第2次スーパーロボット大戦J (YSK)
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プロローグ 旅のはじまり

 

────

 

 

 夢。

 

 

 そうだ。これは、夢だ。

 

 ひさしく見ていなかった、あの夢。

 

 

 もう見る必要も理由もなくなったはずなのに。

 

 誰かが語りかけるその夢を、俺はひさしぶりに見ることとなる……

 

 

???『……』

 

 

 暗闇の中ぽつんと座り、祈りを捧げるようなしぐさで目を閉じる少女の姿。

 

 

 シャナ=ミア?

 

 かつて夢に出てきた少女の名を思う。

 

 

 いや、違う。

 彼女じゃない。

 

 同じように祈りを捧げているが、その少女の髪は、シャナ=ミアの青みがかった髪と対をなすかのように、燃えるように赤く、真紅と例えるにふさわしい色だった。

 

 

???『……どうか。私を……倒して……世界を、救って……お願い……』

 

 

 彼女は、祈るようにそう繰り返す。

 

 綺麗な声だとは思うが、そのすべてを聞きとることはできない。

 

 

???『お願い。私を……』

 

 

 君を……?

 

 

???「とうや」

 

 

 俺を呼ぶ、君は……?

 

 

???「統夜!」

 

統夜「っ!」

 

 

 目が、覚めた。

 

 

甲児「統夜!」

 

統夜「……あれ?」

 

甲児「なに寝ぼけてんだ。授業終わったぞ」

 

 

 声をかけてきたのは、戦友である兜甲児だった。

 わざわざ説明することもないだろうが、マジンガーZ、マジンカイザーのパイロットをしている。

 

 

メルア「統夜さんどうしました?」

 

カティア「いくら平和になったからって、授業中に居眠りはダメよ」

 

統夜「いや、今なにか……」

 

 

 ダメだ。思い出せない。

 

 それも、あの夢と同じだ。

 

 

シャナ=ミア「どうしました?」

 

統夜「いや、なんでもない」

 

 

 あの夢は、かつてシャナ=ミアが自分の不甲斐なさから祈りを捧げていたものを統夜が受信してしまったものだ。

 それと同じ夢を見たのだから、同じなにかがあるとは思ったが、覚えていないので誰かに聞くこともできなかった。

 

 

テニア「よし、帰る準備終了! みんな、帰ろー!」

 

ボス「こっちもオッケーだわさー」

 

甲児「おーし、帰るか!」

 

 

 ──後に『第一次地球圏争乱』と呼ばれる争いからしばらく。

 

 再び高校に戻った紫雲統夜達は、平穏無事な暮らしをとりもどしていた。

 

 ちなみに、他にも千鳥かなめや相良宗介など『フルメタルぱにっく』の関係者も通っているが、彼等は掃除当番でここにはいない。

 まあ、詳しい関係性は前作を参照にしてもらおう。

 

 

さやか「どこかよっていく?」

 

カティア「あ、それなら買いたいものがあるわ」

 

メルア「夕飯の材料ですね?」

 

カティア「ええ。あ、統夜君も食べに来る?」

 

テニア「シャナも!」

 

統夜「なら、今日もお邪魔させてもらおうかな」

 

シャナ=ミア「私もよろしいのですか?」

 

メルア「もちろんです。みんなで一緒に食べた方がおいしいですから!」

 

テニア「ねー」

 

ボス「かーっ! 羨ましいったらありゃしない!」

 

甲児「妬むなよボス」

 

ボス「あー、空から女の子とか降ってこないかしらん」

 

 

 なんてことを言いながらも、日常を繰り返そうとしていたその日。

 

 その日は、違った。

 

 

 ぶうぅぅん。

 

 

統夜「!」

 

シャナ=ミア「え?」

 

テニア「これ……」

 

カティア「っ!」

 

メルア「あっち!」

 

甲児「どうした!?」

 

 

 サイトロンを感じ取れる五人が反応する。

 

 廊下から学校の校庭を見る。

 

 するとそこに、一体のロボットが突然現われたのが見えた。

 

 

統夜「グランティード・ドラコデウス!?」

 

 

 そこに現われたのは、かつて共に戦った愛機。

 

 平和になった今は必要ないと封じられた機体だった。

 

 それが、なぜ!

 

 

 彼等は慌てて校庭へと飛び出す。

 

 

 グランティード・ドラコデウスは合体をとき、バシレウスとグランティードに別れていた。

 

 重量感のある鈍い振動を響かせ、グランティードは校庭に着地する。

 

 その姿は、主をむかえいれるための準備をしているかのように見えた。

 

 

 浮かび上がったバシレウスは、校庭上空を旋回し、その翼を広げた。

 

 ドラゴンを思い起こさせるその姿。

 その鋼の龍が、グランティードを見下ろしながらその巨大なアギトを開いた。

 

 

 ゴゴッ!

 

 バシレウスの口の中に光が集まる。

 

 カッ!

 

 そして首をもたげ、バシレウスは上空に向け、その光を放った。

 

 

 空気が振動し、衝撃が大地をかける。

 

 その光。万一その撃が地面に放たれたならば、どのような被害が出るかわからないほどの威力だった。

 

 

 ゴゴッ!

 

 もう一度、バシレウスが口を開いた。

 同じ力が、今度は上ではなく、下に向いているのがわかる。

 

 

統夜「いけない!」

 

甲児「統夜!」

 

 

 相手は本気だと理解した統夜は、グランティードに向かい走り出した。

 

 今すぐここに姿を現せるロボットがないことはない。だが、あの一撃を防げるのは、この場にグランティード以外にはなかった。

 

 

統夜「来てくれ、『パートナー選択』!」※前作のクリアデータがない場合、前作と同じく最初はテニアが乗る。

 

 

 自分を招き入れるようそこにあるグランティードに乗りこみ、二人で起動させる。

 

 ひさしぶりの感覚であったが、昔と同じ感覚で動かすことができそうだった。

 どうやら、フューリーにて整備された結果、合体せずとも統夜が自在に操れるようチューニングされたようである(統夜の腕が平和で少し鈍ったというのもあるだろう)

 

 グランティードの目に光がともり、ふわりと浮かび上がった。

 

 

統夜「どうしたんだバシレウス、やめろ!」

 

 

 放たれた一撃にドラコバスターをぶつけ相殺する。

 

 

 そのまま、バシレウスとの戦いが、はじまった……!

 

 

 最初の味方ターンにグランティードへ通信が入る。

 

 それは、かなめの護衛をしているクルツからだ。

 

 

クルツ「必要があれば援護する。いつでも言ってくれ」

 

 

 光学迷彩で透明になっているクルツ機が、そのまま戦力に加わった。

 このM9がすぐに姿を現せるロボットのわけだが、範囲攻撃を防ぐ手段は持っていない。

 

 ちなみに光学迷彩を稼動させ透明になっている限り、敵から攻撃されることはない(攻撃したりすると解除される)

 

 2ターン目。統夜達の手番が回ってくるとグレートマジンガーが味方増援で現われる。

 

 

鉄也「兜、マジンガーも運んできた。来い!」

 

甲児「助かるぜ、鉄也さん!」

 

 

 グレートマジンガーの隣に、マジンガーZが現われる。

 

 

甲児「マジンカイザーは今オーバーホール中だが、それでもここにはマジンガーZがいるぜ!」

 

 

 ついでに、ボスの乗るボスボロットも現われた。

 

 

ボス「じゃんじゃじゃーん! 学校近くに置いといてよかっただわさ!」

 

甲児「学校近くに置いといたのかよ」

 

 

 心強い仲間も加わり、バシレウス包囲網は狭まってゆく。

 

 

 そのHPを一定以下にすれば、この戦いは終わる。

 

 グランティードの一撃を受け、暴れまわっていたバシレウスはやっと静まり、ゆっくりと校庭へと着陸するのだった。

 

 

 警戒しながら、周囲を取り囲む。

 

 

 すると、バシレウスの一部が開き、中からいくつもの光の板現われた。

 

 それはまるで、人が降りてくるタラップのようだ。

 

 

 すっ。

 

 そこに、人影が現われる。

 

 

甲児「まさか、誰か乗っていたのか!?」

 

メルア「あれ、コックピットついてたんですね」

 

 

 統夜はそこに現われた少女を知っていた。

 

 

統夜(やっぱり、俺は、彼女を知っている。いや、思い出した。あの夢の……!)

 

 

 真紅と言っていい赤い髪を揺らし、彼女は光の板に足を乗せる。

 するとその板は自動的に地面へと動き、少女を地面へと運んだ。

 

 その背筋をピンと伸ばした姿は、どこか気品さえ感じさせる。

 

 どこかシャナ=ミアにも似た雰囲気をしているが、優しい面差しの彼女とは違い、強い意志が見てとれる瞳をしているのが印象的だった。

 

 

少女「まず、唐突の非礼。周囲の民へ不安を与えるような振る舞い。それらのことをお詫びいたします」

 

 

 地面に到着した少女は、上品にスカートのすそをつまみ、一礼してみせた。

 

 そして、視線をグランティードへと向ける。

 

 

 雄雄しく浮かぶそれを見て、赤髪の少女は勝気そうな顔をほころばせた。

 

 

少女「さすが、バシレウスに選ばれし者。予想を超える実力でした。その力を試すような真似をし、もうしわけありません」

 

 

 もう一度、少女は頭をさげる。

 

 

少女「どうか、そのお顔をわたくしにお見せ願えませんか?」

 

統夜「え? 俺を……?」

 

 

 どうやら先の戦いは、統夜の実力を測るためのものだったらしい。

 

 統夜は戸惑いながらも、コックピットから顔を出す。

 

 

少女「まあ、りりしいお方。さすが、我がバシレウスに選ばれた、救世主だけあります」

 

統夜「救世主?」

 

少女「はい。選ばれしお方よ。わたくしはあなたにお願いがあり、はるか遠い過去よりこの地へやってまいりました」

 

統夜「え? 過去? 実力を試すとか、一体どういうことだ?」

 

少女「おっと、失礼。自己紹介も事態の説明もまだでしたね。少し、興奮してしまったようですわ」

 

 

 てへへ。とお茶目に笑う。

 

 

少女「わたくしの名はロゼ=リア・エルテナ・フューラ。そちらのフューラから見て、従姉妹の関係にあたると思いますわ」

 

シャナ=ミア「従姉妹。となると、かつての争いに勝利した!?」

 

 

 その自己紹介を聞き、同じフューラ性を持っていたシャナ=ミアは驚いた。

 それはすなわち、フューリーの皇帝に連なる者の証。

 

 

ロゼ=リア「ええ。勝利者であり、この時代ではすでに滅びた一族の者です」

 

シャナ=ミア「なぜ、あなただけが? 確か、元々はバシレウスの庇護下にあったとは聞きましたが……」

 

ロゼ=リア「ええ。玉座機たるその機体は、グランティードとバシレウスにわけ隔てられ、その正当性を主張した争いに使われた……」

 

 

 その結果、グランティードを有していたシャナ=ミアの一族は破れ、この地へやってきた。

 一方そのバシレウスを得た彼女の一派は勝者としてその時代に栄華を極めた。

 

 しかし、その勝者も時の中に消えた。

 

 

カティア「既に滅びた。というと、それを統夜君にどうにかして欲しいということかしら?」

 

 

 救世主。そして願い。ということから、過去に滅びる自分達を救って欲しいと願いに来たと、彼女は推測した。

 

 

ロゼ=リア「いいえ。我が一族の滅びは必然。すでに起きた避けられない事実。わたくしは、過去を変えるつもりはありません」

 

テニア「なら、なにを?」

 

統夜「……ひょっとして、救って欲しいのは、世界、か?」

 

ロゼ=リア「なぜ、それを……?」

 

 

 統夜の言葉に、赤い髪の姫、ロゼ=リアは驚きの表情を見せた。

 統夜は確信する。あの夢は、彼女がどこかで祈りを捧げた結果の願いだと。

 

 シャナ=ミアと同じく、強い想いが、サイトロンを通じ、統夜にその心を見せたのだと……

 

 

統夜「いや、ちょっとね。サイトロンが教えてくれたんだ」

 

ロゼ=リア「そこまでサイトロンを使いこなしているとは。さすがです。ならば、話が早い。あなたには救って欲しいのです。世界を。そして、ここから続く、未来を」

 

統夜「未来も?」

 

ロゼ=リア「はい。我々の過ちによって生まれた、世界を滅ぼす存在。それを滅ぼすため、バシレウスに選ばれしあなたの力を貸して欲しいのです」

 

甲児「い、いきなりスケールがでかくなったな」

 

統夜「と、とりあえずもう少し説明が欲しいな。助けが欲しいなら力を貸すけど……」

 

ロゼ=リア「ええ。説明いたしましょう。争いに勝ったわたくし達のむかえた、愚かな結末を……」

 

 

──安らぎをあたえるもの──

 

 

 ロゼ=リアは、淡々と説明をはじめた。

 

 

 時さえ操ることに成功し、邪魔な政敵も排除。すべてを得たと考えた一族は、さらなる領域を目指しました。

 

 それは、この物理的な肉体さえも超越すること。

 

 時間も支配し、空間も自在に移動できる我々が、この肉体からも解放されれば、サイトロンをもちいずともすべてを理解し、人類のあらゆる悩みからも解放され、安寧にすごすことができる。

 

 人の世で言う天国、楽園と呼ばれる場所へすべての存在をいざなおうと、『それ』を作り出したのです。

 

 

 ──補足するなら、目指した『そこ』は、時間にも空間にも束縛されない精神世界。フルメタでいうオムニスフィアと説明するならわかりやすいだろう(ちなみにそこから物理世界に干渉するのがラムダ・ドライバである)

 さらに肉体の束縛から解放されるということに関しては、ガオガイガーのザ・パワーや他作品のイデの意思やら人類補完計画など、類似したものの名は多く耳にしたこともあるだろう──

 

 

 彼等は『そこ』を目指し、人類を超越する計画を発動させる。

 

 

 そして、その計画は、失敗した。

 

 彼等が生み出した『それ』は、確かに人々を肉体のくびきから開放してくれた。

 新たな世界へいざなってくれた。

 

 ただし、連れて行くのは、楽園ではなく、地獄だった。

 

 本来ならば解放されるべき負の感情。『それ』は、そういった苦痛さえもふくめてその領域へ運べる性能を持っていた。

 

 頭を砕かれたのなら頭を砕かれたまま。

 熱で焼かれたのならその熱を感じたまま。

 

 腹を貫かれた痛みを、潰される苦しみを。

 

 肉体を失っても、その時感じた痛みや苦しみが残ったままならば、そこはただ苦しいだけの世界となる。

 しかも肉体を失い、皆が一体化しているゆえ、その苦しみは他者にも伝播する。破壊の痛み、死の苦しみ、焼かれる熱さ、安寧と喜びの数をはるかに超える苦痛がいたるところから浴びせられ続ける無間地獄。

 

『それ』の連れて行ってくれる世界は、そんな地獄の世界だった。

 

 狂うことさえかなわず、永遠に無数の苦しみを味わい続ける闇の世界。

 

 

 想定どおりの動きではあるが、正しくない動き。人々をストレスから開放するために作られたが、逆に人を苦しめる結果となったゾンダープログラムと同じように、人々を永遠に苦しめるものが完成してしまった……

 

『それ』は与えられた使命どおり、すべての存在をそこへ連れてゆくため動き出した。

 

 物質世界すべてを破壊し、すべてのものに救いを与えようと。

 

 強引に、無差別に。

 

 

 そうして彼女の一族は、滅びた。

 

 

甲児「それは、まいったな」

 

ボス「永遠に苦しみ続けるとか、そんなのお断りじゃないさ」

 

ロゼ=リア「はい。このままでは世界が破壊しつくされ、地獄の世界しか残らなくなります。それを避けるため、唯一残された刻(とき)の巫女たるわたくしは、封印を施したのち、『それ』を倒せる者を探しに出たのです……」

 

 

 神竜バシレウスと、共に。

 

 そして、バシレウスが選んだ救世主。それが……

 

 

ロゼ=リア「そうして見つかった救世主。それが、あなたです。トーヤ」

 

統夜「……」

 

ロゼ=リア「失われし玉座機、グランティード・ドラコデウスを操るあなたならば、きっと世界を救うことができます。どうか、『それ』を倒すのに力を貸してください」

 

統夜「世界を、救う。か。いきなりだな……」

 

ロゼ=リア「いきなりのことに困惑するのもわかります。戦力もたりないでしょうしね。ですので、いきなり戦えとは言いません。『それ』とは、いつでも戦うことが可能です。戦力がそろい、勝利の確信がもてたなら、わたくしに声をおかけください」

 

 

 もう一人の刻の巫女である彼女が『それ』を封じている。ゆえに、その気になればいつでも封印を解いて戦えるのだ。

 

 ゲーム的に言えば、プロローグが終わりインターミッションに移行したあと、機体改造や強化パーツ、パイロット育成やセーブロードに混じって『世界を救う』というコマンドがある。

 

 このプロローグが終了直後、第1話に入る前から『それ』と決着をつけることも可能なのである!!

 

 もちろん、勝てるかどうかは別問題だが。

 

 

ロゼ=リア「ですので、これから世界を救うまで、よろしくお願いいたしますね。救世主様」

 

統夜「え? ちょっと待って。それって……」

 

ロゼ=リア「はい。不束者ですが、お世話になります」

 

 

 ぺこりと、彼女は統夜に頭を下げた。

 

 

みんな「ええええええー!?」

 

ボス「なんでお前ばっかりー!」

 

テニア「ちょっ、ちょっと待ちなよ。いきなり、いきなりすぎるよ!」

 

カティア「そうよ。統夜君。あなたもちゃんと言いなさい!」

 

シャナ=ミア「トウヤ、それならば私の家が空いてます!」

 

メルア「いっそ、わたし達も一緒に住んじゃいませんか?」

 

ヒロイン達「っ!!」

 

 

 メルアの言葉で一瞬さらにとんでもないことになりそうになったが、なんやかんやあってロゼ=リアは親戚でもあるシャナ=ミアの家に居候することになった。

 

 ついでに言うと、統夜はボスと甲児に頭をぽこぽこぺちぺち叩かれた。

 

 

統夜(やれやれ、いきなりとんでもないことを頼まれたな。世界を救うなんて、本当にできるのか……?)

 

 

 ロゼ=リア・エルテナ・フューラの出現。

 

 それは、これからはじまる新たな戦いを告げる、はじまりの鐘でもあったことを、彼等はまだ、知らない……

 

 

──その名は……──

 

 

統夜「ところで、『それ』ってなにかちゃんとした名前はあるの?」

 

ロゼ=リア「ええ。ございます。もっとも、当初とは違う名前ですけど」

 

統夜「違う?」

 

ロゼ=リア「当初予定していたものとはまったく別のものになってしまいましたから、呼び方を変えたのです」

 

 

 元は地球を再生させるため作られたアルティメットガンダムが、暴走によりデビルガンダムと名を変えたように。

 それも、本質が変わってしまった時点で別のものと認定されたのだ。

 

 

ロゼ=リア「ですので、今の『それ』は、こう呼ばれます。世界を地獄へいざなうもの……」

 

 

『ジ・ヴォーダ』

 

 

ロゼ=リア「……と」

 

 

 ちなみにヴォーダとは、フューリーの言葉で地獄のことをさす。

 それはまさに、体を現した名であった……

 

 

──『世界を救う』──

 

 

 インターミッションで『世界を救う』コマンドが実行されました。

 

 

ロゼ=リア「世界を救う準備は整いましたか?」

 

ロゼ=リア「では、はじめましょう。今から、『ジ・ヴォーダ』をわたくしの身体に呼び出します」

 

ロゼ=リア「え? どういうことかって?」

 

ロゼ=リア「簡単な話です。『ジ・ヴォーダ』の本体はむこうの領域にありますから、破壊をするためにはこの物質世界に呼び出すしかないのです。そして、実体を与え、倒す。よく聞くお話でしょう?」

 

 

 ちなみに、そのまま封印を解いて自由に暴れさせると、むこうの精神世界から一方的に攻撃されることになる。

 言ってみれば、オムニスフィアにいながらラムダドライバでぶん殴ってくるのだ。イデの意思がイデオン使わずソード振り回してくるのだ。

 

 それを防ぎ、実際に倒せるよう、刻の巫女の体を依代にするのである。

 

 

ロゼ=リア「よいのです。これは、わたくしの罪。それを償うならば、これと共に地獄へ落ちるのもいといません」

 

ロゼ=リア「さあ、わたくしごとそれを滅し、世界をお救いください!」

 

ロゼ=リア「なに。会ったばかりのわたくしに情をかける必要はありません。民の迷惑も考えず暴れだす迷惑な女でもあるのですから、消えればむしろ世のためになりましょう」

 

 

 戦いますか?

 

 

→『はい 』

 『いいえ』

 

 

 それは、世界を救うため、彼女を犠牲にするかという選択。

 

 

 もちろん世界を救うのならば……

 

 

ロゼ=リア「これで世界は地獄に飲まれることはなくなりました。ありがとう。伝説の王の座につくものよ……」

 

 

統夜「本当にこれで、よかったのかな……?」

 

 

 笑顔で消えた少女の姿を思い出し、統夜は一人、つぶやいた。

 

 もっと。もっとなにか別の手段があったんじゃないか。そんなことも考えてしまう。

 

 

シャナ=ミア「いいえトウヤ。あなたのおかげで、彼女は救われたのです。だから、胸を張りましょう」

 

カティア「そうよ。でなければ、彼女も浮かばれないわ」

 

メルア「はい。わたし達が沈んでいたら、やったことさえ無駄になってしまいます」

 

テニア「だから、笑おう。それがアタシ達にできる、精一杯のことだよ!」

 

統夜「……そうだな。みんなの言うとおりだ」

 

 

 だから、前を向いて、未来へ歩き出そう。

 

 それが、彼女へできる、唯一のたむけでもあるのだから……

 

 

 戦いに勝利し、世界を救った場合、これ以後ロゼ=リアは登場しなくなる。

 当然、それに類するイベントも発生しなくなる。

 

 早期に世界を救った場合、グランティードは後のイベントを待たずにバシレウスとの合体(そこから後継機使用)が可能となり、さらに強力な強化パーツやスキルパーツが手に入ったりする。

 

 早期撃破でのメリットはそれである。が……

 

 

 ちなみに最終話まで選択せずにいると、最終話への『次の話へ』は、『世界を救う』を選んだのと同じになる。

 

 

 彼女の運命をいつ決定するのか。それは、『あなた』の選択にかかっている……

 

 

 プロローグ 終わり



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外伝 アル=ヴァンとカルヴィナのお話

 

──外伝──

 

 

 これは、ロゼ=リアが現われるよりさらに前のお話。

 

 今と前作の間の話である。

 

 

かなめ「そういえば、最近あのアル=ヴァンって人見ないけど、どうかしたの?」

 

 

 高校で暇をもてあました中、千鳥かなめがふと思い出し、シャナ=ミアに聞いた。

 

 

シャナ=ミア「アル=ヴァンは今、旅に出ています」

 

さやか「旅? なぜ?」

 

シャナ=ミア「実は、アシュアリー社で働いていた者でもう一人、生存者がいたそうなのです」

 

テニア「ええっ!?」

 

メルア「本当なんですか!?」

 

 

 彼女達が驚くのも無理はない。

 詳しいことは前作『スーパーロボット大戦J ムーンデュエラーズ』を参照してもらうが、アシュアリー社はフューリー主戦派によって壊滅させられ、生き残ったのはカティア、テニア、メルアの三人だけだと伝えられていたからだ。

 

 

シャナ=ミア「カルヴィナという名で、テストパイロットと教官をしていたようですが、知っていますか?」

 

カティア「私はちょっとわからないわ」

 

メルア「わたしもわかりません」

 

テニア「アタシ、ちょっと見たことある気がする。女の人だよね?」

 

シャナ=ミア「はい。彼女は今まで昏睡状態で眠っていたのですが、あの争乱後に目を覚まし、事情を聞き、当事者の一人であるアル=ヴァンにことの真相を聞くため、やってきたのです」

 

さやか「じゃあ、彼は……?」

 

シャナ=ミア「はい。アル=ヴァンは私に危害がおよぶのを案じて、一度この地を離れました。彼女はそれを追い……」

 

 

 真相を知れば、間違いなくなにかが起きる。

 

 それは、誰が考えても大変危険なことと簡単に予測がついた。

 ゆえに、それを避けるため、アル=ヴァンはこの地を離れたのだ。

 

 

シャナ=ミア「そして、先日届いたのが、この一報です……」

 

 

 どこか神妙に、シャナ=ミアが懐から一枚のはがきを取り出す。

 

 

テニア「まさか……」

 

 

 嫌な予感をはらみながら、彼女はシャナ=ミアからうけとったはがきを見る。

 

 そこには……

 

 

二人『私達、結婚しました』

 

 

 幸せそうなアル=ヴァンとカルヴィナの姿を写した絵はがきがあった。

 

 

テニア「結婚してるー!!」

 

かなめ「なにがどうなってそうなったのー!?」

 

シャナ=ミア「どうやら、彼女のことを憎からず想っていた彼は、あの時確実なとどめがさせなかったようです」

 

 

 あの時、アル=ヴァンはフューリー一族を選ぶ決断をし、アシュアリーを壊滅させた。

 だがその時、この被害なら助かるまいと自分に言い聞かせ、カルヴィナに明確なとどめはさせなかったのだ。

 

 それが、カルヴィナが生き残った理由……

 

 

シャナ=ミア「そして、カルヴィナという名のパイロットもまた、アル=ヴァンのことを少なからず想っていたようなのです……」

 

 

 そうして憎からず想いあっていた同士。

 

 それが逃亡と追跡の果てに愛を芽生えさせ、結婚に至ったのだという。

 

 

カティア「一体、逃げた先でなにがあったのかしら……」

 

メルア「気になります……」

 

シャナ=ミア「なのでアル=ヴァンはそのまま新婚旅行中なんです。細かいことは、そのあとに聞くしかありませんね」

 

テニア「なんだ。心配して損した」

 

シャナ=ミア「どうやら、その旅行のシャトル、あのアキトさんとユリカさんともご一緒らしく、とてもにぎやかな旅行になりそうだと言っていましたよ」

 

テニア「確かに、あの二人。というか、ミスマル艦長が一緒なら、かなり騒がしくなりそうだね」

 

カティア「今はもう、テンカワユリカさんよ」

 

テニア「あ、そうだった」

 

メルア「もう、テニアちゃんてば」

 

 

 あはは。と、皆で笑う。

 

 

 この時まだ、その新婚旅行のシャトルがまさかあんなことになろうとは、彼女達は知る由もなかった。

 

 こうして、アル=ヴァンとカルヴィナの長い長い新婚旅行が幕を開けることになったのだ……

 

 

 おしまい



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第01話 勇者王誕生

 

──ゾンダースペース──

 

 

パスダー「目覚めよ。機界四天王よ……」

 

ポロネズ「ポロネズならここにおります、パスダー様」

 

プリマーダ「プリマーダ、もう待ちくたびれましたわ」

 

ピッツァ「ピッツァ。ただいま到着」

 

ペンチノン「このペンチノン、すぐにでも出港可能です」

 

パスダー「よくぞ目覚めた。この星のゾンダー化を開始する。心弱き者供。我が力を授けようぞ」

 

 

 闇の中。新たな敵が動きをはじめる……

 

 

────

 

 

甲児「暇だなー」

 

ロゼ=リア「暇ですわねー」

 

テニア「暇だねー」

 

メルア「暇ですねー」

 

統夜「確かになー」

 

ロゼ=リア「世界救ってくださるなら暇じゃなくなりますわよー」

 

統夜「いや、さすがに早急すぎるかな、それは。もう少し考えさせてくれ。今、他の博士達にも相談しているところだし」

 

ロゼ=リア「はーい。いつまでも待ちますわよー」

 

さやか「凄いわね。ロゼ=リアさん。もう馴染んでるわ」

 

カティア「馴染みすぎな気もするけどね」

 

 

 教室でぐだーっとしている甲児、ロゼ=リア、テニア、メルアを見て、さやかとカティアが呆れている。

 

 

シャナ=ミア「平和なのはいいことだと思いますよ」

 

統夜「そうだな。考えなきゃいけないことはあるけど、これがずっと続けばいいと思うよ」

 

甲児「暇だなー」

 

テニア「暇だねー」

 

ロゼ=リア「暇ですわねー」

 

さやか「もう。暇でいいじゃない。アキトさん達に比べたら、こうして学校に居られるのもましなんだから」

 

ロゼ=リア「アキト・サン?」

 

メルア「わたし達の仲間です。新婚さんなんですよ」

 

ロゼ=リア「まあ」

 

甲児「そりゃあっちに比べりゃ暇なのは間違いないけどよ。だからって、あっちに俺達関わるわけにもいかないだろ」

 

さやか「だったら暇だなんて言わないの」

 

甲児「つっても、今の事情さっぱりわからないしよ」

 

カティア「相良君ならなにか聞いてるかしらね」

 

統夜「他のチームの作戦になるから、さすがに聞かされてないんじゃないかな」

 

テニア「ならテッサに聞かないとダメかなー。あたしもちょっと気になってきたー」

 

ロゼ=リア「テッサ?」

 

メルア「わたし達の仲間です。相良さんの上司に当たる方なんですよ」

 

カティア「いくらなんでも教えてくれないでしょう。関係ない私達に」

 

テニア「そっかー」

 

シャナ=ミア(アル=ヴァンにならなにか聞けるかしら……)

 

ロゼ=リア「なにやら色々複雑なんですわねぇ」

 

 

 ちなみに教室には他にボス、ヌケ、ムチャのボスボロット軍団もいる。

 今は放課後。今日は先ほど名前の出た相良宗介と千鳥かなめが生徒会に突如お呼ばれしたため、その二人を待っているのだ。

 

 そうしてぐだぐだと教室でだべっていると……

 

 

 ダッダッダッダッダッダ!!

 

 

かなめ「みんな、聞きなさーい!」

 

 

 ばーん! と、教室の扉を勢いよく空け、千鳥かなめ(フルメタルパニック)が入ってきた。

 

 その勢いよい登場に、ぐだぐだしていた面々も顔を上げ、何事かとそちらの方を見る。

 

 

かなめ「『ぽに男』を捕まえるわよー!!」

 

テニア「え? どゆこと?」

 

 

 いきなりの宣言に、テニアが代表して声を上げた。

 

 生徒会に呼ばれていたかと思えばいきなりそんな声をあげたのだから、皆が困惑するのも当然だろう。

 

 

かなめ「理由は簡単よ。キョーコが被害にあったの!」

 

統夜「常盤さんが?」

 

メルア「そういえば、今日お休みでしたね」

 

 

 出たクラスメイトの名に、統夜とメルアが反応する。

 

 常盤恭子(フルメタルパニック)

 ここでは初登場のクラスメイトである。

 

 その彼女が昨日、『ぽに男』と呼ばれるチカン男に襲われたというのだ。

 

 

 回想(生徒会室)

 

 

かなめ「え? キョーコが襲われた!?」

 

林水「そうだ。君達も『ぽに男』の噂は聞いているだろう?」

 

 

 眼鏡をくいっと上げ、生徒会長の林水(フルメタルパニック)がうなずいた。

 

 

宗介「確か、馬のバケモノとか……」

 

 

 共に来ていた相良宗介(フルメタルパニック)が答えた。

 

 

林水「間違ってはいないな。では、その名前の由来については?」

 

かなめ「『ぽに』って鳴くからだって聞いてますけど……」

 

林水「それでは50点だ。ぽに男の呼び名の由来は、彼の行為に由来する」

 

宗介「行為ですか?」

 

林水「そうだ。ぽに男の目的は、遭遇した女性のヘアスタイルをポニーテールにすることだ」

 

 

 それゆえ、鳴き声(?)とあいまって、『ぽに男』と呼ばれるのだ!

 

 

かなめ「……そんなことして楽しいんですか?」

 

林水「フェティシズムというのは他人には理解しがたいものだよ。だが、被害にあった女性からすればたまったものではない。なにしろ針金と接着剤を使って無理やり髪型をポニーテールに固定するのだからな」

 

かなめ「それを、キョーコが……そんなの、許せませんね」

 

林水「うむ。君達にはぜひ、この『ぽに男』を捕まえてもらいたい。警察も動いているが、事態に比べあまり重くは考えていないようだ」

 

かなめ「馬鹿みたいな話としか考えてないんですね。わかりました。全力でやらせてもらいます!」

 

 

 友人が被害にあったとなればもう見過ごすわけにはいかない。

 

 警察がそこまで頼りにならないというのなら、いっそ自分の手でとっ捕まえてやろうということになったのである!

 

 

 ちなみにそうして恭子の敵討ちに燃えている間に、相良宗介と生徒会長が……

 

 

宗介「では、会長閣下、銃器の使用の許可を」

 

林水「その判断は安全保障問題担当・生徒会長補佐官である相良君の判断に任せよう。もし、官憲がなにか言ってきたら、この私。林水敦信が一切の責任を取ろう」

 

宗介「了解です。全力をもって任務を遂行します」

 

 

 なんて物騒な会話をしていたが、燃えて拳を握る彼女の耳には入っていなかった。

 

 

──公園──

 

 

かなめ「話によると、この公園によく出没するらしいわ。その『ぽに男』ってヤツは」

 

 

 よく出現する地点へ、移動してきた。

 

 女性陣は囮。男は犯人が出てきたところで確保する役目である。

 

 

甲児「しかし、その『ぽに男』って、チカンつーより変態だな」

 

さやか「いいえ甲児君。チカンよりもっとタチが悪いわ。乙女の髪をボンドで固めるなんて……!」

 

カティア「ええ。私もそう思うわ」

 

 

 黒髪が美しい弓さやかとカティアが静かな怒りを燃やす。

 髪は乙女の命ともいえるもの。

 

 それをぞんざいにあつかうような真似、許してはおけなかった。

 

 

ボス「しかし、相良のヤツはどこへ行ったんだわさ?」

 

かなめ「あいつはどーせなにかの装備を担いでどこかに潜んでるのよ。ぽに男が出てきたら出てくるだろうから、今は気にしないわ。早いとこ探して捕まえましょ」

 

 

 ボスの疑問にかなめが答える。

 

 

シャナ=ミア「では、先ほどくじで決めたとおり、順番で公園を……」

 

 

???「ぽにっ」

 

 

 仕切るシャナ=ミアの声を遮るように、それは公園の茂みの中から現われた。

 

 

???「ぽにっ!」

 

 

 そこに居たのは、馬のマスクをかぶり、黒のコートを身に纏った半裸の男だった。

 

 その姿。まさに……

 

 

みんな「変態だー!!」

 

 

 みんなが一斉に声を上げた。

 

 

かなめ「飛んで火に居る夏の虫ね! とっ捕まえてキョーコのカタキをとってやるんだから! みんな、お願い!」

 

甲児「任せろ!」

 

 

 甲児をふくめた男性陣が、ぽに男を囲むようにして輪を作り、ぽに男包囲網がゆっくりと完成しようとしていた……

 

 

かなめ(ちょっとソースケ、こういう時いの一番に飛び出してくるのあんたの役目でしょ。いったいなにやってんのよ!)

 

 

 一方そのころ。

 相良宗介は自分が製作した着ぐるみ型小型アームスレイブ、ボン太君に身を包み、ある者と相対していた。

 

 

ボン太君「ふも……っ!」

 

???「ぶるる……っ!」

 

 

 それは、馬!

 毛並みの美しい白馬が、公園近くの道路に居たのだ!!

 

 

ボン太君(こんなところに馬。まさか、この馬が、くだんのぽに男……!?)

 

 

 ボン太君と相対する風雲再起(Gガンダム)は驚いていた。

 

 最近巷を騒がすぽに男なる変質者。

 いかような変態かと思っていたが、想像以上の存在であった。

 

 まさかこのような平穏な街に、武装した着ぐるみがいようとは……っ!!

 

 

ボン太君「ふも」(こいつ……)

 

風雲再起「ぶるるっ」(こやつ……)

 

 

二人『((できるっ!))』

 

 

 互いの実力を察知した双方は、にらみあいとなり身動きが取れなくなっていた!

 

 

 

ぽに男「ぽにっ」

 

 

 自分がピンチと察したのか、ぽに男は自分を囲む甲児達を見回し、慌てたようなそぶりを見せる。

 

 

甲児「統夜とヌケ、ムチャはあんま無理すんなよ。荒事は俺とボスにまかせとけ」

 

 

 じりじりと包囲網を縮めつつ、甲児が指示を出す。

 

 

ぽに男「ぽにっ……!」

 

 

 もう無理だと感じたのか頭を抱え。

 

 

ぽに男「ぽにっ。ぽにっ!? ぽにいいぃ!」

 

かなめ「え?」

 

 

 それは、突然のことだった。

 

 大きな光と爆発のようなものが起きたと思えば、皆の前に巨大ななにかが現われたのだ。

 

 それは、後にゾンダーと呼ばれる怪物。

 ぽに男が変貌し、巨大な馬面の巨人に変態したのだ!

 

 

メルア「え、えええええー!?」

 

かなめ「変態が変態したー!?」

 

 

 突然の変貌に、誰もが驚きの声を上げる。

 

 

ぽに男?「ゴオォォォォ!!」

 

 

 鳴き声ともわからない音と共に、それはゆっくりと歩き出す。

 

 

かなめ「こ、こっちに来るわ!」

 

テニア「機械獣!?」

 

甲児「いや、違う。似てるけど機械獣じゃない。なんだこいつは!?」

 

統夜「ともかくみんな逃げろ。このサイズ、機体がなくちゃどうしようもない!」

 

 

???「ふもっ!」

 

???「ひひーん!」

 

???「危ない!!」

 

 

 逃げる統夜達と怪物の間に、金髪のカッコいいお兄さん(ガオガイガーの凱)と馬(風雲再起)と着ぐるみ(ボン太)がわって入った!

 

 

カティア「ボン太君!」

 

テニア「誰!?」

 

かなめ「馬ぁ!?」

 

 

 驚きの声をあげる統夜達。

 その彼等を尻目に、現われた三人組は高らかに宣言する。

 

 

ボン太君「ふもっ!」

 

凱「フュージョンを要請する!」

 

風雲再起「ひひーん!」

 

 

 さらにライオンのメカが現われ、突然現われたお兄さんと合体をはじめ、馬は馬のロボットに乗りこんだ。

 

 並び立つ、着ぐるみ、胸ライオンロボ、ロボ馬!

 

 

 この時、かなめの警護にてAS、M9で光学迷彩を作動させ、姿を消しつつ見ていたクルツ・ウェーバーはこう語る。

 

 

クルツ「あの時、他が合体やらを要請している時、俺はあいつに『なぜ姿を見せない』とか言われたけどよ、俺が出る幕はないと判断した。なんせあの場に現われたのは、のちに俺達が世話になるGGGの新型と、それを動かすミスターサイボーグ。さらにもう一つは常識の枠を平気で破壊するモビルファイターならぬモビルホースなんだからよ……」

 

 

 やれやれと、どこか呆れたようにクルツはため息をついた。

 

 

クルツ「決して。決してな、あんな絵ズラのところに出て行って同類に見られたくなかったとか、俺はそんな勇気はないとか、決してそんなことはないからな。こいつは、そう。信頼ってヤツだ。それに、予期せぬ伏兵がいるかもしれない。そのための備えってヤツでもある。そういうわけだから、みんなわかってくれるよな?」

 

 

 この時話を聞いていたインタビュアーも、苦笑するしかできなかったそうな。

 

 

クルツ「つーかよ、あの状況で平然とセンター居られるあのミスターサイボーグは、間違いなく勇者だよ……」

 

 

甲児「ど、どうなってんだ?」

 

凱「君達のことは知っている。俺はGGGの凱。ここは俺とガイガーに任せて行ってくれ。マジンガーも近くに運ばれているはずだ!」

 

甲児「っ! わかったぜ。すぐ戻る。みんな、行くぞ!」

 

統夜「ああ!」

 

 

 凱の言葉に、甲児達は走り出す。

 

 今の状態で自分達は足手まとい以外の何者でもないからだ。

 すでに素人ではない彼等は、無理もせずその場から離れることを選択することができた。

 

 

ロゼ=リア「あ、そうですわトーヤ。今ならわたくしのバシレウスと同じく、グランティードも呼べば来てくれると思いますわ!」

 

統夜「え? そうなの?」

 

ロゼ=リア「はい! オルゴンクラウドの転移であの馬のように! その上自動搭乗のおまけつきですわ!」

 

 

 いつでも呼べば来るということは、搭乗台などないところでも呼べるということである。

 なにもない原っぱに機体だけ来てコックピットに登れないというのは意味がない。ゆえに当然、来るのと同時に搭乗できるシステムもついているのである!

 

 

統夜「なら……いや、まずはみんなの安全が第一だ。なにかあった時のため、俺も一緒に行こう」

 

ロゼ=リア「確かに逃げている間になにかこちらに飛んできたらどうしようもありません。冷静な判断、さすが救世主様ですわね!」

 

統夜(いや、ごめん。正直あの集団の一人として一人で肩を並べる勇気は、俺にない……)

 

クルツ(気持ちわかる)

 

他の人(わかる)

 

 

 誰からも不思議と非難の声は上がらなかった。

 

 統夜達は一度非パイロットを安全な場所へ移動し、そこから戻ってくることを選択した。

 

 

 ちなみにグランティードは前と同じ仕様だが、バシレウスの方も副座となっており、メインにロゼ=リア、サブにもう一人乗ることが可能となっている。

 今は機体がないが、もう一機フューリー製の機体があれば、統夜達全員がパイロットとして登場が可能となるだろう。

 

 

凱「さて、誰かはわからないが、彼等を守ったということは俺の味方と考えていいんだろう。すまないが、頼りにさせてもらう!」

 

風雲再起「ひひーん!」

 

ボン太君「ふもっ!」

 

 

 凱の言葉にボン太君と風雲再起は大きくうなずいた。

 

 さすが勇気あるもの。動じない!

 

 

 こうして、第2のゾンダー。EI-02と呼称された存在との戦いがはじまった!

 

 

 しかし、ガイガー、ボン太君、風雲再起では高い再生能力とバリアを持つEI-02にダメージを与えることは難しかった。

 いかような攻撃を与えようと、即座に回復してしまったのだ。

 

 

凱「くっ!」

 

ボン太君「ふもっ!?」

 

 

甲児「待たせたな!」

 

 

 そこに、マジンガーZと統夜達の乗るグランティードも駆けつけた。

 

 

大河長官『聞こえるかね君達』

 

 

 マジンガーZとグランティードに通信が入った。

 

 

大河長官『こちらはGGG司令室。私は大河幸太郎。このGGGの長官を務めるものだ。今回EI-02と認定されたこの怪物を倒すため、君達に協力を要請したい』

 

甲児「もちろんだぜ!」

 

大河長官『では、指示はこちらのオペレーター、卯都木命君からの声に従ってくれたまえ。ヤツは手ごわい!』

 

甲児「まかせてくれ。俺達が揃えば、あんなのすぐ木っ端微塵だ!」

 

統夜「待つんだ甲児。確かにフルパワーで攻撃すればそれもできるかもしれない。でも、あそこにはあのぽに男がいるはずだ。完全に破壊しちゃダメなんじゃないか?」

 

甲児「あ……」

 

 

 統夜の言葉に、勢いよく了承した甲児が動きを止める。

 

 あまりの変態に脳が記憶から削除しかけていたが、一応、仮にもあれは人。木っ端微塵にしては夢見が悪い。

 

 

甲児「くそっ。やっかいなヤロウだぜ。あのバリアと回復力を突破するだけの火力と、中にとりこまれた変態を傷つけない繊細さが必要だなんてよ」

 

カティア「むしろバリアと回復力ならば、できる限り火力があった方がいいと思うわ」

 

 

 今回グランティードに乗っているのはカティア(前作クリアデータがある場合はインターミッションで選択可能)。バシレウスの方はシャナ=ミアがサブパイロットとして乗っている。

 

 

凱「こうなったら……!」

 

 

 GGG司令室。

 

 

命「ガイガーからファイナルフュージョン要請のシグナルが出ています!」

 

 

 凱からの要請を、オペレーターの命が伝える。

 

 

大河長官「博士!」

 

麗雄博士「しかし……ファイナルの成功率は限りなくゼロに近いんじゃがなぁ」

 

 

 大河長官がガイの父にしてガオガイガーの開発責任者である獅子王麗雄に問うた。

 返って来た答えは、承認できないと言ってもいい答えだった。

 

 

 が……!

 

 

大河長官「成功率なんてのは単なる目安だ! 後は勇気で補えばいいっ!!」

 

 

 長官の言葉により、ファイナルフュージョンは承認された。

 

 ガイガーの周囲に3機のサポートマシンが集まり、合体する!

 

 

 ここに、新たな勇者。勇者王ガオガイガーが誕生したのである!!

 

 

麗雄博士「奇跡じゃぁっ!!」

 

大河長官「頼むぞ、勇者!」

 

 

 GGG司令室でも歓声があがった。

 

 

甲児「胸にライオン、膝にドリル。肩に新幹線。こりゃスゲェな」

 

 

 ガオガイガーの姿を見た甲児が思わず声を上げる。

 

 

統夜「別のガイさんが見たら大喜びしそう」

 

カティア「確かに……」

 

 

 同じくガオガイガーを見て、統夜とカティアがつぶやく。

 ちなみに別のガイとはナデシコのクルーだったダイゴウジ・ガイことヤマダジロウのことである。今回劇場仕様にての登場となるのでヨロシクしておこう。

 

 

ロゼ=リア「合体ならばこちらも負けていませんわ! トーヤ!」

 

統夜「え? 対抗する必要ないだろ!?」

 

ロゼ=リア「それでもやるのです! あのバリアを打ち破るには火力が必要だとカティアさんも言っていましたし!」

 

統夜「そりゃ言ってたけど。ええいわかった、合体だ!」

 

 

 しーん……

 

 

ロゼ=リア「あれ……?」

 

シャナ=ミア「合体がはじまりませんね……」

 

統夜「なんだ!? バシレウス、どうした!?」

 

ロゼ=リア「わかりませんわ」

 

シャナ=ミア「ひょっとしたら、私達が乗ったからかもしれませんね」

 

統夜「くそっ。原因究明はまたあとでだ。今回はこのまま戦うぞ!」

 

カティア「ええ!」

 

 

 合体不能の原因は今のところ不明だ。

 だが、分離状態でも火力そのものは十分にある。

 

 マジンガーZのブレスとファイアー。グランティードのオルゴンスレイブが見事決まり、EI-02はよろけた。

 

 

凱「あとは任せろ!」

 

 

 ガオガイガーの両手が光る。

 

 ヘルアンドヘブン。

 ガオガイガー最大の必殺技が、馬の顔をした怪物へ突き刺さった。

 

 

命『やりました! 凱が敵ロボットの核をえぐりだしました!』

 

 

 コアを残し、怪物は爆発する。

 

 

甲児「よし!」

 

統夜「あとはあの中にいるぽに男を助ければ……」

 

 

ぽに男?「ゾンダアァァァァ!」

 

 

 コアに居たのは、人とはとても思えない怪物だった。

 しかしそれは、相変わらず馬の覆面を被っている。

 

 つまりこの怪物(ゾンダー人間)は、先ほどEI-02に変態したぽに男ということになる!

 

 

統夜「っ! ダメだ。凱さん!」

 

 

 その異変に気づいた統夜が叫んだ。

 

 

凱「うおおぉぉ!」

 

 

 コアを握ったガオガイガーが、それを握りつぶさんと動いていたのだ!

 

 変貌しているとはいえあれは人。

 簡単に握りつぶしていいはずがなかった。

 

 

大河長官『どうした!?』

 

命『凱のアドレナリンが生命危険域に入っています! 凱は自分で自分を制御出来ません!』

 

麗雄博士『いかん! 戦闘で自己制御システムが損傷を受けたか!』

 

 

 大河長官、命、麗雄博士が状況を見て声を上げた。

 だが、司令室からではそれをとめることはできない。

 

 とっさに甲児と統夜もその手を止めようと動く。

 

 

???「それを壊しちゃ、だめぇぇぇぇっ!!」

 

 

 そこに、緑色に光る球体があらわれた。

 

 光る少年は、暴走するガオガイガーと変貌した人間に触れ、それをなかったかのように浄化。『浄解』してみせた……

 

 

命『博士! 凱のアドレナリン分泌量が急速に落ちています!』

 

麗雄博士『あの少年が触れることで凱の怒りが静まった。あの子は一体……?』

 

 

 その問いに答えることはなく、光の少年は猛スピードでどこかへ去ってしまった。

 司令室でも追跡することはできず、そのまま見失ってしまう。

 

 戦闘は、終わった。

 

 

 ガオガイガーと無事人間に戻ったぽに男はGGGのスタッフの手により、その拠点へ運ばれていった。

 

 

甲児「一体、なんだったんだろうな」

 

火麻激「それに関しては、君達にも話がある。あとでGGGに来てくれないか? 改めて長官から話があるそうだ」

 

 

 回収作業を陣頭指揮していた火麻激がそう言い、去っていった。

 

 

テニア「行っちゃった」

 

さやか「あの凱って人、大丈夫かしら……?」

 

シャナ=ミア「相当無理をしていたようですからね」

 

甲児「ああ。心配だぜ」

 

 

統夜「ところで、あの白いモビルホースは?」

 

甲児「それなら、あっちだ」

 

 

 視線をむけると、ボン太君と向かい合う風雲再起がいた。

 

 

ボン太君「ふもっ」

 

風雲再起「ぶるるっ」

 

 

ボン太君「ふもっふ」

 

風雲再起「ひひーん」

 

 

ボン太君「ふもっふ、ふもふ」

 

 

 こくりと、風雲再起はうなずき。

 

 

ボン太君「ふもっ」

 

 

 ボン太君も納得したようにうなずいた。

 

 

かなめ「得体の知れない問答でわかりあうな!」

 

ボン太君「ふもっ!?」

 

 

 かなめのハリセンがボン太君の後頭部をぶったたいた。

 

 

ボン太君「ふも、ふもふもふも、ふもっ!」

 

かなめ「なに言ってんのかさっぱりわからないわよ!」

 

 

クルツ『あー、通訳するとだな……』

 

 

 見かねたクルツが音声だけ出して先のやり取りを説明する。

 

 そもそも、この馬、風雲再起が何者なのか。そしてなぜぽに男を探していたのか。それらを説明してくれた。

 

 

テニア「モビルホースって……」

 

メルア「ドモンさんのお仲間。どおりで強いわけです……」

 

シャナ=ミア「地球の技術は時に想像を超える驚きを与えてくれますね……」

 

ボス「そりゃあの強さも納得だわさ……」

 

 

風雲再起「ぶるるっ」

 

 

 風雲再起はやることは終わったと言わんばかりに皆に背を向け、夕日に向かって去っていった。

 

 その威風堂々たる姿。

 

 確かに東方不敗の愛馬だっただけはあるっ!

 

 

かなめ「えっ、なにこの光景。おかしいと思うの私だけ?」

 

 

 かなめのつぶやきは、夕日に消えた。

 

 

ロゼ=リア(あ、よかった。40億年たっていても、この光景はどこかおかしいと思ってもおかしくはないのですね)

 

 

 だが、かなめの感覚は、一人の少女を救っていた。

 

 ありがとう常識人。ありがとう、モビルホース!

 

 

 こうして、新たな敵の出現が確認された。

 

 統夜達の新たなる戦い。それが、今、はじまったのだ……!

 

 

 第1話 終わり



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第02話 ガンダム大地に立つ

 

──統夜──

 

 

 あのぽに男の一件のあと、俺達はGアイランドシティにあるベイタワーの一室に来ていた。

 

 あの一件に関わりあったメンバー以外に、コン・バトラーチームにボルテスチーム。さらに鉄也さん達など日本におけるスーパーロボットに関わるパイロット、博士達も集まっていた。

 

 

大河長官「よく来てくれた。今日は君達に我々の活動を理解していただくべく、集まってもらった」

 

 

 GGGの長官という大河幸太郎さんが口を開いた。

 

 

 まず説明されたのは、このGGG。「ガッツィー・ジオイド・ガード(Gutsy Geoid Guard)」が設立された理由からだった。

 

 地球圏の争いは収まった。

 

 しかし、地球圏の外から迫る脅威は排除されていない。

 

 外宇宙からの侵略者や先のEI-02のような言葉も通じない怪物。

 それらの脅威は今も健在であり、いつ地球を再侵略してくるかわからない状態である。

 

 それらの外宇宙からの脅威に備え、かつてコズミック・カルチャークラブなども行っていた外宇宙開発機構や宇宙開発公団を母体とし、新たに設立された地球を護る組織。それがこのGGGなのである!

 

 

大河長官「そしてついに、EI-02という新たな侵略者が現われてしまった。地球は再び、危機にさらされている。そのために、再びあなた方に力を貸して欲しいのです!」

 

 

 反対を口にする者はいなかった。

 

 むしろ、やっとこうした組織ができるのかと待ち望んでいた博士も多いくらいだろう。

 

 今までは宇宙からの脅威を訴えたとしても、誰もとりあわず、おのおのが私財をなげうって対策していただけなのだから。

 

 

 それがあの大きな争いを経て、皆で力をあわせて地球を護ると一丸になれたんだ。

 

 反対する人なんているわけがない。

 

 

 ちなみにだけど、GGGは連合の軍とは別の組織だ。

 

 これは連合がその力を持って各研究所を占拠し、機能不全に陥った経験があるからだ。

 あのような暴挙が二度とないよう。そして、もう一度があった場合のカウンターとしての組織という意味もある。

 

 この地球を護る。に、連合という組織からも。というのはおおっぴらには言えないことだ。

 

 もちろん、GGGが暴走した場合、逆に軍がこちらをとめる。という関係でもある。

 

 

大河長官「というわけだ。皆、地球を護るのに力を貸して欲しい!」

 

 

 今度はパイロットである俺達に。

 

 

甲児「もちろんだぜ!」

 

 

 当然俺達も、それを拒否する理由はなかった。

 

 

大河長官「それと、もう一つ」

 

剛博士「ここからは私がかわろう。大河長官」

 

大河長官「そうですな。剛博士。お願いします」

 

 

 くちばしを挟んだのはボルテスVを設計した剛博士だった。

 

 

剛博士「実はだね、紫雲統夜君。君達に協力して欲しいことがあるんだ」

 

統夜「俺達に? GGG以外のことですか?」

 

剛博士「GGGとしてでもある」

 

 

 剛博士。

 剛3兄弟の父であり、ボアザン星人。ラ・ゴールである。

 

 ボアザンからの侵略者は一度退けた形ではあるが、肝心のボアザン本星はいまだ健在であり、その侵略が収まったとは言えない状態だ。

 

 その人が説明し、俺達に協力を求めるとは、いったいなんなんだろう?

 

 

剛博士「実はだね。今、母星を失ったバーム星人達が地球圏へやってきていてね。彼等は、難民として太陽系への移住を求めているんだ」

 

統夜「難民ですか?」

 

剛博士「そう。フューリーと同じように、地球へ受け入れて欲しいと、会談を求めてきているんだよ。バーム星人の数は多いが、地球側もその受け入れを拒絶するつもりはないようだ。そこで、その会談に、私と健一達と共に、同行してもらいたいのだ」

 

 

 そういうことか。

 

 俺達はフューリーと呼ばれる地球外の人間のハーフだ。

 

 ボルテスVのパイロットを務める剛兄弟もボアザンとのハーフで、剛博士やシャナ=ミアは純血のボアザンとフューリーでもある。

 

 ついでに言えば、シャナ=ミアは元フューリーの指導者だ。

 

 

剛博士「そう。君達が行けば、地球ではすでに宇宙難民を受け入れたという前例があるとわかる。となれば、その会談はスムーズに進むはずだ」

 

 

 少なくとも、前例を示すことでバーム側の警戒心を解く効果は十分にあるように思える。

 

 なにより、俺達の存在が争いなく共存できるきっかけになるなら大歓迎だ!

 

 

 俺達は顔を見合わせ、うなずいた。

 

 

統夜「もちろん、俺達でよければ!」

 

剛博士「それはよかった。では、会談まで時間もない。早速準備にとりかかってもらいたい。会談場所は、はるか空の上だからね」

 

 

 こうして俺達は、共存会談のため、宇宙へあがることになった!

 

 

テニア「地球を護る最初のお仕事が共存の会談なんて、幸先がいいね!」

 

 

 その通りだ。こうして平和の輪がどんどん広がっていけばいい。

 俺達はそう祈った。

 

 

──統夜──

 

 

 宇宙。

 

 

統夜「……で、なんで甲児もついてきてるんだ?」

 

甲児「いいじゃないかよ。俺も歴史的な会談に立ち会いたいし、バーム星人も見たいしよ。羽があって綺麗なんだってな。来れなかった豹馬にはあとで写真見せてやろうぜ」

 

統夜「じゃんけんで負けた豹馬は悔しがるだろうな」

 

 

 今回会談のため宇宙に来たのはハーフがいる俺達とボルテスチーム以外には甲児とさやかさんだけだ。

 あ、ついでにボスも。

 

 コン・バトラーチームと鉄也さん。それと相良軍曹達は地球に残り、ガオガイガーへの奇跡の合体を成功させたが、結果ボロボロになってしまった凱さんをフォローするため地球に残っている。

 

 あの時凱さんがいないなーと思ったら、どうやら医務室のベッドの上だったらしい。

 特別なサイボーグである凱さんがあれほどダメージを受けるなんて、ガオガイガーも強力なりにリスクがあるみたいだ。

 

 

健一「そういえば、グランティード、合体できなかったんだって?」

 

甲児「そうなんだよ」

 

統夜「小介と博士達が言う分には……」

 

 

 あの日、GGGからの要請に弓教授をふくめた大勢の博士関係者が出席していた。

 その時分析してもらったことにより、理由は大方判明した。

 

 

統夜「コン・バトラーが合体できない場合と似たような理由だって結論になりました」

 

大次郎「どういうことったい?」

 

 

 コン・バトラーVはパイロット五人の脳波を一つにあわせないと合体できない仕組みだ。

 それと同じで、グランティードとバシレウスのパイロット達の心が一つになっていないと合体できないというのが理由らしい。

 

 

ロゼ=リア「つまり、わたくしのせい!」

 

テニア「開き直った!」

 

 

 つまるところ、まだ彼女と俺達の間に完全な信頼関係が築けていないということ。

 

 ──ゆえに、世界を救い彼女が居なくなれば、早期の合体が可能になるというわけでもある──

 

 

健一「なら、すぐに解決するかもしれないし、しないかもしれないわけか」

 

統夜「はい。機体の機能の問題じゃなく、俺達の心の問題ですから」

 

健一「でも、君達ならきっと平気だ。必ず、合体できるようになるさ」

 

統夜「はい!」

 

 

 そうこうしていると、俺達は経由地であるサイドセブンというコロニーに到着した。

 

 ここは、連合とザフト、両方の新型モビルスーツ開発の拠点となっているところだ。

 

 

 なぜ連合とザフトが一緒の場所で? と疑問に思うのはもっともだと思う。

 

 

 理由の一つとして、人類はまだ戦力を放棄するわけにはいかないということがある。

 GGGが設立されたように、地球圏が共存の道を歩んだとしても、太陽系外から迫る脅威が消えたわけじゃないのはさっき説明されたとおりだ。

 

 かといって、和平がなってすぐ連合ザフト別々で戦力を増強しあうというのも色々よろしくない。

 

 そういう理由もあって、連合、ザフト双方が透明性をもって宇宙の脅威へ対抗するための力を開発出来る場所として、この中立コロニー、サイドセブンが選ばれたというわけらしい。

 

 色々思惑が絡んで、本音を隠した建前だらけの共同プロジェクトだろうけど、それでもこうして連合とザフト両方が手をとるような活動ができるというのは大きな一歩だと俺達は思う。

 

 ちなみにだけど、民間有志を集めたGGGと軍が主体で進めるこの新型モビルスーツ開発全体を包括して、V作戦と呼ばれていると剛博士から説明してもらった。

 

 

甲児「なら、そのうちここで作られた新型と一緒に戦うなんてありえるんですね」

 

剛博士「そうかもしれないね」

 

 

 説明を聞き、そう口にした甲児の言葉に、剛博士はうなずいた。

 

 もちろん使わずにすむならそれにこしたことはないけど、地球では既に怪物が暴れている。

 軍の方でもそれに対抗できる戦力は必要不可欠なのは間違いなかった。

 

 

剛博士「確かオーブのカガリ・ユラ・アスハ(ガンダム SEED DESTINY)君が視察に来ていたはずだ。時間があるなら、見学ついでにあってきたらどうかね?」

 

テニア「カガリが!?」

 

メルア「直接会うのひさしぶりですね」

 

カティア「じゃあ、機体を固定してちょっと見学に行ってきましょうか」

 

 

 今俺達は旗艦と呼ばれるものはない。

 各々の機体を船として目的地を目指している(第1次の時月に行った時みたいに)

 

 だから宇宙港に機体を固定し、中に入るような形になる。

 

 

ロゼ=リア「カガリ、とは?」

 

シャナ=ミア「友人の一人です。立場として、私達と近い方でしょうか。違うのは今も代表というところですけど」

 

ロゼ=リア「なら、いろんな苦労話で盛り上がれますわね!」

 

シャナ=ミア「うーん。どうでしょうねぇ」

 

 

 シャナ=ミアが首をひねった。

 

 

さやか「ロゼ=リアさんの言動に色々頭抱える姿が見えるわ」

 

甲児「意外にあうかもしれないな。どっちも……おっと、これ以上はノーコメントにしとくぜ」

 

統夜「ははは」

 

 

 どっちかと言うと、俺も甲児と同意見ではある。

 言動に頭を抱えるけど、カガリもけっこうムチャやるからなぁ。

 

 

 誘導に従い、港へ入ろうとしたその時だった。

 

 

 ドンッ!!

 

 コロニーが、揺れた。

 

 

────

 

 

 統夜達が入港したころ。

 

 ついでにシンがステラと出会い、ラッキースケベをかましてカガリがアレックス・ディノを名乗るアスランと目的の場所へむかって歩いていたころ。

 

 それは起きていた。

 

 

デニム「おい、ジーン、貴様! 命令違反だぞ。やめろ! 我々の任務を忘れたか!」

 

ジーン「敵を倒すには早い方がいいっていうだろ。手柄を立てちまえばこっちのもんよ」

 

 

 コロニー内で起きた爆発は、このジーンと呼ばれた男が動かすモビルスーツによってもたらされた襲撃のせいだった。

 

 このジーンと呼ばれた男は、ジオンと呼ばれるL2宙域にあるサイド3を本拠地とするコロニーに属するパイロットだ。

 ザクと呼ばれるモビルスーツを操り、元々は偵察のため仲間と潜入していたのだが、功を焦り、後々の目的を理由に暴走してしまったのである。

 

 

ジーン「シャア少佐だって、戦場の戦いで勝って、出世したんだ!」

 

 

 巨大な武勲に目がくらんだ結果。

 それがどういう結末となるか、彼はすぐ身をもって知ることとなる……

 

 

 

???「ほう。予想と違い、先走る者が出たか。これは好都合だ。三人共、ゆけ」

 

 

 この合図で、もう一つ潜んでいた一団も動き出した。

 

 さらなる爆発がコロニー内に響く。

 

 連合とザフト両方のモビルスーツ開発研究所が襲われている。

 

 

 ザフトの側では3機の新型が奪われ、連合側は破壊の限りを尽くされていた。

 

 

 その混乱の中。二人の少年が、それぞれのガンダムに乗りこんだ……!

 

 

 

 第2話 ガンダム大地に立つ

 

 

 

甲児「な、どうなってんだこりゃぁ……」

 

 

 コロニー内で戦闘が行われているといわれ、緊急事態ということで慌てて機体を動かし内部に入ってみれば、そこでは多数のモビルスーツが戦っている姿だった。

 

 その光景を見た甲児は思わずうめくような声を上げてしまった。

 

 

統夜「一体、どっちが味方でどっちが敵なんだ……!?」

 

 

 甲児が声を上げた理由。

 それは統夜が口にしたのと同じ、敵味方の区別がつかないという状態だったからだ。

 

 

 コロニー内の状況を簡単に説明すれば、ガンダムとザクが戦っている。それだけだ。

 

 

 だが、アムロが動かすガンダムとザク。

 

 アレックス・ディノことアスランが動かすザクウォーリアと戦うカオス・ガイア・アビスの3ガンダム。

 その3ガンダムと戦う、シン・アスカが駆るインパルス。

 

 識別信号も無茶苦茶の中、同じ形をしたモビルスーツが戦いあっては敵味方の区別などつきようもなかった。

 

 

カガリ「あれは……っ!」

 

 

 混乱の極致から統夜達を救うこととなるのは、ザクウォーリアに同乗していたカガリだった。

 

 

カガリ「お前達! 私だ。カガリだ! 力を貸してくれ!」

 

 

 カガリにより敵味方の区別のついた統夜達は、やっと戦いをはじめることが可能となった。

 

 

甲児「ジオンのザクが連合の研究所を襲って、ザフトの新型も奪ったってことか!?」

 

統夜「一体どうしてそんなことを!」

 

カガリ「わからん。だが、今はそれを考えている暇はない!」

 

 

 カガリの言葉はもっともだった。

 

 

 すでに最初に襲撃をかけたザクが爆発し、コロニーに大穴が開いてしまっている。

 

 これ以上の戦闘はコロニーそのものを破壊しかねない。

 

 ゆえに、迅速にコロニー内での戦闘を終わらせなければならなかった。

 

 

 統夜達がアムロとシン達の救援に入る。

 

 

 劣勢と感じたからだろうか。

 

 ジオンのザクが全滅すると、3機のガンダムはコロニーの外へと脱出する。

 

 

 戦闘は終わったが、避難警報は収まらない。

 

 統夜達はガンダムを回収するためやってきていたホワイトベースとザフトの新造艦ミネルバと共に民間人を救出し、サイドセブンから脱出することになった。

 

 ガンダムを動かしてしまった民間人のアムロも、今は緊急事態ということでそのままガンダムを動かすこととなる。

 なぜ僕がと不満を漏らすが、似た経験をしたことのある統夜達がフォローに回り、大きな混乱は起きることはなかった。

 

 

──宇宙──

 

 

 コロニーの外へ出た統夜達。そこには赤い彗星と呼ばれる男、シャア・アズナブルの指揮するムサイが待ち構えていた。

 

 逃げ出した3機のガンダムの姿はすでにない。

 

 

シャア「中でガンダムを強奪したという者達は見事に姿を消したか……」

 

シャア(ガルマのように、容易く利用はさせてはくれぬようだな)

 

 

 やれやれと、状況を見守っていたシャアはため息をついた。

 

 機体が消滅するということはありえない。

 だが、消えたように見えなくなる技術があるのは知っていた。

 

 ミラージュコロイドと呼ばれる電磁的・光学的にほぼ完璧な迷彩を施すことができる技術である。

 

 それを使える艦などが待機していればコロニー外に出たところで姿を消すのも容易。

 

 

 ちなみに、ガルマ・ザビは前争乱でのジオン公国コロニー防衛戦のおり、敵陣につっこむ形になって戦死している。

 

 

シャア「私もよくよく運のない男だな。これではあの強奪も我々の仕業のように見えるだろう。どうやら、地球の方でも戦争をしたいと願う勢力があるようだ」

 

 

 今後の作戦を考えれば、この一件は些細なことである。

 

 部下の不手際を利用されたという形であるのは癪であるが、大局を見てシャア本人はまったく気にはとめていなかった。

 

 

シャア「むしろ、連合の新型。その強さとデータが気になる。私も出るぞ。あとは、予定通りだ」

 

ジオン兵「はっ!」

 

 

 当初の予定通り敵の新型のデータをとるため、シャア本人も赤いザクに乗りムサイより出撃する。

 

 

メイリン「ムサイよりモビルスーツの出撃を確認! こちらの呼びかけに返答はありません!」

 

タリア「いったいどういうつもりなの……?」

 

 

 ザフトの新造艦ミネルバ艦長、タリア・グラディスが苦々しい表情を浮かべた。

 

 同じプラントコロニーに属しながら、目的もなにも語らず一方的にモビルスーツを展開するなど、これではまるで戦争を望んでいるかのようではないか。

 

 

メイリン「あ、あの機体。あれは赤い彗星!?」

 

 

 ムサイから出た赤いザクを見て、オペレーターのメイリンが驚きの声を上げた。

 同時に、ミネルバクルーにも動揺が走る。

 

 

 ジオンの赤い彗星。

 

 その二つ名を知らぬザフトのパイロットは居ないだろう。

 

 

 ジオンとは、地球から見て月のむこう側にあるサイド3を本拠地とするコロニー群のことである。

 地球から最も遠い位置にあるが、月の裏側にあるゆえ、前争乱の際に月を支配下に置いたグラドス軍の攻撃を地球以外で最も受けたところでもある。

 

 この防衛戦により、ジオンの指導者の末子ガルマ・ザビは戦死することとなったが、真紅の稲妻、青い巨星、黒い三連星、そして、赤い彗星という、多くの二つ名を持つエースパイロットを生み出すこととなった。

 

 その中でも通常の3倍のスピードで動くことから、赤い彗星と呼ばれることとなった凄腕のパイロット。

 

 連合相手だけでなく、グラドス軍やラダムからジオンのコロニーを護る原動力となったといわれる英雄の一人。

 

 そのエースが無言で敵に回った。

 

 

 実力を知るがゆえ、ザフトの者達はその恐ろしさに震える。

 

 同じ赤いザクでもルナマリアとはえらい違いだ。

 

 

アーサー「ど、どうします艦長!?」

 

タリア「仕方がありません。全機出撃! ホワイトベース側にも伝えなさい!」

 

 

 呼びかけにも応じず武器をかまえこちらに迫っている。

 

 となれば無防備のまま宇宙に浮いているわけにはいかなかった。

 

 

 ホワイトベース、ミネルバから機体を出し、統夜達とアムロは、赤い彗星と相対する。

 

 

シャア「見せてもらおうか。連合のモビルスーツの性能とやらを!」

 

 

 シャアの目的は偵察。

 

 ゆえに、ここでの決着はなかった。

 

 

 ガンダム達の強さを確認し、赤い彗星はムサイと共に退却してゆく。

 

 

統夜「強奪したガンダムを出してきませんでしたね」

 

剛博士「引き際も良すぎる。なにか別の目的があったのかもしれない……」

 

 

 シャアが去ったあと、統夜の疑問に剛博士が答えた。

 

 

 ホワイトベースとミネルバ。連合とザフト双方で協力し、シャアを退けることができた。

 

 次はさらにシャアを追うか。それとも避難民を別の安全な場所へ運ぶかどうするかを決めようとしたその時、双方に緊急通信が入った。

 

 

メイリン「艦長! ユニウスセブンが、動いているそうです! しかも、地球への衝突コースに乗っていると……!」

 

タリア「なんですって!?」

 

 

 ユニウスセブン。それはかつて、連合の核攻撃で滅びたプラントの残骸。

 

 それが安定軌道をはずれ、地球落下へのコースへ入ったのだ。

 

 

 残骸とはいえそれは巨大な質量を持ったコロニー。

 

 万一にも地球へ落下すれば、そのダメージは計り知れない。

 

 

 現状、軌道の変更は難しく、どうにかして砕くしか衝突を避ける方法はない。

 

 だが、落下阻止に間に合う部隊はザフトの一部隊と、ホワイトベース、ミネルバしかいない状態であった。

 

 

 これではとてもシャアのムサイを追跡している場合ではない。

 

 

ブライト「ジオンの件は上層部の判断と正規軍に任せよう。気にはなるが、コロニーが地球へ落下する方が問題だ」

 

 

 ホワイトベースの臨時艦長、ブライトもそう決断する。

 

 

ブライト「これより我々はユニウスセブンの破砕にうつる! 君達にも、協力してもらうぞ!」

 

甲児「地球の危機だ。もちろんだぜ!」

 

 

 もちろん、統夜達もそれを拒否することなどできない。

 

 一歩間違えば人類滅亡の可能性だってありえる事態なのだから。

 

 

 こうして統夜達は、ユニウスセブンを破砕するため、そこへ急行することとなった!

 

 

剛博士「これではとても、期日までに会談の場へは間に合わぬな……」

 

健一「父さん……」

 

 

 ユニウスセブンへ進路を取った艦の中で、残念に思う剛博士であった。

 

 この事態を受け、会談が延期となればよいが、そうでなければとてもじゃないが間に合わない。

 

 

剛博士「我々が行けぬことが、致命的な結果を招かなければよいが……」

 

 

 小さな不安を覚える。

 

 しかし、その不安は遠からず的中してしまうのだった……

 

 

 第2話 終わり



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第03話 空が落ちるとき

 

──ユニウスセブン──

 

 

 地球にむかい落ちる巨大なコロニーの残骸。

 

 そこにまず到着したのはイザーク・ジュールが指揮するジュール隊だった。

 

 

ディアッカ「こうして改めて見るとデカいな」

 

イザーク「当たり前だ。俺達は同じような場所に住んでいるんだぞ」

 

ディアッカ「それを砕けって、今回の仕事がどんだけ大事か改めてわかるな。で、この大物にまわされたのは俺達だけだって?」

 

イザーク「間に合うのが我々と近くに居たミネルバと連合の艦だけのようだからな。少数精鋭でどうにかなる作業じゃないが、いないのだから仕方ないだろう」

 

 

 コロニーを破砕するための道具。メテオブレイカーを準備する。

 これをユニウスセブンの各所に設置し、小さく砕いてあとは地球との摩擦熱で処理しようというのだ。

 

 どれだけ破壊出来るかは設置の数によって決まる。

 

 ゆえに、設置するための人手というものが多く必要だった。

 

 

 準備の中、ミネルバ、ホワイトベースが到着する。

 

 

アスラン「あれは、イザーク?」

 

 

 ミネルバから出たアスランがイザーク達の姿を確認してつぶやいた。

 

 ちなみにだが、ここに来る途中、アスランはミネルバ隊に自分の正体をあかし、アレックスではなくアスランとしてユニウスセブン破壊に参加することとなっている。

 

 

イザーク「貴様、今オーブにいたはずじゃなかったのか?」

 

アスラン「故あって、オーブ代表とミネルバに乗船している」

 

イザーク「ん? 連合の組織じゃなく、ミネルバにか?」

 

アスラン「色々とあるのさ。ともかく、今は作業を急ぐぞ」

 

イザーク「わかっている!」

 

ディアッカ「やれやれ。俺には挨拶なしか?」

 

アスラン「すまない、ディアッカ。相変わらずだな、二人とも」

 

 

──統夜──

 

 

 地球へ落下するユニウスセブン間近まで迫り、俺達は持ってきたメテオブレイカーを手に取り指定されたポイントへ設置へむかう。

 

 

アムロ「どうして僕まで……」

 

 

 一緒に出てきたアムロの呟きが聞こえた。

 

 

統夜「言いたい気持ちはわかるし、すまないとも思う。でも、今は一人でも多くの手が必要なんだ」

 

甲児「そうだぜ。こういう時だからこそ、人型であることが最大限いかされるってもんだろ。コロニーへの接近、破砕機の設置に離脱。それが一機で全部できるんだからよ。戦うためじゃなく、人を救うための作業ができる。地球を救う。そう考えれば、悪い気はしないだろ?」

 

アムロ「それは、そうですけど……」

 

 

 人型ロボットであるからこそ、メテオブレイカーのとりつけから脱出まで、必要なことすべてが一台でできる。

 

 それだけ、数をこなせる。

 こなした分だけ、地球は安全になる。

 

 今は一人でも手が必要なのだから、アムロが動かすガンダムも遊ばせておくわけにはいかない。

 

 

統夜「いざとなったら俺達が助ける。だから、もう少しだけ力を貸してくれ」

 

アムロ「わかりました。わかってますよ」

 

 

 俺と甲児の言葉に、しぶしぶながらアムロはうなずいてくれた。

 気難しいが、基本彼は優しい子だ。今がどんな状況なのか理解している。

 

 だから、不満を口にしてもやることはしっかりやってくれるはずだ。

 

 むしろ、気負いすぎて無茶しないか心配になるほどに。

 

 

ボス「おっほっほーん。さあ、いくわよーん!」

 

 

 むしろこういう作業の方が得意なボスが率先してポイントへと進んでゆく。

 

 

アムロ「むしろ、どうしてあんなのであそこまで作業ができるんです?」

 

甲児「あれはあれで、光子力研究所の博士達が作り上げた、技術の塊だからな……」

 

アムロ「そ、そうなんですか……」

 

 

 気持ちはわからないでもない。

 

 でもなアムロ。この世界には、もっと常識で測れない人達がたくさんいるんだ。あんなの、ほんの序の口でしかないんだぞ。

 

 とは思ったけど、口には出さなかった。

 

 

ロゼ=リア「トーヤ、わたくしはなにをすれば?」

 

統夜「さすがに設置は無理だろうから、瓦礫をどかすのに集中してくれ」

 

ロゼ=リア「わっかりましたわ!」

 

 

 バシレウスは人型ではなく竜の形をしてた航空機タイプだ。手もついていないから、メテオブレイカーの設置もできない。

 だから、周囲に漂う瓦礫などをどけてもらうことにした。邪魔な障害物がなくなれば、それだけ作業もしやすくなるからな。

 

 一応、無茶をしないよう一緒に乗っている子に声をかけておく。

 ロゼ=リアだけだと心配だけど、もう一人いるから安心だ。

 

 といっても、彼女がああもはっちゃけているのは、この先自分がいなくなっていいと考えているからかもしれない。

 そう考えると、あの明るさはむしろやけっぱちなのかもしれない。なんて思う……

 

 

 作業は進む。

 

 このままなにもなければ、俺達だけでもユニウスセブンの破砕は成功させられるだろう……

 

 

 ……もちろん、そんな甘いことはなかった。

 

 

 ユニウスセブンの内部からモビルスーツが姿を現した。

 

 ジオンのザクや戦艦ムサイ。

 それらがわらわらと現われたのだ。

 

 

 まさか。と思う。

 

 否定したい気持ちは大きい。

 

 だが、問答無用で破砕作業を仕様とする俺達を攻撃してきて、それは確信にかわった。

 

 

ブライト「まさかとは思ったが、ユニウスセブンの軌道をずらし、意図的に地球へ落とそうというのか!」

 

 

 ホワイトベースのブライト艦長が声を荒げた。

 

 これがジオンの目的だとすれば、先のサイドセブン襲撃なんて生ぬるいものだ。

 

 前大戦の時連合がやったユニウスセブンへの核攻撃にも匹敵するほどの暴挙。

 いや、それよりもっとひどい被害が出る。

 

 それこそ、人類の半分が死滅するほどの結果に陥る大惨事の引き金がひかれてもおかしくないことを、彼等はやろうとしている!

 

 

セイラ「ジオン公国が地球連合に対して宣戦布告の演説を行っています! これは、一つの部隊の暴走などではありません! ジオンは、地球へコロニーを落とそうとしています!」

 

ブライト「なんだって!?」

 

 

イザーク「なにを考えている! グラディス艦長、ホワイトベースの! なんとしてもメテオブレイカーを守り抜け! 絶対に地球へ落とさせるな!」

 

 

 ジュール隊の隊長。イザークさんが声を上げた。

 

 当たり前だ。

 

 

 絶対にこれを、地球に落とさせてはいけない!

 

 

──ユニウスセブン上──

 

 

 落下の処理から一転、落下を食い止める戦闘へと変わった。

 

 ジオンの部隊はユニウスセブンを破壊しうるメテオブレイカーを狙い、統夜達はそれを守りながら指定のポイントへとむかう。

 

 

ジオン兵「な、なんだこいつらは! 新型でもないのに、たったこれだけの数で、なぜこんなに強い!!」

 

 

 迫るジオンのモビルスーツをちぎっては投げるかのように撃退してゆく統夜、甲児、健一達の戦いを見て、数で圧倒するはずのジオンの兵は驚きを隠せない。

 

 このジオン兵達も先の争乱にてジオンを守り抜いた猛者ではあるが、最前線中の最前線を生きて駆け抜けた彼等の敵ではなかった。

 

 

タリア「あの少年達。やはり、只者ではない。オーブ代表と知り合いといい、あの実力といい。あの争乱の終結に大きく関わった謎の部隊。まさか、彼等はそれに関わりがあった!?」

 

 

 同時に、イザーク、ディアッカ、アスラン達もジオンのモビルスーツを退け、メテオブレイカーを設置してゆく。

 

 

シン「凄い。あれが、ザフトトップの実力……!」

 

 

 統夜達と同様に少ない数でジオンを圧倒するアスラン達を見て、シンも驚きの声を上げた。

 

 

健一「アムロ君、無茶はするな。敵は俺達に任せて、君はメテオブレイカーの設置を!」

 

アムロ「いいえ、僕だって! そこっ!」

 

一平「ひゅーっ」

 

 

 健一達の心配をよそに、アムロは迫ってきたザクを撃退する。

 その手際に、一平は思わず口笛を吹いた。

 

 

ブライト「アムロも引けを取らない強さだ。いや、これは、ガンダムの性能なのか?」

 

 

 ジオンはこのコロニーを防衛するに十分足る戦力を潜ませていたつもりだった。

 

 だが、予測を圧倒的に上回る強さの者達がこの場に現われてしまった。

 

 

 それでも巨大なコロニーの残骸というものの落下をとめるのは至難の業ではない。

 

 

メイリン「敵反応ありません!」

 

タリア「メテオブレイカーは?」

 

イザーク「設置は十分だ! 破砕タイミングの最終調整急げ! もたもたしていると割れても間に合わんぞ!」

 

ブライト「全員、作業にかかれ!」

 

 

 ジオンを撃退し、残ったメテオブレイカーを所定の位置に設置する。

 

 

イザーク「砕けろ!」

 

 

 メテオブレイカーが発動し、ユニウスセブンに巨大な亀裂が入る。

 

 

シン「いけっ!」

 

 

 さらに光が走り、ユニウスセブンの残骸は、いくつもの欠片に砕けた!

 

 

ディアッカ「グゥレイト! やったぜ!」

 

ボス「よっしゃ! これで地球は救われた!」

 

甲児「いや……」

 

統夜「ああ。これじゃ、ダメかもしれない……!」

 

ボス「なにぃっ!?」

 

アスラン「確かに、この高度ではもっと細かく砕かないと……!」

 

 

 砕けた欠片の大きさから、このままではいくつかの残骸は燃えきらず地上へ落下する可能性があった。

 

 

メイリン「ユニウスセブン、降下角プラス1.5、加速4%! 間もなく大気圏に突入します!」

 

健一「もう時間がない。こうなったら直接攻撃してバラバラに砕くしかない!」

 

甲児「そうだぜ。最後まで諦めるか!」

 

アスラン「限界高度ギリギリまで作業を続ける!」

 

ブライト「選択の余地はないようだな。我々もユニウスセブンへの直接攻撃に移る!」

 

タリア「できるかぎりのことはやりましょう。アーサー、タンホイザーを!」

 

アーサー「了解!」

 

 

 皆、今度はユニウスセブンへの直接攻撃へとうつった。

 地球に引き寄せられながら、出来る限りの攻撃を放つ。

 

 しかし……

 

 

ブライト「タイムリミットだ。まもなくユニウスセブンが大気圏に突入する。全機、帰還しろ」

 

甲児「くっ、あともう少しだってのに。マジンカイザーさえあれば!」

 

健一「あれじゃまだ大きすぎる!」

 

 

タリア「メイリン、モビルスーツ隊に帰艦信号を」

 

メイリン「はい!」

 

タリア「総員に告ぐ。本艦はこれよりユニウスセブンを追って大気圏に突入し、艦主砲による対象の破砕を行ないます」

 

アーサー「ええっ! か、艦長、それは…」

 

タリア「どこまでできるかわからないけど、できるだけの力を持っているのにやらずに見ているだなんて後味悪いでしょう?」

 

カガリ「グラディス艦長……」

 

タリア「アスハ代表はここで退艦なさって下さい。万が一の事がありますから……」

 

カガリ「いや、私はここに残る」

 

タリア「えっ?」

 

カガリ「ミネルバが危険を冒して地球のために尽くしてるんだ。黙って見ているわけにいくか! それに、アスランのことも心配だ」

 

タリア「わかりました。代表がそうおっしゃるなら」

 

アーサー「総員に告ぐ。本艦はモビルスーツ収容後、大気圏に突入し、限界高度到達まで艦手法による破片破砕作業を行なう!」

 

ブライト「ホワイトベースも同様だ!」

 

セイラ「皆、聞こえて?」

 

甲児「待ってくれ! 俺達もぎりぎりまで破砕作業をやらせてくれ!」

 

タリア「ですが!」

 

ブライト「最寄の艦へ帰還できる位置で行えば効率もあがると思います。ここは、彼等を信用しましょう」

 

タリア「……そうですね。艦から離れないように! 帰還するのはこちらでもかまいません。皆、絶対に頼みましたよ!」

 

健一「はい!」

 

統夜「はい!」

 

 

イザーク「ミネルバが艦主砲を撃ちながら降下するだと!?」

 

ディアッカ「どうする? 俺達は」

 

イザーク「いや、宇宙にまだなにかあるかもしれない。俺達は残るぞ」

 

ディアッカ「確かにそうだな。やれるだけのことはやったんだ。あとはミネルバ達の成功を祈ろう」

 

イザーク「ああ」

 

 

──ルート選択──

 

 

『ミネルバの近くで破壊を続ける』

 ミネルバ隊・ボルテスV

 

『ホワイトベースの近くで破壊を続ける』

 ホワイトベース隊・マジンガーチーム

 

 

──ミネルバの近くで破壊を続ける──

 

 

 燃え尽きそうにない大きさの欠片は残り二つ。

 

 一つはホワイトベースが、もう一つはミネルバが接近し破壊することとなった。

 

 

統夜「くそっ、あともう少しなのに……!」

 

???『あとは任せてください』

 

統夜「この声……!」

 

 

 直後、地上から放たれた一つの砲撃が、落下する欠片に直撃する!

 

 

 強力なその重力波は、逆に欠片を上昇するかのように拮抗させ、そのままその欠片を刺し貫いた。

 

 巨大だった欠片は粉々となり、あとは大気との摩擦で燃え尽きるだろう。

 

 

 通信が拾った小さな声。

 そして、あの重力波。

 

 統夜はそれに、覚えがあった。

 

 

統夜(あれは、グラビティブラスト……!)

 

 

 誰が助けに来たか確信する。

 この星の危機に、彼女達が来ないわけがない!

 

 同時に、隣の欠片も砕けたのが確認された。

 

 

 しかし、喜んでいる暇はない。

 

 

メイリン「もう限界です! 欠片は砕けました。みんな、ミネルバに!」

 

健一「ああ。みんな、ミネルバに!」

 

ルナマリア「……シン!? どこにいるの!?」

 

カガリ「アスラン! アスランはどうした!」

 

メイリン「ザクウォーリアがあそこに! インパルスが助けに行ってます!」

 

健一「スラスターが壊れているのか!? あのままじゃ」

 

統夜「俺が助けに行きます! グランティードなら単機で大気圏突破も可能ですから!」

 

 

 問題は、自分以外の2機居た場合それも助けられるかだが。

 

 あの二機なら、例え助けに行かずとも助かるかもしれない。

 だが、助けにいける能力があって助けにいかない。ただ見ているだけ。そんなことは統夜にできなかった。

 

 

ロゼ=リア「ならばわたくしも!」

 

 

 グランティードと同様の機能をもつバシレウスならば、同じくオルゴンクラウドを展開することができる。

 

 ならば、その背にもう一機を隠すことで救うことができる!

 

 

 二機は飛ぶ。

 

 落下を続ける二つのモビルスーツの元へ。

 

 

──ホワイトベースの近くで破壊を続ける──

 

 

 燃え尽きそうにない大きさの欠片は残り二つ。

 

 一つはミネルバが、もう一つはホワイトベースが接近し破壊することとなった。

 

 

統夜「くそっ、あともう少しなのに……!」

 

??「ならばあとは我等に任せろ!」

 

統夜「この声……!」

 

 

 しゅたっ!

 

 ホワイトベースと落下する欠片の前に、五つの影が現われた。

 

 

ドモン「キング・オブ・ハート、ドモン・カッシュ!」

 

アルゴ「ブラック・ジョーカー、アルゴ・ガルスキー!」

 

チボデー「クイーン・ザ・スペード、チボデー・クロケット!」

 

ジョルジュ「ジャック・イン・ダイヤ、ジョルジュ・ド・サンド!」

 

サイ・サイシー「クラブ・エース、サイ・サイシー!」

 

五人「シャッフル同盟、推参!!」

 

 

統夜「ドモンさん!」

 

ブライト「一体どこから現われたんだ彼等は!?」

 

ドモン「地球の危機。ならば我等が来るのは必然!」

 

 

 シャッフル同盟。

 

 それは、世界の平和を裏から護る一騎当千の五人。

 

 コロニー落下という世界の危機が起こったならば、そこに彼等が集まるのは必然。

 

 

 そう。必然なのである!

 

 

 五つの機体が黄金に輝く。

 

 ドモン・カッシュはその師である東方不敗に誓った。

 ここでこの欠片を落とし、地球を傷つけたとあれば、彼は看取った師に顔向けが出来ない。

 

 他の四人もそれは同じ気持ちだ。

 先代によって救われた命。彼等に顔向けが出来ない。

 

 その想いを持って、彼等は落ちる欠片に拳をむける。

 

 

ドモン「ばぁぁぁく熱! シャッフル! 同盟けえぇぇぇえんっ!!!」

 

 

 まばゆいほど巨大な光。

 

 その光が消えると、落下していたはずの欠片は影も形もなくなっていた。

 

 

 残りのもう一つも砕けている。

 

 

 残る欠片は大気との摩擦によってすべて燃え尽きるだろう。

 

 未曾有の大災害から、人類は救われたのだ……

 

 

甲児「さすがだぜ」

 

ブライト「た、たった5機があれを一撃で。なんなんだ彼は……」

 

 

 常識外れの一撃を見て、普通の軍人でしかなかったブライトはあんぐりと口を開けるしかできなかった。

 

 

ブライト「と、とにかく、あとは大気圏を突破するのみだ。皆、ホワイトベースへ戻ってくれ。ついでに、彼等も」

 

ジョルジュ「おっと、私と」

 

サイ・サイシー「おいらは他にやることがあるんだ」

 

ジョルジュ「ではこれで」

 

ブライト「あ、はい」

 

 

 残ったシャッフル同盟をふくめ、周囲に居た機体を回収する。

 

 

ブライト「これで……」

 

セイラ「アムロ!? いけない。アムロがまだ戻っていないわ!」

 

甲児「なんだって!?」

 

セイラ「あそこに!」

 

 

 ホワイトベースからはるか遠くにいるガンダムの姿があった。

 

 

ミライ「ダメです。回収間に合いません!」

 

ブライト「なんてことだ。もう少し、艦のコースを変えられないのか!?」

 

ミライ「やれるだけは、やってるわ! でも、これ以上は無理よ」

 

ブライト「くっ、このままでは……」

 

???「なら、俺が行こう!」

 

 

 ブリッジの画面にノイズが走る。

 

 大気圏に入り、通信などがまったくできなくなったのだ。

 当然外の様子もわからない。

 

 ガンダムが、アムロがどうなったのか。それは地球に降りるまでホワイトベースでは知ることができない状態となった。

 

 

ブライト「無事でいてくれるといいが…」

 

フラウ「ああ、アムロ……!」

 

セイラ「映像、回復します!」

 

 

 パカラッパカラッパカラッパカラッ。

 

 

 なぜかそんな馬の蹄が響く音が、聞こえた気がした。

 

 回復した映像を見たブライトがまたあんぐりと口を開ける。

 通信士のセイラも目をむいて驚いている。

 

 慣れていると思っていたはずの甲児も、ボスも、みんな画面に釘付けだ。

 

 

 そこには、風雲再起に跨ったゴッドガンダムの姿があった。

 

 パカラッパカラッと空を駆けていた。

 

 

 そしてモビルホースに跨るゴッドガンダムの後ろ。そこに同じように跨るガンダムの姿もあった……

 

 

ブライト「……」

 

セイラ「……」

 

ミライ「……」

 

フラウ「……」

 

カイ「……」

 

ハヤト「……」

 

甲児「さすがにこれは、俺等でも予想外の光景だな……」

 

統夜「相変わらず、常識では測りきれない人達だよ、ホントに……」

 

 

 二人は苦笑するしかできなかった。

 

 単機で大気圏突入可能なグランディードで統夜がむかおうとしたあの時、それより早くドモンが飛び出しアムロを救いに行ったのだ。

 

 モビルファイターなら大丈夫とは思っていたが、まさか馬であんなことができるなんて想像もしていなかった。

 

 

 声に出してないドモン達を知る仲間さえ唖然としている。

 

 ガンダムファイターに免疫のある甲児達ですらちょっと唖然とするのだから、免疫のないホワイトベースクルーはさらにだろう。

 

 

 なんであれで飛べるんだろう。

 

 誰もが思ったが、それを答えてくれる人はこの場にいなかった……

 

 

ブライト「なぜだろうな。アムロが無事で嬉しいはずなのに、素直に喜べないのは……」

 

ミライ「奇遇ね。ブライト。私もよ」

 

セイラ「私も……」

 

カイ「俺も」

 

 

 この瞬間、ホワイトベースクルーの絆がいっそう強くなった。

 

 なんとなくそんな気がした。

 

 

 ともかく、ガンダムは損傷もなく無事地上へ降り立ったのだった!

