戦姫絶唱シンフォギア if (麒麟@)
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戦姫絶唱シンフォギア
1話


初めてシンフォギア投稿します。



今日本は大変なことになっている。ノイズ、特異災害と呼ばれるものたちが日本だけではなく世界をも震撼させている。

そのノイズは人間では太刀打ちできず触ると炭素化してしまい近代兵器も通用しない。

それに唯一通用するのが聖遺物だ。

なぜこんな話をしているのかというと俺、司 誠(つかさ まこと)はそのことに関わっているからだ。

といっても俺は1人でやっているので特に誰ともつるんだりしない。

ノイズが現れると俺は現地に向かいそれを始末する。最近では俺が出る前に誰かが片付けているので最近はやることなく体ばかり鍛えている。

いくら聖遺物を纏おうとも元の体力がなければ意味がないからな。

 

「誠聞いてんのか?」

「ん、なんのことだ」

「お前あれだけいってて無視かよ。まぁいいや。ツヴァイウィングのライブ見に行こうぜ」

「ツヴァイウイングって確か今大人気の2人組のアーティストだったっけ?」

「そうそう。その認識だ」

 

今俺に話しかけてきているのは赤坂竜司(あかさかりゅうじ)小学校からの付き合いで今中学3年の中で唯一親友とも言える人物だ。

俺は軽く調べてみるとかなり大人気みたいだ。そのツヴァイウイングは。俺はテレビなどは全く見ないのであんまり興味がなかった。

それに俺の家には妹以外もう誰も…

 

「それなら決まりだな!チケットは俺に任せとけ!」

 

そういい竜司はポケットからチケットを三枚出して二枚俺に渡してきた。もう持ってるなら断れないな。俺は仕方なしに了承して予定を見た。それは今週の日曜、つまり2日後だ。毎回俺を誘うときは急に誘ってくる。

 

「わかったよ。それじゃあな」

「おう!2日後を楽しみにしてろよ」

 

俺はそういい学校から家に向かって帰った。家に着き鍵を開けて入ってただいまといっても返事は返ってこない。俺の両親は2年前にノイズに襲われてそれで亡くなった。妹は学校で遊んでいるのか帰ってくるのが毎日遅い。

俺が迎えに行かないと中々帰ってこない。ちなみに妹は司茜(つかさあかね)だ。俺と同じ黒髪で髪は腰付近まで伸ばしている。中学生のくせに出るところは出ていてそれで締まってるものだから学年でもかなり可愛いらしい。まぁ兄弟の俺からしたらあまり気にならないが。

その黒髪もポニーテールにしてよく運動ばかりしている。

そして迎えに行こうとすると家の玄関が開き茜が帰ってきた。

 

「ただいま〜」

「おかえり、今日は早いな」

「うん、それで買い物には行かないの?」

「茜を迎えにいったら行くつもりだったから今から行くよ」

「それならあたしも一緒に行っていい?」

「珍しい。いいよ」

 

そういうとすぐに着替えてきてやってきた。青いブラウスに白いデニムを履いてやってきた。

そして家を出て買い物に向かった。そして近くのスーパーに行くと珍しくカゴを持って物色し始めた。

一体何があったんだろうと思いながらもその後ろについて行くと俺にメニューも聞かずに買いたいものを入れ始めた。それを見ると何を作りたいかわかったがそれを茜が作れるかとなると話は別だ。

茜は家事が大の苦手で俺が代わりにやっている。

作ろうとしているのはオムライスみたいだが中々難しい。俺は作れるが茜に作れるかと思うと全くのNOだ。

必要なものを入れて会計を済ませて帰る時に会話が耳に入ってきた。

 

「楽しみだねー未来。2日後のツヴァイウイングのライブ」

「うん、響。楽しもうね」

 

へぇあの子たちも行くのか。まぁ会うことは中々ないだろうけど。

それにしても茜が買い物に行くと毎回すごい注目なんだよな。見た目かなりいいせいか大体の人が見たりする。

 

「はぁ毎回のこととはいえ慣れないな」

「ん?どうしたの?」

「茜が気にすることじゃないよ」

「??そう」

 

俺たちは家に帰り、俺は用意だけしてあとは茜に任せた。もうあとはうまく行くことを祈るしかない。

そしてしばらくして出てきたのは少しグチャとしているがちゃんとしたオムライスだった。

 

「ごめん、上手くできると思ったんだけど」

「ん?そうか。うまくできてるぞ。それに…美味い!ありがとう茜」

 

そういい頭を撫でると下を向いて何も言わなかった。そこからしばらくして茜も食べ始めて俺は日曜日のことを話した。すると茜は嬉しそうにして行くと行ったので竜司からもらったチケットを渡した。

俺は食べ終わり片付けを済ませてその日は眠り次の日も特に何事もなく日曜日になった。

 

日曜日になり、俺と茜は集合場所に向かい竜司と合流した。竜司は顔は一般的にいそうなやつだがファションセンスがすごい高い。今日着てきた俺の服も竜司が選んでくれたやつだ。

俺は首に聖遺物をかけているのでそれがバレにくいものを着ている。

俺が聖遺物を扱っているのを知ってるのは茜だけだ。

それ以外は誰も知らない。

 

「茜ちゃんまた可愛くなった?」

「どうもありがとうございます」

 

この2人は会うといつもこんな感じだ。あんまり仲は良くない。というかなんだか茜が竜司を嫌っている。

そんなこんなで俺たちは中に入り、始まるのを待った。

そして会場は暗くなりそこから2人のアーティストが会場を盛り上げた。周りは盛り上がっているのに俺はなぜか胸の奥が引っかかる。

そしてそれはすぐに起きた。

何かが爆発してそこにノイズが現れた。

 

「ノイズだー!」

 

騒ぎ始め周りはパニックになった。そしてそれは竜司や茜も同様。

竜司は逃げようと俺に促して茜は俺の腕に抱きついて泣いている。

俺は竜司に先に逃げるように伝えると竜司も波になるように逃げ始めた。竜司が逃げたのを確認したのと同時ぐらいにさっきのアーティストたちが聖遺物を纏う歌を歌った。

 

「茜安心して。俺が必ず守るから」

 

そういい俺は首からペンダントを出してそれを身に纏った。

魔槍 ゲイボルグ

それが俺の聖遺物。魔槍なんて言ってもこれはかなりの変形ができる。刀にもなり、鎌にもなる。

俺は茜を抱えて端に寄った。そしてその前に立つようにして俺はノイズを蹴散らしていった。

他の2人もこちらに気がついたようで驚いていたがなにせ数が多いのでそれに気を取られている暇はない。

そして2階席にいた子が落ちたのを赤毛の子が気づき行こうとしたが

複数のノイズが襲いかかり、赤毛の子の持っていた槍は砕けた。

そのかけらが落ちた子の胸に刺さって血が止まっていない。

 

「生きるのを諦めるな!」

 

そう叫ぶが落ちたこの目はだんだん色が落ちてきている。そしてまだノイズはいる。

赤毛の子はその子の前に立ち槍を上に掲げた。

 

「とっておきをくれてやる。 絶唱

Gatrandis babel ziggurat edenal

Emustolronzen fine el baral zizzl

Gatrandis babel ziggurat edenal

Emustolronzen fine el zizzl」

 

そしてもう1人の子が叫ぶ。

 

「いけない奏、唄ってはダメェ!」

 

俺はすぐに茜を連れて移動した。そして倒れている子の隣に置いて

 

「ちょっと行ってくる」

 

そういい絶唱の子の隣に行った。そして俺はその子の腕を掴んで

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal

Emustolronzen fine el baral zizzl

Gatrandis babel ziggurat edenal

Emustolronzen fine el zizzl」

 

「何をする!」

「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

俺がしたのは威力だけをのこして体への負荷を俺が一身に受けるための歌だ。そのためには体の一部を掴む必要がある。

そしてノイズの集団は完全に消え俺は全身から血を流して倒れた。

 

 

 




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2話

あたしはお兄ちゃんに抱えられて血だらけの子の隣に置かれた。そしてお兄ちゃんはすぐにいき、その数分後には血だらけになって倒れた。

あたしはノイズが消えてすぐにお兄ちゃんに駆け寄った。

 

「お兄ちゃん!お兄ちゃんしっかりして」

 

そしてしばらくするとお兄ちゃんは知らない人に連れられてあたしもきて欲しいと言われたのでついて行くことにした。

車に乗り移動するとそこからはエレベーターと言っていいのかわからないがそこに乗った。

あたしの隣には1人の男性がいた。

 

「すいません、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。あ、申し遅れました。僕の名前は緒川慎次と言います」

「司茜です」

 

あたしは多分愛想がなかったと思う。けれど頭の中はお兄ちゃんのことでいっぱいだった。お父さんとお母さんが死んでからあたしの家族はお兄ちゃんだけだった。そのお兄ちゃんまでも死ぬなんて嫌だったから何も考えられなかった。

そして到着すると赤いカッターシャツを着た男の人が迎えてくれた。

 

「ようこそ特異災害対策機動部二課へ。俺はここの司令官の風鳴弦十郎だ」

「司茜です」

「まずは君と君のお兄さんにお礼が言いたい。ありがとう奏を救ってくれて」

「あたしは何も…」

「それでもだ。君たちの兄弟のことは一生支えよう」

「それよりお兄ちゃんは!どうなってるんですか!?」

「君のお兄さんだがひとまず峠は越えた。後は時間の問題だ」

 

あたしはその言葉を聞き涙が止まらなかった。その場にへたり込み顔を隠して泣き続けた。

それを止める人はおらずあたしは10分ほど泣き続けた。

そして泣き止むとこう告げられた。

 

「今日はここに泊まるといい。お兄さんの隣に寝れるように手配しよう」

「はい、ありがとうございます」

 

あたしは出て行くとさっきも一緒にいた緒川さんが付いてきた。

そして途中の自動販売機で飲み物を買ってくれた。

 

「どうぞ。温かいものが一番落ち着きます」

「ありがとうございます」

 

あたしはそれを手に取り少しずつ啜り始めた。緒川さんの言う通りなんだか落ち着く。

 

「あらためて今日はありがとうございました。僕は彼女たちのマネージャーもしています」

「そうですか。それは何よりです」

 

あたしにばかりお礼を言われるが助けたのはあたしじゃない!お兄ちゃんが命をかけてまであの人助けたんだ。

あたしはその後の話は覚えてない。緒川さんに連れられお兄ちゃんの隣に椅子を置きそしてそこに体を預けて眠った。

朝起きると誰が掛けてくれたのか分からないが毛布が掛けてあった。

そして昨日来た道を戻ると緒川さんとツヴァイウイングの2人に出会った。

 

「こちらがツヴァイウイングの2人の天羽奏さんと風鳴翼さんです」

「風鳴翼だ。奏を救ってくれて本当にありがとう」

「天羽奏だ。ありがとう」

「司茜です」

 

あたしは何もしてないのに言われてることが気持ち悪くなりその場から逃げるように走り出した。

 

「お、おい!」

「奏さんと翼さんは部屋に帰っててください。僕が追います」

 

そしてしばらく走りあたしはまた自動販売機のところに来た。そして少しすると緒川さんが少し息を切らしてやってきた。

 

「何か気に障らなかったですか?」

「すいません、けど助けたのはあたしじゃない!お兄ちゃんが命がけで助けたんです。それに対してお礼を言われることなんてないんです」

 

そこまで言うと頭を叩かれた。誰かと思い見てみるとお兄ちゃんが立って笑いながらあたしの頭を叩いたんだ。

 

「ひねくれてるな〜。いいじゃねぇか」

「お兄ちゃん!」

 

あたしは飛びつくとお兄ちゃんは苦しそうにした。

 

 

 

 

 

 

俺が目を覚ますとなぜか茜が走っていったのが見えたので体についてある治療器具を外してそのあとを追った。

やっとの事で追いつくと泣きながらに話していたがどうにも話が拗らせている。

そして頭を叩き一言言うと飛びついてきて俺は全身の痛みがすごかった。

そこからしばらくして俺と茜は呼び出された。

 

「茜くんにはすでに話したが俺が特異災害対策機動部二課の司令の風鳴弦十郎だ」

「はぁ、どうも。茜の兄の司誠です」

「それで君たちにお願いがあるんだが…いいだろうか?」

「内容によります」

「誠くん、君に二課に来て欲しいのだよ」

「お断りします」

「なぜだろう。理由を聞かせてくれないか?」

「これだけの施設だ。もう大方の理由はわかってるはず。俺たちには両親がいません。今も国からの支援金でやっとの状態です。それに茜を放っておけませんので」

「なるほど。なら茜くんにも二課に来てもらうという風でどうだろう?もちろんそのぶんのお金は出るぞ。働いたものには出すのが常識だからな」

「それは…」

「やる!」

「茜、それがどういうことがわかってるのか?もう日常には戻れないかもしれないんだぞ?」

「あたしが働いてお兄ちゃんを楽にできるならそれでもいい。それに…ううん、なんでもない」

「わかりました。そのかわり条件があります」

「何かな?」

「一つ目は俺たち2人の自由です。そして二つ目これが何よりも優先です。たとえどこで誰が襲われようとも俺は茜を優先します。もうこれ以上俺は家族を、兄弟を失いたくありませんので。これができないなら俺は入るつもりはありません」

「わかった。それは保証しよう」

 

その時の俺は多分自分でもすごいことを言ってる自覚があったがそれでもこの人はそれを納得してくれた。

そして茜はノイズが現れた際は緒川さんという人か司令自ら迎えに行くとのことだった。この2人は実力の底が見えないので俺はそれで了解した。

そして俺は司令に呼ばれ2人きりの部屋になった。

 

「君に聞きたいことがある。その聖遺物はどこで手に入れた?」

「俺の両親が襲われて俺は茜だけでも守ると思いそしてそのための力が欲しいと願うと目の前に急に来た。そして手に掴むと頭の中に起動するための歌が流れたからそれを歌うと俺の魔槍が出てきてそこでノイズを蹴散らした。

あれは確か2年ぐらい前だったと思う」

 

俺が中学一年の時だったはず。そしてそれを目の前で見た茜はもちろん知ってるしそれ以外は誰も知らない。そしてこれは言わない方が身のためだと思い茜にも口止めした。

 

「そうか、その魔槍は様々な武器に変化することはもちろん聖遺物としても翼が纏う天羽々斬や奏が纏うガングニルより遥かに出力が高い。それはカケラではなく半分も残っているためだ。

何よりその聖遺物の特性は君もやってのけた絶唱の負荷を負うことだ。それは君に降りかかるということでもある」

「やっぱりそれは俺にしかできないんだな。けど良かった。あの子は?」

「ああ、君のおかげで助かった。ありがとう」

 

本当に良かった。助けてそれでもダメでしたなんてシャレになってない。そして俺と司令は出て元のところに戻り、俺は茜と合流して、そのまま帰ろうとすると俺たちの前に2人やってきた。そして茜は俺の後ろに隠れるようにしていた。

 

「私は風鳴翼」

「あたしは天羽奏だ。本当にありがとう。救ってくれて」

「別に構わないですよ。それにほっておかなかったですし」

 

この2人かなり美人さんだ。それに多分俺より一つか、二つ年上だし。

緊張する。茜はどうかだって?茜に関しては兄弟だからそんな目で見たことがない。

それより早くここから離れたい。なんだか気まずい

 

「それより今日一緒に飯でもどうだ!?」

「俺とですか?」

「その敬語はやめてくれ。君は私たちにとっての恩人だけ。私たちは君より上だが対等でいたい」

「はぁ…」

 

この2人は組ませると面倒だ。それにさっきから背中の肉を摘んでる茜が怖い。じわじわと力が強くなっている。

 

「わかりました。茜も一緒でいいですか?」

「もちろんだ」

「あたしも構わないよ」

 

そこから一度家に帰り俺は後悔した。この日ほど自分を責めたことはないと思うぐらいに…




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3話

俺たちが家に帰るとそこにはたくさんの張り紙が貼られそしてガラスが割られていた。

そしてその張り紙には人殺し!や泥棒!などが書かれ貼られていた。

 

 

「ひどい」

「誰が一体なんのために」

 

 

そして俺たちは家の中に入りリビングはすでに使い物になりそうになかったので二階に上がりその日翼たちに無理だと言っては寝た。

次の日も学校に行くと陰口を叩かれたり嫌な目で見られる。

そして茜と帰ろうとしたら茜の腕に青痰ができていて俺はその理由を聞くと茜は何も言わなかった。

そのまま家に帰り俺は茜と腹を割って話すことにした。

 

 

「茜少し話さないかな?」

 

「うん、いいよ」

 

俺は茜の部屋に入り中で茜は机の前に座った。そして俺はその対面に座り対面になるようにした。

 

「それでその腕は?」

 

「もうなんでもないってば!」

 

「なんでもないやつはそんな顔してねぇよ」

 

 

今の茜は普段からは想像できない顔していた。何より纏っている空気が変わっていた。

普段は明るい空気だが今は死にそうな顔に空気を纏っている。

 

 

「俺に話してくれないかな?」

 

「今日学校で別れてから複数の…女の子に呼び出された。着いて行くと囲むようにして叩かれたりした。

これはその一部」

 

 

茜は泣きながらそう訴えてきた。そしてその時のメンバーそして何をされたか教えてもらった。髪の毛を引っ張られた言われよく見てみると確かにいつもより少し荒れている。

俺は茜のカバンからくしを出してそれで髪を解いた。それで少しは楽になるかもしれないということですると茜は俺に抱きつきながら泣き始めた。そのまま頭を撫でていると茜は疲れ切ったのかそのまま眠った。

そして俺はゲイボルグを纏った。

そしてそのまま飛び出しそいつらを殺そうと向かうと俺の前に立ちふさがる者が現れた。

 

 

「そんな格好でどこに向かうつもりだ?」

 

「あんたらに関係ないよ。翼、奏」

 

「関係あるんだよ!なんでそんなことしてんだよ!」

 

「俺は言ったはずだよ。どんなことよりも茜を優先すると。そしてその茜が傷つけられたんだ。それなりの処置は必要だろう」

 

「そんなことをしても何も変わらないぞ!それどころか茜ちゃんを一人きりにすることになるぞ」

 

「そんなことはしない。俺は降りかかる火の粉はすべて払うよ。ここで邪魔をするならあんたたちも同じだ」

 

「ああ、誠を止める。なんたってあたしの命の恩人だからな。そんなやつをほっておけないだろ」

 

「同感だ」

 

 

それ以上のやり取りはなく2人は天羽々斬とガングニルを纏った。そこからは2対1の戦いが始まり本来なら俺が負けるわけがない。

けれど思った以上に出力が出ないでいた。俺はゲイボルグを刀のような形にしてなんとか2人の攻撃をしのいでいるがそれも時間の問題だと思う。

せめてもう一振り武器があれば捌けるのにと思いながら2人の攻撃をさばいていた。

そして気がついたことは2人の息、呼吸、そして歌がユニゾンとなっていた。そのおかげで出力が上がっていた。

俺はゲイボルグに願い二本の剣になるように願った。すると手から刀が消え俺の背中に二本の鞘が交互になるように着いた。

そして抜くとそれは漫画などでよくみるロングソードの形をしていた。

 

「なんかしっくりくるなこれ」

 

 

そして新しい武器のお陰で二人の武器をさばくことができるようになった。それでも2人の攻撃は鋭く俺のシンフォギアを確実に削っていった。そして一瞬の隙をつきそしてそれを逆さに持ち峰で2人の腹をおもいっきり突いた。

すると2人は意識を保てずそのまま前のめりに倒れて俺はそれを支えて道路の脇にもたれさすようにした。

そしてそのまま進むと今度は

 

「ハッハーまさか翼と奏を倒すとはな。今度は俺が相手だ」

 

そこで出てきたのはおそらく俺よりも強い風鳴弦十郎だった。そして俺は向かっていったが何が起こったのかもわからないまま地面に倒されていた。

 

「殺せよ。ここまでしたんだ。何も後悔はないよ」

 

「それが君の願いか?」

 

「最後に一つ。茜が何不自由ない生活にしてやってくれ。あいつが泣いてるところは見たくない。それに俺がそんなことをするよりあんたの方がよっぽど信用できる」

 

「はたしてそれはどうかな?」

 

 

そういい遠くを見て何かを見ていた。俺は動けないのでそのままの状態でシンフォギアが解けた。そして少しすると俺に向かって飛んできた。

 

「もう嫌だよ。これ以上あたしから何も奪わないで」

 

「茜!?寝てたんじゃ?」

 

「なんか嫌な予感がして寝たふりしてたんだ。それよりお兄ちゃんを奪わないで。お願い」

 

「やれやれこれでは手出しができんな。それよりも提案だ。君達2人リディアン音楽院に来るかはあるか?そこなら君達を知るものはいないからまた1から始めるといい」

 

「あたしはお兄ちゃんが行くなら何処へでも」

 

「ということなんでとりあえず見学だけっていけます?」

 

「もちろんだ。そこには奏と翼がいるからまだマシだろう」

 

 

俺はいってる意味が分からず適当に聞き流していたがさっきのいざこざがあった後であの2人と会うのは気まずい。

そんなことを考えていると後ろから頭を叩かれた。

 

 

「そんなこと考えなくてもいいさ」

 

「そうだぞ。あれが君の本心じゃなかったことくらいわかる」

 

「翼!奏!2人とももう起きたのか?」

 

「君がずいぶん軽くしてくれたのでな」

 

「まだ余裕があったみたいでショックだよ」

 

 

2人とも憎まれ口は叩いているが本当に何も怒ってないという感じだ。

茜はそんなこともわからずに頭にハテナマークが浮かんでるかのごとく話についてこれてない。

そして2人は俺たちの手を引き飯に行くと言って連れていかれた。

 



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4話

年齢の目安です

奏17歳
翼16歳
誠15歳←クリスと同い年
茜14歳←響と同い年

こんな感じです


俺が負けてから1週間が経った。結局飯に行った後に俺は病院に行くことになり検査入院という形で2日間病院に寝たきりになった。

その間茜は常に病室にいて、翼や奏も必ず来てくれた。

2人ともトップアーティストなのに本当に来てくれたので嬉しかった。

そして俺たちはリディアン学院を見に行くと言うことになった。

そして知らされたことが俺は来年から高等部だが茜は中等部を2年やらないといけないと言われて茜がめちゃめちゃごねたのはここだけの話。

 

いざ見に行くと綺麗なところで中に入るとかなり違和感があった。というか違和感しかなかった。

そうここには女子しかいない。

 

「どうだ?ここに来た感想は?」

「翼、ここってもしかして女子校?」

「ああ、そうだが誠は特別枠らしいぞ」

「特別枠?」

「なんでもここで国の力を使い、入れるようにしたとかなんとか。私も詳しくは知らないんだ」

「へ、へぇ〜」

 

 

そんなところで国の力を使わなくてもいいのに。まぁ茜次第だな。

茜がいいというなら俺は周りの目を気にしないから別に構わない。けれど来た時からなんだから周りの目が気になるな。

なんだかすっごい見られてるし、その隣で茜は少し怒っている。

 

 

「あたしのお兄ちゃんなんだから」

「ん?なんか言ったか?茜」

「ううん、なんでもないよ」

 

 

俺たちはそこから学院内を歩いて行くといろんな施設を見て回った。茜が一際目を引かれたのは食堂みたいだ。それに寮にも気になっていたみたいだ。俺たちがもし入るなら特例で2人で寮に入れると言われた。

寮は綺麗で俺も目を引かれここなら大丈夫だと思い、俺自身は納得して茜も嬉しそうにしていたので俺たちは編入することになった。

 

 

「茜はあそこで良かったのか?」

「うん、すっごい楽しそうだったもん」

 

 

