天の道を往き、総てを司る撃槍 (通りすがりの錬金術師)
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天ノ初道:ルナアタック
天の道を往き、総てを司る撃槍


 転生:生まれ変わること。輪廻。

 

 

 私は最初から気づいていた。あ、転生してる、と。なぜそう思ったか?所謂前世の記憶とやらがあるから。

 前世の名前や職業、交友関係などは思い出せないけど、これだけは覚えている。

 

『仮面ライダーカブト』主人公、天道総司。私は彼が大好きだった。天道語録が好きだ。彼に憧れた。絶滅危惧種の俺様系主人公。圧倒的な強さ。様々な要因が重なることでドストライクだった。

 そして転生したに辺り、両親の見ている新聞を覗き見することやテレビを一緒に見ること等で情報を集めた結果、この生まれ変わった世界にはカブトどころか、仮面ライダーが存在しないことがわかった。

 あの人が存在しない。その事実に絶望しかけたが、ここで私は思った。ならば私が彼のようになればいいと。

 

 まずは料理(特に麻婆豆腐)を極めて、武術も習おうか。……その前に女児向けアニメを見せてきたり、やたらとヒラヒラした服を着せてくる両親(と祖母)をなんとかするのが先か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは次の人、お願いするわね」

 

 

 私があの子を知ったのは幼稚園の時。だけど、その時はほとんど話さなかった。どんな子か知れたのは小学校の入学式の日。自己紹介の時間で、みんなその場で立って名前と好きなものとかを言っていたけど、あの子は違った。教卓まで歩いていったのだ。

 

 

「えっと……自分の席で」

 

 

 席に戻らせようとする先生の言葉を無視して、右手を天に突きだす。

 

 

「私は、天の道を往き、総てを司る女。立花 響だ」

 

 

 そうとだけあの子は言い放った。最初は変わった子だなって思っていた。なんか一人でいるのが普通っていう感じがしていた。実際にしばらくはあの子はずっと一人だった。それが変わったのはあの日……。

 

 

 

 

「返して!返してよ!」

 

「やーなこった!」

 

 

 二・三年が経ったある日、私の大切な物を男子にとられた。涙も零れかけてとても困っていた時。

 

 

「やめろ」

 

「あ゛?なんだよ、お前」

 

「やめろと言っている」

 

 

 クラス替えで違うクラスになったはずのあの子が現れて、男子から取り返してくれた。男子は怒ったのか拳を握って暴力に走ろうとしたけど、あの子はそれを簡単にいなした。

 

 

「あの人が言っていた……男がやってはいけない事が二つある。女の子を泣かせる事と食べ物を粗末にする事だ」

 

「てめぇ、何を言って……」

 

「あなたたち!何してるの!」

 

 

 そこに騒ぎを聞き付けた先生が来て、見ていたクラスの子の報告を聞いて男子たちを連れていった。

 

 

「えっと、ありがとう……」

 

「気にするな。当然の事だ」

 

 

 女の子なのに女の子らしくない喋り方をするあの子と仲良くなりたいっと思ったのはこの時なんだろう。自分の教室に戻ろうとするあの子を呼び止める。

 

 

「私は小日向 未来。えっと……」

 

「私は、天の道を往き、総てを司る女、立花 響」

 

 

 入学式の日のように、そしてさっきのように右手を天に突きだしながらあの子……響はそう言った。

 

 

「響。私と、友達になろう?」

 

「……好きにしろ」

 

「じゃあ好きにする。私と響は今日から友達ね」

 

 

 そこから始まった私と響の日常。驚いたのは響が町のおじいちゃん、おばあちゃんたちととても仲が良かったこと。困っていたら助けてるし、休みの日には一緒に掃除してたり、将棋や囲碁をしていた。さらにおじいちゃん、おばあちゃん以外にも困ってる人がいたら助けて周っていたからか、それを見た人や助けられた子にだんだんと好かれていき、中学生になる頃には響の事を『御姉様』と呼ぶ女の子が続出。その中に上級生も入っていたのはちょっと予想外だったけど。

 

 それでも相変わらず響の友達は少ない……というか、周りは尊敬の視線を向けるだけなので私しか友達いないんじゃないだろうか。響がそういうのを全く気にしてないってのもあるんだろうけど。

 

 

「ねぇ、響。ここって?」

 

「この公式を使えばいい」

 

「あ、そっか。ありがと」

 

 

 響は完璧超人と言うべき能力も持っている。学校の勉強は完璧だし、色々と武術を使えるし、料理もプロ並み(響は自分でプロ以上と言ってる)だし、3つ下の妹の世話もやってるし、出来ない事ってないんじゃないってくらい凄い。いや、まあ実際には欠点もあるけど響の名誉の為にここでは言わないでおく。

 

 

 

 

 

 そんな中、一つの大きな事件が起きた。それは大人気ユニット・ツヴァイウイングのライブ中での事だった。

 

 全くと言っていいほど響は年頃の女子が夢中になるような事に興味がない。アイドルや化粧品とかに関してもニュースとかで軽く触れられた程度の事しか知らない。だから少しは話題の種になるように、そして私以外の友達が出来るようにと、このライブに半ば無理矢理連れてきた。私はもちろん、予想以上に響もライブを楽しんでいた。

 だけど、ライブも盛り上がってきた所でノイズが現れた。ノイズというのは、数年前に国連で認定された特異災害。人に触れると炭化させる上、通常は別次元に体を置いてるとかでこちらからは干渉できない性質を持っている。だから必死に逃げた。

 結果的に私たちは生き延びる事が出来た。でも、逃げる最中に起きたある事が原因で響が大怪我を負ってしまった。それに、ライブ事故の生き残りに対する風当たりが強くなっているとニュースで言っていた。何故ならライブ事故での死因の大半がノイズではなく、人為的なものだったから。生き残りは殺人犯だ、とか言われてる始末。

 

 私と響の家にも変な手紙が来たり、物が投げ入れられたりした。だけど、それも割りとすぐに収まった。『響御姉様親衛隊』なる、響に惹かれた女の子の集団が響を迫害しようとする人たちに抵抗を始めたからだ。その親衛隊の内、何人かは『ひびみくこそ至高!守るわよ!』『キマシタワー!』とか言ってて若干引いたけど。でも、響のお父さんは耐えられなかったのか、親衛隊が活動を起こす前に響たちを置いて何処かへ行ってしまった。まあ、響はと言うと、本来何日もかけてやるリハビリをたった1日で終わらせて、周りの迫害すら全く気にしてないようだった。流石にお父さんがいなくなった時は動揺していたけど。

 

 

 

 

 ライブ事故から二年。私たちは高校生になった。学校の名前はリディアン音楽院。あのツヴァイウイングの出身校であり、今もその一人である翼さんが通っている学校だ。高校生活を楽しみにしてる私だけど、まさか予想も出来ない事に巻き込まれるなんて思いもしなかった。

 例えば、そう。

 

 

「変身」

 

『HENSIN』

 

 

 ノイズに襲われてる所に現れた響が、赤いカブトムシを掴んでオレンジと銀の鎧姿に変身するなんて事とか。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

以下、予告?

 

 

「あの人が言っていた。私が望みさえすれば、運命は絶えず私に味方すると」

 

 

 

「ただいま、ひより」

 

「お姉ちゃん、おかえり!」

 

 

 

 

「未熟な果物は酸っぱい。未熟者ほど喧嘩をする」

 

「お前、アタシに喧嘩売ってんのか?」

 

「防人として、剣として鍛えたこの身が未熟だと?ふざけるな!」

 

「お、おい!落ち着け、翼!そっちのも!」

 

「「戦場で何を馬鹿な事を!」」

 

 

 

 

「キャストオフ」

 

『cast off』

 

『change beetle』

 

「お前は……あの時の!?」

 

「ガングニールだとぉ!?」

 

 

 

 

『1・2・3』

 

「ライダー……キック」

 

『Rider Kick』

 

 

 

(※嘘予告)

 

「もうこれ以上響に戦わせない。どうしてもと言うなら、私を倒してからにして!」

 

「未来……」

 

「変身!」

 

『change stag beetle』

 

 

(※嘘予告その2)

 

「……ねぇ、今誰か、私たちを笑った?」

 

「そこのお前、笑ったデスよね。……やるデスよ、調」

 

「……うん、切ちゃん。変身」

 

「変身」

 

 




続かない可能性大。

補足:
奏さんは生きてます。
カブト(マスクドフォーム)の赤の部分がオレンジ(ビッキー'sガングニールカラー)に変更。
タグの通り立花家に次女います。
最後の方の予告は嘘。ただのノリと勢いで書いた、あり得ない未来。


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覚醒の鼓動……?

開始早々にお気に入りが50越えて、評価(それも高評価)が2つ……。励みになります。お礼に(?)更新です。

原作改変要素が色々と出てきた……タグの少しの部分消すべきか?後、今回は天道ビッキーの出番がほぼないです。主人公なのに……。主人公なのに。


「立花さん!」

 

「……なんでしょうか」

 

「前から、何度も、ずっと言っていますが、貴女だけ音程がズレています!もう少し皆と合わせるように!」

 

「……わかりました、努力します」

 

「はぁ……。それでは続きいきますよ」

 

 

 リディアンに進学して二週間。未来と響は相変わらずの日々を送っていた。音楽の授業で先生に指摘されるのも毎回の事。勉強、運動、家事、その他諸々、基本なんでも出来る響だが、歌は違った。楽器の演奏等は問題ないのだが、歌う事になると何故か音程がズレてしまう。それが響の唯一の欠点だ。

 そんな響にはもう一つの顔がある。それが……。

 

 

「立花料理長!Bランチ二つ注文入りました!」

 

「こちらはAランチ三つです!」

 

「わかった」

 

 

 リディアン高等科食堂の料理長である。響は()()()()()()リディアンの食堂に乗り込み、生徒ながら料理長を兼任するというリディアン開校以来初の珍事を引き起こした(対外的には元料理長がトップである)。調理師たちは全員、響の実力にノックダウンし弟子入りを希望。響は断ったが、勝手に見て盗めと言わんばかりに毎日の様に料理の腕を奮っている。

 ちなみに、学校の先生や運営に携わる人たちはこれを一度問題視したが、調理師全員による必死の訴えで仕方なく認められたというのは余談である。

 

 リディアンの生徒たちも学生が料理長って大丈夫なのだろうか、と思ったが今では大盛況。学食の為、値段も良心的で味も美味しい、栄養バランスもとれていて、さらに料理長が(おっぱいのついた)イケメンとあっては年頃の女子高生が騒がない理由がない。なお、この背景には二・三年に数人存在する『響御姉様親衛隊・リディアン支部』なるファンクラブの活躍があったことを追記しておく。……そのメンバーが急激に増えたことも。

 

 そして、食堂の一角。親衛隊により確保され、ある意味専用席と化した場所で未来はリディアンで親しくなった友人、板場弓美・安堂創世・寺島詩織の三人と響の作ったご飯を食べていた。

 

 

「いやー、最初は食堂に行ったら先輩たちにヒナが連れていかれてどうなることかと思ったけど……うん。ヒナの席を確保していたとは……」

 

「未来は先輩を顎で使って、響は料理長……ほんっと、どこのアニメよ」

 

「ですが、この味はナイスですわ!高級料亭で食事してるみたいで……」

 

「そうだね。でも、話もいいけど静かに食べないと響に『食事の時間には天使が降りてくる。そういう神聖な時間だ。静かにしろ』なんて言われちゃうよ?」

 

「……ヒナ。もしかしてビッキーの言葉、全部覚えてるの?」

 

「流石に全部は知らないよ」

 

「覚えてるって部分を否定しないってことは聞いたやつは覚えてるんだ」

 

「響とは長いからね。何度も聞いてるよ」

 

 

 食事をしながら、未来は自身の首にかかっている()()()()()()()()()()()()()を見ながらこの前の事を思い出していた。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「あ!未来お姉ちゃ~ん!」

 

「ひよりちゃん!」

 

 

 この子の名前は立花 ひより。名字で分かると思うけど、響の妹。響と似た容姿をしているけど、クールな響とは違って、かなり活発な印象を持っている。私生活は印象とは真逆に近しいけどね。

 

 

「あれ、ひよりちゃん。服汚れてるよ?」

 

「えへへ、実はさっき人とぶつかっちゃって……」

 

「もう、毎回気をつけてって言ってるのに」

 

「ごめんなさい……」

 

「よし!これで綺麗になった」

 

 

 私と響の通うリディアンとひよりちゃんの通う中学校はそこそこの距離が開いている上、この日は平日。何故、ひよりちゃんがリディアンの近くに、それも私たちが学校終わった直後辺りに来ているかというと。

 

 

「今日が創立記念日で学校休みで良かった~。お陰でお姉ちゃんたちに入学祝い渡せるもん!」

 

「もう、そんな理由で今朝いきなり『今日の放課後そっちに行くね!』なんて電話してきたの?それなら今度の休日でも良かったのに」

 

「ボクもお姉ちゃんたちから貰ってるからお返しだよ。後、早く渡したかったし」

 

 

 まずは未来お姉ちゃんね、とひよりちゃんに渡されたのはペンダント。石柱みたいな部分はひよりちゃんの知り合いがアメリカ旅行に行ったとき偶然拾った物で、譲ってもらったらしい。私にプレゼントにするならこれをペンダントにしようと決めたそう。それにしても綺麗な石……。

 

 

「ありがとう、ひよりちゃん」

 

「後はお姉ちゃんだね!」

 

「響には何を持ってきたの?」

 

「えっとね、海外の調味料!」

 

「えっと、うん。まあ、響だし………」

 

 

 どうしよう。最近料理してる響ばかり見てて、それでいいんじゃないかって思っちゃう。ほんとは女の子らしい服とかアクセサリーとかが……そういえば学校の制服以外で響のスカート姿見たことない!?

 今更な事に少し驚きながら、響にプレゼントを渡す為に道を歩いていく。響本人は今日ひよりちゃんが来ることを知らない。サプライズにしたいから黙っていて欲しいって頼まれたから。

 

 異変が起きたのは響の所に向かう途中。いつもなら多くの人がいるはずの大通り。だけど、今日はそこに人はいなくて、代わりに黒い炭が舞っていた。

 

 

「え、これって……」

 

「もしかしなくても……」

 

 

 私たちはすぐに近くのシェルターに向かって走り出した。すると、案の定ノイズがどこからともなく現れて私たちを追いかけてくる。元陸上部の足を使ってひよりちゃんと一緒に逃げる。ひよりちゃんもやっぱり響の妹と言うべきか、中学生ながら凄い身体能力で私に付いてきている。

 でも、逃げる先にまたノイズ。触れないように道を変えて逃げてると気づいたらシェルターから遠く離れていた。私たちの息もだいぶと切れてきたけど、まだノイズの自壊時間には遠いみたい。

 

 

「未来お姉ちゃん……」

 

「大丈夫。響も言ってたよね。『私が望みさえすれば、運命は必ず私に味方する』って。諦めないよ。私もひよりちゃんも必ず生き残るんだから!」

 

「うん!」

 

 

 だけど、疲れてきたのは確か。周りにノイズが確認出来ない今、たどり着いた工場地帯の給水塔に登り、少し体を隠すと共に息を休める。

 

 

「はぁ、はぁ……」

 

「つ、疲れたよ……」

 

 

 こんなに走ったのはいつぶりだろうか。正直、もう走りたくない……。そう思って顔を上げて、下を見るとノイズに囲まれていた。ひよりちゃんもそれに気づいたようで、そっと私の服を掴んできた。

 

 

「大丈夫……私は絶対に……」

 

 

 二年前のライブ事故。そこで奏さんが()()()()()ケガをした響にかけた言葉。響流に言うなら、奏さんが言っていた……。

 

 

「生きるのを、諦めない!」

 

 

 その時、ひよりちゃんに渡されたペンダントが一瞬光ったのは気のせいだろうか。

 

 

「 Rei shen shou jing rei zizzl 」

 

 

 そして気づいたら、胸の奥から沸き上がる歌を口ずさんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

同時刻、某所

 

 

 

「ノイズの反応パターンとは別に高エネルギー反応を検知!」

 

「照合、開始します!」

 

「これは……まさか、アウフヴァッヘン波形!?対応する聖遺物は……!?」

 

「旦那!了子さん!」

 

「すいません、遅くなりました!」

 

 

 遅れて来た二人が着いた瞬間。モニターに結果が映し出された。

 

 

「これは……」

 

神獣鏡(シェンショウジン)……だとぉ!?」

 

「!?」

 

「それって!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

さらに同時刻

 

 

 響は一人、ノイズにより人通りのなくなった道を走っていた。酷く嫌な予感がしたのと、二年前に出来た胸の傷がうずいたからだ。その道は奇しくも未来たちのいる方向へと一直線だった。

 

 

 そしてその後ろ。上空から響を追いかける一匹の赤いカブトムシがいた。




未来が主人公にしか見えない気が……。


響は◯◯◯◯◯(転生前の名前)の時から歌う事が苦手だった。声は綺麗なのだが、音程がズレているため台無しになっている。ただし、某運命シリーズのドラクル娘ほど酷くはない。せいぜい、なんか変な子がいるな、程度の認識である。かなりの努力により、歌以外はかなりのレベルに達しているが、歌だけは天性の気質なのかどうにもならなかった。

ペンダントの石柱部分
最初に拾った人は立花家の近くに住む、綺麗な石のコレクターの石井さんという、どうでもいい裏設定がある。日本に帰ってきてから人工物だと判明し、放置されていた所をひよりが引き取った。

海外の調味料
立花家の近くに住む、料理研究家の(チャオ)さんにひよりが頼んで買ってきてもらった物。響本人が知らないまま、それを使った料理を振る舞う約束をされている。上と同じくどうでもいい裏設定。


確かに前回、響が変身したという事実は書いた。だが、未来が変身していないといつから錯覚していた?






安心してください。作者も想像してませんでしたw
思いつきで書いたらこうなっていた。しかし、それに付随する設定も同時に思い付いているのでたぶん大丈夫だろう。


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その名は……

浮かんだネタを纏めてて、気がついたら出来上がっていたので投下。


「え、えっと、これって?」

 

 

 胸の奥に浮かんだ歌を口ずさんだ途端、服が変わりピッチリしたボディースーツに、背中から伸びてる二本の紐?それと大きな笏みたいな武器。後は頭に角みたいなのが付いている。

 胸にはひよりちゃんにもらったペンダントが形を変えて付いている。チラリとひよりちゃんを見るけど、そんなの知らないとばかりに首を横にふっている。

 

 

「よくわからないけど、これならいける気がする!」

 

 

 ひよりちゃんを抱えて、ノイズを飛び越えるように他の足場へと駆ける。体も軽い。近づいてくるノイズは避け、逃げる。その最中、私は何を思ったのか手に持っていた笏をノイズに向けてみた。すると、そこからビームが発射され、ノイズを貫いて炭へと変えた。

 

 

「え、私が……倒したの?」

 

「お姉ちゃん凄いよ!」

 

 

 ひよりちゃんを降ろして、ノイズに向き直る。でも、この笏から放たれるビームは小さくて、この数なノイズだと守りきれないかも。そう思っていると、笏が鏡みたいに開いて、そこからさっきより大きなビームが発射された。

 

 

閃光

 

 

 ビームに当たらず近づいてきたノイズは紐が鞭みたいにしなって倒せたし、ノイズに触れても私は炭にならなかった。紐も私の意思である程度動かせるみたい。よし、これならひよりちゃんを守れる!

 

 

「せぇぇぇぇい!!」

 

 

 鏡からビームを放ったまま左右に動かし、広範囲のノイズを撃ち抜く。あらかた倒した所で辺りが急に暗くなる。何かと思って上を向くと凄い大きなノイズがその手を振り上げていた。

 

 

「あわわわ……」

 

 

 咄嗟にひよりちゃんを抱えて飛び退いた。その瞬間にさっきまで私のいた場所に腕が振り下ろされて、直撃していないのに激しい衝撃が襲ってくる。ひよりちゃんはなんとか守りきったけど。体が、痛い。やっぱり私程度じゃ……。

 こちらに向かってくる小型ノイズを睨み付けながら、必死の抵抗をするけど、もう……!

 

 

 その時だった。ブーーンと言う音が聞こえたと思えば、ひよりちゃんと共に急に手を引かれて誰かに助けられた。

 

 

「……響?」

 

「間に合ってよかった」

 

 

 なんで響がここに?ってそれよりもノイズがすぐそこに!だけど、私が注意する前に小さな何かが高速で動き回ってノイズを貫いて炭に変えていく。それはしばらく飛び回ると響の手に収まった。

 

 

「それは……?」

 

 

 手に収まったそれ……赤いカブトムシ?を一瞬だけ見て響はノイズに向き直った。

 

 

「未来、ひより。今から見る事は誰にも言わないように」

 

「え?……うん、わかった。その代わり後で説明してね?」

 

「未来のその姿の事も説明してくれるなら」

 

 

 うーん、それは私も分かってないから難しいんだけど……。

 響はカブトムシを腰のベルトに付けて……って響はいつの間にあんなベルトを?

 

 

「あ……昔、家の倉庫の奥深くで埃被ってたベルトだ……」

 

 

 響のベルトを見てひよりちゃんがそう言った。なんでそんなものを?というか、なんで倉庫にベルト?

 

 

「変身」

 

『HENSIN』

 

 

 響がそう言うと、ベルトのカブトムシを付けた所を中心に響の体を鎧が覆っていく。顔を含む全身を銀とオレンジの重厚な鎧で覆い、右手には斧みたいな武器を持っている。文字通り()()()()響は武器を構えてノイズに攻撃する。危ないと思うも、変身した響も私と同じでノイズに触れても炭化せず、一方的にノイズを倒している。

 私も響の援護を、とビームを放つ。でも、ひよりちゃんもいるから余り派手にはいけない。ノイズがこっちに来たらまずいから。

 

 そして、ここに来てまた大型ノイズが動き出した。さっき吹き飛ばされた時に偶然視界から離れたみたいだったけど、見つかってしまった。すると、それに気づいた響が大型ノイズへと駆け出し、斧を一閃。たったそれだけで大型ノイズは真っ二つに。それを成した響は右手を天に突き出している。その後すぐに残りのノイズを倒しに動いたけど。

 

 

「凄い……」

 

 

 そう呟いた時、今度はプロペラの回る音が聞こえてくる。上を見るとヘリコプターが。なんでノイズのいる所に!?さらにそこから二人飛び降りてきた。

 

 

「 Croitzal ronzell Gungnir zizzl 」

 

「 Imyuteus amenohabakiri tron 」

 

 

 飛び降りてきた二人はさっき私が口にしたのた似た歌を歌うと、一人は槍、もう一人は剣を持って………え、ツヴァイウィング?それにあの姿は……二年前の?ということはこれも?

 

 青い方……確か翼さんはノイズを蹴散らしに、もう一人のオレンジは奏さん。あの時、私と響を守ってくれた人。こっちに歩いてくる。

 

 

「さぁて、無事かい?……ッ!あんた……」

 

「あ、えと……お久しぶりです……」

 

「ああ……」

 

「未来お姉ちゃん、知り合いなの?」

 

「うん、ちょっとね……」

 

「……よし、悪いがしばらくそこで大人しくしててくれ。あたしらにはやることがあるんでね」

 

 

 そう言うと奏さんもノイズを倒しに行った。響と翼さんと奏さんの三人だと沢山いたノイズもすぐに倒し尽くされた。そして今、響が二人に武器を向けられている。

 

 

「特異災害対策課の者です。武装を解除して着いてきていただきたい」

 

「無駄な抵抗せずに従ってくれるとありがたいんだけどな」

 

 

 だけど、響はその要望に応じず、足元の地面を攻撃して目眩ましするとそのままどこかへ行っちゃった。大丈夫なのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 ノイズの後始末に自衛隊の人達が来て、私とひよりちゃんは黒服の人達に囲まれてる。でも、捕まるとかじゃなくてどちらかと言えば周りを警戒している?

 

 

「はい、温かいものどうぞ」

 

「あ、温かいものどうも……」

 

 

 どこかの制服を着た女の人に飲み物を貰った。ちょうどいいくらいに温かくて冷えてきた体に染み渡る。それを飲んでリラックスした所で謎のピッチリスーツ(?)が消えて、元のリディアンの制服姿に戻る。

 

 

「よっ!ちょっといいか?」

 

「あ、かな……天羽さん」

 

「奏でいいよ。あたしも名前で呼んでくれた方が気が楽だからさ」

 

「じゃあ、奏さんって呼ばせてもらいますね」

 

「あたしの事は知ってるみたいだからいいか。あんたらの名前は?」

 

「小日向 未来です」

 

「立花 ひよりです!中学一年生です!」

 

「未来にひよりな。とりあえず、未来はあたしらと一緒にこっちだ。ひよりは友里さんに家まで送ってもらえ、な?」

 

 

 空も暗くなってきて、明日には学校があるからひよりちゃんは言葉に甘えることに。ちなみに友里さんっていうのはさっき飲み物をくれた人だそう。

 

 

「未来お姉ちゃん、ばいばーい!」

 

 

 車に乗ったひよりちゃんが手を振ってきたから私も返す。一応車に乗る前に、今日の事は絶対に秘密だよって言っておいたし大丈夫。

 

 

「さて、そんじゃあ……緒川さん」

 

「はい。失礼しますね」

 

「へ?」

 

 

 ひよりちゃんも帰ったし、てっきり話をするもんだと思ってたらものすごくゴツい手錠をかけられた。

 

 

「申し訳ありません。貴女の身柄を拘束させて頂きます」

 

「な……」

 

 

 

なんでぇぇぇぇ!!!???

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ!特異災害対策機動部二課へ!」

 

 

 ツヴァイウィングの二人に連れてこられたのは何故かリディアン。地下にシェルターが作られているのは知ってたけど、目的地はそこより更に下だった。少し怖くて、収監される人ってこんな気分なのかな……って思っちゃった。不謹慎かな?

 で、案内された部屋に入ると、中の人達が一斉にクラッカーを鳴らした。垂れ幕まで下がっていて、そこには『熱烈歓迎、小日向 未来様』って書いてある。

 

 

「えっと……?」

 

「よし、もういいだろ。緒川さん」

 

「そうですね」

 

 

 状況を理解出来ずに混乱していると手錠が外された。

 

 

「奏さん。私の名前、いつの間に伝えたんですか?」

 

 

 とりあえず疑問の一つを消化すべく、奏さんへと聞く。でも返ってきたのは

 

 

「いんや、あたしはまだ何も伝えてないさ」

 

「え?じゃあ、なぜ……」

 

「それは俺たち二課の情報収集能力ならお手のものってわけだ」

 

「はい。これ、貴女のでしょ?」

 

 

 あ!私のカバン!と、ひよりちゃんが響に渡す予定の調味料。何が情報収集能力ですか!?

 

 

「では、自己紹介といこう。俺は風鳴 弦十郎。一応ここのトップをやらせてもらっている」

 

「そして私が、出来る女と評判の櫻井 了子ですッ♪」

 

「知ってるみたいですけど、小日向 未来です。よろしくお願いします」

 

「さて、君をここに連れてきたのは訳がある。君も、聞きたい事があるだろう?」

 

「あ、はい!あの……さっきのあれや、奏さんと翼さんのって……」

 

「ふふん。それはこの私の分野ね」

 

 

 了子さんがモニターに何かを映し出し、説明を始める。

 

 

「翼ちゃんと奏ちゃん、そして未来ちゃんがさっきまで纏っていたのはシンフォギアって呼ばれる物よ」

 

「シンフォギア……ですか?」

 

「正式名称をFG(フォニックゲイン)式回天特機装束と言って、この私が提唱した櫻井理論を元に作り上げたアンチノイズプロテクターなのよ。その性質はノイズの位相差障壁の調律、及び炭素変換への耐性が主なものね」

 

 うーん?えっと………。

 

 

「そして、これに欠かせないのが核となる聖遺物と呼ばれるもの。奏ちゃんならガングニール、翼ちゃんは天羽々斬と言った所ね」

 

「これが、そのシンフォギアだ」

 

 

 奏さんと翼さんが出したのは、私がひよりちゃんに貰ったのとよく似たものだった。

 

 

「え、それって……」

 

 

 私も服の下からそれを取り出すと、辺りがざわめいた。

 

 

「ちょ、ちょっと未来ちゃん!?それ、どこで手に入れたの!?」

 

「ち、近いです。後少し痛いので離して……」

 

「そこまでだ、了子くん」

 

 

 了子さんに肩をがっしり掴まれて、詰め寄られる。かなりの力が入っていたので、弦十郎さんが止めてくれたお陰で助かった。

 

 

「未来くん。大事なことなんだ、教えてくれ」

 

「あ、はい。これは……」

 

 

 これはひよりちゃんから貰ったこと。聞いていたその来歴も一緒に話す。それとシンフォギアなんてものは今初めて知ったことも。

 

 

「……了子くん。このシンフォギアに覚えは?」

 

「ないわね。私が作ったのはあの3つだけよ」

 

「そうか」

 

 

 それきりしばらく無言になり、私ももう遅いので今日の所は帰されることに。ちなみに私の持ってたシンフォギアは了子さんが一度詳しく調べてみるからと回収された。今は、案内を買って出てくれた奏さんと一緒に外までの道を歩いている。

 

 

「……なあ、未来」

 

「はい、なんですか?」

 

「あのひよりって子さ。もしかして、あの時の子の……」

 

「はい、ひよりちゃんはあの時のライブの子……響の妹ですよ」

 

「そうか。道理で似ていると思ったよ。その、響ってのは元気してるか?」

 

 

 元気ですって答えようとしたけど、一つ良いことを思い付いた。ここがリディアンの地下ならたぶん来れるよね?

 

 

「お昼頃にリディアンの食堂に来たらわかりますよ」

 

「?」

 

 

 奏さんは言ってる意味がわからなかったのか、首を傾げている。その後、学校の外に出ると奏さんとも別れ帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 とある屋敷で一人の女が酒を飲みながら物思いに耽っていた。

 

 

(もう、かなりの昔………当時は色々とあって()としての活動が出来なかったあの時期。そこで作り上げたシンフォギアのプロトタイプ。てっきり処分したと思っていたがまさか、今になって出てくるとは。そしてそれを扱える小日向 未来。些か興味深いが……それよりも)

 

 

 その女は一枚の写真を手にしていた。そこに写っていたのは、銀とオレンジの全身鎧姿の戦士。

 

 

(間違いなく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……色合いが記憶と少し違うが、一体誰が扱っているのだ……)

 

 

 




神獣鏡(プロトタイプ)
Gの神獣鏡とは違い、顔を覆うヘッドギアと足のゴツい装甲がない。超紙耐久。飛行も出来ないしミラービットも存在しない。攻撃手段がアームドギアの笏とそれから出るビーム、後は近接のみ。神獣鏡の特徴でもある魔を祓う光、それすらも機能しない。さらにかなりの性能の低さにも関わらず、他のシンフォギアより高い適合係数を要求される。最低限ノイズから身を守れるだけの事実上最弱のシンフォギア。

なお、未来が歌ってるのは歪鏡・シェンショウジンではなく、陽だまりメモリアの模様。



シンフォギアの世界は現代より少し未来の話って書いてるから時間軸的な問題は大丈夫なはず。……たぶん。


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再会、片翼と天の道を往く女

ここで息抜きに投稿。テストも近いし、ネフシュタン会合以降のネタがないしで、この次はしばらく更新出来ないかも。

まさかのこの小説に6個の評価と120超えのお気に入り……ありがとうございます!

なお、前回登場したオリ妹のひよりちゃんですが、一期での登場予定は(今のところ)ありません。


 今日も昼までの授業が終わって、いつもの三人と一緒に食堂へ行く。ちなみに響は4時間目が終わると直ぐに食堂へと行った。仕事の為だ。

 響が食堂を担当するようになって、食堂は毎日大盛況。お陰でかなり広い食堂でも入りきれない人が出てきてる。親衛隊の人たちが私たちの為に席を確保(どうやってるのかはわからないけど)してくてるお陰で座れるのはありがたいけど、苦情は出てないのかな?

 もうすぐ食堂ってところで、後ろから急に肩を叩かれ声をかけられた。

 

 

「よっ!ちょっといいかい?」

 

「え、か、奏さん!?それに翼さんまで……」

 

「あのツヴァイウィングが私たちの目の前に……」

 

「まさかの出会いですわね……」

 

 

 私の肩を叩いたのは奏さんだった。翼さんもついてきている。

 

 

「ていうか、ヒナ。ツヴァイウィングと知り合いなの!?」

 

「そ、それは……」

 

「ああ、あたしと翼は昼から仕事でさ。その前に食堂で何か食べていこうかってなって。で、来たらこの行列だから何かあったのかって聞きたくて適当に声かけたのさ。翼は何も知らないって言ってるし」

 

 

 どう話したらいいかわからなかった私を奏さんがフォローしてくれた。

 

 

「え、卒業してる奏さんはともかく翼さん、知らないんですか!?」

 

「……ええ。良かったら教えてもらえるかしら?」

 

「それじゃあ、ついてきてくださいよ!いいよね、未来?」

 

「うーん、たぶんいけると思うけど……。ちょっと話してくるね」

 

 

 私は列の横を通って待っているだろう親衛隊の人の下に行く。

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、思っきり列の横を通って行ったけど、あれいいのか?」

 

「本来はダメなんでしょうけど、小日向さんだからって感じの暗黙の了解みたいになってますね」

 

「まあ、ヒナだしね」

 

「てか、私たち、ツヴァイウィングと話してるよ……同じ学校とは言え、生アイドルと話せるなんてアニメ!?ここアニメの世界なの!?」

 

「……彼女、ずいぶん変わっ……個性的ね」

 

「アハハ……そこは素直に変わってるでいいと思いますよ?」

 

 

 

 

「あ、お待ちしておりました!小日向さん!」

 

「あ、長野先輩。どうも」

 

「ところで今日はお一人ですか?」

 

「その事で実は……」

 

 

 

 

 

「お待たせ。全員分の席確保出来たよ」

 

「ん?もしかしてあたしたちのも取ってくれたのか?」

 

「はい、頼んだら直ぐに確保してくれました」

 

 

 こっちです。と二人を案内する。入り口にはさっきの長野先輩が待っていた。私たちを見つけると、さっとこちらに来て

 

 

「席に案内します」

 

 

 それだけ言うと先頭に立ち、歩き始める。私たちはその案内に従って移動する。

 

 

「……彼女、確か同じクラスの長野さんね。ここで一体何を?」

 

「……聞かない方がいいですよ。すごい長話になると思うので」

 

「?」

 

 

 混雑してる食堂。その中に空いてるのに誰も座らない席があった。そこが私たちの席だ。

 

 

「では、私はこれで」

 

「ありがとうございます」

 

「で、そろそろ聞かせてくれよ。食堂がこんなに混雑してる理由を」

 

「まあ、言っちゃなんですけど。大半がビッキー目当てですね」

 

「ビッキー?」

 

「私の親友の響。立花 響の事です」

 

「あそこにいますよ」

 

 

 弓美ちゃんが指差したのは厨房。ここから中は普通に見える構造だから料理している響も見える。カウンターから少し離れた所には食事が出来るのを待ちつつも響を見ている人たちが多数いる。

 

 

「……なあ、あたしの気のせいなら申し訳ないんだが。あの子って、学生だよな?」

 

「なぜ厨房にいるの?」

 

「響がここの料理長やってるからですね」

 

「は?」

 

「へ?」

 

 

 やっぱり驚くとは思っていた。うん、常識的に考えてもありえないよね。

 

 

「いやいや、さすがに冗談だろ?………マジ?」

 

 

 奏さんがそれはないとばかりに聞いてくるが、私たちは無言で貫いた。それで察したのか、奏さんの顔が引き攣った。

 

 

「と、とにかくお昼にしましょう!お二人もお仕事があるんですよね?」

 

「え、ええ、そうしましょう。ほら、奏」

 

「あ、ああ」

 

 

 なんとか、話題をそらして食券を買う。今日は久々に響の麻婆豆腐を食べたくなったからSランチを頼んだ。翼さんは、野菜たっぷり味噌汁、焼き魚、ご飯とバランスの取れたAランチで、奏さんは私と同じSランチ。弓美ちゃんたち三人は日替わり定食を頼んだ。

 

 

「おお!なんだ、これ!?物凄い旨いじゃん!」

 

「奏、はしたないよ」

 

 

 ガツガツ食べる奏さんを翼さんがそっと嗜める。

 

 

「そう言ってもらえると料理人冥利に尽きるな」

 

「あ、響。お疲れ様」

 

 

 そこに、並んでる生徒が減ったので自分のお昼を作って持ってきた響が席についた。ちなみに響も私と同じものを食べるみたい。というか、響は料理長だけどまだ学生でしょ?

 

 

「これ、味も美味しいし、栄養バランスもいい。学生でこんなのを作れるなんて、貴女一体何者なの?」

 

 

 あっ……。この先の響の言葉が予想できた。弓美ちゃんたちも気付いたみたい。少し笑っている。

 

 

「あの人が言っていた……」

 

 

 右手を天に突き出し、いつも通りの響の自己紹介が始まる。いきなりの言葉に奏さんと翼は目を丸くしている。

 

 

「私は天の道を往き総てを司る女、立花 響だ」

 

「お、おう……これまた個性的な。

ところで響はなんでリディアンに来たんだ?この腕なら料理店開いても問題ないどころかたちまち人気店になると思うんだけどよ」

 

「未来に誘われた。それ以外に理由はない」

 

「へー……なるほどね」

 

 

 もう、そんなこと言って……確かにそれは事実だけど、それだけじゃないでしょ。私は知ってるんだよ?響が二年前からツヴァイウィングのファンやってること。そして、たまに聴いてる音楽は全てツヴァイウィングの曲だってことも。

 

 

「ごちそうさまでした」

 

「じゃあ、あたしらはこれで。また食べに来るよ」

 

「ああ、平日ならいつでも……とはいかないが、待っている」

 

 

 ツヴァイウィングのお二人は食べ終わると仕事に行ったので、私たち五人もさっと食べ終え教室に戻る。

 ちなみに片付けは調理師さんたちがしてくれているらしく、昼からの授業に響が遅刻することはない。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

「はいはーい、おっ待たせしました~♪」

 

「うむ。では早速だが了子くん、わかったことを教えてくれ」

 

 

 放課後、私の携帯に弦十郎さんから電話があって(電話番号伝えてないのに)二課の本部にお邪魔していた。そこで昨日回収されたシンフォギアの解析結果を教えてくれるらしい。翼さんと奏さんも短時間の仕事だったみたいで合流している。

 

 

「まずわかったことは、これに使われてる聖遺物が神獣鏡(シェンショウジン)だってこと。まあ、これは昨日の時点でもわかってたことね。で、その性能なんだけど……」

 

 

 ここで了子さんがいい淀む。みんなが疑問に思ってると、

 

 

「ぶっちゃけて言えば、最弱ね」

 

「最弱?それって文字通りってことか?」

 

「ええ。誰が作ったか知らないけど、ほんとに最低限の防御フィールドと攻撃性能しか持ってないわ。さらにこの性能に対して要求される適合係数が私の作ったギアより高いのよ」

 

「……つまり、小日向はそれだけの適合係数を持っていると?」

 

「んー、それが違うのよね。昨日、簡易検査させてもらったけど未来ちゃんの適合係数は奏ちゃんとほぼ同等……まあ、奏ちゃんのほうが少し高いくらいかしら?」

 

「待て、了子くん。それは矛盾していないか?」

 

「ええ、そこが私にも訳がわからなくて……linkerを使って上げてる訳でもないのに……未来ちゃん、もしかしてなんか薬品みたいなの持ってたりしない?」

 

 

 えっと……その話がほとんど理解出来ないんですけど……。

 

 

「それは流石に持ってないです」

 

「そうよね~。今の状況じゃ手詰まりよ」

 

 

 もっとデータが欲しいわ~。なんて了子さんは呟いている。

 

 

「では、未来くん。これは俺たち二課からのお願いだ。君の力を俺たちに貸してもらえないか?」

 

「……え?」

 

「ちょっと待てよ、弦十郎の旦那!あたしは反対だぞ!未来はただの一般人だろうが!」

 

「私も反対です。彼女が戦場に立つには些か厳しいかと」

 

「それは俺もわかっている」

 

「だったらなんで!」

 

「シンフォギアシステムは日本、それも二課だけが持ち得る異端技術だ。それを扱える彼女を放置してみろ。今時、どこから聞き付けたかわからん奴らに襲われ、連れ去られる可能性がないとは言えん。最悪、一生幽閉なんてことも考えられる」

 

 

 嘘……。ほんとにそんなことが……?

 

 

「まあ、あくまで可能性の話だし、俺たちがそうはさせないからな。別に断ってくれても構わない。だが、その場合エージェントによる監視兼護衛は付けさせてもらうが」

 

 

 もし、シンフォギアの力があったら響を守れる……って、ん?そういえば響も昨日戦ってた、よね?それで響に守られていたし。……うん、決めた。

 

 

「やります!手伝わせてください!」

 

「……本当にそれでいいのか」

 

「はい!私は親友を、響を守れるようになりたいです!もう、二年前みたいなのは嫌だから……」

 

「そうか……わかった。俺たち特異災害対策機動部二課は君を歓迎しよう。改めてようこそ!」

 

「はい、じゃあまずシンフォギアをお返しするわね」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「そしてこれだ」

 

 

 弦十郎さんに渡されたのは……端末?

 

 

「それは二課の仲間の証であり、エレベーターシャフトの鍵であり、通信機でもある。それに限度額内ならば買い物だろうが公共交通機関だろうが使い放題の代物だ。無くさないようにな」

 

 

 ええっ!?……コレ、ゼッタイナクサナイデス。

 

 

「……そういえば。なあ旦那、了子さん。昨日の鎧の野郎の事は何かわかったのか?」

 

「それも全くね。シンフォギア以外にノイズと戦える存在なんて初めて見たもの。ただ、なんらかの聖遺物の反応が極僅かに検知されたから、それの力かもしれないわね」

 

「その聖遺物に検討は?」

 

「何かに阻害されているのか、辛うじて聖遺物だって判明した程度よ。鎧で一番に思い浮かぶのはネフシュタンの鎧だけど、まあ違うでしょうね」

 

「ふむ。……三人とも、もし次に出会ったら二課に来てくれないか交渉してくれ。あまり力わざは使いたくないからな」

 

「了解しました」

 

「ああ」

 

「はい!」

 

「よし、では今日はこれで解散とする!何かあれば連絡するのでゆっくりしてくれ!」

 

 

 そう言われたから、私は響の待ってる寮の部屋に戻ることに。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「うーむ………」

 

「どうしたんですか、司令。悩み事ですか?」

 

「ああ、さっきの話に出てきた鎧の人物の事なんだが」

 

「司令には心当たりが?」

 

「鎧ではなくて、あの動きをどこかで見た気がしてな……いったいどこだったか……」

 

「どうせ、弦十郎くんの趣味のアクション映画で見たやつじゃないの?」

 

「うむ……」




長野先輩
響御姉様親衛隊リディアン支部副支部長の肩書きを持つ、翼のクラスメイトのモブキャラ。この先の出演予定はない。

S(spacial)ランチ
響特製麻婆豆腐。ほどよい辛さと旨さが癖になるそう。500円。

Aランチ
和食セット。450円。

日替わり定食
味噌汁付き。この日は親子丼だった模様。400円。


393がシンフォギアを纏える理由?……『愛』ですよ!


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解き放たれた鎧

テストほぼ終わった。残りは電子機器以外なら教科書だろうとなんでも持ち込み可能なやつだけ。勝ったな……。てなわけで投稿。

タイトルから予想した人もいるかもしれない。そう、ついにあれですよ!


 私がシンフォギアを受け取ってから一月。今日は流星群が見られる日。響と見に行くのをとても楽しみにしていた。……だけど。

 

 

「見たかったよ……響と一緒に、流星群を見たかった!」

 

「おい!先走るな!」

 

 

 涙を流しながら現れたノイズにビームを放っていく。一緒に戦っている奏さんの声が聞こえる。でも、ごめんなさい。今だけはノイズに八つ当たりさせてください!怒りのまま、ノイズを殴り、蹴り、紐を鞭のように叩きつけ、ビームで跡形もなく焼き消す。そうしてると、次第に体に鋭い痛みが走ってくる。それは徐々に強くなってきて……。

 

 

『え……未来ちゃんの適合係数、急激に低下!?バイタルに異常がみられます!』

 

『どういうことよ!?』

 

『わかりません!ですが、このままではギアを維持出来ません!バックファイアも相当な物になるかと』

 

『奏!今すぐ未来くんを止めるんだ!』

 

「ッ!わかった!」

 

 

LAST ∞ METEOR

 

 

 奏さんの起こした竜巻で周りのノイズが倒される。そして奏さんに組み伏せられて、同時に私の体に強い痛みが走ってギアが解除された。

 

 

「はぁ、はぁ……」

 

「おい!しっかりしろ!」

 

「ひび、き……」

 

「旦那!了子さん!」

 

『ああ、医療班はすでに待機させている。これから迎えをよこす。しばらく待っていてくれ』

 

 

 なんで、こんなに苦しいんだろう……。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

「……未来?」

 

 

 その頃、響はスマホのカメラ機能で流星群を撮っていた。未来がとても楽しみにしていたが、急用で行けなくなったので少し涙目になっていたのを目にしたからだ。

『男がしてはいけない事は二つある。女の子を泣かせる事と食べ物を粗末にする事』by天道総司のおばあちゃん

響は泣いている女の子(未来)を笑顔にするために動いていたのだ。それは彼女自身が総てを輝かせる太陽であるが故に。

だがその途中、何かの気配を響は感じとった。それは一月前、自分の手に来たカブトゼクター。それは響の周りを数回回ったかと思うと、一直線にどこかへ飛んでいった。まるで、響に着いてこいと行ってるかのように。

 

 幼い頃、家族総出で家の掃除をしているときに倉庫の奥で見つけたカブトの変身ベルト。その時、この世界で『仮面ライダー』という番組や創作物の存在を見つけられなかった響は確信した。いつか必ず、私の手に力は来ると。ワームやネイティブも確認出来てないが、ゼクターが存在する以上どちらかは存在する可能性があると思っている。

 

 響がカブトゼクターにしばらく着いていくと、眼前に見えたのはノイズの群れ。響が手を掲げると前を飛んでいたゼクターは180°方向転換してその手に収まる。それを腰に持っていきながら響は発した。

 

 

「変身」

 

【HENSIN】

 

 

 ゼクターから発せられる電子音声と共に響の体を鎧が包み込んでいく。マスクドライダーシステム一号機『カブト』を纏い、ノイズへと突撃する。響に気づいたノイズは攻撃を仕掛けるも、偶然知り合ったとある()()()()()と毎日のように手合わせをして、腕を磨いている響の敵ではない。

 

 

「へぇ~、流石『()()()』ってところか?」

 

「……誰だ」

 

 

 ノイズを倒し終わると現れた白銀の鎧を纏った少女。何故か彼女はカブトの名前を知っていて、響は警戒度を大きく引き上げた。

 

 

「別に知る必要もないさ。お前はあたしにやられるんだからな!」

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 私、ダメだなぁ。奏さんたちに心配かけて……。こんな調子じゃあ響を守れるようになるなんて夢のまた夢だよ。

 

 

「奏!小日向!」

 

「お、翼。そっちは終わったのか」

 

「ええ。小日向も、大丈夫かしら」

 

「はい……。その、ごめんなさい」

 

 

 私が謝ると二人はお互いの顔を見合わせた。そして気にするなって声をかけてくれた。やっぱり私は……。

 

 

「はい、難しく考えるのは止めろって」

 

「い、いふぁいでふ……」

 

 

 私の両頬をつまんで横に引っ張ってくる奏さん。

 

 

「無理はしない方がいい。じゃないといざというときにギアを使えなくなっちまうからな……」

 

 

 そう言った奏さんの顔は悲しそうだった。linkerという薬で適合係数を引き上げて戦っている奏さんは戦える時間に制限がある。二年前、それで響にケガを負わせたことをまだ引きずっているみたい……。だけどそれは私もそう。

 

 

 

 

 

 二年前、会場にノイズが現れた時に私たちは逃げ遅れた。ノイズに人々が襲われる中聞こえたツヴァイウィングの歌が気になったからだ。その最中、私たちのいた場所が崩れて、下に落ちてしまった。ノイズがこっちに来た所で奏さんが割って入ってノイズを相手どる。それに乗じて駆け出すけど、私が瓦礫に躓いて足を捻ってしまった。その時に響が何かに気づいたのか、私の前に庇うように立った。次の瞬間、響の胸を何かが貫いて血を吹き出しながら響は倒れた。

 

 

「響ぃぃぃ!!!」

 

「おい、死ぬな!目を開けてくれ!生きるのを諦めるな!」

 

 

 そこで奏さんが口にした言葉は今でも私の中に残っている。

 

 

「ゴホッ……」

 

「響……!」

 

「そいつの側にいてやってくれ。あたしはあいつらを倒して……クッ!?体が……」

 

 

 響がわずかに目を開けたのを見た奏さんは何かをしようと歩こうとしたけど、膝をついてしまう。今なら何をしようとしてたのかわかる。了子さんに聞いた決戦機能である絶唱を唱おうとしたのだろう。奏さんが動けなくなってからすぐ、ノイズは消えた。翼さんが倒した?いいえ、翼さんではない。その人の正体はわからない。いや、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 こっちに来ていたノイズがいきなり炭になった。それを始めに次々とノイズが炭になっていく。

 

 

「自壊……したのか」

 

 

 奏さんはそう言ったけど、違う。私の目にはしっかりと――ほんの一瞬だけど――見えていた。()()()()()()()()()()()()()()がノイズを倒しているのを。

 

 

 

 

 

 

 昔を思い出していると、爆発音が近くで聞こえ意識を戻す。そっちを向くと二人の人影が。一人は鞭のついた白銀の鎧を着た女の子。そしてもう一人は膝をついていたオレンジと銀の全身鎧の人――響――だった。

 

 

「お、おい。あれは……この前の!?」

 

「それに、ネフシュタンの鎧!?」

 

「ん?ああ、お前らもいたのか。別にあんたらはお呼びでないんでね。こいつらとでも遊んどきな!」

 

 

 ネフシュタンの鎧というらしい鎧を着た女の子は取り出した銃のような杖を振るとそこから多数のノイズが。

 

 

「ッ!?奏は小日向を守ってて!ネフシュタンは私が!」

 

「な、おい待て!翼!」

 

 

 さっと呼び出されたノイズを斬り刻んだ翼さんはネフシュタンの子に向かって斬りかかる。その子は舌打ちしながら鞭でそれを受け止めた。残ったノイズは奏さんが私を守る為に近づかせないように倒していく。

 でも奏さんが戦える時間はそんなに残されていない。このままじゃ私たちは…………嫌だ。誰も死んでほしくない。じゃあどうしたらいい?そんなの決まってる。守るんだ、私が、絶対に!

