ハリー・ポッターと神殺しの魔王 (モルト)
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プロローグ

その者は、覇者である!

天上の神々を殺戮し、神を神たらしめる、至高の力を奪い取るが故に。

その者は王者である!

神より簒奪した権能を振りかざし、地上の何人からも、支配されえないが故に。

その者は魔王である!

地上に生きる全ての人類が、彼に抗う程の力を、所持出来ないが故に。

その者は、カンピオーネである!



 アルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドア教授。

 

 ホグワーツ魔法魔術学校校長にしてマーリン勲章受章(勲一等)、大魔法使い、魔法戦士隊長、最上級独立魔法使い、国際魔法使い連盟会員、ウィゼンガモット主席魔法戦士などなど、多くの称号を得た彼は今…

 

 

 

 

 

「アルバース!俺の加護学校にやるから7年くらい匿ってくれ!」

 

「何をやらかしおった、グレンッーーー!?」

 

 胃痛に悩まされていた。

 

 7月31日、ハリー・ポッターがホグワーツ入学必需品をダイアゴン横丁で買ったその夜から物語は始まる。

 

 

 

 

 グレン・ウェールズ

 1881年、ウェールズにて生まれる。

 1892年にホグワーツ魔法魔術学校に入学し、99年に卒業。

 卒業旅行にてゴドリックの谷を訪れ、かのアルバス・ダンブルドアと交流を持つ。

 旅を続けた彼はインドにてまつろわぬスーリヤを殺し、権能を簒奪した。

 

 イギリス、ロンドン魔法省の報告書より。

 

 

 

「それで、何をしよったんじゃ君は…。」

 

 頭を抱えながら10歳ぐらい(・・・・・)の外見の友人に老人は訊ねる。

 

「いや、俺この間ヌルメンガードに遊びに行ったんだよ。」

 

「ちょっと、待って」

 

 老人は待ったをかけた。当然だ。ヌルメンガードと言えば魔法界最高峰の牢獄であり、グリンデルバルドが建設したものだからだ。

 

「お主、まさかアズカバンにも遊びに行ってやしないであろうな?」

 

「ここ十年くらいは毎年行ってるな。」

 

 ダンブルドアは胃に5のダメージを受けた。

 

「…それで、どうしたんじゃ?」

 

「おう、それで場所がギリシャだったせいかその帰りにまつろわぬクロノスと出くわしてな。」

 

 ダンブルドアは胃に10のダメージを受けた。所在地不明の牢獄の場所をあっさり明らかにすればこうなる。

 

「…で?」

 

「それでまあ、殺して権能も簒奪できたんだけどな。」

 

 ダンブルドアは胃に50のダメージを受けた。

 

「・・・」

 

「んで、あの野郎最後の最後で体が年齢の十分の一になる呪いをやりやがってな。今こんな感じだ。いくつかの権能は使えるけどかなり弱体化してるんだよ。そんなわけでアルバス、しばらくあの魔王(戦闘狂)から逃げるためにかくm「断る!」はえーよ!まだ言い切ってないぞ!?」

 

「お主の経歴知ってたらそうなるわ!それに20年前、やったことを忘れたとは言わせんぞ!」

 

「あー、楽しかったよなアレ。イタズラ小僧たちやセブルスも巻き込んでな。」

 

「話を逸らすでない!校舎修復とか大変だったのを忘れたか!?」

 

「いや、それは俺もちゃんとやっただろ!?それに、20年前に教師として呼びつけたのお前だろうが!」

 

「あれは仕方なくじゃ!次の教員が見つかるまでの時間稼ぎのつもりじゃったのに7年も続けおって!」

 

「なんでそれで切れられるんだよ!?いいから匿えこの未婚!」

 

「絶対にいやじゃ、この童貞!」

 

「てめえ、それを言ったら戦争だろうが!」

 

 

 

 

