ちょっと違ったproject (厄丸)
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プロローグ
僕はずっと頭が痛かった。
それは『彼女』を見てから起こった奇病だ。
彼女が来たのは僕が8歳の頃、金色の髪の毛をなびかせて・・・『空間が裂けたようにして』現れたお姉さんが連れてきた。
『ねぇ君、良かったらこの子と仲良くしてくれないかしら?』
話を聞けば『外の世界』の村から来たらしい。
『この世界』だと『不思議な力』は普通だが外の世界だとそうではないみたいだ。
『・・・・・・』
そしてその子はずっと無口だった、そして死んだ目をしていた。
僕はそれを見て・・・んー・・・なんて言えばいいんだろう、可愛そうとも思ったし・・・なんでだろうとも思った。
だから僕は声をかけ始めた。
『こんにちは!僕は
『・・・』
最初は何も答えてくれなかった、綺麗な髪のお姉さんも苦笑いでこっちを見てくる、んー・・・そうだ!
『お腹減ってない?この甘い飴あげる!』
『わぁ・・・!』
死んでいた目がキラキラして輝いた、お腹が減っていたんだね、きっと。
『ありがとうね、杏無くん。この子は他の村だとイジメられていたの、だから私はあなたみたいな子はとっても嬉しいのよ・・・』
お姉さんがそう言って去っていった、僕は神社に住んでいて両親は居ない、けど野菜は育ててるし川で魚釣りも出来る。だからここまで生きてこられた。
『この子の名前は『霊夢』って言うのよ、苗字は・・・ないわ』
苗字がない?だったらこれしかないと思った。
『だったら僕と同じ名前になろうよ!僕は博麗だから・・・博麗 霊夢だね!』
『博麗・・・霊夢・・・博麗霊夢・・・!』
『うん!博麗霊夢だ!』
気がついたら綺麗なお姉さんはどっかにいっていた、もしかしたら幻だったのかもしれない。けれどこれだけは分かる。
『お兄ちゃん!』
ここには霊夢がいる、それだけで独りぼっちだった僕の心は満たされる。
それからの生活は少し大変だった。
『びぇえええええええ!お“に”い“ち”ゃあん“!』
彼女は年相応でかなりの泣き虫だった。
『これ美味しい!とっても美味しいね!』
だけれど僕の取ってきた食べ物を喜んで食べてくれた、ここの食べ物が口にあってよかったよ。
『ん〜・・・おにい・・・ちゃん・・・』
疲れて寝ちゃったみたい。
それにここ数日だと新しい友達を見つけたらしい、名前は分からないけれど霧雨商店の娘さんだと僕は思う、よく遊んでるのを見かける。
『魔理沙ちゃんなんか知らない!大っ嫌い!』
『私もだぜ!霊夢ちゃんなんか居なくなっちゃえばいいんだ!』
ふとした時に喧嘩をしているのを見つける。
『大っ嫌い』 『居なくなっちゃえ』
その言葉の数々が年下のケンカなのに何故か僕の心をギスギスと痛めつける。
もし本当に居なくなったら?嫌いって言ったきり、もう二度と会うことが出来なくなってしまったら?
僕はそう思ってしまった瞬間、2人を叱り始めた。きっと2人からしたら初めて僕が怒った瞬間だったんだろう。2人して仲良く泣きならがら神社の中に入ってしまった。
初めて怒って疲れてしまった。けど2人には悪いことをしてしまったから今日は2人の好きなものを作ってあげよう、確か焼き魚とキノコご飯だったかな?そう思って僕は森の中に入っていった。
けれど僕はこの時には失敗したのだろう。
『グルルルゥ・・・ッ!』
目の前には赤い景色が見える、身体がアッタカイ・・・デモサムい・・・なン・・・デ・・・?
ミタらカラダガはなレテイル・・・イシきモ・・・モウ・・・
「レイ・・・む・・・まり・・・サ・・・」
目を覚ました。
何故?僕は狼の妖怪に身体を半分にされた気がするのに。
『杏無・・・ッ!』
誰かが僕を呼ぶ、でも誰だろう。
僕のことをそう呼ぶ人は居ない、そう思って声の聞こえた方を見たら綺麗なお姉さん。
紫さんがそこに居た
『馬鹿!なんであの森に入ったのよ!』
なんでと言われても僕は霊夢と魔理沙に仲直りして欲しかっただけだとしか言えない。
だって2人とも大切な妹、1人は違うけど妹みたいなもんだし・・・その2人に今日初めて怒ったことも言った。
『温厚な貴方が・・・?』
もちろん理由も言った。
『大っ嫌い』 『居なくなっちゃえ』
この言葉を聞いた瞬間僕はとっても酷いことを考えてしまったからと答えた。
『・・・』
それを紫さんは黙って聞いていた。
頭に手を置いてずっと悩んだように頭を抱えている。でもその手の間から涙が見えていた。
『杏無、よく聞いてちょうだい・・・』
僕は嫌な予感しかしない、でも聞かない拒否権は・・・僕にはない。
『貴方の身体は一度本当に半分に割れてしまっているの・・・それを私の力とそこにいるお医者さんの力で治している最中なの』
やっぱり・・・だって僕の中にはそういう記憶がある。
『あら、それほど恐怖感は抱いていないようね。珍しいわ、その歳で死ぬかもしれない恐怖を感じたのに』
今度は青と赤の服を着た白い髪のお医者さんが話をしてくる。確かに僕は怖いって感情が感じにくい。
『・・・』
ジィっと僕の方を見て今度は紫さんと話をするみたい。
『紫、この子は本当に子供なの?子供にあるはずの好奇心、恐怖心が全く感じられないの』
紫さんはずっと黙っている、あれ、おかしいな・・・急に・・・ねむ・・・く・・・
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