リゾットが逝く! (ティハロック)
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エピローグ
第1話 眠れぬリゾット


初めて書くので荒い部分もございますがどうか温かい目で読んでいただけると幸いです。


第1話

 

「......なにが、どう....なっているの....だ」

 

リゾット・ネエロは困惑していた

先程までリゾットはナランチャのエアロスミスの銃弾により、瀕死の重体であり、ボスによって右足を切断された。だが今のリゾットの体にはエアロスミスによる銃傷はなく切断された右足も何事もなかったかのようにくっついていた。さらには服もボロボロの状態からまるで買ったばかりの服のように新品同然であった。

 

(なぜ、俺は生きているのだ?確かに俺はあの時ボスを道ずれに死のうとしたはずだ...それにエアロスミスに撃たれた傷はおろか、切断された右足までもがくっついている、いや....それ以上に妙なのは、さっきまでサルディニア島で死にかけていたはずなのに!?)

 

我に返ったのか、リゾットは冷や汗をかきながらあたりを見渡すとそこには見たことがないどデカい宮殿や剣や斧、ましてや槍と言った武器を平然と所持している一部の人が普通に歩いていた。

 

「ここはイタリアなのか?それとも....」

 

そう発するとリゾットは一呼吸し今の状況を歩きながら考える。

 

(ここは....あの世なのか、いや...それは違うな、もし本当に死後の世界と言うものが実在しているというのなら俺は...地獄に落ちているだろうな)

 

そう思いながらリゾットの表情はどこか悲しげであったがすぐに表情を戻し再び考える。

 

(だとしたら新手のスタンド使いの仕業か、いや...それも違う、それにしては意識がはっきりしているし傷も完璧に戻っている、もしスタンド使いの仕業なら死にかけだった俺の傷を治すメリットなどない、それに...)

 

考えこんでいたところで目の前で歩いていた少年少女を追い抜こうとしたとき、手のひらにある金貨や眺めていた帝歴1024年と書かれたチラシをリゾットは見逃さなかった。

 

(見たこともない通貨、それに見たこともない帝歴1024年と書かれた文字―――――!?)

 

リゾットは驚愕した。リゾット自身なぜ、分かったのか。分かるはずがないのに、なぜ―――

 

(俺はなぜ初めて見たばかりの文字が読めたんだ)

 

予想外の事実を前にリゾットはいてもたってもいられず、自身が追い抜こうとした少年少女たちに話しかける。

 

「おい、そこのおまえ少しいいか?」

 

リゾットが話しかけると少年と少女は同時に声が聞こえた方に振り返りこう言った。

 

「はい?なにかようですか?」

 

「はぁん!なんだこの黒目野郎が、おまえってそれが初対面の人に言う態度か、あぁん⁉」

 

 ひとりは礼儀正しく背中には弓を背負っておりサラサラのロングヘアーで右の前髪に花のヘアアクセサリーが良く似合い、幼いが顔立ちは整っていた。

 数年後には美人になると言っても過言ではない15歳くらいの少女ともう一人は短髪にバンダナを額につけており、しお顔で態度の悪い少年(クソガキ)がリゾットの問いかけにそれぞれ答える。

 

「.........それは悪かったな...確かに態度が悪かったかもしれん、すまなかった」

 

しお顔短髪バンダナの態度や暴言に多少はイラっとしたしメタリカしてやろうかと思ったがリゾットも28歳の大人。ここは大人らしく頭を下げ大人の対応をする。

 

「ふん、わかりゃいいんだよ、わかブフゥー」

 

高圧的な態度をとる、しお顔に花のアクセサリーをつけた少女が腹部を殴る。

 

「なにすんだよ!いってぇなぁ」(今にでも泣きそうな顔)

 

「それはこっちのセリフよ、ただ声をかけてきた人に少し上から目線だったからって理由でそんな態度とるなバカ」

 

先程の可憐さはどこにやら、ものすごい鬼の形相でしお顔に説教する。

それを観ていたリゾットはあまりの変わりっぷりに驚いたが顔には出さない。

 

「本当にすみません こいつ初めての都会で色々とイキっちゃって、でも悪い奴ではないんです」

 

「いや、いいんだ、俺の方こそ、高圧的だったな、悪かった」

 

1ミリも思っていないことを平然と言うリゾット。

 

「そういえばあなたの名前まだ聞いてなかったですね。教えていただいてもいいですか?」

 

少女はしお顔への対応をやめ上品に名前を聞いてきた。

 

「俺はリゾットと言うものだ、あなた方は?」

 

名前を聞くならまず自分から名乗れと言おうとしたがそもそもリゾットの方から、声をかけていたのを思い出し素直に名前を名乗る。

 

「私はサヨっていいます」

 

「俺様はイエヤス様だぁ」

 

 

こうしてリゾット・ネエロの第2の人生の幕が開いた瞬間である。

 



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第2話 うっかりリゾット

2週間たってしまいました。すみません


サヨとイエヤスと名乗った少年少女から話を聞いていくうちに今いる場所が【帝都】という一つの国でありサヨ達は、重税に苦しみ寂れてしまった自分たちの村を救うため帝都で出世し村を潤そうと今日から3人で帝都に来たと知る。

 

「そうか...村を救う為にこの帝都に来たというわけか」

 

「そうなのよ、でもこれからって時にもう一人いた子と途中ではぐれちゃって」

 

「あ~、夜盗に襲われてる途中で気づいたらはぐれてたよな」

 

「まさかタツミと逸れるとはね」

 

いつの間にかサヨと名乗る少女は敬語から同年代や仲の良い友達と話すような口調になっていたがリゾットは特に気にしてはいなかった、またイエヤスと名乗るしお顔の少年も言葉遣いが悪いがサヨに腹部を殴られ反省したのか突っかかることはなかった。

 

「あ、そうだ、もしリゾットが......良ければなんだけど私たちがはぐれたタツミっていう男の子に会ったら私たちが探していたってこと伝えてもらってもいいかな?」

 

「........................」

 

サヨが唐突に閃いた顔をし途中から申し訳なさそうな顔をしてからタツミという少年への伝言を頼めるか聞いてきた。

 リゾットは真顔で顔色一つ変えずに黙っていた為、サヨは返答を待つのが耐えられなくなる

 

「いやならいいんだけd」

 

「身なりは」

 

「え?」

 

「どんな身なりをしているのかを聞いているのだ」

 

「手伝ってくれるってことでいいの?」

 

「なんだよ、手伝ってくれるのか、見かけによらずいいやつじゃねーか」

 

リゾットの返答に少し嬉しそうにするサヨとなれなれしいイエヤス

 

「一応だ、もし見かけたらの話だ、その時は伝えといておこう...それでどんな身なりをしているのだ?」

 

「ありがとう、それでも助かるわ!それでたしか年齢は私たちと同じくらいで、身長は160くらいあって髪は短く茶色っぽい髪色をしていて目の色はたしか緑色で背中とリュックの間に短剣が挟まっていてそれかr

 

「もういい、それさえわかれば.....探し方は出来ている」

 

「そ、そうじゃあ頼んでも大丈夫かな?」

 

「お、おいホントに情報それだけでいいのかよ...ま、まさか聴くだけ聞いて伝える気ないんじゃないのか」

 

表情がほとんど変わらないリゾットがタツミという少年の情報について聞いてきたのに情報が十分なのか途中で話を止めるリゾットに対して少し不安になるサヨと半信半疑なイエヤス

 

「安心しろ、俺は人を探すのは得意なんだタツミっていう少年を見つけたら必ず伝えてやる」

 

リゾットは元々ヒットマンチームのリーダーであるその為、ターゲットとなる対象を見つけるのは彼にとっては容易く日常茶飯事であった為、少しの情報があれば探すのは容易い

 

「そっかぁ、じゃあ信じるわね、リゾット手だして」

 

「......?」

 

リゾットはキョトンとしながらも右手を差し出すとサヨが手のひらの上に金貨1枚を手渡す。

 

「いいのか、貰っても」

 

「ええ、人探しを手伝ってくれるんだもの、御礼はしないとね♪」

 

「.....本当にいいのか、もしかしたらはなから約束なんて守る気ないかもしれないんだぞ…それでもこの金を渡すのか?」

 

「うん、私はリゾットを信用するって決めたからいいの、それにあなたはそんなことするような人じゃないと思ったの、ね!イエヤス」

 

「っはー、まさかお金渡すとは思わなかったぜ、でもまあサヨが言うんだ、信じてもいいかもな」

 

リゾットの問いかけに満面の笑みで答えるサヨにため息はつく物のそれに同意するイエヤスを見てリゾットは少し目を見開く

 

(少しは疑って、渡すのをためらうと思ったんだがな、まさか、迷いなく渡すとは思わなかった、だがだからこそ危うい、もし見た目がやさしそうに見える性根が腐ったやつに会い利用されたらこいつはまず疑わないだろう、カモにされるのが目に見えてる。)

 

リゾットはサヨの今後について心配した。

 

「それじゃあ、私たちはもう行くわね、又近いうちにあなたに会えると思うのその時はまたよろしくね」

 

リゾットにウィンクしながら別れを告げるサヨ

 

「ああ、その時はその時だ」

 

「なぁ、最後にいいか?」

 

顔を強張らせながら問いかけるイエヤス

 

「なんだ?」

 

「黒目野郎だなんて言って悪かったな......ごめん」

 

「!?...いや...気にするな、別に怒ってなどいない」

 

まさか謝って来るとは思っていなかったリゾットは少し驚く

 

「本当か!?なんだよやっぱいいやつじゃん!ありがとなリゾット」

 

満面の笑みで礼を言うイエヤス

 

「じゃあ、またどこかで会いましょうリゾット」

 

「じゃあなー次会う頃は俺もサヨも出世して偉くなってるだろうけどなあハッハハハハ」

 

そう言って帝都の中央の方へ走っていくサヨとイエヤス

 

 

 

 

 

 

 

(「本当にすみません こいつ初めての都会で色々とイキっちゃって、でも悪い奴ではないんです。」)

 

 

 

 

 

 

 

(フッ確かに悪い奴ではないかもしれんな)

 

リゾットはサヨが言っていた言葉を思い出し笑う

 

(本当は、タツミという少年を探すことはおろか伝言を伝えることもする気はみじんもなかったが気に入った、貰った報酬金貨1枚分の仕事はしてやろう。)

 

なぜかリゾットは少し嬉しそうにしていた。

 

「ん?そういえば何か忘れている気がするが.........あっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(情報を聴くの忘れていた)

 




得た情報:今いる国の名前【帝都】
のみ


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第3話 冷酷リゾット

ナランチャ...


「なるほどな...段々とここがどういう場所か分かってきたぞ」

 

サヨたちと離れてからリゾットは帝都の中心から離れた所まで辺りを観察しながら歩いていた。

 すると殆どの人間が暗い顔でうつ向いていた、それだけでもこの国の治安や不景気をリゾットは読み取っていた。

 さらに決め手となったのは...

 

「俺が所属していた組織でもこんな惨い晒しはなかった...」  ※輪切りのソルベは除く

 

リゾットが上を見上げるとまるでキリストの磔刑のように...いやそれ以上にむごたらしく十字の板に張り付けにされた人々が晒されていた。

 

(殆どの人間の手や足が欠損している、あの傷口を見るに意図的に切られたものだろう、それにこの光景を目にする人々の様子もまるで、見慣れているかのような感じがするぞ。)

 

ここでリゾットは思い出す

 

 

 

 

 

 

 

 

「(ここは....あの世なのか、いや...それは違うな、もし本当に死後の世界と言うものが実在しているというのなら俺は...地獄に落ちているだろうな)」

 

 

 

 

 

 

 

 

(地獄というのは、あながち間違いではないのか。)

 

リゾットは冷や汗を垂らしながら考えた。

皮肉なことにここは地獄よりも地獄らしいことをリゾットは知ってしまう。

 

「またか、もう何百回目だ?」ヒソヒソ

 

「さあのぅ、数え切れんわい、もうこの光景にも慣れてしまったのぅ、ただ...一つ言えることは...皇帝が亡くなって今の若い皇帝様が、オネスト大臣の操り人形になってからじゃのぅ...」ヒソヒソ

 

「シーッ! 大臣のことを口にはさむんじゃない!? 警備隊の連中に聞かれてたら今度は俺らが晒されるぞ」ヒソヒソ

 

目の前にいた成人男性と老人が話しているのをリゾットは盗み聞きしていた。

 

(オネスト大臣...そいつが、こんな惨たらしいことを平然としている元凶なのか)

 

リゾットは右手を顎にくいっとしながら考え込む

 

「これは...調べるしかないな」

 

リゾットはひとけがない、裏路地まで歩き出す、数分歩いていると...

 

「おい、まちなそこの背のたけー、おっさん」

 

後ろから声がしたのでリゾットは振り返るとそこにはいかにも悪そうな人相をした大柄の男と細い体だが刃物を持った男がリゾットににらみつけていた。

 

「ひゃっはっはー、見ろよ、こいつ丸腰だぜぇ、馬鹿な奴だなぁ、こんな人気が無い所に武器も持たずに来るとはよぉ」

 

「ああ、全くだ、おい、そこのお前、死にたくなかったらよぉ、俺たちに金目のもんよこしな、そうすればよう、半殺しくらいで済ませてやるからよう」

 

目の前の薄汚いゲスを前にリゾットは顔色一つ変えずに言葉を発する。

 

「まさか、こんなにもはやく、間抜けがつられてくるとは思わなかった。」

 

その言葉に大柄の男とナイフを持った男が切れる。

 

「あー、なんだてめぇ!俺たちが間抜けだと」

 

「あー、死んだわ、お前せっかく半殺しで済ましてやろうと思ったのに、これはもう死ぬしかないわ、なんか言い残すことある?」

 

沸点が低いチンピラが言い残すことがあるかと聞くとリゾットはこう答えた。

 

「しゃべるな、息が臭い、歯磨いてないのか?」

 

その言葉にチンピラ二人は完全に切れる

 

「そんなに死にてぇなら望み通りにしてやらー」

 

大柄の男がリゾットの顔面を殴ろうとしたその時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メ       タ       リ       カ

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ⁉な、なんだ、うぼぇえええええええ」

 

大柄の男の口から大量の剃刀が吐しゃ物のように流れ出てきた。

 

その光景を見ていた体の細い男が顔を真っ青にしながら大柄の男に近寄る

 

「お、おい! どうしたんだ、何で剃刀なんか吐くんだよ!! 、ま、まさかて、てめぇが!?」

 

細い体の男がそう口にする、それに対してリゾットは

 

「これからお前にいくつか質問する」

 

「だれが、てめぇなんk ぎゃああああああああああああ」

 

断ろうとする、細い体の男の両足から8本のメスがでて足を切り裂く

 

「て、てめぇー、何をしやがったーーー」

 

両足を押さえつけながら、リゾットに睨むように叫ぶ

それに対しリゾットは

 

「騒ぐな...次は左目だ、口さえ開けば問題はない...それに、デブの方は気絶してしまったからな、質問にさえ答えれば殺しはしないと約束しよう」

 

顔色を変えずに淡々と言葉を発するリゾットを前に細い体の男は今まで感じたことのない恐怖を覚えた。

 

(こ、こいつマジだ、マジで逆らったら俺の左目を潰す気だ、お、恐ろしい、ここは逆らわないほうがいい)

 

「わ、わかった!! 、言う、言うからもうやめてくれ!?」

 

 

~15分後~

 

 

「なるほどな、大体のことは分かった。」

 

リゾットはチンピラの情報から、帝都の歴史、治安、帝都警備隊、ナイトレイドという殺し屋集団、帝具という武器、危険腫という聞いたこともない生物の情報を得る、特に気になったのはナイトレイドが所要する帝具という武器であった。

 

(やはりここは、イタリアとは違う...いや地球とは違う未知の世界、異世界に来てしまったというのか...だが今はそれより情報の方が先だ)

 

「それで、その連中(ナイトレイド)が所有している帝具というのはどんなものなのだ」

 

「よ、よくはわからないですが、有名なのがありまして」

 

「前置きはいい、早くいえ」ギロリ

 

リゾットは脅すように文字通り黒い目で男に睨み付ける

 

「ヒ、ヒィイイ、スミマセン、ア、アカメという帝国に所属していた女が居ましてその女の帝具が厄介な帝具でして少しでも、斬られると、傷口から呪毒が入って、それが心臓に到達すると確実に相手を死に至らしめるというものなんです。」

 

「そうか、で、他は」

 

「す、スミマセンもうわからないです...」

 

すっかりおびえきってしまった、細い体の男は泣きながら誤る

 

「そうか...確かに嘘をつくような顔やしぐさはない...信じよう、それにもう聞くことはない」

 

「そ、それじゃあ命だけはたすけてくれるn !?」 ブッジャーーーーーーーー

 

助かるんだ、自分たちは死なないで済むんだと心から安心したその時、細い体の男と気絶していた大柄の男の右胸から大量の釘がいきおい良く噴き出る

 

「し、質問に......こ...答えたら.........命だけは............取らないって......言った...くせ.....に」

 

細い体の男は血の涙を流しながら、リゾットに訴えかける

 

「お前は、そうやって命乞いをした人間を助けたのか?」

 

「!? そ、それは」

 

細い体の男は心当たりがあるのか目を見開く

 

「その反応を見るに、やはり...殺していたのか、まぁそれとは関係なく顔を見られているからな、生かす気など元よりなかった。」

 

「!? な、なんっだって、こ、このクソヤロォオオオオオオオがああああ」

 

細い体の男は最後の力を振り絞り、右手で持ったナイフをリゾットめがけて投げようとするもメタリカにより右手から五寸釘が数十本でていき、手元が狂いナイフは自分の左目に突き刺さる。

 

「ぢ、ぢぐじょ...う.................................」

 

そういうと細い体の男は倒れこみ動くことはなかった。

 

「両方死んだか、まあいい...」

 

リゾットは今さっき人を殺したとは思えないほど冷静だった。表情も何もなかったかのように平然としている。これも今までたくさんの人間を暗殺してきたリゾットだからこその顔なのであろう。

 

「知りたい情報は得た、それではさっそくタツミという少年を探すとするか。」

 

そう言ってリゾットは路地裏を出た。

 

 

 

細い体の男・・・死亡

大柄の男・・・死亡

 



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第4話 タツミとリゾット

いつもより筆が乗ってしまった






「もう...こんな時間か」

 

裏路地を出てタツミという少年を探してたリゾットだったが気づくと辺りはすっかり暗く橋の真ん中あたりで帝都の街並みをボーっと見ていた。

 

(やはり、そう簡単には見つからないか...もしかすると、まだ帝都にすらついていないのかもしれないな、今日はもう遅い、また明日にするか...)

 

そう考えて橋を渡りきろうとしたその時

 

「っっクッソオオオ、今思い出してもむかつくぜ、あのきょにゅ、じゃなかった、あの女あ」

 

「!?」ビク

 

リゾットは疲れていた為、ふいに出た大声にびっくりする

すると橋の端で地べたにあぐらをかき、頭を抱えて半泣きになりながら大声を出す少年がいた。

しかもその少年はサヨが探していた少年の髪色や特徴がピッタリと合っていた。

それでリゾットは迷わずその少年に対して声をかける。

 

「おい、おまえ、間違いなら申し訳ないが、タツミか?」

 

少年は涙目から少し驚いた表情を取りこう言った。

 

「あ、ああ、俺がタツミですけど、なぜ俺の名前を?」(疑心暗鬼な顔)

 

少年は若干不安そうに答える。

 

「サヨとイエヤスと言えばある程度は分かるだろう」

 

「え!?っていうことは」

 

「そいつらから、伝言を頼まれていてな、お前を探してたんだ。」

 

「そうだったのか、そうか、ふっはは」

 

「なぜ、笑う?」

 

リゾットは突然笑う少年に対し目を細め問いかける

 

「いや、サヨもイエヤスも無事に帝都まで来れたんだなあって知れてうれしくてつい」

 

満面の笑みで意気揚々と話すタツミに納得するリゾット

 

「それであいつらなんて言ってたんだ?」

 

「ああ、確か...」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

(「「私たちは無事に帝都についたから、タツミも私たちの事は心配しないで、まずは、村のみんなのために、できることをやりなさい、近いうちに会えると思うから、お互い頑張りましょう」って伝えてもらえる?」)

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「っと言っていたな」

 

「サヨ...そうだよな、ここまで来たんだ、落ち込んでる場合じゃない、巨乳女に有り金全部だまし取られて店の中に何時間も待って騙されたと気づいたりついさっきもチンピラに絡まれたけど、これから出世して村を守れるようになっていけばいいもんな!!」

 

(あれだけ探して、見つからなかったのは、店の中にいたからか...)

 

見つからなかった理由に納得したリゾットと、サヨの伝言で元気を取り戻したタツミであった。

 

「あ、そうだ、ありがとな、サヨたちの事、教えに来てくれて、えっと...」

 

「リゾットだ、そのことについては気にすることはない、こちらも報酬を貰っている身だ、それよりも...だ」

 

「?」

 

「タツミ、お前有り金全部取られたと言っていたな、今夜泊まるあてとかあるのか?」

 

「あー、そうなんだよそれが見つからないからここで寝ようっt」

 

「ねぇ、あなたたち、地方から来たんですか?」

 

歩く音で気づいてはいたが後ろから声をかける少女の声が聞こえてきた

それに対しリゾットは振り向きこう言う。

 

「ああ、そうだが...」

 

「もし泊まるアテがなかったら、私の家に来ない?」

 

そこには誰がどう見てもお嬢様と思う服装に黄色の髪色で青い目をしたタツミと年が近そうな女の子が笑顔でリゾット達に問いかける

 それにタツミは

 

「えっでも、リゾットはともかく俺はお金持ってないぞ」

 

「持ってたらこんな所で寒そうに震えてないわね」

 

「アリアお嬢様はお前等のようなやつを放っておけないんだ」

 

「お言葉に甘えておけよ」

 

彼女の護衛?の者たちも同意し遠慮することはないという態度をとる。

 

「どうする?」

 

少女は後ろに手を組みながら問う。

 

「まぁ...野宿するよりゃいいけどよ...」

 

タツミは照れ臭そうにそっぽを向きながら言う

 

「そう♪、あなたもどう?」

 

少女は笑顔でリゾットにも家に泊まるかどうか聞く

それに対しリゾットは

 

「............ああ、なら、俺もお言葉に甘えよう..か」

 

「じゃあ、決まりね♡、着いてきて家まで乗せってて上げるから」

 

「いやあ、ラッキーだったな、俺らあんなかわいい子の家に泊めてもらえるなんて、リゾットもそう思うだろ?」

 

っとタツミが野宿じゃなくなったのが嬉しいのか和気あいあいとリゾットに語り掛けるも

 

「........」

 

リゾットは疑うような顔で少女の方を見ていた。

 

「リゾット?」

 

そのすこし冷たい顔を見てタツミは不安そうにリゾットの名前を呼ぶ

それにきづいたのかリゾットは

 

「......いや、すまない、少しボーっとしてしまっていた」

 

「な、なんだよ、怖い顔するから怒ってるとばかり思ったぜ」

 

「ねえ、早く行きましょう」

 

馬車から少女が大声で呼ぶそれにタツミはいそいで馬車の方に進むのに対しリゾットは馬車の方に歩きながら誘ってきた少女について考える

 

(あのアリアという少女の目、常に笑顔で明るく振舞ってはいるが、目というのはやはり嘘を付かない、あのどす黒く深く染まった目それに血の匂いもする、俺やタツミを観る目はまるで家畜を観るような残酷な目だった。人を平気で殺す目だ。...本当なら、断ってもよかったが...)

 

そう考えタツミの方を見る

 

(俺がついて行かなかったら、タツミに危険が及ぶ気がする。俺の勘は当たる、だからこそ一緒に着いていくしかない、それで死なれたら死なれたでサヨが悲しむだろうしな)

 

そう考え終えたときにはリゾットも馬車に乗っていた。

 

~数分後~ アリアの屋敷

 

着いた場所はまさにザ・お金持ちと呼ぶにふさわしい場所であり鹿の剥製や高級そうなツボなどが並んでいた。

 周りには数人の兵隊どもも並んでいる。

 

「おお!?」

 

「.........」

 

周りをきょろきょろしながら驚くタツミと正反対に静かに部屋の様子を観察するリゾット

にこの屋敷の主らしき人が声をかける

 

「おお、アリアがまた誰か連れてきたぞ」

 

「癖よねぇ、これで何人目かしら」

 

「拾って頂きありがとうございます。」

 

屋敷の主人とその妻を前にタツミは涙を流しながらお礼をする

 

「いいよいいよ、遠慮なく泊まっといて♡」

 

笑顔で答えるアリアにそれに同意する両親を見てリゾットは不思議に思う

 

(やはり、妙だ...こんなにもあっさり人を泊めるなどいくら金持ちで娘が連れてきた人だからとはいえ、普通は知らない人が泊まると聞かされたら嫌がるものだだがこいつらにはそれがない、むしろ笑顔で受け入れている...それにこいつらも娘と同じ目、血のにおいがする。)

 

そう考えていると

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「なるほど...軍で出世して村を救いたいか...」

 

リゾットが考え混んでるうちにある程度話が進んでいた。

 

「素敵な夢ね」

 

「...だがね君、帝都の内部は平和だが...この国は三方を異民族に取り囲まれている、国境での彼らとの戦いにから出されるかもしれないぞ?」

 

「覚悟はしています」

 

出世するためには過酷な道が待っていることを話す主人に対し汗をかきながらも覚悟は決まっていると返答するタツミ

 

「成程、見上げた根性だ! 若者はそうでないとな」

 

(いや、まだ覚悟しきっていない、顔に甘さが出ている)

 

その返答に対しリゾットはタツミの表情から覚悟が足りていないことを感じ取る。

 

「タツミはその村から一人で来たの?」

 

アリアが途中でタツミが村からどう来たのか聴くと

タツミは経緯を話し出す。

 

「いえ、三人です...実は...」

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

「そんな感じで意気揚々と...その後、夜盗に襲われて散り散りになったんです...」

 

(サヨが話していた通りだな)

 

タツミが話したことがほぼサヨが言っていたことと一致していた為、リゾットは無反応であった。そんなことを考えていた時、

 

「アリアの勘って当たるんだけどね、きっと近いうちに二人共会えると思うよ」

 

 

 

ゾッッッーーーーーーーーーーー!?

 

 

 

アリアの意味深な発言それに普通の人間が見たらかわいい子だなぁと思うような笑顔もリゾットからすれば何かを隠しているかのようなまたは本当にその二人のことを知っているかのような表情にも見えた。

 

(ま、まさか、こいつサヨとイエヤスのことも家に入れたというのか、俺の勘違いならいいのだが、こいつ等の匂い、目は人を平気で殺してる目だ。それに発言したとき目の色が変わったのが見えたぞ。それに周りにいる兵隊どもの様子も何処かぎこちない...仕方ない...これだけはしたくなかったが...やむおえん。)

 

最悪な未来が待っているかもしれないと考えるリゾットの顔は汗で濡れていた。

それをみたアリアは不信そうに問いかける。

 

「リゾットどうしたの具合悪いの?」

 

「いや、すまないがトイレを貸してくれないか?」

 

「え、うん、おなか痛いの?じゃあそこのあなた、リゾットをトイレまで連れて行ってもらえない。」

 

「了解しました。ではこちらに」

 

そう言って兵隊とリゾットは部屋を出た

 

しばらく、廊下を歩いていると

 

「すまないが少し外に出てもいいか」

 

「え、トイレはいいのか?」

 

「ああ、外の空気が吸いたくてな」

 

「わかった。でも一つ言っておく」

 

「なんだ」

 

兵隊は森の方へ指をさし話す

 

「ここからまっすぐ進んだ先に大きな小屋があるそこには近寄るな、いいな」

 

兵隊は脅すような顔つきでリゾットに言った。

 

「ああ、分かった、もういいか?」

 

「分かればいい、じゃあ俺は先に行ってるから用が済んだら戻って来いよ」

 

そういうと兵隊は元にいた場所に歩いて戻っていった。

 

「勘違いならいいんだがな」

 

 

~数分後~ボロイ小屋の前

 

 

リゾットは体に鉄分をまとい体を見えないようにし小屋の入り口手前まで来ていた。小屋のドアには鍵穴の空いた手錠がついていたがリゾットはすぐさま自分の手を切り鍵穴に自身の血を流し込みいっぱいになった瞬間にメタリカで固め鍵を作った

 

その足蹠のカギで手錠をはずしドアを開くとそこには人間であったであろう人たちの見るに無残な姿であった。

ある人は目が切り落とされ、ある人は足や手足が欠損した状態で吊るされており、ある人は体に黒いぼつぼつのようなものをかきむしりながら血反吐を履いた跡がありまさに地獄と呼ぶにふさわしい場所であった。

 

「やはりサディストだったか」

 

「..................!?」

 

ふと目を一人の吊られた女の方を見るその女は体中が傷だらけで右足が欠損し、縄が両手首に繋げられ吊るされており、見覚えのある花飾りが右の髪についていた。

 

「そうか.........やはり......俺の勘が的中してしまったか...」

 

リゾットはその痛々しい見るも無残な姿になった少女を表情は変わらないが唇を血が出るほど噛み締めてからこう発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまない.........サヨ」

 





ごめんねサヨちゃん


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第5話 イエヤスとの約束

リゾットが吊らされたサヨの手首についた縄を解き、そこら辺にあった古い毛布を地べたに敷きその上に、サヨを横におく。

 

「少し、汚れてはいるが......確かにサヨだ...」

 

サヨの顔は自身の血で汚れており、目の横から顎の先まで涙を流した後が目立っていた。

 リゾットは冷たくなった、彼女の胸元を触るも、心音は感じられなかった。

 

「やはり、死んでしまってたのか」

 

リゾットが彼女の死に嘆いていた時、左側の方から聞いたことのある声がした。

 

「お、おい、お前、もしかしてリ、リゾットか?」

 

リゾットが声のする方に体を傾けるとそこには、牢屋の中で体中に黒いマダラ模様が広がっているイエヤスの姿であった。

 

「お前は、イエヤスか!」

 

リゾットは急いでイエヤスの方に駆け寄る

 

「まさか、お前がここに来るとは、思わなかったな...ぐばぁあ」

 

イエヤスは近くに来た人物がリゾットと確信し、安堵するもすぐさま、血反吐を吐く

 

「一体、何があったのだ、イエヤス教えてくれ」

 

リゾットは今にも死にそうな、イエヤスを牢の隙間から手を伸ばし体を支え真剣で心配をする様な眼差しでイエヤスに聞く、するとイエヤスは悔しそうに大粒の涙を堪えながらこう答えた。

 

「俺とサヨはアリアって言う女に、声をかけられて...出された飯を食ったら意識が遠くなって気が付いたらここにいたんだ」

 

イエヤスは目をグッと瞑りながら続ける。

 

「あのくそ女がサヨを殺しやがったんだ!」

 

リゾットは黙ってその話を聞くことしかできなかった、話の途中で割り込んだりもしなかった。只々真剣にイエヤスたちに起こった身の経緯を聞いた。

 

「なぁ、リゾット聞きたいことがあるんだ」

 

イエヤスはふと何かを思い出したかのようにリゾットに問いかける

 

「ああ、何か言いたいことがあるのか?」

 

リゾットはイエヤスの手を握りながら返答する。

 

「タツミには会えたのか?」

 

「ああ、タツミには会った、約束通り伝言も伝えた。」

 

皮肉なことに伝言とは違う残酷な結末になってしまったがリゾットは本当のことを言う。

 

「そうか、会ったのか、あいつは無事だったのか、怪我とかなかったか?」

 

リゾットは驚いた、今一番悲惨な状態で今にも死にそうな自分の心配よりもタツミの心配をしたのだ、そう答えたイエヤスの目に嘘はなく、心から心配している人間の目であった。

 

「ああ、ピンピンしているぞ、だが少し問題があってな。」

 

「もん...だい?」

 

イエヤスは不安になったのか不安そうな眼差しをリゾットに向ける

 

「今、俺とタツミはお前たちが言っていたアリアに誘われこの屋敷にいる。」

 

「な...!?」

 

イエヤスはリゾットの言葉に目を見開き驚く

 

「だが、今のところはまだ危害はない、必ず、タツミと一緒にここを出ると約束しよう」

 

「.....そうかタツミも...」

 

「とりあえず今はお前を病院まで連れて行k」

 

「いや、いい」

 

リゾットがイエヤスを病院まで運ぶと提案した直後にイエヤスはその提案を断る

 

「なっ!?」

 

「俺の体は、もう助からない、俺はルボラの薬漬けにされてもう手遅れなんだ」

 

「っ!?」

 

リゾットはイエヤスの症状を見て助からない状態であることは気づいていた、しかし、この世界はリゾットが居た世界とは違うため病院には直す手段があるのではないかと考えたのだ、だがもう助からないとすぐさま答えるイエヤスに対しリゾットもまた、イエヤスは助からないのだと確信する。

それでも何とかイエヤスだけでもと考えていた時イエヤスが口を開く

 

「なあ、リゾット頼みがあるんだけど、いいかな?」

 

「ああ、俺に出来ることなら...」

 

イエヤスは苦しそうな表情から真剣なまなざしで続ける

 

「俺が死んだら、タツミが一人前の男になるまでそばにいてやってくれないか」

 

「なに!?おれがタツミを?」

 

イエヤスの思いがけない言葉にリゾットは戸惑う

 

「無理なことを言っているのは分かってる、けど!? 頼む、俺が死んじまったらタツミは一人ボッチになっちまう、だから頼む、この通りだ。」

 

イエヤスはリゾットの胸のところに顔を付け、服を握りしめ泣きながら必死になって頼み込む

その姿を見てリゾットの心は揺らぐ

 

「...イエヤス......そこまで...」

 

 

 

 

 

リゾット・ネエロは基本的に口数が少なく常に無表情であり、人を暗殺するときは迷いがなく一切の慈悲を見せない為、冷酷な人間のように見られるが、実際の彼は、身内には優しく、ソルベとジェラートがボスにより殺され、二人の葬式を開いている際に二人のことは忘れろと言ったが、リゾットは他のメンバーが去った後も長時間ソルベとジェラートが入った棺桶を悲しそうに眺めていた。

また、リゾットが裏社会の住人になったのにも理由がある

リゾットがまだ14歳の時、いとこの子供が自動車にひかれ死亡してしまう。

その男は酒酔い運転をしていたのだ

社会はドライバーを数年の刑で済ませたが、リゾットはその男を決して許さなかった。リゾットが18歳の時そのドライバーを暗殺。

以後裏の社会に生きることになり、パッショーネに入団する。

 

そして月日は流れ、今、目の前で今にも死にそうなのに仲間の心配をするイエヤスやサヨの悲惨な姿を見てリゾットはイエヤスやサヨと年の近かったいとこの子どもが身勝手な理由で殺されたことを思い出していた。サヨもそのいとこの子どもも身勝手な理由で殺されたのだ!

