姫に恋した一人の侍 (賢者)
しおりを挟む

原作前 アプローチ
プロローグ


一つ…一つ昔話をしよう…

 

お前の祖先は元々武家嫌いだったそうだ。

 

そいつは京に向かう途中追剥にやられてな、金目のものを全部盗られて行き倒れてたらしい。

 

どんくさいだって?ハハッそう言ってやるなよ

 

それでも一応私たちの祖先なのだぞ?

 

そして行き倒れていたところを芹沢鴨に助けられてな…

 

芹沢鴨とは誰かって?

 

そのお人は昔新撰組ーその頃は壬生浪士組だがーの局長をやっていたお人だよ。

 

その縁のおかげでそのお方の小姓として仕えていたそうだ…

 

芹沢様のお人柄は豪快で大胆だったそうだ?。

 

だが芹沢様は少々やりすぎて幕府側から暗殺の命が下ったそうだ。

 

その頃にはもう自分の御身が危ないことを知っていたそうだよ。

 

そして私たちの祖先はソレを見てしまってね…無駄に正義感はあったんだよ…多分…

新撰組に命を狙われたんだよ。

 

それでよく生き残ってられたなって?

 

まぁ生き残れたんじゃなくて正確には生き残らせてもらったんだ。

 

新撰組の沖田総司に見つかってしまったんだけど祖先に少しばかり情がわいたんだろうね

逃がしてくれたんだよ。

 

まぁその逃がし方って言うのが川に突き落とすって言う少々手荒な方法だったんだけどね

 

その後は日本を巡って思い人を見つけ出して添い遂げたそうだ…

 

だけど彼も新撰組を忘れられなかったらしくて刀の練習をいつもしていたそうだ。

 

それはもう愚直に、真っ直ぐに子供のようだったらしい。

 

でも添い遂げた相手とはよろしくやっていたそうだ。

 

だがそれも長くは続かなかった…

 

近藤勇と言う人を知っているかい?

 

しってる?そいつは良かった。

 

その人が首を落とされたって聞いたらしくてね

 

血相変えて家を飛び出したそうだよ。

 

その後は想像の通りさ…

 

新撰組に合流して戦に参加

 

大した腕は持っていなかったけどそれなりに練習していたし短い期間だとはいえ腕のいい剣士の

振るう剣をまじかで見ていたから何とか生き残れていたそうだよ

 

でもその戦の旗色が悪くなっていくと反逆者が増え始めてね…

 

あろうことかその時指揮を取っていた新撰組副長土方歳三に刃を向けた輩がいたそうでね

そいつの凶刃から土方さんを守るために肉盾…つまり自分を犠牲にして守り切ったそうだよ

 

これは全部土方さんが伝えてくださったことだ。

 

祖先の思い人はひどく落胆して食事ものどを通らなかったらしい…

 

まぁ立ち直ってくれたからこそ今の私たちがあるんだけどね。

 

んでお前隣の美人は誰だい?彼女?

 

成る程…お名前はレキさんって言うのか…

 

アンタ大切にしなよ?

 

少なくとも祖先の様に思い人より先立つなんてこと私は許さないからね

 

まぁ武偵校にいる限りは保証できないだろうけど…

 

自分の名前…井吹勇作と言う名前に誓いな、思い人より先に死ぬなんてことは絶対にしないと‼

 

うん?『斎藤2代目』の名にも誓ってやるって?

 

そいつは良かった…絶対その子を不幸にするんじゃないよ?

 

井吹家の男なんだ、それくらいの甲斐性は見せなよ?




まだ本編に入らないと言うね?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

平々凡々は隠れ蓑

本編突入!…なわけなくまずはレキと出会って恋するとこから‼


近年凶悪犯罪の件数が増え国の警察機関では犯罪の検挙が難しくなっていく。

 

その国の安全の為に登場したのが『武偵』と呼ばれる集団

 

武偵とは武装した探偵の事を総称してそう呼ぶ。

 

そしてそれを育成するのが武偵高と言う訳だ。

 

武偵高の生徒は銃器・刀剣を扱い、諜報・通信・探偵・兵站・衛生といった技術を持つ仲間と連携して捜査を行う。

 

そしてみんなに言えることは殺さず制すること…

 

殺さず制することがいかに困難で、いかに大変なことか戦闘を生業としているものならば簡単に

わかるだろう。

 

そんな武偵高には当然ランクが存在する。

 

ランクは民間からの有償の依頼解決の実績や学科の各種中間・期末試験の成績からランク付け

される。

 

ランクの準じて受けられる任務(クエスト)が変わるのだ。

 

「まぁ、そんなこと関係ないんだけどね…」

 

俺、井吹勇作は屋上でのほほんと昼寝を堪能していた。

 

彼の武装は腰に小太刀モドキ(何故モドキなのかと言うと刃がついていないため)

とFN ブローニング・ハイパワー【正式名称は「ピストル・オートマティック・ブローニング・

モデル・ア・グラン・ビザンス(ブローニング・オートマティック・ピストル・モデル・

ハイパワー)】

 

あの有名な映画「ダイ・ハード」の原作「Nothing lasts forever」では“プロの使う拳銃”と

書かれている。

 

それを俺用に改造しまくったので正式名称はFN ブローニング・ハイパワー井吹勇作カスタム

と言ったところだろうか?

 

それで家に眠っている日本刀「菊一文字」…沖田総司が使っているとされた刀で土方歳三が

 

家の祖先(婆さん)と会いに来るとき(爺さんの)刀が見当たらずそれなら沖田の魂を預けた

方が!みたいな感じで渡された刀らしい。

 

元々うちの家宝だったのだが家族が全員亡くなってしまったため俺が持つことになった。

 

この刀には少々特別な力が宿っているらしく俺はあまり抜いていない。

 

「そろそろ時間か…」

 

何の時間か?と問われれば授業の時間と答えよう。

 

そもそも俺は師匠「藤田五郎」によって基本的な問題から応用的な問題まで頭に叩き込まれて

いるので関係ないのだが…

 

俺は億劫そうに立ち上がって教室に向かおうとする。

 

ココの教師は怒らせると鬼より怖いのだ。

 

一回怒らせてしまった生徒の末路を見たことがあるのだがアレは正直言って人間業ではない。

 

その時から俺は怒らせない様に気を付けてる。

 

俺は寒気を覚えながら伸びをして眠気を追い出すと上から(と言うか頭から)見覚えのない

紙が降ってきた。

 

紙には「放課後、この屋上にて待つ」とそれだけしか書いていなかった。

 

多分果たし状ではないが決闘とかそういうものだろう。

 

俺ははやる気持ちを抑えながら教室へと向かい放課後を待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして放課後俺の予想だにしない言葉がやってきた。

 

俺は決闘と思って身支度を整えていざ屋上へ!と意気込んできた。

 

そこには狙撃科(スナイプ)で有名なレキがいる。

 

無感情な様から『ロボットレキ』なんてあだ名をもらうこともある。

 

そんな彼女が俺に何の用だと言葉を待っていると

 

「私をあなたのパートナーにしてください」

 

こんな告白まがいなことを言われてしまった。

 

どうしよう…



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

実はシリアスなんて続かない

知ってる?原作ってのは壊してる方が書いてる方は書きやすいんだよ?
んでもって今回も短い


「遠山殿少しお願いしたいことがあるでござる」

 

