飛竜とアイルーと。 (麗紫 水晶)
しおりを挟む

♪♪♪プロローグ♪♪♪

 と、突然すみません。もう1作書いちゃいました。前振り予告もせず、大変失礼をば致しました。
 読んで頂けたら幸い。この作品も同時進行で進める気で、2,3話まとめてと思っていて見切り発車しました。
 ゆるりと楽しんで頂けたら嬉しゅうございます。
 では、物語の始まり始まり…。



 ……ここはユクモ村。自然より湧き出でる源泉は多くのハンターや商人、一般の人々まで足湯や温泉に癒しを求めて来訪する、人々の繋がるきっかけが多い、活気のある村であった。

 他の村と同様、猫飯屋、武具屋、道具屋、オトモ武具屋もあり、アイルー達も村に馴染んでいる。

 その他にハンター達の家や村長の家等があり、村のクエストはここから出発して行く者もいる。村の村長は女性でオシャレな着物に髪を結い、綺麗なかんざしを付けて、椅子に座っていた。穏やかそうな気品のある人物の様だった。

 

 その村に1匹、単身で温泉に浸かりに来ている猫!?いや、姿は猫だが走る時以外は二足歩行で、通常の猫よりは体躯が大きく、人語も話せるアイルー族がいた。

 

 「やっぱり、温泉に限るニャ~~~。♪」

 

 傍には自分で身に付けている装備が置いてある。日本の武将をイメージしたオトモように作られた武者Xネコアーマー・ヘッドとこれまた日本刀を意識したオトモ用武器の¨銘刀ニャンコテツ¨であった。

名前を白羅¨びゃくら¨と言い、解雇されたオトモの一匹で前主人の忠義と今まで可愛がってくれた恩義で、他のハンターのお誘いを幾度と断り、次第に雇われることも無くなった。しかし、狩には出るのでこれが本当の一匹狼と呼ばれるようになっていた。レベルは63レベル。解雇された時は52レベルであったので、単身でコツコツとレベルを上げてきた。ある意味なかなかの強者である。時には大型モンスターの討伐クエストをソロでクリアしてきた事もあった。

時にはのんびりと、魚釣りのクエストや素材・食材の集めるクエストをしたりで、報奨金もそこそこに、生活していける程度に過ごしていた。

 

「あら、白羅さん、戻っていらしてたの?」

 

綺麗な着物の綺麗なお姉さんが話しかけてきた。ユクモ村の村長である。

 

「そうですニャ。仕事の後の、一風呂はいつもいいもんですニャ~~~。」

 

「それは良かったですわ。実は貴方に依頼が来ているのです。後で寄って下さいな。」

 

「へ、おいらに依頼ニャ!?分かったニャ、後で寄りますニャ。」

 

「では、後程。」

 

と村長は戻って行った。

 

「依頼主は誰かニャ?ま、いいニャか。会えばわかるニャ。ニャ~~~。」

 

と温泉に浸かりながら、背伸びする。その瞬間に、脚を滑らせお湯の中にひっくり返ってしまう。

 

「ニャ!ガボガボガボ!ぷにゃぁ!!」

 

ザパーっと湯しぶきを上げて立ち上がる!

 

「ニャ!?」

 

周りを見渡すと数人の入浴者が頭からお湯びたしに。白羅は違った意味で注目を浴びてしまった。

 

「ご免なさいニャ~~~!」

 

と慌てて、温泉から自分の物を持って飛び出して行ったのだった。

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

気を取り直し、武具を装備して、村長の元へ。相変わらず、椅子に座り、落ちてくる花びらや蝶々と戯れている。小さな勇敢な強者は、村長の傍まで近寄った。

 

「村長さん、来ましたニャ。依頼とは何ですかニャ?」

 

「はい、お待ちしてましたよ。早速ですが、ベルナ村にいる猫嬢に会いに行ってくださいまし。猫嬢から依頼があると言うことなので。」

 

「猫嬢ですニャか?」

 

「そうです。詳しくはそちらで。」

 

「分かりましたニャ。向かいますニャ。」

「お気をつけて。」

 

と村長に見送られ、船乗り場へ。仲間のアイルーが受け付けをしていた。

 

「ニャンテンションプリーズ!どちらに行かれますニャ?」

 

「ベルナ村までお願いするニャ。」

 

「了解しましたニャ。ではお乗りくださいニャ。」

 

受け付けアイルーに促されて、飛行船に乗り込む。船頭さんが舵をきると、ゆっくりと動き出した。

ゆっくりと流れる雲にあったかく照らしてくれる太陽に、外の眺めを楽しみながら、ベルナ村に向かっていた。

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

ベルナ村…ハンターの新人さんはまず、この村から始まる。村長は勿論、カリスタ教官や猫飯屋の女主人、受付嬢や龍暦院のモンスター管理の青年など、新人をサポートしていく村で、龍暦院とも協力している場でもあった。

飛行船から降りて来ると、一人の男性が。背筋はまっすぐで、髭を生やし、杖を持って、堂々とした風格を滲ませる老人が立っていた。ベルナ村の村長である。

 

 「待っておったぞ、白羅よ。済まない、最近のハンター達ときたらやたらと強いモンスターの討伐ばかりを狙って猫嬢の依頼さえ引き受けようとせん。お前さんのようにコツコツと積み重ねていくことが大事じゃと言うのに。」

 

 珍しく、村長が愚痴をこぼした。余程の事だろう。いつもは広い目で余裕があるはずの人物なのだが。

 

 「ご、ゴホン。そ、それは置いといてじゃ。早速猫嬢の依頼を受けてやってくれんか?なんでも鉱石を集めて欲しいそうじゃ。」

 

 「鉱石ニャ…。」

 

 「そうじゃ。先ずは猫嬢を訪ねなさい。任せたぞ。」

 

 「分かりましたニャ。行ってみますニャ。」

 

 「うむ。」

 

 と村長と別れ、オトモ達のいる隣接しているオトモ広場を訪ねた。そこは猫嬢がオトモの斡旋をしているだけでなく、行商や、モンニャン隊、訓練場などの設備もなされていた。他の村にはない施設であった。いろんなオトモ達がいる中を通り抜け、猫嬢の元へ。

 

 「あ~~!!いらっしゃい!お待ちしてました!!」

 

 と迎えてくれたのは茶髪の大きな可愛い猫耳で、オトモ斡旋者用だろうか専用の衣装に身を包み、小柄でポシェットを肩から下げている、アイドルのような(いや、アイドルか!?)お嬢様が立っていた。

 

 「お久しぶりですニャ。斡旋登録もしてニャいので、ここに来るのもしばらくぶりニャ。」

 

 白羅は周りを見渡しながら呟いていた。前主人に解雇に会うまでは時々来ていたからだ。それを聞いて、猫嬢も少し寂しげな顔になった。

 

 「ニャ、ニャにも来ない理由があるわけじゃニャいニャ。たまたまニャ。」

 

 「そうですか、少しは遊びに来てくださいね。」

 

 「ニャ。そうするニャ。」

 

 お互いに顔を見合わせて微笑む。事情を知っているだけに無言で頷きあっていた。

 

 「それはそうと、おいらに依頼ニャか?」

 

 「ああっと、そうでした。実は鉱石採掘の依頼をしたいのです。エルトライト鉱石を7つ集めて欲しいのです。それをオトモ武具屋さんに届けて欲しいのです。お願いできますか?」

 

 「分かりましたニャ。猫嬢の依頼は断れニャいニャ。」

 

 「ほんとですか!?ありがとうございます!お礼は用意しておきますのでよろしくお願いします。」

 

 「じゃ、早速行ってくるニャ!」

 

 「ええ、今からですか!?」

 

 「大丈夫ニャ。採掘次第、戻ってくるニャ。任せるニャ!」

 

 と手を振って、村長のいる村の方へ戻って行く。猫嬢もニコニコしながら、その後姿を見送った…。

 

「さて、何処に採掘に行こうかニャ?」

 

クエスト地を考えながら、受付嬢の前にやってきた。

 

「あら、お久しぶりですね、少したくましくなった?」

 

「ニャ♪、ニャ♪、ニャ♪。誉められても何も出て来ないニャ。♪」

 

「なぁんだぁ!残念。」

 

「今度、良いものがあったら持って来るニャ。」

 

「えっ、本当!やった!期待してるからね♪」

 

「分かったニャ、約束ニャ。それよりクエストを頼み…!?」

 

「どうしたの?」

 

話が途切れたので、心配そうに白羅の顔を覗き込む。

 

「そうだニャ。採掘するニャにもG級のクエストじゃニャいと駄目だったニャ。」

 

「へっ。!?」

 

受付嬢も分からずに、目が点になった。

 

「龍識船の集会酒場ニャ!」

 

そう叫びながら、一目散に飛行船へ、ダッシュしていく。

 

「えっ、ちょっ、どういうこと?」

 

と呆気にとられたままの受付嬢であった…。

 

「失敗したニャ~!鉱石が上位物ニャという事をすっかり忘れてたニャ~。速くしニャいと、船が出てしまうニャ~。」

 

4本足で、大地を蹴って全速力で突っ走っていく。やがて、集会場の船着き場が見えてきた。

 

「スーパーウルトラ大回転ニャ~~~~!!」

 

と勢いよく地面を蹴って、ハイジャンプし、さらに空中で回転しながら龍識船まで飛んでいく。

 

「ニャ~~~~!!」

 

バキッ!!ものすごい鈍い音を立てて、船の床に頭を突っ込んでいた。身体は直立不動の逆さ状態で…。

周りのハンターやクルー、商売人達が心配そうに注視する。暫くすると身体を起こし、頭を床から必死に抜こうとしている。ようやく頭が脱出に成功する。

 

「ぷにゃぁ!間に合ったニャ~~~!」

 

(こらこら、床に穴を開けたのを忘れてないだろうな)

無事だったのが確認出来ると、みんな通常の動きに戻っていった。

龍識船は基本、龍の生態系を調べることとしていた。しかし、今回は少し違うらしい。バルファルクと命名された、音速で飛び回る龍の追跡調査だそうだ。

船はゆっくりと出航した。

龍識船は大きな飛行船が3隻並ぶように組まれていて、向かって左側の船が集会酒場に、右側が道具屋、武具屋、オトモ武具屋があり、中央の船はクルー達が船を動かし、龍暦院より大抜擢となった最年少の隊長が居り、受付嬢や猫飯屋、教官もいた。 

 他には下の船内には博士帽子をかぶったアイルーが研究員として研究室に。ベルナ村にいたモンスター研究の青年、猫嬢も参加していて、あとは、ハンター達の部屋として使われていた。

 

 白羅は採集クエストでもG級ランクでなければならないと集会酒場に移動した。

 そこにはカウンターやテーブルがあり、地下には武具屋や貿易ネコ自室がある。滞在するならそこでもOKだった。そのカウンターには艶やかなドレスにフワフワな扇子を仰ぎ、ユクモ村の村長とはまた違った雰囲気を醸し出しているママさんがいた。カウンターの中ではウェイトレスをしているスキンヘッドのサングラスを掛けた強面の男性がグラスを拭いていた。クエストの受注窓口でもあった。

 

 「ママさん久しぶりニャ。」

 

 挨拶をとママさんの元に。

 

 「あら~、ほんとね~。元気にしてた?」

 

 「おかげさまニャ。あの時は世話になりましたニャ。」

 

 「いいのよ、お互い様だったでしょ。気にしないで。」

 

 ここでもお互いにニッコリとほほ笑む。

 

 「で、船に乗り込んでどうかしたの?いきなり獰猛モンスターを討伐しに行くとか言わないでしょうね!?」

 

 「おっと、そうニャった。G級の採集ツアーに行こうと思っていたニャ。」

 

 「ふ~ん、何を探しに?」

 

 「エルトライト鉱石を探しにニャ。猫嬢からの依頼ニャ。」

 

 「あら、珍しいわね。最近じゃHRを稼ぎたくて難易度の高いクエストばかり受注がかかるのに。」

 

 「いいニャ。強くなるに越したことはニャいが、そこまでの目的も無いニャ。ゆっくりと上げれればいいニャ。」

 

 「そうよね、あたしもそう思うわ。今度、一緒に飲まない?昔ばなしもしたいし。」

 

 「そうニャ。今度時間を作るニャ。その時はよろしくニャ。」

 

 「オッケイ!待ってるわね。」

 

 と横のカウンターにいる強面のおじ様!?がいる前へ進む。

 

 「クエストを受注したいのですニャが?」

 

 「いらっしゃいませ、どのクエストになさいますか?」

 

 とクエスト本を開いて見せてくれる。白羅は椅子に座り、本を覗き込む。ひと通りクエストを確認すると、一つのクエストを上げる。

 

 「G1の砂漠採集ツアーにするにゃ。」

 

 とカウンターのおじ様!?に本を返す。

 

 「分かりました。受注お受けします。準備が出来ましたらいつでもどうぞ。」

 

 とグラスをまた拭き始める。相変わらず仕事熱心だニャと感心しつつ、搭乗口へ。その間にも他のハンター達は仲間を募って、モンスターのいる狩場へと出向いて行った。

 

 「さあ、おいらも出発ニャ!!」

 

 と気を入れ直して飛行船に乗り込んだ。(おいおい、船に穴を開けた修理をしてないぞ…。)

 

 この後、不思議な出会いと共に波乱な出来事に巻き込まれていくストーリー…。

 

 

 

 




 読んで頂けて大変嬉しゅうございます!!!
 外異伝、共々書き綴っていきます。外異伝にお気に入りや投票くださっている方、ありがとうございます。いま1つの節目を迎えている感じですので、そちらも執筆に気が入っているところでゴザイマス。
 この作品も楽しんで執筆していきますので、どうかよろしくお願いします。
 次話もまた読んで頂ける事を願って…。   では。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

飛竜との出会い。

この作品を読んでくださっている方々に御礼申し上げます。あまりに嬉しすぎて、早速2話目でございます。どうか読んでやってくださいまし。では物語の始まり始まり。



 …砂漠……。この地は旧砂漠よりは勿論年数的に新しくできた土地ではある。

日中はすぐに脱水になる程気温が上がり、ハンターならばクーラードリンクかスキル付きの防具で暑さをしのぐが、アイルーやメラルーと言った猫族は暑さ寒さには強かった。しかも大型モンスターの気配も感知出来るため、千里眼の薬要らず。でもあった。

岩壁の山もあり、エリアによってはすなの滝が、その土地の環境を変えてしまった事を物語っていた。

更に別のエリアでは、日の当たらない所があり、水溜まりや、水辺があったりしており、どんな生物も、水分を補給しに来るのだった。

しかし、日が当たらないので、気温差が激しく、ハンター達はそのエリアでは逆にホットドリンクを飲まないと、耐えることが出来ない場所でもあった。

 

集会酒場を出発した白羅は、クエスト地の砂漠のベースキャンプ地に到着した。

ハンター達と同様に、ベッドやチェスト等がある。唯一の井戸は近道をすることが出来る特殊通路になっていた。

「♪さて、どこから採掘に行こうかニャ♪」

 

 準備万端!?行く気だけは満々で、何か別に掘り出し物があればラッキー!という、相変わらず欲のあまりないのんびり屋さんであった。

しかし、1つ気がかりがあった。

 

「ニャんで大型モンスターの気配が二つあるニャ?ま、大丈夫ニャ。見つからないように行けば何とかなるニャ。」

 

気配を感知出来る種族達なので、二つの大型の気配は気にはなった。なので、なるべく見つからずに、依頼を遂行すべく、井戸からのエリア移動を始めたのだった。

 

そこはエリア6の場所で、日の当たらないエリアであった。鍾乳洞のT字の通路の真ん中に降り立つ。ここに鉱石があるので、採掘をスタートする。アイルー達専用のビッケルでエルトライト鉱石をゲットする。

 

「お、さい先いいニャ。気をつけながら、どんどんいくニャ。」

 

と鉱石のあるエリアに移動しながら、採掘しつつ、他の鉱石も取りつつ、エリア4、エリア2へと採掘しながら移動した。

 エリア2は砂漠の中では一番大きいフィールドでバックに巨大な岸壁状の岩山があり、他は一面熱砂が広がる場所であった。

 ヨジ、ヨジ、ヨジ、ヨジ…。ベースキャンプまで坂道を上がって行けばよいものを、あえて岸壁を登ってゆく。

 途中で斜め下方向を見ると、実が見えた。

 

 「ニャ~!あんニャ所に熱帯イチゴニャ~~!どうするかニャ~…。」

 

 途中まで登った手前どうするか悩んでいた。少し悩んで動き出す。

 

 「やっぱり、採りに行こうニャ!」

 

 (下へ参りま~~す♪)ヨジ、ヨジ、ヨジ、ヨジ…。岩肌を掴みながら崖を降りてゆく。すると、下に近くなってきた所でザザザザザ…。と怪しい砂音が…。見ると黒くて大きい縦に伸びたヒレがジグザグしながら真下までやってきて止まる。

 

 「ニャ!?」

 

 止まって見ていると、砂の中からゆっくりと顔を出す物が…。何かにプレスされたかのように左右に潰れたような、シュモクザメに似た顔立ちのドスガレオスが口をあんぐりと開けて顔だけ出して待ち構えていた…。

 

 「ニャ~~~~~!!ドスガレオスニャ~~~!!」

 

 (上へ参りま~~す♪)ヨジヨジヨジヨジヨジ…。慌てて高台の上までよじ登る。

 

 「ニャァ、フゥ、ニャァ、フゥ…。お、おいらを丸のみにしようと待ち構えてたニャ。一匹はドスガレオスの気配だったニャ。」

 

 フウッと前脚で顔を拭いながら落ち着こうとした。その瞬間!

 ズドーン!!と言う爆発のような音と共に巨大な砂柱が上がる!その一番上に、ひっくり返された先ほどのドスガレオスが飛ばされていて、砂と共に落下していった。

 

 「ニャ!!ニャンだ~~~~!?!?!?」

 

 あまりの衝撃的な光景に思わず、岩壁の下を覗き込む。するとそこにはもう1頭の大型モンスターが。

 前に向けて巨大な2本の角と牙を生やし、恐竜で言うトリケラトプスのような扇状のヒレがあり、強靭な後ろ脚を持つ2足歩行で、尻尾には船の碇のような形をした強固な物が付いている。可愛げにサボテンを食すという、羽を持つ飛竜種"角竜 ディアブロス"がそこにいた。

 

 不意打ちを喰らわされたドスガレオスは起き上がるとこちらも慌てて砂の中に逃げ込む。それを逃がさんと羽を水平に広げ、後足を蹴って前進し加速する!しかし、間に合わずに砂の中に逃げられてしまう。

 

 「も、もう1匹はディアブロスニャったか。気を付けニャいとこっちが串刺しにニャるな。」

 

 と見つからないように一先ずベースキャンプに戻る白羅だった…。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 「あと1つニャ。エリア3に行かニャいと7個にならニャいニャ。」

 

 残り採掘を残しているエリアは3であった。しかし、ドスガレオスとディアブロスが行きかっているためにどちらの方向から向かうか悩んでいた。

 

 「井戸からエリア6,7,3と行くかニャ……それとも2,3と行くかニャ……迷うニャ。」

 

 今、どちらの方向もエリア2と7には気配がある。どちらがとは言えないが、少なからず鉢合わせすることは間違いない。が、鉱石も足りない以上向かうしかない訳で決めるしかなかった。

 

 「ニャ!決めたニャ!6,7,3のエリアで向かうニャ!」

 

 白羅は2頭が鉢合わせしていないので、思い切って行くことにした。

 

「先に採掘した分ニャ届け依頼をさっきかけたニャ。だからあと1つに集中すればいいニャ。」

 

 と井戸の中に飛び込む。勢いよく下まで落下する。着地すると、エリア6の鍾乳洞の通り道T字路に降り立つ。

 

 「相変わらず肌寒いニャ。」

 

 とは言うものの、ホットドリンクまで必要な程の寒さを感じない種族でもあった。(お得な奴だ)

 

 「こっちニャ。」

 

 ゆっくりとエリア7に足を踏み入れる。そこは大きな穴の開いた空洞のような場所で、上側に空いた穴からは光が差し込んでいる。その真下は水源があり、砂の地表の真ん中付近には岩柱が構えていた。

 今の所、大型モンスターの姿はない。白羅はチャンスとばかりに思い切った。

 

 「今ニャ、走り抜けるニャ。」

 

 4本足で猛然とダッシュを図る!もう少しでエリア3の入り口に…。と差し掛かった時事態は急変する!!

 

 「ニ゛ャ~~~~~~!!!」

 

 ズドーンと激しい砂柱が音を立てて立ち上がる!!白羅も不意を突かれて壁まで吹き飛ばされる!

 

 「そ、そんニャ…。気配が無かったニャ…。」

 

 その生物は雄たけびのような咆哮を上げる。前の方に向けて巨大な2本の角を生やし、後足の脚力で突進してくる飛竜種”ディアブロス”であった。

 ディアブロスは武具を装備している白羅にターゲットをロックオンしたようだった。

 

 「ま、まずいニャ。もう一撃喰らったらおしまいニャ。でも、動けニャい……。」

 

 体力をギリギリまで一気に削られたため、起き上がって回復するのに時間がかかった。ディアブロスはお構いなしに足を蹴って突進してくる!!

 

 「も、もう駄目ニャ~~~!!」

 

 と、両前脚で頭を抱え込んだ!と、その時奇跡が起こる!!

 

 「グァガァァァァァァァ!!」

 

 とディアブロスも横から攻撃されて勢いと共に吹き飛ばされる!!白羅もディアブロスの悲鳴にゆっくりと両前脚を開いた。

 

 「ニャ、ニャ、ニャンで…。」

 

 白羅も目を疑った。何よりも自分の気配感知を疑った。当然だ、今までなかった大型モンスターの3頭目がいるのだから…。

 全身が硬い刃のような鱗に覆われ、頭部には鋭利なナイフのような角が一本生えており、前足の部分には羽があり、爪は長めの2本と短めの1本、後足は筋肉質で上2本、下2本の4本ずつの大きめの爪が付いていた。獲物を掴むには十分な物だろう。尻尾は若干太めで、特殊な形程ではない。その生物は、ディアブロスに対し咆哮を上げた。

 白羅はその存在を知っていた。前主人とよく狩でも相対していたからだ。

 

 「千刃竜"セルレギオス"がニャンで…。」

 

 その行動は白羅には理解できなかった。白羅の方が狙われてもおかしくないと思ったからだ。更にセルレギオスが不思議な行動に出る。ディアブロスを目の前にして、白羅の方をチラリと見たのだ。

 

 「ニャ…。」

 

 言葉にもならず、その場から動けなくなっていた。体勢を戻したディアブロスも横やりを入れて来た、セルレギオスに対し、ターゲットをセルレギオスに変更したようだ。セルレギオスに対して怒りの咆哮を上げる!すぐに羽を広げて、後足で地面を蹴って突進してきた!が、セルレギオスも羽を広げて飛び上がり、後足の爪を広げて横に湾曲させてディアブロスの羽とわき腹を攻撃する!!突進の勢いと、躱されて横からの攻撃で、ディアブロスは水源の中に突っ込んでしまう!!

 

 「ガァァァァァ!!!」

 

 水源の中でもがくディアブロス。セルレギオスは悠々と岩柱の傍に舞い降りた。ディアブロスは起き上がって体勢を直すも敵わないと思ったのか、地面に潜り込んで離れていった…。

 

 「凄いニャ。」

 

 思わず見とれていて、その場から逃げる事を忘れてしまっていた白羅がいた。セルレギオスはゆっくりとこちらを向いて白羅に近づいてくる。しかし、白羅はなぜか怖さを感じなかった。むしろどこかで…。

 そのセルレギオスは白羅の前に来ると、右前脚を出してきた。爪を広げると中から鉱石が…。

 

 「ニャ!エルトライト鉱石ニャ!!」

 

 手に取って、持って来てくれた竜の顔を見る。すると、ゴロゴロと白羅に甘えてきた。

 

 「ニャ♪、ニャ♪チョット待つニャ♪ニャはは♪」

 

 自分より大きい顔を撫でてやる。セルレギオスも喜んでいた。

 

 「ニャ、お前何処かで会った事があるニャか??」

 

 と撫でながら話しかける。突然、心臓を貫かれたかのように昔の記憶が蘇る。

 

 「お、お前、もしかしてあの時助けた幼体ニャか!?」

 

 「クァァ。」

 

 と優しい声で返事を返してきた。それでやっとつじつまが合う。

 

 「そ、そうニャのか!よく無事で生きてたニャ!また巡り合えるニャンて…。」

 

 と、ウルウルしながら更に撫でてやる。

 

 「さっきはありがとうニャ!おかげで助かったニャ。しかも鉱石まで持って来てくれるニャンて。」

 

 セルレギオスも微笑んだように見えた。不思議な否、運命的な再会となった。この後、この1匹と1頭の織りなす運命の歯車が動き出したのだった。

 

 「ニャ。まずは依頼を達成しなきゃニャ。ゴメンニャ。戻らなきゃならないニャ。でも、また直ぐに会いに来るニャ!絶対ニャ!約束ニャ!!」

 

 とセルレギオスに話しかける。その意図が分かったのか、寂しがりつつも飛んでその場を離れる。

 

 「絶対に会おうニャ~~~!!」

 

 と両前脚を伸ばして大きく振る!セルレギオスも返事の咆哮を上げて飛び立っていった。

 飛竜を見送ると、気を取り直して歩き出した。ベースキャンプまでも軽快に感じていた。クエストを終了し、鉱石をオトモ武具屋に届け、大層喜ばれ、直ぐに猫嬢の耳にも連絡がいった。

 白羅も龍識船からベルナ村へ戻り、オトモ広場の猫嬢の元を訪ねた。

 

 「あ~~~!!お帰りなさい!!クエストご苦労様でした。大変だったと聞きました。ごめんなさい。無理難題になってしまいました。」

 

 「ニャ、大丈夫ニャ!おかげで良い事もあったしニャ。」

 

 「え、いい事ですか?」

 

 「そうニャ。内緒ニャ。」

 

 「え~~ずるいです!教えてください~~!」

 

 「時期が来たらそうするニャ。それまで待っててニャ。」

 

 「そうですか~。あっとと、お礼を渡すのを忘れる所でした。これです。」

 

 と渡されたのは塵滅刃の端材であった。

 

 「ニャ、これは凄いニャ。どうやって手に入れたニャ?」

 

 「それは、わたしも内緒です。」

 

 とニコッと微笑み返された。

 

 「ニャ~~♪これは一本取られたニャ~~♪」

 

 とポリポリ頭を掻いていた。猫嬢もうふふと微笑んでその猫の事を優しく見つめるのだった…。

 

 

 




読んでくださってありがとうございます!
いよいよ、一匹と一頭の歯車が回りだしました。この先どうなってゆくのか?私も楽しみに執筆していきますので、よろしくお願いいたします。では次話にて。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪♪♪飛竜との出会い②♪♪♪♪♪

調子に乗って、次話でございます。読んでくださっている方、お気に入りやしおりにしてくださっている方、感謝感激でゴザイマス!
おかげさまで、更新速度が速いのなんの。皆さんのおかげでございます。ささ、まずは読んでくださりませ。
物語の始まり始まり。



 またもやここはユクモ村♪♪♪…所々で湯気が立ち込める、温泉の村である。相変わらず1匹狼のアイルーは温泉に浸かりに来ていた。

 

 「ぷにゃ~~♪やっぱり温泉に限るニャ~~♪」

 

 クエストから戻って来たばかりで、あちこち痛めた体の癒しを求めつつ、唯一のひとときを堪能すべく、お客が居ようと無かろうと、これだけは辞められず、温泉に浸る事を日課としていた。

 

「ニャんか今日はお客が少ないニャ?」

 

確かにまばらで白羅から離れて数人が入浴中で、いつもよりずっと少なかった。その内に更に居なくなっていき、独りに、いや一匹になっていた。

 

「ニャ!?誰も居なくなったニャ。今日は早じまいだったかニャ?」

 

さすがに不安になってきて、上がろうか迷っていると後ろから声をかけられた。

 

「お隣、良いですか?」

 

凄く綺麗ではぎれの良い、優しい感じの女性の声であった。

 

「は、ハイニャ!ど、ドウゾニャ!」

 

白羅は前を向いたまま、緊張しまくっていた。女性は綺麗な素足を晒しながら片足ずつ、ゆっくりと湯舟に浸かってゆく。さすがに身体にはバスタオルを巻いた状態ではある。それでも身体のラインが分かる程にプロポーションが抜群に良い女性だと理解できた。白羅の顔がピンク色に染めあがっている。

 

「お久しぶりね、白羅さん。」

 

そう言われて、改めて驚く。声には聞き覚えがあった。

その女性の方を見ると、女性はショートヘアでハンター達の間でも美人で有名であった。

 

「ニャ…アイラさんニャったか。」

 

アイラと呼ばれた女性は、目の前のアイルーに、ニッコリ微笑んだ。そう、集会場の受付嬢にして、白羅の前ご主人の彼女であった。赤面しつつも返事を返した。

 

「確かに久しぶりニャ。なかなか顔を出せずにご免なさいニャ。」

 

「ううん、いいの。あなたも辛かったでしょうから。」

 

「その後、ご主人の足取りは掴めたのかニャ?」

 

「いえ……未だに……。」

 

「そうニャ……。」

 

「あなたの方は?連絡や手紙は来てない?」

 

「こっちも全くニャ。」

 

「そう……。」

 

寂しげに温泉の湯面を見つめる。その横顔を見つめる白羅にとっても、辛かった。

 

「大丈夫ニャ!その内ひょっこり帰って来るニャ!そしてアイラさんを迎えに来るニャ!それまで待っててくれるかニャ?」

 

アイラは白羅の顔を見て微笑んだ。

 

「うん、待ってる。」

 

「全く!こんないい女を困らせるニャんて、困ったご主人ニャ!」

 

「フフフ…。」

 

と照れ笑いしていた。

その後も、しばし昔話に華を咲かせて、猫飯屋まで一緒に赴き、夕食を食べたのだった。

 

「じゃあ、またね。たまには顔を出してね。」

 

「分かったニャ♪。時々顔をだすニャ♪。嫌われても行くニャ♪。」

 

「クスクス、嫌ったりしないわ。むしろその逆ね♪それじゃ。」

 

と帰って行った。

 

「逆って、どういうことニャ?」

 

俗にいう゛鈍感゛と言える程の白羅君であった。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

白羅も自宅…と言ってもユクモ村の村長宅の一部屋を借りて居候の身だが(こいつ、贅沢だな。)ベッドではなく、床にマットを敷いた状態なのだが、厚みがあってフカフカな高級なマットなので、気持ちよく睡眠が出来ると白羅にとっては大のお気に入りであった。

 そのフカフカマットに寝転がりながら受付嬢の事を…、じゃなかったセルレギオスの事を考えていた。

 

 「あいつはニャにしてるかニャ。明日、旧砂漠に出てみようかニャ。巣があるかもしれニャいニャ…。」

 

 そんなことを考えつつ、深い眠りにつくのだった…。

 

 「朝ですよ♪起きてくださいな♪フウ~~~…♪」

 

 と白羅の耳元に優しく息を吹きかける女性が…。(やっぱ贅沢だこいつ!)足の先から頭の先までゾワゾワゾワ…としびれが走り、毛が逆立つ。驚いて目を覚ますと目の前に村長さんの顔がアップで視界に飛び込んできた。

 

 「ニャ!村長さん!…。おはようございますニャ~~~…。」

 

 とあくびをしながら全身で背伸びする。昨日の温泉効果!?で大分回復はしていた。

 

 「おはようございます。起きてすぐで申し訳ないのですが、又依頼したいことがありまして。」

 

 「ニャ。仕事ですかニャ?」

 

 「そうですの。食事と準備が出来たら私の所に来てくださいな。」

 

 「分かりましたニャ。そうするニャ。」

 

 村長も部屋を出ていった。白羅も持ち物等を確認する。猫飯屋へ向かい、食事をし、村長の元へ。

 村のお店関係は早朝早くから店開きをしていた。たくましい限りである。

 村長の待ついつもの指定席の前にやってきた。

 

 「来ましたニャ。次はどんなクエストニャか?」

 

 「は~い、次はこちらをお願いしようと思いましたの。」

 

 とおもむろにクエスト用紙を提示してくる。そこにはクエスト名”竜の卵の納品ディナー”と書かれていた。

 内容は草食竜の卵2個の納品がクリア条件になっている。但し、村☆10のクエストだけに乱入モンスターの影が…。

 

 「ニャンの大型モンスターが居るにゃ?」

 

 おもむろに聞いてみる。

 

 「えぇ。聞いたところによるとイビルジョーが徘徊していると…。」

 

 「ニャ!?」

 

 驚いて、ガックリと落ち込む。

 

 「一筋縄ではいかにゃいニャと思ったニャ。どうするかニャ?」

 

 と悩んでしまった。

 

 「クリアすると”超美人との一泊ディナー付”をプレゼントしますわよ♪」

 

それには、即反応した。

 

 「ニャ!?!?やりますニャ!!」

 

 と自分の胸を叩く。が…。

 

 「し、しまったニャ~~~!!」

 

 イビルジョーの事をすっかり忘れていた白羅はその場で乗せられたことに頭を抱え込む。

 

 「フフフ、それじゃお願いしますわね♪」

 

 と自宅に戻って行った。

 

 「村長さんには敵わないニャ。いつも乗せられてしまうニャ。あの人は違った意味で、強者にゃ。」

 

 さすがに諦めモードで、出発口に向かう。しかし、あのセルレギオスにまた会えると思うと、気力が湧いてきた。

 

 「絶対にまた会うニャ!」

 

 と思いを秘めて、村を出発したのだった。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 砂漠のベースキャンプに着く。前回同様、ベッドやチェスト、近道用の井戸がある。今回は卵の奪取なだけにイビルジョーに遭遇するわけにはいかない。まして、小型モンスター達からも逃れなければならない。ハンター達ならば強走薬グレートをのんでスタミナを保持しながら、逃げに逃げて納品BOXへとたどり着くのだろうが、その薬はアイルー達には通用しないので、自力で頑張るしかないのである。

 まずは1つでも近道をと前回同様、井戸から飛び降りる。着地すると鍾乳洞のT字路に降り立つ。そこからエリア5へと進む。ここもかなり広く、岸壁に近い所に岩柱が2本立っている。その反対の奥の方は巨大な砂の滝が全ての物を飲み込まんと凄い勢いで、流れ落ちていた。白羅は岩柱2本の向こう側にある、エリア10の入り口までひた走る。

 幸い、イビルジョーの姿は無く、離れでガレオスが砂の中を泳いでいる程度であったので容易にたどり着いた。

 エリア10の入ると、小型モンスターで、全体に黄色い体躯で二足歩行、小さいが麻痺毒の牙を持つ、ゲネボスが数頭たむろしていた。岩壁の傍に少し段になっている地面があり、その上に巣があった。

 

 「あれニャ。」

 

 巣に近づいてみると卵があった。ゲネボスもギャアギャアと騒いでいる。白羅も卵の1つを持ち上げたものの、ゲネボスに囲まれてしまった。

 

 「し、しまったニャ…、囲まれたニャ…。」

 

 じりじりと壁の方に追いつめられる。

 

 「万事休すニャ…。」

 

 と卵を持ったまま目を閉じる。ゲネボスの1頭が襲い掛かろうとしたその時だった。

 

 「ガァルルァァァァ!!!」

 

 咆哮と共に飛来する生物が。白羅も目を開いて、声の主を凝視する。

 

「セルレギオスニャ。」

 

別れてから日も浅いというのに何故かウルウルしていた。セルレギオスが、飛翔したまま弧を描くように後ろ足を突きだしながらゲネボス達を横から突き飛ばす!3頭とも揃って反対の壁に激突し、崩れ落ちる。威力が凄かったのか、そのまま動かなくなった。

 

「ニャ~…また会えたニャ~♪」

 

瞳を潤ませながら声をかける。

 

「クァァァァ♪」

 

と優しく嬉しそうに返事を返してきた。すると白羅の前で身体の重心を下げ、背中に乗るように促してきた。

 

「だ、だけど卵を持ってるニャ。」

 

と心配になって声をかけるが、辞める様子を見せない。

 

「ほ、ホントにいいかニャ?」

 

「クァ!」

 

大丈夫!と言っているかのように返事を返してきたので、白羅も覚悟を決める。卵を割らないように気を配りながら、ゆっくりと一歩ずつ登っていく。やがて背中に乗って卵を持ち上げたまま、腰を降ろす。

 

「ぷにゃ。何とか乗ったニャ。すまニャいがお願い出来るかニャ?」

 

「クァ!♪」

 

と一声挙げてゆっくりと立ち上がる。そして羽を広げ、ゆっくり羽ばたいて、真っ直ぐに上に上昇していく。

 

「ニャ!ニャ!ニャ!凄いニャ~~~~♪!!!」

 

卵を落としそうになるのを必死に堪えながら、周りの景色を見渡す。

 

「砂漠全体が見えるニャ!凄いニャ!♪」

 

そしてゆっくりと旋回して、ベースキャンプの方へ向かう。暑さに負けないぐらいの心地よい風を受けながら、目的地に向かっていた。

やがて、ベースキャンプに到着し、下を覗くとたまたまハンター達は居らず、スペースはキチキチだったが、降り立った。白羅はすぐに卵を納品BOXに納める。そして、見つからないために、再度セルレギオスの背に乗って飛翔する。すぐに巣の方へ向かった。唖然と固まっていたのは猫の運び屋だった。

 

「ニャんで、大型モンスターが来るニャ~~~!!」

 

とひっくり返った拍子に、樽が自身の上に落ちて自爆した事は、内緒にしておこう…かな♪

 

さて、一匹と一頭は巣に向かって飛んでいた。

 

「凄いニャ~♪いいニャ~こんな景色が見れるニャんて。」

 

「クァァァァ♪」

 

嬉しそうに返事を返すセルレギオス。

 

「ニャんか話しずらいニャ。ニャるほど!名前がニャいからニャ!そうニャ。名前を付けようニャ!」

 

「クァ!?」

 

「そうニャね~???ニャにがいいかニャ~??」

 

背中の上で首を捻っていた。

 

「よし!これはどうニャ!ラルクニャ!」

 

「クァァァァ♪」

 

本人も気に入ったようだ。

 

「ニャ、ラルク、改めてよろしくニャ。♪」

 

「クァァァァ♪!」

 

「ニャ♪ニャ♪ニャ♪ニャ♪ニャ♪」

 

一匹と一頭はまた一歩近づけた事が嬉しかった。エリア10に来ると、ゆっくりと下降していく。地上に降り立つと、屈んで白羅を降ろす。白羅もすぐに巣に駆け寄る。だが、凄く嫌な予感がした。

 

「ニャにかが来るニャ。」

 

ズシン!ズシン!ズシン!ズシン!地響きと共にエリア10に現れた生物が。

二足歩行で前足は小さく羽はない。顎にはトゲのような形でごつごつしている。全体に緑色の体躯で、なかなかのマッチョだ。ハンターや龍暦院、ギルドからは、こう呼ばれていた。

 

「イビルジョー、ニャ。」

 

イビルジョーは、一匹と一頭を見つけると、即咆哮を挙げ、戦闘体型に入る!

対してセルレギオスのラルクも咆哮を挙げて、立ち向かう体制をとる!

 

「ら、ラルク!大丈夫ニャか!?」

 

「クァ!!」

 

イビルジョーを睨んだまま、返事を返してきた。するとイビルジョーが頭を下げた状態で突進してくる!が、ラルクも見事に飛び上がってかわし、弧を描いて後ろ足で反撃を仕掛ける!だが、イビルジョーもフットワークがよく、後ろにジャンプして攻撃をかわす!その場で片足を上げて、思い切り地面に降り降ろした!鈍い音と共に地面も揺れる!白羅もラルクもバランスがとれない!イビルジョーは即座に、再タックルをラルクに向かって、仕掛けていく!体勢がとれないラルクはまともに体当たりを食らい、壁まで突き飛ばされる!

 

「グギャァァ!!」

 

「ラルク~~~~!!!」

 

イビルジョーは勝ったとばかりにゆっくりとラルクに近付いていく。それを見ていた白羅が肩を震わせて、初めて怒りを露にする!

 

「許さんニ゛ャ~~~!!!!!」

 

白羅はニャんこてつを抜いて牙突の構えをとる!大声と殺気に驚いたイビルジョーが白羅の方を振り向く。その瞬間を狙って、思い切り地面を蹴って剣を突きだしていく!

 

「我がご主人より授かりし技!受けてみるニャ!¨羅刹岩盤斬り¨ニャ~~~!!!」

 

イビルジョーに牙突で、体勢を崩したところに垂直に飛び上がり、真上から剣を真下へと降り下ろしていく!

 

「ゴアァァァァ!!!」

 

その垂直に降り下ろした剣は、顔、胴体、片足を縦に切り裂き、深手の傷を負わせた。

大ダメージを食らったイビルジョーは、片足を引きずりながら、別のエリアへと逃げて行った。

 

「ラルク!大丈夫ニャ!」

 

剣を背中に納めて、ラルクの傍による。

 

「済まないニャ。おいらに付き合わせたばかりにこんニャ目に。」

 

「クァァァ。」

 

と起き上がって、羽を広げて、大丈夫だと動かして見せる。

 

「ありがとうニャ。」

 

その気持ちが嬉しくて、ウルウルする白羅だった。一匹と一頭はそのあと、卵の2個目を納品し、無事にクエストをクリアする事が出来た。

 

「また、お別れは寂しいニャ。」

 

「クァァ……。」

 

ラルクも同じ気持ちだった。

 

「ニャ!こうニャったら村長さんを説得するニャ!ラルク!おいらが何とかするニャ!それまで待っててニャ!必ず会いに行くニャ!」

 

「クァァァァ!♪」

 

と約束を交わしたように飛翔して帰って行った。その姿に必死に両手を降って見送った。

 

「さて、おいらも帰るかニャ。」

 

秘め事を胸に、長く感じられた砂漠を後にするのだった…。

 




読んでくださり、ありがとうございます。
白羅がどう村長を説得するのか、見物ではありますが。どうぞ次も読んでやってくださいまし。この作品を気に入ってくださって、ありがとうございます!ではまた次話にて、失礼致します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

切なる願い…。

次話でございます!読んでくださっている方々、お気に入りや評価くださっている方々、重ね重ねお礼申し上げます。本当にありがとうございます!
ささ、どうぞ読んでやってくださいまし。
では物語の始まり始まり。



クエストをラルクにも手伝ってもらい、何とかクリアし、戻ってきた白羅は、村長のところに早速報告に赴いた。

 

「あら~、お帰りなさい。大変だったようですね。今日はゆっくりします?それとも約束優先かしら?」

 

先にそのツッコミがきたので、速攻で誘惑に負けそうになる。

 

「そ、それもいいニャ~~♪…ニャ!?い、いかん、いかんニャ!それは後のお楽しみニャ!」(そこは、チャッカリしてるな)

顔を赤面させながら、動揺している白羅を見て微笑んでいた。やはり上手のようだ。

 

「ニャ。それよりも村長さんにお願いがありますニャ。」

 

真剣な眼差しで、村長の顔を見つめる。

 

 「えっ。そ、そんな…。イヤですわ。心の準備が…。」

 

 村長が頬を赤く染めて慌ててしまう。

 

 「ち、違うニャ!!そう言う事じゃニャいニャ!!」

 

 「え~~、違うの?残念だわ。」

 

 村長さんが頬を膨らませてそっぽを向く。それはそれで可愛らしいのだが。

 

「ニャにを考えているニャか…。」

 

 さすが村長なだけはある。白羅もタジタジであった。

 

 「分かりましたニャ。今度一緒に食事に誘うニャ。」

 

 「え、本当に?」

 

 「本当に本当ニャ。」

 

 今度は満面の笑顔に…。

 

 「分かりましたわ。約束ですわよ。」

 

 「ニャ、約束ですニャ。」

 

 指切りならぬ、手のひらと肉球を合わせてお・ま・じ・な・い♪

 

 「で、お願いってなんですの?」

 

 「はいニャ。大きな声では言えニャいのですが、セルレギオスの1頭と仲良くなりましたニャ。」

 

 「まあ!」

 

 「そこで、村の外れでも良いので匿って欲しいニャ。お願ニャ。」

 

 それを聞いて、村長も、気持ちは良く分かった。しかし、即答できるような話ではない。村の事も、ギルドの事も、龍暦院の事も、国の事もある。ハンター達ならこぞって討伐に来るだろう。

 

 「ごめんなさい。私の一存では決められません。なので、ギルドナイトに相談してみましょう。その結果が出るまでこの事は内密に。」

 

 「モチロンですニャ。無理言って申し訳ニャいニャ。」

 

 「いいえ、いいのです。滅多にお願い事をしてこない貴方がするのですから余程の事でしょうからね。」

 

 「よろしくお願いしますニャ。」

 

 「はい。では早速行ってきますわ。」

 

 と御付きの者と共にギルドナイトの元に向かうのだった。

 

 「一旦休もうかニャ…。」

 

 直ぐには結論が出ないと分かってか、疲れが今になって吹き出していた。ラルクを助けるために全力を出した事は、誰にも話してはいない。まあ、話すわけにもいかないので自身の中にしまっているわけだが。そのクエストでの疲れが白羅を襲い、睡魔に誘惑されるのだった。

 村長宅に戻り、自身の愛用のフカフカマットに寝転がる。3秒と持たずに寝息を立てていた…。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

そして次の日、村長に起こされ、一緒にベルナ村へ。行き先を聞いてなかったので、なぜベルナ村なのか分からなかった。

ベルナ村に着くと、村長が出迎えてくれた。

 

「おぉ、待ちかねたぞ、二人とも。」

 

「お待たせしました。今日はよろしくお願い致しますわ。」

 

「うむ。関係者に集まってもらった。上手くいくと良いが…。」

 

と話をそこそこに、村長の家に案内される。

客間に通されると関係者達が顔を揃えていた。

 先ずはストレートの長髪にエースの防具一式を纏いし男性ハンターが。ギルドナイトだ。そのそばに褐色でクイーンの防具一式を纏いし女性ハンターが。ナイトとチームを組んでいるようだ。何気にココット村、ボッケ村の村長、それぞれの村のギルドマネージャー、眼鏡を掛けていても美男子の龍暦院の生態調査員、博士号のキャップを被り、こちらも眼鏡を掛けてはいるが美人でモンスターの生態に興味を持ち、キャラバンに参加しているお姉さん、カリスタ教官に、猫嬢と揃い踏みであった。長方形に長い大きなテーブルにそれぞれ着席していた。

 ユクモの村長と白羅も席に座る。

 

 「皆さん、わざわざご足労願ってすみませんな。こちらがユクモ村村長と…。」

 

 「白羅君か…。久しいな。」

 

 「アルザ―ト様、イリザ様お久しぶりですニャ。」

 

 白羅は2人に挨拶する。逆に、知り合いか?と周りは驚いていた。

 

 「すみません。私は彼の元雇い主と知り合いで、一緒に狩に出たこともあり、白羅君の事も良く存じています。最近は私も仕事が忙しく、なかなか会う機会もありませんでしたが。」

 

 「なるほど、そうでしたか。ならば、お話しやすいでしょう。集まって頂いたのは他でもありません。その白羅君が1頭の竜を保護して欲しいと言う事なのです。」

 

 「それは、聞いて驚いたが…。しかし、大丈夫なのかね。村人に被害が出るようでは、許可できんが?」

 

 ココット村の村長が切り出した。

 

 「それに、聞きつけたハンター達が黙ってはいないでしょう。吾輩もどうかと思いますが?」

 

 カリスタ教官も不安なようである。

 

 「領主や、国がどう反応するかですね。」

 

 と龍暦院の生態調査員の青年が眼鏡をくいっと持ち上げた。

 

 「私としてはこんなチャンスは無いと思います。怪我をすることなく、目の前で観察できるなんてこんなワクワクしそうな事は滅多にないでしょう。」

 

 眼鏡を掛けたキャラバンの女性調査員は浮足立っていた。

 

 「ならば、ほれ。いっそのこと、そのアイルーと共にユクモ村の護衛にしてはどうじゃな?」

 

 ボッケ村の村長さんが、妙案を出してきてくれた。猫嬢もそれに賛同する。

 

 「そうですね、こちらの村の方も一緒にお願いしたいぐらいですが。」

 

 「ですが、領主や国をどうやって説得しますか?簡単に頷くとも思えませんが?」

 

 とギルドマネージャーも賛成しかねていた。

 

 「ニャンとかニャりませんか?お願いしますニャ!大事な親友ニャのです!お願ニャ!!」

 

 皆、しばしの間沈黙してしまう…。それぞれの考えと思いがある。どうするべきかと悩むのは当然の事…。

 

 「分かりました。私が説得してみます。」

 

 と沈黙を破ったのはギルドナイトのアルザ―トだった。

 

 「私も一緒に行くわ。」

 

 と隣にいたイリザが。

 

 「なら、わしも行こうかの。そのアイルーには親しみを感じるでの。ほっとけない気がするのじゃ。」

 

 ボッケ村の村長さんが後押しを買って出てくれた。

 

 「ならば、吾輩はお任せする。確かに白羅君とセルレギオスの組み合わせも面白い。ハンター達を指導する立場ではあるが、個人としてはおかしくないと思うしな。」

 

 「カリスタ教官、ありがとうニャ。」

 

 「だが、村人に被害が出るようなら容赦しないぞ。それでもいいか?」

 

 「はいニャ。勿論ニャ。その時はおいらの手で……。」

 

 と白羅は右前脚を見つめて、震わせていた。

 

 「ふむ、私も今回の事は凄く興味がある。その調査の観点でも私から説明してみよう。」

 

 龍暦院の生態調査員の美男子が賛同してくれた。

 

 「皆さんありがとうニャ!!」

 

 白羅は力一杯にお辞儀をする。猛反対ではなく、賛同してくれた事に感謝するのだった。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

その後、結果は後日改めてとなり、ユクモ村の村長は、用事が入ったと先に帰って行った。白羅は集会場にも寄ろうと、まずはベルナ村の受付嬢のところに。受付嬢は暇だったのか、可愛い大きなあくびをして、慌てて見られなかったか、周りを何度も見回す。

 

「可愛いあくびニャ。お土産後にして、見ていてもいいかニャ?」

 

と話し掛けると、ビックリして急に白羅の口を塞ぐ。

 

「ニャ!フゴ、フゴ、フゴ。」

 

「し~~~~~!!内緒だからね!」

 

口を塞がれたまま、首を縦に降る白羅であった。

「熱帯イチゴを持ってきたニャ。」

 

「わ、こんなに沢山☆いいの?」

 

「いいニャ。約束だからニャ。」

 

「ありがとう☆☆☆」

 

と、お礼に頬にキスをしてくれる。白羅はそのまま赤面し、直立で硬直していた。

ベルナ村の受付嬢と別れて、集会場へ。

これまた受付嬢のアイラの所へ。

 

「あら♪いらっしゃい♪クエストに行く?」

 

「いや、今日は顔を見に寄っただけニャ。直ぐに帰るニャ。」

 

「嬉しいな♪ありがとう♪☆」

 

と言って、またもや頬にキスをしてくれる。白羅は再度赤面して硬直する。幸いハンター達は出払っていて、袋叩きに会うことはなかったが。

 

「これで、両頬にキスマークが付いたね♪ますます目が離せないわね♪☆」

 

とフフフとにこやかに微笑んでいた。

 

「ニャ!?」

 

それを聞いて、慌ててどこに持っていたのか、手鏡を出して自分の顔を覗き込む。

 

「ニャ~~~!!」

確かに両頬にキスマークがしっかりと。白羅の顔が真っ赤に染まり、蒸気を出して、ひっくり返ってしまった。

 

「え、ちょ、ちょっと。白羅さん!?」

 

゛鈍感゛な割には゛純情゛な白羅君であった。

 

キスマークを付けたまま、ユクモ村の村長さん宅に運ばれ、次の日の朝は、村長さんに叩き起こされていたことは、内緒に出来そうにない♪♪♪

 

「白羅君は居るか!」

 

とギルドナイトのアルザートが訪ねてきた。

 

「吉報だ!認可が降りたぞ!」

 

白羅の目に涙が浮かぶ。

 

「ほ、本当ですニャか?」

 

「本当だ。認可証もこの通りだ。」

 

と、見せてくれた。

 

「良かったニャ…。ありがとうございますニャ。」

 

ウルウルしながら、アルザートと握手をしていた。

 

「良かったですわね♪」

 

村長さんも、ひと安心と胸を撫で下ろしていた。そして直ぐに、村の外れの広い土地に柵が設けられ、水や必要な物が用意された。話し合いで、提示された、白羅と共に村を護衛するという任務付きだが、白羅にとっては問題なかった。ラルクと一緒に居ることが出来る事が最優先だったからだ。

 

「じゃ!行って来ますニャ!!」

 

と、満面の顔で砂漠へと迎えに出発するのだった…。

 




読んで頂き、ありがとうございます!次話はいよいよ共同生活が始まります。何が起こるか分かりませんが。続きは次話にて、お話しする事に。 では。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

お迎えのつもりが…。

遅くなっておりました。更新出来たでございます。所用でバタバタしておりまして、更新が少々延びた次第。
それでも!…………、頑張って執筆していきますので、読んでやってくださいまし。
ささ、物語の始まり始まり。



砂~漠~♪何故かいつも砂漠~~♪♪♪

 

失礼しました…。砂漠へとやってきた白羅君です。いつものベースキャンプを出発し、気配探知をフル活用してラルクの探索活動を開始しました。ベベンベン♪

 

 「千里眼レーダーニャ~~~~~。」(ター○ネー○ーかお前は…)

 

 武者ネコ装備な割には侍っぽくないアイルーである。当てになるかならないか、しないよりはまし。と、大型の気配を探って行くサイボーグネコ…。

 

 「ニャ!?サイボーグってニャに???」

 

 (い、いや、何でもない…。)頭のマップ上には2つ大きな気配がある。これがどのモンスターかは、やはり分かるまではいかないが、向かうエリアははっきりするのでどちらから先に向かってみるかを考える。今はエリア2と7に大型の気配があった。ちなみにGツアーのクエストではあるが、モンスターのいる事だけは変わりなく。しかし、前回ラルクの存在までは感知できなかったので、慎重にとも思うのだった。

 

 「う~ん、ニャやんでも仕方ニャいか…。よし、素直にエリア2に出てみるニャ。」

 

 と、決めたからには勢いよく出発する。下り坂をザクザクと歩いて降りていく。急に視界が広がる。エリア2に到着!!

 見回すと、確かに大型モンスターはいる。歩いてはいる。が、ラルクではない。2足歩行で羽はなく、両前脚は小さい。全体にお腹周りは赤く、顔、背中、尻尾までは群青色なごつごつとした体躯で、特徴的なのはその尻尾であり、研ぎ澄まされた刃のようになっていて、尻尾が揺れるだけでも草が刈れるというお墨付き♪ ハンター達は防具を装備しているとはいえ、よく真っ二つにされないものだと感心する。ディノバルドの尻尾って、あ、あのリオレイアの羽の先端部までも切り落とすんだよ~~~!!本当のモンスターって…。

 それはさておき、ディノバルドと呼ばれているモンスターはエリア1の方へと向かっていた。

 

 「ニャ~~~…。ラルクじゃ無かったニャ~。」

 

 当たりではなかったので少々がっかりとしていた。そのディノバルド、急にこっちを向いて方向転換し、歩き出していた。

 

 「ニャ!?ニャンでこっちに気付いたニャ!?ま、まずいニャ!!」

 

 とディノバルドが走って来る!!一気に間合いを詰められてしまった!

 

 「ニャ~~~!!食べニャいで~~~!!」

 

 剣も構える事も出来なかったので兜ごと両前脚で抱え込む。

 

 「ニャ!?!?!?!」

 

 しかし、目の前に立ったままで何もしてこない!?恐るおそる見上げると大きな竜の顔が。

 

 「ニャ、ニャにか用かニャ!?!?」

 

 完全にビビりながらも話しかけてみる。すると、ディノバルドが珍しい行動に出た。その場にしゃがみ込み、ゆっくりと尻尾を前に出してきたのだ。よく見ると、ハンターと少しやり合ったのだろう、細かく刃こぼれのようになっていた。確かに周りには尻尾を研ぐことの出来そうな硬い地面は見当たらない。自分の牙でも研ぐことはできそうだが、余程の事だろう、白羅にそれを頼んできたのだ。これには白羅もビックリだった。

 

 「ニャ!?、おいらに尻尾を研いでほしいニャか?」

 

 「ガルッ!」

 

 その通り!と言わんばかりに返事をしてきた。

 

 「ニャ!分かったニャ。おいらでよければ研いでやるニャ。」

 

 と早速砥石を出し、尻尾を研ぐ。全体を研ぐのに、3個の砥石を消費した。暫くすると切れ味ゲージが青ゲージから紫ゲージまでに鋭くなった。

 

 「ガルァァァァ!!」

 

 と、嬉しそうに咆哮を上げ、自身の鱗を2枚はがし、白羅に渡してきた。

 

 「ニャ!?こ、これ、もらっていいニャか!?」

 

 「ガルッ!」

 

 「あ、ありがとうニャ!大事にするニャ!」

 

 と受け取ると、早速ポーチの中に。そしてディノバルドも今度こそエリア1の方へと移動していくのだった。

 

 「また、会えるといいニャ~~~!!」

 

 と両前脚で大きく振るとディノバルドも尻尾を振って返事を返してきた。その後姿が何故かカワイイ♪

 

 「いい奴だったニャ。」

 

 内心ホットしてもう一つの反応がある、エリア7へと移動することにした。一度ベースキャンプへ戻り、宅配ネコに素材を頼み、井戸に飛び込む。エリア6のT字路へと降り立つ。そこからエリア7へと進んで行った。エリア7もこのフィールドでは3番目に大きいエリアで、泉もある。ディアブロスがよく徘徊しているので、その線も考えながらエリア7へと入ってきた。

 

 「ニャ、ニャ!?!?!?」

 

 白羅の目に飛び込んできたのは、砂漠にはまず、と言っていいほどに珍しい大型モンスターが。

 4足歩行で羽は無く、顔の後ろと背中には花びらのような形をしたヒレがあり、胸からお腹、尻尾まで紫色の体毛が生えている。全体に妖艶なしかし綺麗な竜がいた。人々からはタマミツネと呼ばれていた。

 

 「ニャ~…。また違ったニャ~~~…。」

 

 又もやガックリと項垂れる白羅君。しかし、これまた不思議な現象が。タマミツネが白羅を見つけ、ジグザグに移動しながら白羅に迫って来たのである!

 

 「ニャ~~~!!今日はニャンでこうなるニャ~~~!!」

 

 と兜ごと頭を抱え込む。

 

 「ニャ!?!?!?」

 

 ゆっくりと顔を上げればそこにタマミツネの顔が…。

 

 「おいらにニャにか用ですかニャ??」

 

 恐るおそる話しかけてみる。すると、タマミツネはお腹周りを見せてきた。体毛に砂が多量に入り込み、泡どころか移動もままならない状態になっていた。

 

 「この砂を取ればいいかニャ?」

 

 「ギァ!!」

 

 「分かったニャ。やってみるニャ。ちょっと待ってるニャ。」

 

 とおもむろにつるはしを出して水辺からタマミツネの場所まで一直線に掘る掘る掘る!!タマミツネの方へ向かって下り勾配になるように掘る掘る掘る!!すると水辺の水も勢いよく流れだし、タマミツネの元に。今度は溜まった水を使い、ドコに持っていたか大きめの櫛を取り出し(こやつ、ド○えも○か??)水を掛けながら優しく体毛をすいてやるのだった。どうしてこうなったかは分からなかったが、かなりの量だ。白羅もゆっくりと時間をかけて砂を除去していった。やがて、ほとんどの砂が落ち、体毛も綺麗になり、艶が出ていた。動きも良くなって楽に移動できるまでになった。

 

 「ギャギャァァァァァァ。」

 

 お礼の咆哮を上げ、移動しようとする。

 

 「ちょっと待ってニャ!!」

 

 呼び止められてタマミツネが振り向く。どうした?と言わんばかりの顔だ。

 

 「ニャンでこんニャ所にいるニャ?元々住んでる場所が違う気がするニャ。ニャにかやな予感がするニャ。」

 

 妙な寒気を感じた白羅はタマミツネを誘導して、エリア6へと移動した。寒い場所ではあるが、水辺もあり、砂地ではないので、動きやすいと考えたからだ。

 

 「ここで、待っててほしいニャ。かニャらず渓流まで送って行くニャ。迎えに来るまで待っててニャ!」

 

 白羅が頷くとタマミツネも頷き返した。地形的にはタマミツネにとって動きやすい場所であるため、そこに待機すること了承するのだった。

 

 「ガアァァァァ………。」

 

 突然、別のエリアからモンスターの鳴き声が…。当然、白羅には聞き覚えのある鳴き声だった。

 

 「ラルクニャ!!!」

 

 急ぎ声の聞こえる方へと走り出す。かなり疲弊していたのか声に張りが無かった。心配が現実になるな!と祈りながら一目散に走り抜けるのだった。

 

 エリア5に来るも広い砂漠とガレオスが数頭、優雅に泳いでいるだけで姿は無い。また咆哮が聞こえてくる。

 

 「エリア10ニャ!!」

 

 入り口まで猛ダッシュをかける。早くせねばラルクが危ない!幸いハンターと違い、スタミナ消費がない分全力で走ることが出来た。入り口を駆け抜けていく。

 

 「ニャ、ニャンと!?!?!?」

 

 エリア10に来た途端に立ち止まってしまう。巣の前あたりで、ハンター4人がしびれ罠で、動きを止め眠り玉で眠らされたラルクの姿が。

 

 その内の1人が白羅に気付く。

 

 「何だあ、はぐれオトモか?主人が一緒に居ねえぞ。」

 

 その4人はガレオスXシリーズの防具で揃えていて、持ち物も念入りそうだった。他の3人はロープを用意している。

 

 「そのモンスターをどうする気ニャ!!」

 

「フン!見りゃわかんだろ。連れて帰るのさ。」

 

その男はリーダーのようだった。手筈を整える為に、他の3人に指示している。

 

「その竜は、おいらの親友ニャ!村で暮らす事を許可された唯一の竜ニャ!!連れて行かれる訳にはいかないニャ!!」

 

白羅はニャんこてつを構えて、間合いをとる。

 

「おもしれぇ、俺とやり合う気か。いい度胸だ。おい!お前ら早くしろ、俺はコイツを黙らせる。」

 

その、ハンターも武器を構えて、白羅との間合いをはかる。

 

「連れて行かれてニャるか!ヴニャ~~~~!!!」

 

地面を蹴って、ハンターより上にジャンプして真下へ剣を降り降ろす!!

