バンドリ! に非日常を組み込んでみたらどうなるの? (KAMITHUNI)
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Prologue!

どうも! 暑さでノックダウンのKAMITHUNIです(-.-;)y-~~~
いやぁ、暑いっすな!! 正直、冷房つけようか悩むんですが、節約する意思は無くなってしまうぐらいに暑い……!(暑がり)
皆さんはどうですかねぇ〜?

と、どうでもいい話はここまで。

まさか、バンドリの2次創作が二作品書く事になるとは……。
最早、何をメインにしてるのかわからない(バカ)

とりあえず、見切り発進したのでやっちまった感がありますが、皆様、どうか生暖かい目で見ていただけますと嬉しいかぎりでございましゅ!

それでは、本編へどうぞ!!


───悔いなんて無かった。

 

最後の最後まで『人類の英雄』で要られたのだから、この人生に終止符を打ったとしても後悔なんてしていない。

 

自分の人生を投げ打ってでも、みんなを守れたのなら、オレはこの選択を間違いなんて思わない。

 

『正しい』事の為にチカラを奮ってきたわけではない。当然、何十、何百、何千回と人を殺めてきたわけで、そんなチカラが『正しい』筈もないけれど……。

 

けど、このチカラのお陰で、何の罪もない『弱者(強者)』達を救う事が出来た。

感謝はすれど、妬む事は出来ない。

確かに、このチカラのせいで多くの人から気味悪がられたりもしたが、チカラを保有していた事に嫌気がさした日はたったの一日だってない。

 

勿論、嫌な時もあったが、それはオレにとって良い経験だ。

嫌な思いは人の感情の起伏が俊敏に悟れる様になった。悟れる様になれば、人の負の感情をいち早く察せる。救済願望の強いオレだからこそ、その経験はなにも悪いことばかりではないのだ。

 

不器用故に人を助けるのに暴力での解決方法以外を知らなかった。

元凶を戸惑いなく滅してきた。

時に矢で頭蓋を射抜き、時に双剣で腹を切り裂き、時に徒手で臓器を破裂させたり……。

まぁ、言ってしまえば殺しを無感動に行なっていたというわけだ。

 

当然、オレだって最初の頃は不快感を感じてはいたさ。なんせ、初めて戦場にたった頃は血と肉の臭いが鼻腔に蔓延して吐瀉物をそこら中にまき散らしたのだからな。

 

慣れとは恐ろしいもので、物の数回と人を殺め続けていけば何時の間にか何も思わなくなっていた。

 

慣れてくれば、実績を残すなんて簡単で、そもそも慣れるまでに死んでいく者が多く、死地を生き延びていけば戦歴を残すなんて容易な事だ。

 

そうすれば、仕事は増えていき、多くの人へ救いの手を差し伸べられていった。

無償に叶えて人を救う。それが『正義の味方』だと妄信して前へ進んでいった。

 

そして、最後は仲間に裏切られて、今まで助けてきた人達に処刑された。

 

呆気なく終焉した人生には、無感動だ。

けれど、振り下ろされた刃が首を刎ね落としたのと同時に、オレの意識は新たな場所へと移されていた。

 

そこは果ての無い荒野。広大な荒野を埋め尽くす無数の剣が突き刺さっており、赤胴色の空には複数の歯車がゆっくりと回っている。

そして、荒野の丘の上に立つ紅い外套を靡かせていた長身の男。

 

身体にはいくつもの剣が刺さり、明らかな致命傷を負っていた……にも関わらず、堂々とした立ち振る舞いにオレは似通ったモノを感じ取った。

 

男は丘の下にいるオレに向き直ると、一瞬の驚きの後、直ぐに仏頂面になった。

生気の失せた眼が機械的にオレの本性を覗いてくる感覚が伝わる。

 

『───貴様の理想は破綻している』

 

突然、男はオレに声をかけてきた。

 

『戦いには理由がいる だがそれが理想であってはならない。理想の為に戦うのなら、救えるのは理想だけだ。そこに、人を助ける道はない』

 

「……」

 

『だから貴様の理想は無意味なんだ……』

 

その後の言葉は言わなくてもわかる。

要するに、叶う筈もない願望……しかも、依存した者から引き継いだ空っぽな理想なんて捨ててしまえ。

 

あの男はそういっているのだ。大人しく死後の安らぎを受け入れて、この世から去れと告げている。

さも、自分がこの後に待ち受けていた現実を経験してきたかの様な口ぶりだった。

 

だけど……。

 

「自分の意志で戦うのならば、その罪も罰も全て自分が生み出したもの。背負う事すら理想の内。だろ?」

 

オレの言葉に驚愕するも、男は直ぐに平静を保つ。

 

「それが例え、理想しか救える道が無くても、オレは、きっとその道を張り続けるよ……。だって────」

 

『……』

 

「───誰もが幸せであって欲しいと。その感情は、きっと誰もが想う理想だ。だから引き返すなんてしない。何故ならこの夢は、けっして……決して、間違いなんかじゃないんだから」

 

オレは確固たる意志を持って、自分自身に似通った在り方を持っていた男の幻影を踏破する。

背後で男が笑っていた気がしたのはきっと、気のせいではないだろう。

 

オレが、オレで在り続ける限り、この願いは終わらない。たとえ間違いだらけの道だとしても、その理想自体に間違いなんてないのだから……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────花咲川商店街 路地裏─────

 

「んんぅ!?!」

 

 

「けへへ……漸くだ、漸く……白鷺千聖を俺のモノに─────!!」

 

「きゃはっはっ! 兄貴ィ〜、眼が血走ってますぜ! もう少し落ち着いてくダセェよ!」

 

「うるせっ! 俺がこの時をどれだけ待ってたと思うんだっ!! 有名女優を誘拐する為に半年も練ってきた計画だぞ? 成功した今、歓喜しない奴が何処にいるってんだ!! あぁ〜!! 早く突っ込みたくて仕方がねぇー!!」

 

下品な笑みを浮かべている二十代後半と思しき男達に連れ去られたのは、全国的に有名な元子役で現役女優の白鷺千聖。

 

そのルックスと常人離れした演技力で一躍有名になった彼女。最近では同じ事務所に所属する者達とアイドルバンドを結成し、そこでベースをしている。何だかんだと一時期問題になったヤラセ事件も鳴りを潜め初めて、漸く軌道に乗り始めていたところに、今度はこの誘拐事件に出くわした。

 

日中だからと高を括っていたのがいけなかった。

何時もなら、移動時には友達や仲間、マネージャーなどが付き添うにも関わらず、今日ばかりは1人で出掛けてしまった。まだ明るく、久し振りに1人でゆったり過ごすのも悪くないと思った日に限って、背後から薬を嗅がされ連れ去られてしまった。

 

そして、現在は路地裏に連れ込まれて、ガムテープで口を塞がれて声が出せず、さらに言えば両手両足もロープで括り付けられて身動きも出来ない。

 

下衆の話を聞けば、半年ほど前からこの誘拐を企てていたらしい。

 

かなり念入りに行われた日中の犯行に、女優とはいえ体術の心得もない、ただの少女が大の男2人に抵抗できよう筈もない。

 

千聖はこれから起きるであろう惨状に、恐怖を煽られて目尻に涙を溜めながら顔を蒼白にした。

正気の抜けた虚ろな視線に、兄貴と呼ばれた主犯格は二マリと口元を歪めて気色の悪い笑みを浮かべた。

 

まるで、恐怖に身を竦めた少女の様子を面白がっているようだった。否、実際にそうなのだろう。

 

「けっへへ……! その恐怖に打ち震えた表情……!! たまんねぇーな!! もう我慢できねぇー!!」

 

「むぐぅ〜っ!!!!」

 

怯える少女の様相から劣情を煽られた兄貴と呼ばれた男は力任せに千聖を抑え込み、ズボンのファスナーを下ろし────。

 

「────そこで何をしている」

 

─────かけたところで男の声が背後から聞こえた。

下衆はお楽しみを邪魔された事で怒りに打ち震えているのか、威圧をかけるように背後にいるであろう男へ視線を移した。

 

そこに立っていたのは、近所にある高校のブレザーを着用した紅短髪の少年だった。

肩に掛けている空っぽのエコバックを見るに、どうやら買い物の途中だったのだろう。

それ以外には特に特徴のない普通の男子学生によって楽しみを邪魔された下衆は腹いせに痛めつけることを脳内で決めながら、男を恐喝する。

 

「あっ!? 誰だテメェッ!!」

 

語気を強めた質問に、押さえつけられていた千聖が肩を震わせた。

隣に立つ舎弟の下衆は兄貴分の怒りに乗るように眉を顰めて睨みつける。

そこら辺の有象無象ならば、これだけで逃げ出してしまうだろうが、目の前の男子学生は違った。

下衆の言葉を聞いても学生は何処吹く風の如しで落ち着き払っていたのだ。

 

「なに。少々、『英雄願望』の強いだけのしがない一般学生さ」

 

「あ!? 英雄願望だ?! はっ!! あんまり笑わせるなよガキィ!! ぶっ殺したくなっちまうだろうが!!」

 

「……それは恐喝かな? ただでさえ婦女暴行の上に、未成年に手を出そうとしているというのに、まさかこれ以上に罪状を増やすというのか?」

 

「うるせぇ!! 今ここでテメェをボコって沈めりゃあ、なんの問題もねぇんだよッ!! おい! カッパ! コイツ、やっちまうぞ!!」

 

「わかりやした!!」

 

煽りに煽られた下衆達は、余裕綽々な男子学生を視界に捉えて、殴りかかる。

 

2対1で不利な状況に見え、しかも相手は確実に喧嘩慣れしていて圧倒的に勝ち目などない。

 

もはや、喧嘩を直で見たことがない千聖でも理解できる勝ち目のない勝負。

 

諦めを持った瞳で少年を見ると……。

 

(え……?)