「おいどうした?お前がネタに走るなんて…なんかあったか?」

 

何故俺は冒頭からこの目の前の同居人遠山キンジに土下座をかましているのかと言うと…

 

「いやね…レキって女の子知ってる?」

 

「知ってるも何も有名だろうが…狙撃科の天才児『ロボットレキ』の事だろ?」

 

「知ってるなら話が早い、頼むその子をここに住まわせてくれないか‼」

 

レキのパートナーになっての初仕事をやっているのであります…

 

「嫌だ!俺は女が嫌いなんだよ‼お前も知ってるだろう?」

 

「そこは何とかお願いします!ムッツ…ゲフンゲフン遠山殿ォ!」

 

「お前今ムッツリって言おうとしたろ!ムッツリって‼」

 

何でこんなことになったかは順序立てて説明しよう。

 

・レキさん「パートナーになってください」って言う

           ↓

・俺「え?どゆこと?それどゆことォォォォォ!?」って混乱する。

           ↓

・レキさん「数週間の間私とパートナーとして組んでください」

           ↓

・俺「あ、そうだったの…」嬉しいような嬉しくないような微妙な感じ

           ↓

・レキさん「少し寒いのであなたの家に泊まらせてくれませんか?」

           ↓

・俺「一日くらいだったらいーよー」軽い感じで言う

           ↓

・レキさん「いえ、一応これからパートナーとして活動していくのであなたの癖を知っておき

      たいので一日ではなく出来れば数週間の間ずっと…お願いできませんか?」

           ↓

・俺「ohマジでか…」寮に戻って土下座確定

 

 

「それで冒頭に戻る」

 

「お前は誰に向かった話とるんだ」

 

うん?なんだか変な電波を受信したような気がする…

 

「まぁそんな感じなので頼む、キンジ」

 

「あのなぁ…俺も事前にあったらお茶菓子位用意できたし掃除もしたんだぞ…それなのにいきなり

なんて無理に決まってるだろ…」

 

「とか言って鏡の前で真剣に髪の毛セットするお前の顔はいつでもウェルカムなんて顔してるぞ」

 

ハァァァァ…この前まで女嫌いだったキンジが懐かしい…

 

実は俺この頃ここに編入してきたばかりの転校生なんです。

 

それで余っている部屋に入れさせてもらいそれでキンジに出会った。

 

このころのキンジは完全に世界は終わったみたいな顔してそれはもうダークな雰囲気真っ盛り

だったが俺の発案した「キンジ君をどうにかこうにか綺麗な元のキンジ君に戻しちゃいましょー」

計画によって女嫌いまで治してしまったと言うミラクル…

 

「つーかお前には白雪と言うフィアンセがおるだろーが」

 

「フン、男は女性が来ると知って起こす行動が二つある…自分の恰好のチェックと部屋の掃除だ…

それを怠るなんて俺は男とは言えない‼」

 

「とか言っといてラッキースケベ起こしたらリンゴよろしく顔真っ赤にするくせに…

この前なんて白雪にラッキー起こして気絶して…俺がもう少し遅く帰ってたらお前襲われてたぞ」

 

「あの時は本当に助かった…ありがとう…」

 

でも肝心なところで狼になれない草食系だったりする。

 

「お前ってどこか残念系男子だよな…」

 

「うるへー…っとレキさん入れなくていいのか?」

 

「おっとそうだった…ん?てーことは?」

 

「いいよ、俺とお前の仲だ、許してやんよ」

 

「おうありがとう…まぁ頑張ってヒスら無いようにしな」

 

分かってらぁ…と言う声を背中で聞きながら俺は玄関に向かう。

 

HSS…ヒステリア・サヴァン・シンドロームと呼ばれる遠山家の人間が持つ特異体質…らしい。

 

らしい…と言うのは又聞きの為自分で裏をとっていないからだ。

 

一応俺も武偵の端くれなので自分で調べられることは調べておきたいからだ。

 

性的興奮を感じると思考力・判断力・反射神経などが通常の30倍にまで向上し

女性の事を最優先で考えることで物事の優先順位付けが正しく出来なくなったり女性にキザな

言動を取ってしまうなどの反作用がある。

 

それのせいで女性不振になってしまったらしいがそれはまた別のお話。

 

因みに何故白雪のときはHSSが発症しなかったのかと言うとただ単に彼の脳のキャパシティを

大きく超えてしまったから…この初心紳士が‼

 

まぁその女性不振を治した俺の事を凄いと思ってくれればそれでいい。

 

さっぱり思わない?さいですか…

 

「まぁ、今はそんな事よりも…」

 

お外で待ってる姫君を俺たちの住処に案内するとしますか…



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

過去語り

キンジ君の過去語り編なのだ
一応伏線らしきものも用意するよ?



~追記~
加筆しました


彼女が俺たちの寮に押しかけてからもう1週間がたった。

 

最初は感情の起伏が読めなかったので苦労したが何とかコミュニケーションも取れるように

なっている。("なっている″なので完全ではないが…)

 

一番困ったのはお風呂の時間だ。

 

彼女は年頃の少女が持つ恥じらいが無いので1時期は(と言うか1日だけ)お風呂から裸で

上がってきて目のやり場に困ったほどだ。

 

アイツが落としてくれなければ多分HSSが発動し彼女を口説いていたことだろう。

 

そんな悩みも今日は関係ないとばかりに寮を出た遠山キンジは今猛烈な危機感?を抱いている。

 

なぜ解放感全開の説明から一転危機感と言う物騒なものに変わったのか?と疑問に思うものも

いるだろう…

 

答えはいたってシンプルだ…偏屈な天才刑事だって言うだろう?

 

「あの…申し訳ありませんが話を聞かせていただけますか?」

 

真実とは存外身近なところにあるものですよ?と…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…で何を聞きたいのですか?もしかしてアイツの事か?」

 

「アイツとは誰の事かわかりませんが、私が聞きたいのは井吹勇作さんの事です」

 

いつもの感情をあらわさない顔でそうたずねてきた。

 

「やっぱりか…んでアイツの事と言ってもいっぱいあるぜ?」

 

「ではあの人の出生などを教えていただけませんか?」

 

あれ?それって確か…

 

「お前自分で調べていなかったか?しかもやたら詳しく」

 

そう彼女は部屋に押しかけて来た直後に始まろうとした自己紹介を止め、逆に俺たち(主に井吹の

事ではあるが…)のプロフィールをしゃべり始めたのだ。

 

アレは焦った…まぁ峰が調べていると聞いた時点で納得したが

 

因みに峰と言うのは俺たちの同級生でロリ巨乳のおバカさんキャラを作っている女の子だ。

 

まぁどんな理由でそのキャラを作っているのかは分からないが、まぁいい話ではないのは確かだ。

 

「いいえ、彼の親友であるあなたに聞きたいのです、遠山キンジ」

 

ふーん、これってもしかして…

 

「いいや俺もあまり知らないよ」

 

「と言うと?」

 

「いや言葉の通りだ、アイツ自分の事をあまり話さないんだよ…まぁ聞けば教えてくれると

思うぞ?」

 

成程…と言いながら無表情のまま顔を立てに振るレキさん…はっきり言ってコワイ

 

「では、あなた方が親友になったきっかけは何でしょうか?」

 

「ただの殴り合いだよ、少年マンガみたいなクサい殴り合い」

 

?マークを浮かべるレキにキンジは説明する。

 

