リリカルナデボ (汚いぶらぼぅ)
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リリカルナデボ




初投稿の初心者です。
むしゃくしゃしてやった。
一発ネタ。
正直リリカルでやる必要なかった。
製作時間一時間かかってないんじゃないかな?
が含まれております。
ご注意ください。


 

 

 

 

 

 

 神様転生とか頭おかしいことになった。

 

 

 ナデポを神様からもらってしまった。

 

 

 字面に腹が立ったので、ポの部分をボに変更した。

 

 

 ナデボ=頭をなでると頭がボッ!と破裂すること。

 

 

 つまりそういうこと。

 

 

 

 

 

 

 

 リリカルナデボ

 

 

 

 

 

 今日も元気に次元犯罪者に対してナデボするお仕事の最中の私、時空管理局の一等陸尉の人です。

 

 

 次元犯罪者の頭を吹き飛ばして次元世界の平和を守っています。

 

 

 相手に高速で接近し、頭を撫でるだけで頭をボッ!とするのが得意技です。頭骨が砕け、脳髄がぶちまけられるので非殺傷とかできないですけど、毎日楽しい日々を過ごしています。

 

 

 今日のお仕事は何と航空武装隊との合同任務。テロリストさんをあの世の3丁目に送るだけのお仕事です。かの有名なエースオブエーなんたらの人もいるようで、お空にはピンクの光が溢れています。ピンクは淫乱!

 

 

 彼女の魔導師ランクはS+、魔力光はピンクらしいですね。この間雑誌に掲載されていました。ちなみに私のランクはAという素晴らしい値です。魔力光は血の色です。とても綺麗な色なのでいつも自慢しています。

 でも私ボッチなので自慢する相手が目の前の犯罪者しかいません。悲しい。でも泣きません。泣きたくなる気持ちは笑って地面に叩きつけろってばっちゃんが言っていました。まぁ私は天涯孤独の身なんですけども。げははは。

 

 

 頭の中の平行世界の私たちに自己紹介しているうちに、地上のテロリストさん達の制圧が終了したようです。他の隊員さんはテロリストさんを無力化して捕縛していますが、私には難しくてそんなことできそうにありません。すごいなー憧れちゃうなー。

 

 

 残っているのはお空のテロリストさんだけのようで、陸戦魔導師の私には出番はもうなさそうです。仕方がないので後は任せて帰ろうと思います。

 他の隊員さん達に声をかけてから転移魔法を使います。コミュ力が高い私は挨拶と笑顔を忘れません。流石だな私。コミュ力検定4級も夢じゃない。

 

 

「後はお願いしますね。ではさようなら。」

 

 

 帰ったら報告書を書かなくてはなりません。何故、私の報告書は通常の何倍もの量になるのだろう。今日は栄養剤片手に残業だよ、なんてブラックなんだ管理局。

 

 

 だがそれがいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気狂い破砕鬼。とある陸士隊の一等陸尉の二つ名です。あの人は相手の頭を撫でるように触れ、その後、頭を吹き飛ばすという特殊な魔法?で次元犯罪者を殺す、気が狂った局員という噂がある人でです。

 自分はあの人を実際に見るまではそんな人がいるなんて信じていませんでした。

 

 

 初めてあの人を見たのはとあるテロ組織との戦いの時でした。エースオブエースの高町なのはの所属する航空武装隊との合同任務で、自分は高町なのはを生で見れると思い、気分が高まっていました。

 自分はあの人とは離れた場所で戦っていたのですが、その場所を制圧したあとに残りのテロリストを制圧しに行くことになりました。

 

 

 

 そこは血の海でした。首から上が無くなった死体が大量に転がり、その中心には赤く血に染まったローブ姿のあの人がいました。自分はこの惨状に思考が停止してしまいました。

 吹き飛んで砕けてバラバラになった頭骨の破片やぐちゃぐちゃになった脳髄、顔だった部分が其処ら中に散らばっていました。近くに転がっていた眼球が自分のことを見ているような気がして・・・その場で吐いてしまいました。

 

 

 吐き終わると意識が朦朧としてきましたが、ギリギリ意識を保ち、顔を上げました。

 ・・・目の前にはあの人の顔が近くにありました。驚き、後ずさる自分に対してあの人は自分にこの世のものとは思えない、深い狂気に満ちた、おぞましくも美しい笑みを浮かべ、

 

 

 

 「後はお願いしますね。ではさようなら。」

 

 

 と言い残し、転移魔法でこの場を去りました。

 

 

 その後のことは覚えていません。気がついたら救護室のベットの上でした。上司や他の隊員から心配されましたが、自分は大丈夫だと言って仕事に戻りました。

 それからは前以上に仕事にのめり込むようになりました。あの人の狂った笑みを思い出したくなかったのです。

 

 

 その夜からずっと悪夢を見続けています。覚めても覚めても見続ける悪夢を。

 

 

 

 

 




主人公:一等陸尉の人
サブキャラクター:陸士隊隊員(女性)
モブ:エースオブエー何とか
神様:長身痩躯で漆黒の肌をした人物

軽いグロ注意。


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リリカルナデボ その2

感想頂いたのでもう一話あげてみました。

制作時間は相変わらず短い。

はやてさん視点は次の回です。

前回の話が合わなかった方はご注意ください。


 憎い・・・お父さんを殺した闇の書が憎い。

 

 

 憎い・・・お母さんを殺した闇の書が憎い。

 

 

 憎い・・・妹を殺した闇の書が憎い。

 

 

 憎い・・・私を奈落の底に叩き落とした闇の書が憎い。

 

 

 復讐してやる。

 

 

 

 

 

 

 リリカルナデボ その2

 

 

 

 私の頭の中の平行世界の私の皆さん、こんにちは。今日も私は元気です。

 

 

 どれくらい元気かというと、テンション上がりすぎて誰もいないのに、かっこいいセリフが自然と口から出てしまうくらいです。・・・斬刑に処す。かっこいー。

 

 

 なぜこんなに元気なのかというと、ボッチである私でも奇跡的に存在する、たった3人のチャット仲間と仲良くおしゃべりしたからです。

 

 

 神様転生する前もした後も、ずっとボッチだった私に仲良くしてくれたのがチャットで知り合った3人です。

 

 

 3人のチャットに割り込んだのが切っ掛けでした。始めは誰君状態。しかし、勇気を振り絞って仲良くしてほしいですって言ってみたら、仲間に入れてくれるって言ってくれたのです。

 

 

 そしたら次元管理局という働き口まで紹介してくれるという親切心。むねきゅんポイント100点でした。ヤッタネぼくちん!友達ができるよ!

 

 

 3人の紹介で管理局に入ったのですが、そこでもボッチのままでした。でも3人は定期的に私とチャットで連絡を取り合ってくれるのです。やだ優しい。濡れる!

 

 

 そんな3人とチャットで話をしていると、軽いお仕事を頼まれてしまいました。何時もはテロリストたん相手に無双してくださいって頼まれるのだけど今回は誘拐された女の子の救出とのこと。

 手段は問わないって言われちゃった。よーしお兄さん頑張っちゃうぞ。

 

 

 ニュポンと部屋から転移して指定の座標に移動するよ。ニュポンポン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 移動した座標はなんかどっかの廃屋の前だったの。なんか周りの完全武装した人たちがわめきながらこっちに武器を向けているのですがどうしましょう。

 

 

 とりあえず話し合いから始めましょう。ナイスアイデア私!人間コミュニケーションが大事だしね。もちろん笑顔もセットで挨拶だ。

 

 

 

 「皆さんはじめまして。そしてさようなら。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とことこ廃屋の中を歩いていると、奥の部屋から罵声が聞こえてきた。そこに誘拐された女の子がいるのかな?これは用心しなければ!・・・これは死刑ものですわ。

 

 

 ・・・扉には鍵がかかっていたので、扉を通り抜けて部屋に入ると・・・目の前で女の子が女の子を言葉攻めしているのですが私はどうすればよいのでしょうか。

 よしここは転生オリ主のごとくSEKKYOUしてぷんぷんしている女の子を落ち着かせよう。

 

 

 ニュルリと女の子二人に近づくと、女の子の罵声が聞こえる。

 

 

「・・・お前が永久封印されてなくてよかったよ!こうやってジワジワいたぶることができるんだから!私の復讐が思う存分できる。こんなに嬉しいことはない。

そうだ、後で外の連中にもお前をいたぶらせよう。私はそれを特等席で見れる。どうだい素敵だろう?」

 

 

 なんか捕まっている女の子に蹴りまで入れ始めた女の子の言うことを聞く限り、復讐か何かで女の子を苛めているようだ。暴力はいけないことなんだぞ。これはSEKKYOU物ですわ。

 

 

 後ろからニュルリニュルリと近づいて、苛めている女の子の頭にポンと手をのせ撫でながら、口を開く。

 

 

「復讐は何も生まないよ、復讐による悲しみの連鎖を」

 

 

 ボッ!という音と共に女の子の頭が吹き飛ぶ。

 

 

「・・・止める事が大事だよ、うん。まぁ今からでも遅くない、復讐をやめてこっちの世界に戻りなさい。それが君の幸せだよ。だからそんな怖い顔は似合わない。君には笑顔が似合うよ。」

 

 

 ・・・決まった。我ながら完璧なSEKKYOUだ。脳内メモリーに保存できるレベルだ。これは可愛い女の子が皆惚れてしまうくらいかっこいい。俺に近づくと破裂するぜベイベー。きゃーカッコイー・・・私!

 

 

「・・・え?」

 

 

 自画自賛していると、先まで可愛い女の子だった物にもたれかかられて、血まみれになって呆然としている苛められていた・・・救出対象の女の子がこちらを恐れた目で見ていた。脳みそや眼球がバッチリ顔面についているのは何だか面白くてワラケテクル。可笑しくって腹いたいわー。

 

 

 そこで!呆然としている女の子にかっこいいこと言ってみるテスト。好感度を稼ぐ!それによりこの女の子に我が神!素敵!抱いて!と言ってもらうために頑張ってみるよ。うち頑張るのん。

 

 

「お嬢さん。君は何も悪くない。私が保証しよう。世界中が君を否定しても私だけが君を肯定しよう。さぁこの手を取って。それだけで君は救われる。」

 

 

 そう言って女の子の前に手を差し出す。しかし血まみれの手を見て女の子は怖がって手を取らない。

 

 

「ふむ・・・手を取らないなら仕方ない。私では君の騎士になれないようだ。しかし私はいつでも君の助けになろう。」

 

 

 私は女の子に一つの結晶体が入った金属製の小箱を見せる。

これはこの前カルト教団をに喚ばれた時に貰ったものだ。借りパクとも言う。

 

 

「それを見つめると多分私をもしかするといつでもきっと呼び出せるメイビー。だからしっかりと持っておくのだよ。」

 

 

 それを彼女の手に無理やり持たせる。女の子の手は恐怖で固まっていたがゆっくりと解きほぐしてあげた。流石私紳士である。

 

 

「・・・あっ・・・あんたは・・・一体?」

 

 

 少女が震える声で聞いてくるので心が広い私は質問に答えてあげるとする。

 

 

「君に名乗る名はないよ。なぜなら人間では発音しにくいからね。まぁあえて名乗るならナイって呼んでくれたまえ。ではさようなら。」

 

 

 そうして笑顔で別れの挨拶をして転移魔法を起動する。目的地はマイハウスの脱衣所である。当然サービスシーンはない。残念だったな私の頭の中の平行世界の私の皆さん。

 

 

 

 

 

 

 

 後日、チャット仲間の3人組にやりすぎだが良くやってくれたって褒めてもらった。わーい。しかし、また報告書の山に囲まれてしまっていた。ボッチだから手伝ってくれる人もいない。悲しい。

 

 

 だがそれがいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の人生は闇の書に壊された。

 

 

 10歳くらいの時だ。それから気づいたらテロリスト集団に拾われていた。見た目が良いせいか生き残れるように様々なことを教えてもらったが、そこで私は地獄のような苦しみを味わい、心が壊れていった。

 

 

 そんな中、闇の書が転生し、ひとりの少女が闇の書の主となったと聞いた。

 

 

 私は歓喜した。復讐する対象がいなくなって燻っていた私の復讐心に再び火がついた。

 

 

 今は夜天の書となっているようだが関係は無い。所属しているテロリスト集団に働きかけ、闇の書の主を誘拐・人質にし、誘い出したヴォルケンリッターの前で主人を拷問してやろうと考えた。

 

 

 まず贔屓にしている武器業者からAMFを買取、闇の書の主が一人になったところを狙い誘拐した。誘拐は案外うまくいった。

 

 

 アジトの拷問部屋に拘束したこの女が、解放しろとうるさいので蹴りを入れ黙らし、ヴォルケンリッターを呼び出す。他の人間に連絡したら主を殺すと脅しも入れておく。

 

 

 そして見張りは他の奴に任せて、アジトの奥の防音処理がしてある部屋で拷問を始めることにした。私はまずこの女に、私が歩んできた人生を語り、全てお前のせいだと罵った。時折殴ったり、蹴りを入れながら自分の復讐心を満たした。

 

 

 幸せな時間だった。そして気が向くまま罵倒した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただ私は運が悪かったんだろう。そして目の前のこの女は運が良かった。いや・・・この女も運が悪かったんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・お前が永久封印されてなくてよかったよ!こうやってジワジワいたぶることができるんだから!私の復讐が思う存分できる。こんなに嬉しいことはない。

そうだ、後で外の連中にもお前をいたぶらせよう。私はそれを特等席で見れる。どうだい素敵だろう?」

 

 

 私がそう言った次の瞬間。頭に手が乗せられ撫でられた。たったそれだけなのにとてもとてもおざましい感触だった。

 

 

 全身を触手が這い回る感覚を覚える。ただそれだけで私は硬直してしまった。そして耳元で、聞いているだけでオゾマシイ声でササヤカレル。

 

 

「復讐は何も生まないよ、復讐による悲しみの連鎖を」

 

 

 ソレハワタシガキイタサイゴノコトバダッタ

 




主人公:かっくいー
被害者1:テロリストちゃん
被害者2:テロリスト集団
被害者3:はやてさん
チャット仲間:へーい提督!(艦これしたことないでござる。)

ビグロ注意。「ビグロの使い方、見せてやるぜ!」




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リリカルナデボ その2 はやてちゃんハードモード

はやてちゃん回あげてみました。

制作時間は相変わらず短い。

今回は話が短いです。

前回テロリストとの戦闘は、高速で動いてナデボを連打しました。

はやてさん好きな方はご注意ください。


 

 運が悪かった。

 

 

 その日はたまたま一人で出かけていたこと。

 

 

 私が油断していたこと。

 

 

 テロリストがAMFを使用してまで私を誘拐したかったこと。

 

 

 テロリストの一人が闇の書の被害者だったこと。

 

 

 どれが悪かったのだろうか。

 

 

 ・・・いや・・・どれも違う。

 

 

 そんなささいな事ではない。

 

 

 一番悪かったのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 邪神と目が合ってしまったこと。

 

 

 

 

 

 

 

リリカルナデボ その2 はやてちゃんハードモード

 

 

 

 

 

 

 

 ここに連れてこられてどれくらいたったのだろうか。

 

 

 夕飯の買い物に一人で出かけていたら、何か薬品を嗅がされて意識を失ってしまい、気がついたらどこかの廃屋の一室のようやった。

 

 

 しばらく脱出しようともがいたんやけど、椅子に縛られていて動けない。更に時間が経って、完全武装の女(見た目は大体18くらいだろうか)が入って来た。私はその女に何故私を誘拐したかを聞くため口を開く。

 

 

「ここは一体何処や。私を誘拐してどうするつもりなんや。」

 

 

 刺激しないようにその女にゆっくりと問いかけるんやけど、女は顔をしかめ、こちらを憤怒の形相で睨んできよる。やば・・・怒らせてもうたか?