 

少年は不敵にも笑みを浮かべていた。

まるで、この後の勝利が揺るがないと言わんばかりの笑み。

 

「……ふっ」

 

「むぐぅ……!?」

 

「─────なっ!?」

 

「動かなッ─────!?」

 

それと同時に、ゾッとするような雰囲気を醸し出し、それが下衆2人を一瞬だけ膠着させた。

 

そして、少年はその一瞬を逃さない。

 

「ふっ……!」

 

グギャッ!!

 

「フゴォッ!!?」

 

 

主犯格の男の視界に映っていた少年が一瞬ブレて消えたと同時に、鳩尾に強い衝撃を受け意識を混濁させた。

 

「兄k────ッ!?」

 

「貴様に、人の心配をしている暇があるのか?」

 

バギャッ!!

 

「か、はっ……!!」

 

下っ端の下衆も一瞬にして懐に入ってきた少年に気付かずに、未防備にも同じように鳩尾へ拳を入れられる。

 

呻きを挙げながら、その場で崩れ落ちた下っ端の下衆。彼には耐え難い一撃だったようで、その場で倒れ伏して意識を微睡みに落とした。

 

「ふぅ……この程度、か」

 

一仕事終えたようにパンパンと手を叩く仕草を行なって、まるで蛆虫を見る目で男達を見下す少年。

たった一瞬の交差で喧嘩慣れした下衆共を眠らせた異様な光景に、千聖は目を大きくさせて驚いていた。

 

そんな中、異端な少年は平静なままで千聖に近づいて口に巻かれていたタオルを取り外し、素早く括られていた縄も解く。

 

そして、巻かれていた縄で犯罪者2人を括り付けて、もし起きても動けないようにしていく。

 

手馴れているように感じたのは、気のせいだろうか?

 

「見たところ外傷はなさそうだが、大丈夫か?」

 

「ぁ……ぇ、えぇ。少し、怖かっただけで特に怪我は無いわ」

 

少年はそうか、と言ってから制服のポケットからハンカチを取り出す。

どうやら、彼は千聖が我慢していることを理解してハンカチを差し出したのだろう。

その行為に甘えるわけでは無いが、千聖は溜め込んでいた恐怖を一気に吐き出すように涙腺を決壊させた。

 

「ぅぅ……ぁあぁぁぁァァァ!!」

 

ガバッ!!

 

「……ハンカチ」

 

ハンカチで涙を拭くものだと考えていた少年にとって、予想外も良いことに千聖は少年の胸元に顔を埋めて泣き出したのだ。

不良2人を単独で撃破した少年でも、女性の涙には弱いようで無抵抗にシャツを差し出してしまった。

 

明らかにクリーニング行きが確定してしまったシャツを思いながら、少年は腕を宙空に彷徨わせて困惑していた。

 

結局、千聖が泣き止むまで、少年はシャツを無償で提供し続ける事となった。

 

 

─────

 

「落ち着いたか?」

 

「え、えぇ……/// 恥ずかしいところを見せてしまって、ごめんなさい。私なら、もう大丈夫よ」

 

頬を赤らめているところを見るに、やはり年頃の男に抱きついた行為には、さしもの有名女優であっても羞恥心はあるようで、若干恥ずかしそうにして視線を逸らしていた。

 

……まぁ、それが年頃の少女として当然の反応といえば当然だろう。

 

しかし、白鷺千聖さんや……ハンカチを差し出したにも関わらずオレの胸元に飛び込んでシャツを汚してくれたのはどういう了見ですかい!?

これ、クリーニング行き確定だぞ?!(的外れ)

 

とっさの事とはいえ、一人暮らしの男のシャツを涙でぐしゃぐしゃにして無駄な金掛けさせるとは、なんてやつだ!? 金払え!!(暴論)

 

と、言える筈もなく。

 

「あ、あぁ、それなら良かった……」

 

それだけ言って虚空を見つめる。

とりあえず、これだけでオレが小心者とわかってもらえたと思うが、オレは基本チキン野郎だ。

 

正直、今を駆ける同世代現役女優に抱きつかれれば、頭と体がついていけなくなる。

とどのつまり、女性耐性が異常に低いのだ。

白鷺さんのように羞恥に身悶えるような事はないが、内心バクバクである!

 

「おい!! コッチで喧嘩だ!! お巡りさん!! 早く〜!!」

 

おっと、ピーポーピーポー!のお巡りさんが御到着されたようだ。どうやら、オレが殴り合っていたのを見ていた人が善意で電話してくれたようだ。

 

当然、捕まると後々めんどくさいので、この場を去ることにいたしましょう。

 

「それじゃあ、オレは行くわ! オレのことは適当にはぐらかしといて! じゃあな〜!」

 

「え? ちょっ─────」

 

白鷺さんの言葉を無視して颯爽と路地裏の奥へと逃げ込む。

当たり前だが、この先は行き止まりであるが、人が居なければどうってことは無い。

 

「はっ!!」

 

人が居ないのを確かめてから、壁を伝って建物の屋上へと逃亡した。

え? どうやって壁を伝ったかって? 簡単だよ。マ◯オの連続壁ジャンプだ! え? そんなの人間じゃできない? 出来ても屋上まで登れない?

 

ま、そこは気にしないでくれ(閑話休題)。

 

あ! それと紹介が遅れたな!

 

オレは『江見矢 獅楼』!

『衛宮 士郎』の生まれ変わりって訳ではないけど、無関係でもない転生者だ。よろしくな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




フェイトとクロスオーバーさせると変な感じになったような気が……。
あと、オリジナル成分が変な方向にしてる気がするなぁ……( ̄ー ̄)

ま、いっか!( ´ ▽ ` )


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promise

ヤベェな。全然書けた気がしねぇ(΄◉◞౪◟◉`)

兎に角、どうぞ……!


 

I am the bone of my sword.

─────体は剣で出来ている

 

ガギィンッ!! カァァンッッ!!

 

枯れ果てた荒野に響く鉄同士がぶつかり合う音。

乾いた風に乗った砂煙が視界を不十分にさせており、まともな状況を掴むことは出来ない。

 

けれど、心の底にある熱い何かに身体が突き動かされる。

あの丘の上にいる影を撃破せよと、自らの存在理由を証明せよと……使命感に満ち溢れた心と身体の本能に従っていく。

 

オレが丘の上に向かって駆けていき、◼️ー◼️◼️ーを相手に、手にした双剣を斬りつける。

だが、◼️ー◼️◼️ーがオレの剣戟をいとも容易く受け流し、腹へ蹴りを一つ入れられて後方に吹き飛ばされる。

Steel is my body, and fire is my blood.

血潮は鉄で、心は硝子

 

全てにおいて格下の実力。勝ち目など1厘も無い。

けれど、諦めて仕舞えば、それは敗北を意味する。だから、諦めない。

 

何を賭けて、何を得ようとしているのかも知りもしないのに、勝手な思い込みで圧倒的強者へと立ち向かっていく。

 

愚行だとわかっている。

どういう場面かも理解していないオレが、手を出していい筈がない。

 

I have created over a thousand blades.

幾たびの戦場を越えて不敗

 

Unknown to Death.

ただの一度も敗走はなく

 

Nor known to Life.

ただの一度も理解されない

 

けれど、オレは果ての無い荒野で黒白の双剣を振るう。

たとえ、この場で砕け散ろうとも構わない。

だけど、自分にだけは負けられないのだ。

ここで諦観して、敗北を受け入れるなどオレに出来るわけがない。

 

Have withstood pain to create many weapons.

彼の者は常に独り剣の丘で勝利に酔う

 

Yet, those hands will never hold anything.

故に、その生涯に意味はなく

 

無数に突き刺さる剣達が虚しくも儚く存在する世界で、オレと◼️ー◼️◼️ーが一合一合撃ち合い、そして、◼️◼️◼️ーはそんなオレ達の死闘の行く末を見守り続ける。

 

そう、これは自分との闘い。『理想』と『現実』の最期の勝負だ。

血と剣の錆で鉄臭くなった世界。

『正義の味方』であろうとした男の末路が、この心象世界。

 

最後に残ったのは、果たされたかった『理想』という名の『愚像』だった。

 

So as I pray, UNLIMITED BLADE WORKS.

その体は、きっと剣で出来ていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────

 

 

 

 

「お……! ……きろ……! え……!!」

 

うっ……。オレの安眠時間を妨害する奴は誰だ?

 

耳朶を刺激する怒声らしき音。

 

まだ寝ぼけている所為だろう。言葉の節々にノイズが掛かっている。

 

だが、言わんとしてることはわかっているつもりで、当然起きろ的な事を言っている。

 

しかし! オレはそんな妨害に負けるほどヤワでは無いのだ!!

 

こちとら、連日で機械をいじってた所為で、徹夜してるんだ。そんな簡単に起きてやると思うなよ! やるなら徹底抗戦だ!!(バカ)

 

「えーいっ!! 起きんか!!」

 

けれど、オレの強い意志を簡単に無視する声の主は、更に声を荒げて、いよいよ体を強引に揺すり始めたのだ。

 

え?! ちょっと待って! なんで肩掴んで……あ! ギャァァア!!!

 

振り回すなぁ!!

 

頭がぐわんぐわんするからそれやめて(懇願)!

マジで目が回る。ヤバイ……吐きそう。

 

「わ、わかった……わかった、から……そ、れヤメ─────うぷっ……!!」

 

「ふん。ようやく起きたか。そもそも全ての授業で寝ている奴が何処にいる? ホームルームすら終わって、もう既に放課後だぞ。エミヤ」

 

こ、この……糞真面目眼鏡野郎が……。無駄にイケメンだから、そのサムズアップも絵になってるのが腹立つ!(嫉妬)

 

おい! 眼鏡をクイッとするのやめろ! なんか余計にイラつく!

 

つーか! 吐きそうなの! マジで吐きそうなの!

プリーズ、ポリ袋!! ヘルプ・ミー!!

 

─────

 

と言った、一悶着が起きていた場所は今年から通う事になった花咲川電気工学高等学校の1年A組の教室である。

 

この学校は一般教養は勿論のこと、第二種電気工事士や電験3種などの電気系統の資格は大方取れる専門高等学校だ。当然、専門学校っぽいけどちゃんと3年制の高校だからね!(誰得? の顔)

 

卒業後は、やはりそう言った会社や現場に出る人が多くて、大学に進学したりする人は殆どいない。ついでに、悲しかな、女子もいない(血涙)

 

大体、全体の1割ぐらいしか女子がいないの!