その顔は本音を言ってるようで何も嘘をついてる様子はなかった。俺はそこまで言ってるならあそこを選んで正解だと思った。

その時ノイズの警戒警報が鳴り、俺は茜をシェルターに連れて行ってからすぐに聖遺物を纏い背中に刺さってる二本の剣を使いノイズを倒して行った。

そうして行くと奏が襲われてシンフォギアが所々破損していた。

このままじゃまずいと思ったが俺には遠距離攻撃はない。俺は一つの可能性に賭け片方の剣を背中に刺し、それを腰に帯刀してよくアニメとかで見る斬撃を飛ばすようなそぶりをしてみた。

するとなんとか奏のところまで斬撃が飛びその周りのノイズは倒せた。その一瞬の間に奏のところまで行き周りのノイズを蹴散らして今回の警戒警報は終えた。

 

 

「すまない、助かったよ」

「いや、構わないよ。それより翼は?」

「今はミーティングの最中だったんだ。出撃命令が出たんだけどあたし1人で大丈夫って押し切ったんだ」

「それでか。まぁ今度からは俺を待ってくれよ」

「へ?」

「あ、いや違う。そういう意味じゃなくて!!普通の意味だぞ!」

「わ、わかってるって(こいつにこんな一面あるんだな。ドキってしちまった)」

 

 

俺は奏を連れて二課に行き弦十郎さんに預けて俺はトレーニングルームを借りた。さっきのがたまたまじゃないようにしないと。

あのノイズたちを消すとそれと同じぐらいに勢いも消えて斬撃も消えたからな。

俺はそこから何度も練習したが最高でも射程25mがいいところだった。

翼の使う奴はシンフォギアのエネルギーをそのまま打ち出す感じだが俺のは本当に斬撃を飛ばすイメージだ。

あくまでイメージで本当はエネルギーを飛ばしてるんだけど。

その後もなんども練習したが結局それ以上伸びることはなくその日は限界が来て俺はトレーニングルームで寝てしまった。

 

 

「ん、んん」

 

 

俺は起きると体に布団を被されていた。周りを見てみると奏が壁に寄り添うようにして寝ていて俺に掛けてくれたんだろうと推測ができた。俺は自分が被ってる布団を奏にかけて俺はその場から離れずにそこにいた。

それにしても普段は男勝りな性格してるくせに寝てる時はやっぱり女の子だよな。

 

そこからしばらくすると奏は目を覚まして俺と一緒に食堂に向かった。そこで朝飯を食べているとどうも奏が目を合わせない。

 

 

「奏、なんで目を合わせないんだ?」

「い、いや!そんなことないと思うけどな(あー恥ずかしい。まさか寝てるところを見られるなんて。いやあたしなんでこんなにも意識してるんだ?)」

 

 

明らかに合わせてくれない。まぁしばらく経つと合わせてくれると思い何も言わずに俺は飯を食べるの家に帰った。

家に帰ると茜が泣きながら飛びついてきた。

 

 

「何かあったのかと思ったよー」

「ごめん、連絡してなかったな。新しいことを試して時間が過ぎてたんだ。ごめんな」

「ううん、何もなかったならいい」

 

 

そこからは何もなく結局リディアンに編入するまで何もなかった。何もなかったといってもノイズは毎日のように現れる。それに比例するように奏のガングニルがLinkerでも適合係数が下がってきているらしい。このままでは奏者でなくなるみたいだ。

奏はなんとかしてくれと懇願していて、二課も対策を考えているらしいがこれといって全く出ていない。

ここ最近のめぼしい情報はこれくらいだな。

 

そしてリディアン編入日俺たちは前日から寮に入っておりここの寮はかなり施設がいいことが身を以て実感している。

そして茜と俺は別れて教室に向かい入ると歓声がすごかった。

少し耳がいたい。

 

 

「司誠です。編入してよくわかっていないので皆さんよろしくお願いします」

「あの人すっごいかっこいいよ」

「確かにイケメンだね」

 

 

俺は普通に座り隣は黒髪の女の子だ。というかこれが普通だと思う。

奏や翼みたいな色がなかなかいないと思うがここに来るとそれも覆されるかのようにいろんな色の髪の子がいる。

俺は休憩中も質問責めにあい、とても休憩という雰囲気じゃなかった。

そして昼休みになり、救世主が現れてくれた。

 

「誠、一緒に飯食おう」

「奏!それに翼も。けど茜を」

「それならここにいるぞ」

「早く行こお兄ちゃん!」

 

俺たち4人は移動して昼を食べた。そしてその日は終わり俺は茜と一緒に二課に向かって俺はトレーニングルーム、茜は事務に向かっていった。

俺たちはこんな日々を繰り返してそのまま一年が過ぎようとしていた。

そんなある日とうとう奏がギアを纏えなくなった。

 

 

「フザケンナ!あたしのいうことを聞けよ」

「奏、これ以上の負荷は体を壊すだけだ。もうやめとけ」

「ふざけんなよ、あたしはノイズを滅ぼすために。そのためにギアを纏ったんだ!」

「本当にそうかな?俺にはそうに見えなかったけど。少なくともここ一年はそんな風に見えなかったよ」

「えっ?」

「だってアーティストとして歌ってる時もすげぇ楽しそう歌ってたから少なくとも復讐だけじゃないと思うけどな」

「あっあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 

奏はそこから泣き続けた。他の奴らは後は任せたと手振りをして何処かに消えて俺は奏のことを見ることになった。

そこから奏は泣き続けて俺はそれを支えることしかできず、泣き止むと恥ずかしくなったのか俺は突き飛ばされた。

 

 

「うげえ!」

「あ、悪い。つい」

 

俺は突き飛ばされてそのまま仰向けに倒れた。そして奏は俺に手を伸ばして引き起こしてくれた。

ったく恥ずかしいからって飛ばさないで欲しい。

そして奏は自分の手で電話をかけて奏者をできないことを納得した上でまだ二課に残ると宣言した




感想、評価はモチベにつながるので欲しいです



後僕バンドリの方でも小説をあげてます。
読んでくださると嬉しいです


後UAが1000件超えてました
ありがとうございます
これからもよろしくお願いします


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5話

本編に入りたいがためにだいぶ飛ばしました


 奏が歌えなくなってほぼ一年経った。その間に俺たちは学年が一つ上がり奏は卒業した。

 奏の卒業の時は二課も含めたでかいパーティをしてみんな楽しそうに過ごした。

 翼は泣いていたがこれからも二課で会えるし、急に別れるわけでもないので泣くのはまぁ性だろう。

 そんなこんなで俺は高校1年に、翼は高校2年になり、茜は中学3年になった。

 そして毎日ノイズのとの戦いで気になることが増えた。櫻井さんがちょくちょく遅刻が増えた。

 まぁそれでも仕方ないといえば仕方ないのだが、この人は櫻井理論と言われるほどに聖遺物に詳しい。

 それに俺からこの人に絡むのは苦手だ。前もえらい目にあったし。

 

 そして俺の特訓してた技もだいぶ形になってきた。翼の蒼ノ一閃は大型の剣から飛ばすという状態なので斬撃も必然的に大きくなる。

 けれど俺のは細い剣から飛ばすタイプなので斬撃は細く、それに飛ばし方も2種類ある。

 まずは横に飛ばしまとめて倒す方法、もう一つが縦に飛ばすというものだ。

 イメージでは横に飛ばす斬撃をそのまま縦の縦の形にして飛ばすもの。それに最大の特徴はこの斬撃は連撃として飛ばせる。

 これは奏や翼の、茜にも手伝ってもらいできたものだ。

 トレーニングルームのことはもちろん、いろんな打ち方を考えてくれて一緒にできた。

 それに最高射程も25mから40mまで伸びた。

 

 

「おいおい〜何考えてんだ誠」

「奏、いやこの一年いろんなことがあったなと思ってさ」

「年寄りくさいぞ」

「ひでえ」

 

 

 俺たちはのんびり買い物中だ。翼は周りを見てオロオロしてるし、それに茜が振り回してる。

 元々翼はこういうところに慣れてないんだろう。それに茜は少し性格が悪いところがある。

 なおさら翼は振り回されるだけだがやっぱりアーティストなんだと気がつく。

 どんな服を着せても着こなしているから茜も調子に乗るんだろう。

 

 

「お、おいそろそろ止めた方がいいんじゃないか?」

「そうだな。茜そろそろやめてやれよ。翼の頭がパンクしかけてる」

「はーい」

「すまない。もう大変だったのだ」

 

 

 本音だな。顔が疲れてるし、何より苦手そうな顔をしている。

 俺たちは飯を食べに行くことにした。そこで警戒警報が鳴り、俺は翼に2人を守るように言って俺は現地に向かった。

 こっちにノイズが来たら俺はおちおち戦えない。だから守ってもらう方が優先だ。

 そして現場に駆けつけると相変わらず荒れていた。俺は連撃を飛ばした。今ではほぼゼロタイムで30ほどの斬撃を飛ばせるまでになった。

 これの最大の利点は周りへの被害を抑えられることだ。

 まぁそれでもゼロではない。

 

 そのまま現場に行きノイズの群れを見るとなぜか一瞬人影が見えた。もちろんノイズのところに人影なんてあるわけないし勘違いの方が高いんだけど確かに見えたような気がして、ノイズを片付けた後俺は周りを捜索したがそれらしい人影はなかった。

 何もなかったので俺は翼たちのところに戻り、合流して買い物をと思ったがとてもそんな感じじゃなく二課に戻ることにした。

 二課に戻って報告を済ませて俺と茜は寮に、奏と翼は自宅に帰っていった。

 

 

 結局この日も潰されてしばらくそんな日が続き俺は高校2年になった。

 この日から俺や翼、奏や茜を巻き込んで大騒動になるとは予想だにしてもなかった。

 そして今日もノイズが現れ、俺や翼は現場から遠く間に合いそうになかった。

 もちろん最速で向かっているがなにせ距離がある。そして基地との連絡の通信機からアラートが聞こえた。

 

 

「ガングニールだとぉ!」

 

 

 その一言はありえないと思った。それは奏が身に纏ってペンダントも無くなったがもうすでにどこにあるものではないからだ。

 けれど波形照合してみるとやはりガングニルなようで俺は現場に急行して行くとあの時の少女がシンフォギアを纏ってノイズを倒していた。

 それもアームドギアじゃなく殴って蹴って倒した。俺は何もせずにその子を連れて二課に向かった。

 その小さい子は緒川さんが親に届けるといって俺はもう1人の子を連れて二課に向かった。

 その子は訳もわからず連れてこられてるようで戸惑いながらついてきていた。

 

 

「そんなに緊張しなくていいよ。何にもないから。少しだけ話を聞きたいんだ」

「は、はい!」

 

 

 だめだこりゃ。緊張しまくってる。俺は結局そのまま二課に向かい司令の前まで連れていった。

 その後ろには奏と翼が抑えきれないぐらいの怖さに醸し出している。

 おそらく奏は自分のガングニルを、翼は奏のガングニルを纏ってることが気に食わないんだろう。

 それでもここまで醸し出すことないのに。俺は翼と奏のことを引っ張ってこの部屋から出た。

 あとは任せますと指令に伝えてただ2人を連れて自販機の前まで引っ張って椅子に座らせた。

 

 

「何をするんだ!」

「そうだぞ。いきなり過ぎないか」

「2人とも顔に出すぎだよ。あの子も萎縮してたしそこまでならあの場から離した方がいいと思っただけだ」

 

 

 2人はぐぅの音も出ないようでなにも言い返してこなかった。まぁ言い返してこないだけマシなんだけど。

 それにしてもあの子は一体どこでガングニルを? いやそれよりペンダントは一体どこにあったんだろう。見た感じ首にかけてはなかったし、今日初めて起動させたとしてもどこにもなかった気もする。

 そこに櫻井女史がやってきた。

 

 

「あらあらみーんな暗い顔をしてるわね。奏ちゃんと翼ちゃんはわかるけど誠くんはどうしたの?」

「俺の場合暗い顔っていうか悩み事っすかね」

「へーなにを悩んでるのかしらね」

「あの子のことっすよ。なんでペンダントが見当たらないんだろうって」

「そ・れ・はあの子融合してるのよ。さっきのメディカルチェックで確認したわ」

「「「融合!?」」」

 

 

 俺も奏も翼もでかい声を出した。そんなこと聞いたことない。そもそもエネルギーの塊である聖遺物と融合なんてできるのか。

 まぁ出来ているからペンダントもなしに聖詠を歌い、それを纏っているんだろうけど。

 まぁ俺には関係ないから帰ろうと思い、一礼だけしてその場を後にした。そして茜を迎えに行き、俺たちは家に帰った。

 




感想や評価、お気に入りが伸びてくれると嬉しいです。


UAが2000超えました。
これからもよろしくお願いします


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6話

だいぶ話飛ばしました。
それに原作改変も入れてます


 立花が来てから翼の機嫌は常に悪かった。それは纏っているガングニールのせいだろう。それは奏が纏っていたものだと認識してそれ以外の人が纏うことを許してはいない感じだった。

 それに比べて奏は初めこそは機嫌が悪かったがそれ以降は良くもなく悪くもなくといった感じだった。

 ノイズが現れても司令は俺と翼、立花を向かわせるが翼は鬼気迫る勢いでノイズを蹴散らして行く。まるで必要ないと言わないばかりに。

 そしてそれは次のときに起こった。ノイズを倒し終わった後に翼が立花に戦いを仕掛けた。それを俺はモニター越しで見てすぐに現場に向かった。立花はうまく避けてるが、それも時間の問題だ。

 俺は現場に着くと翼が天ノ逆鱗で立花に突っ込んでるところだった。それを司令が受け止め俺は立花をつかんでその場から逃がした。

 

 

「ったくこの靴高かったんだぞ」

「すいません」

「立花が謝ることじゃないよ。翼どういうつもりだ!?」

「私は私の心に従ったまで」

 

 

 

「私奏さんの代わりになってみせます」

 

 翼は立花をビンタして帰った。これは困ったな。あの状態は中々元に戻ることはなさそうだ。まぁそこらへんは奏に相談したらいいか。

 立花は訳もわからず自暴放棄になりそうだったので俺が連れて帰ることになった。

 

 

「頼むぞ誠くん」

「まぁわかりました。茜なら立花の同居人知ってるでしょ。聞いて向かいます」

 

 

 俺は茜に電話をかけて立花の寮の部屋番を聞きそこに向かった。そしてでてきたのが黒髪ショートボブの女の子だった。

 

「どうも。立花を頼むよ」

「響!?どうしたの?」

「それじゃ」

 

 あの状態じゃ俺の話なんて聞けないだろうと思いその場を後にした。そして家に帰るとキッチンに茜と奏が立って料理していた。あまりの意外なことに目を疑い何度か擦ったが、やっぱり奏が立っていた。

 正直奏は料理できないと思っていたが茜に対して教えてるのは奏だ。

 そして出てきたのはグラタンだった。食べてみると想定以上に美味しくて思わず笑ってしまった。

 

「おいおい何笑ってんだ〜?」

「いや、あんまりにも意外だったからな」

「たしかにびっくりしたよ。奏さんがこんなに料理できるなんて」

 

 奏は少し膨れていたがあまり気にしてはいないようだった。その後も飯を食べたりゲームしたりして疲れたのか茜は眠った。ここからが俺のしたかったことだ。

 

「奏、ちょっといいか?」

「ああ」

 

 俺と奏は家から出て少し歩いたところの公園のベンチに座った。そこで俺から話の話題を切り出した。

 

「奏から翼にいって欲しいんだよ。立花とうまくして欲しいって」

「それは構わないけどそれでいいのか?それはあたしが介入してもいいことなのか?」

「??どういうことだ?」

「あたしが言ったら翼は多分聞いてくれるだろう。表面上は。それでもいいのか?」

「それは……」

 

 

 たしかにその通りだ。多分翼は言うことを聞いてくれる。けれど本当に表面上で事実上の解決にはなっていない。むしろ2人の関係をより悪化させることになるかもしれない。短絡的すぎたか。

 

 

「悪い。たしかにその通りだな」

「いや、気にしなくていいよ。誠も翼やあいつのことを考えてくれてるからな」

 

 

 そうして俺は奏を送って帰った。結局その日以降何も進展はなく日付ばかりがたちそして事件は起こった。

 ネフュシタンの鎧の反応が検知された。俺も詳しくは聞いてないがなんでもあの時の事件の時に消失したらしい。

 そしてその場には今翼と立花がいるらしい。

 

 

「翼を頼む!誠!」

「任せとけ。奏もサポートよろしく」

 

 

 俺はすぐに現場に向かった。そして着くともう戦いが始まろうとしていた。

 

「やめてください翼さん、相手は人ですよ」

「「戦場で何をバカなことを」」

 

 たしかに驚きだ。こんなことを言う奴がいるなんてな。そして戦いが始まり、翼が仕掛けるがなにせ出力が違う。

 翼はあしらわれていた。そしてそいつはノイズを杖の先から出した。

 立花に向けて操り立花はそのノイズの液体に捕らわれ翼はムキになって仕掛けるが投げられた。

 

「のぼせあがるな人気者。誰も彼もが構ってくれると思うんじゃねぇ。端から狙いはこいつだ」

 

 そういいそいつは立花を指した。そしてそれは翼の覚悟に触れたようでそこから反撃が始まった。

 けれどノイズを操り、相手にするには幾ら何でも分が悪い。

 

 

「翼!ノイズは俺がやる」

「わかった」

 

 俺は邪魔なノイズを片付け翼はさらに前進した。そして影縫いでそいつの動きを止めた。止めて何をするつもりだ。

 

「歌うのか。絶唱」

「防人の生き様覚悟を見せてあげる。あなたのむねにやきつけなさい!Gatrandis babel ziggurat edenal

 Emustolronzen fine el baral zizzl

 Gatrandis babel ziggurat edenal

 Emustolronzen fine el zizzl」

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal

 Emustolronzen fine el baral zizzl

 Gatrandis babel ziggurat edenal

 Emustolronzen fine el zizzl」

 

 俺も絶唱を口にし、翼の手を掴んだがバックファイアを全て受け止めきれなかった。俺も翼もボロボロになりそして相手は逃げた。

 

 

「クソ、翼悪い」

「翼!無事か!?」

「私とて人類守護を果たす防人こんなところで折れる剣じゃありません」

 

 

 俺の意識もそこまでしか持たずそれ以上は何があったのか知らない。

 

 

 

 

 

 

 お兄ちゃんはまた人の絶唱をカバーした。そのせいで2人とも命が危険な状態まで落ちていて、奏さんも自分を許さないみたいだ。

 翼や誠をこんな風にしたのはあたしのせいだと言って、ずっと下を向いてる。

 

「奏さん、そんな風に自分を責めてることを翼さんやお兄ちゃんは望んでませんよ」

「だけど」

「それなら一緒に病院に行きましょう。お見舞いで声を変えてあげましょうよ」

 

 

 そうしてあたしと奏さんは病院に向かった。正直気丈に振る舞っているが正直泣きそうだ。

 何度止めてもこんなことばかりして自分の体ばっかり傷つけてるんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺が目を覚ますと友里さんから今のことを聞いた。何でもデュランダルの輸送計画の真っ最中らしい。今の進展を聞くともうすでに襲われてるそうだ。

 

「ここからゲイボルクを纏っていいですか?」

「そうね。今回は仕方ないわ。急いで欲しいわ」

「了解です」

「お兄ちゃん!メディカルチェックは?」

「帰ってきたらな」

 

 俺はゲイボルグをまといその場からすぐに飛んだ。何とか間に合ったがもう状況が大変だった。立花がデュランダルを持ち顔が黒くなっていた。そしてデュランダルを前のやつに向かって振り下ろした。

 俺はその先に行きそれを受け止めた。

 

「お前何を」

「死にたくねぇなら早く逃げろ」

「借りだなんて思わねだからな」

「ああ、そう思わなくていい」

「ありがとう」

 

 そいつが何かあったが俺は聞こえなかったので聞き返すこともできなかった。そして俺は何とか受け流してそのままギアが取れた。もう限界だったみたいだ。

 そして俺は車に乗りコーヒーをもらった。

 その後に立花は目を覚まして俺のところに謝りに来た。気にしなくていいと言って俺は二課に帰った。

 すると鬼の形相をした奏と茜がいた。

 

「どうして勝手に行ったのかな〜?」

「そ、それは」

「それはじゃねぇー早くメディカルチェック受けてこい」

 

 奏と茜の怒鳴り声にビビってメディカルチェックに行くと点滴スタンドに体を預けながら歩く翼を見かけた。

 

「もう体はいいのか?」

「無用だ。と言いたいところだがまだしばらくギアは纏えそうにないな」

「それならゆっくり養生してろよ。たまには羽を伸ばしてみるのもいいんじゃねーか?なんなら茜を連れてこようか?」

「そ、それは遠慮しておく」

「はは、冗談だよ」

「なら誠もゆっくりしないとな」

 

 そういい翼は歩いてどこかに行った。まさかバレてるとはな。そこで咳が出てきてそこに血が付いていた。おそらく短い期間での絶唱を受け過ぎたことだろう。これも多分メディカルチェックでバレるため俺は受けるふりだけして結局受けなかった。

 茜たちには何もなかったと言い俺はそのまま帰った。

 そしてしばらくすると立花が翼の世話をしてくれと言われたらしい。けど確か翼の部屋って確か……

 

 そしてそのこと以降から立花と翼の距離は縮まったと思う。2人でもよく話すようになった。

 そしてまたネフュシタンの鎧の反応が検知された。俺は現場に急行した。近くに立花もいるためその援護だ。

 そしてその隣には前に家に向かった時に前に家に行った時に出てきた子のところに飛んできた車を立花が弾き飛ばした。けれどなんだか様子がおかしい。

 そしてそこから立花とそいつはその場から離れるように木の上を走って向かっていった。

 そしてそこから戦闘が始まった。けれど立花はまだ説得しようとしていてそれが気に食わなかったのか攻撃に怒りがこもっていてそこで爆発が起きた。

 立花のその手にはアームドギアを手に入れようとしているのがわかった。

 

「違う。翼さんや誠さんはエネルギーを固定していた」

「この短期間でアームドギアまで手にしようってのか」

「へぇ、これなら心配なさそうだ」

 

 そして立花はエネルギーを固定するのじゃなく握りつぶしてそれをそいつにぶつけた。無茶苦茶だな。

 

「お前あたしをバカにしてるのか!雪音クリスを」

「クリスちゃんって言うんだ」

 

 そこからまた説得しようとしていたがこいつはそれが頭にきたのかますます攻撃が鋭くなった。それに立花が殴って空いた穴が塞がりかけいる。そして

 

「吹っ飛べアーマーパージだ」

 

 するとネフュシタンの鎧が弾け周りに飛んで行った。それは一撃必殺の威力を秘めており周りの木のほとんどを倒した。そして

 

「Killiter Ichaival tron」

 

 すると雪音は赤いシンフォギアをまとい怒っていた。

 

「歌わせたな。あたしに歌を歌わせたなー!」

 

 そのギアの特性は銃や矢を飛ばすといった感じで立花とは相性が悪い。俺も参戦してはたき落としたりしたがなにせ数が多い。

 

「避けろよ」

「うぇ!ウェェェェ」

 

 立花もうまく避けてなんとか当たらなかった。そしてそこからのさらに追撃でミサイルまで飛んできた。俺は斬撃で対応したが立花のところに飛んでいくのまで防げなかった。すると上から巨大な物が落ちてきた。

 

「盾?」

「剣だ」

「翼さん!」

「気がついたか立花。だが私も十全ではない。力を貸してくれ立花。誠」

 

 そしてそこからはあっという間だった。追い込んでしばらくすると上からノイズが落ちてきた。その衝撃で雪音のアームドギアが壊れ最後の一匹が雪音に襲いかかろうとした時に立花がかばった。