 

 

「 Rei shen shou jing rei zizzl 」

 

 

 私の思いに答えてくれたのか、神獣鏡を再び纏う事に成功する。痛みも何もないどころか体が軽く感じる。

 

 

「おい、大丈夫なのか!?」

 

「はい!心配をおかけしました。私も援護します!」

 

 

 奏さんと一緒にノイズを倒しながら翼さんたちの会話を聞く。

 

 

「なんだ、お前。お呼びじゃないって言ってるだろ!」

 

「忘れるものか……」

 

「あ?」

 

「私の不手際で失われた命を!奪われた物を!」

 

 

 激しく声を荒げながら攻め立てる翼さん。

 

 

「あー、もう。翼の馬鹿、頭に血が上ってやがる」

 

「って、それで済ましていいんですか!?相手は人ですよ!?同じ人間なんですよ!?」

 

「「戦場(いくさば)で何を馬鹿な事を!」」

 

「……へぇ?意外とあんたとは気が合いそうだな」

 

「だったら相手してもらえるかしら?」

 

「それはお断りだな!」

 

 

 それが聞こえていたのか、翼さんとあの女の子に怒鳴られた。翼さんの攻撃を避けつつ軽くあしらう鎧の女の子。そこに聞こえる響の声。

 

 

「あの人が言っていた……」

 

「あ?」

 

「未熟な果実ほど酸っぱい。未熟者ほどよく喧嘩すると」

 

 

 響が立ちあがりながらその言葉を発した瞬間、場の空気が凍った。次に口を開いたのは翼さんとあの女の子。

 

 

「ほう……。お前は、私を未熟者と言ったか?この身を剣として、防人として鍛えたこの私を!」

 

「そうかい。そんなに死にたいのか……。ネフシュタンの力を舐めるんじゃねぇぞ!」

 

 

 それに……と女の子は続けて言う。

 

 

「未熟者と言ったあたしにやられてるお前こそ未熟者なんじゃないかい?」

 

「いや、この姿でどこまでやれるか試していただけだ」

 

「何?……まさか!?」

 

 

 響は腰についてるカブトムシの角に触れて少し持ち上げた。すると、鎧に一瞬電気が走って少し浮き上がる。

 

 

「キャストオフ」

 

【CAST OFF】

 

 

 そして一気に角を反対側に持っていった。それと同時に鎧がパージされて、飛び散った鎧でノイズが何体か倒される。

 

 

【CHANGE BEETLE】

 

 

 外れた鎧の中には()()()の別の鎧が隠されていた。顎のところにあった物が持ち上がり角となる。

 その見た目は赤いカブトムシ。少し違うけど、二年前に見た人と似ていたのだった。




※393は純人間です。愛が少し大きいだけの人間です。

銀朱色:黄色の強い赤色。ほとんどの朱肉はこの色らしい。若干ガングニールカラーを混ぜたくて黄色感ある赤色はないか探してたら見つけた。ただし、赤には変わらないので別段黄色いとかではない。黄色の要素が強いってだけ。
ちなみに公式のカブトは深みのあるワインレッド。


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折れる翼、決意の未来

評価人数が10人を越えて……お気に入りも増えてきてるし……感謝です。新しい話投稿の度に20とか30とかお気に入り増えていって……。
これからも頑張りたいと思います!


【CHANGE BEETLE】

 

 

 キャストオフしたことにより身軽になった響は、自分の体の調子を確かめるように手足を動かす。

 

 

「ッ!このやろっ!」

 

 

 ネフシュタンの鎧を纏った少女は『ソロモンの杖』というノイズを召喚し操る杖を使い、大量のノイズを呼び出す。そして、一斉に響に突撃させる。響はそれをこれまでより素早く、的確に、拳や蹴りを用いて倒していく。

 

 一方の翼もノイズを倒しつつ、隙あらば二人めがけて剣を振り衝撃波を飛ばす。だが、がむしゃらに放たれたそれは避けられたり、防がれたりしてダメージを与えるに至らない。

 

 ネフシュタンの少女はすでに翼のことは眼中に無かった。とはいえ、攻撃を避ける為程度には意識しているが。そして少女は目の前の『カブト』について、『飼い主』に言われたことを思いだし、警戒していた。

 

 

 

『いい?『カブト』が鎧をパージしたら手の動きにはよく注意しときなさい。腰を叩こうとしたら迷うことなく、即座に防御の姿勢をとること。いいわね?』

 

 

 

 少女は何故?と疑問を持ちながらも、『飼い主』の言葉に従っていれば間違いはないだろうと信じ、警戒を怠らなかった。そのお陰なのだろう、防御が間に合ったのは。

 

 

「クロックアップ」

 

【CLOCK UP】

 

 

 瞬間、響の姿が消えた。いや、正確には消えたのではない。タキオン粒子の働きにより周りと異なる時間で活動しているだけだ。

 

 

 

 

 クロックアップにより停滞した世界で響は片っ端から、呼び出されたノイズを倒していく。停まっている(ようにみえる)敵などただの的でしかない。

 

 

【ONE】

 

 

 その最中、ネフシュタンの少女に近づいていくと共にカブトゼクター上部のボタンを押していく。

 

 

【TWO】

 

 

 響も翼のことは眼中にないのか、ノイズを倒すと翼を無視してネフシュタンへと一直線。

 

 

【THREE】

 

 

【CLOCK OVER】

 

 

 ネフシュタンの少女の後ろに響が立ち、ゼクターの角を一度戻した時、クロックアップが終了した。

 

 

「な、なにが!?」

 

 

 響の姿とノイズが一瞬のうちに消えたことに翼は困惑するが、警戒していた少女は気づいていた。自分の背後に響の気配を感じるのだ。

 

 

「ライダー……キック」

 

【RIDER KICK】

 

 

 響がゼクターの角を再び操作すると、ゼクターから生成されたエネルギーが角へと収束。そこで増幅され足に。少女が振り向くと同時に響の回し蹴りが突き刺さる。少女はそのまま吹き飛んで、近くの林に突っ込んでいった。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

「す、っげぇ……」

 

 

 私も思っていた事を奏さんが代弁してくれた。響だからどんなことしても驚かない自信はあったけど、それを軽く乗り越えてきた。それに()()()()()私は確信していた。二年前、助けてくれた人と響の使っているものは同じだってことを。

 

 

「……なぁ、未来。あたしの勘違いだといいんだが、あの鎧の奴は、響だよな?」

 

 

 そして唐突にそう言われて、私は固まった。

 

 

「聞き間違えるはずもないさ、『あの人が言っていた……』ってやつ。使ってるの響しかいないだろ?」

 

「そう、ですね……私も響以外が使ってるのは聞いたことないですし」

 

「だよな……」

 

 

 とりあえず翼さんの下へ向かう私と奏さん。あまりに一瞬に起きた出来事に翼さんが呆然としてしまっているからだ。本当は響のところに行きたかったけど……。

 

 

「おい、翼!しっかりしろ!」

 

「……ハッ!奏!?奴とノイズは!?」

 

「落ち着け。ほら、あそこだ。ちなみにネフシュタンの奴は蹴り飛ばされてあの林の中だ」

 

 

 それを聞いて、剣を持って響に向けて駆け出そうとする翼さんを奏さんが羽交い締めにして止める。

 

 

「何するの!離して、奏!」

 

「やめろ、翼!今はあいつ……響よりもネフシュタンだろうが

 

「ぇ……響って……まさか」

 

 

 奏さんが翼さんの耳もとで呟くと、翼さんの手から剣が抜け落ちて、半ば絶望した顔になる。

 

 

『……三人とも、聞こえるか。あの鎧の人物の事だが、先ほど聖遺物の反応がくっきりとした。ガングニール……奏と同じ、ガングニールだ』

 

「……じゃあ、あれもシンフォギアなんですか?」

 

『んー、そうとも言えないわね。とりあえず詳しい話はそっちに着いてからね。今向かっているから』

 

「あ、あぁ……」

 

 

 翼さんの様子がおかしくなって声をかけようとしたその時、ネフシュタンの女の子が飛ばされた方向から倒れたと思われる木が飛んできた。それは私たちのところにつく前に落ちたけど、その後ろから鎧にヒビが入り、ボロボロになったあの子が。

 

 

「あいつ!まだやるのか!?」

 

「アタシはまだ負けてねぇ、負けるわけにはぁぁ!!」

 

 

 私たち――響含む――が構えた瞬間、翼さんがふらふらと、ゆっくりと、あの子の方へと歩いていった。その手には小刀が。

 

 

「翼?おい、翼……体が!?」

 

 

影縫い

 

 

 そして小刀を全員の影に投げ、刺さるとその場から動けなくなる。

 

 

「お前、何を……」

 

「今夜は月が綺麗で良かった……さぁ、今のうちに終わらせましょう?」

 

「やめろ、翼ァァァ!!!」

 

 

 翼さんが30秒ほどの短い歌を口にしたと思うと、あの子の所へ歩いて行って、とてつもない輝きが視界を埋め尽くした……。

 

 

 

 

 光が収まるとそこには翼さんだけが立っていた。あの子はどこかへ消えたみたい。

 

 

「翼!」

 

「……見ててくれたかしら?」

 

 

 奏さんが声をかけるけど、翼さんは何も返さずに響の方を見てそう言った。

 

 

「これが、貴女が未熟と言った、私の……」

 

 

 全身から血を流しながらそこまで言って翼さんは倒れた。そこに駆けつけた一台の車。そこから弦十郎さんと了子さん、緒川さんが降りてくる。

 

 

「お前たち、無事か!!!」

 

「旦那!了子さん!翼が、絶唱を!」

 

「ッ!?救護班、聞こえる!?急いでこっちにきて!」

 

 

 了子さんが急いで連絡を取り、弦十郎さんも翼さんの所へ。響はそこで踵を返して歩いて行く。

 

 

「待ってくれ!」

 

 

 そんな響に弦十郎さんが声をかける。響は一瞬反応するけど、何も言わずに腰の所を叩いて消えた。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「……しっかりと見させて貰った。しばらくは私に任せてゆっくり休むといい」

 

 

 クロックアップした時間流の中で、響はそれだけ呟いた。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

「とりあえず翼ちゃんは一命を取り止めたわ。まだ油断は出来ないけどね」

 

「良かった……」

 

 

 二課本部に戻ってきて、了子さんにそう教えられた。奏さんも安堵の息をついている。

 

 

「さて、それでは今回新たにわかったことについて説明するわよん♪」

 

「お願いします!」

 

「さて、まずは……全身鎧の人の方から言おうかしら。彼女の使っていた鎧から検知された聖遺物の反応は奏ちゃんと同じガングニールだとわかりました」

 

「あたしと同じ……」

 

「ええ、だけどあの鎧はシンフォギアではないわ。だってシンフォギアを作れるのは私だけですから」

 

「待て、了子くん。なんで女性だと決めつけているんだ?根拠は?」

 

「それは後の説明に関係してくるから後回しね」

 

「えっと、じゃああれはなんなんですか?」

 

「んー、推測だけど、()()()()()()()()()と戦う為に作られたものだと思うわ」

 

 

 ()()()()()()()()()?あれ、じゃあなんでノイズと?

 

 

「推論に推論を重ねるんだけど、その鎧に奏ちゃんのガングニールの欠片か何かを融合させたんじゃないかしら?それならノイズに触れても炭化しないためのバリアフィールドがあったり、ノイズを倒せるのも一応説明が付くのよね……」

 

「ガングニールの欠片か……だが、一体どこで……」

 

「それがわかれば苦労しないわよ。私たちが管理していたのにどこから漏れたのか……」

 

 

 ガングニール……欠片……響はそんなの持ってたっけ?

 

 

「あ、そうそう。さっきの推論についてだけど。シンフォギア搭載の機能が発揮してる事から欠片をシンフォギアとしても起動させてる可能性が高いのよ。で、適合者としての可能性が高いのが女性。だから彼女って言ったわけ。……まあ、男性である可能性もゼロじゃないんだけどね?これまでに男性適合者も候補者も見つかっていないから限りなく低いけど」

 

「あれ?でも了子さん、さっきあれはシンフォギアじゃないって……」

 

「鎧はシンフォギアではないのは確かよ。機能としてシンフォギアを起動させてるかも、ってこと」

 

 

……?よくわからないけど、いいか。

 

 

「……もうひとつのネフシュタンの鎧の方も説明したかったが、とりあえず今日はここまでだ。時間も遅いし色々あったので、ゆっくり休んでくれ」

 

「わかった。じゃあ行こうぜ、未来」

 

「え、あ、はい!」

 

 

 奏さんに引っ張られる形で司令室を出ていく……あ、そうだ。

 

 

「あの、奏さん」

 

「ん、なんだ?」

 

 

 廊下を歩きながら、声を小さくして奏さんだけに聞こえるように話す。

 

 

「その、なんで響の事言わなかったんですか?」

 

「……ま、なんていうか。少し負い目があるのさ」

 

「負い目、ですか?」

 

「ああ。たぶん観測されたガングニールは二年前のあれが原因だと思う。体の中に残ってる可能性があるからな」

 

 

 そうだ。響のケガは奏さんのガングニールの欠片が刺さった事による……。

 

 

「関わりを持ってるっちゃ持ってるが、あいつをこれ以上関わらせたくないのさ。だから黙ってた……まあ、知ってるのバレたら怒られるかもしれないけどな?」

 

 

 秘密だぞ?って奏さんに言われたから頷く。私も響にばかり頼っていられないから。もっと強く、シンフォギアをしっかりと扱えるようにならないと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………そういえば。

 

 

「あの、奏さん。翼さんが目覚めたら弦十郎さんたちに響の事、伝わるんじゃ……?」

 

「あ……」




了子の推論
鎧の人物(『カブト』)の鎧は聖遺物とかではなく、『ノイズではない何か』(『ワーム・ネイティブ』)と戦う為の人工物。ノイズと戦えるのは(どうやったか不明だが)ガングニールの欠片と融合しているからだろう。鎧の人物の正体はガングニールの適合者である可能性が高く、欠片をシンフォギアとしても起動させていて、バリアフィールドや調律機能が働いている可能性大。正直認めたくない。




了子さんの推論の為、実際の理由は少し違いますが、間違っているわけでもない。まあ、ここら辺は作者でも少し設定に無理がありそうな気もしてる。


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月が煌めいた、その裏で

裏とか書いてますが、実際は数日後です()


「……なんなのだ、あいつは!」

 

 

 豪華なテーブルの上に置かれたグラスが女の怒りの矛先となり、テーブルより落ちて砕ける。

 

 

「『カブト』は『ネイティブ』と戦う為に造られた物!なぜガングニールと融合などしてノイズと戦えている!私の知らない機能か!?」

 

 

 さらに、並べられた料理ごと皿も落とされ、床に染みが出来る。

 

 

「……こうなったら他のゼクターを見つけて直接調べてみるしかあるまい。()()()()にコンタクトを取ってみるか」

 

 

 それと、と呟きベッドでスヤスヤと眠っている少女を撫でる。

 

 

「……『カブト』の一撃と絶唱を受けた以上、しばらくは休ませないといけないな。ネフシュタンの恩恵で傷は塞がってるとは言え、これじゃまともに戦えはせんだろう。その分の軌道修正も必要か」

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 朝。『天の道を往き、総てを司る女』である響は太陽が昇り始めたくらいに起き、日課の運動を行う。それは休日のこの日も変わらない。

 同室の未来の分の朝食を軽く作る。その食事は簡素なものだが、冷めても美味しいとネットで評判のものばかりである。着替えを入れた鞄を持ち、動きやすいようにジャージに着替えると、未来を起こさないように静かに部屋を出る。

 アップを兼ねた軽いランニングをしながら向かうは、とある立派な日本家屋。そこの表札には『風鳴』と書かれていた。

 

 

 

 

 

 

「ハハハ!!やるな、響くん!だが、今日も俺が勝たせてもらう!」

 

「残念ですが、今日こそは私が貴方を越えてみせる」

 

 

 門をくぐって中に入るとすぐに庭へと行き、縁側に荷物を置くとすでに待ち構えていた一人の男(風鳴 弦十郎)と向かい合う響。二人は特に合図も無しに構えると、同時に拳を放った。

 この二人は割りと似た者同士であり、歳の離れた友人みたいな関係になっているのだ。方や、子供を守り助けたいと言う『OTONA』、方や(天道総司からの受け売りだが)子供は宝物だと認識している『天の道を往き、総てを司る女』。自分を鍛える事も共通していて、二人の手合わせも、響が公園で色々とトレーニングをしていた所に通りがかった弦十郎が興味を持ったのが始まりだ。大男と少女、端から見ると事案に見えなくもない――実際に通報されかけた事もある――が、この二人はトレーニングと手合わせしかしていない。

 

 

「ふっ!」

 

「いい動きだ。だが、甘い!」

 

 

 華麗な足さばきで、一瞬のうちに弦十郎の後ろに回った響はその勢いで全力の回し蹴りを放つが、手だけを後ろに回した弦十郎に掴まれ止められる。自分が動けなくなったのを理解した響は構えを解き降参。この日の手合わせも弦十郎の勝利で終わった。

 次こそは勝つと響はひっそり誓いシャワーを借りてから、公園へと向かった。そこで昼頃まで一人でトレーニングをし、終わると昼食を食べに商店街へと歩いていった。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

「……休みって何すりゃいいんだ?」

 

 

 フィーネにしばらく休みなさいって言われたからフィーネの家で寝てたんだけど、今日はとても大事な来客があるから昼から夕方までは外で過ごせって言われた。ただ、アタシはこういうときに何をすればいいのか全くわからない。

 

 

「とりあえず腹減ったな……なんか食うか」

 

 

 お金もフィーネが好きに使えって渡してくれた。諭吉を5枚。……こんなに必要なのか?

 近くの美味しそうな臭いのする店――お好み焼き屋か――に入る事に。

 

 

「痛ッ!?気を付けろ!」

 

 

 店に向かって歩いてると、後ろから勢いよく走ってきた奴がぶつかって来て、あたしは躓いて転けかけた。つい怒鳴ったけど悪いのはあっちだしいいよな?無視して走って行きやがったし。

 

 

「あら、いらっしゃい」

 

「あ、ああ……」

 

「席は……そうだね。響ちゃん、隣いいかい?」

 

「構わない」

 

「じゃあ、こっちにおいで。ほら、そんなとこで突っ立ってないで」

 

 

 店のおばちゃんに従って言われた席に座る。隣の奴が食べてるものがとても旨そうだな……。

 

 

「さて、注文は何にするんだい?」

 

「あ、えっと……」

 

 

 注文、注文……何が美味しいんだろう。こういう店は初めてで何頼んだらいいんだ?

 

 

「私のオススメはキャベツ大盛の豚玉だ」

 

 

 悩んでたら隣からそう言われたからそれを頼む事にした。すぐにそれは焼き上がり、アタシの前に出てくる。

 

 

「い、いただきます」

 

「はい、どうぞ」

 

 

 箸を握ってお好み焼きを刺して持ち上げ、齧り付く。ん、これは……!旨ぇ!ふわふわとキャベツのしゃきしゃきが上手い具合に……。とにかくガツガツと口にいれていく。

 

 

「ふふふ、中々いい食べっぷりだね。おばちゃん気に入ったよ」

 

 

 そう言われて出てくるもう一枚のお好み焼き。おい、アタシ頼んでないぞ!?

 

 

「心配しなくてもおばちゃんからのサービスだよ」

 

 

………それなら遠慮なくもらうけど。

 で、アタシは2枚を食べてお腹いっぱいに。隣の奴は合計で5枚を食べたらしい。たぶんアタシと同い年か前後だろ?よく食べれるな……。

 

 

「じゃあ、お会計ね」

 

「ああ、金なら……あれ?」

 

 

 ん?おかしいな、店に入る前は確かに5枚の諭吉があったんだが……。確か服のポケットに突っ込んでたはず……。何でないんだ!?まさか、ぶつかってきたあいつか!?嘘だろ!?

 

 

「どうしたんだい?」

 

「ああ……いや、ちょっと待ってくれ……」

 

 

 ええっと、こういうときはどうすれば……。フィーネに連絡?ダメだ、大事な来客があるって言ってたし、連絡先知らないし。てか、絶対怒られる。

 どうしようか慌てていると、さっきまで隣で食べてた奴がいくらかのお金を置いて、アタシの手を掴んで引っ張っていく。

 

 

「ほら、行くぞ」

 

「待て、まだアタシはお金払って……」

 

「今払った」

 

 

 え?

 混乱しながらもアタシはどんどん引っ張られていく。こいつ、力強くないか!?公園まで来たところでやっと手が離された。

 

 

「お前、何を!」

 

「お金、なかったんだろ?」

 

「ち、違え!……盗られたんだよ」

 

 

 なんだ、こいつ。見ず知らずのアタシを助けたり、何がしたいんだ?

 

 

「食事は一期一会。毎回毎回を大事にしろ」

 

「……いきなりどうしたんだ?」

 

「私が世界で一番尊敬している人が言っていた言葉だ。おばちゃんのお好み焼きは美味しかったか?」

 

「あ、ああ……」

 

「本当に美味しいものを食べられる機会はそう多くない。そんな時にお金が無くて御用になるのは、誰だって嫌だろう」

 

 

 それは……って、こいつまさか、それだけでアタシの分のお金払ってくれたのか?

 

 

「あ、ありがとう……」

 

 

 そいつは気にするなと言わんばかりにアタシに背を向けて歩いていった。この借り、いつか返さねぇとな。

……ってかどこかで聞いた声な気がするんだが、どこだったか?

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

「デュランダル……ですか?」

 

「ああ。ここ二課本部の最下層区画『アビス』に保管されている完全聖遺物だ」

 

 

 日本政府からの命令で、近々それを移送する事になりそうだって事を教えられた。最初の話はこの前響と戦っていたネフシュタンの鎧の話だったのに、何でこんな話に……。私が他に完全聖遺物って何があるんですか?って聞いたからか。ちなみに完全聖遺物は使用するのにもフォニックゲイン……歌が必要なシンフォギアと違い、一度起動したらずっと動き続け、誰でも使えるのが特徴みたい。

 

 

「なるほど……。ところで了子さんは?こういう話って了子さんの専門だと思うんですけど……」

 

「永田町さ。朝早くから政府のお偉いさんに二課の防衛システムの安全性などを説明しに回っているんだ。少し時間がかかり過ぎな気はするがな」

 

「大変なんですね……」

 

 

 私も出来る事をやらないと……。だったら、まずは……。

 

 

「あの、奏さん!」

 

「ん?どうした?」

 

「私を……鍛えてください!翼さんや奏さんに並び立てるように、みんなを守れるようになるために!」

 

 

 同じ装者の先輩である奏さんに頭を下げて頼み込む。強くなるにはたぶんこれが一番!

 

 

「あー……あたしは人に教えるってのは苦手なんだが……まあ、やれるだけやってやるよ」

 

「ありがとうございます!」

 

「よし、では奏が仕事でいない間は俺が手伝おう。俺は大人だからな、ケガの心配などせず全力で来るといい。」

 

 

 弦十郎さんまで……。ありがとうございます!

 

 

 

 ところで、なんで奏さんは顔を青くしていて、二課のみなさんは私に向けて合掌しているんですか?すぐにわかる?なんですか、教えてくださいよ!

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

「―――だ」

 

「なるほど、―――」

 

「―――。ならば手配は任せたぞ」

 

「ええ、これも人類の相互理解の為に」

 

 

 数人の男と一人の女の話し合いが終わり、男たちが帰り一人になると、女は着ていた服を脱ぎ捨てる。

 

 

「ふん、忌ま忌ましい奴らだが駒としてはちょうどいいか。『カブト』もいるのだ、奴が倒さなくても私が消せばいい」

 

 

 女――フィーネ――はグラスに注いだワインを飲みながらそう吐き捨てる。

 

 

「ああ、後は()()の用意もしておくか。素体は……適当に見繕えばいいな」

 

 

 そして女は自分の部屋へと戻り、謎の装置を稼働させた。その後、いつもの服装へと着替え館を出ていった。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「はぁ、はぁ……げ、弦十郎さんって、ほんとに、同じ人、間なんで、すか?はぁ、はぁ……」

 

 

 おかしいですよね?どうやって足踏みだけでコンクリート粉砕してるんですか、なんでシンフォギアを纏った奏さんの一撃を指二本で止められるんですか、ビームを発勁で掻き消したってどういう事ですか!?

 

 

「気にしたら、負けだぞ……。旦那の、身体能力は、化け物、レベルだ、からな」

 

 

 しかも私と奏さんは息を切らせて寝転んでるのに、弦十郎さんはほんの少しだけ汗をかいた程度。信じられない。どんなトレーニングをしたらあんなのに……。きっと想像もつかないほど過酷なのだったんだろうな……。

 

 

「俺の鍛練法だと?決まっている。飯食って、映画見て、寝る!男の鍛練はそれで十分よ!」

 

「………え?」

 

 

 聞いたら返ってきた答えは違う意味で想像を越えていた。いやいや、まさか。それだけで出来るはず……。

 

 

「未来、残念だが事実だ。後、あれは旦那にしか出来ない鍛練法だからな。決して真似するなよ」

 

 

 ここって魔境なの?……あ、異端技術扱ってる時点で、機密情報の塊って意味では魔境だった。それとツヴァイウィングのマネージャーをしている緒川さん。あの人は現代に生きる忍者だった。目の前で分身したり、空蝉っていう術を使われたりしたら信じるしかないよ……。まさか、了子さんも謎技術持ってたりしないよね?

 

 

 

 

その頃の了子さん

 

 

「へっくしゅん!……誰か私の噂でもしてるのかしら?」

 

 

その頃の了子さん、終わり

 

 

 

 気づけば夕方。ノイズの反応も特に出なかったから今日はもう寮に戻ることに。割りと遅い時間まで訓練してたんだな……。ってそういえば、今日は朝から響に会ってない!?いつもは学校で会うんだけど、休日だから二課に入り浸ってたから。連絡もしてないし心配してるかな?

 

 

「ただいま~」

 

「お帰り」

 

 

 部屋に入ると、響が晩御飯を作っていた。どうやら今日の晩御飯はハンバーグらしい。もちろん、響が手ごねで作ったもの。それを二人で食べて、今日の事を少し話して就寝。私の事はほとんど話せないから基本響の話を聞き出すくらいなんだけどね。

 

 私たちはお互いに秘密を持っている事を知っている。でも、私は響にそれを話せない。響なら大丈夫だとは思うけど、危害が加えられるかもしれないと思うと怖くて。響はもし、私がシンフォギアの事を話したらあの鎧について話してくれるかな?あの日に話してくれるとは言ったけど………。




色々と詰め込んだ幕間的な話でした。


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覚醒の音色、目覚めるは黄金の剣

この作品が日間7位になってました(8/6の朝時点)
え、4位?(8/6の夕方時点)……ゴシゴシ、見間違えじゃない!?


ありがとうございます。これを励みにこれからも頑張りたいと思います!


「広木防衛大臣が何者かにより殺害された」

 

 

 ある日、緊急の呼び出しを受けて二課に急ぐと、弦十郎さんと()()()()が待っていて、二課の人たちが集まった会議室でそう告げられた。それを聞いた職員さんたちはざわめいている。

 

 

「はい、お静かに。私が受け取っていたので防衛大臣からの機密指令は奇跡的に無事でした。よって我々はなんとしてもこれを遂行させなければなりません」

 

 

 防衛大臣さんが殺害された日、了子さんが会っていたみたいだけど、その帰りに襲撃されたそう。亡くなった防衛大臣さんには悪いけど、了子さんが無事で良かった。

 

 

「敵の狙いはこの指令のデータ、もしくは……」

 

「二課に保管されている完全聖遺物、サクリストDことデュランダルと見ているわ」

 

 

 狙ってくる人と戦うことになるのかな……。例えばこの前のネフシュタンの子とか……。

 

 

「故 広木大臣からの指令はこのデュランダルを永田町にある特別電算室、通称『記憶の遺跡』へと移送すること。シンフォギア装者である奏ちゃんと未来ちゃんは護衛としてデュランダルを運ぶ車に同乗してもらうわ」

 

「はい!」

 

「了解だ」

 

 

 私が護衛……責任は重大だね。

 

 

「それじゃあ詳しい作戦内容を説明していくわ。まずは―――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「ふぅ……」

 

「未来ちゃん、お疲れ様。はい、温かいものどうぞ」

 

「あ、温かいものどうも」

 

 

 会議が終わって休憩スペースに座っていると、オペレーターの友里さんがコーヒーを淹れて持ってきてくれた。飲まずにそのままじっとしていたら心配されたのか声をかけてくれた。

 

 

「……不安なの?でも、大丈夫よ。私たちも精一杯サポートするし、奏ちゃんもいるわ。それに敵が必ず来るってわけじゃないんだし、もう少し肩の力を抜いた方がいいわよ」

 

「……そう、ですね。ありがとうございます」

 

 

 仕事が残ってるから、と友里さんは去っていった。うん、そうだ。私は一人じゃないんだ。何も敵を倒さないといけないってわけじゃない。デュランダルを守りきればいいだけの話なんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 そして数日後の朝。まだ空は暗いこの時間に私たちは集合していた。

 

 

「では、これより作戦行動を開始する!」

 

「『天下の大通り独り占め作戦』、始まりよぉ~」

 

 

 私たちはこれからデュランダルを移送する作戦に移る。防衛大臣さんを殺害した容疑者確保の為の検問で人通りの少なくなった道を車で一気に駆け抜ける、っていう作戦らしい。了子さん、奏さんと一緒にケースに入ったデュランダルを持って車に乗り込んだ。早く終わらせて響のご飯を食べるんだ!

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「緒川。手紙は届けてくれたか」

 

『はい、もちろん』

 

 

 ヘリに乗り込み、未来くんたちが乗ってる車を空から追いかけるヘリの中で俺は、別行動をしている緒川と連絡をとっていた。

 

 

「別任務を任せているのにすまないな」

 

『気にしないでください。断りの手紙を届けるくらい、なんの手間にもなりませんので』

 

 

 緒川に届けてもらった手紙の宛先は毎朝手合わせをしている響くんだ。今回の作戦の指揮を執る以上、朝の手合わせは出来そうにないからな。断りの連絡をさせてもらった。

 だが、それは建前の話だ。皆には黙っていたが、毎朝手合わせしていた俺にはわかった。あの鎧の戦士の正体は響くんだとな。翼が倒れたあの日、実際に相対して感じたあの雰囲気は紛うことなく響くんのものだと。

 それに八紘兄貴が風鳴の屋敷で見つけて、送ってきた資料を見るに、誰からも隠した方がいいだろう。『ネイティブ』と呼ばれる存在に対抗できる装備『マスクドライダーシステム』の使い手に選ばれたであろう響くんの事は。

 その為手紙には追伸として、人前でなるべく正体を明かさないようにと書いておいた。あの立ち回りを見るに要らん心配だとは思うがな。

 

 さて、どうやら敵さんも動き出したようだ。俺も指揮に専念させてもらうとするか!

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 一方、弦十郎からの手紙を受け取った響。内容を読んで、弦十郎には敵わないと思った。確かにずっと隠しきれるとは思っていなかった響だったが、こんなに早くバレるとはと内心驚いていた。だが、それでも響のやることは変わらない。

 

 

「あの人が言っていた……。世界は自分を中心に回っている。そう思った方が楽しいと。故に私は、私の道を往くだけだ」

 

 

 そして響は視界に入ったカブトゼクターを追いかける為、走り出した。これまでの経験から現れるのは自分が呼んだときと、自分を必要としているときのどちらかだと判断したからだ。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

「ハァッ!」

 

「それッ!」

 

 

 工場地帯の近くで私たちの乗ってる車がノイズに襲われた。了子さんの狂暴すぎるドラテクのお陰でなんとか乗り切ったけど、通信越しの弦十郎さんに言われて逃げ込んだ先でノイズに囲まれてしまった。私と奏さんはギアを纏って、了子さんとデュランダルを守りながらノイズを倒していく。

 

 

「いくら数が多くてもノイズ相手なら!」

 

「あたしらの敵じゃねぇ!」

 

 

閃光

 

LAST ∞ METEOR

 

 

「二人とも流石ね」

 

「へへっ!だろ?」

 

 

 了子さんに誉められて奏さんが自慢気に答える。だけどノイズは倒しても倒しても何処からか新しく出てきて尽きる気配がない。それにノイズ以外の敵が出てこないのも気になる。操られたノイズがいるってことはこの前ノイズを操っていたあの女の子もいると思うんだけど……。

 

 

「キャアァッ!?」

 

「了子さん!?」

 

 

 そうしてると、辺りの工場がいきなり大爆発して、同時に了子さんの悲鳴が聞こえてこっちまで転がってきた。一体何が!?

 

 

『これは貰っていく……』

 

「ッ!させるか!!」

 

 

 そこに立っていたのは三体の蜘蛛のような怪人。そのうちの白と黒の体色をした怪人の手にはデュランダルを入れたケースが。

 奏さんが取り返そうと周りのノイズを吹き飛ばしてから突っ込んでいく。でも他二体、青と赤の体色をしたのと黒と黄の体色をした怪人が糸を飛ばして奏さんの動きを止めた後、二体の息のあった同時攻撃で奏さんを吹き飛ばした。

 

 

『二人とも聞こえるか!何が起きている!』

 

「弦十郎さん!蜘蛛みたいな怪人が、デュランダルを!」

 

『なんだとぉ!?』

 

 

 弦十郎さんの驚きの声を聞きながら考える。ノイズから了子さんを守りながら、奏さんと二人で三体の怪人からデュランダルを取り返さないといけない。それはさすがに厳しいから、まずはノイズを先に倒して了子さんの安全を確保しないと!お願い、力を貸して!シェンショウジン!

 

 その意思に反応してくれたのか、シェンショウジンから発せられるビームの威力がぐんっと上がった。さらに小さな鏡みたいな、ビームを放てる子機のようなものも二つ出せるようになった。それのお陰でノイズを倒すスピードが上がって、なんとか倒しきれた。途中から何故かノイズのおかわりが来なくなったのも理由の一つだと思うけど。

 

 

「了子さんはここを離れてください」

 

「そうね、そうさせてもらうわ」

 

 

 了子さんを少し離れた所まで連れて行ってから、急いで奏さんの所に戻る。無事でいて、と願う私だったけど……。

 

 

「く……そ……」

 

「奏さん!」

 

 

 目に飛び込んで来たのは、二体の蜘蛛にやられてボロボロになって膝をついていた奏さんだった。槍を支えになんとか立っている。

 

 

「離れて!」

 

 

 奏さんを助け出さないと。そう思ってビームを撃つけど、二体は一瞬でその場から消えて避けられた。この現象に見覚えのあった私は周囲を見渡す。

 なんとなくだけど、移動の軌道が見える。たまに姿も。たぶんだけど、これは響のと同じ?でも、見えてても私には何も出来ない。目は追い付いても体が速さに追い付かないから。せめてもの抵抗に新しく使えるようになった鏡の子機(ミラービット)を私の上に浮かせておく。私が攻撃されたらビームを放つようにした。攻撃をなんとか耐えれたらこれで反撃を!

 この時の私は忘れていた。私のシェンショウジンは最弱のギアだと言うことを。それはつまり防御も奏さんに比べて薄いということで。

 二体の蜘蛛は私の後ろと左から同時に来た。その攻撃が私の体に突き刺さり、激しい痛みと共に変な音が体から鳴った。

 

 

「あ、あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!????」

 

 

 とても耐えられない激しい痛みに倒れ、絶叫しながら地面を転がる。ミラービットに出していた命令も不発に終わってしまった。

 二体の蜘蛛は私を獲物に定めたみたいで、痛みでまともに体を動かせない私の方に歩みを進めてくる。奏さんはなんとかしようとするけど、奏さんも体が動かせないみたい。私、ここで死んじゃうんだ。………嫌だよ、助けて。ひびきぃぃぃぃ!!!

 

 

『グギャッ!?』

 

 

 次の瞬間、二体が何かに襲われたのか吹き飛んでいった。そして私の前に立つ赤い人影。

 

 

「あの人が言っていた。絆とは決して断ち切る事の出来ない繋がり。例え離れていても心と心が繋がっている。友人が私に助けを求めた、ならば私はそれに答えるだけだ」

 

 

ほんとに来てくれたんだ、響。安心したのか、私の意識はそこで途切れた。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「クロックアップ」

 

【CLOCK UP】

 

 

 蜘蛛の怪人――アラクネアワーム(ネイティブ)――たち。彼らにも目的はある。デュランダルと呼ばれる物を()()()()へと持っていく事。彼らを支援してくれている協力者は、それさえ果たせば何をしてもいいと言っていた。その最中に見つけた、擬態先として良さげな人たち。目的の物は確保したので好きにさせてもらおうとした時に現れた()()には彼らも驚きを隠せなかった。

 彼らは即座にその場からの撤退を決める。クロックアップを用いるも『カブト』も同じくクロックアップで追ってくる。そこで、デュランダルの入った()()()()()()()()()()()()()()()ケースを持った白と黒の蜘蛛(ニグリティア)を確実に逃がす為に青と赤の蜘蛛(ルボア)黒と黄の蜘蛛(フラバス)は『カブト』の足止めを企む。

 この二体の連携は奏と未来がやられたことからかなりの脅威である。それはこちらがクロックアップを使えても変わらない。同種故の息のあったコンビネーション。それは確かに『カブト』を追い詰めるかのようにも見えた。だが、彼らでは『カブト』には勝てない、勝つことが出来ない。それは何故か。その答えはただ一つ。『カブト』……響の怒りに触れたからだ。

 

 ルボアの放った糸はカブトクナイガンに引き裂かれ、そのまま近づいてきた『カブト』の【アバランチブレイク】を受けルボアは爆散。仲間をやられたフラバスは敵をとろうと背後から突撃してくる。

 

 

【ONE・TWO・THREE】

 

「ライダー……キック」

 

【RIDER KICK】

 

 

 だが、振り向き様に放たれた回し蹴り(ライダーキック)を受け、フラバスも次いで爆散した。

 

 

【CLOCK OVER】

 

 

 ここでクロックアップが終わり、響は通常の時間に戻ってくる。どうやら一体には逃げられたようだ。

 未来たちの方を見ると、二課の黒服たちが来てネイティブにやられた二人を運んでいった。それを見た響は再びクロックアップして帰っていった。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

「フフフ……デュランダルの覚醒。本来はソロモンの杖と同じようにクリスにやらせるつもりだったが……」

 

 

 フィーネの前に置かれた装置の中。そこには完全状態へと復元され、起動したデュランダルが安置されていた。当然、二課のシステムに反応を探知されないように細工はしてある。

 

 

「あの二人の歌で起動するとはな……。いや、消耗品である天羽 奏にはあまり期待出来んから、小日向 未来の歌の力か?面白い」

 

 

 さて、とフィーネは立ち上り、同居しているクリスにも告げていない秘密の部屋へと入っていく。その部屋の机に置かれていたのは()()()()()()()()()()()の二つ。

 

 

「あいつらも予想以上に仕事が早かった。では、このシステムの解析をさせてもらおうか」




 アラクネアワーム(ネイティブ)
カブト本編に出てきたアラクネアワームと同等。ジオウのカブト編でワームの幼体からネイティブにしかいなかったグラリスワームが羽化したことから、成虫態はワームもネイティブも同じではないのか説を適用しました。

 この作品におけるネイティブ
その存在は先史文明期より確認されていたと言われている。話の通じる一部ネイティブ曰く、彼らは現在二分化しているという。人類との共存を願う穏健派と人類を支配すべく動く過激派に。最初の目的は両派閥とも人類との共存だったが、性に合わないと感じたネイティブが離反。過激派を作り上げた。
増え続ける過激派に、人類が危険だと判断した穏健派は、協力関係にある人類の技術者に自分たちの技術を提供。マスクドライダーシステムを作り上げた。

 マスクドライダーシステム
ネイティブの技術提供を受け完成した、対ネイティブ用装備。………なのだが、この世界に蔓延る脅威は過激派ネイティブのみならずノイズも存在する。それに対抗するシステムも組み込んだ為、処理能力の関係上カブト本編の物よりは攻撃性能が落ちている。(原子崩壊系機能がオミットされている)
対ノイズ機能は、ゼクターに聖遺物を融合させる事で、聖遺物由来のエネルギーによる炭化を防ぐバリアフィールドを鎧に展開、さらに位相差障壁をクロックアップに用いられるタキオン粒子のエネルギーで無理矢理粉砕する、というもの。
しかし、作成時にはその聖遺物を誰も所持しておらず、結果この機能が資料に記載されることはなかった。
ゼクターの資格者も見つからなかった為、ゼクターは地球の何処かに起動しないまま眠っているのが大半である。


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嵐の前の……

日常(?)が苦手な作者ですが……頑張りました。
上手くかけた自信が……ない。


「皆、久しぶり」

 

「あ、未来!久しぶりだね。大丈夫なの、それ」

 

 

 デュランダル移送作戦の数日後。私は頬っぺたにガーゼ、左手にギプスという如何にも怪我人ですって姿で登校していた。いや、実際に怪我人なんだけどね。

 あの後、目が覚めたら病院だった。気を失ってる間に行われた検査の結果、ギリギリ骨は折れてはなかったけど左手を中心にヒビが複数箇所入っていたみたいで、数日入院していた。嫌な音がしていたのを覚えていたから折れたんじゃないかって思ってたけど、良かった。早いこと復学出来たし、響も毎日病院に来てくれたし。

 

 

「うん。運動はダメだけど、日常生活を送るだけなら問題ないってお医者さんが」

 

「そうなんだ……よかった。ヒナが事故にあったって聞いて心配だったんだ」

 

「でしたら今日の放課後に皆さんでふらわーに行きませんか?小日向さんの快復を祝って」

 

「お、いいね!なら響のやつも呼んじゃおう!」

 

「ビッキーもヒナが入院してる間、ヒナの分のノートも取ってたしね」

 

「みたいだね。響が毎日持ってきて教えてくれたし、たぶん勉強はついていけると思うけど……」

 

「え?」

 

「え?」

 

 

 あれ?私何か変な事言った?普通だよね、お見舞いに来るのって。後、響に勉強教えてもらうのも。

 

 

「私たちが行ったら、面会出来ませんって言われたんだけど……」

 

「え……」

 

 

 ちょっと響ぃぃぃぃ!?

 親友が病院に不法侵入してたかもしれない事を知って唖然とする私。え、これってもしかして黙ってた方がいい感じ?とりあえず弓美ちゃんたちには黙っててもらうように目線で伝える。三人は頷いてくれたから大丈夫なはず。

 ちょうどその時、教室に響が入ってきた。聞こうとしたけど、もうすぐチャイムが鳴る時間だったから後回しにすることに。だけどこの日、響から話を聞く事が出来なかった。昼休みはいつもの通り響は食堂で、私は休んでた間の課題を出しに職員室に行っていたし、放課後は私が病院での検査ですぐに学校を出ることになっていたから。それに、響もどこかピリピリしていた……って言うのかな。なんかそんな雰囲気だった。何かあったのかな?

 

 

 

 

 

 

「あ、翼さん!」

 

「ん?あぁ、小日向か」

 

 

 病院での検査が終わって、廊下を歩いていると松葉杖を持ってリハビリをしている翼さんに出会った。

 あの流星群の日、絶唱を唄って倒れた翼さんだけど、私が入院している間に目覚めたそう。それを、お見舞いに来た奏さんから聞いて一緒に翼さんの部屋に行くと驚いた。何せ、部屋の中には服から本や空の弁当箱にペットボトル、果てには下着まで様々な物が散らかっていたから……。私は慌てて何を言ったか覚えてないけど、奏さんはため息を吐いていた。そこで聞いたのは、翼さんが片付けを始めとした家事全般が出来ないこと。まさか、響みたいになんでも出来そうな翼さんが……って思った。

 近くの休憩スペースで座って話をすることに。

 

 

「怪我はもう大丈夫なのか?」

 

「はい、日常生活を送る分には大丈夫だと。それよりも翼さんの方が大怪我だったんですから、休んでいないと」

 

「……小日向は優しいのだな。その気持ちはありがたいがそれは出来ない」

 

 

 え?

 微笑みながらそういった翼さんに困惑する私。

 

 

「私は防人なのだ。幼い頃からそうなるべく育てられてきた私は、戦いの中でしか生きる道を知らぬのだ」

 

「そんな……」

 

「だが、最近は他にもやりたいことが出来たんだ」

 

 

 やりたいことと聞いて思い浮かんだがあった。奏さんがこの前言っていた。ツヴァイウィングに海外進出の提案が来ていると。

 

 

「歌……ですか?」

 

「奏から聞いていたのか?ああ、その通りだ。休んでいる間、ずっと考えていたんだ。そして気付いた、私は歌が好きなんだって事に。だけど、今はこういう状況だろう?だから決めかねているんだ……」

 

「翼さん……」

 

「笑ってくれて構わない。私はこんな状態になるまで自分の気持ちにも気づけなかった、そういう不器用な女なんだ」

 

「そんなことありません!」

 

 

 気づいたら私は立ち上がって声をあげていた。ここが病院だと思い出してすぐに声を小さくして座ったけど。

 

 

「小日向?」

 

「その、確かに翼さんは片付けが出来なかったり」

 

「うっ……」

 

「言葉使いがたまに変だったりしますけど」

 

「へ、変?変なのか、私の言葉は……。なんのつもりの当て擦り……!」

 

 

 そういうのですよ……。あと、戦場(せんじょう)戦場(いくさば)って読んだり……。

 

 

「歌ってる時の翼さんはとても格好良くて、歌が大好きなんだなって感じました。戦いでもとても頼りになりますし、決して笑うなんて出来ません!」

 

 

 言い切った私に翼さんは唖然とするけど、少ししたらクスッと笑った。

 

 

「……フフッ。そうか」

 

「はい。だから翼さんも自分の好きにしたらいいと思います。それに私や奏さんもいるんです、一人で悩まずに皆で考えればいいんですよ」

 

「ああ、ありがとう。小日向」

 

 

 そして翼さんと別れて、私は弓美ちゃんたちが待っているふらわーに向かう。ちょっと話し込んじゃって時間押しちゃったかも。急がないと!