 

(俺がいた世界も今いるこの世界も、結局は同じだ、子どもを轢き殺しても何事もなかったかのように普通の生活に戻ったあの男も! 貧困で困っている自分の村を救いたかった心優しいサヨやイエヤスをこんなにも見るに無残な姿にした、この屋敷の人間たちも結局は反省もなく、自分の過ちに気づかずに生きていくのだ!)

 

リゾットの目は見開き、額には血管が浮き、拳を力強く握りイエヤスにこう答えた。

 

「約束しよう、タツミは俺が責任を持って守るとお前たちの意思を無駄にはしない。そしてこの屋敷の住人はすべてこのリゾット・ネエロが地獄に送ると約束しよう」

 

リゾットは今までにないくらいの真面目な顔でイエヤスに約束する。

 

「あ、ありがとう、タツミをたの...む」

 

バタン

 

イエヤスは涙を流し心から感謝しながら倒れこむ

 

「イエヤス!?」

 

急に倒れるイエヤスの口元に手をかざす

 

「スー、スー、スー、スー」

 

若干弱いが息はしている

 

(肝が冷えた、本当に死んだかと思ったぞ......せめて最後くらいはタツミに会わせてやるからな、その時まで死ぬんじゃあないぞイエヤス)

 

その後リゾットは、裸で横になっているサヨの体の首から足の部分に布を被せた後、小屋から外に出て、小屋のカギを占めてから体に鉄分を纏い姿を消しながらタツミたちがいる方へ戻るも、「長いうんこだな~」っとタツミに馬鹿にされ周りにいたアリアたちも笑う、さっそくイエヤスとの約束を破ろうかと本気で思ったリゾットであった。

 



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第6話 拷問とリゾット

ランキング入りしているだと!?

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第6話 拷問とリゾット

 

 

 リゾットが戻った後しばらくして他愛のない話をした後に、泊まらせてもらう部屋までアリアに案内してもらったタツミとリゾットは、寝る部屋が別々ではなく同じ部屋で寝ることになった。

 

 

※タツミ視点

 

「いやー、まさか同じ部屋で二人っきりで寝ることになるとは思わなったな」

 

タツミは気まずそうに頬をポリポリかきながらリゾットの方をちらりと覗きながら問い掛ける。

 

「タツミ、お前の言い分も分かるが、ベットが二つあるのだ、一つじゃあないだけまだ、いい方だろう、それとも、俺と一緒の部屋に二人っきりでいるのに不満でもあるのか?」

 

リゾットは至極まっとうなことを顔色を変えずにタツミの目を見ながら答える

 

「い、いや、別に嫌ってわけじゃ無いんだけどさ...」

 

なぜタツミが不満そうな態度を取っているのには理由がある。

 

(絶対、リゾット俺がうんこをネタにしたこと怒ってるよ! だってずっと顔色変えないでいるんだもの、そりゃさぁ、ネタにした俺も悪いとは思うよでも20分以上帰ってこなかったんだものそりゃぁ、突っ込まれてもしょうがないじゃないか)

 

タツミは笑いのネタにしたことに対しリゾットが怒っていると勘違いしていた、実際にはこの屋敷の住人達に対しての怒りであり、威圧感も若干あったためタツミが勘違いするのも致し方なかった。

 

「まあいい...タツミ」

 

「え、な、なに」

 

リゾットは少し汗を掻きながらタツミに問いかける

それに対しタツミも何を話すのか返事をした後黙る。

 

「.....いや...何でもない、今日はもう遅い、明日どこか安全な場所で二人っきりで話がしたい」

 

リゾットは何かを訴えるかのような口の開きをしたがすぐさま口を閉じ明日話すとタツミに言う。

 

「?...ああ、分かった、何か大事な話なのか?」

 

タツミは不思議そうにリゾットの問いに了承する。

 

「ああ、明日になれば分かる...すまないが疲れた...俺はもう寝る」

 

そう言ってリゾットはベットに毛布などは掛けず上向きになり目を閉じる。

 

「え、風呂はいいのか、」

 

「ああ、明日、起きたら入るから、問題はない...」

 

そういうとリゾットは疲れているからかすぐさま眠りについてしまった。

 

「もう寝てる、よっぽど疲れてたんだな」

 

そう言ってタツミはベットから立ち上がりリゾットの方をじっくり観察するかのように見る。

 

(外で会ったときは暗かったのもあって、気にならなかったけど、こうして見ると...すごい服着てるな?)

 

タツミは今まで見た事がないリゾットの奇抜な服装を観察する

 

(特にこの玉が何個か付いたフード見たいなのを付けながら寝てる、邪魔じゃないのか?まあ人それぞれ、ファッションセンスってものが有るよな...まぁいいか!)

 

タツミが些細なことに気づくも、深くは考えず、部屋を出て屋敷の大浴場を借り体を芯まで浸かった後、リゾットが眠る部屋に戻り電気を消してからベットに横たわり就寝する。

 

 

~朝~

 

 

「次はあの店に行くわ!!」

 

タツミは昨日リゾットが居ない時に約束をしていた、アリアの買い物の付き合いをしていた。

 

(く~、リゾットの奴、自分だけ風呂に入りたいからってアリアの買い物断りやがって)

 

その後、タツミはガウリという護衛の兵隊から、帝国の闇ナイトレイドという殺し屋集団の情報を得、アリアの荷物を運ぶ手伝いをする。

 

 

 

 

 

※リゾット視点

 

 

タツミとアリアが屋敷から出ていくのを確認するとリゾットは鉄分を身にまとい消えながら、屋敷の捜索をする。

 

すると護衛の兵隊たちの会話を盗み聞きすることに成功する

 

「はぁ」

 

「どうした、ため息なんかついて?」

 

「いや、昨日屋敷に来た二人組が明日か明後日には拷問されるんだなぁと思うと、ちょっとな...」

 

「しょうがないだろ、俺たちに止める権利はねぇし、もし逆らったら俺たちが拷問されるかもしれないんだぞ?」

 

一方は罪悪感があるのか死んだ目で話す標準サイズの男ともう何度も同じことを経験しているのか諦めている大柄の男が話していた。

 

(そうか、やはり、俺もタツミも、殺すつもりなんだな...それさえわかれば...やり方は出来ている...)

 

リゾットは再び歩き始める

 

(今夜、この屋敷の連中を始末する!)

 

そう覚悟し、まだ見ていなかった部屋に入るとそこには...

 

(こ、これはあいつらの!!)

 

 

 

 

 

 

~午後7時くらい~

 

 

 

すっかり辺りは暗くなり日が沈み始めたころ、大荷物を持ったタツミとアリアが帰って来る。

 

「こんな時間まで、買い物をしていたのか?」

 

リゾットがタツミに問いかけるとタツミは少しげっそりした顔でこう言った。

 

「お前が、屋敷の中でのんびりしてる間に俺がどれだけ大変だったか、分かるか?」

 

タツミはリゾットに恨みを込めて訴える。

 

「まぁ、そう怒るな、次は俺も手伝う...」

 

「そう、じゃあ、次はリゾットにも手伝ってもらうからね♡」

 

アリアがリゾットの方に近づき笑顔で答える。

 

(まあ、お前たちは、今夜一人残らず、暗殺するがな) ※タツミ以外

 

リゾットは悟られないように顔を変えずに頷き、心の中では憎きアリアたちを殺すことを考えていた。

 

「たく、次は頼むぜ、リゾットじゃあそろそろ、部屋に戻るか」

 

タツミはリゾットに部屋に戻る提案をする

 

「ああ、そうだな」

 

そう言って二人は部屋の方に戻る。

 

部屋に戻り二人っきりになり誰もいないことを確認しリゾットは本題に入ろうとする

 

「では、さっそく...タツミ大事な話がa」

 

「ちょっと、まった」

 

さっそく話をしようとしたとき、タツミが手をかざし中断する。

 

「悪いけど、今話をするような気分じゃないんだ、ふわぁ~」

 

タツミはあくびをし眠そうに理由を述べる

 

「な!?ふざけてんじゃあないぞ、俺がお前の帰りを何時間待っていたと思っているのだ!」

 

リゾットは大声を出すと他の誰かに聞かれるかもしれない為、少し小さめの声でタツミに怒りをぶつけるもタツミは睡眠力の方が勝っていたのか、動じる気配はない。

 

「悪いけど何時間か寝させてくれ、起きたら絶対に聞くから...zzzzzz」

 

そう伝えるとタツミは眠りの世界へと入ってしまった。

 

(こいつ...熟睡していやがるしかも鼻ちょうちん付きで、いくらヘビーな買い物に付き合わされ疲れていたとはいえ眠りにつくのが早い.........いや、これは逆に好都合かもしれないぞ、先に屋敷の連中を暗殺した後に、真相を話すか...今話して暴れられても状況が不利になる可能性の方が高いからな)

 

リゾットは優先順序を変えまずは屋敷の主を暗殺することにした。

 

「ならば、行く部屋は決まっている...」

 

そうつぶやくとリゾットは部屋を出てある部屋へと向かう

 

~アリアの父の部屋~

 

「ふぅ~、そろそろ頃合いかな」

 

(そろそろ、娘に頼んで、あのタツミっていうガキと白目のところが黒い気味の悪い変な服装の男を拷問するとするか、クックック、あいつらの泣き叫ぶ声、顔が目に浮かぶ)

 

アリアの父はタツミたちに見せたことのないゲス顔で馬のクソにも劣るゲスな考えをしていると後ろから唐突に声がした。

 

「何が、頃合いなんだ?」

 

「え!?」

 

振り向くとそこには腕を組み壁に寄り添っているリゾットの姿があった。

 

(こいつ、いつの間に!?)

 

突然姿を現したリゾットに戸惑いを隠せないアリアの父はリゾットにこう問いかける

 

「ああ、リゾット君ではないか、部屋を間違えて入ってきてしまったのかな?それとも何か用事でもあるのかい?」

 

アリアの父(※以下男)は笑顔でリゾットに問う

 

「.....いい加減、本性を表したらどうだ」

 

「と.........言うと?」

 

リゾットはが不審な発言をすると、男は笑顔から不自然なほどの真顔になりリゾットに問いかける。

 

「少し離れた、小屋の中を見たと言えば...分かるだろう」

 

リゾットは汗の一つもかかず真顔で答える

 

「......そうか...知ってしまったのか...非常に残念だよ、知らないままでいれば後一日ぐらいは生きられたかもしれないのになぁ」

 

目の前の男はニタリ顔をしながら、リゾットに向けてその本性を表す。

 

「で、私をどうするつもりかね?」

 

男は余裕の表情でリゾットをあおるように手をくいっとしながら問う。

 

「当然、息の根を止める」

 

「そうか、丸腰で出来るかな?」パチン

 

そういうと男は指を鳴らす、すると男の背後にあった扉から3人の兵隊が出てくる

 

「少し痛めつけとけ、正し殺すなよ、後でこの私が痛めつけるのだからなぁ」

 

「了解しました。」

 

「これも仕事だ、悪く思うなよ」

 

「じゃあ、頼んだよ」

 

男は後ろを向き棚の方に置いてあったワインに手をかけようとしたその時、

 

「「「...........................」」」

 

ブシャーーーーーーーーーーー

 

「えっ?」

 

突然、血が噴き出るような音がしたため、手に取ったワインと共に振り返るとそこには、首をかき切られ血が噴き出て倒れている三人の護衛の兵隊どもの姿であった。

 

パリーン

 

男は目の前の光景に驚き極上のワインを落とし割る

 

「貴様、な、なにをしt!?」

 

(な、なんだ急にしゃべれなくなったぞ、しかも喉の方が痛い)

 

男は喋れなくなった喉を泣きながら必死に抑える

 

「お前は今、突然話せなくなって、困惑している状態と言ったところか」

 

男は何をしたと目で必死に訴えかける。

 

「なあに、声帯を切り刻んだだけだ。内側から...死にはしない、まあ、死ぬほど痛いがな」

 

(声帯を!? そうか倒れているこの使えんゴミどもが声を出さずに急に倒れたのは私同様声帯を!?)

 

「そう、貴様が考えている通りだ。」

 

リゾットは顔色を変えずに淡々と答える。

 

「そういえば、おまえは拷問が趣味らしいな」

 

そう言いながらリゾットは手元にある本を開きながらしゃべれなくなった男に見せるように話す。

 

(それは! 私の日記!? いつの間に)

 

「その表情を見るに、やはりこれは貴様の日記らしいな...悪趣味な奴だ...そんな貴様に今からこの俺が拷問する、まずは...」

 

「っっっっっっ!!?!!???!」

 

リゾットが言い終えると、男の顔から無数の針が勢いよく噴き出る、恐ろしく痛いのに声帯を切られているため、叫ぶことが出来ずにただ、声にならない声で叫ぶしかなかった。

 

「次は、左目だ...」

 

左目から+ドライバーの先端が出てくるその鈍い痛みに必死に堪える男

 

男は喋れないので土下座をし頭を地面に擦り付けもうやめてくれと体で訴えかける。

それに対してリゾットは

 

「やめてほしいか...助かりたいか...いいだろう...ただし条件がある」

 

男は助かるかもしれないと、希望に満ちた表情をしリゾットの顔の方を見上げる。

 

「一言やめてくださいと言葉を発したら、拷問は終えると約束しよう。」

 

リゾットは口元を少しニヤリとする。

 

その条件を聞き男は希望からどん底の絶望へと落とされたかのような顔をする。

 

(こいつ、あ、あくまだ、私の声帯をなぜかは分からないが内部から切っておいて謝れば許すだとぉ)

 

「どうした、一言やめてくださいというだけだぞ、それも言えないのか、しょうがない」

 

男は恐怖と絶望のあまり震えることしかできなかった。

 

「では、拷問を続ける メタリカ」

 

(うわあああああああああああああああああ)

 

 

 

 

 

 

~40分後~

 

 

 

 

 

 

 

「つい、我を忘れてしまっていた…」

 

リゾットは人を拷問し殺したというのに凛々しい表情であった。

 

拷問を終えた男の体の周りは剃刀や針又はドライバーなどの殺傷能力の高い物が散らばっていた、男の体から出ている血も、赤色ではなく、おぞましい黄色であった。

 

「では、次は母親の方に行くか...!?」

 

リゾットが次の場所へ移動しようとしたとき、知らない人の気配や殺気を肌で感じ取る

 

(なんだ、この殺気は、このピリつくような殺気は...)

 

リゾットは体と気配を消しながら、殺気のする方向へと向かう

 

するとそこには...

 

胴体を二つに切断され死亡した、アリアの母親と

その血を浴びて薄紫色のチャイナドレスが汚れている、紫色の長髪に黒い眼鏡をかけ手元には帝具と思われる血が滴り落ちるデカい鋏を持った女が立っていた

 

「スミマセン」ペコリ

 

その女は、自分が切断したと思われる死体に向かって頭を下げ謝った。

 

(間違いない、こいつのもつ帝具、ナイトレイドの一員だ)

 

リゾットはこの世界に来て初めてのピンチに会うのであった。

 



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第7話 リゾットは2度死ぬ

 

 

 

(やはり...手配書と同じ顔、ナイトレイドのシェーレという女だ)

 

リゾットはシェーレという手配書と同じ顔を見てナイトレイドの一員と確信しする。

 

(一人で来たのか?...いや屋敷にいた人物は俺が暗殺したあの男とこいつが殺した母親を含め後1名(アリア)それに、中には護衛の連中がいる、俺が確認しただけでも数十名はいたはず...ならば、最低でも2~3人は一緒に来てるはずだが...)

 

そう考えリゾットはシェーレという女を視界から外し、窓の方を見るするとリゾットの予想を超える光景が目の前に広がっていた。

 

(う、浮いている!?)

 

窓の外では、個性の強い、5人の男女が宙に浮いていた。

 

(あの刀を持っている女には見覚えがある...確か手配書で見たアカメという女だ、他の4人は手配書にない顔だが?)

 

リゾットがアカメやほかの4人との関係性を考察する、すると

 

「誰か、いるんですか?」

 

「!?」

 

突然、シェーレが姿を消しているリゾットの方に首を傾けながら問い掛ける。

 

(まさか、この女俺の存在に気づいたのか?気配は確実に消していたはず、念のため、メタリカの射程外まで離れているんだぞ)

 

シェーレは見えるはずのないリゾットの方を目を細くしてみる

 

「............」ジーーーーーー

 

(ま、まずいぞこのままでは)

 

リゾットは自分から近づきメタリカで先手を打つしかないと、覚悟すると

 

「あ!」

 

シェーレは突然何かに気づいたのか声を発し掛けていた眼鏡を取りレンズを見る

 

「あ~、レンズに付着した血を人と勘違いしてしまいました。」

 

(......は?)

 

その間違えようのない言葉にリゾットは口をポカーンとする(姿は消しているため見えない)

 

そう言うとシェーレは誰もいないのに(正確には姿を消したリゾットは居るのだが)顔を赤く染めてから、レンズに付着した血をハンカチで拭き取ってから、リゾットとは別の方向へ走り去っていった。

 

(......なんだったのだ、あの女はどこかズレているというか、変わってるというか...)

 

リゾットが先ほどまでいたシェーレという女に対し呆れているとあることを思い出す

 

(ハ!?...そうだタツミ、あいつは眠っているはず...だが)

 

リゾットがタツミのことを思い出し無事かどうかを心配しながらナイトレイドがいる窓の外を見るとそこには、必死になってナイトレイドから逃げるアリアとその護衛の後を追うタツミの姿であった。

 

「タ、タツミ!? あいつ、正義感の強い奴だとは思っていたが、まさか敵がいる方へ無策に突っ込んで行くとは...こうなったら、俺も行くしかないか...」

 

リゾットはタツミの予想外の行動に、ため息をつくも無理やり自分に納得させつつ、タツミの後を追うように、外を出る。

 

 

 

 

 

※レオーネ視点

 

 

「なん...だ、これ...」

 

そう、口に出し、目を見開き驚いているのはナイトレイドのメンバーの一員レオーネと言う魅力的で大胆それでいて、野性的でもある女性であった。

 

レオーネはターゲットである屋敷の主人を暗殺しようとしていたのだ

だがターゲットがいる部屋に入るもそこには、レオーネが予想にもしていなかった光景が広がっていた。

レオーネの足元には、屋敷の護衛と思われる3人の男が喉を何か鋭利なもので掻っ切られた死体と体全体が傷だらけで顔は元の原型を保っていないくぐちゃぐちゃの死体が転がっていた。

 中でもレオーネが不気味に思ったのはその死体は外から破壊したような傷跡ではなく中から攻撃されたかのような傷、そして血の色は赤ではなく黄色に変色していた。

 

「まさか、いくら拷問が趣味のサディズム一家でも家族を殺害するわけないよな、それにこの傷口は外からというよりも、中から傷がついている...こんな攻撃ができるのは...」

 

レオーネは自身の大きい胸の下で腕くみをしさらに強調しながら考える、そして出た結論は

 

「私達が来るよりも先に帝具使いが屋敷に潜入しているのか!」

 

レオーネはその事実を屋敷にいるシェーレや外にいるアカメたちに伝える為、部屋を出てシェーレがいる方向へ走り去った。

 

 

 

~数分前~

 

 

※タツミ視点

 

 

 

「待ちやがれ!」

 

タツミが叫ぶ方向には腰が抜け尻もちをついた涙目のアリアとロングヘアーで透きとおるような美しい赤い目をした女がアリアに刀を振るおうとしていた

そうはさせまいと間にタツミが割込み赤い目の女に向かって短剣を振りかざす

 

しかし赤い目の女は余裕の表情で後ろ方向にジャンプしかわす

 

赤い目の女は無表情でタツミに向かってこう言い放った

 

「お前は標的ではない...斬る必要はない」

 

「でもこの子を斬るつもりなんだろ!?」

 

タツミはアリアを素早く自身の後ろに隠し赤い目の女に問う

 

「うん」コク

 

「うん!?」

 

赤い目の女はタツミの問いに素直に返し頷くとタツミも平然とアリアを斬ると頷く姿を見て驚く

 

「邪魔すると斬るが?」

 

「だからって逃げられるか!!」

 

「そうか......」

 

そう答えると目の前の女は何を考えているのか分からない表情から一変、鋭い目をした暗殺者としての顔に変貌する

 

「では葬る」

 

ゾクッッッッッッッ

 

そのあまりの変わりっぷりと暗殺者としての威圧感にタツミは恐怖し汗を流す

 

(少なくとも...今の俺に勝てる相手じゃない...けど...そんなこと気にしてられない!!そもそも女の子ひとり救えない奴が)

 

タツミと赤い目の女は間合いを詰めお互いを斬る為に駆け寄る

 

(村を救える訳がない!!)

 

赤目の女はジャンプしタツミに斬りかかる、それをタツミは短剣で受け止める

 

赤目の女が着地した瞬間に足を斬りこもうとするも赤目の女は瞬時にジャンプし空中でタツミの左肩を蹴る

 

「ヤベッ」

 

タツミが足を崩し倒れそうになると赤目の女は刃をタツミの胸に突き刺そうとした

 

(く、すまねぇサヨ、イエヤス、アリア...それにリゾット...)

 

タツミが死を覚悟した

 

 

その時

 

ポ   ン

 

タツミは何者かに横から押される感覚を味わう

 

「!?」

 

「な!? お前は...」

 

赤目の女は突然目の前に現れた男に驚き瞬時に後ろにジャンプし距離をとる。

 

タツミも同様、驚いた表情をし少し安心したかのような表情でこう叫んだ

 

「リゾットオオ」

 

そこには右手首を左手で押さえ、タツミと赤目の女の間に立つリゾットの姿であった

 

 

 

 

 

 

 

だが...

 

 

 

 

 

 

「誰かは分からないが、お前はもう、終わりだ...」

 

赤目の女は表情を変えずにリゾットに問いかける

 

「確かに...まずいな」

 

リゾットは冷や汗をかく

 

赤目の女が見る先には村雨がかすったのか指先から血が滴り落ちるリゾットの姿であった

 

 

 

 



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第8話 村雨とメタリカ

「なぜだ...ありえない...」

 

アカメは帝国に所属していた頃を思い出す

 

アカメにはゴズキという自分を父と慕わせ特殊訓練を施し、暗殺者に仕立て上げた男がいた

当時ゴズキは帝具 村雨を所持しており彼はアカメにこう言っていた

 

「村雨に斬られた人間はたとえかすり傷だろうと呪毒が入り心臓がある限り死に至る、だからなアカメ今までいないんだ...村雨に斬られて生きている奴は、まぁ斬られた部位を呪毒が回る前に斬られた手や足を切断すれば話は別だがな」

 

そしてその話を聞いた数か月後アカメは帝国を裏切り追ってきたゴツキを殺し村雨を手に入れた

 その後はナイトレイドで悪事を働く帝国のゲスどもをこの村雨で暗殺してきたからこそアカメは村雨のいや一斬必殺村雨の性能を誰よりも信頼しているだからこそ目の前の光景に目を疑った

 

「なぜ...死なないんだ」

 

アカメは自身の手によって村雨に斬られた目の前の男(リゾット)が数十秒経っても倒れないので不信に思っていた

そしてあることに気づくそう目の前の男は上半身の前の部分がほぼ裸だというのに呪毒が浮く気配すらないそれどころかピンピンしている

 

(この男、村雨に斬られておいて、何事もなかったかのように動いている、確かに右手首を斬った手ごたえはあった、今だって斬られた方の右手首を左手で押さえている)

 

アカメは表情こそ変えないが汗を流していた今まで村雨に斬られて生きていた人は居なかったからだ

腕や足を犠牲にした人は居たが目の前の男は五体満足でその場で動いている。

 

アカメが目の前の男がなぜ死なないかを考えていると

 

「一斬必殺村雨...所有者アカメ、確かに情報なしに斬られていたら確実に俺は死んでいただろう...」

 

突然目の前の男は声を出しアカメの村雨の能力を知っていることを話すそれを聞いたアカメは

 

「知っていたところで、斬られたら心臓が止まり死に至るはずだが...」

 

冷静に目の前にいる男の問いに刀を構えながら答える

 

「まあ、待て、俺はお前たちと戦うつもりなどはなからない...」

 

「......」

 

アカメは何か罠でもあるのではないかと男の敵意はないという言葉を聞いても戦闘態勢を崩さない

 

「...お前たちの狙いはこの屋敷の住人だろう?ならば俺たちが殺し合う理由はないしこの女(アリア)を殺したいなら殺せばいい...違うか?」

 

「え?」

 

アリアはリゾットの言葉に驚く

 

リゾットが敵意がないから争うのはやめようとアカメに問いかけたその時

 

「何言ってんだ!!リゾット アリアさんを見殺しにするっていうのか!!」

 

アリアを自身の背に隠しリゾットに短剣を向けながらタツミが叫ぶ

それに対しリゾットは

 

「はぁ...お前はその女の本性を知らないからそう言えるのだ...その女は罪のない人間を監禁し死ぬまでいたぶるクズだ」

 

リゾットは首を傾けため息を吐きながらタツミに真実を言う

 

「な!?」

 

タツミはリゾットの言葉に耳を疑う

 

「ウ、ウソよ...リゾットの言葉に騙されないで!」

 

「くっ!!」

 

タツミは頭を頭をかかえ考える

 

(リゾットは突然何を言い出すんだ...アリアさんがそんなことをするはずがないだろ...きっと何かの間違いだろ...そうだ、アリアさんは恩人なんだそれなのにリゾットはその恩を忘れ変な難癖付けやがって!!)

 

「俺はアリアさんを信じる、きっと何かの間違いだ」

 

「タツミ」ニヤ

 

タツミがアリアに罪はないとアリアを守ろうとリゾットやアカメに短剣を向けなおす

 その言葉を聞いたアリアは邪悪な笑みを向けてからタツミの名前を呼ぶ

その邪悪な笑みをリゾットは見逃さなかった

 

「タツミ...お前は正義感が強い奴だとは思ってはいたがこれほどとはな...」

 

リゾットは呆れながらもタツミの本気の目を見て本気で守ろうとしていることを悟る

 

「ならば、やはり、葬る」

 

アカメがタツミに斬りかかろうとした瞬間

 

 

 

 

 

 

メ       タ       リ       カ

 

 

 

「!?」

 

アカメの目の前に突然宙に浮くナイフが表れた

 

「悪いがタツミには触れさせん」

 

(ナイフが宙に浮いている? さっき突然姿を現した事といいこの男まさか帝具使い!?)

 

「これ以上は無駄に血を流すだけだ、もうやめにしないか...それにいるんだろう?アカメの後ろに立っている木の陰に」

 

リゾットはアカメの後ろの何本かあるうちの一本の木の方に指をさす、すると

 

「にゃははは、まさか気づいてたとはね、あんたなかなかやるね!」

 

そういうと木の陰からテヘっと舌を出しながら出てくるレオーネの姿であった。

その姿を見て一番驚いたのはタツミであった

 

「あー、あんた、あのときのおっぱ...!」

 

「そうだよ、美人のお姉さんだ♡」

 

そういうとレオーネはアカメがいる方向へ歩いて近づく

 

「なんだ、知り合いだったのか」

 

「ああ、前に話した泥棒だ」

 

「ああ、こいつが...」

 

リゾットはレオーネがタツミの金をだまし取ったと察した

 

「では、葬る」

 

アカメが剣を構えながら発すると

 

「待った」ヒョイ

 

アカメの後ろ襟を掴み後ろに引く

 

「何をする」

 

アカメはレオーネの行動に疑問を持つ

それに対しレオーネは

 

「この少年には借りがあるんだよ、返してやろうと思ってな...それに」

 

レオーネはタツミに笑顔を向けウィンクした後、リゾットの方を真剣な表情を向けアカメの耳元で声色を変え話す

 

「もう一人の方は得体のしれない何かやばい物を感じるんだ...まぁ野生の勘ってやつだな...このまま戦ったら最悪死ぬ...本当はアカメも勘づいてるんだろ?」ヒソヒソ

 

「......分かった...」

 

アカメはレオーネの言葉を素直に従い刀を鞘に納める

 

「それに」

 

レオーネは小屋の方に近寄る

 

「少年、お前「俺はアリアさんを信じる」なんて言ったが」

 

ガッゴォ

 

レオーネは錠前のついた分厚い扉を蹴り壊す

 

「これを見てもそんなことが言えるかな」

 

レオーネは真面目な顔をする

 

「見てみろ...あれが帝都の闇だ」

 

扉の中を除いたタツミは顔を引きつらせ絶望したかのような表情を見せる

 

「...な...なんだよ...これ!」

 

「地方から来た身元不明の人たちを甘い言葉で誘いこみ己の趣味である拷問にかけて死ぬまで弄ぶ...それがこの家の人間の本性だ...」

 

目の前には前にリゾットが見た同じ光景が広がっていたただ一つ違うのは...

 

「サヨ...」

 

地面に横たわり首から下を毛布で包まれたサヨの姿であった

 

「おいサヨ...サヨ.........!」

 

「知り合いもいたのか」

 

レオーネが腕を組みながら言うとアリアはコッソリと足音を立てずに逃げようとするも

 

「おい、どこにいくのだ?」

 

「きゃっ!!」

 

そう言いリゾットはアリアの髪を掴み、小屋の中へ放り投げる

小屋の中で倒れこんだアリアは絶望に顔を歪ませたタツミに助けを求める

 

「タ、タツミわ、私はこんな場所があるなんて知らなかったわ、タツミは助けた私とこいつ等どっちを信じるのよ!!?」

 

するとその時

 

「タ...ツ...ミ...」

 

「!?」

 

タツミは声のする方へ振り返る

 

「タツミだろ...おれだ」

 

「い...イエヤス!!?」

 

変わり果てたイエヤスの姿であった

 

「俺とサヨはその女に声をかけられて...メシを食ったら意識が遠くなって気が付いたらここにいたんだ」

 

イエヤスは涙を流す

 

「そ...その女が...サヨをいじめ殺しやがった!!!」

 

「う...ううっ...」

 

イエヤスは自身の不甲斐なさに泣くことしかできなかった

 

「なにが悪いっていうのよ!」

 

そういうとアリアは立ち上がり続ける

 

「お前たちは何の役にも立てない地方の田舎者でしょ!? 家畜と同じ!! それをどう扱おうがあたしの勝手じゃない!!」

 

アリアは開き直ったのか醜くゆがんだ顔で本性を表す

 

「だいたいその女、家畜のくせに髪がサラサラで生意気すぎ!!私がこんなくせっ毛でだから念入りに責めてやったのよ!! むしろこんなに目をかけて貰って感謝すべきだわ!!」

 

アリアは謝るわけでも、泣き叫ぶわけでもなくただ自分が正しいと当たり散らす

 

「善人の皮を被ったサド家族か...邪魔して悪かったなアカメ」

 

「葬る」チャキ

 

アカメは刀を構える

 

「待て」

 

唐突にタツミはアカメを止める

 

「まさか...またかばう気か?」

 

レオーネは睨みながらタツミに問う

 

「いや...違う...タツミ...お前...」

 

リゾットはタツミの表情を見て確信する

 

「俺が斬る!」ズドォ!!

 

タツミは短剣をアリアの方に振りかざす

アリアは胴体を真っ二つに斬られ血を大量に流し死んだ

 

それを一連の動きを見てレオーネは

「ふぅん...」(にくい相手とはいえためらわず斬り殺したか...)

