ブルーのアオは煽りのアオ (はるみゃ)
しおりを挟む

煽ることが生き甲斐 だって楽しいもの

 

 

 価値観とはある日を境に急激に変わるものである。

 

 

 

 

 私、ブルーはその日、それを身を持って実感した。

 

 それは八歳の時。楽しい楽しい旅行の最中の出来事だった。両親との初めての旅行。

 

 

 はしゃいでいた私は、ホウエン地方の観光スポットでとあるポケモンを見て、固まった。

 

 

 

 

 ――このポケモンって確かチルットだったよね……

 

 

 

 

 見た瞬間頭に浮かぶポケモンの名前。

 同時に疑問が浮かんだ。

 

 

 ――あれ……なんで私、このポケモンの名前を知ってるんだろ……

 

 

 

 ホウエンに来たのは初めて。故郷であるマサラタウンからほとんど出たこともない私が知っているはずのない情報だった。

 

 

 沸き上がる疑問に首を傾げた瞬間、それは唐突に起きた。

 

 

 

 ――う、頭が痛い……これは……流れ込んでくるこの記憶は一体……!?

 

 

 

 突如頭に流れ込んでくる明らかに私のものではない記憶。それはあまりに膨大で、私の脳では一度に処理することができず、一瞬にして視界は暗闇に染まった。

 

 

 

 

 

 

 気がつけば、私は病院のベッドに寝かされていた。

 

 

「――ここは……」

「ブルー! よかった……気がついたのね」

「お前、丸一日寝たっきりだったんだぞ……本当によかった」

 

 体を起こすと同時に両親が、少し遅れて看護師と医者が駆けつけてくる。

 

 両親の話によると私は突然意識を失って倒れたらしい。

 

 原因は不明。何度検査しても私の体からは異常が見つからなかったらしく……

 

 そのため私は医者からの質問に答えることになった。

 

「――昨日一昨日と比べて今日の調子はどうでしたか?」

「いつもと変わりませんでした」

「――心当たりはありますか?」

「いいえ、ないです」

「――分かりました。……原因は不明ですが、とりあえず貴女の体には異常はありませんので明日には退院できるでしょう。今日はゆっくり休みなさい」

「はい、ありがとうございました」

「お二方も。心配なのは分かりますが、ご本人も何が起こったか分かってない様子なので、今は一人にしておいた方がよろしいかと……」

「分かりました…」

「ブルー。何かあったらすぐに呼んでね」

 

 

 

 

 

 看護師と医者、両親が出ていき、部屋に一人になったことを確認すると、私は今も尚、頭の中で渦巻く記憶に意識を向けた。

 

 

 

 それは一人の男の記憶だった。

 生まれてから死ぬまでの記憶。その全てを赤裸々に記録していた。

 

 可もなければ不可もない面白味に欠ける人生。

 だからこそ、その名前を見たとき私は声を上げていた。

 

「え……」

 

 男の記憶に私の名前が存在していたのだ。

 こうして記憶が流れ込んでくることがなければ一生縁が無かっただろう男の記憶に私の名前が……。

 何故?

 

 疑問に思い、より詳しく探っていると、その名前はとあるゲームの登場人物のものだと言うことが分かった。

 

『ポケットモンスター』

 

 登場人物の一人、ブルー。

 同性同名なだけだったら単なる偶然と片付けることが出来ただろう。

 しかし、作中に登場する『マサラタウン』『幼馴染の存在』が、確実に私のことを指していると確信させた。

 

 

 

 

 

「…………」

 

 

 

 

 

 初めは驚きで言葉も出なかったが、 男の記憶を繊細に探るに連れ次第に、驚きは薄れていった。

 

 

 

 

 流石に膨大な記憶を一日で処理することは出来ず、

 その日から男の記憶を探るのが私の日常となった。

 

 

 

 そして――

 

 

 

 

 

 

「……凄く……凄く……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 わざと見た目が弱そうなポケモンを使い、相手に勝ちを確信させてから、そのポケモンで打ち倒す。そして「今どんな気持ち? 逆転負けしてどんな気持ち?」などと、その心境を笑いながら訊ねる。

 

 男が嬉々してやっていたそんな、所謂煽りプレイの一貫に。私は………心惹かれた。

 

 

 

「…凄く……………煽りプレイって……凄く楽しそう!!!」

 

 高度な煽る技術もそうだが、何より、自分を見下した始めた相手を打ち倒した瞬間の、その表情が絶望に変わるのを見るのが堪らなく愉快だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして二年後。

 

 私は、今しがた相棒(ヒトカゲ)が倒れたばかりであるグリーン、そして己を圧倒したグリーンが圧倒的な差で倒されたことに驚きを隠せないレッドに、指を向けて笑う。

 