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「フィーネ。やってやるよ、アタシがあの『カブト』を倒す!」

 

「やれるのね?」

 

「ああ!あの力もあってはならないんだ、あんなのがあるから世界は!」

 

「そうね、その通りよ。頑張りなさい、クリス」

 

「行ってくる!」

 

 

 フィーネの館。そこでクリスがフィーネに啖呵をきっていた。走り去るクリスを見送ったフィーネは呟く。

 

 

「……そろそろ、あの子も潮時かしら。準備ももう終わる。ゼクターの解析も終わり()()も完成間近。クリスにカブトは倒せないと思うけど、万が一もある。一応期待しておこうかしら?」

 

 

 そして、館を飛び出たクリスを追いかける一つの影があった。誰の目にも止まらぬスピードで動いていたので、その存在にはフィーネすら気づけなかった。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

『いいか、響くん。これも俺の独り言だ。よって誰が聞いていても関係ないからな。この前、未来くんたちを襲ったのは『ネイティブ』と呼ばれる存在だ。彼らは―――』

 

 

 この日、朝の日課の手合わせ終わりに弦十郎が言っていた事が響の頭から離れなかった。この世界に存在する『ネイティブ』。響はこの前戦ったのは『ワーム』だと思っていたが、違ったようだ。

 響の手にした『カブト』。それはこのネイティブ――それも過激派――に対抗するために造られた物だと。響の『知識』とこの世界では、ゼクターが造られた理由が違う事から、この世界にはワームがいないのかも知れない。

 それにあの逃げ出したネイティブが持っていった荷物。あれは一体なんなのか、それも気になっているところだ。響が考えうる選択肢の中で、一番可能性の高い物は『ハイパーゼクター』。次点でカブトゼクター以外のゼクター。……まあ、実際はデュランダルという完全聖遺物なのでこの考えは間違いであるのだが。

 響が完全に理解しているのは、あの荷物は()()が必要としている事だけ。それ以外はほとんどわからない。だが、響には関係ない。なぜなら彼女は『天の道を往き、総てを司る女』。そして、尊敬している彼ならどうするだろうかを考えた。

 

 

「あの人が言っていた……。私は世界の中心。ならば世界は私が救ってやる。例え、奴らが何を企んでいようとも」

 

 

 ネイティブも絡んでいる以上、恐らく敵の狙いはろくな事ではないだろう。そうであれば、未来や妹のひよりや周囲の人に何かあるかも知れない。そう考えた響は決意を口にする。

 そして響は携帯を取り出し、そこに来ていたメールを見て商店街の方へと歩みを進めた。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「焼き上がったよ。さぁ、たんとお食べ!」

 

「ありがとうございます!」

 

「じゃあ……未来の退院を祝って、乾杯!」

 

 

 ふらわーに着くと、そこには弓美ちゃんたち三人と響が待っていた。響にはこの話してなかったと思って、聞くと三人にメールで誘われたらしい。それを聞いて私は少し嬉しかった。あの響が、親衛隊に遠巻きに見守られて、家族と私以外だとおじいちゃんおばあちゃんと子供たちくらいしかまともに話さない響がこうして仲良く……。そう思うと涙が出てきた。

 

 

「え、ちょ、未来!?どこか痛むの?」

 

「ううん、ちょっと嬉しくて……」

 

「今日はあんたたちの貸し切りだからね。ゆっくり周りを気にしないで食べるんだよ」

 

 

 え、貸し切り!?おばちゃんに言われた事に驚いてお好み焼きを落としそうになった。反省。

 

 

「私がおばちゃんにお願いしましたの。小日向さんの退院祝いをしたいから場所を貸してくれませんかって」

 

 

 詩織ちゃん……。ありがとう。

 

 

「さあ!寮の門限近くまでいっぱい食べるよー!!」

 

「板場さん、太りますわよ?」

 

「今日くらいいいじゃん!お祝いなんだし!」

 

「……そうだね。だから詩織ちゃんも創世ちゃんも、もちろん響も!食べよう!」

 

「ヒナ!?……ま、本人がいいならいいか」

 

「ですわね」

 

 

 あれ、響は?

 一言も発してないから気になって顔をあげると、いつの間にかおばちゃんの横に立って一緒になってお好み焼きを焼いていた。やっぱり響と言うべきか、おばちゃんにも引けを取らない腕前だ。

 

 

「はい、お待ち」

 

「おおー!ビッキーのお好み焼き……」

 

「立花さんの料理、やっぱりナイスですわ!」

 

「材料も作り方もおばちゃんと同じだがな」

 

「でも、ありがとう。響」

 

 

 響が私たちに作ってくれたお好み焼き。響の愛情たっぷりのお好み焼き。とても美味しい。

 こんな幸せが、皆で楽しく過ごせる日々が続きますように。この先も、ずっと、永遠に。私はそう心の中で祈った。




デュランダル移送作戦の翌日、朝。


弦「ああ、響くん。未来くんのお見舞いに行くならこれを受付で見せるといい」

響「……これは」

弦「面会許可証だ。安全面の観点から関係者以外の面会は遮絶しているが、響くんなら問題ないからな」

響「ありがとうございます」

弦「……これは俺の独り言だが、奏と未来くんを助けてくれた鎧の戦士には感謝しているんだ。こうして独り言を言うくらいにはな」


的な事がありました。響が未来のお見舞いに行けた理由ですね。
さて、次は……原作だと正体バレの所ですね。


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総てを照らす太陽

総合評価が900越えた……ありがとうございます。ものすごく、作者の励みになります。これからもよろしくお願いします。


 二課本部、オペレータールーム。今、そこは慌ただしさの真っ只中だった。

 

 

「ノイズの反応を確認!」

 

「場所を特定しました!森林地帯です!」

 

「周辺の住民はどうなっている!」

 

「付近に住宅はありません。ですが、念のため避難警報は出しています」

 

「司令、どうしますか?装者二人は負傷中、奏ちゃんも連日の疲労やlinkerの薬害の除去が完璧とは言えません!」

 

「……三人には待機を伝えろ。俺は関係機関に連絡をしてくる」

 

 

 そう告げた弦十郎は部屋を出て携帯を取り出し、ある番号に電話をかけた。数回のコール音の後、ガチャっと繋がる音がなる。

 

 

『はい、もしもし』

 

「急にすまない、俺だ。実は――」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 カブトを呼び出す為、アタシはノイズを人のいない地域に召喚した。アタシ自身は少し離れた木の上に身を潜め、カブトを待つ。懸念はこれでカブトじゃなくて二課の装者たちが来るかもしれない事。 だけど、アタシの予想は違う方向に裏切られた。足音が聞こえたからそちらを見ると、以前恩が出来たアイツが歩いてきていた。

 

 なんでアイツがここに!?まさか、迷いこんだのか!?

 

 アイツに気付いたノイズが近づこうとする。関係ない奴を巻き込みたくなかったアタシはソロモンの杖でノイズに離れるように指示しようとした。 けど、焦っていたのか、ソロモンの杖を取り落としてしまった。急いで下を見るけど、落ちた杖はどこかの茂みに入ったのか見失ってしまった。

 探してたらアイツがノイズにやられちまう! そう思ったアタシはネフシュタンの鎧を纏うと共に、即座に飛び出して、アイツを俵抱きにしてノイズから離れることに。

 

 

「……お前は」

 

「いいから逃げるぞ!ノイズに殺されたいのか!」

 

 

 倒してもいいが、そうするとカブトが現れないかもしれない。どうすればいいか悩みながら走っていると目の前に何かがいきなり現れて殴られた。そのままアタシは倒れてしまう。顔をあげて殴ってきた奴を確認すると、この前デュランダルを盗ってきた蜘蛛野郎(ネイティブ)だった。

 

 

「てめぇ、何をしやがる!」

 

『カブトは俺の獲物だ。兄弟の仇は貴様には渡さん』

 

「あ゛?それは出来ない相談だな!」

 

 

 ふざけるな、カブトはアタシが倒すんだ!それに、てめぇらネイティブも平和を乱す敵だ! ……でも、後ろには制御を離れたノイズ、正面には蜘蛛野郎。そして横には巻き込まれたアイツ……!そうだ、アイツは無事なのか!?

 横を見ると、パンパンと服についた草を払って普通に立っていた。

 

 

「おい!ここはアタシが引き受ける。だからさっさと」

 

 

 アタシの言葉はそこで止められた。蜘蛛野郎が襲い掛かって来たからだ。

 

 

「チッ!だったら先にてめぇから倒してやるよ!」

 

『やれるものならやってみろ』

 

 

 ネフシュタンの鞭を振るい奴に向けて叩きつける。が、それは当たる直前に奴の姿が消えて地面を叩いただけだった。そしてその直後に何度もアタシの体に衝撃が奔る。 なんとか当てようと、必死になって衝撃を感じた方向に鞭を振るうが全く手応えがない。逆にアタシの傷が増えていくだけだ。その傷もネフシュタンの力ですぐに修復されていくけどな。

 後ろを見るとノイズが近づいて来ていた。仕方ないが、ノイズはこの戦いの邪魔にしかならない。だから、

 

 

「吹き飛べ!」

 

 

NIRVANA GEDON

 

 

 大技でノイズを一掃、あわよくば蜘蛛野郎も吹き飛んでくれたらいいんだが……ないな。そういやアイツは……いないか。ちゃんと逃げてくれるといいんだが……。

 

 

『余所見していていいのか?』

 

「ッ!しまっ……ガハッ!?」

 

 

 アタシの目の前に現れた蜘蛛野郎に蹴り飛ばされて、樹の幹に背中を強打した。ネフシュタンの修復の際に起きる侵食がかなり進んじまっている。 アタシはなんとか立ち上がろうとするけど、その前に蜘蛛野郎が放った糸で樹の幹に拘束されてしまった。

 

 

「この程度……とれねぇ!?」

 

 

 なんだこれ!?ネバネバしててネフシュタンの力でも引きちぎれねぇ!

 

 

『ふん、俺の勝ちだ。そこで大人しくグホッ!?』

 

 

 蜘蛛野郎が勝ち誇ろうとしたその瞬間、現れた誰かが蜘蛛野郎を蹴り飛ばした。いや、誰かなんて言うまでもない。カブトだ。カブトは()()()()()()()()()()()()()()()蜘蛛野郎と戦闘を開始した。

 

 

「クロックアップ」

 

【CLOCK UP】

 

 

 姿の消えた蜘蛛野郎を追いかけるようにカブトも腰を叩いて姿を消す。どんな原理かは知らないが、高速で移動しているのは分かる。動けないアタシには何も、出来ない……。このままじゃフィーネにも失望されて、捨てられる? ……嫌だ。もう、一人ぼっちは嫌だ!

 高速での戦闘が終わったのか、蜘蛛野郎とカブトの姿がちょうど見えるようになった。

 

 

「ふっ、とべ!アーマーパージだ!」

 

 

 侵食してくるネフシュタンの鎧をパージして糸ごと吹き飛ばす。そしてアタシは、アイツらを倒す為、自分の身を守る為とは言え、大嫌いな歌を歌うことにした。

 

 

Killter Ichaival tron

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「鎧の戦士が戦闘していたポイントで新たな反応を感知!」

 

「これは……アウフヴァッヘン波形!?」

 

 

 同時刻、二課のオペレータールーム。じっとしていたノイズがネフシュタンの反応と共に急に動きだし、奏を呼び出すか判断を決めかねていた時、突如ノイズの反応が消えたのだ。 ノイズを操るネフシュタンが倒すのは考えにくく、自壊するには速すぎると困惑していた直後現れたガングニールの反応。それにより鎧の戦士(カブト)がノイズを倒したのだと二課の面々は納得。 しかし、今度はネフシュタンの反応が消え、新たにアウフヴァッヘン波形が観測された事で事態は混迷を極めていた。

 

 

「照合結果でます!」

 

「イチイバル、だとぉ!?」

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「歌わせたな……。この雪音クリスに、大嫌いな歌を歌わせたな!!強大な力を振るう奴は全部敵だ、そんな力があるから、世界は平和にならないんだぁぁぁ!!!」

 

 

 イチイバルのシンフォギアを纏ったクリスはその両手に上下二門ずつの三連装ガトリングを持ち、響とアラクネアに向け連射する。

 

 

BILLION MAIDEN

 

 

 さらにクリスは背中に巨大なミサイルを二つ背負い、それぞれに狙いを定めて一発ずつ放った。

 

 

MEGA DETH FUGA

 

 

 激しい弾丸の雨とミサイルに襲われる響とアラクネア。その攻撃密度に回避は難しく防御するしかない。

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 

 しばらくの間撃ちっぱなしだったクリス。疲れて息切れしたのか、両手のガトリングを降ろして息を整える。

 

 

「やったか……?」

 

 

 そう呟くクリス。だが、それはフラグだったのだろう。爆煙が晴れ、そこにいたのは全身をオレンジと銀の鎧で包んだ(マスクドフォームに戻った)響だけだった。平然と立っている様から、銃弾はその鎧に阻まれ大したダメージにはならなかったようだ。

 

 

「キャストオフ」

 

【CAST OFF】

 

【CHANGE BEETLE】

 

 

 そして再びキャストオフしてライダーフォームへとなる。それを見たクリスはガトリングをしまい、クロスボウに変形させて構える。が、ここで気付いた。あの蜘蛛野郎はどこに行った?と。

 

 

『いい攻撃だ。だが、無意味だ』

 

 

 そんな声がクリスの後ろから聞こえた。カブトとの戦いを邪魔されては敵わないと思ったのだろう。アラクネアはクロックアップでクリスの攻撃を避け、後ろへと回り込んでいたのだ。 そして腕を無防備なクリスに突き立てようとする。 だが、それはガキンッ!という音と共に止められる。クロックアップした響がクナイモードのカブトクナイガンを手に割り込み、クリスをその凶刃から守ったのだ。

 

 

『な!?』

 

 

 敵を庇うとは思ってなかったアラクネアは動揺し、そこに響の連撃を受け後退する。

 

 

「……お前。なんで、アタシを庇った?」

 

 

 それは守られたクリスにも予想外の事で、倒すことを忘れつい聞く。

 

 

「あの人が言っていた。子供は宝物。この世で最も罪深いのはその宝物を傷付ける者だ。守る理由はそれで十分だ。それにお前は決して悪人ではない、やってることは悪に分類されるかもしれないがな」

 

「ア、アタシを子供扱いするな!」

 

 

 顔を赤くして反論するクリスを無視して響はアラクネアの方へと歩みを進める。……この前、敵対していたとは言え、ライダーキックを叩き込んだことを棚にあげているのは突っ込んではいけないのだろうか。

 響とアラクネアの距離がほとんどなくなった時、互いに拳を握り顔に当てる。そしてその場でお互いに拳や脚を出し超近接戦闘を行う。響の拳が入ると、それのお返しとばかりにアラクネアの蹴りが入る。クリスはその戦いに入る隙もなくただ見守っているだけしか出来ない。

 

 

「くッ!?」

 

『もらった!』

 

 

 その途中、急に響の動きが鈍った。防御の高いマスクドフォームで防いだとは言え、大火力のミサイルをその身で受けたのだ。体に見えないダメージが入っていたのだろう。そしてそれを逃すアラクネアではない。勝ちを確信した攻撃を放つ。

 

 

『グホッ!?』

 

「今だ、やれ!カブト!」

 

 

 だが、それはクリスが手に持つクロスボウから放った狙いすまされた一撃で止められて仰け反り、逆に大きな隙を晒してしまう。 クリス自身、何故カブトを守ったのかよくわかっていないが、一先ずは守られた借りを返す為だと思い込んだ。

 

 

【ONE TWO THREE】

 

 

 それに応えるように響はゼクター上部のボタンを順に押しゼクターの角を一度戻す。

 

 

「ライダー……キック」

 

【RIDER KICK】

 

 

 そして再び動かすとゼクターからエネルギーがカブトの角へ集まり、脚へと収束。アラクネアが体勢を整えるより速くライダーキックを叩き込んだ。直撃を受けたアラクネアはそこで爆散。 響は右手を天に突きだし勝利の証とする。

 

 

『全く、やると言ったことも出来ないなんてね』

 

「……誰だ」

 

「フィーネ……」

 

『もう貴女は要らないわ。じゃあね、クリス』

 

 

 その直後、どこからか女の声が聞こえ警戒する響。クリスには誰かわかったらしく、声が震えている。 そして告げられた言葉。同時にクリスのパージしたネフシュタンの鎧が光りだし、どこかへ消えた。さらにノイズが響とクリスへと向かって飛んでくる。それらはクリスが即座に撃ち落とした。

 

 

「待ってくれ、フィーネ!」

 

 

 フィーネと呼ばれた女を追いかけてクリスはどこかへ走っていった。響も追おうか迷ったが、敵の狙いや力量が分からない今は撤退を決めた。そして変身を解除すると未来の待つ寮の部屋へと帰っていくのだった。




暑い……少し頭痛いけど、なんとか完成。疲れた……。


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引き金に指は掛けられた

ついに総合評価が1000ポイントを越えた……!?今話は昨日には完成はしてたけど、タイトルが決まらなくて中々投稿出来ませんでした。すいません。

FGO福袋でメルトリリス引けなくて沈んでた気持ちが浮かびあがって……!そして謎にバーサーカーに愛されている親友がアルジュナオルタ狙いで福袋引くとき「バサカ確定ガチャ行くな!」「出ない出ない」って言ってたらほんとにバサカ(ただし頼光だった模様)引くとか。ヤバイわ……っと関係ない話になりましたが続きどうぞ!


「なんでだよ、フィーネ……!」

 

 

 アタシはフィーネに要らないと言われたのが信じられなかったアタシは、フィーネに本音を聞かせてもらう為に館へと突入した。

 

 

「そのままの意味よ、クリス。もう貴女に価値はないの」

 

「力を持つ奴を全て倒せば戦争の火種はなくなって……平和になるんじゃなかったのかよ!」

 

「そうね、貴女のやり方じゃ争いをなくす事なんて出来やしないわ。せいぜい一つ潰せば、新しく二つ三つ産み出すくらいかしら」

 

「そんな!あんたが言ったんじゃないか!痛みだけが世界を繋ぐって!」

 

「確かに言ったわね。でも、鎧でもギアでもカブトを倒せなかったどころか、共闘するなんて……。結局貴女には宝の持ち腐れだったってわけね」

 

 

 そしてフィーネは指をパチンッと鳴らすと、フィーネの後ろの壁が開いてそこから()()()()()()()()()()()()()()()()姿()の鎧野郎が二人出てきた。一人は銃を、もう一人は剣を右手に持っている。

 

 

「カ・ディンギルも完成し、カブトへの対抗手段であるマスクドライダーシステムも二つ掌握した。もう怖いものなどない!アハハハハ!!!」

 

 

 さらにいつのまにか回収していたのか、ソロモンの杖を取り出してノイズまで呼び出した。こんな所で死ねるものかとアタシは一目散に逃げ出した。ノイズだけならまだしも、フィーネに鎧野郎まで相手にして生き残れる自信がなかったからだ。それにカブトへの対抗手段ってことはあの高速移動も使えるはずだ。

 

 身寄りのないアタシが頼れる相手なんていない。大人も信じられない。幸いな事に、鎧野郎たちはフィーネの側から動こうとしなかったから今追いかけてきているのはノイズだけだ。アタシはイチイバルを纏って、ノイズを倒しながら姿を隠す為に街に入った。この時のアタシは、数日の逃亡生活の末、アイツと再会する事になるとは思っても見なかった。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 デュランダル移送作戦からしばらく、ノイズが全然出ない静かな時期が続いたお陰で、私はゆっくりと療養出来た。ケガもかなり良くなって、もう包帯も外せる。激しく動かすのはまだダメだと言われたけど、中学時代ならまだしも、今の私はそこまで激しく手を動かすことはないから大丈夫だと思う。 そして私は、いつも通り学校に登校した。

 おかしい。そう思ったのは朝礼のチャイムがなった時だった。先に家を出たはずの響が学校に来ていない。どうやら学校には休むって連絡があったみたいだけど、私聞いてません! 部屋を出たって事は病気とかじゃないのは確定。あの鎧姿になってノイズ退治も違う。それなら二課から連絡が来るはずだから……。むぅ……響は一体何をしているんだろう?

 

 

「―――さん」

 

 

 響の事だからお年寄りと……ってそれで学校休んだりはしないし……。

 

 

「―日―たさん」

 

 

 そろそろ腹を割って話さないといけないのかな……。

 

 

「小日向さん!!!」

 

「ひゃいッ!?」

 

「先生の話を聞かないで考え事とは、いい度胸ですね」

 

「す、すいません……」

 

 

 うぅ……これも響のせいだ……。響のばかぁ、どこで何してるのよぉぉ……。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「くしゅッ!」

 

「あらあら、響ちゃん。風邪かい?」

 

「いえ、誰かが噂してるだけかと」

 

「そうかい。でも一応市販の風邪薬あるから飲んどきな」

 

 

 ちょうどその頃。噂の響はというと、ふらわーのおばちゃんの家にいた。

 

 

「それにしても、その子は大丈夫なのかね?」

 

 

 響の前に敷かれた布団でぐっすりと眠っているのはクリスだ。今朝、いつも通りリディアンに向かう途中で路地裏に行き倒れていたクリスを響が偶然見つけ、近くのふらわーのおばちゃんの家に運び込んだのだ。この前、要らないと言われていたのを聞いていた響はクリスを助け、話を聞くべく学校を休んでまで世話をしていたのだ。

 

 

「ん、うぅ……。ここは……」

 

「目が覚めたか」

 

「!?」

 

 

 目覚めたクリスは最後に意識を落とした路地裏ではなく、木製の天井が見えていて少し混乱していたが、いきなり声をかけられた事で覚醒し、一気に起き上がった。そして、声の主が誰かを把握して安堵した。

 

 

「なんだ、お前かよ……。え!?」

 

「人の顔に何かついてるのか?」

 

「いや、そういうわけじゃないんだが……」

 

 

 その安堵も直ぐに驚愕に変わったが。

 

 

「おや、目が覚めたのかい?着ていた服、かなり汚れていたから洗濯させてもらったよ」

 

「は?………は!?」

 

 

 そこに洗濯を終えたおばちゃんが通りかかりそう声をかける。それを聞いてクリスはかけられている布団をそっと捲り自分の着ている服を見た。クリスの目に入ったのは自分が着ていた服じゃなく、『立花』と書かれた体操服だった。

 

 

「余計な事を……」

 

「そういうな。人の好意は素直に受け取っておけ」

 

 

 そういいつつ、響が持ってきたのはお粥。それをクリスに差し出した。

 

 

「……食べていいのか?」

 

「ああ。あの人が言っていた。病は飯から。食べると言う字は人が良くなると書く。腹一杯食べて元気になれ」

 

「じゃ、じゃあ……頂きます」

 

 

 レンゲでお粥をゆっくり掬い、火傷しないようにふーふーとしてから口にするクリス。それを見ていた響曰く、小さい頃の(ひより)みたいだった、との事。

 それを完食したクリスはまだ疲れがとれてなかったのか、響が食器を片付けにいって戻ってくる間に再び眠りについていた。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「はぁ………」

 

「どうしたんだ?ため息なんてついて」

 

「奏さん……。実は――」

 

 

 放課後、二課で待機していた私は今日の出来事を奏さんに話していた。

 

 

「ふーん。あいつが、ねぇ?確かに何してるんだろうな?」

 

「大丈夫だとは思うんですけど、やっぱり心配で……」

 

 

 そう言うと奏さんは。

 

 

「よし、じゃあ探しに行こうぜ」

 

「え?」

 

「気になるんだろ?だったら直接聞けばいいじゃんか」

 

 

「……そうですね!」

 

 

待っててよ、響。絶対話を聞かせてもらうから!

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「……なあ、これってなんの音だ?」

 

 

 二度寝から目覚めたアタシが乾いた服に着替えてしばらくすると、突如警報が鳴り響いた。その音を聞いた瞬間、辺り一帯がざわめき出したのに疑問を持ち、近くにいたおばちゃんに尋ねる。

 

 

「何って、ノイズだよ!ほら、早く避難するよ。響ちゃんも急いで」

 

「ノイズ……!?」

 

 

 まさか、フィーネか!? 今、ノイズを自由に操れるのはアイツだけ……。なら、アタシを誘き寄せる為に街にノイズを放ってもおかしくない。この二人を巻き込む訳にはいかないな……。

 

 

「え、あっ!ちょっと!」

 

 

 アタシは人の流れに逆らって走り出す。関係ない人を巻き込むんじゃない。絶対に許さねぇぞ、フィーネェェェ!!!

 

 

 

 

 しばらく走ると、人は居なくなり代わりにノイズがアタシを囲うように現れた。上等だ、全部倒してやるよ!

 

 

「そう一人で突っ走るな」

 

 

 そう意気込んだ時、後ろから声が聞こえた。視線を向けると、お粥を作ってくれたり、世話してくれたりしたアイツがいた。

 

 

「なんでお前がここに!?危ないからさっさと……」

 

「病み上がりのお前に無茶はさせられない。だから、ここは私に任せろ」

 

 

 そう言ってアタシの前に立ったアイツは右手を掲げた。そしたらそこにどこからかカブトムシが飛んできて……カブトムシ?まさか!?

 

 

「変身」

 

【HENSIN】

 

「お前は、いったい……」

 

 

 そんな、こいつが、カブトだったのか。驚きで、なんで、とつい声が漏れる。

 

 

「あの人が言っていた。私は天の道を往き、総てを司る女。立花 響」

 

 

【CAST OFF】

 

【CHANGE BEETLE】

 

 

 こいつ……いや、()ならフィーネを倒すのに……。

 

 

Killter Ichaival tron

 

 

 イチイバルを纏って響の横に立つ。アタシは大丈夫だ、覚悟を決めたぞって視線を送ると、響は何も言わずに武器を持ってノイズに突撃していった。

 体を変形させ、猛スピードで飛び込んでくるノイズ。それらを響は短剣?――いや、クナイか――それを当て切り裂き、アタシはクロスボウで撃ち抜いていく。その次は空を飛んでるノイズ。こっちはアタシの獲物だ。腰のスカート部分から小型ミサイルを展開しぶっ放す。

 

 

MEGA DETH PARTY

 

 

 この間にも地上のノイズはアタシの方に近づいてくるが、それは高速で移動する響によって悉く倒されていく。 敵対していた時は何ていうか、恐怖の対象だったが、共に戦うんならこれほど頼りになる奴はいねぇな。アタシはクロスボウをガトリングに変え、空のノイズの殲滅速度を上げた。

 

 

 

 

 

「終わった……か」

 

「そうだな」

 

 

 ノイズを倒し終わると、ギアを解除して響と共にその場から離れる。あのふらわーとか言うお好み焼き屋の近くまで戻ってきた。

 

 

「……なあ、頼みがある」

 

「なんだ?」

 

「フィーネを倒すのに力を貸してほしい。たぶん響じゃなきゃ相手が出来ない奴もいた」

 

「何?」

 

「フィーネはそいつらを()()()()()()()()()()()()だって、カブトに対抗するために掌握したって言っていた」

 

「……武器とか姿はわかるか?」

 

「銃の奴と剣の奴がいた。姿は……悪い、覚えてない」

 

ドレイクとサソードかいや、それだけで十分だ」

 

 

 ん?今なんか言ったか?気のせいか……。

 

 

「フィーネって言うのがノイズ騒動の元凶と見ていいんだな?」

 

「ああ。そして、アタシが決着を着けないといけないクソったれだ」

 

「じゃあ乗り込むぞ」

 

「い、今からか!?」

 

 

 流石にこれには驚いた。ノイズと戦った直後だぞ!?

 

 

「こういうのは早い方がいい。お前が逃げ出したという事は、その場所はもう割れたと考え、既に逃げている可能性も高いがな」

 

 

 そういや、フィーネもカ・ディンギルだったか?それが完成したと言ってたし。フィーネの性格なら……ありそうだな。

 

 

「わかった。こっちだ」

 

 

 響を引き連れ、フィーネの館を目指す。待ってやがれ、フィーネ!!!

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「うし、これでノイズは全てか?」

 

「だと思いますけど」

 

「友里さん、どうですか?」

 

『ええ、それで終わりよ。別地点のノイズはあの鎧の戦士と謎の装者によって倒されているわ』

 

 

 ケガから復帰した翼さんは、まだ動きがぎこちないながらも、私より沢山のノイズを倒していた。 年季が違うとはいえ、流石だなぁ。それよりも謎の装者って、なんで響と一緒に?……これはちょっとOHANASHIしないとダメかな?

 

 

『二年前に紛失したイチイバルの適合者……いったい誰が……』

 

「あたしらはどうしたらいい?そいつらを探すか?」

 

『そちらは情報部でやります。三人は戻ってきて下さい』

 

「りょーかい。だってさ、帰るか」

 

「はい!」

 

「ところで声が聞こえませんが司令はどちらに?」

 

『司令は少しここを離れています』

 

「……いつものですか?」

 

『いえ、今回は真面目に仕事です』

 

 

 え?今回は、ってどういうこと?弦十郎さん、いつも真面目に仕事してるイメージしかないんだけど。あと特訓。

 

 

「ああ、旦那はよくTATUYAで借りた映画を返しに行くために抜けるからさ。まあ、旦那が抜けても大丈夫な時しかないから安心してくれよ」

 

「そ、そうなんですか……」




関西地区のジオウの放送が野球で二週飛んでるから続きが気になる……仮面ライダー○○○○ってネタじゃなかったのか!?


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突入!フィーネの館。そして……

中々書けなくて遅くなりました。それなのに、今回のは少しクオリティ低いかも……。

なお、前半途中で響が若干空気に……。さて、録画してるXV8話と10時過ぎからのジオウ最終話観なきゃ……。


「ここだ」

 

「よし、行くぞ」

 

 

 響とクリスの二人はフィーネの館へとたどり着いた。罠を警戒しながらも、クリスの案内を受けて、フィーネの居るであろう所を目指す。しかし、内部を歩いていると至るところがボロボロになっていて、更に人の気配もない。気になるといえば、血の臭いがするという事だ。

 

 

「いつもフィーネがいるのはこの先だ」

 

 

 扉を勢い良く開くクリス。そして目に飛び込んできたのは、ボロボロになった部屋と血溜りに倒れる外国人たち。その全員が死亡していた。死因とみられるのは、何か鋭いもので胸を貫かれたもの、頭を撃ち抜かれたもの、刃物で切られたもの、など様々だった。

 

 

「な、なんだよ。これ……」

 

「別口で襲撃があったみたいだな。そして返り討ちにあったと」

 

「クソッ!」

 

 

 何か他に情報がないか探していると、入り口の方が騒がしくなってきた。そしてこの部屋に入ってくる黒服たちと彼らを纏める巨漢。

 

 

「これは……」

 

「ち、違う!アタシらじゃねぇ!」

 

「ああ。それは俺がよくわかっている。これも君や俺たちの近くにいた彼女の仕業だ」

 

「へ?」

 

「ところで、君が雪音クリスくんだな?」

 

「ッ!?なんでアタシの名前を……」

 

 

 見知らぬ男にいきなり名前を呼ばれ、警戒するクリス。

 

 

「俺は風鳴 弦十郎。昔、君が一時保護され行方不明になった時の捜索メンバーの一人だ。もっとも俺以外の人員は捜索の過程で全員消息不明になってしまったがな」

 

「……で?あんたは何が目的だ?」

 

 

 少し強気な言葉でクリスが聞き返すが、名前を呼ばれた瞬間から響の後ろに隠れて顔だけ出している。しかも響の服を握りしめてもいるので、弦十郎は見ていて微笑ましく感じた。

 

 

「もちろん君の保護だ。それは昔から変わっていないとも。子供を守るのが大人の役目だからな!」

 

「はっ!大人……大人だと?あたしは」

 

「風鳴司令!」

 

 

 クリスが叫ぼうとしたその時、黒服が何か書かれた紙を見つけ、手に取った。その直後、仕掛けが作動し爆発を引き起こした。それにより館の一部が崩落する。

 

 

「大丈夫か?」

 

「な……なんで」

 

 

 衝撃に備えたクリスだったが、それは弦十郎によって全て止められていた。落ちてきた巨大な瓦礫も彼に支えられている。飛んできた細かな瓦礫は響が打ち落とした。

 

 

「衝撃は発勁で掻き消した」

 

「そういうことじゃねぇ!響ならともかく、なんでギアを纏えない奴がアタシを守ってんだよ!」

 

「俺がお前を守るのは、ギアの有る無しじゃなくて、お前よか少しばかり大人だからだ」

 

「また大人か……。アタシは大人が嫌いだ!死んだパパとママも大嫌いだ!とんだ夢想家で臆病者、アタシはアイツらとは違う!戦地で難民救済?歌で世界を救う?いい大人が夢なんて見てるんじゃねぇ!」

 

 

 クリスの心の叫びが静かな館に響き渡る。それはずっと溜め込んで来た本音なのだろう。

 

 

「大人が夢を、ね」

 

「ほんとに戦争を無くしたいのなら、戦う意思と力を持つ奴らを片っ端からぶっ潰していけばいい!それが一番合理的で現実的だ!」

 

「そいつがお前の流儀か。なら聞くが、お前はそのやり方で戦いを無くせたのか?」

 

「ッ!?……それは」

 

 

 図星だったのだろう。クリスは言葉に詰まり何も言えない。

 

 

「それにいい大人は夢を見ない、なんて言ったな。そうじゃない、大人だからこそ夢を見るんだ。大人になったら背も伸びるし、力も強くなる。財布の中の小遣いだって、ちったぁ増える。子供の頃はただ見るだけだった夢も、大人になったら叶えるチャンスも大きくなる。夢を見る意味が大きくなる。

お前の親は夢を見る為だけに戦場に行ったのか?違うな。歌で世界を平和にするっていう夢を叶える為、自ら望んでこの世の地獄に踏み込んだんじゃないのか?」

 

「なんで、そんなこと……」

 

「お前に見せたかったんだろう。夢は叶えられるという揺るがない現実をな」

 

 

 更に便乗するように沈黙を保っていた響がここで口を開く。

 

 

「あの人が言っていた。子供の夢は未来の現実。それを夢と笑う大人はもはや人間ではない。クリスの両親は夢を信じ続けた立派な大人だ。諦める事さえしなければ、その夢はいつか必ず現実になる」

 

「ッ!?」

 

「お前は嫌いだと言ったが、お前の両親はきっとお前の事を大切に思っていたんだろうな」

 

 

 その言葉を切っ掛けにクリスの涙腺が崩壊。ずっと寄り添っていた響の服に顔を押し付け、声をあげて泣いた。それを弦十郎が二人纏めて抱き締めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、俺たちは撤収する。進展もあった事だしな」

 

 

 クリスが泣き止み、黒服たちもやるべき事を終え弦十郎たちは帰る事に。クリスもついてくるか?と聞かれたが断った。

 

 

「アタシはまだ大人を信用出来ない。今、信用できるのは響くらいだ」

 

「そうか、なら響くん。彼女の事を暫く任せてもいいか?」

 

「任せてください」

 

「ああ、そうだ……ほれ」

 

 

 弦十郎がクリスと響に端末と何かのチケットを取り出し、手渡した。

 

 

「これは、通信機?それに、ライブのチケット?」

 

「通信機の方は限度額内なら公共交通機関にも乗れるし、自販機で買い物だって出来る。優れものだぞ」

 

「じゃあこっちのチケットはなんだ?」

 

「ツヴァイウィングのライブチケット……!!」

 

「ツヴァイウィング?それって確か二課の……」

 

 

 渡されたチケットを見て、一瞬だけ響の目が輝いたが、それは誰の目にも止まらなかった。そして平静を装っているが、内心ではひどく興奮している。彼女は『天の道を往き、総てを司る女』となるべく動いている。だが、普通の女の子としての部分も少し残っているわけで……彼女はツヴァイウィングの()()大ファンでもあり、中々とれないツヴァイウィングのライブチケットを手にした。それはまさしく興奮ものだろう。

 

 

「明日の夜に二人のライブがあるからな。良かったらいってやってくれ。息抜きにはなるだろう」

 

「是非とも行かせてもらいます」

 

 

 弦十郎の誘いに響は即答した。それはそれは丁寧なお辞儀も添えて。

 

 

「カ・ディンギル!」

 

「ん?」

 

「それが何かはわからない。でもフィーネは言っていた。カ・ディンギルは完成しているって!」

 

「そうか……情報感謝する。後手に回るのはしまいだ。こっちから打って出る!情報が入ればそちらにも連絡しよう。

ああ、それはそうと明日は楽しめよ!」

 

 

 そう言い残すと車を走らせ、弦十郎と黒服たちは二課へと向かった。

 

 

「で、このあとはどうするんだ?」

 

「決まっている。寮の部屋に帰って明日に備える」

 

「本当に見るのかよ……。まあ、アタシもフィーネの手がかりが見つかるまで暇だし息抜きに付き合ってやるよ」

 

 

 そしてクリスはボロボロになった館の方へ足を進める。

 

 

「……おい。何しに行くんだ?」

 

「寝床の確保に決まってるだろ。アタシはずっとここに住んでたんだ。帰る家なんてここ以外にないしな。フィーネも逃げたならアタシが使っても問題ないだろ」

 

「食事はどうするつもりだ?」

 

「1日2日程度食べなくてもなんとかなるし、フィーネの館にもいくらかはあるだろ」

 

「……わかった」

 

 

 響は館に入ろうとするクリスの手を掴み、そのまま街の方に歩いていく。

 

 

「お、おい!?離せよ!てか、前にもこんなことあったな!?」

 

 

 クリスは振り払おうとするが、響の力は強く引きずられていった。そしてついたのは『お好み焼き屋ふらわー』。

 

 

「おい、ここって……」

 

「すでに話はつけておいた。暫くお世話になるといい」

 

「はぁ!?」

 

「風鳴さんにクリスの事は任されている。あんな所に泊まらせる訳にはいかない。それに、まともな物を食べないでフィーネと戦えるとでも思っているのか?」

 

「それは……」

 

「あら?もう来たのね。ほら、お入り」

 

 

 クリスが渋っていると、扉が開きおばちゃんが出てくる。シンフォギアやノイズ騒動について知らない人の前では話せるはずもなく、クリスはおばちゃんに従って入っていく。

 

 

「響!その、なんだ……また明日」

 

「……ああ」

 

 

 たったそれだけだが、クリスと一端の別れを告げた響は未来の待つ寮へと歩みを進める。そして、晩御飯の献立を考えながら部屋に入ると、とてつもない威圧感を感じた。一瞬、敵か?と思ったが違った。発していたのは他の誰でもない、未来だった。ゴゴゴッ、と漫画やアニメであればそういう背景が出ているだろう。

 

 

「おかえり、響」

 

「あ、ああ。ただいま」

 

「ねぇ、響?少しお話があるんだけど、いいかな?」

 

 

 『天の道を往き、総てを司る女』として己を鍛えてきた響なれど、何故か今の未来に勝てるビジョンが全く見えなかった。逆らえるはずもなく、気づいたら正座して頭を垂れていた。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 響と隠し事一切無しの本音のお話をした。何一つ誤魔化さないで、全てを話してくれて良かった。響の持つ鎧の戦士の力――カブト――は、『ネイティブ』という宇宙から飛来した虫の様な怪人に対抗する為の力だとか。ネフシュタンの鎧を纏って私たちと戦った子が新しいシンフォギア装者で、響と仲良くなったとか。ノイズを操っている黒幕がいるとか。後、弦十郎さんと仲が良いとか。明日、クリスっていう子と一緒にツヴァイウィングのライブに行くとか。

 

 

「ふーーーん、そうなんだ」

 

 

 まあ、あの力とかに関しては別にこれ以上追及するつもりはないよ?約束通り、私のシンフォギアについても話したし。でもね?親友の私をさし置いて、新しく知り合った子とライブに行く?なんだろ、響に新しい友達が出来たのは嬉しいけど、何故か無性にイライラしてきた。あ、そうか。これは響のせい(冤罪)で学校で怒られたからかな?うん、きっとそうだ。じゃなきゃそんなことないはずだし。

 この後更にOHANASHIしてから、いつも通り響の作った晩御飯を食べて、二人で並んで寝た。

 

 あ、明日クリスっていう子には釘を指しとかなきゃ。響をつれ回さないでね?って。

 

 

 

 

 

 

 OHANASHIで何があったかは響の為にも言わない。ただ、翌朝珍しく響が寝坊(といっても私と同じ時間に起きただけ)した。余程疲れていたんだね。

 それはそうと翼さんと奏さんに貰ったライブのチケット一枚余っちゃったな……。誰か欲しい人いるかな?




まさか、小さなボディのままダウルダブラ纏うとは。大きくなったのも良いが、こちらも……。
というか、ダウルダブラ壊れてなかったんだな。碧の獅子機が明らかな大爆発してたし、てっきり壊れたものだと。


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双翼の歌

天道響の妹、ひよりちゃん再登場!……本格登場の予定はまだまだ先ですが。

ちょっといつもより1000文字くらい短くなった……。まあ、大丈夫かな?


 見渡す限りの人、人、人。どこを向いても人。現在、ツヴァイウィングのライブが行われる会場は沢山の人で溢れかえっていた。事前販売のチケットを手に入れて来た人、当日券を求め来た人、グッズを買いに来た人、など様々だ。

 会場に入ったクリスはそんな人の波に驚き、流され、所謂迷子になってしまった。

 

 

「あー、やべぇ。響はどこだ?てか、どの席に行けばいいんだ?」

 

 

 適当にキョロキョロしながらクリスが彷徨っていると、前から歩いてきてた人とぶつかってしまう。

 

 

「あっ、悪い」

 

「いえ、こちらこそ………?」

 

「……あ」

 

 

 クリスはその相手に見覚えがあったから、ぶつかった相手――未来――は、昨日聞いた人物の特徴と目の前の人物の特徴が一致し、硬直した。

 一方クリスは振り向き逃げ出そうとするが、未来はその手を掴み引き留める。謎のデジャヴを感じると共に、未来の笑顔にどこか恐怖を覚え震えるクリス。

 

 

「少しお話しようか?」

 

「え、あ……」

 

 

 恐怖に怯えるクリスだったが、そこに救世主が現れた。

 

 

「あれ?未来お姉ちゃん何してるの?」

 

「あ、ひよりちゃん」

 

 

 そう、立花家次女の立花ひよりである。響をそのまま小さくしたような姿に、クリスは一瞬響と間違えた。

 

 

「……え、響?」

 

「銀のお姉ちゃん、響お姉ちゃんの事知ってるの?」

 

「お姉ちゃん?ああ、お前響の妹なのか。身長以外の見た目はそっくりだな」

 

「ほんと!?えへへ!ボクは響お姉ちゃんみたいに格好よくなりたいんだ!あ、ボクは立花ひより!中学1年生の12歳!誕生日は1月の4日で、好きなのはお姉ちゃんの料理で趣味は機械弄り!身長と体重は……今は秘密だよ!」

 

「お、おう……アタシは、雪音 クリスだ」

 

「じゃあクリスお姉ちゃんだね!」

 

 

 ひよりの見た目は小さくなった響だが、響に比べてよく喋り、とても明るく、それにクリスは気圧された。

 

 

「それで、クリスお姉ちゃんは一人で来たの?」

 

「あー、まあ、そうだな。それで、どこに行ったらいいかわからなくて……」

 

「え?ちょっとチケット見せて?」

 

「えっと、これか。ほれ」

 

「ふんふん。あれ、ここの席って……」

 

「ん?どうした?」

 

「ねぇ、未来お姉ちゃん。この席ってボクたちの隣じゃない?」

 

「ほんとだね。じゃあ行こうか」

 

 

 未来がクリスの片手を取り、ひよりがもう片方の手を取る。そして二人に引っ張られていくクリス。

 

 

「え、いや、ちょっ……。なんでアタシが真ん中なんだよ!?普通ひより(こっち)だろ!てか、そもそもなんで手を繋ぐ必要が!?」

 

「別にいいじゃない。ね、ひよりちゃん」

 

「いーじゃない♪」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「彼女たちのライブの邪魔はさせない。今日は私も楽しみにしているんだ……さっさと終わらせる。クロックアップ」

 

【CLOCK UP】

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 響遅いなぁ。クリスがここにいるから響もここに来るはずなんだけど……。

 

 

「遅くなった」

 

「響!」

 

「お姉ちゃん!」

 

「クリス、それと……ひより?未来も」

 

 

 まさか、響と席が隣だなんて私も思ってみなかった。よく考えれば響は弦十郎さんに貰って、私は翼さんと奏さんに貰った。座席が隣でもおかしくはないのかな。

 

 

「響。ほら、早く。もう始まるよ!」

 

「そうだな」

 

 

 会場が一気に暗くなり、騒いでいた観客たちも始まりを理解して一斉に静かになる。そして『逆光のフリューゲル』の前奏と共にツヴァイウィングの二人がステージに現れる。

 

 

「みんなー!今日は私たちのライブに来てくれてありがとう!」

 

「最後まで楽しんでくれよな!」

 

 

 返事をするように観客から歓声が沸き上がる。ちょうど前奏が終わり歌が始まる。

 

 

「天に」

 

『『解き放て!』』

 

 

 歌に合わせてみんなで合いの手を入れる。会場にいる人たちがまるで一つになったかのように感じる。

 

 

「愛を」

 

『『突き上げて!』』

 

 

 この歌自体はたった5分という短い時間だけど、聞いている私にはとても長く感じた。たぶん他の人たちも同じだろう。

 

 

「もっと高く、太陽よりも高く~~!」

 

 

 一曲目が終わった。始まったばかりなのに興奮からか、私は汗をかいている。周りの熱気もその一因だろう。ひよりちゃんも初めてのライブで目がキラキラして、興奮していた。

 

 

「凄いね、お姉ちゃん!」

 

「そうだな。彼女たちの歌はいつ聴いても良い」

 

「これが、ライブ……。これがあいつらの、歌か」

 

 

 クリスも感動……してるのかな?

 

 

「さあ、ここから二曲は!」

 

「私たちのソロ曲よ!」

 

「まずはあたしから。『逆光のリゾルヴ』!」

 

 

 翼さんが裏にはけて、ステージには奏さんだけに。奏さん一人で歌う曲。全体的に元気を貰えそうな感じで、ところどころに翼さんやツヴァイウィングを思ってるような歌詞があった。

 

 

「――――君、と云う、音奏で~~尽きるまで~!!」

 

 

 そして次に翼さんと入れ替わる。その時に二人は片手でハイタッチしていた。

 

 

「次の曲は私の『疾風迅雷』。……剣と鍛えた私の冴えを見よ!」

 

 

 翼さぁぁぁん!!??アイドルとしての顔じゃなくて、防人としての顔が出てますって!!!大丈夫なんですか!?この歌も聴いている限り、どちらかというと防人っぽさ全開ですし……。

 

 

「いずれ世界に出すのなら、翼さんのこういう面も出した方がよろしいかと思いまして」

 

「へー、そうなんですか。……って緒川さん!?いつから!?」

 

「たった今です。遅かれ早かれ翼さんの一面として出す予定は立てていました。少し早まりましたが問題はありません」

 

 

 なるほど……。そう言えば最初のって私口に出してたっけ?