とタツミの評価を改めて考える

 

「へへ...さすがはタツミ...スカっとしたぜ.....!ゴフゥ」

 

仇を取ってくれたタツミに礼を言った瞬間イエヤスは血反吐を吐いた

 

「!どうしたイエヤス!」

 

タツミはイエヤスに駆け寄る

 

「ルボラ病の末期だ...ここの夫人は人間を薬づけにしその様子を日記に書いて楽しむ趣向があった...ソイツはもう助からない」

 

アカメが真剣な表情でタツミの目を見て話す

 

「ッく! リゾットオ!!」

 

タツミはリゾットの方へ走って駆け寄りリゾットの顔面を一発殴りかなりの身長差のあるリゾットの胸ぐらをつかみこう続けた。

 

「お前、知ってたんだろ!!なんで言わなかったんだ、サヨが間に合わなくてもイエヤスはまだ間に合ったかもしれないだろ!?」

 

「............」

 

タツミはリゾットの胸ぐらを強く握りしめ怒りの声をリゾットに向ける

それに対しリゾットは反撃するわけでも反論するわけでも殴り返すわけでもなく只々じっと表情を変えず黙っているだけだった

 

「なんとか言えよお!」

 

タツミが再びリゾットの顔面を殴ろうとしたその時

 

「タツミやめろお」

 

ピタっ

 

イエヤスが叫ぶと同時にタツミの拳がリゾットの顔面をスレスレで止める

 

「イエヤス?」

 

タツミはイエヤスの方に泣きそうな顔を必死に堪えながら向ける

 

「リゾットは何も悪くないんだ!!リゾットはロープで吊るされてたサヨを開放してくれたんだ、俺を病院まで連れて行こうとしてくれたんだ」

 

イエヤスは顔をぐじゃぐじゃにし泣きながら本当のことを話した

 

「だったらなんで!!」

 

タツミも納得いかないのか泣きながら叫ぶ

 

「俺がいいって言ったからだ!!」

 

「!!!?」

 

「どっちにしろ俺の命は助からないだから...タツミと一緒に逃げてくれって言ったんだ、リゾットも約束してくれたんだ!!」

 

「くっ!!?」

 

その言葉を聞くとタツミはリゾットの胸ぐらに掴んでいた手を放しリゾットに背を向ける

 

「それ...にな、タツミ、サヨは...最後まで屈しなかった...カッコよかったぜ」

 

タツミはイエヤスの方へ駆け寄り、肩に手を回す

 

「それと...リゾット...」

 

リゾットはイエヤスの方を真剣な眼差しで見る

 

「出会いは最悪だったけど、お前のこと嫌いじゃなかったぜ」

 

その言葉にリゾットは悲しそうな表情をしイエヤスに背を向けこう言った

 

「ああ...俺も...嫌いじゃあなかった...」

 

「へっ...ありが...とな...タツ...ミ...もげん...き…で…な..............」

そう言い終えるとイエヤスは息を引き取った。

 

「もう...気力だけで持ってる、状態だったな」

 

アカメは悲しそうにつぶやく

 

「......どうなってんだよ帝都は...」

 

「行こう」

 

アカメは振り返りレオーネにアジトに帰るよう言うするとレオーネが思いもしない言葉を発する

 

「なー、あの少年持って帰らないか?」

 

「ん?」

 

「アジトは常に人手不足だ、運や度胸...才能もあると思わないか?」

 

レオーネはそう言うとタツミの後ろ襟を掴み引きずる ズルズルズル

 

「離せ!俺は二人の墓を!」

 

タツミは自身の後ろ襟を掴むレオーネの手を掴み必死に抵抗する

 

「ああ 遺体は私が後でアジトまで運んでやるから安心しろ」

 

「ハア!?」

 

「あっもちろんお前にも来てもらうぞ リゾッtってあれ?」

 

「!?」

 

レオーネがリゾットがいるであろう方向へ顔を傾けるとそこにはリゾットの姿はどこにもなくアカメも突然消えたリゾットに驚きが隠せない

 

(気配もなく、消えるとは...やはり、あの男...只者ではない...)

 

アカメは一瞬の内に消え去ったリゾットを脅威に感じる

 

「リゾット...ますますアジトに引き入れたくなった」

 

アカメとは逆にレオーネはリゾットに興味をいだき絶対にアジトに引き入れると心に決める

 

「でも今は...ここにいても仕方ない、行くぞアカメ」

 

「ああ」

 

そういうとレオーネは暴れるタツミを抱え、アカメと一緒に走り去っていった

 

「..........」

 

「行ったか...」

 

リゾットは透明化を解除する

実はリゾットはアカメやレオーネの目を盗んで逃げたのではなく小屋の中で透明になり息を殺してアカメたちが居なくなるのを待っていたのである。

 

(アカメたちの反応や屋敷の住人たちを暗殺するのを見て確信したやつらはただの殺し屋や集団ではない何かもっと大きな組織に組みしているのかもしれんな、だとしたらしばらくの間はタツミも無事でいられるだろう...それに)

 

そう考え終えるとリゾットは村雨につけられた傷を見つめる

 

(本当にあの時は肝を冷やしたぞ)

 

リゾットはポケットに入っている剃刀を4~5枚取り出す

 

(村雨に斬られた瞬間、傷口周辺の血をメタリカで剃刀に変えることが出来た、そのおかげで呪毒は俺の体ではなく剃刀の方へ模様が浮き出た...本当につくづく思うぞ、能力との相性というやつを俺のメタリカでなかったら、もう少し傷が深かったら死んでいただろうな)

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「まあいい...取りあえず警備隊もそろそろ来る頃だ...ここを出るとしよう...」

 

リゾットは再び姿を消し屋敷から出て行った...

 

 

 

 

 

 



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第9話 ここにイルーゾォ

~ナイトレイドアジト~

 

ナイトレイドのアジトに無理やり連れ去られたタツミは、ナイトレイドが革命軍に所属していること、帝国の人々を苦しめる大臣やその大臣に肩入れし甘い蜜を吸う者たちを排除し皆が幸せに暮らしやすい世にする為に出来た組織と知ったタツミは同意の上ナイトレイドに所属することになる

 

こうしてタツミは無事、ナイトレイドに所属することになったが、一つだけ問題があった...

 

 

 

 

「それで、レオーネ大切な話があると先ほど言っていたがなんだ?」

 

そう口にしたのは片腕が義手で右目に眼帯を付けた女性ナイトレイドのボス ナジェンダ

 

レオーネは大事な話があるとナジェンダ、直接関係のあるアカメにある人物についての話をする為、とある一室に二人を連れてきた。

 

「...リゾットのことか」

 

アカメはレオーネの表情を見て誰についての話か察する

 

「さすがアカメだね♡...そうリゾットについてボスに話さなきゃと思ってたんだ、侵入者に邪魔されて言えなかったけど」

 

レオーネは早く報告できなかった為、申し訳なさそうに言う

 

「それでそのリゾットとは何者なんだ?」

 

ナジェンダは椅子に座りながら先ほどからリゾット、リゾットという人物の名前を呼び合う二人にどういう人物か聞く

 

「...昨日、ターゲットがいる屋敷に忍び込んだけど、ターゲットの内の一人が全身を切り刻まれて死んでたんだ...」

 

レオーネは真面目な顔をし昨夜の出来事を語りだす

 

「それで周りを良く見たんだ、そこには剃刀やハサミといった殺傷能力の強い物がばらまかれていたんだ」

 

「成程...剃刀にハサミか...ハサミはまだわかるとしてなぜそのリゾットと名乗る人物は使い勝手の悪い剃刀を暗殺に使用したんだ?」

 

ナジェンダは不思議そうに顎をさする

 

「私も最初はボスと同じふうに考えたよ、でも、死体の傷口に顔を近づけて見て謎が解けたんだ...」

 

レオーネはその死体の傷口の異様さを思い出し戦慄する

 

「剃刀やハサミは外から攻撃したんじゃない、体の内側から攻撃されてたんだ!」

 

「何!?」

 

「........」ッゾ!

 

ナジェンダは内側から攻撃できるはずがないと驚くも、レオーネの真剣な眼差しを見て現実に起こった事実であると察する、またアカメもそのことについては聴いていなかった為、もしかしたら自身もあの時、一歩間違えれば体の内部を破壊されていたのではないかとゾッっとする

 

「驚くのはそれだけじゃないよ、ボス...ねっアカメ」

 

レオーネはアカメ自ら昨夜のあの出来事を語らせる為、ウィンクをしながらアカメを見るそれを察したアカメは

 

「ああ、あの男...いやリゾットは村雨に斬られても死ななかった」

 

「なっ馬鹿な!?」

 

ナジェンダはこれ以上驚くことはないと内心では思っていたがアカメの言葉に耳を疑った

 

(村雨に斬られて生きているだと、そんなことはあり得ない生きている人間であれば必ず死に至らしめるはずだ)

 

ナジェンダは口に手を当て片方しかない目を見開き今までにないほどの驚きを見せる。

 

「ボス私も最初は目を疑った...だが間違いなく私は奴の...リゾットの右手首をほんの少しだが斬ったはずなんだ...」

 

「ま、まて、その男は本当に生きているのか?もしかしたら、八房のように操られた死体とかそんなオチじゃないだろうな」

 

ナジェンダは半信半疑になり自分でもおかしいとは思いつつもそうであってくれと、ありもしない可能性を言い始める

 

するとレオーネは

 

「いや、その可能性はないと思うよ、実際リゾットは言葉を話していたし、村雨についても能力が分からなかったら死んでいたとか言ってた、だから可能性があるとしたら...」

 

「奴は間違いなく帝具使いだ」

 

レオーネの推測から突然アカメが口を挟む

 

「まあ、アカメの言う通り私も帝具使いだと思ってる」

 

「そうか...ほかに目立ったことはあったか?」

 

ナジェンダはアカメとレオーネの言葉を信じリゾットについての詳細を詳しく聞いてきた

 

「他には急に姿を現したと思ったら突然消えたり...」

 

「私がタツミに攻撃しようとしたら空中にナイフが表れた...」

 

それぞれの体験をナジェンダに語る二人

 

「姿を消し物を浮かし体の内部から攻撃する帝具か...聞いたことも見たこともないなそんな帝具は...」

 

ナジェンダは頭を抱えるすると

 

「なぁ、ボス一つ提案があるんだけどいいかな?」

 

「提案...なんだ?」

 

「リゾットもナイトレイドに引き入れないか?」

 

「!?」

 

「ほう...その根拠は?」

 

アカメはレオーネの言葉に驚き、ナジェンダは真剣な表情に変え問う

 

「そうだな、まず、リゾットに敵意が無かったのが一番の理由だな、もし敵意があれば私たちの内の誰かはやられてたと思うんだ、それに」

 

「それに?」

 

「あいつマジでタツミのこと心配してたよ、拷問されて亡くなる寸前のタツミの仲間がリゾットに礼を言ってた時も悲しそうな表情をしてたし多分、私の勘だけどリゾットは情に厚い奴だと思う。」

 

レオーネは笑顔でリゾットをナイトレイドに入れるべき根拠を説明する

 

「...フっ レオーネにそこまで言わすとはな......アカメはどう思う?」

 

ナジェンダがレオーネの言葉に少し微笑むと今度はアカメに問う

するとアカメは自身の村雨を見つめながら話す

 

「......村雨で奴の手首を斬ったとき、奴は自身の身の安全よりもタツミの無事な姿を見て一瞬だがほっとしたようなやさしい顔を見せた、あれは演技で見せるようなそういった人を騙すような顔じゃなかった、タツミの無事な姿を見て心から安心したような顔だった、奴は村雨の呪毒で死ぬかも知れないのに...それが奴を信用できるっていう理由にはならないが少なくともレオーネが言うように敵意がなかったというのは確かだ」

 

そう言い終えるとアカメはナジェンダの方を真剣な眼差しで見つめ、今度はレオーネが口を開く

 

「それにリゾットには私やアカメ以外にも手配書に乗ってないラバやマインも見られてたんだ、どっちにしろ始末するか、仲間にするかの二択だ...だからこそ始末するよりも仲間にしたいと考えたんだがボスはどう思う?」

 

レオーネは本心ではリゾットを仲間にしたいと考えていたが最終的な判断はナジェンダにある為、ナジェンダの答えを待つ

 

「...はぁ、分かったそこまで言うんだ、リゾットは見つけ次第殺さずナイトレイドに勧誘しよう」

 

「いいのか! ボス」

 

「...」

 

喜ぶレオーネと正反対に静かなアカメ

 

「ああ、私もそのリゾットという人物に興味が出た、それにアカメの村雨が効かなかったんだ...相当の手練れだと考えていいだろう、正しナイトレイドに入ることを拒んだらその時は...分かってるな」

 

「ああ、その時はリゾットを始末するよ」

 

「この手で葬る」

 

ナジェンダの条件をのむレオーネとアカメ

 

「よし、ではこの話は終わりだ、リゾットを見つけ次第、勧誘しろ」

 

 

 

 

 

 

※リゾット視点

 

一方その頃リゾットは帝都を少し離れたトイレにいた

 

(さてこれから...どうするか)

 

リゾットは悩んでいた、イエヤスとの約束で守ると誓ったタツミはナイトレイドにいる、だがリゾットはナイトレイドに所属するつもりはない

 

(今の俺には、暗殺をするための理由も、仲間も、復讐するべき相手もいない...)

 

リゾットは顔をうつ向きながら考えたそもそもリゾットが暗殺者としてパッショーネに所属していたのはいとこを殺した運転手をこの手で復讐し殺したためであり、その為、裏の社会に生きることになった

 だが今、彼がいるこの世界は別の世界であり、彼が暗殺者として生きる理由はないのである。

 

(とりあえず、ここから出るか)

 

そう考え終えトイレの個室から出て手を洗うために洗面台に立つすると突然

 

 

 

 

「まさか...リゾットお前までこの世界に来てるとは...思わなかったぜ」

 

 

 

 

 

後ろから声がした

 

リゾットは声のする方向へ顔を向けるが誰もいない

 

(気のせいか...だが何か聞き覚えのあるような...懐かしいような声質だった...ぞ)

 

再びリゾットは鏡の方へ顔を向けるすると鏡にある男性が映っていた

 

「!? 馬鹿な、まさか」

 

リゾットは鏡に映る人物を見て驚く

 

「俺は今まで自分だけが異世界に来たとばかり思っていた!だが、今、目の前にいるお前は、見覚えのあるその6本のおさげは!!」

 

 

 

 

 

 

 

キーーーーーーーーーーーーーン

 

 

 

 

 

 

 

 

「マン・イン・ザ・ミラー、リゾットを鏡の世界に入ることを許可しろぉ!」

 

おさげの男は嬉しそうにだが少し悲しそうにリゾットの方を見て淡々と話す

 

「久しぶりだな...リゾット」

 

 

「まさか...お前もこの世界にいるとはな...」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

 

 

 

 

 

 

「イルーゾォ」

 



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第10話 再・会ン・ザ・ミラー

 

 

 

~鏡の世界(帝都から離れた場所)

 

 

 

 

 

「やっぱり、リゾットだったか、まあその恰好みりゃぁすぐ分かるがな」

 

イルーゾォはリゾットの服装をジーっと見つめながら本人であることを確信する

 

「そういうお前こそ、相変わらず同じ髪型じゃあないか」

 

リゾットはイルーゾォの顔に指さしながらニコリと笑い言う、その反応を見たイルーゾォもニヤリと口角をあげる

 

「だがよぉ~、リゾットお前がここにいるってことはよぉ、お前もブチャラティ達にやられたってことか?」

 

その言葉を聞きリゾットは真顔になり黙る

リゾットの態度に不審に感じたがイルーゾォはそのまま話を続ける

 

「これで俺たち暗殺者チームも全員やられちまって、この世界にリゾットお前まできちまったってわけか」

 

「ん?...その言い方まさか...俺やお前以外にも、この世界に来ているというわけか?」

 

リゾットは他の暗殺者チームも死んだ後にこの世界に来たのかとイルーゾォに聞く

 するとイルーゾォはニヤリと笑い頷く

 

「ああ、おまえの推測通りだぜ、リゾット...アンタや俺以外にもこの世界に来ている」

 

「!?」

 

リゾットはここにきて初めて目を見開いて驚く

 

「まぁ、訳合って今は別々に離れて行動しているがな」

 

「別々になぜだ?」

 

「そうだなぁ、その前にリゾット聞きたいことがあるんだが、いいか?」

 

イルーゾォはニヤついた顔から真剣な顔をしリゾットに問う

 

「ああ、別に構わないが...」

 

リゾットはイルーゾォの真剣な表情を察したのか自身も真剣な表情になり答える

 

「この世界に来てから今まで何をしていたかを聞きたい」

 

「...そうだな、分かった...すべて話そう...」

 

 

 

~数分後~

 

 

 

リゾットはこの世界に来てからイルーゾォに会うまでのことを根ほり葉ほり話した

だが直接関係のないサヨやイエヤスそしてタツミのことは、言う必要がないと判断し言わなかった

 

「そうか、ナイトレイドに会ったのか...ならそれはそれで好都合かもしれないな...」

 

「好都合?それはどういう意味だ?」

 

イルーゾォの言葉に不思議に感じ問いかけるするとイルーゾォの口から思いもしない言葉が出る

 

「リゾット、ナイトレイドのメンバーになってくれないか?」

 

「........................え?」

 

リゾットはキョトンと口を開ける

 

「すまん...順序を踏まえて話すのを忘れていた、詳しく話す」

 

イルーゾォは頭を抱え、目を閉じながら順を追って話を始める

 

「さっき俺がほかの連中と別行動してるって言ったよな」

 

「......」

 

「とある事情で俺以外のやつは今、一方が革命軍に所属し、もう一方が帝国のあのデッケー城の中である人物を探す為、帝都警備隊に所属してんだ」

 

「とある事情? ある人物? 」

 

「これを聞けばお前もナイトレイドに所属しろと言った俺の言葉の意味を理解するだろうぜ...実はな...」

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

「以上が俺が伝えた真実だぜ...」

 

「俺がここに来る前にそんなことがあったとはな...またあの二人が...」

 

リゾットはイルーゾォのここに来てからの今までの出来事を知りなぜナイトレイドのメンバーになってほしいかを理解したと同時に血が出るほど拳を握りしめる

 

(そうか...だからあいつらは...)

 

「それで革命軍とナイトレイドが繋がっていて帝国を潰し平和な国を造ろうとしているのも分かった、ということは、あの三人もナイトレイドに所属しているということか?」

 

「...いや、あくまであいつ等は革命軍で帝国の情報収集をしているだけだ、ナイトレイドに所属しているわけじゃあない...色々あって革命軍の密偵として所属するのが限界だったわけだ」

 

「それで、ナイトレイドに直接会った俺が一番ナイトレイドに所属できると考えたわけか...」

 

「グッド!!」

 

イルーゾォはその言葉を待っていましたとばかりにリゾットに人差し指を向け叫ぶ

 

「なら、次ナイトレイドの誰かと接触したら、所属できるか聞いてみよう、どっちにしろ手配書にない顔も見ているんだ奴らの方から俺を探るだろう」

 

「ああ、頼むぜリゾット」

 

「分かった、お前は今まで通り、情報を帝都と革命軍にいる仲間に送れ、俺がナイトレイドに入ればもっと忙しくなるだろうからな、それと、お前は極力戦うな、万が一お前がやられれば仲間との情報を共有出来なくなる、まあ、お前も分かってはいると思うが一応言っておいた、念には念を入れろだ」

 

「ああ、分かってるぜリゾット」

 

「そうと決まればイルーゾォ俺を鏡の世界から出してくれないか?」

 

「お、おう、そうだな、マン・イン・ザ・ミラー俺とリゾットを鏡の外に出ることを許可しろぉ」

 

そういうとリゾットとイルーゾォは鏡の外へと出る

 

「じゃあ、俺はこれからナイトレイドがでそうな場所を探る...また近いうち会おう、イルーゾォ...」

 

そう言い残し帝都の方へ足を運ぼうとしたその時

 

「リゾット」

 

「?」

 

突然後ろから自身の名前を叫ばれて振り向く

 

「本当はよお、俺から頼んでおいてよぉ、こういうこと言うべきじゃ、無いとは思うが...リゾットお前にはこっちの世界に来てほしくなかったぜ」

 

「!?」

 

「お前には、せめて生きていて欲しかったからな...俺があの時、フーゴに止めを刺していればアンタまで死なずに済んだのによぉ...すまねぇ」

 

「...イルーゾォ......」

 

イルーゾォは謝罪の言葉を述べ頭を下げるそれを見たリゾットは

 

「いや...謝るのは俺の方だ...俺の方こそ、後一歩ってところまでボスを追い込んだんだが最後の最後で浮かれボスに殺された...あんなにお前たちに釘を刺しておいてこの様だ...すまない」

 

「え?」

 

「え?」

 

突然イルーゾォがポカンとした顔で驚いた、それにリゾットもつられる

 

「ボスを、お、追い込んだ...え...つまり、あんたはブチャラティ達にやられたんじゃあなくて、ボスに倒されたってことか、しかも、あと一歩まで倒す寸前まで追い込んだっていうのか?」

 

「あ、ああ、言ってなかったか?」

 

リゾットは首を傾け答える

 

(ボスを追い込んだってーー、嘘だろ、あの正体不明のボスをか!しかも一人で!!やっぱりリゾットはすげえ奴だ、さすがは俺たちのリーダーだぜ)

 

「それで!ボスはどんな奴だったんだ!」

 

「そうだな...最初にあったときは...」

 

 

その後、イルーゾォはリゾットにボスがどんな人物だったかを問いただした後、30分くらい話してからお互いの目的のために行動を移した。

 

 

 

 

 






果たして暗殺者チーム(イルーゾォ以外)が帝国や革命軍に所属している理由とは! 


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第1章 リゾットのナイトレイド入団
第11話 リゾット・ネエロは見捨てない


今日遂に5部最終回か...


~帝都中央付近~

 

イルーゾォと別れ何時間か経過したリゾットは、言い残したことがあるのか右ポケットに入っている携帯電話に手をかけ自身の右耳につける

 

とおるるるるるるるる   

 

 

とおるるるるるるるるるるるん

 

 

とおるるるるるるるるるるるるるるるん るるるん

 

 

「出ないな......っあ」

 

数秒経った時点でこの世界に電波がないことに気が付くリゾット

そもそもその世界に携帯などの通信システムなど存在するはずもなく周りの帝都市民から変な目で見られていた。

 

「それにしても、この世界は不便だな」

 

リゾットは使えない携帯電話をポケットに戻しこの世界の不便さについて嘆いた

 

(分かってはいたつもりだが、つい通話しかけたぞ、やはりイルーゾォにはこれから情報を伝えてもらう連絡係をしてもらうほかない、まあ本人もそれが分かっていて帝国側にも革命軍側にも属さなかったんだが...行ったり来たり大変だろうな)

 

今イルーゾォは鏡の世界から帝国、革命軍にいる暗殺者チームのメンバーそれぞれにリゾットがこの世界に来てこれからナイトレイドに所属するかもしれないという情報を届けに向かっていた。

 

リゾットがイルーゾォの立場になって考えるすると

 

「ごめんなさい」

 

リゾットが通っている道の左側で見た目が、十歳以下の女の子が尻もちをついて倒れこみ泣きそうな顔で目の前にいる大柄の男に謝っていた。地べたには女の子が飲んでいたと、思われるコップが転がっていた

 

「あ~、右のズボンがシミになっちまったよ...っち」

 

そう不機嫌そうに言い放つのは右目がリゾット同様白い部分が黒く左目が失明し傷がついており、黒髪の横サイドが白髪をした右ズボンが飲み物でシミが付いた帝都警備隊の服装をした男であった

 

(まあ、さすがにその程度のことで傷をつけるようなことはしないだろう)

 

リゾットは自分には関係がないという態度をとりながら二人のそばを素通りしようとする

 

「まぁ、まだお前はガキだ...一発ぶん殴るだけで許してやるよ」

 

そう言って男は幼女に右拳を振りかぶろうとする

 

「ひぃっ」

 

少女は涙目になり頭を押さえ目をつぶる

周りにいる帝都市民も目を背け関わらないようなそぶりを見せる

 

「これも帝都警備隊隊長オーガ様の教育ってやつだ感謝しろよ!」

 

「ウオラァ」

 

バシンッ

 

 

 

 

「~~~~~~...? えっ?」

 

「.....なんだぁ...てめぇ」

 

そこには少女に振りかざし殴ろうとしたオーガの拳を右手で受け止め、少女をもう片方の腕で自身の背中に隠すリゾットの姿であった

 

「まさか...本気で殴り掛かるとはな」

 

流石のリゾットもとっさのことだったので顔に汗が出ている

 

「どけ、てめぇも殴られてぇのか、それとも捕まりたいか、あぁん」

 

オーガはリゾットにがんを飛ばし脅す

 

「いや、そうじゃあない」

 

「だったらなんだ、おい」

 

「ひぃ」ブルブル

 

今にも切れて襲い掛かろうとするオーガと恐怖でリゾットの服を両手で握りしめ顔を埋める少女

 

リゾットは右手で自身の胸の内側を弄りある小袋を取り出す。

 

「ああん、袋?」

 

オーガは顔を傾ける

 

「これをあなたにお渡ししよう思いまして...」

 

オーガはその小袋を受け取る

 

ジャラジャラ

 

「ほう」

 

袋を手に取り察したのか急に眼の色を変える

 

「んー、まぁ、俺もやり過ぎだとは思ていたところだ、同じ黒い目同士仲良くしようじゃねえか、今回は大目に見といてやるよ」

 

そう言い終えるとオーガは袋の中を再び覗き声に出して中身を数えながら去っていく

 

(本当ならメタリカで痛めつけてやりたいところだがこの人通りのなかではな...それに)

 

「ウ...ヒック...ウゥ...ウワァアアン」ポロポロ

 

(子供の前でメタリカは教育上良くない)

 

ポン ポン

 

「ふぇ?」ピタ

 

リゾットは恐怖して震えることしかできずにいたが緊張がとぎれ泣きだした幼女の頭に手をのせ軽く撫でる

 

「もう大丈夫だ、立てるか?」

 

リゾットは幼女と同じ目の高さまで腰かけ優しい顔つきと安心するような声色で囁く、そうたとえるなら、普段はぶっきらぼうで表情を全く見せない妙な威圧感があるおじさんがときたまに見せるやさしい笑顔のように、ほっと少女を安心させた。

 

「うん」ゴシゴシ

 

幼女は両手で涙を拭うとリゾットが差し出した手をとりリゾットも優しく少女の手をとり立たせる

 

「おじさん、助けてくれてありがとう」ニッコリ

 

少女は笑顔を見せリゾットにお礼を言う。

 

「気にする必要はない...それよりもだ、両親はどうした?お父さんかお母さんとはぐれたのか?」

 

リゾットは幼女の目線に合わせ聞く

 

「うん、あのねママとはぐれちゃったの」

 

「そうか...しょうがない俺も一緒に探そう」

 

「本当」パアア

 

幼女はその言葉にさっきよりも強い笑顔を見せる

 

「ああ、それと名前を聞いておこう、俺はリゾットという君は?」

 

「私はねローグていうのよろしくねリゾットのお兄ちゃん♡」

 

そう言ってローグはリゾットに抱き着き手を後ろに回す

 

(さっき、おじさんって言ってなかったか?)

 

そう不審に思いながらもリゾットはローグをお姫様だっことまではいかないが抱きかかえる

 

「さて、ではさっそk」

 

「おや!おやおや!!おやおやおや!!!私の正義センサーに反応あり!そこの御二方!お困りですかな?」

 

後ろから元気のいい可愛い声が聞こえてきたためリゾットとローグは声のする方へ振り返るすると、そこには帝都警備隊の服を着用し後ろ髪にポニーテールをし笑顔が素敵な女の子と、その女の子の左手から紐がぶら下がり繋がっているのは、見たこともない犬に似た生物が引きずられながら近づいてきた

 

「お前は...」

 

リゾットが不審そうに口を開くすると

 

「帝都警備隊セリュー正義の味方です」ビシィ

 

「キュウウウウウウーン」

 

セリューと名乗る警備隊の少女が右手で敬礼しながら自己紹介をし始めその隣で犬?が鳴く、その犬を見たローグは

 

「わああ、かっわいい!!」パァ

 

犬?を見て目を輝かせる

 

「そうでしょう、そうでしょう!コロの良さが分かるなんていい子ですね」

 

そういうとセリューはローグの頭を撫でる

 

「えへへ」

 

ローグも満更ではない様子

 

「あっそうだ!名前はなんていうのかな?」

 

「私はローグっていうの、こっちはリゾットお兄ちゃんだよ」

 

「うん!ローグちゃんにリゾットさんね!それで困ってることがあるんだよね、私も手伝いますよ!!正義のために」

 

「...」

 

「じゃあローグちゃん何か困ってることを教えてくれるかな?」

 

セリューは目を輝かせる

 

「うん実は、ママとはぐれちゃったの」

 

「そっかー、それは大変だったね、ちなみにどこではぐれちゃったの?」

 

セリューはローグの言葉に真っ直ぐ耳を傾ける、真剣さがこっちにも伝わってくる、本当に人の役に立ちたいと肌で感じる

 

「向こうのドリンク屋さん」

 

「じゃあ、そこにお母さんが探しに来てるかも知れないね、お姉さんも行こうかな」

 

「ありがとうセリューおねえちゃん」ニコ

 

「ちゃんと御礼言えて偉いですね」ナデナデ

 

「えへへ」

 

和気あいあいとする二人それを見るリゾット

 

「...行こうか」

 

リゾットはこのままセリューにローグを任せようと考えたがセリューが「正義」と発するたびに目のハイライトが消えたり若干どす黒い何かを感じたが彼女の言葉に嘘は感じられなかったそれでも念のため着いていくことにした。

 

数分歩いているとドリンク店(ドリンクバー ドリンキー)についたそこには辺りをキョロキョロし何かを探している女性の姿があった

 

「あっママー」

 

ローグはその女性の方へ走っていく

 

「!ローグ」

 

母親は安心したのか瞳が潤い涙を流しながらローグのもとへ駆け寄り娘を強く抱きしめる

 

「もう、心配したんだから、勝手にいなくなっちゃダメでしょ!」

 

母親は涙目でローグに説教をする

それに対しローグも

 

「うえーーん、ごめんなさーい」

 

泣きながら必死になって謝る

 

「でも今はもういいの、あなたが怪我無くこうして無事に帰ってきてくれたから、それでいいのよ」

 

母親は再び娘を強く抱きしめる

 

「えへへ、苦しいよママ」

 

「リゾットさんローグちゃんママが見つかってよかったですね!」ニコリ

 

セリューはリゾットに笑顔を向けながら語る

 

「...そうだな、これで安心というやつだ」

 

リゾットも顔には出さないが一安心したのかほっと肩を撫でおろす

 

「あの、どちらか存じませんが娘をありがとうございます。なんて御礼をしたら良いのか...」

 

母親は深々とリゾットとセリューに頭を下げる

 

「...お礼などいらん」

 

「いえ、当然のことをしたまでです。」

 

「キュイ、キュウウイ」

 

「でしたら、せめてお名前だけでも」

 

「リゾットだ」

 

「帝都警備隊セリュー・ユビキタスです」

 

リゾットは腕を組み顔を背け、セリューは敬礼をしながら名前を言う

 

「リゾットさんセリューさん娘をローグをここまで送り届けて下さってありがとうございます。今度ぜひ御礼をさせてください、それでは主人が待っていますので私たちはこれにて失礼します。本当にありがとうございました。」

 

「またねー、リゾットのお兄ちゃん、セリューのお姉ちゃん」

 

母親は頭を下げ、ローグは右手を振りながら帰っていった。

セリューも両手を振る

 

「行ってしまいましたね、ローグちゃんたち」

 

「ああ」

 

「ふふふ」

 

セリューは突然笑いだす

 

「?なんだ、突然」

 

「あっいえリゾットさんって見かけによらずいい人なんですね」

 

「................失礼な奴だな」

 

リゾットは目を細めてセリューの言葉に不信感を覚える

 

「ははは、スミマセンでもあなたが悪じゃないってことは分かりました。あなたは正義感あふれる人です!」

 

「正義感あふれる人か...」

 

リゾットはまさか自分が正義感あふれる人すなわちいい人と言われ顔がうつ向く

 

(俺が正義感あふれる...か.........っふ、皮肉だな)

 

心の中でそう答えるとリゾットは右頬を上げ笑顔を見せる

 

「?...リゾットさん?」

 

急に黙って不敵に笑うリゾットを見て心配そうに話しかける

 

「いや、何でもない」

 

「そうですか?...いやあ...でももし、リゾットさんが悪だったら裁かな...いいえ何でもないです」ニッコリ

 

「~~~」ゾッ!?

 

セリューの人間の顔とは思えない笑みにリゾットは思わずゾッとする

 

(こいつ今、裁かな...と言ったか?俺の聞き間違いか?いや違う、それに今の微笑み只の笑みじゃあない、俺が今まで見た狂人のそれじゃあないか、この女はきっと相手が悪だと思えば慈悲なく容赦なく殺すだろう、どんな些細な悪でもだ!俺もローグについて行ったのは正解だったかもしれん、もしオーガとの出来事を知ればこいつはローグを悪と判定し殺していたかもしれない確証はないが俺の勘は当たるそれに...)

 

リゾットは考えをやめ犬?の方に目をやる

 

「一つ聞きたいんだが...」

 

「はい、なんですか?」

 

セリューはキョトンとしながらリゾットの問いかけを待つ

 

「この生き物はいったい何なのだ?」

 

「ああ、コロちゃんのことですか」

 

「コロちゃん?」

 

「はいコロちゃん、帝具 ヘカトンケイルご心配なく悪以外には無害ですので」

 

(この生き物を使って人を殺すのかと考えていたがまさか帝具とはな、生物型の帝具があるとは知らなかった...とはいえこれで疑心が確信に変わった!セリュー・ユビキタスこいつは要注意人物だ、あまり関わらないようにしよう...)

 

「そうか、それでは、俺も帰るとしよう」

 

そう言ってリゾットは背を向けようとしたその時

 

「あ、ちょっと待って!」

 

「...」ピタ

 

「路地裏を通るときは気を付けてくださいね」

 

「......」

 

「最近通り魔が出て人を殺しているそうです。その死体には体の内側から破壊されて剃刀や釘と言った殺傷力の高い物が散らばっていたとか」

 

セリューは頬を膨らませながら右手の人差し指で頬を突っつきながら淡々と話す。

 

「そんなことが...あったのか...知らなかった(大嘘)...ご忠告礼を言う...では俺はこれで」

 

「はい!気を付けてくださいね!!またどこかで会いましょう、コロちゃん今日のご飯は死刑囚5人でどうですか?」

 

「キュウウウウウウウウウン♡」

 

そう言ってセリューは走り去った

 

セリューが完全に居なくなるのを見届けた後今後について口を開く

 

「さて、いまの俺は一文無しだ、夜になったら金を奪い返し口封じの為に...」

 

 

 

 

 

 

 

 

※タツミ視点

 

「ま...今日のが成功したらお前もわかるさ」

 

レオーネがタツミに優しい顔つきで話す

 

「おう!絶対成功してくるぜ!」

 

それに対しタツミは右手を上げ答える

 

「グッドキル!」ビシッ!