 こうして大議論の後、決闘になりそうなところを副校長が見つけ折檻した。

 そして、ホグワーツの生徒名簿に一名加わることになる。




すみません、思いついたらなんか衝動的に書いてしまったんです。


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第1話 ダイアゴン横丁

石畳の道路、それを挟んで並んでいる様々な店、そして人々が賑わっている様はまるで祭りのような光景だ。

ここは、ダイアゴン横丁。イギリス、ロンドンにある買い物通りである。そんな場所を1人の少年が不機嫌そうな顔で歩いていた。

 

※※※

 

「おのれアルバスめ、最後の最後まで渋りやがって…。」

 

そう呟いて俺は昨日の出来事を思い出す。

 

『匿うかわりにハリーのことを頼むぞ。』

 

『えー、俺基本的にお前達の抗争は中立で居たいんだけど。』

 

『なら、この話は無かったことに…。』

 

『学校にとって不味いことが起こったら干渉する。これが最大の譲歩だ。』

 

『よかろう。交渉成立じゃ。』

 

 

「あの野郎、いつか髭全部抜いてやる。…さて、何が必要なんだっけな?」

 

一応、所属はしていたがもう随分前の話だ。それに俺が辞めた時から『闇の魔術に対する防衛術』の教師は毎年変わっているらしい。

 

「まずは…制服から探すか。」

 

そう呟いて服屋の方向への足を運んだ。

 

 

※※※

 

 

「あとは、杖か。」

 

杖…魔法使いにとっては誇りであり、武器であり、生命線だ。しかし、俺はカンピオーネになってから学校で使っていた杖は十全に使えなくなってしまった。だからカンピオーネになる際に新しく買い、教師を辞めるときにあの店に預けたのだが………

 

「オリバンダーは元気にしてんのかねぇ。」

 

そう呟いて、俺は歩みを進めた。

 

 

※※※

 

その日は、例年通りの筈だった。

毎年その時期になるとホグワーツへ入学する生徒が親と一緒に杖を買いに来る。

使い手を見極め、杖が呼んでいるのを感じ、そしてそれを渡す。

いつも父とやっている、いつもと同じ日々の筈だった。

そんな時だ。彼がやって来たのは。

一族の性質上、普通の魔法使いより視え易かった私はこう思った。

 

「ああ、この方は魔法界だけで収まる器ではない」と。

 

そして、彼には不死鳥の尾羽と黒壇の杖を差し上げた。我が強く、それでいて自由な彼にピッタリの杖だった。

 

次の転機が訪れたのはその数年後だった。

彼が突然店に訪れて「杖が合わなくなった」とおっしゃった。杖が忠誠を失ったのかと思えばそうでもなく、彼の魔力に杖がついていけなくなった事がわかった。店中の杖を試してみたがどれも合わず、

「無ければ作れば良いじゃないか。なんなら材料から探しに行こうぜ!」

と彼が言い出し、当時少年だった私もその旅に同行することとなった。過酷な旅だった。ダンジョンの罠に引っかかったり、彼に引き寄せられたまつろわぬ神に遭遇し、魔法生物に襲われ、まつろわぬ神に遭遇し………これ以上はやめておこう。

 

そうして遂に究極とも言える杖が完成した。ギリシャのサンストーンを芯とし、極東のヒイロノカネを纏った杖。………まあ、材質上杖ではなくアゾット剣になってしまったが。まあ、杖だ。うむ。

 

その杖は………いや、杖と魔法使い二人合わせて究極と呼ぶべきであろう。杖は持ち主を選ぶ。しかし、その杖は性格もさながら性質も難儀なものじゃった。何せ彼にしか適応しないのだから。他の魔法使いが手にしたところでウンともスンとも言わないだろう。その後、彼は数十年間その杖と共にあった。流石にまつろわぬ神には使わなかったそうだが………。

 