 

 

「いいだろう。聞かせてやる。なせお前が誘拐されるのかという理由を。」

その女は目が血走りながらこちらを睨み、罵りながら理由を説明してくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その女の言い分は闇の書に家族を殺され、自分は地獄に叩き落とされたからという理由で私を誘拐したようだ。しかし私はそれに反論する。

 

 

「・・・確かに闇の書は罪を抱えているかもしれん、せやけどそれは闇の書の本意やあらへん!それに今は夜天の書になって管理局で罪を償っとる!」

 

 

「黙れ!」

 

 

 ガスッ!

 

 

「ぐぅう!」

 

 

 私がそう言うと、その女は叫びながら私に蹴りを入れてきよった。私は痛みのせいでうめき声を上げてしまう。

 

 

「それで私の家族が帰ってくるのか?ふざけるな!私は闇の書に復讐しなければ気がすまない!お前にヴォルケンリッターに対して死んだほうがましという目に合わせてる!」

 

 

 そう言うと女が私に罵声を浴びせながら暴力を振るってくる。その時間は痛みと不安との戦いだった。そして、長いようで短いような時間やった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・お前が永久封印されてなくてよかったよ!こうやってジワジワいたぶることができるんだから!私の復讐が思う存分できる。こんなに嬉しいことはない。

そうだ、後で外の連中にもお前をいたぶらせよう。私はそれを特等席で見れる。どうだい素敵だろう?」

 

 

 どれくらい時間がたったんやろうか。

 

 

 いまだに私が意識を失わないようにいたぶりを続ける女。

 

 

 未だに私が絶望してないのは、あの子らが必ず助けてくれると信じているからや。

 

 

 そう信じながら痛みに耐えていたが急に女の声が途切れる。不思議に思うた私は、女のほうに顔を上げる。

 

 

 するとそこに見えたのは怯えた表情で硬直する女と、その頭を後ろから撫でるローブ姿の男だった。撫でながら男は語り始めよった。

 

 

「復讐は何も生まないよ、復讐による悲しみの連鎖を」

 

 

ボッ!という音と共に女の頭が吹き飛ぶ。

 

 

 

 

・・・そしてその脳髄や、眼球、髪の毛、顔のパーツ等が私にかかり、首から上が無くなった体が私にもたれかかってくる。私の思考が途切れる。

 

 

 

 

「・・・止める事が大事だよ、うん。まぁ今からでも遅くない、復讐をやめてこっちの世界に戻りなさい。それが君の幸せだよ。だからそんな怖い顔は似合わない。君には笑顔が似合うよ。」

 

 

「・・・え?」

 

 

 その男が何を言っているのかわからない。

 

 

「お嬢さん。君は何も悪くない。私が保証しよう。世界中が君を否定しても私だけが君を肯定しよう。さぁこの手を取って。それだけで君は救われる。」

 

 

 そう言って私の前に手を差し出す。そして、私を縛っていた縄が解ける。

 

 

 せやけど体が動かない。目の前の男が、何か巨大で名状し難い・・・気持ち悪いものにしか見えへん。そんな男の手を私はとりたない。私は小さく震えながら拒否する。

 

 

「ふむ・・・手を取らないなら仕方ない。私では君の騎士になれないようだ。しかし私はいつでも君の助けになろう。」

 

 

 その男は一つの結晶体が入った金属製の小箱を見せてきた。

 

 

「それを見つめると多分私をもしかするといつでもきっと呼び出せるメイビー。だからしっかりと持っておくのだよ。」

 

 

 それを私の手に無理やり持たせる。私の手は恐怖で固まっていたけど、ゆっくりと解きほぐされ、手にしっかりと持たされた。その瞬間全身に悪寒が走る。気持ち悪い。

 

 

「・・・あっ・・・あんたは・・・一体?」

 

 

 私は残った勇気を振り絞り、震える声で何者かと問うことができた。

 

 

「君に名乗る名はないよ。なぜなら人間では発音しにくいからね。まぁあえて名乗るならナイって呼んでくれたまえ。ではさようなら。」

 

 

 そしてオゾマシイ人間のものとは思えない笑顔を見て私の意識は途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、私はあの子らに助けられ、病院に運ばれた。

 

 

 私は三日三晩眠り続けていたらしい。

 

 

 誘拐犯はテロリストだったそうやけど、アジトの前で全員、頭を吹き飛ばされて死んでいたらしい。

 

 

 誘拐事件として扱われたけど、裏から誰かが手を回したのか、調査はほとんどされなかったらしい。

 

 

 私はあのローブの男のことを皆に言ってみることにした、するとフェイトちゃんがその男を知っていると言ってきた。詳しいことは分からないが管理局員であり、危険な男やと教えてくれた。陸では有名な二つ名持ちで、関わってはいけない男と呼ばれているらしい。

 

 

 それを教えてくれたフェイトちゃんは、絶対にそれ以上関わっちゃダメだよっと念を押してきた。

 

 

 私はそれに頷いたんやけど、捨てても戻ってくるこの結晶体が入った小箱をフェイトちゃんに見せることはなかった。

 

 

 これを見せたらフェイトちゃんまで巻き込んでまうんちゃうかと思って。

 

 

 ・・・私は既に逃げられないんとちゃうやろうか。一体どうすればいいんやろうか。

 

 

 その小箱に入った結晶体を見つめながら私はどうするかを考えるのだった。

 




主人公:結晶体を見つめると呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃーんする。でも出てくる確率は気分次第。
被害者1:テロリストたん 頭がパーン。
被害者2:テロリスト集団 頭がパーン。
被害者3:はやてさん 念願のかがやくトラペゾヘドロンを手に入れたぞ。だがそのアイテムは呪われていた。
チャット仲間:後処理ご苦労様です。



ザクレロ注意:ザクレロの真価を見せてやる!


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リリカルナデボ その3


今回は水樹さんの話です。

しかし水樹さん視点は次回。

文章量は少し短いかな?

一応主人公は原作知識なしです。


 

 

 空を見上げた。

 

 

 ずっとずっと上の方を。

 

 

 夜には星が並んでいる。

 

 

 長い年月が過ぎ、監獄の壁が崩れ落ちる。

 

 

 そして彼らは戻ってくるのだ。

 

 

 

 

 

 

 リリカルナデボ その3

 

 

 

 

 

 

 私の頭の中の平行世界の私の皆さん、こんにちは。今日の私は暇です。

 

 

 ものすごく暇です。大事なことなので2回言いましたの。

 

 

 チャット仲間の3人も忙しくて相手してくれないし、他の隊員は相手してくれません。

 

 

 仕方がないので街に繰り出そうにも、チャット仲間の3人からダメだと言われているのです。

 

 

 あー管理局にテロリストが攻めてきてくれないかなー。書類も全て片付けてしまいましたし・・・おや?誰か私を呼んでいるみたいですね?しかも違う世界から!これは神様転生に引き続いて、異世界召喚物に巻き込まれるかもしれない!やっふうー暇つぶしができるよ!

 

 

 というわけで呼ばれている世界に転移魔法でニュルリと行くぜ!

 

 

 

 

 

 ニュルポンからのぬぞぷりっとな。

 

 

 

 

 

 転移した場所は何処かの祭壇だった。その祭壇をローブにフードをかぶった集団が囲んでいる。そして目の前には横たわった女の子。なんぞこれ?

 

 

 ローブ集団のうち一人が話しかけてくる。

 

 

「おぉお我が神よ!召喚に応じてくださってありがとうございます!」

 

 

 なんぞこのおっさん?私のことを神とな?・・・なんだいい奴じゃん。

 

 

 でも異世界召喚俺tueeじゃないのね。残念でござる。にんにん。

 

 

「我が神、早速ですがこの生贄を捧げます。どうぞご賞味ください。」

 

 

 なんかこの女の子を捧げられてるけどどうしよう。私食人の趣味は無いのだけど。

 

 

「神よ!この世界を壊し、我らを導いてくだされ!」

 

 

 おっさんが逝ちゃってる顔で叫んでる。まぁそこまで言うなら考えなくもない。

 

 

「え・・・どうしようかなー。」

 

 

 ボッ!

 

 

 とりあえずおっさんの頭をナデボしてから考えよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりめんどい。」

 

 

 ローブ集団を全員ナデボしたあと、生贄の少女の頭を撫でながら結論を出した。

これでも正義の管理局員だから世界守る側なんだよね。仕方ないね。それに世界滅ぼすとか、そんなんできるわけないしー。おすしー・・・ぶっちゃけ女の子よりお寿司食べたい。

 

 

 何か落ちてた小箱も貰っておこうかな。これを拾ったことで大冒険が始まるかもしれない。

 

 

 その時この部屋の扉が勢いよく開き、金髪ツインテールの女の子が入ってくる。

 

 

「管理局員執務官フェイト・T・ハラオウンです!儀式を中断してください!貴方達を誘拐、監禁などの犯罪行為で・・・なに・・・これ?」

 

 

 入ってきた女の子がびっくりしてるよ。うん管理局員と言ったら私の同僚だね。しかも執務官といえばエリート。ただの平社員の私には眩しい存在です。ここは是非御近づきになりたいものです。

 

 

 何時も何時も初めの対応がまずいから、私はいつもぼっちだと思うの。これでもコミュ症を治すために日々努力しているのだよワトソン君!なので今回はちゃんとした対応を取るのん。

 

 

 「おや・・・執務官ですか。お勤めご苦労様です。私は地上部隊所属の一等陸尉の人です。局員ID000000071で調べてください。私の情報が出るはずですよ。」

 

 

 怪しくないことを確認させるためID番号を言う・・・くくく成長した私は一味違うのですよ。も

ちろん笑顔は大切です。不敵な笑みを浮かべます。うん?間違えたかな?まあいいや。

 

 

 「・・・本当のようですね。これをやったのは貴方ですか一等陸尉の・・・ナイさん。」

 

 

 「いえ・・・ここに来た時は既にこうなってました。残念です。」

 

 

 転移した時にはこうなってたからホント残念だよねー。せっかく異世界召喚物の気分を味わえると思ったのに。

 

 

「・・・分かりました。詳しいことは艦で聞かせてもらいます。宜しいですか?」

 

 

 可愛い女の子にデートのお誘いを頂いちゃった!これはおめかししていかなくちゃ!

 

 

「良いでしょう。では案内していただけますかな?麗しくも偽りの執務官殿?」

 

 

 私がそう答えると執務官殿の表情が変わる。あれ?私なにかしたかな?

 

 

「私がクローンだと・・・知っているのですか?」

 

 

 執務官殿が私に問いかけてくる。えー。なんでそんなにぷんぷんなのさー。

 

 

「いえいえ貴方のことは、今会うまで存じ上げませんでしたよ。クローンだなんて知るはずもありません。ただ貴方から偽物の香りがしただけですよ。」

 

 

「私は偽物なんかじゃありません!私は私!フェイト・T・ハラオウンです!」

 

 

 何かさらに怒らせちゃったみたい・・・反省反省。いやぁここまでぷんぷんなるとは思いませんでしたよ。私のコミュ力も中々の物ですね。

 

 

「いいえ。貴方は偽物です。貴方の親友が、友達が、家族が、仲間が、世界中が貴方の事を本物だと断言しても!・・・私だけがあなたを偽物だと断言しましょう。大丈夫、私がついています。偽物のあなたがここにいると観測し続けてあげます。貴方が本物の重みに潰される前に私が助けてあげましょう。」

 

 

 これで仲良くなれるはずです。このあと一緒に食事に出かけてーメアドを交換してーチャット仲間になるのです。なんという計画!私は天災か!

 

 

「うっ・・・あ・・・貴方は一体?」

 

 

 執務官殿が私のことを聞いてくれた!これはお互いに友達になりましょうという事!ようやくボッチ卒業ですか?やたー!

 

 

「そうですね・・・私は貴方の味方です。貴方が望むなら貴方を助けましょう。誰かを殺しましょう。憎いあんちくしょうを地獄に叩き込みましょう。偽物と認めましょう。貴方のために世界を壊しましょう。なんでもしてあげましょう。それが私の役目にしましょう。どうです?感動しましたか?」

 

 

 ふっ。完全に決まりましたね。私かっくいー。見ていますか頭の中の平行世界の私達!

 

 

 「く・・・狂っている。」

 

 

 いやぁ友達が出来るってこんなに嬉しい事なのですね。思わず笑みが浮かんできます。ククク。

 

 

「・・・その場から離脱?・・・分かりました。すぐさま離脱します。」

 

 

 私が余韻に浸っていると、執務官殿が一瞬でその場から離脱しました。

 

 

 ・・・あれか恥ずかしがり屋さんか!照れて帰ってしまわれたのですか!いやー可愛い所があるじゃないですか我が盟友。

 

 

 ん?念話ですか?これは・・・チャット仲間からですか。早く帰って来いとな?今回のお願いをするからですって?・・・これは帰らなきゃいけません!使命感!

 

 

 

 

 というわけでニュロンニャルンと転移魔法~。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いやーいい暇つぶしになりました。新しいお友達も出来ましたしね!