 

「フン!!」

 

と、ハンターもギリギリの間隔で攻撃をかわす!白羅の剣は空を斬り、地面に着地した。

ハンターもそれを逃さず、斜め上に武器を振り上げ、袈裟斬りにするべく降り降ろそうとした!が、そのハンターの持っていた麻袋が斬れて、中から色んな大型モンスターの素材がこぼれ落ちた。

 

「チィッ!」

 

「そんなにいっぱいの素材を持ってるニャんて、お前達クエスト受注をしてるニャか?」

 

「そんなに知りたきゃ、お前が調べればいいだろ!」

 

と振り上げていた武器を、そのまま白羅に向けて降り降ろす!

 

「ニャ!?グッ!?」

 

とこてつで受け止めるも弾かれてしまい、しりもちをついてしまう。そこで勝負あったかのように、武器を突き付けられた。

 

「これで終わりだな。」

 

と武器を振り上げる!

 

「ラルク~~~!!」

 

と叫んで両前足で頭を抱え込んだ時だった。

 

¨ドンッ!!¨ハンターは急に背中をどつかれる!

 

「な、なんだ!どうした!!」

 

振り向くと、他の3人のハンター達が、しりもちをついて後退りしている。

 

「グルルルル…」

 

その声にリーダー格のハンターもゾッとする!冷や汗を流しながらゆっくりと前方を見ると、2足歩行の、羽はないが、尻尾が異様に刃のように発達した大型モンスターが、アギトに火炎を含んで、ラルクの前に立ちはだかっていた!

 

「ディ…ディノバルド!!」

 

そう叫んだ瞬間に、ハンターの一人が火炎弾ブレスで吹っ飛ばされる!

 

「チッ!仕方ねぇ!退却だ!」

 

と言い放って、逃げようとしたが、ディノバルドの動きの方が2枚も上手だった!

火炎弾ブレスの連続攻撃て、他の2人も吹き飛ばし、リーダー格のハンターには尻尾刀で防具のみを見事!縦一線に切り落としたのである。切れ味紫ゲージは伊達じゃない。

 

「ひっっ!ひぃぃぃ!」

 

さすがにここまで強いと、ハンター達もパニックに陥り、四つん這いになりながらも、逃げ出そうとする。

しかし、世の中それで許してくれる筈もなく…。

反対側からもう一頭の大型モンスターが。

4足歩行で、花びらのようなヒレをもち、胸から尻尾まで紫色の綺麗な体毛があるモンスターが。

 

「こ、こっちからはタマミツネが…。」

 

1つのエリアに3頭もの大型モンスターが揃うなど、モンスターハンターワールドならともかく、このエリアではあり得ない事態であった。

 

そのタマミツネも全身を回転させ、勢いよく尻尾から大きなシャボン玉を放出する!見事四人とも絡めとり、ツルツル滑って、移動出来ないようにしていた。

 

「み、みんニャ…。」

 

白羅は目をウルルン♪させて2頭を交互にみる。

 

「あ、ありがとうニャ!」

 

ぽろぽろ涙を流しながら、走ってラルクの傍に。眠らされているだけで、討伐されていなかったことが、唯一の救いであった。が、ダメージはかなりある。

一刻も速く手当てをする為に、なんと、2頭にも手伝ってもらおうと考えた。

まず、先程ハンター達が、特別に造ったと思われる、大きな組み合わせた板にラルクが乗せられて、ロープで縛られていた。ほどくよりもそのままでと考え、板の下側は船の底のような造りになっていて、砂の上を滑らせて移動出来るようになっている。あとは、ロープでもって前方をディノバルドに引いてもらい、後方からタマミツネに押してもらおうと言う、この安易なズルい作戦。(ほっといてニャ。)あとはロープで、ハンター四人を引きずりの刑にして、ギルドに突きだそうと考えていた。

 

白羅はまず2頭にその事を頼み、素直に受け入れてくれたことに感謝した。そして、証拠物件も拾い集め、一緒に積み込む。

 

「よし、出発ニャ!」

 

そう声をかけると2頭は同時に走り出す!エリア10からすぐに抜け出していく。その光景を見て、ガレオス達が慌てて右往左往しながら逃げていく。

 

「凄い速いニャ~~!♪ネコタクも真っ青ニャね!♪♪♪」

 

とラルクに寄り添いながらもノー天気な白羅君でありました♪

 

 




読んで頂けた事、何より感謝!ディノバルドとタマミツネをも村に連れて行ってしまった、白羅君は一体どうなってしまうのか…。どうか次話をお楽しみに。 では。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

仲間が増えてるニャ!?!?

 頑張っております。良い作品を多々読ませていただく中、めげずに執筆しております。
 何とか今回も更新にこぎつけました。
 今話もそれなりにはっちゃけておりまする。お楽しみいただければ幸い。
 ささ、読んでやってくださいまし。では、物語の始まり始まり…。



 爽やかな砂ぼこり~~♪

 

 「げほっ…けほっ…。」

 

 心地よい乗り物~~~♪

 

 ガガン!ゴトン!!ドン!!

 

 「ニャいたたた…。」

 

 今、白羅君は贅沢!?な乗り物に乗って、砂漠を越えようとしていた。目指すはユクモ村。そこまで行けばラルクを解放でき、治療することが出来る。自分から頼んだがゆえに前と後ろの2頭には何も言えなかった。前側にディノバルド、後方にタマミツネである。これで贅沢を言ったら、即、肉にされるだろう。

 

 「しようがないニャ。こんニャに力強くて頼もしい味方は居ないニャ。文句を言ったら罰が当たるニャ。」

 

 ラルクを心配しつつも、急ぎたい気持ちもあり、休憩なしで移動してくれている2頭には感謝しかなかった。

 

 「今度、ニャにかご馳走するニャ。」

 

 と考えつつ、森や草原を越えていく。クエストに載っているフィールドとは違い、道なき道を進んでいる状態だ。後ろはかなりの大きな、雑だが道が出来ていた。誰もモンスター3頭が作った道とは思わないだろう。

 で、先の方に湯けむりが立ち昇っているのが見えた。

 

 「ニャった!ユクモ村ニャ!もうすぐニャ!!2頭とも頼むニャ!!」

 

 2頭とも咆哮を上げて返事を返す。ユクモ村へ1直線だった。

 

 「た、た、た、大変だ~~~~~!!!」

 

 近くで農作業をしていた村人が慌てて村長宅に飛び込んできた。

 

 「あらあら、どうしたのです?」

 

 「こ、こ、こっちに向かってディノバルドとタマミツネが向かってきます!!!」

 

 「えエエ!!何ですって!!」

 

 村長も慌てて村の入り口に駆け寄る!

 

 「だ、ダメです。下がってください!」

 

 門番していた者が村長を引き留める。

 

 「すぐに、今、村内にいるハンターを集めなさい!ここで止めなければ村が壊滅するわよ!!」

 

 さすがに状況を理解し、直ぐに門番に指示を出す。門番も慌てて大声で叫びながらハンターの緊急招集をしていった…………。

 

 「まずはラルクを休ませニャいと。」

 

 今の所、麻酔玉がまだ効いていた。大したものだ。あれだけの振動でも起きなかった。

 

 「ニャンか安心したらお腹が減って来たにゃ。」

 

 村が大騒ぎになっている事をつゆ知らず…。ノー天気は天下一品であった。

 

 村の入り口では大騒ぎ!?!?!?!?物々しいほどの防柵に、集められたハンターが27名、手練れから新米までかき集めれるだけかき集めた人数であった。皆、緊張しつつ各々の武器を手に待ち構える。地震か!?と思えるほどに地面が揺れ出した。

 

 「来るぞ!!!」

 

 ハンターの1人が叫ぶ!全員身構えた!!

 

 「は!?!?!?!」

 

 あれだけの巨体だけに見えるには見えた。しかし、何かが違う!?だが、勢いよく向かってくる!!

 

 「ストップニャ~~~~~!!!」

 

 キキキキキキキィ……。ピタッ。と大声と共に10M手前で止まる。

 

 「いくらニャンでも急に止まらニャいで~~~!!!」

 

 キ~~~~~ン…。ズボッ……。止まった勢いで、ディノバルドの後ろ側から前に飛ばされる1匹のアイルー…。不運にも着地も失敗する。いつぞやのように頭が地面にめり込んでいた。(兜は大丈夫か!?)

 

 「お、おい、大丈夫か!?」

 

 「さ、さあ。」

 

 少し、間があったが、動き出して自身で地面から顔の脱出に成功する。

 

 「ぷにゃ~~~死ぬかと思ったニャ!!」(そう簡単にはいかないと思うが!?)

 

 「びゃ!白羅さん!?!?」

 

 後ろから村長が驚きの声を上げた。1人分の通れる幅が空き、そこを通って来る。

 

 「あ!村長さんニャ!!丁度良かったニャ!!助けて欲しいニャ!!」

 

 今、目の前にある村がどういう状況かも把握しないまま、助けを求めていた。

 

 「ちょ、ちょっと待ってください。どういうことか説明してください。そこに寝ているのは貴方のお友達でしょう。しかし、この2頭のモンスターはどうしたのですか?事と次第によりますよ。」

 

 落ち着いて喋ってはいるが、口調がいつもと少し違う。さすがの白羅も怒っている事は察知できた。

 周りをよく見ると、ハンターが多数身構えていて、防柵が施されている。モンスターの襲来と勘違いされるのは当然の事であった。

 

 「ご、ゴメンニャさいニャ!でも、この2頭はおいら達を助けてくれたニャ。しかも、密猟者も捕まえたニャ!」

 

 ざわっ…。ハンター達の中でどよめきが起こる。

 

 「密猟者ですって!?」

 

 「そうニャ!あれを見るニャ!!」

 

 と指を指した方向を見るとタマミツネの尻尾に4本のロープが括り付けられ、その先にはハンターらしき男たちが4人縛られていた。更に引きずりの刑にあった為、4人ともボロボロであった。

 

 「アイツらがクエストを受注しているか確認して欲しいニャ。してニャいならこれが密猟の証拠にゃ!」

 

 と麻袋を前に投げ出す。すると、いろんな大型モンスターの貴重な素材が出てきた。

 

 「分かりましたわ。直ぐに村と集会場、他の受付嬢に伝達!あの者達の受注記録を調べなさい!それとギルドナイトにも通達を。」

 

 ハンター達は手分けして通達と情報集めに走った。

 

 「これは一度私の方で管理し、かの者達もギルドナイトに委ねます。それでいいですね?」

 

 「はいニャ!よろしくお願いしますニャ!」

 

 「して、もう一つ。」

 

 「ニャ!?!?」

 

 「この2頭は、本当に大丈夫なのですね?」

 

 「はいニャ!危険な時はおいらが責任を取るニャ!」

 

 真剣な眼差しで頷く。ラルクの時と同じように…。

 

 「ふう、分かりましたわ。ラルクさんの場所ならば良いでしょう。それなりに土地も広くとってあるし。但し、後で、ナイトには目通りしてくださいね。」

 

 「分かったニャ!だから、村長さんは大好きニャ!!」

 

 と、ディノバルドの元に。

 

 「え、え、え、い、今、好きって……。」

 

 と顔を真っ赤にしてオロオロしている村長さんを尻目に、広場の方へと移動していく白羅達であった…。

気が付くと、おいてけぼりに。

 

「んっ、もう!いけずなんだから!♪」

 

とほっぺを膨らましながらも、ちょっぴり嬉しい村長であった。

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

広場に着くと、すぐに藁を抱えて持ち込み、往復する。

 

「このぐらいかニャ…。」

 

藁の量が集まったところで、応急の板船より2頭に手伝ってもらい、藁の上に移動する。

 

「ありがとうニャ!少し休んでニャ!」

 

そう言うと、早速2頭は、広場の敷地内をそれぞれに散策しに行ったのだった。

白羅は効くかどうか分からなかったが、うちけしの実と薬草と青キノコをペースト状にし、傷に優しく塗ってやるのだった。安定した呼吸をしているので、そのままで寝かせておいた。

 

そして他の2頭が心配になってきたので、様子を見に行く事にした。

暫く歩いて行くと、川辺に着く。草木が綺麗な緑に繁らせている。

川も透明で、小魚が優雅に泳いでいる姿が見えた。その辺りで、身体を丸めて寝ているタマミツネの姿があった。よほど疲れたことだろう。安心してぐっすりと寝ていた。 

 起こしては悪いと思い、静かにその場を離れる事にした。

 

 「ニャ。ディノバルドは何処に行ったかニャ!?」

 

 もう1頭の方を探しに別の方角に歩いて行く。すると、岸壁に囲まれた場所があり、その中で尻尾研ぎにいそしんでいた…。タフである。

 

 (ニャ、紫ゲージ越えるかニャ!?)

 

 そんな事を思いながら近づいていく。するといきなり尻尾を咥えて尻尾を鞭のように横に回転させ一回転する!!

 

 「ニ゛ャ~~~~!!!まだ死にたく二ャいニャ~~~!!!」

 

 と何故かディノバルドの片足にしがみ付く。顔を伏せてガタガタと震えていると、気付いたディノバルドが鼻息で白羅の横顔に吹きかける。振り向くと、ディノバルドが心配そうに顔を覗かせていた。

 

 「ぷにゃ~~、真っ二つになるかと思ったニャ~~~。」

 

 とりあえず、足から離れて礼を言う。

 

 「今日はありがとうニャ。凄く助かったニャ。」

 

 「ガル!」

 

 「そうニャ。食事を一緒にしようニャ。一緒に戻ろうニャ。」

 

 1匹と1頭はラルクの休んでいる場所まで戻って来た。

 

 「ちょっと待ってニャ。」

 

 と何気にデカい生肉を取り出す。(どこに隠してたそんなもん!)

 それをディノバルドに与え、自分は焼き肉台と通常の大きさの生肉を。(それも何処から出したのかなあ!?)

 白羅はこんがり肉に焼き上げて、(上手に焼けました!!)バクバク・むしゃむしゃ食べる。ディノバルドも生肉にがっついて食べていた。

 

 その香ばしい匂いと生肉の旨味の匂いとで眠っていた竜が目を覚ます。

 

 「ク、クァ!?」

 

 「ラ、ラルク!?目が覚めたニャ!」

 

 ぼーっとしていて、しかも周りがまるっきり違う場所で、目の前に白羅とディノバルドがいる。気持ちの整理に戸惑っていた。

 

 「グ、グァ!?」

 

 普通は居ないはずの目の前にディノバルドが居たので、驚いて飛び上がろうとする。

 

 「ちょ、ちょっと待つニャ!!このディノバルドは友達ニャ!!」

 

 「グ、クァ!?!?」

 

 と驚いて飛び上がるのを止める。よく見ると、確かに攻撃もしてこないし、横にいる白羅にも危害を加える気はないようだ。

 

 「ガルッガルッガルル。」

 

 と白羅には分からない竜語で話をしていた。やがてラルクも理解し、その場に落ち着く。その様子を見て、白羅も安堵する。

 

 「ラ、ラルク~~~~!!!」

 

 と涙ボロボロでラルクに飛びつく!

 

 「クァ、クァ~~~。」

 

 とお互いに頬ずりしながら、お互いの無事に安堵した。松明の煙がゆらゆらと登って行く。その後方の空に流れ星が通過していったことは内密に♪

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 

 

 




 読んで頂き、ありがとうございまする。
 モンスターが増えるってどゆ事!?!?と思っても。登場するモンスターがまだまだいる限り、物語を続けていきますので、お付き合いいただきとう御座います。
 次話もまた読んで頂けることを願って…。    では。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新たなる出逢い!?

 お待ちどうさまでした。い、いや、待っていなかった方は御免なさい。更新できると思ったらつい…。
 改めて、今回の放火事件での亡くなられた方々に謹んでお悔やみ申し上げます。そして、1人でも病院に運ばれた方々の回復を切に願っております。犯人にどういう恨みがあったかは分かりませんが、やってはいけない事をしてしまった事は絶対に許されるべきことではありません。
 何とも言いようがない思いでいっぱいではありますが…。
 
 さてさて、物語に入りましょうか。今回も平和な!?そうかな!?お話でございます。
 どぞ、お付き合いくださいましね♪では、物語の始まり始まり…。



ユクモ村は大にぎわいでございます!♪

なぜですって~~♪それはね♪

 

¨龍暦院の御一行¨さまでごったがえしておりました!♪!

 

白羅達が戻って来てから数日間、ユクモ村は大勢の客!客!?客!?!?で賑わっておりました。殆どが龍暦院の研究者達。人やハンターを襲ったりしない大型モンスターで、アイルーと仲良しなどと、話を聞いた日には行かないわけがない!!ということで、ラルク達の広場の入り口は研究者達で埋め尽くされておりました。研究者全員、目をキラキラと輝かせているのでありました。

 

「ニャ、ニャんか居づらいニャ…。」

 

普段は何も意識していなかった白羅も、ここまで期待の眼差しを向けられると、竜達が可哀想になってきた。

 

「そうニャ、ラルク!集会場まで乗せてってくれるかニャ?」

 

傍にいたセルレギオスことラルクは頷き返した。少しでも傍に居たい気がして何気ない会話をしながらゆったりしていた。研究者達は少しでも動きがあると、感動して手帳に書き留めている。その執着心たるや見事なものだ。

 ディノバルドは相変わらず尻尾研ぎ、タマミツネは川辺でお昼寝。そんなモンスターにとって当たり前の事が、研究者達にとっては驚きと発見である。しかも、生態がじっくり見られる…。こんなおいしい話はない。ので、殺到していた。ユクモ村にとってははた迷惑な話…、と思われたが、なかなかどうして流石あの村長さんだ。しっかりと村の為に商売を伴っている。温泉は勿論の事、道具屋、武具屋、猫飯屋、各お店も便乗してグッズを販売し、盛り上がりを見せていた。ただでは起きない人であった。

 

 白羅とラルクはディノバルドとタマミツネに出かけて来ると話すと返事を返してきた。分かっているようで村の護衛的な役も自然と身についていたようだった。ラルクが肩を落とし、白羅がよじ登って背中まで上がる。

 

 「おおお!白羅さんがセルレギオスの背に乗ったぞ!」

 

 「しかも、ちゃんと乗りやすいように肩を落としている!」

 

 「なんか、ライダーみたいだな!カッコイイ!」

 

 やんやと言いながら研究者達はメモを取ることは辞めそうにない。この執着心が、ハンター達から情報を得て、他のハンターへ生態や動きや弱点などを教えることが出来る。仕事とはいえ、凄い能力だと感心する。モンスターにとってははた迷惑な話なのだが。

 ラルクは体勢を直すと羽を広げて、垂直に上昇していく。目の前でその光景を見られるものだから、なおも必死にメモを取り続けていた。ある程度上昇すると集会場へ向かって飛んで行った。

 

 「壮観だな!」

 

 「素晴らしい!」

 

 「さて、温泉に浸かって帰るか。」

 

 「だな。」

 

 と今日もユクモ村は繁盛なのでした♪♪

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

「いつ見てもいい眺めだニャ~~♪」

 

青空と所々に流れている雲、下を眺めれば緑豊かな山々や草原、ちょっと遠くには、砂漠や火山も元気に活動真っ最中であった。

ベルナ村の上を、村人の驚きと共に通り抜け、集会場に近づく。

 

「む、なんじゃあれは。」

 

集会場の真ん中で、独り研究熱心に、書物に目を通しているおばぁちゃま…♪いや、ギルドマネージャーが、白羅達を見つけた。が、気付いたのが遅かった。既に降下を始めていたのだ。ヘリコプター並とは言わないが、かなりの風圧がマネージャーを襲う。

 

「あひゃぁぁぁぁ!」

 

おばぁちゃまは、座った状態から見事に空中に舞う!ズボンと服がめくれ上がる!

 

「いや~ん、エッチィ~~~!」

 

と、年からぬ声をあげて、奥の茂みに飛ばされて行きました♪

 

「ニャ!?何か居たかニャ!?」

 

「クァァ!?」

 

さぁ!?と知ってか知らずか1匹と1頭は中央に降り立つ。道具屋も、チーズ作りの猫職人も、闘技場の管理官も、周りにいたハンター達も、突然のモンスターの襲来に物陰に隠れ、身動き出来なかった。

「ニャっと!」

 

背中から飛び降りると、受付嬢のアイラの元に。アイラも、サポートのアイルーと共に書類の棚の陰に隠れていた。集会場の者全員、緊張感ピリッピリ!で成り行きを見ていた。

 

「アイラさん、おいらニャ!クエストを頼みたいんだニャ、いいかニャ?」

 

「えっ、白羅さん!?何で!?」

 

と声の主が分かって慌てて飛び出してきた。

そのまま白羅に抱きつく!

 

「ニャ!?!?ど、どうしたニャ!?」

 

「ぶ、無事で良かった。」

 

目に涙を溜めながら、安堵したようだった。

何故かそれが凄く嬉しい白羅でもあった。

 

「ありがとうニャ。こんなおいらを心配してくれるニャんて。済まないニャ。」

 

「ううん、いいの。これ以上大事な人?を失いたくないだけ。」

 

と指で涙を拭いながら、ニコッと微笑んだ。白羅も微笑み返す。お互いにクスッと笑いあうのだった。

 

「ニャっと!忘れてたニャ。紹介するニャ。こっちはセルレギオスのラルクニャ。おいらの友達ニャ!今、一緒にユクモ村で、暮らしているニャ!」

 

「えっ、あっ、まさか、あの!?」

 

何らかの話は伝わっているようだった。

 

「そうニャ。今日は一緒にクエストに出ようと思ったニャ。と言ってもツアーのクエストニャが。」

 

アイラも危害が加わらないことが分かると、周りの人達に目配せして、緊張を解いた。

それでも、ハンター達を含め、ゆっくりと外まで出てくる。ラルクも同様に、近くまで寄って来ないことが分かると、警戒を解いていた。

 

「このクエストをお願いするニャ。」

 

と白羅が選んだクエストは雪山のツアーであった。

 

「ニャ、そういえば4人組でクエスト受注してるかどうかの確認が来なかったかニャ?」

 

白羅が思い出して聞いてみた。

 

「あ、はい!通達が来ましたよ。私の所は勿論、他の子達の所もなかったようで、ギルドナイトが動いているようです。」

 

「やはり密猟ニャか…。誰の差し金か気になるニャ。」

 

欲の為にモンスターを無断で無差別に狩りをするのは許せなかった。狂暴化しているモンスターもいるだろうが、ラルク達のように理解して、仲良く出来るモンスターもいると思ったからだ。なのでナイトが動いていると分かったので安心して任せる事にした。

 

「分かったニャ。そっちはナイトにお任せするニャ。それで、クエスト受注はOKかニャ?」

 

「はい♪お受けしました。でも、気をつけて行って来てくださいね。無事に帰って来てくれないと、罰ゲームが待ってますから。」

 

「ニャ!?それは怖いニャ…。」

 

冷や汗1つ垂らしつつ、ラルクの背に乗るのだった。

 

「行ってきますニャ!今度ラルクに一緒に乗せてもらうニャ!」

 

「えっ、本当!嬉しい♪待ってるね♪」

 

「約束ニャ!ラルク、行こうニャ。」

 

「クァァ!」

 

返事を返すと早速羽ばたいて上昇する。ある程度上空に上がると、雪山へ向けて飛んで行くのだった。それを手を降って見送る。

 

「あら、そういえば、ギルドマネージャーは!?」

 

「ワシに一体どうしろと言うのじゃ、お~い誰かおらんか~~!」

 

服を押さえつつ、しかし木の枝にぶら下がっているために、降りられず、放置状態になっているおばぁちゃまこと、ギルドマネージャー様でありました♪

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

雪山はその名の通り、年中無休で雪が積もっている山である。標高もそれなりに高い事から、登頂の証拠にフラッグを立ててくるハンターも少なくない。気温が上がらないので、年中雪に覆われているのだが。たまたまお湯が湧いて出ている、場所に作った村がボッケ村であった。村長さんは前回ラルクを認めて貰えるように尽力してくれた人物でもあった。

通常ベースキャンプを出て、エリア1,2の草原地帯を抜け、岩山を登ってエリア3、もしくはエリア7へと移動していく。白羅達はそれをショートカットして、直接エリアの7へと入って行く。

 

 「中々の寒さニャ。ラルクは大丈夫かニャ?」

 

 「クァァァ。」

 

 大丈夫な返事が返ってくる。エリア7はそこそこの広さがあり、地面が段差になっている部分もある。内側は岸壁な山になっていて、反対側は勿論崖になっている。落ちたらひとたまりもない。ハンターは…どうかな!?

 少し窪みになっている場所にキャンプ跡地が残っており、必要なアイテムがあったりで、時々重宝がられている。白羅達が降り立った今は、白い体毛で覆われた、マントヒヒの顔にゴリラの体躯が備わったような小型の集団を作るモンスター”ブランゴ”が3頭ほどうろついていた。

 ハンターやアイルーといった者には攻撃を仕掛けてくるが、降り立ったのはアイルーもいるが、相手はセルレギオスである。大型モンスターに歯向かう勇気もなく、すごすごとエリア6の方へ逃げて行った。

 白羅は早速、鉱石やアイテムの採取にいそしむ。ラルクの事を気に掛けながら、集めていく。ラルクも周りにモンスターが来ないかどうか警戒していた。

 

 「ここは、このぐらいかニャ?」

 

 ほとんど採取できたので、今度は歩いて移動する。一緒にエリア8へと進んで行った。

 エリア8は2番目に広さのある場所で、三日月のように湾曲した地形になっていた。その山側を小さな穴、ハンターがしゃがんで通れる程の通路を抜け、回り込んで登ってゆくと古龍の物と思われる抜け殻が、かなり風化した状態で置かれており、その横にある小さな岩山を登り立つとそこにフラッグを立てる事が出来るようになっていた。そこでも採掘や採取に勤しむ。ラルクも警戒をしているはずだった。

 気づいて上を振り向くと、巨大な物!?が急降下してくる!!狙いは白羅だった…。

 

 ドン!!! ラルクは生物が落ちて来るタイミングに合わせて、横から飛び上がって後足で蹴りを入れていく!

 

 「ガアァァァァ!!」

 

 横に突き飛ばされた生物が痛みを堪えながら数メートル離れた地面に降り立つ。

 

 「ニャ!ニャンと!!」

 

 白羅も驚いて生物の方を見る!ラルクも白羅の傍に降り立つ。気付くのが遅れたせいか、警戒心満々でその生物を睨んでいた。

 その生物は体毛が無く、羽があり、血管が浮き出てそうなすべすべの皮膚、体型はラルクと似ているが、黄色と青の縞模様の体色で、前後足は爪が3本ずつで、顎はセルレギオスより発達しており、何でも噛み砕いてしまいそうな骨格をしていた。

 

「ティガレックスニャか…。」

 

そう、ギルドやハンター、人々からはそう呼ばれていた。

そのティガレックスが、咆哮をあげて四つん這いの状態で、猛然とダッシュしてくる!噛みつこうとアギトを開けながら!

一匹と1頭は左右に別れてその突進を回避する!白羅はニャんこてつを構えた。ラルクも鱗を逆立たせ、飛ばすタイミングを探っている!しかし、回避されてもめげることを知らないこのモンスター、即座に向きを変え、白羅の方へ走り出す!

 

「来いニャ!!」

 

 白羅も牙突の構えをとる!ティガレックスが頭を勢いよく前に出し、噛み付いてくる!それを紙一重で躱し横から攻撃に転じる!

 

 「"羅刹岩盤斬り"ニャ~~!!」

 

 白羅の伝授されしオリジナル技を繰り出す!牙突で怯んだところを真上に飛び上がり、剣を垂直に振り下ろす!

 が、ティガレックスも負けじと体をその場で一回転させて白羅を逆に吹き飛ばした!

 

 「ニ゛ャは~~~~!!」

 

 「クァァァァァァァァ!!」

 

 咄嗟にラルクが白羅の飛ばされた方向に飛び、体で白羅を受け止める!

 

 「す、済まないニャ!!」

 

 すぐさま、ラルクが鱗を飛ばし、ティガレックスを牽制する!しかしティガレックスも後方にジャンプし、その攻撃は躱される。白羅達は後方が岸壁に遮られ、追い詰められたような格好になってしまった。ティガレックスも逃さん!とばかりに地面を蹴って、猛烈に突進してくる!1匹と1頭はその攻撃を受け止める他なかった。

 

 その時である!天より一本の稲妻がティガレックスの背中に落ちてきた!

 

 「ギャガァァァァァァァ!!!」

 

 ティガレックスの不意打ちが逆に不意打ちを受けたので、痛みと訳とが分からず、その場でのたうち回る!!

 

 「い、今の雷は何ニャ!?」

 

 白羅とラルクは岸壁の上の方を見上げる。すると、岸壁の上に雷を纏いし生物が…。

 痛みが落ち着いたティガレックスも岸壁の上を見上げる。と、突然その岸壁を壁に沿って垂直に飛びおりてくる!!

 

 「ニャ、ニャ!避けるニャ!」

 

 慌てて白羅とラルクは左右に離れて道を開ける!!その生物は地面に着地すると雷を更に纏い、毛を逆立てる!

 その生物は仁王立ちでティガレックスを見据えていた。その姿は威風堂々としていた。

 

 「綺麗にゃ…。」

 

 白羅もラルクも見とれてしまう。その生物は4本足で全体に白く、青い模様が入っていた。額には螺旋状の角があり、見た目には”幻獣ユニコーン”に近い。尻尾と背中に白い体毛があり、常に雷を纏っている。雷を使いこなし、人見知りで滅多に姿を現さないと言われている”麒麟”が目の前にいた。

 

 「ガアァァァァ!!!」

 

 ティガレックスが苛立ちで咆哮を上げて邪魔してきた麒麟に向かって突進してくる!

 

 「ニャ!おいら達もやるニャ!!」

 

 「ガルァ!!」

 

 麒麟を中央に両サイドでティガレックスの攻撃に身構える!!しかし、麒麟のそれは身構える意味がなかったことを痛感した。

 

 「ヒヒ、ヒィヒィ~~~~ン!!!」

 

 咆哮を上げながら両前脚を突然振り上げ、角に雷を溜め、前半身を勢いよく振り下ろすと同時に、角から雷を放射する!!!雷は一直線に放たれ、ティガレックスにジャストミートで直撃する!

 

 「ギャガァァァァァァァァァ!!!」

 

 ティガレックスがジャンプして口を開けて飛び込んで来る所を、雷が口の中を突き抜け尻尾から抜けていく!

 強烈な激痛でジャンプ途中で地面に叩きつけられ、転げまわる!!その勢いで崖から落ちそうになり、這い上がって来るも敵わないと思ったのか、即座に真上にジャンプして別のエリアへ飛んで行ってしまった。

 

 「ブルㇽㇽㇽㇽㇽㇽ。」

 

 鼻息を立てて雷を収め、ラルクの方に振り向く。

 

 「!?!?!?」

 

 するとすぐに白羅の方へ振り向く。

 

 「にゃ!?ニャにか!?」

 

 すると、白羅の方へ全身を向けて、左前脚を持ち上げ、前に出してきた。

 

 「ニャ?足がどうかしたニャ?」

 

 と見回してみると、蹄の裏側、いわゆる足の裏に破片が刺さっていた。

 

 「ニャ!!これは痛いニャ!よくあんニャ高い所から降りられたニャ!」

 

 硬い破片のような物ががっつりと刺さっている。

 

 「分かったニャ!抜いてあげるにゃ!ちょっと待ってニャ!!」

 

 と、どこからともなく白羅の身長程の大きさのペンチ状の毛抜きが…。(お前、絶対ド○え○んだろ!)

 

 その毛抜きを両手で持って破片を挟み込む。

 

 「ゴメンニャ!ちょっと痛いけど我慢してニャ。ラルク手伝ってニャ!」

 

 と、ラルクに背中を咥えてもらって一緒に引っ張る!

 

 「ヒヒッヒッヒヒッヒヒ~~~ン!!」

 

 「ニャア!うんニャ、うんニャ、うんニャ…。うんニャろ~~~~~!!」

 

 ズボッ!!!中々に大きな破片が抜け落ちる。

 

 「ニャ、ニャった~~~!抜けたニャ~~~!!」

 

 その破片は銀色の鉄とは違う輝きを持っていた。だが白羅は知っていた。よく見たことのある材質だからだ。

 

 「ニャ、これ、バルファルクの……。」

 

 と問いかけると黙って頷き返した。どこで踏んでしまったのか白羅達には分かるはずもなく…。

 

 「さっきはありがとうニャ。助けてくれなきゃ、おいら達今頃ティガレックスのお腹の中にゃ。」

 

 「ヒヒン。」

 

 刺さっていた方の脚を上げてお辞儀する。礼を言ってくれたようだ。

 

 「ニャ、ニャンて事はニャいニャ。怪我してるのを見過ごせなかっただけニャ。」

 

 そう言うと麒麟が頬ずりしてきた。

 

 「ニャはは。ありがとうニャ。」

 

 と頬ずり返す。すると、反対から頬ずりする物が。

 

 「ガルッ」

 

 「ニャ、ラルクまで。ニャはははは、いいニャこれ!」

 

 と頬ずりに挟まれて喜ぶ白羅だった。ひとしきり頬ずりが終わると、帰っていくものと思っていた麒麟さんが帰ろうとしない。しかも、両前脚を折り膝をついて白羅を背中に乗せたいと示してきたのだ。

 

 「ニャ、そ、そんニャ事、わ、悪いニャ。」

 

 白羅もそこまでと遠慮していたが、逆にラルクに首を掴まれて背中に乗せられてしまう。

 

 「わ、ラルク、こ、心の準備が出来てニャいニャ!ニャ、ニャ、ニャア!!」

 

 背中に乗せた麒麟はゆっくりと立ち上がった。

 

 「ニャ~~~体毛が気持ちいいニャ~~~。」

 

 綺麗な白い体毛はもふもふ感満載で、即!お気に入りに。

 

 「ニャ!?、まさか!?、送って行ってくれるニャか!?」

 

 「ヒヒン。」

 

 と頷き返す。ゆっくりと歩き出した。

 

 「ガルッガルッ」

 

 と一緒にラルクも歩いていく。

 

 「また、友達が出来たニャ。毛が気持ちいいニャ~~~。」

 

 晴れた雪山の空は晴天で、白羅達を微笑んで見守ってくれているようであった……。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 

 

 

 

 




 今話も読んでくださってありがたき幸せ。
 今後とも切に長~~~いお付き合いくださいね。登場して欲しいモンスターなどがいましたらなんなりと。すぐか後かは分かりませんが、搭乗…じゃなかった、登場するやもしれません。では、次話にてお会いいたしましょう。 次話も読んで頂けることを切に願って…。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ユクモ村たいへ~~ん!!♪♪

 おまちどうさま…かな!?でございます。私用で胃カメラ、CT、レントゲン、血液採取、エコ~、心電図等々1日おきに受けてきて、気持ち的に疲れが溜まり、執筆が思う様に進んでおりませんでした。異常なしとのお墨付き!?を受けて晴れて大いに執筆できるものと思っとります。
 ささ、話はこのくらいで。本編を読んでくださいまし。
 物語の始まり始まり…♪♪



 「お。おい!何だあれ!!」(いや、お仲間を連れた白羅君です。)

 

 「ま、マジかよ!そんな……。」(どっからどう見てもマジです。)

 

 「あ、あれ、本物だよな!」(当然です。)

 

 「いや~~~考えられん!」(ごもっとも。)

 

「とても現実とは思えん!」(そう、思われる気持ちも分かります。)

 

「ハンターですら、会えるかどうかだぞ!よりによって連れてくるなんて!」(あなたもチャレンジしてみては!?♪)

 

 集会場では、そりゃまた大騒ぎです!!何せ珍しい生物が、白羅を背に乗せて、ラルクと共に戻って来たのですから。(勿論チケットでクエストもクリアして来ています。)

 

 「戻って来ましたニャ。」

 

 受付嬢は白馬の王子様を見ているようであった。しかし、現実は小柄で武者ネコ装備のアイルーさん。あまりの生物が綺麗さを醸し出しているため、見とれていた。

 

 「ニャ、アイラさんどうかしたニャ?」

 

 「え、あ、い、いえ大丈夫です。あまりに綺麗でビックリしてしまって…。」

 

 確かに目の前に麒麟さんが現れれば、動揺しない訳がない。まして、チャッカリと白羅が背に乗っているのだ。驚かない方が不思議なくらいの光景。毎回驚かされる事に、苦笑いしていた。この猫さんにはいくつの心臓がいるのだろうと…。

 

 「お疲れさまでした。また、お仲間が出来たんですね。」

 

 「はいニャ。おいらもビックリニャ。」

 

 「クスクス、このままだとモンスター動物園が出来そうですね♪」

 

 「ニャ!?ジュ○シッ○パークニャか!?!?」

 

 (確かに…。って、なんで君がその名称を知っている!?!?!?)

 

 「なんです、それ?」

 

 「い、いや、何でもないニャ。気のせいニャ。」

 

白羅は口笛を吹いて誤魔化す。アイラも!?!?!?になった。

 

「ニャ、ニャてと。ユクモ村に戻るニャ。また今度ゆっくり会えるといいニャ。」

 

「そうですね♪また一緒に温泉に入りましょうね♪」

 

「「「「「「なにィ~~!!!」」」」」」

 

周りの男性ハンター達、村人達、ギルドマネージャーまで、殺気を放った視線がチクチク、サクサク、グサグサと白羅に刺さり込んできた。

 

「ニャ、ニャんか、あつ~~~~い視線を浴びてるような気がするニャ………。照れるニャ♪」(褒めてないし!)

 

殺気の矢を刺されたまま、麒麟さんに乗って、集会場を後にする白羅達でありました♪

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

代わってここはユクモ村。今日も大変賑わっておりました。

ディノバルドやタマミツネを研究したさに、研究者達が日夜訪れて熱心にメモを取り続け、温泉に入り、グッズを買って行くという、なんて素晴らしいんでしょ♪

そんな中を、白羅達が戻って来たのです!

 

「あ、あわわわわ!」

 

門番が白羅達を見て、慌てて奥へと消えていった……。ラルクの事は見知っているので、納得できたがもう1頭は想定外でしかも麒麟さんとなれば、尚更驚いてすっ飛んで村長さんの所に。

 

 「た、た、た、たまげた!!ハァ、ハァ。」

 

 「え、何がどうしたんです!?」

 

 「びゃ、白羅さんがモンスターと帰って来ました、ハァ。」

 

 「あのセルレギオスとでしょう?何故そんなに驚くのですか?」

 

 「ち、違うんです。セルレギオスともう1頭連れて来たのです!」

 

 「な、何ですって。もう1頭って…?」

 

 「はい。麒麟です!」

 

 「えええええ!!!」

 

 と門番と驚きあっている間に、村人全員が見とれてしまう程に堂々と歩いてくる。たちまち人だかりが出来ていた。研究者たちは大歓喜である。卒倒している者も居る。慌ててノートが足りないと取りに戻る者も居た。

 

 「あ、あわわわわわ、来た!」

 

 村長さんの前に立つ白い体躯に青のラインの入った額に螺旋の角を持つ、綺麗な生物は紛れもなく麒麟さん。その背に白羅が…。

 

 「あァァァァァ♪白羅さん、私を迎えに来てくれたんですね♪覚悟は出来ております。♪どうぞお連れ下さいまし♪」

 

 「ニャンか、違う世界に入ってるニャ…。」

 

 どうしていいのか分からず、頭をポリポリと掻いていた。(落ち着くまで待つのも大変だな。)

 

 「ガルッ!!」

 

 村長さんを正気に戻すべく、ラルクが声を掛ける。村長も気づいて見渡すと周りからジト目で注目されていた。

 

 「こ、コホン!ま、次の機会にしましょ。」(諦めてないんだこの人!?)

 

 「この麒麟さんも一緒に暮らしてもいいニャか?お願いしますニャ。」

 

 麒麟の背から降りた白羅は村長さんにお願いしていた。

 

 「そうですわね。いいかどうかはこちらの方にお願いした方がよろしいかも。」

 

 「相変わらずだな。」

 

 ストレートのロングヘアーで青く輝く細身の双剣を背にした、イケメンハンターが現れた。

 

 「は~い!ご無沙汰!元気してた…というか元気そうね。」

 

 こちらはロングのポニーテールのクイーン装備のお姉さんが。

 

「アルザート様にイリザ様ニャ!」

 

そう、ギルドナイトと仲間の女性ハンターであった。二人も麒麟を見て驚いていた。

 

「しかし、君には毎回驚かされるな♪」

 

「ニャ~、すみませんニャ~。どうですかニャ~。ダメですかニャ~。お願いしますニャ~!」

 

白羅はナイト達の気を悪くしないように、申し訳なさそうに頼んでみる。

 

 「まあ、人に危害はあまりなさそうだし、ここまで来て引き離すのもなんだな。白羅君!責任が取れるかな?」

 

 「はいニャ!!必ずニャ!!」

 

 白羅も真剣にアルザートを見つめる。その目に偽りはなさそうだった。

 

 「わかった、許可しよう。だが、くれぐれも人に被害が及ばぬようにな。」

 

 「ニャった!!ありがとうございますニャ!!」

 

 地面に頭が付くほどにお辞儀する。

 

 「それより、お仲間を紹介してくれないか♪」

 

 「そう、そう。あたしも会いたい♪」

 

 「分かりましたニャ!広場にご案内しますニャ!」

 

 と麒麟さんとラルクもついて広場へと赴く。研究者達は”いいなあ”と羨ましがっていた。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 

 「ほう!麒麟とな!」

 

 「はいニャ。これで、4頭も集まっておりますニャ。」

 

 「ふ~む。他のモンスターもさることながら麒麟までとはな。」

 

 髭を生やし、肩までぐらいに伸ばしたストレートヘアで体格の良い高級な!?紳士服を着た男がいた。

 その傍には片膝をついたメラルーが、報告に来ていた。猛ナルガネコ手裏剣と、ナルガXネコメイル一式を装備している。

 

 「領主様どうされますニャか?」

 

 「して、あの4人はどうした?」

 

 「はいニャ。牢屋に入れられ、ギルドナイトの取り調べを受けていますニャ。」

 

 領主と呼ばれた男は髭を撫でながら考えていたが、

 

 「よし、その4人は解雇だな。処理は任せる。白羅共々、暫く監視しろ。様子を逐一報告するのだ。」

 

 「はいニャ。分かりましたニャ。」

 

 とその部屋を出ていく。領主は窓から外を眺めながら、

 

 「クックックッ。雅盛よ。お主よりも役に立ってくれそうだぞ。ぐわっはっはっはっは!!」

 

 部屋中に響くほどに大声で笑っていた…。

 その屋敷の地下牢で、両手両足を繋がれ、ボロボロになった下着に髪も乱れ、うつむいている男の姿があった。

 

 「白・羅………。」

 

 声も小さく、気を失いかけながらもその名前を呼んでいたのだった…。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 

 一通り、モンスターの紹介をしていく。ディノバルドは尻尾自慢、タマミツネはお昼寝自慢、麒麟さんは雷自慢、ラルクは鱗自慢、そして白羅は穴掘り自慢…。(そこは要らないと思うのだが!?)

 

 「一番の友達はラルクですニャ。」

 

 セルレギオスといる時間が一番楽しいようだ。

 

 「そうか…。アイツも驚くだろうな。」

 

 「そうですニャ。一体ニャにをしているのニャか…。」

 

 遠くを眺めながら、お互いに知っている人物を思っていた。

 

 「アイラさんも大変ね。」

 

 「はいニャ。仕事で気を紛らわせているニャ。ご主人の捜索の方はどうですかニャ?」

 

 白羅は内緒で、主人の捜索も頼んでいた。手がかりでも見つかればとの思いだった。

 

 「うむ。今の所難航しているよ。手がかりが途中でパッタリ途切れて、引き続き探してはいるが居所が掴めん。済まない。」

 

 「こちらこそすいませんニャ。探してもらっているニャに。」

 

 「いや、必ず見つけるよ。探し出して一発殴っとかないと気が済まん。元仲間だけにな。」

 

 アルザートは笑みを浮かべて白羅を見た。白羅も無言で笑みを返す。

 

 「いい仲間を持ってご主人は幸せ者にゃ。」

 

 「いや、君を含めてな。」

 

 「そんな事にゃいニャ~。おいらは足を引っ張ってばかりだったニャ~。」

 

 「本当は、私が君を雇いたかったんだがな。」

 

 遠くを見つめながら呟く。

 

 「ニャ!?おいらをニャか!?」

 

 驚いて、アルザートの方を見る。

 

 「さてと、そろそろ戻るとするよ。又、何か進展があったら連絡するよ。」

 

 と誤魔化すように広場の入り口へと向かう。その後姿に戸惑いを隠せない白羅だった…。

 

 「おいらを雇いたいって…ニャンで……。」

 

 「ねえ~!!ちょっといい!?」

 

 入り口から大きな声で白羅に声を掛けてくる者がいた。声の方へ振り向くと、博士帽子に眼鏡を掛けた綺麗なお姉さんが。

 

 「ニャ!この前はお世話になりましたニャ!」

 

 と返事をしながら女性の前に。

 

 「ご無沙汰ね。ね、私も紹介してもらえないかなぁ。君とモンスター達に凄く興味があって調べたくてうずうずしちゃって♪♪」

 

 と目を星にしてキラキラさせている。真っすぐに白羅を見つめていた。

 

 「ニャ!?”君と”……ってニャ!?!?」

 

 白羅は上体を少し引く。

 

 「そう!!モンスター達もだけど、一番はあなたに興味が湧いたの♪どうやってモンスター達と仲良くできたのかその魅力を知りたくて♪♪」

 

 と白羅に詰め寄って来る。

 

 「ニャ~~~、皆を紹介するのは構わニャいが、おいらはチョットニャ~~~。」

 

 と苦笑いしながら、少しずつ後ずさる。

 

 「だ~~い丈夫♪♪悪いようにはし・な・い・か・ら♪♪♪」

 

 とウィンクしてくる。可愛さの中に危険度がビンビンに伝わって白羅がその場から逃げ出す!

 

 「ニャ~~~!おいらは遠慮するニャ~~~!!」

 

 「え、ちょ、ちょっと待って。ねえったら、こら~~~!!」

 

 手を上げて追いかけようとするも逃げ足の方が早かった。

 

 「んもうっ!絶対に諦めないからね♪♪」

 

 と舌をペロッと出してウィンクした。くるっと振り返って戻っていく。

 そちらの後ろ姿はやる気満々のオーラが漂っていた…………。

 

 

 

 

 

  




 読んでくださり、ありがとうございます。相変わらずといった中にちょっとグレーな部分が見え隠れ…。白羅とラルクの運命やいかに。まだまだモンスターも出てくる予定です。次に出てくるモンスターも予想してみてくださいね♪♪
 ではまた次話を読んで頂けることを切に願って…。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

氷海にて…♪♪①

おまっっっっっっとさんでした!!!待っててくれた方々には大変申し訳なく!
 やっと更新にこぎつけた次第……次話も引き続き執筆しておりますゆえ、なにとぞなにとぞご容赦のほどを。  ささ、早速読んでやってくださいまし。では、後でお目にかかりましょう。 物語の始まり始まり…。



 色々!?あってから、数日後…。何故か白羅の争奪戦が繰り広げられているのでありました。ユクモ村で。

 

 「わたしが先です!!あの魅力を追求したいんです!!」(分かりますお気持ちは。)

 

 「いえ、私が先です!古くからの付き合いですし、一緒に温泉に入った仲ですし…♪♪」(そこまで言っちゃいますか流石です。)

 

 「ええ!…。い、いえ、私の方が先ですわ。一つ屋根の下で暮らしているんですもの♪♪」(一線を越えてはいないと思いますが?)

 

 「にゃわわわわわ。一体どうしたらいいニャ…。」(羨ましい限りの悩みですな。)

 

 目の前で3人の女性たちが火花を散らし、白羅君の取り合いになっているのでありました♪♪

 何故この状況になったかと言いますと、せっかくのお仲間なのにセルレギオスのラルク以外名前がまだついてなかったので、それぞれに名前を考えて置いてもらったのが事の始まり…。我先に名前を聞いてもらおうと、押しかけ女房!?じゃなかった押しかけ問答になっているのでありました。

 

「分かったニャ。候補を後で選んで決めるニャ。なので、リストをお預かりするニャ。」

 

「「「え~~~!」」」

 

と3人共、不満そうに白羅にリストを渡していく。

 

「決まったら、後で発表するニャ。楽しみに待っててニャ。」

 

と、ポーチにリストをしまいこむ。

 

「仕方ないですわね。ここは一時休戦にしましょうか。」(流石村長さん話がわかる人!)

 

「そうですね、私は一緒に温泉に入った時に聞こうかな♪」(あなた、彼氏は大丈夫!?)

 

「そうですね、私は白羅君をあーして、こーして、どーかして…。」(あなたが一番危険です…)

 

それぞれの思いを内に秘め…てないか♪戻って行くのでありました。

 

「フウ。ニャんとか収まったニャ…。」(君も色々大変ね。)

 

とラルクの所へ戻って行くのでありました。

それからであります。暫くして、緊急依頼が白羅達に舞い込んで来たのは!

 

「た、た、大変です!!!」(毎回たまげて頂いて、大変ご苦労様です…。)

 

「今度は何事です!」

 

「は、はい!ガムートが氷海で暴れ出して、ハンター達も手がつけられなくなってます。このままだと村に向かって移動してくる可能性があるかと!」

 

「なんですって!でも何故ガムートが…。」

 

元々温厚である筈のモンスターだけに、おかしいと思えてならなかった。

 

「今手配出来るハンター達は?」

 

「はい、16名のハンターチームに向かってもらいましたが、強さが半端なく、負傷者も出ているとの事、応援要請があったところですが、後のハンター達は別のクエストで出払ってしまってます!唯一、白羅さん位しか…」

 

「そんな……。」

 

村長も悩んだ。ハンター達が手を焼くモンスターに、白羅を送り込むはどうかと。しかし、白羅しか居ない上に一刻を争う!村長も覚悟を決めた!

 

「分かりました!白羅さんに出動要請しなさい!お仲間を連れて出陣することを許します!」

 

門番も無言で頷き返し、急ぎ白羅の元へと走って行くのだった。

 

「白羅さん、どうかよろしくお願いいたします…………。」

 

門番の走って行く姿を見ながら白羅に期待を込めるのだった。

 

「ニャ!ニャんと!!ガムートニャか!?」

 

そのモンスターの名を聞いて驚く。暴れないこともないのだが、今回は事情が違うようだ。まして、村長さんが仲間を連れて出陣をOKしてきたのだ。ただ事ではないことは理解できた。

 

「ラルクとは絶体一緒に行くニャ。後は誰と行くかニャ……。」

 

人選ならぬモン選に迷う白羅君。しかも今回はハンター達も救出なり守らなければならない。一刻を争うので、ラルクを運んだ船を改造してもらい、一度に人数を運べる巨大ソリに。そして引くのは、ご存知ディノバルド君。今回は救出班として手伝ってもらう事にした。

早速、ディノバルドにその事を説明し、引き受けてもらった。

 

「まずはベースキャンプに戻って来ているハンター達に話を聞くニャ。よし、出陣ニャ!」

 

白羅はラルクの背に乗って、上空から。ディノバルド君はソリを引いて、陸から…と言うより、船で向かうのでありました。

 

ベースキャンプでは5名ほど負傷者が戻って来ていた。それに付き添っているハンターも数人、応急手当てをして迎えを待っていた。

 

「お、おい!なんだあれ!」

 

一人のハンターが、気づいて叫ぶ。空からはセルレギオスが舞い降りてくる。船からは巨大な乗り物!?とディノバルドがロープでそれを引いてくる。初めて見る光景にハンター達は全員硬直して見ているほかなかった。

「俺達、最後かな?」

 

「多分、そうかもな。」(そう思われても仕方ないかも。)

 

そしてセルレギオスの背中から小さい生き物が降りてきた。全員その生き物に注目する。

 

 

「そんニャに見つめられると……………照れるニャ!」(あなた本当に大丈夫!?)

 

「おい、あれ白羅さんじゃねえか?」

 

「知ってるのか?」

 

「ああ。ちょっとした有名人!?いや、猫か。とにかく有名でな。モンスターと友達になって、ユクモ村に広大な広場を作って、許可を得て一緒に暮らしているそうだ。」

 

「へぇ。アイルーなのに。」

 

「まぁ、ただ者じゃなさそうだぜ。なんせ、ギルドナイトやユクモ村、ベルナ村外の村長と知り合いが多いらしい。」

 

「ほぉ~~~う。」

 

と負傷者ハンターのうちの二人はこんな会話をしていたのでした。(確かに尋常ではないですよね♪)

 

「ニャ!負傷者ハンターと付き添いのハンター達はこの巨大ソリに乗って下さいニャ!中に救護班もいるので、応急手当てをしてもらうといいニャ!急いでニャ!」

 

白羅が大声で促すと、一斉に移動を開始する。

 

「あ、ありがてぇ!」

 

「す、すまない。恩に着る。」

 

と、口々に白羅に礼を言いながらソリに乗り込んで行く。

 

「構わニャいニャ!困った時はお互い様ニャ!」

 

負傷者ハンター達を乗り込ませると、ディノバルドに待機してもらうように、話をして残りのハンター達が戻って来るのを待っててもらうことにした。

ベースキャンプにディノバルドを待機させ、白羅のモンスター探知を発動させる。大きな気配が2つ、それぞれエリア3と6に分かれていた。

 

「ニャ。このどっちかが、ガムートニャか。」

 

気配だけでは、モンスターまで特定出来ないので、直接行ってみるしかなかった。

 

「どっちが当たりかは分からニャいが、まずはエリア3ニャ!」

 

陸から向かうよりも空からひとっ飛び!てなわけでラルクに乗って、エリア3に直行するのでありました。

 

「バォォォォォ!!!」

 

「ぐわぁ!!」

 

一人のハンターが、長く大きい鼻のムチによって、吹き飛ばされる!

 

「くそっ!なんてパワーだ!」

 

「だ、ダメだ!彼もネコタクで戻さないと、かなりのダメージを食らってる!」

 

「くそぉ、狩り技もほとんど効いてないし、一向に体力が減った気がしない!一体どうしてこうなった!」(実はかくかくしかじかで…。)

 

「「「「「なにぃ!!!」」」」」(いや、何も話してませんけど…。)

 

ハンター達は翻弄されていた。このゾウの巨大版、いやマンモスと言った方が近いだろうか。額と耳の部分は、かなり固く硬化しゴツゴツとした表皮をしていた。背中と4本足の周りには体毛が長くあり、足回りは更に雪で覆われている。かなり大きい体躯である。左前脚には黒い靄のようなものがかかっていた。

 

 「いたニャ!!あそこニャ!!」

 

 巨体を前半身を持ち上げ、地面がめり込むほどに両前脚を振り下ろす!地鳴りと共にハンター達がバランスを崩している。そこをすかさず鼻を振り回し、ハンター達を吹き飛ばしていた。

 

 「8人のハンター達でも手こずるニャンて…。しかも獰猛化してるニャ。」

 

 白羅はラルクと着陸する機会を窺っていた。誤ればラルクごと吹き飛ばされると判断しての事だった。

 

 「困ったニャ。ハンター達が危険ニャ。」

 

 上空を旋回しながらチャンスを伺っていると、ガムートが気付き上を見上げる!ハンター達もそれにつられて空を見上げた。

 

 「お、おい、あれセルレギオスだ!」

 

 「なんてこった!2頭も相手に出来ないぞ!!」

 

 「ここで終わりなの!あたし達!」

 

 ハンター達がテンパっているために、白羅が背に乗っている事に気付かない!すると、額に黒い靄を宿したガムートが鼻を地面に突き刺し、すくい上げて巨大な雪玉をラルクに向けて投げつけてきた!

 

 「避けるニャ!ラルク!」

 

 ラルクも紙一重で雪玉を躱し、弧を描くように飛び、ガムートの胴体に3発の後足の蹴りを喰らわす!!

 

 「バォォォォォォォォ!!!」

 

 胴体に攻撃を喰らい、その場に崩れ落ちる。

 

 「「「「「「「「おお!!」」」」」」」」

 

 ハンター達がダウンおも取れなかった相手にダウンを取った事に驚いていた。しかも、白羅が背に乗っている事にやっと気が付いたのだった。

 

 「あ、あれ、アイルーか!?」(そうですね♪)

 

 「な、まさか!?」(本当です♪)

 

 「アイルーがライダーなんて!?」(そんなカッコイイものではありません♪)

 

 「でもなんでこんな場所に!?」(もちろん!助けに来たのですが?)

 

 「こいつを止められるのか!?」(……どうでしょう?……。)

 

 「モンスター同士で説得するとか出来ないかな?」(怒りモードなのでそれは無理かと。)

 

 「美味しそう…。」(状況分かってます!?)

 

 「助けに来たニャ!ベースキャンプに急いで戻るニャ!!」

 

 地面に着陸すると、ハンター達に声を掛けた。

 

 「あ、あんた白羅さんか!?」

 

 「えっ、本当!!」

 

 「今は話してる暇がないニャ。急いで撤収するニャ!!」

 

 「す、すまん!!おい!負傷者を連れて撤退するぞ!!」

 

 「「「「「「「おう!!」」」」」」

 

 ガムートが体勢を直し始めたのを躱しながら手を貸しあって撤退していく。無事にエリア1の方へと移動することに成功していた。それを見届けると白羅とラルクは攻撃態勢を取りガムートを見据えた。

 すると踵を返して移動を始める。

 

 「ニャ!?エリア2へ行くつもりニャか!?」

 

 急ぎ足で歩いていくガムート。白羅達もそれを追いかけた。エリア2は氷に囲まれ海であるはずの海面は分厚い氷の板が地面を作り出していた。よ~く見れば氷の下で魚が泳いでいるのが見える。ガムートは中央付近に来たところで追いかけて来た白羅の方へと向き直った。

 白羅もコテツを構え、ラルクも鱗を逆立てて構える。

 ガムートが顔を突っ込み、牙と額を押し出して突進してきた。

 

 「いざ、勝負ニャ!!」

 

 「グァ!!」

 

 1匹と1頭は受け止めるべく白羅は牙突の構えで、ラルクは飛び上がり後足で、蹴りを入れていく!!

 

 ガキンッ!!!  ガムートの額にラルクの2本脚の爪と白羅のコテツがぶつかり合う!その場で押しつ押されつの力比べとなった。

 

 「ぐっ、流石凄いパワーだニャ…。」

 

 ラルクと協力してやっと止められるほどの重厚な力が伝わってきた。

 

 「バァォォォォォォォォォ!!」

 

 その膠着を破ったのがガムートの方だった。地面から一気に顔を出し、牙、鼻を真上に突き上げたのだ!それには対応しきれずに突き飛ばされてしまう!!

 

 「ニ゛ャ ~~~~~~!!!」

 

 「グギャァァァァァァァ!!!」

 

 1匹と1頭は地面に転げ落ちる!仁王立ち!?四王立ち!?に見下ろしながら、ゆっくりと白羅の方へ向かって行く。

 

 「ア゛ィ゛ニ゛ャニ゛ャニ゛ャニ゛ャ……左肩に力が入らニャいニャ…。」

 

 左腕がだらんと下がったまま、右手にコテツを持って身構える。横目にラルクの方を見るが体勢がまだ直せずにいた。白羅の前に立ちはだかったガムートが鼻を持ち上げて渾身の力で白羅めがけて振り下ろしてくる!!

 

 「ニ゛ャ゛~~~~!!!」

 

 コテツを構えたまま目をつむる!!

 

 「…………………!?!?!?!?」

 

 覚悟をした白羅がダメージを受けないので、驚いてゆっくりと目を開ける。するとガムートが上を向いたまま硬直していた。

 

 「ニャ…ニャンと…ギ、銀レウスニャ……。」

 

 そう、そこには氷海には滅多に現れることの無い空の王者が飛来していた。筋肉質な体躯に立派な羽。ヒレの部分には紋様があり、通常のリオレウスならば全身が赤い体色だが、このレウスは白銀の体色をしていた。ギルドやハンターの間では希少種と言われている、飛竜種の代表格であった。

 いきなり、銀レウスがアギトから火炎弾ブレスを放ち、ガムートに直撃させる!!

 

 「バァオァァァァァ!!!」

 

 その威力は凄まじくガムートを吹き飛ばし、炎と熱量で体毛と皮膚を焼き焦がした。その激痛により、黒い靄が晴れて、ガムートは正気を取り戻したのだった………。

 

 




 読了いただきありがとうございます。仕事の疲れが休みに出て、休めたのかどうかも分からず、ただただ執筆はと少しずつ頑張っていた次第で大分お待たせしてしまいました。
 なるべく更新を早めていけるよう頑張って行きますので、お付き合いのほどよろしくお願いします。 次話も読んで頂けることを切に願って…。   では。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

氷海にて……♪♪②

 続き出来ました~~~♪♪♪
 今までの遅れを取り戻すような速さ…かどうかは分かりませんが、とにかく更新にこぎつけた次第。
 ささ、呼んでやってくださいましな。 物語の始まり始まり…。



はてさて、ガムート君が正気に戻り、しかし、怪我も尋常ではないため、その場でぐったりとしておりました。

白羅もコテツを収め、左腕を押さえながら、ガムートの傍に。ラルクも傍にやって来たのでありました。

「これは早く運んで治療しないといけないニャ…。」

 

先の銀レウスのブレスが凄まじい威力をまざまざと見せられて、ため息をついておりました。どうやって連れていこうか悩んでしまっていたのです。

 

「ニャ~、どうするかニャ、ラル……。」

 

 と振り向いた瞬間ラルクの顔と思っていた白羅は驚いて固まってしまいました。なんと、銀レウスが居たのです!

