DQNサーヴァント達との人理修復 (海鮮茶漬け)
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幕間

2話に書く内容じゃないかも


「アンタってマジでセンスないわね」

 

 藪から棒に暴言を吐いてきたのは、うちの燃やす系サーヴァントのジャンヌダルク・オルタだ。

 

「えっと……センスって何が?」

「服よ服。真っ白な戦闘服ばかり着て、あの女思い出して苛々するわ」

 

 まさかの私情を爆発させての指摘で、流石に呆然としてしまった。こちらに対する配慮が何もなかった。

 

「貴様と同じ意見なのが気に食わんが、一人だけ白い衣服では狙ってくれと言っているようなものだ」

「げっ、何でアンタ来んのよ」

「ふん、貴様に指図される筋合いはない」

 

 会ってそうそう邪険な態度を取る二人。この二人はいつも会えば喧嘩をして、方々に迷惑を掛けるじゃじゃ馬だ。乗りこなす騎手が乗ることすら出来ない時点でもうどうしようもない。

 長旅の間俺が身に付けた技術は、きれいな姿勢と躊躇うことをしない謝罪能力だったりする。

 

「いや、でもこれが一番良いし……」

「はあ?それしか着てないくせに何言ってんのアンタ?試さないうちから言うことじゃないでしょう」

「道具とは使わなければ存在している意味がない。有れば使ってやるのが主人の役目だろう」

 

 確かにこれはカルデラから支給された初期の装備だが、これが一番機能的にバランスがとれていると思うのだが。

 

「確かスーツの魔術礼装あったわよね。それ着れば多少はましになるんじゃない?」

 

 えっとあれかぁ。まあ、あれを着てマスターだと認めて貰えるのなら着てみるか。あと、スーツ着たことないからちょっぴり楽しみなんだよな。

 

 

 

 それで着てみたのだが。

 

「アンタ引くほど似合わないわね」

 

 見た瞬間にこんなセリフを吐かれた。初めてのスーツでテンションが上がっていたのだが、たった一言でここまでテンションが落ちるとは思わなかった。

 

「ああ、スーツとは正装のはずなのだが、逆にだらしなく感じるときが来るとは思わなかったぞ」

「服に着せられるどころか浮いてるわ。着ることすら否定してるわね」

 

 この二人、いつも喧嘩している癖に、俺を罵倒してくるときは驚くほど息がピッタリなのだ。戦闘では自分の担当するとこだけに対処するのだが、この時だけは見事な連携を見せるオルタコンビである。

 

「なら、身だしなみから変えるわ。その地味顔はどうしようもないんだから、髪なんかでまともな雰囲気にするしないわね」

 

 そういうと勝手に髪を弄り回す。この『目の前に来た奴ブッ飛ばす』を心情にしている、猪突猛進系サーヴァントは一度決めたら止まることはないのだ。

 

「これで少しはまともに───」

 

 ジャンヌがイメージした通りの髪型にしたのだろう。その様子を客観的に判断するために、数歩下がって俺の顔を見ると

 

「無いわね」

 

 結果は無慈悲だった。

 

「おい、貴様のせいで服どころか髪まで浮いたぞ。こいつの尊厳を捨て去りたいのか?」

 

 そんな追撃を仕掛けてきたのは、隣に居た冷酷な王様だった。その言葉を聞いてジャンヌは否定するどころか、苛立ちながら唇を噛んでいた。

 …………さっきのはジョークでは無いらしい。

 

「ふん、馬鹿め。多少身だしなみ整えた程度では、たかが知れている」

 

 そう言って、目の前の暴君は俺に手を加えた。

 

 

 

 

「ねぇこれどうすんのよ」

「…………」

 

 王様曰く騎士とは、姿勢を綺麗にすることから始めるのだとか。確かに武術家などを見てると分かるが、姿勢がとても綺麗である。力を出すには姿勢を正すことが正解なのだろう。

 

「アンタがこいつの猫背を直したせいで、ついに、こいつの体が浮いたわよ」

 

 体が浮くってなんだ?無重力かなにかか?訳が分からん。だが、王様には何故か分かるらしく眉間に皺がよっていた。

 何で?