 

 

 次は管理外世界の反管理局の人達にお仕置きしてくれと依頼されました。よーし友達のためにも頑張るぞー。・・・えっ?友達に接触したらダメ?・・・チャットさんのお願いなら仕方ないですな。 

 

 しかし残念でござるなー。

 

 

 だがそれがいい。

 




主人公:ナイさん(偽名)
友達候補:水樹さん
被害者:カルト教団
食料:水樹さんが保護しようとしていた女の子


ビグロ注意:ザクレロ?知らんな。by赤い人



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リリカルナデボ その3 水樹さん逃げてー 修正済み

水樹さん視点の回です。


いあいあー。


※大部分の加筆・修正しますた。


 

 

 偽物なんかじゃない。

 

 

 たとえこの身がクローンだとしても私はフェイトという本物だ。

 

 

 なのはの親友で、ハラオウン家の一員。

 

 

 そして母さんの娘。

 

 

 私はここにいる。ここにいるんだ。

 

 

 

 

 リリカルナデボ その3 水樹さん逃げてー

 

 

 

 

 私は現在、第87管理外世界の首都『海上都市アーカム』の寂れたカフェの奥の個室にいる。そこで私こと、フェイト・T・ハラオウンと30代ぐらいの帽子をかぶった男性が向かい合っている。

 

 

 

 とあるカルト教団が邪神を降臨させようと、魔力の高い子供をさらっているという情報を得て、それを阻止すること、それがこの世界に来ている理由だ。

 

 

 この世界は大部分が海であり、原住民以外にも危険な魔法生物が多々存在している。さらには深海に遺跡なども多数存在し、カルト教団は多数の遺跡のどれかに潜み活動を続けているようだ。これは住民の一部が、多数の遺跡が存在する海域で、カルト教団らしきフードをかぶった人物を目撃しているという情報を得ることができた事から推測できる。

 

 

 「執務管殿、子供が誘拐され始めてからもう2か月はたっています。誘拐された子供の数はすでに30人以上・・・このままでは子供の命だけではなく、この世界が崩壊してしまう可能性もあります。私たちの上層部は今回の事態を甘く見ているのです。なので、ほとんど行動を取ることができていません。もう管理局員である貴方方にお願いするしかないんです。」 

 

 目の前にいる帽子をかぶった男性は、この世界の軍の一員であり、今回の事件に対して上層部が動かないことに危惧し、私たちに事件の情報を伝えた人だ。彼の表情には上層部に対する憤りが浮かんでいる。彼も上層部のせいで大きく動くことができないのだろう。

 

 

「・・・大丈夫です!子供たちは私たちが助けます!カルト教団の暴走も止めて見せます!一緒に協力していきましょう!」

 

 

 何もできない彼の気持ちはよくわかる。本来は自分たちで解決のために動きたいはずだ。そんな気持ちを汲み取り、私は身を乗り出し、強く宣言した。すると彼はくつくつと笑い出す。

 

 

「・・・そうだね。ネガティブになっている場合じゃないか。・・・君たち管理局には今回の事件に対して主導で動いてもらっている。それに対しては申し訳ないと思っているが、我々も全力で君たちのサポートを行っていこうと思う。図々しいかもしれんがよろしく頼む。」

 

 

 そういって彼は立ち上がり、頭を下げてから手をこちらに差し出した。私は少し慌てながらもその手を力強く握った。

 

 

「こちらこそよろしくお願いします!この事件、早く解決してしまいましょう。早速ですが他に情報がないか教えてもらえないでしょうか?」

 

 

 再び席に座りながら質問する。すると彼は少し考えるしぐさをした後、口を開く。

 

 

「・・・にわかに信じられないことだが、カルト教団が召喚しようとしている存在は、この世界で古き時代に観測されている。それは千もの異なる顕現を持ち、狂気と混乱をもたらす邪神らしい。・・・この世界には海底遺跡が多々存在する。それらは古代にそういった邪神を崇めるために作られたものと言われている。」

 

 

「・・・邪神。どの程度の力があるかわかりますか?」

 

 

「わからない。少なくともこの世界を崩壊させる力は持っていそうだが・・・。」

 

 

 彼は帽子を押さえながらため息をつく。

 

 

「・・・おっとすまない。ネガティブにならないと言った所だった。・・・情報はもう一つ、最近カルト教団が違う世界から遺失物を密輸入した可能性があるんだ。」

 

 

 彼は両腕を軽く広げながら首を振った。遺失物・・・ロストギア。教団が手に入れたということは。

 

 

「邪神を召還することに使用するかもしれないんですね。」

 

 

「うん。触媒というやつだね。どの程度の遺失物かは不明だけどこのタイミングで手に入れたということは・・・その可能性が高い。まぁ情報といえばこれくらいかな。後は教団の規模とか、わかっている分の構成員の情報くらいだね。それは資料にまとめておいたから後で見てくれないかな?」

 

 

 そういって彼は資料の入ったメモリを取り出し、こちらに渡してくる、私はそれにうなずき受け取る。

 

 

「とにかく今はカルト教団の本部を見つけなければならない。特殊な魔術なのか追跡しても途中で巻かれてしまうんだ。一筋縄ではいかないだろうね。」

 

 

「・・・カルト教団が目撃された海域の遺跡全てを調べられないんですか?」

 

 

「いや、その海域は特に遺跡が多くて時間がかかりすぎる。それにまだ発見されていない遺跡だってあるそうだ。」

 

 

 となると虱潰しは不可能に近い。カルト教団が何かしらのアクションをとった時が勝負かな?

 

 

「そうですか・・・わかりました。こちらでもできる限り調査します。何かあれば連絡お願いします。今日はありがとうございました。」

 

 

「こちらこそありがとう。すぐさま連絡しよう。では頼んだよ執務管殿。それとここの支払いは任せたまえ。」

 

 

 そういって席を立つ私に彼は立ち上がり、敬礼しながら言った。私は一度頷いた後お礼を言い、カフェを出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2日後

 

 この世界に降り立った他の局員、現地の協力者達と協力しながら調査したけれど、カルト教団はなかなか尻尾を出さない。ある程度まで絞り込めているんだけれど・・・後一歩が足りない。

 

 

「うーん。今日は進展なしかぁ。」

 

 

 私は現地の食堂で休憩しながらため息をついた。・・・今このとき誘拐された子供たちが生贄にされるかもしれない。そう思うと焦りが募る。・・・だめだ、焦っても何も解決しない。冷静にならないと。

 

 

「あっ!おねーちゃん!こんにちわ!お昼御飯中なの?」

 

 

 私が悶々と悩んでいると、銀髪の帽子をかぶった少女が話しかけてくる。

 

 

「・・・クチルーちゃんこんにちわ。お昼ご飯はもう食べたよ。今ちょっとお仕事のことで考え事しているんだよ。」

 

 

 この子はこの都市で知り合った女の子で、孤児院の子供たちのまとめ役をしている子だ。孤児院の子供も何人か誘拐されているらしく、調査のため話を聞き込みに行った時に知り合った。人懐っこい性格で、私の事をお姉ちゃんとよんで慕ってくれている。名前はクチルー・タウスという。

 

 

「お姉ちゃんはお仕事がんばっているんだね。そんな頑張り屋さんのお姉ちゃんにはこれを上げましょう!」

 

 

 そういってクチルーちゃんは私に飴玉を差し出してくる。

 

 

「わぁ!おいしそうな飴玉だね。もらってもいいの?」

 

 

「うん!お姉ちゃんが悪い人たちやっつけて誘拐された子達を助けてくれるんだよね?だ

からお礼なの!」

 

 

 クチルーちゃんは満面の笑みを浮かべて私の手を取る。

 

 

「私も今日お手伝いする!私この都市のことに詳しいんだよ!孤児院の男の子達と一緒に探検だってしたことあるんだから!」

 

 

 そう言ってクチルーちゃんは私の手を引きながら走り出す。・・・クチルーちゃんを捜査に手伝わせるのは危険が伴うかもしれないけど、ここで一人にしても誘拐される恐れがある。だけど、現地の子供は予想外な場所も知っている可能性もある。・・・少しの間手伝ってもらおうかな。

 

 

「・・・それじゃあ案内してもらおうかな。クチルーちゃんよろしくね。」

 

 

 私がそう言うとクチルーちゃんは大きく頷く。

 

 

「任せてお姉ちゃん!私・・・頑張るね!」

 

 

・・・妹がいたらこんな感じなのかな?私は手を引かれながらそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はあまり役にたてなくてごめんねお姉ちゃん・・・お姉ちゃんが解決してくれるの・・・私信じてる!全部終わったら帰ってきた子達とも一緒にお祝いしようね!」

 

 

 その後、様々なところを見て回ったけれど進展はなかった。クチルーちゃんを孤児院まで送り届けたあと、別れ際のクチルーちゃんは申し訳なさそうな顔をしてそう言った。私はクチルーちゃんに目線を合わせて頭を撫でながら笑みを浮かべる。

 

 

「ううん。今日はありがとう!おかげで私・・・もっと頑張ろうって思えた。絶対この事件解決してみせるからね!まっててねクチルーちゃん!」

 

 

「・・・うん!おねえちゃん頑張ってね!」

 

 

 クチルーちゃんは暗い顔を明るくしながらそう言った。その後私はまた調査を開始するのだった。

 

 

 その日の夜・・・孤児院がカルト教団に襲われ、子供たちが全員拐われてしまったことを・・・私は現地の協力者に告げられた。誘拐された子供たちの名前が載ったリストの中には・・・クチルー・タウスという名があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その2日後の夜、ある海域に遺跡が浮上した。私たち調査チームはそれがカルト教団の本拠地であり、儀式の行われる場所だと確信した。その遺跡から放たれる禍々しい魔力反応がそれを物語っていたからだ。

 

 

「侵入チームを分けます。私たち現地チームは正面から突入。局員チームは別ルートから、執務官殿には私たち現地と一緒に突入し、その後スピードを生かして単独で遺跡の奥に侵入していただきたいと思います。後、転移装置は遺跡前の正面入口と左右入口前に設定しています。」

 

 

 現地チームの代表・・・帽子をかぶった男性は、大きく声を張り上げて転移装置の前で話す。その顔には焦りがあった。私は心を落ち着かせ・・・必ず誘拐された子供たちを助け、儀式を止めてみせると心に誓う。それがクチルーちゃんとの約束だ。

 

 

「調査の結果、儀式は星辰が正しい位置につくとき・・・つまり今日の深夜0時に行われるようです。邪神が召喚されるまでもう時間がありません。皆さん健闘を祈ります!」

 

 

 彼の言葉の後、突入チームが転移していく。私はバルディッシュを握り締めながらクチルーちゃんの無事を祈り、マントを翻しながら転移する。

 

 

「フェイト・T・ハラオウン・・・行きます!」

 

 

 クチルーちゃん・・・絶対に助ける!

 

 

 

 

 

 

 

 

 突入後、カルト教団員や、操られた現地生物に妨害されたが現地チームの助けがあり、私は一人単独で遺跡の奥まで進むことができた。高速で飛行しながら局員チームからの念話を受け取る。さらわれた子供たちは一人を除いて救出したとのこと。子供たちは局員チームが現在、艦船に運んでいるとのことだ。しかし、カルト教団の一人の証言によると、一人生贄に使われるとのことで地下の祭壇に連れて行かれたという。その子の名前は・・・クチルー・タウス。それを聞いた私に戦慄が走った。このままではクチルーちゃんが・・・あの心優しい女の子が犠牲になってしまう。

 

 

 現在の時刻は0時まで後数十秒、もう召喚される時間は近い。地下は広いが私の速度なら間に合うかもしれない。クチルーちゃん・・・お願い無事でいて!・・・私はそう祈りながら速度を上げ、とうとう奥にある祭壇室にたどり着く。

 

 

 部屋の扉を勢いよく開き、突入する。

 

 

「管理局員執務官フェイト・T・ハラオウンです!儀式を中断してください!貴方達を誘拐、監禁などの犯罪行為で・・・なに・・・これ?」

 

 

 赤い血が至る場所に飛び散り、いくつもの首から上がない体から血が吹き出す。そして元はなんだったのか知りたくない肉塊や骨のかけらが飛び散る。そして大量の眼球がこちらを見つめる。・・・吐き気がする。執務官をしているため猟奇事件の現場を見たことがあるけど・・・これはそれ以上だ。どうやったらこんな惨状になるの。

 

 

 そして祭壇の上に優雅に座る一人の男、こんな状況なのに血だらけで微笑んでいる。そしてその横には頭が吹き飛んだ女の子の体・・・そんな・・・クチルーちゃん・・・助けられなかったなんて・・・。

 

 

「おや・・・執務官ですか。お仕事ご苦労様です。私は地上部隊所属の一等陸尉の人です。局員ID000000071で調べてください。私の情報が出るはずですよ。」

 

 

 クチルーちゃんを犠牲にしてしまったことに対する後悔が溢れ出そうになるが、唇を噛み締め押さえつける。今はこの状況を打破することが先決だ。そう思い目の前の男を観察する。全身を覆うローブを身にまとった挑発の男。その顔には嫌悪感が湧き出るような笑みを浮かべている。

 

 

 ・・・この男が管理局員?しかも地上部隊所属の一等陸尉?怪しすぎる。けど一応調べてもらうように艦のオペレーターに念話し照合してもらう。その間も油断せずに目の前の男を警戒しておく。しばらくするとオペレーターから連絡が返ってくる。

 

 

「・・・本当のようですね。これをやったのは貴方ですか一等陸尉の・・・ナイさん。」

 

 

 その内容は男が行っていることが本当であるということを示していた。IDは本物のようで、写真も目の前の相手と合致している。

 しかし怪しいことには変わりない。話を聞かなければならないだろう。・・・見たところ私一人でも充分抑えられる。大した実力者ではないようだ。

 

 

「いえ・・・ここに来た時は既にこうなってました。残念です。」

 

 

 ・・・嘘をついているかどうかの判別ができない。でも少なくともこんなところに散歩に来たとかありえない。何か理由があるはず。

 

 

 

「・・・分かりました。詳しいことは艦で聞かせてもらいます。宜しいですか?」

 

 

 危険だしどんな隠し球を持っているかわからない。しかしこのまま問答無用というわけにもいかない。相手は一応管理局員。しかも陸だ。無茶はできない。ジリジリと警戒しながら、バルディッシュを構えながら男に近づく。

 

 

「良いでしょう。では案内していただけますかな?」

 

 

 

 目の前の男は遊びに誘われたような気軽さで返事をする。・・・同行してくれるようだけど・・・随分とあっさりしている・・・。

 

 

「麗しくも偽りの執務官殿?」

 

 

 それを聞いた瞬間私に悪寒が走る。私が偽り・・・何故この男は私がクローンだと知っているの?

 

 

 

「私がクローンだと・・・知っているのですか?」

 

 

 一瞬取り乱しかけるが一度落ち着き、知っているのかどうか問いかける。私の事情を知っている人は少ないだろうけど、目の前の男はその少ない人のうちの一人かもしれない。

 

 

「いえいえ貴方のことは、今会うまで存じ上げませんでしたよ。クローンだなんて知るはずもありません。ただ貴方から偽物の香りがしただけですよ。」

 

 

「私は偽物なんかじゃありません!私は私!フェイト・T・ハラオウンです!」

 

 

 あまりの物のいいように思わず叫び、言い返す。この人は何を言っているんだ!事情を知っているわけではなく、香りがしただなんて・・・私を馬鹿にしている?