 

「ニャ……。」

 

 すぐにラルクも顔を出し、気を落ち着かせるためにコクリと頷いたのでした。

 

 「ニャ。ニャにもしないかニャ?」

 

 恐る恐るレウスに問いかけると、レウスも頷いたのでした。

 

 「クルル。」

 

 ラルクは空に向かって指さします。そして、2頭が同時に頷くのでした。

 

 「飛んで運んでくれるニャか!?」

 

 2頭は改めて頷き返すと、ホバリングしながら爪で掴んで持ち上げようとした。

 

 「ちょ、ちょっと待ってニャ!それじゃ傷が酷くニャるニャ!」

 

 そう言われて一度着陸する。白羅もどうやって運ぼうかと考えを巡らせた。早くせねばどんどん傷が酷くなる…そう思っているうちに一つ思いついたのでした。

 

 「ラルク!ディノバルドとソリを連れてきてニャ!来る途中で、さっきのハンターさん達も乗っけて来てニャ!」

 

 「クァァ!」

 

 了解したとばかりに飛び立っていく。ベースキャンプの方へと飛んで行くのを確認すると、その場に座り込んでしまった。

 

 「ニャ~~。左腕ダメかニャ~~。雅盛様が帰って来たら怒られるだろうニャ~~。精進が足りないからだってニャ~~~。」

 

 白羅が気落ちしていると、白羅の周りを羽で囲ってくれる物が…。

 

 「ニャ、銀レウス…。」

 

 彼なりに心配してくれたのだろう。その気持ちは凄くありがたかった。

 

 「お~~~い!白羅さ~~~~ん!!!」

 

 「グルアァァァァァ!!!」

 

 エリア2に地響きと共にディノバルドとハンター達を乗せたソリ、空にはラルクが飛んできていた。

 

 「なァァァ!?!?!?ギ、銀レウスがなんでこんなところに!?!?」(驚いたでしょう♪♪♪)

 

 「あ、あたしもこの目で見るのは初めてだよ…。」(中々お目にかかれないですから♪♪♪)

 

 「ま、まさか銀レウスも仲間に!?」(そうかもしれません♪♪♪)

 

 「こ、こりゃ仲良くなっときゃ素材分けてもらえないかな?」(それは贅沢かと♪♪♪)

 

 「美味しそう…。」(誰か獣医さん呼んでください!!)

 

白羅は立ち上がって、声をかけてきたリーダー格のハンターに、手伝ってもらうことにした。

 

「お願いですニャ!動けるハンターさん達全員で、ソリの上側の板を外して、後ろに応急のソリを作ってほしいニャ!ガムートが正気に戻って、怪我もしているので連れて行きたいニャ!ハンターさん達には迷惑をかけるけど、お願いしますニャ!」

 

左腕を押さえながらも必至にハンターに懇願していた。ハンターも負傷者や他のハンター達のことも気になったが、仮にも命の恩人からの頼みである。それを断るなど出来るわけはなかった。

 

「分かった!直ぐに動ける連中を集めて作業に入る!任せてくれ!」

 

「あ、ありがとうニャ!恩に着るニャ!帰ったら、ギルドにお願いして、褒賞金を三倍にしてもらうように頼んでみるニャ!」

 

「了解だ!頼んだぜ!よし、動けるハンターは集まってくれ!皆で急ぎ大工仕事だ!」

 

と早速作業に取り掛かっていった。負傷者達には申し訳ないが、寒さを我慢してもらい、天井になっていた板を外して、後ろにもう一台ソリを作ってガムートを広場まで運ぼうというのだ。

 

「良かったニャ。いいハンターさん達ニャ。」

 

流石ハンター達である。もう板を外して、ソリを造り出していた。あと一息というところである。

 

「凄いニャ。みるみる出来上がっていくニャ。」

 

その様子を白羅達は見守っていた。白羅も負傷しているため、下手に手伝おうとすれば、逆に足手まといになりかねなかった。

 

 「あ、あんた左腕が…。」

 

 女性ハンターが白羅が左腕を抑えているので心配になって声を掛けてきた。

 

 「あ、あニャたは!?」

 

 「あたしはラミア。上位ハンターをしているわ。さっきはありがとう。助かったわ。ね、その左腕怪我したの?ソリの中に救護班もいるし、こっちで見てもらったら?」

 

 と白羅を促そうとする。が、白羅も申し出は嬉しかったが丁寧にお断りする。

 

 「すいませんニャ。今、このモンスターから離れるわけにはいきませんニャ。連れて帰るまで傍に居たいですニャ。心配してくれてありがとうニャ♪」

 

 とお辞儀をする。

 

 「い、いえ、いいの。ゴメンね気が付かなくて。」

 

 「そんニャことないニャ。こうして声を掛けてくれるニャンて優しい人ニャ。」

 

 「い、いや、そんな事はないよ…。」

 

 と顔を赤くしてうつ向いてしまった。黄緑色のショートヘアの綺麗な顔立ちでガララXの装備をし、片手剣の無明刃〔道諦〕Lv8を装備していた。マッチョな感じはなく、その体型からはハンターか?と思わせるほどにナイスバディをしていた。

 

 「お~い!出来たぜ!!」

 

 と応急ソリ2号機が完成したので呼びかけられた。

 

 「ゴメンニャ。一緒に乗せるのを手伝ってくれるかニャ?」

 

 「え、ああ、いいわよ。で、どうするの?」

 

 と白羅はラミアにも手伝ってもらい、ラルク達と共にガムートを2号機にゆっくりと慎重に乗せた。

 通常の地面ならば、摩擦で動きもしないだろうが、ここは氷海。何とかなると全員乗り込んで出発し、氷海を後にするのだった…。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 

 「きゃぁぁぁぁぁ!!白羅さん!!左腕を怪我されたのですか!?」(ちょっと大変かもです。)

 

 「ええっ!本当!?大丈夫なの!?」(大丈夫ではないと思いますが…。)

 

 「これは大変ね!お医者さんにする!?獣医さんにする!?それとも私にする!?」(ご遠慮させていただきます。)

 

 戻って来た白羅達を見て、3人の美女たちが白羅の周りを取り囲んでいた。

 

 「おいらよりもガムートの方を…。」

 

 「「「ダメ!!!」」」

 

 とそこだけは声が揃って白羅を叱る!驚いた白羅が、3人の顔を交互に見つめる。あまりに懇願するような目で見て来るので、彼女たちの方が折れた。

 

 「じゃあ、同時進行しましょ。ガムートさんは広場に。白羅さんは私の家に。皆さんで連れて行きましょう。」

 

 と村長さんが進言してくれた事で、全員納得で、行動に移った。ハンター達により、ガムートは広場の方へ。白羅は囲まれながら有無を言わさず、村長さん宅へと向かって行く。

 

 「あたいが抱っこしていくよ。」と下からひょいッとすくい上げるように抱き上げた人物が。

 

 「ニャ!?ニャァ!?ラミアさんニャ!?」

 

 と顔を見ると、ニコッと微笑み返してきた。

 

 「あら、あなたは上位ハンターの。」(お、村長さんはご存じのようで。)

 

 「ああ、私も知ってます。最近メキメキと腕を上げてきている方でしょう?」(受付嬢もご存じ!?)

 

 「私はなんて幸運なの。こんなにワクワクする研究対象が沢山……♪♪」(この方にも獣医さんの愛の手を…!!)

 

 「あたしも今回のクエストで助けられた一人で、恩人なんだ。何かしてあげたいと思って。」

 

 「そうでしたか。大変ご苦労様でした。もう、白羅さんたら、隅に置けない人!」

 

 と白羅のお尻をつねる!

 

 「あ゛い゛ニ゛ャ!」

 

 「ん!?どうかした!?」

 

 「い、い、い、いや、何でもないニャ。大丈夫ニャ。」

 

 お尻をさすることも出来ずに村長さん宅に拉致されていく白羅君でありました♪

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 その日の夜は獣医さんが村長さん宅に呼ばれ、手術をして、1か月後には復帰できると診断を受けた。

 左肩を包帯でグルグル巻きにされた白羅が、村長さん宅から外に出られたのは1週間後の事だった。

 

 「ニャ~~~、久しぶりの外ニャ~~~。ラルクやガムート達はどうなったかニャ~~。」

 

 「気になるか?」

 

 「ニャ。ラミアさんニャ。モチロン気になるニャ。」

 

 「じゃあ、一緒に行こう。私も狩る側だが興味がある。紹介してくれるかな?」

 

 「モチロンニャ。一緒に行こうニャ♪」

 

 「そ、それと…。」

 

 顔を赤らめてもじもじしている。

 

 「ニャ!?」

 

 「こ、今度、クエストを一緒に行ってもらっていいかな?」

 

 「お、おいらとニャか!?」

 

 驚いてラミアの顔を見ると、赤らめた顔のままで頷いた。一瞬、自分でいいのか?とも思ったが、手助けになることがあればと了承することにした。

 

 「分かったニャ。その代わり、ラルク達とも一緒ニャ。それでもいいなら組んでもいいニャ。」

 

 「ほ、本当!?やった!!じゃ、改めてよろしくね。白羅さん♪」

 

 「こちらこそ、よろしくニャ♪」

 

 と2人!?は握手する。今まで一匹オオカミを貫いてきた白羅にとって、ハンターに雇われる側ではなく、仲間として見てくれる、ラミアに感謝していた。

 

 「ニャ!じゃ、仲間たちを紹介するニャ。一緒に行くニャ!」

 

 「うん!」

 

 と一緒に広場へと赴くのでした。

 

 広場に着くと、入り口は相変わらずの大盛況!!研究員達から、この前助けたハンター達まで入り乱れてごった返しておりました。お陰でユクモ村はホクホクで白羅様様、モンスター様様でありました。

 その内の一人が白羅達に気付くと皆をかき分けて道を作ってくれたのです。

 

 「お、おい、道を開けろ。白羅さん達が来たぞ!」

 

 「「「「「「おおォォ…。」」」」」

 

 一度に静まり返り、皆一斉にさざ波のように両サイドに広がる。真ん中に道が出来て、白羅達が通れるようになる。

 

 「あ、ありがとうニャ。通らせてもらうニャ。」

 

 と申し訳なさそうに通って行く。

 

 「お、おい、あれ、ラミアさんじゃないか?」(お、意外と有名人!?)

 

 「なんで、白羅さんと一緒に歩いてるんだ?」(実は…内緒です♪)

 

 「ま、まさか白羅さんとチームを組んだとか言わないよな!?」(そのまさかです♪)

 

 「あ、あいつ、素材とか狙ってないだろうな。」(そう思ったあなたこそ、逮捕です!!)

 

 中に入るとラルクをはじめ、モンスター達が皆で出迎えてくれた。その中には傷が癒えて間もないガムートと協力してくれた銀レウスも一緒に居た。

 

 「ニャァ、良かったニャ、元気になったニャ!銀レウスも居てくれたニャか。」

 

 モンスター達の顔をそれぞれ見回す。みんなニッコリとほほ笑んでいるように見えた。

 

 「ニャ、紹介するニャ。今度一緒にクエストすることになったラミアさんニャ。」

 

 「よ、よろしく。」とペコリと挨拶する。

 

 すると、ラルクがラミアの顔に自分の顔を近づける。クエストでも急接近な事が無かったので、めちゃくちゃビビって硬直していた。少し、匂いを嗅いで、片目でジイ~っと見つめる。ラミアも見つめ返す。と、突然顔を上に上げて咆哮する!

 

 「え、え、なになに!!どうなったの!?」

 

 「認めてくれたようニャ。良かったニャ♪」

 

 「え、そうなの!?合格なの!?」

 

 「そうニャ。じゃ、奥で皆を紹介するニャ♪」

 

 とラミアを促しながら広場の奥へと進む。

 

 「よかった、このまま食べられるかと思った…。」

 

 ほっと胸を撫でおろし、白羅達と共に広場の奥へと消えていくのでありました。暖かく心地よい風が、白羅達を祝福している様でもありました…。

 

 

 

 




 読んで頂けて大変ありがとうございます。 アンケートの事もあり、急ピッチで次話を書き綴った訳ですが、でも楽しさは忘れずに執筆しておりました。今度は人!?のお仲間も出来た次第で。私も含め、皆さんも楽しみにしていただけると幸いです。はてさて、今度はどんなお仲間が増えるやら…。書いてる私自身も未知なんですよ♪♪
 アンケートの方も良かったらメッセージくださいね。全く怖がる事はありません。噛みつくほどの度量も無いので…。お気に入り等が増えるだけでもウキウキしている私なので。
 では、また次話にお会い出来ることを切に願って…。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

休息期間です♪♪

次話でございます!眠気を必至に笑いに代えて執筆しておりました。ささ、読んでやってくださいまし。また、後程にて。物語の始まり始まり。



相変わらず広場の入口付近が賑わっている頃、広場の奥で、自己紹介とそれぞれの自慢を披露している白羅達でありました。ラミアさんもまた、少し変わっているところがあって、ディノバルド君の尻尾自慢の時は、

 

「私の武器を研がせてもらっていい?♪」(どういう興味なんでしょう?)

 

と、切れ味長持ちに成る程研いでいるし、タマミツネさんの泡自慢は、

 

「あ、泡すご~い♪お肌スベスベ♪」(そこは女性、お肌も気にしてらっしゃいましたか。)

 

と泡のお風呂にして入っているし、麒麟さんの雷自慢の時は、

 

「あ、あ、すご…い…、こりに効くわぁ♪♪」(流石はハンター、一筋縄ではいきませんね♪)

 

と自ら雷を受けて、こりをほぐしてますし、ガムート君のお鼻自慢の時は、

 

「ス、スゴイ、ブランコが出来るんだ♪」(いや、あなた強制したでしょ。)

 

と、何か調教モードになってますし、銀レウス君の火炎自慢に至っては、

 

「すご~~~~い♪一度にこんがり肉が25個焼けてる~~~♪♪」(それって超贅沢です!)

 

と、意味不明な理解力ですし、白羅君に至っては、

 

「ぎゅ~~してもいいかなぁ♪♪♪」(意外と大胆デスネ♪♪♪)

 

「ニャ!?え!?ニャ!?ニャ~~♪♪♪」

 

と、顔を赤らめながらもハグをされ、あまりのドキドキ感が最高潮になり、カクッ…と気を失ってしまう白羅なのでありました。

 

「え、あ、ちょ、ちょっと、白羅さ~ん!」(美人にハグされれば誰でも…ねぇ♪)

 

そしてラルクさんはといいますと、1枚の鱗を抜いて、ラミアさんに渡したのです。

 

「こ、これを私に!?」

 

ラルクが頷きます。それは貴重な鱗で”千刃竜の斬刃麟”でありました。

 

「ラルクがおいらの他に渡すと言う事はラミアさんとの友情の証ニャ♪大事にしてほしいニャ♪」

 

「有り難うね…。これからよろしくお願いします…。これは絶対大事にするね♪♪」(よろしくお願いいたします♪♪)

 

 と目を潤ませながら、布!?にくるんで、ポシェットにしまうのでした。

 

「ニャ!?そうニャ!?ハンターさんとの約束があったニャ!」

 

と、急に言い出して起き上がったのでラミアさんもビックリ。

 

「え~もう起きちゃうの~~、せっかく添い寝してあげようと思ったのに~♪」(貴女をそんな子に育てた覚えはありません!)

 

「ゴメンニャ。これからギルドマネージャーのところに一緒に行くニャ。」

 

「え、どうするの?」

 

「この前ソリ2号機を作ってもらった時に約束したニャ。褒賞金を三倍にしてもらうと言うニャ。」

 

「え゛、マジ!?大丈夫なの!?」

 

「ニャ、どうしてもダメニャらおいらが払うニャ。それぐらいの無理を聞いてもらったニャ。あの時は感謝だったニャ。だから頼んでみるニャ!」

 

決意が固いことが分かると、ラミアも一緒に行くことにする。

 

「白羅さんらしいな。ま、そこが好きになったんだけどね♪♪」

 

「ニャ!?ニャにか言ったかニャ!?」

 

「い、いえ、何も♪♪♪」

 

「!?!?!?」

 

そのまま、赤らめ顔でそっぽを向いてしまったので、白羅もそれ以上はツッコミはしなかった。

 集会場へ着くと、ど真ん中付近に相変わらずお座りで研究熱心なおばあちゃまが本を読み漁っていた。周りの人達も慣れて来たのかラルクと来ても怖がったり、騒いだりはしなくなった。しいて言えば、ラミアが一緒に行動していることぐらいが気になるところであった。

 

 「研究中すみませんニャ。お願いがあって来ましたニャ。」

 

 白羅は丁寧にそのおばあちゃまに話しかける。 すると顔を上げて白羅と、ラミア、ラルク!?の顔を見た。

 

 「相変わらず、人を驚かす奴だね♪♪私も昔はずいぶんと狩には出たが、モンスターに面と向かうのは初めてだよ♪♪その隣にいる綺麗なハンターはあんたの嫁さんかい!?」

 

 「ニャ、ニャンて事を!?な、仲間ですニャ!!」

 

 「え~~~、お嫁さんでもいいのに~~~。」(あなたガンガンいくタイプでしょ?)

 

 「ほ~~~♪♪白羅や。お前さんも、隅に置けないね~~~♪♪」(隅に置いたら潰されますので♪♪)

 

 白羅が赤面絶好調で、湯気がハッキリと上がっている。その場に直立不動になっていた。

 

 「それで?私に何のお願いさね。」

 

 小さめの丸いレンズの眼鏡をくいっと持ち上げ、話の本題を切り出してきた。

 

 「は、は、はいニャ!!今回助けたガムートを止めようとしてくれたハンターさん達に報奨金を上乗せして欲しいニャ。お願いしますニャ!!」

 

 左腕は今だ包帯グルグル巻きのまま、地面に頭をこすりつけていた。それを見たラミアとラルクも頭を下げる。

 

 「ほう、お前さん達もかい?いい仲間を持ったじゃないか。それで、どれだけ上乗せすればいいんだい?」

 

 「はいニャ。3倍にお願いしたいニャ。」

 

 「は!?あたしゃ最近耳が遠くてね。もう一度いいかい?」

 

 「はいニャ。3倍で。」

 

 「3倍かい?」

 

 「3倍ニャ。」

 

 「………………。」

 

 「………………。」

 

 「何か、あんたに恨まれるようなことをしたかね?」(いえ、逆にあなたをふっとばしてしまいました、てへ♪)

 

 「い、いえ、とんでもにゃいニャ。」

 

 「なら、どうしてそこまで上乗せしたいんだい?」

 

 「大事な仲間たちを救ってくれたからですニャ。」

 

 白羅がギルドマネージャーの顔を真っすぐ見つめていた。暫く見つめ合うと、2人!?共ポッと顔を赤くして顔を反らしてしまった。(似た者同士か!!)

 

 「ちょ、ちょっと待ってくれ!!」

 

 その話を聞きつけた、ハンターが声を掛けて近づいてきた。無論この前手伝ってくれたハンターである。

 

 「俺たちは白羅さんに助けてもらった身だ。恩人を助けない程落ちぶれちゃいない。確かにあの時そんな話はしたが、あの時の勢いで言っただけで、本気にしなくてもいいぜ。」

 

 「ニャ!駄目ニャ!あれだけの負傷者を抱えながら、おいらを手伝ってくれた事は本当に感謝しているニャ。報奨金だけでも受け取って欲しいニャ!お願いするニャ!」

 

 「い、いや、しかし…。」

 

 「どうした!?」

 

 ハンター達が集まって来る。よく顔を見渡すと、この前の助けたハンター達であった。色々と、クエストを一緒にしているらしい。

 

 「いや、どうしたもこうしたもない。白羅さんが俺たちのこの前のクエストの報奨金を3倍に引き上げてくれと、マネージャーに嘆願に来てくれているんだ。」

 

 「はあ!?とんでもないぜ!命の恩人にそこまでされるいわれはねえし、実際に来てくれて嬉しかったしな♪」(さすがはハンターさん広いお心)

 

 「そうね、白羅さんの活躍も見れたし。」(そんなにカッコよかったですか!?)

 

 「あの時、助けられなかったら全滅だったしな。」(命が無事で何よりです♪)

 

 「美味しそうだったな~~~…。」(獣医さんいませんかぁ~~~!!)

 

 「ニャ!?皆さん…。」

 

 白羅も目が潤んでいた。

 

 「だ、そうだ。だからそんなに気張らなくてもいいぜ。それより、あんたの左腕の方が心配だぜ。」

 

 と右肩に手を掛けて微笑んできた。

 

 「ありがとうニャ……。」と頭を下げていた。

 

 「やれやれ、人情を見せられるとはこの私も焼きが回ったかね。」

 

 「ニャ、マネージャー!?」

 

 「さすがにあの人数だ、3倍はきついが2倍までは出そう。これは、ちょー特別だ、いいね!」

 

 「ま、マジか…。」

 

 それを聞いたハンター達も驚いてマネージャーの方を改めて見る。

 

 「ニャった~~~!!マネージャーありがとうニャ!!!」

 

 「「「「「おおおおおおお!!!」」」」」

 

 ハンター達の中で歓喜に沸く!その勢いで白羅が胴上げされていた。

 

 「ニャ!?ニャ!?ニャ~~~!!」

 

 その姿を外側から見ていたラミアがラルクに話しかける。

 

 「貴方もこのアイルーさんの魅力に惹かれたのよね♪」

 

 「クァ!!」

 

「そうね、私もその一人。」

 

 と話しかけてくる人物が。振り向くと集会場受付嬢アイラであった。

 

「あ、受付嬢さん。」

 

「あなた、よく白羅さんと組む事が出来たわね。誰の誘いも拒否していたので、一匹狼とも言われていたのよ。あのギルドナイトでも、ね♪」

 

「え、そうなんですか!?」

 

それにはラミアも驚いた。筆頭リーダーでもある彼から誘われるなどと、他のハンター達が聞いたら、しかも断ったと聞いたら、相当のクレームが付いてきそうだった。

 

「じゃ、なんであたいはOKだったのかな?」

 

「それはあなたがどう思って、白羅さんと話をしたか、ということね♪」

 

「え!?どういう事ですか?」

 

「あなたは白羅さんを一人のハンターとして見ていたのでしょう?つまり、そういうことよ♪」

 

そこで初めてラミアは理解出来た。お供として雇われて……ではなく、仲間として誘われたかったのだと。

 

「あの人の前の主人であるハンターもそうだった。雇い雇われの立場だったけど、一ハンターとして見ていたの。白羅さんもそういう彼が大好きだった。だから強いのよ。この間、レベルが76レベルに上がってたし♪」

 

「げっ。76レベル!?」(あなたより格は大分上ですね♪)

 

ラミアも驚かされっぱなしである。

 

「そんな私が仲間入り出来て、ラッキーだけど、いいのなかぁ、あたいで。」

 

「大丈夫よ♪嫌なら最初からお断りされてるわ♪認められてる証拠ね♪」

 

「じゃぁ、安心して誘惑できるってことだ♪」(おませさん!って、ダメだこりゃ。)

 

「フフ、そこは譲れないわ♪私も狙っているから♪」(いいんデスネ!本当にいいんデスネ!?)

 

「あら、お二人さんだけじゃないんだなぁ♪」(あらら、来ちゃった。)

 

と博士帽子に眼鏡をかけたモンスター好きの美人お姉さんが。

 

「あらあら、皆さん抜け駆けはよろしくありませんわ。私が一番予約ですのよ♪」(あの、なんの予約でしょうか?)

 

と、何処から現れたかユクモ村の村長さんまで、参戦したのでもう大変!

 

「いえ、一番予約は私が。」(う、受付嬢だけに予約は得意のようで!?)

 

「いいや、あたいが一番さ。」(うう、立派になって……って違うし!)

 

「いいえ、一番予約は譲れませんわ。」(村長さん、目が血走ってます。)

 

「いやいやいや。私がもらいますよ、その一番。何せますます研究対象が、フフフフフフフフ………。」(ここまでくれば立派に危険人物です♪)

 

ここでも、綺麗な火花を散らして、ラミア参戦となったのでありました。知らぬは当人ばかりなり♪♪

 

無事に折り合いがついて、16名のハンター達に、褒賞金が手渡され、白羅に感謝して一気に仲良くなり、逆に、クエストの都度モンスター達の食糧を調達してくれる事にもなって、感謝で一杯の白羅でありました。

 

「皆さん!ありがとうニャ!ラルク!ラミア!帰るニャよ!」

二人!?を促し帰り仕度を始める。

 

「クァ!」

 

ラルクが背を向けて、乗るように促してくる。

 

「だ、大丈夫ニャか?ラミアとおいらが乗っても?」

 

ラルクが頷く。流石飛竜といったところか。

 

「いいの?ゴメンね。失礼するね。」

 

と、おそるおそる背中に乗る。手を伸ばして、白羅の手をとり、引っ張り上げる。何とか背中に乗って、準備OK。

 

「ニャ!出発ニャ!」

 

ラルクがホバリングして、上昇を始める。

 

「すご~~~い!キレイ!」

 

ラミアもその眺め、景色に感動していた。ある程度の上昇した後、ユクモ村に向かって飛翔していくのであった。

「全く。あやつ本当は、私に恨みがあるんじゃないのかい!?お~い!誰か降ろしとくれ~!」

 

闘技場の壁の上の方で、引っ掛かってぶら下がっているおばあちゃまが、助けを求めているのでありました………♪♪♪

 

 

 




読んで頂いて、感謝でございます。今回はタイトルのとうり、休息でございました。仲間は増えてはおりませんが、次話からまた増え出しそうな気配が……♪
なので、また楽しみにしていただければと思います。 では、次話にてお会いできることを切に願って。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

飛竜達の卵♪♪

 すいません、更新させていただきます。前回がはっちゃけ過ぎたためか、今回はシリアス!?な展開になった次第。
 ささ、読んでやってくださいまし。後ほど後書きにて。  では物語の始まり始まり…。



 ユクモ村に戻って10日ほど。白羅の左腕の方も順調に回復し温泉にも浸かりながら、少しずつリハビリで、動かすようにしていた。本人は早く復帰したいとの思いだった。なぜなら、銀レウスの頼みを聞いたからだ。銀レウスは先にラルクに相談を持ち掛けたようであり、一緒に白羅の所にやってきた。

 

 「クァァ?」

 

 「クルルル?」

 

 「ラルクに銀レウスニャ。どうしたニャ?」

 

 ラルク達はどうやって相談を伝えようかと悩んでいた。その時ラミアが走って白羅の元へと近づいてきた。

 

 「白羅さ~~~~ん!!!」

 

 ジャンピングで白羅に飛びついていく!しかし、白羅が振り向いた時に横にずれたので、硬~い地面に抱きついてしまった。

 

 「ニャ!?ラミアニャか。どうしたニャ!?」

 

 「いった~~~…。星とキスするつもりは無かったんだけどな~~~。」(積極的ですね♪)

 

 「大丈夫ニャか?何があったニャ?」

 

 「そうそうそう!集会場の受付嬢さんからの依頼があったの!」

 

 「アイラさんニャか!?」

 

 「そう!古代林で、金火竜とライゼクスが出没していて暴れているらしいのよ。それを止めてほしいって。」

 

 それを聞いていた2頭が顔を見合わせる!

 

 「クァクァクァァァァ!!」

 

 「クルルクルクルクル~~!!」

 

 「ニャ!?どうしたニャ!?」

 

 ラルクがラミアの持ってきた依頼書の絵!?を指(爪!?)さす。そして、銀レウスと交互に指を指した。

 

 「ニャ!?まさか…、この金火竜って…。レウスの奥さんニャか!?」(ラルクって賢い!?)

 

 銀レウスが頷く。

 

「マジニャ…。それは大変ニャ。」

 

その金火竜を助けてほしいと、いうことらしい。

 

 「分かったニャ。何とかするニャ。」

 

 「でも、大丈夫なの!?」

 

 リハビリをしていると言ってもまだ完全ではなく、不安なところもある。が、レウスの奥さんの一大事!?でライゼクスの事もあるので、早めに向かわないと事があった後では遅すぎる。

 

 「ニャンとか行くニャ!アイラさんにはこのクエストを受けますと受注しておいてニャ!」

 

 「わ、分かった。すぐに行ってくるから待っててね。」

 

 「分かったニャ。準備しておくにゃ!」

 

 ラミアも集会場へと急いで向かう。白羅も準備を始めた。当然、ラルクと銀レウスは同行させる。今回は人選ならぬモン選で、タマミツネに頼むことにした。お昼寝中を申し訳なかったが、相談すると引き受けてくれた。

 

「あとはおいらだニャ。」

 

と自分の鎧とコテツを装備する。

 

「ニャいたたた…。ニャんとか装備出来たニャ。まだ少し、しんどいニャ。足手まといにならなきゃいいニャが……。」

 

と持ち物を確認している時に、ラミアが戻ってきた。

 

「クエストを頼んでいて、心配してたけどホントに行けるの!?」

 

 ラミアも心配ではあった。だが、飛竜達をほっとけない性格なのも知っていた。

 

 「大丈夫ニャ。ラルクもラミアも居るにゃ。信じてるニャ。」

 

 「え、そ、そう♪」

 

 と何故か嬉しそうに照れている。そう言われたのは初めての事だった。

 

 「準備出来たかニャ?」

 

 「え、あ、そうね。準備、準備♪」

 

 と慌てていても楽しそうだった。白羅も!?!?であった。

 

 「あ、あたい、タマミツネと一緒に行くよ。」

 

 「ニャ、分かったニャ。でも大丈夫ニャか!?」

 

 「うん!大丈夫!乗せてってくれるみたい♪」

 

 タマミツネの方を見ると、ラミアの事を待っている様だった。白羅も任せてもOKだろうと、タマミツネに頷いて返事をする。タマミツネも頷き返してきた。

 

 「ニャ!それじゃ、古代林に出発ニャ!!」

 

 とラルクの背に乗って、飛翔する!銀レウスも続いて飛翔した。タマミツネもラミアを乗せて、移動を開始したのである。

 古代林はハンター達にとっても最初に関わって来る土地である。初心者は、最初の大型モンスターのドスマッカオを倒すのに一苦労したものだ。植物がよく茂り、奥に進むほど茂り方も半端なく多い。湿度もあったりで、キノコ類はよく採れる。

 時々、受付嬢に依頼されて、キノコ採取もしたものだ。ラミアたちは川の流れるエリア1を抜け、エリア2へ。

 大きな洞窟となっているエリア3を通って、巣があるエリア7へと進んだ。白羅達は勿論ひとっ飛び!!ベースキャンプを越え、エリア3の洞窟の上を通り、エリア7の穴が空いている個所から中へと入っていく。

 

 「ニャ…。ニャンてこと…。」

 

 ラミアたちも同時に到着したが、様子を見て立ち止まってしまった。

 

 「う、うそ…、酷い…。」

 

 金レイアがかなりダメージを負って、地面に崩れている。巣には3個の卵があり、それを必死に守っていた。ライゼクスは卵を狙い、邪魔をしてくる金レイアを執拗に攻撃していた。

 

 「グルアァァァァァァァ!!!」

 

 いきなり銀レウスが怒りの咆哮を上げ、ライゼクスに飛び蹴りを繰り出していく!それに気付いたライゼクスもジャンプして攻撃を躱し、銀レウスに反撃する!2頭は巣の反対側でもみ合いになった!

 白羅とラミアたちは金レイアに駆け寄る!金レイアは驚いたが、ラルクが竜語で説明してくれた事で、暴れるのを辞めてくれていた。白羅とラミアはどこまで回復できるか分からなかったが、粉塵や秘薬等を使って傷や体力、スタミナを回復させることにした。

 

 「さすが、母親にゃ。よく頑張ったニャ。」

 

 「みんなで助けに来たよ。もう少しだけ頑張って。」

 

 応急治療をしながら、金レイアに話しかける。すると、少し落ち着いたようで、卵の無事を確認する。

 

 「ラミアはタマミツネと一緒に卵の救出作戦ニャ!おいらとラルクは銀レウスと一緒にライゼクスを止めるニャ!」

 

 とコテツを構えてライゼクスの方へと歩いていく。ラルクもそれに続く。

 

 「ちょ、大丈夫なの!無理は駄目だからね!!」

 

 ラミアが心配で声を掛ける!

 

 「大丈夫ニャ。それより、卵と金レイアを頼むニャ!」

 

 「分かった!任せて!!」

 

 金レイアを移動できるまでに回復させると、ラミアはタマミツネの背中に1個ずつ、丁寧に乗せていく。レイアも心配そうに見守っていた。時折、旦那の方を見ては頑張ってと励ましているようでもあった。その時、レウスがライゼクスの足蹴りを喰らい、壁に突き飛ばされる!ラルクと白羅は咆哮を上げた!!

 

 「ガァァァァァ!!」

 

 「いざ!勝負ニャ!!」

 

 白羅が牙突で走り込んでいく!ラルクも得意の足蹴りで、弧を描きながら横から応戦する!3対1の戦いが始まった。ずるいかもしれないが、ライゼクスがかなり強い!何せ金レイアを苦しめたほどの強さだ。一筋縄ではいかない!白羅も攻撃するものの、左腕を気にしてまともな動きが出来なかった。

 と、突然、ライゼクスが飛翔したかと思うと、エリアの半分近くを被雷の渦にした!避けきれずに銀レウス、ラルク、白羅と雷を受けてしまう!

 

 「ニ”ャ~~~~!!」

 

 「ガァァァァァ!!」

 

 「グギャアァァァァ!!」

 

 「びゃ!白羅さ~~~ん!!」

 

 吹っ飛ばされるのを見たラミアが大声を上げる!!丁度卵をタマミツネの背中に回収したところだった。

 白羅が倒れながらもラミアの方を見ると、大声で叫んだ!

 

 「早く、脱出するニャ!!急げニャ~~~~!!」

 

 2頭も体勢を直せずにいる。白羅も四つん這いのまま立ち上がれずにいた。

 

 「くそニャ~~!おいらの両足立ってくれニャ~~~~!!」

 

 その間に優雅に地面を歩いて、ラミアたちの方へ向かって行く!金レイアが力を振り絞って、前に立ちはだかった!しかし、ライゼクスの尻尾の一振りで横になぎ倒されてしまう!

 

 「たまちゃん、行って!!ここは私が食い止める!!!」

 

 片手剣と盾を構える。これでも上位ハンターである。唯一ハンターなのは彼女だけ。だてに武器をLV最高にしているわけでは無い。

 

 「はあぁぁぁぁぁ!!!」

 

 ライゼクスが被雷をしてくるが盾で躱して反撃していた。切れ味もなかなかで、怯ませるには充分であった。ラミアはタマミツネの方を見ると、移動を開始していた。卵があるので、急ぎとはいかない。卵に気を使いながらエリア3へと進むのだった。

 金レイアも再度起き上がってラミアの後ろ盾になる。お互い頷くと、ライゼクスに攻撃を仕掛けていた。

 しかし、やられっぱなしのライゼクスではない。獲物を逃したのと、邪魔してきた者どもに怒りを露にする!!いきなりホバリングしながら、尻尾を地面に突き刺し、稲妻を放ったのだ!地面から広範囲に雷が溢れ出す!!白羅達は辛うじて飛翔したため、躱すことが出来た。しかし、金レイアとラミアは避けきれずに喰らってしまう!

 

 「きゃあぁぁぁぁぁ!!」

 

 「グギャア・・・!!」

 

 痺れたようにその場にマヒしてしまう!動けなくなっていた。

 

 「ラ、ラミア!!」

 

 「クァァ!!」

 

 後ろから攻撃をしようと追いかけるも、ライゼクスの動きの方が早かった!羽を突き出し、ラミアを突き飛ばしたのだ!!

 

 「ぐはぁぁぁぁぁ!!!」

 

 「ラミアァァァァァァァ!!!!!」

 

 「グァァァァァァァァァァ!!!!!」

 

 それを見た白羅とラルクは叫んでいた!!ラミアは空中を大きく舞って壁に激突する!

 

 「ガフッ……。」

 

 当たり所が悪かったせいか、血を吐いていた。防具のお陰で瀕死にならずには済んだが、かなりのダメージは見て取れた。それを見た瞬間…白羅の中で何かが切れた!!!

 

 「ニ”ャ”ァァァァァァァァァァ!!!!」

 

 突然全身の毛を逆立てて1匹のアイルーが叫ぶ!今までにない殺気と覇気を纏い、白羅が怒りを露にした!!

 今までより、数段上の怒りである!!ラルクもその圧倒的な気迫には近づくことが出来なかった。ライゼクスも振り向いてその殺気に驚いて白羅を凝視している。

 

 「白羅…さん…。」

 

 ラミアが痛みを堪えながら目を薄くして、小さく呟いていた。すると、金レイアが心配してラミアを庇うような体勢を取ってくれた。

 白羅の体に異変が出始める。両前脚の爪3本ずつが60㎝前後に伸びて刃と化し、真っ黒な中に深紅の縦細い目が現れる!更にはコテツと鎧が白基調に変色していく!

 

 「ニ”ャ”ァァァコ”オ”ォォォォォォォォォ!!!!」

 

 ダブルクロスでいうところのビースト状態…。それとは別に、武具のパワーアップであった…。

 

 「キシャァァァァァ!!!」

 

 ライゼクスが咆哮を上げた!自身にとって危険と判断したのだろう。他には目もくれず、白羅に対し、戦闘態勢を取っていた。が、ライゼクスが一瞬で硬直する!!既に目の前に白羅が迫っていたのだ!白羅は両前脚の鉤爪で横顔、首、胴体、足へと切り刻んでいく!無数に出来た切り傷に、想定外の驚きと激痛にその場にひっくり返っていた。

 

 「ギャガァァァァァァ!!!」

 

 ライゼクスがのたうち回っている内も白羅は容赦なかった。鉤爪を更に繰り出し、傷を増やしていく!ライゼクスが痛みを堪えながら立ち上がり、稲妻を繰り出すも、鋭い移動速度で稲妻を躱し足を攻撃して怯ませるのであった。ライゼクスが白羅に向かって羽を突き出してくる!が、白羅はジャンプして羽の上に乗り、ライゼクスの顔まで詰め寄ると、顔に鉤爪を喰らわせていた。その攻撃にまたもダウンする。

 

 「フウ”ゥゥゥゥゥゥゥ!!」

 

 地面に着地した白羅が四つん這いでライゼクスを威嚇していた。ライゼクスが辛うじて起き上がり、片足を引きずって逃げ出した。白羅がそれを追いかけようとする!

 

 「クァァ!!!」

 

 その時、ラルクが白羅を羽交い締めする!白羅ももがいて逃れようとするが、かなりきつく、逃れられない。が、脱出しようともがいていた。

 

 「ガァァァァァ!!」

 

 ラルクが白羅に対して吠えていた。それに驚いて、白羅がラルクの顔を見る…。ラルクの切なそうな眼差しに白羅も正気を取り戻す。爪も目の色も元に戻り、何故か武具の色はそのままではあったが、いつもの白羅に戻っていた。

 

 「ニャ…ラルク…。」

 

 ラルクも頷き返す。事が終わろうとしていた。ライゼクスも完全に退散し、古代林から離れて行ってしまった。

 

 「ニャ!ラミアニャ!」

 

 白羅とラルクはすぐにラミアの元に。同時に銀レウスも傍に寄ってきた。金レイアもラミアを守ってくれていた。ラミアは意識はあったが、かなりの傷の様だ。

 

 「ガルッ!!」

 

 銀レウスが肩を降ろして背中に乗せるように促してくる!

 

 「ニャ!?ラミアを乗せてってくれるニャか!?」

 

 銀レウスが頷いた。それには金レイアも頷いていた。早くに戻って、治療を受けねばならない。

 

 「ありがとうニャ!済まない恩に切るニャ!ラルク手伝ってニャ!」

 

 と、すぐにしかし丁寧にラミアをレウスの背に乗せて、レウスを先頭に皆で飛翔してユクモ村へと向かうのであった…………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 読んで頂けてありがとうございます。お気に入りしてくれた方も、解除された方も、どうぞ長~~~~いお付き合いのほど、よろしくお願いします。登録や読んでくれている方が1人でもいる限り、めげずに執筆していきます! 次話はまた、笑える部分をふやしつつ、モンスターも増やしつつ!?進めて行きますので、お楽しみに。
 では次話もまたお会いできることを切に願って…。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

里帰り♪♪①

長らく!?お待たせして、更新させていただきました。ささ、読んでやってくださいまし。後程お会いいたしましょう。物語の始まり始まり………。



白羅達は、ユクモ村に戻り、ラミアの治療へ。さすがに獣医!?さんではなく、ちゃんとしたお医者さんに治療を委ね、命に別状はないとのことだったので少し安心していた。ただ、折れた骨が神経を圧迫しつつあるとの事で、手術は必要との事になり、治ればまた狩に復帰できるとも聞いたので安心してお願いすることにした。

 

 「手術後は私の家の空き部屋を使うといいですわ。何かあれば家の者も居ますし。」

 

 「ありがとうですニャ。また何かお土産を持ってきますニャ。」

 

 「あら、いいですのよ。ラミアさんは白羅さんをサポートするのに頑張ったのでしょう?私もそうしたと思いますし、ラミアさんへの報償代わりに…ね♪」

 

 「ありがとうニャ…。」

 

 「ま、キスの一つでもくれれば、なおいいのですが?♪♪」(さすがしっかりしてらっしゃる♪♪)

 

 「ニャ!?、ニャニャニャ、そ、そんニャ……。」(ホントに隅に置けない人♪♪)

 

 と顔を真っ赤にしてうつ向いてしまった。村長さんもクスッと笑みをこぼしてお医者さんと話を進めていた。

 白羅はそんな村長さんに感謝するのだった…。

 ラミアの事はお任せして、ラルク達の元に。入り口は何回も説明したりないほどに大騒ぎで大賑わい!!研究員たちやら、ハンター達やら、一般の人たちまで、入り乱れ♪♪麒麟でも貴重なモンスターがと騒いでいるところに、金銀の夫婦に卵!?ときたもんだ!! 研究員たち全員の目がギラギラギラ!!ノートは5冊ずつ用意し、柵の外側でキャンプをしている者までいる始末。

 

 「通してもらっていいかニャ!!」

 

 後方からそう叫ぶと一気に静まり返り、両側に避けてくれる。その出来た道を申し訳なさそうに歩いていく。

 

 「ニャ、すいませんニャ。通らせてもらうニャ。」

 

 2,3歩、歩きだした所で研究員の一人が手を叩き始めた。それが徐々に周りに広がっていく。

 

 「ニャ!?何ニャ!?」

 

 その場にいる全員からの拍手であった。前回のガムートやハンター達の事、今回の金銀夫婦、仲間のハンターの事、その事は武勇伝のように皆に伝わっていた。その事に感動し、自然と拍手が贈られるのだった。

 

 「よう!英雄の凱旋みたいだな!!」

 

 と前回助け、助けられたハンターが近寄って来た。

 

 「ニャ!?全然そんニャ事思って無いニャ。今回は仲間を守り切れにゃかったし…。」

 

 「さっき、手術が終わって村長さんの家に移ったラミアに会って来たよ。”あたいが怪我をしたら、マジキレて物凄く怒ってライゼクスをコテンパンにやっつけてたってな。凄く嬉しかった”だと。」

 

 「ニャ!?!?ラミアがそんニャ事を。」

 

 と、またまた顔を赤くしている。

 

 「ま、そんなあんただから皆から拍手を贈られているのさ。俺たちからしても命の恩人だしな。」

 

 「そんニャ事はないニャ。まだまだ修行が足りにゃいニャ。」

 

 「今はそこまで考えずに、皆に手を振ってやりなよ。いいかい、あんたはそれだけの事をしたんだからな!」

 

 と背中を押される白羅であった。白羅も照れつつも、手を振って皆に挨拶しながら入り口の中へと入って行くのであった。

 

 

 ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 

 金銀夫婦には小高い丘の草原地帯に巣を作り、そこに生活をしてもらうことにした。金レイアには卵を見つつ、傍で十分休んでもらい、銀レウスに食料を調達してもらう形で落ち着いた。

研究員達には申し訳なかったが、静かな落ち着いた場所で卵を孵化したいだろうと、その場所にすることにした。タマミツネにはをお礼を言い、金銀夫妻もお礼を言いに来ていた。竜語だったので白羅には内容は分からなかったが、時折、3頭とも白羅の方を見たりしていたので、自分が何を言われているのかもチョット気にはなった。しかし、それはそれ。悪い話ではないと思って、そこから離れた。

 

 「ラルク、ゴメンニャ。止めてくれて助かったニャ。あのままニャったらおいらライゼクスをどうしてたか分からにゃいニャ。やっぱり、おいらの相棒ニャ!」

 

 「クァァ♪♪♪」

 

 ラルクも嬉しそうであった。あの時の判断が良かったのかどうかラルクなりに心配していたのだ。白羅の言葉で気持ちが晴れていた。

 

 「一緒にラミアの所に行こうニャ。村長さんの家に移ったようニャ。」

 

 「クァ!?」

 

 ラルクも驚いて頷き返す。ラミアの事も心配していたので、白羅の背中を押して行こう行こう!を繰り返す。

 

 「よし、行こうニャ。」

 

 と一緒に歩き出す。

 

「ブルルルルル。」

 

 横から綺麗な姿の麒麟さんが姿を現した。

 

 「ニャ、どうかしたニャ!?」

 

 すると、ラルクに話しかけている。白羅も麒麟とラルクを交互に見つめた。

 

 「クァクァクァ。」

 

 ラルクが理解したようで、白羅に爪!?で村長さんの家を指!?爪!?指した。

 

 「ニャ!?麒麟さんも一緒に行ってくれるニャか?」

 

 問いかけると、頷き返してきた。白羅の傍に来て、背中に乗せていく素振りだ。

 

 「ニャ、ありがとうニャ。乗せてもらうニャ。」

 

 と麒麟の背にまたがって、村長さんの家に向かった。

 宅に着くと、メイドの女性が出迎えてくれた。そのままラミアの部屋まで案内してくれる。

 

 「失礼します。」

 

 とドアをノックして扉を開ける。部屋の中央にベッドがあり、ラミアはそこに寝かされていた。

 

 「あ~~!白羅さん!」

 

 白羅の顔を見て顔がパッと明るくなった。退屈していたのと、一人ぽっちだったので寂しかったのとで、沈んだ顔をしていた。ラルクは窓から顔を覗かせていた。麒麟さんは白羅についてきた。

 

 「あ、麒麟さんにラルクも。ありがとう!」

 

 「元気そうで何よりニャ。回復したら、また一緒に狩に行くニャ。」

 

 「うん、分かった。必ずね♪♪」

 

 「済まなかったニャ……。」

 

 「ううん、いいの。逆に嬉しかったし♪♪」

 

 「ニャ、ニャにがかな!?」

 

 「白羅さんがあたいの為にあんなに怒ってくれて♪♪痛かったけど、それ以上に嬉しかったの♪♪だから今度はあたしももっと強くなって、白羅さんをサポートするから一緒に連れてってね♪」

 

 「ニャ、勿論一緒に行くニャ♪こちらこそよろしくニャ♪あの時、ラミアが動いてくれたから卵は無事だったニャ。逆にこっちがありがとうニャ!」

 

 「え、あ、そんな…♪♪」(青春ですね~羨ましい限り…。こ、コホン!失礼しました。)

 

 逆に照れてしまうラミアであった。

 

 「で、その鎧はどうしちゃったの!?」

 

 「そうニャんだ。色が急に変わってしまったニャ。軽くニャったし、硬さもパワーアップしてる気がするニャ。」

 

 コテツも武者ネコ装備も白基調の赤いラインが入った武具に変化していた。形は、ほぼ元のままで。

 

 「凄くカッコイイんだけどね♪♪惚れ直しちゃったんだけど♪♪」

 

 「ニャ!?そ、そんニャ!?恥ずかしいニャ、照れるニャ!?」(こら~新婚夫婦の会話か~~!!)

 

 お互いに顔を赤くして、うつむいていた。すると、麒麟さんがベッドの横に来て、しゃがみ込む。

 

 「ニャ、どうしたニャ!?」

 

 麒麟さんが小さな雷を体から発生し、角に集中。その先からゆっくりと細めの稲妻が一本伸びて、ラミアの全身を柔らかく包み込んだ。白羅もラミアも驚いた。ラルクも外から凝視している。

 

 「あ、あ、なんか凄く気持ちいい…。痛みが和らいでいく…。」

 

 「ニャ!?す、凄いニャ!?麒麟さん大丈夫ニャか!?」

 

 麒麟も頷く。いわゆる、電気治療というやつだ。しかも、めちゃくちゃな贅沢の。

 

 「ありがとうニャ。寝藁を用意してもらえるように頼んでおくにゃ。」

 

 「あらあらあら、綺麗なお客さんがいらしていたなんて、どうして家の者は教えてくれないんでしょ。」(この前の事を思ってだと思いますが?)

 

「村長さん寝藁を用意してあげて欲しいニャ。」

 

村長も状態を見て、察してくれた。

 

「分かりましたわ、家の者に用意させますわ♪私を呼ばなかった罰に♪」(いや、麒麟さんに接触できる方が、嬉しいかと思われます。)

 

「ニャ、そのままで聞いてニャ。ラミアが復帰するまで、一度里帰りしてくるニャ。」

 

「へっ、里帰り!?」

 

「そうニャ。アイルー村ニャ!」

 

解説しよう!!:アイルー村とはかくかく、しかじかで…………。

 

「「「「「ニャにぃ~!!」」」」」(あなた方もなんですね…ウルウル。)

 

ラミアも一緒にいられると思っていたらしい。顔が曇ってしまった。

 

「ニャ!?そんなに心配しなくても大丈夫ニャ!すぐに帰って来るニャ!」

 

「ほんとに~~~!」

 

「ほんとに、ほんとニャ!」

 

「じゃあ、約束のチューして!♪♪」(こちらも負けてませんね♪)

 

「ニャ!ニャ!ニャ!そ、そんニャ!」

 

顔から湯気が立ち込めている。部屋がサウナになりそうな勢いである。

 

「ニャ!ニャてと。行ってみるかニャ。」

 

「え~!チューくらい良いじゃんケチ~~~♪♪」

 

「ニャ!こ、今度復帰祝いにニャにか用意するニャ!約束ニャ!」

 

「なんだ~、しょうがないっか~♪♪ま、白羅さんらしくて、そこも好きなんだけどね♪♪」

 

ぼっ!!と顔をゆでダコ状態で何も言えない白羅でありました。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

その場を麒麟さんにお任せして、ラルクと広場に戻ってまいりました。外の仲間達には、事情を説明して、納得してもらい、金銀夫妻は自力で食糧調達に。外の仲間達には何かと繋がりのあるハンターさんに、食糧調達を頼んだのです。

 

「おう!里帰りなら仕方ねぇよな。任せてくれ、ゆっくり行って来るといいぜ。」

 

「ありがとうニャ!」

 

「いいってことさ。このくらいじゃ、恩を返した内にも入らねぇ。」

 

「お願いするニャ!じゃ!ラルク!出発しようニャ!」

 

「クァァ♪♪」

 

颯爽とラルクの背に乗って、飛翔していく。その姿を研究者やハンター、村人に見送られながら快晴の中、心地よい風を受けて、アイルー村へと向かうのでありました………。

 

 

 

 




読んでくださり、ありがとうございます。
まだまだ白羅とラルクの周りには、書きたい物語が沢山ありますので、次話もまた楽しみにしていただければと思います。ではまた次話にお会いできることを切に願って……。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

里帰り♪♪②

 ながらくお待たせして…。皆さん凄い勢いで執筆されているのを感じながら、自身も気合を入れてと思いつつ、少しずつしか進まなかった事が現実でございました。申し訳ない…。
 ささ、やっと更新です。読んでやってくださいましね♪♪
 後ほど後書きにて。  物語の始まり始まり…。



広く広大な海の中に、島が見えてきた。ラルクの背に乗って、白羅がその島へとやって来た。小さな島ではあるが、年中平均に暖かく、わりとのんびりな平和な感じのする村であった。

アイルー村…白羅の故郷でもあり、アイルー達が暮らす島である。ここでの時間の使い道はゆっくりとしたものだった。

日向ぼっこするもの、採掘しに行くもの、魚釣りに行くもの、狩りに行くもの、食糧採取に行くもの、穴堀をするもの!?さまざまに時間をゆったりと使っていた。

 

「ニャ!ニャんだあれ!?」

 

と一匹のアイルーが、上を向いて叫ぶ!

すると全員がその方向を注目する。

 

「ニャ!あつ~~い視線を一杯感じるニャ、照れるニャ!」(相変わらずデスネ!)

 

「ニ"ャ~~~~!!セルレギオスニ"ャ~~~~!!」

 

一匹がそう叫んだかと思うと、全員飛び上がって慌てて右往左往して逃げ惑う。

 

「ニャ…あれはまさかニャ…。」

 

 そう言いつつ、その内の1匹が、飛来してくる所に走って行く。

白羅達は広い場所に着地した。背中から飛び降りる。

 

「ニャスト~~~!!!」

 

ジャンピングで杖を振り降ろして来る者が。

 

「ニャいさ~~~~!!!」

 

と白羅もコテツを抜いてその杖を受け止める!いい金属音が響いて、両者押し合いになって顔を見合わせる。

 

 「ニャっほっほ!また腕を上げたニャ……。」

 

 「村長も相変わらず衰えてないニャ…。」

 

 お互いにニヤリと笑いガッツリとハグをする!その行動に、緊張が走った周りのアイルー達やラルクは拍子抜けしてしまった。長い白髭を生やしたじいちゃん猫だが、体は鍛えている様であった。

 

 「あ、あれ、白羅さんニャ!」(そうなんです。)

 

 「ニャ、ニャンか変わったかニャ!?」(色々とありまして…。)

 

 「ライダーにニャったか!?」(いえいえ、滅相もございません。)

 

 「欲しいニャ……。」(目がギラついてらっしゃいますが!?!?!?)

 

 アイルー達が噂をする中、白羅が村長にラルクを紹介する。

 

 「紹介するニャ!友達のラルクニャ!他にもいるニャが大の親友ニャ!」

 

 「クァァ。」

 

 「ニャっほっほ。親友ニャか。頼もしい友を持ったもんニャ。歓迎するニャ。ゆっくりしていくといいニャ。」

 

 「ありがとうニャ。話が分かるニャ、流石ニャ!」

 

 「ニャっほっほ。何も出ないニャよ♪」

 

 「ニ゛ャ~~~~!!白羅!!貴様いつ帰ってきたニ゛ャ!!!」

 

 と爪を指す1匹のアイルーが。獰アグナネコメイルと、獄炎剣ネコブレイドを装備し、敵対意識満々で、怒鳴ってくる!

 

「ニャんだ、アラクニャか。」

 

「ニャんだとはニャんだ!オレより弱かったくせにニャ。」

 

「ちょっと待つニャ!お前にいつ負けたニャ。聞き捨てならないニャ!」

 

「ほう、ニャらば今決着をつけるニャか?」

 

「臨むところニャ!」 

 

お互いに剣を抜いて、にらみ合いになる。

 

「これこれ、やめときニャさい!」

 

 村長が制止するも、辞める気が全くない。と、アラクの方が先に動いた!

 

 「ニャァァァァァ!!」

 

 ネコブレイドを振りかざし、白羅めがけて一撃を繰り出す!

 

 「ニャ!!来いニャ!!」

 

 とコテツで向かい打つ!剣と剣がぶつかり合うその瞬間!横から間を割って入って来た剣が!?

 

 「「ニ"ャ!?」」

 

 獰灼炎のブレイニャーと獰レウスネコメイルを装備し、見事な動きでブレイニャーを間に入れ、双方の剣を受け止めていたのだった。

 

 「ニャ~~~♪♪灯羅《とうら》ニャ♪♪」

 

 「久しいニャ白羅。」

 

 「アラク~~~、あたしの白羅にニャにかあったら承知しニャいよ…。」

 

 「ニャひっ!!」

 

 アラクの後ろから声がした。声の主が分かってアラクが直立していた。

 

 「ニャ!!姫沙羅《きさら》ニャか!!久しぶりニャ♪♪」

 

 「はぁ~い♪♪ニャ~リン♪♪会いたかったニャ~~~♪♪」

 

彼女も灯羅と同じ武具であったのでアラクは後ろから切られれば丸焦げになる可能性も。しかも、即抜刀出来る手練れなので、硬直していて抵抗出来よう筈もなかった。

 

白羅は剣を納め、灯羅と握手を交わしていた。

 

「元気そうで何よりニャ。」

 

「白羅こそ。いつ戻って来たニャ?」

 

「びゃ~くら~~~♪♪♪」

 

「う゛ニャ!?」

 

いきなりガバッと姫沙羅が白羅に抱きつく!有無を言わさずハグをされまくって、顔から湯気が出始める。

 

「おいらもうだめニャ~~」(そこまで純情ですか!)

 

お熱急上昇で、気を失ってしまった。

 

「ニャ!?ニャ!?白羅!?ちょっとニャ!?」(手強いのはモンスター!?それとも!?)

 

「やれやれニャ。姫沙羅の溺愛にも困ったもんニャ…。」(心中お察しします。)

 

さすがの灯羅もこればかりは……と頭をポリポリ掻いていた。

そんな白羅達の様子をよそに、1匹の女の子のアイルーが、ラルクの傍にやって来た。恐くないのか、生肉のご馳走を携えて。

ラルクもそのアイルーを見る。

 

「びゃ、白羅さんのお友達ニャか?」

 

「クァァ。」

 

「こ、これ、食べれるニャか?」

 

とラルクの目の前に置く。

 

「クァァ。」

 

美味しそうに食べたので、アイルーの顔に笑顔が浮かんだ。

 

「わたしはミレリ。よろしくニャ。」

 

「クァクァァ。」

 

「ミ、ミレリ!?ミレリニャか!?」

 

復活した白羅が、驚いて話し掛けてきた。

 

「久しぶりニャね、白羅。」

 

「久しぶりニャ。元気そうで何よりニャ。ま、村長も元気ニャったが。」

 

「そうニャ。父も元気ニャ。」

 

「ミレリ、来てたのニャか。」

 

「ニャ、灯羅兄さん…。」

 

「ニャ~~~!ミレリズルイニャ~~、白羅と話をするニャんて~~。」(あなたもかなり積極的だった気が…。)

 

「姫沙羅に羽交い締めにされたニャ…。」

 

「ニャんだ~!スキンシップニャよスキンシップ!まだ序の口ニャよ。」(やはり手強い猫さんです。)

 

「おいらの親友のラルクニャ。村長には紹介したニャ。」

 

「ラルクニャ………。」

ミレリも目の前でセルレギオス…飛竜を見られるなど、初めてのことだった。

 

「ミレリは恐くないニャか?」

 

「ニャ、最初は恐かったニャが、意外と優しいニャ。」

 

「そうニャ、しかも賢いニャよ。」

 

「ニャ、そう思うニャ。」

 

「あたしも負けてニャいけどニャ~~~。」(特定生物に限ってと思われますが!?)

 

「欲しいニャ……………。」(いや、どこから出てきたの、このアイルーさん!!)

 

「ニャっほっほ、皆の衆今宵は宴じゃミレリとの婚約祝いを兼ねてニャ!!」

 

「ニャ~~~!!そんなことは誰も言ってないニャ~~!!」

 

と、村長に負けない程の大声を上げる。

さすがにミレリも顔をピンクに染めてうつむいてしまっていた。

 

「そうニャ、そうニャ!あたしの白羅を取らないで欲しいニャ!」(あなたの物にもなってませんが!?)

 

「ニャほほ~、おぬしも隅に置けんニャ。」

 

「ニャ、そ、そんなことはないニャ。」

 

としどろもどろ。村長も笑いながら、白羅の肩を軽く叩く。

 

「ニャぁいいニャろう。色恋は当人達に任せるニャ!それとは別に宴をするニャ!」

 

「「「「「ニャ~~~!!!」」」」」

 

さすがはアイルー達♪お祭り事は大好きなようで。デカイマグロは釣ってくるわ、ぽぽさんのお肉やタン、茸類や、サザミエキスをふんだんに使った料理が並べられていった。

夜が星を連れてやって来た頃、白羅とラルクの歓迎会がスタートしたのでありました。

 

「では皆の衆、乾杯ニャ!」

 

「「「「「ニャ~!!」」」」

 

皆一斉にビールを飲み干す!

 

「ぷニャ~~~!!皆で飲む酒は最高ニャ!」

 

片手にジョッキを、片手に肉を持って舌鼓…。

マグロの切り身の早食い競争まで勃発する始末。

 

そんな皆の様子を楽しみながら、白羅は村長にある質問をしていた。

 

「村長、おいらの装備が急に変わったニャが、何か知ってるニャか?」

 

「ニャ、分かるニャ。それは白火《びゃっか》の装備ニャ。一般には一切出回らない物ニャ。何かをきっかけに、パワーアップするニャ。攻撃力、防御力ともに数段アップしているニャ。どうしてそうニャるかはわからニャいが、古き言い伝えの1つニャ。」

 

「白火の装備ニャか…。」

 

まじまじと自分の装備を見つめなおす。そんな貴重な物になっているとは露知らず。

 

「白羅~~~、飲んでるニャか~~~~♪♪」

 

姫沙羅が、白羅にしなだれてきた。

 

「ニャ、酔っ払ってるニャ!?」

 

「そう~ニャ~♪白羅に介抱してもらおうと思ったニャ~♪♪」

 

ごろニャん♪モードでさりげなく、アタックしている!

 

「わたしもいいニャか…」

 

「ニャ!ミレリもニャか!?」

 

返事をする暇なく、反対側からしなだれてきた。

女性二人に 絡まれるとはなんて贅沢でしょ。

 

「ニャっほっほ、娘を泣かせたら承知しニャいからニャ。」

 

「それをおいらに言うニャか!?」(少しは観念しないと♪)

 

 「灯羅さんかっこいいニャ。」(一応、2枚目役ですが!?)

 

 「姫沙羅さんいい女ニャ。」(獰火傷しないよう忠告しておきます。)

 

 「ミレリちゃんも捨てがたいと思うニャ。」(父上にご用心を。)

 

 「ラルクさん乗せてくれにゃいかニャ?」(仲良くなることから始めてみては!?)

 

 「欲しいニャ……。」(そのこだわりを聞いてみたいのですが!?)

 

 何やら奇声!?や罵声!?が島中に飛び交ってやんや、やんやの大騒ぎ!!お月様が傾くまで宴は続くのでした…。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 白羅が目が覚めると、村長宅の部屋の1つにベットの上で寝かされておりました。

 

 「ニャ…。飲みすぎたかニャ…。」

 

 と布団をはぐると………………。

 

 「!?!?!?!?!?!?」

 

 両脇に見慣れた2人!?の顔が!?2人ともスヤスヤ気持ちよさそうに寝ておられるのでありました。

 白羅は頭から脂汗をたらたらと流しながら、恐るおそる抜けようとしましたが、

 

 ”ジャラ…。”腕の片方ずつ、鎖で繋がれている状態に気付き、2人が目を覚ましてしまいました。

 

 「白羅おはようニャ。」

 

 「やっぱり好きな男と寝るのは最高ニャ。」

 

 「助けてニャ!!~~~~~………………。」

 

 「ニャっほっほ。家は防音設備ばっちりじゃてニャ。」(あなた、どこに力を入れてると!?)