 

レオーネもまたサムズアップし声援を送る

 

「今日が俺の初仕事だ標的は鬼のオーガ...今夜...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※リゾット&タツミ視点

 

 

 

 

「「オーガを暗殺する!」」

 

 

 

 

 

 




店名はオリジナルです。


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第12話 あの森で待ってる①

 遅くなってすみませんただいま実習を行っており中々家に帰ることが出来ない状態なのでしばらくは投稿が遅くなるかもしれません
それでも投稿をやめるということは絶対にしませんのでこれからも応援よろしくお願いします。


今までのあらすじ

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

~夜0時 帝都中央付近~

 

(確か情報ではこの辺りにいるはずだが...見つけたぞ)

 

 リゾットは鬼のオーガがこの時間帯に護衛をつけずに歩いているという情報を得ていた。

 

そしてついにオーガを見つけたリゾットは念のために鉄分を身にまとい透明化している

するとオーガに近づくフードを被った少年の姿を見てあることに気がつく

 

「...あのう、オーガ様」

 

(ん...この声.....まさか!?)

 

ロングコートにフードを深くかぶっているが聞いたことのある声にリゾットはすぐさま相手がだれか理解した

 

(なぜタツミがここに! しかも人当たりの少ない路地裏の方へ入っていったぞ)

 

 

~路地裏~

 

(とりあえず...しばらくの間は見ておくか)

 

リゾットが透明化を保ちながらタツミとオーガのやり取りを見守る

するとタツミが動く

 

「お願いします!! 俺を帝都警備隊に入れてください」ガ  バ

 

土下座をするタツミとそれをただ見つめるだけのオーガ

 

(...タツミのあの行動、何か意味があるな、それにあの声色から本当に入りたいなど微塵も思っていないようだ...そう考えると答えは一つだな)

 

「お金を稼いで田舎に送らなきゃならないんです」

 

「ハァ...んな事だろうとは思ったぜ」

 

泣きながら懇願するタツミと呆れて頭をぼりぼりかくオーガ

 

「正規の手順を踏んでこいボケ!」

 

そう言い放つとオーガは後ろを向く

 

「...ですが、この不景気では倍率が高すぎます」チャキ

 

(ほう、このタイミングで剣を抜くか、しかし相手に気づかれているぞ...タツミ)

 

「仕方ねぇだろ、お前が力不足ってこったな」

 

リゾットの推測通りタツミを怪しく思ったオーガは剣に手をかける

 

ド           ン

 

オーガが振り向いた瞬間、タツミはオーガの胸元を掻っ切る

 

(早い...私が思っていた以上にタツミには才能があるようだ...だがまだ甘いな)

 

リゾットはオーガを倒し切ったと油断しているタツミにまだ甘さがあると見抜く

 その通りで切られたはずのオーガは後ろを向いているタツミに斬りかかろうとしていた

 

(しょうがない...助けてやるか...メタr)

 

クル…シュバ  ガッゴオォ

 

(!?)

 

リゾットがメタリカを発動する直前にタツミはすぐさま振り返り剣を使ってオーガの渾身の一振りを受け止める

 

(あの状態で受け止めるとはな、やるじゃあないか)

 

リゾットはタツミへの考えを少しだけ改める

 

「俺が...このオーガ様が...てめぇみてぇなクソガキに殺られるかよ...弱者が何うめこうが関係ねぇ…強者がこの街じゃ絶対なんだ...」

 

まるで子供が駄々をこねるように人間のそれではない顔で怒鳴り始めるオーガに若干引き気味のタツミとリゾット

 

「俺が人を裁くんだよ!! おれが裁かれてたまるかあ!!!」

 

「勝手なこと言うんじゃねぇ」バッ

 

自分勝手なことを言い放つオーガに切れたタツミはオーガめがけてジャンプし剣を振りかざす

 

しかし...

 

「噴!!!」 ボ  ゴォ

 

力ではオーガの方が圧倒的に強いその為タツミは剣で受け止めることは出来たものの地面に足が叩きつけられる

 

「そうかぁ...さてはお前ナイトレイドの一味だな?」ニタァ

 

「一体誰の依頼だ?心当たりは山ほどあるが...最近だとこの間殺った奴の婚約者か?」

 

「!?」

 

オーガの推測が当たっていた為、思わず顔に出るタツミ

 

「当たりかぁ...やっぱあの女もあん時殺っときゃ良かったなぁ…いや...今からでも遅くはないか!」

 

「まずはあの女を探し出し女の親兄弟を重罪人に仕立て上げて女の前で皆殺しにしてやる...! てめぇを殺った後になぁ...!!」

 

歪んだ顔で依頼者の女とそのかかわりのある物を殺すと宣言するオーガにタツミは怒りでリミッターが外れる

 

瞬間

 

ズボァ

 

「...なっ」

 

オーガの両腕がタツミの剣で斬られ宙に浮く

 

タツミもまた宙に浮き体をねじりながら着地と同時にオーガを

 

ゾクッ

 

切り刻む!!!

 

ドスン

 

今度こそオーガは息絶えタツミは剣を鞘に納め依頼達成をアジトに報告するために帰ろうとしたその時

 

「油断大敵...」

 

「!?」

 

タツミは唐突に声を発した方へと振り返る...が誰もいない

 

「誰だ!?...いや...この声は...確か聞き覚えが」

 

「とはいえ、後ろから体を真っ二つにされそうになった時のあの反射神経、絶望的不利な状態でのあの身のこなし、生まれついての才能だけではない、今までの努力のたわものと言ったところか」

 

そういうとリゾットは鉄分を身にまとうのをやめタツミの前に姿を現す

 

「数日ぶりだな、無事で何よりだ...タツミ」

 

「その姿は...リゾット!?」

 

タツミは不意に現れたリゾットに警戒し剣に手を掛けようとする

 

「落ちつけタツミ、別にお前に何かするためにここに来たんじゃあない、だが暗殺者としては今の行動は正解に近いがな...オーガを暗殺したってことはナイトレイドに所属したというわけか...」サスサス

 

そう言いながらリゾットはオーガの死体に手を掛けポケットにつっこみ自身が渡していたお金が入った小包をとる

 

「私はこのお金を返してもらうため来た、だからお前と会ったのは偶然だ」

 

そういってリゾットは小包を自身の懐にしまう

 

「それと、もしお前か、ナイトレイドの誰かに接触したら伝えておこうと思っていたことがある」

 

リゾットはタツミに指をさしながら言い放つ

 

「奇遇だな、俺もボスからアンタにもしあったら伝えてほしいことがあると言われてる」

 

「そうか、それでナイトレイドのボスとやらは何を言っていたのだ?」

 

「ああ、会って話がしたいと言っていた」

 

「そうか、いいだろう、明日そのボスとやらは居るのか?」

 

「ああ、明日は居るぜ」

 

「ならば、明日の昼3時から6時までの間に帝都から離れたここからまっすぐ行ったところの森の中で待っているとそのボスとやらに伝えてくれ」

 

「な!」

 

リゾットの思いもよらない言葉に驚くタツミ

 

「いいのか?」

 

「ああ正しボス以外に来るものは二人計三人までだ、もし破ればこの話はなかったことにする、場合によってはこちらから攻撃を仕掛ける」

 

リゾットは目を鋭くさせタツミに言う

 

「...分かった、ボスに伝えるよ」

 

タツミもリゾットの言葉に嘘はないと感じたのかその条件に承諾する

 

「そうか」カキカキ

 

リゾットは紙に場所の指定を印タツミに渡す

 

「では、明日あの森で待っている」 スゥ

 

「消えた!?」

 

リゾットはタツミの前から姿を消した

 

 

 

 

※タツミ視点

 

~数時間後 ナイトレイドアジト

 

「どーだアカメ!報告終えて任務終了何とか無傷でやり遂げたぜ、さあ俺を認めろ...」

 

スタスタスタ

 

 

そう言い終えるとアカメはタツミの方へ足を運ぶ

 

「っあ、それとボス暗殺の後リz」

 

リゾットに接触したことをボスに報告しようとしたその時

 

バッ

 

タツミはアカメに服を脱がされる

 

「なっ...なんだ!何すんだ!」

 

「レオーネ、ボスおさえて!」

 

「分かった」

 

「お!なんだかおもしろそうだな」

 

そういうとボスとレオーネはタツミの方へ駆けよりおさえる

 

「いやああああああああ!!」

 

パンツ以外ほぼ全裸になったタツミは胸のあたりをおさえ叫ぶ

 

「よかった」

 

そのタツミの姿を見てアカメは初めてタツミの方へ笑顔を向けた、その笑顔は暗殺者とは思えない純粋無垢な笑顔であった為、タツミも顔を真っ赤にして驚く

 

「強がって傷を報告せずに死んだ仲間を見たことがある、ダメージがなくて何よりだ」

 

アカメはタツミに右手を差し出し握手をする

 

「初めての任務は死亡率が高い...よく乗り越えた!」

 

「あ...ああ」

 

余りの変わりっぷりにタツミはあからさまに困惑する

 

「アカメはお前に死んでほしくないから厳しく当たってたんだよ」

 

「料理は仲間とのコミュニケーション、難しい狩りで暗殺を学ぶ...どれもお前にとってプラスな日々だと気づいていたか?」

 

アカメへの誤解を解くために行動の一つ一つの意味を唱えるレオーネとボス

 

「え...あ...そうなの? ゴメン、アカメ...俺...誤解してた」

 

やはり気づいていなかったタツミは素直にアカメに謝る

 

「いいさ、これからも生還してくれタツミ」

 

アカメは右手を差し伸べる

 

(生還...そういえばあの日アカメに斬られそうになったらリゾットが助けてくれたんだよな...今回も俺がやられそうになったら助けてくれようとしてたんじゃないのか?...それなのに俺はリゾットに刀を向けようとしたのか)

 

「タツミ?」

 

急に目を細め考え込むタツミを観て心配そうにするアカメ

 

「っは! いやわりぃオーガ倒した後のこと考えててよ! これからもよろしくなアカメ!」

 

タツミはアカメと握手するそれを見たレオーネは

 

「服も着ないで何をヨロシクするつもりなんだよ」プッ

 

左手を口元に添えながら笑いだす

 

「お前らが脱がしたんだろうが!」

 

タツミは怒りながら至極まっとうなことを言い放つ

 

「ん?...そういえばタツミオーガを倒した後のことを考えたと言っていたが何かあったのか」

 

ナジェンダは先ほどの言葉が気になったのかタツミに問いただす

 

「ああ、実は、暗殺を終了した後、リゾットに接触したんだ」

 

「「「!?」」」

 

思いがけない言葉に三人は目を見開いて驚く

 

「な、なぜそれを早く報告しない」ドン

 

ナジェンダは立ち上がり机を両手でたたきつけタツミを怒る

 

「いや、言おうとしたさ、そしたらアカメに服脱がされたから言えなかったんだよ」ビク

 

急に怒り出したナジェンダに若干ビビりながら言えなかった理由を言い放つタツミ

 

「そうだったのか、すまない、タツミ」

 

その言葉を聞いて素直に謝るアカメ

 

「い、いやアカメが悪いってわけじゃ無いんだけどさ」

 

素直に謝るアカメの姿に罪悪感が芽生えたのかあたふたするタツミ

 

「それで、リゾットは何て言ってたんだ?」

 

少し冷静になったレオーネが本題に入る

 

「ああ、ボスが話がしたいって伝えたら『そうか、いいだろう』って言ってたぜ」

 

「そんなあっさり!!」

 

一度は姿を消したリゾットがOKを出したと聞いて驚くレオーネ

 

「それで場所の指定もリゾットが決めたんだけどさ、明日の昼3時から6時までの間に帝都から離れた森の中で待ってるって言ってたよ、その場所がこの紙に記されてる」

 

そう言ってタツミはボスにリゾットに渡された紙を渡す

 

「分かった明日の昼3時から6時までだなタツミ」

 

「うん後、条件があるって言ってたよ」

 

「条件?」

 

「護衛は二人までってさ」

 

「ほう...一人でこいではなく、3人までならいいとは、余程自身の能力に自信があるのか、又は3人でなければならない理由があるのか...」

 

そう言って考え込むボス

 

「よし、護衛の件だがタツミお前は来なくていい」

 

「え、何で、俺が言った方が話がまとまるんじゃないか?」

 

自分はきっと行くんだろうなぁと思っていたタツミは理由を聞く

 

「理由か、それはだな、リゾットはなぜかは知らないがお前を守ろうとしたとレオーネから聞いた、もしリゾットにとって気に入らないことがあれば一緒に来たお前を連れて逃げ出す可能性もあるそう思ったからだ」

 

「成程、可能性はなくはないね」

 

「...」

 

「ぐっ、分かったよ...ボス」

 

ボスの推測に納得するレオーネとアカメ 若干の不満はあるもののボスの指示に従うタツミ

 

「だから護衛にはリゾットに一度会っているアカメとレオーネについてきてもらう」

 

「よし、任せてよボス、必ずリゾットも仲間にしてみせるよ」

 

「任務とあらば全力で行く」

 

レオーネとアカメは行くことを決意する

 

「そういうことだ、では今日は解散!もう行っていいぞ」

 

「分かったよ、あ~眠くなってきた先に失礼するぜ」

 

そう言ってタツミは部屋から出て行った

タツミが出て行ったことを見届けるとレオーネは口を開く

 

「なあボスさっきの理由なんだけどさ、タツミには言えない理由もあるんだよね」

 

レオーネはボスに問うするとボスは口角をあげ口に出す

 

「ッフ さすがレオーネだな、そうだタツミが来れない理由がもう一つあるそれは...」

 

「リゾットが勧誘を断ったときにタツミが居たら始末するのを阻止するかもしれないからか」

 

ボスが言おうとしたらアカメが口をはさむ

 

「...さ、さすがはアカメだなレオーネもアカメも気づいていたというわけか」

 

「ああ、だから、タツミは留守番だ、リゾットを始末するかどうかはまず、本人に会って確かめてからだ、今度こそ終了だ明日に備え準備を整えるように」

 

「「了解」」

 

そう言い終えると二人は自分たちの部屋へと戻っていった。

 



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第13話 あの森で待ってる②

9月目には間に合った、待たせてスミマセン


 

 

 

~帝都から離れた森の中

 

時刻は昼3時前

 ナジェンダとレオーネそしてアカメは約束した時間よりも早くに紙に記された森に来ていた

 ナジェンダは罠の可能性があると感じていた為リゾットに悟られないようレオーネに森周辺の偵察にいかせていたのだ。

 

「レオーネ森周辺はどうだった?」

 

「ん~、特に目立ったものや人の気配とかは感じられなかった、罠の可能性はないと思うよ」

 

「そうか、レオーネが言うんだ、今のところは大丈夫そうだな」

 

「......」

 

罠の可能性がないかレオーネに確認をとるボス、それに問題ないとウィンクをしながらサムズアップするレオーネと黙っているアカメはパッと森の中心を見てあることに気づく

 

「ボス、あそこ」

 

先程まで黙っていたアカメが森の中心を指さしながら口を開く

その言葉にナジェンダとレオーネは指をさす方向を見つめる

 

「ん?アレは...煙?」

 

「そうか、もう3時になったし、あれが印かもしれないね」

 

そこには3時前にはなかった煙が立っていた

 

「では煙が出ている方向まで行く、だがまだ罠の可能性が無いとは言い切れない警戒は怠るなよ」

 

「分かってるよボス」

 

「了解した」

 

ナジェンダの忠告を了承した二人

 

「では、行こう」

 

そう言ってナジェンダ達は煙が立つ方向へ歩を進めていった。

 

~数分後

 

「そろそろだな」

 

「うん、ここを抜ければ着くね」

 

「......ああ、奴の姿も見えて来た」

 

煙草をふかすナジェンダ、獣化を解かず進むレオーネ、リゾットの姿が見えてきて刀に手を添えるアカメ

そして遂に目的の場所に到着する

 

「俺は3時から6時までの間までに来いと言った、最悪3時間は待つつもりだったが、まさかこんなにも早く来てくれるとはな」

 

そこには焚火をし丸太に腰を掛け座っているリゾットの姿があった。

 

「お前がリゾット・ネエロだな」

 

「そういうお前はナイトレイドのボスか...手配書と大分印象が違うがその姿を見るに元帝国の将軍ナジェンダっで合ってるか?」

 

ナジェンダに指さしをし問うリゾット

 

「...ああ、お前の言った通り私は元々帝国に所属していた、だがそれより今はリゾットお前に話が合ってきた。」

 

そういうとナジェンダはリゾットの方まで歩み寄る

 

「単刀直入に言うリゾット、ナイトレイドに入らないか?」

 

(よし、思っていた通りレオーネは俺を所属するように頼んでいたようだな、こうもあっさりうまくいくとは、だがしかし俺は一度こいつ等から逃げた身、すぐさまハイ分かりましたと頷くのは怪しまれる、ならばここは条件付きで所属することにすれば問題はないだろう、最初は断りを入れておこう)

 

そう考えたリゾットは口を開く

 

「断る...と言ったら?」

 

「悪いが今ここで死んでもらう」

 

リゾットの問いに真剣な顔つきで答えるナジェンダとその言葉を聞き先程とは打って変わって顔色に変えるアカメとレオーネ

 

「...即答だな」

 

「手配書にないメンバーの顔も見られてるからね」

 

腕を組みながら答えるレオーネ

 

「ああ、そのことか...安心しろその件については誰にも言っていない、街に手配書がないのがその証拠だ」

 

「確かに、手配書はなかった、だがそれは今はないってだけの話だ、これから先お前が秘密にしてくれるという保証はない」

 

ナジェンダは煙草の吸殻を焚火に放り込みそう言い放つ

 

「そうだな、アカメやレオーネにとって俺は合って間もない、お前に関しては初対面だ信用しろというのが無理な話だ、だが一つだけ言っておく俺がなぜ二人までなら護衛をつけていいと言ったか分かるか?」

 

唐突に話の内容をずらすリゾットに違和感を感じたナジェンダだったが質問の内容に口を開く

 

「...3人までなら倒す実力があるからか?レオーネから聞いたお前は相手の体の内部から攻撃ができるとだからこそ3人までならタイムラグなく倒せると踏んだんだろ?違うか?」

 

リゾットの問いに答えるナジェンダその推測を聞き口角を少し上げるリゾット

 

「いや、そうじゃあない」

 

「違うのか?」

 

ここにきてアカメが初めて口を開く

 

「ああ、俺が2人までなら護衛を付けていいと言ったのはタツミをここに連れてこさせない為だ」

 

「なに!?」

 

「「!?」」

 

声に出して驚くナジェンダとほぼ同時に驚くアカメとレオーネ

 

「なぜ、それがタツミを連れてこさせない理由になるんだ?タツミを連れてこさせたくなければ昨日タツミに合った時にそう知らせるように言えばよかったじゃないか」

 

「 口約束では本当に来ないという保証はないし俺がそうタツミに言うことでタツミが俺の弱点と言っているようなものだ、だから俺は考えた。

あの日ナイトレイドのメンバーに直接見られたのはアカメとレオーネだけだ。

だからこそ俺は2人までなら護衛をつけていいと言ったそうすることで護衛は俺に直接会って俺の能力を知っているアカメとレオーネを連れてくると思っていた」

 

「だがそれだけではタツミを来なくさせる理由にはならない!私が護衛にアカメかレオーネのうちの一人とタツミを選んでいたかもしれ...っは!」

 

ナジェンダは疑問を投げつけているうちに自分で気づく

 

「その様子を観るに分かったようだな」

 

「え!何がどうゆうこと?」

 

「.....」

 

動揺するナジェンダと何が何だかわからないと首をかしげるレオーネと黙っているアカメ

 

「私はどうやら勘違いをしていたらしい...お前が2人までなら護衛をつけていいと言ったのは私にタツミが来ないほうがいいと思わせる為だったんだな」

 

「え?どういうことだよボス」

 

「私にはリゾットとタツミの関係性が分からなかった、つまりリゾットは護衛を二人までと言ったのはタツミを連れてきたらリゾットを始末させないよう止めようとすると私が考えると予測していたんだ、だがそれは逆を言うと」

 

「そう、だからこそ俺はその条件をあえて入れたんだタツミが居なければお前たちが何人こようが俺の敵ではないからな」クイ ズバアーーン

 

「「「!?」」」

 

そう言い終えたリゾットは右手首をクイっと回すと同時にそこらへんにいた小動物3匹が体から剃刀やハサミ、釘などが体から噴き出て絶命する

 

(だが、それは俺へのナイトレイドへの勧誘ではなく暗殺一択だった場合の苦肉の策だったがまさかうまくいくとはな...まあ勧誘してもらった今となっては意味のないことだったが)

 

その目を疑う光景を見てリゾット自身が体現できるという言葉が真実であると察する3人

 

(アカメやレオーネの言葉を疑っていたわけではなかった...リゾットは相手の体に触れることで帝具を発動し体の内部を攻撃するとばかり思っていたアカメやレオーネは攻撃を見ていたわけではないが触れずに攻撃できるとは思わなかったはずだ。

だとしてもこんな簡単に生き物を殺すことが可能なのか?奴は飛び道具はおろか指一本触れていない透明化なんかされたらもう終わりだ、そもそもこれは本当に帝具なのか?帝具の性能をやすやすと超えているぞ)

 

ナジェンダ達は目の前の光景に冷や汗をかくと同時に理解してしまった。

 3人同時にリゾットを倒そうとしても自分たちが攻撃する前にリゾットの意味不明な攻撃にやられてしまうと勝ち目はないと肌で理解してしまう。

 

「だが、安心しろ、お前たちが俺を殺そうとしない限り俺もお前たちを殺さない、それにお前たちは約束を守ってきてくれたわけだ俺からお前たちを殺すってのは筋が通らないからな」

 

その言葉にほっとするナジェンダとレオーネ、それとは裏腹に刀に手を添えるのをやめないアカメ

 

(どうやらリゾットは私たちを殺すつもりで呼んだわけではないらしい、それに私達ではリゾットに勝つことはできない、良くて1人運よく生き残るかだろう、だが逆を言えばそれは味方であればこれほど心強い物はないレオーネが仲間にしたいと言ったことが真の意味で分かってきたぞ)

 

ナジェンダが右手の親指人差し指をあごにつけながら考えているとリゾットから思いもしない言葉が出てくる

 

「脅すようなことをして悪かったな、実は条件次第でナイトレイドに所属しても構わないと思っていたんだ」

 

「なっ!それは本当か!!分かったその条件をのもう」

 

「ちょっ、いいのか条件を聞く前に了承して」

 

リゾットの条件を無条件でのもうとする普段では絶対にありえない姿を見せるナジェンダに驚き冷静に答えるレオーネ

 

「ああ、そうだなすまないレオーネ、それで条件というのは?」

 

「3つあるがそうだな1つは報酬が俺の納得のいく額でなければ暗殺は拒否する」

 

「報酬の面では安心しろナイトレイドは羽振りがいいんだ」

 

「そうかすまないな、昔、色々あってな...では2つめは俺の過去や俺の素性に関しては一切触れるな、答えられるものではないからな、だがこれだけは言っておく、俺がナイトレイドに所属したらお前たちが裏切らない限り俺もまたお前たちを裏切らない」

 

リゾットはナジェンダの目を真剣にじっと見つめ言い放つ

 

(あの真っ直ぐな目、どうやら嘘は言っていないな)

 

「分かったそれも了承しようそれで最後の一つは何なんだ?」

 

「最後の一つそれは...」

 

「それは」

 

「「ゴク」」

 

もったいぶってじらすリゾットに何か大きな要求をするのではないかと内心ひやひやのナジェンダとつばを飲み込むアカメとレオーネ

するとついに口を開く

 

「俺はナジェンダをボスと呼ばない!名前で呼ぶ!!以上だ」

 

「「「........え?」」」

 

余りにもあっけない要求で唖然とする三人

 

「そんなことでいいのか?別に構わないが実質二つだぞ条件いいのか?」

 

「ああ、いいんだ、俺はもう上司にボスと呼びたくないんだ、それも昔色々あってな、約束通り詮索はするなよ」

 

「分かった、では最後にこちらから一ついいか?」

 

「なんだ?」

 

「なぜ、条件付きとはいえナイトレイドに所属していいと思たんだ」

 

「あっそれ私も思ったこの前に逃げたお前が何で所属する気になったんだアカメも知りたいよな?」

 

「...ああ」

 

(やはり、所属理由を聞いてきたか、一応イルーゾォに言っていいかほかのメンバーに確認をとってきてもらったが了承は得ていたしやむをえん、話すか)

 

「...分かった、話そう、お前らも俺が所属する動機がなければ不安だろうしな、1カ月前2人の成人男性が体をばらばらに刻まれその後1週間生きていたというみせしめがあったんだが分かるか?」

 

「...ああ、覚えてるよ、帝国で拷問する奴が変わったとたんありえないみせしめが増えたからね...体を刻まれて1週間生きてたんだ、忘れろってのが無理な話だ...それでそれがリゾットとどう関係するんだ?」

 

レオーネが歯を噛み締めながらリゾットの問いに答え、リゾットとの関係性を問うするとリゾットの口から思いもしない言葉が出る

 

「あのみせしめにされていた2人は俺のチームに所属する仲間だ」

 

「っな!」

 

「...!?」

 

「なに!?それは本当かリゾット!?」

 

その言葉に驚くナジェンダ達と悲しそうにうつ向き続けるリゾット

 

「ああ、みせしめにされた仲間の名は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ソルベとジェラートという」

 



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第14話 ヒットマンは一度死んで蘇る①

大変お待たせいたしました。
実習の方がひと段落着いたでやっと出せる!
では過去編、始まります。


 

 

時はリゾットがイルーゾォと再会した時期に遡る

 

 

 

 

イルーゾォはリゾットが異世界に召喚、すなわちここに来る前に何が起こったのかを話し始めた。

 

「これを聞けばお前もナイトレイドに所属しろと言った俺の言葉の意味を理解するだろうぜ...実はな...」

 

 

~リゾットが異世界に来る2ヵ月半くらい前~

 

そうこれは俺がこの世界に来る前に遡る...

 

(やっ.........やっやったーーーツ、止めたぞっ!このままこの腕をこの破片につっこんでやれーー!)

 

この世界に来る前、俺はフーゴのスタンド、パープルヘイズに首を掴まれ右の拳に付着している3つの殺人ウィルスが入ったカプセルを叩きこまれそうになっていた。

 

この時の俺は新入りのジョルノジョバーナって名前の、ものおおじのしねえやけに冷静なガキの策にまんまとハマり右手を失っちまった。

 

それでも俺のスタンド、マン・イン・ザ・ミラーで何とかフーゴのスタンドの右腕を止めることが出来たんだ。

 

俺はすぐさまパープルヘイズの右こぶしを鏡の世界に送ろうとしたが思いもしねぇ誤算が生まれた。

 

  ポロ ポロ

 

バッシ! 

 

「え?」

 

ピキ

 

ピキ ピキ

 

 

ピキ ピキピキ

 

「なっ」

 

 

ピン! ピン! ピン!

 

「なあああああああああああんだってエエエエエエエエエエえええええ!」

 

プッシャアアアアアアアアアアア

 

殺人ウィルスの入ったカプセルだけが拳から俺が押し付けられていた、壁の方に発射されその影響か表面が割れ、ウィルスが噴出したんだ。

 

その後は30秒もたたないうちに体がドロドロに溶けていった。こんな体験後にも先にももうないだろうな

 

「ウッバッシャアアアアアああああ」ドスドスドスドスドスドス

 

さすがの俺も死を覚悟したぜ、次に目が開いたら地獄にいるだろうと確信した。

 

だが............

 

「うわああああああああっは!」

 

次に目を開けると人通りの多い街並みにいた。

 

「なんだーあの兄ちゃん、急に大きな声上げたぞ?」ヒソヒソ

 

「かわいそーに、帝都の生活に耐えられなくなって狂っちまったか?」ヒソヒソ

 

近くで見ていた人々は危ない奴と思ったのか関わらないようにと距離を離しながら歩行している。

 

(なっ何だってんだ~、どこなんだよ、ここは、ポンペイじゃあねえ...それになくなったはずの右手も、ドロドロになっちまった体も、何事もなかったかのように正常だ!)

 

イルーゾォは驚いていた、何せついさっき彼は右手を失い体が、ドロドロになって死んだのだ、それなのに目を再び開けたら五体満足で知らない土地に、突っ立っているこの状況に驚きと同時に困惑していた。

イルーゾォは過呼吸になり体の穴という穴から大量の汗を流す、モコモコのダウンジャケットを着ているせいもあってか尚苦しそうに見える、それも無理はない体が解けたときの感覚がいまだに残っている、奇妙だが先ほどまで体がドロドロに溶けていたとは思えないほど、彼の体は人の形を保っている。

 

だが、それ以上に驚くことが起ころうとは今のイルーゾォは思いもしないだろう...

 

なぜなら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は~、しょうがね〜なぁ〜」

 

聞き覚えのある、声がイルーゾォの後方から聞こえた。

 

イルーゾォはゆっくりと後ろへ振り返るするとそこには

 

「...おい、嘘だろ、何でおめぇが、死んだはずじゃあねえか!」

 

「ナランチャのヤローにしんどくなるって念を押したってのにさっそく、俺以外の死人がでちまったみてぇだな~」

 

目を見開いて驚いたイルーゾォの目の前に立ちながら嫌味なふうに口を開いている男は自分が死ぬわずか数時間前にナランチャに殺されたはずの...

 

「よう、イルーゾォ」

 

「ホ、ホルマジオ!」

 

ホルマジオの姿であった。

 

「生きてたのか!いや、お前のさっきの言い回しだと...俺もお前も死んじまってるってことになるが」

 

イルーゾォはホルマジオに近づき指さしながら続ける。

 

「俺もお前も死んじまってるか...そうだな、俺もお前も死んださ、まあ一度な」

 

「...一度?」

 

ホルマジオはこの状況この状態に慣れてしまっているのか汗をかき動悸が止まらないイルーゾォとは対照的に冷静に余裕の表情で続ける

 

「まぁ、飛ばされて早々でわりぃがよお~」 シュッ

 

そうゆうとホルマジオは帝都の中央から離れたあたりに指さしこう続ける

 

「ちょっと、俺たちの拠点までついてきてもらうぜ」

 

イルーゾォは拠点の場所についていく途中に、ホルマジオに今いる場所がイタリアではなく帝国という大都市であり、前にいた世界とは別の異世界であると知らされる。

そのホルマジオの言葉に半信半疑であった、イルーゾォであったがその真剣で真っ直ぐな目を見て冗談ではないと確信する。

 

それから数分後

 

「クク、あっはっははは、イルーゾォそんなくだらねぇ理由で死んじまったのか?あんだけ俺の能力を侮辱してたやつが自身の能力に慢心して死んじまうたぁ、傑作だぜ!」

 

ホルマジオは腹を抱えて大笑いしている、それを見たイルーゾォは

 

「うるせー、第一、一番最初に死んじまった奴にいわれたかあねぇぜ」

 

と右拳を握りしめながらキレる

 

「それでも、てめぇよりはましだったぜ?」

 

普段自身のスタンド能力を馬鹿にされているのもありイルーゾォのあっけない最後をこれでもかというぐらい馬鹿にするホルマジオ

 

「テェンメ~」

 

さすがに堪忍袋の緒が切れたのかホルマジオに殴り掛かりそうになったその瞬間

 

「着いたぜ、ここが俺たちのアジトだ」

 

ホルマジオが立っている1メートル先には可もなく不可もなくこれと言ってぼろくも立派でもない普通よりは少し小さめの家が建っていた。

だがその家のことよりもイルーゾォはホルマジオのある言葉に疑問を持っていた。

 

「あ?俺たち?ここ来る前も言ってたがよ~俺たちってお前以外に誰がいるってんだよ?」

 

「...まぁ、入れば分かるぜ」

 

そうホルマジオが口にすると玄関をくぐりドアに手を掛け開く

 

「帰ったぜぇ」

 

両手を広げ進む

 

「!?」

 

「...来たか、今日はやけに早かったなって、これはとんだサプライズだな」

 

「...へぇ~、今度はイルーゾォまでこっちに来たんだね」

 

そう口にしたのは2人組で他にもソファーがあるというのに1人用のソファーに2人で隙間なくべったりとくっつき今にもキスをしてしまいそうな距離感の成人男性の2人組であった。

 

「おいおいおいおいおい、嘘だろ!こいつはますますホルマジオの一度死んで生き返ったって仮説に信憑性がでてきたじゃあねえか」

 

そう言って何かを懐かしむようなもう会えないと思っていた二人を見てこう続ける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「2年ぶりじゃあねえか、ソルベ、ジェラート」

 

 

 

 

 

 

 





ソルベとジェラートの話し方は完全に私のイメージです。


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第15話 ナイトレイドのリゾット・ネエロ

本当は過去編の続きを投稿しようと思っていたんですが、書いているうちに、この小説のネタバレになってしまうと判断した為、又次の機会に過去編を書こうと思います。


 

 

 

 

~帝都を離れた森の中央付近~

 

「と言っても私がそのことを知ったのは二人が息絶えた3~4週ごろ、ちょうどナイトレイド、即ち、アカメやレオーネに出会った後だがな」

 

「そうか、だから、あの時、所属する動機がないから姿を消したのか」

 

レオーネはなるほどねと腕を組みながらうんうんと首を縦に振る

 

「2年だ........」

 

「「「...」」」

 

唐突に顔をうつ伏せに向くリゾットが声色を変え発した為、アカメたちは口を閉じ次に出てくる言葉を待つ。

 

「俺はまた仲間を殺された」

 

 

「ソルベとジェラートを拷問し、切り刻み、それだけでは飽き足らず皆の前で晒し上げたゲス野郎が帝国に所属しているという情報を私達は掴んだのだ!」

 

リゾットは殺された仲間の名前を発したとたん急に立ち上がり感情のままに言い放った。

 

 

 

今まで溜まっていた感情が爆発したのだ。

 

 

 

 

 

リゾットは迫真の表情で両腕を広げ、拳を握りしめながらナジェンダ達に顔を向け所属にいたった理由を話した。

 

アカメやレオーネがリゾットと出会ったのはつい最近であり、接した時間も今を含めて40分もない、ナジェンダにとっては今日初めて会い15分経ったか経ってないかである。

 

それでも彼女達はリゾットが感情を顔に出さないタイプであるとタツミに聞いておりアカメやレオーネも出会った時からそうなのだと思っていた。

 

現にリゾットは村雨の能力が一撃死と知っていたにも関わらず、アカメの一撃を受けてなお、平然とすました顔をしていたし(汗は掻いていたが...)あのサディスト一家の拷問部屋を見ても表情一つ変えずにいた。

 しかしタツミが無事だと分かったときは口角を少し上げ微笑んでいたり、イエヤスの最後の言葉に顔をうつ向き、背を向け顔を見られないようにし、イエヤスの言葉に優しく同意した。

 

だからこそ表情や声色を変えず淡々と話していた彼が、大切に思っていた仲間が殺されたと目を見開き、額には血管が浮き、口を大きく広げ、大声で話す様は嘘偽りがなく、本当に心の底から仲間の死を嘆いているようにナジェンダ達は感じた。

 

 

 

自分を見るナジェンダ達の表情を見て我に返ったのか、リゾットは再び丸太に座り、両手を口の前で組んだ

 

「...すまない、つい、感情的になってしまった。」

 

冷静さを取り戻したリゾットは目の前にいる3名に謝罪する。

 

「いや、謝ることはない、私の方こそつらい経験を話させてしまってすまない。」

 

ナジェンダはそう口にすると頭を下げる。

 

それを見たアカメとレオーネも頭を下げる。

 

「でも、これでリゾットの疑いも晴れたし仲間にするってことで無事、解決したってことでいいんだよね!ボス」

 

レオーネはサムズアップをしながらナジェンダに問いかける

それに対しナジェンダは

 

「ああ、リゾットへの所属理由への疑いも晴れたことだ、これで正式にナイトレイドのメンバーn」

 

「すまない、ボス、一つだけ疑問に思うことがあるのだが、いいか?」

 

ナジェンダの言葉を遮り右手を上げ疑問をぶつけたのは、リゾットをいまだに警戒しているアカメだった

 

「アカメが話の途中で遮るなんて珍しいな?」

 

それに続きレオーネが不思議そうに首をかしげる。

 

「ああ、構わないぞ、どうしたアカメ?」

 

ナジェンダがアカメの発言を許可する

 

「話を聞く限り、リゾットは仲間になる為に来たんだろ?なら条件を受け入れる必要はなかったんじゃないか?」

 

「「あ!」」

 

その言葉にナジェンダとレオーネが同時に口を開く

それに対してリゾットは

「......まあ確かに、俺はお前たちに攻撃されない限り、初めから所属しようと考えていたからな、だが、俺はあの時、一度お前たちから姿を眩ませている、それなのに、いきなり仲間にしてくださいって頼むのは怪しまれるし虫が良すぎるんじゃあないかと考えた、だからこそ反抗的な態度を示した後、条件を提示した。」

 

「始めっからねぇ、なら条件をなかったことにしても良いってことだよな」

 

レオーネは閃いたという表情と態度でリゾットの方に人差し指を向ける

 

「いや、初めから所属するつもりだったとしても約束は約束、【俺の過去を探らない】【俺が納得のいく報酬】【ボスをナジェンダと呼ぶ】の3つはこれから先も守ってもらう」

 

「実質2つじゃん!?」

 

レオーネが突っ込む

 

「ふっ...そこまで考えていたとは...リゾットお前の方が一枚上手だったというわけだな...分かった今でもその条件は有効だ、ただし.......」

 

「ただし?」

 

ナジェンダの目が突然鋭くなったのをリゾットは見逃さない

 

「裏切りは絶対に許さない、もし裏切ればどこへ逃げようと必ず追い詰めて息の根を止めてやる...肝に銘じておけ」

 

ゾッッ

 

(声色、鋭い目、顔の表情、仕草、全部に嘘偽りがない!さすがは元帝国の将軍だった女だ、こいつには、いや...こいつ等にはやると言ったら殺る、凄みがある!!)