「まぁ殴り合いと言ってもそれは最終的なことなんだけどね?」

 

「最終的に殴り合いとはどういう交遊をしていたんですか?」

 

レキの真面目で率直な意見に微笑しながら答える。

 

「『めだかボックス』ってマンガの球磨川禊って知ってるか?」

 

「いいえ、知りません」

 

それを聞いたキンジは少し悩むが開き直ったかのような顔で

 

「それなら原作を見といてくれ…つっても俺もあんまり見てないから人の事言えないんだけどな」

 

と言い言葉をつづけた。

 

「まぁ周りが言うには俺はそいつを2倍濃くしたかのような結構ひどい有様だったらしいぜ」

 

俺と井吹の出会いは正直言って最悪の一言に尽きる。

 

アイツは相手の懐にずかずかと踏み込んでくるくせに自分の懐を見せるどころか触れさせること

さえさせない。

 

正直言って何を考えているかもわからなった。

 

そんなアイツが不気味で恐ろしかった…自分の内面を暴かれるのではないかと怖かった。

 

「でも、アイツの人柄にすくわれて今がある…だが正直今もアイツは信用ならない」

 

「では…ではなぜ?」

 

「ん?そら簡単だよ、アイツが俺たちを裏切ったら俺が斬るためだ」

 

「斬る…!?」

 

レキはキンジの予想外の解答に固まってしまう。

 

キンジはそんなレキの様子に気づかず続けた。

 

「そう斬るため…まぁその割には肩入れしすぎてる部分があるけどな」

 

キンジの中にはもう危機感と言う感情はとっくに消え去っていた。

 

今はレキの中の感情を知るために一つ一つの言葉を吟味する方が楽しいとばかりに質問に

答えていた。

 

「そうだ、俺からも質問していいか?」

 

「…!はい、答えられる範囲であればお答えします」

 

レキの驚いた様子を見て少しオブラートに包んだ方が良かったかな?と心の中で反省しながらも

自分の興味を満たすための核心を突く質問をした。

 

「レキは何でアイツ…じゃなくて井吹の事を知りたいと思ったんだ?」

 

レキにしては珍しく少し曖昧な答えを出した。

 

「なぜか…なぜか彼の事を知りたいと思ったんです」

 

「そうなんだ…でもそれなら井吹に聞けばよかったんじゃ?」

 

「そうなんですが…何故か彼に聞こうとすると心臓の鼓動が早くなって彼の前から逃げたくなる

んです…何故でしょうか?」

 

キンジは目を細めさっきの言葉を心の中で反復する。

 

(やはりか…)

 

キンジはレキの心の中の感情に気付くがそれを教えることはせずどこかぼかしたように答えた。

 

「う~ん…まぁそれは自分で気づいた方がいいよ」

 

「ですが私はこんな迷いを抱えたまま彼に会いたくないのです」

 

「それじゃあヒントを一つ…男性や女性が異性に抱く当たり前の感情だよ」

 

「そうなのですか?」

 

俺は律儀に礼をするレキを見ながら物思いにふけっていた。

 

今さっきの俺はとても意地の悪いことをしてしまったと思う。

 

これまで感情らしい感情を持たなかったレキにとって今の問いはとても難しいもののはずだ。

 

だからと言って答えを教える気なんて毛頭ない。

 

理由は簡単、それをやってしまうと面白くないから

 

こういう時本家は両手を広げてこういうだろう。

 

『僕は悪くない』と…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「男性や女性が異性に抱く当たり前の感情ですか…」

 

レキは自分が抱く感情に翻弄されていた…

 

彼女は今まで感情と言うものとは無縁であったのでそれこそ今の状態を普通よりも深刻に

そして今まで感じたことのない嬉しさを感じていた。

 

「彼について気になり始めたのはちょうどあの頃…」

 

席に着きながら自分が感情を抱くきっかけとなった大事な時間を思い出す。

 

~回想中~

 

『頼むから服を着て歩いてくれ…そうしないと俺がコイツを何回も落とさないといけなくなる』

 

『何故でしょうか?私はその必要性を感じません』

 

『今俺たちが感じてんだよ…ったく自分の事をちゃんと認識していた方がいい』

 

『私は自分の事はちゃんと認識しています』

 

『嘘付け、なら何で俺らの前で裸になってるんだよ…』

 

『私は感情を持たない人形です、人形が羞恥心を感じる必要性があるでしょうか?』

 

『あのなぁ…自分を人形なんて言うんじゃねぇよ…お前を一人の人間と認識している奴らに

失礼だぞ?』

 

『彼らは私を偶像崇拝の偶像としてしか認識していませんが?』

 

『目の前にいるじゃねぇか…ったくこれじゃ何のためのパートナーだよ…』

 

『ですが、私たちは擬似的なパートナーです』

 

『擬似でもなんでもパートナーはパートナーなんだ、信じてやんなくてどうするよ』

 

『ですが…』

 

『ですがもへったくりもあるか!テメェはこれ以上自分の事をけなすんじゃねぇ…少なくとも俺は

悲しいんだぜ?』

 

~回想終了~

 

レキはがたりという音で現実に引き戻された

 

「これから転校生を紹介しますね」

 

いつもながら凄い先生だ…とレキは思う。

 

自分はいつも必要以上に周りの警戒を怠らない。

 

Aランクの武偵であれば周囲の10メートルまでくれば感づくことが可能だ。

 

なのにあの先生方は気づけば自分たちの目の前の教卓に立っている。

 

彼女たちは怒らせてはいけない…と心の中に深く刻み込み目の前に集中する

 

「入ってきてください」

 

そう言って出てきたのはとても可愛らしい女性だった。

 

「初めまして」

 

武偵に向かないような天使のような笑顔で彼女は自分の名前を言う。

 

「私の名前は『南雲薫』(なぐも かおる)と言います、以後よろしく!」

 

なのに何故かレキは彼女を信用する気にはどうしてもなれなかった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

信用できないクラスメイト

すいません、これしかタイトル思いつかんかった…


南雲薫(なぐも かおる)来て数週間…この武偵校はすでに彼女になじみつつあった。

 

レキやキンジ、勇作などの少数の人間は彼女の態度に疑問を持っている。

 

生活態度は問題ないのだ…と言うより問題点が見当たらない。

 

何か雑用をしている生徒がいれば率先して手助けをし、何か悩み事を抱えている生徒がいれば

言ってそれを解決する手助けをする…

 

周りから見たらこれほど素晴らしい女性は他にいないだろう。

 

他にも彼女は勉学が達者で外国語は最大7言語話すことが可能だし、数学は最大10ケタなら

時間はかかるが暗算も可能だ。

 

武偵高の生徒はこれを『第二の星伽白雪』などとはやし立てている。

 

因みに星伽白雪とは2年B組に通うキンジの幼馴染で、スタイル良しの和風美少女。

専門科目は超能力捜査研究科、通称S研に所属しており

生徒会長で園芸部長、手芸部長でバレー部部長、偏差値75で性格もおしとやかな上に

料理も上手いという絵に書いたような完璧超人なのである。

 

少し話を戻そう‥‥彼らはそんな優秀な生徒である南雲薫を疑っているのか?