「ねぇ、今どんな気持ち? ねぇ? ねぇ? ねぇ? 完膚無きまでに負けるってどんな気持ち? 教えてよグリーン君。あはは、ねえ? 答えてよグリーン君。下を向かないでさ。今どんな気持ちなの? レッド君もさ、自分が圧倒された相手をいとも簡単に倒される気持ちを教えてよ? 私気になるの。こんな弱い人に圧倒されたことないからさ。ねぇ? ねぇ? どんな気持ちなの? あははははははははは!」

 

「くっ、……このっ、性悪女が!」

 

「あっ、もしかしてプライド刺激しちゃったかな。そんな気はなかったんだけど……。一応謝るね、ごめんね。けど無駄に高すぎるグリーン君のプライドもいけないんだよ? 高い割に同世代の少女にも勝てないし」

 

「…………」

 

「お……落ち着けグリーン! ブルーはそういう奴だって分かってるだろ!? ここで乗せられたら奴の思う壺だ!」

 

「そうだよ、グリーン君。レッド君を見習いなよ。ほらプライドないところとか……プライドないところとか…………プライドないところとか………………ごめん、本気で思い付かない」

 

「ガチトーンで謝るなよ!?」

 

「あはははは。ところで話戻すけど、今どんな気持ちなの? 惨めな赤と緑さん」

 

「「最悪だよ!!」」

 

 これは()のブルー改め、()りのブルーの冒険記である。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

虫取り網で取れるのはビードルとキャタピーくらいでしょ笑

 

 

 

 

 鬱蒼と生い茂った草木によって天然の迷路を作り上げているトキワの森。

 

 

 むしポケモンが多く出現するということで、カントー地方女性トレーナー行きたくないランキングで毎回上位にランクインするその場所を、一人の少女が震えながら歩いていた。

 

 

 可哀想に、むしポケモンに怯えているのだろうか――

 

 

 

 

 

「あはは、あの二人の悔しそうな顔…………これだから煽りプレイはやめられないのよね……」

 

 

 

 ――否。ただ幼馴染の痴態を思い出してゾクゾクしているだけである。

 

 

 言わずもがな。

 その少女の名前はブルーだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ついさきほどオーキド博士からポケモン図鑑をもらいマサラタウンから出発したばかりのブルーは、約二時間という異様な速度でトキワの森に進出していた。

 

 理由は単純。

 幼馴染達のように、野生のポケモンを捕まえたり、戦ってレベリングしたりなどを一切せず、ただひたすらに歩を進めていたからである。

 

 

 

 ――では、何故、捕獲や育成をしないのか?

 

 これも理由は単純で。

 記憶を手に入れてからの二年間で予め手持ちにするポケモンを捕まえ、育てていたからだ。

 

 普通ポケモンを保有、捕獲、育成できる許可が下りるのはトレーナーとして活動できる十歳からなのだが、「まぁ、バレなきゃいいでしょ」とブルーはそれを破っていた。

 

 そのため、ポケモンを捕獲する必要も、育成も本日手に入れたゼニガメ以外はする必要がなく……。

 ゼニガメに関しても有利タイプである「いわ」ポケモンしか出てこないニビジムで育てることを予め決めていた。

 

 

 そのため、野生のポケモンと遭遇しなくなるアイテム、むしよけスプレーを使いながら進んだ結果が……今に至る。

 

 

 

 

 

 

 

「あは……はは……流石に笑えなくなってきたわ……。どこかに新しいオモチャいないかな……あっ…」

 

 

 トキワの森を歩き始めて早十分。

 大体中間に差し掛かったであろう場所で、ブルーは虫取り網を片手に装備した少年を発見した。

 

「んー、いないなぁ……」

 

 何かを探しているのか。キョロキョロと辺りを見渡す少年を見て――

 ――正確にはその腰にモンスターボールがあることを見て、ブルーは小さく舌舐めずり。

 

「……オモチャみっけ」

 

 小声で呟くと、猫撫で声で少年に声をかけた。

 

「ねぇ、そこの君~! 何してるの~?」

「……!? 」

 

 突然の出来事に少年は一瞬ビクリと肩を揺らしたが、ブルーの姿を認めると鼻の下を伸ばし始めた。

 

 それも当然と言えよう。

 ブルーは外見だけは清潔感を感じさせる清楚な美少女なのである。……あくまで外見だけで、内面は清楚の「せ」の文字もない性悪だが。

 

 だが、初対面で内面を知ることが出来るはずもなく、少年はブルーの、その清楚な見た目にコロリと騙された。

 