 

 

「では、僕はこれで」

 

 

 聞こうとしたけど、先にそう言われて姿がぶれたかと思えば、もうどこかへ行っていた。流石、忍者……。

 

 

「―――疾風迅雷!友と往かん!」

 

 

 あ!終わった……。途中から聴いてなかった。CD買うか、翼さんに直接聴かせてもらおうかな。

 

 

「さあ!まだまだ行くぞー!」

 

「最後まで、ついてきなさい!」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「今日は皆、来てくれてありがとう!」

 

「最後に皆に聞いてほしい事がある!」

 

「「私たち、ツヴァイウィングは世界へと羽ばたきたい!」」

 

 

 ライブの終わりに二人がそう宣言した。

 

 

「以前から一部では噂になっていたと思う」

 

「実際にオファーは来ていたんだ。そしてあたしたちは考えた」

 

「マネージャーやサポートしてくれてる皆とも相談した。その結果自分たちの心に素直になることにした」

 

「あたしたちは歌が大好きだ!」

 

「だから、どうか許してほしい!」

 

「「私たちが世界へと羽ばたく事を!」」

 

 

 しんとなる会場。そんな中、誰かが「許すとも!」と叫んだ。それに続くように会場の至るところから声がかけられる。「ずっと応援してる!」だとか、「世界をツヴァイウィングに染め上げて!」とか様々だ。

 

 

「みんな、ありがとう!」

 

「そしてこれからも応援よろしくな!」

 

 

 ライブはこれにて閉幕。そして号外でツヴァイウィングの世界進出が報道された。当然、その報道には日本だけでなく、世界までもが沸き立った。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

「さぁ、いよいよ私の悲願を叶える時だ。長年待ち望んだこの時……絶対に逃さない!」

 

 

 日本、某所。二人の騎士(ナイト)を背後に立たせ、裸に前を開けた白衣だけという格好の女が声をあげた。そして女の高笑いが響く。

 

 

 

 決着の時は近い。




立花 ひより
12歳。性別:女。誕生日:1月4日
立花家次女。
趣味の機械弄りはもはや趣味と言えるレベルを越えているらしい。立花家の地下はひよりの部屋兼作業場(完全防音)になっている。そこには中学生の小遣いでは到底買えないような道具が沢山あり……?


もうすぐゼロワンだ……。逢魔時王(オーマジオウ)も凄かった、過去のライダーの敵をワンパンするとは。
あとXVもヤベーイ!ラスボスモード393事、シェムハさん……。キャロルちゃんの70億の絶唱を凌駕する歌は健在。まさかこんなに早くエクスドライブ出てくるとは。……あれ、キャロルの歌健在ってことはエルフナインの歌も70億の絶唱を凌駕するんじゃ……。


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彼方へと響く歌

ウィクロスをナナシで本格的に始めました(どうでもいい)作者です。
未来の技フォントが中々決まらなかった…・。

ここから一期最終決戦へと入っていきます。
特に前振りはねぇ、最初からクライマックスだ。行くぜ、行くぜ、行くぜぇ!!!


『聞こえるか!街に大型の飛行型ノイズが4体現れた!連中はスカイタワーに向けてただ進行している。人を襲う様子が見られないことから制御されているノイズだろう』

 

『つまり、敵の目的はスカイタワーであると?』

 

『その可能性はあるだろう。翼、奏、未来くんの三人はすぐに向かってノイズを討伐してくれ』

 

「了解です!」

 

 

 ふらわーのおばちゃんの所にお世話になってるらしいクリスとお話しようと思って向かっていたら、ノイズ警報と共に通信機にそう連絡が入った。了解って返したのはいいけど、スカイタワーってここからじゃ結構な距離あるよね。どうしよう、ここからシンフォギアを使っていいのかな?

 

 

「こちらです!乗ってください!」

 

 

 そう思ってると、二課のヘリコプターが私のすぐ横に来てくれた。足を用意してくれていたのはとってもありがたい。スカイタワー周辺の人たちが危ないから早く倒して安心させてあげないとね!

 しばらくしてヘリがノイズの上空につくと、私はハッチを開けて飛び降りる。

 

 

Rei shen shou jing rei zizzl

 

 

 降下しながらギアを纏って、アームドギアと三つのミラービットを展開。それらを一つに合わせ、大きな鏡に変形させる。巨大な鈍器と化した鏡を勢いよく振り下ろし、まずは確実に一体を仕留める。んー、技の名前つけるなら、翼さんの『天ノ逆鱗』をパク……リスペクトして『逆鱗』かな?

 大型ノイズを貫いて(撲殺して)着地すると、既に翼さんと奏さんの二人がノイズと戦っていた。

 

 

「すいません!遅れました!」

 

「いや、気にするな」

 

「大型を一体倒してくれた。それだけでも十分な働きだ」

 

 

 それから私たちは地上にいるノイズを片っ端から炭に変えていく。だけど、いくら倒しても空にいる大型が次々と新しいノイズを呼び出している。

 

 

「ならば先に空から落とす!」

 

閃光

 

蒼ノ一閃

 

LAST ∞ METEOR

 

 

 私たちはそれぞれの持つ遠距離攻撃で空の大型を狙うけど、いずれも射程が足りなかった。

 

 

「届かないか……こうも敵に頭上をとられるとやりづらいとは……」

 

「だったらもう一度ヘリで上に」

 

 

 そう言ったとき、私の乗ってきたヘリがノイズによって落とされてしまった。

 

 

「そんな……!」

 

「あいつら……!」

 

 

 翼さんと奏さんが地上の人型やカエルみたいなノイズを、私が空から来る飛行型を撃ち落としながらどうすればいいか考える。その思考に意識を向けすぎたのか、一体撃ち漏らしてしまった。

 

 

「あ……」

 

「小日向ァ!」

 

 

 そのノイズが私に突き刺さる、そう思った時だった。一発の銃声と共に目の前でノイズが炭に変わった。助かったけど、崩れた炭が私の頭にかかってしまった。後で頭洗わないと……。

 

 

「お前は!?」

 

「よお、人気者ども。こいつがピーチクパーチク喧しいからちょいと出張って来てやったぜ。アタシ様に感謝しな!」

 

「クリス!」

 

 

 その手に二課の通信機を持って胸を張るクリス。なんだろう、少しイラッとした。あれなの?あの大きいのかな?あれで私の響を誘惑したの?と、今はそれは置いといて……。

 

 

「か、勘違いするなよ!別に助っ人って訳じゃないからな!」

 

『助っ人だ。少々到着が遅くなったがな』

 

「助っ人?」

 

『そうだ。第二号聖遺物イチイバルのシンフォギアを纏う戦士、雪音クリスだ!』

 

 

 通信機から聞こえる弦十郎さんの頼もしい声。それで翼さんと奏さんも味方と判断したのか笑いかける。

 

 

「ならば、連携してノイズを!」

 

「ふん。いいか、アタシは好きにやらせてもらう!邪魔だけはするなよ!」

 

「あ、おい、待てバカ!」

 

 

 クリスが一人飛び出してクロスボウに変形させたアームドギアで空のノイズを撃ち抜いていく。

 

 

「仕方ない、空のノイズは彼女に任せよう。小日向、後方から援護を頼む。奏は……」

 

「わかってるさ、地上の奴らはあたしたちの獲物だ。一匹残らず叩き潰してやるさ!」

 

 

 翼さんと奏さんが怒涛の勢いでノイズを斬り伏せ、貫いてゆく。私はアームドギアの鏡とミラービットの計4つからビームを放って二人の隙を狙うノイズを優先して撃ち抜く。

 ノイズの攻撃をかわし一端後退した翼さんだけど、そこにクリスも後退してきて、背と背がぶつかってしまう。

 

 

「何しやがる!すっこんでな!」

 

「貴女こそ、いい加減にして。一人で戦っているつもり?」

 

「アタシはいつだって一人だ。こちとら仲間と馴れ合うつもりはこれっぽっちもねぇよ」

 

 

 クリスの物言いにムッとする翼。

 

 

「確かにアタシたちが争う理由なんて無いのかもな。だからって、争わない理由も有るものかよ。それに、この間までやりあってたんだぞ!」

 

「この間……?まさかお前、ネフシュタンの!?」

 

「人と人がそんな簡単に仲良く……」

 

「なれるよ」

 

 

 クリスの言葉を遮って未来がクリスの手を取る。

 

 

「クリスは響と仲良くなってたじゃない。だから響の親友の私とも、その仲間で友人の翼さんや奏さんとも仲良く出来るよ」

 

「な……」

 

 

 私はそっと奏さんの方にもう片方の手を出す。その意味を察してくれたのか奏さんは私の手を握り、アームドギアを地面に刺して翼さんの手も取った。同じように翼さんもアームドギアを刺して、クリスに手を出す。それを見たクリスは震えながら手を前に。そこを翼さんが先んじて握りしめた。

 

 

「なっ!?」

 

 

 それに驚いたクリスは翼さんの手を払い顔を赤くする。

 

 

「お前らバカなのか!?本気でアタシと……」

 

「ええ。貴女も仲良くしたいから手を出したのでしょう?」

 

「それは……」

 

「素直じゃないねぇ、クリスちゃんは。まるで可愛い時の翼みたいだ」

 

「奏!?私は、その……」

 

「誰が『クリスちゃん』だ!恥ずかしいからやめろ!」

 

 

 クリスが恥ずかしさから顔を背けた時、大型ノイズの影が私たちを覆った。それで再び戦いの雰囲気に戻った私たちはそれぞれのアームドギアを持つ。

 

 

「親玉を倒さないときりがない」

 

「……だったらアタシに考えがある。アタシにしか出来ないことだ。イチイバルの特性は超射程広域攻撃、派手にぶっぱなしてやる!」

 

「まさか、絶唱を!?」

 

「おい、それはやめろよ!」

 

「バカか。アタシの命は安物じゃねぇ」

 

「ならば、どうやって」

 

「ギアの出力を引き上げつつも、放出を抑える。行き場の無くなったエネルギーを臨界まで溜め込み、一気に解き放ってやる!」

 

 

 翼さんの問に自信満々に答えるクリス。それならいけるけど、問題は。

 

 

「だが、チャージ中は無防備も同然。これだけの数を相手にする状況では危険すぎる」

 

「それを守るのがあたしたちだろ?友人は助け合ってこそ、だろ」

 

「そうですね!私たちがクリスを守るよ!」

 

 

 クリスに手は出させない!私たちを抜きたいなら、この数の100倍を持ってきて!

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 あいつら……頼まれてもいないことを。アタシも引き下がれないじゃねぇか!

 小日向がアタシの数メートル前で、人気者どもはそれぞれ別れて地上のノイズを倒していく。なんでだろうな、フィーネに裏切られてからぐしゃぐしゃだった心が、あいつらの出してくれた手を繋いだ時から落ち着いてきた。響以外にも信頼出来そうなあいつらの力になりたいとアタシの心が叫んでいやがる!

 

 

「ぶっぱなせぇ!!!」

 

「「「託した!」」」

 

 

 両手に三連装ガトリング、肩には四発の大型ミサイル、腰には大量のマイクロミサイルを。くらいやがれ、こいつがアタシの最大出力だ!

 

 

MEGA DETH QUARTET

 

 

 マイクロミサイルとガトリングが小型の飛行型を、大型ミサイルが空のデカブツを全て撃ち落とした。見たか!アタシ様の力を!

 

 

「やったのか……」

 

「たりめぇだ!」

 

 

 集まったアタシたちはギアを解除する。

 

 

「お疲れ様、クリス」

 

「お、おう。だが、さっきも言ったがアタシはお前らの仲間になった訳じゃないからな!ただ、フィーネを倒したいのと、ようやく見つけた本当の夢を叶えたいだけだ」

 

「へぇ、クリスちゃんの夢ね。何か聞かせてくれよ、な?」

 

「だからちゃん付けはやめろって言ってんだろうが!」

 

 

 こいつ……。ほんとにわかってるのか!?

 アタシが怒ってると、アタシたちの持ってる通信機に連絡が入る。代表して剣の方のアイドルが出ると

 

 

『皆さん!急いでリディアンに戻って来て下さい!学校にノイズが――ザザザ』

 

「藤堯さん?誰か、司令!友里さん!緒川さん!………駄目だ、繋がらない」

 

 

 おい、それってヤバくないか?

 

 

「急ぐぞ、学校にはまだ生徒たちがいるはずだ」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「慌てずにシェルターに避難してください!」

 

「支部長!合唱部の避難終わりました!」

 

「軽音部もです!」

 

「よし!御姉様に任された受持ちはこれで全てよ。私たちも避難するわ!」

 

「はい!」

 

 

 私立リディアン音楽院。この時間は本来なら授業終わりで部活動に勤しんでいる時間なのだが、今は違う。突如現れたノイズの大群がリディアンを襲い、皆必死に逃げていた。

 翌日の仕込みの為に学校に残っていた響は、率先して部活動で残っている生徒や教師を地下シェルターへと誘導。それを見た親衛隊の勇敢な一部メンバーも響に誘導の協力を申し出た。すぐに響はメンバーを分割し、自分がノイズの出現場所に近い所へ向かい、親衛隊をその他の所へ派遣し避難誘導を頼んだ。すぐに自衛隊も駆け付け、次々と生徒たちを避難させていく。

 

 

「ビッキー!」

 

「ちょっと、これどうなってるの!?」

 

「学校がノイズに襲われるなんて……」

 

 

 逃げ遅れた人がいないか、響が確認していると弓美、詩織、創世の三人が声をかけてきた。

 

 

「君たち!早く避難を」

 

 

 そこに自衛隊所属の青年が駆け付け、避難を促す言葉を発する。しかし、その途中で窓を突き破って飛来したノイズに貫かれ炭となったことで止められた。

 

 

「キ、キャァァァァァ!!!」

 

 

 響き渡る弓美の悲鳴。事態の終息まで、まだ程遠い……。




『逆鱗』
巨大な(鈍器)で敵を殴るという未来の近接最強技。ただし、振り回すには未来の筋力値が足りない為、自身の真上に生成してその場で振り降ろす事しか出来ない。


親衛隊の勇敢なメンバー
こう書いて狂信者とも読む。普段の生活はかなり真面。素行も問題ない模様。親衛隊幹部とも言う。


奏がクリスをちゃん呼びしてるのはただからかってるだけです。この先は普通に呼び捨てになります。まあ、からかう時は別ですけど。


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敗北と奮闘とカブトムシと

暑い……最近気力が萎えてる……。この先少し更新遅くなるかも?頑張りますけど。
それと久々に白猫復帰して、ゼノンザード始めました。(やはりどうでもいい)


「キ、キャァァァァァ!!!」

 

 

 目の前で人が死ぬ。その惨状を初めて目にした弓美は悲鳴をあげ、他の二人も声こそ出ていないが酷く怯えている。不運な事に弓美の悲鳴に反応したのか、何体かのノイズが窓を破って校舎に入ってくる。響は三人を連れて逃げようとしたが、座り込んでしまった弓美が動かない。どうしたのか聞くと、

 

 

「ごめん、腰が抜けて動けない……。だから皆はあたしを置いて逃げてよ」

 

「板場さん!?何を言っているんですの!?」

 

「もしアニメだったらさ、正義のヒーローが助けに来てくれるんだろうけど、ここは現実。そんな都合のいい事なんて!」

 

「ならば助けてやる」

 

「え?」

 

 

 ノイズの迫る中、動けなくなった弓美が自棄になりかけたその時、響が前に出た。

 

 

「ビッキー、何を……?」

 

「あの人が言っていた。正義とは私自身。私が正義だ!」

 

 

 響が手を掲げると、ブゥゥゥンという羽音とともに空間を越えて飛んできたカブトゼクターが響の周りを何度か回り、その手に収まる。腰にはいつの間にかベルトが巻かれていた。

 

 

「変身」

 

【HENSIN】

 

 

 響の全身が鎧で覆われていく中、ノイズが響に突っ込む。最悪の結末を想像してしまった三人。しかし、鎧に包まれた響が拳をぶつけると、ノイズだけが炭となって消えた。信じられない出来事に三人の頭は固まった。

 

 

「キャストオフ」

 

【CAST OFF】

 

 

 さらにゼクターホーンを反対側に動かし、鎧をパージ。飛ばされた鎧がぶつかって炭になるノイズもいた。

 

 

【CHANGE BEETLE】

 

「クロックアップ」

 

【CLOCK UP】

 

 

 人やノイズには感知出来ない速度で動き、次々とノイズを殲滅していく響。それを見ていた三人は言葉に詰まっていた。

 

 

「凄い……」

 

「まさに正義のヒーロー……アニメみたい」

 

「立花さん……」

 

 

 実際の時間にして僅か数秒。その間に校舎に入り込んだノイズは駆逐された。だが今度は通路の壁が吹き飛び、そこから何かが現れる。その影を見た響は三人に向けて叫んだ。

 

 

「行け!早くここから離れろ!」

 

 

 それと同時に銃弾が響に放たれた。響はクナイモードのカブトクナイガンでそれの直撃を防ぐ。何者かと響が交戦に入ったと理解した三人は、刺激しないようにその場からゆっくりと離れた。腰を抜かせて動けない弓美は創世に背負われていたが。

 響は改めて敵の姿を確認した。敵は二人。その姿はいずれも重厚な鎧に包まれている。片方の手には蜻蛉がセットされている銃。もう片方は蠍がセットされている剣だ。

 

 

「……やはりドレイクとサソードか」

 

 

 その名前は仮面ライダードレイク・マスクドフォームと仮面ライダーサソード・マスクドフォーム。ネイティブに対抗するために造られたマスクドライダーシステムだ。

 ザビーとガタック、ホッパーはいないのか、と気になった響だがそれは思考の隅に追いやり、まず狙ったのはドレイク。遠距離から攻撃できる後衛は先に倒すべきだと判断した。クロックアップで加速し、カブトクナイガンでドレイクに一撃をと突っ込む。

 

 

【CAST OFF】

 

【CHANGE SCORPION】

 

 

 しかし、サソードがその手に持つ剣、サソードヤイバーを構えて間に割り込み、響の攻撃を受け止める。それと同時にサソードゼクターの尻尾をサソードヤイバーに押し込んでキャストオフ。同じくクロックアップを行い、弾け飛ぶ鎧と剣の一撃で響を押し返した。

 

 

【CAST OFF】

 

【CHANGE DRAGONFLY】

 

 

 そしてその間にドレイクもドレイクゼクターの尾の部分を引っ張りキャストオフ。これでこの場にいる全てライダーがライダーフォームへとなった。

 

 ドレイクはクロックアップを行わずに射撃を行う。その状態で放たれた弾丸は、本来ならクロックアップしている響にはほとんど止まっている様に見えていて、なんら脅威ではなかった。そう、()()()()

 だが、現在響が戦っている場所はリディアン音楽院校舎内、廊下だ。両側に壁があり、左右に動ける範囲が制限されていて思うように動き回れない。片側が窓であれば突き破って外に出るという選択肢があったが、それも不可能。後ろに退いた場合、先ほど逃げた弓美たちが被害にあう可能性がある。大きな隙を晒すことになるだろうから壁を壊すのも却下。よって広い場所に出るなら前に進むしかない。しかし、その前は弾丸とサソードが阻んでいる。

 

 

【CLOCK OVER】

 

 

 響はその身体能力を活かして、一度も攻撃を受けずに凌いでいたが、ここでクロックアップが終わる。その瞬間時間の流れが元に戻り、止まっている様に見えた弾丸も元の速さに戻る。しかし、サソードは未だクロックアップ中。サソードは響を何度も斬りつけ、ゼクターの尻尾をヤイバーに再び押し込む。

 

 

【RIDER SLASH】

 

 

 サソードのライダースラッシュが一閃。さらにドレイクの弾丸が追い討ちとばかりに響に命中する。

 

 

【RIDER SHOOTING】

 

 

 必殺技を連続して受けた響。流石に耐えられず後方へ大きく吹き飛ばされる。そのまま壁を、ガラスを突き破り外へ放り出され瓦礫に勢いよく叩きつけられる。

 

 

「うおっ、なんだ!?」

 

「……女の子?」

 

「おい、君!大丈夫か!?」

 

 

 ちょうどそこにはノイズを誘導していたらしい自衛隊の面々が。必殺技を受けた事と瓦礫にぶつかった衝撃で変身が解除され、カブトとしての姿は見られなかったようだ。

 

 

「何があったか聞きたいがここは危険だ。とりあえず向こうに避難を!」

 

 

 隊員がそう促してくるが、響の耳には入らなかった。カブトゼクターは響を心配するように肩に止まっていて、響は先ほど自分が飛ばされてきた方向を注視している。ドレイクとサソードがこちらに来ないか警戒しているのだ。

 

 

「大型ノイズが寄ってきたぞ!」

 

「このまま引き付けつつ、人のいない所まで行くぞ」

 

「了解!」

 

 

 だがドレイクとサソードが響を追って出てくる事はなかった。代わりに大型ノイズが複数、自衛隊へと引き寄せられてくる。

 

 

「まずい、ほら早く逃げて」

 

「……いや、それには及ばない。あの人が言っていた。二兎を追うものは二兎とも取れ。学校の皆の命も、あんたたち皆の命も、どちらもノイズごときに渡さない」

 

「何を言って……」

 

 

 響は肩に止まっているカブトゼクターを掴み、ベルトに装着。一気にキャストオフまで行い、ノイズへと駆けていった。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 二課からの緊急の連絡を受けて、私たちはリディアンへと急いで向かった。ヘリはノイズに落とされて、翼さんのバイクはいつもの如く、ノイズに突っ込ませるという乗り捨て行為のせいで修理が必要なレベルで破損してたから、走るしか手段は残されていなかった。

 

 

「おい、リディアンって所まであとどれくらいだ?」

 

「もう少しだ!」

 

「もう見えているよ!」

 

 

 そしてリディアンに着いた時、空は暗くなっていた。それでも綺麗だった校舎はボロボロ、瓦礫が散らばって、地面にもノイズとその被害者のものだったんだろう炭が沢山散らばっていた。

 

 

「そんな……私たちの学校が、帰る場所が……」

 

「ひでぇことしやがる……!」

 

 

 感傷に浸っていると、少し離れた所から戦闘音が聞こえてきた。

 

 

「ッ!誰かが戦っているのか!?」

 

「まさか、立花か!?」

 

「急ぐぞ!」

 

 

 リディアンの敷地に入って、その戦闘音の聞こえる所へ向かう。無事でいて、響!

 

 

 開けた場所に出ると、やっぱり響がいた。全身をあの鎧で覆っている響が向かい合っているのは、響と同じく全身を鎧で包んだ人が二人と……え?

 

 

「了子……さん?」

 

「これはてめぇの仕業か、フィーネェェェ!!!」

 

 

 響の元へ駆けつけて、了子さんを見たクリスが叫んだその言葉に私たちに緊張が走る。了子さんが、敵?

 

 

「おいおい、嘘だよな?なあ、了子さん。冗談だって言ってくれよ!」

 

「……嘘なものか。私はフィーネ」

 

 

 了子さんはそう言った後、一息ついて再び口を開いた。

 

 

「永久を生きる巫女だ!フハハハハ、ハハハハハ!!!」

 

 

 眼鏡を外して、くくっていた髪を解き、服が弾けとんで(……なんで弾けとんだの?)金色の鎧が了子さんを包み込んだ。あの鞭は見たことある。ってことはネフシュタンの鎧なの?でもクリスが使ってた時と色とか形が違う。

 

 

「……なあ、了子さん」

 

「フィーネだ」

 

「あの時の……あたし一人生き残ったあれも了子さんの仕業なのか?それにライブの時も……」

 

 

 あれ?ライブのは私と響が行ったあのライブの事だろうけど……。

 

 

「その通りだ。それだけでなく、ここ最近のノイズに関するのも、広木大臣の殺害も、全て私が手引きした」

 

「なぜそんな事を!」

 

「決まっている。そう、全てはカ・ディンギルの為!」

 

 

 その言葉と共に地面が激しく揺れて、残っていた校舎も崩れ去る。そして代わりに大きな塔が競り出てくる。

 

 

「なんて物を……」

 

「櫻井女史、貴女は一体……」

 

フィーネだと言っておろうが!

……こほん、まあいい。私が何者か、か。この私、フィーネは超先史文明期の巫女であった。遺伝子に己が意識を刻印し、自身の血を引く者が、アウフヴァッヘン波形に接触した際、その身にフィーネとしての記憶、能力が再起動する仕組みを施していたのだ。12年前、風鳴翼が偶然引き起こした天羽々斬の覚醒は、同時に、実験に立ち会った櫻井了子の内に眠る意識を目覚めさせた……。その目覚めし意識こそが、この私なのだッ!」

 

 

 つまり、昔の人であるフィーネが本物の了子さんの意識を塗りつぶして出てきたって事?

 

 

「それに、フィーネとして目覚めたのは私一人ではない。歴史に記される偉人、英雄……世界中に散った私たちはパラダイムシフトと呼ばれる歴史の転換点に幾度も立ち会ってきたのだ!」

 

「まさか、シンフォギアシステム!?」

 

「そのような玩具、為政者からコストを捻出するための副産物に過ぎん。……ああ、小日向未来のシンフォギアも()()()()()()が作り上げた物だ」

 

 

 私のシンフォギアも……了子さん、いやフィーネが。

 

 

「御託はいい。こんなものまで造り上げて、お前の目的はなんだ?」

 

 

 ずっと相手の動きを観察して警戒していた響が声をあげた。そうだ、フィーネの目的は一体……。

 

 

「ふっ、そうだな。冥土の土産に貴様らに教えてやろう。

今宵の月を穿つ事だ!!!




色々と難産でした……。

ゼロワンはいいなぁ。腹筋崩壊太郎とかマモルとか……。あ、でもアルトのネタは……うん()


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番外編:天道響の誕生日

違和感ありありなキャラにはご注意ください、そして目を瞑ってください。
1日で書いたクオリティなのと、こういうの初めて書いたからよくわからない話になってるかも……。本編の方はそんなことにならないようにしてますので、つまらなくてもお気に入り解除とかはしないで頂けると嬉しいです。


「うーん………」

 

 

 私、小日向未来は悩んでいた。新学期が始まって数日。もうすぐ響の誕生日なのに、プレゼントをどうしようか決まっていないから。翼さんも奏さんも、クリスも皆用意は出来たって言っていた。………どうしよう。そうだ、ひよりちゃんに相談しよう。

 

 

 

 

 

 と、言うわけでひよりちゃんの家(響の家でもある)に行って聞くことに。

 

 

「え?未来お姉ちゃん、まだプレゼント決まってなかったの?」

 

「うん、いつもは服とか料理道具とかプレゼントしてたけど、今年は違うのにしようかなって。ひよりちゃんは何を渡すの?」

 

「あー……これから取りに行くんだけど……うん、大丈夫かな?」

 

 

 どう言うこと?疑問に思っていると、チャイムがなった。それにひよりちゃんが出て、私もついてきてって言われた。

 

 

「はーい!お久しぶりです!()()()()()

 

「やっほー、ひよりちゃん。迎えに来たよ。ってそっちの子は?お姉さんじゃないよね?」

 

 

 玄関から出た所で待っていたのは黒のスーツに身を包んだ女の人。後ろには彼女のだろう黒塗りの車が停めてあった。

 

 

「お姉ちゃんの親友の未来お姉ちゃんです!……その、お姉ちゃんの誕生日プレゼントで悩んでいるみたいで、一緒に行ってもいいですか?」

 

「えっと、そうだね……うん!いいよ!」

 

「え、あ、ありがとうございます。私は小日向未来です。よろしくお願いします」

 

「私は仮野明日菜。よろしくね、未来ちゃん」

 

 

 明日菜さんを加えた私たち三人は車に乗り込んだ。どこに向かうかひよりちゃんに聞いたけど、ついてからのお楽しみだって言われて教えてもらえなかった。

 3~40分ほど経った頃だろうか。目的地に着いたみたいで車から降りると、なんとそこは。

 

 

「え、ここって……」

 

「はい、ようこそ幻夢コーポレーションへ!」

 

 

 幻夢コーポレーション。日本だけでなく、世界規模で有名なゲーム会社。販売するゲームのどれもが発売後即完売は当たり前。再販されてもやっぱり即完売。それだけの面白さがここのゲームにはあるんだろう。

 

 

「明日菜さん、神様たちは?」

 

 

 へ?神様?……ここって中に神社でもあるの?

 

 

「黎斗ならたぶん社長室だと思うよ。他の人たちは私が出たときにはいなかったから、ちょっと……」

 

 

 はい?社長?………うん、聞き間違いだよね?確かにここの社長さんの名前は『檀黎斗』さんだったけど……神様?

 

 

「とりあえず黎斗の所へ行こっか。……未来ちゃん?」

 

「あっ、はい!今行きます」

 

 

 

 

 

 案内されたのはやっぱり社長室。会社の中に入って最初に警備員の守るゲートがあったけど、明日菜さんが一言言うと特に何もなく通して貰えた。ひよりちゃんは取り出したパスを見せて普通に通ってたけど。途中で話を聞くと、明日菜さんは社長秘書らしい。……ひよりちゃんって何者?普通の中学生って大企業の社長さんとかと知り合うことってないよね?

 で、社長室に入ると。

 

 

「神様ー!」

 

 

 さっそくひよりちゃんが突撃して抱きついた。ってええ!?

 

 

「いつものことだから気にしなくていいよ」

 

 

 いつもなの!?で、なんで神様?

 

 

「知ってると思うけど、彼がここの社長の『檀黎斗』だよ」

 

「ちがぁぁぁぁぁう!!!」

 

「きゃっ!?」

 

 

 え、何!?社長さんが明日菜さんの紹介に対して大声で否定した。

 

 

「私のォォォ名前はァァァ………檀!黎斗!!(しん)だァァァァァァ!!!!ヴェハハハハ!!!」

 

 

……………えぇ(ドン引き)

 

 

「こら!黎斗!うるさいよ!」

 

「黙れ、ポッピー!」

 

「ピポッ♪……じゃないよ!?今の私は明日菜だよ!いい加減にしないとおやつの苺抜きだからね!」

 

「申し訳ありませんでした明日菜様。私が全て悪うございました」

 

 

 早い!?しかも土下座……。苺抜きって言われるだけでそんな……。一瞬で幻夢コーポレーションの社長さんの印象が決定付けられたのだった。

 

 

 

 

 

 

「んんっ!先程は失礼した。私は幻夢コーポレーション社長の檀黎斗だ」

 

「あ、えっと、小日向未来です。ひよりちゃんの姉の親友です」

 

 

 落ち着いた所で自己紹介。さっきのはなんだったんだろう?

 

 

「さて、し……ひより。君の用件はわかっている。これだろう?」

 

 

 そう言って黎斗さんがデスクの上に置いてあったチップをひよりちゃんに渡す。

 

 

「ちゃんと君の設計通りになっているはずだ」

 

「うん!ありがとう、神様!」

 

「私の信者である君の願いを叶えるのは当然なのだからな!ヴェハハ、げふっ!?」

 

 

 真面目になったと思いきや、またも叫びだした黎斗さんを明日菜さんがハリセンでひっぱたいた。

 

 

「真面目にやりなさい、黎斗。で?他の人たちは来てるの?」

 

「ポッピーのくせに……。ああ、会議室で待っている」

 

「わかった。よし、行くよひよりちゃん、未来ちゃん」

 

 

 明日菜さんは先頭に立って私たちを会議室まで案内するために歩きだす、黎斗さんの襟を掴みながら。

 とりあえず見なかったことにしよう。黎斗さんの名誉の為にも。

 

 会議室には三人の男の人が待っていた。彼らはそれぞれひよりちゃんに気づくと、こっちに寄ってきた。ひよりちゃんも顔が明るくなってきている。

 

 

「呉島さん!戦極さん!鴻上さん!」

 

 

 ん?待って、三人のうち二人はどこかで聞いたことのある名前なんだけど?……いや、まさか。

 

 

「久しぶりだな。おや、そちらは?」

 

「私のお姉ちゃんの親友の未来お姉ちゃんだよ!」

 

「小日向未来です」

 

「私はユグドラシルコーポレーションの日本支部長、呉島貴虎だ」

 

「同じくユグドラシル所属の研究員、戦極凌馬だ」

 

 

 やっぱりあのユグドラシルの!?世界各地で介護や保険を提供していると言われている……。で、後の一人は……なんで鼻歌?このメロディーは、ハッピーバースデー?

 

 

「ハッピーバースデー!我らの出会いを祝おうじゃないか!」

 

「は、はぁ……」

 

「ああ、私は鴻上ファウンデーション会長の鴻上光生」

 

 

 えーと、鴻上ファウンデーションは確かかなり大きな会社だけど……何やってるかわからない企業で有名なんだよね。それを言ったらユグドラシルも似たようなものだけど。

 

 

「さて、これが頼まれていた物だ。大事に使ってくれたまえ」

 

「ありがとうございます!」

 

「こっちは私から。誕生日用のケーキだ」

 

「は、はぁ」

 

 

 ひよりちゃんが戦極さんに端末を渡されて、私は鴻上さんにケーキを渡された。誕生日……ってもしかして響の?となると鴻上ファウンデーションはケーキ屋?

 

 

「ねぇ、未来お姉ちゃんがお姉ちゃんへの誕生日プレゼント決まらないみたいなんだけどどうしたらいいと思う?」

 

 

 ひよりちゃん!?相談する相手おかしいよ!?大企業の社長さんたちにする話じゃないって!

 

 

「プレゼントか……申し訳ないがそれは私の管轄外だね。というわけで貴虎、君に任せたよ」

 

「待て、凌馬!……ったく、あいつは」

 

 

 戦極さんはそう言って部屋を出ていった。

 

 

「そうだな。誕生日のプレゼントなら相手が喜ぶと思う物を選ぶべきだな。ひよりの姉の好みがわからんから私からはこれ以上は言えんが」

 

「確かにそれも大事だが、それよりも大事な事がある!」

 

「え?」

 

 

 呉島さんの言葉の後に鴻上さんが話す。

 

 

「君の欲望を押さえつけるな、ということだ」

 

「……はい?」

 

 

 ごめんなさい、言ってることがわかりません!

 

 

「相手の為になるプレゼント。確かにそれもいいでしょう。だが、それよりも君の欲望をもっと解放したまえ!例えば相手と遊びたいなら、遊ぶ為の物をプレゼントしたり、映画をみたいならチケットを渡せばいい。ずばりそういう事だよ」

 

 

 私が響としたいこと………。もっと一緒にいたい。これからも仲良くしたい!

 

 

「どうやら決まったようだね」

 

「はい!ありがとうございました!」

 

「では、私たちはこれで失礼するよ」

 

 

 鴻上さんと呉島さんも帰っていき、わたしとひよりちゃんも黎斗さんに挨拶して帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 パァーンとクラッカーが鳴り渡る。二課の仮本部の潜水艦に半ば無理矢理響を連れてきて部屋に入るとこの歓迎だ。

 

 

「誕生日おめでとーー!!」

 

「……ああ、感謝する」

 

「おいおい、固いぞ。笑え……って照れてるのか?」

 

 

 短く一言だけ言った響に絡んでいった奏さんだけど赤くなってる響を見て察したみたいだった。

 

 

「よし、まずはプレゼントだな。あたしからはこれ。ペンダントだ!」

 

 

 奏さんが渡したのは赤い、カブトムシを象ったペンダント。明らかに響の『カブト』をイメージしてる。

 

 

「私からはこれだ」

 

 

 翼さんの出した物は着物。色は赤と紫だ。

 

 

「立花と小日向をイメージした色を選ばせてもらった」

 

 

 着物姿の響……。それは是非見てみたいな。それで、後は私とクリスなんだけど……。

 

 

「ほら!アタシたちが頑張って作ったんだ。残さず食べてくれよな!」

 

「どうぞ召し上がれ」

 

 

 私が選んだのは料理。まさかのクリスと被ったけど、このパーティーに出るのは私たちだけでなく二課の皆も。そのため、料理はいくらあっても困らない。……まあ、響の作ったものには敵わないと思うけど、自信作ではある。

 

 

「その……どうだ?」

 

「美味しい?」

 

 

 いくつか見た目の悪いのが私たちの作ったやつ。これからも響と一緒にいられますようにと願いを込めて作った。ちなみに私たちの作ったの以外の料理はオペレーターの藤堯さんが作ったもの。趣味が料理らしく、けっこうな腕前だった。

 

 

「ああ、とても美味しかった」

 

 

 その言葉がとても嬉しくて、つい響に抱きついちゃった。お誕生日おめでと、響。これからもずーーっと一緒だからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば響。ひよりちゃんからプレゼント貰った?」

 

「ああ。最新型の携帯端末らしい」

 

 

 見せてもらうと、まず裏側にはユグドラシル、幻夢コーポレーション、鴻上ファウンデーションにS.Brainのロゴが小さく入っていた。さらに端末を起動する時間も既存の機種より圧倒的に速くて、動作も信じられないくらいサクサク。しかもセキュリティも国家レベルより上だとかなんとか……。流石にそれは嘘だろうと藤堯さんと友里さんがハッキングに挑戦してみると全く手も足も出なかった。……ひよりちゃん、なんて物を。作ったのは名だたる大企業だけど。




仮野明日菜
幻夢コーポレーション社長秘書。バグスター等ではなく、普通の人間である。社長である檀黎斗の幼なじみ。ポッピーピポパポという名前で幻夢コーポレーション所属のモデルもしている。彼氏が欲しいと思っているが、黎斗から目を離せないので一向に出来る気配がない。

檀黎斗
幻夢コーポレーション社長。神。

呉島貴虎
三大何やってるかわからない企業の一つ、ユグドラシルコーポレーションの日本支部長。

戦極凌馬
ユグドラシルの研究員。よく意味のわからない物を作っては騒ぎを起こしている。噂では自爆プログラムを研究室に仕掛けたとかなんとか。

鴻上光生
三大何やってるかわからない企業の一つ、鴻上ファウンデーションの会長。事あるごとにケーキを作って祝ってくる。


なお、彼らの本編での出番はありません。名前だけなら出てくるかも知れませんが。


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最終決戦!……その前に

遅くなりましたぁ!すいません。


 響が校内でドレイクとサソードと戦闘している時のこと。独自の調査でカ・ディンギルの正体を見抜いた緒川が二課に戻りそれを伝えようとしていた。

 

 

「カ・ディンギルの正体は………!?」

 

『おい、どうした緒川!?何があった』

 

 

 エレベーターで司令室へ向かいつつも通信機で連絡をとっていたが、その最中エレベーターの天井を突き破ってきた何かが緒川の持つ通信機を破壊、同時に緒川自身を背後から床に押さえつけた。

 

 

「まさか、こうも早く悟られるとは。何がきっかけだ?」

 

 

 緒川を押さえつけたものの正体は女。片手に金色の剣を持ち、鞭のついた金の鎧を纏うフィーネだ。彼女は押さえつけた緒川を睨み付けながら問いただす。

 

 

「塔という目立つものを人知れず建造するのであれば、既にある建物を利用するか、地下へと伸ばすしかありません。そんな事が出来るのはスカイタワー以外だと『ここ』、二課のエレベーターシャフトのみ。そしてそれを可能とするのはただ一人、貴女ですよね。了子さん」

 

「ふん、正解だ。漏洩した情報を逆手に上手くいなせたと思っていたのだが」

 

 

 フィーネがそこまで言うと同時にエレベーターは目的地に到着した。扉が開くと同時にフィーネは緒川を外へと蹴りだした。緒川は転がりながらも体勢を建て直し、拳銃を抜いて三発フィーネへと放った。だがそれは全てフィーネの振った剣に弾かれる。弾丸を弾いた剣に傷は一つも見られない。

 

 

「ッ!まさか、それはデュランダル!?それにその鎧も……」

 

 

 フィーネは鞭で緒川を捕らえ、壁へと叩きつける形で放り出す。そして倒れた緒川を無視してデュランダルを収めるが為に保管庫へと歩みを進めるフィーネ。自身の持つ『櫻井了子』としての通信機でロックを外そうとしたが、すんでの所で緒川の放った銃弾によって壊された。

 

 

「貴女をその先にはいかせません!」

 

 

 立ち上がった緒川は拳銃を投げ捨て、捨て身での格闘を仕掛けようと構える。だが、それが行われる事はなかった。

 

 

「待ちな、了子」

 

 

 弦十郎が廊下の天井を突き破り、緒川とフィーネの間に立ち塞がるように降り立ったからだ。

 

 

「ふん、まだ私をその名前で呼ぶか」

 

「女に手をあげるのは気が引けるが、これ以上手を出させる訳にはいかん。手を出すならば、俺がお前をぶっ倒す!」

 

 

 その男、特異災害対策機動部二課の司令官にして、飯食って、映画見て、寝るという方法(独特な鍛練)で憲法違反クラスの肉体を持ち、まさに人類最強とも言える強さを誇る者。名を、風鳴弦十郎という。

 

 

「調査部だって無能じゃない。米国政府のご丁寧な道案内でお前の行動にはとっくに気づいていた。後は燻り出す為にあえてお前の策に乗り、シンフォギア装者を全て動かしてみせたのさ!」

 

「……陽動に陽動をぶつけたか。くえない男だ。だが、それで私を止めれると思ってか!」

 

「おうとも!後程じっくりと話を聞かせてもらう為にも、止めてみせる!」

 

 

 弦十郎がフィーネに向かって飛び出すのと、フィーネが弦十郎に鞭を振るったのは同時だった。放たれた二本の鞭。その片方を拳で受け流し、もう片方はジャンプすることで避ける。そして飛び上がった勢いのまま天井を蹴り、拳を握りしめフィーネへと一直線に突撃する。

 

 

「はあぁぁぁ!!」

 

「チッ!」

 

 

 その拳をフィーネはデュランダルの腹で受け止める。『不朽不滅』の特性を持つデュランダルには傷一つついていない。だが、その衝撃はかなりのもので床にはヒビが入り、更にネフシュタンの鎧にまで傷がついた。

 

 

「何!?」

 

 

 驚いたフィーネはそのままデュランダルを振り、弦十郎を後退させる。すでにネフシュタンについた傷は修復されているが、脅威には変わりなかった。後退した弦十郎が体勢を建て直す前に仕留めようとフィーネは鞭を伸ばす。しかし、弦十郎は一瞬で体勢を整え鞭を掴み、フィーネごと自身の方へ引き寄せる。

 

 

「むんっ!」

 

「が、は……」

 

 

 振り抜いた拳がフィーネの腹に直撃。弦十郎の後ろに飛ばされ、床に倒れ伏す。同時にデュランダルもその手から床へと落ちる。

 

 

「生身で完全聖遺物を砕くとは……。どういう事だ!?」

 

「知らいでか!飯食って映画見て寝る!男の鍛練はそれで十分よ!」

 

「んな馬鹿な事があるか!?……だが、人の身なればノイズには抗えまい!」

 

 

 馬鹿げた理論を当然のように口にする弦十郎に対し、フィーネはノイズを出そうとソロモンの杖を取り出す。が、使用する前に飛び込んできた弦十郎により、手から弾かれ呆気に取られるフィーネ。そしてその隙を逃す弦十郎ではない。拳を振りかぶり降ろそうとするその瞬間。

 

 

「弦十郎くん!」

 

 

 フィーネではなく、櫻井了子の声で言われた言葉に動きが止まってしまった。そしてそれは致命的な隙でもあった。

 

 

「がはっ!?」

 

「司令!」

 

 

 これまで影も気配もなかった鎧の剣士(サソード)が現れ、その手のサソードヤイバーで弦十郎の腹を突き刺したのだ。刺さったヤイバーがそっと引き抜かれると弦十郎はその場に倒れ伏す。

 

 

「殺しはせん。お前たちにそのような救済を与えてなるものか」

 

 

 フィーネは弦十郎の懐から通信機を取り出し、デュランダルを拾って保管庫へと歩みを進める。ソロモンの杖はいつの間にか来ていたドレイクが確保している。

 緒川は重傷を負い意識を失った弦十郎を放っておく事は出来ず、フィーネたちを追いかけることは出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 弦十郎を担いだ緒川が本部司令室に辿り着くと、職員からは驚きの表情が感じ取れた。

 

 

「二課本部に侵入者です!敵の……フィーネの正体は櫻井了子!」

 

「そんな!」

 

「急いで装者たちに通信を!」

 

 

 藤堯、友里が中心となり急ぎ通信を試みる。最初の数秒だけ繋がったが、後は内部から通信が遮断された事により届いたかはわからない。二課の面々は装者たちの無事を祈りつつも通信の繋がる場所を探す為に、最低限の荷物を持ち出し部屋の外へと出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「……ビッキーは大丈夫かな」

 

「立花さんを信じるしかありませんわ」

 

 

 地下シェルターの一室。響に守られて逃げた弓美たちは近かったここに駆け込んだ。避難してから何度か激しい揺れに襲われ、今は机の下に隠れている。

 

 

「大丈夫……。響ならきっと……」

 

 

 弓美は不安なのか、自分を落ち着けようとぶつぶつと呟いている。

 そんなとき、ドタバタと人の足音が聞こえて部屋の扉が開く。

 

 

「よし!ここの設備は生きてます!」

 

「周辺の監視カメラに接続します!」

 

 

 入ってきたのは藤堯と友里を始めとする二課のメンバー。何事かと驚いていた三人だが、その説明はここに運ばれてくる途中で意識の戻った弦十郎から行われた。

 

 

「我々は特異災害対策機動部。一連の事態の収束に当たっている」

 

「特異……それって政府の?」

 

「回線再接続完了!モニターに映します!」

 

 

 地上との通信に成功した藤堯の持つパソコンに映像が映し出される。気になった弓美たちも後ろから覗きこんだ。そして驚きの声をあげた。

 

 

「未来にツヴァイウィング!?」

 

「それに、あの赤い鎧は……」

 

「立花さん、ですわよね」

 

 

 モニターに映し出されたのは、フィーネと二人のマスクドライダーシステムを相手取る未来たちシンフォギア装者と『カブト』響だった。




いつもより短い文量なのに期間空いてしまった……。明日からは学校けど投稿間隔出来るだけ空かないように頑張ります。目標、今月中の無印完結!


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夢、落つる前に

本当は昨日の夕方に投稿するつもりだったけど、リアルでトラブルが発生して出来ませんでした……。予定より半日の遅れ、でもまだ目標は達成できるはず。


【【CLOCK UP】】

 

 

 私たちがギアを纏って、フィーネと向かい合った瞬間、響と蠍みたいな鎧の戦士は同じ電子音を残してその場から消えた。正確には超高速で動いているだけなのだけど。

 私たちも翼さんと奏さんを前衛に、私とクリスを後衛としてフィーネへと攻撃を仕掛ける。

 

 

「全部持ってけ!」

 

 

MEGA DETH PARTY

 

 

 クリスが開幕早々、大量の小型ミサイルを放つ。だけど、それはフィーネの振るった鞭と蜻蛉のような銃を持った鎧の戦士によって全て落とされた。でも……!

 

 

「はあぁぁぁ!!」

 

「そらよっ!」

 

 

 落とした時に発生した爆煙を目眩ましに翼さんと奏さんが突っ込む。翼さんの連続した斬擊を短く持った鞭を剣のようにして捌き、奏さんの刺突は鞭を格子状に展開してバリアを作って防いだ。その隙間に私がビームを放つけど、軽く体を捻っただけで避けられてしまった。

 

 

「……想定の範囲内だな。ドレイク、貴様はサソードと共にカブトを始末しろ」

 

 

【CLOCK UP】

 

 

 銃の方がドレイクで、剣の方がサソードって名前かな?覚えたよ。それにしても想定の範囲内って……。私たちを舐めないで!

