぁ各種目の優勝者にはグレートミッションの参加が考慮されるらしいから仕方ない事なのかも知れないが
っとそんな事考えている内に格納庫に着いた
さて、各種数値は問題なし・・・一応リミッター解除プログラムは入っているが今回は使う機会は無いだろう
「お!いたいた」
ビッグ4のケント先輩か
「君の友人に聞いたら此処じゃないかっていわれてね・・・早速本題なんだがナジーが体調不良でメンバーが足りないんだ、そこで初佳達と話合ってゴール前まで攻め込んで来た君が良いんじゃないかって話になったんだ」
ちょっと待て、いきなりそんな事言われても練習もしてない俺を使うのか!?さらに言うなら本科の人を使えば事足りるのでは?
「無理を承知で頼みたい」
「本科の他の先輩はどうなんですか」
「僕達としても一回、君の機動を見ての判断だ」
「そこまで言われてしまうと断れませんね」
「ありがとう!恩に着るよ」
そういって走り去るケント先輩、しかし・・・・本当に俺でいいのか・・・・
『第2種目参加者は指定のエリアに集合してください』
っと急いで行くか・・・まずは予選か・・・・よし!気合入れて行くか!!
俺はビアンカをスタート位置に着かせる
『それではルールを説明します・・・デブリベルト長距離走ではスタートからゴールまでのタイムを競います。上位五名が決勝に進みます・・・それでは予選を始めます』
しかし大半はケイティだな・・・それでも負けるつもりは無い!
『5・4・3・2・1・スタート』
スタートは上々、後は最短距離を算出し進むだけ、強化したセンサーのおかげで、周囲250mの障害物情報は取得できる
デブリベルトな訳だから傷害物は動く・・・・予選の内にその計算プログラムに必要な情報も収集しておくか・・・
しかし、ケイティは早いが小回りが利かないのが難点だな・・・・だが減速からの立ち上がりは早い・・・しっかり減速して避ける
効率がいいが勝ちを拾うのに減速はナンセンスだな
自機順位は4位かこのままのペースで行けば3位までもっていけるはず
・・・・よし!抜いた!
『ゴール!!各順位は電光掲示板で発表します。決勝は今から30分後に行います』
デブリベルト長距離決勝進出者
オデッセイ:ロバート・タリス 1:34:88
ステルヴィア:リアン・シュナイダー 1:35:15
ステルヴィア:狛江 真也 1:35:98
ビジョン:ヴォルグ・フールイ 1:36:67
ステルヴィア:ウルスラ・ブッフホルツ 1:40:15
トップとの差が1.1秒か・・・しかし良くステルヴィアは決勝に三人も行けたな・・・最悪でも三位は確定、上手く行けば独占か
しかし予選でもリタイアが出るとは・・・・まぁ運が悪かったんだなリタイアした人達は・・・・最初に障害物に接触した人の道連れだもんな
それに決勝ともなるとさらに厳しいコース・・・・リタイアだけは避けたい
『まもなく、デブリベルト長距離走決勝を始めます。決勝出場者はスタート位置に着いてください』
さて、障害物の移動速度は+1で設定して航行プログラムにて修正を掛ける
これで事実上減速をしなくても避けられる計算になる
『5・4・3・2・1・スタート』
最初からフルスロットルで加速する
前方に障害物57、回避経路を減速無しで選択・・・・最短距離を抜ける!
ゴールまでの距離22.5㎞か、今の所順位は2位トップとの差が0.87秒、抜けるか分からないな・・・限界まで加速して追いつけないとなると、相手がミスをしない限りキツイ
《警報!正面より飛来する物体あり》
なんだと!?しかし減速からの回避じゃ間に合わない!機体右側の圧力ガスで軌道修正で回避・・・それからレーダーで原因を探る!
・・・・・っく!厄介な事になったな・・・・隕石の様な物がデブリに浮遊してる物体にぶつかってビリヤードみたいに弾き飛んできたのか!
なんとかレーダーで捕捉できるが速度を抑えないと回避がキツイな・・・・仕方無いが此処は怪我をするりマシだ、減速しよう
順位は下がってしまったが・・・まぁ、仕方が無い
それにしてもステルヴィアのケイティは減速する気はないのか・・・ビアンカより小回りの利かないのにどうやって回避するつもりだ?
あ、あのケイティ詰んだな、前方を塞ぐ様にデブリ溜まりが流れてきてる
減速しても間に合わないな・・・・あのケイティはリタイアか・・・
オデッセイも減速を選択したか・・・・しかしこれはチャンスだ、デブリに浮いている障害物を影にして上手く気が付かれずに抜けるか・・・・レーダー上にはお誂え向きの障害物が有るが・・・抜くチャンスは此処しかない、此処で差を縮めて抜くしかない!
ここで加速!・・・・っ!気付かれたか、距離は100m稼げたけどゴールまで約10㎞・・・逃げ切れるか微妙な線だな
結果として1位を取ることが出来た、しかしケイティが減速をせずに障害物を避けていたら結果は逆だっただろう
なんせ俺のタイムに+0:74秒だ、なんとか勝てたというレベルだな
「一位おめでとう、やはり君に頼んでよかったよ」
ビアンカを降りてすぐにケント先輩に声を掛けられる
「いえ、ぎりぎりでしたよ」
「たとえぎりぎりだろうと勝ちは勝ちだ、それに咄嗟の判断力は敬意に値すレベルだ」
「ありがとうございます」
「それと、この後すぐにアストロボウルの最終ミーティングをするんだけど、時間は大丈夫かい」
「大丈夫です」
「よし!それなら善は急げだ、早速始めよう」
そう言って歩き出すケント先輩の後をついて行く
side out
side 志麻
これから最終ミーティングをすると言われて教室で待っている
ケント先輩は真也君を迎えに行っている
「それにしても狛江君も流石ね、剣が峰の勝利だけど良く持ちこたえたわね」
そうなんです!なんと真也君はケイティ相手にデブリベルト長距離走で一位を取ったんです
「凄いですよね、真也君」
「あぁ、これならアストロボウルの方も期待できるな」
笙人先輩もその結果に満足しているみたい
「・・・・・・」
え?町田先輩がいきなり暗くなったみたいだけど
「どうかしたんですか、町田先輩」
「いえ、なんでもないわ」
と何時もと変わらない様子で返事を返した・・・・気のせいだったのかな
《プシュー》
「お待たせ」
あ、ケント先輩が帰ってきた
「それじゃぁミーティングを始めようっとその前にナジーの変わりに出場してくれる狛江 真也くんだ」
「よろしくね、狛江くん、それと一位おめでとう」
「よろしく頼む、君達予科生には期待している」
「此方こそよろしくお願いします。ありがとうございます町田先輩、笙人先輩の期待に応えられるよう頑張ります」
「さて、各々の話はコレくらいにしてアストロボールの陣形を決めよう・・・狛江君にいきなりナジーのポジションは難しいと思うなので槍方陣形で行こうと思っている」
そうしてミーティングが始まった
それから1時間くらい話合い、私はゴールを守る事になった
「さて、こんなもんだろ、それでは各自アストロボウルまで英気を養ってくれ」
その言葉で皆部屋を出て行く
「片瀬さん、一緒に頑張ろう」
「えぇ、それでも私はマニュピレーターアートに出たかったな」
そういうと真也君は苦笑し、
「出たがってたもんな、片瀬さん・・・マニュピレーターアートが第8種目じゃなきゃ出られたかもね」
私はアストロボウルなんかよりそっちに出たかったよ
「さぁ、光太達と合流しようか」
「そうだね、アリサとピエール君は放送室だから別行動だけど」
「取り合えずカフェエリアに行こうか」
そう言って歩き出す
カフェエリアに着くと放送組み以外が席に座っていた
「真也御疲れ、大活躍じゃん」
「ぎりぎりだけどね」
「それでも勝ちよ、誇ってもいいと思うわ」
「晶ちゃんの言う通りよ」
「そういえばケント先輩が探していたのはなんだったんだ」
「俺、アストロボウルに出る事になったんだ」
「えー!スッゲーじゃん」
「確かにゴール手前まで攻め込んだものね」
そうやって話しをしている内にアストロボウルまでの時間を潰す
『さ~て途中経過を報告します、只今8種目を終えた所で我等がステルヴィア代表チームがトップをキープしていまーす』
アリサの元気な放送に耳を傾ける
『そして、本日のメインイベント、アストロボウルの一回戦が間もなく行われます・・・出場選手はゲートまでお集まり下さい』
「行こうか、片瀬さん」
そう言って歩き出す真也君の後を着いて行く
「時間ぴったりだね、それじゃぁ」
そういって円陣を組む
「ステルヴィアに」
「「「「「勝利を!!」」」」」
『ステルヴィア宇宙学園放送部では、この一回戦、ステルヴィアチーム対ビジョンチームの模様を只今から完全生中継します。司会は人気投票一位に輝いた脅威の新人、アリサ・グレンノースと』
『全女生徒の僕、ピエール・タキダです』
『なによそれ!!・・・っぁ、じゃなくて、解説は我が学園の甘辛ご意見番コンビ、リチャード・ジェームズ教授とカール・ヒュッター教官でお送りします、よろしくお願いします』
『誰が辛口なんだ、誰が』
『両チームの機体が競技フィールドに入って行きました』
ついに始まるんだ・・・・・どうしよう緊張してきた
『本競技はバリアで包まれたフィールドの中、双方五機のオーバビスマシン飛び、フィールド内に浮かぶ障害物をかわしつつ直径1mのボールを反重力スティックで相手方のゴールにシュートして得点を競う、非常に難易度の高いゲームです・・・・間もなく試合開始です』
『3トップでいっきに攻める、片瀬君はゴールを死守、狛江君はハーフライン際の遊撃だ』
『了解』『承知した』『分かりました』
『片瀬君』
「っはい!分かりました、ゴールを死守します。」
『片瀬君、リラックス、リラックス練習通りにやればいいんだ』
「はい、頑張ります」
『片瀬さん、一緒に頑張ろう』
真也君・・・・よーし、落ち着け私
《ピ・ピ・ピ・ポーン》
『ボールを取りに行くぞ!初佳はプレッシャーを掛けろ!笙人はバックアップ!』
『了解!』『承知!』
え?、は?なに?
『片瀬さん、ゴール守って!』
「はい!じゃない、了解」
あ、えっと、
『片瀬君!ボールが行ったぞ!』
「あ!はい・・・とー、りゃぁ!」
え?、え?
《警報、障害物接近》
今度は一体なに?
《片瀬機退場 片瀬機退場》
え?退・・・場・・・・
side out
side 真也
片瀬さんが退場してから俺がゴールを守る事になった
ステルヴィアチームは勝利し次戦いはオデッセイ
皆の提案でお好み焼きを食べに行く事になった
「そんなに落ち込むなって」
「しーぽん居なくても試合には勝てたし」
ピエールはいいが、大よ、その言い方無いぞ
「そうそう、それに開始三十秒で退場って記録よ記録」
「ほ~め~て~な~いぃ~」
「その恨めしそうな声やめて・・・怖いから」
栢山さん、激しく同意しよう
「だいたい、なんでちょっと接触したくらいで一発退場なのよ」
「それはもともとアストロボールが、障害物の多い宙域で船外作業率を競うことから始まったスポーツだからじゃない」
ジョジョがまともな説明だと
「知恵熱でも出てるんじゃない」
「お前らな」
さて、光太よ、なにか気の利いた事を言おうか
「次の試合で頑張ればいいのさ、真也君もそう思うでしょ」
「あぁ、今日の失敗は明日の成功、光太の言う通り次があるんだ、一緒に頑張ろう」
「光太君、真也君」
それにしても大きいお好み焼きだ・・・直径50㎝ぐらいありそうだ
「さぁ出来上がり、さぁ食べて元気出して、明日も頑張ろうしーぽん」
「うん、ありがとうやよいちゃん、ありがとう皆・・・片瀬 志麻頑張ります」
さて、いやな客が来たな
「お!退場娘がいるぞ」
次の対戦相手のオデッセイの奴らか
「まぁ、アカプスも相当手ごたえ無かったけど、ステルヴィアも余裕って感じかな」
「アストロボウルは5人でやるもんだ、そこの退場娘みたいに早々にいなくなっちゃ試合にならないだろう」
「今日は勝ちました」
「そうだ!いってやれしーぽん」
「ガチガチにゴール固めて1−0でな」
「サッカーじゃないっての」
「俺らにそんなの通用しないぜ」
この野郎・・・言いたい放題だな
「そんな事ないもん」
「レベルの低い奴らの相手にするな、オースチン達に言っておけ、ビッグ4などと持ち上げられて調子に乗リ過ぎるな、とな」
「調子に乗っているのはあなた達でしょう」
だれだ、あのコは?
「どういう意味かな、お嬢ちゃん」
「彼女は時速300kmのボールをトラップもしないでジャストミートで打ち返したのよ、しかも練習機のビアンカで・・・あなた達にそんな芸当が出来る人がいるの」
やろうと思えば出来なくも無い、だがタイミングが難しいな・・・
「っく、遊ぶ気がうせた、行くぞ」
「そういうあなたは?」
「私は風祭 リンナ、よろしくね」
そうして知合った風祭さんと皆でグラウンドに行った
「風祭さんは、ウルティマから来たんだ」
「こわくない?あそこ未完成なのにセカンドウェーブの一番近くにあるんでしょう」
ウルティマか、たしか親父が今そこにいるんだよな
「そ、人類存続の最前線基地、だから燃えるんじゃない」
燃えるか・・・
「なにやってんだお前らこんな時間に!!」
やばいな、白銀教官か・・・・・逃げれないな
「今更逃げても無駄だ!!」
レイラ教官まで
「まぁまぁ、今回は大目に見てあげる、ちょめ」
蓮花保健医もか・・・・ジョジョはあの怒られ方で喜んでいるようだがレイラ教官を忘れていないか
「私も叱ろうか・・・」
ドスのきいた声で言うレイラ教官にすかさず返事を返すジョジョ・・・・言わんこっちゃ無い
「おう、片瀬・・・今日は派手にやったな」
「すみません」
「講義じゃないんだ、謝らなくていい、明日は挽回しろよ」
「はぁ」
「頼りない返事だな・・・・なぁ、片瀬・・・・お前は何でパイロットになりたいんだ・・・お前らは人類の宇宙進出を担う、選ばれた存在なんだ・・・全ての人間を代表してここに居るんだという事を忘れるな」
「は、はぃ」
「良し!明日はしっかりプレイするんだぞ、お前なら出来る、オデッセイの連中に目に物みしてやれ!いいな!」
そういうと歌いながら白銀教官は去っていった
「うわー気合はいってんな~」
「あなた達がうらやましいのよ」
「白銀教官ってステルヴィアの時期幹部候補だとか」
「本当はパイロット志望だったのよ」
「そういう事だから期待に応えてあげてよね、教え子諸君」
そういいレイラ教官と蓮華保険医は笑い声を上げながら白銀教官の後を追う
「ステルヴィアの先生って面白い人達ね」
まぁ否定はしないぞ風祭さん
「俺らより青春してるって感じ」
アレかジョジョ、白銀教官のテンションを見ていっているのか
「どーしよう、やっぱ自信ないよ」
「片瀬さんは片瀬さんなりに頑張ればいいと思うぞ」
「そうだよね、ありがとう真也君」
「取り合えず今回の目標は試合終了まで退場しないことかな」
「アリサったらすぐそういう事言う」
「でも一歩ずつ前進するのも大切よ、あ!そうだ、しーぽんプログラム得意なんだから全部の運動計算しちゃえば良いんじゃない」
「やよいちゃんまで~」
確かにそれなら確実だが・・・・色々難しいぞ・・・・情報収集が間に合えば出来なくは無いが
そうして夜は更けていった
そしてアストロボウル二回戦
『さぁフィールドがバリアで囲われました、いよいよ試合開始です』
いよいよ二回戦だ、あの感じの悪いオデッセイの奴らには負けたくないな
『フォーメイションは初佳と笙人が先に突出、僕と狛江君が零れ玉をカバー、片瀬君はゴールを守ってくれ、落ち着いていこう』
「片瀬さん、聞こえてる?」
『うん、大丈夫だよ真也君・・・今日こそゴールを死守するから』
これなら大丈夫かな・・・昨日は俺も緊張してて片瀬さんに気を回せ無かったけど
っ!始まったな・・・先行は俺達か・・・ボールは町田先輩か・・・・でもオデッセイの奴ら、二機で挟みこんで・・・あの状態じゃパスは難しいな・・・壁を使ってもインターセプトされそうだ
『笙人!パス』
『承知!』
く!取られたか・・・だけど、オデッセイの奴らの陣形は、町田先輩達のインターセプトを回避し、ボールをゴール前まで持っていくつもりだろう・・・・笙人先輩が取りに行ったな・・・
よし!案の定パスをしてきた!このボールはもらった!
なんとかインターセプトできたな・・・パスは・・・・無理そうだな、前方から二機、進路を塞ぐ様に攻めてくるが
直前で右側の高圧力ガスを噴射、その勢いで平行移動し回避しゴール付近まで持っていく
っ!ここで町田先輩に使って来た挟み込み戦術か・・・・でも
ここで急制動を掛け二機を先行させる、相手が旋回している間に足を進める
よし!これなら!
「いけ!」
っ!ブロックされたか・・・・
『ナイス!狛江君この調子で頑張ろう、さぁカウンターをされる前にポジションに戻ろうか』
そうだ、早く持ち場に戻らなきゃ・・・相手が長距離パスをしようとしているのは分かる
分かるのだが距離が遠すぎる・・・相手のパスが通ってしまって町田先輩もかわされた
このままじゃぁ・・・!オデッセイの奴らシュートを放つ気か!!
「片瀬さん!」
『大丈夫!』
ってそのまま撃ち返すしちゃリバウンドがって、障害物のリバウンドを利用して機体の前に・・・・移動物体情報を全部網羅したのか
まぁ・・・・あんだけフリーにされれば情報収集とプログラムを組む時間はあるか
それにしても、お嬢の言う事本当にやるか・・・片瀬さん本領発揮だな
side out
side 志麻
うーん、敵さん誰も着かないから情報収集とか楽にできるし言う事無いんだけど
「よーしこうなったら移動物体全部トレースしちゃうもんね」
『片瀬さん!」
「大丈夫」
これでプログラムは組み終わったから
良し!計算通り
「残念でしたぁ!」
リバウンドなんてさせてあげないよ
「えーと、パスは・・・・無理か・・・・それじゃぁ、いっくよぉ」
あっと、周りに着かれちゃった
『笙人!狛江君!片瀬さんの援護を』
『承知』『了解』
『片瀬さん、安心してゴールまで行ってくれ、援護するよ』
笙人先輩・・・真也君・・・・よぉーーし
ゴールまで720m・・・この距離ならこの経路で
「いっけーーーーー!」
いろんな障害物にボールを当て私の思い描いた通りの軌道
ゴールだ・・・私、一点取ったよ
「やったよ・・・みんな」
『やったな片瀬君、よーし、初佳と片瀬君の2トップで行く、笙人!狛江君!片瀬君にボールを集めるんだ」
『了解』『承知』
よーし!頑張るぞ
side out
こうしてファウンデーション合同体育祭はステルヴィアの優勝で幕を閉じた
そして予科生達は平時の授業へと戻って行く
次は本科生を交えた合同演習が待ち構えている
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第8話 ~敗北~
合同体育祭の熱は冷め
予科生達は平時の生活を取り戻していた
side 真也
《ピピピピピピピ》
ん・・・・朝か・・・・
とりあえず・・・コーヒー・・・・
ふぅ、さて時間は、6時50分か・・・カフェエリアで朝食を取るか
《キンコーン》
「おはよう真也君」
「あぁ、おはよう光太」
「それにしても良い匂いだね」
「さっきコーヒーを淹れたばかりだからな、飲んでいくか」
「ん、もらう」
そうして俺も二杯目を淹れる
「今日の朝食はどうする」
「カフェエリアでいいだろう」
そういいコーヒーを飲み干す
「さて行きますか」
「うん」
朝食を頼む為に列に並ぶ
お、片瀬さんか
「「おはよう」」
「っあ!おはよう」
さて何を食べるか・・・・光太は
「モーニングAをお願いします」
それか、ん~どれにしよう
「焼き魚定食を」
「あの、モーニングA二つとB二つお願いします」
片瀬さん一人で食べる・・・わけないよな
アリサやお嬢達の分かな
「ん、なに?」
「えっあ、その、掲示板見てないよね」
見て無いな
「なにか休講にでもなったのか?」
「えっと、そうじゃなくて・・・あのね、この間の実技試験・・・・十二位・・・」
「おー凄いじゃないか」
「ほんと凄い、やったじゃない」
なるほど・・・・俺はどのくらいだったんだろう
「後、真也君は13位だったよ」
「なるほど、これからは片瀬さんを抜かなきゃいけないんだな」
「う~、なにかすぐ抜かれそう・・・」
「でも、二人とも凄いね」
「ありがとう」
「さて立ち話もなんだ、席に着こうか」
そうして朝食を取る
さて、一限はプログラムだったかな
side out
side 初佳
ん~、此処の機動は、まだ修正出来るわね
「見たかい、予科生の実技テストの結果」
「興味の対象が広いのね」
「好奇心こそ知識の源泉さ・・・・あのドン尻くんが今や優等生だ、狛江君は当初から頭角を現していたけど、あの子は最初が酷かっただけになお更目立つ」
「たいしたものね」
「もしかしたら天才かも知れないなぁ」
ケント、あなた私に喧嘩を売っているの?
「何が言いたいのかしら」
「いいや、別に」
そう、なら
「まぁ~どうしましょう、まさに脅威、ライバル出現!?どうしましょう・・・・・・こんなリアクションでどう」
「眼中に無し、って訳か」
「予科生を気にしていたら、グレートミッションどころじゃ無いでしょ」
「・・・・ふぅ、ランチの邪魔をして悪かったね、じゃぁ」
予科生か・・・・やよい・・・・
でも、私は誰にも負けない・・・・負けられない・・・・・・
side out
side レイラ
ふう、次の実習はライトニングジョウストか
片瀬は最近調子が良いが・・・・そろそろ天狗になり始める頃合か・・・
天狗の鼻が折れてなお立ち上がれば・・・・
それに狛江は、まだストラーダの癖が抜けない・・・・いやストラーダに乗っているつもりでいるかもしれない
ビアンカでストラーダの機動は無理がある、しかしそれでも・・・・だんだんに近づけている・・・・だがそれももう限界だろう
さらにその先、本科生を交えた合同演習・・・・・
さて、もうこんな時間か・・・予科生はもう集合しているだろう
「さて、今日の演習はライトニングジョウスト、ビアンカに装備された重力場発生装置で相手の重力場バランスを崩しコースに設置されたバリアにぶつける・・・・それだけだ、ただし体当たりめいた行為は即失格、肝に銘じるように・・・コース突入後交差する時間は5秒、一瞬の勝負だ・・・・何か質問は・・・・よし!やってみろ」
・・・・・ふう・・・・・
「次!片瀬、藤沢」
『はい!』『・・・・・はい』
藤沢・・・・・まだ、あの時の事故を・・・・・
授業が終わったら少し話すか・・・・・
「藤沢!」
とりあえず観測室に行くか
「らしくない動きだったぞ・・・・片瀬にああもあっさりやられるほど、差は無いはずだ・・・・まだ、あの時の事が・・・」
「明日・・・明日の合同演習を見ていてください・・・昨日の分は今日、今日の分は明日の私を大きくしてくれる・・・・そう思えるようになったから戻ってきたんです・・・・もっともっと自分を高めたい・・・・だから、明日・・・見ていてください」
そうか・・・・全ては明日か
side out
side アリサ
「ふぅ、しっかしどうやったらしーぽんみたいに操縦できるか・・・謎よね~」
「もぉ~、大げさなんだから」
「そぉお、誰にでも出来る芸当じゃないよ!目指せ宇宙!片瀬 志麻!君は私の希望の星だ!!」
「私のって、アリサちゃんは目指さないの」
「私?あ~私はパス、此処に来る人達って凄い人ばっか・・・それでも成績の良い人、悪い人は出来ていく・・・・私は悪い人」
「そんな事無いよ!頑張ってるじゃない、アリサちゃんも」
「でも成績はいまいちね~・・・・宇宙への憧れは変わらない・・・思いは誰にも負けない・・・ただ、何が自分にとってベストな選択なのか・・・・それが分からなくなってさ」
「アリサちゃん・・・・」
「だからもっと頑張らなくちゃ!講義も演習も頑張って、早くベストな道を見つけるのだ!」
「じゃぁここを辞めちゃうんじゃないのね!」
へ?しーぽん何を言ってるの
「だってそんな風に感じちゃって」
しーぽん・・・・・
「しーぽんを大親友に格上げして大正解!そんなしーぽんだから私は応援するの!したいの!だから頑張れ希望の星!それから泣き止め!」
ありがとう・・・・しーぽん・・・本当にありがとう
「さぁ~湿っぽいのは無し無し!さぁしーぽんご飯食べに行こう!」
「うん!」
「じゃぁお嬢も誘おう!」
カフェエリアで食事を取る
「何か考えてる」
明日の合同演習の事よね
「あたって砕ける!」
「砕けちゃうんだ」
「そ!なにしろ相手は本科生だからね~」
「何処まで通用するか、とにかくやってみるって感じかな」
「そうね~でも手ぶらで行くのは失礼よ、胸を借りるにしても出来るだけの準備はしていかないと・・・相手はケイティ、ノーマルのビアンカじゃ性能差は歴然」
「オプション?」
「そうね、ビアンカの機動性は武器になる、スラスターを強化して機動性を上げれば互角とまで行かなくても隙を突く事ぐらいは出来ると思うの」
「それ頂き」
晶ちゃんはそれでも良いかも・・・でもお嬢の機動はなんか綺麗な飛び方だからそれより
「でも、それよりセッティングを煮詰めるほうが良いかもよ、お嬢ってすっごく綺麗な飛び方するから~ん~なんて言うの・・・そう、洗礼!力技で機動を上げるより機体をもっとこ~お自分に近づける感じ~・・・なーんて」
「それ!いいわ・・・体の一部、操縦応答性を上げるって事でしょ、どう頑張っても基本性能は上がらない、だから今の自分に合ったセッティング、いいわねそれ!ありがとう!」
いや~照れるな・・・でもこの感じ・・・・・良いかも
『いよいよ今日は本科生との合同演習だ、レベルの違いを肌で感じてこい』
みんなダメダメね~
『次!藤沢!』
お!お嬢いい感じ!
『アリサちゃん!』
「やったねお嬢!」
『アリサちゃんのお陰よ!』
私のお陰・・・・それって良いかも~
side out
side 真也
なるほど、お嬢は流石だ
『次!狛江・・・お前の相手は手ごわいぞ』
ビッグ4のケント先輩か・・・・
さて、手ごわい相手だが・・・・タダで負けてやる心算は無い!!
スラスターを使えば相手に機動を読まれる、なら、機動を読ませた上で圧力ガスでの軌道修正で不意着く!!
そこ!っく!かわされたか・・・次は軌道ラインそのままで圧力ガスを左右交互に噴射して機体を揺らしフェイントを掛ける
『二本目、行くぞ』
そこだ!!っち!かわされた・・・・しかし今のは惜しかった、次はフェイントラインを増やして機体を相手の下に持っていく、そこを叩く・・・・
『三本目』
フェイントラインに掛かった!本命は下からの強襲!スラスターのリミッターを解除プログラム始動!出力120%で下から上に!
《警報、スラスター異常加熱》
くそ!ストラーダならコレくらいで音を上げ無いぞ!!出力が下がりやがる!!っく!速度が落ちた所を狙われた・・・・回避は・・・間に合わないな
やはりビアンカでは無理なのか・・・・いや・・・俺がビアンカに合わせれば良かったのか・・・・
無理につき合わせて悪かったな・・・・ビアンカ・・・・・
side 志麻
やよいちゃんも狛江君凄い・・・・私も頑張らなくちゃ
『次、片瀬!・・・お前の相手も手ごわいぞ』
ほんと凄い人に当たっちゃった・・・・ビック4の町田先輩・・・・・でも真也君もケント先輩に対して善戦したもん・・・・私も頑張る
機首に加重移動、コレでスピードと防御を両立して交差前に・・・フェイント!
よし!
『二本目行くぞ!』
いける、いける!此処でもう一回フェイント!!
流石町田先輩・・・・ぎりぎりの所でかわされちゃう・・・・でも次で
『三本目!」
町田先輩の機動は計算出来た・・・・後は現行のケイティの航行状態から算出・・・
コレで!
え!?
《警告!衝突進路!》
そんな!ぶつかる!!
っ!凄い衝撃・・・・それに・・・私・・・・
「いや~良くやった!ビック4に三回戦まで持ち込むなんて!しーぽん本当に凄いよ!本科の連中も吃驚してたし!予科にしーぽん在りって感じ!」
真也くんも三回戦まで持ち込んだよね・・・・真也君も悔しいだろうな・・・・
私、ちゃんと計算したんだよ・・・・・それなのに・・・・私・・・・・
「よ~し!頑張ったご褒美にスペシャルタイ料理を振舞って進ぜよう!涙出ちゃうくらい美味しいんだから!期待しててよ~・・・・しーぽん・・・・」
「一回目で行けると思ったんだ・・・・・二回目で勝てるって・・・・・・計算したんだよ・・・・・一生懸命計算したんだよ・・・・・なのに私、目瞑っちゃった・・・・私、私・・・・くやしぃよぉ・・・・」
side out
side ケント
アストロボールで狛江君の軌道を見ていなければあの圧力ガスを使った機動に対応できなかったかもしれない
それに片瀬君もたいした物だ・・・交差前の一瞬で航行ラインのフェイント・・・・あの初佳でさ対応しきれていなかった
初佳もぎりぎりだったんだろう僕も狛江君には冷や汗をかかされた
初佳のあの機動ははっきり言えば反則ぎりぎり、だが完全に計算された機動は流石としか言えない
狛江君のビアンカの減速が無ければ負けていたのは僕かもしれない
初佳もそうだ、あの場面で片瀬君が怯まなければ、負けていたのは初佳だろう・・・
お、そんな事を考えていたら初佳がいるじゃないか
「御疲れさん」
「あぁケント・・・それにしても危なかったわね」
「それは御互い様さ」
「そうね、はっきり行って侮っていたわ」
「あぁ、僕達もうかうかしてられないな」
「えぇ、私は負ける訳にはいかないのだから」
そういい歩き出す初佳
さて、僕も帰りますか
side out
初めての敗北
それを糧に更なる高みに挑めるか
グレートミッションが近づいてくる
そんな時期に転校生がやってくる
それぞれは何を思って宇宙にやってきたのか
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第9話 ~転校生!?~
本科生との合同演習から数日
グレートミッションの準備が着々と進んで行く
グレートミッションまじかのこの時期に
遠く離れた所から一人の少女がやってくる
side 志麻
今日の1限は0G演習
ちゃんと練習したし大丈夫だよね
よ~し頑張るぞ!
「次!片瀬、」
町田先輩の記録は2:05秒・・・・それを目指すけどその前に
今の自分の全力で!
うん、いい感じ、練習通りできてる
「ラストー!」
「2:20秒、今日のトップレコード」
うん練習の時より速くなってる
「凄いじゃんしーぽん!お嬢抜いちゃったよ」
「ありがとう、でも・・・まだまだなんだよね、町田先輩の予科生記録は2:05秒でしょ」
「お~このこのこの!それってもしかしてライバル宣言!?」
ちょ!やめってよアリサちゃん、締まってる!首絞まってる!?
「こら!今は格闘技の講習じゃないぞ!」
「「すみません」」
「後の二人はどうした!!」
あはは、大ちゃんにジョジョ君・・・・あれ?
あの子誰だろう?ステルヴィアの宇宙服じゃないけど
「2:05秒!」
凄い!町田先輩と対記録・・・・でも誰だろう、ってこっちに来た
あれ、もしかして
「りんなちゃん?」
「ぴんぽ~ん大正解!また合えたね!」
でも、なんでりんなちゃんが?
「あー、順番が逆になったが紹介しよう、転入生の」
「風祭 りんなです。いっちばん遠くのファウンデーションウルティマから来ました」
「彼女は12歳だが、成績優秀と認められ、予科に転入する事になった、年は若いが・・・ジョジョ、成績はお前より遥かに上だぞ」
りんなちゃんの紹介が終わって次は宇宙科学の講義
「それではここを・・・風祭、答えてみろ」
「はい!カー・ニューマンの解の場合、ブラックホールは回転していると同時に電荷を持っています」
りんなちゃん凄い、大ちゃんとかジョジョ君とか分からないだろうな~さっきの問題・・・
そうして、昼休みの購買でもりんなちゃんは他の生徒に負けずにお昼ごはんを確保してきた
「ふ~ん、ウルティマってまだ学校出来て無いんだ」
「だから授業って楽しい!」
「アレだけできたら俺だって楽しいよ」
「僻むな、僻むな」
「やっぱ、天才って居るんだね~」
天才・・・か・・・・
天才には、敵わないのかな
「ねぇしーぽん、食事の後って用事ある?」
「ううん、無いけど」
「じゃぁ終わったら私と勝負しない?」
「勝負?」
「そ!勝負、シュミレーターでランクを競うの!」
そして食事が終わりシュミレータールームに移動する
『ランクBです』『ランクAです』
ランクBか、りんなちゃんはランクA・・・
「やったー!!私の勝ち!」
「敵わないな、りんなちゃんには、どうしてそんなに上手に出来るの?」
「ん~と、いっぱいやってるから」
「いっぱい?」
「うん、子供の頃からいっぱい、私ってさ~地球よりウルティマで暮らした時間がず~と長いの、殆どウルティマかな~・・・ウルティマってね、あんまり子供がいないの、大人の人は忙しいし・・・だからシュミレーターでよく遊んでた、0G活動もシュミレーターも私にとっては日常だもん、出来て当たり前・・・ちょっとずるっこだね私」
りんなちゃんはずっと昔からやってるんだ・・・・だよね、始めたばかりでそんな上手く行くわけないよ
町田先輩だってきっと・・・・
「しーぽん雪合戦ってしたことある?私、雪って見た事無いんだ~地球では降るんでしょ!」
「何処でもってわけじゃないけど」
「しーぽんの所は?」
「降るよ、雪合戦もしたよ」
「雪合戦!そういう遊びしてみたかったんだぁ」
「いつか遊びにおいでよ、一緒にやろ、雪合戦」
「本当にぃ!」
「他にもかまくらとかスキーとか雪だるまとかいっぱい教えてあげる」
「やったー!」
しばらく楽しい話声が響いていた
side out
side ケント
「グレートミッションの選抜メンバーは本科から7名選ばれるらしい」
「4人は私達だとして・・・」
今、本科で僕達ビック4以外で有力そうなのは・・・
「草薙 洋子、一条 隆志、仁科 優子、辺りかな・・・後は」
「片瀬 志麻」
「それに狛江 真也」
「そうか、予科生も候補の内だったな」
「まさか、体育祭でちょっと活躍したくらいで」
「賭けようか?」
「賭けるような物じゃないわ」
ふむ、初佳はそう言うけど・・・・分からないぞ
片瀬君の成績はかなり上位だし、狛江君は例のオーバビスマシンがある
「まぁ、選抜メンバーの発表まで待ちますか」
side out
side 志麻
「タツオノフジェネレーターの組み立て作業中だかな、Bブロックエリア以外は進入禁止区域になっている」
「はい、気をつけます」
最初から上手い人なんていないんだ・・・・
いま出来ないなら、次は出来るように練習しなくちゃ
今度は町田先輩に・・・・勝ちたい!
「浅い・・・もう一度」
え?ビアンカ?
「っ、誰?」
『りんなだよ、マシン相手なんてつまらないよ!私とやろ!』
「でも、先生の許可を貰わないと・・・」
『後で貰えばいいよ』
そういう問題じゃ無いと思うんだけど・・・
りんなちゃんはもうやる気満々だし・・・
しょうがないな・・・
よし!行くよ、りんなちゃん
っ!避けられた・・・でも
「りんなちゃん凄い!」
『ねぇ、今度はウルティマ式でやろうよ』
「ちょっと!コースを守らないの!?」
『10分間逃げ切れたら攻守交代だよ!』
え、ちょっと・・・いきなり、っ!
『さっすがしーぽん!どんどん行くよぉ』
頑張って逃げなきゃ
何回か危なかったけど今度はこっちの番
え?ジェネレーター?っ!作業宙域に入っちゃった!
『なんのぉ~・・・きゃぁ!』
「りんなちゃん!」
大変!そのままだと・・・・
「りんなちゃん!制動を掛けて!そのままだとジェネレーターにぶつかっちゃう
『やってる!でも!』
このままだと・・・・
side out
side 真也
さて、今日の講義は終了だ
結構時間があるな、ストラーダの調子でも見るか
「失礼します」
「狛江か、どうした」
「ストラーダの調子を見ようと思いまして宇宙間訓練の許可を貰いに来ました」
「そうか、タツオノフジェネレーターの組み立て作業中だかな、Bブロックエリア以外は進入禁止区域になっている」
「分かりました」
「後、さっき片瀬がライトニングジョウストの自主練に行ったから気をつける様に」
「分かりました、それでは失礼します」
さ~て、久しぶりだなストラーダ・・・各種チェック、後に実機機動かな
バッテリー残量は100%って当然だよな、スラスター周りの磁化は無し
その他各項目も問題無し!
さて・・・行きますか
そういえば片瀬さんが自主練中だったな
あれ?ライトニングジョウストのコース付近にいないぞ
もう終えて帰ったのか・・・まぁそこまで気にする必要は無いか
side out
side レイラ
『レイラ教導官、作業宙域にビアンカが』
なに!ビアンカだと!?片瀬か?
『一機はウルティマの物です』
「風祭か!それで機体のコントロールは」
『此方の信号を受け付けません!周囲には片瀬 志麻のビアンカ、隣のBエリアに狛江 真也のストラーダがいます』
「救護艇の用意だ!」
『ハイ!!』
ストラーダにはアンカーワイヤーが標準装備だったはずだ
上手くそれで・・・いや希望的観測で物を言ってはダメだ
しかし、何もしないよりはマシなはず
「管制室に私も行く!逐一状況を知らせろ!!」
『分かりました!』
急いで管制室に向かう
「状況は!?」
「ウルティマのビアンカの重力推進器がおそらくジェネレーターに接触、制御不能状態です、5分後にウルティマのビアンカがタツオノフジェネレーターに衝突するコースです!」
「ストラーダはそこに行くまでに掛かる時間は!?」
「ストラーダのカタログスペック上約3分です!」
よし、ぎりぎりだがやらないよりマシだ
「狛江!」
『どうしましたレイラ教官』
「急いでAエリアに行ってくれ、風祭のビアンカが制御不能状態だ!ストラーダのアンカーワイヤーで風祭のビアンカに制動をかけてくれ!」
「っ!分かりました!」
後は信じるしかないな・・・・・
side out
side 真也
く!急いでいかなきゃ!
リミッター解除プログラムを始動
出力は115%に固定・・・・行くぞ!
何処だ!?っ!アレか!
このままだと135秒後に衝突する!
「片瀬さん!俺が風祭さんの機体にワイヤーを打ち込む、それで少しは時間が稼げるはずだ!」
『真也君!?でも』
「話は後だ!風祭さん、衝撃が来るから気をつけて!」
『わかった』
狙いは重力推進器、速度を合わせて・・・・そこ!
《ガツッ》
良し!固定完了!後はゆっくり制動を掛けて・・・
《警報!ワイヤー部異常負荷》
っ!やはり速度が速すぎる!でもこれ以上の力で制動を掛けなきゃ、たいして意味がない!
壊れる事覚悟で制動を強める!
《警報!ワイヤー部異常負荷》
分かってる!そう何度も繰り返すな!
衝突までの時間30秒は稼げた・・・でも止める所まで行かない
《バキン!》 《警報!ワイヤー部破損》
っ!やはり持たなかったか・・・・俺には作業用アームは付いていない・・・ここまでか・・・・・
side out
side 志麻
真也君のおかげでりんなちゃんのビアンカの速度は落ちた
でもこのままじゃジェネレーターにぶつかっちゃう、その前にこっちの機体に移せれば
成功確立は18%・・・ダメ!失敗したらりんなちゃんが死んじゃう・・・
少なくともビアンカの中にいれば安全装置がある・・・軽傷ですむかも知れないし
『しーぽん、こっちは完全にダメみたい』
「出るつもり!?でも、私が受け止められなかったら・・・無理だよ・・・私には」
『出来るよ!しーぽんなら、あのスーパーシュートの片瀬 志麻!私のライバルだもん!』
ライバル・・・・私が・・・・
『私がステルヴィアに来たのはしーぽんが居たから・・・しーぽんと勝負したいからステルヴィアを選んだの』
「私にはそんな実力無いよ・・・・町田先輩やりんなちゃんに比べたら」
『しーぽんは自分を信じないの!?自分が信じられないなら私を信じて!しーぽんをライバルと認めた私の目を!しーぽんをアストロボウルに選んだ皆の目を!しーぽんのプレイに夢中になったお客さんを!・・・・しーぽんは私を信じて!私はしーぽんを信じる!』
りんなちゃん・・・・信じろ片瀬 志麻
タイミングを合わせて・・・・ダメ!もう一度
落ち着いて・・・
来た!