しかも、今年の女子はクラス分けで何故かA組だけはぶられているのか、女子が1人もいない!!

ひとりもいないんだ!(大切なので二回言った)

 

そうなってくれば、残ったのはむさ苦しい男所帯のクソクラスという編成になってしまう訳で……教室に入ってきたときの絶望感は計り知れなかった。いや、君達が思ってるより、本気でヤバイよ?(語彙力の低下)

 

ほんとヤベェよ。

 

この前なんて、クラスで自己紹介する場で彼女います発言したクラスメイトがいたんだけど、ガチムチの大柄のクラスメイトたちが束になってソイツを連行して、帰ってきたときには素っ裸にされて泣いてたんだぜ?

 

あんときゃ、流石に問題になるだろうって思ったけど、非リアの嘆きって本気で怖いなーって思いました(他人事)。

 

要するに、このクラスにおいて恋愛系の会話は御法度。直ぐに非リアのガチムチ達に締め上げられる(恐怖)。

 

「それで、全ての授業をほぼ爆睡して消化したオレに何か用なのか? 一誠」

 

この眼鏡糞イケ男の名前は【神田 一誠】。

一応神田神社の住職をやっていて、見た目通りの糞真面目な奴だ。

序でに生徒会役員に即座に選ばれた実績もあるぞ(学年首位合格だった為らしい)。

 

あ、それとさっき言った締め上げられたイケメンってこいつの事じゃねぇから。

なぜか、周りからモテまくるのに非リア達もコイツには逆らえない始末。マジで不思議……。

しかも、基本はオレ以外の奴は敬語で話すし、なんかやったのかな?

 

え? なんでオマエはそんなにデカイ口叩けるのかって? そりゃあ、腐れ縁ですから。(ドヤ顔)

 

一言だけなのに、すごい説得力だろ? え? そんな事ない? ま、いっか!(テキトー)

 

そんなやり取りを脳内で行なっていると、一誠は先ほどのオレの言葉に呆れたように溜息吐く。

やっぱり、イケメンは何をしても絵になる(棒読み)。

 

「貴様、昨日の放課後に何をやらかしたのだ?」

 

「は? 昨日の放課後?」

 

てっきり、生徒会の機材の修理とかの頼み事関連だと思ってたんだけど……まさか、昨日の放課後の話を聞いてくるとは思わなかった。

 

そして、オレが首を傾げている様子を見て、一誠は更に深い溜息を零して眉を顰める。

 

……オレ、昨日何かやらかしたか?

あかん。全然思い出せへん。ヤバイわ。これ。一誠がアカン時の顔やん……!

 

下手くそな関西弁は置いておいて、とりあえず全力で脳神経を活性化させる。

別に成績が悪いわけではないが、人よりも物覚えが悪く、頭の回転も良くないのは理解しているので、兎に角、昨日の出来事を一から振り返る。

 

えっ、と……昨日の放課後は確か─────

 

買い物→商店街→DQN狩り→八百屋→精肉店→パン屋→帰宅

 

「─────って、感じだったと思うんだが、何かおかしいところあるか?」

 

「むしろ、これでおかしくないと言える貴様の神経はどうなってるんだ?」

 

「え!? 何処がッ!?」

 

「はぁ……兎に角、生徒会室に付いて来い。貴様に会いたいと言っている人がいるようだ」

 

「あ、遠慮しま「来い」─────あい」

 

一誠さんや、背後に阿修羅を召喚するのは流石に卑怯だと思うですよ!(畏怖)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────生徒会室─────

 

「……」

 

ガラガラ!(扉を開ける音)

 

「─────閉店か?」

 

「古いし、しょうもない事言うなバカ」

 

一誠とのコントを堪能した後に、生徒会室に待っていた人に視線を移す。

そこにいるのは、会議用の椅子に座って大人しく待っていた金髪の少女。

 

テレビでも良く見ているし、なんだかんだ言えば昨日に至っては喋りもしたさ。まぁ、出会い方は問題ありだと思うんだけどな!

 

しかし、これでオレが呼ばれた理由が漸く分かった。understandね!

 

唐突な英語表現には誰もツッコまないでね? なんとなしに言っただけだから。

そして、椅子に掛けていた少女はオレを見ると、途端に万人が見惚れる笑みで見つめてきた。

 

ふ! 常人ならばその笑みだけで落とされていただろうが、オレに通じるとでも(フラグ)───結婚を前提としてお付き合いしてくだs─────ゲフンゲフンッ!! はっ!? お、オレは何を言おうとしていたんだ!?(正気)

 

「───昨日ぶりね。江見矢君」

 

そんな言葉を掛けられた瞬間、オレは一誠にアイコンタクトを送る。

 

ヒトチガイ、トイウコトニシテオコウ。イイナ? by 獅楼。

 

……ヽ(・∀・) by 一誠。

 

「……ひ、人違───「そうです。コイツが江見矢です」一誠ッ!?」

 

「そう。やっぱり、貴方が私を助けてくれた江見矢君だったのね。人違いじゃなくて良かったわ」

 

親友よ。裏切るにしてもせめて、全部言ってからにしてくれ! なんか、これだとオレが惨めな人間にしか映らないだろうが!!

 

一誠の瞬殺裏切りにより、白鷺さんにオレの正体がバレてしまった。

クソ! カッコつけて去った意味がなくなっちまったじゃねぇか!!

カッコ悪ッ!(元から)

 

ていうよりさー!!

 

「それより、なんでオレの名前を?」

 

そうなんだよなー。オレって昨日は助けてから名乗ってないはずなんだけど、どうやって身バレしたのか聞いときたいぜ! 今度から情報を完璧に遮断しきってから助けて見せるから!

 

ま、そんな場面はほとんど無いと思うけどね!

うん、平和が一番だ。

 

え? 助けたことがバレたのはいいのかって?

もう、メンドイし話をややこしくするのが一番シンドイから諦めました(テキトー)。

 

「そうね……。先ず最初に、貴方を探す上でキーにしたのは制服。その制服は花咲川電気工学高等学校の物だとすぐわかったの。そこまではわかるわね?」

 

当然だ。学校ぐらいはバレる可能性は考えてたさ。でも、路地裏ってかなり暗いから、視界も安定しない中で良く制服までしっかり覚えてたな、と感心する。

 

「そもそも、探さなくても良かったんですけどね」

 

根底から言っちゃえばそうだよ。探して欲しくはなかった。

なんか、御礼を受け取るのって気恥ずかしいし、それの為に助けたわけじゃ無いのだから、何も言わずに去ったっていうのに、逆に追いかけられてきちゃ面目無い。

 

はぁ……上手くいかねぇな。

 

「そうもいかないわ。助けてもらった人に何も返さずにいるなんて、私が許せないの」

 

……こういうプライドの強い人が自我を持って話してくると、ホントに強い(確信)。

マジで手に負えない。

 

「……それで、白鷺さん。このバカの名前は何処で知ったんですか?」

 

「おい! バカってなんだ、バカって!!」

 

コイツ、オレの事をなんだと思ってんだ?!

 

「鈍感な愚直野郎」

 

心の中まで読んで答えんでいいわ!!

てか、どうやって心の中読んでんだ!? 怖いわ!

 

「えぇ、名前を知ったのは本当に偶々だったのだけれどね───」

 

おう……まさか、白鷺さん。オレと一誠のやり取りは完全に無視ですかい……スンゴイ胆力ですね。なんか手慣れてませんか?(半信半疑)

 

オレの事など知らないってか? いいぞ! もっと無視しろぉ! 途轍もなく興奮する!(M体質)

……オレは一体、なんの話をしてるんだ?(困惑)

 

真剣な表情でこちらに向き直る現役女優。

うむ、やはり絵になる。一つ一つの所作が流麗で、意識していなければ簡単に見惚れてしまうほどだ。

 

「エミヤ君。貴方、最近道に迷ってた女の子を学校に送って行った事があったでしょ?」

 

「え? ちょっと待ってくださいね。今、思い出しますから……」

 

えっと……迷子の女の子、迷子……学校……。

 

ピコンッ!

 

「あ、あぁ! 確かに、送り届けましたよ! あんまりにも逆方向に行こうとしていたのを見兼ねて声かけたら、『ふぇぇ……』って言って泣かれた記憶が……って、なんで白鷺さんがそんな事を知ってるんすか?」

 

何? オレのストーカー? 新手のスパイ商法?

どっちもヤベェやつじゃねぇか!!

 

という、的外れもいいところで話を聞くと、どうやらその少女は白鷺さんの友人らしく、その人からオレの特徴と名前を聞いたらしい。

 

まぁ、この世界はカラフルな髪が多いけど、紅短髪はいねぇからなぁ……。

そう考えると、オレの髪の毛ってかなり特徴的かもな(何を今更)。

 

え? ちなみに白鷺さんの友達がオレの名前を知ってた理由? 何だかんだオレってドジらしくて、送り届けたのはいいものの、その場で学生証を落としてしまうというヘマをやらかして、それを拾った白鷺さんのお友達がオレの素性を知り、丁度話題になった時に名前が挙がったらしい。

 

一つのミスで身バレするこの時代は、おろそしいもんだねぇ(自業自得)。

 

あ、勿論、無くしたと思われた学生証は後日になって、学校に直接送付されてきて返還されましたー(ぱちぱち!)

 

で、話を要約すると、白鷺さんと、そのお友達がオレに何か御礼をしたいそうで、今度の日曜に出かけて何か奢ってくれるそうな……別に御礼なんていらないんだけど、タダ飯にありつけるならと、渋々受け入れた。

 

受け入れるんかい! とツッコんだ君!

そう、君だ!!

女子に奢らせるなんて、最低最悪だという考えはやめたほうがいいぞ!!

この世の中、男子が女子に奢るだけの時代は終わりを告げたのだ! そんな古臭い考えは今すぐゴミ箱に捨てたまえ!