 

 

 第3話 終わり



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第04話 ホワイトベースルート

 

──地球 ヨーロッパ方面──

 

 

 地上に降り立ったホワイトベース。落下角度の違いからミネルバとは離れ離れになったが、ユニウスセブンの粉砕は成功し、地球への被害をほぼゼロにおさえることに成功した。

 

 無事を喜び合う統夜達であったが、喜びを噛み締めている暇はなかった。

 

 それはジオンが地球連合に宣戦布告を行ったということだけでなく、ジオン軍が落下するユニウスセブンの欠片に紛れ、いくつもの部隊を降下させそのまま連合と戦闘に入ったことを知ったからだ。

 

 これは、ユニウスセブンが破壊されることもジオンは計算に入れていた可能性さえある行動だった。

 

 

 さらに、バームとの会談は双方の大使が殺されたという最悪の事態になっており、バーム星人まで地球侵略に乗り出しているということも報告された。

 

 

統夜(剛博士が心配していた通りになってしまった。さぞ肩を落としていることだろうな……)

 

 

 ちなみにだが、剛博士とボルテスVはミネルバの方にいっている。

 

 

 地球、ジオン、バーム。

 三つ巴の戦い。

 

 世界は再び、争いの世界へと逆戻りしてしまったのである。

 

 

統夜「……肩を落としてもはじまらない。俺達にできることをやろう」

 

甲児「そうだな。そうやって前のだってなんとかしてきたんだ」

 

 

 肩を落とす皆を激励する。

 

 

ブライト「今後の方針が決まった。我々は日本へむかい、君達が所属するGGGと合流することになりそうだ」

 

統夜「そうなんですか?」

 

ブライト「ああ。元々ガンダムが作られた目的は宇宙の脅威から地球を守るためだ。目的を同じくするのだから、今は軍も民間も関係なく力をあわせるというのが上の方針のようだ」

 

甲児「前の分艦隊と同じってことか」

 

ブライト「前のことはわからないが、きっとそうなのだろう。新しい独立部隊が設立されるようなことを言っていた」

 

統夜「なら、これからも一緒ですね。よろしくお願いします」

 

ブライト「ああ。こちらこそ頼む。君達がいてくれなければ、艦内の空気も悪いままだったろうからな……」

 

 

 やれやれと、ため息をついた。

 

 サイドセブンで正規の軍人が多く行方不明となり、臨時で艦長となったブライトもまだ19歳。たった一人で艦をまとめるにはつらいものがあった。

 そこにかつての争乱を生き抜いた統夜、甲児達がいてくれるというのは大きな助けとなったことだろう。

 

 

 ひとまずの目的地は日本。

 

 日本を目指し、ホワイトベースは動き出した。

 

 

──アムロ脱走──

 

 

 先も言ったとおり、統夜達が乗っていることによってホワイトベースに余裕がある(物資の方も戦争開始したばかりの状態なのでこちらにも余裕がある)

 

 さらに落下のさなかドモン達ガンダムファイターも加わり、戦力的に十分な余裕が出た。

 

 となれば、出るのはパイロット問題である。

 足りない。ではなく、十分に足りている。という。

 

 統夜達や甲児はすでに戦う覚悟は固まっているが、そんな覚悟なくまきこまれた少年が一人いる。

 

 もちろん、乗って戦ってくれた方がホワイトベースが助かるのは間違いない。

 

 その少年。アムロは前争乱を生き抜いた者達からも、才能があると認められているほどなのだから。

 

 だからといって、乗ることは強制できないし、アムロ本人も乗りたくて乗っているわけではない。

 

 となれば。

 

 

ブライト「アムロをガンダムから降ろそう」

 

 

 こう、ブライトの口から漏れるのも無理もないことだろう。

 

 それは、民間人であるアムロを気遣って出た言葉。

 しかし、ユニウスセブン破砕を成功させ、戦友にも認められやる気を出しはじめたアムロにとって、それは自分はいらないと言われているに等しい言葉だった。

 

 それを偶然耳にしてしまったアムロはショックを受ける。

 

 

 ちょっと前までは乗りたくないと言っていたのに、いざ乗るなと言われると思わず反発してしまう。

 

 これも若さのなせるワザだろうか。

 

 結果、アムロはガンダムに乗りホワイトベースを脱走してしまうのだった。

 

 

 

 脱走したアムロ。

 

 彼はガンダムを森に隠し、寂れた村の食堂にいた。

 人間どう頑張っても食事なしには生きてはいけない。自分で狩りなどもできないならば、こういうところに来る他なかった。

 

 それは、ジオンの軍人も同じ。

 

 アムロがカウンターに座ったのと同じくして、10を超える人数の一団が食堂へ入ってきたのだ。

 

 

アムロ(あれはジオンの……!)

 

 

 隠しているが、何度かジオンと戦った経験のあるアムロは彼等が何者なのか気づいた。

 

 食堂へ入ってきたのは地球へ降下してきたランバ・ラル隊。

 

 

 作戦のため近くにベースを作ったが、アムロと同じように腹を満たすためこの食堂へやってきたのである。

 

 略奪などを考えなかったのは、ここで騒ぎを大きくすれば連合に補足される可能性があるからだ。

 何事もなく食事をして帰れば、わざわざ通報などされないという考えからだった。

 

 

ラル「おやじ、まずはうまい水をくれ! みんな、座れ座れ! なにを食ってもいいぞ!」

 

ハモン「マスター、できるものを13人分ね」

 

ラル「ん? 一人分多いぞ、ハモン?」

 

ハモン「あの少年にも」

 

アムロ「……!」

 

ラル「フフッ。あんな子が欲しいのか?」

 

ハモン「まさか」

 

アムロ「……あの、なんというか、ご好意は嬉しいんですけど、僕にはいただけません」

 

ハモン「なぜ?」

 

アムロ「あなた方に物を恵んでもらう理由がありませんので」

 

ラル「はっはっは! ハモン、一本とられたな」

 

ハモン「君のことを、私が気に入ったからなんだけど、理由にならないかしら?」

 

アムロ「……」

 

ラル「小僧、ハモンに気に入られるなぞよほどのことだぞ?」

 

ジオン兵「まったくだ。遠慮したならバチが当たるぜ。あやかりたいくらいだよ、ぼうず」

 

アムロ「それでもです」

 

ラル「気に入ったぞ小僧! それだけはっきり物を言うとはな。ハモンだけのおごりじゃない。ワシからもおごらせてもらうよ。なら、食っていけるだろう?」

 

アムロ「……」

 

 

 ずずぅん!

 

 アムロがなにか発しようとした瞬間、地面が揺れた。

 

 ずんっ。ずんっ。

 

 

ジオン兵「う、うわぁ!? なんですかこりゃ!?」

 

ラル「地球の地震というやつか? いや、違うな」

 

 

 地震ではない。まるでなにかが歩いているかのような地響き。

 

 さらに木々がめきめきと倒れる音や、巨大ななにかがうごめく音が聞こえてきた。

 

 

ジオン兵「な、なんだありゃぁ!?」

 

 

 窓の近くに居たジオン兵が叫んだ。

 

 外を見ると、村の外に巨大な機械の獣がいた。

 

 大木よりはるかに大きなそれは、まるでなにかを探すように木々をなぎ倒し、岩を持ち上げながら村の方へとむかってきている。

 

 

ラル「あれは確か、かつて地球で暴れていた機械獣という戦闘機械だったか? すでに滅びたと聞いたが、なぜこんなところに……」

 

 

 ランバ・ラルが驚くジオン兵に説明する。

 

 

ジオン兵「雷よりも恐ろしい」

 

ジオン兵「地球、怖い……」

 

 

 巨大な機械の獣は大地を蹂躙しながらこの村へとむかってきている。

 このままくるなら、村は無事ではすまないだろう。

 

 

ラル「これはいかんな」

 

ハモン「いかがいたします?」

 

ラル「そうさな。ここで戦う理由はない。一度ベースへ戻るぞ」

 

アムロ「この村を見殺しにするっていうんですか!?」

 

ラル「ワシ等ではどうにもできん」

 

アムロ「できるはずです。だって……っ!」

 

 

 アムロは言いかけてはっとした。

 

 刹那、ランバ・ラル達の顔色が変わったのを感じたからだ。

 

 

ラル「ほう。ワシ等が奴と戦える力がある。つまり、なんらかのロボットを持つと気づいておったか」

 

ジオン兵「どうします?」

 

アムロ「……」

 

ラル「フフッ。いい目をしている。それに度胸もいい。ますます気に入ったよ。だが、我等が出るわけにはいかん。むしろ、君の知るところへ連絡した方がいいのではないかね?」

 

アムロ「……っ!」

 

 

 確かにその通りだ。

 

 正体を隠しここに食事に来たのも、連合に補足されないためである。

 ここでわざわざ戦っては、それも台無しになる。

 

 彼等の目的は地球の平和を守ることではないのだから。

 

 むしろ地球の戦力を減らせる良い機会でしかなかった。

 

 それでも君の知るところと言ったのは、アムロの背後を察したラルの優しさと言っていい。

 

 

アムロ「それならっ!」

 

ジオン兵「お、おい、小僧!」

 

アムロ「あんたらなんかに頼らなくたって!」

 

 

 アムロは走った。

 隠してあるガンダムのもとに!

 

 起動し、暴れまわる機械の獣。正しくは戦闘獣に戦いを挑んだ。

 

 

 ベースに戻ったランバ・ラル隊。

 

 そこから、戦うガンダムの姿が見えた。

 

 

ハモン「あれ、まさか……」

 

ラル「そういうことか……。少年が一人でいるとは不思議だったが、これで納得がいった。時代が変わったようだな。あの少年がパイロットとはな」

 

 

 さすがのランバ・ラルも、居た少年がパイロットであったのは想定外であった。

 

 ふむ。と少し考え、ランバ・ラルは準備してあったグフへ乗りこんだ。

 

 

ハモン「出られるのですか?」

 

ラル「うむ。よく考えてみて、地球で戦うのならば、いずれアレも我々の前に立ちふさがるということだ。ならば、アレも制さねば地球を制することは叶わぬ。ならば、今のうちにデータを得ていた方が後々のためになるとは思わんか?」

 

ハモン「ふふっ、そうかもしれませんね」

 

ラル「それに、ワシの予測が正しければ、あの坊やには生きていてもらわねば困る」

 

ハモン「それは、どういう……?」

 

ラル「戻ってきたのち説明しよう。坊やに援軍が来るまで時間を稼ぐ。ベースを引き払う準備をしておけ! クランプ、お前は追跡の準備を!」

 

クランプ「はっ!」

 

 

 ランバ・ラルは一人別の指令を出し、グフを立ち上げた。

 

 

アムロ「あれは、ジオンの新型!?」

 

ラル「さっきの坊や、乗っているのだろう!? 名は!?」

 

アムロ「あなたは! ……アムロ。アムロ・レイです」

 

ラル「ワシの名はランバ・ラル! 今日のところは協力しよう!」

 

 

 ランバ・ラルの乗るグフと共に、アムロはさらに現われた戦闘獣と戦いを再開する。

 

 

 アムロとラルが戦闘獣を相手に大立ち回りをして少し。

 

 アムロを探しに出ていた甲児と統夜が到着する。

 

 

統夜「アムロ!」

 

甲児「無事か!?」

 

アムロ「甲児さん、統夜さん!」

 

甲児「ったく、バカ野郎が。乗りたいなら素直に乗りたいって主張すりゃいいんだよ!」

 

アムロ「す、すみません……」

 

 

ラル「ふむ。どうやらここいらが潮時のようだな。少年よ、さらばだ」

 

アムロ「っ!」

 

ラル「その強さ、見事だ。だが、それは、そのモビルスーツの性能のおかげだということを忘れるな! 次、戦場で会ったならばこうはいかんぞ!」

 

 

 ランバ・ラルの乗るグフは撤退してゆく。

 

 

統夜「あれは……」

 

甲児「今はあっちにかまっている場合じゃねえ。なんでこんなところに戦闘獣がいるんだ!?」

 

アムロ「理由を探るのはあとです! このままじゃあの村が!」

 

甲児「ああ、そうだな!」

 

統夜「いくぞ!」

 

 

 しばらくするとホワイトベースも駆けつけ、隊を持って戦闘獣を殲滅するのに成功する。

 

 もちろん戻ったアムロは、独房へ入れられることになったそうな。

 

 

 もっともブライトは反省をうながし、規律を守るためであり、あまり長く入れるつもりはないようだが(村を守ったことも考慮して)

 

 

 独房に入れられたアムロ。

 

 そして、思い出す。

 

 

ラル『その強さ、見事だ。だが、それは、そのモビルスーツの性能のおかげだということを忘れるな!』

 

アムロ「僕は、あの人に……勝ちたい!」

 

 

 

ラル「さて、クランプは無事あの艦を追っているか?」

 

ハモン「ええ」

 

ラル「ならば、目標を変える。地上の基地ではなく、次の獲物はあの戦艦だ。ユニウスセブンを破壊せしめたその片割れ。思わぬ大物がかかったな。相手にとって不足はない!」

 

ジオン兵「そのために、あの小僧を生かしておいたってわけですかい。さすが大尉!」

 

 

──ランバ・ラル襲撃!──

 

 

 変わらずホワイトベースは進む。

 

 

 アムロが謹慎ということで、セイラもモビルスーツに乗ることを希望した。

 

 表向きはアムロが謹慎で開いたガンダムにという理由だが、実はセイラ、ジオンに兄がいるかもしれないと思い、ジオン兵に話を聞くためモビルスーツに乗ることを望んだのだ。

 

 セイラの兄が誰なのか。というのは多分みんな知ってるだろうからあえて説明はしない。

 

 

 順調に進むかと思われた中、ホワイトベースの後をつけていたランバ・ラル隊が襲撃を仕掛けてきた。

 

 

 アムロも独房から出され、空いているモビルスーツに乗り、出撃する。

 ※乗換えをしていない場合セイラはガンダムに乗っている。

 

 

 セイラとランバ・ラルが戦闘すると会話が発生。

 これにより、ランバ・ラル生存フラグ1が立つ。

 

 

 セイラがガンダムに乗っている場合

 

 

ラル「貴様、先の少年ではないな!」

 

 

 ランバ・ラルはパイロットの違いを即座に見抜いた。

 先日共に戦闘獣をなぎ倒したあの時とまるで動きが違ったからだ。

 

 接触通信を図る。

 

 

ラル「一体、誰が乗っている!」

 

セイラ「う、ううっ!」

 

ラル「なに、女!?」

 

セイラ「こ、この声。まさか、ランバ・ラルですか?」

 

ラル「お、おお。なんと、もしやあなたは、アルテイシア様か!? そうです。私にございます! あなたの父上、ジオン・ダイクンと革命に参加したジンバ・ラルの息子、ランバ・ラルです!」

 

セイラ「やはり……あっ、ならば、アルテイシアと知って、なぜ銃をむけるか!」

 

ラル「はっ……! いや、しかし……」

 

 

 ランバ・ラルは慌てて距離をとる。

 

 

ラル(なぜアルテイシア様がこんなところに……!)

 

 

 まさか偶然ホワイトベースに乗りこんでいたとは、さすがの彼も思い至らなかった。

 

 

 ちなみに戦艦に戻ればガンダムをセイラからアムロに乗り換えさせることも可能である。

 

 この会話後、ラルを撃墜せず撤退に追いこむことができればさらに生存フラグ2が成立する。

 これでのちにジャブローにラルが現われ、さらに撃墜せず撤退させると後半アバオアクーにてアルテイシア派と共に登場し、仲間になるのでラルの乗るグフのHPには注意しよう。

 

 アムロにてかげんを使わせてあの会話イベントを発生させながら撤退させるのが、間違いの少ない方法だろうか。

 

 

 ガンダム以外に乗っていた場合。

 

 

ラル(接触回線!?)

 

セイラ「一つたずねたいことがあります!」

 

ラル「戦闘中にのんきな……っ! この声、アルテイシア様か!?」

 

セイラ「っ!? ラル。ランバ・ラルですか!?」

 

 

 以下展開は同じ。

 

 

 ランバ・ラル隊の襲撃を退け、ホワイトベースは日本にむけ進むこととなる。

 

 戦闘中、一機のザクが鹵獲され、そのパイロットからセイラは兄がジオンにいて無事であることを確信するのだった……

 

 

──復活の東方不敗──

 

 

 日本にむけ、ホワイトベースはさらに進む。

 

 すると、元マスターアジアの愛馬で、現ドモン・カッシュと共にあり、アムロとガンダムを救った立役者の風雲再起がいきなり外を目指した。

 

 ホワイトベースからぴょーんと飛び出し、モビルホースに乗ってどこかへ飛んでいってしまう。

 

 あまりのことに一同、目が点になるが、慌てて追うことになった。

 

 

 行った先では、また戦闘獣があたりを破壊している姿があった。

 

 人気のない山の中。まるでなにかをあぶりだそうとしているかのようだ。

 

 

 戦闘獣に攻撃を仕掛ける風雲再起。

 

 さすがに見逃すわけにはいかないと、ホワイトベースからも各機出撃することとなった。

 

 

甲児「一体なにが目的なんだこいつらは!」

 

 

 甲児が叫ぶが、もちろん答えは返ってこない。

 

 戦闘が続く中、森の中からさらに戦闘獣が現われる。

 

 

 さらに、その森の中からマントをかぶった人影が出てきた。

 

 どうやら戦闘獣が探していたのはこの人影らしい。

 

 

 戦闘獣がその人を捕まえようと手を伸ばす。

 

 

 誰もが危ないと思ったが、その人影はその手を軽々とかわし、それどころか腕から駆け上がって頭に蹴りをはなち、吹き飛ばしてしまう。

 

 人間のパワーではない。

 

 衝撃ではだけるマント。

 

 

 なんとその正体は、死んだはずのマスターアジア。東方不敗だったのだ!!

 

 

ドモン「師匠!?」

 

東方不敗「まさかこの地で貴様等とあいまみえようとはな。ならば、これも一つの縁か。よし、ドモンよ! しばし力を貸せい! こやつらを始末次第、貴様の疑問に答えてくれる!」

 

ドモン「わ、わかりました!」

 

 

 有無を言わさず断言し、東方不敗は反撃に転じた。

 

 生身のまま、機械獣を撃破する。

 

 

ブライト「ま、また非常識なのが出た……」

 

 

 前より免疫がついたためか、唖然とはしなくなったブライトだった。

 

 

 戦闘獣をすべて倒し、戦闘は終わる。

 

 

ドモン「師匠、あなたはなぜ!」

 

 

 戦闘も終わり、ドモンが目の前にいる東方不敗へ詰め寄った。

 

 みんな知っている。

 確かにあの時、マスターアジア、東方不敗はドモンの腕の中で息を引き取った。

 

 それは、統夜達も見ていたのだから間違いない。

 

 東方不敗は、大きくうなずく。

 

 

東方不敗「ドモンよ、よく聞けい! ワシは貴様の知る東方不敗ではない! ワシはあのゴーゴン大公とかいう虎男に死の眠りより甦らせられた、怪物の一つよ!」

 

ドモン「な、なんと!」

 

甲児「ゴーゴン大公だって!? あいつ、生きてたのか!?」

 

 

 前大戦時、ゴーゴン大公とは直接戦っていない。暗黒大将軍が倒されたあと、その運命を共にするようなことを口にしていたようだが、どうやら死にぞこなっていたようだ。

 

 

東方不敗「我が身はもはやあの戦闘獣と同じ。ワシの身のうちがどうなっているのか。考えただけでもハラワタが煮えくり返るわ!」

 

 

 東方不敗の言葉がまことならば、今彼の体は小型の戦闘獣と言っても過言ではない。

 

 ミケーネの戦闘獣とは、古代ミケーネ人の生き残りが地下で生活するためその体を改造した姿である。

 広域に言えば、巨大なサイボーグといえる代物だ。

 

 

ブライト(ああ、それならあれだけ強くても納得だ……)

 

東方不敗「ここであったのもなにかの縁。さあ、ドモンよ、ワシを粉々に破壊するのだ! 貴様等ならば、この忌まわしきワシの体も破壊できよう!」

 

ドモン「なんですって!?」

 

東方不敗「幸い脳改造をされる前に脱出はできたが、ワシの体にどのような仕掛けが施されているか、それはワシにもわからん。奴等から逃げていたのも、捕まらぬためと、この体を破壊できる者を探していたのだからな!」

 

ドモン「っ!」

 

東方不敗「奴がなにを目的としてワシを甦らせたのかはわからぬ。奴の思惑に乗るくらいならば、ここで再び眠りにつく方がマシということじゃ! さあ、ドモン。この地球を守る使命を忘れたか!?」

 

ドモン「いいえ。破壊などできようがありません! 例えどのような形であろうと、目の前にいるあなたは間違いなく本物の東方不敗! 俺の師匠だ! それを、もう一度手にかけろと言うのですか!」

 

東方不敗「ワシの弟子だから言っておる! これは、貴様にしかできぬことだ!」

 

ドモン「……」

 

東方不敗「貴様の使命を、その拳に宿るキングオブハートの紋章の重さを忘れるでない!」

 

ドモン「……わかりました」

 

甲児「いいのかよ!?」

 

ドモン「先生。その命、私に預けてくださるのですね?」

 

東方不敗「うむ!」

 

ドモン「ならば、この場で先生を破壊するなどいたしません! なぜなら、万一なにかが起きたとしても、その思惑ごと打ち破ってみせるからです!」

 

 

 ドモンが拳を握り、そこに浮かぶ紋章を浮かび上がらせた。

 

 

東方不敗「くくっ。言ってくれるわ。よかろう。男に二言はない。貴様の戯言につきあうとしようか。この命、ドモン、貴様に預けた!」

 

ドモン「はいっ!」

 

東方不敗「ワシを甦らせたこと、いずれ奴等に後悔させてやろうぞ!」

 

 

 

 ※以下ランバ・ラルが生存している場合、追加

 

 一度敗れたランバ・ラルだったが、それでもホワイトベース隊を追っていた。

 多くの機体が破壊され、真正面からは勝てない。

 

 ゆえに、ある策を考えていたが……

 

 

ラル「……」

 

ジオン兵「どうします?」

 

ラル「このままの戦力では勝てぬ。ゆえに、ゲリラ屋の本領を。と言いたいところだが、見たか?」

 

ジオン兵「はい。生身であの機械獣破壊してましたね」

 

ラル「それに白兵戦。貴様はやれると言うか?」

 

ジオン兵「い、いえ……」

 

 

 ある策とは、ホワイトベースへの白兵戦だった。

 生身で乗りこみ、あの戦艦を占拠する。

 

 そのつもりであったが……

 

 このまま白兵戦を仕掛けていれば、こちらの全滅は必至。

 それをはっきりとわからせた戦闘であった。

 

 ラルはふむ。と考えをめぐらせる。

 

 

ラル「こちらも消耗が激しい。しばらく身を潜めるぞ!」

 

ジオン兵「はっ!」

 

 

 こうしてランバ・ラルの追撃も終わりを告げる。

 

 

 ……

 

 …………

 

 

 ……

 

 

 この後、無事日本に到着した統夜達は、サイボーグの専門家、ガオガイガーを設計した獅子王麗雄博士と、ずっと機械獣と戦い続けた弓博士に東方不敗の体を見せた。

 

 結果は、その体はやはり、小型の戦闘獣。簡単に言えばサイボーグにされていたとのことだった。

 

 

麗雄博士「ミケーネとは恐ろしいところだね。Gストーンもなく、それと似たような、意思をエネルギー源とする回路を生み出しているのだから。まるで、凱の体を見ているようだったよ」

 

弓教授「そうですね。確かに確かに良く似ている。もっとも、感情をエネルギーに変えるというのはモビルファイターも同じですから、彼等はそれを機械獣のパワーアップに応用したのかもしれません」

 

麗雄博士「確かにそうかもしれんのう。それなら頭の改造が最後だったのも納得がいく。サンプルが少なすぎてこれに関してはなんとも言えないのが現状じゃが、一つ言えるのは体内に怪しいものは見あたらなかったということかな」

 

弓教授「もっとも、この動力源となるモノは完全に解析できなかったから、ここになにかあれば別だがね」

 

東方不敗「かまわん。いざとなれば、ドモンがどうにかすると口にしたからな」

 

麗雄博士「それは頼もしい。ならば、あとは機体の方だ。かつての乗機、マスターガンダムのコピーでよければ用意できるが?」

 

東方不敗「ふっ。この身のまま戦うこともやぶさかではないが、用意はしてもらうとしようか」

 

 

 こうして新たに、東方不敗が仲間となり、生身、マスターガンダムと自由に乗換えが可能となった!

 

 

ゴーゴン大公「……あの体、取り戻されたか。まあいい。予定が早まっただけ。いずれ、あの体が役に立つ時がこよう。それまでは、時が満ちるのを待つのみ。お待ち下さい。我等が主よ……!」

 

 

 第4話 ホワイトベースルート 終わり



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第04話 ミネルバルート

 

──混迷する世界──

 

 

 地球。大西洋ブラジル沖。

 

 どうにか海上に降り立ったミネルバ。侵入角度の違いから、ホワイトベースとは離れ離れになっていたが、ユニウスセブンの破砕に成功し、地球への被害をおさえることに成功したのは確信していた。

 

 ミネルバに戻れずそのまま大気圏に突入することとなったアスランとシンの二人も無事が確認され、ミネルバの艦橋へと戻ってくることに成功した。

 二人の無事を確認し、皆ユニウスセブン破砕を喜び合う。

 

 特にアスランの無事を確認したカガリなど、とびかからんばかりの勢いだった。

 

 ただ、その喜びも、長く噛み締めている暇はなかった。

 

 

 地上に展開していた連合軍に囲まれてしまったのだ。

 

 

 落下してくるユニウスセブンの欠片が地上に落ちようとした時、それを迎撃するため展開していた部隊だ。

 

 

 彼等はそのまま、ミネルバにむけ銃口を向けてきた。

 

 それはまるで、敵を見るかのような目であった。

 

 

 ミネルバ艦長タリアが所属を伝え、ユニウスセブン破砕の任務についていたと話す。

 

 

 しかし通信に出た連合士官は、「信じられない」と跳ね除けた。

 

 

 なんとジオンは、ユニウスセブンの欠片に紛れ、地上へ部隊を降下させ、そのまま制圧作戦を開始していたのだ。

 

 コロニー落としとしての作戦は失敗したようだが、大部隊を電撃的に攻めこませることには成功したようなのである。

 

 ゆえに、同じタイミングで降りてきたミネルバも、同じジオンの戦艦と思われ、連合に攻撃されてしまったのだ!(南米は現在連邦の司令部がある重要地帯であるから余計に)

 

 

シン「俺達はザフトであってジオンではないのに!」

 

レイ「彼等から見れば、どちらも区別はつかない。それとも、わざとやっているのか!?」

 

統夜「どうすれば!」

 

 

 仮にも味方。うかつに反撃はできなかった。

 

 

 カガリが自分の身分を明かし、停戦を求めたが、「危険な破砕についていく代表がどこにいる!」と笑われたしまった。

 

 

カガリ「太平洋なら。オーブのある太平洋側ならなんとかなったのに……!」

 

 

 防戦一方の状態。

 

 そこに、救いの主が現われた。

 

 

???「そこまでです!」

 

 

 現われたのはナデシコB。

 

 と、そのディストーションフィールドの上に立つガンダムファイターの二人であった。

 

 

ジョルジュ「彼等は敵ではありません! これを見てください!」

 

 

 戦闘を一時的にやめさせたジョルジュは通信を開かせ、しかるべき人物の判子がしっかりと押された命令書を見せつける。

 

 それは、ミネルバは敵ではなく、GGGの協力者であるゆえ手出し無用と記したものだった。

 

 連合の象徴ともいえる、かつて火星より単機で帰還した功績のあるナデシコ。その後継であるナデシコB。

 

 それはまかり間違ってもジオンやプラントに組する艦ではない。

 

 それと共に手を出すなという命令書を持ってきたのだ。

 

 

 それを見た連合士官はぐうの音も出ず、すごすごと撤退してゆくのだった。

 

 

 ナデシコBと合流する統夜達。

 

 

ジョルジュ「間に合ってよかった。危惧したことが現実になってしまいましたね」

 

 

 ジョルジュがユニウスセブン破砕の際、ホワイトベース側に行かなかった理由がこれである。

 

 ミネルバが地上に降りたあと、このような危険が考えられたため、こちらを追ってきたのである。

 同様にナデシコも、ユニウスセブンの欠片を砕いた後、ジョルジュとサイ・サイシーと合流し共に来たのだ。

 

 

カティア「ありがとう」

 

テニア「あれから一年もたってないのに大きくなったね」

 

ルリ「成長期ですから」

 

ガイ「おう、ひさしぶりだな統夜!」

 

統夜「ガイさん!」

 

 

 新たなナデシコクルー。リョーコ、サブロウタ、ハーリーが加わった。

 ナデシコBには元々火星の後継者と呼ばれるテロリスト討伐の任務があったが、それもふくめて、GGGへ合流することとなった。

 

 

ルリ「ただ、大変なのはこれからです……」

 

 

 連合との対決は避けられたが、さらなる悲報がナデシコよりもたらされた。

 

 それは、バーム会談の決裂。

 さらに、バーム軍の地球侵攻である。

 

 バーム、地球両方の平和大使が殺され、そのまま戦争状態へ突入してしまったのである。

 

 地球に攻めてきているのは、ジオンだけではなくなったのだ。

 

 皮肉な話だが、これもあって、こんなにスムーズに連合とプラントがGGGとまとまるという許可がおりたといってもいい。

 

 バームと戦うのなら、プラントからも戦力を持ってこれた方がいいという理由で。

 

 

シン「連合にもそんな考えのできる人がいるんだな」

 

ルリ「今の地球連合のトップ、レビル将軍は柔軟な対応がとれる人ですから」

 

 

 レビル将軍は元ジオンの指導者、ジオン・ズム・ダイクンの唱えたニュータイプ論にさえ理解を示す男だ。

 

 利のためならば敵味方関係なく考えを受け入れることができる。

 主張でなく、実利をとれる指導者なのである。

 

 ブルーコスモスが台頭していたかつてなら、絶対にトップに立てなかった人材だろう。

 

 ジオンの一件で再びブルーコスモスの台頭が予測される中、その対抗としてGGGに力を集める。というのも当然の結果といえる。

 

 

剛博士「なんてことだ……」

 

健一「父さん……」

 

剛博士「嫌な予感が当たってしまった。竜崎博士。彼も亡くなってしまったのか……」

 

 

 状況はまだ詳しくはわからないが、バームのリオン大元帥が毒殺され、その報復として地球の竜崎勇博士が殺されたとのことだった。

 

 そして、バームと地球の戦争がはじまった……

 

 

 合流したナデシコとミネルバは、GGGと合流するため、日本へむかう。

 

 途中、カガリをオーブで降ろし、アスランを正式にミネルバクルーとして参加させることとなって(一度ザフトに行ってFAITHになってセイバーガンダムを受領してくる)

 

 

 

 これは日本へ向かう途中のことだ。

 

 

 地球と宇宙の通信が全面回復した直後、プラントの議長であるデュランダルが声明を発表した。

 

 それは、プラントはジオンとは別で中立であり、さらに地球のGGGを支援すると発表したのだ。

 

 

デュランダル「我々プラントは、条約に基づきGGGに協力することを約束する!」

 

 

 元々V作戦と称されたプロジェクトは、宇宙からの脅威に対抗するため設立されたという経緯がある。

 デュランダルはその建前を最大限に利用し、地球とコロニー、プラントの協力は完全には壊れていないとアピールしたのだ。

 

 これにより下手にプラントを攻撃するなら、それは地球の脅威として地球内部を敵に回すということになる。

 

 ジオン、バームという明確な敵が居る中、他のプラントに攻撃を仕掛けるにはリスクがあると伝え、下手に攻撃をすれば、世論が許さないという状況にしたのだ。

 

 地球の敵はあくまでジオン、バーム。そうする流れを作ったのである。

 

 

 もちろんこうなるまで、プラント内は大きく荒れた。

 

 ジオンの宣戦布告はプラントの一つの大きな岐路だったと言えるだろう。

 

 ジオンに味方するか。

 それとも地球に味方するか。

 

 もちろん、地球に潜むブルーコスモスからすればコロニー、プラント全体が敵に回ってくれるのが望ましい。

 

 そうなるなりそうな流れを断ち切ったのはデュランダルだった。

 

 彼はいち早く反応し、議会へ戻り、各議員達の説得に当たったのだ。

 彼の説得も有り、プラントは中立を発し、GGGに協力するという立場で安全を買ったのである。

 

 これにより、GGGは地球を飛び出し、プラントも守りにいけるようになった。

 正確に言えば、守らなければならない。ともいうが。

 

 

 この会見により、この戦争はあくまでジオン公国一国が暴走したものであり、プラント全体の意思ではないということが世界に伝わったのである。

 

 

 

ロゴスメンバー「おのれデュランダル。小ざかしいことを。まさか地球を宇宙人から護るために作らせた組織が我等の障害となるとは!」

 

 

 デュランダルの会見を見たロゴスのメンバーは怒りで拳を握った。

 

 ジオンとバームというブルーコスモスが台頭するための格好の獲物が現われたついでにプラントも潰そうと考えていたのが、あの会見でほぼ白紙に返ってしまったからだ。

 

 

ジブリール「やれやれ。ですね。まあ、こういう時のためにあのガンダムをジオンに偽装して奪ったわけですけど」

 

 

 今の状況は絶妙なバランスで保たれていると言っても過言ではない。

 

 プラントが連合に攻撃されたり、連合がプラントに攻撃されることがあれば、このような会見の言葉はあっさりと反故にされる程度のバランスだ。

 

 ゆえに、まだ慌てるような段階ではない。

 

 

ジブリール(とはいえ、厄介なのはあの議長だけではありませんがね。レビル将軍やミスマル提督、そしてイゴール長官。ブルーコスモスが再び勢力を伸ばせる状況になったとはいえ、それに対抗する勢力はけっこう多い)

 

 

 むしろ、前回の大戦においてブルーコスモスに組した面々の多くがジェネシスの照射で吹き飛んでしまったというのが大きい。

 さらに反ブルーコスモスだった陣営は権力を握った彼等に閑職へ飛ばされ、生き残った。

 

 ブルーコスモスが力を失い、軍が再編されればその閑職へ飛ばされた有能な軍人がその席に戻るのは必然。

 

 彼等はブルーコスモスのやり口を知っているから、GGGのような独立防衛機構を作っておくのも当然。

 

 さらには、正義の味方を称する傭兵集団なんてのも居る始末。

 

 ついでに言うと、前争乱末期、巨大な古代の宇宙船、オルファンの飛翔を目の当たりにしたというのも大きい。

 これにより、一般の者達にブルーコスモスの思想は浸透しにくくなってしまったからだ。

 

 むしろそれを見て考えの変わらない者達の方が、時代の流れについていけてないという可能性さえある……

 

 

ジブリール(つまりはやりにくいったらありゃしない。私達を誰だと思っているんです。世界を裏から牛耳ってきたロゴスなんですよ。なぜ私達がこんな窮屈な思いをしなくちゃいけない……!)

 

ジブリール「まあ、いいでしょう」

 

 

 その気になればいつでも逆転ができる。

 

 そのための準備を粛々と進めている段階だ。

 

 ジブリールは不適に笑い、また影の中へ消えてゆくのだった。

 

 

 

 ちなみにだが、先にデュランダルの真意を語ってしまえば、彼の目的は地球側の裏に潜むロゴスをいぶりだし、地球圏の信頼を得て己のディスティニープランを達成するためである。

 

 となれば、侵略者にしか見えないジオンと争いに舌なめずりしているロゴス達に利を与えるより、どちらとも対立しえるGGGについた方が後々有利に話が進むと考えたのだ。

 

 決して、世界の平和のためから出た行動ではないことを理解して欲しい。

 

 

──新たな勇者──

 

 

 日本に戻った統夜達。

 

 ミネルバに乗ってきたメンバーに元から居るGGGのメンバー(マジンガーチーム&コンバトラーチーム)を紹介し、さらに新しく増えた勇者ロボ、炎竜、氷竜、ボルフォッグ達と護を紹介された。

 

 護については、あの時(第1話)のぽに男を救ったあの緑の少年であることも伝えられる。

 所属としては、かなめと同じく正体を秘密にしての所属となっているようだ。

 

 さらに欧州の方へ落ちたホワイトベースも合流することが伝えられた。

 

 

 こうして、正式に地球を守る組織が発足したのだった。

 

 

 自己紹介のついでに、ギャレオンとかを見て見物に来たガイが喜ぶ。

 

 

ガイ「博士、こいつを見てなにか感じないか?」

 

ウリバタケ「胸に虎をつけたりドリルと合体とかは無理だからな」

 

ガイ「なぜだー!」

 

テニア「顔はりりしくなったけど、中身はまったく変わってないや」

 

 

 やっと日本に戻ってきたのもつかの間。

 護によってもたらされた敵の名。ゾンダーの襲撃が起きる。

 

 しかも、Gアイランドシティの内と外、二ヶ所同時に。

 

 タンカーのゾンダーと、ガオガイガーの予備を奪ったゾンダーの二体が暴れだしたのだ。

 

 

 まずは外に現われたゾンダーの対処に走る統夜達。

 

 中はボルフォッグとアームスレイブを有する宗介達が対処に動く(サイズが小さいから基地内を自由に動ける)

 

 

シン「これが、本来俺達が戦うことを想定されていた敵!」

 

 

 ゾンダーと初対峙したミネルバ隊も、驚きは隠せない。

 

 

 タンカーのゾンダーは内部に多量の石油を持ち、下手に攻撃をすれば大爆発をする相手だった。

 

 それを避けるため、炎竜と氷竜が合体し、超竜神と化し、ハイパーツールイレイザーヘッドを使い、爆風を宇宙へと逃がす。

 

 

 これで、残りもう一体。

 

 それも、アーバレストに搭載されたAI、アルと隠密ロボボルフォッグの機転によりベイタワー内より外へ射出される。

 同じAI同士、気が合ったのかもしれない。的確なコンビネーションだったようだ。

 

 

 外へ出され、あとは倒すだけとなった。

 だが、コアを取り出すためすでに一度ヘル&ヘブンを放っているガオガイガー。

 

 もう一体を相手にそれを行うのは危険すぎた。

 

 

 そこに現われる、新たな勇者。ゴルディマーグ。

 

 

 彼により新たな必殺技、ハンマーヘル&ヘブンが決まり、二体のゾンダーは無事浄解されるのだった。

 

 

 戦いは、終わった。

 

 そしてほっと一息つくと、統夜は思わずこんなことを思ってしまった。

 

 

統夜(超竜神を見てると、あしゅら男爵を思い出すな)

 

鉄也(……あの姿を見るとやはり、あしゅら男爵を思い出してしまうな)

 

超竜神「どうしましたお二人。私になにか?」

 

鉄也「いや……」

 

統夜「なんでもないです」

 

統夜「……」

 

鉄也「……」

 

 

 二人の目があった。

 だが、なにも言わなかった。

 

 さすがに半分こ合体というだけで敵に似ているなんて思ったとは超竜神に失礼で、口にできるわけがなかった。

 

 

 ちなみに関係ないが、ボルフォッグとクルツは同じ透明になる護衛ということで気があったようだ。

 

 透明やカモフラージュをして行う護衛の苦労話で盛り上がったらしい。

 

 

マオ(盗撮とかしてなきゃいいけど)

 

 

 なんて思うマオ姐さんだった。

 

 事実がどうかは、皆さんの胸の中に。である。

 

 

──メルアと統夜──

 

 

 日本に戻ってしばらく。

 高校にて。

 

 

メルア「あ、統夜さーん!」

 

統夜「ん? どうした?」

 

メルア「はい。これどうぞ!」

 

 

 元気よく駆け寄ってきた統夜に、メルアがさしだしたのはクッキーだった。

 

 しかも、焼きたてである。

 

 

統夜「へえ。美味しそうだな」

 

メルア「はい。食べるばかりじゃなく、作ってみたんです!」

 

統夜「メルアの手作り?」

 

メルア「はい! これでもっとたくさん食べられますよ!」

 

統夜「自分で食べるために作ったのか。まあ、正しいか……って、これ本当にうまいな」

 

 

 一口食べた統夜が驚きの声を上げた。

 

 

統夜「これなら店で出してもいいくらいだぞ」

 

メルア「そうですか? そう言ってもらえると嬉しいです!」

 

統夜「ああ」

 

メルア「お菓子屋さんですかー。それも悪くありませんね。毎日甘いお菓子に囲まれて!」

 

統夜「はは。メルアらしいな」

 

メルア「その時は、統夜さんも一緒ですね!」

 

統夜「そうだな」

 

メルア「はい。約束ですよ! あ、テニアちゃーん!」

 

 

 クリームのように甘い香りを残し、メルアは見つけたテニアを追って去ってしまった。

 

 

統夜「……って、ん? 今のってどういう意味だ?」

 

 

 さっきの約束を思い返し、どういう意味か聞こうと思ったが、すでにメルアはそこにおらず、答えを聞くには至らなかった。

 

 統夜は首をひねるが、渡されたクッキーを食べたらそんなことどうでもよくなってしまった。

 

 だって甘くて美味しかったから!

 

 

──宿命の出会いは戦火の中──

 

 

 日本には様々な研究所が密集している。

 

 有名どころをあげればマジンガーを有する光子力研究所。コン・バトラーVを作成した南原コネクション、ボルテスVのビックファルコン。さらに、Gストーンを研究するGGGだ。

 

 そして、ここ。ダイモビックも、ダイモライトと呼ばれる結晶を研究し、エネルギーとすることを目的とした研究所だ。

 少し前まで、このダイモライトを採集するため地球を留守にしていたが、バームの襲撃と前後して地球に戻ってきたのである。

 

 ダイモビックは惑星開発用巨大トレーラー・トランザーから変形するスーパーロボット、ダイモスを所有している。

 今、そのダイモスを、地球に戻った竜崎一矢が駆り、襲い来るバームの一団から身を守るため、出撃しているところだった。

 

 

和泉博士「一矢君、今GGGに救援要請を出した。じき彼等が助けに来てくれる。それまで耐えてくれ!」

 

 

 開発者の一人、和泉博士がダイモビックから状況を伝える。

 

 さらに親友の京四郎と幼馴染のナナもガルバーFXⅡに乗り援護に乗り出した。

 

 

リヒテル「地球人よ! 亡き父上、リオン大元帥の恨み、思い知れいっ!」

 

バルバス「やれ! 地球の虫けらどもを皆殺しにするのだ!」

 

ライザ「その通りです。バーム星10億の民のためにも!」

 

 

 バーム地球侵略の総司令。リヒテルと将軍バルバスの命により、攻撃がはじまった。

 

 

 リヒテルと一矢の戦闘で会話発生。

 

 

一矢「父さんを殺したのは貴様か!?」

 

リヒテル「父だと? 貴様は何者だ!?」

 

一矢「俺の名は竜崎一矢! 貴様が殺した竜崎勇の息子だ!」

 

リヒテル「黙れ! 余の父は貴様達地球人の計略で殺されたのだ!」

 

一矢「あの父さんが暗殺なんて真似をするはずがない! 父さんは誰よりも平和を愛していた!」

 

リヒテル「問答無用! 卑怯者の息子よ! 余の手で父の後を追わせてやるわ!」

 

 

 当初、多勢に無勢であったが、統夜達GGGの面々が到着し、その不利も失われた。

 

 地球側の反撃に劣勢を感じたリヒテル達は、撤退してゆく。

 

 

一矢「ん?」

 

京四郎「どうした、一矢?」

 

一矢「あそこに、人が倒れている」

 

京四郎「なんだって!?」

 

 

 倒れた人を救助しに行くダイモス。

 

 

京四郎「あそこの避難は既に完了していたはずだ。いったいどこから入ってきたんだ……?」

 

 

 倒れているという人影に、疑惑の目をむける京四郎であった。

 

 

一矢「あれは、女の子!? 君、しっかりするんだ!」

 

???「うう……だ、誰……?」

 

一矢「怖がらなくていい。もう大丈夫だよ。逃げ遅れたのか? 君、名前は?」

 

エリカ「え? エリカ……?」

 

一矢「エリカ。美しい名前だ。ああ、俺は竜崎一矢っていうんだ」

 

 

 こうして二人は出会った。

 

 それは、運命の出会いだったと言っていいだろう。

 

 

 ダイモスのパイロット竜崎一矢は、戦場に倒れていた美しい女性、エリカに一目で恋に落ちた。

 

 

 同様に彼女。

 助け出され、エリカという名前しか覚えていなかった彼女も、同様に一矢に惹かれてしまった。

 

 

 そのことが、二人を苦しめることになるとは知らずに……

 

 

──海底城 司令室──

 

 

リヒテル「なんだと!? もう一度もうしてみよ!」

 

バルバス「はっ。エリカ様が、先の戦闘の折、行方不明に……!」

 

リヒテル「なんとっ!」

 

バルバス「負傷兵の看護にあたっていたようですが、おそらく戦闘にまきこまれたようで……」

 

リヒテル「うぬぬっ。探し出せいっ! エリカめ。あれほど言ったのに、兄である余を困らせおって……!」

 

 

 第4話 ミネルバルート 終わり



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第05話 第13独立部隊発足!

 

──友情のファニーアニマルズ──

 

 

 ついに合流したホワイトベースとミネルバ。そして、ナデシコ。

 

 連合とザフトとGGG。軍と民間で宇宙からの脅威を守る新たな独立組織、第13独立部隊が正式に発足されることになった。

 

 これにともない、GGGの本部があるGアイランドシティにて式典と証した祭りが行われることとなった。

 

 これは新たに顔合わせとなった者達のコミュニケーションをとるためであり、プラントからの協力者もいるGGGに対する連合内のわだかまりを解消しておくためのものでもあった。

 

 式典には屋台だけでなく、連合所属のASとの模擬戦やレースなどが用意され、盛大に行われることとなった。

 

 

 今まで休む暇もなく戦ってきた戦士達の、ほんのひと時の休息の日が訪れたのである。

 

 

 戦いずくめだったホワイトベースのクルー達も体と心を休められる今に癒しを感じ、先日助けられ、名前以外思い出せないエリカのため、一矢はその祭りに誘う(京四郎は怪しいと感じたままあとをつける)

 

 甲児や豹馬は開催されるレースに乗り気で、シンやアスランなども誘われていた。

 

 勇者ロボ達はマスコット的なあつかわれ方をし、一部のメンバーは残念ながら警備として裏方に回るしかなかった。

 

 一方、模擬戦を機に量産型ボン太君を世にアピールしようとしていた宗介だったが、肝心のボン太君が搬入ミスで届かないという事態に陥っていた。

 

 あるのは手違いで届いてしまった小型ASではない、普通のボン太君の着ぐるみ。

 

 これではデモンストレーションどころか模擬戦にさえ穴を開けてしまう。

 

 アピールできないのはいい。

 だが、基本真面目な彼にとって、プログラムに穴を開けてしまうのは大問題だった。

 

 一体どうすればいいのかと必死に頭をひねり、導き出した解決策は、これだった……っ!

 

 

──カティア──

 

 

 新しい部隊。第13独立部隊の発足式典。

 色々あった私達は、ひさしぶりの休息を楽しんでいた。

 

 

ロゼ=リア「お二人とも、そんなに食べ物を買って大丈夫なのですか?」

 

テニア「んっふっふー」

 

メルア「まだまだですよ!」

 

 

 両手いっぱいに屋台の食べ物やお菓子を持ったテニアとメルアを見て、ロゼ=リアが心配そうな声をあげる。

 確かにこれ以上二人共もてないわ。

 

 それでも新しい屋台があれば買いに走るのだから、当然の心配とも言えるわね。

 

 

テニア「大丈夫大丈夫。ロゼ、見てて。ここに、統夜を立たせます」

 

統夜「ん?」

 

テニア「そして、統夜に持たせます」

 

統夜「んんっ!?」

 

メルア「これで二倍持てます!」

 

 

 ぱぱーっと、二人は空になった手を大きくかかげる。

 

 

ロゼ=リア「な、なんて画期的な! では、わたくしも」

 

統夜「ちょっと待てー! いくらなんでも持てるか!」

 

テニア「さあ、行くよロゼ!」

 

メルア「おいていきますよ!」

 

ロゼ=リア「お待ちになってー!」

 

 

 三人で走っていった。

 屋台の方へ。

 

 

統夜「あいつら……」

 

 

 一人分増えた荷物を見て、統夜君ががっくりと肩を落とした。

 

 

カティア「相変わらずね」

 

統夜「ホントだよ」

 

 

 それでも渡されたものを放り出したりはしないのは、統夜君のいいところだと思うわ。

 

 ところで……

 

 

 私の手には、屋台で買ってきたアイス。

 片方には私の。もう片方には統夜君のがある。

 

 ……なんかこれ、前にもあった気がするわ(前作5話参照)

 

 

シャナ=ミア「両手がふさがってしまってますね」

 

カティア「ええ。だから、しかたないわ。はい、統夜君」

 

統夜「へ? え?」

 

カティア「早く食べないと溶けてしまうわ」

 

シャナ=ミア「そうですトウヤ。せっかくですから、私の方のも」

 

統夜「シャナ=ミアの方俺のじゃないと思うんだけど!」

 

カティア「いいからいいから」

 

シャナ=ミア「そうですそうです。はい、あーん」

 

 

 昔は恥ずかしいと思ったけれど、今は役得と思っておきましょう。

 

 困惑する統夜君を見ながら、私とシャナ=ミアさんはくすりと笑いあうのだった。

 

 

サイ・サイシー「にーちゃん達またやってるぜ」

 

ジョルジュ「ほほえましいことです」

 

 

 そうこうしていると、会場を歩いていたシャッフル同盟の皆さんと合流することになったわ。

 

 

────

 

 

 会場内。

 

 

レイン「ドモン!」

 

ドモン「おお、レイン。お前も来たか」

 

レイン「ええ。これからGGGの医療スタッフとして働くことになるわ」

 

ドモン「ならちょうどいい。ゴッドガンダムの左手の反応が鈍い。それも見ておいてくれ」(レインはメカニックもできる)

 

レイン「あ、ちょっと。もう! 待ちなさい!」

 

カティア「行ってしまったわ」

 

メルア「行っちゃいましたね」

 

テニア「そういえば、あの二人ってなにか進展あったの?」

 

ジョルジュ「ありませんよ」

 

サイ・サイシー「相変わらずだよ」

 

アルゴ「あるわけがない」

 

チボデー「聞いてやるなよ」

 

東方不敗「……未熟者めが」

 

 

 女の子達はそれを見て、苦笑するしかできなかった。

 

 

 かつての争乱の時、デビルジェネシスに捕らわれ、コアにされたのがフレイであったため、二人の中が進展する決定的なきっかけは存在しなかった。

 ゆえに、ドモンとレインの関係はいまだ進展しないままなのだ。

 

 

シャナ=ミア「レインさんも苦労しますねえ……」

 

メルア「気持ち、わかります……」

 

カティア「うんうん」

 

統夜「どうしたんだ、みんな?」

 

ジョルジュ「やれやれ」

 

 

 ため息をついた女性陣に、残った者達は肩をすくめるしかなかった。

 ちなみにこのお話は、前作のノーマルエンドの続きからと考えるとよろしいだろう。

 

 

チボデー「どっちも苦労するみてーだな」

 

サイ・サイシー「アキトのにーちゃんみたいになにか大きなきっかけがなきゃダメかもな」

 

統夜「そういえば、アキトさん達が今どこにいるか、知ってます?」

 

アルゴ「……知っていることは知っている」

 

シャナ=ミア「では、アルヴァンも?」

 

ジョルジュ「ええ。ただ、詳しいことは言えませんよ」

 

 

 ジョルジュが、口に人差し指を当てた。

 

 

メルア「ルリちゃんも心配しているので、ちょっとくらいは知りたかったんですけど」

 

サイ・サイシー「それなら大丈夫。合流した時、『レシピ』を渡しておいたからさ」

 

メルア「なら、ひと安心ですね!」

 

 

 ちなみにレシピとは、暗号をふくんだ料理レシピのことである。

 

 シャッフル同盟もかかわった、あることの経過を説明するため、現在ナデシコBの艦長となったルリに手渡したものである。

 ジョルジュがミネルバ隊を救う野暮用があったように、サイサイシーも別の野望用がありナデシコによったのだ。

 

 

ロゼ=リア「また、アキト・サン。なにがあったのか気になりますわねぇ」

 

テニア「そういえば、説明まだだったっけ。実はね……」

 

 

 小声で説明しようとしたその時……!

 

 

???「ここにいたのか……!」

 

統夜「相良軍曹?」

 

宗介「緊急事態だ」

 

 

 ……話が中断させられてしまうのはお約束。

 

 

 

 ……

 

 …………

 

 ………………

 

 

 ……

 

 

 

 模擬戦がはじまった。

 

 

 練馬レッドドラゴン。日本に所属するAS(アームスレイブ)部隊で、模擬戦では負け知らずの実力者達だ。

 

 今回の相手は着ぐるみ型をした小型AS。

 

 隊長機1と量産型と思しき同じ形の着ぐるみが5。

 

 最初なめているのかと思ったが、彼等はすぐその認識が甘かったと思い知らされた。

 

 

 小型とは思えぬ速度。

 小型とは思えぬパワー。

 

 あと、なんか手から出る。

 

 空も駆ける。

 

 

 ASとはとても思えないとんでもないのが相手だった。

 

 

 なにも知らない観客からは、「すごーい」と歓声が上がっている。

 

 しかし、その違和感に気づいた者は少なからずいた。

 

 

 千鳥かなめも、その若干名の一人だ。

 

 

かなめ「ねえ、あれ、ソースケが入ってるの以外の、普通の着ぐるみよね?」

 

メルア「イイエ。ありませんよ」(棒読み)

 

かなめ「絶対あるじゃない。ひょっとしてさ、中に入ってるのって……」

 

テニア「中身は知らない方がいいよ」

 

カティア「ええ。知ると後悔することになると思うわ」

 

かなめ「知るどころか可能性がある人極一部しかいないわよ! むしろ一人足りない方が気になる!」

 

 

 隊長機である相良宗介の駆るいつものボン太君以外の量産型という名の普通のボン太君は5体。

 

 かなめが目星をつけたシャッフル同盟は5人。でもそこに今は東方不敗もいるから、数として一つ足りない!

 

 

シャナ=ミア「量産型ボン太君は5つしかないそうです」

 

かなめ「あくまで量産型って言い張るのね。というか、むしろあの人達望んで入ったの? それともくじ引きとかで罰ゲーム的に入ったの? ノリノリなのか嫌々なのかとか色々気になるわ!」

 

統夜「ノーコメントで」

 

 

 なぜならボン太君に中の人などいないからだ!

 

 

 おまけで機体を乗っ取ったゾンダーとかが出てきて勇者ロボや警備組も出てくることになったりしたが、おおむね楽しいお祭りとなったのだった。

 

 

 ちなみにになるが、この祭りの時、一矢はエリカに一輪の花を贈っている。

 

 

──悪夢! 私の兄は地球の敵──

 

 

 戦力の集結を確認したバーム軍は、その戦力を危険とみなし、Gアイランドシティへ攻めてきた。

 

 地球攻撃軍提督のリヒテルは第13独立部隊を強敵と認め、攻撃前に最後通告を行うことを決める。

 

 旗艦よりGGG本部、ベイタワーの司令部や機体にむけ全方位の通信をはじめる。

 

 

リヒテル「余の名はリヒテル。我がバーム星地球攻撃軍総督の名の下に、最後通告を申し渡す!」

 

 

 その姿を見て、驚きを隠せない女性が一人。

 

 

エリカ「あぁっ……あれは……あの人は……」

 

リヒテル「愚かなる地球人どもよ、我がバーム星人には地球が必要である! 宇宙にさ迷える10億のバームの民に安住の地を与えるため、なんとしてでも地球を征服せねばならない!

 

エリカ(あの人を、あの人を私は知っている。思い出した。あの人は私の……! そして私は……!)

 

リヒテル「お前達とて犠牲と混乱は望むまい! 無駄な抵抗はやめ、我に降伏するのだ!」

 

エリカ(……あの人は、リヒテルは私の兄! そして私は、バーム星人!!)

 

 

 記憶が戻り、衝撃の事実を思い出してしまった。

 

 

エリカ(ああ、なんて運命の巡りあわせなの……私の愛した人は、私の兄の宿敵。一矢。私は、私は愛してはいけない人を愛してしまった!)

 

 

 地球側の返答はもちろん降伏にノーだ。

 

 となれば、バームと第13独立部隊の戦いは避けられない。

 

 

 一矢と兄。二人が戦わねばならない。

 

 そのようなことは耐えられぬと、彼女は走り出す。

 

 

 かなめ、護と非戦闘員のメンバーと避難していたシェルターから外へと飛び出してゆく!

 

 

 外に飛び出したエリカの姿を確認し、統夜達全員が驚いた。

 

 しかも、ただ、驚くだけではすまない。

 

 

 外に飛び出した彼女の背から翼が広がり、空へと飛んだのだから。

 

 それは、バーム星人の証。

 

 まるで天使のような翼を羽ばたかせ、彼女は空を舞う。

 

 

 地球とバーム。その間に立つように。

 

 

エリカ「兄上、おやめください! どうか、どうかその手を」

 

リヒテル「なにっ!? エリカ、無事だったか!」

 

バルバス「い、いかがいたしましょう?」

 

リヒテル「ライザ、エリカを連れて戻れ。攻撃はそれからだ!」

 

ライザ「ははっ。さあ、エリカ様……」

 

エリカ「兄上。いけません。お願いです。この争いを……」

 

リヒテル「くどい!」

 

 

 エリカはリヒテルのもう一人の側近、ライザの艦に回収され、そのまま連れ去られてしまった。

 

 

エリカ「ああ、一矢っ!」

 

一矢「そんな……エリカ。エリカアァァァァ!」

 

リヒテル「これで憂いもなくなった。行くぞ地球人!」

 

京四郎「なにをしている一矢、敵が来るぞ!」

 

 

 エリカが敵であった。

 

 その事実を知った一矢の戦意が大きく失われたのは言うまでもない。

 

 それでも戦力が整いはじめた第13独立部隊は強かった。

 

 

 襲い来るバーム軍から街を守り、現われた敵軍を撤退へと追いこんだ。

 

 

 戦いには勝利した。

 

 だが、とても勝利に沸くという状態ではなかった。

 

 

 ダイモスを降りた一矢は、事実にうちひしがれる。

 

 

一矢「エリカ……」

 

京四郎「だから言ったろう」

 

 

 彼はエリカが現われた時からその存在を怪しんでいた。

 

 忠告もしていたが、恋に盲目となった一矢は聞く耳を持たなかった。

 

 

レイン「でも、仕方がないと思うわ。エリカさんは完全に記憶喪失だった。夕月(京四郎のこと)君だって、状況から彼女を疑いはすれど、その正体は見破れなかったのでしょう?」

 

京四郎「……」

 

ナナ「エリカさん、お祭りの時記憶を取り戻すのが怖いって言ってた。きっと、この予感があったのよ……」

 

シャナ=ミア「一矢さん。あの方を、エリカさんを信じましょう」

 

一矢「信じる……?」

 

シャナ=ミア「はい。エリカさんに悪意がなかったことは彼女を見てみた私達が一番よく知っています。その上、記憶が戻ってもあのような行動をとったということは、エリカさんは地球とバームが戦うことを望んでいないということです」

 

一矢「っ!」

 

シャナ=ミア「地球とバームの争いをとめようとバームの司令官。彼女の兄に訴えていました。私は、エリカさんは敵ではないと思います!」

 

統夜「シャナ=ミア……」

 

シャナ=ミア「だから、手を伸ばしましょう。お二人はきっと、地球とバームを結ぶ架け橋となるに違いありません! だから、諦めてはいけないと思います!」

 

 

 二つの種族の共存。融和。

 

 かつてフューリーの長であった彼女は、それを諦めそうになった時があった。

 

 だが、そんな彼女を信じ、諦めるなと手を伸ばしてくれた人がいた。

 

 そうして信じてくれる人がいたから、彼女は諦めずにいられた。

 

 そして、二つの種族のわだかまりはとけ、今手をとりあえている。

 

 

 争いを止めようとした彼女と彼女を愛した一矢。この二人ならば、同じように手をとりあう象徴になれるかもしれない。

 

 彼女は、そう感じたのだ。

 

 

一矢「そう、か。確かにそうだ。俺は、エリカを諦めない。どんな障害が俺達の間にあろうとも、それを撃ち砕いて俺はエリカを取り戻す!」

 

 

 立ち直った一矢。

 新たな目的を胸に、彼は戦いはじめる。

 

 それは、父を殺された復讐ではない。父の目指したバームとの共存という未来にだ!

 

 

──海底城──

 

 

 バーム星地球攻撃軍の本拠地たる海底城へリヒテル達は戻ってきた。

 

 

リヒテル「許せん、生かしておけん。こともあろうに憎むべき地球人、父の仇である地球人を愛するなど!」

 

バルバス「リヒテル様、気をお静めください!」

 

リヒテル「ええぃ、はなせバルバス! わかっているのか、お前が愛した男は地球人なのだぞ。父を殺した地球人なのだ!」

 

エリカ「兄上は戦うことしか頭にありません。思い出してください。父上はは平和を求め、共存のため地球人にあいにいかれたのですよ!」

 

リヒテル「その父は誰に殺された! お前こそ思いだせ。父を毒殺したのはあの野蛮な地球人だ! お前はその憎しみを忘れてしまったのか!?」

 

エリカ「私達の方も、一矢のお父様をあの時殺してしまったわ。それに、父上は最後まで平和を望んでいらっしゃいました!」

 

リヒテル「だから地球人を許せというのか!?」

 

エリカ「そうです。兄上は憎しみのあまり、父上の望みを忘れてしまっています! どうか。今一度考えを……」

 

リヒテル「……っ! エリカを牢にとじこめておけ!」

 

エリカ「兄上!」

 

 

 連れてゆかれるエリカ。

 

 

ライザ「よろしいのですか?」

 

リヒテル「貴様はもう妹でもバーム星人でもない! もう余に妹などおらん。バーム星人のエリカは死んだ。死んだのだ!」

 

 

 一矢の目指す未来。それは、遠く険しい……

 

 

──復讐の刃──

 

 

 ※このシナリオは、すでに世界を救いロゼ=リアが退場していた場合デモのみでスキップされる。

 

 

 激化する戦い。

 

 少しでもその戦いを和らげるため、シャナ=ミアは月に住まう同胞に連絡をとり、いくばくかの力を、Gアイランドシティへ送ってもらった。

 かつての争乱でも使った準騎士用の機体ヴォルレント。これがあれば、グランティードとバシレウスに乗っても二人余るパイロットを遊ばせずにすむ。

 

 本音を言えば、さらに上位の機体を望みたいところだが、騎士の乗るラフトクランズは前争乱にてすべて破壊され、時間兵器ラースエイレムもすべて失われてしまっている。

 ちなみに前争乱最終盤、ウリバタケによって修復されたラフトクランズを覚えている方もいるかもしれないが、あれはやはり、無理に直したツギハギ。一度や二度の無茶ならともかく、幾度も繰り返される戦いに耐えられる強度はすでになかった。

 

 再建することも不可能ではないが、それにはかなりの年数が必要であるし、時間干渉器の兵器への転用は危険を極めるため、その再生は行われる予定はない。

 

 ゆえに、今グランティードを除けばフューリー側で最も性能の良い、ヴォルレントがこちらに送られてきたというわけなのである。

 

 

テニア「十分じゃないかな」

 

メルア「これでみんなで戦えますね」

 

カティア「それに、この機体の方が乗り慣れているし」

 

 

 なんだかんだあって、統夜を筆頭に、前争乱を最前線で戦い抜いた彼女達も、立派なエースパイロットである。

 彼女達より経験をつんだパイロットは、本当に数えるほどしかいないというのが現状だ。

 

 

シャナ=ミア(その彼女達がこれでいいというのですから、ひとまずはこれで満足いたしましょう。それに、今日本当に運んで欲しかったのはこれではありませんし……)

 

 

 実は、本当に手に入れたかったのは機体ではない。

 

 

シャナ=ミア「ステイシスベッドの搬入はとどこおりなく?」

 

フューリー技官「はい。いつでも稼動は可能です」

 

シャナ=ミア「よかった。これで、多くの人が諦めずにすみます」

 

 

 ステイシスベッド。

 

 それは、中に入った者の時を止め、そのままの状態で保存するという一種のタイムマシンのことだ。

 これがあれば、たとえ40億年の時が経とうと、入った時の状態をそのまま維持できる。

 

 ゆえにこれがあれば、不治の病で治療が不可能な状態であろうと、大怪我をして一分一秒の治療が必要な状態であろうと、患者の消耗を抑え、医療施設に生きたまま運ぶことも可能となるのである。

 

 場合によっては、治療の目処がつくまで、ここで眠っていてもらうということさえできる。

 

 激しくなる戦いにおいて、人員の被害を減らすというのは、補給と同じくとても重要なことだ。

 

 

 シャナ=ミアはさらに激しくなるだろう戦いを見越し、いくつかのベッドをこちらに運んできてもらったのである。

 

 

シャナミア「これで、少しは戦いの被害者が減るとよいのですが……」

 

 

 そう願うシャナミアであった。

 

 ちなみに、ロゼ=リアは色々他フューリーの民を混乱させるからと、この場には顔を出さないようにしている。

 

 

 そうしていると、突然搬入物資の中から、一つの機体が浮かび上がった。

 

 くるくると周囲を見渡すように回転しながら、Gアイランドシティの上空で停止する。

 

 

甲児「なんだ?」

 

ロゼ=リア「なんでしょう? フューリーの機体のようですが……」

 

 

???「シウン・トウヤ! いるなら出て来い!」

 

 

 その声は、その機体。クストウェル・ブラキウムから発せられた。

 

 

統夜「なんだいきなり!?」

 

???「出てこないならば、当たり一帯を無差別に攻撃する。今すぐ出て来い!」

 

統夜「っ!」

 

 

 どこかで見たような構図だが、今回はその意図は大きく違う。

 

 この言葉を発するパイロットは本気だ。

 すぐに出ないと本気で無差別に攻撃する。

 

 統夜は相手の本気を感じとった。

 

 

統夜「『パートナー選択』! 来てくれ! グランティードを呼ぶ!」

 

 

 同時に、ロゼ=リアもバシレウスを呼び、そちらもサブパイロットを選択だ。ただし、シャナ=ミアがグランティードに乗っていない場合、自動的に今回のサブパイロットはシャナ=ミアに決定する。

 

 空間転移でグランティードとバシレウスが現われ、いわゆるトラクタービームと呼ばれる光によって引き寄せられコックピットへ乗りこんだ統夜達と共に、空に浮かぶクストウェルの前へ出た。

 

 

???「お前が、シウン・トウヤか」

 

統夜「ああ。君は、何者だ?」

 

???「何者か。か。そうよね。知らないよね。あんたが殺した人間に、家族がいたなんて!」

 

統夜「っ!?」

 

クド=ラ「ボクの名前はクド=ラ・ダルービ。ジュア=ム兄さんの妹だよ!」

 

統夜「な、に……?」

 

シャナ=ミア「クド=ラ!? なぜあなたがここに!?」

 

 

 その名を聞き、シャナ=ミアも驚いた。

 

 その名の通り、彼女は前争乱にて何度も戦ったジュア=ムの近親者である。

 先の戦いではステイシスベッドで時の眠りについていたが、今は開放され、月のフューリー入植地で暮らしているはずだった。

 

 その彼女が、フューリー側からの物資搬入に潜み、地球へやってきたのだ。

 

 

クド=ラ「わからないのか? ならわかれ! 目を覚ました時、大好きだった人がいなくなっていたあの悲しみを! 二度とあえないと知らされた、あの絶望を!」

 

シャナ=ミア「っ!」

 

クド=ラ「目が覚めたら命に満ちたこの星を一緒に見ようと約束したのに! なのに、兄さんはもう、今世界にいないんだぞ! お別れの言葉も、なにも言えなかった! 消えてしまった!」

 

統夜「……」

 

クド=ラ「ボクには兄さんしかいなかったのに! たった一人しか、いなかった! 兄さんはもういない。ボクにはもう、なにもない! お前が奪ったんだ! シウン・トウヤ!!」

 

シャナ=ミア「待ちなさい! その憎しみは、恨みは! 仇をうつというのなら、それは私にむけるべきものです! あの戦いのすべての責任は、この私にあるのですから!」

 

鉄也「いや、それ以前の問題だ。恨むのは筋違いだろう。あれは戦争であり、紫雲は仕方なく火の粉を振り払っただけだ」

 

カティア「鉄也さん……」

 

 

 鉄也のフォローも入る。

 なんだかんだと厳しいことを口にする彼だが、それは統夜のことを気にかけている言葉でもある。

 

 

クド=ラ「うるさい! そんなことも、こんな世界もどうだっていい! 兄さんのいない世界にどんな意味がある! フューリーがなんだ。地球人がなんだ! みんな、なくなればいい! なら姫様も一緒だ! 全員仇だ! みんな一緒に、兄さんに謝れ!」

 

 

 感情が高ぶった彼女の一撃は、シャナ=ミアの乗るバシレウスへむかった(シャナ=ミアがグランティードに乗っている場合はそちらにむかう)

 

 

ロゼ=リア「っ!? はやっ!?」

 

シャナ=ミア「っ!?」

 

統夜「危ない!」

 

 

 とっさに統夜がバシレウスとクストウェル・ブラキウムの間に入り、その爪攻撃を切り払った。

 

 

統夜「この動き!」

 

シャナ=ミア「そんな。あの子は戦闘訓練などうけていないはずなのに……」

 

 

 その動きの鋭さに、シャナ=ミアは驚きを隠せない。

 

 いくらサイトロンの恩恵があるとはいえ、その動きは騎士に。あのジュアムにも匹敵する!

 

 

クド=ラ「ふっ。ふふふ。そうだよ。兄さんはもういない。でも、ボクには聞こえる。兄さんの声が。兄さんの恨みが! シウン・トウヤ。お前なら聞こえるさ。サイトロンを使えるなら!」

 

統夜「なに?」

 

???「……セッ」

 

シャナ=ミア「これは……」

 

???「コロセ、トウヤ、オレ、コロシ……コロ……テ……コロセ!」

 

クド=ラ「聞こえたか、この声が!」

 

 

 それはまさに、怨差の声。

 地の底より響くような、ノイズ交じりのジュア=ムの声が、その機体の中から聞こえた気がした。

 

 それは幻聴なのか。それとも現実なのか……

 

 

クド=ラ「だから、殺す。兄さんが望むように、お前を! そして邪魔をするなら、姫様だって! もうボクには、それしかないんだから!!」

 

統夜「……!」

 

 

 深い絶望に沈み、強い憎しみにとらわれたその声と瞳を前に、統夜は悟る。

 

 そもそも、彼女はもうどうでもよいのだ。

 復讐がしたいわけじゃない。誰かが本当に憎いわけじゃない。彼女は絶望しているのだ。かたき討ちしかすることがないのだ。

 

 家族を突然失う。その気持ちは、統夜にも痛いほどわかった。

 わかるのはきっと自分だけではない。仲間の多くもその気持ちはわかるはずだ。

 

 親しいものを失い、世界に生きる意味を失った。

 

 このかたき討ちは、死んだも同然の彼女の、死んでもいいと自棄になっての行動。

 彼女は憎しみ以上に、このまま消えていいとさえ考えている……

 

 ゆえに目標は、統夜でなくてもいい。一歩意識の方向性が違えれば、シャナ=ミアにも、仲間にも、フューリーにさえ牙をむく。

 

 その先にあるのは、彼女の破滅。

 だが彼女は、それでいいとも思っている。

 

 

統夜(……そんなのいいわけがない)

 

 

 だって彼女は、まだ生きているのだから……!

 

 ゆえに統夜は決断する……!

 

 

パートナー「統夜(君、さん)!?」

 

 

 共に乗っていたパートナーが驚きの声を上げる。

 

 

 ぶしゅー。

 

 なんと彼は、統夜はコックピットを開き、外にその身体をさらしたのだ。

 

 

シャナ=ミア「トウヤ!?」

 

クド=ラ「いったいなんのつもり!? 命乞い!? それともまさか、まさかボクに殺されてくれるっていうの!?」

 

統夜「ああ。俺を殺したいほど憎いというなら、いいだろう。殺すがいいさ。それで、君の気が済むならな」

 

ロゼ=リア「トーヤ!?」

 

豹馬「なに言ってんだよお前!」

 

統夜「俺は、復讐はダメだ。やめろなんて言えない。あの戦いだって、見ようによっては十分復讐の戦いだった。そんな俺が、復讐の気持ちを否定していいわけがない」

 

クド=ラ「いい心がけだよ。兄さんの仇!」

 

統夜「ああ。復讐をするのは、否定しない。でもな……!」

 

 

 爪を振り上げ、迫るクストウェル。

 

 ガシッ!!

 

 

クド=ラ「っ!?」

 

 

 その攻撃は、統夜に届かなかった。

 突如として動いたグランティードの腕が、その腕をがっしとつかんだのだ!

 

 統夜に到達する寸前のところで、その刃が止まる!

 

 サイトロンコントロールシステム。思うだけで機体を動かすマンマシンインターフェイスにより、コックピットに座らずとも、グランティードは統夜の考えを感じ取り、統夜の思うとおり、その一撃を受け止めたのだ!

 

 それは、近接主体と思われるクストウェル相手だからこそできた行動。

 

 グランティードが統夜の思うように動き、その両手をしっかりと握り、動きを封じる。

 

 

統夜「俺が君に殺されるのはしかたがないことだとは思う。でもな、無抵抗で大人しく殺されるつもりはない! 全力で、最後まで抵抗させてもらう!」

 

クド=ラ「な、にぃ……っ!?」

 

統夜「だから、全力で俺を殺しに来い。君が殺す相手は、恨みを晴らすべき相手は、この俺だ! 俺だけだ! わかったな!」

 

クド=ラ「そんなの、当たり前じゃないか!」

 

統夜「そうだ。当たり前だ。仇は俺。殺していいのは俺だけだ! だから、他の人は狙うな! もし他の人をまきこんだから、それはもうかたき討ちじゃない。ただの八つ当たりだ。それを、覚えておけ!」

 

クド=ラ「っ!?」

 

 

 その言葉から発せられた迫力に、クド=ラは一瞬押される。

 

 

クド=ラ「うるさい。うるさいうるさいうるさい! なら大人しく殺されろ! ボクの、兄さんの恨みを晴らさせろ!」

 

統夜「簡単にはさせないと言った!」

 

甲児「統夜!」

 

 

 その時、統夜に援軍が現われる。

 

 

クド=ラ「ええい、邪魔。邪魔。邪魔アァァァ!」

 

 

 言葉と同時に、物資にまぎれていた無人フューリー機が起動。一斉に周囲へ襲い掛かった。

 

 無人機をすべて撃墜し、クド=ラの乗るクストウェル・ブラキウムを撃退することで、この戦いは終わる。

 

 クド=ラは強い。あのジュア=ムに匹敵する強さだ。

 

 しかし、それはしょせん、過去の強さ。

 ジュア=ムと同じということは……

 

 バキッ!

 

 すでに、統夜の敵ではないということだった。

 

 

クド=ラ「くそーっ! 覚えてろー!」

 

統夜「ああ。覚えておく。だから、いつでも復讐しにくるといい。君の憎しみは、すべて俺が受け止めるから!」

 

クド=ラ「うっさい。バーカ!」

 

 

 そう捨て台詞を残し、彼女は逃げていった。

 

 

統夜「ふう。みんな、大丈夫か?」

 

シャナ=ミア「私達は大丈夫です。でも、トウヤ……」

 

甲児「いや、心配するならまず自分のことだろ。これから命を狙われるのはお前なんだから」

 

統夜「なに。それなら甲児だって似たような経験あるだろ?」

 

甲児「俺? ああ、ある意味ドクターヘルとの戦いはそうだったか」

 

統夜「それに、これは俺のせいでもあるからな……」

 

シャナ=ミア「……トウヤ、ごめんなさい」

 

統夜「いいんだよ。シャナ=ミア。しかたのないこととはいえ、事実だ。それに、誰かを恨まないとやっていけない時だってある。今は、誰かを憎むことでしか生きる気力がわかないというのなら、それでいいさ」

 

 

 家族を失い、なにもする気が起きなくなる。

 世のなかのすべてがどうでもよくなる。という気持ちは、統夜もよく知っている。

 

 

統夜「たとえ憎しみでも、それが生きる糧となるのなら。いくらでも恨まれてやるさ。全部、受け止めてやる。それでいつか、前をむけるようになるのならね」

 

シャナ=ミア「トウヤ。あなたは本当に、優しい人ですね……」

 

 

 だからこそ、心配になってしまう。

 なんでも背負ってしまう、その強さを……

 

 

シャナ=ミア(カティアさんが心配する気持ちがよくわかるわ……)

 

シャナ=ミア「でも、トウヤ。あなたが死んだら悲しむ人が大勢いる。それも忘れないでください」

 

統夜「もちろんだよ。簡単に殺されるつもりはないさ。俺だって、死にたくはないからね」

 

 

 憎しみの連鎖をとめるために、統夜は生き延びなければならない。

 

 でなければ、同じことを繰り返すことになってしまうから……

 

 

 だがそれは、憎しみを受け止め続けるという、茨の道。

 

 それでもよいのだ。

 

 

 それが、紫雲統夜という男が選んだ、自分の道なのだから……!

 

 

──出撃! フリーダム──

 

 

 南太平洋。オーブにある小島。キラが隠遁する屋敷。

 

 

キラ「どうです?」

 

バルトフェルド「世界の裏側も、だいぶきな臭い状況になってきているようだね。そろそろ、出番かもしれないよ」

 

ラクス「そのようですね」

 

マリュー「いよいよ、私達も動かざるおえないというわけですか」

 

バルトフェルド「アークエンジェルのクルーも集めておいて正解だったな」

 

フレイ(ディスティニー仕様)「また争いだなんて嫌になっちゃうわ」

 

キラ「そうだね。でも、いつまでも逃げているわけにもいかないから」

 

フレイ「あ、そうそう。カガリから手紙が届いたわよ。なにやら仰々しいけど……」

 

キラ「なんだろう……っ! カガリが、結婚!?」

 

バルトフェルド「おいおい。このタイミングでか?」

 

ラクス「お相手はユウナ・ロマ。皆が安心できる指導者を擁立したいということでしょうか……」

 

キラ「カガリ……」

 

 

 びーっ。びーっ。

 緊急警報が鳴り響く。

 

 

バルトフェルド「どうやら、とうとう見つかってしまったみたいだね」

 

マリュー「アークエンジェルの発進、急げ!」

 

 

 島の上空に現われたのは、傭兵を引き連れた所属を隠した一部隊だった。

 

 だが、彼等はその正体を知っている。

 

 

北辰「今度こそ、あの女をいただく。攻撃を開始しろ!」

 

火星の後継者「はっ!」

 

傭兵「おうよ!」

 

 

 勢いを持って攻撃を仕掛けようとするが、その前に海中からの一撃で傭兵の一機が吹き飛んだ。

 

 海中からひとつの影が浮上する。

 

 

忍「ったく、こりない奴等だぜ」

 

 

 それは、ダンクーガ。

 

 ミスリルと呼ばれる正義の味方に属するスーパーロボットだ!

 

 

アルヴァン「ついに傭兵を連れてくるまでになったか」

 

カルヴィナ「トップを失った彼等は、もう別の組織に力を借りねば戦力を維持できないくらいにきているようね」

 

 

 次に現われたのはベルゼルート・ブリガンディに乗る二人。

 

 

アキト「もうトップもいなくてまともに統制もとれてないんだから、諦めればいいのに」

 

ムウ「そうだな。もう火星の後継者なんてたいそうなもんじゃなく、火星の残党で十分だろ」

 

 

 さらにブラックサレナに乗ったアキトと、アカツキと呼ばれるガンダムに乗ったムウ(顔傷なしのディスティニー仕様)だった。

 

 そして……

 

 

ユリカ「きゃーっ! アキト、また私を守ってねー!」

 

 

 黄色い声をあげながら浮上したのはアークエンジェルと、それに客分として乗っているミスマル。修正。テンカワ・ユリカだった。

 

 火星の後継者の狙いはこのテンカワ夫妻。

 

 A級ジャンパーと呼ばれるボソンジャンプを安定して成功させられる人材だった。

 

 

 テンカワ夫妻を狙ったシャトル事故は、獣戦機隊とミスリル。そしてシャッフル同盟によって阻止されていた。

 

 あの争乱が終わった直後から火星の後継者を名乗る一団は活動をはじめていたが、トップを勤めるはずの草壁は戦時中に死んでおり、組織としては最初から大きく弱体化していた。

 

 さらにミスリルの諜報網と実力行使できるだけの隊員と宇宙に勢力を伸ばすラクスの協力者。さらにさらにシャッフル同盟の面々に、その目論見は出鼻からくじかれ、目的のA級ジャンパーはことごとくミスリルによって保護されているのが今の状態であった。

 

 ちなみに、アルヴァンとカルヴィナは偶然テンカワ夫妻と共にシャトルに乗ることになっていたため、作戦に協力し、こうして共に逃亡生活を続けているということになっている。

 

 それと、ルリなど近しい者もこの事情は知っているが、表向きはシャトル事故で行方不明となったテンカワ夫妻のことはまったく知らず、心配しているということになっている。

 ゆえにルリは、火星の後継者をどうにかするという任務を受け、ナデシコBの艦長を引き受けた。

 

 もちろんこれは、火星の後継者が早く片付けば、それだけアキト達が日常に戻れるからでもある。

 

 

火星の後継者「ええい。今回は今までとは違うぞ!」

 

 

 更なる部隊が展開される。

 

 相手の方もやる気は十分だった。

 

 

 だが、最後に真打が登場する。

 

 

キラ「みんなの平和を守るため、僕はもう一度、フリーダムで戦う!」

 

 

 キラの乗るフリーダムガンダムが現われ、ハイマットフルバーストでそれらは一掃されてしまう。

 

 

北辰「くっ……!」

 

火星の後継者「ひけっ! ひけー!」

 

 

 戦況が不利と感じた北辰達は、傭兵を残しボソンジャンプで撤退していった。

 

 

忍「毎回毎回、あの逃げ方は厄介だな」

 

ムウ「追うに追えないからな」

 

 

テッサ「いよいよ、本格的に動きはじめたようですね」

 

 

 海底に居たミスリルの潜水艦、トゥハー・デ・ダナンから通信が入った。

 

 

テッサ「表で戦う彼等だけでは対処できない相手。それを相手にするために、皆さん力を貸してください」

 

キラ「もちろんです。でも、その前に……」

 

 

 この世界の裏に潜む、世界をゆがめようとするなにか。

 

 それを暴くため、表には出ないミスリルと連携したアークエンジェルは動き出す。

 

 

 もっともその前に、結婚式に乗りこんでカガリをさらってくるというムーブをするが。

 

 

 トップもおらず、いまだ潰えぬ火星の後継者の動き。

 

 その一団をバックアップする存在。

 

 

 それは、じき暗い闇の中から姿を現すこととなる……

 

 

 第5話 終わり

 

 

・唐突なQ&A

Q ユリカを奪われてないアキトがブラックサレナに乗ってるの変じゃない?

 

A ナデシコ(ユーチャリス)のバックアップがない状態でエステバリスに乗ってるので撃墜されたりさらわれたりしないように試行錯誤していったらああなったって感じです(ミスリルバックアップの突貫工事のため、塗装まで手が回らず黒い)

 

 

Q ベルゼルート・ブリガンディはどういうルートでカルヴィナ達が乗ってるの?

 

A 前作に出番のなかったフランツおじさんが作ってました(OGから引用)。それを知り合い(Jから引用)のアラン・イゴール(ミスリル所属)→ミスリル→アル=ヴァンにという流れです。

  ちなみにブラキウムが敵なのもOGリスペクトだ!

 

 

Q そういえば三輪長官(ダイモス)はいないの?

 

A いません。前争乱の時ジェネシスで吹っ飛んじゃったのかも。

 



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第06話 ステラ生存までの話

 

──岬の約束──

 

 

 第13独立部隊は新たに開発されたガンダムのサポート機、Gファイターを受領するためベルファスト基地へと来ていた。

 

 受領の際、連合軍トップのレビル将軍が基地を訪れ、ホワイトベースクルーを激励していくこととなった。

 

 これらのことは、それだけ統夜達の働きが認められているということでもある。

 

 ホワイトベースに所属する者は受領からの整備、説明のため基地に残り、他の者は半舷上陸として自由時間が与えられた。

 

 時間のできたシンは、一人バイクを走らせ人気のない海岸線を歩いていた。

 

 そこでシンは、一人の少女が崖から落ちたのに気づく。

 慌てて海に飛びこみ、必死に少女を助けたシンだったが、その少女こそ、ステラであった。

 

 エクステンデットと呼ばれる強化人間である彼女は、暴走をおさえるためのブロックワードが存在しており、助けた際シンが口にした「死」というキーワードに反応し、激しく怯えてしまう。

 そんな彼女に、シンは「俺が君を守るから」と、優しく語り掛ける。

 

 ステラを探しにきた同じエクステンデットのスティングらは、身分を隠しステラを引き取り、帰ってゆく。

 

 シンとの別れを悲しむステラに、シンは「きっとまた会えるから」と、その背中に叫ぶのだった……

 

 

 

 一見すると平和な港街であるベルファスト。

 

 しかし、その街を狙う二つの影が存在した。

 

 

 ひとつは、シンに助けられたステラを有するファントムペイン。

 

 もう一つはジオンの潜水艦諜報部隊。シャアの率いるマッドアングラー隊である。

 

 

 目的は双方同じ、ベルファストに滞在する連合軍のトップ。レビル将軍の首である。

 

 

 連合トップの首の価値はジオンにとっては説明するまでもなく、ファントムペインの主であるロゴスにとってもブルーコスモスの思想に染まらないトップは邪魔以外ない。

 

 ファントムペインが奪ったガンダムは、世間的にはジオンが奪ったものだと思われている。

 

 実際ジオンが襲撃し、その後戦争までしかけてきたのだから、その一環なのだろうと考えられていた。

 もちろんジオンは強奪は否定したが、それを額面どおりに受けとってもらえるはずもなかった。

 

 ゆえにファントムペインはその状況を利用し、ザフトの機体を持ち出し、ジオンとザフトが手を組んだかのように見せかけ、レビルを殺すつもりでいた。

 

 ザフトが連合のトップを殺した。

 

 そうなれば、地球と宇宙にできる溝は決定的。

 その溝は埋まることはなくなり、ロゴスの望む争いの世界。地球とプラントコロニーの全面戦争へと一気に加速していく。

 

 そのため、このベルファストにロゴスの私兵、ファントムペインの面々が来ているのだった。

 

 

 ファントムペインとシャア。

 

 きしくもかつて、サイドセブンを襲った者同士が同じ獲物で接近しあうこととなった。

 

 

ネオ「さあ、いってこい。私の望む世界を実現するためにな!」

 

ステラ「うん。ステラ、がんばる!」

 

 

 ベルファストの街に、サイドセブンから盗まれたガンダム、ザフトの混合軍が現われた!

 

 

シャア「ふむ。あれは……」

 

 

 潜水艦にて潜んでいたシャアが、はじまった戦闘を見て声を上げた。

 

 

副官「いかがいたしましょう?」

 

シャア「どうやら連合も一枚岩ではないようだな」

 

 

 状況を見て、シャアは即座にその思惑を見抜いた。

 

 目的は同じ。

 だが、このまま相手の目的がなされずとも、連合とプラントの決裂は明らか。

 

 ジオンとすれば、このままこれを傍観するだけで連合は疲弊し、味方も増える。

 

 願ってもないチャンスであった。

 

 

 しかし、それは、相手の思惑通りに動き、その掌の上で踊っているのに等しい行為。

 

 

 さらに地上に居るのはサイドセブンで奪われたガンダム。状況としては、サイドセブンの時と同じなのだ。

 

 また、シャアを利用していると言っても過言ではない。

 

 

シャア「再び道化にされる。それは気に入らんな」

 

副官「では?」

 

シャア「うむ。出撃だ。ここは、私も出る!」

 

副官「はっ!」

 

 

 こうしてシャアとマッドアングラー隊もベルファストに上陸を開始した!

 

 

シン「ジオンの援軍!?」

 

スティング「っ!?」

 

 

 動揺は、シン達だけでなくファントムペイン側にも走った。

 

 

スティング「なぜジオンが。ここで高みの見物を決めておけば、ジオン有利に働いて連合の戦力が削れるってのに!」

 

シャア「そう都合よく進む事態だから気に入らぬと言うのさ! 落ちろ!」

 

 

 不意を打つように現われた赤い水陸両用モビルスーツ。シャア専用ズゴックが、ステラの乗るガイアガンダムに迫る。

 

 

スティング「なんて速さだ!」

 

 

 不意をつかれたというのも差し引いても、その速さは誰もが驚く速度だった。

 

 その一撃はコックピット部のある腹を直撃し、その爪は機体を刺し貫いたかのように見えた(有名なあのシーン)

 

 だが、ガイアガンダムは間一髪のところで胴体をひねり、コックピットへの直撃は避けていた。

 

 それでもガイアの腹は裂け、コックピットは露出し、パイロットが見えてしまっている上、乗るパイロットのヘルメットさえ砕けてしまっていた。

 その衝撃でパイロットが即死していなかったのは、彼女がエクステンデットだったからだろうか?

 

 

アムロ「どうしてジオン同士で!?」

 

 

 突然の同士討ち。驚くのも当然のことだ。

 

 

シン「ステラ!?」

 

 

 露出したガイアのコックピットを見てシンが声を上げる。

 

 シンはそのパイロットに見覚えがあったのだ。

 

 少し前に知り合い、必ず助けると約束した子だ!

