機動戦士ガンダムSEED EXODUS (naomi)
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EP1 遭遇

オーブ首長国連邦とプラントにより開戦された『メサイア攻防戦』から数年の月日が流れた。

 

シン・アスカとルナマリア・ホークはとある調査のため海の上にいた。

 

「アスランのやつ、本当にこの辺りなんだよな」

 

「情報だとこの辺りなのよね…見渡す限り海だけど」

 

それは今から遡ること7日前

 

シンとルナマリアは終戦後、オーブで静かに暮らしていた。そんな時

 

「シン、メイリンが彼が呼んでるから来て欲しいって連絡してきたわ」

 

「メイリンって確か…」

 

「彼の秘書をしているわ」

 

「ったく、なんなんだよ」

 

指定されたオーブ軍のとある施設に赴く二人

 

「毎度毎度呼び出してなんなんだよアンタは」

 

「すまないなシン。立場上あまり出歩けないんだ」

 

「お久しぶりです。アスラン」

 

「ルナマリア元気そうだな」

 

「メイリンがアスハ代表との事心配してましたよ、いつ結ばれるのかなって」

 

「なっ」

 

「ガキじゃあるまいし、さっさと進展させたらどうなんですか」

 

「相変わらず突っ掛かる言い方しか出来ないのかね、シンは」

 

「すいません」

 

「いや、話しがそれてしまった。本題に戻ろう」

 

資料を用意するアスラン。膨大な量だ

 

「二人にはとある調査に協力して欲しい」

 

「調査」

 

「あぁ、二人とも半年前に起きたジブラルタル近海の巨大竜巻は覚えているか」

 

「なんか、そんな騒ぎありましたね」

 

「そのあとでしたっけ、未確認生物が見られるようになったの」

 

「そうだ。この金色の未確認生物は、現時点では害意はないが世界各地で多数の目撃情報がある」

 

「気味が悪い」

 

「そして最近の調査で、例の竜巻が発生した海域で不思議な現象が見られるようになった」

 

「不思議な現象」

 

「なんでも、『太陽が2つ』見えたり方向感覚が分からなくなるそうだ」

 

「なんだそのデタラメ」

 

「デタラメかどうかを調査して欲しいんだ。必要なものは既に用意した。その資料の後半に記載されている」

 

資料を読み進めると、シンが吠える

 

「ザラ隊!?」

 

「君達は今は民間人だ。手続き上、俺直属の諜報部隊として登録する必要があったんだ。隊名は二人の好きに変えてくれて構わないぞ」

 

「いや…ザラ隊でいいです。」

 

「そうか…。じゃあ二人ともよろしく頼む」

 

と今に至る

 

「まさか、もう一度この機体に乗ることになるとわね」

 

「そうだよな」

 

「意外もっとデスティニーに乗れて喜ぶかと思った…シンどうしたの」

 

「いや、なんでもない」

 

突然レーダーが反応する。

 

「なに、敵」

 

「ルナ後ろだ」

 

突然、未確認生物が現れた。

 

「こいつ例の」

 

「そうみたいだな、なんだ」

 

突然、通信が開き口元が写し出された

 

「あなたはそこにいますか」

 

動揺する二人。シンはとっさにルナマリアのインパルスを突き飛ばしビームシールドを展開する。

 

「シン」

 

「大丈夫だけど凄い威力だ。防ぐのにエネルギーの3/1持ってかれた」

 

インパルスはビームライフルを連射するが未確認生物には全く効いていない

 

「そんな…」

 

「これなら」

 

デスティニーがビーム砲を放つがビクともしない。

 

「ならば」

 

アロンダイトを未確認生物に突き刺すが反応がない。

 

「攻撃が全く効かない、うわ」

 

シンの身体から緑色の結晶が出てくる

 

「なんだ、心に入ってくる…」

 

 

 

あなたはそこにいますか

 

 

 

「シン応答して、シン」

 

(ルナ…ステラ…マユ…)

 

「ターゲットロック」

 

突然砲撃が未確認生物に当たる

 

「こちらマークジーベン援護します」

 

シンの身体から出ていた結晶が消える

 

「援護感謝します。」

 

「私達の島で休んでくださいあとは引き受けます」

 

「島?」

 

「皆城くん」

 

「了解した」

 

そこまでなにも無かった海に突如、島が現れた。

 

「なにこの島」

 

「竜宮島。私達の島です」

 

「ファフナー隊出撃」

 

竜宮島と呼ばれる島から紫の機体似た機体が4機出てくる。

 

「あの2機を助けるんですね」

 

「どこの機体だ見たことないぞ」

 

「なんか知らないけどやるよ」

 

「うん」

 

「マークジーベンは2機を誘導、マークフュンフ・ノイン・ツエン・ツウォルフは敵を速やかに排除しろ」

 

シン達がマークジーベンの誘導で竜宮島に降り立った時、未確認生物は撃破された。



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EP2 異なる世界の者達

「フェストムの消滅を確認、各機帰投せよ」

 

4機のファフナーがブルクに続々と戻ってくる。

 

「このMSはなんなんだ」

 

二人がファフナーに見とれていると、一人の女性が話しかけてきた。

 

「ファフナーという対フェストム用決戦兵器です。」

 

「その声は、紫の機体の人ですね。ルナマリアと言います。ルナマリア・ホーク」

 

「おいルナ」

 

「遠見真矢です。貴方の言う機体コードマークジーベンのパイロットです」

 

「やっぱり、真矢さんファフナーってなんですか。フェストムって」

 

「それは…」

 

「すげー、超格好いい」

 

「おい、広登止めとけよ」

 

ファフナーパイロットがディスティニーとインパルスに興味を持って近づいている。

 

「触るな」

 

シンの反応に驚く4人

 

「あー、怒らせちゃった」

 

「すみません」

 

「気にしないでください。ちょっとシン」

 

「そう簡単に触らされるかよ、軍事機密だそ」

 

「それはお互い様でしょ、私達も今見てるものは、彼らにとって軍事機密でしょ」

 

「それはそうだけど…」

 

「パイロットが迷惑をかけてすまない。ジークフリートシステム担当の皆城総士だ。」

 

「迷惑だなんてとんでもないです。…あのージークフリートシステムってなんですか」

 

「ジークフリートシステムとはファフナーとクロッシングするとこで、ファフナー間及びCDC間での連絡を可能とする…」

 

「皆城くん、彼らにはそれじゃあわからないよ。フェストムのこと知らないみたいだし」

 

「そうなのか」

 

「フェストムを知らない」

 

驚く男性パイロット2人

 

「なんだよ、悪いかよ」

 

「いやー、フェストムのことをわからない人なんているんだと思って」

 

「バカにしてるのか」

 

「広登ちょっと黙ってな」

 

「だからって、そんな怒ることかよ」

 

「暉」

 

「落ち着きたまえ」

 

奥から男が現れる。

 

「真壁司令」

 

「総士くん。パイロットのことは君に任せる。彼らとは私が話そう」

 

「わかりました。パイロットを帰し次第僕も合流します。」

 

「さぁ皆行くよ」

 

「あっ、ちょっと遠見先輩押さないでください」

 

6人はブルクを離れた。

 

「子ども達がすまない。私はAlvis司令の真壁史彦。この竜宮島とこの島を管理するAlvisの責任者だ」

 

「オーブ首長国連邦国防軍特務隊ザラ隊所属ルナマリア・ホークです」

 

「同じく、シン・アスカ」

 

「ルナマリアくん、シンくんまずは再度パイロット達がすまなかった」

 

頭を下げる史彦。ルナマリアが慌てて顔を上げさせる。

 

「我々としても今混乱していてね。変に気が立っているんだ。」

 

「あのーなにかあったんですか」

 

「この世界が我々の住む本来の世界と違う可能性がある」

 

動揺する二人

 

「整理してゆこう。ここは元号はどう表現してるかね」

 

「C.E(コズミック・イラ)です」

 

「我々は西暦を使っている。フェストムを知らないそうだが、何故そのような強力な兵器を使っているのかね」

 

「人ですね…」

 

「…そうかね。我々も人と争うことはあるが、主な敵は先程君達が遭遇したフェストムと呼ばれる未知の生物だ」

 

「我々はオーブ首長国連邦という国家を初めて聞くのだが、他に国家はあるかね」

 

「えっと、国家というのかわかりませんが地球の国の大半が加盟する『地球連合』とコーディネーターの居住区コロニー群『プラント』があります」

 

「地球連合にプラント…やはり聞いたことがないな、『コーディネーター』とは」

 

「はい。コーディネーターは遺伝子操作によって誕生した人類の総称で、自然に生まれてきた『ナチュラル』より能力の高い傾向のある人種です。地球連合はコーディネーターの存在に否定的で、またプラントも一時期はナチュラルに排他的な傾向があったこともあり2度大きな戦争をしました」

 

「なるほど…。オーブはどの立場なのかね」

 

「オーブは中立国として、両者を受け入れ共存を目指す数少ない国の1つです。」

 

「うむ…やはり、彼女達が推測した通りか。そして人種間戦争をしている世界で中立的な立場のオーブに見つけてもらえたことは我々の救いかもしれんな。…どうやら君達は状況を受け入れるので精一杯のようだな」

 

「すみません。上官に連絡する時間を頂けますか」

 

 

数時間後、ルナマリアの連絡を受け1機のシャトルが着陸した。

 

「バカンスを楽しめと言った覚えはないぞ二人とも」

 

「はぁ」

 

「冗談だシン。そう怒るな」

 

「アンタの冗談はいつもタイミングが悪いんだよ」

 

「ごめん。…お見苦しいところをお見せし失礼しました。オーブ首長国連邦国防軍准将及び特務隊ザラ隊隊長アスラン・ザラです。部下よりお話しを伺っております真壁司令」

 

「20歳台前半で准将とは驚いた」

 

「いろいろとありまして、そしてこちらの方が」

 

シャトルから女性が降りてきた。

 

「アスハ代表」「なんでアンタが」

 

「私がオーブの代表だからに決まっているだろうシン。オーブ首長国連邦代表首長カガリ・ユラ・アスハだ」

 