 

それとな、一人暮らししてると飯にありつくのも簡単じゃないんだ! だから、タダで食える飯は食わないと損だろ?! コッチだっていっぱい一杯なんだよ! 分かってくれ!(切実)

 

それで、今日は解散となり、仕事の途中で抜け出してきたらしい白鷺さんは、マネージャーさんに連れられて仕事場に渋々向かって行った。

 

若干、仕事をするのを渋ってゴネていたが、まぁ本番になれば治ってる事だろう(楽観視)

 

……てか、よくよく考えたら御礼する為の約束をこじ付けるだけなら、別にコッチの学校に来る必要なくね?



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HERO

うむ。やらかした。


オレの前世は、そりゃあ荒れに荒れていた。

 

おっと、急になんだって顔をしたそこの君! そう君さ!

え? オマエは誰だって?

そういえば、自己紹介が遅れたな。オレの名前は【江見矢 獅楼】だ。よろしくな(^ω^)

 

歳は15だけど前世を合わせると────いや、悲しくなるから15歳って事にしておいてくれ(懇願)。

くそっ!! 歳なんてとりたくねぇな(中年の考え)!

ヤケ酒が欲しくならぁ!(未成年)

 

コホン……話が逸れたな(突然正気)

まぁ、話を無理矢理戻すけども、なんで唐突にこんな話をするかって言うとな? ぶっちゃけ、理由は無い。( ̄∇ ̄)

単なる気紛れだ! オレが、ふと思い至ったから勝手に語るだけだ。

謂わば、自己満足な!(自己中)

 

ふ、ウザいと思ったろ? うん、オレも自分でかなりウザいなって思ったよ!

ウザいし腹立つし、早く本編いかねぇかなぁ〜って思った諸君。

このままオレの過去を聞かずに始まると思ったか?(ドヤ顔)

 

ところがどっこいのゆうすけサンタマリア!!(しょうもない)

 

当然、過去の話はやるんだなぁ〜!!♪( ´θ`)ノ

どう? 腹立つ? 腹立つよね?! ごめんねぇ〜!? 腹立つヤツで───(読者を煽るな。消すぞ?)コホン、ホントよく話を脱線させるのが好きなオレで申し訳ない。今度こそ、ちゃんと説明するから……ゆるちて( ;∀;)

 

なんか、謎の力がオレを抹殺しようと圧力かけてみたいだから、本題にちゃんと入るわ(メタ&ガクブル)

 

ここから、冒頭に言った荒れに荒れてたって話に戻るわけだけど、この言葉の意味は全くもってそのまんまだ。

 

オレが、転生する前の世界は酷い具合に荒んでしまっていた。

先ず、世界各国で資源物資の困窮が始まり、そこから瞬く間に産業技術が衰退していき、それぞれの国々の科学文化が、日本で言うところの明治時代にまで退化し、人々は貧困に喘いだ。

 

当然、混迷に陥れば陥るほど、人の心とはいとも簡単に脆く崩れ去ってしまう。

その影響下は直ぐに表れた。

 

暴力、金、薬物、性欲……etc.

 

欲に塗れた愚者等が増加して、彼方此方で暴動騒ぎが勃発。

当然、国同士の諍いも苛烈を極め、戦争へ突入した数も少なくない。

 

それらが巻き起こったお陰で我欲に塗れた世界の出来上がってしまうのだ。

世界は混沌の渦に見舞われ、滅亡も遅くは無いと言われていたんだ。

 

だからこそ、綺麗な世界を望んで何もかもを取りこぼした男に救われたオレが、誰よりも『正義の味方』に憧れたのは当然の帰結といえた。

こんなクソッタレな世界を変えたいと言う【理想】が綺麗だったからこそ、憧れた。

 

たしかに、そこに自身の意思なんて無いのかもしれない。所詮は借り物で、救ってくれた人の背中に張り付いただけの叶わない願望なのかもしれない。

だから、オレは【理想】を追い続けることを止めない。

いつかきっと、叶う日が来るのを願いながら、万人を救う為に動くのだ。

 

……少し、湿っぽくなっちまったが、それがオレの前世の世界と俺の在り方。今も変わらない【理想】は変える必要もなければ、変えるつもりも無い。

だって、オレが憧れた『正義の味方』はそうだったから。

 

なんで転生したとか、どうやって死んだのかとか……色々聞きたいことはあるとは思うけど、今回はここまでだ。

どうやら、オレの身体が目覚める事を推奨しているようだ。

 

ここは、夢の中。オレの心の底に潜む心象世界。

広大な荒野に乱雑に配置された無限の剣を内包した世界。

赤い装束を切ると男と同じような世界だが、少し違う。

ま、説明は面倒いからまた今度な!

 

とりあえず、ここがオレの唯一の在り処であり、オレにはこれしか無いって覚えておいてくれたら幸いだな。

 

 

 

─────

 

ピピピッ!!

 

ガチャッ! (迫真)

 

……。

 

「……なんて夢見てんだよ」

 

身の上話をするオレって、めっちゃキモすぎん?(何を今更)

目覚まし時計を迫力満点で止めてから、体を起こした時点でオレの体力は既に疲れ切っていた。

 

─────

 

「────ふぁぁ……。ねみぃ……」

 

うん。単純に眠いね。

春先って花粉症の人は地獄を見るらしいけど、オレはそんな事ないから単に眠い気温だなって感じだ。

なんていうの? こう、気だるいって言うか、この気温の中ならいつでも昼寝できるよね的なアレだ。え? なんのこっちゃか分からない?

ま、オレもよくわかってないから大丈夫だろう(バカ)。

 

と、意味わからない事を言うぐらいには、まだ眠気が取れないので目をこすりながら欠伸をかみ殺す。

 

朝早く起きて日課のトレーニングをするのが当たり前になっている今日この頃。春先にやる早朝のランニングって気持ちいいんだけど、やっぱり起きるのが苦行になるよなぁ〜。ま、そんな理由で休んだ事はないんだけどさ。

 

因みに、今の時間は午前6時半。昼頃には活発な商店街も、今の時間帯では静まり返っていて、どこか独り占めした気分で愉悦感に浸る。

う〜ん!! これが王様気分って奴だな!! はっはっはー!! 我に恐れ戦け!!(誰もいないのに人の上に立っていると勘違いしている痛い厨二病の図)

 

おん? この匂いは……。

 

とても芳ばしくて良い匂いが、オレの鼻腔を刺激してきた。

パンだな(確信)。いつもこの朝早い時間帯で開店しているのは『やまぶきベーカリー』だけだからな。懇意にさせてもらってるわけだけど、今日はまた一段と美味しそうな匂いだ(*゚▽゚*)

 

おっと、いけねぇ。そういえば食パンが無くなってたのを忘れてたぜ。危ねぇあぶねぇ。仕方ねぇな! パンの買い忘れはオレのヘマだからなぁ〜! しゃーねぇから買っていくか!(白々しい)

 

ほんと、仕方なしだよ! 仕方なし!!

べ、別に腹が減って直ぐに食べたくなったとかじゃないんだからね! か、勘違いしないでよね!!

 

……男のツンデレって、誰得なんだよ(反吐)。

 

─────

 

カランカランッ……!

 

「そうだなぁ、腹がカランカランだわ。だから、パンくれパン」

 

「また朝から意味の分からないボケをかましてるの? 正直ちょっと気持ち悪いかな? いらっしゃい、エミヤ君」

 

パン屋の扉を開けて、中に入ると、外から感じていた以上にパンの香しい香りが鼻腔を撫でる。これだけでも、ヨダレものだ。(キモい)

 

そして、オレへ呆れながら戯けた口調で話しかけてくれた少女は、山吹沙綾。

このパン屋の店長さんの3人姉弟の長女だ。気さくな性格で、誰とも分け隔てなく楽しそうに話しかけてくれるので、商店街ではもっぱらの有名人である。

 

なんでも、最近では非公認のファンクラブさえ出来たとか……。

ま、モテてもおかしくない顔立ちしてるから納得っちゃ納得なんだけど、ちゃんと許諾は得たほうがいいぞ? 後で痛い目合う可能性が少なからずあるからね?(経験者は語る)

 

「おっす! 沙綾。今日も今日とて辛辣なツッコミありがとう」

 

「うわぁ……なんで気持ち悪いって言われて清々しく笑えるの? ちょっと、意味わからないかなー」

 

あらぁ……ガチ引きですかい。

まぁいいや(現実逃避)。別にマゾじゃ無いけどね! 誤解はすんなよ!(真剣)

せっかく整った顔してんだから、そんな顔を歪めんなって。君には笑顔が一番さっ!(キザったらしい)

 

「ま、それはさておき……」

 

「置いておくんだ……」

 

そりゃあ、この話をいつまでも引っ張るわけにはいかんでしょ?(唐突な真面目)

話がこれ以上滞ると、この物語自体が抹消されかねないからね!(メタ)

 

「じゃあ、今日は……お! チョココロネ残ってんじゃん! 珍しいなぁ」

 

そうなんだよ。なんでか、ここのパン屋にきたら大体チョココロネが無くなってる。マジでビビったわ! ここまで人気あんのかって衝撃を受けたけど、聞いた話だとチョココロネ好きの沙綾の友達が全部買っていくらしい。

 

……ここのパン屋が1日にどれだけのチョココロネを作るのかは知らないけど、普通一人で食べきれる量を簡単に変えてる事だけはわかるんだけど、どんな胃袋してんの? しかも、聞いた話だとそれを超える数を買い求めてやってくる常連客もあるとかいないとか……怖っ! 最近の女子高生って胃袋どうなってんの? 女体の神秘だわー(感心)。

 

と、チョココロネを一つ取って、あとは二つほど適当に見繕う事にした。

結果、お惣菜パンの定番中の定番である焼きそばパンと、みんな大好きなクリームパンを選択してから、レジで待ってくれていた沙綾の前に持っていき、会計してもらう。

 

全部で320円ちょっと……ふむ、コスパもまぁまぁ良いんだよなぁ〜。

やまぶきベーカリーは一人暮らしする学生全ての味方だ(羨望)。

 

てか、沙綾の接待だけで1日頑張れる。

あれは癒しだね! 慈愛の神様だぜ(真実)。

マジでモテる理由がわかる! オレもああいう嫁が欲しいです!(懇願)

 

え? じゃあ沙綾に告れって? 無理無理ッ!! オレごときが、みんなの慈愛なる女神である沙綾様に告白なんておこがましい!!(ヘタレ)

 

むしろ告白なんて成功するはずがねぇだろうがっ!? クソッタレェェエ!!(ヤケクソ)

 

「あ、そうだ。その後の調子はどうなんだ?」

 

「? 調子って?」

 

うん。首傾げる姿もかわゆす(病気)。

でも、本気でわかっていないんですか? ちょっと? 沙綾さん? ちゃんとこっち向きましょうか? はぐらかそうとしてるのバレバレだから!