「な、なにって。そりゃ、ポケモンを探してるのさ……! 俺はトレーナーだからね」

「へ~。君トレーナーなんだ~! 凄いね、実は私もなんだよ。今日なったばかりなんだけどね」

 

 ブルーが今知ったとばかりに驚いたフリをすると、少年はへへっと鼻の下を擦った。

 

「実は俺、明日にでもニビのジムを受けようかと思っててさ――」

 

 聞いてもないのに自分語りを始める少年に、すかさずブルーは相槌がてら提案する。

 

「そうなの――じゃあ私も一緒に受けてみようかな~」

「え、君今日トレーナーになったばかりなんだよね? やめておいた方が……」

「あはは、大丈夫だよ。記念に挑戦するだけだから……君と会った記念にね」

 

 

 初対面の少年を赤面させる言葉を吐いたブルーだが、彼女は二つのことを知っていた。

 

 

 

 一つはジムトレーナーの実力を。ジムリーダー、タケシの力を。十中八九この少年は破れるだろうことを。

 

 根拠はジム戦前に、虫取り網を持ってポケモンを探していること。

 その時点で実力は十分察せる。

 

 ――虫取り網で捕まえられるポケモンはキャタピーかビードルくらいですもの。

 

 そんなポケモンをジム戦前に探しているときた。

 どう足掻いてもタケシに勝てるとは思えない。

 

 

 

 

 そして、もう一つ。

 

 この場で戦って直接実力差を思い知らせるよりも、"自分が負けた相手に余裕を持って勝つ(煽りプレイ)"やり方の方がより面白い表情をしてくれる……ということを。

 

 ソースは哀れな幼馴染(レッド)

 

 

 

 故に今日挑もうとしていたジム戦を明日にずらすことにした。

 全ては、煽りのために。

 

 

 元々タケシに煽って勝つつもりだったが、少年の後に戦えば、タケシと同時に少年も煽ることが出来る。まさに一石二鳥。

 

 

 

 

 

 ――どんな方法で煽ろうかな……あぁ……ゾクゾクしてきた……

 

 そんなジム対策(?)を練りながらブルーは笑みを浮かべた。

 邪悪な笑みを。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ニックネームっていうのはね、こうやって使うためにあるのよ

 翌日の朝九時。

 

 集合時間より三十分早くにブルーは待ち合わせ場所であるジム前に向かっていた。

 

 

 

 理由は勿論、昨日に引き続き清楚な美少女を演じるためである。

 相手が偽りの自分を信じ込めば信じ込むほど、真実を見せた時の表情は愉快なものに変わる。

 

 

 

 これのソースは哀れな幼馴染二号(グリーン)

 

 

 

 

 初めて煽りプレイを見せたときのグリーンの表情と言ったら……もう……それはそれは最高なものだった。

 

 

 今思い出しても、ご飯二杯はいける。

 

 

 

 

 

「ふふ……」

 

 

 

 

 ――嗚呼、あの少年は一体どんな表情を見せてくれるのだろう。

 

 そんなことを考えながら、ジムの直近の曲がり角を抜けようとした……その時だった。

 

 

 

 

 ジムのガラスに佇む少年の姿が目に入った。

 何度も何度もガラスで自分の姿を確認して髪型を整えては、キョロキョロと辺りを見渡す。

 

 三十分前だというのに今か今かとブルーの登場を待ちわびている少年の姿に、ブルーの心が疼く。主に悪戯心と嗜虐心が。

 

 

 

 ――これは敢えて遅刻して行った方が絶対面白いでしょ……!!

 

 

 

 

 

 ブルーは素早く身を翻し、曲がり角に姿を隠しながら、少年の痴態を見守ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ………ごめん、遅れちゃった……」

 

 

 結局ブルーが待ち合わせ場所に姿を見せたのはあれから一時間後だった。

 

 三十分の遅刻である。本来なら遅れるつもりは無かったのだが、それもこれもすべてこの少年が悪い、とブルーは内心思っていた。

 

 

 集合時間の五分前に、いきなりジムの前で勝利時のポーズ練習をし出す少年にどうして笑わずにいられようか……。

 

 誰もいない空間に向かって、指で作った銃でバキューンとやっているところを見てしまったせいで、笑いが押さえきれず姿を見せるに見せられなかったのだ。

 

 

 現に息が切れているのは急いできた感を出すための演技ではなく、単に先程まで腹を抱えて笑っていたからであった。

 故に――

 

 

「いや、大丈夫だよ。俺も今来たばかりだからさ……」

「うぐっ!?」

 

 

 ――故に、少年が言った定番のセリフにブルーは堪えきれず噎せた。

 

 

「お、おい……大丈夫か?」

「……う、うん大丈夫大丈夫」

 

 

 