 

「お前なんで」

「ごめん、クリスちゃんに当たりそうだったから」

「バカにして!」

 

「命じたこともできないなんて」

 

 その声は恐ろしくそしていつからいたのかもわからなかった。そちらを向くとサングラスをかけた金髪の女の人が立っていた。

 雪音は何か言ってるがフィーネと名乗るそいつは炭素化したノイズを集めて再生させたものを俺たちに向けて放った。その間にフィーネと雪音は消えた。

 

「翼、立花を頼む。俺はもう少し調べてから帰る」

「了解した。無茶はするな」

 

 俺はその場から飛びギアを外して商店街をうろうろしていた。すると小さな女の子と男の子に文句を言ってる赤い服を着た女の子がいた。

 

「いじめるなって言ってんだろうが」

「お兄ちゃんをいじめるな」

「お前がいじめられてたんじゃないのか?」

「お父さんとはぐれたんだけど妹がもう歩けないって」

「ったく迷子かよ。だったらはなからそう言えよな」

「勝手に勘違いしたのはお前だろ。雪音クリス」

「っ!!」

 

 俺は声をかけた。すると雪音は後ろに飛んで俺を警戒した。

 

「今は戦う気は無い。それよりこの子達の親を探そう」

「わかったよ」

 

 俺たちはそこからその子たちの親を探していたが雪音は俺のことを警戒しまくっていた。まぁ仕方ないと思い俺は何も言わずに探しているとその子たちの親は見つかった。

 そこで別れて俺と雪音だけの2人きりになった。それにしてもこいつスタイルいいよな。

 

「それで何の用だ?」

「まぁそう警戒するなよ。今は本当にやる気がないんだ。なんならゲイボルグ渡そうか?」

「いやいい。やる気ないのは本当みたいだしな」

「それならコンビニでも行こうか。お腹すいてきたし」

「そこまで言うなら行ってやるよ」

 

 これでツンデレタイプか。珍しいな。まぁ翼は剣と言ってるしまだこっちの方がマシだな。

 中に入っていくと驚いたような顔で中を見渡していた。そして商品を取りそのまま出て行こうとしたのですぐに首をつかんだ。

 

「何すんだ!」

「何すんだ、じゃねぇ金を払わないといけないんだよ」

「はぁ?金?持ってねぇよ」

「わかった。それ貸せ。払ってやるよ」

「いらねぇ!施しは受けない」

「施しでも何でもねぇよ。ただ目の前に腹すかせてる女の子がいるからだ。それに元々俺から誘ったんだし気にすんな」

 

 そこから雪音はあんぱん2つと牛乳を籠の中に入れた。俺もパンとコーヒーを入れてそのままレジでお金を払いそして公園で座り俺はそれを渡した。

 

「あ、ありがとう」

「おう、そのかわり話してもらうぞ」

「な」

「そんなに大したことじゃない。何歳だ?」

「16だ」

「俺と同い年か。それとも一個上かな?二つ目はって言いたいところだけどやめだ。買収したみたいで嫌だからな」

「お前変わってんな」

「は!褒められてんのかわからねぇな」

「あはは、褒めてんだよ」

「へぇ」

 

 随分可愛らしい笑い方だ。それにピリピリした感じはなくなり俺に対しての警戒も解いてくれたみたいだ。

 そして食べ終わり帰ろうとするととめられた。

 

「今日はありがとう。それとお前私を捕まえなくていいのか?」

「やめって言ったろ。やる気がねぇし雪音を捕まえるのは嫌だしな」

「クリス、クリスって呼べよ」

「わかった。俺も誠って読んでもらおうかな。じゃあなクリス」

「ああ、じゃあな誠」

 

 そこで別れて俺は家に帰った




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7話

UAが3000超えてました。一つアンケを取るのでお願いします。
その他の場合はかんそうなどに誰がいいか送ってくださると嬉しいです
選択したらその中で一番多いところからまたアンケ取るのでお願いします




すいません一回アンケを消しました。
選択肢を変えてみたのでそちらでお願いします


 クリスと別れてしばらくすると弦十郎さんから電話がきた。こっちにかかってくるのはごく稀だ。あるとすれば極秘で話したいことなどがメインでかかってくる。

 

「はい?」

「夜遅くにすまないな。明日の明朝二課まで来てくれるか?できるだけ早いほうがいい」

「わかりました」

 

 その声は真剣そのもので本当に何かあったみたいだ。俺は早めに寝て次の日は朝の5時に起きて軽く持つものだけ持ち二課に向かった。行くとすでに弦十郎さんはいてそのほかは誰もいなかった。

 

「来てくれたか。実はある城に突入作戦を行う。このことは極秘裏にだ。そこで君にも参加してほしい」

「その間茜の無事が保証されるなら」

「約束しよう。奏を付けてさらにSPを5人体制でつけることにしよう」

「わかりました。いつ行くんですか?」

「今からだ」

「はい?」

 

 俺のそんな言葉を無視するかのように次々準備が進められた。そしてそのまま飛行機に乗りすごい辺鄙なところに着いた。そこから車に乗りついたのは本当に城だった。

 そして中に入ると人が死んでいた。

 

「違う!あたしじゃ」

 

 そう言ったのはクリスだった。そんなのはわかってる。それに弦十郎さんにはもう誰がやったのかわかっているみたいでクリスに声をかけている。

 そしてクリスは大泣きしてそのあと俺たちは帰ろうと車に乗り込んだ。そこで弦十郎さんがケータイ端末を渡した。

 

「限度内なら使えるぞ。また電話もできる便利ものだ」

「金はしっかり払えよ。盗むのはダメだぞ」

「うるせぇ!わかってるよ。それよりカディンギル。フィーネがそう言ってた」

「カディンギル」

 

 カディンギルとは一体なんだろう。俺には想像もつかない代物だ。しかし弦十郎さんはその言葉をつぶやいて俺たちは帰った。

 もちろん車の中で何があってなぜ知り合いなのかは聞かれたがうまく誤魔化した。

 そして日本に着いたのは5日後で真っ先に茜に謝りに行った。行くといつか一緒に出かけることを約束に何とか許してもらえた。

 それにしてもカディンギルか……調べてみるけど何にもヒットしない。まぁそんな簡単にはヒットしないとはいえここまでヒットしないとは何のことだろう。

 

 そしてまたノイズの反応が出た。しかもかなりでかい。俺は茜と奏を避難させて合流するとそのノイズは空を飛んでいた。

 下のノイズは次々に倒せるが頭上を飛んでいるのは別だ。しかも俺の斬撃や翼の蒼ノ一閃では威力不足だ。厄介だな。

 

「相手に頭上を取られることがこうも立ち回りにくいとは」

「空飛ぶノイズ一体どうすれば」

「あーもうめんどくせぇ!」

 

 そしてそんなことを呟いてると俺のところに空飛ぶタイプのノイズが飛んできた。とても間に合いそうにない。

 そこで俺のところスレスレで銃弾が飛んでそのノイズを蹴散らした。その方向を見るとクリスがやってきてくれたか。

 

「クリスちゃん来てくれたんだ!」

「勘違いするなよ。私はお前らを助けに来たわけじゃねぇ」

「いや、助っ人だ」

 

 その端末から弦十郎さんの声が聞こえてそれに便乗するのかように顔を真っ赤にするクリスがいた。

 そこからあたしは一人で十分と言わんばかりに突っ込んだ。翼が空中はクリスに任せて地上のノイズを俺たちで殲滅することになり開始した。けれどそんな状態でうまくいくはずもなく翼とクリスが言い合いを始めた。そこに立花が入り込んだ。

 

「何で私にはアームドギアがないんだろうって悩んでた。半人前はやだなぁって。でも今は思わない。だってこうして手をつなげるから」

 

 すると翼まで剣を置きクリスに対して手を伸ばした。それをクリスは戸惑いながらも手を掴みに行こうとしたところで焦らしたのか翼が掴むと反射的に離してしまった。

 そしてイチイバルの特性を聞き超射程広域攻撃だといい出力を上げてそれを放出しないで溜め込んだものを発射というものだ。

 

「その間は無防備だぞ。とてもこの状況でできることじゃない」

「そうだな。けどそんなのやることは決まってるだろ」

「そうですね。私たちでクリスちゃんを守れば」

「!!」

 

 そしてそこから俺たちは守りながら最後はきっちり決めてくれた。何とか空飛ぶノイズを倒し、俺は不信感を拭えなかった。これが自然に現れたやつならわかる。けれど女王型やここまで大量のノイズもし操られてるなら腑に落ちない。

 一体何のために……?

 そこで俺と立花のケータイが鳴った。

 

「お兄ちゃん!リディアンが襲われてる」

「響!リディアンが!」

 

 な、そういうことか。俺はすぐにゲイボルクをまとい、その場から飛び出していく。翼からの制止があった気もするが正直そんなこと気にしてる場合じゃない。そして俺は邪魔なものを片っ端から切り捨て最短でリディアンについた。

 そこはひどい状況で崩壊した校舎にノイズの大群。

 

「くそ、ふざけんなぁー」

 

 俺は剣を抜き入り口から次々にノイズを殺して校舎の中に入った。するとそこに茜がいてノイズに追われていた。

 

「間に合え!」

 

 地面を蹴りすぐにその間に入った。ノイズは俺の聖遺物の一部がかけて何とか守れた。そこからは茜を背負いすぐにシェルターに向かった。そこで緒川さんとも合流すると前にあった黒髪ショートボブの子が一緒にいてそのまま二課に行く道を辿った。そこで緒川さんは電話をしてカディンギルの正体がわかったと言ってた。

 そこでエレベーターが穴を開きそこから前に見た金髪のやつがネフュシタンの鎧をまとって来た。

 

「まさか足がつくとはな」

「カディンギルではなくカ・ディンギル。それは二課本部のことを示します」

 

 そこでエレベーターから出て緒川さんはすぐに銃を打ち込んだ。けれど聖遺物の前に銃は無意味だ。塞がれてそのあとどうしようか悩んだら

 

「待ちな了子」

 

 そういい天井をぶち抜いてやってきたのは弦十郎さんだった。いや待って、この天井ってかなり壊れないよね。俺の聖遺物でもヒビが限界だったし。この人マジの化け物だ。

 

「こいつらに手を出すならお前をぶっ倒す」

「まだその名で私を呼ぶか」

 

 ネフュシタンの鎧だ攻撃するがかわされてそこからお腹に強烈なのを食らっている。このままいければ問題ないけどそんなこともないんだよな。

 そして一瞬の隙を突かれて弦十郎さんのお腹に穴が空いた。

 

「さて、行くか」

「ちょっと待てよ。俺が相手だよ」

「お前に用はない。私が用があるのはこの先の場所だ」

「この先?」

 

 そういい歩いていき、俺は先に司令の怪我の治療をすることにした。そして一息ついたところでみんなには隠れてもらい俺は天井を破って外に出ると立花たちもきていた。

 

「誠さん!」

「立花、もうすでにフィーネはきてる」

 

 そこに櫻井女史の姿で後者の上に立っていた。それに立花が反応してクリスはフィーネというが笑い声しかあげない。

 そして眼鏡を外すと青白い光が包み込み金髪のフィーネになった。

 話を続けていくと過去に何度も転生しているようだ。

 

「全てはカ・ディンギルのため」

 

 そういうと地面がせり上がり二課本部がせり上がり一つの塔になった。これがカ・ディンギルの正体。

 そんなものを一体何に。

 

「これを何に?」

「バラルの呪詛を解くために月を破壊する」

 

 そしてエネルギーが充填され始めた。その時間およそ15分。その間に決着をつけて破壊する。

 全員が身にシンフォギアをまとい戦闘態勢に入って攻撃していくが攻撃が全て弾かれるか避けられる。本当に聖遺物の始祖なのかもしれない、そう思わせるには十分だ。

 そしてクリスが俺たちに目配せをしてきた。それは時間稼ぎのためにだ。そこから時間を稼ぎクリスは特大のミサイルを二発発射させ一発をカ・ディンギルにそれは防がられもう一発は自分が乗ってどんどん上に進む。

 そしてカ・ディンギルの発射に合わせて

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal

 Emustolronzen fine el baral zizzl

 Gatrandis babel ziggurat edenal

 Emustolronzen fine el zizzl」

 

「な!」

 

 あいつ死ぬきか。あれだけ安くないって言ってたのに。そして発射とクリスの絶唱がぶつかり合いその軌道を月のカケラだけ破壊することに成功した。

 

 

 

 

 

 

 

 あたしが時間を稼いでもらったのはカ・ディンギルを止めるためだ。そして一発をフィーネへの陽動に使い、もう一発はカ・ディンギルに向けて放ったがフィーネに防がれる。

 ここまでは想定内だ。あたしはすぐにもう一発のミサイルに飛び乗りそのまま上昇してカ・ディンギルの射線に入った。

 そのまま絶唱を口にした。

 

 あたしはパパとママの夢を引き継ぐんだ。歌で世界を平和にしてみせる。あたしの歌はそのために。それに誠の未来をこんなところで終わらせたりしない。また会えたら今度はもっと……

 

 

 

 

 

 

 

 俺が目にしたのはカ・デインギルの一点収束を受け止めて、絶唱の反動でギアが崩れて落ちていくクリスだった。

 

「まだ私クリスちゃんの夢聞いてないよ」

「自分を殺して月への直撃を阻止したか。無駄なことを」

「笑ったのか!命をかけてまで世界を守った雪音を」

「テメェ殺してやる」

 

 すると立花があの時、デュランダル輸送計画の時のように暴走し始めた。その力は凄まじくフィーネを追い込んでいくが見境がない。

 そしてフィーネからターゲットから俺たちに変わった。俺はかわせるが翼は所々に傷を負っている。

 そして剣を置き立花を抱きしめた。その衝撃で立花の手は血に染まっているがそれ以上動かなかった。その瞬間に翼は影縫いで動きを止めてフィーネに向き合った。

 

「立花、奏から継いだ力をそんな風に使わないでくれ」

 

「待たせたな」

「どこまでも剣というわけか」

「今日に折れて死んでも明日に人として歌うために……風鳴翼が歌うのは戦場(いくさば)ばかりでないとしれ」

 

 そこから翼は特攻を仕掛ける。それに続き俺もしていき最後に天ノ逆鱗を放ちその反動で翼はカ・ディンギルに向かって突撃していった。

 

「初めから狙いはカ・ディンギルか!」

 

 フィーネはネフュシタンを伸ばして翼に直撃させた。すると翼は諦めたかのように落ちてきたがまた光を灯して飛び始めた。

 そしてカ・ディンギルは壊れた。フィーネはそれに怒り立花に近づくが俺が立ちふさがった。

 

「邪魔をするのか」

「翼とクリスが残したこの世界。希望は立花だ。必ず守り抜く」

 

 そこから戦いが始まった。けれど始まってしばらくすると出力の差がではじめた。そして俺は打開する方法として

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal

 Emustolronzen fine el baral zizzl

 Gatrandis babel ziggurat edenal

 Emustolronzen fine el zizzl」

 

 俺を中心に大爆発が起こりフィーネはボロボロに鳴り俺はバックファイアで指の一本すら動かさなくなった。けれどフィーネの傷は徐々に回復していき元どおりになった。

 そこからフィーネは昔話を初めていき

 

「統一言語にて胸の内の思い話すつもりだった」

「思い?そんなこと」

「是非を問うだと!?恋心も知らぬお前が」

 

 そこから立花をさらに殴っていき立花も俺も動けなくなった。けれど歌が聞こえ始めた。この歌はリディアンの校歌か。

 

「どこから聞こえてくる。この不快な歌は。歌?」

「聞こえるみんなの声が。支えてくれるみんなの声が。まだ歌える!頑張れる!戦える」

「まだ戦えるだと。何を支えに立ち上がる。何を握って力と変える。鳴り渡る不快な歌の仕業か。そうだお前が纏ってるものはなんだ。心は確かにおり砕いたはず。お前が纏うそれは一体なんなのだ!」

 

「シンフォギアァァァァァァァァ」

 

 そして他にも二箇所から出てそれは翼とクリスだった。みんなが纏ってるギアは白だったが俺のは()()()()




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8話

お気に入り40件突破
UA4000件突破しました。
これからもよろしくお願いします


ヒロインの件は全員が圧倒的に多かったので今はその感じで進めていきます。
またここから変わるかもしれませんが…


 俺たちがギアを纏うとフィーネは悔しいのかすごい数のノイズを呼び出した。上から見てもその数は凄まじい。大地の色が変わるほどだった。けれどそんなの今は関係ない。クリスが飛び出し響は翼に謝ってるが翼は気にしてないと言った。

 そしてこのギアの性能を試すとみんなはすごい出力が上がって俺は上がりすぎて制御が前ほどうまくいかない。けれど出来ないわけじゃないので誤魔化しながらノイズを蹴散らした。

 みんなが纏うギアの威力は凄まじくあっという間にノイズの群れをあっという間に蹴散らした。

 するとその間にフィーネがその杖を自分に刺した。するとノイズの群れが俺たちに構わずフィーネにまとわりつき始めた。

 

「ノイズに取り込まれてる?」

「いや、違う。あいつがノイズを取り込んでんだ!」

 

 

 

「来たれデュランダル」

 

 そしてそのフィーネが取り込んだものは赤くまるで龍を表していた。そしてそいつはビームを放つと街が半壊した。

 

「逆さ鱗に触れたのだ相応の覚悟はできておろうな」

 

 そこからビームの連発で俺たちは避けながら攻撃をするが全く通らない。いや通らないというより再生されている。

 

「いくら限定解除したギアでも所詮は聖遺物の欠けらから作り出した玩具。完全聖遺物に対抗できるなどと思うてくれるな」

「ならこれならどうだ」

 

 俺は連撃を溜めて巨大な一つの斬撃にした。それを当てると真っ二つに切れたが再び引っ付いた。そこで俺は翼とクリスにあのデュランダルを奪えばいいと連絡した。

 それには立花の協力と力が必要不可欠だ。俺たちは3人で特攻を開始してまずは翼が目くらましと穴を空けるために巨大なものを飛ばす。

 そこに俺とクリスが突っ込み中で暴れてデュランダルを飛ばした。

 

「そいつが切り札だ」

「あっ!」

「勝機をこぼすな。摑み取れ」

「ちょっせぇ」

 

 クリスが銃弾でそれを飛ばす。そして立花が掴むがやはり対抗できていない。そこで校庭の一部から煙が立った。

 

「正念場だ。踏ん張りどころだろうが」

「強く自分を意識してください」

「昨日までの自分を」

「これからなりたい自分を」

 

 俺たち3人も立花の近くに行き声をかけた。

 

「屈するな立花。お前が構えた胸の覚悟私に見せてくれ」

「お前を信じお前に全部かけてんだ。お前が信じなくてどーすんだ」

「お前だけじゃない。他のみんなも戦ってんだ。期待に応えてくれ」

 

「あなたのお節介を」

「あんたの人助けを」

「今日は私たちが」

 

「かしましい。黙らせてやる」

 

 フィーネが邪魔をしてくるがデュランダルのエネルギーそれに俺たちのギアから発せられるエネルギーで届かない。

 そのまま暴走した状態で振り下ろそうとした瞬間

 

「響ー」

 

 その声が聞こえた。すると立花の暴走は収まりそのまま振り降ろすと完全聖遺物同士の衝突で大爆発が起きた。その瞬間に俺と立花は飛んでフィーネを助けた。

 そしてフィーネに立花は和解を試みるがこれまで生きてきたフィーネは聞く耳を持たない。

 そして過去のことを話し始めた。それは恐ろしいもので統一言語を失った人間がノイズを生み出し殺し合いの世界だったらしい。

 

「人が言葉よりも繋がれることわからない私たちじゃありません」

 

 しばらくの沈黙が続きフィーネは立花に向けてネフュシタンを放ったが避けられて腹に拳を持っていかれ俺は首に刀を構えた。

 

「私の勝ちだぁー」

 

 その先を見てみるとネフュシタンは果てしなく伸びていき月のかけらに刺さった。

 そしてそのまま振り下ろして欠けらが落ちてきた。

 

「私は永遠の刹那に存在し続ける巫女フィーネなのだ」

「うんそうですよね。何処かの場所、いつかの未来蘇るたびに何度でも私の代わりに伝えてください。一つになるのに力なんていらない。言葉を超えて手をつなげるということ。それは了子さんにしかできないんです」

「お前まさか」

「だから私が今を守って見せますね」

「ほんとにもう放っておけない子なんだから。胸の歌を信じなさい。

 そして誠くん。あなたのゲイボルグはもう半分あるわ」

 

 そこまで言うとフィーネは塵となり消えた。そのことにショックを受けているやつらも多いみたいだ。

 

「軌道計算完了しました。直撃は避けられません」

「あんな物が落ちてきたら」

 

「響」

「なんとかする」

 

 その顔にはとてつもない覚悟が見えた。

 

「ちょーといってくるから。生きるのを諦めないで」

 

 そして立花は月に向けて飛んだ。それはとても早く覚悟の証でもあるためだ。

 その直後にクリスと翼も飛んで行った。2人とも究極のお人好しだから。

 そして俺も行こうとすると後ろから手を掴まれみるとそれは茜だった。

 

「お兄ちゃんも行く気なの?」

「ああ、俺も行かないとな。それに知らんふりできるほど俺はあいつらとの関係は薄くないしな」

「いや、行かないで」

「ほら泣くなよ」

 

 俺は手を頭に乗せてそして無理やり手を離して飛んだ。もうすでに他の奴らは攻撃体制に入ってる。

 翼は特大の剣をクリスは大量のミサイルをそして立花は腕の力を最大限まで溜めていた。

 俺は間に合うかの瀬戸際だった。そして3人はすぐに攻撃を開始したため俺はギリギリ間にあわなかったが3人が爆発の衝撃までコーティングしたため3人とも意識がない状態で落ちてきたのを俺は支えた。

 そのまま俺は抱き抱え降りていこうとすると俺のギアの限定解除が解けた。それはこの空間での残存が無理になり俺はすぐに3人のコーティングを開始して3人を包むようにゲイボルクを構えた。

 それは俺自身の纏う部分がほとんどなくなり体のいたるところから血が吹き出してきた。

 

「これはちょっとやばいかもな」

 

 そうつぶやくが3人のギアも外れている。この状態で外に触れたら大変なことになる。

 俺は降りるスピードがかなり遅くなったがそのままゆっくりとなんとかそこを抜け出し地球内に入ったがほとんど成層圏と変わらないのでまだ気は抜けなかった。

 そこで俺に対して通信が入った。

 

「誠くん。無事だったか」

「なん……とか。それより?」

「今から指定するところに来てくれ。他の国がうるさいのでな」

「了解」

 

 俺はそのままそこに行き近くになるとギアが外れてもう無理だと思った時に弦十郎さんに受け止めてもらえた。

 

「おい、誠くん!大丈夫か!」

「俺は……いいから早く3人を」

「ああ、必ず助ける」

 

 俺はその言葉を聞き意識を落とした。そして次に目が覚めるとベッドの上だった。まだ生きてたのか。

 

「「誠!」」

「誠さん」

 

 翼とクリス、立花はすごく心配してきた。その顔は泣いていたのか目が腫れていた。

 全くまた心配かけたな。

 

「悪りぃ。心配かけたな」

「そんなことはどうでもいいんだよ!体は大丈夫なのか?」

「そうだぞ。私たちが言えた義理ではないが無茶をしすぎだ」

「そうですよ。本当に心配しました。特にクリスちゃんなんてすごい心配してましたからね」

「お前」

 