 

「……バンドだよ。バンド。ドラムやってたろ? オマエ。確か、今はポッピンパーティー? とかいうグループに────」

 

「べ、別に、普通だよ? ……う、うん。ふ、普通……」

 

あ(察し)。

普通じゃないグループなんだね?(確信)

ま、沙綾は人一倍優しいし、人の感情に機敏だからなぁ。周りがアレなほど、彼女の負担もデカくなるんだろうな。彼女の心労は計り知れない。

 

しかも、それを周りには決して見せようとしないから余計にタチが悪い。

もっと周りに押し付けてもいいんだと思うだけどなぁ〜。

性格的にできなさそうだけど。

 

だから、敢えてオレは何も言わずに沙綾の頭へ手を乗せる。

 

「ふぇ? ///」

 

「……」

 

突然の行為に耳まで真っ赤にした沙綾。

可愛い(最高)。 プシューと、湯気が幻視出来るぐらいには羞恥に悶えている沙綾の姿を堪能しつつ、労いの言葉を告げる。

 

「ま、頑張るのはいい事だけど、あんま頑張りすぎて倒れんなよ? せっかく千紘さんの容態も良くなってきたんだ。もう少し周りに頼れよ」

 

「ぁぅ……/// で、でも……お母さんには、早く良くなって、もらい、たいし……///」

 

「ま、千紘さんや親父さんに頼りにくいのは分かるけど、オマエの周りには頼りになる仲間がいるだろ? 何も一人でやる必要なんてねぇんだ。沙綾はもっと周りに助けを求めていいんだよ」

 

「……う、ん///」

 

よしよし(慈愛)。

これで沙綾も無理な仕事量をこなすことはないだろう(建前)。可愛い姿も見れた事だし(本音)、さっさと戻って支度する事にしよう。

 

「…………る?」

 

「ん? なんか言った?」

 

照れすぎて声が出ないのか? ちょっとやりすぎたかもしれねぇ(今更)。

 

「ぇ、エミヤくんに助けてって言ったら、助けてくれるの///?」

 

服の端を掴む姿に萌死しそうになるも、真っ直ぐ見てくる瞳には真剣さが伝わってくる。

当然─────。

 

「あぁ。助けるよ」

 

「そ、即答なんだ……」

 

「そりゃあそうだろ? なんたってオレは──────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────『正義の味方』になる男だからな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────沙綾side─────

 

その男の子と出会ったのは、私が高校に入ったばかりのある日。

ちょうど、バンドをやめて若干の後悔をしていた頃だった。

 

カランカラン。

 

「カランカラン? 誰の財布がカランカランだぁ!?」

 

最初は変な人だって認識だったよ? そう思っても仕方ないと思うんだ。

だって、入ってきて最初の一言がそれだったんだよ? 寧ろ、変人じゃなかったらなんなんだろうってレベルだったよ。

 

店のベルに因縁を付ける紅短髪の少年。背丈は170後半ぐらいの見かけ普通の男の子だった。たしかに変人的な行動を真っ先に起こした彼だったけど、見かけだけなら別に変な人というわけではなかった。

 

「あのぉ〜。御客様、お店での大声は他の御客様のご迷惑になるので、お静かにしていただけますでしょうか?」

 

「あ、すみません……!」

 

 

あんまり変な人と話したくは無いけど、意を決して注意すると案外すぐに引き下がってくれて、別にそこまで変な人じゃ無いのかな? って思った。

寧ろ、私に話しかけられてちょっと縮こまっているのを見るに、本当は小心者なんだろうなっと感じた。

 

 

 

 

 

それからも、彼は何度かウチの店に来るようになってきて、同い年って事もあって会話もそれなりにするようになった。

 

特別な話をするわけではなかったけど、同年代の男子と喋る機会が少なかった私にはとても新鮮に感じられて、少し嬉しかったりした。

 

 

そんなある日の事。

香澄達がバンドグループに誘ってきた。当然、やりたいって思ってた。

けど、お父さん……さしては、身体の弱いお母さんに迷惑をかけるわけにはいかないって想いの方が強くて、香澄達の誘いは断った。

 

でも、やっぱり何処かに迷いって物はあって葛藤はしていた。

文化祭で待ってるって言われて、ちょっと嬉しかった。

またバンドが出来るのかもしれないっていう歓喜だった。やはり、私は音楽が大好きで、香澄達とバンドを組んでみたいって思った。

 

そんな時に、お母さんが倒れて病院に搬送された。この時、既に私はバンドを諦めていた。たしかに、音楽は大好きだけど、それでもやっぱりお母さんが大事だから。私は香澄達には何も告げずに病院に向かった。

 

その時はただの貧血だったけど、されど貧血だ。大事をとって2日ほど入院する事となった。

これがきっかけで、やっぱりバンドは出来ないなって勝手に決めつけていて、文化祭にももう間に合わないと諦めていた時……。

 

「ん? 沙綾じゃないか。どうしたんだ? こんなところで」

 

「え、ミヤ、くん?」

 

偶然にも病院でエミヤくんの顔を見ることとなった。

 

話を聞いたらところ、エミヤ君がここに来た理由は、お友達が少し大きな怪我をしたらしい。命に別状がないとは言っていたが、暫くの間は病院生活を強いられる友達に同情したエミヤ君はお見舞いの品を渡しに来たと言っていた。

 

「それで? 沙綾はなんでこんなところにいたんだ?」

 

「それは────」

 

話すかは迷った。正直、こんな話をされてもエミヤ君にとってはどうでもいい事だろうし、また他の人に迷惑をかけてしまうと言う恐怖心から心の内に留めようと考えていた。

 

けれど……。

 

気づけば話していた。 なんでかな? 君の真っ直ぐな目を見ていたら、はぐらかす事を憚られたんだ。

私の中にある蟠りを、ただ少し話をするだけの関係でしかなかった男の子に全て─────。勿論、抵抗はあった。だけど、君の真剣な表情を見ているとそんなものがチャチに思えた。

 

どうしようもない現実に当たるようにして、私は君にさらけ出した。

本当はバンドをしたい事。

でも、お母さん達に迷惑はかけられない事。

前のバンドメンバーに対して罪悪感がある事。

 

全部話し終えて、堪えられなかった涙。

君はその涙を見て、無言でハンカチを差し出してくれた。

そして、君は私の頭を撫でながら─────。

 

「────よし。わかった。後はオレに任せろ」

 

「え? きゃあっ!?」

 

そして、君は私を無理矢理抱きかかえた。

所謂、お姫様抱っこ。女子ならば誰もが憧れるシチュエーションが起こったことに私は不覚にもドキドキした。

見た目は細いのに、意外にもしっかりとした筋肉が付いていて、それが更に私の心を揺さぶってくる。

 

「じゃあ行くぞ?!」

 

「ちょっ─────!?」

 

私が何処に? と聞く前にダンッ!と地面を強く掴む音が鼓膜に届くと同時に、一気に加速した。

 

 

風を切る音だけが支配する世界で、君は全力で疾駆していた。

息も荒げずに、ただ前だけ向いて疾走する姿に私はドキドキしっぱなしだった。普段は戯けた様相しかみせないのに、こんな一面があると言うギャップにやられてしまう。

惚ける私だったが、ふと思い出す。

そうだ、君はどこに向かっているのかと。

 

だから、それを尋ねたら。

 

「あ? んなもん、花咲川女子学園に決まってんだろう!? バンド、したいんだろ!? なら、絶対に間に合わせてやるよ!!」

 

「無理だよ!? 車でもギリギリ間に合わないのに、人を抱えながら走ってだなんて……もう、無理なの……!!」

 

諦めていた。バンドも、友情も……。

けど、君は─────。

 

「大丈夫だ。車でギリギリなら、オレが走っていけば十分間に合う!! 信じろ! オレをっ!!」

 

「っ─────!!」

 

その諦めの悪さは筋金入りだと思った。

間に合うはずもないのに、車よりも速く走れるはずがないのに、君は絶対にやってやるって豪語するんだもん。あの時は困惑したなぁ。

 

それでも、あの時の君の目は真剣そのもので、私は強く君の身体にしがみ付いた。どうか間に合いますようにって願って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無謀な願い。どうせ間に合わない。

心の中では分かりきった現実。

 

それでも、不可能を可能にする人がいる。

 

そんな人はいない、ただの妄言だと、この日までは本気で思ってたんだけどなぁ。

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ……!! か、はっ……ぁ、どう、だ……ま、に合ったぞ……!」

 

「ウソ……ホントに、間に合ったの? 私……」

 

起き得ない奇跡。けど、実際には起きた奇跡。

それを引き起こしたのは、ただの少年。花咲川女子学園の校門前の路上で倒れ伏しながら息を絶え絶えにした男の子。

 

君は苦しいはずなのに、満面の笑みを浮かべて会場の方へと指を向けて行けと合図した。

病院からここまで休まずに全力で走ってきたのに、それでも君は笑みを崩さない。

 

だから、私は君の努力を無駄にしないようにして、全力で会場に向かった。

頑張ってくれた君に、最高の演奏を聴かせるために、そこからでもちゃんと聴こえるように全力で楽しむんだと意気込んで走った。

 

 

 

結果、文化祭は成功して、最高の形で演奏を終えることが出来た。

前まで組んでいたバンドメンバーにも謝罪をして、お母さんの体調も良好になり、私自身も香澄達のバンドメンバーとしてやっていくと決意した。

 

この事を真っ先に伝えたい。

私は急かす心を落ち着かせながら、彼が来る事を待ったが、暫くの間は来なかった。

 

何かあったのだろうか? もしかしたら、あの後に事故にでも巻き込まれたのかもしれないと本気で心配していた矢先に、君は店に来た。

しかし、いつもとは違って松葉杖をつきながらだったけど。

 

私がその足はどうしたのかと尋ねると、君は苦笑を浮かべて、

「単なる肉離れだよ。3日ぐらい大人しくしとけば、すぐ治る」

と言っていた。

 

肉離れってそんなすぐに治るものではなかったはずだが、そんな事よりも、その足にしてしまったのは私じゃ無いだろうか?