そして20年ほど前、彼は私に杖を預けにやって来た。

「俺は暫く魔法界とは距離を置くつもりだ。まあちょくちょく来るかもしれないが、とにかく次に来る時までに預かっておいてくれないか?」

そう言って彼は姿を消しました。まあ、気分屋の彼の事です。そのうち戻ってくることでしょう。

 

1991年8月1日

 

「昨日はハリー・ポッターさんがいらっしゃられましたがいやはやご両親にそっくりでしたな。そういえば彼のご両親はグレンさんの教え子でした。はてさて今頃何をしているのやら……。」

そう呟いていると店のドアが開いた。お客様のようだ。やはり今日も新入生の杖だろうか。

入り口を見てみるとそこには一人の少年の姿があった。その姿はまるで時でも遡ったのかのように100年前と変わらず、しかし目だけは20年前からさらに鋭さを増しておりました。

ああ、これも運命か。生き残った男の子の翌日は太陽の王とは。

 

 

「お帰りなさい、グレンさん。長い休暇でしたな。」



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第2話 オリバンダー

そこには一人の老人が机に向かっており、机上には杖や布などが散らばっていた。どうやら杖のメンテナンスをしていたらしい。

 

「杖狂いは相変わらずだな、オリバンダー。」

 

「数十年間放浪している貴方には負けますよ。今回はどのように?」

 

「ああ、ホグワーツに再入学することになった。」

 

そう答えると老人は目を見開いたかと思えば優しい目をしだし、

 

「なんと…………まさか卒業していなかったとは。」

 

「いや、違うからな!?これと言うのも全て他の魔王と神がだな…。」

 

「ああ…。(察し)」

 

「その憐れむような目をやめろ!?」

 

「まあ、立ち話もなんです。お茶でも飲みましょう。」

 

そういって机の上にあった杖を片付け、杖を一振りするとティーセットと茶菓子が現れた。

 

 

***

 

「そういえば、昨日はハリー・ポッターさんが来られたよ。」

 

紅茶を飲み、一息つくとオリバンダーはこう切り出して来た。

 

「ああ、アルバスに聞いた。今年入学らしいな。」

 

「ええ。この10年間、彼は良く話題に上がっていました。」

 

ほらと手渡して来た雑誌はこう書かれている。

 

「『生き残った男の子』ねぇ。」

 

気の毒だなとも思う。覚えてもいない赤ん坊の頃のことで英雄視され、自分はその世界とは切り離される。

流し読みをしていると、雑誌に書いてある記事を読んでふと思った。

 

「………なあ、アバダってそんな強かったっけ?」

 

「カンピオーネの基準で物を言わないで下さい。」

 

あ、しまった。

 

 

「貴方やっぱり感覚が狂ってますよ。入学する前に常識を学んどいた方が良いです。」

 

一体何を言っているんだ、この老人は。

 

「失敬だな。これでも俺は常識的だ。」

 

俺は無闇に人に喧嘩を売ったり、神に喧嘩を売ったり、国に喧嘩を売ったりなんかしないぞ!

 

「魔王の基準ですよね、それ。大体貴方と言う人は人を振り回しすぎる。」

 

「お前も杖の希少材料を目の当たりにした時は奇声あげたり狂ってただろうが。」

 

極東のご神木を材料にしようとしてジャパニーズプリーストに追いかけ回されたのを忘れたとは言わせないぞ。

 

「そうでもしないとやってられなかったのですよ!というか何十年も前の事を掘り返さないで貰いたい!」

 

「杖職人がそれを言うか!?それに先に言ったのそっちだからな!?」

 

いや貴方が!いやお前が!と互いを罵り合いをしていたが声が掠れてきたのかゼェゼェという音が店の中で響く。

 

「……それで、俺の杖は?」

 

「ちゃんと手入れもしてありますよ。20年分代金は頂きますからね。」

 

そう言うとオリバンダーは高いですよとでも言いたげな目を向けて来た。おいおい、金の心配なら全く問題ないぞ。なんせ、

 