 そのままクリスの顔は真っ赤になり、立花を掴んで頭を叩いていた。

 全く起きて早々に騒がしいなここは。それにしても俺はその後のことをよく知らない。なんでこんなところにいるんだろう。

 

「その疑問はそろそろくる人が教えてくれるぞ」

「クリス心を読むのはやめてくれ」

「そうか?まぁ誠はかなりわかりやすいからな」

 

 そう言われて少しショックだ。かなりポーカーフェイスには自信があったのに。そこでドアをノックして返事をする前に弦十郎さんがやってきた。

 

「おお、起きたか誠くん」

「ええ、もう大丈夫です」

「そうかそれは良かった。ならできるな」

「ん?」

 

 そこで俺たちは移動した。俺は足元がしっかりしないまま移動したのでクリスが肩を貸してくれてそのまま移動した。移動した先に用意されていたのはパーティ会場と言うべきか、それ以外の言葉が見つからないところだった。

 

「ではクリスくん」

「え?」

「二課に頼もしい人物が加わった。第2号聖遺物の奏者雪音クリスくんだ」

「雪音……クリス」

「そして今日をもって奏者たちの行動規制も解除される」

 

 この言葉は俺に現実感をもたらした。そして俺たちはパーティを楽しみつもりでみんな始まった。しばらくするとノイズの反応が出たらしく俺たちはすぐに出動した。

 

 

 

 

 

 

 

 少し前

 お兄ちゃんが行っちゃった。そのまま月のかけらは破壊されたけどお兄ちゃんは他のみんなは帰って来ななかった。

 そして3週間が経ちお兄ちゃんたちの捜索は打ち切られた。そしてあれ以降私と未来はお墓に毎日行っている。それぞれが渡した写真だけが飾られている。その日は雨で傘を差すはずだけど私と未来は傘もささずにバスに乗ってお墓に向かった。お墓といってもこの中にお兄ちゃんはいないしそれは響も一緒だ。

 

「いやだよ。私が見たかったのは響と一緒に見る流れ星なんだよ」

 

 未来は耐えきれずにここにくるたびに何か言ってる。私は正直心の中が裂けそうだ。お兄ちゃんがいない世界なんて……

 

「キャァァァァァァァァァ」

 

 私と未来は顔を合わせて声のする方に向かった。そこではノイズに囲まれてる女の人がいて私と未来は手を掴んで逃げた。

 そして逃げて逃げてその女の人はもう無理といっても倒れた。私と未来はかばうように前に立ってギリギリまでくるとノイズが切り裂かれたり衝撃で飛ばされたりした。

 

「「え?」」

 

「ごめん機密とかなんとか守らなくちゃいけなくって。また未来には本当のことが言えなかったんだ」

「悪いな茜。俺も目が覚めたのはさっきなんだよ。また心配かけたな」

 

 私と未来は泣きながらお兄ちゃんと響に走って飛んで行った。それを受け止めてお兄ちゃんは頭を撫でてくれた。

 それは大好きなお兄ちゃんからのことで他の誰にもできないことだった。

 

 

 

 

 

 

 全く本当に大変だったんだな。泣きながら俺の背中を掴んでもう離さないとでも言われてる気分だ。

 

「全くそういうことは家出してほしいな」

「家ならいいのか!どうかしてるぞ突起物」

 

 なんて声が聞こえてるが今はこっちの方が優先だ。茜は泣き止むと俺の手に腕に絡めてきてまるで恋人だ。離してもまたやってくるのでもう諦めた。

 俺にはそれより気がかりなことがある。フィーネが最後に言っていた言葉、ゲイボルグはこれではまだ半分。それにもう半分もあると言ってた。

 

「帰ってご飯にしよ!奏さんもくるって言ってたよ」

「なに!奏もくるのか?」

「翼もくるか?」

「いいのか?」

「別に構わないさ」

「なら……あたしも

「なんだ?クリスも来たいのか?」

「そんなこと言ってねぇ!ただ行ってやってもいいが」

 

 そこでみんなに笑いが起きた。本当にツンデレだな。見てて面白いし可愛いと思う。すると横腹に痛みが走った。見てみると睨みながら茜がグーで殴っていた。

 なんとか抑えるとそこからはしてこなくなり結局立花に小日向も加えたメンバーで家に来ることになりその後は結局パーティになったんだった。

 




感想や評価を下さると泣きながら読みます


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9話

ここから数話休憩回です。



UAが5000、お気に入りが50件超えました。本当に嬉しいです
これからもよろしくお願いします


 俺は今かなりの難問にぶち当たってる。学校の勉強とかではないが目の前の状況の打開に頭を悩ませる。

 それもこれも茜が変なことを言うからでそれに乗った弦十郎さんも悪いだが……

 

 

 

 

 

 

 俺の部屋でパーティをした次の日俺たち奏者に奏、茜、小日向は呼ばれた。

 

「よくきてくれた。実は君たちに纏っては無理だが休暇も必要だろうと思ってな」

「賛成です!お兄ちゃんと一緒に出かけたいので」

「お、おい。茜」

「はいはーい。私も行きたいです」

「響まで!?」

「あたしも行きたいぞ。楽しそうだしな」

「奏まで!」

「そういうことなら私も行ってみたいな」

「翼まで、っていうかこの流れは」

「そういうことならあたしも行くぞ。面白そうだしな」

「む、むぅこれは困ったな」

「どうするんですか!?収集つかなくなりましたよ」

 

 そんなことを言ってると前で藤沢さんと友里さんは笑ってる。人ごとだと思ってあんまり助け舟を出してくれない。

 弦十郎さんも観念したようで一歩引いた位置から見守っている。撒いた種はしっかり取ってもらわないと困るんですが……

 そしてその場で解散になり結局今に至る。場所が変わり俺の家になったのだが今も変わらず言い合いを続けている。

 

「それならくじにしよう。文句なしな」

 

 その一言でみんな納得したようだ。なんとなくノリで行っていたもので終わるところが見えないっていうものもあったのだろう。その場であみだくじを作るとクリスと翼、奏になった。

 もっとも奏と翼は来週からライブの準備なので今日にしてクリスは明日になった。

 そんなこんなで話し合いは終わり今日の昼から奏と翼はやって来るみたいだ。みんなは帰り俺も準備をすると茜がやってきて服を選び出した。まぁ俺のセンスは皆無だから助かるがなんだか冷めてる。

 

「あー、茜また今度一緒に出かけるか?」

「うん!」

 

 それで機嫌は良くなり服を選んだが俺の持ってる服の数なんてたかが知れてる。そして首にかかってるゲイボルグを外して普通のネックレスにしてゲイボルグはポケットに入れた。

 服も上下黒の服とジーパン、その上に白いカッターシャツを着るだけという超簡単なのにした。これなら目立たないと思う。

 

「そんなことないと思うよお兄ちゃん」

「しれっと心を読むな」

「妹だもん」

 

 それはまぁいいか。いずれ分かることだし。それに俺も知らないことが多いから。

 そして昼飯は家で食べていき集合場所に着くと2人はすごい視線を浴びてた。一応トップアーティストだからバレないように変装してるがそれでも滲み出るオーラがあるんだろう。

 そして2人と合流すると安心したような顔になりとりあえずその場から離れることにした。

 

「バレると思わなかったんだけどな」

「なんかオーラ的なのが出てたんじゃねえかな?」

「本当に驚いた。まさか私までもがこんな格好で外に出るなんて」

 

 たしかに翼はいつもの格好とは少し違う。いつもなら繋がった服を好んで着るが今日はかなり短いスカートを履いている。多分奏に着せられたんだろうけど……

 俺たちは移動してとりあえず喫茶店に入った。席は端の方にしてなるべく目立たないようにした。

 そのまま俺はブラックを奏はカフェオレ、翼はカフェモカにした。

 翼は案外甘党かもしれない。

 

「それでその相手なんて名前だった?」

「確かマリア・カデンツァヴナ・イヴだった」

「ながい!」

 

 俺が言った通り長い。けれど人の名前なんて傷つけてもいいものじゃないので印象だけだ。それにたしかそいつかなりすごかったはず。

 たった2ヶ月でアメリカのいや世界のトップアーティストの1人になっている。それと翼、奏のコラボなんてなかなかないし間違いなく若手の世界トップレベルだ。

 けれど胸騒ぎが収まらない。まるで小さい時に親と別れる時にきっかけになった旅行みたいだ。

 俺たちはカフェでいろんなことを話しいろんなことを聞いた。今の翼のこと、奏が二課で何をしているかなどいろんなことを聞くと俺もいろんなことを聞かれた。

 

「そういえば誠の好きな女のタイプってどんなんなんだ?」

「ブッ!」

 

 奏がそんな恐ろしいことを言うから何にも飲んでないのにむせた。それに俺に好きな子なんてできるわけがない。

 こんな()()()ばかりの俺に……

 

「そうだな。またいつか教えるよ」

「なんだよケチだな」

「奏、そんなに言わなくても……」

 

 翼が助け舟を出してくれて奏からの追求は逃れられた。そこからは俺たちは何も頼まず喋りしばらくすると店を出た。そこからはどこに行こうか悩んでると奏がコーデすると言ってついて行った。

 そしてついたのは男性の服が置いてあるところの店だった。

 

「奏、男用なんて買うのか?」

「何言ってんだ?これ誠のコーデだぞ」

「はぁ?」

「奏の言う通りだ。誠も少しはオシャレをしないとな」

 

 翼まで乗ってきた。というか笑いをこらえながら言ってるし、何より翼にそんなことを言われるのはショックだ。自分もさほど興味がないくせに……

 そこから奏に捕まり翼もたまに混じってのコーデが始まった。それは俺にとっては滅茶滅茶長かったが2人とも笑いながらコーデを始めて結局そのまま時間が経ち気づくと太陽はもう沈みかけていた。

 俺は2人を送り届けてそのあとに警戒警報がなった。

 

「はぁ今日もか」

「すまん、誠くん。クリスくんも現場に向かっているから急行してくれ」

 

 

 翼と立花は遠いため非番だ。それに数はそこまで多くないらしく俺とクリスだけで大丈夫らしい。

 現場に着くとクリスがヘリの中から飛び降りてやって来た。そのままシンフォギアを纏い俺の目前で着地をしたが派手な登場だ。

 

「ほらさっさと行くぞ」

「やれやれ、行くか」

 

 俺たちはそこから散開しつつノイズを蹴散らした。本当に数は少なくすぐに終わり俺たちはシンフォギアを外した。

 するとクリスは顔を赤くして近くにやって来て後ろに立った。

 

「明日のこと覚えてるよな?」

「もちろんだ」

「なら、明日の昼は抜いてあたしの家に来てくれ」

「りょーかい」

 

 それよりこの体勢をなんとかしてほしい。クリスが後ろにきてるから暴力的なものが当たってます。今この場に誰もいなくてよかった。

 もし誰かいたら殺される。それが茜なんてものだったら……

 

「なーにしてるのかな?お・に・いちゃん?」

「へ?」

 

 俺が振り返るとそこには顔に見えてない怒りのマークを浮かべた茜が立っていた。なぜここにとか考えてる暇はない。クリスも気づいたようで少し恥ずかしながら離れた。

 クリスは逃げるようにギアを纏ってすぐに逃げ出した。俺は追いかけながらなんとか家まで着き、そのまま玄関でのお説教をくらった。




感想や評価を下さると本当に嬉しいです





少しだけゲイボルグの能力説明
本来は槍のみの能力だが誠が持つことによりいろんな武器に変化可能
そして今の所わかってる能力は斬撃の連写。
そしてそれを一つにまとめて巨大な斬撃を作ることが可能。
空間隔離(これはまだ一回しか使ってません)
絶唱負荷肩代わり


今のところはこんな感じです



ちなみにXV見ました。これからが楽しみな展開でしたね


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10話

UAが6000件超えました。
お気に入りが60件超えました
これからもよろしくお願いします


 俺は朝起きて着替えるとクリスの家に向かった。そして家を出ると重要なことに気づいた。俺クリスの家しらねぇ。

 すぐに電話をかけてみると早くから起こすなと言われ要件を言うとすぐに目が覚めたみたいだ。そのまま場所を教えてもらい、向かうとクリスが出迎えてくれてそのまま中に入った。

 

「広いな」

「そうか?まぁあたしが用意したわけじゃないけど」

「あーなるほど。弦十郎さんか」

「そういうことだ。しばらくゆっくりしててくれ。まだできてないんだ」

「???」

 

 そのままソファーに座らせてもらいゆっくりしてるとなんかいい匂いがする。その方向を見てみるとクリスがキッチンに立ち料理をしていて、そのことに驚きを隠せなかった。

 そして出てきたのは色とりどりに盛られたサンドウィッチだった。

 

「どうした?食べねぇのか?」

「いや、なんでも。いただきます」

 

 食べるとそこからへんの店より美味かった。いや本当に。ある意味奏の料理よりも驚きを隠せない。食べ終わりしばらくするとクリスは着替えてきて出かける準備を始めたので俺も皿を片付けてその準備を待った。

 

「行くか」

「そ、そうだな(何にも言ってくれないんだな)」

「それとよく似合ってるよクリス」

「〜////うるせー。早く行くぞ(気づいててくれたんだ)」

 

 クリスは顔を真っ赤になって早々と家を出た。そしてそのまま俺の方を一度も向かないでそのままショッピングモールに入っていった。今日の目的はクリスの服を買うことらしい。それに俺の意見が欲しいとかなんとか。どうして俺なんだろう。

 そのまま服を見に行き途中のアクセサリーショップが目に入った。

 

「なんだ?どうかしたのか?」

「いいや、なんでもないよ」

 

 そこにあった赤いアクセがクラスに合いそうだった。クリスが服を選んでる間に俺はそれを買いに行った。

 そして戻り服を選ぼうとすると警戒警報がなった。

 

「誠くん、クリスくん、ノイズが出た。頼む」

「わーったよ」

「了解」

 

 そこで通話が切れクリスの方を見てみるともうすでにブチギレていた。俺の制止なんて聞かずにギアをまとい向かってそこで早速ぶっ放し始めた。それは周りのことなんて見えておらず御構い無しだ。

 

「クソガァー」

 

 何をそんなに怒ってるんだろう?けどこれはやばいな。そう思った矢先クリスのミサイルがまだ避難の終わってない人たちに飛んで行った。

 

「ヤバイ!」

「落ち着け。俺がなんとかする」

 

 俺はミサイルと人の間に入り込みこっちに来る間に考え始めた。後もうすぐでぶつかる。たとえ切っても左右に弾けてその爆風で怪我する人がいるだろう。なら一か八かミサイルの軌道を変える。

 俺の直前に来た途端に剣の先で軌道を人よりも高くした。そのまま進んでいきそのミサイルは空で爆発して何も被害はなかった。

 その後もノイズを退けなんとかその場は収束した。

 

「す、すまねぇ。迷惑をかけた」

「気にすんな。誰も怪我してねぇんだしそれ以上は何もいらないだろ」

「けどな!」

「いいから後ろ向けって」

「なんだってんだ……冷た!」

「うん、よく似合ってる」

「これって」

「クリスに似合うと思って。けどよかった、よく似合ってる」

「あ、ありがと」

 

 顔を真っ赤にしながらお礼を言うクリスはとても可愛らしく()()()()なら惚れていると思う。けど俺はこいつのせいでそんな感情は制御されているから無理だ。

 クリスはそのまま何も言わずに帰り始めたので俺はクリスを送り届けて俺も自宅に帰った。

 

 

 

 

 自宅に帰ると俺はすぐに確認をされた。それは呪いにも似たもの、いや呪いそのものの確認だから。

 

「確認終了、これからも尽くすといい」

「そんな言い方!」

「いいんだよ茜。俺にはこれしかないから」

「でも!」

 

 そういいそいつは消えた。帰ったとかそんなんじゃなくて文字通り消えた。相変わらず全くの気配がない。

 茜は不機嫌ながらも飯を作ってくれた。そして不機嫌は治ることなくそのまま食べ終わって風呂から出てきてもその状態だった。俺は自分の部屋に戻り眠ろうとすると部屋のドアが鳴った。

 

「お兄ちゃん。いい?」

「いいよ」

「一緒に寝てもいい?」

「全くしょうがないな」

 

 茜は入ってきて一緒のベッドに寝転んだ。茜は文句を言いながら眠ったが俺はまだ眠れない。確認の際に傷を必ずつけられるのだがそれの痛みで眠ることができないのだ。結局眠ることができずに俺はそのまま朝を迎えた。

 朝体を起こして背中の様子を見るとだいぶひどかった。久しぶりにしたせいもあるが目を背けたくなるような状況だ。茜が血を止めてはくれたけど一部がえぐり取られているのだから目も背けたくなる。

 茜も起きてきてその部分に包帯を巻いてくれて、そして朝飯を作った。食べて学校に行くと何もなかったかのように装い学校では何もなく放課後二課に向かった。

 

「クリスちゃん!そのネックレスどうしたの!?」

「だーうるせー。秘密だ秘密」

「うむ、確かに気になるな。雪音教えて欲しいが」

「だから秘密だってんだ」

 

 クリスが昨日あげたネックレスについて質問責めにあってる。けれどそれを言いたくないみたいだ。まぁなんで言わないのかはなんとなくわかるけど。翼はともかく立花はえらくおちょくってくるだろう。

 そして司令がやってきた。

 

「みんな揃ってるようだな。それで今回のライブで翼と奏はしばらく任務につけなくなる。しばらくの間クリスくんと響くんで対応してもらうことになると思うが頼む」

「あれ?師匠。誠さんは?」

「誠くんには翼と奏のガードについてもらう。緒川もいるが念のためだな」

「初めて聞かされたんですけど」

「今言ったからな」

「わかりました」

 

 これで俺も会うことになった。そのマリアという若き世界のトップアーティストに。

 それにしてもこの胸騒ぎはなんだろ?さっきから収まらない。けれどその日はノイズの警報もなく杞憂だと思い家に帰り準備を始めた。その間は弦十郎さんが守ってくれるらしい。これ以上ないぐらいの警備なのでもういうことはない。茜には理由を説明し、納得してもらい俺は明日に向けて準備を終え眠った。

 

 朝起きるとリビングには奏と翼がもうきており寝坊したかと思ったが時間はまだあった。

 

「早いな」

「あはは翼が誠は寝坊するから早く行こうってうるさくてな」

「翼は俺となんだと思ってるんだよ」

「い、いやなんとなくだがすると思ったんだ」

 

 茜はすでに朝食を済ませて、奏と翼も終わってるみたいだ。2人はコーヒーを飲んで俺を待っていたので軽く済ませて家を出た。

 車に乗り込み会場に着くとすでにそのマリアはいた。また見ると派手な髪の色をしており、黒髪の俺がおかしいかと思う。

 

「あら、そちらの方は?」

「司誠です。今回は2人のマネージャーで来ました」

「そう。マリア・カデンツァヴァナ・イヴです。よろしくね」

 

 そういい握手を求められたので俺も握手をしてその場を後にした。そして俺はそのマリアの首にかかっていたネックレスが気になって仕方なく、けれど聞く方法もなかったのでそれを聞かずじまいになった。

 その日からは奏翼を加えて3人でのレッスンやマリアと翼、または奏が合わせたりしてその日も終えそこからそんな日々ばかり続いて俺は退屈で仕方なかった。やることといえばレッスン終わりに飲み物を渡したりするぐらいでそれ以外は緒川さんが全部してくれていたので本当にいるだけになった。

 そして本番の前日にマリアに呼び出されて何かと思い部屋に向かった。入るとすでにお風呂を済ませたのかバスローブ姿でいたのですぐに普通のパジャマに着替えてもらい話を聞いた。

 

「あなた本当はなんのためにここに来たのかしら?」

「はい?言ってる意味がわからないんだけど」

「あなた何もしてないからもしかしたら護衛か何かできたのかと思ってね」

 

 こいつなんて鋭さだ。いや、ここ最近の俺の動きを見てたら当然かもしれないな。本当に何もしてないから。

 

「例えば護衛だとして俺にそんな力があると?」

「あるじゃない。その力が」

「!!お前一体?」

「あら、これ以上は愚問ね。時間を取らせてごめんなさい。もう大丈夫よ」

 

 俺もその言葉を聞きすぐに部屋から出た。部屋から出てしばらくすると過呼吸になりその場でうずくまり倒れた。

 

「誠!?」

「ハァハァ」

「ゆっくり息をしろ。ゆっくり」

「ハァーハァー」

 

 そしてその方向を見てみると奏が立っておりまた助けられた。立ち上がり俺たちは少し移動して飲み物を買った。奏は何も話さず俺から切り出した。

 

「悪い助かった」

「いいや、いいさ。それよりどうしたんだ?」

「ちょっとしんどくなってな。それでだよ」

「そっか……」

 

 それ以上は何も話さず奏を部屋に送り届けて俺は1人部屋で怯えていた。あいつはなぜ俺のこの力を知っている?なぜ俺がゲイボルグの奏者だと知っている。考えたらキリがない。結局1人ベッドの上で布団をかぶって座りながら怯えて朝を迎えた。




活動報告にヒロイン名を書く場所を作りました。
書いてくださると嬉しいです。
また全員が多かったのですがその次は1期が多かったです。
これは目処にさせていただきます

アンケートに実施してくださった方には申し訳ないですけど書いて欲しいと思います。


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シンフォギアG
11話


お気に入り70件UA8000件超えました。
ありがとうございます


そしてライブの日がやってきた。俺は舞台袖で見ているだけだが最初は奏とマリア、次の翼とマリアが始まりそして終わった。そこで事件が起こった。

 

「そしてもう一つ」

 

その言葉と同時にマリアの衣装をなびかせるとノイズが現れた。けれど誰も襲わずそこにいるだけだ。そしてそこで

 

「Granzizel bilfen gungnir zizzl」

「な!」

 

その聖詠はガングニールの聖詠のはず。なぜこいつが!そしてそれを纏い立花とはちがう黒いガングニールだった。そして全世界への宣戦布告を行った。そして翼にも襲いかかって奏にも襲いかかって俺は奏の前に立ちふさがった。ゲイボルグを纏い槍を刀で受けた。

 

「なるほどそれが()()()のゲイボルグなのね」

「あなた?」

「誠、奏を頼む」

「任せろ」

 

そこから何度も攻撃してくるが俺には聞くわけがない。そもそもの出力が違うのだから。そして標的を奏から翼に切り替えた。だが、翼はギアを纏えず生身のまま逃げるだけで精一杯だ。俺はともかく翼はアーティストでその正体がシンフォギア奏者なんて知れたらただじゃ済まないから全世界に放送されているこの状況では纏おうにも纏えずにいた。

しばらくすると全部の放送が切れた。

 

「なに!」

「Imyuteus amenohabakiri tron」

 

翼はギアを纏い反撃を始めた。俺は降りてきた緒川さんに奏を託して俺も行こうとすると横から投擲物が飛んできた。

それで俺と翼は飛ばされて柵に叩きつけられる形になった。

 

「危機一髪」

「貴様みたいなのはそうやって」

「上か!」

 

そこで立花とクリスも援軍で来てくれて4対3になった。この時点で降伏するはずなのになぜかあいつらの目はそれをしない。そしてその答えはすぐにわかった。そこにもう一つとてつもない斬撃が飛んできた。これは俺が受けるしかないと思い前に立ち受けて飛ばしてきた方を見るとありえない人物が立っていた。

 

「よお久しぶりだな誠」

「おいどういうことだ、答えろ」

「そんな答えが必要か?今この状況こそ答えだろう」

「どういうことだ!竜司!お前!」

「さてお前のゲイボルグをもらうか」

 

そういい竜司はゲイボルグを纏った。いや、それならさっきの斬撃は一体?頭の処理が追いつかずいくら考えても答えが出てこない。

すると一瞬で距離を詰められて刀をふってきた。俺のは剣の形だが竜司のは刀の形をしている。実際刀と剣では耐久性などは剣の方が強いが剣の初速なんかは刀の方がはるかに早い。

けどこんなところで負けられない。俺はなんとか対応するとそこは誰の侵入も許さない斬撃の空間になった。

 

「はは、想定以上だよ誠。よくもまぁそんなギアでここまで力を出せるもんだ」」

「お前一体なんのために」

「それを聞いてどうする?互いが互いの信念のために戦ってんだろ!