 

「はあ。この姿を見たら他の野郎共も、こいつだって分からないでしょう?」

「なるほどな。というわけだ、さっさと脱げ」

 

 そのセリフで泣きそうになるが、なんとか耐えることが無事できた。

 

 

 

 

「おい。何者だ貴様」

 

 その鋭い声がこちらに掛けられる。

 

「うわっ、タイミング最悪ね。空気読めないのかしら」

 

 白と黒の二丁の拳銃を取り出す。

 

「奴などを騙る間抜けはここで撃ち殺してくれる」

 

 優しさを忘れすぎである。この色黒はもっと人との絆を築くべきた。

 目の前のオルタを、隣にいるオルタ'sで押さえて貰うことにした。

 

 

 

 …………どんだけ似合っていないんだよ。

 

 

 



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プロローグ
プロローグ


それではどうぞ!


───Grand Order───

 2016年に焼き尽くされた、人類史を取り戻すべく動き出す、未来の人類社会の保障と、継続をするための機関カルデア。

 そして世界に残った、たった二人のマスターが七つの特異点を修復していく物語。

 

 燃え盛る日本の町並みにから始まり、魔女が現れるフランス、先代皇帝達が襲うローマ帝国、大英雄が暴れる大海賊時代、死の霧が覆うロンドン、機械兵士と戦闘民族が戦うアメリカ大陸と、次々に訪れて来たわけだが、字面にするだけで情報量が多すぎる。

 そして辺り一面に砂の地平しかないここは、俺たちが世界を取り戻すために訪れた第六特異点のエジプトの砂漠だ。

 目からビームを出したりするスフィンクスや、ゴーレムが襲い掛かってくることから見ても、すでにとんでもない旅なのは分かるだろう。

 

 

「おい、雑魚マスター!さっさと指示を出しやがれ!」

 

 金髪を靡かせて鎧を着こなし、大きな剣で敵を破壊する人物から鋭い声がこっちに飛んでくる。

 

「あっ、えっと、それじゃあ。モードレッ「しゃらくせェッ!オラァ!!」…………。」

 

 聞いたにも関わらず、指示を聞くどころか途中で遮り、彼は勝手に眼前の敵を凪ぎ払う。

 

「ねえ、アンタ勢いが無くなってない?バテたんなら下がりなさいよ冷血女」

「はっ、何を言うかと思えば見当違いも甚だしい。貴様の心配をしたらどうだ突撃女」

 

 戦闘中にも関わらず、地獄の炎と漆黒の光を敵にぶつけながら、喧嘩をし合う色白ドSコンビ。

 

「加減はなしだ。絶望に挑むといい。噛み砕く死牙の獣(クリード・コインへン)!!」

 

 さらには、許可を一切取ることもせずに宝具を発動させる全身刺だらけのパーカーヤンキー。

 そんな彼らを見て泣きにそうになりつつ、マスターとして彼らの後ろに控えていると、後ろから色黒の男の手が俺を掴みあげた。

 

「邪魔だ」

「あばぁ!!」

 

 そんなぞんざいな言葉と共に襟首を引き寄せられ、勢いよく後ろに放り投げられる。ゴロゴロと無様に転がって起き上がると

 

「ふん、ここで死んでおけ」

 

 今まで居たところに銃弾を撃ち込み、襲いかかってきた敵を殲滅する極道の男。

 

「ごほっ!ごほっ!……あ、ありがとう。エミ

「はぁ、いくら雇い主だとはいえ、ここまで愚鈍だとはな。戦場で間抜け面を晒すその頭蓋を、今すぐ撃ち抜きたくなる」

「…………。」

 

 そんな過激なセリフを吐き捨て、俺から意識を外し彼は敵を殲滅しに戦場へ戻って行く。

 

 今の彼女達は、俺が召喚した個性派揃いのチンピラサーヴァント達だ。

 彼らは口を開けば「雑魚マスター」、「指示が遅い」、「周りをもっと見ろ」、「ナヨナヨしてんな」、「面構えが気に入らない」、「食事の食べる順番が気持ち悪い」などと、彼らは出会ったときから変わらずに、俺の不甲斐なさを容赦なく抉ってくる。

 魔術とは無関係の一般人で、素人の魔術師だからという言い訳は、同じ境遇のマスターである彼の立ち振舞いを見ていると、そんなことを言えるはずもない。

 そんなマスターに対して、辛辣なサーヴァント達の戦う姿を見ながら、チラリと隣を見ると。

 