 

 が、しかし白羅もそこで落ちはしなかった。見事に切り抜け、村長宅から脱出したのである。

 

 「ニャほっ!!おヌシどうやって出られたニャ!?」

 

 「ニャ~~恥ずかしかったニャ~~~。村長の企みには引っかからにゃいニャよ。」

 

 「さすがはワシの見込んだ奴ニャ。これはニャンとしても物にしニャいとならぬな。」

 

 「そう簡単にはいかニャいニャよ。」

 

 「ニャ、灯羅ニャか。」

 

 「白羅には主人を見つける目的があるニャ。それに仲間もいるニャ。ほっとける訳ニャいニャ。」

 

 「ニャ!!あたし付いてくニャ!!」

 

 「あ,あたしもニャ!」

 

 「ニャ!?ミレリまでニャ!?」

 

 灯羅もさすがに呆れて笑ってしまった。

 

「ニャ、ニャ、ニャ。妹といい、姫沙羅といい、ニャんで白羅が好きなのか分からにゃいが、俺の仲間でもあるしニャ。俺もついて行くニャ。」

 

 「ニャ、ワシだけ置いてけぼりニャか。寂しいニャ……。」

 

 「いつでも来れるニャ。今度は仲間たちを連れて来るニャ。一杯いる方が楽しいニャ!それまで待っててニャ!!」

 

 「分かったニャ。いつでも大歓迎ニャ!お前たち、負けるでニャいぞ!!」

 

 「「ニャい!!」」(何の約束だか…。)

 

 「クァァァ!!」

 

 「ニャ、大丈夫ニャか、4匹ニャよ。」

 

 「クァ!!」

 

 ラルクが余裕と乗せてくれるらしい。

 

 「ニャった!ありがとうニャ!」

 

 と早速、姫沙羅が一番手に乗り込む。

 

 「よろしくニャね!」

 

 とミレリが2番手に。

 

 「これからよろしくニャ。」

 

 と灯羅が3番手に。

 

 「ニャ!出発ニャ!村長も元気でニャ!!」

 

 と最後に白羅が乗り、ラルクが翼を広げて舞い上がる!

 

 「また来るニャ~~~~~!!!」

 

 「子供と来るのを楽しみにしてるニャ~~~!!!」

 

 「そこニャか~~~!!!」

 

 と、ユクモ村のみんなの待つ地へと空高く飛翔するのでありました…。

 

 ※(お、俺ってどうしたらいいニャ……。)1匹、直立で取り残されているアラク君でありました。(合掌。)

 

 

 

 




 読んで頂いてありがとうございます。
 白羅も大変でございます。また仲間が増えましたので、どんなことになるのやら。
 次話も楽しみにしていただけると幸いです。更新がまちまちなので申し訳ないですが。
 では次もお会いできることを切に願って…。

 


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新しい生命達①♪♪♪

お・ま・ち・ど・う……………………さまでした!!
日にちがかかってしまったこと、大変申し訳なく…。やっとの更新でございます。今回も2話に分けてございます♪前座のような感じになってしまいましたが、読んでやってくださいまし!
では、物語の始まり始まり……♪♪



そんなこんなで、3週間以上が過ぎ(そんなに遠かったでしょうか!?)小さな雲が流れ行く青空のもと、白羅ご一行は、ユクモ村に向かって飛んでおりました。(ラルク君、大丈夫かな!?)

 

「あとどれくらいかニャ。」

 

 「あともう少しニャ。」

 

 「ニャ、どうやってラルクと出会ったニャ?」

 

 姫沙羅が、興味津々で聞いてくる。

 

 「そうニャァ…。かくかくしかじかニャ。」(2話と3話にてご覧いただければ♪♪)

 

 「「「ニャァァァァるほどニャ…。」」」(本当に分かったのでしょうか?)

 

 「ニャからラルクに再会出来たのも、何か意味があるニャ。おいらはそれを大事にしたいニャ。」

 

 「クァァァァァ。」

 

 ラルクも同じ思いで返事をしていました。

 

 「いいニャァ…。」

 

 「ニャ、ミレリ。どうしたニャ?」

 

 傍に居た灯羅が、寂しそうな顔をしているミレリに話掛けた。

 

 「だって、こんなに仲がいいんだもん。わたしもなれるかニャァ?」

 

 「それは、大丈夫ニャよ。白羅はホントにいい奴にゃ。自分の信頼している者をほっとけない質ニャ。お前もなれるニャ!なれるように頑張るニャ!」

 

 「ニャ、分かったニャ。頑張ってみるニャ!」

 

 「その意気ニャ!」

 

 「ニャンの話ニャか?」

 

 白羅が後ろを向いて灯羅達の話に入ってきた。

 

 「ニャンでもないニャ。それより、気を付けニャいと襲われ兼ねんニャ。」

 

 「ニャァ~~り~~~ン!!」

 

 「う”ニャ!ちょ、ちょっと待つニャ!やめてニャ~~~!!」

 

 姫沙羅に抱きつかれ、動揺しまくる白羅に、

 

 「言わんこっちゃないニャ…。」

 

 とその様子を見ていたミレリもクスッと微笑んでいるのでした。

 

 心地よい風といろんな形に変化しながら流れていく雲を眺めながら、(2匹は違いますが。)一行は大陸のユクモ村へと飛んで行くのでありました。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 「お、おい!空を見ろ!」(帰ってきました。)

 

 「鳥か!?」(違います。)

 

 「UFOか!?」(未確認飛行物体を知っているあなたって!?)

 

 「ア○パ○マンか!?」(あなたのお友達なら驚きです!?)

 

 「「「「「白羅さんだ~~~!!」」」」」(やっと気付いてもらえたんですね♪)

 

ユクモ村の白羅の仲間たちがいる広場前にいた全員が、叫んでいた。嬉しさに泣き出す者もいる(それは……!?♪)

 

 「お~~~い!みんニャ~~~!!ただいまニャ~~~!!」

 

 大きく両前脚を振って下に見える者達を確認する。みんな手を振り返していて、数人慌てて村の中へと走って行く姿が。

白羅達が、広場の入口近くに着地する。それをめがけて、猛ダッシュで走って来る3人の美女達が。

 

「まぁまぁまぁ、帰って来るなら連絡下さいな。はぁはぁ、お迎えにあがりましたのに。ふぅ。」(いえ、色々ありまして…。)

 

「お帰りなさい、ハァハァ♪あなたが居なくて、寂しかったんですよ♪ハァハァ。」(そんな羨ましいことを言われるとは…)

 

「もぅ、ダメ。ふぅふぅ、研究対象が居ないと、ストレス溜まりっぱなし!はぁふぅ。」(あなた専用じゃ………ないんですよ~♪♪)

 

「た、ただいまですニャ。おいらの仲間たちを連れて来ましたニャ。」

 

「初めましてニャ。灯羅と言いますニャ。よろしくお願いしますニャ。」

 

と白羅の横に立ち、お辞儀する。

 

 「あら、あなたはもしかして、ギルドナイトさんの!?」

 

 「さすが、村長さんですニャ。そうですニャ、こっちの姫沙羅と一緒にギルドナイト様と行動していましたニャ。」

 

 「ニャ~、呼んだかニャ~。」

 

 姫沙羅も白羅の腕にしがみ付きながら返事をする。

 

 「ニ”ャ!離れるニャ!」

 

 「いいニャ~!減るもんじゃニャいニャ~!」(一番大胆かも♪)

 

 村長さんも、すこ~し片方の眉を吊り上げつつ、冷静に言葉を使う。

 

 「で、何故、白羅さん達と一緒なのですか?」

 

 「はいニャ。私の妹のミレリが一緒に行くと言い出しましたニャ。我らもナイト様と今、別行動をしてますニャ。ニャので、また白羅とクエストを共にしようと思いましたニャ。」

 

 「え、また白羅さんと…って、一緒にクエストをしたことがあるんですか?」

 

 受付嬢も初めて聞いたようで、聞き返してきた。

 

 「そうですニャ。昔、我らも白羅の雇い主に雇われていましたニャ。雇い主が居なくなってしまってからは、別々にニャってしまいましたニャ。」

 

 「そうニャ~、ニャン年ぶりかニャ~。」

 

 「白羅が更にいい男にニャってるから益々惚れちゃったニャ~~~。」(お、これは、かなりの挑発!♪)

 

 3人の美女達が眉間に血管を浮き上がらせているのを見て、殺気を感じ取り、腕を払って話を変えていく。

 

 「ニャ!早速、広場に案内するニャ。皆を紹介するニャ。ラルクと行っててニャ。」

 

 「分かったニャ。ミレリ、姫沙羅行こうかニャ。」

 

 「ニャ~~、白羅と行くニャ~~。」

 

 「駄目ニャ。ついてくるニャ。しつこいと白羅に嫌われるニャ。それでもいいニャか!?」

 

 ビクッと背中の毛が逆立つ。流石に嫌われるのは嫌なのだろう、諦めて灯羅について行く。

 

 「早く戻って来てニャ。ニャ~り~ン♪」

 

 と、手を振りながら灯羅達について行くのでした。

 

 「ニャフウ。疲れたニャ。」

 

額の汗を拭いながら、話を進める。

 

「心配かけてすみま………………!?」

 

 3人の美女たちが、もの凄い形相で白羅に迫って来る!思わずたじろいでしまった。

 

 「あの猫は何ですの。」(姫沙羅さんです。)

 

 「白羅さんとどうゆう関係ですか。」(普通に、仲間ですが!?)

 

 「子供はいつ生まれるの?」(そのような事になればご報告しますが!?)

 

 「「子供!?!?!?」」(そこに食いつきますか♪)

 

 「ニャ!!そのような事実はニャいニャ!!」(相変わらずモテル男は辛いですね♪)

 

 「本当に何もないんですね!?」

 

 「ほ、本当ニャ。信じてニャ。信じてくれないニャか?」

 

 3対1で見つめ合う。その真剣な眼差しに、美女たちが折れる事になった。

 

 「分かりました。貴方の事です。大方、姫沙羅さんの強引な誘惑でしょう。白羅さんを信じます♪」

 

 「あ、ありがとうニャ!!」

 

 「そうですわね。白羅さんが、そんな色ネコじゃなかったですものね♪」

 

 「そうねぇ、でも子供が出来れば研究対象が増えると思ったのに。」(そこまで行き着けば、大したものです♪)

 

「ニャ、ニャんて事を………。」

 

白羅も照れてしまい、うつむいてしまうのでした♪

 

「今度、4人で食事しようニャ♪嫌ならいいニャが…。」

 

「「「行きます!!」」」(当然、そうなりますよね♪)

 

「よ、良かったニャ。近いうちに日にちが決まったら教えてニャ。」

 

「いいですわ♪お約束ですわよ♪誰が物に出来るか、勝負ですわ!」(いや、そういう意味ではないかと…。)

 

「ニャ…、ニャンか主旨が違う気がするニャ…。」

 

 冷や汗1つ垂らしながら、一先ず落ち着いたことに安堵する白羅なのでした …。

 

 「た、た、た、大変です!!」(毎度、おったまげて頂いて大変感謝♪)

 

 「どうしました!?」

 

 「びゃ、白羅さんに伝言です!!金銀レイア・レウスの卵が孵りそうとのことで至急戻って欲しいとの事です!!」

 

 「ニャ!?ニャンと!!分かったニャ!すぐに行くニャ!!」

 

 「幼体が生れるですって♪♪♪」

 

 流石、眼鏡美人のお姉さん反応が早い♪♪目をキラキラさせながら白羅を見つめている。研究者にとって、希少で貴重な事だけについて行く気が満々である。いざとなったら助けになるだろうと白羅も一緒に行く事を促す。  

 

「分かったニャ!一緒に来てニャ!万が一の時は助けてほしいニャ!」

 

「わ、分かったわ!行きましょう!」

 

先程の好奇心の目から、真剣な眼差しに変わっていた。確かに普通の竜の卵ではない。無事に生まれてくるかも分からないのだ。

元気に生まれて来て初めて研究対象と言える。流石に顔つきも引き締まっていた。1匹と1人は美女2人を残し、広場へ向かって走り出した…。

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

入口に辿り着くと、留守をお願いしていたハンターが駆け寄って来た。

 

「白羅さん!早く!金銀夫婦のところへ!卵が動き出してるぞ!急がないと、立ち会えなくなる!」

 

「了解ニャ!お姉さんこっちニャ!」

 

「うん!」

 

広場の入口から、結構奥の高台まで走って行く!が、お姉さんの方が体力負けで、まして上り坂であるために、更に消耗が激しかった。途中で立ち止まってしまった。

 

「びゃ、白羅君ちょっと待って……。」

 

「ニャ!?大丈夫ニャか?」

 

とその時、お姉さんの目の前に忽然と姿を現す物が。

 

「な……、き、麒麟……。」

 

「ニャ!?麒麟さんニャか!久し振りニャ!」

 

麒麟はお姉さんの方を向いたまま、頭を下げて背中に乗るように促してくる!

 

「え、いいの!?」

 

「良かったニャ、認めてもらえたのはラミアに続いて二人目ニャ♪」

 

「そ、そうなの!?」

 

と、驚いているのをよそに早く乗れと催促してきた。

 

「乗ってニャ!すぐに向かうニャ!」

 

「う、うん!分かった!ありがとうね♪」

 

「ブルルルル。」

 

それでも恐る恐る麒麟の背にまたがる。すると頭を上げて、走り出す!慌てて縦髪を掴む!

 

「キャッ!ちょ、ちょっと!待って~~~~~……………!?」

 

「ニャ!?速いニャ!おいらの方が置いてきぼりニャ!待ってニャ~~~!」

 

突然の生物に、翻弄されつつ、金銀夫婦と卵の待つ、高台の頂上へと急いで向かうのでありました♪♪

 

 

 




読んでいただいて、大変ありがとうございます♪次話は大変稀少かつ貴重な卵が孵ります♪白羅の周りにまた新たな仲間たちが増えることになります。(本当にモンスターパークになりそう……。)
なので、頑張って執筆していきますので、よろしくお願いいたします♪♪
では次話にお会いできることを切に願って♪
紅龍騎神でした♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新しい生命達②♪♪♪

今回は地味~に更新します。いつぞやのように、お待たせ日数が長かったりと、申し訳なく。今回少しでも何とかしたいと、執筆しておりました。
ささ、私の情けない話はこの辺で。本編を読んでやって下さいまし。後程後書きにて。
それでは物語の始まり始まり。



気高い緑の高台の頂上に夫婦と卵がいた。

ライゼクスという雷属性の竜より助け出され、保護されたおかげでそこに住むことになった。その卵が孵ることは夫妻だけでなく、関わった者も気にしている事であり、貴重な、そして喜ばしいことであった。

そこに、1人と1匹と1頭が駆け込んで来た。

 

「ニャ!産まれちゃったかニャ!?」

 

「い、いえ、まだみたいよ。でも卵は揺れてるわ。」

 

麒麟さんにお礼を言い、卵の傍に寄る。白羅も金銀夫婦の顔を交互に見ながら頷きあっていた。

 

「た、卵が割れだしたニャ!?」

 

3個の卵の内の1つが、動きが増して、一番上側にヒビが入る!パキパキ、パリパリと音をたてながら嘴で殻を割ってくる!

 

「「おぉぉ………。」」

 

やがて殻が半分程まで割れて、顔を出してきた。夫婦を含め、みんなで覗き込む。まさに産まれたての幼体。顔は大きめ、四肢や羽根は小さく、柔らかそうな顔つきをしている。全体に白金の体躯で夫婦にある紋様が混じった状態で入っていた。

 

「クェ!」

 

周りみんなを見回し、夫婦を確認すると、鳴き声を上げて足元へともたつきながらも寄って行き、レイアの脚にすり寄っていた。

 

「二つ目の卵も!」

 

同じように卵が揺れて、一番上からヒビが入っていく。中から可愛い嘴で殻を割っていく。2匹目が顔を出してきた。

 

「へぇ♪」

 

今度は体躯は同じ幼体で、白銀の体色に金のストライプ模様が入っている。紋様は一匹目と同じである。同様に、レイアの脚にすり寄っていた。

 

「さ、最後の卵ニャ。」

 

3つ目の卵が動き出す。が、ちょっと違う動きになってきた。

 

「え……。」

 

「ど、どうなってるニャ!?」

 

心配そうに見ていると、突然殻が上下半分に割れ、殻を被ったまま上体を起こしていました♪

 

「ニャ、ニャんと……。」

 

白羅は早速殻を取り除きます。すると、不思議そうな顔つきで、白羅を見つめていました。体躯は勿論先程の2匹と一緒です。紋様も同じ。違うのは真っ白な体色に朱色のラインが入っていました。

幼体は、夫婦を交互に見ながら、ニコッと微笑んだ様でした。それを見た夫婦も、2頭同時に頷いていました。

白羅を含め、他のもの達にはなんの事か分からずにおりました。しかし、次の行動で理解出来たのでした。その幼体は白羅に飛び付いたのです!

 

「ニャ!?ちょ、ちょっと待ってニャ!?ニャ♪ニャ♪ニャ♪ニャ♪くすぐったいニャ~~~♪」

 

顔を舐められるわ♪頬ずりされるわ♪で、白羅は笑いコケておりました。その様子を金銀の夫婦は微笑ましく、見ておりました。

 

「え、なに、この子を白羅さんに預けるの!?」

 

眼鏡美人のお姉さんが、様子を見ていて何気に金銀夫婦に聞いていました。

 

「ニャ、ニャに!?」

 

笑っていた白羅も驚いて、夫婦の顔を見ます。それに対し、夫婦は頷いていました。その子を預けると……。

 

「そ、そんニャ…。いいニャか、おいらニャんかで……。育てられるかどうか自信がないニャ…。」

 

「クァァ!」

 

その時、励ましてくれたのは他でもない、セルレギオスのラルクでありました。周りみんなを爪を指していきます。白羅もそれに習って、見渡していくと皆、納得して頷いていました。

 

「分かったニャ。この子はおいらが責任をもって育てるニャ。ニャ!?ニャ前を決めニャいとニャ。ニャにがいいかニャ~~~。」

 

「銀坊はどう!?」(大人になってもその名前でいきますか!?)

 

「じゃ、シ〇アは?」(機○戦士ガ○ダムの有名キャラを知っていらっしゃる♪)

 

「じゃあ、コ〇ンは?」(名探偵になれるかどうか分かりませんが!?)

 

「そうねぇ、孫〇空はどうかしら?」(神モードに…。なっちゃうんでしょうか♪)

 

「ダメニャ。まだまだニャ。し○のすけはどうニャ?」(あなたのが一番危ないかと♪)

 

「焔羅《えんら》はどうかな?」

 

白羅の後ろから、聞き覚えのある、うれしい声が。

振り向くと、一人の女性ハンターが、立っていた。

 

「ラ、ラミア………。」

 

「お帰りなさい♪白羅さん。」

 

白羅はラミアの両手をとり、涙をぼろぼろ流していた。

 

「よ゛がっだニ゛ャ~~~~♪♪」

 

「白羅さんのお蔭だよ♪」

 

「なにもしてないニャ…、なにも出来なかったニャ………。」

 

「そんな事ないよ、白羅さんに出会ってなければ、麒麟さんの電気治療もなかったし、ラルクや他の仲間たちとも、仲良く出来なかったと思うし。」

 

「動いていいニャか?」

 

「うん♪大丈夫、狩りにも行けるし、白羅さんを抱き締めることも出来るし♪」

 

「ニャ、ニャ、ニャにを…………。」

 

と、顔を茹でダコにしてうつむいてしまった白羅を、ラミアが優しく抱き締める。

 

「ニャ!ラ、ラミア……。」

 

「また一緒にクエストに行ってくれる?」

 

耳元で、話し掛けられ、白羅も顔が明るくなった。

 

「勿論ニャ!嫌でも連れて行くニャ!覚悟しとくニャ。」

 

「良かった、ありがとう♪」

 

白羅を抱き締めたまま、ラミアの肩が震えていた…。白羅もしばしの間、ラミアを抱き締めていた…。

 

「クェ!」

 

そのしばしの沈黙を破ったのは、紛れもない白羅になついている幼体である。

白羅もラミアも幼体の方を向いて、幼体に話し掛ける。

 

「ラミアのニャ前がいいニャ。どうニャ?焔羅《えんら》でいいニャか?」

 

「クァァ!」

 

名前を付けられたのが、嬉しかったのかラミアにもなついていた。

 

「可愛いい、焔羅、これからよろしくね♪」

 

「そうニャ、よろしくニャ!」

 

「クァァクェクルルルル!」

 

ラルクもよろしくとばかりに、声を掛けていた。また新たな仲間たちが誕生した瞬間だった。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

金銀夫婦もその場所で、2匹の幼体を育てることにし、白羅達も焔羅も勿論、自分たちの住む場所を確保しなければと、広場内に家を建てることにしたのです。

 

「え~~~~~!!家で良ければ使ってもらって構わないですのよ!考え直して下さいな。」

 

村長も驚いて、引き止めようとする。

 

「ニャ、有難いですニャが、ラルクや焔羅までもとニャれば、そうもいかないと思いましたニャ。決して村長さんを嫌いになった訳じゃないニャ。」

 

 「で、でも…。」

 

 「大丈夫ですニャ!いつでも会えますニャ!さっきの約束を忘れましたニャか?」

 

 と白羅もにこやかに村長さんを見る。すると、納得したのか威勢が良くなった。

 

 「わ、忘れてなどいませんわ!!貴方を決して諦めたわけではありませんもの。」

 

 「ニャらば良かったですニャ。」

 

 とほほ笑む。

 

 「っもう。」

 

 村長さんのほっぺが少し膨らむ。だが、心の底から怒っていない事は照れた顔から想像できた。

 

 「分かりました。ユクモの木や堅木は揃えましょう。あと必要なものがあれば何なりと言ってください。」

 

 「あ、ありがとうニャ。」

 

 「ただし…。」

 

 白羅の顔に村長さんが顔を近づけて真顔になる。その迫力にたじろぐ白羅君。

 

 「ニャ、ニャンでしょうニャ!?」

 

 「家が出来たら、真っ先に紹介してくださいな。ラミアさんとラブラブなんて事にならないように…。」

 

 「ニャ!!ならニャいニャ!!」

 

 「ニャら、あたしはいいニャね~~~!」

 

 と姫沙羅が白羅の腕に飛びついてくる!それで、村長さんの眉間にしわが寄った。白羅も反応が早かった!

 即座に腕を抜いて、直立不動の状態に。それを見ていたラミアが笑い出した。

 

 「クスクスクス…。白羅さんの怖いものって意外とモンスターじゃないかも♪♪フフフフフフ♪♪」

 

 「ラ、ラミア、ニャ、ニャにを…。」

 

 直立のまま、顔を真っ赤にして上を向いていた。その姿に村長さんも噴き出してしまった。

 

 「ほほほほほほ、白羅さん噛みついたりしませんわ。私だって広い心を持っているのですから♪♪」(そこが一番怖い気もしますが!?)

 

 「かなり大きい家になりそうな気がするニャが!?」

 

 灯羅が皆のサイズを想像して話しかけてきた。

 

 「そうニャ、3階建てにはなりそうニャが。」

 

 「さ、3階建て!?」

 

ラミアもそれには驚いた。

 

「そうニャ。1階にはラルク達が休める部屋にするニャ。2階と3階はおいら達の住む場所ニャ。3階の方にそれぞれの寝室ニャ。2階は、リビングニャ、食卓ニャ、おふろニャ、と色々ニャ。トイレは1箇所ずつ設けるニャ。

おふろも少し大きめに作るニャ。ニャんかワクワクしてきたニャ!」

 

「でもどうやって資材を運んで来るの!?」

 

 「ニャ、木の切り出しはディノバルドにお願いするニャ。運ぶのは勿論ガムートにお願いするニャ。」

 

 「で、建てるのは!?」

 

 「おいおい、用事ってなんだよ。せっかく解放されてクエストに行こうかと準備してるときに。」

 

 「ニャ!申し訳ないニャ!報酬ははずむニャ!手伝って欲しいニャ!」

 

 「手伝うったって何を。」

 

 「広場に家を建てるニャ。それを手伝って欲しいニャ。」

 

 「ほ~う。家を建てる~、大したもの…。って!何ぃ!!!」

 

 「あの仕事さばきといい、腕さばきといい、毎回感動してるニャ!是非お願いしたいニャ!」

 

 「しかしなあ、他にいっぱい本職がいるだろうが!?」

 

 「「「「「お願いします!!」」」」」

 

 アイルーもハンターもモンスターも受付嬢も…。みんながそのハンターさんを見つめていました、いやいや、注目です。

 

 「あ~~~もう!!分かったよ!やりゃあいいんだろ!!その代わり報酬は高いからな!!」

 

 「ニャった!!ありがとうニャ!!」

 

 ハンターと両手で握手する!ハンターも苦笑いするしかなかった。

 

 「どうしてこいつらとこんなに縁があるんだろ?」(今後ともよろしくです♪)

 

 「ニャ!そういえばニャ前を聞いて無かったニャ!教えてニャ!」(確かにそうですね!?)

 

 「ん!?俺か!?俺の名前はラザックだ。よろしく。」

 

 「ニャ、よろしくニャ、ラザック。」

 

 「あたしも何度か一緒にクエスト行ってるけど、名前聞いたのは初めてかも。」(今さらですか!?)

 

「ま、恩人の頼まれ事だ♪出来る限り、立派に作ってやるよ♪本職じゃないがな♪」(いえいえ大丈夫ですよ♪)

 

「いいニャ!こっちからのお願いニャし、信頼してるニャ!」

 

「分かった!じゃあ、ディノバルドと、ガムートを借りるぜ!こっちも人手を集めてくる!」

 

「了解ニャ!頼んだニャ!」

 

お互いにハイタッチで、動き出す。流石、応急で急ぎのソリ等を作ったハンターである。周りにすぐさま指示を出しながら、人あつめとモンスター達を同時に進行していく。

白羅もやっぱりと納得して頷いていた。

 

「職業変えた方が…。」

 

「シッ!」

 

と白羅が爪を立ててウィンクしていた。

了解とばかり、手でオッケーサインを作り、ラミアもウィンクを返していた。

 

「クァァ!」

 

「クルクルクル♪」

 

と、後ろの1匹と1頭がそのやり取りを見て、やきもちを妬いているのでありました……。

 

その時、更に後ろの方で、様子を見ていた麒麟さんが何かを感じ取りその方向を振り向いていました。その方向には、タマミツネが…………。はたまた白羅に波瀾の予感!!

 

 

 




毎回感謝ですが、読んで頂けてありがとうございます♪
次話の執筆も前略…じゃなかった全力で、取り組んでますので、どうかよろしくお願い申し上げます!
次話は仲間が大変な事に!?
では次話にてお会いできることを切に願って♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

タマちゃん救出作戦①♪♪

いらっしゃいました。更新でございます。今回もまた、大変な事態になっております。
ささ、早速読んでやってください。後程後書きにて。では物語の始まり始まり……………。


悪いことというのは見えないところ、つまり後ろの方からやって来るもので………。

 

「おい!早くそっちを縛れ!モタモタするな!」

 

「わかってるよ!これでも急いでやってるんだ!」

 

「よし、台車を傍まで持ってきた!乗せるか?」

 

「いや、もうちょっとだ!」

 

「早くしないと見つかっちまう!」

 

男達が4人、慌ててロープで縛り付けている。台車にあるものを乗せるためである。なるべく大きい音を立てないようにしながら、台車に積んでいく。

 

「よし、台車ごとロープで固定しろ。」

 

一人が、そう言うと3人は早速ロープを縛り付けていった。そのあるものは、眠らされていた。体の至るところに打撲傷や切り傷があり、血も出ていた。かなり弱らされたところを眠らされたらしい。

そのあるものとは、タマミツネ。白羅と仲良くなって、白羅の広場に住み着いた竜の1頭である。

白羅にも協力的で、研究者達からも、なかなかの人気者でもあった。

 

「よし、移動するぞ。」

 

二人は前を後の二人は後ろから台車を押すのだった。

その眠らされる瞬間に、緊急信号の声を発したのだろう、麒麟さんには届いていた。

 

「ブルルル…。」

 

白羅に近づき襟の後ろをくわえ、ヒョイと持ち上げる。

 

「ニャ、ニャ、ニャ、どうしたニャ!?」

 

猫嬢がくわえて持ち上げられてバタバタしている光景が目に浮かぶ。

 

「え、ちょ、ちょっと、どうしたの麒麟さん!?」

 

「一体どうしたニャ?」

 

灯羅も様子に気付いて、傍まで来る。

麒麟さんは半強制的にヒョイと自身の背中へほおり上げる。

 

「ニャ~!ほんとに一体どうしたニャ~!!」

 

白羅を乗せた麒麟さんは真後ろを向いて走り出す。いや、ジャンピングと言った方が正しいだろうか。移動距離が長いので、あっという間に姿が小さくなっていく。

 

「ま、待って!!ラルク!お願い、乗せてって!!」

 

「クァァ!!」

 

ラルクもすぐに肩を降ろして、背中に乗るように促して来る。

 

「ニャ!僕達もいいニャか!?」

 

灯羅も姫沙羅も真剣な顔をしていた。ラミアとラルクは顔を見合わせて頷く。

 

「分かったわ!乗って!!」

 

「ありがとうニャ!!」

 

ラミア・灯羅・姫沙羅とラルクの背に乗る。そしてちょこんと焔羅が……。

 

「え、ちょ、ちょっと焔羅!あなたはお留守ば…。」

 

「グァ!!」

 

お留守番と言おうとしたが、遮られてしまった。幼体であっても、緊急事態はわかるのだろう。行く気満々の焔羅に、ラミアも了承せざるを得なかった。

 

「ふぅ、分かったわ。白羅さんに叱られるのを覚悟で行くしかないのね。」

 

「大丈夫ニャ!僕達も付いてるニャ!」

 

「クァ!!」

 

ラルクも俺も付いてると声を掛けてくれた。

 

「ありがとう、分かったわ、行きましょう!!」

 

そう言うと、ラルクが羽根を広げ飛翔していく!こちらは一直線なので、すぐに追い付く事になる。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

麒麟の跳んでいく背中の上で、白羅は何とか体勢を直し、麒麟の向かっている方向を見る。

 

「ニャ!あそこニャは!?」

 

そこはあるモンスターが居るはずの川辺に到着する。しかし、いつもゆっくりしている筈のモンスターの姿がない。

 

「ニャ、ニャんでタマミツネが居ないニャ!?」

 

周りを見回しても、大声で呼び掛けても、返事はない。そして、ラルク達が追い付いた。

 

「ニャ!ラミア!ラルク!大変ニャ!タマミツネが居ないニャ!!」

 

「えぇっ!!タマちゃんが!!」

 

ラルクの背から降りたラミア達が、白羅の傍まで来た。

 

「餌を獲りに行ってるとかじゃニャいニャか?」

 

「ニャ、餌はおいらが魚を獲ってきて与えてるニャ。ほとんど頼み事がニャい限り、休んでもらってるニャ。」

 

「一体何処に……!?」

 

「連れ去られた可能性があるニャ~~。」

 

姫沙羅が何かを見つけたようだ。

皆で覗き込むと、大きめの石があり、それに血がこびりついていた。周りを改めて良く見ると、地面がめくれていたり、削られている部分が多数ある。

 

「ニャ、ニャんと……。」

 

「これは戦った後ニャ。」

 

「グァ!!」

 

「ニャ!焔羅ニャ!どうしてここに居るニャ!?」

 

「ゴメンなさい!その話は後で!焔羅どうしたの!?」

 

すると焔羅がタマミツネが連れ去られたと思われる方向を見た。その方向には、遺跡平原がある!

遺跡平原はその名の通り、古代文明の名残が所々に残っている平原地帯である。他にも遺群嶺もあったりするが、今は遺跡平原の方向を向いている。

 

「分かったニャ!焔羅を信じるニャ!タマミツネを追いかけるニャ!」

 

「「「おぅ!!」」」

 

白羅は麒麟さんに再度乗る。そしてラミアや灯羅達はラルクの背に乗って、飛翔していく。

 

「タマミツネさん、今助けに行くニャ!待っててニャ!」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

 

後ろからラザックが走って来た。

 

「済まないニャ!受付嬢に緊急クエストニャと伝えてニャ!!」

 

「はぁはぁ、緊急クエスト!?」

 

「そうニャ!!タマミツネさんが拉致されたニャ!!」

 

「な、何だと!!」

 

「ニャから追いかけるニャで、クエスト受注を頼むニャ!!」

 

「分かった!任せろ!だが気を付けろよ!何をしてくるかわからん連中だからな!」

 

「ありがとうニャ!行ってくるニャ!」

 

ラルク達は一足先へ。白羅と麒麟さんは跳んで一路、遺跡平原へと向かうのでした……。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 白羅は気配察知を働かせていた。勿論、灯羅達もである。お互いに居場所を突き止める。

 

 「「エリア4ニャ!!」」

 

 ラルク達は直接エリア4へ。白羅達は順を追ってエリア1,2,4と向かって行く。先にエリア4にラルク達がたどり着く。岩山があり、両サイドから突き出た人工的に削られて作られた古代人作のであろう岩の橋が、真ん中だけ崩れ落ちている。

 下に降りて、登っていけば行けなくはない。が、運んでいる物が物だけに、その橋をつなぐために渡れるだけの強度の橋を作っている所だった。

 

 「おい!何だありゃ!」

 

 「な、セルレギオスがなんでこんなところに!?」

 

 「まずいな。シートを被せてやり過ごすんだ!」

 

 一人は橋を作り続け、3人で台車にシートを被せる。ラルク達は反対側の岩山に降り立った。

 

 「そこで、ニャにをしているニャ!!」

 

 「は、はい。荷物の量がありすぎで、下からでは上に上げられないと急きょ橋を繋いでいる所でさあ。」

 

 「その荷物とは何ニャ。」

 

 「は、はあ。回復薬や、ビッケル、素材等々ですが?」

 

 と橋を作っていたハンターと話していると、残りの3人もそこに来た。

 

 「どうしたんです?何かあったんですか?」

 

 もう一人のハンターが、不思議そうに尋ねて来る。

 

 「居なくなったモンスターを探してるニャ。良ければ荷物の中身を見せてもらっていいニャか?」

 

 灯羅が、歩いて橋を渡ろうとする。

 

 「いえ、それには及びませんぜ。ただの荷物なんで。」

 

 と、橋の真ん中に立ちはだかる。

 

 「なら、見せてもらってもいいわよね?」

 

 とラミアもついて行く。ラルクはその場で警戒していた。

 

 「通らせてもらえないニャか?」

 

 「いえ、今作りかけなんで、落ちて怪我でもされたらと思いましてね。」

 

 「その割には3人も渡ってきたわよ。」

 

 「どうしてもダメニャら押し通るだけニャ。」

 

 歩きながら獰灼炎のブレイニャーを構える!ラミアも無明刀を構える!

 

 「どうしてもと言うなら、俺らをどかして行って下せえ。」

 

 と武器を構える。1人は大剣、1人は太刀、1人は片手剣、もう1人は弓を使っていた。

 

 「ニャら通らせてもらうニャ!!」

 

 「通れるもんならな!!」

 

 大剣のハンターが真上から振り下ろしてくる!灯羅もブレイニャーで受け止める!力の押し合いになる!

 

 「ほう、なかなかやるじゃねえか。」

 

 「ふん!クシャルダオラに比べたらまだまだニャ。」

 

 「へ、減らず口を!!」

 

 更に腕に力を込めて剣を前に押し出す!

 が、灯羅も言うだけあって、小さいながらそれを受け止めている!お互いに剣を交えたまま、にらみ合いになった。その横をくぐって、抜けようとするラミアも、同じ片手剣のハンターに行く手を阻まれる!

 

「退いてくれないかしら?」

 

「さっきも言ったが、俺らを退かして通ってくれ、退かせるものなら、だが。」

 

「なら、力ずくで!」

 

「返り討ちにしてやるよ!」

 

お互いの剣が高い金属音と共に火花を散らす!ラミアが再度剣を振るうも盾で攻撃をかわされる!逆にハンターに攻撃をされるもラミアも盾で受け流す!

こっちの戦いも互角のようだった。

しかし、戦っているハンター達の後方から矢をつがえて狙いを定めるハンターが。

が、橋の下の地面を猛ダッシュする物がいた!

 

「姫沙羅!!」

 

荷物と言い張る、大きな台車まで一直線に駆け登ろうとする!しかし、ハンターも反応が早かった!直ぐに矢の矛先を姫沙羅に変えて、動きを読んで放つ!

 

「「姫沙羅!!」」

 

戦いながらも、姫沙羅に矢を放たれたのを気付いて、灯羅とラミアが叫ぶ!ダッシュしながら名前を呼ばれて振り向くと、矢が迫っていた!姫沙羅の顔が一瞬で青ざめ、勢いがあるために止まる事も出来ない!!殺られると思った瞬間!

 

「姫沙羅~~~~~!!!」

 

と姫沙羅の目の前に立ちはだかる物が…………。

 

「ニ゛ャ゛ガァ゛ァ゛ァ゛~~~~~~………!!!」

 

右腕を貫かれ、勢いで、地面を転げていく!その光景に3人が叫んだ!

 

「「「白羅!!!」」」

 

姫沙羅が急ブレーキをかけ、慌てて白羅の元に!

 

「クククク…。抜け駆けしようとするからだ。」

 

と弓使いのハンターが呟いた。

が、ほくそ笑みを浮かべた刹那、ハンターに天罰が落ちる!雷撃が真上から飛来したのだ!

 

「ぎゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛~~~~~~~!!!」

 

その場で崩れ堕ちた。

 

「な!麒麟だと!」

 

太刀使いのハンターが叫ぶ!

 

「びゃ、白羅!!ニ゛ャ!ニ゛ャァ…………。」

 

姫沙羅が白羅を抱き起こし、腕から強引に矢を引き抜く!

 

「ニ゛ャ゛!!!」

 

秘薬を飲ませ、出血が止まるまで、腕を抑えながら白羅を抱き締める!

 

「ゴメ゛ン゛ニ゛ャ゛~~~~…………………。」

 

抱き締めながら、ボロボロと涙を流していた……。

 

そして、最愛の友の大怪我に、今度はラルクの何かが吹っ飛んだ!!

 

「ガァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!!」

 

「「「「「「なっ!!!」」」」」」

 

そのエリアどころか、遺跡平原全体に轟く程の咆哮に、全員ラルクの方へ振り向く!

ラルクは咆哮を上げたまま、凄まじい程のオーラを放つ!身体全体が白金に変わり、赤いラインが入り、羽の膜のところには赤い紋様が。そして刃のような角の両側に少し小さめの同じような角が生えていた!

そして初めて見せる殺気を放つ眼で、相手のハンター達を見据えているのだった…………………。

 

 

 

 




読了ありがとうございます♪今回はまた真面目なストーリーでございました。次話も少々真面目でございますが、途中からくずれそうな予感が。楽しみにして頂ければ幸い。では次話にてお会いできることを切に願って♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

タマちゃん救出作戦②♪♪

失礼ながら更新させていただきます。ありがとうございます。
前回同様、真面目!?になってございます。
ささ、読んでやってくださいませ。後程後書きにて。
では物語の始まり始まり…。




「な、何だありゃ…。」(なんでしょう♪)

 

 「あんな姿のセルレギオスなんざ見たことねえ!?」(確かに初めてかも♪)

 

 「遷悠種か!?」(いえ、違います。)

 

 「極限状態か!?」(違いますね。)

 

 「単なる獰猛化か!?」(それも違うかと。)

 

「「「「じゃあ何!!」」」」(何と言われても……新種としか………照れますね♪)

 

「「「「聞いてね~し!!」」」」

 

驚いていたのは彼らだけではなかった。灯羅達にとっても同じであった。ラルクの異様な殺気にラミアも驚きを隠せないでいた。

 

 「ラ、ラルク…!?」

 

 「僕もあんニャ姿のセルレギオスは初めてニャ。」

 

 オーラを纏ったまま、恐ろしい形相でハンター達を睨みつけている。

 

「マズイニャ。ラミアさん!一旦離れるニャ!来るニャ!」

 

「わ、分かった!!」

 

灯羅は大剣を弾き返して、下に飛び降りる!ラミアも剣を納めて飛び降りる!それと同時に5個一組となった刃麟がハンター達の目の前に迫っていた!

 

「ちぃぃぃ!!」

 

大剣のハンターは剣を盾に回避するが、足回りはガードしきれずに、被弾する!

「がぁぁぁ!っくそ!脚がヤられて身動きとれねぇ!」

 

その後ろにいた、片手剣のハンターは、盾で辛うじて受け流す!太刀使いのハンターは納刀キャンセルで、刃麟の攻撃をかわしていた!太刀使いのハンターが、地面に刺さった刃麟を見て驚く!刃麟の表面が半透明に光って見える!

 

「なっ!!クリスタルか!?」

 

「「何だと!!」」

 

大剣と片手剣のハンターが、改めて刺さっている刃麟を見ると、刃麟がクリスタルでコートされ、更に研ぎ澄まされている!

 

「只の裂傷状態じゃねぇと思ったら、そう言うことか…。」

 

と大剣のハンターが、地面に膝を着く。大剣を支えにしているものの、思ったより傷は深く、素早い動きは期待できなかった。

 

「お前達で行けるか?」

 

「あんたはどうするんだ?」

 

「俺が囮になって、奴の気を引いてる内に、一気に抜けるんだ。」

 

「そりゃ、まともじゃないな。二人であの大荷物は、いくら台車だとしても無理だ。」

 

「ちっ、こんなときに覚醒なんぞしやがって!」

 

大剣のハンターは分が悪いと悟り、秘薬を一気に飲み干し、強引に立ち上がる。ついでに強走薬も飲み、スタミナを回復させる。

 

「よし、一旦、前のエリアに移動だ!時間をかけてでも別方向から進むぞ。」

 

 襲われないようにと後ろ向きで剣を構えたまま台車の方へ歩き出す。他の2人も弓使いを抱き起しながら後退する。だが、ハンター達の思惑はことごとく打ち砕かれる。台車の前まで来た時、地面が暗くなるのを感じた。

 上を見上げるより先に大きな何かが降りてきた。

 

 「ぐわっ!!!」

 

 「ガッ!!」

 

 「グガッ!!」

 

 大剣と片手剣の2人が地面に叩き伏せられる。太刀のハンターは大きな手のような爪で鷲掴みにされ、持ち上げられた!!その時台車のロープが切れてシートがめくれ、中からタマミツネの姿が…。

 

 「フシューーーーッ!!」

 

 太刀のハンターは鷲掴みにされたまま、自分を持ち上げられている物を見て驚愕し青ざめる!

 全体が黒基調の体色で、筋肉質な両前脚・後脚があり、それとは別に大きな爪を持つ腕に翼があり、狂竜ウィルスを纏っていた。

 岩橋の下に降りた灯羅とラミアは白羅の傍に来ていたが、その姿を見て驚く!

 

 「ゴ、ゴア・マガラがどうして………!?」

 

 「ゴアァァァァァ………!!」

 

 ゴア・マガラが咆哮を上げた。それはまるでこの獲物は俺の物だと自負するかのようだった。

 

 「ニ”ャ”…ラルクッ…。」

 

 白羅が右腕を押さえながら起き上がる。

 

 「ニ”ャ!?白羅!?まだダメニャ!!」

 

 姫沙羅も動かしてはいけないと止めようとするも、白羅は無理にでも立ち上がる。

 

 「白羅!?」

 

 「白羅さん!?」

 

 灯羅とラミアも慌てて白羅を支える。ラルクもゴア・マガラに好きにはさせまいと咆哮を上げる!

 それを聞いて戦闘態勢に入ろうとゴア・マガラが鷲掴みのハンターを放り投げる!

 

 「ぐわぁ……………ガッ!!」

 

 運悪く、岩壁に激突!悶絶して崩れ落ちた。大剣のハンターは反対側の岩壁に、片手剣のハンターは隣のエリアまで飛ばされた。

 

 ラルクとゴア・マガラは睨み合ったまま、ゆっくりと数歩ずつ前へ出る。しばしの沈黙の後、戦闘の火蓋が切られたのだった。

 ラルクがクリスタルコートの刃麟を飛ばす!それをホバリングで躱していくゴア・マガラ。逆に今度はゴア・マガラが狂竜ブレスを放っていく!地面上で爆発しながらラルクに迫っていく!

 

 「ニャ!?ラルク!!避けるニャ!!!」

 

 白羅が叫ぶも動こうとしない。むしろ迎え撃つ気でいる。恐竜ブレスの爆撃がラルクに襲い掛かった…………………。

 

 しかし、無情にもウィルスは霧散してしまう。

 

 「バ、バカニャ…!?」

 

 「効かないっていうの!?」

 

 灯羅もラミアもその現実に驚く!

 

 「ラルク………。」

 

 が、それを心配そうに見つめる白羅がいた。

 そして、ブレスが効かないのを一番に驚いていたのはゴア・マガラ当人である。

 

 「ガァァァァァ!!」

 

 馬鹿な!と言わんばかりに再度狂竜ブレスを放とうとする!しかしそれと同時にラルクも動いていた!

 

 「グァァァァァァァ!!!」

 

 咆哮を上げると同時にラルクの3本の角が白く光り出す!すると、円形状に自身の前からゴア・マガラの後ろぐらいまでの広い範囲で、地面から光が漏れだす!ゴア・マガラも、危険を察知して飛び上がろうとする!その刹那、地面から無数のクリスタルの塊が剣を成して競りだし、3メートル程の高さまで、突きだしたのだ!

 

「グギァガァァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!」

 

真下からの攻撃に、お腹周り、足回りと、柔らかいところをまともにダメージを受けて悲鳴を上げて落下する!!その場でもがいていた。

 

クリスタルの塊が、競り上がって止まると、パキパキと割れだし、細かくなってやがて消えてしまった…。そう、クリスタルの塊など無かったかのように…。

ラルクはもがいているゴア・マガラに向かって、ゆっくりと進んでいく。それは強くなった自信からによるものでもあった。

 

 「ニ”ャ!?ラルク!それ以上はダメニャ………!」

 

 白羅は腕を押さえつつ、速足で歩き坂を登っていく。

 

 「ちょ、ちょっと待つニャ!?」

 

 「びゃ、白羅待つニャ!!」

 

灯羅と姫沙羅が追いかけようとした。だが、両手を広げて2匹の前に立ちはだかる。

 

「ニャ!?どいてくれニャ!!」

 

「そうニャ!白羅が危ないニャ!!」

 

2匹はラミアに詰め寄る!だが、ラミアは首を横に降り、どけようとはしなかった。

 

「大丈夫……あの二人だからこそ……。」

 

そう呟いて、白羅達の方を見る。

 

「ニャ!?白羅とラルクだからこそニャか?」

 

「そう、私も信じてるから……。」

 

そう言われて、灯羅と姫沙羅も白羅達の方を見る。白羅はゴア・マガラの前に立ち、腕の痛みを堪えながらラルクを見た。

 

「ガァァァ!!」

 

そこをどけと言わんばかりに吠える。だが白羅もどくことはしない。

 

「ラルク…もういいニャ。おいらもこうしてラルクの前に立ってるニャ。大丈夫ニャ。落ち着くニャ。」

 

ラルクにそう話しかけるも怒りは収まらない。更に1歩前に踏み出す。

 

「ラルク…ありがとうニャ。こんなおいらの為に怒ってくれるニャんて。おいらは幸せ者ニャ。また一緒にクエストに行ってくれるニャか?一緒に行きたいニャ、よろしくお願いするニャ……。」

 

痛みを必死に堪えつつ、満面の笑みを作る。その時白羅の目から一滴の涙が頬を伝っていく。やがて地面へ落ちたのを、ラルクが視界に捉えた……。

 

「クァァァァァァ………………!!!」

 

高らかに真上を向いて、咆哮を上げる。理性が戻り、やがてゆっくりと白羅の方へ向き直ると、いつものラルクの顔つきに戻っているのだった。

 

「クルクルクル……。」

 

ラルクが白羅に顔を近づけて甘えてみせる。

ラミア達もひと安心と胸を撫で下ろした。

 

「ニャは♪ニャ♪ニャ♪ニャ♪良かった、ラルクが戻ったニャ♪ほんとに……良かっ……たニャ…………。」

 

安心したのかラルクの顔にもたれるようにくずれ落ちた……。

 

「「「白羅!!!」」」

 

「「クァ!!!」」

 

ラルクは慌てて、白羅を抱き起こす!ラミア達も坂を一気にかけ上がる!

 

「良かった、息はある。」

 

「ニャが、すぐに医者に見せないと危険ニャ。」

 

と話している内に、後ろのゴア・マガラが起き上がる。灯羅達も驚いて、白羅を守りつつ武器を構える。が、かなりのダメージだったのだろう、周りには目もくれず片足を引きながら、そこから少し離れ、垂直に飛び上がり飛び去って行った。

灯羅達も武器を納めて、白羅をどうするかを話し合っていた。

 

「おーい!白羅さん!みんな!」

 

後ろから聞き覚えのある声が。振り向くとラザックが、ハンターや衛兵を20人近くを連れて、やって来ていた。

ラザックの後ろには、灯羅と姫沙羅がよく知る人物二人が…。

 

「ニャ…!?お久し振りですニャ。」

 

「お元気そうで何よりニャ♪」

 

「久しいな、灯羅、姫沙羅。」

 

「ハイ、久し振りね。何年振りかな?」

 

ギルドナイトのアルザートと仲間のイリザであった。

 

「俺が、事件だと思ったんで、村長とも話して、事情を話して一緒に来てもらったのさ。」

 

「そうでしたニャか、ありがとうですニャ。」

 

「いや、それより白羅さんは?」

 

「む、白羅君!?」

 

アルザートが倒れている白羅を見つけて傍による。

 

「フム、直ぐに村に戻って治療を受けないと危険だ。が、幸いエリアを無視で移動することができるな。ラルク君白羅君を乗せて行けるか?」

 

「クァ!!!」

 

ラルクが勿論と、肩を下ろして乗せるように促して来る。ラミアが抱き抱えて一緒に乗る。焔羅も続く。

 

「あ、あたしも一緒に行くニャ!」

 

と姫沙羅も慌てて乗った。責任を感じているのだろう、心配そうに白羅を見つめるのだった。

 

「よし、ラルク君、頼んだぞ!」

 

「クァァ!!」

 

と返事を返して、ホバリングする。かなりの高さまで上昇すると、ユクモ村まで、飛翔するのだった。

「ここにいる3人と隣のエリアにいる1人のハンターが主犯ですニャ。捕まえて下さいニャ。」

 

「分かった、衛兵!!この者達を連行する!抵抗する者は容赦するな!」

 

「「「「はっ!!」」」」

 

一緒に来た、手練れのハンターと共に捕まえていく。さすがに四人共、大したダメージを食っていたので、抵抗することなく観念していた。

 

「かわいそうね。ずいぶん痛め付けられて。」

 

イリザが、タマミツネを撫でながら、眠っている様子を見ていた。

 

「そうだな、このタマミツネも、治療が必要だ。」

 

「了解です!おーい!ディノバルドさーん!」

 

「ゴァァ!!」

 

「ニャ!?白羅の仲間のディノバルドニャか!?」

 

「そうだ!分かってもらうのに、苦労したぜ~。」

 

自分達も助けられた時のように、台車を引いてもらおうと言うのだ。理解してもらうのに、時間がかかったが、分かった途端に移動を始めたので、ラザックも慌てて後についていく形になっていた。

直ぐに台車にロープがつけられ、ディノバルドがそれをくわえて歩き出す。

 

「よし!全員村に戻るぞ!手の空いている者は、台車を誘導するのを手伝ってくれ!」

 

「「「「「はっ!!」」」」」

 

「僕も台車を誘導するニャ。」

 

と、灯羅もラザックと共に、台車を誘導しつつ、ユクモ村へと向かうのでありました……………。

 

 

 

 




読了いただき、ありがとうございます♪次話は、真面目かはたまたコメディか!?引き続き、お付き合いの程よろしくお願いいたします。
では次話にてお会いできることを切に願って♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪絆とLV up と①♪♪

ど、どうもです、さりげなく更新させていただきます。毎回読んで頂けること、光栄でございます♪♪
ささ、読んでやってくださいませ。後程、後書きにて。 では、物語の始まり始まり……♪♪




 「きゃあ!!白羅さん!?まあ!まあ!まあ!どうしましょう!?」(お医者さん呼んでください。)

 

 「びゃ、白羅さん!?…そんな…。」(お気持ちは分かります。)

 

 「私の研究対象に何てことするのかしら!!かくかくしかじかが出来なくなったらどうしてくれるのかしら!!」(心配の意味が違う気がしますが!?)

 

ラルクが広場に降り立った時には、3人の美女たちも違うセルレギオスがやってきたと慌てたが、背中から白羅を抱きかかえたラミアが焔羅と姫沙羅と共に降りて来たので、驚いてラルクを再認識していた。後で、覚醒したと聞かされて、嬉々としていたのは研究好きの眼鏡美人のお姉さんである。

 そのままラミアが村長の家の部屋へと白羅を連れて行った。村長も獣医を呼び出す。息はしているが、気を失ったままであり、普段見たことの無い白羅の姿に美女たちはオドオドするばかりだった…。

 ラミアと姫沙羅はその間に事の状況を話した。美女たちも食い入るように話を聞いていた。逆に内容が分かったので、少し落ち着くことが出来たようだ。

 

 「で、タマちゃんは!?」

 

 「ええ、ラジックさんがディノバルド君を連れて来てくれたおかげで、連れ戻すことが出来たわ。今は元の川の傍で獣医さんに治療を受けている頃ね。」

 

 「全く、やり方がずるいわ!」

 

 「でも、罰としてゴア・マガラにギルドナイトにと捕まったのだから、少しは懲りたのかなと思うけど。」

 

 「いや、そういう連中ってあきらめが悪いかもよ。ま、牢屋からはそう簡単に出てこれないでしょうけど。」

 

 「確かにニャ。」

 

 「あ、獣医さんが来た。」

 

 扉を開けて部屋に通されたのは獣医さん。先ほどタマちゃんの治療が終わり、こちらに出向いてきた。

 

 「失礼するよ♪」

 

 と白羅の傍に来て診察を始める。右腕の状態を確認し、しばらく状態を眺めていたが、結論が出た。

 

 「うむ。手術だな。」

 

 「え!?」

 

 「手術ニャか!?」

 

 「そうだ。手術して治ればまた狩に行く事も出来る。しなければ切断することになるがどっちがいい?」

 

 「「「「お願いします!!!!」」」」

 

 もちろん即答だった。手術は勿論病院の方でするとなり、明日、移動することになった。先ずは応急処置で、壊死を止め、痛みを和らげる為の注射を射った。すると気を失ったままだが、痛みを堪える顔つきが、少し和らいだ。ラミア達もそれには少しホッとする。

 

「では、明日。」

 

と獣医は帰って行った。

 

「今日は私が看ていますから、ラミアさんと姫沙羅ちゃんは少し休んで。」

 

と今晩、看病すると受付嬢のアイラさんが申し出てくれた。村長もそれを拒否することはせず、アイラさんに看病を任せ、ラミアと姫沙羅に休息を取るように促していた。確かに、心配な事は確かだが、精神的にも2人は疲れてしまっている。信頼をおける人物だからこそ、あえてその申し出を受ける事にした。

 

 「アイラさん、ありがとう♪よろしくお願いします。姫沙羅ちゃん、あたし達はタマちゃんを見に行こう。」

 

 「ニャ………でもニャ………。」

 

 「大丈夫。あの時も言ったけど、私は白羅さんを信じてるよ。姫沙羅ちゃんは違うの!?」

 

 「ニャ!?そんニャ事は無いニャ!あたしも信じてるニャ!」

 

 「だったら行こう。付き合って♪」

 

 「分かったニャ。どうしてもと言うなら付き合うニャ♪」

 

 「なら、決まりだね♪」

 

 「白羅をお願いするニャ。頼むニャ。」

 

 「任せて。ゆっくりするといいわ。」

 

 と、ラミアと姫沙羅は村長さん宅を後にする。広場では、いつもの研究員達が心配そうにラミアたちの所に寄ってきた。皆、白羅やタマミツネの心配をしてくれているらしい。飼っているわけではないものの、愛着が少しずつ湧いているらしいのだ。協力してくれると言ってくれてもいるので、ラミアと姫沙羅も嬉しかった。

 ラザックも灯羅もギルドナイトも心配していた。

 

 「どうニャったか!?」

 

 「うん、明日病院に移動して手術するって。」

 

 「そうか、確かにあのままでは治るかどうかだからな。しっかり治した方がいいだろう。」

 

 「はい、獣医さんもそう言ってました。」

 

 「だろうな。だが、安心した。白羅君が目を覚ましたらよろしくと伝えてくれ。」

 

 「分かりました。ありがとうございます。」

 

 「なに、白羅君とは長い付き合いだしな。何かあれば直ぐにでも連絡をくれ。」

 

 「了解です。よろしくお願いします。」

 

 「じゃあ、私たちはこれで。」

 

 とアルザ―トとイリザは帰っていった。ラミアと姫沙羅はその後ろ姿を見送っていた。

 

「まずはタマちゃんのところに行こうか。」

 

 と川の方へ向かって歩き出す。後を追う様に姫沙羅も歩き出す。

 

「その他に行くところがあるニャか!?」

 

「うん、後で相談に乗って欲しいんだ♪」

 

「分かったニャ。ゼニー以外ニャらね♪」

 

「クスッ、そこは今のところ大丈夫♪」

 

「ならいいニャ。相談に乗ってあげるニャ♪」

 

「ありがとう♪」

 

どっちがどうなのかは分からないが、相性は良さそうだった。そんな会話をしている内に、タマミツネのところに着いた。さすが獣医さん、治療が行き届いている。出血は勿論止まっていた。後は傷口が治るのを待つばかりに。だが、怪我の数が多く、暫くは安静とも言われていた。時折様子も見に来てくれるらしい。有難いことだった。ラミア達が来ると、気付いて、顔を近づけて来た。お礼を言うかのように、ゴロゴロと甘えて来た。

 

「ゴメンね、気付いてあげられなくて。助けるどころか、助けに入る事すら出来なかった…。」

 

 タマミツネの顔を撫でながら申し訳ない顔をしていた。

 

 「ニャ!ラミアも頑張ったニャ。ハンター相手に立ち向かってたニャ!何もしてない事はないニャ!あたしの方がニャにも出来なかったニャ…。」

 

 姫沙羅の方がしょんぼりしてしまう。ラミアもお互いにショックを受けている事は分かっていた。なので、姫沙羅に相談をしたいと持ち掛けたのは、ある決断をしていての事だった。

 

 「白羅さんは大丈夫!きっと復活してくれる!私の為にぶちぎれた人だもの。まして、姫沙羅ちゃんもタマちゃんを助けたい一心で、隙をつこうとしたんでしょう!?」

 

 「そうニャ、ニャンとか回り込んで、タマミツネを守ろうとしたニャ。それが逆に失敗したニャ…。」

 

 「ね、白羅さんの事を思う者同士として言わせてくれる?私も一緒にクエストに出てへまばっかりしてるけど、落ち込んだ私を逆に励ましてくれて、しかもまた一緒にクエストに行ってくれるとも言ってくれた。すっごく嬉しかったし、絶対信じるって決めたの。何故なら白羅さんって落ち込んでいじけてる人は嫌いだから。」

 

 「ニャ!?落ち込んでるのは嫌いニャか!?」

 

 驚いてラミアの顔を見る。

 

 「そう。へこんでいる人を見るのは辛いみたい。だから、嫌われないように頑張ろ!」

 

 ラミアなりに姫沙羅を励ますのだった。

 

 「クルクルクル。」

 

 タマミツネも姫沙羅に顔をこすって甘えてくる。

 

 「ニャ!?ちょ、ちょっと、ニャ♪ニャ♪ニャ♪ニャ♪ニャ♪ん~~~~!!」

 

 姫沙羅もタマミツネを思いっきりハグした。何か気持ちが晴れたのか落ち着いたようだ。

 

 「ニャ、タマちゃんも無事でよかったニャ。でも、暫くは絶対に安静ニャ。ゆっくりするといいニャ。」

 

 「クル♪」

 

 タマミツネも頷き返す。体を丸めて眠りにつくのだった。

 

 「温泉に入ろ!そこで、お湯に浸かりながら話そう♪」

 

 「ニャ、分かったニャ。温泉は気持ちがいいニャ♪」

 

 1匹と1人はユクモの温泉に向かうのだった。

 

 ユクモ村の温泉は連日連夜ごった返しておりました!まあ、まあ、まあ、まあ、まあ、どうしましょう!?

と嬉しい悲鳴を上げているのは村長さん、番頭さん、お店の方々云々、アイテムだの武器だの防具だのグッズだのと村が潤っているのは良い事で。他の村とも連携して回してもらった部材などの売り上げの一部を仕入れの他に支払う事で、持ちつ持たれつの関係を築いていた。他の村の店等々も、驚く収益に感嘆していて潤っていた。

 

 ラミアたちが温泉に来ると、結構な有名人になってるらしく、注目の的になっていた。

 

 「あ、あれ、ラミアさんと姫沙羅さんだよな。」(はい、その通りです♪)

 

 「珍しいわね、2人だけで温泉に来るなんて…。」(そう思われても仕方ないですが♪)

 

 「一体何があったんだ!?」(実は………………で。)

 

 「「「ほ、ほう♪♪♪」」」(意味、分かって頷いてます!?)

 

 「ま、まさか、白羅さんをどちらが物にするか身一つでタイマン張ろうとか!?」(その時は他のお姉さま方も乱入するかと思います。)

 

 「「「じゃあ、何で!!」」」(何でと言われても………ラミアさんに聞いてみるしか………照れますね♪♪)

 

 「「「同じパターンでそこかい!!」」」

 

 周りで噂されているので、自然と照れてしまう。

 

 「ニャ、ニャンか凄い視線を感じるニャ…。」

 

 「う、うん。なんか、恥ずかしいけど。でも、温泉には入りたいし…。」

 

 「ニャ!?入ってしまえばこっちのもんニャ!思い切って入るニャ!!」

 

 ささっと姫沙羅が武具を脱いで、ザブンと一気に湯に飛び込む。

 

 「わ、ちょ、ちょっと待って!あたしも!!」

 

 とラミアも続いて湯船に飛び込む!湯しぶきが上がって、ラミアと姫沙羅に降りかかる!