いやお前は違うか。お前は自分の…」

「それ以上言うなら命はねぇぞ」

「おっと」

 

俺が不意をついて2本目の剣で攻撃したが言葉とは裏腹に何事もなかったかのように避けた。この瞬間わかった。悔しいけど今の俺じゃああがいても勝てない。

それに向こうもと思い少し見るとなぜかマリアを含む2人は撤退を始めた。そしてそこはノイズが溢れて固まり緑色のただただでかいノイズができた。

 

「あ?まじかよ。了解だ」

 

その言葉を残して竜司も上空に飛びそのまま消えた。文字通り急に気配が消えたと言えばいいんだろうか。そして周りを見るとあいつらが残したノイズが固まりただでかいノイズができた。いや、ノイズという形をしていない。緑色のデカイのがいるだけって感じだ。

けれど攻撃してもしても再生を繰り返す。

 

「あれをやりましょう」

「あれか?けど隙が大きすぎるぞ!」

「確かに一撃で決めないとな。俺が押さえとくから後よろしく」

「心得た」

 

そして俺はありとあらゆる角度に斬撃を飛ばし立花たちの近くにやってくるのを蹴散らしていった。その間にあいつらはやることを始めた。本来なら俺も参加するべきなんだろうけど一度俺が参加した時は上手くいかずそれ以降は一度も参加していない。

 

「S2CAトライバースト」

「スパープソング」

「コンビネーションアーツ」

「セットハーモニクス」

 

そこで3人の絶唱をまとめた立花の一撃でそのノイズは炭素化した。その直後に立花は膝から崩れ落ちてクリスが心配していた。

 

「私のやってることって偽善なのかな?」

「そうだとおもわねぇなら手を伸ばし続けたらいいと思うぞ。それがお前だし、これからも変わらないだろ」

「はい!」

 

俺はその場から退散して今後のことを考えた。まだ手はあるとはいえ俺は全く竜司に歯が立たなかった。けれど他の3人にあいつの相手を任せても結果はほとんどわかりきっている。それにマリアたちの相手もしないといけないからどっちにしても俺がするしかない。

そういえばあいつそんなギアでって言ってたな。それはこのギアには俺がまだ知らない何かある。過去の聖遺物だし知らないことがあるのは当然だが、あの言い方だとそれをするとまだ出力が上がるみたいな言い方だ。

 

家に帰り俺は茜を通して電話をかけた。

それでも俺に教えることはないらしくなにも答えてもらえなかった。それもそうだ。ただの道具に情をかけるやつはいない。

 

「あいつらほんとに許さない」

「茜そんなに怒らなくても」

「だって!」

「ありがと、けど怒ると損だ」

「むーわかったよ」

 

茜はそこから文句はやめて一緒に飯を作り、一緒に食べた。やっぱり教えてくれないか。その情報がないととてもじゃないが勝てる相手じゃなさそうだ。そして俺は眠った。

 

眠りしばらくすると俺は海の中を落ちていた。

 

「マジかー!!!」

 

これはやばい。死ぬ。と思ったがよく考えるとなぜ言葉が話せる。そして俺は体起こしてその場に立った。なにも立つところがないから変な感じだ。

 

『やっとここまでこれたんですね』

 

声のする方向を向くと腰ぐらいまで伸びた綺麗なブロンドの髪に左目は琥珀色、右目は緋色の色をした女の人が立っていた。




感想や評価待ってます


後前にアンケートしてたんですけど活動報告の方にキャラ名書くところを準備しました。
そちらの方にお願いします


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12話

最近サボり気味の投稿です
次は1週間以内に投稿できたらいいなと思ってます


あたり一面湖の上に佇むその女の人を誠は目が離せなかった。そんな感情は消されているはずなのになぜか目を離さずまっすぐとその人を見ていた。

 

「やはり、まだですね」

「なにが!というかここはどこなんだ」

 

いくら怒鳴っても響かない。むしろその人は呆れてさえいて相手にしなかった。

ただ誠もそこでは諦めず聞いていくとなんとか聞き取れた。

 

「私はいわばゲイボルグの化身のような存在。あなたとあの人があまりにも酷いために出てきました。まぁもっともあの人はあれが限界のようですが…」

「どういうことだ?」

「ではそこから話しましょう。ここでは時間はいくらでもありますから。ただその前にあなたを試すとしましょう」

パチン!と指を鳴らすと誠の手にゲイボルグがそして周りには先の見えないほどのノイズが出てきた。ゲイボルグの形態を変えて応戦しようとしたが形態が変わらなかった。

 

「あなたには一番苦手な槍の状態で戦ってもらいます。それが条件です」

「このやろう」

 

応戦を始めてドンドン倒して行くがキリがない。そして誠はその膝をついて限界がきたのか纏っているゲイボルグすら剥がれた。

 

「これが今の限界ですか。まぁこんなものですね」

「ゲホ!お前一体」

「さてその状態で始めましょうか。本当の殺し合い(試合)を」

「!はぁ!?」

 

誠は驚きを隠せていなかった。今の今まで散々ノイズを襲わせてきた本人が今から始めるとは思ってもいなかった。けれどこいつが出している殺気は本物だ。けれど体が動かない。

槍を突き刺すような体制できたので手で体を転がし避けることしかできずに少しだけ動いた。

 

「まだ動きますか。やれやれ」

「このま…ま殺されるか」

「はぁ、全く大人しくしていれば苦しまないものを」

 

そして何度も刺してきて俺はとうとう動けなくなった。そのままその槍で刺されて俺は死ぬかと思って大声を上げたが全く痛みを感じない。それどころか体が動くようになっている。

 

「言ったはずですよ。苦しまないと」

「おいおい。一体なんだったんだ?さっきの本気の殺気は?」

「あれはあなた。いえ、マスターを試しました。大変申し訳ありません。これは私ゲイボルグの中の意思にたどり着いたものに課す試練の様なものだと思っていただければ幸いです」

「わかった。けどどうしてこんなことを?」

 

「それを話すのは長くなりますがよろしいですか?」

「気にしなくていいよ」

「では、実のところ私たちゲイボルグは本来一つの聖遺物です。それがフィーネが使っているときに錬金術師との戦いの際に半分に砕けてしまった。本来ならその場で消えるはずだったのですが何らかの事故で意思を持った聖遺物が二つになってしまった。それが私とあの者が纏っている聖遺物です。そしてあの者が纏っている聖遺物はその度に纏うものを替えてきたようですが私はマスターが初めてです。

まさか私を召喚するとは思いませんでしたが…」

「それって大変なことなの?」

「まさか私はもう一度人に纏われるなんて思いもしませんでした。ましてやその身に呪いを受けたものに…」

「おい、それ以上は」

「分かっています。それにここには私とマスターしかいませんから」

「はぁ」

 

誠は立ち上がり周りを見渡した。一体どれぐらい時間が経ったんだろう。そしてゲイボルグは立ち上がり最後の一言を言った。

 

「ではマスターこれで。これからは脳内に話しかけていただければいつでも返事できますので」

「りょーかいだ。これからよろしくな」

「はい」

 

誠の目の前に写っている景色は変わりいつもの天井が目に移った。さっきのはもしかして夢か?

 

《夢ではありませんよマスター》

 

驚きを隠せず少しベッドから落ちた。その手は握られており方向を見てみると茜が握ったまま眠っていた。

 

「うん、?だ、大丈夫!?」

「あ、うん。大丈夫だけど何で手を握ってんの?」

「だって昨日の夜すごいうなされてたんだよ。ほんとに初めてあんなにうなされてるのを見たよ」

「マジか〜恥ずかしいな」

「それで大丈夫?」

「もちろん」

 

俺は立ち上がり茜は安心したのかそのままリビングに降りて料理を初めていき、俺は用意をしてリビングに降り飯を食べて二課に向かった。着くと既に全員がいて俺が最後だった。

 

「全員揃ったな。では今後の方針についてだ。まずはフィーネと名乗るさんに奏者。これには翼たちに対応してもらう予定だ。もちろんそのときによって変わる可能性は捨てきれないが…

そしてもう1人男の装者には翼たちでは厳しい思う。だから誠くんに対応してほしい」

「任しといてください」

「おい待ておっさん」

 

クリスは反対した。口が悪いためなかなかわかりにくいがクリスも優しいから1人でそんな奴に当たらせたくないんだろう。

けどここは実力で証明した方がよさそうだ。

 

「なら試してみるか」

「どうするんだ?」

「3人で俺に来い。それで勝ったら認めてもらうよ」

「はぁ?それは無茶だろ」

「そうだ誠。いくらなんでもそれでは」

「誠さん無茶ですよ」

「無茶かどうかは俺が決める。それに何より負ける気がしない」

 

そこから俺たちと弦十郎さんも一緒にきた。なんでも無茶して暴走しないようにだそうだ。全員がギアを纏い俺は小太刀を作った。本当に小さなやつだ。

持ち手から刃の先まで20cmもない。

 

「なんのつもりだ」

「これで十分だよ。それに怪我させたくないしな」

「誠幾ら何でもなめすぎだ」

 

そして合図があり俺は地面を蹴りそのままの足で立花を蹴り飛ばした。そして体を反転させ刃じゃなく持ち手の方で翼の腹を刺してそのまま気絶させた。

 

「なめるなぁー」

 

クリスが大量のミサイルを放ってきた。昔の俺なら打つ手立てがなくて慌てていたが俺は避けて残りのミサイルは小太刀を刺して爆発させた。爆風で少し飛ばされたが気にせずに突っ込みそのままクリスも翼と同じように気絶させた。

そのまま小太刀はしまいギアを外した。

 

(おつかれゲイボルグ)

《お疲れ様でしたマスター》

 

俺はクリスを担いで、弦十郎さんは立花と翼を担いでメディカルルームに向かった。短い小太刀とはいえかなりの力で殴ったから念のためだ。三人ともなかなか目を覚まさずに時間だけが過ぎていった。




UA1万超えました
ありがとうございます
これからもよろしくお願いします


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13話

1週間後は無理でした。風邪のせいで全く頭が回らず今も頭痛が治らないです。
次の更新もできるだけ早くするつもりですが時間がかかりそうです


 一方その頃────────

 

 F.I.Sの中は荒れていた。というかたった1人の人物が荒れているだけなのだが……

 

「あぁ!クソが!」

「何をそんなに怒っているのです?」

「うるせぇ、俺がお前についてる理由は一つだけだ」

「ええわかっていますよ、そのためにもまず彼には退場していただきましょう」

「そうだな」

 

 口ではそういいながら竜司の内心は渦巻いていた。間違い無くあいつは深層まで潜っていなかった。それなのに深層に潜っている俺の攻撃に対してギリギリとはいえ捌ききったのだ。それが腹ただしかった。何よりあいつが深層まで行った場合どうなるのかは明白だ。

 

 [それでいいのか?]

(久しぶりに出てきたな)

 

 俺の中に話しかけてきたのはあいつの中のゲイボルグじゃなく俺の中のゲイボルグだった。久しぶりに声を聞いたが相変わらずムカつく声をしている。誠の方のゲイボルグはどうかは知らないが俺の方は男の姿で現れた。

 

 [お前はあいつに勝てないぞ]

(うるさい、それ以上は言うな)

 [一つだけ方法がある。危険だがな]

(それはなんだ!)

 [それは…………]

 

 そこで教えられたのは確かに危険極まりないものだった。けれどこれなら勝てると言う保証が沸くような提案だった。俺は笑みを隠さず少し笑いながらその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────────────

 

 三人が目を覚ますのはほぼ同時だった。最初に目を覚ましたのは翼で立花、クラスという順番で目を覚ました。目を覚ましても三人とも悔しそうな顔をして何も言わなかった。

 

「まぁなんだ。これでいいだろ」

「認めたくないけど事実三人を倒したからな。あたしにはもう何も言えねー」

「ならあいつは俺が相手をする」

 

 それだけ言って俺はその場を後にした。これからのことをするにしろとりあえずは今のギアに慣れておかないといけない。それに気になることもあるから1人になるためにある場所を訪れた。

 それはカ・ディンギルの跡地だった。なぜかはわからないがここにいる感じがしてきたら案の定そこにいた。

 

「やっぱりここにきたんだな」

「わかってたんだな。それにしても一体何の因果なんだか」

「お前がそういう風にしたんだろ。竜司」

「否定はしない。だが俺にもやりたいことがあるんだよ。そのためにもお前は邪魔だ。誠」

 

 その言葉を皮切りにお互いにギアを纏いそのまま戦闘に入った。おそらく二課にもFISにも俺たちがここにいることがバレるだろう。

 その場はもう誰も近寄らないノイズですら近づくと炭素化する前に切り刻まれる空間ができた。

 

「は!やっぱり深層まで潜りやがったか」

「おかげさまで、な!」

「やっぱりこれしかないか」

 

 その瞬間に体の警報がなった。なにか嫌な予感がする。その瞬間に体を反転させて俺は全力で退避した。

 けれど絶唱を歌った際に生じる周りに対しての衝撃は起きずに何もなかった。勘違いかと思い見てみるとそこにはギアが赤く光っている竜司の姿があった。

 

「なんだそれ」

「驚いたか。絶唱の力を放出するのじゃなくそれを身体機能やギアの特性強化に使ったんだよ」

「それは」

 

 それは多分自滅行為だろう。絶唱はタダでさえバックファイアが激しい一撃必殺。それを体にまとうなんて自殺行為に等しい。その証拠に体の節々から血が出始めている。けれど一撃必殺は冗談じゃなさそうだ。軽く振った剣が地を裂いた。これはやばい。かといってむやみやたらに逃げたらここら辺一帯更地になっちまう。

 俺は前にやったクリスの爆弾を受け流したようにさらに流そうと考えてやった。

 二回はうまくいったが三回目

 

「やるデス!」

「うん」

 

 その言葉と同時に遠距離の二種類の攻撃が飛んできて俺は反応できずに巻き込まれて倒れた。俺はその衝撃で地面に倒れてそのまま竜司は剣を振り下ろしてきた。

 その剣はまるで立花が持った時のデュランダルにそっくりでそれをそのまま俺に振り下ろされた。

 

「ガァァァァァァアア!」

「アハハもう終わりだ誠。死ね」

 

「させるかよ!」

「ここは一旦引くぞ!」

 

 その一帯に爆撃が起きて俺は誰かに掴んでそのまま連れ去られていった。しかし俺の右半身はかなり深い傷を負っていていうことを聞かない。そのまま連れていかれている途中で俺は意識を落とした。

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────────────────────

 

 クリスはひどく後悔した。やっぱりあの時止めてればよかったと思って。あたしと先輩がいって最悪の事態は回避できたがそれでも大怪我をしたのは事実だ。

 今の誠には奏さんと茜が付いているがまだ目を覚ます気配がないらしい。

 

「雪音まだ悩んでいるのか」

「まだ悩んでいるのか?だと!?あたしがあの時あいつを止めてたらこんなことにはなってなかったんだ!」

 

 あたしは勢いのまま先輩の胸ぐらを掴んでいた。けれど先輩は何も言わずにあたしの手を握り返していた。そしてその手は震えておりその後に言葉が続いた。

 

「あの時どうしていればなんて今考えても仕方がない!今この場で何をするかを考えるんだ。誠ならそういうはずだ」

「っ!あぁ、悪い」

 

 確かにその通りだ。誠がいたらお説教を食らっていた。過去はどうしようもないが今この時から変えられることを忘れていた。

 あたしはこれ以上犠牲を出さないように前を向く。



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14話

暗い暗い空間に立っていた。そこには文字通りなにもなく周りは辛いの一言に尽きた。どこだろうと思い歩いてみるもなにもなく、文字通り黒い地平線が続いていた。

 

「どこだここは?」

(マスターここはマスターの中の闇とでも言えばいいのでしょうか)

「ゲイボルグはいるんだな」

(もちろんです。私はマスターとそばにいます)

「はいはい、それでなにをすればここを抜けられる?」

(それはマスター自身がこの闇を押さえ込むか、倒すしかありません)

「なら抑え込むで」

(マスター抑え込むとはリスクがあります。倒すわけではないのでまた溢れる可能性もあります)

「わかってる、わかってるけどそれは今じゃない。今暴発なんてさせたらそれこそFISにすら太刀打ち出来なくなる。だから抑え込むんだ。

力を貸してくれゲイボルグ」

(はい仰せのままに)

 

その言葉通り端から順に白くなっていき時間が経つにつれて俺の足元まで白くなった。そのまま俺は落ちていった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「プハッ!」

 

目を覚ますとそこは治療室だった。けれどわかるより先に

 

「誠ー」

「オブ!」

 

俺の顔に強烈な衝撃が走った。そしてそのまま目を開けると目の前が真っ暗でそして顔には柔らかい触感が伝わった。それは奏が飛び込んできたとわかったのは目の前のものがはっきりと見えたからだ。そして今の状況を聞くとかなり厳しいらしい。俺が休んでいる間に一度戦ったらしいが撤退さぜるおえない状況にまで追い込まれたらしい。なんでも途中で竜司が乱入してきて状況が一変したらしい。

 

近々文化祭もあるらしい。それはみんな参加で俺も出ることになり、会場の警備らしいが…

俺はそのままメディカルチェックに向かわされてやられた。呪いのことはバレなかったが体の組織はボロボロらしいのでギアを纏うのも制限をかけられた。時間制になって無理にギアを纏うとまた体が壊れていくらしい。少しずつ回復はしていくらしいがまだ時間はかかって、無理をすると日常生活にまで支障をきたすらしい。

 

「はぁ、全く最悪だな。これからFISも相手にしないといけないのに」

「まーこーとーこれ以上無理するなら縛ってでも止めるからな」

「奏、無茶苦茶いうな。俺も出ないと戦況的に不利だろ」

「何もそこまでしなくてもいいだろ」

「奏も分かってるだろ。戦況を覆すためにはまずは頭数を同じにしないといけないんだよ」

「っ!!わかってる、わかってるけど!」

「大丈夫、絶対帰ってくるよ。この場所に」

「約束だからな」

 

奏はそういいながら診療室から出ていった。そして俺は頭の包帯を外して学校に向かった。まずは学祭だ。けどこんな包帯があった無駄に心配されるので外すしかない。そして学校に行くと俺のやることはすでになく、うろちょろしていたら目の前にクリスが来てぶつかりそのまま隠れるようにして俺の後ろに来た。そこに翼とクラスの奴らがきた。

 

「あれー?雪音さん見なかった?」

「ああ、それなら」

 

俺はどいてクリスを見えるようにした。するとすごい睨まれたが何か話し始めた。

 

「雪音さんにステージに出て欲しいの」

「だからなんであたしが!」

「クラスは嫌なのか?」

「いや別に嫌ってわけじゃ」

「雪音は歌うのが嫌なのか?」

「いや…」

「ところでなんでクリスなんだ?」

「だって雪音さんとっても楽しそうに歌っていたから」

 

そしてクリスは顔を真っ赤にして明後日の方向を向いた。それで納得した上でステージに立つことを決心したみたいだ。

そしてそのまま時間が経ち文化祭当日になり学校は今まで以上に盛り上がった。学校のいろんな場所は文化祭ムードで俺は腕に警備と書かれた腕章をつけて学校の中を回り始めた。

すると見たことのある髪の色の奴らを見かけた。

 

「じぃー切ちゃん。私たちの任務は学祭を満喫することじゃないよ」

「わかってるデス、ヒトは誰しも美味しいものに引き寄せられるものです」

 

こいつら堂々と何やってんだ。けど邪魔する必要もなさそうだ。だからあえて無視して俺は警備に当たろうとすると腕を掴まれてそのまま投げられた。

背負い投げとかじゃなく空中に放り出されてそのまま飛んで行った。

 

「はぁ!?」

「よぉ今ならお前をいけそうだ」

 

その声の方向を見るとすでにゲイボルグを纏っている。俺もすぐに纏いそして本部に連絡した。

 

「ここは俺だけで十分だから文化祭の3人は止めないでくれ」

「なにぃ!誠くん君は…」

「大丈夫、もう俺は1人じゃないから」

「なに!どういう」

 

俺はそこで通信を切りゲイボルグの隠された力を解放した。するとあたり一帯が明るく染まり俺の隣には金髪ブランドの髪で左右それぞれの目の色をした奴がいた。

 

「な、な、なんだそりゃー」

「これか?俺も最近知ったんだけどなんでも意思を具現化できるらしくそれをしただけだよ」

 

そう、本当に知ったのは最近だ。治療室で目が覚めてしばらくしてからゲイボルグから教えられた。但し効果自体は俺の体力を使うらしいのでそれ次第らしい。

 

「悪いけどすぐに終わらせるぞ」

「ぬかせ!」

 

竜司も言葉では強く出ているがやばいと思っているんだろう。顔色は良くない。俺はそのまま2人で攻め竜司は急所は避けているがギアや自身にも傷を負っていく。

そして1分ぐらい経ったときゲイボルグが消えた。

 

(すいませんマスター。今はここまでみたいです)

「な、早くないか!?」

(理由はマスター自身がよくわかっているはず。今は立っているのですら限界なのに、むしろよくここまでもった方だと思います)

「っつ!けどな」

「よそ見は厳禁だぜ」

 

そのまま俺は押され倒れた。そこで一度だけゲイボルグが光りそのまま俺は剣を振り抜いた。

 

「な…んだそりゃ」

「はい?」

 

周りを見るとあたり一帯が更地になっておりそして竜司は上半身と下半身が真っ二つに切れてそのまま絶命した。

 

「あぁぁぁぁぁああああああ!!」

 

俺がしたかったのは人殺しなんかじゃない。話して戦ってそして竜司とは元の関係に戻れると思っていた。それをするために俺は戦っていたはずなのに、なのにどうして。

俺はそれ以上思考が回らずその場を倒れ伏した。




感想や評価欲しいです


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15話

 俺は目を覚ましてもあの光景が目に浮かんで離れない。近くにクリスたちもいるが何も今頭にただ立ってこちらを見ている。

 

「俺はもう戦えない」

「「「!!」」」

「もうこれも預けとくよ」

 

 俺は首についているペンダントを外して病室の机の上に置き、心の中でゲイボルグに謝って病室から出た。そしてそこは二課の中だったので出ようとするとそこには弦十郎さんにあった。

 

「それが君の答えか」

「はい、今までお世話になりました」

「なに、気にするな。今まで通り支援もする。君に助けられたのはこちらも同じだ。ただもし君がその意思で戻ってきたときはこちらも受け入れる。それだけは忘れないでくれ」

 

 俺はその言葉に頭を下げてその場から離れた。こんなふうに前線から離れる俺に対して今まで通りにしてくれると言う言葉だけは嬉しくて仕方なかった。俺は茜を迎えに行かずそのまま家に向かった。

 茜には茜の意思があるから俺が迎えに行くのは違うし、今のこの顔を見られたくなかったから。

 

 

 

 

 

 全くまともな顔をしてなかったぞ。君もそして妹である茜ちゃんも。

 弦十郎はふと思った。誠くんが倒した竜司という少年過去にどこかで見たことあるような気がする。

 俺は気になったことを調べるために資料室に向かったが結局なにも見つからずに胸のモヤモヤが消えずに司令室に戻った。

 

 

 

 