 

 

シャア「しぶといな。だが、これで終わりだ」

 

 

 返す刀でとどめをさそうとする。

 

 

シン「ステラー!」

 

シャア「っ!」

 

シン「約束、したんだ!!」

 

 

 SEEDを発動させ、シンはその間にわって入った。

 

 

シャア「敵をかばう、だと!?」

 

 

 明らかな敵をかばったのを見て、さすがのシャアも驚きを隠せない。

 

 

シン「ステラ、俺だ。シンだよ!」

 

ステラ「……ダレ?」

 

 

 だが、彼女はシンのことを覚えていなかった。

 

 

シン「ステラ、どうしたんだ! 俺を覚えてないのか!?」

 

シャア「敵を前に、背をむけるとはな」

 

 

 シャアは、その隙を見逃さない。

 

 

アムロ「シンさん!」

 

 

 シンの援護にアムロが入った。

 

 

シャア「ちいっ!」

 

 

 シャアは放たれたビームをかわし、さらに後退する。

 

 

アムロ「かわしたっ!?」

 

アムロ(このプレッシャー。赤い彗星か!)

 

 

 さらにガンダムの攻撃で距離をとった。

 

 ガンダムと対峙するシャア専用ズゴック。

 少し遅れて、ゴッグも追いついてきた。

 

 シンはステラの名を呼び続けるが、彼女は聞く耳をもたず、逃げてゆく。

 

 

 こうしてジオンが乱入し、三つ巴の戦いとなった。

 

 

 最初こそ統夜達はジオン同士が戦っている? 味方? いや違うと慌てたが、どっちも撃退すればいいと悟り、どちらも叩き返すことにするのだった。

 

 戦いは、続く。

 

 

──特殊イベント──

 

 

 ガンダムハンマーを使い、ゴッグを攻撃するとちょっと特殊な会話イベントが発生する。

 

 

 ガンダムハンマーの一撃を、ゴッグが受け止める。

 

 

ジオン兵「さすがゴッグだ。なんともないぜ!」

 

アムロ「くっ!」

 

アルゴ「ならば本当のハンマーの使い方を教えてやる。グラビトンハンマー!」

 

ジオン兵「ぐわー!」

 

 

 ゴッグ、撃墜。

 

 

アムロ「すごい。あれが、本当のハンマーの使い方……!」

 

アルゴ「ふっ」

 

アムロ「ならこのガンダムでも、あんな使い方が……! そのためにハンマーなんてついてたのか!」

 

ブライト「いや、無理だぞアムロ! ガンダムはガンダムでも、あっちはガンダムファイターだ!」

 

 

──エクステンデット──

 

 

 すべての敵が撤退し、戦いは終わった。

 

 

 戦後、アスランがなぜガイアを助けたと問うた。

 

 

シン「あれは、ステラだったんだ……」

 

タリア「ステラ?」

 

 

 シンは、ベルファストの海岸であったことを説明する。

 

 

レイ「つまり、そいつらがあの時ガンダムを奪った奴等ということになるな……」

 

甲児「それより、なんでジオン同士で戦ってたんだあれ」

 

アムロ「確かに気になりますね」

 

マオ「どうやら同士討ちでも仲間割れでもなさそうよ」

 

 

 そう言い、場に現われたマオは、データをモニターに表示させた。

 

 

マオ「そのステラという子の所属は、連合よ」

 

アスラン「なんだって!?」

 

 

 映し出されたそこには、ステラの制服写真と連合に所属している事実がはっきりと記されていた。

 同じファントムペインの他二人、スティング、アウルのデータもある。

 

 ただ、リーダーのネオに関しては、ミスリルもまだ入手してはいなかった。

 

 

タリア「これ、極秘情報じゃない。こんなもの一体どこから……!」

 

マオ「それは企業秘密ということで」

 

タリア(確か地球には裏から世界を守る組織があると聞いたことがあるけど、その類からかしら……。ひょっとすると、オーブに現われたアークエンジェルともなにか関わりがあるのかもしれないわね)

 

マオ(ちょうどミスリルでも調べているところでよかったわ)

 

マオ「彼女の所属はファントムペイン。連合を裏から支配していると言っていい、ロゴスの私兵よ」

 

シン「ロゴス……?」

 

 

 マオは、ミスリルが調べたロゴスについてのことを説明する。

 

 簡単に説明すれば、『戦争を裏から操る組織』であり、それで利益を得ている集団ということになる。

 

 その歴史は古く、多くの為政者がその恩恵を受けている。

 金があるのだから、様々な場所で力を発揮し、影響力を行使しているのである。

 

 

マオ「そして、ブルーコスモスの母体でもあるわ」

 

レイ「そうか。だからザフトに偽装してここを襲ったのか」

 

 

 マオからの情報で、レイが納得したようにうなずいた。

 

 

レイ「今の連合トップ。この第13独立部隊を作ったレビル将軍はブルーコスモスの思想になびかない男だ。それは、裏からことを牛耳るロゴスには邪魔だったということ……」

 

 

 だからザフトに偽装し、トップを挿げ替え、さらにプラントコロニーと全面戦争に突入させようとした。

 前に説明したのと同じことを、レイは見事推測する。

 

 

シン「そんなのが、地球にいるのか……」

 

マオ「私はその存在そのものを否定するつもりはないけどね。ただ、ちょっと思想が偏りすぎてるのは問題だと思うけど」

 

 

 ロゴス。それは元々利益をあげるため裏で色々してきた集団が本質だからである。

 ギルドや組合。それのスケールが大きくなったものといってもいいものだからだ。

 

 それが大きくなりすぎ、一つの思想に凝り固まってしまったのが問題なのである。

 

 まあ、それに関してはここで語ることではないので割愛しておこう。

 

 

シン「じゃあ、連合に訴えかければ、ステラは助けられるのか!?」

 

タリア「いえ、そうもいかないわ。いくら連合内部の足の引っ張り合いといっても、根拠がパイロット一人を見たというだけでは動けないでしょう。なにより、このデータも正式な(方法で入手した)ものとは限らないし」

 

マオ(さすがに気づくわよね)

 

シン「なんだよ。なら、次はステラを直接助け出さないとダメってことかよ……!」

 

レイ「……この女、エクステンデットか!?」

 

 

 データを見ていたレイが声を上げた。

 

 

シン「エクステンデット?」

 

レイ「……シン。悪いが彼女は諦めろ。彼女は体をいじられ、薬がなければ生きられない体だ。たとえ助けて連れてきたとしても、俺達では見殺しにするしかできない」

 

シン「なっ……!?」

 

レイ「これを作った奴は、彼女を使い捨ての道具としか見ていない。だから、彼女のことはもう、死んだと思え……」

 

シン「そんなっ……!」

 

レイン「待って、アスカ君。マオさん、この身体データは最新のもの?」

 

マオ「ええ。ごく最近のもので、正確なもののはずです」

 

レイン「なら……」

 

 

 レインがじっと、ステラという少女のデータを見る。

 

 投薬状況。身体の異変。健康状態。

 

 そして、確信する。

 

 

レイン「……助けられるかもしれないわ」

 

レイ「なんだって!?」

 

 

 他の軍医ならば間違いなくさじを投げた症状であったが、レインは自信をもってうなずいた。

 

 驚くレイ。

 無理もない。普通に考えれば、彼女は使い捨ての道具なのだ。

 

 作った連合だって彼女を癒す方法など考えていない。

 ダメになったら廃棄して新しいのを作る。

 

 そんな考えで作られた、コックピットに座る一つの生きた道具なのである。

 

 

 だが、レインを含めた旧分艦隊に属してきた統夜等は、そういう無理だという事態を何度も蹴り飛ばし突破してきた。

 

 特に肉体改造においては、それこそ人間ではなく別の存在に変化してしまうほどの異常を治療してきている。

 

 今は平和に暮らしているはずのテッカマンの身体異常に比べれば、人類がちょっと手を加えただけの変化など、彼女にしてみるとまだまだ人類を癒す範疇でしかなかった。

 

 まだ十分に人の範疇であるものの治療。それは、あの絶望的な状況に比べればはるかにマシなのである。

 

 テッカマンを治療してきた経験。それが生かされる時がきたのである!

 

 

レイン「だから、臆さず彼女を連れてきて。私達が必ず治してあげるから」

 

シン「はいっ!」

 

 

 ちなみにだが、いざとなればフューリーのステイシスベッドを使うという手もあったりする。

 

 

レイ(これが、かつての争乱を経験してきた者達。どうやら一筋縄じゃいかないようだよ。ギル)

 

シン「待ってろステラ。次あった時、必ず君を救ってみせる!!」

 

 

 新たな目標を胸に、シンは拳を握るのだった!

 

 

──???──

 

 

???「どうやら、老人達の仕掛けは失敗したみたいだね」

 

???「……」

 

 

 しゃんっ!

 その男は、錫杖の音にて肯定する。

 

 

???「不出来な妹も頑張っているみたいだし、そろそろ、僕の出番かな……」

 

 

 しゃんっ!

 また、錫杖の肯定が鳴らされた。

 

 

???「じゃあ、そろそろあの老人達には退場願おうか。ネオと、プラントの彼に連絡を」

 

 

 しゃんっ!

 

 

──ちょっと空白──

 

 

 デストロイのベルリン襲撃が起きるまで、少し時が空く。

 

 その間凱とピッツァの因縁を描いたり、宗介がラムダドライバ不信になったり、テッサの墓参りとか、またクド=ラが襲ってくるとか、エリカが海底城からバーム平和運動の組織へ移動することなどがあるが、今は割愛する。

 

 あと、この空白の時間。ここは他中盤のネタを思いついた時に挿入するための余白である。

 

 

──ステラ──

 

 

 第13独立部隊に緊急通信が届く。

 

 それは、ヨーロッパの都市が正体不明の部隊に襲われ壊滅したという情報だった。

 

 混成部隊であり、ザフトともジオンとも連合ともとれる装備を持つその一団は、無差別に都市を攻撃し進軍を続けている。

 

 その様相は、侵略というものではなく、殲滅という言葉がぴったりとくる有様だった。

 

 その行動は、見る者が見ればザフトの仕業に見え、またジオンにも、連合の仕業のようにも見えた。

 

 

 だが、知る者が見れば、どこがそれを引き起こしたが、一目瞭然である。

 

 映像に映る巨大なモビルアーマー。

 

 そして、その周囲にそれを護衛するようにある2機のガンダム。

 

 

 カオスガンダムとアビスガンダム。

 

 

シン「なら、あの巨大モビルアーマーに乗っているのは……」

 

 

 それを見たとき、それを行う者達の目的がなんなのかが判明した。

 

 今度は連合のトップをではない。力なき民を傷つけ、その憎しみを宇宙の民に向けさせようとしているのだ!

 

 

 第13独立部隊に要請が入る。

 

 あの破壊者をとめて欲しいと……

 

 

 

 同様に、アークエンジェルも被害を食い止めるべく、ベルリンへ進路をとっていた。

 

 

 ベルリンにて暴れまわるデストロイを有するファントムペイントの戦い。

 

 この流れからして、キラ、シン、アスラン。さらにアムロが加わってステラを救出するのは目に見えているだろう。

 

 ついでにアウルも撃墜しておけば、戦闘終了後ついでに拾ってステラと一緒に治療を受けさせ命を助けることができる。

 

 この二人が助かった場合、後々スティングも生存させられるので覚えておこう。

 

 

 

 アークエンジェルと第13独立部隊が到着すると、待っていたかのようにファントムペインの側の指揮官が姿を現す。

 

 現われた2機を見て、それを知る者は驚きを隠せなかった。

 

 

 一つは北辰の乗る夜天光。

 

 

北辰「やはりきたか」

 

アキト「なぜお前がここにいる!」

 

北辰「さて、なぜだろうなぁ?」

 

 

 この一件の黒幕は、地球と宇宙を分断せしめんとしている影の集団、ロゴス。

 

 そのロゴスはブルーコスモスという地球第一主義の思想を掲げる一団の母体でもある。

 

 そして北辰は、火星の後継者を名乗る元木連の一員。

 

 

 ブルーコスモスにとっては宇宙の怪物と迫害されてしかるべき存在だった。

 

 

 だというのに、北辰はロゴスの私兵と共に居る。

 

 それは、ありえないことだ。

 

 

北辰「わかりたければ、貴様とその妻を捧げよ!」

 

アキト「嫌だよ。捧げたくもないし、捧げるもんか!」

 

 

アル=ヴァン「いよいよ進退窮まり、身売り先を選んでもいられなくなったということか?」

 

ムウ「その割にはだいぶ余裕じゃないか?」

 

 

 ちなみにだが、アークエンジェル側もミスリルの支援を受けロゴスのことを調べていた。

 ゆえに、この暴走の裏にロゴスがいるということは把握している。

 

 

北辰「ククッ。そう見えるのならばそうなのだろう。貴様等にとってはな!」

 

 

 いずれにせよ、ロゴスのすることを肯定し、統夜達の前に立ちふさがるのは間違いなかった。

 

 

 そしてもう一機は、かつて獣戦機隊の上司であった男の機体。デザイアであった。

 

 さらにその機体は、操縦者の癖を反映するかのように、右腕が小さく震えていた。

 

 

忍「この癖……」

 

シャピロ「フフッ。久しいな。藤原」

 

忍「どうしてお前がここにいる、シャピロ!」

 

 

 そこにいたのは、かつての争乱で連合を裏切りグラドスにつき、火星で死んだ男だった。

 

 

シャピロ「なにを驚く。俺はいずれ世界の神となる男だぞ?」

 

亮「間違いない。この言動、こいつ、本物だ……っ!」

 

沙羅「でもあの時、間違いなくアタシがこの手で……」

 

 

 そう。かつての戦いのおり、シャピロは間違いなく頭を撃たれ死んだ。

 

 爆発にまきこまれ生死不明となったなどではなく、明確に間違いなく死亡確認されたのだ。

 

 

シャピロ「フッ。その時死んだアレも俺だが、所詮は偽物。俺の記憶を移し与えたコピーよ」

 

忍「なんだって!?」

 

シャピロ「所詮はカーボンのように複写された存在。ゆえにあの程度のことしかできなかった」

 

レイ「記憶までクローンした存在だって!? そんなの……まさか……!」

 

シャピロ「信じられんのなら信じなくてそれでもかまわん。だが、俺はこうしてここにいる。ファントムペインの指揮官。ネオとしてな! それは事実だ」

 

亮「前はグラドスで今度はロゴスか。相変わらず節操がないな!」

 

シャピロ「なんとでも言うがいい。すべては俺の踏み台にすぎないのだからな! さあ、ステラ。すべてを破壊しろ!」

 

ステラ「ああぁぁぁぁ!!」

 

シン「ステラー!」

 

 

 ファントムペイン隊長、コードネームネオの指令により、デストロイとの火蓋が切って落とされようとする。

 

 

 さらに……

 

 

クド=ラ「見つけたぞ、シウン・トウヤー!」

 

 

 統夜を追って、クド=ラも現われた。

 ※ロゼ=リアがすでに退場している場合、彼女はこのシナリオ中登場しない

 

 

統夜「クド=ラ!?」

 

甲児「おいおい、こんな時にかよ!」

 

統夜「彼女の相手は俺が。みんな、他は任せた!」

 

アムロ「はい!」

 

忍「任せろ!」

 

 

 一人の少女を救うための激闘が、はじまる。

 

 

統夜「確かにいつでも相手をすると言った。でも、今は君ばかりにかまっていられる時じゃない。少し手荒にいかせてもらう!」

 

クド=ラ「バカにするな! お前なんて、お前なんて!」

 

統夜「遅い!」

 

クド=ラ「っ!? はやっ!」

 

 

 クド=ラの乗るクストウェル・ブラキウムを統夜が撃墜するとイベントが発生する。

 ※ステラ救出がなるとシナリオクリアなのでその前に実行しよう。

 

 

クド=ラ「くそっ。強い!」

 

 

 統夜の実力に一方的に翻弄されるクド=ラ。

 自分の思い通りにいかない状態に、彼女は苛立ちを覚えた。

 

 

ステラ「アアアアアァア!!」

 

クド=ラ「っ!?」

 

 

 暴走するデストロイの放ったビームが、クストウェル・ブラキウムにむけ放たれる。

 

 とっさのところで回避に成功するが、その横槍に、彼女の苛立ちは最高潮を迎えた。

 

 

クド=ラ「ブンブンブンブンとうるさい! ボクの邪魔をするなー!」

 

シン「っ! なにっ!?」

 

 

 苛立ちのまま彼女は目標をかえ、デストロイを攻撃しようとする。

 

 突然の攻撃に、ステラを救おうとしていたシンも不意をつかれてしまった。

 

 

 だが……っ!

 

 

統夜「なにを……っ!」

 

 

 デストロイへ迫るクストウェル・ブラキウムの前に、グランティードが一瞬で移動する。

 それは、オルゴンクラウドによる瞬間移動。

 

 合体さえせず、統夜はそれを発動させたのだ。

 

 

統夜「しようとしているんだー!」

 

 

 そして、その進攻を妨げるよう、ぶん殴る。

 

 

クド=ラ「きゃっ! なにをっ!」

 

 

 統夜はクストウェル・ブラキウムにつかみかかり、そしてデストロイから遠くへ押しのけた。

 移動させながら、統夜は叫ぶ。

 

 

統夜「君は今、なにをしようとした!」

 

クド=ラ「なにをって、あいつは、ボクの邪魔をしようと!」

 

統夜「だから、攻撃しようとしたのか! 気づけ。君は今、自分と同じ存在を作ろうとしたんだぞ! 愛する人を奪われた気持ちがわかるなら、なぜそんなことをしようとした!」

 

クド=ラ「っ!」

 

 

 統夜にその事実を突きつけられ、彼女は絶句する。

 デストロイにパイロットが乗っていたこと。それにやっと思い至ったのだ。

 

 

統夜「前にも言った。俺以外を殺すなら、それはもう復讐じゃない。ただの八つ当たりだと! 君はわかって、それをしようとしたのか!」

 

クド=ラ「ボ、ボクは。ボクはっ! ううっ。バカー!」

 

 

 グランティードを渾身の力で跳ね除けた彼女は、そのまま飛んで逃げていった。

 

 

クド=ラ「覚えてろよー!」

 

統夜「そっちこそ忘れるな! 俺を憎むのはいい。殺しに来るのもいい。でもそれ(復讐)は、俺以外の人を傷つけていい理由にも免罪符にもならないということを!」

 

クド=ラ「うっさいバーカ!」

 

 

 クド=ラが撤退しても、戦いは終わらない。

 ステラを救うため、デストロイとの戦いは続く。

 

 

ステラ「アァァァァ!」

 

 

 デストロイより放たれる大口径のビーム。

 

 ベルリンを守るため、放たれたビームをアークエンジェルが体をはって受け止める。

 

 

 声も届かず暴走するデストロイをとめるため、キラとアスランはフリーダムとセイバーを犠牲にし両腕をおさえ、シンへの道を切り開いた。

 

 

シン「ステラー!」

 

北辰「そうくるのは読めている!」

 

 

 コックピットめがけて飛ぶシンのインパルスに向け、北辰の部下、北辰衆がボソン・ジャンプを行い現われた。

 

 甘ちゃんの彼等ならば必ずこうすると読まれていたのだ。

 

 だが……

 

 

アムロ「そこかっ!」

 

統夜「っ! 見えた!」

 

北辰「っ!?」

 

 

 現われた北辰衆は、まるでそこに現われるのがわかっていたかのような攻撃で撃ち落されてしまった。

 

 

北辰(まるでそこに現われるのが前もってわかっていたかのようだ。なんだこいつは! 未来が見えるとでもいうのか!? まさか、これが、奴の言うニュータイプ!?)

 

シン「ステラアァァァ!!」

 

北辰「だがな!」

 

 

 予知のごとき先読みを回避し、北辰の夜天光が、デストロイへとりつこうとするシンのインパルスへ迫る。

 

 錫杖がインパルスにむけ、突き出された!

 

 

キラ「させない!」

 

北辰「なにっ!?」

 

 

 キラのフリーダムが、インパルスとの間にわってはいり、その一撃を身代わりとなって受け止めたのだ。

 

 

シン「あんたが、なぜ!?」

 

キラ「僕も前に、みんなのおかげで守れた。だから、守るんだ。今度も、君が!」

 

北辰「身を挺してまで、邪魔を!」

 

アキト「それ以上の邪魔はさせないぞ!」

 

北辰「ちいぃぃ!」

 

シン「ステラー!!」

 

 

 こうしてデストロイは行動不能にされ、ステラは助け出された。

 

 ボロボロとなったキラとアスランの機体はムウによりアークエンジェルに運ばれ、回収された。

 

 この後のごたごたでアークエンジェルがこの場から消えた際、この時回収されたアスランも一緒にどこかへ行ってしまうことになる。

 

 ちなみにだが、この時都市をかばったダメージが原因でアークエンジェルはしばらく動くことができず、次の戦いに参加できないというのを先に言っておこう。

 ※かわりにミスリル所属のダンクーガやアキト、アル=ヴァンなどが第13独立部隊に合流する。

 

 

シャピロ「……そろそろ潮時か。撤退する!」

 

 

 デストロイが破壊され、自身もある程度ダメージを受けると、シャピロも北辰も撤退してゆく。

 

 彼等の目的そのものは十分に達したからだ。

 

 

──ロゴスが暴かれる日──

 

 

 戦いは終わり、ベルリンの街は救われた。

 

 しかし、残した傷跡は大きい。

 

 

 地球とプラント双方に芽生えた不信。

 

 それをどうにかしなければ、更なる戦争へ発展しかねなかった。

 デストロイを失ったとしても、ロゴスの目論見は大方成功したと言えるだろう。

 

 再び争乱の世界がはじまるかと思われた時、プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルが全世界にむけ演説放送を開始した。

 

 彼は今回の一件を引き起こしたのはプラントでも連合でもなく、その裏にいた黒幕、ロゴスが引き起こしたことだと発表し、そのロゴスが悪として世界に訴え、その主要メンバーを世界に公表したのだ。

 

 真の敵はロゴスであると訴え、デュランダルは続けてGGGに協力することを表明し、その演説は終わった。

 

 これにより世論の流れは一気にロゴス悪しに傾き、連合内からロゴスを排除しろという流れになった。

 

 デュランダルの演説により、地球とプラントの全面戦争だけは避けられたのである。

 

 

 しかし、黒幕と名指しされ、顔写真もすべて公表されて地球に居られなくなったロゴスメンバーは自分達の息のかかった兵を集め、ヘブンズベースと呼ばれる基地へ集結する。

 

 追い詰められた彼等は、そこを占拠し、自分達は間違っていないと主張。自分達以外は敵であり、宇宙のゴミを駆逐するとさえ言い出した。

 

 

 これにより、地球連合は完全に分断状態となってしまった。

 

 

 戦力が大きく低下したこの隙を見逃がす敵はいないだろう。

 

 

 地球連合総司令部ジャブローが危ないと誰もが感じた。

 しかし、すべての防御をジャブローにまわすわけにもいかない。

 

 なぜなら、このヘブンズベースを放っておくなら、この危険な時に乗じてロゴス派にさえ攻められる可能性があるからだ。

 

 ジャブローの防御を固めた上、さらにジオンやバームと同調して総司令部を攻められないよう、ヘブンズベースの方もどうにかしなければならない、二つ同時の両面作戦……

 

 

 ……つまりは、部隊の分割というわけである!

 

 

 ジャブローへ防御へ行く隊。ヘブンズベースを監視し、できればロゴスメンバーをとらえる隊。

 

 この二つへ別れることとなった!!

 

 

──ミスリル──

 

 

テッサ(やはり、こうなってしまいましたか……)

 

 

 潜水艦、トゥアハー・デ・ダナン作戦司令室でその艦長のテレサ・テスタロッサは思う。

 

 ロゴスを排除するため、速度と即効性を求めたなら、こうなることは予測できていた。

 

 ミスリルはそれをせず、社会への影響を最小限に抑えるため、極秘で秘密裏に動き、一方的な思想に支配されたロゴスと連合を引き剥がそうと画策してきた。

 

 しかしデストロイでの虐殺が起き、分断の機運が高まってしまった今、デュランダルのような手法をとらなければ争いはより激化し、地球に味方は一人としていなくなっていただろう。

 

 デュランダルのとった判断は正しい。

 

 

 だが、引っかかるものがあった。

 

 

テッサ(そもそも、デュランダル議長は私達がまだ完全に把握しきれていなかったロゴスメンバーさえ把握していた。この情報を、宇宙にいた彼は、一体どこから……?)

 

 

 さらに状況として、考えれば、色々条件が整いすぎている。

 

 ベルリンの一件は、見ようによってはロゴスの自爆としてみることさえできた。

 

 

テッサ(ひょっとすると……)

 

 

 ある疑惑が浮かぶ。

 

 だが、それを確かめている時間はない。

 

 今は、この分裂状態を早急に正さなければならない。

 

 

 できなければ、地球は疑惑以前に終わってしまうのだから……

 

 

 第6話 終わり

 

 

──没ネタ──

 

・ネオの話

 当初あの時撃沈つながりでネオをナタルにやってもらおうかと思ったけど、話がうまく転がらないことに気づいたのでシャピロ再登場になりました。

 かわりにナタルはドミニオン撃沈寸前、ムラクモガイにこっそり救出され(W参考)、重傷ながらも生き残ってこの世界で生きているということで。ことで!

 



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第07話 二つの攻防戦とロゴスが終わる日

 

──チームわけ──

 

 

『ジャブロー防衛へむかう組』

 ホワイトベース

 ナデシコ

 ダイモス、コン・バトラーV、ボルテスV

 

 

『ヘブンズベースへむかう組』

 ミネルバ

 ミスリル所属(ダンクーガふくむ)

 ダンクーガ

 Gガンダム(レインがステラを診てるから)

 

 

 統夜の選択についてくる

 オリジナル

 マジンガーチーム

 ガオガイガー

 

 

・唐突なQ&A

Q アル=ヴァンとカルヴィナが正式な仲間になりましたが、彼女達の乗るベルゼルート・ブリガンディに他のパイロットを乗せることは出来るのでしょうか?

 

A 可能です。統夜達をベルゼルートに乗せることは不可能ではありません。ただし、アル=ヴァンはカルヴィナ専用なので、他のユニットに乗せた場合、自動的にカルヴィナもついてきます(二人はどちらもメインパイロットになれる)。ので、バシレウスには席不足で乗れません。

  ちなみにグランティードは統夜専用なので、他のキャラをメインパイロットとして乗せることはできません。

 

 

──アル=ヴァン合流──

 

 

 アキト、ユリカが第13独立部隊の方に合流したので、アル=ヴァンとカルヴィナも合流した。

 合流したアル=ヴァンは、主であるシャナ=ミアと顔をあわせる。

 

 ※どちらの分岐ルートでも発生。

 

 

アル=ヴァン「ただいま戻りました」

 

シャナ=ミア「アル=ヴァン……」

 

アル=ヴァン「クド=ラの一件。肝心な時、不在でもうしわけありません」

 

シャナ=ミア「そんなことはありません。それに、あなた達があちらにいなければ、ユリカさんとアキトさんは助からなかったかもしれない。私の大切な友人を救えたのですから、よいのです」

 

アル=ヴァン「しかし、本来ならば、クド=ラの憎しみは私が引き受けるべきもの。それを、統夜に背負わせてしまうのは……」

 

シャナ=ミア「その気持ち。私にも痛いほどわかります。ジュア=ムについて、その罪と罰を受けるべきは我々。トウヤ一人に背負わせていいものではありません」

 

アル=ヴァン「……」

 

シャナ=ミア「しかし、あの子の憎しみはすでに我等を離れ、トウヤのみにむけられています。トウヤはそのために、クド=ラの憎しみに身をさらし、その復讐を受け入れたのです。次の連鎖を、生み出さぬように……」

 

アル=ヴァン「シャナ=ミア様……」

 

 

 その後悔と言える言葉に、アル=ヴァンは返す答えを持たなかった。

 

 アル=ヴァンは、罪を受け入れ、罰を受けるためにその命を捧げる覚悟はある。

 シャナ=ミアとてそうだ。フューリーの代表として、命を奪われてかまわないと思っている。

 

 しかしそうなれば、次なる復讐が生まれるのは必定。

 

 そうなれば、ただ泥沼の争いが起きるのみ。

 

 それを避けるため、統夜は一人、その憎しみを身にさらした。

 

 肉親の死に区切りをつけられるまで、その憎しみを一身に浴び続けるという方法で。

 フューリーの業を、のみこみ、クド=ラの復讐を受け入れた。

 

 それは、相手の憎しみがつきるまで、殺されずにつきあうという、安易に罪を受け入れるよりつらい、茨の道。

 

 

アル=ヴァン「私は、ふがいない。また、統夜に背負わせてしまった……」

 

シャナ=ミア「私も同じ気持ちです。だからこそ、トウヤの苦しみを少しでも和らげるため、彼を支えなければなりません」

 

アル=ヴァン「はい」

 

シャナ=ミア「そのために、改めて力を貸してください。あの子を憎しみから救うために。トウヤを、死なせないために!」

 

アル=ヴァン「はっ!!」

 

 

シャナ=ミア「それと、もう一つ。アル=ヴァン、あの子の乗る機体に、なにか心当たりはありませんか?」

 

アル=ヴァン「確か、かつての争いの中いずれかの陣営で見た覚えはあります。しかしそれが、ガウ・ラに積まれていたとは聞いておりません。それを兵でない彼女が持つということは……」

 

シャナ=ミア「つまり、彼女に機体を与えた何者かがいる。ということですね……」

 

 

 アル=ヴァンは静かにうなずいた。

 

 

シャナ=ミア「悲しいことですね。あのようなことがあったというのに、我々もまだ、一枚岩になりきれていない……」

 

アル=ヴァン「……」

 

 

 確かに恨みを捨てきれない者がいてもおかしくはない。

 だが、アル=ヴァンは違和感を感じていた。

 

 はっきりとした言葉にはできない、いわば予感のようなものだが、その何者かは、自分の知るフューリーとは違うのではないかという違和感を……

 

 

──カルヴィナと統夜──

 

 

 一方、アル=ヴァンを待つカルヴィナは統夜をじっと見ていた。

 

 

カルヴィナ「……」

 

統夜「あの、なにか?」

 

 

 壁際で腕を組み、自分をじっと観察する人が現れれば、そりゃ気になる。

 

 

カルヴィナ「いえ。アル=ヴァンがよくあなたのことを話していたからね。少し気になっただけよ」

 

統夜「ああ、あなたが、カルヴィナさんですか」

 

カルヴィナ「ええ。そうよ。だからがんばりなさい」

 

 

 そう言い、彼女は統夜の肩を叩き、そのまま去っていった。

 

 

統夜「?? 一体なんだったんだ?」

 

 

 首をひねるが、その意図はさすがの統夜もわからなかった。

 

 

カルヴィナ(あの子なら、大丈夫そうね。きっとやってくれる)

 

 

 通路を歩きながら、彼女はそんなことを思った。

 

 アル=ヴァンは今、元主のシャナ=ミアとあっている。

 カルヴィナは、この従兄妹の近しい関係に危機感を覚えていた。

 

 シャナ=ミアの持つはかなげな雰囲気。

 それはまさに、姫と呼ぶにふさわしい雰囲気だった。

 

 対して自分はそれとは正反対。苛烈と言っていい。

 

 そんな娘と自分。どちらが好まれるだろう……?

 

 私は、自分がメンドクサイ女だと理解している。

 ゆえに、いつ愛想をつかされるか不安でたまらない! あの娘にアル=ヴァンをとられるのではないかと心配でたまらないのだ!

 

 

カルヴィナ(世界の平和? 復讐の連鎖? そんなもの私にとってどうでもいいことだ。私の世界はあの人がすべて。それを奪われるくらいなら、この世界など滅びてかまわない!)

 

 

 聞くにあの姫もまんざらでもないらしい。

 ならば、そのまああの二人がくっつけば、カルヴィナの心も安心というわけなのである。

 

 あの少年の周りには多くの少女がいるのも見えた。別にハーレムを形成してもかまわない。

 彼女の宝物さえ奪われなければ!

 

 

カルヴィナ(だから、応援しているわ少年。絶対にあの姫をものにしなさい。そのために、絶対生き残らせてあげる……!)

 

 

 彼女は心の中で、そう強く誓うのだった!

 

 とても心強い仲間が、統夜に加わった瞬間である……っ!

 

 

──ジャブロールート ジャブロー攻防戦──

 

 

 ロゴスの暴露によって分裂状態に陥った連合。

 

 その弱体化をジオンもバームも見逃すはずはなく、ジオンは地球に存在する兵力をかき集め、地球連合総司令部が存在するジャブローへの総攻撃を決めた。

 

 ヘブンズベースを放置したのは、そこは連合にとっても注意を払わなければならない場所であるからである。

 下手にジオン側から攻撃を仕掛ければ、そちらへ防御をふる必要もなくなる上こちらの戦力も減る。

 

 ならば下手に隊をわけるより一点集中し、片方ずつ潰していった方が勝率が上がるという考えがあったからだ。

 

 先にジャブローが狙われたのは、こちらの方が手ごわいからである。

 

 

 ヘブンズベースへの集結により、ジャブローより移動した部隊の出入りがシャア率いるマッドアングラー隊によってとらえられ、その入り口も露にさせていた。

 

 分割された第13独立部隊のホワイトベース隊とナデシコがジャブローへ入港するのと時を同じくして、シャアもまたジャブローへの潜入をはたす。

 

 そこで起きる妹、セイラとの邂逅。爆弾の設置、解除などを経て、ジオンの総攻撃は開始された。

 

 

 空爆にはじまり、無数のモビルスーツがジャブローを襲う。

 

 

 さらにはバーム軍も猛攻を仕掛け、連合は必死の防衛を余儀なくされた……

 

 

 前にも説明したが、ランバ・ラルが生存状態ならばこの戦いにも再登場するのでうっかり撃墜しないよう気をつけよう。

 この際セイラと戦闘させておくとなお良いだろう。

 

 ちなみにだが、黒い三連星がここで初登場する。

 

 

──ナデシコB食堂にて──

 

 

 戦いのさなか、ささやかな休息。

 

 その間、統夜達はナデシコBの食堂へとやってきていた。

 

 

テニア「わーい。ナデシコの食堂、ひさしぶりー」

 

メルア「やっぱりこちらの方がメニューは豊富ですよねー」

 

カティア「前に乗っていたのとは新しい艦だけど、変わらないわね」

 

シャナ=ミア「雰囲気は変わってませんね」

 

統夜「懐かしいな」

 

 

 前争乱の時、メインで搭乗していたのはナデシコだったため、思わず懐かしさが出てしまった。

 ナデシコはあの時と変わらず、食事などの福利厚生は一味違うようである。

 

 

アキト「いらっしゃい」

 

統夜「あれ、アキトさん? もういいんですか?」

 

アキト「うん。もう逃げ回っているよりこっちの方が安全だろうって」

 

 

 前にも説明したとおり、アキト達A級ジャンパーは火星の後継者に狙われていた。

 しかしその火星の後継者がロゴスと手を組んだ今、それに狙われた二人はミスリルにかくまわれ逃げ回っているより、それと敵対する連合側。そのうえ信頼できる第13独立部隊のところにいた方が安全だろうと判断され、アークエンジェルからこちらに移ってきたのだ。

 

 これにより二人はナデシコに合流し、昔のようにコック兼パイロットとして働くことになったのである。

 

 もちろん、あまり表に出てはならないから、ユリカは艦長にはならず、ナデシコのサブパイロットどまりだが(いわゆる戦術アドバイザーという立ち居地)

 

 

ロゼ=リア「まあ、あなたがアキト・サン! はじめてお目にかかります! なんだか凄いお方だとか!?」

 

アキト「は、はあ」

 

 

 なぜか目をキラキラ輝かせるロゼ=リアの視線に、思わずたじろぐアキトであった。

 

 ちなみにアキト達と一緒にアル=ヴァンとカルヴィナもこちらに合流している。

 だがこちらも新婚さんなので、あまり邪魔しないでそっとしておこう。

 

 

ユリカ「そんなわけだから、これからもよろしくね!」

 

アキト「それじゃ、なにか注文はあるかい?」

 

テニア「アタシもちろん火星丼! ひさしぶりに食べたい! 特製ラーメンも!」

 

メルア「デザートにパフェもお願いします!」

 

カティア「……ちょっと失礼なことを聞くことになりますけど」

 

アキト「ん? なんだい?」

 

 

 おずおずと、カティアが代表してその質問をすることにした。

 

 

カティア「その、大丈夫なんですか? 厨房にユリカさんがいて」

 

アキト「……」

 

テニア「……」

 

メルア「……」

 

統夜「……」

 

シャナ=ミア「……」

 

ロゼ=リア「?」

 

ユリカ「にこにこ」

 

 

 沈黙である。

 なぜならユリカは、かつて料理を作った時数人を医務室送りにしている前科があるからだ!

 

 

アキト「大丈夫。野菜を切るのはうまくなったから」

 

ユリカ「お湯も沸かすのも完璧だよ! 大丈夫。だって私は、アキトのお嫁さんなんだよ!」

 

カティア(その自信が逆に不安です!)

 

ルリ「そのへんは大丈夫です。一時一緒にいた私が保証しますよ」

 

 

 カウンターにいた統夜達の隣に、ナデシコBの艦長ルリが座った。

 

 

ルリ「特製ラーメンお願いします」

 

アキト「はいよ」

 

 

 注文を受け、アキトは統夜達の注文と一緒にラーメンをつくりはじめる。

 

 

アキト「お待たせ」

 

ルリ「いただきます」

 

 

 ちゅるると、その麺とスープをすすり、ルリは手を止めた。

 

 

ルリ「こんなに早く、またアキトさんのラーメンが食べられるとは思いませんでした」

 

アキト「俺もだよ」

 

ユリカ「でも、まだ元の生活に戻るにはもう少しかかりそうだから、がんばろうね、ルリちゃん!」

 

ルリ「はい。今は火星の後継者だけでなく、他にもいろいろありますから」

 

ユリカ「その時はまた一緒に暮らそうね。アキトと一緒に、ラーメン屋さん!」

 

ルリ「……はいっ!」

 

統夜「……」

 

 

 そのためには、俺達も頑張らないとな。横で食べていた統夜達も、そう決意を新たにするのだった。

 

 

──ヘブンズベースルート ヘブンズベース攻防戦──

 

 

ステラ「シン!」

 

 

 ヘブンズベースへの移動中、医務室を飛び出したステラがシンに飛びついた。

 その後ろには、レインもついてきている。

 

 

シン「ステラ!? もう、動き回って大丈夫なんですか?」

 

レイン「ええ。体を人間とは別のものに作りかえられているわけではないからね。いわゆる洗脳さえとければ、あとはゆっくり体を慣らしていけばいいわ」

 

シン「本当に凄いんだな、あんたら……」

 

 

 感心するようにつぶやいた。

 きっと、ミネルバ隊だけではどうしようもなかっただろう。

 

 仲間。というものの大切さを、シンは実感した。

 

 

シン(みんなにはずっと、世話になりっぱなしだ……)

 

ステラ「シン、ステラも、戦う。だから、スティング、助けて」

 

シン「ああ、ここにいるみんながいれば、きっと大丈夫さ!」

 

 

 ヘブンズベース到着直前、ミネルバに新たなモビルスーツが3機送られてきた。

 

 デュランダルが、大切な戦いの前に新型をシンとレイに届けさせたのだ。

 

 ディスティニーガンダムとレジェンドガンダム。

 

 

 そして、なぜかステラのガイアガンダムが格納庫にあった。

 

 

 通信で問われたデュランダルは、あの時暴れたヨーロッパの残骸の中から発見されたというが、ザフトがなぜ発見できたかまでは説明しなかった。

 

 これにより、ステラもアウルもガイアガンダム、アビスガンダムで出撃することができる。

 

 

 ヘブンズベース。

 包囲し、降伏勧告を行うがロゴスのトップ、ジブリールはそれを受け入れることはなかった。

 

 

ジブリール「ふん。ふざけたことを。片手間の戦力で包囲したからって、ここを落とせると思うな。今すぐヘブンズベースを包囲している奴等に攻撃を仕掛けろ!」

 

連合仕官「まさか、徹底抗戦なさるおつもりですか!?」

 

ジブリール「そうだ、我々は戦わねばならない! 青き清浄なる世界のために!」

 

 

 こうして、ヘブンズベースの攻防戦ははじまった。

 

 ありったけの防衛戦力と、ヨーロッパを火の海としたデストロイまでが姿を現す。

 

 しかもそれには、さらなる強化を受けたスティングが乗せられていた。

 

 

 正気を失ったかのように暴れまわるデストロイ。

 

 しかし、ステラとアウルの声を聞いた彼の目に、少しの光が戻った。

 

 

 鈍る動きを、第13独立部隊の面々は見逃さない。

 

 

 ステラの時の経験を生かし、デストロイを無力化、スティングを救い出した。

 

 

 ちなみに、ステラとアウルで説得コマンドを行いさえすれば生存が成立するので、この後デストロイを撃墜したとしても無傷で生き残るので遠慮なくやってしまってかまわない。

 

 

 デストロイを退け、ついに基地を制圧するが、肝心のジブリールとロゴスメンバーは既に逃走していた……

 

 

レイ「抵抗がそこまで本腰じゃないと思ったら、前線を支える兵士を置いて逃げ出していたか……」

 

シン「ふざけやがって! あの人達はなんのために戦ったと思っているんだ!」

 

 

──カティアと統夜──

 

 

 移動中、統夜はマオと話をするカティアを見つけた。

 

 

統夜「どうした?」

 

カティア「あ、統夜君。ちょっと、最近メルアのお菓子消費の度が過ぎているから、少しおさえるようダイエットのメニューとそのスケジュールをね」

 

統夜「そ、そうか……」

 

 

 歯切れの悪い統夜であった。

 

 なぜなら、メルアが自分でお菓子を作り、消費量を増やしているというのは知っていたから。

 むしろ、美味しいねと褒めて調子に乗らせた面もあるからだ。

 

 

統夜「でも、スケジュール管理か。確かに、カティアはそういうのむいてるよな」

 

クルツ「秘書……秘書がいい!」

 

雅人「秘書……! うん。秘書だね!」

 

統夜「うわっ!?」

 

 

 突然わいてきた自称プレイボーイ二人(クルツ、フルメタ。雅人、ダンクーガ)が妄想を働かせる。

 

 マンガなら間違いなく3段ぶち抜きで秘書スーツ姿のカティアの姿があったろうさ!

 

 

クルツ「いいな!」

 

雅人「いいね!」

 

マオ「完全にルックスだけじゃない」

 

クルツ「姐さんだって似合ってるぜ!」

 

マオ「アタシまで妄想にまきこむな!」

 

雅人「でも、僕もスケジュール管理されたいな!」

 

クルツ「ああ。されたいな!」

 

マオ「アホね。カティアちゃんくらい優秀な子だと、それこそ社長や政治家とかじゃないとつりあわないわよ」

 

クルツ「かー。それはつれー」

 

雅人「政治家は無理だなー。社長なら、いや、でも……」

 

カティア「皆さん言いすぎですよ」

 

 

 優秀と言われ、思わず照れた。

 

 

統夜「社長とか政治家とかか……」

 

マオ「統夜君はどうするの? 社長とか政治家とか、けっこういけると思うわよ。カリスマ性とか決断力とかあるし。アタシが保障するわ」

 

統夜「いや、俺は普通ですよ。そんなつりあいません」

 

マオ「えー」

 

カティア「むっ。ならつりあえるよう努力すればいいじゃない」

 

統夜「え? なんでそこでカティアが不機嫌になるんだ?」

 

カティア「知らない」

 

 

 ぷうっと頬を膨らますカティアに、統夜は疑問符を浮かべるしかできないのだった。

 

 その二人を見て、やれやれとマオとクルツと雅人は肩をすくめるのだった。

 

 

統夜(……社長や政治家か。カティアにつりあうのは大変だけど、目指してみるのも面白いかな……?)

 

 

──ロゴスの終わる日──

 

 

 ジャブローへの猛攻を耐え抜き、見事ジオン、バーム軍を撃退した連合軍。

 

 その抵抗に、ジオンもバームも相応の被害を受けているのは必至。

 

 ならばその間に、逃げたロゴスメンバーをとらえ、足元を固めなおさねばならないと、第13独立部隊は合流することとなる。

 

 ミスリルの諜報部が、ジブリールはオーブに逃げこんだという情報をつかみ、オーブの首長であるユウナ・ロマ・セイランと密談している決定的な写真も入手された。

 

 連合が何度か引渡しを要請するが、ユウナはそれを拒否。

 証拠も捏造だと言って聞く耳は持たなかった。

 

 それどころかその言いがかりは国の尊厳を著しく侵害する行為だとして、徹底抗戦する構えを見せた。

 

 

 一触即発の空気をはらみながら、連合軍とオーブのにらみ合いがはじまる。

 

 

 そこに、一機のモビルスーツが接近する。

 

 金色に輝く装甲を持つ、カガリの乗るアカツキがその場に現われたのだ(修理中のアークエンジェルから一人飛び出してきた)

 

 

カガリ「私はウズミ・ナラ・アスハの子、カガリ・ユラ・アスハ! 双方、私の話を聞いてくれ!」

 

ユウナ「カガリ!? カガリー! 来てくれたんだね、マイハニー! 指揮官は僕、僕だよぉ!」

 

カガリ「ユウナ。私を本物と、オーブ連合首長国代表首長カガリ・ユラ・アスハと認めるか?」

 

ユウナ「もちろんもちろんもちろん! 僕にはちゃーんとわかるさ。君は本物だ!」

 

カガリ「ならばその権限において命ずる。将兵達よ、直ちにユウナ・ロマを国家反逆罪で逮捕、拘束せよ!」

 

ユウナ「え? ちょっ! カガリ!」

 

カガリ「連合軍よ、ここにオーブ首長、カガリ・ユラ・アスハから要請する。ロゴスに乗っ取られた我が祖国を解放するため、力を貸して欲しいと!」

 

 

 ヒュー。

 その啖呵に、誰かが口笛を吹いた。

 

 

カガリ「そしてオーブの民よ。今は同じ星の民で争う必要はない! その手を持って、裏でうごめくロゴスを捕らえるのだ!」

 

ジブリール「アスハの娘め。余計な真似を! こうなれば、この国もろとも奴等を消し去ってくれる!!」

 

 

 基地の中から、オーブ軍以外の機体が現われた。

 

 ロゴスに組するもの。それが抵抗をやめないのである。

 

 それどころか、デストロイさえ持ち出し、オーブさえ火の海に変えんばかりの抵抗を見せる。

 

 

シン「どうしてそこまで。お前達は、そこまでしてオーブを焼き払いたいのかよぉ!!」

 

 

 彼の嘆きに、答えを返す者はいない。

 

 だが、その想いに答える者はいた。

 

 

 空から舞い降りる二機のモビルスーツ。

 

 

 キラの乗るストライクフリーダムとアスランの駆るインフィニットジャスティスである。

 

 

キラ「そう……あの日、僕達が噛み締めた思いはもう誰にも味わわせちゃいけない。だから、僕はオーブを、この世界を守りたいんだ!」

 

 

 キラ、アスラン、さらにラクスの乗るエターナルとアークエンジェルが援軍に現われ、オーブを守る戦いはさらなる熱を帯びる。

 

 

 次々と撃破されてゆくロゴス私兵。

 

 劣勢を感じたジブリールは、宇宙へ逃げようとシャトルへ走った。

 

 

ジブリール「くそっ、くそっ、くそっ、くそっ!!」

 

 

 ジブリールは理解できなかった。

 

 どうして自分がここまで追い詰められているのか。

 

 どうして自分が逃げなければならないのか。

 

 

ジブリール「私は盟主だぞ。えらいんだぞ!!」

 

 

 乗ろうとしたロゴスメンバーをタラップから蹴落とし、ジブリールは自分が乗ったところでシャトルの扉を閉めさせた。

 

 

ジブリール「早くしろ! 早くシャトルを……! っ!?」

 

 

 扉が閉まるのを確認し、通路側へ視線をむけたジブリールは絶句する。

 

 

ジブリール「し、死んでる……」

 

 

 座席に座ったロゴスメンバー達が、すべて殺されていた。

 

 まるでなにかで殴られたり突かれたりして、すべて一撃のもと、物言わぬ屍と化していた。

 

 

 しゃんっ。

 

 どこからともなく、錫杖の音が聞こえた気がした。

 

 しゃんっ。

 

 それは、自分の後ろから。

 

 ぬっと、三度笠の男がジブリールの背後に現われたが、その存在を彼が認識することはなかった。

 

 

 デストロイがすべて無力化され、この無意味な争いも終わりが見えてきた時、セイラン家所有のシャトルが離陸しようとする。

 

 またヘブンズベースと同じように、今度は宇宙に逃げるのかと、第13独立部隊の面々はそれを阻止しようとした。

 

 だが、そのブースターに火がともったかと思った瞬間、シャトルは大爆発を起こし、粉々に吹き飛んだ。

 

 

 発射を急がせ、無茶な発進をしようとしたのが悪かったと、後に調査した者は結論づける。

 

 追い詰められた結果、自滅してしまったのだ。

 

 

 タラップから蹴落とされ、逆に運良く助かったロゴスメンバーは証言する。

 

 あのシャトルにはジブリールと残りのロゴスメンバーが乗っていた。と。

 

 

 つまりこの男が捕まった瞬間、ロゴスは壊滅したということだった……

 

 

シン「父さん、母さん。マユ……。やったんだ、俺。小さな一歩かもしれないけど、これで戦争は……!」

 

ルナマリア「シン……」

 

 

沙羅「これでロゴスは終わりね」

 

忍「ああ」

 

 

 ああいった利益を求める裏組織というのは人の世がある限り必ず生まれるものだ。

 

 いずれ、似たような組織がなんらかの形で世界の裏に生まれるだろう。

 

 だがそれは、ブルーコスモスの思想を伴わない組織。

 

 その組織が危険なのは、思想的に偏っているからであり、そうでなく生まれるなら、それは自然なものだ……

 

 

忍「それより、シャピロのヤロウが姿を現さなかったな」

 

雅人「沈む船からさっさと逃げ出したんじゃない? それで、また別の組織に行ったと」

 

忍「そうかもしれねえが、次行くのはどこだよ?」

 

雅人「さあ?」

 

亮「北辰も現れなかった。まだ、この一件は終わりではないのかもしれん……」

 

 

 ロゴスの壊滅。

 これを機に、アークエンジェルの乗員は第13独立部隊に合流する。

 

 彼等は元々、裏で任務を受けていたという形となって。

 

 唯一エターナルだけは、宇宙での活動があるということなので、再び宇宙へ戻っていった。

 

 

──僕のアマルガム──

 

 

???「やあ、綺麗な花火があがったようだね」

 

北辰「うむ」

 

???「これで、ロゴスは壊滅。その権力を握る者はいなくなった。僕を除いて」

 

シャピロ「計画通り。といったところだな。レナード・テスタロッサ」

 

レナード「せっかくだから、新しい組織の新しいコードネームで呼んでほしいね。ネオ?」

 

シャピロ「その名も古いものだ。俺はもう、シャピロに戻った」

 

 

 この少年。ミスリル所属の潜水艦、『トゥアハー・デ・ダナン』の艦長。テッサことテレサ・テスタロッサの双子の兄である。

 

 彼とシャピロ。そして北辰はロゴスを乗っ取るため、あえてロゴスに不利な行動をとっていたのだ。

 

 北辰が組んだのは、ロゴスでなく、このレナードという少年個人とだった。

 

 

レナード「さあ、それじゃあ新しくはじめよう。ロゴスでなく、僕のアマルガムを」

 

北辰「これでやっと、我が目的を達する手はずが整ったというわけか」

 

 

 レナードは北辰、シャピロと共に歩き出す。

 

 新たに生まれた、新しい秘密結社と共に……

 

 

──ちょっと息抜き──

 

 

 ロゴスも壊滅し、第13独立部隊にアークエンジェルも合流した。

 

 そこで、乗組員となっていたフレイとも久しぶりの再会をはたす。

 

 

テニア「あ、フレイ!」

 

メルア「おひさしぶりです!」

 

フレイ「ええ。ひさしぶり」

 

カティア「アークエンジェルは相変わらず?」

 

フレイ「そうね。あ、でも一つ、大きく変わったわ」

 

シャナ=ミア「なにがでしょう?」

 

フレイ「なぜかね、セントウみたいなお風呂ができたのよ」

 

 

 実はアークエンジェル、今回の作戦にあたり、潜水などの閉鎖空間でいることが多くなるという理由で、共同浴場などの福利厚生が充実したのだ。

 

 名前は天使湯。さらに食堂も美味しくなったのだとか。

 

 

ロゼ=リア「セントウ?」

 

テニア「なにそれ!? どういうこと!?」

 

フレイ「入ってみればわかるわ」

 

テニア「ふーん。なら、みんな誘っていくしかないね!」

 

メルア「はい!」

 

 

 こうして彼女達は女性陣を誘い、アークエンジェルの共同浴場。通称『天使湯』へむかうのだった。

 

 

???「聞いたか?」

 

???「聞いた」

 

???「聞いただわさ」

 

 

 そして、それをこっそり聞いていた者が一組。

 

 

クルツ「風呂と聞いたら、のぞきに行かないわけにゃいかないな!」

 

ボス「そのお通り!」

 

雅人「だよね!」

 

 

 こっそり聞いたのは、クルツとボスと雅人。

 こうなったらどうするか。答えはわかっているな!

 

 

 早速潜入しようとアークエンジェルへむかう覗き組。

 

 

???「ちょーっと待ったー!」

 

 

 しかしその前に立ちふさがる少年達が現われた。

 

 

統夜「ここから先は」

 

甲児「俺達が」

 

豹馬「進ませないぜ!」

 

 

 むかおうとする彼等の前に立ちはだかったのは、統夜、甲児、豹馬だった!

 

 

ボス「な、なんでお前達が!」

 

クルツ「むしろお前等はこっち側の人間だろ! 見たくないのかよ!」

 

雅人「そうだそうだー」

 

統夜「見たくない。そう言えば確かに嘘になる」

 

甲児「ああ。はっきり言えば、見たいと言える!」

 

豹馬「むしろ見たい!」

 

ボス「ならよ」

 

クルツ「ああ。俺達は、同士じゃないか!」

 

統夜「でも……」

 

甲児「それ以上に嫌なことがあるのさ!」

 

豹馬「そいつはな……」

 

 

三人「俺以外のヤローに、あの子の身体を見られるってのが嫌なんだよ!」

 

 

ボス「な、なんだってー!?」

 

統夜「だからここは!」

 

甲児「通れると思うな!」

 

豹馬「絶対に通さないぜ!」

 

クルツ「こ、こいつら、いつの間にか小僧から漢(おとこ)にかわりやがった! ……ところでよ、誰のを見られるのが嫌か、教えてくんね?」

 

 

三人「それは拒否する!」

 

 

クルツ「やっぱお子様であることにはかわらねーか。だが、こっちも命をかけてんだ。なにがなんでも行かせてもらうぜ!」

 

雅人「その通りだよ!」

 

ボス「力ずくでも通らせてもらうぜ!」

 

統夜「そうか」

 

甲児「わかった」

 

豹馬「なら、しかたないな」

 

 

 素直にうなずいた三人は、すっと道をあけた。

 

 

クルツ「お、随分ものわかりがいいな」

 

統夜「いや、違うよ」

 

甲児「ああ。違う」

 

豹馬「先生、あとはお願いします!」

 

東方不敗「どーれ」

 

 

 三人の後ろから、用心棒の東方先生のお出ましだ!

 

 

クルツ「ちょっ!」

 

雅人「うそぉ!?」

 

ボス「それ反則だわさ!」

 

クルツ「それ、用心棒を呼んだ側が勝っちゃダメなやり方だろ! 主人公側がやる手段じゃねー! 悪党の手法だぞ!」

 

統夜「悪いんですが、手段なんて選んでられないんです。俺達の理想を守るためなら、俺は……」

 

甲児「そう、俺達は悪魔にでも魂を売る覚悟はできているのさ」

 

豹馬「まあ、東方先生悪魔じゃないけど」

 

東方不敗「では、ゆこうか。こわっぱどもよ。ワシが煩悩を吹き飛ばすほど、鍛えなおしてくれる!」

 

クルツ「ひぃーっ!」

 

雅人「うわーん!」

 

ボス「ちくしょー!」

 

 

 こうして、覗きを志した不届き者の野望は潰えた……

 

 

 一方、天使湯。

 

 

カティア「? なんか今、悲鳴聞こえなかった?」

 

テニア「さあー」

 

メルア「わかりませんー」

 

 

 二人は、アークエンジェルのお風呂につかりながら、とろけたような声を出した。

 

 

シャナ=ミア「これはいいものですねー」

 

ロゼ=リア「お風呂はどれだけの時がたとうと、変わらず人を幸せにしてくれますわねー」

 

 

 時を止めるすべを持つこの二人は、わざわざ風呂に入らずとも清潔を保つ技術を持っている。しかし、それでも湯船につかるという習慣はある。

 それは、肉体だけでなく精神的な疲れもとれるからだ。

 

 人として活動している限り、こういったものからは、やはり逃れられないものなのである。

 

 

ちずる「これなら、アークエンジェルに乗るのも悪くないわね」

 

さやか「ホントねー」

 

ルナマリア「ホワイトベースやミネルバにはないものだものねー」

 

メイリン「ねー」

 

マオ(ダナンにもやってくれないかしら……)

 

めぐみ(ボルテス)「確かに、これはナデシコにもひけをとらないわ」

 

フレイ「むしろ、確実にナデシコの影響を受けてると思うわ。これ」

 

 

 戦いの合間のささやかな息抜き。

 

 こうして彼女達は、再び戦場へと戻ってゆく……!

 

 

 第07話 終わり



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第08話 訓練特訓偽物回

 

──Gアイランドシティ──

 

 

 ※今回、ロゼ=リアが退場していると、一部会話があったりなかったりします。

 

 

 大仕事を一つ完了させ、第13独立部隊は本拠地となっているGアイランドシティへ戻ってきた。

 

 統夜達が通路を歩いていると、親しげに話す凱と一矢の姿があった。

 

 

統夜「あ、二人共」

 

テニア「やっほー」

 

ロゼ=リア「やっほーですわー」

 

一矢「ああ、みんな」

 

凱「やあ」

 

メルア「前から思ってたんですが、お二人は昔からの知り合いなんですか?」

 

凱「ああ。俺も一矢も、どちらもスペースマンだからね。共に訓練を受けた仲でもあるのさ」

 

カティア「ああ。だから」

 

一矢「そういうことさ」

 

 

 言われ、納得する。

 同じ日本人。同じ夢を追ったもの同士。

 

 それなら親しく話をしているのも納得である。

 

 

一矢「ただ、GGGに来て驚いたよ。俺は凱が死んだと聞いていたからな」

 

統夜「あー」

 

凱「この体(サイボーグ)だからな。表向き俺は、死んだことになっている」

 

 

 凱は今から約2年前、シャトルで宇宙に出ようとしたところで事故にあい、瀕死の重傷を負った。

 その時、ギャレオンのGストーンと父親の麗雄博士によりサイボーグとなり、その命を繋いだのだ。

 

 しかしその結果、人間としての凱は死んだことになったのである。

 

 

一矢「だから、こうして再会できて嬉しいよ。俺は」

 

凱「はは。なんかくすぐったいな」

 

 

 朗らかに、二人は笑った。

 

 

ドモン「竜崎、ここにいたか」

 

一矢「ドモンか。なにか用か?」

 

ドモン「ひさしぶりに日本に戻ってきたんだ。一つ手合わせをどうかと思ってな」

 

 

 竜崎一矢は空手の達人である。

 ダイモスはその動きをトレースし動くという、一部ガンダムファイターと似た操縦法となっている。

 

 ゆえに、その力を最大限に発揮するには、こうして生身を鍛えるのが一番というわけでもあるのだ。

 

 

一矢「確かに、最近色々あって稽古もしていなかったな。いいだろう。みんな、いいかい?」

 

統夜「はい」

 

シャナ=ミア「せっかくですから、見せていただいてもよろしいですか?」

 

ドモン「かまわん」

 

 

 ということで、皆で修練場へとむかう。

 

 むかいあい、手合わせをはじめる二人。

 気合と共に、拳と拳がぶつかり合った!

 

 

カティア「そういえば……」

 

凱「ん?」

 

カティア「凱さんと一矢さん。どちらが先輩だったんですか?」

 

 

 戦いを見て、ふと思ったカティアが共に見物する凱に聞いた。

 

 

凱「スペースマンとしては、俺かな。でも、本来なら彼が俺より早く宇宙に出ていて不思議はなかった……」

 

ロゼ=リア「その言い方ですと、なにかあったのですか?」

 

凱「ああ。調べればすぐにわかることだが……」

 

 

 そう前置きし、凱はかつて竜崎一矢の身に起こったことを説明する。

 

 

凱「今から約四年前。一矢はスペースマンとなるための訓練中、事故にあって全身麻痺という状態になってしまったんだ」

 

テニア「ええっ!?」

 

メルア「それって、大変なことじゃ?」

 

凱「ああ。大変なことだ。宇宙飛行士どころか、マトモに生活さえできない絶望的な状況におちいった。だが一矢は諦めず、不屈の精神でリハビリに挑み、それを完全に克服し、再びスペースマンとして立ち上がった。それが、今の彼だ」

 

カティア「すごい」

 

ロゼ=リア「奇跡の復活ですわね!」

 

統夜「一矢さんにそんな過去があったなんて」

 

凱「ああ。まさに不屈の精神だ。だから、俺は一矢を尊敬している」

 

凱(そう。あの努力の姿を見たからこそ、俺はこの体になってもふてくされず、希望を捨てずにやってこれた……)

 

凱「一矢なら、きっとバームとの友好の架け橋になれると、俺は信じているよ」

 

シャナ=ミア「はい。それはとても信頼できる情報ですね! 私もより、一矢さんとエリカさんならそれができると思えるようになりました!」

 

ドモン「うむ。いい戦いだった」

 

一矢「ああ。いい刺激になった」

 

 

 手合わせも終わり、ドモンと一矢はがっしと握手を交わし、統夜達の方へ戻ってきた。

 

 

ドモン「話をしていたのに、時間をとらせ悪かったな」

 

統夜「いえ。世間話をしていただけですから」

 

一矢「ところでみんな、なにか俺について話をしていなかったか? あと、この視線は……?」

 

 

 凱の話を聞き、一矢にむけ尊敬の念がこもった視線がむけられている。

 

 

シャナ=ミア「一矢さん。私は信じていますから! その不屈の精神があれば、きっとエリカさんと幸せになれると!」

 

メルア「わたしもそう思います! バームとの友好。絶対に、絶対に実現させましょうね!」

 

一矢「い、いきなりなんだぁ!? おい、凱。なにを言った!」

 

凱「お前は凄いってことをみんなに教えたのさ」

 

一矢「いや、絶対違うだろ。なにか勘違いさせただろ!」

 

テニア「まー、しょうがないよね」

 

カティア「ええ。でも、勘違いではないと思うわ」

 

 

 和気藹々と、皆笑うのだった。

 

 

一矢「一体なんなんだぁ!?」

 

 

 そうしていると、修練場に足を踏みいれた人影が一つ。

 

 

???「ここにいたか。紫雲統夜」

 

統夜「ん?」

 

 

 不意に声をかけられ、振り返ったそこには相良宗介がいた。

 

 

統夜「相良軍曹?」

 

宗介「お前を探していた。お前は今、命を狙われているのを自覚しているか?」

 

統夜「そりゃしてるよ」

 

宗介「ならば、もう少し備えた方がいい。相手もそろそろ必死になってくる。このままでは、生身の状態で襲われ、死ぬ可能性がある」

 

統夜「その可能性は……いや、ないとも言えないのか」

 

宗介「それだけでなく、命の危険はいつも存在している。生き残る確率を少しでもあげるため、暗殺から逃れる訓練を受けさせるべく、お前を探していた」

 

統夜「確かに、軍曹の言うとおりかもしれない。ところで軍曹」

 

宗介「なんだ?」

 

統夜「その訓練、わざわざ俺のために用意してくれたの?」

 

宗介「当然だ。仲間の生きる確率を少しでも上げる。それはやるべきことだろう?」

 

統夜「いや、ありがとう。それなら俺も、がんばって軍曹のシゴキに耐えるよ!」

 

宗介「……?」

 

統夜「?」

 

 

 統夜の言葉に、宗介は首を捻った。

 続いて、統夜も首を捻る。

 

 

宗介「俺は指導しないぞ」

 

統夜「しないの!?」

 

宗介「ああ。俺がやるのは千鳥にとめられていてな。どうやら、ラグビー部の一件がお気にめさなかったらしい。女子五人が嫌がるからやめろと言われた」

 

統夜「ああ、あれか……」

 

テニア「あれかー」

 

メルア「あれですねー」

 

カティア「あれは……」

 

シャナ=ミア「ひどかったですね……」

 

ロゼ=リア「??」

 

 

 事情を知る全員が遠い目をした。

 それは平時。ファンシー好きで廃部寸前となったラグビー部を宗介指導で一般以上の汚い言葉を使うラガーマンに変貌させたエピソードが(フルメタ原作に)あったからだ。

 

 

テニア「さすがに、統夜がああなるのはイヤだよね」

 

メルア「イヤですね」

 

カティア「かなめに感謝しないと……」

 

シャナ=ミア「ほっ」

 

ロゼ=リア「雰囲気から、ヤバいことが起きそうだったのが理解できましたわ!」

 

宗介「だから、かわりにテンカワ・アキトが身を隠していた時組まれた訓練プログラムがある。それを使う」

 

統夜「ああ。連れ去られたりしないように訓練したんだ」

 

宗介「そうだ。逃げる。かわすに特化した生存重視の訓練だ。暗殺から生き残るためのお前にはちょうどいいだろう?」

 

統夜「確かに。それはありがたい」

 

宗介「俺はあまり信じていないが、サイトロンとやらの恩恵で先読みも得意だろう。それもあわせ、訓練後には弾丸もかわせるようになると講師達も言っていた」

 

統夜「……え?」

 

アキト「……大丈夫だよ。死にはしないから。捕まった方がマシだったとか思うかもだけど」

 

統夜「え?」

 

 

 唐突に現われたアキトに肩を叩かれ、憐憫の目をむけられてしまった。

 

 

宗介「ちなみにテンカワ・アキトは弾丸はかわせず、試行錯誤の結果あのエステバリスに改造されたそうだ」

 

 

 装甲をあげて耐えつつ逃げるという方向でブラックサレナが完成したようである。

 

 

アキト「普通の人間はね、弾丸はかわせないんだよ……」

 

統夜「さ、相良軍曹? 一つ聞くけど、その講師は、普通の人だよね?」

 

宗介「もちろん人間だ。テンカワ・アキトの場合はミスリルの人間がかわりを勤めたが、今回はプログラムを作った本人達がいる。彼等に直接指導してもらう。運がいいらしいぞ。滅多に彼等の指導など受けられないからな」

 

統夜「……い、嫌な予感しかしない」

 

宗介「では、きてくれ。シャッフル同盟」

 

チボデー「よーし、まかせろ!」

 

ジョルジュ「少女達のためにも、死なせるわけにはいきませんからね」

 

サイ・サイシー「おいらはちゃーんと加減するから、安心してくれよ」

 

アルゴ「……」

 

ドモン「ふっ。俺は今回監修だけだ。他の四人が張り切っているからな」

 

ジョルジュ「さあ、はじめましょう! 絶対に生き残らせてみせますよ!」

 

統夜「なんかすっごい張り切ってるー!」

 

 

 こうして、統夜の生存特訓がはじまった!

 

 

ジョルジュ「相手の殺気が感じられないとしても、撃たれる可能性のある場所をしっかり把握し、いつでも対応できるよう注意を払っておきなさい!」

 

チボデー「きた。と思った瞬間にはもう避けられるようになれ。じゃなけりゃ、銃には勝てねーぞ!」

 

サイ・サイシー「ダメなら見てよければいいのさ!」

 

アルゴ「……全員の無茶ができれば、立派なガンダムファイターになれる」

 

統夜「そこまで目指してませんよ!」

 

ジョルジュ「口答えしない!」

 

統夜「は、はいー!」

 

 

 そして、それを遠くから見ているしかできないお嬢さん方。

 

 

メルア「わたし達はどうしましょう……」

 

テニア「んー。なにかしてあげられることあるかな」

 

シャナ=ミア「むしろあれは、私が受けるべきことだと思うのです。なのでいっそ私も……!」

 

カティア「気持ちはわかるけど、それだと逆に統夜君の負担になってしまうと思うわ」

 

ロゼ=リア「ですわよねえ」

 

シャナ=ミア「ですよねぇ……」しょぼーん。

 

メルア「わたし達にできること……」

 

テニア「応援?」

 

シャナ=ミア「トウヤ、がんばってくださーい!」

 

ロゼ=リア「がんばってくださいましー!」

 

統夜「……っ!」

 

チボデー「余所見している暇はないぜ!」

 

ジョルジュ「してもかまいませんが、こちらにも意識を残して!」

 

統夜「うわー!」

 

シャナ=ミア「……」汗

 

テニア「……やっちゃったかな」

 

シャナ=ミア「ぎゃ、逆に、トウヤの負担に……」

 

アルゴ「いや、これはこれで訓練になる」

 

クルツ「そうそう。他に意識を持っていかれても、ちゃんと注意を払えるってのは意味あることだと思うぜ。だから、こういうのはどうかな?」

 

シャナ=ミア「はい?」

 

 

 いきなり現われたクルツが、シャナ=ミアに耳打ちした。

 

 

シャナ=ミア「バニーガールー!?」

 

統夜「……っ!」びくっ!

 

 

 耳打ちされたシャナ=ミアが叫び、その声と意味に思わず統夜の意識はそっちへいってしまった。

 

 

ジョルジュ「はい、集中!」

 

統夜「今のは反則だと思う!」

 

 

 統夜の叫びに、一部野次馬に来ていた男性陣がうなずいたような気がした。

 シャナ=ミアのバニー姿。言われて頭に浮かべない男の子はオトコノコじゃないからだ!

 

 

ジョルジュ「敵は反則も使ってきます。文句は言えませんよ!」

 

統夜「くっ!」

 

 

 ジョルジュの正論に、統夜は返す言葉がなかった。

 殺しに来る相手は女。同じような手段で来られたら殺されてしまったわけだから。

 

 

クルツ「そう。この格好で応援すれば、ヤツの集中力をさらに分散させて、より特訓に意味が出る! そして、俺達も嬉しい!」

 

雅人「出るね! 嬉しいよね!」

 

マオ「……」

 

沙羅「……」

 

 

 二人は退場した。

 残されたのは、バニーガールの衣装のみ。

 

 

シャナ=ミア「……」

 

テニア「どーすんのこれ」

 

ロゼ=リア「どうしましょう」

 

メルア「人数分ありますよ……」

 

カティア「たぶんサイズとかあってるんでしょうね……」

 

シャナ=ミア「トウヤのためならば、わ、私の恥辱など……!」

 

統夜「やめて! 一人やったらみんなやりはじめちゃうから! 俺がホントに死んじゃう!」

 

シャナ=ミア「しゅん……」

 

 

 統夜決死の懇願に、シャナ=ミアがしゅんとする。

 

 

ドモン「ほう」

 

一矢「やるな」

 

テニア「え? 今なにかあったの?」

 

ドモン「紫雲が叫んだあの瞬間、こちらへむいた意識にあわせ、ジョルジュが死角から攻撃を仕掛けた。だが、それを見事かわしてみせた」

 

一矢「あれは偶然の動きではない。きちんと背中にも意識を残していた証拠。なんだかんだ言うが、ちゃんと成果は出ているようだな」

 

シャナ=ミア「では意味はあったと!?」

 

凱「だからまあ、着替える必要はないんじゃないかな?」

 

 

「えー」

 一部遠巻きの野次馬からそんな声も上がったが、退場者の末路を知らされ文句を言うものは出なかった。

 

 

ジョルジュ「やりますね。ならば、次の段階へ進みましょう。こんなに早くこの段階に進むとは。これであなたも立派なファイターになれます!」

 

統夜「それ、喜んでいいのかわからないんですが!」

 

 

 んで。

 

 

ジョルジュ「これにて、訓練プログラムは終了です」

 

統夜「……し、死ぬかと思った」

 

アキト「すごいなぁ。俺、途中でリタイヤしたのに」

 

ジョルジュ「アキト君と彼とは質がちょっと違いますからね。君は連れ去られないことが重要。彼は死なないことが前提。必要なものが違いますから、どちらが劣っているというわけではありませんよ」

 

アキト「そう言ってもらえると助かります」

 

 

 アキトの場合はアキトとユリカを連れ去ることが目的なので、攻撃をくらっても殺される可能性は低い。ゆえに、当たっても捕まらず逃げられる方法が重要だが、統夜の場合は相手が殺しに来るので、なるべく当たらないのが重要となるのである。

 なので、できたから統夜がアキトに勝っているとは一概に言えないので注意しておこう。

 

 

東方不敗「うむ。よいものを見せてもらったぞ」

 

ドモン「師匠!?」

 

東方不敗「あのサイトロンとかいうので相手の思考を読むことと、未来の先読みがうまいのが完遂できた理由であろう。これは、本気で鍛えれば、ドモンとは違った強さを持つ戦士に成長するかもしれん」

 

一矢「確かに。ドモンとは逆の、後の先をとれる戦いができそうですね」

 

ドモン「相手の動きを先読みし、動いたところをうつ。紫雲はカウンターを得意としている。それを生身でも同じ感覚でできるようになれば、確かに……!」

 

統夜「いや、俺の体がそもそもついていかないんですが……」

 

東方不敗「ドモンよ!」

 

ドモン「はい!」

 

東方不敗「良い刺激を受けたようだな!」

 

ドモン「はい! 師匠、このまま一つ、稽古をお願いします!」

 

東方不敗「まかせよ! さあ、くるがいい!」

 

ドモン「ししょー!」

 

東方不敗「ふははははは!!」

 

 

 どのまま二人はものすごい勢いで別の場所へ移動していきました。

 戦いながら。

 

 

一矢「……俺も、もうひと汗をかいてこよう!! じゃあな、みんな!」

 

ジョルジュ「皆さん、いい刺激になったようですね」

 

統夜「なった。んですかね……」

 

シャナ=ミア「ともかく、お疲れ様です。本来なら私の……」

 

統夜「おっと、それ以上はもう言う必要ない。あれは、俺が自分で引き受けたんだから。それ以上は言わない」

 

シャナ=ミア「は、はい」

 

カティア「そういうことよ。はい、タオル」

 

統夜「サンキュ」

 

テニア「飲み物も用意してあるよ!」

 

メルア「はちみつのレモン漬けも準備しておきました」

 

ロゼ=リア「とってもおいしくできてますわ!」

 

テニア「つまみ食いしてるし……」

 

統夜「ははは。どっちもありがとう。助かるよ」

 

 

 休憩し、ほっと一息つく統夜。

 見物も終わったためか、修練場からは続々と野次馬はいなくなっていく。

 

 

アキト「それじゃ、俺も食堂のしこみがあるから、もう行くよ」

 

シャナ=ミア「はい」

 

ロゼ=リア「そのうちまた食堂へいかせていただきますわ。アキト・サン!」

 

統夜「そういえば、軍曹は?」

 

メルア「機体の整備があるとかで呼び出されていっちゃいました。統夜さんに、訓練をがんばれと伝言が」

 

統夜「そっか。あとでお礼を言いに行かないとな」

 

凱「ご苦労様。立てるかい?」

 

統夜「はい。なんとか」

 

 

 ぷるぷる震える膝を震わせながら、統夜は一人立ち上がった。

 女の子の前でかっこつけるその姿に、凱は優しく微笑み、手は貸さなかった。

 

 

──偽物がいっぱい!──

 

 

甲児「おー、いたいた」

 

統夜「甲児か」

 

甲児「紫雲。探したんだぜ」

 

統夜「ああ、なんの……っ!」

 

 

 瞬間、統夜は体を捻った。

 

 

 ビームッ!!

 

 

 ほんの一瞬遅れ、甲児の目からビームが飛び出し、統夜の体があった場所を貫いた。

 

 もちろん統夜はそこにいない。ビームはそのままあった場所を通過し、修練場の壁をどかんと破壊する。

 

 あんなのが当たれば、統夜の体などひとたまりもなかっただろう。

 それは、早速訓練が役に立った瞬間だった。

 

 

統夜「こ、こいつ、甲児じゃない!」

 

偽甲児「ギギッ!」

 

 

 正体を見破られた偽物が正体を現す。

 顔がわれ、機械の部品が現われた。

 

 無数の目が、そこいらへ焦点をあわせようとする。

 

 

凱「イークイップ!」

 

 

 直後、サイボーグに変身した凱が、ウィルナイフで切り裂き、無差別ビームの脅威は去った。

 

 

凱「ロボット。いや、アンドロイドか」

 

カティア「大変です! 基地に偽物が入りこんでいるわ!」

 

 

 爆破する偽甲児を背に、カティアが司令部にそのことを伝える。

 直後、警報が鳴り響いた。

 

 それは、偽物が基地に侵入したからだけではない。

 

 外に……

 

 

統夜「あれは……」

 

 

 そこには、コン・バトラーVとボルテスVの姿があった。

 

 統夜達はすぐに気づいた。

 あれも、偽甲児と同じだと!

 

 

 格納庫。

 

 

豹馬「コンバトラーの偽物だって!?」

 

十三「外に出やがったで!」

 

小介「それだけではありません。基地に偽物が侵入しているみたいです!」

 

ちずる「みんな、早く出撃しましょう!」

 

 

 遅れてやってきたちずるが格納庫を走る。

 

 

ロペット「待ってください! そのちずるさんに脳波がありません。偽物です!」

 

豹馬「なんだって!?」

 

十三「なんやて!?」

 

ちずる「嘘を言わないで。ロペットこそ偽物でしょう!」

 

小介「くっ。ロペットも物陰から現われました。僕達四人はずっと一緒で入れ替わるタイミングはありませんでしたが、この状況ではどちらが本物とも言い切れません!」

 

ちずる「むしろ人間よりロボットの方が偽物を作りやすいわ!」

 

ロペット「皆さん信じてください!」

 

ちずる「豹馬はどっちだと思う!?」

 

豹馬「うっ……」

 

 

 見比べる。

 

 

ちずる「ねえ、豹馬……」

 

豹馬「っ! お前は、ちずるじゃないな!」

 

偽ちずる「くっ、おのれ!」

 

 

 豹馬が断言した直後、正体を現した偽物は体中から刃物を生やす。

 だが、即座に反応した射撃の名手、十三に脳天を撃ちぬかれ倒される結果となった。

 

 

ちずる「みんな!」

 

 

 再びちずるがやってきた。

 さっきとまったく同じ流れである。

 

 

十三「おいおい。こっちは本物かいな?」

 

豹馬「大丈夫だ。こっちは本物だ」

 

ロペット「はい。脳波もちずるさんのものです」

 

ちずる「わっ。本当に私がいる……。豹馬、よくわかったわね」

 

豹馬「……ま、まあな」

 

豹馬(匂いが違ったとか言えねえよな……)

 

 

 同時刻、モビルスーツハンガー。

 

 

アムロ「違う。この人はセイラさんじゃない!」

 

アスラン「アムロ、さがれ!」

 

偽セイラ「……なぜわかった」

 

アムロ「感じたんです。いや、感じないんです。人の気配が」

 

偽セイラ「そのようなあやふやなもので!」

 

 

 様々なところに潜む偽物達。

 

 一部勘の鋭い者がいればいいが、いない場合、それを見破るのは困難なほどの精度だった。

 

 

アスラン「よし、倒した。みんな、機体の方へ……」

 

ブライト「皆、聞いてくれ!」

 

 

 基地のすべてに各指揮官の声が響く。

 

 

ルリ「皆さん。偽物と本物の区別は今、オモイカネがやっています。それが終わるまで、機体には搭乗しないでください」

 

アスラン「っ! なぜ! 急がないと外の偽物が」

 

ルリ「万一偽物が搭乗した場合、機体を敵に奪われることになります。それだけは避けなければなりません。ですから、自己認証機能を持つ機体のみ、出撃してください」

 

タリア「聞こえたか! 認証に間違いのない者だけ出撃しろ! あとは、スキャンの結果を待て!」

 

アスラン「くっ。確かにそうか……!」

 

 

 相手はアンドロイド。その区別はオモイカネのセンサーを使えばどうにでもなる。

 

 問題は、偽物が機体に乗ってしまった場合。

 コックピットに乗れば運転できるものだと、偽物が本物を運転するという事態になりかねない。

 

 それを許すと、戦力が減った上、味方を倒さなければならなくなる。

 

 ゆえに、出撃が許可されるのは、パイロットが自分で乗りこむのでなく、呼べば来るタイプか、機体がパイロットを選ぶタイプのみだ。

 この二種の場合は、本物のパイロット以外乗ることができないから、現われた機体は偽物でさえない。

 

 これから、呼べば来るモビルファイターや間違いようのないギャレオンなど、偽物が乗りようのない者しか、今しばらく出撃することはできない状態となった。

 

 問題なく出撃できた機体は、統夜のグランティードとロゼ=リアのバシレウス。そしてシャッフル同盟と風雲再起&東方不敗とガイガー&勇者ロボ。そして、アーバレストだけであった。

 

 

統夜「軍曹。平気なのか!?」

 

アル「イエス。私に間違いはありません」

 

ボルフォッグ「そうです。彼ならば間違いがありません!」

 

統夜「なるほど。確かに」

 

宗介「整備ですでに乗りこんでいたのも幸いだった」

 

 

 アーバレストは宗介専用機。そしてAIのアルがついている。

 さらに、整備の関係で既に宗介と認証されているゆえ、こうして出撃が可能となったのだ。

 

 

宗介「そういうことだ。皆、行くぞ!」

 

 

ガイ「続々と偽物が出てくるとは、実にらしいじゃないか! やっぱ偽物が出るのは王道だよな! さあ、俺達も偽者退治に出発と行こうじゃねえか!」

 

アキト「いや、オモイカネが全力で偽物をスキャンしてるから、終わるまで俺達も動けないみたいだよ」

 

ガイ「なにいぃぃ!? この大事な時にー!」

 

 

 アキト達の乗るエステバリスはオモイカネのバックアップを受け動いている。

 そのオモイカネは今、偽物を暴くのに全力をつくしているのだから、こうなるのも当然といえた。

 

 一部出撃が制限された中、偽のコンバトラーと偽ボルテスとの戦いが切って落とされた。

 

 

 一方。基地内。

 

 

 凱とギャレオンがフュージョンし、ガイガーが現われたのが見えた。

 

 すると、その姿を見て、一矢がにやりと笑った。

 

 

一矢「やはりお前は偽物だったようだな!」

 

偽凱「だからどうした!」

 

 

 格納庫へ向かう途中、凱と相対した一矢は、偽物か本物かの問答でにらみ合いの状態となっていたのだ。

 だが、ガイガーが現れたことで、目の前の凱は偽物であることが証明された!

 

 

一矢「お前が偽物ならば、思いっきりやれるってことさ!」

 

偽凱「だからどうしたといっているだろう!」

 

 

 正体がばれたのだから、もう秘密を隠す必要は無い。

 本気となった偽凱は、両手をチェンソーのようなものに変形させ、一矢に襲い掛かってきた。

 

 

一矢(早い! だがっ……!)

 

 

 ぴちょん。

 一矢は、ひとしずくの水が落ちるのを見た。

 

 

一矢(見えた。水の一滴!)

 

 

 まるで時が止まったかのような世界。

 スローモーションで襲いうる偽の凱を、一矢は捕らえた。

 

 

一矢「そこだ!」

 

 

 ごがっしゃ!

 

 

 一矢の正拳突きが、偽凱に突き刺さる。

 偽物は体をくの字に曲げ、そのままきゅりきゅり回転し、壁にめりこんだ。

 

 

偽凱「バカ、な……」

 

 

 信じられんという言葉と共に、凱に化けたアンドロイドは、爆発する。

 

 残心の構えを取り、一矢は息をはく。

 

 

一矢「本物の強さは、よく知っている。肉体も、心もな。やはり貴様は、本物には遠くおよばない!」

 

 

 そう言い、急いでダイモスのある格納庫へ走った。

 

 

 続々と出現する偽ロボット達。

 早く他の者も出撃できなければ、数の差によって押し切られてしまう可能性もあった。

 

 しかし、スキャンも終わり、基地の偽物が排除され、残った仲間が出撃をすればその戦力は逆転。

 

 しょせん偽物でしかないロボット達は次々と撃破され、Gアイランドシティの平和は守られるのだった。

 

 

健一「偽物か。一体どこの勢力からの攻撃だったんでしょう、父さん」

 

剛博士「うむ。残ったアンドロイドの部品は地球のものではないように見えるな……」

 

一矢「ということは、バームの攻撃だった?」

 

京四郎「やつらの仕業か」

 

一矢「……そう、だろうか」

 

京四郎「どういうことだ?」

 

一矢「やり口が、今までのバームとは違いすぎる気がする。あのリヒテルや、バルバス将軍らしくないというか……」

 

ドモン「確かに、奴等は今までこのような方法はとってこなかった。常に正々堂々をむねとして戦っていたように感じたが」

 

ジョルジュ「確かに。彼等がこういう手段を好むようには思えませんね」

 

京四郎「確かもう一人、ライザとかいう科学者があの総大将の近くに居たはずだろ。そいつが一人暴走したんじゃないか?」

 

剛博士「そういう可能性も十分ありえるね。そうでなくとも、彼等が疲弊し、正攻法でなくしぶしぶ絡め手に頼らざるを得なくなったという可能性もある。情報がなさすぎて、これではわからないな……」

 

 

 先に明かしておけば、これはバームの裏に潜む、ボアザン・キャンベル連合軍の仕業であるが、それが明らかになるのはもう少しあとのことである……

 

 ゆえに真相は今のところ、闇の中となる。

 

 

 こうして、隊を大混乱におとしいれた偽物騒動は終わりを告げるのだった。

 

 

 第8話 終わり



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第09話 東京大決戦

 

──復讐の時──

 

 

 ロゴスも壊滅し、地球にひと時の安定が訪れたかと思ったが、そうはならなかった。

 

 今度はなんと東京がゾンダーに占拠されてしまったのだ。

 

 最初のゾンダー。EI-01、パスダーが目覚め、東京を浮かせて飛び立とうとしているのである。

 

 

 その時、東京へ買い物に来ていた統夜も東京を孤立させるバリアの中に閉じこめられてしまう事態が発生するのだった。

 ※このイベントはロゼ=リアが退場している場合発生しない。

 

 

 

 ──少しばかり時間が前後する。

 

 これは、ロゼ=リアが現われ、日本で少しの間学生生活をしていた時の話だ。

 

 食堂にて。

 

 

ロゼ=リア「恋文をいただいたのです」

 

かなめ「ぶーっ! い、いきなりね」

 

メルア「きゃー。凄い。凄いです!」

 

テニア「いきなりだねー」

 

カティア「それで、どうしたの?」

 

シャナ=ミア「どうしましたの?」

 

 

 女性陣は、興味津々である。

 

 

ロゼ=リア「丁重にお断りさせていただきました」

 

さやか「なぜ? 他に好きな人でもいるの?」

 

ロゼ=リア「いいえ。我々はいつ散るとも知れぬ身。残念ですが、わたくしは、誰ともおつきあいするつもりはござません。と、諦めていただきました」

 

テニア「そっかー」

 

メルア「ちょっと残念ですねー」

 

 

 恋の話に盛り上がらぬ女子は居ない。

 

 だが、それを近くで聞いていた統夜は、感じていた。

 

 彼女のこの覚悟。

 それは、自分に未来がないと知ってのことだからだと。

 

 統夜は知っている。

 彼女は世界を救うため、その身を犠牲にしようとしていることを。

 

 自分にはその時までの未来しかないということを。

 

 ゆえに彼女は、今を楽しむのと同時に、未来を諦め、自棄になったよう明るく振舞っている。

 

 あのめちゃくちゃなテンションはそういう理由があるからだと、統夜は感じていた。

 

 

 だから……

 

 

統夜「うっ……ここは……」

 

 

 統夜は暗闇の中目を覚ました。

 

 

統夜「夢、か……」

 

 

 先ほどの一幕は、気絶している間に見ていた夢だったようだ。

 いったいなにがあったのかと、あたりを見回す。

 

 

統夜「そうだ、あの時……」

 

 

 統夜は、自分が今、どのような状況に置かれているのかを思い出した。

 

 日本に戻った統夜達は、東京に買い物に来ていた。

 

 その中で、統夜はクド=ラが生身の自分を狙っていることを知る。

 

 最初に気づいたのは、千鳥かなめと共に来ていた相良宗介だった。

 彼は自分達をつけている何者かがいると気づき、その正体が統夜を狙うクド=ラであると気づいた。

 

 ゆえに、その接近を、ショッピングに夢中になっている女子達に隠れて知らせてくれたのである。

 

 機体に乗っての戦いでは勝てぬと思った彼女は、生身の統夜になら勝てると思ったのだろう。

 そう、宗介は推測する。

 

 いつでも相手にすると言った手前、無視するわけにはいかない。

 

 統夜は付け焼き刃な戦闘訓練しか受けていないが、それは機体に乗っていない彼女も同じ。

 宗介に防刃チョッキなどを借り、ここはお帰り願うため、一人で彼女を相手にすることにした。

 

 

宗介「あの訓練(第8話参照)を思い出せば問題ない」

 

統夜「ああ。行ってくるよ」

 

 

 皆がショッピングに夢中になっている間に、近くにある廃ビルへ一人でむかう統夜。

 

 これはチャンスであると、クド=ラもそちらへむかう。

 

 

 そこまでは、双方の思惑通りであった。

 

 だが、そこで、東京は異変に襲われる。

 

 

 大地が揺れ、地面が裂け、その影響で廃ビルが折れて二人のもとへ落下してきたのだ。

 

 

統夜「っ! 危ない!」

 

 

 とっさに統夜は襲いくるクド=ラに飛びつき、グランティードを呼んだ。

 覆いかぶさった統夜と同じように、グランティードが統夜達をかばう形で廃ビルとの間に転移して現われる。

 

 

統夜「……そうか、それで」

 

 

 その結果、統夜はグランティードと共に、廃ビルの瓦礫に埋もれてしまったのだろう。

 衝撃からして、ビルだけでなく、裂けた地面の方にもまきこまれ、地下の方に滑り落ちたというのも推測ができた。

 

 なぜなら、周囲は完全な闇。

 瓦礫を支えるグランティードによって生まれた小さな空間しかないからである。

 

 

統夜「一体なにが起きたんだ? グランティードを動かせれば、すぐにでも出られるけど……」

 

 

 問題は、グランティードは統夜一人では動かせないということだった。

 幸いコックピットを開き、乗りこむことは可能だし、それによって明かりも確保はできる。

 

 明かりを得たことで、もう一人同様に閉じこめられた人の姿が見えた。

 

 

クド=ラ「がるる」

 

 

 小さな空間の隅で、統夜を威嚇している少女がいる。

 手にナイフなどの凶器はない。あの衝撃ですべて放り出してしまい、いるのはか弱く、か細い腕しかない女の子だった。

 

 統夜が近づけば、そのまま噛み付きかねない勢いさえあった。

 

 彼女もサイトロンによって機体を動かしている。ゆえに、彼女の協力があれば、グランティードも動かせるかもしれないが……

 

 

統夜「まあ、無理か……」

 

 

 やれやれと、肩をすくめた。

 

 いずれにせよ、グランティードから救難信号を出せる。のんびりと待っていれば、誰か助けが来るはずだ。

 外で起きている事態をまだ把握していない統夜は、そう考え、待つことにする。

 

 

統夜「……」

 

クド=ラ「……っ!」

 

統夜「なあ」

 

クド=ラ「なにさ!」

 

統夜「じっと睨みつけられても困るんだけど」

 

クド=ラ「こうしてれば弾けて死んでくれると思って」

 

統夜「さすがに、そこまでの力は俺達にないんじゃないかな」

 

クド=ラ「うっさい。死ね」

 

統夜「さすがに、ここじゃ死ねないな。ここで俺が死ねば、多分君も助からないだろうし」

 

 

 統夜が死ねば、ここにあるグランティードがどうなるかわからない。

 格納庫に戻り、この場から消えてしまうなんてことになれば、それの支える瓦礫により、彼女はみごと押しつぶされてしまうだろう。

 例えグランティードがそのまま残ったとしても、主を失ったグランティードは機能を停止し、救難信号は停止。さらにここを照らす明かりはおろか、開いたコックピットより生まれる酸素もなくなってしまう。

 そうなれば、この暗くて狭い空間の中、彼女は孤独な死を免れないだろう。

 

 

クド=ラ「そんなのかまうもんか。お前が死ぬなら、ボクはそれで満足だ。お前を道連れにできるのなら、望むところだよ」

 

統夜「……それは、俺を殺せるなら、自分の命はどうでもいいってことか?」

 

クド=ラ「そうさ。死んでも兄さんの仇をとる。それ以外、生きててなにがある!」

 

統夜「……」

 

 

 復讐を胸に、その心を生きる気力とする。

 それはいい。

 

 だが、そのためだけに生き、命を捨てる。 

 

 それは統夜の望むところではない。

 

 

統夜「無理だ。今の君には殺されない。絶対にな」

 

クド=ラ「今? ふん。なら、もっと強くなってやる。ボクだって、まだまだ強くなる!」

 

統夜「強さは関係ないさ。復讐できるなら終わってもいい。そんな未来を考えていない戦い方をするうちは、俺は絶対に負けない」

 

クド=ラ「なっ、なにをー!?」

 

統夜「俺をいくら憎んでくれていい。いくら殺そうとしてくれていい」

 

統夜(それが君の生きる理由になるのなら、俺はそれでよかった)

 

 

 どんな理由であれ、肉親を失った彼女に生きる理由ができるのなら、前を向く糧となるのなら、どれだけ恨まれてもかまわないと統夜は思っていた。

 

 

統夜「でも、俺の死が君の死んでもいい理由になるのは認められない。俺を殺して、君まで死んだらその仇討ちに意味はない。復讐は目的の一つであって、終着点じゃない。君の命はそこで終わっていいものじゃないんだ。ゆえに、死んでも俺を殺すという限り、絶対に殺されるつもりはない!」

 

クド=ラ「なっ!?」

 

統夜「だから、お願いだ。仇討ちだけに、命をかけないでくれ」

 

クド=ラ「えっ……?」

 

 

 まっすぐ目を見て放たれた突然の懇願に、クド=ラは戸惑う。

 

 

クド=ラ「な、なによいきなり。殺される側だってのに、なにボクを心配するようなことを! お前は、ボクの仇なんだぞ!」

 

統夜「ああ。仇だ。仇だけど、君の未来を心配してなにが悪い」

 

クド=ラ「えっ?」

 

統夜「君と同じように、俺の仲間にも生きることをなかば諦めている子がいる。その子は未来がないから、今を生きることに精一杯で、先のことを考えていないような楽しみ方をしている」

 

クド=ラ「それがどうしたのよ。ボクには関係ない」

 

統夜「関係ある。君にも、彼女にも、未来があっていいはずなんだ。明るい未来を考えていいはずなんだ。だから、俺を殺したら終わりとか、世界を救うために自分は死んで終わりとか、そんなのダメだ。ちゃんと、未来を考えて、幸せを夢見ていいはずなんだよ! なのに、生きるのを諦めてどうするんだ!」

 

クド=ラ「ボクは生きるのを諦めてなんか!」

 

統夜「なら、なんで相打ちでもいいなんて言うんだ? 違うのなら、復讐を終えたあと、どうしたいか、未来の展望を聞かせてもらおうか」

 

クド=ラ「うっ……」

 

 

 彼女は統夜の疑問に言葉を詰まらせた。

 

 

統夜「!」

 

 

 言葉に詰まったクド=ラを見て、統夜は気づいた。

 

 統夜は今までの会話から、彼女は未来のことをなにも考えていないと悟っていた。

 本当に、統夜と相打ちになって死んでもいいと考えている。

 このままでは、統夜が殺された先にさえなにも残らない。生きる屍が残るだけ。憎しみを統夜にむけるだけではなにも解決しない。

 

 だが、ここで即答の反論が出ず、言葉が詰まったということは、この瞬間、彼女は未来を考えたということでもある。

 それはつまり、クド=ラの中から生きる意志が消えていないということ。

 

 ならば、彼女に憎しみ以外のことを想起させることができる。復讐以後の生きる目的を思い出させることができる。……かもしれない。

 

 ほんの小さな希望。ここがその分水嶺であると感じた統夜は、このまま彼女の心へ踏みこむことを決断する。

 

 

統夜「考えてるなら言えるはずだ。君は俺を殺したあと、なにがしたい?」

 

クド=ラ「い、言わない……!」

 

統夜「答えてもらう。気が晴れたらなにがしたいかを! どんな未来を望むのかを!」

 

クド=ラ「ボ、ボクは……」

 

 

 その気勢に戸惑うクド=ラにむかい、統夜は口勢を緩めない。むしろ強めてゆく。その心へ迫ってゆく。

 

 

統夜「さあ!」

 

クド=ラ「ボクはっ……」

 

統夜「さあ!!」

 

クド=ラ「ううっ……」

 

統夜「さあ!!!」

 

クド=ラ「う、うるさい! そんなの考えてなかったわよ!」

 

統夜「素直でよろしい!」

 

 

 返ってきた答えに、統夜は満足したようにうなずき……

 

 

統夜「なら、考えようか」

 

クド=ラ「……は?」

 

統夜「仇を討って、復讐を終えたあとのことさ。すっきりしたらなにがしたいかとか。色々やりたいことはあるだろう?」

 

クド=ラ「なっ、なにを言ってるのさ。自分が殺されてからのことを考えようなんて、あんた本気なの!?」

 

統夜「ああ。本気だ。それで復讐を終えた君が、幸せに暮らせるのならね」

 

クド=ラ「……」

 

統夜「それに、仇を討った後、君が幸せに過ごせなければ、肝心のジュア=ムも成仏できないとは思わないか? ジュア=ムだって、君が笑って過ごして欲しいと思っていたはずだ。あいつのことを思うなら、復讐が終わったあとのことを考えるのも意味があると思うんだ」

 

クド=ラ「……」

 

統夜「ジュア=ムのために。そうは考えられないか?」

 

クド=ラ「……復讐が終わったあとのこと、ね」

 

統夜「どうせ時間はたっぷりある。考えよう。そうだ。君は、これがなかったら、将来なにがしたかったとか、夢とかなかったのか?」

 

クド=ラ「そりゃ、あったわよ。地球に降りたら、なにをしたかったかくらい……」

 

統夜「それはよかった。よければ、その夢を聞かせてもらえないかな?」

 

クド=ラ「ボクは……って、なんであんたにそれを話さなきゃならないのさ! 聞いたところで、死ぬ人間には関係ない話だ! もう流されないぞ!!」

 

統夜「あはは。それもそうか。確かにそうだ。でも、未来のことを考えられるようになったのなら幸いだ。忘れていたそれを、覚えていてくれ。復讐が終わっても、それで人生が終わるわけじゃないと」

 

クド=ラ「……」

 

クド=ラ(なんなのこいつ。バカなんじゃない。自分が殺されたあとのことばかり心配して。殺すボクのことばかり心配して! お前が死んでからボクがどうなろうと、お前には関係ないじゃないか! お前は極悪人なんだから、自分の心配をしていろよ!)