「Alvis及び竜宮島司令官真壁史彦。准将の彼にも驚いたが国の代表も20歳台か…未来の明るい国家だ」

 

「お褒めつかわつり光栄です。話しの内容は彼らから聞きました。にわかに信じがたいですが」

 

「この世界に来て半年でようやく我々の大半が現状を受け入れられたのです。無理もないでしょう」

 

「半年前というと、半年前この海域で起きた巨大竜巻の原因は」

 

「恐らく我々のせいでしょう、半年前我々は我々の世界で我々の敵フェストムと戦闘中に敵の力でしょうか、原因不明のワームホールに飲み込まれて気がつくとこの海域にいました。我々の世界での経験をもとに擬装鏡面で見つからないようやり過ごしてきました」

 

「擬装鏡面とは」

 

「光を屈折させるシールドを展開することで、外部からの発見を防ぐ我々の技術です」

 

(ミラージュコロイドに似ているな)(あぁ)

 

「報告にあったファフナーとは」

 

「対フェストム用決戦兵器、貴方のMSにあたります。我々の島を敵から守る切り札です」

 

「なるほど…。でっこれからどうするのですか貴方は」

 

「我々としては、一刻も早く元の世界に戻るため協力が欲しいところです。」

 

「それだけでよろしいのですか。その要望は問題無く協力出来ます。」

 

「ありがとう。我々からは、我々の持つ技術の一部を君達に提供したい」

 

「いいのか、そんな大事なもの」

 

「聞けば、この世界でもフェストムの目撃情報が多数あると聞きます。今はまだ害意はないかもしれませんが、彼らが誤った学びを手にした時恐らく貴方の今の技術では対抗出来ないでしょう」

 

「ディスティニーの装備が全く効かなかったとルナマリアから報告を受けています代表」

 

「なんだと、それほどの力があるのかフェストムは」

 

「はい。我々としては助けて頂く貴方が我々のもたらした疫災で滅びるのだけは、なんとしても避けたい」

 

「そういうことでしたらありがたく技術提供を受けさせて頂きます」

 

「ありがとう。今日はゆっくりお休み下さい。明日我々がどういう存在か、アスハ代表自身の目で確かめてください」

 

「わかった。これからよろしく頼む。真壁司令及びAlvis諸君」

 

こうしてオーブとAlvisは協力関係を築くのであった。

 



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EP3 邂逅

オーブとAlvisが協力関係を築いた翌日、シン・ルナマリア・アスラン・カガリの4人は遠見真矢の案内のもと竜宮島を回っていた。

 

「なんかこの世界よりも進んだ技術持ってるのに、建物や景色は古いな」

 

「ちょっとシン。すみません真矢さん」

 

「全然大丈夫ですよ。私達の世界はフェストムによって人が住める場所がだいぶ減っています。竜宮島はそんな荒廃した私達の世界で『平和』という『文化』を残す貴重な場所だと島の外を知る人達は言っています」

 

「そんなにもひどい状況なのか」

 

「そうですね。私達の場合『敵』と『人』の両方から狙われますし」

 

「人からもとは」

 

「私達はフェストムとの共存の道を探って今日まで戦っていますが、島の外の人達はフェストムは全滅させることを目指していて私達の存在が邪魔なんです。」

 

言葉を失う4人

 

「そんなに気を落とさないでください。島の外から来た人達もこの島にいるので前進はしているんですよ。」

 

 

 

「ミカミカ飛ばし過ぎるんじゃないよ」

 

「美三香ラジャーです。要先生」

 

4人の足が学校で止まる

 

「学校か…なんだか懐かしい。シンがよく教官に反発して怒られてたな」

 

「なっ、変なこと思い出すなよルナ」

 

「おっ、遠見じゃないかその人達がこの世界の人達か」

 

白衣を着た男が近づいて来た。

 

「そうだよ近藤君」

 

「近藤剣司です。普段は学校の校医をしてます。遠見とは同級生で昔ファフナーパイロットをしてました」

 

「昔ですか」

 

「ファフナーは乗れば乗るほど同化現象って言う症状に侵されて最悪死に至るんです。詳しくはブルクを案内する際に説明があると思いますが…」

 

「貴方の力は諸刃の剣なんですね」

 

「えぇ、遠見や俺達以外にも何人か同級生がファフナーパイロットでしたが、今はパイロットになったのが皆よりも遅く同化現象に襲われにくい体質の遠見以外はパイロットを引退してます。痛い」

 

剣司が杖で叩かれた。

 

「近藤先生さっきから呼んでたんですけど、保険室に用がある生徒が待ってるわよ」

 

「もうちょっと優しく声かけてくれ咲良」

 

「はいはい、あっ要咲良です。剣司と遠見の同級生で今は体育教諭をしてます」

 

「貴女も元パイロットですか」

 

「えぇ…と言ってもたいして活躍せずに引退になりましたけど」

 

「ちなみに、昨日の長髪の彼も同級生です。」

 

「確か、皆城総士と言ったか」

 

頷く真矢。

 

「そろそろお昼ですね。食事を終えてからファフナーのあるブルクを案内しますね」

 

食事のために喫茶『楽園』を訪れた5人

 

「いらっしゃいませ、ご予約のお客様ですね。どうぞ」

 

「あっ、お前昨日の」

 

「西尾暉ですよろしく。一騎先輩例の予約のお客さんが来ました」

 

「わかった。すぐ用意する」

 

アスランは後ろ姿からなぜか彼が戦士だと悟った。

 

「よし。暉運ぶの手伝ってくれ」

 

「私も手伝うよ一騎君」

 

「ありがとう遠見」

 

食卓にカレーが並ぶ

 

「当店自慢の一騎カレーです。どうぞ召し上がってください」

 

「君は随分歴戦の戦士という感じがするな」

 

「えっコイツが」

 

「昔の話しですよ。真壁一騎です。よろしくお願いします。」

 

「このカレー美味しい」

 

「確かに上手いな」

 

「当店自慢の一騎カレーですから」

 

「なんで暉君が自慢気に話すのよ」

 

「いいじゃないですか遠見先輩、店の従業員としてオススメしてるんですから」

 

食事を終えて店を出る5人

 

「ごちそうさまでした。美味しかったです一騎さん」

 

「ごちそうさま旨かったぞ。…アスラン」

 

「シンもどうしたの」

 

一騎を注視する二人

 

「あの…どうかされましたか」

 

「いや、すまないまた今度ゆっくり話しをさせてくれないか真壁一騎君」

 

「構いませんよ…えっと…」

 

「アスラン・ザラだ」

 

「お待ちしてますアスランさん」

 

「お前、なんでここで働いてるんだ」

 

「…俺に向いてると思ったからです」

 

「戦いから目を背けるのか」

 

シンの不用意な発言が彼女を怒らせた。

 

「なんでそんなことを言うんですか。」

 

「真矢さん」

 

「一騎君はもう十分戦いました。フェストムがこの島にやってきたあの日から6年間ずっと、私達が戦えない時から一人ずっと戦い守ってきたんです。この島を!もう休んだっていいじゃないですか。」

 

「あっ、いや俺はすみません」

 

「ちゃんと話しを聞いていなかったのかシン。彼らの機体は乗れば乗るほど死ぬ危険性が高まるって、それに6年間乗り続けていたんだ。彼は恐らくもう…」

 

「そんなことはわかっているさ、ただその力と経験を伝えることなく死んでいくのはどうかと思うけどね」

 

シンは勢いよく店を飛び出した。

 

「ちょっとシン。すみません追いかけます、あとでちゃんと二人に謝らせますんですみません」

 

沈黙の店内

 

「すまない。私達の部下が」

 

「いえ、私の方こそ感情的にすみませんでした」

 

「君の謝ることじゃないさ。事情も知らず思ったことを考えもなしに言ったアイツが悪い」

 

「ごめんな一騎君、アイツは今焦ってるんだ。」

 

「気にしてないので大丈夫ですよ」

 

「前の戦いでエースパイロットとして戦いつつも、自分の有り様に悩んでいた。戦いが終わりパイロットとしての役目からは解放されたが、パイロットじゃない自分が何が出来るのかわからなくなってしまっている。サポートはしているんだけれどまだその答えを見つけれてないんだ」

 

「なんか…わかる気がします」

 

「一騎君…」

 

「初めてファフナーに乗った頃、自分の存在する意味を求めて乗りました。戦いに慣れていくにつれやがて戦場が自分の居場所になっていました。そして今長い役目から解放されたんですけど、なんかしっくり来なくて…なんとか別の道を見つけられた感じなんです」

 

「そうか…」

 

「そして今、自分の命の期限を知り改めて自分がどうしたいのか悩んでいるところでもあるんです」

 

「戦士の苦悩か…俺にもあったよ」

 

「すみません。重い話しになってしまって」

 

「いや、ありがとう。思ったより早く君がどんな人かを知れたよ、真矢さんそろそろ案内の続きをいいかな」

 

「じゃあ行くね一騎君」

 

「気をつけてな」

 

3人が店を出る時にシン達はちょうど戻ってきた

 

「シン、お前」

 

「一騎だったな、さっきは悪かった。シン・アスカだよろしくな」

 

「アスカさん、よろしくお願いします」

 

二人の戦士は力強い握手を交わした。



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EP4 新たなる敵

「ファフナーは対フェストム用決戦兵器として開発された特殊機動兵器で、構造としては『コア』と呼ばれる、フェストムの一部を取り入れることで敵に対抗する力を得ることが出来たマシーンです。これにより『読心能力』というフェストムが持つ生き物の感情や考えを読み解く力を防ぎます。また搭乗時は『クロッシング』という肉体及び精神を一体とするシステムにより、ファフナーと一体化しより生物的な動きをファフナーの管制システムである『ジークフリードシステム』とクロッシングすることで指揮官とパイロットが意識レベルで一体となり高密度な連携を可能としています」

 

「カノン今の説明じゃちょっと理解するのは難しいかも」

 

「そう…ですか、いかがでしょうか」

 

「全然わかんねー」

 

「すみません、私もいまいち」

 

「あらあら、生徒さん達が困っているわよカノン」

 