「届いて!」
良し!後は・・・ジェネレーターに接触しないようにりんなちゃんの機体を弾く・・・
無事格納庫まで着いた私を迎えたのはみんなとレイラ教官
「すみませんでした!」
「でした!」
「良く戻った・・・罰は明日ちゃんと与えるから今日は体を休めろ」
「狛江」
「何でしょう、レイラ教官」
「お前のお陰で救出確立が上がった・・・あのままの速度なら先の成功率は8%ぐらいだっただろう、それに・・・ストラーダには悪い事をした」
「いえ、人命の方が大切です、ストラーダは修理が出来ますので」
あれが真也くんの相棒・・・
「良くやったしーぽん!!」
「二人とも無事でよかった」
真也君・・・でも真也君のオーバビスマシンも・・・
「真也君・・・ごめんなさい・・・真也君のオーバビスマシンも」
「気にする必要は無いよ片瀬さん、さっきも言ったけど機体は修理すればいい・・・なにより二人が無事でよかった」
「ごめん、真也・・・」
「風祭さんも気にしないで」
「ほんとありがとう・・・・真也のおかげで減速できたよ」
「まぁ助けられれば良かったんだけどね」
真也君は本当に優しい人だな・・・頼りになるし・・・
「いいかな~、我等が英雄のしーぽんとナイトの真也君に朗報です」
英雄って・・・真也君もナイトって言われて恥ずかしそうだ
「しーぽんと真也君がグレートミッション選抜メンバーに、選ばれました」
「やったじゃんしーぽん!」
「ねぇ!言ったでしょ」
りんなちゃん・・・ありがとう
「ステルヴィアからは七人、ビック4としーぽんと真也君、それに光太君」
「光太も選ばれたのか」
「そういう真也君もね」
「つか予科生から3人も選ばれるってスゲー!」
ジョジョくんの言う通り、凄いかも
あれ?りんなちゃん真也君の前に立ってどうしたの?
「本当にありがとう命の恩人さん」
そう言って手を出すりんなちゃん
「礼には及ばないよ、人として当たり前の事をしたまでだから」
そう言って握手をする二人
「それと・・・」
急にりんなちゃんが手を引っ張る
よろけて前屈みになる信也君
《Chu!》
「「「「あぁーーーー!」」」」
「これはお礼!」
そう言って真也君のほっぺにキスをするりんなちゃん
それを見て凄く嫌な気分になったけど・・・この気持ちは何なんだろう
そうして自室に戻る
「いや~驚いたね・・・りんなちゃんの行動もだけどまさか選抜メンバーに選ばれちゃうとはね~」
アリサちゃん・・・私はりんなちゃんの行動のほうが驚いたよ・・・でも私
「自信ないな~」
「まだそんな事を言うか、この子は~」
だって~
「セカンドウェーブをまじかで見られるよ、名誉な事なんだから素直に喜びなさい」
「はぁーい」
《ピンポーン》
「男の子は名前を言ってくださ~い、女の子だったら入って来ていいよ」
誰だろうって
「りんなちゃん、どうしたの」
「ありがとう、命の恩人さん」
「それを言いに態々来たの?」
「さっきはそれどころじゃ無くなっちゃたし」
それはりんなちゃんの所為じゃ・・・・
そして握手をする
「それとよろしく私のライバルさん」
「それから」
まだあるの?
「よろしくね、私のルームメイトさん」
そうして手を引っ張るりんなちゃん
コレってさっきの
《Chu!》
「わぉ」
「え?えぇーーーーーーーーーーーー!」
キスをされてしまった・・・・真也君と同じほっぺに・・・
りんなちゃんはキス魔なのかな・・・・
side out
選抜メンバーに選ばれた者達
選ばれなかった者達
それぞれの思いを抱き今世紀最大の作戦に挑む
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第10話~グレートミッション前編~
ついにグレートミッションが始まろうとしている
太陽系全体で行う大規模な作戦が
人類189年の集大成が今始まる
side 真也
今日の講義は全て休講だったか・・・
衝撃に備えての固定作業とかあるし、俺と光太、それにしーぽんはこの後レイラ教官とグレートミッションの為に訓練をする事になっているし
親父はウルティマか・・・・大丈夫だろうか・・・テレビでグレートミッションの模様を中継しているはず・・・気になるし見ておくか
ちょうどウルティマの映像か・・・・って洒落になんないぞ!・・・親父・・・・・
『先程の映像はウルティマから射出された偵察衛星からの最後の通信です、ついにセカンドウェーブがウルティマに接触しました、ウルティマから太陽系まではおよそ40天文単位、現在の速度ですとセカンドウェーブが40天文単位の距離を進むのにおよそ50時間かかります、ただし先程の映像電波が地球に届くまで、すでに5時間が経過しておりますから、残り時間は後45時間しかない事になります』
《プシュー》
「真也、今帰ったぞ」
は?
「なんでここに居やがるクソ親父!」
「なんでってウルティマのバリア展開設備の設置が予定より早く終わったからに決まっているだろう」
頭いてぇ・・・・
「連絡ぐらいしろよ!」
「そうだったな、リチャード教授に挨拶をしなければ」
「そっちじゃないだろう!来るなら俺に連絡ぐらい寄越せよ!」
「別に構わないだろう、それよりお前グレートミッションに参加するんだって」
「そうだけど、なにか問題でもあるのか」
「いや・・・頑張ってこい、それだけだ」
「あぁ、できる事をやってくるさ」
「さて、リチャード教授に挨拶に行ってくる・・・ストラーダの修理調整は任せなさい」
そう言い残し部屋を出て行った
てか親父は良く部屋が分かったな・・・気にしない方向で行くか・・・
訓練まで後2時間、時間もあるし部屋の固定作業をしておくか
ふぅ、大体終わったな・・・さて、そろろそ行くとするか、
ビアンカに乗ってBブロックエリア集合だったな
っと片瀬さんか・・・・少し暗いな・・・
「おはよう片瀬さん」
「ぁ!おはよう真也君」
「調子悪そうだけど大丈夫かい」
「うん、大丈夫だよ」
「そうか・・・あんまり気負い過ぎないようにね」
「うん」
う~ん、やっぱりグレートミッションが不安なんだろう・・・俺も少し緊張しているし・・・だが親父に言った通り出来る事をやるだけだ
「二人ともおはよう」
「光太か、おはよう」「光太君、おはよう」
光太は何時も通り変わらないな・・・・
「片瀬さん顔色悪いけど大丈夫?」
「うん、大丈夫」
光太も心配そうだな・・・っと格納庫に着いたな
さて、行きますか
『来たか、早速訓練の内容を説明する・・・遠隔操作型ビアンカの発射する目標を突破する物質に見立てビーム、フィールドジェネレーターで防ぐ、以上だ・・・まずは狛江、ビームで迎撃してみろ』
「はい」
有効射程は50mか・・・・センサーで捕捉しつつ有効射程に入り次第に迎撃か・・・
来たな・・・有効射程まで後4・3・2・1・今!
『上出来だ・・・次、音山』
なるほど、効率よくやらないとダメだな・・・しかし理論上バリアは突破されないはずだが、念の為と言うことか・・・
『良し・・・次、片瀬』
フィールドジェネレーターは展開まで距離が必要なのか・・・だが展開できれば面で受ける事が出来る分、有効範囲が広い訳か
ビームが点でフィールドジェネレーターは面か・・・
『びびって無いで射出しろ!もう一度』
なるほど・・・そうなると
《警報、右面より接近する機体あり》
っ!片瀬さんか!?上昇で回避だ!
『とりあえず、一時間後ミーティングがある、それまでがコレを繰り返し訓練する』
そうして訓練が終わりミーティングに参加する
「繰り返しになるが、諸君の役割は地球、月軌道を覆うバリア、グレートウォールの内部に展開し、バリアの一部が極所的に弱くなったり、突破されてしまった場合、早急に対応する事にある、各員自分の編隊の飛行計画をしっかり頭に入れておけ・・・いいか、189年前の第一波は電磁波だったが、今回の第二波は爆発した星そのものだ、計算上バリアは突破されない事になっているが、なにが起こるかはその場にならなければ分からない、ステルヴィア以外の各基地からも飛行できる全ての宇宙船が出動するが、現実問題として半径35万kmに及ぶ膨大な空間をカバーできるのは機動性に優れたオーバビスマシンだけだ・・・つまり諸君こそ地球における人類防衛の最後の盾なのだ、諸君の健闘を祈る・・・以上!」
最後の盾・・・・か、プレッシャーだな
「片瀬」
レイラ教官・・・・片瀬さん、大丈夫か・・・・・
side out
side 志麻
「片瀬」
レイラ教官・・・・
会議室に行きレイラ教官の話を聞く
「なにをそんなに怖がっている・・・・確かにオーバビスはたとえ一機でも貴重だ、とは言えお前は学生だ・・・あくまで経験を積む事が目的なんだ・・・・・出たくないなら出なくていい、よく考えろ」
レイラ教官・・・・そんな事言われても・・・・怖いの・・・・私の所為で人に迷惑が掛かるかもしれないのも・・・・・人が死ぬかもしれないのも・・・・・
みんなは固定作業中かな・・・・・確か私のクラスはグラウンドだっけ・・・・みんなと話せば・・・・・
そう思いグラウンドに足を運ぶ
みんなもう帰っちゃったのかな・・・・ちーちゃん・・・お父さん・・・真人・・・・
もう避難して繋がらないかもしれないけど
《TLLLLLL TLLLLL》
『あ!ねーちゃん、元気?』
「元気、元気!もう絶好調だもんね」
『この間のアストロボール得点王に続いて今度はグレートミッション参加者だもんな~もう日本でも世界でもニュースでねーちゃんの顔がガンガン流れちゃって大変だぜ、今や太陽系最大のアイドルかもよ』
「ほっほっほ、まかせなさーい、それよりそっちこそどうなの?まだ避難してないの?」
『家の割り当てシェルターはすぐ近所だからね、ぎりぎりまで家の片付けするんじゃないのかな~』
「も~さっさと逃げた方が良いのに・・・どうせちーちゃんがぐずぐず駄々こねてるんでしょ」
『父さんは寝ちゃったけど母さんならまだ起きてるよ、代わろうか?』
「いいよ、ちーちゃんったら一度も電話してこないんだもん、そんな人に話す事なんか無いよ」
『いい加減にしなよねーちゃんも・・・』
「なにがよ」
大体ちーちゃんが一度も電話して来ない方が悪いんじゃない
『あのね~・・・・はぁ、まぁいいや、それよりどうしたの?こんな時間に?なんかあったの』
「ちゃんと避難してるかなーって思って・・・それだけ」
『父さん明日電話しようかなって言ってたけど』
「ごめん・・・明日は朝早くから待機なんだ・・・電話は出られないよ」
『え!それじゃぁ父さん起こしてくるよ」
「いいよいいよ、お父さん疲れてるんでしょ、それに明後日になればいくらでも電話できるよ」
『・・・・ねーちゃん・・・・』
「大丈夫だって、明後日必ず電話してねってお父さんに言っといて」
『・・・うん・・・・』
「じゃあね、それじゃぁ早く避難しなよ、ステルヴィアより地上の方が危ないんだから・・・・それじゃぁお休み」
少し気が紛れたかな・・・・
《メールを受信しました》
光太くん?
リチャード教授に聞いてみたら
みんなシークレットルームの固定作業中だって
明日のミッションまで自室待機だけどみんなと
会ってリラックスしようと思って
クラス前で待ってます
psあんまり気負わないように
そうなんだ・・・そうだね・・・・みんなと会えば・・・・少しは・・・・
そうしてクラス前に行った
「あれ?真也君は?」
「真也君はストラーダの固定作業だって、でももうすぐ来るんじゃないか」
そうなんだ・・・ストラーダ、真也君の相棒・・・・この間りんなちゃんを助ける為に無理させちゃったけどもう修理終わったのかな
「まだ二人とも居たのか」
真也君・・・・
「うん、もうそろそろだと思ってね」
「相変わらず良い感してるな光太」
「あの、この間のオーバビスマシンは・・・」
「あぁ大丈夫だよ片瀬さん、もう修理は終わっているし」
そうなんだ、よかった
「さて、早くみんなの所にいきますか」
真也君がそういいシークレットルームに向かった
「お、やってるな」
「大変そうだね」
それにしても二人とも落ち着いてるな・・・・怖くないのかな・・・・
「あーーーーーーーーーー!しーぽんだ!」
え?あ、りんなちゃん・・・・
「あれ?しーぽん元気無い?」
「そんな事ないよ」
「三人とも、作戦前にこんな所ぶらぶらしてていいの?」
「明日の朝まで自宅待機なんだ、それで学校に戻ったらリチャード教授に皆ここだって」
「そうなんだ」
「それで固定作業は順調か」
「見ての通り、まだ全然」
「こんな巨大ロボ倒れてきたら大変だもんね」
「ていうか巨大ロボなんだから座らせたり出来ないの?」
光太くんは本当に何時もと変わらない・・・・
「こんな物危なくて格納庫の中で起動なんて出来るか」
きっと緊張とか怖いとかそういうのを今は感じてないのかな・・・・
「だいたい巨大ロボ巨大ロボっていうな、こいつにはちゃんとギガンティック・アクティモ・ソーマ試作一号機インフィニティって名前があるんだから」
「ぎ、ギガ?」
「ギガンティック・アクティモ・ソーマ試作一号機インフィニティだ」
「!!よ~しインフィーだ!今日から君をインフィーと呼んであげよう!」
「あぁ・・・・また始まったな」
真也君も何時もと変わらない・・・・ビック4の人達もきっと落ち着いている
私はダメ・・・・もし・・・・私がミスをしたら・・・・それで真也君が死んでしまうかもしれない・・・・それはアリサや白銀教官かも・・・・
そんな事考えていたら怖くて・・・・
「しーぽん!」
え?アリサちゃん?
「ちょっと散歩行こ!」
アリサちゃんにそう言われ公園に来た
「あ~ぁ、興醒めよねあのでっかい文字のせいで夕焼けが台無しじゃん」
パネルの夕焼け空に浮かぶグレートミッションまでの時間
それを見ると怖くなる・・・・
「いきなり散歩って言ってたけど、なんで・・・」
「なんでじゃなーい!ここの所ずっと暗いでしょ!何があったのよ!証拠は挙がってんだ!さっさと白状しろぉ」
ちょっと、アリサちゃん苦しい
「真也に告白してごめんなさいされたとかぁ~」
「っ!そんなんじゃないよ!!・・・・そんなんじゃない・・・・・・・・怖いの・・・・」
「・・・なにが?」
「ミッションが・・・危ないとかそういうのもあるけど・・・もし失敗しちゃったら・・・そう思うと、怖くて身体が動かなくなっちゃうの・・・・」
「・・・しーぽん」
「だって!もし私が失敗したら誰かが死んじゃうかもしれないんだよ!それはレイラ教官かも・・・・真也君かもしれない・・・・・・そう思ったら・・・・」
「しっかりしろー!片瀬 志麻ー!なぁーに馬鹿な事言ってんのよーあんた一人がドジったからってどうにかなっちゃうもんじゃないでしょー、グレートミッションは」
そうだけど・・・・
「あんたは自分が怪我しない様にして、後は特等席で世紀のイベントを見学してりゃーいいの、誰もそれ以上の事は期待して無いんだから」
「・・・・そう・・・かな・・・」
「そうよ!予科生代表なんだからシャキッとしなさいよー本当にもうー」
そうか・・・・そうだよね・・・・私が失敗してどうこうなるものじゃ無いんだよね・・・・
ありがとうアリサちゃん・・・これでもう・・・
固定作業も終わり部屋に戻る・・・・どうも落ち着かなくて金平糖を食べる
アリサちゃんもりんなちゃんも寝ちゃった・・・・
私も、もう少ししたら寝ないと・・・
あれ?瓶の中に折り鶴・・・
「もー、ちーちゃんだなこういう面倒臭いことするのは」
志麻ちゃんへ
ケンカしちゃってゴメン。
私はあなたが宇宙に出て危険な目に会うのが怖くて
仕方ないのよ・・・だってあなたは頑張り屋さんでいつだって
一所懸命になりすぎちゃうんだもの・・・でもそんなあなただから
きっとものすご~く頑張って立派な宇宙飛行士さんに
なって帰って来るだろうと私は信じています。
冬休みになったら帰ってきてね・・・
ご馳走作って待ってるからね
千秋
「・・・・グス・・・・お母さん・・・・私・・・頑張る・・・頑張るね・・・」
みんながシェルターに避難しいよいよグレートミッションが始まる
『オーバビスマシンのパイロットは搭乗を開始してください』
ちーちゃんからの手紙をコックピットに貼る
『各オーバビスマシン発進を開始してください』
大丈夫・・・だって、もう
「怖くない」
side out
side 真也
いよいよグレートミッションが始まる
親父には朝会ったきり会っていないがきっとシェルターにでも避難したんだろう
作戦開始まで後15分
ビアンカに乗り作戦開始まで待つ
0:00
『作戦開始!』
いよいよ始まりだ・・・何か嫌な予感がする・・・あまり当たって欲しく無いが・・・だが嫌な予感ほど良く当たる・・・・それでも俺は俺に出来る事をやるだけだ・・・・
side out
ついに始まったグレートミッション
宇宙に飛び交うオーバビスマシン
人類を守る壁と盾
それを脅かす波
本日の再アップ作業はここまでです
明日も引き続き作業を行いますのでお付き合い頂けたらと思います
当小説をお楽しみ頂けていれば幸いです
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第11話~グレートミッション後編~
光輝く破滅の光
人類の未来を守る城壁と盾
189年に及ぶ人類の大作戦
今は西暦2356年12月19日
side 真也
『セカンドウェーブコンタクトまで後57・56・55』
後一分も無いのか・・・嫌な予感が拭えない・・・
『30秒前28・27・26』
だが、俺は自分に出来る事を
『10秒前8・7・6・5』
来た!!
『セカンドウェーブコンタクト・・・・・・衝撃吸収率100%、作戦成功です』
・・・そうか、あの嫌な予感は俺の勘違いか・・・・ん?
『良かったね片瀬さん』
『うん、そうだね光太君』
いや、まだ終わって無いぞ、二人とも・・・まだ衝撃波は通り過ぎてない
ん?グレートウォールに何か・・・・レーダ感度150から600に変更・・・・っ!隕石か!?
『全オーバビス編隊へ、これより迎撃行動に入る』
「了解!」
『日頃の成果を見せる時だ!ジェネレーターを守れ!』
計算上バリアは突破されないはずだが・・・・そんな事考えていても仕様が無い
さて、俺の嫌な予感はコレの事なのか・・・・まだ嫌な予感がするんだが・・・まぁ、気にしていても仕方が無い、迎撃しなければ
レーダ内の目標は8か・・・・レーザの連射力を上げて対応しなきゃ厳しいな・・・・
レーザー照射間隔を3.5から1.0に・・・・排熱の関係から15回の照射で一回休ませないと壊れるかも知れないな
有効射程まで後10m・・・・今!
・・・・・ふぅ・・・グレートウォールの斥力場に当たって減速しているとはいえ、如何せん数が多すぎる
っ!
「片瀬さん!フィールドを展開して!」
『え?きゃぁ!』
なんとか回避出来たみたいだが
『ボケッとするな片瀬!フィールドジェネレータを展開しろ!やられるぞ!』
『その調子だ、片瀬さん』
光太が片瀬さんの弾いた隕石を迎撃したか・・・それにしても光太は何時も通りだな・・・
俺も頑張らなければ
《緊急通信》
っ!
『此方0304、推進器に被弾!操縦不能!操縦不能!』
0304!?・・・・あそこか!!ってこのままじゃ隕石が
『隕石が衝突コースに入った!回避不能!回避不能!!』
片瀬さんが援護に行ったか・・・って!片瀬さんはフィールドジェネレーターしか積んでない!あの距離だとジェーネレーター展開前に隕石が!!
隕石の距離は片瀬さんのビアンカ直前20m・・・っ!やはり弾かれた!・・・・まさか機体で弾く心算か!あの質量の隕石じゃぁ下手をしたら・・・・
俺のビアンカが有効射程に入る頃には片瀬さんの機体10Mくらいか・・・・でも質量が減れば・・・・
今!砕けたが・・・・ダメだまだ直撃コースだ・・・
『きゃぁぁぁ』
片瀬機の被害はフロント装甲にダメージ・・・損傷軽微
『念の為片瀬の機体を一度ステルヴィアに戻す・・・音山は片瀬をエスコートしろ、狛江は損傷したケイティーをステルヴィアまで牽引』
なるほど、流石レイラ教官、的確な指示だ
side out
side アリサ
しーぽん達大丈夫かな・・・・
ステルヴィアが凄い揺れたけど・・・
「おぉーしっちゃかだー」
ん?大は何やってんの
「何それ」
「ミッションの進行状況」
「またメインサーバーにアクセス?今度こそ退学だぞ」
「結構突破されてるな」
「バリアに当たって減速してるし、どれも小さい・・・今の所オーバビス隊は完全に対応できているみたいだ」
「しーぽん達は?」
それが一番気になる
「うん、しーぽんは今の所大丈夫みたい・・・って!片瀬機ダメージ!?」
え!それってどういうこと!!
「ちょ、ちょっと皆落ち着いて・・・機体に掠ったみたい、光太にエスコートされて帰ってくるみたい」
「はぁ~やれやれ」
「私しーぽん迎えに行って来る!」
私も行く!しーぽん・・・・
side out
side 片瀬
光太君にエスコートされてステルヴィアに戻ってきた
私、頑張ろうと思ったのに・・・何も出来ずに・・・
「片瀬!」「片瀬さん!」
あ・・・白銀先生・・・蓮華先生・・・・
「片瀬大丈夫か?」
「怪我は?」
「・・・大丈夫です」
「しーぽーん!真也ー!光太ー!」
りんなちゃん・・・それにアリサ、みんなも・・・
「コラお前ら、こんな所でなにをしている」
「しーぽん!良かった~大丈夫だった?」
りんなちゃん・・・うん、私は大丈夫なんだけどね・・・私は何もしないうちに・・・
「な~んだピンピンしてんじゃん!心配したぞ、片瀬 志麻」
「アリサ・・・・私・・・私、頑張ろうと思ってたのにッグス・・・上手く・・ッグス・・出来なくて・・・何もしないうちに戻って来ちゃって・・・」
「何言ってんだ、仲間のパイロットを救った上に無傷で帰って来たんだ・・・上出来だぞ、片瀬・・・胸を張れ、胸を」
白銀先生・・・
「お!たまには良い事言う~」
「俺は何時も良い事言ってんの!ちゃんと聞いてろ!」
「はいはい」
「「「「「あはははは」」」」」」」
っ!凄い揺れ・・・・何が起きたの!?
「とりあえず近くの教室に避難だ!」
白銀先生の言葉で皆動き出す
「くそ!状況はどうなっている!?」
「大!あんたミッションの状況分かるでしょ!」
「なんだと!今回は不問にする!状況はどうなっている!?」
「くそ!隕石もバリアの穴もオーバビスじゃ手に負えん」
「手に負えないって・・・それじゃぁどうなるの」
「隕石で地球が壊滅・・・バリアが壊れたら月もコロニーも僕達もお終い・・・・」
「それじゃ・・・俺達・・・死んじゃうの?」
そんな・・・
「アレなら・・・・アレなら何とかなるかも」
光太くん?アレって・・・・・
side out
side リチャード
こ、この揺れは・・・・
「な・・・なんだ今のは・・・・何が起こった・・・」
「隕石です!」
「巨大隕石の直径は約100Kmです!地球への衝突コースです!」
「到達可能な距離にいる全機を迎撃に向かわせろ!」
ふむ、しかしあの質量の破壊するのにオーバビスでは・・・
「オーバビスの火力では全く歯が立ちません!目標の破壊は不可能です!」
「L5で3機、L4で2機のジェネレーターに更に隕石が衝突、グレートウォールの出力が低下!」
「指令!バリアに開いた穴が大きすぎてグレートウォールのバランスが崩れ掛かっています!このままでは!グレートウォール全体が崩壊しまう!」
「リチャード教授、アレなら可能かね」
「確かにアレのパワーなら・・・狛江局長はどう思われます」
狛江研究所では確か製作に関わっていたはず・・・
「そうですな・・・隕石の破壊のみならアレのビーム砲で十分破壊できるでしょう・・・ですがジェネレーターの方は狛江研究所では関わって無いのでなんとも・・・渡されたデータでは理論上は塞げるはずです」
「なるほど、ですが動かすには整備しないと・・・・」
整備が間に合えど、パイロットが・・・
「指令、学園から緊急通信です」
「学園から?」
『指令、アレなら何とかなるんじゃ無いですか』
「なんだと?」
『アレですよ、地球から預かったデカ物ですよ・・・こいつは巨大な人型を稼動させる為、全身に重力波ジェネレーターを搭載しています、それを全開にしてやればバリアに開いた穴も塞げるかもしれません』
「白銀くん、此方も今同じ事を考えていたところだよ・・・だが、整備する時間と人手が問題でね・・・操縦系も未調整だろ」
『操縦系は副座にして機能を別けました、後10分もすれば最小限ながら使用可能な状態まで持っていけますよ』
「ヒュッター教官、ですがパイロットは?」
『僕らが出ます!』
「君は?」
『予科の音山 光太と』
『片瀬 志麻です』
そうか、彼等か・・・
「しかし君等はまだ予科生だろう」
「パイロットは全員出払っています呼び戻していては間に合わない」
彼等ならやってくれる私はそういう予感があるのですよ・・・指令
「地球の命運を子供達に預けるというのかね!?」
『指令!コレしかありません!例え小さな可能性でもコレに掛けてみましょう!生徒達を信じて下さい!」
「迷っている時間はありません」
「・・・・・・誰でもいい!向こうのコントロールを立ち上げろ!インフィにティー発進準備だ!」
ふむ、これ以上なにも起こらなければ・・・・
『指令!ワイヤー切り離し完了しました』
「ありがとう白金君!直ぐに全員退避させてくれ!各セクション最終チェック!」
「これよりSルーム内真空状態に移行します」
「インフィニティ第7ハッチへ」
「第三エレベーターロック解除」
「システムオールグリーン、インフィニティリフトアップ」
『発進準備OK』
『カウントダウン入ります、10秒前8・7・6・5・4・3・2・1』
『インフィニティー、発進!』
「各オーバビスマシンに伝達!隕石より退避命令を!」
「インフィニティー迎撃体制に入りました」
「インフィニティービーム発射!」
「爆発を確認!隕石の破壊に成功・・・・いえ!爆散した破片の一つが未だ地球への墜落コースです!このままでは23分後に落下起動に入ります!」
「なんだと!」
「インフィニティはそのままバリアの方に!」
「インフィニティーバリア展開完了」
「そうか、地球落下軌道の隕石は?」
「隕石の破片直径10km、オーバビスマシンの火力で破壊可能ですが時間が足りません!」
「大気圏で燃え尽きる可能性は!?」
「質量から算出しましたが可能性は1%未満です」
もはやコレまでですか・・・
「もう手段が・・・・インフィニティーはバリアを塞がなくてはグレートウォールが・・・・」
「こんな事もあろうかと!!!!」
っ!狛江局長・・・いきなりなんですか
「先程も言ったように狛江研究局でインフィニティーのビーム砲に関わった!その技術を使い作ったビーム砲があるのですよ!」
まさか・・・あの試作機ストラーダの・・・
「ですが時間内に破壊できるのですか」
「通常出力では無理ですな・・・だが!出力を250パーセントにすれば十分破壊できる威力を絞りだせるはず!」
「ですがパイロットが・・・・」
「いるじゃないですか・・・先の二人と共に帰還したもう一人の予科生が」
「ですが・・・」
「我が研究所の試作機を一番乗りこなせるのは我が息子・・・なんの心配もいりませんよ」
「ビーム砲の換装に時間はどの程度・・・・」
「言ったでしょ、こんな事もあろうかと、と、昨日のうちに換装済み!後はパイロットが乗れば何時でも出れる状態だ」
「予科の狛江 真也に連絡!ストラーダに搭乗し隕石を破壊する事を伝えるのだ!」
side out
side 志麻
あの隕石を壊さないと地球が・・・ちーちゃん達が・・・・
でも大丈夫、だって一人じゃないもん、今は光太君もいる
ちーちゃんがくれた手紙
「それなに?」
「お守り」
そう、お守り・・・ちゃんとちーちゃん達に会える様に・・・
『これよりSルーム内真空状態に移行します』
『インフィニティ第7ハッチへ』
『第三エレベーターロック解除』
『システムオールグリーン、インフィニティリフトアップ』
「発進準備OK」
「カウントダウン入ります、10秒前8・7・6・5・4・3・2・1」
「インフィニティー、発進!」
凄い・・・コレが・・・コレが光太君の見てる世界・・・
って感動してる場合じゃない!
「ブラスター、インフィーに接続」
「目標にロックオン」
「エネルギー充電って・・・・あ!コレか」
「目標進路に障害物無し・・・・いくよ、片瀬さん」
「発射!」
「目標の破壊を確認」
「破片の処理はお願いします」
後は・・・・バリアを!
「全ジェネレーター開放」
「フィールド展開準備」
「フィールド発生」
やった!コレでグレートウォールも大丈夫!
でも・・・
「機内温度上昇、今35度を突破」
「ジェネレーターは?」
幾つか負荷が限界を超えてるみたい
「後は我慢比べか・・・」
熱い・・・今機内温度は38度・・・でも持ちこたえなきゃ・・・・
え?
「流れが・・・・」
「止まった」
『セカンドウェーブ通過を確認!作戦、成功です!!』
終わった・・・
《Tlllllll》
え、あ!真人だ!
「え?なに?」
「電話の転送!携帯、携帯っと、もしもーし」
「こんな時に良くそんな設定を・・・・」
side out
side 真也
「はい!ここにいます、はい分かりました!」
なんだ・・・隕石の破壊に成功したのにこの緊迫感は
「狛江!今すぐストラーダに搭乗するんだ」
「白金教官?いったいどうして」
「爆散した隕石の一つが未だ地球落下軌道にあるらしい」
っ!そんな・・・・
「オーバビスマシンの火力でも破壊可能らしいが時間が足りない・・・狛江局長が言うには昨日の換装して置いて直ぐに出れる状況らしい」
親父・・・・朝に会っただけだと思ったら・・・・
「急げ狛江!後20分くらいしかない!」
「分かりました!」
「場所は格納庫の移動してある!」
なんという出際の良さ・・・・親父・・・未来でも見えているのか・・・・
「搭乗完了しました!」
『そうか!今データを転送する』
直径約10㎞の隕石か・・・残りは18分・・・ストラーダ到達時の残り時間は約15分
左舷にあるビーム砲のエネルギーは100%、通常時は250発ものビームを撃つ事が出来るのか・・・
今回はそのエネルギーを全て注ぎ込み250パーセントの威力を持たせる・・・か
ビーム砲はバッテリー内臓型・・・下手をすれば充電中に発生する負荷熱で爆発するぞ・・・・
『概要は以上だ・・・頼んだぞ』
「了解」
実質250パーセントの威力というが計算すれば214%の威力しか出ない・・・だからと言って214%の充電でいいと云う訳ではないな
214パーセントだと176%の威力か・・・・本来ならコレでも十分ありすぎる威力なのだが・・・
あの隕石を砕くのに必要な威力は215%・・・理論上砕けない訳じゃ無いが距離による威力減衰は回避できない・・・かといって近すぎても隕石の爆発に巻き込まれる
『ストラーダ発進準備完了!ストラーダ、発進してください』
「発進!」
目標との距離は18㎞・・・有効射まで後3分・・・・
充電に必要な時間は240秒・・・危険だが充電しながら行くしかないな・・・・
《ビーム砲充電開始》
目標をレーダで捕捉
《警報、ビーム砲異常加熱》
やっぱり本来以上の威力・・・てかそもそもこの状況を考えて作られていないから仕様が無いな
有効射程に入ったが・・・充電は240%
《警報、ビーム砲異常加熱》
それは分かっているが・・・・
《ビーム砲チャージ完了》
よし!
目標をロック・・・斜線上に障害物無し
発射!
《警報、ビーム砲異常負荷》
持ってくれ・・・
《警報、ビーム砲異常負荷》
っ!
『隕石の破壊に成功!』
良し!ビーム砲を緊急分離
《緊急分離:ビーム砲》
ふぅ・・・あんな物を何時までも装備してられるか・・・
何時爆発するか分からないのに・・・・
《ドゴォォォォン》
え?・・・・・爆発があったのはさっきビーム砲を捨てた場所だよな・・・・
誰も巻き込まれていなければいいが・・・・
それよりセカンドウェーブは!?
「光が・・・流れが・・・止まった・・・・・」
見慣れた緑の宇宙も・・・赤に・・・・染まっていく・・・・
『セカンドウェーブ通過を確認!グレートミッション、成功です!!』
『火星圏、金星圏共に健在、ウルティマからも連絡が入りました!!』
そうか・・・終わったのか
ストラーダもご苦労様・・・これからもよろしく頼むぞ、相棒
side out
side 初佳
『セカンドウェーブ通過を確認!グレートミッション、成功です!!』
あの子・・・片瀬さんが巨大隕石を砕き、バリアを守った
あの見慣れない機体も巨大隕石の欠片から地球をまもった
でも欠片といっても約10㎞の隕石、私達が束になって当たっても時間内に砕けない
『ストラーダ・・・乗っているのは狛江君か』
狛江 真也・・・アレに乗っていたのね
「ケント、あの機体をしっているの」
『一応ね・・・狛江研究局が作った試作オーバビスマシン・ストラーダ性能はかなり高いがとんだじゃじゃ馬さ・・・まえにストラーダのシュミレーションをやってみたけどCランクしか取れなかった』
そう・・・ケントがそこまで言う機体なのね・・・・
それにしても
「あの子達が世界を救ったのね」
『あきれたね、今年の新人はとんでも無いな」
『違うわ、私達みんなで世界をすくったのよ・・・我等、幸運なる少数、我等バンド・オブ・ブラザーズ』
『・・・・チャーリー五世か』
『ヘンリーよ』
そうね、みんなで救った
でも、最も活躍したのはあの子達と言う事実は変わらない・・・
もし、私の背後を脅かすその時は・・・・・
side out
先人達から託された世紀の作戦は無事成功に終わった
人類は新たな一歩を踏み出した
そして世界はまた日常へ
真也達予科生も日常へと帰っていく
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第12話~DLS~
二世紀もの間、人類を縛りつけていた厄災の波が過ぎ去った
人類は今、新たな道を進もうとしている
それは各々が目指す、他の人とは違う道を・・・・
side 真也
グレートミッションを終え今日から通常の講義に移る
確か今日からDLSか・・・
DLS、ダイレクト・リンク・システム
通常目に見えない情報を数値化し視神経を通じ脳に直接情報を送り込む
なんと言うか体に良く無さそうなシステムだよな・・・・
でもコレを使う事で自分の見たい物が見える・・・自分の宇宙が・・・・
《プシュー》
「おぉ、起きていたのか真也」
親父か・・・この前のミッションの時も裏で何かやらかしていたが・・・・
「今日からDLSだったな・・・それに伴いストラーダのシステムもDLSに移行して置くから、とりあえず慣れてから乗るようにしろよ」
至れり尽せりだな
「それと、コレは未発表だが、ウルティマである物が観測された、私はその情報解析を手伝いに明日、ウルティマに発つ・・・年末年始はウルティマで過ごすはずだ・・・冬休みに入ったら母さんに顔ぐらい見せるんだぞ」
ある物?まぁ時期が来れば分かるだろう
「それで私は行く・・・頑張れよ真也」
「あぁ、親父も頑張れよな」
《プシュー》
そういい親父は部屋を出て行った
今日もカフェエリアで朝食を取るか・・・・あそこは学園に近いから便利なんだよな・・・・
さて、そろそろ行くとするか
カフェエリアに向かう途中見慣れた顔を見つけた
「おはよう、光太」
「おはよう、真也君」
他愛もない話をしながらカフェエリアに向かう
カフェエリアに着くと聞きなれた声が聞こえる
「あ~あ、緑の方が綺麗だったな~・・・赤はなんか寂しいよ」
この声はりんなちゃんだな
「なんの話かな?」
そういい声を掛ける
「あー!真也だ!光太も!えっとね、宇宙の色の話!」
あぁ、セカンドウェーブが通り過ぎた時に色が変わったからな・・・・しかし何故色が変わったのか・・・改めて考えると謎だな・・・
「なるほど、確かに何が原因で色が変わったのか・・・謎だな」
「目下私の関心は期末試験のみ!緑だの赤だのは、お嬢にまかせるわ」
アリサは宇宙の色より目先の試験という感じか
「僕等の情熱、燃える宇宙・・・あれはそう、熱いハートさ・・・」
そんな台詞を言い現れたピエール
お嬢を口説いている心算なのだが・・・・みんな引いているぞ・・・そのくさい台詞に
「で、誰をいったい口説いているの」
お嬢の一言がピエールに刺さる・・・口説いている相手にそんな事言われたら・・・・お嬢、分かってやっているのか?
「おぉ、動揺してる」
アリサの一言で更に動揺するピエール
まぁアリサは仕方ないとして、男子陣は分かって冷やかしているから性質が悪いな・・・ジョジョなんて後で同じ事をやれられても・・・・いや、ジョジョはそんな臭い台詞は言わないか・・・
クリスマスが近いから、それまでにはっていう焦りもあったんだろうな・・・だが、焦りは禁物だぞピエール
そんなやり取りをし、朝食を終え格納庫に向かう
確かCブロックエリアに集合だったな
ビアンカに乗り、指定されたエリアに着くとそこには既にレイラ教官とビック4の二人がいた
『よし、全員集合しているな・・・今日はDLSの教習に入る、DLSをものにした時、君達はより近くに宇宙を感じる事が出来るようになる・・・今日はその第一歩だ、シュミレーションと演習が別物である事は良く分かっていると思う・・・各自、自分のペースで飛んでみろ、ビック4の二人がフォローしてくれる、少し位なら壊しても構わんぞ、これが終わったら全機システムチェックで整備入りだからな・・・良し!始め!!』
レイラ教官の掛け声と共にビアンカを飛ばす
障害物や現行速度、ジェネレーターの出力などが頭の中に響く
なんと表現していいのか分からないが・・・
「これは・・・凄い!」
自分の思い通りに動くビアンカに感動を覚えた
それに、DLSを通して見えるヴィジョン
青くそれに遠くまで見えているような錯覚を覚えるほど情報がすんなりと入ってくる
俺は早くコレをストラーダで試したくなった
ストラーダならもっと凄い物が見えてくる・・・そう思ったからだ
しばらくビアンカを飛ばしていたらレイラ教官から通信が入った
『全員だいぶ慣れてきた様だな・・・全機私のビアンカを目印に集合』
レイラ教官の一言で各々がレイラ教官のビアンカを目指す、そして全機集合を確認し次の指示を出す
『全員いるな、次はトライアルを始める、ゆっくりで構わないから完走する事、まずは狛江!』
「はい!」
レイラ教官の言葉に返事をし、機体を動かし始める
まず、トライアルコース内の障害物を確認し最短コースを割り出す
重力推進器の出力を90%に固定、圧縮ガスの残りを表示に設定し、加速する
いくつか障害物を避け、最後の障害物の所で機体を正面にし左側に障害物、
フロント右側とリア左側の圧力ガスの噴射を利用し機体を曲げる
そしてゴールを抜ける
『なかなかのタイムだな・・・・次、片瀬』
ふぅ・・・俺はDLSと相性が良いみたいだな・・・・
ジョジョや大はトライアル前の飛行でだいぶ悪戦苦闘していたみたいだが・・・・
やはり上手く適応しないと扱い辛いのか・・・
俺はコレをすんなり受け入れられたが・・・
っと、片瀬さんのトライアルが始まるな
そうして俺は片瀬さんのトライアルに目を向けた
side out
side 志麻
相変わらず真也君は凄い
初めてのDLSでもう何時も通り・・・もしかしたら何時も以上の起動を見せている
私も頑張らなくちゃ
『次、片瀬』
「はっはい!」
急いでビアンカを発進させる
いくつか障害物を避けてDLSの感覚を掴んでいる内にある事を思い出した
似てる・・・この感覚って
《全ジェネレータ開放、行くよ、片瀬さん》
光太君!やだ、何考えているの私!これじゃぁ、まるで・・・・
『片瀬どうした』
レイラ教官の一言で現実に引き戻される
「いえ!なんでもありません」
そうよ、今は演習中、ちゃんと集中しなきゃ
ゴールまであと少し、考えるのはその後
そしてトライアルを終え格納庫に戻る
結構な人が体調が悪そうだった、アリサちゃんもその中の一人
「大丈夫?アリサちゃん」
心配で声を掛る
「大丈夫、大丈夫・・・ちょっと気持ち悪いだけだから・・・」
そうは言うが何時もの元気がない
「保健室まで着いていく?」
「そこまでする事じゃ無いって、しーぽんは先に部屋に戻ってて」
そう言われたらそうするしかないよね
「分かった、それじゃぁ先に戻るけど・・・」
後ろ髪引かれる思いで自室に戻った
自室に着くとりんなちゃんがカレンダーをみて憂鬱そうにしている
「りんなちゃん、はい」
ココアを淹れりんなちゃんに渡す
「しーぽん・・・ありがとう」
「りんなちゃん、もうすぐ帰っちゃうんだね」
「まぁセカンドウェーブも行っちゃったからね・・・・あ~あ、サードウェーブとか来ないかな、しーぽんがいれば、またインフィーでやっつけてくれるのにな~」
そんな縁起でもない・・・でも折角仲良くなったのにな・・・今月いっぱいでお別れか・・・
お別れ会とかしたいな・・・アリサちゃんとかと相談しよう
きっとアリサちゃんは賛成してくれるはず・・・そうしたらみんなに声を掛けてりんなちゃんとの思い出も・・・
やるからには楽しい物にしなきゃ
side out
真也達予科生は始めて自分の宇宙を見た
その過程を見た者のとる行動は・・・
人々は宇宙に何を求めて来たのか
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第13話~ほんとうのあなた~
予科生達が自分の宇宙を知り
その過程を見た者が行動を起こす
宇宙に来て、それぞれが目指すモノは
side 真也
今日は珍しく光太が来なかった
そう言っても朝に見かけなかっただけなのだが
朝食も取ったしそろそろ行くか
一人寂しく教室に向かう
教室に近づくにつれ、三人組の女生徒がドアから教室を覗き込んでいる
ん?アレは本科の生徒か、うちのクラスに何か用なのか?