 

 

 クド=ラの胸の中を、ざわざわしたものが駆け抜ける。

 恨みと憎しみの中、言葉では表現できないなにかが、彼女の中に芽生えていた。

 

 

クド=ラ(ええい。そんなことはどうでもいい。こいつを殺して、兄さんの恨みさえ晴らせばすべて終わるんだ。そんなこと考えてもしかたない!)

 

 

 このチャンスを逃す手はないと、クド=ラは意を決し、近くの瓦礫に手を伸ばした。

 刃物がなくとも、でかい石があれば、人間の頭くらい……!

 

 

 ゴゴゥン!!

 

 また、不自然に地面が揺れた。

 

 

クド=ラ「きゃっ!」

 

統夜「危ない!」

 

 

 とっさに統夜が手をとり、彼女をグランティードの真下に引き寄せた。

 まるで彼女を守るよう、抱きとめる。

 

 

クド=ラ「!? !!?」

 

統夜「なんだこの揺れは。明らかに、普通じゃないぞ……」

 

 

 さすがの統夜も、異変に気づきはじめた。

 

 

 キンッ!!

 

 直後、サイトロンが未来の様子を統夜達の脳裏へと浮かび上がらせる。

 

 

 そこには、バリアに包まれ浮かび上がる東京と、東京タワーに寄生した巨大なゾンダーの姿だった。

 そして、内部に捕らわれた者達が、次々とゾンダーに変貌してゆくのも見えた。

 

 統夜は、今外でなにが起ころうとしているのか。それを把握した!

 

 

統夜「そういうことか……!」

 

クド=ラ「え? 今の、なに……?」

 

 

 それは、統夜だけでなくクド=ラの方にも見えていたようだ。

 

 未来を見るのははじめてらしく、驚き、戸惑っている。

 

 

統夜「見えたか?」

 

クド=ラ「う、うん。なにこれ。外で、こんなことが起こっているの? ボク達、怪物になっちゃうの?」

 

統夜「いや。これはありえる未来の一つだ。このまま俺達が指をくわえて見ていれば、大勢の人がああなる未来だと、サイトロンが教えてくれたんだ」

 

クド=ラ「そんなっ……!」

 

統夜「早く外に出て、どうにかしないと大変なことになる。クド=ラ。頼める立場じゃないのはわかっている。でも、君の力が必要だ。力を貸してくれ!」

 

クド=ラ「え? なにを言ってるの?」

 

統夜「君ならサイトロンを使える。俺とグランティードに乗ってくれれば、外に出られる。彼等を助けられる」

 

クド=ラ「……確かに、ボクが使ってるのと同じだから、あんたとボクが乗れば動かせるかもしれない」

 

統夜(同じ。ということは、あの機体、もう一人誰かが乗っているってことか?)

 

クド=ラ「別に一人だよ。しいて言うなら、兄さんと一緒ってことだけど!」

 

 

 えっへんと胸を張った。

 

 統夜は考えが顔に出ていたかと、思わず苦笑する。

 

 

統夜「そういうことを思ったわけじゃないけど、動かせるなら好都合だ。力を貸してくれ」

 

クド=ラ「あんたバカなんじゃない。外に出たとたん、背中からボクに殺されることくらい想像できないの?」

 

統夜「そうしたいならそうすればいい。その時は大人しくそれを受け入れるよ。でも、俺の命の代わりに、外で困っている人達だけは助けてやってくれ」

 

クド=ラ「……」

 

統夜「だから、頼むよ」

 

クド=ラ「自分の命をかけて他人を救うとか、バカなんじゃない。でも、いいわ。今だけ手伝ってあげる。今だけだからね!」

 

統夜「ありがとう!」

 

クド=ラ「……」

 

 

 開いたコックピットによじ登り、二人はグランティードを起動させる。

 

 グランティードの両目に光がともり、ゆっくりとその巨体を立たせはじめた……!

 

 

──東京大決戦──

 

 

 突如として東京を覆った光のバリア。

 中とも外とも通信がとれなくなった中、GGGはそこで、ゾンダープラントが作られようとしていると推測した。

 

 なんとかしてその中へ突入し、ゾンダープラントの完成を阻止しなければならない。

 

 しかし何層にも連なると予測されるバリアは、解析が難しく、それを打ち破るのは容易いことではなかった。

 

 時間がない。

 誰もが焦りを感じたその時、バリアの内部で異変が起きた。

 

 何者かがバリアの中で暴れ、その力が弱まったのである。

 

 それは、中でバリアを作る機界四天王へダメージを与えた統夜の仕業。

 おかげでバリアの階層と組成を解析でき、それを打ち破る方法が判明した。

 

 四層になったバリア。

 一つを超電磁チームが。

 一つをGガンダムチームが。

 さらにナデシコ。

 そして、ガオガイガー達がそれを消し、第13独立部隊は東京へと突入した。

 

 

 そこには、機界四天王が待ち構えていた。

 

 

ロゼ=リア「トーヤ、無事ですか!?」

 

統夜「ああ。俺は無事だ!」

 

シャナ=ミア「グランティードを一人で動かしているのですか?」

 

統夜「いや、違う。でも今は、それを説明している暇はない。またバリアを張られる前に、こいつらを!」

 

メルア「わかりました!」

 

カティア「皆さん!」

 

凱「ああ!」

 

 

 激闘の末、第13独立部隊は機界四天王を撃破する。

 

 しかし直後、東京タワーをとりこんだEI-01、パスダーが姿を現した。

 それは、300メートルをこえる巨大な姿を持ち、まるで悪魔だと言われるような姿をしていた。

 

 パスダーは東京のエネルギーを吸い上げ、東京そのものを宇宙船へと変え、巨大なゾンダープラントへと変貌させようとする。

 

 東京すべてのエネルギーを得たパスダーは、第13独立部隊の面々の攻撃を次々と無効化し、Gストーンのエネルギーさえ消してゆく。

 

 このままでは勝ち目は薄い。そう感じた凱は、最後の切り札、弾丸Xの使用を要請する。

 Gストーンのパワーを最大まで高めるそれを使えば、勇者達もただではすまない。しかし、このまま東京を、いや、地球がゾンダー化されてはすべてが終わる。

 

 覚悟を決めた凱達は、射出された弾丸Xの元へと到達する。

 しかし、その力が完全に開放されるには、ほんの少しの時間が必要だった。

 

 その間、弾丸Xと勇者達を守らねばならない。

 だというのに、彼等の消耗は予想より激しかった。

 

 

甲児「くそっ、このままじゃ!」

 

弓教授「甲児君!」

 

甲児「弓教授!? ひょっとして!」

 

弓教授「ああ。その通りだ。マジンカイザーのオーバーホールが完了した。今、そちらへ送る! 上空でカイザーパイルダーに乗り換え、そのままそのままマジンカイザーとドッキングするんだ!」

 

甲児「わかりました!」

 

 

 かなり無茶なことを言っているが、甲児はそれを快諾した。

 

 パイルダーをマジンガーZとから離脱させ、そのまま上空へとむかう。

 そこには、自動操縦で動くカイザーパイルダーの姿があった。

 

 速度をあわせ、カイザーパイルダーに飛び乗る。そして、宇宙から自由落下してくるマジンカイザーとドッキングを果たした!

 

 

甲児「いくぞおぉぉぉ!!」

 

 

 パスダーの攻撃が弾丸Xと勇者達へのびる。

 

 誰もが止められないと思ったその瞬間、空から鉄の弾丸が降り注いだ。

 

 小さなクレーターを作り、それはパスダーの攻撃を吹き飛ばす。

 

 

パスダー「なっ!?」

 

甲児「時間ならば、俺が、このマジンカイザーが稼ぐぜ! くらえ。ファイヤーブラスター!!!」

 

パスダー「こしゃくな! このような攻撃、また対消滅してくれる!」

 

甲児「いくらでも防げばいい。いくらでも撃ってやるからな!」

 

パスダー「ぬうぅ。人間ごときがあぁぁ!!」

 

甲児「おおおぉぉぉぉぉ!!」

 

 

 放たれた赤き炎。

 

 パスダーとの力とぶつかりあい、それは大きな輝きを放った。

 

 

パスダー「くくっ。我にそれが届くことはなかったようだな」

 

甲児「いいや、十分さ。十分時間は稼いだ!」

 

 

 マジンカイザーの背後から、緑色の輝きが広がる。

 

 その光は、ゾンダーのエネルギーを押し戻し、街のプラントを消滅させていった。

 

 弾丸X。

 Gストーン内部に封印されていた高エネルギー集積体を爆発的に開放させ、GSライドから限界以上のパワーを引き出すGGGの最終兵器。

 

 その力がついに解放されたのだ!

 

 

パスダー「ぬうぅ!」

 

凱「うおおおぉぉ!!」

 

 

 弾丸Xより飛び出したガオガイガーが、パスダーに一撃を加える。

 

 その巨体が、ついによろめいた。

 

 

 反エネルギー同士がぶつかれば、その互いは消滅するだけ。生き残るのは、よりパワーが大きな者。

 

 つまり……

 

 

凱「行くぞEI-01! 俺達とお前。最後に立っていた方が、勝利者だ!」

 

甲児「そして、神を超え、悪魔を倒すマジンカイザーの真の力を見せてやるぜ!」

 

 

 東京を救う最後の戦いが、はじまった!

 

 

 ……

 

 …………

 

 

 ……

 

 

 激闘を制したのは、第13独立部隊であった。

 

 東京のエネルギーを得たパスダーであったが、パワーアップした勇者ロボ軍団におされてゆき、最終的にガオガイガーのゴルディオンハンマーにより、完全に消滅させられたのだ。

 

 勇気の、勝利である!

 

 

 しかし、犠牲は大きかった。

 

 勝利を確信したのち、勇者達は一様に輝きを失ってしまったのである。

 

 誰もが感じた。

 彼等は命の炎を燃やしつくし、地球を救ったのだと。

 

 だが……

 

 

護「嘘だよね。凱兄ちゃん! ギャレオン! みんな返事をしてよ。目を覚ましてよー!」

 

 

 護が願い、叫んだ時、奇跡は起きた。

 

 勇者達のGストーンに輝きが戻り、勇者達は目を覚ましたのだ。

 ボロボロではあるが、彼等は生きていたのだ!

 

 喜びに沸く第13独立部隊。

 

 この戦いは、彼等の大勝利で終わったのだ!

 

 

──別れの時──

 

 

 ※ロゼ=リアが退場している場合、このイベントは発生しない(上のイベントからの流れだから)

 

 

 戦いも終わり、グランティードのコックピットからクド=ラが姿を現した。

 

 

統夜「ありがとな。おかげで助かった」

 

クド=ラ「……別にあんたを助けたわけじゃない。ボクだって、他人が傷つくのなんて見たくないだけだよ」

 

統夜「そうだな。やっぱり君は、優しい子だ」

 

クド=ラ「う、うっさい! 変なこと言うな!」

 

シャナ=ミア「クド=ラ……」

 

ロゼ=リア「どうするのです? このままトーヤの命を狙いますか?」

 

クド=ラ「……やってもいいけど、せいぜい相打ちがいいとこだね。だから、今日のところはやめとくよ」

 

統夜「そっか。なら、またいつでも来るといいよ。今度は、カティア達と御飯でも食べていってくれ」

 

クド=ラ「だからなに言ってんのあんたは! 命を狙われてるって自覚あるの!?」

 

カティア「じゃあ、私もいつでも歓迎するわ。好きなものを作ってあげる」

 

クド=ラ「そっちもなにいってんのさ!」

 

カティア「統夜君が無茶言うのはいつものことですからね。これくらい、こたえて当然よ」

 

クド=ラ「い、意味わかんない……」

 

テニア「なんなら、今から一緒に御飯食べていかない?」

 

メルア「お菓子もありますよ」

 

クド=ラ「どいつもこいつも意味わかんないことばっかり! あんた達と馴れ合うつもりなんてないんだから!」

 

 

 クド=ラはぴょんとコックピットを飛び出し、そのまま去ってゆくのだった。

 

 

 統夜はそれを、優しい視線で見送った。

 

 今日このまま統夜の命を狙わなかった。それはつまり、統夜を殺すだけに生きるというのをやめたという意味だからだ。

 

 ほんの少しは、未来のことを考えられるようになったということだからだ……

 

 

 闇に飲まれた彼女の未来は、ほんの少しだけでも明るくなっただろうか……?

 

 

 第09話 終わり



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第10話 敗北イベント~逆転開始まで

 

──敗北イベント──

 

 

 戦争を裏から操っていたロゴスは壊滅し、地球を機械生命体にしようとしていたゾンダーも片付き、ジオンは地球から勢力をほぼ失った。

 

 バームの戦力がどれほど残っているのかは不明だが、ジャブローへの戦力集中にてかなり疲弊したはずである。

 

 この落ち着いた時をもって、各ロボットは一度修理やオーバーホールのため各研究所、基地へと機体を回すことが決定された。

 

 これまで繰り返された激戦により、多くの機体は蓄積されたダメージを隠し切れない状態だったからだ。

 

 この先の戦いを勝ち抜くため、より万全な状態にした方がいいというミスリル、カリーニン少佐の提案もあり、休暇もかね各員それぞれの場所へと帰ることとなる。

 

 ひと時の休息。

 

 だが、それは、その隙を虎視眈々と狙っていたもの。

 情報を受け継ぎ、その時が襲撃に適したタイミングであると判断したもの。

 さらに心強い援軍が現われたもの達の手によって乱されようとしていた……

 

 

 バーム地球攻撃本拠地 海底城。

 

 そこに一人の男が姿を現した。

 

 男の名はアイザム。

 バームがほこる天才科学者にして、リヒテルの親友である。

 

 彼は地球人の内乱にあわせ、大規模攻勢をかけたというのに返り討ちにあったリヒテルのかわりとして送られてきた、バームの新しい指揮官だった!

 

 突然の交代命令に憤慨するリヒテル。

 

 

アイザム「不服か?」

 

リヒテル「無論だ! 例え大元帥の命令とはいえ、余には命より重い誇りがある! アイザム! この海底城が欲しければ、余と決闘いたせ!」

 

アイザム「私の命に従わぬのならば、それはオルバン大元帥への反逆となるぞ?」

 

リヒテル「例えオルバン大元帥の命令といえども聞けぬことがある! 余はバーム10億の民のため地球を制圧すると誓ったのだ! その志を果たせずして司令官を引くわけにはおかぬ! ならばいっそ、死を選ぶ!」

 

アイザム(……変わらぬな、リヒテルよ)

 

リヒテル「さあ、アイザム! 剣をとれ! 海底城の指令の座に座るのは、余を倒してからにせよ!」

 

アイザム「リヒテル、お前が昔とかわらず安心したぞ」

 

リヒテル「なに!?」

 

アイザム「リヒテル、俺を殺せ。オルバン大元帥には俺が地球到着直後に事故で死んだと伝えろ。そうすれば、お前が引き続き任務につく他あるまい」

 

リヒテル「アイザム。お前は……お前は余のために死ぬというのか……!?」

 

アイザム「オルバン大元帥は、もし、お前が反抗するなら殺せとおっしゃられた……」

 

リヒテル「っ!? 大元帥は余の忠誠をなんだとお考えなのだ!?」

 

アイザム「俺にそれができると思うか……? 友であるお前を殺すことができると思うか? リヒテル」

 

リヒテル「アイザム……」

 

アイザム「リヒテルよ、お前は俺にとってかけがえのない唯一無二の友だ。そのお前とバームの民のためなら、俺はこの命を捧げよう」

 

リヒテル「ならば、アイザム。余の戦いに力を貸してくれるか?」

 

アイザム「無論だ。そのための新兵器も用意してある。共に、バームの民のため戦おう!」

 

 

 こうしてリヒテルは新兵器、ゾンネカイザーと共に出撃する!

 

 

──GGG壊滅!──

 

 

 その日、それは突然現われた。

 

 上空に謎の筒が出現し、突如としてベイタワーを攻撃しはじめたのだ。

 それは機界31原種と呼ばれる、ゾンダーの頂点。ゾンダリアンを統べる真のゾンダーであった!

 

 満身創痍の凱と勇者ロボはなんとかガオガイガーに合体して出撃するも、破壊した筒から現われた3体の巨人巨腕原種、鉄髪原種、顎門原種に手も足も出ずやられてしまう。

 

 その時、純白の戦艦。Jアークが姿を現し、ガオガイガーが手も足も出なかったそれらを粉砕するのだった。

 

 しかし戦いは終わらなかった。

 さらに現われたもう一体が空にESウインドと呼ばれるゲートを開き、宇宙から巨大な隕石を降らせようとしたのだ。

 

 肝心のJアークはそれに気づいたのかいないのか、あっさりと撤退し、ボロボロの勇者達だけが残された。

 

 このままでは全滅は間違いない。

 だが、ガオガイガーの翼は折れ、飛ぶことさえできない。

 

 そんな中、超竜神はまだ使えるブースターと合体して特攻を開始、現われた隕石を自身ごと窓のむこうへ押し返した。

 しかし、窓の向こう側へ行ってしまった超竜神は戻ることができず、世界のはるか彼方へと消えてしまうのだった……

 

 

凱「聞こえるか、超竜神……」

 

超竜神「聞こえます」

 

凱「いつの日か、必ず、必ず、お前を迎えに行くからな!」

 

護「僕も一緒に行くから、絶対に!」

 

超竜神「了解しました。いつまでも、いつまでも待っています。必ず、再会できる日を……」

 

 

 凱は誓う。いつの日か地球のため身を挺した偉大な勇者、超竜神を救い出してみせると。

 

 その瞳から、勇気はいまだ潰えていなかった……

 

 

──メリダ島陥落す!──

 

 

 同じ時、ミスリルの各施設が、ロゴスが滅び、新たに生まれたアマルガムに襲撃を受けていた。

 

 宗介やかなめが行ったメリダ島も例外でなく、宗介は整備中のアーバレストに乗り防衛に乗り出し、獅子奮迅の活躍をするも、ウィスパードであるかなめを狙うテッサの兄、レナードの乗るアームスレイブ、ベリアルにより敗北。

 アーバレストは破壊されてしまった。

 

 とどめをさされる直前、かなめがレナードの前に姿を現し、宗介を助ける条件にレナードへついてゆくこととなる。

 

 テッサはメリダ島の放棄を決断。

 

 混乱の中生存者をかき集め、トゥアハー・デ・ダナンによってメリダ島を脱出する。その際、カリーニンが島に残り、殿を務めた。彼はこのまま、行方不明となる。

 

 敗北にうちひしがれた宗介は、アランに機体ごと回収され、さらなる追撃を受けそうになったダナンは、救援に駆けつけたダンクーガとアークエンジェルの面々により、なんとかその領域を脱出することに成功する。

 

 しかし、被害は甚大。

 

 この日、GGGと同じく、ミスリルも壊滅することとなったのだ……

 

 

──敗北のダイモス──

 

 

和泉博士「コン・バトラーもボルテスも修理とオーバーホールにまだ時間がかかるようだ。ここは我等だけでもGGG救援にむかおう!」

 

一矢「はい!」

 

 

 コン・バトラーVもボルテスVも今までずっと戦い続けてきた機体だ。

 それだけダメージの蓄積も多い。

 

 この緊急事態の中、この2機は簡単に動かせないようだった。

 

 

 ベイタワーの危機を知り、救援に駆けつけようとダイモビックを飛び立ったダイモス。

 

 その前に、天才アイザムによって作られた新兵器、メカ戦士ゾンネカイザーが立ちふさがった!

 

 

リヒテル「仲間の救援にむかうようだが、そうはいかぬぞダイモス! 今日、ここが貴様の墓場だ!」

 

一矢「な、なんて時に!」

 

 

 ダイモスに襲い掛かるゾンネカイザー。

 

 ダイモスの攻撃は、その体に使われた超弾性金属と呼ばれる、すべての攻撃を跳ね返す金属にはじかれ、まったく通じなかった。

 

 ダメージが与えられなければ、勝つことはできない。

 

 攻めあぐねていると、遠くに見えるベイタワーが崩壊するのが見えた。

 

 

一矢「そんなっ……!」

 

和泉博士「一矢君、ここは一度ひくんだ! このままダイモスまでやられてはたまらん!」

 

一矢「ですが!」

 

和泉博士「ダイモビックは一度放棄する。ここは耐えてくれ!」

 

一矢「くそっ!」

 

 

 攻め手もなく、助けるべきものも失われた。

 

 この事実に、ダイモスは一度撤退を余儀なくされる。

 

 

 こうして、ダイモビックはバームの手に落ちた。

 

 基地を捨て逃げてゆくダイモスに、リヒテルは満足の高笑いを持って勝利を宣言するのだった。

 

 

 このままではバームに勝てない。

 

 敗北を知った一矢は、これからの戦いに勝つにはダイモスの強化が必要不可欠だと思い知らされた……

 

 

──逆転への第一歩──

 

 

 敗北の連続。

 

 ベイタワーに駆けつけた統夜と甲児達が見たのは、敗北にうちひしがれた勇者ロボ達の姿と、ミスリルの壊滅とダイモス敗北の一報だった。

 

 唯一の救いは、ベイタワー基地の人間は既に宇宙に避難して無事だったということである。

 原種の襲撃を予測し、宇宙に製作していたオービットベースにギリギリのところで避難したのだ。

 

 宇宙に行き、GGG職員の無事を確認すると、メリダ島の者達もかなめとカリーニン以外健在であることを知る。

 

 さらに新しい勇者ロボ。風龍、雷龍も加わった。

 

 失ったものも多いが、彼等の目に光は消えない。

 散った者のためにも、この程度の挫折で脚をとめるわけにはいかないからだ!

 

 

 皆、決意を新たにするが、敵の猛攻はまだ終わっていなかった!

 

 

 なんと6種もの原種がオービットベースに攻めこんで来たのだ!

 

 原種達はオービットベースの動力部を利用し、ゾンダーメタルプラントを作ろうと目論んでいるのである。

 万一ここが乗っ取られてしまえば、地球は一気に機界昇華されてしまう。

 

 退くこともできないまま、第13独立部隊の面々は6体の原種を相手に生身で戦うこととなってしまった!

 

 相手は機界最強7原種。脆弱な人間がそれを相手に……

 

 

チボデー「原子分解? なら、こいつはどうだ! 豪熱マシンガンパンチ!」

 

 

 シャッフルの紋章が輝き、一発放たれたパンチから10発分の衝撃波が放たれる!

 

 

東方不敗「ゆくぞドモン!」

 

ドモン「はいっ、師匠!」

 

東方不敗「超級!」

 

ドモン「覇王!」

 

二人「電影弾ー!!」

 

肋骨原種「な、なんだこいつらは、本当に人間か!?」

 

肝臓原種「この人間、このエネルギー、これはまるで……っ!」

 

 

 ……わりと勝てそうな気がした。

 

 

 

 もちろん、彼等が到着していない場所は大変だった。

 

 

クルツ「くそっ。こんな時こそアレが必要だってのに、肝心のソースケがあれじゃな……」

 

 

 アレとは小型ASとさえ言われる着ぐるみ型パワードスーツ、ボン太君である。

 

 しかし肝心の持ち主が敗北&護衛対象のかなめに逆に助けられ命を救われるというダブルパンチもあって、部屋の中で塞ぎこんでいる状態だった。

 

 敗北の状況が状況だけに、そのまま心が折れて立ち上がれなくとも不思議はなかった。

 

 

鉄也「泣き言を言っている場合か。戦闘のプロならば、そのものさえ守ってみせろ!」

 

クルツ「ったく、言ってくれるぜ。そう言われたら反論できねぇや。一応俺も、プロを名乗ってるからな!」

 

爪原種「それがどうした!」

 

クルツ「どわーっ! やっぱ無理だー!」

 

鉄也「くっ……!」

 

 

 いくらプロとはいえ、生身の体で原種を相手にするのは厳しかった。

 

 

???「ふもっ!!」

 

爪原種「っ!?」

 

 

 爪に砲撃があたり、ちゅどーんと爆発した。

 

 

クルツ「この、声……」

 

ボン太君「ふもっ!」

 

クルツ「まさか、きやがった!」

 

鉄也「ふっ」

 

ボン太君「ふもっ!」

 

クルツ「援護するって!? お前、どうして!?」

 

ボン太君「ふも……」

 

クルツ「あ、回想入るのか。手短にな」

 

鉄也「……」

 

 

 その時、彼は暗い部屋の中ベッドの上にシーツを被り体育座りをしていた。

 

 戦いがはじまっても彼は微動だにしない。

 うつろな目をして、ただ呆然と虚空を見ていた。

 

 ばごんっ!!

 

 戦いが激しくなった中、扉が強引に蹴り開けられた。

 

 一瞬反応したが、視線さえおくらず、彼はそのままだ。

 今までの彼を知る者なら、その無反応に驚くだろう。

 

 しかし、入ってきた者は、そのようなこと気にも留めず、ぱっかぱっかと部屋の中央へとやってくる。

 

 

風雲再起「ぶるるっ!」

 

 

 そこに現われたのは、かつて背中を預け戦った戦友だった!

 

 

彼「……」

 

風雲再起「ブルルル」

 

彼「だが……」

 

風雲再起「ブルッ! ブル! ひひーんっ!!」

 

彼「っ!!」

 

 

 その熱弁に、彼は気づいた。

 

 大切なことは、そんなことではなかったと!!

 

 そうして彼は、部屋の隅に転がっていた着ぐるみに身を包み、部屋から飛び出したのだ!

 

 

クルツ「いや、わけわかんねーよ! どう説得されたんだそれ!?」

 

ボン太「ふも!」

 

クルツ「なになに? つーわけだから、弱いサガラ・ソースケは旅に出た? 強くなって戻ってくるまで、自分がかわりをする。だって? ああ、そういうことかよ」

 

 

 今の自分は皆にあわせる顔がない。だから、ボン太君として戦い、時が来るのを待って欲しいということだった。

 つまり、しばらくソースケがいなくなり、かわりにボン太君が自軍に加わるということだ!

 

 

鉄也「ふっ。ならば頼りにさせてもらうぞ。ボン太君!」

 

クルツ「そっちはもうちょっと動揺しようぜ!」

 

 

 さすが戦闘のプロを自称するだけある。

 彼もまた、偉大な勇者に違いない!

 

 

 並び立つ、偉大な勇者、クルツ、ボン太君!!

 

 

クルツ「いや、待ってくれ。それでこの並びに俺を混ぜないでくれ。しかもセンターとか!!」

 

 

 クルツの絶叫は、誰にも聞いてもらえなかったそうな。

 

 ちなみに風雲再起は他のところの救援に行ってます。

 

 

 

 他の場所では腕、目原種を相手にしていた凱の元へJアークのパイロット、ソルダートJが現われ、そこでの戦闘は激化してゆく。

 

 

 激しい戦いの末、4体の原種はオービットベースの外へと追い出され、残った二体も外へと逃げ出した。

 

 

 宇宙へ追い出された6体と元々外に居た7体。機界最強7原種と呼ばれるそれらは、一つに合体し、第13独立部隊へ戦いを挑んできた!

 

 

 EI-01より強大だと大河長官に言わしめた合体原種。

 その力は、確かに強大であった。

 

 特に肝臓原種の持つ再生能力は厄介で、どれほど攻撃しても即座にその傷は再生されてしまう。

 

 まずはその再生力を上回る力でそれを吹き飛ばし、再生能力を封じられるかが、勝利の鍵であった。

 

 それを可能とするため、新たにスターガオガイガーとなったガオガイガーのガトリングドライバーの空間湾曲能力を使い、重力レンズを発生させ、皆の攻撃を一点に集中させ攻撃するという作戦がとられた。

 

 全員のエネルギー兵器を収束させ、そのバリアごと肝臓原種を撃ち抜くのである。

 

 皆のエネルギー兵器が重力レンズに収束し、一つの光となったそれが、見事合体原種に突き刺さる。

 

 

アキト「やったか!?」

 

 

 やってなかった。

 

 バリアはやぶったものの、肝心の肝臓原種を吹き飛ばすにはいたらなかったようだ。

 

 

凱「くそっ!」

 

一矢「なにか、他になにか手はないか!?」

 

和泉博士「ひとつなくはない。かなり無謀な賭けとなるかもしれないが……」

 

一矢「和泉博士!」

 

和泉博士「ダイモスを開発した和泉だ。今、オービットベースから君達に語りかけている。ダイモスに使われているダイモライトは今、タキオンと呼ばれる粒子を使いそのパワーを高めているが、それ以上のパワーを発揮できる粒子の存在があると予測されていた」

 

一矢「そんな粒子が……!?」

 

和泉博士「先の収束攻撃の余波でダイモライトが活性化したのを確認した。どうやらあの一撃は偶然にもその粒子を生成したようなのだ!」

 

ルリ「つまり、あの一撃を今度はダイモスにむけて放てと? 無謀です。あの一撃には粒子以外もふくまれています。そんなものを受け止めて無事であるはずがありません」

 

和泉博士「いや、ダイモライトのポテンシャルはそれも十分可能にする。ダイモライトが最大稼動し、その力を完全に解放できたなら、ダイモスそのものをエネルギーの塊へと変える力さえある。成功すれば、集まったエネルギーすべてと、ダイモライトにより新たに引き出されたエネルギーとあわせた一撃が放てるはずなのだ!」

 

一矢「ダイモスにそんな力が……」

 

和泉博士「確かに少しでも照射位置がずれ、ダイモナイト以外に当たればダイモスとてただではすまないだろう。照射を続けながら攻撃をするのだ。その難易度は限りなく高い!」

 

一矢「だが、勝つにはこれしかない。みんな、やってくれ!」

 

鉄也「無謀すぎる。と言っても聞かないのだろうな」

 

 

???「なら、成功の確率を少しでもあげるためのエスコート役がいた方がいいだろうな!」

 

 

 そこに現われたのは、修理とオーバーホールに手間取り到着が遅れていたコン・バトラーVとボルテスVだった。

 

 

健一「遅れてすまない!」

 

豹馬「その分、きっちり仕事はさせてもらうぜ!」

 

 

 他の者が照射で動けない中、新たに現れた二機ならば露払い役ができる。

 大きな動きがなければ、失敗の確率も減るということだ!

 

 

凱「ならば、あとの足りないものは勇気で補うだけだ!」

 

 

 新たな作戦が決行された。

 

 再び収束した光がダイモスのダイモライトに寸分たがわず命中する!

 

 

 ダイモライトが今までにない輝きを見せた!

 

 

一矢「このパワー。いけるっ!!」

 

健一「行くぞ豹馬!」

 

豹馬「ああ! 一矢さんは攻撃に集中してくれ!」

 

一矢「二人共、頼んだ!」

 

 

 3機のコンビネーション。いわゆる合体攻撃が合体原種めがけて発動した!!

 

 まずボルテスVの超電磁ボールが飛び、敵を拘束。

 

 さらにコン・バトラーVがグランダッシャーのレールを作成、その上をダイモスから変形したトランザーが走った!

 

 これにより照射がずれることなく継続される!

 

 最後はその勢いのまま突撃し、再び変形したダイモスは対象に烈風正拳突きを叩きこむという、拘束。移動、攻撃と三機一体の完璧な攻撃だ!

 

 

 皆の力を受けたダイモスの拳が、合体原種へ突き刺さった!!

 

 

合体原種「ぐおおぉぉぉ!!!」

 

 

 バリアを突き破り、皆の一撃は肝臓原種の再生能力を完全に破壊した。

 

 これにより無敵の超再生に悩まされることはなくなったのである!

 

 

合体原種「おのれ人間め……再生能力を破ったくらいで調子に乗るな! 貴様達の無力さを思い知らせてくれる!」

 

凱「行くぞ、最強7原種! ここからが本当の戦いだ!!」

 

 

 

 戦いは過激を極めた。

 

 しかし、敗北を知りさらに強くなった第13独立部隊の敵ではなかった!

 

 

 再生のなくなった合体原種は、ついに倒れ、Jアークに乗る戒道と、出生の秘密を知り、真の力に目覚めた護によって浄解されるのであった。

 

 ただし、腕原種だけは逃げた。

 

 

 合体原種を退け、再び地球へ目をむける時となった。

 

 

 バームのメカ戦士。ミスリルを壊滅させ、千鳥かなめを拉致し、姿を消したアマルガム。

 

 そして、宇宙より至る原種とジオン。

 

 

 平和への道のりはまだまだ遠い。

 

 だが、彼等はその歩みを止めることは、決してないだろう!

 

 

 第10話 終わり



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第11話 奪還! ダイモビック!

 

──オービットベース──

 

 

 合体原種を退けた第13独立部隊。

 

 思いがけずダイモスのパワーアップ法も見つかり、新たな反撃ののろしがあがろうとしていた。

 

 

一矢「やりましたね和泉博士。あのパワーなら、バームの新兵器も……!」

 

和泉博士「うむ。確かに道は見えた。しかし、そう簡単な話ではない。あの粒子がある。と証明されたところで、その生成方法はまだわからないからね」

 

 

 あの時のあれは、あくまで偶然。

 どれがどう作用してあの粒子が生まれたのかはまったくわからない。

 

 

和泉博士「今、なにがどう作用してあの粒子が発生したかを確認しているが、いつになればわかるかは……」

 

 

 第13独立部隊が持てるエネルギー兵器を一点に集めた結果の話なのだから、その中から粒子発生の原因を特定するのは至難の業だった。

 

 

和泉博士「かといって、皆にあれをまたやらせるのは危険すぎる。もっと安定してあの粒子を発生させる方法が見つからねば、実用は無理だ」

 

一矢「確かにそうでしたね……」

 

和泉博士「一応、別の手段も考えてはいたのだが……」

 

一矢「本当ですか!?」

 

和泉博士「うむ。いくら超弾性金属といえども金属なのだからその分子結合を破壊すればいい。超低温と超高温を続けざまに与えることにより、その急激な温度差により分子はその性質を失い、分子間の結合が破壊されるはずなんだ」

 

一矢「低温と高温。氷と炎、ですか……?」

 

和泉博士「そう。ここにはそれを可能にする二人がいた。氷竜と炎竜。彼等がいれば、その連続攻撃から打撃を与えることであれを打ち破ることも可能だったかもしれない」

 

一矢「ですが、彼等は……」

 

和泉博士「うむ。凱君達を救うため、どこかへ消えてしまった……」

 

一矢「残念でなりません」

 

和泉博士「一応彼等の生みの親。麗雄博士の協力により、ダイモスのダブルブリザードをファイヤーブリザードに。耳の部分にフリーザーストームをと機能を追加することができた。だが、今のダイモライトのエネルギーからでは、想定する急激な温度差を与えられるかというと微妙なところだよ……」

 

 

 計算上、ゾンネカイザーの超弾性金属を打ち破るにはダイモライトの出力を200%以上に引き上げなければならない。

 それは、今のタキオン方式では不可能なレベルであった。

 

 

一矢「やはり、あの粒子によるパワーアップが必要不可欠ということですか……っ!」

 

 

 一矢が悔しそうに拳を握る。

 

 パワーアップの兆しが見えたというのに、結局それは雲をつかむような話だった。

 

 

 びーっ。びーっ。

 

 警報が鳴る。

 

 

 それは、なにか正体不明の飛行物体がオービットベースへ近づいてきたという警報だった。

 

 近づいてきたのは、鳩の形をしたメカだった。

 なにをするわけでなく、無防備に近づいてくる。

 

 元スペースマンの凱と一矢がガイガーとダイモスをもって警戒しながらそれを回収した。

 

 調査の結果、鳩のメカに危険はなく、中に入っていたのは一つのデータと一厘の花だった。

 

 

一矢「これはっ!」

 

 

 その花を見た瞬間、一矢は驚いた。

 

 それは、かつてエリカが去る前、祭りの時自分がプレゼントした花だったからだ。

 

 この事実を知るのは、その場に居た当人達のみ。

 

 

 つまりこれは、彼女からの贈り物。

 

 

 データを確認する。

 

 するとそれは、ダイモライトをパワーアップさせるのに必要なあの超粒子の発生方法だった!

 

 

 そのデータを見た博士達は驚きを隠せない。

 

 

剛博士「この粒子の発生法を考え出した者は、恐ろしい頭脳の持ち主だな」

 

麗雄博士「ああ。味方であることに安心するね」

 

和泉博士「よし。これならなんとかなる。早速ダイモスを改造しよう!」

 

 

 博士達は急いでダイモスの強化へ走った。

 

 

一矢「ならばこちらは、その一撃が完璧とすべく特訓だ!」

 

凱「そうだな。せっかくの贈り物も、お前が使えこなせないんじゃ無意味だからな」

 

ドモン「ならば、俺達も力を貸そう」

 

一矢「ああ。望むところだ! 皆、頼む!」

 

一矢(エリカ、君がどうやってこれを手に入れたかなんてどうでもいい。君が生きていること。俺を応援してくれること。それだけが、嬉しいよ……)

 

 

 一方、データと花を運んできた鳩のメカを見て、一人の男は思うところがあった。

 

 

剛博士「……」

 

 

 彼には、この鳩にどこか見覚えがあった。

 

 かつて炎の中に消えた、もう一人の息子。ハイネル。

 彼に渡した短剣に彫られていた紋章にどこか似ていたからだ……

 

 

剛博士「いや、いかんな……」

 

 

 地球において鳩は平和の象徴。

 そう願い届けられただろうこれに鳩が使われるのはなんら不思議なことではない。

 

 むしろ、そういうメッセージである方が自然だ。

 

 

剛博士「未練。ということか……」

 

 

 やれやれと、剛博士はかぶりをふった。

 

 

 ダイモスの改造も終わった。

 

 いよいよダイモビック奪還作戦の開始である!!

 

 

──ダイモビック奪還作戦──

 

 

 バームに占領されたダイモビック奪還作戦がはじまる。

 

 当然、バーム側は無敵のメカ戦士ゾンネカイザーを出す。

 

 

 現われたゾンネカイザーにダイモスの新たなる必殺技、烈風正拳突き改が突き刺さる。

 

 

 自慢の超弾性金属はその一撃に見事砕かれ、ゾンネカイザーは敗れ去るのだった。

 

 

リヒテル「ば、馬鹿な! ゾンネカイザーが敗れるとは!」

 

アイザム「ダイモスのあの力……! あれは、まさか!」

 

 

 あれからさほど時が立っていないというのに、この結果である。

 驚きを隠せないのも無理はないだろう。

 

 だが、アイザムの驚きはリヒテル以上だった。

 

 なぜなら、あの力の源である新たな粒子。

 

 それは、この天才科学者アイザムが発生法を見つけだしたアイザロン粒子に違いなかったからだ!

 どういった経緯でバームから地球人にわたったのか、さしものアイザムもわからない。

 

 唯一わかるのは、自分自身の力がそのまま敵に回ってしまったという事実だった!

 

 

アイザム「こうなれば……!」

 

 

 リヒテルを守るため、アイザムは出撃する。

 

 自分を倒すには、自分以外にないと考えたからだ。

 

 新たに出撃するゾンネカイザー。

 

 

一矢「何体出たところで結果は同じだ!」

 

 

 だが、一度勝利し、同じ敵ということが一矢に小さな油断を生んだ。

 

 

 再び、超弾性金属をものともせず、烈風正拳突き改はゾンネカイザーに突き刺さった。

 

 

アイザム「かかったなっ!」

 

一矢「なにっ!?」

 

 

 貫かれたゾンネカイザーは、ダイモスを逃がさぬよう、その体をしっかりとホールドした。

 

 

バルバス「リヒテル様! あのメカ戦士にはアイザム殿が乗っておられます!」

 

リヒテル「なんだと!? なぜだ。なぜお前が乗っている!」

 

アイザム「ふっ、リヒテルよ。我等が今、負けて当然。この戦いは、とんだ茶番よ」

 

リヒテル「な、なにを言う、アイザム!」

 

アイザム「この、ダイモスの急激なパワーアップ、それはおそらく、アイザロン粒子の力によるものだ……!」

 

一矢「なにっ!?」

 

リヒテル「アイザロン粒子!? それはそなたが研究していたという……!」

 

アイザム「そうだ。敵はもはや、下等な地球人のメカなどではない。このアイザムの力を持つメカなのだ! だから今、ここで俺が始末する!」

 

リヒテル「なんだと!?」

 

一矢「まさか……っ!」

 

アイザム「気づいたか! このゾンネカイザーには、そのアイザロン粒子を発生させる装置を俺が載せた。それを反転稼動させることで、反アイザロン粒子は生まれ、アイザロン粒子との反応で大きな衝撃を生み出す! 貴様と俺は、ここで一緒に吹き飛ぶのだ!」

 

 

 反アイザロン粒子を発生させるには、意図的にその装置を操作せねばならない。

 ゆえに、人の手が必要であり、アイザムがこのゾンネカイザーに乗る必要があったのだ!

 

 

一矢「自爆をする気だと! そこまでするとは!」

 

リヒテル「やめよアイザム! 何故そなたが死なねばならぬのだ!」

 

アイザム「いいや。もう俺に残された時間はない。アイザロン粒子の実験中の事故で、俺の命はもう長くないのだ!」

 

リヒテル「なん、だと!? アイザム、何故黙っていた!? 何故余に打ち明けてくれなかった!?」

 

アイザム「話したとて、どうにもなるものではない……! むしろ、この命、お前のために散れるのだ。これほど嬉しいことはなかろう!」

 

リヒテル「アイザム!」

 

アイザム「そんな声を出すな、リヒテル。俺は、それなりに自分の人生に満足しているさ」

 

一矢「このままではっ!」

 

アイザム「さらばだ、リヒテル! お前と勝利を祝えぬことが、心残りと言えば心残りだ!」

 

 

 アイザムの反アイザロン粒子発生装置が起動された!

 

 

 どどどどんっ!

 

 ゾンネカイザーの爆発と共に、ダイモスの各部を爆破が襲った。

 

 

アイザム「これで、ダイモスも……!」

 

一矢「いいや、まだだ!」

 

アイザム「なにっ!?」

 

 

 爆破の中、ダイモスはまだ健在だった。

 

 大きなダメージを負っているが、予測されたほどのダメージではない!

 

 

一矢「とっさに動力をすべて落とした。アイザロン粒子の発生をとめたのさ。おかげで、被害はこのくらいですんだようだ。今生の別れが、仇となったな!」

 

アイザム「なんてことだ……すまぬ、リヒテル。俺は、なんの役にも立たなかった……」

 

 

 ゾンネカイザーから力が抜ける。

 

 そのままそれは、アイザムと共に海へと沈んでゆくのだった……

 

 

一矢「助かった。だが……」

 

 

 ダイモスへのダメージは、計り知れなかった。

 

 

リヒテル「よくぞここまで。見事であったぞアイザム。あとは、余に任せろ。しかし、アイザム。余は、そなたを死なせたくなかった……」

 

 

 ダイモビックよりバーム軍が出撃する。

 

 さすがにもう、超弾性金属を持つメカはいないようだ。

 

 ダイモビック奪還作戦は、これからが本番だ!

 

 

 戦いは激しさを極めた。

 

 リヒテルの気迫が、傷ついたダイモスを追い詰める。

 

 しかし、心強い仲間がまだまだ居る第13独立部隊に、そのあと一歩は遠い一歩だった……

 

 

 敗れたリヒテルはダイモビックを放棄し、撤退する。

 

 

 ここに、ダイモビック奪還作戦は成功をもって終了することとなった。

 

 

ドモン「一矢、お前の命をかけた拳、見せてもらった」

 

凱「ああ。見事な正拳突きだった」

 

一矢「いや、みんなとの特訓のおかげだ。ありがとう」

 

 

 勝利をたたえあう中、周囲を警戒し偵察していた者から連絡が入る。

 

 海に沈んだゾンネカイザーが発見され、中からまだ息のあるアイザムが発見されたのだ。

 

 

 その容態を医者であるレインが診る。

 

 しかし、先ほど自己申告した通り、彼の体はアイザロン粒子によってボロボロだった。

 

 このままでは、確かに助からない……

 

 

シャナ=ミア「いいえ、彼はまだ生きています。ならば、とれる手段もあります!」

 

 

 ある少女が声を上げた。

 

 彼を癒せるかはまだわからない。

 

 だが、死なせないための手段はあった!

 

 

 彼は急ぎ、そこへと運ばれる。

 

 

 こうして、ダイモビック奪還作戦は幕を閉じる……

 

 

──海底城──

 

 

リヒテル「おのれ……っ!」

 

バルバス「リヒテル様。アイザム殿の自室に、このようなものが……」

 

 

 それは、自分に万が一があった時のため残したビデオレターだった。

 

 そこにはゾンネカイザー以上のメカ戦士、ギメリアの設計図や、万一のための反アイザロン粒子砲などの作り方が記してあった。

 

 それを見たリヒテルは涙を流す。

 

 

リヒテル「どこまで、用意周到なのだお前は……! このようなものを残すくらいならば、どうにかして生きていて欲しかったものぞ! アイザム、安らかに眠れ。そなたの無念、このリヒテルが必ず果たして見せる。必ずや!」

 

 

 最後の誓いと共に、リヒテルはこの忘れ形見の製造を急がせる。

 

 リヒテル自身にも残されたチャンスはもうない。

 

 

 次が、自身と地球軍との最後の闘いになる。そう感じていた……!

 

 

──シャナ=ミアと統夜──

 

 

 ダイモビックを奪還し、ひと時の休息の中。

 

 

シャナ=ミア「うーん」

 

 

 統夜は、自動販売機の前でなにかを考えこんでいるシャナ=ミアを発見した。

 

 

統夜「どうしたの?」

 

シャナ=ミア「あ、トウヤ。ここにおしるこという飲み物がありますね」

 

統夜「ああ」

 

 

 シャナ=ミアの指差す先には、ホット缶のおしるこドリンクがあった。

 確かに、地球の文化に触れて間もない彼女にそれは珍しいものなのだろう。

 

 

シャナ=ミア「これが飲み物というのも不思議なのですが、それだけでなく、こちらにはぜんざいとういう同じようで名前が違うものがあるのです!」

 

統夜「あー」

 

 

 シャナ=ミアが指を移動させると、今度はぜんざいドリンクというあたたか~い飲み物があった。

 

 何故こんなものが自動販売機に。と思わざるを得なかったが、今の第13独立部隊は拠点が主に日本なので、あってもおかしくはない。

 

 

統夜「確か……」

 

 

 つたない記憶を頼りに、統夜はおしることぜんざいの違いを説明する。

 

 

 説明しましょう!

 

 お汁粉と善哉は、どちらも小豆を砂糖で煮て、餅や白玉団子を入れたもののことをいいます。

 

 区別は関東、関西で違い、関東では汁気のあるもの全般を『おしるこ』。汁気のない餅に小豆(餡)をかけたものを『ぜんざい』と呼ぶようです。

 関西においては、汁気に関わらず、こしあんを用いたものが『おしるこ』粒あんを用いたものが『ぜんざい』となるようです。

 

 ですので、上のぜんざいドリンクというのは関西の認識によるぜんざいの可能性が高いでしょう。

 

 ちなみに名前の由来は諸説あるので、ここでは説明はいたしません。

 

 

 同じように似た食べ物に『ぼたもち』と『おはぎ』があります。こちらは基本同じもので、食べる時期が違うだけの食べ物になります。

『ぼたもち』は牡丹の季節。春のお彼岸に食べるもので、あずきの粒を牡丹の花に見立てたから『牡丹餅』と。一方『おはぎ』は、萩の季節。秋の彼岸に食べるもので、萩の花に見立てたことから、『御萩』という名になります。

 

 以上、日本の豆知識でした。

 

 

統夜「……てな感じかな」

 

シャナ=ミア「地球の文化はまだまだ奥深いものですね」

 

統夜「そこまで感心するほどのものでもない気がするけどね」

 

シャナ=ミア「そんなことはありませんよ。他にも和服や和食など、気になることはたくさんあります。あの引越しソバの習慣とか。場所にってはタオルを配るところもあるとかで驚きました」

 

統夜「ん……?」

 

 

 統夜は、なにか違和感を覚えた。

 

 

統夜「なんか、日本に偏ってる気がする」

 

シャナ=ミア「トウヤの生まれ育った国の文化ですからね。おのずと力も入ります。ですから、今お味噌汁の作り方も習っているんですよ」

 

統夜「へえ。そのうち一度食べさせてもらってもいいかな?」

 

シャナ=ミア「はい! 毎日でも食べてください!」

 

統夜「ああ。ありがとう」

 

シャナ=ミア(……って、今の、プロポーズみたいじゃないですか!?)

 

 

 日本の伝統を学んだシャナ=ミアは、毎日味噌汁に関して、プロポーズに使われるということを知っていた。

 

 

シャナ=ミア「ト、トウヤ。今のはその、違うんですよ」

 

統夜「ん? なにが?」

 

シャナ=ミア「……気づいて、ないのですか?」

 

統夜「だから、なにが?」

 

 

 そもそも最近の若者にその味噌汁プロポーズ、通じるのか? という伝統である。

 

 統夜は気づいていないようだった。

 

 まったく意識されていない。それはそれで嫌な乙女心。

 

 

シャナ=ミア「ぷくー」

 

 

 頬を膨らます。

 

 

統夜「え? どうしたんだ?」

 

シャナ=ミア「ふーんだ。知りません」

 

統夜「??」

 

 

 困惑するしかない統夜であった。

 

 

シャナ=ミア(トウヤのバカ! なんでこんな時だけ鈍感なんですか!)

 

 

甲児「あの二人、自販機の前でなに固まってんだ?」

 

豹馬「どうせまた統夜がなにかやらかしたんだろ」

 

 

 通りすがりの親友二人が、状況を分析しつつ通り過ぎてゆくのだった。

 

 

 

統夜(やっぱり慣れないせいで勘違いしただけか。下手に期待しないでよかった……)

 

 

 気づいていたが、やっぱり気づいていない統夜であった。

 

 どっとはらい。

 

 

──決戦! 海底城!──

 

 

 ダイモビックを取り返されたリヒテルは、いよいよ進退窮まった。

 

 いつ指揮官の座を追われても不思議はない状況。

 

 

 リヒテルは最後の挽回のため、海底城を浮上。持てる戦力すべてをもって地球との決戦に挑む!

 

 

 現われた海底城に連合軍が攻撃を仕掛けるが、アイザム最後のメカ、ギメリアにのったリヒテルの指揮するバーム軍の前に次々と撃破されてゆく。

 

 出撃の要請を受けた第13独立部隊はそこへ急行。

 

 

 バーム地上攻撃軍との最後の戦いが切って落とされた!

 

 

 地上におけるバーム最後の戦いと銘打っただけあり、その猛攻は激しさを極めた。

 

 

 しかし第13独立部隊の面々とて歴戦の猛者ぞろい。

 

 海底城の機能を破壊し、一矢の烈風正拳突き改はリヒテルのギメリアに突き刺さった。

 

 

リヒテル「これほどの戦力をもってしても、奴等には勝てぬというのか!」

 

ライザ「リヒテル様、ここはもう戦線が維持できませぬ。一度、バームへ!」

 

リヒテル「馬鹿を言うな! 生きてのこのこ帰れるわけがなかろう! こうなれば!」

 

一矢「まさかっ!」

 

 

 察知した時にはすでに遅かった。

 

 リヒテルは第13独立部隊の旗艦にむけ特攻を仕掛けるつもりなのだ。

 

 

ライザ「おやめ下さいリヒテル様! そのようなことをなさっても、アイザム殿は喜びませぬ!」

 

リヒテル「うるさい! バームに栄光あれぇぇっ!!!」

 

 

 しかしその特攻は、不発に終わる。

 

 リヒテルと艦の間に巨人が現われ、ギメリアの進攻をその巨体を持ってとめてしまったからだ。

 

 

リヒテル「ぬぅ、貴様!」

 

???「……」

 

健一「あのロボットは……! ゴードル!?」

 

豹馬「マジかよ……」

 

 

 そこに現われたのは、かつて地底において戦った、ボアザンの守護神。ゴードルだった!

 

 

大次郎「兄さん、あいは……!」

 

日吉「あのロボットに乗ってる人って!」

 

健一「ああ。間違いない。あれを動かせる人、それは一人しかいない。兄さん! ハイネル兄さんだ!」

 

リヒテル「なん、だと!? 誰だそれは!」

 

???「……」

 

 

 しかし、ゴードルのパイロットは答えない。

 

 そのままリヒテルの乗るギメリアをつかみ、その空域から撤退してゆく。

 

 

健一「ああっ!」

 

 

 大将の逃亡をきっかけに、バーム軍の撤退もはじまった。

 

 

一矢「あのロボット、リヒテルを助けに来たのか……?」

 

京四郎「つまり、俺達の敵ってことか?」

 

健一「違う! あの時ハイネル兄さんは戦いの無意味さを知った。その兄さんが敵であるはず……!」

 

鉄也「だが、奴はリヒテルを助けた。この事実を前に、簡単に信用するのもどうかと思うぞ?」

 

健一「……」

 

 

 反論はできなかった。

 

 論じるにも情報が少なすぎてなにも言えないのが現状だからだ。

 

 そもそも、乗っているのがハイネルかすらわからないのだから……

 

 

健一(ハイネル兄さん。生きていたのは嬉しい。でも、なんのためにリヒテルを? わからないことが多い。だが、俺は兄さんを信じる。心を通わせた者同士として。血を分けた兄弟として……!)

 

 

──海岸──

 

 

 無人島の海岸に、ギメリアをおろし、ゴードルから人影が一つ現われた。

 

 それは、仮面をつけたボアザン星人であった。

 知る者にはわかる。それはまさしく、剛健一達の兄、ハイネルその人である!

 

 

リヒテル「貴様! 何故、余を助けた!」

 

ハイネル「……」

 

リヒテル「余は将として、最後の勤めを果たそうとしていたのに、それをよくも!」

 

ハイネル「死しておのれが責を全うするのもよかろう。だが、それは貴公にとって誤った道だ」

 

リヒテル「なにっ!?」

 

ハイネル「貴公はまだ本当の敵を知らぬ。ゆえにあの場で死ぬことなど許されない」

 

リヒテル「なにを言う! 本当の敵とはどういう意味だ! その言い方では、地球の民は敵ではないと聞こえるではないか!」

 

ハイネル「それは、おのれの目と耳で確かめられよ。この裏に、なにが潜んでいるのかを」

 

 

 仮面の男。ハイネルはそういい残し去っていった。

 

 残されたリヒテルのもとに、撤退したバルバス達がやってくる。

 

 

バルバス「リヒテル様!」

 

リヒテル「……こうなってはもう地球攻撃軍を維持できぬだろう。一度、バームへ戻る!」

 

 

 こうして地球より、バーム軍は一度撤退することとなった……

 

 

──小バーム──

 

 

 木星圏、小バーム。

 

 戻ってきたリヒテルが、オルバン大元帥と面会していた。

 

 

オルバン「………」

 

リヒテル「オルバン大元帥閣下! どうか、この私にもう一度だけチャンスをお与え下さい!」

 

オルバン「黙れ、リヒテル! 貴様はワシの期待を裏切ったのだ!」

 

リヒテル「一兵士としてで構いません。どうかもう一度、地球に向かうことをお許し下さい!」

 

オルバン「ならん! 貴様にはこの小バームにて謹慎を命じる!」

 

リヒテル「オ、オルバン大元帥!!」

 

オルバン「その目は何だ? 貴様、バームの指導者であるワシの決定に不服があるのか?」

 

リヒテル「………」

 

オルバン「リヒテルを連れてゆけ!」

 

リヒテル「お待ちを! どうか、どうか私の願いをお聞き下さい!」

 

オルバン「聞けぬ! 貴様は敗戦の将としての責任をとるのだ!」

 

 

 大きな扉が開きリヒテルは連れて行かれた。

 

 

オルバン「……やはり、奴は危険な男よ。奴がリオン暗殺の黒幕がワシとボアザン、キャンベルのたくらみとしれば、面倒になることだろうな」

 

 

 オルバンの元に通信が入る。

 

 

オルバン「これはこれは、女帝ジャネラ殿。ズ・ザンバジル皇帝のご機嫌ははいかがか? なんと、小バームを地球へ? しかしそれでは、バームの民を危険にさらすことに……いえ、決してそのようなことでは。わ、わかりました。小バームは木星より地球にむけて移動を開始します……」

 

 

 事態は進む。

 

 ついに地上からバームの戦力は撤退した。

 

 

 残る地上の脅威は、新たに生まれた組織、アマルガム。

 

 しかし、残っていたのはそれだけではない。

 

 

 闇の中で静かにうごめいていたソレが。

 

 再び、姿を現すのだった……

 

 

 第11話 終わり



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第12話 ミケーネの秘密と復讐の末路

 

──遺跡発見──

 

 

 バームの主力地上攻撃部隊も地上から去った今、主戦場はついに宇宙へと移りはじめていた。

 

 地上において明確な敵と呼べるものはミスリルを壊滅させたアマルガムのみ。

 

 彼等は再び闇に潜み、いまだ連れ去られた千鳥かなめの行方も知れない。

 大打撃を受けたミスリルにかわり、連合の諜報員やある忍者(ボルテスV)が探しに出ているが、まだ成果はなかった。

 

 第13独立部隊は宇宙より飛来する原種への対応を行いながら、宇宙へあがる準備を進めていた。

 

 そんな中、ヨーロッパ方面を調査する諜報員から連絡が入った。

 

 

 なんと、古代ミケーネの遺跡が発見されたというのだ。

 

 

 かつて地球征服をもくろみ幾度も戦うこととなったドクターヘル。

 

 若かりし彼が地中海のバードス島で発見し、機械獣を作り出す元としたバードス島の巨人を発見した場所。

 戦闘獣となる前の、機械の体となったミケーネ人達が眠るところ。

 

 最終決戦を行うこととなった地獄島以前に居たであろう、ドクターヘルはじまりの場所が発見されたのだ。

 

 ちなみに、ミケーネの使う戦闘獣とは突然の滅亡から地下に逃げ、そこで生き延びるためさらに体を改造した者のことを指す。

 

 

 場所が場所だけに、関わりのある光子力研究所にも連絡が入り、GGG全体で調査することとなった。

 

 このGGGも調査に加わること。それは、この事態に大きく関わっているからでもある……

 

 

護「僕まで来ても平気なの?」

 

凱「ああ。是非来て欲しいそうだ。俺達、GGGにもな」

 

護「いったいなにが見つかったっていうの?」

 

凱「正直、説明するより実際に見た方が早いだろう。それに俺も、まだ半信半疑なんだ……」

 

護「ふーん」

 

 

 甲児、統夜達。さらに他の勇者ロボと共に来た護と凱が話ながら広い通路を進む。

 一応東方不敗も関係者なので、ガンダムファイター達も一緒だ。

 

 勇者ロボも軽々と歩けるほどの通路。

 その気になれば、コン・バトラーだって歩けるほどの余裕がありそうだ。

 

 それほど広い通路の壁や床には、ドクターヘルが参考にしたであろうミケーネの巨人達が転がっていた。

 

 

 その通路の一番奥。

 

 そこに、ミケーネ最古と思われるバードス島の巨人。

 

 はるか古代の地層に眠る彼等の姿があった……

 

 

凱「なっ!? これは……!」

 

ボルフォッグ「なぜこんなところに!」

 

 

 その姿を見た者すべてが驚く。

 

 約6500万年前の地層。

 

 むき出しとなったそこに埋まるようにして、超竜神がいたのだ!

 

 

凱「最初聞かされた時はなにかの間違いかと思ったが、間違いじゃなかった。これは、超竜神だ!」

 

 

 見間違えるはずもない。

 

 はるかな月日を経てボロボロになっているが、ここに居るのは間違いなく戦友だった!

 

 

護「だから僕達も呼ばれたんだね!」

 

 

 調査だけならばわざわざ第13独立部隊が来る必要はない。

 だが、あえて全員が呼ばれたのは、これが理由だったのだ!

 

 理由はわからないが、あの日消えた彼等は、ここにいたのだ!

 

 

凱「超竜神、こんなところにいたのか」

 

 

 経験から、思い浮かぶ可能性が一つ。

 

 

ルリ「……あの時、ボソンジャンプに似たなにかが起きたのかもしれません」

 

 

 そう。空間転移にみせかけて実は時間移動であるボソンジャンプ。

 

 あの時開かれたESウインドウと呼ばれる別の場所を繋ぐそれが閉じる時、空間だけでなく時間を飛ぶ現象が起きた可能性は捨てきれない。

 

 

甲児「確かに俺達も何ヶ月も時間を飛んだ経験あるもんな」

 

 

 経験者は語る。

 統夜達もかつてナデシコに乗り、火星から地球へ戻る際、チューリップと呼ばれる転移装置に入るボソンジャンプにて8ヶ月ほど時間移動した経験がある。

 

 別のケースでいえば、数億年単位で過去と現在を行き来したケースも。

 

 それらのことから、なんらかの原因で超竜神が過去の地球にタイムスリップしているのは『ありえる』話なのだ。

 

 

小介「もっともこれだけでは原因はわかりませんがね」

 

 

 コンバトラーチームの天才児が言う。

 

 

鉄也「しかし、これで色々な謎が解けたな」

 

小介「はい。古代ミケーネ帝国が突然、あの時代に巨人というロボットを持って現われたのも、ここで二人を発掘し、それを参考にしたからなんですね」

 

 

 そう。宇宙に存在した古代文明との接触なく、まったく別に突然地球に現われたミケーネ帝国。そのミケーネがどうしてその技術を得るに至ったか。その答えがここにあった!

 

 

小介「もちろん、これを見てロボットを作れるだけの優秀な人がいたという前提があります。そして、実際にいたんでしょう……」

 

忍「どおりで奴等の機械獣と凱に類似点があるなんて言われるわけだ。元を同じにしてるんだからな」

 

東方不敗「……」

 

 

 ただ、この状況ではなぜ東方不敗を復活させたのか。

 それはわからない。

 

 

統夜(どおりで超竜神を見た時、妙な既視感があったわけだ。あしゅら男爵のもとになった可能性さえあるんだから)

 

鉄也「……どおりでな」

 

統夜「……」

 

鉄也「……」

 

 

 また目があった。

 

 二人でちょっと苦笑する。

 

 

???「くくっ。よくぞきたな。兜甲児」

 

甲児「お前は!」

 

東方不敗「貴様は!」

 

 

 通路の闇の中から、ぬぅっと現われたのは虎の下半身に武人の上半身を持つ男。ゴーゴン大公であった!

 

 

甲児「やっぱり生きてやがったか!」

 

ゴーゴン「ここであったが百年目! 兜甲児! 今までの恨みを晴らしてくれる! やるのだ! 究極戦闘獣!」

 

 

 ばっと、杖を持ち上げた。

 

 直後……

 

 

東方不敗「ぬぅっ……きかーぬっ!!」

 

ゴーゴン「なんとっ!?」

 

 

 東方不敗が一瞬うめいたかと思えば、即座に一喝。

 ゴーゴンの持ち上げた杖が粉々に砕け散った。

 

 

ゴーゴン「バカなっ! 気合だけでこの支配を打ち破っただと!?」

 

東方不敗「愚か者がぁ! その程度でワシを支配できるなどと思うな!」

 

ゴーゴン「くっ。ならば!」

 

 

 ゴーゴン大公の背後から、二体の戦闘獣が現われた。

 

 

ゴーゴン「これならば!」

 

 

 しかしそれも、イクイップしたサイボーグ凱とガンダムファイター。さらに勇者ロボ。ついでにボン太君等によって返り討ちにされてしまう。

 この第13独立部隊。生身サイズの戦闘力が高すぎる……

 

 

ゴーゴン「くそっ! これほどまでとは!」

 

甲児「奥に逃げたぞ!」

 

鉄也「生身では危険だ! 機体で追うぞ!」

 

 

 機体と共に、統夜達は奥へとむかう。

 

 すると、広い地下広場へ出た。

 

 

甲児「追い詰めたぞゴーゴン大公!」

 

ゴーゴン「くくっ。かかりよったな!」

 

甲児「なにっ!?」

 

 

 にやりと笑うゴーゴン大公。

 

 統夜達が場に足を踏み入れた瞬間、その罠が発動する!

 

 地面になにやら紋様が生まれ、そこにほの暗い光が漏れる。

 

 

 刹那、各機体から力が抜けた!

 

 

甲児「っ! エネルギーが!」

 

小介「まさか、吸われているんですか!?」

 

ゴーゴン「くくっ。貴様等はおびき寄せられたのよ。我が主復活の贄となるべくな!」

 

 

 種類が違うというのに、その床は機体のエネルギーを吸い上げる。

 

 吸い上げるたびその床の光は強まり、広場の奥にある玉座のような場所へ流れているように見えた。

 その玉座には、なにか人が座っているかのような塊が置いてある。

 

 

ゴーゴン「ここまで待っていたのも、貴様等の戦力がこうして集結するのを待っていたためよ! 大量のエネルギーを連れてくるのをな! このままエネルギーを吸い尽くされ、我が主を復活させるのだ!」

 

 

 さらに光があつまり、玉座に座る塊に、座る暗黒大将軍のようなシルエットが見えた。

 

 ぼうっ。ぼう。と、ゆっくりと塊が光り輝いてゆく。

 

 

凱「くっ」

 

護「僕まで、力が……!」

 

 

 超竜神の技術が元になっているがゆえ、その影響は護にさえおよんでいた。

 

 エネルギーの吸収が強まり、皆が膝をつく。

 

 

ゴーゴン「その強大な力、我が主復活の糧となれ!」

 

甲児「な、なんてこった。どんどんエネルギーが吸われていっちまう。このままじゃ!」

 

護「……このままじゃ!」

 

 

 このままなにもできず……

 

 

護「負けて……負けてたまるかー!」

 

 

 どっくん。

 

 護の声に、誰か応えた……っ!

 

 

超竜神「護隊員!」

 

 

 広場に飛びこむ金色の光。

 

 それは、太古の昔から復活した超竜神だった。

 

 

ゴーゴン「なっ!? これは、我等が祖! 一体なにを!?」

 

超竜神「そんなにエネルギーが欲しいというのなら、私達の力もくれてやりましょう!」

 

 

 床に降り立った超竜神が、その体内に残る超パワーを一気に放出させる。

 

 その瞬間、床の光がさらに強くなった!

 

 

ゴーゴン「くくっ。なにかと思えば、わざわざ協力してくれるとは。これが我等の祖とは思えぬ。なんと愚かな!」

 

東方不敗「いいや、愚かなのは貴様の方よ!」

 

ゴーゴン「なにっ!?」

 

東方不敗「その心意気、受けとった! ゆくぞ、ドモン!」

 

ドモン「はい! 高まれ、シャッフルの紋章よ!」

 

凱「唸れ、GSライド!」

 

豹馬「超電磁パワー!」

 

甲児「マジンパワー!」

 

 

「「「「全開だ!」」」」

 

 

ゴーゴン大公「な、なにを、まさかっ!」

 

 

 どんっ!

 

 背後にあった塊が爆発を起こした。

 

 あまりに急なエネルギーの高まりに、その容量をこえ、耐え切れなくなってしまったのだ。

 

 

超竜神「これで、復活など二の次になりましたね」

 

ゴーゴン「な、なんてことだ! おのれ、こうなれば!」

 

 

 ゴーゴン大公の合図と共に、潜んでいた機械獣が次々と姿を現す。

 

 

ゴーゴン「貴様等を帰さぬ。絶対に帰さぬぞ!」

 

甲児「それはこっちのセリフだ! ここで決着をつけてやるぜ。覚悟しな、ゴーゴン大公!」

 

 

 無敵要塞デモニカに乗ったゴーゴン大公との決戦がはじまった!

 

 

──戦闘前会話 ゴーゴン大公──

 

 

VS東方不敗

 

ゴーゴン「こうなれば、その体をよこせ! やはり必要なのは、貴様の体だ! 貴様ならば、あのエネルギーも受け止めきれたろうに!」

 

東方不敗「笑止!」

 

 

VSボン太君

 

ボン太君「ふもっ!」

 

ゴーゴン「なにっ!? 人間もこのサイズの戦闘獣を生み出していたというのか!? なんと心をざわつかせる姿をしている! これが、恐怖か!?」

 

クルツ「あっちの感覚はわかんねーな……」

 

マオ「意外と恐怖じゃなくて、別の感情だったりしてね」

 

クルツ「……そっちのが逆に嫌な気がするのは気のせいか?」

 

 

VS甲児or鉄也

 

ゴーゴン「兜甲児! 剣鉄也ぁ!」

 

甲児「ゴーゴン大公! 今日でお前達の野望も終わりだ!」

 

ゴーゴン「うるさい! 今さら貴様等など眼中になかった! あの方さえ。あの方さえ復活すれば、すべてが終わったというのに! 世界は、我等の物だった!」

 

鉄也「現実を見るんだな。そんなことは実現しなかった。今日こそ引導を渡してやる。ミケーネ!」

 

ゴーゴン「おのれえぇぇ!」

 

 

VS超竜神

 

ゴーゴン「我等が始祖とこのような関係があろうとはな! だがもう関係ない! その体の解析はすでに終わっている!」

 

超竜神「お前達が解析したそれは、すでに過去の私! 今の私とはすでに別物だと考えていただきたい!」

 

ゴーゴン「ほんの数分でそのようなことあるわけがなかろう! 滅びよ!」

 

 

──決着──

 

 

 戦いのさなか、超竜神と撃龍神は新たに幻竜神、強龍神への合体をこなし、ゴーゴン大公率いるミケーネ帝国の残党を見事打ち破る。

 

 

ゴーゴン「たとえワシが敗れようと、いつか必ず我が主は甦るであろう。いつか。いつか必ずな! くはっ。くははははは! 闇の帝王様、ばんざーい!」

 

 

 戦いも終わり、無事帰還した超竜神を迎える第13独立部隊。

 

 

超竜神「ただいま戻りました!」

 

護「お帰りなさい超竜神!」

 

 

 ちなみに、超竜神が6500万年前の地層にタイムスリップしていた理由の件だが、彼等が隕石を押し戻し、ウインドウの向こう側へ放り出されたのち、木星付近で謎の光に遭遇し、その結果時間をこえ地球へ帰還したということだった。

 

 その謎の光によって与えられた力──ザ・パワー──により、超竜神は復活し、今に至るというわけだった。

 

 超竜神もその光に関してなんなのかはわからなかったし、戦いの後そのパワーは消滅してしまい正体は不明のままである。

 その力の正体を知りたいのなら、木星まで行って調べなければならないようだ。

 

 

 こうしてひとつの謎がとけ、炎竜、氷竜が部隊に復帰したのだった。

 

 

──決着の時──

 

 

 ※このシナリオはロゼ=リアが早期退場している場合スキップされます。

 

 

クド=ラ「……」

 

 

 彼女は無言だ。

 

 無言でコックピットに座り、膝を抱えていた。

 

 

 考えるのは、憎き紫雲統夜のこと。

 だというのに、思うのは、これから先自分がどうしたいかという夢の話だった……

 

 

クド=ラ(あいつは、兄さんの仇だというのに……!)

 

 

 その憎しみの心が、薄れてしまっているのに気づいた。

 

 

???「ホッホ。悩んでおるようじゃの」

 

クド=ラ「……博士!」

 

 

 博士と呼ばれた老人が、コックピットへむかうタラップを歩き、その入り口へやってきた。

 名を、ハ=カ・セという。

 

 彼女にクストゥエル・ブラキウムを与えたのは彼である。

 

 

ハ=カ・セ「悩み、迷っておるのなら、初心を思い出すがいい。ほれ、目を瞑り、耳を傾けてみい。聞こえぬか? この声が……」

 

クド=ラ「……」

 

 

 博士に言われたとおり、彼女は目を瞑り、コックピット内で耳をすませた。

 

 

???「コロ、セ、トウヤ、オレ……コロセェ……!」

 

クド=ラ「っ! そう、だ。そうだ。聞こえたよ。兄さん。兄さんの声が! そうだよ。あいつをボクが殺してあげる。兄さんの仇をとるんだ!」

 

ハ=カ・セ「ホッホ。迷いは、晴れたようじゃの」

 

クド=ラ「でも、あいつは強い。博士。ボクにもっと力を!」

 

ハ=カ・セ「ならば、システムにもうちょっと頑張ってもらおうかの。出力を、あげるとしよう。その分おぬしにも負担が来るが、覚悟はあるか?」

 

クド=ラ「もちろんだよ!」

 

 

 ハ=カ・セがサブシートの方へ行き、なにかをちょちょいといじると、奥から聞こえる声がさらに強さを増したような気がした。

 

 

???「アアアァァァッ!! トウ、ヤ……コロ……テ……オレ……シ……テ!!」

 

 

 それにより、機体の出力、制動も大きくアップしたように感じる。

 

 

クド=ラ「いける。これならいけるよ。ふふっ。次こそは必ず。必ず兄さんの仇をとってあげるからね!」

 

ハ=カ・セ「……」

 

ハ=カ・セ(そろそろ、潮時じゃの。あれは、勝てぬわ。じゃがそれでもかまわぬ。方法は、一つだけではないからのう)

 

 

 浮かれる少女の背中に、冷たい視線が注がれていたことを、彼女はまだ、知らない……

 

 

 

 あくる日、統夜宛の果たし状が、第13独立部隊に届いた。

 

 敵討ちの決着をつけようとの申し出だった。

 今後のことを考えれば、ある意味で願ってもない申し出ではあった。

 

 場所は、適当な無人島。

 

 立会人として隊の者も連れて来いとも書いてあったので、みんなも来ることとなった。

 

 もちろん、統夜一人をおびき出し、多勢で抹殺する可能性も考慮してだ。

 

 

 しかし、それは杞憂であり、荒野の無人島にたたずんでいたのは、クド=ラの乗るクストウェル・ブラキウムだけであった。

 

 ただ、島の反対側となるところに一つ、人工物とそれに乗る人影がある。

 それこそが、先のハ=カ・セである。

 

 統夜の側と同じく、立会人として彼もこの場にやってきたのであった。

 

 

甲児「誰だあれ?」

 

ロゼ=リア「あれは……」

 

メルア「お知り合いですか?」

 

 

 ロゼ=リアは、顎にて手を当て、目を細めてそこに居るハ=カ・セをじっと見た。

 

 

ロゼ=リア「あれは……!」

 

みんな「……」

 

ロゼ=リア「全然知らない人ですわね!」

 

 

 だあっ。と、みんな古いタイプのずっこけをかまさざるをえなかった。

 

 

ロゼ=リア「むしろシャナ=ミアさん。あなたの方のお知り合いでは?」

 

シャナ=ミア「いえ。あのような方は私の記憶には……ですが、クド=ラに関係があるのですから、我等フューリーに関係のある人間だとは思います」

 

ロゼ=リア「ならばわたくしの……? いや、でも、わたくし方も、わたくし以外を残してもういないはずですし……」

 

 

 うーんと首をひねるが、当然答えは出ない。

 

 

ハ=カ・セ(あの小娘。ワシのことなどすっかり忘れておるか。まあ、仕方のないことじゃ。それに、その方が都合が良い!)

 

 

 統夜達の到着を確認すると、組んでいた腕をはずし、クド=ラが動いた。

 

 

クド=ラ「よくきたねシウン・トウヤ! 今日こそ決着をつけてやる!」

 

統夜「その決着は、俺が死んだ時だろ。なら、まだまだつきそうにないぞ。俺はまだ、死ぬ気なんてないからな」

 

クド=ラ「うるさい! お前を殺す! ボクはそう、決めたんだ!」

 

 

 そう言い、無人島へ踏み入れたグランティードへ襲い掛かった。

 

 

 パワーアップしたはずのクストウェル・ブラキウムであったが、実力差はまだ大きな開きがあった。

 

 統夜の最小の動きについてゆけず、軽くあしらわれてしまっている。

 

 

クド=ラ「くそっ! なぜ届かない! ボクの憎しみは、恨みは! こんなものじゃないのに!」

 

ハ=カ・セ(いやはや。こんなにも実力に差があったか。ワシが知る中でも、あの救世主の実力は1、2を争うほどの腕前じゃわい。伊達にバシレウスに選ばれてはおらんということか。こりゃ、その敗北者などで勝てるわけがないわ)

 

 

 戦いを直に見て、ハ=カ・セは心の中でため息をついた。

 

 

ハ=カ・セ(ならばやはり、こちらのプランにうつるしかないようじゃな)

 

 

 ズズゥン。

 グランティードの重い一撃をくらい、クストウェルは無人島に倒れた。

 

 なんとか立ち上がるが、すでにかまえる気力さえない。

 

 

クド=ラ「くそっ! もう、殺せ!」

 

統夜「殺さないよ。俺には、君を殺す理由がない」

 

クド=ラ「うるさい!」

 

ハ=カ・セ「ホッホ。やはり、勝てぬようじゃな」

 

クド=ラ「博士?」

 

ハ=カ・セ「騎士まで上り詰めた男と、その肉親を使えばなんとかなると思うたが、これほどの実力差。これでは無理じゃ」

 

クド=ラ「わかってるよ! でも!」

 

ハ=カ・セ「うむ。じゃからもう、諦めい」

 

クド=ラ「え?」

 

ハ=カ・セ「そして、ワシの新たな計画の糧がなるとよい」

 

クド=ラ「はか、せ? それは、どういう……?」

 

ハ=カ・セ「真実を教えてやろうというんじゃ。見るがよい。貴様の後ろを」

 

クド=ラ「後ろ……?」

 

 

 チュドッ!

 

 ハ=カ・セが言った直後、クストウェル・ブラキウムのサブシートにあたる部分が小さく破裂し、その隠された部分が露となった。

 

 そこは、本来もう一人パイロットが乗るところであり、彼女が一人でクストウェルを動かせるよう、ハ=カ・セが『システム』と呼んだ場所を設置してある場所だった。

 

 そこが、突然中身を見せるように爆ぜたのである。

 

 小さな破裂音と共に、覆いが外れ、『それ』が露となる……

 

 

 ごぽごぽごぽっ。

 

 衝撃に、空気が動く音が聞こえた。

 

 

???「オォぉ。オオォォォォ」

 

クド=ラ「え……?」

 

 

 その声に、彼女は聞き覚えがあった。

 

 その姿に、彼女は見覚えがあった。

 

 

 そこにあったのは培養器。

 透明な容器にヒビが入り、中の液体がちろちろと漏れている。

 

 失われつつある液体の中に、彼は、いた。

 

 頭は半分無く、中身はむき出し。胸から下も、なんとか心臓と脊髄が残っているのみで、他はない。

 

 あるのは、かろうじてわかる顔のみ。

 

 

 そこにいたのは……

 

 

クド=ラ「にい、さん……?」

 

ジュア=ム「クド……ラ」

 

 

 そこにいたのは、無残な姿となったジュア=ムだった。

 

 かろうじて生きながら、機体につながれた、ジュア=ムだった!

 

 

ハ=カ・セ「ホッホ。嬢ちゃんよ。なぜ訓練もしておらぬおぬしが、いきなり戦えたと思う? それは、サイトロンの恩恵だけではないのじゃよ」

 

クド=ラ「う、そ……」

 

 

 それは、誰もが疑問に思っていたことだった。

 戦闘訓練も受けていない彼女が、いきなり激戦を潜り抜けてきた統夜達と互角近くまで戦えたこと。

 

 その強さが、どうして得られたのか。

 

 その答え。

 それが、これである!

 

 それは、こうしてボロボロのジュア=ムの体を機体とつなぎ、無理矢理戦わせていたから。

 

 彼女の兄を、彼女が戦うためのパーツとして機体に組みこんでいたからである!

 

 

クド=ラ「嘘よ!」

 

ハ=カ・セ「嘘ではない。これが現実じゃ。さあ、嬢ちゃんのお兄さんよ。今の気持ちを、伝えてやるといい」

 

ジュア=ム「ト、トウヤアアァァ……!」

 

 

 培養器の中から、ジュア=ムが口を開く。

 

 音としての声は響かない。

 だが、その言葉は、はっきりと皆の耳に届いた。

 

 

ジュア=ム「……助けて」

 

 

 出たのは、恨みの言葉ではなかった。

 

 

ジュア=ム「コロセ。統夜。俺を、殺せっ。殺してくれっ……! 助けてクレ……! もう、イヤだ……!」

 

ハ=カ・セ「おやおや。随分と疲弊したものじゃ。最初こそはちゃんと憎しみを垂れていたというのに。今ではすっかり死を懇願するばかりか。まあ、しかたもなかろう。妹がこんなにも不甲斐ないのじゃからな」

 

クド=ラ「嘘よ。じゃあ、あの声は、兄さんが苦しんでいたのは……」

 

ハ=カ・セ「そうじゃ。貴様の無能が、憎しみ以上の苦痛をこやつに与え、役に立たないお前のせいで炉は壊された。そう。小僧を殺すのは、そこのバシレウスに選ばれし王ではない……」

 

クド=ラ(いや……。やめて。それ以上は言わないで!)

 

ハ=カ・セ「お前の兄を殺したのは、お前自身じゃ!」

 

 

 ガツンッ!!

 

 殴られたような衝撃が、クド=ラを襲う。

 

 

 ……ボクが、兄さんを?

 本当の仇は、ボクだった?

 

 なら、今までしてきたことは……

 

 

クドラ「い、いやあぁぁぁ!」

 

ロゼ=リア「っ! これは……っ!」

 

 

 真実を知らされた瞬間、クストウェル・ブラキウムの足元に闇色の門が開いた。

 大地に描かれる、闇の円。

 

 それは、絶望した彼女が、自分と世界を拒絶した証。

 

 絶望の感情が引き金となり、この世界へ『ジ・ヴォーダ』の力が呼び起こされた証明!

 

 

統夜「なんだあれは!」

 

ロゼ=リア「くっ! おさまりなさい! 鎮まりなさい!」

 

 

 直後ロゼ=リアの巫女の力に呼応したバシレウスが輝き、その闇の門は閉ざされた。

 

 クストウェル・ブラキウムが膝をつき、完全に動きを止めた。

 

 

テニア「一体なにが起きてたの?」

 

ロゼ=リア「あの子も、わたくしと同じく刻(とき)の巫女となりえる素質を持っていたのです。その才能を呼び水に、絶望の感情を呼び起こされ、終わりを望んでしまった。そのせいで、『ジ・ヴォーダ』の力がこの世界に顕現したのです!」

 

統夜「なんだって!?」

 

ハ=カ・セ「やはり、封印の要である真なる刻(とき)の巫女がおる限り、完璧にとはいかぬか。じゃが、これだけ開けば十分。貴様等を始末するだけの力は十分に集まった!」

 

 

 ゴゴッ!

 

 ハ=カ・セのいた場所が脈動し、無人島の地下から巨大な機体が姿を現した。

 

 

ハ=カ・セ「あとはこれで貴様等と刻の巫女を排除し、楽園の門を完全に開き、すべてのものを極楽へいざなうのみよ!」

 

豹馬「楽園!?」

 

甲児「極楽だって!?」

 

統夜「なにを言っているんだこの人は」

 

ロゼ=リア「そうか。誰だかわからぬわけです。彼等は、集合体。かつてあの『ジ・ヴォーダ』を作り上げた者達の集まりなのです!」

 

ハ=カ・セ「我等のつくりし最高傑作を、その穢れた名で呼ぶな!」

 

メルア「ロゼ=リアさんと同じ時代の人ということですか?」

 

ロゼ=リア「そうです。ならば、先ほど現われた『ジ・ヴォーダ』の一部はあの機体の中が収束させたのでしょう。ヤツの目的は、わたくしの排除。そして、『ジ・ヴォーダ』の封印の解除。『ジ・ヴォーダ』を開放し、この世を地獄に染めることです!」

 

忍「やっぱ楽園なわけねーのか」

 

統夜「なぜそんなことを!」

 

ハ=カ・セ「我等は間違っておらぬからだ! この世すべてを楽園に変えること。それが正しきことなのだ! なのに、それがなぜわからぬ! なぜ封印を施した。我が皇よ。ロゼ=リア・エルテナ・フューラよ!!」

 

ロゼ=リア「まだ、わからないのですか。あなた達は! どうして、どうして認められないのです! わたくし達は過ちを犯したと。間違いを犯したという事実を!」

 

ハ=カ・セ「黙れ!」

 

ロゼ=リア「我等は神などではなかったといい加減認めなさい。万能でも、全能でもない。小さな種族でしかなかったと!」

 

ハ=カ・セ「黙れ! 貴様等こそなぜわからぬ! すべてを超越した我等がつくりたもうし楽園こそが真実! 真に開放された新たな世界。真実の園なのだ! それを勝手に、貴様等は!」

 

甲児「ダメだこいつら。話が通じねえ」

 

ハ=カ・セ「そうだ。貴様等にはわからぬ。だから我等が与えてやらねばならぬ。英知を。安らぎを! だから、どくのだ刻の巫女よ! 貴様さえいなくなれば、世界は救われる。我等こそが、世界を救う真の救世主なのだ!」

 

 

 ハ=カ・セ。

 それは、ロゼ=リアの生まれた時代に『ジ・ヴォーダ』を作り上げた科学者達の執念といってもいい存在だった。

 

 サイトロンの力により、一つの老人の中にあつまり、自分達の作った存在に誤りなどなく、世を救済するものと信じきっている。

 

 ゆえに、世界を楽園に導かんと、それを封印した刻の巫女を排除しようとした。

 

 彼等はバシレウスの導きの元、はるか未来へ旅立ったロゼ=リア姫を追い、この時代にやって来た。そして、ロゼ=リア排除の手段として、同じ刻の巫女としての素質のあるクド=ラに目をつけ、その復讐心を利用し、統夜と共にロゼ=リアの排除を目論んだ。

 しかし、統夜が思いのほか手ごわかったため、計画を変更。

 

 クド=ラの巫女としての力を利用し、彼女を絶望させ、地獄の門を開き、その力を持って要石のロゼ=リアを排除しようとしたのである。

 

 封印の要であるロゼ=リアが健在である限り、その力の放出はすぐ止められてしまうだろうが、それでも統夜達を排除するには十分であるとハ=カ・セは考えていた。

 

 果し合いの場に選ばれた無人島はそのために用意された人工島であり、現われた『ジ・ヴォーダ』の力を受け止める機体が、ハ=カ・セの居た場所に設置されていたのだ!