 

 「ブニャ!?ニャ!?アッツいニャ!!」

 

 「あちゃ~!?あたしも熱いんだけど~!?」

 

 「それは自業自得ニャ!こっちはいい迷惑ニャ!」

 

 「何ですって、それは聞き捨てならないわね!」

 

 「ニャにさ、ここでやるニャの!?」

 

 「望むところね、やってみる!?」

 

 とお互いに顔を近づけてにらめっこになる。が、ラミアが直ぐに吹き出して笑い始める。

 

 「ぷっ、フフフフ…。アッハッハッハ♪♪♪」

 

 「ニャ!?ニャにが可笑しいニャ!?」

 

 「だって、やっといつもの姫沙羅ちゃんに戻ったと思って♪♪♪」

 

 「バ、馬鹿ニャ。そんニャ事無いニャ…、ブツブツ………ニャは♪♪♪」

 

 にらめっこが笑顔に変わる。中々の良いコンビかもしれない。改めてゆっくりと湯船につかり…。周りの人々も、喧嘩になるのを恐れて離れていたが、落ち着いたのが分かると皆も改めて湯に浸かり出す。それでも緊張しているのか、ラミアたちの近くにはあまり来なかった。

 

 「いい気持ちニャ~~。温泉は久しぶりニャ~~。」

 

 「そうね~♪自宅でのお風呂もいいけど、温泉はまた別だよね~~♪♪」

 

「しかも露天風呂ニャ!」

 

「ん~~~♪満天の星空だものね~~♪♪」

 

1人と1匹はタオルを頭に乗せながら、暫く綺麗な星空を眺めていた。

 

「ニャ!?相談ってなんニャ!?」

 

気になっていた姫沙羅から話を切り出した。

 

「うん、実はあたしの中で目標を決めたの。」

 

「目標ニャ!?」

 

「そう、今までも、今回もそうだけど、このままだといつまでも強くなる事が出来ないわ。だから、姫沙羅ちゃんに、クエストを手伝って欲しくて、お願いしたかったんだ♪姫沙羅ちゃん強いし♪」

 

とにっこり微笑んで、姫沙羅の顔を覗き込む。

 

「ニャ!?つ、強い事はないニャ。買い被り過ぎニャ。そんな事初めて言われたニャ♪」

 

と否定しつつ、まんざらでもないご様子。

 

「でも、強くなりたいニャってもどれだけ強くなりたいニャ!?」

 

「うん、まずはHR を上げてG級に上がろうと思うの。そして、武器と防具を揃え直そうとも思ってる。」

 

「ニャ!?そこまで、考えてたニャ!?」

 

「うん、で、どうかな?手伝ってくれる?」

 

「ふ~んニャ♪分かったニャ♪手伝うニャ♪面白そうニャ♪」

 

とラミアを見てニンマリする。

 

「で、まずはニャにから始める?」

 

「でね、武器を変えようと思うの。」

 

「武器ニャか?今度はどんな武器を使うニャか?」

 

珍しく、姫沙羅が食いついてくる。

 

「うん……、太刀を使おうと思って……………♪♪」

 

その後、武具やモンスターの話しに盛り上がり、のぼせて湯船に浮かんで………というのはさておき、この2人のハンター達の珍道中が、始まったのです……………♪♪♪

 

 




読んでいただいて、ありがとうございます♪♪今回は、白羅とラルクに休息を。周りも少しく頑張ってもらおうと、思った次第でございます♪次話もこの珍道中!?にお付き合い頂ければ幸い♪♪
では次話にてお会いできることを切に願って♪♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪絆とLVupと②♪♪

 更新ですよ~~~………………。皆さん頑張っている中、さりげなく私も更新させて頂きます~~~…。今回は③までいきますので、どうか読んでやってくださいまし~~…。
 後のお話は後書きにて~~~…。 では物語の始まり始まり……。(どうしてこんなに小声なんだろ!?!?)



湯船に浮かんでいた!?マジですか!?(何をやらかしたのかは内緒です♪)

ラミア達は、ハンター達の使う家に移動して、休むことにしました。ラザックの話しによると、家の方は、ガムート君やディノバルド君に手伝ってもらっているお陰で、かなり早いピッチで建築が進んでいるそうです。しかし、もう少し時間がかかるとのことでした。なので、ハンター用の家に泊まることとなっていました。

 

「ニャ~~♪ゆっくり寝るニャ~~♪」

 

「そうだね、明日はまず白羅さんを病院へ移動したら、クエストに出発しよ♪」

 

 1人と1匹は体力ならぬ、精神的に限界を迎え、ベッドでぐっすりと爆睡モードに入ってゆく。その間3秒。

 

 1人と1匹は、夢を見る余裕もなく………、今宵の夜は深い霧に包まれながら、更けていくのでありました。

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

朝は快晴!鳥の鳴き声やさえずりは順調!モンスターも絶頂!?ラミア達も元気に起床!着替えて、貿易猫さんにも挨拶し、準備が終わると、1匹と1人は揃って家を出て、村長さんの家へ。

 

「まあまあ、ごきげんよう♪ゆっくり眠れましたか?」

 

玄関で村長さんが迎えてくれた。

 

「お陰さまで。あの…白羅さんは!?」

 

「えぇ。今のところ大丈夫ですわ。病院へ移動しても大丈夫かと思いますが、先ずは部屋に行きましょう。」

 

と白羅が休んでいる部屋へと向かう。村長さんが扉を軽くノックすると、中から返事が聞こえてきた。アイラさんである。入っていくと、白羅のベッドの傍にアイラがいた。不眠で、見ていたのだろう、目の下に少し隈が出来ていた。有難いことだった。白羅に同じ思いを抱いている者だからこそ余計に感じられることだった。

ラミアとアイラは無言で頷きあって、白羅を毛布にくるんだまま、ラミアが抱かえる。息はしていて、落ち着いてはいるものの、目は覚まそうとはしなかった。

 

「では、お願いしますわね。」

 

「はい。」

 

抱かえた状態で、病院へと向かう。勿論、姫沙羅もついてきた。白羅がなかなか目を覚まさないので、心配でもあった。と、病院に到着する。

 

「失礼します!」

 

 と白羅を抱えたまま、中へと入る。すると看護婦さんが、来ることを知らされていたようで、返事を返してきた。

 

「あ、はい。白羅さんですね?」

 

「よろしくお願いします!」

 

「では、こちらへどうぞ。」

 

と先生の元に。というか、即、手術室に通され、先生も手術着に着替えているところだった。

 

「おぉ、来たな。よし、早速手術に移ろう。手術台の上に寝かせて。」

 

ラミアも驚いたが、言われるまま、台の上に寝かせる。

 

「じゃ、後は我々に任せてくれるかい?」

 

「よろしくお願いいたします!」

 

「よろしくお願いしますニャ!」

 

一人と一匹、先生にお願いし、病院を出る。

そして、お互いに頷きあうと村長さん宅へ…。

 

 「え、すぐ手術でしたの!?」

 

 「そうです、病院に着き次第、手術室に通されて、台の上に寝かせてきました。後はお任せするしかないかと…。」

 

 「そうですわね、私達には無事に手術が終わることを祈るしかできませんものね。」

 

 「なので、私は白羅さんが復帰するまでの間、姫沙羅ちゃんと修行することにしました。」

 

 「え、修行!?」

 

 「そうニャ。ラミアもあたしももっと強くなりたいニャ。白羅をビックリさせてやるニャ!」

 

 「ほほほほほ、それは楽しみですわね。私も期待してますわ!」

 

 「ありがとうございます。手術後の事、よろしくお願いします。」

 

 と深々と頭を下げる。

 

 「心配いりませんわ。但し、帰ってきたときにもう私の物になっていたらご容赦を♪♪♪」

 

 「え、ええええ…!!抜け駆けはダメです!!」

 

 「そ、そうニャ!ずるいニャ!!」

 

 「ほっほっほっほっほっ♪♪♪ならば急いで、強くなってくださいまし♪♪♪直接白羅さんをサポート出来るのはあなた方しかいないのですから♪♪♪」(さすが村長さん、相変わらずの抜け駆けっぷり♪♪♪)

 

 そう聞いてラミアと姫沙羅は納得する。いわゆる発破を掛けられたようだ。さすが村長さんだ、白羅が悩むのも無理はない。

 

 「ありがとうございます。必ず、強くなってきます!」

 

 「はい、行ってらっしゃい♪♪♪お土産を期待してますわ♪♪♪」(何を期待されているんでしょうか!?)

 

 「はは、は、はい…。」

 

 白羅でも翻弄されるのだ、ラミアたちの手に負えそうにない。とりあえず笑顔で誤魔化しつつ、集会場へと向かうのだった………………。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 

 集会場へと着いた1匹と1人は武具屋の兄さんの所へ。

 

 「よう!こんなところに来てくれるなんて光栄だね。今日はどの用事で来てくれたんだい?まさか!俺のサインが欲しいとか!?」(ここ……なに屋さんでしたっけ!?)

 

 店の兄さんも有名人が訪問してきたので、少しテンションが上がっているようだ。

 

 「ええ。実は太刀を作りたいと思って。」

 

 「ほう、その片手剣は最高にしてあるみたいだが、物足りないと!?」

 

 「いえ、これは十分に満足しているけど、他の武器もいくつかは使い慣れしておきたいと思って。」

 

 「なるほどね。結構他のハンターさんもそんな所があるからな。まあ、分かる気もするがね。」

 

 「何とか素材は集めたつもりなんだけど。」

 

と大きな麻袋をカウンターの上に置く。それを店の兄さんが、紐をほどき、口を開いて覗き込む。

「フム、鉱石関係が多いな……なら、鉄刀はどうだ♪それなりにレベルも上げられそうだし、使い物にはなると思うが。」

 

「鉄刀ね……う~ん…じゃあそれで♪」

 

「ニャ!?ほんとにいいニャか!?」

 

「うん、あの剣なら、和の国の剣に近い形をしているし、意外と気に入ってるんだ♪」

 

「ふ~んニャ、そうニャんだ~。」

 

「よし、必要な鉱石を預からせてもらうよ。直ぐに取り掛かるから、また後で来てくれないか。」

 

「了解です。じゃあ後で♪」

 

と一度、武具屋を離れる。そして、自身のチェストや道具屋、貿易猫のところで、アイテムを揃え、猫飯屋でガッツリ食事をとって、どのクエストがいいのか、相談しながら武具屋に戻って来た。

 

「おぉ!あんたか!良いところで戻って来たな!出来上がってるよ♪今出してやる♪」

 

と奥から一刀の太刀を持ってくる。

 

「これが、あんたに頼まれた鉄刀だ。レベルは7、切れ味は青ゲージ、攻撃力は180で、マックスまで上げれば360にはなる。属性の発動次第で、切れ味も白ゲージにはなる。中々の逸品だぜ!」

 

と自慢げに話してくる。ラミアもざくっとした内容は聞いていたものの、あまり関心がなかったために、詳しく聞いたことがなかった。今回は、太刀に関心ができたので、興味深く聞いていた。

 

「う~ん、しかしなぁ~………。」

 

片手で、自身の顎を撫でながら、武具屋の兄さんが唸ってしまう。

 

「どうかしたんですか!?」

 

「あぁ、鉱石素材12個と、ノヴァクリスタル2個まで揃っていて、あと一種類の素材があれば、もう1つレベルが上がるんだ。それが残念で……。」

 

「ニャ!?そうニャのか!?何の素材ニャか!?」

 

二人は身を乗り出して、兄さんに詰め寄る。

 

「あ、あぁ、それは発光する上粘液だよ。」

 

「え…、まさか…、それって…………。」

 

1人と1匹は驚いて顔を見合わせる。

 

「「双頭の骸!!!」」

 

「そうだ!そいつの素材だ!」

 

「確かに星7の緊急クエストが出ているから、行こうと思えば行けるけど、まだ自信が無くて………。」

 

と少し落胆する。確かに、仲間を募って挑戦するつもりだったが、その前にガムートの件や、ライゼクスから焔羅達卵を守る件で、落ち込んでいたこともあり、なかなかそのクエストを受注出来ずにいた。

 

「大丈夫ニャ!ニャんの為にあたしがいるニャ!ラミアなら倒せるニャ!あたいのお墨付きニャ!」

 

「う~ん、そっか。姫沙羅ちゃんと一緒なら勝てるかも♪よし、やってやるか♪」

 

「そのいきニャ!ニャら、クエストカウンターに行くニャ!」

 

 「なので、緊急クエストしてきます。素材が集まったらよろしくお願いします♪」

 

 「分かった、任せてくれ!」

 

 ラミアと姫沙羅は鉄刀を買い取り、ラミアが片手剣から鉄刀を背中に装備する。更に、スタイルもエリアルからブレイウ゛スタイルへと変換し、納刀キャンセルや、カウンターを覚えたいと思い切った。防具はガララX装備でLV3なので、G級に上がれば素材を集めてLVUPさせたいとも考えていた。姫沙羅に関しては武具は気に入っているらしく、変えることはしないようだが、LVUPはしておきたいと意気込んでいた。

準備が出来ると、受付嬢のところに………。

 

「あれっ!?」

 

「あ、こんにちは♪」

 

「確かココット村の………。」

 

「はい、そうです。まだまだ修行中で、応対等を遠くから見て勉強している身です。」

 

「が、どうしてここに!?」

 

「はい、お姉さまが来る予定が、『私じゃ役不足だから代わりに行って来て~~~。』だそうです。あ~~~やっぱりグーで殴っとくんだった!」(やがて爆発しないことを祈ります♪)

 

「あ、ははははは♪意外とあなたの方が出世するかもね♪♪♪」

 

 「ニャンかそんニャ気がするニャ♪」

 

 「そ~ですか~~!?」

 

 「だって、ここの仕事をこなせれば他の受付嬢になっても、十分にやっていけるだろうし♪」

 

 「そうニャァ、これだけの資料を管理できればアイラの後継ににゃれるかもニャ♪」

 

 「え、マジですか!?ならラッキーなんだ。頑張ろ♪」

 

 「お、その意気その意気♪」

 

 「じゃあ、どのクエストにしますか?」

 

 と聞いてきたので、手伝いのアイルーが、クエスト本を開いて見せる。

 

 「私に緊急クエストがあったはずなんだけど…。」

 

 「え、ちょっと待ってくださいね…。緊急クエスト……と。あ、あった!これですね!☆7の緊急クエスト”奈落の妖星”」

 

 「「それです!!」」

 

 受付嬢の子に迫って返事をする。

 

「ハ、ハイ!受注受け賜りました!お気をつけて行ってらっしゃいませ。」

 

と、たじろぎながら、返事をする見習い受付嬢でありました。

 

「じゃ、行こか!」

 

「ニャ!そうするニャ!」

 

と、お互い出発口へと向かう。

 

「お、おい!あれ、ラミアさんと姫沙羅さんだよな!?」(見てのとうりです。)

 

「なんか今、緊急クエストとか言ってなかったか!?」(その通りです♪)

 

 「奈落の妖星らしいぞ。」(よくご存じで!?)

 

「いくら、あの二人でも大丈夫なのか!?」(無事かどうかは分かりませんが!?)

 

「竜の墓場か~、勝てる見込みがあるのか!?」(さぁどうでしょう!?)

 

「「「「どっちなの!!!!」」」」(どっちと言われても……どっち付かずで…………照れますね♪)

 

「「「「聞いたこっちが恥ずかしいわ!!!!」」」」

 

 船頭が、声を掛けてきた。

 

 「聞いてますぜ。竜の墓場までお送りするんで、乗って下せえ。」

 

 「よろしくです。」「よろしくニャ。」

 

 と飛行船に乗り込む。1人と1匹は心なしか緊張している様であった。船頭が舵を切る。ゆっくりと空へと上昇していく。ある程度上昇し、小さな駆動のプロペラ等を巧みに動かし、前進を始める。晴れやかな空の中をクエストの場である、竜の墓場に向かって飛行船は飛んで行くのでありました………………。

 

 

  




 読了ありがとうございます~~……。(っていつまで小声で!?)
 失礼しました!いつもお付き合いいただき、ありがとうございます!!今回は出発まで、いろいろとかかりましたが、次話はあの…モンスターと対決です。結果はどうなるのか!?楽しみにして頂けると嬉しいでゴザイマス。まさか…もありかも…。
 では次話にてお会いできることを切に願って………。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪絆とLVupと③♪♪♪

 お待ち……………………してました!?!?!?  ま、まあまあ待っていてくださった方はありがとうございます。そうでない方はこれからよろしくお願いいたします。
 更新いたします。いや、させていただきます。皆さんの輪に混ぜてくださいまし。
 ささ、このくらいで本編を読んでやってくださいませ。後ほど後書きにて。
 それでは物語の始まり始まり…。



 クエスト場所の竜の墓場に到着する。雲の絨毯より上にある岩山の途中の岩場にベースキャンプがあり、1人と1匹はそれぞれ降り立つ。

そして持ち物の確認を改める。真下を覗くと雲の下は真っ暗な闇が広がっていた。そこを降りたところに、討伐相手がいる。謎の古龍に認定され、通りかかる船や気球船を襲い、上位ハンター達がなかなかに手こずる相手……。

ラミアはありったけ持ってきた強走薬グレート、鬼人薬グレート、硬化薬グレートを一瓶ごとに一気に次々と飲み干す!HPは猫飯屋でマックスゲージにしてきた。なので、危ない時には秘薬と古の秘薬で凌ごうと。後はビッケルを用意、上手くいけば、素材が手に入るかもしれないと用意していた。

 

「さぁ、いよいよだね!」(気合が入ってますね♪)

 

「そうニャ!決戦ニャ!」(こちらもですね♪)

 

「勝って、白羅さんに良い報告しよう!」(是非、お願いします。)

 

「勿論ニャ!白羅をビックリさせるニャ!」(そうしてあげて下さい♪)

 

「よし、行こう!」(いざ!出陣!!)

 

「行くニャ!」(頑張って~~~~♪)

 

1人と1匹は、真っ暗な闇の中へと、飛び降りて行くのでした……。

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

  だだっ広い空間に1匹と1人が降り立つ。岩壁に囲まれ、端の方に、大きな水溜まりがある。地面をよく見ると、いろんな生物の骨がひしめきあって、敷き詰めたようにたたずんでいて、ヒヤリとした冷たさに、ピンッとした張りつめた空気が異様な光景を醸し出していた………。

 

「相変わらず、薄気味悪いところね。」

 

「確かにニャ。居心地が良いとは、言えないニャ。」

 

それぞれ下位クエストで、一度追い払う事に成功したことがあり、場所と姿と行動には覚えがあった。

 

「来る!」

 

その骨の地面が1部せりあがってくる!それぞれ、武器を構えて戦闘体制をとる!泉のような水溜まりから首の長い、一定の間隔で丸く青い発光体を光らせながら、骨を全身に纏った竜が2本飛び出してくる!そのすぐ後ろに岩のような骨の様な巨大な甲羅!?を纏った本体が現れた!

かなり大きな体躯である。不気味な咆哮を上げて2本の首長竜が攻撃を開始する。首をガラガラと震わせながら、噛みつきや首をしならせて地面に叩きつけて来る!

 

 「こっちの方から倒そう!!」

 

 「了解ニャ!!」

 

 先ず、片方の首長竜を集中的に攻撃する!ラミアは鉄刀で、姫沙羅は獰灼炎のブレイニャーで。前回の戦いの経験が、1匹と1人を動かしていた。

 

 「よし!!」

 

 パン!!と割れるように首長竜が地中に崩れ落ちていく。

 

 「次ニャ!!」

 

 「了解!!」

 

 即、もう片方の首長竜に攻撃目標を切り替える!しかし、狂竜ブレスを吐いて来たために、ラミアと姫沙羅は骨だるまにされる!

 

「ニャ!手が出せないニャ!!」

 

「しまった!私も!!」

 

と、その隙を突かれ突進されて、吹き飛ばされてしまう!だるまではなくなったが、二人とも転げていた!

 

「なんの、これしき~…まだまだこれからだ!!」

 

「そうニャ……。負けられないニャ!!」

 

それぞれ立ち上がって向かって行く!

鬼神斬や攻撃を繰り返す内に、ラミアの狩技ゲージが貯まる!

 

「練気解放!円月斬り!!」

 

ラミアがすかさず狩り技を繰り出す!パン!と音と共に、骨の地中に崩れて行く!

 

「やったニャ!」

 

「今度は本体!!」

 

 本体に対して攻撃を移す!外骨格は硬く、はじき返される部分が多い。青い発光部分を狙って行く!

 

 「ニャァ!!」

 

 今度は姫沙羅が会心を食らわせた!咆哮を上げて地面に崩れて動かなくなる!

 

 「今ニャ!!」

 

 1人と1匹はオストガロアの背中に駆け上がり、大きな発光部に大樽爆弾を仕掛けつつ、ビッケルで採掘をする!

 

 「やった!発光する上粘液だ!!」

 

 「こっちもニャ!!」

 

 それぞれが1個ずつラミアが目的の素材をゲット!!他にも素材を取りつつ、爆弾を破壊させて飛び降りる!

 弱い所を攻撃されたため、骨の地中に潜り込む!地面を少し盛り上げつつ移動する!ラミア達も動き回って地面からの突き上げ攻撃を躱していく!2本の首長竜が地面から突き上げて来るたびに攻撃を仕掛ける!1本、また1本と地中に崩れ落ちた。

 すると今度は2本の首長竜と本体が姿を現す!しかも本体が後ろ向きになり外骨格の甲羅!?

を斜め上に突き出し、その下に顔らしきものが現れる!両側に小さめの目と、真ん中に丸い口に中は尖った牙がぐるりと並んでいて、太くて尖った触手が口の両サイドにうねうねと動いていた!

 

 「ギャガァァァァァ!!!」

 

 そのまま、体躯を更に起こして怒りモードに突入し………………!?!?!?

 と、途中でオストガロアが固まってしまった。2本の首長竜と共に一方向を凝視しつつ、冷や汗を一滴垂らしていた。その方向には1人と1匹が。

 並んで仁王立ちで腕を組んで逆にオストガロアをすっごく凝視している。

 

 「ねえ、姫沙羅ちゃん!?」(どうかしましたか!?)

 

 「何ニャ!?」(あなたまでどうしました!?)

 

 「あれって………、イカよね!?」(い、いや、違うと……思いますが!?)

 

 「あれは、イカにゃ!」(い、いや、言い切るんですか!?)

 

 「じゃ、ダイオウイカとか!?」(イカ指定してます!?)

 

 「ニャ、クラーケンニャ!」(完全にそう思ってるでしょ!?)

 

 「でも、イカでしょ!?」(一応古龍なんですけど……。)

 

 「ニャ!オクトパシーニャ!!」(それはタコさんなんじゃ……。)

 

 「え!?エクスタシー!?ぽっ…。」(聞いたこっちも、ぽっ…。)

 

 「「あんたが照れてどうする!!」」(スイマセン……………。)

 

 

 そのやり取りをしているうちに、オストガロアが動き出す!ラミア達の方へ向けて口の前に赤いエネルギー球が作られていく!

 

 「まずい!赤いレーザーが来る!!逃げるよ!!」

 

 「了解ニャ!!」

 

 それぞれが左右に分かれてそこから離れようとしたその時、ラミアがつまずいてしまう。

 

 「しっ!しまった!!」

 

 「ニャ!ラミア!!」

 

 姫沙羅が慌ててラミアの方に向かって行く!

 

 「き、来ちゃダメ!逃げて!!」

 

 「バカニャ!!そんニャ事出来るわけないニャ!!」

 

 とラミアに抱きつく!

 

 「き、姫沙羅ちゃん!!」

 

 お互いに目をつむって庇う様に抱き合う!オストガロアが同時に大きな赤いエネルギーのレーザーを放っていた!

 岩壁にぶつかり、地面すれすれを右回転にゆっくりと照射されていく!半分ほどまでいったところで、エネルギーは途切れた……。

 

 「ギャガァァァァァ!!」

 

が、敵を倒すことが出来ずに苛立ちを隠せずにいた。しかも、更に大きな存在が一つ現れたことで……。

 

 「!?!?!?」

 

 2人は自分たちがダメージを喰らっていない事に驚いてゆっくりと目を開けた。なんと、数メートル上空にいる!

 バサッバサッと上で翼の音がする。よく見るとラミアも姫沙羅も4本の大きな爪で掴まれていた。上を見上げると、悠然とホバリングしている友の顔が……。クリスタルコートされた刃麟を持ち、翼には紋様があり、3本の刃のような角があるセルレギオス……ラルクであった……。

 

 「「ラ、ラルク!!」」

 

 「クァ!!」

 

 ラルクは2人を交互に見ると、ゆっくりと地上に降ろして、着地する。

 

 「ありがとう!!!」

 

 「助かったニャ~~~!!」

 

 2人ともラルクの脚に抱きついていた。

 

 「クルクルクル♪♪」

 

 ラルクも良かったとばかりに頷き返す。そして、オストガロアの方を睨みつけていた。オストガロアも新手の敵に一層怒りを増していた。モンスター同士の対戦かと思われたが、それをラミアが制止した。

 

 「ラルク待って。後は私たちがやる!これは私たちのクエストだから……。」

 

 「ニャ。ここで、待っててニャ。帰る時、乗せてって欲しいニャ♪♪」

 

 「クァ!!」

 

 ラルクも理解して、待機する。その態度が気に食わなかったのか更に苛立ちを見せるオストガロア……。もう一度レーザー光線の発射準備に入った!が、今度はラミア達も反応早く、オストガロアの口に向かって突進していく!!2人で目の前でジャンピングして光線と口を目掛けて、剣を真上から振り下ろしていく!!!

 

 「「はァ!ニャ!ァァァァァァァァァァ!!!!」」

 

………………………………………………………………。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 

 夕暮れの日差しが差し込んで、綺麗で大きな太陽が部屋の中を照らし出す。その部屋で寝ていたアイルーが1匹ゆっくりと目を開けた……。

 

 「!?!?!?!?!」

 

 「あ、気が付いた!!」

 

 「まあまあまあ!!大変!!お医者さんと皆さんを読んできますわ!!」

 

 と村長さんが一目散に部屋から駆け出していく!

 

 「こ、ここはどこにゃ……。」

 

 「村長さんの家だよ♪良かった、気が付いて♪」

 

 ラミアの目から一筋の涙が頬を伝う。反対側には姫沙羅が涙を流していた。

 

 「ほんとニャ。そのまま起きて来なかったらどうしようかと思ったニャ。」

 

 「ニャ……。ラミア……、姫沙羅……。」

 

 白羅がゆっくりと両手を上に上げて、2人の手を掴んでいた。2人もしっかりと白羅の手を握り返す。

 

 「よく頑張ったニャ……。あの…オストガロアを………大したもんニャ……。」

 

 それを聞いて2人は驚く!!

 

 「え!?!?なんでそれを知ってるの!?!?」

 

 「そ、そうニャ!?!?なんで知ってるニャ!?!?!?」

 

 白羅はニッコリ微笑んだ。

 

 「夢を見ていたニャ……。ラルクと一緒に2人を助けに行った夢ニャ……。」

 

 「そ、そんな…。」

 

 「ニャ!?あの時ニャか!?」

 

 「そうだニャ…。2人が危うくレーザーの餌食になるところニャったニャ……。」

 

 「凄い……。信じられない……。」

 

 「ニャ……。あたしもニャ……。」

 

 「でも、ラルクの手を借りずにクエストを達成したニャ……。偉かったニャ……。」

 

 「びゃ、白羅さん……。」

 

 とラミアがうれし涙ぐんでいる。

 

 「少しは見直したニャ♪」

 

 「ニャ♪いい女は一味違うニャ♪♪……。」

 

 「ニャァ♪だから白羅は好きニャァァ♪」

 

 とバタバタと複数の足音がして部屋に入り込んでくる面々が……。

 

 「お、おい!目を覚ましたって!?」(はい♪その様です♪)

 

 「やっと、主役がお目ざめニャか。」(あなたも心配でしたでしょう♪)

 

 「良かった!!白羅さんがいなくなったら私も居られない!!」(大丈夫ですよ、落ち着いて♪)

 

 「そうね、私の一番の研究対象が居なくなったら、まだまだしたいことが一瞬で消し去ってしまうわ。」(何を目標にされているんでしょうか!?)

 

 「何にせよ私のものに出来る日も近いと言う事ですわね♪」(思い込みって……怖い……。)

 

 「ニャンか……凄い話になってるニャ……。」

 

 冷や汗をダラダラと流している、しかも動けない状態で焦っている白羅なのでありました…………。

 

 

 

 

 

 

 

 




 読了ありがとうございます。中々オストガロアとの対戦は緊迫感が無かったかもしれません。ほのぼのがいいので、ご了承いただきたく……。
 さて、白羅が目を覚まし、再び白羅視点でお送りしていきますが、どうなっていきますやら。
 
 では、また次話もお会いできることを切に願って…。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪絆とLVup と④♪♪

いつも、お付き合いありがとうございます♪
更新させて板叩きます…………!?じゃなかったいただきます♪何故か④までになってしまってこれいかに!?
ウホホ~~~~~イ!……………………………。
ささ、アホはほっといて本編を読んでやってくださいな♪後程、後書きにて♪
では、物語の始まり始まり……♪




温か~~~い♪♪ユクモの温泉日和の中、ラザックやモンスター達のお陰で、白羅達の家が完成し、移動することになった。

 

「じゃ、行きましょっか♪」

 

と白羅を抱かえるのは、ラミア。病院へも抱かえて運んでくれたのもラミアと聞いて、白羅は感謝していた…。

 

「すまないニャ。感謝してるニャ。ありがとうニャ♪」

 

「なに言ってるの、仲間でしょう。私の方こそお礼を言うのがいっぱいあるんだから♪」

 

「ニャ……そんなことはないニャ……照れるニャ……♪」

 

自分の頬を左手でポリポリと照れ臭そうに掻いていた。それを見ながら微笑むラミアであった。

 

「な~~~んか、良い雰囲気ニャね~~~…。」

 

と傍で拗ねているのは姫沙羅ちゃん。

 

 「さっきも言ったニャ。いい女は一味違うってニャ♪姫沙羅は違うニャか!?」

 

 「ニャ!?ニャ!?そんなことはないニャ!」

 

 「なら、良かったニャ♪」

 

 「ニャもう!♪」

 

 と何だかんだ嬉しそうな姫沙羅であった。

 

 ラザックを先頭に皆でぞろぞろ広場まで行進していく。広場の入り口まで来ると、研究者やギルドの職員、村の人々が白羅達を迎えてくれた♪

 

 「おお!!白羅さんが帰って来た!」(はい、戻って来ました♪)

 

 「ラミアさんや姫沙羅ちゃんもいるぞ!」(もちろんです♪)

 

 「いいなあ♪沢山の美人に囲まれて……。」(羨ましいですか!?)

 

 「俺もあやかりたいなぁ……。」(そうなれるように頑張ってみては!?)

 

 「欲しい……。」(だ、大丈夫ですか!?危険が漂ってますが!?)

 

 「でも、良かったなぁ。主が戻って来て。」(そうですよね♪)

 

 「だよなぁ、居なくなったらモンスター達が暴れ出すだろうし。」(あなたは真っ先に逃げ出すタイプ!?)

 

 「そうなったら村が大変だな。」(緊急事態発動!!)

 

 「温泉にも入れなくなるしな。」(皆さんの疲れを癒す場所が無くなってしまいます………。)

 

 「そう考えたらやっぱり戻って来てくれて良かったな。」(いやぁ………照れますねぇ……♪)

 

 「「「「「あんたじゃね~~~し!!!」」」」」(いやぁそれほどでも……あるかな♪)

 

 「「「「「褒めてないし!!!」」」」」(お呼びでない……、失礼しました~~~♪♪)

 

 皆、拍手で迎えてくれる。それにはラミアや姫沙羅もビックリで照れながら、会釈しつつ、入り口へと入っていく。出迎えてくれたのはモンスターの面々、ラルクを含め、ディノバルド、ガムート、麒麟さん、金銀夫婦と子供たち、焔羅、そしてタマミツネであった。タマミツネが特に白羅を舐めて来る。安心したのとお礼を言いたさに、白羅に甘えて来ていた。

 

 「ニャ♪ニャ♪ニャ♪くすぐったいニャ♪良かったニャ♪タマちゃんも無事でニャ♪」

 

 みんな顔を近づけて来る♪白羅が帰ってきたことで、嬉しさと安心があったようだ。

 

 「よし、家の方へ案内するぞ!」

 

 と歩き出す。それに続いていく。しばらく進むと、大きな建物が見えて来た。3階建ての煉瓦とユクモの樫木を織り交ぜた、一風変わった建て方をしている建物だった。かといって嫌みの無い、良く言えばオシャレな感じの建物だ。

中に入ると、ラルクと焔羅がいた。1階はラルク達の部屋で、反対側に出入り出来る扉が。水と、生肉を用意してあり、寝藁を敷き詰めてあった。ラルクの体躯にあわせて、天井も高くしている。入口を入ったすぐ左に2階へと上がる階段があった。

木目調のいや実際にユクモの樫木で作られた贅沢な階段を上がっていくと、リビングになっていて、テーブルや椅子、チェストや貿易猫さん、あとは、な、なんと!猫飯屋さんまである始末♪♪♪

 

「やった!猫飯屋さんまであるの♪♪」

 

「そうみたいニャ♪情報集め以外は、ここで食べられるニャ♪」

 

「ニャった♪毎晩酒が飲めるニャ♪」

 

 と姫沙羅ちゃん、口走ったのが後の祭り……。気付くと周りから注目を浴びまくっている♪

 

 「いい女は一味違わニャいのかニャァ……!?」

 

 そっぽを向きながら、わざとらしく突っ込みを入れる白羅♪

 

 「ニャ、ニャホン!!勿論ニャ!一味違うニャ!」

 

 「大酒飲みは確かに一味違うかもね♪♪」

 

 とラミアがウィンクしながら姫沙羅を見る。

 

 「ニャ!ラミアまで意地悪ニャ!」

 

 「ニャ!ニャ!ニャ!ニャ!ニャ!珍しく姫沙羅が一本取られたニャ♪♪」

 

 みんながどっと笑いだす。明るい笑い声が、白羅達を暖かく包んでいてくれるようであった……。

 

 そして、3階へ。階段は南西側に螺旋階段が作られていた。上り下りもしやすく、やはり贅沢にユクモの樫木が使われており、彫刻も施されていた。階段を上がるたびに皆、感嘆の声を上げる♪♪

 3階に上がると部屋の中央に降り立つ。そこを中心として円柱状に作られた建物になっていて、それぞれの部屋の壁際にベットが置かれていた。傍には武具を置いておける棚もあり、個々のくつろぎスペースにもなっていた。

 流石はラザック!腕の見せ所が違う(俺はハンターだぁ~~~~~!!)

 

 「ありがとうニャ♪♪ラザック♪♪色々頼み事をしてすまにゃいニャ。感謝するニャ♪♪」

 

 「いいって。命の恩人の頼まれごとだ。これでも返したうちには入らんさ♪♪」

 

 「ラザックは良い奴ニャ♪今度一緒にここで飲むニャ♪」

 

 「おう!その時はワイワイやろうぜ!じゃあ俺はまだ用事があるから失礼するよ。」

 

 と階段を下りていく。

 

 「助かったニャ!!ありがとうニャ!!」

 

 ラザックは階段を下りながら右手を上げて、手を振りながら降りて行った……。

 

 「私たちもそろそろおいとましますわ♪部屋は別々になっているのは確認できましたし♪」

 

 「え、もう帰られるんですか!?」

 

 「但し!!!」

 

 とラミアと姫沙羅に指を指しながら顔をアップにする!

 

 「抜け駆けは許しませんことよ!私にもそう言ったのはあなた方ですからね♪♪」(さりげな~く怖いですよ~~~♪♪)

 

 「は、はい!」

 

 「ニャ!ニャい!!」

 

 「クスクスよろしいですわ♪お願いしますわね♪♪」

 

 と村長さんも階段を降りて行った……。

 

 「じゃあ、私達も♪♪」

 

 アイラさんと眼鏡美人のお姉さんも。

 

 「白羅さんをお願いしますね♪」

 

「勿論です♪」

 

「わたしも負けませんから♪」

 

と耳元で囁く。

 

「えっ!?」

 

「わたしも居ることをお忘れなく♪」

 

「はは……はい………。」

 

改めてライバルが沢山いることに、感心する。だが、それにめげる彼女でもない。むしろ逆効果であることを、他の彼女達には知るよしもなかった………。

 

まずは、白羅用に用意された部屋のベッドに寝かされる。

 

「良い心地ニャ♪流石はラザックニャ♪」

 

「凄いね♪建築家さんもビックリね♪」

 

「ニャ、今日はもう遅くなったニャ。皆寝ようニャ♪」

 

「「「「「「おやすみ♪ニャ♪」」」」」

 

それぞれ、決まった部屋へと入る。

皆ゆっくりと新しいふかふかのベッドに気持ち良さそうに入るのだった……………。

が、シバラクすると1つの部屋の扉が開く。背中を丸めて枕を持ち、音を立てないように爪先立で移動する物が。

やがて白羅の部屋の前にたどり着いた。扉のノブに手を掛ける。

 

「約束したよねぇ~~~~♪抜け駆けはしないって~~~♪忘れたのかなぁ♪村長さんの怒りを買いそうだねぇ~~~♪大丈夫かなぁ♪」

 

ギクッ!!!背中の体毛が一気に逆立つ!声の主は分かったが、震えながらゆっくり振り向くと、ラミアが両手を腰に据えて、仁王立で見下ろしているのだった……。

 

「ニャ!?ニャ!?こ、これには訳ニャ…!?」

 

「確かに訳ありよねぇ♪枕を抱えているんだもの♪」

 

ヘビに睨まれたカエル!?いや、猫である。額から脂汗がだらだらと零れ落ちている。

 

「急で悪いんだけど、一緒に添い寝してくれる?姫沙羅ちゃん♪♪」

 

と首の後ろを掴んで持ち上げる!急に持ち上げられて、慌てまくる!

 

「ニャ!?ちょ、ちょっと待ってニャ!?ニャ!?ニャ、ニャ!?許してニャ!?ラミア様~~~~…………………。」

 

白羅の部屋に入ること叶わず、ラミアの部屋に強制送還拉致となった姫沙羅ちゃんでありました♪♪♪

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

「おはよ!!♪♪」

 

目覚めのいいラミアの声が、部屋の中で響いていた。目の下に真っ黒い隈を作って、ぼ~~~~~~~っとしているのは、逮捕されて拉致された姫沙羅ちゃん♪

 

「へ、部屋に戻るニャ………、あとは、よろしくニャ………。」

 

と自分の枕を抱えて部屋にとぼとぼと戻って行くのでした♪少し、やり過ぎたかな♪と姫沙羅ちゃんを見送りつつ、ラミアは早速仕度を整える。武具を装備し、部屋を出る。白羅の部屋に行き、扉をノックする。

 

「白羅さん、ちょっといいかな♪」

 

「どうぞニャ♪入って良いニャよ♪」

 

「失礼するね♪」

 

と中へとお邪魔する。

 

「どうしたニャ!?」

 

「うん、これから、武具屋さんに行ってくるから♪」

 

「ニャ♪分かったニャ♪気を付けて行ってきてニャ♪」

 

「ありがとう♪行って来ます♪」

 

と、ごくごく自然と白羅のほっぺにkiss♪♪♪をしていた♪♪

が、お互いに顔を紅く染めてうつ向いてしまう♪♪♪

 

「な、な、ナイショね♪バレたら、怖いから♪」

 

「わ、分かったニャ♪絶対言わないニャ♪ナイショニャ!」

 

お互い頷きあうと、ラミアは白羅の部屋を後にした。下に降りて、猫飯屋で食事を済ませ、更に下に降りると、ラルクに焔羅がじゃれていた。

 

「ちょっと、出掛けて来るから、白羅さんをお願いね♪」

 

「クァ!」「グァ!」

 

1頭と1匹は、返事返した。ラミアは手を振って、家を出た。

今日のユクモ村も、快晴の良い天気てあった♪♪

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

集会場の武具屋さんにやってきたラミアは、早速店の兄さんに話し掛ける。

 

「すいません、約束どおり、レベルを上げてもらいに来ました♪」

 

「おぉ!あんたか!聞いたぜ!ほんとに討伐して来るとはな♪お陰で店の知名度も上がって、嬉しい限りさ♪」

 

「良かったですね♪それで、これを。」

 

と、他の素材と一緒にカウンターに出したのは、光る上粘液2つ。

 

「おぉ!間違いなくこれだよ♪じゃあ、鉄刀を貸してくれ、レベルアップする!代金は特別に半額にしとくよ♪その代わり、今後もうちをよろしくな♪」

 

「了解です♪よろしくお願いします♪」

 

「OK♪じゃ、後でまた寄ってくれ♪」

 

と工房へと消えて行った。ラミアも楽しみにしつつ、アイラの元に。

 

「ん!?あれ!?」

 

「あ!ラミアさん!」

 

「え、なんでココット村の代理の見習いの子が、一緒に居るの!?」

 

「あぁ、今回私からお願いして、雇うことにしたの♪」

 

「そうなんです♪ほんとに言ってくれたように、ラッキーだし、お姉様優しいし♪」

 

「あら、何も出ないわよ♪」

 

いつになく、ハンターが、集会場に集まって居ることに納得するラミアだった。

 

「あ、今度は、龍識船にも乗れるんですね♪

G級の称号も貰えたのでしょう!?」

 

「はい♪近々行こうと思います。」

 

「じゃ、集会酒場に行った時は、ママさんによろしく伝えてください♪しばらくぶりにお会いしたいと♪」

 

「は、はい!?分かりました。アイラさん、知り合いなんですか!?」

 

「えぇ、仲良しだから♪お互いに忙しくて、しばらく会っていなかったから、会いたいなと思って♪」

 

「分かりました、会ったときに伝えます♪」

 

「ありがとう♪」

 

「あ、そろそろ武具屋さんに戻らなきゃ♪じゃあまた♪」

 

「白羅さんによろしくね♪」

 

「了解です♪じゃあ♪」

 

と、そこを離れて武具屋さんへと向かう。

「お、戻ってきたな♪ほら、出来上がってるぜ♪」

 

とカウンターに鉄刀が置かれる。ラミアは手に取り、感触を確かめる。レベルアップしたかいがあったようだ。レベル8になった。青ゲージと攻撃力が少し上がる。ラミアにとっては満足であった♪

これからもその太刀が、ラミアと長い付き合いになることは、本人すら知り得ない事でもあった……………………。

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 

 




読了ありがとうございます♪
今回はなんと!ラミアさんが……………♪
果たして、誰が白羅をゲット出来るのか♪(主旨、違くね!?)
次話はどうなっていくのか、おたのしみに♪
ではまた次話にてお会いできることを切に願って♪♪♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪ギルドナイトからの依頼①♪♪♪

もうし訳ありません!
実は、更新させていただきました♪皆さんの期待!?に添えるかどうかはともかくに。
ささ、訳の分からんヤツはほっといて本編にお進みください♪後程、後書きにて。
では物語の始まり始まり……………♪




 いつも晴れやかなユクモ村♪♪(他の天気はないのかな!?)いつもながら温泉日和な、いい気候の場所であり、最近は村自体が大繁盛!!他の村も便乗で、利益を出しておりました。と、前にも話しましたが、更に更に潤っている状態なのであります♪

 何せ、モンスター動物園!?ジ〇ラシ〇クパ〇ク!?とおぼしき広場があって、柵の外側では研究者やギルド職員、一般の人等々、張り込み取材!?いや、研究に没頭していて、人数が倍ほどまで増えている……。しかも、白羅達とも仲良しで、モンスター達も攻撃的な要素がない♪と来れば、興味がわかない訳がない♪♪と、これも前回お話したとうり……。今やちょっとした有名人達なのです♪♪

 

 「ほほほほほほ、笑いが止まりませんわ♪♪」

 

 あまりの収益に村長さんが喜んでいました。温泉の番頭さんも扇子を両手でフリフリ踊って、喜びを表現していました。

 

 「白羅さんに足を向けて寝られませんニャ!!」(ホントにそう思ってるのかな!?)

 

 ラミアと姫沙羅は白羅が復活出来るまで、上位のクエストをこなしたり、アイテムを揃えたり、時々ラルクとクエストに行ったり!?と少しずつですが力を付けていました♪♪龍識船には白羅と一緒に乗りたいと本人たちの希望でもあり、白羅も部屋でリハビリ!?いや、特訓!?いや、修行!?いや…。何でしょう!?

 

 「ニャンか言ったかニャ!?」(い、いえ、何でもありませ~~~ん!!)

 

しかし、普通の人や動物達とは違い、ハンターやアイルー達というのはスタミナや体力、怪我の治りが早いのでびっくり。医者もビックリで来週には、クエストに復帰出来ると、お墨付きをもらったほどでした。

 

「クエストに行けるようにニャったらどうするかニャ…………!?」

 

 「G級を手伝ってやるといいニャ。」

 

 「灯羅にゃか。」

 

傍に灯羅が顔を出していました。

 

 「あんまり物音がするんで気になったニャ。」

 

 「そうニャァ、G級ニャか~。」

 

 白羅は天井を見上げて思いにふける。

 

 「懐かしいニャ。灯羅と二人でよくご主人のサポートをしたにゃ♪」

 

 「そうニャ……。アルザ―ト様と行く事にニャるまで一緒だったニャ。懐かしいニャ♪」

 

 「あの時からは強くなったのかニャ?おいら達!?」

 

「少なくとも、強くはニャってると思うニャ。もう少し自信を持ってもいいと思うニャ。」

 

「そうニャか~~~………、自信ニャ~~~…………。」

 

と、悩んでいる時に扉をノックする者が。

 

「どうぞニャ。開いてるニャ。」

 

「失礼するよ。どうだい、調子の方は?」

 

と中に入ってきたのは、噂をすれば♪のアルザートだった。

 

「ニャ!?アルザート様が直々においで下さるニャんて、来るニャらお迎えに参りますニャに。」

 

「いや、いいんだ。実は頼み事があってね、白羅君、少しいいだろうか?」

 

「分かりましたニャ。下の猫飯屋で、話を聞きますニャ♪行きましょうニャ♪」

 

と、3人!?は下の猫飯屋へ。椅子に座り、ジョッキを三つ注文した。すると三毛猫アイルー店員がジョッキを抱えてくる。テーブルの上にそれぞれ白羅達の目の前に置いてくれる♪

 

 「まずは乾杯だ!」

 

 1人と2匹はジョッキを手に取り、上げてぶつけ合う♪酒しぶき!?とともにグッと一口、酒を飲む♪

 

 「ぷにゃぁ♪久しぶりニャ♪♪」

 

 「また、お前と飲むとは思わなかったニャ。」

 

 「おいらもニャ♪♪」

 

 と、そこでアルザ―トが話を切り出す。

 

「実はかくかく然々なんだ。」(そこ短縮する!?!?!?)

 

「「ニャほう!?」」(分かるってどゆこと!?!?)

 

「君達が逃がしたゴア・マガラが、暴れていて大変なことになっている。しかも、かなりパワーアップしているようだ。私も調査隊を組織して、動向を探っていたが、逆に見つかり返り討ちに合ってしまったのだ。私も行くべきだったと、今更ながら後悔している!一緒に行動していれば………くそっ!!………。」

 

アルザートはテーブルを叩いて悔しがっていた。余り表情を表に出さない人物が、今回だけは違っていた。

 

「アルザート様がそこまでニャんて、一体どうしてニャ!?」

 

「その調査隊の中に、イリザも加わっていたのだ…………。」

 

「「ニャ!ニャんと!!」」

 

 2匹は驚いていた。かなりの手練れであるはずのイリザが加わったチームが返り討ちなど信じられなかった。

 

 「ニャ!?イリザ様は今、どうしてるニャ!?」

 

 「うむ、イリザも足を怪我して療養している。だが、仲間を守れなかったことの方がショックが大きかったらしい。落ち込んでいるよ…。」

 

 「そうでしたニャか…。」

 

 「どう慰めていいものか分からず……、もどかしいばかりだ…。」

 

 流石のアルザ―トも切ない顔をしていた。やるせなさが込み上げているのがよく分かった。

 

 「分かりましたニャ!おいら達でよければ引き受けますニャ!!」

 

 「おお!!お願い出来るか!よろしく頼みたい!!」

 

 と、白羅と握手をする!アルザ―トも少し気が晴れたのか顔が穏やかになった。

 

 「ラルクも同行してもいいニャか!?」

 

 「うむ。私が許可を出しておこう。受付嬢には話を通しておく。よろしく頼む。」

 

 「了解ですニャ!ラミアと姫沙羅には話をするニャ。灯羅も頼むニャ!」

 

 「分かったニャ。話を聞いた以上断れニャいニャ。」

 

 「済まない、よろしく頼む。」

 

 とアルザ―トが頭を下げる。滅多にない事だった。灯羅もビックリして手を取り、握手する。

 

 「顔を上げてくださいニャ。アルザ―ト様の頼みを断る訳がありませんニャ!必ずイリザ様の分もヤツを殴ってきますニャ!!」

 

 お互いに顔を見合わせて微笑んだ。その後、1人と2匹は昔話に盛り上がり、ラミア達が帰ってきた所でお開きになった…。

 アルザ―トは灯羅に寄り掛かりつつ、自宅へと向かって帰って行った。白羅はラミア達を猫飯屋で夕食を食べさせながら、アルザ―トが来ていたいきさつを話した。

 

 「イリザさんが負けるなんてどんだけなのよアイツ!?」

 

 「そうニャ!?でも、ラルクが一緒ニャら楽勝ニャ!」

 

 「ニャ!?ラルクに頼っちゃダメニャ!姫沙羅も強くニャったと思ったニャが違うニャか!?」

 

 「ニャニャ!?そんなことはニャいニャ!頑張ってレベルも上げてきたニャ!ニャ、ラミア♪♪」

 

 「そうね。G級に上がってもやっていけるように鍛えてきたつもりだもの。簡単にやられたりしないわ♪♪」

 

 「ニャら決まりニャ!ラミアと姫沙羅と灯羅とラルクとおいらで、この依頼をクリアするニャ♪♪よろしく頼むニャ♪♪」

 

 と同時に頷く。気持ちは固まったようだった。

 

 「ニャら、おいらは温泉に入りに行くニャ。」

 

 「え!?ちょ、ちょっと待って!?私も一緒に行く!」

 

 「ニャ!?ニャらあたいも一緒に!」

 

 とラミアと姫沙羅は慌てて食事を食べつくす!

 

 「ニャ、ニャ!?い、いいニャ。おいらだけで行ってくるニャ!」

 

 「「ダメ!!」」

 

 「ニャ、ニャい!!」

 

 温泉にと言うんじゃなかったと今更ながらに後悔している白羅がいた♪冷や汗を垂らしつつ………、完全に姫沙羅とラミアのペースに捕まったのだった…。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 

 夜の露天風呂は、鮮やかな星空が今にも掴めそうなぐらいに目の前に輝いている。ラルクと焔羅は休んでいたので、そのまま起こさずに休ませておいた。他のモンスター達も起きているもの、休んでいるものそれぞれだった。

 

 「ぷにゃぁぁぁ!!いい湯加減ニャぁぁ♪♪」

 

 先に湯船に入った白羅が感嘆の声を上げる。

 

 「隣……、いいかな♪♪」

 

 ちゃぷんと片足をゆっくりと湯船に入れて来る人が……。

 

 「ニャ!?ど、どうぞニャ!!」

 

 お湯の所為ではなく、酒の所為でもなく、顔を真っ赤にした1匹の猫さんは返事をしながらもあっちの方向を向いていました♪♪ タオルを羽織りながら、ゆっくりと湯船に浸かるラミアが……。淡いほんのりとしたピンク色の肌が一層艶っぽさを醸し出していた。

 

 「あたいもいいかニャ♪♪」

 

 とその反対側の隣を湯船に浸かる1匹さんが……。

 

 「ニャ!?こっちもどうぞニャ!!」

 

 と今度は両手で顔を覆ってしまう……。恥ずかしさがピークに達しそうだった……。

 両手に花♪♪とはよく言ったものだ。白羅が何故モテるのか…。書いている作者にも分かってはいない……。(ほっとけ!!)

 

 「いい湯だニャぁ♪♪」

 

 「ほんとね~~~♪♪」

 

「明日、準備出来しだい出発するニャ。クエスト受注はおいらが行って来るニャ。」

 

「って、白羅さん、なにしてるの!?」

 

よく見ると、両前足を盾にして、顔の両側に添えて真っ直ぐに向いている。

 

「ニャ!?ニャにって、言われてもニャ………。」

 

と言いながらも、顔を赤らめている♪♪

 

「なに、照れてるニャ♪♪可愛いニャ♪♪びゃぁくらぁぁ♪♪♪」

 

と、姫沙羅が白羅の背中に飛び付く!

 

「ニャ!?姫沙羅!?ちょ、ちょっと止めるニャ!!……………!?!?!?」

 

姫沙羅を背中から下ろそうと体を動かすうちに、ラミアのお姿が視界に入ってしまい、ロックオンしてしまう!!

 

「ニャ~~~~~~!!!お胸ニャ~~~~!!!」

 

タオルを巻いているとはいえ、刺激的~~~♪♪♪な白羅なのでありました!ピュウ~~~~~♪♪っと真上に鼻血の花火!?を上げてひっくり返り、気絶して湯船に浮かんでいるのでした♪♪

 

「え、ちょ、ちょっと!?白羅さん!?白羅さ~~~~~ん!?!?!?」

 

慌てて、白羅を介抱する1人と1匹…………。

今宵も、湯けむりが星空を淡く写し………、更けゆくのでありました♪♪♪




読了ありがとうございます♪♪♪今回、気持ち短めになってしまいましたが…♪次話は戻るかと♪今度は1人と、3匹、1頭とフル出動でのクエスト!さてさて、どうなってしまいますやら♪執筆している私も楽しんでおります♪
しばし、お待ちいただければと♪
ではまた次話にてお会いできることを切に願って♪♪♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪ギルドナイトからの依頼②♪♪♪

いつも、読んでいただいてありがとうございます♪ 更新させて頂きます♪毎度の事ながら真面目!?かな!?読んでいただけたらと♪
後程後書きにて。

では、物語の始まり始まり………♪


今日も元気にユクモが熱い!!(それって温泉の熱さじゃ………。)

他の村も一緒に熱くなっておりますが♪(いかん、温暖化は。恋の温暖化は認めよう♪かな!?)

気持ちの良い晴ればれとした朝日の中、白羅の面々は、クエスト出動のため、準備を始めたのであります♪

 

「回復薬グレートは?」

 

「持ったわ。」

 

「秘薬は持ったニャか?」

 

「持ったわ。」

 

「いにしえの秘薬は持ったニャか?」

 

「持ったわ。」

 

「惚れ薬は持ったニャか?」

 

「持った………えぇ!ポッ…………。」(持ったんですか!?)

 

「ニャ、ニャにか、違った予感がするニャ…………。」(君にとっては悩ましい予感が♪♪)

 

と、今更ながら大丈夫かと思いつつ、準備をしていくのでありました♪♪

武具の装備も怠りなく、持ち物アイテム等々も怠りなく………。

準備を整え、下の猫飯屋へと、階段を降りていきます。美味しそうな香りが漂い、食欲をそそられる料理を常に探求する猫飯屋の猫さんでありました♪♪

今回はG級に上がる前の腕試しといったところでしょうか。

 ラルクにとっては再戦となるわけですが。どうやって暴走を止めるか、食事しながら話していました。

 

 「ね、この前のゴア・マガラなんでしょう!?暴れているのは。」

 

 「そうニャ。ラルクを止めてニャければやられてた奴にゃ。」

 

 「ニャンでまた……。」

 

 「わからニャいが、ニャにかに怯えているようでもあったとも聞いているニャ。」

 

 「え、ゴア・マガラが!?」

 

 「そうらしいニャ。そのために禁足地に逃げ込んだらしいニャ。」

 

 「禁足地!?」

 

 「そうニャ。ニャからエリアの移動はニャいが、こっちも戦いながらお互いに回復し合わないと勝てニャいニャ。」

 

 「そうニャ、連携をとらニャいと、勝てないニャ。」

 

「お互いに、回復しあいながらってことよね♪」

 

「ニャ!そう言うことニャ!ニャて、集会場へと行こうニャ♪」

 

と、猫飯屋にたとえ家の中の設備であっても料金を払い、ラルクと一緒にみんなで集会場へ。

相変わらず、下位から上位まで、時々G級のハンターも混じってはいますが、ハンター達が入り乱れておりました。

 なぜか盛況♪♪それもそのはず、受付嬢が2人!?もいて、しかも美人♪♪テキパキと仕事をこなしていくので、ハンター達から1目置かれ、2列渋滞が♪♪大半がクエストより彼女たち目当て!?のようで……。ココット村から見習の子が代役をしていましたが、晴れてアイラにも認められ、一緒に集会場の受付嬢として仕事をするようになりました。

 

 「あ~~~!!受付嬢になれたんだ~~~♪♪」

 

 「あぁ!!来てくれたんですね♪♪そうなんです♪♪アイラお姉さまに気に入られて、こっちで働かせてもらうことになりました♪♪」

 

 「よかったニャァ♪でもココット村の受付嬢はどうするニャ!?」

 

 「えぇ。それで話に行ったら『マジで!?あたしが行っとくんだった~~~!悔しい!!』だそうです。グーで殴らなくてもよかったみたいです。応援してくれてありがとうございます♪♪」

 

 「えぇ、あたし達何もしてないよ~~♪♪」

 

 「そうニャ、お礼言われる事はニャンも♪♪」

 

 「ニャ!?2人は受付嬢のことを知っているニャか!?」

 

 白羅が横から話しかけてきた。ラミアと姫沙羅の二人と思っていたので、後ろにアイルーが2匹もいるとは思わなかったらしい。突然現れたので驚いた!しかし、横で、他のハンター達のクエスト受注の処理が終わったらしく、アイラが嬉しそうな声を上げる♪

 

 「白羅さん♪♪♪」

 

 「ニャ♪♪アイラさんニャ♪♪」

 

 「良かった♪元気になって♪」

 

 「心配かけたニャ。もう大丈夫ニャ♪ありがとうニャ♪♪」

 

 「この猫さんがアイラさんの………♪♪」(どんな話を聞いていたのか………!?)

 

 「「「「「 なにィ!!! 」」」」」(そゆことに敏感なハンターさんたちっていったい!?)

 

 「ば、ばか!変なこと言わないの!!」

 

 と、口を塞ぐも顔を真っ赤にしてうつ向いていたアイラさんでした♪♪

 

 「クスクス…。アイラさんもなかなかね♪♪」

 

 「んっもう♪」

 

 「ニャ、ニャにか違う方に発展してるニャ……。」

 

 一筋の冷や汗を垂らしながら、白羅が動けずにいると、

 

 「クエストをお願いしたいのですニャが、よろしいですニャか!?」

 

 と白羅の隣に立ち、声をかけてくるアイルーが。

 

 「ニャ!?そうニャった。さすが灯羅ニャ。気が利くニャ!」

 

 「え、あ、ごめんなさい♪久々に白羅さんの顔を見れたものだからつい…♪」

 

 アイラは照れながら後ろのアイルーに受注書を開かせる。

 

 「「どのクエストになさいますか♪♪」」

 

 2人の絶妙なタイミングの声に白羅達より周りのハンターたちの方が感嘆の声も漏らす♪あまりに注目されたので2人とも顔を赤くしてうつ向いてしまった♪

 

 「ニャ、ギルドナイトの特別クエストがあるはずニャが!?」

 

 と受注書を覗き込む。

 

 「あ、はい!聞いてますよ!えぇっと…。あった!これですね!”廻り集いて回帰せん”!!」

 

 「ニャ!?どういうことニャ!?このクエストニャって…。」

 

 「う、うん。ま、まさかね…。」

 

 「ニャ、ニャンかやな予感がするニャ……。」

 

 「でも、やるしかニャいニャ……。」

 

 1人と3匹はお互いの顔を見合わせて頷く。

 

 「このクエストをお願いしますニャ!」

 

 「わ、分かりました。クエスト受け付けました。お気を付けて行ってらっしゃいませ。」

 

 アイラも心配そうではあったが、ここは信じることにした。

 

 「心配いらないニャ!今回はラルクもいるニャし、皆と一緒ニャ!負けないニャ!!」

 

 「そうニャ!あたしが白羅を守るニャ!」

 

 「白羅さんを守るのはあたしだも~ん!」

 

「やれやれニャ………。」

 

とため息をついている灯羅をよそに、出発口へと向かうのでした………。

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

さてさて、白羅御一行様は、飛行船に乗って禁足地のある、ベースキャンプにやってまいりました。

みんな、緊張していて、下を覗くとそれなりの広さがある石の地面で、1ヶ所だけ隆起しているところがあります。外回りは断崖絶壁で、落ちれば間違いなく助からないまさに立ち入ってはならない場所にふさわしいところでした。

それぞれ、ゴア・マガラの姿も見えて、更に緊張が高ぶり、息を飲んだ。

 

「ごくっ!?」(緊張してますね♪)

 

「ゴクッ!?」(お気持ちはよく分かります♪)

 

「ゴク………!?」(大丈夫ですか!?)

 

「グビッ!!」(はい!?!?!?!?)

 

「「「グビッ!?!?!?」」」

 

みんな同一方向に振り向く!すると約1匹が、ジョッキを片手に硬直して、冷や汗を垂らしつつ、動けずにおりました。

 

「ニャ!?こ、これはその……………ニャ♪」

 

「姫……沙……羅……ちゃ~~~~~ん…………♪」

 

ビクゥゥゥゥ!!!

後ろから、普段想像が出来ない程の低く優しい声が……………。 

姫沙羅が更に冷や汗を増やしながら、忍び足で片足を一歩前へ出そうとした瞬間に、ガシッ………と後ろの襟首部の鎧を捕まれ軽々と持ち上げられる!

 

「ニャ!?!?ちょ、ちょっと待ってニャ!?」

 

ともがくも、問答無用で持ち上げたまま、何も言わずに、禁足地へ飛び降りて行きました♪♪

 

「ニャ~~~~!!ラミア様!待ってニャ!!………こ”め゛ん゛な゛さ゛い゛ニ゛ャ゛~~~~~~!!!……………」

 

姫沙羅の断末魔が、響き渡る中、姿が見えなくなりました♪

 

「コ、コワイニャ………。」

 

「確かにニャ………。気を付けようニャ。」

 

「そうしようニャ。」

 

白羅と灯羅も、冷や汗を垂らしつつ、禁足地へと降りて行った二人を、見守っていました。

 

「ニャけど、あのコンビは仲が良いニャ♪」

 

「そうニャ~。お前が、復活するまでずっと一緒にクエストしてたしニャ。」

 

 「そうニャのか!?」

 

 「そうニャ。前のままと思わない方がいいニャ。」

 

 「にゃるほどニャ。分かったニャ!ニャらおいら達も行くニャ!!」

 

 「おうニャ!!」

 

 と2匹も後を追って禁足地へと飛び降りるのでした…………。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

禁足地に降り立つと、南東側に、ゴア・マガラがいた。ラミアと姫沙羅は白羅達の来るのを待っていた。その後ろに、ラルクが飛来する。

 

白羅達を見つけ、ゴア・マガラが咆哮を上げる!ゆっくりと白羅達に向かっていた歩き出す。ラルクも咆哮を上げ、白羅達が武器を構えると、一緒にゴア・マガラに向かって歩き出していた。

あと数メートルとなった時!ゴア・マガラが左翼を振り上げ、大きな爪と共に白羅達に向かって降り降ろして来る!同時にラルクが飛び上がり、ホバリングしながら、後ろ足を突きだし4本の鋭いクリスタルコートの爪で対抗する!!