「安心しろ。アルバスに請求してくれれば問題ない。」

 

俺は別に払わないのだから。

 

「あとで大目玉くらってもしりませんよ。」

 

「俺の加護だぜ?これくらい誤差だ、誤差。」

 

「やっぱり魔王ですよ、貴方。」

 

やれやれと言いながら彼は店の奥に消えていった………と、思えば大きめの布に覆われたものを腕に抱えて直ぐに戻ってきた。どうやら頻繁に手入れをしていたのは本当らしい。机にそれを置くとフーと息を吐き、こう言った。

 

「お望みの品です。サンストーンとヒイロノカネのアゾット剣。他には誰にも扱えない。こんな杖をよくもまあ作らせたものです。」

 

そう言って彼は覆われていた布を取っ払った。緋色だ。久しぶりに見たその刀身は一片の曇り無く、その輝きを放っていた。一眼見ただけで分かる。彼が自分の出来る最高の仕事をしてくれていた事が。

 

「なんだよ、お前もノリノリでやってんじゃないか。

 

「私もその杖には愛着があるのでね。」

 

さよかと言い手に持ってみる。懐かしい重さだ。と感傷に浸っていると杖は再会を喜んぶように輝きを放ったでは無いか。その暖かく、輝々とした光はまるで太陽の如く。待っていたと、遅いぞと言わんばかりにその輝きはますます増していき、

 

「………なあ、これ眩しすぎないか?」

 

「完全に怒ってますね。ほら、何十年も放っておくから。」

 

「え!?俺自分の杖に説教されるの!?」

 

「本来杖が人を選ぶのを貴方が自分に合わせて一から作らせるからでしょうが。」

 

「いや……オーダーメイドってカッコイイじゃん?」

 

「兎に角営業の邪魔なのでそろそろ出て行って貰えますか?」

 

と自分の仕事は終わったと言わんばかりに片付けをし始めた。いやいや、ちょっと待て!

 

「えっ!?こいつ光らせたままで!?」

 

「知りません。嫌ならば自分で宥めて下さい。」

 

「え、ちょっと、オリバンダー!?ちょっ、えー!?」

 

「またのご来店をお待ちしております。」

 

オリバンダーが杖を一振りすると俺は荷物も纏めて体が店の前で放り出された。無言呪文か。どうやら腕は衰えていないらしい。ってそうじゃなく!

 

「おのれ、オリバンダー!このお礼はいつかするからな!あ、あとこれ土産な!」

 

そう言い放って俺は店を後にした。

 

 

***

 

「全くあの方と喋っていると口調が若い頃に戻ってしまう。」

 

それでもこの再会を喜んでしまっているのはあの方の魅力というべきか…。

 

「それに喜んでいたのは私だけでは無かったようですしね。」

 

あの輝き、確かに怒っていたがどちらかというと腐れ縁に対するものに近いだろう。なんだかんだであの杖も喜んでいたのだ。

 

「作り手に似たのでしょうか?」

 

まあ、それは良い。少なくとも7年はまた顔を合わせる時もあるだろう。

 

「そういえば、お土産と言っていましたね。一体何を持って来たのやら。」

 

そう思い、呼び寄せ呪文でこっちに呼んでみる。杖が一本入りそうなくらいの大きさの箱だった。やはり魔法界では見かけないマグル製のものでしょうか?彼はかなりの頻度でマグル界にも関わっておりますから。

 

「………………………は?」

 

箱を開けると入っていたのは枝だ。普通の人が見たら蹴り飛ばすようなそんな枝だった。だが、しかし。わかってしまった。嘘であってくれと願っても杖職人としての知識と経験がそれを許さない。

 

「世界樹の枝持ってくるとか北欧で何したんですか、グレンーーー!?」

 

どうやら彼は胃痛のタネも持って来たらしい。

 



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