 

 

 そうして地獄の門よりその力の一端を受けとり、大地より這い出たそれが動き出す。

 

 

超竜神「この力。私の受け取ったザ・パワーの力に似ている気がします!」

 

麗雄博士「ならば、油断できないってことだな。皆、気をつけろ!」

 

 

 ずんっ!

 

 重い音を響かせ、ハ=カ・セの乗る巨大な機体が進む。

 

 その足元には既に動かなくなったクストウェルが膝を突いていた。

 

 

ハ=カ・セ「……ホッホ。楽園へいざなう道具としては十分な仕事をしてくれた。ゆえに、くれてやろう。この世界最初の楽園への到達者だ。誇りに思うがいい!」

 

 

 巨大な脚を持ち上げ、そのままそこに、振り下ろした。

 

 

 ズンッ!!

 

 ぐりっ。ごりっ。念入りに足をひねり、すりつぶす。

 

 

ハ=カ・セ「……ん?」

 

 

 手ごたえが、ない。

 脚を持ち上げてみると、その下に、残骸の一つもなかった。

 

 

統夜「……いい加減にしろよ」

 

ハ=カ・セ「む?」

 

 

 無人島のはし。

 ハ=カ・セの居た場所とは反対側に、彼等はいた。

 

 グランティードとバシレウスにはさまれ、肩を貸すようにして、クストウェルもそこにいる。

 

 潰されようとしたあの一瞬、その二体がオルゴンクラウドの転移を使い、彼女達を救ってみせたのだ。

 

 

ハ=カ・セ「? なぜ我等の救済の邪魔をするのかね? これは君の命を狙った。君を恨むこの者が、この苦しみの世界から開放されることは、君の願うところでもあるだ……」

 

統夜「黙れ!」

 

ハ=カ・セ「っ!?」

 

統夜「お前の欺瞞と偽りに満ちた言葉なんて聞きたくない。なにが救済だ。今彼女を排除しようとしたのは、俺達を倒したあと、心変わりをする可能性のある彼女に『ジ・ヴォーダ』を再封印されるのを恐れたからだ! ただ、邪魔になると思ったからだ!」

 

ハ=カ・セ「!!」

 

統夜「彼女の救済なんて微塵も考えていない。お前達は結局、彼女を利用することしか考えていない。自分達の目的しか考えていない! そんなお前の言葉など、もう、聞く必要はない!」

 

ハ=カ・セ「……これが、サイトロンを極めつつある者か。だが、何故貴様に怒る権利がある。我等は利用したのではない。今回のこの復讐。すべてのきっかけは、貴様にあるというに」

 

シャナ=ミア「また心にもないことを言うのはおやめなさい。復讐のきっかけがトウヤであろうはずがありません! トウヤのせいにしたのは、あなたがそう仕向けたから! それを、まるでトウヤが原因であるかのように言うのは、私が許さない。トウヤを、あの悲しい戦いを、あなたの目的のためだけに利用などさせません!」

 

テニア「そうだよ。はじまりがジュア=ムをうったこと? 違うよ。そもそもジュア=ムはそこに生きてる。生かしていられるなら、ちゃんと助けてやれたんじゃないの!!」

 

メルア「そうですよ! それもしないで、あの子に復讐をたきつけたのは、あの子を利用したいがため。その証拠に他なりません! それは、彼女の家族への愛につけこんだ。外道の所業です!」

 

カティア「自分達の正しさを証明するためだけに、人を道具のようにあつかう。そのどこに救済が。楽園があるというの!」

 

ロゼ=リア「いつまでもかわらぬ、傍若無人な振る舞い。それが、我等を滅ぼしたとなぜ理解できないのです。いい加減、このわたくしの。いえ、わたくし達全員の堪忍袋の尾が切れました!」

 

統夜「俺は、そんなお前達が許せない。彼女の深い家族の情を利用して、必要以上に苦しめたお前が! だから、みんな!」

 

シャナ=ミア「はい!」

テニア「うん!」

メルア「はい!」

カティア「ええ!」

ロゼ=リア「はい!」

 

統夜「その真なる姿を現せ……!」

 

 

 正しき怒りのもとに、グランティードとバシレウスに連なる六人の心が一つとなった!

 

 皆の想いに応え、グランティードとバシレウスの合体が、今!

 

 

統夜「グランティード・ドラコデウス!」

 

 

 今、再びこの場に、一つとなったグランティードが姿を現した!

 

 

ハ=カ・セ「未来はおろか、我等の心まで見通すか。これが、バシレウスに選ばれし救世主。ホッホ。だが、いかに救世の剣といえど、この力にはかなうまい!」

 

甲児「そんなことはねえ!」

 

豹馬「ああ。そうだ。今ここにいるのは、統夜だけじゃないんだからな!」

 

健一「俺達だって、貴様の身勝手なやり方にハラワタが煮えくり返っているんだ!」

 

アキト「そうだ。絶対に許せないぞ!」

 

一矢「ああ。俺達だって、許せない気持ちは同じだ!」

 

凱「貴様は、絶対に許さん!」

 

忍「みんなで、思い知らせてやる。てめえの思い通りにはならないってことをな!」

 

ハ=カ・セ「何人集まろうが、我等が最高傑作の力に勝てるはずがあるまい! 刻の巫女ごとすべてを楽園へ送ってくれる!」

 

 

 短い時間であったが、溢れた『ジ・ヴォーダ』の力はすべてこの中に納まっている。

 もし、この後本当に世界を救うというのなら、これを破壊できずして、ロゼ=リアの中に現れる真の地獄を破壊することなどは不可能。

 

 世界を救うことなど、もってのほかだった!

 

 

 戦いが、はじまる!

 

 無人島の地下に隠してあったフューリーの機体が飛び出す。

 

 数の優位は消えたが、いくら無人の機械を出そうと、正しき怒りに燃え、気力がマックスとなった統夜達はとめられない。

 

 

 一瞬にしてそれらは破壊しつくされ、統夜の刃はハ=カ・セへと迫った。

 

 

ハ=カ・セ「くっ。ぐおおっ! なぜだ。なぜ、思い通りに動かん!」

 

ロゼ=リア「一部とはいえ、その力を受け止め切れなかったのですよ。それが、あなた達の限界だと知りなさい!」

 

ハ=カ・セ「そのようなこと。そのようなことはない! 我等が、我等は!」

 

統夜「これで、終わりだ! インフィニティ・キャリバー!」

 

 

 ついに解禁された最強の剣が、ハ=カ・セの体ごとその機体を貫いた!

 

 

ハ=カ・セ「バ、カな……。我等の最高傑作が。世を楽園へと変える最高の発明が……。世界が、このような……」

 

統夜「安心しろよ。今から行くそこが、お前達の望んだ世界だ」

 

ハ=カ・セ「い、嫌だ。いや。そんなの、嫌だあぁぁぁ!!」

 

 

 巨大な爆発を起こし、『ジ・ヴォーダ』を生み出した者達の執念はチリへと帰っていった……

 

 

 

 戦いは、終わった。

 

 そして、彼女の復讐も……

 

 

 クストウェル・ブラキウムは回収され、クド=ラ。彼女はその前で呆然としていた。

 

 そのコックピットのサブシートには、ハ=カ・セの培養液の効果がつき、真の死を待つのみの兄がいる。

 彼女はその最後を見たくなく、足元のここに逃げてきたのである。

 

 

麗雄博士「お嬢さん。諦めるのはまだ早いぞ」

 

レイン「ええ。まだ、あの子の命は終わっていないわ」

 

クド=ラ「え?」

 

 

 現われたのは、凱の父。サイボーグ開発の第一人者の獅子王麗雄博士と、医師であるレインだった。

 

 

クド=ラ「でも、どれだけ早く戻っても、兄さんの体はもう、耐えられない。ボクが弱かったから、そのせいで、その体は……!」

 

レイン「いいえ。大丈夫。設備のあるGアイランドに戻るまで、死なせたりしないわ」

 

 

 こんな時のために、第13独立部隊には時を止めるベッドが用意されている。

 ステイシスベッドを使えば、あの状態のまま、ジュア=ムを死なせず移動させることが可能だった。

 

 

クド=ラ「じゃあ、兄さんは助かるの?」

 

レイン「それはまだわからないわ。でも、希望は捨てないで」

 

麗雄博士「その通りだよお嬢さん。まだまだ希望はすてちゃいかん。ここはボク達を信じてみないかね?」

 

クド=ラ「……はい。お願いします。兄さんを、助けて……!」

 

麗雄博士「任せておきたまえ! 可愛い女の子に頼まれたのなら、その期待を裏切るわけにはいかないからね!」

 

 

 そうして、ステイシスベッドに入れられ運ばれてゆくジュア=ムを、彼女は見送った。

 

 そこにあるのは、希望。

 ハ=カ・セによって植えつけられた絶望を跳ね除ける、未来を見据えた顔だった。

 

 

統夜「あとは、レインさん達に任せるしかないか」

 

シャナ=ミア「そうですね。私達にできるのは、ここまでですから」

 

テニア「きっと大丈夫だよ。生きているなら、どうにかしてくれるよ。きっと!」

 

メルア「はい。信じています!」

 

カティア「そうね。サイボーグでも、生身でも、どちらもエキスパートが揃っているのだから」

 

クド=ラ「あの……」

 

 

 見送った統夜達のところへ、クド=ラがやってきた。

 

 

統夜「ん?」

 

クド=ラ「ごめんなさい。仇だなんて。ずっと、あの博士に、ボク……」

 

統夜「いいんだよ。君は間違ってない。あの時、俺は確かに、ジュア=ムをうったんだから」

 

 

 むしろ、生きて戻って来た方が驚きである。ハ=カ・セはきっと、あの時からあの第2プランを考えてボロボロのジュア=ムを助けたのだろう。

 非道なのは、生きているとわかって、その状態で生かしておいたことである。

 

 

クド=ラ「それでもボクは……!」

 

統夜「そんなに償いたいというのなら、一つ言うことを聞いてもらおうか」

 

クド=ラ「うん。なんでもするよ!」

 

統夜「いい覚悟だ。なら、聞いてもらおう」

 

クド=ラ「ごくり……っ!」

 

統夜「じゃあ、これまでのことは水に流して、ちゃんと前をむいて歩いて行こう。君も、俺も、もう自由だ」

 

クド=ラ「……は?」

 

 

 つまるところ、お咎めなんてない。ってことだ。

 

 

統夜「みんなも、それでいいだろ?」

 

甲児「命を狙われていたお前がそう言ったら、他に誰が反対できるっていうんだよ」

 

豹馬「その通りだぜ。彼女の恨みを一手に引き受けたのはお前なんだから、俺等に言えることはなにもないさ」

 

クド=ラ「……それだけ?」

 

統夜「ああ。大変だぞ。今までの憎しみを忘れて生きていくんだから」

 

ロゼ=リア「ものはいいようですわね」

 

シャナ=ミア「でも、実際大変かもしれません」

 

クド=ラ「呆れた」

 

カティア「でも、統夜君らしいわ」

 

クド=ラ「ホント、呆れたよ……」

 

 

 そう言いながら、彼女は涙を流した。

 

 あれほどの憎しみをぶつけたというのに、彼はそれをけろりと受け流し、それどころかクド=ラの未来のことを考えてくれていたのだから。

 

 最初から、そうだ。

 

 憎しみという枷をはずしてみれば、統夜の行動はいつも信じられないくらいクド=ラのためを思っていた。

 

 その優しさを感じ、思わず涙がこぼれてしまったのである。

 

 

 それを見て、戸惑うのは統夜。

 

 自分は悪くないというのに、少女の涙を見てわたわたとしてしまうのだった……

 

 

 それを見た皆から、笑顔がこぼれた。

 

 

 こうして、クド=ラの復讐は終わりを告げる。

 

 彼女はひとまず、元指導者であるシャナ=ミアのところに厄介になることとなった。

 

 そして、皆の力になりたいと仲間に加わり、皆と共に戦うことを誓うのだった。

 

 

──インターミッション──

 

 

 クストウェル・ブラキウムと共にクド=ラが仲間に加わりました。

 

 ジュア=ムユニットが失われたため、クストウェル・ブラキウムは大幅に弱体化しました。

 ただ、基本二人で動かすユニットですが、その気になれば一人でも動かせます(クド=ラが加わりフューリー機パイロットが9人になったから)

 

 クド=ラはメイン、サブ。どちらでも運用が可能です。特別に合体したグランティード・ドラコデウスへの搭乗も可能となります。

 

 合体が解禁されたグランティード・ドラコデウスは四人乗りとなりました。

 メインパイロットは統夜。残り3人はサブパイロットとなり、3つの機体ボーナスを得ることが可能になります。

 

 合体した場合、バシレウスのメインパイロットからロゼ=リアをはずし、別のサブパイロットを乗せることが可能になりました。この場合でも、分離は可能(バシレウスへの機体ボーナスは、サブパイロットの子のが適応される)

 

 

──新たな決意──

 

 

ロゼ=リア「……」

 

ロゼ=リア(『ジ・ヴォーダ』を作った者達でさえ、その力の一部さえ受け止めることはできなかった。やはり、刻の巫女を依代としなければ、完全な『ジ・ヴォーダ』を世に顕現させるのは不可能)

 

 

 他のなにかを依代にし、ロゼ=リアを救う。

 それは不可能なのだと、今回の一件で証明されてしまった。

 

 強大な力を持つ『ジ・ヴォーダ』を倒せるほど強力な戦力はすでに揃いつつある。

 

 ならば……

 

 

ロゼ=リア「世界を救うためには、やはり……」

 

 

 自身を犠牲にするしかない。

 

 そう、改めて覚悟を決める彼女。

 

 

統夜「……」

 

 

 そして、それを見逃さない統夜がいた。

 

 

 第12話 終わり



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第13話 かなめ救出作戦~メリダ島奪還まで

 

────

 

 

 炎竜、氷竜が復帰し、東方不敗の謎も解けた。

 

 

 そしてついに、連れ去られた千鳥かなめの居場所が判明したのである!

 

 その報告を聞いたトゥアハー・デ・ダナンの艦長テレサ・テスタロッサは、第13独立部隊を離脱し、ミスリル単体でかなめを取り戻す作戦を考えた。

 

 なぜならかなめ有するアマルガムが潜伏してるのは、連合の基地だったからだ。

 

 元々ロゴスとしての地盤を持つ彼等とはいえ、アマルガムがしたことはミスリルという存在しない組織を潰しただけ。

 ロゴスという組織も既にない今、部隊で連合の基地を攻めることはできないと考えたからだ。

 無理に攻撃すれば、今度は彼等の立場が悪くなってしまう。

 

 ゆえに一度離脱し、ミスリルの有志のみでかなめを救出しようという考えに至った。

 

 

 しかしその考えは、現われたナデシコB艦長、ルリによってとめられる。

 

 

ルリ「行くなら、みんなで一緒に行くべきです」

 

テッサ「ですが……」

 

ルリ「いいえ。私達には行く義務があるからです。なぜならそこに、火星の後継者もいるから」

 

テッサ「あっ……」

 

 

 ナデシコBは、世界で暗躍していた木連の残党、火星の後継者に対抗するため組織された連合の部隊。

 

 その任務は、火星の後継者の制圧。

 

 実質的なテロリストがいるのだから、それを名目に第13独立部隊も攻撃に参加する理由は十分にあった!

 

 

テッサ「……いけませんね」

 

 

 彼女は自戒する。

 

 ミスリルを潰したアマルガムのことばかりに目が行って、その他のことが目に入っていなかった。

 

 指揮官として冷静でなかったことを思い出した。

 

 

テッサ「ありがとうございます、ルリさん」

 

ルリ「いいんですよ。だって私達、仲間じゃないですか」

 

テッサ「はいっ!」

 

 

 さあ、かなめ救出作戦の開始だ!

 

 

──ニケーロ島──

 

 

 ニケーロ島に到着した第13独立部隊。

 

 まずは、テロリストである火星の後継者の引渡しを要請する。

 

 

ゲイツ「やっぱそこつかれるわなあ。こいつらがいなければ、ミスリルだけを相手にすればよかったってのに。全部出張ってきたけど、どうするのかね?」

 

北辰「……」

 

レナード「かまわないよ。この程度は僕の計算内だ。目的のために、彼等の協力は必要不可欠だしね」

 

シャピロ「奴等のラムダドライバ搭載の新型はすでにこちらの手にある。それとも、自分だけが持っていても不安だというのかね?」

 

ゲイツ「言ってくれるねぇ。そこまで言われたら、自由にやらせてもらうぜぇ」

 

 

 返って来た答えは、部隊の展開、徹底抗戦というかまえだった。

 

 第13独立部隊側も戦力を出し、かなめ奪還作戦が開始された!

 

 

 ゲイツが表で戦っている中、レナードはかなめをつれ撤退の準備に入る。

 

 連れて行かれようとするかなめは、レナードを拒絶する言葉を投げかける。

 レナードはその答えとして、ウィスパードの共振を利用した、自身の過去をかなめに見せるのだった。

 

 母親に拒絶され、存在を否定され、殺されかけたという過去を。

 

 

 戦いは進む。

 

 宗介用に新たに開発されていたラムダドライバ搭載の新型AS。

 それは完成直前にアマルガムに奪われ、この基地に運ばれていた。

 

 少々分が悪くなってきたゲイツは、それを持ち出し、希望を破壊するよう破壊して見せた。

 

 しかし、基地へ突入するボン太君の進撃は緩まない。

 それがどうしたと言わんばかりに基地内への突入を図る。

 

 戦友(とも)である風雲再起の援護が道を作り、ついにボン太君は基地内部へと飛びこんだ。

 

 強引な突入によってボロボロになった着ぐるみ。ボン太君を脱ぎ捨て、いよいよ宗介本人が姿を現した。

 

 相良宗介に戻った彼は、そのままかなめを救うべく基地の奥へと走る。

 

 

 しかし、その前に立ちふさがったのは、行方不明となったはずのカリーニンであった。

 

 

 なんとミスリルにて宗介の父親代わりと言ってよかった人が、敵に回ってしまったのだ!

 

 カリーニンは言う。「戦場ではよくあることだ」と。

 

 

 一方、宗介の突入を知ったかなめ。

 

 そちらにむかい走ろうとするが、その手をつかまれてしまった。

 

 レナードはそのかなめを挑発するように銃を彼女にわたし、自分を殺せば逃げられると告げるのだった。

 

 葛藤するかなめ。

 だが、一般的な常識を持ち合わせる彼女が人を撃てるわけがなかった。

 

 そこで事件が起きる。

 どこかでなにかが爆発し、その振動でかなめの指が引き金を引いてしまったのだ。

 

 レナードの頭部から血が溢れる。

 

 呆然とするかなめをよそに、宗介をまいてきたカリーニンがレナードとかなめを運ぶのだった。

 

 宗介が追ってくるが、他のアマルガムの隊員に阻止され、かなめの手を握ることは叶わなかった……

 

 

 追って外に出たが、すでにカリーニン達の姿はない。

 

 遠くに離れるヘリが一機見えるだけだった。

 

 そこにかなめがいると確信した宗介は、悔しそうに拳を地面に打ちつける。

 

 

 かなめ救出は失敗した。

 

 だが、戦闘は続いている。

 

 

 そんな宗介の元に、新たな剣が届けられた。

 

 

 アラン・イゴールによって運ばれてきた、真のARX-8レーバテインがだ(アランはまだ仲間にならず帰っていく)

 

 先ほどゲイツが爆破し、いい気になっていたのはただのダミーだったのだ。

 

 

 アーバレストに搭載されていたAIアルはこのレーバテインに移されており、宗介とアルのコンビが復活するに至った。

 

 同じラムダドライバ搭載機であるゲイツのコダールを撃破し、北辰はボソンジャンプで戦場から逃げ、戦闘は終了する。

 

 

 戦後、命をかけたブラフを成功させたかなめが宗介に向け無線にて呼びかけてきた。

 

 最初こそは探すなと。レナードを撃ってしまったことを告白し、別れを告げようとするも、最後の最後で本音は隠すことができなかった。

 

 

かなめ「あたしを助けに来て!」

 

 

 宗介の答えは決まっていた。

 

 

宗介「必ず行く。待ってろ」

 

 

 そう答えを返しあい、無線は切れるのだった。

 

 かなめの救出には失敗した。

 

 

 だが、行方不明であった相良宗介が帰って来た。

 

 

 かなめ救出の作戦は、まだ終わらないのである!

 

 

──ヤムスク11──

 

 

 次に第13独立部隊がやってきたのは地球の北方にあるヤムスク11という場所。

 

 ここは、ウィスパードに関わる実験が行われていた秘密の研究所があった場所だった。

 

 

 同様にその研究を狙って現われたレナード達と相対することになる第13独立部隊。

 

 前回は姿を現さなかったシャピロ、さらにベリアルに乗ったレナードも姿を見せた。

 

 ただレナードは前にかなめに撃たれた影響からか、気性が荒くなり、言葉使いも悪くなっていた。

 

 

 レナードは顔を見せた後、先に侵入した宗介とテッサと同じように研究所内部へと潜入してゆく。

 

 

 地下施設を進む宗介とテッサだったが、戦闘の影響で天井が崩れ、二人は離れ離れとなってしまった。

 

 同様に潜入してきたレナードとかなめもはぐれ、かなめはテッサと出会い、レナードは宗介と遭遇することとなった。

 

 

 地下で瓦礫にとじこめられた宗介とレナードは一時休戦、協力し合うこととなる。

 

 そこで宗介は、レナードの口からウィスパードの秘密を聞かされるのだった。

 

 ウィスパードとは、自分が知るはずのない知識を「実は知っていたと突然思い出す」ことで新しい知識を生み出す者である。

 その思い出す瞬間に、なにかのささやきを聞こえたかのように思うことから、ささやかれる者。ウィスパードと名づけられた。

 

 レナードが言うには、かなめは「ささやかれた者」ではなく「ささやく者」とのことだった。

 

 それが、かなめを重要視する理由の一つ。

 

 

 続いて、レナードは自分の目的を語る。

 

 この世界は間違っている。だから、正しい世界に作り直す。と。

 

 彼の考えでは、世界を作り直すことにより、本来は生きているべきだったが死んでしまった人間が生き返るという。

 そして、死んでいるべきなのに生き残っている人間が死ぬという素晴らしい世界ができるというのだ。

 

 世界を作り変える。

 それはいわば、神になろうとしていると言っても過言ではなかった。

 

 もちろん、宗介はその考えに賛同はできない。

 戦士である宗介は、死もその人間の一部と考えているからだ。

 

 ただ、その考えにカリーニンは賛同してくれたと伝えられた。

 

 カリーニンにも取り戻したいものがあるらしく、それゆえ新たな世界を作ろうとするレナードに従ったのだという。

 シャピロ、北辰も同じくだ。

 

 

 同時刻、かなめと移動するテッサも、この施設のことをかなめに説明していた。

 

 テッサの目的地は、ウィスパード実験の震源地。

 ここにあるのは、ラムダ・ドライバを使用するため搭載されるTAROSと呼ばれるものの本体で、時空間を超えて情報を送信できるもの。

 

 かつてこの地で行われた実験が失敗し、世界にタウ波と呼ばれるものが放出され、それを受けた新生児が、オムニスフィアと呼ばれる時間や空間の制約を受けないいわゆる精神世界から、未来の情報を受信できるようになったのがウィスパードのはじまり。

 

 ブラック・テクノロジーとは、未来からもたらされた技術のことだったのだ!

 

 なんらかの適正が必要なようで、その波を受信したすべての新生児がウィスパードに覚醒したわけでなく、世界に10人いればよいほうだという。

 

 

 それと同じ説明は、宗介の方でもなされていた。

 

 レナードはかなめが最も多くのタウ波を受信した新生児と言っており、それがささやく者の根拠であり、もっとも特殊な存在で、自分の計画の要となる。と。

 

 瓦礫を撤去し終わり、二人に別れの時がやってきた。

 

 殺し合いはせず、二人はそのまま別れることとなる。

 次に出会うことがあれば、と言い。

 

 

 テッサの方も、目的地付近まで到着する。

 

 彼女の目的は、そこにあるブラック・テクノロジーを世界に発信しているアンテナの役割を果たしている存在の破壊。

 そこには、カプセルに入ったかつての実験にて犠牲となった被験体である少女の遺体(遺体そのものはないそうだが)

 

 それを爆弾で破壊しようとしたその時、かなめがなにかを受信し、豹変。

 

 その必要はないと、テッサの爆破をとめたのだった。

 

 かなめの態度がどこかおかしいと気づいたテッサ。

 

 そこに、レナードと別れた宗介も到着する。

 

 

 するとなぜか、かなめはテッサを人質に宗介に銃をむけるのだった。

 

 

 焦る宗介。

 かなめは優しい口調で宗介に邪魔をするなと告げるも、その様子がおかしいのは明らかだ。

 

 宗介がかなめをとめようと動こうとすると、かなめはテッサの側頭部を拳銃で撃ち、さらに宗介の頭部も撃ちぬいた。

 だがこれは、幻だった。

 

 かなめに近づこうとした宗介が、いきなり失神し、その倒れた宗介を放置し、かなめは逃走したとのことだった。

 

 

 この地では実験のせいからか、こうした既視感の幻が多くみられるゆえ、そのせいかもしれない。

 

 だが、かなめがおかしくなってしまったのは、現実だった……

 

 

 かなめはレナードと合流。

 変じたかなめを見て、まるで臣下のように礼をとり、彼女を迎え入れた。

 

 

 崩れはじめる施設。

 

 宗介達も、ここから脱出をする。

 

 

 研究所が崩壊してしまえば双方この地にいる理由はない。

 

 

 適度なところで撤退し、この戦いはお開きとなるのだった。

 

 

 ちなみに外ではクルツ死亡イベントが起きていた。

 師匠との狙撃合戦でボロボロとなり、なんらかの理由で置いてこられてしまったのだ。

 

 でもまあ、あとから来た運び屋アラン・イゴールに助けられていたってオチなので先にばらしておこうと思う。

 

 

──テニアと統夜──

 

 

 ホワイトベースにて移動中。

 

 統夜とテニアが通路を歩いていると、前からハロがぴょんぴょん跳ねてやってきた。

 

 

ハロ「テニア、テニア、トーヤ。トーヤ!」

 

統夜「あれ、ハロだけか?」

 

ハロ「テヤンデー」

 

 

 飛びこんできたハロをテニアがキャッチする。

 

 

テニア「これ、アムロのハロかな」

 

統夜「大きさからしてそうだろうな」

 

テニア「ハロも色んな大きさと色があるよね」

 

 

 昔、ラクスが掌サイズのピンクハロを持っていたのを彼等は知っている。

 

 

テニア「コロニーではポピュラーなマスコットなのかな」

 

統夜「どうなんだろう。確かこいつは、アムロの手作りだって聞いたな」

 

テニア「へー。それはすごいね。そういうのできる人、アタシ尊敬しちゃうよ」

 

統夜「へー。尊敬してくれるのか」

 

テニア「うん。すごいよね!」

 

統夜「確かにな」

 

 

 くるくるとハロを回してその体をまじまじと見る。

 

 

テニア「外からじゃ手作りなのかまったくわからないね」

 

統夜「そうだな」

 

テニア「サイトロンで機械の中身とかもわかったらいいのに……」

 

統夜「機械の……?」

 

統夜(その発想はなかった。確かに、テニアのことも知れたし、機械にもいけるかもしれない。なら……)

 

テニア「? どうしたの、統夜?」

 

統夜「いや、テニアは面白い発想するなあと思って」

 

テニア「え? なんかバカにされてる気がする」

 

統夜「いやいや。凄いと思ってるんだよ。感心してるんだ」

 

テニア「ホントにー?」

 

統夜「ホントホント。それより、アムロにこいつ届けてやろう」

 

テニア「あ、そうだね。君はどこから来たの?」

 

ハロ「アッチアッチ!」

 

 

 二人はハロを抱えながら、アムロの元へと歩き出した。

 

 

統夜(サイトロンを使って機械の解析。それで機械の構造を理解すれば、色々と作れるようになったりもするかな? だとしたら、面白いかもしれない……)

 

 

──メリダ島奪還!──

 

 

 撤退したレナード達はある場所へむかった。

 

 それは、メリダ島。

 そこで、最後の準備を果たすのだ。

 

 それを察知した第13独立部隊も、彼等を追う。

 

 

 地球におけるアマルガムとの最後の戦い。それが迫まっているのが誰にも感じられた……

 

 

北辰「……しかし、なぜこうも、我等の居場所がわかる?」

 

レナード「そりゃ、彼が情報をながしているんだろうさ。ロゴスが壊滅した今、こちらは用済みだからね」

 

シャピロ「あの男か。どちらも利用しあい、ついには裏切られたわけか」

 

レナード「しかたがないさ。ロゴスの壊滅を目的に手を組んだだけだからね。こうなっても不思議はない。でも、そのうち報復は受けてもらう。そのうちね」

 

シャピロ「その前に滅びぬとよいがな。アマルガムが」

 

レナード「彼はそのつもりだろうね。ここで、俺達を壊滅させるつもりなんだろう」

 

北辰「そうはならぬさ。準備は整っている」

 

レナード「だそうだよ」

 

 

 連合に追われるとわかっていて北辰と組んだ理由。

 それがもうじき、明かされることになりそうだ……

 

 

 ついにアマルガムを追い詰めた第13独立部隊。

 

 逃げこんだメリダ島の奪還と共に、火星の後継者&アマルガム掃討作戦を開始するのだった!

 

 

 飛行装備を得たレーバテインと共に島へ攻撃を開始する。

 

 

 そこにはアマルガムだけでなくジオンの地上残党もおり、大混戦となった。

 

 

 基地へ到着する宗介。

 

 しかし肝心の基地は、もぬけの殻であった!

 

 

ルリ「っ! ボソン反応を確認。彼等はこの基地からボソンジャンプで逃げたようです!」

 

 

 残っていたのは……

 

 

カリーニン「よくここまできたものだ」

 

宗介「カリーニン!?」

 

 

 待ち構えていたカリーニン。

 

 彼は宗介に機体から降り、白兵戦で決着をつけようと言ってきた。

 

 勝てば、彼等がどこへ消えたか教えてやる。と……

 

 

アル「いけません軍曹。明らかな挑発です」

 

宗介「言いたいことはわかる。だが……」

 

 

 そうわかりながらも、宗介は機体でカリーニンをどうにかするということはできなかった。

 

 挑発どおりレーバテインを降り、ナイフでの戦いを挑んでしまう。

 

 

 愚か。と言われても仕方のない行為。

 だが、それを責める者はこの場に誰もいない。

 

 その戦いはまるで、稽古をつけているかのようだった。

 

 基地内を飛び出し、戦いは森の中へ移る。

 

 

 やはり、技術面はカリーニンの方が上だ。

 

 宗介は追い詰められ、ついにカリーニンの一撃がその身体を……!

 

 

 ちゅんっ!

 

 カリーニンの耳元を、なにかが掠めた。

 

 

カリーニン「!?」

 

 

 その振動はカリーニンの頭を揺らし、一瞬その意識をそちらの方へと移させた。

 

 着弾点、狙撃者。そちらの方へ……!

 

 

 その一瞬。それが、命取りとなった。

 

 隙を見逃さなかった宗介により、武器を落とされ、押さえこまれる。

 

 

 こうなってはもう、逃げ出せない。

 一瞬で、完全に制圧されてしまった。

 

 カリーニンは敗北を噛み締めながら、自分の頭を撃たず、意識だけをそちらにむけさせた狙撃の腕を感心する。

 

 その狙撃位置を確認すると、はるか遠方で立ち上がる男の姿があった。

 

 

 何者かと思えば、それは、死んだはずのクルツ。

 

 

カリーニン「……見事なチームワークだ」

 

 

 宗介がこの狙撃を知っていたのか知らなかったのか、それはカリーニンにはわからない。

 

 だが、彼が死んだという情報が、カリーニンに狙撃はないと思わせ、宗介一人では勝てぬ戦いを、チームで勝利に導いた。

 

 それは、事実だった……

 

 

カリーニン「だが、戦い自体はこちらの勝ちだ」

 

宗介「なに?」

 

 

 元々カリーニンは殿。自分自身はどうなってもかまわない。

 例え自分が死んでも、目的が達成されればその死も無意味となる。

 

 確保されたまま大人しくしているのも、『それ』がやってくるのを知っているからだった。

 

 

 基地の警報が鳴った。

 

 

 なんと近くの基地からメリダ島にむけてミサイルが発射されたというのだ。

 

 水爆がつまれたミサイルがここを目指して飛んできている。

 

 

 しかも島には伏兵がわんさか出てくる始末。

 

 その中にはなんとデビルガンダムさえあった。

 一撃を加えると、DG細胞はなく、ただ姿を模した紛い物だとわかるが。

 

 それでも、この時間のない中現れるのは脅威である。

 

 

 このままではメリダ島は壊滅してしまう。

 

 

 二発目以降は発射される前にルリがハッキングでとめられたが、最初の一発はネットワーク機能を切られ、インプットされた目的地にのみ飛ぶようセットされているらしく、解除は不可能の状態だった。

 

 最初から、必要なこの一発のみでいいと考えられていたようだ。

 

 事実こんなちっぽけな島、水爆一つで地図から完全に消える。

 

 

ブライト「このままでは!」

 

統夜「……っ! さっきのが、あの発想があたりなら……!」

 

 

 統夜は迫るミサイルへ意識をむける。

 

 

統夜(サイトロン。見せてみろ。お前の新しい可能性を!)

 

統夜「っ! 見えた!」

 

 

 統夜の頭の中に、ミサイルの解析図と、その構造がとびこんできた。

 統夜は瞬時に、それを爆破させず、解体を可能とさせる線を見つけた。

 

 

統夜「みんな、解析図を送る。あとはこれにそって斬れば、ミサイルは爆発しない!」

 

ブライト「こうなったら誰でもいい。この図をもとに、あのミサイルを切ってとめるんだ!」

 

 

 統夜が頭で描いた図が、これまたサイトロンを通じて解析図として全員のもとへと送られた。

 これは、考えたことをそのまま実行できるという、サイトロンコントロールだからできる芸当だ。

 

 ミサイルの構造に点線が表示される。

 それは、そこを切れば、ミサイルは爆発しないというラインだった。

 

 

忍「爆発しないって言われてもよ!」

 

ブライト「アムロ、お前ならできる!」

 

アムロ「そんな無茶な!」

 

ブライト「無茶でもやれなければ、こんな小さな島全滅だ!」

 

アムロ「くそっ! 勝手なことばかり言って!」

 

 

 そう言いながらも、アムロは水爆ミサイルを切り裂き、見事メリダ島を救うこととなる。

 ※アムロでなくとも、剣を持つユニットなら迎撃可能

 

 

 残るは、現われた伏兵を倒すのみ。

 それは、ついに合流したアラン・イゴールのブラックウイングと合体したファイナルダンクーガに任せろ!

 

 

 敗北も確定し、観念したカリーニンは、レナード達がむかう先を口にする。

 

 彼等の目的地。

 

 

 それは、火星だった。

 

 

──宇宙へ──

 

 

 メリダ島の奪還に成功した統夜達。

 

 しかし、肝心のアマルガム上層部と火星の後継者の面々は既にそこから逃げ出していた。

 

 

 ただ、逃げた場所の予測はついている。

 

 

 レナードの目的、世界を作り直すというモノを考えれば、目的地は一つ。

 

 真に歴史を変えられる装置のある場所。

 

 

 そう。タイムマシンの本体である、火星の極冠遺跡!

 

 

 遺跡とかなめをもちいて、彼等は世界を修正しようとしているのだ!

 

 

宗介「そうか、だから、レナードは火星の後継者と手を組んだ」

 

アキト「北辰達も、あれから俺達を追わなくなった」

 

テッサ「それは、もっと制御に適した、世界を変えられるコアに当たりをつけていたから……」

 

沙羅「シャピロが大人しくついているわけだよ。神になる手段がそこにあるわけだからね」

 

 

 このメリダ島に逃げこんだのも、地球から火星にむけ移動するための準備がしてあったからだろう。

 

 唯一の救いは、北辰達のボソンジャンプでは一度で火星に行けないこと(中距離しか跳べない)

 すぐさま世界が変えられてしまうということはないということだった。

 

 

 いずれにせよ、地球を守るためには宇宙へ行かねばならない。

 

 

 ジオン、バーム、アマルガム、そして、原種。

 

 

 それらはすべて、宇宙にいるからだ!

 

 

 第13話 終わり



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第14話 宇宙~ア・バオア・クーの激闘まで

 

──戦力増強──

 

 

 ついに宇宙へあがることとなった第13独立部隊。

 オービットベースにて、ナデシコはナデシコBからナデシコCへと乗り換えることとなった。

 

 補充人員としてナデシコ元三人娘の二人とさらにアカツキ、九十九と元一郎もアリストロメリアと共に着任する。

 

 あと、トゥアハー・デ・ダナンが飛んだ。宇宙に。

 

 

 乗換えをし、準備も完了となったその時、ジェイダー不在のJアークがオービットベースに漂着する。

 

 先行して原種に戦いを挑んだキングジェイダーであったが、返り討ちにあい、Jは艦と乗組員の戒道幾巳を守るためジェイダーで囮になったというのだ。

 ジェイダーを失いながらも行こうとする彼に対し、共に行こうと語りかける護。しかし戒道は、護は家族や友達が待っている地球を他の惑星の様な悲劇に巻きこみたくはないと出撃してしまう。

 

 ならば仕方がないと、勝手についていくことにした第13独立部隊の面々。

 

 それにはさすがの戒道幾己も呆れるしかなかった。

 

 

──襲撃──

 

 

 宇宙に出てすぐ、それは襲ってきた。

 

 かつて窓を開き、隕石を落とした原種と、衛星にとりついた原種により、ホワイトベース隊とミネルバ隊。そしてJアーク以外の者達がクラインスペースに閉じこめられてしまったのだ。

 

 さらに第13独立部隊の動向を監視していたコンスコン艦隊も、隊の異変を察知し、ホワイトベースとミネルバに強襲を仕掛けてきた。

 少ない人員で20を超えるモビルスーツを相手にしなければならないアムロ達だったが……

 

 3分(3ターン)以内にドムを12機以上倒すと、よく知る例のセリフが聞けるぞ!

 

 

 戦闘のさなか、クラインスペースからジェイダーが飛び出してくる。

 

 どうやら囮となったジェイダーも、クラインスペースの中にとじこめられていたようなのだ。

 彼等は中で、ガオガイガーのディバイング&ガドリングによるダブルヘッドドライバーや空間に干渉できる武器を使い、クラインスペースの一点をこじあけ、コンマのタイミングでしまるその小さな門からジェイダーを押し出したのである。

 

 クラインスペースに風穴が開いている時間はほんの瞬きするほどの時間でしかなかったが、志願したジェイダーの幾己を守ろうとする強い決意を凱達は信じ、まかせたのだ!

 

 無事元の宇宙へ出たジェイダーは、キングジェイダーとなり、衛星に擬態していた原種を破壊、第13独立部隊はクラインスペースから脱出する。

 

 

 あとは、姿を現した窓を作る原種、ZX-06、頭脳原種とコンスコン艦隊の三つ巴を制するだけであった!

 

 

──サイド6~ソロモン攻略戦──

 

 

 原種、コンスコン艦隊も退け、彼等はジオンの要塞、ソロモンにむかう通り道にある中立コロニー、サイド6に立ち寄った。

 ※なし崩し的にキングジェイダーも一緒。

 

 アムロはそこで、不思議な少女、ララァ・スンと、シャア・アズナブルと出会う。

 

 シャアと生身で出会うのは初めてのはずなのに、アムロは目の前にいる軍人があのモビルスーツに乗るシャアだと気づいた。

 それほど、アムロの感覚は、宇宙に出て鋭くなってきていているのだ。

 

 それはいわゆる、ニュータイプとしての覚醒がはじまった。ということを意味していた。

 

 

 不思議な出会いを経て、ドズル・ザビの守るソロモンの攻防戦がはじまった。

 

 

 連合の大攻勢の結果、出現する巨大もビルアーマー、ビグザム。

 

 

 その圧倒的な火力は、周囲のモビルスーツはおろか、戦艦さえ一瞬で沈めてみせた。

 

 これを倒さぬ限り、ソロモンは落ちない。

 第13独立部隊は、総攻撃を開始する。

 

 ちなみに、あまり戦闘が長引いた場合、スレッガーの特攻イベントが発生するため、阻止したい場合は早めに倒そう。

 

 

 今回もランバ・ラルが生存していれば登場する。

 

 セイラで戦闘することで、最後の生存フラグが立つので忘れずに立てておこう。

 

 

 からくもビグザムを倒し、ソロモンは連合の手に落ちた。

 

 この勝利により、戦争の流れは完全に連合のものとなった。

 

 

 これ以上戦いを続けても、国力の差でジオンに勝ち目はない。

 

 誰もがそう考えるような状況となった。

 

 

 しかし、ジオン軍最高司令官のギレン・ザビは戦いをやめる気はない。

 

 

 この流れから、ジオンの公王、デギン・ソド・ザビはみずから和平交渉を進めるため、レビルが率いる地球軍の主力、第1連合艦隊との接触を図る。

 

 この和平交渉が成功すれば、戦争は終わる。

 人類同士の争いに幕が下りる。

 

 誰もがそう考えた。

 

 

 だが、そうはならなかった。

 

 

 なんとジオンは、コロニーレーザーでデギンの乗る艦ごと連合艦隊を焼き払ったのだ。

 

 それは信じられない方向からのレーザー砲撃だった。

 なんとそれは、各宇宙、あらゆる方向へ攻撃できる、反射衛星砲でもあった。

 

 廃棄スペースコロニーを利用した、ビーム偏光ステーションを中継点にして放つコロニーレーザーは、連合の艦隊だけでなく、いかなる場所も狙える恐ろしい兵器だったのだ!

 

 

 ギレンが戦いをやめぬわけである。

 

 これがあれば、国力の差など怖くない。

 

 

 さらに直後、ギレンは演説を開始し、ある計画を世界に発表する。

 

 

──ディスティニープラン──

 

 

 その計画の名は、『ディスティニープラン』

 

 色々細かい説明はあるが、このギレンが主張したいことをまとめれば、『人間の遺伝子を解析することで、その適正を国家が管理し、個人から選択する権利を取り上げ、遺伝子的に優れた者達によって世界を管理する』というものだ。

 

 つまりは、そのデータ上優秀な者が世界を支配するべきだと主張するためのものである。

 

 

ギレン「これにより、この人類の中で遺伝的にも我等ジオン国民は優れていると出た。よって、我等ジオン国民は選ばれた優良人種であることが証明された。すなわち我等は、支配すべき側の選ばれし人間なのである!」

 

 

 ギレンは拳を握る。

 

 

ギレン「よって私は宣言する。我等ジオン公国こそが、この地球圏をおさめるにふさわしい国であると! 我等が世界を導くのが正しいことであると! たてよ国民! ジークジオン!!」

 

 

 ジオン公国内で、歓声が広がった。

 

 ギレンはこのプランを持って、この戦争の正当性を示したのである。

 

 もちろん、これが世の中で受け入れられるはずがない。

 だが、公国外で受け入れられなくともかまわないのだ。これは、自国の民を高揚させ、士気を高めるためのものなのだから。

 

 そして、逆らうならば、ロゴスの遺産を加えた先の超兵器。コロニーレーザー・レクイエムをもって殲滅すると脅してきたのだ!

 

 

 戦いはまだ、終わらない。

 

 連合軍は急ぎ艦隊を編成し、コロニーレーザーのあるア・バオア・クーを攻めることを決定する。

 

 

 

 一方。そのギレンの演説を見た、第13独立部隊……

 

 

鉄也「ふん。こんなデータ、いくらでも捏造することが可能だ。故意的に抽出する手段だってある。第三者の検証もなく一方的に正しいなどと。なんのあてにもならん理論だな」

 

 

 演説を見た鉄也が、冷静にばっさりと切り捨てた。

 

 

レイ「違う! ギルはそんなことのためにこのプランを考えたんじゃない! 皆が! みんなが……!」

 

シン「レイ……?」

 

 

 ギレンの演説を聞いた、レイが、突然叫んだ。

 いきなりの激昂に、皆驚きを隠せない。

 

 そこに、通信が入る。

 

 サブチャンネルに映し出されたのは、レイの言うギル。プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルだった。

 レイの話を聞く分には、先のディスティニープランは、このデュランダルが考えたものらしいが……

 

 

デュランダル「レイ」

 

レイ「ギル……」

 

デュランダル「してやられてしまったね。これでもう、ディスティニープランは終わりだ」

 

レイ「でも……!」

 

デュランダル「こんな、独裁者を肯定するための道具として使われては、民衆はこれを受け入れてはくれまいよ。このプランはもう、死んだのだ……」

 

 

 デュランダルは肩を沈める。

 

 例え本当の目的が平等を目指したものだとしても、このように故意的に運用されてしまえば、もう肯定的に捕らえてくれるものはいなくなる。

 なにより、その遺伝子の解析結果は本当に正しいのか。それさえ疑問に思われては、このプランは成り立ちもしない。

 

 デュランダルの言うとおり、このプランはもう死んだのである。

 

 

レイ「なぜ。なぜ! なぜ、ギルの大切なプランを、奴は知っているんだ!」

 

デュランダル「それはわかっている。簡単な話だよ。他の皆も、あのコロニーレーザーは見たかい?」

 

アスラン「ええ。まるで、ジェネシスのようでした」

 

ルナマリア「しかも、曲がるし」

 

デュランダル「そう。あれは、レクイエムと名づけられた、ロゴスの残したものなんだよ。ジオンは、火星にむかったアマルガムから、レクイエムの存在と、私のプランを聞いたのさ」

 

タリア「それって……」

 

キラ「まさか」

 

デュランダル「そう。私は、彼等と手を組んでいたんだよ。ロゴスを潰す。という目的のために」

 

 

 デュランダルにとって、ロゴスを潰し、世論を味方につけるため。

 レナード達にとって、ロゴスを潰せば、組織が自分のものになるため。

 

 利害の一致から、彼等は手を組んでいた。

 

 

テッサ(……だから、あの時いち早くロゴスメンバーの情報を入手できて、アマルガムの動きも把握できていた……)

 

デュランダル「しかし、最後の詰めが甘かった。火星へ逃がし、その報復が、これだ……」

 

 

 むしろギレンの演説は、アマルガムからデュランダルへ意趣返しだったと言ってもいい。

 

 

シン「……でも、これでよかったと思いますよ」

 

デュランダル「なに?」

 

シン「だって、もしあれを議長がぶちあげたとしても、同じ反発が世界から返って来たでしょうから」

 

デュランダル「……」

 

 

 デュランダルは否定することはできなかった。

 ぼんやりと感じていたのだろう。

 

 その時、この部隊のほとんどの者が敵に回っただろうということも……

 

 

シン「運命ってのは、誰かが勝手に決めちゃいけないんです。自分で、選んで。みんなで、作っていくべきなんだと、俺は思います。だから、議長……」

 

デュランダル「……ふっ。そうかもしれないな。私はいつの間にか、プランを実行することのみに捕らわれ、物事の本質を見失っていたのかもしれない」

 

シン「そうです。それに、議長ならできますよ! そんなプランに頼らなくても!」

 

デュランダル「……ありがとう、シン。それと、タリア。すべてが終わったら……いや、今はまだ言うべきではないな。またあとで、しかるべき時に言おう」

 

 

 デュランダルとタリア。この二人は、遺伝的な相性が悪いという理由で一緒になれなかった二人である。

 その考えを変え、改めてやり直そうと口にしようとしたが、それは先延ばしとなった。

 

 だってそれはある意味、死亡フラグだから!

 

 

デュランダル「君達には改めてお願いしよう。あの間違ったプランを、私の過ちを、必ず撃ち砕いてくれ」

 

シン「はいっ!」

 

 

 こうして彼等は、決意も新たに、ア・バオア・クーへむかう。

 

 

レイ(……だが、ギレン・ザビ。お前は絶対に許さない。ギルの夢を壊した、お前だけは!)

 

 

──サイトロンとニュータイプ──

 

 

アムロ「……ふう」

 

 

 ア・バオア・クーの決戦が迫る中、シミュレーションを終えたアムロがため息をついていた。

 結果は悪くない。むしろかなりのハイスコアだ。

 

 なのにどこか不満げにため息をついている。

 

 

統夜「アムロ?」

 

 

 通りかかった統夜が、そんなアムロが気にかかり、声をかけた。

 

 

アムロ「統夜さん……」

 

 

 少し悩むそぶりを見せたが、先輩であり、多くの経験を積んだ歴戦のエースであることから、相談することを決めたようだ。

 

 

アムロ「最近、ガンダムの反応が遅くて……」

 

 

 どうやら、アムロの成長にガンダムがついてこれなくなってきてしまったようなのだ。

 ゆえに、ハイスコアを出したとしても、アムロとしては不満なのである。

 

 それを聞き、統夜はうなずいた。

 

 

統夜「ああ。その不満、わかるよ」

 

アムロ「わかります?」

 

統夜「俺も経験したことがある。あれが遅くて、思うようにならないんだよな」

 

アムロ「そうなんです! そこで、あれの反応が鈍くて、あれなんですよね」

 

統夜「うんうん。それまいるよな。もっとこうなれって思わず声に出したくなるし」

 

アムロ「なりますよね。それは思わず声に出ちゃいます」

 

統夜「やっぱり出るよな。あと、あれさ」

 

アムロ「はい。あれは、あれで、あれですよね」

 

統夜「やっぱりなるかー。あれはあれで、ほんとあれだよ」

 

アムロ「そうなんです! あれだけでもどうにかああなればいいんですが」

 

統夜「あればっかりはなー。ああするしかないと思うんだけど」

 

アムロ「やっぱりそうですか。よかった。統夜さんがわかってくれて。そうなると、僕だけじゃどうにもならないので、技術者の人に頼まないといけませんね」

 

統夜「誰か博士に相談してみよう。誰かいい案を出してくれるかもしれない」

 

アムロ「お願いします」

 

 

 こうして、ガンダムにマグネットコーティングがほどこされる運びとなったそうな。

 

 

統夜「ところで、今度はあれの話なんだけど」

 

アムロ「あれですか……」

 

 

 二人は、続けてなにかを話しながらその場を去っていった。

 

 すると、ひょこっと角から顔を出す娘達がいる。

 

 

テニア「なんだろあれ。今統夜達あれとそれだけで会話してたよ!」

 

メルア「はい。あの会話、まるで長年連れ添った熟年夫婦の会話のようでした!」

 

クド=ラ「なんだかちょっとうらやましいな」

 

カティア「え、いや、あれはきっと……」

 

 

 今にもハンカチをかみそうな子達にカティアはニュータイプのことをふくめて説明しようとしたが、三人の耳には届いてくれなかった。

 

 

カティア(……でも、わかりあうというのは、結局のところ、そういうことなのよね)

 

 

 メルアの言った例えと、それを羨む気持ち。それは的を射ているとカティアは思う。

 人と人とがわかりあった結果。だからみんな、熟年夫婦の会話を羨ましいと思う。

 

 そうありたいと。そうなりたいと願う。

 

 二人で一人のようなわかりあった結果だから、あの二人の姿を羨ましく思ってしまうのだ。

 

 一人で納得するカティアだった。

 

 

シャナ=ミア「確かにあれは、サイトロンの力を引き出した結果でもあるのでしょう。ならば、私達でもいけるはずです!」

 

ロゼ=リア「その通り! 皇族に連なるわたくし達ならばきっと! いきますわよシャナ=ミアさん!」

 

シャナ=ミア「あれは?」

 

ロゼ=リア「これ!」

 

シャナ=ミア「それは?」

 

ロゼ=リア「あれ!」

 

シャナ=ミア「これは?」

 

ロゼ=リア「それ!」

 

 

 二人はうなずいた。

 

 

二人「さっぱりわかりません(わ)!」

 

メルア「わたし達の道のりは遠いみたいですね」

 

カティア「……」

 

 

 そういうことじゃないと思うなぁ。と思ったが、呆れて声にならなかったそうな。

 

 

──ニュータイプ──

 

 

 ア・バオア・クーへむかう第13独立部隊の前に、シャア率いるニュータイプ部隊が襲い掛かる。

 

 シャリア・ブル、ララァ・スンがオールレンジ攻撃を仕掛けてきた!

 

 

 この戦いで、アムロとララァが戦うことにより、ニュータイプの共鳴が発生。ララァへの説得が可能となる。

 

 この場では仲間にできないので、うっかりシャアを撃墜しないよう注意しよう。

 シャアを撃墜すると、ララァがシャアをかばって死んでしまう。やるならララァを撤退させてからだ。

 

 あと、シャリア・ブルはここで退場なので別に注意することはない。

 

 

 シャアの部隊を撃退し、ア・バオア・クー近辺まで到着すると、ラクスとエターナルが合流する。

 

 彼女もコロニーレーザー・レクイエムは危険だと感じ、その破壊に協力を申し出たのだ。

 

 エターナルが合流したことにより、ストライクフリーダムとインフィニットジャスティスにミーティアがついた。

 

 

 コロニーレーザー・レクイエムの再発射の準備が整いつつある。

 

 

 ジオンとの最後の戦いも、近づいてきていた……

 

 

──宇宙要塞ア・バオア・クー──

 

 

 ジェネシス。

 

 かつて放たれた、宇宙に住む民の犯した過ち。

 

 それと同じ。いや、それ以上の災厄が、再び放たれようとしている。

 

 かつての争乱と同じ轍を踏まぬため、第13独立部隊は出撃する!

 

 

 ミネルバ、エターナルに属するモビルスーツ部隊はコロニーレーザーの破壊を目指し、ホワイトベース、ナデシコに属する連合軍所属部隊は、ア・バオア・クーにとりつくことを目指し、進軍を開始した。

 

 

 シャアは新MS、ジオングに乗り、ララァと共に前線へと出る。

 

 

 シャアの狙いはアムロの乗るガンダム。

 

 他には目もくれず一直線に向かってきた。

 

 

 しかしアムロ達の目的はシャアを倒すことではない。

 

 

 かといって、無視して進むには難しい相手であった。

 

 

 再び交わる、アムロとララァ。

 

 交錯の瞬間、ニュータイプ同士の共鳴がはじまった。

 

 

アムロ「っ!」

 

ララァ「これはっ!」

 

 

 再び説得が可能となるララァ。

 この後、生きて戦いが終われば生存フラグは成立である。

 

 

アムロ「ララァ! 今、君はなにを見た!」

 

ララァ「刻を……刻が見える……っ!」

 

アムロ「僕にも、見えた! 見えたなら!」

 

ララァ「見えたわ。見えたけれど!」

 

アムロ「なら、僕と、僕達と来るんだ! 僕達は、戦っちゃいけない!」

 

ララァ「ああ……っ。わかっている。わかっているわ。このままでは取り返しのつかないことになる。でも、あの人も見捨ててはおけないの!」

 

シャア「ララァ!」

 

アムロ「シャア!」

 

 

 アムロとララァの間に、シャアが割って入った。

 

 共鳴が、途切れる。

 

 

シャア「見える。見えるぞ! 私にも敵が見える!」

 

 

 ガンダムへ猛攻を続けるジオング。

 

 ジオングのオールレンジ攻撃を回避し迫るガンダム。

 

 お互い攻撃を察知し致命傷を与えられない。

 

 

 エルメスを置き去りにし、二人の戦いは激化してゆく。

 

 

アムロ「シャア! あなたには見えないのか、この時の果てが! 僕達の末路が!」

 

シャア「ええい、なにを!」

 

アムロ「見えないのか!」

 

シャア「ララァ、私を導いてくれ!」

 

ララァ「大佐。どうかアムロの声を聞いてください! お願い。私の声が届いて!」

 

 

 だが、ララァの声はまだシャアには届いていない。

 

 そのかわり……

 

 

セイラ「誰? 兄さんを呼んでいるのは!?」

 

 

 別の者に、それが届いた。

 

 

シャア「ちいっ!」

 

アムロ「そこ!」

 

 

 ジオングを撃墜すると、首だけとなったジオングはア・バオア・クーの中へと逃げてゆく。

 

 アムロもそれを追い、セイラも追って行く。

 

 

セイラ「待って兄さん! 声を。声が聞こえないの!?」

 

 

 アムロとシャアの戦いが佳境をむかえようとしたころ。

 

 一機のモビルスーツがア・バオア・クーにとりついていた。

 

 それは、レジェンドガンダム。

 本来なら、コロニーレーザーを破壊するべく動いているレイの機体だ。

 

 中に侵入し、さらに機体から降りる。

 

 

レイ(奴だけは。奴は、この手で!)

 

 

 ギルバート・デュランダルの夢を奪ったギレンだけは自分が倒すと、すべてをなげうって突入してしまったのである。

 

 しかし、侵入してすぐジオン兵に発見されてしまった。

 

 しまったと思うが、相手の方が反応が早かった。

 

 

???「危ない!」

 

ジオン兵「ぐわっ!」

 

 

 銃を撃とうとするジオン兵を倒す男が居た。

 

 それは……

 

 

レイ「アスラン……?」

 

アスラン「ああ。シンに頼まれてな。自分はコロニーレーザーを、俺はお前をと」

 

レイ「……あいつめ」

 

 

 しかし、アスランは白兵戦も頼りになるザフトのエースだ。

 

 前争乱の中ではジェネシスに乗りこむことはなく、目に見える活躍はほとんどなかったが、今回はその力を十全に発揮できる。

 

 アスランを先頭に、二人は司令部を目指し走り出す。

 

 

 一方アムロとシャアは機体を捨て、生身での戦いへと移っていた。

 

 

シャア「わかるか、ここに誘いこんだわけを! ニュータイプでも体を使うことは普通の人間と同じと思ったからだ!」

 

アムロ「そんな理屈!」

 

 

 そこに、セイラが到着する。

 

 

セイラ「やめて二人共! 二人が戦うことなんてないのよ! 戦争だからって、二人が!」

 

 

 その瞬間だった。

 アムロとシャア、そしてセイラが揃った瞬間、再びニュータイプの共鳴が発動する。

 

 知覚が交差し、ララァのイメージがシャアにひらめいた。

 

 

シャア「……今、のは」

 

アムロ「感じたのか」

 

セイラ「兄さん。アムロに恨みがある訳ではないでしょう。兄さんの敵はザビ家ではなかったの?」

 

シャア「……」

 

セイラ「敵が同じなら、私達は一緒に戦えるはず。だから……」

 

シャア「……それは、できん。どうやら私の頭は固いようだ。今見たことを即座に受け入れるということはできない。少し、考える時間をくれ」

 

 

 そう言うと、シャアは一人、去っていく。

 

 

セイラ「……兄さん」

 

アムロ「信じましょう。人の可能性を。あの人だって、ニュータイプなんですから」

 

セイラ「そうね」

 

 

???「そこにいるのは誰だ!」

 

 

 シャアが去ったのとは別の方から、数人のジオン兵が現われた。

 

 しまったと思ったが、多勢に無勢。

 さすがのアムロも、三人をこえる人数の軍人相手に生身では勝てない。

 

 どうするかと思案したその時。

 

 

ラル「待て! そのお方はアルテイシア様だ!」

 

 

 兵士達の奥から、一人の男が姿をあらわした。

 

 この部隊はランバ・ラルが率いるランバ・ラル隊だったのだ。

 ※ランバ・ラルが死亡している場合、セイラの顔を知っている元ラル隊のジオン兵がかわりに気づく。

 

 

アムロ「あなたは!」

 

セイラ「ランバ・ラル!」

 

ラル「ここで姫様と会えるとは。ある種の因縁を感じますな」

 

セイラ「……ちょうど良いところに。ランバ・ラル。司令部まで案内できますか?」

 

ラル「なんですと? それはつまり……?」

 

セイラ「厳しいことを言っているつもりはあります。でも、この争いを収めるには、これしかありません。私を、ギレン・ザビの元へ連れて行ってください!」

 

ラル「なんと! いや、これはある意味、天啓かもしれませんな。仲間を撃ったあの男を前に、あの方の遺児がワシの前に現われる。これこそまさに、何者かが導いたに違いありません。わかりました。このランバ・ラル、命をとして、あなたをお守りいたしましょう!」

 

アムロ「セイラさん」

 

セイラ「いいのよアムロ。私は今、できることをやるだけ。それがたとえ、望まない道に戻ることだとしても!」

 

ラル「では、こちらになります。行くぞ、お前達!」

 

ジオン兵「おおー!!」

 

 

 ア・バオア・クー内にて反ギレン派のクーデター勃発。

 同時に、そのクーデターはジオン・ズム・ダイクンの遺児。アルテイシアが指揮をとっているという不確定情報も流れた。

 

 この混乱は思いのほか大きく、ア・バオア・クー内部はどれが敵で誰が味方なのかわからない状況と化しはじめてしまった。

 

 これはアルテイシアが現われたというのが理由だけでなく、同胞もコロニーレーザーで焼き払ったことによるギレンへの不審が多くあったからとも言われている。

 そこに、別の希望が現われたと言われ、それに流れてしまった。

 

 混乱は極致に至り、ラルに連れられたアムロとシャアは、司令部へと到着する。

 

 

 そして同時に、レイとアスランも、司令部へと至った。

 

 

 通路の反対で、双方が顔をあわせる。

 

 

アスラン「アムロ!?」

 

アムロ「アスランさん!?」

 

ラル「第13独立部隊の者か。ならばワシ等は味方だ」

 

 

 双方協力することとなり、司令部への突撃がはじまった。

 

 

 先に伝えておくと、司令部の床にはキリシアが倒れている。

 父殺しの兄を殺そうと銃をかまえたが、逆に殺されてしまったのだ。

 

 一瞬驚くかもしれないが、作戦は変わらない。

 

 

 制圧の結果、結末はレイがギレンを撃つ。セイラがギレンを撃つ。ラルが撃つの3種である。

 

 いずれにせよ、ギレンは倒れ、ジオンは指揮系統を失い、抗うすべも失ってしまうのだから。

 

 

 要塞外部ではコロニーレーザーがシンとキラの手によって破壊され、シャアもゲルググに乗って場を脱出した。

 ララァはそのシャアについていったようである。

 

 

 一部ジオンはアクシズへ逃げていったが、もう戦いを続ける余裕はない。

 

 こうしてジオンは破れ、地球圏をまきこんだ争いは終わりを告げるのだった……

 

 

セイラ「ラル。私は、決めたわ」

 

ラル「なにをですか?」

 

セイラ「父の跡を継ぎ、地球とコロニーのため、働こうと思うの」

 

ラル「なんとっ!」

 

セイラ「でも、今はまだやることがあるわ。私はホワイトベースの一員。セイラ・マスとしてね」

 

ラル「わかりました。ならばこのラル、一命をとしてお守りいたしましょう!」

 

 

──分岐──

 

 

 ジオンとの戦争が終わっても、第13独立部隊の戦いはまだ終わらない。

 

 この後準備が整い次第、彼等は即火星にむけ出発する。

 

 

 すると、小バームより逃げてきたリヒテルの右腕、バルバス将軍を助けることとなる。

 

 

 追ってきていたのはなんとボアザン&キャンベル合同軍。

 指揮官は、キャンベルのワルキメデスだ。

 

 

 バルバス将軍を助けたことにより、統夜達はバーム会談の真実を知る。

 

 バームの和平大使であったリオン元帥を殺したのは、ボアザン、キャンベルの差し金であった。

 すべてはその二星が地球を手に入れるために仕組んだことだったのである。

 

 さらに小バームで眠る(移動で消費しないよう、コールドスリープしている)バームの民は、洗脳され物言わぬ兵士に改造されようとしているとのこと。

 

 それを阻止しようとした平和運動のリーダー、エリカは捕らえられ、解放運動の者達の命と引き換えに、オルバンと無理やり結婚させられそうであることが語られた。

 

 

 バームの民も時間がない。

 

 これにより、火星にてレナード達の野望をくじく者と、バームを開放しに行く者とに別れることになる!!

 

 

 

『バーム方面』

 ホワイトベース隊、ミネルバ隊、ダイモス、コン・バトラーV、ボルテスV

 

『火星方面』

 ナデシコ、ミスリル、ダンクーガ、ガオガイガー系、Gガンダム系

 

『フリー』

 統夜達、マジンガー系

 

 

 

 第14話 終わり

 

 

──没ネタ──

 

 

 VS生身シャア

 

シャア「わかるか、ここに誘いこんだわけを! ニュータイプでも体を使うことは普通の人間と同じと思ったからだ!」

 

アムロ「そんな理屈! 今の僕には関係ない!」

 

シャア「え?」

 

アムロ「流派東方不敗! 爆裂、ガンダムフィンガー!」

 

シャア(み、見える! 私にも、敵の動きが! 見えるぞ)

 

 

 きゅぴーんと頭の上で光が走り、シャアは未来の可能性を見る。

 

 ああなったらこうされて、こうしたらあんなことに!

 

 

シャア(……よけられん)

 

 

 ぼぐしゃー。

 ヘルメットがあっても無事ではすまなくなるので、没に。

 



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第15話 バーム開放ルート

 

──コーヒー初体験Ⅱ──

 

 

 ※ロゼ=リアが早期退場している場合、このイベントは発生しない。

 

 

ロゼ=リア「むむっ。むむむむむ……!」

 

 

 ホワイトベース、食堂。

 そこでテーブルの淵に噛みつかんような体勢をし、目をテーブルの上に出し、そこに乗っているカップを凝視しているロゼ=リアの姿があった。

 

 

統夜「ロゼ=リア?」

 

テニア「なにしてるの?」

 

ロゼ=リア「あら、皆さん」

 

 

 やって来た統夜達に気づいたロゼ=リアが立ち上がった。

 

 

シャナ=ミア「この香り……」

 

メルア「コーヒーですか?」

 

 

 テーブルの上から香るコーヒーの香り。

 それは、ロゼ=リアが凝視していたカップから漂ってきているものだった。

 

 

ロゼ=リア「はい。この地球には、不思議な飲み物があると聞きまして。それを飲んでみたいと所望いたしましたら、あの新たにやって来たエターナルの方が入れてくださいましたの」

 

テニア「ああ。バルトフェルド、来てたね。そういえば」

 

 

 ジオンとの最終決戦にて合流したエターナル。

 その艦長であるバルトフェルトはコーヒー好きである。

 

 その彼が、ロゼ=リアのためにコーヒーを用意してくれたのだ。

 

 

クド=ラ「コーヒー? なにそれ?」

 

ロゼ=リア「これですわ!」

 

 

 テーブルの上に乗ったカップを指差す。

 

 

クド=ラ「え、これ飲み物なの? 真っ黒よ」

 

ロゼ=リア「はい。まるで闇夜を抽出したかのような色。とても苦くて、若者は砂糖やミルクを入れて飲むものなのだとか!」

 

クド=ラ「そのまま飲めないものなの?」

 

テニア「うん。大人はそのまま。ブラックで飲む人もいるけどね」

 

メルア「わたしはお砂糖多目じゃないと無理です」

 

カティア「私はミルクが多い方が口当たりが好みかしら」

 

ロゼ=リア「ならば大人であるわたくしは、そのまま美味しく飲めるということですわね!」

 

 

 ガッ! とカップをとり、そのままぐいっと一気に飲んだ!

 

 

ロゼ=リア「……」

 

シャナ=ミア「……」

 

ロゼ=リア「にっがいですわー!」

 

 

 顔をしかめ、うー。と舌を出した。

 

 

ロゼ=リア「うう、なんてにがにがなんですの……」

 

テニア「ふふーん」

 

メルア「ようこそ。ですよ!」

 

統夜「一気にいくから。はい。砂糖。ロゼ=リアも甘いものが好きなんだから、無理しないでいいんだよ」

 

ロゼ=リア「ううー。トーヤはわたくしのことをよく知ってますわねぇ」

 

統夜「俺だけじゃなくみんな知ってるよ」

 

カティア「そうよ。だから、ミルクも多めに入れた方がいいと思うわ」

 

ロゼ=リア「皆さん……。では、お言葉に甘えて……」

 

 

 皆に勧められ、ロゼ=リアが砂糖の入った入れ物へ手を伸ばす。

 

 

クド=ラ「ねえねえ、これ、そのままで美味しいわね! ボク、これ好きかも!」

 

みんな「……」

 

みんな(この子が一番味覚大人だったー!?)

 

 

 味覚はホント、人それぞれである。

 

 

クド=ラ「ふふっ。みんな子供ねー」

 

テニア「こうなったら統夜、出番だよ!」

 

統夜「だからなんで俺にブラックを飲ませようとする!」

 

テニア「だってー。ねー?」

 

メルア「ねー?」

 

ロゼ=リア「にがにが、嫌いですもの!」

 

統夜「ったく……」

 

シャナ=ミア「ふふっ」

 

カティア「ふふふ」

 

クド=ラ「あはは」

 

 

 皆、思わず笑い出してしまった。

 

 

ロゼ=リア(ああ、なんて楽しい時間なのでしょう……)

 

 

 皆で笑いあう中、ふとロゼ=リアは思ってしまう。

 この楽しい時間がずっと続けばいいのにと……

 

 そう思ってしまうのも、この時間が幸せだから。皆がとてもいとおしいから。

 

 だから、終わるのが怖くなる。

 覚悟が少し、鈍りそうになる。

 

 だが、そうもいかない。

 彼女の両肩には、世界の命運がかかっているのだから……

 

 

 彼女は再び、砂糖の入っていないコーヒーを口にする。

 

 

ロゼ=リア(……やっぱり、甘い方が好きですわね。でも、この苦さは、わたくしにお似合いの味ですわ)

 

 

 彼女は一人、自嘲した。

 

 

──平和開放運動──

 

 

 エリカは、リヒテル達が小バームへ戻ったのとほぼ時を同じくして、小バームへやってきていた。

 そこで平和の草の根活動を続けていたが、その活動が大きくなり、同志が増えるにつれ、体制側の知るところとなった。

 

 ついに無視できないレベルの影響力となったところで、エリカ達平和解放運動のメンバーはバーム大元帥オルバンの秘密警察の手によって捕らえられ、今に至る……

 

 

──無敵のバリアを打ち破れ!──

 

 

 火星周回軌道に浮かぶ小バームに到着した統夜達。

 

 その巨大な姿は、移民船というより、宇宙要塞のようにも見えた。

 

 

 ザッ!

 モニターに映像が流れた。

 

 それは、小バームから流れる結婚式会場の映像だった。

 

 どうやらオルバンは、今から行われる結婚式をオープンチャンネルで放送し、やって来た統夜達に見せ付ける腹づもりなのだ。

 

 

一矢「エリカ!」

 

 

 花嫁衣裳で歩くエリカの姿を見て、一矢は声を上げた。

 

 久しく見なかったその姿に、彼は喜びを覚える。

 

 だが、ベールの下に隠れたその決意の表情から、なにをしようとしているのか、即座に感じ取った。

 

 

一矢「いけない! エリカは死ぬ気だ! オルバンと刺し違えるつもりで、これを受け入れたんだ!」

 

京四郎「なんだって!? なんでそんなことがわかる!」

 

一矢「わかる。俺にはわかるんだ! このままでは、エリカが!」

 

 

 それは事実であった。エリカは、平和運動に関わった者達の命を救うため、オルバンとの結婚という屈辱を飲んだのである。

 そして、結婚の当日、隠し持ったナイフでオルバンと刺し違える覚悟だったのだ!

 

 

豹馬「なら、急いでこの結婚式、潰しにいこうぜ!」

 

甲児「結婚式に花嫁を奪いに行く、ある意味王道だぜ!」

 

和泉博士「待つんだ君達!」

 

小介「そうです。そう簡単な話ではありません!」

 

 

 和泉博士が通信で行動を制止する。

 

 

 小バーム最大の防衛機構。

 

 その船の周囲はバリアで覆われ、いかなる攻撃も吸収し、エネルギーに変換。それをそのまま跳ね返すという無敵のバリアなのだった。

 もちろん、ワープなども阻害される。

 

 

一矢「くそっ! 目の前にエリカがいるといのに!」

 

和泉博士「だが、方法は一つだけある。将軍からの情報では、小バームのバリアは受けた破壊エネルギーをそのまま吸収し、攻撃エネルギーへ変換しているようだ。ならば、途中それを変換する集積回路に運ばれるはずだ。それを逆に利用し、ダイモスのダイモライトエネルギーを開放し、エネルギーの塊となって内部に侵入するんだ!」

 

一矢「なんだって!?」

 

甲児「まさか、前に言ってたことをホントに実行するのかよ」

 

和泉博士「それ以外に内部に侵入する手立てはない!」

 

一矢「わかりました!」

 

 

 成功率は、これまた限りなく低い。

 

 しかし、一矢はそれにひるまず、自らの体とダイモスをエネルギーに変え、小バームのバリアへと飛びこんだのだった。

 

 ダイモスとバリアがぶつかり、光の渦を巻く。

 

 光が瞬き、ダイモスの姿が、宇宙から忽然と姿を消した……!

 

 

 結婚式が進む。

 

 エリカがついに覚悟を決め、花嫁衣裳の中に潜ませていたナイフを強く握った。

 

 

エリカ(……いまっ!)

 

 

 オルバンの隙をつき、その体にナイフを突き刺そうとしたその瞬間。

 

 

一矢「エリカー!」

 

エリカ「っ!」

 

 

 愛しい人の言葉に、動きが止まった。

 

 

 光が瞬く。

 

 

エリカ「ああっ。あああっ!」

 

 

 目の前に現われたのは、愛しき男。

 

 竜崎一矢の乗る、ダイモスが小バーム内に現われたのだ!

 

 

 あの行為がどれほど危険なのか。知識はなくともエリカにはよくわかった。

 

 命を賭してまで、自分を助けに来てくれた。

 危険で無謀であったこと。それと同時に、涙があふれんばかりに嬉しいことだった……!!

 

 

和泉博士「一矢君、目の前にある集積装置、それを破壊すればバリアは解除される。それを破壊するんだ!」

 

一矢「はい!」

 

 

 ダイモスは目の前にある集積装置を破壊する。

 

 これにより、バリアが破壊された!

 

 

ブライト「バリアが消えたぞ。総員突撃!!」

 

タリア「ここには10億のバーム星人が眠っている。戦闘の被害には十分注意しろ!」

 

 

 

 牢屋。

 

 

リヒテル「……」

 

リヒテル(余が牢に閉じこめられ、どれくらいの月日がたったであろうか? 戦いはどうなったのだ? 我がバームは勝利したのか? それとも……)

 

 

 バームに大きな衝撃が走る。

 

 

リヒテル「くっ……この小バームにこれほどの衝撃が走るとは。まさか地球人の侵入を許したのか!?」

 

 

 かちり。

 鉄格子の鍵が開いた。

 

 

???「時は来た。出るのだ」

 

リヒテル「貴様は……」

 

ハイネル「今こそ、お前はみずからの目で真実を確かめる時だ!」

 

 

 ハイネルに促され、リヒテルは牢の外へと出た。

 

 

ライザ「リヒテル様!」

 

リヒテル「ライザ!」

 

 

 リヒテルを救出するためやってきたライザと出会う。

 

 

リヒテル「なにがあった?」

 

ライザ「すべてをお話いたします」

 

 

 ライザはバルバスと共に調べた結果を伝える。

 

 リオン大元帥の死は、オルバンとその背後に居るボアザン。キャンベルの謀であったこと。

 オルバンはバーム10億の民を洗脳し、おのが戦力として使おうとしていることを。

 

 その証拠と共に、リヒテルは真実をしることとなった。

 

 

リヒテル「なんてことだ! オルバン、許せん!」

 

 

 バリアが破壊された直後、オルバンは親衛隊にロボを出撃させ、同時に自分はエリカをつれ、結婚式場から逃げ出していた。

 

 

リヒテル「オルバン!」

 

 

 そこに、牢を脱走したリヒテルが現われた。

 

 ライザと共に、オルバンを守護する親衛隊を一瞬にして倒し、オルバンへ詰め寄った。

 

 

リヒテル「聞いたぞ。貴様、我が父を、そしてバーム10億人の民を!! その腐った性根、余が正してくれる!」

 

オルバン「来るでない! ワシに近づけば、この娘の命がないものと思え!!」

 

リヒテル「なにっ!?」

 

 

 オルバンは引き寄せたエリカの頭に銃を突きつけた。

 

 いかにリヒテルが凄腕であろうと、その妹を人質にとられては手も足も出ないと知っていた。

 

 

 しかし!

 

 

オルバン「ぐあっ!」

 

 

 オルバンが腕をおさえうめく。

 

 エリカが花嫁衣裳に隠してあったナイフで切りつけたのだ。

 

 

リヒテル「今だ!」

 

 

 銃声が響く。

 

 オルバンが、倒れた。

 

 

エリカ「兄上!」

 

リヒテル「エリカ!」

 

 

 ちゃきっ。

 

 駆け寄るエリカにむけ、銃口がむけられる。

 

 

ライザ「っ! 危ない!」

 

 

 再び銃声が響いた。

 

 驚きの表情を見せる、リヒテル、エリカ、ライザ。

 

 

 さらに、撃ったオルバンも驚きの表情を隠せなかった。

 

 

 不意打ちの一撃を、ハイネルがその剣を持ってはじいたのだ。

 

 間に入り、覚悟を決めたライザを守ったのである。

 

 

ハイネル「やはり、影武者がいたか。貴様が、本物のオルバンだな?」

 

オルバン「おのれこうなれば!」

 

 

 オルバンは奥の手を出す。

 

 みずからがメカ戦士ゴッドアーモンに乗り、侵入者すべてを抹殺せしめんと動き出したのだ。

 

 

ハイネル「あとは、奴を倒すのみ」

 

リヒテル「……なぜ、ライザを助けた?」

 

ハイネル「……昔、同じように男をかばい、死んだ女が居た。お前にも、そんな思いをさせたくなかっただけのことよ」

 

リヒテル「……」

 

エリカ「……」

 

ハイネル「余は奴を倒しに行く。貴様はどうする?」

 

ライザ「リヒテル様、機体ならば格納庫に」

 

リヒテル「ならば、余も行こう! ライザよ、エリカをかませる」

 

ライザ「はっ!」

 

 

 現われたメカ戦士達の数を減らし、ついにすべての元凶、オルバン大元帥の乗るゴットアーモンが姿を現した。

 

 同時に、親友アイザムの設計したギメリアに乗ったリヒテルと、ボアザンの守護神ゴードルに乗ったハイネルが出撃する。

 

 

リヒテル「オルバン! 民を欺き、無益な戦いを引き起こした罪、その身で償うがいい!」

 

健一「ハイネル兄さん!」

 

ハイネル「久しぶりだな、健一」

 

オルバン「その姿。ボアザンの! ならば貴様はプリンス・ハイネル! 平和運動を扇動し、裏から操ったボアザンの裏切り者!」

 

健一「やはり兄さんも平和のために戦っていたんですね……!」

 

オルバン「貴様、ボアザン星の人間が、同盟を結んだバームになぜはむかう!」

 

ハイネル「黙れ、下郎! 貴様のような輩が居る限り、民に待つのは不幸だけだ! ボアザン皇帝、ズ・ザンバジル共々、貴様等を許しはせんぞ!」

 

オルバン「くっ……!」

 

ハイネル「健一よ、余はあの日、炎に飲まれ死んだはずであった。余が生きて再びボアザンの地を踏めたのは、ひとえに守護神ゴードルの加護であろう」

 

 

 ちなみに、そうして息をとりとめた彼を助けたのはミスリルである。

 

 

ハイネル「しかし、そこで余が見たのは、皇帝ズ・ザンバジルにより腐敗しきった母星の姿だった。余はそこで、キャンベル星人の女帝ジャネラとボアザンが手を組み、バームを裏から操り地球を狙っていることを知り、再び地球へ戻ってきたのだ」

 

 

 そうして一緒に活動したのは、単独行動が過ぎると怒られたこともあるアラン・イゴールだ。

 彼と共に平和運動の組織をつくり、第13独立部隊とエリカを影ながら支えていたのである。

 

 アランが隊に合流したのも、エリカ達が小バームにわたったからである。

 

 ちなみにアランがこのことを秘密にしていたのは、ハイネルが機を見て自分で話すと決めていたからだ。

 男と男の約束のため、話せなかったというのが理由である。

 

 

ハイネル「オルバン、貴様の野望もここまでだ。逆賊ザンジバルの野望共々、ここで成敗してくれる!」

 

オルバン「リヒテル、ハイネル。そして、地球の者どもが! 貴様等程度の力で、このワシが討てるものか!」

 

リヒテル「黙れオルバン! 今、余の肩にはバームの民の未来がかかっている!」

 

ハイネル「貴様にはわからぬだろう。民を自分の所有物としか考えていない貴様ではな!」

 

オルバン「王が臣民を好きにしてなにが悪い! 奴等は王に仕えるために存在しているのだ!」

 

一矢「この男の歪んだ欲望が俺の父さんとリオン大元帥を殺し、バームと地球の戦いを呼んだ……!」

 

健一「オルバン! 地球とバームの失われた生命の償いをしてもらうぞ!」

 

豹馬「いくぜ、みんな! こいつを倒して小バームの人達を救うんだ!」

 

 

 バームを開放する、最後の戦いがはじまった!

 

 

──戦闘前会話 オルバン──

 

 

VS一矢

 

一矢「オルバン、なぜお前はこんな無益な戦いを起こした! なぜ俺の父さんを、エリカの父さんを殺した!」

 

オルバン「なぜ? 簡単な話だ。あそこで和平がまとめられれば、バームが我が物とならぬだろう! ゆえに、この謀に乗った! ゆえに今のバームがある!」

 

一矢「私欲のため、父さん達を、バームの民を手にかけたというのか! ならばバームのため、この拳で貴様を討つ!」

 

オルバン「バームはすでにワシのものだ! 王が臣民を好きにしてなにが悪い。奴等は王の、ワシのために存在しているのだあぁ!」

 

 

VSシャナ=ミア ※サブでもメインでも発生

 

シャナ=ミア「民を洗脳し、すべてを意のままに操ろうとする……民のことをいとわぬ為政者であった私には、心に刺さる姿です……」

 

テニア「シャナ……」(同乗者によってこの返答者は変わる)

 

シャナ=ミア「大丈夫。皆のおかげで、私達は救われました。それは、バームも同じ。このまま不幸となることは見過ごせません! オルバン元帥。民の幸せを考える気がないというのなら、私は剣をとることもいといません。覚悟!」

 

オルバン「ぬっ、ぬうっ! ワシが、たかが小娘の迫力に押されているだと!?」

 

 

VSロゼ=リア ※サブでもメインでも発生

 

ロゼ=リア「王としてなすべきことをなそうとせず、結果国を滅ぼす。その醜い姿は、同じく国を滅ぼしたわたくしには、くるものがありますわね……」

 

メルア「ロゼ=リアさん……」(同乗者によってこの返答者は変わる)

 

ロゼ=リア「ですが、だからこそまだ間に合う。あの男を倒し、わたくし達はバームを救います!」

 

オルバン「いきなり現れ、なにを言い出す! 貴様等などに、負けてたまるか!」

 

 

──決着──

 

 

 オルバンの乗るゴッドアーモン。それを撃破すれば、この戦いは終わる。

 

 

オルバン「ぐわあぁぁ! ば、馬鹿な。ワシが、ワシがここで……!」

 

リヒテル「自業自得というものだ! 己の罪の重さを感じて死ねっ!」

 

オルバン「くくくくく」

 

 

 オルバンは笑う。

 死を目前にして。

 

 

オルバン「この愚か者らめが! バーム10億の民の命、これで助けたつもりかッ!」

 

 

 なんとオルバンは、自分の心臓と小バームの動力コントロールルームのコンピューターを連動させており、自分の命が尽きた時、小バームを近くの重力惑星に落とし、木っ端微塵となるようセットしておいたのだ。

 

 オルバンの命が尽きた時、小バームは火星へ落下し、すべてが粉々となる!

 

 これが、オルバンが残した最後の土産であった……!

 

 

 笑いながら、オルバンの命が尽きる……

 

 

 振動が小バームを襲う。

 

 

 それは、火星へと落下する序曲であった……

 

 

──火星落下を防げ──

 

 

リヒテル「小バームが沈んでいく……ふふっ。地球人達は満足であろうな。憎き小バームが宇宙のチリと消えてゆく

のだからな……」

 

エリカ「違います、兄上! 地球の皆は、この小バームを、バーム10億の民を救うためにやってきたのです!」

 

リヒテル「エリカ、なぜきた!」

 

エリカ「兄上を説得するためです! 皆と、一矢と共に、このバームを救いください!」

 

リヒテル「愚かなことを。奴等がここに来たのは、地球を攻めたことへの報復よ。奴等が我等への憎しみを捨てるものか。あまたの都市を攻撃し、地球の民を傷つけた我等へ、その仕返しをせぬわけがない!」

 

エリカ「違います! 地球人は、そのような心の持ち主ばかりではありません! 確かに地球の民にも悪い人はいます。しかし、私達バーム星人にだって、オルバンのような者がいたではありませんか!」

 

リヒテル「黙れ! オルバンはバームの恥さらし。我等と一緒にするな! まして地球人ごときが我等と手を取り合えるわけがない!」

 

エリカ「そんなことはありません! 現に、見てください!」

 

 

 火星への落下をはじめた小バーム。

 

 それを阻止するため、動き出した者達がいた。

 

 

 バルバスの案内でコントロールルームを目指す第13独立部隊。

 

 しかし、その道は罠だらけで、そう容易く突破できるような道ではなかった。

 

 オルバンは、侵入を防ぐため、通路全体を要塞化していたのだ!

 

 

リヒテル「バルバス……!?」

 

エリカ「彼は、兄上を救うため、誇りを捨て地球の皆に助けを要請しました。彼等はその想いに応えてここまできたのです」

 

リヒテル「いいかげんに目を覚ませエリカ。よく見てみよ」

 

エリカ「一矢達が、戻っていく!?」

 

リヒテル「どうだエリカ。地球人どもは怯えて引き上げはじめたわ。しかもあの竜崎一矢は先頭を切って走っておるではないか! 所詮は地球人。我が身が一番可愛いのだ!」

 

エリカ「いいえ、そんなことはありません。彼等は諦めていません」

 

リヒテル「奴等はこの小バームから逃げる気だ。これがバームの民を救いに来たなどと、奇麗事を並べる地球人の正体なのだ!」

 

 

 ゴゴゴゴゴゴッ!

 

 

リヒテル「これは、なんの音だ?」

 

一矢「うおおぉぉぉ!!!」

 

 

 それは、トランザーに変形し、狭い通路へ強引に突撃する一矢の姿だった。

 

 ロボが入れるほどの大きさのないそこへ、小さくなった車で突破をかけたのだ!

 

 通路からの攻撃を受け傷ついてゆくトランザー。

 一矢は自らが傷つくこともいとわず、ただひたすらに前進する。

 

 どのような攻撃が襲い掛かろうと、一矢の小バームを救おうとする心を、折ることは叶わなかった。

 

 

リヒテル「馬鹿な。奴は、本当に小バーム10億の民を助けようというのか!」

 

エリカ「そうです。これが地球人の真実の姿です。逃げようと思えば逃げ出せるものの、一矢達はこの小バームを救おうとしているのです!」

 

リヒテル「……」

 

エリカ「兄上、このままでよいのですか!? 地球の人達があんなに懸命になってバームの民を救おうとしているのに、私達はただ見ているだけだなんて!」

 

リヒテル「ふっ、そうだな。バームの民の危機に地球人が戦い、余がそれを見ているだけなど、あってはならん!」

 

 

 通路の猛攻に、武装のないトランザーも途中で止まってしまった。

 

 さらに先へ進もうとする一矢のもとへ、仲間が、ハイネルが到着する。

 

 

 残り少ない通路の道のりを、皆は力をあわせ、進みきった!

 

 

 阻止限界点直前、コントロールルームへかけこんだリヒテルは、補助エンジンを作動させ、火星への突入を食い止める。

 

 ギリギリであったが、バームの滅亡は免れた。

 

 

 小バームの損傷はかなりのもので、立て直すにはかなりの時間がかかるだろう。

 

 それでも、人々の顔は希望に満ちていた。

 

 

エリカ「必ず立て直します。そして、今度こそ、地球との和平を……!」

 

一矢「ああ。俺も、協力させてもらう!」

 

エリカ「はい、そして小バーム復興のあかつきには、正式な和平を結びましょう」

 

健一「新たなるバームの誕生か」

 

ちずる「ねぇ、いま、気がついたんだけど、このままいったらエリカさんが次のバームの大元帥というか、女王様になるんでしょう」

 

ジュン「そういうことになるわね」

 

豹馬「すると、エリカさんと結婚すれば、竜崎はバームの王様ってことになるのか?」

 

十三「そうや、そうなるんやな!」

 

一矢「おいおい、よしてくれ」

 

京四郎「へっ、一矢が王様かよ。あいつに政治なんて、できるのか? バームをつぶしゃしねえだろうな?」

 

一矢「京四郎、近衛兵くらいになら、取り立ててやってもいいぜ?」

 

京四郎「ほざきやがれ」

 

 

 小バームを救い、和気藹々と話をする姿を見て、リヒテルも顔をほころばせた。

 

 

リヒテル(竜崎一矢よ、エリカを、お前に託そう)

 

リヒテル「あとは、余が……」

 

ハイネル「……リヒテルよ。その先に考えていることを実行してはならんぞ」

 

リヒテル「っ!」

 

ハイネル「死して責任をとりたい気持ちはわかる。しかし、生き恥をさらし、恥辱にまみれようと、バームの復興に尽力することこそが、貴公のとるべき責任であると、余は思う」

 

リヒテル「貴様……!」

 

 

 この言葉、同じような責任のとり方をしようとしたアル=ヴァンが言ってもいいかもしれないが、ここはハイネルに譲ることにしよう。

 彼も、この説得に大きくうなずいているはずだ。

 

 

リヒテル「……ふっ。そうかもしれぬな。その言葉、胸に刻み、生きるとしよう」

 

 

 決意を新たに歩みだす、新たなバーム。

 

 しかし、これで一件落着とはいかなかった。

 

 火星の周回軌道に戻ったバームを、監視していたボアザン、キャンベル合同軍が攻撃を仕掛けてきたのだ。

 

 

 それを退け、やっとバームの開放が終わるのである!