「うー母さんヒドイよそれは」

 

「つまりは、敵の力を取り込んだことで敵に対抗する力を得て、より高度な戦闘が可能になった機体と認識すればいいかいミス・カノン」

 

「そうです。アスラン准将」

 

胸を撫で下ろすカノン

 

「しかし、聞いたところによるとリスクも甚大だそうだな」

 

「そうでありますアスハ代表。そもそもファフナーに搭乗するには、フェストムの因子が必要でこれが自然に誕生する人間には無いに等しく。人口子宮で遺伝子調整を受けた島の子どもにしか扱えません。私の場合は拮抗薬を打ち込みなんとか動かせましたが、成功するのは稀でしょう。さらに『シナジェテックコード』と呼ばれるファフナーを扱うのに必要な遺伝子情報は大人になるにつれ完成され、ファフナーとの一体化を受け付けなくなるので、現時点でパイロットは20代前半までが限界です。そして最大のリスクが『同化現象』」

 

「なんなんだその『同化現象』って、剣司ってやつも言ってたけど」

 

「『同化現象』とはフェストムの攻撃手段と言って差し支えないでしょう。対象の意識を奪い、自分として取り込み同化する行為です。進行すると身体が緑の結晶に包まれ、やがて対象となった存在が消えます粉々に」

 

「なんという恐ろしいそのようなリスクを背負いようやく倒せる相手なのか」

 

(あれが同化現象だったのか)

 

「これが我々の切り札です」

 

カノン含めその場にいた竜宮島の人々は誇らしげな表情で4人を見続けた。

 

「ソロモンに反応」

 

そこに敵襲来のアナウンスが入る。

 

「これは、我々の世界のモノではなさそうだな。アスハ代表をCDCへ連れてきてくれ」

 

カガリとアスランがCDCに入る。

 

「ここがあなた達の司令室…あれは」

 

「ファントム・ペイン」

 

「どういった相手ですか」

 

「地球連合軍の特殊部隊です。腕の立つもの集まりです」

 

「シン・ルナマリア発進準備を」

 

「アスハ代表待機で大丈夫です。」

 

「真壁司令しかし」

 

「特殊部隊できたということは、まだ我々の情報はこの世界に広まりきってはいない、そのような状態で貴方がたの支援を受けていることがわかれば。オーブに被害が出かねない」

 

「それにディスティニーとインパルスはまだ登録上は『ザフト』だ。彼女達にまで迷惑をかけることになる」

 

「『ザフト』とは」

 

「プラントに住む人々が結成した防衛部隊です。」

 

カガリは悔しさを滲ませながら作戦を史彦に託した。

 

「では真壁司令よろしくお願いします」

 

「総員警戒厳に守備隊及びファフナー部隊スタンバイ、指示があるまで待機。…総士君こちらでも基本方針を変えるつもりはない。頼めるかね」

 

「わかっています。最大限そうならないよう努めます」

 

「すまんが、よろしく頼む」

 

「了解。ジークフリードシステム起動」

 

「ヴェルシールドの展開状況は」

 

「第3ヴェルシールドまで展開済み、第4もいつでも展開しバトルフィールドを形成出来ます」

 

「よし、あとは相手の出方を伺おう」

 

(アスランこの人達もしかして)

 

(あぁ、戦い方も似ているかもしれないな)

 

竜宮島近海で睨みを効かす艦隊から通信が入る。

 

「こちらは地球連合軍第81独立機動群。所属不明の貴島に対する捜査権が与えられている、所属国家を述べられたし」

 

「こちら竜宮島こちらに国家という概念は存在しない、ある研究機関の管理する人口島である」

 

「研究機関だと」

 

「その研究機関は機密性を帯びており具体的にどのような組織か回答するのは差し控えさせて頂く」

 

「敵艦隊より発砲」

 

「威嚇だ、ヴェルシールド部分解除弾を着弾させてやれ」

 

発砲された弾は竜宮島の港に近い海に着弾した。

 

「これは警告である。もう一度言う所属国家を述べられたし」

 

「回答は先程と変わらん」

 

「そうか、ならば己の愚かさを身に染みて味わうといい」

 

MSが展開し始める

 

「MS数30展開しています」

 

「諦めがつくまで攻撃させてやれ」

 

激しい集中砲火が竜宮島を襲うがヴェルシールドが破れれる気配は微塵も無い

 

「なかなか粘られたな」

 

30分後、艦隊は撤退した

 

「連合軍の攻撃を一切手を出さず無傷で防ぎきった」

 

「まだ我々の技術がこの世界で圧倒的優位性を得ていますからね。時が経てばこうはいかないでしょう。警戒解除」

 

「うむ」

 

「アスハ代表。我々はこのまま擬装鏡面を展開し再びこの島をこの世界から隠そうと思います。我々が火種になる可能性が十分ありえますので。そこでオーブ国内での諜報員の活動を許可して頂きたい」

 

「それは何故」

 

「擬装鏡面を展開した場合、完全に外の世界と隔離されるため外の情報が全く掴めないのです。オーブとの関係維持のためにも是非お願いしたい」

 

「わかった。では変わりにこちらも諜報員を派遣させて頂く。あくまで情報公開可能範囲内でのみ詮索を行い。機密や方針への関与は絶対禁ずる」

 

「もちろんです。ありがとうございます」

 

 

 

数時間後、準備が整い島を離れるオーブの面々

 

「ディスティニーとインパルスは我々の技術でフェストムと対抗出来るよう改良しています。是非国内のMSの改良の参考にしてください」

 

「ありがとうございます。真壁司令」

 

「一騎またな」

 

「シンさん。お元気で」

 

島を発つオーブの面々、それと同時に竜宮島は再び姿を消した。



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EP5 変化する情勢

「第8沿岸守備隊より支援要請、第16守備隊全滅突破されました」

 

竜宮島との初めての接触から3ヶ月、オーブ国防軍はフェストムの対応に追われていた。

 

「アスハ代表、国防軍より出動要請です」

 

カガリも行政府と国防総省を行き来する日々に追われている。

 

「わかった。対フェストム部隊出撃」

 

「代表より出撃指令が出た。二人とも行くぞ」

 

「了解。あれ以来襲来止みませんねフェストム」

 

「Alvisの技術で改良したはずのムラサメやM1アストレイでも踏ん張れないもんな」

 

「だが、彼等の技術提供のおかげでここまで対抗出来ているのも事実だ。フェストムは3手に分かれていると言う情報がある。各機個人で対処するように」

 

「了解。シン・アスカ、ディスティニー行きます」

 

「ルナマリア・ホーク、インパルス行くわよ」

 

「アスラン・ザラ、アカツキ出撃する」

 

3機が各戦場に赴く。

 

「あれを見ろザラ隊だ」

 

「彼らが来たならもう安心だ、各員持ち直せ彼らに続け」

 

守備隊の士気がザラ隊の登場で上がり持ち直す。

 

「あなたはそこにいますか」

 

「うるさい。墜ちろ」

 

ディスティニーのアロンダイトがフェストムの身体を引き裂き

 

「いるわよここに」

 

インパルスのビームライフルが火を吹く

 

「…俺はここにいるぞ」

 

アカツキはヤハタノカガミでフェストムの攻撃を弾き返す。

 

今回も無事フェストムを追い払った。

 

その後、ザラ隊は戦況報告のため国防総省に出向していた。

 

「…以上です」

 

「ご苦労ザラ隊の諸君、異世界の住人と接触して3ヶ月、未確認生物『フェストム』だったか…ついに害悪な存在になり出したか」

 

「彼等の予告通りになりましたね」

 

「まぁ、彼らが元凶な可能性もある訳だが」

 

「協力者の情報によるとフェストムが我々の『怒り』や『憎み』といった感情を学んだ可能性が高いと」

 

「我々がか」

 

「もっとも学ばせてしまったとしたら地球軍でしょう、我々は静観の姿勢を保っていましたし」

 

「しかし、この状況になったのだ君らを国防軍直轄には出来ないのかね」

 

「すみません。それはアスハ代表にお願いしていただかないことにはどうにも」

 

「すまんザラ准将まだ君達の力を借り続けることが暫く続くと思う」

 

「いえ、そのための部隊ですから。我々の報告は以上です。失礼します」

 

国防総省を後にするザラ隊

 

「あの長官、直属にしたいって俺達をコキ使いたいだけなんじゃないの」

 

「思ったより苦戦しますねアスラン」

 

「協力者曰く、ムラサメのようなオーブの量産機は改良によってようやく抵抗出来るようになり、俺達のガンダムタイプは竜宮島の『ノートゥング・モデル』に匹敵する性能を得たらしい」

 

「私達の機体でようやく竜宮島のファフナーと同じくらいの性能ですもんね。軍が苦戦を強いられるのも納得です」

 

「地球軍は恐らく壊滅的だろう」

 

「聞いた話ですとすでに連合としての機能は維持出来てなくて、各地域で独自に動いているそうですね」

 

「それよりも深刻なのは、プラントとの連絡が取れなくなったことだ」

 

「もう1ヶ月ですね、プラントとの連絡が取れなくなったのは」

 

「あぁ…彼等なら問題無く対処しているとは思うが」

 

「姿を隠した彼等の状態も気になりますね」

 

「そのことなんだが、彼等から連絡があった」

 

ザラ隊の本部へカガリが訪れていた。

 

「代表。どうしましたか」

 

「…ここには閣僚や軍の関係者はいないんだ、名前で呼んでくれていいんだぞアスラン」

 

「…それもそうか」

 

「二人もこの4人の時は別に堅苦しい肩書きで呼ばなくていいからな」

 

「はぁ…でも私代表のことお名前で呼んだことありせんし」

 

「…確かにそうだな。まあいい、それでAlvisの真壁司令から連絡があった」

 

「どのような内容なんだ」

 

「ある人物をこちらに派遣してくれるそうだ。フェストムとの進展に是非役立てて欲しいと」

 

「ある人物とは」

 

「対フェストム戦のエキスパートということだ」

 

「ここが…オーブ首長連邦国か」

 

左目に傷を持つ長髪の青年がオーブの地に降り立った。

 