 

ナジェンダの言葉に後ろにいた2人の顔も覚悟を決めた暗殺者の顔になっていた。

リゾットは自身への命の危険を感じたもののそれ以上に心強いと思った。

 

「言ったはずだ、お前たちが裏切らない限り私は裏切らないと」

 

リゾットもまたナジェンダの目をまっすぐに見据える

 

「...ふっ、そうだったな、では、これで正式にお前はナイトレイドの一員になったということでいいか?」

 

ナジェンダが納得したように微笑みリゾットに義手ではない方の手(左手)差し出す。

 

「ああ、これからよろしく頼むナジェンダ」

 

そう言ってリゾットは左手を差し出しナジェンダと握手を交わす。

 

 

 

 

「ああ、期待しているぞ、ナイトレイドのリゾット・ネエロ」

 

 

 

 

 

こうしてリゾットは無事ナイトレイドに所属したのである。

 

 

 

 




次回は敵サイドの話をしたいと思います。


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第16話 帝国のスタンド使い

遂に敵のお話ができる!


 

 

 

リゾットが、正式にナイトレイドのメンバーに所属した同時刻、帝国では...

 

 

~帝国(王室)~

 

 

「内政官ショウイ」

 

広い部屋の出入りする扉から真ん中の端には、十数人の大人が立っていた。

真ん中から階段があり、その上段の上には如何にも、国のトップが座っていそうな椅子とそれに座っているまだ、王になるにはとてもじゃないが、幼すぎる子供が杖を持って座っている。

その子供が階段下で、頭を垂れる男の名前を口に出しそのまま続ける。

 

「余の政策に口を出し、政務を遅らせた咎により貴様を最高責任拷問官の切り裂き生き地獄の刑に処す」

 

「―――――――!!」

 

ザワ  ザワザワ

 

その子供の言葉に内政官ショウイを含めた周りの大人たちが騒めく

 

「これで良いのであろう大臣」

そう言葉に出すと右の方へ顔を傾ける

 

「ヌフフ、お見事です」

 

そう口に出し子供の右後方から歩み寄って来たのは右手に肉の入った壺を持ち、左手で肉を口元へ運びムシャムシャ食べている髭を生やした大柄の肥えた男であった。

 その大柄の男の後ろには陰であまり見えないが2人組の男が立っていた。

 

「また、肉か?良く食べるなあ」

 

「フフフ、活きが良いうちにいただきませんとね、ヴォーノ ヴォーノ♡」

 

普通ならこのような場に肉をいや食べ物を持ち込まない、相手が子ども(陛下)とは言え注意されることがない、その光景はあまりにも異常であり、周りにいる大人たちも感づいているのか、顔を下に向けている、誰一人として、口を出さないのである、それだけで大臣の権力が圧倒的なことを物語っている

 

正し一人の男を除いて...

 

「クッ」

 

(大臣め、まだ幼い陛下を騙しいいように操り、自分の気に入らない物を潰すとは!!これが人間のすることか?このままでは、あの、人の絶望の表情や苦しむ姿にしか興味のない最低最悪のゲス野郎に死よりも恐ろしい目にあわされる!!ここはイチかバチか!!!賭けに出るしかない)

 

このままだと本当に刑に処されると考えた、内政官ショウイは子供である陛下が大臣に騙されていることを口頭で伝えようと口を開いた

 

「陛下は大臣に信頼されております!!どうか民の声に耳を傾けず見捨ててください!!!.....っは?」

(陛下は大臣に騙されております!!どうか民の声をお傾けください!!!)

 

「!?」

 

「フン」ニヤリ

 

ザワザワ ザワザワ

 

その言葉に陛下は驚き、大臣はその言葉を言うと知っていたのかニヤリと不気味に微笑む

周囲は何を言ってるんだと困惑、騒めいている。

だが一番困惑しているのはその言葉を発したショウイであった。

 

(なんだ今のは?私が言ったのか?馬鹿なありえない、いったい何がどうなっているのだ?)

 

「もうよい、貴様には心の底から失望した、余が民を見捨てるわけがないだろう!!」

 

先程の言葉に陛下が怒る

 

「もう顔も見たくない、サッサとその重罪人を拷問官へ引き渡せ」

 

「早く連れて行ってください!陛下、全て私の本心です」(待ってください!陛下、今のは、私の本心ではないのです)

 

「拘束して、早く引き渡せ!」

 

陛下がそう言うと周りにいた兵たちがショウイを押さえつける

その光景を目にしながら大臣はショウイの方へ足を運び近づく

 

「まだ、そんなことを言うんですかショウイ殿」

 

そういった後、大臣は押さえつけられ動けなくなったショウイの耳元に口を近づけ誰にも聞かれないようこうささやいた

 

「安心してください、切り刻まれても1週間は生きてられます...それはそうと、残された貴方の美しい細君は私にお任せ下さい、面倒を見てさしあげますよ、切り刻まれた後のあなたの目の前でねヌフフフフフフ」ボソボソ

 

「~~!?」

 

大臣が耳元で囁くのを終えるとショウイを取り押さえている兵が察したのか引きずりながら扉の方へと運ぶ

 

(こ.........こんなことが...まかり通ってもいいのか!!!罪には罰が必要なんだ...誰でもいい...頼む!!!)

 

(この悪魔に然るべき報いを)

 

バタン

 

ショウイは扉の向こうへと消えた...

 

それから少しの時間が経った頃、帝国のとある一室では

大臣と2人の青年が御馳走が並んだテーブルの前で座っていた。

 

「いやぁ、本当にあなたのスタンド?でしたっけ、帝具とは別ベクトルで役に立ちますねぇ、ホント、ショウイ殿のあのポカンとした顔は滑稽すぎて私、笑いを隠すので必死でお肉4キレしか喉を通しませんでしたよ」ゲラゲラゲラ

 

「お褒めに預かり光栄です...オネスト大臣」

 

「いや~、冗談抜きで貴方のスタンド能力は評価してるんですよ、戦闘向きではないが、こういう政治的場面ではまさに無敵ですねぇ~」

 

そう言うとオネスト大臣は自身の顔よりも大きいパイを一口で食べきる

 

「そういえば、オネスト大臣、前に仰っていた、あのショウイと裏で繋がっていた男を始末しておきました。」

 

その食事シーンにすこし驚きながらもオネスト大臣に声を掛けたのはもう一人の男

それに対してオネストは目を見開く

 

「もうですか!やはり帝国内で暗殺してもらうにはあなたに限りますねぇ、何せ水さえあれば何処でも暗殺可能ですからねぇヌフフフ」

 

「水は蛇口、飲み物、風呂、雨、それだけではありません、人間の汗や涙そして血もまた水ですからほぼ制限がないと言っても過言ではありません」

 

オネストに褒められた、もう一人の男はまだ自分にはそれ以上の価値があると能力の優位性を語る。

 

隣の男も目を閉じうんうんと頷く

 

「やはりあなた方を私、直属の部下にしてよかったですねぇ、これからも期待していますよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ティッツァーノ殿にスクアーロ殿」

 

 

そう名前を出しニヤつく大臣の顔が不気味過ぎて2人は少し苦笑いをした。

 

 

 

 

 

 

 




この二人出すの迷った。


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第17話 仲直リゾット

皆さんお待たせしました、ナイトレイドメンバーの本格参加です。




 

 

 

 

 

~ナイトレイドアジト~

 

 

 

先程、森から無事にナジェンダ、アカメ、レオーネの三人が帰ってきた。

その無事な姿を目で確認しホッと胸をおろす少年がいた

その少年の頭の上にはゴーグルが掛かっており髪の色は緑色で手の5指の先には尖がった物が付いていた。

 

「おかえりなさい!ナジェンダさん、アカメちゃん、後レオーネ姉さん」

 

「ああ、今帰った、見張りご苦労だったな」

 

「私はついでかよ!ラバ」

 

ナジェンダは役目を果たしたラバという名前の少年に微笑むように返答し、逆にレオーネはついで扱いされたように受け取ったのか、ラバの頭を胸と右わきに挟め腕を回し首を絞める

 

「いででっで、ごめん、ごめんってレオーネ姉さん、わ、悪気はなかったんだよ...デヘヘ」

 

ラバは首を絞められているというのに謝りながらもいやらしい顔をしていた

 

その顔を見て察したレオーネはすぐにラバを開放する

 

「あ、やめちゃうんだ...」

 

心なしか若干、不満そうな表情をしていたがあえて誰も突っ込まなかった

 

「それで、ナジェンダさん、勧誘に行った男ってのはどうなったんですか?」

 

先程までのいやらしそうな顔は消え、真面目な顔と声のトーンでナジェンダの目を見て彼は返答を待つ

 

「ああ、そのことについては、皆が集まってから話そうと思っていた、すまないがラバック、みんなをいつもの部屋に連れてきてくれないか?」

 

「了解」

 

それを指示として受け取ったラバックは他のナイトレイドメンバーを会議室へ来るように伝える為、後ろを振り向き走っていった。

 

「では私たちは先に会議室の方へ行くとするか」

 

ナジェンダがそう言うとアカメとレオーネは頷きナジェンダと共に会議室へと足を運んだ。

 

 

~ナイトレイドアジト(会議室)~

 

しばらくすると続々とナイトレイドのメンバーが集まってきたそのうちの一人にタツミの姿も見受けられた。

 

そして最後に入って来たのは自身の指先よりも長いピンク色のポニーテールの髪型をしたとても暗殺者とは程遠い華奢な女の子が入ってきた

 

「待たせたわね」

 

「おまえ、普段は俺に早くしろとか言うくせに自分はいいのかよ」

 

一番最後に入って来たというのに謝らず堂々とした態度の少女に腹が立ったのかタツミが指をさしながら口を開く

 

「はぁ?、新人のくせに何偉そうなこと言ってんのよ、新人は口答えしないでただ黙ってればいいのよ」

 

「なっ!!」

 

余りの暴言に口を開いて驚くタツミと顔をプイっと反対方向へ向く少女

 

「そこまでだ二人共、まずはボスの話を聞こうぜ...それでボス、話っていうのは例の...」

 

まあまあと二人の間に入ったのは、リーゼントヘアの笑顔がさわやかな長身で筋肉質な男であった。

 

「ああ、例の...リゾット・ネエロのナイトレイド所属が正式に決まった」

 

そのリゾットの所属決定にそれぞれが違った反応を示す

 

「そうか、まあレオーネが仲間にしたいって言ってたほどの男だ安心だろう、それに体と体でぶつかり合えば、もっと分かるだろうしな」

 

なぜか顔を赤らめているリーゼントヘアの男

 

「ふん、そうなの、足引っ張らなければいいけど」

 

そっぽを向いてまだ見ぬ新入りに陰口を言うマイン

 

「仲間になったんですね、殺さなく済んでよかったです」

 

真顔で物騒なことを言う眼鏡をかけた女性、冗談なのか本気なのか反応に困る

 

「は~、そうか入っちまったか、これで男が4人になっちまった、俺のハーレム計画が...」

 

己の欲望に忠実なのか、良く誰もが引きそうなことを口に出して言えるなこの少年は

 

「...」

 

タツミはリゾットが所属すると聞いて一瞬、驚いた顔をしたがすぐに顔を下に向き拳を強く握り黙っているだけだった

 

「それで、リゾットと名乗る方は今どこに要るんですか?」

 

眼鏡をかけた女性が気になったのかそのことについて触れるとナジェンダはフフフと口角を上げ口を開く

 

「シェーレ、そのことなんだが、実はもうすでにこの部屋にいるんだ」

 

「何を言ってるんですかナジェンダさん?」

 

急にわけの分からないことを言うナジェンダに突っ込むラバック

 

「まあ、見てなって」パチン

 

皆のポカーンとした表情を見ながら指を鳴らすレオーネ

その瞬間

 

「なるほど...これがナイトレイドか」 シューーーン

 

「「「「「!?」」」」」

 

「......」

 

突然、目の前に長身の変な玉の付いたフードを被った男が表れた。

 

タツミを含めたナイトレイドのメンバーは急に目の前に現れたリゾットに驚きを隠せない

しかし一人だけ違う反応をしていた男がいた

 

「...」 スタスタスタ

 

その男は急に現れた、リゾットの方へ足を運ぶと右手を差し出しこう言った。

 

「俺はブラートってんだ、よろしくな」

 

その紳士な反応を見てやっぱりなという表情をしたリゾットはブラートと名乗るリーゼントヘアの男の右手に握手を交わしこう続ける

 

「リゾット・ネエロだ、やはりブラート、お前は俺の存在に気付いていたようだな。」

 

「ああ、まあな」パチ

 

リゾットの問いに当然といった態度で答えるブラート

 

「それにしても驚いたな、ちょいと細身だが、俺よりも身長が高い奴が来るなんて」

 

「いや、驚くとこそこじゃないでしょ」

 

ブラートは事実を言ったのだが、ラバックは驚きどころが違うと突っ込む

 

「何で分かったんだブラート?私ら三人(ナジェンダ、アカメ、レオーネ)は当然、知ってたけど?」

 

不思議そうにブラートの顔を見ながら、顔を傾けるレオーネ

 

「ああ、理由かそうだな最初はなんか知らない人の気配を感じたんだんだが、殺気がないし、気配も薄かったから勘違いだと思ったんだ、だが、レオーネとアカメの間に一人分、空いてあったのが気になって目を細めて、ジーっと見たら薄っすらと見えたんだよリゾットの姿がな、あっ、けど、いる位置が分からなかったら大抵は気づかないと思うぜ」

 

理由と共にフォローを入れるブラート

その言葉に顎を右手で支えながら少し考え混むリゾット

 

(なるほどな、この世界も場所や環境によって鉄分の量というのは異なる...か、ここの部屋はあのサディストの家に比べて鉄分が少ないのか、良い情報を得た、ブラートには一応感謝しておこう)

 

リゾットが考え事を終え右手を下すとゴーグルの少年が近づいてきた

 

「へぇ、話では聞いてたけど、まさか、本当にブラート以外で、透明になれるやつがいるとはな、俺はラバックよろしくな」

 

ゴーグルを付けた少年がサムズアップをし自己紹介をする

 

「フン、新人にしてはやる方じゃない、褒めてあげるわ、でも勘違いしないでよね、あんたは新人、私が先輩なんだから!...一応名前は言っておくわ...マインよ」

 

一応リゾットを認めたのかタツミの時と比べると多少はマイルドに自己紹介をするマイン

 

「私はシェーレと言います。よろしくお願いします。...ええっと.....リソットさん?」

 

先程、名乗ったばかりの名前をもう忘れているのはリゾットが一度(ステルス化していた為、一方的に)会った眼鏡をかけた女性は人差し指を顔に向け顔を横に傾げる、やはりあの時と言い、今と言い天然なのだろうかとリゾットは思った。

 

だがそれ以上に気になったのはずっと喋らずリゾットから視線を離しているタツミの姿であった。

さすがにこの状態でいるのも気まずいと思いリゾットはタツミに話しかける

 

「タツミ、俺が目を合わすたびなぜ目を背ける?」

 

「は、はーーー、べ、別に目ぇそ、背けてねぇしぃー、ふ、普通だしー」

 

明らかに普通ではない態度をとるタツミ、それもそのはず、リゾットはイエヤスの願いを聞いて行動してくれたというのに勘違いをしてリゾットを殴り、あげくの果てはオーガの時に再会したときは自身の身を案じてくれたリゾットに刀を向けたのだ、タツミも合わす顔がないのだろう

 

(な、なにやってんだよ、俺、決めただろ、リゾットに謝るって、でも、なんて声かければいいか分からねえ)

 

「ナジェンダ、そろそろいいか?」

 

「ああ、良いぞ」

 

タツミが大量の汗をかきながら頭を抱えながら考えているとボスに何かの確認を取ったリゾットが腰に巻いていた大きな風呂敷を取り出し中身を出していく

 

「弓と剣?」

 

「なんで急に」

 

唐突にその物品を広げたリゾットに?マークを頭のテッペンにつけるラバックたちと

事情を知るアカメやレオーネは真面目な顔付きで黙る

 

「ちょっと、何で弓と剣なんか出すのよ」

 

そう言いながらマインがリゾットに人差し指を向けたその瞬間

 

ポロ ポロポロ

 

「その...弓と剣って」

 

震えた声で大粒の涙を流しながらタツミはリゾットの方へ語り掛ける

 

「ああ...これはサヨとイエヤスの残した...形見だ」

 

リゾットも涙を流すとまではいかないがどこか悲しそうな表情でタツミの問いに答える

 

「...すまない、本当なら衣服を持っていきたかったが、これしか見つからなかった」

 

リゾットは目線を外すことなく大粒の涙を流すタツミの顔を見つめながら謝る

 

「すまない...すまないだって...」

 

もはや誰一人として二人の間に入るものは居なかった、リゾットとタツミ以外の人は、ただ見つめることしかできなかった。

 

「謝るのは、俺の方だ、リゾットは悪くないってわかってたのに、あの日、俺はあんたを殴っちまった、リゾットだって辛かったはずなのに、俺のせいじゃないって俺は楽になる為に、リゾットに責任を押し付けちまったんだ!」

 

「...タツミ」

 

「「「「「「「......」」」」」」」

 

今まで胸の内にため込み押し殺していた感情を放出させるタツミの本心を聞きアカメはタツミの名前を呟いていた。

 

「本当にすまないリゾット、あんたは本当に悪くないのに許されるならなんだってするよ、殴ってくれたっていいだから!?」

 

「そうか...分かった、ならば、殴ろう、思い切り」

 

握りこぶしを造りタツミの方へ駆け寄るリゾット

 

「え?」

 

今まで黙っていたリゾットがいきなり口を開いたしかもその内容が信じられない物であった為、タツミを含む他のメンバーたち聞き間違いかと思ったが次の瞬間そうではないと思い知らされる

なんとリゾットは

 

バッシイィン

 

「ブフェアアアア」

 

ド   ン

 

右フックで思いっきりタツミの顔面を殴ったのである。

 

「「...」」

 

「な、殴った」

 

「ふ、普通、殴るか?」

 

「お、思っていた以上にやばい奴だったのか?」

 

「にゃっはははー、お姉さんちょっとドン引き」

 

アカメとボス、マイン、ラバック、ブラート、レオーネはその行動に困惑し、シェーレは皆さんどうかしましたか?とキョトンとしている

 

「...タツミ、俺は別にお前に怒ってないし恨んでない」

 

「「じゃあ、何で殴ったんだよ!」」

 

ラバックとレオーネがツッコム

 

「...」

 

タツミは左頬を押さえながらリゾットの方を見つめる

 

「お前のような男は、一度自分を責めたら、一生自分を責める、俺がお前を恨んでないとしてもだ、だからあえてお前をぶん殴ることにした、だからこれでお互いチャラってことだ」

 

「で、でも、俺は実際!」

 

「まだ言うのか!俺がもういいと言ったんだ、俺がお前を殴った時点で、この話は解決したのだ!!これ以上、自分を責めて見ろ!今度は殴られるだけじゃあ済まねえぞ!」

 

それでも自分を責める、タツミの胸ぐらを左手で、掴み右手の人差し指をタツミに、向け説教をするリゾットを、前にタツミは首を縦にはいはいと何回も振る

 

「そうか、ならいい」

 

そう言うとリゾットはタツミの胸ぐらから手を放し、くるりと振り返りナジェンダ達の方を向きこう続けた

 

「タツミ」

 

「...ああ」

 

「後で俺にもサヨとイエヤスの墓に連れてってくれ...供養したい」

 

「!? ああ、頼む、サヨもイエヤスもきっと喜ぶ」ニィ

 

さっきまでのことが嘘みたいに満面の笑みで答える

 

アカメたちも一時はリゾットの行動にどうかと思ったがちゃんとした理由があり何とかリゾットの好感度は下がることはなかった。

 

(リゾット・ネエロ...こいつにはほかの人間にはない、特別な何かがあるのか?)

 

ナジェンダは密かにリゾットの持つカリスマに惹かれていることに気付いていない

 




リゾットの身長って190㎝あるらしいですね
ブラートが185㎝
やべーなリゾット


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第18話 信用はいつも後から付いてくる

 

タツミを含めたナイトレイドのメンバーに、顔を合わせ自身が正式に加わった事を話したリゾットは、無事、仲直りを果たしたタツミと共に、アジトから少し離れた、サヨとイエヤスの墓の場所まで来ていた。

 

「渡すのが...遅くなってしまったな、すまない」

 

リゾットがそう言うとサヨとイエヤスの墓の前にサヨの弓とイエヤスの剣を丁寧に置く

 

その後、リゾットは地べたに座り込み、目を閉じてから数分間、動くことはなかった。

 

そのリゾットの後姿を見ていたタツミは、リゾットの思いを肌で感じ取り、数秒後、自身もリゾットと共に祈りを捧げた。

 

お祈りを終えたリゾットが立ち上がると目を閉じていたタツミもそれを感じ取り、目を開けリゾットに続くように立ち上がる。

 

「ありがとな、リゾット、あいつらの為に」

 

そう言うとタツミは墓の方に顔を向ける

 

「...礼を言われる覚えはない、俺が好きでしたことだ。」

 

リゾットはタツミの方へ振り返る

 

「そっか、じゃあそろそろ戻るか!」

 

当然のようにそう答えたリゾットに感謝しながらタツミは口角を上げアジトに戻ろうと提案する、それに答えるようにリゾットはアジトの方角へと足を運ぶ。

 

 

アジトの入り口についた所で、再びリゾットが言葉を発する

 

「タツミすまないが、俺はナジェンダの所に行かなくてはならない」

 

「え?ボスに、なんで?」

 

リゾットのその言葉に不思議そうな顔でリゾットに応えるタツミ

 

「ああ、大切な話があってな」

 

そう話すリゾットの目は真剣であった。

 

それを察したタツミは

 

「分かった、じゃあ、俺はみんなの所に戻るよ、またな」

 

そう言いながら手を振りながらアカメたちが居る方へと走っていく

 

タツミが反対方向へ走っていくのを最後まで見守ったリゾットはナジェンダがいるであろう場所へ向かった。

 

 

 

~ナイトレイドアジト 会議室~

 

「お、来たか、もういいのか?」

 

ガチャ

 

キィィ

 

リゾットが会議室のドアを開くとそこには椅子に腰かけ、片腕を組みながら煙草を吹かすナジェンダの姿であった。

 

ガチャン

 

「ああ、もう大丈夫だ、待たせてすまなかったな」

 

ドアを閉めたリゾットはナジェンダの方へ歩み寄る

 

「気にするな、別にそんなに待ってないしな...それで私にしか言えない話があるのだろう?」

 

そう言うとナジェンダは煙草の火を消し、灰皿に入れると、机に両肘を立てて寄りかかり、両手を口元に持って、目はリゾットの方へ向ける

 

「ああ、とても大切な話なんだ...タツミにも、他のメンバーにもまだ話せない、だがナジェンダ、君には伝えるべきだと思ってな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これはリゾットがナジェンダが約束の場所へ行く少し前のこと

 

 

 

キーーーーーン

 

 

 

イルーゾォは言われた通り、他の暗殺者チームに了承を得るため話をつけていた。

それを頼んでいたリゾットは、待ち合わせ場所、すなわち、帝都の少し離れたトイレの鏡で待っていた。

すでにイルーゾォは鏡の中におり、気づくとリゾットは鏡の世界に入っていたのであった。

 

「リゾットよぉ~、言われた通りあいつらに言って来たぜ」

 

「ああ、それでイルーゾォ、あいつらは何て言っていた?」

 

慣れているのか動じる様子はなく、何事もなかったかのように会話を進める二人。

 

「ああ、OKだ、両方とも、アンタの仲間だって伝えてもいいって言ってたぜ...ただし」

 

「ただし?」

 

「言っていいのは、ナイトレイドのボス、だけだってよ」

 

イルーゾォは壁によりかかりながら続ける

 

「理由は、ナイトレイドのメンバーの誰かが...まあ仮にだが、帝国に捕まったとき、情報が漏れてしまう、それによって、今、帝国にいる、あの2人が危険にさらされるし、革命軍の方にいるあいつ等の能力が知られたらやられるリスクが高まるからな」

 

「なるほどな、ボス(ナジェンダ)一人なら、捕まる可能性は極めて低い、ナイトレイドの連中が捕まったとしても知らされていないから、いくら拷問されようとあいつらの情報は出てこないというわけか」

 

「ああ、そうゆうことよ」

 

なるほどとうなずくリゾットに指さしながらその通りという態度をとるイルーゾォ

 

「だが、リスクもある、もし帝国に所属しているあいつ等が、ナイトレイドのメンバーに接触したら、殺られる可能性もあるということだ、それについてはどうするつもりだ、イルーゾォ」

 

リゾットの疑問にチッチッチ人差し指を振りながら話しだすイルーゾォ

 

「そのことなら安心しろ、そういう事態にならない為に、俺のマン・イン・ザ・ミラーがあるんだ、もしそうなりそうだと思ったら、俺が二人を鏡の世界へ入門させる、どうしても俺がそばにいられなかったら、アンタから聞いたナイトレイドの行動情報を二人に伝え接触しないようにすればいいだろ」

 

「なるほどな、それなら、まあ、問題はない、それにあいつならそう簡単にやられはしないだろうし、もう一人は不安だが、お前の話によると前とは比べ物にならないほど精神的に成長したらしいからな」

 

リゾットは顎に手を当てまさかあいつがなぁっと感心するそぶりを見せる

 

「それよりも重要なことは、今からくるっていうナイトレイドのボスが信用に値するかどうかじゃあないか?」

 

一応納得はするリゾットに今度はイルーゾォが疑問をうちあける

 

「そうだな、それによっては、話すか話さないかが決まる...」

 

「まー、そりゃぁ、そうだ」

 

「...」チラ

 

少し不満そうに言うイルーゾォを横に自身のポケットに入っている時計を取り出すリゾット

 

「そろそろ待ち合わせの時間か...イルーゾォそろそろ鏡の中から出してくれないか?」

 

「ああ、そうだな、もうそんな時間か、まぁ、アンタ一人でも大丈夫だとは思うが気ぃつけて行けよ」

 

そう言うとイルーゾォはリゾットを鏡の世界から

 

「ああ、分かっている、では言ってくる」

 

 

 

 

 

 

そして現在

 

「そうか...革命軍の密偵チームに3人、帝国にスパイとして2人、お前の仲間が動いているというわけか」

 

ナジェンダはリゾットの仲間のことを聞くも特に反応はなく、むしろ、やはりなっという態度をとっていた

 

「思っていたよりも、反応が薄いな...こっちは色々と覚悟していたのだがな」

 

予想外の反応にリゾットは顔には出さないが意外そうに問う

 

「いや、もちろん驚いているさ、だがお前と会ったのは今日の午後だ、それに仲間が帝国に殺されたと言っていたとき、お前は“チーム”と言っていた、だから、他に仲間がいて、そのチームの連中も別に動いているのではないか?そう考えていただけだ?」

 

リゾットはナジェンダの考察に思わず、「ほう」っと感心した、ほぼナジェンダが言っていることとあっていたからだ。

 

(まさか、俺が思わず漏らしてしまったチームという言葉だけで我が暗殺者チームの現状を

を導き出すとはな、流石はナイトレイド、いや革命軍を立ち上げただけのことはあるな)

 

リゾットが心の中でナジェンダのボスとしての器を再認識していると再びナジェンダが声に出す

 

「まぁ、現にお前は話してくれたじゃないか、話すか話さないか(隠す)によってだいぶ違う、それにお前の過去や素性は触れない約束でナイトレイドに所属させた私にも責任はある」

 

ナジェンダはフッと微笑み、リゾットの方をみつめる、その目はまるで、お前のことを信頼しているぞっと言っているようにリゾットは感じた

 

「ナジェンダ...ありがとう、感謝するよ...本当に」

 

リゾットは頭を少し下げながら感謝の意を込める

 

「いいさ、それにお前の仲間がナイトレイドに力を貸してくれるのであれば、これほど心強いことはない、今はまだ、会うことはできないかもしれないが、お前の方からよろしく頼むと伝えておいてくれないか?」

 

「ああ、必ず伝えよう...では失礼する」

 

リゾットがナジェンダの了承を得たことを仲間に伝えると約束するとこの場から離れよう振り返ろうとした瞬間、ナジェンダが義手を伸ばしてリゾットの左肩を掴みこう言った。

 

「まあ、待て、実はお前に言っておくことがあったんだった」

 

うしろを向いているリゾットでも声色と部屋の静けさですぐさま理解した。

これからナジェンダが言う言葉をそれは

 

「リゾット今日、入ってきたばかりで悪いが、お前に仕事を頼みたい」

 

「仕事...そうか、思ったよりも早いな」

 

リゾットもまたいつも以上に真剣な表情と声色で発す

 

「ああ、お前が今思っている通り殺しの依頼だ。」

 

 

 

 

 



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第19話 タツミはリゾットを信じ、マインはリゾットを疑う



まだアカメが斬る!の1巻分、終えてないのか...もっと頑張ろう

では19話、始めます




 

~暗殺対象の自宅付近(森の中)~

 

ナジェンダの依頼を受けたリゾットはアカメを含むナイトレイドメンバーと共に暗殺対象の家付近で身を隠していた(タツミとマインは別行動)

 

「まさか、初任務が、ナイトレイドメンバー全員と行くことになるとはな...」

 

そう口に呟きリゾットが手に持っていた、イヨカルと書かれた人相顔付きの紙を見る、見た目は、黒縁の眼鏡を掛けており目つきが悪く、ちょび髭、前髪が白くなっている。

見てるだけでイラつく顔をしていると思っていると背後からリゾットの左肩に手をポンっと誰かが置いた、その手が置かれた方を見ると自分よりも大きなごつい手であった為、リゾットはすぐさま誰が置いたのか理解したと同時にその人物が口を開く

 

「まあ、そういうな、リゾット、暗殺の対象は、イヨカルだけじゃねぇ、イヨカルを護衛している連中ももちろんやらなきゃならねぇ」

 

「...確かアンタは...ブラートと言ったな」

 

リゾットは肩に手を掛けているブラートの方に体を向け見下げる

それに答えるようにリゾットに「おう」と笑顔で答え会話を続けるブラート

 

「それに今回の任務はお前の暗殺者としての腕前を俺たちに見せてもらうって言う意味も含んでんだ、アカメやレオーネはお前の帝具の能力を知っていてもお前自身の力は、まだ計り知れないからな」

 

真剣な顔つきで話すブラート

 

(俺のメタリカは帝具ではないんだがなぁ...この世界にスタンドという概念などありはしない、帝具ってことにしておこうか)

 

リゾットはスタンド能力を話す必要はなく帝具を所持しているということにしようと前から考えていた(話したところで信じてもらえないと思った)為、ブラートの言葉に訂正はしなかった

 

「...そういうことなら納得だ、だが、敵は複数人いる、その中でお前や他の奴は戦いながら、俺の戦闘を見れるのか?」

 

「.....」

 

真剣な顔つきのブラート

その態度を前にしても顔色一つ変えないリゾット

そんな時一人の女性が間に割って入ってくる

 

「じゃあさぁ、リゾットが一人でそいつ等、倒せばいいんじゃないか?」

 

割って入ってきたレオーネは人差し指を交互に揺らしチッチッチとリゾットとブラートに向ける

 

「そうか、確かにその方法なら、俺たち全員リゾットの戦闘方法が見られるな」

 

その言い分になぜか納得したブラートは手のひらに拳をポンっと叩く

 

「だろ? それにもし、危なくなったら私らで助ければいいしさ...まあ、その必要はないと思うけどね」

 

「私もレオーネに賛成だ、私の村雨で斬られても死ななかったリゾットなら、問題はないだろう」

 

そう言うとレオーネは顎に手を当てリゾットの目を見据え、途中から近寄ってきていたアカメは無表情を貫きながらリゾットの答えをまつ

それにリゾットはため息をつきながら答える

 

「はぁ、いいだろう、それで構わない」

 

「お、何の話?」スタスタ

 

「なにか、大事な話ですか?」スタスタ

 

あたりに糸を張っていたラバックと付き添いで一緒にいたシェーレが戻ってきた

 

「実はだなぁ」

 

そう言うと、戻ってきた2人に先程話していた内容を伝え2人の了承をえる

リゾットが1人で複数人と戦うのが決まったのであった。

 

 

 

 

 

その頃リゾット達がいる森から3~4キロメートル離れた木の上では

 

「そういえば、タツミ聞きたいことがあるんだけど」

 

「あ?なんだよ急に」

 

マインとタツミはイヨカルを暗殺するため、木の上からイヨカルが外に出るのを待っていたのだった、その際、なかなかイヨカルが出てこない為、マインは気になっていたことを帝具パンプキンをイヨカルが住む屋敷の方に標準を合わせながらタツミに聞くことにしたのだった

 

「リゾットについてなんだけど」

 

「ああ、リゾットがどうしたんだよ?」

 

いきなりの問いかけに首をかしげながら答えるタツミ

それに続くようにマインが口を開く

 

「あいつってどんな奴なの、昨日入って来たばかりだから、まだ信用できないし、アンタ付き合い長いから聞いておこうかなって?」

 

マインはタツミの方に顔を向けてはいないがその声色で真剣に聞いているとタツミはさっする

 

「...実は、俺もよくわかってないんだ」

 

「ハァ!アンタ、マジで言ってんっの!?」

 

タツミの思いもしない答えにさすがのマインも驚いた顔つきでタツミの方へ振り返る

しかしタツミはマインの目を真剣な表情で見つめる、その行動にマインも嘘を言っているわけではないと感じ取った

 

「...どうやら本当みたいね」

 

目を閉じため息をつきながらそう言うと、マインは標的のいる屋敷の方へ顔を戻す

 

(どういうことなの?アカメやレオーネから聞いた話だと新入りのリゾットって奴はタツミを命がけで守ろうとしていて、死んじゃったタツミの幼馴染とも接点があったと聞いていたのに...やっぱり何か裏があるんじゃないの?あの黒い目の男、信用できないわね)

 

マインがタツミとリゾットの関係性を考えていると今度はタツミが口を開きこう言った。

 

「リゾットは死んじまったイエヤスとサヨからの伝言を俺に伝えに来たのが、俺とあいつの、出会いの始まりでよ」

 

タツミは優しい口調で話を続ける、マインは長話になると感じたのか静かに聞いている

 

「まあ、最初の印象は、真剣な顔つきで表情が表に出ない、筋肉質の背の高い男ってイメージで近寄りがたいなぁと思ってたんだ、実際、俺らが一緒にいた時間も1日と半日くらいでその間も表情を顔に出さないわ口数も少ないわで、あんまいい関係ってわけではなかったんだ、それに服もフードもなんか変わってるし」

 

(確かに、変よね...)