ぶつかり合うその瞬間だった……………!!!

 

「グァガァ!!!」

 

「グギャァ!!!」

 

「「「「ラルク!!!!」」」」

 

2頭とも、北側からの攻撃を受け、2体とも南側に吹き飛ばされる!!!予想外の攻撃で、2体はダウンして、もがいている!

 

「ラルク!!」

 

すかさず、白羅がラルクの元に走り寄って行く!

 

「い、一体何なの!?」

 

ラミアも姫沙羅も警戒しつつ、周りを見渡すが、何に攻撃されたのか検討がつかない!

しかし、一匹だけ、その気配を感知している物がいた。

 

「そこニャ!!!」

 

灯羅がブレイニャーをブーメランとして投げつけた先に、空間が揺らめいた!!

 

「ニャ!?あいつニャ!!」

 

姫沙羅もその姿に驚く!!

空間の中からゆっくりと姿が現れてきた。全体が滅茶苦茶ザクッと言ってしまえば、カメレオンに羽があり、尻尾は平たく、先は細く、しかも硬くて重い体躯であり、古龍に指定され、擬態を使える生物として、特種指定でもあった。

全員が、その姿に注視する!

 

「やはりコイツニャったか……………。」

 

1人と3匹は同時に叫ぶ!!

「「「「オオナズチ!!!!」」」」

 

「ギィィヤァァァ!!!」

 

不気味な咆哮と共に、悠然と白羅達の前に立ちはだかる古龍だった……………………。

 

 




読了ありがとうございます♪横やりが入りました。オオナズチさん来ました。さてさて次話はどうなっていくのか楽しみに待ってます♪じゃなかった、お待ちいただければと♪
ではまた次話にてお会いできることを切に願って♪♪♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪ギルドナイトからの依頼③♪♪♪

 ごめんなさいね~~~……………♪♪ 更新させてくださいね~~~……………♪♪
 こんな私の作品ですが、読んでやってくださいまし~~~……………♪♪
 今回も”真面目!?!?!?”になっておりますぅ~~~……………♪♪
 後ほど後書きにて~~~……………♪♪
 では物語の始まり始まり~~~……………♪♪(って、以前もこんなパタ~ンが!?)



…………悠然と上から目線で白羅達やゴア・マガラを見据えるオオナズチ……………。

 

 「ここって、禁足地のはずよね!?」

 

 ラミアがオオナズチに向けて武器を構えつつも、再確認の意味で皆に言葉を促す。

 

 「そうニャ!禁足地ニャ!来ることがニャいはずのモンスターが居るのはおかしいニャ!?」

 

 「ニャ!?まさか、ゴア・マガラが怖がっているのって…。」

 

 「そのまさかニャもしれニャい!」

 

 「マジで!」

ゴア・マガラの方も気にしつつ、オオナズチがどう動きを見せるのか?武器を構えたまま、皆気を抜くことは出来なかった。

だが、先に動いたのはオオナズチ。あの鞭のような長い舌をしならせて伸ばしてくる!

 

「しまったニャ!避けるニャ!!」

 

皆ダイブして回避するが、避けろと言った本人である白羅が躓く!

 

「ニャ!かわしきれないニャ!」

 

と太刀で受け身の体勢に!

 

バチ~~~~ン!!

目の前でいい音と共にオオナズチの舌が弾き返される!!

 

「ニャ!?」

 

目の前で、何が起こったのか分からずにいた。しかし、目の前に大きなクリスタルが地面に突き刺さって立ちはだかっている!

 

 「ニャ!?ラ……………。」

 

 ラルクと声をかけようとしたのだが、その横をズイッと前にせり出してくるその様相に白羅も声を呑み込んでしまう。キレた時の形相とは違うが、しかし怒りを含んだ顔つきである!

オオナズチが咆哮を上げると同時にラルクも咆哮を上げた!互いににらみ合いながら、時計廻りにゆっくりと横に移動していく……。

110度程円を描くように移動したとき、オオナズチが動いた!ラルクに攻撃を仕掛けるものと思っていた全員が騙される!瞬時に身を翻し!ゴア・マガラに攻撃を仕掛けたのだ!!ゴア・マガラも咄嗟で、避ける事が出来ず、攻撃を喰らってしまう!!

 

「ギャガァァァァ!!」

 

「「「「「なっ!?」」」」」

 

予想外の不意討ちに止めることが出来なかった。

ラルクも相手にされていない事に、牙を剥き出し、怒りを露にした!

 

 「ガァァァァァ!!」

 

 3本の角を光らせ、オオナズチを含む範囲に地面が光り始める!しかし、オオナズチは擬態を使い姿を消してしまう!地面からクリスタルの柱がせり出すが、ダメージを与えられないまま霧散してしまう!それを見たラルクは歯噛みする!苛立ちが隠せないようだった。

 さらに姿を消したまま、執拗にゴア・マガラを攻撃する!

 

 「ニャ!?ニャンだアイツ!?」

 

 「さっきからゴア・マガラばかり攻撃してるわ!?」

 

 「ニャンでそこまで、こだわるニャ……………!?」

 

 全員が目を疑っていた。ハンター達に対して執拗ならば分からないでもない。縄張り争いなら、納得もしよう。だが、これは見ていても何か違うと皆思っていた。

 

 「逆にアイツを止めニャいと!!」

 

 と猛ダッシュで白羅が姿の見えないオオナズチに向かって走りだした!モンスター感知を働かせながら。

 

 「俺たちも行くニャ!!」

 

 と後に続いて灯羅達も走り出す!ラルクも飛翔してサマーソルトキックの体制をとる!!

 今度はオオナズチが姿を現し、平らに広がった重厚な尻尾を振り下ろしてきた!!

 

 「ニャ!?しまったニャ!尻尾の下ニャ!!」

 

 「白羅さん!!!」

 

 「白羅ニャ!!」

 

 白羅が頭を抱え込む!!潰されるかと思った瞬間!ガシッ!!……………。しばし沈黙の後、白羅が静かに上を見上げると、ラルクがホバリングしながら両後ろ足で、オオナズチの尻尾を掴んで止めていた!!それにはオオナズチもさすがに驚き、振り払おうと体を左右に振る!しかし、いくら古龍といえどラルクの両足は中々の強靭さで、簡単には振りほどけなかった。

 

 「クァ!!」

 

 と下にいる白羅に離れるように促す!

 

 「た、助かったニャ!!ありがとうニャ!!」

 

 すぐに一旦離れて武器を構えなおす!ラミアと姫沙羅はオオナズチの脇腹を狙い武器を振るっていた!

 が、また姿を消してその場から逃げられる!そして今度はラルクが舌の鞭の攻撃を喰らい地面に落下する!

 

 「ニャ!?!?ラルク!?!?」

 

 慌てて駆け寄る白羅!もがくラルクを助けようとする!ラミア達もラルクの前に立って、オオナズチから守ろうと身構える!しかし相手は擬態を使う。

今は姿が特定出来ない!鞭のような長い舌がラミア達に襲い掛かろうとしたその時だった!

 

「ゴアァァァァァァァァァ!!!」

 

急にゴア・マガラが唸り声を発する!オオナズチも驚いて振り向く!そこには気迫とオーラを纏ったゴア・マガラがうずくまった状態でいた!垂直に、しかも身体を回転させながら飛び上がり!一気に翼を力いっぱいに広げる!!角が生え、目があり、全身が金色に輝いていた!!白羅達もその姿は知っていた!

 

 「ニャ!!天廻龍!!」

 

 「「「シャガルマガラ!!!」」」

 

 その場からオオナズチに向けて竜弾ブレスを放つ!!

 

 「ギャワァァァァ!!!」

 

 不意を突かれたブレスに見事に被弾する!さすがのオオナズチもダウンしてもがいている。擬態どころではなかった。

 

 「今ニャ!!攻撃するニャ!!」

 

 1人と3匹はチャンスとばかりに武器を振るっていく!ラミアは狩技を、姫沙羅はブレイニャーで、白羅と灯羅は必殺技で、ラルクも後脚の鉤爪でダメージを与えて体力を奪ってゆく!!

 起き上がったオオナズチが、白羅達を振り払うと、毒のブレスをまき散らし、目の前に降りてきたシャガルマガラにも毒のブレスをお見舞いする!だが、ホバリングでそれを躱し、低空飛行でオオナズチに体当たりして突き飛ばす!!あの重心の低い体躯のオオナズチが数メートル吹き飛ばされる!!

 

 「ギャワァァァァァァ!!!」

 

 2度のダウンを喰らわされる!すぐには起き上がれないほどのダメージを喰らっていた。

 白羅達も圧倒されていた。実際にこの2頭の竜の対決はお目にかかったことはないが、ラルクも強くなっているとはいえ、対決したらと思うとゾッとする白羅であった……………。

 だが、オオナズチに攻撃を仕掛けようにもシャガルマガラが居るので、警戒するばかりで動くことが出来なかった。

 何とか起き上がったオオナズチが擬態を使い、すぅっ…っと姿を消す…。

 

 「ニャ!?気配が消えてくニャ!?」

 

 「逃げられたニャ………。」

 

 「元々、乱入モンスターだし、後で報告するとしてほっときましょう。今はシャガルマガラの方だと思うわ。」

 

 「そうニャ。クエスト目標はシャガルマガラニャ………。」

 

 と、シャガルマガラと目を合わせる。シャガルマガラも白羅に目線を合わせてくる。お互いにガンの飛ばし合いとなった。ゆっくりと1歩ずつ、前へ進み出る!!ラミアや灯羅達も武器を構えつつ、それを見守る…。

 そして双方が目の前に仁王立ちになる!!張り詰めた空気がそのエリア内に行き渡った!!

 

 「ニャン拳!!!」

 

 白羅は右手を奥に構える!!シャガルマガラも右翼の方の爪を奥に構える!!

 

 「ポンニャ!!!」

 

 シャガルマガラは爪を握ってグーの状態に…。白羅は手を広げてパーの状態に…。

 張り詰めた空気が一瞬で消え去った……………。

 

 「勝ったニャァァァァ!!!」

 

 と両手を上げて勝ち名乗りを上げる!!ガクッとその場にうなだれるシャガルマガラ…。

 

 「え……………。」

 

 「ニャ……………。」

 

 「ニャ!?……………。」

 

 「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」」」(よく分かりますよ、その気持ち………♪♪)

 

 ラミアも灯羅も姫沙羅も、あまりのあっけなさに肩の力が抜けてしまっていた。

 

 「ニャ♪ニャ♪ニャ♪ニャ♪ニャ♪これで悪さしないと約束ニャよ♪♪」

 

 二カッと笑ってシャガルマガラの顔を見る。シャガルマガラも顔を上げて頷く。なぜか握手になる♪♪

 

 「う、嘘でしょ……………。」

 

 「く、クエストクリアって事ニャか!?」

 

 「ニャんニャのこの落ちニャ……。」

 

 「クァクァクァクァクァ♪♪♪♪」

 

 ラルクは何となくだが感じていたらしい。そうでなければシャガルマガラにも牙を剥いただろう。

 状況を理解していたのは白羅とラルクだったというわけだ。

 

 「ニャて!帰ろうニャ!」

 

 「そうね…、帰ってどう報告したらいいの!?」

 

 「大丈夫ニャ!禁足地に落ち着ければ悪さしないと約束出来たニャし、アルザ―ト様には話をするニャ!」

 

 「わかったわ。お願いします♪♪帰ったら温泉に入ろ♪♪」

 

 「ニャ!?い、いや、別に一緒ニャにゃくても…。」

 

 と少しずつ後ずさる。

 

 「ダメニャ~~~♪♪これはあたい達を出し抜いた罰ニャ~~~♪♪」

 

 と後ろから羽交い絞めに♪♪

 

 「ニャ!?ちょ、ちょっと待つニャ!?待ってくださいニャ!?お待ちになってニャ!?助けてニャ~~~!!」

 

 完全にラミアと姫沙羅に拉致されてゆく白羅でありました……………。

 

 「やれやれニャ……。ニャ!?ラミアは惚れ薬はどうしたニャ!?……………。」

 

 と違うことを思いつつ、後を追ってゆくのでした。ラルクはというと、シャガルマガラとこれまた珍しい鱗の交換をしていました。互いに認めたあかし……………。敵対意識があったはずが、こういう形になるとは……………。

 ラルクも白羅達を追って飛び立ち、シャガルマガラも前足を振って見送っていました。禁足地も晴れ晴れとし、心地よい風と共にクエストが無事に終えたことを告げるのでした……………。

 アルザ―トには事の次第を伝え、当然のごとくあきれていましたが、白羅が責任を持つというので、白羅に一任するということになりました。受付嬢にも報告し、微妙でしたがクエストクリアには認定されました。特殊認定とのことでした。晴れてユクモ村に帰って来たのです♪♪

 

 「まあまあまあ、お帰りなさい♪♪クエストご苦労様でした♪♪全員無事で何よりですわ♪♪」

 

 「只今帰りましたニャ!」

 

 「おお!!帰って来たな!!後で一杯やりながら話を聞かせてくれ!」

 

 「ラザックニャ!分かったニャ!後でニャ!」

 

 「まずは~~~♪♪温泉に拉致ニャ~~~♪♪」

 

 と姫沙羅が羽交い絞めにしようとするがそこは学習している!パッと身を躱して姫沙羅から離れる!が、そこで、抱きしめられてしまう♪♪

 

 「ニャ!?!?ラ、ラミアニャ!?」

 

 「言ったでしょ♪♪一緒に温泉に入ろって♪♪」

 

 と白羅を抱え込み、温泉に向かって歩き出す。姫沙羅もそれに付いていく。

 

 「あら、私も混ざろうかしら♪♪」

 

 と村長さんが……………。

 

 「え、私たちもいいかしら♪♪」

 

 と受付嬢のアイラさんと眼鏡美人のお姉さんも♪♪

 

 「ニャ!?!?!?おいらはどうなってしまうニャ~~~~!!」

 

 ガクッ………と、気絶してしまう白羅なのでありました。その後がどうなったのか……………。皆さんのご想像にお任せしますね♪♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 読了ありがとうございます♪♪鬼気迫った!?かどうかは分かりませんが、楽しんでいただけたのであれば幸いです♪♪
 白羅は一体どうなったのか……………。後々の展開が物語っていくと思われますが…。
 そこも含めて、どのモンスターが登場してくるのか、お楽しみに♪♪
 ではまた次話にてお会いできることを切に願って…♪♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪G級にお邪魔します①♪♪♪

 大変おまちどうさまでした。更新でゴザイマス。更新させてくださいね、しちゃいましたけど♪♪♪ まずはお話を読んでやってくださいまし。後ほど後書きにて。
 では、物語の始まり始まり……。



 今日も毎日、晴れ晴れと!?、温泉日和なユクモ村♪♪連日の大盛況と広場のモンスター動物園!?は今日も元気に過ごしておりました。

 唯一疲れが取れるはずの温泉で、ぐったりしている猫さんが1匹…。他のお姉さま方は更に気力が充実するということになっておりました♪♪ 

 白羅君の運命やいかに♪♪(ほっといてニャ……。)

 

家に戻ると、ラミアと姫沙羅が、武具に道具に持ち物に入念に準備をしていました♪

 

「ニャ!?何をしているニャ!?」

 

「え、これから龍識船に乗って、腕試しの結果次第で、G級に上がれるんだから、俄然気合いが入るわよ!ね!姫沙羅ちゃん!」

 

「そうニャ!気絶している場合じゃニャいニャ!」

 

「ニャって、あんなふうに囲まれたらニャ……………ブツブツブツブツ。」

 

「「なんか言った!?」」

 

「い、いえ!!なんでもありませんニャ!!」

 

いきなり直立不動で敬礼してしまいます。

それを見て、1人と1匹は顔を見合わせて笑い出しました♪♪

 

「クスクスクスクス、可愛いひとだね♪♪」

 

「ニャから皆好きニャのさ♪♪」

 

「それもそうだね♪♪」

 

「ニャ!?白羅、何してるニャ!?」

 

と灯羅が敬礼している白羅に話し掛ける。

 

「ニャ!?べ、別に何もないニャ!」

 

「フーン、そうニャか…………。」

 

そう言って、行ってしまう……。が、突然振り向き、

 

「ニャ!?ラミア、惚れ薬は何処にしまってあるニャ!?」

 

「ん~とね、私のこのポシェットの中に入れ…………あ…………ポッッ♪♪♪」(使う気満々ですね♪♪)

 

「おいら一体無事でいられるニャろうか…………。」(さあ、どうでしょう♪♪)

 

大きな冷や汗を垂らしつつ、自身の部屋に戻るのでした。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

身仕度が済み、下の階で猫飯屋の食事をしっかりと食べ(毎回そうなんですけどね♪)、さらに下へと降りてラルクたちの所に。

 今回は龍識船に乗り込むわけですが、後ろからラルクの同行飛行を許されて、一緒に行く事になりました♪♪

焔羅はまだ、お留守番で。当人は凄く行きたがっていて、気持ちは凄く分かったのですが、今しばらく、成長して、体躯が大きくなって頑丈さが増してからと、成長が早いのは分かっているので近い将来には必ずクエストに一緒に行くと約束して、納得してもらった白羅でした。戻るまでは、ラザックにまたお願いし、モンスター達の面倒と広場の管理を頼んだのでありました。

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

白羅達が集会場に着くと、アイラさんが龍識船まで案内を。

 

「クァ♪」

 

ラルクがアイラの傍で首を下げて、促してきます。

 

「え、え、な、何!?どうしたの!?」

 

アイラは突然だったので、どんな意味か分からず、白羅の方を見ていました。

 

「ニャ!アイラさん、乗せてくれるそうニャ♪龍識船まで、乗せてもらうといいニャ♪」

 

「えぇ!本当!!?ホントにいいの!?」

 

「クァ♪♪」

 

とラルクが返事を返して来ました。

 

「良かったじゃないですかアイラさん♪なかなか誘われないですよ♪貴重な体験だと思います♪」

 

とラミアも後押し♪

 

「えぇ♪嬉しい♪ありがとう♪」

 

と横顔を優しくさすってあげると、猫さんのようにゴロゴロしていました♪

 

「ニャ、早速乗ってみるニャ♪」

 

「そ、そうね♪じゃあ、よろしくお願いします♪」

 

「クァ♪」

 

ラルクの肩から背に乗る。ラルクがゆっくりと体勢を起こす。凄くいい眺めにウットリするアイラさん♪道案内の事を忘れてしまいそうでした♪

 

「あっとと。いけないいけない。案内しなくちゃ。」

 

と嬉しさをグッと堪えて、気を取り直し案内を続けるのでした♪

やがて大きな飛行船の姿が見えて来ます。

ラミア以外は3匹とも、それぞれ主人のお供をしている時から乗っていたので、あまり驚く事はありませんでしたが、ラミアにとっては、初めての龍識船です♪嬉しさとドキドキ感が止まらない♪

 

「凄~~~~~~~い!!!」

 

「ニャ!?ラミアは初めてニャったか!?」

 

「そう♪♪♪!めちゃくちゃ嬉しい!!」

 

と目をキラキラと輝かせている。一通り生活が出来て、必要な物や、クエスト発注も出来、そのまま出発する事も可能。隣の船では、集会酒場となっていて、G級のクエストに出る事も出来る。至れり尽くせりの船なのであります。

 

「まずは、隊長に挨拶ニャ♪」

 

と隊長のところに。若輩者ではあっても、研究や成績優秀で龍識船に大抜擢される程の人物。

 

「あぁ!!白羅さんじゃないですか!お久しぶりです♪あの時以来ですよね。」

 

「そうニャ!ニャん年ぶりかにニャるニャ!」(あれ!?ついこの前に甲板に穴を開けた気が…。でも会ってないか!?)

 

 「今回は、調査に参加してもらってありがとうございます。一緒に来られている方がG級に上がりたいと言う事ですよね。」

 

 「そうニャ。調査も助けるニャが、仲間をG級に上げる事も目的の一つニャ。」

 

 「分かりました。そちらの綺麗なお姉さんですね♪」

 

 「え……………、ポッ♪♪」

 

 「あんた、純情ニャ割に大胆だよニャ!?どっちが本当か分からなくニャって来たニャ!?!?」

 

 と姫沙羅が横に並んで立つ。

 

 「あぁ!姫沙羅さん!!それに灯羅さんも!!」

 

 「久しぶりニャ♪隊長も少し背が伸びた気がするニャ♪」

 

 「いやぁ、そんなことはないですよ。まだまだ研究不足で…。」(いったい何の研究を!?!?)

 

 「この4人と後ろに居る1頭が仲間ニャ!」

 

 「クァ!!」

 

 「うわっ!!っとビックリした!!」

 

 後ろから声とともに隊長の目の前に顔を乗り出してきたので、驚いた。

 

 「ラルクニャ!よろしくニャ!!」

 

 「は、はい!彼が白羅さんのお友達ですね!連絡は受けています。よろしくね!ラルクさん!!」

 

 「クァ!!」

 

 「な、なんかワクワクします!モンスターと一緒に古龍調査出来るなんて♪♪♪」

 

 「ニャ、また後でゆっくり話そうニャ!」

 

 「分かりました!よろしくです!」

 

 「ニャね~~~♪♪」

 

 「ニャ!」

 

 「じゃ…♪♪」

 

 とその場を後にする。吊り橋を渡って隣の船に入っていく。そこは集会酒場。上位の、しかもG級に上がった者だけが、この場に立つことが出来る…。それもここのママさんに認められた者だけ…。何人かのハンターがテーブルに座っていて、白羅達を凝視した。

 

 「おい、何もんだアイツら。」(まだ名乗ってないので…。)

 

 「ハンター1人にオトモ3匹とは贅沢な話だな。」(オトモとも限りませんが!?)

 

 「ありゃあ、ママさんの試練はクリア出来ねえだろ。」(まあまあ、そう言わずに♪♪)

 

 「まぁ、負けて帰ってきたら、俺らで面倒見てやろうか、なぁ!」(いえ!結構です!既にお相手が居ますので♪♪)

 

 「「「「なにィ!!!」」」

 

 「ポッ♪♪♪♪」

 

 「ニャ!?おいらの事ニャ!?」(さ~て、誰でしょうね~~~♪♪)

 

 周りのハンター達から痛~~~~~い!!視線を浴びながら、白羅はテーブルの横を抜けてママさんの元に。

 

「ごぶさたニャ♪」

 

「あら、本当ね♪色々と噂は届きまくっているわよ♪♪今度じっくりと話を聞かせてもらうわ♪♪」

 

「分かったニャ。今度時間を作るニャ♪」

 

「それで、私に用事なの!?」

 

「そうニャ!仲間をG級に上げたくて来たニャ!」

 

「お久しぶりです……………。師匠……………。」

 

 ラミアが白羅の横に立つ。その姿にママさんは驚いていた。

 

「え、な、ラ、ラミア………なの!?」

 

「ニャ!?知っているニャか!?!?」

 

 ラミアの言葉に白羅の方も驚いた。何事かと周りにいた灯羅と姫沙羅が寄ってきた。

 

「ニャ!?どうしたニャ!?」

 

「え、灯羅ちゃんと姫沙羅ちゃん!?」

 

「久しいですニャ。相変わらずお綺麗ニャ♪♪」

 

「そうニャね、悔しいニャけど。」

 

「懐かしい面々が揃ったわね♪♪皆、白羅君と一緒!?」

 

「そうニャ!仲間ニャ!ラミアもニャ!」

 

「そ、そうなの!?」

 

 ママさんの動揺が隠せないでいる。滅多に驚かない人が、珍しいことだ。

 

「ニャ!?師匠ってどういうことニャ!?」

 

「うん、あたしがHR1,2の頃、一緒にクエストに行ってくれて師匠になって基本を教えてくれた人…。でも、HR4になったころに突然居なくなって………。」

 

「にゃるほどニャ。強そうな古龍が現れたニャからって食いついたニャ!?!?」

 

 ギクッ!!ママさんも扇子で口元を隠しながら、目はあちらに向いている。どうやら図星の様であった。

 

「でも、なんで白羅さんたちが知り合いなんですか!?」

 

 今度はラミアの方が不思議だったようで、白羅に聞いてきた。

 

「ニャ、ニャァ、昔、おいらのご主人が居た頃、一緒に何度もクエストに行った仲ニャ。」

 

「へ!?!?師匠と!?!?」

 

「「「「なにィ!!!」」」」

 

 周りにいたハンター達が驚いて皆、立ち上がった!

 

「お、おい、いったい何もんだ!」(名乗るほどのものではございませんが!?)

 

「あの、伝説のママさんとクエストしてたって事だろ!」(まあ、そうなりますが……!?)

 

「あの3匹って、もしかしてやべぇんじゃ……。」(取って食いませんのでご安心を♪♪)

 

「い、一緒にクエスト行ってくれないかな!?」(人数がいっぱいで…。)

 

「欲しい…………………。」(お医者さん紹介しますよ!?!?)

 

 ラミアもそれには逆に驚いた。だが、なぜ強いのかは納得が出来た気がした。鍛えられて、努力して、ここまでになったんだと感心し、惚れ直すのだった……。今更ながら師匠が居なくなったことよりも白羅達とクエストが出来ることの方がワクワクが収まらなかった。ラミアもハンターなのだ……。

 

「ママさん、ラミアの腕前を試して欲しいニャ!そしてG級に上げたいニャ!お願いするニャ!」

 

 ママさんも即答が出来ずにいた。何かを考えているようでもあった。しばらく注目の後、口を開いた。

 

「分かったわ。隣で、砂漠のツアーを頼みなさい。エリア2で私が直々に試させてもらうわ♪♪」

 

「ニャ!?!?ママさんニャか!?!?」

 

「師匠が!?!?」

 

 「「「「「なにィ!!!!!」」」」」(毎回驚いていただいてありがとうございます。)

 

「マジか!!」(マジです♪♪)

 

「闘い見てえな……。」(残念ですが難しいかと。)

 

「代わってくれないかな!?」(それも残念ながら……。)

 

「「「「「じゃあ、どうする!!」」」」」(そう言われても……。てへっ♪♪)

 

「「「「「照れるなぁぁぁ!!!!!」」」」」

 

 と周りが大騒ぎになっているころ、白羅達は大まじめに話を進めているのであります。

 

「お願いします!やらせてください!」

 

「ニャ!?いいニャか!?」

 

「うん、やってみたいの!自分の力がどれほど付いたのか……。試してみたい!それに白羅さんが居るから心強いし♪♪」

 

「ニャ!?おいらニャか!?」

 

「そうニャ、減るもんニャにゃいし。」

 

「付き合ってやるといいニャ。」

 

「え……………。ポッ♪♪」

 

「ニャ!?そ、そっちの意味じゃニャいと思うニャ……。」

 

「え~~~……。ちぇっ……。」

 

「ほんとに、照れ屋ニャのか大胆ニャのか分からなくなってきたニャ……。」

 

 と不思議そうにラミアを見つめる姫沙羅でした……。気が変わらないうちにと白羅達は横のサングラスを掛けたスキンヘッドのダンディなマスターにクエストを受注し、出発口に。

 

「クァ!!」

 

 とラルクが直接乗せて行くと背に乗るように促してきました。

 

「ありがとうニャ!早速向かうとするニャ!」

 

 と1人と3匹はラルクの背に乗る。

 

「じゃあ、私も行って待ってるわ。」

 

 とママさんが扇子を振りながら声をかけてきた。

 

「分かったニャ!よろしくニャ!!」

 

 そう返事を返し、離脱する。明るい雲の中を避けながら、それぞれの思いを秘めて砂漠へと向かうのでした…………。

 

 

 

 




 読了ありがとうございます。遅くなって申し訳ございません。年末の仕事の量が半端なく……。と言っても、言い訳にしかなりませんが……。頑張りますので、どうかお付き合いのほど♪♪♪ では、次話にてお会いできることを切に願って…。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪G級にお邪魔します②♪♪♪

 ハァァァァ、なんということでしょう。更新させていただきました~~~。
 自分でも超ビックリ!!皆さんの支えがあるというのはなんと励みになることか~~~♪♪
 まずは読んでやってくださいまし~~~♪♪後ほど後書きにて~~~♪♪
 では、物語の始まり始まり…。



さ~ばく~♪さ~ばく~♪相変わらず熱砂の土地であります♪エリアによっては寒い場所や、オアシスがあったり、なかったり!?している、気温に左右される場所でもあります♪ハンターさん達にとっては、余分にアイテムが必要なわけで。ラルクに乗った白羅御一行は直接エリア2に降り立ちます。エリアとしては一番大きいでしょうか…。

そのほぼ真ん中辺りに来ると、待ち構えていらっしゃった方がお一人………♪

 

「来たわね♪」

 

と集会酒場のママさんが、扇子を広げて待っておりました。

 

「よろしくお願いします!!」

 

ラミアはラルクの背から飛び降りると、ママさんと向かい合う。もちろんラミアにとっては緊張してもいるが、気合も入っている。

 

「クーラードリンクは飲んだのかしら!?」

 

「勿論です。」

 

「ニャァ、おいらもドキドキするニャァ…。」

 

 白羅達も少し離れて砂漠に降り立つ。アイルーやモンスターはクーラードリンクを飲むまでもないところがすごいところ。

 

「果たして勝てるニャか!?」

 

灯羅が、大丈夫かと言いたげに、聞いてきた。

 

「大丈夫ニャ!一緒に狩をしてきて分かるニャ!ラミアは負けないニャ!」

 

「そうニャ!信じるニャ!!」

 

「クァ!!」

 

 そう3匹と1頭で話しをしているうちに、何かを感じたのかそのエリア内には小型のモンスターすら見当たらなくなっていた。張り詰めた空気が、モンスター達を怯えさせたのだろう…。

 

「じゃあ、はじめようかしら♪」

 

「お願いします!!」

 

 ラミアは鉄刀を抜いて身構える! ママさんは持っていた飾り付きの扇子を一旦閉じて開きなおす!すると飾りが無くなり、鮮やかな模様の入った扇子が二つ…。だが、擦れるごとに金属音が…。彼女のお気に入りの武器の一つ、”鉄扇”。きらびやかに見える模様とは違い、攻撃力は鉄刀に引けを取らない。それを軽々と手首を返しながらクルクルと回し、戦闘の構えをとる!ラミアはガララXの装備だが、ママさんはチャイナドレスのまま…。しかし、ラミアも見た目装備のことを聞いたことがあったので、そうなのだろうと理解した。

 お互いに間合いを取りながら円を描くように、横に歩き出す。お互いの真剣な眼差しが更にその場の空気さえも張り詰めさせる!

 

「始まったニャ……。」

 

 白羅達も息を飲んでその様子を見守る。

 

「あんなに片手剣が好きだったあなたが太刀を使うとはね♪変われば変わるわね♪」

 

「片手剣も大事にしています。だけど、太刀も使いこなしたいと思って。」

 

「じゃあ、その剣さばきがどれほどか確かめてあげるわ!」

 

 いきなりママさんが地面を蹴って飛び上がる!地面の乾いた砂が、その空気の流れによって舞い上がる!身をよじりながら二つの双剣を真上からラミア目掛けて振り下ろす!!

 ラミアも太刀を横に持ち、上段の構えで双剣の攻撃を受け止める!鈍い金属音が3,4度と鳴り響き、お互いに間合いを取り直した。

 

「よく受け止めたわ♪♪次も手加減無しよ♪♪」

 

「勿論です!行きます!!」

 

 今度はラミアが地面を蹴って打って出る!上段!中段!下段!と太刀を右から左から、斜め上!斜め下!から払うように繰り出していく。地面を踏みしめる度に砂の粉が舞い踊る!しかし、鈍い金属音を立てつつ、ママさんは見事に鉄扇を使いこなし、回転させながらラミアの太刀筋を弾いていく!(いい太刀さばきね♪♪)

 更に隙をついて、ラミア目掛けて鉄扇を顔面へと繰り出していく!

 

「ぐっ!?」

 

 かろうじて身を引いて太刀で躱す!だがママさんは、2撃3撃と鉄扇を繰り出してくる!太刀で必死に躱すものの、徐々に押されつつあった…。(押し返すどころか止められない!!)

 

「ニャ!?押されているニャ!」

 

「頑張るニャ!!ラミア!!成果を見せてやるニャ!!」

 

 残りの1撃を大きく払って弾き返し、間合いを取り直す!少し息が上がってきていた。だが、ママさんは未だ息切れしてはいない。更に構えをも取って、攻撃に備えている!ラミアは少し焦りが出ていた。実力差があるのは当たり前で、胸を借りるつもりで挑んだはずが、既に実力差が現れていた。ラミアは渾身を込めて体勢を低く取り、切っ先を後ろに回し下段に構える!(これならどうだ!!)

 

(狩技!!)「”桜花!気刃斬”!!!」

 

名前を叫びながら居合い抜きのように横に太刀を払いながら身体を回転させて切れ味と威力を太刀に乗せてママさんに襲い掛かる!!ママさんも両手を合わせ、手首を回して鉄扇を回転させて攻撃を弾き返していく!高い金属音と火花が飛び散っていく!砂が舞い散るなか、奇しくもラミアの狩技が抑えられてしまった…。

 

「師匠はやっぱり師匠ですね……。強さが滅茶苦茶なのが今更ながらよくわかる……。」

 

 息切れしつつ、太刀を構えなおすラミアに対し、ママさんはいまだ息一つ切れていない……。実力差がありすぎることを身をもって知ったラミアであった……。

 

「でも、よくここまで太刀を使えるようになったわ♪あなたが全力で来てくれたから私も全力を持ってお返しするわね♪♪受け止めて頂戴♪行くわよ!!!」

 

 地面が沈むほど、片足を思い切り蹴って突進する!両手を前に突き出し合わせて鉄扇を広げ、全身を回転させて、螺旋状に銃の弾のようにラミアに向かって飛んでいく!!その周りを螺旋状に空気と砂が舞い上がっていた!

 

(狩技!!)「”螺旋斬”!!!」

 

「「「ラミア!!!」」」

 

 白羅達が叫ぶ!(んなろっ…!!)ラミアも太刀を垂直に構えて、ママさんの攻撃を受け止める!しかし、その威力とパワーに押され、膝を曲げて足を踏ん張るも、なおも押される!!(だ、ダメ!止められない!!)

 

「あ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”!!!」

 

ラミアの身体全体が宙に浮き、後方へと飛ばされた!!

 

「「「ラミアァァァァ!!!」」」

 

 白羅達が叫んで走り出すも、追いつくことが出来ない!!”ドン”!!!という音と共にラミアの身体がそこで止まった……。

 

「「「ラルク!!!」」」

 

 一歩先周りで、後方に回り込んだラルクが飛んできたラミアを身体で受け止めていた。

 顔を上げるとラルクの顔が……。

 

「は、はは……。ごめん、ラルク……。悔しいけど負けちゃった……。」

 

 と気を失ってしまう……。

 

「クァ!!」

 

 ラルクも声をかけるが反応がない。息をしているので死んでいない事だけは見て取れた。白羅達も追いついた。

 

「ラ、ラミアニャ……。」

 

 姫沙羅も動揺していた。こんなにあっさりと倒されるとも思ってもいなかった……。つくづくHRの開放されたハンター達が、とんでもない人たちだと思い知るのだった……。

 

「気を失ってしまったようね♪♪」

 

 最後まで息を切らさずに戦い切ったママさん。鉄扇も飾りのついた扇子に戻り、パタパタ仰ぎながら白羅達の傍に来た。いつもの集会酒場のママさんに戻っていた。

 

「(^ー^* )フフ♪ラミアに伝えてくれる♪合格だって♪♪」

 

「ニャ!?いいニャか!?ニャって負けちゃったニャが!?」

 

「ええ、認めてあげるわ♪♪だからG級でもっと腕を磨きなさいってね♪♪」

 

「わ、分かったニャ♪♪伝えるニャ♪♪」

 

「じゃあ、私は戻るわね♪♪」

 

「ニャ!後でニャ!ありがとうニャ!」

 

「じゃ♪♪」

 

と扇子でバイバイしながら、その場を離れようとしたときだった…………。

 

15m程離れた地面から巨大な¨物¨が砂しぶきを上げながら飛び出してきた!

 

「なっ!?」

 

 前に向けて巨大な2本の角と牙を生やし、恐竜で言うトリケラトプスのような扇状のヒレがあり、強靭な後ろ脚を持つ2足歩行で、尻尾には船の碇のような形をした強固な物が付いている。但し、少し違うのは巨大な角が更に2本あり、尻尾は碇の形にとげが生えている。しかも、羽とヒレの近辺が青い体色をしている。

 ママさんと白羅だけはその姿を知っていた……。今までに1度だけ戦った事のある強者……。

 

「にゃんで此奴が!?!?!?」

 

灯羅と姫沙羅は今まで見てきた”物”と違っていることだけは認識できた。なかなかの形相だ。

 

「ニャ、ニャンなんだアイツは!?」

 

 灯羅が白羅に問いかける!

 

「おいらとママさんはあいつのことを知ってるニャ……。1度戦って勝てなかった相手ニャ……。」

 

「ニャ!?!?ママさんでもニャか!?!?」

 

「そうね。アイツの名は”鏖魔”!!」

 

「”ディアブロス”ニャ!!」

 

「グルァァァァ!!」

 

 顔を振り上げながら猛々しく咆哮を上げる!その圧倒的威圧感は、相手を委縮させるに等しい程にパワーを持っていた。

 

「グウルルルルルル……。」

 

「ニャ!?ラルク!?」

 

 ラルクも戦闘態勢になった。白羅達の前に立ちはだかる!3本の角を光らせつつ、ディアブロスを迎え撃とうとする!

 

「灯羅!姫沙羅!ラミアを連れて、ベースキャンプに戻るニャ!!」

 

「ニャ!?白羅ニャは!?」

 

「おいらはラルクとママさんとで食い止めるニャ!!今の内に急ぐニャ!!」

 

 とラルクとママさんの元に。ママさんも即、鉄扇で構えなおす!

 

「分かったニャ!!ラミアを避難したらすぐに駆け付けるニャ!!」

 

 灯羅と姫沙羅は頷き合ってラミアを2匹で抱え上げて、ベースキャンプの方へと走り出す!

 しかし、相手はあの”鏖魔”易々と逃がしてはくれない……。

 灯羅達を見つけるとその方向に向かって羽を広げ、猛ダッシュしていく!!

 

「ニャ!!まずいニャ!!灯羅!姫沙羅!避けるニャ~~~~~!!!!」

 

「ちっ!!」

 

「グルァ!!!」

 

 白羅達も鏖魔目掛けて走り出す!!しかし、戦闘機の助走のように走っていくディアブロスに追いつけない!!

 

「ニャ~~!!姫沙羅!ラミアと離れるニャ~~~!!!」

 

 灯羅が姫沙羅とラミアを突き放し、ディアブロスの前に立ちはだかろうとする!!

 

「と、灯羅ニャ~~~!!!」

 

「行くニャ~~~!!走るニャ~~~~!!!」

 

 まさに灯羅の眼前に巨大な4本の角が迫った時だった!!

 

 ヒュ~~~~~~~~~~~ン……。 ””ズドン!!!!””

 

「グギャアァァァァァ!!!」

 

 いきなり鏖魔が走るのを止められ、逆に勢いでひっくり返る!!すると、自慢の巨大な4本の角が見事な切り口で叩き切られていた!!切れた角がそれぞれ飛んで地面に突き刺さる!!折られたのではない、”切られた”のだ……。

 全員唖然と落ちてきた”物”を見る!それは2足歩行で羽はなく、両前脚は小さい。全体にお腹周りは赤く、顔、背中、尻尾までは群青色なごつごつとした体躯で、特徴的なのはその尻尾であり、研ぎ澄まされた刃のようになっていて、尻尾が揺れるだけでも草が刈れるというお墨付き♪しかも更に研ぎ澄まされて武器で言うなら紫ゲージに匹敵する程の切れ味……。その尻尾にディアブロスの角は叩き切られたのである♪♪

 

「ゴアァァァァァァ!!」

 

 と鏖魔の横でドヤ顔で咆哮を上げていた。ご自慢の尻尾が振るえたことで大層喜んでいた。

 

「ニャ!!ディノバルド君ニャ~~~~!!!」

 

「ええっ!!」

 

 ママさんも唖然!白羅はすぐにディノバルドの元に走っていく!ディノバルドも警戒しつつ、横目に白羅を見て喜んでいた。

 

「でも、ニャンで上から……。」

 

 と上を見上げると上空で旋回している”物”が。

 

「ニャ!?ニャンと!?銀レウスニャ!?」

 

「ゴルァァァ!!」

 

 と旋回から、斜め下に滑空し、ディアブロス目掛けて火竜弾ブレスを打ち込む!!

 

「危ないわ!」

 

 とママさんが灯羅達、ラミアを抱えて一旦離れる!ラルクもディノバルドも即座に間合いを取る!

 火竜弾が見事に着弾し、ディアブロスにダメージを与える!ラルクも角を光らせクリスタルの壁をディアブロス含めて地面から吐出させる!!

 

「ギャハァァァァァァ……。!!!」

 

連続でダメージを喰らい、しかも3体のモンスターを相手には出来ないと、強者が急ぎ地面に潜って去っていった……。モンスター達のお陰の逆転劇であった……。銀レウスは危険が去ったと分かると、そのまま広場へと戻っていった。白羅とラルクは灯羅達の無事を確認し合った。ママさんも粉塵等で回復などをしてくれた。

 

「だけど、銀レウスまでお仲間なのは驚いたわ!」

 

「そうニャ。だから時間を作るニャと言ったニャァ♪♪」

 

「なるほどね♪♪これはいい酒が飲めそうね♪♪」

 

「約束するニャ♪♪」

 

「じゃあ、先に戻らせてもらうわ♪♪」

 

「ありがとうニャ♪後で寄るニャ♪♪」

 

「ええ、後でね♪♪」

 

 と先にママさんは戻って行きました。

 

「ニャァ♪♪ディノバルド君、助かったニャァァ♪♪」

 

「ガルッ♪♪」

 

ディノバルド君も嬉しそうである。

 

「しかし、凄い切れ味ニャ。尻尾が赤く染まって、更に炎が燃え上がって……る……ニャ!?!?!?」

 

 白羅が目を真ん丸にしてディノバルドの尻尾を見る!確かに尻尾から火が上がっている!

 

「ニャ~~~!!火事にゃ~~~!!」

 

 ディノバルドも首をグルンと自分の尻尾を見る!確かに燃えている!

 

「あわわわ!消化ニャ!消化ニャ!」

 

 と持ってた液体をかけて消化しようとする!が、更に燃え上がる!

 

「ニ”ャ”~~~~!ホットドリンクニ”ャ”~~~!」

 

 ディノバルドも慌てて尻尾を地面にパンパンと叩きつけて火を消そうとする。ラルクも羽を仰いで、風で消化を手伝った。何とか鎮火した。危うくディノバルド君の尻尾がこんがり板!?になるところだった……。

 

「ニャ~~~、危なかったニャ~~~~……。」

 

 額の汗を必死で拭う白羅。しかし、周り全員、白羅の方を見て叫ぶ!!

 

「「「「「白羅!!!!!」」」」」(あれ!?こんなに居たかな!?)

 

「ニャ~~~~!ゴメンなさいニャ~~~~~!!」

 

 と一目散にベースキャンプへと走っていくのでした……。ラルクはディノバルド君を輸送し、灯羅と姫沙羅はラミアを輸送し、やっと、猫タクチケットを納品して無事にクエスト終了となるのでした♪♪

 ベースキャンプを後にするとき、白羅がいきなり大声を上げます!

 

「焔《ほむら》ニャ!!」

 

「ビックリしたニャ!どうしたニャ!」

 

「ディノバルド君の名前ニャ!凄く似合いそうニャし焔羅の焔を取って、焔君にするにゃ♪♪」

 

「ほうニャ。お前にしては上出来ニャ♪♪」

 

「にゃんか言ったかニャ!?」

 

「いや、ニャにも。」

 

「ニャァ、帰ってお披露目ニャ♪♪」

 

「そうニャ♪そうしようニャ♪♪」

 

 と帰りは意気揚々と足取り軽く帰っていく白羅達でありました……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 読了ありがとうございます♪♪
 ラミアの昇級試験のはずがモンスター4体ってどういうことでしょう~~~♪♪
 次はどんなモンスターが現れるのか、お楽しみに~~~♪♪

 では、次話にてお会いできることを切に願って…。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪G級にお邪魔します③♪♪♪

 何とか更新です♪♪(大丈夫かな!?)今日で仕事納めでやっと間に合った次第。うまくまとまってないかもしれません。ご勘弁を。
 ささ、本編を読んでやってくださいまし。後ほど後書きにて。
 では、物語の始まり始まり…。



無事に戻ってきた白羅達は、一度ユクモの自宅に戻り、ラミアを部屋に休ませて、自分達も一息つく事にした。

ツアークエストであったにも関わらず、゛鏖魔ディアブロス゛が現れたのだから、G級のハンター達が色めきたっているのも無理はなかった。

偽情報じゃないのか?との疑問には、集会酒場のママさんが、白羅のモンスター達のお陰で、ピンチを免れたと断言してくれたので、ハンター達にはリアルなことで、そうなるとただ事ではないと、腕に自信があるハンターは、こぞってクエストを受注し、砂漠へと出発して行った。

 

白羅達はディノバルド君のところに。姫沙羅はラミアに付いていたいと部屋の方へ。ひとまずディノバルド君に会いに移動する。相変わらず、尻尾の手入れは怠らず♪入念にお手入れをしているディノバルド、もとい焔君♪♪

 

「ニャァ、相変わらず尻尾を研ぐのに熱心だニャ♪♪」

 

 声を掛けられ、その方へ振り向く焔君。

 

「ガルッ♪♪」

 

 とご自慢の、何せあの”鏖魔”の角4本を切り落とした切れ味の尻尾を艶が出て光っている状態を見せてくれた。

 

「ニャ!あの時は助かったニャ!来てくれなければ灯羅達が大惨事になってたにゃ♪♪ありがたかったニャ♪♪」

 

 ゴロゴロと喉を鳴らして嬉しそうだ。白羅は名前のことを切り出した。

 

「そこでニャ。ラルクのようにディノバルド君にも名前を付けることにしたにゃ♪♪”焔”君ニャ♪♪」

 

 ディノバルド君も目を丸くした。名前など付けてもらえるとは思ってなかったらしい。ホントか!?と見つめてくるディノバルドに、白羅も頷いた!

 

「ほんとニャ!!今日から君の名は”焔”君ニャ♪♪」

 

三日月を横にしたような眼をしてニッコリとほほ笑む♪♪満足そうであった♪♪

 

「よろしくニャ!焔君!!」

 

「ガルッ♪♪」

 

 嬉しそうに返事を返す焔君でした…♪♪

 自宅に戻り、ラミアの部屋に。起きて椅子に腰かけていましたが、がっくりと気落ちしていて半分放心状態になっていました。

 

「ニャ…、白羅……。」

 

 姫沙羅も心配そうに白羅を見ます。ラミアの負けがラミアにとっても結構なショックだったようで。

 ラミアの傍に寄って手をとります。ラミアがゆっくりと白羅の方を向いたのでした。

 

「大丈夫ニャか!?合格にゃそうニャ。また一緒にクエストが出来るにゃ♪♪」

 

「白羅さん……。悔しい!悔しいよ……。」

 

 目からぽろぽろと透明な液体が流れ落ちる……。白羅はそっと抱きしめるのだった……。

 

「大丈夫ニャ。その悔しさが、ママさんにまた挑戦できるニャ。G級で腕を磨きなさいって言ってたニャ。一緒にクエストをやって、HRを開放してもらって、更にランクを上げるニャ。そしてママさんに再戦を申し込むニャ!ラミアを信じてるニャ!!ダメニャか!?一緒にクエストに行ってくれないニャか!?」

 

 その問いにラミアは慌てて首を横に振る。

 

「そ、そんなことない!何があっても一緒に行く!一緒に行くから!」

 

 と白羅をきつく抱きしめるのでした…………。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 ラミアや姫沙羅と一緒に下の猫飯屋に降りてくる。灯羅が先にジョッキを片手につまみの干し肉をかじっていました。

 白羅達も席に座り、ジョッキと料理を注文します♪♪気持ちが落ち着いたラミアを中心にジョッキを持ち、

 

「ニャ!ラミアのG級昇格と、これからも一緒にクエストが出来ることを祝って、乾杯ニャ!!」

 

 ガチン!!!とジョキを上げてぶつけ合う♪♪そのままグイっと酒を飲む♪♪

 

「ニャ~~~!クエスト後のジョッキは最高だニャ~~~♪」

 

「ただ、火に油を注いでただけニャのにな。」

 

ブフ―――!!と、ビールを口からブレスのように吐き出す!

 

「ニャ!?ニャんてこと言うニャ!おいらはニャんとか火を消そうと必死だっただけニャ!クーラードリンクと間違えただけニャ。ブツブツ……。」

 

「そのせいで焔のこんがり肉が出来そうニャったニャ。」

 

「まあまあ。その辺にしてあげて灯羅。でも、あの時庇ってくれたんだよね♪♪ありがとうね♪♪」

 

「ニャ!?あ、あのくらいは当たり前ニャ。白羅でもそうしてたと思うニャ。」

 

 と珍しく顔を赤らめて口ごもっている灯羅でありました♪♪

 

「ニャ!そうニャ!あたしやラミアを庇ってくれたのは嬉しかったニャ♪♪見直したニャ♪♪」

 

 姫沙羅も珍しく褒めてます♪♪(ニャンか言った!?)(い、いえいえいえいえ何でもありません!!)

 

「い、いや、そんなに褒められる事はしてないニャ………。」

 

と灯羅も、ほっぺをポリポリと恥ずかしそうに掻いているのでした♪♪

 

「ニャァて、G級は大変ニャよ♪♪」

 

「うん、分かってる。モンスター達の強さが半端ないってことだよね。」

 

「そうニャ。武器や防具も強いものにしていかにゃいと倒せなくなるニャ。ニャにか候補は考えているニャか!?」

 

「ううん、まだ……。今のガララXをLV上げして☆が上がった時に考えようかと思って。」

 

「そうニャか。ニャらおいらもそれを手伝うニャ。」

 

「ありがとう♪♪」

 

「ニャら、鉄刀もLV上げで行くニャか!?」

 

 と姫沙羅がラミアの隣に座る。ラミアは腕を回して姫沙羅を抱き寄せる。

 

「うん、しばらくはそうしようかと思ってる。慣れてきたら、違う太刀も作りたいかな♪♪」

 

「ニャ、その方が目標があっていいニャ♪頑張ろうニャ♪♪」

 

 とジョッキをぶつけ再度乾杯し合うのだった。と、その時だった!

 

「白羅さんは居るか!!!」

 

 と勢いよくドアを開けて入り込んできた者が……。

 

「ニャ!?ここに居るニャ!?ラザックどうしたニャ!?」

 

 声でラザックだと分かり、すぐに返事を返していた。慌てているようでもあった。

 

「大変だ!天彗龍が現れたって龍識船から報告が!!」

 

「ニャ!?ニャンだって!?」

 

 3匹と1人は椅子から立ち上がる!ラザックが息を切らしながら、白羅達の所に来た。

 

「ああ。天彗龍の調査に乗り出すと隊長から伝令が出たんで、伝言を頼まれて来たんだ!」

 

「で、ニャンと。」

 

「明朝、準備が出来次第古龍調査を手伝って欲しいので、協力してください!との事だ。」

 

 3匹と1人はお互いに顔を見合って頷いた。

 

「分かったニャ!隊長に一緒に行くニャと伝えてニャ!」

 

「おお!!そう来なくっちゃな!分かった伝えるぜ!」

 

 と踵を返してすぐに、龍識船へと戻って行った……。

 

「いよいよ、G級クエストの始まりニャ……。」

 

「ワクワクする♪♪」

 

「ラミアと一緒にクエストニャ♪♪」

 

「ラルクたちとも一緒ニャ。」

 

「俺もニャ……。」

 

「「「勿論!!!」」」

 

早速のクエスト入りに、全員気合が入るのでした……。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 全ての物を明るく照らし出すように朝日が顔を出した頃、白羅達は龍識船に来ていました。

 もちろん、隊長の依頼で”天彗龍バルファルク”の調査です。銀翼の凶星とも呼ばれ、その古龍が現れし時、災いが起こるとも伝えられている古龍。

 

「早速、協力していただいてありがとうございます。聞いていると思いますが、天彗龍の調査に向かいます!今現在は遺群嶺の頂上に居るとの事で、早速向かおうと思っています。どうか力を貸して下さい!お願いします!」

 

隊長は白羅達に深々と頭を下げる。

 

「ニャ!?顔を上げてニャ!大丈夫ニャ!おいら達は、そのためにここに集まったニャ!

こちらこそ、よろしくお願いするニャ!」

 

そう聞いて隊長の顔にすこしばかりの笑顔が戻った。

 

「よし!出発!!」

 

繋がれていたロープや梯子が外されていく。ゆっくりと上昇していく。ある程度上昇した所で船は前進を始めた。向かうは遺群嶺……。白羅達が出会うは最強と出るか最凶となるか!運命やいかに!!

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

ちょ~~~~~~高い山がある。現代でもこんな超高層な山はないだろう。その山の至るところに古代人の遺跡がある。マチュピチュにひけを取らない程の遺跡と共にある山………、その名を遺群嶺……。細長く高い巨大な山は、雲の絨毯を突き抜け遥かにそびえ立っていた。

 

白羅達は、ベースキャンプに降り立つ。大きな岩をくり貫かれたようなスペースに、チェストやベッドが備え付けられていた。そこから下を覗けば、数十メートル下に雲の絨毯が。高所恐怖症の方は、見ないほうがよろしいかと♪

そこに降りた3匹と1人はそこからエリアの順を追って向かうことにする。エリアによっては気候の激しい場所もあり、ラルクに乗って行こうとしても、長時間のホバリングとなり、着いた頃にはスタミナが切れてしまう。

ここは、いざというときの為にスタミナを温存してもらった方がいいということになった。

 

「ニャ!出発ニャ!」

 

白羅を先頭にベースキャンプを出て、エリア1へ。ここは広めの傾斜のある場所で、所々に岩がある。草食モンスター達も居ることが多い。エリアはここから2と6に向かう事が出来る。

 白羅達は大型モンスターの感知はしていた。確かに頂上に感じている。一行はエリア2から進むことに決めた。

 緩やかな傾斜のある草原を抜けてエリア2へ足を進める。

 エリア2に着くと、正面の奥に巨大な建造物が。古代人の作った物だろう、彫刻や作られかたが今の技術では無い事を物語っていた……。

 

「凄い建物ニャ!?」

 

「中々見られない建造ね。」

 

「よくこんニャ高いところで生活してたにゃ!?」

 

「そうニャね。また後で見に寄るニャ!」

 

「そうだね♪♪」

 

「よし、エリア7に向かうニャ!」

 

「大丈夫ニャ。奴はまだ頂上に居るニャ。」

 

 一行はエリア7へ向かって歩き出す。この時、白羅達は少し油断していたかもしれない。想定外の事が起きたからだ……。

 その生物は、超高速で上空から白羅達を見つけ、エリア2へと急降下してきた!!

 キ~~~~~~~~~ン!!!という現代の戦闘機の飛行音のような高金属音を立てながら地面に勢いよく着地する!その風圧に白羅達は押され、驚いていた!!

 

「ニャ!?ニャンで!?!?」(来ちゃいました♪♪)

 

「う、嘘でしょ!?!?」(いや、本物です♪♪)

 

「ニャ!?ニャって頂上に!?!?」(居るとは言ってなかったですが♪♪)

 

「どうして、言ってくれにゃいニャ!!」(どうしてって言われても……、ニャッ♪♪)

 

「「「「ニャッ♪♪じゃ、ね~~~~!!!!」」」」(まあまあまあ、落ち着いて、ね♪♪)

 

「「「「こらァァ!!!!」」」」(失礼しました!ピュ~~~~!!)

 

 さすがに不意打ちを喰らったので、全員、身動きが取れない!その生物は紛れもなく、”銀翼の凶星”。

 全体に銀色の体色で、顔は細面で、4本の脚があり、鋭い刃のような翼で、その3本ずつの翼脚の先端には龍気を噴出する穴が開いている。その威力で体を細めることにより、音速に近いスピードで飛行することが出来る。

 その龍気が赤く、飛行中もそれが尾を引く事から、”赤い彗星”とも言われている……。

 白羅達が会おうとしていた生物が、いきなり目の前に降り立ち、逆に白羅達を見据えているのだった…………。

 

 

 

 

 

 




 読んでくださりありがとうございます。 話が”つづく”になってしまいましたが、年明けにはまた更新していきますので、引き続き、よろしくお願いいたします♪♪
 本年もありがとうございました。皆様、良いお年を♪♪ では、来年度もお会いできることを切に願って…。    紅龍騎神でした。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪G級にお邪魔してます!?♪♪♪

 あけまして……いえ、明けすぎまして、おめでとうございます!!本年もよろしくお付き合いのほどお願い申し上げます♪♪
 今年1発目の更新でゴザイマス!皆さん既に更新するなんて、なんて強走薬グレートでしょ♪♪ まだまだ私には修行が足りぬと実感するところ……。
 ま、まずは本編を読んでやってくださいまし♪♪後ほど後書きにて。
 では、物語の始まり始まり…。



遺群嶺…………。されど遺群嶺………。ひたすら遺群嶺………。(ガンッ!!……プシュー………。)

 

 そ、そ、その遺群嶺のエリア2にて想定外の出来事が起こっていた。大きな遺跡を横目に、白羅達の目の前に目標としていた生物が突然現れたのである。

 ”銀翼の凶星”とも”赤い彗星”とも呼ばれる”天彗龍バルファルク”………。その古龍が猛スピードで、降下してきて目の前に飛来したのだ。咄嗟のことで身動きが取れず、こちらを見据えるその眼光に、どうしていいのか分からず、戸惑っていた。

 やがて、バルファルクが白羅の方に向かってゆっくりと歩き出す。白羅達も手に汗握る思いで武器を構える……。

 ピリッとした突き刺さるような緊張感の中、バルファルクが白羅の目の前に立つ!周り全員が更に緊張感が増していく!白羅もコテツを前に構えるも、全く動くことが出来なかった……。

 すると突然、先の細くなった舌を出して、白羅の横顔を舐め上げたのである!!これには意表を突かれて、固まったまま尻尾の先から頭のてっぺんまで悪寒が走り、全身の毛が逆立ちする!

 

「な、なに!?」

 

「ど、どういうことニャ!?」

 

「何が起きてるニャ!?」

 

 更にゴロゴロと甘えて白羅にすり寄っている!?白羅もまだ固まったまま、状況が全く飲み込めずに硬直していた。

 不思議すぎる光景が…………。そして更に更に不思議な光景が!?突然、翼の羽ばたく音がしてラルクが飛来してきた。

 

「クァ!!」

 

 ラルクもビックリして白羅を見ていた。が、その声に、バルファルクの方が反応し、ラルクの方を振り向く!

 お互いに目線がぶつかり合って、今度はラルクの方へと歩き出した!ラルクもゆっくりとバルファルクの方へと歩いていく!!

 

「ニャ!!ラルク!気を付けるニャ!!」

 

 白羅が叫ぶも聞こえていないかのように、お互いに目の前まで歩み寄る!しばらく睨みあって、ゆっくりと同時に右翼を真上に上げる!翼爪には力が入っている!

 

「「グァァァァァァァァァァァ!!」」

 

お互い同時に咆哮を上げながら互いの右翼を降り下ろす!!

 

「ラルクニャ~~~~!!」

 

白羅が叫んだその時、白羅の目が点になった…………。

 

「!?!?!?!?」

 

ガシッ!!!っと言う音と共に、ラルクとバルファルクは右翼の爪同士で握手しているではないですか!!!

 

全員、アゴが外れて地面まで下がっていました♪♪(お、お医者さん呼びます!?)

 

「ニャ、ニャんと!?」(驚きましたか♪)

 

「し、知り合いとかって言う!?」(どうやらそのようで♪)

 

「ま、マジで、わけわかんニャくなってきたニャ!?」(お察しします♪)

 

「ハラハラした俺たちって一体ニャんだったニャ…………。」(そのお気持ちもよく分かります♪)

 

「「「どうしてなの!!!」」」(い、いや、それを聞かれても……………、見つめないでくれます♪♪)

 

「「「見てないし!ってかキモいし!!!」」」(ちぇっ残念♪♪)

 

「「「話をそらすなぁ~~~!!!」」」

 

力の抜けきった白羅達を尻目に、2頭は顔を擦りあってゴロゴロ甘えている。どうやら本当にラルクの知り合いのようだ。2頭はひとしきり挨拶が終わると、白羅のところに揃って歩いてきた。

 

「クァクァクァァァァ!」

 

と、爪で指しながら仲良しと言いたげに、ジェスチャーをしてくる。

 

「ニャ!?ラルクの友達ニャか!?」

 

「クァ!!」

 

と嬉しそうに返事を返すラルクです。しかも!ラルクは爪で、バルファルクと白羅を交互に指します!これには白羅もビックリ!

 

「ニャ!?おいらとバルファルクニャか!?」

 

「クァ!」

 

そうだと言わんばかりに返事をするので、白羅も困ってしまった。

一体どこで………………………!?

 

「ニャ!?…………まさか………、あの時の幼体ニャか!?…………。」

 

「グル!!」

 

今度はバルファルクが返事を返してきました。

 

「ニャ~~~~!!ほんとにあの幼体ニャのか~~~~~!!♪♪♪」

 

 後の2匹と1人は何のことかが分からず、ポカンとしていました。

 そうなのです。ラルクと同じように幼体の時に、白羅と白羅のご主人が助けた龍なのです。もちろん、状況は違いますが……。

 

「え、どういうことなの!?」

 

「ニャ、実はかくかくしかじかニャ……。」(またですか!!)

 

「「「ほほう……。」」」(しかも、納得ですか!!凄すぎですあなた達!!)

 

 ご主人に仕えていた時にクエスト中に助けた幼体であったことを話し、その後再会する事が無かったので、はっきり言って忘れていた!(豪語する普通!?)