それにしても邪魔な位置に立っているものだな
仕方ない、声を掛けるか
「すみません、教室に入りたいのですが」
驚いたのか、凄い勢いで此方に振り返る
「え?あ、ごめんなさいね」
そう言うと教室から離れ、廊下を歩き出す
なんだったんだ?あの人達は?
中を覗いていたが・・・教室内には光太と片瀬さんか、きっと片瀬さんを見に来ていてんだろうな
本科、予科合わせて先のトライアルでトップ10入り
そんな事はどうでもいいが光太と片瀬さんが異様に仲がいい
というよりも、光太が何時もと様子が違うな・・・勝手な予測だが馬に蹴られたく無いからな、邪魔をしないでおこう
そんな事を考えていると後ろから声を掛けられた
「お?真也じゃん、どうしたの?」
「アリサか、いや何・・・馬に蹴られたく無くてな」
「馬?なんで馬・・・」
そうか、アリサは日本にある都都逸の詩を知らないか
「日本にはこういう詩がある、人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえってな」
「訳わかんないって!そんな遠まわしに言わなくてもいいじゃん、それで、誰の恋話」
興味を持ったのか教室を見るように合図をする
「光太としーぽん?コレって光太がしーぽんにラブ?でもしーぽんも満更じゃないような・・・」
「探ってやるな、アリサ・・・それにしても何時も一緒なのに今日は如何して一緒じゃないんだ」
「私は購買、荷物見れば分かるでしょ?」
そう言って手に持っている袋を掲げる
「そういう真也は如何して?」
「今日に限って光太に遭遇しなかっただけさ」
「なんの話をしているんだい?」
アリサと話をしている内にピエールがやってきた
「ピエール、中を見れば分かる」
「あれ、しーぽんと光太だろ・・・これは・・・よし!ライバルが減った!」
「ピエールはお嬢ラブだもんね」
「な!いや・・・光太もそれなりにもてるから・・・」
ピエール・・・それは否定してないぞ、テンパリすぎだ
「さてここで出歯亀もいいがそろそろ皆が来る頃だ、教室に入ろう」
俺の一言で三人で教室に入る、
「おはよう光太、片瀬さん」
「おはよう、真也君」
挨拶を交わし、しばらくすると教室に人が集ってくる
さて、そろそろ講義が始まるか、集中しなくては
今日が最後の授業、そして明後日からは冬休みか
side out
side 志麻
ちょっと今日は早く教室に来ちゃった
今日の講義の自習をしたいし・・・
「おはよう・・・珍しいね、一人で」
端末を操作していると声を掛けられた
「おはよう、光太君・・・アリサは購買に行ってるの・・・そういう光太くんも珍しいね、真也くんはどうしたの?」
「今日はたまたま真也君に会わなかったから」
「そうなんだ、そういえば同じ部屋じゃないもんね」
「うん、それより掲示板見たよ、予科・本科合わせてトップ10なんて凄いね」
「えへへ、なんか似てたんだ・・・光太君とインフィを動かした感覚に、それでかも」
「ふーん、そうなんだ」
「でも光太君はどうして?私なんかよりもっと上手く扱えるはずなのに」
「そうだね、何でなんだろう」
「光太君、本当にマイペースだね」
「昨日はアレが精一杯、インフィの時も精一杯・・・僕にも分からないよ、考えるだけ無駄だから考えない」
「ふふふ、なにそれ」
光太くんと話をしていたらアリサや真也くん、それにピエールくんが教室に入って来た
「おはよう、光太」
挨拶をし適当な席に座る真也君達
しばらくすると教室内が賑わってくる
「よーし、お前等!今日が今学期最後の講義だ!ちゃんと取り組むように」
白銀教官の一言で講義が始まる
数十分後、講義が終わり廊下を歩いていると
「片瀬さん、ちょっといいかしら」
ビック4の町田さん!いったいなんだろう
「えっと、何でしょうか」
「放課後、ちょっと話せないかしら」
「だ、大丈夫です」
「そう、それじゃ放課後掲示板の所に来て、話はそれだけだから」
そう言うと町田さんは歩いて行ってしまった
その話をラウンジでアリサ達にすると
「えーーーーーーーー!うっそーーーーー!!」
あ、アリサったら大袈裟だよ
「だってあんたビック4に声掛けられるなんて凄い事よ!」
「うん、それはそう思う」
「片瀬さん、よろしければビック4にお入りになりませんこと・・・な~んて話だったらどうする!?」
アリサ、町田さんはそんなんじゃないような・・・りんなちゃんも否定してるし・・・
「それで、なんの話だって?」
「よくわからない、さっきは本当に廊下でちょこっとだったんだから」
「後継者候補に選ばれたのかもよ!しーぽん凄いから・・・とにかく会談の様子は一言も漏らさず報告するように・・・分かったかね」
アリサの一言に敬礼して
「了解であります・・・あー楽しみだなー・・・でも、緊張して喋れなかったどうしよう」
「笑って誤魔化せ!」
「それじゃぁまたお調子者って思われて怒られちゃうよ~」
でも、緊張とわくわくが入り混じってる感じ
ちょっと放課後が楽しみだな
side out
side 初佳
片瀬さんに廊下で声を掛け約束を取り付けた
この講義が終われば放課後、片瀬さんが何を目指して宇宙に来たのか
そしてその答えが私の、私が築き上げて来た町田 初佳を壊すなら・・・その時は・・・
だってそうでしょ、やよいを助けられず、助けようとしたのに結果的にやよいを蹴落としてまで築き上げて来た今の私
そろそろ約束の時間ね
掲示板に向かうとそこには片瀬さんが居た
「待たせちゃったかしら」
「い!いえ!」
「そう、それなら良かったわ・・・片瀬さん、少し歩きましょうか」
そうして私は展望台を目指す
道中片瀬さんがそわそわしているのに気が付いた
「緊張する事ないわよ」
「は!はい・・・すみません」
「謝る必要も・・・私もあなたと同じ、ただの学生よ」
「えぇ!?違いますよ!町田さんは凄い人です!みんな憧れてます!頭良くて操縦できて凄い美人で、私なんておこちゃまで・・・やだ、私ったら・・・なに興奮してるんだろ」
そう、あなたからはそう見えるのね、必死にしがみ付いている私の事を
そろそろ展望台に着くわね
展望台に着くと擬似的に作られた風が頬をなでる
ここでやよいとも話したっけ・・・でも今はそんな感傷に浸っている場合じゃない
「片瀬さんはどうして宇宙に?」
「普通に星が見たかったんです」
「普通に?
「はい、見上げるんじゃなくてこんな風に」
展望台正面にある強化ガラス越しに見える星を前にそう言った
「特にパイロットで無くても良かったのかしら」
「かも・・・しれません」
そう、それなら、あなたは私を壊さない
「でも!でも今はもっと上手くなりたい・・・宇宙学園を目指すなんて自分でも大それた事を考えるな~って思ってました、でも来て本当に良かったです、毎日がとっても楽しんです」
その後の片瀬さんの笑顔であの時のやよいの笑顔を思い出した
私は確信した、この子は私を壊す
「片瀬さん、宇宙は楽しむ所じゃないのよ・・・」
「え?」
「片瀬さん、自主練しましょう・・・格納庫で待ってるわ」
しばらく待っていると片瀬さんが来た
「Bブロックエリアで訓練種目はライトニングジョウスト、いいわね」
「はい!よろしくお願いします」
重なる・・・・あの子の言葉が、笑顔が・・・
《自分をもっと高めたいの》
やよい・・・
でも、私は止まれない
だって私は町田 初佳だから
私が町田 初佳で居る為には!!
『最低だよ!先輩!!』
声と共に乱入してくるビアンカ
強い衝撃が何度も私を襲う
私の中で何かがコワレタ
天才なんて居ない
そう言い聞かせてきた
それでも
現にここに
そうして私はコックピット内に浮かぶ自身の涙に気が付かぬまま、ただ、呆然としていた
side out
side やよい
しーぽんが言ってた事、放課後に町田 初佳に会う
あの楽しそうな声を聞いていたら・・・言えなかった
私の怪我はあの人にやられた
だから気をつけて
そう言いたかった
時間が進む度に不安が押し寄せてくる
確かアリサちゃんにしーぽんは報告するって話だった
私はアリサちゃん達の自室に向かった
アリサちゃん達の自室に着きチャイムを鳴らす
「しーぽんは?」
「うん?まだ、ほんのちょっと前に連絡があって、町田さんと自主練だって」
アリサちゃんの一言で私は、あの時の事故を強く意識した
もしかしたら、しーぽんが潰されちゃう
そう意識したら居ても立っても居られなく走り出した
急いで着替え格納庫に向かった
でも私のビアンカは整備されていた、その時になってレイラ教官の言葉を思い出した
《全機システムチェックで整備入りだからな》
もう!なんでちゃんと覚えていなかったの!
このままじゃ・・・
不意に声を掛けられた
「どうしたお嬢?そんな血相変えて」
真也君と光太君がビアンカの前で話をしていた見たいだ
そして私は
「急いでしーぽんの所に行って!潰されちゃう・・・町田・・・町田 初佳に!彼女はそういう人なの!!」
そういうと真也君達は
「なんだと!光太、先に行け!俺のビアンカは整備中だ!ストラーダで行く!」
「分かった!」
光太君はビアンカに乗り、真也君は走り、シークレットルームを目指した
私はそれを尻目に制御室へ向かった
私はそこで見守っていた・・・
「初佳・・・・止めて・・・・・しーぽんは・・・お願い!」
私の声は制御室に消えた
side out
side 真也
全くどうしてこうなった!
先に光太を行かせたが・・・・
とりあえず片瀬機と町田機を索敵!
Bブロックエリアか!
光太は・・・片瀬さんの後方から行くルートで58秒後に着くのか
俺は60秒後・・・念のため俺も飛ばす!
遭遇まで後15秒、距離としては800m
今の所普通に訓練しているだけだが・・・
片瀬機が緊急停止!?町田機は・・・止まる心算が無いのか!!
《潰されちゃう・・・町田・・・町田 初佳に!》
お嬢の言葉が脳裏を掠める
まずい!
『最低だよ!先輩!!』
片瀬機に町田機がぶつかろうとした瞬間
光太のビアンカが片瀬さんのビアンカの前に出てケイティを下から突き上げる
幾度と無く体当たりを繰り返す光太
町田機も体当たりに耐えられなく緊急停止する
だが、光太も止まらない・・・流石にそれもまずい!
「やりすぎだ光太!町田先輩はもう動けない!」
そう言って光太のビアンカの前にストラーダを割り込ませる
衝撃が俺を襲う
すぐにストラーダの状況を確認する
分厚い装甲のお陰でたいしたダメージは無い・・・装甲が凹んだ程度だと思う
それ以外に目立つ損傷は今の時点では確認できない
『・・・・真也くん・・・・』
「落ち着いたか、光太・・・これ以上やればお前も町田先輩と変わらない」
『ごめん』
「とりあえず格納庫に戻ろう・・・動けるか」
『機体のダメージは大して無いよ』
「そうか・・・とりあえず片瀬さんを頼む、俺は町田機を牽引していく」
『わかった・・・ほんとごめん、止めてくれてありがとう』
「気にするな」
そうして会話を終え、ケイティにワイヤーを固定し牽引する
それにしても光太の機動・・・最早ビアンカの挙動じゃぁ無かった
俺もビアンカだったら最後の体当たりに割り込めなかっただろう
取り合えず大事にならなくて良かった・・・・
side out
それぞれが目指した宇宙は何処へ
人が求めた繋がりは
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第14話~繋がる心~
学生は学年末試験を終え後は冬季長期休みを待つばかり
各々は何を思いこの長い星の道のりを歩むのか
side 真也
『今学期はグレートミッションなど、人生において貴重な経験を積む良い学期であったと私は思います』
今、学長の有難く長い話を聞いている最中だ
『確立された厄災を防ぎ、人類は新たな道を模索し始めています。来年は人類の新たな一歩を刻む大切な年となるでしょう。それでは長くなりましたがこれを閉会の挨拶にしたいと思います』
学長の話が終わり自分の部屋に向おうとすると知らない顔が声を掛けてきた
「あ、あの狛江 真也さんですよね」
少々上ずった声で話しかけてくるこの子は看護科の制服に身を包んでいた
「そうだけど、なにか?」
「こ、これ!・・・・その、待ってますから!!」
そういうと脱兎の如く目の前から消えてしまった
渡してきた物は可愛らしくハートのシールで留めてある手紙だった
「これって・・・」
「ラブレーターだな」
いきなり後ろから声が掛けられる
「ピエール・・・見てたか」
少しばつの悪そうな顔をし
「途中からね」
「そうか・・・」
ピエールはばつが悪いのか別の話を切り出した
「話は変わるだけど、りんなちゃんがウルティマに帰るのは知っているかい?」
「話は知っているが」
「そこで女性陣がクリスマス兼お別れパーティーを開くみたいでね・・・僕達も参加しないかって」
「そういう話なら俺は参加だ」
「了解、パーティーは明日、18時からだけどその前に飾りつけとかやるみたいだから13時にアリサ達の部屋に集合だ」
「分かった」
「話はそれだけだから」
そういうとピエールは自室に向かうのか俺と反対方向に歩き出していた
それを確認すると俺も部屋に向かった
自室に着き、サイフォンに火を入れソファーに座り
さっき貰った手紙を読む
有態に言えばやはり好きです、付き合ってくださいという言葉が書かれていた
まぁもう少し詳しく言うなら前回の事で身を張ってビアンカを止める姿に惚れたらしい
それに明日の22時に展望台か・・・
とりあえず、断る事は確実だな・・・よく知りもしないのにそういう返事をするのは相手に失礼だ
《ピンポーン》
考え事をしていたらチャイムの音が響いた
「どうぞ」
「やぁ、ちょっと時間いいかな」
「光太か、どうした」
「少し相談したくてね」
「そうか、少し待ってくれ・・・今コーヒーを淹れるから」
「ありがとう」
ソファーから立ちコーヒーを淹れる
光太に差し一息つく
「それで、相談とは」
「うん、明日・・・片瀬さんに告白しようと思って」
「ならそうすればいいじゃないか、なにを相談する事がある」
「いや、僕はあまり話すの得意じゃないから・・・」
なるほど、口下手だから上手い口説き文句を教えてくれ、そういう相談か
「そういう事か・・・俺もそういう経験が無いから上手い事いえないが、自分の気持ちを素直に言う事が一番だろう」
「自分の気持ちを?」
「あぁ、口下手だろうと行動で示すのは止めた方がいい、どんなに拙い言葉でも自分の気持ちを伝える・・・・それが一番だと俺は思う」
「そういうものかな」
「そういうもんだ」
「そっか・・・そういうのでいいんだ」
「それが自分らしさならな」
その後簡単な雑談をしていると、時計の針は23時を示そうとしていた
「ごめん、なんか長い時間居ちゃって」
「気にする事無いぞ、それより明日・・・頑張れよ」
「うん・・・ありがとう、それじゃぁお休み」
「あぁ、お休み」
そうして光太は自室に戻る
それにしても光太が片瀬さんか・・・上手く行く事を祈ってるぞ光太
そう思いながら俺は寝る事にした
そうして翌日
俺は片瀬さん達の部屋を目指した
部屋に着くと既にジョジョ以外そろっていた
片瀬さんとお嬢は料理担当
その他は飾りつけ
各々が作業を始める
「まぁ、本当のクリスマスは明日だけどな」
ピエールが話しだす、それにつられ
「でもイブの方がクリスマスって感じするよな」
確かにイブは彼女とかと過ごすのがオーソドックスだよな
だがこの中に彼女が居る奴は居ないはず、なのでそんな危険な発言は出来ない
「ねーねー、みんな恋人とか居ないの?」
その瞬間世界が止まった
てか何を言い出すんだ・・・りんなちゃん
「居ないの?イブって恋人と過ごすんでしょ、ね」
同意を求めるようにアリサに振るりんなちゃん
「私はパス」
「なんだつまんない・・・大ちゃんは?」
そして今度は大に振る・・・・
「え?え~っと・・・ピエールどう?」
そして大はピエールに・・・どうするんだこの連鎖・・・
「聞くなよ・・・・そういえば真也はどうすんだ?この間看護科の子からラブレター貰っただろ」
ピエールが昨日の話を持ち出すと、りんなちゃんが少し機嫌が悪そうな顔をした気がした
「俺はその話は断るつもりなんだが」
俺がそう言い切った後は流石に空気を読んだのか追求の手は無かった
「光太はー」
りんなちゃんの言葉にはそういった物を感じなかった、きっと俺の勘違いだったんだろう
「そういえばこの間看護科の人が会いにきてたじゃん、この間ビック4の町田さん相手に凄い所見せただろ、それでファンになったんだって」
ピエールがその話をすると光太は片瀬さんの方を見る
俺はお前が片瀬さんの事を好きなのを知っているが・・・その態度はあからさま過ぎるだろ
「やった!光太モテモテだー」
りんなちゃんの声に光太も顔を戻す
「脳ある鷹が爪を隠すって感じがカッコイイんだってさ」
「所詮僕らは鷹の爪だ」
ピエールの肩を叩き大が言う
しかしそれは唐辛子では・・・
「あの町田 初佳をけちょんけちょんにしたんだもんね」
「ほんと、あの町田さんが子供扱いだったもんな」
しばしの雑談に中断していた飾り付けを再開する掛け声がでる
「さぁ~てそろそろ飾り付けを再開しようか」
「お~まかせとけ」
そして途中途中雑談を混ぜながら作業を進めていく
しばらくするとサンタの格好をしたジョジョが現れた
「メリークリスマース、やぁ素敵なお嬢さん、何か欲しい物はありませんか?この袋には何でも入っているんですよ、御人形?洋服?それとも指輪?」
そんなふざけた格好をする為にこんなに遅れたのか・・・
「人手」
「ヒトデ?かわった物が欲しいんだね」
栢山さんの言葉を多分海に生息する物と勘違いしたんだろう・・・だが
「手が足りないって言ってるでしょ・・・まだ料理も飾りつけも終わってないんだからね」
そして賑やかな笑い声が包むその楽しい雰囲気のまま作業を続ける
side out
side 志麻
あれから町田さんの事ばかり考えちゃう
それにやよいちゃんの言葉
《気にする事ないよ・・・彼女があんな事するの、初めてじゃないの》
そう調理中に言っていたあの言葉
初めてじゃ無い・・・それは二年前のやよいちゃんの事故の事を言っているなら・・・
それに町田さんは・・・・あの後、話をしたくても学校にも来ていなかったみたいだし
「それじゃぁ私は注文していた飲み物とってくるから」
「男子~お嬢一人に持たせるつもり~」
「そんな馬鹿な、僕が持つに決まってるじゃないか、やよいさん」
「あんたはツリーの飾りつけ終わって無いでしょ」
「僕が行ってくるよ」
「これで飲み物はOK~料理も終わってるし飾りつけはツリーと壁・・・あ、笙人先輩に星を借りなきゃ」
笙人先輩なら・・・町田さんの事知ってるかも・・・
「私が行くよ!笙人先輩の所!」
そういうと私は走った
少し走ると目的の場所に着いた
「すみません、予科の片瀬です」
『今開ける、少し待っててくれ』
「すまない、これだ」
渡された星型の鉄・・・尖った部分には刃がついている
「これって・・・」
手裏剣?笙人先輩ってやっぱり忍者・・・・
「色はそちらで塗ってくれ」
でも流石に・・・これに色を塗るのは・・・ってそんな事考えている場合じゃない!
「あ、あの!町田 初佳さんがどうしてるか知りませんか?」
「気にする事はない・・・非は彼女にある」
「教えてください!あれから学校にも着ていないようだし・・・まさか止めちゃったとか」
「まだ決定ではないそうだが・・・退学になるらしい」
そんな・・・・
考え事をしながら一人で歩いていた
気が付いたら私はインフィの中にいた
分からないよ・・・・私・・・町田さんに悪い事したのかな・・・・
もしかしたら・・・みんな私の事・・・・
コックピットが開く音がする
「やっぱりここに居た」
「光太くん・・・」
「どうしたの」
「・・・無期謹慎だって」
「町田さん?・・・・やっぱり気にしてたんだ」
「気になるよ!私の知ってる人があんな・・・・それに怖くて」
「怖い?」
「町田さんがどうしてあんな事をしたのか分からなくて・・・もしかしたら他の人も町田さんみたいに私の事嫌ってるんじゃないかって思えてきて・・・・楽しい気持ちになれないの・・・折角のクリスマスなのに・・・りんなちゃんのお別れ会なのに」
「じゃぁ行こう、一緒に」
その言葉と共に差し出される手
私はその手を取り
町田さんの所へ
そして町田さん部屋へ着いた
チャイムを鳴らすけど変事が聞こえない
意を決して中に入る
「!?あなた達」
「ドア、無用心ですね」
「何のよう」
「あの、知りたくて・・・どうして・・・その」
「どうして私があなたを怪我させようとしたか」
私はその言葉に頷いた
「思ったより意地が悪いのね・・・それを私に言わせるつもり」
「そんなつもりじゃ」「答えてください!」
光太くんの言葉が重なる
「答えるべきでしょ!町田 初佳さん!」
「あなたが・・・あなたが私に近づいて来たから蹴落とした・・・ただそれだけ」
そんな・・・そんな事って
「私はこれまでずっとこうしてきた・・・やよい時もそう、あれは事故じゃないわ・・・私が起こした、事件よ」
やよいちゃんの時も・・・
「町田さん・・・どうして」
「負けたくなかったの!やよいにも!あなたにも!誰にも!だって・・・負けられないじゃない・・・私は町田初佳なんだから!」
「勝つ事が・・・良い成績をとる事がそんなに大事なんですか」
町田さんが光太くんの言葉に触発されたように話す
「あなたには分からないでしょうね・・・あなたに負けて、私のプライドがどれだけちっぽけなものか思い知らされたわ・・・・あなたみたいのを本当の天才って言うのね、私なんて精々秀才・・・・・人の何倍も練習してしがみ付いて・・・・見っとも無いわ、もういいでしょ」
「あの・・・ありがとうございました・・・・その、正直に話してくれて」
そうして私達は町田さんの部屋を後にした
そして私はアリサ達の所に戻る気になれずシークレットルームに移動した
「私ね・・・初めて町田さんに負けた時悔しくて泣いちゃう程だったんだ・・・だから私、町田さんの気持ち、ちょっと分かる・・・町田さんのしたこと許せないけど、攻められない」
「そっか」
「光太くんも悔しいとか勝ちたいとか思うの?」
「思うよ」
「ぜんぜんそんな風に見えない」
「良く言われる、何考えているのか分からないって、自分の気持ちとか伝えるの下手なんだよな・・・喋るのも苦手だし」
「それが悔しい事?」
「自分の気持ちが伝わらないのは悔しいよ・・・それが好きな人なら、なおさら」
そうなんだ・・・でも好きな人って
「僕は片瀬さんの事がすきなんだ」
へ?・・・私!?え、でも・・・・うん・・・この気持ちは・・・私も・・・
「私も・・・光太くんの事・・・好き・・・だよ」
「嬉しいな・・・・ねぇ、志麻ちゃんって呼んでいいかな」
「うん・・・いいよ」
「メリークリスマス、志麻ちゃん」
「メリークリスマス」
そして私は目を瞑る
唇に当たる感触
これが私のファーストキス
これからもよろしくね光太くん
side out
side 真也
《探してくる》
その一言を置いてこの場を離れた光太
そして光太と片瀬さんが消えて数時間
俺も看護科の子に返事を出さなければいけない
・・・クリスマスに振るのは可哀想だが・・・・ただそれだけの理由で先延ばしにするのはそれ以上に失礼だ
「あれ?真也は何処に行くの」
アリサに声を掛けられる
「あぁ、ちょっと展望台にね、約束があるんだ」
「おぉ?もしやデートかな」
こんなのがデートならあの子は可哀想だな
「そんなもんだ、だから着いてくるなよ」
「分かってる分かってる、それじゃ楽しんできなよ」
「あぁ」
「その前に俺のサンタの衣装しらない?」
「いや、見てないな」
さっきお嬢が着て出て行ったが・・・これは内緒の方がいいだろう
そうして俺は展望台に向かう
展望台にはあの子が一人佇んでいる
「ごめん、待たせたかな」
「い、いえ!あの・・・読んで頂けましたか」
「読んでいなければここに来ていないよ」
「それで・・・答えは・・・」
「すまないが君とは付き合えない」
「そう・・・ですか・・・」
「なにより君の事を良く知らない俺が簡単に付き合う事は出来ない」
「そうですよね・・・」
「すまないな」
「い、いえ!こっちも急でしたし」
「それじゃぁ俺はこれで」
「ぁ・・・・」
小さな声を聞き留まる
「まだ、なにか」
「あの!これから・・・・いえ、やっぱりいいです」
大体予想が出来る
その先を言っても変わらないことに気が付いたのか言葉を止める
「それじゃぁ、帰り気をつけて」
「ほんと態々ありがとうございます」
その言葉を後に俺は皆の所へ向かう
side out
side 初佳
あの二人が帰ってから思い出す
昔の事
二年前に一緒に宇宙へ来た友達
やよい・・・私は
「メリークリスマース」
赤服にサンタ帽子さらに白く大きい袋を持った誰かかが来た
でもあの声にあの背丈は
「やよい・・・なの」
「教えて・・・二年前のあの時あなたは私を助けようとした」
「片瀬 志麻は・・・あの子は・・・助けてみせた・・・・なのに、私は助けられなかった・・・・あの子に出来る事が私には出来い・・・ジョウストもグレートミッションだってあの子の方が上だって分かっていたはずなのに・・・・価値が無かった・・・・私には、あなたを蹴落とすだけの、価値が」
今までの気持ちが涙となって流れ落ちる
「私を攻撃したのはあなた、でも・・・助けようとしたのもあなた・・・・あなたを許せないのは私・・・許したいと思っているのも私」
やよい・・・・
「初佳・・・・この涙を流し終わったら・・・昔のように」
やよい・・・・私はあなたに
「何も言わないで初佳・・・その涙が、あなたの気持ちなのでしょ」
やよい・・・本当にごめんなさい・・・そして・・・・ありがとう
こんな私を・・・
side out
人と人は対話をする事で繋がる
然し時にその対話は繋がりを切る事もある
繋がりを取り戻した者達
新たな繋がりを作った者達
繋がりを拒んだ者達
それぞれの宇宙は今
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第15話~冬休み~
とうとう学生達が喜ぶ時期が来た
冬季長期休み
ある者は宇宙へ残り
ある者は地上へ向かう
side 真也
りんなちゃんのお別れ会兼クリスマスパーティを終え長期休みのさなか
里帰りをする者達は明日、フジヤマの定期便を利用して地球に帰る
俺もその便で地球に帰ろうと思っている
荷造りも終え後は明日を待つばかり・・・
そういえば今日は光太が来るはず
確か時間はそろそろのはずだが・・・・
《キンコーン》
ちょうど来たようだ
「開いているから勝手に入ってくれ」
「やぁ、こんにちは」「こんにちは」
挨拶をしながら入って来る二人・・・二人?
聞きなれた声の元は光太と片瀬さんだった
「あぁ、こんにちは・・・光太はその様子だと上手く行ったんだな」
「おかげ様でね」
俺と光太のやり取りで片瀬さんは少し恥ずかしそうにしていた
「そうか、それは良かった・・・そうだ、二人ともコーヒーは飲むかい?」
「うん、貰うよ」
「ぁ、私も」
「分かった座って待っていてくれ」
そういい二人をソファーに座らせサイフォンに火を入れに行く
「光太はブラックで片瀬さんは砂糖とミルク有りだったね」
そういい砂糖とミルクを取り出しテーブルに置く
「さて、二人は帰省組みかな」
「そうだね、僕も志麻ちゃんも」
「俺は荷造りは終わったが・・・二人とも大丈夫か?」
「僕は大丈夫」
「私はまだかなぁ、アリサもまだ荷造りしてなかったし」
「片瀬さん、フジヤマの定期便は明日だぞ」
「えぇーーーーーーーーーーーーーーー!」
フジヤマの運航日程を知らなかったのか叫び声を上げる片瀬さん
というか帰省するのに何故運航日を知らない?
「まぁ落ち着きなさい」
「うぅ・・・アリサもまだ荷造りしてないから安心してたのに・・・」
「まぁ今日の夜にやれば間に合うだろうっと、もういい時間かな」
そういい席を立ちサイフォンから三人分のコーヒーを淹れテーブルに置く
それを手に取り一口、美味いな・・・・今度は水出しコーヒーでも淹れてみるか・・・そしたら配合比率を弄らないと
「ふぅ、相変わらず美味しいね」
「そう言ってくれると淹れた甲斐がある」
そうしてしばらく雑談をし数時間
「さて、ずいぶん話し込んでしまったな」
「そうだね、志麻ちゃん荷造り大丈夫?」
「そろそろ危ないかも・・・」
「そうか、それじゃ今日はお開きだな・・・それじゃ明日、フジヤマで」
「うん、それじゃ」
「御邪魔しました」
そういい二人は部屋を後にした
さて、俺も狛江研究局に電話を入れて置くか
数コール後、電話が繋がった
《はい、こちら狛江研究局》
「ご無沙汰しております、狛江 真也です」
《あぁ、局長のご子息の》
「豪徳寺さんは今?」
《局長代理ですか、少々お待ちください》
《御電話変りました豪徳寺です》
「ご無沙汰してます、真也です」
《ほんと久しぶりね・・・あれから全く電話も寄越さないで》
「それはすみません、明日そちらに向かおうと思うのですが・・・それと父の件はご存知で」
《そうなの?それじゃ空港まで向かえに行くわ、局長の件と言うとウルティマの話かしら》
「態々すみません、えぇそうです、ウルティマの件です」
『どう致しまして、では明日、待っているわ』
「はい、それでは失礼します」
そう言い電話を切る
さて、明日は11時発の便だから10時にはゲートに行かなきゃな
今は20時か・・・これからしばらくはストラーダのチェックが出来ないからやっておくか・・・
そうして俺はチェックをし、部屋に戻ったのは23時・・・そこで俺は床に付く事にした
そして翌日、フジヤマの搭乗開始の放送を聞き、俺は指定の席へと腰を下ろした
しばらくするとフジヤマは航行を開始し安全ベルトが解除される
「あれ?真也は一人かい?これから僕は大とラウンジに行くんだが」
隣にいたピエールから声が掛けられる
「あぁ、俺も行こう」
そうして三人で移動し俺とピエールはコーヒー、大はパフェを頼んだ
「しかし、光太としーぽん、ジョジョに晶ちゃん・・・上手く行ってないのはピエールだけだね」
それを聞くなりピエールは立ち上がる
「どうしたピエール・・・軟派か?」
「そんな浮ついた物じゃない・・・これはそう、一言で例えるなら・・・チャレンジ」
そういうとお嬢の方へと歩いていった
「大は上手く行くと思うか」
「ピエールの事?うーんどうだろう」
「そんな事より僕はしーぽんと真也君が付き合うと思ってたんだけどな」
「ピエールの件は・・・いや皆まで言うまい、しかし俺と片瀬さんか・・・俺の中ではやはり友達感覚なんだよな」
大とそんな会話をしている内にフジヤマはナスカへ着いた
俺が降りようとすると
「狛江君・・・ちょっと」
ビック4のケント先輩に声を掛けられた
なんでも地球を救った英雄の中に俺も含まれているらしい
インフィニティに乗った二人ならまだ分かるが何故俺が・・・
「君も直撃コースの直径10KMの隕石から地球を守った一人だからさ」
っとケント先輩に言われてしまったからだ
そして俺と光太、しーぽんの身代わりに選ばれたのはジョジョ、ピエール、栢山さんの三人だ
俺達はケント先輩に連れられ裏口へ
そして専用機で日本へ向かった
side out
side 志麻
今日は何時もよりお洒落してきた
それをフジヤマで光太くんに可愛いって言ってもらえて本当に嬉しかった
光太くんと話をしていたらあっと言う間にナスカに着いてた
そしてケント先輩が言うにはナスカのロビーは私達三人を待ち構えている人が大勢いるらしく専用機で日本へ
裏口を歩いていると
あれは・・・真人
「おーい、ねーちゃーん」
叫ぶ訳でも無く声を掛けてくる
でも何で真人がここに?
「宇宙局から連絡があってさ、裏口から来るなんて有名人じゃん・・・何時も姉が御世話になってます、弟の真人です」
「音山 光太です」
「狛江 真也です」
「それより、真人一人?お父さんとお母さんは?」
「仕事、セカンドウェーブの後始末とか色々あるからさ・・・そんな事よりこっちこっち」
真人が私の荷物を引いて正面ゲートとは反対側に案内する
それにしてもなんで裏からなんだろう
「三人は今や日本一有名人だからね、これくらい気をつけないと」
「そういえば光太君に真也君、こんな所にいたら家族の人大丈夫?」
「ああ、大丈夫・・・今着たみたい」
「俺の方もな」
二人がそういうと空から二つの物体が来る
「すっげー自家用重力船だぁ、それも二つも」
そこから二人の女性が顔を出す
「姉の洋子」
「狛江研究所の朱音さん・・・それじゃ二人とも、良いお年を・・・これ以上一緒にいて馬に蹴られたくないからな」
「久しぶりね、真也君」
「朱音さん、ご無沙汰してます」
そういうと真也君は重力船に乗って移動する
「志麻ちゃん、良かったら家にくる?」
「え、でも・・・」
光太くんと一緒に居たいけど・・・
「片瀬さん、お家は何処」
「えっと鎌倉です」
「これならすぐに着くから」
そして私はお父さんに電話して許可を貰い光太くんの家に遊びにいった
着いたのは島
ここには光太くんの家しか無いみたい
私達は浜辺を歩きながら話をしている
「時間があればさ、海の中とか色々楽しめるんだけど」
「そっか、綺麗だろうな~、お姉さんは星を見る人?」
「一応ここの二代目所長」
「ここって何処の所属なの?宇宙局?太陽系連盟?」
「連盟とかから援助はしてもらってるらしいけど、どっかの所属って訳じゃないみたい」
そうなんだ、それならここの名称は・・・
「音山天文学研究所!」
「おしいね、天文島音山天文所」
「全然おしく無いじゃん」
こういう所で普段見ない新しい顔
「そうだ、天文台に行こうか」
「うん」
そうしてまた歩きだす
ちょっと暑いかな・・・
「大丈夫?志麻ちゃん」
こうやって気にかけてくれる光太くんの優しい所とか私は好き
「うん、大丈夫」
「ごめん、もうちょっとだから」
天文台に着くとそこには大きな観測装置
その端にはる階段を上り扉を開けると島を見渡せる
「綺麗・・・今度はちゃんと・・・遊びに来たいな」
そうして光太くんから手を握り
私も握り返す
そうして二度目のキスをする
そして私は携帯にかかってきた着信に気づかぬまま光太くんの家を後にする
side out
side 真也
重力船で2時間
久しぶりの狛江研究所は相変わらずであった
「それにしても局長も御忙しい方ね」
「そうですね・・・あ、これストラーダの航行記録と負荷データです」
「あら、ありがとう・・・これでアレが完成するわ」
「朱音さん、アレとは」
「ストラーダの処理能力を使った情報収集パーツの事よ・・・早ければ真也君の冬休みが終わる頃には完成するかもね」
「それは楽しみですね」
『番組の途中ですが、臨時ニュースをお伝えします・・・ファウンデーションⅥ・ウルティマが正体不明の飛行物体と戦闘状態になりました、実弾行使を行った戦闘は実に60年ぶりであり詳細は不明、現在調査中とのことです」
なんだと・・・・また、こういう事で心配をするのか
前回はセカンドウェーブ
今回は戦闘・・・・どうも嫌な予感しかしない
「親父・・・・」
「大丈夫よ真也君・・・」
「朱音さん・・・」
《TLLLLLL TLLLLLL》
不意に携帯が鳴った
「はい、狛江です」
『私、宇宙局東京支部の安池ともうします、宇宙局本部より非常召集が発令されましたのでお迎えに上がりますでその場で待機していてください』
「それはさっきの報道に関係が?」
『詳しくは申せませんがご想像の通りだと』
そういう事か・・・要するにウルティマでの未確認飛行物体がステルヴィアにまで害を及ぼす可能性がある
そこでグレートミッションにも使ったストラーダを頼りにすると
「それはストラーダを使う・・・と」
『その場合もありえます』
そうなると光太や片瀬さん、ビッグ4の人達もこの通知が来たはず・・・
光太と片瀬さんの場合インフィニティに乗らされるだろうな・・・
「そうですか・・・分かりました」
『ではすぐに向かえを寄越しますので』
これはどうも・・・嫌な予感が強くなる一方だな
流石に学生を戦闘に出す事は無いだろうが・・・
「真也君・・・・」
朱音さんが心配そうな顔をしている
「大丈夫です」
俺がそう言うと、丁度良く宇宙局の船がやってきた
「それでは朱音さん、良いお年を」
「狛江 真也君ですね、宇宙局東京支部の安池です、早速ですが此方にお乗りください」
俺はその言葉に従い船に乗り込む
そうして俺の帰省は1日を待たずして終える事となった
side out
急に現れた飛行物体
かの者の目的は
そして、それに翻弄される人類は
本日の再アップ作業はここまでです
明日も引き続き行いますのでよろしくお願い致します
当小説を楽しんで頂けたら幸いです
よろしければ誤字脱字報告、感想等頂ければと思います。
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第16話~現実~
ウルティマで行われた戦闘行為
人はそれぞれ何を思うか
そして、人類の明日は
side 真也
しかし、緊急招集を掛けられたのはグレートミッションに参加した人達ばかりか・・・
下手をすれば戦争か・・・・あまり実感が沸かないな、なんというか、他人事のようだ
それにウルティマにいる親父は大丈夫だろうか・・・
俺はそんな事を考えていた
隣から席を立つ音が聞こえる
片瀬さんか・・・不安そうだな・・・
光太も後を追いにいったのか、ちゃんと彼氏やってんだな
もうそろそろステルヴィアか・・・・
『まもなく。ファウンデーションⅡステルヴィアに到着致します』
そのアナウンスを聞き、光太達が席に戻ってくる
フジヤマがステルヴィアに着くとアリサが出迎えに来ていた
「おっかえりー!お帰りお帰りお帰り!」
そう叫びながら片瀬さんに抱きつくアリサ
「た、ただいま」
「いやーしーぽんが居ないとやっぱ退屈でさぁー早く帰ってきてくれて嬉しいよ」
「アリサなんか普通」
「なにそれ」
「だってさ、ウルティマで騒ぎが起きたんでしょ」
「あぁ、それか~りんなちゃん大丈夫かな」
確かりんなちゃんがステルヴィアを発ったのは26日のはずだから
「ステルヴィアからウルティマまで40日だからりんなちゃんは大丈夫だろ」
「そっかーよかったぁ」
「ほらね、志麻ちゃんが考えてるほど深刻じゃないんだよ」
深刻じゃない・・・か、このまま何事も無く終われば・・・な
「いったい何の話?」
「急に呼び戻されたから、何かとんでもない事になってるんじゃないかって・・・ビック4の人たちも一緒だったし」
まぁ気持ちは、分からないでもないな・・・・
「あぁ、なるほどね・・・まぁなんだろう・・・・なんかヤ~な雰囲気はあるけどそんなでも無いよ」
「ふーん・・・そうなんだ・・・・よかったぁ」
そう片瀬さんが言うとアリサと二人で自室に戻っていった
「光太はこの後は」
「僕はとりあえず部屋に荷物を置きに行くよ」
「そうか・・・とりあえず後で皆で晩飯でも行くか」
「それはいいね」
そういうと俺達は各々の部屋に帰っていった
しばらくし、俺と光太、アリサと片瀬さん達はファミレスに来ていた
「代わり映えしない!」
「声が大きいよ」
「だってさぁ~もぉ飽きたよ」
ファミレスのメニューを見ていたアリサが叫んだ
それをやんわり注意する片瀬さん
確かに代わり映えしないのは認めるが・・・ん?