 

理由は『完璧すぎるから』この一点である。

 

完璧なのは白雪と言う人も同じじゃないか?と思うものもいるかもしれない。

 

たしかにその通りだ、だからこそ彼らはまだ『直感的に』疑う事しかできない。

 

彼らは彼女の事となると決まってこう言う。

 

「動きが全て胡散臭く見える」

 

その中でも一番の不信感を募らせている少女ーレキーは他の理由でも彼女の事をどうしても

好きになれなかった。

 

「南雲薫は…何故頻繁に井吹勇作にコンタクトを取ろうとするのでしょうか?」

 

実際他の者たちもそれを怪しんでいる。

 

だがそれ以上にレキは南雲薫が井吹勇作にコンタクトーつまりは腕組みや他愛もない会話の事ー

することに何故だか不快感を覚えていた。

 

「何故でしょうか…?先生に聞きに行った時も青春の一言で片づけられましたし…」

 

彼女は自分の気持ちが何なのかを知るべく一度教務科(マスターズ)へ相談に行っているのだ。

 

その時も先生に「青春ねぇ」の一言で片づけられた。

 

否片付けざるを負えなかったと言うのが正しい。

 

その先生は「青春ねぇ」とつぶやいた後ブツブツと独り言を始めてついには黒いオーラが

立ち上ってきたのだ。

 

レキはこれ以上ここにいては自分の身が危険だと判断し教務科(マスターズ)を後にした。

 

因みにこれも余談だがその翌日尋問科の綴はこう証言していたと言う。

 

「アレはすごかった…アレは優に私の限界を超えたアルコールの量だった」…と

 

彼女がこういう事の大変さを皆は良く知っているだろうから敢えて言うまい。

 

一つだけいう事があるとするなら二度と教務科の中でそう言う相談はするな…と言うところ

だろうか?

 

しかしレキはそんな獅子の巣穴に戻ってでもこの心の何とも言えないモヤモヤしたような塊を

取り除きまた前のような感情のない人形に戻らなければならないのだ。

 

この気持ちは彼とパートナーを組んだから起こったのだからそれを解散すればなくなるのでは?

とも思ったのだがそう考えると何故だか心が痛んでしまう。

 

それに風もまだ彼と一緒にいなさいと言っている。

 

彼女はその時ふともし風が『彼とはもうパートナーを解消し縁を切りなさい』と言ったら自分は

素直に従えるだろうか?

 

風はその日その日で適切な判断をしてくれる。

 

キンジ曰く「占いみたいなもの」らしい。

 

そんな風は彼女の生き方を指針してくれるいわば『光』なのだ。

 

その光が彼とは慣れろと言った場合彼女は多分離れるだろう。

 

それと引き換えに心に大きな傷を負って‥‥

 

何故?と自分でも思う。

 

しかしなぜか本能的に彼と離れることを拒絶するのだ。

 

彼女は『感情がこもっていない人形』から『人間』となれたことを自覚していない。

 

どんな彼女はいつものようにドラグノフを構えて引き金を引く。

 

打ち出した弾丸は何となくいつもよりも嬉しそうに螺旋を描きながら的へと当たった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある廃工場の中…少年は口が裂けるような笑みを浮かべて思い出に浸っていた。

 

瞼の裏に思い出すのは憎くも愛おしい最愛の妹と自分を手に掛けようとした男…

 

そして何より自分から妹を奪ったあの男の顔

 

彼はある一点に視線を集める。

 

「井吹勇作」…写真にはそう書かれており下にはプロフィールの書かれた紙が、写真には無数の

傷があった。

 

彼は「もうそろそろ復讐のときだ」と言いながらボトルを傾ける。

 

余りに強いアルコールに少しむせた後、彼は自身の愛刀「大通連」を腰に付けて武偵校の制服を

身にまとう。

 

その容貌は一変して女へと変わり髪を纏めながら『彼』はカレンダーに×をつけた。

 

下には赤でこう記されてあった。

 

 

『復讐の日まであとわずか…狙いは井吹勇作ただ一人』

 

 

 




今回は話の内容があまり浮かばずこのような形となりました…
セリフ無くてスンマセン


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

布石ではなく宣戦布告

この頃ISの方ばっか書いてたから他の小説がおろそかになるといけないと思い筆を執った…
ていうのは建前で只単純に感想が欲しいと言うだけなんです。

プリーズミー感想!


目の前の信号が赤から青へと変わる。

 

また間に合わなかったとレキは自分の隣にいる人物を見ながら溜息をつく。

 

本来であれば彼女はとっくに武偵校について校長の長話を聞いていたはずだった。

 

それも隣にいる南雲薫のせいだ。

 

彼女…顔が海や空もビックリな程真っ青なのだ。

 

何でも昨日「飲みすぎた」とのことらしい。

 

自分は二日酔いの相手を想定した訓練など受けているはずもないので扱い方が分からない。

 

それに相手は自分が疑ってかかっている相手だ…あまり接触するのは好ましくない。

 

「うぅぅぅぅ…ぎもぢ悪いぃ~」

 

だがさっきからこんな調子なのでなんか疑う事すら馬鹿らしくなっている。

 

と言うか未成年での飲酒は違憲では?と思い質問をしてみたら「完璧な人でも欠点くらいあるさ…

うぅぅぅぅ…」といった感じではぐらかされた。

 

そして今に至るのだが…彼女が動こうとしないのでかれこれ1時間くらいここで立ち止まっている。

 

「あの…そろそろよろしいでしょうか?」

 

「うん…まだちょっと気持ち悪いけどいいよ」

 

もう武偵校は遅刻決定だ。

 

それなら彼女をどこか安全でそれでいて地面の安定している場所に置いて行ってからの方がいい。

 

もし、武偵校で吐かれでもしたら私も一緒に後始末をしなければならない。

 

こめかみに薄い頭痛を覚えながらレキは歩き出した…隣の人物への警戒心は消えていた。

 

だからこそ…だからこそ彼女は気付かなかった。

 

南雲薫が顔に似合わない口が張り裂けるような凶悪な笑みを浮かべていることに気付くことが

出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼ー井吹勇作ーは自身の昼寝の為の時間を得るために肉体を酷使していた。

 

ここはどこぞの熱血車輌科生徒の修行場所になっているため普通は誰も寄り付かない。

 

なのだが…彼は違った。

 

日当たりのよい屋上と言う理由で彼は熱血車輌科にここの使用の許可を求めたのだ。

 

まぁ帰ってきた答えは当たり前と言うべきか「俺の修行に付き合え」と言うものだった。

 

「これでェェェェ…どォォォォォォだァァァァァァ‼」

 

「なァァァァァァァァんのォォォォォォォォ此れしきィィィィィィ‼」

 

此処はどこぞのコロッセオのような凄まじい傷跡を見せていた。

 

本当は此処で先生が出てきて二人を殴りつけ止めるのだが、先生はもうこの件については

諦めているのでもうここは所謂無法地帯と化している。

 

二人の制服はすでにボロボロで手に持っている得物も始めたときとは比べ物にならないほど消耗

していた。

 

「武藤剛気ィィィ…もうそろそろ昼寝していいかァァァァ?」

 

手に持っている小太刀を軽く横へ振り腰を落としながら彼は聞いた。

 

「ダメに決まってんだろぉがァァァ…二回戦行くぜェェェェ!」

 

武藤剛気は両手に持っているトンファーをくるくる回しながら駆ける。

 

そして授業の時間が迫るまで彼らは死闘を繰り広げた…

 

井吹の目的は昼寝では?と思う方もいるかもしれない。

 

そんな方にこの言葉を贈ろう…気にしたら負けだ。

 

死闘を繰り広げた彼はようやく手に入れた昼寝の時間を有意義に活用するべくまだ傷痕の残る

屋上へ寝そべる。

 

そして気付いた、自分の携帯が青く光っていることに…

 

彼は携帯を開きどんなメールが来ているのかを確認する。

 

彼はその中に不穏な命題のメールを見つけた。

 

「貴様の姫様を預かった」

 

これだけで何を言っているのかはおおよそ見当がついた。

 

「フン…誰か知んないけど俺の姫様に手ェ出した奴ァ…皆殺しだ」

 

彼はメールに付属していた写真で理性と言う鎖が吹っ飛んだ。

 

そこには鎖につながれているレキとそれをいとおしそうに見つめる‥‥

 

 

 

 

『南雲薫』の姿が写っていた…

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

こちらも宣戦布告

んじゃまがんばりまっせ


彼はどのような手段で私を殺しにくるのだろうか?