 

「ニャァ♪♪生きてたニャンて奇跡ニャァ~~~♪♪」

 

「グルッ♪」

 

 すると、ラミアが嬉しそうに白羅に話しかける。

 

「あたし、やっぱり白羅さんと一緒で良かったと思う♪」

 

「ニャ!?どうしてニャ!?」

 

「だって、モンスターと対峙するばかりじゃなくて、仲良くなってしかも一緒に生活できるんだよ♪♪それも貴重なモンスター達ばかり♪♪」

 

「ニャ、あたいもそう思うニャ♪♪」

 

「俺もニャ。こんニャ光景はまずニャいしニャ♪♪」

 

「ニャァ、確かにニャァ……。」

 

 と、ラルクとバルファルクを交互に見ながら、思いにふける白羅でした……。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 2頭とも、一緒に行く気満々で、白羅達について行くというのでバルファルクを迎えることにしました。

 ベースキャンプまで戻り、小型の飛行船で距離を置いて待機している龍識船まで戻ります。その後をラルクとバルファルクが飛んでついて行く……。船頭さんが龍識船に戻るまで緊張しまくっていたことは内緒にすることに♪♪龍識船に着くと、隊長が早速白羅達を迎えます。想像していたよりも早く戻って来たので、驚きを隠せなかった。

 

「ど、どうしましたか!?誰か大けがでもしましたか!?」

 

「ニャ、驚かせてごめんなさいニャ♪♪クエストクリアニャ♪♪」

 

 とおどけながら隊長に報告する。隊長の目が丸くなる。

 

「ええ!!そんなに早くですか!?ど、どうやって!?……。」

 

「実は……。後ろを見てニャ……。」

 

 申し訳なさそうに促すので、隊長も言われたとうりに後ろを向く……と同時に今まで聞いたことがないような悲鳴が上がる! そのリアクションは当然でしょう。何せ、討伐ではなく、捕獲でもなく、一緒に来ていたのですから♪♪その場に尻もちをついて動けなくなっていました。

 

「な、な、な、なんでバルファルクが一緒に!?!?!?」

 

「ニャ、実は知り合いの龍だったニャ。おいらも忘れてたニャ♪♪」

 

「へぇ♪♪あの時助けた幼体が生きてたの♪♪」

 

 と、集会酒場から扇子を振りながらチャイナドレス姿で現れた美女が……。

 

「ニャ!?ママさん!そうニャ、あの時の幼体にゃ♪♪」

 

 ママさんも知っているようで、成体になったバルファルクを見て微笑んでいた。

 

「師匠……………。」

 

 ラミアが、うつ向いてしまう…。あの後から顔を合わせていなかったので、気持ちを切り替えるにもすぐにとはいかない……。だが、ママさんは微笑みながら話しかけてきた。

 

「あの時はいい動きだったわね♪納得がいかないなら、沢山G級クエストをやって腕を磨きなさい。あなたはまだまだこれから強くなれる要素がいっぱいあるわ♪まずはHRを開放することを目標になさい。今の仲間たちが必ず助けてくれるから♪♪」

 

「分かりました。腕を磨いて再挑戦します!その時はまた相手をしてもらっていいですか?」

 

「いいわ。何度でも受けるわよ。ただし、そう簡単に勝たせてはあげないからね♪♪」

 

「望むところです♪♪」

 

 とお互いの顔を見合ってほほ笑んだ。白羅もそれを見て安心していた。

 

「で、なんで師匠も知ってるんですか!?」

 

 と、話題をバルファルクの方に戻してきた。

 

「ニャ、ご主人とおいらともう一人と一緒にクエストに行っていた時に、ご主人とおいらが一緒に頼み込んでバルファルクの幼体を助けたニャ。それで知っているニャ♪♪」

 

「そ、そうなんだ!?でも、白羅さんてどれだけ顔が広いの!?今更感心しちゃうけど♪♪」

 

「ニャ!?そんニャ事はニャいニャ。ママさんが言ったように経験の数が多いだけニャ。ラミアもきっとそうなるニャ♪♪」

 

「そうなのかなぁ。」

 

「そうニャよ♪♪」

 

 と頷く白羅に丸め込まれるように感じたラミアだが、気を取り直して頷き返すのだった。

 

「あ、あの……。いいですか!?」

 

 おずおずとしながら隊長が声をかけてきた。

 

「は、はいニャ!?ごめんなさいニャ!」

 

 と、慌てて隊長の方を向く。

 

「だいたいの状況は分かりました。ですが、どうしますか?龍暦院にはなんと報告したらいいか……。」

 

 隊長は困った顔で白羅を見ていた。

 

「大丈夫ニャ!生態研究ニャら広場の外からでも出来るにゃ。他の個体は分からニャいが、このバルファルクはおいらが責任を持つニャ。そう報告してくださいニャ♪♪」

 

「そうですか……。分かりました。伝説のパーティーの1人!?ですからね。信じてますよ♪♪」

 

 それを聞いて、今度はラミアが目を丸くする!

 

「えっ……!!伝説のパーティーって……。!?」

 

「ニャ!?……そ、それはその……。」

 

 白羅もしどろもどろになってしまう。

 

「そうニャか、ラミアは知らニャいのも無理ないニャ。」

 

 灯羅もその事は知っているようだ。

 

「な、なになになに!なんでみんな知ってるの!?教えて!あたしだけ知らないなんてみんなズルい!!!」

 

ラミアが慌てて周りに教えて欲しいと懇願する。

 

「話してなかったんですか!?僕、余計なことを言ってしまいましたか!?」

 

 隊長も申し訳なさそうに白羅に話しかけた。

 

「ニャ!?隊長さんは悪くニャいニャ。いつか思い出話に話そうとは思っていたニャ。」

 

「隊長さん教えて!白羅さんの事、もっと知りたいの!お願い!!」

 

 ラミアが迫って懇願してくるので隊長も困ってママさんの方を見た。するとママさんもラミアの気持ちも分からなくはないようだ…。なので、黙って頷いていた。

 それを見て隊長も頷き返す。深呼吸をして、改めてラミアの方に向き直った。そしてゆっくりと語り始める…。

 

「白羅さんはママさんと、ご主人であった雅盛様ともう一方とのパーティーで、唯一ミラルーツと対峙し、戻ってきた生き証人なんです!」

 

「ええっ!!!」

 

 ラミアが大声で驚き、改めて白羅を見直す。その白羅も恥ずかしそうにほっぺをポリポリとかいていた。

 

「あの時は、みんな、ボロボロで帰って来たわね……………。」

 

 とママさんも遠くの空を眺めながら、思いをめぐらせるのだった………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 読んでいただき、ありがとうございます♪♪
 じつは、今更ながら、ご報告もかねて。昨年よりPIXIVさんにも投稿させてもらってます。内容は同じではありますが、よろしかったらそちらもどうぞお願いいたします。
 お気に入りやご感想お待ちしております♪♪
 ではまた次話にてお会いできることを切に願って…♪♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪昔ばなしを少々……!?♪♪♪

 勝手に勢いづいて、更新させていただきますね♪♪お邪魔します♪♪
 今回はタイトルどうり、白羅の昔ばなしでゴザイマス。少々!?にはなってないかもしれませんが、読んでやってくださいまし♪♪白羅の過去がちょこっと垣間見える内容となっております。気持ちだけ力が入って、5000文字を超えました♪♪  
 後ほど後書きにてお会いしましょう♪では、物語の始まり始まり…♪♪



太陽の恵みの光を浴びつつ、ゆっくりと集会場へと、向かう龍識船の中、隊長がラミアに昔ばなしを語っていました。 ママさん達がHRを開放後、どんどんクエストをこなし、HR100を超えたとき、依頼が入ります……。

 ミラボレアス、ミラバルカン、ミラルーツ……。順を追って倒してきました。毎回ボロボロになりながら……。その3頭は既に伝説として語られていたモンスターで、現実に居るとなっても中々進んで戦おうとするものはあまりいませんでした。彼らは意気込んで向かいますが、精神的、肉体的にボロボロの極限状態でやっと勝利し生還したとのこと。

ただし、ミラルーツの時だけは少し違っていたと話していたと。

どうしてか……………。

 

「そこは私から話すわ。」

 

とママさんが切り出したので、隊長も頷いてママさんにバトンを渡しました。ラミアも聞き漏らすまいと、ママさんに注目します。

自慢の扇子をゆっくりと仰ぎながら、語り始めました。

「あの時は、ミラボレアス、ミラバルカンとの死闘を重ね、生還できた事に皆浮き足だってたわ。私を含めて3人と白羅君はね♪」

 

と白羅の方を見ると、白羅もゆっくりと頷き返していました。

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

「おい、“カミラ”!生命の大粉塵は用意したのか!?」

 

大柄な体躯の、筋肉質で、二つ名”鎧裂“の防具を装備をしている男性ハンターは、ショートヘアーでこちらも二つ名”白疾風”の装備をして筋肉質には見えない程に美姿な女性ハンターに声をかけていた。

 

「勿論よ!貴方こそ用意出来たの“バルド”。」

 

「ふん!この大剣でガード出来る限り、俺は無敵だ!」

 

と自慢の剣をかざして誇らしげに、どや顔で話す。

 

「やっぱりね……。何とか言ってやって頂戴!”雅盛”」

 

「フム……、鉄刀で行くか………、オヴィリオンで行くか………、深雪一文字で行くか………。どれが良いと思う2人とも!?」

 

「「今更そこか!!!」」

 

このちょっと抜けた感じの男性ハンターは、暁丸亜流の装備で、和の国の出身という事もあり、鉄刀やそれに近い太刀を使い分けていた。

 

「ご主人、大丈夫ですニャか!?」

 

白羅である。当時LV 50そこそこで、主人と同じように、武者アーマーとコテツを装備していた。

 

「ったくよォ!こんな猫じゃなくて、他にハンターで誰か行きたいって奴は居なかったのかよ!!」

 

 あからさまにバルドが嫌そうに2人に話しかける。白羅もそれを聞いて落ち込んでしまう。

 

「ニャ……。やっぱり、おいらじゃなくて灯羅の方が良くないニャか!?」

 

 雅盛は、白羅の頭を撫でながらニッコリ微笑む。

 

「大丈夫だ!!拙者は白羅を信じている!」

 

「ニャ!?ご主人様……。」

 

 相手はあの龍たちの始祖とも言われている”祖龍ミラルーツ”

 バルカン、ボレアス共に最強種であったが今回はその上を行く。バルドは余裕をかましては居たが、危険を感じていたのかもしれない。行ったら最後、生きて戻れるかどうか分からないほど、勝率がかなり低いクエストに挑もうとしているからだ……。

 これだのあれだのとバタバタ準備をしている時に、ドアをノックする者が。

 

「雅盛様……。」

 

 声の方を見ると集会場の受付嬢、アイラが居た。

 

「アイラ殿……。」

 

 アイラは心配になって居ても立っても居られずに受付を代理に任せ、急遽逢いに来たのだった。

 カミラは場を察してバルドの肩をたたき、背中を強引に押して行こうと告げる。

 

「雅盛は!?」

 

「いいの!雅盛!先行ってるわね♪♪」

 

 と背中を押したまま、龍識船の集会酒場の方へと向かっていく。

 

「済まない!すぐに行く!!」

 

 その返事に前を向いたまま、手を振って歩いていくのだった。

 白羅もこの二人が付き合っていることは知っていた。ドアの外で待っている間、雅盛様を守らねば、彼女を悲しませるわけにはいかない……、命がけで守る!と改めて誓うのだった……。

 しばらくすると、話が終わったようで2人が出てきた。

 

「よし、白羅、行こうか。」

 

「ニャい!行きますニャ。」

 

 と歩き出す。その時ふと彼女の方を見ると、目を真っ赤に涙を浮かべていたアイラの姿があった。その肩を優しく抱き寄せながら歩いていく雅盛……。無言のまま、龍識船へと向かうのだった……。

 アイラを送った後、集会酒場へと足を運ぶ、雅盛と白羅。カウンターにいたカミラとバルドの元へと進む。

 

「お別れは済んだのか!?」

 

「馬鹿ね!そういう時は再会を誓ったのかって聞くものよ!」

 

「済まない2人とも……そしてありがとう……。」

 

「けっ、何にもした覚えはないぜ!それに、戦いはこれからだ!気ィ抜いてんじゃねえぞ!!」

 

「そうね……、お礼は帰って来てから聞くわ!」

 

「分かった!必ず!よし、行こう!!」

 

 3人は頷いてカウンターでクエスト” 祖龍  ”を受注する。

 3人と1匹は小型の飛行船に乗って、決戦の地、旧シュレイド城跡へと出発するのだった…………。

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 渦巻く暗雲の中、滅ぼされたシュレイド城跡に到着する。待機所でチェストの必要なアイテムをいくつか持ち、強走薬グレートや硬化薬グレート、鬼神薬グレート等強化できるものはひたすら飲んで、決戦の舞台へと進む。

 一つのフィールド内で、石作りの地面と半円状の長さの石垣に撃龍槍とバリスタが用意され、真ん中あたりに2本の石柱が並んで立っていた。

 

「来た…………。」

 

 空を見上げると、白く巨大な生物がゆっくりと飛翔して向かってくる。全体が白い体躯で角と髭があり、頭から尻尾の先まで、体毛を生やしている。4本足で若干両前足は小さめ。爪はないが、スッキリとした形の整った翼があった。翼を羽ばたかせながら、降下してくると、一度ホバリングしてゆっくりと着地する。

 その威厳さは、龍の始祖と呼ばれるだけの事はある。雅盛とバルドは武器を構えて攻撃に。カミラは走って撃龍槍のスイッチの前に。白龍は咆哮を上げて、戦いの火ぶたを切った。その時1匹だけ、動けずに固まっている物が居た。

 

「き、綺麗ニャ……。」

 

 今まで戦ってきたどの古龍より、真っ白でスマート。尻尾や羽に武器になるような爪やとげは無く、純にシンプルだが、強さは一番伝わってくる!これが雷を纏った龍気を扱うとは誰が想像しえただろう。胸部を稲妻が数本走っていた。

 ただ、何をどうしたのか、白羅は一目惚れというものだった。

 

「な、仲良くニャりたい…………。」

 

 ボソッと呟くと白龍の元に走り出した…………。バルドと雅盛は足元や羽、尻尾を狙い、接近戦で攻撃していく。対抗して白龍も雷付きの龍気ブレスで、蹴散らそうとする!それをバルドは大剣でガード、雅盛は納刀キャンセルでブレスを弾いていく。カミラも撃龍槍の方へは中々近くに来ないので、切り替えて双剣で近接攻撃に移っていた。白羅は3人の回復やサポートしつつ、何とか話が出来ないかと、移動しながら白龍を見つめていた。

 すると突然、白羅の頭の中に声が伝わってきた。

 

(なぜ、お前たちは我を倒そうとするのか…………。我が何をしたというのか!)

 

 その声は、白羅にはハッキリと聞こえた。

 

「ニャ!?我ってニャ…………。まさかニャ!?」

 

 白羅はもう一度声が聴きたかった。白龍の下で3人がお互いに回復しつつ、攻撃している。白龍は一旦ホバリングして飛び上がり、更に上昇して行く。途中で止まり、咆哮をあげると、上空の渦巻く雲から雷柱が何本も地面に突き刺さって行く!

 

バルドは何とか大剣でガードするものの、カミラが避けた方向に雷柱が!

 

「し、しまった!」

 

マズイ!殺られる!……………と、目を閉じた時、急に痛みと共に横に弾き飛ばされる!

 

「がぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

痛みを堪えながら、目を開くと雷柱が落ちた位置に、自分ではなく、雅盛の姿が!!

 

「ま、雅盛ぃぃぃぃ~~~~~~!!!」

 

カミラは絶叫して慌てて駆け寄る!しかし、雅盛に気をとらわれて、白龍が降り立ち、尻尾で振り払ってきたことに気付かなかった!

 

「ガフッ!!!」

 

カミラの身体は中を舞い、石壁まで吹き飛ばされていた!

 

「カミラぁぁ!!雅盛ぃぃ~~~~!!!」

 

バルドのやな予感が、ここぞとばかりに的中する!回復薬等は持っていたが節約しながらなどの余裕もなく使い果たしてしまい、攻撃を避けるのに手一杯だ!

 

「あ、あと一息だってのに!」

 

確かに白龍もかなりダメージを受けていて、真っ白だった体が血で染まっていく!

 

(何故、人間はこうも愚かなのか!!…………)

 

白龍は雷を纏った龍気ブレスをバルドに放ってきた!

 

「ぐっ、くそぅ!!」

 

大剣でガードするも、パワーが上回り、バルドも後方に飛ばされてしまう!

 

「バ、バルド!!」

 

何とか起き上がったカミラが雅盛のところに来ていて抱き起こしていた。回復薬を飲ませるも、かなりの傷で戦える状態ではない。白羅も薬や技も尽きていて雅盛達の傍には来るも、回復出来ずにいた。

 

「ご、ご主人様ニャァ~~~~…………。」

 

どうする事も出来ずに

いた白羅だったが、さっきも白龍の声がハッキリと聞こえていた!

歯を食い縛り、一匹、雅盛達の前で仁王立ちになって両手を広げていた!!眼には涙を溜めながら…………。

白龍もその行動には、ためらっていた。スタミナ切れもあってか、動かずにいた。

「白龍ニ゛ャ!!お願いニ゛ャ!!この戦い、止めようニ゛ャ!!」

 

その言葉に、白龍も他の3人も驚いていた。

 

(…………お主、我の声が聞こえるのか!?)

 

すると白羅が黙って頷く。白龍の顔を見据えながら………。

 

白龍は真っ直ぐに白羅を見つめていた……。

 

(お主、我が怖くないのか!?……。)

 

 突然、声!?実際にではなく、白羅の心の中に直接話しかけてきた。なので、他の3人は全く分かっていない。

 

「怖”く”ニ”ャい”!!」

 

 白羅は大声で返事を返す!

 

「なに言ってるんだこいつ……!?」

 

(ならばお主はどうしたいのだ!?)

 

「仲”良”く”な”り”た”い”ニ”ャ”!!!」

 

(…………………………。)

 

するとバルドが大声を張り上げる!!

 

「とうとう気が触れやがったか!この馬鹿猫が!!こんな役立たず、連れて来るんじゃなかったぜ!!俺のオトモの方がまだましだ!!!」

 

「白羅……………。」

 

 雅盛もカミラに抱き起された状態で白羅を見つめていた……。

 

白龍が白羅を見つめたまま、話しかけてくる。

 

(……………我の命は後わずか……。我と仲良くなりたいと言ったお前に……、我の力を授けよう……。)

 

「ニ”ャ!?どういうことニ”ャ!?」

 

 そう聞き返すのと同時に、白龍の身体から白い靄のようなものが飛び出してくる!無論これも他の3人には見えていない……。その靄はやがて龍の姿となり、白羅に向かってきた!

 白羅は歯を食いしばって、目をつむる!!風圧のような、気配のような感覚が白羅の全身を突き抜けていく!!

 

「!?!!!!……。」

 

 その気配が白羅を突き抜ける時、

 

(お主のような者は初めてだ……。だが、嬉しかったぞ……、礼を言う……。)

 

 白羅が目を見開いた時、白龍はその場に崩れ倒れていた……。

 

「ミ”ラ”ル”ー”ツ”ニ”ャ”~~~~~!!!!」

 

 思い切り泣き叫んで白龍の元に走っていく!

 

「びゃ、白羅!!」

 

 雅盛が呼び止めるも、白羅の耳に届いてはいなかった……。

 

「お、おい……マジか!?倒したのか!?」

 

「よく……分からないけど……そのようね……。」

 

 中途な感じのまま、クエストはクリアになり、皆、限界でもあったのでラッキーと言えばそうなるが……。何とも言えない空気が漂っていた……。この後、生還し、回復するも、パーティーは解散……白羅も解雇を受けて、1匹となる。後々ギルドナイトのアルザ―トらとクエストに赴くこともあったが、オトモに雇われることを頑なに拒み、猫嬢に斡旋募集解除の申告を出して、一匹狼となり、今現在に至る……。

 

「ま、白龍とのやり取りは、大分後になって、一緒に飲んだ時に話してくれたんだけどね♪♪だからあの二人は知らない事よ。白羅君と私の秘密にしたの♪♪それで、あまり話したがらなかったのよ……。」

 

「そうだったんだ…………。」

 

目に涙を浮かべながらラミアは白羅を見ていた。

白羅は、あいかわらずほっぺをポリポリとかいて、照れている♪

 

「ニャ、そうでもニャきゃ、絆石がニャいのに、モンスターと仲良くなれるわけニャいニャ。」

 

 姫沙羅が納得するように頷く。

 

「で、でも、白龍の力って…………。それに会話が出来たのって、今はラルクとかと会話できないの!?」

 

 そう言われて、白羅とママさんが驚く!

 

「確かにそうね…………。」

 

「ニャ!?確かに気にしたことはなかったニャ…………。」

 

 と白羅とママさんが真剣に考え込んでしまう。

 

「な、なんか私……、とんでもない事言ってる!?」(はい、確かに♪♪)

 

 全員が黙ってラルクとバルファルクの方を注目する。

 

「「!?!?!?!?!?」」

 

 注目をされたが何のことか分からず、不思議そうな顔をしている2頭でした…………。

 

 

 

 




 お読みいただきありがとうございます♪♪ おかげさまで絆石が無い状態でモンスター仲間が増えること♪♪
 もちろん、討伐すべくモンスターと対峙することもありますが、ご容赦いただきたく♪♪
 次話もクエストに出ることになりそうです。どうなっていくのか…………。
 では、次話にてお会いできることを切に願って…♪♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪村長さんの来訪!?♪♪♪

 ちょいとゴメンなすって。更新させていただきやす♪♪
 少しく間が空いちまいましたが、読んでやっておくんなまし♪♪(ってなんで江戸っ子!?)
 というのはさておき。物語は本題へ♪♪ 後ほど後書きにて。では、物語の始まり始まり…♪♪




無事に帰還してきた白羅達は、ユクモ村へと向かいました。後方から2頭の龍が並んで飛んでついて来る……。

 しかも、1頭はラルクと分かっても、もう1頭に驚いてひっくり返りながらも村長さんを呼びに行く門番さん…………。大変ご苦労様です♪♪お約束ありがとうございます♪♪

 その広場へ2頭が並んで降り立つ……。広場の外側で、他のモンスターの生態を調べていた研究員たちはビックリ!!突然の来訪者に、絶叫!喜叫!大恐慌!じゃなかった大興奮!!何がどうなってここに来たのか……。

 ”銀翼の凶星バルファルク”がラルクと共に、降り立ったのだから、さあ大変!!

 逃げ惑う!?……。否!!研究員たちの研究魂を侮るなかれ!

 早速ノートに記帳する者、新しいノートを取りに戻る者、両手を組んでボロボロうれし泣きをしている者、何人かでジャンプしてはしゃいでいる者、正座をしてお茶をすすっている者!?等々、大盛り上がり!♪♪

 そこへ白羅達が帰って来て、毎度の如く、皆から拍手喝采♪♪今回はラミア、姫沙羅、灯羅も含めての拍手に1人と3匹は超照れながら、家に戻るのでした……。

 ラルクとバルファルクが家に入るとギリギリスペースで、何とか入ることが出来、名前を決めないとと、内輪会議になったのです♪

 

「ニャて、早速バルファルクのニャ前を決めようと思うニャ。ニャにか良いニャ前がニャいかニャ!?」

 

「う~ん、ってか、その前に村長さんに話した方が………。ひっ!!」

 

ラミアが顔をひきつらせて驚く!

 

「ニャ!?ラミア、どうしたニャ!?」

 

「あら~~~~、私に連絡がありませんでしたけど、どうゆう事かしら~~~♪♪」

 

ビクゥ!!!……。白羅の後ろから女性の綺麗な声が…………。毛を逆立てながら冷や汗もタラタラに、ゆっくり振り向くと、眉間をひきつりながら作り笑いをしている村長さんが……………。

 

「ニャ!?ニャ!?あ、あの……その………、ニャ前を決めてから、話そうと思ってましたニャ……………………。」

 

「ほ・ん・と・う・に~~~~~~!?」

 

白羅の顔を覗き込む村長さん♪目を逸らす事も出来ずに、グビリと唾を飲み込むのでした♪

 

「ま、良いですわ♪」

 

「ほ、本当ですニャか!?」

 

「ただし、経緯は聞かせてくださいな♪それと、罰として今度丸一日私に付き合ってもらいます♪」

 

「ニャ!?ニャんと!!」

 

「そ、そんな………。」

 

「そ、そうニャ!ずるいニャ!」

 

「そうですね、私たちをも差し置いて♪」

 

「そうね、職権乱用だわ♪」

 

振り向くと、アイラさんと眼鏡美人のお姉さんが。

 

「そうです!私も入れて下さいな♪」

 

「「「「「「「えっっっ!!」」」」」」」

 

一斉にその声の主を見る!その可愛らしい声と小柄で、可愛らしい服に肩からポシェットをさげ、大きくて可愛いリボンを着けたお嬢さんが…………。

 

「ね、猫嬢ニャか!!」

 

と、何処からか曲が流れ出す♪猫嬢がチーズ職人の体躯の良いアイルーと踊り出す♪不思議とそれにつられて白羅と姫沙羅が両サイドに別れて並んで踊り出す♪可愛い猫嬢の綺麗な声と、アイルー達の楽しい躍りに、ラミア達も一緒に踊るのだった…………。

 

まさか猫嬢まで加わるとは白羅のモテ期、恐るべし♪♪

 

「ニャ、どうして猫嬢がここにいるニャか!?」

 

「それがですね……。」

 

「ニャすと~~~~!!」

 

ラルクの背中からジャンプしてラルクの頭を飛び越え、杖を振りかざして白羅に襲い掛かる!

 

「ニャいさ~~~~!!」

 

もう、ほぼ、条件反射でそれをコテツで受け止める!(以前もこんな光景があったような………!?)

 

「な、だ、誰なの!?」(驚かせてスミマセン……。)

 

「相変わらず元気ニャ。」(そうですね、この猫さんは……♪♪)

 

「白羅だけニャ、このつっこみに対応できるニャは。」(素晴らしい事です…………♪)

 

「でも、このツッコミに意味があるの!?」(うっ……そ、それを言っちゃいけない…………。)

アイラさんがさらっと疑問を口にする。剣と杖を交えたまま、2匹の猫が振り向いてアイラさんをじっ………と見つめる。

アイラさんもどうしていいか分からず、冷や汗をかいていた。

と、突然2匹の猫はその場にしゃがみこみ、ブツブツといじけてしまった。

 

「いいも~~~ん………ニャァ白羅よ。」

 

「そうニャァ村長~~~。」

 

「「「えぇぇぇ!村長!!」」」

 

ユクモ村の村長さんや、姫沙羅達は当然、知っていたが、ラミア、アイラさん、眼鏡美人のお姉さんが村長であった事に驚く。

 

「そうなんです……。村長さんがクエストを申請したのですが、ハンターさん達が全く振り向いてくれず……。村長さんが直に頼みたいと一緒に来た次第で……。」

 

 と、寂しそうに猫嬢が事の顛末を話す。それを聞いてアイラもそのクエストの事を思い出す。

 

「そういえば、依頼書はありましたけど……、受注してくれるハンターが居なかったような……。」

 

「そうニャ……。ニャから白羅に直接頼みに来たニャ。」

 

 と、改めて村長は懇願する目つきで白羅を見た。

 

「で、で、ニャにがあったニャか!?」

 

「ザボアザギル率いるスクアギルの群れが氷海ではばを利かせてるにゃ。魚が獲れニャくて困ってるニャ。」

 

「そんニャ事になってるニャか!?」

 

「そうニャ。そこで釣れる貴重な魚を捕るために、若い者6匹が制止を振り切って向かってしまったニャ……。案の定、追い詰められてエリア6の壁にしがみついていると連絡があったニャ……。」

 

「ニャンと!?!?」

 

「このとうり!頼むニャ!あやつらを助けてやって欲しいニャ!お願いするニャ!!」

 

 村長が珍しく床に頭をこすりつけるほど下げている。

 

「私からもお願いします!頼れるのは白羅さん達しかいないんです……。」

 

 一緒に猫嬢も頭を下げる。確かにアイルー達と深い関りがある彼女にとっても緊急事態である。

 

「分かったニャ……、顔を上げてニャ。助けに行くニャ!」

 

 村長と猫嬢が顔を見合わせて笑顔になる。

 

「ほ、本当ニャか!行ってくれるニャか!」

 

「準備するニャ。アイラさんクエスト受注ニャ!G2クエスト”強暴なる矢尻”と仲間の救出作戦ニャ!!」

 

「わ、分かったわ!このメンバーでいいのね!?」

 

 とラミア、灯羅、姫沙羅、白羅のチームでいいのか確認する。

 

「ニャ……、それと、今回ラルクはお休みしてもらうニャ……。」

 

 その言葉には全員目を丸くする!!もちろん、一番驚いているのはラルク当人である。

 

「ゴメンニャ、ラルク……、今回はバルファルクと一緒に待っていて欲しいニャ、ゴメンニャ…………。」

 

 白羅はラルクを真っ直ぐに見つめる……。ラルクも見つめ返した……。

 

 (……った……。)

 

「ニャ!?何ニャ!?」

 

 何か声が聞こえるような気がした。

 

(分かった……。)

 

 今度はハッキリと聞き取れる……。白羅はラルクの顔を改めて見た……。

 

「分かった……、って言ったニャか!?」

 

「「「えっ……!?」」」

 

「「「ニャ……!?」」」

 

「ニャ、ニャンと!お主、竜と話が出来るニャか!?」

 

 その村長の言葉に更にみんな驚く!

 

「う、うそ……!?」(本当です♪♪)

 

「ま、まさか……!?」(信じられないのも分かります。)

 

「これで益々好きになりましたわ♪♪」(それは何よりで♪♪)

 

「あぁぁぁ……調べつくしたい!!欲しい!!」(危険ですので、おさがり下さいます様お願い申し上げます……。)

 

「あの時以来ニャ……。」

 

 白龍と話をした時から数年……。竜と会話をすることが無かった白羅にとっても驚きであった。だが、白羅は普通にニッコリとラルクに振り返った。

 

「ありがとうニャラルク♪♪」

 

(白羅の考えは分かっている。今回はガムートを連れて行く気だね。)

 

「ニャ!?どうして分かったニャか!?」

 

(ちなみに、隣にいるバルファルクの名前は”ファギル”だよ♪♪)

 

 理由は言わずに、別の発言をするラルクに白羅は驚いた!

 

「ニャ、ニャンと!?ファギルニャか!?」

 

「!?!?!?」

 

 全員キョトンとしてしまう。白羅が改めてその説明をする。

 

「バルファルクにはニャ前があって、”ファギル”ニャそうニャ。」

 

「「「「「”ファギル”!!」」」」」

 

 そう叫んでバルファルクの方を振り向くと、コクリと頭を下げたのだった……。それにつられて皆も頭を下げる。はたから見れば不思議な光景……。

 だが、これからはそれが当然のような事になっていく……。

 

(お前のような者に出会えた事に礼を言う……。)

 

 あの時の白龍の言葉を思い出していた。白羅は微笑んだまま、涙が一筋流れ落ちていた……。

 

「白羅さん……。」

 

「白羅ニャ……。」

 

 みんながそれぞれの思いを胸に白羅を見つめる……。これは白羅とラルクの”縁”が呼び寄せたキセキ……。

 

「ニャ!準備して、ガムート君を呼びに行くニャ!」

 

「「「了解!!」」」

 

 それぞれが一度部屋に戻り、持ち物の準備をする。ラルクもファギルと顔を見合わせて喜んでいるようであった。

 準備が整うと村長や猫嬢に挨拶をして、ガムート君の元へと向かう。木材運びを継続して手伝っていて、休憩に入ったところだった。村としても大量の荷物を運んでもらったりと、村人とも仲良くなり、子供たちも懐いていた。ユクモ村に貢献していて、感謝もされていた。共存……。という奇跡がちょっとずつではあるが、起こり始めているのだった……。

 

 広場奥の岩山のあるところに滝があり、水浴びをしていたガムートを見つけ寄っていく。

 

「ガムート君ニャ!」

 

 声をかけると鼻で水を頭にかけながら振り向いた。

 

(呼んだか……。)

 

 白羅にはやはり声が聞こえる……。どうやら、竜だけではないようである。

 

「そうニャ!仲間を助けるために、クエストを手伝って欲しいニャ!お願いするニャ!」

 

 ガムートは改めて白羅達の方を向き直った。いい巨体である。力強さも感じられる。鼻で白羅に甘えながら返事をした。

 

(分かった、手伝う。)

 

「あ、ありがとうニャ!助かるニャ!」

 

「え、なんて!?」

 

「手伝ってくれるニャ。これで仲間を助けられるニャ!」

 

「凄い事だニャ……。こうしてモンスター達と話が出来て、クエストも出来るニャンて……。」

 

 灯羅も改まって感心していた。”ライダー”という絆石で絆を持って一緒に行動する者達の村もあるとは言われているが、それも無しに、しかも、話をも出来るという奇跡な出来事が目の前で起こっているのだ。感心してしまうのも分かる気がする。

 

「そういえば、バルファルクは”ファギル”というニャ前があったニャが、ガムート君にもあるニャか!?」

 

 さっきのラルクたちの話から疑問に思って聞いてみた。

 

(ある……。”蓬《よもぎ》”だ……。)

 

「ニャ!?やっぱりニャ!”蓬《よもぎ》”ニャか!?」

 

「え、ガムート君の名前!?」

 

「そうニャ!”蓬”だそうニャ!よろしくニャ、蓬君!!」

 

(よろしく、白羅!!)

 

 鼻と前足で握手のようなしぐさを交わすと、ガムートが鼻で白羅を掴み、ひょいと背中に乗せてくれる♪♪

 

「ニャァ~~~~♪♪いい眺めだニャ~~~♪♪見晴らし満点ニャ~~~♪♪」

 

 光降り注ぐ晴天の中、心地よい風と共に、クエストに出発する決意を新たにする白羅でした…………。

 

 

 

 

 

 




 読了ありがとうございます♪♪ 今回はガムートと……。とあいなりましたが、白羅達の展開やいかに♪♪
 では、また次話にてお会いできることを切に願って…♪♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪猫ろんでもタダでは起きない!?♪♪♪

更新させてくださいね♪
では、物語の始まり始まり………。



 寒~~~い……、寒~~~い……冷た~~~い、風が吹く氷海へとやって来たご一同様。

だが、今回は心強い味方がいる……、ガムートの”蓬《よもぎ》”君である。地面を揺らしながら、ゆっくりと進んでいく。エリアの6まで赴かなければならない。確かに白羅達が気配探知をするとエリア6内に大きい反応が1つある……。そのエリア内を動き回っていて、それでいて他のエリアに移動することもない。

 

「恐らく、ザボアザギルニャ……。」

 

 お互い、顔を見合わせて頷くと、ラミアはホットドリンクを、姫沙羅はジョッキを!?、灯羅は活力剤を!?、白羅はテキーラを……!?!?!?

 「ニ゛ャ~~~~!!口の中が熱いニャ~~~~~!!!」口からファイヤーブレス放射~~~~!!!(何を持って来たんだ何を……。)

 危うく蓬の脚の毛を焼くところであった……。

 

「ニャ、それじゃ向かうニャ!」

 

 きりっと顔を引き締めるが、口の周りが赤く腫れている。

 

「説得力無いニャ……。」

 

 横からさりげなく突っ込みを入れる姫沙羅。

 

「白羅さん大丈夫!?」

 

 とラミアが白羅を抱きかかえた♪♪

 

「ニャ!?ニャにを……!?」

 

 急に抱きしめられたので、白羅の顔が更に更に赤くなり、蒸気機関車のように湯気を頭から出しまくっている♪♪

 と今度は蓬がラミアを白羅ごと鼻で抱える!

 

「え、え、何、何、どうしたの!?えぇぇぇ!」

 

 ひょいと蓬の背中に乗せる。すると、続けて灯羅と姫沙羅も鼻に乗って背中に降りた。

 さすが、白羅も感動したほどの高さ。ラミアも以前のクエストで背中に乗って攻撃することはあったが、こんなに親しみやすく乗ったことはなかった。なので、その高さからの景色は氷海であろうと眺めはいい♪♪

 

「スゴ~~~~い!!!」

 

「いい眺めニャ~~~♪♪」

 

「蓬君ニャ!?乗せてってくれるニャか!?」

 

(乗せて行く。アイツらと対峙したときのために体力を使わない方がいい。)

 

「助かるニャ、ありがとうニャ♪♪」

 

「な、なに!?蓬君はなんて!?」

 

「乗せていくニャからスタミナを温存しとくニャって♪♪」

 

「え~~~そうなんだぁ、優しいね~~~♪♪」

 

 とラミアが背中を撫でている。蓬も鼻を上げてまんざらでもないようであった。

 一行はエリア1からエリア2、エリア7と進んでエリア6に突入しようと話をして決めた。蓬もその方向へと進んでいく。エリア1にはポポの家族が居た。

スクアギルらがいないところをと移動していれば必然的にこのエリアにも来ることになる。蓬が通りかかるが、害が無い事が分かっているかのように過ごしている。白羅達はポポたちを横目にエリア2へと移動する。

 エリア2はその地帯の名の如く、氷海が広がるエリアであった。片側が岸壁でその下には釣り場がある。だが、情報の通り、スクアギルたちが、一行を待ち構えていた。

 

(みんな捕まっていろ!)

 

 そう言われて慌てて白羅が皆にも蓬の言葉を連呼する!みなもそれを聞いて慌ててしがみつく!すると蓬が咆哮を上げて両前足を上げて後ろ足立ちになり、スクアギルたち目掛けて前足を振り下ろしたのである!!

 ズシンッッッ!!!と地面がエリアごと揺れてスクアギルたちがひっくり返った!

 

(今だ!!)

 

「ニャ!!スクアギルを倒すニャ!!」

 

「「「おう!!!」」」

 

 次々に飛び降りながら、剣を抜いていく!地面に降りて近くのスクアギルから倒していく……。十数匹いたスクアギルは次々に倒されていった。

 

「ニャ、このエリアは退治完了ニャ。」

 

 剣を収めて、一か所に集める。猫タクに頼んで、龍暦院へと持って行ってもらった。

 

「よし、また移動するニャ。」

 

(それじゃ乗って。)

 

「みんな、乗せてってくれるニャ。」

 

 と白羅が背に乗る。次々と背中に乗っていくご一行。蓬は乗ったのを確認すると、隣のエリア7へと足を進める。そこは巨大な洞窟が不気味に口を開けて待ち構えていた。

ゆっくりと、しかし、警戒しながら進んでいく。ここではスクアギルに遭遇することなく、隣のエリアへ。

「みんな!ここから戦闘態勢ニャ!」

 

「「「了解!!!」」」

 

「蓬君もいいニャか!?」

 

(もちろんだ!)

 

鼻を上げて、咆哮する!そのまま勢いで、エリア6に突入して行った!

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

「ニャぁ、おいら達一体どうなるニャ。」(助けを待つしかないと思われますが!?)

 

「このまま力尽きてあいつらの餌にニャるとか!?」(間に合わなかった時にはそうなるかと。)

 

「ニャ、助けは呼んだニャか!?」(はい!向かっているかと。)

 

「ニャんで、こんなことにニャったニャ………。」(村長さんを無視しちゃいましたからね~~~~♪♪)

 

「あいつらの餌になるのは御免だニャ……。」(そうならないよう祈ります♪♪)

 

「食べていいかニャ……。」(その前に生きて帰りましょうね……♪♪)

 

 全6匹、壁面のツタにしがみついている。上の方に登り、何とかスクアギルやザボアザギルの届かないところまで上がっていた。4足歩行で爪の間にはヒレがあり、おなか周りは白く、背中全体は水色の体色で、頭はサメそのもの!?縦に背びれもあり、強面な生物……ザボアザギル……。だが、さすがにアイルー達も長時間その体制のままで、しかも一向にモンスター達がこのエリアから移動しようとはせず、いつでも降りて来たら襲い掛かる気が満々で待機している。

 

「う、腕がしびれて来たニャ……。」

 

「このままじゃ、まずいニャ……。」

 

「みんな、頑張るニャ!」

 

「ニャけど……。」

 

 アイルー達が限界にきている時だった。エリア7側の入り口から咆哮が上がると同時に巨大生物が乱入してきたのである!

 意表を突かれてスクアギルやザボアザギルが一瞬固まる!と同時にアイルーの若者たちまで固まる……(あら!?)

 

「助けに来たニャ~~~~~!!」

 

 白羅が壁に張り付いているアイルー達を見つけ、叫んでいた!蓬の背中から一斉に飛び降り、スクアギルたちを次々と倒していく……。

 

「ニャ!?救援が来たニャァ~~~♪♪」

 

 1匹がそう叫ぶと、残りの5匹も安堵するのだった。だが、大きい奴がまだ控えている……。

 スクアギルたちを倒した白羅達が武器を構えたまま、ザボアザギルの方に向き直り、身構える!ザボアザギルは体を曲げて足に力を入れ、身体全体に氷の刃を纏う!頭の前に出された氷の角は氷の地面を突き破るほどの硬さを得ていた。

 

(任せろ!!)

 

 蓬君が前に出る!

 

「ニャ!?大丈夫ニャか!?」

 

(大丈夫!!)

 

 鼻を振り回しながら、気合が入っている蓬君!突き飛ばそうと鼻と牙を地面に突き入れ、額を盾にしてザボアザギルに突き進んでいく!ザボアザギルも体の反動を利用し、氷の角で突き返そうと前に出る!!

 ガシンッ!!!!!という大きな音と共に、蓬の額とザボアザギルの角がぶつかった!!両者その場で足を踏ん張り押し合いになる!!

 

「ニャァ!!蓬君頑張るニャ~~~~!!」

 

 白羅もラミアや灯羅、姫沙羅と蓬の応援に入る!!すると反対側でスクアギルが数匹現れ、ザボアザギルの応援に入る!!綱引きならぬ、相撲のような

押し合いが始まった!

 

「「「「押せ!押せ!押せ!押せ!」」」」

 

「「「「「ギャァギャ!ギャァギャ!ギャァギャ!ギャァギャ!」」」」」

 

ザボアザギルが押しかえされないように4本の足を地面ごと凍らせる!それに気付いた蓬も鼻で自身の足を凍らせて地面に接着させる!

お互いにどうだ!押せないだろうと、どや顔になりかけた瞬間、

 

「2頭とも、そこからどうやって動くニャ!?」

 

!?!?!?!?!?

 

その言葉に全員固まる…………。当の2頭が一番冷や汗を流していた…………。

それに気付いたのは灯羅……。冷静に見ているところは誰に似たのか…………。(ほっといてニャ。)

 

が、それが分かったとして、2頭とも動く事が出来ない!まして、対格差はあれど力は互角。力を緩めた方がやられてしまう!これが俗に言う矛と盾というものだろうか………。

 

傍にいる白羅達が、あたふたしている時、アイルー達が、降りても大丈夫かと悩んでいた。しかし、このアイルー達を含め、全員2頭に気を取られ、もう1頭の気配に気付かなかった!バリバリバリッ!!

 

「「「「「ニャギャァ!!」」」」」

 

突然、アイルー達が、電撃攻撃を受けて、地面に六匹とも叩きつけられていた!

 

「だ、大丈夫ニャか!?」

 

慌ててアイルー達の元に!攻撃をしてきた方を凝視すると、そこに不気味に動く生物が。

全体が白い体躯で、2足歩行。羽があり、頭はあるが、目がなく、口と鼻で臭いや気配をかぎ分ける、ブヨブヨした感じの皮膚をしている、雷をまとっている不気味を匂わせる生物が!?

 

「キシャァァァァ!!」

 

その生物は咆哮を上げるや否や、ジャンプして2頭の傍に雷を纏いながら着地、周りに放電する!

 

「ギャハァァァ!!」

 

「グガァァァァ!!」

 

2頭とも真横からの不意討ちに足元の氷も割れて、ひっくり返る!!スクアギルも一緒に巻き添えを喰らってしまう!

 

「よ、蓬君!?大丈夫ニャか!?」

 

(くそっ!コイツいつの間に!?)

 

蓬も 体勢を直そうともがいているが、ザボアザギルが一足先に起き上がり、一目散に角を地面に回転しながら突き刺して潜りこんでしまう!そして再度現れることはなかった……、別のエリアへと移動したようだ。

「灯羅!姫沙羅!仲間達を頼むニャ!!」

 

白羅がそう叫んで、生物の方へ武器を構えて走り出す!

 

「分かったニャ!」

 

「任せるニャ!」

 

2匹はすかさず、アイルー達の元に!

 

「何でフルフルがここに!?」

 

 ラミアも太刀を構えなおしてフルフルに向かっていく!

蓬君も辛うじて起き上がる!お返しだとばかりに鼻を地面に刺し、巨大な雪玉をフルフル目掛けて投げつける!しかし、バックジャンプでかわされてしまう!フルフルが着地すると尻尾の先を広げて地面に密着させ、頭を振り上げて口に雷を溜め、3方向に目掛けて地面を這わせるように雷のブレスを放射する!それは蓬に向けてのものだった!

 

「そうはいかないニャ!!」

 

白羅がコテツを構えて蓬の前に立ちはだかる!雷がまともに白羅に直撃する!!

 

「びゃ、白羅さん!!」

 

「白羅ニャ~~~!!」

 

雷が白羅に襲い掛かり、全身を焼き焦がそうと、電撃を浴びせる!!

 

「「「!?!?!?」」」

 

3人!?とも、自身の目を疑っていた。

 

「お、お前の電撃は効かないニャ………。」

 

なんと、電撃に堪えきったのだ!

だが、元々眼がない生物だけに驚きもせず、即行動に出る!頭がジグザグに伸び、白羅に襲い掛かった!

 

「白羅さんを殺らせない!!はぁァァァ!!」

 

すかさず、横からラミアが太刀を降り下ろす!

 

「ギギャ!!」

 

頭を切りつけられて、慌てて首を引っ込めるフルフル。そして再度尻尾を地面に密着させ、自身の周りに雷を放電する!

 

「きゃぁ!」

 

「ラミア!危ないニャ!!」

 

フルフルの電撃がラミアのいる辺りまで広がって、迫ってきた!白羅が庇おうとラミアに抱きつく!お互いに抱き締めて目を瞑った!雷が白羅達に迫った時、幸運の女神ならぬ竜神が舞い降りた!!

ゴォォォォォァ!!!

轟音と吹き抜けていく風と共に白羅達の傍を通過して行く!

中央付近にあった岩の柱に何かがぶつかり、崩れ落ちる!!

 

「ギギャァァァ!!」

 

今度はフルフルの方がダメージを受けていた。

 

ラミアと白羅がゆっくりと目を開けて、振り向くと、それはそれは頼もしい飛竜の後ろ姿が♪♪

 

「ら、ラルク!?どうしてニャ………。」

 

(猫タクが戻って来て、途中でフルフルに襲われそうになったと騒いでいたから、心配になって飛んできた!)

 

「そうニャったニャか………。ありがとうニャ♪♪」

 

やはり一番の親友である。一緒に来るべきだったと申し訳なく思うのだった………。

 

瓦礫の中からフルフルが起き上がり、反撃が来るものと身構えたが、踵を返して退散して行った……。危険が去り、落ち着いたのだった。

 

「何とかなったね♪」

 

「そうニャね、ラルクと蓬君のお陰ニャね♪」

 

「ニャ!?!?それで仲間の6匹はどうしたニャ!?」

 

「あ、そう言えば………。」

 

「ニャ!?まさかニャ………。」

 

「灯羅、心当たりがあるニャか!?」

 

フルフルやラルクに気を取られている内に、救出するはずの6匹が居なくなっていた。

 

「みんニャ、静かにエリア2に移動するニャ………。」

 

そう言いながら、灯羅が歩き出す。

 

「ああ、なるほど………。♪♪」

 

「納得ニャね♪♪」

 

「そう言うことニャか♪♪」

 

他の2匹と一人も察しがついたようだ。灯羅にならって、静かについていく。蓬君もラルクも同様にゆっくりと移動していた。

エリア2に着くと、氷海広がる反対側の岸壁下の釣り場に、例の6匹が案の定、釣りをしていた。

 

「ニャ!大漁ニャ!」

 

「こっちもニャ!」

 

「やたっ!黄金魚が釣れたニャ!」

 

「こっちは古代魚が釣れたニャ!」

 

「ニャ♪ニャ♪ニャ♪やっぱりこの釣り場は最高ニャ♪」

 

6匹は魚を釣ることに必死になっていた。

 

「ねぇ。君達。そこで何をしているのかなぁぁ~~~♪♪」

 

¨¨ギックウゥゥゥゥゥゥ!!!!!!¨¨

 

6匹全員身体中の毛が逆立ち、冷や汗が流れ落ちる!

 

「ニャ~大漁ニャね~~~♪あたい達が、ここにいる意味が分かってるかニャ~~~♪」

 

6匹とも、握る釣竿が奮えている。

 

ゆっくり振り向くと、白羅達が、口角をヒクヒクさせながら、見下ろしていた。

 

「ニャ!?こ、これはニャんというか………。」

 

「そ、そうニャ。手ぶらで帰る訳にはいかないニャ。」

 

「そ、そうニャ。せめて一匹でも釣って行くニャ!」

 

「ふ~~~ん、そうなんだ~~~。分かった~、強制送還だね~~~~♪」

 

「ニャ!?ちょ、ちょっと待ってニャ!?」

 

「そ、そうニャ!話せば判るニャ!」

 

「そうニャ!お願いしますニャ!」

 

白羅達はロープを取り出して、6匹にジリジリと詰め寄っていた。

 

「ニャ!?ま、待ってニャ!?お助けくださいニャ!?ニャ♪ニャ!?お助けニャ!?ご、ごめんなさいニャ~~~~~!!!」

 

6匹の断末魔が、このエリア中響き渡った。6匹はロープで、す巻きにされて蓬君の鼻につりさげられ、更にその下に、一匹ずつ、釣れた魚も吊り下げられ、ゆらゆら揺れながら、村へと戻るのだった………。

戻ったアイルー達が、村長さんに、夜までこっぴどく説教され、6匹全員、意気消沈で、その場で魂が抜けてしまった感じになっていたのを、白羅が家に招待し、みんなで宴会をしたことは、ここだけのお話し…………♪♪♪

 

 




読了、ありがとうございます♪
続けて書き綴っていきますので、よろしくお願いします。
ではまた、次話にてお会いできることを切に願って………♪




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪眼鏡美人のお姉さんの依頼①♪♪♪

 お久方ぶりでゴザイマス……。私もいい年ですが、悩み多き事で……。執筆に集中できずにおりました……。何とか更新したいという思いだけで書き進めておりましたが、途中で止まってしまい……。そのうちに体調を崩したりと、間の悪いことが続き……。やっとこぎ着けた次第です♪ 途中で、まとまりのない短編を出しましたが、読んでいただいた方には感謝です。お気に入りも頂けるとは思っとりませんでしたから、嬉しさ倍増です♪
 ささ、こんな私の作品を読んでやってくださいまし♪♪後ほど後書きにて♪
 では、物語の始まり始まり………♪♪



 ここはユクモ村。ユクモ村です♪ユクモ村なんです、これでも♪信じてください!!ユクモ村です!!(ガンッ……。ズルズル…ズルズル…ズルズル…。)

 

 

 

 お、温泉地で有名な村であったが、更に白羅達の広場が追加で有名に!? 広々とした敷地にモンスター達が仲良く暮らし、しかも村を守るという役目も担っている……。ライダー村とは違った環境ではあるが、共存という所は共通するものがあった。他の村々も羨ましがって居るほどだ。

 

 相変わらず、温泉や、モンスター達を一目見たいと訪れる観光客や、研究員たちがワイワイ押し寄せる……。ユクモ村はもちろん、商品を流通している他の村々も潤いを隠せない♪♪

 

 但し、モンスター達を見られるのは広場の外側での事。モンスター達にも人権!?ならぬモンスター権があると言うことになり、よっぽどのことでない限り、中に入ることは出来ないことになっていた。なので、日々研究員たちは外側で、交代で泊まり込みをしながら……、と熱心に研究を進めるのだった。まあ時折、白羅達を手伝ってくれたりもしてくれるので、仲良くしているには居るのだが……。

 

 そしてアイルー村の村長さんが若者のアイルー達6匹を連れて帰って行った……。6匹ともしっかり、ちゃっかりとあの時釣っていたお魚を引っ提げて村へと帰って行ったのだった……。しかし陰ながら白羅達に、感謝もしていた。

 

「ありがとうございます♪♪ケガ人が出なくて良かった……。」

 

 

 猫嬢も一安心と白羅の傍に来てお礼を言っていた。

 

 

「構わないニャ。困った時はお互い様ニャ。もしかしたら、こっちからお願いがあるかもしれニャいしニャ♪♪」

 

 

「その時は、私で良ければお手伝いしますよ♪♪」

 

 

 と微笑んで、白羅に返事を返すのだった……。

 猫嬢も安心して自宅へと帰って行き、家の住人!?のみになった。家の2階にある猫飯屋で食事をして、3階の個々の部屋へとそれぞれに戻る。姫沙羅が白羅を夜這いしようと企むも、またまたラミアに見つかり拉致されていった事はお約束で……♪♪

 

 だが最も、白羅は部屋にはいなかったのだが……。

 白羅は1匹になった後、そのまま部屋を出て下に降りていた。休んでいたラルクに近寄って話しかける……。

 

「ラルク♪ちょっと付き合ってニャ♪♪」

 

 目を開けて白羅と分かると顔を持ち上げる。

 

(どうしたの!?)

 

「一緒に月を見たいニャ……。いいニャか!?」

 

(分かった♪行くよ♪♪)

 

 とゆっくりと立ち上がる。ファギルと焔羅が寝ているのを起こさないように、ゆっくりと外に出る。

 

「いい場所があるニャ♪そこまで歩いていこうニャ♪」

 

 と言うとラルクも頷いて歩いて移動する。ラルクも白羅のスピードに合わせていた。そこは広場の一番奥……。他のモンスター達の住処を横目に起こさないようにと通り過ぎていく……。それなりの距離を歩いていく……。やがて、広大な崖が現れた。ラルクもこの先にこんな地形になっていることにびっくりしていた。下を覗くとかなり垂直の崖で、大きいはずの木々が小さく生い茂って見える。それが広大な森になっていた……。真っ直ぐ見渡せば、かなり遠くに山脈があり、ちょっと離れた位置に細く垂直に雲を突き抜けてそびえている山が……。おそらく遺群嶺かと思われる。上を見上げれば巨大な丸いお月さんが、地上全体をほんのり明るく照らし出しているのだった……。

 

 白羅とラルクは崖の手前の草原の地面にゆったりと座った。暫く一緒にその風景を楽しんでいた……。

 

「いい眺めだニャ~~~♪♪」

 

(そうだね♪こんなにゆっくりと夜空を見るのは久しぶりかな♪)

 

「ニャ、ラルク!?」

 

(なに!?)

 

「こうニャって、会話が出来るようにニャってから言うのもニャンだけど……、ありがとうニャ♪♪」

 

 キョトンとした顔をしている。

 

(なに言ってるのさ、僕の方が大感謝だよ♪♪)

 

「ニャ!、そ、そうニャか!?」

 

(そうだよ!幼体の時に助けてくれたこともそうだし、僕が暴走しかけた時も必死に止めてくれた……。僕のことを大事な友だとも言ってくれた……。そんなことを言ってくれたのは白羅だけだよ。後で、ラミアや姫沙羅たちとも仲良くなったけど。)

 

「そう言ってくれると嬉しいニャ♪♪でもニャンで、こんニャおいらにみんな付いてくれるニャかな……。」

 

(なんだろう……、白羅は僕らモンスターを含めてみんなを放っておけない所がある、それを分かっているから、白羅を慕っているんだろうね♪♪)

 

「そうニャのかニャ……。」

 

(そうだよ、だってあの白龍が認めた猫さんだもの♪♪)

 

ほっぺをポリポリと掻いて照れている。

 

「そうニャァ、白龍とも友人にニャりたかったニャ……。」

 

(そうだね……。また会えるといいけど……。)

 

「ニャ!?それはどういうことニャ!?」

 

 ラルクの言ったことに驚いて、聞き返していた……。また会える!?……。だが、ラルクは微笑み返すだけだった。白羅もそれ以上は追求することはなかった。だが1つ分かったことは、白龍が復活している感があるということだ……。ただ、白羅には会話が出来るだけでなく、雷を扱うことの出来る能力を与えられた事……。

 まだ使いこなせてはいないが、間違いなく白羅の中に宿っていること……。頭の中が混乱していた。白い湯気まで上がってきた。ラルクが慌てて翼でパタパタとうちわのように仰いでやる……。白羅も慌てて考える事を一旦やめた。目を瞑って心地良さそうに上を向く。喉をゴロゴロと鳴らしながら、嬉しそうであった。

 

「おいら、ラルク含めて絶対皆を守るニャ!みんな大好きニャ!絶対離さないニャ!!」

 

 大きな目の前に見える満月を見ながら叫んでいた。

 

「ね!みんな聞いた!!大好きだし、絶対離さないって!!全員証人だからね♪♪」

 

 ギョッっとして白羅とラルクが後ろを振り返る!少し後ろでニコニコと1頭と1匹を微笑んでみている”者・物”達が……♪♪

 ラミアや姫沙羅、灯羅は勿論の事、ユクモ村の村長さんや、アイラや受付嬢たち、酒場のママさんや、猫嬢にキャラバンの眼鏡美人のお姉さん、焔羅やファギル、焔に蓬、金銀家族やタマちゃんにキリンさん、いろんな事で世話になっているハンターのラザック、ギルドナイトのアルザ―トたちも居た……♪♪みんな白羅を慕ってきた者たちだ。白羅達に内緒で皆を起こし、見つからないように後ろをついてきていたのだ。

 

「ニャ!?みんニャ……。」

 

 白羅の目頭がアツ~~くなる♪♪逆にもらい泣きする娘たちもいた。

 

「あんたが嫌だと言っても絶対に離さないニャ♪♪」(間違いなくそうでしょうね♪)

 

「そうですわ!そう簡単に離しませんわよ♪♪」(手ごわそうで……。お手柔らかに♪)

 

「わ、私だってそうです!離したくありません!!」(先を越されないように頑張って♪)

 

「俺は、楽しいから離れる気はないニャ♪♪」(意外と楽しそうですもんね♪)

 

「そうね、白羅君の行く末を見届けないと死んでも死にきれないわ♪♪」(ママさんにもチャンスはあるかと♪)

 

「し、師匠。いくら何でもそれはまだ早すぎです。」(そうです、早すぎます♪)

 

「勿論よ。せめて白羅君を誰が射止めるかを見届けるまでは♪♪」(そ、そこに尽きますか……♪)

 

「師匠!!♪♪」

 

「ニャ♪ニャ♪ニャ♪ニャ♪ニャ♪♪♪」

 

 白羅が話を聞いていて急に笑い出した……♪♪すると、1人がクスクスと笑い出し徐々にみんな笑い出したのだった……♪♪

 

「みんニャ!大好きニャ!!!」

 

 白羅がうれし涙を流しながら両手を上げて大声で叫ぶ!!わっと白羅を囲うように集まる♪♪直接に話が出来るものと出来ないものが、楽しそうにワイワイしている。その姿を微笑ましく見ている白羅とラルクであった……♪♪

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 それぞれがそれぞれの寝床へと今度こそ戻って行く……。途中、お休みの挨拶をしながら家まで戻る。他の者たちもまた明日と手を振りながら、自宅へと帰って行くのだった。しかしただ一人、白羅を呼び止める者が……。

 

「ごめんなさい、相談に乗って欲しい事があるのだけれど……。」

 

 と話しかけてくる女性が。振り向くと眼鏡美人のキャラバンのお姉さんだ。博士号の衣服と帽子を被りながら、眼鏡の下に見える綺麗さは顔をよく見た者しか分からないかもしれないが、美人である。ただ、モンスター好きがあってか、あまり男性に言い寄られたことはないらしい……。そんなお姉さんが、白羅にだけは興味を示した♪

 一大事である。暫くユクモ村に留まると団長に話した時はメンバー全員病気になったかと心配したほどだ。

 ただ、理由が白羅と周りにいるモンスター達を調べたいと言ったときに理解していた。なので、お姉さんだけ残り、他のメンバーはあちこちを回っていた。

 

「わ、分かったニャ♪ここニャ、ニャンニャから2階の猫飯屋で話を聞くニャ♪」

 

 白羅は素直に頷いて猫飯屋に促した。お姉さんは家の中に猫飯屋があることに驚いて、感嘆していた。そこの猫も専属で、時々料理を試作して腕を磨いているニャと言っていた。とにかく余程のことでない限り、家に入ることは勿論、広場の中に入ることすらままならないのだ。その中身がすべてにおいて、お姉さんにとって新鮮で、全部をメモに取りたくてウズウズしている。まして、ラルク、焔羅、ファギルと1階に寝ているなどと、ライダー村顔負けかもしれないとも思っていた。

 

 テーブルにマスターがジョッキを並べる。続けておつまみを出してくれた。毎回の食事代をきちんと払い、それとは別に特別給も出しているので、白羅達には絶対の信頼をしていた。そこに骨をうずめる気でもいるようだ。逆に白羅達もマスターを信頼していた。そうコロコロと辞められて、入れ替わりとなっても美味しかった同じ料理が作れるかどうかは疑問になる。なので、ずっと居ると言ってくれた時はありがたかったし、感謝だった。

 

「マスターありがとうニャ♪♪」

 

「いいですニャ♪♪その代わり、今度の試作の味見をお願いしますニャ♪♪」

 

「ニャ!?それはいいニャ♪楽しみにしてるニャ♪」

 

 ニコッと微笑んで調理場の方へと戻って行った。1匹と1人は改めてジョッキを当てて、口に運ぶ。ググっと飲んで、同時にテーブルに置いた。

 

「で、相談てなんニャ!?」

 

「えぇ。実はね……。って、こんなに会ってて自己紹介がまだだったわね♪ごめんなさい♪私はファルマと言います♪」

 

 とおもむろに、ある欠片を出して白羅の前に置いた。綺麗な半透明の青色をしており、何の欠片なのか分かりようもなかったが、確かに約半分くらい真ん中が特にえぐれるように割れている。

 

「この片割れを取り戻したいのだけれど、砂漠に居る”ハブルボッカ”が飲み込んでしまっているらしいの。ただ、その欠片を飲み込んだハブルボッカが急に強くなってて……。」

 

「ハ、ハブルボッカニャ!?」

 

 白羅は驚いて欠片を見直した……。なんでも飲み込んでいそうではあるが……。白羅は額に手を当ててどうしたものかと悩んでしまうのだった……。

 

 

 




 読了いただけてありがとうございます。
 まだまだ登場させたいモンスターがいっぱいいますので、書き綴っていきます。
 こんな私の作品ですが、見守っていただけたら幸い……。
 では、次話にてお会いできることを切に願って………♪
 


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪眼鏡美人お姉さん(ファルマ)の依頼②♪♪♪

さてさて、更新でございますよ。まずは本編をば。後程後書きにて。では、物語りの始まり始まり…………♪♪



本当に、雪や曇った日が無いのか!?と呟きたくなるほどに、快晴のユクモ村……♪

 暖かくも心地よい風が村を通り抜けていく……。温泉の蒸気や温度のせいもあるだろうが、過ごしやすい環境であることは確かだ。

 しかもモンスターを見れて、温泉にも入れるという評判が遠方まで届いており、わざわざ泊りがけで来る観光客が増えていた。いつものアイテムもそうだが、モンスター達をなぞらえたグッズが飛ぶように売れていて、連日の大賑わい♪♪ 

 村長さんも外見はおしとやかながら、内心は大はしゃぎ♪♪門番さんは村の案内役も担っていて、いまや大忙し。

 

「暇だあ~~」

 

 と言っていた頃が懐かしい。ラザックも合間を見つけては自分のクエストも行っているようだが、基本今は白羅達の支援を買って出ている。頼もしい限りである。ラミア達と一緒でなかったらこういうハンターにもなかなか会えないだろう。白羅達も大いに頼りにしていた。

 

で、肝心の白羅達はファルマさんからの依頼を受け、向かうことになった……。話だけではどうやったら良いものか判断がつかない。

 直接、話してみようと、いうことになったのだ。欠片を飲み込んで、強さがアップしている事も気がかりではあったが、状態を見ない事には動きを考えようがない。なので、ラルク同行で猫飯屋で食事をし、武器・防具・アイテム等それぞれ準備するのだった。

 

「クーラードリンクは?」

 

「持ったニャ!」

 

「ホットドリンクニャ、ニャいニャろな!?」

 

「コ、コホン、そんなわけニャいニャ。」

 

「ニャらいいニャが!?」

 

「でも、エリアによっては要るのよね!?」

 

「ニャ!確かにそうニャ!」

 

「両方いるニャか……。」

 

「強走薬ニャは!?」

 

「うん、持った!」

 

「秘薬ニャは!?」

 

「大丈夫!」

 

「古の秘薬もニャか!?」

 

「うん、それも持った!」

 

「あとは、惚れ薬にゃが……!?」

 

「当然持った……って、えぇ!?!?…………ポッ♪♪」

 

「了解ニャ♪」

 

「ニャ……、ニャンか違う気がするニャが……!?」(ま、お約束ということで……。じゃっ♪♪)

 

 ダラダラと冷や汗を流している白羅であった……。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 砂漠……。どうしてくれましょう……。暑いです……。朝と夜の温度差あり過ぎです!意義を求めます!(ガンッ!!……。ここ、世界違うし……。そして誰に言うのそれ……。)

 

 この地帯は旧砂漠とはまた違って、日の当たらない寒さのあるエリアがあったり、水源が旧砂漠よりは数が多い。暑さに対応できるモンスターならば生活に適しているかもしれない。

 しかも今回は旧砂漠の方によくいるはずのハブルボッカだ。砂漠地帯に出現しているのは珍しい……。まあ、同じ砂漠地帯なので居ても不思議はないのかもしれないが。

 こういう時に砂漠に適応しているセルレギオスことラルクは頼もしい……。ベースキャンプを出てすぐに、皆を乗せて一っ飛び!!エリアを大またぎしていくのはチート!? 巨大な岩山等を越えてたどり着くのはエリアの5……。白羅達が大きな気配が動き回っているのがそこだったので、一気に飛んできた次第……。岸壁のある傍の岩の柱二本の間に降り立つ。

 すると、ザザザザザ……。大きな砂がこすれ合う音と共に、物と物が鬼ごっこ!?!?をしている。

 よく見ると、ガレオス3匹とその前にドスガレオス1頭……。それを巨大なアギトを開けて捕食せんと追いかけまわしているハブルボッカが……。

 

「ニャ、ニャンと!?!?」

 

「どんだけ大食漢なのよあれ……。」

 

「イビルジョーじゃニャいんニャから……。」

 

「あれ、捕食してもいいニャか!?」

 

「「「駄目です!!!」」」

 

「ニャい………。」

 

みんなの突っ込みを受け、しゅんとしてしまう白羅……。そうしているうちにドスガレオスを先頭にガレオス、ハブルボッカと白羅達に向かってくる!!

