シンデレラ in おんハピ♪ (赤瀬紅夜)
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シンデレラ in おんハピ♪
おんハピ♪メンバーでやると、物語の展開は変わっていき……!?
軽めの気持ちでお読みください。
これは、一昔前のお話。
シンデレラという、美しくも優しい少女がいました。
彼女は、綺麗な黒髪に紅い瞳を持っており周囲からはたいそう可愛がられました。
しかし、幼い頃に母親は亡くなっており、成長するにつれて仕事に手が回らなくなった父親は、新たに妻を迎え再婚することを決めました。
その継母は、お店を持っており、父親が働きに出るときにシンデレラは継母のもとでお手伝いをすることになりました。
鳳玉亭にて、召使いとしてシンデレラ(恋ヶ窪 椎名)はこき使われていました。
「まったく、シンデレラったら、ちっとも働かないじゃん。 皿洗い追加ねー」
長女(砂川 流)は、自分の仕事をシンデレラに押し付けては、毎日どこかに出かけてばかりでシンデレラをいじめていました。
すらりとした高身長な姉は、接客となるとやる気を出しますが、調理や家事がめっぽう弱い為、自分にそういう仕事が回ってくると大抵シンデレラに押し付けてしまいます。
「シンデレラは〜、もっとキビキビ動いてください〜」
次女(玉上 陽毬)は、シンデレラをいじめているというわけではないのですが、もともと才能があったからか、はたまた好きだったからか、ほぼ1人でお店を回すくらいの力量を持っています。
そのおかげで、一緒に働いていると周囲の人の動きが遅く感じる為、相手のキャパシティを超える様な量の仕事を頼んできます。
「シンデレラ、それが終わったら洗濯物と部屋の掃除をしなさい」
継母(西沢 彩歌)は、シンデレラに対して家事を押し付けて、自分は裏でその倍働いている。
しかし、シンデレラからしてみればただ仕事を押し付けて、どこかに隠れてしまう継母を好みませんでした
毎日、お客の絶えない店での激務は、次第にシンデレラの心を蝕んで行きました。
「ボクは、もう限界だ……」
夕焼けの中、買い物に行かされていた帰り道、1人シンデレラは愚痴りました。
すると、ふと見上げた先にチラシが貼ってあります。
そこには、この国の王子様がお姫様を迎えるために、ふさわしい人を探すため一夜限りの舞踏会を開くことが書かれていました。
シンデレラだって、1人の少女。
この国の王子は顔立ちも良く、頭脳明晰、さらにはスポーツマンと非の打ち所がありません。
さらには、この国の王子である以上、結婚すればお金には困ることはありません。
そんな完璧な王子に恋をしている少女は、貼ってあるチラシを恨めしそうに眺めてしばらくその場に立ちすくんでいました。
しかし、シンデレラはそのチラシから無理やり目を逸らし、帰路を急ぎました。
「ボクには、こんな良い王子様、不似合いだよ」
シンデレラは、自分の置かれている状況を理解していました。
毎日お店で働き、継母や姉たちからはいじめに遭い、自分が舞踏会になどに行く暇などありようもありません。
そこに追い打ちをかける様に、チラシの下の方に書いてあった参加条件を読んでしまったのです。
そこにはたった一つだけ、
「各人、ドレスコートをした上で参加すること」
と、書かれていました。
もちろん、シンデレラはドレスなんて持ち合わせていませんし、忙しくて舞踏会に参加する余地もありませんでした。
「だだいまー」
家に帰ると、継母達はシンデレラには目もくれず、タンスを漁ってドレスを探していました。
「どちらかが王子様と結婚できれば、お金持ちになれるし、王族になれるし、ラッキーじゃないー?」
「そうですね〜。 わたしも是非王子様には、会ってみたいです〜」
楽しそうに、2人の姉は話しています。
シンデレラはその会話を聞いて、少し惨めな気持ちになりましたが、取り敢えずは手に持っていた食材を冷蔵庫に入れていきました。
すると、そこに継母がやってきて言いました。
「シンデレラ、これから私たちはお城で舞踏会に参加してくるから、残りのお店の片ずけを頼みます」
「はい……あのっ」
シンデレラは、継母に自分も同行できないか聞いて見ることにしました。