 

 

「まだだっ!もっかい行くぞ、翼!」

 

「ええ!」

 

「クリス、行くよ」

 

「ああ!」

 

 

 先ほどと同じ様に翼さんと奏さんがフィーネへ接近。フィーネに攻撃の隙を与えないように連続で畳み掛けていく。その間に私はミラービットとアームドギアの鏡を連結して大きくし、エネルギーをチャージしていく。クリスは背中に二発の大型ミサイルを背負う。

 

 

「「いっけぇぇぇぇぇ!!!」」

 

 

 そして同時にビームを、ミサイルを放った。狙いはフィーネ……の後ろのカ・ディンギル!翼さんと奏さんは左右に別れてフィーネの逃げ道を塞ぐ。当たれば大勝利、防がれてもフィーネは疲労する。最善の一手だと思う。

 

 

「チッ!させん!」

 

 

 フィーネは伸ばした鞭でミサイルを掴み、軌道を無理矢理動かして私の放ったビームにぶつける。そこで大爆発が起きて、フィーネも含めて私たち全員がその場から吹き飛ばされる。

 

 

「くっ……もう一発はどこだ!」

 

 

 そうだ、クリスの用意していたのは二発。でも発射したのは一発。じゃあ残りの一発は?それにクリスもいないし。

 

 

「 Gatrandis babel ziggurat edenal 」

 

 

 クリスを探して周囲を見回すと、空からクリスの歌が聞こえてきた。この歌は、まさか……。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 一方。クロックアップして超高速の世界に入っていた響。サソードと何度も刃を交えていると、だんだんと一つの感情が響の心を埋め尽くしていった。その感情の名前は()()。初めは理由がわからなかった。なぜ、怒りを感じているのか。だが、ドレイクが合流してしばらく経つとその理由を理解した。彼らからは『心』が、『信念』が感じられないのだ。

 響はカブトの正規適合者である天道総司に凄く憧れている。日々、天道総司に近づけるように研鑽を積んでいる。もちろん、性別の違い等から完全に同じことが出来るとは思っていない。何しろ、人は他人にはなれないのだから。だから響は自分なりの『天の道』を往こうとしている。憧れからきたその『心』は、『信念』は、本物だ。

 しかし、このサソードとドレイクはどうだ。確かに装備を見事に使いこなし、戦闘能力もある。状況的不利だったとは言え、一度は響を下している。だが、それだけだ。自分に対する絶対的な自信を持ち、『貴族として姉の仇でもあるワームを狩り庶民を守る』。女性にしか興味のない、女性の味方『花から花へと渡る風』。このような彼らの『信念』が欠片も感じられない。ただ、ライダーとしてのサソードとドレイクの皮だけを被った偽物だ。それは響にとって、『仮面ライダーカブト』という作品を侮辱する事と、響の憧れた天道総司を侮辱する事と同じだ。

 

 

 故に。

 

 

【RIDER SLASH】

 

【RIDER SHOOTING】

 

 

 放たれたサソードとドレイクの必殺技。先ほど響が変身解除に追い込まれたそれを、

 

 

【RIDER KICK】

 

 

 絶妙なタイミングで、僅かに先行していたライダーシューティングをサソードに向けて蹴り返した。そしてライダースラッシュとぶつかり合い大爆発。

 

 

【CLOCK OVER】

 

 

 そしてクロックアップが終了する。奇しくもそれは、未来たちとフィーネの所でミサイルとビームが衝突したのと同じタイミングだった。

 ライダーキックの威力が乗ったライダーシューティングを受けたサソードは変身が解除されて、ヤイバーが地面に刺さり、ゼクターもその横に落ちていた。変身者とみられる者は燃え、炭と化していて誰かは判別出来なかった。

 

 

「 Gatrandis babel ziggurat edenal 」

 

 

 残りはドレイクとフィーネ。未来たちでは対処の難しいドレイクを倒そうとしたとき、クリスの歌が戦場に響いた。

 

 

「この歌は……」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「 Gatrandis babel ziggurat edenal 」

 

 

 

 フィーネの思い通りにはさせない。アタシと小日向の一撃が止められた以上、カ・ディンギルの発射に次の攻撃は間に合わない。だから、アタシは唄う。

 

 

「 Emustolronzen fine el baral zizzl 」

 

 

 あいつらには怒られんだろうな。でも、アタシしか空高くまで上がれるのはいない。

 

 

「 Gatrandis babel ziggurat edenal 」

 

 

 いつだったか響が言っていたな。『私が望めば、運命は絶えず私に味方する』って。だからさ、アタシに力を貸してくれよ。フィーネを止める力を。

 

 

「 Emustolronzen fine el zizzl 」

 

 

 そんで………パパ、ママ。アタシは引き継ぐよ。パパとママの『歌で世界を平和にする』って夢を。その為にまずは!

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

「一点収束!?押し留めているだとぉ!?」

 

 

 クリスの絶唱はカ・ディンギルから放たれた月を穿つ砲撃を押し留めている。響はまだ戦闘を続けているけど、私を含めたその他の皆はクリスとカ・ディンギルの衝突の行方を見守っている。

 次第にクリスの絶唱がカ・ディンギルに呑み込まれていく。

 

 

「負けないで、クリス……」

 

 

 そう祈るけど、残念ながら通じなかった。クリスも呑み込まれ、カ・ディンギルの一撃は月へと届く。だけど、クリスのお陰で逸れたようでごく一部が欠けただけだった。

 そして、空から落ちてくる一筋の光。ここからじゃよく見えないけどわかる。あれはクリスだ。下の森林へと落ちて、激しく土煙が舞い上がる。いくらシンフォギアを纏っているといってもあれじゃあ………。それを見て私の足から力が抜けて座り込んだ。せっかく響に出来た友達なのに……。

 

 

「バカ野郎……お前は自分の本当の夢を見つけたばかりなんだろうが……」

 

 

ドックンッ

 

 

「その身を犠牲に月を守ったか。無駄な事を」

 

 

 無駄?クリスの尽力を無駄?

 

 

ドックンッ

 

 

「無駄、だと!?」

 

「ふざけるな!」

 

「見た夢を叶えられずして散ったのだ。そんな愚図を笑って何が悪い」

 

 

ドックンッ

 

 

「嗤ったか……?命を燃やして大切なものを守り抜いた事を。お前は無駄とせせら笑ったか!」

 

「フィーネ、やっぱりてめぇだけは……」

 

 

………さない。

 

 

「フィーネェェェェ!!!!」

 

 

 絶対に許さない!クリスを、私と響の友達を馬鹿にするなんて!

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「小日向!?」

 

 

 一体何が起きているのだ?小日向が叫んだと思えば、その身が黒く塗り潰されて暴れだした。まるで獣のように。

 

 

「小日向未来の使っている神獣鏡はシンフォギアのプロトタイプ。故にその性能はダントツで低いが、シンフォギア自体にかけられているロックの数も少ない」

 

「何を言ってる!貴様は小日向のこの状態を知っているのか!」

 

「簡単に言えば聖遺物の暴走だ。……おっと。小日向未来の気持ち……この場合は怒りか?それに神獣鏡が共鳴してギアの出力が引き上げられているのであろう。だが、先ほど言った通りロックの数が少ない故、制御しきれず暴走と言ったところだ。……プロトタイプとは言えここまで力を引き出すとは、実に興味深い」

 

 

 暴走した小日向の攻撃に晒されながらも、フィーネは軽くあしらいながら説明する。

 

 

「奏、小日向を……」

 

「ああ、止めないと不味い気がする」

 

「させるものか!」

 

 

 奏と一緒に小日向を止める為に駆け出そうとすると、フィーネがソロモンの杖を取り出して大型ノイズを複数体呼び出した。フィーネ、貴様というものは!

 

 

「未来は私に任せろ」

 

【ONE TWO THREE】

 

「ライダー……キック」

 

【RIDER KICK】

 

 

 急ぎ、ノイズを倒していこうとした私たちの耳に声が聞こえた。私たちの後輩で、リディアンの料理担当で、何よりも小日向の親友の声が。そしてその声と同時に飛んできた何か――フィーネと共にいた銃の戦士――がノイズにぶつかり、その上に現れた彼女の蹴りでノイズ諸とも爆発した。

 

 

「任せていいんだな?」

 

「ああ」

 

「ならば私たちがフィーネを止める。行くよ、奏!」

 

 

 立花に小日向を任せ、私たちはフィーネへと駆け出した。



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愛故に

(実はまだXV12話見てない作者です)


「馬鹿な。カブトごときにサソードとドレイクが敗れただと!?そんなはずは……」

 

 

 フィーネのそんな呟きを耳にしつつも、響は怒りで暴走している未来を抑えにかかる。

 

 

「目を覚ませ、未来!」

 

「う゛う゛う゛……あ゛あ゛あ゛!!!」

 

 

 声をかけ、落ち着かせて正気に戻そうとするが、効果はない。今度は響を標的に定めたようで、ビームを放ったり、鏡で殴りかかったりしてくる。未来に対して手を出せない響。避ける、受け流す、受け止めるしか出来ない。

 一方、暴走している未来は更に攻勢を強める。鏡を巨大化させ、所構わず振り回す。

 

 

逆鱗

 

 

「ッ!クロックアップ!」

 

【CLOCK UP】

 

 

 この質量による攻撃はカブトの鎧があっても何度も受けられるものではないと、クロックアップして回避する。響は未来の行動に注意しながらも、この伸びた時間でどうやって未来を正気に戻すかを思考する。しばらくして考えが決まったのか、クロックアップを解除して未来の前方に立つ。

 

 

「う゛う゛う゛……」

 

「行くぞ、未来」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「ふっ!」

 

「そこだッ!」

 

 

 クリスと未来という後衛を失った翼と奏だが、フィーネが冷静でないのもあってか、押している。フィーネが冷静さを欠くのも仕方ない。彼女の筋書きとしては、自分がシンフォギア装者を抑えている間にサソードとドレイクがカブトを撃破、そしてクロックアップへの対抗策を失った装者たちを倒し、カ・ディンギルで月を穿つ。この筋書きが根底から覆されたからだ。カ・ディンギルは何度でも放てるため、一撃目を止められたのはまだ許容範囲だ。その後、小日向未来が暴走したのも想定外でこそあれ、脅威にはならない。しかし、カブトにサソードとドレイクが敗れたのはフィーネにとって大打撃である。例え自身がネフシュタンの鎧と融合した不死身の肉体であっても、クロックアップにはついていけず、それを持ってカ・ディンギルを破壊されては月を穿てないのだから。

 

 

「この……調子に、乗るなぁ!」

 

 

 フィーネは二人のアームドギアを腕ごと鞭で掴んで持ち上げる。急に上に向かって引き上げられた二人は反応出来ず、そのまま地面に叩きつけられる。

 その間にもフィーネは思考する。ちょうどいい具合にカブトは暴走した小日向未来と戦闘している。カ・ディンギルの二発目もまもなくチャージが完了する。そこまで理解したフィーネは笑みを浮かべ、その時を待つことにした。もう既に焦りも消えている。

 ボロボロになりつつも、なんとか抜け出した二人はフィーネの笑みと激しく光るカ・ディンギルに気付いた。

 

 

「まさか、まだ撃てるというのか!?」

 

「――そんなに驚くことではなかろう。いかにカ・ディンギルが最大最強の兵器であろうと、一発しか撃てないのであれば欠陥品と同じだ。必要がある限り何度でも撃ち放てる。その為にエネルギー炉心にはデュランダルを取り付けてある!それは無限のエネルギーを供給する不滅の刃、尽きることのない無限の心臓なのだから!」

 

「だが、それも操るてめぇがいるからだ!」

 

「お前を倒せば、カ・ディンギルを動かす者はいなくなる!」

 

「出来ると思うなら試してみるがいい!」

 

 

 その言葉と同時に叩きつけられた鞭をジャンプすることでかわし、二人はそれぞれのアームドギアを巨大化させ蹴りつける。

 

 

天ノ逆鱗

 

SPEAR ∞ ORBIT

 

 

「その程度の攻撃、通ると思ってか」

 

 

ASGARD

 

 

 それに対し、フィーネは鞭を格子状に束ねて組んだバリアを4重に展開して受け止める。バリアに対し、斜めに突き刺さった二振りの武器。二人は体重をかけ、どんどん武器を押し込んでいく。それと同時に角度も垂直に近づいてくる。

 

 

「奏、頼んだ!」

 

「任された!」

 

 

 翼は新たに二振りの剣を取り出し、天ノ逆鱗を足場に高く飛び立つ。その姿は剣に纏わせた炎も相まって、不死鳥(フェニックス)のようにも見える。

 

 

炎鳥極翔斬

 

 

「いけぇ!翼ァ!」

 

「始めから狙いはカ・ディンギルか!……ならば」

 

 

 唐突に奏の攻撃を抑えていたバリアを解いたフィーネ。奏が驚く間もなく、フィーネに槍の先端が突き刺さる。

 

 

「であぁぁぁぁ!!!」

 

 

 自分に刺さった槍のダメージを無視して、鞭を振り奏を弾き飛ばす。そしてそのまま翼へと伸ばしていく。かなりのスピードで追い付いたそれは翼に当たり、シンフォギアの装甲を散らす。

 

 

「……だ」

 

「何?」

 

 

 落下する翼と奏。だが、二人は諦めていなかった。この場に剣と槍を構えているのは自分たちだけなのだから。自分たちが倒れては世界がフィーネに支配されてしまう。それを許すわけにはいかないと死力を振り絞る。

 

 

「まだだ。まだあたしたちは飛べる」

 

「奏と一緒ならどこまでだって飛べる」

 

「「両翼揃ったツヴァイウィングに不可能はない!」」

 

 

 雄叫びをあげながら空中で体勢を整えた二人。アームドギアを回転させ、翼の下まで奏は追い付き二人でカ・ディンギルへと突撃する。フィーネは今度こそ落とそうと再び鞭を伸ばすが、弾かれて二人には届かない。

 

 

双星ノ鉄槌-DIASTER BLAST-

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

【ONE】

 

 

 カブトゼクター上部のボタンを押しながら未来へと響は駆けていく。未来は大きな鏡を構え、今にも振りおろさんとしている。

 

 

【TWO】

 

 

 一歩進むごとにエネルギーが脚部へと収束していく。未来の鏡も鈍い光を放っている。

 

 

【THREE】

 

 

 響は飛びあがり、体を捻る。そしてゼクターホーンを反対側に戻し、勢い良く展開する。

 

 

「ライダーキック」

 

【RIDER KICK】

 

 

 響のライダーキックと未来の逆鱗が空中で激突。周囲に衝撃波を起こす。競り勝ったのは響。未来の鏡は粉々に砕け散った。そして、空中でゼクターを取り外し変身を解除。そのまま黒く染まる未来へと抱きついた。

 

 

「あの人が言っていた。自分に溺れる者はいずれ闇に落ちる。未来、その力はお前が望んだ力ではないはずだ。そんなものはさっさと捨てて帰ってこい!」

 

「う゛あ゛……ひ、びき。ひびきぃ!!」

 

 

 目から大粒の涙が零れ、未来は正気を取り戻す。それと共にギアが解除されて、未来は座り込んだ。そして二人の背後では翼と奏の『双星ノ鉄槌-DIASTER BLAST-』がカ・ディンギルへと突き刺さる。そこを起点にカ・ディンギルは大爆発して崩壊し始めた。

 

 

「そんな……カ・ディンギルが。私の長年の悲願が……」

 

 

 フィーネはカ・ディンギルが崩れ去る様を見て、呆然とする。未来を座らせたまま、響はフィーネの下へと歩みを進める。

 

 

「やっとあの御方へと想いを告げられると思っていたのに……。それをお前たちは!」

 

「侮ったな、フィーネ。これが今を生きる私たちの力だ」

 

「黙れ!そもそもなんなのだ、お前は!」

 

「……私が何者か、だと?そんなに知りたいなら教えてやる」

 

 

 右手をフィーネへと突きだし言い放つ。そしてカブトゼクターが一人でにベルトへと装着された。

 

 

「私は天の道を往き総てを司る女、立花響。お前を倒す者だ!」

 

【CHANGE BEETLE】

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 戦っている。響とフィーネが、その身一つで。響は全身を鎧に包まれていて、フィーネはネフシュタンの力で再生するから、お互いの傷の度合いはわからない。でも、遠くから見ているからわかる。戦っている時間の長かった響の疲労は大きくて、少しでも気を抜いたら負けそうだってことが。他に頼りになる翼さんや奏さん、クリスはもういない。私も力が入らなくて助けになれそうにない。どうしたら………。そのとき、私の耳が声を拾った。この声は、リディアンのみんな?

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

「応援しようよ!」

 

 

 次々とシンフォギア装者が倒れていくのを映像越しに見ていた弓美たちは絶望しかけていた。だが、同じ部屋に避難してきた一人の少女がそう言うと、二課の職員が慌ただしくなる。

 

 

「応援……シンフォギアの動力源はフォニックゲイン、つまりは歌の力」

 

「そうか、ここにいる人たち全員の歌を未来ちゃんたちに届ける事が出来れば……」

 

「つまり、未来や響の助けになるって事ですか!?」

 

「藤堯!」

 

「十分可能です!ですが、ここの設備では電力が足りません!校舎の電源が活きていれば……」

 

 

 それを聞いて一部が沸き立った。驚く人たちもいるが、リディアンの生徒は『やっぱりか』と思った。そう、沸き立ったのは親衛隊所属の生徒だ。響の力になれるのが嬉しいのだろう。

 

 

「緒川」

 

「お任せください」

 

「あの!」

 

 

 緒川が部屋を出て電源を起動させに行こうとしたとき、弓美が立ち上がって声をかけた。創世と詩織もその後ろに立っている。

 

 

「私たちも手伝わせてください!」

 

「ビッキーやヒナたちが頑張ってるのに、じっとしてられないよ!」

 

「私たちは立花さんに助けられました。だから今度は私たちが助ける番です!」

 

「……わかりました。ついてきてください」

 

 

 緒川は少し考えた後、三人の申し出を了承した。

 

 そしてしばらくすると、部屋の電気がつき電力が来た事を知らせてくる。弓美たちが戻ってくると同時に作戦はスタートした。

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「「はあぁぁぁぁ!!」」

 

 

 響の蹴りとフィーネの鞭の一撃が交差する。その衝撃により互いに後退する。仕草には出さないが、二人とも疲労は大きい。

 

 

「チッ、中々やる……なんだ?」

 

「……これは歌か」

 

「どこから聞こえる。この不快な歌……歌、だと!?」

 

 

 二人の耳に入ってきたのは歌。それもリディアンの校歌だ。そこで響は思い出した。未来から聞いていたシンフォギアの特徴を。そして赤、青、オレンジ、紫の四つの光の柱が各地から立ち上がる。

 

 

「フィーネ、どうやら年貢の納め時のようだな」

 

「ふざけるな!なぜ立ち上がれる?何を持って力と変える?それは本当に私の作った物か?そうだ、お前たちの纏うそれはなんだ?なんなのだ!?」

 

「なんだ、自分の作った物の名前も忘れたか?それは……」

 

 

 

「シンフォギアァァァァ!!!!」

 

 

 朝日と共に白のシンフォギアを纏う四人の戦姫が舞い戻って来た。




(ボツネタ)響が未来に抱きついた後の台詞。

「あの人が言っていた。全ての女性は等しく美しい。未来、お前にその姿は似合わない。いつもの笑顔を見せてくれ」

……なんか告白みたくなったので敢えなくボツにしましたw


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時を駆けるカブトムシ

前回の話の投稿直後辺りにXDUでガチャ単発引いたらsynchrogazer響(二枚目)当たりました。これは続きを頑張れと天が言ってるに違いない!

そして、陸上のせいで最終回の放送が一週間遅れるだと!?ゆ゛る゛さ゛ん゛!

目標の9月中の投稿は出来なかった……無念。色々と駆け足なったから変な所あるかもしれないけど、ドン!


「シンフォギアァァァァ!!!!」

 

 

 みんなの歌で起動したギアはこれまでとは違う、純白のシンフォギアだった。驚く事に空を飛ぶことが出来ている。そして、

 

 

「やってくれたみたいだな」

 

「小日向、雪音、無事で良かった」

 

 

 クリスや翼さん、奏さんも同じ様に純白のシンフォギアを纏って私の所まで寄ってきた。

 

 

「後は……」

 

 

 後は、フィーネを倒せばいいだけ!

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「高レベルのフォニックゲインによる限定解除……二年前の意趣返しという訳か」

 

『んなこたぁ、どうでもいいんだよ!』

 

「念話までも!?」

 

 

 限定解除されたシンフォギアを纏った装者たちを見て苛立つフィーネ。念話をも使った事に驚愕する。しかしすぐに持ち直し、自分の周りに大量のノイズを呼び出す。目の前にクロックアップの使えるカブト()がいる分、壁になるように分厚く。

 

 

『いい加減、芸が乏しいんだよ!』

 

『未だ世界に尽きぬノイズの災禍は全て、お前の仕業なのか?』

 

 

 それを見た翼がフィーネに問をぶつける。それをフィーネも念話を用いて返す。

 

 

『ノイズとは、バラルの呪詛によって相互理解を失った人類が、同じ人類のみを殺戮するために造り上げた兵器だ』

 

『人が人を……』

 

『バビロニアの宝物庫の扉は開きっぱなしでな。私はそこからまろびいずる10年に一度の偶然を必然と変え、力として使役しているに過ぎない』

 

 

 そして、フィーネは高らかにソロモンの杖を掲げ、そこから無数の光を街中に放つ。雨の様に落ちたそれはノイズを発生させる。それにより、地上はノイズで埋め尽くされた。

 

 

「さあ、やれ!ノイズども!」

 

 

 呼び出されたノイズは一点に向けて進軍を開始する。その中心点は………

 

 

「まさか、こいつら。みんなして立花を狙っているのか!?」

 

「そんな!?」

 

「だとしたら不味いぞ。響は少し休んだあたしらと違ってずっと戦い続けていた。いつ体力が切れてもおかしくない!」

 

「アタシは先行くぞ!どいつもこいつもぶち抜いてやる!」

 

「あ、おい!……翼!未来!あたしらも行くぞ!」

 

「ええ!」

 

「はい!」

 

 

 先に飛び出したクリスを追って残る三人もノイズに向けて突撃する。

 

 

「やっさいもっさい!」

 

MEGA DETH PARTY

 

 

 クリスはミサイル……ではなく、限定解除によりレーザーに変化したそれを放ち、大型小型問わず一度に大量のノイズを葬る。

 

 

「はあぁぁぁ!!」

 

蒼ノ一閃

 

「でやぁぁぁ!!」

 

LAST ∞ METEOR

 

 

 翼は剣を大きくして衝撃波を飛ばし、奏は槍の穂先を回転させて竜巻を起こして大型を中心に狩っていく。

 そして未来は、

 

 

「響ぃぃぃぃ!!!」

 

 

閃光

 

 

 ノイズの中心点、そこで戦っている響の下へ。上空から閃光で響を援護する。

 

 

「未来」

 

「響は少し休んでて。助けられてばかりじゃない、今度は私が助ける!」

 

 

 未来はミラービットからビームを放ったり、通常より一際大きくなったアームドギア(鈍器)でノイズを殴り倒したりする。

 

 そんな中、響と未来の近くで何かが肉に刺さった音が聞こえた。音の発生源を見ると、フィーネがソロモンの杖を自身の腹に突き立てていた。そしてノイズが次々とフィーネの下へと飛んでいき、一つになっていく。

 

 

「未来!こっちだ!」

 

「う、うん!」

 

「クロックアップ!」

 

 

 次第に大きくなっていくフィーネを見て、危機感を感じた響。未来の手を取ってクロックアップを使って距離を取った。

 

 

「これは、一体……」

 

「ノイズに取り込まれて……?」

 

「違う、あいつがノイズを取り込んでやがるんだ!」

 

「――来たれ、デュランダル!」

 

 

 フィーネの取り込んだノイズは崩れたカ・ディンギルの地下にあるデュランダルをも呑み込み、その形を作ってゆく。

 その姿は赤い蛇……いや、翼や腕のようなものも確認出来るので、竜と言った方がいいだろう。竜となったフィーネは口とみられる部位に球体を生成し、放った。それはシンフォギア装者たちの横を通り過ぎ、後方の街に着弾。壊滅的な被害を産み出した。

 

 

「そんな……」

 

「なんて事をしやがる!」

 

『逆さ鱗に触れたのだ。覚悟は出来ておろうな?』

 

 

 そう言ったフィーネは今度はシンフォギア装者に狙いを付け、何度も先ほどの光線を放つ。みんなして必死に避けるが、クリス、奏、翼に次々と命中し、少なくないダメージを負ってしまう。それでも、反撃とばかりにそれぞれがレーザーを、槍の雨を、斬撃を放つ。その場から動かないフィーネに全て命中したが、目に見えるダメージが感じられない。唯一、翼の斬撃のみ傷を付けたが、すぐに再生し塞がってしまった。

 

 

『いかに限定解除されたギアであろうと完全聖遺物の力の前では無力!――さあ、次はお前だ。カブト!』

 

「掴まって、響!」

 

 

 響のいた場所に光線が放たれる。一緒にいた未来が響の手を掴み、空へと緊急避難する。なんとか攻撃の範囲外へと脱出出来たが、衝撃波だけで未来は飛行の制御を失って響と共に墜落してしまう。

 

 

「うぅ……」

 

『終わりだ!』

 

 

 そしてそこに再び放たれる光線。避けられないと判断した未来はアームドギアとミラービットを最大展開。その全てからビームを放ち、収束させて光線を相殺しようとする。

 

 

「響は私が守るんだァァァ!!」

 

暁光

 

『クリスの真似事か?無駄な事を!』

 

 

 未来のビームは光線を押し留めるが、それもすぐに押されていく。未来は必死に踏ん張るが、無惨にも光線がビームを呑み込み、響と未来のいる場所へと着弾した。

 

 

「小日向ァァァ!!」

 

「響!!」

 

『念には念をだ。でやぁぁぁ!!!』

 

 

 響と未来が光線によって呑み込まれた後、フィーネは腕のような部位を天へと伸ばす。それはカ・ディンギルの一撃によって剥がれた月の欠片へと突き刺さる。

 

 

「何を、いやまさか!?」

 

『シンフォギア装者諸とも潰れろォォォ!!!』

 

 

 そしてフィーネは欠片を地上へと全力を持って引き寄せた。

 

 

「なんて事をしやがる!?」

 

「街に落ちてはシェルターに避難してる人々も危ない。我々で止めるしかない!」

 

「……やるか?絶唱」

 

 

 三人はそれぞれの顔を見て頷くと、息を揃えて唄おうとする。

 

 

「 Gatrandis babel ziggurat edenal 」

 

「この声は、小日向!?」

 

 

 しかし、その前に未来の歌声が聞こえてくる。

 

 

「 Emustolronzen fine el baral zizzl 」

 

「無事……なのか?」

 

 

 安否を確認しようと下を見るも、未だに煙は晴れずその姿を確認出来ない。

 

 

「 Gatrandis babel ziggurat edenal 」

 

『例え絶唱だろうと、一人で何が出来る!』

 

「 Emustolronzen fine el zizzl 」

 

 

 未来の歌が終わると共に、月の欠片にヒビが入る。それは次第に大きくなっていき砕けた。さらに小さな欠片が散らばるが、それは大量に放たれたビームによって、地面に落ちる前に全て蒸発した。

 

 

「一人では不可能でも、二人でなら可能になる」

 

『……馬鹿な』

 

 

 天に姿を現したのは未来と、光る羽を羽ばたかせ、形の変わった鎧を纏った響だ。

 

 

「お前ら、無事だったのか!?」

 

「はい、響のお陰で助かりました」

 

「いったいどうやってあの状況から助かったのだ?」

 

「それは……」

 

 

 

 

 

 

 

 未来のビームがフィーネの光線を押し留めていた時の事。未来の後ろで立ち上がった響の握った拳の中から光が漏れでてきた。響はまさかと思い拳を開くと、その手には小さなカブトムシのようなゼクター、ハイパーゼクターが収まっていた。

 

 

「……そうか、力を貸してくれるのか」

 

 

 響はハイパーゼクターを腰にセット。そしてその角部分を押し込んだ。

 

 

「ハイパーキャストオフ」

 

【HYPER CAST OFF】

 

 

 ハイパーゼクターによりカブトが強化されていく。角は一回り大きくなり、装甲もより強固なものへと変化する。

 

 

【CHANGE HYPER BEETLE】

 

「ハイパークロックアップ」

 

【HYPER CLOCK UP】

 

 

 通常のクロックアップより速い時間を移動するハイパークロックアップ。何もかもが止まったかのように見える世界で響は未来を抱え、天高くへと飛翔した。

 

 

【HYPER CLOCK OVER】

 

「……え、ここは?」

 

「空だ」

 

「あ、響……」

 

『シンフォギア装者諸とも潰れろォォォ!!!』

 

 

 そこにフィーネが月の欠片を落としてくる。響と未来は顔を合わせると、こくりと頷き一直線に突撃する。未来は絶唱を唄い、響は腰のハイパーゼクターに再び触れる。

 

 

【MAXIMUM RIDER POWER】

 

【ONE TWO THREE】

 

 

 後方の未来のチャージが完了したのを見ると、響はカブトゼクターの角を戻す。そして一気に開き……

 

 

「ハイパー……キック!」

 

【RIDER KICK】

 

 

 響のハイパーキックと未来の絶唱は月の欠片を跡形もなく蒸発させたのだった。

 

 

 

 

 

 

『……ッ!貴様らぁ!!』

 

「……小日向は絶唱を使ったのだろう。後は私たちに任せて少し休め」

 

「いえ、大丈夫です!負荷はそんなにかかってません!」

 

「はぁ?なんでだよ、絶唱を使ったはずだろ?」

 

「愛です!」

 

「「「何故そこで愛!?」」」

 

『調子に乗るな。聖遺物の欠片ごときが私に、完全聖遺物に敵うと思うなァ!』

 

 

 激昂したフィーネがそんな言葉と共に攻撃を仕掛けてくる。しかし、その言葉が攻略の鍵となった。

 

 

「響!未来!行けるか?」

 

「当たり前だ」

 

「任せたください!」

 

「なら任せた!翼ァ!」

 

「斬り裂く!」

 

蒼ノ一閃・滅波

 

 

 翼がより強力な蒼ノ一閃をフィーネに放つ。それは竜の体に穴を開ける事が出来たが、次第に再生していく。

 

 

「間に合えぇぇぇ!!!」

 

ULTIMATE ∞ COMET

 

 

 その穴が塞がる前に、とクリスを連れフィーネへと突っ込む奏。あと少しという所で穴がかなり小さくなってしまう。ならばと奏はクリスを掴み、その穴へと投げ入れた。

 

 

「ちょっ!?」

 

「行けぇ!クリス!」

 

「仕方ねぇなぁ!」

 

「なんだと!?」

 

「さあ、吹き飛びな!」

 

 

 竜の内部へと侵入したクリスは、そこでビームを乱射する。再生するので効かないフィーネであれど目障りには違いなく、追い出そうと一部を展開した。しかし、そこには剣を構えた翼がいて、この時を待っていたとばかりに振り下ろす。それをまともに受け、フィーネの手からデュランダルが離れる。それを二人が弾き飛ばし、響と未来の手に渡る。

 

 

「行くぞ、未来」

 

「うん、響」

 

【MAXIMUM RIDER POWER】

 

 

 完全聖遺物であるデュランダルにハイパーゼクターからさらにエネルギーを供給。デュランダルから溢れ出るエネルギーが暴れ狂う。奏、翼、クリスも二人の後ろにつき、共にデュランダルを支える。暴れ狂うエネルギーも次第に落ち着き、一筋の光へと収束する。

 

 

「その力……。何を束ねた!?」

 

「響き合うみんなの歌声と」

 

「ゼクターの力が与えてくれた」

 

「「シンフォギア(奇跡の力)ァァァ!!!!!!」」

 

Synchrogazer・Extreme

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 私たちの戦いは、デュランダルとネフシュタンの鎧が対消滅した事でフィーネが戦う力を失った事で終わった。そして今、気力を失ったフィーネと地上に上がってきた弦十郎さんと話している。

 

 

「……了子くん」

 

「フィーネだ」

 

「俺たちの所へは戻って来れないのか?」

 

「……お前は馬鹿か?敵である私をも受け入れるとでも言うのか?」

 

「おうとも!誰がなんと言おうと了子くんは俺たち二課の仲間だ!」

 

「……ふっ。甘すぎるな」

 

「それが俺の性分だからな!」

 

 

 弦十郎さんとのやり取りの後、フィーネは私たちを呼ぶ。

 

 

「奏ちゃん、翼ちゃん、未来ちゃん、クリス、それに響ちゃん」

 

「おう」

 

「はい」

 

「はい」

 

「なんだ?」

 

「……」

 

「これから先、貴女たちにはいくつも困難が待ち受けていると思うわ。でもね、決して諦めない事。そうすれば道は自ずと開けるわ。胸の歌を、信じなさい」

 

 

 そう言ってフィーネ……いや、了子さんは塵となって消えていった。

 これが後にルナアタックと呼ばれた事件の終わりだった。

 

 




はい!これでとりあえず無印完!
ちなみにハ井パーゼク太くんは予定している幕間での登場はありますが、Gでの登場予定はありません。


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天ノ寄道:風斬る戦神~貫くは『 』の道
その1


副題の『 』(空白)は書き忘れではなくわざと開けております。偶然投稿直後に見た人は更新を待ってね!

それはそうとついにXDUで推しのキャロルが実装。早速2枚当てて、育成しております。後4枚……課金は最後の手段としてどこまで当てられるだろうか……。

ハーメルンで歌詞の使用許可されましたね。コード入れる必要はありますが。シンフォギアとしては歌詞がないとなんか物足りないような所ありましたしね。


 ルナアタックと呼ばれる事件から凡そ1月。月が欠け、それが落ちてきた事件は人々の注目の的となっていた。それによりシンフォギアシステムの存在が全世界に公開される等、日本政府は対応に追われててんてこ舞いである。

 

 そんな中、終息に貢献した功労者の一人である『天の道を往き、総てを司る女』こと立花響は、未来たちの頼みもあって、二課の仮設本部である潜水艦の中にある食堂で料理を作っていた。シンフォギアシステムの使い手である未来たちが安全の為、一時軟禁状態なので外に出られず、響がここに作りにくるしか無かったのだ。なお、マスクドライダーシステムについては露見しておらず、詳しい事情を知っているのはルナアタックの当事者たちだけとなる。

 

 

「あー、疲れたー、腹減ったー!響、飯ー!」

 

「すまない、立花。私たちの分も作って貰っていいだろうか?」

 

 

 そこに翼と奏がやってくる。昼にはまだ早い為、食堂には三人以外他に誰もいない。

 

 

「任せておけ」

 

 

 さっとエプロンを身に付けた響がそう返事をして、早速料理に取りかかろうとしたその時。

 

 

「ん?なんだこれ?」

 

「これは確か、立花の使っていた……?」

 

 

 ハイパーゼクターがどこからか飛んできて二人の座った席に現れた。気になった二人はハイパーゼクターに触れた。

 

 

「うおっ!?」

 

「なに!?」

 

 

 その瞬間、ハイパーゼクターが激しく発光した。三人はあまりの眩しさに手で目を覆う。そして光が収まった時には食堂には誰もいなかった。

 

 

「お待たせ、響!………あれ?」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

「まぶしっ……なんだったんだよ、一体」

 

「奏……」

 

「どうした、翼……って、え?」

 

 

 おいおい、どういうことだよ。さっきまであたしらは食堂にいたよな?なんで、()()()()()()()()()!?まずいぞ。ここがどこかわからないってのもあるけど、なにより……

 

 

「どうしよう、奏。私たちの変装道具、二課に置いたまま……」

 

「仕方ない、緒川さんに迎えに来てもらうか」

 

「そうよね。それしかないよね」

 

 

 ポケットに入れていた携帯を取り出して電話をかけようとする……ん?

 

 

「圏外になってる……」

 

「え!?……私のもね」

 

 

 どうなってんだよ……。響の飯も食いそびれたし、さいっあくだ。

 

 

「……な………よ……」

 

「え…………あ………」

 

 

 ッ!人の声……どうする、接触するか?いや、でも下手な人だと『人気アイドルユニット、ツヴァイウィングがまさかの迷子!』とかゴシップ記事に書かれそうな……。

 

 

「どうする?」

 

「ひとまず様子を見ましょう。接触するのはそれからでも遅くないわ」

 

「だな」

 

 

 身を隠しながら相手を見ようとゆっくり近づいていく。そしてその姿が見えた時

 

 

「は?」

 

 

 そんな間抜けな声を出してしまった。

 

 

「ッ!そこか!」

 

 

 それであたしらに気づいたのか、苦無が飛んできて、あたしの目の前に刺さった。翼を見ると翼もあたしの方を向いていた。翼も相手の姿に驚いたんだろうな。

 

 

「おい、先輩!?なにしてんだよ!?」

 

「ハッ!……すまない、つい」

 

「ったく。おい、大丈夫か?怪我は……は?」

 

「どうした、雪音……は?」

 

 

 だって()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんだからさ……。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「……ここは?」

 

 

 響が目を開けると、そこはどこかの廃工場だった。誰かの話し声が近くから聞こえたので物陰に隠れ、耳を澄ます。

 

 

()()()は?』

 

『S.O.N.G.の連中が確保したようだ』

 

『なんとしてもそれを奪うのだ。我々なら誰が相手だろうと勝てる』

 

『そうとも。そしてその力を持ってこの世界を俺らの手に』

 

 

 中々に物騒な話をしている。S.O.N.G.がなんだか響にはわからなかったが、放っておく訳にはいかないようだ。

 

 

『だが、この世界にいきなり()()()()()時はどうしたものかと思ったが……』

 

『我らと同等に戦える()()()()()()()()()()()()()()()()だったとは』

 

 

 さらに興味深い話が聞こえて来た。もう少し話を聞きたかったが、男たちの内の一人の姿が緑と黒の体色をしていて、右手がゴツく球体がついているネイティブ――ランピリスワーム――へと変化したのを見て、ここで逃がしては危ないと思い、響はカブトゼクターを呼び出して飛び出した。

 

 

『ッ!誰だ!』

 

『……子供か。だが見られたからには』

 

『いや待て!奴の横に飛んでいるのは!?』

 

「変身」

 

【HENSIN】

 

 

 カブトゼクターを掴み変身する響。そしてネイティブたちの方へと駆けながら、ゼクターホーンを弾きライダーフォームへとなる。

 

 

『なぜ、ライダーが!?』

 

『ここは俺が受け持とう。お前たちは計画を遂行しろ!』

 

『……生き延びたら例の場所だ!』

 

「逃がすものか……!」

 

【CLOCK UP】

 

 

 擬態した姿のまま逃げていくネイティブたち。響はクロックアップを発動させ追いかけるが、ランピリスも同じくクロックアップを行い、右手からプラズマを放って響の道を阻んだ。

 

 

『どうやってこの世界に現れたが知らんが、俺たちの邪魔はさせない』

 

 

 そう言いながら殴りかかってくるランピリス。響はそれを掴んで受け止めると同時に、掴んだ手を引いてランピリスの体勢を崩す。そしてそこに何度も拳や蹴りを叩き込む。堪らず、ランピリスは自分をも巻き込みつつプラズマを周囲に放つ。それによって響の攻撃の手が少し緩み、ランピリスは響の間合いから離れる。

 たったこれだけの交戦でランピリスは響を自分より格上の存在だと認識した。それでも彼は戦う、仲間の為に。全力の一撃を放とうと、右手の球体にプラズマを圧縮してチャージしていく。バチバチという音が鳴り、光が大きくなっていく。それを見た響もゼクター上部のボタンを押していく。

 

 

【ONE TWO THREE】

 

 

 そしてゼクターホーンを一度戻す。

 

 

『……行くぞ』

 

「来い」

 

 

 ランピリスは響に向かって駆け出す。振りかぶったランピリスの右手。ゼクターホーンを開き、エネルギーを収束した響の右足。それがぶつかり発生した衝撃で周囲に亀裂が入る。二人のクロックアップも終わっていてただでさえボロボロだった廃工場がさらに崩れていく。そして最後に立っていたのは……。

 

 

『……ガハッ』

 

 

 響だった。ランピリスはその場で爆発して消えた。だが、逃げたネイティブを追おうと響が目線をそちらに向けた時。

 

 

「 Balwisyall Nescell gungnir tron 」

 

「何……?」

 

 

 聞こえてきた声とその内容に響は驚いた。その声は()()()()()で、()()()()()()と言ったのだから。

 

 

「よっと……。あの!」

 

「……なんだ」

 

 

 そして壊れた壁の向こうからシンフォギアを纏って現れたのは、立花響その人だった。これによりネイティブたちが言っていた、『この世界』やら『飛ばされた』とかの意味が正確に理解できた。ここは並行世界、パラレルワールドと呼ばれる所なのだと。彼らも、響と同じように何らかの理由で飛ばされてきたのだ。

 

 

「ここで何をしてたんですか?」

 

「……お前に答える必要はない」

 

「さっきの爆発もあなたの仕業ですよね?逃げていく人もいました。教えてください!あなたが何を目的としてるのか。それが悪いことじゃないなら協力できると思うんです!」

 

「………クロックアップ」

 

【CLOCK UP】

 

「へ?……ひゃあ!?」

 

 

 響はクロックアップして軽く拳を何発か、もう一人の自分に当てる。

 

 

【CLOCK OVER】

 

「な、なにを……」

 

「これに反応出来ないなら出来ることは何もない。私に関わるな」

 

【CLOCK UP】

 

「え、あ!待ってください!……消えちゃった」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 翼のそっくりさん(?)とクリス(?)と遭遇したあたしたちはS.O.N.G.とか言う所に連れてこられた。ってか、ここって二課の仮本部だよな?でも制服とか違うし……。もしかしてあの短い時間で前に旦那が言ってたネイティブとやらにでも乗っ取られたか!?色々と説明がしたいから本部に来てくれって言われて、ついそのまま着いてきたが、これってヤバいやつなんじゃ?いや、でも旦那や緒川さんが負けるとは思えないし……。

 少し不安に鳴りながら、モニタールームに入ると……。

 

 

「よく来たな!並行世界の奏に翼!」

 

 

 シルクハットを被った旦那に、そんな台詞と一緒に出迎えられた。……並行世界?

 

 

「……と、いう訳だ」

 

「なるほど……」

 

 

 旦那から並行世界と、完全聖遺物ギャラルホルンについて説明された。並行世界とは、あり得たかもしれない可能性の世界。そしてギャラルホルンは、数多もの並行世界を観測して、接続する機能があるらしい。どうやらこの世界ではあたしは死んでいるらしい。あのライブ事故で絶唱を唄ったんだとさ。

 

 

「つまり、そのギャラルホルンってのを使えばあたしたちは帰れるってことか?」

 

「そうだ、と言いたいが残念ながら無理だろう」

 

「どういうことですか?」

 

 

 曰く、今回はギャラルホルンは起動していないとのこと。正確には起動してはいるんだが、他の世界へのゲートが開いていないらしい。

 

 

「つまり、現状では奏と翼が自分の世界に帰るには、こちらに来たときと同じプロセスを踏まないといけない可能性がある。そちらで何があったか教えてもらっても構わないか?」

 

「まあ、あたしたちも帰れないと大変だしな。いいよな、翼」

 

「そうですね。わかる限りですが、お話しましょう」

 

「あ、待ってくれ。もうすぐ別任務に行った響くんが帰ってくる。話はそれからでも構わないか?」

 

 

 こっちの響か……。翼やクリスは同じ感じだったし、響もそうなんだろうな……。

 

 

「すいません、師匠!立花響、ただいま帰還しました!……って奏さん!?それに翼さんが二人いるぅぅぅぅ!?」

 

 

 いや、誰だよお前!?………え、響?本当に?




立花(天道)響
無所属。仮面ライダーカブトの資格者。弦十郎から二課に所属しないか誘われているが、断っている。だが、パーティーで振る舞った料理が二課職員にも人気となり、依頼(※有料)を受けてたまに作りに行っている。

エプロン:未来が響の為に作った物。デフォルメされたカブトムシとリボンのアップリケがついている。

ハ井パーゼク太くん(ハイパーゼクター)
()()()()()()()()()ゼクター。世界の危機を感知すると響の前に現れる……ことがある。


そして頂き物の今幕間のタイトル絵です。


【挿絵表示】




そして、幕間が始まったばかりですが一つお知らせがあります。
この度、リア充支援団団長heroさんの戦姫絶唱シンフォギア~響き交わる伴装者~とコラボすることになりました!Yeah!
幕間と同時並行か、幕間終わってからの更新になるかのどちらかだと思います。G編はその後ですね。コラボのあらすじ(?)は伴装者の72話の後書きに載っております。良ければ伴装者の本編も一緒に見てくださいね!
フフフ……テンション上がってきたぁ!


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その2

遅くなりましたが更新です!……うん、ちょっと自信ないかな。今回は。


「そこの旦那、少しいいか?」

 

「あ゛?」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「おい、そちらの先輩たちどうしたんだよ?なんか信じられないものを見た顔して」

 

「す、すまない。少し時間をくれ……」

 

「ああ、別に構わんが……」

 

「助かる。……翼」

 

「ええ……」

 

 

 部屋の端っこの方に行って、旦那たちに聞こえないような小声でチラチラと響を見ながら翼と話し合う。響が別人過ぎてあたしたちは困惑している。

 

 

「なあ、響ってあんなキャラじゃないよな?」

 

「ええ、同じ姿をした別人にしか見えないわ」

 

「だよな……。猫被ってるとかないよな?」

 

「流石にそれは……あの子なら別人に成りきれそうね」

 

 

 

「あっちの先輩たち、ほんとにどうしたんだ?」

 

「先ほどから立花をチラチラと見ているが……」

 

「あっちの世界でこの馬鹿が何かしたんじゃないか?」

 

「私は何もしてませんよ!?」

 

「立花。お前の事ではなくて、並行世界の立花という意味だ」

 

「あ、そういう……」

 

 

 

「ないな」

 

「ないわね」

 

 

 聞こえてきた響たちの会話を聞いて確信した。あの響が猫被ってる気配なんて感じられないし、どこか馬鹿っぽさが……な。

 

 

「よし、大丈夫だ。悪いな、時間貰って」

 

「では、早速だが事情を聞かせてもらえるか?」

 

「ああ。とは言ってもそんなに話すことないんだよな」

 

「ええ。ただ、トレーニング後に食堂へ行っただけですから」

 

「は?それだけなのか?」

 

 

 そう、たったそれだけなんだよな……。ルナアタックの事後処理であたしたちがまともに外に出れないからやることも限られてるし……。

 

 

「何か変わった事はなかったのか?」

 

「あー、やっぱあれだよな?」

 

「あれしかないわね」

 

「何があったんですか?」

 

 

 なんて説明したらいいかな……。とりあえず食堂で響の飯を食べようとして注文した。そしたらルナアタックで響の使っていたカブトムシみたいなのが飛んできた。触ったら光って、気付いたらあの森にいた。

ってことを説明した。

 

 

「はい!奏さん、翼さん」

 

「ん?なんだ……響?」

 

「なんで疑問形なんだよ……」

 

「そっちの私って料理出来るんですか!?」

 

「そこかよ!?もっと他に聞くことあるだろ、馬鹿!お前ほんとの馬鹿!」

 

 

 え、こっちの響って料理出来ないのか?マジか……。翼も響の言ったことにショックを受けている。

 

 

「あっちの先輩も、なんでそこを質問したのか理解仕切れてないみたいだし……」

 

「あ、いや。それは違うぞ、クリス」

 

「へ?」

 

 

 そう、翼がショックを受けたのはその質問をしたことじゃない。あ、いや一応関係はしてるから間違いではないのか?

 

 

「翼はただ、響の飯が食べられないと知ってショックを受けてるだけだ。もちろん、あたしも飯を頼んだ直後にこれだったから腹ペコだ!」

 

「なんでだよ!?」

 

「家事が出来ない翼の最近の昼はずっと響の作った飯だしな……」

 

 

 それを言うとこの世界の翼がこっちの翼の所に行って肩を叩いた。

 

 

「大丈夫か、私」

 

「ええ……」

 

「少し気になったのだが、そちらの立花の作る料理は美味しいのか?」

 

「ええ!栄養バランスもとれてるし、量もちょうど良くてまさに理想の食事よ!」

 

「それは……ゴクリ」

 

 

 翼たちがそう話してるのを聞いてると腹の鳴る音が聞こえた。一応言っておくとあたしのじゃないからな?腹減ってるのは事実だけどさ。で、誰のだ?

 

 

「あ、ごめんなさい。私です。話聞いてたらお腹空いちゃって……」

 

「よし!じゃあこっちの響を探して飯作ってもらおうぜ!」

 

「そっちの私も来てるんですか!?」

 

「それは間違いないだろ。あのとき、響も側に居たしな」

 

「ふむ、ではそちらの響くんも探してからもう一度話し合おうとするか」

 

 

 弦十郎の旦那の言葉であたしたちの方針は一先ず決まった。この世界の翼とあたし、クリスと翼でペアを組んで街に出て探す事に。響は報告があるからって別で探す事になった。なにか気になるけど、この世界の事件だ。余り関わりすぎるのは良くないと思うしな。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 休日の今日。私は弓美ちゃんたちと街に買い物に行く約束をしている。昼ご飯を食べてからの集合だから、行く途中で食べようと思ってた。うん、思ってたの。でもね?流石に信じられないものを見たら……ね。

 私の目の前にあるのは一つの屋台。のぼりを見る限りはラーメン屋みたい。で、そのラーメン屋なんだけど、物凄い行列になっている。いや、それだけなら人気店なんだろうな、で済むんだけど……。

 

 

「こちら、醤油ラーメンだ」

 

「おお!いただきます!」

 

 

な ん で 響 が 作 っ て る の !?