 

 

「いいえ。貴方は偽物です。貴方の親友が、友達が、家族が、仲間が、世界中が貴方の事を本物だと断言しても!・・・私だけがあなたを偽物だと断言しましょう。大丈夫、私がついています。偽物のあなたがここにいると観測し続けてあげます。貴方が本物の重みに潰される前に私が助けてあげましょう。」

 

 

 目を見開き大きく両手を上げながら、私が私であることを全否定する目の前の男。その目は深淵のごとく暗く、見たこともないような色で濁っている。寒気がする。自分の考えを勝手に押し付けてくるこの人がまるで別の生き物に見える。怖気がする。これは人間なの?足がふらつきそうになる。

 

 

「うっ・・・あ・・・貴方は一体?」

 

 

 私は気力を振り絞り・・・ふらつきながらも・・・男に問いかける。一体何者なのか、なぜそのようなことを言うのか。

 

 

 

「そうですね・・・私は貴方の味方です。貴方が望むなら助けましょう。殺しましょう。地獄に叩き込みましょう。認めましょう。世界を壊しましょう。なんでもしてあげましょう。それが私の役目にしましょう。どうです?感動しましたか?」

 

 

 この人はナニヲイッテイルンダ。

 

 

「く・・・狂っている。」

 

 

 震えが止まらない。目の前で笑っている存在が理解できない。何なんだこれは。こんなものが存在していいはずがない。怖い・・・ただ怖い。バルディッシュを放しそうになる。

 ・・・でも私は親友を思い出し、バルディッシュをもう一度しっかり握りなおす、不屈の精神でどんなことも乗り越えてきた女の子を思い出す!彼女ならこんなことで折れないはずだ!立ち向かうはずだ!なら親友である私がここで折れない理由はない!

 ・・・親友を思い出すことで自分を奮い立たせ、なんとか平静を保つことができた。相手にペースに乗ってはいけない!先制攻撃で気絶を狙う・・・オペレーターから念話?

 

 

「・・・その場から離脱?・・・分かりました。すぐさま離脱します。」

 

 

 艦長から緊急で離脱命令、この遺跡が崩壊を始めているようだ。目の前の相手に構っている場合ではない。・・・いや関わりたくないんだ。私は振り返らずにその場を離脱した。

 

 

 

 

 

 その後、遺跡は崩壊し、生き残った教団員は全て逮捕した。そして艦長からこの事件はこれで終わりだと言われ、あの男、ナイ一等陸尉の事を調べるのはやめろと言われた。

 当然私は反論したが、管理局の上層部からの指示だと言われ、私にはどうすることもできないと言われた。仕方なく引き下がったが、ミッドチルダに帰ってから独自に調べてみることにした。

・・・後悔した。調べなければいいと思うような内容ばかりだった。相対していた相手はほぼ全て頭を吹き飛ばされて死亡。生き残った人もほぼ発狂からの自殺。管理局上層部とつながっているせいで彼を罰せられない。彼に近づいた局員は精神に異常をきたしている。

 これは一体どういうことなのか、こんなの管理局にいていい人間じゃない。

 

 ・・・あの時捕らえようとしていたら私は頭を吹き飛ばされていたのか。そう考えると寒気がした。クチルーちゃんらしき倒れた少女は頭を吹き飛ばされていた・・・私は思考を止める。クチルーちゃんを助けることができず、その仇も取ることもできない。もう関わりたくない私が・・・全部弱い私が悪いんだ。

 

 

 これ以上は止めよう。私が調べていいものじゃない。

 

 できればもう会わない事を祈るしかない。

 

 

 私は自室で唇を血が出るほどに噛み締め、恐怖と後悔と悲しみと申し訳なさで震えていた。

 

 

 ふとクチルーちゃんからもらった飴玉思い出し、荷物の中から取り出す、包装紙を外し、口に含むと血と後悔の味がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の夜、クチルーちゃんの頭が吹き飛ばされるシーンが何度も繰り返される悪夢を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目が覚めたら汗がびっしょりだった。シャワーを浴びようと体を起こす・・・ふと枕元を見る。私はこの時見なければよかったと後悔する。

 

 

 

 

 ・・・そこには私の髪に混じり、クチルーちゃんと同じ銀髪がぱらぱらと・・・・落ちていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・優しい優しい男の人が血の海に沈む私を迎えに来た。その人は帽子をかぶったおじさんだった。動けない私に手を差し伸べてきた。その人は顔がなかった。その人は言った。私とくるか

い?・・・と。その人の顔はいつの間にか、ワイヤーや歯車の機械仕掛けをむき出しにした顔になっていた。その人の問いに、私を首から上を縦に動かして頷いた。その人の目は二つの小さな時計の文字盤だった。その瞬間から、私の頭の中からチクタクチクタクと音がするようになった。血で出来た水溜りに映る私の両目の奥には、小さな時計の文字盤があった。

 

 

 




主人公:ナイさん(偽名) フリーダムすぎね?
友達候補:水樹さん SAN値チェック成功 しかしその後後悔に苛まれる。
被害者:カルト教団 頭がパーン。
食料:水樹さんが助けようとしていたクチルーちゃん 頭がパーン。
チャットの3人:主人公がフリーダムで必死です。でも管理局辞めさせたら何してくるかわからんし、犯罪者いっぱい殺してくれるので今日も裏工作頑張ります。
追加→帽子の人:チクタクチクタク。

ビグロ注意:僕はリ・ガズィ派


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リリカルナデボ その4

あけましておめでとうございます。
卒検で忙しいのですが息抜きに投稿しちゃいます。

今回はギンガ・ナカジマ編です。


 

 

 ここはどこだろう。

 

 

 わたしはだれだったのだろう。

 

 

 なにをしていたのだろう。

 

 

 どんなせいかくだったのだろう。

 

 

 なにをゆめみていたのだろう。

 

 

 なにもおもいだせない。

 

 

 いや・・・ひとつだけおぼえている。

 

 

 ふかいふかいやみのそんざい。

 

 

 あのかたはいまのワタシヲカタチヅクッタ。

 

 

 

 

 

 

 

 リリカルナデボ その4

 

 

 

 

 

 

 ぼーくは優しいひーろーさー。私の頭の中の平行世界の私の皆さん、おはようございます。今日の私はスタイリッシュです。

 

 

 なぜこんなにスタイリッシュなのかというと、念願の街にお出かけが許可されたからです。苦節だいたい10年くらい待った甲斐がありました。ありがとうチャット仲間3人組。この恩はたぶん返すよ。

 

 というわけで現在の私は、身だしなみを整えるために「ミッドメンズ~夏のイチオシこれがモテる秘訣~」を読みながら服装を選んでいるのです。

 

 

 夏といえば海!水着な女の子!後タコですね。海にはこの前任務で行ってきました。おっきなタコを海の魔道士と協力して退散させることに成功。・・・嘘です。おっきなタコが召喚される前に召喚術者をナデボしました。汚ねぇ花火だ。

 

 

 髪型のセットも終わり、いつものローブも着て完璧です。では一緒についてきてくれる局員との集合場所に行きましょうか。

 

 

 ・・・そうです!チャット仲間がぼっちな私を哀れんでくれたのか、局員を一人付けてくれるのです。なんという心遣い!私嬉しくて涙が出そうでした。

 

 

 こんな気持ち初めて!もう何もかもが怖い!助けて盟友!ぼっちの私が友達と遊びに行くなんてできないの。一緒に出かけて噂されたら恥ずかしい。

 

 

 そんなこんなで待ち合わせ場所まで転移です。にゅるん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 待ち合わせ場所に転移してみました。すると青い髪の女の子の後ろに転移してしまいました。この子がついてきてくれる局員か。こんな女の子についてきてもらえるなんて私感激。早速声をかけちゃうどん。

 

 

「やぁおはよう。君がついてきてくれる局員でいいのかね?」

 

 

「うひゃあ!・・・えーごほん。その通りです!私はギンガ・ナカジマ二等陸士であります!本日はミッドチルダ視察に同行させていただきます!」

 

 

 ついてきてくれる局員は、ギンガちゃんというらしい。青い髪が長く可愛い女の子だ。パッと見サイボーグなのがチャームポイントだね。

 びっくりしたのか可愛らしい声を上げるギンガちゃん。うひゃあだってうひゃあ。 

 

 

「最近はそんな可愛らしい挨拶が流行っているのかい?」

 

 

「い・・・いいえ!流行っていません。」

 

 

 ギンガちゃんが慌てている。そうかぁー流行ってないのかー今度使おうと思ったのに。

 

 

「ふむ・・・流行ってないのか。それは残念だ。では行こうか。」

 

 

「ま・・待ってください!」

 

 

 そう言って歩き出す私。その後ろからギンガちゃんが慌ててついてくるのだった。

外は雪が降っていた。季節は冬。お鍋が美味しい季節です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の頭の中の平行世界の私の皆さん。重要なお話があります。

うん・・・なんだ・・・その・・・ギンガちゃんと街中ではぐれた。

 

 

・・・全く、迷子になるなんてギンガちゃんもまだまだお子様だな~。

 

 

 

 一人になってしまった私は仕方なく裏路地をウロウロすることにする。途中絡んできたヤンキーはナデボしておいた。そのヤンキーに襲われていた女の子もナデボしておいた。

 

 

 

 善悪相殺!つまり善いも悪いもごちゃまぜにしていい感じにするってことだね。

 

 

 とまあいわゆる街角ウォッチングを楽しんでいた私であったが、目の前に鎌を持った少女が人の首をぽーんと刈り取っている場面に出会ってしまう。なんという幸運!やはりたまには出歩くことが大事なのか!

 

 

 

「おや・・・素敵なことをしているねお嬢さん?私もその遊びに混ぜてほしいなぁ?」

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・ああああああああああああ!」

 

 

 その少女に話しかけると、問答無用で襲ってくる。わおー元気いっぱいだね。お兄さんそういう子嫌いじゃないよ。

 

 

がきっ!

 

 

 微動だにしない私に鎌が振り下ろされそうになったが、横から割り込んできたギンガちゃんが鎌ごと少女を弾き飛ばす。コノワタシガウゴケナカッタダトー。棒読み乙。

 

 

「ナイさん!御無事ですか?ようやく見つけましたよ!」

 

 

 迷子になっていたギンガちゃん。照れ隠しに鎌少女を弾き飛ばすなんてなんてアグレッシブ。私はコミュ力高いから見なかったことにしてあげよう。

 

 

「ふむ・・・最近の街はこんな素敵な場所だったのだね。これなら毎日来ても退屈しないで済みそうだ。」

 

 

「そんなこと言ってる場合ですか!?「あああああああああああああああ!」きゃぁ!?」

 

 

 ギンガちゃんになりふり構わず突撃する鎌少女。ギンガちゃんは危なげなく受け流す。

・・・ギンガちゃんは格闘技をやっているな。具体的にはNINJA・KARATEとみた。

 

 

 ギンガちゃんに任せておけば大丈夫そうだし私は観戦モードに入ろう。

頑張れ二人共―。負けてもいいのじゃよー。・・・ジュース買ってこよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 勝負はギンガちゃんの右ストレートでKO勝ち。うん腰が入った良いパンチだった気がする。

 

 

「ご苦労さまギンガちゃん。疲れたかい?はいジュース。」

 

 

 ギンガちゃんに近づきジュースを上げる。もちろんジュースはビーフステーキソーダ味だ。

 

 

「はぁはぁ・・・あ・・ありがとうございます。いただきます。」

 

 

 ギンガちゃんはジュースを一気飲みし、一息つく。

 

 

「・・・この子は最近ミッドチルダを騒がしていた殺人鬼『死の恐怖』かもしれないですね。この前見た犯行資料に載っていたものと手口が似ています。こんな女の子だとは知りませんでしたが。」

 

 

 殺人鬼だって?それは本当かい?

 

 

「いやぁそれは怖い。私みたいな非力な人間にとっては恐怖でしかないね。」

 

 

 怖すぎて夜も眠れない。誰か私に添い寝してください。お願いします。

 

 

「・・・増援は呼んでおきました。後10分もすれば合流してくれるでしょう。その間待機となりますがよろしいですか?」

 

 

 念話で増援を呼んでおいたようだ。まぁそんな事はどうだっていい。重要なことじゃない。

 

 

「よろしいよ。それとギンガちゃん。もうちょいそれから離れたほうがいいよ。」

 

 

 そう私が言うとギンガちゃんはその場から飛び退く・・・そこに巨大な鎌が突き刺さる。

 

 

 大鎌を振り下ろしたのは、倒れた少女から浮かび上がる、関節ごとにパーツを分解した人形のような奇妙な姿で、顔に当たる部分にはボウリングの球のような三つの穴が存在する者・・・んーこれはあれだね。

 

 

「・・・これは・・・この子の体から出てきた!?」

 

 

 驚愕の声を上げるギンガちゃん。私も驚きすぎてあらまびっくり~な状態だよ。

ギンガちゃんを捉えそこなった大鎌は私に狙いを変更して襲いかかってくる。

 

 

「ふむ。禍々しき波の八つの相の一つ、第一相『死の恐怖』スケィス。

私と似たような存在かな?実に興味深い。」

 

 

 私以外に転生者がいるだなんて・・・知っていました。数年前にもいたなぁこんなの。

零崎とか名乗ってたっけそいつら?いや・・・七夜だっけ?

 

 

 思い出を振り返りながらにゅるりと大鎌を避ける私。・・・今の私かっこいい!神々しいね!

 

 

「あああああああああああああ!」

 

 

 叫びを上げながらぬるりと立ち上がる少女。あれ?この動き私のパクリじゃね?