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EP6 フェストゥムを知る者

「真壁司令の命を受けこちらに支援に参りました。皆城総士です。よろしく」

 

左目に傷を持つ長髪の青年はザラ隊の司令部を訪れた。

 

「確か私達が竜宮島で戦闘に遭遇した時、戦闘指揮取られてましたよね」

 

「はい」

 

「あちらは大丈夫なんですか」

 

「心配には及びません。僕よりも仲間思いの優秀な人材に後を引き継ぎましたので」

 

「優秀な人材…」

 

「近藤剣司。 皆さんもお会いしていると思いますが」

 

「あーあの学校の医者か」

 

「僕らの島を心配している場合ではありません。戦力的に考察しても危機的状況なのはむしろあなた方の方だ」

 

「ここで情報収集をしている仲間からの事前に得た情報によると、僕らの技術で性能は大幅に上がったものの。対抗出来るのは貴方の扱う『ガンダム』タイプと呼ばれるMSだけだそうですね」

 

「君の言う通りだ総士君。更に僕らの機体はファフナーと違い『同化』への耐性が無い。短期決戦で今のところは済んでいるが戦闘が長期化した場合、非常に危険な状態に陥ると予想している」

 

「アスラン准将。その考察は適切です。しかし、よく彼等の読心能力を破ることが出来ましたね」

 

「その点はまだ何故上手くいくのかわかっていません」

 

「そうですか。その点は追々真相を突き止めるとして非常に困難な事態に陥っています」

 

「それはどういう」

 

「アスハ代表は今、どちらに」

 

ザラ隊は総士とともにカガリがいる国防総省へ赴いた。

 

「たまたま、軍の上層部と協議中ということで思ったより早く会えそうだ」

 

「出来ればアスハ代表と貴方ザラ隊の面々以外は外して頂きたい」

 

「…なぜだい」

 

「今の国防軍に話をしたところで時間の無駄です。この国の長であるアスハ代表と唯一対抗出来るザラ隊が把握していれば済みますので」

 

その後カガリとザラ隊の3人。カガリからの要望でモルゲンレーテ社の技術顧問エリカ・シモンズとオーブ国防軍大将レドニル・キサカの7人は国防総省のとある一室で総士主導で会議を行った。

 

「まずこちらはこの世界の情報を諜報員から事前に得ているので省略します。そちらはどれくらい我々の情報を把握してますか」

 

「『アザゼル型』なる強大なフェストゥムが現れたと聞いたがなんだそいつは」

 

「正直『アザゼル型』と呼ばれるヤツは新個体でそこまで情報がありません。ただこちらの世界に我々が来る前に迎え入れたエスペラントによると、『アザゼル型』は我々の世界で6年前破壊した『北極ミール』と呼ばれるフェストゥムの親玉から分裂して個体化した敵です。そいつ自体がミール並の力を持っており大変恐ろしい脅威として認識しています。」

 

「あの『エスペラント』ってなんですか」

 

「我々人類の中でフェストゥムと『対話』が出来る存在です。エスペラントはフェストゥムの読心能力に近い力を持っているので話す言葉を発することなくフェストゥムとコンタクト出来るようです。」

 

「すげー」

 

「竜宮島には現在来訪してアザゼル型の存在を教えてくれた少女と竜宮島で初めて自然受胎で生まれた少女の2人のエスペラントがいます」

 

「島のコアが目覚めたとは」

 

「我々の島のミールはヴァイオスフィアとなり大気として存在しています。コアはミールの代弁者であり、コアは人とフェストゥムの融合体のような存在です。」

 

「島の命…」

 

「そのような認識で構いません。コアは我々にとって絶対的な存在で『島のコア=島そのもの』と言うことです」

 

「なるほど…」

 

「そしてコア曰く『我々の世界のモノ達がこの世界に流れ込み始めている』とのことです」

 

「つまり。どういうことです」

 

「アザゼル型がその一例でしょう。我々の世界の存在がこちらの世界に混在する状況が予想されます」

 

「ややこしいことになりそうだな」

 

「1つの危機的状況は、この世界に僕ら以外の存在が混在するという、今説明したことです。恐らく地球連合も再編されるでしょう」

 

「どういうことだね」

 

「我々の世界には『新国連』とその新国連に所属する『人類軍』がありそれらがそちらの連合に力を貸すことが予想されます」

 

「なるほど…」

 

「人類軍はフェストゥム殲滅のために容赦しないのでしょうまた宇宙にあるというプラントでしたかそちらに連絡がつかない理由はどうやらフェストゥムの読心能力と関係あるそうです」

 

「どのような関係が」

 

「読心能力によるフェストゥムのコンタクトは大変複雑かつ情報量が多いと言われ、人類にはまず理解出来ないと見解されています。更にこの世界で広く浸透しているという『Nジャマー』なる戦略兵器による核動力の制限が宇宙への通信を妨害していると思われます」

 

「『Nジャマー』がフェストゥムの読心能力で核だけで無く。通信機器もダメにしていると」

 

「幸い地球間だったら通信は出来るようです」

 

「ということは、我が軍の宇宙艦隊は孤立状態ということか」

 

険しい表情になる一同

 

「代表。今は目の前のことに集中しましょう、宇宙艦隊にはラミアス艦長のアークエンジェルとフラガ一佐率いるMS部隊がいます。ザフトにはイザークやディアッカのような熟練の戦士が居ますし、プラントを治めるのはアイツらです。余程のことが無い限り乗り越えてくれますよ」

 

「アスラン…」

 

「随分信頼されているようですね」

 

「えぇ幾度となく対立し、それでもお互いを信じ共に手を取り合った仲間ですから」

 

「…素晴らしいと思います」

 

そこへ緊急の通信が入る。

 

「どうした」

 

「キサカ大将。フェストゥムが大群で出現。どうやらこれまでに見たことの無い種類の敵もいるようです」

 

「行きましょう。今の会議である程度情報交換は出来ました」

 

「うんわかった。皆城総士君、君に対フェストゥム戦の全指揮を委ねたいと思うのだけどいいかな」

 

「アスハ代表…よろしいんですか、外部の人間である自分に任せても」

 

「君程フェストゥムについて理解している人はこの国にはいない。それに今指揮をしているアスランはザラ隊の隊長として戦闘と指揮の同時平行している状態だ。アスランには今は未知の敵と戦うことに専念してもらいたい」

 

「カガリ…」

 

「わかりました代表。その役目引き受けさせてもらいます」

 

「ありがとう。では皆城総士をオーブ連邦首長国代表首長直轄対フェストゥム部隊『ザラ隊』の作戦指揮官に任命する。ザラ隊は直ぐに発進準備をして整い次第発進せよ」

 

「了解」

 

複雑化しようとする世界へ抗うため。1つの国家と1つの組織は更なる結束を強めこの困難を乗り越える道を探し始めた…



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EP7 絶望の中にある希望

「ダメです。沿岸の守備隊持ちこたえられません」

 

「既に我が軍の主力防衛艦隊は壊滅的被害を受けておりこのままでは、フェストゥムの侵略を許してしまいます」

 

「ぐぅ…」

 

既に国防総省の指揮官は手詰まりの状況に頭を抱えていた。

 

「オノゴロ島本島より発進する機体3機…これはザラ隊です」

 

ザラ隊の3機が戦場を駆ける。

 

「司令。国防総省に秘匿通信での呼び出しが来ています」

 

「繋げ」

 

「オーブ国防軍現作戦指揮官に要請する。現在の状況を今から表示するサーバーに送ってください」

 

「どうしますか…」

 

「うねねね」

 

「司令、代表より開示許可が来ています」

 

「カガリ様が。よしわかったデータを送れ」

 

「…確かに受け取りました。今から作戦指揮は僕が取ります。まず…」

 

 

「くっそー。倒しても倒してもキリがない」

 

「このままじゃエネルギーが…どうしますアスラン」

 

(…さっきまで総崩れだった防衛ラインが既に立て直されている。やるな総士君)

 

「…アスラン」

 

「あぁすまない。シン、ルナマリア俺達はあのデカイのをやるぞ恐らくアイツが親玉だ」

 

「いいんですか」

 

「見たところ守備隊は立て治りつつある。この無数に湧き出てくるフェストゥムを蹴散らすには親玉を倒した方が早いだろう」

 

「了解」

 

3機はデカイフェストゥムへ攻撃を仕掛ける。

 

「3人とも気をつけてください。そいつは恐らくアザゼル型です。力は未知数ですのでくれぐれも…」

 

アザゼル型フェストゥム『ロードランナー』の灼熱を帯びた熱線が3機体を襲う、辛うじて避ける3機体

 

「えっ、嘘でしょ」

 

「なっ山が熔けてる」

 

「熱線が通った海面が乾上がっているだと」

 

(アザゼル型これ程か…恐らくあの3機でも無理か)

 

「アカツキ、ディスティニー、インパルス。あのアザゼル型の注意を引いてオーブから引き離せませんか」

 

「やってみよう」

 

3機体が集中攻撃をするがいっこうに効かない。

 

「クソー」

 

「よせディスティニー」

 

ディスティニーのアロンダイトで斬り込むが溶けてしまう。

 

「どうすればいいんだよ」

 

(アカツキのヤハタノカガミも恐らく熱には意味が無い。マズいなこれは)

 

「はっ、ルナマリア後ろだ」

 

「えっ」

 

ロードランナーに振り落とされ海面に落下するインパルス

 

「ルナーこのやろー」

 

「よせシン。防衛艦隊へこちらアカツキ。インパルスがやられ海面に落下救助を頼む」

 

ディスティニーを急ぎ追うアカツキ

 

(インパルス大破。パイロット生死不明、今ディスティニーもやられた損傷は酷く無いが今は戦力にならないだろうアカツキも持ちこたえているが性能で遥かに上回るディスティニーでこのザマだ。アスラン准将の力量でも何処まで持つか。立て直した防衛線も再び崩れ始めた。…情けない僕がいながらこのザマとはこの状況を覆せる一手は…)

 

「通信…代表どうしましたか」

 