あれはレイラ教官?誰か探しているのか
レイラ教官に目をやっていると視線が合った
そうするとレイラ教官が此方に歩いて来た
レイラ教官が同席する事となり4人掛けの席は少し手狭になる
「悪いな、教師が一緒じゃ落ち着かないだろ」
「とんでもない、ご馳走して貰えるならもう大歓迎です」
「悪いが、お前達を特別扱いするわけにもいかんな」
「うわ!マジリアクション」
「すまなかったな・・・休みなのに呼び戻して」
「教官、僕達・・・戦う事になるんですか」
光太の確信に迫った言動・・・しかし一番気になる部分である
「そんな事ないと信じたい」
教官その言動はその可能性がある事を指していた
side out
side しーぽん
今日は晶ちゃん達が戻ってくる
出迎えに行く前に私は町田さんの所へ行く
「あの、これ温泉饅頭です、良かったら食べてください」
「・・・ごめんなさい」
その言葉をつぶやいた町田さんの顔には涙が浮かんでいた
「あの、それじゃあ失礼します」
その言葉を後に町田さんの部屋を後にした
「ただいま」
その言葉と共に部屋にもどる
「そろそろ晶達を迎えにいくよ~」
アリサの声でフジヤマの発着ゲートに向かう
しばらくするとやよいちゃんを除くメンバーがそろっていた
「「おかえりー」」
「「「ただいま」」」
「アレ?お嬢は一緒じゃなかったんだ」
「ピエールと同じ便は嫌なのよ~」
「いきなりそれかよ」
「また会えてうれしいわぁ」
ピエールを弄るアリサ
「なんか大変だったみたいだね」
「会議も始まったみたいだしね」
「何なんだろう未確認物体って・・・UFOかな」
「だからどっかのファンデーションの秘密兵器だっていってんだろう・・・差し詰めウルティマの一件は実戦テストとこさ」
ジョジョ君の実戦の一言で私はまた・・・不安な気持ちになった
「インフィもぐっと来るものがあるけど今回のは未確認ってのが陰謀めいてていいんだよなぁ」
「そんなのがいいんだ」
「そう!男って言うのはそういう物に惹かれるんだよ!」
ジョジョ君が同意を求めるけど光太君達は顔をそらす
「なにか食べに行こ」
晶ちゃんの一言で皆が動き出す
「うん、おなか空いたね」
「近すぎて機内食で無いんだよね」
みんなジョジョ君の発言を無かった事にした
ファミレスに着きアリサが席を探す
「あ!奥開いてるよ!ラッキィ!」
皆が席に着くとメニューと睨みうなり声を上げる
アリサも昨日言っていたけど代わり映えしないなぁ
「みんな決まったか?とりあえず俺は日替わりにしようと思うが」
真也君の一言でみんなが日替わりランチを選ぶ
「すみませ~ん」
「はい、お待たせしました」
「日替わりランチ八つ」
「はい、日替わりランチを八つですね」
「ライス一つ大盛りで!」
大ちゃんが大きな声で宣言する
「はい、一つはライス大で」
「大だけに大ってか」
アリサの一言でみんなに少し笑いが起こる
「お待たせしました日替わりランチになります、此方が大ライスになります」
ごはんを食べながら話をする
「フジヤマ運休するかもしれないって本当かな」
「そんな話もあったね」
「でも全面的な運休は無いだろう」
「しかしウルティマの一件が解決するまでは本数は少なくなるだろうな」
「そうなったらヤダなぁ~」
「うん、平和がいいよね」
「そうじゃなくて・・・野菜は地球産に限るじゃない、でも・・・シャトル飛ばなくなったら・・・・食べられなくなっちゃう」
アリサの心配事はまず食事なのね
それでも私は
「あ!」
考え事をしながら食事を続けていたらフォークで突いたグリンピースが跳ね、首下に辺りソースが襟についてしまった
「スプーンの方がいいかもね」
そういい襟についたソースを光太君がハンカチで拭いてくれる
あれ?みんなどうしたんだろう
「はいはいご馳走様!」
そういうと真也君以外がご飯をかき込むように食べる
いったいどうしたんだろう?
side out
side 初佳
今日もやよいは帰ってこない
あらから数日
フジヤマの便を見る度に思い浮かぶ
昨日は片瀬さんが御土産を持ってきたけど
それは彼女なりの気遣いなのだろう
私は今日もフジヤマのゲートに来た
そこでやよいを見つけた
「お帰りなさい」
《あ!あの・・・新入生の方ですか?私、藤沢って言います、》
「ただいま」
あの時のやよいが浮かぶ
私は泣く事も気にせずやよいに駆け寄り抱きつく
「おかえり」
消え入る様な声で再び言う
「ただいま、初佳」
私はまだ立ち直れていない
でも・・・これから・・・
side out
side しーぽん
食事を終え光太君とシークレットルームで待ち合わせをしていた
「お待たせ」
光太君がやってくる
「リチャード先生にモニターを頼まれちゃった」
「なんの?」
「DLSの発展型のモニターだよ」
「ほんと?そんなの開発中なの?」
「うん、情報と思考を直接処理するシステムとか」
「なんだか楽しそうだね」
「志麻ちゃんらしいね」
「でも凄いね」
「うん、ほんと凄いよ・・・それってより宇宙をダイレクトに感じる事が出来るかも知れない」
うーん・・・光太君は新型DLSの事を言っているみたいだけど
私はそれに選ばれる光太君の事を言っているんだけどなぁ
「違うよ、そのモニターに選ばれる光太君がだよ」
「ありがとう」
それにしても新型DLSか・・・どんなふうに見えるんだろう
side out
ステルヴィアは変らない日常を送っていた
しかし、ウルティマでは2日で4回も未確認飛行物体と接触していた
それは一体何を意味するかは定かではない
しかし、その影響は太陽系を巻き込む事になる可能性も秘めている
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第17話~これから~
ウルティマでの未確認飛行物体接触後
他のファウンデーションでもその様な物体と接触があった
学生はその接触の影響で2ヶ月遅れの始業式を迎える
side 真也
ウルティマでの接触後、ステルヴィアではその影響なのか2ヶ月の自宅待機を命じられた
そして今日は始業式
今は例の如く学長のお話・・・
『そして今日から新学期です、人類はこれから大宇宙に羽ばたく時期を迎えます、皆さんの双肩には新たな時代の先頭ランナーとしての期待が掛かりますが、それをプレッシャーと感じる事無く、誇りとして歩んでください、二ヶ月遅れの始業式となりますが、各自自宅待機の間も鍛錬を欠かさずレベルアップに励んだと思います・・・アップしたのはウエストだけでは困りますよ』
さて、今までセカンドウェーブの事だけだったがこれからはその先か・・・
それにしても幸先が悪いな・・・・ウルティマの件
親父も要請でウルティマに居るしな
『人類の新たな道を模索し、その時代を担うのは君達です、それでは長くなりましたがこれからも勉学に励み、来るべき未来の為に歩んでください』
長い話も終わりか
明日から通常の講義か、そして一日目から実機演習か
「真也くん」
この声は光太か
「どうした?」
「この後、部屋に遊びに行ってもいいかな」
構わないが
「片瀬さんはいいのか?」
「志麻ちゃんには真也君に用事があるって言ってあるから」
「そうか・・・片瀬さん関連の事か?」
「うーん・・・それもあるね」
なるほど、上手く行って無い訳では無い様だが
・・・確か光太は新システムのモニターをやっているって話だから、その件と片瀬さんとの折り合いがつかないのか?
「分かった、それじゃ後で俺の部屋だな」
「なんかごめんね」
「気にする事は無いさ」
そして自室に戻りサイフォンに火を入れ光太が来るのを待つ
コーヒーが出来るのを見計らった様に光太が来た
「いらっしゃい、まぁソファーにでも座ってくれ」
「ありがと」
俺は光太をソファーに座らせると出来たばかりのコーヒーを淹れ光太に差し出す
一息つき、光太に話をするように促す
「それで、話ってなんだ」
「うん、新型DLSのモニターで志摩ちゃんとの時間を上手く作れないんだ」
やはりその事か・・・
「一つ聞くがモニターは大体何時頃から始まるんだ?」
「18時くらいからかな」
「なら片瀬さんが誘って来たりしたら断らずに妥協案を出せば良いんじゃないか」
「妥協案?」
「あぁ、たとえば学園が終わった後、時間まで公園や展望台でデートするとかな」
「でも、学園が終わった後に蓮華先生に聞きたい事があるんだ」
いや、それは光太、お前が妥協しなきゃ駄目だろう
「それはモニターが終わった後でも問題は無いよな」
「うん、でも早く知りたいんだ」
「光太、それこそ妥協しなきゃ駄目だろう」
「そうかな」
「そうだ、だがコレは片瀬さんにも言える事だけどな、まぁ俺からのアドバイスは他の女性と二人きりになるのは止めておけ」
「?なんで」
「なんでって・・・それはお前、もしその場を目撃されたら勘違いされるだろう」
「でも実際に付き合っているのは志麻ちゃんだよ」
「それでも・・・だ、なぁ光太・・・片瀬さんが知らない男と二人きりで食事していたらどう思う」
「・・・・・なんか嫌だね」
「それは片瀬さんも一緒だ、もしそんな状況になりそうなら片瀬さんに連絡の一つでも入れておけ・・・だいぶ状況は変るだろう」
「なるほど」
「さて、まだ時間はあるがここでだらだらと時間を過ごすより片瀬さんを誘ってデートでもしてきたらどうだ?」
「うん、そうさせてもらうよ・・・それじゃぁ真也君、コーヒーご馳走様」
「あぁ、頑張ってな」
そう一言声を掛け光太を見送る
俺は、ストラーダの調子を見に行く事にした
side out
side 志麻
今日は今学期初実機演習
更衣室で着替えに行く
一昨日買った新しい下着を着けて
新学期も始まったし・・・頑張ろう
光太君の好きな監督の映画も上映してるし今日の実習が終わったら誘おう
「あれ?しーぽん、見慣れぬ胸当てをしておるな・・・そんなの買ったけ」
「一昨日一人でね、買って来ちゃった」
「ふっふ~ん・・・光太の為」
っ!!
「なななな何を言ってるんですか、グレンノースさんそんな訳無いじゃないですか、お洒落ですよお洒落」
「なぁ~に敬語になってるのかなぁこの子は」
「私達16歳で、そういうのは大人になってからで、光太君もそういうのは望んで無い訳で」
「誰もそこまで言ってないでしょ・・・でもさぁ男は皆スケベだからなぁ」
「光太君はそんなんじゃないもん!」
「好きな人同士なら16歳でもおかしくないんじゃない?」
え!?やよいちゃん?
そうなのかな・・・別にそういう事をするのは平気なのかな
そういうやよいちゃんは経験が・・・・・
「さすがお嬢!大人な意見」
「法律上学生でも結婚できる訳だからね」
「ところでお嬢は?アレからピエールとはどうなの」
「どうかなってると思う?」
「思わない」
「大正解♪」
「アリサはどうなの」
「ん~光太はしーぽんが持っていっちゃったし、大は論外だしピエールは見かけだけだし」
「真也君はどうなの」
「真也?結構いいんだけどね・・・私はタイプじゃないかなぁ」
「でも結構人気あるみたいじゃない?」
「そろそろ行かないとレイラ教官にしごかれるぞ」
「あ!待ってよ晶!」
ちょ!おいて行かないでよ
「待ってよアリサ~」
私は急いでアリサ達を追った
そしてビアンカに乗り宇宙に出てレイラ教官の指示を待つ
『二ヶ月ぶりの演習だ、タイムは気にしなくていい、感を取り戻すくらいの気持ちでな・・・次、片瀬!』
「はい!」
久しぶりだけど大丈夫、タイムは何時も通り
『よし!次、狛江』
あ、強化装甲付きケイティ・・・
グレートミッションの時のレーザー砲も・・・
戦争とか実感が沸かないけど・・・大丈夫だよね・・・
なんか嫌な気分になっちゃった・・・演習が終わったら早く光太くんを誘お・・・
その後、自習を終え格納庫で光太君を映画に誘う為に話掛け様とする
光太君の集中している姿に見惚れ少しの間眺めていた
集中している光太君って格好良いな~・・・ってそんな事している場合じゃない
「光太君」
「うん?どうしたの志摩ちゃん」
「着替え終わったら一緒に後映画いかない?イブン・ソミュールの映画やってたよ、前光太君好きだって言ってたでしょ」
「ごめん、この後新システムのモニター頼まれてるんだ」
「また・・・なんだ」
「仕方ないよ・・・新システムのモニター出来るの、今の所僕しか居ないんだし」
うぅ~仕方ないよね・・・でもお休みする事は出来ないのかな・・・
「お休みする事は出来ないの?」
「ごめん、二週間前に決まっていた事だから」
「う~・・・分かった」
映画・・・光太君と行きたかったなぁ・・・
「でも、モニターは18時からだから、それまでお茶でもどうかな」
「うん!行く、場所は何処にしようか」
「この間行ったお店の割引券あったよね」
「そういえば貰ったね、期限何時までだったかなぁ」
「とりあえず着替え終わったら行こうか」
「うん!」
そうして言葉を交わし急いで更衣室に行き着替える
その時お財布に入っていた割引券の有効期限を確認する
明日までなんだ・・・光太君が誘ってくれなきゃきっとアリサ達と消費してただろうな
そして更衣室を出て光太君を待つ
「お待たせ、行こうか、志麻ちゃん」
「うん」
そうして手を繋ぎ目的地のお店に向かった
お店で2時間くらい話をしてた
「この間真也君が・・・っともうこんな時間か」
「本当だ」
「ごめん志摩ちゃん、そろそろ行かなきゃ」
「ううん、こうしてお茶も出来たし気にしてないよ」
「そう?それじゃまた明日」
そういうと光太君は会計をしてお店を出ていった
お会計、私の分まで払って行っちゃった・・・後で返さなきゃ
それにしても、短い時間だったけど光太君とデート出来て良かったなぁ
最近はモニターの事が忙しいのか余り時間が合わなかったし・・・
《メールを受信しました》
メール?誰からだろう
夕飯一緒に食べよう!
水上レストランで待ってるよ
時間は19時30から
アリサ
19時半にレストランね
まだ時間あるしりんなちゃんに電話でもしようかな
side out
side 真也
今は光太と片瀬さんを除く皆が集り夕飯を食べていた
時刻は19時45分
「それにしてもしーぽん遅いなぁ~・・・ご飯食べ終わっちゃうよ」
アリサの言葉に対し遠くから声が聞こえた
「噂をすれば影だな」
「へ?」
アリサの気の抜けた返事を横に声の聞こえた方を見る
「おーい皆!りんなちゃんが戻ってくるって!」
「しーぽん!」
「ごめん遅くなっちゃった、さぁ食べよ食べよ!すいませーん、アンドロポトフくださぁい!」
「それで、りんなちゃんが戻って来るって?」
「うん、未確認飛行物体の所為でね」
嬉しそうに言うがそれはその物体にある程度危険を感じての処置だろう
「りんなちゃん、ウルティマに着いたばかりだろ」
「とんぼ帰りか~大変だな」
「うん、だからね」
「歓迎会やろう!」
片瀬さんの台詞をアリサが獲ったように言う
「こっちに着くのって四月くらい?じゃぁお料理は春の物ね」
「飾りつけどうしよう」
「インパクト欲しいかな、最初にバーンとさ」
「爆破だ!」
「それデンジャー」
「仮装パーティーは!?」
「歌とかどうかな皆で歌うの」
「りんなちゃんが入ってきたら一斉に歌うのね」
「ジョジョ!あんたも歌うのよ」
「うん、皆で歌おう」
「うん、やろう」
どうやら方向性は歌に決まったようだ
「じゃぁ作詞は僕にまかせてよ」
「良し!まかせた!」
「楽器は!?」
「ピアノなら弾けるけど」
「音楽室のオルガンを借りよう」
「折角だから踊ろうぜ」
「わー、何かミュージカルみたい」
各々がそれぞれ意見を出し未だ来ぬりんなちゃん歓迎会に思いを馳せる
一通り話しがすみ、ミュージカルの方向で決まった
時刻は21時
「さて、そろそろいい時間だ、みんな帰ろうか」
俺がそう言うと皆が今の時刻に気づき始めた
「あ、もうこんな時間かぁ」
「楽しい時間はあっと言う間に過ぎちゃうわね」
「そうだね」
「それじゃぁそろそろ出ましょうか」
お嬢の言葉で皆席を立ち会計を済ませ自室に帰る
自室に着くと一通のメールが入っていた
件名:ウルティマ護送船団
未確認飛行物体の件でウルティマ
の住民の一部をステルヴィアで
受け入れる事となりました。
以下の学生はその船団に参加して
もらいます。
本科生
ケント・オースチン
ナジマ・ゲブール
笙人 律夫
町田 初佳
予科生
音山 光太
片瀬 志麻
狛江 真也
以上の生徒は明日、ウルティマ護衛
船団に追従していただきます
ウルティマの護送船団か・・・
りんなちゃんの歓迎会はりんなちゃんと俺、光太と片瀬さんの帰還パーティに変更か・・・笑えないな・・・
ストラーダの整備をしなきゃな・・・・
俺は自室を出て、ストラーダの所へ行った
side out
ウルティマの住民を守る為に結成された護送船団
各々の思惑は
ウルティマの住民達の不安は
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第18話~ウルティマ奪還作戦~
護送船団がステルヴィアを出発してから一ヶ月
ウルティマまで後10日の距離でオデッセイからの船団と合流する事となった
side 真也
ウルティマ護送船団に参加してからもう一ヶ月
ストラーダを使用する事を告げられオプションパーツを装着し、その調整をしていた
今回のオプションはグレートミッションで使ったレーザー砲と、朱音さんが作っている試作型の観測パーツ・・・・レーザーの方は元々使った事のある物だから設定は簡単だったが、試作型観測機の方は元来の物と仕様が違い、プログラムを組みなおさなければならなかった
今回の試作型観測機は親父の要請で仕上げられた物らしい
なんでも紐状天体の観測に使うようだ、今回の試作型装着はテストも含まれている
この観測機の使用データはステルヴィアに帰り次第に朱音さんに送る事になっている
それにしても、レーザー砲を装着するという事は戦闘も視野に入れていると考えられるが・・・
まぁ、そんな事を考えていても仕方ないな
「やっぱりここに居た」
モニターに向けていた目を声のする方に向ける
「光太か、どうした?」
「うん、なんでもオデッセイの生徒がこっちに来るみたいでね、ケント先輩が探してたよ」
オデッセイと言うとアストロボウルで突っ掛かってきた所だな
学生が来るとは思え無いがステルヴィアでさえ学生を使ったんだし、もしかしたらアストロボウルの選手辺り来そうだな
「分かった、とりあえず向かうか」
そう言って隣の格納庫に向かうとちょうどオデッセイのケイティが着いた所だった
降りてくる人を見ると案の定、アストロボウルの選手の人だった
それを見るなり片瀬さんが反応する
「あぁーー!!アストロボウルの時のムカつく人ぉーー!!!」
それに反応した俺と光太が片瀬さんの口を塞ぐ
それを見ていた笙人先輩がマスクを取り出す、何故か赤い×印がついている
要するに喋るの禁止の意味だろう
流石にこれから協力する人達に暴言を吐く訳には行かないので、緊急処置だろう
ケント先輩は先の出来事を無かった事にし、挨拶を始める
「ガガーリン5へようこそ」
「ケント・オースチン、久しぶりだな・・・メンバー編成がだいぶ変っているようだが・・・町田はどうした」
「ちょっと色々あってね・・・えーっと、片瀬 志摩君と狛江 真也君はもうお馴染みだね、あっちは音山 光太君、うちの脅威の新人さ」
ケント先輩が紹介している時オデッセイの二人が片瀬さんに愛想を振っていたが・・・まぁ、片瀬さんも光太がいるし・・・残念だったな、オデッセイの人
紹介が終わり、待機室に移動し始める
その時は片瀬さんのマスクも外れている
「しかし、君らも参加してるとは、学生使いが荒いのはステルヴィアだけじゃないようだな」
「火星は地球圏と違い、例の未確認飛行物体が何度か確認されているからな・・・守りを固めるので猫の手も借りたい位なんだ」
「守ること即ち攻める事なり、なにからどう守るのやら」
「まぁまぁナジー」
ケント先輩がナジマ先輩を宥めている時、オデッセイの人が笙人先輩に近づいてきた
「なぁ笙人 律夫、あの二人・・・付き合っているのか?」
「片瀬と音山か」
「他に誰がいるよ」
一応俺もいるのだが、まぁ二人仲良く歩いていれば俺は除外されるか
「片瀬」
「はい?」
「君は音山と付き合っているのか?」
「はい!」
片瀬さんは嬉しそうに光太の腕を取り返事を返す
まぁオデッセイの人は残念そうだが、相手がいるのだから諦めて欲しいものだ
「だ、そうだ」
笙人先輩の言葉の後、先頭を歩く二人の会話が耳に飛び込んできた
「ところで、例の秘密兵器・・・側で見てもいいかな」
「秘密兵器?」
「しらばっくれるなよ、船尾に繫いであったろう、巨大ロボ」
「・・・・上からの命令なのか」
「見学を希望する」
ケント先輩は少し考え、徐に携帯を取り出し電話を掛ける
「白銀指令、オデッセイの学生がインフィ二ティーの見学を希望しています。許可をいただけますか・・・・・・はい、分かりました」
そうして携帯を閉じた
「いいそうだ、すぐ見に行くかい」
「・・・・すまない」
「気にするな」
そうしてオデッセイの人達はインフィを見学しに行く事となり解散の流れになった
俺はストラーダの作業の続きをしに格納庫へ戻った
side out
side 志麻
ウルティマ到着まで後3日
私は光太君と真也君を誘ってりんなちゃんに電話を掛けに通信室に行く最中です
「電話をするのは良いんだが、一応、白銀指令に連絡を入れておいた方がいいだろう」
と真也君に言われたので確認を取り蓮華先生が着いてくる事になりました
「ねぇ、向こうから連絡が来るまで待っていても仕方ないんじゃない、リラックスしてれば」
蓮華先生の言う事も分かるけど
「それじゃぁりんなちゃんとお話してる事にならないじゃないですか」
「だからって返事待ちの間ずっと画面を見ている事はないでしょぉ」
「志摩ちゃん、意外と頑固なんですよ」
「タイムラグがあるから無理無理」
もう、そんな事はわかってるよ
「しかし、ウルティマには近づいているのだからその内タイムラグも少なくなる」
真也君の言う通りなんだけど
《ピィン》
「あ!来たぁ」
『でしょぉ、お父さんたら酷いんだよこの間なんか・・・《ドゴォン》なんだろ、急に』
画面に浮かぶdisconnectedの文字
「りんなちゃん!りんなちゃん!!」
「今のは、非常警報か」
叫ぶ私を他所に真也君が冷静に蓮華先生に確認を取る
「ウルティマでいったい何が・・・」
大丈夫だよね・・・・私がここに居て通信が回復すればりんなちゃんの無事がすぐ確認出来る
それに・・・返事もすぐ出来るし・・・・
「一回戻ろう、志麻ちゃん」
私はその言葉に首を横に振る
「とりあえず私は確認を取ってくるから」
そういい蓮華先生は通信室から出て行った
それから3時間
「いったん俺は戻るよ、もしもの為にストラーダの調整をして来る・・・片瀬さん、余り無理をしないようにね」
「僕も一回戻るよ、志麻ちゃんも休まないと」
私は首を横に振る
「光太君は休んでて、私はここで待ってる」
「何か分かったら伝えに来るね」
光太君はそういい真也君と一緒に通信室を出て行った
通信が途絶えてから20時間
私は待ち続けていた
そんな中、もうりんなちゃんに会えないんじゃないか
そういう事が頭に浮かんだ
もしそうなったら・・・・
「志摩ちゃん!ウルティマの居住ブロックが今ドッキングしたって」
私はその言葉を聞いて走り出した
着いた先で目にしたのは傷を負った人達
「なにがあったの・・・こんなのって」
その時りんなちゃんの名前を呼ぶ声が聞こえた
そしてりんなちゃんを見つけて走りだす
「よかったぁ、りんなちゃん無事だったんだね、心配したんだよ」
「しーぽん・・・しーぽんだぁ・・・もう・・・もう、会えないじゃ・・無いかって」
泣きながら話すりんなちゃんを抱きしめる
『ウルティマ護送船団に参加した者はすぐにミーティングルームに集ってください』
その放送を聴き、私はりんなちゃんをお母さんにまかせて急いでミーティングルームに向かう
そしてミーティングルームに着きしばらくすると白銀指令が説明を始める
「これは先行したクラークから届いた映像だ、ウルティマにドッキングしているのが二機、周囲を回っているのが三機、合計五機の国籍不明機が確認されている、現在殆どの人が避難済みだが、ボスコフ指令を始め、まだ六人が取り残されている」
モニターに映る人物にりんなちゃんのお父さんの名前、そして
「親父・・・」
小さく呟いた真也君のお父さんの名前があった
「諸君の目的はクラークの編隊と協力し、俺の乗った救助艇がウルティマに入り、残った六名を救出する事が目的だ、これは人命救助だ、無用な戦闘は避けろ、いいな」
「「「「了解」」」」
「また、ケント・オースチン、ナジマ・ゲブール、笙人 律夫、狛江 真也、以上の四名は別命あるまで待機だ」
「「「了解」」」「・・・了解」
「その他のメンバーは急いで自機に搭乗するように以上」
白銀指令の言葉で皆が動き出す、私達もインフィに向かおうとすると真也君が声を掛けてきた
「頼む」
短い言葉だけど、しっかり気持ちが伝わってきた
「大丈夫だよ、お父さんの事はまかせて」
「ありがとう・・・でも、無理はしないでくれ・・・」
「うん」
真也君の言葉を聞きインフィに搭乗しようとすると後ろから声がかかる
「しーぽん!」
「りんなちゃん?」
「お願い!私も連れてってくれるように白銀先生に頼んで!パパと約束したの、必ず迎えに行くって!だから・・・だから」
「りんなちゃん・・・でもあぶないよ、ビック4の先輩や真也君も待機中だし、それにりんなちゃんの乗れる機体もないじゃない」
「でも!」
「大丈夫、私達がお父さん達を助けてくるよ、奇跡の退場娘を信じなさいって・・・ね」
りんなちゃんがエアロックから出た事を確認する
『インフィニティも発進せよ』
「了解、インフィニティ、発進します」
『オデッセイの諸君、今回の指揮を執る白銀だ、よろしく行こう作戦内容は予め伝えた通りだ、インフィニティは本機の警護だ』
「了解」
『作戦開始!』
白銀先生の言葉でケイティが一斉に所属不明機がアクションを掛ける
しかし、一向に反応を示さない
それに痺れを切らしたのかオデッセイの人が白銀指令ある事を言った
『攻撃命令を!このままじゃ埒が明きません』
攻撃命令?それって・・・あの所属不明機に当てるって事だよね、白銀指令はそんな事許可しないよね・・
『いかん、奴らが動かないならむしろ好都合だ、そのままアプローチを続けろ』
『しかし!』
『まぁ聞け、俺達は奴らの死角からなんとかメインブロックに取り付く、今回の作戦は救護がメインだ、君達パイロットをみすみす危険に曝す訳には行かない、アプローチに徹しろ』
よかったぁ・・・もし攻撃しろ!なんて言われたらどうしようかと思っちゃった
「白銀先生、カッコイイね」
「うん」
光太君の言葉に頷く
『良し!ウルティマに乗り込むぞ』
「「了解」」
白銀先生の後を追い、ウルティマに入ろうとする
すると今まで何の反応を示さなかった所属不明機が此方に飛んできた
『急速離脱!!』
「了解!」
あれから何度か挑戦するけど何度も邪魔をされてします
『奴らはウルティマのエアロックに取り付こうとすると反応する、そこで奇数番号の小隊はエアロックに取り付くふりをしろ、そうしたら奴さんも何らかのアクションを起こすはずだ、そこを攻撃しろ・・・ただし、あくまでも威嚇だ』
白銀先生の指示に従い各奇数小隊が取り付くふりをする
「わぁー、正体不明の皆さん、あわあわしてるよ」
「やったね志麻ちゃん」
「うん」
そして、所属不明機が一箇所に集った所に威嚇射撃が行なわれた
ウルティマから所属不明機が離れて行き作戦は成功したかに思えた
しかし、いきなり戻って来た所属不明機が何かを打ち出した
『ぅわぁぁぁぁぁ!!』
《SHOOT DOWN》
『スピアァーーーーーズ!!』
白銀先生の叫びが響く
『逃げろ!逃げるんだ!!』 『うわぁぁぁぁ!』『っ!脱出!!』
『来るな!来るなぁ!!』『ちくしょぉぉぉぉぉぉ!!!』
私は表示されてるケイティ部隊が消えていく様を見て漠然とこう思った
「・・・・命が・・・消えてく」
頬を伝う涙に気が付かないまま、ただ現状を見ているだけだった
『インフィニティ!敵を行動不能にしろ!味方の退却を助けるんだ!』
「敵に当てる、って事ですか」
『そうだ!』
「志麻ちゃん」
「・・・・ブラスターは連射モードがいいよね」
「うん」
『インフィニティの攻撃に乗じて各機撤退!!』
ブラスターの充電が完了する
「目標にロック」
インフィの攻撃が当たらない!ぜんぜん当たらないよ!
あの機体が・・・速すぎるの・・・・
「連射のピッチを・・・上げるね・・・」
「ブラスターが持たないよ!」
だって!だって!そうしなきゃ・・・・
「当てなきゃ皆死んじゃうよぉ!!」
私は泣きながら叫ぶ
しばらく連射のピッチを上げた状態で撃ち続けた
『もういい!インフィニティも撤退しろ!』
白銀先生の通信終了と共にブラスターが悲鳴を上げる
「ブラスター破棄します」
その言葉と共に破棄したブラスターは爆散した
私は撤退の最中も涙が止まる事は無かった
side out
ステルヴィアとオデッセイの合同救出作戦は失敗に終わった
初めて人の死を経験した者は
初めて戦いを経験した者は
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第19話~戦い~
ウルティマでの交戦から3日
インフィニティのジェネレーターを積んだ貨物船到着を数時間後に控えた
side 真也
3日前の戦闘
俺は参加出来なかったが、認識が甘すぎた・・・・・
戦闘・・・頭では分かっていたつもり・・・そう、つもりだったんだ
俺なんかは待機だったから認識を改められた・・・その甘い認識で出撃した人達の結果が二日前の被害
光太や片瀬さんが無事に帰って来た時は安心した、でも・・・消えてしまった命が多すぎる
そう、これは戦闘なんだ・・・今回の戦闘データを参考にストラーダの設定を煮詰めなければ同じ事になってしまう
とりあえずストラーダの中で分析しよう
そう思い格納庫に足を運んだ
今回、ケイティの破損の仕方を見ると外から潰された様な壊れ方をしている
それなら敵の攻撃方法は小型のマイクロブラックホールを打ち出すもの・・・
もしくは、高重力による圧壊、このどちらかのはず・・・それならこの間つけた試作観測機で重力変異を計測すれば、敵の攻撃を避ける事が出来るはず
でも、この攻撃方法に断定するのは危険だな・・・
重力変異だけじゃなく、その他の数値も観測して、急激な変異が起きた時に、変異が起きた場所を常時表示の状態にすれば・・・でもこのままの設定じゃレーザーの変異値も計測してしまうからレーザーの熱量は除外しなければ
観測機の設定はこれで良いとしてレーザーの射撃間隔を0.2に設定して加熱してきたら0.8に自動移行
後はスラスター周りと圧力ガスの調整か
出撃まで後2時間、セッティングは後1時間で終わらせてみせる!
side out
side 志麻
この間の戦闘・・・・命が消えていく様を見た
なんとかしたくて、インフィの射撃速度を上げたけど国籍不明機の速さについていけなかった
光太くんがビアンカで私を助けてくれた機動、それがインフィでも出来るなら・・・
でもインフィのシステムが重すぎて光太君の反応速度に追いつかないなら、インフィのシステムの使わない部分を削ってインフィ自体の処理速度を上げるしか・・・
「そんなに削って大丈夫なの?」
「うん、今は使ってないシステムを削ってるだけだから・・・心配?」
「いや、僕は志麻ちゃんを信じてるよ」
光太君・・・
「ありがとう、光太君・・・一緒に頑張ろうね」
「うん、何か手伝える事は?」
「それじゃぁ、BF-274の三番から八番まで削ってもらえるかな」
「分かった」
私も光太君を信じてる、このインフィであの時の機動が出来るって
っと大体終わりかな
「へ~、流石だね志麻ちゃん」
「えへへへ」
『片瀬、音山、今からジェネレータ取り付け作業を始める、それと同時にセッティングをしてくれ』
「了解」 「了解です」
レイラ教官の通信からしばらくしてビアンカ10機がジェネレーターを運んでくる
そして取り付け作業に入った
「凄い・・・インフィにジェネレーターをつける人、一人でビアンカ10機を操ってる」
『彼は最大20機のビアンカでマニュピレータを扱える男だ』
『そう!俺が最大20機のビアンカを扱える男!ジュノ・マイオールさぁ!』
『ジュノ!真面目にやれ!!』
『おぉ相変わらず怖いねぇ…取り付けはまかせな、セッティングは任せたよ』
でもそんなに操れるって凄い事よね・・・私なんてそんなに出来ないよ
「さぁ志麻ちゃん、関心してないでセッティングを始めよう」
「うん!それじゃぁ出力調整から加速度の調整だね」
『よ~しコンプリートだ、後はたのんだよ』
「はい!」
「さぁ志麻ちゃん、一気にやっちゃおう」
「うん、光太君も手伝ってね」
「もちろん」
そうして光太くんと一緒にセッティングを煮詰めていった
side out
side 初佳
私も今回の救出作戦に参加する
今の私は仮初・・・・ただ名前という殻をとられたただの本科生
そんな私が・・・こんな私が救出作戦なんて物に参加して良いのだろうか
人を蹴落としてまで守った名前
そんな事をしてしまった私なんかが・・・
やよい・・・私はこの作戦に参加する価値はあるの
「待っていたよ」
ケント・・・今の私は何も吹っ切れていない
「足を引っ張らないように頑張ります」
これしか言えない
私はどうすればいいの
そういえばあのジュノとか言う人はレイラ教官の昔を知っているみたいだった
エリートパイロットとして活躍してたレイラ教官の過去
普通なら今でもパイロットをやっているはず
昔に何かあったのかしら
「よ~し完了・・・ん?」
「少し話を聞かせてもらえませんか」
「構わないよ、レイラのことかい」
「はい」
「まぁ何しろお前の教官はエリートだろう、それが率先して現場を渡り歩いているからな、俺はどうしてあんたみたいなエリートがこんな所にいるのかって聞いたんだ、そしたらやりたいからやっている、そう答えたんだ」
《ウーーーーーーーーーー、ウーーーーーーーーーーーー》
緊急警報?
作戦まであと30分あるのに、いったい何が
「緊急警報だよ、あんたはパイロット何だろう?早く行きな!」
「すみません、ありがとうございました」
私はまだ吹っ切る事が出来ないまま、格納庫えと向かった
side out
side 志麻
緊急警報?
まだセッティングが終わってないのに!
『状況は!?』
「セッティングは途中です、ですが有効速度は出せます」
『すまん、よろしく頼む』
「了解」
まず、は出力チェックかな
「出力を最大にするといっきに加速しちゃうみたい」
「うん、気を付けるよ」
これから戦闘が始まるのね
『どうやら敵さんは本気みたいだ、各機気を抜くな』
近くに町田先輩のケイティを見つけて通信を入れる
「一緒に飛べて嬉しいです、よろしくお願いします」
『此方こそ』
先手は敵の攻撃だった
何機かが直撃を貰ってしまう
『全機散開!!』
そうして戦闘が始まった
「志麻ちゃん!アプローチから始めるよ!」
そういい、所属不明機にアプローチを掛ける・・・が
三回目のアプローチで敵に捕捉されてしまう
「だめ!一回距離をとって」
「分かったよ志麻ちゃん」
インフィだけじゃ追いつけるけど追い詰められない
でも他の機体じゃ捕捉は難しいし
『そのまま続けろ!』
「真也君!?」
真也君のストラーダが敵の攻撃を避けながら接近してくる
『インフィの離脱のタイミングに合わせて砲撃を仕掛ける』
「りょ、了解」
次の離脱時インフィの横からレーザーが飛来する
合計8発のレーザーが敵に当たる
敵の装甲は厚いのか、7発までレーザーに耐える
しかし8発目のレーザが敵を貫く
『敵機撃破を確認、戦闘を続行します』
「僕達も頑張ろうね、志麻ちゃん」
「うん、頑張ろう」
side out
side 真也
重力変異を検知!
敵の第一撃が飛来する
予想は当たったか、敵の攻撃手段は高重力の塊による攻撃、これで回避はしやすい
敵攻撃前に重力変異を検知してる事から前兆がある
それに気を配れば・・・とりあえずインフィの後を追うか
にしてもインフィの後をついて行こうとするがやはり速いな、
ストラーダのリミッターを解除しても少しづつ離されて行く
砲身の加熱を抑えるには一度に8発が限度か
敵の装甲の厚さが分からないから8発全て撃った方が確実だな
やっとインフィに追いついたと思ったが形勢はインフィが不利
敵が早く、アプローチに失敗している、
だが敵もインフィで手一杯なのか手一杯に見える
ならば俺はインフィの離脱時に攻撃を仕掛ける
インフィが離脱を試みようとしたので俺は光太達の声を掛けた
「そのまま続けろ!」
『真也君!?』
俺はインフィと応戦している敵に近づこうとするが、もう一方からの重力弾を感知しそれを避けながら接近する
「インフィの離脱のタイミングに合わせて砲撃を仕掛ける」
その言葉と共にインフィの離脱のタイミングに合わせ敵にレーザ8発を発射する
レーザーは直撃、しかし敵は7発耐え8発目にして敵を貫いた
なるほど、敵の装甲はストラーダのレーザー7発は耐えられるのか
なら、射撃間隔を伸ばして威力を上げるか
敵を一機撃破し戦闘を続行する
すると
《重力変異検知》
そのデータを頼りに索敵すると
っ!!町田機が狙われているのか!!
今から射撃では捕捉が間に合わない、なら町田機に当たる前にアンカーワイヤーを重力弾に当てるしかない!
えぇい!予測ルートは町田機後方5メートル、その地点でアンカーを打ち込む
《アンカー射出》
その瞬間
アンカーは町田機の後方5メートル地点で敵の重力弾を受け止め圧壊する
俺は急いで町田先輩に通信を入れた
「なにボーっとしているんだ!町田先輩なら回避出来たはずだ!」
『私はもう、ビック4の町田 初佳じゃないのよ・・・・」
「なにふざけた事を言ってるんだ!あんたは今も昔も町田 初佳だろう、ビック4の時も、なる前も町田 初佳は変らないだろう!今まで努力してきたのはビック4の町田 初佳じゃない!ただの町田 初佳本人だろ!自分の努力の結果がビック4の町田 初佳だったんだろう!自分自身を裏切るなよ!」
『・・・・』
「しっかりしてください、町田先輩・・・それと怒鳴ってすいませんでした、それでは」
作戦行動中、更に戦闘中にあんな事を言われたからついカッとなってしまった・・・先輩相手にあんな事を・・・
しかし言った言葉はもう戻せないし今は戦闘中だ・・・今は目の前の事に集中するんだ
そうして真也は町田機を捕捉していた敵機を撃破した
side out
side 初佳
さっき私は国籍不明機に後ろを取られ死を覚悟した
それを助けたのは予科の狛江 真也だった
その後の言葉は深く私に突き刺さった
今まで努力してきたのはビック4の町田 初佳ではない・・・か
そうね、私は一番になる為にそれ相応の努力をしてきた
でもやよいの一件から私は変った
近寄るものは蹴落とす
そんな風になっていた
まだ純粋に努力を重ねてきた日々
それも私
ビック4になってからもその努力は重ねてきた
片瀬さんの時のような間違いを犯した
それも私
なら、ビック4の私も、そうじゃなくなった私も
それは同じ私
・・・・こんな簡単な事に気が付かないなんて
ふふ、前も昔も私は私
そうよ、しっかりしろ町田 初佳!
私なら出来るわ、今まで努力してきたんですもの
「ケント!オフェンス、私にやらせて」
『ッ!初佳!よし!インフィニティの援護に行こう!初佳、重力ポケットだ』
重力ポケット・・・ケイティ三台を密集し重力場を形成
その中に入って急加速する技
「了解!」
重力ポケットに突っ込んで・・・一気に加速!