 え、響って料理は食べる専門だったよね?その響が具材を切って、麺を茹でて、器に注ぐ。単純だけどその動作が凄く洗練されていて、どう見てもその道のプロにしか見えない。驚きで少し固まっていたけど、電話が鳴った事でハッとした。慌てて誰からか確認を……って、え?()()()()()()()()()()()()()()すぐ近くにラーメン作ってる響。当然両手は埋まってて電話は出来ない。で、着信の名前も響。どうなってるの!?

 と、とりあえず電話の方に出てみる事に。

 

 

『もしもーし、未来ー?』

 

「えーと、響?どうしたの?」

 

『うん。その、ね?私を見かけたら連絡して欲しいんだけど……』

 

 

 はい?

 

 

「えーと、響。もしかして迷子にでもなったの?」

 

『違うよ!……えっとね、今並行世界の私が来ているみたいなんだけど、何処にいるかがわからなくて……』

 

 

 なるほど。だいたいわかったよ。

 

 

「そういうことなんだ」

 

『うん!だから「今、私の近くにいるよ」へ?』

 

「なんでか分からないけど、私の目の前でラーメン屋やってるよ」

 

『わ、わかった!すぐ行く!』

 

 

 そう言うと電話は切れた。なるほど、並行世界から……。あっちの響は料理人か何かかな?

 暫く並行世界の響を見守りながら待っていると、響を筆頭に5人がこっちに走ってきて……あれ?5人?マリアさんは仕事で海外のはずだし、調ちゃんと切歌ちゃんは確かセレナさんの世界に行ってるはず。それと気のせいかな?変装してる翼さんが二人いるような……。もう一人も変装してるけど、たぶんあれ奏さんだよね?

 

 

「未来!並ぶよ!」

 

「え?……え?」

 

「ほら、あいつの作るものは全部旨いんだ。食べなきゃ損だぜ?」

 

 

 響に手を引っ張られて、列に並ぶ。まあ、ちょうどお昼を探してたしいいかな?後、やっぱり翼さんは二人いて奏さんもいた。二人も並行世界から来たらしい。そして暫く待って、私たちの番になった。

 

 

「いらっしゃ……なんだ、お前たちか。注文は?」

 

「おいおい、客にそんなこと言ってもいいのか~?」

 

「奏!……オススメでお願いするわ。6人分ね」

 

「了解」

 

 

………ほんとに響、だよね?並行世界の響ってのはわかるけど、別人にしか見えないんだけど?雰囲気といい、喋り方といい。

 

 

「おい。誰だよ、あれ」

 

「見た目はどう見ても立花なのだが……」

 

「へー、あれがもう一人の私……」

 

 

 まあ、でも並行世界の響だしそう言うこともあるかな。

 

 

「おう、嬢ちゃん!ちょうどその六人で店じまいだ。材料がもうねぇからな」

 

「わかった」

 

「ところで、このレシピって……」

 

「旦那の好きに使うといい」

 

「そりゃ助かる!まあ、いきなり嬢ちゃんの味を出すのは無理だろうが、いつかは追い越してやるぜ!」

 

「それは楽しみだ……っと、お待ち」

 

 

 店主だと思うおじさんと話をした響。そして私たちにラーメンが配られる。えーと、それじゃあ……

 

 

「いただきます!」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「よく来てくれた!並行世界の響くん!」

 

 

 昼飯を食べたあたしたちは、S.O.N.G.の本部に響を連れて戻ってきた。最初は渋っていた響だったが、S.O.N.G.の名前を出した瞬間に意見が180°裏返った。理由は気になるけど、また後で聞けばいいだろな。

 

 

「それじゃあ、改めて自己紹介だね!私は立花 響、17歳。誕生日は9月の13日で血液型は0型。彼氏いない歴は年齢と同じ!」

 

「いや、それする意味あるのか?」

 

 

 自己紹介………自己紹介、ね。翼を見ると、あたしと同じく察したのか諦めたような顔をしている。

 

 

「……ひよりみたいだな」

 

「ひより?」

 

「ああ、妹だよ。響のな」

 

「妹!?」

 

 

 驚くって事はこの世界の響には妹はいないみたいだな。妹がいるのかと、こっちの世界の三人が少しざわめくが、響が手を掲げて話し始めた事で静まった。

 

 

「あの人が言っていた……」

 

「ん?」

 

「あ?」

 

「私は天の道を往き総てを司る女、立花響」

 

 

 まあ、これが響なんだが……。

 

 

「こいつは……」

 

「その、なんと言うか……」

 

「格好いい!!」

 

「「えっ?」」

 

「へ?」

 

 

 感性は似てるのかもな。じゃないと流石にあんな言葉使いにはならないだろ。格好いいと言われた響も満更じゃなさそうだし。

 

 

「あー、話をしてもいいか?」

 

「ああ、構わない」

 

「では……まず響くんは現状についてどれくらい理解している?」

 

「私がやることだけは理解している」

 

「やることだと?それはいったい?」

 

 

 この世界の翼が疑問の声をあげる。あたしも気になるぞ、それ。

 

 

「ネイティブがいた」

 

「な、んだと!?」

 

「それは本当なの!?」

 

 

 いやいや、マジかよ。それはヤバくないか?途中でこの世界とあたしたちの世界の違いを確認したが、この世界にはネイティブはいないはずだろ?つまりクロックアップに対抗出来る奴がいないって事で……。

 

 

「そして奴らの狙いはここだ」

 

 

 は?待てよ、冗談だろ?なんで奴らがここを?

 

 

「何やらここに運び込まれた物が狙いだと言っていた。心当たりは?」

 

「ふむ……。そういえば最近運び込まれた物で一つだけよく分からない物があったな」

 

「今、それはどこに?」

 

「S.O.N.G.の研究施設で解析作業をしている。が、どうやら進展が全くないらしい」

 

 

 なるほどな。一番怪しいのはそれだな。って、おい。

 

 

「響、どこいくつもりだ?」

 

「私はネイティブを探しに行く」

 

「……わかった。けど、せめて連絡がつくようにはしてくれ。ネイティブがこことか施設狙ってきたら連絡いれるようにするからさ。旦那」

 

「あ、ああ。そちらの通信機器は使えないのだったな。これを貸そう。それよりも響くん、一人で探すつもりか?俺たちも力を貸すぞ?」

 

「いや、ネイティブと戦えるのは私だけだ。余計な被害者が出ない内に倒す」

 

 

 そう言って響は出ていった。通信機は受け取っていたからまあ良しとするか。

 

 

「……奏、翼。ネイティブとやらについて詳しく教えてもらえるか?」

 

 

 ああ、そうだな。どこからどう説明したもんかな……。



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その3

学校の課題が中々に時間かかって凄く遅れました。すいません!(土下座)
あと、表現が中々に難しくて……(言い訳)


「――っていう存在だ」

 

「なるほど……」

 

「記憶までもコピーする擬態能力に、超高速能力……」

 

 

 一通り、ネイティブについてあたしの知る限りの事を話した。実際に擬態してあるのは見たことないけど、旦那の説明でそんなこと言ってたしな。

 

 

「厄介だな……。そちらの世界ではどのように対処したんだ?」

 

「あー……。あたしが戦った事は一回しかないんだが、ボロボロに負けたんだよな」

 

「え、奏さんがですか!?」

 

「目に見えない速さで攻撃してくるんだぞ?手も足も出なかったさ。そのときは殺されるかもって思ったね」

 

「でも、今ここにいるってことは倒したんですよね?」

 

「そうだな。ま、倒したのはあたしでも翼でもなくて響だけどな」

 

 

 デュランダル移送作戦の時の事を思いだしながらネイティブと戦った時の事を話していく。あのタイミングで響が来てくれて助かったよ。未来がやられる寸前だったしな。

 

 

「奴らのクロックアップに対抗するには、同じクロックアップしかない」

 

「ってことはそちらの立花は、そのクロックアップとやらが使えるということか?」

 

「そういうことだ。こっちの響が使ってるシステムはシンフォギアシステムとは別物のマスクドライダーシステムって奴で、人類の味方をしてるネイティブから技術提供されて造られた物だって聞いている」

 

 

 で、合ってるよな?翼に目線で確認すると頷いてくれた。良かった、良かった。

 

 

「なあ、それってどんなものなんだ?」

 

「それは――『ウィィィン!ウィィィン!』――なんだッ!?」

 

 

 警報!?一体何が……。

 

 

「司令!研究施設から緊急警報です!」

 

「どうやら侵入者による襲撃の模様!救援要請が来ています!」

 

「このタイミングで施設に侵入者……。疑うなって方が無理がありますね」

 

「ああ、全員出動だ!先ほどの話に出たネイティブの可能性が高いから気を付けろ!」

 

「了解!」

 

「それと、並行世界の二人も出てもらって構わないか?そちらの響くんにはこちらから連絡しておこう」

 

「ああ!」

 

「はい!」

 

 そんなの言われるまでもねぇ!少しだけど、世話になってるからな。助けない訳にはいかないだろ!

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

ドォォォォォン

 

 

 研究施設となっているS.O.N.G.の船。そこから火の手が上がっていた。消防が出動して消化活動に当たっているが、時間が経とうとも一向に状況は改善せず救助活動もままならない。

 

 

「くそッ!火の勢いが強すぎる!」

 

「口を動かす暇があるなら、手を動かせ!中には人がいるんだぞ!」

 

「そうは言っても……?」

 

「これは歌、か?」

 

 

 好転しない状況に悪態をつく消防隊員だったが、この場に似合わない綺麗な歌声が聞こえてきた事で、そちらに気をとられる。だからだろうか、船から一体の怪物が出てきて自身に近づくのに気づけなかった。

 

 

『シャァァァ!!』

 

「え、か、怪物!?うわぁぁぁ!!!」

 

 

 声で気づき、逃げようとするが足が動かない。隊員の命が刈り取られる、その直前。

 

 

『ギャア!?』

 

「え?」

 

「速くここから離れろ」

 

 

 どこからか飛んできた手斧のような何かが怪物に突き刺さり、怪物が地面を転がる。その怪物――ネイティブ蛹態――を攻撃した響は唖然としている隊員に声をかける。全身鎧姿の響に驚く隊員だったが、助けてくれたのを、そしてここにいては足手まといになるのを察したのか軽く頭を下げてからその場を離れた。

 

 

『響くん!S.O.N.G.の研究施設が……』

 

「知っている。ネイティブの姿を確認した」

 

『そうか……。こちらの装者が今さっき出動した所だ。協力して対処をして欲しい』

 

「……成虫態のネイティブが出たらすぐに私に連絡する事、それが条件だ。奴らは私以外では対処不可能だ」

 

『例のクロックアップというやつか。わかった』

 

 

 ネイティブと戦いながら施設の中の研究員を助けるのは難しいと思い、条件付きで弦十郎からの共闘の提案を了承。蛹態はクロックアップ出来ないので、装者たちでもなんとか出来るだろう。S.O.N.G.からの通信をそこで切り上げ、先ほどダメージを与えたネイティブを見る。響の投げたカブトクナイガン・斧モードを抜いて地面に放り、怒りを露にしている。そしてその体の表面にはヒビが見えている。脱皮して羽化しようとする前兆だ。

 

 

「キャストオフ」

 

【CAST OFF】

 

 

 今からだと羽化までに倒しきれないと判断した響はゼクターホーンに手を添え、一気に動かした。ネイティブはスズムシを模した怪人、ベルクリケタスワームへと羽化。

 

 ベルクリケタスワームは響を拘束しようと首元からスズムシの足のようなものを伸ばしてくる。それを響は体を動かして、左手だけを捕まえさせた。わざと捕らえられたとは思わないベルクリケタスワームは喜びの声をあげる。そして獲物を仕留める為に勢いよく引き寄せ手刀を繰り出した。それが響の狙いであるのも知らずに。

 

 

【RIDER KICK】

 

 

 勢いよく引き寄せられた響は空中に浮き上がりつつも、そこで冷静にゼクターを操作。空中で体勢を整え、ライダーキックを発動させた。ベルクリケタスワームの攻撃を正面から打ち破り、そのまま胸部へと命中。その場で爆発四散した。

 

 そこに5人のシンフォギア装者が現着。この姿の響を見たことがないこの世界の翼とクリスは警戒を示し、一度見たことのある響は驚く。そして残りの二人は

 

 

「わり!遅くなった!」

 

「立花、状況は?」

 

 

 そんな三人の様子など知ったことじゃないとばかりに気安く近づき話をする。

 

 

「……いやいやいや!ちょっと待て!?」

 

「ん?どうしたクリス?」

 

「そいつがほんとにさっきのアイツなのか?」

 

「ええ。立花で間違いないわ」

 

 

 初めて出会った時の二人の響の性格の違いにも驚いた三人だったが、全身鎧姿には更に驚いた。そしてその中でも一度交戦したこの世界の響はまさかもう一人の自分だとは思いもしなかったようだ。

 

 

「……行くぞ」

 

「おう!」

 

「ええ!」

 

「あ、ああ!」

 

「立花、私たちも」

 

「はい!」

 

 

 六人が船の内部に入ると、響はネイティブを探しに、他は残された人の救助活動に入った。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

「よっと、大丈夫か?」

 

 

 蛹態のネイティブに襲われてた人を助け、怪我をしていたその人を奏が背負う。この世界では奏はもう死んでいるけど、時折並行世界から遊びに来たりしているみたいだから素顔のままでもS.O.N.G.がなんとか出来るらしい。

 

 

「すいません、他にさっきのような怪物を見ませんでしたか?」

 

「ああ……。いきなり現れた奴らは『ガタックゼクター』は何処だ、と聞いてきた。当然そんなのは知らないから、そう答えたが……いてて」

 

 

 『ガタックゼクター』?確か立花の使っているのが『カブトゼクター』と言ったはず……。確認するのが早いな。

 

 

「立花、聞こえるか?」

 

『ああ、聞こえている。用件は?』

 

「敵のは『ガタックゼクター』という物を探しているらしい。立花はそれがどんなものか分かるか?」

 

『……なるほど。そういうことか』

 

「立花?……おい、立花!」

 

 

 切れた……だと!?

 

 

「翼さん、呼びました?」

 

「あ、いや、そちらの立花ではなくて……」

 

「あ、なるほど。わかりました」

 

 

 しかし、ここまで出てきた蛹態のネイティブは全てこの世界の三人によって倒されている。ルナアタックから一年が経っているらしいから今の私より強いというのはわかっていたけど……。私も負けてはいられない!何より私たちの世界に戻ったら戦うのは私たち自身なのだから!

 

 

「翼ー?なんか変な事、考えてないか?」

 

「ひゃっ!?奏!?なんで脇腹をつねるの!?そんなことは考えてないわよ!」

 

「そうか?なんか考え事してる時の翼の顔だったからさ。無理はするなよ?」

 

 

 そう言って奏は笑う。むぅ……やっぱり奏は意地悪だ。そもそもギアを纏うのにLinkerが必要な奏の方が無理してるのに。うん。奏に無茶をさせない為にも頑張らないと!

 そう決意した私が周囲を見渡すと、施設の奥の方へ向かう影が見えた。装者はここに揃っているし、この状況で奥に向かうとしたらネイティブか!S.O.N.G.からの情報だと、この奥にもまだ人が残されているらしい。急がなければ!

 

 

「翼!?どうした!?」

 

「ネイティブらしき影を見た!先に行く!」

 

「な、おい、待てよ!翼!」

 

 

 私は走る。防人として守る為に。人に害を為すネイティブを倒す為に。そしてとある部屋から声が聞こえ、その部屋を覗くと。

 

 

『フハハハ!!!見つけたぞ、『ガタックゼクター』!これで俺は最強の存在になる!』

 

 

 まずい。先に見つけられたか!ネイティブ、それも成虫態。立花は……いや、待っている時間も無い。私がやるしかない。敵は緑と黒の体色をした蜘蛛のよう。奴はまだこちらには気づいてなさそうだ。よし、いざ行かん!

 

 

『では、早速……む?』

 

「……!セイヤァァァ!!」

 

 

 声を殺し、アームドギアで斬りかかるが、途中で気付かれてしまったので、声を出し気合いを入れる。しかし、掲げた腕に止められてしまう。

 

 

『シンフォギアか……。邪魔だ!』

 

「くっ!?」

 

 

 そして何度も殴られ、蹴り飛ばされる。だけど、負ける訳にはいかない。すぐに立ちあがり、再び斬りかかる。

 

 

『このっ……。鬱陶しい!』

 

 

 何度もあしらわれるが、諦めずに取り返そうと挑んでいく。だが、ネイティブの我慢が限界に達したのか、突然とその姿が消える。クロックアップをした、と認識した瞬間には床に叩きつけられ、全身が悲鳴をあげていた。そして姿を現したネイティブが私に向けて何かを飛ばす。

 

 

「やめろぉぉぉ!!!」

 

 

 殺られる。そう思った時、奏が叫びながら私を庇うように割り込んできた。そしてネイティブから飛び出た物体が奏の背中に突き刺さる。

 

 

「か、奏ぇぇぇ!!!!」

 

「げほっ……大丈夫か、翼?」

 

 

 あ、ああ……。私のせいだ。私が鞘走ったから奏が、奏が!

 

 

『大した障害では無いが、目障りだ。貴様らはここで消え……』

 

「させるわけがないだろう」

 

 

 私と奏に向けてトドメを刺そうとネイティブが動こうとする。しかし、立花が私たちの前に立ち警戒する。

 

 

『チッ、カブトか……。目的の物は手にした以上、ここは引かせてもらう!』

 

 

 それだけ言うとネイティブはクロックアップしてここから立ち去った。そして、私と奏は立花ややって来たこの世界の装者によってS.O.N.G.の医務室へ搬送された。




緑と黒の体色をした蜘蛛のネイティブ→ブラキペルマ(タランチュラ)ワーム・ビリディス

とりあえず課題は今のところ無い。コラボの方も、こっちも今のうちに頑張って書かないと!


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その4

新年明けましておめでとうございます!(遅い)
今年もよろしくお願いします!

と、まあ、あいさつはこれくらいにしておいて。
年末年始は忙しくて更新出来ませんでした。
早速ですが、幕間4話目です!


(やっべ、前回の更新の感想返信忘れてた(テヘペロ))


『フフフフ、ハハハハ!!!』

 

 

『終わったぞ!』

 

 

『ついに調整は終わった!これで後は忌ま忌ましいカブトさえ倒せば、世界は我らのものになる!』

 

 

『その首を洗って待っていろ!!ハハハハ!!!』

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「様子はどうだ?」

 

「完全に塞ぎこんでしまって、話も全く聞く耳持たずだった……」

 

 

 響と並行世界のシンフォギア装者たちが集まり、状況の確認をしていた。

 

 

「奏さんのケガは酷いけど、なんとか助かって良かったです……」

 

「そうだな。そっちは安心出来る」

 

 

 先の戦いで搬送された奏と翼だが、奏はシンフォギアを纏っていたとはいえ、かなりの傷を負い治療中だ。命に別状はない。

 だが、問題は翼の方だ。響に連絡が通じなかったとはいえ、他の装者の手を借りず一人でネイティブに挑み敗北。さらに奏が自分を庇っての大怪我。敵の目的であった『ガタックゼクター』すらも持っていかれ、全て自分が鞘走ったせいだと思い、心が折れてしまった。今は与えられた部屋でただただ布団に包まり、引き込もっている。

 

 

「立花……あ、カブトの方の立花だが、そちらの私が戦っている時は何をしていたのだ?」

 

「ああ、あの時か。ほとんどは蛹態だったが、ネイティブの集団に遭遇していた。狭い廊下にそこそこの数が居たからな。流石に対処に手間取っていたんだ」

 

 

 そう。翼から連絡を受けていた時も施設の探索を続けていた響は、集団で集まりガタックゼクターを探している蛹態を見つけていた。研究員から所在を聞き出す事に失敗したネイティブたちは蛹態によるローラー作戦でガタックゼクターを見つけようとしていたのだ。

 

(なお、擬態して記憶を読み取った研究員の中にはガタックゼクターがどこにあるか知っている人物がいたものの、当人はそれがガタックゼクターという名前だということは知らなかった為、そのネイティブは名前が記憶にない=知らないと判断しその記憶をすぐに忘れ去ったのだった。)

 

 しかし、そのローラー作戦も響と遭遇してしまった事で失敗。見事に彼らは殲滅される事となった。

 

 

「そうか……。そういえば、奪われたガタックゼクターとやらはどんな物なんだ?」

 

「ああ……。来い、カブトゼクター」

 

 

 翼に聞かれ、その説明の為に響はカブトゼクターを呼び出した。

 

 

「こいつは……?」

 

「これは『カブトゼクター』。ネイティブに対抗するために造られたマスクドライダーシステムの一機だ。私はこれを使って『カブト』になる。ガタックゼクターもこれと同じくネイティブに対抗するための物だ」

 

「ん?なんでネイティブに対抗するための装備を、そのネイティブが持っていったんだ?自分たちの脅威になるなら壊すよな、普通」

 

「確かに……。なんでなの?」

 

「ちょっとは自分で考えろ、バカ!」

 

 

 クリスの疑問に同じことを思ったのか、立花は聞き返す。が、何も考えてない事を見抜かれたのかクリスに小突かれる。

 

 

「こちらの翼が交戦したからだろうな。そして私が合流して、そのせいで破壊する時間がなかったんだろう。もしくは自分たちが使用するという可能性もあるな」

 

「あー、なるほど。そっちの先輩が交戦したのは強ち間違いではなかったってことか」

 

「待て、ネイティブに対抗するための装備をネイティブが使えるのか?」

 

「可能か不可能かだけ言えば、可能だ」

 

 

 響のその言葉に翼とクリスが少し頭を抱える。そしてその時、放送で全員に集まるように連絡が入る。それに従い、響たちはミーティングルームに向かった。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「司令!」

 

「来たか、お前たち」

 

「何があった」

 

「まずはこれを見てくれ」

 

 

 弦十郎さんに見せられた物はカメラの映像。それもリアルタイムのだ。そこに映っていたのはとある港。そしてそこには擬態せずに怪人としての姿を見せているネイティブ、ブラキペルマワーム。ガタックゼクターを持っていった張本人だ。

 

 

「そちらの響くんはこれをどう思う?」

 

「まず間違いなく誘いだな。私をそこに呼び出そうという魂胆だろう」

 

「やはりか、俺もそう思っている。故にこの誘いに乗ろうと思う」

 

 

 ああ、やはりか。私もそのつもりだったし、並行世界のとは言え流石は弦十郎さんか。

 

 

「それでだが………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『来たか、カブト』

 

「ああ、望み通り出てきてやったぞ」

 

『ふん。その余裕がいつまで持つかな!』

 

 

 そう言って、唐突に擬態し人間の姿になったブラキペルマワームは懐から何かを取り出す……ッ!?

 

 

「それは……」

 

『本来の姿では俺は貴様に勝てないだろう。故に俺は求めた!貴様と同じ力を……いや、カブトをも越える戦いの神の力を!』

 

 

 取り出したのはライダーベルトとガタックゼクター。ここまで来ると何をするのかはっきりとした。

 

 

『フハハ!!変身!』

 

【HENSIN】

 

『これで滅びるがいい、カブト!』

 

 

 その身をガタックの鎧で包んだブラキペルマは、肩のガタックバルカンを放ってくる。それを転がって避け、同時に呼び出したカブトゼクターを掴み、私も変身する。

 

 

『HENSIN』

 

 

 ガタックゼクターをも破壊していいなら、(来てくれるかは分からないが)ハイパーゼクターを呼べばすぐにでも倒せる。だが、可能ならガタックゼクターは回収したい。やれやれ、これは骨が折れそうだ。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 私は……ダメだ。私のミスで()が砕けるならまだしも、奏を死の危険に追いやってしまった。立花や奏から成虫態のネイティブの強さは聞いていたが、甘く見すぎていた。強くなったと自惚れて、ネイティブにも勝てるだろうと慢心して。その結果がこれだ。防人として、ここで折れる訳にはいかないのは分かっている。でも体が、本能が、恐怖を訴えて動けない。誰かが傷つくのが怖い。私のミスで命が散るのが怖い。人が怖い。虫が怖い。何もかもが、怖い。

 ああ、もういっそのこと……。

 

 

「入るぞ、翼」

 

「ッ!?奏!?」

 

 

 そんな事を考えていると、奏が部屋に入ってきた。会わせる顔のない私は、被っていた布団を更に深く被る。

 

 

「来ないで!」

 

「翼……」

 

 

 奏を突き放すように拒絶する。奏に嫌われてもいい。お願いだから今は一人にして。

 

 

「……ッ!いい加減に、目を覚ませッ!!」

 

 

 だけど、そんな私を奏は布団から引きずり出して頬を叩いた。ジンジン痛む頬を擦りながらつい奏の顔を見る。

 

 

「……奏?」

 

「翼。お前は誰だ?」

 

「え?」

 

「いいから答えろ」

 

 

 奏は何を言ってるの?

 

 

「私は風鳴翼だけど……」

 

「ああ、そうだな。お前は翼だ。剣でも、道具でもない。ただの翼だ」

 

 

 全く、奏が何を言いたいか分からない。

 

 

「翼は人間なんだ。道具と違って意思がある。間違える事や、失敗する事だってある。だから、そんなに思い詰めるな」

 

「で、でも……」

 

「でもも、へったくれもあるもんか。こうしてあたしは無事だし、翼も生きている。それに、翼のいないツヴァイウィングなんて、ただの飛べない片翼だ。一人でなんて寂しいし、楽しくないだろ?」

 

「う、うん……」

 

「もう一回言うぞ。翼は『人』なんだ。未来の可能性は無限にある。なんにでもなれる。生きていれば取り返しのつかない事以外ならなんでもやり直せる。だからさ、目を覚ませよ」

 

 

 奏……。

 

 

「……ねぇ」

 

「……ん?」

 

「私はまた、歌っていいの?」

 

「いいに決まってるさ」

 

「また失敗して誰かを傷つけてしまうかも」

 

「その時はあたしがサポートするさ」

 

「奏も傷つくかも」

 

「翼一人じゃないさ。響や未来、クリスもいるだろ?心配すんな」

 

 

 私は……うん!

 自分の両頬を軽く叩き、気合いを入れる。

 

 

「ごめん、奏。もう大丈夫」

 

「お、元気でたか?」

 

「うん!」

 

「よし、最後の確認だ。お前は誰で、何者だ?」

 

「私は風鳴翼。歌女(うたのめ)にして、人々を防人るただの『人』!」

 

 

 そう、私は剣でも風鳴の道具でもない!風鳴翼という名前のただの人だ!

 

 

「ああ、それでこそ翼だ」

 

「奏」

 

「なんだ、翼?」

 

「行ってくる」

 

「ああ、行ってらっしゃい」

 

 

 私は奏に背を向けて、司令の待つ部屋に向かう。今の状況が知りたい。そして、その上で私のやるべきことを!

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「クソッ……全く隙が見えねぇ」

 

 

 そうボヤいたのはクリス。アームドギアを狙撃銃に変形させ、スコープを覗いてブラキペルマに狙いをつけている。

 

 

「そこは立花(カブト)を信じるしかあるまい」

 

 

 その横で警戒しているのはこの世界の翼。この二人と立花の三人は響がブラキペルマワームと交戦している間に他のワームが現れたら、そこに近づかせないようにするのが役目だ。そしてもう一つ、ブラキペルマが隙を見せたら狙撃してガタックゼクターを外せないか狙っているのだ。もちろん後者はブラキペルマがガタックゼクターを使ってきた時の為に想定していたことだ。

 

 

『キシシシ……』

 

「ッ!ネイティブか」

 

 

 その時、そんな三人の前に蛹態のネイティブが二体現れる。迎撃しようと響と翼が構えた瞬間。

 

 

「な……」

 

「え……」

 

 

 二体のネイティブがほぼ同時に切り裂かれ爆散した。

 

 

「すまない、迷惑をかけてしまったな」

 

「もう、大丈夫なのか。もう一人の私よ」

 

「ああ。私はもう自分の道を間違えない」

 

 

 それを為したのは天道世界の翼。今の状況を聞くや否や、許可を得て飛び出したのだ。

 

 

「私は立花の所へ行く」

 

「はい!ここは任せてください!」

 

「無茶はするなよ、私」

 

 

 頷き、響の所へと翼は駆け出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ……」

 

『ハハハ!!その程度か、カブトォォ!!』

 

 

 一方、響の方は中々に苦戦を強いられていた。理由は簡単。ガタックの鎧を纏ったブラキペルマワームがそれほどの脅威だからだ。もちろん、ハイパーフォームには敵わないだろう。だが、ネイティブという種族の力にガタックという力が付与されたブラキペルマはライダーフォームのカブトを押すには十分な力を持っていた。

 共にキャストオフしたカブトとガタック。カブトクナイガンとガタックカリバーが何度もぶつかり合い、火花を散らす。

 

 

【ONE TWO THREE】

 

【RIDER KICK】

 

『死ぬがいい!』

 

【ONE TWO THREE】

 

「ライダーキック」

 

【RIDER KICK】

 

 

 響とブラキペルマのライダーキックがぶつかる。競り勝ったのは………ブラキペルマだ。

 吹き飛ばされ、変身が解除される響。そこに近づくブラキペルマ。

 

 

『さあ、これで終わりだッ!』

 

 

 生身の響にガタックカリバーが振り下ろされ

 

 

 

 

 

 

 

 ガキンッ、という音と共に響の前に割り込んだ翼の剣に止められる。

 

 

『貴様は』

 

「立花はやらせん。私が相手だ」

 

『ふん、貴様に何が出来る。俺に手も足も出ずに敗れ、挙げ句には仲間に守られた貴様に!』

 

「……今の私を見くびらないでもらおうか。あのときとは違う。自分の道を、仲間を信じて『人』としての道を歩むと決めた私を!」

 

『戯れ言を……なんだッ!?』

 

 

 翼が己の覚悟を、想いを口にした途端、ブラキペルマワームの纏うガタックに異変が生じた。全身にスパークが走り、何かが起きている。

 

 

「今だ、雪音!」

 

『おうよ!』

 

 

 そして、明らかとなった隙に放たれる狙撃。それはブラキペルマの腰のガタックゼクターを弾き飛ばし、自由を取り戻したガタックゼクターが翼の周りを旋回してその手に収まる。

 

 

「お前は……まさか、私を認めてくれるのか?」

 

 

 ゼクターは契約者を選ぶと聞いていた翼は、己から手の中に来たガタックゼクターへと問いかける。反応は無かったが、離れない事から肯定と翼は捉えた。

 

 

『バカな……。こうなれば、ふん!』

 

 

 ガタックゼクターが自分の手から離れたのを認めたブラキペルマは、ネイティブとしての姿になり自分の腰に巻いていたベルトを破壊した。こうすれば翼が変身出来ないだろうと思ったが故に。

 

 

「これを使え、翼!」

 

「…!ああ!」

 

 

 たが、ここにはもう一つベルトがある。響の使っていたベルトだ。ガタックを失ったブラキペルマならば響でも恐らく勝てるだろう。だが、ここまでの戦闘で体は万全とは言えない。ならばとガタックゼクターに選ばれた翼にベルトを貸したのだ。

 それを受け取った翼は腰にベルトを巻く。()()()()()()()()()()()()

 

 

「行くぞ……お前の力を貸してくれ。変身!」

 

【HENSIN】

 

 

 そして鎧がその身を包んでいく。しかし、翼は全身を覆う前にガタックゼクターの角に手をかける。

 

 

「キャストオフ!」

 

【CAST OFF】

 

 

 顔までを鎧が覆うと同時にマスクドフォームとしての鎧が弾け飛ぶ。

 

 

【CHANGE STAGBEETLE】

 

 

 ここに戦いの神と呼ばれしライダー、ガタックが正しく誕生したのだった。




うーん、翼さん覚醒の所がこんなのでいいのか……悩みに悩みまくってこれくらいしか出来なかった。少し出来が不安。

予定では次かその次で幕間終わります。まあ、エピローグが次のに収まるか収まらないかなんですけど。


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その5

ヤバい、死ぬぅ………(いつもと変わらず1日7時間睡眠してるのに、最近謎に眠い)

幕間の最終回です。最後にはG編へと繋がるナニカも少し(?)あります。

そしてかなりの難産でした……(なのに短い)。遅くなってすいません。


【CHANGE STAGBEETLE】

 

「行くぞ」

 

『ガタックの力で思い上がったか!』

 

 

 翼が纏うは蒼の輝きが増したガタック。天羽々斬の力を一部受け継いだ翼だけのガタックだ。

 翼は肩のガタックダブルカリバーを両手に取り、本来の姿を見せたブラキペルマを迎え撃つ。

 蜘蛛を元としたネイティブらしく糸を放ってくるが、それをその場から動くことなく両の刃で切り刻む。

 

 

「ふッ!」

 

蒼ノ一閃

 

 

 そして、右の刃を縦に勢いよく振り切り蒼色の斬撃を飛ばす。それは地面を削りながらもブラキペルマへと襲い掛かり大きく傷をつける。更に畳み掛けるように懐へと潜り込み、二刀を流れるように操り連撃を刻んでいく。

 

 

『ぐっ……貴様ァ!』

 

 

 だがブラキペルマもやられるだけではない。なんとか連撃から抜け出し、クロックアップを行う。それを持って翼に反撃を繰り出す。急なクロックアップに翼は対応出来ず、それを受けて後ろへと押し返される。

 

 

「ッ!?これは……。確か、こうだったか?」

 

【CLOCK UP】

 

 

 いきなり目の前からブラキペルマが消えた事に翼は一瞬驚くが、それがクロックアップによるものだと理解する。そして、響のやっていた事を思いだしながら腰のスイッチに触れ、クロックアップを行う。途端に加速した世界に突入し、今まさに自分に殴りかかろうとしていたブラキペルマの手を両手の刃を交差して受け止める。そのまま弾くように刃を動かし、更に蹴りを入れて距離をとる。

 

 

「……ふむ、これがクロックアップした世界か。これが、立花が戦って来た世界なのだな」

 

 

 クロックアップしている翼とブラキペルマ以外の全ての動きが遅れている世界。翼はそんな初めての体験に関心を持つ。

 

 

『呆けている暇があるとでも……』

 

「ああ、それくらいの分別はついているさ」

 

 

 周りを見る翼を隙だらけと思ったのかブラキペルマが殴りかかってくる。しかし、翼もしっかりと意識を割いていた。脱力状態から一気に刃を振り抜く。

 

 

『くっ……』

 

「……そろそろ決めさせてもらおう!」

 

 

 更に連続で斬りかかる翼。それにより、次第に傷が増えていくブラキペルマ。その最中、ブラキペルマは一刀をかわし、もう一刀に左手を合わせ、それを犠牲にしながらも翼の手から一振りを弾き反撃へと移る。

 

 

『消えろ……!』

 

「いいや、私の勝ちだ」

 

 

影縫い

 

 

『な……んだと……!?』

 

 

 翼はもう片方の刃はすでに振り終わっている。そこに残った右腕で全力の一撃を放とうとしたブラキペルマの動きが止まる。見ると翼の手から弾かれた左の刃――マイナスカリバー――、それがブラキペルマの影へと突き刺さっている。翼は明後日の方向へと飛ばされたマイナスカリバーをもう片方の刃――プラスカリバー――で引き寄せ、影に突き刺さるように落ちる感じで咄嗟に軌道を修正したのだ。それぞれが名前の通りプラスとマイナスに帯電させられるとはいえ、狙って出来るようなものではない。

 

 

【ONE TWO THREE】

 

 

 動けないブラキペルマの前で翼はガタックゼクターのスイッチを三回押し、ゼクターホーンを元の位置に戻す。

 

 

「ライダーキック」

 

【RIDER KICK】

 

 

 そして再びゼクターホーンを動かして飛び上がり、ボレー(ライダー)キックを叩き込む。

 

 

【CLOCK OVER】

 

『俺は、こんなところで、終わる訳にはァァァ!!!』

 

 

 ブラキペルマはそんな言葉を残して爆散した。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「もう帰るの?」

 

「ああ、私たちには私たちの世界でやる事がある」

 

「そうなんだ……それなら仕方ないね」

 

 

 ブラキペルマを倒し、S.O.N.G.本部へと戻ってきた皆。その後1日の休みを貰い、事後処理まで終わるとハイパーゼクターが時空を越えて現れた。それが帰りの合図だと三人は理解した。その旨を集まったこの世界の人たちに告げたのだ。

 

 

「しかし、本当に良かったのですか?これらはそちらが管理していた物では……」

 

「何、それは元々はそちらの世界の物なのだろう?ならば俺たちが持っているよりも、そちらに返すべきだと判断したまでだ」

 

 

 翼は肩にガタックゼクターを乗せ、手に持っているケースの中にライダーベルトを入れている。ブラキペルマの手によって壊されたベルトはここの技術での修理は不可能な為、使用は不可能なままだが。

 

 

「さて、それじゃ帰るか」

 

 

 奏の言葉で三人は集まり、他の面々は巻き込まれないように少し離れた。ハイパーゼクターも光り始め、三人の姿が徐々に薄れていく。

 

 

「ねぇ、私!」

 

 

 そこにこの世界の響が天道世界の響へと声をかける。

 

 

「また、いつか会えるかな?」

 

「あの人が言っていた。人が歩むのは人の道、その道を拓くのが天の道。歩み続ければ、いつかは追い付くかも知れないな」

 

「ま、分かりやすく言えば、『機会があれば会えるんじゃないか?』って事だな」

 

 

 響の返答にこの世界の皆が少し困惑していると奏がそう訳した。そしてそれを最後に三人の姿がこの世界から消えた。

 

 

 

 

 

 

「というか、立花。『人』の道は私が進むと決めた道だぞ」

 

「それよりずっと前にあの人がそう言っていたんだ。文句は受け付けない」

 

「むぅ……。だが、今更変える訳にはいかんか……」

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 警報が鳴り響く。それを受けて、未来とクリスの二人はブリッジに急行する。

 

 

「おっさん!何があった!?」

 

「……ルナアタックで回収したゼクターの保管庫が何者かに襲撃されたようだ」

 

「なんだって!?」

 

「じゃあ急いで……」

 

「いや、犯人はもう撤退した。()()()()()()()()()()()()()

 

 

 その告げられた事に二人は驚く。襲撃の知らせが入り、二人がここに着くまでそう時間は経っていない。現実的にあり得ない速さだ。

 

 

「まさか、ネイティブ?」

 

「その可能性は高いだろうと予想される」

 

「くそっ、こんなときにあいつらは一体どこに……」

 

「……ん?」

 

 

 クリスがボヤいたその時、部屋の一角を光が満たし……。

 

 

「お、ここは……二課の本部か?」

 

「戻ってこれた……のよね?」

 

「そのようだな」

 

 

 1日姿の見えなかった三人が姿を現した。

 

 

「なッ!?」

 

「響ィ!」

 

「小日向!?抱きつくのは良いが、首!立花の首が絞まってるぞ!?」

 

「だ、大丈夫だ……。これくr、コフッ」

 

「立花ァァァァァ!?」

 

 

 

「なんだこれ……」

 

 

 皆が落ち着くまで、暫くの時間を要した。その後、お互いにこれまでの説明を行った。当然、奏の怪我や並行世界等という出来事で更に一悶着あったのは言うまでも無いだろう。




次回からG編………スタート!


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コラボ特別編:響き翔く天の道
邂逅、乙女と伴装者


幕間の途中ですが、予告していたコラボ回です!
幕間の方はもう少しで次の話が投稿できるかな?程度です。

コラボ回はheroさんの伴装者と同時投稿になります。そして視点がそれぞれの世界で違うので是非とも両方見るのをオススメします!では、どうぞ!


平行世界。それは無数に分岐し広がっていく、可能性(もしも)世界(かたち)

死んでしまった誰かが生きていたり、逆に生きているはずの誰かが死んでいたり。

起きたはずの事件が起きていなかったり、存在しないはずの何かが存在したり。

或いは、見知った誰かが平行世界では、全く別の性格をしていたり……。

 

これは、そんな平行世界と繋がる事で起きた不思議な出会いから始まる、ひと夏の物語だ。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 夏休みも終わりに近づいたこの日。外では暑い中、部活動に励む生徒が多々いるが、響は一足早く食堂での秋の新メニュー……秋が旬である秋刀魚や鯖、筍等を使った料理をどうするか、レシピを纏めたノートを見ながら考えていた。

 

 

「鯖はやはり味噌煮だな。筍は……」

 

 

 自分の記憶にある「天道流筍づくし」をメニューに入れようかと一瞬考えたが、それは少しやり過ぎではないかと思い留まり、筍ご飯とお吸い物のセットにした。

 その他にも、ある程度メニューの内容が決まった所で、試しに作ってみようと買い物で出ることに。新鮮な筍は季節の関係上あるかは怪しいが、少なくとも鯖は売っているだろうと。

 だが、部屋を出ようとした時。どこからともなくハイパーゼクターが飛んできて響の前に現れる。

 

 

「……そうか。呼んでいるのか」

 

 

 そう言うと、肯定するかのようにハイパーゼクターはその場で輪を書くように旋回し一回転した。カブトゼクターを呼び出し万全の準備を響が整えると、この前と同じようにハイパーゼクターが激しく発光。そして響の存在がこの世界から消えた。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、ここは……いつものショッピングモールのようだが」

 

 

 響が現れたのは市内にあるショッピングモール。響もよくここの食料品売り場を利用している為、すぐに気づいた。だが、わざわざハイパーゼクターが呼んだという事は『並行世界の』が頭に着くのだろう。前回(※幕間:風斬る戦神~貫くは『 』の道~)の経験からそう察した。

 一先ず状況を確認しようとすると、悲鳴と共にショッピングモールから人が逃げ出してくる。いずれもその顔には恐怖の色が見えている。

 

 

「おい」

 

「うおっ!?何すんだこのガキ!」

 

「一つだけ聞かせてくれ。何があった?」

 

 

 逃げ出してきたうちの一人を捕まえ、有無を言わさぬ声音で質問する。

 

 

「バケモノだよ!バケモノ!ノイズじゃない謎の虫みたいなバケモノが現れたんだ!」

 

「なるほどな。感謝する」

 

「あ、おい!どこに行くんだ!そっちは……」

 

 

 虫みたいなバケモノ。そして自分がハイパーゼクターにより呼ばれた事。そこから推測できるのはワーム、ないしネイティブがこの世界で暴れているという事。彼らが人に害をなすのであれば、響が戦わない理由はない。先ほど質問した男が何かを叫ぶのを無視しながらショッピングモールの中へと駆けていった。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

『ヒーローになんて、なりたくない!想いを貫けッ!3(スリー)2(トゥー)1(ワン)!ゼロッ!』

 

「この歌……そしてこの声は……」

 

 

 ショッピングモールの中に入ると戦闘音と共に歌が聴こえてきた。初めて聞く歌だったが、その声から誰が歌ってるのかは即座に理解出来た。この世界の響(以後、立花と表記)が交戦しているのだと。その声と戦闘音のする方向を把握した響はカブトゼクターを呼び出した。そしてゼクターを掴むと腰のベルトへとセットし、あの言葉を口にする。

 

 

「変身」

 

【HENSIN】

 

 

 銀とオレンジの鎧に包まれた姿。『仮面ライダーカブト・マスクドフォーム』へと変身した響は他にワーム・ネイティブがいないか警戒しつつ、奥へと進んでゆく。

 戦場に近づいた時、耳にはもう歌は聴こえてこなかった。まさか、と最悪の事態が頭によぎるが、ここで慌ててもどうにもならない。気配を隠し、足音を立てないようにして近づいていく。そこで響は見た。倒れる二人のシンフォギア装者。そしてその前に立つ三体の成虫態ネイティブを。まだ生きてる事を内心で安堵しつつも響は即座に記憶を漁り、ネイティブの名前と姿を一致させる。

赤い身体の個体は、右腕が巨大な鉤爪になっており、全身に棘を生やしたダニの怪人……アキャリナワーム。

赤褐色の身体に、右腕が触手鞭となったバイオリンムシのような姿の怪人……ビエラワーム。

しかし、最後の一体。黄色い身体に褐色の斑紋を持つ、ミイデラゴミムシのような特徴を持つ怪人…… 。こいつだけは響の記憶にあるどのワーム、ネイティブとも一致しなかった。

 

 アキャリナワームが左手で灰色のシンフォギア装者を掴んで持ち上げ、右手に赤色の電撃を走らせる。

 

 

「ダメッ!翔くん!」

 

 

 それを見て、倒れているオレンジのシンフォギア装者――恐らく立花――が助けようと立ち上がるが、ミイデラゴミムシ型のネイティブが吐き出したガスで動きを止められる。そしてアキャリナワームの腕が振り下ろされ灰色のシンフォギア装者に当たる

 

 

 

 

……のを、響が見逃す訳がなかった。

 

 

『ぐうぅっ!?』

 

 

 灰色のシンフォギア装者を掴んだ瞬間に取り出したカブトクナイガンをガンモードにして、装者に当たらないように狙いをつけ撃ったのだ。その衝撃で装者がアキャリナワームの手から解放されたのを見て、足音を立てつつ近づいていく。

 

 

『貴様は……このタイミングで現れるかァァァッ!』

 

「あの人が言っていた。私は世界の中心、ならば世界は私が救ってやる」

 

 

 響の登場に驚いたネイティブたち。しかし、驚いたのは彼らだけではなかった。

 

 

()()()()()()()()()!?でも、その色は……」

 

「それに、その声って……わたし?」

 

 

 その声に響はネイティブの動きを警戒しつつも二人を見る。一人がこの世界の自分なのはわかっていたが、もう一人の装者が()だと言う事に少なからず驚いた。だが、ここは並行世界。そう言うこともあるのだろうとすぐに納得した。なぜ彼らが『仮面ライダー』の名前を知っていたのかという疑問は、驚きに流されてしまっていた。

 

 硬直する場。そこで最初に動いたのは響。アキャリナワームの手から解放されたとは言え、二人の装者は未だネイティブの近くにいる。ネイティブを彼らから引き離す為に手のカブトクナイガンの引き金を引き成虫態の三体を撃ち抜く。銃撃から解放されるためにネイティブが離れると響は二人の下に近づき、伏せろ、と一言告げてゼクターホーンへと手を伸ばした。

 

 

「キャストオフ」

 

【CAST OFF】

 

 

 その言葉と共にゼクターホーンを反対側へと持っていき、マスクドフォームの鎧がパージされる。二人は伏せて、アキャリナワームとミイデラゴミムシ型はそれぞれ避けたり、弾いたりしてやり過ごしたが、ビエラワームだけは突っ込んで来ていた為、パージした鎧の直撃を受けて吹き飛んでいった。

 

 

【CHANGE BEETLE】

 

 

 鎧の下から現れたのは銀朱色をしたカブトムシを模したライダー……『仮面ライダーカブト・ライダーフォーム』。

 

 

「クロックアップ」

 

【CLOCK UP】

 

 

 クロックアップを起動させ、響たちは余人の介入を許さない時間の流れの異なる世界へと突入する。

 まずは数の不利を減らす為に、唯一隙をさらしているビエラワームを狙う。しかし、すぐに後退を余儀なくさせられた。何故ならば、アキャリナワームが体についている棘をミサイルのように飛ばして妨害してきたからだ。そこに体勢を整えたビエラワームが右腕の触手鞭での乱舞を放つ。響は躱す事も考えたが、さっき後退した時に二人の近くまで戻ってきてしまっていた。彼らがこれ以上の攻撃を受けると危険だというのは先ほどの状況を見て理解している。故に、響はカブトクナイガンをクナイモードに変えての迎撃を選択した。自身もゆっくり動きながら、後ろの二人に当たらないように、右に左に鞭を受け流していく。

 ビエラワームの攻撃が通用しないと悟ったネイティブたち。今度はアキャリナワームとミイデラゴミムシ型が前に出てきて、格闘戦を挑んできた。アキャリナワームは右腕の巨大な鉤爪で、ミイデラゴミムシ型は両手の鉤爪で響を激しく攻め立てる。ミイデラゴミムシ型のネイティブは兎も角、アキャリナワームの巨大な鉤爪は一撃でも喰らうと危険なのは見てわかる。なので、アキャリナワームの鉤爪による攻撃だけは必ず避けていた。しかし、そこにビエラワームの触手鞭による攻撃まで加わった。二体の鉤爪による攻撃の隙間を埋めるように放たれるそれに、響の被弾が徐々に増えていく。ビエラワームの攻撃が加わるまでは反撃も出来ていたのだが、今となっては防戦一方である。

 響が中々攻勢に出れない理由としては、初めて見るミイデラゴミムシ型の存在が大きい。これまでのネイティブは知識としてどのような生態か、どのような攻撃をするかを知っていた為に対策は容易だった。敵が一体ならば強気に出ることも考えられた。しかし敵が複数、それも高い攻撃力を持つ敵がいる事からそれは躊躇せざるを得なかった。

 そこで響は防御に集中しつつも、反撃の時を狙う事にした。幸いにもミイデラゴミムシ型の攻撃力はそこまで高くないようで、被弾は多いがそこまでのダメージは受けていない。響はじっとその時を待った。そしてそれはすぐに訪れた。

 変わらない状況に焦ったのだろうか、ネイティブたちの連携がほんの少しズレた事で僅かな隙が発生した。そこに響は手首のスナップだけでクナイモードのカブトクナイガンを投擲。アキャリナワームの顔にクリーンヒットした。

 

 

『グオォッ!?』

 

 

 そして完全に崩れた連携。力を込めてアキャリナワームを蹴り飛ばした響はミイデラゴミムシ型に対し、拳、拳、蹴り、拳、とラッシュを加えていく。そのままライダーキックまで繋げようとするが、その直前に口部から強い勢いのガスを噴射。それにより後ろに少し下げられた上、視界が隠される。すぐにガスは晴れるが、その時にはもうネイティブたちは何処かに消えていた。残ったのは鼻にくる刺激臭だけだ。

 

 

【CLOCK OVER】

 

 

 クロックアップが解除され、元の時間に戻ってきた響。先にネイティブと戦っていた二人は男の方が立花に肩を借りて立ち上がっていた所だった。そして彼らは響に声をかけてきた。

 

 

「ありがとう。お陰で助かった」

 

「翔くんを助けてくれてありがとう。カブトさんっ!」

 

 

 その声に響は振り替える。じっと翔くんと呼ばれた男の顔を見ると、どこか既視感を覚える。どこだったかと思っていると翔くんと呼ばれた男が再び声をかけてきた。

 

 

「ところで、君はカブト……なんだよな?その体格と声、天道さんではないみたいだけど……」

 

「ああ、そうだ!ねぇ、どうしてわたしと同じ声なのッ!?」

 

 

 立花も思い出したように問いかけてくるが、響としてはそれどころではなかった。

 

 

「ッ!?天道……だと!?」

 

 

 今、彼はなんて言った?聞き間違いでなければ()()と言わなかったか?ベルトからカブトゼクターを外して変身を解除しつつ、聞き返した。そして彼に詰め寄り、矢継ぎ早に喋る。

 

 

「まさか、この世界には『あの人』がいるのか!?お前はそれを知っているのか!?教えてくれ!!」

 

「えっ!?あっ、あの人……?」

 

「『天道総司』だ!天の道を往き、総てを司る男の名だ!さっきお前が口にしていただろう!?この世界にはあの人の物語があるんだな!?」

 

「あ、ああ……。丁度昨日、全話鑑賞し終えた所だぞ?」

 

「なにッ!?それは本当か!?」

 

「ちょ~っとストップ!二人とも、距離が近いよッ!」

 

 

 我を忘れて詰め寄るもう一人の自分に耐えかねたのか、立花が二人を引き離す。

 

 

「ッ……す、すまない……。なにぶん、かれこれ10年以上はあの人の居ない世界で生きて来たものだから、つい……」

 

 

 自分のやらかした事に気づいたのか、気恥ずかしそうにそう告げる響。そして立花は響の言った言葉について言及する。

 

 

「この世界って言ったよね?って事はあなたは、もしかして違う世界の……」

 

 

 それを聞いた響は一旦目を閉じ、人差し指を立てて天を指し示した。

 

 

「あ……」

 

「そのポーズは……」

 

 

 この動きだけで二人は気づいたらしい。これから響が何を口にするかを。

 

 

「あの人が言っていた。私は天の道を往き、総てを司る女、立花響」

 

 

 ここに天の道を往く女と、伴装者の愛する人。二つの太陽が出会ったのであった。

 

 

「別の世界の響……」

 

「仮面ライダーのわたし……」

 

 

 そして、誰も知らない物語が動き出した。




次回、響き翔く天の道は──デッデデデッ

翔「平行世界?」

弦十郎「そうだ。ギャラルホルンは、この世界と平行世界を繋げる事が出来る、謎多き完全聖遺物だ」

クリス「ホントにあたしらが知ってる響とは全然違うな……」

響「もうっ!翔くんなんか知らないッ!」

未来「あんな響、初めて見た……」

純「ネイティブが既に二人の姿をコピーしている可能性って、有り得るんじゃないかな……って」

天道響「絆とは決して断ち切る事の出来ない深いつながり。例え離れていても心と心が繋がっている……」

『天の道を往く女』
天の道を往き、総てを司る!