 幸いにも、少年はそれを『笑いかけて噎せた』ではなく『急いで走ってきたから噎せた』と解釈したらしく。

 

 

「じ、じゃあ行きましょうか……」

 

 

 ブルーは何とか平常心を保つことに成功すると、ジムの扉を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少年は呆気なく敗北した。

 

 大事なことなので二度言わせて貰おう。

 

 一人目のジムトレーナーの一匹目の手持ちに六タテされていた。

 

 まぁ、いわタイプのポケモンを使うジムトレーナーに対して、少年の手持ちは六匹全てが不利タイプであるむしタイプ。

 しかもキャタピーとビードルだけで構成されていたから当たり前と言っては当たり前なのだが……。

 

 もしかしてタイプ相性を理解できていないのだろうか……

 

 少年は何が起きたか分からないと言う顔で呆然と立ち尽くしていた。

 

 

「……っ!!!」

 

 

 ブルーはもう、笑い堪えるのに必死である。

 

 

 

 ――さっきのポージング練習が無駄になったね?

 ――ねぇ、今の気持ちはどう? ジムリーダーどころかジムトレーナーのポケモン一匹に六タテされた感想を教えて?

 ――ていうかキャタピーとビードルだけでホントに勝てると思ってたの? 

 

 

 

 そんな言葉をぶちまけて今すぐ煽り倒したい。

 

 

 だが、ブルーは喉まで出掛けたその言葉を押し止めた。

 

 このまま煽っても十分楽しめるが、やはり煽る要因は私の手で作りたい。

 

 そう考えたからである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……では次の挑戦者、前へ」

 

 施設内にジムリーダー、タケシの声が響く。

 

「はい」

 

 ブルーはその言葉に、頷くと一歩前に出てバトルフィールドに入った。

 

 どうやら対戦相手は少年を倒したジムトレーナーがそのまま務めるらしく、相手のボールから六タテを成し遂げたイシツブテが現れる。

 

 心なしかジムトレーナーとイシツブテの表情はドヤ顔しているように見えた。

 

 

 ――うん、あの表情。崩すのが楽しみね。

 

 

 そんな湧き出る感情を押さえ、ブルーは出来るだけ声を高くして、ぎこちない動きでボールを投げた。

 無論、初心者と思わせるための策略である。

 

「出ておいで! ゼニちゃん!」

 

 

 ブルーの一連の動きに、すっかり騙されたのか、弱点である水タイプのゼニガメを出されたというのにも関わらずジムトレーナーとそのイシツブテの頬が緩む。

 ブルーが若干震えているのも理由の一つだった。きっと緊張で震えているのだろう、と彼らは解釈したのだ。

 

 

 ――初心者だと侮っていたトレーナーに負けたとき一体どんな表情を見せてくれるのかなぁ……。

 

 実際は緊張の震えではなく、そんなことを考えてゾクゾクしているだけなのだが。

 

 そうとも露知らず、両者の戦いが今始まろうとしていた。

 

 

「両者準備はよろしいですね」

 

 

 審判の言葉に両者は頷く。

 ジムトレーナーは自信満々に、ブルーはおどおどしながら。

 

 

「――では勝負始め!」

 

「イシツブテ、『ころがる』だ」

 

 

 開始と同時に勢いよく接近してくるのはイシツブテ。一瞬で蹴りを着けようという魂胆らしい。

 

 確かにいわタイプのポケモンはその名の通り、岩のように硬く、重い。

 いくら『ころがる』と言えど、もろに食らったら一発KOの可能性もあり得る。事実、キャタピーやビードルはどれも一撃で倒されていた。

 

 だが、それはあくまで攻撃を食らえばの話。

 愚直に突撃してくる、いわタイプなど恐れるに足らず。

 

 

「ゼニちゃん、イシツブテに向かって『みずでっぽう』よ!」

 

 

 ゼニガメのレベルは低い。 いくらタイプ相性が有利でも、イシツブテを一撃で仕留めることは恐らく不可能。

 

 故に、ブルーは、ジム戦前にゼニガメにある言葉を伝えていた。

 

 

 

 

 

 ――よく聞いてゼニガメ。私がゼニちゃんって呼んでるときは、ポケモンに技を当てちゃだめよ。足元を狙うのよ。

 

 

 ――ゼニガメって呼んだときは素直にしたがってくれればいいわ。

 

 

 

 

 

 

 事前に交わしたその言葉通り、ゼニガメはイシツブテの足元に『みずでっぽう』を放つ。

 

 

 ゼニガメが技を外したことに、ジムトレーナーは勝ちを確信したのだろう。頬を緩め、数秒後目を見開いて絶句した。

 

 

 単純なことだ。

 『みずでっぽう』で濡れた地面に、イシツブテが滑って転んだのである。

 