敵の攻撃を回避しながらレーザーを4発打ち込む
倒すに至らなかったけど敵は怯み、インフィニティが止めを刺す時間を作った
町田 初佳復活か・・・狛江君の言葉が切欠・・・今度お礼をしなきゃね
『此方U-236、ウルティマからの脱出に成功!全員無事です!』
『よーし!作戦は成功だ!全機、即時帰還せよ!』
side 志麻
私達は町田先輩達が作った隙を突き
敵機の撃破に成功した
『此方U-236、ウルティマからの脱出に成功!全員無事です!』
『よーし!作戦は成功だ!全機、即時帰還せよ!』
「やったね志麻ちゃん」
「うん!」
「インフィニティ、帰還します」
インフィが反転し帰還するために反転しジェネレータに火を入れたその時
ジェネレーターの片方が爆発してしまった
「っく!制御が!!」
その間に敵機が接近してくる
町田さんや真也君達が敵機に攻撃をしてもそれを避け、インフィの前まで接近された
そんな・・・もう駄目なの
しかし攻撃をしてこない
その時
私はDLSを通して声みたいなものを見た
でもこれって光太君のビジョンに似ている
何だろう
その声を見た後、敵機は消えてしまった
その瞬間、大きな物がウルティマの上に現れた
もうなんて表現して良いか分からない
でもウルティマより大きいい何か・・・
それはウルティマと共に消えてしまった
アレはなんだったんだろういったい
そうして私達は護送船団に戻った
私は、私が見たビジョンを光太君に話した
「そっか、志麻ちゃんも見たんだ」
「うん、てっきり光太君のビジョンかと思った・・・なんか雰囲気にてたから」
「あれ、テストの時から見えてたんだ・・・誰かにじっと見られてる・・・ずっとそんな感じがしてたんだ」
side out
side 真也
戦闘を終え、護送船団に戻る
そこで出迎えてきたのは町田先輩だった
「あの時は本当にすみません」
「いいのよ、それで大事な事に気づかせて貰えたわ、お礼を言いたいくらいよ」
「いえいえ、でもそう言ってもらえると嬉しいです」
俺は笑顔でそういった
「それでは、親父を迎えに行くので」
「えぇ、それじゃぁまた今度ね」
笑顔でそう言う町田先輩に笑顔で答えその場を後にする
そうして脱出艇の所に行き親父を迎える
「親父、無事だったか」
「あぁ、心配をかけたな、しかし妙な事だらけだった」
「何がだ」
「あぁ、私達がコズミックフラクチャーを解析データをまとめ終わった時、システムが回復し脱出できたんだ」
「それは親父達に解析させてそれを持ち帰る為か」
「そう考えるのが普通だろう」
「まぁ親父も疲れてるだろう、早く休めよ」
「あぁ、それじゃぁ真也、また後でなっと、ストラーダのアンカーまた壊しただろ、今回はパーツが無いからステルヴィアに着いたら直すからそのつもりでな」
「あぁ、悪かったな親父」
そういうと親父は休憩室に向かった
それを見送り俺は割り当てられた部屋へと戻る
side out
ウルティマ奪還作戦は無事に終わった
これから帰還まで37日
ステルヴィアに帰還する頃には80日程立っている事となる
真也達の仲間はどのように変っているか
それは帰還し、実際に触れ合わなければ分からないものである
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第20話~帰還の途中で~
ウルティマ奪還作戦が終わり護送船団はステルヴィアへの帰路
ステルヴィア到着を15日後にウルティマ奪還作戦に参加した者達は疲れを癒していた
side 真也
割り当てられた部屋
この部屋で65日も過ごしている
最初の頃は慣れなかったが今はそういうわけでもない
一応、光太との相部屋で気兼ねが無いのが救いだったな
「ただいま」
声と共に帰ってきたのは光太だった
「お帰り、遅かったな」
「うん、ちょっと志麻ちゃんと一緒に居てね」
「そうか、まぁ邪魔になるなら俺はストラーダの所に居るが」
「うーんそういう事じゃないんだけどね、話は変るけど前回の奪還作戦の時声みたいの見なかった?」
声?一応この間の作戦の時様々なデータを観測していたけど見ていないよな
「俺は気が付かなかったが」
「そうなんだ、志麻ちゃんが見えたって言うんだ、僕はそれをモニターの時から見えているから、真也君ももしかしたらって思ってね」
「なるほど、だが片瀬さんが感じた声と光太が感じた声は同じかも知れない、だが光太と同じ様に感じたとは限らないな」
「なんで?」
「光太は新型DLS、片瀬さんは普通のDLSだからだ」
「そっか、なら志麻ちゃんも新型DLSを使えばもっと・・・」
「難しいと思うぞ」
「でも志麻ちゃんはきっと新型DLSを使えると思うんだ」
「確かに使えるだろう、光太が見ていた物が見えた可能性があるからな、でも片瀬さんは光太と違う、光太の簡単が片瀬さんにとっては難しいかも知れない」
「そんな事無いと思うけど」
「光太、お前片瀬さんに新型DLSを使わせる気か」
「うん、帰ったらリチャード教授に話そうと思って」
「そうか、片瀬さんはお前と違って初めて新型に触るんだ、ちゃんと初期行程を経てやらせた方がいい、さっきも言ったが光太と片瀬さんは違うからな・・・それに一緒にモニターをやる事になったら片瀬さんを気に掛けろよ」
「うん、気をつけるよ」
時間は22時か・・・やることも無いし寝るか
「さて、俺はそろそろ寝ようと思うが、光太はどうする」
「僕も寝るとするよ」
「そうか、それじゃぁお休み」
「お休み」
部屋の明かりを落とし床についた
side 初佳
この間の作戦からどうも狛江君が気になって仕方が無い
この気持ちは何だろう
まさかとは思うけどこれが・・・
「初佳も色を知るか」
いきなりケントに声を掛けられ驚いた
「っ!ケント」
「色を知るか・・・我々も協力しよう」
「笙人・・・彼方まで」
「人は人を求める、それは形の合った歯車のように回りだす」
「ナジー・・・」
三人ったら・・・・
「私の情報では狛江は懇意にしている存在はいない、攻めるなら今が好機」
「しかし狛江君は人気が高い、それこそ予科生で彼にアタックしようと考えている女生徒は多いはずだ」
「恋は戦争、勝ち取らなければ意味は無い」
「でも、私恋愛なんて・・・」
ビック4になる前も練習ばかりでそういった事はしていなかったし・・・
「うーんここは手堅くデートからかな」
「私の情報によると狛江は大のコーヒー党らしい、豆を自身でブレンドするほどだそうだ」
「それならステルヴィア内の喫茶店でコーヒーの美味いお店辺りに誘うのが一番かな」
「でっでも!誘う理由が」
「あるじゃないか、この間助けてくれたお礼っていう都合のいい物が」
確かにそれを理由にすれば大丈夫かも知れないけど
「そしてこれが狛江の行っていないであろう喫茶店のリスト、そしてこの喫茶店はまず無いだろう」
確かに大手の喫茶店の裏手にあって分かりにくい場所だけど
その前に笙人はどこからこの情報を
「でもこんな情報どうして」
「ふむ、狛江と仲がよい音山の情報だ」
っ!それは狛江君に私の気持ちがばれている様な物じゃない
「安心しろ、音山はそういう情報に疎い」
「なーに、きっと大丈夫さ、とりあえずステルヴィアに帰ったら後悔の無いようにしなよ」
「とりあえず、お礼を言っておくわ、ありがとう、ケント、笙人、ナジー」
「なーに礼には及ばないさ」
「私も大した事はやっていない」
「それじゃ頑張って」
そう言って割り当てられた部屋に帰って行く
なんと言うか、嵐の去った後みたいね
全部はステルヴィアに帰ってから、それまではちゃんと気持ちに整理をつけないと
これが本当に恋なのかどうか
side out
side 志麻
光太君と話終わり今は割り当てられた部屋
ステルヴィアまで後15日
でも、光太君と良く一緒にいるけどあれから進展もあんまり無いし
でっでもアレ以上の事をするつもりも今の私にはそんなつもりも無いし
そんな勇気無いし、多分光太君も望んで無いだろうし
でも光太君が迫って来たら・・・どうしよう・・・
やよいちゃんは変な事では無いって言っているけど
・・・う~どうしたら良いの
そうだ!アリサに連絡しよう、そうすれば変な事考えないでいられるし、時間は22時だけどアリサは何時も寝るのは24時くらいだから大丈夫かな
とりあえず白銀先生に許可を貰わなきゃ
部屋を出て、白銀先生の部屋に着いた
「失礼します」
「どうした片瀬、こんな時間に」
「通信室を使いたいんですが」
「なんだ?友達に連絡か?」
「はい!」
「そうか、使っても良いが今回の作戦は機密事項だ、決して喋るなよ」
「分かりました」
「よーし、それじゃ使って良し!」
「ありがとうございます!失礼します」
そう言い白銀先生の部屋を出て通信室に向かう
そして通信室に着き、アリサのアドレスを入れた
「アリサ?もう寝ちゃったかな、とりあえず私も光太君も、真也君もりんなちゃんも無事だよ」
15分くらい待つと返信が帰ってきた
『おぉ!しーぽん!元気そうで何より何より、今まで連絡の一つも寄越さないから心配してたよ』
アリサも変らないなぁ
「ごめんなさーい、それでね、もう日付が変るから後14日くらいでステルヴィアに着くんだ、皆は変わりないかな」
またメッセージを送り返信を待つ
『そうだね、皆相変わらず元気だよ、でも周りはだいぶ変っているからそれは帰ってからのお楽しみ!』
そっか、帰る頃には80日も経っちゃうだもんね
「分かった、楽しみにしてる、それじゃもう遅いし切るね、それじゃぁお休み」
数分後
『了~解!それじゃお休みぃ』
その返信を確認して、私は通信室を出た
時間も遅くなり、部屋に戻るなり私は布団に包まった
side out
それぞれの思いを胸に人は歩いて行く
それぞれの未来は
本日の再アップ作業はここまでです
明日も引き続き行いますのでよろしくお願い致します
当小説を楽しんで頂けたら幸いです
よろしければ誤字脱字報告、感想等頂ければと思います。
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第21話~おかえり~
ウルティマ護送船団がステルヴィアに帰還した
奪還作戦に参加したメンバーは自室で体を休めていた
side 志麻
ステルヴィアに着くなりアリサからメールが着た
内容はりんなちゃんと光太くん、真也くんを連れて私達の部屋に連れてくる事
部屋に着くといきなり電気が点き、軽快な音楽と共に踊りだす皆
「感動しちゃったぁ、本当に歌って踊ってくれるなんて」
「まさか自分達が見る事になるとは思ってなかったからね」
「そして企画者がウルティマの作戦に行ってしまう予想外の出来事が起きたな」
うぅ・・・真也くん、それ私の事だよね
「狛江君の言う通り、もともとはウルティマから来るりんなちゃんのためにしーぽんが言い出したのよコレ」
やよいちゃん・・・ごめんなさい、練習とか大変だったんだろうな・・・
「すっごくよかった!特に晶ちゃんの王子様!」
でもりんなちゃんが喜んでくれてよかったぁ~
「でも練習大変じゃなかった?」
「良くぞ聞いてくれました」
「俺なんか航空概論落とす程頑張ったもんね」
「そうなの!?」
講義を落とす位だからやっぱり練習大変だったんだろうなぁ
「なぁ~に言ってんのよ!あんたの落第は練習とは関係ないでしょ!」
「簡単だったのに」
「その分交信実習は通っただろ!」
「意外だ」
光太くんそれは余りにストレートすぎるんじゃ・・・
「意外・・・・」
「ぼ、僕なんて船外補修の最速記録出した」
ピエールくんが場の空気を変える為か話題を繋いだ
「私なんて重機二種のライセンス取っちゃったもんね~」
「僕なんてアーリズのケーキ制覇したもんね」
「皆凄いね」
「それは80日も経っているんですもの」
そっか、80日経っちゃったんだよね
皆色々あったんだろうな・・・
「それはそうと、そっちの80日はどうだったのよ」
アリサ、顔近い・・・でもウルティマの事は機密あつかいだし
「ウルティマの事は機密扱いで、喋っちゃいけない事になってるんだけど・・・あ!でも、町田さんと仲直り出来たみたい、それとレイラ教官が」
「ちゃうちゃう」
アリサが話の腰を折る
「光太の事よぉ」
え!?光太くんの事?え、でもそれは
「私達みたいな邪魔者抜きで80日も一緒だったんでしょ、狛江君は居たかもしれないけど彼はそういうところは空気読めるし」
「まさか、私達に言えない所まで行ったんじゃないでしょうね」
そそそ、そんな事無いよ・・・あれ?でもお話して二人で歩いて・・・そのキスしたりで、あれ?
「行く前と余り変って無い」
「・・・・これは」
「ちょっと無いわね」
そう言って光太君の方をアリサ達が見る・・・と言うより睨む
「えっと、何?」
その言葉を聞いて三人ともため息をつき矛先を真也くんに変える
「真也!なんで光太はこうなのよ!」
「なにを言っているか知らないが落ち着けアリサ、光太は前からこうだろう」
「あーもう!煮~え~切~ら~な~い!」
アリサの叫び声が部屋の中に響いた
side out
side 真也
りんなちゃんの歓迎会を終え自室に向かっていると見知った顔を部屋の前で見つけた
「どうかしましたか?町田先輩」
「え!いや、あの・・・この間の事覚えてる?」
この間?ウルティマ奪還作戦での話か
「ウルティマ奪還作戦の話ですか」
「えぇ、その助けて貰ったお礼がまだでしょ、この後時間が空いているなら少し付き合って欲しいのだけど」
「お礼なら言葉で貰っていますが」
「それじゃ私の気がすまないのよ」
確かに・・・俺も命を助けられて言葉だけってのは気がすまないな
「分かりました、それでは時間もありますしどうします?」
「ちょっと行ってみたい所が有るのだけど、いいかしら」
「お任せします」
そういい歩き出した町田先輩の横を歩き
カフェエリアを抜け大手の喫茶店の裏手に来た
「ここよ」
案内された所は行った事の無い喫茶店だった
「まさかあの喫茶店の裏に喫茶店があるなんて」
「知らなかった?」
「えぇ、なかなかいい感じの所ですね」
「そうね、それじゃぁ入りましょうか」
店内に入るとレトロな感じの内装、大御所で使っているようなコーヒーメイカーでは無くサイフォン
この時点で俺の趣味に合った感じの店
適当に席に座りメニューを見ると
コナだと!ここの喫茶店はコナコーヒーを置いているのか!
しかし問題は配合比、ハワイコナコーヒーは強い酸味が特徴で主にブレンドに使われる
「店主、このコナコーヒーのブレンド比率は?」
「3:7だ」
これは飲むしかない
「町田さんは決まりましたか?」
「えぇ、オリジナルブレンドに決めたわ」
なるほど、店の味を見るにはお店独自のオリジナルブレンドを頼むのが一番、だが・・・コナブレンドも捨てがたい
「店主、コナブレンドとオリジナルブレンドを」
「少々お待ちください」
コーヒーが出来るまで町田先輩と話す
「先輩はコーヒー好きなんですか?」
「えぇ、サイフォンとかは持っていないけど良く飲むわ」
「そうですか、俺はサイフォンで自分で配合した豆で淹れるんですが、よかったら飲みにきますか」
「本当?それなら今度お邪魔しようかしら」
「えぇ、暇な時にでも」
それから数分話をしていると店主がコーヒーを持ってくる
「お待たせしました」
カップに注がれたコーヒーから湯気が立ち上る
「それじゃ失礼して」
そう言いコーヒーに口をつける
・・・・美味しい、程よい酸味と苦味、コナの酸味が生きている
かなりの完成度だ
「お客さん、コーヒー党かね」
「あぁ、自身で配合した豆をサイフォンで淹れている」
「そうか・・・この店は基本的に豆は売らないが希望があるなら売ろう」
「それは助かる!それにここまで美味しいコーヒーを淹れる店をココでは知らないかった、是非今度から利用させて貰いたい」
「あぁ、是非来てくれ」
そういうと店主はカウンターに戻っていった
「先輩、良い所を紹介してくれてありがとうございます」
「っ!えぇ、喜んで貰えて嬉しいわ」
そこに良い笑顔で返事を返す町田先輩
先輩ってこんな顔も出来るのか、普段から張り詰めた顔をしてる分結構新鮮だな
そうして会話を続けコーヒーも飲み終わり店を出た
「それじゃぁ今日はありがとうございました」
「えぇ、楽しんで貰えて何よりだわ、それと狛江君のコーヒーを楽しみにしているわね」
「分かりました、暇な時にでも部屋に来てください」
「それでは、また」
「えぇ、また」
そういい自室に向かった
side out
side 初佳
笙人に教えて貰った喫茶店に狛江君と一緒に行ってきた
最初はいきなり険しい顔をして店主に比率を聞いた時は驚いたけど喜んでもらえたみたいで良かったわ
それに今度の約束も取り付けたし大成功ね
でもこういう事にドキドキするって事はやっぱり私は狛江君の事が好きなのよね
「その様子だとファーストコンタクトは成功のようだね」
「うむ、私の情報も役に立ったか」
「ケント!笙人!ま、まさかつけてたの!?」
もしそうなら・・・・
「まさか!そこまでやるはず無いじゃないか」
「初佳が狛江の部屋の前で30分悩んでいた事や、当の本人から声を掛けられ驚いていた事など知らん」
それは最初から見ていたって事でしょ!
でも店内にはいなかったから道中をつけていたって事?
「流石に店内までは行けなかったが行きと帰りだけ、普段の初佳なら気が付いた筈」
「で、確信に至ったかな」
っ!そう二人は純粋に心配してくれただけ
でも・・・ソレとコレとは話が別
「ケント・・・笙人・・・」
「おぉっと、これ以上は不味い!笙人!」
「承知!」
その言葉と共に脱兎の如く走り出すケント達
はぁ、もう何にも言えないわ
でもコレが初恋・・・
・・・狛江君、覚悟してなさい、私は町田 初佳 恋も実習も手は抜かないわ!
side out
side 光太
今僕は学園長室に来ている
どうもコズミックフラクチャーの解析をインフィにさせたいらしい
「タイムリミットまで60日しか無い、未確認飛行物体の事もそうだがコズミックフラクチャーについても我々は知らなさ過ぎる、そこで再度情報を集めてからもう一度会議を開く事で落ち着いたのだよ」
「その情報収集にインフィーを?」
「頼めるかい」
「えぇ、でも僕一人じゃ」
「君をサポートするオペレーターは準備させているよ、本部から優秀な人材を回して貰う予定だ、とは言え、DLSに慣れるのは一苦労だと」
「そのことなのですが、サポート役には片瀬 志麻さんを推薦します」
「しかし彼女は予科生だろう」
「僕も予科生です、大丈夫ですよ片瀬さんなら」
「分かった、では至急インフィニティの所まで行ってくれ、片瀬さんは此方で呼んでおこう」
「分かりました、それでは失礼します」
インフィの所には既に志麻ちゃんが居た
「ごめん、待たせちゃったかな」
「うんん、大丈夫、でも本当に私で大丈夫かな」
「大丈夫だよ」
『そろそろ始めるが良いかね』
「はい、大丈夫です、行こう志麻ちゃん」
『今回は観測用に設定をセンシティブにしてある、多少見えすぎてしまうかも知れないがね』
「その時は片目を瞑ってやりますよ」
『両目を摘むらんようにな』
「志麻ちゃんレベルF・・・」
(片瀬さんはお前と違うから)
そういえば真也君が言ってたっけ
「初期行程から行くよ志麻ちゃん」
「うん、頑張ろうね光太君」
「それでは初期行程、A-001からお願いします」
それから志麻ちゃんは四苦八苦しながら新型DLSを操っていた
数時間の訓練が終了し志麻ちゃんに声を掛ける
「大丈夫、最初はこんなもんだよ」
「私、ちゃんとやれるかな」
「大丈夫だよ、志麻ちゃんは志麻ちゃんなりのペースでやれば良いんだから」
「うん」
「そうだ!今度の17日に大がりんなちゃんの家に遊びに行くんだけど志麻ちゃんは大丈夫」
「大丈夫だよ、でもその前にこのミッションを終わらせないと」
「そうだね、一緒に頑張ろう」
「すいませーん、ちょっと良いですか」
「はーい、ごめん志麻ちゃんちょっと行って来るね、それじゃぁゆっくりやすんで」
そう言って整備班の所に行った
訓練が終わり真也くんの部屋へよった
「お邪魔します」
「光太か、こんな遅くにどうした」
「志麻ちゃんを今度のミッションのサポートに選んだんだ」
「そうか、前も言ったがお前と片瀬さんは違う、お前の見えている物と片瀬さんが見えている物は全く違うかもしれない」
「うん分かってる」
だからさっきの訓練で初期行程からやったんだから
「ここに来てウルティマ奪還作戦での80日、他の皆との間で認識のズレがあるかも知れない、そんな時は支えてやれ、お前がしっかりするんだ」
「そうなのかな」
「まぁ俺は片瀬さんじゃ無いから分からない、だが・・・片瀬さんはこれから壁にぶつかるのは分かる、今まで挫けた事はあった、だが壁にぶつかる事は無かった筈だ・・・そこを支えてやるのもお前の仕事だろう」
「うーんとりあえず志麻ちゃんを気を付けて見ろって事?」
「まぁちょっと違うがそういう認識でいいだろう」
「わかった、とりあえずありがとう」
「気にする事は無いさ」
「それじゃぁまた」
そう言って真也くんの部屋を出た
僕と志麻ちゃんは違う・・・か、でも声を見た志麻ちゃんなら
そう思いながら自室で眠りに入る
side out
ついにフラクチャーに解析に発つインフィニティー
新たな課題を提示された人類は
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第22話~すれ違い~
コズミックフラクチャー解析の任務を控えた二人
出発の日を明日に控えていた
side 志麻
はぁ・・・新しいDLS、光太君は大丈夫って言うけど、私にはアレは・・・
そして正式にインフィのパイロットに選ばれたし
今度の任務は人類の未来が掛かってるなんて・・・
私なんかで良いのかな・・・・
「たっだいま~」
アリサの元気な声が部屋に響く
「おかえり」
「ん~、元気ないなぁ・・・そんな貴女に!」
そう言って取り出すのはステルヴィアのロゴが描かれたケーキ
「わぁー凄い」
「どぉ、お嬢が卒業パーティー用に用意した試作品、貰ってきちゃった」
それ貰ってきて大丈夫なのかな
「しーぽんが正式にインフィのパイロットに選ばれた記念にね、おめでとう!大親友の私としても鼻が高いよ!」
「・・・・誰から聞いたの?ひどいな・・・黙っててビックリさせようと思ってたのに」
「まさかしーぽんがこんなに凄い人になっちゃうなんて、いやー御見それしました」
そういいながら私を見つめるアリサ
「でもそんな凄い人に見えないけどね」
「実は私も実感無いんだ」
そうして私がアリサに声を掛けようとした時
「しーぽん、困った事があったら言ってね、そりゃぁインフィーに乗ったりは無理だけど出来るだけ力になるからさ、宿題でも代返でも何でも言ってよ」
アリサ・・・
「しーぽんには才能がある、ソレは大親友の私が保障しちゃう、だから協力させて・・・しーぽんにはステキなパイロットになって欲しいから」
今のアリサの言葉は痛い、私は・・・
「さぁーて、ケーキ食べて明日に備えて寝よう寝よう!しーぽん、頑張ってね」
「・・・・・そう、だね・・・」
ケーキを食べ終わり布団に入った
夢から覚め、今私はインフィのコックピットでレイラ教官から指示を受けてる
「フェイズ-44からは音山に任せろ115の作業手順が逆になったのを聞いているな」
「・・・・はい」
「どうした、緊張しているのか」
「少し・・・」
「そうか、多少は緊張していた方がいい、ストレスってのは」
「レイラ教官!コレって人類の未来が掛かった大事な任務なんですよね、そんな任務に私が・・・」
「あぁ、私も驚いている、あの片瀬がここまで育つとは・・・新しい世代、システム・・・新しい時代が来るんだろうな・・・・ありがとう片瀬、好きで始めた仕事では無かったが今では教師の仕事をやってて良かったと心から思えるよ」
そういい残しレイラ教官はコックピットから出て行った、それと入れ違いで光太くんが入ってくる
「ごめん遅くなった、急いでフェイズ-11に掛かるよ」
「光太くん!光太くん私自信ないよ」
「僕だって無いよ、僕らの集めた情報次第で人類の未来が決まるなんて責任重大過ぎ」
「そうじゃなくって!」
「大丈夫、責任を取るのは偉い人の仕事さ、僕達はあたえられた任務をこなすだけさ」
光太くんは分かって無い!私は・・・私には
『発進まで10秒前8、7、6、5、4、3、2、1、0』
始まっちゃった・・・・
『DLSシステム開放』
「DLS開放・・・わぁ、見える・・・きらめきが・・・見えるだろ志麻ちゃん」
え・・・私に見えるのは
黒い線が螺旋状に渦巻く物
「ずっと探してたのはこのきらめきかもしれない」
私には光太くんの見ている物が見えない
見えない・・・見えないよぉ
「志麻ちゃん?」
光太くんも私と違う物を見てる
光太くんと同じ場所に立てない
アリサもやよいちゃんも晶ちゃんも私の場所にいない
「・・・私には、見えない・・・分からない・・・分からないよ・・・私、一人だ・・・私の周りには誰もいない」
不意涙が溢れて来た
この任務中、私の涙が涸れる事は無かった
side out
side 真也
ミッションが終わり帰ってきた光太は今俺の部屋で愚痴を零している
「でさ、いきなり泣き出しちゃって、ミッション中ずっとだし・・・もう参ったよ」
「なにか心当たりは無いのか」
「全然!もう訳分からない」
「そうなるとアドバイスも何もあったものじゃないな、なにか泣き出す前後の会話は無いのか」
「そういえば僕がきらめきが見えてソレを志麻ちゃんに聞いたぐらいで」
ソレが原因だろうけどそれだけじゃないだろうな・・・
「はぁ~、光太、俺は前にも言ったよな、お前と片瀬さんは違うって、多分お前が見えて片瀬さんは見えなかった、それでお前に置いて行かれる、もしくは同じ物を感じられない孤独感から来た物かもしれないな」
「でも・・・」
「でもも無い、とりあえず溝が埋まれば前の様に戻るだろう、とりあえず少し時間を置いて話すしか無いだろう」
「・・・分かった、とりあえず今日はありがとう、それじゃぁ」
「力になれないですまないな、とりあえず光太、急がば回れってな」
さて、光太の原因はさっきの会話、それ以外もあるだろう・・・・
さて、明日辺り様子を見るか
そして翌日
何時もの面子でご飯を食べていると
やはり光太だけじゃなくアリサ達にも何かあったか・・・
何時も一緒に食べているはずの4人が席を離して食事を取る・・・か
光太も最悪なタイミングで事を起こしたか・・・
講義が終わったら少し話てみるか
講義が終わり栢山さんが一人残っている所に声を掛けた
「栢山さん、この後いいかな」
「えぇ、大丈夫だけど」
「とりあえず移動しようか」
少し歩き話掛ける
「なんかアリサ達に違和感を覚えるんだが、何かあったのか」
「えっと・・・・なんでもない」
「そうか・・・それならいいんだ、時間とらせて悪かったな」
「あ・・・・」
「それじゃぁ」
「うん」
とりあえず何かあったのは間違い無いな・・・でも話したく無さそうだったしな
無理に聞くのも何だし・・・はぁ
栢山さんと別れ少し離れたところのベンチで空を仰ぎ見る
「狛江君?」
「あぁ町田先輩、どうかしましたか」
side out
side 初佳
道で狛江君を見つけ声を掛けた
どうにも元気が無さそうなんで話を聞いてみる事にした
「なにか元気が無さそうだけどどうかしたのかしら」
「えぇ、まぁ・・・片瀬さんの件、ご存知ですか」
「ミッション中泣き通しの事?」
「えぇ、それでちょっと話を聞いてみたんですがどうもそれだけじゃないようで」
なかなか複雑なね
「どうも片瀬さんの友人関係も余り・・・」
「そうなの」
「えぇ、自分が男だから話しにくい事柄なのかもしれないですね」
好きな人が困ってるのよ、ここで何かしなきゃ・・・それに片瀬さんの友人だとやよいも関係してそうね
「そういう事なら私からも話してみましょうか」
「お願いできますか」
「えぇ、それじゃぁ何か進展が有ったら連絡するわ」
「お願いします、今携帯持ってますか?持っていたらアドレス送るので」
「えぇ、お願いするわ」
着たわね、登録して返信
「私からも送ったわ、後で確認してちょうだい」
「分かりました、ではお願いします」
「えぇ、任せて」
まずはやよいからね、ちょうど卒業パーティーの準備で会うし
そうして準備会場に移動した
「諸君、我々もこの伝統行事を行う時が来た」
そう、伝統行事とは準備委員会の予科生をステルヴィアの模型の中から飛び出し驚かす事
「みんな準備はいいかい」
「えぇ」「問題ない」「大丈夫よ」
「いくよ」
その掛け声と共に行きよい良く飛び出す
よほど驚いたのか笑いながら文句を言ってくる
でもやよいだけ無理に笑っていた
「やよい」
「ん?どうかした」
「ちょっと」
やよいを呼び出し話をする
「何かあった?さっき、無理して笑ってた」
「わかちゃったか」
「どうしたの」
「私、皆に合わせて驚いた振りしてた、さっきのビックリの事知ってたから・・・私二年前も準備委員で」
やよい・・・
「違うの、ちょっと笑いそびれちゃっただけ・・・ほんとそれだけだから」
そういって準備会場に歩き出すやよい
やよいも何か抱えてるわね、
何とかしてあげたいけど、やよいの問題は私は関わらない方がいいのかもしれないわ
ごめんねやよい、力になれなくて
あと彼女にも話をしておいたほうが良いわね
そう思い私は整備科の方に足を向けた
side out
side 志麻
最近ずっと一人で歩いてる
私と皆と違う、皆と一緒になれない
そうして部屋までつく
「しーぽん」
アリサが何か言ってるけど耳に入ってこない
「聞いたよ、6時間泣きっぱなしだって、」
っ!!
「晶も気にしてた、自分の所為じゃないかって・・・話して欲しかった・・・私には分からないかも知れないけど、分かりたいの!しーぽんの事」
「分かるわけないもん・・・アリサも光太くんやよいちゃんも晶ちゃんもみんな私じゃないもん!分かるわけ無いよ!!もうほっといて!」
近くにあったクッションを投げる
「ほっとけないよ!ずっと一緒にいたんだよ!ほっとけるわけ無いじゃん」
「アリサには分からないよ!」
「分かるわけ無いじゃん!話してくれなきゃぁ!」
やよいちゃんと晶ちゃんが私とアリサを止める
「止めてしーぽん」「やめろアリサ!」
「アリサみたいにはなれないよ!!やよいちゃんにも光太君にも!!」
「そんなのしょうがないじゃない!!」
「止めてよ二人とも!せっかく友達になれたのに!」
「私だけなの!友達だと思ってたのは!」
「私は!私だけ一人ボッチで!」
私は近くにあった袋を投げる
ソレが天井に当たり中身がこぼれだす
ソレは星のような金平糖
「・・・無くなりそうだったから」
「私も」
「考える事はみんな同じね」
そう言ってみんな同じ袋を持ち上げる
みんなちゃんとみていてくれたんだ
そんな思いが駆け巡り涙が更にあふれ出す
そしてやよいちゃんも
アリサも
晶ちゃんも
みんな一緒に涙を流す
涙を流し終えみんなと話す
やよいちゃんもアリサも晶ちゃんも
みんな悩んでいて
それはそれぞれ違っていて
でもそれでもみんながいて
だから私は一人じゃない
side out
side 真也
通学の途中に光太を見つける
「どうした光太、こんな所に突っ立って」
「あ、いや志麻ちゃんを待っているんだけど」
「アレから進展は?」
「無いけど」
「そうか」
一応町田先輩からミッション中の事をアリサに話した事を聞いてるし
それからアリサ達がどうなったかしらないが
っと考えている内に片瀬さんがきたな
「志麻ちゃん、あの・・・」
「おはようしーぽん!ねぇ放課後アーシェに行かない?」
「ほら昨日話したお店」
「はぁ~参った参った何時もの自販機整備中でさぁ」
お嬢、栢山さんアリサの順で片瀬さんに駆け寄る
うん・・・・なんだろう、昨日までの片瀬さん達が嘘みたいだ
その調子で片瀬さん達は歩き出す
片瀬さんが立ち止まり光太に対し可愛らしくあっかんベーをしてアリサ達に駆け寄る
「何と言うか」
「女の子って分からない」
光太と俺の呟きは通学中の喧騒に消えてった
side out
すれ違った心はその溝を埋め
元の鞘に戻り始めている
また迫り来るコズミックフラクチャーの対策は
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第23話~未来~
全長38億kmの巨大な紐
その解析の結果を明後日の臨時議会で議論する事となった
side 志麻
今日もりんなちゃんは私達の部屋に遊びに来ている
しばらくアリサと遊んで今はアイスを食べている
「それ食べ終わったら送ってくね」
「大丈夫大丈夫、御泊りしてくから」
「また?お母さん心配するんじゃない」
「心配してたらもっと早く帰ってくるもん」
「お仕事大変なんだよ」
「しってる、二人ともりんなより仕事の方が大事なの」
「なぁにお子ちゃまみたいな事言ってんだか」
アリサが茶々を入れる
「だってりんなお子ちゃまだもんずぅっとお仕事ばっかりだよ」
「後少しだよ、我慢我慢」
「もう我慢も飽きたもん」
りんなちゃんの気持ちも分かるけど・・・
《キンコーン》
「はーい」
訪れたのはりんなちゃんのお母さんだった
「何時も何時もご馳走になって」
「あ、いえ」
「家のアイスは安物だから別に」
「アリサ!」
「あははは、またおいで」
「うん!」
りんなちゃんが帰った後アリサと話をしているとりんなちゃんから電話が来た
『やっほーりんなだよ』
「どうしたのりんなちゃん」
『今度の日曜日にねお母さんがみんなでパーティーをしようって!それでしーぽんとアリサは参加できるかな」
「ちょっと待ってて」
アリサに確認を取ると行く事を示した
「私もアリサも大丈夫だよ」
『やったぁ!それじゃぁ明日私は晶たちを誘うからしーぽんはビック4の人を誘って』
「分かった、じゃぁ明日放課後に参加する人を伝えるね」
『うん!それじゃぁお休みしーぽん』
「お休みりんなちゃん」
電話を切る
「いやーりんなちゃん所でパーティーか、楽しみだね」
「うん、そうだね手ぶらもなんだし何か持っていこうか」
「そうだね、何にしよっか」
んー、りんなちゃんはウルティマからステルヴィアに引っ越してきた様な物だから
「引越し祝いみたいのでいいのかなぁ」
「引っ越し祝い?まぁそれでいいんじゃない、そんな事より光太と話をしなよ、パーティーには光太も来るだろうし」
光太くんか・・・最近よく分からなくなってきちゃったなぁ
「・・・・うん」
私はアリサの言葉に直ぐに返事が出来なかった
翌日ビック4のみなさんに参加するか聞くと全員参加するとの事で、その事をりんなちゃんに話すと晶ちゃんややよいちゃん真也君達全員参加する事を伝えれれた
その時私の心には光太君の事で影が差していた
side out
side 初佳
さっき片瀬さんがパーティーの誘いに来て私達はそれに応じた
そして話題はその事になる
「初佳、これはチャンスだ、パーティーには狛江君も来るだろう、このチャンスを逃す手は無い」
確かに、あれから何度か狛江君の部屋でコーヒーを飲んだり一緒に喫茶店に行ったりでデートみたいなものをしている
「これから我々も忙しくなるはず、機会も早々巡り合う事はない」
そう、グレートミッションですらオープンだったステルヴィア
でも今回の宇宙紐、コズミックフラクチャーの件については未だ情報公開はされていない
余程の事なのか、さして問題の無い事なのか
後者ならば情報公開は早急にされ不安を取り除く事に使われるはず、それがされないのは前者である事は簡単に分かる
セカンドウェーブ以上の太陽系の危機
私だって胸の思いを秘めたまま終わるのは嫌だ
「そうね、今回で勝負を決めるわ」
「攻めもしなければ負けは無い、それは舞台に上がってすら無いのだから」
「頑張れ初佳、僕達も応援している」
「えぇ、たとえ結果が良くなくてもそれで腐る私では無いわ」
そう、私は私の思いを伝えるだけ、
たとえ断られても諦めない
それが私
私は決意を新たにパーティーに望む
side out
side 真也
最近良く町田先輩と一緒に居る
前回の喫茶店の件から俺の部屋でコーヒーを飲んだり一緒に喫茶店に行ったりで
でも前回の喫茶店での会話はから町田先輩を意識している
(こうやって一緒にいると恋人みたいね)
なんて照れた顔で言われてからどうも町田先輩が気になる
コレが何なのか良く分からないが
あの時の先輩は可愛かった
普段の凛とした感じではなく柔らかい感じ
それが忘れられない
《キンコーン》
「どうぞ」
「やぁ、お邪魔するね真也君」
「光太か、まぁ座れよ」
光太をソファーに座るよう促しさっき淹れたばかりのコーヒーを淹れ俺もソファーに座る
「どうした、片瀬さんの事か」
「・・・・うん」
前回のミッションから余り話している所を見てない
今は町田先輩の事を考えるのは止めて光太だ
「まずは話をしなきゃ始まらないだろう」
「それは分かってるんだけど・・・泣かれるのって結構きついよ」
それは分かる・・・誰かが言ってたな、いい意味でも悪い意味でも女の武器は涙だって
「その気持ちは分かる・・・だが今のお前の気持ちはどうなんだ」
「志麻ちゃんと前みたいに仲良くしたい」
「その気持ちがあるなら話さないとな、前回の事でお前と片瀬さんは違うって事が分かったろう」
「うん、かなりね・・・でもきらめきとか声とかが見れたから好きになったんじゃないんだ」
「それを片瀬さんに言ったか?」
「・・・・言ってない」
「それを言ってやれよ、明日はパーティーだし機会もあるだろう、頑張れよ」
「うん、今日はありがとう、コーヒーご馳走さま」
「あぁそれじゃぁ明日な」
光太にアドバイスとか出来る立場じゃぁ無いよな・・・・今の俺は
町田先輩の事で悩んでる俺は
でも
きっと俺は町田先輩の事が好きなのかも知れない
side out
side 志麻
今日はりんなちゃんの家でのパーティー
私達は早目に来て手伝いをしている
《キンコーン》
チャイムの音でりんなちゃんが迎えに行く
真也君達が来たようだ
私は食器を並べていると光太くんと目が合った
でも私はその視線から逃げるように手伝いを続けた
晶ちゃんはやよいちゃんの配慮でジョジョくんと一緒に居る
私にも光太君の所に行っていいといわれたけど断ってしまった
今は晶ちゃんとりんなちゃんを除いた女性陣で料理の手伝いをしている
しばらくして料理も落ち着いてきて後少し作ればお終い
二人も居れば事足りる
町田さんやナジマさんも皆の所に戻って楽しそうにしている
「しーぽんいいの?光太寂しそうだよ」
「大丈夫大丈夫!速く作らないとみんなお腹すかせちゃうよ」
「・・・・しーぽん」
その後しびれを切らせたのか光太君がこっちにやってきた
料理も終わりアリサとやよいちゃんが皆の所に行ってしまって今は二人きり
正直にいって気まずい
「志麻ちゃん」
光太くんが話し始めた
「コレだけは言っておきたくて・・・・僕は志麻ちゃんが好きだ、きらめきが見えたとか声が見えたとかそんなのどうでもいいんだ、僕は志麻ちゃんが、志麻ちゃんだから好きなんだ」
私はアリサ達との喧嘩でみんなそれぞれ違う事に気付いた
今光太くんが言った事って
私が私だから好き
みんなと違う私を見て好きになった
光太君もちゃんと私を見ていてくれた
不意に涙が出てきた
「・・・・うん・・・私も、光太君が好きだよ」
「志麻ちゃん」
こうして私の心の影は薄くなっていった
side out
side 初佳
私は久しぶりに作った料理を持って狛江君を探していた
見つけた時狛江君は中庭を眺めていた
中庭に居るのあの二人
私は狛江君に声を掛けた
「パーティー楽しんでる?」
「えぇ、まぁ一つ問題が解決したようなのでこれから心おきなく楽しむつもりですよ」
「そう、それは良かったわ」
そう言ってさっき作った料理を狛江君に渡した
お礼を言い食べ始める
正直久しぶりに作ったから美味しいか不安だった
「美味しいですね」
その言葉を聞き安心した
「良かったわ、それ久しぶりに作ったから」
「そうなんですか、凄く美味しいですよ」
「まだあるから良かったら食べてね」
「えぇ、頂きます」
それからしばらく会話をしてパーティーを楽しんでいた
「それにしてもあの二人は仲直りしたみたいね」
楽しそうに話している二人を見てそう零す
「えぇ、本当に良かったです」
私は話を切り出すタイミングを掴めないでいた
「それにしても立派な中庭ですよね」
綺麗に手入れされた庭を指し狛江君が言う
「そうね、近くで見ましょうか」
私はコレがチャンスと思い中庭に誘い狛江君と一緒に中庭に出る
今は二人きり
私はこのチャンスを逃すまいと私の心の内を話す
「狛江君、今から言う事は冗談でも無いから」
軽く深呼吸をする
「私は貴方の事が好きです」
しばらくの沈黙
この時間が凄く長く感じる
私は目を閉じ俯いている
「こんな自分で良ければ」
その言葉を聞いた瞬間
私は涙がこぼれそうになった
「祝杯だ!!!」
後ろからケントの大声が聞こえる
「うむ、準備は出来ている」
「笙人!」
「承知!」
「初佳、おめでとう」
皆が祝ってくれてる
でも
「何時から覗いてたの!!」
「さぁ諸君!今日は祝いの席だ!もっと楽しもうじゃないか!」
「何の祝いなんですか」
小田原くんが質問しケントが返す
「初佳と狛江君が付き合った祝いだ!」
風祭さんが叫び
「えぇ!!しーぽん真也が獲られちゃったよ!」
グレンノースさんがそれを論す
「大丈夫!きっと町田先輩はきつそうだから町田先輩が真也を捨てた時優しくすればイチコロさ」
「さっすがアリサ!よーし今から頑張るぞぉ」
「ただいま、おや、楽しそうだね」
「あら、あなた」
「あーーーーーーーー!お父さんお帰り!」
「これこれりんな」
そこからパーティーの終わりまで騒ぎは続いた
side out
太陽系の危機
それが会議での発表はカラビヤウ空間が展開した次元の裂け目がコズミックフラクチャーであるということ
コズミックフラクチャーの性質はより質量の大きい物質に当たるようコースを変更する
そしてハイドラスベータの超新星爆発もコズミックフラクチャーが起こした可能性が高いとなる
ファーストウェーブとセカンドウェーブは新たな厄災の前兆でしかなかった
人類に残された時間は後2ヶ月
人類の未来は
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第24話~あいてた距離~
太陽系消滅の危機
人類は新たな厄災を打破するために知恵を絞る
人類の・・・太陽系の未来は
side 志麻
今はビアンカの整備実習
「スラスター周りは磁化しやすいから気をつけて磨けよ」
レイラ教官の声が響く
私はアリサ達とのじゃんけんに負け重いヘッドスコープを被り傷のチェックをしている
「C-1、C-2異常無し、F-30、F-31異常無し」
うぅ・・・目が疲れてきた
「しーぽん変ろうか?」
やよいちゃんが声を掛けてくれる
「本当!?」
私はすぐさまその問いに返事を返す
「だ~め!公平なるじゃんけんで決めたんだから最後までちゃんとやる!0.1μの傷も見逃しちゃダメだからね」
「うぅ・・・・」
仕方ない、真面目にやりますか!