(※サブタイは変わる可能性があります)


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二人の響

お待たせしました、コラボ二話です!
残念なことに、コラボ相手のheroさんがハーメルン運営からロック受けてしまいましたが、コラボは続きます!
あちらが引っ越し先で宣伝してくれるとの事で、こちらでも宣伝を。
↓伴装者の引っ越し先はこちらです。
https://www.akatsuki-novels.com/stories/index/novel_id~24005


ただ、本編幕間ではまだ語られてない事が少し語られてるので、そこは注意です。
そして本編では見れない天道響が出てきます。何しろ、途中から本編プロローグの冒頭以来初めての天道響視点です。もちろんキャラ崩壊(?)注意です。


「並行世界?」

 

「そうだ。ギャラルホルンは、この世界と平行世界を繋げる事が出来る、謎多き完全聖遺物だ。原因はそれ以外に考えられないだろう」

 

 

 ハイパーゼクターに導かれてやって来た並行世界。響はそこでネイティブに襲われていた装者を助けた。しかしネイティブが彼らを襲った以上、再び彼らの所にやってくる可能性は高い。そこで、響は今この世界の二課にお邪魔して情報交換を行っていた。

 

 ギャラルホルン。並行世界を観測して繋ぐ扉の役割を持つ完全聖遺物。本来はとある危機に対してアラートを発して警告するのだが、今は関係ないので置いておこう。

 まず、この世界についてわかった事。立花は以前の世界と同じくシンフォギア装者であり、性格も酷似している。翼とクリスは響の世界と変わらず、奏が二年前のライブ事故で亡くなっている。それだけならば以前の世界と同じだったが、この世界には「風鳴翔」という風鳴翼の弟にしてRN式回天特機装束――シンフォギアtype-P――の()()装者がいる。彼の体内にはその疑似シンフォギアともいえるRN式ギアの核である第4号聖遺物『生弓矢(いくゆみや)』の欠片を宿している――というか、立花を助ける為に生弓矢の欠片を自ずから体内に入れた――そうだ。そんな彼は立花の彼氏でもある。ちなみにこの世界にはもう一人RN式ギアの装者がいるが、紹介は後程。

 

 そして、今回の件でネイティブがこの世界に現れた経緯だが、根幹の原因は響の世界のフィーネである。協力関係を築いたネイティブたちを利用してゼクターを回収させていたのだが、ガタックゼクターの回収をしようとした所で仕掛けられていたトラップやそれに対応したネイティブの反撃などにより、同じ所に保管されていたギャラルホルンが誤作動。その大半が以前の世界(※幕間の世界)に飛ばされ、極僅かがこの世界にやって来たのだ。この世界からすると迷惑極まりない話である。

 

 

「現在、街中の監視カメラに備えられたサーモグラフィーを作動させ、捜索しています」

 

「未だ発見はされていませんが、翔くんと……仮面ライダーの響ちゃんから聞いた通りなら、それも時間の問題かと」

 

 

 そして今、藤尭と友里を始め、二課の職員の皆が忙しく手を動かしてカメラを確認している。ワームやネイティブは、遺伝子や記憶ごと人間に擬態できるが、体温までは誤魔化せない。索敵範囲を狭めていく形で、現在その行方を追っている。

 

 

「発見次第、すぐに連絡する。それまでお前達は、いつでも出られるよう待機しておけ」

 

「ありがとうございます、司令」

 

 

 弦十郎の言葉に翔が返事をし、装者一同と共に響は休憩スペースが併設されている自販機前へと移動した。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

「それにしても、ホントにあたしらが知ってる響とは全然違うな……」

 

 

 クリスが私を頭の上から下までじっくりと見ながらそう言う。並行世界の同一人物とはいえ、私は前世の記憶持ちという所謂異端(イレギュラー)だ。その記憶が今の私の活動力の源となっている以上、違うのは当然だろう。

 

 

「クリスちゃん、一番驚いてるのはわたしなんだからね~?」

 

「まさか……響がカブトにハマるとこうなるって事か!?」

 

「ええっ!?そうなの!?」

 

「いや、それは無いだろう」

 

 

 翔の言葉を即座に否定する。私と彼女は確かに同じ『立花響』であり、似たような事を経験してきた。だが、こちらの私が『仮面ライダーカブト』にはまり、『あの人』に憧れたとしても私のようにはならないだろう。

 

 

「世界線が違うとはいえ、性格がこうも変わるものなんだね」

 

 

 こう言った彼の名前は「爽々波純(さざなみ じゅん)」。自分に『王子様』であることを課していて、いまや『プリンス』のあだ名を持っている。幼なじみであるクリスが何よりも大切なのだそう。そしてもう一人のRN式ギア『Model-0』の使い手でもある。

 

 

「私も驚いてる。理論上不可能だと言われた男の装者がいる世界……しかも、まさか翼に弟がいるとは。私の世界の翼が聞いたら、二度聞きするだろうな」

 

 

 まあ、弟云々の問題は私にひよりという妹がいて、こちらの私に妹がいないのと同じだろう。

 しかし、RN式ギアか……。元々はシンフォギアのプロトタイプらしいが、開発者曰くガラクタ以下の欠陥品らしい。歌の代わりに使用者の精神力で聖遺物を起動させる仕組みらしいが、持って数秒。燃費が悪いどころの話じゃない。それを翔が体内に取り込み、融合することでシンフォギアとしての形をなんとか成しているそうだ。

 私の世界にも存在するならば、弦十郎さんが使うだろうな。私たちだけにノイズと戦わせるのを不甲斐ないと嘆いていたし、弦十郎さんの精神力なら半ば永久的に使えそうだ。

 

 

「翔がいない世界の私、か。そちらの世界での私達は、私達と何処まで違うのだ?」

 

「いや、殆ど変わらない。翼も、クリスも、弦十郎さん達もな。ただ、私の性格を除けば……翔、純。お前達二人がいないのと、櫻井了子がフィーネと共にこの世を去った事くらいだ。RN式回天特機装束、というお前達のギアも、少なくとも実戦には投入されていないな。リディアンの姉妹校、というのも聞いた事がない」

 

 

 そう言うと、純が少し悲しげな表情をする。彼の気持ちは分かる。それだけクリスが彼にとって大切な存在になっているのだろう。

 

 

「心配するな。戻ったらそれらしい人物に心当たりがないか、クリスに聞いておいてやる。弦十郎さん達に頼めば、すぐに調べてくれるだろう」

 

「ッ!お願いできる?」

 

「ああ。辿った道が違うだけで、存在しないという事はない筈だからな」

 

 

 とは言ったものの、翼に弟は居なかったな。いや、もしかしたら親戚に翔という名前の男がいるかもしれないな。そこも今度確認してみるか。

 

 

「あたしの知らないジュンくん、か……。想像もつかねぇな」

 

「今の僕とは違っても、きっとクリスちゃんを想う気持ちは変わらない筈だよ。だって世界を超えても、違う人生を歩んでいても、僕が僕であることに変わりはないからね」

 

「ジュンくん……」

 

 

 そしてクリスと純は二人の世界に入る。こちらの私、翼、翔がニヤける中で私は、若いな、と暖かい目を送っておく。

 と、そこで翔が何かを思い付いたのか、私に話しかけてくる。

 

 

「なあ、その……君の呼び方だけどさ。こっちの響と区別するの大変だし、『天道響』って呼んでいいか?」

 

「……何故その名前に?」

 

 

 『あの人』の名前は『あの人』の物だ。カブトの資格者になったとは言え、私が気軽に名乗っていい名前じゃない。

 

 

「カブト響、だと語呂が悪い。でも『立花』って呼ぶのも姉さんと被る。じゃあ“天の道を往く響”、略して天道の方が呼びやすいし分かりやすいだろ?……ダメか?」

 

 

 確かに私を分かりやすく表している。他に私を表す言葉は……無いか。同姓同名で姿も似てる以上、区別するには呼び名くらいしかない。仕方ない、か。

 

 

「……いいだろう。それは、未だあの人に程遠い私には恐れ多い名前だ。だが、こちらの私と区別する為なら悪くはない」

 

「じゃあ、よろしくねっ!天の道を往くわたしっ!」

 

「ああ」

 

 

 っと、そういえば。

 

 

「ああ、そうだ。翔、一つ頼みがあるんだが……。再生機器と、それから昨日借りたというDVD……あるか?」

 

「え?家だけど……」

 

「そうか……」

 

 

 家、なのか……。確かに二課という国家組織の一部屋に置いておく物では無いな。でも……はぁ。

 

 

「い、一応動画サイトで1話と2話が無料だけど……」

 

「本当かッ!?」

 

 

 見れるの!?冒頭だけとはいえ、『あの人』の勇姿が、戦いが!

 

 

「ちょっと天道なわたし!また距離が近いよ!!」

 

「あ……すまない……」

 

 

 興奮した私はどうやら無意識に翔へと近づいていたようだ。こんな事ではダメだ、もっと落ち着きを……。

 

 

「取り敢えず、レクリエーションルームにでも行く?壁掛けテレビあるし、スマホ繋いで大画面で見た方がいいだろ?」

 

 

 大画面で『あの人』を見られる……!?もう無理、我慢することなんてできない!そう、私の事を知ってる人はこの世界には他にいない。だったら……。

 

 

「そうと決まれば善は急げだ!ネイティブが動き出す前に観終えるぞ!」

 

「うおおっ!?ちょっ!天道!?」

 

「ああっ!?もうっ!だから近いんだってば!!」

 

 

 端末を持っている翔の手を引っ張って、レクリエーションルームへと向かう。二課の内装は私の世界と変わってないみたいだから場所はわかる。さあ、早く!

 

 

 

 

 

 

 

 

『自分を犠牲にしてでも、誰かを助ける……。戦士には向かないタイプだな』

 

『うるさい!いいか、マスクドライダーシステムには、クロックアップに対抗する手段があるはずなんだ。それを探せ!』

 

『知ってるよ』

 

『何ぃ!?』

 

『悪いがベルトとは長い付き合いでね。マスクドフォーム(このすがた)で何処までやれるか試していたんだ』

 

『じゃあまさか……』

 

 

 ついに、来る……!!!

 

 

『キャストオフ』

 

【CAST OFF】

 

【CHANGE BEATLE】

 

 

 来た、来た来た来たー!!!!『あの人』の、本家本元の『変身』!やっぱり私とは……違う。

 

 

「クロックアップ」

 

【CLOCK UP】

 

 

 持ちうる力も、存在感も、格好良さも。全てが私の憧れであり、目標。

 

 

「とんでもねぇ俺様系だな……この天道ってのは」

 

「しかし、常に余裕に充ちた表情。裏付けされた文武ともに秀でた実力。只者ではない。天の道を往き総てを司る、という名は伊達ではないという事だな」

 

 

 そう言う事だ。私の世界には『仮面ライダーカブト』の物語は存在しないから聞けない感想だったけど、『あの人』の事をわかってもらえたようで嬉しい。

 

 

 そして一話と二話を見終えた後、私の中にあったのはは満足感だった。……好きに世界間移動出来るようになれば、たまにこの世界に来るのもいいか?と、僅かながら思ったが私の世界の事もある。その考えを焼却し、翔に礼を言う為に立ち上がる。

 

 

「ありがとう、翔。久し振りにあの人の活躍を観ることが出来た。それだけでも、この世界に来た意味はあったよ」

 

「いやいや、そんな。これくらいで満足なわけが……」

 

「確かにまだまだ物足りないし、いっその事全話と劇場版まで全部見ておきたいけど、私がこの世界に居られる時間は限られている。これ以上は未練が残ってしまいそうだ。でも、満足した。私はこれからも励むよ……いつか、あの人に追いつけるように」

 

「『おばあちゃんが言っていた。人のまねをするのも悪くない……“本当の自分”を見つけるためには』……とは言ってたけど、君が天道を真似ているのはそう事じゃないんだよな?」

 

「ッ!」

 

 翔のその言葉に驚く。私は一言も前世の記憶があるのを仄めかすような言葉は発して……いたかもしれないな。翔はそれを見て、確信したように続けた。

 

「ネイティブとマスクドライダーシステムが存在する並行世界。天道さんを尊敬してやまない君の在り方と“10年以上”、“あの人の居ない世界”、そして何より、“物語”という言葉……。天道、もしかして君は……」

 

「ううううう……ああもうッ!」

 

 

 私の秘密が翔によって暴かれようとしたその時、こちらの私が感情を爆発させた。

 

 

「さっきからそっちのわたしとばっかり楽しそうに……。もうっ!翔くんなんか知らないッ!」

 

 

 そう言い捨て、レクリエーションルームを飛び出していった。

 

 

「響ッ!」

 

 

 翔も追いかけるように部屋を飛び出す。それを見て翼は呆れ、クリスと純は苦笑いしていた。

 

 

「翔のやつ……。立花の目の前で他の女子とイチャつくなど……。いや待て、そう言えばこちらも立花だったな。……この場合、どうなるのだ?」

 

「いや、あたしに聞かれても困るんだけどな。そんな事、答えられるやつなんているのか?」

 

「当人達次第……なんじゃないかな?」

 

 

 三人からの視線を感じたので、思った事を返す。

 

 

「あの人が言っていた。絆とは決して断ち切る事の出来ない深いつながり。例え離れていても心と心が繋がっている……」

 

「えっと……つまり、どういう事だ?」

 

「喧嘩してもまた仲直り出来る、って事じゃないかな?」

 

「確かに、翔と立花のつながりは深い。この程度で引き裂かれるほどの関係では無いはずだ」

 

「皆大変!響と翔くんが……って、ええっ!?ひっ、響!?」

 

 

 そこへ、こちらの世界の未来が慌てて駆け込んできた。

 

 

「ん……こちらの世界の未来か」

 

「あ~……また説明すんのか……。ジュンくん、頼むわ」

 

「わかった。小日向さん、実はこの立花さんはね──」




え、天道語録は普通に使ってるだろ、お前。って?
……ほ、ほら、あれはおばあちゃんの言葉だから(震え声)


次回、響き翔く天の道は──デッデデデッ

未来「そう言えば、あの二人が喧嘩するところって見たこと無かった気がするなぁ……」
天道響「心配なのか?彼女の事が」
翔「俺は響を守る為に、この力を手に入れたんだ……」
響「なんでわたし、あんな事言っちゃったんだろ……」
藤尭「響ちゃんの隣にいるのは……翔くん!?」
友里「いえ、ネイティブですッ!」
翔「響から離れろッ!!」

次回『乙女の嫉妬と迫る魔の手』(※サブタイは変わる可能性があります)
天の道を往き、総てを司る!


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乙女の嫉妬と……

完・全・復・活!!!

活動報告に書いた通り、風邪(たぶん)を引いて二週間ほど気力が無かったのですが、この度復活しました!
ずいぶんとお待たせしたと思いますが、続きをどうぞ!


 純がこれまでの事、主に私について説明をした事で状況を理解した未来。先ほど立花が飛び出した理由は簡単。『仮面ライダーカブト』について私と翔が二人盛り上がっていた事に嫉妬したからだろう。……ダメだな。いくら『あの人』を久しぶりに見れたからと浮かれていたせいで、彼女を傷つけてしまった。反省した上で謝らなくてはいけないな。

 

 

「あんな響、初めて見た……」

 

「小日向でも初めてなのか」

 

「うん。だって、今まで響が誰かに嫉妬する事なんてなかったんだもの」

 

「そういえば、あの二人が喧嘩するところって見たことなかった気がするなぁ……」

 

 

 なるほど、確かに『私』なら……いや、この表現はある意味正しくないか。彼女の性格なら他人に嫉妬など感じる事はなかったのだろう。それに純の言葉通りならこれが二人の初めての喧嘩らしい。

 

 

「なあ、あの二人何処まで行ったと思う?」

 

「本部の外じゃないかな?喧嘩した相手と同じ場所にいようなんて、怒ってる時には思えないもの」

 

 

 クリスの質問に対し、未来がそう答える。……待て、()()()()だと?確かに怒っている時の思考としては妥当だが、今の状況だと……。純も同じ事に気づいたのか声を出す。

 

 

「ねぇ、あんまりこんな事、言いたくないんだけど……」

 

「どうした、ジュンくん?」

 

「ネイティブが既に二人の姿をコピーしている可能性って、有り得るんじゃないかな……って」

 

 

 その言葉に辺りの雰囲気が凍りつく。現状、ネイティブと接触したのは翔と立花の二人だけ。二人に襲いかかっていたのを見るに擬態している可能性も高い。

 

 

「すぐに司令に報告してくる!小日向、お前は……」

 

「皆に連絡しなきゃ!」

 

「僕も恭一郎達に伝えておかないと!」

 

「あたしはどうすりゃいい!?」

 

「雪音は本部の出入口へ!万が一という事もある、見張っていろ!」

 

 

 全員が即座に各人のやることを決め、動き出す。このメンバーなら私のやることは一つだな。そう思い、レクリエーションルームを出たところでクリスに呼び止められる。

 

 

「おいっ!何処へ行く気だ!?」

 

「翔と、それからもう一人の私を探してくる」

 

「なら、あたしも……」

 

「僕達が出れば、ネイティブの擬態先を増やし混乱を招く……。そうだね?」

 

 

 流石だ。理解が早いというのはこちらとしてもとても助かる。それに、仮に擬態能力が無くてもクロックアップへの対策がない彼らでは少し荷が重い。頷いて肯定し思っている事を伝える。

 

 

「それに二人の喧嘩は、私が原因を作ったようなものだ。だから、私に行かせてほしい」

 

「翔の親友として、君に任せる。僕の親友と、彼の大事な人を……頼む」

 

 

 真っ直ぐな目をして言ってきた純に、再び頷く事で返答を返す。そして、私は外へと走った。二人が無事ならいいんだが……。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 ビル街を走り回っている人影がある。一足先に立花を追って飛び出した翔だ。どうやら追いかけている途中で立花を見失ってしまったらしい。

 

 

「響ッ!響、何処だッ!?」

 

「心配なのか?彼女の事が」

 

「えっ?……って、天道!?」

 

 

 立花が見つからない事に焦りを覚える翔。そこに声をかけたのは響だった。

 

 

「こっちには居なかったぞ」

 

「探してくれてたのか?」

 

「責任の一端は私にもある。それくらいの責任は果たすさ」

 

「すまない……いや、ありがとう」

 

 

 響へ頭を下げる翔。そして二人はまだ探していない場所へ向けて歩みを進める。そんな中で響は呟く。

 

 

「翔、ところでお前……よく気がついたな」

 

「え?」

 

 

 唐突に放たれたその言葉に翔の足が止まる。

 

 

「私がただの、『並行世界の立花響』ではない存在である事だ」

 

「ああ……もしかして、言ったらまずかったか?」

 

 

 翔はそれを聞いて気まずそうな顔をするが、響が首を横に振り否定する。

 

 

「いや、取り立てて吹聴するような事でもないからな。誰にも話した事はないし、話したところで何かがある訳でもない。その程度の事情だ」

 

「そうか……。それにしても、まさか前世の記憶があるなんてね。しかも、産まれる前は並行世界の住人だったなんて」

 

「最初は戸惑ったさ。転生した世界にはあの人も、あの人の物語もしないなんて……。少し、いや、結構ショックだったかな……」

 

 

 自分の秘密に感づいた翔だからか、いつもは見せない表情で響はそう語る。

 

 

「だから目指したのか……天の道を」

 

「そうだ。あの人がいないなら、私があの人のようになればいい。そう考えた私は、あの人を目標に生きる事を決めた」

 

「世界を隔てても、天道さんと繋がっていたい……という事か?」

 

「お前、中々のロマンチストだな。……でも、そうなのかも知れないな……」

 

 

 響は真夏の太陽に向かって手を伸ばしながらそう言った。その胸に宿る気持ちは尊敬という名の『愛』なのだろう。

 

 

「そして、その手にカブトゼクターを掴んだ……か。凄いな、天道は。天の道を貫き続けて、本当にその手に未来を掴んだなんて」

 

「あの人にはまだまだ程遠い。でも、誉め言葉として受け取っておこう。……翔、そういうお前はどうなんだ?」

 

 

 伸ばしていた手を戻し、翔の方へ振り向く響。

 

 

「男性のシンフォギア装者なんて、私の世界どころか少なくとも私の行った事のある世界でも聞いたことがない。しかも、自分の手で聖遺物をその身に取り込むなんて、常識的に考えれば無謀以外の何物でもないぞ。……何がお前をそこまで突き動かしたんだ?」

 

 

 響にそう問われた翔は少し長くなると前置きするが、あまり時間を掛けていられないと理解しているので、出来るだけ手短に話していく。

 

 ライブ会場の惨劇を始めとする翔と立花の関係。弱かった頃、後悔を胸に人助けに邁進していた日々。二人の再会と赦し。そして伴装者となり彼女を支えて、想いに気づくまでを。(※詳しくは伴装者本編をご覧あれ)

 

 

「あの人が言っていた。たとえ世界を敵にまわしても守るべきものがある、と……。お前にとっての立花はそういう存在なんだな」

 

「ああ、そうだ。響を泣かせる奴は俺が許さない。響には笑顔が一番なんだ……。ちゃんと謝らないと……」

 

「そうだな。今、二課の方で立花のGPSの反応を辿っている。そろそろ連絡が来るだろう」

 

 

 響がそう語った時の事だった。翔の持つ通信機が鳴り始めたのは。

 

 

「はい!翔です!」

 

『翔くん!今送った座標に全速力で向かって!』

 

 

 通信機から聞こえてきたのはどこか焦りを感じられる友里の声だった。二人はそれだけで状況を把握した。

 

 

「まさか、響とネイティブが!?」

 

『ええ、その通りよ!急いで!敵は翔くんの姿に化けているわ!』

 

 

 それを聞くや否や、二人は指定された座標へと向け駆け出した。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

「響……!」

 

 

 二課からの連絡を受け、翔が駆けていく。その速さは『天の道を往く』為に鍛えた私の速さを越えていて、徐々に間が開いていく。

 いくら全速力で、と言われていても、ネイティブがいる=戦闘に入るということ。駆け付けるのに体力を使い果たしては本末転倒だというのに……!

 

 

「おい、翔!飛ばしすぎだ!」

 

 

 そう声をかけるも、もう聞こえていないようで反応が無かった。こうなると素直に追い付くより、支援した方がいいな。

 

 

「カブトゼクター!頼む!」

 

 

 そう決めた私は、カブトゼクターを呼び出すと翔と立花に、私が追い付く前に何か起きれば介入するように頼んだ。空間を飛び越えられるゼクターなら、仮にこちらに他のネイティブが来てもすぐに呼び戻せる。一番はやはり何も起きない事だが、警戒するに越したことはない。

 

 

 そして私が追い付いた時、そこには睨み合う二人の翔とその間で困惑する立花がいた。




勿論、今回も伴装者の方と同日投稿です。暁の方はエラー吐いたりするらしいので、pixivにも投稿してるとの事です。最後の方で詳しく何があったか知りたいという人は是非そちらへ!


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偽物を見破れ

テスト終わった……てなわけで、コラボ更新です。

あと、何あれ!?並行世界のオレッ娘翼と……清楚?世話焼き?なクリスは……。シンフォギア公式は神だった?一応一枚ずつ当てました。


 もう一人の私を挟むように睨み合う二人の翔。先ほどまで私と一緒にいた方が本物だと言うのはわかっている。より早く決着をつける為にも介入を……!?

 

 

「これは……!」

 

 

 その瞬間に周囲一帯をガスが覆う。これは、確かこの前初めて見たネイティブのガスか!プェロフェソプスと名付けられたあのネイティブの力は完全には計りきれていない。

 顔を手で覆ってガスを吸い込まないようにしていると、嫌な予感が体を襲う。それに従いその場から跳ぶように後退すると、さっきまでいた場所に例のプェロフェソプスがその両手の鉤爪を振り下ろしてきた。相手が交戦状態に入っているのを認識すると、すぐさま近くのカブトゼクターを呼び腰のベルトへとセットして『変身』する。

 それと同時に、プェロフェソプスは姿を消した。クロックアップして超高速で動いているのだろう。ここは無理にキャストオフするのではなく、耐えて反撃へと持っていくべきか。そう決めるとマスクドフォームのまま、その場に留まり防御を固めてその時を待つ。時折、周囲のガスが不自然に揺らいでいるので、そこにいるのだろうと予想が出来る。意識を切らさず、集中していると体に衝撃が襲いかかってきた。それも一度ではなく、何度も何度も。

 だけど、以前戦った時も思ったが、プェロフェソプスの攻撃力はそこまで高くはない。あのときはライダーフォームだったが、今はマスクドフォーム。硬い鎧に包まれている為、速度による威力の上昇がのっても大したダメージは入らない。この程度なら単体での強さはそれほどでもないのだろう。

 

 実際の時間にして10数秒。プェロフェソプスの姿が目に見えるようになった。今にも頭上から飛び掛かりつつ、その鉤爪を振り下ろそうとしていた。

 

 

「キャストオフ」

 

【CAST OFF】

 

 

 飛び散った鎧がプェロフェソプスに直撃し、吹き飛ばす。

 

 

【CHANGE BEETLE】

 

「クロックアップ」

 

【CLOCK UP】

 

 

 そして今度はこちらの番。加速した私は未だ空中にいるプェロフェソプスに向け、飛びあがって踵落としを叩き込む。地面に落ちてからはプェロフェソプスも再びクロックアップしてこちらへと襲いかかってくる。だが、アキャリナは翔と向かい合っていてこちらにはこれない。ビエラがいないのが気になるがその時はその時だ。とにかく油断は出来ないがプェロフェソプス一体ならば、敵ではない。

 鉤爪による攻撃は少し大振りだから対処しやすく、時折吹き出すガスの勢いが強いこと以外は問題ではない。そのガスには強い臭いと催涙効果があるようだが、カブトの鎧によって阻まれて私には害はない。

 左を受け流し、続けて放たれた右を掴む。それを引っ張ると同時に足払いをかけて相手の体勢を崩すと、掴んでいた手を離して拳による連打を叩き込む。最後に蹴りを入れると、地面を転がっていく。プェロフェソプスはなんとか起き上がるが、その足取りはふらふらしていて明らかに弱っているのが目に見える。

 

 

【ONE TWO THREE】

 

 

 それでも向かってくるプェロフェソプスに対して、私はゼクター上部のボタンを押して構える。

 

 

「ライダー……キック」

 

【RIDER KICK】

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 響のライダーキックによりプェロフェソプスワームが倒されるとほぼ同時に、翔のいる場所から空気が破裂するかのような音と共に衝撃波が公園全域へと広がった。

 

 

「翔くん!ッ!?」

 

 

 二人の翔の近くにいた立花はそれに吹き飛ばされないように身を庇いながら、なんとか状況を飲み込もうとする。そして、プェロフェソプスが倒されたからか、もしくは先ほどの衝撃波でか、ガスが晴れていき塞がれていた視界がはっきりとなっていく。

 ガスがなくなったのを確認した立花は周囲を見回し、翔の名前を叫びながらグラウンドの中央に向けて走り出した。そこには、息を切らせて睨み合う二人の翔の姿が。

 

 

「翔くん……」

 

「「響……」」

 

 

 駆け寄った立花に気づいた二人は、同時に顔をそちらに向けた。

 

 

「響、騙されるなッ!こいつが偽物だ!」

 

「何を言う!偽物はお前だッ!」

 

 

 二人は互いに相手が偽物だと、指差しながら言う。立花はそんな二人を交互に見ては首を傾げる。どちらが本物の翔なのか、さっぱり検討がつかない。

 二人とも寸分違わぬ同じ顔、同じ体格、同じ服装、同じ声。整体も、指紋も、遺伝子も、立花と翔がお揃いだと喜んだ胸の傷さえも、ネイティブの擬態能力は完璧に再現している。立花の目には二人が同じに見えて、見分けようにも区別のしようがない。

 

 

「響、君なら分かるだろう?」

 

「信じてくれ響!」

 

「今、本物を見極められるのは響しかいないんだ!」

 

 

 立花は迷う。どうすれば本物の翔を見分けられる?その方法を考え、悩む。しかし、一向に手段は明らかにならない。だんだんと立花の息が上がってくる。視界はふらつき、世界が揺れる。

 もし、間違えてしまえば本物の翔は傷つくのは明らかだろうし、ネイティブの手によって始末されてしまうだろう。その恐怖に、プレッシャーに立花は押し潰されそうになる。

 

 

「あの人が言っていた……」

 

 

 そんな立花に響が声をかける。それに気づいた立花は振り返る。

 

 

「天の道のわたし……」

 

「『本物を知る者は偽物には騙されない』お前はきっと、大切な人を言い当てる。それはお前にしか出来ないことだ」

 

 

 曇り空。雲によって隠されている太陽を指差しながら響が告げたその言葉は、響の迷いを、悩みを、プレッシャーを消し飛ばすには十分な威力を持っていた。その言葉は、立花響の在り方を思い出させた。

 

 

「ッ!そうだ……。こんなところで迷っているなんて、わたしらしくない!」

 

 

 顔を上げた立花は、目の前の二人の翔の姿を真っ直ぐに見据える。もう恐怖は感じないと言ったら嘘になる。だとしても、立花の想いは決して変わらない。

 

 

「わたしから翔くんへの想いが揺らぐことなんて決してないんだから!」

 

 

 そして立花は選択する。

 

 

 

 

 本物を。

 この世界でたった一人の、大切な人を。

 

 

「わたしの……わたしの翔くんはッ!」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 その頃、響の世界では。

 

 

 

 

「ふッ!はッ!」

 

 

 自宅の道場で木刀を手に持ち、素振りに励んでいた青髪の少女の前に二機の昆虫型メカが姿を現す。

 

 

「む?ガタックゼクターか……どうかしたのか?」

 

 

 『ガタックゼクター』と呼ばれた青いクワガタムシ型メカは、以前響を翔たちの世界とは別の並行世界へと送った銀色の小型のカブトムシ型メカ『ハイパーゼクター』の横を飛び、何かを訴えている。

 この少女もその時にハイパーゼクターの手によって並行世界へと送られた為、ガタックゼクターの言いたい事はだいたいわかった。

 

 

「ふむ……。並行世界でお前の力が必要とされている、というわけだな?」

 

 

 少し少女の推測が混じったが、ガタックゼクターは頷くように縦に揺れたので間違いではなかったのだろう。少女はガタックゼクターの資格者として、力を貸そうかとも思ったがどうやら呼ばれているのはガタックゼクターだけのようだ。その事に少し寂しく感じたが、すぐに少女は割りきった。

 

 

「いいだろう。助けを求める者あらば、手を伸ばす事が『人の道』。並行世界の窮地、お前の剣で救って来るのだ!」

 

 

 資格者の許諾を得たガタックゼクターは、ハイパーゼクターと共に時空のトンネルへと消えていく。

 そんな相棒の姿を、少女――風鳴翼は誇らしげに見送った。




二人の翔の対決は伴装者側を見てね!


次回!デッデデデッ

アキャリナネイティブ「こうなれば、まとめて始末してくれるわ!!」
翼「私達も、負けてはいられないッ!」
天道響「ッ!?この光は──」
翔「お前が絶対に真似る事の出来ない、人間の心に宿る炎。人はそれを“愛”と呼ぶんだ!!」
響・翔「「変身ッ!」」
『CAST OFF.』
翔「それが俺の、“男の道”」
響「これが“わたしの道”ッ!」
天道響「そして私の“天の道”」

『響き翔く天の道』
天の道を往き、総てを司る!


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響き翔く天の道

コラボ最終話です!就活やらなんやで、遅くなりました。
ヒロさん側は先月の内に完成してたのに、こちらが終わらないから待たせてしまった……。


「わたしの……わたしの翔くんはッ!」

 

 

 本物と偽物。瓜二つな二人を前に立花(もう一人の私)は、深く息を吸い込み、胸の歌を口ずさむ。

 

 

「――Balwisyall Nescell gungnir tron――」

 

 

 黄色の閃光と共に、その身にシンフォギア――奏と同じガングニール――が装着される。そして、拳を握りしめて、勢いよく突きだした。

 

 

「うぉりゃああああああああぁぁぁ!!!」

 

「ッ!?」

 

 

 立花の拳が向かう先。それは二人の翔のうち、左側の翔の顔だ。もし、間違えていれば大惨事間違いなし。

 彼女と私は別人だが、共に同じ(立花響)である。なんとなくだが、その狙いはわかる。

 

 そして、私の期待通りに彼女はやってくれた。

 

 拳が鼻先の寸前でピタリと停止。その勢いで生じた風が大きな音と共に翔の身体を突き抜ける。一方の拳を突きつけられた翔は微動だにもせず、響の瞳を真っ直ぐに見つめ、微笑んだ。

 

 

「やっぱり……。信じていたよ、翔くん」

 

「ああ。よく見つけてくれたな、響」

 

 

 その言葉と同時に、翔はその隣で余裕が崩れて別人だとバレバレの表情をしていたもう一人を蹴り飛ばした。

 

 

「ぬぎゃっ!?」

 

 

 もう一人の翔は地面を転がり、その中でネイティブとしての姿へと戻る。

 

 

「何故だ!?お前の姿は、記憶も含めて完全にコピーしたはず……俺の擬態は完璧だったはずだ!いったい、何を理由に俺の擬態を見破れたと言うのだ!?」

 

 

 その程度で人間という存在を完全に真似出来るわけはない。完全に動揺しているアキャリナに立花は答えを告げる。

 

 

「本物の翔くんなら、きっとわたしの事を信じてくれる……。わたしの拳に乗せた想いに気付いてくれると思ったんだ。だから、当たるギリギリの所を狙ったんだ」

 

「馬鹿な!?最愛の者に拳を向けられたのだぞ!?何故平然と立っていられるのだ!?」

 

「ネイティブは確かに、人間の外見や記憶を寸分違わずにコピーすることが出来る。だが、その人間が抱く信頼や想いまでは、決して真似することは出来ない!」

 

 

 まさにその通り。もし、仮に信頼や想いまでをも完全にコピーしたのならば、その瞬間に自分がネイティブである事など忘れてしまう。

 あの人の物語でもそれはあった。姉をワームに殺され、復讐を強く思っていた青年、神代剣をコピーしたが、彼の意識にワームとしての自我が塗り潰されたが為に、人間として生き、神代剣の意識を宿したままワームとして死んだスコルピオワームのように。

 

 太陽が空を覆っていた雲から顔を出し、光が差し込む。それはまるで、二人を祝福しているかのようだ。

 私はそんな天を指差し

 

 

「あの人が言っていた。絆とは――」

 

「絆とは決して断ち切る事の出来ない深い繋がり、例え離れていても心と心が繋がっている、と」

 

 

 おいこら、翔。それは、その言葉は……。

 

 

「……私のセリフを奪うな」

 

「すまない、一度言ってみたかったんだ、天道語録」

 

「あ、天の道のわたし……もしかして拗ねてる?」

 

「拗ねてなどいない。あの人はこの程度で臍を曲げたりなど……」

 

 

 そう、ジト目で翔を軽く睨んでいるだけで、私は決して拗ねてなんていない。

 

 

「ハハッ、まあまあ。ほら、とっととあいつ倒すぞ」

 

 

 元はと言えば誰のせいだと……。まあ、正論には違いないので、意識をアキャリナに向ける。

 

 

「貴様らァァァァァ!!!」

 

 

 面目を潰されて不満なのか、アキャリナは怒りに全身を震わせる。

 

 

「ビエラ!こいつら纏めて血祭りに上げてやるぞ!」

 

 

 アキャリナは公園の周囲の監視カメラや、二課のドローンを破壊して回っていたのだろうビエラを呼び戻す為に大声をあげる。……しかし、ビエラはこの場に来る事はなかった。その理由はなんとなくだがわかる。少し離れた所から戦闘の音と歌が聞こえてくるからだ。

 その状況をアキャリナも理解したのだろう。

 

 

「……こうなれば、貴様ら纏めて俺が始末してくれるわ!」

 

 

 右手の巨大な鉤爪を構え、こちらを仕留めようとしてくる。だが、その瞬間。

 

 

「ッ!?」

 

「あれは……」

 

 

 空間に緑色の波紋が浮かぶと同時に、そこから二機の昆虫型メカ――ガタックゼクターとハイパーゼクター――が現れる。二機は飛び出した勢いのまま、アキャリナに突進して、こちらへと戻ってくる。私にまた力を貸してくれるのか、と思ったがどうやら違うようで。

 

 

「ガタックゼクター!?」

 

「もう一人のわたし、これって……」

 

 

 ガタックゼクターは翔の周りをくるくると旋回している。なるほど、そういうことか。

 

 

「翔、ガタックゼクターはお前に力を貸すと言っている」

 

「本当か!?」

 

「ああ、翼と同じものを、お前からも感じたのだろう」

 

 

 それ以外に力を貸す理由が思い浮かばない。血縁は関係ないからな。

 自分の目線の高さに浮かぶガタックゼクターを見つめる翔。私の言葉を肯定するかのように、ガタックゼクターはその身を縦に揺らす。それで覚悟が決まったのか、翔は手を伸ばす。

 

 

「ガタックゼクター……俺に力を貸してくれ!」

 

 

 天高く伸ばした手にガタックゼクターは、くるりと一回りして収まる。それと呼応するかのように、翔の腰には銀色に輝くライダーベルトが現れた。

……ちょっと待て、なんだそれは。そんな機能、ライダーベルトにはないぞ。それに翼のライダーベルトはまだ壊れたままで修理も手付かずのはず。

 

 

「……えっ!?なっ、なにこれ!?」

 

「ッ!?これは……」

 

 

 翔の腰にベルトが出現すると同時に、カブトゼクターと立花の持つギアペンダントが共鳴するかのように光を放つ。……さっきと同じならば、これは。

 

 

「この光……もしかして、ガングニールの……?」

 

「まさか……立花、手を!」

 

「うん!」

 

 

 手を伸ばし声をかけると、一瞬の躊躇も無しに即座に握ってくる立花。私の手を伝って、何か……恐らく「カブトの力」が立花に流れ込む。

 

 

「これ……カブトゼクター!?」

 

 

 流れ込んだ力が物質化する。その形は、色こそ違うが間違いなくカブトゼクターだった。しかも、いつの間にか立花の腰にもライダーベルトが巻かれている。

 

 

「それはお前の掴んだ未来。お前自身のカブトゼクターだ」

 

「わたし自身の……。ってことは、これを使えば!」

 

「そうだ。……立花、翔、行けるな?」

 

 

 ゼクターとライダーベルト。揃ったのならやれない道理はない。

 

 

「ああ!散々好き勝手されたんだ、最早情けは不要ッ!」

 

「翔くんに化けたり、わたし達のデートを邪魔したり!絶対に許さないッ!」

 

「ほざけぇぇぇぇぇッ!!」

 

 

 不敵な笑みを浮かべる翔に、力強く答える立花。起き上がったアキャリナを私達は正面から見据える。

 

 

「行くよ、二人ともッ!」

 

「いざ、押して参るッ!」

 

「「変身ッ!」」

 

 

 二人は掴んだゼクターを腰のベルトへとスライドさせ、装着する。

 

 

【HENSIN】

 

 

 ゼクターを中心にして、シンフォギアの上から重厚な鎧が展開されていく。それはやがて、全身を覆いバイザー状のフルフェイスマスクが口元のみを開けて二人の顔を包んだ。

……翼の時とは違うな。翼は普通のガタックだったが、これは最早別物だな。

 

 

「「キャストオフ!」」

 

【CAST OFF】

 

 

 二人は息の揃った掛け声で、共にゼクターホーンを動かす。弾けた鎧の下にはライダーフォームの鎧ではなく、シンフォギア。しかし、その姿はこれまでとは一変している。

 立花は胴体と肩に、カブトとほぼ同じ形状のオレンジ色のアーマー。二の腕や腿は露出していて、仮面に覆われていない頭部のヘッドギアにはカブトの角を模したパーツが追加されている。

 翔も胴体と肩に、ガタックとほぼ同じ形状の青いアーマー。両肩にはガタックカリバーも装着されていて、ヘッドギアにはクワガタの角を模したパーツが追加されている。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「祝え!天道響との絆がもたらした、マスクドライダーの力を宿したシンフォギア。その名も、『カブトギア』及び『ガタックギア』!今、誕生の瞬間である!」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

……なんだ、今のは。ストールにコートと言う胡散臭い格好のやつが何か言っているのが、唐突に脳に浮かんだのだが。だけど、すぐにそれは気にしても仕方のない事だと割り切る。

 

 

『馬鹿な!?カブトが二人!?それにガタックゼクターだと!?』

 

 

 これ以上無いほどに狼狽えるアキャリナ。次の瞬間、なんとアキャリナは逃走の一手を選んだ。

 

 

『クソッ!こうなりゃ逃げるが勝ちだ!』

 

 

 クロックアップにより姿の掻き消えるアキャリナ。逃走にはこれ以上ない一手だが、今回は相手が悪かったな。

 

 

「クロックアップ」

 

「「クロックアップ!」」

 

【CLOCK UP】

 

 

 カブトにガタックの力を得た二人と共にクロックアップを行い、アキャリナを追う。

 

 

「逃がすか!」

 

 

 翔が両肩にセットされていたガタックカリバー・残月を抜き、柄部分のジョイントで合体させる。弓となったそれで、タキオン粒子を圧縮して出来た矢を用いて逃げるアキャリナの背中を撃ち抜く。

 

 

『ぐっ!?』

 

 

 続いて、天高く飛び上がった立花が頭上から拳を叩き込む。その後、間髪入れずに地面に向けてアキャリナを蹴り飛ばした。

 

 

「フッ!」

 

 

 落ちてくるアキャリナに対し、待ち構えていた私はクナイモードのカブトクナイガンで何度も切り裂く。後ろから駆けてくる音を感じ、身を横に動かし道を作ると、すぐそこまで来ていた翔がガタックカリバー・残月を振り下ろした。

 

 

「成敗!」

 

『ぐおおおおおッ!?』

 

【CLOCK OVER】

 

 

 その一撃でクロックアップが解除され、地面を転がるアキャリナ。

 

 

『図に乗るなよ、人間如きがァァァ!!』

 

 

 逃走を諦めたのか、もしくは何か光明を見たのか、立ち上がったアキャリナは身体中に生えた棘をミサイルのように飛ばしてくる。

 

 

「どりゃあああああああッ!」

 

 

 私たちに向けて雨のように降り注ぐ棘。しかし、立花が足元を踏みしめ、それにより捲れた地面が壁となり棘を防いだ。……あれは、震脚か。弦十郎さんがよく使う技だな。

 

 

『何ィ!?くっ、クソッ!』

 

 

 防がれた事に驚きながらもアキャリナは、鉤爪にエネルギーを纏わせ突進してくる。それを迎え撃とうとした私の耳に聞こえたのはさっきも聞いたあの歌だった。

 

 

「君が望む事なら――」

 

 