「ボクは、舞踏会に参加で来るのでしょうか……?」
すると、継母は答える代わりに姉2人を引き連れてさっさと家を出て行ってしましました。
外からは、姉達の笑い声がかすかに聞こえてきます。
自分は置いていかれた。
舞踏会になど参加できない。
チラシを見た時から分かってはいたことでしたが、シンデレラの胸の内は深い悲しみで溢れていました。
「うっうぅ……あんまりだよ」
シンデレラは1人取り残された家の中で泣き崩れてしまいました。
悲しみの海で溺れる様に、涙が一筋だけではなくポロポロと頬を伝って流れていきます。
(そうか、ボクは参加したかったんだな)
シンデレラも、お城で開かれる舞踏会に参加したかったのです。
それでも時間が経てば否応にも気持ちは落ち着いていきます。
涙を拭ったシンデレラはお店の片付けを一生懸命にやります。
あらかたを終えゴミを袋にまとめて、外へと運びだした時です。
目の前をネズミが通り過ぎました。
「なんでこんなところに……?」
シンデレラの家でもある鳳玉亭は、店内はもちろんのこと庭先にいたるところまでも掃除が行き届いており、ネズミなどは入れない様になっているはずです。
ネズミが消えた方向をまじまじとシンデレラが見つけていると、背後から声をかけられました。
「アナタ・・・は、シンデレラ・・・?」
シンデレラが振り返ると、黒いとんがり帽子に闇に紛れる様な漆黒のローブを着込み、手にはお洒落なランプを携えた小柄な少女が立っていました。
シンデレラは戸惑うながらも、答えます。
「はい、ボクがそうですけど……」
すると、その子は名乗りました。
「ワタシは、この・・辺りに住んでいる・・・魔女」
魔女……という言葉に、シンデレラは僅かに身を強張らせます。
なんせ、ここの辺りでは悪い魔女が出るともっぱらの噂だったからです。
魔女(園池 菜野花)は、続けてシンデレラに語りかけます。
「シンデレラ、ワタシは・・・アナタを見ていられ・・ない。 是非、アナタには・・・舞踏会に行って・・欲しいの」
言い終わると魔女はどこからともなく、長杖を取り出して魔法を唱えました。
「ヨエカヲタガステリヨニラカチノマ、ヨャチボカ、ヨミズネ」
すると、先ほどまでいたネズミが大きな馬に、庭先にあった小さいカボチャが、立派な馬車になりました。
シンデレラはあまりの出来事に驚いていると、魔女はシンデレラに向けて長杖を向けて、またもや呪文を唱えました。
「ヨエタアヲツクノスラガノウホマ、トクフキシワサフニノモノコ」
長杖から出た光がシンデレラを包み込んだかと思うと、次の瞬間には、シンデレラは綺麗なドレス着て、ガラスの靴を履いていました。
「あ、ありがとう。 これでボクはお城の舞踏会に行けそうだ」
シンデレラが魔女にお礼を言うと、魔女は早く馬車に乗り込む様に促しました。
「魔法は・・・0時に消えてしまう・・・それだけは・・・忘れないで」
シンデレラは頷くと、舞踏会が開かれているお城へと急いだ。
お城に着くと既に舞踏会は始まっていた。
そこには、シンデレラを置いて行った姉達の姿もあった。
シンデレラが入り口から入ると、突然、声をかけられた。
その人は、顔をマスクで覆っており何者かわからなかったが、シンデレラにとっては、あまり危険がない様に感じた。
その人は、マスクで少し声をくぐもらせながらシンデレラにダンスを誘ってきた。
是非、踊ってくださいませんか、と。
シンデレラはその人の手を取り、踊りだした。
周りの人たちも踊り始めたが、例の王子の姿が見えないので、そわそわしている様にも感じられる。
すると、城内の放送が掛かった。
「皆さま、本日は舞踏会の参加、誠にありがとうございます。 さて、例の王子のことですが、既にどちら様かとダンスを踊っていらっしゃいます」
舞踏会に参加している全員が、驚きのあまりダンスの動きを止める。
否、
シンデレラの相手が、顔につけていたマスクを外す。
すると、そこには皆がよく知っている、爽やかなこの国の王子の顔があった。
……そう、シンデレラと踊っていたのは、この国の王子様だったのです。
王子は高らかに宣言します。
「俺は、この人と結婚しようと思う」
その一声に、シンデレラの表情は暖かくなっていきます。