実習が終わり帰り道
「志麻ちゃん」
光太くん・・・
「最近あんまり話て無いけど・・・何かあったの・・・もしかして僕の事嫌いになった」
違うの光太君の事は好き
それは変らない・・・でも
「違うの・・・今まで話して無かった時間が長くて・・・私が戸惑ってるだけなの・・・なんというか・・・光太くんとの距離が分からなくなって・・・」
「志麻ちゃん」
「だから・・・嫌いになったとかそういうのじゃないの」
「志麻ちゃんがそう思っているならゆっくり距離を測ろうよ、何も焦る事ないよ」
ちゃんと今の私を見てくれる光太くん
一人ぼっちだと感じた時
あの時から光太くんとの距離が分からない
私は・・・分からない
私はどうしたいの
「今、僕は志麻ちゃんの考えている事が分からない・・・それでも、ゆっくりでも歩いて行けば距離は短くなると思ってる、だから僕は志麻ちゃんに向かって歩いていこうと思ってる」
光太くんの真直ぐな思い
私は・・・
「私も・・・歩いてみる・・・ゆっくりでも歩いてみるよ・・・だから」
私は今の思いを告げる
「待ってて、私が近づくまで」
「うん、待ってる」
そうして並んで帰る
地球から見上げる星空のように近くて遠い距離
でも
何時かその距離を短くするために
ゆっくり進んで行く
たとえ後戻りしようとも
side out
side 初佳
この間のパーティーから数日
私と狛江君が付き合いだして恋人らしい事と言えば喫茶店でのデートくらい
付き合ってみてからナジーや同期の人から少し丸くなった?と言われた
確かに前見たいに名前に執着しなくなってから心にゆとりを持てるようになった
今考えてみると立ち直る切欠も狛江くん
今の私が居るのも狛江君のお陰なのよね
「町田先輩」
後ろから声を掛けられる
「狛江君、今日はどうする」
「そうですね、昨日ストラーダに新しいパーツが装着されたので調整に付き合ってもらえたら嬉しいですね」
狛江君の愛機って表現でいいのかしら
その機体のカタログスペックも気になるし、その新しいパーツにも興味があるからそれもいいかも知れないわね
「えぇ、いいわ・・・でも、その代わり」
「後でコーヒーをご馳走しますよ・・・喫茶店と自分が淹れたのとどっちがいいですか」
選択の余地は無いわね
「後で狛江君の部屋を訪ねるわ・・・それじゃBブロックエリアで落ち合いましょう」
「分かりました、それじゃぁ後で」
「えぇ」
そういうと狛江君は格納庫の方へ歩いていった
そういえば付き合ってから狛江君は未だ話方が硬い
未だに町田先輩って言うし・・・そう考えると私も狛江君って読んでるわね
ここは私から真也君・・・それとも真也って呼び捨てにした方がいいのかしら
そしたら狛江君・・・真也もきっと初佳って呼んでくれるかしら
でもきっと彼は”さん”とかつけそうね
「真実の恋、その道のり平坦であった例無し、From真夏の夜の夢 さてその道のりの果てには何が」
急にナジーの声が聞こえ驚いた
「ナジー・・・急にどうしたの?」
「別に・・・」
「それじゃぁ私は行くわね」
そう言って私はケイティのある格納庫に向かった
side out
side 真也
町田先輩と一緒にストラーダの調整をする為Bブロックエリアに出てきた
今回新たに装着したパーツは前回の試作観測機の完成形
だが、そのテストも含まれる
例えるなら試験形観測機?
まぁ完成形だけあって試作よりも多くの情報を収集できるようだ
そして演算率を上げるためにプログラムの調整をしなければならない
とりあえず前回の試作型を雛型に発展させる方針で進める
今回の観測機は完成形だけあって観測範囲が広くなり情報収集精度も向上している
基本的には重力変異値や熱量、電子等を基本にして、そこから発展させていくか
『設定は終わったかしら』
「えぇ、それでは今回は先輩のケイティの重力推進器そ使って重力変移値を計測してテストしますのでよろしくお願いします」
『分かったわ・・・それと、何時までも敬語を使わなくていいわ、せっかく恋人同士になったんですもの、それに・・・私は名前で呼んで欲しいわ』
少し照れた表情をしてそう言ってくる
やはりこういう所は可愛いと思う
しかしいきなり名前で呼んでいいものか・・・いまいちこういう経験が無いからよく分からない
「・・・分かった、それじゃよろしく、初佳」
『ッ!え、ええ此方こそ、真也』
まずかったか・・・顔を赤くしてたし、機嫌悪くしたかな
しかし、名前で呼ぶと恋人同士の実感というかなんというか・・・
簡単に言ってしまえば、そう・・・悪くない
とりあえずテストだ
今初佳がいる座標からストラーダまでの距離は10km
この状況でケイティの重力推進器が起こす重力変異は観測できる
カタログには最長30~50kmと書いてある
実際ストラーダの出力を3割強割り増しして送れば精度も距離も上がるだろうけど
今は通常出力で観測してるが重力変移値を見ると初佳の軌道がはっきりと分かる程だ
現在下向きの重力変移を確認したから初佳の機体は-y値に向かってケイティを操縦している事が分かる
次に螺旋状に変移値を観測、円の機動をしながら-z値、俺の方に向かってきている
観測値から推定出力は5割
ここから初佳の航行記録と照らし合わせながら精度を確認するしか無いか
「御疲れ様、もういいよ」
『了解、ちゃんと観測できたかしら』
「とりあえずそれを確認したいから航行記録を持ってきて欲しいんだが・・・いいかな」
『分かったわ、後で真也の部屋にもっていくわ」
「助かるよ、それじゃぁ後で」
その後テストを終え初佳にコーヒーをご馳走し
渡されたデータと観測機のデータを照らし合わせる
誤差0.0001
観測機としては優秀だと思う
観測データで判断した出力もあっていたし、小さな重力変移も逃さなかった
そして初佳が帰った後プログラムを煮詰めていった
side out
side リチャード
風祭技官と狛江局長がウルティマ崩壊のシュミレーションが完成し
おおよそのコズミックフラクチャーの解析が出来たと報告があり
アカプスのターナー博士と学園長、ヒュッター教官と共に解析室に訪れた
「足を運んでもらって申し訳無い、椅子も用意できておりませんが」
「立ち話はなれておるよ、それよりも早く見たい」
グレートミッションの大立者として有名なターナー博士が急かす
「はい」
風祭技官が端末を操作してコズミックフラクチャーの説明に入る
「コズミックフラクチャーは熱、光、重力、電磁波など様々な形で膨大なエネルギーを消費する事でその姿を維持していると考えます」
「その為、フラクチャー自体は大変不安定な存在になっています」
風祭技官の説明に狛江局長が補足する
「ですので放出エネルギーが下がれば途端に裂け目は閉じてしまうでしょう、これはウルティマ崩壊のシュミレーションです」
新たに端末に表示される
「これは、先日のウルティマ崩壊のシュミレーションです、この時ウルティマ爆発時に発生したブラックホールを相殺するためにフラクチャーがエネルギーを消費し、運動エネルギーが落ちた事により進行速度が下がったものと考えます
「つまりフラクチャーとブラックホールとの間でエネルギーのやり取りがあったと」
「そうです、そしてもっと大量のエネルギーをあたえればフラクチャーの運動エネルギーが相殺されフラクチャーはその形状を維持できなくなり崩壊します」
かすかな希望が見えてきた
私はそう感じた
「何とかなりそうだね」
学園長もそう感じたのだろう
「しかし問題が二つあります」
「その問題とは」
「まずは此方を見てください、これはフラクチャーの放出エネルギー変動のシュミレートです、個々の波は電磁波、重力波、ニュートリノなどの放射強度を表しています。フラクチャーを閉じるには個々の波が最低点、つまりはこの節の部分、全ての放射エネルギーの最低点に強力なエネルギーをぶつける必要があります、最大の問題はこのようにそれぞれの最低点が個々に変動している事にあります、そして実際はもっと複雑で予測も観測も不可能に近い状態なのです」
「して、もう一つの問題は」
ここは、放射するエネルギー量の問題ですかな
「はい、照射するエネルギー総量です、それはグレートウォールを発生させる程の」
「ファウンデーション級の宇宙ステーションでなければそれほどのエネルギーは無理だ」
「しかし、フラクチャーの最低点を狙い打つにはウルティマ崩壊地点よりも近づく必要があります」
コズミックフラクチャーのウルティマ崩壊地点より先には同質量のファウンデーションを向かわす事は出来ない
「ファウンデーションより小さい質量の機体か・・・」
「狛江局長の所のストラーダでは?」
「確かにストラーダでしたらより近くで狙撃が出来るでしょうがストラーダではグレートウォールを発生させるほどのエネルギーには耐えられませんよ・・・・それならばインフィニティーのジェネレータを使い人口的に重力レンズを作りファウンデーションから照射されたエネルギーをまとめ、フラクチャーに放つ方がまだ現実的です」
狛江局長の発言に目を引く
重力レンズ・・・
これなら
「やはり、インフィニティーしか無いか」
「パイロットは音山君か」
「やはりそれしか無いでしょう」
「サポートは」
「予科の片瀬・・・か」
彼女には不安要素が多い
前回のミッションの事といい
だが、時間が無い事は確かだ
「まずはインフィニティーの重力レンズで狙撃する為のシュミレーションを確立させておきます」
こうしてジェネシスミッションの概要が組み立てられていった
side out
人類の未来を賭けたジェネシスミッションの概要が整った
しかし現実は重くのしかかる
作戦の成功率
そしてフラクチャーの最低点を算出する高度な数学モデル
後の無い人類に国籍不明機が迫る
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第25話~歩み~
ジェネシスミッション開始まであと38日
グレートミッション時より準備期間が短く、学生総動員で準備にあたっていた
side リチャード
風祭技官と狛江局長がジェネシスミッションの概要が出来たと言う事で学長とヒュッター教官と共にメインルームに向かった
「お待ちしておりました、それでは早速なのですがインフィニティを中心とした射撃計画の構成が終わりました」
風祭技官の言葉に私は少し安堵した
「しかし問題がまだあります、フラクチャーの最低点特定が出来ていないと言う事です」
「アカプスのターナー博士が例の新開発の装備を送ってくれるそうですが」
私の言葉に狛江局長が返す
「それはありがたいのだが…問題はハードではなくソフトなのですよ、フラクチャーの複雑なエネルギー変動を解析できる高度な数学モデルが必要なのです」
「現状での命中確立はどのぐらいなのかね」
学長が一番気になる所を聞く
「・・・・・・・・0.73%です」
風祭技官が苦しそうに言う
「0.73!人類の生き残る確立が0.73%だというのかね」
0.73%・・・これは神に頼むしかないということか
しかしこの数字をそのまま言う訳にも行かんし・・・対外的にはもう少し確立を上げて発表するしか・・・
「・・・・これが最も高い数値です、無用な混乱を避ける為に対外的はもう少し高い数値で発表しますが・・・現実の数値は先程の0.73%です」
「如何せん情報が少なすぎて数学モデルが作れない状況です、それに最高峰のプログラマーを集めても半年はかかるかと」
数学モデルを一から作る時間は無いと言う事ですか・・・
これはかなり厳しいですな
それから私達は学長の執務室で話をする為移動した
そしてインフィニティーでの訓練履歴を確認して学長が口を開く
「今回のミッション、片瀬 志麻君は不安定すぎる」
学長の話に一理ある前回のミッション時の事もある
それに
「音山君一人で処理する事で効率化は計れるでしょうから」
「反対です」
ヒュッター教官が反対する
「彼女には可能性がある、世界とは須らく曖昧な物です、そして新型DLS、この曖昧な要素に人という曖昧な物が絡み、新たな可能性が見える」
可能性・・・・・確かに彼女には不安定ながらも二つのミッションをこなした可能性がある
時間は少ないですが0では無い
少し様子を見るのもいいでしょう
side out
side 真也
ジェネシスミッションの準備で講義も全て休講、さっきまでミッションに使う物の搬入作業に借り出されていた
今は片瀬さんと光太を除く何時もメンバーで息抜きついでにカフェに来ている
「ようやくグレートミッションが終わったと思ったのにな」
ピエールがぼやく
「いーじゃん、お蔭でミッションが終わるまで休講になった事だし」
「呑気ね、私達だって搬入作業の手伝いがあるのよ」
ジョジョの言葉に栢山さんが突っ込みを入れる
「それにフラクチャーの影響も心配ね」
お嬢が不安そうに言う
「大丈夫じゃない?地球には影響ないみたいだし」
大はそういうが地球に無くともファウンデーションがどうなるかの見解は出されていないからな・・・
「問題はファウンデーションだろ、宇宙局の見解では地球は、としか言われて無い訳だが」
「あ、そっか」
俺の言葉に大は納得したようなそぶりを見せる
「あ、そっか、じゃな~い!そこ大事な所!」
アリサが叫ぶが結局の所ファウンデーションがどうなるかはジェネシスミッション次第なんだろうな
「大丈夫だって!光太としーぽんが何とかしてくれるよ」
「私のパパだって居るしね」
ジョジョとりんなちゃんが言う
しかし今回も光太としーぽんが何とかしてくれる・・・か
そう他人任せの発言はどうかと思うがそう思わせる二人が凄いのか
「そろそろ搬入作業交代の時間だ、そろそろ行くぞ」
みんなに声を掛け格納庫に向かう
俺はストラーダに乗り込み搬入作業を始める
宇宙に出ると初佳のケイティを見つけた
「初佳、そろそろ交代の時間だ」
『もうそんな時間?分かったわ、それじゃ頑張ってね』
「あぁ、初佳もしっかり休んでな」
《警報 未確認物体確認》
『何!・・・あれは』
「ウルティマの時の!」
今度はステルヴィアの番ってか!一応ビーム砲は付いたままだ、エネルギーを充電しておくか
『搬入作業を行っている全オーバビスマシンへ、戦闘行動は行わない、繰り返す、戦闘行動は行わない』
戦闘行動は無し・・・落ち着いて考えてみろ
未だ搬入作業中の宇宙船が残っている状況で手を出したら、あの機体も応戦してくるはず
《高周波を検知》
思考の海に浸っていると観測機から情報が渡される
高周波だと・・・何かの通信の可能性があるのか
発信源は・・・・国籍不明機から!?
指令部に連絡を入れておかなければ
「此方ストラーダ、国籍不明機から高周波を検知、通信と思しき周波数です」
『それは本当か狛江』
白銀教官に問われ情報をステルヴィアに送る
「周波数データを転送します」
『確かに・・・今インフィニティを出す、それまで出来る範囲で解析と情報収集を頼む』
「了解」
白銀指令にそう返され観測機をフルに使い情報を集める
しかし通信と思しき周波数を解析してみるも情報が読み取れない
解析用プログラムを走らせても読み取れない
処理値を64から128に変更・・・・ダメか
・・・打つ手無しか
side out
side ヒュッター
私がこの星に来てから800日ほど人類を観察してきた
先の学長室での会話
私は片瀬君に話して、彼女がどのような反応を示すか
「学長はDLSを音山 光太、彼一人で行わないかと言っていた」
「そう、ですか」
「DLS、ダイレクトリンクシステムはまだまだ乗る人間を選ぶシステムだ、パイロット、プログラマーとしての技能、精神的な強さも求められる、現段階の人類では扱いきれない方が普通だろう、インフィニティーは彼に任せてしまってはどうかね・・・音山 光太は特別なのだ、早々追いつける相手ではない」
この問いは私の意思に反する
しかし問わねばならない
そしてその結果・・・
「そうかもしれません、そうかも知れませんけど!」
「君がそこまで頑張る理由はなんだ、人類を救おうと言う使命感か、彼に対する意地か、愛情か、それとも・・・」
「私、地球から宇宙を見上げてて、その時思ったんです、見上げてるだけじゃ嫌だってだから宇宙に着たんです・・・・・どんなに遠くても歩いていたら辿り着くと思うから、えっとあの千里の道も一歩からて言いますよね」
資格は得た、後は
「千里の道も一歩から、ローマは一日にして成らず、大きなウリエッタは小さなアレッサの集合である」
《Pipipipipi Pipipipipi》
「緊急のコールサイン、片瀬君インフィニティーの所まで送って行こう」
私は自転車で片瀬君をシークレットルームまで送り届けある所へ向かう
「リチャード教授、少々よろしいかな」
リチャード教授を呼び出し展望台に赴く
「我々が使っている通信プロトコルです」
「我々・・・つまりソレを使うと彼らの通信の内容が分かると・・・よろしいのですかな、我々に協力する事はあなた方のルールに触れるのでは」
「私が800日間、地球という星を観察した所、地球人はまだ若い、熱くて真直ぐで、自分自身の事ですらまだ良く分かっていない、その様な状態で安易に接触すれば混乱と衝突が起きるのは必定、ウルティマの例を引く事も無く、だから私は距離をとった、それは妥当な選択でしょう」
しかし
「遠くから見ているだけでは何も変らない、一歩ずつでも、時に後戻りしようとも、歩みださねば・・・大きなウリエッタは小さなアレッサの集合である・・・私の星の言葉です」
「ありがとう、貴方がそう思ってくれたこと、とても嬉しいです」
「そう思わせたのは、貴方達地球人だ」
そう、私はこの若い地球人達に資格と可能性を見た
ならばこの事象は必然
「では、参りましょうか・・・私達の生徒を見守る為に」
side out
side 志麻
ヒュッター先生に格納庫まで送ってもらった
何故か自転車で
そして付いて直ぐにインフィーを見てヒュッター先生に言われた事を思い出した
《音山 光太は特別なのだ・・・なぜそこまで頑張る》
私は光太君と一緒に居たい
光太君が見ている物を一緒に見たい
光太君が乗るインフィに私も乗っていたい
光太君に届くか分からないけど少しでも近づきたい
そっか、これが私が感じてた距離の理由
でも、私は光太君と一緒に居たい
そう思えたから・・・だから
「ごめん、お待たせ」
「志麻ちゃん、今日は戦闘は無しだよ」
「うん、DLSで相手の通信を解析するんだよね」
「システムをギリギリまで使うよ、行ける?」
「うん、頑張る」
そして私と光太君はインフィーに乗り国籍不明機まで向かう
『光太に片瀬さん、一応これが通信と思しき周波数のデータだ、ストラーダでは解析できなかった』
真也君から周波数のデータが送られてくる
「ありがとう、参考にするよ」
私は真也君から送られてきた周波数を参考に周波数を合わせる
間を置かずにリチャード教授から通信が入る
『C−7チャンネルを開いてくれ、今から通信用のプロトコルを送る、それを使えば彼らの通信が解析できるはずだ』
通信用のプロトコルって
「そんなものを何時の間に・・・」
『信頼できる物だ』
『片瀬 志麻君、千里の道も』
ヒュッター教官が言う
さっきの会話
千里の道も
「一歩から!」
「いくよ志麻ちゃん」
「うん、頑張ろうね」
《ステルヴィアとのチャンネルを8番に固定》
よ~し、頑張ろう
私の目に飛び込んできたのは膨大な情報の塊
それをまとめて処理しようとしたら上手く行かなかった
それなら
私は二つずつ処理していく事にした
着実に、一歩、一歩・・・千里の道を歩む様に
時間を掛けながら処理していく
私に回って来た情報の解析を終え、光太君の画面を見る
まだ結構あるみたい・・・光太君に任せすぎちゃったかな
「ごめんね光太君、任せすぎちゃったかな」
「志麻ちゃん?志麻ちゃんの方は終わったの」
「少しずつやれば結構いけるよ」
「うん・・・・本当だ」
そして私は光太君の方から未解析の情報を引っ張ってきた解析を進める
しばらくして全ての情報の解析が終わった
「解析終了」
「情報をステルヴィアに転送します」
そうして解析が終了すると国籍不明機は消えてしまった
あの機体はこの情報を届けてくれた
敵じゃなかったのかな・・・でもウルティマの事もあるし・・・
悩んでも仕様が無いよね
「志麻ちゃん、ありがとう助かったよ」
光太君にお礼を言われ少し嬉しかった
「えへへへ、でもまだまだよ、これからも一緒に頑張ろう、光太君」
「うん、そうだね志麻ちゃん、一緒に頑張ろう」
side out
国籍不明機からの情報はなんとコズミックフラクチャーの地図
それを元にジェネシスミッションは最終段階へと向かう
それに伴い作戦に非参加の者は地球へ
作戦に参加の者は宇宙に
それぞれの道は
残業で遅くなりましたが本日の再アップ作業はここまでです
明日も引き続き行いますのでよろしくお願い致します
明日の再アップ作業にて本編再アップ完了となります
当小説を楽しんで頂けたら幸いです
よろしければ誤字脱字報告、感想等頂ければと思います。
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第26話~意思~
アカプスで建造されていたインフィニティーの同型機アルキュオン
ジェネシスミッションを合理的に行う為、
射撃をインフィニティー
情報処理をアルキュオン
そして、ミッションの関係者意外は地球へ避難する事になった
side 志麻
「・・・ぽん、・・・しーぽん、時間だよ」
体を揺らされながら、声を掛けられる
この声はアリサ・・・
そういえばこの後ジェネシスミッションの訓練だっけ
顔を冷水で洗い目を覚まさせる
「は~目ー覚めた!」
「少し頑張りすぎじゃない?ミッションまでまだ時間があるんだから少し休ませて貰うとかさ」
アリサは心配そうに声を掛けてくる
でも現状で一番遅れてるのは私、もっと頑張らないと
「ダメだよ・・・一番遅れてるんだもん、それじゃぁ行って来るね、アリサも避難の準備しなきゃダメだよ」
そういい残しシュミレーションルームに走って向かう
「すいません遅れました!」
その声と共に部屋に入った
「大丈夫、まだ時間になってないよ」
ケント先輩にそう言われ息を整え準備を始める
DLSに表示される各最低点
その情報を処理し最低点を捕らえる
私はいっぱい練習してDLSをもっと上手く使えるようにならなきゃ・・
そして私の心は焦りで埋まって行く
・・・だめ、もっとDLSになれないと
このままじゃ・・・ダメ・・・
訓練が終わり、町田先輩とナジマ先輩にシャワーに誘われたけど
「私は後で行きますから」
といって断った、その直後、レイラ教官が来て私をラウンジに誘った
「コーヒーでいいか?」
「あ、はい」
「何か悩みでもあるのか」
そうレイラ教官に言われ胸の内を話た
「みんなどんどん上出来るようになっているのに・・・私だけもたもた・・・・」
「入学当時を思い出すな、なにをやっても無茶苦茶だったお前がプログラミングだけは秀でていた・・・・もう少し自分を信じてみろ」
レイラ教官と話が終わり、自室へ向かう途中、私はある考えをしていた
入学当初はDLSなんて使って無かった・・・それじゃぁDLSを使わない方がよく出来るの?
でもDLSの方が優れているからそっちを使う訳で・・・
「志麻ちゃん」
良く知る声に考えと足を止める
「光太君」
「志麻ちゃん大丈夫?最近頑張りすぎじゃない?」
うん、アリサにもそれ言われた・・・でも
「ダメだよ光太くん、心配してくれるのは嬉しいけど・・・私はまだDLSを上手く使えないんだもん」
「なら、この間みたいに助け合えば!」
「それじゃダメなの!ちゃんと・・・ちゃんと役割をこなせるようにならないと・・・何時までたっても光太君と同じ物が見れないの!」
「志麻ちゃん・・・」
「だから私は頑張る、一歩一歩ちゃんと歩いて行く、だから・・・」
「分かったよ・・・でも僕も志麻ちゃんの歩みを助けたいんだ」
「光太君・・・・」
「だから、一緒に頑張ろう、これからも一緒に歩けるように・・・」
「・・・うん」
それから光太君と別れ、アリサの待つ自室に向かう
「おっかえりー」
アリサが元気な声で迎える
「ただいま」
「おやー?元気ないなぁ・・・やっぱりミッションの事?」
ミッションもそうだし、訓練もそう、光太君は私の歩みを助けたいって言ってくれたけど、このことは私一人で頑張らないと
だって・・・・あの時の白銀教官の言葉
《片瀬にはアルキュオンで情報処理をしてもらう、そして音山はその情報を元に射撃だ》
ミッションの時、頼れるのは私だけ・・・だから・・・だめだめ!弱気になるな片瀬 志麻
「よし!ここで考えてたら明日のミッションに響いちゃう、テレビでもみて気分を変えよう!」
そしてテレビをつけるとそこには良く知ってる顔
って!ちーちゃん!?
「ん?どううしたの」
『い、いいですか?』
『どうぞ』
『志麻ちゃん、やっほー!』
え?え?どういうこと?
『この女性は先のグレートミッションでインフィニティに搭乗した片瀬 志麻さんのお母さんです』
「何ぃぃぃぃ!お母さん!?」
アリサの驚いた声が部屋に響く
そしてちいちゃんが話しだした
『去年末は、貴女とっとと宇宙に行っちゃうし、そういえばステルヴィアに入学する時も貴女は話を決めてとっとと出て行っちゃいました、結局ちゃんと話が出来ないまま、ここまできました』
でもそれはちいちゃんもいけないんだよ
『ううん、それは半分は私の所為・・・いいえ殆ど私の所為だと分かっています、貴女が私の元から飛び出したいというのは分かっていた・・・当たり前でしょ、母親だもん・・・だけどね、そうい物分りの良い私より自分勝手の私の方が強いのよ・・・貴女が好き、貴女を愛してる・・・どうしても貴女を前にすると言えなかった、恥ずかしいから手紙とか書いたけど、今貴女がこのテレビを見ていたら聞いて!志麻ちゃん、私は貴女という娘を産んで良かったと思います』
お母さん・・・
『私が海人君と出会って恋をして愛し合って・・・そして貴女が生まれました、だから貴女がいるの』
不意に涙が出てきた・・・この前まで感じてた孤独感は今はもう無い
私は・・・もっと頑張れる
『貴女は私と海人君の誇りです・・・頑張れ!片瀬 志麻!、頑張れ、頑張れ!』
お母さん・・・私、頑張る・・・もっと頑張るよ
「・・・気晴らしどころ、かぼろぼろになっちゃったね」
そういうアリサもぼろぼろじゃない
「だから貴女がいる・・・か」
急にアリサが抱きしめてきた
「え、なに?」
アリサは何も言わない
アリサの体温を感じる
それに鼓動も
何故か凄く安心する
しばらくしてアリサがこぼす
「・・・私からも、頑張れ」
うん、頑張るよ
もう、私は大丈夫だから
「アリサ・・・ちょっと行って来るね」
そう言って部屋を出た
ちいちゃんから大切なものを貰った、アリサからも、だから私は
私はさっき考えていた事を言いに白金教官の部屋を目指した
部屋に着き、中に入るとレイラ教官も一緒にいた
「どうした片瀬?」
「あの、アルキュオンのシステムを変えたいんです」
「要するにアルキュオンの仕様変更か」
「はい、アルキュオンのDLSを外して欲しいんです、ビアンカのシステムに戻したいんです」
白銀教官はレイラ教官に話を振る
「どう思う?」
「試してみる価値はある」
「古いシステムに戻すという事だぞ」
「新しいから良いとは限らんだろ、それに片瀬のプログラミング能力を生かすにはDLSは邪魔なのかも知れない、シュミレーションで確認してみる」
「・・・・分かった、まずデータを見せてもらおう、返事はそれからだ」
「はい!」
もう、後は無い・・・でも、コレが私の中での一番だと思うから
「レイラ、明日シュミレーションでデータを取って来てくれ」
「はいよ」
そして私はレイラ教官と共に白銀教官の部屋を出た
「もう、後が無いぞ」
「はい、でもコレが一番だと思うから」
「そうか、なら自分の答えを信じるんだぞ」
「はい」
レイラ教官と別れ部屋に着くとアリサが避難の準備をしていた
「ただいま」
「お帰り、もう大丈夫そうだね」
「うん、準備終わった?」
アリサは親指を立て
「完璧!」
「明日、だもんねフジヤマの最終便」
「そうだね・・・しーぽんしっかりね」
「うん」
しばらくして私とアリサは床に就き明日を待った
side out
side 真也
訓練が終わりしばらくして初佳と会っていた
「片瀬さん、大丈夫かしら」
初佳が心配そうに言う
「大丈夫だろう、何より光太もいるし、アリサもいる」
「私は、ちょっと無茶しすぎだと思うわ」
確かに頑張りすぎだと思う
でも
「外野で叫んでもしょうがないさ、俺は俺が出来る事をするよ、片瀬さんのサポートもそうだし今回のミッションもね」
「そうね、私も私の出来る事をするわ・・・ねぇ真也、このミッションが終わったら二人で旅行にでも行きましょうか」
「初佳と二人きりか、いいねそれ、なお更このミッション成功させなきゃな」
「えぇ、そしてこれは願掛け・・・真也が無事でミッションが上手く行くように・・・ね」
初佳が不意に俺の前に立ち顔を近づける
そして唇に残る感触
「え?」
最初は良く分からなかったが・・・これ、キスか
「や・る・気、出たでしょ」
「あ、あぁ、これは・・・来るものがあるな」
初佳の照れた表情
ダメだ可愛いい
あぁ、まともに思考が回らない
「それじゃ私はこの後ナジーと話しがあるから」
「あ!まって初佳、明日お嬢達が地球に避難するんだが光太としーぽんとで見送りをするんだけど一緒にどう?」
「私も行くわ、やよいとも話しがしたいし」
「それじゃ明日迎えに行くよ」
「分かったわ、待ってる」
「それと」
俺は初佳を抱きしめ
「え?」
そして初佳にキスをする
「俺からも、願掛け、無事に・・・一緒に帰れるように」
「真也・・・」
「それじゃぁ俺もストラーダの整備してくるよ」
「えぇ、また明日」
「また明日」
そうして格納庫に着くころやっと思考が戻ってきた
よくよく考えるとなんて恥ずかしい事をしたんだ俺は!
顔から火が出るとは良く言うがまさにだな
・・・・きっと今の俺は耳まで赤いぞ
side out
side アリサ
今はフジヤマのゲート前
しーぽんと光太、真也と町田先輩は見送りに来た
私達はある計画を実行しようとしていた
それはしーぽん達にも言ってない
「アリサ・・・」
「それじゃぁ行ってくるね」
しーぽんと抱き合い別れを言う
私達はゲートを潜り様子を見る
きっと私達が見えてる内はしーぽん達はあそこから動かないだろう
そしてエスカレーターで上った後
「みんな準備は良い?」
「ついに始まるのね」
「うん、俺達の」
「計画が」
「それじゃぁ行くわよ」
「「「「おーー」」」」
小さな声で叫び私達女性陣は女子トイレに
別にお花を詰みに来たわけじゃなく目指すは通気口
「うへぇ、空気悪!」
「仕方無いわよ」
「文句言わずにさっさと進む」
「ゴーゴー!」
私の言葉に続いてって人!?
「し!!」
「ねずみか?通気口なんかよりダストシュートの方が住みやすいだろうに」
私達は狭い通気口の中で顔を見合わせダストシュートを目指した
そして大達と合流した
「それじゃぁ約束を果そう」
side out
フジヤマの最終便が地球へ向け離陸した
それに伴いステルヴィアも移動を始めた
ミッション開始まであと少し
それぞれの意思は
それぞれ目指すものは
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第27話〜試練〜
ジェネシスミッションが始まろうとしていた
絶対防衛戦は土星
土星圏にある第五ファウンデーション、ビジョンに向け各ファンデーションが移動を始めた
新たなる未来の為に
side 志麻
これから始まるジェネシスミッション
なにか実感がわかなかったグレートミッションと違い
ジェネシスミッションには身近に感じる
先人が築いたレールの、その最後を歩いていた私
でも
今回は私が、私達がその新しい道を築く番
「片瀬、準備はいいか」
レイラ教官が尋ねる
私は今ビアンカのシステムでアルキュオンを動かす訓練を始めようとしていた
「はい、大丈夫です」
「そうか、なら始めるぞ」
その言葉と共にモニターに各波の最低点を特定する訓練を始める
まず一つ
そして二つ
・・・・頭が痛い
三つ
四つ
最後!
呼吸が荒い
《命中確立94%》
最初の頃・・・DLSの時より速度も精度も上がってる
『片瀬さん、ちょっと心拍数と血圧が高めだから一回休憩を挟みましょう』
蓮先生が声を掛けてくる
「わかり、ました」
気が付かなかったけど息も切れてる
とりあえずラウンジでスポーツドリンクでも飲もう
そう思って私はラウンジに向かった
「はい」
差し出されるスポーツドリンク
その先には光太くんがいた
「ありがと」
「志麻ちゃん・・・DLS無しで操縦するなんて負担が掛かり過ぎるよ」
光太くんの言ってる事も分かる・・・・けど、私にはDLSは・・
「そうかもしれないけど私にはDLSはじゃまっけなんだ」
「僕は志麻ちゃんを応援したい、けど志麻ちゃんに何かあったら・・・」
「光太くん、心配してくれてありがとう、でも・・・分かって欲しいの、私には今のやり方が一番だと思ってる・・・だから!」
止めないで・・・私はその思いを表した
「もう、決めちゃったんだね・・・分かったよ志麻ちゃん、でも・・・出来ないかもしれないけど無理しないで」
光太くん・・・ごめんね、その気持ちは嬉しいけど私は・・・やっぱり無理しちゃう
それが私が出来る一歩なら
「御互いがんばろう・・・私、もう行くね」
そう言ってラウンジを後にした
そして再び訓練へ
毎回変化する最低点
今はその点を捕らえる
そして捕捉プログラムを作ることが私の役目
けど・・・ダメ、しっくりこない
もう一度!
『片瀬さん、少し休憩したらどうかしら』
さっきも休憩したばっかだしもう少し
「いえ、まだやれます」
『そう、あんまり根を詰めすぎるのも体に毒だからコレが終わったら休憩する事』
「はい」
もう一頑張り・・・
side out
side 初佳
真也は今ストラーダの調整に行っていて居ない
作戦まで時間が無いから仕方ないけど少し寂しいわね
「おや?初佳一人かい」
「えぇ、そういうケントは?」
「直に分かるさ」
そう言った後ナジーと笙人が入って来た
「あら、皆で休憩かしら」
「あぁ」
「戦士の休息、それは束の間の時」
「とりあえず皆コーヒーでいいかい?」
それに皆うなずく
ラウンジのソファーに座りコーヒーを飲む
「それにしても今年度三度目の太陽系の危機か」
ケントの言葉を聞くと学校行事の様に聞こえるわ
「なんだか学校行事みたいね」
私はそのまま返すとケントも肯定する
「そうだな」
「ステルヴィアにこなければこの様な稀有な体験はできなかったであろう」
笙人の言う通りね、真也とも出会えなかっただろうしね
「でも、私達はステルヴィアに来るべくして来た者達、ならばグレートミッションもウルティマの救出も、そして今回のジェネシスミッションも私達にとって必然」
「今までは他人事だった様な気がしてたけど今回は違うな・・・さて、ちょっと機体の整備をしてくるよ」
真也と似たような事を言ってケントは出て行った
「初佳は狛江の所に行かなくていいのか」
「真也にも色々準備があるのよ、私の手伝える箇所はもう無いわ、なら待ってるのも彼女の務めでしょ」
「変ったな」
笙人にそう言われたけど私自身変れたのは真也のお陰だと思う
「えぇ、いい方向にね」
ナジーもそれに肯定の意を示す
「それではトレーニングに行ってくる」
笙人は日課のトレーニングに出た
「ナジーはどうするの」
「休息は必要ね」
「そう」
しばらくゆっくりしてると
《ウーーーーーウーーーーー》
ッ!緊急のサイレン
私はナジーと顔を合わせ格納庫に向かった
そしてケイティに乗り込むと白金指令から通信が入った
『先程エルサントが消滅した、そこで諸君はエルサントがあった場所へ急行し情報を集めてくれ、なにしろ分からん事ばかりだ、しかし無茶はするなよ』
『フラクチャーの側まで行く事がそもそも無茶よ』
ナジーがそう零す
「言わない言わない」
『遅れた』『遅くなった』
ケントと笙人から通信が入る
私とナジーは声をそろえて
『『遅い』』
と言った
ケントと笙人は苦笑をしていたが
今は情報を集めなきゃね
side out
side 真也
ストラーダの調整中に緊急警報が鳴った
俺は急いで座席調整をしてストラーダの重力推進器に火を入れる
格納庫内に人が居ない事を確認してハッチを開けた
その時白銀指令から通信が入った
『先程エルサントが消滅した、そこで諸君はエルサントがあった場所へ急行し情報を集めてくれ、なにしろ分からん事ばかりだ、しかし無茶はするなよ』
エルサントの消滅・・・いったい何が起こったんだ
俺は急いでエルサントの在った座標に向かった
観測機の情報に目を配りながらストラーダを進める
フラクチャーの現状は・・・・各数値が徐々に上昇の傾向にある
それに重力変異値が異常だ・・・フラクチャーが存在してる時点で基準の数値なんて充てにならないが
重力場が崩壊した時に起こる重力場フローに気をつけなきゃならない
「白銀指令、フラクチャーの各数値が上昇の傾向があります、データを送信します」
『そうか・・・全域のオーバビスマシンに告ぐ、各自収集したデータをステルヴィアに送信、その後各ファウンデーションに帰還、帰還後が別命あるまで待機だ』
「了解」
データは送信は後12%で完了する
後はステルヴィアに帰還するだけだ
ステルヴィアに帰還し新たな指示を待つ
30分くらいたっただろう
白銀指令から連絡が入ってきた
『ミッションに若干の変更が出た、フラクチャーの活性化により時間が無くなった、それによりミッション開始を早める・・・今から1時間後だ、各員機体のチェックを怠るな』
各数値の上昇は活性化を意味していたのか
しかしそうなると最低点の特定が難しくなるだろう
それにさっきの重力変異の場所が多かったから、重力場フローが多発するだろう
あれに飲まれたらいくらストラーダでもひとたまりも無いな
でも
やるしかないんだ
side out
side 志麻
さっきの警報で訓練は中止
今は司令室で白銀指令を待っている
この場にはレイラ教官とヒュッター教官、それに光太くんが居る
「待たせた」
その声と共に部屋に入ってきて席に座る白銀指令
「ミッションに若干の変更が出た、作戦開始を1時間後とする」
その言葉にレイラ教官が席を立ち白銀指令に講義する
「1時間後に作戦開始だと!」
「それは少し無理しすぎではないのかな」
「全くだ!」
ヒュッター教官の言葉に同意の意を表すレイラ教官
それに白銀指令はゆっくり答えた
「無理は承知です、コレを見てください」
モニターに表示されるフラクチャーの図
「先程、オーバビス編隊から送られてきたデータです、、フラクチャーの活動が活発化しています。今作戦を始めないとオデッセイやアカプス、それにこのステルヴィアもエルサントと同じ目に遭いかねません」
「だが、片瀬の訓練もアルキュオンの整備もまだ終わってないんだぞ」
それでも・・・やらなきゃならないならやるしかない
それが今の私の思い
「命中精度は9割を超えている、それにアルキュオンの方もコックピットの改造は終わっているんですよね」
「確かに改造は終わっているがテストが不十分だ、それに駆動系の換装作業がまだ残っている」
「機動性アップは諦めましょう、システムの最終調整は発進後に片瀬君にやってもらうしかない」
白銀指令は二人を説き伏せる
「片瀬、君にも分かったと思うがアルキュオンを不十分な状態で送り出すしかない・・・それでもやってくれるか」
私の思いは決まってる
「はい!」
「よし!急いで両名は機体搭乗、出撃してくれ」
私は急いでアルキュオンに乗り込む
システムを立ち上げ発進を待つ
すると光太君から通信が入る
『志麻ちゃん、僕・・・』
「大丈夫だよ、乗ってる機体が違っても大丈夫だから・・・だから頑張ろう」
光太君と通信が終わり発進の指示を待つ
『重力カタパルト準備完了』
光太君が先に出る
『アルキュオン重力カタパルトへ』
私はアルキュオンを重力カタパルトに運ぶ
『片瀬、つきなみな事しか言えんが上手くいったらなんでも一科目、優をくれてやる』
白銀教官・・・
「はい!アルキュオン発進します」
私は最終防衛戦に向け移動を開始した
自分の出来る事を精一杯やるだけ
お母さん、アリサ、真也くん、光太くん
見ていて、コレが私の・・・
私の精一杯だから
side out
side アリサ
隠れてしーぽんのサポートをしようと考えていた私とりんな
だけど・・・
ヒュッター教官となんか良く知らないおじいさんに見つかっちゃた!