 

 

「ナイさん下がってください!この子は・・・いえこれは危険です!」

 

 

 ギンガちゃんが私に下がるように言ってくる。うむ、この子はいい子だなぁ。ぼっちの私にもこんな優しくしてくれるなんて。

 

 

「ギンガちゃん。私がこれの気を引こう。君は隙を見せたこれに一撃を入れてくれたまえ。」

 

 

 優しい優しいギンガちゃんにソウルフレンドの私が手を貸してあげよう。

それに・・・これも私と同郷の者ですから。私が責任をもって救済しないとね。

 

 

「・・・わかりました。でも無理はしないでくださいね。」

 

 

 そう言ってギンガちゃんはスケィスの死角に回り込む。

私も久しぶりに気合を入れていこう。気合を入れるのは実に数年ぶりだ。

 

 

「さぁ第一相『死の恐怖』の力を得てしまった同郷の士よ。私が悪夢から目覚めさせてあげよう。遠慮する必要はない。さぁ私に全てを委ねなさい。君の狂気は私が受け継ぐ。」

 

 

 そう言って私は笑う哂う嗤うわらうワラウげひひうへへうははあははあひゃはがははかかかうぇひひくくくひひひでへへわははきゃははわらわらwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死に恐怖する事は弱いわけではない。恐怖に打ち勝ってこそが強さである・・・とか誰かが言っていたような気がするがね。私はそうは思わない。

 恐怖に打ち勝ったとしても最後に訪れるのは絶対なる絶望。そして狂気に蝕まれる。不屈の心なんてものはこの世に存在しない。存在するとすれば・・・それは既に狂ってしまっている心。最初から狂っているものはもう狂うことはできない。」

 

 

「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

 数分間攻撃を避け続けた私だったが、飽きたので私の一撃で大鎌を持った腕を吹き飛ばす。

 その隙を逃さずギンガちゃんがスケィスに渾身の一撃を叩き込んだ。うむ素晴らしい一撃だ。惚れ惚れするね。

 

 

 スケィスが私の方に倒れてくるのでついでに頭を撫でておく。頭が弾け飛びスケィスは消滅する。そして少女はその場に崩れ落ちた。

 

 

「・・・倒したんですか?」

 

 

「あぁこれでこの少女は死の恐怖に怯える事はなくなったよ。」

 

 

 ギンガちゃんが再び倒れた少女を拘束しながら口を開く。

 

 

「この子は・・・貴方の同郷の方だったんですか?」

 

 

「・・・まぁそういう事になるね。」

 

 

 私と同じ転生者。神によって狂わされた哀れな玩具。邪神と目が合ってしまった哀れな探索者。

 

 

 ・・・うむ!今日は十分楽しんだしソウルフレンドもできた!後は増援の局員に任せちゃいましょう。私は非番だから後処理はしない!帰ってゆっくり映画でも見ようそうしよう。

 

 

「さてギンガちゃん。今日から君は私のソウルフレンドです。いつでも遊びに誘っていいからね。じゃあ後は任せたよ。」

 

 

 そう言って私は転移魔法を使う。ニュルるんるん。

 

 

 転移する直前の銀河ちゃんはキョトンとしていた。むぅ、流石私のソウルフレンド。その反応は今までされた事がない。何か負けたような気がする。

 

 

 

 

だがそれがいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の世界は狂っている。

 

 

狂った私はもう元には戻れない。

 

 

この世界に堕ちた私は元の世界の狂気を振りまく厄災。

 

 

狂狂廻る世界で私は哀れな邪神の被害者に手を差し出す。

 

 

なぜなら私は神になるのだから。

 

 

 






主人公:ナイさん(偽名)
ソウルフレンド:ギンガちゃん
被害者:ヤンキー
被害者2:襲われていた女の子
殺人鬼:『死の恐怖』
増援:管理局員の皆様
タコ:Great Old Ones
ひと夏の思い出:邪教徒
転生者達が作った一族:零崎
転生者の血を引く一族:七夜

今回はビグロくない:リ・ガズィカスタムもいいよね。


今年もよろしくお願いします。


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リリカルナデボしない外伝

外伝投稿です。

後半やっつけになってしまいました。

今回はナデボしません。
ナデボを期待していた方は申し訳ございません。

時系列はその4の大体半年くらい前。


 

 

 ・・・恐怖を我がものとした。

 

 

 

 手に持ったグラスのワインをこぼさず相手の首を刈り取った。

 

 

 

 「呼吸法矯正マスク」をつけて日課を行った。

 

 

 

 一秒間に10回の呼吸ができるようになった。

 

 

 

 残りは10分間息を吸い続け、10分間息を吐き続ける修行のみ。

 

 

 

 自分の中に存在する何かが現出する感覚。

 

 

 

 もう少しでこの技法を自分のものとできるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 リリカルナデボしない外伝

 

 

 

 

 

 

 

「Carry Away(持ち去り)・・・ですか?」

 

 

 

 ミッドチルダ、時空管理局発祥の地、第1管理世界であり、首都ミッドチルダを担当する時空管理局地上本部の一室で彼女・・・ギンガ・ナカジマは自分の父でもある上司、ゲンヤ・ナカジマに聞き返した。

 

 

 

「あぁ・・・このミッドチルダで最近活動が活発化しているシリアルキラーのことだ。殺した相手の遺体の一部を持ち帰る殺人鬼で、未だに百を超える被害者の体の一部が見つかっていない。

 奴は20年ほど前からミッドチルダに潜伏していると言われていたが、尻尾を現さず、他の部署の奴がずっと追いかけてきていたらしいが、未だ手がかりも見つからなかったそうだ。」

 

 

 

 口に手を当てつつ苦虫を噛み殺したような表情で、ゲンヤ・ナカジマは自身の愛娘に説明する。

 

 

 

「そうですか・・・つまり前日死体で見つかった局員の方達がその担当だったのですか?」

 

 

 ギンガは話を聞いた上で、自分の考えを口にする。

 

 

 前日に起こった局員殺害事件のことをギンガは覚えていた。全員の死体が持ち去られ、残っていたのは体の一部だけという痛ましい事件だった。

 

 

「そうだ・・・俺は持ち去りを追っていたそいつから、昔から追っていた殺人鬼の尻尾をようやく捕まえることができたと聞いていた。チームを組み常に警戒してさらなる調査をするとのことだったが・・・本人も悔しかっただろう・・・。」

 

 

 その局員と仲が良かったのだろう、ゲンヤは悔しそう肩を震わせる。

 

 

「そこでだ・・・陸上警備隊によるシリアルキラー『Carry Away』合同捜査を行うことになった、陸士108部隊からもギンガ・・・お前に出向してもらうことになった、コイツが書類だ、よろしく頼む。」

 

 

「分かりました!ギンガ・ナカジマ二等陸士、任務承ります!」

 

 

 ゲンヤに任務を言い渡され、ギンガは今回の書類を受け取り、敬礼を返すと部屋を出て行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「妹を助けてください!お願いします!」

 

 

 ミッドチルダの街にそびえるビル街、そこの隅の方にひっそりと一際小さいビルが佇んでおり、そのビルにはミッドチルダ語で『探偵事務所』と書かれている。その一室の応接室で十代半ばの金髪金眼の少女が、対面の椅子に座っている・・・見た目からして三十代半ばだろう目の細いスーツ姿の男に頭を下げながら頼み込んでいた。

 

 

 「・・・私は探偵です。ですから貴方のお願いを聞いてあげたいのは山々なのですが、まずは貴方がどこのどちら様なのかわからないとお仕事にもならないのですよ。なので・・・一度落ち着いて自己紹介から行いましょう。」

 

 

 

 スーツ姿の男がただでさえ細い目をさらに細めながらそう言うと、少女は頬を赤らめ、慌てたような仕草で手を前にだし振り出す。少し時間が経つと落ち着いてきたのか息を整えながら口を開く。

 

 

 

「わ・・・私はイリーナ・クロスと言います。今日は行方不明になった妹を探して欲しくて・・・ここの探偵事務所にやってきました。」

 

 

 

 少女が自己紹介と今日の目的を話すと、スーツの男はよくできましたとつぶやき、細めていた目を元に戻しながら微笑み、少女にむかって話し出す。

 

 

 

「そうですか・・・それはとても大変なことですね。ですが管理局にはもう通報したのですか?ペットや物の捜索ではないのですよ。ただの胡散臭い探偵がおいそれと管理局のお株を奪うことはできないのですよ。・・・それに見合うだけの報酬がなければね。」

 

 

 

 スーツの男はいやらしく、よく言えば気持ち悪い、悪く言えば生理的に受け付けない表情で少女の顔を観察している。少女はその視線にさらされ、たじろいでしまう。しかしすぐにその目が黄金の輝きを放ち、気丈にスーツの男に答える。

 

 

 

「管理局に通報してからもう半年です。これ以上待っても妹が帰ってくる保証はありません!たったひとりの妹なんです!どんな事をしてでも帰ってきて欲しい!お金に糸目は付けません!払えなくても将来必ず払います!・・・何でもします!だからお願いします!」

 

 

 

 少女は視線をスーツの男から離さず捲し立てる。その黄金の瞳を爛々と輝かせている。スーツの男はその黄金の瞳を見て肩をすくめる。

 

 

 

「良いでしょう。その言葉が聞きたかった・・・という感じですかね。貴方のその黄金の瞳に免じてその依頼受けましょう・・・あぁお金はいりませんよ。黄金の輝きに魅せられたのですから。」

 

 

 

 その言葉に少女は目を輝かせ、満面の笑みを浮かべる。少女にとって妹はかけがえのない存在なのだろう。男は少女の反応を嬉しそうに観察しながらコーヒーに口を付ける。

 

 

 

「それではさっそく妹さんがいなくなった状況、何か手がかりがあるかどうかなどを詳しく教えていただきたい、コーヒーでも飲んでゆっくりお話しを聞きましょう。」

 

 

 

 スーツの男は最後まで少女を観察し続けた。最後まで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここ最近で起きた持ち去りに関する事件は判明しているだけで20件近くにもなる・・・か・・・判明していない事件を合わせるとどの程度になるのかしら。」

 

 

 

 ギンガが合同捜査に参加してもう2週間になる。前担当者が残していた資料から、ミッドチルダのビル街を根城にしている可能性が高いとのことだが、聞き込みや現場検証、死体の一部を解剖などの調査でも手がかりが見つからない。完全に行き詰まってしまっている。

 

 

 

「もうお昼どきだし、お昼ご飯でも食べながら資料を読み返しますか・・・それにしてもどうして他の陸士はお昼頃になると私の傍からいなくなるのかしら?はじめは食事にも誘ってくれたのに。」

 

 

 

 もしかして私避けられているのかしら、これって虐め?などと見当違いの事言を言いながら近くのレストランに入っていくギンガ・・・彼女は異常なまでの大食感である。

 

 

 

 ギンガの入ったレストランは3ヶ月前にできたばかりの新しいお店だ。普通のメニューもあるが、店長オススメのウミガメのスープが人気の少し変わった店である。

 

 

 

  ギンガは店に入るとメニューすべてを頼み、ウエイトレスを唖然とさせつつ、食事のくる間、この2週間何度も読み返した資料を簡単にまとめた物を、端末を立ち上げ確認する。

 

 

 

 殺人鬼Carry Away(持ち去り)は22年前から活動を開始した。

 

 

 手口は鋭利な刃物で体をバラバラにし、一部を持ち帰るという方法だが、現場には残った死体と血痕以外何の手がかりもなく、魔力残滓もない。

 

 

 最近は死体をまるごと持ち去っているようだ。明らかに致死量の血痕しか残っていないが、魔力残滓が微量に残っていたそうだ、殺人鬼は魔道士の可能性が高くなってきている。

 

 

 2~3ヶ月に一度の頻度でこの事件が起こっていたが、最近では1週間に一度の頻度で起こっているらしい。管理局が合同捜査を行ってからは起こっていない。

 

 

 ビル街を中心とした場所で犯行が行われており、殺人鬼はこのビル街を拠点としている可能性が高い。

 

 

 凶器は見つかっていない。

 

 

 犯行現場を見た目撃者はいない。

  

 

 遺体の一部は未だに見つかっていない。

 

 

 

 

 ギンガは捜査が行き詰まっていることに不甲斐なさを感じながら、資料まとめた物を映し出している端末を閉じる。

 

 

 

 現在、犯行がなりを潜めているが、いつまた犯行が行われてもおかしくはない。速やかに解決しなければと、ギンガは自分の中の正義感を燃え上がらせる。そしていつのまにか運ばれてきていた料理を口に運ぶ。・・・食欲には勝てなかったようだ。

 

 

 

 

 

 

 メニューをほとんど平らげ、最後にレストラン店長おすすめのウミガメのスープを口に運んでいるギンガは、近くで食事をしていたスーツの男が突然立ち上がり、店長を呼んでくださいとウエイトレスに頼み込んだことに気づき、食べるという行為を止めた。

 

 

ギンガは何かトラブルになったのかと考え、手に持っていたスプーンを置いて立ち上がり、スーツの男性とウエイトレスに話を聞きに行くことにした。

 

 

 

「・・・ですから店長を呼んでくださいと言っているのですよ。あぁ、ただのクレームですが、ウエイトレスの貴方に怒っているわけではありません。」

 

 

 

「・・・どうかなさいましたか?トラブルですか?」

 

 

 

 ギンガはウエイトレスに話しかけているスーツの男に声をかける。

すると男はギンガの方に振り向き、観察するような目を向ける。

 

 

 

「・・・あぁ管理局の方ですかこれはどうも、私はしがない探偵でしてね。すこしこの店の店長にクレームをつけようとしているところなのですよ。」

 

 

 

 スーツの男はギンガを観察するような目をやめ、気の良い表情になり、事情を説明する。

 

 

 自身の職業は探偵と言ったこの男に、ギンガは少々胡散臭いと思う。クレーム程度なら自分の出る幕はなかったかと思いながら一応聞いておく。

 

 

「クレームですか・・・失礼ながらどのようなクレームなのですか?料理の味も見た目も良かったと思いますが。」

 

 

 ギンガはクレームなら自分が割り込む必要はないと考えるが、料理が美味しく、店内も綺麗で、客に対する応対も良いこの店になんのクレームがあるか疑問に思い、聞いてみることにする。

 

 

 それに対してスーツの男は楽しそうに微笑みながらギンガの質問に答える。

 

 

「いえ・・・味も2流で店内もセンスがなく、接待もよろしくないのですが、その事についてのクレームではありません。」

 

 

「・・・では一体何が?」

 

 

 スーツの男の発言に馬鹿にされているように感じたが、とりあえずどういうことか聞き返す。すると、その疑問に対する回答がスーツの男の口から発せられる。

 

 

「スープに使われている材料に対してのクレームですよ。」

 

 

「え・・・ウミガメのスープですか?それは当然ウメガメでは・・・?」

 

 

 ギンガはスーツの男の発言を理解することができなかった。ウミガメのスープなのだからウミガメが材料に使われているのは当然ではないか。そうギンガは考える。

 

 

 スーツの男は先ほどより笑みを深めながら、楽しそうに面白そうに嬉しそうに興奮しているように・・・嫌悪しているように・・・

 

 

「このウミガメのスープは出来損ないです。なぜならウミガメではなく人間が材料になっているのですから。」

 

 

言った。

 

 

「・・・は?」

 

 

 

 ギンガはその台詞を聞き、思考が止まってしまった。

 

 

 

「明日にでも本当のウミガメのスープをご覧に入れましょう。・・・いやぁネタ台詞は言ってみると気持ちいいですね。一度使ってみたかったのですよ。」

 

 

 

 ギンガはその後のスーツの男の台詞を聞く余裕がなかった・・・。目の前の男のタチの悪い冗談だと考えた。

 

 

「・・・私をからかっているんですか?タチの悪い冗談はやめてください!」

 

 