 

 

 第15話 バーム開放ルート 終わり



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第15話 火星決戦ルート

 

──なぜなにナデシコ──

 

 

 3!

 

 2!

 

 1!

 

 どかーん!

 

 

 で唐突にはじまったのは、いつものノリのなぜなにナデシコ。

 

 さらわれていないのでいつも通りウサギユリカと、劇場仕様のルリお姉さん。そして唐突に現われたイネス先生のいつものメンバーで行われるぞ!

 

 

ユリカ「今回はね、特別ゲスト、テレサ先生もいるよー!」

 

 

 困惑する先生衣装のテッサが放り出される。

 

 

テッサ「え? え? 今回のことを説明するためと聞いていますが、なんですかこれ?」

 

ユリカ「それでは、今回のなぜなにナデシコ、はっじまるよー!」

 

ルリ「はじまるよー」

 

テッサ「せめて私になにかちゃんと説明してからにしてください!」

 

イネス「では、説明に入りましょう」

 

 

 ちなみに、ここで説明されるのはラムダドライバやオムニスフィアのこと。あと火星遺跡で行われようとするレナードの世界改変など、ヤムスクで宗介に説明されたことなので、詳しい説明は割愛する。

 

 

ロゼ=リア「ふむ。オムニスフィアとは、我等が目指した場所に似たところかもしれませんね……」

 

クド=ラ「……え、なにこれ? ここっていつもこんな感じなの?」

 

メルア「まあ、大体こんな感じですね」

 

テニア「こんな感じだね」

 

カティア「いつもこんな感じね」

 

統夜「だな」

 

クド=ラ「そ、そうなんだ……なんか、凄いわね」

 

シャナ=ミア「というか、今イネス先生いませんでした?」

 

みんな「あ……!」

 

 

 いつの間にか乗っていたことに驚く第13独立部隊の面々であった。

 

 

──火星の復讐者──

 

 

 火星。

 そこは第一次地球圏争乱の初期にてグラドス&木連の連合軍により壊滅的な破壊を受けた場所だ。

 

 無人の殺戮機械が暴れた結果、この地に住まう人はいなくなった。

 

 あの争いも終わり、地球圏の復興も順調に進んでいるが、地球に近い月ならともかく、そこからはるか遠い上人も住まなくなったこの地は、ほぼ手付かずのままと言ってよかった。

 

 無人となった火星にうごめく集団が一つ。

 

 

 それは、火星に降りてきたナデシコCを旗艦とする分割第13独立部隊を迎撃するため展開した火星の後継者とアマルガムの連合部隊だった。

 

 

 彼等は第13独立部隊と話し合う気はない。

 話し合っても結果は平行線であることを知っているからだ。

 

 世界を改変するのを目的としているレナード側と、それをとめようとしている第13独立部隊側では、話し合っても結果は変わらない。

 

 あとはどちらの目的が達成できるか、武力で決着をつけるのみなのである。

 

 

 火星の極冠遺跡には多数のアームスレイブが配備され、特に20機をこえるベヘモスの姿は圧巻であった。

 

 ラムダドライバと呼ばれる物理をこえた力を発揮するその特殊なシステムにより、それはASとは思えぬほどの巨体とパワーを持っているのである。

 

 やってきた統夜達を絶対に排除する目的のため組まれた陣。

 

 

 統夜達はそれを突破し、その遺跡の内部にいる千鳥かなめをとりもどし、世界の改変を止めねばならない!

 

 

 アマルガム、火星の後継者達との最後の戦いがはじまろうとしていた!

 

 

 先手をとったのは第13独立部隊。

 ラムダドライバ搭載機、ベヘモスに対し、レーバテインに新しく搭載されたラムダ・ドライバ・キャンセラー『妖精の羽』を発動させたのだ。

 

 これは、その名の通り物理法則を超越するラムダドライバを無効化するシステムである。

 

 消費電力も高く、本体の駆動さえ制限してしまうゆえ使用回数や時間に限りがあるが、ラムダドライバによって自重を軽減していたベヘモスに対しては多大な威力を発揮した。

 

 自重によってつぶれるベヘモス。

 

 戦力が一気に減ったところへ、第13独立部隊は突撃してゆく。

 

 

 混戦となろうとした時、側面からナデシコめがけて北辰と六連が姿を現した。

 

 

 それに対し、ブラックサレナに乗ったアキトが、エステバリスカスタムに乗ったガイが、リョーコが迎撃に出る。

 

 

北辰「本来ならば、過去を変えたいと願うべきは貴様だったはずだ!」

 

 

 北辰がレナードに協力したのは、失った主、草壁を取り戻すためだ。

 そして再び主の命に従い、世界を変える働きをする。

 

 そのために、まずA級ジャンパーを狙い(最初は主が残した計画をそのまま実行しようとした)、そしてレナードと出会い、ここまできた!

 

 

アキト「そんなの知るかー!」

 

北辰「あの日我等にさらわれ、その体をいいように使われ、あがき、苦しむのは貴様だったはずだ!! なのに、なぜ貴様はそうしている! なぜ我等があがかねばならぬ!」

 

 

 これらのことは、レナードの得たブラックテクノロジーの知識。その流れこんだ歴史の一部を聞かされたからである。

 あるべきだった本来の歴史。それをとりもどすことこそが、今の北辰の目的だった。

 

 

アキト「だから、わけのわからないことを言うなって!」

 

ユリカ「そうです。私達はただ、幸せに暮らしているだけなんだから。ねっ!」

 

アキト「それもここで今言うことじゃないだろ!」

 

ユリカ「きゃっ!」(照れる)

 

アカツキ「その幸せな暮らしを邪魔されたから怒ってもいいんじゃ」

 

ユリカ「それはそれであの逃亡の日々も悪くなかった気もするの。ね、アキト!」

 

アカツキ「……」

 

忍「こいつはずっとこんな感じだぞ」

 

アカツキ「昔から、変わらないねぇ……」

 

アルヴァン「命が狙われているというのに、それさえ愛の糧とする。これも一つの愛の形だな……」

 

カルヴィナ「それが彼女のいいところであると思うわ」

 

北辰「人の話を! 途中で!」

 

ユリカ「あ、忘れてた」

 

北辰「このような恥辱、本来ならあってはならない! 貴様さえいなければ!」

 

アキト「させないって言ってるだろ!」

 

北辰「貴様もだ! たった一人で、絶望するのが本来正しい世界! それを、我等は!」

 

ガイ「そんなことはありえねえ! なにせアキトには、俺がいる!」

 

リョーコ「あたしだってな!」

 

ユリカ「アキトー。私もいるよー!」

 

ルリ「みんながいます。そんなこと、ありえません!」

 

北辰「ありえたのだ! それが正しい世界なのだ! だから、我等は変える。正しき世界へと。この歪んだ世界を!」

 

アキト「もう一度言う。そんなの、知るかー!」

 

北辰「おのれえぇぇぇ!」

 

 

 あがき続けた北辰であるが、リョーコ達エースパイロットだけでなくガイもミスリルからきた超獣戦隊、さらにアルヴァンカルヴィナも居ては、勝ち目など最初からなかった。

 

 部下の六連は次々と落とされ、彼自身も憎きテンカワ夫妻に届くこともなく、無慈悲に撃墜されてゆく……

 

 

 それは、ブラックサレナの中からアキトのエステバリスカスタムが出てきてオイルの涙も流さない、全然劇的でもなんでもない勝利だった。

 

 だが、ここではそれでいいのだ。全部が終われば五体満足のまま幸せな未来が待っている。

 

 

 それが、このアキトなのだから……!

 

 

──ずっとスタンド・バイ・ミー──

 

 

 北辰が倒れたのち、遺跡の中。

 

 

レナード「……北辰がやられたみたいだ。彼も、この世界をやり直したいと思っていた。前の争乱で主を失い、やり直した先になら、違う結末があると信じて……」

 

かなめ「ふふっ。改変された世界って、本当に彼の望んだ世界だったのかしらね。平和で、平穏な世界。あの人はそれを望んでいたのかしら」

 

レナード「さあ。俺は望む世界が待っていると言っただけ。誰が、どう望むかは、取り方次第さ」

 

かなめ「イジワルな子」

 

レナード「ところで、準備の方は?」

 

かなめ「今終わったわ。起動準備も万全よ」

 

レナード「なら、九割がたこちらの勝利は確定だな」

 

 

 勝利を確信したかのようなレナードは、迫る第13独立部隊を押さえるため、出撃する。

 

 

かなめ(……1割負ける気がするのね。少し、弱気な気もするわ)

 

 

 そんなことを思いながら、かなめは戻した演算ユニットにつながれたTARTAROSの入り口を開いた。彼女がここに入り、ユニットを完全に掌握したのち、世界の改変がはじまるという段取りだった。

 

 装置に入り、かなめは世界改変の準備へ入る。

 

 

宗介「聞こえるか千鳥!」

 

かなめ「っ!」

 

 

 遺跡に近づいた宗介が、オープンチャンネルで叫んだ。

 

 彼女にむけ、精一杯の言葉を。

 

 

宗介「人の頭はぽんぽん殴るし、冷静な議論など許さないし、俺を餌付けしてコントロールしているんじゃないかとむかむかしたこともある!」

 

 

 それは、告白だが、とりようによっては罵倒にしか聞こえないようなものだった。

 今までの愚痴と言ってもいい。

 

 

宗介「とにかく言いたいのは、君は俺がすべてを投げ打って救い出すに足る女なのかということだ!」

 

 

 その声に、心がざわついたかなめは口を挟んだ。

 

 しかし宗介は、そのかなめを否定する。

 

 

宗介「お前は黙れ。俺は、千鳥に言っている。千鳥を出せ!」

 

 

 なんとかなめの中には、ソフィアというかつてヤムスクで実験の被験者となった少女の心が宿っていたのだ。

 

 あの時かなめが豹変したのは、そういう理由だったのである。

 

 

 ソフィアは自分をかなめと思いこみ、より良い世界、自分の生きる世界へと世界を作り変えようとしていた。

 

 

宗介「この、あばずれめ!」

 

かなめ?「あばっ!?」

 

 

 そこに、AS、ベリアルを駆るレナードが現われた。

 

 

 かなめも宗介との会話を振り切り、世界の改変をはじめる。

 

 

 レナードのベリアルを倒さねば、かなめを救い出すことなど到底出来ない。

 

 火星の遺跡をめぐる最後の戦いが、はじまる……!

 

 

 

 …………

 

 

 ……

 

 

 

 激闘を制し、倒れたのはベリアルだった。

 

 

 しかし、世界の改変の準備は完了してしまう。

 

 世界を変えよう。

 

 

 ソフィアがそうしようとしたその時……

 

 

???(……誰が)

 

ソフィア「……?」

 

???(誰、が!)

 

ソフィア「!?」

 

かなめ「誰がクソ女よソースケぇ!!」

 

 

 ……ソフィアに乗っ取られていたかなめが、ついに目を覚ました!

 

 

 世界を変えたいソフィアと、世界を変えたくないかなめの主導権争いがはじまる。

 

 ソフィアは世界が変われば死んだ人も甦ると説得しようとする。

 平和な世界。生きているかなめの母。そして、普通の高校生である、彼と出会い……

 

 そうした世界を見せられるかなめ。

 

 

 しかしかなめの意思は変わらない。

 

 

 なぜならその平和な世界に、顔に傷のある相良宗介はいないからだ。

 

 平和な世界で生きて、普通の少年として彼女と出会う相良宗介は、彼女の好きになったあの宗介にはなりえない。

 

 

 どんなにつらい世界でも。

 どんなに悲しい世界でも。

 

 この世界だからこそ、あの相良宗介は。彼女が好きになった男の子は生まれたのだ。

 

 

 ……最終的に勝利したのは、かなめだった。

 

 

 すべての決着がつき、かなめは装置を出て、遺跡の外を目指す。

 

 

 破壊されたベリアルの傍らに、脱出したレナードが座っている。

 

 ちなみに火星はナノマシンによってテラフォーミングされているので、外に出ていても問題はない。

 

 

 宗介がレーバティンを降り、油断なく近づいてゆく。

 

 レナードは既に、世界の改変に失敗したことに気づいていた。

 

 あと、戦闘中宗介に教えられた、テッサが母のしたことを知っていたという話が案外堪えたを自嘲する。

 

 ちなみにしたこととは、若くしてウィスパードに目覚めたレナードの天才性を恐れた母が、強盗に自分を売ったというものである。

 死んでいいと拒絶されたことが、彼には大きなトラウマとなっていた。

 

 

レナード「僕は、まともになりたかったんだ。普通の、少年に……」

 

宗介「奇遇だな。自分もまともになりたいと思っている。だがそれは、この世界でだ」

 

レナード「……ふふっ。僕達は一体、どこで道を……」

 

 

 たんっ!

 

 

 なにかを語ろうとしたその時。レナードが撃たれた。

 

 驚きの表情のまま倒れるレナード。

 

 宗介が銃を抜き、その方を向く。

 

 

 そこに居たのは……

 

 

シャピロ「くくっ。俺から見れば、お前は十分にマトモな子供だったよ」

 

 

 遺跡の入り口に、シャピロがいた。

 

 さらに外に出ようとしてシャピロに捕まってしまったかなめも。

 

 シャピロは首に手を回し、銃口をかなめの頭部にむけている。

 

 

宗介「千鳥!」

 

かなめ「ソースケ!」

 

シャピロ「おっと。感動の再会はまたあとだ。この娘にはまだやってもらうことがあるからな」

 

かなめ「あたしはもう、できないわよ。中のは消えちゃったんだから!」

 

シャピロ「知識は消えていないだろう? だから、やる気にさせてやる」

 

 

 かなめの頭にむけていた銃口を、宗介にむけた。

 

 

シャピロ「それと、狙撃はやめておいた方がいい。この娘が死ぬぞ」

 

クルツ「ちっ!」

 

 

 こっそりECSを発動させ透明になったコックピット内から機をうかがっていたクルツが舌打ちをする。

 シャピロは完全に、かなめを盾にしていた。

 

 

アル「このクズ野郎」

 

 

 ジョークもいえるほど成長したレーバテインの搭載AIアルも手出しできない。

 レーバテインの武器は強力すぎて、人間にむかって撃ったらとんでもないことになるからだ。

 

 

シャピロ「さあ、愛する者が死ねば、世界も変えたくもなろう。しっかりと目に焼きつけろ。お前の仕事はこれからだ……」

 

 

 その引き金が……

 

 

かなめ「やめてー!」

 

 

 ひかれようとした、その時!

 

 

???「ホログラフィックカモフラージュ、オフッ!!」

 

シャピロ「なにっ!?」

 

 

 声の瞬間、放たれた手錠がかなめの体をがっちりキャッチし、そのまま空中へ引っ張りあげた!

 

 現われたのは、鋼の体!

 

 

アル「ボルフォッグだー!」

 

 

 レーバテインのAIアルが親友の登場に声を上げる。

 

 

シャピロ「ちっ!」

 

 

 ちゅんっ!

 シャピロは身を翻し、クルツの狙撃をかわす。

 

 その反動を利用し、遺跡の中へとかけ戻った。

 

 

クルツ「やってくれたな心の友!」

 

ボルフォッグ「はい!」

 

 

 AI友達と透明友達がその行動の成功を喜んだ。

 

 ボルフォッグはそのままかなめをナデシコに運び、宗介もレーバテインへ戻る。

 

 

ボルフォッグ「レイン殿、彼をお願いします!」

 

 

 さらにレインへもう一人拾ってきた男を引き渡す。

 こっそり撃たれたレナードも回収してきていたのだ。

 

 

 遺跡の真上に、シャピロの乗ったデザイアが現われる。

 

 

シャピロ「やってくれたな」

 

忍「へっ。お前が残ってるのは誰もが知っていたからな」

 

シャピロ「だが、いずれにせよ貴様等をすべて始末するのには変わらん。順番が変わっただけだ!」

 

 

 その言葉と共に、遺跡の裏から多数のモビルスーツとデストロイガンダムがわさわさと出てきた。

 

 

忍「どんだけ隠してたんだよこいつらは……」

 

亮「ここまで予測どおりだといっそすがすがしいな」

 

 

 かなめはナデシコのブリッジに到着する。

 

 

かなめ「ソースケ!」

 

宗介「っ!」

 

かなめ「やっちゃいなさい!」

 

宗介「了解だ」

 

 

 彼女の言葉と共に、火星の遺跡をめぐる最後の戦いが、はじまる!

 

 

 ちなみにだが、シャピロは最初遺跡の上に陣取っている。

 ここは補正はもちろんHP回復やEN回復もあるため、ただでさえ強いシャピロがさらに強くなる。

 

 後方のモビルスーツ達が動き、しばらくするとダンクーガやかなめの乗るナデシコを狙い移動してくるので、それまで待ちの戦法でやって来たモビルスーツ達から倒していこう。

 

 シャピロを倒し、敵を全滅させればこの戦いも、終わりだ……

 

 

──コピーコピー──

 

 

 シャピロのデザイヤも破壊され、現われたモビルスーツも全滅した。

 

 するとまた、遺跡のところにシャピロが現われる。

 

 

シャピロ「ここさえ、ここさ押さえれば……!」

 

沙羅「前の時と、同じだね」

 

 

 その姿は、かつて第一次地球圏争乱で火星に散ったコピーと同じ様子だった。

 

 あの時と同じく、往生際悪く遺跡を手に入れようとしている。

 

 

 沙羅があの時と同じく、銃をシャピロにむけた。

 

 

 しかし、あの時と違うことが起きる。

 

 

 どろりっ。

 

 それは、シャピロの顔が溶けたのだ。

 

 

シャピロ「っ!?」

 

 

 そのどろりと溶けた奥に見えるのは、かつてデビルガンダム細胞に犯されたゾンビ兵を見ているかのようだった。

 

 

アルゴ「これは!」

 

シャピロ「なん、だと……!?」

 

 

 自身の異変に、シャピロ本人さえ驚いている。

 

 

東方不敗「そういえば、デビルガンダムの模倣なぞもしておったな。こいつは、その副産物か……」

 

ドモン「シュバルツと同じ……」

 

沙羅「お笑い種だね。あんたの方こそ、コピーだったんじゃないか」

 

シャピロ「そ、そんなことはない! 俺は、俺こそはこの世界の神となる男だぞ! そんなこと、あってたまるかあぁぁぁ!」

 

 

 それが、シャピロコピー最後の言葉だった。

 

 

──おかえり──

 

 

 シャピロも倒し、かなめも戻った。

 

 ナデシコへ、レーバテインが戻り、宗介がコックピットから降りる。

 

 

 降りた先には、千鳥かなめが待っている。

 

 

宗介「……千鳥」

 

かなめ「ソースケ」

 

宗介「千鳥」

 

かなめ「ソースケ!」

 

 

 二人はかけより……

 

 

かなめ「誰があばずれじゃー!」

 

 

 スパーン!

 宗介、ハリセンで、頭しばかれた。

 

 

アル「それっ、ちがっ!」

 

 

 確かに言ったのはかなめにだが、このかなめへではない。

 

 

かなめ「ふー。すっきりした。あたしだってね、色々言いたいことあったけど、これでいいわ」

 

宗介「痛いぞ、千鳥。そして、お帰り。だ」

 

かなめ「うん。ただいま!」

 

 

ユリカ「ずこーっ!」

 

 

 きっと抱き合ってチューするの。とか思って影から見ていたユリカがずっこけた。

 

 

ユリカ「てっきりいい雰囲気になると思ったのにー」

 

マオ「いや、さすがにあの流れからだと、一回頭冷やすインターバルないとつらいでしょ」

 

リョーコ「確かに」

 

統夜「でも、あの二人はあれでいいんだと思いますよ」

 

テニア「そうだね。それに甘々なのは、きっとバームに行った人達がやってくれてるだろうし」

 

メルア「そうですね」

 

 

 みんな、学校を卒業するまであんな感じで続いちゃうんだろうなあ。なんて思ったりした。

 

 

テッサ(なら、私にもチャンスがあるかも!)

 

 

 なんてもう一人の恋する乙女が思ったりもしたりした。

 

 

ユリカ「それならアキト、私達が!」

 

アキト「お前なぁ……」

 

 

 やれやれとして、みんな笑うのだった。

 

 

 ここは成長したけど、彼女にこの言葉で締めてもらうのが一番なのだろう。

 

 

ルリ「……馬鹿ばっか」

 

 

 こうして火星の遺跡を巡る戦いは、終わりをつげる。

 

 

 第15話 火星決戦ルート 終わり



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第16話 決戦決戦また決戦!

 

──木星宙域──

 

 

 火星にてアマルガムと火星の後継者達との激闘のはてかなめを救い、再び演算ユニットを回収したチームと、バームを支配しようとしたオルバン大元帥を倒し、暫定的な和平を勝ち取ったチームとが合流した。

 

 次の目的地は木星。

 

 ここへ行く目的は二つあった。

 

 一つは、超竜神を過去に送ったザ・パワーを調べること。

 もう一つは、かつてJ達が原種に敗北したのが、ここだということだ。原種がここにいるということはここにあるパワー目的の可能性もある。

 

 それらもふくめて、調べなければならないというわけだ……

 

 

──木星決戦──

 

 

 木星宙域に到着し、その重力圏までやってきたところで、第13独立部隊はボアザン、キャンベルの連合軍に襲撃を受けた。

 

 バームから撃退されたが、本星に帰るのでなく、転進してきたのだ。

 

 

ワルキメデス「このままおめおめ帰れば、女帝ジャネラ様に抹殺されてしまう!」

 

 

 決死の攻撃。

 

 そこにさらに、残りの原種も襲撃を仕掛けてきた。

 

 

 結果的に、木星上空で挟み撃ちにあうこととなった。

 

 

 波状攻撃にあい、ガオガイガーが木星へ落下していく。

 

 

 そこで凱は、ギャレオンの中に残されていた護の実父であるカインの意思と出会う。

 

 

凱「誰、だ?」

 

カイン「私はギャレオンの中に保存されたコピーに過ぎない。今は、ザ・パワーの力を借りて君に語りかけている」

 

凱「ギャレオンの中に? では、あなたは……!」

 

カイン「そう。我が名はカイン」

 

凱「緑の星のカイン、護の……」

 

カイン「ラティオ(護のこと)は君達のおかげで心も身体も強く成長した。だが、ラティオにとって戦いはまだ続く……」

 

凱「教えてくれカイン! ザ・パワーとはなんなんだ!?」

 

カイン「この世界を作り出した無限の力の一つ。そして、この力の前には時間も距離もすべてが意味をなさない。君にも今、その力の一部を貸そう……」

 

 

 こうして凱は、ザ・パワーを授かり木星より帰還した。

 

 

命「凱!!」

 

大河「信じていたぞ、勇者!」

 

凱「みんな、受けとるんだ! これが、ザ・パワーの力だ!」

 

 

 凱によってザ・パワーの力は他の機体にも与えられ、大幅なパワーアップを果たす。

 

 

健一「な、なんだ! この力は!?」

 

ビッグボルフォッグ「身体が、身体が燃えるようです!」

 

東方不敗「ぬぅ、これは……!」

 

鉄也「これが木星のザ・パワーの力! 無限の力なのか!」

 

風龍「この力があれば、やれる!」

 

炎竜「いくぞ、風龍!」

 

氷竜「雷龍! 来るんだ!」

 

雷龍「おう! もう一度、あの時の合体を!」

 

氷竜「シンメトリカル!」

 

風龍「ドッキング!!」

 

 

 その力により、再び幻竜神、強龍神への合体が可能となった!

 

 

 第13独立部隊の反撃がはじまる!

 

 

 この力に、ボアザン&キャンベル合同軍も、原種達も圧倒されるのだった。

 

 

 勝利は目前だった。

 

 だが……

 

 

──Zマスター復活!──

 

 

 この場に現われた敵をすべて撃退するが、なんやかんやあって原種の集合体、Zマスターが復活してしまう。

 

 Zマスターもまた、ザ・パワーの力を解析し、我が物としていた。

 

 

 勇者達と同等の力を得たZマスターは、圧倒的な力と物量を元に、第13独立部隊へ襲い掛かる!

 

 

統夜「相良軍曹」

 

宗介「む?」

 

統夜「聞く限り、ザ・パワーもオムニスフィアと同じく時間と空間に左右されない空間からのエネルギーみたいだ。なら、妖精の羽でその力は消せないかな?」

 

アル「よい考えです。と言いたいところですが、相手が規格外に大きすぎて効果範囲を軽々とこえております。使用のリスクの高さに比べ、効果はゼロに等しいかと思われます」

 

統夜「そっか。そうだよな。あの大きさじゃ……」

 

 

 星にも匹敵する大きさのZマスター相手に、連続使用もできない今の妖精の羽では効果の範囲が圧倒的に足りなかった。

 

 他の対抗手段は今のところない。

 力と力で決着をつける以外ないようだった。

 

 

 ザ・パワーを得たZマスターの力は強大であった。

 

 戦いの中、統夜達はそのそのエネルギーの流れの解析に成功する。

 

 木星と繋がった部分からザ・パワーのエネルギーを吸収し、それを心臓部を経由して全身に分配していることがわかった。

 つまり、その木星部から侵入すれば、Zマスターの──文字通り──心臓部へ到達することが可能なのだ。

 

 その情報から、Jアークが突入を敢行する。

 

 

凱「頼むぞ、J!」

 

J「フッ。凱よ、言っておくが私は死ぬつもりはない。お前と決着をつけるという約束もある。必ず戻ってこよう!」

 

凱「その言葉、信じさせてもらう!」

 

トモロ「突入ポイント、確認」

 

戒道「行こう、J」

 

J「ジェイアーク、最大戦速! 目標、ザ・パワー吸収地点!」

 

 

 皆の援護を受け、Zマスターの体内へ突入したJアークは、その心臓部でザ・パワーの力を解放する。

 

 

 黄金の光がZマスターを貫き、そして巨大な爆発があたりを包んだ。

 

 

 Zマスターは滅びた。

 同時に、Jアークの姿も、そこにはなかった……

 

 だが、彼等は信じている。

 

 凱との約束を守り、必ず帰ってくると……!

 

 

──開放、ボアザン星!──

 

 

 すべてのゾンダークリスタルを合体させたマスタープログラムは無事護によって浄解され、全宇宙のゾンダーは活動を停止した。

 

 これにより、地球を襲う脅威はすべて跳ね除けられたといってもいい。

 

 だが、まだやらねばならぬことがある。

 

 

 それは、ボアザン星の開放。

 

 

 防戦一方だった地球が、ついに外へと手を差し伸べる時がやってきたのだ。

 

 今まで秘密にされていたビッグファルコンの真の姿があらわとなる。

 

 ワープ機構を備えた巨大な船。

 

 

 これをもって、健一達はもう一つの故郷、ボアザン星へ足を踏み入れる!

 

 

 ただ、一緒に行けない者が何人かいた。

 

 凱のパートナー、卯都木命が体調を崩し、倒れてしまったのだ。

 原因は、過労と診断された。

 

 彼女は静養を余儀なくされ、医者のレインと共に残ることになってしまった。

 

 

 凱はなるべく早く戻ってくることを約束し、第13独立部隊は、ボアザン星にむけ出発する。

 

 

 ボアザン星では皇帝だけでなく、軍事同盟を組むキャンベル星の女帝ジャネラまでもが待ち構えていた。

 

 地球圏での敗北により、この到着は予測されていたのである。

 

 

 しかし、第13独立部隊の到着と共に、ボアザンの民衆が一斉に蜂起を開始した。

 

 予想外の事態にボアザン、キャンベル連合軍に大きな隙ができ、第13独立部隊はその隙をついてボアザン星への降下を開始する。

 

 ついに、ボアザン星を開放するための戦いが、幕を開けたのだ!

 

 

 

 ……

 

 …………

 

 

 ……

 

 

 

 激しい戦いの末、皇帝ズ・ザンバジルは倒れ、女帝ジャネラも敗れた。

 

 ジャネラの悪あがきとして、ボアザン星を破壊する威力の爆弾が爆破されそうにもなったが、皆の協力でことなきをえた。

 

 

 さらにボアザン開放と同時に、キャンベルからの使者が現われた。キャンベル星で革命が起こり、侵略派であった今の勢力は力を失い、平和を取り戻したということが伝えられたのだ。

 

 ボアザンを襲う第13独立部隊を排除するため、キャンベルから多くの戦力がここへ集結したのがその成功の要因だと使者は言う。

 地球人が平和に尽力してくれたから、この革命がなったのだと。

 

 皆の勇敢さを称え、彼はいずれ地球と和平を結びたいと約束する。

 

 

 こうして、星々をまたにかけた争いに、終止符が打たれたのである!

 

 

──命──

 

 

 戦いは終わった。

 

 ボアザン復興のため剛博士はボアザン星に残し、部隊は地球へ戻ることとなった。

 

 体調不良で残してきた命の容態も心配であったからだ。

 

 

 地球に戻り、凱はオービットベースに付属する船で静養する命の見舞いへとやって来た。

 

 そこで、命に異変が起きる。

 

 

 命が突如、何者かにとりつかれたかのように暴走し、異形の姿へ変貌したのだ。

 

 彼女は勇者ロボ軍団のエネルギーを吸い尽くし、船を占拠し地球へと降下してゆく!

 

 なんと命は、3年前パスダーことEI-01が東京に現われた際、新たな因子を埋めこまれ、機界新種ゾヌーダとして覚醒してしまったのだ。

 

 ゾヌーダの目的は、機界昇華ならぬあらゆる物を昇華する、物質昇華。

 

 このままでは、地球すべてがチリにかえってしまう!!

 

 

 急ぎ地球へ降下する第13独立部隊。

 

 

ドモン「レイン、レインは無事か!?」

 

メイリン「今連絡が入りました。ちょうどお父さんのミカムラ博士が来ていて、そちらと面会していたため無事だそうです!」

 

 

 まきこまれてはいなかったと、ほっと一安心。

 他の隊員達も、見舞いに来ていた凱達がなんとか退去させ無事であった。

 

 もっともその結果、物質昇華の直撃を受け、勇者ロボ達は行動不能となってしまったが……

 

 

 ゾヌーダが地上へ落下したころ。

 

 護は小学校の友達と一緒にいた。

 

 

 ゾヌーダの出現に防衛出動する連合軍だったが、一瞬にしてエネルギーを吸われ、機体が動かなくなってしまった。

 

 ゾヌーダの脅威が示されたところで、第13独立部隊が到着する。

 

 惨状から、一度でもゾヌーダに触れられれば機体のエネルギーはすべて吸われ、戦闘不能となることがわかった。

 

 近づいただけでも危険である。

 耐えられるとすれば、強力なバリアで自分を守れる機体だが、それでも耐えられるだけで物質昇華を防げるわけではない。

 

 命を救出するため、皆一撃にすべてをかけ、ゾヌーダロボを攻撃するしかないようだった。

 

 

 そう、作戦がはじまろうとしたその時……

 

 

東方不敗「ぬぅ……っ!!」

 

 

 もう一つの異変が、東方不敗を襲った。

 

 心臓部をおさえ、うめく。

 

 

東方不敗「ぐっ、ぐああぁぁぁ!!」

 

 

 胸の部分から、突如として闇色の炎が噴出した!

 

 その炎は東方不敗の全身を包み、さらにマスターガンダムの姿も変えてゆく。

 

 

甲児「な、なんだこれは!」

 

チボデー「ザ・パワーか!?」

 

鉄也「いや、違う!」

 

 

 闇の炎がうごめく。

 

 

東方不敗?「我こそは、闇の帝王。ミケーネ帝国を、いや、全世界を治める存在である!」

 

鉄也「なんだと!?」

 

甲児「暗黒大将軍じゃない!?」

 

 

 それは、かつてゴーゴン大公が予言したこと。

 

 様々な戦いを経て、その身に多くのエネルギーを蓄えた闇の帝王の因子が、ついに芽吹いたのである!

 

 

東方不敗「や、やはり、ワシの身体になんぞしかけておったか……っ!」

 

闇の帝王「ほう、まだ意識があるか」

 

東方不敗「ドモンよ!」

 

ドモン「はい!」

 

東方不敗「あの日の約束を、己の使命を覚えておるな!」

 

ドモン「もちろんにございます!」

 

東方不敗「ならば、よし!」

 

 

 その言葉と共に、東方不敗の意識は消えていった……

 

 東方不敗との約束。

 

 それは、自身ごと闇の帝王を成敗しろということだった。

 

 

 このようなことになる可能性は、再会した当初から考えられていた。

 

 東方不敗は、もう一度死ぬことなど、とうに了承済なのである。

 

 

 だが……!

 

 

ドモン「もちろんわかっております。必ず、お救いいたします。師匠!」

 

 

 ドモンはただ倒すことなど考えていなかった。

 

 闇の帝王を倒し、東方不敗も救う。それこそが、彼のした約束だったのだ!

 

 

 触れたものすべてのエネルギーを奪うゾヌーダーと、世界を統べる闇の帝王。

 

 どちらが残っても世界が大変なことになる相手二体と同時に戦う事態となった!

 

 

──戦闘前会話 闇の帝王──

 

 

VS超電磁チーム(コン・バトラーⅤかボルテスⅤ)

 

小介「な、なんてパワーですか! 計器を振り切ってます。あのザ・パワーにも匹敵する力があそこにありますよ!」

 

豹馬「だからどうした。それくらいなら、もう何度も経験したはずだろ!」

 

健一「その通りだ。皆の心を一つにすれば、決して勝てない相手じゃない! 俺達はそうして戦ってきたじゃないか!」

 

日吉「そうだね。あんちゃん!」

 

闇の帝王「ふん。どれだけ数が集まろうと、我が前には無意味。すべてがひれ伏すのみぞ! すぐ貴様等を絶望の底へ沈めてくれる!」

 

豹馬「似たようなセリフ、自称宇宙の女帝も言ってたぜ! 俺達が倒したけどな!」

 

十三「どいつもこいつも、言うことは同じやな!」

 

健一「いくぞ、みんな!」

 

めぐみ「ええ!」

 

 

VSGガンダム勢

 

闇の帝王「闘気を力へと変えるシステムか。我がミケーネにて元としたエネルギーの派生と言える力だな。ゆえに、この器が選ばれた!」

 

ドモン「貴様の御託などどうでもいい! 返してもらう。我が師、東方不敗を!」

 

アルゴ「そして、貴様を倒し、そのくだらぬ野望、打ち砕かせてもらう!」

 

ジョルジュ「私達シャッフル同盟と!」

 

チボデー「その仲間達がな!」

 

サイ・サイシー「だからおとなしく、おいら達に降伏しな!」

 

闇の帝王「その言葉、そっくりそのまま貴様等に返してくれる! 最高の器と、すべてのエネルギーを得た我が力、受けてみよ!」

 

 

VS鉄也

 

鉄也「貴様を倒せば、ミケーネとの因縁も終わるというわけだな!」

 

闇の帝王「それはこちらも同じ。マジンガーとの因縁、ここで断ち切ってくれる! すべてのエネルギーを得た我に勝てると思うな! 食らえ、ダークネスファイヤー!」

 

鉄也「ふっ。同じダークネスを冠した名でも、俺達の知るそれとは天と地の差がある!」

 

闇の帝王「ならば受けてみよ! 滅びろ、グレートマジンガー!」

 

 

VS甲児

 

闇の帝王「兜甲児。マジンガーよ。この器を通じ、ずっと見てきた。ゆえに、わかる。貴様だけは、この手で倒さねばならぬと!」

 

甲児「おじいちゃんが作ったマジンカイザーが、お前に負けるものか。こい。闇の帝王!」

 

 

VS凱

 

凱「命を救う前に、まずは、お前を倒す!」

 

闇の帝王「ほう。これがあの遺物の原典となるものか。素晴らしい! だが、もう不要だ。我はもう完成された存在となった。すべてのエネルギーを得た我は、物質昇華さえ掌握する! すべては無意味。すべては我が手の内にあるのだ。あれも、我の物となる!」

 

凱「そんなことはさせない。お前を倒し、必ず命も救ってみせる!」

 

 

──戦闘前会話 ゾヌーダー──

 

 

VSヒロインズ

 

シャナ=ミア「命さん! 私達は貴方を救うことを諦めません! だから、あなたも諦めないで!」

 

テニア「そうだよ! アタシ達も最後まで全力を尽くすから! 最後まで、気をしっかり持って!」

 

メルア「はい! 命さんも、世界も救ってみせますから!」

 

ロゼ=リア「……皆さん。そうです。命さん。彼等なら、必ずあなたを助けてくれます。ですから、諦めないでください! あなただけは!」

 

カティア「だから、待ってて! 最後には必ず、凱さんが助けにいくから!」

 

 

VS一矢

 

一矢「俺にエリカがいるように、凱には君が必要だ! だから、絶対に君を救い出す。それが、友のためでもあるからな!」

 

 

VS宗介

 

かなめ「ソースケ、わかってるでしょうね!」

 

宗介「俺にできることは敵を倒すことだけだ。だが、そのために獅子王凱のための道を作ることくらいはできる。アル、いけるか?」

 

アル「もちろんです」

 

宗介「ならばプランを実行する。できる限りのことはさせてもらう!」

 

 

──決着──

 

 

 物質昇華を受け、行動不能となっていた勇者ロボ達がガオガイガーのパーツに超AIを移し、一体となって現われた。

 

 一撃ごと、みずからのAIを犠牲にし、ガオガイガーを守りぬいて散ってゆく。

 

 

 ゾヌーダーの物質昇華、闇の帝王の強力なダークネスファイヤー。

 

 襲い掛かる理不尽も叩き伏せ、彼等は勇気と気迫をもって、この二体を打ち破る!

 

 

闇の帝王「馬鹿、な……この肉体と、すべての超エネルギーを身につけた我でさえかなわぬとは……一体、どのエネルギーが足りなかったというのだ……」

 

甲児「知らないなら教えてやる。それは、愛だ!」

 

闇の帝王「なっ、なん、だ、それは……」

 

ドモン「返してもらうぞ、師匠を!」

 

 

ゾヌーダ「……」

 

クルツ「やったか!?」

 

マオ「まだよ! 再生がはじまってるわ!」

 

ゾヌーダ「……」

 

護「凱兄ちゃん、逃げて!」

 

 

 身体を再生させながら、ゾヌーダロボがガオガイガーへ迫る。

 

 

ユリカ「ルリちゃん!」

 

ルリ「はい!」

 

 

 ガオガイガーとゾヌーダロボの間に、ナデシコCが割りこんだ!

 

 その突進を、ディストーションフィールドが受け止める。

 

 

ユリカ「ダメだよ命ちゃん! 凱さんは命ちゃんの大切な人なのに、それなのに、二人がぶつかり合うなんて、そんなの私とアキトが許さない!」

 

アキト(さすがにこの状態じゃなにもいえないな)

 

ハーリー「さ、さすがに……いくらディストーションフィールドでも、ここまで接近すると……」

 

ルリ「大丈夫です! この一瞬の時間さえあれば!」

 

凱「ナデシコ、感謝する! 機界新種! 命を返してもらうぞ!」

 

 

 ガオガイガー渾身のヘル&ヘブンがゾヌーダロボを貫く。

 

 核となった命が、ガオガイガーの手におさまった。

 

 

 しかし、その状態となっても物質昇華はとまらない!

 

 

命(凱。お願い。殺して。早く、私を殺して……)

 

凱「命……」

 

命「手遅れになる前に……お願い……」

 

凱「……死ぬ時は、一緒だ。命、ゴメンな。俺は、一番大切な人さえも、守れなかった……」

 

命「凱……」

 

凱「お前を、愛してる……」

 

命「あなたを好きになって、よかった……」

 

凱「もうはなさない。ずっと、ずっと一緒だ……」

 

護「凱兄ちゃん、命姉ちゃん……」

 

凱「力を貸してくれ、護」

 

 

 凱が、呪文を唱える。

 浄解の呪文を。

 

 

 その時、奇跡が起こった。

 

 

 Gストーンが輝き、周囲を照らす。

 

 命の身体は元に戻り、さらに、凱も人間に戻ったのだ!

 

 

護「奇跡が、起きたよ……」

 

命「私……あっ、凱……! その、身体……」

 

凱「ああ。神様がとっといてくれたらしい。俺達の、勝利のご褒美として……!」

 

命「凱!」

 

凱「命、もう、はなさない!」

 

 

 二人はぎゅっと、ガオガイガーの掌の上で抱きしめあった。

 

 

闇の帝王「……これ、が、愛……この力……勝てぬ。勝てぬわけだ……」

 

 

 奇跡の光に、闇の帝王の炎が消滅してゆく。

 

 残されたのは、マスターガンダムの掌の上で腕を組むマスターアジア。

 

 

ドモン「師匠!」

 

東方不敗「ふっ。奇跡め、粋なことをしてくれる。巻き添えでワシまで生身に戻ってしまったわ!」

 

ドモン「なっ!?」

 

チボデー「なんだってー!?」

 

 

 死した東方不敗の身体は、闇の帝王の器となるべくミケーネによって改造された。

 

 そしてこのサイボーグ技術の原点。ミケーネの技術の元は、過去に飛ばされた超竜神を元にしたもの。

 すなわち、サイボーグ凱と同じ!

 

 ゆえに、東方不敗もこの奇跡に乗って生身の『返還(変換)』を得たのである!

 

 

 

 こうして、すべての事件はおわ……

 

 

──オリジナル──

 

 

 ……らない。

 

 

 今度は宇宙。

 デュランダルから第13独立部隊へ緊急通信が入った。

 

 なんと、宇宙にあったコロニーが何者かに奪われたというのだ。

 

 

 映し出されるその姿。

 それは……

 

 

ドモン「デビルガンダム!?」

 

 

 その姿。忘れるわけがない。

 

 巨大なガンダムを模したあの姿は、まさにデビルガンダム以外になかった!

 

 

 通信がわりこんでくる。

 

 

シャピロ「さて、今度はどうかな、藤原?」

 

忍「シャピロだと!?」

 

沙羅「あんた火星で死んだはずじゃ!?」

 

シャピロ「ふっ。確かに死んだだろうな。だが、あれは俺のコピー」

 

忍「……っ!」

 

シャピロ「あそこで俺のコピーが死んだ。なら、前の争乱で死んだ俺こそがオリジナルだと思ったか? 残念だったな。あれは俺の作り上げた偽物。真の俺は、こうしてここにいる! さあ、見ろ。これこそが、新たな世界を作る、神の力だ!」

 

 

 デビルガンダムが、さらに近くのコロニーへ手を伸ばす。

 

 管が伸び、突き刺さったところからそのコロニーは別の形へ変貌してゆく。

 

 それはまさに、悪魔のなせる業。

 正真正銘のデビルガンダム細胞が生きている証拠だった!

 

 

忍「あの野郎!」

 

シャピロ「さあ、俺にひざまずけ、そして、神の誕生を祝え。称えろ。はは。ふはははははは!」

 

 

 そして、通信は終わった。

 

 

 これはつまるところ、全世界にむけた宣戦布告だった。

 

 圧倒的な力。

 

 これをもって、シャピロはすべてを自分のものにできると考えたからである。

 

 

 さらに別の方面から通信が入る。

 

 それは、レインの父、ミカムラ博士からだった。

 

 

ミカムラ博士「ドモン君、すまない……レインが、デビルガンダムのコアにされてしまった……」

 

ドモン「な、なんですって!?」

 

 

 ドモンに衝撃が走る。

 

 宇宙で成長を続けるデビルガンダムのコア。

 それにレインが利用されてしまったのである。

 

 最初から見逃せない事態だったが、より切迫する事態となった。

 

 

キラ「これは、すぐにでも行かなきゃなりませんね」

 

忍「ああ。シャピロ、そこでまってろ! 今すぐぶっとばしに行ってやる!」

 

ユリカ「そうですね。また、助けに行きましょう! あの時みたいに!」

 

 

 あの時、とは、かつてジェネシスとヤキン・ドゥーエをとりこんだデビルガンダムのコアとされたフレイを助けにいった時のことである。

 

 あの時はクルーゼの手によってフレイがデビルガンダムのコアにされており、キラが彼女を救いにいった。

 

 今回もまた、それと同じである!

 

 

 コアとなったレインを救い出し、その動力炉を叩けばいい!

 

 

 ドモンが、すっと立ち上がる。

 

 

ドモン「こい、ガンダームッ!」

 

 

 Gガンダムが風雲再起に跨り、飛び上がった。

 

 さらにダンクーガも、ファイナルダンクーガとなって宇宙を目指す。

 

 

アムロ「じゃあ、僕もこれで!」

 

ブライト「アムロ、お前までそれに染まらなくていい!」

 

 

 アムロもガンダムでミサイルに捕まって宇宙に行こうとしたけど、とめられた。

 

 危うくシンも似たことをしそうになってレイにとめられていたりもした。

 

 

──飛ぶガンダムパターン──

 

 

 ベルファストにてボルトガンダム対ゴッグのハンマーイベントを起こしたり、水爆イベントでアムロが水爆切りを披露していたりと、いくつかのフラグが積み重なった結果の展開がこちら。

 

 ゴッドガンダムが風雲再起で飛び立つのを見て、アムロもガンダムへ走った。

 

 

アムロ「じゃあ、僕もこれで!」

 

ブライト「待てアムロ。待つんだガンダムー!」

 

 

 ガンダムに乗りこんだアムロは、ブライトがとめる間もなくミサイルに飛びつく。

 

 しゅごー!

 

 そのままガンダムは、ゴッドガンダム、ファイナルダンクーガと共に、ミサイルで宇宙へ飛んでいってしまった。

 

 

ブライト「い、いってしまった……」

 

セイラ「アムロ……」

 

ブライト「アムロは、遠いところへ行ってしまった……」

 

 

 どういう意味の遠いかは、問えなかったという。

 

 

シン「なら、俺も!」

 

レイ「やめておけ。いくらディスティニーでも無理だ。無理だからな。だから無理だと。やめろ。フリじゃない!」

 

 

 地球の危機を救うため、皆宇宙へ飛び立った!

 

 

──決戦! デビルガンダム!──

 

 

 宇宙にはコロニーと完全に融合したデビルガンダムが迫っていた。

 

 目的は、地球との融合。

 それこそ新世界を作らんばかりの勢いである。

 

 巨大なデビルガンダムの前に、デビルガンダム細胞を得たシャピロのデザイヤが立つ。

 

 

 対するのは、第13独立部隊だけではなかった。

 

 

 地球の、いや、地球圏の危機に、力ある者達が続々と救援に現われたのだ。

 

 

 ザフトのエース達。

 

 さらに、ジオンのエース。

 

 

シャア「あれか。君の言っていた未来に見える闇というのは……」

 

ララァ「いえ、あれでは……」

 

シャア「……いや、違うな」

 

 

 ニュータイプの輝きが、シャアの頭に光った。

 

 

シャア「あの時感じたのは、このような禍々しいだけのものでなく、むしろ安らぎを与えんとするものであった。善意でありながら、害悪を撒き散らす。今回のこれとはまったく違うシロモノ。違うか?」

 

ララァ「その通りです」

 

シャア「私も少しはできるようになったようだな」

 

ララァ「ふふっ。大佐ってば」

 

シャア「だが、あれもほうっておくわけにもいくまい。援護に入るぞ」

 

ララァ「はい!」

 

 

 かつて彼等に命を救われた者。

 

 

アイザム「リヒテル、俺も力を貸そう!」

 

リヒテル「アイザム!? お前、生きていたのか!」

 

アイザム「ああ。命の恩人が捕らわれていると聞けば、来ずにはおるまい!」

 

 

ジュア=ム「どうやら間に合ったようだな!」

 

クド=ラ「兄さん!」

 

 

 体の半分を機械とし、サイボーグとして甦ったジュア=ムも、この一大事に駆けつける。

 

 クストウェル・ブラキウムが空いていれば一人でそれに。空いていない場合は他の空いている機体に乗って駆けつける。

 自軍にあるすべてのフューリー機が埋まっていた場合、前作に乗っていた赤いラフトクランズに乗ってくるのでこだわる人は注意しよう。

 

 

 さらに。

 

 

レナード「僕も、混ぜてもらえるかな」

 

テッサ「え?」

 

レナード「世界を新生させるというなら、それは僕の役目だからね。あれにやらせたら、気分が悪い。そういうことさ」

 

カリーニン「ついでに、私もご一緒させていただきましょう」

 

テッサ「ええー!? いつの間に!?」

 

カリーニン「なに。出戻りなど、傭兵にはよくあることです」

 

マデューカス「とんだサプライズになりましたな」

 

テッサ「急すぎます! この手際。これは、またアランさんですね!」

 

 

 そして……

 

 

J「凱よ、私は帰って来た!」

 

凱「ソルダートJ!」

 

 

 Zマスターを倒すためザ・パワーで自爆したJアークも帰ってくる。

 

 彼等はその衝撃で、はるか遠い宇宙に飛ばされただけだったのだ!

 

 

 力を貸してくれるのは彼等だけではない。

 

 地球圏すべての人々が力をあわせた戦いが今、はじまろうとしていた!

 

 

 道を塞ぐシャピロ達を各員がおさえ、デビルガンダムに大穴を空けてドモンが動力部であるコアを目指す。

 

 ちなみにシャピロはコアが破壊されるまで無限に復活し続けるのでヨロシクしよう。

 

 

 そこには、フレイの時と同じように、コアに塗りこめられるようにいたレインの姿があった。

 

 

 すべてを拒絶するかのように、鏡像のような姿をなった彼女に、ドモンは語りかける。

 

 

ドモン「レイン、聞こえるか? レイン! 返事はしなくてもいい。聞いてくれていればいい!」

 

レイン「……」

 

ドモン「なあ、俺達は、この一年間、一体なにをしてきたんだ? 俺達のこの時間は、一体なんだったんだ? まだなにも答えなんて出てないじゃないか。覚えているか? あの時、母さんの墓前で10年ぶりにあった俺達は、上の連中に無理やりデビルガンダム探索を押し付けられて、なにもわからないまま、地球に放り出された……」

 

レイン「……」

 

ドモン「確かに、俺はガンダムで戦った。でもそれはすべげ、お前がいつも一緒に居てくれたおかげなんだ……。お前と俺とで戦ってきた勝利なんだ。だから、これからも一緒じゃなくちゃ意味がなくなるんだ……!」

 

レイン「……」

 

ドモン「俺は、戦うことしかできない不器用な男だ。だから、こんな風にしか言えない……!」

 

レイン「……」

 

ドモン「俺はお前が……」

 

 

 ゆっくりと息を吸う。

 

 

ドモン「お前が、好きだあぁぁぁ!!! お前が欲しいぃぃぃ! レイィィィン!!!」

 

 

 この瞬間、デビルガンダムのコアからレインは解放され、ゴッドガンダムのコックピットへと跳ぶのだった。

 

 相乗りとなったゴッドガンダム。

 

 

ドモン「さあ、最後の仕上げだ!」

 

レイン「ええ!」

 

ドモン&レイン「二人のこの手が真っ赤に燃える!」

 

ドモン「幸せ掴めと!」

 

レイン「轟き叫ぶ!」

 

ドモン&レイン「ばぁぁぁぁくねつッ! ゴッド! フィンガー!」

 

ドモン「石!」

 

レイン「破!」

 

ドモン&レイン「ラァァァブラブ! 天驚けぇぇぇぇん!!!」

 

 

 ついに、ドモンを苦しめたデビルガンダムは消滅する。

 

 

シャピロ「ばっ、馬鹿な……! 私が、神となるこの私が、敗れるというのか……?」

 

忍「はっ。最初から何度も言ってるだろ。お前は、神なんかじゃねぇってな!」

 

シャピロ「そんな馬鹿な……俺こそが、私こそが……えらばれし……か……」

 

 

 野望に生き、様々な人を利用した男が、ついに倒れた……

 

 

 こうしてついに、地球圏をまきこんだすべての争い。後に『第二次地球圏争乱』と呼ばれる戦いは、終わりを告げる。

 

 

 あとはいよいよ、世界を救うという大仕事を残すのみである!

 

 

 第16話 終わり



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最終話 旅の終わり

 

──『世界を救う』──

 

 

 インターミッションで『世界を救う』コマンドが実行されました。

 

 

ロゼ=リア「さあ、トーヤ、ついに時が来ました。戦力は既に十分。『ジ・ヴォーダ』を破壊し、世界を救う時が来たのです!」

 

統夜「ああ。みんな知っている。『ジ・ヴォーダ』を倒すため、それを君の身体に呼び出すことも」

 

ロゼ=リア「はい。『ジ・ヴォーダ』の本体はむこうの領域にあります。破壊するためにはこの物質世界に呼び出すしかありません。ですから、『ジ・ヴォーダ』と化したわたくしごと、それを滅し、世界を救ってください!」

 

統夜「……」

 

 

 戦いますか?

 

 

 『はい 』

→『世界を救い。君も助ける』

 

 

 幾多の戦いを経て、多くの仲間とであった今、そこに、新たな選択肢が生まれた。

 

 

ロゼ=リア「とても楽しい時間がすごせました。トーヤ。本当に、ありがとうございます……」

 

統夜「悪いけど、君のその悲壮な覚悟、今から踏みにじらせてもらう。俺は、君ごと『ジ・ヴォーダ』を倒すつもりはない」

 

ロゼ=リア「な、なにを言うのです! なら、世界はどうなるのです!?」

 

統夜「世界も救うよ。君を殺さず!」

 

ロゼ=リア「そ、そんなことできるわけがありません! あれは、『ジ・ヴォーダ』はこの領域にいないのですよ。我々の届かぬところにおり、一方的に攻撃できる。そんなの、どうするというのです。どう倒すというのです! できるわけありません!」

 

統夜「ここから届かないのなら、届くところに行けばいい」

 

ロゼ=リア「いくらバシレウスに選ばれたあなたとはいえ、そんなことは……!」

 

統夜「ああ。俺一人じゃ無理だ。でも、俺にはみんながいる。みんながいればできる!」

 

イネス「説明しましょう」

 

テニア「え!? ここで説明おば(以下自粛)!?」

 

 

 にゅっと現われた説明おねーさんが説明をはじめる。

 

 

 まず、ロゼ=リアに一度、『ジ・ヴォーダ』をこの世界に顕現させてもらう。

 それを、レーバテインの妖精の羽をもちいて一度遮断。ロゼ=リアとのリンクを断ち切り、むこうの世界へとお帰り願う。

 

 ジ・ヴォーダのいる世界は、いわばオムニスフィアの裏。ほぼ表裏の違いでしかない同じ力であるから、妖精の羽をもちいることで、一時的に無力化できる。

 

 そうしてできた門を使い、第13独立部隊が、あちらの世界へ突入する。

 

 

ロゼ=リア「そのようなこと、不可能です。あちらは物質を超越したエネルギーのみの世界。そこに、どうやってこのままあなた方が行けるというのです!」

 

 

 そこで登場するのが、ダイモスのダイモライト。

 最大まで高めれば、機体さえエネルギーに変えるそれを使う!

 

 すべての機体をエネルギーに変え、物質を超越し、ディストーションフィールドと共に、あちらの世界へ突入するのだ!

 

 

 そして、むこうの領域で、『ジ・ヴォーダ』を撃破する。

 

 

統夜「そうすれば、君を犠牲にすることなく、世界を救える」

 

ロゼ=リア「そんな無茶な方法、例え成功しても、今度はあちらの世界で他と混じりあい、帰ってこれるかもわかりません。なのに……!」

 

統夜「成功の確率なんて知ったことじゃないよ。俺達は、君も救える可能性があるのなら、それを実行する。それだけのことだ」

 

ロゼ=リア「っ!」

 

統夜「確かに、君とであった時ではこんなこと無理だった。俺一人じゃ、君を犠牲にして世界を救うことしかできなかった。でも、今ならできる。ここに、みんながいるから!」

 

ロゼ=リア「トーヤだけでなく……?」

 

統夜「そう。だから、救わせて欲しい。世界も、君も!」

 

 

 バシレウスは、世界を救う救世主として統夜を選んだ。

 共に戦い、ロゼ=リアは彼ならば確かに『ジ・ヴォーダ』を破壊し、世界を救ってくれると確信していた。

 

 だが、まさか。自分にまでその手が差し伸べられるとは、夢にも思わなかった!

 

 想像さえ、していなかった……!

 

 

 思わず、涙がこぼれた。

 

 

ロゼ=リア「わたくし。ずっと諦めていました。だから、楽しかった。皆さんと一緒にいた、この短い時間が。それが、永遠に続けばいいのにと思ってました。それが、これからもずっと続くんですか……?」

 

テニア「そうだよ。だからもう、強がらなくていいんだよ」

 

メルア「明るく振舞っていたのは、本当は怖かったからなんですよね」

 

カティア「私達の近くにも、同じように振舞う子がいるから、知っているわ」

 

テニア「てへへ」

 

シャナ=ミア「だから、もういいんですよ。素直になって」

 

ロゼ=リア「……わたくし。わたくし、ずっと怖かった。消えたくなかった。ずっとずっと、言いたかった。誰かに。助けってって……! トーヤ、わたくしを、助けてくださるの……?」

 

統夜「そんなの……」

 

みんな「当たり前だ!」

 

 

 皆の声が、重なる。

 

 度重なる戦いの中。何度も誰かが見捨てられて不思議でない状況となった。

 それでも彼等は、誰一人見捨てることなく歩いてきた。

 

 ならば、彼女にだって手を伸ばす。それは、当然のことだ!

 

 

ロゼ=リア(ああ、父上……)

 

???「ロゼ=リアよ、お前にのみ、過酷な定めを背負わせ、すまないと思う……」

 

 

 今でも思い出せる。

 あの日、あの時のことを……

 

 

???「生きて地獄を味あわせ、そして死ねなどと、父として情けない気持ち一杯だ……」

 

ロゼ=リア「よいのです。父上。世界を救うため。それこそが、我々の罪滅ぼしなのですから……では、行ってまいります」

 

???「……」

 

 

 それは、『ジ・ヴォーダ』の力に飲まれ、滅びゆく星を看取る中。彼女が旅立つ直前にされた会話だった。

 

 バシレウスに導かれ、光に消える中、彼女は聞いた。

 

 

???「誰かはわからぬ。しかし、バシレウスに選ばれし者よ。どうか、どうか。我が子を救ってやってくれ……! 我等はどうなってもいい。この子だけは!」

 

 

 父の最後の願い。

 決して叶わぬと思いつつ口から出た、我が子の幸せを願う想い。

 

 彼女も叶わぬ願いだと、その時は聞き流していた。

 

 だが、その願いは、今──!

 

 

ロゼ=リア(あぁ、父上。バシレウスの選んだ方は、本当の。わたくしにとって、本物の救世主でした……!)

 

 

 ──かなった!

 

 

 こうして、世界と少女を救う作戦が、はじまった!

 

 

──地獄行き──

 

 

ロゼ=リア「では、皆様。行きましょう!」

 

かなめ「ソースケ!」

 

宗介「ああ」

 

テッサ「準備は終わっています」

 

一矢「こちらの準備は万端だ」

 

和泉博士「いつでもゆけるよ」

 

ユリカ「ルリちゃん」

 

ルリ「はい。いけます」

 

統夜「いこう、みんな!」

 

 

 妖精の羽が発動し、ダイモライトが大きく輝いた。

 

 巨大な光が、開いた地獄の門へと吸いこまれてゆく。

 

 

 残されるのは、作戦を見守る博士達。

 

 彼等は祈る。無事、戦士達がこの世界へ帰ってくることを。

 

 

統夜「ここは……」

 

 

 到達したそこは、闇の世界だった。

 

 唯一光り輝くのは、エネルギー体となっている第13独立部隊の面々のみ。

 

 

 ぽうっ。

 

 闇を切り裂く光に照らされ、それはゆっくりと姿を露とした。

 

 

 それを見て、皆、確信する。

 

 

統夜「あれが……」

 

ロゼ=リア「はい、あれが、『ジ・ヴォーダ』。その本体に違いありません」

 

 

 それはどこか、ロゼ=リアの面影を思い起こさせる姿をしていた。

 すべてを優しく包みこむ、母のような雰囲気さえ感じる。

 

 無垢であり、すべてを無償の愛で包みこんでくれそうな気さえした。

 

 だが、だからこそ、恐ろしい。

 

 

ロゼ=リア「あとは、あの『ジ・ヴォーダ』を破壊すれば!」

 

統夜「そうだ。あともう一つ」

 

ロゼ=リア「はい?」

 

統夜「俺達は、あれを壊しにきたんじゃない。あいつも、救いに来た」

 

ロゼ=リア「それは、どういう?」

 

統夜「ゾンダー達を見て、思ったんだ。あの子もまた、与えられたことをやっているだけだと。だから、壊すんじゃなく、ゾンダープログラムと同じく、浄化して、新しく生まれ変わらせる! 俺達には、それだけの力があるはずだから!」

 

ロゼ=リア「そんな、こと……っ!」

 

 

 考えもしなかったと、ロゼ=リアは驚きを隠せない。

 彼等は世界を救うだけではない。本当の意味で、すべてを救おうとしているのだ……!

 

 

ロゼ=リア「本当に、お優しい方々ですわ。地球の方は、本当に……」

 

ユリカ「それでは皆さん。これが最後の戦いです!」

 

ブライト「総員……」

 

 

 言い終わる前、それは起きた。

 

 

???「ヲオォォォォ」

 

???「あぁぁぁぁぁ」

 

甲児「なんだ?」

 

 

 統夜達の光に照らされ、それが次々と浮かび上がる。

 

 

ドクターヘル「ぐおおおぉぉ!」

 

ハ=カ・セ「あぁぁぁぁあ。やめて。助けて! 熱い。痛い。痛いいぃぃ!」

 

ゴーゴン大公「苦しい。苦しいぃ!」

 

ジブリール「痛い。痛いよぉ。助けて。誰か助けてえぇぇぇ!」

 

 

 そこに現われたのは、怨嗟と苦しみの声をあげながらのたうつかつての宿敵達だった。

 

 

アキト「北辰。それに草壁までいる」

 

ルリ「共にいるのに、互いに気づいていないみたいです。求めていた主が近くに居るのに、気づけない。まさに地獄ですね」

 

 

 その姿は、かつて襲い掛かってガウ・ラの中枢(前作最終話)で襲ってきたあの姿によく似ていた。

 ここはまさに、それと同じものがいる世界。

 

 痛みと苦しみの声がいたるところから響き、まさに地獄という名にふさわしい場所だった。

 

 

ドクターヘル「痛い。この痛みを、この痛みを……っ!」

 

甲児「こいつ……!」

 

 

 現われたかつての宿敵達の意識がこちらにむいたのがわかった。

 

 新たな怨念が形作り、かつて戦った機体を形作る。

 

 

シャピロ「貴様等も、この痛みを、苦しみを!」

 

忍「またかよシャピロ! いい加減にしろ!」

 

 

 第13独立部隊の面々にむかって襲い掛かってきた。

 それはまるで、同じ地獄を味あわせんとする、亡者のごとく。

 

 

アムロ「怨念が。怨嗟がくる!」

 

ブライト「総員、直ちに戦闘配置につけ! 奴等を排除し、最後の作戦を実行する!」

 

 

 こうして『ジ・ヴォーダ』とそれに群がるかつてのボス達との戦いがはじまる。

 

 そこには、前作で戦って散ったドクターヘルの姿や、クルーゼの姿さえあった。

 そこに堕とされた者達はすでに理性などなく、ただただ地獄に仲間を増やそうと、同じ苦しみを味あわせようと、生者である統夜達に襲い掛かってきたのである。

 

 

暗黒大将軍「貴様は、剣……? 鉄也かあぁぁぁ……!?」

 

闇の帝王「おぉぉ。剣鉄也。剣鉄也よぉぉ!!」

 

鉄也「地獄に落ちてしまえば、貴様も他と同じらしいな!」

 

東方不敗「ワシがここで引導を渡してくれよう!」

 

 

クルーゼ「くくくくく。はははははは。ははははははははは! こここそが私の望んだ世界! さあキラ君。私と一つになろう。それで、すべて解決だ。ふふ。ははははは!」

 

キラ「あなたは……!」

 

ムウ「地獄に落ちてもかわらねぇってのは、ある意味すげえなこいつは」

 

 

ク=ランドン「絶望せよ。絶望せよおぉぉぉ!」

 

シャナ=ミア「……グ=ランドン。あなたの苦しみを、今日こそ救ってみせましょう」

 

 

オルバン「いたいいいぃぃ!」

 

ズ・ザンバジル「苦しい。苦しいいぃ。この苦しみを、貴様等にも!」

 

ジャネラ「この痛みを、熱を、味わえ。お前達も!!」

 

一矢「その苦しみも、今日までだ!」

 

健一「敵であった者達だが関係ない、この苦しみから、解放する!」

 

豹馬「そうだぜ。だから、大人しくしろ!」

 

 

ギレン「ジーク、ジオン! ジーク、ジオン!」

 

レイ「なんだ? こいつ、なにかおかしい」

 

アムロ「これは、この人だけじゃない。ジオンという幻影に見せられた人達すべての集合体。苦しみと憎しみだけが集まってこの人の姿を借りた、怨念の集まりだ!」

 

レイ「あのハ=カ・セとかいうのと同じってことか!」

 

 

ハ=カ・セ「ここは、違う! ここじゃない! 我々が求めた楽園は、違う。違う! だから、助けろ。痛い! たすけろぉぉぉぉ!」

 

統夜「……いや、あんたらが望んだ楽園てヤツは、ここだよ」

 

ロゼ=リア「……」

 

 

 登場する宿敵達すべてはかつての強さのまま登場するのでかなり手間をかけさせられるだろう。

 しかし、倒すたび外に残る者達の声や想いが聞こえ、SPやエネルギーが回復し、ついでに気力もあがるため消耗は気にせず戦うことが可能だ。

 

 

 ズ・ザンバジルを倒したあと。

 

 

カザリーン「ハイネル様……」

 

ハイネル「この声は……!」

 

カザリーン「私は、いつでも、いつまでもあなた様のことを見守っておりますから……」

 

ハイネル「……ふっ。そうか」

 

健一「兄さん」

 

ハイネル「不思議と、力がわいてくる。これは、一体どういうことだろうな」

 

大次郎「それが、愛ってやつったい。もう一人の兄さん!」

 

日吉「うん!」

 

 

──戦闘前会話 グランドン──

 

 

VSロゼ=リア

 

グランドン「おおおぉぉぉぉ……」

 

ロゼ=リア「聞いたことがあります。かつて我が方を苦しめた偉大な騎士団長。その勇猛な姿も、今はもう、見る影もありませんのね……」

 

グランドン「おおぉぉぉ……絶望、絶望せよおぉぉ……」

 

ロゼ=リア「ならば、救いの手を差し伸べるのがせめてもの情け! 安らかに、お眠りなさい!」

 

 

VSカティア、テニア、メルアの誰かと戦闘 ※メイン、サブどちらでも

 

テニア「グランドン……」

 

カティア「哀れな人。かわいそうな人ね……」

 

メルア「はい、わたし達の復讐は、あの時終わりました。だから、二人共!」

 

カティア「ええ。そうね」

 

テニア「憎しみも全部ふりきるため、今度は手をさしのべよう!」

 

メルア「せめて、安らかに!」

 

 

──ジ・ヴォーダへ──

 

 

 生きて帰りを待つもの。死してなお彼等を見守るもの。それらの想いを受け、統夜達はついに『ジ・ヴォーダ』の元へとたどりついた。

 

 

ジ・ヴォーダ「わたしは安らぎを与える者。生けとし生けるものよ。もう安心するのです。すべてに安らぎを。すべてに安寧を。わたしが与えましょう。わたしが導きましょう……」

 

ロゼ=リア「……」

 

統夜「今の君に、君が間違っていると言っても通じないのだろう。だから、一度君を倒させてもらう。君を、あるべき姿へ戻すために!」

 

ジ・ヴォーダ「なにを言っているのです? わたしにその身をゆだねれば、すべては安らぎに包まれます。さあ、見なさい。皆安らぎの時をすごしているでしょう。これがすべてのものが望む、楽園なのです……」

 

 

 彼女の目で見れば、先の宿敵達の行動は、楽園へ友をいざなうため、ハグし、いざなおうとしているほほえましい光景にしかとらえられていなかった。

 それが、彼女に与えられた安らぎの定義。破壊こそが、安寧。そもそも認識が、違うのである……

 

 

ロゼ=リア「わかっています。あなたは悪くない。だからもう、なにも言う必要はありません。悪いのはわたくし達。救いの手は、自分達で伸ばすしかないのですから。トーヤ、皆さん。お願いします!」

 

統夜「ああ!」

 

 

 ここに、『ジ・ヴォーダ』との、最後の戦いが、はじまった!

 

 

 純粋なエネルギーの塊となった『ジ・ヴォーダ』の猛攻は激しかった。

 

 この世界そのものといっていいそれは、どの場所へも攻撃でき、逃げ場など最初から存在しない。

 

 全体を締め上げるよう、すべてのもののエネルギーを奪い、心を折り、絶望させ、彼等をこの世界へといざなおうとした。

 ※敵ターン最初にHPやエネルギー、SPを一定の割合減らしてきたりする

 

 

 しかし、そのような攻撃、幾度もの絶望を切り払ってきた統夜達に通じはしない。

 

 いかなる攻撃も、いかなる言葉も、すべて耐え抜き、『ジ・ヴォーダ』へと攻撃を返す。

 

 

 エステバリスカスタムのダブルゲキガンフレアが。

 

 ガオガイガーのゴルディオンハンマーが。

 

 マジンカイザーとグレートマジンガーのダブルバーニングファイヤーが。

 

 Gガンダムとマスターガンダムの究極石破天驚拳が。

 

 コン・バトラーVとボルテスVとダイモスの超電磁烈風正拳突きが。

 

 インフィニットジャスティスとストライクフリーダムのコンビネーションアサルトが。

 

 ダンクーガの断空光牙剣が。

 

 ウルズチームのウルズストライクⅡが。

 

 ガンダムチームのV作戦が。

 

 

 そして、最後に……!

 

 

ジ・ヴォーダ「なぜです。なぜ、安らぎを受け入れないのです。すべては、皆が望む、安らぎの園というのに……」

 

統夜「ここがそう見えているのなら、君の認識が間違っているということになる。一度、そのシステムを止めさせて貰う! いくぞ!」

 

パートナー「はい!」

 

 

 グランティード・ドラコデウスのインフィニティ・キャリバーが、『ジ・ヴォーダ』を刺し貫いた。

 

 

ジ・ヴォーダ「わたしは……わたしは、すべてのものに安らぎをあたえるもの。あたえねば……あた……あ……」

 

 

 動きを、止める。

 

 

統夜「これからが本番だ」

 

 

 インフィニティキャリバーをしまい、無手となったグランティード・ドラコデウスが大きく両手を広げ、『ジ・ヴォーダ』を優しく包みこんだ。

 

 

統夜(見える。サイトロンを通じて、それがなぜそうなっているのかが!)

 

統夜「生まれ変われ! 『ジ・ヴォーダ』! すべてを正せ。グランティード・ドラコデウス!!」

 

 

 護がゾンダーメタルを浄化した時のように、緑の光。オルゴンの力が輝きを放つ。

 

 光に包まれたそれは、小さな小さな塊となって、ドラコデウスの中へと吸いこまれていった。

 

 それは、未来の卵。

 いずれ新たに生まれる、安らぎの園の管理者の姿だった。

 

 

 はじけた光が闇を切り裂く。

 地獄と呼ばれた世界に光が溢れ、恨みを唱えていた存在はすべて消えてゆく。浄化されてゆく。

 

 

甲児「終わったか……」

 

ロゼ=リア「はい。ですが、まだ終わりではありません」

 

 

 そう。『ジ・ヴォーダ』が消えた。

 すなわちそれは、この領域の終わりを意味する。

 

 地獄に堕ちた者達も、ここにいる者達も、今度は等しく平等に、オムニスフィアやザ・パワーと呼ばれる表の領域へすいこまれてゆくだろう。

 そこは『彼等』の望んだ安らぎの世界。

 

 しかし統夜達はまだ、その世界へ行くわけにはいかなかった!

 

 

統夜「これは……!」

 

ルリ「予想以上の力で引っ張られてゆきます! このままでは私達も、すべて一つになりかねません!」

 

タリア「ちょっと、分が悪いかもしれないわね」

 

シン「それは困る! まだ俺達は、デュランダル議長とやらなきゃならないことがあるんだ!」

 

レイ「そうだ。グラディス艦長だってそうだろう!」

 

タリア「もちろんよ。諦めたりなんかしないわ!」

 

 

豹馬「つってもよ、これで、どうしろってんだ?」

 

アムロ「……!」

 

セイラ「……っ!」

 

統夜「これは……!」

 

 

 ニュータイプの音が光り、音が響いた。

 

 

アムロ「聞こえる」

 

セイラ「ええ。私達を呼ぶ声が」

 

ブライト「え?」

 

 

マユ「お兄ちゃん。こっち」

 

シン「マユ……?」

 

カザリーン「こちらです。ハイネル様」

 

ハイネル「カザリーン」

 

ウズミ「君達はまだ、こちらに来るべきではない……」

 

キラ「ウズミさん……」

 

 

弓教授「こっちだ。甲児君。さやか」

 

さやか「お父様!」

 

 

竜崎博士「一矢よ」

 

リオン大元帥「エリカよ」

 

一矢「父さん!」

 

エリカ「父上!」

 

 

華「護君。こっち!」

 

護「華ちゃん!」

 

 

恭子「カナちゃん!」

 

かなめ「キョーコの声まで!」

 

恭子「なんかその言い方失礼な気がするよ!」

 

かなめ「あはは。ごめんごめん」

 

 

ドモン「兄さん……」

 

凱「……母さん。聞こえたよ」

 

 

レナード「……」

 

テッサ「兄さん……」

 

レナード「はじめて、この世界に生まれてきてよかったと思えたよ……」

 

 

カリーニン「……」

 

カリーニン(世界を変える必要など、なかった。望めば、私達はいつでも会うことができたのだな……)

 

 

 その導きの声に、男は心の中で、静かに涙を流す。

 

 

統夜「聞こえた。父さんの声が」

 

メルア「はい。聞こえます。お父さんとお母さんが、わたし達を」

 

シャナ=ミア「お父様……」

 

テニア「行くよ、みんな!」

 

カティア「ええ。この導きがあれば!」

 

 

アル=ヴァン「フー=ルー。お前も、我等を見守ってくれているというのか……」

 

カルヴィナ「……女の名前みたいだけど、誰?」

 

アル=ヴァン「妬いているのか?」

 

カルヴィナ「違うわよ」

 

 

ジュア=ム(俺は、死んでいたらどちらの立場だったのだろうな……)

 

クド=ラ「兄さん?」

 

 

 死したもの。生けるもの。

 彼等の無事を願う者達の想いが、彼等を出口へと導いてゆく。

 

 

???「そうだロゼ=リア。むかうのだ。その先へ……」

 

ロゼ=リア「父上……」

 

 

アムロ「そうだ。僕達にはまだ、帰れる場所があるんだ。こんなに嬉しいことはない……!」

 

 

 こうして第13独立部隊の面々は、無事、地球への帰還を果たすのだった……!

 

 

 最終話 終わり



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エンディング1

 

──フラグに関するあれこれ──

 

 

 無事エンディングをむかえることになり、残るはいかような終わりとなるか。である。

 なのでエンディング直前のここで、そのことに関して説明しておこうと思う。

 

 まず、今回も、前作と同じく、出撃ごとにポイントがたまってゆく形である。

 簡単に言えば、統夜と共にフューリー機に相乗りした回数が多い者とエンディングをむかえると考えればわかりやすいだろう。

 

 バシレウスのメインパイロットであるロゼ=リアと、途中加入となるクド=ラは例外で、グランティード・ドラコデウスとなったあと、統夜のサブパイロットに居た回数により、通常の倍のポイントが得られることになる。

 もちろん、この二人は途中退場などしていないことが前提条件となる。

 

 ちなみに、フューリー機の中には一人で動かせるものもあるので、その気になれば誰にもポイントを増やさずにエンディングをむかえることも可能である。

 逆にグランティード・ドラコデウスには3人サブパイロットが乗れるので、その分ポイントが加算される。

 

 エンディングの種類はノーマルソロ、ノーマルノーマル、カティアエンド、クド=ラエンド、シャナ=ミアエンド、テニアエンド、メルアエンド、ロゼ=リアエンド(五十音順)、全員エンドの9種となる。

 

 このうちノーマルソロは、対応ヒロインがすでに退場していた場合や、全員のポイントが一定以下であった場合、誰とも結ばれないという、統夜一人エンドのことを指す。

 

 ノーマルノーマルは、ヒロインが全員生存し、全員のポイントが一定以上であるが、個別エンドをむかえるまで得られていない場合のもの。前作のノーマルエンドと同じで、万一次があった場合ここからはじまると考えればいいというエンド。

 

 個別エンドは説明するまでもなく、全員エンドは、全員が個別エンドを迎えられるだけポイントを貯めていた場合に見られるものとなる(今回は周回加算可能)

 

 

──ノーマル ソロエンド──

 

 

 すべての戦いは終わった。

 

 統夜は一人、仲良く話をする彼女達を見つめていた。

 

 

弓教授「どうしたのかね?」

 

 

 どこかたそがれている統夜に声をかけたのは、一番最初から気にかけてくれた恩人だった。

 

 

統夜「どうやら、俺はもうあいつ等には必要ないみたいです」

 

弓教授「それは、どういうことかね?」

 

 

 最初こそは、生きるため互いに必要だった。

 それは、精神的にも、戦力的にも。

 

 だが、長い戦いを経て、彼女達は強く成長し、心の傷も癒えた。

 

 そんな彼女達の心に、統夜という支えはもう必要ないのだ。

 

 彼女達はもう、統夜を必要とせず、一人で歩いている。

 

 彼はそれを、感じ取ったのである。

 

 

統夜「俺にも、彼女達にも、もう互いは必要ない。だから、俺達はもう、別々の道を歩むべきなんだと感じました……」

 

弓教授「そうかね。確かに、互いに新しい道を見つけたのなら、別々に歩きはじめてもよいだろう。でも、いいのかね?」

 

統夜「いいんですよ。俺がもう、必要とされていないんですから。なにより、彼女達とはいい仲間です。離れていても問題ありません。他のみんなと同じですよ」

 

弓教授「確かに、そうだね」

 

統夜「だから、これでいいんです」

 

 

 こうして、統夜と彼女達は別の道を歩き出した。

 

 新しい未来のために……

 

 

 それから。

 

 確かに地球は平和になった。

 しかし、悪の芽がすべて摘み取られたわけではない。

 

 世界規模でなくとも、戦争の残した遺物を使い悪さをしたり、機をうかがっていたりした組織もいるだろう。

 

 さらに言えば、宇宙からの脅威も完全に消えたとは言い切れない。

 

 そのため統夜は、彼女達が幸せに暮らせるよう、地球の未来を守ろうと決めた。

 

 

 Gアイランドシティ、ベイタワー(再建)

 GGG本部。

 

 

鉄也「そうか。ついに覚悟を決めたか。ならばお前を戦士と認めねばなるまいな。これからお前も、一人前の戦士だ!」

 

凱「歓迎するよ。統夜君!」

 

炎竜「ああ。頼りにしてるぜ」

 

氷竜「共に地球を守っていこう!」

 

統夜「はい!」

 

大河長官「剣君に続き、歴戦の勇士である君が加わってくれるのなら、GGGもあんた……」

 

???「ちょおっと待ったぁ!」

 

大河長官「なにっ!?」

 

ゴルディ「誰だ!?」

 

クルツ「そいつをスカウトしたいってんなら、こっちも黙っちゃいないってことさ!」

 

マオ「そういうこと。せっかくだからさ、ウチ(ミスリル)に就職しない? こっちも再建したばかりで、人手不足なんだわ。いい待遇にしておくわよ?」

 

大河長官「なんと!」

 

クルツ「そいつを評価しているのは、GGGや光子力研究所だけじゃないってことですよ」

 

プロスペクター「おっと、それならばウチも名乗りをあげたいところですね」

 

統夜「プロスペクターさん!?」

 

プロスペクター「おひさしぶりです。一応ナデシコには乗っていたのですが、顔をあわせるのは久しぶりですね。ともかく、統夜君ほどの逸材ならば、ネルガルの方でも喉から手が出るほど欲しい人材です。サイトロンとIFSは相性も悪くありませんしね。ですので、どうです? 色々色をおつけしますよ?」

 

ムウ「それならこっちもいるぜ!」

 

統夜「ムウさん!」

 

ムウ「アークエンジェル隊が軍に完全復帰することになってな。統夜、せっかくだから、仕官する気はねぇか? 准将くらいの地位もらえそうだぞ」

 

クルツ「准将!?」

 

プロスペクター「そこまで出しますか」

 

鉄也「次から次へと。紫雲を最初に預かったのはウチだ。よそへはわたさん!」

 

プロスペクター「いやはや、あなたがそこまで言うとは。それほど目をかけていたのですね」

 

鉄也「ふん」

 

統夜「鉄也さん……」

 

東方不敗「ほぉう。中々面白い話をしておる。小僧がフリーになったというのなら、ワシの出番でもよいわけだな。あのバカ弟子もようやく手がかからなくなったところだ。ここいらで新たな弟子をとるのも悪くなかろう。ニュータイプにも似た先読みの力で、次代のシャッフル同盟。目指す気はないか?」

 

ムウ「マスターアジアまできやがったか!」

 

鉄也&凱「ウチだ!」

 

クルツ「ウチだ!」

 

プロスペクター「ウチです!」

 

ムウ「ウチだ!」

 

東方不敗「ワシだ!」

 

 

 やいのやいのと、統夜争奪スカウト合戦がはじまってしまった。

 

 

プロスペクター「っと。我々でいがみあっては本末転倒。こうなっては仕方ありません。ここは、統夜君本人に決めていただきましょうか」

 

統夜「……え?」

 

 

 その提案に、全員の視線が統夜に集まる。

 

 

統夜「は、ははは」

 

統夜(確かに地球を守る仕事につきたいとは思ったけど、まさかこんなことになるとは……)

 

 

 思わず乾いた笑いが出てしまった。

 

 しかし、どの組織に属そうと、統夜の願いはかなえられるだろう。

 

 悪の芽はいまだ消えない。

 だが、この地球には多くの正義を守る戦士、勇者達がいる。

 

 彼等が居る限り、この地球が悲しみに染まることなどありえないのだから!

 

 

 統夜の戦いは、まだはじまったばかりだ!

 

 

 

 おしまい。

 

 

──ノーマル ノーマル──

 

 

甲児「このダンボール、これはどっちだ?」

 

カティア「それはロゼ=リアのものね」

 

甲児「ならこっちか」

 

 

 戦いは終わり、ロゼ=リアは未来を得た。

 

 しかし、過去に居た世界に戻っても、そこにはすでに誰も居ない。ならば、これからのことはここで考えようということになったのである。

 当初彼女は未来のことなどなにも考えていなかった。

 

 ゆえにシャナ=ミアのところでやっかいになっていたが、これからは違う。ということで、そこを飛び出し、新たな生活をはじめようと、引越しをしたというわけである。

 

 そして同じように、クド=ラも、シャナ=ミアのところを出る。

 これからは正式に地球の留学生として、統夜達の後輩となるために。

 

 もちろん住む家は、統夜達の住む家の近くだ。

 

 

甲児「ふー。これでどれくらいだ?」

 

ロゼ=リア「まだ半分くらいですわね!」

 

ボス「まだ半分!? 一人だけなのに、なんでこんなにあるんだわさ!」

 

 

 ロゼ=リアの答えを聞き、ボスも甲児も驚いた。

 

 

カティア「これ、私達が引っ越してきた時の量に匹敵するわね」

 

メルア「ですね」

 

テニア「なんでこんなに……?」

 

ロゼ=リア「だって、未来が開けたんですもの。色々気になって……」

 

さやか「それで、興味がわいたものを手当たり次第注文したわけね」

 

ロゼ=リア「ですわっ!」

 

 

 えっへんと胸を張った。

 

 

テニア「それ、威張れることじゃないよね!」

 

ロゼ=リア「てっへへー」

 

統夜「あれ? こっちはまだ終わらないのか?」

 

クド=ラ「ボクの方はもう終わったよ?」

 

ロゼ=リア「早い!」

 

クド=ラ「まあ、元々ボクの荷物はそんなに多くないし、追加もそこまでだったんだけど……」

 

ロゼ=リア「どうしてこんなに差がつきましたの……」

 

甲児「そりゃ荷物をコレだけ増やせばそうもなるだろ……」

 

シャナ=ミア「しかたありません。私達もこちらを手伝いましょう」

 

統夜「そうだな」

 

ロゼ=リア「すまないですわねぇ」

 

クド=ラ「全然悪気が感じられない!」

 

かなめ「はいはい。口を動かすより手を動かしましょう」

 

ボス「というか、こんな時相良のヤツはどこへ行ったんだわさ? あいつがいれば、もっと楽になるってのに」

 

かなめ「そうねえ……この気配! ソースケ!」

 

 

 近くにあったモップで、天井をつついた。

 

 

宗介「やるな千鳥」

 

 

 天井裏から、にゅっと宗介が現われる。

 

 

テニア「……あれ? なんか、デジャヴ」

 

かなめ「まーた、なにか余計なもの仕掛けようとしたんでしょ」

 

宗介「安心しろ。今回は盗聴器や怪しいものがないかをがないかを見回っただけだ。それ以外はなにもしていない」

 

かなめ「いや、それ前もやったことだからね。同じことしてるからね」

 

宗介「そうだったか……? 普通とは難しいな」

 

かなめ「普通は……まあ、いいわ。そうやって考えるだけ成長してるってことだし」

 

 

 やれやれと、かなめも軽く肩をすくめた。

 

 

かなめ「それより、荷物運ぶの手伝いなさい」

 

宗介「了解した」

 

 

 宗介も加わり、ロゼ=リアの荷物をさらに運び入れる。

 

 

甲児「つかこれ、ゲキガンガー?」

 

ロゼ=リア「ああ、それはヤマダのガイという方からいただきましたの」

 

シャナ=ミア「それはとてもいいものですよ!」

 

カティア「こくこく」

 

 

 ゲキガンガーの映像ディスクに、あれからお気に入りとなったシャナ=ミアとカティアが反応する。

 

 

ロゼ=リア「こんなに食いついてくるとは。ならば、あとできちんと拝見せねばなりませんね!」

 

甲児「……見て、どっちに転ぶか不安だな」

 

 

 下手すると、木連みたいに影響を受けちゃうんじゃないかと心配するのは当然のことだろう。

 だが、それを耳にした統夜は、くすりと笑った。

 

 

統夜「どっちでも大丈夫だよ。ぶっとんでるように見えるけど、実はそうじゃないから。二人と同じで、公と私を分けられる子だからね」

 

甲児「……お前、よくわかってんだな」

 

統夜「そりゃ、仲間だからな」

 

甲児「……お前らしい答えだよ」

 

統夜「?」

 

 

 統夜の答えに、甲児もやれやれと呆れるしかなかった。

 だからこそ、ノーマルエンドなのだが。

 

 

 ピンポーン。

 

 引越しを進めていると、インターホンがなった。

 

 

統夜「あれ?」

 

メルア「他に誰か、来客の予定ありましたっけ?」

 

シャナ=ミア「ないと思いましたが」

 

ボス「じゃあ、また誰かが引っ越してきたんじゃ?」

 

統夜「前と同じパターンか。でも、ロゼ=リアもクド=ラももう引越ししたし。今回他に引っ越してくるような心当たりはないけど……」

 

 

 一体来客は誰が? と、玄関へむかう。

 

 好奇心に負けた大勢の者も一緒に。

 

 

テッサ「こんにちは」

 

テニア「テッサ!?」

 

宗介「大佐殿!?」

 

 

 そこに居たのは、ミスリルの指揮官でトゥアハー・デ・ダナンの艦長、テレサ・テスタロッサだった。

 その後ろには、保護者代わりのカリーニンがこれまた引越しそばを持って立っている。

 

 ちなみにこの保護者役、誰が引き受けるかでダナンは戦場と化したそうな。

 

 

統夜「え? ひょっとして?」

 

テッサ「はい。この近くに引っ越してきましたので、挨拶に来ました」

 

かなめ「ええぇぇぇ!?」

 

宗介「……!!?」

 

クルツ「おーおー、あのむっつりが驚いてやがるぜ」

 

マオ「そりゃ驚くでしょ。あの子がいきなり来たら」

 

 

 かなめの護衛としてついている二人も、その光景を見て面白そうに笑った。

 

 ブラックテクノロジーの元凶。ウィスパードにささやきを送っていたソフィアはこの時代から消え、宿敵のアマルガムも壊滅した今、彼女が世界の裏側で頑張る理由はもうない。

 

 ゆえに、これからしばらく、普通の女の子として、学生生活を送ることになったのである。

 

 この場所を選んだのは、戦友が多いということもあるが、元凶が消えたとはいえ、授かったブラックテクノロジーの知識は消えない。

 かなめ同様まだまだ狙われる可能性もあるため、かなめと同時に護衛のしやすい場所ということで、ここが最適だと選ばれたのである!

 

 そんな感じの建前が、カリーニンから説明された。

 

 

統夜「なんか言葉の間に変な注釈が入った気がする……」

 

カリーニン「きっと気のせいだ」

 

 

 気のせいなのだから仕方が無い!