笑ってごまかしたけど・・・
ヒュッター教官は警報と共に部屋を出て行ってしまった
しばらくアルキュオン・・・ん~何かしっくりこない・・・よし!ルッキョンと呼ぼう!ルッキョンのジェネレータの調整をしていた
そうしてジェネレータをつける前にルッキョンが発進する事になった
「なんで、なんでルッキョンにはジェネレータをつけないんですか!」
私は近くに居た人の怒鳴った
「る、ルッキョン?」
「今決めました!」
「そうだそうだ!ルッキョンにも着けろ着けろ!」
りんなもジェネレーターをつける様に催促する
「なんでって・・・まだ調整中なんだよコレ」
「本来なら作戦開始までには十分間に合うはずだったんじゃが・・・これではな」
しらないおじいちゃんが言う・・・けど調整中!?でも・・・本来なら間に合うって事は・・・
「あと、後どれくらいで調整は終わるんですか!?」
「二時間くらいかな」
二時間・・・ミッションが終了するまでに間に合うか分からない・・・射撃が一発で終われば必要ないだろうけど・・・一発じゃない、なら!
「だったらせめて・・・だったらせめて届けてあげたい・・・射撃は一回じゃないんでしょ・・・だったらあれをしーぽんに」
「それのった!」
お嬢の声が響く
振り変えるとお嬢とピエールが通気口から体を出していた
私達はどうやってルッキョンにジェネレーターを届けるか話し合い、ビアンカ三機で運ぶ事になった
私とお嬢、それにりんなとピエールでジェネレータをビアンカにくくりつけ運ぶ準備をする
ジェネレーターを運ぶのにビアンカの重力バリアのバランスを保つ必要があった
私じゃ重力バリアのバランスを保てなさそうだからりんなのビアンカに相乗りしてジェネレータ装着手順を確認する
『GO!』
お嬢の合図と共にステルヴィアから飛び出す
まっててねしーぽん!
side out
人類に課せられた試練、ジェネシスミッション
太陽系の未来を賭けたミッションが始まる
不完全な状態のアルキュオン
消えていく命
未来へ続く道は
後の者はその軌跡をたどる
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第28話~創世記~
今、人類の未来を賭けた作戦
今までの悲劇
繰り返さない為に
人類は学び歩いて来た
side リチャード
ついに始まりましたな・・・
「ビジョンの作戦ルーム起動開始、パターンSに備えよ」
学長の言葉でシステムの起動が行われる
しかしパターンS・・・
これは余り考えたくありませんな
コズミックフラクチャーに突入するファウンデーション
作戦上の数は3つだった・・・しかしエルサントの崩壊
残りの2つ全てが失敗した場合・・・
作戦司令部であるステルヴィアの突入
これがパターンS
「探査任務班、作戦宙域まで後12分」
コレでフラクチャーの進行を止める事が出来なければ
「フラクチャー最終防衛戦まで3時間51分です・・・止める事が出来なければ4時間後我々は・・・フラクチャーに飲み込まれる」
「太陽系の終焉です」
最悪の事態は避けたいものです、たとえ全てのファウンデーションを失っても
「この年になって最後の砦を任されるとは」
ターナー博士が呟く
「このまま何事も無く、ただの傍観者でありたいですな」
学長の言う通り、ただの傍観者であれば良かった
ですが、その様な事を言っていられる状況は今だけではないだろうか
side out
side 真也
ついに・・・始まるのか
『探査任務班は最低点の探査を開始せよ』
「了解」
フラクチャーに触れれば原始分解・・・か
ん?重力変異箇所が多いな
だがまだ重力場フローの兆しは無い
重力変異値が異常に上昇しなければ問題は無い
各最低点の数値を確認
ダメだ、フラクチャーが活発化していて捕捉が間に合わない
なら演算を早めに・・・あれ?ケイティが通り過ぎた所に重力変異?
それにさっき計測した時より重力変異箇所が増えている・・・
それに変異値も上昇の傾向・・・重力場フローの危険が
《警報、重力変異感知》
ッ!警報が鳴るほど変異値だと!
「各機に通達!高い重力変異値を感知、重力場フローに警戒」
もしかしてオーバビスマシンの重力推進器が重力場フローを誘発してるのか!?
『じゅ、重力場フローだ!』
ケイティのパイロットが叫んだ
俺は急いで重力場フローの流れを変異値から算出する、発生は予測できないが流れは何とか予測できるが
やはりオーバビスマシンの重力推進器の軌道をなぞる流れになっている・・・
俺は急いで情報を白銀指令に報告した
「白銀指令!重力場フローはオーバビスマシンの重力推進器に影響されて発生している可能性があります!」
『分かった!データを転送してくれ』
白銀指令の指示にしたがって情報をステルヴィアに転送する
『各機後退は無しだ、重力場フローに注意しながら最低点を捕捉せよ』
しかし白銀指令の指示は酷なものだった
『だめだ回避できない!』
近くに居たケイティに迫る重力場フロー
俺は咄嗟にフィールドジェネレーターを打ち出す
『あ、ありがとう助かった』
「お礼なんていいから集中してくれ!」
今の重力場フローでの被害は全体の30%・・・
この後まだ続く作戦の為に数は減らせない
それにアルキュオンの設定が終わらないと情報が生かせない・・・
頑張れ片瀬さん
side out
side 光太
僕はインフィーのジェネレータを展開して重力レンズを作り出した
後は志麻ちゃんのプログラムを待つだけ
そう思っていた
重力場フローが発生してオーバビスマシンが壊れていく
このままじゃ犠牲が増えるだけだ、僕が・・・僕が何とかしないと
最低点は何処だ・・・僕が・・・僕がやらないと・・・集中しろ!
消えていくマーカーが僕の意識をずらす
集中しろ、ビジョンに集中するんだ
更に消えていく命
「じゃ、邪魔をしないでくれ!!」
僕は叫んでしまった
『あせっちゃダメ、焦っちゃダメだよ』
「焦ってなんかいない!僕が、僕がやらないと!」
『うん、でも光太君は射撃管制に集中して、二発しか撃てないんだもん、情報処理は私の役目・・・私が頑張る』
僕は志麻ちゃんの声で少し冷静さを取り戻した気がした
「ありがとう志麻ちゃん」
僕はそういい、志麻ちゃんを待った
side out
side 志麻
アルキュオンのシステム調整はまだ終わらない
早くみんなが集めた情報を役立たせなきゃいけない
でも
あせっちゃダメ
さっき光太君に言った言葉
もう直ぐシステムの調整が終わる
《 All Systems Go》
「おそくなってごめん」
アルキュオンのシステム調整を終えそう呟く
「こちらアルキュオン、データ受信準備完了しました。マークはしなくても大丈夫です、確認情報を一つでも多く送ってください・・・此方で確認して首根っこを押さえます」
そういって送られてくる情報を処理する
システムは100%機能してる
大丈夫・・・私は私の出来る事を
落ち着いて・・・・落ち着いて
私は自分に言い聞かせ処理を終わらせる
出来た!情報を処理し光太君に転送した
「光太君!」
『見えてる!』
この後オデッセイがフラクチャーに突入
動きが鈍った所で最終調整
大丈夫、落ち着け片瀬 志麻!
『インフィニティ射撃準備に入りました、探査任務班はインフィニティ及びアルキュオンの護衛してください』
フラクチャーの情報収集をしていたオーバビスマシンが私達の護衛に回る
真也君やビック4の人達
『オデッセイ突入!』
合図と共にフラクチャーに向かうオデッセイ
フラクチャーの動きが鈍ったら最終補正
私は何度も胸の中で確認した
突然画面が乱れた
今は何も見えないけどフラクチャー動きが遅くなっているんだ
あわてないで・・・落ち着いて
私はデータを補正する
そして
「データ補正完了!」
『焦点距離修正!・・・・・発射!』
どうかこれで当たりますように!
え?・・・ビームが・・・曲がった?
『全機第二防衛ラインまで後退だ!」
外れちゃった・・・今度はちゃんとやらなきゃ・・・
プログラムの修正をしていると白銀指令から通信がきた
『片瀬』
「はい、やってます・・・でもデータが少なくて・・・」
さっきの重力場フロで曲げられたデータだけじゃ正直に言って足りない
『大丈夫だ、まだ2発もある』
でも・・・もうアカプスしか・・・
『まだステルヴィアがある、アカプスを情報収集に使いステルヴィアで決める、頑張るんだぞ片瀬、まだ二発もあるんだ』
落ち着いて、まだ二発もあるんだから
『第二防衛ライン到着、引き続きオーバビスマシンは両機の護衛、インフィニティ射撃準備完了』
アカプスの突入後、データを収集、補正して光太君に
『後二発撃てるって言うけど、コレを捨て玉にする気は無いから・・・決めるならコレで決める!』
光太君の決意
私だって決めるならコレで決めたい・・・
重力場フローの情報が足りないなら少しでも演算回数を上げて補正しなきゃ
アカプスが突入して動きが鈍る
急いでデータを集め補正に入る
最低点を捕捉して重力場フローの簡易計算も入れた、演算回数もさっき6倍
「データ補正完了!」
重力場フローの情報を集めるのはこの射撃時
どんな小さな情報も見逃さない!
『焦点距離修正・・・・発射!』
重力場フローが来ても!・・・ダメまだ少し曲がっちゃう
早くプログラムを修正しなかきゃ・・・でも、重力場フローのデータが少し足りない
『片瀬さん、初期と一発目、二発目の重力場フローのデータ、転送するから役立てて』
「ありがとう真也くん」
真也くんが送って来た情報でフローのデータは大丈夫
後はプログラムを修正しなきゃ
《重力変異感知》
「光太君!」
重力場フローがインフィに迫る
side out
side 真也
かなり大規模の重力変異を感知し流れを計算するとインフィに迫る事が分かった
インフィニティーとアルキュオンはやらせない!
初佳や光太、片瀬さんや皆の帰る場所を守るインフィニティとアルキュオンをやらせる訳にはいかないんだ!!
俺はストラーダをインフィニティーの前に割り込ませアンカーワイヤーを放ち重力場フローに当てる
そしてすぐにワイヤーを切り離し巻き込まれるのを避ける
『し・・・真也君』
光太の声を聞く暇も無く重力変異値を確認する
「光太!すぐに下がれ!重力変異値はまだ高いままだ下手すると」
『でも射撃の負荷の所為か出力が上がらないんだ』
なんだと!こんな時に
『インフィニティーに向かって大規模の重力場フローが!!』
司令部から悲痛な声が上がる
今までに無い程の重力場フローが俺とインフィニティーに迫る
距離からしてフィールドジェネレータは展開前にぶつかるがやらないよりマシだ!
すぐさま二発のジェネレータを放つが、やはり展開前にぶつかった・・・接触まで後5秒か
なら
防ぎきれるか分からないがストラーダを盾にインフィニティーを守る・・・か
俺は重力推進器を出力を臨界まで上げ重力場フローを引き寄せる
インフィニティの位置は後方34m
かなり際どい線だ
俺は迫り来る重力場フローを前に死を覚悟した
が
俺の目に飛び込んで着たのは重力バリアを展開したアルキュオンだった
side out
side 初佳
相変わらず真也は助ける事が上手いわね
私はさっきインフィニティーを庇ったストラーダの機動をみてそう思った
私の時もあのアンカーを使って助けてくれたっけ
そして私は思考をやめ最終防衛ラインへ向かった
『志麻ちゃぁーーーーーーーーーーーーーん!!』
急に聞こえた音山君の声でアルキュオンが居た方を見る
けどそこだけ情報が表示されなかった
感知できるのは荷電の流れだけ
辺りのマーカーを確認してもアルキュオンとストラーダが無い
え?・・・真也?
「真也!応答して真也!!」
『落ち着け初佳!』
ケントから通信が入る
「ケント!なにがあったの!!」
『・・・・最初の重力場フローはストラーダのアンカーワイヤーで防いだ』
・・・最初の
『そしてすぐに、二回目の重力場フローがインフィニティーとストラーダを襲った』
それじゃ・・・
『しかしストラーダが重力場フローからインフィニティーを守ろうとしたが、アルキュオンが重力バリアを展開し、ストラーダの前に滑り込んだ・・・多分重力バリアを囮にしようとしたがストラーダの重力推進器の力が強力で前にすべりこんだんだろう』
それじゃ・・・真也は・・・片瀬さんは
『今は重力場フローの崩壊による余波で確認が取れない』
そ、んな
『絶望を捨てよ、希望はまだ胸に・・・諦めてはいけない、そうでしょ初佳』
ナジィ・・・・
大丈夫よね・・・真也・・・
side out
重力場フローに飲み込まれたアルキュオンとストラーダ
重力バリアに触れた重力場フローの電荷が弾け辺りを白く染める
全てに絶望を振りまく光
未だに流れ出る荷電の光
電波障害により確認できない被害
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第29話~ありがとう/さようなら~
溢れる光
突入するステルヴィア
ファウンデーションは星の道の礎となる
side 真也
俺は、生きてる
あの時、ストラーダの前に出てきたアルキュオンは無事なのか・・・
ノイズが酷くて何も見えない・・・
インフィニティーは俺より後方に居たから大丈夫なはず
問題はアルキュオンだ
クソ!ノイズが収まらない
俺の視界はノイズで乱れ、アルキュオンの確認が出来ない現状に苛立ちを覚えていた
落ち着け、俺はそう自分に言い聞かせた
俺はDLSを外し体に異常が無いか調べた
特に目立った外傷は無し、脈拍と血圧は若干高めだが問題は無い
ストラーダはどうだろう
俺は端末を操作してストラーダの状態をチェックする
機体ダメージは軽微、観測機はさっきのノイズじゃチェックは出来ない
重力推進器は・・・配線が切れたか心臓部が溶けたかのどちらかだな
やはり出力を上げすぎたか、コレは一回外装を外してチェックするか
ストラーダ自体の機体状況確認プログラムで確認するしか無いな
俺はDLSを着けプログラムを起動する
調べてみると観測機の方は問題なし
一番気になっていた重力推進器は心臓部では無く配線の部分にエラーが出ていた
なるほど、これならストラーダに積んでいる予備でなんとかなりそうだな
そんな事を考えているとノイズが薄くなって行くのを感じた
つかさず俺通信を出した
「此方ストラーダ、機体に損傷あり、ミッション遂行は可能」
後はアルキュオン、片瀬さん無事でいてくれ
side 初佳
真也・・・
『初佳、まだ荷電粒子の所為でノイズが酷いがまだ諦めるのは早い』
ケント・・・そうね、きっと大丈夫・・・真也も、片瀬さんも
徐々にノイズが減っていく
私はノイズで映らない所を見つめ真也と片瀬さんの機体を探す
未だに見えない
そして
『・・・ダ・・・・機・・・・損・・・・』
ッ!聞こえた!真也の声!!
「真也!応答して、真也!!」
私は間を空けずに叫んだ
『此方ストラーダ、機体に損傷あり、ミッション遂行は可能』
機体に損傷!?
「真也!大丈夫なの!?」
私はすぐに真也に尋ねた
『心配かけてごめん初佳、俺は大丈夫・・・ストラーダも重力推進器にダメージがあるだけだから』
重力推進器って、それが壊れていたらストラーダは動かないじゃない
『ダメージって言っても配線が焼ききれただけだと思うからなんとかるよ』
私はその言葉を聞いて安心した
「それですんだから良かったけど、余り無理はしないで・・・」
そして私は今の素直な気持ちを言った
『・・・・ごめん、初佳』
「いいの、無事だったから・・・それじゃ最終防衛ラインに行きましょ」
そう言って私は真也のストラーダを引っ張って行った
side out
side 光太
志麻ちゃん・・・・
「志麻ちゃん!応答して!」
何度目か分からないけど僕は彼女の名前を呼ぶ
『大・・夫・・・大丈夫です』
「志麻ちゃん!」
『大丈夫だよ、ジェネレータが半分ダメになっちゃったけどちゃんと動ける』
違うんだ
「志麻ちゃん」
『システムも異常なし』
そうじゃない
「志麻ちゃん!」
『アルキュオンの情報処理能力には問題ない、まだいけるよ』
違う・・・なんで
『インフィが動け無いんじゃ仕方無いよ、アルキュオンのバリアを囮に使って』
どうして・・・どうして!
「なんでそんな無茶な事をするんだよ!」
どんなに心配したか
僕は志麻ちゃんにその思いをぶつけた
『出力の上がらないインフィとそれを庇いに行ったストラーダを助ける為だよ』
そうだ、インフィの出力が上がらなくて真也君に・・・
ッ!真也君は!
僕は背筋が凍った、志麻ちゃんが光に飲み込まれ我を忘れていた事に気付いた
そして急いで辺りを確認する
ストラーダの信号を見つけた時、僕は安心した
『それにインフィがやられちゃったら、誰がレーザーの射撃管制をするの?』
志麻ちゃんの通信でさっきの思いを思い出す
そうだけど、僕は・・・志麻ちゃんに何かあったら
『だけどアルキュオンもやられたらまずいよね・・・でもね、光太くんも真也くんも助けたいの・・・それにはコレしか無かったの』
『第二次防衛ライン放棄、各員最終防衛ラインへ移動してください』
司令部からの通信で会話を遮られる
『早く行かなきゃ・・・急ご、光太くん』
志麻ちゃんの言葉で僕は最終防衛ラインまで向かった
結局僕の言葉の続きは言えず仕舞い
けど、きっと思いは伝わってると信じて
僕が志麻ちゃんの事を大切にしていて、本気心配している事を
side out
side 志麻
司令部からの通信で私達は最終防衛ラインに向かっていた
はぁ・・・かなり無茶しちゃったかな
光太くんに心配かけちゃったし
でも・・・私は助けたかった、光太くんと真也くんを
『しーぽん体の方は大丈夫?アルキュオンの方はちょっと深刻?』
え?この声って大ちゃん!?
画面に表示されるのは見知った顔
通信先を確認する
え?ステルヴィアから!?
もうステルヴィアは移動を開始してるから・・・
「大ちゃん、コレってステルヴィアから通信してるんでしょ?早く逃げなきゃ」
『うん、そうだね』
大ちゃんは何時もと変らない様子でそう答えた
『こっちは何もって行けばいい』
これはジョジョ君の声
『例の解析プロトコルだね』
『こっちは』
今度は晶ちゃんの声
『んー・・・しーぽんのコレまでのプログラム作成履歴とかかな』
「大ちゃん!」
私が本気で心配してるのに・・・
『あーごめん、でも逃げる前に約束を果さないと』
「約束?」
約束って誰と約束したんだろう
『それともう一つ、そろそろアリサ達がソッチに着くと思うから、じゃ』
そういうと大ちゃんは通信を切ってしまった
私が大ちゃんの言葉を理解するのはもう少し後になる
side out
side アリサ
貴方と出会ったのはあのフジヤマ
それから私達は一緒になって頑張ってきた
『凄い・・・』
そう零したお嬢
『これっておそらく肉眼じゃ見る事が出来ないほどの出来事なんだ』
ピエールは良いこと言ってんだけど
「ピエールなんかキザぽーい」
りんなちゃんが茶化すように言う
私はDLSをつけて無いからモニター上でしか見えない
コレは私が選んだ道
だから私は私の出来る事をする
モニター上にルッキョンを見つける
「お待たせ、ピーターパン」
私は呟くように言った
「よーし!とぉーちゃーく!」
『それじゃぁ私達はアリサの邪魔にならない様に壊れたジェネレータを外しましょう』
「オッケ!」
りんなちゃん達がビアンカから出てアルキュオンの方に向かった
私はりんなちゃん達が乗ってきたビアンカを遠隔操作で操りジェネレータの取り付け作業を始めた
「しーぽんお待たせ!今からちゃちゃっと取り付けちゃうから待って」
『なんでアリサ達がここにいるの?大ちゃん達もそうだし』
それは・・・もう言ってもいいよね
「私はね、あんなに頑張ってる貴女を助けたかった・・・だからステルヴィアに残って私の出来る事を考えてたの・・・そして思いついたのはこのジェネレーターを貴女に届ける事」
『アリサ・・・』
「だから私にまっかせなさい!」
そう言って通信を終える
そして私は慎重に
ゆっくり、ゆっくり作業を進める
取り付け先をイメージして
よし!
さて、も一個行きますか!
私はさっきの様に丁寧に取り付け作業をこなす
モニターにステルヴィアを確認した
その時丁度ジェネレーターの取り付け作業を終えた
「よし!ジャストタイミング!」
後は頼んだよ、ピーターパン
side out
side 真也
俺は最終防衛ラインで初佳にストラーダの修理を手伝ってもらい、それをすぐに終え今はインフィニティーのチェックをしている
主力系と制御系を調べたが、壊れている所は見当たらない
各数値も許容範囲内で出力が上がらなくなるような要因は無かった
「機体にはダメージは無いみたいだ」
俺は光太にそう告げる
『でも、確かに出力が上がらなかったんだ』
『操縦記録を見せてもらったわ』
いきなり蓮保険医が割って入ってくる
『基本的にはパイロットの技量で回避できたレベルね』
『操縦ミス・・・ですか』
『平たく言うとそうね・・・・新型DLS、こんなに長く使うの初めてでしょ、大丈夫?』
操縦ミスか、たが今回の件は強く言えないだろう・・・ミッションの重圧に長時間の新型DLSの使用、これでミスが起きない方がおかしい
『ちょっとキツイかも、でも大丈夫です・・・だって、降りる訳にはいかないじゃ無いですか』
頑張れ、光太・・・俺にはそれしか言えない
「光太・・・頼んだぞ」
『うん、頑張るよ』
他に作業していた人達が皆同じ方向を見ている
そこに目をやるとステルヴィアがあった
ステルヴィアがゆっくりフラクチャーの方に向かって行く
俺は急いでストラーダに乗り込む
システムを起動し観測機を動かす
ステルヴィアの最後を見逃さない為に
side out
side 大
んーついにステルヴィアが最終防衛ラインに着ちゃったか
「ジョジョ、晶ちゃん作業の方はどう」
「ばっちし」
よーしそれじゃ後は皆との約束だけだね
えーとビジョンへの通信は
『小田原 大!?』
「あれ?教官達まだステルヴィアにいたんですか」
『うるさい!貴様らこそ何でステルヴィアにいる!』
「えぇ、ちょっと」
『ちょっとじゃない!』
『まぁまぁ、藤沢達がいたんだ小田原達がいても不思議じゃない、それにここまできてどうこうなるもんでも無い』
『しかし・・・』
なんか教官達が言い合いしてるけど白銀教官の言う通りかな
レイラ教官もなんだかんだで折れそうだ
『どうだ小田原、ジェネシスミッションは』
「んー最高です」
『そうか、お前らもさっさと逃げろよ』
そう言って通信を切った
ちょっと遅くなったけど約束を果そう
「ビジョンにいる大人の皆さんにお願いが在ります、ステルヴィアが消滅するまでフラクチャーのデータを発信させてください、見せたいんです・・・この光景は今太陽系に生きている人達に出来るだけ見せたい、ジェネシスなんて言葉を使ってるくらいだから是非とも皆見るべきです。邪魔な周波数は使わないので見逃して下さい」
これでフラクチャーのデータはステルヴィアを介して送信される
「大、脱出するぞ」
「うん、今行く」
後は作業をしていたアリサを拾い、やりとげるだけ
side out
side 真也
いよいよステルヴィアが・・・
『待たせたな諸君!いいか!よ~く見ておけよ、コレがステルヴィアの見納めだ!!』
ステルヴィア、短い時間だったが思い出のある場所
光太や片瀬さん、それに初佳
心からありがとう、そして・・・さよなら
『あーあ、こちらマイクのテスト中、ステルヴィアからの映像もテスト中』
は?この声は大?なんでいるんだ
『この声を皆さんが聞くのは数時間・・・数日後かも知れません、とにかく太陽系全ての人がリアルタイムで見る事は今の技術ではできません・・・でも、共に立ち向かう困難に遭遇しているという点では皆同じです・・・コレが僕達、私達の始まりの記録にならん事を』
大のやつ、いいこと言うじゃないか
『そうだ!美味しいところは全て小田原が言ってしまったがつまりはそういうことだ!・・・この作戦は俺達が宇宙に散らばる前哨戦だ、この先人類が一丸となって何かをやるって事は無くなるだろう、ある者は太陽系に残り、ある者は外宇宙へ向かって行く・・・そういう歴史になると思う、いや・・・歴史って物が無くなるんだろう、あるのはそれぞれの今と未来に向かうそれぞれの思いだ・・・勝ちに行くぞ、俺からは以上だ』
白銀指令が言い終わり
ステルヴィアがフラクチャーに飲み込まれていく
ステルヴィアが原子分解され重力制御装置が暴走し
マイクロブラックホールを形勢して
フラクチャーの動きを鈍らせる
辺りを荷電の光が染め
ステルヴィアは役目を終えた
『各オーバビス編隊はインフィニティーとアルキュオンを必ず守れ!』
「了解!」
白銀指令の言葉に力強く答える
さっき重力場フローはストラーダの重力推進器に引き寄せられた
なら
「初佳!」
俺は初佳に意図を伝える
『真也・・・ええ、皆聞いて!小さなオーバビスマシンでも纏れば立派な囮になるわ!』
『それ乗った!』
『一つ一つは小さいけれど!』
『まさに合体だ!』
ビック4にお嬢、ピエールりんなちゃん・・・皆が一つに纏り重力場フローを引き寄せる
ストラーダの観測機の情報からフローの流れを計算する
「後方より重力場フロー!各機散会!」
『『『『了解』』』』
俺達はコズミックフラクチャーのすぐ側を飛んでいた
『凄い・・・』
不意に初佳がそう零した
「あぁ、本当に凄い・・・」
俺もそう、ただ漠然と感じた事を零した
side out
side 初佳
私は近くで見たフラクチャーに圧倒された
DLSを介して見えてくるフラクチャー
近くには真也
真也も同じ物が見えていてそれを感じている
『初佳』
「やよい?」
『こうやって飛びたかった・・・初佳、貴女と』
私が怪我をさせてしまい一緒にいれなかった
私だってやよいとこうやって飛びたかった
やよいのビアンカは踊るように私の周りを飛び回る
「私も・・・こうやって、貴女飛びたかった!」
私に頬を伝う涙は暖かい
過去に出来なかった事
ステルヴィアにこなければ出会えなかった
真也に
やよいに
今はもう飲み込まれてしまったステルヴィアに
思いを乗せて
今を飛ぶ
side out
side 志麻
私はプログラムを組み立てていく
プログラム最終調整
みんなのくれた・・・ステルヴィアがくれた最後のチャンス
私はステルヴィアがくれた物を思い出す
アリサや真也君くんとの事
ビック4の先輩達
私に教えてくれた教官
そして
光太くん
不意に涙が出てきた
「えへへ・・・・あ、そっか」
私の今の気持ち
ステルヴィアに着たときの気持ち
地上から宇宙を見上げた時の気持ち
全部私なんだ
光太くんの事が好きな気持ちもこれからも皆と一緒にいたい気持ちも
大切な事を思い出したから
私は一度組み立てたプログラムを組みなおしていく
コレが私
私の思いの全て
このプログラムが!
「光太くん!最後の調整をしたプログラムだよ、頑張って」
私の思いをこめて
side out
side 光太
頭が重い
音が・・・声が線になって視覚と聴覚を惑わす
白銀教官の声も
みんなの声も
意識が朦朧としてきた
呼吸も荒い
『パニックにならないで、視覚と聴覚が入り混じったDLSの新たな段階よ』
この線は蓮先生・・・
僕の今見ている物が新たな段階?
この暗く重いようなビジョンが?
『君の見たかった物が見えるかもしれない』
僕の見たかったもの?
『音山!ジェネレータの準備は出来ている、何時でも撃てるぞ!』
僕の見たかった・・・もの
『光太くん』
志麻ちゃん!
『光太くん!』
僕のビジョンが重く暗い物が淡く優しい物に
志麻ちゃんの声が大きくなって
志麻ちゃんが見える
線だったものが志麻ちゃんを映しだしていく
『光太くん、光太くん!最後の修正を加えたプログラムだよ!』
僕が見たかったのは志麻ちゃんの優しい顔、優しい声
志麻ちゃんがくれたプログラムを走らせる
最低点を捕らえた瞬間
「発射!」
ジェネレータが放つレーザーが重力レンズを介し、フラクチャーまで伸びていく
side out
インフィニティが放ったレーザーはフラクチャーの最低点を捕らえた
閉じていくフラクチャー
それはジェネシスミッション成功を意味していた
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エピローグ
ジェネシスミッションに参加した人達
守れた物・・・その代償として失った物
各々の思いは星へ、宇宙へ、人へ
その辿った道のりは
side 真也
終わった・・・・
コズミックフラクチャーが閉じていく様をみて漠然とそう思った
『作戦・・・成功です!!』
ビジョンに移ったオペレータがそう叫んだ
『お前達よくやった!・・・俺達は、勝ったんだ!』
白銀指令の言葉で通信から歓喜の声が響く
ある者は編隊で飛び回り
ある者は涙を流す
『お前達、喜ぶのは帰還してからだ、総員ビジョンに帰還せよ!』
「了解!」
白銀指令の言葉で俺達はビジョンを目指した
そしてビジョンに着いた後会議室に通され、そこには学長と宇宙局の人が居た
「君達、今回のミッション・・・本当に良くやってくれた、本当にありがとう・・・今回の成功は君達学生が頑張ってくれたおかげだと私は思っている、本来なら直ぐにでも学生生活に戻してあげたい所だが、各宇宙学園を失った今・・・それをすぐに行う事が出来ない、そこで」
学長がそこで区切り宇宙局の人が話し出す
「我々宇宙局が君達の学園復旧までの間、地球に臨時学校を用意する事になった、しかしそれもすぐには用意出来ないのでしばらくの間、ミッションの疲れをとると思って羽を休めて欲しいと思う・・・準備が出来次第に各学生に通達するのでそれまでは待っていてくれ」
要するに臨時学校が出来るまでは休みと言う事か
「今現在ビジョンは地球圏に向かって進行中だ、およそ10日で地球圏に着く予定だ、着き次第にナスカからフジヤマが来る事になってい・・・君達はそれに乗り地球に降りてもらう、最後に本当にありがとう・・・我々からは以上だ」
話を聞き終え各自解散の流れとなった
会議室を出るとそこには見知った顔があった
「あ、真也くんやっと来た」
片瀬さんがそう言って出迎えてくれた
「御疲れ様」
光太が労いの言葉をかけてくる
「二人とも御疲れ様」
俺は二人に労いをかける
「今ね、休みの日に光太くんの家に遊びに行くって話をしてて真也くんもどうかなって思って」
誘ってくれるのは嬉しいが、そこは二人きりの方がいいのでは無いだろうか
「お前は良いのか、光太」
と光太に尋ねる
「うん、後真也君も町田先輩を誘って見ればいいんじゃないかな」
確かに旅行の約束を果たすには丁度良い機会だと思うが・・・
「光太くんの家って大きい島にあって其処には光太くんの家しか無いから騒いでも迷惑にならないし、すっごく綺麗な所なんだよ」
なぜ光太が言わず片瀬さんが・・・まさか行った事があるのか?
「やぁ~やぁ~御三方、お疲れ様ー」
後ろから聞きなれた声に振り返る
「アリサ!それに皆!」
片瀬さんが俺の変りに名前を呼ぶ
「というか俺達はお前達を見送ったはずなのに何故此処にいるんだ」
と俺は今更ながら聞いてみた
「それはね、約束したからかな」
大がそう答えた
「約束?」
「そう、約束・・・ちゃんと果たせたから良いんだ」
約束か・・・今回のミッション関連は間違い無いだろうけど、アリサ達がいて助かった事もあったからな・・・俺は何も言えないか
「そうか、それは良かったな」
すると片瀬さんが思い出したように言った
「あ!そうだ、アリサ達も来ない?休みの日に光太くんの家に遊びに行くんだけど」
と俺にした話た様にアリサ達にも聞く
「え?でも・・・」
とアリサは光太の方を向いた
「うん、みんな一緒の方が楽しいと思うし」
と光太は答えた
「ん~なんか悪い気がするけどりんなちゃんはどうする」
アリサはりんなちゃんに振る
「はいはいはーい!行きたいでーす!」
元気にそう答えた
「なら私も行こうかな」
とお嬢
「そっそれなら僕も」
とピエール
「晶はどうする」
「皆行くなら」
「じゃぁ俺と晶も行く」
と栢山さんとジョジョ
なるほど・・・皆行くのかなら初佳を誘ってみて、他のビック4の人も誘ってみるか
「じゃぁ俺は初佳に聞いてくるよ」
そう言って俺は皆と別れた
しばらくビジョン内を歩き初佳達を見つけた
「初佳、ちょっといいかな、ケント先輩達も」
と俺は初佳達に声を掛けた
俺は先程の話を初佳達にし、答えを待った
「君達がいいなら是非行かせてもらうよ」
とケント先輩達も概ね参加の意志を示した
「なら後日集合場所と時間をメールします、それと初佳ちょっといいかな」
俺は初佳と話す為、ケント先輩達と少し離れた
「一緒に旅行する話だけど今回とは別で二人きりで行かないか」
俺は初佳との約束の話を切り出した
「えぇ、今度は二人きりでね・・・楽しみにしてるから」
初佳は嬉しそうに笑った
初佳と少し話し初佳達と別れた
それにしてもこんな大所帯で行っても大丈夫なのか・・・
でも、楽しみにしている自分がいた
side out
ジェネシスミッションから2年の歳月がたった
真也達予科生は本科の2年に
ビック4の人達は学園を卒業した
ステルヴィアの未だ工事中だが
ミッションから1年と言う短い間で学院とその周辺の工事は終わっていた
side 初佳
「初佳、今年の新入生に片瀬さんの弟が来るらしいぞ」
私は今真也と一緒に新入生歓迎会の会場に居る
「そうらしいわね、教官1年生としてはびしびし鍛えちゃうおうかな」
ステルヴィア卒業し、私は教官職に付く事が出来た
周りからはパイロットの方が良いとか言われたけど
私は、ウルティマ奪還作戦時の時、レイラ教官の話を聞き教官職になりたいと思った
「そうか、なら今年の予科生はきっと大変だな」
私が教官職になる事を応援してくれたのは真也とレイラ教官
「それってどういう意味?」
おかげで私ははれて教官職に就けた
「いや、レイラ教官と初佳だと思うとね」
今こうして居られるのも周りの人達のおかげ
「酷いわね・・・そろそろ時間じゃない、後輩達を歓迎してこなきゃ」
私と真也はこれからもずっと一緒だと思う
左手の薬指にあるリング
「もうそんな時間か、それじゃぁ行ってくるよ」
真也から貰った指輪・・・まだ結婚はしてないけど私はつい薬指にはめてしまった
「えぇ、気を付けてね」
その時の真也の顔は何時でも思い出せる
顔を赤くし照れた表情
そしてもう少し待っててくれと言ってくれた時の顔
私は待ち続ける・・・二人の未来の為に
side out
side 真也
初佳と別れ格納庫に向かう
そこには歓迎飛行をする人が今か今かと待ち構えていた
「ごめん、遅くなった」
俺は皆に謝った
『大丈夫よ、時間まで後5分あるわ』
お嬢がそう言ってくれた
俺は急いでストラーダのシステムを起動し、フジヤマを待った
『フジヤマを肉眼でも確認・・・時間通りね、真也君!りんなちゃん!』
『了解!そろそろ行きまっしょい!』
「全機、発進!」
俺の号令と共に各々のオーバビスマシンが格納庫から飛び出す
俺はストラーダでお嬢はアルキュオンで、りんなちゃん達はケイティで
フジヤマの周りを飛び交い
宇宙という広大なキャンパスに文字を描く
「此方、ストラーダパイロット 狛江 真也です」
『アルキュオンパイロット 藤沢 やよいです、ようこそステルヴィアに』
『りんなだよ、ピータパンとティンカーベルのごしょうたーい!』
自分の台詞を言い終えストラーダをフジヤマに近づけ一気に加速する
そして編隊に加わり曲芸飛行を開始する
各々の機体交差させながら新入生に見せて行く
そしてそろそろ実行委員長の言葉か
俺は通信チャンネルをステルヴィアに合わせて音声を拾う準備をした
side out
side 志麻
うー緊張してきた
真人も今年からステルヴィアにくるんだよね
そういえばアリサの妹さん・・・たしかミアちゃんだっけかな、ミアちゃんも入学して来るみたい
・・・なんか入学当初を思い出すなぁ
「さぁ~しーぽん、出番です」
うぅ・・・任せられないかな
「でも、やっぱりこういのはアリサの方が」
「ダ~メ!実行委員長はあんたなんだから」
うぅ・・・やっぱりダメだった
よ~し切り替えていかなきゃ
「さぁ~実行委員長のお言葉です、工事中のステルヴィアに入学してきた新入生達、今君達は偉大な一歩を踏み出した・・・さぁしーぽん」
アリサが私だけに聞こえる声で笑顔で言ってくれた
うん大丈夫
「えー、本科生2年の片瀬 志麻です、私は気の利いた事は言えませんが今年の新入生に合った時、どんな言葉を言うかずっと前から決めていました」
光太くん、聞いてるかな・・・見てるかな・・・でもねどんなに離れていたって、見えなくたって
光太くん、私は貴方が好きです
「ようこそ!ステルヴィアに!」
これが私の気持ちだから
side out
side 光太
まさか歓迎会の日にミッションが入るなんて
でも、何時もの事か
『こんな日にミッションなんてついてないわね』
蓮先生が通信でそう言ってくる
「いえ、何時もの事ですから」
僕はそう答えた
『相変わらずね・・・なんで片瀬さんはこんな朴念仁に、じゃ』
蓮先生にはわからないだろう・・・僕にだってわからないだから
・・・・そろそろかな
僕は周波数をステルヴィアに合わせ音を拾う
『えー、本科生2年片瀬 志麻です』
どんなに離れていたって聞こえる
『私は気の利いた事は言えませんが新入生に合ったら今年の新入生に合った時、どんな言葉を言うかずっと前から決めていました』
煌いて優しい志麻ちゃんの声
『ようこそ!ステルヴィアに』
僕はそんな志麻ちゃんだから好きになったんだ
僕はミッションを早く終わらせステルヴィアに帰ろうと思いインフィーの速度を上げた
side out
人は歩き続ける
その歩みの先が見えなくとも
先人が歩いた軌跡を辿り
辿りついた後、自分で道を作る
今、星の軌跡を辿り新たな道とする為に
人類は歩き続ける
最初は軌跡を辿るだけだが
最後には新たな道となると信じて
宇宙のステルヴィア~星の軌跡~ 完結
本編の再アップは作業は完了しました
実に9年前の作品である本作をお読み頂きありがとうございます
一通のDMをきっかけに再び日の目をみることになり
自分からはもう再アップすることは無かったと思います
この場を借りてお礼します、
きっかけをありがとうございました
また本作をお楽しみ頂けた幸いです
感想、誤字等ありましたらよろしくお願致します
本編の再アップは終わりましたが
if短編やバレンタイン企画の話を再アップしますので興味がある方は最後までお付き合い下さい
次が最後の再アップ作業になりそうです
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~バレンタイン~
お楽しみ頂けたらと思います
時間軸としては初佳と付き合う前の段階です
バレンタイン
それは女子も男子も浮かれる日
そんな日の話
side 志麻
えーと、明日がバレンタインだから皆でチョコを作ろうって事で
「私達の部屋で手作りチョコを作ろう!大作戦を展開してまーす」
「アリサいきなり叫ばないでよ」
「さ~てここでインタビュー!さてさて誰に渡すのか!最初にしーぽん!は置いといて晶!」
「え?ちょっとアリサ、何で私をとばすの?」
「だってあんたは光太で決まってるでしょ」
「え!そんな、確かにそうだけど、でもどんなの作るとか色々・・・そして渡したその後、やだ何考えてるの私」
「長くなりそうなので、てな訳で晶!」
「えっと、言わなきゃダメなのか」
「もち」
「私は、その・・・ジョジョに・・・」
「いやーしかし晶がジョジョと、ってのはもうビックリしたよ」
ほんと晶ちゃんがジョジョとって聞いた時はビックリしたよ
「っ!!どうだっていいでしょ」
「おおっとそれでは次!りんなちゃん」
「もっちろん真也だよ!」
「最近町田先輩が押し気味だが逆転なるか!そして噂のビック4町田 初佳!」
「勿論狛江君ね、負けないわよ」
りんなちゃんも町田先輩も真也くんかぁ
確かに真也くんは優しいしカッコイイけど私には光太くんがいるし
あーでもどっちを応援しよう・・・もう両方頑張れ
「大人の余裕か、はたまたもう勝利が確定しているのか、そして今回みんなの先生役お嬢!」
「私は特にそういうのはないかな」
「という訳ではりきってつくりましょー!!」
でもみんなに聞いといてアリサはどうなんだろう
「そういうアリサはいないの?」
「私はパス」
みんな作業を始めてるし・・・よーし頑張るぞ!