「総士君。竜宮島にオーブ国民を避難させるだけの余裕はあるかい」

 

「…限界があります全員は厳しいでしょう。あとまだ諦めないでください代表。この状況切り抜けてみせます」

 

「わかった。一応こちらで竜宮島にコンタクトはとるよ、いいね」

 

「わかりました」(ついに非現実的な希望的観測発言まで飛び出す始末か)

 

「はっ、アスラン准将」

 

「クソー」

 

ついにアカツキがロードランナーの攻撃をくらい左腕を落とされた。ビームライフルも熱波で溶けてしまう

 

「どうすれば…(通信オーブ国防総省から)どうしましたか」

 

「指令官。上空から未確認の飛行物体が接近」

 

「なんだと」

 

すると、強力なレーザー砲がロードランナーを貫く。

 

(まさか、あれは)

 

「メッセージを受信」

 

「…読み挙げてください」

 

「竜宮島部隊これより戦闘に参加する。繰り返すこれより戦闘に参加する」

 

(やはりお前が来てくれたんだな…一騎)

 

ロードランナーとアカツキの間に白銀のファフナーが舞い降りた。



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EP8 蒼穹を駆ける存在

「パイロット聞こえるか」

 

「総士」

 

総士の顔から思わず笑みが溢れる。

 

「何故来た」

 

「島のコアにオーブに危機が迫ってるって言われた。お前の力になってやれって」

 

「遠見やカノンから反対されなかったのか」

 

「沢山反対された。カノンには大泣きされた。でもようやく自分の中のわだかまりが溶けた気がしたんだ」

 

「わだかまり…」

 

「俺の命の使い道。ようやく自分の納得した使い道が出来るそんな気がするんだ」

 

「…約2年のブランク、クロッシングによる僕のサポートが無い戦闘更にアザゼル型の未知数な戦闘力。いくらお前とザインでも厳しい戦いになるだろう。…やれるのか一騎」

 

「やれるさ、俺とお前なら」

 

「そうだな…。機体をオーブのデータベースに登録する…5秒待て」

 

「総士…」

 

「登録完了。行け一騎、僕達の力を見せつけてやれ」

 

「あぁ」

 

蒼き空を閃光の如く駆け抜けるマークザイン。

 

(無数のフェストゥムを一瞬で…これが一騎君の力)

 

(一騎のやつ…凄いじゃないか、俺も…ダメだ機体が動かない)

 

再びロードランナーの前に立つマークザイン。

 

「アスランさん。お久しぶりです」

 

「一騎君。助かった…大丈夫なのか」

 

「ようやくわかった気がしたんです。俺の命の使い道が」

 

「そうか…」

 

「こいつは俺がやります。アスランさんはオーブの防衛に回ってもらえますか」

 

「了解した」

 

傷付いたアカツキを攻撃しようとするロードランナー。そこへマークザインが立ち塞がる。

 

「お前の相手は俺だ。ハァーーー」

 

マークザインの持つルガーランスからレーザー光線が放たれ身体に穴が空くロードランナー

 

「あまり効いてなさそうだな」

 

「ヤツのコアを探し当てるんだ。ヤツの同化を試みろ」

 

「やってみる」

 

一瞬で背後に回るマークザイン。

 

「お前はどこにいる。…そこか」

 

同化現象に耐えながらすぐにルガーランスを突き刺す。

 

「!?」

 

「うおーーーーーーー」

 

ルガーランスから放たれた光弾がロードランナーのコアに直撃する

 

「やはり効いてるな…一騎離れろ」

 

ロードランナーの身体が急に高熱に上昇する。

 

「一騎」

 

「うおぁーーーーー」

 

再びルガーランスから光弾が放たれる。

 

「一騎」

 

大規模な爆発が周囲を包む

 

(恐らくあのアザゼル型は核エネルギーに匹敵する規模の爆発をしようとしていた。一騎の気転でコアを傷つけたことで爆発の規模が治まったが、あのままだとオーブは爆発で無くなっていただろう)

 

「一騎…」

 

「総士。大丈夫だまだ俺はここにいる」

 

煙の中からマークザインが姿を見せる。爆発に巻き込まれた機体は腕や脚を失っていた。

 

「敵は…」

 

「多分逃げられた」

 

「そうか」

 

「一騎君大丈夫か」

 

ボロボロなアカツキが駆けつける。

 

「アスランさん。大丈夫です」

 

「機体が自己再生するのか」

 

「どうですか、オーブは」

 

「住民区域まではいかなかったが、国防軍は壊滅的被害を負ってしまった。」

 

「そうですか…すみません。僕がいながら」

 

「総士君が責任を感じることはないよ。2人のおかげでオーブは護られた、ありがとう。さあ帰還しよう」

 

「一騎。どうだ調子は」

 

「言ったろ大丈夫だ。まだ俺はここにいる」

 

オーブに着陸するマークザイン。港は瓦礫の山、アスランから居住区への被害はないと言われたが目の前に広がる光景が戦いの激しさを物語っていた。

 

MSデッキに案内され機体を格納する。

 

「よく来てくれた」

 

コックピットから降りると総士が真っ先に出迎えた。

 

「総士。遅くなってすまない」

 

「いや、竜宮島に救援要請を出す前に来てくれた。もっと早期に判断して呼べなかった僕のミスだ」

 

「総士。実は…」

 

「なに。本気なのか」

 

「あぁ、島のコアがそう伝えてくれと」

 

「織姫が…」

 

「総士君、一騎君」

 

アスランが労いにやってきた。

 

「改めて、2人ともありがとう。凄いなこの白銀のファフナーは」

 

「マークザイン。僕らの所有するファフナーの中でもトップクラスの性能を誇ります。他の機体と比べてもかなり特殊な機体ですが」

 

「ザルバートル・モデルだったか。救世主の力成る程」

 

「ルナ、しっかりしろルナ」

 

担架に担がれる意識を失ったルナマリア。それに付き添い必死に呼びかけるシン。

 

「彼は戦えますか」

 

「どうだろうな。彼女がシンの心の支えになっている。失った場合に戦えるかはわからない」

 

「どの道。機体の損傷を確認したところインパルスは暫く使用不能ですね。一騎とお二人に任せることに…」

 

「すまないがアカツキも使用不能だ」

 

「何故です」

 

「アカツキには特殊な装甲が使われていて。修復に莫大な費用が掛かるんだ。軍の立て直しや町の復興でこちらに資金が回らないんだ恐らく」

 

「彼の心理状態によっては一騎一人か…」

 

「本当に大丈夫なのかい一騎君、君の身体はもうファフナーに耐えられないんじゃ…」

 

「どの道もう限られた命です。なら俺は島の、護りたい人達のために使いたいんです」

 

「そうか…すまない。俺達の力ではまだフェストゥムに抗えない。君の力が必要だ」

 

「俺の力が役に立つならば喜んで。…これが俺の祝福です」

 

3人が話していると少し離れた場所で人混みが出来ていた。

 

「彼女も大変ですね。僕らと同じ位の年齢で1国家の元首ですか」

 

「あぁ、なんとか支えてあげたいんだけどね」

 

そんな話しをしているとカガリが3人のもとにやって来た

 

「2人ともお疲れ様。そして真壁一騎君ありがとう。君のおかげで今回助かった」

 

「アスハ代表ありがとうございます。暫くこちらでの作戦に加わることになりました。よろしくお願いします」

 

竜宮島が誇る存在の力が目覚めた時。世界の風向きが変わろうとする静かな風がオーブに流れた。

 



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EP9 混迷の世界

一騎がオーブのザラ隊に参加して1ヶ月が経とうとしていた。

 

「アスカさん」

 

「わかってる、テャーー」

 

マークザインとディスティニーのコンビネーションは日に日に向上していた。

 

「よし。この一帯は討伐完了だ。向こうは…」

 

「向こうなら心配ないですよ」

 

「それもそうだな」

 

「いるよ。ここに」

 

マークジーベンの正確無比な射撃がフェストゥムを貫く

 

「うぉーゴーバイン」

 

突っ込んでくるフェストゥムをイージスで抑えつけるマークフュンフ

 

「今だ、暉」

 

マークツェンの長距離射撃がフェストゥムを貫く

 

「これで全部ですね遠見先輩」

 

「向こうもすでに終わったみたい。全機帰投します」

 

「了解です。お疲れ様でした」

 

 

ザラ隊の格納庫に帰投する5機。

 

「皆さんお疲れ様です。はいどうぞ」

 

ルナマリアがパイロット達を労う

 

「調子はどうなんだルナ」

 

「大分調子は戻ってきたわ。CICにも慣れてきたし、ただやっぱり送り出して皆の無事を祈るのみっていうのには慣れれないわ」

 

「皆お疲れ様」

 

少し遅れてアスランが労いにやって来た。

 

「アスラン。報告は終わったのか」

 

「もちろんだ。すぐに作戦会議を開きたい。1時間後に再度集合してくれ」

 

 

「皆お疲れのところすまない。しかし竜宮島からの連絡で悠長なことを言っていられなくなったんだ」

 

「なにかあったんですか」

 

「人類軍と地球連合の同盟軍とアザゼル型が結託して竜宮島を襲撃したそうだ」

 

「なんですって」

 

「島は、無事なんですか」

 

「なんとか退けたとのことだが、余談を許さない状況だということだ」

 

「急いで戻りましょう。遠見先輩、一騎先輩」

 

「落ち着いて暉君、島は皆を信じて任せて私達は与えられた任務に専念するの」

 

「落ち着いていられる訳ないじゃないですか。島が滅ぼされそうだというのに、なんでそんなに冷静でいられるんですか」

 

「暉。いい加減にしろ、心配に決まってるだろう。俺達が離れたらまだ復興途中のオーブがひとたまりもないのはわかるだろう。この任務を放棄して島に戻ったところで。俺達に未来はない」

 

「…」

 

「あのー。その軍団がオーブを襲撃する可能性はあるんですか」

 

「わからないが、どちらを襲撃してもおかしくはないというのが代表と真壁司令の共通の認識だ。その為竜宮島はオーブに向けて移動を始めているということだ」

 

「島がこっちに」

 