 

 

「えっ? 今よ、ゼニガメいっけー!」

 

 

 致命的な隙を見せたイシツブテに、ブルーはチャンスとばかりに命令し。

 三発もの『みずでっぽう』がイシツブテを襲った。

 

 

「あぁ……イシツブテ!?」

「やったぁ!」

 

 

 一発ならまだしも、三発も受けて耐えられるはずもなく、戦闘不能になったイシツブテを見て、ブルーは白々しくガッツポーズ。

 

 

「くっ、まだだ。まだ終わっちゃいない」

 

 諦めずに二匹目を出すジムトレーナーを、あわあわと、しかし玩具でも見るような眼で見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後も、ブルーは二匹目、三匹目共にまぐれ勝ちを演じた。

 

 二匹目は先程と同じように足元を狙い隙を見せたところをタコ殴りに、三匹目はほぼ相討ちで。

 

 

 少年に本当の実力を見せるのはジムリーダー戦だけ。

 その為に、可能な限り初心者っぽく振る舞っていたが、ゼニガメを戦闘不能寸前まで追い詰めてしまったことに反省する。

 

 

「ありがとゼニガメ」

 

 

 キズぐすりを使いゼニガメの体力を回復させるとボールへと戻し、目の前のジムトレーナーへと視線を移す。

 

 見下していた初心者に敗北した、ジムトレーナーを。

 

 自分は他者より優れている。そんな意識があったのだろう。そして少年との戦いでその思いが強まったジムトレーナーは、あからさまに初心者であるブルーに負けたことにショックを抱いていた。

 尤も、ブルーはあくまで初心者っぽく見せていただけなのだが、そんなことはジムトレーナーに知る余地もなく。

 

 

「お強いんですね。普段どのように鍛えているんです? 私は、昨日トレーナーになったばかりなので、鍛え方とか全然分からないんですよ……よければ教えてくれませんか?」

 

 格下だと思っていたブルーの、敗者を労るような声と、差し伸べた手に。

 そして、昨日なったばかりという……その言葉に。

 

 ジムトレーナーは、立場も構わずジムから飛び出した。

 

 

 手を差し伸べたまま残されたブルーはその後ろ姿を見て、慌てて手を口で押さえる。

 

 

 

 

 ――ダメだ。ニヤけちゃう

 

 ――けど仕方ないよね、だってあの表情!!

 

 ――あぁ、愉しい!!

 

 

 

 

 その様子をジムリーダーであるタケシは、ただでさえ細い目を更に細めて見ていた。

 

 

 

 

 

 




※普段はなんか知らないけど浮いてるイシツブテさんですが、転がるときは流石に地面に体を着けているでしょう……多分


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

本気を出して負けるのが一番ダサいのよ

ジムリーダーに認められた証であるジムバッチ。0個なら一戦、1個なら二戦と、その所持数によってジムリーダーに挑むまでの前哨戦(ジムトレーナー戦)の回数は変わる。

 

 ブルーは先日トレーナーになったばかり。

 捕獲などのルールを簡単に破った彼女でも、ジムに挑むのは初めてだった。

 

 だからこそ。ブルーは対面したタケシの言葉に一瞬表情を崩してしまった。

 

「ニックネームを使い分けるとは中々面白い戦い方をするんだな」

「……なんのこと……?」

 

 流石ジムリーダー。まさかたった一戦で見抜くなんて。

 

 内心戦慄しながらもブルーはすかさず愛想笑いを張り付け、白を切る。

 

 ベテラントレーナーがニックネームを使い分けていたら、何かあると確信を持っても仕方ない。

 

 しかし、何度も繰り返すがブルーは先日トレーナーになったばかりの新米。

 

 故に私が名前を呼び間違えた可能性も否定できないだろう。そう考えての行動だった。

 

「……まぁいい。どちらにせよ、戦ってみれば分かることだからな。いけイワーク」

「ゼニガメ」

 

 前にボールを投げるタケシに対して、ブルーは手前にボールを落とすようにして投げた。

 理由は単純。少しでも距離を取るためだ。

 物理に対して無双な強さを誇るいわタイプ相手に接近戦を持ち込むなんて愚の骨頂。

 

 それに岩蛇ポケモンであるイワークはリーチが長い。一度間合いに入ってしまえば一方的にやられることは目に見えていた。

 

 ――ここは距離を取って特殊技でなぶり殺すべきね。

 

「ゼニガメ、『みずでっぽう』」

「無視だ! 突っ込めイワーク!」

「な!?」

 

 ゼニガメの『みずでっぽう』を正面から食らってもモノともせず突っ込んでくるイワークに、ブルーは思わず声を漏らして舌打ちする。

 