side out
side 初佳
ここが勝負所よ
明らかに風祭さんは狛江君狙い
絶対に負けられない
狛江君はコーヒー党でブラック派
御茶請けでチョコレートもいいけどこの間の喫茶店での時は御茶請け無しで飲んでいたから、甘い物は余り好みで無いはず
その線で考えるなら風祭さんは失敗ね
明らかに甘いホワイトチョコにピンクのデコレーションチョコ
確かに可愛く作るならそれもありだと思うけど
私はシンプルにビターチョコで凝ったデコレーションなんてしない方向で行くわ
ふふふ、明日が楽しみね
side out
side 真也
今日はバレンタイン
俺には余り関係ない日だ
しかし今日、何故か片瀬さんの部屋に男性陣が呼ばれた
「こんにちわ」
「おぉー、よくきたね」
「まぁ俺が最後みたいだがな」
「うむ、もうみんな来てるよ」
とりあえず部屋に入る
「それでは早速お嬢から」
「普段お世話になってるからね、義理だけどどうぞ」
「ありがとう」
ピエールは・・・・男泣きしていた、そんなに嬉しいのか
「後は個人なので適当にやって」
そう言って一番に来たのはりんなちゃんだった
「真也ー!コレ頑張って作ったんだよ」
「ありがとう」
「食べたら感想聞かせてね」
「分かった」
りんなちゃんのチョコは可愛くラッピングしてあった
「あ、あの狛江君、ちょっといいかしら」
「はい、どうしました町田先輩」
「コレ・・・・よかったら食べて」
そうして渡されたのは綺麗に包装された
「ありがとうございます」
「そ、それだけだから」
そういうとお嬢の所にいってしまった
辺りに目を配ると栢山さんがジョジョに渡して
片瀬さんが光太に
「嬉しいよ、ありがとう志麻ちゃん」
「えへへ、頑張って作ったんだ、そうだ!食べさせてあげるね」
「うん、美味しいよ志麻ちゃん」
「よかったぁ」
うん、仲がいいのは分かったから見えない所でやってくれ
ピエールがさっきと別の意味で泣いてるから
こうしてバレンタインは終わった
side out
バレンタインはそれぞれに思いを残し過ぎて行く
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IF~片瀬 志麻~
これはもし、片瀬 志麻と狛江 真也が付き合ったら
と言う可能性の世界
side 志麻
私は真也くんの部屋に泊まりに行く準備をしていた
真也くんと付き合ってもうすぐ2年
予科生の時のクリスマス、光太くんに告白されたけどそれを断って私が真也くんに告白した
真也くんの返事を聞いた時は思わず嬉しくて涙を流してしまった
「およ?しーぽん、寝巻きを持ってどこに・・・はは~ん、真也の所ね」
アリサは良く真也君の事でからかってきたけどもう慣れちゃった
「えへへ、うん真也くんの所」
アリサは額に手をやりかなり大げさに嘆く
「あぁ!あの純朴なしーぽんは何処に行ってしまったのか」
というかアリサ達がからかってばかりだからこうなったんだと思うけど
「それじゃ行ってくるね」
「真也に襲われないようにね」
「ん~真也くんはそんな事しないと思うけど求められれば・・・」
「はいはいご馳走様」
アリサはあきれたように言って私を送りだした
side out
side 真也
今日は土曜日・・・と言うことは志麻が泊まりに来る可能性が高い
本科生になって1年たった辺りから良く泊まりに来るようになった
最近一段と可愛くなってきたから正直危うい
まぁ好きな人と一緒に居られるのは嬉しいが・・・精神的にきつい物がある
まぁ何時も通り俺がソファーで寝ればそれだけで理性は保てるはずだ
ドアの開く音がし入って来た人を確認する
「来ちゃった」
はにかみながら言う志麻は可愛かった
俺はサイフォンからコーヒーを淹れミルクと砂糖と一緒に志麻の前に置いた
「ありがと」
と志麻がお礼を言いコーヒーに手を伸ばした
それにミルクと砂糖を入れ口をつけた
俺はそれを見て自分のコーヒーを飲んだ
「真也くんは良くそのままで飲めるね」
「まぁ俺はブラックが一番美味しいと思っているからね、志麻は無理してブラックを飲むことは無いよ」
そう言ってまたコーヒーを口に運ぶ
「そうだね・・・あ!一緒に映画見ようよ、前真也くんが見たがってたのレンタルサイトからダウンロードして来たんだ」
俺が見たがってた映画って言うとあれかな
「もしかしてメテオ?」
「そう!私も興味出てきちゃったから・・・どうかな?」
今の時刻は19時30分
映画を見ると夕飯が22時くらいになりそうだな
「その前に夕飯にしよう」
そう言って俺はキッチンに向かう
「あ、私も手伝うね」
志麻と一緒に台所に立ち調理を始め15分
一通り調理を終え味見をする
志麻の方はまだ調理中で手が塞がってる
「志麻、こんな感じで良いかな」
俺はスープを救い志麻の口に入れた
「う~ん、もう少し濃くても良いかも」
成る程、となると塩を一つまみ入れて丁度良いくらいかな
「もう一度、どうかな」
さっきと同様に志麻の口に入れ感想を待つ
「うん!丁度いいかも・・・よし、真也くんあーん」
志麻が作っていたピラフをスプーンですくい俺に差し出す
「うん美味しいよ」
俺は素直にそう答えた
そしてテーブルに並べ夕飯を一緒に食べた
side out
side 志麻
「ご馳走様」
真也くんと一緒に作った夕飯を食べ終った
「それじゃ映画を見ようか」
「うん、ちょっと待ってて」
私は端末を液晶に繋いで再生する
この映画は2000年の地球が舞台はまだ人類がそこまで宇宙に進出していない時代
宇宙局が巨大隕石を観測した事から始まり、その隕石を砕く作戦にヒロインの恋人が参加する事になる
『ミーシャ・・・ごめん、でも分かってくれ!俺はお前の住むこの星を守りたいんだ!』
『そんな・・・そんなのって!』
『必ず帰ってくる・・・だから待っててくれ』
『ハイト!』
私も真也くんも映画に集中している
そして物語も後半
『この船に積んであるミサイルはもう無い』
『そんな・・・まだ・・・まだ半分も残っているんですよ!それじゃ!』
『地球落下軌道の隕石は巨大隕石の欠片だ・・・この宇宙船をそいつの横にぶつければ軌道をずらせるかもしれない』
『それなら・・・』
『だが問題がある、隕石にぶつける為には最低3人は・・・この船と運命を共にしてもらう事になる』
『助かるかもしれないのは1人・・・公平にクジで決めよう、此処にある配線の下に切り傷があるのが当たりだ』
各々がクジを引いていく
『ハイト、お前が最後だ』
クジを引くハイトそして
『嫌だ!俺は死にたくないんだ!』
一人の男がそう叫び船尾に着いている脱出艇に乗り込み出て行ってしまった
『まて!今出て行ったら先の隕石の残骸が!』
男は聞く耳を持たず出て行って・・・・そして隕石の破片が脱出艇にぶつかり爆散してしまった
『こうなったら俺達3人でやらなければならないな』
『最後になるかもしれん・・・地球に通信を入れておきたいやつは入れておけ』
『ミーシャ・・・すまない・・・約束を守れなかった・・・・だが、お前のいる地球は必ず守って見せるからな』
そうして男達の船は隕石へ向かった
男達の命と引き換えに
隕石の地球落下は防がれたのだった
映画を見終わった私と真也くん
不意に真也くんが言葉をもらした
「なにか・・・考えさせられる映画だった」
「うん・・・」
「ミーシャを守りたかったハイト・・・死んでもいいから一緒に居たかったミーシャ」
私はミーシャさんの立場ならずっと一緒に居たかったと思う
「真也くんは何が正解だと思う?」
「多分だけどコレに正解は無いと思う・・・でも地球を守るという事だけで言うならハイト達の行動は正解だと思う・・・でもミーシャの気持ちも理解できるし・・・もしも俺がハイトの立場だったらきっと同じ事をしていた」
「でも、もしそんな状況になっても一緒に頑張ろうね」
「あぁ」
不意に時間を見ると22時30分
「そろそろ寝ようか、先にシャワー浴びてきなよ」
「うん、そうする」
私はシャワールームに行きシャワーを浴びる
さっきの映画・・・私はどんな事があっても真也くんと離れたくない
きっとミーシャさんもそう思ってたはずだもん
シャワーを終え真也くんに変る
私は真也くんがシャワーから出てくるのを待つ
あるお願いをする為に
side out
side 真也
「あがったよ」
志麻の声を聞き俺は返事を返しシャワールームに行く
身体と髪を洗いシャワーで流す
この後の試練を耐える為に冷たいシャワーで心を引き締める
「お待たせ」
そう言ってシャワールームを出ると志麻が駆け寄ってきて来る
「ねぇ真也くん・・・お願いがあるの」
そう言って上目遣いで見てくる志麻
シャワーの後の所為か赤い顔にシャンプーの香り
俺は耐えた
「手を握って一緒に寝て欲しいの・・・ダメ?」
上目遣いで首を傾げるなど高等テクニックを駆使する志麻
俺は耐え切れず
「・・・・わかった」
そう答えた
ベットに入り
左側に志麻が居る状態
手には志麻の温もり
「真也くん・・・どんな事があっても一緒に頑張ろうね、それじゃぁお休み」
「あぁ、お休み」
その言葉を後に左から聞こえる志麻の寝息
その晩、俺が眠れる事は無かった
side out
7年前の物です
当時if話を始めて描いて
こんなので大丈夫なのか?と不安になりながら執筆していた記憶があります
誤字脱字、感想等ありましたらよろしくお願いします
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IF~アリサ・グレンノース~
これは、もしアリサ・グレンノースと狛江 真也が付き合ったら
と言う可能性の世界
side 真也
今、目の前で両手を合わせ拝むように頼みこんできているのは
俺の彼女のアリサ、何故この様な事が起きているかと言うと
「お願い!ストラーダを整備させて!」
とこの一言である
「まぁ、整備するのは良いがちょっと確認をとってみないと分らないなぁ・・・とりあえず親父に聞いてみるよ」
と俺が言うといきなり顔を挙げ手を取り
「ありがとー!いや~それではいい返事を期待してるよ」
と何時もと変らない調子でそう言った
「アリサー!次の講義は整備理論Ⅱだから教室遠いよ!早く行かないと!」
と同じ整備科の子に声を掛けられアリサは焦った様に会話を終わらせた
「そうだった!ごめん真也、また後で!ちょっと待ってよー!」
そう言いアリサは整備科の女の子を追いかけて行ってしまった
さて、俺も次の講義の為に移動するか
そして講義が終わり放課後、アリサに頼まれた件を親父に相談する為、電話をかける
3コールぐらいして親父が電話に出た
『真也、どうしたんだ?』
「親父か?ちょっと頼みたい事があるんだが」
『頼みたい事?』
そしてさっきアリサに頼まれた件を親父に話す、彼女の為に許可を取りたいものだが・・・
「あぁ、整備科の人がストラーダの整備をしたいと言って来てな、それで許可を貰えるかどうか電話したんだ」
俺はアリサと付き合っている事は親父に言っていない、なんか恥ずかしくてな
なのでここでアリサの名前を出すと勘繰られそうだったので整備科と言っておいた
『整備科か・・・確かにそういう人種にとっては新しい機体を整備したがるだろうが・・・ふむ』
ストラーダが生産されてから新しいオーバビスマシンは出て来てはいない
かれこれ3年ほど前に生産されたストラーダでも新しい機体となってしまう
そして常識的に考えて機体自体狛江研究所での成果のような物だから親父が渋るのも分る
「・・・頼む」
駄目もとで頼み込んでみる
『はぁ、何時に無く真剣に頼みやがって・・・仕方ない、許可しよう』
「本当か!?」
『ただ条件がある・・・お前がその整備中に整備科の人を監督しろ、多少なりと機体自体の知識がある奴が監督しないとな・・・整備しようとして壊れましたじゃぁ困るからな』
「あぁ、分った」
『それにいい機会だからお前も整備について勉強して来い、自分一人で整備できれば航行中に異常が発生しても対処できる様になるからな』
成る程、親父の言う通りだな・・・確かにそういった状況が起きる場合もあるだろうしな
「しっかり勉強させてもらうさ」
『よし、それなら整備件は許可しよう』
「ありがとう親父、それじゃぁな」
親父との電話を切り俺はアリサに電話をした
『もしもーし、アリサちゃんですよ』
「アリサ、俺だ・・・真也だ」
『おお!どったの?』
どったのってお前・・・昼の件を忘れたのか
「どうしたもアリサに頼まれた件についてだ」
『マジ?こんなに早く電話が来るとは思ってなかったよ・・・で、どうだった?』
俺は先の親父との電話で許可を貰った事を話す
「あぁ、整備していいってさ」
『さっすが真也!頼りになるぅ!』
本当に調子のいい奴だ、まぁそこがアリサの良い所なのかも知れないが
「ただし!俺が現場監督を務める事が条件だそうだ」
『オッケーオッケー!それで整備の日何だけど明後日の日曜日でも平気かな?』
日曜日は特に予定も入ってないからな
「大丈夫だ、ストラーダの格納庫はケイティとかと別個だが場所は大丈夫か?」
『もっちろん!それじゃぁ日曜日10時くらいに格納庫で』
「あぁ了解した、それじゃ」
『うん、それじゃぁ』
さて、ストラーダーの規格書類でも見直しておくか
そうして夜は更けていった
side out
side アリサ
ふぅ・・・・なんとか許可が貰えたようで安心した
私としても真也のケイティだけじゃなく、ストラーダを整備したいって気持ちはあったけど・・・
後押しされた切欠がなぁ~
二日前の放課後
「そういえばアリサ先輩の彼氏って狛江先輩ですよね!」
「うん?そうだけど」
「狛江先輩ってカッコイイですよね!更にストラーダのパイロットとか・・・アリサ先輩が付き合ってなかったら私狙っちゃおうかと思いましたよ」
真也かぁ・・・さりげなく人気があるんだよね、特に予科生
でも私はいくら可愛い後輩でも真也を譲る気はさらさら無いけどね
「あれですよね!彼氏の機体を完璧な状態にしておいて何時いかなる時でも100%の実力を発揮できるようにする・・・まさに愛ですよね!整備科にきて私の夢は彼氏の期待を整備する事になったんですよ」
う~ん言っている事は分るけど真也の機体はケイティとストラーダ、ケイティの方は整備させてくれるけどストラーダはしたこと無いなぁ
「それで整備したおかげで機体もいい感じだ・・・ありがとうマカ・・・とかキャァー」
「あーはいはい、分ったから暴走すんなって」
でも真也にそういわれたら嬉しいかも
『真也、ストラーダの整備やっておいたよ』
『本当かアリサ、助かるよ・・・今からストラーダで訓練しようと思った所なんだ』
『気をつけて行って来てね』
『あぁ』
ストラーダで訓練する真也を見ながら帰って来るのを待つ
『アリサ!機体の調子は絶好調だったぞ・・・おかげで自己ベストを更新できた、コレもアリサの整備のおかげだな・・・アリサ、ありがとう』
って何考えてんだ私は!
でも・・・・それって良いかも
「はぁ~・・・いいなぁ~アリサ先輩は・・・ストラーダなんて新しい機体を整備できて」
え?私もストラーダは整備した事無いんだけど・・・
「仕方無いよマカッち、アリサ先輩は狛江先輩と付き合っているんだから・・・」
「でもミキちゃん!公開されたカタログスペックを見たときなんて私はこの機体を整備したら濡れちゃんじゃないかって思う程だったんだよ!」
「マカッち、落ち着け・・・なら駄目元で頼んでみるとか・・・」
なんか二人で盛り上がっている所悪いんだけど・・・
「二人とも・・・私もストラーダは整備した事ないよ」
「えぇぇぇ!間違ってます!きっと狛江先輩なら頼めばやらしてくれるはずです!頼みましょう先輩!そして一度でいいから私にも手伝わせてください!!」
「その時は私もお願いします」
途中話を聞いてなかったけど可愛い後輩の為に一肌脱ぐか!
「分った、それじゃぁ聞くだけ聞いてみるよ」
「「ありがとうございます先輩!」」
とこんな感じで後押しされてしまった訳なのですよ
でも・・・コレが切欠になって真也の二つの機体を整備できたらいいな・・・なんて
よ~し!明後日の為に整備道具の手入れでもしますか!
side out
side 真也
今日はアリサにストラーダの整備を任す・・・そう俺は思っていたんだが
辺りを見ると10人ほど整備科の人が見える・・・その中には予科生も混じっている
「さ~て注も~く!今回は私の彼氏でもある真也が快く私達の要望を聞いてくれたおかげでストラーダの整備が出来る様になりました!」
アリサの声で一斉に此方を向く
「そして私達はストラーダの事はカタログでしか知らない・・・そこで!真也が監督を務める事になりました!はい、拍手!」
アリサの声で拍手が沸く
が・・・どうしてこうなった
「それじゃぁ分らない事があったら真也か周りの本科生に聞くように、以上!」
その言葉と共に整備科の人達が作業アームを使い装甲版を剥がしていく
俺はアリサに耳打ちをした
「アリサ・・・なんでこんなに人がいるんだ?」
「私に切欠をくれた子が予科生なんだけど、最初はその子達と3人で整備する予定だったんだけど・・・」
うん、その時点から俺は聞いていない
「その子達が回りに洩らしちゃったらしいの・・・それで皆参加したいって事になって・・・」
アリサは苦笑しながら言った
「それでこの現状か・・・流石に全員は見きれん・・・アリサ、サポートを頼む」
一通り装甲版を剥がし終え何処から手をつけようか考えている様なので俺は簡易整備マニュアルを配る事にした
「みんな聞いてくれ、ストラーダは他のオーバビスマシンより構造が複雑だ・・・そこでこのマニュアルを参考にして作業をしてくれ」
そう言うとみんながそれを引っ手繰るように手から取っていく
ある生徒がスラスター周りを磨こうとしていた
ストラーダはケイティよりも出力が高いため磁化しやすい
俺はその事を注意した
「君!ストラーダのスラスター周りは他のオーバビスマシンより磁化じやすいから気を付けてくれ」
「はい!」
そしてその子は慎重に磨き始めた
そして3時間
俺は機体周辺の回路を調べてる子に調子を聞こうと思った
・・・が
「・・・この回線を此処に繋ぐって事は出力を最大限まで上げる工夫とするとバッテリーの消費が激しいはず・・・・そしてこの回線の先には予備バッテリにラジエーター・・・重力推進器の熱を利用して常に発電貯蓄を繰り返す事によって起動時間の向上に努めて・・・」
話かけられる雰囲気では無かった
目の光が消え、黒く濁った目で呪文の様に解析する様は本当に怖かった
しかも周りも同じような感じだ
最も異色なのは恍惚な表情を浮かべ顔を赤らめ身体をよじっている子
もはや俺は何も言えなくなった
そうして整備が終わり整備科の子が帰った後アリサと二人で最終チェックをしていた
「いや~機体内部構造がケイティと全然違って最初は戸惑ったよ」
アリサは何時もの調子でそう答えた
「そうだな・・・予算度外視で設計された機体だから他のオーバビスマシンに無い構造になっている・・・整備も狛江研究所の職員に任せていたしな、最近はアリサがケイティを整備してくれるおかげで俺はストラーダの整備の練習をする事ができた」
「私は真也の機体を何時も完全な状態にしたいだけ、欲を言えばストラーダも私が整備したい」
その気持ちは嬉しいがそれだとアリサに負担が・・・
と俺の気持ちに気付いたのかアリサはこう切り出した
「確かにオーバビスマシンを2機も整備するのは手間だよ、でも私は私の出来る事で真也の役に立ちたい」
アリサ・・・
「だからお願い!私にストラーダも整備させて!」
真剣な表情でそういうアリサ、だが・・・
「それは出来ない」
アリサ一人にやらせることはね
「・・・やっぱり駄目?」
少し悲しそうな顔を見せるアリサ
「ストラーダを整備する時は一緒にやろう」
俺の言葉でアリサの顔から笑顔がこぼれ
「おうさ!私の持ってる技術を全て使って見せようじゃないか!・・・だから真也もパイロットも整備頑張って私に遅れをとらないよーに」
いい笑顔でそう言った
「流石に整備では整備科の人には負けるよ」
と笑顔で返した
俺とアリサの関係は傍から見ると恋人同士には見えないだろうけど
俺は今の現状を大切にしたいと思っている
アリサと一緒に整備したストラーダで俺はこの宇宙を飛び回る
side out
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IF~風祭 りんな~
これはもし、風祭 りんなと狛江 真也が付き合ったら
と言う可能性の世界
side 真也
りんなと付き合い始めて2年・・・今は本科2年生
午前の講義を終え
この後はライトニングジョウストの演習か
りんながいるから情けない所を見せる訳には行かないな
「あー!真也発見!!」
その声と共に背中に衝撃を感じる
その声の主は
「りんな、少しは加減をしてくれ」
と俺はりんなに頼む
「いーじゃん、そんだけ好きって事なんだから」
まぁそう言われれば悪い気がしないのは不思議だがそれで怪我でもしたらと思うとね
「でも怪我でもしたらって思うとな」
と先程思った事を口にした
「ん~大丈夫だと思うけど真也がそう言うなら考える」
と少しは考えてくれた様で安心する
りんなと話ている間に演習の時間が近づいてきた
「りんな、そろそろ演習の時間だよ、格納庫に向かおう」
とりんなに促す
「え~!もうそんな時間!?今日の演習はジョウストだよね」
とりんなが何か思いついた様に聞き返してきた
「あぁ、たしかライトニングジョウストだったはずだが」
するとりんなはニヤリと笑い
「じゃぁりんなと勝負して、りんなが勝ったらこの間できた喫茶店で好きなものを一つ真也の奢りで!もしりんなが負けたらその喫茶店のコーヒーを真也に奢る!」
要するに最近デートに行っていなかったからな・・・それもいいだろ
まぁ勝っても負けても俺が奢る事になりそうだが・・・
「よし、その勝負受けて立とう」
と俺は意を示した
「いくら真也でも手加減しないからね」
と本当に可愛い笑顔でりんなは答えた
side out
side りんな
真也に勝負を挑んだのは最近デートしてくれない不満をちょっとぶつけてみた
真也は浮気とかしないと思うけど未だに町田先輩は誘惑してくるし!
りんなだって不安に思う時があるんだから
『次!音山、片瀬』
『『はい!』』
おー、しーぽんと光太のバトル!
って一瞬で終わっちゃった
光太もミッションの時みたいに本気出せばいいのに
『次!風祭、狛江』
やっとりんなと真也の番ね
『「はい!」』
ランプの点灯と共に一気に加速して真也のケイティに迫る
機首を下げて左右に重力推進器を振り機体をぶらす
そして囮のラインに真也が合わせてきたら・・・
よ~し!合わせてきたね、コレで真也の上に回って反重力で叩く!
やったぁ!成功!
とその時りんなのケイティが下から突き上げられ枠フィールドに当たってしまった
え?え?何が起きたの?
『両機フィールドに接触により引き分け!」
レイラ教官の言葉で結果は理解したけど
理解したけど・・・・
なっとくいかなーい!!
そして演習が終わり放課後、真也と喫茶店に行きさっきの不満を漏らす
「おかしーじゃん!りんなが先に当てたのに何でりんなまでフィールドに接触するの!」
と真也に文句を言う
「まぁ落ち着けって、最初に当てたのはりんなだから今日は奢るから」
奢りは嬉しいけど、そーいうんじゃなーくーて!
「そんな事より、何でりんなまでフィールドにぶつかるの!せーつーめーい!
とりんなは真也に問い詰める
side out
side 真也
「せーつーめーい!」
りんなが説明しろと言っているので説明する事にした
「あの時、俺がりんなの囮軌道に引っかかった・・・その時りんなのケイティが上に行くのが分ったから圧縮ガスを使って急旋回をしてりんなのケイティに当てにいった」
りんなは頷きながら聞いている
「先にりんなの攻撃が当たってバランスを崩した俺は再度圧縮ガスを使って軌道修正をしてりんなのケイティの下を攻撃したんだ」
りんなは人差し指を頬にあて考えるしぐさをする
「じゃぁなんで真也はフィールドに接触したの?」
これは恥ずかしい事だが・・・説明するか
「りんなのケイティに攻撃を当てた後、機体を持ち直そうとしたんだけど出力が足りずにフィールドに接触した」
りんなの方を向くと
「なるほどー!なっとく、なっとく」
と先程まで叫んでいたのがうその様だった
そしてりんながメニューとにらめっこを始めた
「それじゃぁーこれ注文しよ」
決まったようなので店員を呼ぶ
「お待たせしました」
「オリジナルブレンドを一つ」
と俺は注文しりんなの注文を待つ
「DXイチゴパフェ~貴方にコレはクリアできるか!!ひと夏の思い出~を一つ!」
・・・・・は?
俺はメニューを見てそんな品があるかどうか確認した
結論から言うとあった
りんなが言った通りの名で
え~っと値段は2,870円か・・・・って2,870円!?
どういう価格設定だ!
「りんな・・・やっぱり俺が払うのか?」
と結果が分りきった事を聞く
「もっちろん!だってさっき真也奢るって言ったもん」
と、本当に、本当にいい笑顔でそう言った
しばらくして注文した品が届いた
一言で言うと巨大
直径35cm、高さ50cmくらいの巨大なパフェ
ぎっしり詰められたバニラとイチゴのアイスに生クリームの山、その頂にいるイチゴの群れ
見てるだけでお腹がいっぱいになりそうなパフェをりんなは喜々としてほうばっている
その嬉しそうな可愛い笑顔を見れたのだから三千円近いパフェも安いものだと思った
「真也」
とりんなに呼ばれりんなの方を向くと
「はい、あ~ん」
スプーンに盛られたパフェ
それを差し出すりんな
俺は甘い物が苦手だったが
こういうのは悪くない
りんなの差し出すパフェを口に運ぶ
「おいしい?」
と本当に可愛い笑顔で聞いてくるりんなと口に広がる甘み
俺はそれを感じながら本当に悪く無いと思った
「あぁ、美味しいよ」
そうして頬にクリームをつけながら食べるりんなは可愛かった
side out
本日の更新は以上になります
if話も今回ので最後になります
次回の更新で再アップ作業完了の予定をしています
お楽しみ頂けたらと思います
感想、誤字脱字等ありましたらよろしくお願いします
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後話1~旅行~
ジェネシスミッションを終え学び舎を失った者達
変りの校舎が用意されるまで臨時休校となった
side 真也
地球に降りてから早一週間
今日は皆で光太の家に泊まりで遊びに行く
俺は今、初佳と待ち合わせ場所に向かっている最中
「でも迷惑じゃないかしら?結構な人数なんでしょ」
初佳がそう零した
確かに13人でお邪魔する事になるから常識的に考えれば迷惑だろう
だが光太も家に連絡を取って了承を得ての話だろう
それに片瀬さんがあんなに楽しみにしていたら光太としても良い格好をしたいだろう
「一応光太も家族に許可を貰っているだろうし問題は無いと思うが・・・念の為に菓子折りでも持っていくか」
「そうね、流石に手ぶらも難だしね・・・あそこのお店で買ってから待ち合わせ場所に向かいましょ」
そう言って初佳と店に入り俺と初佳は何が良いか探し始めた
しばらく店内を眺め目に付いたのはコーヒーギフト
「初佳、コレなんてどうかな」
俺はさっき見つけたコーヒーギフトを指し初佳に尋ねる
「真也らしいと言えばらしいわね、別に変でもないしそれでいいかもしれないわね」
初佳の了承を得られたソレを買い待ち合わせ場所に向かった
待ち合わせ場所に着くと知った顔が多々あった
「お待たせ」
俺は短くそういった
「おっそーーーーい!さては町田先輩とデートでもしてたんでしょ」
アリサが文句を言う
確かにさっき買い物をしていたがデートって訳じゃないしなぁ
「それよりケント達は?」
初佳の言葉で辺りを見渡すと初佳を除くビック4のメンバーが見当たらない
「まだ来てないですよ」
とアリサが返す
そこに大型重力船が来た
その大きさは10人は楽々乗れる程の物だった
「お待たせ!少し遅れちゃったかな」
その言葉と共に顔を出すケント先輩
それに続きナジマ先輩と笙人先輩も顔を出す
「いや~流石に大人数を普通の重力船じゃ乗りきれないと思って借りてきたら時間が掛かっちゃって」
でも借りてきたってレンタルって事か?そしたらケント先輩が負担してるんだよな・・・
「借りてきたって、お金は大丈夫なんですか」
と俺が気になっていた所をアリサが聞く
「ああ、借りてきたって言っても父親からだから大丈夫さ」
父親か・・・まぁそれなら安心か
そして少し待つと小型の重力船が来た
「あ!光太くん家の重力船だ」
片瀬さんが見覚えのある重力船の声を上げる
「みんなお待たせ」
光太が重力船から顔を出しそう言った
そしてもう一つ、見慣れない顔が出てきて
「こんにちは、光太の姉の陽子です・・・もう全員そろってるのかな」
その言葉で光太が全体を見回し全員いる事を確認する
「うん、全員いるみたい」
「分ったわ、でも流石に全員は乗れないから・・・」
そこにケント先輩が口を挟む
「そう思って重力船を用意したので後は乗るだけです」
「あら、わざわざありがとね」
「いえ、こちらこそ団体でご迷惑をお掛けして申し訳無いです」
「いいのよ、ただ観測所があるだけで家以外なにもない島だから」
ケント先輩と陽子さんの話が終わり重力船に乗り込む
そしてしばらくし目的地に着いた
「すごーーーい!ひろーーーーい!海きれーーーーーーい!」
りんなちゃんが思った事を叫んでいるようだ
確かに海も綺麗で砂浜なんかもいい感じだ
「いい所だね、初佳」
「そうね、夜なんかもきっと綺麗なんでしょうね」
初佳に言われ俺もそう思った
「なんなら夜に来てみようか」
「えぇ、楽しみにしてる」
初佳は笑顔でそう答えた
「それじゃぁ一度家に荷物を置きに行きましょうか、そのついでに女の子達は着替えちゃいましょ、男の子は除いちゃ駄目よ」
陽子さんの言葉で一同移動を開始する
光太の自宅に着き俺はさっき買った物を陽子さんに渡した
「大勢で押し掛けてしまいすみません、つまらない物ですが」
「あら、なにか気を使わせちゃって・・・なんかごめんなさいね」
「いえ、それではお世話になります」
しばらく陽子さんと話ていたら女性陣の着替えが終わったようだ
「それじゃ行きましょうか」
初佳の声と共に先程見た綺麗な海へ向かった
そのさなかピエールがお嬢を見て小さい声で零した
「やよいさん・・・美しい、僕は今・・・天使を見た」
ピエールの横顔は情けなくこれ以上は見るに耐えないので早々と浜辺まで移動した
「第一回!浜辺でビーチバレー対決!」
俺と初佳が着いた途端にアリサが叫んだ
「実況は放送部のアイドルアリサちゃん、解説は未だに恋実らずピエールでお送りします!」
「・・・・いいんだ・・・僕はやよいさん一筋なんだ」
「なぁ~に落ち込んでんのよ!」
アリサの辛口がピエールの心を切り裂く
「では気を取り直して、参加者は此方、熱愛発覚はクリスマス!しーぽん 光太ペアと意外なカップル晶 ジョジョペア、付き合っても初々しさを感じない真也 町田先輩ペアとビック4の男性陣!ケント先輩 笙人先輩ペア・・・ちなみにこの組み合わせは私の独断と偏見によって組まれてます!」
アリサの独壇場となった浜辺
「そして応援席にはナジマ先輩 りんなちゃん やよいさんがいます」
ピエールの捕捉により名を呼ばれなかったメンバーがコート外に座っている
「それでは第一回戦 しーぽん 光太ペア VS 晶 ジョジョペア!」
そしていきなり始まったビーチバレー対決だが・・・ジョジョが不利じゃないのか
「それでは解説のピエールさん、この戦いどう見ますか」
「そうですね、ジョジョ選手は身長が低い分、晶選手のフォローに全てがかかっているでしょう」
「なるほど、でも普通は男子が身長高くないと晶の様な美人系にはミスマッチじゃない」
アリサの言葉が痛い・・・
「人が気にしてる事をズバズバ言うな!」
ジョジョは間を空けずにそう言い返した
そして始まったビーチバレー
結果は光太と片瀬さんの勝ち
そして次は俺と初佳の番か
side out
side 初佳
グレンノースさんが強引に進めたビーチバレー対決
まぁこういうで場を盛り上げるのも分る気がするからいいけど
「次の組あわせは真也 町田先輩ペア VS ケント先輩 笙人先輩ペアです!」
ケントや笙人となんて・・・無茶なきがするけど
「初佳、笙人先輩がいる時点で結構厳しい気がするんだが」
真也も同じ様に考えていたようだ
「でも遊びでも負けるつもりは無いわ」
私は真也にそう伝えた
「勿論、やるからには勝ちたい」
真也もそう思っていたみたい
「初佳、手加減無しでやろうか」
「この勝負は貰った」
ケントと笙人は勝った気でいるみたいだけど
「いえ、先輩方には負けませんよ」
「私も負けるつもりは無いから」
そうしてビーチバレーの二回戦が始まった
しばらく接戦が続き相手のマッチポイント
「さぁ白熱した戦いがもう終わろうとしています、ピエールさんどう思いますか」
「そうですね、笙人先輩の運動能力には驚かされますね、しかし真也 町田先輩ぺアの息の合った所などまだまだケント先輩 笙人先輩ペアも油断できない所でしょう」
解説の通り私と真也は二点差のままここまでやってきたけど
サーブは真也、受けるのがケント
笙人がどう攻撃してくるかで勝敗が決まる
「笙人アレやるぞ!」
「承知!」
どうやらケントは何か考えがあるようだ
真也がサーブをする
ケントがレシーブし更に笙人を手に乗せ笙人を打ち上げる
笙人が3mくらい飛び上がり垂直にボールを落とす
って!なによそれ!
「決まった!笙人先輩の強烈な一撃でケント先輩 笙人先輩ペアの勝利が決まった!」
そして笙人は何事も無かった様に浜辺に着地する
そうしてビーチバレー大会はケントと笙人の独断場となった
ビーチバレーを終え今は真也と二人で海へ入っている
アクアブルーの海に珊瑚礁
その周りを泳ぐ魚
「・・・綺麗ね」
私は思わずそう零した
「そうだな・・・初佳、潜ってみないか」
真也の言葉で私と真也は海へ潜った
海の中では会話は無い
手を繋ぎ珊瑚礁やその辺りにいる魚に近づく
魚も普段人間が来ない分警戒心が少ないのかかなり近づく事が出来た
酸素ボンベも無い状況ではそんなに長く潜れないけどとても長い時間潜っていた様に思える
海から上がり真也と話す
「海なんて久しぶりだけどこんなに綺麗な所だったのね」
「俺も久しく来てなかったけどここまで綺麗では無かった気がする」
「そうね、今日此処に来れてよかったわ」
「あぁ、俺もそう思うよ」
真也としばらく話ながら海を眺めていた
各々が自由に遊びまわっている中、徐々に太陽が海に飲まれようとしていた
私と真也の間に言葉は無かった
触れ合った手、その手をギュっと握り夕日に染まる海を眺めていた
「二人とも、夕食の準備が出来た」
ッ!?
「しょ・・・笙人!」
いきなり声を掛けて来た笙人にビックリして声を上げてしまった
真也も似たような状況でかなり驚いている様だった
「先の家で夕食だ、早く来ないと無くなるぞ」
そう言って笙人は音山君の家に向かって歩きだした
辺りを見るとさっきまで遊んでいた片瀬さん達もいなくなっていた
「それじゃ、そろそろ向かおうか」
真也の言葉で立ち上がり
「ええ」
私はそう答えた
そうして私と真也は家に向かった
その道中で真也がこう言った
「初佳、今夜さっきの場所で星を見ないか」
私は真也の言葉が嬉しく夜が待ち遠しかった
side out
side 真也
皆が寝静まった夜
俺は初佳を誘い砂浜に出てきた
光太やジョジョがいなかった事から同様に星を見に行ったと考えたがこの広い島で場所が重なる事はそう無いだろう
静かに聞こえる波の音
繋いだ手には初佳の温もり
「綺麗な夜空ね・・・あの場所に普段は居るのにこういう様に見えない」
夜空を見上げながら初佳はそう言った
「なぁ初佳、今度また二人で夜空を見よう・・・この場所で見る夜空は今日が最後かも知れないけど俺は初佳と同じ物を見ていたいし見ていきたい」
俺は思ったままの事は口にだした
「その考えは素敵ね・・・私も真也と同じ物を見ていたい・・・感じ方は違うでしょうけど同じ物一緒に見ていたいわ」
そういって初佳はこっちを向いた
目を閉じる初佳に俺は
その唇にそっと、そして長いキスをした
そしてキスが終わると
「本当に・・・最高の星空ね」
初佳は微笑みそう言った
繋いだ手は暖かく
見上げた星空はとても輝いていた
side out
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後話2~初佳教官への道~
side 初佳
私は今、進路相談で白金教官の部屋を訪れている
「それで・・・なんで教官になりたいと思ったんだ、正直お前ならパイロットでも十分通用すると思うぞ」
その言葉はケント達にも言われた
『教官か~でも初佳はパイロットの方が似合ってると思うだけど』
『うむ、今まで通り我等で飛びたいと思う』
『星の輝きは星の数だけ・・・人の思いも同じ、でも私はまた初佳と飛びたいと思う』
私も三人と飛びたい気持ちはある
でも私は教官になりたいと思う
自暴自棄になっていたあの時
そんな私でも見捨てなかったレイラ教官
そして教官になるまでの過去の話
私は、昔の私の様な人を作らない為に
誰かを蹴落としてまでトップを守るような人を
私を後押ししてくれた人
レイラ教官の言葉
『そうか、お前が決めた事なら私は応援する・・・お前ならきっといい教官になれるはずだ、頑張れよ』
そして真也の言葉
『そうか、初佳は教官になりたいのか・・・俺は初佳を応援するよ、初佳がそう決めたんだからきっとその選択は間違いじゃない、周りが何か言っても初佳自身の気持ちを信じて頑張って』
私は私の道を歩む
「白金教官の話も分ります・・・ですが、私は教官になりたいと思います」
そして私ははっきりと私の意志を伝えた
「そうか・・・教官試験は今年の11月だ、時間も少ないが出来る事やるんだぞ」
「はい、ありがとうございました」
そう言って部屋をでた
そこから教官試験に向けての勉強が始まった
side out
side 真也
初佳は教官試験に向けて勉強をしている
試験まで残り1ヶ月
此処最近は根を詰めすぎている感じが否めない
俺は眠気と休憩を取らせる為に初佳にチョコとコーヒーの差し入れを持って行く事にした
「初佳、邪魔するよ」
そう言って部屋に入った
「いらっしゃい、もう少しで区切りがいいから少し待ってて」
初佳は此方を見ずにペンを動かす
十分程たった辺りに初佳はペンを置き此方を向いた
「何か用でもあったかしら」
「いや、最近根を詰めすぎている感じがしたから・・・少し息抜きにと思って」
そう言ってコーヒーを入れた魔法瓶を持ち上げる
俺はカップにコーヒーを注ぎチョコを皿に盛る
初佳はコーヒーに口をつけ
「美味しい」
と一言呟いた
「勉強ははかどっている?」
「そうね、もう一頑張りってとこかしら」
努力家の初佳がそういうのだから人並み程度まではいっているはず
でもそこで妥協しないのが初佳だ
「そうか、でも頑張り過ぎて当日に体調不良じゃ洒落にならないからな・・・身体に気をつけてな」
「何か心配かけちゃってごめんなさい」
「あやまる事は無いよ・・・ただ一言、休憩は適度にな」
「えぇ、分ってるわ」
そうして30分程話た後、俺はこれ以上いると邪魔になると思い初佳の部屋をでた
side out
side 初佳
真也が帰ってから私は机に向き直った
そこでさっき勉強していた所を見直しを始めた
「あ・・・間違ってる」
そこで重力推進機による推進力と速度の関係数式の途中計算でミスをしている事に気が付いた
私は背筋を伸ばし身体を解す
「っぅ~・・・真也のお陰で息抜きができて集中力が戻ったみたいね」
勉強を始めて7時間くらい息抜きもせずに机に向かいっぱなしだったから小さな所でミスをしていたようだ
私は心の中で今日の勉強は後2時間したら切り上げ休む事を決めた
そして試験当日
昨日はしっかり休んだし体調も問題ない
私の隣には真也がいる
「初佳、落ち着いて行こう・・・初佳なら大丈夫だから、頑張って」
そう声を掛けてくれる真也
「それじゃ行ってくるわね」
私は真也にそう言って試験会場へと入っていった
受験番号B-8
これは私の受験番号
私はその番号の席を探した
前から2番目の壁側の席
後から何人か入ってきていよいよ試験が始まる
私はコレまで勉強してきた全てを出し切る勢いで問題を解いていった
次に実技試験
ビアンカ、ケイティと順番にこなし周回コースやスラロームなどの基本操作を試された
最後に面接
そうして試験が終わり試験会場を出た
すると会場の出入り口で真也が待っていた、およそ2時間弱掛かった試験の間ずっといたのであろう
「どうだった」
真也の一言
私は手ごたえを感じていた、その感じた事をそのまま言葉に表した
「ばっちり」
その時の私の顔は笑顔だと思う
そして後は試験の結果を待つばかり
結果発表は12月
それまでの間デートとか行けなかった分を取り戻す為に真也とデートの予定を組みながら帰路に着いた
side out
この投稿をもちまして再アップ作業完了致しました
実に9年前の作品である本作をお読み頂きありがとうございます
エピローグからif、後話までお読み頂き誠にありがとうございます
この作品は私の処女作であり、今読み返すと気恥ずかしい物があります
読み返しながらあの時はこんなだったなぁと感慨深く感じております
また、構想ができ、纏められれば後話を追加するかもしれませんが
その時はまたお付き合い頂けたら幸いとおもいます
最後になりますが本作をお読み頂きましてありがとうございました
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