 

「マシュ!敵の攻撃を引き付けて!」

「はい!先輩!」

「頼光さんは左側の敵を!メデューサは右側の敵をお願い!」

「承知しました」

「了解しました立香」

 

 巨大ゴーレムの一撃をキリエライトさんがデカい盾で防ぎ、両側に迫るゲイザーとスフィンクスを、すぐさま吹き飛ばす源頼光とメデューサ。

 

「クーフーリンはマシュと入れ替わって正面突破!」

「応よ!任せなァ!!」

 

 キリエライトさんが退くタイミングで突貫し、魔槍で正面の敵達をクーフーリンが次々と貫いて行く。互いを尊重し合い、信頼する見事なチームワークで、敵を撃退していく彼らを見ながら俺は思った。

 

 

「マスター気が散る失せろ!」

「どんくさい人ですね。邪魔ですから動かないで貰えます?」

「目障りだ」

「消えろ」

「ちっ、さっさと魔力を寄越せ!」

 

 

 ……サーヴァントまとめてチェンジで。

 

 

 これは人類史を取り戻すために戦う彼の英雄譚であり、不憫な俺の苦労話である。

 

 

 

 



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炎上汚染都市 冬木
1.始まり


続きました
2話です


「誰か助けてぇぇ……っ!」

 

 そんな情けない声を上げながら、瓦礫だらけの地面を転びながら走り抜ける。辺りは何故か燃え盛っていて、息をするたび肺に送られてくる熱気のせいで喉が焼けるようだ。しかし、一瞬たりとも立ち止まっていられる状況ではなかった。

 

「ヒィッ!!」

 

 ドスッ!という音と共に、矢が数センチメートル離れた位置に刺さったのだ。ここに来てからこれでもう十三回目である。あの骸骨達が自分を殺そうとしてくるのは、分かってるのだが如何せん数が多い。俺はいつも通りの自分の不遇さに一人嘆いた。

 

 

 

 そもそも、何でこうなったのか自分でもよく分かっていない。気まぐれで献血をしたら外国人が来て、『君は選ばれた人間だ』みたいなこと言われて、調子に乗ったのが運の尽き。

 あれよあれよという間に連れてこられたのが、雪山の頭頂辺りにある施設で察したね。

 

 ───人体実験の素材にされたと。

 

 そこからは怯える毎日だった。魔術だなんだと言い張る頭のおかしい奴等による、訳の分からん講義を毎回受けさせられたり、いつの間にかカルト宗教の一員にされてもいた。更にはそのカルト宗教の中でも落ちこぼれ扱いさせられていたりなど、自分の立ち位置が勝手に決められていたのだ。

 そんな中、この施設で少ない普通の感覚を持ったDr.ロマンと仲良くなり、いつものように二人でトランプをしながら講義をサボった。そして本日二十九回目のババ抜きをしているところで、赤い警報ランプとアラームが鳴り響いた。

 

「えっ?えっ?何??」

 

 こんな機能があるとは知らずパニクる俺。その間にもDr.ロマンは走ってどこかに行ってしまう。放送を聞いてなんかヤバいことは分かった。一人になった俺は布団にくるまり、襲い掛かる恐怖に必死に耐えた。これは全部夢で目が覚めたら日本に帰っているのだと、そう何度も思い込んだ。そして、一瞬の浮遊感の後俺の意識は落ちた。

 

 

 そして目が覚めたら……

 

 街が燃えていた……っ!

 

 

 ………………何で?

 何でこうなったのかわけが分からない。確かに念願の日本の町だと思う。だけど火事なんてスケールじゃないほど燃えてるし、建物が倒壊して足元が瓦礫だらけになっている。俺が想像したのはこんな世紀末の日本ではなかったんだけどなぁ……。

 

 そんなことを思っていると第一村人発見!これが夢ならきっと、世界観に合ったモヒカン頭のような、パンクな姿をした奴なはずだ。そう思って見てみると

 

 骸骨だった。

 

 圧倒的に骸骨だった。

 

 

 

 …………いくらなんでもパンク過ぎじゃね?