しかし、ゴーン…、ゴーン…、ゴーン…と、0時に近づいていることを示す鐘が打ち鳴らされます。
シンデレラは、魔女に言われたことを思い出しました。
0時になってしまえば、魔法は解けてしまうと。
そんなことがあってしまえば、シンデレラはただの少女に戻ってしまいます。
「ごめんなさい」
そう言い残し、シンデレラは城を後にしようとかけて行きます。
しかし、途中の階段でガラスの靴が片方だけ脱げてしまいました。
シンデレラは、ガラスの靴を拾おうか一瞬迷いましたが、時間がないため靴を置いたまま裸足で馬車に乗り込みました。
すると、隣の席に魔女が座っていました。
「シンデレラ、危なかった・・・ね。 ワタシの・・・魔法で、家に・・帰して・・・あげる」
魔女は呪文を唱えました。
「ヨエタアヲリムネナカラスヤ、テシソ、セドモニョシバノトモヲノモノコ」
次の瞬間、シンデレラは元いた家に戻りいつのまにか整えられていたベットの上で寝息を立てていました。
魔女は元に戻ったネズミとカボチャを眺めながら呟きます。
「うまくやった・・・のかな?」
翌朝、シンデレラは眠りから覚めると、昨日あったことを夢だと思う様になっていました。
そこから数日は、平凡な毎日を過ごしていました。
あいも変わらず店は忙しく、継母や姉達に意地悪をされる日々。
しかし、ある日のこと。
王子が多くの兵士を引き連れて、鳳玉亭に訪れました。
そうして、店内にいる人を集めました。
なんでも、王子は舞踏会に置いて行ったガラスの靴をぴったり捌ける人を探している探していると言うことです。
早速、姉2人が名乗りを上げました。
兵士の1人が、ガラスの靴を持ってきて長女に履かせようとすると、足が大きくてガラスの靴に入りませんでした。
次女は、ガラスの靴が入ったのは良かったのですがサイズが合わずにぶかぶかになってしまいました。
他にも、多くの人が履こうとしている中で、シンデレラもダメ元で履くことになりました。
シンデレラが、ガラスの靴に足を入れると、誂えたかのように、ぴったりと嵌りました。
それを見た王子は、シンデレラに求婚します。
姉達は、シンデレラに嫉妬をしています。
「ごめんなさい、その言葉は受け入れらないです」
その中、シンデレラは王子の申し入れを、丁重に断りました。
シンデレラは、訳を話します。
「実は、ボクはこのお店が、ここにいる人たちが大好きです。 今は仲が悪いけれど、これからは仲良くなる様にしたい。 だから、王子様の想いには答えられません」
シンデレラはごめんなさい、ともう一度王子に向かって謝ります。
シンデレラが、振り返ると継母と姉達は、申し訳なさそうにして、口を開きます。
「ごめんなさい、シンデレラ。 私たちはあなたを侮辱していた。 私たちを許してくれるの?」
シンデレラは、その声に笑顔で頷きます。
「うん! これからはみんなで頑張ろう」
4人は手を取り合って泣きあいました。
「全く、こんな中に取り入る隙は無いな」
1人、王子は呟きお店を後にしました。
こうして、シンデレラのお話は幕を閉じます。
かつて、シンデレラ(灰被り姫)と呼ばれた少女は、仲の良くなった姉達や継母と、元気にお店を回しています。
めでたし、めでたし。
と、私は執筆を続けていた手を止めた。
めでたしで締めてもいいのだろうか?
曲がりなりにもシンデレラを書いているのだから、外国っぽくこう締めるべきであろう。
Fin.
と。
満足した私は、パソコンを閉じて電話をかける。
最初は圭に電話をかけようとしたけれど、思い直してあの先輩に電話をかけることにした。
「先輩、不思議なシンデレラをかけましたよ」
電話口から、私、直樹 美紀はそう話しかける。
〜〜〜
という感じで、ここからが本当のあとがきです。
おんハピ♪の更新をしていないところにいきなりこんなもの突っ込んで見ました。
楽しんでいただけたなら満足です。
あとがきの最初に書いた物は、がっこうぐらし!ネタとなります。
伝わりにくすぎることしましたが、わからない人はスルーしても全然いいものです。
みーくんが、もし小説を書いていたら。
みたいにしてみました。
それでは、次はおんハピ♪本編で会いましょう
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