 あたしたちは無力だ。結局誠に全部重荷を背負わせてる。周りを見ると先輩や奏もかなりショックを受けているみたいだ。もちろんあのバカもショックを受けている。この状態で敵と戦うなんてことをすると必ず負ける。

 そんな時に限ってノイズの襲撃があった。出撃要員はあたしと先輩だ。

 あのバカはもう戦わせられない。

 あたしはすぐにギアを纏いイライラをぶつけるかのように周りのノイズを蹴散らした。

 

「マストダァイ!」

「やっぱいやがったな。今のあたしは機嫌が悪いんだ」

 

 あたしは言葉通りすべての銃火器やミサイルを絶え間なくぶっ放した。もう周りのことなんて見えておらず、気がつくと相手もおらず先輩に止められていた。

 周りを見渡すと更地になっていて何にも残ってなかった。

 

「これがやりたかったことか!少し頭を冷やせ」

「……」

 

 あたしはなにも言えずその場から立ち去り家に帰った。家に帰っても頭がはっきりしないままベッドに倒れ込みなにもしないまま時間だけが過ぎていった。そのまま沈んでいき眠った。けれどそんな簡単に問屋はおろしてくれず夜中に出撃命令が出た。

 現場に向かってみるとすでにノイズは殲滅されておりそこに先輩もやってきた。

 

「これは雪音がやったのか?」

「いや、あたしじゃない。あたしが来たときにはすでに……」

 

 このときあたしの脳裏に1人の人物がよぎった。けれど今は聖遺物を持っていないはずだからなにもできないはず。

 あたしと先輩は周りを調査してそのままなにもなかったので帰ることにした。



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16話

俺は戦いから逃げ出した。普通の人間ならそれで終わりのはずだった。けれど俺は違う、家に連絡係が来て

 

「あなたにはまだまだ戦えと名が下りました」

「ちょっと!それはお兄ちゃんの意見は無視なの!?」

「わたしにはわかりません、では。それと出ない場合は強制的に戦わせるそうです」

「はい…茜もういいよ」

「お兄ちゃん…」

 

俺は部屋に戻り心の中でゲイボルグを呼んでみると本当にきた。俺はそのままギアを纏い渡されたものを手首につけて部屋から出て行った。なんでも探知装置に引っかからない代物らしく詳しいことは教えてくれずにいた。そのままギアを纏ってノイズを倒してすぐにその場から離れそのまま一日中ギアを纏ったまま過ごしていた。いくら第1種適合者でもそこまで纏えばバックファイアは来る。

口からの吐血、鼻血が出てきてやっとギアを解除できる命令が下った。そのまま俺は家まで帰ろうとしたが体への負荷が大きく結局倒れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あたしは結局ノイズの件は誠がやったと思っている。FISがやる理由はないし、あのバカは今ギアを纏えず先輩はあたしと一緒に出撃したから消去法でいくと誠しか残っていない。家に帰っている最中に道に血が落ちていた。

 

「なんだこれ?」

 

不思議に思いその血辿って行くと1人の人が倒れていてなぜか見たことがある感じだった。そして近づき見てみると誠が口から鼻から血を出して倒れていた。

 

「おい、誠しっかりしろ」

 

揺すっても起きずあたしはすぐに電話をかけた。

 

「おいおっさん。今すぐ車回せるか!?」

「いきなりどうしたんだクリスくん」

「誠が倒れてたんだよ」

「なにぃ!少し時間がかかりそうだ。それまで持ちそうか?」

「ならあたしが連れて行く」

 

あたしはすぐに電話を切り頭を回した。連れて行くと言っても誠の方が重いしそんなに走れるわけもない。

方法は一つしかなかった。

 

「Killiter Ichaival tron」

 

あたしはイチイバルを纏いそれで誠を担いですぐに二課に向かって行った。そしてメディカルルームに入れてあたしはその前でずっと待っていた。出てきて結果だけ聞くとそこまでひどい状態じゃないらしいがなぜそこまでしてギアを纏っていたのか不明だ。

丸一日以上纏うなんてまともじゃない。それにどうやってギアを持っていったのかも不明だ。あの時確かに机の上に置いていたはずなのになんで今誠の首にかかってるんだ?

疑問だらけだがあれこれ考えても全く出てこない。ここから先は誠が起きてから聞いていくしかないか。

あたしはベッドに顔を乗せてそのまま眠った。



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17話

体の痛みに引き裂かれるように目が覚めた。そこは何回か見たことがある天井でそのベッドの端にクリスが寝ていた。よくわからない状況だがバレても厄介なので寝てる間に離れようとするとあしを掴まれていた。

 

「うぅん。誠?」

「クリス。なんでもない」

「待てよ。聞きたいことがある」

「俺にはないよ」

「あたしにはあるんだよ。なんで丸一日以上ギアを纏ってたんだ?」

「それは…今は言えない。けど本当に助けて欲しい時は言うからその時まで待っていてくれないかな?」

「………あぁ。わかった」

 

俺は覚悟を決めた。いつか必ず助けてもらいたいと思ってる。それに弦十郎さんのところに向かっていった。俺をもう一度二課に入れてもらうためだ。

扉の前に行き開けたら中では弦十郎さんや藤沢さん、友里さんがいた。

 

「あの、俺をもう一度二課に入れてください」

「何を言ってるんだ君は?今更じゃないか。君は元々二課所属していてやめると言っていたがあの時の君は思い詰めていたからな。休暇にしておいた」

「はい!?なんでそんなことを」

「司くんが本当にやりたいことを支えるのが私たちよ」

「そういうことだ。君がいくら間違えようが一時期の感情に流されてもそれを支えるのが俺たち大人なわけだ」

「………‥っ!ありがとうございます」

 

俺は二課所属に戻り迷惑かけた奴らに謝りにいくとみんななんのことかわかっていない顔で俺の方を見てきて、なんだか俺が変なことを言ってるような感じだった。

理由を聞くと俺を信じているからとだけ言われて顔がだんだん赤くなっていくのがわかった。

けれどこんなに信じてくれていても俺は話せないことがある。これは話せないし、話すとみんなを巻き込んでしまう。苦しむのは俺1人で十分だ。どちらかというと茜にも離れていて欲しいぐらいだけど家がそんなことを許さない。

結局その日は帰るつもりがクリスの家に連れて行かれてみんなでパーティーをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日からはFISの対応に追われていると立花の親友小日向が事故にあったと聞いた。だがそれでもFISの動きが止まるわけじゃなく今度は海の上での戦闘になった。ノイズの数も多くてこずっていると

 

「Rei shen shou jing rei zizzl」

「これって聖詠。けど誰の?」

 

見ると立花の親友の小日向がギアを纏ってそこにいた。けれどあいつが装者なんて聞いたことがないし、何よりも頭についているギアは不自然だ。あれはおそらく強制的に戦わせるか、命令を出すかそんなところだろう。

それにクリスが突っ込んでいったがなんだか様子がおかしい。見ていてクリスの防御が薄くなってるような気がして思わず飛び込んだ。そのまま掴んで走っていく。

 

「翼!」

「了解だ」

 

俺がクリスを引っ張り翼が上から刀を落としながら逃げているが相手の聖遺物殺しはなかなかに早く追いつかれそうだ。そのまま入っていくと船の端が見えてくる。翼が落とした刀にタイミングを合わせて俺は横に飛んだ。海に落ちたがなんとか小日向が放った閃光から逃げ切れた。

 

「あぶねぇ!」

「誠、ありがと。助かった」

「気にすんな、危なかったな。本当に」

 

俺たちはなんとか船に戻ると立花が飛び出してきた。そんなことはありえない。あいつの心臓に埋まっているガングニルはもう末期のはず。

それを飛び出すなんてやっぱり立花は立花だな。

 

「誠くん。響くんが未来くんを抑えている。あの光で未来くんを救うそうだ。援護を頼む」

「了解です。援護します」

 

俺は他のノイズが邪魔にならないように蹴散らしながら斬撃で逃げる場所を狭めて行った。ここからは立花に任せるしかないか。もちろん斬撃を飛ばすのもやめだ。これ以上手を出すのは野暮だからな。



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18話

 そこからしばらくすると小日向と立花が光に巻き込まれていった。俺は2人を拾って船の上に降りた。

 

 

「パァン!パァン!」

 

「う!」

 

「なぁ!」

 

 

 俺はその場に倒れた。その隣に倒れていく翼が見えて後ろを見てみるとクリスが銃を構えたまま俺たちを見ていた。

 

 

「なんでクリ……ス」

 

 

 俺はそのまま意識を失った。そして次に目を覚ますと医務室の天井が見えた。

 

 

「目が覚めたか誠」

 

「翼」

 

「といっても私も今目が覚めたばかりだがな」

 

 

 ドアが開き入ってきたのは司令だった。少しばかり顔色が良くない。

 

 

「いきなりだが本題に入らせてもらう。響くんと未来くんは助かった。だがクリスくんが裏切り二課の戦力は君たち2人になった」

 

「ちょっと待ってくれ。クリスが裏切った!?

 それは早計じゃ!っう」

 

「翼はともかく君は急所に当たっている。まだ少しの間は動けない。少し休んでいてくれと言いたいがそうも言っていられない。翼だけでも先に出撃してもらう」

 

「なら俺も、っう!」

 

「無理をするな。少し休んでいてくれ」

 

 

 そういい翼と司令は出ていった。少しすると茜がいい匂いを持ってきた。おぼんのの上に飯を乗せて

 

 

「お疲れ様、ゆっくり休んで出撃しよ」

 

「茜ありがと。食べてから出撃するけど今の状況は?」

 

「クリスさんの件は聞いてるよね?」

 

「あぁ、けどそこからは何も知らないよ」

 

「FISが目指していたフロンティアが起動したんだよ。確かにあの大きさなら人類の半分は乗ると思う。けどそれ以上は資源的にも大きさ的にも厳しい」

 

 

 茜が辛辣な顔をして話しているが俺は飯を食べながら話を聞いてきた。絵面だけ見たらシュールな状態だ。

 

 

「とりあえず行ってくるわ」

 

「うん、がんばってね」

 

 

 俺は出口から飛び出してギアを纏い、そのままフロンティアに降りた。もうすでに二課の本部はフロンティアに乗っており簡単に降りることができた。

 

 走っていくとなんだか地面が浮き上がってなんだかでかい物体が出てきた。すでに3人は戦っていて中にはクリスもいた。

 これは邪魔するのは悪いなと思い戻ろうとすると友里さんから俺にだけ連絡が入った。

 

 

「誠くん、すぐに戻ってきてくれる?」

 

「了解です」

 

 

 声色から何か緊急事態があったと思い俺は最速で戻っていった。基地内に入ると友里さんと藤沢さんが焦りながら俺を引っ張っていった。その連れて行かれたところは何か貝のような形のものが浮いていた。

 

 

「これは?」

 

「二課所有の完全聖遺物のギャランホルンです」

 

「ギャランホルン?」

 

「一度奏さんに使ってもらってある程度の状況はわかってるんだ。これは平行世界に繋げる聖遺物なんだ」

 

「平行世界ってあのイメージ通りの平行世界ですか?」

 

「ええ、そうよ。そしてこれは向こうの世界で何か異変があったときに警報が鳴るのよ」

 

「その異変はどういったものなんですか?」

 

「それがまだ確定じゃないんだよ。向こうで何があるかから調査しないといけない」

 

「了解です。最後に一個だけ。これって弦十郎さんたちはいけないんですか?」

 

「それがいちばんの問題なのよ。シンフォギア奏者じゃないと訳もわからない次元に飛ばされるようなの。これは解析出た結果よ」

 

「了解です。あとは向こうで調べてきます」

 

「気をつけてね」

 

「1日ごとに帰ってきて報告はして欲しいよ」

 

「了解です。2日経っても帰ってこなかったら何かしらあると思っておいてください」

 

「縁起が悪いこと言わないでちょうだい」

 

「それじゃあ」

 

 

 俺はギアを纏ってギャランホルンに触れた。するとそこに取り込まれるように入っていき、目の前は見たこともないような次元になった。グルグル回りはじめて気持ち悪くなってきた。そのまま地面に落ちるように落ちた。

 

 

「いた!」

 

 

 そこでもう一度見てみると黒い点が浮いていておそらくあれが俺がきた空間だろう。そして落ちたところはなんの変哲もない街の中だった。けど何か違和感を感じる。

 街を歩きはじめてその違和感を感じ取った。この街今誰も歩いていない。それどころか猫一匹いやしない。

 しばらく歩いていると人はいないが視線は感じる。街の建物の中にみんな隠れている感じだった。

 

 

「時間が来ました。市民の皆様は避難してください」

 

 

 すると街にノイズが現れて、徘徊しはじめた。俺はすぐにギアを纏いノイズを消すと住民がいきなり俺の周りを囲みはじめた。

 

 

「あんたすごいな」

「何その武器」

 

「は、はぁ?ノイズがいるのに聖遺物はないのか?」

 

 

 その言葉にみんなが顔を沈めた。何かあるみたいだなこの街。俺はその日テキトーなところに泊まろうとすると1人の女性に呼ばれた。見た感じ30代後半だろうか。

 

 

「あんた今日泊まるとこないんだろ。うちに泊まって行かないか?」

 

「報告に行ってから、お世話になるよ」

 

 

 俺はすぐに報告に向かい状況を説明した。こっちのFIS関連のことは終息に向かっていたみたいだ。もう終わって落ち着き、マリアたちは捕まったみたいだ。

 

 俺はすぐにギャランホルンに触れて元の世界に戻った。そしてさっき教えてもらったところに行くと話しかけてきた女の人が家に招いてくれた。

 

 

「どうして俺を招いてくれるんですか?」

 

「実は助けていただきたいんです。私の娘を」

 

「なるほどね。大体の話はわかりました。さらった奴らがノイズを操っているんでね」

 

「ええ、そうです。他の人の娘や息子が捕まっています。私の娘です」

 

 

 見せられた写真に写っていたのは俺と同い年ぐらいだろうか?けれどこれは可愛いというより綺麗な子だ。黒く真っ直ぐに伸びた髪、大きく開いた黄金色の目それに合わせるかのように潤った唇に高い鼻だった。

 

 俺はそのまま部屋に案内されて眠った。朝から準備を済ませて昼から家を後にしてその拐われた場所に向かっていった。

 

 その場所は洞窟だった。洞窟は入り口しかなくその先はそんなに広くなさそうだった。耳をすますと中から工事の音が聞こえる。男が仕事をさせられて女は給仕に当てられてるみたいだ。

 その奥からさらに声がする。中に入っていくと1人の女が連れて行かれるところだった。

 

 

「こい!」

 

「いや、やめて」

 

 

 それは俺が写真で見た子だった。その子は嫌がって引きずられてながら連れて行かれていた。

 そしてその男の手には一つのものが見えた。あれはややこしいな。ソロモンの杖か。

 

 

「へへへ、ほんとに上玉だな」

 

「いや、こないで」

 

 

 そしてそいつはハサミで服を切ろうとして近づいた手を掴んだ。

 

 

「なんだテメェ!」

 

「嫌がる女に何してんだテメェ」

 

「お前これが見えないのか?」

 

「それが?」

 

 

 そいつはすぐに大量のノイズを出した。俺はすぐにギアを纏いその女の子を担いで飛んで上から斬撃を飛ばして蹴散らした。

 

 

「な、なんだその力は?」

 

「やっぱりこっちの奴らはこれを知らないのか」

 

 

 俺は距離を詰めてソロモンの杖を取った。そして周りのノイズを全部蹴散らし、目の前の男を思いっきり拳骨してそいつは気絶した。

 女の子はびっくりしたみたいで腰が抜けたみたいだ。

 

 

「大丈夫だった?」

 

「え、あの、はい。ありがとうございます」

 

「そっか良かった。お母さんのところに帰るといいよ」

 

「あの、名前を教えてください」

 

「司誠だよ」

 

「私は小海梓(こうみあずさ)です」

 

「そっかじゃあ元気でな」

 

「あの!もう一晩だけ泊まっていきませんか?」

 

「うーん、報告しないといけないしな」

 

「それならその後でも!」

 

「了解だ。そこまで言われたら断れないな。もう一泊だけお邪魔しようかな」

 

「はい!ぜひ」

 

 

 俺がギアを解いてその子をおんぶしていき、働いていた男たちにも事情を話して全員家に帰らせた。そして俺はその子を家に連れて帰り報告の後またこっちに来ていた。

 

 

「ちょっと待っててくださいね。もうすぐできますから」

 

「え、作ってくれてるの?」

 

「はい、もちろんです」

 

 

 俺も手伝おうとしたが却下されてソファーで座るように言われたので俺はゆっくりしていると部屋中にいい匂いがした。いくら感情を殺されていても腹も減るし、人を見て多少の感情は湧く。

 机にだんだんと料理が運ばれてきて俺は口に料理を運んだ。

 

 

「うまいよ」

 

「ありがとうございます!」

 

 

 俺は食べ進めて気がつくとなくなっていた。そのまま風呂にはいり、昨日も世話になった部屋に戻ると白のネグリジェを着ていた。それは体のラインがはっきりと出るものでとても刺激が強い。

 

 

「今日一緒に寝てもいいですか?最後なので」

 

「いや、一応俺たち男と女でそれにほとんど初対面みたいなもんなんだよ。それに小海さんは綺麗なんだから大事にしないと」

 

「だからなんです。誠さんは帰ってしまいますから」

 

「なるほどね、けど俺はそれに応えられない」

 

「私そんなに魅力ありませんか」

 

「いーや、綺麗だよ。けど俺にはこれのせいで一切の感情が奪われてるんだ」

 

 

 そう言い俺は服を脱いだ。俺の背中には文字が書かれていてこれを見せるのは茜以外に初めてだ。

 

 

「これは」

 

「気持ち悪いだろ、俺にかけられた制約みたいなもんだ」

 

「けど望んでついたものじゃないんでしょ。ならそんなこと言わないで」

 

「はは、これを見せたのは妹以外に初めてだ。俺はこれをいつか必ず解く。その時に今と同じ気持ちなら必ず迎えに来るよ」

 

「絶対だからね。それと今日は一緒に寝かせて」

 

 

 俺は分かったとだけいうとベッドに入って仰向けに寝ていると手を繋いで寝始めた。俺も寝る直前に持ってきたソロモンの杖をどうしよう考えながら眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《マスター目を覚ましてください》

 

「んぁ、なんだ」

 

 

 ゲイボルグに起こされて周りを見てみると何もない。そう言葉通り何もなかった。俺は急いでギアを纏って頭の中で指示を出しているゲイボルグの通りに進んだ。するとそこは街の外れにある工場だった。

 中を覗いてみるとまたノイズと小海さんがいた。ソロモンの杖と一緒にさらっていったんだろう。

 

 

(ゲイボルグ、あれはなんとかできるか?)

 

《一瞬閃光を出して目をくらましてる間に連れていくことは可能です》

 

(確かにこの暗闇の中じゃそれは効果倍だな。んじゃ頼む)

 

《了解しました》

 

 

 指示を出すと本当にえげつない光を出して俺も目を閉じていても眩しいと感じた。

 そのまま小海さんをさらって工場の外に連れて行き、またすぐに中に入ってノイズを蹴散らした。けれどソロモンの杖は向こうの手の中だ。

 あれもう壊すか。

 

 

《なかなか大変ですよ》

 

(百も承知だ。だから力を貸してくれよ)

 

《かしこまりましたマスター》

 

 

 俺は斬撃を飛ばさず固めてソロモンの杖に向かって飛ばした。その余波で持っていた奴らは飛んで行ったがソロモンの杖は無事だ。

 なんて硬さだ。絶唱までは行かなくてもかなりの破壊力があるはずだ。それに対して無傷なんてびっくりとしか言いようがない。

 

 

「誠さん。その飛ばすやつ線じゃなくて点で飛ばせないですか?それなら壊せる気がします」

 

「線じゃなくて点?」

 

 

 少し考えて意味がわかった。斬撃をそのまま飛ばすのではなく一箇所に尖らせるように固めてそれを放った。すると音を立ててソロモンの杖は砕け散った。

 俺はギアが解除されてそのまま後ろに倒れていくと地面に当たる直前に受け止められた。

 

 

「大丈夫ですか?」

 

「なんとか。けど想像以上に体力を使ったみたいだ」

 

「心配したよ」

 

「悪かった」

 

 

 

 俺は動けなくてそのまま膝枕されて俺は眠った。眠っていると脳内にゲイボルグが話しかけてきて俺からも質問があったのでちょうどよかった。

 

《マスターいつまでみんなに隠しているつもりですか?》

 

「それは隠し通せるならずっとがいいかな」

 

《それは無理だと思います。今も激痛に襲われていますよねマスター。それはいつまでも隠し通せるものではありません》

 

「俺からも質問だ。もし梓がこっちの世界に来たいって言ったらなんとかする方法はあるのか?」

 

《ないわけじゃないと言っておきます。覚悟が必要です》

 

「なら安心だ。助かるよ」

 

 

 俺はそのまま寝て次の日になった。そして朝起きるとそれまで起きていたかのような顔で梓がいた。

 

 

「見てたのか?」

 

「うん、気持ちよさそうだった」

 

「まぁ、な。これ以上の枕はないんじゃないか」

 

「フフ、褒め言葉それ?」

 

「さぁな」

 

 

 俺たちは梓の家に向かって歩き出した。そして別れようとしてゲイボルグからあった提案を受け入れた。

 

 

「じゃあここまでだな」

 

「うん、本当にありがとう」

 

 

 俺はギアを纏い飛ぶ準備をした。

 

 

「あ、これを渡しとく。家に帰ったらそこからは肌身離さずつけておいてくれ」

 

「うん!ありがとう」

 

 

 俺が渡したのはゲイボルグの機能の一部を組み込んだネックレスだった。これによって機能のことが脳内で再生されていく。

 

 

「それじゃあな」

 

「うん」

 

 

 飛ぶ直前に声をかけられた。何かと思い後ろをみると俺の唇は塞がっていた。

 

 

「それじゃあね」

 

「ああ」

 

 

 今度こそ俺は空間に入って元の世界に帰っていった。



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19話

そろそろ一気に話飛ばします。
オリジナル会に早く入りたい


誠さんが帰っていってから私は家に帰って言われたネックレスを首につけた。すると頭の中に声が出てきた。

 

 

《初めまして、わたしはマスターのゲイボルグです》

 

「え?え!なにこれ。頭の中に声が」

 

《声を出していただかなくても結構です。思ったことはこちらでも分かりますので》

 

(あ、そうなんだ。それでどうしてこんなことを?)

 

《あなたはマスターを見てなにも思いませんでしたか?》

 

(思ったけど私は違う時空の人間だから)

 

《それなのですが私の力で向こうに飛ばせます》

 

(え、今すぐ飛ばして)

 

《落ち着いてください。いくつかの条件があります》

 

(その条件って?)

 

《一つ目がマスターがいないと無理です。これは1週間後にもう一度来ることになってます。二つ目がもう二度とこちらの世界に戻ってくることができません。それはあなたたち人間にはとても辛いことのはずです》

 

(それは…)

 

《考えておいてください。後ネックレスは外さないでください。最後に私は今回のみの話になるのでお忘れなく》

 

(え?)