 

案外激情に身を任せたまま剣を振るい続け私に殺されてしまうかもしれない。

 

それでもいい、彼はその程度の器しかなかったと言うことを証明されるだけだ。

 

私は学園島が浮かんでいる東京湾より少し離れた場所にある空き倉庫で彼ー井吹勇作ーを

待っている。

 

どんな顔をして彼は私の前に現れるのか?そんな疑問を抱いたがそんなものはどうでもいい。

 

自分はただあの憎き新撰組の血を根絶やしにできればそれでいいのだ。

 

そのためにあのいけ好かない男からも協力者を借りてきた。

 

アレはこの手で確実に葬らなければならない……その決意を宿した目は此処ではないどこか

遠い過去を見ているかのようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オイ、そんな大層な刀を持ってお前はどこに行くつもりだ?」

 

斬りこみに行こうとしていた俺をキンジが止める。

 

今俺の手には何年も放置されていたとは到底思えないような真っ赤に光る鞘に納められた日本刀

「菊一文字」が長年の相棒とでも言うかのようにおさめられていた。

 

「切込みだよ……許しちゃなんねぇ奴がいるからそいつを逮捕しに行くんだ」

 

「殺気をここらへんに振り向いてる奴が『逮捕』かよ……んな嘘、サルでもわかるぞ」

 

一瞬で嘘だと見破られキンジの追及を受ける。

 

そう言えば俺は何故こんなにも殺気を出しながら彼女の事を助けに行こうとしているのだろう?

 

俺はアイツとはただのパートナーのはずだ。

 

そう、契約が無効となれば離れるそんな間柄である。

 

なのに何故俺はこんなにも必死になって彼女を助けに行こうとする?何故何故何故何故……

 

「キンジこれからいう事は誰にも話すなよ」

 

思考の泥沼にはまりかけた俺だが目の前にキンジがいることを思い出し思考を現実に呼び戻した。

 

と同時にあんなに熱くなっていた頭もすっかり冷えいつも通り冷静に、そしていつもより早く

頭が回転していく。

 

「南雲薫がレキを連れ去った、場所はこのメールに示されている通りならこの空き倉庫だ」

 

「成程な、だからあれほど熱くなってのか……んで俺は何をすればいい?」

 

彼の頭はこの事態を収束させるためのシナリオを描いていく。

 

「これまで見て来たからわかると思うがアイツは俺たちに全然隙を見せなかった」

 

「現にSランクの武偵であるレキも捕まったし、生活にも何らおかしなところは無かったな」

 

「あぁ、完璧すぎると言う違和感だけがアイツを見張っていた唯一の動機だ。

そんな奴がここまでに派手に動いたってことは何か裏がある可能性もある」

 

「だとすれば俺がやるべきことはお前のバックアップか?」

 

「いや、バックアップは別の人間に頼もう……そうだな不知火あたりがベストだな」

 

「ペンタゴンのセキュリティを片手5分で解ける奴が後ろに着かせるあたりお前は本当に

大物だよな」

 

この小説のキャラ崩壊度は……敢えて何も言うまい。

 

「お前は俺と一緒にここに来てほしい」

 

「そらまた何でだ?」

 

「ここには一人で来いとは書いてないし、それにアイツが助っ人を一人読んでいる可能性も否定

できない」

 

「武偵憲章第7条『悲観論で備え、楽観論で行動せよ』だな」

 

「そうゆうこと……お前の準備の間に俺は不知火に電話をかけておく、頼むぞ」

 

オーケー‼と言い残し走り去る遠山……その時の背中が異様に頼もしく見えたのは俺の錯覚では

ないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(遅い……もうすぐ約束の時間を過ぎるぞ……)

 

南雲薫は女装の為に長く伸ばした髪をかき上げ苛立ちを収めようとする。

 

(もしかしてあの男にやられたか?だとすれば納得がいく)

 

薫は助っ人として借りたあの男を思い浮かべる。

 

完全に無骨もの、武人として形成されたあの男は自分の事を酷く嫌い接してこようとはせず

それどころか近づいたら殺気さえ放つ始末だ。

 

(だが腕は立つ……やはりそれが妥当か)

 

考えを纏めその瞳をレキへと向ける。

 

昔自分の事を拒絶した妹に似ている女に少し苛立ちを覚えながら腰に携えた「大通連」を

引き抜いた。

 

シャラン……と涼しげな音を響かせたそれは雪のような冷たさを刀身に込めたかのような光を放つ。

 

刀を逆手に持ち替えあの男の顔を思い浮かべながら彼女の胸に狙いを定めた。

 

その時倉庫の扉からキンという音ともに自身が待っていたあの男の影が映る。

 

「待たせたな……南雲薫」

 

『白い』髪をなびかせ、『赤い』虹彩を爛々と光らせながら彼ー井吹勇作ーはかつての新撰組

1番隊組長の愛刀「菊一文字」を体の横へ添えながら敵である南雲薫を見据える。

 

「やぁ、井吹君……彼『天霧九寿』君はどうしたのかな?もしかして倒しちゃった?」

 

「いや、キンジが相手をしてくれてるよ……イイダチを持ったもんだよ」

 

彼は遠くを見つめるかのような目で薫を見つめる。

 

その眼はまるであの時の『沖田総司』とか言う男がしたような自分を見つめていないような目に

そっくりだった。

 

「そんな目を……そんな目をするなァァァァァァァァァァ‼」

 

刀を前へ構えたまま肉薄する薫、刀を体の横に添えながら動かず相手の目を見つめていた。

 

決戦の火ぶたが切って落とされた瞬間だった。




ホントは今日2話連続投稿を目指す予定だったんだけど無理っぽいわ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

天霧九寿vs遠山キンジ

遅くなってごめんちゃい

んじゃま張り切っていきましょか


潮風が彼らの間を通り抜ける。

 

武偵校の防弾制服を身にまとった男ー遠山キンジーは目の前の大柄な赤紙の男の挙動に注意し

いつでも反撃できるよう準備していた。

 

「すまないが」

 

男が口を開くしかし、男が発した言葉は自分にとってとても予想外の一言だった。

 

「出来れば身を引いてくれないか?無駄な戦闘はしたくない」

 

「俺と相手じゃ不満ってか?そりゃあ悪かったな」

 

「いやそうではない、出来れば俺はお前とその隣にいた男とも戦いたくないんだ」

 