 

 眼球も内臓もなくソイツは動いていて、さらにその手には弓が握られていた。まるで弓兵のようだと思っていると、弓矢が俺の頬を掠める。そして頬に痛みを感じると同時に、後ろを向いて全力で走り出す。

 

「誰か助けてぇえ!!」

 

 そしてしばらくしてから冒頭に戻る。

 

 

 

「はあっ……はあっ……!」

 

 足は遅いがとにかく数が多い。体力的にもキツくなってきて恐怖に襲われていると、突如よくわからん電子で出来た画面が現れる。

 

「ようやく繋がった!大丈夫かい!?直仁君!!」

 

 聞こえた声はよく知っている声だった。何故なら少し前までトランプをしていたのだから。

 

「ロマン!?助けてくれえ!!」

 

 と情けない声を上げることしか俺には出来ない。

 

「安心してくれ!今から大丈夫なところにまで案内するから!」

 

 ロマンの頼りになる声を聞き、最後の力を振り絞る。骸骨達が少なくなってきたところで、前方に骸骨ではない人影が見えてきた。ロマン曰く味方になってくれる存在らしい。安心から頬を緩めると同時に声が飛んでくる。

 

「アンサズ!!」

 

 その声と共に近くで爆発が起こる。その爆風に吹き飛ばされながら、俺は心のなかでロマンを呪った。

 

 

 

 

「藤丸といい、何で貴方みたいな魔術師擬きがマスターになってるのよ!!」

 

 そんなヒステリックに喚いているのは、カルト宗教の教祖だと思っていたオルガマリー所長だ。話を聞くと本当に魔術師らしいことが、なんとなくだが理解出来た。

 

「いやぁ、わりぃな。後ろにいた奴らをぶっ飛ばそうとしたら、お前が近くに寄ってくるもんだからよ。つい巻き込んじまった」

 

 そう言って謝ってくるのは、さっき俺を吹き飛ばした男、クーフーリンだ。ローブに杖という如何にもな姿の魔術師で、平時だったら絶対に信じないが、この状況では信じるしかない。傷も治してもらった。

 それと所長に聞いたのだが、なんかついさっき人類史が終わったらしい。全くもってさっぱりだが、それは後々理解していこうと思う。

 

「それにしてもまさか、キリエライトさんがそんな大胆な人だったなんて……」

「あ、いや、これは違うんです!デミサーヴァントになった影響で、このような姿になっているんです!」

 

 俺が驚いたのは人類史云々ではなく、知っている女の子がとんでもない格好をしていることだった。いつも眼鏡をかけていた文学少女が、裏では過激なコスプレイヤーだというのだから、驚くのも当然だろう。人の趣味は人それぞれだと納得しようとしていると、キリエライトさんが必死に訂正をしてきた。話によると憑依したサーヴァントが、生前このような姿をしていたのだとか。……それ変態じゃね?

 サーヴァントというのは昔生きた英雄らしく、凄まじい力を持っているらしいのだが、こんな鎧を着ているサーヴァントは、果たして大丈夫なのだろうか?

 

「えっと。挨拶するのはこれが初めてかな?藤丸立香です」

 

普光(ふこう)直仁(なおひと)です。」

 

 そして俺と同じく人体実験の被害者だと思っていた、藤丸立香と初めて話をした。あっちが人当たりのいい声音で話しかけてきて、こいついいやつなんだろうなぁと思っていると、所長から全員に声が掛けられる。

 

「それじゃあ、マシュの実戦訓練も終えたことだし、聖杯の回収に向かいましょう」

 

 俺が骸骨達に追われている間に、何かイベントが終わったらしく、全員に一体感が生まれていた。俺が来る前に出来上がってしまったグループに、途中参加したせいで居心地がものすごい悪いが、生き残るために耐えて進む。

 

 そして洞窟の前までくると、いきなり遥か彼方から弓矢が、俺がいるところに飛んできた。俺は何一つ反応出来なかったが、それをクーフーリンが当たらぬように、杖で防いでくれた。クーフーリンが居なければ、今頃貫かれていただろう。

 というか、どいつもこいつも俺に対して、殺意が高過ぎである。

 

「はっ、信者のお出ましか!」

 

「そんなものになったつもりはないがね」

 

「ここは俺に任して先にいけ!!」

 

 命を救ってくれたクーフーリンが、カッコいいセリフで送り出してくれた。今度から兄貴と呼ぼう。…………呼べない気がする。

 