 ギンガは目の前の男を非難する。いくらなんでもひどすぎる冗談だ。そう思うことにする。

その非難を聞き、スーツの男は困ったような顔をしながらため息をつく。

 

 

 

「嘘ではありません、明らかにウミガメのスープではありませんよ。全く、下手にウミガメのスープを飲んだ経験があるので気付いてしまいましたよ。」

 

 

 

ギンガはその言葉を聞いていまい、理解してしまう。自分が食べたものが人間の肉が入ったものであると。

 

 

 

「・・・うっ。」

 

 

 

 ギンガは口を抑えトイレに向かい、便器に食べたもの全て吐き出してしまう。

便器の排水管に吐瀉物が詰まる。

 

 

 

 井の中のものを全て吐き出し、ギンガはフラフラと先ほどの男の前にも出っていく。その顔は焦燥しきっている。

 

 

 

「おや?もうよろしいので?」

 

 

 

 戻ってきたギンガを、混乱しているウエイトレスの傍の椅子に座る男は、気楽に文庫本を読みながら出迎える。

 

 

 

「・・・えぇ・・・大丈夫です。続きを聞かせてください。」

 

 

 

 男はギンガの言葉を聞くと、文庫本を閉じて立ち上がる。

 

 

 

「えぇ良いでしょう。歩きながらでもよろしいですかね?」

 

 

 

ギンガはそれに頷く。

 

 

 

 男はそれを見ると、にやりと嗤いながらレストランの奥に向かって歩き出す。

 ギンガはフラフラしながら男についていく。

 

 

 

 

その場に残されたのは呆然と立ち尽くしたウエイトレスのみだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最近巷で有名なシリアルキラー『Carry Away』。ご存知ですかね?」

 

 

 

「・・・ええ・・・私は今その殺人鬼を追っています。・・・『Carry Away』があのスープに何か関係が?」

 

 

 

 ギンガは自分が追っていた殺人鬼の名前が出てきたので驚くが、もしかしたら『Carry Away』は、死体の一部を持ち帰り料理として出していたのではないかと考えた。

 

 

しかし男は首を横に振るう。

 

 

「いいえ。あのスープは『Carry Away』の犯行ではありません。彼・・・もしくは彼女を隠れ蓑にした別の殺人鬼でしょう。」

 

 

 

 男は調理場に入ると匂いを嗅ぐ仕草をする。

 

 

 そして珍妙な乱入者に仕事中の料理人達は、驚きで調理の手が止まる。

 男は適当な料理人に声をかける。

 

 

 

「もしもしそこの貴方。そうバイト臭い君です。ここの店長は今どこにいらっしゃるかわかりますかね?」

 

 

 

「は・・・はい。店長は地下の食料庫にいると思いますが・・・。」

 

 

 

 それを聞いた男は、あたりをぐるりと見回して地下への入口を発見する。

 そして地下への入口の扉を開きながら再び語り始める。

 

 

 

「本物の『Carry Away』は証拠を残しません。それは私がよく知っています。最近の犯行はおざなりすぎますね。」

 

 

 

「では今回の犯人は『Carry Away』でないと・・・そういうことですか?」

 

 

 

 男とギンガは地下への階段を下りていく。

 

 

 

「ええ・・このレストランに入ったのは匂いを感じたからですが・・・地下食料庫までそこそこの距離があるようですね。・・・ふむ、これは当たりですかね?血の臭いがします。」

 

 

 

 

 男はそう言うがギンガには血の臭いなど感じられない。

 コツコツと地下に二人分の足音が響く。

 

 

 

「『Carry Away』の事、詳しいんですか?」

 

 

 

ギンガは先ほどの会話で気になった事を尋ねる。男は一瞬だけ肩が震える。

 

 

 

「・・・ええ、私の両親が『Carry Away』の最初の被害者ですから。」

 

 

 

 ギンガは聞いてはいけないことを聞いてしまったかと男の様子を伺う。

 しかし男は前を歩いているので表情は伺えない。

 

 

 

「私がちょうど九歳の時でした。ちょうど22年前ですね。目の前で両親の首が飛んで血飛沫が舞ったのは今でも思い出せます。」

 

 

 

「・・・それは・・・ごめんなさい!そんなこと聞いてしまって。」

 

 

 

 ギンガは申し訳なさそうに頭を下げる。

 しかし男は笑いながら振り向く

 

 

 

「いえいえ・・・もう22年前のことです。悲しくありませんから大丈夫ですよ。謝る必要はないです。・・・おや?奥まで来ましたが扉が二つあるようですね?」

 

 

 

男の言うとおり扉は二つあるようだった。

 

 

 

「・・・では第一容疑者であるここの店長に逃げられないようにお互い別の扉に入りましょう。危険ですがいいですかね?」

 

 

 

 男の提案にギンガは頷く。ここで店長を逃がしたらまた被害が増えるかもしれない。多少の危険は犯してでも行くべきだ。

 

 

 

「ではそちらの部屋はお願いします。」

 

 

 

 そういって男はさっさと片方の部屋に入ってしまう。少し遅れてギンガももう片方の部屋に突入する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その部屋は真っ赤だった。いや・・・少し錆びた茶色も混じっている。ギンガは理解してしまった。それら部屋を彩る塗料が全て血液であるということが。

 

 

 そして血で彩られた広い部屋には何かの肉が大量に吊るされ、真ん中の作業台で男が一人巨大な包丁を振り下ろし何かを小さく切り分けている。

 

 

 こいつが殺人鬼であると一目見てわかったギンガは、その何かの肉がなんの肉なのか理解する前にその光景から目をそらし、包丁を持った男に向かって構えながら叫ぶ。

 

 

 

「時空管理局員です!凶器を捨てて投降しなさい!逃げ場はありません!いま増援も呼びました!観念しなさい!」

 

 

 

 ギンガは投降を呼びかけながら念話で増援を呼ぶ。増援が来るには後数十分かかる。

 

 

 

 

「・・・ここは私以外立ち入り禁止ですよ管理局員さん。・・・よく見たら貴方、不味そうな体していますね。天然ものじゃない、養殖の匂いもする。」

 

 

 

 

 店長・・・いや殺人鬼がぐるりと首だけでギンガの方に振り向く。その目は濁りきっていた。

その目をみたギンガは奈落の底に引きずり込まれるような気がした。

 

               

 

「あああああああああああああ!」

 

 

 

 ギンガは叫びながら殺人鬼に突撃する。恐怖を振り払うように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぅう!」

 

 

 

 ドゴッ!と壁にたたきつけられたギンガは思わずうめき声をあげる。

 

 

 

 ・・・強い!ギンガは目の前の殺人鬼の一撃を受けてそう感じた。

冷静ではなく技の切れの悪い今の自分ではまるで歯が立たない。巨大な包丁を手足のように扱う殺人鬼の技量は高い。

 

 

 

「・・・よく見たら原作キャラじゃないか。ふむ原作キャラを料理するのも私の能力、料理

をする程度の能力が強化され、また新たな境地に達せられるかもしれん。」

 

 

 

 そう言って嗤いながら殺人鬼はギンガに近づく。

 

 

 

「ひっ!」

 

 

 

 ギンガは本能的な恐怖から小さな悲鳴を上げてしまう。壁に叩き付けられた衝撃で体が思

うように動かないギンガは小さく身震いする。

 

 

 

「大丈夫だよ。例え養殖でも私がおいしく料理してあげよう。怖がることはない。ただ少し

我慢するだけだよ。」

 

 

 

 殺人鬼はギンガに向かって巨大な包丁を振り下ろす。

 ギンガはせまりくる包丁に対する恐怖で目を閉じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目を閉じていたギンガは痛みも何も感じないことを疑問に思いゆっくりと目を開け、顔を

上げる。

 

 

  そこには巨大な包丁を受け止める片手で受け止めるスーツ姿の男がいた。

 

 

 

 

「いやぁ、少し野暮用で合流が遅れました。ギリギリでしたけど許してくださいね。」

 

 

 

 

 男は軽薄に笑う。それを見た殺人鬼は彼を見て一瞬顔をしかめる。しかしすぐに何か思いつ

いたような顔をして嗤う。

 

 

 

「・・・ひひ、お前俺の同類だなぁ。臭いでわかるぜぇ。」

 

 

 

「・・・確かに貴方も見た感じ転生者でしょうが・・・私を一緒にしないでいただきたいで

すね。私は貴方と違い善良な一般市民です。同郷の好で貴方をここで止めて差し上げましょ

う。」

 

 

 

 

 ギンガは二人の喋っている内容がすべて理解できなかったが、自分が助かったのだと安心

する。

 

 

 

「同じ転生者を料理したことはなかったなぁ!ちょうどいい。お前たち二人ともまとめて

料理してやる。」

 

 

 

 そういって殺人鬼は包丁を振りかぶる。

 

 

 

 ・・・男は呼吸を練り始める。それは特殊なエネルギーを生み出す呼吸法。太陽と同等の力。そ

の名も『波紋法』。男は転生者である。しかしこの技術は自身が血のにじむ努力で生前身

に着けたものである。

 

 

 

「それは遠慮させてもらいましょう。いきますよ。『山吹き色の波紋疾走』!」

 

 

 

 強い輝きとともに包丁と拳がぶつかり合う。ギンガはその輝きを見た途端、ギリギリで保っ

ていた意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ここは?」

 

 

 

 

 ギンガが目を覚ますと地下の通路だった。傍にはスーツの男が増援の管理局員数名と話を

しているようだった。

 

 

 

「・・・おや、ギンガさん目が覚めましたか?気分はどうですか?」

 

 

 

 男が気遣うように問いかけてくる。

 

 

 

「・・・殺人鬼はどうなったんですか?」

 

 

 

「申し訳ながら逃がしてしまいました。いやぁ地上に向かって大穴開けるとは予想外でし

たよ。」

 

 

 

「・・・わたしが気絶してしまったからですね・・・ごめんなさい・・・。」

 

 

 

 そういって男は笑うが、ギンガは自分が意識を失ってしまったせいで追いかけることがき

なかったのだと悟り、男に謝罪する。

 

 

 

 

「いえいえ仕方のないことですよ。あんな現場見てしまったのですからね。今から私は事

情聴取で管理局に向かわなければなりません。これでお別れでしょうが、じっくり休んでく

ださいね。」

 

 

 

 

 そういって先ほど話していた管理局員と共に去っていくスーツの男、ギンガはそれを見送

り他の局員に付き添われながら病院に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 殺人鬼が裏路地を駆ける。なりふり構わずドロドロになりながら走る。

 

 

 

「くそっ!せっかくのチャンスを棒に振ってしまった!あのスーツの男。波紋使いだった

のか。あの二つの食材を料理できていたら・・・いやまだチャンスはある。今は管理局から

逃げることが先決か。」

 

 

 

 そういいながら走る殺人鬼。

 

 

 

 

 

 

 突然殺人鬼の両腕が切り取られる。

 

 

 

「・・・え?」

 

 

 

 ぽかんとする殺人鬼は自分の首から上が飛び、宙を舞っていることに気付くが直ぐに意識

を失った。永遠に。

 

 

 

 

 その場に残ったのは首から上と両腕が無くなり、切断面から血を吹き出し続ける死体のみで

であった。切り取られた両腕と首から上はもう既にどこにもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後。

 

 

 スーツの男は自分の事務所の一室で機嫌よく何かが入った箱三つを鑑賞していた。

 

 

 

「いやぁ事情聴取が長かったけど、三つもコレクションが増えて大変満足ですよ。」

 

 

 

 男は上機嫌に独り言をつぶやく。

 

 

 

 男の傍らには奇妙な人型が立っている。それは傍に立つ者『stand by me』。男のようなスタ

ンド使いにしか見えない存在である。

 

 

 

「いやぁ何時もながらCarry Away(持ち去り)は便利ですねぇ。スタンド使い以外には姿

が見えないし証拠も残さない。長距離まで操作可能。私のコレクションを集めるにはうって

つけです。」

 

 

 

 そうしゃべる男の鑑賞している箱の中身の一つは殺人鬼の男の両腕と頭。そして後二つの

黄金に輝く金色の眼球が2対。特殊な液体の中に保存されていた。

 

 

 

「いやぁ妹の両目が残っていてよかったですね。姉の眼球とセットでコレクションに加え

る事ができたのですから。クロス嬢も妹さんと再会できてうれしいでしょうね。」

 

 

 

 男がいる部屋には無数の箱がありその中には人間のパーツが入っている。

 

 

 

 その中には男の両親であろう顔が保存されている箱もある。

 

 

 

 この男はシリアルキラー、通称『Carry Away』(持ち去り)。人間のパーツをコレクションにする殺人鬼である。

 

 

 

 転生者である彼は、生前死ぬ直前にスタンドに目覚め、その特殊な能力により自力でこの世

界に転生したのだ。

 

 

 

 

「しかし・・・ギンガさんには私の食指が動きませんでしたね。・・・どことなく養殖臭い

からでしょうか?」

 

 

 

 男は目の前の保存されている殺人鬼が思った事と同じ事を思う。

 

 

 

 彼は結局同類だったのだろう。

 

 

 

 男は箱を眺めつつ機嫌よく日常を過ごすのであった。

 

 

 

 ミッドチルダは今日も平和である。

 




主人公:ナイさん 出番なし 原作知識なし。

ソウルフレンド:ギンガちゃん 養殖扱い・・・ひどい!

被害者:イリーナ・クロス 依頼を頼んだ後、スーツの男に目玉くりぬかれました。

被害者2:妹ちゃん 殺人鬼『料理人』に殺され頭以外は既に調理済み。スーツの男に眼球のみ回収されました。


殺人鬼『Carry Away』(持ち去り』:スーツの男。9歳の時に両親を殺害。そこから22年間ずっと殺人鬼をしている。神様転生ではない珍しい存在。スタンド使い兼波紋使い。スタンド能力は転生能力。つまり自力で転生できる。戦闘能力は陸戦最高クラス。
 事務所の隠し部屋にはコレクションがいっぱい。最近コレクションが入りきらないので増築しようかと考えている。原作知識なし。殺人鬼『料理人』とは結局同類である。
 スーツの男は静かに暮らしたい。


殺人鬼『料理人』:神様転生。能力は料理をする程度の能力。食人鬼というより人間を料理したいだけである。今ではコレクションの一つ。原作知識あり。


増援:管理局員の皆様 お疲れ様です。


グロくなーいビグロくなーい:リ・ガズィマーク2もいいよね。



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リリカルナデボ その4 アクティブ少女ギンガちゃん

卒研辛くてげぼ吐きそうなんで投稿しました。

ギンガちゃん視点です。


 

 

 私にとって死は身近な存在。

 

 

 

 見えないけど自分の中に存在しているのがわかる。

 

 

 

 ここにいる。

 

 

 

 私の中に死に対する恐怖が存在する。

 

 

 

 私の中に死の恐怖という概念が存在する。

 

 

 

 怖い。ただ私は怖い。私を救ってほしい。

 

 

 

 私はここに居る。

 

 

 

 ここに居るから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 リリカルナデボ その4 アクティブ少女ギンガちゃん

 

 

 

 

 

 陸の怪物と呼ばれているナイ一等陸尉の護衛として、街の視察に同行するという任務が陸士108部隊の私に下されました。ナイ一等陸尉・・・陸では良い噂を聞かない人です。私はあまり知らないのですが、次元犯罪者を何人も殺してきた危険人物のようね。

 

 

 

 私の上司のお父さんや部隊の皆には気をつけるように、何かあったら念話ですぐに連絡を寄こすようにとも言われ・・・すごく不安です。

 

 

 待ち合わせ場所で20分くらい待っているけれど一向に現れる気配がない。時間にルーズな人なのかしら?