キンジは驚いて目の前の男を見るが嘘をついているようには見えなかった。

 

目の前の男……天霧九寿は元来戦闘を好まない優しい男である。

 

昔新撰組と相対し八番組組長藤堂平助にケガを負わせた時でさえ謝ったほどのお人好しなのだ。

 

今回も自分の主の命とはいえ若い者たちとの戦闘は心苦しいのだろう。

 

「すまないな……俺にも引けない理由はあるんだよ」

 

「申し訳ないが、その理由を聞いてもいいか?」

 

「アンタ……俺がここでのこのこと身を引いたら井吹を狙うんだろ?」

 

「そうだ」

 

「それが分かっててここを通すほど俺は腐っちゃいない‼」

 

「そうか……残念だ……」

 

彼はそう言うと拳を引き腰を落として構える。

 

キンジは自身の獲物であるベレッタをフルオートに設定、そしてバタフライナイフを取り出した。

 

その刀身は何よりも赤く爛々と輝いていた。

 

「ゆくぞ」

 

この言葉を引き金に両者は動いた。

 

キンジはベレッタの全弾を天霧の各関節を狙って発砲する。

 

しかしその弾はすべて当たることなく天霧の体のわきを通り抜けていった。

 

その体勢のまま彼は腰をひねり力を溜める。

 

天霧の拳撃を避けることは不可能と判断したキンジは体を後ろに引いた。

 

「良い判断だ……だが今回ばかりは相手が悪かったな」

 

タイミングを合わせ後ろへ飛び威力を減衰させた天霧の拳だったが

 

(んだコイツ!?なんつうバカ力だよ‼)

 

そんな小細工をものともせずキンジの体を確実に打ち貫いた。

 

彼は徒手空拳で戦うもののその拳の破壊力は鋼でできた鉢金をも破壊することが出来る。

 

そんな彼の力の前では後ろに飛ぶというような小細工はほとんど無意味に近いのだ。

 

キンジは吹っ飛ばされながらも空中で体勢を立て直し着地する。

 

そこに天霧の脚が命を刈り取る鎌のごとく迫ってきたが余裕をもってそれをかわし追撃に備えた。

 

天霧はキンジの体勢を見て無理な追撃を諦め一度距離を取る。

 

キンジはそれを見てホッと息を吐いた。

 

(危なかった……これをやる前に突っ込まれてたら完全に終わってた)

 

そう心の中で呟くと目を閉じ意識を体の中に集中させる。

 

天霧は突然目を閉じたキンジに驚いたがすぐに平静を取り戻し肉薄する。

 

体をひねり渾身の力を拳に込める。

 

キンジはまだ目を開けない。

 

天霧の拳が届くまであと10歩を切った。

 

しかしキンジはまだ目を開けない。

 

天霧が絶大な破壊力を込めた拳をキンジへ振り下ろそうとする瞬間彼の目が開いた。

 

キンジは拳をバタフライナイフでいなすとそのまま空砲のベレッタを天霧の耳元で引き金を引く。

 

勿論設定は変わらず『フルオート』である。

 

爆音が天霧の耳の中を縦横無尽に駆け巡った。

 

天霧は耳元で暴れまわる爆音に顔をしかめながら距離を取った。

 

「遠山キンジだったか……申し訳ない君を少し見くびっていたようだ」

 

「……そんな事どうだっていいだろう」

 

「そうか……君はあの目を閉じていた間に何をしていた?」

 

「……そう簡単に手札をさらすわけがないだろう?」

 

それもそうだなと言って天霧は微笑する。

 

彼はキンジのあからさまな変わりように何をしたのかと彼を観察したが一部を除いてどこも

変わっている様子はなかった。

 

断定するのは早いがキンジはあの目を閉じていた間に戦闘に不必要な思考や感覚を全てカット

したのだろう。

 

それを行うには途方もない時間と労力が必要となる。

 

彼は自分の肉体の限界を知っているからこそこんな大博打に出たのだろう。

 

彼はやはり侮れない男だと再認識した天霧はさっきよりも開き気味に構えた。

 

この構えは防御にはあまり役には立たないものの攻撃に関してはその効果は絶大である。

 

対してキンジは自然体で天霧を待ち構えている。

 

会話中に装填しなおしたベレッタが不気味に光っている。

 

(うかつには攻めることなど出来そうにもないな……)

 

天霧はこの不気味な膠着状態をどうにか自分の流れへと変えるべく腰を落とし大地を蹴った。

 

ベコン‼という音ともに凹んだアスファルトの破片が飛び散った。

 

そんなものになど気にも留めず天霧は腰をひねり拳を打ち出した。

 

予想通りキンジは半身になって避ける、ソコが天霧の狙いだった。

 

無理矢理体勢を立て直しそのまま脚をキンジに向かって振りぬく。

 

そのまま拳への連撃へと続け2撃、3撃と打ち込んでいると妙な違和感が天霧を襲った。

 

(なんだこの違和感は……もしかして‼)

 

異変に気づいたときには遅かった。

 

4撃目深く懐に入り込みすぎた天霧の横腹には3点バーストへと設定を変更されたベレッタの

銃口が怪しく光っていた。

 

ズドン、ズドンと連続して爆音が響き渡る。

 

防弾の服を着ているとはいえその衝撃をまともに喰らえば骨の4本や5本軽くへし折ることが

可能だろう。

 

天霧もその例にもれずわき腹の骨が何本か折れてしまう。

 

キンジはそのわき腹に向かってバタフライナイフの柄を叩き込んだ。

 

声を上げてうずくまる天霧、そんな隙を見逃すようなキンジではない。

 

天霧の手のひらをバタフライナイフで貫き固定、両手を手錠で拘束した。

 

「……今回は俺の勝ちだ」

 

そう言うとキンジの腕は糸が切れたマリオネットの様にだらしなく垂れ下がった。

 

キンジだって天霧の拳の連撃を喰らって無事では済まなかったのである。

 

多分2週間はまともに物を握ることすら不可能だろう。

 

「フ……私の負けだ、行けここからは動かない。約束しよう、加勢に行け」

 

「心配ないさ、アイツは強い」

 

元の調子に戻ったキンジが断言する。

 

「誰かを守ろうとした時のアイツは誰だって負けはしねぇよ」




久しぶりの戦闘シーン
上手くかけていただろうか?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

南雲薫vs井吹勇作

この章なんて名前にしようかなって今更ながら思った。

後、薄桜鬼を知ってる人ならわかると思うんだけど井吹君は只今『羅刹』状態です。


キンと言う金属の勝ち合った涼しい音が倉庫の中に木霊する。

 

しかしそんな涼しい音とは無縁の熱い命のやり取りが南雲薫と井吹勇作の間で行われていた。

 

「オォォォォォォ‼」

 

「フ……ッ‼」

 

雄叫びと共に気迫のこもった殺意ある剣を振るう南雲薫、それとは正反対の命を取らず

それどころか相手の命すら救おうとする剣を振るう井吹勇作……どちらに優劣がつくのは明白……

なはずだった。

 

井吹の髪の色、虹彩の色はいつもとは違う輝きを纏っていた。

 

今の井吹の髪の色は雪のように白く、また虹彩の色は血のように赤く染まっていた。

 

ここで突然だが昔、新撰組の隊士の活躍により日の目を見た霊薬をご存じだろうか?