 

《では》

 

 

最後に言葉をかけることもできずそのまま声はしなくなった。わたしはネックレスをつけたまま外に出て風を浴びに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こっちの世界に帰ってきて俺は事情を弦十郎さんに話した。もう一度向こうの世界に行くこと、もしかしたらもう1人こっちの世界に連れてくるかもしれないこと。

 

 

「それが君の決めたことなんだな」

 

「はい。無茶を言ってるのは承知です。けど」

 

「なに、子どもの無茶を叶えてやるのが大人だ。気にするな」

 

「ありがとうございます」

 

 

本当に感謝しかない。この人は俺たち子どもの言うことを叶えてくれる。うちの奴らとはえらい違いだな。

俺はFISの奴らの現状を聞いた。やっぱり捕まったみたいだけど弦十郎さんがかなり手を打ったみたいでそこまで厳しくはなっていないらしい。俺は許可をもらい様子を見に行くことにした。

とはいえ今日はもう暗いので明日にするので家に帰ることにした。

 

家に着くと茜がキッチンに立って料理を作っていた。少しテーブルにも並んでいたがかなりのご馳走だ。

 

 

「今日って何かあったっけ?」

 

「ギャランホルンでのことお疲れ様」

 

「なんで茜がそれを!?」

 

「特別だって。家族だから教えてくれたみたい。もちろんまだ守秘義務はあるけど」

 

「そっか」

 

「それにしても風鳴家は私たちの正体を知ってるのかな?」

 

「どうだろうな?今の状態じゃなんともいえないけど」

 

「家のことがバレたら私たち二課にはいられないよね?」

 

「まず間違いないな。風鳴とうちは水と油だし俺は向こうのただの人形だしな」

 

「うん…それは必ず私が変える」

 

 

茜は声も顔も沈んだ。俺は頭に手を乗っけて撫でてやると少し嬉しそうにした。俺は少し続けてから机に座り飯を食べ始めるとそれに続くように茜も来た。

 

 

「そういえば明日FISの奴らの様子見に行ってくるよ」

 

「そっか。私もいきたいけど事後処理が残ってるからな〜」

 

「それが終わってからでもいいけど」

 

「ううん、お兄ちゃん1人の方がいいと思う」

 

「そっか、わかった」

 

 

俺は飯を食べ終わり俺は風呂に入ると部屋に戻って今日のことを思い出していた。茜が家のことを話すなんて珍しい。

明日のことを考えながらベッドに身を預けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は朝起きると、服を着替えて出かける準備をした。もうすでに茜は二課に向かって行っていたみたいで家には誰もいなかった。

 

家を出て俺は行き道にドーナツを買っていくことにした。確か3人だったから9個ぐらいでいいかな。買ったものを持ち指定の場所に向かった。いくらなんでも刑務所はやりすぎだと思う。今時の子を入れるなんてひどいと思う。けどやったことを思えば俺からはなんともいえない。

 

 

「司です。面会に来ました」

 

「話は聞いている。通れ」

 

 

警備員愛想悪いな。俺は廊下を渡り、面会部屋に来た。中に入ると囚人服のような格好で3人がいた。

 

 

「久しぶりだなマリア・カデンツァヴァナ・イヴ」

 

「長い言い方ね。司誠」

 

「フルネームはやめろ」

 

「あなたもやめてちょうだい」

 

「マリア知り合いですか?」

 

「この人は?」

 

「司誠。二課の人よ」

 

「2人とも知ってるよ。暁切歌。月読調だよな?」

 

「そうデス」

 

「はい」

 

「あ、そうそう。これみんなで食べて」

 

「わ!なんデスか?」

 

「切ちゃん落ち着いて、って聞いてない」

 

「全く切歌ったら食べ物には目がないんだから」

 

「まぁそれぐらいの方がいいんじゃないかな」

 

「そうかしら」

 

 

俺はそこからたわいもない話をした。事件の経緯を聞こうかと悩んだがそれを聞いたらこいつらは多分答えてくれるけど、わざわざ傷をえぐるようなことをしなくてもいいと思う。

それにあともう少ししたらあいつらも来るみたいだし俺はそろそろ帰ろうと思い最後に一声だけかけて帰ることにした。

 

 

「じゃあな。これから恐ろしい切れ味の剣がくるけど」

 

「え!ちょっと待ちなさいよ。誰のことかしら?」

 

 

俺は返事もせずに部屋から出た。後日一緒に行った茜から話を聞いてやっぱり翼はそういうことに関しては天才だと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこからとうとう約束の日が来て俺はギャランホルンの前に立った。そして触れると前と同じ景色のところに出た。こっちの世界に来たのは1週間ぶりなのにずいぶん久しぶりに感じる。

歩いていくと前から走ってくる梓だった。

 

 

「うわ〜」

 

「あ、いたた」

 

「誠さん!久しぶりです」

 

「ああ、久しぶり」

 

「じゃなくてちょっとだけ隠れさせて」

 

「は、はぁ!?」

 

 

そういいながら建物の影に隠れた。一体何事かと思いながら見てみると前から親父さんが走ってきた。けど見たことない。

 

 

「おい、こっちのほうに黒髪で腰ぐらいまで髪の毛が長い子が来なかったか?」

 

 

俺はその言葉を聞いてある程度の事情が分かった。けどこの場においては梓の味方をしようと決めて騙すことにした。

 

 

「その子ならさっき急いで向こうに走って行きましたよ」

 

「ほんまやろうな?」

 

「嘘だと思うなら勝手にどうぞ」

 

「ほうか、おおきにな」

 

 

そう言ってその男の人は指差した方向に向かって走り出した。そこから2.3分ぐらいだと思う。経った後に梓は隠れてた場所から出てきた。

 

 

「一体なにがあったんだ?」

 

「はじめは私はこっちに残るって言ったんだよ。そこから事情をお母さんが話したみたいでそこから血眼になって私を探している」

 

「はぁ?どういうこと?」

 

「実はーーーーーーー」

 

 

そこから俺は全部の話を聞いた。なんでも梓がこっちの世界に残るというと怒られたこと。両親たちは梓に幸せになって欲しいから俺たちの世界に来て欲しいこと。そして今日俺がくることを言ったがためになんとしてでも俺のいる世界に連れて行きたいらしい。

優しい両親だなと思うながらも俺は悩んだ。こっちの世界に残るという梓、娘には幸せになって欲しいからとこっちの世界に送り出したい両親。俺はどちらにつけばいいのか分からなくなってきた。

 

 

「それでこの後どうするんだ?」

 

「どうしよ」

 

「はぁ………それなら一度帰れ。その後俺も行くから」

 

「うん」

 

 

梓は一度家の方向に向かって帰っていった。俺も少ししてから梓の家に向かっていくと家の前付近でものすごい声が聞こえた。

 

 

「うるさい!ここに残るの」

 

「だから向こうに行ってきなさい」

 

 

俺はインターホンを鳴らすのに抵抗があったが俺は押すことにした。中に入ると想像以上に混沌としていてどこから手をつけていいかわからなかった。

 

 

「それで話をまとめると梓の両親はこっちの世界に行って欲しい。けど梓はこっちに残るってことだよね?」

 

「うん、私はこっちに残るつもりだから」

 

「だから向こうにいけと言ってるだろう」

 

「一ついいですか?」

 

「ああ、構わないが」

 

「なぜにそこまでして梓をこっちの世界に連れてきたいんですか?大事な子供じゃないんですか?」

 

「確かに大事な子どもだ。だからこそ幸せになってほしいんだ。この子は君に助けてもらってから君のことが本当に好きになったんだろう。だからこそだよ」

 

「ちょっと!お父さん!」

 

「私は昔からこの子には負担ばかりだったから幸せそうに話してるのは見たことなかったんだ。だからこそ本当に嬉しかった。君の話をしている時は嬉しかった。日数は少なかったが何回も何回も楽しそうに話してくれたからこそ君のところに行って欲しいんだ」

 

「だってさ。これはどうしようもないかな。ゲイボルグ」

 

 

俺は首に隠していた聖遺物を翳すと映像体の姿で出てきた。

 

 

《内容は聞かせていただきました。マスターが言いたいことはわかっています。けれどそれを行うと出力が今の半分ぐらいになりますが》

 

「それは今言う必要なかったと思うんだけど」

 

《あと常に体力を使っているものと思ってください》

 

「君たちは一体なんの話を?」

 

《あなたたちの娘さんに対しての少し機嫌を先延ばしにすると言うことです》

 

「ちょ、ちょっと待って!それって誠がしんどいんじゃ」

 

「気にすんな。覚悟が決まったらこっちにきたらいい。それにしんどいのは慣れてる」

 

「っ!!!それはそうかもしれないけど」

 

「そういうことです。家族全員でよく話し合って決めてください」

 

 

俺は決めゼリフを吐いて家から出て行った。そこからまたきた穴に飛び込んで行き帰って行った。帰ると少しずつだけど体力が減って行くような感じがした。これはなかなかに辛い。慣れるまでかなりの時間がかかりそうだ。

 

そこから少しすると刑務所にいた暁、月読、マリアが出社した。二課は各国に監視されるマリアの護衛に俺を選んだ。

 

 

「まさかあなたが私につくなんてね」

 

「いやか?」

 

「いやなんて言ってないわ。ただ、少し意外だったから」

 

「そっか。それで今度はどこに行くんだ?」

 

「今度はイタリアよ。お願いするわ」

 

「はいはい」

 

 

俺とマリアはホテルに泊まりに行き、そのまま次の日に備えた。マリアは歌姫として通っているが実際は全世界からの標的になっている。そんな奴は少しでも助けてやりたいと思って今回の依頼を引き受けた。

 




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シンフォギアGX
20話


結局ライブ会場に向かうとそこには見慣れた奴らがいた。

 

 

「なにしてんだお前ら」

 

「お前らと随分な言い草だな」

 

「まぁまぁ翼、今回あたしらも一緒なんだよ」

 

「そういうことよ」

 

「知ってて言わなかっただろ」

 

「あらなんのことかしら?」

 

 

俺たちはそこで一度別れた。俺はマリア共に控え室に行きマリアは着替え始めた。もちろん観てはいないが。

そのままライブは大成功。なにも言うことはなかった。全員が見る目を奪われるぐらいすごいライブだった。翼と奏は帰っていき俺はマリアについて行った。

俺以外にもたくさんのSPがいる。全員がサングラスをかけているから何にもわからない。

 

それにさっきから誰かに見られているような気がする。人形だらけのこの部屋に紛れていてもわからないのが難点だ。

 

 

《たしかに誰かに見られている節があります》

 

(やっぱり、けど場所までは特定できないだろ)

 

《まだあったこともない人物なので難しいです》

 

(了解だ)

 

「ご機嫌よう」

 

「誰だお前?って聞いても答えてくれないか。マリア、翼が来るまで持ち堪える」

 

「わかった」

 

 

何回か撃ち合っていると待ち人は来た。

 

 

「待たせた」

 

「翼あとは頼む。マリアを連れていく」

 

「了解だ」

 

 

俺はマリアを連れて出口に走っていった。抜けるとすぐに横を通り過ぎていった。飛んできたものの先を見てみると翼だった。

 

 

「化け物だ」

 

「なら俺がいく」

 

「あなたの相手はマスターから許可が出ていませんの」

 

「どういう意味だ」

 

 

そいつはカプセルみたいなものを投げてそれが割れるとそこにノイズが出てきた。ノイズはもう出てこないはず何で今ここに。

 

 

「どういうこと!?」

 

《マスターあの発光部分に触れないでください》

 

(了解だ。理由は?)

 

《今は解析中です。なぜか嫌な予感がしますが》

 

(そうか)

 

 

俺はマリアを担いだ。今のマリアはギアを纏えないからノイズ相手には人間を相手にするより厄介だ。

 

俺は抱えながら片手で斬撃を飛ばして倒していく。けど片手だから威力が少し落ちる。それでも倒していって翼がノイズの発光部分に剣の先が当たった。

次の瞬間翼のギアがだんだん剥がれていく。自分の意思とは関係がないみたいに。

 

少しすると翼のギアは完全に剥がれて裸になった。

 

 

「見、みるな!」

 

「わかったからマリアの隣にいろ」

 

「やることは終わりました、では失礼」

 

 

次の瞬間そいつは消えてノイズだけになった。俺はノイズに向かって斬撃を飛ばして片付けてギアを解いた。

するとマリアの他のSPがやって来た。今の今までいったいどこにいたんだか…

 

 

「風鳴司令SONGへの転属を希望します」

 

「俺はいいと思いますよ。それに切歌や調もいることだし」

 

 

返事は返ってこなかったがおそらく向こうでは話が進んでいるんだろう。あの人はそういう人だ。そして現実に引き戻されて、そのあと上に来ていたパーカーを翼に渡した。翼より体が大きいからそれでいけると思ったが見た目はかなりやばい。かなり短いスカートを履いてるみたいだ。

 

 

《マスター少し休憩が必要です》

 

(え?なんで?)

 

《体力がかなり減っています。向こうの世界に少しずつ減らされていっているのがかなりの量になっています》

 

(それを抑える方法はあるのか?)

 

《マスター自身がリラックスすることです》

 

(こんな時期にそれは厳しいだろ。新しい敵なんだぞ)

 

《なら呪いの方を少し弱めるとか方法がありません》

 

(そっちを頼む)

 

《かしこまりました》

 

 

俺は背中に刻まれている呪いの痛みが少し引いた。これは家の奴らにバレると厄介だ。何より茜に迷惑をかける。

 

 

「あら何か考え事かしら?」

 

「いやなんでも」

 

「それより、この格好恥ずかしいのだが……」

 

「悪いもうちょい待ってくれ。そろそろあの人が来るはず」

 

「お待たせしました。翼さんこれを」

 

 

それは緒川さんが持って来た服だった。翼はすぐに着替えて服を着て俺たちは一度ホテルに帰ることにした。ホテルに帰ってからは大変だった。奏からの追求がすごくて。

俺と緒川さんは同じ部屋に、奏、マリア、翼は別の部屋に3人まとまって泊まった。

 

 

「なんだか変な感じですね。誠くんと同じ部屋で寝るなんて」

 

「まあ確かにそうですね」

 

「君には聞きたいことがあったんです」

 

「なんです?」

 

「なぜそこまで無情に戦えるんですか?それが気になって仕方ありません」

 

「……………すいません。それについては答えられません。申し訳ありません」

 

「いえ、こちらこそすいませんでした。すこしロビーに行ってコーヒーでも飲みませんか?暖かいものでも飲みましょう」

 

「そうですね。いきましょう」

 

 

俺たちは部屋から出てロビーに向かった。ロビーにはマリアがいた。

 

 

「あら、あなたたちも飲みに来たのかしら?」

 

「ええ、誠さんなににされますか?」

 

「いえ自分で出しますよ」

 

「こういう時は年上に出させるんですよ」

 

「わかりました。それじゃあ」

 

 

俺はカフェオレを買ってロビーに座った。緒川さんも座ると思っていたが

 

 

「すいません。すこし電話です」

 

 

そういい席を外した。結局ロビーにいるのは俺とマリアだけになった。

 

 

「あなたはどうして私のマネージャーを引き受けてくれたのかしら?」

 

「それはお前が俺に似てたからかもな」

 

 

マリアは今の俺の立場に似ている。マリアは世界に縛られているが俺自身家に縛られている。こればかりは考えて動ける。まだ家の呪いが発動してない為に考えれる。

 

 

「何か考え事かしら?」

 

「いやなんでも。それでなんでマリアはここにいるんだ?」

 

「いえ、すこし眠れなかったのよ」

 

「そっかそれなら少しだけ歩きにいく?」

 

「ええ、行きましょうか」

 

 

俺たちは一度部屋に戻って羽織るものだけ取りに行った。俺パーカーをマリアはネグリジェにパレオを羽織っているから襲われても文句言えないような格好になっている。

 

 

「その格好寒くないのか?」

 

「少しぐらい寒い方がいいのよ」

 

 

ホテルを出て俺たちは少し歩くとマリアの歩く速度がだんだん遅くなって来ている。見ると寒さに耐えていて歩くのが大変そうだ。

俺は着ていたパーカーを脱いでマリアに被せた。

 

 

「だから言ったろ。寒いだろって」

 

「ごめんなさい」

 

「気にすんな。風邪引くなよ」

 

「ええ、ありがとう」

 

 

俺たちは散歩を終えてホテルに帰った。マリアはパーカーを返そうとして来たが俺は断った。

 

 

「まだ体冷えてるだろ。せめて部屋まで着て帰れ。明日日本に帰ってからでもいいから」

 

「ええ、分かったわ。ありがとう」

 

「ああ」

 

「おやすみなさい」

 

「おやすみ」

 

 

俺は部屋に帰って眠った。部屋に帰って思ったが緒川さんがいない。毎回思うけどあの人どこで寝てるんだろう?

俺はベッドに潜って眠った

 




評価や感想欲しいです。
そろそろモチベ維持がきついーーー


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21話

 結局日本に帰るときに緒川さんはこっちでまだ少しやることがあるとかで残った。俺たち4人は飛行機に乗り日本に向かって飛んだ。結局SONGにマリアは転属した。

 本当にあの人たちは叶えてくれるみたいだ。いつか俺のことも助けて欲しい。

 ……なんて夢に過ぎない幻想か。俺はそんなことを考えて飛行機の中で眠った。起きていても良かったがやることがないので眠ることにした。

 

 空港に着くと2人の人物が飛んできた。切歌と茜だ。

 

 

「マリア久しぶりなのデス!外国はどうだったデスか?」

 

「ええ、楽しかったわ。奏と翼とのライブも楽しかったわ。それに……誠が守ってくれたから」

 

「その話はまた後でだ。とりあえずSONGの本部に行くぞ」

 

 

 そのときはなったクリスの言葉は冷たく何かあったことを知らしていた。茜も飛んできて抱きついてきたがそれ以降は一言も話していない。

 こっちでもよほどのことがあったらしい。そして俺たちはSONG本部に向かった。

 本部に着くとみんなが迎えてくれた。けど顔色は良くない。それに1人知らない奴がいた。

 

 

「僕の名前はエルフナインと言います」

 

「今回クリスくんが保護した対象だ」

 

「今回のことでファラ、レイヤ、そしてキャロルが攻めてきました」

 

「誰それ?」

 

「今回誠くんたちが対峙したのがファランというオートスコアラー、それでこっちにきたのがレイヤというオートスコアラーそしてそれらを統べるキャロルという存在」

 

「はい、今回の騒動は錬金術師によるものだと思われます」

 

「錬金術師って確か前から噂になっていたあれですか?」

 

「誠くんのいう通り前から噂になっていたものだ。実際のところはよくわかっていないのが現状で翼のギアにクリスくんのギアが今壊されたからの」

 

「プロジェクトイグナイトです」

 

 

 その瞬間に全員の頭にハテナが浮かんだ。ただ、俺の頭の中にかたりかけてくる奴がいる。

 

 

《マスターそれはわたしに対しては断ってください》

 

(ん?どういうことだ?)

 

《それに使う素材は魔剣ダインスレイフの欠片です。それはわたしには組み込みたくない)

 

(構わないけど理由を教えてくれるか?)

 

《ダインスレイフは一時的に暴走状態にしてそれを抑え込み力にするというものです。そんな機能を組み込まなくても大丈夫です》

 

(分かったよ)

 

 

 そこから話が進んでいき聞いていくとゲイボルグが言った通りのことだった。暴走状態と言われてクリスが怒っていて、止めようとしたがあいつ自身立花のことを心配してきれていたからだれも止めなかった。

 

 

「エルフナインだったっけ?俺それやめとくわ」

 

「どうしてですか?」

 

「俺がというか正確にはゲイボルグ自身が嫌がっている」

 

「まるでシンフォギアに意志があるみたいな言い方です」

 

「ほかの奴らはないが俺のはあるよ。なんなら証拠も見せようか?」

 

「お願いします」

 

 

 俺はギアから幻影でゲイボルグを見せた。みんなも驚いていた顔をしている。あれ?みんなには見せたことなかったかなと思いながらゲイボルグは説明していた。

 

 

「そういうことだ。ゲイボルグが嫌がっている以上無理につけたくはないんだよ。こいつは俺の相棒だからな」

 

「わかりました。他の人たちはつけますか?」

 

「「「「「「つける」」」」」」

 

「わかりました。ギアをお預かりします」

 

 

 

 みんなはギアを渡した。今戦えるのは俺だけだ。それにしてもダインスレイフは嫌なのはわかったけどアルカノイズに触れられると破壊されるのはどうしよう。

 

 

《マスターそれには対策できました。それで触れられても大丈夫です》

 

(流石。助かるよ)

 

《この程度造作もありません》

 

(ありがとう)

 

《〜〜〜〜////はい》

 

(あれ照れてる?)