安堵の表情を浮かべる暉と広登に複雑な表情を見せる一騎と真矢

 

「総士君がいない中で対フェストゥム戦に慣れない俺が指揮を取っているこの現状でその結託した軍団に襲撃されれば正直厳しい戦いになると思うが。皆よろしく頼む」

 

タイミングを見計らっていたかのように鳴るアラート

 

「アスラン。カガリさんから緊急のメッセージです。例の同盟軍とアザゼル型軍団がオーブ近海に進行とのこと」

 

「早速かよ」

 

「皆すまない。出撃を頼む」

 

「一騎君。大丈夫」

 

「大丈夫だ遠見。ありがとう」

 

「総士先輩は上手くいってるんですかね」

 

「総士なら大丈夫だ。必ず上手くやるさ」

 

 

展開するザラ隊。凄まじい大群が押し寄せている。

 

「基本陣形は飛行能力のある。ディスティニー、マークザイン、マークジーベンで前衛を出来る限り牽制して戦力を分散してくれ。マークフュンフとマークツェンは常にツーマンセルで行動マークフュンフが足止めしているところへマークツェンが遠距離攻撃で支援するように頼む。皆厳しい戦いになるがよろしくな」

 

「了解」

 

ディスティニーが先陣を切り敵のど真ん中に突っ込む

 

「MSや人類軍とやらのファフナーは俺に任せろ。一騎と真矢はアザゼル型を」

 

「アスカさん…。わかりました、やろう遠見」

 

「了解」

 

2機は近くにいたアザゼル型らしきフェストゥムに接近する。

 

「あのフェストゥム…この世界に来る前に竜宮島を襲ったフェストゥムだ」

 

「あいつからやろう」

 

「了解」

 

マークザインのルガーランスから放たれた光線がアザゼル型『ウォーカー』の身体を貫く

 

(あの身体から存在を感じないどうなっているんだ)

 

たて続けにマークジーベンのドラゴントゥースが火を吹く

 

「手応えがない…なんで」

 

「くっなんだこいつ、味方ごと」

 

ディスティニーから漏れる通信。そちらを見ると敵味方みさかえなく雷の攻撃をするアザゼル型『アビエイター』がディスティニーを攻撃していた。

 

(あいつから前にオーブを襲撃して来たアザゼル型の存在を感じる…。あいつに同化されたのか)

 

「遠見。そいつを頼む。俺はアスカさんを助けに行く」

 

「了解。気をつけてね」

 

「わかった」

 

閃光の如く空を駆けるマークザイン。

 

「うぉーーーー」

 

ルガーランスを前に構え周囲の敵を強引に薙ぎ払う。

 

アビエイターに突撃するマークザイン。

 

「一騎。お前」

 

「こいつは俺がやります」

 

「悪い。任せた」

 

アビエイターを雲の上へ突き上げるマークザイン

 

「笑っているのかお前」

 

不敵な笑みを浮かべるアビエイター

 

「俺が相手になってやる。こい」

 

お互いが最大出力の攻撃の準備態勢に入った。

 

「マズイな防ぎきれない」

 

地上の2機は徐々に押し込まれていた。

 

「くっそーキリがない。特にあの人型のフェストゥムが他のと比べて桁違いに強い」

 

ディアブロ型に苦戦する2機

 

「なんだ…暉気をつけろお前を狙ってるぞ」

 

「近接戦闘が出来ないって学習でもしたのか」

 

マークツェンの砲撃を軽々とかわすディアブロ型。鋭利な腕がマークツェンに突き刺さる。

 

「がは、なんだこいつもの凄いスピードでどうか…」

 

「暉。しっかりしろ暉、一騎先輩暉が」

 

「暉君しっかり」

 

「ダメだ。手が離せない」

 

「とおみせんぱい…り・な…」

 

その時、紫の落雷がディアブロ型に落ちワームスフィアが直撃。ディアブロ型が消えた

 

「なに。クロッシング」

 

「ワームスフィア…なんか新手でも…って竜宮島の機体コード」

 

中から紫の鋭利なファフナーが姿を現す。

 

「皆。待たせたな」

 

「機体コードマークニヒト…その声は総士先輩」

 

存在と対になる『無』の力が再び封印を解かれ混迷する世界に現れた。

 



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EP10 存在と無の力

「遅れてすまない。状況はマークフュンフ」

 

「総士先輩あのマークニヒトを乗りこなしてる」

 

「マークフュンフ状況を報告しろ」

 

「あっ、すいません。一騎先輩と遠見先輩とアスカさんが前衛で敵の主力と交戦中です。それよりも暉が…」

 

「マークニヒトにザインのような同化現象を肩代わりする力は無い。すまない」

 

「そんな…このままじゃ暉が」

 

「安心しろすぐに助けがくる。マークフュンフはここを援軍と維持しろ。いいな」

 

「援軍って…」

 

すると新たなワームスフィアが展開される。

 

「なんだ。えっマークエルフ改とマークアハトにマークノイン」

 

「暉しっかりしなさいこのバカ。剣司先輩早く治療を」

 

「よく持ちこたえたマークフュンフ。俺達も加勢する」

 

マークアハトがマークツェンの同化を打ち消した

 

「こちらは任せてもいいか」

 

「あぁここは俺達に任せてあいつらを助けてやってくれ」

 

「了解した」

 

 

 

「なんだ何が起きているんだ」

 

司令部のアスランは目まぐるしい状況に混乱していた。

 

「アスラン」

 

カガリが司令部に押し掛けてくる

 

「カガリどうした」

 

「どうしたじゃない。司令部が機能してないじゃないかなにがどうなってるんだ」

 

「カガリさんこちらに通信です」

 

「こちらはAlvis司令官真壁史彦。現戦闘の作戦指揮官にこの戦闘への我々の介入を許可願いたい」

 

「こちらはカガリ・ユラ・アスハ。真壁司令援軍に感謝します」

 

「共にこの困難を乗り越えましょう」

 

「えぇ。オーブ軍全軍に通達、竜宮島及びAlvisを味方として登録。竜宮島のオーブ近海での停泊を今後永久に許可する」

 

「カガリすまない」

 

「なに気にするな、やっぱりアスランは戦士なんだよきっと」

 

「…」

 

「行政は閣僚に任せてきたこれからはザラ隊は私を最高司令官とする。いいね」

 

「あぁ、もちろんだルナマリアCICの作業を分担しよう」

 

「わかりました」

 

 

「何。竜宮島が来てくれたの」

 

「遠見よく持ちこたえてくれた。一騎は」

 

「新しいアザゼル型を追って空に」

 

「そうか、一騎への援軍は僕が行く。遠見はこのアザゼル型『ウォーカー』を援軍と倒してくれ」

 

「援軍…」

 

「マークジーベン大丈夫なの」

 

「マークドライ…大丈夫だよ、貴女は大丈夫なのファフナーに乗って」

 

「大幅に性能が上がってモデルチェンジまでしてるからね。問題無いわ、やるよ」

 

「了解」

 

「マークツヴォルフは私とマークジーベンに続いて空の敵をやるよ。アマテラスはSDP用意」

 

「はい」

 

「わかりました。今度こそ捉えてやるぞ」

 

(SDP…新しい能力なの。竜宮島は)

 

「島の防衛なら問題無い。」

 

「皆城君」

 

「ツクヨミとマークドライツェン。それに彼がいる」

 

「彼…」(クロッシング…えっ)

 

「マークフィアー…春日井君」

 

「守るよ。僕達の島を」

 

「ありがとう春日井君。これなら」

 

マークジーベンはマークドライ、マークツヴォルフ、アマテラスと共に再びウォーカーに挑んだ。

 

 

「くっ流石にこれだけのMSとファフナーは厳しいな」

 

破竹の勢いで敵を撃ち落としていたディスティニーも疲れを見せ始めた。

 

「レーダーに反応。フェストゥムこんな時に」

 

赤いフェストゥムがディスティニーに迫っていた

 

「ディスティニー。そのフェストゥムは味方だ」

 

「その声は総士か。味方ってえぇ」

 

赤いフェストゥム『エウロス型』は周囲にいたMSと人類軍のファフナーに攻撃を始めた。

 

「どうなっているんだ」

 

「説明は後だ。マークザインは」

 

「一騎なら雲の上だ」

 

「了解した」

 

マークニヒトが周囲の敵を紫の雷で倒しながら空を上がる

 

「フェストゥムと共闘って変な感じだけど。よろしくな」

 

「*£§#∞」

 

雲の上の激戦は一層激しさをまし続いていた。

 

「テャアーーーーー。ハァハァ…ウァー」

一騎の身体を同化現象が蝕み始める。

 

「まだだ、まだ俺はここにいる」

 

気力で同化現象に侵されるのを持ちこたえるがその隙をアビエイターに見抜かれ大ダメージを受ける。

 

「グハァー、なんだ」

 

落下しそうなところを後ろからの支えで間逃れる。

 

「まだやれるか。一騎」

 

「総士。無事に封印を解けたんだな」

 

「初の共同戦線だ行くぞ」

 

「やれるさ。俺とお前ならどんな相手とだって」

 

マークニヒトも参戦し空の戦いは遂に高次元な戦闘へと突入した。

 

「絶対ここを通さないぞ、いいな」

 

「了解。いけー」

 

「うおおーーーゴーバイン」

 

徐々に防衛線を立て直す地上部隊

 

「里奈すげーじゃん。一騎先輩みたいだ」

 

「私達のファフナーバージョンアップしてるからね。この戦いを終えたら早くあんたも改修してもらいな。広登」

 

「二人とも油断するなよ、ようやく風向きが変わったんだ。ちょっとの油断が命取りになるぞ」

 

「はっはい。剣司先輩」

 

「ったく。戦場では機体名で呼び合えっていってるのによ、まぁいいか。マークツェン動けるか」

 

「はい…なんとか」

 

「自力で竜宮島へ帰投出来るか」

 

「まだやれます」

 

「無理するな。かなり同化現象にやられていたんだ。今はゆっくり休んで次の作戦に備えろ」

 

「…了解」

 

 

「…来い」

 