 

変落水(おちみず)と言われるそれは飲んだものに無限の回復力、人間を越えた腕力を与える

ものだ。

 

だがしかしこれには副作用と言えるものがあり陽の光に弱くなり、定期的に人の血を

摂取したくなる衝動に襲われ、精神的が弱いと理性も失って人格崩壊を起こしてしまうものだ。

 

飲んでしまったらまともな人間とは呼べず新撰組隊士はこれを飲んだものを『死んだ』と

評している。

 

今まさに井吹はそのような状態なのだ。

 

「ハッ!君も血の走狗となり下がってまで僕を殺したいのか‼」

 

「そんなわけないだろう……俺がここにいるのはお前を逮捕し、武偵校のみんなと普通の暮らしに

戻るためだ」

 

「言ってろ……もうすぐ君は吸血衝動に襲われまともな人間には戻れなくなる」

 

「それがどうした」

 

言葉を交わしながら彼らは剣を交わす。

 

剣の持っている意思が正反対のソレは冷たい金属音を絶えず響かせていた。

 

そんな中井吹はなぜか口に出た一言に困惑する。

 

何が「それがどうした」だ……一番それを望んでいない自分が何故そんなことを軽く

言ってしまうのだろう?

 

思考とは反対の言葉が彼の口から次々の吐き出されていく。

 

「君は……君は自分のうちから湧き出る吸血衝動を抑えて見せるとでも?

無理だね、僕は血肉の走狗と成り果て死んでいったものを幾人も見ている。

その中には君より腕の立つ男だっていたんだぞ?」

 

「俺には支えてくれる奴がいる、殴ってくれる奴がいるんだ……吸血衝動を抑えられ理由は

これじゃ不満か?」

 

「中にはそう言って抑え込んでいるものいたけど結局耐えられなかった……

はっきり言わせてもらおう、君は吸血衝動を抑えることなど出来ない‼」

 

「俺が衝動に負けたときにはレキにでも頼むさ……いやレキでないとだめだな」

 

「君は何故そんなにも普通に過ごしていられるんだ!自分の中にある『人間』と言う本質が

けなされているんだぞ‼」

 

「憤ってはいるさ……だがそれ以上にレキが無事であったことに感謝してるんだよ」

 

何を言っている?俺は何故こんなことを言っているのだ?

 

「俺はな、レキじゃなきゃダメなんだよ……いやそうでなきゃならない様になっちまったんだ」

 

もしかして今俺が言葉として紡いでいるのは……

 

「いつかどうかはわからない、俺はレキ専用の……レキにしか使えない刀になったんだ」

 

俺の本心なのか?

 

「ハッ……随分と鈍になったもんだね、君の刃は一人の女の前でしか触れないのか」

 

「当たり前だ、俺の魂がそう言っている」

 

俺の困惑している頭とは全く無関係に動く口……しかし今だけはソレを心地よいとさえ思える。

 

「アイツがどう思っているのかはわからない……だがな今だけでも俺はアイツだけの刀として

この刃を振るう」

 

「人ひとりが背負いきれない重責を他人に押し付けるか……面白い」

 

「いいえ」

 

くつくつと笑う南雲の後ろから鈴のなるようなきれいな声が聞こえる。

 

「他人に押し付けるのではありません……押し付けてもらうんですよ

そうでなきゃ割合が合いません」

 

意識を取り戻したレキは百人が百人振り向くようなきれいな笑顔でこう締めくくった。

 

「ですのでそれを邪魔しようとする無粋な輩はさっさと立ち去ってください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「風間様……申し訳ございません」

 

「いや……面白いものが見れた、今回はそれで良しとしよう」

 

天霧の隣に眉目秀麗な男が一人威厳を漂わせながら立っていた。

 

「お前はアイツらを育てろ」

 

「何故でございましょうか?」

 

男ー風間千景ーは笑いながらこう言った。

 

「あの男であれば俺を殺せるかもしれん」




最後のは何だ?フラグだ

一応1章は殆ど完結

後は少し文を足すだけ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

その後の様子

読専から復活!

これから頑張るぜい


遠山キンジは晴れ渡った青空を見ながら思う――やっぱり平凡な一日が最高だ。

 

鼻につくアルコールの匂いを感じながら白雪が持ってきてくれたリンゴをかじる。

 

リンゴの甘酸っぱい特有の風味を口の中に広げながら今にもこぼれようとする果汁に悪戦苦闘

しながら武偵校の病院のベットでのんびりしていた。

 

あの男、名前はわからないが俺と戦ったあの徒手空拳の使い手の男は俺が一瞬目を離した隙に

自分で手錠をぶっ壊して逃げていった。

 

俺の似非HSSもアイツに深手を負わせることは不可能だったらしい。

 

かなりの重傷を負っていた俺はへし折れた腕をブランとたらしながら井吹のいるであろう倉庫へと

足を運んだ。

 

そこで不知火に電話しておけば簡単に分かったのだろうがそこまで頭が回っていなかった俺は

腕から来る焼けつくような痛みに耐えながら倉庫へと向かっていた。

 

倉庫に着いた瞬間聞こえた音が井吹が持っていたFN ブローニング・ハイパワーの違法改造ver

だったのには驚いた。

 

井吹は殆ど戦闘に拳銃を使わない根っからのインファイター型だ。

 

そんな井吹が拳銃を持っているのはただ単に相手にマシンガン持ちがいた時用の牽制のためだ。

 

牽制用に改造されたソレは威力と爆音。そのすべてが原形をとどめていないほどに

凶悪化している。さすが装備科と言うべきだろうか?

 

俺が慌てて倉庫の扉を開けるとそこには刀を収めた井吹、倒れ伏した南雲、何故か井吹の

FN ブローニング・ハイパワー違法改造verを持ったレキの3人がいた。

 

何でもレキが途中で起きたので自分の拳銃をレキにパスして撃ってもらったらしい。

 

しかし南雲もそれをタダで受けることはせず井吹の拳銃の銃身を綺麗に斬り落としていた。

 

二人の刀は刃こぼれもない新品同様の輝きをしていたが防弾制服の上から見える刀特有の鋭い

切り傷が激しい戦いだったと言うのを如実に語っていた。

 

その後は記憶が曖昧になっていてよく覚えていないのだが気付いたら救急車のの中でぐっすり

眠っていた自分がいた。

 

武偵局の尋問はあっちの三人がやってくれていたらしく俺が聞かれたのは2,3の質問だけだった。

 

その中であの徒手空拳の使い手の男の事が出てこなかったのは不思議に思ったが全てあっちの二人

が話してくれたんだろうと思う事にする。

 

俺は今病院の中でいつもとは違う静かな生活を送っている。

 

昔は胸が焦げるほど望んでいた生活のはずなのに今は何か物足りなく感じてしまう。

 

それも全て井吹のおかげだ。

 

死んでいた俺を引き上げ、生きる目標を掲げてくれたアイツに俺は感謝している。

 

「だけどなぁ……実際”感謝どまり”なんだよなぁ」

 

そう幾らアイツに恩があろうとも何故か”感謝”で止まってしまう。

 

心の底で井吹の事を信用しきっていない俺が言うのも何だが何故感謝でとまる?