 

 

「やぁおはよう。君がついてきてくれる局員でいいのかね?」

 

 

「うひゃあ!」

 

 

 後ろから急に声を掛けられた私はびっくりして変な声を出してしまう。・・・恥ずかしい。

 気を取り直して振り返り、後ろから声をかけてきた人を見る。そこにいたのは黒いローブを身にまとった長身の男性でした。資料に載っていた人物、ナイ一等陸尉で間違いないようです。

 

 

「・・・えーごほん。その通りです!私はギンガ・ナカジマ二等陸士であります!本日はミッドチルダ視察に同行させていただきます!」

 

 

 わたしは敬礼しながら自己紹介する。するとナイ一等陸尉はニヤニヤしながら口を開く。 

 

 

「最近はそんな可愛らしい挨拶が流行っているのかい?」

 

 

「い・・・いいえ!流行っていません。」

 

 

 ・・・なかなかフレンドリーな人のようね。

 

 

「ふむ・・・流行ってないのか。それは残念だ。では行こうか。」

 

 

 ニヤニヤしながらその場から移動しようとするナイ一等陸尉。

 

 

「ま・・待ってください!」

 

 

 私はナイ一等陸尉の後ろを慌ててついていくのだった。

 外は雪が降っていました。季節は冬。お鍋が食べたくなってきたわね。今度スバルを誘って行こうかしら。

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・ナイ一等陸尉と街中ではぐれた。

 

 

 始めは好き勝手動き回って付いていくので精一杯だったけれど、はぐれることはなかった。

けれどお手洗いに行くというから、トイレの前で待っていたのにいつの間にかトイレからいなくなっていた。・・・逃げた?

 

 

「・・・ってどこに行ったのよー!」

 

 

 叫びながらデバイスを起動。ナイ一等陸尉の魔力反応を探す。・・・裏路地を進んでいるようね。先回りして合流しよう。あの人はホント自由な人だなー。噂より怖い人ではなかったけれどこの任務は思ったとおり大変だったね。すぐ合流できるように走って裏路地に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・ああああああああああああ!」

 

 

 裏路地に向かうといきなり叫び声が聞こえた。何かあったのかと思った私はデバイスを展開する。叫び声が聞こえた場所にはナイ一等陸尉がいて、大釜を持った女の子が襲いかかろうてしていた。

 

 

がきっ!

 

 

 微動だにしないナイ一等陸尉に鎌が振り下ろされそうになったが、私が横から割り込んで鎌ごと女の子を弾き飛ばす。

 

 

「ナイさん!御無事ですか?ようやく見つけましたよ!」

 

 

 とりあえず無事だったことに安堵する。もし間に合わなかったとしたら・・・ゾッとするわね。

 

 

「ふむ・・・最近の街はこんな素敵な場所だったのだね。これなら毎日来ても退屈しないで済みそうだ。」

 

 

「そんなこと言ってる場合ですか!?「あああああああああああああああ!」きゃぁ!?」

 

 

 ふざけたことを言うこの人に青筋をたてながらツッコミを入れるんだけど、目の前の女の子が突撃してくる。くっとりあえずこの子を取り押さえないと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数分の戦闘のあと、私の一撃が女の子に入り倒れる。・・・なんとかなったわね。

息を整え一息つく。女の子は身体能力が高かったようだけど、技量は素人だったわね。

 

 

「ご苦労さまギンガちゃん。疲れたかい?はいジュース。」

 

 

 ナイさんがジュースを渡してくる。いつのまに買ったんだろう?

 

 

「はぁはぁ・・・あ・・ありがとうございます。いただきます。」

 

 

 私は受け取ったジュースを一気に飲む。そしてこの女の子に対して心当たりがあるので一応伝えておく。

 

 

「・・・この子は最近ミッドチルダを騒がしていた殺人鬼『死の恐怖』かもしれないですね。この前見た犯行資料に載っていたものと手口が似ています。こんな女の子だとは知りませんでしたが。」

 

 

 ミッドチルダには殺人鬼が何人か存在する。有名どころでは『置き去り』や『芸術家』などがいる。資料にはこの子の特徴や手口が載っていた。

 

 

「いやぁそれは怖い。私みたいな非力な人間にとっては恐怖でしかないね。」

 

 

 ニヤニヤしながらそんなことを言う・・・しょうがない人だなこの人。

 

 

「・・・増援は呼んでおきました。後10分もすれば合流してくれるでしょう。その間待機となりますがよろしいですか?」

 

 

 念話で増援を呼んでおいた。援軍が来るまでこの子を見張っておかないと。

 

 

「よろしいよ。それとギンガちゃん。もうちょいそれから離れたほうがいいよ。」

 

 

 そう言われ、反射的に私はその場から飛び退く・・・そこに巨大な鎌が突き刺さる。

 大鎌を振り下ろしたのは、倒れた女の子から浮かび上がる、関節ごとにパーツを分解した人形のような奇妙な姿で、顔に当たる部分にはボウリングの球のような三つの穴が存在する者・・・何なの・・・これ?

 

 

「・・・これは・・・この子の体から出てきた!?」

 

 

 私が驚愕の声を上げると、私を捉えそこなった大鎌がナイ一等陸尉に狙いを変更して襲いかかる。

 

 

「ふむ。禍々しき波の八つの相の一つ、第一相『死の恐怖』スケィス。

私と似たような存在かな?実に興味深い。」

 

 

 ナイ一等陸尉はこいつを知っている?死の恐怖・・・スケィス?

 

 

「あああああああああああああ!」

 

 

 叫びを上げながらぬるりと立ち上がる女の子。・・・こんなにすぐに起き上がれるなんて!?

 

 

「ナイさん下がってください!この子は・・・いえこれは危険です!」

 

 

 ナイ一等陸尉に呼びかける。しかしナイ一等陸尉は首を振り、殺人鬼に向かい合う。

 

 

「ギンガちゃん。私がこれの気を引こう。君は隙を見せたこれに一撃を入れてくれたまえ。」

 

 

 ・・・ナイ一等陸尉の実力はある程度噂で聞いている。危険だろうがわたしが前に出るよりかは大丈夫だろう。そう納得することにする。

 

 

「・・・わかりました。でも無理はしないでくださいね。」

 

 

 そう言い、私は殺人鬼の死角に回り込む。

 

 

「さぁ第一相『死の恐怖』の力を得てしまった同郷の士よ。私が悪夢から目覚めさせてあげよう。遠慮する必要はない。さぁ私に全てを委ねなさい。君の狂気は私が受け継ぐ。」

 

 

 後ろに回り込む途中の私の耳に、そう言って笑うナイ一等陸尉の声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死に恐怖する事は弱いわけではない。恐怖に打ち勝ってこそが強さである・・・とか誰かが言っていたような気がするがね。私はそうは思わない。恐怖に打ち勝ったとしても最後に訪れるのは絶対なる絶望。そして狂気に蝕まれる。不屈の心なんてものはこの世に存在しない。存在するとすれば・・・それは既に狂ってしまっている心。最初から狂っているものはもう狂うことはできない。」

 

 

「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

 ナイ一等陸尉の一撃で大鎌を持った腕を吹き飛ばし、その隙を逃さず殺人鬼に渾身の一撃を叩き込む。倒れ込んだ怪物は消滅する。そして少女はその場に崩れ落ちた。

 

 

「・・・倒したんですか?」

 

 

「あぁこれでこの少女は死の恐怖に怯える事はなくなったよ。」

 

 

 私は少女を拘束しながら疑問に思ったことを口にする。

 

 

「この子は・・・貴方の同郷の方だったんですか?」

 

 

「・・・まぁそういう事になるね。」

 

 

 そう言うこの人の顔には悲しみが浮かんでいた。

 

 

 ・・・けれどすぐにヘラヘラとした胡散臭い表情に戻る。

 

 

「さてギンガちゃん。今日から君は私のソウルフレンドです。いつでも遊びに誘っていいからね。じゃあ後は任せたよ。」

 

 

 そう言ってナイ一等陸尉は転移魔法で離脱した。

 私はいきなりソウルフレンドと言われてしまって、キョトンとしてしまった。

なんだったんだろうこの人は。不思議な人ね。・・・ってナイ一等陸尉の分も後処理私がやるの!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、女の子はレアスキルの暴走によって殺人を起こしていた事が判明。精神状態が不安定のため、今は暴走しないよう監視されながら精神病棟で入院しているそうだ。

 

 

 精神状態が安定してから裁判が行われるそうだ。

 

 

 私はといえば、ナイ一等陸尉と同行したという理由で、異常がないかチェックされた。そこで私は変な人だったけれど、噂程ではなかったと発言したら、精神病棟に連れて行かれそうになった。私は正常だぁ!

 

 

 後、端末の連絡先にいつの間にかナイ一等陸尉の連絡先が保存されていた。・・・いつの間に保存されていたのかしら?

 

 




主人公:ナイさん(偽名)   その後、ちょいちょい街に遊びに行ったそうです。
ソウルフレンド:ギンガちゃん たまに主人公とメールするようになりました。
被害者:ヤンキー       頭がパーン。
被害者2:襲われていた女の子  頭がパーン。
殺人鬼:『死の恐怖』     頭がパーン・・・でも死ななかった。
増援:管理局員の皆様     いつもより現場がひどくなくてびっくり。でも別の場所で死体を見つけてびっくり。
タコ:Great Old Ones    こんなん召喚されたらミッドチルダ詰むわ。
ひと夏の思い出:邪教徒    頭がパーン。 
転生者達が作った一族:零崎  頭がパーンとなってほぼ全滅。
転生者の血を引く一族:七夜  頭がパーンとなってほぼ全滅。

今回はビグロくない:プラモ欲しい・・・作る時間ないけど


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リリカルナデボ その5 

連続投稿。

げぼ吐きそう(確信)

短いです。あとナデボしません。発狂しません。


 

 

 チクタクチクタク。

 

 

 時計の音。

 

 

 チクタクチクタク。

 

 

 どこから聞こえてくるのだろう。

 

 

 チクタクチクタク。

 

 

 耳を塞いでも聞こえてくる。

 

 

 チクタクチクタク。

 

 

 

 

 

 

 

 チクタクチクタク。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リリカルナデボ その5

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の頭の中の平行世界の私の皆さん、かーなりお久しぶりです。今日の私は真面目ちゃんモードです。管理局の制服に身を包む私はどこからどう見てもできる管理局員!いかす!

 

 

 なーぜならチャット仲間3人組からお仕事を頼まれたからです。地上本部公開意見陳述会とかいうのに参加しろとのこと。

 

 

 いやーお偉いさんがたくさん来るらしいから下手なことして怒られたくないしねー。キリッとした表情を心がけよう。キリッ!

 

 

 なので現在私は既に地上本部にいます。いやーデバイス取られちゃったし暇でござるなー。ちなみに私のデバイスは一般局員に配られているのと一緒の物です。なんと暇がつぶせるゲームアプリがたくさん入っています。

 

 

 ゲームができないのは辛いでござる。仕方ないので宇宙と交信でもするべー。むむむ電波が届くー。今日の運勢占いの結果は最高という電波を受信。素敵―。

 

 

 

 席から周りを見渡してみるといつかの事件で助けた誘拐少女が、こちらを遠くから見つめていたので笑顔で手を振っておく。・・・顔を背けられた。最近の女の子は恥ずかしがり屋さんが多いね。可愛いから許す!

 

 

 

 偉い人の話は長くて退屈ですな。これは一人しりとりで時間を潰すしかない。いくぞー殺人・・・終わった。なかなか白熱したしりとりだった。

 

 

ズズン

 

 

 そんな音が会場に響く。おぉっと?なんだいなんだい?お祭りかい?

 

 

 周りがざわめく。・・・ざわ・・・ざわ・・・。

 

 

 外でお祭りがやっているなら今すぐ行かなきゃ(使命感)。転移しちゃうぞー。・・・できない・・・だと!?オサレ!!

 

 

「ふむ・・・ジャミングかね?用意周到なことだ。」

 

 

 そう言って私は立ち上がり歩いて外に出ることにする。

 

 

「・・・ナイ一等陸尉どちらに行かれるので?」

 

 

 いきなり金髪のシスターさんに話しかけられる。私の信者かな?

 

 

「どちら様で?私は今からお祭りに出かけなければならないのですよ、お嬢さん。用件は手短にお願いしますね。」

 

 

「・・・申し遅れました。私は聖王教会のカリムと申します。貴方は今回の事、何か知っているのですか?・・・陸の怪物さん?」

 

 

 カリムちゃんというらしい女の子が、愛想笑いをしながら尋ねてくる。いや・・・お祭りがあるんでねぇの?ぼくちん金魚救いしたい。金魚すべてを救うのです。いえー。

 

 

「私の占いでは今日は私にとって最高の出来事が起こるようですが・・・貴方はどうですかカリムさん。本日の占いは当たりましたか?」

 

 

「・・・貴方は・・・。」

 

 

 カリムさんは一瞬表情が凍るが、すぐに元の愛想笑いに戻る。

 

 

「質問に答えていただきありがとうございます。・・・行かれるので?」

 

 

「ええ、我が愛しきソウルフレンドがピンチのようでね。急がなければなりません。では失礼しますよ、カリム殿。後、夜天の姫君、八神はやて嬢によろしく言っておいていただきたい。」

 

 

 そういって私はゆっくり歩いていく。トコトコ歩くのん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おやぁ?ボロボロじゃぁないか我がソウルフレンド。血が出ているよ。」

 

 

 私がのんびり歩いていると、我がソウルフレンドギンガちゃんが女の子3人にボッコボコにされた姿を見かける。なんてひどいことをー。かわいそうでかわいそうで涙が出てくるよ。

 ぷくくくくwwww

 

 

「・・・何者だ?まぁいい邪魔者は排除するのみ。」

 

 

 3人の中で一番小さい女の子がこちらを睨み、構えをとってくる。この子もサイボーグ的な可愛さがあるなぁ。中身がメカメカしい。人間中身が大事だよね。

 

 

 

 「・・・え?」

 

 

 女の子3人と見つめ合っていると更に青い髪の女の子が現れる。その視線が我がソウルフレンドに向けられると同時に目が見開く。この子の目、こわっ!この子もサイボーグ臭い。つまり・・・この場に私以外生身の人間いないじゃないですかヤダー。

 

 

 

「・・・う・・・ああ・・・うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

 青い髪の女の子から魔力が吹き出し、荒れ狂う。怒なの?