ウォーカーのコアをSDPで引きずりだすアマテラス

 

マークジーベン、マークドライ、マークツヴォルフがコアにありったけの火力をぶつけるがウォーカーが身体で包み隠し破壊までにはいっていない

 

「…上手く当たらない」

 

「私に任せてください」

 

マークツヴォルフがウォーカーの身体に突撃すると

 

「ツヴォルフが同化をしてるの」

 

「行くよ」

 

マークツヴォルフの同化で片腕を無くしたウォーカーがもがき苦しむ、その隙をマークジーベンとマークドライが逃さないが…

 

「逃げられたね…」

 

「また逃げられた」

 

「どうやって逃げたの」

 

「あのフェストゥム、この海域の海に同化してるみたいで危機を感じるとすぐに逃げられるんです」

 

「…。三人は地上部隊と合流して」

 

「あんたは」

 

「マークザインとマークニヒト、ディスティニーを援護してくる」

 

「…気をつけなよ」

 

「了解」

 

 

「くっそーどんだけ湧いてくるんだよMSとファフナー」

 

エウロス型と協力しているディスティニー、徐々にフェストゥムも参戦し入り乱れていた。

 

「あの赤いフェストゥムもフェストゥムを相手にしだして援護出来なくなってるし、マズイ」

 

「シン、今真矢君がそちらに向かっている。もう少し持ちこたえてくれ」

 

「わかってる」

 

長時間の戦闘で反応が悪くなるディスティニー

 

「はぁ、はぁ…次」

 

ここへ来てエネルギー切れを起こす。

 

「そんなこんな時に」

 

撃ち落とされるのを間逃れた人類軍のファフナーがディスティニーに迫る

 

(避けられない)

 

「シンーーー」

 

ルナマリアの悲鳴と共に爆発を起こすディスティニーの戦闘空域

 

「間に合わなかった…いやいる」

 

マークジーベンがその場につくと、ディスティニーに突撃したファフナーの武器が綺麗に撃ち落とされていた。

 

「援軍…どこから」(あのビームライフルはまさか)

 

「ディスティニー…シグナル確認」

 

安堵する司令部

 

「だがどこから…。大気圏外から熱源だと」

 

「高速で大気圏を突入する機影あり」

 

「機影だと…どこの部隊だ」

 

「照合…オーブより提供のあったデーターに該当あり。MSのようです」

 

「MSが単独で地球の大気圏を突破したというのか」

 

「そのMSがディスティニーに接近」

 

高速でディスティニーの前に立つ蒼い翼を持つMS

 

「フリーダム…キラ」

 

自由を掲げる翼が再び地球に舞い降りた。



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EP11 自由降臨

「フリーダム…キラ」

 

自由の名を冠する蒼き翼は、戦場の時を止めた。

 

「こちらフリーダム。キラ・ヤマト。オーブ国防軍最高司令官へこれよりオーブ国防軍准将として一時的に復隊し、この戦闘に介入します」

 

「キラ、私だお前そんな勝手なこと、プラントは」

 

「カガリ、大丈夫だよ。これはプラント最高評議会議長ラクス・クラインからの特命だから」

 

「ラクスが…」

 

「アスラン、今から指定する座標へ急いで」

 

「何」

 

「君の剣を持って来た」

 

「…キラ。わかった、ルナマリアここを頼んだ」

 

(まずは立て直す時間を作らないと)

 

「シン。大丈夫かい」

 

「キラさん…えぇまぁ」

 

「ここは僕に任せて。君は補給を」

 

「わかりました」

 

ディスティニーが一時帰還する。

 

(オーブ軍からの情報提供…ストライクフリーダムガンダム)

 

「そこの紫の機体…えっと」

 

「マークジーベンです」

 

「マークジーベン…手伝ってもらえるかな」

 

「…了解」

 

(ターゲットマルチロック…)

 

「いけー」

 

フリーダムの一斉射撃が次々と敵フェストゥムや人類・地球連合同盟軍の機体を撃墜する。

 

(複数の火器で同時に一斉射撃してるのに、同盟軍の機体はコックピットを外して武装だけを落としてる…凄い)

 

(あれだけ高速で動きながら。ピンポイントに敵に命中させている…いい腕のパイロットだ。…雲の上ではとてつもない戦闘が行われていた…大丈夫なのか)

 

「驚いたな。あのMS初見のフェストゥムに対してダメージを与えている。ディスティニーの火力ですらこちらの技術で改良するまで届かなかったというのに」

 

「ここに来るまでに改良は加えているはずよ」

 

「しかし、どうやってだ、今地球とプラント間は通信が出来ないのだろう」

 

「彼女に私達の力を提供したわ」

 

「彼女…」

 

「彼女は私とクロッシング出来る資質があった。試したら、クロッシング出来た。だから援軍を頼んだわ、そして彼が来た」

 

「…島の情報を見ず知らずの人物に提供したのか」

 

「…フェストゥムに対抗する力を最低限ね。今後のために必要なことよ」

 

「…あの機体、性能は問題ないのか」

 

「あの機体は『運命の力』同様島のファフナーくらいの力はある。そしてあの機体はあのパイロット専用機として100%いやそれ以上の力を発揮出来る。私達の『存在と無』の力と肩を並べられるわ」

 

「ならば問題ないな」

 

「オーブ近海に展開中の人類・地球連合同盟軍の艦隊からミサイル発射を確認。熱源照合…『タイラント』及び核ミサイルと断定」

 

「痺れを切らしてやはり使ってきたか。全軍へ通達、発射されたミサイル最優先。一発も撃ち漏らすな」

 

各機体がミサイルの撃ち落としに専念する。

 

「数が多すぎる」

 

「諦めちゃダメだ。力を持った以上最後まで自分の力に責任を持つんだ」

 

「…了解」

 

ワームスフィアでマークニヒトが戻ってきた。

 

「皆城くん」

 

「すぐに撃ち落とし一騎のもとに戻る」

 

「わかった」

 

(あの機体。凄い機体ポテンシャルだ。きっとこの世界…いや、人類の力を超えている。あれが情報にあった『ザルバートル・モデル』)

 

フリーダムとマークニヒトを中心に撃ち漏らすこと無く全てのミサイルを撃ち落とした。

 

「…一騎」

 

マークニヒトが再び雲の上まで行こうとすると、アビエイターがマークザインと共に空から落ちてきていた。

 

「一騎くん」

 

(まさか…一騎のヤツ)

 

「よせ、一騎。今のお前の身体ではヤツを同化したらお前の身体が持たない」

 

「そんな…ダメ一騎くん止めて」

 

「ダメだこいつを野放しにしたら、こいつだけでも」

 

「よせ一騎…一騎」

 

「ウォーーー」

 

アビエイターとマークザインが緑の結晶に包まれる…割れた結晶の中から出てきたのは

 

ザインだった。

 

「良かった…一騎くん」

 

「遠見。急いでザインを回収しろ、恐らく今の一騎に意識は無い」

 

「そんな…」(ザインとのクロッシングが切れてる。一騎くん)

 

海の底へ落ちるマークザインをマークジーベンが必死に追った。

 

「こちらはマークニヒト。白いMS援軍感謝します」

 

「こちらこそ。オーブを一緒に守ってくれてありがとう。どうやら敵は撤退するようだね」

 

「出せる手は出し尽くしたのでしょう。フェストゥムの親玉らしき敵も、今ザインが同化しました」

 

「彼…大丈夫なの」

 

「必ず帰ってきます。一騎は」

 

「そうか…。そうなるといいね」

 

自由の名を冠する蒼き翼のガンダムの活躍により、オーブとAlvisは再び窮地を脱した。



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EP12 宇宙の現状

「間に合わなかった…クソ」

 

補給を終えたディスティニーだったが発進前に戦いは終わっていた。

 

「俺もだよ、シン」

 

「アスラン」

 

「だが、無事守られたのならそれでいいんだ」

 

「あんたは悔しくないのかよ」

 

「なに、俺が手を出さなくても戦いが止められたのなら、それでいいんだ」

 

不服な表情でその場を去るシン。

 

「まだ、道を見出だせてないの、彼」

 

「キラ。…あぁ焦ってもしょうがないんだけどな」

 

「大丈夫だよ、君が期待してる子なら。きっと答えを見つけられるさ」

 

「そうだな」

 

「こんなところにいたのか、キラ」

 

カガリがご立腹な顔で二人に近づく。

 

「やあ、カガリ。元気そうだね」

 

「お前はまた勝手に…でも、ありがとう」

 

「うん」

 

「あの青年が、あの機体のパイロットかね」

 

「はい、真壁司令。キラ・ヤマト…ストライクフリーダムガンダムのパイロットで元オーブ国防軍准将、今はザフト軍最高指揮官を務めています。カガリ…アスハ代表とは腹違いの姉弟になります」

 

「アスハ代表の…どうりで親密な訳だ」

 

「キラ。こちら真壁史彦司令。現在協力関係にあるAlvisの指導者だ」

 

「ご挨拶遅れました。キラ・ヤマトです」

 

「先程、アスラン君から詳しく聞いた。救援に感謝する」

 

「いえ、オーブは僕にとって大事な場所ですから」

 

「そうか。ところで君が指揮するザフトは最高指揮官無しで大丈夫なのか」

 

「はい。僕より優秀な人達が代わりを務めてくれてますから、僕は救援とお話に来ました」

 

「話しとは」

 

「今のプラントの状況です」

 

主要メンバーがAlvisのブリーフィングルームに集められキラが宇宙の現状を話し始めた。

 

「ではキラ。プラントの現状を教えてくれ」

 

「実は、プラントではあのフェストゥムって存在。確認されてないんだ」

 

「どういうことだ、キラ」

 

「フェストゥムによる襲撃は一度も無いんだ」

 

「何故プラントは襲われなかったんだ」

 

「あの砂時計に生命がいると彼らは考えてないからよ」

 

「皆城…織姫」

 

「この娘が」

 

「皆城織姫。竜宮島のコアだ」

 

「こんな子どもが」

 

「貴方より幼くても、貴方より多くそして世界のより深いところまで知っているわ」

 

「なんだと」

 