 

服装やフードについてだけ強く納得するマイン

 

「でも、アカメに斬られそうになった時、身を挺して守ってくれたのは、リゾットだった、リゾットは俺に怪我が無いって分かると少し微笑んでた、自分はアカメに斬られて死ぬかも知れないのにな」

 

「アカメから聞いたわ、最初は耳を疑ったけど、村雨に斬られても生きていられるなんて、本当に人間なの?リゾットって?」

 

「ああ、リゾットにそのことについて聞いたけど、自身の能力を使った、村雨の能力を知っていなければ自身は死んでいたって言ってたぜ」

 

「そうっでアンタは何が、言いたいの?」

 

結局何が言いたいのかタツミに問いただす為、あえて冷たく言い放つマイン

 

「リゾットは村雨の能力を知っていた、それでも、俺を助けてくれたんだよ、自分には村雨が効かないという保証は何処にもないのに」

 

「!?」

 

タツミのその言葉を聞きマインは理解してしまった。リゾットはタツミを利用しようとしているのではなく、本心からタツミを守りたかったのだと

 

「だからマイン、リゾットに謎が多いことも信用するのに抵抗があるってのも分かる、だがあいつは俺らを裏切るような奴じゃないってことをs」

 

「分かったわ、もう言わなくても」

 

つい熱くなってリゾットに危険はないことを必死に語るタツミにマインは話の途中に割って入る

 

「はぁ、確かに今はまだ信用できないけど、アンタの言葉に嘘がないことぐらい分かるわよ、だから、いつになるかは分からないけどリゾットを信じるわ」

 

マインはタツミの方へ振り返り、少し顔を赤らめながら口にする

 

「本当か、ありがとなマイン」

 

タツミはマインの言葉が嬉しかったのか満面の笑みで返す

その無邪気で明るい笑みを見たマインはさらに顔を赤らめて顔をプイっと横に向けこう言った。

 

「別に今の言葉をすべて信用したわけじゃないわよ、それにアンタのこともまだ仲間だなんて認めてないんだから!勘違いしないでよね」

 

マインはそう言い放つとフンっと標的の豪邸の方へと体を向きなおす

 

「ほんとにお前ってかわいくないな」

 

タツミは先ほどと打って変わって呆れた顔でそう言い放つ

 

「うっさいわね......どうやら、出てきたみたいね」スゥゥゥ

 

何かに気付きすぐさま姿勢を正し集中するマイン

 

(すげぇ、集中力だ、さっきまで嫌味言ってたやつとは思えないほどに)

 

マインのその言葉にタツミは同じ方向へ視線を飛ばすと中から両腕に美女を置き満足げな顔をしながら歩くイヨカルの姿が会った

イヨカルの周りはたくさんのチャイナドレスを着た女性がともに歩いており暗殺するにはむずかしいんじゃないかとタツミは思った。

 

「俺の役目は狙撃後の護衛だけど、標的じゃない人たちまで沢山出てきたぞ!」

 

「だから?」

 

「だからって...どうすんだよ!」

 

「関係ないわね」

 

「関係ないって!無関係の人たちまで...!」

 

 

タツミがマインの言葉に動揺しているとマインは少し微笑み引き金を引く

 

ガチャ

 

ズドオオオオ

 

ダアアアアアン

 

マインの打った銃弾はイヨカルのこめかみに見事ヒットする、もちろん、周りの人間に危害はない

その光景を望遠鏡で見ていたタツミは驚きのあまり開いた口がふさがらず、マインはタツミのその姿に目もくれずこう言い放つ

 

「私はね、射撃の天才なのよ」ニコ

 

 

 

 

 

~リゾット達がいる森の中~

 

ズドオオオオ

 

ダアアアアアン

 

「ほう、見事な腕前だ...」

 

リゾットは一人、木の上から標的のイヨカルを望遠鏡で覗いており、そのイヨカルがこめかみに銃弾がヒットし息絶えるのを見届けていたのだった

 

(確か、イヨカルの暗殺はマインとかいう、タツミと同い年くらいの女だったな、会った時から俺にため口やら、態度やら、生意気なガキだとは思っていたが、暗殺者としての才能はあるようだな、俺たち(暗殺者チーム)の中には遠距離を攻撃ができるのはプロシュートのグレイトフル・デッド(無差別)とメローネのベイビィ・フェイス(条件あり)、ペッシのビーチ・ボーイ(可能性はある)だ、だがこんな遠距離でスマートに暗殺できるのは俺のチームにはいないだろう...)

 

リゾットは只々うるさくて生意気なガキだと思っていたマインへの評価を改める

 

(それにイヨカルが死んだということは、その護衛達が、マインの方角に来るということだ、そろそろ、降りるか)

 

リゾットは木の上からジャンプに地面へと着地する

 

チラ

 

リゾットは森の左方の物陰をちらりと見る

右にはアカメ、レオーネ

左にはブラート、ラバック、シェーレがリゾットの戦闘を観察するために息をひそめ隠れている

 

ザザザザザザ

 

「イヨカル様を殺したのはお前か!」ビシ

 

リゾットの目の前に仮面をつけた4人の人物のうちの一人がリゾットめがけ人差し指を向ける、どうやら殺る気満々の様子である

 

「答える、必要はない、これから息絶える貴様らに」

 

「「「「なっ!?」」」」

 

その言葉に驚く4人の暗殺対象者

 

(にゃははは、さーてどんな風に戦うのか楽しみだ、見せてもらうよリゾット)

 

レオーネが物陰からリゾットの戦う姿を密かに楽しみにしていたのは言うまでもない

 



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第20話 信頼を得るというのは一筋縄にはいかない

今年最後の投稿です!
間に合ったー


 

 

 

(仮面を被った相手が4人、狙撃が行われた方向へと一直線へ向かって行くのを見る限り、遠距離での攻撃をする可能性は低い...一人が背中に刀を、他は手ぶら、服装や筋肉の付き方を見る限り、体術の使い手、そう考えると、4人とも近距離での戦闘を行うと考えていいだろう)

 

アカメやレオーネが茂みで隠れているとはいえリゾットは暗殺対象を前にしてなお、冷静に相手への分析をしていた。

 

すると暗殺対象のうちの一人がリゾットに人差し指を指し、こう言い放つ。

 

「ふっ息絶えるだって?...ハッ!見たところテメェ一人だけじゃねぇか」

 

ニヤニヤ ニヤニヤ

 

イヨカルを護衛していた4人のうちの一人があざ笑うかのように言うと、周りにいた3人も同意し笑い声をあげる、4人ともに、キツネの仮面を付けているのだが、顔がにやけている事が分かるくらいの笑い声であった。

 

だがリゾットは自身をあざ笑うことに怒りはなかった、なぜなら相手は「一人」と言い、他の、3人もそれに同意した、それはとどのつまり、茂みに隠れている、アカメたちに気付いていないということである。

 

(アカメ達に気付いて居ないということは、察知への能力が鈍感、優れていないということだ、だが、それはそれで、ありがたい、つまり、俺の実力を、アカメ達に見せることが出来るということだ)

 

「さっきっから、なに黙ってんだ、テメェ!」チャキ 

 

無反応を通し一歩も動かないリゾットに対し痺れをきらしたのか、4人のうち、唯一、刀を所持している男がリゾットめがけ刀を縦にふるうも、刃がリゾットの脳天を真っ二つにする前に、最小限の動きで難なく避け、そのまま顔面へと手の甲で殴りつける

 

パリーン ドカッ

 

「ブッヘアア!!?なっ!」

 

すました顔で難なく自身の刃をかわしただけではなく顔面に一撃を入れた、リゾットを前に、今は割れてしまった仮面がない為、鼻血を垂れ流し驚いた表情見せた、後方にいた、標的3人も仮面で顔は見えないが、先程の馬鹿にしていた態度はなく、リゾットを警戒するように、構えると黒色の辮髪をした男が左右に並ぶ仲間にこう言った

 

「ここは俺とキリマが相手をするお前らは、イヨカル様を射撃した奴の方へ向かえ!キリマが刀を振るっている今がチャンスだ!!」

 

「分かった」ッシュ

 

「ここは任せる」ッシュ

 

辮髪の男に、ここは任せて、狙撃が行われた方へ行けという言葉に、2人の暗殺対象はすぐさまその方向へと走り去ろうとするが...

 

 

 

 

 

メ       タ       リ       カ

 

 

 

「「!?」」

 

「どうした!なぜ、立ち止まる、アッパ!フク!!」

 

辮髪の男は急に立ち止まり喉元を押さえる二人に違和感を感じ思わず名前を呼んだ

 

「な、なんだ、の、喉が!」

 

「い、いったい、っウ!!」

 

「「ゥオオェエエエェエェェエエ」」ガチャザザザザザザザザザザザザ

 

先程、顔面を殴られ血を流し刀を持った男が、リゾットに刀を振るっている最中に、横を通り過ぎようとしたアッパとフクは、大量の剃刀の刃を吐いた

 

ドバー グチャァ

 

喉が裂けたアッパとフクは、その場で倒れたと同時にリゾットは口を開く

 

「言ったはずだ、貴様らはここで息絶えると...な」

 

 

「「!?」」

 

その、あまりにも現実味の無い光景とリゾットの言葉に辮髪の男は、驚きのあまり声が出ず、キリマと呼ばれた刀を持つ男は、自分もこんな目に合うのかと、大量の汗を流し我を忘れ、リゾットの方へ走り出し、大声で叫びながら刀を突きさそうとしている。

 

「いやだ!俺は嫌だーーーー」

 

「ま、まて、奴に近寄るんじゃないっ!!」

 

辮髪の男はリゾットに刀の先端を突き刺そうと、走りこむキリマを止めようと大声で叫び、手を伸ばすが...現実は非情である

 

ザッザッザッシュ ブシュウウウウ

 

「ウグワアアアアアアアアア」

 

なんとリゾットの胸めがけ刀を握っていた掌や手首からマイナスドライバー、釘が噴き出ていく、その衝撃で握っていた刀を落としてしまう、何故、攻撃を受けていないのにこんな目に合っているのかとパニックに陥っているキリマと、それを見ている辮髪の男とは反対に冷静に、キリマが落とした刀を拾い上げると同時にキリマの首筋を斬る、

 

シュッ

 

「!?~~~~」ブシャアアアアアアア

 

キリマは首筋を押さえ数秒、暴れまわったのち、動かなくなった

 

その間に、気絶していたアッパとフクの首筋を斬るとリゾットは辮髪の男に指を指しこう言った

 

「お前で最後だな」

 

「ッッ!!?」ゾッ

 

辮髪の男は、たった今、殺された3人の仲間への怒りや恨みよりも、恐怖と、どうあがこうと殺されるであろう絶望感を感じていた

 

リゾットの得体のしれない力に恐怖し涙を流す、仮面で見えないが、仮面の下から水が大量に滴り落ちているのが分かる、又、あまりの絶望感で、体ががくがく震え、足に力が入らず、その場で座り込んでしまう

 

「さて、最後に質問したいことがある」

 

リゾットは見上げながら言った

 

 

 

 

 

 

 

※茂みに隠れたアカメ達の視点(リゾットが戦う直前)

 

 

 

「さてさて、リゾットはいつ透明になるのか、賭けない?アカメ」

 

「レオーネ...」

 

リゾットの左方の茂みの右側に隠れているアカメとレオーネはリゾットと標的4人の暗殺対象には聞こえない程度の声量で語る

 

「にゃははは、冗談だって」

 

「...だが、確かにどのタイミングで透明化になるかは、気になるな」

 

以外にもアカメは顎に手を当て、リゾットがどのタイミングで透明化になるのか、興味を持つ

 

「でしょ?賭ける?」

 

「賭けない」

 

「即答!」

 

アカメの軽い返答に、少しショックを受けるレオーネと、そんなつもりはないアカメはリゾットの方へ目線を戻す

 

「ふっ息絶えるだって?...ハッ!見たところテメェ一人だけじゃねぇか」

 

標的の一人が大声で言うと周りもリゾットを馬鹿にした態度をとる

 

(どうやら、相手は私らの存在には気付いて居ないようだな、それにリゾットはさっきから、動かないで相手を探るように見つめてる、分析でもしてるのか?)

 

(相手は完全にリゾットをなめきっている、自分たちの人数が、有利だと思い込んでいる証拠だ、だから相手の力量さ、隠れている私たちに気づかないんだ)

 

レオーネは楽観的にリゾットの行動を観察、アカメは標的の油断、緩みを見て呆れ、逆にリゾットの実力を評価していると刀を持った男が動く

 

「さっきっから、なに黙ってんだ、テメェ!」チャキ 

 

(来た!さて、リゾットは刀を持った相手にどう対処する?相手はもうすでに近くまで達してる、透明になる、それとも)

 

レオーネはリゾットがどう対処するのか内心、面白がる

 

(リゾット、私が思うにお前は透明になって、安全な位置で戦う戦闘スタイルだと思っている、だが、そんな方法に頼っているうちは、帝国の将軍の前には通用しない、いつか死ぬことになるだろう)

 

アカメはリゾットは透明になると予測する

 

だが、リゾットがとった行動は、アカメやレオーネ、茂みに隠れている全員(一部を除いで)が思いもしない事だった。

 

そうリゾットは、透明になることはなく、縦からくる刃を直前によけると同時に相手の仮面ごと思いっきり殴りつけた

 

その思いもしない戦闘スタイルにアカメとレオーネは驚いた、だが驚いたのは、左側に隠れているブラート達も同じであった

 

(ははは、まさか、殴り飛ばすとはな、確かにリゾットは十分鍛えあげられた筋力と体格をしているとは思っていたが、透明になって、安全策で戦うタイプだと、思ってたのによ)

 

リゾットの相手への力量さを理解した上での戦闘スタイルに思わず笑みがこぼれるブラート

 

(か~、イケメンってだけでもむかつくのに帝具なしでも対応するなんてよ~)

 

(なんで、彼は一人で戦っているのでしょう?)

 

ラバックはリゾットの行動に嫉妬し、シェーレは自身がなぜ茂みに隠れているのかを考える

 

(他の3人は攻撃せずにいるとはいえ、相手の剣技を最小限の動きでかわし続けている、透明にならずとも、ここまで戦えるとは思わなかった)

 

アカメは、冷静に相手の動きを読みつつ対処し攻撃を避けるリゾットを見て、先程のリゾットに対しての侮辱を心の中で詫びる

 

シュッツ

 

シュッツ

 

(おっ後ろの二人が動いたみたいだ、あの感じ、どうやらマインの方へ向かおうとしてる、さてリゾット、一人を相手にしてるけど、そろそろ、通り過ぎるよ、どう切り抜ける?それとも、私らが...)

 

レオーネはさすがに一人を相手にしているリゾットが自信を左右から通り過ぎようとする標的、二人に帝具を使うのは不可能だと考え、マインの方へ向かう前に、自身が出て殺ろうか?とも考え飛び出そうとしたその時

 

リゾットを通り過ぎようとした瞬間、喉元を押さえつけ剃刀の刃を大量に吐き出す2人の標的の姿が目に焼き付いた

 

(まさか、左右方向別にいる人物にも有効とはね...)

 

(...こうして、見るのは2度目だが、リゾットは攻撃を避けながら、左右の対象に帝具を使ったというのか、そんな器用なことが出来るというのか?)

 

リゾットの攻撃が内部から破壊すること直接見たことがある為、そこについては、あまり驚きはないものの、剣技をかわしながら他の2名をあっさり倒す姿を見て驚きが隠せないレオーネとアカメ

 

その光景を初めて見たブラート、ラバック、はもし、リゾットが敵だったら、本気を出したら、触れることなく、触れられることなく、殺されるのでは?と考え、リゾットが味方で心から良かったと思った。特にラバックは、「ちょっかいとか出すのはやめとこう」とも思った

 

またシェーレは「あの方たち急に吐いて、気絶しましたが、何か、お腹に悪い物でも食べたのでしょうか?」とリゾットがやったとは微塵も思っていなかった。一応リゾットの攻撃方法は聴いていたのだが...

 

その後は、パニックに陥ったキリマと呼ばれる標的が掌からマイナスドライバー、釘が飛び出し、刀を落とす、すぐさま拾い上げた刀でリゾットが止めを刺し気絶している、2人の男にも刀を振るい、3人の命を何の迷いもなく絶命させる姿を見てアカメは、リゾットの暗殺者としての素質が、もしかしたら自分よりも高いのではないか?と一瞬思うほど、リゾットの一連の動作には無駄がなかった、しかしアカメがそう感じるのも当然である、リゾットはパッショーネ、暗殺者チームのリーダーであり、癖の強いチームメンバーを、まとめあげるカリスマ、長年、暗殺してきた、力量、経験、どれもナイトレイドのメンバーよりも実践的に行っていた、だからこそ、アカメにここまで、評価されたのだ。

 

そして残るは辮髪の男だけであったが、リゾットは「さて、最後に質問したいことがある」と言って、辮髪の男の首筋にキリマの刀を当てながら発するが、相手は震えていたはずの体がピタッと止まり、そのまま動かなくなった、その姿を見たリゾットは、相手の仮面を外し顔を見たと同時に、いつものすまし顔でアカメ達が隠れている、茂みの方へ歩き出す

 

止めを刺さずに、敵に背を向けるリゾットにラバックは「何してんの!最後の最後で油断!」と言って茂みから飛び出す

 

するとレオーネとブラートはラバックの腕を片方ずつ掴む

 

「レオーネ姉さん!ブラートさん、何で止めるの!」

 

自分がなぜ止められたのか疑問に思ったラバックは顔を後ろに向けると、2人は神妙な表情でこう言った

 

「「もう、死んでる」」

 

「へ?.........!?」

 

レオーネとブラートのその言葉を聞きラバックは理解した、最後に止めを刺そうとした相手は、別にリゾットが攻撃をする間もなくリゾットへの恐怖心、死への絶望、恐怖によって、ショック死してしまったのだと、それほどリゾットは敵サイドにとっては恐ろしい存在であるということを

 

ラバックはアカメの方へ顔を向けるとアカメはラバックの目を直視し頷く、どうやらアカメもレオーネやブラート同様、相手がショック死していることに気付いて居たのだろうと分かると急に自分だけ気づかなかったことに、恥ずかしさで、顔を真っ赤に染めていると後ろから、シェーレがポンっとラバックの肩に手を置き笑顔でこう言った

 

「私も気づきませんでした」

 

その言葉でさらに落ち込むラバックであった。

 

「まさか、ショックで死ぬとは思わなかった、聞きたいことがあったのだがな...」

 

リゾットは顎に手を当て呟く、それを聞いたレオーネは

 

「ははは、いや~まさかショック死するとはね~...それで聞きたかった事って何?」

 

にやけながら標的の死に方に同意するとレオーネは神妙な顔つきと声色でリゾットにどんな質問がしたかったのかを聞く

 

「...なぁに、ただ、こいつら以外に、護衛がいないかどうか確認を取りたかっただけだ、深い意味などない」

 

リゾットはレオーネの顔を見上げ質問に答える

 

「ふーん、そっか...」

 

レオーネは納得したのか、マインやタツミが待っているであろう集合場所へとアカメに声をかけるも「先に行っててくれ、後で追いつく」と言うとレオーネは猫耳をシュンっとさせながらとぼとぼ歩いて行った。

 

その後も、ブラートが「最初のパンチはなかなか良かったぜ、まあ、倒し方はあれだが...」と言い

 

ラバックは「俺だって、本当はき、気づいてたしい」とリゾットに指を指しながら言い

 

シェーレはリゾットの方を見るとニコリと微笑み、お辞儀をするとブラート、ラバック、と共にレオーネが行ったであろう方向へと歩を進めた

 

ブラート達を見届けリゾットもそろそろ行くかっと歩を進めようとしたその時

 

「リゾット、少しいいか?」

 

アカメがリゾットの前に出て話しかける

 

「...なんだ」

 

「なぜ、透明にならなかったんだ?」

 

「ああ、そのことか...」

 

リゾットは別に断る理由もないのでアカメの問いかけに応えることにした

 

「確かに透明化は便利だ、だが基本的に俺は、人を一人殺すときにだけ、透明になって相手を暗殺する」

 

「まて、その言い方だと、やはりお前は過去に人をたくさんこr」ゾッ

 

アカメがリゾットの質問への返答を遮り過去について言うとリゾットから殺気があふれ出る、思わずアカメは村雨に手を伸ばすも、リゾットは動じることなくこう続ける

 

「アカメ、俺が所属した時に言ったはずだ、俺の過去には触れないと現にナジェンダはそれを条件として受け入れた」

 

「...」

 

アカメは目の色を変え、淡々言葉を発するリゾットの言葉を聞き続ける

 

「もし、お前が条件を破るというのであれば、俺はお前を殺さなくてはならなくなる」

 

リゾットの表情は無表情だがその目は、殺意が沸いている目であった、目が黒い分なおさらそう感じる、そのリゾットの姿にアカメは村雨から手を放し、頭を下げ謝罪した。

 

「確かにお前は、ナイトレイドに入る条件として自身の過去に触れる事を禁じていた、それなのに私は、約束を破ろうとした、すまなかった…許してくれ」

 

以外にも頭を下げ謝罪をするアカメにリゾットは驚いた

 

(無口で感情をあまり顔に出さないタイプだとは思っていたが、自分に非があると素直に謝るとは思はなかった...多分マインとかいうガキは出来ないだろうが)

 

以外にもアカメへの好感度が少し上がり、何故かマインの好感度は下がった

 

「いや、お前に悪気がないことは分かった、反省しているのならそれでいい、許そう、だが次はない...」

 

「恩に着る」

 

許しの言葉にアカメはさらに深々と頭を下げ、しばらくすると顔を上げる

 

「では、待ち合わせの場所まで歩きながら質問の問いに答えよう、確か...透明化の件だが、俺は基本的に複数を相手に、透明化を使うことはあまりない、理由は透明化しているとき、相手は俺の姿が分からない、そんな状態で複数人に囲まれてみろ」

 

リゾットとアカメは集合場所まで、歩を進めながら話し合う

 

「そうか、確かブラートも言っていた、透明になると相手は無作為に攻撃するから返って危険になることがあると!」

 

「そう、それに俺の透明化はブラートのインクルシオとは違い、防御できない、予測不能な攻撃には対処できないからな、だから相手が1人の時、それか2人の時にだけ、透明化することにしているのだ、まあ、不意打ちなら別だがな」

 

透明化への疑問が晴れたアカメは続いて疑問に思っていたもう一つについて聞く

 

「透明化にならなかった理由は分かったでは、次になぜ、すぐに帝具を使わなかった?使っていれば、わざわざ相手の攻撃を避ける必要はなかっただろう?」

 

「ああ、それについては.....はぁ、しょうがない、本当は言いたくはないのだがな...」

 

リゾットの今まで見たことのない、いやそうな顔を見て少しドキッとするアカメ

 

「俺の能力は相手が遠い位置にいると使えないんだ、射程は昔、5~10mだったんだが、なぜか今は1~2mあるか、ないかの距離でしか発動しなくなっている、だからこそ一人倒しても、残りが俺に近寄らずに攻撃できる手段を見つければ、俺が勝てる可能性はほぼない、まあ、透明になれば、可能性が無いとは言えないが...」

 

そう言い終えアカメの方へ、顔を向けるとアカメは何故か驚いという表情でこちらを見ていた

 

「どうかしたか?」

 

おまわずリゾットも声をかける

すると

 

「いや、まさか、自身の能力の弱点を話してくれるとは思わなかったからな、だが、良いのか?そんな重大な秘密話して?私がお前を裏切らないとも限らないだろう」

 

アカメ柄にもなくは申し訳なさそうに言うとリゾットに後悔はなくこう言った

 

「じゃあ、聞くが、お前は、俺を裏切るつもりなのか?」

 

リゾットがそう言うとアカメは一瞬目を見開くと、すぐに目を閉じ真剣な表情でこう言った。

 

「リゾット2度目の出会いを果たした時、お前はこう言っていたな、お前たちが裏切らない限り私は裏切らないと...」

 

「ああ」

 

リゾットが頷くとアカメは笑顔でこう言った

 

「私も、いや私たちもお前を裏切らない」

 

アカメはリゾットの胸に右こぶしを当てる

 

「っふ、お前ならそう言うと思ったよ」

 

リゾットはアカメに軽く微笑んだ

 

そうしている間にも集合の場所へと近づいていた為、先に集合場所で待っていたなぜか頭から煙を出しているタツミとマインの声が聞こえてくる

 

「おーい、リゾットー、アカメー」

 

「全く、来るのが遅いのよ新人のくせにー」

 

「アカメー、遅いぞー」

 

「すまない、レオーネいま行く」

 

(ん?タツミとマインの近くに倒れている、服装を見る限り、俺が先ほど倒した連中と同じ、だが胴体に風穴があいているのを見る限り、マインのパンプキン、タツミの頭から煙が出ていたことから...そういうことか)

 

リゾットはタツミのそばへと近寄るとタツミの頭に手を乗せる

 

「うわ!きゅ、急になにすんだよ!」

 

急な出来事にタツミは驚き、リゾットのほうへ顔を向けるとリゾットは微笑みこう言った

 

「よくやった」

 

 

こうしてリゾット・ネエロのナイトレイドとしての初任務は無事に終えたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






護衛の皆さまの名前はオリジナルです。

辮髪の男「私の名前は?」





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第21話 イルーゾォの驚愕

 

 

 初任務を終え見事、無傷でナイトレイドに戻ったリゾットはナジェンダから報酬を得た数日後、情報の共有の為に、イルーゾォとの待ち合わせの場所に足を運んだ

 

帝都のとある路地裏(鏡の世界)

 

「首斬りザンク?」

 

「ああ、今、帝都で噂になってるっつう、辻斬りだ」

 

首斬りザンクと言う人名に聞き覚えのないリゾットはその話題を振ったイルーゾォに聞き返すと、イルーゾォは腕を組み壁に寄りかかりながら続ける

 

「それでイルーゾォ、その辻斬りが俺たちの目的と、どう関係あるのだ?」

 

「帝国にいる二人から聞いた話なんだがな、そのザンクって奴は、つい最近まで帝国の監獄で首を斬る役人だったらしいぜぇ」

 

「役人…!そうか、イルーゾォ、お前が言いたいことが分かった」

 

役人と言う単語でリゾットは理解したのか目を見開き顔をイルーゾォの方へ振り向く

その反応を待ってましたとばかりにイルーゾォはニヤリと笑う

 

「そう!つまりザンクはソルベとジェラートを拷問し魅せしめにした、俺たちと同じ《転生者》と関わりを持っている可能性があるということよ」

 

リゾットに人差し指を立てながら続けるイルーゾォ

 

「それにザンクは辻斬りだ、民を毎晩殺してる、流石のナイトレイドも見過ごせねえだろ、近いうちに、ザンクを標的に暗殺するだろうよ」

 

「つまり、アカメ達がザンクと遭遇し暗殺する前に、ザンクを見つけだし二人を殺した拷問官の正体を聞き出せば言いわけだな」

 

「そうゆうこった、頼むぜ、リゾット...そういや、もう一つ言っておかなくっちゃあならないことがある」

 

「...なんだ」

 

「ザンクは帝具使いらしい、どんな能力かまでは分からないがよ、まあお前のスタンド能力なら大丈夫だとは思うが」

 

「帝具使い...そうか、分かった、では今夜、ザンクを探って見よう、それとは別にイルーゾォ、これを」ジャラジャラ

 

リゾットは中くらいの中身の入った袋をイルーゾォに差し出す

 

「なんだぁ?」

 

「今回、ナイトレイドで受けた依頼の報酬だ」

 

「ほーん、どれどれ...!?なっ!こ、こんなに!!?」

 

イルーゾォが袋の中を覗くと数十枚の金貨が入っていた

 

「お前に渡したのは、俺が貰った半分だ」

 

「半分!ハッまさかナイトレイドがここまで、はぶりが良いとは思わなかったぜ、いや、この場合、パッショーネの俺らへの扱いがクソだったってことかぁ~」

 

「...普通に考えて...後者だろうな」

 

イルーゾォの驚きっぷりを見てどれほどパッショーネが我ら暗殺者チームを軽くみていたかがよく分かったリゾット

 

「そろそろ時間だな、イルーゾォ俺はナイトレイドに戻る、帝国の2人には俺がザンクから情報を聞き出すからお前らはお前らの仕事を全うしろと伝えておいてくれ」

 

「了解、じゃあまたな、リゾット」

 

キーーーーーン

 

イルーゾォの言葉と共にリゾットは鏡の世界から現実世界へと戻る

 

 

約1時間後リゾットはナイトレイドのアジトへ到着する、するとタツミがリゾットの方へ走りながら声をかける、どうやらナジェンダを含めたナイトレイドメンバーが会議室に集まっているようだ、それを聞いたリゾットに嫌な予感がよぎるも会議室のドアを開ける

 

「ちょっと、今まで何やってたのよ!二人共、新人のくせに」

 

「ハァ!お前がリゾットを連れて来いって言ったんだろうが!」

 

「まあ、落ち着け二人共、リゾットに声をかけるのを忘れてたのは私だ、リゾットを責めないでやってくれ」

 