 

《そんなことはありません》

 

 

 ゲイボルグにも感情が目覚め始めているのかな?あんまり考えないようにしよう。今はアルカノイズに対して、そしてあのオートスコアラーとかいうのに対しての対策も必要だな。聞いてるだけでも4体いるみたいだしなんとかしないと。

 

 

「お兄ちゃん考えすぎ。私たちがいるんだからなんとかなるよ」

 

「そうだぞ誠、あたしたちを頼ってくれよ。あたしも前線には立てないがしっかりサポートするから」

 

「桜、奏ありがとう」

 

「「どういたしまして!」」

 

 

 2人とも本当に頼りになる。そのプロジェクトイグナイトとかがどれだけ威力かは分からないけどもしも強力なら俺も試したいことがある。このゲイボルクとあいつのゲイボルグの合体だ。

 デュランダルを持った立花が暴走した時みたいに俺が暴走しないとも限らない。だからこそ今はまだ使えない。

 

 

「誠ひまかしら?」

 

「まぁ特にはないけど」

 

「なら食事でも行かないかしら?」

 

「マリアと飯に行ったらファンに殺されないか?」

 

「気にしない気にしない。さぁいきましょう」

 

 

 俺はマリアに手を引かれてレストランに連れて行かれた。結局帰った時に桜に正座させられたのは別の話。




感想や評価欲しいです

あとヒーローアカデミアも投稿しました。できれば見てください


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22話

 マリアとの飯から数日。その数日間は襲撃もなく俺と茜はは本家に帰っていた。相変わらず無駄にでかいし、ここの空気は好きじゃない。

 

 

「お待ちしていました茜様」

 

 

 茜は不機嫌だ。所詮俺はこの家ではものと変わらず人間の扱いすら受けていない。今俺がこの家のお金なんかを自由に使えているのはゲイボルグの影響が大きい。こいつが俺を選んでなかったら俺はもうすでにこの世にはいない。

 

 

「来たか茜よ」

 

「はいおじいさま」

 

「そこの道具も役に立っているようで何よりだ」

 

「ええ、お兄ちゃんにはよく助けられています」

 

 

 ば、ばか。ここは道具扱いでいいのに。この親父は俺のことを本当に道具としか思っていない。だから俺の体にも呪いを刻んで必ず茜を助けるように仕組んだ。

 それなのに道具呼びしないなんて現当主司公正(つかさこうせい)には。

 

 

「なるほどの。貴様にはまた地下に行ってもらう」

 

「わかりました」

 

「お兄ちゃん!!」

 

「大丈夫。また帰ってくるよ」

 

「けど……」

 

「賢い茜ならわかるだろ」

 

「っつ!!!わかった」

 

「ん、またあとでな」

 

 

 俺は茜の頭を軽く撫でて地下に向かう。いくら人としての感情を抑えられているとはいえこの地下への向かう通路は最悪だ。地下に向かうといつものやつがニコニコしながらいた。

 

 

「お待ちしてましたよー」

 

「相変わらず嬉しそうで」

 

「いえいえ、そんなことはとても。私も心が苦しいです。命令とはいえあれほどの激痛を与えるなんて」

 

 

 顔と言葉があってねぇんだよ。こいつ本当に殺してやりたい。けれどそんなことをすると次期後継の茜にまで迷惑がかかるからしないが……

 俺は服を脱ぎ背中を向ける。その上からまた筆での呪いの上書きだ。本来呪いは一度完全に消してから行うのだが重ねて書くことによって糸が絡まるのと同様に解けにくくなる。

 

 

「ああぁぁぁぁああ、あがぁぁぁぁああ」

 

 

 俺は書かれる時に起こる激痛が収まらず30分ほど叫んでいた。その間書いたやつはゾクゾクしていて喜びながら俺のことを見ていた。

 痛みが少し引きすぐに服を着て俺は茜のところに戻った。

 

 

「茜帰るよ」

 

「お兄ちゃん。体は?」

 

「へーきへーき」

 

「ほんとに?」

 

「早く帰るぞ」

 

 

 俺と茜は車に乗り家に向かって走り出した。その直後に出撃要請があり俺はすぐにギアを纏って飛び出した。茜のことは心配ない。車の連中が体を張ってでも守るだろう。

 

 

 つくとそこはすでに交戦中だった。交戦しているのは立花と見たことないオートスコアラーだった。赤い髪にガキくさい話し方、それに他の奴よりも戦闘力が高そうだ。

 

 

「呼んでないやつまで来ちゃったんだゾ」

 

「なんだとコラァ!」

 

「ちょっとちょっと邪魔しないでくれる?」

 

「お前までいるのかよって誰だお前?」

 

「知らないのによく最初にそんな言葉が出てきたわ」

 

 

 誰かはわからないが2人とも的ということはわかる。2人は一瞬の隙で俺の目の前にアルカノイズ出してくる。数がかなり多い。

 それにもう一つの方向から声がしてきたので見てみると小日向が廃屋の上で1人でいる。あれはやばいな。先頭の衝撃で崩れなかねないし、何よりいつまでも無事とも限らない。

 

 目の前をアルカノイズを切り刻んでいきそのまま小日向のほうに行く。

 

 

「ちぃ!聞いていた以上に化け物だ。あいつは後回しだ。ニカ早く実行しろ」

 

「了解ダゾ」

 

 

 そこからは俺が少し登ってる間のことは知らない。ただ上につくと小日向が下を向いて叫んでいるのがわかり見ると立花もギアを破壊されて倒れていた。

 

 

「おいおいマジか」

 

「響、ひびきー」

 

「小日向下まで行き一気に降りるぞ」

 

 

 俺は小日向を掴み上から飛んだ。あんまり上から飛ぶのは好きじゃない。特にこういう壊れやすそうなところでは。

 地面に着くと小日向はすぐさま立花に駆け寄る。俺もギアを解き着ていた服を立花にかぶせて本部に向かって行った。

 本部では騒然としていてとても馬鹿騒ぎできる状況じゃない。立花は最初こそ弱かったが今では全員からなんとかできると思われている。それが今回みたいに立ち上がった場合なら尚更。それが崩されたのだから状況は芳しくない。

 俺は弦十郎さんに呼ばれて2人きりで話すことになった。

 

 

「現状戦える装者誠くん一人だ。エルフナインくんも頑張ってくれているがもう少し時間がかかりそうだ。誠くんにこんなことを頼むのは申し訳ないが頼む」

 

「弦十郎さん、勘弁してください。そんなふうにお願いされるのは。俺のことはもう知ってるんでしょう。それでもSONGの一員としておいてくれていることに感謝しています。俺と茜のことを。だからそんなふうにお願いするのは勘弁してほしいですね」

 

「君はいつまでそれを続けるんだ?」

 

「その質問は弦十郎さんとしてですか?それでも風鳴家としてですか?」

 

「それは痛いところを突くな。だが一個人としてだ。今回得た情報は本家には流さないと約束しよう」

 

「それはどうも。けど弦十郎さんが痛い目を見るんじゃ」

 

「大人は子どもが苦しむことはしたくないのさ。それに────いや、何もいうまい」

 

「そうですか。俺のことを知ってるなら話が早い。まだしばらく続きますよ。今の当主を俺は殺せます。ただそのあとどうにかできるほど茜の力は整っていない。だからこそ茜の力をここで衰えさせるわけには行かないんです。それは俺が我慢すればいくらでも上がっていきます」

 

「それだったら君が苦しくなる一方だろう」

 

「もともと────いえ何でもないです。それじゃあ茜が心配してるんで帰ります」

 

「おい、誠くん!」

 

 

 さっきから携帯バイブが煩くて仕方ない。こんなに鳴らしてくるのは茜だ。今朝のこともあるしおそらく心配なんだろう。

 弦十郎さんの制止を振り切って家に帰る。家に帰ると玄関に入ると同時に俺は倒れた。頭を打つことだけは何とか避けてドアも閉めれないまま倒れ込む。

 

 

「お兄ちゃん〜遅いよ」

 

「ごめん茜心配かけた」

 

「も"〜ほんどにじんぱいしだんだから〜」

 

 

 泣きながら言っているから言葉が無茶苦茶だ。俺は茜を抱いたまま中に入っていく。このままだと変な人に思われかねない。

 

 

「お兄ちゃんいろいろ話してもらうよ」

 

「勘弁してくれ」

 

 

 そこからは追及が凄かった。何でこんなにも返ってくるのが遅れたのか。電話に出なかったのか。話しても同じ内容ばかりを聞かれたが。



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23話

久々の更新です
申し訳ないです


 SONGでは対策は取られているけど今はまだ後手に回っている。それは誰もが知るところで特にギアを壊された3人の装者は罪悪感に浸っている。

 

 

「はぁーそんなに悲しまなくていいって」

「誠そうはいうけどな。流石に厳しいんだよ」

「現状ノイズも出ていない。それにエルフナインが頑張ってくれている。それに信じなくてどうするんだよ」

 

 

 立花は今病室で寝ている。あの怪我以降まだ目が覚めていないのだ。

 その現状を知ってるからこそ翼とクリスは焦っているのだ。またオートスコアラーが出てきて誠1人で対応できないこともあってそれで怪我でもしたら2人は自分たちのことを許せない。2人とも気づいていないが本心では誠のことを仲間以上に思っているのだ。それは奏やマリアも同様である。

 

 

「オートスコアラー出現!座標出します」

「誠くんいけるか?」

「もちろん」

 

 

 誠はすぐにヘリに乗り込み出現した場所に向かう。そこにはオートスコアラーが二体いてその周りには大量のノイズがいた。

 

 

「えっと名前は?」

「ファラですわ」

「レイヤだ」

 

 

 2人はいきなり構えてやってきた。いや1人の方は外国で見たことがあるんだけど名前がね。

 そして刀を出すとゲイボルグからアラートが出される。

 

 

《マスター1人刀壊し(ソードブレイカー)はです》

(あっ!そうだった)

 

 

 その警告を聞きすぐに槍に変形させる。槍はあんまり得意じゃないんだがここはやるしかない。

 片方がコインを飛ばしてきてもう1人が後ろから切りかかって来る。なかなかに鬱陶しい連携だが槍を回転させて全て弾いて後ろに対して蹴りを当てる。

 実際は見えているわけではないがゲイボルグによって見えているのだ。だからこそ2人を相手取ってもまだ余裕がある。

 

 

 

「やはりマスターの言った通りか。化け物め」

「その通りのようですわね。ですが今回はそれで構いません」

 

 

 

 その言葉を皮切りに誠に通信が入る。

 

 

「誠くん!それは罠だ!相手の狙いは電力施設の破壊だ」

「なぁ!」

「一つに戦力を集結させたのはおそらく君の足止めだ」

 

 

 それを聞いた誠はどうするか頭に浮かんだ。

 

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal

 Emustolronzen fine el baral zizzl

 Gatrandis babel ziggurat edenal

 Emustolronzen fine el zizzl」

「これはいけませんわね」

「撤退だ」

 

 

 そういい二体のオートスコアラーは転移して逃げる。しかし誠は絶唱を唱えたから体内にとどめて聞いたところに移動する。

 調と切歌がある場所を守るために戦っているそうだ。

 今すぐに向かわないと間に合わないし、絶唱を使った以上ヘリで移動するよりこっちの方が早い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰か、私の親友を、調を助けて欲しいです。だれかー!!」

 

 

 声が聞こえたのでそのまま最大速で斬撃を飛ばす。誠は移動中も2人の状況を詳しく聞いていて今も聞いている。だからこその最大射程、最大威力での斬撃を放つ。建物ごと切ってしまって建物が崩壊して行く。

 最大速で2人を担いで逃げる準備をする。

 

 

「誠さん!!」

「ありがとうデス。調を助けてくれて」

「気にすんな。とりあえず逃げるぞ」

「逃げられると思うか?」

 

 

 その声の方向を見る誠。しかし

 

 

「あと頼んだ」

「任せとけ」

「無論だ」

 

 

 2人が来たのでとりあえず本部まですぐに移動した。なんとかギアの修復が間に合ったようだ。翼とクリスがきた以上何も心配はないだろう。あの2人もかなり怒っているようだし任せておいて大丈夫だろう。

 

 

「下ろして」

「もう大丈夫なのです」

 

 

 その言葉を聞きとりあえずギアを外して2人に服を被せる。

 

 

「ちょっと待つゾ。お前たち」

「なーんでまだいるのかな?」

「キャハハハハ。あんたはここで終わるのよ」

「また2人か。調、切歌絶対動くなよ」

「は、はい」

「わかったデス」

 

 

 その言葉を聞きギアを纏うと同時に2本の刀を出す。刀壊し(ソードブレイカー)がいないなら使えるだろう。それにそろそろゲイボルグが解析を終えてあれの対策もできるみたいなのでなんとかなりそうだ。

 

 そして水と鉱石みたいなのを飛ばしてくる。

 

 

「ほらほらあんた2人とも守れんの?」

「キャハハハ甘いゾ。そんなんじゃさっき戦ったその2人より弱いゾ」

「なるほどな。つまりお前が2人をやってくれたのか」

 

 

 怒りが頂点に達しそうだ。さっき絶唱を使ってしまったからまた使うことになるとかなりの体力を消耗するし、最悪呪いが解けるかもしれない。けれど戸惑うことはなかった。

 

 

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal

 Emustolronzen fine el baral zizzl

 Gatrandis babel ziggurat edenal

 Emustolronzen fine el zizzl」

「まだ撃てるのかよ!」

「これはヤバそうだゾ」

「すぐにケリをつけてやる」

 

 

 飛んで一瞬で間合いを詰めて斬りかかるが水で作った分身だった。

 

 

「ほらほらいいのかな?2人が大変だよ」

「まさか!」

 

 

 その言葉を聞いた誠は反転して2人のところに急ぎ迫っていた片方の手を切り落とした。けれどなんとかいけたのは片方のみでもう片方は無理だ。

 そして体をなんとか動かして自分の体で受けた。

 

 

「ガフ!」

「ありゃこれはいいサービスだ。まだいけそうだね。刺しちゃおっか」

「賛成だゾ」

「チィ。なかなか痛い。2人ともまだ動くなよ」

 

 

 体はすでに絶唱の負荷とこの傷が相まって体が思うように動かない。

 しかしそんなことオートスコアラーには関係ない。またやられると思ったら何か言って転移して逃げた。

 

 

「早く帰るぞ」

 

 

 俺は2人を担いですぐに本部に帰った。そのあとのことは弦十郎さんに任せておけば大丈夫だろうと思い先に2人の治療をしてもらい俺は眠ったのだった。

 そしてまた起きてからはお説教の嵐だったのはまた別の話。




最近は転すらの方をよく更新してるので良ければ見て欲しいです。
これからはこっちもちょくちょく更新して行くのでよろしくです


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24話

 誠が怪我をする少し前チフォージュ・シャトー内部にてある人物たちがあっていた。

 錬金術師でありながら世界を壊そうとするキャロル・マールス・ディーンハイム。

 そしてもう1人パヴァリア光明結社、統制局長アダム・ヴァイスハウプト。二人が会うことは本来ではあり得ないのだ。しかしアダムの方から魅力的な提案をされたためにキャロルの方が許可したのだ。

 

 

「それでなんの用だ?こちらは今忙しい」

「そんなに邪険にしないでくれよ。僕の提案を聞く気になったから招待してくれたんだろう」

「ふん、貴様のことは信用できんがあいつはオレの計画にも邪魔だからな」

 

 

 それはキャロルにとっても邪魔なやつの話なのだ。奴はダインスレイフの強化を受け入れずにそのままのギアで戦っているのだ。そんな奴は計画にはいらないのだ。だからこそキャロルはアダムの提案を受け入れた。

 

 

「それでやつを殺すいや足止めするのは誰なんだ?」

「これさ」

 

 

 アダムが指を鳴らすと後ろから一人の人間がやってきたのだ。いや人間じゃないと思ったキャロル。姿形は人間なのだが発しているオーラが人間のものではないのだ。

 

 

「紹介しよう。彼は一度司誠に負けて僕たちが拾って改造したものだ。もっとも生命機関が停止していたために人間としての機能をほとんど持っていないがそれでも戦闘機能はかなりのものだよ。何よりこの状態になっても驚きなのが聖遺物であるゲイボルグを纏えるということだ」

「ほう」

「それでこれを君たちにかそう。ただ使えるのは彼の相手だけだ」

「構わん。それだけで十分だ」

 

 

 アダムは返事を聞くとすぐに出ていく。元々拾ったものを改造したのだがそれが想像以上の効果を出したのだ。

 しかしさっきキャロルに言ったことに一つだけ隠していることがある。それは確かに司誠と戦うがあくまで足止めなのだ。今回あの物にはギリギリまで戦わないように言ってある。

 だからこそ足止めだけなのだ。

 それ以上の思考はやめて自分の席に帰っていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 誠はある人物を探していた。SONGの中にはいなかったので街に繰り出す。それでも探している人物は見つからないのだ。そんな時に携帯が鳴る。

 

 

「誠くん本部に帰って来れるか?」

「わかりました」

 

 

 誠は本部に向けて歩き出す。結局探していた人は見つからなかったのだ。探していた人物とは緒川さんだったのだ。

 

 

「誠くんきてくれたか」

「それで用事ってなんですか?」

「実はなんだが海に行くことになってな。ここ最近全員疲労が蓄積して休めていないだろう。それで季節的に海に行ってもらおうというわけだ。それで保護者的存在で君ということなのだが」

「構いませんよ」

「そうか。相変わらずだな君は」

「その理由を聞かない人も変わらないと思いますけど」

「それを言われると痛いな」

 

 

 弦十郎さんは笑いながら答える。実際その通りなのだ。

 誠から何も聞かずにいるのは弦十郎自身の優しさである。本来の人間ならば誠自身のことを聞きたいはずなのだ。風鳴家であるなら尚更。

 それを聞かないのは弦十郎自身の優しさであった。

 

 

「水着は用意しておいた方がいいぞ」

「??俺宿舎で寝るだけですけど」

「まぁ一応だな」

「そうですよ。誠さんも持っていた方がいいと思います」

「あー緒川さん探してたんですよ」

「僕をですか?」

「また今度緒川さんの走りを教えてください。何回やってもできなくて。あのスピード」

「構いませんよ。また今度」

 

 

 誠はその返事を聞いて司令室から出ていく。水着がいると言ってももうすでに寮で準備をしていることだろう。

 茜のことだからもう用意をしているだろう。恐らく上に羽織るものも一緒に。司令室から出て寮の部屋についた誠は扉を開ける。

 

 

「おかえりお兄ちゃん」

「ただいま」

「それで水着なんだけど用意できてるよ。後羽織るものも」

「ありがとう」

「これなんて本当は着なくていいのに」

「気にすんな。所詮俺はその程度の存在なんだよ」

「でも」

「今はそれを言っても仕方ないだろ」

「うん、必ずお兄ちゃんを助けるから」

 

 

 茜は決意していたが実際は無理だと思う。次期当主と言ってもかなり厳しいのだ。もうすでに俺に書かれている呪いは複雑に絡まった糸のように解けにくい。

 それを解くにはまず俺自身の体力を完全に回復させてからゲイボルグ主体の解呪をして解けるかどうかなのだ。それでも可能性としては15%ほどらしい。

 考えても無駄なのでもう諦めている。

 

 

「それじゃあご飯にしよっか」

「ああ」

 

 

 飯を食べてここからはいつも通りの流れだ。後は待つだけだ。その海水浴までの間を。

 そう思っていたら夜中にやってきたのだ。迎えの車が。

 

 

「誠さん、茜さん迎えにきました」

「了解」

 

 

 茜は寝ていたので2回に分けて車の中に入る。中には切歌と調がいた。夜中のこともあって二人とも爆睡だ。起きてるのは助手席に座っているマリアと俺ぐらいだ。

 

 

「それじゃあ行きましょうか。あなたは寝ててもいいわよ」

「マリアが起きてるのに寝るわけにはいかないだろ」

「そう。なら話し相手になってもらおうかしら」

 

 

 そこから着くまでの間話すと思っていたが小一時間ほど話したところでマリアも限界が来たのか会話が途切れ途切れになって一時間半経った時には完全に寝ていた。

 あたりが明るくなることに俺たちの車は海についていたのだった。




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25話

投稿久々です、

投稿しようと思った理由はあることがきっかけです



 海に着くと全員が宿舎で着替えだす。俺は宿舎の裏ですぐに着替えた。全員が出てきたところで宿舎に入ろうとするがそれは食い止められた。

 

 

「おいおいどこに行く気だ誠?」

「??中だけど」

「お前はこっちだ!」

 

 

 奏に引っ張られて連れていかれる誠。それを誰も止める気もない。翼はともかくマリアと奏は誠とは違う頼みを受けていたからそれを止めないマリア。

 二人が受けたのは誠のリラックス。それを受けたからこれを止める気がなかったのだ。

 そして海に放り込まれる。

 

 

「ぶへぇ!」

「さてとそれじゃあ遊ぶか」

「は、はぁ!?」

 

 

 誠がそう叫んだがすぐに顔面にビーチボールが当たりまた海の中に放り込まれる。海水が鼻に少し入って痛い。それよりも仕返ししないと気が済まない。海に浮いているボールを掴んでそのままさっき奏がいた方に向かって思いっきり投げる。

 

 

「ぎゃ!」

「あれ?」

「痛いデス」

「切歌?」

「仕返しデス」

 

 

 切歌が投げ返したボールを避けるとそこには

 

 

「痛い」

「し、調」

「切ちゃん」

「は、ハイデス」

「仕返し」

 

 

 調が投げ返してそれを反射的に避けたのだろう。そのボールが奥で遊んでいたクリスに当たりそれがまた誰かに当たるという連鎖が続いてしばらく抜けれそうになかった。

 やっと抜けてビーチに設置されていたビーチチェアに寝転ぶ。

 

 

「楽しんだみたいね」

「ひどい目にあった」

「ふふ、その割にはスッキリした顔をしてるわよ」

「マリアの言う通りかもな。何かに悩んでたのかもしれないな」

 

 

 マリアは余計なことは追求してこずドリンクに口をつける。確かに上がってきてから妙に喉が渇いたがここに飲み物はないので宿に戻って取りに行こうとしたがそこは茜が立っていて飲み物を持ってきていた。

 

 

「どうぞお兄ちゃん」

「はは、先回りしてたのか」

「そんなことないよ。ただそろそろ持っていこうと思っただけ」

「そっか。ありがとう」

 

 

 飲み物を受け取ってビーチチェアに座る。みんなは何故かビーチバレーをすることになっているが参加はしない。

 みんな楽しそうにしてるが約1名勘違いしている奴がいる。

 

 

「これはなかなか厳しいな」

 

 

 翼はこれをトレーニングと勘違いしてるみたいだな。終わってからみんな引き上げる。何だか妙な視線を感じるがそれが何かはいまだにわからない。全員が帰りエルフナインだけがまだ練習している。それはまぁ構わないだろうと思っているとマリアがやってきた。

 2人で練習を始めるみたいだから少し見ていくことにしようと思ったからビーチチェアにまた座る。

 そんなところに空と海からの襲撃があった。

 

 

 [ドォォォォオオン]

「な!なんだ」

「エルフナインは任せてちょうだい。そのかわり空のやつはお願い」

 

 

 空のやつと言われてわからなかったが見た瞬間にマリアが俺に託した理由がわかった。

 空に浮かんでいたのは間違いなくあいつだったからだ。俺が殺したやつ。

 

 

「竜司!」

「誠か。久々に見たが随分と弱っているようだな」

「は、お前を殺すのにこれで十分だ」

 

 

 ギアを纏い飛び上がる。全力で攻撃するが全て片手で防がれる。正直力を失っていたがここまで差があるとは思っていなかった。

 

 

「つまらないな。お前こんなに弱かったか」

「ふざけるな」

「こんな奴に一度負けたとは俺もショックで寝込みそうだ。だから一撃で終わらせる」

 

 

 槍を構えた姿を見たのが最後だった。その瞬間にあったことはわからない。けれど俺の腹を貫かれていたのだけはわかった。

 

 

「誠!?しっかりして。意識を持って」

 

 

 マリアの声が聞こえる。こんなにもはっきりと。死が近い感覚がする。走馬灯は見えないがそこまで過去に思いがあるわけでもないから浮かぶはずもない。ただわかっているのは自分はそう長くないということだ。

 

 

「お兄ちゃん!しっかりして。私また約束果たせてないのに」

「わる……いな。茜。さいごまで……みれそうにないや」

「いや、お兄ちゃん。絶対に死なないで」

 

 

 最後の心残りはこんなにも弱い茜を1人にすることだな。いくらしっかりしていても中身はまだ高校生なのだ。脆い時は脆い。

 それが誠の最後の考えだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「弦十郎さんお兄ちゃんは!?」

「今集中治療をしている。終わるまで待っていてくれ」

「お願い。お兄ちゃんを助けて」

「最善を尽くす」

 

 

 弦十郎さんはそういいどこかへ行く。そこへやってきたのは友里さんだった。

 

 

「誠くんなら大丈夫なんて言えないわ。ただ今は茜ちゃんも休まないとね。はいあったかいものどうぞ」

「ありがとう……ございます」

 

 

 飲み物を受け取ったが飲む気にはなれない。今のあの扉の向こうでお兄ちゃんは生と死の境を彷徨っている。いやむしろここに着くまでよく持った方だとも言われたくらいだ。

 

 

「お兄ちゃん」

「偉そうなことは言えない。ただ彼の無事を祈るなら何よりあなたが祈っててあげないと……ね」

「はい……」

 

 

 私はそれからもらった飲み物を飲んでひたすらにお兄ちゃんが無事であることを祈る。お兄ちゃん自身の枷になっている私がこんなことを祈るのは筋違いかもしれない。けれど祈らずにはいられなかったからだ。

 治療が始まって数時間。扉が開かれて1人の医者が出てくる。

 

 

「無事に成功しました」

「ウソ……」

「ただ手術自体は成功しましたがあとは彼の気力次第です」

「はい、ありがとうございます」

 

 

 頭を下げるとそれに連なるように涙も地面に落ちていく。一度落ちた涙を止めることはできなかった。

 

 

「よかったわね。茜ちゃんも一度休んで。もし誠くんが起きた時にそんな顔してたら彼自身が傷つくわ」

「はい」

 

 

 友里さんのいう通りだ。もし今の状態を見られたら必ず自分を責める。そんなことになったら傷にも響くのでとりあえず家に帰ることにした。

 家に着くといつもより家が広く感じる。それだけじゃない。足音がよく響く。

 

 

「やっぱりいないもんね」

 

 

 その声は暗闇に消えていく。いつもなら私が早い時なら迎えにいくし、遅い時なら必ずと言っていいほど返事が返ってくる。1人がこんなに寂しいものだなんて知らなかった。今まで必ず帰ってくるということがあったから遅くなってもそこまで寂しくなかった。けれど今お兄ちゃんはベッドの上で目を覚ますかわからない状態だ。そんな状態で今の瞬間を生きている。

 私もベッドに入ると不意にインターホンが鳴る。マリアさんたちは鍵を持っているし、すでに何回か勝手に入っていることもあった。玄関を開けるとそこに立っていたのは予想になかった人だった。

 




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