 兄貴に言われた通りに洞窟まで走り抜けて、そのまま薄暗い洞窟を進んでいくと、とりわけ広い空間に辿り着いた。そして空間の中央には、とてつもない威圧感を出している、漆黒の鎧を身に纏った騎士が堂々と立っていた。

 

「貴様らがカルデアのマスターか」

 

 クーフーリンの兄貴から聞いていたが、これが騎士王アーサー・ペンドラゴンか……!人間とは思えないほどの覇気を纏っている。

 

「ほう、その娘の盾は実に面白い」

 

 キリエライトさんを見ながら、アーサー王は淡々と言葉を言った。そして意識を切り替え剣を構えるアーサー王。すると体から黒い禍々しい光が溢れだす。

 

「人類史を取り戻したいのならば、私を越えて見せろ!!」

 

 黒い光が剣に収束され、高密度のエネルギーが一際大きく形成される。

 

「卑王鉄槌。旭光は反転する。光を飲め!約束された勝利の剣(エクスカリバーモルガーン)!!」

 

 絶望が解き放たれた。

 

 

 

 だが、解き放たれる寸前キリエライトさんが動いていた。

 

「真名、偽装登録───」

「──宝具展開します!!」

 

 そして黒い極光がキリエライトさんに到達する!

 

「ああああああああああ!!!!」

 

 キリエライトさんが巨大な盾で防ぐが、その衝撃は凄まじく後ろの俺にまで伝わってくる。俺は心の中で「死ぬ、死ぬ、死ぬ、死ぬ、死ぬぅぅぅぅ!!」とビビり倒していた。だって怖いじゃん。

 だからこそ、藤丸がキリエライトさんの隣に立ってる姿を見たときは驚愕した。蹲っている俺とは違い、こいつはキリエライトさんと一緒に恐怖に立ち向かったのだ。

 そして、あの猛威を見事防ぎきったキリエライトさんだが、アイツは二撃目をもう放とうとしている。その光景を見て流石に死んだかと思ったが、そこに彼が割って入る。

 

「アンサズ!!」

 

 その乱入者の攻撃を受けて、アーサー王の剣は発動せずに中断させられる。あの弓兵を下しクーフーリンが助けに来たのだ。そこからは二人がかりで追い詰め、アーサー王を無事倒すことが出来た。

 

「貴方にもいずれわかる光の御子よ」

「聖杯を巡る旅、グランドオーナーは始まったばかりであると───」

 

 その言葉を残し、光となってアーサー王は消えていった。その後、兄貴もランサーで呼んでくれと言って光になった。

 やっと終わったかと思ったところに、緑の服を着た俺の嫌いな奴が来た。近未来観測装置「シバ」を造った魔術師。

 

 そう、()()()()()()()()である。

 

 コイツ俺のことをまるで、そこら辺にいる蟻を見る目で見てくるのだ。昔から柄の悪い奴に絡まれやすいから、人間観察はお手のものである。コイツが所長をカルデアスとかよく分からんものに、嗤いながら押し込んで殺したのだ。何の力もない俺達では止めることさえ出来なかった。

 

 それから転移をし俺達はカルデアに帰って来た。ロマンが俺達に人類を背負って立つ、覚悟が有るのかを聞いてきて、藤丸は「自分が出来るなら」と迷いなく答えた。

 …………俺?もちろん、「えっと、まあ出来る範囲で」と安全策を取りにいった。

 

 そして翌日、ロマンの話によると戦力を増強するためにサーヴァントを呼ぶのだとか。藤丸はランサーのクーフーリン兄貴を呼んでいて羨ましかった。でも藤丸はこれからも前線に立って戦う男なのでこれでいいと思った。俺が出来るのは精々後方からの支援ぐらいだろうからな。それに俺にも一回だけ呼べるので、頼りになって穏やかなサーヴァントが来てほしいと、願いながらサーヴァントを召喚する。

 サークルが三つになり、凄まじい光と共に中からサーヴァントが現れた。

 

 

 

 

「召喚に応じ参上した。貴様が私のマスターというヤツか?」

 

 光の中から現れたのはさっき殺されかけた、真っ黒なアーサー王だった。

 やはり俺はどこまでも不憫らしい。

 




彼は昔からチンピラに絡まれやすいです


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