「フン」プイ

 

マインとタツミが揉める前に玉座に腰かけているナジェンダがリゾットが居なかった理由を話す

それでも、気に入らなかったのかマインはリゾットやタツミに謝るどころかそっぽを向く

 

「だが、リゾット出かけるときは、声を掛けてくれ、言わなかった私も悪いが」

 

ナジェンダは頭を抱えリゾットに言う

 

「ああ、すまなかったな、今後はこのような事がないように気を付けよう、ところでナジェンダ、これは何の集まりなんだ?」

 

リゾットが『ナジェンダ』と口にするとラバックはムッとした顔でリゾットを睨む、リゾットはその視線に気づいてはいるが合えて気づかないそぶりを見せる

 

「ああ、実は皆に暗殺してもらいたい標的がいる、今、帝都で噂の連続通り魔」

 

~数分後~

 

どうやら今回の標的は首斬りザンクらしい、ナイトレイドが標的にする前にザンクから情報を聞き出そうとしていたリゾットは頭を抱える、実はナジェンダに二人だけで話がしたいと別の個室でどうしてもザンクから仲間を殺した奴の情報が聞きたいと話したところ、ナジェンダは

 

「情報を聞き出すのは構わないが、それはお前の前に、ザンクが表れた場合に限ってだ、もしお前以外の場所でマインらと会ったのなら、ザンクは殺す気で掛かってくるだろう、情報を聞き出すと言っても相手は帝具使い、手加減は出来ないし、今夜お前だけがザンクを探すとなると探せなかった場合、何の罪のない民が犠牲になる、だから聞き出すとなると、お前の所にザンクが表れたときだけだ」

 

と言っていた、俺もイルーゾォもこうなることが分かっていた為、ナイトレイドがザンクを標的にする前に情報を聞き出し暗殺する予定だったのだが、まさか今夜ザンクが標的になるとは思ってもいなかったのだ

 

リゾットとナジェンダがアカメ達がいる部屋に戻ると既に、チーム決めが終わっていた。

 

チームは二人一組(リゾットは、単独行動を提案したが、マインが「はぁ!新人のくせに単独行動が許されると思ってるの?」と言い出したため仕方なく、3チームのうちのどれかに入ることになる)

 

1チーム:レオーネとブラード

 

2チーム:マインとシェーレ

 

3チーム:アカメとタツミ

 

(さて、どのチームに入るか、マインのチームはまずないとして......よし、俺が入るチームは)

 

 

 

 

 

 

 

 

「...」

 

「頼りにしてるぜリゾット」

 

「ああ、では行くとするか」

 

リゾットがそう言うと、アカメとタツミと共に月夜に照らされた帝都の方へ足を進める

 

 

 

 



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第22話 どうしても気になる

 

~夜の帝都【住宅街】~

 

「......うん、私たちの受け持ちはこの区画だ」ペラ

 

アカメは帝都の月明りを頼りに地図をめくると場所を確認すると、タツミとリゾット(透明化)の方へ振り向く

 

「帝都住民は辻斬り怖さで外出てないな、逆にやりやす...」ムグ

 

ダッダッダッダッダ

 

タツミがアカメの返答に応えていると、道の反対側から、複数の足音が聞こえた為、それに気づかないタツミの口をリゾットがふさぐと同時に建物の物陰へと移動し座る

 

「油断大敵...以前にも言ったはずだ、例え住民がいなくとも、帝都警備隊という連中が見回りをしているということを忘れるな」ヒソヒソ

 

「!」コク

 

姿は見えないが、リゾットの視線がすぐ近くにあるのが分かるぐらいの圧がかかった言葉に、思わず首を縦に振るタツミ

 

「リゾットの言う通りだ、それに標的は首斬りザンク、それも帝具持ちだ...相手から不意に攻撃してくるかもしれない、気を抜かないことだ」

 

アカメの忠告を聞き終えると同時にタツミは立ち上がり、リゾットは透明化を解除する

 

「ああ、気をつけるよ、それとは別に一つ聞いてもいいか?」

 

アカメが再び先頭で前に歩もうとした瞬間にタツミが疑問に思ったことを聞くとアカメは再び振り返る

 

「安心しろ、携帯食料は持ってきた」グッ

 

「いや、聞きたいのはさすがにそこじゃあないだろ...で、タツミ何が聞きたいんだ?」

 

タツミの問いにサムズアップを加え答えるアカメにリゾットがタツミのかわりに応えると再びタツミは口を開きこう言った。

 

「帝具って、何?」

 

「......こういうのだ」チャキ

 

アカメは自身が所要する村雨をタツミやリゾットの前に向けて答えるも大雑把な返答が返ってきたため

 

「分かりません」

 

タツミはそう答えるしかなかった

その様子を観ていたリゾットがアカメの変わりに答える

 

「...帝具と言うのは~」

 

帝具とは、1000年前、帝国を築いた始皇帝の命により造られた48の超兵器であり、体力、精神力を著しく消耗するがその性能は強大な力を秘めた武器であり、開発から500年後の内乱により半数近くが行方不明と言うこと

それを聞いたタツミは一応、納得した表情をする

 

「俺が知っているのはこれくらいだ」

 

「...つまり、みんなが持っている武器も帝具なんだな」

 

「ああ、ボス以外、全員そうだ」

 

アカメはそう答えたものの目はリゾットの方へ向いている

 

(まあ、俺は帝具使いではないがな...アカメが俺の方を、見つめているのは気になるが...まあいい、今はザンクが先だ)

 

リゾットが目をそらすとアカメは気にするそぶりを見せず、ナイトレイドメンバーの帝具の能力を話す

 

アカメの帝具

 一斬必殺「村雨」

この妖刀に斬られれば傷口から呪毒が入り即座に死へと至る、解毒方法はない

 

他にもレオーネの帝具ライオネル、マインのパンプキン、ブラートのインクルシオ、ラバックのクローステール、シェーレのエクスタスと言った多種多様な帝具の能力の情報をアカメに話してもらった、アカメの帝具を知っていたリゾットも、他の帝具の能力を知らなかった為、思わぬ収穫に耳を澄ませて聞いていた、特に気になったのは、帝具には奥の手が存在しており、古来から続く一つの鉄則があることだそれは

 

「帝具使い同士が戦えば必ずどちらかが死ぬ...と言われている」

 

「なるほどな、ザンクは帝具持ち、どちらにせよ、両者ともに生存はなしというわけか」

 

自身が知らなかった帝具の鉄則に冷静に分析し答えるリゾットに、アカメは真顔で首を縦にコクっと頷く

 

「アカメの刀が掠っただけで相手が死ぬのは、1000年前に造られた48の超兵器のうちの一つだからだったんだな...」

 

タツミはアカメが所持している帝具・村雨の能力を初対面の時、強引(レオーネ)にアジトに運ばれた後アカメに聞いた(左手を掠っただけのリゾットに動揺していたのが気になった)為、知っていた。

しかしアカメ以外(一部を除いて)のナイトレイドメンバーの武器が帝具だったのは知らなかった。

 

「じゃあ...やっぱり.....リゾットも帝具使いなんだよな?」

 

「.....」

 

「アカメの刀で斬られても、ピンピンしてるってことは、帝具の力を使ったんじゃないのか?」

 

タツミとアカメの疑問の言葉攻めに対し、閉じっていた口開け答えるリゾット

 

「ああ、タツミの言う通り、本来なら、呪毒が心臓に回り死に至る...がリゾットは何事もなかったかのようにこうして生きている...五体満足でな」

 

「...確かに俺は、特殊な能力を持っている、村雨の刃を無効化できたのは、その能力の応用だ」

 

「じゃあ、やっぱり!」

 

「だが、今はこの辺で、やめておこう」

 

「え?」

 

タツミがリゾットも帝具使いであると確信するとリゾットから話の中断の提案が下りる

 

「お前たちが、俺の能力の詳細と、なぜ村雨に斬られ生きていられるかを、知りたいのは分かる、だが今は任務中だ...流石にすぐに標的が見つかるという保証はないが、ザンクを探し出し、暗殺する、それが今、優先すべきことじゃあないのか...俺が言っていることは間違っているか...アカメ」

 

話が脱線し痺れをきらしたリゾットは今優先すべきことを述べアカメに人差し指を向ける

 

「...いや、リゾットお前の言っている事は正しい...今はザンクを見つけることが最優先だ」

 

「俺がこうして死ぬことなく生きている謎は近いうちに話す、だから今は任務に集中しろ」

 

その言葉聞いたタツミは両頬をバシッとはたくと短剣を上にかざしながら言った

 

「俺、気が少し緩んでいたのかもしれない、目が覚めたよ、今は任務に集中する!」

 

「それでいい...タツミ、アカメ、俺は少しこの辺りを探るお前達はあの店のベンチで待っていてくれ」

 

(アカメやタツミが先に見つけ殺してしまったら、情報を聞き出せないからな)

 

リゾットは出来ることなら、二人にソルベとジェラートの仇の情報を聞き出そうとしていることはリスクがある為、言いたくないのだ

そのため、二人にはここで待っててもらおうとした。

 

「...分かった、だが、あまり遠くには行くなよ」

 

「分かっている」スウゥ

 

アカメの忠告に応えるとリゾットは体に鉄分を身にまとい姿を消しながらアカメ達とは反対の方へと足を進めた

 

 

 

 

 

 

 

「遅いな」モグモグ

 

リゾットが行ってから十数分が経った頃アカメは、ちょうど真後ろにある夜中でも経営しているクレープ屋さんで買ったクレープを食し、タツミはお腹があまり好いていないのか飲み物を飲んでリゾットを待っていた。

 

「確かに腹ごしらえは大事だけどさ、リゾットが今は任務に集中しろって忠告してたし」

 

「ああ、言っていたな、だがリゾットは『流石にすぐに見つかるという保証はない』とも言った、なら、リゾットが戻ってくるまでは大丈夫だろう、それに」モグモグ

 

「それに?」チュー

 

「ここで待っていろと、言いだしたのはリゾットだ、戻ってくるまでは自由にしてても、文句は言わないさ」モグモグ

 

クレープを頬張りながら話す、アカメ

飲み物をストローでチューっと吸いながら聴くタツミ

 

「それもそうか」ブル

 

アカメの言葉に納得したタツミは突然、体を震わせる

それを見たアカメは察する

 

「ちょっと、失礼」

 

「トイレだな」

 

「......」

 

アカメの言葉に反論はせず、店の角を曲がったタツミはズボンのチャックをおろし店の壁側で用を足す

 

「フゥ...ん?待てよ...どうせそう簡単に見つからないなら、リゾットから話の続き、聞けたんじゃ」

 

コツコツコツ

 

「ん?」

 

タツミがリゾットの言った思わぬ落とし穴に気付くとアカメがいる道の反対側から足音が聞こえた為、振り返ると、目を疑う光景が待っていた

 

そこにいたのは

 

「...サヨ?」

 

死んだはずのサヨだった。

 

 

 

 




次回 いよいよザンク登場

これからはなるべく1週間に1回は掲載したいと思います


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第23話 スペクテッド&シックス・センス①

タグを少し増やしました。


「なに?タツミが居なくなっただと」

 

「ああ、トイレに行ったきり、戻ってこないんだ」

 

 アカメはタツミがいるであろう路地の方へ行くと、居なくなっていることに気付く

そして、十数秒ほどでリゾットが戻って来たので、説明をしていたのだ。

 

「...ここに戻らないとなると、タツミは標的に遭遇したということか...」

 

「私もそう睨んでいる...ボスの情報では、ザンクは帝具持ちだ、早くタツミを探さなくては」

 

「...そうだな...行くか」

 

「ああ」

 

リゾットとアカメはタツミが行った方向へと走った

 

(...なんだこの違和感は?タツミが一人でザンクを相手にしている可能性が高いからか?…俺の長年の経験が何かあると思わせる、この感覚はいったい?)

 

リゾットのこの違和感は数分後に思い知ることとなる。

 

 

 

 

 

 

その頃タツミは

 

「サヨやめてくれ、俺だ、タツミだ!分からないのか!!」シュッ ッシュッ

 

「...」 スッ  パッ

 

死んだはずのサヨの弓矢の攻撃を避けていた

 

「ン~愉快愉快、首を斬るのもいいが、最愛の人に殺されかける光景も、中々見ものだね~」

 

それを近くで眺めているのは、仁王立ちで、両方の腕に剣先が付いているにも関わらず

なぜか、弓に使いそうな矢を握っている、不気味な笑顔を見せる男、そう今回の標的

首斬りザンクであった。

 

(クッ...どうなってるんだ、サヨが生き返ったと思ったら、それがザンクの幻で、幻を見せられたかと思えば今度は、ザンクの後から実態のあるサヨが現れやがった!)

 

「!?」 バキ

 

タツミはこれ以上攻撃をさせないようにする為、サヨの弓をへし折ると一直線にザンクの方へ走りこみ、短剣を握りしめ、叫んだ

 

「お前!サヨに何しやがったぁ!!」

 

それを見てもザンクは、微笑みを解かず、かと言って、タツミの攻撃を避けようとするそぶりも見せず、そのままタツミの短剣がザンクの胸に突き刺さろうとしたその瞬間

 

 

ドガァ

 

「ぐっはぁ」

 

ドゴァン

 

その打撃音と共にタツミは後方へ吹っ飛び、壁にぶつかる

 

(な、なんだ、何が起きたんだ?ザンクは一歩も動いていなかった、サヨだってあの位置から一歩も動いてない、だけど、この腹部の痛みは、まるで誰かに殴られたような)

 

タツミは何がおきたか分からずキョトンとした顔をする

 

「フフフ、その顔を見るにやはり、見えていなかったか...」

 

(まぁ五指の能力を使わなくても分かるがな)

 

タツミが腹を抑えながら歯を食いしばりながらザンクの方を見つめる

 

(あいつの額の目が帝具であるのは間違いない)

 

「何もない所から攻撃する、それがお前の帝具の能力か!」

 

「フフフ...愉快愉快...何もないねぇ、まぁ、半分正解で半分は不正解と言っておこうか」

 

「?...ど、どうゆうことだ!」

 

「フッ何も知らない僕ちゃんの為に、帝具の能力だけは教えてやるよ、お前がさっき思っていたように俺の額にある、この目の形をした、これは帝具“スペクテッド” 洞視、遠視、透視、未来視、幻視の「五視」の能力を持つ、まっ観察力が鋭いの究極形だな」

 

(五視の能力?じゃあ、あの見えない攻撃は、まさかもう一つ帝具を持っているのか!)

 

「不正解、今お前は、俺が帝具を2個持っていると考えただろうがそれはちがぁう、帝具は一人1つまで、それを破ると、体に圧倒的な負荷がかかる、最悪死ぬからなぁ」

 

タツミの心を読みそのうえで小ばかにするかのようにタツミの考えを否定するザンク

 

「それにタツミィお前はもう一つ考えなくっちゃあならないことがあるぞ」

 

「もう一つ?どうゆうことだ?」

 

「は~めでたい奴だなぁ、あれを見ろ」

 

「あれ?...ッハ!」

 

ザンクが指さす方に顔を傾けたタツミはザンクが言うもう一つの疑問について気づく

 

そうそこには死んだはずの人間が立っているのだから

 

「そう、死んだはずの人間がなぜ生きているのか...気にならないか...タツミ」

 

「ッく!」

 

ザンクの問いに思わず顔を歪めてしまう、タツミはザンクの能力でサヨが生き返ったとは思いたくなかった、あの日にみたサヨの亡骸が本当は何かの間違いで、本当は生きているんじゃないか、今ここにいるサヨは一時的に記憶を失っていて、ザンクに利用されているのではないか、そう思っていた、いや、そう思いたかった。

 

しかし、ザンクの言葉でサヨが実際に死んだという現実を突きつけられる

 

「謎が増えたなぁ~、さてさて、タツミ君はこの窮地を脱することか出来るのか~」

 

「うるせー!俺は信じねえぇぞ、お前がサヨを蘇らせたって!現にサヨはあそこから一歩も動かねぇし口も開かない、第一サヨが俺に攻撃するはずがねぇ!!どうせお前が作った偽物だろ!!!」

 

タツミは覚悟を決め短剣をサヨの方へ向ける攻撃の準備をする動作を見せる

 

「ふーん、そうか、偽物か...そう思うんなら、そいつに直接聞いてみろや」

 

「え?」

 

ザンクの思わぬ言葉に驚きザンクの方へ顔を向くすると

 

「タツミ...彼が言っていることは本当よ」

 

「!?」

 

(今の声は!間違いない!!)

 

タツミは声の下方向へバッと顔を向ける

同時に声の主がタツミの方へ歩み寄る

 

「本当に、サヨなのか」

 

「ええ、タツミ、会いたかったわ」バッ

 

そう言うとサヨは両手を広げタツミを抱きしめる

 

その行動に安心したのかタツミは短剣を掌から床に落とし涙を流す

 

「本当に、サヨ...なんだな、いき、生きてたんだな」ポロポロ

 

「うん...」

 

ザッザッザッザッザ

 

タツミは、サヨが生きているという安心感で背後に近づくザンクに気付かなかった

 

(愉快愉快、サヨはこのままで、タツミの首を斬るチャンスだ、サヨとタツミ両方の首を斬ってやる、生きていたと分かった最愛の人の首と同時に斬られたときのお前の顔、見せてもらうぞタツミィ)

 

「タツミ、せっかくで悪いんだけど、私のお願い聞いてくれる?」

 

「ああ、俺に出来ることなら何でもやるよ」

 

「ありがとうタツミ.....じゃあ...」ニコ

 

 

 

 

 

「死んで」

 

「え」グサ

 

真表情になったサヨはザンクが片手に持っていた、矢を奪い取ると、そのままタツミの背中に突き刺す

 

その行動にタツミは驚き、血反吐を吐く、そしてサヨはタツミを突き放す

 

ドカ

 

「ごはぁ、な、なんで」

 

タツミは伏臥位の体制になりサヨの方へ顔を向ける

 

「何やってんだあぁー!!」スパァ

 

「!!?」

 

サヨの行動に驚いたのは矢で刺されたタツミだけではない

ザンク自身もなぜか驚いており自身から取った矢を持つ右手を斬り飛ばし、空中で手と分離した矢をつかみ取る

 

その衝撃でサヨはそのまま倒れこんだ

 

(完全に予想外だった、まさか俺の手から矢を奪い取って、こいつに刺すとは、もし、こいつに能力が宿ったらどうするつもりだ!自分では当たりの良い便利な能力だとは思っていたがコピー人間に五視の能力が通用しないのは厄介だな)

 

「サヨォオオオオ」

 

「背中を矢で刺されたってのに、サヨちゃんの心配かぁ、タツミ...なッ!?」

 

「ウォおおオオオ、ザンクゥウウ」

 

背中を刺された痛みで、腕を動かすこともままならないが顔はザンクの方へ睨みを聞かせ叫ぶ、しかしザンクはタツミの顔ではなく、別の部位を見て驚いていたのだ

 

(こいつ、傷口の血がもう塞がっているのか?確かに矢は深々と背中の中心点に刺さっていた、普通なら血が止まることなんてありえない!) 

 

「どうやらタツミ、お前は、矢に選ばれたらしいな」

 

動けないタツミにじりじりと近づくザンク

 

「矢?なんのことだぁ!!」

 

「お前が能力を身に着ける前に殺してやるぞ、タツミ」チャキ

 

そう言うとザンクは右手に身にまとった剣を上に挙げタツミの首元にふりかざす

 

「死ねぇーい、タツミィイイイ」

 

「ウォオオオオオ」

 

死を覚悟したタツミは目を閉じて叫ぶ

 

 

後ほんの少しで、タツミ目掛け、刃が首を斬り落とそうとしたその瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メ       タ       リ       カ

 

 

「な、ナニィイイイ!?」 グチャァアアア

 

ザンクの右手から、ナイフと剃刀の刃が噴き出る、その影響か、右手に付いていた剣がナイフや剃刀に食い込み付け根の部分が斬られ地面に落ちる

 

カチャッ

 

「この攻撃は、まさか!?」

 

「遅くなって、悪かったなタツミ」スゥウ

 

刃物で傷だらけになり、右手の血を抑え込むのに必死なザンクと、身動きが取れず、伏臥位の姿勢のタツミの間に急に現れたのは透明化を解除したリゾットだった

 

「途中までは一本道だったんだが、途中で分かれ道があってな、そこでアカメとは、別行動をしたんだが、どうやら当たりを引いたのは俺のようだな、それに、もし、アカメが俺より先に、来て居たら危なかっただろう」

 

「リゾット」

 

絶体絶命のピンチにリゾットが現れ少し安堵するタツミだが、すぐさま別の方へ顔を向けると意識を失った、リゾットも気を失ったタツミが見る方向へ顔を向ける

 

「そうか、お前が噂の体の内部から攻撃するっていう通り魔か」

 

ザンクは自分に起きた攻撃に対し答えを導き出し、リゾットの方へ顔を向けるもリゾットは別方向へ顔を向けていた、だがリゾットはザンクの質問に答える

 

「ああ、そうだ、それは俺だ...お前のような人を人とも思わないようなゴミを殺してきた」

 

リゾットは否定はせずザンクの問に答える

 

「特にお前のような人の尊厳を侮辱するようなやつはな!」

 

リゾットは倒れているサヨ?の方向からザンクの顔へと方向を変える

 

「グワァアアアア」プシュプシュプシュ

 

(帝具を使っても攻撃を避けれないだとぉ!)

 

ザンクの顔から大量の針が噴き出る

 

「お前には元々聞きたいことが合ったが、お前の左手に持っている矢を見て、聞きたいことがもう一つ増えた、お前の帝具は、文献に合った“スペクテッド”「五視」を大幅にアップさせるものだ、そして、帝具は一人につき一つ!つまり、死んだはずのサヨが、あそこで倒れているということは!お前は!!」

 

「ウゥオオおおおおおお!シックス・センスゥウウ」ボワァアン

 

ギュン

 

サッ

 

リゾットがザンクの謎を確信し言いかけたその時、ザンクの体から緑色の人間に近い物がリゾットめがけ左手で殴り掛かる

だがリゾットはその攻撃を難なく避ける

 

「なに!?避けただと!!...ハハハ、愉快愉快...そういうことか、お前のあの意味不明な攻撃、俺の攻撃が見えたって事は、お前も!!」

 

 

 

 

 

 

 

「「スタンド使い(だ!)か!」」

 

 

 

 

 

 

スタンドファイル①

 

 

【挿絵表示】

 

 

 




ザンクのスタンドの名前の元ネタは映画シックス・センスから


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第24話 スペクテッド&シックス・センス②

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
『おれは約束通り一週間後に小説を投稿したと思ったらいつのまにか一カ月たっていた…』
な… 何を言ってるのか わからねーと思うが おれも何をされたのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった… 催眠術だとか超スピードだとか
そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…


約:一週間投稿目指しといて一カ月も遅れてすみませんでした



 

【首斬りザンク】元は帝国最大の監獄で首斬り役人を務めていた、しかし何十年も毎日のように命乞いをする人々の首を斬っているのに嫌気がさしたのか又は、監獄で斬っているだけでは物足りなくなり辻斬りになったのかどうかはリゾットは知らない(別に知りたいとは思っていないが)

 

実際、イルーゾォからは、今は辻斬りをしている、帝具使いである、そして、ソルベとジェラートを2度も殺した人物を知る手掛かりになる、その3つの情報を知らされていたにすぎない

 

 もし、ザンクがスタンド使いであるとイルーゾォが知っていたら、いや、スタンド使いがこの先、ナイトレイドの標的になると初めから頭に入れてさえいれば、例え皆に不審がられようとも自身がスタンド使いであり、スタンドの概念をナイトレイドメンバーに伝えていただろう

 

(甘かった...まさか、ザンクがスタンド使いとは!それに、なぜかは知らないが矢まで、持っているとは)

 

リゾットは、タツミの背に穴が空いていたであろう血の付着した背とザンクが左手に握っている先端に血がびっしりついた矢と片腕を斬られて気絶しているサヨ?を交互に見つめ、何があったかを察すると同時に、己の考えを深く反省した。

 

(あの様子だとタツミは、サヨ?に刺されたようだな、そしてその行動に激怒した、ザンクがサヨ?の矢を握っていたであろう、片腕を斬った...か、偽物でもサヨの姿をしているんだ、タツミは斬らないだろう...しな)

 

「まさか、ナイトレイドにもスタンド使いがいるとはなぁ...」バッッ

 

ある程度、考えをまとめているリゾットの方へ不意打ちと言わんばかりにザンクは自身のスタンド[シックス・センス]を出すと同時にリゾットの顔面目掛け殴りこもうとする

 

「そっくりそのままお返しよう...その言葉...」シュッ

 

あくまで冷静にリゾットはシックス・センスの拳をギリギリ所で交わす、拳の勢いは、リゾットの真後ろに立っていた、柱を貫き柱は爆発でも起こったかのように粉々になった

 

「何!二回も避けただ...と」

 

ザンクは自身のスタンドに余程の自身があったのか、顔を歪ませる

 

「ほう、そんなにおかしなことか?確かにお前のスタンドの攻撃力は高いようだな、後方の柱を粉々にするぐらいにはな...だが、それだけだ、パワーはあるが、早さが足りないのだ、それに俺は前にお前以上のパワーとスピードを持ったスタンド使いを相手にしたことがある、あれに比べれば、避けることなど容易い、まぁスペクテッドの未来視を使えば攻撃を当てることが出来るだろうが、その慌て方を観るにスタンドと帝具を同時に使うのは出来ないようだな...」

 

「ぐっ!!なら、連続ならどうだぁ」シュバババ

 

どうやらリゾットの読みは当たっていたらしくザンクは目を見開き驚くと、もう一度スタンドで攻撃を開始する

 

「それともう一つ」シュッシュッシュ

 

 

 

メ       タ       リ       カ

 

 

 

「グゥワアア」ブシュゥウウウ

 

リゾットがシックス・センスの攻撃を全て避けるのと同時にザンクの左腕からナイフ4本飛び出てザンクの左腕は右腕同様、ボロボロで動かすことがままならない状態に陥る

 

「お前の帝具とスタンドでは俺のメタリカには勝てない」

 

いとも簡単に攻撃を避け、自身の体の内部を触れることなく攻撃する男に対してザンクはこう思った。

 

(ナイトレイドにスタンド使いがいるとは思わなかった...とは言え、ここまで追い込まれるとは思わなかった、こういうことなら、スタンドと帝具を両方同時に使えるように練習するべきだった、スペクテッドは相手のちょっとした動きで、心や動作、行動を読むことが出来る、だが、スタンド発動時はスタンドエネルギーに力を集中するため、帝具の能力が使えなくなる(人を生みだすのは別)...クソ、こうなるんだったら初めから、『五視』の能力だけで奴を相手にするんだった!...こうなったら!!)

 

「コク」ジー

 

「くらええええ」シュッーー

 

 

ザンクは自身の腕についていたであろう剣をスタンドに握らせるとリゾットめがけ投げつける

 

「...」シュッ

 

リゾットはいとも簡単に避けるとザンクに近づく

 

「残念だったな、俺が油断したと思って剣を投げ飛ばしたんだろうが、俺は決して油断はしないし、手加減もしない」

 

「...」

 

ザンクは最後のあがきが無意味に終わったと悟ったのか顔を下にうつ向いている為どんな表情をしているのか分からない

 

「終わりだ、ザンク...安心しろまだ殺しはしない、聞きたいことがあるからな、まあ、念のため、逃げられないように、両足を斬らせてもらおうか、メタr」ドス

 

「え?」

 

瞬間、リゾットは右の脇腹に痛みを感じとり、脇腹をさすると生暖かい感触が掌に伝わる、その掌を見つめると、血がびっしりと赤く染まっていた

 

「ま、まさか、ザンク…き、貴様...あ、あの時、剣を投げたとき...お、俺に当てるために投げたのではなく、俺の後にいた、こいつをお、起こすために、ぶ、武器を与えて、俺の後方を刺すように誘導するため...だったのか」

 

そう言い切るとリゾットは子だけを後ろに振り返るすると先ほどまで倒れて気絶していたであろうサヨ?が片腕でザンクが投げたであろう剣を刃の付いた部分を握りしめリゾットの右わき腹を刺していた

 

「いやぁ~愉快愉快」

 

その声と共にリゾットはハッと前を向きなおすとそこには満面の笑みを向けるザンクとそのスタンド『シックス・センス』の右拳がリゾットの胸、目掛け叩きこまれようとしていた

 

「な!?」ドガァ

 

瞬間リゾットは両腕でその拳を防ぐもそのパワーに自身を刺しているサヨ?と共に後方へとふっとび壁に激突する

 

「ぐっぶぁあ」

 

皮肉にも自身を刺したであろう、サヨ?が後ろにいたことによりクッションの役割をしたためか、壁に激突したダメージはあまりない、しかし瞬間にガードした両腕は複雑骨折しザンク同様両腕は使いようにならないし右わき腹は、剣が刺さったままの為、血は噴き出ていないが重症で遂には、膝が地面につく

 

「これで俺もお前も両腕に傷を負ったが、どうやらお前の方が重症の用だなぁ」

 

そう言うとザンクは地面に膝をつくリゾットにゆっくりじわじわと近づいていく

 

「ッく!」シュゥゥゥ

 

「無駄だぁ」ザシュ

 

姿を消し体勢を整えようとするリゾットの肩に自身の腕に装着していた剣を突き立てる

 

「帝具を使えば、透明になろうがお前の姿は見えてるも同然なんだよ、ま!スタンドで攻撃ができないのはしょうがないが、まだこっちには、剣がある腕にあんま力は入らねぇがよぉ!満身創痍のお前をとらえるのは簡単だ、後はスペクテッドの能力を解除して、お前の首をスタンドの手刀で切り裂いたら、それで終わりだ」

 

(まずい、このままでは、俺のメタリカが先に作動しようとも避けることはできない...だが!やるしかない!!)

 

「これで、終わりだ!くらえ!!シックス・セン!?」バッ

 

「うおおおおお!メタr !?」バッ

 

ドッ

 

リゾットとザンクはスタンドを発動しようとするも頭上から刃のようなものが降ってきた今にも、自身を貫きそうな勢いにザンクはスタンド攻撃をやめリゾットに突き刺した剣を引きぬくと同時に後方へ回避する、リゾットもまた後方へと回避すると同時に刀は二人がいたであろう場所に突き刺さる、その刀を見つめリゾットは答えを見つける

 

「どうやら、無事に俺たちを見つけたようだな...」

 

ガッ!

 

「...」ダ ン!! 

 

リゾットがそう口ずさむと今度はロングヘアーのきれいな赤い瞳をした少女が地面に突き刺さった刀を抜いてザンクに剣先を向けるとこう言った

 

「すまない、リゾット少し遅れた」ド    ン

 

 

月夜に照らされた少女の言葉に頼もしさを感じた

 

 

 

 



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第25話 スペクテッド&シックス・センス③

やっぱり、ジョジョキャラの扱いって難しいっと思った


 

 

時はアカメが現れる数分前に遡る

 

 

(クッソ!こいつのスタンド能力はどうなってるんだ!!まるで、でたらめだ!!!)

 

ザンクはリゾットのスタンド能力がどういう理屈で発動しているのかを帝具『スペクテッド』の五指の能力のうちの一つ、『洞視』の能力で思考を読み取ろうとしているが、その能力がザンクのスタンドや帝具を持ってしても、避けることが出来ない、絶対的な殺傷能力を持っているという事実だった。

 

(奴の能力が無敵でもスタンドには射程距離がある、だが俺のスタンドは射程距離が短い!加えて、奴から離れたとしても、俺に飛び道具はねぇ!射程距離も奴の方が上かも知れない!!)

 

そう、このまま、戦っていればザンクはリゾットに触れることなくやられ、情報を話したうえ、殺されていただろう、しかし、そうならなかったのには理由が三つある

 

一つ目は『リゾットは決して油断などしていなかったが焦りが見えたこと』

ほんの少しの焦りと自分(ザンク)から情報を聞き出すため殺すことはないと『同視』の能力で理解、焦りの原因は仲間を殺害した人間を2年以上ざがしていた事により、絶対に相手を逃がさないと言う強い思いと、出来れば奴の仲間が来る前に、情報を聞き出したいという感情が出てしまったのだろう。

 

 二つ目は『サヨを敵として観ていなかったこと』地面で気絶している、タツミと違い、リゾットはサヨが攻撃を仕掛けてきたら容赦なく倒していただろう(サヨに思い入れがあったとしても)、そこがタツミ(入ったばかりの素人)とリゾット(暗殺者)の差であろう、ではなぜ、リゾットはサヨを敵として観なかったのか?答えはシンプルだ、リゾットがザンク達の前に現れたころには、サヨの片腕は斬られており、大量の血が地面を埋め尽くしピクリとも動いていなかった、それを見たリゾットはサヨの死を弄んだザンクに対し怒りを露わにし、サヨを敵候補から外したのだ

 

 三つ目は『時間帯が「夜」』だったことだ、いくらリゾットがサヨを敵候補から外したとはいえ、ザンクの不審な動きや表情を観れば、すぐさま後方から迫りくるサヨを軽くあしらい、メタリカで止めを刺すことが出来たであろう

 

時間帯は夜、いくらリゾットが洞察力、観察力で嘘の表情が分かろうとも、暗くては意味がない、月明りで照らされていたとしてもさほど変わらない、だがリゾットがザンクに近づけば月夜の光でも顔くらいは観察できるだろう、しかしザンクはスタンド使いであるのと同時に帝具使いでもある、同視の能力でリゾットが相手の嘘を見分けることが出来ることは百も承知、ならば、奴が近づいてくる前に、顔を伏せれば、それだけで解決するのだ!

 

この三つの偶然が重なったことにより、リゾットは重傷を負い、アカメが現れなければこのまま首を斬られていた、良くて相打ちのどちらかであっただろう

 

そして時は、今!