 イワークほどの巨体を持つ相手と戦うことは初めてだった。故にブルーは、現実とゲームとの区別があまり付いていなかったのだ。

 冷静に考えてみればあんなデカイ相手に小柄なゼニガメの『みずでっぽう』で太刀打ち出来るわけがない。現に、『みずでっぽう』を食らって濡れている箇所は一部分だった。

 

「ゼニガメ、『まもる』」

 

 ――あっぶな。……デカイ相手は厄介ね。

 

 間一髪指示をいれたことでなんとかイワークの攻撃を防いだブルーは認識を改める。

 先のイシツブテの様に地面を濡らしても恐らく無駄。隙を作ることができても恐らく倒すことができないし、ニックネームの使い分けについて確信させてしまうことになる。

 

 タケシのポケモンはイワークだけじゃない。

 少なくてもあと一体はいるはず。

 

 ――ゼニガメを外せば楽なんだけど……まぁ、最初のジムくらいはゼニガメに活躍させてあげたいし……

 

 せめてゼニガメでイワークだけでも倒したい。

 

 ――仕方ない。一枚切るか……

 

 ブルーはゼニガメと目を合わせ頷く。

 そして、大きな声を張って命令した。

 

「ゼニガメ『ハイドロポンプ』」

「何だと!?」

 

 それに驚いたのはタケシだ。

 『ハイドロポンプ』と言えばみずタイプ上位の技。初心者が使える技ではない。

 ただの初心者ならば、虚言だと判断出来るが。相手はジムトレーナーを手玉に取った得体の知れないトレーナー。

 虚言であると決めつけるのは無理があった。

 

「『あなをほる』だ! 深く潜れイワーク!」

 

 故にタケシが取った方法は単純。回避させようと地面に逃げ込ませた。

 イワークは普段地面の中に生息しているポケモン。その為地面を掘るのが早く、素早く潜っていく。

 

 相手の技より早く潜れたことにタケシは安堵しつつ、数秒後眉を潜めた。

 流石に遅すぎる。上位技とはいえ、ここまで時間がかかる技を彼女が選ぶだろうか、と。

 

 そんな疑念を抱き始めた彼の元に、ブルーのわざとらしい声が届いた。

 

「……あり? あ、しまった~。『ハイドロポンプ』は覚えてないんだった、てへ!」

「なん……だと……」

「ごめんなさい。初めてのバトルだから緊張しちゃって~。ゼニガメ、穴に向かって全力で水を流し込み続けなさい」

 

 いつの間にか穴の目の前まで接近していたゼニガメが水を大量に流し込む。

 

「しまった! イワーク!? すぐに出ろイワーク!?」

 

 ハッとタケシが気を取り直した時にはもう遅い。

 

 勢い良く流し込まれる水の音と、イワーク自身タケシの指示に従って地中深くいたことで指示は通らなくなっていた。

 

 数分後水で溢れ変える穴の中から弱りきったイワークが這い出てくるまでタケシは下唇を噛み締めて目の前のトレーナーを見ていた。

 

 コイツは異常だ。

 

「すまんイワーク……ゆっくり休んでくれ……。やってくれたな…」

「ごめんなさい、わざとじゃないんです~」

 

 嘘つけ、と言いたいのをグッと堪え、タケシは己の最後のポケモンを繰り出す。

 

「ゆけ、サイドン」

 

 もう油断はしない。

 確かに目の前の少女は普通の初心者とは一味も二味も違うが、使っているポケモンは普通の初心者と大差ない。

 

 本来サイドンは使う予定がなかったが、あの少女には敗北を教えてあげなければならない。

 戦い方を教育するのもジムリーダーの役割だ。ジムリーダーとして、一人のトレーナーの矜持として、あんな性根が腐ったような戦い方を認めるわけにはいかなかった。

 

 ――イワークと違ってサイドンはレベル調整をしていない。正面からぶつかれば負ける筋合いがない。

 

 そんな覚悟をしたタケシに、ブルーはニヤリと笑みを浮かべる。

 ようやく弄り甲斐がありそうな顔つきになったと。

 

「へぇ……下がっていいよゼニガメ」

 

 ブルーはゼニガメを下がらせると、新たなボールを手にした。

 

 それはかつて前世の知識を取り戻したホウエンで出会ったポケモンだった。

 その害悪さ故にファイアローやフェアリータイプが出始めた六世代まで恐れられてきたポケモン。

 

「いくよ、キノガッサ」

 

 どくどくだまを持ったキノガッサによる蹂躙が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――なにもできなかった。

 ――なにも。本来の手持ちのポケモンを使っても勝てなかった。

 

「いやーお強いですね。さすがジムリーダーです」

 