「シンよさないか。申し訳ありません」

 

「別に気にしてないわ」

 

「君がラクスの夢の中に出てきたっていう子」

 

「そう。彼女にはクロッシングの素質はあるけどかなり限定的だったから、彼女が寝ているときにクロッシングして色々と伝えていたわ」

 

「ラクスって誰ですか」

 

「ラクス・クライン。プラント最高評議会議長、プラントのトップだ」

 

「その方にクロッシングを」

 

「そうよ」

 

「そして僕が呼ばれたんだ」

 

キラが地球に来た経緯を話し始めた。



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EP13 静かな夜に

それは地球にて一騎がマークザインでアザゼル型『ロードランナー』を倒した頃であった。

 

(最近。オーブと連絡が全然取れないな…マリューさん達オーブ軍月軌道艦隊も連絡取れないみたいだし。何があったんだ)

 

「司令。議長より執務室への召喚指令です」

 

「議長から…わかった。あとを頼むよ」

 

「はっ」

 

キラは急ぎ執務室へ向かう。

 

「ラクス。僕だ入るよ」

 

「キラ。よく来てくれました」

 

「珍しいね。仕事中に君が僕を呼び出すなんて…ってイザークとディアッカ」

 

ラクスの前には白服と緑服のザフト軍の軍人がいた。

 

「俺達も呼ばれたんだよキラ」

 

「でっ。議長我々を直々にお呼びになった訳はなんですか」

 

「…もしかして、また夢の中で会話したの」

 

「夢の中で会話だと」

 

「うん。ラクスは地球と連絡を取れなくなってから、夢で少女が地球の状況を教えてくれるようになったみたいなんだ」

 

「…また、その少女からお話がありましたわ。キラ」

 

「今度はなんだって」

 

「『自由と正義の力が存在と無の力と共に戦う時、世界は次の道を示すだろう』と」

 

「…なにかの暗号か」

 

「さぁ、サッパリだぜ」

 

「確かその少女の声でMSの性能が飛躍的に向上したんだよね」

 

「はい。報告では地球で発見された未確認生命体に対抗する力と聞いておりますわ」

 

「なにか…なにかあるはずだ」

 

「…私は、思いますの『自由と正義』もしかしたら、キラの剣のことではないかと」

 

「フリーダムのこと、ってことはもう1つは」

 

「恐らく…ですのでキラ。貴方の最高指揮官の権限を一時的に職務停止しFAITH(フェイス)として勅命を出します。地球へオーブの支援に向かってください」

 

「ラクス…」

 

(おいおいFAITHって、キラいつの間に)

 

(議長直属のな、議長の権限でしかあいつをFAITHとして動かせんらしい)

 

「ですので、イザークさん。貴方をザフト軍最高指揮官代理に任命し、ディアッカさんをジュール隊の隊長代理に任命しますわ」

 

「自分が、最高指揮官でありますか」

 

「はい。キラがオーブの手助けをしている間だけですが、期待してますわ。イザークさん」

 

「いいのラクス」

 

「アスランやカガリさんはきっと貴方の力を必要としていますわ。二人を助けてまた戻って来てください。私のもとへ」

 

「安心しろキラ・ヤマト。お前の留守中の議長とプラントは俺達が守ってやる」

 

「うん…わかった。じゃあ直ぐに発進準備に入るね」

 

「お願いします。キラ、バルトフェルド隊長には私がお話ししておきます」

 

「ありがとう。ラクス行ってくる」

 

 

「そして僕はエターナルで地球まで送ってもらい、ここまで来ました」

 

「うむ。皆城織姫から彼女のことは少し聞いていたが、本当に『エスペラント』の素質があるのか」

 

「エスペラント…」

 

「あの金色の生命体『フェストゥム』と対話が出来る存在だそうだ。キラ」

 

「あの綺麗な生命体と対話出来るの」

 

静まりかえる一同

 

「すみません。こいつ少し抜けてるところがありまして」

 

「いや、初めて彼らを見たときに同様の感想を述べた者は、我々にもいる。気にやむことはない」

 

「もっとザフトから増援は要請出来ないんですか。キラさん」

 

「それはダメ。彼らがいつ砂時計の存在に気がつくかわからない以上。戦力を割いてはいけない」

 

「そういえば、地球に降下する時に大気圏に金色の物体が浮いてたけど、あれもフェストゥムって存在なのかな」

 

「何。宇宙にフェストゥムが」

 

「その場を動かず。攻撃もして来ないから変わった衛星だなって思ってたんだけど」

 

「一騎も空にフェストゥムの存在がいるような趣旨の発言をしていました。恐らく『アザゼル型』でしょう」

 

「私や美羽達『エスペラント』の力を掻い潜り。この戦いを仕掛けている元凶は恐らくそれよ」

 

「宇宙からの支援を期待出来ぬ以上。ここから空にいるアザゼル型を攻略する方法を考えねばならんな…。今回の会議は終了。パイロット諸君は次に備え今のうちにしっかり休んでくれ。よろしいですねアスハ代表」

 

「あぁ、共に作戦を考えましょう真壁司令」

 

 

 

空が暗闇に包まれ星が輝き出した頃。シンはとある場所に来ていた。

 

…。握り締めた拳から少女のメッセージが流れる。

 

「ここにいたんだ。シン」

 

「キラ…さん」

 

「どうしたんだ。浮かない顔して」

 

「アスラン…。いや別に」

 

「少し竜宮島を見て回ったんだけど凄いね彼ら、僕達よりもずっと困難な時代を生きているのに。その中でも自分の夢を見つけて叶えて精一杯生きてる。」

 

「そうですね」

 

「彼らの生き方って僕達が目指す先にある未來なのかなって思った。人類が絶滅寸前の世界は嫌だけどね」

 

「俺達の目指す未來…」

 

「1人で抱え込むなシン。今お前の周りにはお前と共に歩む人達が沢山いるんだ」

 

「わかってる。わかってるけど」

 

「自分の信じた道を進みなよシン」

 

「えっ」

 

「例えそれが間違った道だとしても、気がついた時に過ちを認めて次に活かすんだ。僕やアスランだって沢山間違いを犯してきた。でも、だから人はその経験から学ぶことが出来るんだ。そうやって人は成長すると僕は思うんだ」

 

「キラさん…」

 

「また間違いを犯すのか心配なら安心しろ。もしお前が間違った道へ進もうとしていたら何度でも止めてやる。俺達が」

 

「アスラン」

 

「一緒に行こうシン。僕達が望む未来へ」

 

「はい」

 

夜空に流れる星々をかつて互いに傷つけあった3人は同じ空の下で眺めるのであった。



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EP14 それぞれの想い

(一騎くん…カノン…)

 

真矢はメディカルルームのとある一室を訪れていた。

 

「ここにいたか遠見」

 

「皆城くん。大丈夫だよね二人は」

 

「…わからない。一騎は無茶をし過ぎた。本来なら同化されていた。身体が残っているのが不思議なくらいだ」

 

「…カノンはなんでここに」

 

「人類軍と地球連合の同盟軍とアザゼル型『ウォーカー』が結託して竜宮島を襲撃して来た時。戦力不足ということで要とカノンが復帰して対抗していた。その際に『SDP』が発現したんだ」

 

「『SDP』って」

 

「『SDP』は、織姫が目覚めた後の竜宮島内のファフナーとパイロットに発現した、フェストゥムが示した「超次元現象」を限定的に再現した力だ。当初、ファフナー搭乗時に発現したことからファフナーの新たなる戦闘能力と考えられていたが、実際にはパイロット自身から生じたものであり、非搭乗時にも能力を発揮することが可能だ。条件さえ満たせば甲洋や操といったヒト型フェストゥムでも発現する。SDP発生者には、肉体がそれぞれ異なる形でヒトならざる者へと変化していき、症状が進行しきれば存在の消滅可能性がある「新同化現象」が代償として発現している。ニーベルングシステムによって残る指先の同化現象と、変性意識に関わる脳の奥底=ダークフロアのR複合体から引き起こされるものであることが判明しており、過去のデータと合わせた検証から症状の抑制までが可能となってはいる。」

 

「えっと…つまり」

 

「代償を伴う僕達の新しい『力』だ。今のところ鏑木が『引力』水鏡が『壁』御門が『跳躍』西尾が『増幅』立上が『同化』という形で確認している。要も『増殖』が発現した」

 

「カノンは」

 

「彼女は、『予知』を発現し竜宮島に襲来したフェストゥムの動きを予測し最悪の事態を回避出来た。更には『エインへリアル・モデル』という新たなタイプのファフナーを設計してくれた」

 

「『エインへリアル・モデル』…」

 

「同化現象をこれまでのファフナーの10分の1にまで抑制させることに成功した。『1秒でも長く戦える』ファフナーだ、このタイプの開発に成功して『SDP』も安定して発動出来るようになった。だがその代償でカノンの存在が消失する可能性があった。」

 

「そんな…」

 

「『SDP』はそういう力だ。僕達の力には常に代償は付きまとう。真壁司令達とエスペラント、そして織姫が話しあった結果。精神的ダメージで意識を失っていたカノンをここに入れ、暫く力を使えなくした」

 

「それって、今よりも更なる困難があるってこと」

 

「織姫はそう考えている。本当に必要となるまで、カノンは眠らせる。それが真壁司令達の結論だ」

 

「そっか…」(貴女の頑張り、無駄にはしないからカノン。ゆっくり休んで)

 

「あっあの…一騎がここに運ばれたって聞いたんだけど」

 

そこへ恐る恐るシンが訪ねてきた。

 

「どうしましたか」

 

「いや…その…」

 

「…僕達の用事は済みましたので失礼します。行くぞ遠見」

 

「えっ…うん」

 

(…。俺お前と初めて会った時のこと、今になってまたスゲー後悔してるよ。俺なんかよりずっと色々なことに覚悟を持って戦ってたんだな)

 

(俺…戦うよ。今度こそ俺の大切な人達とお前の大切な人達どちらも。俺が守ってみせる。お前の分までな、一騎)

 

迷いを振り切ったその瞳にかつての『怒り』は消えていた。

 

 



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