 

 

「返せ・・・!」

 

 

 腕につけているデバイスがガッションガッションしている。すげぇ!この子ロケットパンチを打つ気だ!流石サイボーグちっくな少女。

 

 

「ギンねぇを・・・かえせぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

 

 そう叫びながら、赤い髪の毛の胸元にⅨと書かれている女の子に突撃する青髪少女。ロケットパンチやないんかーい。期待して損したべ。

 

 

 

 Ⅸの少女と青紙少女がぶつかり合う。

 

 

「どぉぉぉけぇぇぇぇ!」

 

 

ばきぃ

 

 

 お互いが蹴りの衝撃で吹き飛び壁に叩きつけられる。

 

 

「・・・ノーヴェ、ウインディ、あれは私が抑える。お前たちは離脱しろ。」

 

 

 小さい少女が撤退を指示し前に出ようとする。

 

 

「・・・あらら?もしかして私忘れられている?聖なお兄さんは悲しいぞ。」

 

 

 そう言ってソウルフレンドがしまわれたボードみたいなのに乗ったⅪの少女に近づく。しまっちゃおうね~。悪い子はしまっちゃおうねー。

 

 

 すると目の前の上空から、急にフードをかぶった少年が現れ槍のようなものを突き刺してくる。まぁ軽やかにバックステッポウでよけるのですがね。先程までいた場所は槍の一撃で破壊される。わおー、すごい威力。

 

 

「おっと。いきなり槍でつついてくるなんて礼儀がなっていませんねぇ。まずは挨拶と自己紹介からお願いしますよ。古事記にも書いているでしょう。」

 

 

 私がそう言うとフードの少年は笑いながら槍を振り回し近づいてくる。

 

 

「ひひひ・・・俺の名が知りたいだって?教えてやるよぉ!俺の名はV。訳あってスカリエッティの野郎に協力してやっているのさぁ!」

 

 

 そう言うと私に槍による連打を叩き込んでくる。それを私はひょいひょい避ける。ワザマエ!

 

 

「ふーむ。ソウルフレンドがこのまま連れ去られるのは本意ではないのだけどねぇ。君、なかなかできるから避けるので精一杯ですよ。・・・む?」

 

 

 とかなんとかやってたらナイフがこっちに飛んできて爆発する。爆発四散!

 ⅨとⅪの少女がその隙に離脱する。あちゃ~逃げられちゃった。・・・まぁいいや。

 

 

 そしてよそ見をしていた私の肩に槍が突き刺さる。あいえー。

 

 

「ローブに血がついてしまったではないか。クリーニング代は出してくれるのかね?」

 

 

「随分余裕だなぁお前。まぁいい時間は稼いだ。俺は離脱させてもらうぜぇ。」

 

 

 そう言って目の前のローブの少年は離脱する。

 ありゃりゃ、逃しちゃったベー。青髪少女も小さい女の子逃しちゃって泣いちゃってるしなー。

 

 

 とか考えてたら何か追加で女の子二人がやってくる。片方はエースオブエーなんたらの人じゃないか。しゅごいー。サインほすぃです。嘘です!

 

 

「スバル!大丈夫!?」

 

 

 そう言って青紙少女に駆け寄るオレンジツインテールの少女。そしてエースオブエーなんとかの人がこちらに問いかけてくる。

 

 

「・・・私は機動六課所属スターズ分隊の隊長、高町なのは一等空尉です。貴方は?」

 

 

 きちんと自己紹介するなんてエースオブエーなんとかの人はコミュ力もエースなのか!?ならばこちらもしっかり挨拶せねば。

 

 

「ドーモ。高町一等空尉。私はナイ一等陸尉です。今侵入者に逃げられてしまいましてね。いやー面目ない。」

 

 

 フレンドリーに話しかける。みろ!これが私のコミュ力だ!当然笑顔も忘れない。

 

 

「ナイさん・・・ですか。デバイスは預けたままですか?見たところバリアジャケットを展開していないようですが・・・怪我もしているじゃないですか!?」

 

 

「・・・そういえば預けたままでした。いやー忘れていました。」

 

 

 いやーやっちゃったぜ。デバイスなければかっこいいバリアジャケット姿になれないじゃないか!見た目って大事だよね。

 

 

「それより私は部屋のガスの元栓を締め忘れたのを思い出したので帰ります。そこの青い少女のことはお任せしますね。」

 

 

 そういって私はここから出るため歩き出す。

 結局ソウルフレンドがさらわれちゃったぜ。今日の占いはこのことを指していたのか。まったく、今日は運が良かったべ。最高ですた。

 

 

「・・・って帰っちゃうんですか!?」

 

 

 そんな声が後ろから聞こえてくるので、手を上げて振っておく。ソウルフレンドが攫われちゃったのがショックで帰るんじゃないんだからね!ガスの元栓閉め忘れたから帰るんだからね!本当なんだから!

 

 

 自分でやっておいてなんだけどキモかったでござる。

 

 

 

 

 

 だがそれがいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地上本部・機動六課同時襲撃事件報告書

 

スカリエッティの戦闘機人・ガジェットによる地上本部公開意見陳述会を狙った襲撃が行われた。

地上本部にてギンガ・ナカジマが拉致される。

機動六課スターズ隊員スバル・ナカジマ負傷。デバイス大破。

ナイ一等陸尉負傷。

八神・ヴィータ負傷。デバイス中破。

エリオ・モンディアル、機動六課に向かう途中、フードをかぶった何者かに襲撃を受け、拉致される。

 

機動六課が壊滅。

保護されていた少女が拉致される。

リインフォースII、ヴァイス、シャマル、ザフィーラが負傷。

 

 

 




主人公:ナイさん(偽名)   
ソウルフレンド:ギンガちゃん 
ソウルフレンドの妹:スバルン 
凡人:ランスターの弾丸はうんたらかんたら 
エースオブエーなんたら:なのはさん19さい 
シスター:カリムさん
ナンバーズの皆さん:サイボーグ
フードの少年:unknown


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リリカルナデボ その6

遅くなりました。

たぶんミスが多いのともう少し付け加えたい部分があるので後日修正版を出すかもしれません。




 

 

Happy birthday to you,

 

 

Happy birthday to you,

 

 

Happy birthday, dear Vicious new God

 

 

Happy birthday to you.

 

 

 

 

 

 

 

リリカルナデボ その6

 

 

 

 

 

 

 私の頭の中の平行世界の私の皆さん、お元気ですかー!?今日の私はトレンディです。前回、地上本部が襲撃されちゃってあら大変。コンボがつながり機動六課が壊滅状態。そんな事をしたスカイイエティ一味め!許さないぞ!と思う今日この頃。ところで機動六課ってなんぞ?

 

 

 まぁ機動戦士のことはいいや・・・なんか違うか?そんなことより今、ゆりかごとかいうのが成層圏に昇っているやらなんやらで局員みんな忙しいみたいだ。ゆりかごってあれだろ、赤ん坊が寝るためのベットみたいなものだろう?そんなんで慌てるだなんて・・・管理局は幼稚園にでもなるのかな?・・・それはいやだなぁ。

 

 

 とまあそれは置いておくとしよう。現在の私は地上本部の一室の前に来ています。実は偉い人に呼び出されてしまったのです。任務の説明とか何とか言っていましたが、いつも任務をくれるチャット仲間からではありませんでした。珍しいこともあるものです。部屋に入らないといけないのでノックをしません。・・・しません。

 

 

 部屋の扉を開きます。そして部屋の中を見回します。

 

 

 しかし部屋には誰もいません。困ってしまいました。

 

 

「おやぁ?間違えましたかね?うーん、困りました。」

 

 

 私は疑問の声をあげます。

 

 

 私は気が付きません。なぜなら私は未だに神に至っていないのですから。

 

 

 

 

「これで終わりです・・・私の悪夢。」

 

 

 

 

 ヒュンと音がしました。そのあと女性の声が聞こえました。

 

 

 どうしたのかと思い後ろを向こうとしますが、後ろを向こうとした私の首から上はクルンと落ちてしまいました。落ちた衝撃で後ろを見ることができました。

 

 

 そこには首から上がない私の体と、大剣型のデバイスを横に振り切った姿勢のまま、私を濁った眼で睨みつけてくる女性の姿がありました。その瞳には怯えや憎しみといったような感情が秘められているような気がしました。

 

 

「・・・ようやく・・・ようやく・・・悪夢が終わる。」

 

 

 私は声が出せません。もう既に首から上と胴体が離婚してしまったのですから。こんなんじゃのど自慢大会に出られないじゃないか!

 

 

「さようなら・・・貴方は私の事覚えていないかもしれないけれど。私は貴方の事を忘れたことはありません。ですが今日で終わりです。貴方の事をようやく忘れることができます。」

 

 

 そういうと彼女は笑った。きれいな顔で。

 

 

 それを見て私の意識は闇に沈んでいきました。あぁー死んでしまうなんて悲しいな。

 

 

 

 

 

 だがそれがいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこは扉がたくさんある空間だった。どこまででも続いていく空間。このまま歩き続けていくとどうなるのだろうか。興味深い。実に興味深い。

 

 

 しかし、私は我慢できない子。我慢して近くの扉をノックしないで開ける。・・・我慢するしノックもしません。・・・ノックしません。

 

 

 扉を開けた先には椅子がたくさん並んでいて、そこに白い霧がかかって見えずらいですが、神々しい感じのする存在達が座っていました。

 ぐるんぐるんと見回してみると、一つだけ椅子が空いていました。私が自分を指さし、その後空いた椅子を指さすと、その存在達は少し頷いたような気がしました。

 ここに座ればいいのか。そう思いすたすたと近づきます。その存在達は私を祝福してくれているようでした。

 私は心が満たされるような気がしました。私は椅子に近づきました。そして・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 とりあえず一番近いところにいた存在の頭を吹き飛ばしました。

 

 

 

 

 

 

 すぐにまた近くの存在を一つ一つ丁寧に、心を込めて吹き飛ばしていきました。その存在達は驚いたように声をあげます。ですが何を言っているのかわかりません。わからないので頭を吹き飛ばします。

 

 

 気づいたら白い部屋が赤黒い部屋に代わっていました。残った存在は一つです。さぁ吹き飛ばしましょう。一つ残らず吹き飛ばしましょう。

 残った存在は何かをあきらめたような顔をしていました。あきらめんなよ!

 

 

「なんだか・・・生まれ変わった気分だ。」

 

 

 素晴らしい気分です。今ならなんだってできる気がします。有値有能の神の気分です。もう少しこの気分を楽しもう。そう思い最後の存在を吹き飛ばしたとたん、再び意識が闇に沈んでいきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誕生日おめでとう!僕が君を祝福しよう!」

 

 

 時計の音が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の人生が狂ったのはこの男のせいだろう。この男に一瞬であったけれど出会ってしまった。それが私の間違い。

 

 

 悪夢を見ない日はなかった。トレーニングと仕事を倒れるまで行うことで悪夢を見ないようにしようとしたけれど、悪夢はその程度では私を解放してくれなかった。

 

 

 未だにあの惨状が頭に浮かぶ。眼球がこちらを覗くさまなんてくっきりと覚えている。辛かった。怖かった。苦しかった。けれど私は耐えた。ずっと耐えてきた。

 

 

 レジアス中将から危険分子であるこの男の排除を命じられたとき、私は恐怖を感じ、そして喜びを感じた。ようやく悪夢から解放される。あの時のことを忘れられる。

 

 

 今目の前にいる男は生きていてはいけない者だったんだろう。こんなものが存在していいわけがない。

 

 

「・・・あっさり終わりましたね。後の処理はレジアス中将に任せましょうか。」

 

 

 そういって私はその部屋から出ようとして・・・足に何かが巻きつき前につんのめってしまった。私は驚きの声をあげ、何が巻き付いたのか確認する。

 

 

「な・・・何が!?ひいっ!?」

 

 

 巻き付いていたのは太くおぞましい触手であり、それは死体の首があった場所から何本も飛び出していた。それらはうねりながらこちらを見据えていた。死体はゆっくりと立ち上がり、こちらに近づいてくる。

 

 

 そして離れたところに落ちていた首から上は、こちらを見ていた。笑いながら嗤いながら哂いながら・・・私を見ていた。

 

 

「こ・・この!離れなさい!」

 

 

 私は叫びながら触手を離そうとするが、びくともしない。手に持っていたデバイスで叩ききろうとするが、触手が私の腕を拘束し、デバイスを取り上げる。そしてそのまま私を体の近くまで運ぶ。

 

 

「い・・いやっ!やめて!気持ち悪い!」

 

 

 私は必死に抵抗する。頭の隅ではもう助からないと確信しつつも生きるために暴れようとする。

 そんな抵抗もむなしく触手で持ち上げられた私は、そのまま触手の生えている部分、首のところに開いた口のような場所に沈められる。

 そして口のような場所に入った途端、全身に痛みが走る。

 

 

「いぎぃいぃぃぃぃぃぃぃぃぁあああああああああああああああああああああイタイイタイイタイイタイ痛い痛い痛い痛い痛いいたいぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいあああああ!」

 

 

 足から順にゆっくり噛み砕かれるような痛みが上半身に向かって登ってくる。生きたまま私は食われているんだ。肉体を精神ごと食われている。細胞一つ一つまで丁寧に噛み砕かれ、すり潰されていく。

 

 

「いやぁぁぁああああああああああああああああああああもうやめてぇぇぇぇぇいたいのはいやだぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

 足が腰が腹が胸が腕が食われていく。骨がとかされていく。内臓が噛み砕かれ中身ごと綺麗に汚らしく食べられていく。

 

 

「ゆぅぅぅるるるるるるぅぅぅぅぅしてえええええええええええええええええええああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ。」

 

 

 最後に残った頭が口の中に完全に入り、頭がい骨は歯で噛み砕かれて、眼球が舌のような部分に押しつぶされて、脳髄はちゅるんと一飲みされる。そうして私の意識は闇に融けていった。

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ・・・なかなか美味でした。しかし私は女性よりかは寿司が食べたいのです。

・・・そうだ!寿司屋にがりを食べに行きましょう。口直しです。では行きましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この世に神はいなくなった。

 

 




主人公:ナイさん(邪ネ申?)   
モブ:1話のモブ


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