そんな思いを察してか、君はまた頭に手を置いて笑いかけてくれた。

 

「沙綾がやりたい事が出来るなら、肉離れぐらい大した事ねぇよ」と、言ってクシャクシャと頭を撫でられた。

 

同い年のはずなのに、私の方が年下のように感じられた。

あんなに大きな器の人って中々いない。どうしてそこまで他人に親身になれるのだろうか? どうしてそこまで他人に手を差し伸べられるのか?

 

私は知らず知らずのうちに尋ねていた。

 

すると、君は驚いた顔を一瞬浮かべた後、すぐに笑って─────。

 

「ははっ。 それはそうさ! なんたってオレは──────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────『正義の味方』になる男だからな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、それが『江見矢 獅楼』の根本を始めて知った時だった。

それと同時に理解した。

起きないはずの奇跡。けど、彼にとってはあの奇跡こそ当然のことだった。

『正義の味方』。そうだよね。そんな大きな『理想』を本気で掲げてる人にはさぞかし小さい難問だったのだろう。

 

 

誰にでも手を差し伸べる君。

 

 

言ってしまえば、別に私じゃなくても君は助けていたのだろう。

 

それでも、私は────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────そんな、貴方に恋をしたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ね? やらかしたでしょ?
恋愛表現ってバカ難しいっすよね?!分かる人にはわかるはずダァ!!


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real nature

今回は前半がおふざけ回!
後半からはゴリゴリのシリアスでございます!
シリアスが苦手な方はブラバを推奨いたします!
(けど、タグの欄にシリアスっていれてあるからいいよね?)


おっす! オラ、エミヤシロウ! オメェら元気にしてっか?!

ん? オラか? オラは元気だぞ!(空元気)

この世にはツァー奴らがいっぺぇいて、オラ、ワクワクすっぞ!(白目)

 

ま、カカ◯ット口調は置いておくとして(無責任)。

 

とりあえず、今日は金曜日だ! ジェイ◯ンじゃないぞ? 13日でも無い。

そう、みんな大っ嫌いなあの金曜日だ!(真実) 微妙にまだ休みじゃなくて嫌になるよな!? 分かる人には分かると思うっ!!

 

憂鬱じゃろ? メンドイじゃろ? 仮病したいじゃろ?(ウザい)

休んじまえよ(悪魔の囁き)。この際、学校なんて行かなくていいだろ?(クズ) そう、これはモチベーションを上げる為に必要な休暇だ! だから、オレは休むんだいいね?(カス)

 

 

 

 

 

 

 

 

「────て、思ってたんだけどさ、結局来ちまったんだよ。なぁ? オレはどうすればよかったんだ? 一誠」

 

「とりあえず、その煩悩を何とか矯正させてクタバレ」

 

 

オレの相棒は今日も今日とて辛口でした。

 

 

悲しい(泣)。

 

 

 

─────

 

さぁ、放課後がやってきたゾォォイ!!(クレイジーボーイ……ボーイ?)

放課後にゲーセン! 買い食い! バイト! これぞ学生の本分!!(バカ)

べんきょう? なにそれ? 美味しいの?(記憶障害)

 

え? もうじき中間試験? あと1週間でやってくる? そんな情報知らないんですけど。どういうことですか!?(錯乱)

 

おい! 一誠! そんな話オレは聞いてな─────え? その時、何度も起こしたのにずっと寝てた? オマエの自己責任? ど正論だぁーね!!(白目)

 

クソッタレェェエ!! 汚ねぇ花火だッ!!(王子)

イチえもーん!! 僕に勉強を教えてよぉ〜!!(泣き落とし)

……今回ばかりは面倒見きれん? 自分でなんとかしろ? そ、そんな無慈悲な……ぁ、ァァァぁあ!!!!!(狂乱)

 

ウバァァァァ!!!(爆死)い、一誠君の意地悪ゥゥ〜!!(キモい)

 

テストが詰んだも同然……。

 

ま、いっか!!(開き直り)

 

こうなったら、太鼓の●人で発散ダァ!!!

 

─────

 

オラオラオラオラァァァァァァ!!(スタンド使い)

 

はっはっは!! 今日のオレは頗る調子が良いようだなっ!!

どうだゴラァッ!! オレだって本気出せば『白鳥』の鬼レベル如きをフルコンするなんて大したこと無いんだよぉ〜! がはっはっは!! ザマァねぇな!!(フラグ)

 

あ(不可)……。

 

……………………さ、最後の最後でスカしてしまったァァァァァァァァァアアァァァァァアア(狂気)!!!!!!!

 

「クソがァァァア!!!!!!(絶叫)」

 

「ウルセェぞクソガキィィィ!!今 出てけー!! そんで二度とくんなぁ!!」

 

「(;´Д`!! そ、そりゃあねぇよぉ〜!?」

 

もういい!! シロウ! おうち帰るぅ〜!! (ラブ●イバー)

 

─────

 

さて、どうしたものだろうか……。

なぁ? 聞いてくれねぇか? え? 面倒いから聞きたくねぇ? ま、そう言わずに聞けよ(強制)。

 

結局、近場にあったゲーセンは出禁になって(当然)、行く当ても無くそこら中を歩き回ってたんだわ。

ここまでは別に普通だろ?(普通では無い)

 

別にそのまま家に帰りゃよかったじゃねぇかと思ったんだけど、何せウチには何も無い!

いや、ない事はないんだよ? ただ、買ったゲームは殆ど消化しきったんだわ。うん。ドラ◯エは相変わらずの神シナリオで、ぷよ◯よは五連鎖が限界。いいね?(迫真)

 

え? 別に家の中でゲームをする必要性がなくて、勉強すれば良いだけ?

 

……あ、名案だな! 気づかなかった!(筋金入りのバカ)

 

 

って、オレは誰に対して何を語っているんだろうか?(唐突な正気)

 

ま、それはそれとして……。

さてさて、どうしたもんでしょうかねぇ〜。誰かこの渇きを潤してくれる人がいればいいんだけども。

 

結局勉強したくねぇから、やっぱり帰らん!(意固地)

 

 

「────ねっ! いいじゃん。俺らと楽しいことしようよ!」

 

「そうそう、そこでお茶でもしようぜぇ〜。俺たちが奢ってやるからさ!」

 

「す、すみません。 アタシ、人を待たせてるので……」

 

「待たせてる相手って男? いいじゃんほっといて! 俺らと遊んだ方が楽しいって!」

 

ワァオ! 典型的なナンパじゃん(関心)。なんかあんなテンプレなナンパも今時珍しいな(てか、無い)。

 

それなりにガタイの良い男2人に捕まっている女性は……あら! これまた典型的なピチピチなギャルギャルじゃないですか〜(>人<;)。そりゃあ捕まるわ(確信)。

周りの人も嫌がっているのはわかっているけど、無作為に関わって自分に飛び火するのを恐れてギャルギャルさんを助けようとしないし、あの様子だとギャルギャルちゃんも場の勢いで流されかねないな(予感)。

 

よし! オレが一肌脱ぐか!(物理的な意味ではないが、ある意味物理的になるかも)

 

─────???side─────

 

うぅ……。どうしてこんな事に。

友達と最近新しくできたデパートに行く予定で少し急いで、その待ち合わせ場所に向かっている途中に大きい男の人2人に手を掴まれて話しかけられてきた。

 

今までもこういった経験がないわけじゃなかったけど、1人で対処はした事がなく、何かしら心強い友達のお陰で乗り越えられてきたんだけど。今回ばかりは一人きりで、男の人たちに連れていかれそうになっていた。

 

「ほら、あそこのカフェに寄ろうぜ!」

 

「いや、だから……痛っ!」

 

一人の男がアタシの手をガッチリと掴んで強い力で強引に引っ張てくる!

ちょっと! せめてもう少し優しく女の子をエスコートしてよ! 期待はしてないけど、こんなの嫌だ。

 

けど、強引に振り払う事は出来ずに、力任せに押さえつけられて好きなように動けない。

下卑た笑みを浮かべた男達の欲望に満ち溢れた怖い目が、アタシの体を舐め回すように眺めてくる。

 

(─────っ!! 気持ち悪い……!)

 

怖気が走った。こんなに我欲を包み隠そうとしない人達に連れていかれて仕舞えば、アタシは─────。

考えれば考えるほど最悪な可能性へと繋がっていく。

 

(誰か助けて!!)

 

そんな一抹の願いを込めながら目を瞑る。

 

そして─────。

 

「そこの人達、ちょっといいかな?」

 

「あん? なんだよ……テメェ」

 

「え?」

 

そんな声に反応して目を開けると、気づけば腕に感じていた圧力は無くなり、誰かに抱き寄せられる形になっていた。

 

え? えぇ!?(困惑)

な、何っ!? 何がどうなってんの!? え?! アタシ、今男の人に抱きしめられてる?! えぇ!? 何々っ!? なんでこんなことになってるのぉ〜?

 

けど、この男の子がアタシを助けてくれたんだよね……?