 

 

テッサ「というわけですから、よろしくお願いしますね。サガラさん」

 

かなめ「まさかテッサ、あんた……」

 

テッサ「まだ時間はありますから。私だって、負けませんよ!」

 

宗介「? ??」

 

 

 にこりと笑い、静かな火花が散ったような気がしたが、きっとそれは気のせいなのだろう。

 

 かなめとテッサ。恋の戦い。

 統夜達と同じく。彼女達の恋の行方も、まだまだ決着はつかないようだ……

 

 

ボス「……ラ、ラブコメの波動が増した気がするー! なんなんだお前等ばっかり、うらやましいんだわさ!」

 

ヌケ「そーだそーだ!」

 

ムチャ「一発殴らせるでやんすー!」

 

統夜「なんで俺までー!?」

 

 

 わいわいがやがやと騒ぎが広がる中、テッサもロゼ=リアもクド=ラも、楽しそうに笑っていた。

 その笑いは、他の者達にも広がってゆく。

 

 どうやら、まだまだ統夜達の波乱の人生は続くようだ……

 

 

 

 おしまい。

 

 

──個別エンド カティア──

 

 

 あれから……

 

 

統夜「ついにここまできたな」

 

カティア「ええ。いよいよね」

 

 

 統夜の胸元に、一つのバッジが輝く。

 それは、新地球連邦の議員である証。

 

 統夜は秘書のカティアのかいがいしいサポートのかいあって、見事議員へ選ばれたのだ。

 

 

アカツキ「やれやれ。まさか君がこちら側にくるとはね。しかも、この若さで」

 

統夜「俺もここまで来れるとは思いませんでした。でも、いつも俺を見守ってくれて、応援してくれる大切な人が後ろにいましたから」

 

アカツキ「へーへー。言ってくれるねぇ」

 

 

 統夜をバックアップする後援会の一つに、ネルガル重工がある。

 そのトップであるアカツキも、統夜がこんなにも早く政界へ足を踏み入れるとは思わなかったようだ。

 

 

デュランダル「君がこちらに来てくれた。これで地球の未来も安泰だろう。君ならば、きっと皆の期待に答えてくれる」

 

統夜「精一杯がんばります」

 

シン「あんたなら大丈夫さ」

 

レイ「それは俺も保障しよう」

 

 

 ギルバート・デュランダルのボディガードを勤めるシンとレイも、新たな議員の統夜を歓迎する。

 

 

デュランダル「これで私も引退し、子育てに集中できるかな」

 

シン「自分としては、まだまだいけると思いますけどね」

 

レイ「夫人の手伝いなら、俺がしますし」

 

デュランダル「ならば、私ももう少しがんばるとしようか」

 

統夜「その方が、俺も心強いです」

 

 

 ベテラン議員と新人議員。二人が揃って笑いあう。

 はたから見て、かつて議長を務めたこともある超大物と談笑できるその姿は、とても新人とは思えないものだったそうな。

 

 

カガリ「ふふっ。政治の世界なら、かなり私の方が先輩だからな。困ったらいつでも頼っていいぞ!」

 

統夜「ああ。その時は、よろしく頼むよ」

 

アスラン「……」

 

カガリ「なんだアスラン。その心配そうな目は! 私だって色々ちゃんとやれているじゃないか!」

 

カティア「大丈夫よカガリ。今度は私もいるから」

 

カガリ「おい、私のが先輩だと言っているだろう!」

 

 

 カガリいじりはコレくらいにして。

 

 

セイラ「ふふっ。楽しそうね。これからも色々大変だと思うけど、一緒に頑張りましょう」

 

統夜「覚悟はもうしてあるから大丈夫。それに、俺には彼女がいるからね」

 

カティア「そういうのは言わなくていいわよ」

 

セイラ「ふふっ。頼もしい答えだわ」

 

 

 統夜より少し先輩議員のセイラと握手を交わす。

 正しく言うと、アルテイシア議員であるが、ここではセイラのままで通させてもらおう。

 

 共に居るラルは、腕を組みながら統夜の方に手を軽く上げ挨拶してくれた。

 

 

カガリ「おい、なんか態度が全然違うぞ。私の時と。どういうことだ?」

 

アスラン「……」優しい微笑み

 

カガリ「なにか言えー!」

 

 

アラン「ついにこの世代がやってきたか。これでまた、世界はより良い方向へと進むだろう」

 

リヒテル「異なる星の者達と交流するのに抵抗のない世代か。確かに、その通りだろう」

 

ハイネル「うむ」

 

 

 父のイゴール長官とは異なる道を進んだアラン議員が、バーム移民代表のリヒテルとボアザン特別大使のハイネルと並び、統夜の背中を歓迎する。

 

 

レナード「やれやれ。若い議員なら僕も同じだというのに、完全にもっていかれたな」

 

 

 さらにレナード・テスタロッサ。

 彼も今までとは別の方法で、世界を変えようとしているようだ。

 

 ちなみに、シャア・アズナブルことキャスバル・レム・ダイクンはララァとどこかで隠居しているようだ。

 

 

 この日、多くの大物議員達が注目する若者が政治の世界へ足を踏み入れた。

 

 魔界とさえ言われる政治の世界で、彼は諦めるという言葉を知らないかのように、多くの弱者に手を差し伸べ、より良い世界へ導こうと、まい進してゆく。

 

 その彼の活動がどうだったのか、評価されるのは、もう少し時代が進んでからになるだろう。

 

 

 ただ……

 

 

統夜「さあ、いこうかカティア」

 

カティア「ええ。いきましょう。あなた」

 

 

 二人は、同じ方向を向いて、新たな一歩を歩みだした。

 

 

統夜「いつもありがとな。君がいるから、俺はなにも恐れず、前だけをむいて歩いていける」

 

カティア「なにを言ってるの。まだまだこれからよ。いくらでも、倒れるまで走り続けていいわ。その背中には、私がいるのだから。だから、これからも一緒にがんばっていきましょう」

 

統夜「ああ」

 

カティア「あと、もう一つ」

 

統夜「ん?」

 

カティア「愛しているわ。この世界の、なによりも」

 

統夜「俺もだよ」

 

カティア「ふふっ」

 

統夜「ははっ」

 

 

 笑い、歩く二人。

 

 そうして歩く、この世界の未来は。彼等の未来は、きっと明るい。

 

 

 

 おしまい。

 

 

──個別エンド クド=ラ──

 

 

 あれから……

 

 

クド=ラ「もらった! 今日こそ、あんたを倒す!」

 

統夜「くっ! だが!」

 

クド=ラ「うそっ!? なにそれ!?」

 

 

 YOU WIN!

 

 

クド=ラ「あーもー。また負けたー!」

 

 

 クド=ラはゲームコントローラーを放り投げ、後ろのソファーに倒れこんだ。

 

 

クド=ラ「なによこれ。わけわかんない! なんで考えるだけで操縦する技術があるのに、わざわざ両手使ってやらなきゃならないのよ!」

 

統夜「脳波コントロール型やコックピット型じゃ俺に勝てないと言うから、せめて平等にとこれを借りてきたんじゃないか」

 

クド=ラ「そうなんだけど、ボクが勝てなきゃ意味ないの!」

 

統夜「俺はけっこう楽しかったけどね。これ」

 

クド=ラ「そりゃ勝ったあんたは気分いいでしょうよ。もー!」

 

統夜「そうか。なら次は別のにしよう。ルリちゃんに返さないとな」

 

クド=ラ「え? それルリのやつなの!? 意外!」

 

統夜「ナデシコに乗ってた時暇つぶしにやってたんだってさ」

 

クド=ラ「へー。あの子もこうういのやるんだ。まあいいや。次!」

 

統夜「まだやるのか」

 

クド=ラ「なによ。あんたが復讐しにきたけりゃいつでも来いって言ったじゃない。だから、来てるの。ゲームに負けたのをリベンジしに!」

 

統夜「……」

 

 

 確かに言った。しかしそれはジュア=ムへの復讐というものだと言いたかったが、彼女もそれを理解しているからか、ゲームのリベンジにという新しい理由を作っていた。

 こうなっては、あの時明確になんの復讐にと明言しておかなかった統夜は不利である。

 

 

統夜「まあ、別に俺のところへ遊びに来るのはかまわないけどさ。せっかく地球にきたんだから、もっと他の。前にも話した地球に降りたらやりたいこととか、やったらいいのに」

 

クド=ラ「うっさいの。ほら、次やるよ!」

 

統夜「ってけっきょくソフト入れ替えただけかよ」

 

クド=ラ「やっぱこの方式が一番勝てそうだから! 次こそ、勝ーつ!」

 

統夜「やれやれ」

 

 

 その新たな復讐に、統夜はつきあうことにした。

 

 

 ところ変わって。

 

 アル=ヴァン宅。

 

 

ジュア=ム「でね、ですね……!」

 

アル=ヴァン「そういえば、その君の妹の夢。結局なんだったんだ?」

 

ジュア=ム「ああ。地球に降りたらやりたいことですか。大切な人と、ずっと一緒に暮らしたいってことですよ。てっきりそれは俺のことだと思ったんですがね……」

 

アル=ヴァン「……聞いてすまなかったな」

 

ジュア=ム「いいんです。あいつは今、幸せのはずですから!」

 

アル=ヴァン「確かにそうかもしれないな。彼ならば、きっとより幸せにしてくれるだろう」

 

ジュア=ム「はい。もちろん、自分も今幸せですよ。アル=ヴァン様とこうして話していられるんですから!」

 

カルヴィナ「それはよかったわ。はい、お茶漬け」

 

ジュア=ム「ありがとうございます、カルヴィナ教官! いやー、こんなもてなしまで、悪いですねー」

 

カルヴィナ「ええ。ゆっくりしていっていいのよ」

 

アル=ヴァン「……」

 

 

 確かしばらく前、シャナ=ミア様が日本の文化について学んでいたことがあったな。なんてアル=ヴァンは思い出した。

 その時、京都という土地では、お茶漬けなるものを客に出す時は……

 

 

アル=ヴァン(いや、やめておこう。それ以上思い出すのは)

 

 

 アル=ヴァンは記憶の棚をあけるのをとりやめた。

 

 

ジュア=ム「本当に今、自分は幸せだー!」

 

カルヴィナ「ふふふ」

 

アル=ヴァン「……」

 

カルヴィナ「あら、どうしたの、あなた?」

 

アル=ヴァン「いや、カルヴィナ。頼むぞ?」

 

カルヴィナ「安心してアリー。そんなヘマしないわ」

 

アルヴァン「……それでも、だ」

 

カルヴィナ「ふふっ。わかったわ。あなたが言うなら、ね」

 

アルヴァン「……」

 

 

 幸せそうにお茶漬けをすする自分の元部下を見て、どうかいつの間にか行方不明になっていたりしないでくれよ。とせつに願うアル=ヴァンであった。

 

 

クド=ラ「くぬっ、くぬっ! あ、あー!」

 

統夜「ふー。今回はちょっと危なかったかな」

 

クド=ラ「もう一回。もう一回よ!」

 

統夜「はいはい。何回でもつきあってやるよ。君の気が済むまでね」

 

クド=ラ「言ったわね! 気の済むまでずーっとつきあってもらうから! ずーっとね!」

 

 

 楽しい笑顔の花が咲く。

 

 きっかけは憎しみ。

 結果は……

 

 

 彼女の復讐の旅路は、まだまだ終わらないようだ……

 

 

 

 おしまい。

 

 

──個別エンド シャナ=ミア──

 

 

 あれから……

 

 

シャナ=ミア「ふんふふふふーん♪」

 

 

 とんとんとんとん。

 軽快な鼻唄と共に、包丁がまな板を叩く音が響く。

 

 美味しそうな匂いを伴った料理の音に、統夜はベッドで心地よいまどろみを覚えていた。

 

 

シャナ=ミア「うん」

 

 

 ことことと音を立てる鍋の中身。味噌汁をひとすくいし、味見をした彼女は、今日もよい出来だとうなずいた。

 

 料理の完成を確信した彼女は火をとめ、ぱたぱたとスリッパを鳴らし、愛しき夫のもとへと走る。

 

 

シャナ=ミア「さあ、あなた。起きて。朝ですよー」

 

統夜「んー」

 

 

 肩を揺らされ、統夜はベッドの中でもぞもぞと動いた。

 

 二、三度揺らされると、ゆっくりと重い瞳を開き、にこにこと微笑むシャナ=ミアを見る。

 

 

統夜「あー。ああ、おはよう。シャナ=ミア」

 

シャナ=ミア「はい。おはようございます。今日はいいお天気ですよ」

 

統夜「そうか。いくつかてるてる坊主を吊るしたかいがあったな」

 

シャナ=ミア「ええ。今日一日、がんばってくださいね」

 

 

 可愛い奥さんが小さく拳を握り、ポーズをして見せた。

 

 

シャナ=ミア「あの子はもうやる気満々で席についてますよ」

 

統夜「幼稚園の運動会だからって、張り切ってるな」

 

シャナ=ミア「だって大好きなお父さんと一緒に走れるんですもの。張り切って当然でしょう。あの子と一緒にがんばってくださいね。目指せ一等賞ですよ」

 

統夜「がんばるつもりはもちろんあるけど、相手にはドモンさんやキラがいるんだ。うちじゃちょっと厳しいよ」

 

シャナ=ミア「そんなことはありませんよ。あの子とあなたなら、きっと負けません。だって、あの子は私達の子ですし、あなたはお父さんなんですから!」

 

統夜「そう言われたら、がんばるしかないな。俺は、お父さんだから!」

 

 

 だって我が子を前にした父は、なんでもできるものだから!

 

 ……その条件は、相手も同じなんじゃ? というのは野暮なので言いっこなしである。

 

 

シャナ=ミア「そのためにはまずは朝ごはん。いえ、まずは顔を洗いましょうね」

 

統夜「確かにね」

 

 

 ベッドから降り、統夜は洗面所へ足をむける。

 

 

シャナ=ミア「あ、そうだあなた」

 

統夜「ん?」

 

シャナ=ミア「大好きですよ」

 

統夜「いきなりなんだよ?」

 

シャナ=ミア「言いたくなったんです。はい、あなたは?」

 

統夜「もちろん、俺もだよ。愛してる」

 

シャナ=ミア「ふふふ」

 

統夜「ははは」

 

 

 二人で顔を見合わせ、笑う。

 

 きっと朝ごはんを今か今かと待つ彼等のお子は、呆れているころだろう。

 

 この町は、とても平和だ。

 なにせ世界で一番強いお父さん達がそろっているのだから。

 

 だから、こうして笑いあう家族の未来は、ずっと明るい。

 

 

 

 おしまい。

 

 

──個別エンド フェステニア──

 

 

 あれから……

 

 

甲児「くわー。やっぱ日本とは色々違うなー」

 

統夜「そうだな。でも、やりがいはあるよ」

 

甲児「ああ。厳しい分、レベルの高さがよくわかるぜ」

 

 

 ここは、アメリカ。

 

 高校を卒業後、統夜と甲児はアメリカに留学していた。

 どちらも、新しい機械工学を学ぶためであり、今は昼飯のため、食堂でのんびりしているところだった。

 

 

テニア「やっほー。統夜。ご飯もってきたよー。やっぱりアメリカはスケール違うね。なんでもおっきいや!」

 

 

 テニアが取り出したのはバスケット。その中にはでっかいサンドイッチが入っている。

 

 

統夜「おー。ありがとな、テニア」

 

テニア「いいのいいの。これくらいしかできないから」

 

 

 てへへ。と笑う。

 

 

甲児「かー。うらやましいもんだぜ。俺もかっこつけないでさやかさんについてきてもらうんだった」

 

統夜「そっちはそっちで、早く終えて帰ろうって励みになるだろうから、また違うと思うけどな」

 

甲児「それはあるな。やる気が違うぜ。でも、そういうのもやっぱうらやましいんだよ!」

 

統夜「そういうのを言い出したら、時間をあわせて通信するとか、そういうのはできないぞ」

 

甲児「悩ましい問題だぜ」

 

テニア「あ、甲児も食べる? 量もいっぱいあるから遠慮しなくていいよ」

 

甲児「おう。いただくぜ!」

 

 

 テニアに促され、甲児もサンドイッチを手にとった。

 

 

アムロ「あれ? 統夜さんに甲児さん?」

 

統夜「アムロ?」

 

 

 食堂に現われたのは、戦友であるアムロ・レイだった。

 

 

統夜「ひょっとして……」

 

アムロ「はい。僕もここで学ぶことになりました」

 

 

 きゅぴーんと光が走り、阿吽の呼吸で統夜の疑問に答えを返す。

 

 

甲児「そうか。ようこそ。だぜ。アムロも食うか?」

 

テニア「まるで自分のお昼のように。作ったのはアタシで、統夜のなんだからね」

 

甲児「どうせ勧めるんだから同じだろ?」

 

テニア「そりゃいっぱいあるから誘うけどさ。なんか気に入らないの!」

 

甲児「ああ。気持ちわかるぜ。なんか嫌だよな」

 

テニア「わかるならやるなー!」

 

統夜「あはは」

 

アムロ「あはは」

 

 

 そのやり取りに、統夜とアムロが笑う。

 

 

アムロ「じゃあ、お言葉に甘えて」

 

 

 サンドイッチを一つ手に取り、彼も席に着いた。

 

 

アムロ「でも、意外ですね」

 

甲児「ん? なにがだ?」

 

アムロ「甲児さんもですが、統夜さんがここにいるなんて」

 

甲児「お前も言うかよ。こう見えてもウチは、科学者一家なんだぞ」

 

 

 マジンガーZ。マジンカイザーを設計、製作したのは甲児のおじいちゃん。兜十蔵なのは有名な話だ。

 

 

テニア「アムロもアタシ達と同じこと言ってるー」

 

甲児「別にいいけどよ」

 

統夜「まあ、そう思うのも無理はないよな。俺も自分でも意外だと思うし」

 

アムロ「じゃあ、どうして?」

 

テニア「あ、アタシも気になってたな。なんで目指そうと思ったの?」

 

統夜「きっかけ、か。ああ、きっかけはきっと、二人のおかげかも」

 

テニア「アタシと?」

 

アムロ「僕の?」

 

統夜「ああ。アムロのハロ。あれを見ていた時、テニアの一言で機械に興味が出てさ。サイトロンの理解を通じて色々わかったおかげで、ヴォーダも救えたし。そうしたら、今度は自分で作ってみたいなんて思ったんだよ」

 

テニア「へー。そうだったんだ」

 

統夜「だから、今俺がここに居るのは、テニアのおかげってことになるかな」

 

テニア「統夜……。も、もー。いきなりなに言ってんのさ!」

 

甲児「やれやれ。アムロ、お前は完全に蚊帳の外だぞ」

 

アムロ「そうみたいですね」

 

 

 二人で苦笑する。

 

 

甲児「でもよ、こうして俺達三人が集まったってことは、その三人で知恵を出せば、なにか凄いのができそうな気がしないか?」

 

アムロ「それは言えてますね。少し、わくわくします」

 

統夜「お、いいな。共同でなにか作ってみようか。コンテストとかあるみたいだし」

 

テニア(よかった。アタシ、統夜の力になれてないんじゃないかって不安になってたけど、そんなことはなかったんだね)

 

 

 先の統夜の言葉を聞き、テニアはほっとする。

 こうして統夜についてきたのも、少しでも力になれればと思ったからだ。

 

 だが、それは自分の杞憂だった。

 

 自分でも立派に、統夜の役に立っているのだとわかった。

 

 

テニア(アタシのおかげか)

 

 

 えへへ。と、一人はにかむ。

 

 

テニア(ねえ。統夜……)

 

 

 三人で頭をつきあわせ、なにを作るか話に没頭しはじめたオトコノコ達を見る。

 なんか三機合体で、とか。組み合わせで形体が変わるとか言っているが、彼女にそんなことは関係ない。

 

 

テニア「……大好きだからね」

 

 

 ぽつりと、小さく口の中だけでつぶやいた。

 

 

統夜「俺もだよ」

 

テニア「っ!!???」

 

 

 口の中だけでつぶやいたつもりだったが、聞こえていたようだ。

 

 没頭するアムロと甲児をよそに、統夜は一人、テニアを見ている。

 にこりと微笑んでいる。

 

 

 かーっと顔が赤くなるのを感じた。

 

 

甲児「やれやれ、またやってやがるぜ」

 

アムロ「またなんですか」

 

 

 やれやれと、甲児が呆れる。

 

 この三人が集まりできる機械は、きっとみんなの想像を超えるものだろう。

 だがそれは、この物語とは関係ない代物だ。

 

 今必要なのは、たった一言。

 

 

 お幸せに!

 

 

 

 おしまい。

 

 

──個別エンド メルア──

 

 

 あれから……

 

 

メルア「はい。シュークリームできあがりました!」

 

統夜「こっちも、並べ終わったよ」

 

 

 ここはある町にある、美味しいラーメン店の隣にある、小さなお菓子屋さん。

 

 双方若い夫婦が営んでいるというのに、味がよくてめっぽう美人な看板娘がいると、たいそう評判なお店なんだそうな。

 

 

 完成した品を並べ終わり、あとは客が来るのを待つばかりとなった。

 

 

 からんからん。

 店の扉が開き、扉に設置された鐘が鳴った。

 

 

メルア「いらっしゃいませー」

 

ジョルジュ「さて、マダム。今日も甘いお菓子をいただけますか?」

 

チボデー「こっちも頼むぜ」

 

メルア「あ、ジョルジュさん。それに、チボデーさんも」

 

統夜「また、シャッフル同盟の方でなにかあるんですか?」

 

ジョルジュ「いえいえ。今日は女王陛下とのお茶会があるだけです」

 

チボデー「こっちはご機嫌取りってヤツさ。女に甘いものを送る時は、ここが一番だからな」

 

メルア「毎度ありがとうございます」

 

忍「おう」

 

沙羅「いつものダースでもらえる?」

 

ジョルジュ「おや」

 

忍「おう。シャッフル同盟の。お前らも、作戦前の景気づけか?」

 

ジョルジュ「いえ。今日は違います。ですが、そちらも活用しているようですね」

 

忍「ああ。作戦前にここのを食うか食わないかで、達成率に雲泥の差が出るからな」

 

ジョルジュ「まったくです」

 

 

 裏で地球を守る正義の味方達に、この店は有名だった。

 

 これを食した者達は、こう語る。

 

 

雅人「なんていえばいいんだろうね。これを食べると、そう。気力の上がりが違うんだよ。すぐにギアが入るっていうか、一気に野生化まで持っていけるんだ」

 

アルゴ「これを食べたのとそうでないのとでは、気合と集中力がまるで違う。ハイパーモードへ変わる時の時間が半分以下になるからな」

 

風雲再起「ひひーん! ぶる。ぶるるるっ!!」

 

 

 と、このように作戦前に食すると、気力が最初からばーんとあがったような状態で戦いに挑めるのだとか!

 

 ゆえに彼等は、なにかの作戦を行う前のブリーフィングでここのお菓子を食べ、出撃するのが暗黙の了解になりつつあるんだとか……

 

 ちなみに、馬用のにんじんケーキというのがあるのを報告しておこう。

 

 

メルア「別に、普通に作ったお菓子なんですけど」

 

沙羅「そうかもしれないね。でも、こもった愛情は全然違うさ」

 

ジョルジュ「そういうことです。皆を笑顔にできる。それは素晴らしいことですよ」

 

チボデー「しかも、うまい。これ以上言うことはないだろうさ」

 

メルア「皆さん。ありがとうございます!」

 

 

 来る客は、そのような不思議な効果を求めてだけではない。

 

 その味を求めやってくる客が大半だ。

 

 

東方不敗「茶にあうものを一つ貰おうか」

 

九十九「妻と妹に勧められてきたのだが、君達だったのか」

 

ブライト「妻と息子のためになにかお勧めはないだろうかね?」

 

 

ユリカ「メルアちゃーん。今日のお勧めなにかしらー」

 

ルリ「ピークの時間をすぎて、夕方まで休憩です」

 

メルア(誰に説明してるんだろう)

 

 

 町の小さなお菓子屋さん。

 

 裏にも表にも欠かせない、ひっそり地球を守る重要なお店なのです。

 

 

 今日も見事に完売。

 店の棚は、見事にからっぽになった。

 

 

メルア「……」

 

統夜「どうした?」

 

 

 今日の役目を終えた店内を見回した彼女は、どこか遠くを見る。

 

 

メルア「えへへ。夢みたいだと思って。統夜さんと一緒に、こうしてお菓子屋さんができるなんて」

 

統夜「おいおい。夢みたいなんて言うなよ。その夢は現実で、かなった夢なんだから」

 

メルア「あ、そうでしたね。じゃあ、新しい夢。そうです。このまま大好きなお菓子に囲まれて、大好きな統夜さんとずっと一緒に居られるのがいいです!」

 

 

 この変わらぬ幸せな毎日が、ずっとずっと続くこと。

 

 

メルア「それが、わたしの新しい夢です!」

 

統夜「大好き、か。照れるな」

 

メルア「統夜さんは、わたしのこと大好きじゃないんですか?」

 

統夜「もちろん、大好きさ。でも、その夢は、実現が難しい夢だな」

 

メルア「でしょう! ずっとずっとですから!」

 

統夜「じゃあ、毎日毎日、その夢をかなえ続けよう。ずっとずっと、幸せでいよう」

 

メルア「はい!」

 

 

 毎日幸せでいられるのは、とても難しいことだ。

 

 平和になったとはいえ、小さな危険は消えない。

 

 だが大丈夫。

 ここのお菓子がある限り、大きな世界も小さな世界も、みんな気力がすぐマックスになるのだから。

 

 世界を守る者達は、この店がある限り、決して負けることはない。

 

 ならば、彼女の幸せは確約されたも同じ。

 

 

 だから彼女は、毎日こう言い続けることができる。

 

 

メルア「わたしはとても幸せです!」

 

 

 と。

 

 

 こうして描かれる、彼女の夢の未来は、いつまでも明るい。

 

 

 

 おしまい。

 

 

──個別エンド ロゼ=リア──

 

 

 あれから……

 

 

 赤い星、火星。

 十億人とも言われる小バームの者達は、この火星を再び開拓し、そこに住むこととなった。

 

 さらに望むならば、フューリーの者達と同じように、地球に住まうことさえ可能である。

 

 完全に敵対した相手に対してこの待遇は、双方に大きなわだかまりはないという証であった

 

 

 バームの姫エリカ。地球の代表、竜崎一矢。

 この二人の指揮のもと、火星の開拓は地球の民と共同で行われている。

 

 その開拓団の中には……

 

 

ロゼ=リア「この星を緑の星に変える! これぞ未来を夢見ることを諦め、その闇の中から再び未来を思うことを許されたわたくしにふさわしい新たな第一歩!」

 

 

 火星の荒野のど真ん中で、彼女は両手を天高く突き上げ雄たけびのような声を上げた。

 

 惑星を生命の住める大地に変えるというのは、フューリーの技術があればわりと簡単に行える。

 小バームと地球。さらにフューリーの技術をあわせ、通常の100倍くらいの速度でこの火星は緑豊かな、生命溢れる星へと生まれ変わるだろう。

 

 それは、真っ白な未来をキャンパスに色んな色をつけてゆく彼女の未来と同じ。

 

 

 そうして一人野望(?)に燃える彼女の背後で、物資を運ぶコン・バトラーVとボルテスVの姿もあった。

 

 外宇宙の脅威と戦うため作られた彼等だが、今度は星を開拓するため力を使うという新たな使命を与えられていた。

 これからは戦うためでなく、新たに星を作るため、その力をふるうのである。

 

 もちろん、ダイモスも。

 

 

 しかし、宇宙は広い。まだ知らない生命体も多い。その中には話も通じず、侵略行動をとる生命体もいないと限らない。

 その時彼等は、その封印をとき、本来の姿を取り戻し、この火星と地球を守るため、戦う力となるだろう。

 

 

豹馬「おい。なんかあっちでまたロゼ=リアがなんかやってるぞ」

 

健一「なにをしているんだろうな。ちょっとマイクをむけてみよう。日吉」

 

日吉「はいよ兄ちゃん!」

 

ロゼ=リア「正直もうしますとね、いきなり未来があると言われましても、想像もしていなかったことなので、なにをしたいのかわたくし自身もよくわからないのです。だから、この真っ白な火星を開拓しながら、わたくしの未来も開拓しようというわけです!」

 

小介「なにやら説明してますね」

 

十三「一体誰に説明しとるんや?」

 

一平「さあな」

 

 

 コンバトラーVの十三が首をひねるが、隣にいるボルテスVの一平も答えることはできなかった。

 

 

ロゼ=リア「ボアザン、キャンベル。さらにグラドスという星々との本格的な交流もはじまり、いよいよ本格的な宇宙時代が見えてきた今! このまま火星と地球を拠点に、この広き星海の大海原へ旅立つのもわるくありませんわね……!」

 

大作「言ったとおり、これからのことを考えてるったいね?」

 

大次郎「じゃっどなぜここで?」

 

ロゼ=リア「いや、地球圏内をもっと見てまわるというのも十分な選択肢。いっそ歌手などもよいかもしれませんわ。元姫の歌姫。これは話題性抜群ですわ!」

 

ちずる「元姫とは言わないけど、地球にはラクスさんがいるから難しいんじゃないかしら」

 

ロゼ=リア「バックバンドに、そういえば、ダンクーガの方々が楽器ができるとか聞いた覚えが……あの方々をバックバンドにむかえれば、なんかワイルドで話題になる気がします!」

 

めぐみ「ミスリルに戻った獣戦機隊をどうやって連れてくる気なのかしら……」

 

十三「思いつきやろ」

 

ロゼ=リア「いや、ドラムなら竜崎の一矢さんが趣味にしているとか聞いたことが……いやいや。せっかく今火星にいるのですから、地球にいる方でなく、ちずるさん、めぐみさん。そしてエリカさんとユニットを組んで宇宙の歌姫を目指すのも一つの手! これはいけますわ」

 

ちずる「そんなの嫌に決まってるわ!」

 

めぐみ「私もさすがに……」

 

健一「まあ、皆に許可をとらず勝手に進めるということはないだろう。多分……」

 

ロゼ=リア「ま、結局どんな未来が待ち受けようと、どこに行こうと、どうでもいいんですがね!」

 

十三「いいんかい!」

 

 

 聞いてた十三が思わずツッコミを入れてしまった。

 言っても彼等の声は届かないわけだが。

 

 

ロゼ=リア「だってー♪。トーヤと一緒に居られるならー。わたくしどんな未来でもハッピーですからー♪」

 

ちずる「歌いはじめたわ」

 

十三「結局ノロケかいな」

 

豹馬「ったく。未来がないから自由にやってたとか言って、未来があっても結局自由じゃねーかよ」

 

 

 そんなロゼ=リアに近づく人影が一つ。

 

 

豹馬「お、統夜が来たぞ」

 

十三「姫さんも気づいたみたいやな。弾丸みたいに突撃しとるわ」

 

ちずる「きっと一人で寂しかったのね」

 

めぐみ「ああ。だから」

 

豹馬「そういうもんなのか?」

 

健一「さあ?」

 

ちずる「もう。これだから……」

 

めぐみ「そうよね」

 

 

 女性陣二人が、ロゼ=リアの気持ちをわかるよううなずいた。

 

 

ちずる「これ以上聞くのは野暮というものね。みんな、行くわよ」

 

豹馬「こっからがむしろ本番じゃねえかよ」

 

ちずる「豹馬!」

 

豹馬「はいはい」

 

 

 集音装置をむけるのをやめ、彼等は仕事にもどった。

 

 その背後では、突撃してきたロゼ=リアを受け止める統夜の姿。

 

 

ロゼ=リア「トーヤトーヤトーヤ!」

 

統夜「うわっ!? いきなりなにするんだよ」

 

ロゼ=リア「ずっと待たせたのですから当然のことです!」

 

統夜「俺にだって用事はあったんだからしかたないだろ。ロゼ=リアだって仕事があったじゃないか」

 

ロゼ=リア「そんなの二分で終わらせてやってきたに決まっているじゃありませんか! トーヤに会いたくてがんばったんですのよ!」

 

 

 えっへんと胸をはった。

 

 

ロゼ=リア「トーヤは違うんですの?」

 

統夜「そりゃ俺もがんばったけどさ。ロゼ=リアには負けたよ」

 

ロゼ=リア「まあ、こうしてあえましたから水に流します! それに、待ってる間に一つわかりましたしね」

 

統夜「なにが?」

 

ロゼ=リア「やっぱり、わたくしはトーヤと一緒にいるのが一番幸せなんだって!」

 

統夜「……」

 

 

 ぎゅーっと抱きしめられ、ちょっと照れた統夜は思わず頬を染め、ぽりぽりと頬をかいた。

 

 

ロゼ=リア「だからトーヤ。これからもずっと、一緒にいましょうね!」

 

統夜「もちろんだよ。ずっとずっと、一緒だ」

 

ロゼ=リア「はい!」

 

 

 彼女の未来になにが待ち受けているか。それは誰にもわからない。

 

 だが、どんな無茶な未来が待ち受けていようと、どんな場所に行くことがあろうと、彼女は間違いなく幸せだろう。

 なぜなら、これからずっと、その隣には自分の未来を保障してくれる、最愛の人がいてくれるのだから……!

 

 

 だから、彼女の未来は、いつまでも明るい。

 

 

 

 おしまい。



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エンディング2

 

──全員エンド──

 

 

 宇宙。

 そこは、はるかなる星の海。

 

 人の感覚からすれば、無限に広がると言っていいそこに、一人の王を中心とした、六つの氏族を祖とする星系国家があったそうな。

 

 その国は、一族を守る守護龍と、王の座を示す巨人によって守られていた。

 

 空間はおろか時間さえ意のままに操ったというその一族は、数多くの星の民に支えられ、またその王は、その強大な力をむやみにふるうこともなく、穏やかに、健やかに民を見守ったと言われている。

 

 いかなる敵も寄せつけぬ、決して触れることのあたわぬその国は、その王と六つの氏族の庇護の下、その民も、王も、大変幸せに暮らしたそうな。

 

 

 ただ、この星系を作った賢王が、いかなる理由でこの地に現われたのか。

 

 それを知る民は、誰一人としていないそうな……

 

 

 

 ……

 

 

 ある日俺は気づいた。気づいてしまった。

 

 夢でもうぬぼれでもなく、多くの女の子に好かれていると!

 

 今俺は、総勢六人の可愛い女の子から好意を寄せられていると確信がある。

 

 

 だが、そんなバカなことあっていいわけない。

 

 

 あんな綺麗な子達が、平凡普通な俺を好きになるなんてなにかの間違いだ。

 

 きっと戦いの中、吊り橋効果でそれが恋だと勘違いしているんだ。

 そうだ。きっとそうに違いない。

 

 だから、その勘違いを正さなきゃいけない。

 こんな平凡普通。いや、むしろ臆病者に惚れたのは間違いだったと、愛想つかせてあげるのが本当の優しさってやつだろう。

 

 だって、俺よりいい男なんて世界中にごまんと居るといるのだから!

 

 

 さて、誰から幻滅させてやろう。

 

 そうだな、カティアからいくか!(五十音順)

 

 

 カティアはいつも、俺のことを支えてくれている。

 いつも見守ってくれているから、俺も安心して無茶ができるし、その視線に負けないようしっかりしなきゃと意識できる。

 

 そのおかげでいつも助かっているが、それじゃカティアの一生が俺につき従うだけになってしまう。

 未来ある優秀な彼女に、そんなことはさせられない。

 

 ならば、今回はそれを逆手にとってやる!

 

 そう。なんでもかんでも頼ろうとすれば、俺は支える価値もないダメ男だと気づいてくれるはずだ。

 なにせカティアは、聡い人だからな!

 

 

統夜「カティア」

 

カティア「あら、統夜君。どうしたのかしら?」

 

統夜「最近ちょっと忙しくてさ、スケジュール管理とか手伝って欲しいんだ」

 

カティア「お安いごようよ」

 

統夜「あと、食事の管理とか、朝も起こしてほしいんだけど」

 

カティア「いきなりね。急にどうしたの?」

 

統夜「い、いや。ちょっと最近生活も落ち着いてきたから、ちょっと自堕落になっててさ。このままだと忙しさとあいまってダメになりそうなんだ」

 

カティア「なら、かまわないわ。でも、少し厳しくいくからね?」

 

統夜「ああ。そのくらいの方がいいだろう。だから、頼むよ」

 

カティア「ええ。まかせて」

 

 

 くくっ。かかった! 厳しくされたところで、途中で投げ出してしまえば、よりマイナスポイントになる!

 

 こうして頼りに頼って、そして途中で逃げ出す。これで呆れない真面目女子はいまい!

 

 俺は内心成功をほくそえみながら、カティアとの約束をとりつけたのだった。

 

 

カティア(統夜君……)

 

 

 立ち去った統夜を見て、カティアは嬉しく思った。

 

 統夜を支えようと頑張ってきたが、支えるまでもなく彼はいつでもなんでも自分でなんとかしてしまう男だった。

 支えたいと思っていても、いつも支えられるのは自分の方。

 

 でも、今回は違った。

 

 ここまで助けがほしいと言われたのははじめて。

 こんなにも信頼され、統夜君の時間をまかされた。私を頼ってくれた。

 

 やっと本当の意味で彼を支えられる。

 

 こんなに嬉しいことはないわ。

 

 

カティア「えへへ」

 

 

 ちなみにだが、根が真面目な統夜は、与えられたスケジュールをしっかり守り、途中で投げ出すなんてことはないのだった。

 うっかりやりきり、なにやってんだ俺はと頭を抱えることになる。

 

 

 

 さて。カティアに呆れられるのはもう時間の問題だ。

 

 ならば次は、クド=ラに愛想をつかされよう!

 

 あの子にとって思い出したくない過去が一つある。

 それは、『ジ・ヴォーダ』を生み出した研究者の集合体。ハ=カ・セに騙され、復讐に燃えてしまった時のことだ。

 

 俺としてはジュア=ムをうったのも事実だからその復讐は間違っていないとは思うけど、彼女はそうは思っていないようだ。

 

 ある意味トラウマ。

 なら、その復讐のことをつついて刺激すれば、俺は嫌なヤツだと愛想をつかされるはず!

 

 こんなことを考えつくなんて、俺はなんて嫌なヤツなんだ。極悪人と言っていい。

 こんな男嫌われて当然。

 

 家族想いのあの子が、俺みたいなヤツと一緒に居てもいいことはない。地球に来てやりたかったことを、夢をかなえて欲しいんだ!

 そのために俺は、極悪人にでもなんでもなってやる!

 

 

クド=ラ「……」

 

 

 その時彼女は、悩んでいた。

 

 

クド=ラ(ボクはこれから、どうすればいいんだろう……?)

 

 

 復讐することに意味はなくなり、戦いも終わってしまった。

 もう、なにか他にしてすることがない。

 

 やることを見つけなければならない。

 

 

クド=ラ(結局ボクは、なにがしたいの……?)

 

 

 終わってみて、彼女は今、自分がなにをしたいのかわからなくなってしまっていた。

 

 

統夜「いたいた。クド=ラ」

 

クド=ラ「シウン・トウヤ? なにしに来たの?」

 

統夜「なんか悩んでいるみたいだからさ。どうしたのかと思って」

 

クド=ラ「……うっさい。あんたには関係ないでしょ」

 

統夜「なくもないさ。でも、話してくれないって言うのなら、こっちが勝手に話すよ」

 

クド=ラ「……」

 

 

 嫌われる気満々の統夜は、相手の話を聞かず、自分の方が一方的に話すという方法もとろうとしていた。

 聞いてもいないのに一方的かつ勝手なことを話す。これも嫌われる要因だろう!

 

 

統夜「クド=ラ。悩んでいるのなら、最初にやろうとしたこと(復讐)を思い出せばいいんじゃないかな?」

 

クド=ラ「え?」

 

統夜「初心を取り戻すっていうのもいいことだと思うんだ。だから、思い出してみよう。君が最初、なにをしたかったか」

 

クド=ラ「最初にやりたかったこと(地球に来たらやりたかったこと)……?」

 

 

 彼女は、はっとした。

 クド=ラが地球に来てやりたかったこと。それは……

 

 ぼんっ。と、クド=ラの顔が赤くなった。

 

 

クド=ラ「も、もー! なにを言ってんのさ!」

 

統夜(真っ赤になった。どうやら、思い出して怒りに震えたらしい! 俺をじっと睨んでるし)

 

クド=ラ「でも、いいの? ボクが気のすむまでつきあってもらうよ?」

 

統夜「まあ、それはそういう約束だからな」

 

統夜(しまった。復讐するならいつでもこいって言ってたっけ。だが……)

 

 

 ある意味それも好都合と思ってしまう。

 途中でその約束を以下略。

 

 

クド=ラ「ううっ。バーカ!」

 

 

 クド=ラはそう悪態をつき、そのまま逃げていった。

 

 その姿を見て、統夜は心の中で成功の喝采を自分に送る。

 

 

統夜(よし。間違いなく復讐を思い出し怒らせた! これで彼女も、俺に呆れて愛想をつかすだろう!)

 

 

 走って逃げたクド=ラは、物陰に隠れ真っ赤になった頬を両手で押さえる。

 

 

クド=ラ(うぅ。意識しちゃってあいつの顔マトモに見れない)

 

 

 思い出してしまった。

 地球にきてからやりたかったこと。

 

 好きな人と一緒に、色んなところを回ったり、一緒に遊んだりしたかったこと。

 

 それをあいつと……

 

 そう考えたら、頬だけじゃなく心臓も頭も熱くなってきた。

 

 

クド=ラ(ダメだ。もうダメ。完全に意識したっ!)

 

 

 あいつはボクの夢を知ってるんだろうか。

 知らずに言ったことだろうか?

 

 でも、約束した。自分の気がすむまで相手してくれると。

 つきあってくれると!

 

 

クド=ラ「言質、とったからね」

 

 

 ホントに、あいつは、バカなんだから!

 

 

 

 よし。いい調子だ。間違いなくクド=ラは怒りに震え、俺を嫌いはじめるだろう。

 

 この調子で、一気にシャナ=ミアに幻滅されるぞ!

 

 

 シャナ=ミア。

 フューリーの最高指導者。皇女としての地位は失ったが、彼女の影響力はフューリー内では絶大。

 彼女もその誇りを持ち、指導者たろうと努力している。

 

 ならばその努力すべてを否定しよう!

 

 信頼しているだろう俺に否定される。そのダメージは計り知れないはず!

 想像しただけでも俺にダメージが返ってくるのだから、本人にはもっとくるはずだ!

 

 でも、俺を捨てるというのは、彼女には必要なこと。

 もっと優秀で有能なヤツが、彼女にふさわしいはずなんだ。

 

 だって彼女は、本当に指導者として優秀な人なんだから!

 

 

シャナ=ミア「あ、トウヤ。フューリー議会の方から、あなたに一つお誘いがあるそうです」

 

統夜「え? なに?」

 

シャナ=ミア「騎士にならないか。と」

 

 

 この騎士は、意味合い的に地球の騎士とほぼ同じである。といっても、今の場合だと要人の警護をするSPに近いけど。

 どちらかというと、シンのいるザフトの赤服とか、そっちとも言えるかもしれない。

 

 ともかく、あの争乱を二度戦い抜いた俺も、そういうのに呼ばれるようになったのか……

 

 

シャナ=ミア「できれば、引き受けてくださると、私も助かるのですが……」

 

 

 そうか。ここで引き受けると、そのままシャナ=ミアの警護とかに入るわけか。

 まあ、当然かもしれないな。いざという時、グランティードを呼べばシャナ=ミアも一緒に守れるわけだし。

 

 当然と言えば当然の要望だろう。

 

 でも……!

 

 

統夜「俺は、騎士は引き受けないよ」

 

シャナ=ミア「え?」

 

統夜「だって、シャナ=ミア。君はもう、皇女様じゃないんだから」

 

シャナ=ミア「っ!」

 

統夜「フューリーは自分達で選んだんだよ。皇女じゃなく、民のみんなで選択することを。だから、シャナ=ミア。君はもう、これ以上頑張らなくていいんだ。いつまでも君がなにもかもを背負わなくていいんだ。もう、一人の女の子として、堂々とここにいていいんだよ」

 

 

 言った。言ってしまった!

 彼女が今まで必死に努力してきたことをすべて無にすることを!

 

 シャナ=ミアもあまりのことに口に手を当て、唖然としている。

 自分が信頼している男に裏切られたんだから当然だよな。

 

 こんな無責任な男、完全に愛想つかしただろう。

 

 うう。罪悪感で胸が締め付けられそうだ。

 

 もうこれ以上彼女が悲しむ姿は見ていられない。

 

 

 俺はそのまま、この場から逃げるように去るのだった。

 

 

シャナ=ミア「トウヤ……」

 

 

 あまりのことに、どきどきがとまらない。

 

 

 議会も皆、私が上に立つことが当然だと思っていた。

 私もそれが当然だと思って、いままで様々なことを学んできた。

 

 でも、あなただけは違った。

 

 あなただけは、私のことを一人の女の子として見てくれていた。

 

 あなただけは、私のことだけを考えてくれた。

 

 あなたはいつもそうだ。

 

 私に勇気をくれる。

 私に強さをくれる。

 

 そうよね。もう、フューリーもみんなで歩く時が来たんだわ。

 

 

 これで、私も地球の民として生きる勇気ができました。

 

 それに……

 

 

統夜『俺は騎士を引き受けないよ』

 

 

 それはつまり、一人の民として、自分もここにいるということ。

 

 私と一緒にいてくれるということ。

 

 

 トウヤ。

 

 やっぱりあなたは、私だけの騎士様なのですね……

 

 

 

 ううっ。罪悪感で押しつぶされそうだ。

 

 だが俺は諦めるわけにはいかない。

 みんなに愛想をつかされるって決めたんだ!

 

 次は、テニア。

 

 彼女の屈託のなく誰にも物怖じせず話しかける明るさに何度助けられたことか。

 

 だが、そのよく話すというのを、俺は逆手にとらせてもらう。

 話していることすべてに生返事を返すのだ。

 

 まともに話も聞かず、生返事しか返さない。なんて最低な男なんだ!

 

 

 すぐ機会は訪れた。

 

 席に座り、共に勉強することになった。

 

 

テニア「でさ、その時アタシがうっかりしてたみたいでさ。塩と砂糖の入れ物間違えちゃったんだよね」

 

統夜「ん」

 

テニア「そこからもう大変でさ。メルアの作るお菓子がしょっぱくて、カティアの作った焼き魚があっまいの。あの時はホントまいったー」

 

統夜「そうだな」

 

テニア「それで……あ、その前に、統夜、それちょっととってー」

 

統夜「ん」すっ。

 

テニア「ありがと」

 

統夜「ん」

 

テニア「んー。ちょっとこれよくわかんないんだけど、統夜わかる?」

 

統夜「んー? ん」指差し。

 

テニア「あっ、これを使うのか。ところでさ、あれってどうなったの?」

 

統夜「ん」指差し。

 

テニア「あ、カレンダーに丸書いてあった。9日に決まったんだ」

 

統夜「ん?」手が止まる。

 

テニア「あ、それならこれ。はい」

 

統夜「ん」

 

テニア「どういたしまして!」

 

 

 こんな感じで、勉強会は終わりを告げた。

 

 ……ふー。かなり生返事だったぞ。こんなにないがしろにされたら、テニアもきっと俺に愛想をつかすだろう。

 

 後半かなり興奮していた感じだったしな!

 

 

テニア(んー。勉強終わりっ!)

 

 

 伸びをする。

 

 そして、統夜とのやりとりを思い出し、思わず頬をほころばせた。

 

 あれ、これ、それと、固有名詞を使わず統夜の言っていることがわかった。

 統夜は上の空に見えたけど、アタシの言ってることは全部わかってて、全部対応してくれた。

 

 それはまるで、前に憧れた熟年夫婦のような。

 

 アタシと統夜は、通じ合った気がした。

 

 これほど嬉しいことはないと思う!

 

 

テニア「てへへ」

 

 

 そう思ったら、なんか照れくさくなってきた。

 

 でも、とても幸せな気持ち。

 不思議な気持ち。

 

 これが幸せってことなんだろうな。

 

 

 

 テニアを無視したような形で、さらに罪悪感が……

 

 だが、ここまで来たらもう後戻りはできない。一気に行くしかないんだ!

 メルア、覚悟しろ!

 

 メルア。

 彼女は無邪気だ。そして色々無防備だ。

 

 お菓子が好きで、子供っぽいところがコンプレックスだけど、その実、体は誰にも負けず劣らずぽよぽよしている!

 むしろ無自覚になにしちゃってくれてんのって時が多々ある!

 

 俺がどれだけ心を無にして悟りを開こうとしているか。

 

 自分をそんな目で見ている男がいると知れば、一発で嫌われることは間違いない!

 きっと次の瞬間から、俺になんて近寄ってこなくなるはずだ!

 

 

メルア「統夜さーん!」

 

統夜「うわっ!」

 

 

 ぴょーんと、無防備に背中に飛びついてきた。

 この感触。

 

 これは間違いない!

 

 

統夜「こら、メルア」

 

メルア「はい。わたしです」

 

統夜「ちょっとこっち」

 

メルア「はい?」

 

 

 背中から正面に回らせる。

 正面に回った彼女は、小首をかしげ、こちらを見た。

 

 うう、こんな無垢な子に真実を告げるとなると、一気に罪悪感がこみ上げてくる。

 だが、俺はもうとまれないんだ!

 

 

統夜「いいかいメルア。君は自分を子供っぽいというが、実はそうじゃないんだぞ」

 

メルア「はい?」

 

統夜「君のマシュマロみたいなボディと、その無邪気な行動は思春期真っ只中のオトコノコにはとっても危険なんだ。それをちゃんと理解しているのか!」

 

メルア「ええー!?」

 

統夜「いつまでも無邪気でいられちゃ困るんだ。大人になろう!」

 

メルア「お、大人になるんですかー!?」

 

統夜「ああ。そうだ」

 

メルア「ひょっとして、統夜さんも、わたしをそういう風に?」

 

統夜「そ、そうだ!」

 

メルア「わたし、大人の仲間入りできますか?」

 

統夜「もう君は、十分大人だ! 俺はずっと、君のそういう行動にどきどきさせられていたんだ。わかった!?」

 

メルア「わ、わかりました!」

 

統夜「よろしい。わかったのなら、ちゃんと自覚しなさい!」

 

 

 俺はそう言い、そのまま逃げるようにその場を去るのだった!

 

 よーし。言った。言ってやった!

 こんなにストレートに下種な感情をぶつけたんだ。そんな目で見られていると知ったら、メルアだって俺を避けるようになるはずだ!

 

 これでよかったんだ!

 

 

 一人残されたメルアは、しばし統夜の言ったことを反芻する。

 

 そして、唐突に顔を真っ赤に染めた。

 上気する頬に両手を当て、どきどきする心臓の鼓動を感じとる。

 

 

メルア(と、統夜さんも、ちゃんとわたしに興味があったんだ)

 

 

 子供っぽいと思われ、眼中にないとずっと思っていた。

 でも、そんなことはなかった。

 

 むしろ……

 

 

メルア「子供じゃなくて、ちゃんとわたしのこと見ていてくれてたんだ……」

 

 

 どきどきがとまらない。

 

 

メルア「わっ。わっ。どうしよう。大人の仲間入りって、そういうことだよね。そういうことだよね。どうしようー! キスとか迫られたら、逃げられませんよー!」

 

 

 

 ふー。メルアのが精神的に一番きつかった気がする。

 でも、これを乗り越えたんだ。最後のロゼ=リアにだってきっとやれる。

 

 これでみんなに愛想つかされて、ハッピーエンドだ!

 

 

 ロゼ=リア。

 ずっとそれ以上先がないと思って覚悟を決めていたお姫様。

 

 一見ぶっ飛んでいるように見えるけど、実は理知的で多くの人達のことを思っている優しい子だ。

 

 そんな彼女がやっと未来を手に入れたんだ。俺なんて男に縛られずもっともっと広い目で世界を見てほしい。

 

 だから俺は、彼女の未来を縛る悪役となる。

 その未来の可能性というのを、全部否定してやるんだ。

 

 そうすれば、彼女に俺は邪魔になり、自動的に愛想つかされるというわけだ!

 

 

ロゼ=リア「あ、トーヤ。わたくし、これからなにをしようか決まりましたの!」

 

 

 って、否定する前から決まっちゃったー!?

 

 いや、待て。まだ終わったわけじゃない。

 それを否定すればいい。

 

 そうすれば、まだリカバリーできる!

 

 嫌われるのにリカバリーってなんだ。と思うけど。

 

 

ロゼ=リア「ですから、わたくしはこれから一人で……」

 

統夜「ちょっと待つんだ!」

 

ロゼ=リア「へっ?」

 

統夜「それは本当に、君が一番幸せな未来なのか?」

 

ロゼ=リア「そ、そりゃ一番幸せな未来ではありますよ」

 

統夜「たった一人で考えた未来が、か?」

 

ロゼ=リア「っ!?」

 

統夜「なあ、ロゼ=リア」

 

ロゼ=リア「は、はいっ!」

 

 

 このまま、彼女の未来を否定してゆく。

 

 心苦しいが、俺が愛想をつかされるためにはしかたのないことなんだ。

 許してくれ!

 

 そんなことを考えたせいか、勢いあまって彼女を壁際に追い詰めてしまった。

 

 

 壁。

 ドンッ!

 

 

ロゼ=リア(はわわわわ。これって、まさか……!)

 

 

 だが、もうとまれない。

 

 

統夜「一人っきりの未来で、君は満足なのか?」

 

ロゼ=リア「っ!!」

 

 

 ああ。せっかく彼女が答えを出したというのに、それを完全に否定してしまった。

 こいつはかなり効く。

 

 

ロゼ=リア「わたくしの、満足できる未来……」

 

統夜「未来をいきなり決める必要はないと思うんだ。もっとじっくり考えて、それから答えを出してもいいんじゃないか?」

 

ロゼ=リア「は、はい。トーヤの言うとおりですわ。もう少し、考えてみます」

 

統夜「それはよかった」

 

 

 よし。成功した。

 

 間違いなく彼女は俺をうっとおしく思ったはずだ!

 

 

ロゼ=リア「あわっ。あわわわわわ」

 

 

 トーヤが去ったあと、わたくしはへなへなとへたりこんでしまった。

 

 トーヤに言われ、気づいた。

 どんな未来でも、わたくし一人でいるだけの未来に意味はないと。

 

 本当に欲しい未来は、そうじゃないと……

 

 

 わたくしが、本当に欲しい未来は……

 

 

 まだ心臓がバクバク言っている。

 

 壁にまで追い詰めて、それをわたくしに思い知らさせたということは、つまりそういうことなんですわよね、トーヤ?

 

 

 

 ふー。これできっと、全員に愛想つかされたはずだ。

 

 

「統夜君!」

「シウン・トウヤ!」

「トウヤ!」

「統夜!」

「統夜さん!」

「トーヤ!」

 

 

 ずらりっ。

 

 カティア。

 クド=ラ。

 シャナ=ミア。

 テニア。

 メルア。

 ロゼ=リア。

 

 いきなり現われた六人に、俺は囲まれてしまった。

 

 どこか興奮したような、殺気だった雰囲気。

 

 これは……

 

 

 俺は、悟った。

 

 みんな俺に愛想がつき、見捨てにきたんだ。

 

 少し寂しい気もするが、これでみんな、幸せな恋ができる。

 

 

カティア「ねえ、統夜君。一つ聞きたいことがあります」

 

ロゼ=リア「トーヤ、わたくし達の中で一番は、一体誰なのですか!?」

 

 

 そうか。みんな俺に愛想が尽きて、俺の一番を……いち?

 

 

統夜「なんだって!?」

 

シャナ=ミア「トウヤ、私達の気持ちはもうわかっているのでしょう? なら、その答えをお願いしたいのです」

 

 

 なんてこった。

 

 みんな俺に答えを求めに来てた。

 みんな俺の無責任な行動に、愛想をつかしたんじゃないのか!?

 

 

 じっ。

 

 みんなの視線が、俺を刺し貫く。

 やめてくれ。そんな熱のこもった目で、俺を見ないでくれ。

 

 そんな期待されても、俺は……

 

 

メルア「統夜さんは、わたし達のことは嫌いですか?」

 

統夜「違う。そんなことあるわけないじゃないか! むしろその逆だ。大好きだよ。でも、みんな綺麗でいい子だから、大切だから、六人のうち誰かなんて選べないんだ!」

 

 

 ああ、思わずなんてことを言ってしまったんだ俺は。

 

 最低だ。最低の男だ。

 

 でも、これなら間違いなく、みんなの愛想がつきるだろう。

 

 だって、6人全員が好きだなんていう最低野郎なんだから!

 

 

テニア「つまり、みんなが好きってこと?」

 

統夜「ああ。そうだ。みんなが好きで、誰も選べない。俺は本当にダメな男なんだよ……!」

 

 

 だってしょうがないだろう。みんな魅力的なんだから!

 

 だから愛想つかされようと思った。

 みんなを傷つけたくないんじゃなく、俺が傷つかないために。

 

 結局俺は、自分がかわいい、決断もできないクズなんだ……!

 

 

カティア「……」

 

クド=ラ「……」

 

シャナ=ミア「……」

 

テニア「……」

 

メルア「……」

 

ロゼ=リア「……」

 

 

 六人は互いに目をあわせ、うなずいた。

 

 そうだ。これでいい。あとは俺を煮るなり焼くなりして、みんな、この不毛な恋から、開放されるんだ。

 

 

クド=ラ「ならさ、シウン・トウヤ……」

 

ロゼ=リア「ええ。皆を好きだというのなら、いっそ……」

 

シャナ=ミア「私達全員を、愛してくれませんか?」

 

統夜「……え?」

 

テニア「統夜のダメなとこ、ちゃんと知ってるよ。実は臆病だし、戦いから逃げ出したいと思ってる」

 

カティア「でも、いいところもたくさん知ってるわ。怖くても、誰かを守るため勇気を振り絞れること。他人を助けるため、一生懸命になれること」

 

メルア「そんな統夜さんだから、わたし達は好きになったんですよ」

 

統夜「み、みんな、こんな俺でいいのか……?」

 

シャナ=ミア「そんなトウヤだからいいんです。そして、トウヤなら、できます。だってすでに、実践していますから」

 

統夜「……」

 

 

 みんなの提案に、俺は思わず天を仰いだ。

 

 

 そうか。確かにそうすれば、万事丸く……

 

 

 ……いや、おさまんないよ。ダメだろ!

 全然ダメだろ!

 

 みんな恋のせいで倫理観おかしくなっちゃってますよ!

 

 

 こ、こうなったら最後の手段だ。

 

 

統夜「わかった。なら、俺は地球を出て行く!」

 

 

 そうだ。最初からこうすればよかったんだ。

 みんなで命をかけて守った地球を捨てるわけにはいかない。こう言ってしまえば、みんな諦める。

 

 これで俺の目的は……

 

 

シャナ=ミア「それはいい考えかもしれませんね」

 

テニア「うん。さすが統夜。凄いこと考えるね」

 

統夜「へ?」

 

カティア「確かにそれなら、地球のしがらみにとらわれないですむし、邪魔も入らなくなるわ」

 

メルア「みんなと会えなくなるのは少し寂しいですが、統夜さんと一緒になれるなら、些細なことです」

 

ロゼ=リア「わたくしはトーヤがいればそれでよいですわ!」

 

クド=ラ「ボクも!」

 

統夜「……え?」

 

 

 

統夜「……え?」

 

 

 こうして七人は、宇宙の片隅で幸せに幸せに、暮らしたそうな。

 

 

 

 めでたしめでたし

 

 

 

──みんなの提案を受け入れたパターン──

 

 

 『……いや、ダメだろ!』

→『みんなの提案を受け入れる』

 

 

 みんなの提案に、俺は思わず天を仰いだ。

 

 そうか。確かにそうすれば、万事丸くおさまるような気がする。

 いや、俺の理性や倫理観はおさまんねーよ。と言ってるけど、彼女達の幸せという面を考えれば……

 

 

統夜「うん。わかった」

 

 

 ──改めて正面を見据えたその顔は、覚悟を決めた男の顔だった。

 

 

 そもそも、愛想をつかされようとしたのが間違いだった。

 

 みんながここまで言ってくれた。

 みんなから逃げようとした臆病な俺がいいと言ってくれた!

 

 なら、俺はもう、逃げない。

 

 みんなを幸せにする! してみせる!

 

 

統夜「みんなの本気、受けとったよ。本当に、いいんだな?」

 

カティア「ええ」

クド=ラ「うん!」

シャナ=ミア「はい」

テニア「もちろん!」

メルア「はい!」

ロゼ=リア「もちろんですわ!」

 

統夜「わかった。なら手はじめに、この地球から旅立たなければならないな」

 

クド=ラ「どういうこと?」

 

シャナ=ミア「確かに、今の地球圏では、こんな愛の形は認められていませんからね」

 

テニア「だから宇宙で、新しい国を。アタシ達だけの国を作るんだね?」

 

ロゼ=リア「さすがトーヤ。とんでもないことを思いつきますわ。その愛は、地球にはおさまりきらないということですね」

 

カティア「確かにそれなら、地球のしがらみにとらわれないですむし、邪魔も入らなくなるわ」

 

メルア「みんなと会えなくなるのは少し寂しいですが、統夜さんと一緒になれるなら、些細なことです」

 

ロゼ=リア「わたくしはトーヤがいればそれでよいですわ!」

 

クド=ラ「ボクも!」

 

カティア「じゃあ、決まりね」

 

シャナ=ミア「目指しましょう。私達の望む、新しい楽園を求めて!」

 

統夜「ああ。行こう。みんなで幸せになれる場所に!」

 

 

 こうして旅立った統夜達は、宇宙の片隅で幸せに暮らしたそうな。

 

 

 

 めでたしめでたし

 

 

 

 

 おまけ

 ちなみにこのハーレム対応を自分の意思で意図的にやってのけたのが個別エンドの統夜になります。

 

 

 こんどこそ終わり



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おまけ

 

──クリア特典──

 

 

・特典その1

 最終話にて『ジ・ヴォーダ』を回収しエンディングをむかえると、グランティード・ドラコデウスに『インフィニティキャリバー・オーバーワールド』という武器が追加される。

 

 これは、『ジ・ヴォーダ』を内包したことにより得た、グランティード・ドラコデウスの新たな力。

 時間も空間も無い世界を通じ、いかなる場所、いかなる時間、いかなる次元へ逃れようと届く、距離だけでなく時間も超越した、文字通り無限の射程と威力を持つ剣。

 

 いかなる存在も両断することが可能であり、その気になれば、それが生まれた瞬間に切り捨て、最初から存在しなかったことにするのも不可能ではないらしい。

 

 この新たな力が統夜によって生み出されたことにより、グランティード・ドラコデウスは古の伝説を司る機体でなく、新たな歴史を作る存在へ昇華されたと言っていいだろう。

 

 

・特典その2

 ヴォーダを回収したデータで2周目をはじめた際、プロローグ後の『世界を救う』シナリオの選択肢のところに、『はい』、『いいえ』以外にもう一つ、『世界を救い。君も助ける』の選択肢が追加される。

 基本的な展開は『はい』を選んだ時と変わらないが、ロゼインヴォーダ撃破時にサイトロン版のささやきがこの時の統夜の元へと届き、時間を超越し未来よりもたらされた『インフィニティキャリバー・オーバーワールド』をもちいて『ジ・ヴォーダ』本体を貫き、ロゼ=リアを犠牲にせず、本体を回収し世界を救うことが可能となる。

 

 この場合マジもんの救世主となるが、なぜこれができたかはサイトロンを通じて理解できているので、皆の力があってこそだと統夜は仲間に感謝することとなる。

 

 ただし、2周目以降でもこれで世界を救った場合、この後に起きるクド=ラ関連のイベントは消失しまうので注意しよう。

 とはいえ、クド=ラ自身はしれっとパイロット欄にいる上、後のイベントで手に入るはずの強化パーツや資金などもこっそり追加されていたりして、イベントクリアと同じ状態でグランティード・ドラコデウスを使うことが可能となっている。

 これはあくまでクリア特典なので、整合性についてはあまり深く考えてはいけない。

 

 ちなみにこの場合、エンディングのフラグポイントに補正はつかず、全員一律一搭乗1ポイントとなる。

 

 

・特典その3

 ショップで後継機が買える!

 強化パーツなどを売っているショップでいきなり後継機や後半の能力アップしたバージョンに変更できるものが売っている。

 乗り換えイベントは乗ってる機体そのままで(マジンカイザー→マジンカイザーとか)起きるが、気にしてはいけない(データに変化は無いが、HPとかは満タンになる)

 これにより最後の最後でしか使えないラフトクランズなども購入し、自由に使うことも可能である(色も統夜専用になる)

 

 ちなみに2周目以降、ヴォルレント受領の際統夜のラフトクランズも一緒に手に入る(それより前に買ってる場合は2機になる)

 

 

・特典その4

 フラグ引継ぎ。

 生存フラグ、機体フラグなどは、一度成立させれば、周回時既に成立済か否かを選択することができる。

 

 

・特典その5

 資金や強化パーツ、撃墜数などの引継ぎ。

 2周目から精神コマンドエディットが可能。

 その他、よくある周回要素は説明不要ですね。

 

 

──マユ生存ルート──

 

 

 せっかくガンダムSEEDとDESTINYが続いているのだから、彼女が生存してもいいじゃないということで。

 

 二作続けてプレイしている場合の特典として、シンの妹。正確にはアスカ家には特別な生存フラグが存在している。

 前作、『スーパーロボット大戦J ムーンデュエラーズ』において蒼き流星SPTレイズナーのゲイルとジュリアの生存フラグが成立したデータがある場合、彼女の生存フラグが成立する。

 

 シンが家族が吹き飛んだと思った砲撃の時、吹き飛んだアスカ一家(シン以外)はゲイルによって助け出され、オーブに残ったジュリアの献身により命を救われることになるのだ。

 生き残ったマユとシンの両親だったが、オーブ崩壊のごたごたでシンとは離れ離れとなっており、彼女達の方もシンは死んだものだと思っていた。

 

 その後ジュリアからの縁で、ミスリルとコネができ、ジュリアという異星人とのハーフと接したおかげで外からの使者に偏見は生まれず、アスカ一家はバームとの和平を繋ぐ平和解放運動に地球側からの協力者として参加することとなる。

 

 そこでマユはエリカと知り合い、まるで妹のように可愛がられることとなる(エリカはシンのことをほとんど知らない状態で来るので、兄妹が生きているとは気づけない)

 

 エリカが小バームへ戻る際、両親に内緒でこっそり宇宙船に乗りこみ同行し、バルバス将軍へ真実を伝える役目を与えられる(これは小バームから彼女を逃がすという面もある)

 小バームをバルバスと共に脱出し、火星を目指す第13独立部隊に助けを求めたところで、思いもがけず兄と再会することとなる。

 

 生存を喜ぶ兄妹。

 これが理由で、ミネルバ隊は小バーム行きを希望することとなるのだった。

 

 さすがにパイロットやサブパイロットとしての登場はないが、合流した時点で強化パーツやなんらかのおまけが手に入ってもおかしくはないだろう。

 

 

 

 おしまい



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うちのグランティード・ドラコデウス

 

※今回いわゆる挿絵がありますのでそれを見れるようにしてください。

 

 

──グランティード・ドラコデウスのこと──

 

 

 君達にグランティード・ドラコデウスの情報を公開しよう!

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 グランティード・ドラコデウス。

 前作『スーパーロボット大戦J ムーンデュエラーズ』に引き続き、『第2次スーパーロボット大戦J』にて主人公紫雲統夜の乗る機体(後継機)である。

 前回は選択制であったが、今回『第2次スーパーロボット大戦J』では固定。

 

 今回使用されている画は『第2次スーパーロボット大戦J』版のもの。

 なので、他とは多少の差異がある。

 

 ぶっちゃけ作者の好みを120パーセント反映したものだ。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 真正面から。

 

 グランティードがピンチに陥った時、少年少女の強い想いに応えるよう、時間と空間も超えて現れたフューリーの守護龍、神竜バシレウスと合体し、この姿となった。

 

 胸ライオンロボならぬ、胸ドラゴンロボである。

 

 ただ、真正面からだと胸にあるバシレウスヘッドの角でお顔が隠れてしまうデザインだが、カッコいいので問題はない。

 

 ちなみにバシレウスとはギリシャ語で王という意味があるんだとか。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

【挿絵表示】

 

 

【挿絵表示】

 

 

 左斜めから真横。

 

 玉座機とも呼ばれ、フューリーの皇たる証であり、守護龍、神竜バシレウスと共に国(星)を守る象徴である。

 それはかつて、皇が民を守るため前線に居たという証でもあるだろう(だから皇になったともいえる)

 

 それゆえフューリー星団同士の争いが勃発した際、皇たる証として奪いあわれ、グランティードとバシレウスは同じ皇族によって分け隔てられ、その基体となるグランティードは一度破壊されることとなった。

 

 皇たる証は破壊され、片割れのバシレウスを得た一族がその争いに勝利し、敗北した一団は40億年前の地球へと到達することとなる。

 破壊されたグランティードは統夜の父エ=セルダ・シューンに回収され、のちに地球とフューリーの共生の切り札となるため再生された。

 玉座機が使われたのは、ラースエイレムキャンセラーだけでなく別の切り札としても使えると考えていたからかもしれない。

 

 ちなみに、グランティードの姿をフューリー側が玉座機として把握していなかったのは、平和の時代が長く続き、分離状態を知る者が少なくなったあと争いが起こり、かつバシレウスと分け隔てられたグランティードが活躍する前に破壊されてしまったか、エ=セルダの修復で元とは違う姿に変えられていた(ドラコデウスになったらわかるくらいに)か、など、色々可能性はある。

 

 後付設定だから色々ムチャがある。ってのはもちろん否定しない。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

【挿絵表示】

 

 

【挿絵表示】

 

 

 背面側。

 

 背中に並ぶ4つの筒は推進器(としても使えるかもしれないが)ではなく、ドラコ・ヘッズと呼ばれる竜の頭が納められているものである。

 バシレウスの真の姿は、複数の頭を持つ多頭の竜なのだ。

 オルゴンモード(バスカーモード)を発動させるとその姿が開放される(画はノーマルモードなので展開の画像はなし)

 

 その多頭竜を開放した姿は、フューリー創世神話に現われる神の姿であるとも言われている。

 

 ちなみに、バシレウスの一部にはフューリーの母星に存在した伝説の竜の骨が使われているらしい。

 

 あとドラコはラテン語で竜、蛇の意であり、デウスも同じくラテン語で神を意味している。

 

 

 

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 右真横から右斜め。

 

 サイトロン・コントロールにより、操縦者の思うがままに動き、動力のオルゴンを用いたバリアと堅牢な装甲により、高い生存性を持つ。

 そのサイズと装甲から、機動性は高くはない。しかし、操縦者に高い技量があるなら、オルゴンクラウドによる転移により、鈍重さを一切感じさせない瞬発力や運動性を見せることも可能である。

 

 ちなみに、このグランティード・ドラコデウスは統夜しか動かせないというわけではなく、サイトロンをあつかえる者ならば誰でも動かすことは可能である。

 ただ、それをみずからの手足以上に操り、バシレウスとの合体までを行えるのはまれであり、それが実際に出来る者こそ、玉座に座るのにふさわしい、皇の資質を持った者ということにもなる。

 

 

 

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 バストアップをいろいろな角度から。

 

 マスクはなくなるのでなくむしろ合体でつくイメージ。

 インフィニティキャリバーの一部となるバシレウスの角は分割され装着される。

 

 頭部はどことなくラフトクランズを思い出させるデザインだな。と思われたら嬉しい。

 

 

 

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 敵から見たグランティード・ドラコデウスなイメージ。

 

 光と闇が両方備わって最強そうに見えるけどグランティード・ドラコデウスにそんな属性の設定はない。

 でもかっこいいからそれでいいのだ!

 

 

 

 以上。うちのグランティード・ドラコデウスの情報でした。

 

 

 おしまい



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第2次スーパーロボット大戦J完全攻略読本 前半

 これは、攻略本風の各話解説&補足になります。

 ゲームにして全49話(分岐、プロローグ除く)をしっかり網羅しています。

 

 

※お知らせ

 機動戦士ガンダム 第08MS小隊

 機動戦士ガンダム 0080 ポケットの中の戦争

 

 この2作品が追加で参戦しました

 

 

──プロローグ1 旅のはじまり──

 

 

あらすじ

 突然現れ、暴れだしたバシレウス。それは、これから起きる新たな戦いのはじまりを予感させるものだった。

 

 

ステージ解説

 ロゼ=リア登場のお話。

 いわゆるチュートリアルステージであり、敵は???(ロゼ=リア)の乗るバシレウスのみ。バシレウスのデータは味方の状態(無改造)と同じなのでよほど確率が偏らない限り負けることはないだろう。

 精神コマンドや援護攻撃などの確認など、動かし方を思い出そう。

 

 

──プロローグ2 幕間──

 

 

あらすじ

 ふとしたことで問われたアル=ヴァンの行方。

 前作と今との間にあった因縁。その結末はいかようなものだったのか……

 

 

ステージ解説

 戦闘はありません。シナリオデモのみ。

 

 

──第1話 勇者王誕生!──

 

 

あらすじ

 それは、いつもと変わらぬ日常のはずだった。

 

 それを壊し、現れた新たな脅威。

 日常は崩れ去り、戦いのはじまりを告げる鐘の音が鳴り響く中、新たな勇者がここに誕生する。

 

 

ステージ解説

 初期配置のガイガー、ボン太君、風雲再起の三体では攻撃力がたりず、ゾンダーのバリア&HP回復を破り効果的なダメージを与えるのは難しい。

 無理をせず統夜達のグランティード&バシレウスと甲児と鉄也のマジンガーチームが到着するのを待とう。

 

 統夜達の到着と同時にゾンダーメタルに操られた敵の増援も現れる。

 

 ゾンダーのバリアを破りダメージを与えるとイベントが発生。ガオガイガーへの合体がはじまる(初期三体で実行しても発生可能。この場合統夜達が現れ、即ガオガイガーに合体する)

 

 ガオガイガーも登場し、戦力が整ったのなら、あとはゾンダーを倒すだけだ。

 統夜の援護攻撃も絡め攻撃を加えれば問題なく倒せるだろう。

 

 全滅の必要はなく、馬ゾンダーことEI-02を倒せばステージクリアとなる。

 ちなみにとどめがガオガイガーでなければならないという縛りはない。撃破後自動的にヘル&ヘブンイベントとなるため、好きなロボットでとどめをさそう。

 

 

ピックアップ

『ゾンダーロボ』

 ゾンダーメタルが寄生しゾンダー人間となった存在が周囲の金属や無生物をとりこんで成長した姿。

 GストーンやJジュエル等の反物質を装備していない無機物は同化されてしまう設定であり、普通のロボット等では殴りあいもできない(触れた瞬間自動ではじまるわけではなく能動的に発動させるため、殴り合いが不可能なわけではないらしい)

 大体のスパロボ世界の場合なんらかのコーティング処理で殴りあいOKになっている。

 この世界では近くにGストーン、Jジュエルを持つ勇者、戦士がいればそれは阻害されるということで。

 

 

──第2話 ガンダム大地に立つ──

 

 

あらすじ

 GGGの基本理念を説明され、さらに剛博士に頼まれバームとの和平会談の場へ同席することとなった統夜達。

 その会場へむかう途中、彼等は中立コロニーのサイド7へと立ち寄る。

 

 そこは、宇宙から迫る未知の脅威へ立ち向かうための新たな機体が開発されている場所だった。

 

 地球とコロニーが協力して制作した、地球製とザフト製のガンダム。

 

 突如襲撃を受けコロニーが危機にさらされた時、その二種のガンダムが大地に立つ。

 

 

ステージ解説

 宇宙港から統夜達が出ると、ザクに囲まれているアムロの乗るガンダムと盗まれた3機のガンダムに囲まれたシンのインパルスガンダム&アレックス(アスラン)の乗るザクがいる。

 

 どちらも離れた場所にいるので、戦力をわけたいところだが、アムロの方は彼一人に任せてしまって問題はない。

 ザクは少々多めに出現しているが、全員雑魚パイロット(名前があっても)なので精神コマンドの集中をかけ基地の上にガンダムを移動させればまず落ちることはない。むしろ一方的に倒してくれるはずだ。

 

 統夜達はシンとアスラン側にいる盗まれた3ガンダムの方へむかおう。

 

 こちらの3体はうち一体のHPが一定以下になると全機撤退してしまう。撃破するとしても、一体が限度だ。

 無理に倒す必要はないが、資金と強化パーツも手に入るのでどれか一体は倒したいところである。

 

 3ガンダムを撤退させ、ザクを全滅させればステージクリアとなる。

 

 

ピックアップ

『RX-78-2ガンダム』

 ガンダム。といえばこの機体と言っても過言ではない存在。

 

 混乱するコロニーの中アムロ・レイが自分と多くの避難民の命を守るためのりこみ、戦いにまきこまれるきっかけとなった機体。

 

 話が進むにつれ段階的にパワーアップがほどこされるため、最初から最後まで安心して使い続けることが可能である。

 一応物語後半に登場するガンダムアレックスが後継機と言えないこともないが、わざわざアムロを乗せ換える必要もないくらいの性能をしている。

 

 

──第3話 赤い彗星──

 

 

あらすじ

 盗まれてしまったザフトのガンダムを追い、崩壊をはじめたサイド7から脱出した統夜達。

 

 そこで待ち受けていたのは、赤い彗星の異名を持つ、ジオン公国の戦士、シャア・アズナブルの率いる一隊だった。

 

 

ステージ解説

 シャアの操るシャアザクとザク、ムサイがわらわらと出現するステージ。

 ザクとムサイは恐ろしくないが、シャアは回避が高いのできちんと精神コマンドを使い対処してゆこう。

 

 シャアを倒す(HP10%以下で撤退)か、ある程度ターンが進むと敵はすべて撤退しステージクリアとなるので資金などを気にするならシャア以外から倒していこう。

 

 

ピックアップ

『戦闘前会話』

 シャアとセイラ(VSホワイトベース)に戦闘前会話があるのは当然として、ミネルバ隊の者と戦っても反応がある。

 

 

タリア「通常の3倍の速度ですって!? これが、単国でコロニーを守りきったジオンのエース……!」

 

 

 同じコロニー軍に属し、実力をよく聞きおよんでいた者が突然襲ってきたことは、さすがのタリアも驚きを隠せない。

 だが、襲ってくるのは事実。

 

 戸惑いながらも彼女は命令をくだすのだった。

 

 

シン「せっかく戦争も終わってみんなで力をあわせようって時に、一体なにがしたいんだお前達はー!」

 

 

──第4話 空が落ちるとき──

 

 

あらすじ

 地球にむけ落下をはじめたユニウスセブンの残骸をとめるため、統夜達はその現場へと急行する。

 彼らは、その落下を食い止めることができるのだろうか?

 

 

ステージ攻略

 第3話の後半デモで追加参戦のシロー・アマダが合流する。

 

 乗っていたというボールは使い物にならず、裸一貫での加入だが、モビルスーツに乗せかえることは可能。

 正式な軍人だけあって指揮技能を持つので、前線に立たせれば十分に役立ってくれるだろう。

 

 ステージはユニウスセブンに隠れていたジオン軍からメテオブレイカーを守りながらの戦いとなる。敵はメテオブレイカーより味方を狙ってくるので、囮の選抜を間違えない限り設置を阻止されることはないだろう。

 

 ザフトからイザークとディアッカがスポット参戦するので削り役、メテオブレイカーの防衛などで有効に使おう。

 

 敵全滅後、ルート選択となる。

 

 

ピックアップ

『シロー・アマダ』

 08小隊の主人公にして今回唯一の味方参入人物。

 

 劇中と同じように輸送船で地球にむかう途中、試作ザクに乗るアイナと友軍が交戦しているのに遭遇し、ボールにて救援に出撃。味方を離脱させたうえでアイナのザクと相打ちになり、二人仲良く遭難していたようだ。

 

 その遭難中、二人で力を合わせ漂流していた船を爆破し、救難信号のかわりとする。

 ユニウスセブンのもとへ急行中のホワイトベースに発見され、合流するという運びとなった。

 

 一緒にいたアイナはシローが救出される直前、ホワイトベースがむかってきているのを確認したうえで、他の仲間に救出されている。

 

 ちなみにこのステージでジオンの伏兵が現れた際、彼は(あの場に君がいたのは偶然じゃなかったということか、アイナ!)と思いを巡らせている。

 

 

──ルート選択 ホワイトベースルート──

 

 

 コロニー破砕中、ホワイトベースの近くで作業し、Gガンダムのドモンと共にヨーロッパ方面へ降りるルートである。

 

 

──第5話 アムロ脱走──

 

 

あらすじ

 ユニウスセブンの落下を防ぎ、なんとか地球へ降り立ったホワイトベース。次の目的地は、GGGのある日本。

 ジオン、バームと戦争状態に入り、連合軍はガオガイガーが倒した未知の生命体(ゾンダー)との戦いに戦力をさく余裕がなくなってしまったからだ。

 当初の予定通り、それらに対抗するための組織を作るため、ともに落ちたミネルバ隊とも合流するため、彼らは動き出す。

 

 そんな中、不幸なすれ違いからホワイトベースを脱走したアムロ。

 逃げた先で待ち受けていたのは、新たな出会いであった……

 

 

ステージ解説

 ランバ・ラルのグフと共にガンダムで戦闘獣と戦うステージである。

 このルートにはランバ・ラルの生存フラグが存在するが、このステージはラルとの顔合わせだけあってそれらのフラグは存在しない。

 なのでグフのダメージを気にかける必要はなく、むしろ撃墜されてもいいくらいの気持ちで前線に出してしまおう(万一撃墜されても撤退するだけでゲームオーバーにはならない)

 

 戦闘獣はHPが高めなので、グフを囮に使い、ラルが反撃でダメージを与え、双方にダメージがたまってきたところで集中をかけたアムロと交替し、とどめをさしてゆくといい。

 

 一定ターン経過するか、第1陣を全滅させると統夜達味方増援が現れ、さらなる戦闘獣も出現する。

 

 こうなるとラルは撤退し、ホワイトベース隊との総力戦となるので、あとは元気なユニットで戦うだけだ。

 

 現れた敵を全滅させれば、このステージはクリアとなる。

 

 

──第6話 ランバ・ラル襲撃──

 

 

あらすじ

 ホワイトベースを補足したランバ・ラル。青き巨星と呼ばれる猛将の攻勢が、ホワイトベースに迫る!

 

 

ステージ解説

 最初はアムロが独房に入れられているので出撃はできない。

 かわりにセイラがガンダムに乗り出撃することになる。ここから、セイラもモビルスーツのパイロットとして使用が可能となる。

 セイラとランバ・ラルの間に生存フラグ1があるので、必ず戦闘させておこう。ちなみにセイラがガンダムに乗っている必要はないので、最初からセイラを別のモビルスーツに乗せかえておいてもいい。

 一定ターンが過ぎるとアムロが出撃可能となる。出撃しているユニットもホワイトベースに戻れば乗りかえることが可能なので、セイラがガンダムで出撃している場合、一度戻ってもいい。

 

 セイラとラルが戦闘し生存フラグ1が立ったのち、ラルのグフのHPを10%以下(撃墜不可)にすればラルは撤退し、生存フラグ2が成立する。

 

 ランバ・ラルを撃破、もしくは撤退させるとこのステージはクリアとなる。

 ここでランバ・ラルを撃墜した場合、彼は死亡し、以後登場しなくなる。

 

 

ピックアップ

『リュウ・ホセイはどこに?』

 リュウ・ホセイはいない。アムロの兄貴分キャラは統夜も甲児もいるし、先輩軍人でもシローがその役を担うことになる。

 

 

──第7話 復活の東方不敗──

 

 

あらすじ

 なにかを感じたのか、突然ホワイトベースを飛び出した風雲再起。

 彼のむかう先にいるのは、一体……?

 

 

ステージ攻略

 生身の東方不敗が戦闘獣に囲まれた状態からはじまるステージ。

 

 東方不敗が倒されるとゲームオーバーだが、よほどの不運が重ならない限り撃墜されることはないので放っておいても問題はない。

 むしろ森の中に移動させれば、なにもせずとも東方不敗の反撃だけで終わるくらいのステージである。

 

 もっとも、東方不敗は生身のため攻撃力はそこまで高くなく、見ているだけは時間がかかる。

 手早く終わらせるなら、反撃をしている東方不敗のところへ残るユニットを走らせよう。

 敵を全滅させればこのステージはクリアとなる。

 

 

──ルート選択 ミネルバルート──

 

 

 コロニー破砕中、ミネルバの近くで作業し、シンとアスランと共に南米付近へ降りるルートである。

 

 

──第5話 混迷する世界──

 

 

あらすじ

 ユニウスセブンの破砕に成功し、なんとか地球へたどり着いたミネルバ隊。

 ほっと一息つくのもつかの間、統夜達の前に連合軍が立ちふさがった。

 

 なんとジオン軍はコロニー落下の欠片に紛れ地上に攻めこんでおり、同じコロニー群のザフトに所属するミネルバも敵ではないかと疑われてしまったのだ。

 

 一方的な攻撃を受けるミネルバ隊。

 しかし、攻撃を返すわけにはいかない。絶体絶命となったその時、彼らに手を差し伸べたのは……

 

 

ステージ解説

 敵は味方であるはずの連合軍なので、撃破することができない制限がかされるステージである。

 一応攻撃してダメージを与えても、撃墜さえしなければ問題ない。

 

 一定ターン耐えるか、ミネルバが目的地のところへ到達すればステージクリアとなる。

 

 目的地に到達するのを目指す場合、ミネルバに移動力アップの強化パーツをつけておこう。

 

 クリアするとナデシコBチームとシャッフル同盟のジョルジュとサイ・サイシーが仲間になり、アスランが一時離脱する。

 

 

ピックアップ

『ナデシコB』

 ルリが艦長を務め、パイロットにリョーコとダイゴウジ・ガイが務めている。サブロウタもちゃんといる。今まで画面に出てきてないだけで。

 

 

──第6話 新たな勇者──

 

 

あらすじ

 ミネルバ、ナデシコと共にこの後の活動拠点となるGGGの基地がある日本へ戻ってきた統夜達。

 

 新たな仲間との顔あわせをしたのもつかの間、ゾンダーと名付けられたあの怪物がせまる。

 新たな仲間と共に、地球を守るのだ!

 

 

ステージ解説

 超竜神とゴルディーマーグ登場のステージ。

 このステージではゾンダーと2連戦することになる。

 とはいえ、同時ではないのでそこまで慌てる必要はない。

 

 一種類ずつ落ち着いて対処すればどうとでもなるだろう。注意するべき点はガオガイガーが撃墜されるとゲームオーバーとなることぐらいだろうか。

 

 

──第7話 闘将ダイモス──

 

 

あらすじ

 地球侵略を開始したバーム軍。その魔の手が、ダイモビックにせまる!

 

 

ステージ解説

 最初はダイモスとガルバーFXⅡのみでの戦闘となるが、ダイモビックに陣取り、反撃に徹すれば問題ないだろう。

 ガルバーは修理、補給装置があるので、万一の場合それで回復させよう。

 

 統夜達が現れるのと同時に、リヒテルの周囲に敵増援も現れる。

 

 統夜達はダイモビックにて合流し、あとから現れたのを撃破してゆけばよい。

 

 リヒテルはHP30%以下で撤退するので、資金や強化パーツが欲しい場合は注意しよう。

 

 

──第8話 第13独立部隊設立!──

 

 

あらすじ

 バラバラになっていたホワイトベース、ミネルバがついに合流した。

 

 ここに新たに第13独立部隊が設立され、その設立を知らせる催しが行われた。

 道々に広げられた屋台。開催されるバイクレース。量産型ボン太君対練馬レッドドラゴンズ。

 

 せっかくの平和の祭典というのに、そこに襲撃をかけるバーム軍。

 

 その総司令リヒテルが顔を出し、降伏勧告を行った。当然、そのようなこと受け入れられるわけがない。

 平和の時間は崩れ、望まぬ戦いがはじまる。

 

 そのさなか、彼女の記憶がよみがえる……!

 

 

ステージ解説

 ステージがはじまる前のシナリオでも中に量産型ボン太君と練馬レッドドラゴンズの戦いは実際に戦うことも可能である。もちろん、スキップすることも。

 強化パーツはもらえないが、資金は少し増やせる。

 

 バーム本隊との闘いに大きく注意することはない。

 今回リヒテルは撤退HPは存在せず、敵の全滅がステージのクリア条件となる。

 

 ちなみにだが、このステージからシローは陸戦型ガンダムに乗っている。ついでにエリカが去る時、アイナのことを思い出す。

 あとアスランもセイバーガンダムをもって合流する。

 

 

──第9話 頭上の悪魔──

 

 

あらすじ

 第13独立部隊最初の任務は、最近発見された謎の砲撃跡だった。

 それが既知の技術で引き起こされた、人為的なものなのか。それとも未知の存在が引き起こしたことなのか。その原因を調べ、できれば取り除くのが目的である。

 

 現地へ出発し、調査、情報取集した結果、それは未知の兵器でなく、ジオンの兵器実験であることが判明した。

 強力なメガ粒子砲。それが完成すれば、連合軍に脅威となる。

 

 彼等は定期的に現れるそれを排除するため、森の中へ身をひそめる……

 

 

ステージ解説

 アプサラスⅡに加え、ノリスのグフ・カスタムが登場する。それ以外にもこっそりサイクロプス隊(ポケットの中の戦争)のメンツも何人かいるが、今のところ第13独立部隊側との絡みはない。顔見せである。

 戦力的にもサイクロプス隊は注意を払うべき強さではない。

 

 ただ、ノリスのグフ・カスタムとアイナの乗るアプサラスⅡは強力なので油断せず精神コマンドを使い対処していこう。

 

 アプサラスⅡを撃破するとシローがとりつき雪山へ飛んで行ってしまうイベントが発生する(原作再現)

 ついでに統夜のグランティードもアプサラスⅡにくっついて退場してしまうので、イベントを起こすタイミングは注意しよう。

 統夜側の詳しいイベントは別の項の『追加シナリオ 雪山編』にて確認してほしい。

 

 アプサラスⅡを撃破しシローと統夜が退場すると、敵軍にドムに乗った黒い三連星とドダイに乗ったグフその他が出現する。

 これによりシロー達を追うのをあきらめざるを得なくなり、戦闘が継続される。

 

 黒い三連星の合体攻撃、ジェットストリームアタックは強力なので、攻撃される前に誰か一人を集中攻撃して倒してしまうのがいいだろう。

 ちなみにだが、第08小隊が追加参戦になったので、黒い三連星の初登場はここに変更された。

 

 敵を全滅させればステージはクリアとなり、雪山のイベントデモがはじまる。

 

 

ピックアップ

 雪山イベントで陸戦型ガンダムが壊れるので、シローはそれを修復したEZ-8に乗りかえることになる。

 陸戦型ガンダムが使えるのは実質1話のみだが、ショップで購入すればそのまま使用することも可能だ。

 

 

──第10話 復讐の炎──

 

 

あらすじ

 激化する戦い。

 

 少しでもその戦いを和らげるため、シャナ=ミアは月に住まう同胞に連絡をとり、いくばくかの力を、Gアイランドシティへ送ってもらった。

 新たな機体と、少しでも死者を少なくするための機材。

 

 人々を助けるために送られた荷物。その中に、憎悪で塗られたソレはあった……

 

 

ステージ攻略

 クド=ラ登場回。

 クド=ラ以外のフューリー搭乗機はすべてAI搭載機なので恐ろしさはない。レベルアップが遅れている者で倒し、レベルの底上げを図るのもいいだろう。

 

 ただし、クド=ラの乗るクストゥエル・ブラキウムはかなりの強さなので不用意に近づかないこと。

 

 

 ステージクリア後、アークエンジェルと共に行動するミスリルのトゥアハー・デ・ダナン、アキト、アル=ヴァン、ダンクーガ達のデモが入る。

 このデモ中、戦闘はなし。

 

 

ピックアップ

『小ネタ』

 アル=ヴァンと獣戦機隊

 アル=ヴァンはけっこう忍に振り回されているらしいぞ!

 カルヴィナと沙羅はけっこう気が合うらしい!

 アル=ヴァンと亮は同じ苦労人だ!

 そして雅人のあつかいはどちらからも同じ。

 

 

──第11話 ベルファストの一日──

 

 

あらすじ

 ガンダムの新たな支援パーツを受け取るため、統夜達はベルファストの基地へとやってきた。

 そこには今、レビル将軍の姿もあった。

 

 それを見つめる二つの視線。

 様々な思惑の絡み合う戦いが、ここではじまろうとしていた。

 

 

ステージ解説

 ガンダムを強奪した一派。ファントムペインとシャア・アズナブル率いるマッドアングラー隊との三つ巴となるステージ。

 

 戦闘がはじまる前にステラの乗るガイアガンダムはイベントでシャアズゴックにやられ撤退するので戦うことはできない。

 ただ、このイベントでシンとアムロが特出することになる。

 

 ファントムペインとジオン両方から挟み撃ちにされる状態だが、無理に戦わずすぐ味方の方へさがればファントムペインとジオンを戦い合わせることが可能だ。

 資金や経験値を考えないならさがってぶつけ合わせるのもいいだろう。

 

 敵を全滅させれば勝利だが、ネームドキャラの乗る機体はHP10%以下になると撤退するので注意しよう。

 

 このステージから、アムロの特殊なフラグが発生する。

 今回はガンダムハンマーでゴッグを攻撃するというものだ。

 

 攻撃すると、ARP(アムロロケットポイント)がたまる。

 これが一定以上たまると、デビルガンダムとの最終決戦の時、シナリオデモが変化する。

 

 

ピックアップ

『Gファイター』

 ガンダムの機動力を補うため開発された支援機。

 ゲーム的には風雲再起と同じように合体しガンダムを飛ばすことが可能となる(Gアーマーになるわけじゃない)

 

 合体すると空適応が得られるだけでなく、精神コマンドも二人分使えるようになり、ガンダムがさらに強力となる。

 

 

──第12話 機界四天王ピッツァ!──

 

 

あらすじ

 ゾンダーの出現。そこへ急行しようとする凱の前に、四天王最後の一人、ピッツァが現れる。

 

 足止めされる凱。

 

 ガオガイガーがいなければ、ゾンダーロボの核はとりだせない。

 中に人がいるため、殲滅することもできない。

 手を出しあぐねる統夜達。

 

 早く来てくれ、凱!