 ふぅ、と小さく笑みを浮かべながら手を差し出してくる少女。

 その手を、タケシは思わず拒否してしまった。

 

 しまったと思った。

 瞬時に謝ろうと、そう思った。

 

 しかし、目の前の少女を見た瞬間、その気は失せた。

 嗤っていた。笑っていたのではない、嗤っていたのだ。

 まるで拒否されることを望んでいたかのように少女は笑顔だった。

 

「……そんなにショックだったんですか? まぁ、自慢の一体がやられちゃったらショック受ける気持ちは分かりますけど。本当強かったですよ、あなたのサイドンは。お陰でキノガッサのレベルが上がりましたし」

「――ッ」

 

 ねぇ、と少女は不意に観客席の方を見る。

 そして一緒に来ていた少年を見つめると、手で銃の形を作って撃ち抜く素振りをして見せた。

 

 何を考えて少女がその行動をしたのか分からない。が、顔を真っ赤にして涙目で走り去っていく少年を見る限り意味がある行動だったのだろう。

 

 少年の姿が完全にジムから消えると、再び少女はこちらを向いて笑いかけた。

 

「次は是非とも本気の戦いをしてみたいですね。私のキノガッサとあなたの鍛えぬいた六体。どちらが強いんでしょうかね―……」

「…………」

「一対六ですけど、サイドン相手に無傷で勝てましたから可能性はあると思うんですよ、私」

「…………」

「じゃあジムバッチと経験値ありがとうございました。レベル上げスポットとしてとても有効でした!」

 

 タケシはずっと黙ったままだった。

 少女が去るまでずっと。

 

 強く噛み締めていた唇や、握りしめていた手のひらからは、うっすらと血が滲んでいた。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

タイプが有利なのに負けてるってどういうことなのかな〜? 敗因を説明してくれる?

「待てブルー」

 

 それはハナダシティのジムリーダーであるカスミを煽り倒した後。

 ご満悦なブルーが桟橋を渡ろうとした時だった。

 

 名前を呼ばれて振り向くと、はぁはぁと息を切らす幼馴染み(グリーン)の姿があった。

 

「あら、グリーンじゃない。こんな所で会うなんて奇遇ね。ちゃんとジムバッチは集めてる?」

「無論だ。ハナダのジムはまだだが、ニビなら取った」

「へぇー」

 

 余裕そうに言いながらも、ブルーは内心焦っていた。

 と言うのも、グリーンはブルーと違い、ヒトカゲを貰う前からポケモンを保有する、といった行為はしていなかったからだ。

 

 故に、例え虫取り少年を煽るのに無駄に一日を使っていたとしても、自身に追いつかれることはないと考えていた。

 

 

 ーーーライバル補正ってやつかしら。

 

 予想を遥かに超える進行スピードに、小さく舌打ち。

 若干苛つきながらも、ブルーは自分を呼び止めたグリーンに何の用かを尋ねた。

 

「決まってるだろ。ポケモンバトルだ」

「あぁ、そう」

 

 はぁ、とブルーは小さく溜息を吐く。

 

 確かにレッドやグリーンは煽り甲斐があり、戦うのは楽しい。

 

 だけど、今回は前回戦ってからの期間が短すぎる。

 タケシを倒して多少自信が付いたのかも知れないが、ぶっちゃけそう大して実力も変わっていないだろう。

 

 ーーー本当はもうちょっとジムを攻略させて自信が有頂天になってるところを叩き潰したかったんだけど。…仕方ないか。それはレッドにしよう。せっかく二人も幼馴染みがいるんだし、有効的に活用しないとね。

 

「ま、いいけどさぁ……ルールはどうするの? 何ならハンデつけてあげるけど」

「三対三でいい。ハンデはいらん」

「強がっちゃって」

 

 ーーーまぁ、どっちにしても全力は出さないんだけど。さて、どの子を出そうか。グリーンは恐らくヒトカゲをエースにしてるはず。負けた理由をタイプ相性の所為にされても嫌だし、やっぱり煽りを兼ねるなら不利なポケモンで行くべきだよね。

 

「使うポケモンは決まったか?」

「オーケーオーケー。問題ないよ。さぁ、かかっておいで」

「そんな軽口を叩けるのも今日が最後にしてやるぜ、行けピジョン!」

「出ておいでバタフリー」

 

 ーーーピジョンか〜、よし、不利なタイプ!  これで二体は確定ね。

 

 場に出されたピジョンを見て口元を歪めるブルー。

 不利なタイプを出されて喜ぶのは彼女くらいである。

 