 

「タツミが倒れているのが、お前の反応を見るからに命に別状がなさそうなのはいいとして、リゾット...お前が此処まで追い込まれるとはな」

 

アカメは剣先を片手でザンクに向けたまま、片足の膝を地面につけているリゾットの肩に手を回し立たせながら、言った

 

「...言い訳をするつもりはない、お前が来なければ俺はやられていただろう...アカメ、礼を言うよ」

 

リゾットは視線をザンクの方に向けたまま、アカメに対して礼を述べる

 

「意外だな、まさかお前から礼を言われる日が来るとはな」

 

ザンク(標的)の目の前なので表情は硬いがアカメは少しだけ口角を上げる

 

「いや~、内部破壊の通り魔に加えて、一斬必殺のアカメかぁ...これはいよいよなりふり構って要られなくなってきたなぁ」ニヤァ

 

バッ

 

ザンクがやれやれと喋りながらため息を吐くとスタンドを出して、アカメに攻撃を仕掛ける

 

「気を付けろ、アカメ!ザンクは帝具以外に、もう一つ能力を持っている、お前ではその姿を見ることは出来ない!逃げることに専念しろ!!」

 

 それの言葉を聞いたアカメはリゾットからはなれタツミが倒れている方向と真逆の方へとジャンプしザンクから距離を取ろうとするも

 

「スタンドに村雨は通用しない!さっそくで悪いが死ねぇ!!アカメぇ!!!」

 

ザンクのスタンドの手刀がアカメの首筋に入ろうとした

 

 

 

しかし

 

 

シュッ

 

「「!?」」

 

その見えるはずのない手刀をアカメはギリギリの所で交わし、二発目のパンチも後方へジャンプし難を逃れる。

 

「なっナニィイイイイイイイ!!アカメ!キサマァアア、お前もこいつと同じスタンド使いなのか!」

 

ザンクが思いもしないことで取り乱しているとアカメの顔を見て、ハッと理解する

 

それはリゾットも同じことだった

 

なんとアカメは目を瞑っていた

 

「スタンド使い?が何なのかはよくわからないが、ザンクお前のその口ぶりからリゾットもそのスタンド使いに該当することになるが?」

 

そう言い切るとアカメは目を開き、リゾットの方へ視線を合わせギロっと目を鋭くし「後で詳しく聞かせてもらうからな」っと訴えているとリゾットはそれを感じ取り、冷や汗をかきながら頷く

 

「スタンド使いを知らないだと?じゃあ何で避けれた?アカメ!」

 

ザンクはスペクテッドの能力を使うことを忘れ取り乱しながらアカメに問いただす

 

それとは別にリゾットはその答えを既に見つけていた

 

するとアカメから口が開く

 

「私の仲間にブラートという、姿を消して戦うことが出来る男がいる、だからよく、手合わせしてもらっていたんだ、透明の相手と戦うときがいつか来るのではないかと思ってなだから、見えなくても空気の流れや気配を感じ取ることはそう難しい事ではない」

 

 理由を述べるとアカメはあえて透明になれるはずのリゾットのことをザンクに言わなかったがリゾットの方に視線を送る

 

リゾットもまたその視線の意味に気付く

 

(俺がもし裏切って透明になっても戦える...そういう意思を感じるぞ、アカメ)

 

「...そおいやぁ、昔いたなそんな奴、確か100人斬りのブラートだったっけか?...スタンド使いじゃ無けりゃぁ敵は居ないと思っていたが、即死攻撃の刀もあるし厄介ねぇ、もう一人は両腕が使い物にならないとは言え、予測不可能の内部攻撃を仕掛けてくるしなぁ~、それに刺された傷からはもう血が出てないようだし...」

 

ザンクはリゾットの思考を読んでサヨに刺された傷口をふさいだことを知る

 

それはリゾットに肩を回した時にアカメも気づいたことでもあった

 

リゾットは脇腹の傷口を空気中の鉄分を集め塞いでいたのだ

 

「う~ん、片方(リゾット)は手負いとはいえ、さっすがに2対1はきついしなぁ、サヨはもう使いものにならないし...決めた、アカメ...お前にしよう...『シックス・センス』」ブウン

 

「サヨ...!?あそこに倒れているのは、まさか!?あの時、死んでいたタツミの元仲間のサヨか!」

 

倒れていたサヨは伏臥位の体勢で倒れていた為、顔が見えなかったのだ

 

「詳しいことは後だ、奴が何か能力を発動しようとしている!それも...アカメお前に対してだ!!」

 

2人がそうこうしているうちにシックス・センスは親指と人差し指をLにし、親指を人差し指の先端、人差し指を親指の先端つけ□にし、アカメがその中に入るようにポーズをとる

 

するとザンクはスペクテッドの幻視の能力を使いアカメがもっとも愛する者の姿を、その目の前に浮かび上がらせる

 

「!?」

 

 するとその幻影はシックスセンスの□の中へと吸い込まれ、全部が中に入るとその□が人の身長ぐらいの大きさへ変化するとその□はドアへと変化する

 

 するとドアの取っ手がゆっくりと回り始め、ドアが開く、ドアの隙間からこの世の物とは思えない、空気が漂い、アカメとリゾットは冷や汗をかき、後方へと少しだが後ずさる

 

その瞬間、開きかけのドアの向こう側から声がした

 

「お姉ちゃん...」

 

「!?」

 

その声を聞きアカメは硬直し、リゾットはドアの方を直視し、ザンクは不敵な笑みを浮かべると、ドアが完全に開き、中からアカメに似た少女が現れた

 

「やっぱり、お姉ちゃんだ」ニコ

 

「ク、クロメなのか?」

 

目の前には笑顔でアカメに語り掛けるその少女を見てリゾットが見た事もないアカメの驚きの表情を見せる

 

 

「愉快愉快...第二ラウンドと行こうか」

 

 




スタンドが出したドアはアカメにも見えています、もちろんサヨとクロメも


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第26話 スペクテッド&シックス・センス④

 最近、プリコネというアニメが人気らしいので、ホームページのキャラクター紹介を見てみると主人公格の女の子の名前を見て「へぇ~ペリーコロって名前なんだジョジョに出てきそう」と思ってもう一度よく見てみるとペコリーヌって名前だった...

こ、これがジョジョ脳か...


 

 

(...ウ......ん?...あれ?俺は何を...!?痛っ!!?)

 

(背中が痛い? なんだこれ?血?) ヌチャ

 

目を覚ました少年は背中に痛みを感じるとすぐさま片手で触れる

 

(なんで血が...?...!そうだ思い出した!!俺はあの時、サヨに刺されて意識を失ったんだ!!)

 

意識が曖昧になっていたタツミは気絶する前の出来事を思い出す、辺りをキョロキョロ見渡した

 

まず最初に目に入ったのは、少し遠い位置に倒れこむサヨ

 

(サヨ!何で?倒れてるんだ?...いや今はそれどころじゃないか、俺が今こうして目をさますことが出来たってことは、リゾットかアカメが間に合ったってことだ、きっと今もザンクと戦っているはずだ)

 

そこまで考えたタツミは今度は戦っているであろう仲間を探そうと立ち上がる、背中を刺されたが普通に動くのであった

 

「一体どこに要るんだ?」

 

そう口にこぼした、その時

 

キーーン

 

刀と刀が交える音がタツミの目の前、柵の方から音がした、タツミはその音を頼りに柵をくぐるとそこには

 

「アハハハハ!避けないでよ!!今度は一緒にいようよ!!!お姉ちゃん!!!!」

 

「くっ!クロメ」

 

狂気的に刀を振りかざす少女と少女の剣技を刀でいなす、少し険しい表情のアカメと

 

「どうした、どうした?避けるだけかぁ?」

 

「......」

 

ザンクの攻撃をスレスレで避けるリゾットの姿だった

 

タツミの目から映る姿はザンクの後姿と真正面から避けるリゾット

 

だが、その攻撃の仕方が変だった

 

(なんだ?ザンクから現れた、あれは?)

 

タツミは目を丸くしながら、ザンクから現れた人のような姿を見て困惑していた

 

「っく! メタリカ」

 

「ふん、くらえぇ」シュ

 

「っ!」ザシュ

 

ザンクはリゾットの目線から体を大幅にずらした瞬間スタンドを出しすぐさま、手刀で斬りつけ、リゾットの左肩を浅いが切り裂く

 

「愉快愉快、やはりな、リゾットお前、能力使った後、わずかだがタイムラグが発生する様だな」

 

「…」ポタポタ

 

肩から血が滴り落ちる、リゾットのちょっとした表情で悟るザンク

 

「やはりそうか、一時はお前の能力では、俺は一方的にやられるだけと思っていたが、この『スペクテッド』の能力のうち「洞視」と「未来視」を組み合わせることで、お前の予測不能の攻撃をお前の視界から一瞬、逸らすことで、回避その瞬間にスタンドで攻撃をする、帝具の能力を複数同時に使用するのは前ならできる芸当ではなかったが、スタンドを得て、精神力を鍛えた今の俺ならもしかしたらと思ったが、こうもうまくいくとはな」

 

ザンクはニヤニヤと余裕そうにリゾットに向ける

 

「...確かに、貴様は、俺のスタンド『メタリカ』の攻撃を回避する方法を生み出したようだな、だが、貴様は俺のメタリカを回避する間はスタンドを一度も出していなかった、回避した後に出していた、それはつまり、スタンド使用中は帝具の能力が使えないということ」

 

リゾットもまた、お前の弱点に気付いているぞと述べる

 

「ほう」

 

「もし帝具使用中にスタンドを出した状態で俺を攻撃していれば、俺の肩はこの程度ではすまなかった、最悪、左腕を切断されていた可能性だってある」

 

「お前の考察は当たってるぜぇリゾット、いやぁ驚いたぁ、スペクテッドを所持している俺とためを張れるくらいの洞察力と推理力だ」ぱちぱち

 

それでもザンクは余裕そうにリゾットを見つめながら拍手する、両腕をメタリカにやられたと言っても、拍手することは出来るようだ

 

「余裕そうじゃあないか、ザンク」

 

「ああ、余裕だなぁ、両腕複雑骨折、左肩損傷、スタンド能力発動後のタイムラグ、だが俺は両腕をやられたが動くしそれ以外にやられたのは戦闘にかかわりの少ない顔!どう転んでもお前に負けることはありえねぇんだよリゾットォオオ」

 

(次、能力を発動したときが最後、お前の首と胴体は切り離される、くくく愉快愉快、その首をクロメと戦っているアカメの目の前に差し出し、クロメに止めを刺させその後、アカメの首も掻っ切ってやる)

 

「…」

 

「…」

 

数秒、二人は動かなかった、だが、いつまでも動かないわけにはいかない、ザンクはアカメがクロメを倒し(まんがいち)リゾットに加勢に来れば、勝率が下がるし、リゾットはアカメが来ればザンクには勝てるが、ザンク相手ではアカメも手加減できないため、村雨でザンクは死ぬ、情報を聞き出すことが出来ない、どう転んでも、どちらかが先に動かなくては(攻撃を仕掛けなけらば)ならない

 

 

 

そして動いたのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メ       タ       リ       カ

 

シュッ

 

バッ

 

「避けたぞ!リゾット!!俺の勝ちだあ!!くらえぇ!!!」

 

ザンクはスタンドを出すとシックス・センスの手刀をリゾットの首に狙いを定める

 

 

そして

 

 

 

 

ザシュ

 

 

「ぐっふぁぁ」ブゥシャァ

 

シックス・センスはリゾットの首の直前で動きを止める

 

「ば、馬鹿...な、お、おまえ、い、いつの...まに」

 

ザンクが後ろを振り向くと短剣でザンクの背中を突き刺すタツミの姿が会った

 

「ベネ(よし)やはり、俺の推測通り、スペクテッドの能力を俺のメタリカの攻撃をかわすのに集中させるあまり、俺がタツミに指示を送っていたことに気付かなかったようだな」

 

「これで良かったんだよなリゾット」

 

「ああ、それでいい、良く、俺の指示をくみ取ったなタツミ」

 

「ははは、まあな…」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

(なっリゾットの肩が!俺も加勢に!!)バッ

 

シュッ 

 

ドス

 

(え?)

 

タツミがリゾットに加勢に行こうとした瞬間、メスがタツミの横を通り過ぎ、後ろの柵に突き刺さった、それを確認しリゾットの方を見ると、リゾットがザンクに悟られないようタツミに一瞬のアイコンタクトをしたのだった

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「そんなことが、馬鹿な、リゾット貴様ぁ~」

 

ザンクはタツミの行動とリゾットの指示であることが分かると血反吐を吐きリゾット目掛け眼を飛ばす

 

「なぁに、お前がサヨ?を不意打ちに使ったように、俺もその案を使わせてもらった」

 

「!き、きさまぁあああ」

 

やけを起こしたザンクがリゾットに飛び掛かるも

 

 

 

 

メ       タ       リ       カ

 

「ぐわああぁぁああああ」

 

ザンクは両足を剃刀で裂かれ、そのまま倒れる

 

その時に掌を地面につける、そこでリゾットは生み出したナイフでザンクの掌にナイフを突き刺しそこからぬけなくした

 

「あああああああああああああああ」

 

両方の掌を突き刺されたザンクはあまりの痛みに絶叫し、大量の汗を流す

 

無表情で行うリゾットを見てタツミは絶句している

 

「はぁ...はぁ…はぁ」

 

(まだだ、まだ俺にはクロメがいる、アカメはクロメを斬ることは出来ないはずだ、こっちにクロメを向かわせればあるいは)

 

ザンクは最後の賭けだと、希望を捨てず策を考える

 

「クロメぇええ、こっちにこい!こいつらを殺せ!!」

 

ザンクが地面に顔を向けたまま、向こう側でアカメと一戦交えているであろうクロメに大声で呼びかける

 

 

 

シーーーーーーーーーーーーーン

 

 

 

しかし、来るのは静寂だけだった

 

(なぜだ?なぜ来ない??)

 

「残念だったな、ザンク...前を向け」

 

「...なっ!?」

 

なぜか冷や汗をかくリゾットの言葉通り前を向いたザンクが目にしたものは

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

「…」

 

首筋を斬られ、生命を終わらせたクロメ?を、お姫様抱っこで掲げる、悲しげな表情のアカメであった

 

するとクロメ?は足先から粒子のような光が散り散りになり、それが顔の方までいくと完全にこの世から消え去ってしまった

 

 妹?を見届けたアカメは一滴の涙を流すとザンクの方へ顔を向けこう言った

 

「私はお前を絶対に許さない」

 

 

 

その言葉を聞くとザンクは抗うのをやめた

 

 




次回 ザンク 回想編

そして

ソルベとジェラートを殺した人物が


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第27話 首斬り役人ザンク①

 

 

 

~時は何十年か前に遡る~

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

当時の俺は、無口で不愛想、頼れる人間もなく、仕事にもつけず毎日を無駄に過ごしていた

 

そんなある日、額に目のような物を付けている、帝国の役人に声をかけられた

 

「そこの暇そうな君」

 

その声をかけてきた人物が所持していたものこそ、後にザンクが殺し奪い取る帝具『スペクテッド』であるのだが、この時のザンクは知る由もない

 

「君、帝国で仕事してみないかい?」

 

 

あの時、声をかけられたことで俺の人生の分岐点は決まったのだ...

 

 

 

 

 

 

お願いします、私は何もしていなんです!コロさないでくd

 

 

ザシュ...

 

ウッ ヒッグ...死にたくな

 

 

ザシュ...

 

 

おかあ…さn

 

 

ザシュ...

 

うわあああああぁぁあああ

 

 

 

ザシュ...

 

……

 

 

 

 

ザシュ...

 

 

 

 

 

 

ザシュ

 

 

 

 

 

 

ガチャ

 

キーーイィィン

 

「ザンク君、今日の仕事はこれで終わりだ、明日も朝、7時前に来るように」

 

「...はい、分かり...ました...ザラキ署長」

 

 

帝国に所属していた頃の俺は、一週間のうち、休みが二日(たまに一日)で仕事の時は、朝7時から夜の12時過ぎ...早くて12時前の生活を送っていた

 

帝国に所属したての頃は、その生活がとてもつらく、処刑の途中で嘔吐を繰り返すことが、多かった

 

だが、人間のなれってものは恐ろしいものだ、毎日、朝昼晩と黙々と人の首を斬ることを続けていると一週間ぐらいでなれ始めたのか、嘔吐の回数も減り始め、一カ月、二カ月、半年と月日が流れたころには、それが俺にとって当たり前のようになっていた。

 

 

 

俺が首切り役人になって一年が立とうとした矢先、あることが起こった

 

「今日も疲れた、帰って...寝よう...」

 

たまたま休みがとれず、十日連続で首を斬っていた俺は、やっと明日が休みになると、安堵したのか、どっと疲れが一気に押し寄せてきた、家に帰ると、帰り血まみれの服のまま、風呂にも入らずに布団に入ることなく床に倒れる形で眠りにつく

 

 

「.........」スゥ...スゥ…スゥ...

 

 

 

 

ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ユルサナイ ジゴクニオチロ ジゴクニオチロ ジゴクニオチロジゴクニオチロ ジゴクニオチロ ジゴクニオチロ ジゴクニオチロ ジゴクニオチロ ジゴクニオチロジゴクニオチロ ジゴクニオチロ ジゴクニオチロ ジゴクニオチロ ジゴクニオチロ ジゴクニオチロジゴクニオチロ ジゴクニオチロ ジゴクニオチロ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ シネ 

 

(!?)

 

「うわあああああぁぁぁあああああああ!?」バッ

 

ザンクは勢いよく、体を起こし叫ぶ

 

体全体が汗でびっしょりしている

 

「ハァ...ハァ...ハァ...ハァ...ゆ、夢...か?」

 

 

オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ 

 

 

「いや、そんな...馬鹿な」

 

ユルサナイ ヨクモコロシテクレタナ アンタガニクイ オマエダケハユルサナイ ジゴクニオチロ コッチニコイ シネシネシネシネシネ ヒトゴロシ

 

「ハハハハハハ...ハハハ、ゆ、夢じゃねぇ、聞き覚えがある、この声は、俺が首を掻っ切った、処刑して逝った人間の声だ!!!」

 

ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ

 

恐怖のあまり心臓の鼓動が加速し汗が滝のように流れ出す

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

朝を向かえても、その声は耳に脳に響き続け、ザンクは結局一睡も眠れず...

 

「......」

 

その日以降ザンクに対する、恨みつらみの声がやむことはなかった

 

 

 




ザンクの過去

前回ソルベとジェラートを殺した人物が出るように、におわせましたが話を区切って出している為、出せませんでした、すみません...28話か29話には必ず出します


ザラキ署長...ザンクを首斬り役人にした張本人であり、後にザンクに殺害され帝具を奪われる人物 ほぼオリジナルキャラクターである


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第28話 首斬り役人ザンク②

 

「気絶しているのか」

 

「…」

 

ザンクは傷を負い過ぎたのかまたは、アカメの迫力にやられたのか意識を失っていた。

 

「葬る」バッ

 

アカメの一声でザンクに斬りかかろうと刀を振るう

 

「!?」バッ

 

シュバ

 

ピタ

 

その矢先、リゾットがザンクとアカメの間に立つ

 

「...」

 

アカメの村雨はリゾットの眉間のギリギリで止まっているのに対し、リゾットは表情を変えるそぶりも、冷や汗すら掻いておらず、ただ真っ直ぐアカメの目を見据えている

 

「おい!なにすんだよ!!リゾット!!!」

 

その行動には、勿論理由があるのだがそれを知らない、アカメは軽く驚いた表情をしたがすぐにいつもの無表情に戻りとタツミは声を荒げながら驚く

 

「落ち着け、タツミ、俺はどうしてもこいつから、ある情報を聞き出さなくてはならんのだ」

 

「…」

 

情報を聞き出したいリゾットを前にアカメはいまだに剣先をリゾットの方に向ける

そのままではらちが明かないと思ったリゾットは説得を試みる

 

「アカメ、ザンクに一刻も早く止めを刺したいと思う気持ちは俺にも分かる、タツミほどじゃあないが、サヨとは面識があったし、いまだにあの日のことを後悔しているからな...クロメ?とか言ってたが、あの時の状況を察するにお前の妹だろう(現にお姉ちゃんと呼んでいたし容姿も似ていた)?」

 

「!…」

 

アカメは図星だったのか少しの動揺を見せる

 

「その反応を観るに当たりのようだな、だが!俺はどうしても情報を聞き出したい!!俺の仲間を殺した奴の素性を知ることが出来る可能性をもっているからな!!!」

 

「だが…」

 

ここでアカメは反論しようと声に出すもすぐさまリゾットが割って入る

 

「ナジェンダにはすでに許可は得ている、一人で遭遇して倒したらと言っていたが、ザンクは既に再起不能だ、戦う力は残っていない、それに、情報を聞き出さなくっちゃあならない理由がもう一つある!これからのお前たちにも必要な情報になるはずだ!!」

 

「私たちに…必要な?」

 

「情…報ってどういうことだよ!」

 

その情報が自分たちにも必要である、そんなふうに思っていなかったアカメとタツミは軽く首をかしげる

 

「タツミ、お前、ザンクの攻撃で不思議に思ったことはないか?」

 

そんなタツミに突拍子もない質問を投げかけるリゾット

 

「不思議?…はっ!そう言えば、ザンクは、何もない空間から攻撃していて、いつの間にかふっとばされたことか?」

 

「そうだ、その後、お前は、矢を刺され、見えるようになった」

 

「見えるようにって、まさかあの、ザンクから出てきたあの人型の影は!」

 

「そうだ!タツミお前は矢に刺された影響で、あれが見えるようになった」

 

「タツミにも見えているのか」

 

「そうだ、アカメ、俺やタツミは観ることできる、それが『スタンド使い』と言うものだ!!」

 

バ―――――――――――――――――――――ン

 

「スタンド使い…っ!そういえばザンクはこう言っていた」

 

 

 

 

 

(「なっナニィイイイイイイイ!!アカメ!キサマァアア、お前もこいつと同じスタンド使いなのか!」)

 

 

 

 

「リゾットが見えているのはザンクの口ぶりから分かってはいたが、まさかタツミまでそのスタンド使いになってしまったとはな...」

 

アカメは点と点が繋がり納得する

 

「そういうことだ、矢に刺されたものは二つのうちどちらかの道を辿る!一つは『矢に選ばれずにそのまま息絶える者』そしてもう一つは『そこで気絶しているザンクや俺、そして先程、矢に刺されスタンドのヴィジョンを見ることが出来た、タツミのように矢に選ばれた者だけだ』」

 

「それじゃあ、俺はその矢に選ばれて、スタンド使いになったってことかよ」

 

タツミは自身の背中をさすりながらリゾットの返答を待つ

 

「そうだ、いずれお前もスタンドのヴィジョンと共に新たな能力を得るだろう...そろそろ、刀を降ろしてもらえるとありがたいのだがな...」

 

「...ボスから了承を得ているは分かった、私がそれを止める理由はない」スッ

 

チャキ

 

アカメは理解を示し刀を鞘に納める

 

「そうか、ではさっそく、ザンクを叩き起こすとするか」

 

「リゾット」

 

「...今度はなんだ」

 

リゾットが気絶しているザンクにメタリカを放とうとするとアカメが再び声をかける

それに対し、またか、と言う態度で返答する

 

「さっきはすまなかった、お前の言う通り、偽物とはいえ、妹を自らの手で殺めたことに怒りが隠せなかった...我を忘れ、判断を見誤った、許してくれ」

 

そう言うとアカメは頭を下げる

 

「...頭を上げろ、アカメ、謝るのは俺の方だ」

 

「え」

 

まさかの返答にアカメは顔を上げ、タツミも何故、と動揺している

 

「俺は自分の過去を話さないことを条件にナイトレイドに加入した、スタンド使いというのも俺の過去に関わるからだ、もっと早くに、俺がスタンド使いと言うことを話していればこんなことには、ならなかったかもしれない、もしザンクが現れた場所が、レオーネ達であれば、全滅していた可能性が高い、全ては俺の判断ミスだ、すまなかった」

 

今度はリゾットが頭を下げる

 

「リゾット、お前の方こそ頭を上げてくれ、確かにスタンド使いについては知らなかったが、もし教えてもらっても、能力が分からない相手と戦うことに変わりはない、それに、私が怒りで我を失っていたのは事実だ」

 

「そ、そうだぜリゾット、俺だってスタンド使いがどういうものか分からなかったけど、サヨに矢ァ刺されて、そのスタンド使いって奴になれたし、刺された背中はなぜかは分からないけど、血は止まったし、穴も塞ぎ掛かってるしよ...サヨが偽物だって心のどこかでは分かってたのに、油断したのも、俺の甘さが招いたことだしよ、ここはお互い悪いってことでいいんじゃないか、なっ!アカメ」

 

「あ、ああ、そうだな、それじゃダメか?リゾット」

 

アカメとタツミはまさかリゾットが謝ると思っていなかったため、動揺したのか、慰めの体勢に入っていた。

 

「お前ら...」

 

「それに、ザンクに聞かないといけないんだろ?誰か人が来る前に聞き出そうぜ」

 

「っふ...そうだな...メタリカ」

 

「!? ぐわああああああ」ザシュザシュザシュザシュ

 

リゾットの掛け声とともにザンクは再び目を覚ます

 

「え、えげつないな」

 

「...」

 

ザンクへの起こし方にドン引きするタツミとアカメ、それもそのはず、ザンクの足先から膝まで釘やメスが大量に噴き出したのだ

 

「ハァハァハァハァハァ」

 

それでもザンクは動かなかった、なぜなら両方の掌がナイフで貫かれ地面に直接、差し込まれている為、ザンクは今、四つん這いの状態でもあるのだ

 

「目、覚めたか...ザンク」

 

「リぃゾットオ」ギシギシ

 

ザンクは限界まで首を上にあげ、リゾットに睨みを利かせる

 

「目覚めたばかりだが、お前に聞きたいことがある」

 

「誰が貴様の質問なんかに答えなきゃならギャアアアア」ゴパァ

 

ザンクが悪態をついた瞬間、二つあるうちの一つの目、すなわち左目から4~5本の釘が瞳孔から噴き出る

 

「ザンク何か、勘違いしてるんじゃあないか?」

 

「ハァハァ!か、勘違い?」

 

「質問は既に、拷問に変わっている...俺が聞きたいこと以外を話せば、どうなるかぐらい、貴様でも分かるだろう?」

 

「!?」ゾッ

 

「そうだな、次は右目だ、言葉さえ話せれば、情報は聞き出せる...メタr」

 

「わ、分かった!?話す!は、話すから!!もうやめてくれ!!!」

 

「ベネ、それでいい」

 

そう言うリゾットに恐怖と口にしたことは絶対に行うということを理解したザンクはリゾットの質問に答えることになる

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「お前が探しているという人物...!もしかしたら、あの人のことか?」

 

「あの人?」

 

「ああ、お前が言うソルベとジェラートは体を切り刻んでも1週間は生きていたんだろ?」

 

「...ああ、そうだ、どうやら分かったようだな、詳しく教えてもらおうか」

 

「ああ、あれはたしか俺が帝国で首斬り役人をしていた頃…………」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

~数か月前~

 

首斬り役人になってから十数年たった、俺もそれなりに出世し、給料も少し増えたが、毎日首を斬ることは変わらない…いや、違う、もう首を斬らないと落ち着かない体になっていた、癖みたいなものだ、自分から首を斬りに行くことも今思えば多かった。

 

そんなある日、俺の人生を変える出来事が起こった

 

「ザンク君、少しいいかい?」

 

「ザラキ署長...私に何か用ですか?」

 

「ハハハ、ああ、実は来週から新しく配属する人、2人が決まったみたいでね」

 

「新しくっということは…」

 

「ああ、私や君の部下になるということだ、そこでだ、君には新人二人の教育係になってもらいたい」

 

「私が...ですか?」

 

「ああ、そうだよ、かつて私が君の教育係をしていたようにね...で、どうかな、任せても?」

 

ザラキは鋭い目でザンクに圧をかける

 

(...チッ、めんどくせーな)

 

「ん?今メンドクセーなって思ったかい?」

 

ザラキは自身の額についている物を人差し指でコツコツと突きながら言う

 

「!?い、いえ、喜んでやらせてもらいます。」

 

「そうかい?じゃあ頼んだよ」

 

 

~一週間後~

 

「確か今日だったな、新人が入るのは...ん?」

 

 

タッタッタッタッタッタッタッタッタ

 

俺が新人が来るのを待っていると、明らかに走っている音がした

 

「あ、ザンク君、やっぱりここにいた!!」ハァハァ

 

「ザラキ署長、どうしたんですか、珍しいですね、走って来るなんて、いつもは歩きで来るのに」

 

「そんなことはどうでもいい!ザンク君、教育係の件だが!!」

 

「ええ、今日ですよね?あ、もしかして、俺が忘れてると思ってこうしてわざわざ走って来たんですか、そんなことしなくても忘れてませんよ、ちゃんと覚えて」

 

「そのことなんだが、教育係は取りやめになった!」

 

「え!どういうことですか?じゃあ、ザラキ署長が教育係をやるってことですか?なら私は別に構いませんが」

 

「いや、そうじゃないんだ、お、落ち着いて聞いてくれ」

 

ザラキの目は焦りと動揺が見られた

 

「は、はい、分かりました」

 

「実はなザンク君、入ってくるっていう二人の新人だが、昨日の夜、正式に」

 

「正式に?」

 

「大将軍と同等の地位に昇格した。」

 

「...え?」

 

どうやら俺の部下になるはずだった2人は、帝国に入って1週間もしないうちに、俺の上司よりも役職が高い地位になっていた。

 

「さ、さっそくで悪いがお二人がいる場所まで連れていく、来るんだザンク君」バッ

スタスタスタスタ

 

「ま、待ってください、署長!ザラキ署長!!どういうことですか?帝国に入って、1週間たらずで、大将軍と同じ地位になったって、まるで、あのエスデス将軍とブドー将軍、二人を相手に無傷で勝ったことで大将軍になった、あの人以来の衝撃ですよ!!!」

 

ザラキの歩幅に合わせるようにザンクは歩き、ありえないと言う

 

「確かにあの、大将軍は、エスデス将軍やブドー将軍以上の化け物だ、だが、ザンク君も私が今からいう話を聞けば、その2人も化け物だと思うだろう」

 

「そ、それはどういう?」

 

「聞いた話だと...............」

 

「帝国に敵対していた南方の異民族50万人のうち、49万人を殺戮し、残りの1万人を拷問にかけ、全滅させたらしい、しかも、たった二人で」

 

「...ふ、二人!?」

 

ザラキがずっと震えている理由が分かった、そんなわけのわからない、化け物が俺たちの上司になるのだから、そしてザラキが言っていることがほんとうなら、その二人は化け物だ、俺がそう感じた瞬間、汗と震えが止まらなくなった

 

「そ、その二人はどうやって...南の異民族を殺ったんですか?」

 

「...あまり詳しいことは聞けなかったが、その異民族の遺体には緑色のカビが生えていたそうだよ、そして、妙なことに、その死体のほとんどは、変形した地面の中に埋まっていたそうだ」

 

「わ、訳が分からない...」

 

「訳が分からない…か...私もだよ」

 

俺の返答にザラキも同意を示すとその2人がいるであろうドア、2~3メートル付近まで来ていた

 

そして―――

 

「ここだよザンク君、出来るだけ粗相のないよう頼むよ」

 

「は、はい」

 

「スゥーハァー...失礼します」コンコン

 

 

ガチャ

 

ギィィィ

 

「失礼します、本日、この部隊に配属されることになりました、ザラキと申します、位は署長であります!!」ビシッ

 

「同じくザンクと申します!!」ビシッ

 

「...」ボー

 

「ウガ、ウッガ」バリバリバリ ボリボリ

 

ザラキと俺が自己紹介をするも目の前の二人は見向きもしなかった。

 

一人は今まで見た事がないほどの邪悪な顔つき、カビのような形の緑色の髪、紫色に縁どられた上下真っ白な服、そして服にはその男には似つかわしくない十字架がデザインされていた。

 

もう一人はなぜか角砂糖をぼりぼりかじっており、こちらを見向きもしない、特徴としては、全身を茶色っぽいダイブスーツを身から顔にまで、まとっており、目元しか見えない

 

「あ、あのう...」

 

ここで、ザラキが沈黙に堪えたのか、ゲス顔の方に声をかけるすると、

 

「よし、セッコ、角砂糖、食い終わったな?」

 

「ウ、ウガ」コクコク

 

ゲス顔の方が、もう一人の方、セッコと言う人物に語り掛けるとセッコと呼ばれた全身ダイブスーツの男は首を縦に振る

 

「そうか、じゃあ、仕事に行くとするか」ニタァア

 

「うー、ウ...ン」

 

そう言うと、二人は俺やザラキのことなど目もくれず部屋から出て行ってしまった。

 

「が、眼中にないって、感じでしたね、ザラキ署長」

 

「ああ、だが、これで良かったのかもな」

 

「え?」

 

「見ただろ、あの邪悪な笑み、あの目は、誰でもいい、人の絶望した表情が見たい、その為なら、犠牲は問わないという、目だ、きっとあいつは、生まれついてのゲスだ、邪悪だ、ダイブスーツの方は分からんが」

 

帝具を所持しているザラキだからこそ説得力のある言葉、それ以上に彼の汗の量と、震える体を観れば一目瞭然だが

 

「そういえば、片方の名前は分かりましたが、もう一人の名前は何て言うんですか?」

 

「名前...ああ、そういえばザンク君には言ってなかったな、あの人の名前と役職は...」

 

 

 

 

 

 

 

「最高責任拷問官“兼”将軍(将軍とあるが拷問官のトップでもある為、大将軍と同じ地位)チョコラータ」

 

 

 

 




 ちなみにセッコの役職は、最高責任副拷問官であり、将軍よりちょい上の立ち位置にいる(将軍以上大将軍未満)


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