 

 

ステージ攻略

 機界四天王最後の一人、ピッツァが襲撃してくる。

 これにより凱の出撃が遅れ、ゾンダーを倒してもとどめをさすことができず、延々と復活されてしまう。

 

 ただ、倒せば倒した分だけ経験値と資金はもらえるので、ガオガイガーが登場するまで倒し続ける。というのもなくはない。

 余裕があれば倒して資金と経験値を稼いでもいいだろう。

 

 ガオガイガーが現れ、ゾンダーロボを倒せばステージクリアとなる。

 

 バーム軍も顔を出してくるが、数あわせのようなものなので資金と経験値にしてしまおう。

 

 

ピックアップ

『ここはワシに任せて先に行け!』

 足止めを受ける凱を先に行かせるため、東方不敗がピッツァの前に立つ選択肢があってもいい。互角。もしくは翻弄するその姿は後への伏線となるのである。

 でも初見の人には東方不敗だからなぁ。となるのである!

 

 

──第13話 墓参り──

 

 

あらすじ

 その日、ミスリル所属の潜水艦。トゥ・アハー・デ・ダナンの艦長テレサ・テスタロッサは、相良宗介を伴い両親の墓参りに来ていた。

 

 そこで彼女の双子の兄、レナードと顔を合わせ、さらにテッサの前に火星の後継者北辰が現れる。

 

 目的のA級ジャンパーをかばうミスリルの将校なのだから、狙われて当然だろう。

 テッサをかばい戦う宗介だが、ロボットを相手にするのは厳しい。

 

 そこに、海底からアークエンジェルが現れ、二人を救助するのだった。

 

 

北辰「かかったな!」

 

 

 だがそれは、アキトをおびき出すための罠でもあった。

 

 少し遅れて、ミネルバを伴った第13独立部隊も到着し、形勢は完全に逆転し、火星の後継者は撤退していく。

 

 

ステージ解説

 当初は宗介達ウルズチームとアークエンジェルに所属する者達しかいない。アークエンジェルはまだ正式に参戦しておらず、無改造のため、戦力的に不安、資金や経験値はお預けしたいのなら、ミネルバ隊が属する第13独立部隊本隊が到着するまで海上に移動し待ち戦術をとっておこう。

 火星の後継者の一団は空を飛んでいるが、つれてきた傭兵はモビルスーツやアームスレイブなので海中では移動が遅くなるからだ。

 

 さりげにゲイツ(フルメタ)も顔見せしてくるので油断しないようにしよう。

 

 ちなみに今回宗介のラムダドライバ不信再現は発生しないものとする。

 代わりに復活はレーバテイン登場に統合されているのでより大暴れは間違いなしだ。

 

 あと、今回クルーゾー氏とガウルンも出番はない(無慈悲)

 

 

──第14話 アークエンジェル追撃指令──

 

 

あらすじ

 テッサを救った統夜達だったが、カガリを誘拐したアークエンジェルへの追撃、破壊の命令をうけてしまった。

 ミスリルと行動している彼等は、統夜達から見れば味方だが、連合全体から見ればそうではない。なにより、アークエンジェルは今、闇雲に戦場に姿を現し場をかき乱しているのでなく、ミスリルと協力しロゴスのことを嗅ぎまわっている。

 ゆえに連合を裏から支配するロゴスとしても目障りとなりはじめた存在であるため、誘拐を理由に正式な命令として第13独立部隊に始末させようとしたのだ。

 命令と仲間の板挟みとなる統夜達。

 

 そこで導き出された答えとは……?

 

 

ステージ解説

 アークエンジェルを逃がすのが目的のステージ。

 その作戦は、バーム軍とジオン水軍の支配地域へあえて入り、それが現れた隙をついて連合軍をまくというものだった。

 

 統夜達はアークエンジェルを追ってきたが、ジオン水軍とバーム軍の襲撃にあい、アークエンジェルを取り逃がすこととなったという体面をとりつつ、その二つの軍を相手にすることとなる。

 

 逃げるアークエンジェルを特定地点に到達させればステージクリアとなるが、敵を全滅させてもクリアとなる。

 

 今回は海がメインのステージ。

 この戦いにはジオンの水中専用モビルアーマーグラブロなどが登場する。陸地はほぼないので、海の地形適応が高い機体をメインにして戦おう。

 

 海が苦手で空が飛べるユニットは、バーム軍を相手に戦えばいい。

 

 

──第15話 空白──

──第16話 予備──

 

 

あらすじ

 なにか思いついたらさらに追加できる用の空白と予備。

 

 思いつかなかったらククルスドアンでも出しときゃいい。

 ついでに水着イベントだ!

 

 あと、このあたりでエリカは海底城からバーム平和運動の組織へ移動する。

 

 

──第17話 ステラ──

 

 

あらすじ

 ベルリンにてデストロイガンダムに乗せられたステラを助けるお話。

 第13独立部隊は人々を救えるのだろうか!?

 

 

ステージ解説

 援軍、敵増援、イベント離脱、イベント強制移動が激しいステージ。

 ステラ以外にファントムペインのネオことシャピロ、その部下スティング、アウル。さらに北辰と北辰衆にクド=ラと強敵が目白押しでもある。

 初期配置に北辰の乗る夜天光達は一度倒れて撤退しても、イベントで再出撃してくる。なので一度倒しても安心しないでいよう。ただし、2度現れるということは2度資金と経験値が得られるということでもあるので不利ととるかお得ととるかはプレイスタイル次第だろう。

 

 ステラ救出イベントを進めてゆくとキラ、アスラン、アークエンジェルがイベントダメージで離脱してしまう。

 もっともステラを救出すると今ステージはクリアであり、キラとアスランの離脱はその救出直前のイベントなので大きな影響はないだろう。

 

 後のステージでスティングを生存させるためにも、アウルは撃墜しておきたい。

 でなければステラだけの説得では言葉が届かず、彼を生存させることができなくなるので気をつけよう。

 

 それと、ここでクド=ラを倒さずともクリア可能だが、彼女は現れたステージすべてで撃墜してあると対デビルガンダム戦でジュア=ムが援軍として登場するので忘れずに倒しておこう。

 

 ちなみにこのステージで退場したアスランはアークエンジェルと共にこの場から離れるため、しばらく離脱したまま出撃することができない。

 セイバーガンダムの強化パーツ、改造値はインフィニットジャスティスとストライクフリーダムに引き継がれるので、必要ならこのステージ中に強化しておこう(裏技でセイバーに装備していた強化パーツがインフィニットジャスティスだけでなくストライクフリーダムにもくっついてて増殖するというのがある)

 

 ステージクリア後、ルート分岐となる。

 

 

ピックアップ

『ムウ・ラ・フラガ』

 前作で生き残ったため最初からアークエンジェルにいてアカツキに乗っている。

 本来ネオであるはずの彼は、ネオ代理のシャピロと戦闘前会話があったりする。

 アークエンジェル側にはカルヴィナ夫婦やテンカワ夫妻と既婚者がいるので、ムウとマリューはどうなのって空気があり、クルツとマオ姐さんみたいにつかず離れずの関係になるんじゃないかと心配されているらしい。

 

 

──ルート選択 ジャブロー防衛ルート──

 

 

 ロゴス暴露のため分裂状態となった連合。

 身勝手な離脱によりその位置が暴かれたジャブローを守るため、ホワイトベースとナデシコBはその防衛へとむかうのだった。

 

 

ピックアップ

『アル=ヴァンとカルヴィナ』

 どちらのルートを選択してもこの二人は統夜達についてきて仲間になる。

 

 仲間になった時すでにベルゼルート・ブリガンディと後継機なので活躍は期待できるだろう。

 アル=ヴァンとカルヴィナも統夜達と同じく複座で乗るが、戦闘中自在にメインパイロットを変えることができる(マジンカイザーSKL方式)

 なので、サブパイロット時の機体ボーナスはつかない(機体ボーナスは主人公専用ということ!)

 

 カルヴィナは射撃より。アル=ヴァンは格闘よりの能力値になっている。

 ただ、ベルゼルート・ブリガンディの場合射撃武器しか持たないのでアル=ヴァンの高い格闘値がまるっと無駄になる。

 アル=ヴァンを生かす場合は、のちに手に入るクストウェル・ブラキウムへ乗りかえるといいだろう。もっとも今度はカルヴィナの射撃が無意味になるわけだが。

 

 双方の能力をまんべんなく生かすとなると、二周目からショップなどで手に入るラフトクランズを使うことになるだろう。

 無理やり生かすならすでにあるヴォルレントに乗りかえるのもなくはないが、機体そのものの性能が落ちるためあまりお勧めはできない。

 

 

──第18話 ジャブローの戦い 前編──

 

 

あらすじ

 ロゴス告発により分裂状態に陥った地球連合。その隙を地球を狙う者達は見逃さない。分裂移動により連合軍総司令部のあるジャブローへの入り口も発見されてしまった。

 

 総攻撃を前に、その前哨戦としてシャア隊がジャブローへと潜入する!

 

 

ステージ解説

 ナデシコBにアキトとユリカが加わる。今までブラックサレナにエネルギー回復はなかったが、これからナデシコからのエネルギー供給を受けられるようになった。

 

 前編はジャブローに潜入し爆弾を仕掛けたズゴック、アッガイ、ゾックを従えたシャアのマッドアングラー隊との戦いとなる。

 戦艦は動かすことができず、ジムを製造している工場から爆弾を外し捨てに行くというイベントがある。

 

 初期配置より奥に逃げるマッドアングラー隊。

 追うように味方ユニットをある地点より奥に進ませると、侵入したシャアが工場基地に爆弾を仕掛けていたことが判明する。

 

 2回ほどターンはじめに回収デモが挟まれ、回収終了後戦艦の隣へ誰かのユニットを移動させると、爆弾がユニットに渡され、今度は指定の廃棄ポイントへ移動しそれを捨てるよう指示される。

 規定ターンまでに廃棄ポイントへ移動できない場合、そのユニットは爆弾で破壊されてしまう(ユニットが破壊されるだけでゲームオーバーにはならない。ただし回収せず基地と戦艦が破壊された場合はゲームオーバー)

 

 ただ、これらのイベントを無視し、逃げるジオン軍を全滅させてもクリアとなる。

 ここで逃げるシャアズゴックをアムロが倒すことができれば、ARP(アムロロケットポイント)が1ポイント加算されるので、一つ試してみるのもいいかもしれない。

 

 

ピックアップ

 ちなみにだが、爆弾を回収後、それを自爆の精神コマンドを持つユニットで受け取り、自爆すればわざわざ廃棄ポイントまで移動しなくてすんだりする。

 

 あとさりげなくアキト用スーパーエステバリスが用意されていて、こちらにもガイとの合体攻撃も用意されていたりする。

 

 

──第19話 ジャブローの戦い 後編──

 

 

あらすじ

 ついにジャブローへの総攻撃がはじまった。

 ジオン軍が、バーム軍が様々な攻撃を仕掛けてくる。

 

 統夜達はそれからジャブローを守り切れるのだろうか?

 

 

ステージ解説

 ジオン軍からはアプサラスⅡに乗ったアイナとグフ・カスタムのノリス、黒い三連星、サイクロプス隊。

 バームからはリヒテル率いるバルバス将軍とライザとオールスターである。

 

 基本的に基地の上に陣取り迫る敵を反撃からの攻撃で倒してゆけばいいだろう。

 何度か増援もあり、敵を全滅させればステージクリアとなるが、ランバ・ラルだけはHP10%を切ると撤退する。うっかり撃破して死亡させないよう注意しよう。

 他の敵は基本的に撤退するだけなので遠慮なく倒してしまってかまわない。

 

 この中で最も注意すべきは黒い三連星。彼等が近づいてくるころにはジェットストリームアタックを使える気力に達しているので、接近と同時に手痛い一撃を食らう可能性がある。

 今回で退場する彼等は、このジャブローの戦いのボスと言える存在だろう。

 

 

──ルート選択 ロゴスを追うルート──

 

 

 ロゴス暴露のため分裂状態となった連合。

 総司令部を投げ出し自分達の主張を通すため、ロゴスの幹部達はヘブンズベースへと集結する。

 

 この無意味な分裂を早期に収めるため、ミネルバ隊はミスリルと協力しその鎮圧へむかう。

 

 

──第18話 ローエングリンを討て──

 

 

あらすじ

 ヘブンズベースへの集結を続けるロゴス一派。

 同じ地球の者達だというのに、彼等は自分達を守ることしか考えていなかった。

 

 今後のためにも、彼等の暴走を止め、制圧しなくてはならない。

 

 しかし、直接そこを制圧する前に、長距離砲撃を可能とし、絶対的な火力を持つローエングリンと、対超長距離攻撃用陽電子リアクターを持つモビルアーマーを配備した基地を無力化する必要があった。

 

 難攻不落の渓谷内に作られたそこ。

 このままヘブンズベースを攻めるとなると、そこから一方的に攻撃されてしまう。

 

 ゆえに、先にこの基地を制圧する必要があった。

 

 第13独立部隊はどのようにそこを攻略するのだろうか?

 

 

ステージ解説

 狭い渓谷ぞいを飛び、基地へと潜入するという、インパルスガンダム乗り換え直前、最後の見せ場のステージである。

 立案はミスリルのテッサで、シンと共にダンクーガの忍がイーグルファイター(ダンクーガの頭)で共に飛ぶことになる。

 ダンクーガから分離したイーグルファイターが使えるのはこのシナリオのみ。改造はダンクーガと共有しているので、運用したい場合はダンクーガを改造しておこう。

 

 最初は基地の戦力を誘い出すため囮としてミネルバ隊が前に出て戦うこととなる。

 規定ターン敵をひきつければ、渓谷からシンと忍が飛び出し、基地の中に現れる。二人のどちらかがローエングリンにとりつけば破壊が可能となる。

 

 一応シン達を待たずローエングリンを破壊しに行くのも不可能ではない。

 ただ射程内に入ると行動のたび自動的に砲撃される上かなりの威力のため、精神コマンドを駆使せず生き残るのは難しいだろう。

 一周目は素直にシン達の到着を待つのがよい。

 

 

ピックアップ

『インパルスガンダム』

 RX78-2ガンダムと同じくサイド7で制作されたもう一機のガンダムである。

 ガンダムと同じくコア、上半身、下半身に分離できる。ガンダムと違うのは、それぞれが単体で飛べるということ。

 さらに武装を変えることで様々な局面に対応できるウエポンシステムにも対応している。

 連合、ザフトで同じようなコンセプトにたどり着いたのは偶然なのか、必然なのか。

 

 今回のシナリオを最後にシンはディスティニーガンダムに乗りかえるが、この機体はルナマリアが続いて乗ることになる。

 ちなみにだが、インパルスガンダムの改造はそのままディスティニーガンダムに引き継がれる。

 

 それと、分岐がなくRX78ガンダムもいれば、Gファイターと合体してGアーマーになって渓谷を一緒に突破できたのだが、それはかなわなかった。残念なことである。

 

 

──第19話 ヘブンズベース攻防戦──

 

 

あらすじ

 ロゴスのトップ達が立てこもるヘブンズベース。降伏勧告もはねのけ、彼等は戦力を展開する。

 こうなっては話し合いは無意味。

 

 第13独立部隊の攻撃がはじまる。

 新たな剣を得たシンは、彼女の仲間も救えるだろうか?

 

 

ステージ解説

 救出から一話治療を挟み、ここからステラ、アウルが加入する。

 

 敵の数は多いが、強敵と呼べるのはスティングの乗るデストロイガンダムくらいである。手ごわい敵はいないが、数だけは多いのでエネルギー切れに注意しよう。

 

 ちなみに、ベルリンでアウルを撃墜していない場合、ここで出てくるデストロイガンダムは2体となり、アウルはこのステージで命を落とすことになる。

 スティングは撃墜されてもまだ生存するが、次のロゴス壊滅のステージでさらに捨て駒とされ、やはり助からなくなる。

 

 

──第20話 ロゴス壊滅──

 

 

あらすじ

 オーブへと逃げこんだロゴス幹部達。引き渡しは拒絶され、徹底抗戦の態度さえ見せた。

 こうなれば、オーブを攻めるしかない。

 

 再びオーブの民が犠牲となるのか。

 そう覚悟しなければならなくなったその時、カガリが帰還する……!

 

 

ステージ解説

 アークエンジェルとストライクフリーダム、インフィニットジャスティスが正式に参入するステージ。あと、エターナルがスポット参戦する。

 

 最初オーブの兵士達もロゴス私兵にまざり攻めてくるが、カガリの登場と共に撤退していく。が、別に倒しても問題ないので気にせず倒してしまってかまわない。むしろ資金と経験値が欲しいなら、足の速いユニットで突撃する必要があるだろう。

 

 スティングの生存フラグが成立していない場合、出現するデストロイガンダムの一つのパイロットが彼にかわる。残念ながら、ロゴスの壊滅と同時に、彼の死も確定してしまう。

 

 今回もスティング以外強敵はいないが、数だけは多い。ストライクフリーダムのMAP兵器を利用するなどして、効率よく倒していこう。

 敵を全滅させるとステージクリアとなり、デモにてロゴス幹部の乗るロケットが爆発し、ロゴスの壊滅が確定する。

 

 

──第21話 震える山──

 

 

あらすじ

 ロゴスが壊滅し、改めて連合が一つにまとまった。次の手は、ジャブローへの総攻撃によって戦力を減らしたジオンへの反撃だった。

 連合軍は、各地に残されたジオン地上軍へ攻撃を仕掛ける。

 

 第13独立部隊が任されたのは、ラサの山に隠されたジオンの軍事施設だった。

 この基地を制圧することができれば、ジオンも地上の戦力をほぼ失うこととなる。

 

 地上におけるジオン軍との決戦が今、はじまる。

 

 

ステージ解説

 ジオン地上軍との決戦ステージ。

 ギニアスの乗るアプサラスⅢを撃破すればクリアとなる。

 

 ステージ初期はノリスの率いるモビルスーツ部隊が山のふもとに展開されている。

 ノリスを仲間にしたいのなら、シローで戦闘会話を発生させつつ撃破せず最後まで生き残らせよう。

 

 初期配置の敵が全滅するか、ノリスのみとなると、山のところにアプサラスⅢが出現する。

 同時に、非武装のシャトルもいくつか。

 

 彼女はコックピットを開き、その身をさらし訴える。シャトルには怪我人や非戦闘員が乗っており、それが宇宙に帰るまで休戦してほしいと。

 

 この時、選択肢が出る。

『シャトルを撃つ』か

『シャトルを撃たない』か

 

『撃つ』を選択した場合、08小隊原作と同じ展開となり、ノリスは仲間にならず、シローとアイナはこのシナリオを最後に行方不明となる。

 あと、ジム・スナイパーも手に入らない。

 

『撃たない』を選択した場合、武器をおろした第13独立部隊に向け、ギニアスがアプサラスⅢのメガ粒子砲を放つ。

 MAP兵器あつかいで、その範囲にいるユニットすべてがダメージを受けることになる。戦艦以外のHPがもっとも高いユニットが狙われるので、ノリスをまきこまないよう注意しよう。

 

 

ギニアス「さあ、撃ち返せ! それが人間というものだ!」

 

シロー「いや、断る! そちらが撃ったとしても、俺達は撃たない! だから、頼むから降伏してくれ。これ以上、無駄な血を流すのは嫌なんだ!」

 

アイナ「そうです兄さん!」

 

 

 アイナはそのギニアスの行為を否定し、これ以上の戦いは無意味だと諭そうとする。

 だが、彼女の言葉は、想いは彼に届かなかった。

 

 ギニアスはアイナに銃の引き金を引き、弾丸を胸に受けた彼女はアプサラスの外へと放り出される。

 

 その体はシローがキャッチし、一時的に彼のユニットはアイナとの二人乗りとなる。

 

 さらに、それを見たノリスが、その非道にギニアスを見限り、アイナと共に仲間となる。

 

 アプサラスⅢの周囲に敵援軍が現れる。

 それは、ジオン軍ではなく、ASを駆る傭兵部隊だった。身内さえ信用せず、金で戦力を集めていたのだ。

 

 シャトルが飛び立つ中、ジオン地上軍との最後の戦いがはじまる(シャトルは画面奥に移動して消える)

 

 ギニアスの乗るアプサラスⅢは範囲の広いMAP兵器を持つので、範囲内に固まらないよう注意しよう。

 例え味方がいようと敵の数が多ければ遠慮なくぶっ放してくる。下手すると傭兵部隊はギニアスに全滅させられたなんてこともあるので、資金や経験値をとられないように気をつけよう。

 

 

──第22話 訓練特訓偽物回──

 

 

あらすじ

 特訓して訓練して偽物が出てくる話。

 豹馬君なんでその方法で偽物とわかったんですかねえ?

 

 

ステージ攻略

 初期は出撃できるメンバーが制限されるステージ。

 

 コンバトラー、ボルテスの偽物だけでなく、多くの味方偽ユニットが登場する。

 

 このステージで注意するのはなんと偽ボロット。

 

 本物よりステータスは高いわ数もいるわ隣接すると自爆攻撃まで仕掛けてくるという低コストを最大限に生かした戦い方をしてくる。

 自爆はミサイル系の爆発と同じで回避不能の上残りHP分ダメージなので、近づかれる前にできる限りのダメージを与え被害を最小に抑えよう。

 

 ちなみにルリの見立てではボロットのコストが10ならあっちのコストは100だそうな(普通のユニットは4000とからしい)

 核ミサイルを作るよりこっち作った方が効率いいんじゃなんて言われたりする。

 当然ボスはカッカするが、下手すると返り討ちにあうので戦うならちゃんと準備しよう。

 

 敵を全滅させればこのステージはクリアとなる。

 

 

──第23話 東京大決戦 前編──

 

 

あらすじ

 東京へ買い物に来た統夜達。

 女子が買い物にいそしむ中、統夜は自分の命を狙ってきたクド=ラにお帰り願うため一人単独行動をとる。

 

 結果突然の地震と崩壊により地面が崩れ、とっさにグランティードを呼んだ統夜はクド=ラと共に地面の下へと閉じこめられた。

 

 一方外では東京が謎のバリアにより出入りはおろか中まで見えなくなっていた。

 そこは、領域内すべてをゾンダーに変える一千万都民の命がゾンダー化させられようとしているのだ!

 

 それをサイトロンを通じて気づいた統夜は、中に取り残された人達を救うため、クド=ラを説得しグランティードと共に立ち上がる!

 

 これは、地球を機械化しようとするゾンダーとの最後の戦いである!

 

 

ステージ解説

 機界四天王と決着をつけるステージである。

 

 ステージ開始時はクド=ラをサブパイロットに乗せたグランティードのみなので、すぐ近くのバリア発生原因。機界四天王の誰かを攻撃してイベントを発生させよう。

 あとはそれから2ターンの間、バリアの中で生き残ればいい。

 

 余裕がないのなら、あとで味方が登場しそうなスペースがあるので、そちらへさがればいい。

 四天王はバリア維持のため動かないため、ゾンダーメタルに操られた雑魚しかやってこない。

 

 ただ、グランティードを十分に改造してあり、統夜が育っているのなら、援軍を待たず一人で戦ってもいいだろう。

 一応援軍前に四天王の一人を撃破してもバリアは解除できる。

 

 さすがに一周目での実行はまず不可能だが、いつか挑戦してみるのもいいだろう。

 

 バリアが破られれば、味方の援軍が現れる。

 同時に雑魚が増援で増え、四天王も動き出すため、統夜は味方と合流して皆で出迎えよう。

 

 敵を全滅させれば、このステージはクリアとなる。

 

 

──第24話 東京大決戦 後編──

 

 

あらすじ

 東京を覆ったバリアを破り、機界四天王を打ち破った第13独立部隊。

 ほっとしたのもつかの間。東京タワーの下から、最初のゾンダー、EI-01パスダーが姿を現した。

 

 圧倒的なパワーを見せつけるパスダー。

 勇者達は、第13独立部隊の皆は、この悪魔に勝てるのだろうか……!?

 

 

ステージ解説

 ステージ開始時点は東京すべてのエネルギーによって味方を押さえつけようとするが、正気に返ったピッツァ達の特攻により一時的な弱体化を見せる(別にゲーム的に弱くなるわけじゃない)

 

 パスダーのHPを半分まで減らすとイベントが発生。

 パスダーのHPが回復し、弾丸Xが到着。さらに甲児のマジンカイザー乗り換えイベントが発生する。

 

 こうなればもう、マジンカイザー&弾丸Xで気力200の勇者達の独壇場となるため、困ることはほとんどないだろう。

 パスダーにはHP回復があるので、彼等を軸に一気に畳みかけよう。

 

 もちろんパスダーを倒せばこのステージはクリアとなる。

 

 

ピックアップ

『マジンカイザー』

 マジンガーZが『神にも悪魔にもなれる』というのに対し、マジンカイザーは『神をもこえ、悪魔も倒せる』と称される。

 その姿は悪魔のようと称されたパスダー退治のところで登場するのも当然といえよう。

 

 マジンガーZの改造、強化パーツがそのまま引き継がれるのでそのまま大活躍が可能である。

 

 

──第25話 敗北イベント──

 

 

あらすじ

 勝利もつかの間、新たな敵により大打撃を受けた第13独立部隊。

 Gアイランドシティは破壊され、超竜神は皆を守るために行方不明となり、ダイモビックはバーム軍に占拠、世界を裏から守っていたミスリルはアマルガムに手痛い攻撃を受けほぼ壊滅。かなめは誘拐という状態になってしまった。

 

 その立て直しの最中、さらなる追撃がオービットベースにせまる!

 

 

ステージ解説

 前半デモにて敗北イベントがあり、後半はオービットベース襲撃となる。

 前半デモ中に炎竜、氷竜が一時離脱し、後半に入ったところで風龍と雷龍が仲間になる。

 さらにオービットベース襲撃中宗介も離脱し、かわりにボン太君が参戦する。

 ステージ後半までコンバトラーとボルテスが使えないので、二体をメインに使っていた場合は注意が必要だ。

 

 新たな敵、原種の集合体、合体原種のHPが6割に達するとイベントが発生。コンバトラーとボルテスが復帰し、ダイモスとの3機合体攻撃を習得する。

 合体原種の再生能力を破壊したというが、ゲーム的にHP回復能力は健在なので攻撃を集中させ一気に倒そう。

 

 

ピックアップ

『護と戒道』

 ピッツァがソルダートJになったくだりや原種との戦いをまかせろなどの話はこのステージで行われている。

 

 

 後半に続く



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第2次スーパーロボット大戦J完全攻略読本 後半

 

──第26話 奪還、ダイモビック!──

 

 

あらすじ

 合体原種との戦いによりダイモスのパワーアップに光が見えた。

 しかし、それを実行するにはあまりに難易度が高い。

 

 どうにかして実現できないかと頭を悩ませていると、何者かからそれを実現可能とするデータが送られてきたのだ。

 

 実現可能となったダイモスのパワーアップ。

 それを手に、彼等はダイモビックの奪還へと動き出す!

 

 

ステージ解説

 最初は一矢のダイモスとゾンネカイザーとの一騎打ちとなる。

 一矢の強さに不安があるのなら、ダイモビックの上まで移動して基地の地形効果を受け回復しつつ戦うのがいいだろう。もちろん、相手を基地の上に立たせてはならない。

 このまま倒すと、のちの敵援軍でダイモビック周辺に現れた敵に囲まれてしまう気がするが、ゾンネカイザーを倒すと、アイザム本人が乗ったゾンネカイザーとのイベント戦闘になる。

 この時ダイモスとゾンネカイザーは海上へ自動で移動するので、次の増援でダイモスが囲まれることはない。

 なので遠慮なく基地の上で戦い、撃破できる。

 

 ただ、このイベント戦闘でダイモスは残りHPの10%を受けてしまうだけは覚えておこう。

 

 イベント終了後はバーム軍との総力戦となる。

 

 リヒテル達ネームドキャラは最初ダイモビックの上にいるが、3ターン目にはこちらに前進してくるので、雑魚を迎撃しつつ待機戦術をとっているといいだろう。

 もちろん、ダイモスも待機している味方の方へと移動するといい。

 

 敵を全滅させるとステージクリアとなる。

 

 

──第27話 北極の戦い──

 

 

あらすじ

 撤退したバーム軍の本拠地探索は今も続いている。

 海底にあるとの目星はついたが、その正確な位置はまだ不明のようだ。

 

 その間に、第13独立部隊は新しい命令を受ける。

 

 先を見越し、宇宙にて使う資材やらないやらを打ち上げる。その護衛をせよとのことだった。

 

 その中身の詳しい説明はなかったが、ガンダムに乗るアムロには楽しみにしていろとだけ伝えられた。

 

 

 一方、その打ち上げの情報をつかんだジオン軍はサイクロプス隊をその阻止のため送りこんでいた。

 潜水艦より発進した4機のモビルスーツが、油田採掘プラントの近くを通り連合の北極基地を目指す。

 

 その時、それは起こった。

 無人の採掘プラントが、まるで生き物のように動き出したのだ。

 

 巨大な脚のように動いたその衝撃により、彼等は海上へはじき出されたあげく、それに追撃を放たれる。

 

 絶体絶命。

 

 四人がそう確信したその瞬間、彼等への攻撃を遮るよう、その間に入るものがいた。

 

 巨大な戦艦。

 ジェイアーク。

 

 採掘プラントにとりついた原種の存在を感じてやってきた彼等が、身をていしてかばったのである。

 

 

戒道「早く逃げろ!」

 

シュタイナー「子供だと!?」

 

 

 その声に驚くサイクロプス隊隊長シュタイナー。

 

 アルマ。戒道にしてみれば、それがジオンかどうかは関係ない。

 ただ、人を助けた。それだけである。

 

 サイクロプス隊は助かった。

 しかし、彼等をかばった船は沈黙したまま動かない。

 

 どうやらあの一撃で船を動かすものが意識を失ったようだ。

 

 正体不明の敵の狙いはその巨大な船にかわった。

 

 サイクロプス隊隊長、シュタイナーは確信する。

 今なら逃げられる。と。

 

 基地の近くでこのようなことが起きては、すでに任務を実行できる状態にない。

 このまま戦うなら、無駄に命を散らすだけだ。

 

 そうして彼がくだした決断は……

 

 

ステージ解説

 初期は動けないジェイアークとサイクロプス隊の面々で巨脚原種を相手にしなければならない。

 

 

ミーシャ「いいんですかい?」

 

シュタイナー「かまわん。すぐ連合の奴等がくる。その時を狙って今度は基地へ行かせてもらう」

 

ミーシャ「こいつを囮に使うってことですかい。了解了解」

 

 

 すでに作戦には間に合わないとミーシャも悟っているが、それについてはないも言わなかった。

 あくまで作戦のためとしておけば、ここで戦うとしても無意味ではなくなるのだから。

 

 

 ここで2ターンジェイアークを守り、サイクロプス隊が一人も撃墜されなければ、宇宙において彼等の生存フラグが立つ。

 精神コマンドをフル稼働してなにがなんでも生き残ろう。

 

 3ターン目の味方フェイズに、Jが意識を取り戻し、キングジェイダーとなって動けるようになる。

 

 

J「助けようとして、逆に助けられるとはな……」

 

 

 J復活と同じくして、北極基地を護衛していた第13独立部隊の面々も到着し、サイクロプス隊は海に潜り。この場から撤退してゆく。

 彼等は基地へ潜入する機をうかがうが、結局シャトルは宇宙へ射出されるのを見届け、去ってゆくことになる。

 

 あとはキングジェイダーと共に敵増援として現れた雑魚ユニットと巨脚原種(採掘プラント)をすべて倒せばいい。

 きちんと成長してきた部隊ならば苦戦する相手ではないだろう。

 

 ただ、巨脚原種は地球のヴァンアレン帯を破壊し、大地に有害な宇宙線を降り注がせ生き物を死滅させようとしている。

 ゆえに第13独立部隊との戦闘がはじまり、12ターンがたつと地球がダメになってゲームオーバーとなるので気をつけよう。

 

 敵を全滅させれば、シャトルも宇宙へ打ち上げられ、護衛の任務も無事達成されることになる。

 

 

ピックアップ

『ジェイアークがやられた!』

 一応原作でもジェイアークは巨脚原種に北極海へ沈められているので、原作再現といえなくもないのだ。

 

 あと今までうっかり忘れていたが、キングジェイダーは帰還フラグを立て忘れるとZマスターとの決戦で吹っ飛んだまま帰ってこなくなる。

 今回の原種をガオガイガーかキングジェイダーで倒すのがそのフラグなので忘れず立てておこう。

 

 

──第28話 決戦! 海底城!──

 

 

あらすじ

 ついに発見されたバーム地上軍の拠点、海底城。

 

 一つの決着をつけるため、彼等はそこを目指す!

 

 

ステージ解説

 バーム地上軍との決戦。

 

 拠点の海底城が海の上に頭を出しているが、そこから砲撃があり、敵ターンの開始ごとにランダムで3体のユニットがダメージを受ける。

 敵ユニットと別に、海底城にもHPが設定され、それを0にすれば以後この砲撃はなくなる。

 

 バームの地上軍との最終決戦ということで敵の数はかなり多い。

 しかもほとんどが海なので、空を飛べるか海適応の高いユニットをメインにして戦おう。バーム軍は全機空を飛んでいるので特に海から空を攻撃できるなら、かなりのダメージを抑えて戦えるはずだ。

 

 リヒテルを倒せばこのステージはクリアとなるので、資金などが欲しい場合はいつものように。

 

 ステージクリア後謎のボアザン星人が現れリヒテルを連れて去っていく。

 

 

ピックアップ

『ギメリア』

 原作ではアイザムが乗っていた彼の最高傑作。

 今回はこれを作成する前に海へ沈んだため、海底城でアイザムの残した設計図を元にしてリヒテルが作らせ乗りこんだ。

 アイザム設計ゆえゾンネカイザーと同じくダイモスにしかダメージを与えられないかと思いきや、そうでもなかった。

 どうやらアイザムの技術を再現できるのはアイザム本人しかいなかったようだ。

 

 

──第29話 ミケーネの秘密──

 

 

あらすじ

 発見されたミケーネ帝国の遺跡。

 その奥には驚愕の秘密が隠されていた!

 

 

ステージ解説

 超竜神復活のステージ。

 ゴーゴン大公のHPが半分になると超竜神達の合体イベント。幻竜神と強龍神に合体し、合体攻撃にて回復したゴーゴンに同じだけのダメージを与える。

 あとは敵を全滅させればクリア。ステージ的には特に留意する点はない。

 

 

──第30話 復讐の行方──

 

 

あらすじ

 統夜のもとに届けられた果たし状。

 ついに悲しい物語に終止符が打たれる。

 

 その結末は……

 

 

ステージ解説

 最初は統夜の乗るグランティードとクド=ラのクストゥエル・ブラキウムとの一騎打ちである。

 

 ひらめき、不屈が使えるならばまず負けないだろう。

 

 一騎打ちが終わればグランティード・ドラコデウスへの合体となり、クド=ラを裏から操っていたハ=カ・セとの戦いとなる。

 

 ハ=カ・セを倒せば終わりだが、なかなか動かないので待つ間は先に迫ってくるフューリー機を相手にして資金を稼ごう(今回気力は全機130スタート)

 

 ハ=カ・セ機もオルゴンクラウドを持ち、ダメージ軽減、特殊回避も備えるが、パイロットであるハ=カ・セの技量が低いのでかわされることは考えなくてもいい。

 

 その分耐久力と攻撃力が高いので、一撃には注意しよう。

 ちなみになぜか、射程3を攻撃する手段がないという大穴がある。

 

 

ピックアップ

『ジュア=ム復活』

 ジュア=ムの生存は確定だが、クド=ラが出撃してきた時全部撃破していないとデビルガンダム戦での援軍はないのは前に話した通りだ。

 念のため、もう一度書いておいた。

 

 

──第31話 かなめ奪還作戦──

 

 

あらすじ

 ついに連れ去られたかなめのいる場所が判明する。

 彼女を奪還するため、ミスリルだけでなく、第13独立部隊の皆も動き出す!

 

 

ステージ解説

 かなめを奪還するためニケーロ島へむかう一行。

 宗介復活&レーバテイン登場である。

 

 北辰達火星の後継者も敵の初期配置にいるが、まずはボン太君を基地に突入させよう。

 宗介基地潜入イベントとレーバテイン(偽)破壊イベントが起きる。

 その後敵の数を減らすと潜入イベントが進み、かなめはカリーニンに連れられ基地から連れ去られ、かなめの救出は失敗となる。

 

 宗介が基地の外へ出ると、アラン・イゴールによって本物のレーバテインが運ばれてくる。

 今回ラムダドライバ不信は再現されず、その復活の大暴れはここで再現されることとなる。なので遠慮なくゲイツをボコってしまおう。

 

 北辰を撤退させ、ゲイツを倒し、敵を全滅させればステージクリアとなる。

 

 

──第32話 ヤムスクの真実──

 

 

あらすじ

 ヤムスクにて語られるウィスパードの真実。

 宗介は千鳥かなめを取り戻すことができるのか!?

 

 

ステージ解説

 クルツが強制出撃でステージクリア後一時離脱するが、これはステージクリア後のイベントなので今回の戦闘に支障はない。

 ただ、次の話で復活する際強化パーツや改造はこの回のままなので、改造などは今回までに済ませておこう。

 

 今回レナードがベリアルに乗り顔見せ程度に姿を現す。

 顔見せというのは、登場後のエネミーターンには去ってしまうからだ。登場がエネミーターンの場合、本当に顔を見せただけで撤退してしまう。

 

 一定以下の敵の数になれば登場するので、1ターンのチャンスにかけ、撃破を狙うのならその数に注意しておこう。

 倒しても経験値と資金しかもらえないので、無理に狙う必要はない。

 

 シャピロはHP30%以下で撤退する。こちらはよい強化パーツを落とすのでぜひとも撃破しよう。

 敵をすべて倒せばステージクリアとなる。

 

 

──第33話 メリダ島奪還作戦──

 

 

あらすじ

 かつてミスリルの基地があったメリダ島へと逃げこんだアマルガム。

 第13独立部隊はその奪還とかなめを取り戻すため、攻撃を仕掛ける!

 

 地球におけるアマルガムとの最後の戦い。それが迫まっているのが誰にも感じられた……

 

 

ステージ解説

 レーバテインに緊急展開ブースターが装備され空を飛べるようになった。

 

 初期配置の敵を全滅させるか、宗介を基地に到達させるとイベントが発生。

 基地にて宗介とカリーニンの一騎打ちが発生し、クルツ増援からの水爆発射&敵増援となる。

 

 剣を装備したユニットなら誰でも水爆をとめることは可能だが、アムロがやるとARP(アムロロケットポイント)がアップする。

 

 ここでいよいよアラン・イゴールも合流し、ダンクーガもファイナルとなる。

 

 敵増援の中にはデビルガンダムもいるが、これはただ形を真似たレプリカらしく、HP回復などデビルガンダム細胞由来の能力は搭載されていない。

 敵の中にはジオンのモビルスーツもいるが、名前のある者はいないので蹴散らしてしまおう。

 ただし、アプサラスⅢのMAP兵器は厄介なので注意しよう。ギニアスと違い、仲間が範囲にいると撃たないのが救いだが。

 

 水爆を切り、敵を全滅させればステージクリアとなる。

 

 

ピックアップ

『アラン・イゴール』

 第13独立部隊との顔合わせはほとんどないが、バーム解放運動の面々やレーバテイン作成、ベルゼルート・ブリガンディ受け渡しなど、裏での活躍が相変わらず多い男である。

 

 

──第34話 コンスコン強襲──

 

 

あらすじ

 ついに宇宙へ出た第13独立部隊。

 それを待ち構えていたのはジオンのコンスコン艦隊だけではなかった。

 

 せまる、原種の罠。

 

 統夜達は無事この包囲網を突破することができるのか!?

 

 

ステージ解説

 ステージ開始前にナデシコがCになり、トゥアハー・デ・ダナンも宇宙に飛び、戦力が増強される。

 

 コンスコン艦隊、原種との三つ巴。

 味方の多くが原種のクラインスペースに閉じこめられ、最初はホワイトベース隊のみで戦うことになるステージ。

 

 グランティード・ドラコデウスをホワイトベースかナデシコCのどちらに乗せているかで初期位置が変わる。

 

 クラインスペース内にはジェイダーも捕まっており、脱出したところでキングジェイダーも仲間になる。

 今まで何度かスポット参戦してきたその強さが、いよいよ本格的に使えるようになるのだ(改造値はガオガイガーから引き継がれる。これは他のスポット参戦でも同じ)

 

 ちなみに、他の戦艦がクラインスペースを脱出する前に初期配置にいるジオンモビルスーツを全滅させると、コンスコンからあの「3分で全滅だと」セリフを聞くことができる。

 なお、アムロでドムを10機以上倒すことができれば、いつものARP(アムロロケットポイント)が手に入る(原作でのアムロ単機撃破数は9)

 

 クラインスペースから脱出すれば原種とゾンダーメタルに操られた雑魚が出現するので、それらをすべて倒せばステージクリアとなる。

 

 

ピックアップ

『ショップ』

 強化パーツだけでなく機体も買える。

 パイロットの数に比べ、宇宙で使えるモビルスーツが足りないと感じたなら、ショップでジムなどを追加してもいいだろう。

 

 

──第35話 ポケットの中の戦争 前編──

 

 

あらすじ

 中立コロニー、サイド6に入港した第13独立部隊。

 アムロはそこで運命の出会いを果たし、その裏ではジオンによるガンダムアレックス破壊計画が進んでいるのだった……

 

 

ステージ解説

 サイクロプス隊による基地襲撃。

 原作とは違い、サイクロプス隊全員がモビルスーツに乗っている。

 

 開始直後はクリスのアレックスしかいない。

 

 とはいえ、2ターン目の味方フェイズに第13独立部隊が登場するので、アレックスが自分からつっこまない限りサイクロプス隊が移動するだけで味方の増援がそろうだろう。

 

 ここでキングジェイダーが出撃している場合、そのメインコンピューターのトモロがサイクロプス隊の生体パターンを検知し、あの北極で共に戦った戦士達だと気づくことができる。

 これで、彼等にさらなる生存フラグが立つ(キングジェイダー出撃が生存フラグ2)

 

 

J「因果だな。だが、戦士である私は手加減せぬ!」

 

 

 というが、このセリフが出れば全員の生存が確定する。

 撃破されるとバーニィ以外爆破演出が出て、バーニィは撤退するが、戦後傷があっても生存しているのが確認される。

 

 

J「運が良かったようだな」

 

 

 と、Jは言うが、本当に運だけだっただろうか?

 

 

 彼等を撃墜すると、ジオン兵の援軍が現れる。

 それを全滅させれば、このステージはクリアとなる。

 

 サイクロプス隊の生死によって次のステージは二つに分岐する。

 

 

ピックアップ

『今後』

 サイクロプス隊が生存している場合、彼等はホワイトベースに捕らえられる。

 ここでアイナとノリスが仲間になっている場合、彼等の説得もあり、サイクロプス隊が仲間になる。

 アイナ達がいないと、捕虜になるだけで一緒には戦えない。

 

 そして彼等の証言により、サイド6に核攻撃が予定されていると知らされ、その戦艦は拿捕される。

 

 しかし、逃げのびたやる気のある残党がもう一度攻撃を仕掛けてくる可能性が示唆され、次の話へと進む。

 

 

──第36話 ポケットの中の戦争 後編A──

 

 

あらすじ

 唯一残されたサイクロプス隊隊員バーニィ。彼はなんとか仕事を完遂するため、動き出す。

 

 

ステージ解説

 サイクロプス隊が死亡している場合のステージ。

 敵はバーニィとダミーしかいない。

 

 クリスでバーニィを説得し、ザクのHPを10%以下にすれば彼を仲間にすることができる。

 

 核攻撃の方は原作と同じ流れなので描写はされないようだ(サイクロプス隊がいないと話題にも出ない)

 

 

──第36話 ポケットの中の戦争 後編B──

 

 

あらすじ

 サイクロプス隊が生存した場合のルート。

 最初のバーニィの行動は同じ。彼は隊長達は全滅したと思って行動している。

 

 

ステージ解説

 最初は後編Aと同じでバーニィのザクⅡ改とダミーのみ。

 だが、今回の説得はクリスだけでなくシローやアイナ、ノリスでも可能となる。

 

 しかもこっちの場合はわざわざダメージを与えずとも説得さえすれば投降してくれる。

 

 バーニィを説得or撃墜すると他のジオン部隊がコロニーごとアレックスを沈めるため出現する。

 

 それを全滅させればステージクリアとなる。

 

 

ピックアップ

『バーニィ』

 バーニィを仲間にすると、ザク改以外にザクⅡとシャアザクも手に入る。ザク2機は趣味と愛で使うしかないが、シャアザクの方は高い運動性を生かせば十分戦える。

 

 このステージをクリアするとショップにパーフェクトガンダム、フルアーマーガンダムへの換装パーツとG3ガンダムが購入可能となる。

 さらにサイクロプス隊が生存しているとケンプファーを購入することができる。彼等を使う場合、これを購入して乗せてもいいだろう。

 

『ガンダムアレックス』

 このシナリオ後、サイクロプス隊、バーニィの生死にかかわらず、クリスと共に第13独立部隊に加入する。

 

 アレックスの運動性は高いが、Gファイターとの合体はできず、ガンキャノン、ガンタンクとの合体攻撃もできない。

 その上どこからも改造の引き継ぎもない。

 

 自分の運用法で、アムロを乗せるか決めよう。

 幸い乗れる人間は多いので、乗り手に困る。ということはない。

 

 ちなみにアバオアクーにてアムロがどの機体に乗っていても大まかな流れに変化はない(原作と違い、機体が破壊されないから)

 

 ただし、ガンダムに乗っている場合はガンダムの武器に『ラストシューティング』が追加されるので、そのままガンダムで戦い続けてもいいだろう。

 

 

──第37話 ソロモンの戦い──

 

 

あらすじ

 ジオンの宇宙要塞、ソロモンに総攻撃を仕掛ける連合軍。

 ここが落ちれば、大勢はほぼ決する。

 

 その中に、第13独立部隊の姿もあった。

 

 

ステージ解説

 ジオンとの総力戦その1。

 かなりの数の敵が登場する。

 

 敵の数が一定を下回るか、一定のターンがすぎると増援でドズルの乗るビグザムが登場する。

 

 ビグザムは高い攻撃力を誇るが、エネルギー切れも早い。

 ただ初期配置は基地の上なので、増援としてビグザムが登場する前にその位置に立って登場位置をずらしておくと有利に戦えるだろう。

 

 登場から一定ターンがすぎるとスレッガー特攻イベントが発生するので、彼を生き残らせたいなら一気に倒そう。

 

 ただ、ビグザムを撃破するとステージもクリアなので資金や他フラグの回収も忘れないようにしよう。

 特にランバ・ラルをうっかり撃墜したり、セイラで戦闘会話を発生させ忘れたりしないよう気をつけよう。

 

 

ピックアップ

『唐突なQ&A』

 そういやミーアは?

 議長はラクス関係など原作とは別のところと組んで別のアプローチをしていたので、危険を冒して彼女を使う必要はなかった。なので平和に暮らしてます。

 

 

──第38話 ニュータイプ──

 

 

あらすじ

 アバオアクーを目指す第13独立部隊。

 その途中、シャアが率いるニュータイプ部隊が立ちふさがる。

 

 

ステージ解説

 ジオンのニュータイプ部隊との戦い。

 ララァ生存フラグがあるのでララァ撃墜には注意しよう。

 うっかりシャアのゲルググを撃破するとララァがかばって死んでしまうのでそれも注意だ。

 

 今回ニュータイプ隊だけでなく、ジオンのモビルアーマーも勢ぞろいしている。

 ザクレロ、ビグロなど、それぞれ強力なのでなめてかからないようにしよう。

 

 

ピックアップ

『唐突なQ&A』

 Q:なぜクド=ラは統夜のことをフューリー名の『トウヤ=セルダ・シューン』じゃなく『シウン・トウヤ』と呼ぶの?

 A:最初は同胞と認めなくなかったからがきっかけで、あとからは変えると意識してるようで恥ずかしくなって言い換えにくくなっちゃったから。

 

 

──第39話 決戦、ア・バオア・クー──

 

 

あらすじ

 徹底抗戦を続けるジオン軍。

 その源であるコロニーレーザー・レクイエムを破壊するため、第13独立部隊は戦線に突入する。

 

 

ステージ解説

 ジオンとの総力戦その2。

 コロニーレーザー・レクイエムを破壊するためそこにたどりつく必要がある。

 初代ガンダムとディスティニーの最終決戦が同時に再現されたステージでもある。

 

 シャアのジオングが倒れるとイベント発生。

 アムロとセイラ、ララァだけでなく、レイとアスランも一時退場するので彼等をメインで使っている場合注意しよう。

 

 ジオングが撃墜された状態でコロニーレーザーに到着すればステージクリアとなる。

 ジオングが撃墜される前にコロニーレーザーにとりつくと、今度はシンとキラがコロニーレーザーに侵入し戦場から退場するのでそれも気をつけよう。

 

 もちろん敵を全滅させてもクリアとなる。

 

 あとはデモの選択肢にてギレンの最後がかわる。

 

 

ピックアップ

『武器の追加』

 この戦いでアムロがガンダムに乗っていた場合、ジオング撃墜後ガンダムの武器に『ラストシューティング』が追加される。

 一度入手すれば次の周からはここでガンダムに乗らずとも自動的に追加される上、その前でもショップで購入可能となる。

 

 

──第40話 バームの真相──

 

 

あらすじ

 ジオンとの戦いも終わり、火星を目指す第13独立部隊。

 

 その航路の最中、襲われている船を発見する。

 襲われていたのは、バームの将軍バルバスだった!

 

 

ステージ解説

 ジオンとの戦争が終わり、火星へむかう途中、バームから逃げてきたバルバス将軍を助けるステージである。

 シンの妹、マユの生存フラグが成立している場合、シンが自動的に出撃する。

 

 足の速いユニットを使い、追手のバーム軍との間に入ろう。

 

 攻撃がバルバス機にむかなくなれば、強敵もいないこのステージで困ることはない。

 

 ただし、資金を稼ぐという面でこのステージは有用である。

 

 

 クリア後、ルート分岐となる。

 

 

──ルート選択 バームルート──

 

 

 ホワイトベースとミネルバでバームを開放しに行くルート。

 

 

──第41話 バーム決戦──

 

 

あらすじ

 小バームに到着した一矢達。

 エリカとオルバンの結婚式がはじまろうとする中、一矢は絶対の防御を誇るバリアにむけ、決死の作戦を実行しようとしていた!

 

 

ステージ解説

 ステージ開始時は小バームにのりこんだダイモスのみの状態からはじまる。

 エネルギー発生装置を破壊すれば味方増援が出現するので、一機で心もとない場合はすぐ攻撃しよう。

 

 味方が出現すると、敵増援も現れる。

 敵増援はダイモスに近いので、心もとないのが続く場合は足の速いユニットをダイモスの元へ走らせよう。

 

 敵の数が減少するにつれ、裏で逃げるオルバンとエリカ、リヒテルのイベントデモも進行する。

 

 敵が一定以下になると、オルバンが増援で現れ、リヒテル、ハイネルも味方として参戦することになる。

 

 オルバンを倒せば、小バームは解放され、このステージは終了となる。

 

 

──第42話 ボアザン・キャンベル連合軍を打ち破れ!──

 

 

あらすじ

 小バームを解放した第13独立部隊。

 

 ひと安心したいところだったが、そうもいかなかった。

 ボアザン・キャンベル連合軍が襲撃を仕掛けてきたのだ。

 小バームを守るため、彼等は戦いへと出る。

 

 

ステージ解説

 小バームを解放したのもつかの間、今度はボアザン、キャンベル連合軍が攻撃してくる。

 

 とはいえ、敵の総司令ワルキメデスもそこまで強くはなく、これまでしっかり育ててきていれば苦戦もしないだろう。

 今まで二軍だったキャラを育てるのにはちょうどよいステージかもしれない。

 

 

──ルート選択 火星ルート──

 

 

 ナデシコC、トゥアハー・デ・ダナンとむかう火星ルート

 

 

──第41話 火星の戦い 前編──

 

 

あらすじ

 火星に到着した第13独立部隊。

 火星の遺跡をかけ、世界の改変を防ぐための戦いがはじまる。

 

 

ステージ解説

 北辰、レナードと決着をつけるまでが前編。シャピロとの決戦が後編である。

 

 前編で注意するところは、ナデシコ付近に現れる北辰&北辰衆だろう。

 敵が一定数減るか、ナデシコを遺跡に近づけることにより出現する。

 ナデシコの位置取りで出現位置とタイミングを調節できるので、なるべく味方の多いところで出現させよう。

 

 北辰は回避が高く、攻撃を当てるには精神コマンドの必中がほぼ必要となる相手だが、レナードも控えているので余力をきちんと残しておこう。

 

 レナードのベリアルもラムダドライバが非常に強力である。

 ただ、ここまでくれば、出し惜しみをする必要もないので、囲んで最大攻撃をお見舞いしよう。後編になればすべてが回復するので全力でかまわない。

 

 レナードを倒せばステージクリアとなり、インターミッションを挟んでシャピロとの決戦となる。

 

 

──第42話 火星の戦い 後編──

 

 

あらすじ

 レナードを切り捨てたシャピロ。

 彼は世界の神となるため、それを実現するかなめを奪うため、ナデシコへ攻撃を仕掛けてきた!

 

 

ステージ解説

 HPなどはすべて回復し、気力も全員高い状態からはじまるので遺跡の上にいるシャピロに集中してもよし、取り巻きを倒しつつこちらにやってくるのを待ってもいい。

 敵の中にはべへモス、デビルガンダムとHPが高めの奴も混じっている。これらを倒すも倒さないも自由だ。

 

 制限時間もないので、自由に戦略を組み立てよう。

 

 シャピロを倒せばステージクリアとなる。

 

 

──第43話 木星へ──

 

 

あらすじ

 木星にあるエネルギーを調査しにきた第13独立部隊。

 

 そこに原種とボアザン・キャンベル連合軍が立ちふさがる。

 

 

ステージ解説

 木星において原種、ボアザン・キャンベル連合軍との三つ巴。

 

 三つ巴というが、原種とボアザン・キャンベル連合軍とが殴りあうことはない。

 

 どちらも第13独立部隊めがけて戦闘を仕掛けてくる。

 

 ステージ開始前のデモ中にガオガイガーが不意打ちでやられ、木星へ落下していてしばらくたたないと戻ってこないのでメインで使っている場合は注意しよう。

 最初の数ターンは敵の猛攻にさらされることになるが、それを過ぎれば凱が木星よりザ・パワーを運んできてくれるので、気力が一気にあがる。そうなれば一方的な戦いとなるだろう。

 

 原種、ボアザン・キャンベル連合軍すべてを倒せばステージクリアとなる。

 

 

──第44話 勇気ある戦い──

 

 

あらすじ

 ボアザン・キャンベル連合軍を撃退し、原種も倒したが、一瞬のスキをつかれ、すべてのゾンダーを統べるZマスターが復活した。

 

 ザ・パワーさえとりこんだZマスターを、統夜達は倒せるのだろうか?

 

 

ステージ解説

 Zマスター復活。

 

 勇者ロボはザ・パワーの影響で最初からパワーアップしているが、イベントが起きるまでZマスターを倒すことはできない。

 ソルダートJとキングジェイダーをZマスターの体内に突入させ、やっとダメージが通るようになる。

 

 それまでは周囲の雑魚を倒し、気力を稼いでおこう。

 ダメージが通るようになってもHP回復はあるので、一気にしとめよう。

 

 Zマスターを倒すとイベントが発生し、キングジェイダーがその力をもってZマスターを完全に消滅させる。いわゆる自爆のため、キングジェイダーは退場してしまう。フラグが立っていれば最終話目前に帰ってくるので、必ず戻ってきてもらおう。

 

 

──第45話 ボアザン星解放作戦 前編──

 

 

あらすじ

 地球の情勢が安定したことにより、第13独立部隊は剛博士の故郷、ボアザン星を解放するためワープ装置を使いそこへ突入する。

 

 

ステージ解説

 前編は目的地への到達を目指すステージ。

 

 戦艦すべてを一番奥へ到達させるか、敵を全滅させればステージクリアとなる。

 

 到達も全滅もどちらもあまり難易度はかわらないので、戦艦をどれだけ使っているかで考えればいいだろう。

 

 余裕があれば資金を稼ぐ意味でも敵の全滅を狙ってみよう。

 

 

──第46話 ボアザン星解放作戦 後編──

 

 

あらすじ

 ボアザン星に突入した第13独立部隊。

 そこにはボアザンの戦力だけでなく、キャンベル星の戦力まで待ち構えていた。

 

 しかし、待っていたのは敵だけではない。

 ボアザン星の解放を願う、いわゆるレジスタンスも彼等の到着を待っていたのだ。

 

 ボアザンの民衆も一斉に蜂起し、統夜達の背中を押す。

 

 統夜達は、ボアザン星を解放できるのだろうか?

 

 

ステージ解説

 後編も最初は王宮を目指し移動することになる。

 もちろん、初期配置の雑魚を全部倒してもイベントは進む。

 

 王宮へむかう途中、一定ポイントより先に進むか、敵の数を減らすかすると、民衆の反応やレジスタンスの戦いなどが見られる。

 

 到達後に出現する女帝ジャネラとザンバジルを倒せばステージクリアとなる。

 敵増援の中にはサイボーグに改造されたワルキメデスもいる。

 

 彼を生かしたまま女帝ジャネラを倒すととどめにジャネラへ反旗を翻し、そのまま特攻して双方消滅してしまう。

 ワルキメデスの資金や経験値、強化パーツが欲しい場合は必ずこちらから倒そう。

 

 クリア後惑星破壊爆弾が起動されるが、これはシナリオデモで処理されるので気にしなくていい。

 

 

──第47話 命──

 

 

あらすじ

 ボアザン星を解放し、キャンベル星との和平の約束もとりつけ、地球へ戻った第13独立部隊。

 命の見舞いに行く凱だったが、そこで命の体に異変が起きる……!

 

 

ステージ解説

 ゾヌーダーと闇の帝王との決戦。

 

 どちらも長距離射程の武器を持つが、移動はせず互いを攻撃するということはない。

 ゾヌーダロボを攻撃したユニットは物質昇華にて離脱となるから、先に闇の帝王を攻撃してその後ゾヌーダロボを攻撃するとよいだろう。

 

 今回敵は2体しかおらず、気力も最初から高い状態からはじまるのでゾヌーダロボへの一撃分を残して全力で殴ろう。

 

 

ピックアップ

『闇の帝王』

 ゾヌーダーに対し自信満々の闇の帝王。

 それは超竜神を解析したことによりGストーンを元にした技術を持っているうえ様々なパワーを吸収した今、ゾヌーダーに十分対抗できるからである。

 ゆえにあの自信は間違いではない。

 

 

──第48話 デビルガンダム──

 

 

あらすじ

 生きていたシャピロ。

 彼はデビルガンダムをもちいて世界の支配者となるため動き出した。

 デビルガンダムに最も適した、強い女性をコアにして。

 

 統夜達は囚われたレインを救い出し、シャピロの野望を打ち破ることができるのだろうか?

 

 

ステージ解説

 地球を守る総力戦であり、多くの味方援軍が登場する。

 ドモンを最奥にあるレインのもとに送り届けるのが目的となる。

 

 絶対に倒す必要があるのは、デビルガンダム(内部に突入するため外壁を壊す)とデビルガンダムコア。

 

 シャピロは何度倒しても復活するし、とりまきの雑魚敵も一定数を下回ると何度でも増援が現れる。

 

 余裕があるなら最終話前に稼いでおいてもいいだろう。

 

 レインを救出したあと、そのコアを破壊すればこのステージはクリアとなる。

 

 

ピックアップ

『ARP(アムロロケットポイント)』

 このポイントが3ポイント以上たまっていると、アムロがガンダムに乗りロケットにつかまって宇宙まで行ってしまう。

 文字通り、ブライトから遠い所へ行ってしまうイベントである。

 これが発生すると、問答無用でアムロの格闘値がARP分ポイントアップする。これは累積するので、周回ごとにポイントをためればアムロの格闘はどんどん強くなる。

 

 

──第〇話 君を犠牲に世界を救う──

 

 

あらすじ

 統夜は覚悟した。一人の少女を犠牲に、世界を救うことを……

 

 

ステージ解説

 ロゼ=リアを犠牲にする戦い。

 最終話前に世界を救うを選択した場合のルート。

 

 奥に『ジ・ヴォーダ』を内包したロゼ=リアが立ち、周囲をフューリーの機体が守るような配置となる。

 

 ロゼ=リアがバシレウスから離れたため、ひっそりとグランティードは合体可能となっている。

 隣接すると合体できるので戦力増強のためしておこう。

 

『ジ・ヴォーダ』は強力だが、熱血が使えるくらい精神コマンドがそろっていれば十分撃破が可能である。

『ジ・ヴォーダ』を倒せばステージクリアとなり、ロゼ=リアは退場し、以後グランティードは合体可能となる。

 

 

おまけ

『クロスしなかったクロスオーバー』

 グランティード・ドラコデウスなど、フューリー機の動力オルゴンはオルゴンマテリアライゼーションで緑色の結晶を生み出すことができ、その時放出される光も緑色である。

 一方ガオガイガーのGストーンも、同じように緑に輝き、その技術は宇宙一つ分の古さがある。

 これらのことから、フューリーと緑の民にはなにか関係性がある。というのも考えていたが、話に絡まなかったので使われることはなかった。

 

 あと、緑に光るという点、OGMDにて人の意思を一つに集めてクロスゲートをぶった切るというなどの点からサイコフレームとなにか関連があるとも考えていたけど、まだそいつの出る時代じゃなかった。

 

 

──最終話 皆の力があれば、犠牲を出さずに世界は救える──

 

 

あらすじ

 最後の戦い。

 ロゼ=リアを救うルート

 

 ロゼ=リアは覚悟していた。世界を救うため、自分が犠牲になってよいと。

 しかし、その覚悟は踏みにじられた。

 

 彼女の犠牲は必要なくなり、誰も犠牲とせず、世界は救われる……!

 

 

ステージ解説

 時間も空間も超越した領域での戦闘となるが、場所の地形は宇宙が適応されるのを覚えておこう。

 

 今まで戦ったボスにはとりまきも何体かついているので、最初はむかってくるそいつらを迎撃して気力をあげていこう。

 

 ボスはそれぞれ離れたところに配置されている上、一部を除いて一定ターンまでその場を動かないorずっと動かない。

 余裕がないなら各個撃破してゆこう。

 

 ボスを倒すたび回復がはいるので、消費は考えなくていい。

 ただ、撃墜されると回復しないのでそれだけは気をつけよう。

 

 初期配置のボスをすべて倒すとステージ奥に『ジ・ヴォーダ』が出現する。

 

 とりまき(今まで出てきた雑魚。皆の記憶から作られた)も現れるが、『ジ・ヴォーダ』を倒せばクリアとなる。

 このとりまきは一定数以下で無限に現れる。

 

『ジ・ヴォーダ』の攻撃はステージすべてに届き、ターン初めにランダムで全体のエネルギー、精神ポイント、HPのどれかを一定の割合で減らしてくる。

 割合減少なので撃墜されることはないが、通常ターンに追撃でとどめをさされる可能性があるのでHPには注意しよう。

 幸いこれは味方ターンに起きるので、エネミーターンに回る前に回復をするのだ。

 

 ターンはじめの攻撃でターンを回せば回すほど不利になるので、出現させる前に陣形を組み、一気に畳みかけるのがいいだろう。

 陣形を組み終えるまで、ボス敵を一体残しておけばいい。

 

 回避はあまり高くないが、カウンターなどが強力なので技量をいくらか上げておくと有利になる。

 

『ジ・ヴォーダ』を倒せばついにエンディングだ。

 仲間と協力し、ロゼ=リアだけでなく、世界と『ジ・ヴォーダ』も救おう!

 

 

 第2次スーパーロボット大戦J完全攻略読本 終わり



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追加シナリオ 雪山編

──はじめに──

 

 

 これは、シロー・アマダが参戦したことにより生まれた新しいお話である。

 

 シローとアイナが雪山でヨロシクやっている時、同じようについてきちゃって雪山に落ちた統夜達もコックピットの中で一晩過ごすことになったというイベントである。

 

 時間的にはクド=ラ登場前なので、当然クド=ラはいないしロゼ=リアはバシレウスのメインパイロットを務めているため雪山へは来れないのでご注意ください。

 ゆえに統夜と一緒に雪山ですごすヒロインは四人。その中でも前作初期からいる3人の場合は前作雪原の時も一緒だったことになります。

 

 

──雪山への経緯──

 

 

 空に浮かび、そこから一方的に高威力のメガ粒子砲を放つモビルアーマー。アプサラスⅡ。

 その砲撃の威力はすさまじく、何度も放たれれば第13独立部隊もただではすまないほどであった。

 

 シロー・アマダは隙をつき、アプサラスを屠るべく陸戦ガンダムを飛び上がらせ、飛びついた。

 

 その巨体にビームサーベルを突き立てようと、振り上げる。

 

 

シロー「っ!」

 

 

 千載一遇のチャンス。

 だが、それが振り下ろされることはなかった。

 

 なにかに気づいたのか、彼はそれを振り下ろすのをためらってしまった。

 

 その隙に、アプサラスⅡはメガ粒子砲を放とうと、その砲身にエネルギーを集中させる。

 

 

統夜「アマダ少尉!」

 

 

 とっさに統夜が飛び上がる。

 

 

統夜「それは撃たせない!」

 

 

 グランティードが手刀を振りかぶる。

 このタイミングならば、あれが撃つ前に統夜の手が届く!

 

 

シロー「っ! ダメだ、統夜!」

 

統夜「っ!」

 

 

 本来ならコックピットの中で叫んでも声は聞こえない。

 

 だがそのシローの強い想い。

 シローの叫びに、サイトロンが答えた。

 

 統夜はサイトロンを通じ、シローの意思を感じ取り、とっさの理解を示した。

 

 しかし相手はすでに発射態勢に入っている。これを防がないと地上側に大きな被害が出るのは確実だった。

 

 

統夜(ならっ!)

 

 

 統夜は攻撃する場所を変えた。

 機体を手刀で貫くでなく、その手刀を砲身に突っこんだのだ!

 

 

統夜「オルゴンクラウド全開! 防御を固めろ!」

 

アイナ「うそっ!?」

 

統夜「頼む。これで!」

 

 

 どんっ!

 

 砲が光った瞬間、その場所が大きく輝く。

 

 

 衝撃が、アプサラスⅡ、グランティードに走りぬけた。

 

 

統夜「ぐうっ!」

 

アイナ「コントロールが!」

 

 

 アプサラスはそのまま、砲身に手をつっこんだグランティードをシローを身につけたまま、ふらふらと飛んで行く。

 

 あまりの衝撃に、統夜達は意識をとばし、一時コントロール不能となったグランティードはそれから抜け出すことがかなわなかった。

 

 

甲児「やった!」

 

豹馬「やったか!?」

 

 

 空で瞬いた光を見て、親友二人が声を上げた。

 

 

十三「いや、まだや!」

 

ドモン「まだ飛んでいるぞ」

 

チボデー「おい、逃げるぞ!」

 

健一「いや、コントロールが効いていないようだ」

 

鉄也「紫雲、アマダ少尉、離れろ!」

 

統夜「ぐっ、う……」

 

甲児「ダメだ。衝撃で意識がとんでやがる」

 

シン「なら、撃ち落としてやる!」

 

アスラン「今の状態で落ちたら大惨事だ。やめておけ!」

 

 

 誰かが追おうとするが、その時ジオン軍の援軍が現れ、そんなことをしている暇はなくなってしまった。

 

 誰も手を出すことができず、アプサラスⅡが飛び去るのを見逃すしかなかった。

 

 

甲児「統夜、シローさん、無事でいろよ!」

 

 

 彼等は信じている。

 統夜がこのくらいで死ぬわけがないと!

 

 

 こうしてこの後、シローとアイナ。そして統夜達は雪山へと墜落する。

 

 アプサラスⅡに乗るアイナとシローは同じ場所に。

 

 統夜達は少し離れた場所に落ちた。

 着地などは統夜が意識を失っている間、先に目を覚ましたヒロインがなんとかしたようだ(なんとかアプサラスから離れて着地するので精一杯だった)

 

 近い二か所の通信は可能だったが、吹雪く山外への通信はできなかった。

 不時着の衝撃で目を覚ました統夜はシローへ連絡をとる。

 

 隊にはつながらなかったが、シローの反応が返ってきた。

 

 

シロー「統夜、無事だったか!」

 

統夜「はい。こっちに怪我はありませんし、機体のダメージも腕以外ありませんから大丈夫です。俺達より、そっちの方こそ大丈夫ですか?」

 

シロー「そうか。なら、安心だ。こっちも自分達だけなら問題ない。ただ、陸戦型ガンダムはもう動けない」

 

統夜「なら、吹雪がやみ次第むかえに行きます。こちらはコックピットから出なければ一晩過ごすのも問題ありませんから」

 

シロー「吹雪の今むやみに動くのも危険だしな。わかった。互いに無事すごせることだけ考えよう」

 

統夜「はい」

 

 

 ここから個別シーンがはじまる。※五十音順

 

 

──カティア──

 

 

統夜「ふう。あとは吹雪が収まるまで待つしかないな」

 

 

 通信のスイッチを切り、統夜は後ろにいるカティアへ振り返った。

 カティアは統夜がシローと通信している間に、コックピット内の気温調整など、ここで吹雪をやり過ごせるための準備をしていた。

 

 

統夜「ありがとな。俺が意識を失ってる間に、ちゃんと着地してくれて」

 

カティア「ええ。統夜君ほどでもないけど、私だってサイトロンを操れるもの。落下しはじめたあの機体から離れて着地するくらいはできるわ」

 

統夜「カティアがいなかったら、全員がまずかったかもしれないから、本当に助かったよ」

 

カティア「そう言ってもらえるのはうれしいわ。でもね、統夜君?」

 

統夜「……」

 

 

 にこりと自分に微笑むそのカティアの笑顔。

 それは笑顔だというのに、なぜか統夜の背筋が震えた。

 

 きっと外が吹雪だから、寒く感じたのだろう。きっとそうだと、統夜は少し現実逃避をした。

 

 

統夜「や、やっぱり怒ってるか?」

 

カティア「さて。それは理由を聞いてからになるわね」

 

統夜「理由……?」

 

カティア「ええ。理由よ。一歩間違えれば大変なことになったとはいえ、そうせざるを得ない理由があったんでしょう? じゃなきゃ、あなたはそんなことしないわ」

 

 

 それは、信頼だった。

 統夜が命の危険をかけてまでなにかをする。それは、命をかけるだけの理由がある。

 

 それをカティアは知っている。

 

 ゆえに、まずはその理由を聞いてからだった。

 

 

統夜「実は……」

 

 

 統夜はバツが悪そうに頭をかきながら、アプサラスⅡを貫かず、砲身をダメにするだけにした理由を語る。

 

 

統夜「あの時、感じたんだ。あの機体に乗っていたのは、前にアマダ少尉の言っていた人だって。だから、ああして一撃をとめる方法しか思いつかなかった……」

 

 

 地上にも被害を出さない。

 かつ相手パイロットも助ける。

 

 その両方を両立させる方法が、あの砲身に手をつっこむという無茶だったのである。

 

 

カティア「そう。そういうことだったのね……」

 

 

 カティアは統夜の言葉を聞き、どこか納得したようにうなずいた。

 彼女も統夜ほどではないがサイトロンを感じとれる。あの時、彼女の方もシローの必死な想いを感じとってもいたのだ。

 

 

カティア「ならしかたないわね」

 

統夜「え?」

 

 

 あっさりとうなずき、怒りを解いたカティアを前に、統夜はどこか間抜けな声を上げてしまった。

 てっきりコックピットに正座でもさせられて叱られると思っていたからだ。

 

 

統夜「怒らないのか?」

 

カティア「理由が理由だもの。ちゃんと考えがあってやったのなら、怒る理由もないわ。こうして私も、シローさんもその女の人も無事だし」

 

統夜「でも、俺一人だと最後でみんな地面にたたきつけられていたかもしれない。今回は、叱られても仕方がないと思うよ」

 

カティア「そうね。統夜君だけならダメだったかもしれないわね。でも、そういう時のために私が乗っているの。そうしてなんとかなったんだから、今回はそれでいいのよ」

 

統夜「……いい、のか?」

 

カティア「ええ。いいの。だから統夜君。あなたはそのまま自分の信じる道を進みなさい。きっとそれが、一番よ」

 

統夜「え? 本気か?」

 

カティア「何度も言わせない。そりゃ心配よ。自分のことは二の次だし。いつも無茶するし、考えなしだし」

 

統夜「こ、言葉もない……」

 

カティア「でも、それが統夜君だもの。人のために、自分を投げ出せる。そうした無茶を少しでも成功に近づかせてあげる。背中を支えてあげる。それが後ろで背中を見てる人の役割でしょ。それに、本当に失敗しそうになったら私達がとめてあげる。だから、いくらでも無茶していいのよ」

 

統夜「……」

 

 

 にこりと微笑んだ少女を見て、少年は一瞬、その姿に見惚れてしまった。

 

 

統夜「……無茶していい。か。毎回毎回カティアには迷惑をかけるな」

 

カティア「いいのよ。それが今、私のやりたいことなんだから」

 

統夜「わかった。これからも、頼りにしてる」

 

カティア「ええ。任せて」

 

 

 二人は顔を合わせ、笑いあった。

 

 

 くー。

 そして、二人同時にお腹がないた。

 

 

 二人で苦笑しあう。

 

 

カティア「恥ずかしいわ……」

 

統夜「さすがに戦いからずっと飲まず食わずだし、仕方ないさ。確かこのへんに……」

 

 

 統夜はコックピット内のスペースをごそごそとあさった。

 するとパカリと隠しハッチが開き、たくさんのお菓子が飛び出してきた。

 

 

統夜「やっぱり、あった」

 

カティア「メルアの隠したお菓子。あの子、また……」

 

統夜「でも今は助かるから、今回は見逃してやろう」

 

カティア「そうね」

 

統夜「とりあえずこれを食べて、吹雪が収まるのを待とうか」

 

カティア「そうね。いくら空調が効いたコックピットの中とはいえ、寝てしまうのも危険だし」

 

カティア(それに、二人きりで話をするなんて、ひさしぶりだもの)

 

 

 雪降る中、二人は他愛のない話をとめどなく語りあうのだった。

 

 

──シャナ=ミア──

 

 

統夜「あとは……」

 

 

 シローとの通話が終わった統夜は、コックピット内の設定をいじる。

 戦闘中と違い、吹雪の中快適に過ごせるよう内部の温度設定などを変えたのだ。

 

 その行為は、雪の中どうすればいいのか。わかっている手つきだった。

 

 

統夜「これでよし。あとは吹雪が収まるのを待つだけだな」

 

シャナ=ミア「手慣れていますね」

 

統夜「前に一度、雪山で遭難したことがあってね。そのおかげさ」

 

シャナ=ミア「そうなんですか」

 

統夜「そうなんだよ」

 

シャナ=ミア「……」

 

統夜「……」

 

シャナ=ミア「ぷっ」

 

統夜「ははは」

 

 

 流れた空気に、二人は思わず笑いあう。

 

 

シャナ=ミア「冗談を言うだけの元気があれば、もう大丈夫ですね」

 

統夜「ああ。色々心配かけてごめん」

 

シャナ=ミア「いいえ。それがトウヤですからね。それをどうにかフォローするのも、サブシートに座っているものの役目でもあります」

 

統夜「悪いな。無茶ばかりで」

 

シャナ=ミア「本当にですよ」

 

シャナ=ミア(だからこそ、もっとトウヤをフォローできる体制があった方がいいでしょうね)

 

 

 そう感じたシャナ=ミアは、月の同胞に連絡し必要な物資を送ってもらえるよう手配する決意をする。

 

 

統夜「どうかしたか?」

 

シャナ=ミア「いいえ。なんでもありません。二人きり。というのはひさしぶりだと思って」

 

統夜「ああ、確かにね」

 

シャナ=ミア「トウヤ、隣に行ってもいいですか?」

 

統夜「え? かまわないけど……」

 

 

 シャナ=ミアは、統夜の隣にむかう。

 

 一体なにかと、統夜も少しドキドキしてしまう。

 

 

シャナ=ミア「ああ、やっぱり。こちらの方が、外がよく見えます」

 

統夜「ん? ああ、そうか。そういうことか」

 

シャナ=ミア「綺麗……」

 

 

 ひと時吹雪が収まり、静寂の時間が訪れた外を見て、思わずつぶやいた。

 

 舞い散る雪を見て、シャナ=ミアは思わずつぶやいた。

 

 統夜の色々複雑な気持ちに気付かずに。

 それはある意味、統夜にとっては幸運だったということか。

 

 

統夜(このまま収まって朝になってくれればアマダ少尉も助けにいけるな)

 

シャナ=ミア「トウヤトウヤ。風に舞い上がった雪がキラキラ光ってます!」

 

統夜「ああ。俺もはじめて見た」

 

シャナ=ミア「地球は、本当に美しい星ですね。いろんな表情を見せてくれます……」

 

 

 彼女はフューリーという種族がこの地球に来てから生まれた存在だ。

 彼女は月の中で生まれ、ずっとそこで生活し、そこから外を見てきた。

 

 こうして彼女自身の目で自然を見るのは、あの日統夜が外へ連れ出してからなのだ。

 

 ゆえに、こうして自分の目で見る地球の美しさは、人とはまた違った感動を生むのである。

 

 

統夜「俺も、綺麗だと思うよ」

 

シャナ=ミア「はい!」

 

 

 しばらくすると、また吹雪がはじまってしまった。

 先ほどとは打って変わった力強ささえ感じる雪の嵐。

 

 それはそれで、彼女には新鮮な体験だった。

 

 前面に展開されたモニターに張り付くようにして、「おおー」「わあー」と声を上げている。

 

 

 そうして無邪気にはしゃぐ彼女の横顔を見て、統夜は思わず……

 

 

統夜「ホント、綺麗だな」

 

 

 思わずぽろりと、口に出してしまった。

 

 

シャナ=ミア「はい。綺麗ですね!」

 

統夜「……っ! あ、ああ」

 

 

 一瞬、自分の言葉を聞かれ、焦った統夜だったが、彼女は自分の言葉を聞いて地球が綺麗だととってくれたと悟り、安堵の息をはいた。

 

 

統夜(あ、危なかった。なに考えてるんだ俺は……)

 

シャナ=ミア(い、今の、地球のでよかったのよね。まさか、私なわけ……)

 

二人「は、ははは」

 

統夜「あ、そうだ。確かこのあたりに……」

 

 

 誤魔化せといわんばかりに、統夜はコックピットのスペースを探る。

 ぱかりと隠しハッチを開き、そこからお菓子を取り出した。

 

 

統夜「やっぱり、あった」

 

シャナ=ミア「なぜ、そんなところにお菓子が……?」

 

統夜「メルアがこっそり隠してるんだよ。水は作れても、食べ物はないだろ。今回は非常時だ。もらおう」

 

シャナ=ミア「そういえば、そうですね。あとでメルアさんにお礼を言わないと」

 

統夜「お礼はどうかと思うけど、まあ、カティアが叱ってくれるだろう」

 

シャナ=ミア「ならお礼を言うのも問題ありませんね!」

 

統夜「そのあと俺達も怒られるかもしれないけどな。今回の件で主に俺が……」

 

シャナ=ミア「それは仕方がありませんね。皆さん心配しているでしょうから」

 

統夜「だよなぁ……」

 

シャナ=ミア「さ、さあ。今はそんなこと考えず、楽しみましょう! 私これ食べてみたいです!」

 

統夜「そうだな。今は今を切り抜けることを考えないと」

 

 

 そうして、二人はお菓子を広げ、他愛もない話で盛り上がった。

 

 

──フェステニア──

 

 

統夜「ふう。アマダ少尉も無事みたいだし。あとは……」

 

テニア「こっちの調整も終わったよー」

 

 

 統夜がシローと話している間に、テニアはコックピット内の温度設定など、吹雪をやり過ごす設定を終えていた。

 

 

統夜「お、早いな」

 

テニア「そうだね。さすがに二回目だから、だいぶ慣れたもんだよ」

 

統夜「なら、あとは吹雪が収まるのを待つだけだな」

 

テニア「だねー。しっかしまた雪山で遭難なんてね」

 

統夜「前は北欧だったけど、今回はヒマラヤか。けっこう雪に縁があるな」

 

テニア「まあ、今回は機体も腕以外万全だから余裕だけどね」

 

 

 その気になれば帰れる。ただこの吹雪の中でシローを発見できないだけだ。

 わざわざ一度帰って探しに戻るより、ここにとどまり吹雪が収まり次第シローも回収して帰る。それが統夜達がここにとどまる理由である。

 

 

統夜「確かに余裕だ。ただ、帰ったら間違いなく怒られるな」

 

テニア「そりゃ怒られることしたからね。なんであんなことしたのさ?」

 

統夜「あの時、アマダ少尉の声が聞こえたんだ。そして、あの機体に乗っているのが、前に言っていた人だって気づいた。だから、ああして一撃を遮るしかできなかったんだ……」

 

 

 地上にも被害を出さない。

 かつ相手パイロットも助ける。

 

 その両方を両立させる方法が、あの砲身に手をつっこむという無茶だったのである。

 

 

テニア「そっかー。なら仕方ないね。それを素直に言えば、ちょっとは軽くなるかもしれないよ」

 

統夜「言った方がいいか。ならそれに従おう。二人共怒らせると怖いからな」

 

テニア「特におっかないのはメルアの方だよね。滅多に怒らないから、怒らせると……」

 

統夜「ああ。あの時は怖かったな……」

 

 

 二人で思い出し、ぶるると背筋を震わせた。

 

 

テニア「そもそも二人共心配しすぎ。アタシと統夜なんだから、そんな心配いらないってのに!」

 

統夜「……ふむ」

 

テニア「ね!」

 

統夜「いや、正直心配されて怒られて当然だと思う」

 

テニア「なんでさー!」

 

 

 自分のやらかしていることを色々思い返し、統夜は自分の意見に大きくうなずいた。

 

 

統夜「だって無謀なことを平気でやる俺と、同じく深く考えずに行動するお前だぞ。甲児だって豹馬だって心配する」

 

テニア「あの二人にまで心配されるって心外だよ! あっちだって心配させる側じゃん! 統夜と同じレベルだよ。アタシも同じってことそれ!?」

 

統夜「そうだろ」

 

テニア「そうなの!?」

 

 

 あっさり統夜にうなずかれ、テニアはショックを受けた。

 

 

テニア「なんかショック……」

 

統夜「けっこう失礼なこと言ってるぞ。まあ、俺はかまわないけど」

 

テニア「その余裕、なんかむかつくー」

 

統夜「そうかな? 割と妥当だと思ってればそんなもんだろ?」

 

テニア「なんか納得いかない……」

 

統夜「……俺はさ、テニアと一緒にいるとなんでもできる気がするんだ。テニアと一緒なら、どんな状態でも生きて帰れると思える。テニアはどうだ?」

 

テニア「そ、それはアタシだって! 統夜と一緒ならなんだって平気だよ!」

 

統夜「だから、どれだけ心配されても俺は平気なのさ。だって、必ず生きてみんなのところに帰るんだから。それなら、いくら心配されても平気だろ?」

 

テニア「……それ、言ったら絶対火に油だと思う。無根拠すぎ」

 

統夜「え? これ言ったらまずいか?」

 

テニア「うん。絶対怒られる。統夜は平気でも待ってる方は平気じゃないよ。セイザ追加される。うん。絶対」

 

統夜「そうか。なら、これは主張しないでおこう」

 

テニア「うん。アタシと統夜だけの秘密にしとこう」

 

統夜「そうするか」

 

テニア「だって、アタシ達だけが知ってれば大丈夫だもんね!」

 

統夜「そうかもな」

 

テニア「えへへ」

 

統夜「どうした?」

 

テニア「なんか楽しくなってきちゃった」

 

統夜「心配してるみんなが聞いたら怒られるな」

 

テニア「いいじゃん。誰かに話すわけでもないんだし。帰れるのは絶対だし。楽しまないと損だよ!」

 

統夜「テニアらしいな。でも、おかげで俺も気が楽だ」

 

テニア「だよね! 暗くなってもしかたないし。あー、これでなにか食べ物があればもっといいんだけどなー」

 

統夜「ああ。お菓子なら多分……」

 

 

 統夜はコックピット内のスペースを探る。

 するとパカリと隠しハッチが開き、たくさんのお菓子が飛び出してきた。

 

 

統夜「やっぱり隠してたか。意外に入ってるな」

 

テニア「メルアまたやったなー。でも、今回は許してあげよう。ついでにこれでメルアのお叱りも回避できる!」

 

統夜「……その発想はなかった。なんてことを考えつくんだ」

 

テニア「まるでアタシが悪知恵が働くみたいに! もっとちゃんと頭いいって褒めてよ!」

 

統夜「いや、これ褒めるのどうかと思う」

 

テニア「褒めてよー」

 

統夜「えらいえらい」

 

テニア「褒め方雑!」

 

統夜「すごいすごい」

 

テニア「全然褒めてないー」

 

統夜「あはは」

 

テニア「あははははは」

 

 

 二人は笑いあい、取り出したお菓子を食べはじめる。

 

 

テニア「でさ……」

 

統夜「ああ。あれは……」

 

 

 他愛もない話題がポンポンと出てくる。

 二人はそのまま、吹雪がやむまでとりとめのない話を繰り返すのだった。

 

 

──メルア──

 

 

統夜「あとは吹雪がおさまるのを待つだけだな」

 

メルア「はい。こちらも調整終わりましたよ」

 

 

 コックピット内の温度調整などを終えたメルアが微笑む。

 外は吹雪だが、これで凍えて死ぬということはない。

 

 

統夜「ありがとな。無茶に付き合ってくれて」

 

メルア「いいんですよ。あの機体にシローさんの知っている人が乗っていたんでしょう?」

 

統夜「ああ。わかったのか?」

 

メルア「なんとなくですけど。私だってサイトロンあつかえるんですよ?」

 

統夜「それはそうだ。説明の手間が省けて助かった。その人も無事だそうだ。なんとかなってよかったよ」

 

メルア「そうですね。わたしも着地がんばったかいがありました!」

 

統夜「ああ。それも感謝してる。毎回、メルアには助けられてるな。ホント、メルアは凄いよ」

 

メルア「えぇっ!? い、いきなりなんですか!? 凄いと言うなら統夜さんの方ですよ! わたしより何倍も凄いです!」

 

統夜「いや、メルアの方が凄い。その何倍もだよ」

 

メルア「なら統夜さんはその何十倍です!」

 

統夜「いやいや、メルアはその百倍だ!」

 

メルア「むー。なら、千倍です!」

 

統夜「……」

 

メルア「……」

 

二人「ぷっ」

 

 

 あはは。と二人は顔を見合わせ、笑いあった。

 

 

統夜「じゃあ、二人共凄いということで」

 

メルア「はい!」

 

統夜「まあ、いくら凄くても俺は帰ってから二人に叱られるだろうけど」

 

メルア「あ、あはは。否定できません。でも、テニアちゃんもカティアちゃんもそれだけ統夜さんのことを心配して、大切に思っているからですよ?」

 

統夜「それはわかっているさ」

 

メルア「だから、叱ってもらえるのはむしろ喜ばしいことだと思います! よかったですね統夜さん!」

 

統夜「なんか、それ、言い方……」

 

メルア「?」

 

統夜「まあいいや。確かにその通りだ。そうやって俺を気にかけてくれてるわけだし、俺を叱ることで気持ちの整理ができるならそれでいい。そう考えれば、帰るのも苦痛じゃないな」

 

メルア「はい。そうです!」

 

 

 よし。と統夜は意識を切りかえた。

 

 

統夜「さてと」

 

メルア「ふふっ」

 

統夜「ん? どうした?」

 

メルア「いえ。統夜さんだな。と思って」

 

統夜「俺だな?」

 

メルア(みんなのことを考えて、自分が損をしてもいいなんて。そんなところが、統夜さんなんですよ)

 

メルア「わたしはそんな統夜さんの味方ですから。応援していますよ!」

 

統夜「あ、ありがとう?」

 

メルア「今回も一緒に謝りますし!」

 

統夜「う、うん」

 

メルア「時間を潰すためのお菓子もこうして用意してあります!」

 

統夜「おおー。飲まず食わずだったから、助かる……って、また隠してたのか!」

 

メルア「ふふっ。今回も共犯ですね」

 

統夜「ったく。ちゃっかりしてるな」

 

メルア「さ。統夜さん。これおススメですよ」

 

統夜「はいはい」

 

 

 ぱくりと、差し出されたお菓子を口にした。

 

 

メルア「……」(食べさせるの、なんか、いいですっ!)

 

統夜「へえ。メルアが勧めるだけあって美味しいな」

 

メルア「はい。こっちも美味しいですよ!」

 

 

 ぱくり。

 

 

メルア「こっちも!」

 

 

 ぱくり。

 

 

メルア「これも!」

 

統夜「ちょっ。メルアストップ。自分で食べられるから!」

 

メルア「え? あ、そっ、そうですね。すみません!」

 

統夜「いや、いいんだ。ただ、ほら、な?」

 

メルア「はい。子供じゃありませからね!」

 

 

 恥ずかしさのあまり、二人して顔を赤くし、改めてお菓子へ手を伸ばすことになった。

 どう恥ずかしいのか。その基準は二人の間に差はあるが、ここではあえて説明しない。

 

 

統夜「しかし、こうして食べてみると、メルアの手作りも全然負けてないのが凄いな」

 

メルア「そうですか? えへへ。嬉しいです」

 

統夜「本当に店を出せるかもな」

 

メルア「本当ですか? 本気にしちゃいますよ」

 

統夜「本気でやったらきっと凄いことになるかもな」

 

メルア「そっかー。えへへ」

 

統夜「ははは」

 

メルア「あ、ところで統夜さん。この前……」

 

統夜「ああ、あの時のことか……」

 

 

 はにかんだ空気に双方なごみ、他愛もない話が続く。

 そのとりとめのない会話は、そのまま吹雪が収まるまで続くのだった。

 

 

──そして朝になった──

 

 

 翌朝、吹雪もおさまり、晴天が広がった。

 

 統夜はグランティードを飛ばし、シロー達の落ちた場所を目指す。

 すると、同じ場所を目指し飛ぶ、ドダイに乗ったグフ・カスタムがいるのに気づいた。

 

 どうやらこの機体も、昨日のうちに近いところまでやってきていた機体のようだ。

 

 互いの存在に気付いた双方の間に緊張が走る。

 

 

ノリス「むっ、おのれ。このようなところで……!」

 

統夜「待ってくれ! そちらも昨日の仲間を探しに来たんだろう? なら、ここは互いの仲間を助けるということで休戦しよう!」

 

ノリス「……いいだろう。ここで無駄に戦い、助けられるものも助けられなければ本末転倒というものだしな」

 

 

 統夜はノリスと合流し、二人の待つ場所へむかった。

 グランティードとグフは離れた場所に着陸し、別れた二人をそれぞれ回収する。

 

 シローとアイナ。二人は別れを惜しみながらも、互いの仲間のもとへと帰ってゆくのだった……

 

 

 こうして、雪山遭難リターンズは幕を閉じた。

 

 

 追加シナリオ おしまい



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