 

紅短髪で整えられた髪が特徴的だけど、それ以外は目立った箇所が無い普通の男の子。

あ、でも見た目よりも筋肉質かも……って、どさくさに何触ってんのアタシ!!(羞恥)

 

「まぁまぁ、そう身構えないでくださいな( ̄∇ ̄) オレはそんなに怪しいもんじゃないでやんすよ!」

 

うん。それは無理があるんじゃないかなぁ〜?(なんでか落ち着いてきた様子)

何処からどう見たって、怪しい臭いがプンプンするんですけど!

というか、こんな状況でよく冷静でいられるね!? アタシなんてずっと心臓バクバクなんだけど!!

 

「ふざけた野郎だな。 やっちまうか?」

 

「おう。その方が手っ取り早く女を奪い返せるしな」

 

なんだかとっても不穏な言葉が聞こえてきた気がするんだけど、気のせいじゃないよね? やっちまうって、殺っちまうって事? やばいじゃん! どう見ても殺す気満々のオーラ放ってんじゃん?!

 

「ワァオ! 交渉する前に即臨戦体制かよ……てか、ここが何処か分かってんのか?」

 

そう、ここは人通りの多い普通の商店街。

そんな場所で乱闘騒ぎが、あれば警察だって……!

 

「は、知ったこっちゃねぇな! 俺らは河谷組のヤクザだぜ? サツ呼ばれたぐらいで動揺するわけねぇし、ここは俺らのシマなんだぞ! どうせ誰も俺らが怖くてサツを呼ぶ行為すら出来ねぇよ! 誰だってオマエみたいな無知で愚直で正義感だけで動く大馬鹿野郎じゃねぇんだからよ!」

 

そ、そんな……まさか、花咲川にヤクザが在中してたなんて。

それだけじゃない。ヤクザが相手じゃアタシ達に勝ち目なんて無かった。

絶望にあてられて、アタシは顔から血の気が引いていく。

ごめん。お母さん、お父さん、友紀那……アタシ、もうすぐ死ぬみたい。

何もせずに逝ってしまうアタシを許して─────!

 

そして、ごめんね? アタシを庇ったばかりに巻き添いに合わせてしまった少年へと謝辞を述べようと顔を見ると─────。

 

「……っ」

 

なんで……?

 

「おい、コイツ……」

 

「なんなんだよ、このガキは……?! オレらの所属を聞いてもビビってねぇどころかなんでそんなにも────」

 

どうして、そんなにも……。

 

「─────嗤っていられるんだ?!」

 

─────エミヤside─────

 

嗤ってる? 誰が? オレが?

 

そうか、今のオレは嗤えているのか……。

 

ヤクザという単語を聞いた途端、オレの意識は前世の時に何度か味わったことのある感覚へと切り替わった。

不必要な人情は全て削ぎ落とし、元からあった熱が急激に冷めていく。

脳には必要最低限の情報だけが駆け巡り、自身の戦力と敵の戦力を事細かく分析していた。

 

まるで、あの頃……殺しの依頼を全うしていた前世に戻った気分だった。

どんな気分かって? そりゃあ、最悪に決まってるじゃないか。

 

あの頃とはまるで状況は違えど、奴らと同種のクズが目の前にいるんだ。殺さないと。

まるで強迫観念に迫られるように、只目の前の男達を野放しには出来ないと本能が告げていた。

 

殺らないと、殺られる。そんな世界で過ごして生きてきたオレは、そりゃあ何度も何度も暴力団やマフィアなどを殲滅してきた。

が、それでも奴らは絶対になくならない。

世界から暴力と金が無くならない限り、抗争はまた起きる。

 

だから、戦った。

戦いが無くなるまで、蟠りが消滅するまで、禍根が残らないようになるまで…、殺して、殺して、殺して殺して殺してコロシテコロシテ……コロシタ。

 

頭がおかしくなるまで人を殺め続けた。助けを求められる限り、オレは殺し続けたのだ。

それでも、奴らはしぶとくも残り続けてまた人を傷つける。

このようなクズは、人が苦しむ姿に悦楽を覚える。

 

だから、早めに処理しておく必要がある。

 

あぁ、ダメだ……。

 

こんな惨めなオレは、オレじゃない。

オレはもっとバカで、愚鈍で、愚直に『正義の味方』がやりたいだけなんだ。

ただ、それだけでいいのに……。

どうして、お前達はいつもオレの行く末を邪魔するのだろうか? どうして、オレに『悪道』を選ばせるのだろうか?

 

それはわからないが、ひとつだけ言えるとするなら─────────

 

 

─────この瞬間だけ、オレは『正義の味方』である事を辞める。

 

「……っ!!!!」

 

男が何かを言っている。何を言っているかは分からない。けど、声を荒げて胸元に隠していたドスを晒して、オレの胸目掛けて全力で刺し掛かってきたのはわかった。

 

コイツら、オレの胸元には女子がいる事を忘れたわけじゃないよな? なら、真っ先に女を始末しにきたわけか? やはり、コイツらは最悪だ。

女を真っ先に片付けて、動揺している間にオレも刺し殺す戦法を一番最初に出してくる時点で、コイツらの腐り具合がわかるものだ。

 

オレは胸元にいる女子を抱え込みながら横っ飛びで回避する。

 

その時、胸元で女子の悲鳴が聞こえた気がするが、今のオレには関係のない事だ。

 

「らぁぁ!!」

 

回避した場所に待ち構えていたもう一人の男が、また女子の方目掛けてドスを斬りつける。

けれどその斬撃を躱すのではなく、今度は男の腕を殴りつけてドスを落とさせる。

バギッ! という骨が砕けた音と共に聞こえてきたうめき声と、コンクリートの道にドスが落下した重々しい音が響いたのは全く同じだった。

 

その間に出来たスキに、低い姿勢になり足蹴する。

男は痛みのあまりに足元の注意力が散漫となり、簡単に尻餅をつく。

そして、確実に意識を刈り取る為に、鳩尾に一発を与える。

 

うっ! という呻きを一つ零してから、男は意識を飛ばした。

 

「クソガァァァァァアァァアッッ!!!!」

 

「危ないッ!!」

 

背後に隙が出来たと勘違いをした、もう一人の男がドスを逆手に持ってオレの背中を刺しにくる。

少女の声にも焦りが含まれており、どうやら周りから見ればオレは絶体絶命の状況に置かれているらしい。

 

だが、実際はそんな事はなく、オレは視線をズラす事なく、足を後ろに回して男の脚を引っ掛ける。

 

「なっ!?」

 

それだけで簡単に姿勢を崩した男の右腕をオレの左腕で持ち右腕を懐に入り込ませる。

そして、前傾姿勢に倒れかけた男をそのままの勢いで背中に乗せてから地面に投げつける。

 

ドゴンッ!

 

「あがぁっ!?」

 

受け身を取らせない形での背負い投げに、男が対応できずにそのままの勢いで身体が叩きつけられる。

肺患器官にもダメージを確実にもらったのか、トドメをさすまでも無く意識を混濁とさせてそのまま微睡みに落とした。

 

「……」

 

そして力の限りで捩じ伏せた後に残ったのは、一抹の虚しさだけだった。

 

 

 

 



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lucky sukebe!

やらかしね!
駄文にもほどがあるね!


─────やってしまった(焦り)。

 

ヤバイよヤバイよ!!(ネタではなくガチ)

 

怒りのあまり暴走しちゃったせいで、なんかやらかしちまった!!

明らかに過剰防衛気味な怪我を負った2人のヤクザを見て、オレは体から血の気が引いてくる。

 

そして、背後では呆然とする美女ギャルが、若干顔を青ざめていた。

うん。これはあれですね。明らかにヤバイ人任命されましたね(吐血)。

完全に引かれたぁー!! 無難に話で決着つけるつもりだっただけに、あの暴虐性を見せたらそりゃあ残虐非道な奴に見られるわ!(当然)

 

そう思ってギャルに視線を移すと……。

 

「……」

 

あぁ(察し)。完璧に予測通りなのね。完全に訝しんでますねー。ふむふむ、困ったなー(棒読み)。

 

全く困ってないように聞こえたかもだけど、案外ガチで困ってるから(本気と書いてガチと読むやつ)。

ほら、その証拠にさっきから膝がガクガクだぜ? ワイルドだろ!?(ス◯ちゃん)

いや、全然ワイルドじゃないし、話が全く進まないからこれ以上のボケをかますのはやめまーす!

 

「あ、あの……! 助けてくれてありがとうございます!」

 

「へ?」

 

え? 何この子。めっちゃいい子やん(感激)。

こんなことやらかしたオレの事をビビっててもちゃんと御礼を言えるとか……(感涙)。

 

見た感じピッチピッチのギャルなのに、見た目に反して内面はしっかり者かよ!! 料理も万能で家事全般はお任せあれの、実はお嫁さんタイプか!(予感)

結婚してくだs─────ゲホッ! ゲホッ!あ、あれ? デジャヴュ? ま、いっか(適当)。

 

「あぁ、気にしなくていいぞ。オレは困ってる人を見てると勝手に体が動いてしまうタチなんだ。だから、礼なんていらないさ」(キラン)

 

お! 今の台詞カッケェェェエ!!(自己陶酔)

おいおい! いつもの調子乗りのオレはどこ行ったよ?! ダメだ、オレの姿がイケメンにしか見えてこない!(幻視というより、自分で自分の姿は確認できない)

 

そんな調子に乗ったオレの内心など知らぬ無垢なギャルは、若干戸惑いを残しながら苦笑を浮かべていた。

 

「君って、優しいんだね」

 

「……っ」

 

「あれ? もしかして照れて───」

 

「照れてない」

 

「いやでも顔真っ赤に────」

 

「なってない」

 

いえ、本当は心臓バックバクでーすっ!!

いや、あの笑顔は反則っしょ!! 普通の男なら誰だって見惚れちゃうって!! むしろ結婚してくださいまであるね!(意味不明)

 

おい、その顔やめろ。なんだその悪戯っ子の目は!?

あかん、この子……話をしたら泥沼につかってなかなか抜け出せへん奴や!!