 

同性同士であるため惚れたなんてことは無いがそれでも何かもっと感謝ではない他の在り方が

あるような気がする。

 

「何だろうな……コレ」

 

何か心の中にモヤモヤとした霧のようなモノがかかった気分の悪い感じが占領する。

 

「見舞いに来てやったぞキンジ‼だから早く治して修行だァァァァァァァァァァ‼」

 

「コレお土産ね、後ろのは気にしなくていいから」

 

「なんか久しぶりに不知火の毒舌を聞いた気がする」

 

「あれが毒舌認定なんて結構甘々な評価ですね、井吹さん」

 

「キンちゃん、だいじょ~ぶ?でもしらゆきちゃん来たから万事おっけーだよ‼」

 

だけどコイツらと一緒にいると楽しいと思えるのも事実だ。

 

「おめぇら、ここ病院だから静かにしとけよ?」

 

だから……まぁ今はそれの事は忘れて楽しく過ごしていこう。

 

それが一番大事な気がするし、何よりそっちの方が面白い。




結構頑張って質を上げられた気がする。

でも気がするだけ、その実わからない。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

原作開始 接触
原作開始


投稿が遅れてしまって申し訳ない

べ、別にメカクシティアクターズとか魔法化高校の劣等生だとかノーゲーム・ノーライフだとか
そう言うのにうつつを抜かして忘れてたんじゃないんだからね‼

その代わりと言っては何だけどこの小説での彼らの崩壊度を見せていこうと思う。








遠山キンジ…我らが主人公であり今作の主人公(?)でもある。この作品では肉体的な超人設定をそのままに似非HSSなんかを開発しちゃってる恐ろしい子、初心紳士であるためHSSにはなりやすい弱点(?)も持つ。サバイバルの経験もあり普通ではないほどのサバイバル能力を持っているため『東京武偵校十徳ナイフ』の一角にも認定されている。(因みにファンクラブも存在しているようで中学校時彼を道具のように扱っていた者たちは全てこのファンクラブによって粛清されたことを彼は知らない。)

レキ…今作のヒロインちゃん、なぜ彼女がヒロインになったのかっていうと単純に作者が漢書の事を好きだからに他ならない。今は彼の後ろを守るために狙撃銃を二丁拳銃のような感じで撃つために猛練習中…人間には越えてはいけない壁があると言うのを彼女に知ってほしいと切に願うことしかできない。

星伽白雪…只今絶賛悩み中の子、取り敢えずアリアの性格は決まってるからそれに合わせてって感じで凶化していくつもり

武藤剛気…一言で表すなら熱血バカ、その昔リポDのCMにもスカウトされた程の熱血バカ。モデルはナンバー7、実力もナンバー7。のくせして乗れるものなら何でも操縦できる奴自転車から宇宙船、
はてはMSからエヴァ、アクエリオンやマクロスまでできる。キンジと同様『東京武偵校十徳ナイフ』の一角に認定されている。…俺はもう何もツッコまんぞ

不知火亮…イケメソ君、リア充マジ爆発しろって中指を立てられるほどのの顔。戦闘技術もさることながら市販のノートパソコン1機で全国の主要大国のメインサーバーを乗っ取れるくらいの腕の持ち主。不名誉ながらも『東京武偵校十徳ナイフ』の一角に認定されている。…何で俺こんなに原作キャラを強化してんだ?


うららかな春の日差しは全ての人間に安息の二度寝を要求してくる。

 

彼―井吹勇作もその例にもれず布団の心地よいぬくもりを感じながら二度寝の為に態勢を

整えていた。

 

彼はどちらかと言えば寝相はいい方なのだがソレは悪い者たちを比較対象にした場合の話である。

 

シーツは乱れ、布団はかろうじてベッドに張り付いているだけで全くソレ本来の機能を

果たしている…とはいいがたい惨状である。

 

彼は『東京武偵校十徳ナイフ』の一角として武偵としての実力は認知されているもののその他…

例えば炊事、洗濯などは全て機械任せ、人任せのダメ人間なのである。

 

「井吹さん起きてください、朝です。学校に遅れますよ?」

 

「おーい、飯できたぞ~」

 

であるからして事実同棲している彼女―レキや彼―キンジの家庭スキルが上がるのは当たり前と

言っても過言ではない。

 

「寝んむいから後6時間ほど寝かせてくれぇ~…」

 

「ダメです。それで前、綴先生に怒られたの忘れたんですか?」

 

「アレは怒ってるように見えないから全然怖くないんだよなぁ…その代わり周りからはすんげー

責められたけど」

 

綴先生とは東京武偵高校の教師で専門科目は尋問科の所謂ベテラン武偵である。

 

彼女の尋問を受けたものは洗いざらい何でも吐くがその代わり精神的に重大な疾患を

与えてしまうと言うとても恐ろしい女性である。

 

しかし、日常生活ではそんな恐ろしい面は無く逆にドジっ子としての才能を十二分に利用した

ラッキースケベを全ての教員又は男子生徒に与えたり、自分が授業中に寝たりと教師らしくない

その性格からつづりんなんて言うあだ名までつけられている武偵校第3清涼剤の中の一人だ。

 

因みにその中には高天原ゆとり、蘭豹も入っている。

 

この3人にもその清涼剤たる所以はあるがここでは蛇足になるので少し自重しておく。

 

「それが嫌なら早く起きてご飯を食べて下さい」

 

3人は同じ食卓を囲みながら一人は眠たそうに眼を細め、一人はそれを愛おしそうに見つめ、一人

はそれを呆れながら手を合わせ食事を開始した。

 

朝食は日本の家庭では定番である味噌汁、白ごはん、卵焼きの3種である。

 

ソレの他にお茶や漬け物などが横に置いてあり懐かしさをも匂わせる様なそんな朝食の風景だ。

 

お茶を入れ直しに席を立ったキンジだがお茶葉が入っているパックを開けると渋面を作った。

 

「ヤベ、お茶葉切らしてる…まだ時間あるし買いに行ってくるか」

 

「でも、もうすぐでバス来るぞ?」

 

時計は今7時40分を指している、今ここでお茶葉を買いに行けば学校に行って送れること

間違い無しだ。

 

「自転車で行くさ、それよりお二人さんも急げよ?」

 

二人は空っぽのお椀をキンジに見せもう行く準備は出来ているという意思を見せる。

 

いきのピッタリな二人を見てキンジは微笑した後(ソレを隠しカメラで井吹に盗撮されているのを

知らない)彼のいってらっしゃいと言う声を背に(ソレをレキに録音されているのを知らない)

寮を出ていった。

 

(因みに録音、盗撮された音声や画像はファンクラブの中で高値で取引されているらしい)

 

こんな何気ない日常を暮らす彼らの物語は始まる。

 

一人は運命の相棒…パートナーと出会い自身の周りを変え、もう一人はこの世界でのイレギュラー

として世界のありさまを、少女の心を変えていく。

 

彼らの物語は此処から加速する。

 

数十年後レキの隣にあるのはとある男性の安らかな笑みか、それとも灰なのか?

 

それは誰にも分らない……それでも井吹の独唱曲(アリア)は加速し、とある少女の独唱曲

(アリア)は混迷を深めていく。

 

女神は微笑むのだろうか?否それは無いだろう。

 

彼らの近くには神とは無縁の存在である鬼のなりそこないがにこやかな笑みを浮かべながら

のうのうと平和を、幸せを享受しているのだから……




上のキャラ崩壊の詳細設定を書いてて思った事…



俺は人外なんて書いてないんだよな?





目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。