「何笑ってやがる。知らないのかブルー、むしタイプはひこうタイプに弱いんだぜ。ピジョン『つばさでうつ』」

「へぇ……そーなんだ。凄いねー。バタフリー、空高く飛んでピジョンから離れて」

 

 知らないわけないでしょうが。そう突っ込みたくなる気持ちを抑えて、ブルーはバタフリーにそう指示を出す。

 

「な、距離を取るつもりか!? 追え、ピジョン!」

 

 当然ながら蝶のバタフリーよりも鳥のピジョンの方が飛ぶスピードは速い。

 見る見るうちに追いついたピジョンの羽がバタフリーの胴体を叩こうとした、寸前。

 ブルーはニヤリと笑みを浮かべて指示を出した、

 

「『しびれごな』を『かぜおこし』」

「な! 避けろ、ピジョン!」

「無駄だよ」

 

 しびれごなやねむりごなと言った粉系の技は、効果は強いのだが、いかんせん射程範囲が短く技の速度が遅い。その為、命中率が非常に低い。

 それは命中率に補正がかかる『ふくがん』の特性を持つブルーのバタフリーでも変わらない。

 しかし、ブルーは『しびれごな』をピジョンのから落とすように発動すること。そして『かぜおこし』をアシストとして使うことで欠点である射程距離、技の速度を補っており。

 またピジョン自身、バタフリーに接近していたのもあって、『しびれごな』を顔面から受けることとなった。

 

 

 ーーーゲームの時は同時に技なんて無理だったけど。現実になると出来ちゃうんだからポケモンバトルって奥が深いのよね。

 

 

 身体が上手く動かず墜落していくピジョンを眺めながら、感慨深く目を細めるブルー。

 

「バタフリー、『エアスラッシュ』を放ち続けなさい」

 

 無論、殺意はマシマシである。

 ちなみに『ねむりごな』採用しなかった理由については、動けない相手を痛ぶるのは楽しいが反応がないとつまらないから、だ。

 まさに非道だった。

 

「も、戻れピジョン!」

 

 堪らずピジョンを戻すグリーンに、ブルーはニヤニヤとした笑みを浮かべる。

 

「あれー? タイプは有利じゃなかったの? どうして負けてるのかなー? あはははは」

「くっ、リザード!」

「バタフリー、そのままの高さで『しびれごな』を撒き散らしなさい」

「リザード避けながら『ひのこ』! チッ、届かないか!」

 

 バタフリーはかなりの高度を維持しており、リザードの『ひのこ』は届く前に消えてしまう。

 

 ーーーぶっちゃけ、ひこうタイプって飛べない相手に対しては無双なのよね。ひこうタイプのポケモンが物理技しか覚えていない場合や、相手のポケモンが『かえんほうしゃ』や『サイコキネシス』など強い特殊技を覚えている場合なら話は別なんだけど。

 

 必死に『しびれごな』を回避していたリザードも、やがてスタミナが尽きる。

 『しびれごな』が当たったところで『エアスラッシュ』連発。

 

 グリーンの最後のポケモンのラッタも同様の手段で蹂躙し、ブルーはダメージを食らわず勝利を収めた。

 

「そんな…オレが……」

「だーから、ハンデあげようかって聞いたのに。バタフリー一体に自慢のポケモンが三体やられた気分はどう?」

 

 3タテをされ、ショックを受けるグリーンにブルーは悪そびれず煽り散らす。

 

 それからしばらくの間、桟橋ではブルーの笑い声だけが流れていた。

 

 

 

 

 

「くそ!」

 

 散々煽り散らしたブルーが満足して去っていった後、グリーンは桟橋を強く叩いた。

 

 ーーー旅の途中で出会ったトレーナーやニビのジムリーダーは余裕を持って倒すことができた。間違いなくオレは強くなっているはずだ。

 

 ーーーなのに…あの女には勝てない。ダメージを与えることすら出来なかった。

 

 ギュッと唇を噛みしめ、思考を巡らせる。

 

 ーーー何がダメだった? オレの指示? いや、間違った指示は出してない。そもそも天才であるオレが間違えるわけがない。ピジョンが、リザードが、ラッタが、オレの指示に従うのが遅かった。もしくはしっかり従えてなかった。そうに違いない。

 

 ーーーそう言えば爺さんから聞いたことがある。ポケモンにも才能があると。個体によって才能の違いが大きく出るのだと。

 

 恐らくブルーはそう言った才能があるポケモンを使っているのだと、グリーンは考えた。

 

 ーーー天才なオレには天才なポケモンが相応しい。凡才な、そこらで捕まえたようなポケモンなんて要らない。一から、いや卵から個体を厳選して、英才教育をして、究極の個体を作り出してやる。

 

 この日からグリーンは5番道路への滞在が多くなった。




5番道路=育て屋


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。