絶対にコミュ力お化けやろ!? オレにはわかるぞ! なんたってオレは陰キャだ! そういう奴らから話しかけられないようにする為に人を見分ける技術は人一倍持ってるつもりだ!(悲しい)

だから、この場はさっさと離脱すべきだ!(QED)

 

と、本能が告げてから体が反応し出すまでの間にギャルによって腕を拘束されていた。

 

「……なんでオレの腕を拘束しているのか、その辺りの説明はいただけませんでしょうか?」

 

「う〜ん? なんとなく、かな? 女の勘ってやつ。君、今逃げようとしたでしょ? お姉さんにはお見通しだぞ☆」

 

わぁ! 女の色気だぁ!! お胸が腕に当たってキモティー!(キモい)

しかも顔が近いのなんの……ほんと、この町の女性の顔面偏差値って高すぎだと思うだけど、なんで?(永遠の謎)

それになんか女の子特有のいい匂いが……はっ!? オレは一体何を?(理性の辛勝)

 

「に、ニゲヨウトシテナイヨ。オレ、ウソツカナイ」

 

「……なんで片言なのかなぁ〜。ま、いいけどね☆ このまま拘束しとけば君も逃げられないだろうしね」

 

ウィンク可愛いっす! マジで結婚してくだせぇ!!(マジ顔)

って、違うッ!! こ、このギャル! 完全にオレの行動を予測してやがる?! なんでだ!?(分かり易すぎる)

 

小悪魔にしか見えない美人ギャルのパイパイから感じる気持ちいい圧力を十二分に堪能しながら脳を活性化させて逃走経路を模索する。(マジ顔変態野郎)

え? 逃げる意味がわからない? いやいや、流石にマズイっすよ!?

 

だって、一応ヤクザの下っ端さんを片しちゃった訳じゃん?(殺した訳ではない) しかも街中で襲ってきたから誰かが警察に通報してくれてんじゃん?

じゃあ、事情聴取かなんかで長い時間拘束されるじゃん? 下手すれば過剰防衛で捕まっちゃうかも知れないだろ?!

 

ダメ! 絶対!(使い所)

 

「てか、本気で離してっ!! この場から逃げないとオレは大変な目に遭う!!」

 

いやだー!! この歳(15歳+前世)で警察の厄介になるなんて絶対に嫌だー!!(ガキ)

そして、オレはなぜか拘束し続けるギャルの腕を解くためにドタバタと若干手荒に、されど傷つけないように暴れる。

うん。よくかんがえたら、なんでオレを逃がしてくれないんだ? さっさと解放してくれればなんの問題もなかったのによー!(そもそも逃げてはいけません)

 

「ちょっ────この体勢で暴れたら……!」

 

「あっ!? しまっ─────!!」

 

ドシーンッ!!

 

ジタバタともがいた所為で、バランスを崩したオレたちはそのまま仲良く地面に転んでしまう。

クソッタレ!! こんな時に転んでる場合じゃないんだよ!! 早く逃げないと……っと、それよりさっきのギャルギャルは大丈夫か? コケる時に咄嗟に抱きかかえたから怪我はないと思うんだが……それより、なんだ? この右手に収まる柔らかい球体は?(鈍感)

 

モニュモニュ……。

 

「あっ♡ 」

 

「へ?」

 

あ、喘ぎ? 今、オレの上にいるギャルギャルが喘いだ? なんで? どうして? 何があって? へ?(困惑)

も、もしかして……こ、この感触は─────!?

 

お、オパーイ? これは、男の桃源郷であらせられるオッπですか!?

あ、あ、あぁぁぁぁ……!! qあwせdrftgyふじこlp!!!!(臨界点突破)

 

「qあwせdrftgyふじこlp!!!!!」

 

ピューンッッ!!

 

「え? え? えぇぇぇぇえ!?」

 

そして、前世を合わせてもチェリーな主人公は初めての感触に驚き、放心状態に陥った今井リサをその場に置き去りにして、顔を真っ赤にしたままその場を全速力で逃亡した。

 

残されたのは、街のど真ん中でピクピクと体を痙攣させながら気を失っている若いヤクザ2人と男に胸を触られたことに対して羞恥に身悶えるリサだけだった。

 

当然、通報済みだったこともあり警察は直ぐに到着し、2人の男を取り押さえてから、リサも安全に保護されて事情の説明を求められ、真実を全て供述した。勿論、助けてくれた少年の事も全てだ。

が、しかし警察もリサの特徴に添う該当者を探索するも見つかる事はなく、その日は約束していた友達に事情を話して取り敢えずの一幕を下すこととなった。

 

けれど、この時チェリー主人公は街中であることにもう少し深く着眼しておくべきだった。現代のネット社会に口止めなど不可能だと言う事をシロウは全く知らない。

そう、こういった問題を人前で起こせばどうなるか。

答えは朝になれば直ぐに分かる事である。

 

─────やまぶきベーカリー PM6:15 (土)

 

「ねぇ? エミヤくん」

 

いつも通りって訳でもないけど、それなりの頻度でお世話になっているパン屋のやまぶきベーカリーに今日も今日とてノコノコやってきたのはオレ事、江見矢 獅楼だ!

え? 昨日の出来事はあれでいいのかって? なんのことかオレにはさっぱりだー(しらばっくれ)。

 

そんなことよりもだ。オレの慈愛なる女神様からお声が掛かったのだ、それは何事にも優先される事柄だ!! わかったか!(意味不明)

 

「あ? なんだ沙綾? 結婚ならいつでもウェルカムだぞー」

 

ふ、こんなジョーク飛ばすのも実は命がけだったりするんだぜ?

なにせ、後ろで聞き耳立ててる男性……まぁ、沙綾の親父さんなんだが、この人がまた娘を愛しすぎてんのよ! 溺愛してんのよ! どれぐらいかー……。

 

知ってる人は知ってると思うけど、最近の朝ドラで広瀬す◯が主演で出てる『なつ◯ら』ってドラマがあるだろ? あそこに出てくる草刈正◯が演じてるお爺ちゃんが、なつ(広瀬さん)を溺愛してるクラスだ。わかる人にはきっとわかってもらえると思う! だが、わからないやつ! 一回見てみろ! 絶対に伝わるから! それでも伝わらなかったらオレのせいだ! すまん!(先に謝っておくスタイル)

 

と、長話が過ぎたな……。

 

とりあえず、変な虫がつかないように眼光ギラギラマックスの沙綾の親父さんを前にジョークとはいえプロポーズじみたことを言えば、まず間違いなく眼力で殺されかける。

 

実際、オレのSAN値はギリギリ限界だぜぇ〜(やらなければいいだけ)。

 

というか、沙綾さん? そろそろオレのネタに乗ってきてくれませんか? なんか、冗談のつもりだったのに、オレがガチ告白した雰囲気になり始めてるんですが?! それと、親父さん!? 貴方、パンを捏ねてなさい! その延棒でオレをどうするつもりだったんだ!? 怖いよ!!

 

「それは私もウェルカムだけど……///」(ぼそ……っ)

 

獅楼「え?」

 

沙綾「へ?」

 

……な、なんだこの雰囲気?! あ、甘いだと!? そんなバカな!?(バカ)

てか、小さい声だったからよく聞こえなかったけど、いまオッケーしませんでしたか? あ、! お、親父さんちょっと待って!? その延棒だけじゃなくて包丁も持ち出してくるスタンスはよした方がいい!? オレもアンタも無事ではいられないぞ!!(事実)

 

わ、わかった! 今のやり取りは全部忘れるから!! てか、聞こえてない聞こえてないキコエテナイキコエテナイ……(刷り込み)。

 

あれ? なんの話ししてたっけ?(本当に忘れた)

 

「……まぁいいや。それでなんだ? はい、会計よろしく」

 

「あ、うん……実は昨夜にツイッ◯ーやってたら、こんな動画が最近のトレンドに上がってきててね? はい、全部で320円ね」

 

「ほうほう……なになに『少女の危機に颯爽と現れたヒーロー! 街中での大決闘に震えました!!』……って 、あ、これ320円な」

 

 

「うん、ちょうどだね……それで話を戻すんだけど、この動画のヒーローって顔にモザイクかかってるんだけど、明らかに君だよね?」

 

「……ちょっと何言ってるのかわからない」

 

「しらばっくれようとしたって無駄だよ。そんな髪の毛の色をした人ってそうはいないし、それにこのブレザーは間違いなく花咲川電気工業高等学校のものだし……ここまでエミヤ君の特徴にピッタリな人っていないと思うんだけどなー」

 

……おいおい、マジかよ。なんでこんな動画が─────!?

ま、まさか……もしかしなくても、あの喧嘩を撮影してたやつがいたって事だよな?! おい!! 撮影してたやつ!! 出て来いやー!!

そんなことしてる暇があるなら、ちょっとはオレの手助けしてくれや!! なんで無視するんや!! ワァァァンッ!! しかも、加工されてるって言っても、完璧に個人特定できるようなものは隠せてないからね!? そこは手を抜かないで!? お願いだから!?

 

ほら!!? 誰か知らないけど、コメント欄でもオレの名前が挙がったりしてるじゃん!? なんで!? てか、オレって個人既にバレてんじゃん!? 明らかにプライバシーの侵害だろこれぇ!!?

 

ちくしょうがよー!! な、な、な─────!!

 

「なんでさー!!」

 

しかも、最後のラッキースケベのシーンまで残されており、コメント欄では男達の怨念が飛び交ったり、その瞬間を見た沙綾からは阿修羅の気配が漂ってきたりで、オレの精神的疲労は限界を超えて、直ぐに警察に行きました(なにか自首しに行く気分)。特に、何もされずに済みました。

 

ただ、トレンドに上がっていた動画を完全に消し去ることは出来ない旨を伝えられて、ショックを受けましたー。

 

意味わかんない? あ、そ!! オレは知らんわ! はい! 以上でドンコラッショットガンの乱射丸!!

これで今日はおしまい!! おしまいったらおしまい!!(強制&意味不明)

 

 

 




今回は本当にひどいと思う!
けど、もういいと開き直って投稿しました!!

許してね?(可愛くないウィンク)

絶対にいつか怒られると思う……(誰に?)


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