 この歌は間違いない。『NEXT LEVEL』だ。

 歌いながら飛び出した立花は、腕部のパワージャッキを展開しながら拳を鉤爪に向けて突きだした。その拮抗は一瞬。勢いよく伸縮したジャッキは力を拳に伝え、アキャリナを弾き飛ばす。

 

 

『ぐっ!?』

 

「暴走を始めてる 世界を元に戻すにはもう――」

 

 

 立花は更に追撃で拳を腹部へと放つ。それを受け、後退したアキャリナは再び棘を放ってくる。しかし、それが当たる事はなかった。何故なら翔が撃ち落としたからだ。いくらか撃ち漏らしも出たが、それは私が射撃で撃ち落とす。

 

 

「Moving fast 心の」

 

「時計走らせ」

 

「明日のその先へ……」

 

 

 そして、私は動き出す。自分でも気づかない内に、そこまで上手でもない歌を口ずさみながら。

 

 

「君のとなり 戦うたび 生まれ変わるッ!」

 

「目に見えるスピード 越えてくモーションッ!」

 

「いったい自分以外 誰の強さ信じられる?」

 

 

 翔の矢がアキャリナの攻撃を撃ち落とし、立花の拳が外骨格を砕き、私の斬撃がダメージを重ねていく。

 

 

「「「高速のヴィジョン 見逃すなッ!」」」

 

「ついて来れるならッ!翔!」

 

 

 アキャリナの振り下ろした鉤爪を受け止め、翔を呼ぶ。即座に反応した翔はガタックカリバーを交差させ、アキャリナの腕を挟み込む。

 

 

「ライダーカッティング!」

 

【RIDER CUTTING】

 

 

 蒼い雷と共に放たれたその一撃は、見事にアキャリナの右腕を刈り取った。

 

 

『うぎゃああああああああ!!』

 

 

 火花を散らしながら絶叫するアキャリナ。苦しみながらも口を開く。

 

 

『何故だ……何故だ……何故だァァァァァァッ!!貴様ら人間如きが何故、我々に勝てると言うのだ!?貴様ら虫ケラの……何処にそんな力がある!?』

 

 

 なんだ、そんな事も分からないのか。だったら最期に教えてやろう。

 

 

「あの人が言っていた。人は人を愛すると弱くなる。けど、恥ずかしがる事は無い。それは本当の弱さじゃないから。弱さを知ってる人間だけが強くなれるんだ、と。お前の言う弱さこそが、人間の強さだ」

 

「お前が絶対に真似る事の出来ない、人間の心に宿る炎。人はそれを愛と呼ぶッ!愛を持たないお前に、俺が屈する道理はないッ!」

 

「あなた達は自分の都合で、わたしの大切な人を傷付けた。だから私はこの拳を握るッ!わたしを立ち上がらせるのは、いつだってわたし自身が信じて握った正義だッ!」

 

 

 私たちはそれぞれゼクターのスイッチを押し、ゼクターホーンを元の位置に戻す。

 

 

【ONE】 【TWO】 【THREE】

 

『愛に、正義……だと!?』

 

「そうだ。愛する人を守る為、自らの愛を貫く為に戦う。それが俺の、『男の道』!」

 

「正義を信じて握りしめる。これが『わたしの道』!」

 

「そして私の『天の道』」

 

「俺達は」

 

「わたし達は」

 

「「自分の道を突き進むッ!」」

 

 

 三人同時に再びゼクターホーンを展開。エネルギーが角を伝って足へと収束する。

 

 

【RIDER KICK】

 

「「「ライダーキック!!!」」」

 

我流・ライダーキック

 

雷抱吾蹴撃・戦神の型

 

 

『ぐあああああああああああッ!!!』

 

 

 三人同時の三方向からのライダーキック。アキャリナにはそれを防ぐ事も、避ける事も出来ない。断末魔の叫びを上げ、ライダーキックを受けたアキャリナは爆散した。

 

 

 無事に倒した事を確認すると、私たちはそれぞれゼクターを取り外す。私のカブトゼクターとガタックゼクターは辺りを漂っていて、立花のゼクターは空気に溶けるように消滅した。

 

 

「終わったな……」

 

「ああ。そのようだ」

 

「疲れた~……っと、そうだ」

 

 

 肩の力を抜いた立花と翔だったが、ふと何かを思い出したかのように立花が翔の手を握る。

 二人は喧嘩の原因となった事を互いに謝り、なんかとても甘い雰囲気を醸し出す。カブトゼクターとガタックゼクターが冷やかすように飛び回っている。やめてやれ、と思いながら軽く手を振って二機を追い払う。

 

 

「天の道のわたし!その……ありがとう。何回も助けられちゃって」

 

「私の方こそ、すまない。……あの人の事となると、我を忘れてしまうんだ」

 

「じゃあ……お互い様、かな?」

 

「そういう事にしておこう」

 

 

 立花は手を伸ばしてきたので、答えるように私も手を出し、握手を交わす。その後、翔も含め三人でハイタッチを交わす。

 

 

「おーい、翔!立花さん!」

 

「お前らー!」

 

 

 こちらを呼ぶ声が聞こえたので振り向くと、純にクリス、翼が駆けてきた。立花と翔はクリスに翼と言葉を交わし、騒動の終わりを確かめている。

 

 

「ありがとう。二人が無事なのは、君のお陰だ」

 

 

 そして純は一人、私へと礼を告げてきた。

 

 

「礼ならいい。それより、ビエラはどうしたんだ?まさか……」

 

 

 戦闘音が聞こえたという事は彼らが戦ったのだろう。その結果は。

 

 

「倒したよ。なんとかね」

 

「倒した……!?クロックアップは!?」

 

「それは、後で本部に戻ってからね。今は皆、疲れてるだろうから」

 

「む、それはそうだな」

 

 

 と、なると……そうだな。

 

 

「翼、弦十郎さんに許可を貰えないだろうか」

 

「許可?なんのだ?」

 

「厨房を使わせて貰いたい。疲れているんだろ?ちょうど良い時間だ。夕食は私が作る」

 

 

 私のその言葉に激しく反応したのは立花と翔。目を光らせて寄ってくる。

 

 

「え!?ご飯作ってくれるの!?」

 

「まさか、天道料理まで完コピ出来たりするのか!?」

 

「味まではあの人に遠く及ばないが……この世界で一番の味だと自負している」

 

「じゃあ、さば味噌!さば味噌食べたい!」

 

「必要な材料は言ってくれ!今すぐ買ってくる!」

 

「お前らなぁ……がっつき過ぎだろッ!」

 

 

 なるほど、さば味噌か。ちょうど良い。秋の新メニューの試作を食べて貰おうか。

 

 

「いいだろう。今夜の献立はさば味噌と……」

 

「マジで作る気かよ!?」

 

「へぇ、さば味噌か。最近食べてなかったし、楽しみだね」

 

「司令から許可が降りたぞ。自由に使って構わないそうだ」

 

「よし、翔、立花。買い出しを任せる」

 

「「了解!」」

 

 

 元気よく返事をした二人は必要な食材を聞くと、すぐさま走り出した。その動からきは戦闘の疲れを感じないが。食欲というのは中々の力を持っているな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その夕食の席で、私たちは語り明かした。それはもう、私の世界でもここまで話したのは無いほどに。こちらからはこの世界との詳しい違いを。あちらからは、『仮面ライダーカブト』や、ビエラワームとの戦闘について。

 

 まさか、13年の時間が経ち、ライダーの歴史を継承するライダー……ジオウの物語でガタック――加賀美新――がカブトに変身するとはな。驚きもあったが、それよりも感慨深かった。

 それに、純たちがビエラを倒した方法を聞いた時も驚いた。まさか、『仮面ライダーカブト』一話であの人がやった事を三人がかりとは言え、再現するとは。

 

 夕食の後は、翔たちの提案で『仮面ライダーカブト』を観賞した。もちろん、全て見るには余りにも時間がなかったので、一部をピックアップして、だが。ついでとばかりに『仮面ライダーディケイド』のカブトの世界も見たのだが……。ふむ………ふむ。

 

 

 

(語彙力崩壊中)

 

 

 

 まさかおばあちゃんがでてくるなんておもいもしませんでしたまる

 

 

 

………ハッ!?私は何を。

 まあ、いい。あの人と似て非なる存在のソウジやそのおばあちゃんの語録も外伝的な感じで脳内に保存は完了した。

 

 そして、今。

 

 

「今回は本当に助けられた。共に戦えた事に感謝している」

 

「私は私の役割を果たしただけ。でも……その気持ちは受け取っておく」

 

 

 一晩の休みを貰い、疲れを取ったので自分の世界へ帰ろうとしていた。

 ハイパーゼクターの力なら、場所を問わずに帰還のゲートを開いてくれると思うのだが、並行世界の話をしたときにギャラルホルンの名前を出した事で、その前でお別れをすることに。

 

 

「そっちのあたしによろしくな。お前の居場所は目の前にある。手放すんじゃねえぞ、って言っといてやってくれ」

 

「ああ」

 

「僕からは、そうだね……。そっちの世界のクリスちゃんと、これからも仲良くしてくれると嬉しいな。知っての通り、クリスちゃんは寂しがり屋だから――」

 

「それは言わなくても良いっての!」

 

 

 慌てて純の口を塞ぐクリス。やはり、仲がいいな。これは祝福しておくべきだろう。

 

 

「もちろんだ。爽々波、お前こそ、クリスと末永くな」

 

「約束するとも。クリスちゃんと、世界で一番幸せになるって」

 

「なっ……純くん……!?」

 

 

 一気に沸騰したかのように顔を赤くするクリスに周りが笑いで包まれる。

 そして、最後に翔たちだ。

 

 

「本当にありがとう、天道。君に出会えて良かった」

 

「わたしも、色々あったけど、あなたに会えて良かった!また、会えるかな?」

 

 

 全く、何を言っているんだ。こっちの私は……。

 

 

「言ったでしょ。たとえ離れていても、心と心が繋がっている。たとえもう会えなくても、私が消える訳じゃない」

 

 

……ん?あ、少し口調が崩れてしまった。ん゛ん゛っ。やっぱりまだ興奮が収まり切っていない……か。私もまだまだかな。

 すると、翔と立花が袋を取り出して渡してきた。

 

 

「はいこれ、俺たちからのプレゼント。お土産だと思って持っていくといい」

 

「……これは?」

 

「大きい方が翔くんからで、こっちの薄い方がわたしからだよっ」

 

 

 ふむ……。この大きさと感触は……。

 

 

「立花のは、大きさからしてCDか?翔のは……なんだ? 菓子か何かか?」

 

 

 何かが入った、箱……だな。

 

 

「中身は開けてからのお楽しみだ」

 

「帰るまで開けちゃダメだよっ!」

 

 

 気になるが、そう言われてはここで開ける訳にはいかないな。

……そうだな。貰ってばかりではなんだし、こちらからも一つ。

 

 

「翔、この言葉をよく胸に刻んでおけ。あの人が言っていた……男がやってはいけない事が二つある。女の子を泣かせる事と――」

 

「「食べ物(ごはん)を粗末にする事」だ!!」

 

「……分かっているならそれでいい」

 

 

 また取られたが、あれほど観ていたからな。途中まで言えば分かるだろうとは思っていた。それだけ告げた私は待っていたハイパーゼクターへと触れた。

 

 

「またいつか!」

 

「今度はわたしたちの方から行くからね!」

 

 

 そんな二人の声を聞きながら私は、世界の壁を越えた。

 

 

 

 

 

 元の世界に戻って来て、部屋に誰もいないのを確認して貰った袋を開けた。その中に入っていた物は………。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 翌日、親衛隊の中では、表情や口調が少し……いや、かなり崩れている響が確認されたと噂になったらしい。数日で元に戻ったそうだが、何があったのかは本人しか知らない……。




お土産として貰った物は伴装者で確認を!(21:45分修正、見た人は秘密にしててね?)

あ、ビエラとの戦闘はpixivと暁に投稿されている伴装者の方をご覧いただけたら、と思います。
これでコラボは終わりです。ヒロさんありがとうございました。


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天ノ二道~LOST LOVE~
始まりの歌、鳴り響く


G編プロローグです!ここから始まる『誰か』の物語、どうぞ!


なんか最近内容が薄くなりがちな気が……。一話辺りの文字数も少なくなってきてるし……。


『 Gatrandis babel ziggurat edenal 』

 

 

 歌声が聞こえる。

 

 

『 Emustolronzen fine el baral zizzl 』

 

 

 辺り一帯に、命を掛けた絶唱(うた)が響き渡る。

 

 

『 Gatrandis babel ziggurat edenal 』

 

 

 姉を、友達を、母を、皆を守ろうという意思の籠ったその歌が。

 

 

『 Emustolronzen fine el zizzl 』

 

 

 目の前のネフィリムを止める、その為に放たれた。

 

 

 

 

 

 

「セレナァァァァァ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 六年が経った。

 ザーザー、ザーザーと、雨の音がする。どしゃ降り……とまではいかないが、かなりの雨の中、一人の少女が傘をさして建物裏の小規模な花畑の側に建てられた、小さな小さな石碑の前に立っている。その石碑の前にはお手製の花束が置かれている事から、誰かのお墓だろう。しかし、刻まれているべきだろう名前の場所には何も刻まれていない。

 

 

「……もう、ここに来れるのも今日が最後なんだ。明日には日本に行かないといけないの。……大丈夫、皆は私が守るから。だから、心配はいらないよ」

 

 

 その少女は目の前に誰かがいるかのように話をする。毎日の出来事、これからすること、自分の気持ち。まるで、全てを放出するかのように。

 

 

 

「セレナー」

 

「おーい、どこにいるデスかー?」

 

 

 

「……っと、呼ばれちゃったからもう行くね。バイバイ、―――」

 

 

 

「……あ!」

 

「セレナ!」

 

「月読さん、暁さん、どうしました?」

 

「……マムが呼んでる」

 

「ほら、早く行くデスよ!」

 

「分かりました、マムに怒られたくはないから急ぎましょう!」

 

 

 

 セレナ、そう呼ばれた少女は自分を探しに来た二人と一緒に建物の中へと入っていく。先ほど誰かの名前を呼んだ時に一瞬だけ見せた、悲しげな表情は完全に引っ込めて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、日本に到着した数日後。

 

 

「警備の配置は覚えた。目的の場所も確認した。……うん、行きましょう」

 

『セレナ。決して無理をしてはいけませんよ。奪取が不可能ならそれでも構いません』

 

「大丈夫だよ、マム。私にはこの子がいるから」

 

 

 そういって、彼女は手に付けている()()()()()()()に停まっている蜂型のマシンを撫でた。

 

 

『……マスクドライダーシステム、ですか。フィーネの記録にも残ってましたね。それも彼女が見つける事が出来なかった、ザビーゼクター。選ばれたのが貴女だと言うことに少し思う事はありますが、時間に限りのある私たちには渡りに船です』

 

「うん、それじゃあ、行ってきます!」

 

『ええ、頑張りなさい』

 

 

 通信を切った彼女は、ただ停まっているだけだったザビーゼクターをライダーブレスにセットする。

 

 

「変身」

 

【HENSIN】

 

「キャストオフ」

 

【CAST OFF】

 

【CHANGE WASP】

 

 

 そこに現れたのは蜂の巣を模した姿の鎧の戦士。更にライダーブレスにセットされているザビーゼクターを半回転。それと同時に鎧が弾け飛び、その下から蜂を模した姿が現れる。

 

 

「さて……クロックアップ」

 

【CLOCK UP】

 

 

 腰のバックル上部を触ってクロックアップを起動。目標は目の前の施設に保管されている他のゼクター。二課の装者やカブトに来られては達成は難しい。時間との勝負になる、彼女はそう考えた。

 

 なお、この時の彼女は当然知るはずもなかったが、カブトこと響は並行世界に行っていたので、駆けつけられるはずもなかった。

 

 加速した彼女は、その拳一発で施設の壁を破壊して内部へと侵入。()()()()()()事前に調べた目的地まで障害物となる壁を破壊しながら、一直線に突き進む。

 目的のゼクターを見つけると、彼女はそれらを対応している武器と共に回収。今、来た道をそのまま逆戻りして撤退を始めた。

 

 

 

【CLOCK OVER】

 

 

 施設から少し離れた所でクロックアップが解除される。ここまで、現実の時間では1分も経っていない。

 彼女が施設を振り返って見ると、非常に慌ただしくなっている。壊れた壁となくなったゼクターで大騒ぎなのだろう。彼女は追っ手が来るのを警戒して、再びクロックアップしてアジトまで戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「ソロモンの杖移送作戦……?」

 

「ああ。翼と奏はアーティストとしての仕事が控えているので、君たち二人に頼みたい。日本の代表として友里が向かうので、目的地である岩国基地まで彼女とソロモンの杖の護衛が役目だ。やってくれるか?」

 

「ああ、任せろ!」

 

「わかりました!」

 

 

 二人の少女が気持ちを固め

 

 

 

 

 

 

「マリア・カデンツァヴナ・イヴ……アメリカの人気アーティストか。次のライブ、必ずや成功させてみせる……!」

 

「おいおい、ライブは翼一人でやるものじゃないぞ?あたしやこのマリアって人を忘れないでくれよ?」

 

「わ、わかってる!」

 

「なら、いいけどさ。翼の事だからもし何かあったら自分のせいだー、って抱え込みそうだと思って」

 

「う……それは……」

 

「なーんて。冗談だよ、冗談。この前、自覚しただろ?なら大丈夫さ」

 

「もう……やっぱり奏はイジワルだ」

 

 

 両翼の歌姫はライブを楽しみに

 

 

 

 そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの人が言っていた……。美味しい物を食べるのは楽しいが、一番楽しいのはそれを待っている時間だ、と」

 

「おお……!なんか、よくわからないデスが格好いいデス……!」

 

「ズズズ……お代わり」

 

「調!?無駄遣いは駄目デスよ!?」

 

「……確かに。300円(贅沢)がバレたらマムに怒られる」

 

「まだお小遣いが残ってるから、なんとかなるんデスが……」

 

 

 響は知り合いの屋台でバイトしていた。




(21:50)追記:副題の追加しました。そして、頂いたG編の表紙絵です!


【挿絵表示】




ここで、少しお知らせ。
作者、今年就活生なんで、しばらくは投稿遅くなるかもです。例のあれの関係もあって、関連イベントは全部中止になってますが。……なんで、この時期なんだよ、バカヤロー!


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()の名は………

列車と岩国での騒動はほぼカットです。仕方ないね、原作での響が未来に変わっただけで、後は特に変わらないしね()
強いて言うなら、トンネルで大型フライトノイズを響の拳でなく、二人の遠距離(ビーム&ミサイル)で潰した事ですかね。


家族に受験生いるから、まともに外に出ていないここ二週間(昨日終わったからこれからは出れる!)……就活イベントとかもないし、(言ったらダメな気もするけど)暇だ……。


『――ソロモンの杖を受け取ったウェル博士が、ソロモンの杖共々行方不明、か』

 

「はい。任務を終えて、帰還途中にノイズが岩国基地を襲撃。すぐに二人には殲滅して貰いましたが……その時には既に」

 

『なるほど……わかった。後はこちらから捜索の手を出そう。友里は二人と一緒に帰還してくれ』

 

「了解しました!」

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

「クリス……」

 

 

 ソロモンの杖の移送作戦が終わってからクリスはずっとこの調子だ。黙ったまま唇を噛み締めている。

 

 

「……大丈夫だ。心配はいらねぇ」

 

「ほんとに?」

 

「ああ。それよりも、このあとあいつらのライブだろ?小日向も少し寝て休んどけよ」

 

 

 ハッ!そうだ。ツヴァイウィングの二人とアメリカの歌姫、マリアさんの合同ライブがあるんだった。うん、確かに。途中で疲れて寝落ちとかダメなやつだからね!

 

 

「会場に近づいたら起こしてあげるわ。未来ちゃん、安心して休んでいて」

 

「はい。ありがとうございます」

 

「悪いけど、アタシも休ませて貰うわ」

 

「わかったわ」

 

 

 それじゃ、お休みなさぃ………

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

『準備はいいですか、マリア』

 

「ええ、オーケーよ、マム」

 

 

 

 

 

「さぁ、世界最後のステージを始めましょう!!!」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「ヒャー、やっぱスゴいね、ライブってのは!」

 

「そうですわね。まだ始まってませんけど」

 

「いや、会場の熱気ってやつだよ!」

 

「でもさ、本当に良かったのかな?あたしたちがさ、この明らかにVIPな部屋で」

 

「いいも何も未来にもらったチケットがこの部屋示していたから問題無いんじゃない?」

 

「いや、まあそうなんだけど……」

 

「それにしても、立花さんはいったいどちらに……?」

 

 

 板場、寺島、安藤のリディアン仲良し三人組は、未来に貰ったチケットでツヴァイウイングとマリアの合同ライブに来ていた。本来ならここに響や未来もいるはずなのだが、未来は用事があって遅れると三人に連絡があっていない。だが、響は特に連絡もない。その事を疑問に思った寺島が口にすると

 

 

「ん?響なら売店で見たよ?」

 

「売店、ですの?」

 

「うん、グッズ販売の列に並んでいたのが見えたよ。……後ろにはその、親衛隊の人たちもいたし間違いないと思う」

 

「あー、そう言えばビッキーって行動は『ああ』だけど、中身(?)は今どきの若者って感じだよね」

 

「ですわね。小日向さん曰く、中々のツヴァイウィングのファンだそうですし……これがギャップ萌えというものでしょうか?」

 

「いや、それは違うと思うよ……?」

 

 

 そんなこんなで三人が雑談していると、ライブの開始も近づいてくる。それと時を同じくして、響もいくらかの荷物を手に部屋へと入ってくる。

 

 

「来たね、響!」

 

「かなり買ったのですね。……それは全て立花さんのですか?」

 

「いや、こっちの袋は未来に頼まれた物で、こっちはひよりだ」

 

「ひより……?」

 

「ああ、妹だ」

 

 

 そこまで話したところで、ライブの始まりを報せる放送が流れる。四人は話を止め、聞き入る体制に移るのだった。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

『『Yes,just believe 』』

 

 

『『神様も知らない ヒカリで歴史を創ろう』』

 

 

『逆光のシャワー』

 

 

『未来照らす』

 

 

『『一緒に飛ばないか!』』

 

 

『『just feeling』』

 

 

『『涙で濡れたハネ 重くて羽撃けない日はWish』』

 

 

『旋律は溶け合って』

 

 

『シンフォニーへと』

 

 

『『二人でなら、翼になれるsinging heart!!』』

 

 

『『もっと高く、太陽よりも高く!!!』』

 

 

 

 

 

 

 

 

【オープニングはツヴァイウィングで、『逆光のフリューゲル』でした!】

 

【お次は、アメリカより来日。新進気鋭の歌姫、マリア!カデンツァヴナ!イヴだぁぁぁ!!!】

 

【曲名は『Dark Oblivion』!】

 

 

 

 

 

 

 

『stand on hallowed ground reflect inside.』

 

 

『so many questions remain.』

 

 

『tainted sanity preys upon us.』

 

 

『we have to escape this pain.』

 

 

『stand up, stand up,come on, let's go now.』

 

 

『reclaim our lives here and now!』

 

 

『fate will never bigan to bind us in Dark Oblibion.』

 

 

 

 

 

 

【ありがとうございます!……さあ、ここまでの二曲は二組の代表曲。いよいよお待ちかね、次はツヴァイウィングとマリアのコラボ!風鳴翼とマリア・カデンツァヴナ・イヴの二人で、『不死鳥のフランメ』!】

 

 

 

 

 

「見せて貰うわよ。戦場に冴える抜き身の貴女を!」

 

 

 

 

 

『Huu』『マサニ今宵、イマ世界ハ』

 

 

『Cold moon』『一ツニナル、届キタマエ』

 

 

『Blue shine』『叶エタマエ』

 

 

『『さあ、始まろう!』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 三曲が終わり、会場は大いに盛り上がっている。

 

 

「ありがとう、みんな!私はいつもみんなから、たくさんの勇気をもらっている!だから今日は、私の歌を聞いてくれる人たちに、少しでも勇気をわけてあげられたらと思っている!」

 

「私の歌を全部、世界中にくれて上げる!振り返らない、全力で駆け抜ける!付いて来れる奴だけ付いて来い!」

 

 

 歌い終わった翼とマリアがマイクで会場の観客に語りかける。

 

 

「おいおい、二人とも。こんなの見せられたら、あたしもうずうずしてきちゃうじゃないか!次はあたしも混ぜてくれよ、観客の皆もそれを望んでいる!そうだろ?」

 

 

 そして、奏も舞台袖から出てきて同じくマイクで語りかける。それに応答するかのように会場が沸き上がる。

 

 

「ええ、そうね!だけど、少し話をさせて貰うわ」

 

 

 そう言うと、マリアは一瞬だけ不適な笑みを浮かべて再びマイクへと向かう。

 

 

「今日のライブに参加できたことを感謝している。そして、この大舞台に日本のトップアーティスト、ツヴァイウィングの二人とユニットを組み、歌えたことを」

 

「私も、素晴らしいアーティストに巡り合えたことを光栄に思う」

 

「あたしとはまだユニットは組んでないけど、まあ、翼と同感だ」

 

「私たちが世界に伝えていかなきゃね。歌には力があるってことを」

 

「それは、世界を変えていける力だ」

 

「そしてもうひとつ」

 

 

 マリアはこれまでの雰囲気を一変させて、そう一言。その瞬間に会場のステージを囲むように大量のノイズが現れる。

 

 

「なっ!?」

 

「これはっ!?」

 

 

 

 

 

「狼狽えるな!」

 

 

 大量のノイズが現れ、混乱する観客に向けマリアがそう叫ぶ。よくみると、人を無差別に襲うはずのノイズが指示を待つかのように、じっとしている。

 

 

「大人しくしている限りはノイズに手出しはさせないわ」

 

「な、マリア……」

 

「お前……」

 

「そして……」

 

 

 翼と奏が、元凶とみられるマリアを睨み付ける。しかし、マリアはそれを気にする事なく言葉を続ける。

 

 

「 Granzizel bilfen gungnir zizzl 」

 

「「ッ!?」」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「どういう事だよ!?」

 

「歌姫マリアが、シンフォギアを!?」

 

 

 ヘリに乗っている私たち。会場まで寝て休んでいるつもりだった。けれど、二課の好意によってヘリの中でライブの中継を特別に見せて貰える事になった。そのように友里さんに起こされた時に聞かされて、私もクリスもライブを見る事にした。

 ツヴァイウィングと歌姫マリア、それぞれの代表曲から始まったライブはそれはもう凄かった。凄いとしか言えないほどに、語彙力が崩壊してしまう。そして、翼さんと歌姫マリアのデュエット曲。演出も含めて最高だった。

 でも、ここでまさかの事態が起きた。三人の会話の中、ノイズが会場に現れた。それだけじゃなく、歌姫マリアがシンフォギアを纏う。しかも、奏さんと同じ()()()()()()を。

 さらに、彼女の口から出てきた言葉は私たちには無視することの出来ない物だった。

 

 

『私は……私たちはフィーネ!終わりの名を持つ者だ!』

 

「フィーネ、だと……!?」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「始まりましたね。三人とも、いいですね」

 

「デス!」

 

「……もちろん」

 

「任せてください」

 

 

 大丈夫、私が皆を守る。恐らくカブトはこの会場に来るはず、その時は……。

 

 

「セレナ?何してるデスか?」

 

「……早くいくよ」

 

「え、あ、はい!」

 

 

 この前、奪取した物のうちの一つを引っ張り出して中身を手に取る。それを服の内側に隠すと、私は暁さんと月読さんと一緒に混乱する会場へと忍び込んだ。




ところで、XDUのイベントがリディアン三人娘主役って何!?あのタイトルはまさに別アニメ……。竜姫咆哮メックヴァラヌス、シンフォギアともファウストローブとも違う装備か……。気になりますなぁ。
あと、ロゴ下の英語って訳すと『暗闇に沈んだ少女たちの咆哮』でいいのかな?なんか、嫌な予感が……


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激突する装者

リアル事情(就活)とか、端末の不具合とか色々あって遅くなりました。恐らく、まだ暫く亀更新になります。
後、久々に書いたから、違和感とかあるかも?


あ、リリなのコラボガチャは初回の10連でなのは&ビッキーとフェイト&翼両方当たりました。やったぜ


「我ら武装組織フィーネは、各国政府に対して要求する!そうだな……さしあたっては国土の割譲を求めようか。24時間以内にこちらの要求が満たされなかった場合は、各国の首都機能がノイズによって不能となるだろう」

 

 

 マリアは何を言っている!?そんな要求、ふざけているのか!?シンフォギアはこの沢山の一般人の前で使えるはずもなく、ガタックゼクターも単体では何も出来ない。そもそもベルトがない。……あってもシンフォギアと同じ理由で使えないが。

 

 

「……その言葉、何処までが本気だ?」

 

「私が王道を敷き、私たちが住まう為の楽土だ。素晴らしいとは思わないか?」

 

 

 奏が告げた言葉に対し、さも当然かのようにマリアは言い返す。

 

 

「何を意図しての騙りかは知らぬが……」

 

「私が騙りだと?」

 

「そうだ、てめぇごときがあたしのガングニールを纏えるもんか!」

 

 

 すると、奏が胸元からギアペンダントを出そうとして……って、ダメ!

 

 

「ちょ、奏!?」

 

『ダメです、奏さん!今、動いては世間にシンフォギア装者だということがバレてしまいます!』

 

「……ちっ」

 

「あら、そう言うなら自分で確かめてみたらどうかしら?私の言った事が騙りなのかどうか」

 

 

 こっちが手を出せない事を分かっていてか、マリアは挑発をしてくる。奏の拳が震えていて、今にも飛び出しそうだ。なんとか、なんとか状況を変えなければ……。

 

 

「……そう。ならば『会場のオーディエンス諸君を解放する!ノイズには手出しさせない、速やかにお引き取り願おうか!』」

 

 

 な、なんだと!?

 

 

「これならば、貴女たちも存分に戦えるでしょう?」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「ビッキー……行くの?」

 

「ああ。すまないが荷物は頼んだ」

 

 

 マリアの宣言を受けて、観客たちが続々と避難していく中、響だけはステージの方へ足を向けた。

 

 

「まっかせなさい!その代わり、今度美味しいご飯作ってよね!」

 

「ファイトです!」

 

 

 響の荷物を持って、三人娘が出口へと駆けていく。響もステージへと向かう。

 だが、ステージ裏へと近づいた時、響は急に足を止め振り返る。

 

 

「……そこに居るのは誰だ」

 

「気づいていたんですね」

 

 

 響が声をかけると、現れたのは黒いフードを被って顔を隠した低めの身長の人物。声からすると、女性だろう。その女性は懐から一振りの剣と蠍型のメカを取り出した。

 

 

「ッ!それは……」

 

「しばらくは私と踊ってもらいます。変身」

 

【HENSIN】

 

 

 サソードヤイバーとサソードゼクターを用いてサソードへと変身した女性。響へと駆けると、剣を振り下ろしてくる。響はそれを横に避けると、ベルトを巻きカブトゼクターを呼び出した。

 

 

「変身」

 

【HENSIN】

 

 

 剣とクナイがぶつかり合う。響は剣を弾くと、後ろへ飛び退き様子を伺う。

 

 

「……お前の目的はなんだ」

 

「時間稼ぎ。それが第一です」

 

 

 会話の中、女性はサソードゼクターを押し込む。それを見た響も腰のカブトゼクターに手をかける。二人の鎧に電気が奔ると共に、軽く浮かび上がる。

 

 

「「キャストオフ」」

 

【CAST OFF】

 

【CHANGE BEETLE】

 

【CHANGE SCORPION】

 

 

 鎧をパージして軽装のライダーフォームとなった二人はそれぞれの武器だけでなく、格闘も織り混ぜていく。

 響は剣による突きを避け、腹部へと蹴りを放つ。しかし、それは上げられた膝によって弾かれる。そして再びぶつかり合う剣とクナイ。お互いに有効打が出ないまま、状況は硬直する。

 次はどうするか。響がそう考えていると

 

 

「 Croitzal ronzell gungnir zizzl 」

 

「 Imyuteus amenohabakiri tron 」

 

 

 ステージの方から二人の聖詠が聞こえる。それを合図にしたのか、女性は腰のバックルへと手を伸ばす。

 

 

「クロックアップ」

 

【CLOCK UP】

 

 

 それを追うように響もクロックアップを行う。そして、互いの武器が交差したその時

 

 

「――――」

 

「……何?」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

「ハアァァァァ!!!」 

 

「甘いッ!」

 

 

 緒川さんがやってくれたのか、テレビ中継が切断された。それによりあたし達はシンフォギアを纏いマリアと交戦している。あたしと翼、二人の攻撃をマリアは徒手空拳と自在に動くマントで綺麗に捌いている。

 

 

「くそっ……認めたくはないが、この感じは」

 

「間違いなく、本物のガングニール!?」

 

「ようやくお墨付きを付けて貰った。そう、これが私のガングニール。何者をも貫き通す無双の一振り!」

 

 

 やりにくい。マリアには隙が一切なく、防御を掻い潜る事が出来ない。だけど、逆にマリアの攻撃もこちらをまともに捉える事がない。

 拮抗する状況を変えるには、何かが起こらないとダメだ。けど、その何かを待っていても……。

 

 

「ッ!?それは本当なの!?」

 

 

 来たッ!?何が起きたか知らないが、マリアの気が逸れた。攻めるなら今しかない!

 

 

「行くぞ、翼!」

 

「ええッ!」

 

「ッ!?しまっ……ぐっ!?」

 

 

 刀身を回転させて炎を纏った翼の刀と、矛先を回転させる事で風を纏ったあたしの槍。それがマリアへと吸い込まれ、吹き飛ばす。

 

 

「話はベッドで聞かせて貰う!」

 

「こいつでしまいだ!」

 

 

風林火斬

 

LAST ∞ METEOR

 

 

 翼の炎にあたしの放った竜巻が重なり、勢いが激しくなる。それがマリアへと叩き込まれる。だがその時、後ろにいたあたしには見えた。

 

 

「ッ!?翼、上だ!」

 

 

 上から飛び出てきた緑色の少女は大鎌を振りかぶっている。翼はマリアへと向けていた刀の向きを変え、大鎌ごと少女を弾き飛ばす。

 

 

「デデース!?」

 

 

 そこに丸鋸がいくつも飛来してきて、翼は弾きながらもあたしの横まで後退してくる。マリアもあの少女も何もしていない。……つまり。

 

 

「……危機一髪」

 

「まさに間一髪だったデスよ!」

 

「装者が……三人ッ!?」

 

「これでこちらの有利は確定したわ。……ほんとは切歌と調の助けが無くても、この程度の相手は余裕だったのだけどね」

 

 

 2対3か、こりゃやっかいだな。マリアだけでもあの隙がなけりゃ厳しかったが……いや。

 

 

「貴様らみたいなのはそうやって……」

 

「見下してばかりだから勝機を逃す、ってな!」

 

「――ッ!上か!」

 

 

 マリアがそう言うと同時に会場の天窓を突き破ってクリスと未来が飛び降りてくる。

 

 

「どしゃ降りのぉ、10億連発だ!」

 

 

BILLION MAIDEN

 

 

 これは避けられないと悟ったのだろうマリアは、他の二人の装者と自身の頭上をマントで覆って身を守る。あたしらもこの弾丸の雨の中には近づけないが、未来は違う。弾丸の影響を受けない、死角となった頭上でアームドギアを連結させ巨大な(鈍器)へと変形させる。あの質量+高さからの一撃だ。いかにマントの防御が固かろうが、これなら!

 

 

逆鱗

 

 

「えいやぁぁぁぁ!!!」

 

 

【RIDER SLASH】

 

 

「えっ?……きゃあ!?」

 

 

 ッ!?何が、起きた?

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 いたたた……。いったい何が……。いきなり鏡が割られて、誰かに地面まで叩きつけられて……。

 

 

【CLOCK OVER】

 

 

「ッ!あいつは……」

 

「まさか……」

 

 

 奏さんと翼さんの声にマリアさんたちの方を見ると、そこにはリディアンでフィーネさんと戦った時に居た蠍のライダーが。

 

 

「……姉さん、大丈夫?」

 

「ええ、助かったわ。セレナ」

 

「ライダーまで……!まさか、施設を襲撃したのも!?」

 

 

 ちょっと、マズイかな。ライダーを相手出来るのは響だけ。響が来ないと……って心配するまでもなかったかな。

 

 

「未来、大丈夫か?」

 

「うん、私は大丈夫」

 

 

 あの人達はこうして事件を起こしてる。たぶん戦いは避けられないのだろうけど、せめて理由を知りたい!

 

 

「あの!なんでこんな事をするんですか?今日という日を楽しみにしてた人も沢山いるのに!」

 

「小日向……」

 

「……そうね、それは悪いと思っているわ」

 

「だったら――」

 

「マリア!こんな奴らの言うことなんて聞く必要ないデス!」

 

「……偽善者たちの言葉なんて、信じられない」

 

 

 え……。ちが、私は、そんな。

 

 

「偽善者……か。それは違うな」

 

 

 響?

 

 

「あの人が言っていた。正義とは私自身!私が正義だ。

私は常に自分に従って行動している。……もちろん、未来たちもな」

 

「ッ!綺麗事を!」

 

 

 そう言ったピンクの装者は、ギアのツインテール部分から大きな鋸を展開。放とうとするけど、それは蠍のライダーに止められる。

 

 

「セレナ!なんで邪魔を……」

 

「カブトに対抗出来るのは、同じシステムを使ってる私だけです。それはマムと一緒に皆で決めましたよね」

 

「……わかった」

 

「そういう訳でさっきの続きといきましょうか」

 

「ああ」

 

 

 響とセレナと呼ばれた人は、私たちから少し離れるように移動しながら武器を交える。

 それと同じくして、私たちもそれぞれのギアを手に、相手の装者三人と戦闘に入るのだった。




端末の画面左上が不定期でタップされる不具合で、書きにくいたらありゃしない………。変な所に文字入ったり、消してしまったり……。もう2年近く使ってるし、そろそろ買い替え時かなぁ?


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重なる歌

お久しぶりです!ちまちま書いてたのが完成したので然り気無く投稿です。なお、色々と(S2CA周りで)独自設定があります。
それと、今回真の主人公(響)はほぼ出番が……。未来さんが主人公し過ぎてて……。あれ?この物語の主人公は未来さんだった?(困惑)

ゼロワンも終わった……(遅い)。というか不破さん、やっぱりあんたただのホモ・サピエンスじゃなくて、野生のゴr(パワーパンチングブラスト!)(ここから先は何も書かれていないようだ)



※9/24追記:S2CA周りを色々と変更しました。


「さあ、行くわよ!」

 

 

 マリアのその声が開戦の合図となり、調がギアのツインテール部分を展開。そこから無数の丸鋸を飛ばす。

 

 

α式・百輪廻

 

 

 それを翼、奏、未来、クリスの四人は各々のアームドギアの特性に従って、前と後ろへ別れて避ける。それを前衛組にはマリア、後衛組には切歌と調が後を追う。

 

 

 

 

 

 

「ちょせぇ!」

 

 

 クリスは切歌と調を近づけさせまいと、両手のガトリング砲を連射する。しかし、調が一回バク転すると同時に縦に円形に鋸を展開し、切歌の手を掴み、後ろに乗せて右に左に高速で移動する事で避けられる。

 そしてクリスの前まで来た切歌は、調の元から飛び降りてクリスに向けて大鎌を勢いよく振り下ろす。バックステップでそれをかわすクリスだが、その後ろから禁月輪で回り込んだ調が突っ込んでくる。

 

 

「……これでっ!」

 

「させないよ!」

 

 

 その刃がクリスを切り刻むと思われた瞬間、大きな盾の様に展開された鏡が調の突進を阻む。ぶつかった鋸と鏡は大きな音を発し、その威力を表している。しかし、いくら盾のように展開したとしてもそれは鏡。止めきるほどの防御力はなく、次第にヒビが入っていく。それを見た未来は、鏡の角度をずらし進行方向を無理矢理変える事で受け流そうとする。

 

 

「くそっ、やりずれぇな……」

 

「そう、だね」

 

 

 それはなんとか功を奏したようで、パリンと鏡が割れると同時に未来とクリスは挟み撃ちの状態から脱した。

 戦いはまだ、始まったばかり………。

 

 

 

 

 

 

 

 一方、マリアとぶつかっている翼と奏。

 

 

「今度はさっきの様にいくとは思わないことね!」

 

「なっ!」

 

「アームドギアを温存していたと言うのか!?」

 

 

 マリアは両手を合わせて頭上に掲げると、手首部分のギアパーツが変形して飛び出し、一本の黒い槍となる。それを振るうマリアの攻撃は先ほどより激しくなり、二人を相手にしても余裕が見えていた。

 

 

「貴女たちの力はこの程度なの?……なら、期待外れとしか言えないわね」

 

「そんなわけないだろ?なあ、翼」

 

「ええ。私たちを舐めないでもらえるかしら?」

 

「だったらその力を見せてみなさい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「進捗率24%……。フォニックゲインの伸びが思ったより良くありませんね……。仕方ありませんか。『ドクター、例のものをお願いします』」

 

『おや、いいのですか?』

 

「『ええ、この状況ではやむを得ません』」

 

『わかりました。……ふひひ。さあ、これから僕の英雄伝説が始まるゥゥ!!』

 

「『……ドクター、わかってるとは思いますが、まだ目立っては行けませんよ』」

 

『……ええ、それはもちろん』

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 あれからも続く私たちの戦いの最中、()()が出てきたのは突然だった。

 

 

「なっ!?」

 

「ノイズ!?」

 

 

 今でさえ厳しいのに、ノイズまで同時に相手するなんて……。そう思った私だったけど、状況は予想外の方向へ。

 

 

「……分裂増殖タイプ」

 

「こんなの使うなんて聞いてないデスよ!?」

 

「……どういうこと、マム」

 

 

 どうやら、あちら側としてもこのノイズが現れた事は想定外みたい?

 

 

「―――わかったわ」

 

 

 マリアさんはそう言った後、槍を構えてそこからビームを………え?

 

 

HORIZON✝︎SPEAR

 

 

 槍から放たれた一筋の光は、私たちではなく()()()()()()()()()()()()()

 

 

「どういうこと?」

 

「自分たちが呼び出したノイズだろ!?」

 

 

 ノイズの体が弾けると、マリアさんたちは私たちに背を向けて、ステージの隅の方へと走り出した。

 

 

「なっ!?逃げるのかよ!」

 

「ッ!?奏、待って!」

 

「あ?……って、なんじゃこりゃ」

 

 

 奏さんはマリアさんたちを追いかけようとしたけれど、異変を察知した翼さんに止められる。

 周りを見ると、飛び散ったノイズの破片が大きくなって、元のノイズと同じ形になっていた。最初からいたノイズも再生していて、多数の同じノイズに囲まれている状態に。しかも、倒そうと攻撃しても、また飛び散った体から新しくノイズが増えるだけ。

 

 

「どうするよ、これ。あたしらの攻撃効いてないだろ」

 

「このままでは不味いのは確か。かといって、ここに放置も出来ない……」

 

 

 さっき来た緒川さんからの通信でも、まだ会場の外には多くの避難したばかりの観客がいるって言っていた。その中には弓美ちゃんたちも。どうにか倒せる方法は………あ。

 

 

「絶唱……」

 

「絶唱って……まさか、あのコンビネーションか!?」

 

「だがあれはまだ未完成。上手くいく保証はない、が」

 

「ま、それしか手段は残されてないか。ぶっつけ本番だが、やるしかないよな!」

 

「今回は広範囲の殲滅……ならば雪音、頼めるか?」

 

「任せな!」

 

 

 やることが決まって、みんなの意思が一つになったのを確認し、手を繋ぐ。

 

 

「 Gatrandis babel ziggurat edenal

 

Emustolronzen fine el baral zizzl 」

 

 

 そして、4人で絶唱(うた)を重ねる。

 

 

「 Gatrandis babel ziggurat edenal

 

Emustolronzen fine el zizzl 」

 

 

 絶唱のエネルギーが私たちを包み込む。ここまでは簡単に出来る。だけど、難関なのはここから。このコンビネーションは簡単に言えば、みんなの絶唱のエネルギーを一人に纏めて放つ、という技。当然、その関係上中心となる一人には特に大きな負担がかかる。もちろん補助する他の人たちにも少なからず負担はかかるけど。

 

 

「くっ……あ"、ぁぅ……」

 

 

 その負担の大きさに毎回耐えられなくて、練習では失敗している。だけど、今はなんとしても成功させるしかない。外にいるみんなを守る為に……!

 

 

「ッ!はぁ、はぁ……」

 

「……安定、したのか」

 

「っしゃ!ぶちかますぞ!」

 

 

 火事場のバカ力と言ったらいいのか、背水の陣と言ったらいいのか、上手く制御に成功した。とにかく、これならいけるよね!

 

 

「スパーブソング!」

 

「コンビネーションアーツ!」

 

「セット!」

 

「ハーモニクス!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 クリスのアームドギアが以前のカ・ディンギルの時のように大きく変形していく。更に未来のアームドギアの一つであるミラービットが絶唱の影響を受け、未来の制御限界を越えて多数展開、会場の至る所に配置される。

そして放たれた砲撃は正面にいる分裂増殖タイプのノイズを跡形もなく消し飛ばす。直線的に放たれたそれは、先に存在するミラービットに当たる事で威力を若干減衰させながらも反射されて、次に襲いかかる。それが幾度となく繰り返された。最後には最初の一体、その本体ともいえる骨のような物だけが残り、後は全て殲滅された。

 

 

「足りない!?」

 

「ううん、大丈夫。だって……」

 

「ライダーキック」

 

【RIDER KICK】

 

 

 ノイズの上に現れた響がトドメとライダーキックを叩き込む。それを受けた無防備なノイズは耐えれるはずもなく、炭となって崩壊していく。敵の気配は既に無く、一応の解決といって良いだろう。

 

 

「立花、あのライダーとはどうなったのだ?」

 

「……ああ、残念だが逃げられてしまった。中々の実力者だった」

 

「そうか……。立花にそう言わせるとは、余程のようだな」

 

 

 それぞれ変身を解除し、情報を共有しつつ帰路へ付く。その足取りは決して軽いものでは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、ライブ会場から少し離れた駐車場に停まっている特殊車両の中。会場を始め、複数箇所の様子がモニターに表示されている。その中の一つに赤子のようななにかに見える物が写っており、そこには『complete』と表示されていた。

 それは、未来たちの放った絶唱により産まれたフォニックゲインを元に起動した聖遺物に他ならない。

 

 

「フッ、夜明けの光ね……」

 

 

 それを見ながらこう呟いた彼女こそ、マリアたちにマムと呼ばれていた存在である。自分たちの目的へと着実に進んでいる事を喜んでいるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とりあえずこれで一番の問題は解決した……。後は気付かれないように上手く事を運ばないと、ね」




マリアさんと調ちゃんの技フォントどうしよう……。(決まったら随時変更していきます。)

S2CAについては悩みましたね……。原作の響というエネルギーを纏める特性の装者はいないので。で、結果こういう感じに。文中にも軽く書いたけど、書いとかないと作者が忘れそうなので一応載せておく。

S2CA(天撃ver)
複数人の絶唱のエネルギーを一人に集めて放つコンビネーション。誰に集めるかで範囲、威力等が変わる。中心となる人物への負荷はかなりのもので、使えば以降の戦闘は非常に難しい。他の人たちにも少なからず負荷はかかる為、連続使用などしようものなら自滅するだろう。


あ、私生活だけどとりあえず内定は貰えたので、後は卒研をなんとかすればいいだけに。
まあ、その卒研が一番の難関なんですけどね……。後、やることに対して手持ちのパソコンのスペックが足りないという絶望。同じグループの友人にそこは任せるしかないという申し訳なさ。

次回更新の予定は未定。


以下、どうでもいいこと(趣味でやってるTCGについてしか語らないので興味ない人は普通にスルーしてどうぞ)

遊戯王は儀式大好きなので竜儀巧組んだぜ。やる相手いないから一人で回してるけど、動きが楽しい。毎ターン低級モンスターがグルグルしてる()

デュエマは発売初日にクロニクル普通に買えたぜ。こちらもデッキ組んだけど、今の時期じゃやっぱりやる相手いなくて一人回しのみ。


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