 

【た、助けてくれ~~~~!!!】

 

ドスガレオスが咆哮!?いや悲鳴!?を上げながら向かってきた!!

 

「ニャ!!任せるニャ!!通り抜けていくニャ!!」

 

【済まない!助かる!!】

 

 砂の中を凄い勢いで泳いでくるドスガレオスとガレオス達……。その後ろを大きなアギトを開けて砂をかき分けるように泳いで追いかけてくるハブルボッカが……。

 

「なんか凄く興奮状態じゃない!?」

 

「確かにニャ!」

 

「でも、黒い靄は見えないニャ!」

 

「獰猛化じゃニャかったら、ニャンで!?」

 

「分からないニャ!とにかく横からハブルボッカを足止めするニャ!!」

 

「「「了解!!!」」」

 

(僕も背中から押さえてみる!!)

 

「了解ニャ!!」

 

それぞれ二手に分かれ、ラルクは飛翔して回り込む!白羅達の間をドスガレオス達が泳ぎ通り抜けていく……。

 

【すまん!!埋め合わせは、後で必ず!!!】

 

 通り過ぎざまに白羅に声をかけて、そこから更に地下へと潜り込んでいく……。

 

「任せるニャ!後で会おうニャ!!」

 

 尻尾をピコピコと振って改めて潜って逃げていく……。ガレオス達も同じ動作で、逃げて行った……。

 その数メートル後ろから巨大な口を開けてなりふり構わず突進してくる!!

 全員、武器を持ってハブルボッカの両側面から斬る動作ではなく、叩く動作で進行を止めようとする!ラルクもハブルボッカの背中を両足の鋭い鉤爪で地面に押さえつけるように体重をかけて勢いよく乗っかっていく!

 

『んがァァァァァァ!!!』

 

 ハブルボッカが強制的に地面に押し付けられ、進行を止められる!!

 

「ニャった!止まったニャ!!」

 

 喜んだのも束の間……。

 

『俺様を止められると思うな~~~~!!』

 

「ニャ!ニャンだって!?」

 

 まわりはハブルボッカの咆哮しか分からないが、身体を反らせて起き上がり!ラルクを跳ねのけたのだ!

 

(ぐっ、どこからこんな力が……。)

 

 バランスを崩したラルクが態勢を戻すために一度飛翔する!ハブルボッカが砂から起き上がったので、砂塵が舞い白羅達の視界を遮った!

 

『おおおぉぉぉぉぉぉ!!』

 

そのまま勢いよく身体を垂直に回転させて地面に潜っていく!!その潜った時の砂塵も更に舞って白羅達に不利な状態を作り出す!だが、ラミア以外は鍛えられているアイルー達だ!気配探知で、どう動いているかは探知できた!

 

「く、来るニャか!!」

 

 砂を振り払いながらもコテツを構える!

 

「今ニャ!!」

 

 白羅がジャンピングしたと同時に地面が割れて巨大な口が白羅を飲み込まんと飛び出してきた!!

 ”バクンッッ!!!”と上空を見上げたまま思い切り口を閉じる!間一髪でそれを躱していた!そのままハブルボッカが地面に降り立つ!

 

「ニャァァァァァァ!!!」

 

白羅も真上からコテツを振り下ろしていく!刃先を逆にして、みね打ちするように……。

 

『グオッ!!』

 

ハブルボッカの後ろ側の地面に降り立つ。

 

「今ニャ!!」

 

「よし!!」

 

「行くニャ!!」

 

「うニャァァァァァ!!」

 

横から更に攻撃をしようとした瞬間!ハブルボッカが急に反転し、口を半開きで体躯を起こしその場の空気を勢いよく吸い上げていく!!

 

「ニャ!?しまっ……!!!」

 

 言いかけた言葉を途中で遮り、直線状のブレスが白羅を目掛けて襲い掛かっていた!!地面すれすれの砂塵をまき散らしながらの強烈なブレスに不意を突かれ、白羅が吹き飛ばされる!!

 

 「きゃあぁぁぁぁ!白羅さん!!!」

 

(な、白羅!!)

 

 ラミア、灯羅、姫沙羅、ラルクと同時に白羅の方へと向かう!!が、白羅が飛ばされた後ろには、超巨大な砂の滝が…………。

 

「ニ”ャ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”!!!」

 

 広い砂漠の上をどこにも捕まることも何をすることも出来ず、吹き飛ばされた勢いで砂の滝になっている崖に真っ逆さまに落ちていく……。

 

(白羅!!!)

 

 その時旋回して横から飛翔してきたラルクが間一髪で足の鉤爪で白羅をキャッチする!!

 

「ニャった!!」

 

「ニャイス!ラルク!!」

 

「よ、良かった……。」

 

 崖ギリギリで見ていたラミア達はほっとしていた。だが、運が悪い事はこうも続くのか……。

 ラルクが上昇しようと羽を羽ばたかせようとしたとき、砂の滝がその一瞬だけ厚みを増して崩れ落ち、ラルクに襲い掛かったのだ!!

 

「あ、危ない!!!!!」

 

 ラミアが叫ぶもラルクたちが気付いたが間に合わず、砂滝の洗礼を受ける形になってしまった!!

 

 「ガアアァァァァァァ!!!!!」

 

 背中に直撃を受けたラルクが、白羅を捕まえたまま、きりもみ状態で谷底へと落下していった……。

 

「ニャ!!!」

 

「ニャンてこった!!!」

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 ラミアの絶叫がエリア内に響き渡っていた…………。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 四つん這いになりながら、崖底を覗き込んで白羅達を探そうとしているラミアの姿が……。

 

「びゃ、白羅さん!!ラルク!!どこ!!どこなの!!ねぇ!!!」

 

 気が動転してしまい、返事の戻ってこない白羅達に大声で叫んでいる……。灯羅と姫沙羅も一緒に覗き込んで、崖底の方を探していた……。が、まともに見えるはずもなく……。ほんの短い時間だが、ラミア達にとってはかなりの時間に思えた……。

 

「ガアアァァァ!!」

 

 その咆哮に後ろを振り向くとハブルボッカがまたもや口を大きく開いて灯羅達に襲い掛かってきた!

 

「こいつ!!こんニャ時に!!」

 

 灯羅が舌打ちをして武器を構える!!

 

「まだやる気ニャか!!!」

 

 姫沙羅が白羅達が砂滝に落とされた怒りで叫ぶ!!だが、全くお構いなしに白羅達を必死に探そうとしているラミアが……。

 迫ってくるハブルボッカに灯羅と姫沙羅がラミアを庇うように武器を構えて立ちはだかる!目の前に迫った時!

 

 ”ブンッッッ!!!”大きくしなる音がした!

 

「ギャガァァァァァァァ!!!」

 

 ハブルボッカが真上に大きくのけぞり、真上を向いて目を回していた!灯羅と姫沙羅がビックリしてその方向を見ると、見慣れている生物が……。

 

「ほ、焔君ニャ!!!」

 

「ガルッ!」

 

「ニャァ、焔ニャァァ~~~♪♪」

 

 そうなのだ。後から応援隊として、ラザックに頼まれたらしい。白羅達を追ってエリア5にやってきたのだ。しかも尻尾を横にして斬るのではなく、叩き落とすような感じにハブルボッカの背中を狙い撃ちしたのである。

 その衝撃や凄まじい!大激痛がハブルボッカの全身を捉えていた。小型モンスターならば一撃だろう。気絶するわけである。

 その衝撃で、口の中からヒュ~~~ンと何かが飛び出してきた。地面に突き刺さり、キラリと太陽の光を反射する。

 

「ニャ!?そ、それは……。」

 

「依頼の物の様にゃ。」

 

 拾い上げると、それをまずはポシェットにしまい込む。そしてハブルボッカのの方を見る。すると、ハブルボッカもさすがにディノバルドと対峙するまでは思ってなかったようで、地面に潜って逃げて行ってしまった……。

 しかし、とりあえず危険が去ったと胸をなでおろす。

 だが、後ろを振り向くとラミアが血相を変えて立ち上がっていて、今飛び降りようとしていた……。

 

「ニャ!!!やめるニャ!!!」

 

「そうニャ!!ちょっと待つニャ!!!」

 

 2匹がラミアの脚と腰の防具を掴んで、引っ張る!

 

「い”、い”や”ぁ!探”し”に”行”く”~~~!行”か”せ”て”~~~!!」

 

 涙で顔をクシャクシャにしながら泣き叫んで、灯羅達を振りほどこうとする。しかし、2匹も必死にラミアを止めようとする。さすがに2匹の力が強かったのかラミアが尻もちをついて後ろにひっくり返った。

 その時胸倉を掴んで顔を起こし、左頬をひっぱたく者が……。唖然としてひっぱたかれた方を見ると姫沙羅の姿が……。同じように涙をボロボロと流し、歯を食いしばって口元から血も滲んでいる……。

 その時改めて姫沙羅も同じ気持ちなのだと知る……。ラミアは姫沙羅を思いっきり抱きしめた!姫沙羅もラミアを抱きしめる!!

 

「ゴメン!!姫沙羅も同じ気持ちだったんだよね!私ばっかりゴメンね!!」

 

 2人は涙を流しながら抱き合っていた……。後ろから、大きな気配がしてラミアの顔に頬ずりしてくるディノバルドこと焔が……。

 

「うぇ……、焔君……、白羅さんとラルクが滝の下にぃ……。」

 

と、涙を流しながら焔の顔に抱きつく。すると、焔も驚いて顔を上げ、崖ギリギリから覗き込む。

 

「み、見えるニャか!?」

 

 と、灯羅が声をかけるも、やはり分からないようだ……。首を横に振り、ラミア達に向き直る。

 

「だ、ダメニャか……。」

 

 すると突然顔を真上に向けて空に向かって凄まじいほどの咆哮を上げる!!その咆哮は砂漠地帯はおろか、遠方の村々にまで響くほどの轟音だ!!数秒間だが、ラミア達も耳を必死に塞ぐので一杯だった。そして顔を降ろすとラミア達に対して背中を向けて振り返り、尻尾をピタピタと背中を叩いて乗るように促してきた。

 

「の、乗せてってくれるニャ!?」

 

 姫沙羅がそう声をかけると頷いてきた。

 

「ラミア、まずは一度戻って、皆に頼もうニャ。そうすればすぐに見つかるニャ。そうしようニャ!」

 

「みんなで!?」

 

「そうニャ、ハンターもモンスターも総出で救出作戦ニャ!!行こうニャ!」

 

 ラミアはもう一度後ろを振り返る……。砂の滝は相変わらず轟音をとどろかせて崖の下に砂を落下させている。

 ラミアは白羅達が無事と信じ、姫沙羅たちに頷いた。

 

「よし、出発ニャ!」

 

と、焔の背中に乗ってそのエリアを後にするのだった………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読了ありがとうございます♪次話は総出で、救出作戦となります♪
引き続きお付きあい頂けたら幸い………♪では、次話にてお会いできる事を切に願って…………♪♪♪




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪白羅とラルクの救出作戦①♪♪♪

更新させていただきます♪本編をまずは読んでいただいて。後程後書きにて。
では、物語りの始まり始まり……♪♪



 場所は変わってユクモ村……。ユクモ村でも変わった事態が起きていた。広場の外では調査員たちが、がやがやと騒いでいる。広場の中で異変!?が起きているようだった。

 

「お、おい、あそこにモンスター達が集まってるぞ!」

 

「おお、勢ぞろいで同じ方向を見つめてるな……。」

 

「さっきの大きな咆哮と言い、なにが起きようとしてるんだ!?」

 

「分からないが、少なくとも普通ではないよな。あの状態は……。」

 

「だな。」

 

 調査員達が話す通り、広場にいるモンスター達が一か所に集まり、同じ方向を注目していた。

 それは、ラザックがディノバルドこと焔に応援に行ってもらった方向である。どうやらその帰りを待っているらしい。門番からも連絡を受けていた、村長さんも様子を見に来ていた。

 

「まあ、まあ、まあ、一体どうしたのです!?」

 

「村長さん!どうぞお入りください!」

 

広場の入り口を開けて村長さんを迎えたのはラザックだった。ラザックもはっきりとは事の次第が分からないが、モンスター達が、咆哮が聞こえた後集まって帰りを待っているらしいとの事だった。

 

「それで、ここに!?」

 

「その様です。少なくとも何かが起こっていると思われます。」

 

 だが、戻ってこない事には内容がつかめないので、一緒に待つことにした。それから約小一時間ほど経ったところで、姿が見えてきた。だが、モンスター達は神妙な面持ちでじっと戻るのを待っている。その光景は異様な緊張感の漂う空気が流れていた……。

 ゆっくりと、しかし足取りはしっかりとモンスター達の前まで歩いてきた焔は背中に乗せていた者たちを順に降ろしていく……。ラミア、灯羅、姫沙羅だ。だが、すぐに疑問が沸く。

 

「あら!?白羅さんとラルクさんは!?」

 

 その声かけに気付いたラミアが村長の元へと来る。うな垂れたまま、焦燥感を漂わせながら村長の前に来る。

 

「ラ、ラミアさん、どうしたのです!?白羅さんは!?」 

 

「そ……、村長さん……。」

 

 思い出したようにぽろぽろと涙が溢れてくる。その場に崩れてしまうラミアを抱き起し、村長が心配で問い返す。

 

「一体、なにがあったのです!?教えてくださいな。」

 

「砂漠で白羅とラルクが砂の滝に落ちて行方不明だニャ……。」

 

 見上げると姫沙羅が傍に来ていた。

 

「な!何ですって!!」

 

「村長さん、白羅さんとラルクを助けて………………。」

 

 ラミアもそのセリフを発するのにいっぱいいっぱいだった。村長も驚きながらもラミアを抱きしめる。

 

「そうでしたか……、辛かったでしょうね……。」

 

「う”あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”!」

 

 ラミアが思いをぶつけるように村長にしがみついて泣き出す……。姫沙羅も立ったまま涙を流していた……。

 しばらく、よしよしとラミアの頭を撫でた後、落ち着いてきたラミアを抱き起し、その場でゆっくりと立ち上がって、大声で叫んだ。

 

「ラザックさん!門番さん!集会場並びに各村々、龍識船へ通達してください!緊急特殊クエストを発動します!!今、クエストに出ているハンター以外の下位、上位、G級のハンター達を私の所へ招集してください!詳しい事はその時に!よろしくお願いしますね!!」

 

「「了解です!!」」

 

 そう返事を返してすぐさま2人が手分けして動き出す!さすが、何故か手慣れている!?

 ラミアも村長の発言に驚いていた。

 

「そ、村長さん!?」

 

「心配いらないですわ♪私もあの方の事はほっとけませんもの♪みんなで探せばきっと見つかりますわ。なんとしても助け出すんです。ラミアさんもいいですね♪」

 

 村長はラミアの顔をじっと見つめていた。ラミアもパッと顔が明るくなる。

 

「はい!」

 

「ニャ、やっぱり戻って良かったニャ!?」

 

 姫沙羅がラミアの背中をポンと叩く。

 

「うん!!」

 

 ラミアも姫沙羅に笑顔を見せるのだった……。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 今やユクモ村の中はハンター、ハンター、ハンターのハンターだらけ!?

 下位、上位、G級に至るまで、様々な武具を装備したハンター達が一堂に会していた。ちょっとした展覧会にいる様だ。

 その少し高台の場所に村長さんが立った。すぐ傍にはギルドナイトのアルザ―トの姿もあった……。アルザ―トにも通達していたので、すぐに駆け付けて来てくれていた。

 

「皆さん!聞いてください!!」

 

 普段のおっとりした喋りからは想像もつかないほどの大きな声で全員の注目を集める。

 

「えっ!そ、そんなに見つめられると…………、きゃっ♪♪」

 

「い、いや、あなたが声をかけたのだが……。」

 

 アルザ―トもどう対処していいのか分からずにいた。

 

「コ、コホン!で、では、私からあなた方へ緊急特殊クエストを依頼します。受注するしないは自由ですが……。依頼の内容は、行方不明になった白羅さんとセルレギオスのラルクさんの捜索と救助!なんとしても保護して欲しいのです!但し、白羅さんの仲間のモンスター達も捜索に向かいます!誤って討伐するわけにはいきません!なので、大型モンスターに遭遇した場合は速やかにやり過ごすか、退避してください!閃光玉を使うのは許可します。落とし罠、しびれ罠は駄目です。なるべくモンスターと距離を取ってください。お願いします!」

 

 その村長の依頼にハンター達の中でざわめきが起こる。

 

「それだけのクエストだと報奨金はどうなんだ!?」

 

 1人ハンターが疑問をぶつけてくる。確かに、簡単なようで逆に難しい。モンスターに攻撃せずに、行方不明者を探して保護せよと言うのだ。

 ハンターは基本、素材集めの為に狩をするようなものだが、報奨金も当てにしている。いわゆるお仕事なのだ。

 当然村長もそのことは十分承知していた。

 

「分かっています!勿論報奨金も出します!誰かが白羅さんを保護してくれた時点で終了となりますが、終了後に参加者全員に報奨金をお渡しします!」

 

「なっ……。!」

 

「お、おい!」

 

「本当か!?」

 

「本当です!しかも、救助して保護してくれたハンターには更に5倍の報奨金を差し上げますわ!!」

 

 それを聞いてハンター達が色めきだった。クエスト終了後に配られる報奨金の額もG級クエストをクリアする並の金額であるのに、保護したものには更に5倍…………。ハンター達の眼の色が変わるのが分かった。

 

「そ、村長さん!?」

 

 後ろに居たラミアも驚いて心配そうに声をかける。

 

「大丈夫ですわ♪♪白羅さんには恩もあります。あの方を救えるのなら、このぐらい大した事ではありませんわ♪♪」

 

 にっこりと微笑んでハンター達に向き直った。

 

「では参加してもらえる方は各所にいる受付嬢に受注してください!くれぐれも怪我をされぬよう祈ります!!」

 

「よ、よし!俺はやるぞ!」

 

「俺も!」

 

「俺もだ!」

 

「あたしも行く!」

 

 何人かで組んで行くもの、ソロで受注する者、オトモを連れて行くもの、かなりのハンターの数がこのクエストに参加してくれていた。

 

「私たちは報奨金は要りませんが、クエストには参加させてもらいます。」

 

アルザートが参加することを申し出ていた。

 

「俺も要らないが、仲間には出してやってくれ。」

 

ラザックも仲間と共に出るつもりだ。

 

「何を言う!俺達も金は要らん!あの時一緒に助けられたんだ。俺らにとっても恩返し以外のなにものでもない。」

 

「お、お前ら………。」

「ありがとう、よろしくお願いします………。」

 

ラミアが深々と頭を下げる。ラザック達も照れているのだった……。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

集会場では、通達を受けたアイラが、顔色を蒼白にしてその場に崩れていた。

 

「そ……そんな…………。」

 

起きてほしくない現実が、起きてしまったことに、気持ちがパニックを起こしていた。

 

「先輩………。」

 

すっかり後輩として、ここの受付嬢として手伝っている彼女は、アイラのあまりの落ち込みに声をかけられずにいた。

 

そうこうするうちに、ハンター達の団体さんが、その特殊クエストの受注にやって来る。連続でそのクエストの受注がなされていく。

一気に忙しくなる。だが、アイラはまだ呆然としている。

後輩の受付嬢は、受注を受けながら、アイラに声をかける!

 

「先輩!行ってください!!」

 

その言葉に驚いて振り向く。すると受注を受けながら、後輩がにっこり微笑んで頷いてくる。

 

「ここは任せて下さい!先輩はユクモ村へ。早く!!」

 

そう促しながら、次々と受注を受けていく………。

申し訳ないと思いつつも、白羅の事を最優先に思ってしまう自分がいた。

 

「ゴメン!お願いね!!」

 

そう叫ぶと、飛行船へと走り出した。後輩もそれを見送りながら、受注業務をこなしていくのだった………。

 

はたまた、集会酒場のママさんも、この通達に驚きを隠せないでいた。

 

「しまった……、ユクモ村の村長に先を越されたわ………。」

 

「マ、ママ………。」

 

そのセリフに、カウンターのスキンヘッドのクロメガネをかけたバーテンダーが困惑の表情を浮かべる。

 

「まあいいわ♪私は単独で動くことにするわ♪」

 

そう言うと、早速扇子を鉄扇に変え、飛び出して行くのだった。

 

そして、白羅達の家にファルマが呼び出されていた。

依頼されていたものを渡したいとのことだった。ただ、ファルマもここに向かってくる時にベルナ村で話を聞いていた。なので、素直にも喜べず、足取りも重かった。

中に通され、2Fの猫飯屋に行くとラミア達、村長、アイラも来ていた。ファルマもどう声をかけていいか分からず、その場で立ち尽くしていた。

 

「これニャ………。」

 

コトッとテーブルの上に依頼された欠片を置いた。灯羅だ。

 

「あ、ありがとう……。」

 

取り合えず、欠片を受けとるとポシェットにしまう。

そして、重い雰囲気にファルマは我慢出来なかった。

 

「ごめんなさい!!!」

 

いきなり深々と頭を下げる。みんな一瞬驚く。

 

「わ、わたしがこのクエストを依頼しなければこんな事には………!?」

 

村長が途中で、肩に手をかけてそれを止める。

 

「あなたの責任ではありませんわ。あれは想定出来る事ではありませんし……。」

 

寂しげに微笑んで、ファルマを席に促す。

だが、気持ちを切り替えて、みんなに声をかける。

 

「明日は出動しますわよ♪アイラさんは私と一緒に待ちましょう。ラミアさん達は、モンスターたちと動いてください。絶対に助けましょう。いえ、助けるんです!!」

 

村長の力のこもった物言いに全員、真剣な顔で頷くのだった……。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

次の日の朝、家の側に自然とモンスター達が集まっていた。ラミア達が慌てて外へ出て来る。

 

「み、みんな…………。」

 

ラミア達は嬉しかった。ここにいるモンスター達も思いは一緒なのだと感じたからだ。

すると、ラミアの前にキリンが来て、ラミアに甘えてくる。

 

「キ、キリンさん………。」

 

嬉しくなって、お互いに頬擦りする。するとキリンが後ろを向き、振り替えって、背中に乗れと促してくる。ラミアは驚いてしまった。

 

「えっ!私!!」

 

すると頷いて早く乗れと最速してきた。ラミアは遠慮がちにキリンの背に股がった。毛並みが綺麗で、肌触りがいい。ラミアは乗せてくれる事に感謝していた。

 

「旦那を借りてもいいニャか!?」

 

灯羅は、金レイアにお願いしていた。するとレウスとレイアが顔を見合わせて頷き、灯羅に頷き返してきた。

 

「あ、ありがとうニャ!!」

 

早速、レウスの、背中に載る。空から探すことにしたようだった。

 

「わ、わたしも連れて行ってください!!」

 

ファルマだ。真剣な面持ちで、覚悟を決めているようだった。と言って、モンスター達が乗せてくれるとは限らない。姫沙羅もタマちゃんと行く事にしたようだ。

 

「だ、誰か乗せて下さい!お願い!」

 

みんなの方を見渡しながら、懇願していた。すると突然、後ろの襟首を掴まれ、ひょいと持ち上げられていた。

 

「わ、わ、わわ、ちょ、ちょっと!」

 

そのまま振り向くと、バルファルクことファギルが、くわえて持ち上げていた。

 

「良かったね!ファギルが連れて行ってくれれみたいね。」

 

「えっ!そうなの!伝説の竜に乗せてもらえるなんて♪♪♪」

 

と顔を赤くしてうっとりしているファルマであった。

焔羅は蓬と焔のチームで向かうようだ。

全員が準備が整った!

 

「それじゃ出発!!」

 

ラミアがそう叫ぶと、各々、別の地帯に向かって出発して行く。

「待ってて、必ず助けに行くからね………。」

 

そうキリンの背に股がりながら、気を引き締めるラミアであった……………。

 

 




読了ありがとうございます♪さあ、次話はそれぞれの動きにご注目♪
では、次話にてお会いできることを切に願って…………♪♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪白羅とラルクの救出作戦②♪♪♪

 いざ!更新でありまする!……。スイマセン、なんとかなりました。改めて更新させていただきます。
 白羅と周りの動向でございます。 まずは本編にて。
 では、物語の始まり始まり…♪♪



とても暗い………………、洞窟の中に1頭と1匹は横たわっていた。そのうちの1頭が痛みと共に目が覚める。

 体を起こそうと試みるも右翼を痛めているようで、激痛で動かすことが出来ない。横になりながらも首を持ち上げて周りを見渡す。砂の塊に押し流されて来たのだろう、地面には砂が散らばっている。広いスペースではあるが、岩に囲まれ日の光は全くの皆無だ。唯一、岩壁全体にヒカリゴケが生えており、ぼんやりとではあるが、空間を照らしているのだった。

 

(つっ……、白羅…………。)

 

 ラルクが鉤爪で捕まえていたはずの白羅の姿がない。慌てて白羅の姿を追いかけた。すると、壁際に横たわっているアイルーの姿が……。

 ラルクは白羅だと分かると何とか傍まで身体を引きずりながらも寄っていく。そして、左翼で白羅を抱き寄せる。

 胸が動いていて、息もしていたので、気を失っていると分かるとラルクは安堵した……。ただ、それ以上動くことも出来ずにいた。なので、敵に襲われないように白羅を囲うように丸くなる。

 とりあえず、外傷はなさそうだが、意識はまだ戻ってはいない……。

 

(白羅……、ゴメン……。)

 

 白羅を見守りながら、ラルクはそんなことを呟いていた。こうしていれば……、あ~していれば……と思いめぐらせるものの、こうなった後では何の意味もなさない。どうにか脱出できないかと、砂が入ってきた方を見ると砂に交じって岩盤らしきものが何枚も見え隠れしていて、砂ごと入り口を塞いでしまっている。

 

 ラルクはため息をついていた。体調が万全ならば、強引にでも突破して脱出を試みようと思うが、右翼を痛めている所為で力が入らない。

 

 ラルクは切なくなってしまった……。このままでは、助かる見込みもなさそうだし、助けを期待するにも場所を特定しきれないだろう。咆哮を上げても、地上まで届くかどうかも分からない……。

 しかし、なんとしても白羅だけは助けたい。自分の肉を食べさせてでも、生きて戻って欲しい……。

 ラルクはその思いとやるせなさで気持ちがいっぱいになっていた。自身で知らないうちに涙が零れ落ちていた。

 それが白羅の身体に振れた時……、その気持ちに応えるように奇跡が起こる………………。

 

(なっ、びゃ、白羅!?)

 

 突然に白羅の身体が光輝きだし、透明な球体が現れる。しかも、外回りに細い稲妻が走っている状態だ。

 それが白羅を包み込み、更に徐々に大きくなっていく………。ついにはラルクをも包み込み、宙に浮き始める。

 ラルクは白羅を抱き寄せつつ、警戒するが攻撃を受けるわけではなく、地面から50㎝ほどの高さの所で動きを止める。

 そして急にその球体が白く光り出し、ラルクの視界を遮るのだった……。その瞬間、白羅とラルクはその空間から忽然と姿を消していた………………。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 ラミアはキリンと共に、改めて砂漠のエリア5へと来ていた……。砂の滝の下の方を覗き込むが、当然のように見つけられるはずもなく……。神妙な顔で覗いていると、キリンが心配になって顔を寄せてくる。

 ラミアも微笑んで、キリンの縦髪を撫でる。そしてもう一度砂滝を見つめ返し、キリンに跨るとそのエリアを後にするのだった……。 

 

 砂漠エリアの2まで来ると、ドスガレオスと3頭のガレオスがラミア達を待ち構えていた。

 

「えっ!?もしかしてあの時の!?」

 

そうだと言わんばかりに尻尾をパタパタとふる。

 

「でもごめんなさい、白羅さんとラルクは居ないの………。私達も捜してるのよ………。」

 

その言葉が分かったのか、4頭同時に口を開いたまま暫く固まっていた………。

するとキリンがドスガレオスに何か話し掛けているようだ。と、突然ドスガレオスが、ガレオス3頭に指示を出していた。

 

「「「ガゥ!!!」」」

 

返事を返して、回れ右をしてそれぞれ別な方向へと、潜っていった……。ドスガレオスも潜っていく。最後に尻尾はパタパタとまたねをして潜っていく。

キリンが隣にいるラミアを見ると、あまりの連携の良さに呆気にとられたまま、硬直していた。

 

「ガレオス達ってこんなに賢かったの!?」

 

と改めて感心させられたのだった……。

 1度ベースキャンプに戻って、作戦を立て直そうと向かい始めたその時、前方約10m先の地面が揺れ出し、せり上がってくる!ラミアとキリンは驚いて立ち止まり、警戒しつつ様子を窺がう。

 すると、砂しぶきを立ち上げながら飛び出してきた大型の生物が……。

 

 前に向けて巨大な2本の角と牙を生やし、恐竜で言うトリケラトプスのような扇状のヒレがあり、強靭な後ろ脚を持つ2足歩行で、尻尾には船の碇のような形をした強固な物が付いている。但し、少し違うのは巨大な角が更に2本あり、尻尾は碇の形にとげが生えている。しかも、羽とヒレの近辺が青い体色をしている。

 ゛鏖魔ディアブロス゛二つ名を冠しているだけあって、その形相と異様な強さは伊達じゃない。だが、現れたディアブロスは少々!?違っていた。

 4本のご自慢の角が根元の方から無い。体躯は鏖魔そのものだが巨大な角が無いので迫力にちょっと欠けた感じになっている。まあ、以前のお話を読んでくれた方々には既にお分かりと思うが……。

 

「お、鏖魔!!こ、こっちはこっちであの時の……。」

 

 そう、以前ピンチの時に銀レウスとディノバルドこと焔に助けてもらった事があり、その時ディアブロスは角を叩き切られたのである。まだ、角が再生しきれていないようだ。

 その鏖魔がラミア達を見つけると、ゆっくりとこちらに向かって歩いて来る。

 逃げる事も考えたが、相手も走り出すとスピードの出る奴だ、すぐに追いつかれるだろう。

 ラミアは逆に攻撃を躱しつつ、離脱することを考え、鉄刀を逆刃に持ち替えて身構える。が、横から凄まじい威圧感を漂わせながらゆっくりとラミアの前に立ちはだかる物が……。

 

「キ、キリンさん!?」

 

 ラミアもキリンを見て驚く。綺麗に青白く雷を纏って殺気を放ち、戦う気が満々だ。体躯の大きさの違いはあれど、4本の脚はしっかりと地面を踏みしめ、鏖魔を見据えている。その姿はラミアも惚れ惚れする程、威風堂々としていた。

 そのキリンの目の前まで鏖魔が来ると、攻撃を仕掛けてくるのではなく、そのまま立ち止まる。

 

「!?!?!?」

 

「ガルッ、ガルル、ガルガル。」

 

 突然、キリンに話しかけてくる!?キリンが目を大きくして驚いている。

 

「な、なに!?どうしたの!?」

 

 ラミアも何があったのかキリンを見つめる。だが、キリンも返事を返すとお互いに頷いたのだった。

 わけが分からず首を傾げていると、キリンが振り向いてラミアの傍に来る。そして背中に乗るように促してきた。それと同時に、鏖魔が逆の方に向いて歩き出した。

 

「え、え、え、何!?ま、まさか白羅さん達のいる場所を知ってるの!?」

 

 その行動に、もしやと思いキリンに尋ねてみた。すると頷き返してきたのだった。

 

「そ、そうなの!?で、でも何で……。」

 

 思いをよそに早く乗れと催促してくるので、怪訝に思いつつも急いで跨る。即、走って鏖魔に追いつくと、後ろについて歩き出した。

 敵対していたのにどうして……。といろんな疑問を抱きつつ、キリンと共に鏖魔について行くのだった……。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 

 一方、姫沙羅はタマミツネことタマちゃんと共に渓流へ足を運んでいた。水と緑が豊富な場所で、小型のモンスターも住みやすい環境の一つではある。

 1頭と1匹はエリア7へ来ていた。広大な水辺があり、草が生い茂っている。反対側からは川が流れて来ていて、水辺とつながっていた。ルドルスもいたが、タマちゃんが居るので威嚇はするものの、襲ってはこない。なので、白羅達が居ないことを確認すると、頷いて隣のエリア9へと移動した。

 高台にあるこの場所は段差のある地面に切り立った崖、エリア3へ行くための吊り橋がかけられている。

 その反対側は土手の中に祠が立ててあった跡があり、相当古くなって誰もお参りすらしていないのか、蜂の巣になっていた。

 そのエリア9にやって来た1頭と1匹は、目の前の光景に驚く。その祠のある下で、子熊が1匹威嚇している!

 その相手は、4足歩行で前足の筋力が発達して大きく、爪も鋭い。腕、足、顔の一部は青い体躯で、頭部から背中、尻尾、手足の周りに黄色い甲殻があり、胸まわりには白い体毛のある、雷を帯電し攻撃に転じてくるというその生物は、何故かその小さな子熊に対して、威嚇し返していた。

 

「な、なんニャ!?あれ!?ジンオウガニャ。」

 

「クァ!?」

 

 いくら弱肉強食の世界でも……。はたから見ると弱いものいじめ!?そう見えた1頭と1匹は子熊を保護するために行動に移る。

 タマちゃんはすぐに大きな泡をジンオウガめがけて放つ!同時に姫沙羅は飛び降りて子熊の傍まで走っていく!

 それに気づいたジンオウガが紙一重でタマちゃんの泡を躱していく。ジンオウガが別の物が乱入して来たことで

目標をタマミツネに変えてきた。

 

「ウォーッ!ウォーッ!!ウォーッ!!!」

 

 顔を真上に突き上げて咆哮を上げる!背中に雷光虫が集まり、一斉に放電しだす。その放電を丸い雷のエネルギー体として、体躯を右に左に回転させながらその勢いで放ってくる。それぞれがカーブを描くように、タマミツネに向かって飛んでくる!タマミツネは自身の体躯を捩じってかわし反動をつけ、尻尾から勢いよく泡を放出してエネルギー体にぶつけて相殺していく!だが目の前に飛び掛かって爪を振り下ろしてくるジンオウガの姿が!!

 

「タマちゃん!危ないニャ!!」

 

 声に気付き、そこからジャンピングで紙一重に躱していくタマミツネ……。その反動を利用して着地したジンオウガに泡をぶつけていく!ジンオウガもそれを躱して後方にジャンプする!互角の攻防……。

 それを心配しながらも姫沙羅は子熊の元に寄る。頭と背中に硬い甲殻があり、青色をしている。どうやらお腹が減っていたのか、ハチミツを取りに来ていたようだ。

 

「あ、アオアシラの子供ニャ……。ニャンで親が居ないニャ!?」

 

 確かに、エリアに入って来た時は親らしき物は居なかった……。そのせいでジンオウガに狙われることになったのだが。

 姫沙羅は手を差し伸べて子熊にゆっくりと近づく。子熊は警戒し、姫沙羅に対しても威嚇をやめようとはしない。

 

「大丈夫ニャ……。あたいは味方ニャ。助けに来たニャ……。」

 

 更に近づく。その時、子熊が防衛本能が働き、姫沙羅の手に噛みついた!

 

「ヴニャ…………。」

 

姫沙羅も必至に我慢して、引き離そうとはしなかった。子熊を助けたかった、その想いが強かった。痛みを懸命に堪えつつ、子熊に話し掛ける。

 

「ニャ。恐くないニャ♪……………ニャ♪♪」

 

子熊が姫沙羅の方を見上げると、にっこり微笑む顔が。子熊も納得したのか、口を離して姫沙羅の手の傷を舐め始めた。

「ありがとうニャ♪」

 

姫沙羅も子熊を撫でてやる。するとゴロゴロと甘えてきた。ほっとしつつ、タマちゃんの方を見ると、攻防一体の闘いが続いていた。

 

「ハチミツを持てるだけ持つニャ!」

 

姫沙羅が子熊にそう叫ぶと、子熊も慌ててハチミツを抱え込む。持ったことを確認すると、子熊を抱かえて叫ぶ!

 

「タマちゃん!OKニャ!!」

 

その声に、タマミツネが振り向くと、姫沙羅が子熊を抱え込んで頷いてくる!タマミツネも分かったかのように、ジンオウガに無数の泡を放出し、ジンオウガに浴びせる!

そして直ぐに姫沙羅の傍へと走り寄る!姫沙羅も子熊を抱え込んだまま、ジャンプして飛び乗る!!タマミツネも乗ったのを確認すると、一目散に隣のエリアへとダッシュしていた!!

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

ジンオウガが追って来る可能性があったので、エリア7から遠回りではあったがエリア1まで、ノンストップで走り抜けた!とりあえず、ジンオウガの追ってくるような気配はなさそうだ。

 

エリア1まで来ると、穏やかに川が流れ、ガーグァが3羽いたが、タマミツネの出現で、飛び上がって驚き、慌てて隣のエリアへとダッシュして行った。その時卵を産んで行ったのだが、その中に金の玉子があった。

 

「ニャ~~~~!金の玉子ニャ~~~!!」

 

姫沙羅もその玉子を確保しに行く。

子熊もタマちゃんから降りると草原に腰を下ろす。タマちゃんも喉が渇いたのか、流れてくる水を飲んでいた。

 両手で卵を持ち上げながら、子熊の傍までやってくる。

 子熊もお腹が空いて限界だったのか抱えて来たハチミツにしゃぶりついていた。

 

 姫沙羅はその子熊を見ながら不憫に思っていた。たった1匹で生き抜く……。このまま厳しい世界に放り出すのはどうなのだろうと……。姫沙羅も自分の境涯と重なっていた……。

 

「ニャ、あんた一緒に来ないニャか!?」

 

 子熊が驚いて食べるのをやめて、姫沙羅を見つめる。

 

「あたいが住んでる所は、仲間がいっぱい居てみんな優しいニャ。中でも、そこの主にニャってるニャは白羅と言うニャ。あんたに会ったらすぐに喜んで迎えてくれるニ”ャ……。本”当”に”優”し”い”ニ”ャ”よ”……。白”羅”~~~ど”こ”に”い”る”ニ”ャ”~~~~~~……!!」

 

 卵を持ち上げたまま、大泣きしてしまう姫沙羅だった……。我慢していた気持ちが噴出したのだろう……。

 子熊が心配してそっと姫沙羅に甘えてくるのだった……。

 

「あ”り”が”と”う”ニ”ャ”……。」

 

 その子熊の優しさに気持ちが少し落ち着いた姫沙羅だった。

 

「ニャ!この卵を納品して白羅探しを再開ニャ!その前に1度あんたを家に連れて行くにゃ。一緒に行こうニャ♪♪」

 

「グァ!!」

 

 アオアシラの子熊も嬉しそうに返事をして姫沙羅の後をついて行くのだった………………。

 

 

 

 

 

 




 読了ありがとうございます。まだまだ続くそれぞれの動き……。いろんなことが待ち受けていそう……とだけ申し上げて、次話の執筆に入ろうと。いや、入ってます……。ニャ♪♪
 では、また次話にてお会いできることを切に願って……。  紅龍騎神でした……♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪白羅とラルクの救出作戦③♪♪♪

更新させていただきました。読んでやってくれますか?ありがとうございます♪後程、後書きにて。
では、物語りの始まり始まり………♪♪



1匹と1頭は、横たわっていた。雷を纏った球体に飲まれ、凄まじいほどの白光と共に気を失ってしまった1頭は、ひやりとした固い地面に横たわっていた……。傍に1匹を抱えたままで……。

 セルレギオスことラルクが目を覚ます。自身の左翼の中にアイルーこと白羅が居ることに安堵する。

 

 ふと、周りを見渡すと、ゴツゴツした岩山を横に輪切りにしたようなだだっ広い、半径80m程あろうか。その平な岩の上には草木の生えている感はない。この場所より外側には地面はなく2、3m下側を雲が覆っていて、その下を垣間見る事が出来ない。相当の分厚い雲だ。

逆にその上側にいる状態で空は全く雲のない晴天で、太陽が赤く丸く輝いているために、乾いた風がさほど強風ではないものの、ラルク達を撫でるように通り過ぎていた。

ラルクは周りを再度見渡すが、全くもって何もない………。ゴツゴツと固い平らな岩の地面があるばかり……。草すらもない光景に驚くばかりだった……。

と、その時、突然大きな羽音と共に日の光を遮る物が……。

 慌てて眩しいながらも、その方向を見上げると巨大な生物がゆっくりと飛翔しながら降下してくるのだった……。

 その圧倒的な威圧感に気おされつつ、日の光ではっきりと視界に捉えることが出来ず、しかし、白羅を守りたい一心で右翼の痛みを堪えながら必死に身体を起こして白羅を抱え込み、左翼を前に出して刃麟を出せるように身構える。だが、その生物は優雅にホバリングしながら地面に足をつけた。

 

 全体が白い体躯で角と髭があり、頭から尻尾の先まで、体毛を生やしている。4本足で若干両前足は小さめ。翼爪はないが、スッキリとした形の整った翼があった。その翼をゆっくりと折りたたむ。

 ”祖龍ミラルーツ”である。あまりに綺麗な白い体躯に”白龍”と呼ばれる事も。ラルクにとってはお初である。龍達の間でも早々会えるものでもない。

 その白龍の威圧感にラルクは緊張を隠せなかった。攻撃するという気にはなれず、出していた左翼も白羅を庇うように丸める。顔だけは白龍を注視したままで……。

 

『お主、翼を傷めておるのか!?』

 

 白龍の突然の問いかけに、ラルクが更に驚いてしまう。目を丸くして白龍を見つめていると、白龍がクスッと笑った気がした。

 

『お前たちをここに引き寄せたのは我だ。』

 

(えっ!?)

 

 更に更にラルクは驚く。疑問と不安が同時に襲い掛かってくる。何故白龍が……。

 すると白龍が左前足を上げて一本の爪を出し、その先より透明な球体を作り出す。しかも細い雷を纏っている。

 ラルク達を包み込んだ球体と同じであった……。それをラルクに向けて放たれる。ラルクは白羅を庇おうとするが右翼を包み込まれてしまう。ラルクは焦ったが、全身を包まれていないことに気が付いた。しかも、痛みを伴うどころか右翼の痛みが和らぎ、翼が動かせるように回復してしまう。

 

(こ、これは……!?)

 

 翼を治してくれたことに、何故と言わんばかりに白龍を見つめる。

 

『構わぬ。我はお主の連れに用があるのだ。』

 

 ラルクは混乱してしまった。何故白羅を知っているのか……。聞いた話だと、白羅と会った時の白龍は白羅に力を託して死んでしまったと聞いていた。復活していることはファギルや銀レウスからそれとなくは聞いていた。

だが、別物であると思っていたからだ。

 それを問いただそうとした時、ラルクが必死に守ろうとしていた物!?が目を覚ます。

 

「ニャァ……フッ……。」

 

両前足と両後ろ足を真っ直ぐ伸ばして、背伸び~~~~~~~♪♪ 前足で顔を洗い出す。

 

(白羅!?良かった気が付いて!!)

 

 白羅に顔を近づけて匂いを嗅いで確認する。

 

「ニャ♪何ニャ、くすぐったいニャ♪♪」

 

 体中の匂いを確認するので、白羅が笑ってしまった。ラルクは白羅が目が覚めたことに喜びを隠せない。

 

『会いたかったぞ。確か白羅と申したな。』

 

「ニャ!?!?」

 

 その声掛けに驚いて前を見上げると、綺麗な白い体躯の龍がそこにいた……。

 

「は……、白……龍……ニャ……か……。」

 

 正にあの時、友達になりたいと泣いて叫んで頼んだ白龍が目の前に……。白羅はあの時の思いが込みあがり、白龍を見つめたまま涙を流すのだった……。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 

 暖かい日の光を横目に浴びながら、別の1匹と1頭は地面を見る事の出来る高さで飛んでいた……。ゆっくり飛翔しながら、お互いに目を凝らし目的の物を見つける事に真剣である。銀レウスと灯羅である。

 金レイアの奥さんに許しをもらい、銀レウスとタッグを組んで、白羅達を空から探していた。いい景色を眺めながら……、と言いたいが1匹と1頭はそれどころではなかった。必死に動く物を追う……。

地上は正に大自然、泉に水を飲みに来ている草食系の小動物や、虫達、時々大型モンスターの姿も見た。だが、お目当ての白羅達は見つからないままで、飛翔しながらも不安になりつつ探し続けるのだった。

 

「渓流の方にゃ居ない様ニャ。森丘の方に行ってみるニャ!」

 

「グァ!!」

 

 返事を返して進路を変更していく。上空からなので、意外と目的地には近い。それこそひとっ飛び!?直線コース!なので、森丘地帯に差し掛かった。龍暦院の観測船が見えて近くを通りかかる。灯羅も手を振るが、観測員のおじいちゃんが斜め下を指さし、何か叫んでいた。しかし、風音に遮られ聞き取ることが出来ない。だが、指さす方向を見下ろしてみた。それは、森丘のエリア4の場所の方だった……。

 いきなり火球のブレスが銀レウスのすぐ脇を通過する!!

 

「ガッ!!!」

 

「ニャ!!レウスニャ!!」

 

 いきなりの不意打ちに対応が遅れて銀レウスがバランスを崩し、急速に落下していく!!灯羅も背中に必死にしがみつくのが手いっぱいだった。

 エリア4である、森丘のその場所は地面が隆起しているところがあり、草木も生えている。端の方は地面の隆起により岸壁のようになっており、その上の奥には巣のある洞窟になっている。レウスはかろうじてバランスを取り戻し、エリア中央付近に降り立った。

 

「レウス!大丈夫ニャか!?」

 

「ガルッ!」

 

 怪我をしているわけではなかったようだが、少しスタミナが削られていた。前を見上げると、岸壁の上に大型モンスターの姿が……。

全体に濃い紫色の体躯で、羽があり、無駄な肉のない細マッチョな身体で、尻尾の先には大きな棘がある。嘴が大きく、甲殻で、身体のあちこちに傷跡がある。右目と右耳が抉られていて、左目はその影響か赤く妖艶に光っていた………。

その生物が、岩壁の上から灯羅達を見下ろしている。

 

「ニャ!?ま、まさか、隻眼ニャか!?」

 

灯羅も二つ名を冠するモンスター達の名前と姿は聞いて知っているものの、このモンスターに遭遇するのは初めてだった。

“隻眼イァンガルルガ”

その闘争心と姿に、畏怖する者が多い。

 

「クァァァァ!!」

 

いきなり咆哮を上げて、飛び掛かってくる!銀レウスも羽ばたいて横に逸れ、隻眼の攻撃をかわす!地面に隻眼の嘴が深々と突き刺さる!隻眼が力任せに地面から嘴を引っこ抜く!顔を振って体制を直し、改めてレウス達を睨み付ける!

灯羅も剣を抜いて構え、銀レウスも反撃するべく体制を整えた。

 再度、嘴を上下に振り突き刺す動作を繰り返してくる!

 灯羅とレウスが二手に分かれ、一旦間合いを取る。すると足を軸に身体を捻って回転させ尻尾を鞭のようにしならせて横に払ってくる! 灯羅はしゃがんで躱し、レウスは飛翔する。そのまま上空から火炎弾のブレスを放つ!

 隻眼も飛び上がって咆哮を上げながら後方にホバリングする。

レウスも着地し直すと、地面を力強く蹴って隻眼に突進していく!隻眼も対抗心旺盛にレウスに向かって同じく突進して行く!お互いが中央で激突し、顔が仰け反る!それでも負けじと双方が反対回りに身体を捻らせ尻尾を繰り出してくる!

尻尾が中央でクロスしてぶつかりあった!

体制を直したレウスが噛みつこうとするが、隻眼はまたも後方へホバリングする。

 

「レウス!加勢するニャ!!」

 

獰灼炎のブレイニャーを構え、灯羅はレウスの前に出る。レウスのスタミナの事を思ったからだ。持久戦は持たないと思っていた。しかも、クエストとして、遭遇したモンスターには手を出してはいけない、極力回避する事とされている。なので、威嚇して追い払うべきか、もしくは怯ませた所を狙ってそのエリアから離脱するか………。

だが、その迷いが隙を作ってしまう………。

 

「ガァァ!!」

 

レウスに声を掛けられ、気付いて前に向き直すが隻眼が目の前に迫っていた!低空飛行で突っ込んできた隻眼が、灯羅の目の前で顔を上に仰け反らせ、体躯を垂直に回転させ、下から真上に尻尾をしならせて灯羅を突き飛ばしたのだ!

 

「ニ゛ャガッ!!」

 

岩壁に叩きつけられ、下に崩れ落ちる。レウスも驚いてその方向を見ると、灯羅の顔が青ざめ、苦しんでいた。

レウスは直ぐに理解した。尻尾の棘から毒を盛られたのだと。灯羅は吐血をしてそこにうずくまり、動く事が出来ない。

レウスも歯噛みしていた。同じ炎と毒の属性を持った生物なのだと分かったからだ。いくら灯羅の防具が毒耐性があるとは言えど、相手はあの二つ名……完全に耐えられる訳でもなく………。

だが、隻眼に向き直ると信じられない光景がレウスの目に飛び込んできた!

先の龍暦院の調査船に向けて火炎弾ブレスを放っていたのだ!数弾調査船の脇を通り過ぎ、その内の1つが調査船の下方の一部を抉るように被弾した!バランスを崩して、左右上下に煽られながら、辛うじて体制を直し安定させる。

隻眼は当たったとばかりにどや顔でその場でジャンプして嬉々としていた……。

レウスは呆然と見つめていた。灯羅の方を見ると満身創痍で苦しんでいる。上空を見れば、調査船がダメージを負わされて、中でクルーや調査員達が大騒ぎで右往左往している。正面を見れば、それを見て喜んでいる隻眼………。さすがの傍若無人にレウスの怒りが、許容オーバーに達する!!!

 

レウスは静かに目を閉じた………。すると、半径10mにわたり、凄まじい程の怒りの龍気が放出する!!隻眼もその龍気に驚いてレウスに向き直る!そこには目を瞑った龍気を放つレウスがいて、バチバチとスパークしている。その異常さに警戒して、咆哮をあげながら後方へホバリングしてさがる。

そしてレウスの身体に異変が出始めた。

白銀の綺麗な体躯から身体の色が徐々に赤黒く変わっていき、翼爪が1回り大きくなる。更に翼膜には金色の紋様が浮かび上がった。尻尾の先の棘も1回り大きくなり、少し緑がかっていた。

その姿に怯むことをせず、むしろ戦える事に喜びの雄叫びをあげ、隻眼はその筋肉質な後ろ足で地面を踏みしめ、その反動を利用し更にスピードとパワーを乗せて突進してくる!

レウスがゆっくりと目を開くと前方に直径10m程の赤い気が立ち込めた。その中を隻眼が通り抜けようとした時、

 

「ギャグァァァァ!!!」

 

凄まじい爆炎と共に、隻眼が後方へ吹き飛ばされていた!更に1回り大きい火炎弾ブレスが撃ち込まれる!!堪らず隻眼もその場にのたうちまわっていた。

それを静かに怒りを宿し、隻眼を見据えるのだった………。

 

「ニャ……、こ、黒炎王ニャ………コフッ………。」

 

灯羅も苦しいながらも、レウスの進化に驚いているのだった…………。

 

 

 

 




読了していただきありがとうございます♪
白羅達の救出劇がまだ続きますが、お付きあい頂ければと思っとります。では、次話にてお会いできることを切に願って………♪ 紅龍騎神でした♪♪



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪白羅とラルクの救出作戦④♪♪♪

 更新いたします。なんと言われようとも、更新します。いや、しました。次もするかと。
 学のない脳で頑張っております。皆さんの声援が励み……。
 ささ、読んでやってくださいまし。後ほど後書きにて。
 では、物語の始まり始まり……♪♪



「村長さん……。」

 

集会場の受付嬢であるアイラが後輩に諭され、ここユクモ村に滞在していた。

 白羅とラルクが行方不明と知り、落ち込んで仕事もままならない状態で、気を使ってくれた後輩に感謝しつつ、集会場を飛び出していた。

 クエストに参加することは出来なかったが、村長さんと情報を収集する事になった。今はクエスト参加者からの連絡待ちをしている。

 

「どうしました!?アイラさん。」

 

 村長も心配ではありつつも、しかし他の業務もこなしつつ、アイラの問いかけに返事をしていた。

 

「なかなか連絡が届きませんね……。」

 

「そうですわね。一体どこに行ってしまわれたのか……。」

 

 クエストが開始されてから3日目が過ぎようとしていた。そう簡単に見つかる事ではない事は承知している。だが、こうも一報が無いのも不安になってしまう。

 今は二人はいつもの村長が居るベンチに二人で腰かけ、アイラが情報をまとめるための書類を持って連絡を待っているところだった。

 

「そ!村長!!!」

 

 村中に響きそうな大きな声で、全速力で走って来る者が。

 

「どうしました!?何か情報が!?」

 

 門番は村長たちの前まで来ると、息を切らしながら口を開く。

 

「は、はい……。今、姫沙羅さんとタマミツネがこちらに向かっているとの事です!……ハアハア…。」

 

「えっ、姫沙羅さん達が!?」

 

 白羅達が見つかったのだろうか……。2人は急いで村の門まで走っていく。門に着くと、確かに遠くから姫沙羅達がこちらに向かってくる。だが、白羅達の姿は見えない。複雑な気持ちではあったが、まずは第一報になるので吉報を期待した。

 

「ニャ!?村長さんにアイラさんニャ!?」

 

 目の前まで来ると、タマミツネの背中から姫沙羅が飛び降りて来た。そして一緒に降りて来た物が……。

 

「あ、あら、その子はもしかして、アオアシラの子供では!?」

 

「そうニャ。ジンオウガに襲われているところを助けたニャ。一緒に暮らそうと思うニャ。」

 

 と、姫沙羅が子熊の方を見ると、子熊も顔を上げて姫沙羅の方を見ていた。

 

「あら、可愛い。随分と懐いてますのね♪♪」

 

「お互いにあの時は命懸けだったからニャ……。気持ちが通じたと言うかニャ♪♪」

 

 姫沙羅は子熊を撫でていた。子熊も気持ちよさそうに甘えてくる。

 

「白羅さんは……。」

 

 アイラが待ちきれずに口を開いた。

 

「まだ、見つからないニャ。手掛かりもニャいから再度探しに行くつもりニャ。」

 

 姫沙羅も残念に話すが、探すことを諦めたわけではない。再度探索に出発しようと意気込んでいる。

 

「そうでしたか……。わかりました、よろしくお願いします。」

 

「勿論ニャ♪♪」

 

「では、広場の方へ参りましょう。」

 

 と、一緒に歩き出す。子熊は姫沙羅にべったりと寄り添い、タマミツネはその後ろを歩いて行く。

 広場では金レイア、その子龍達が入り口で出迎えてくれた。

 広場の外側で研究員や一般の人々も、静かに真剣に村長や姫沙羅達を注目する。

 

「えっ、あっ……いや!そんなに見つめちゃ……♪♪」(相変わらずの照屋さん♪♪)

 

 全員が冷や汗を流して固まっていたこともお約束の様で……。

 広場内では心配そうにしている金レイアと子龍達が。

 

「ゴメンニャ。まだ見つからないニャ……。」

 

 姫沙羅も残念に話す。それを聞いて少し気落ちした様であった。

 

「あたい達はまた探しに出るニャ。帰って来るまでこの子を預かって欲しいニャ。」

 

 と子熊を指さす。だが、不安もあった。他のモンスター達と打ち解ける事が出来るだろうかと……。

 

「可愛い♪♪」

 

 その時声を発したのはアイラだった。アイラは地面に両ひざをつけて、両手を広げておいでおいでする。

 子熊は一度、姫沙羅の顔を見た。姫沙羅も分かったのか微笑んで頷き返す。それを確認するとゆっくりと歩み出てアイラの元に。最初は手の匂いを嗅ぎつつ、アイラを認識しようとする。

 アイラがゆっくりと手を伸ばして子熊の背中を優しく撫でると、安心したのかアイラにも懐いてきたのだった。

 

「あらあら、甘え上手な子ですわね♪将来が楽しみですわ♪♪」

 

「アイラさんに頼んでいいかニャ!?」

 

 姫沙羅もアイラに懐いたようなので、任せたいと思っていた。

 

「わかりました、任せて♪♪」

 

 微笑んで子熊を両手で撫でているのだった……。

 

「良かったニャ♪いい子にしてるニャよ♪♪」

 

 と姫沙羅も撫でてやると、ゴロゴロと2人に甘えているのだった……。

 

 ふと、その時、金レイアが空を見上げた。その姿にタマミツネもレイアの方を見る。するとレイアが真剣な表情でタマミツネに振り返った。

 

「クルクル、グルァ、グァ。」

 

 レイアがタマミツネに何か話した。それを聞いたタマミツネが目を丸くして驚いている!

 

「ニャ!?どうしたニャ、2人とも!?」

 

 姫沙羅も竜語は分からなかったが、タマミツネの驚きように気が付いて声をかけていた。

 その時、広場の外側にいる、研究員の一人が大声を上げる!

 

「大変です!!調査船からの連絡で、森丘で灯羅さんとリオレウスが”二つ名隻眼イャンガルルガ ”と交戦中!灯羅さんと船がダメージを受けている!至急応援求む!!との事です!!」

 

「なっ……!!」

 

「ニャ、ニャンだって!!2人ともそういうことニャか!?」

 

 2頭を見るとそうだとばかりに即頷いてきた。

 

「それは大変ですわ!!姫沙羅さん、お願いできますか!?」

 

「当然ニャ!!タマちゃん、すぐに出発するニャ!!」

 

 その呼びかけに、頷き返し身体を反転させる。

 

「それじゃ、行ってくるニャ!!」

 

 急いでタマミツネの背中に飛び乗る姫沙羅……。

 

「お願いしますわ!怪我をされぬよう、お気をつけてくださいまし!!」

 

「了解ニャ!タマちゃん行こうニャ!!」

 

「グァ!!」

 

 急ぎ森丘へと向かう1匹と1頭だった……。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 万年雪でほぼ溶ける事のない、更に吹雪いたりもしている雪山……。山の下の麓の方は暖かいのか、逆に雪は解けていて草木のある地面が見えている。上へ上るにつれて雪の量は増えていく……。更に寒さも強くなる。

 氷山ほどの凍える寒さではないようだが、寒いには変わりなく……。

 

 そのエリア7にラザック含む4人のハンターが来ていた。地形が湾曲したような形をしているので、岩陰に旧キャンプの跡が残っており、時折必要なアイテムが残っていたりする。それを回収し、地形の広い方へ移動しようとしたその時、彼らは立ち止まってしまった……。変わった光景を目にするあまり、4人はそこに固まってしまう……。

 その広い場所の中央付近で、ドド・ブランゴとラージャンが”あっち向いてホイ”をしているじゃ、あ~~~りませんか!!(どこで知ったの!その遊び!?)

 

 その傍にはガウシカが1頭、倒れていて動く様子もない。2頭がその餌としているガウシカをどちらがゲットするか、喧嘩をすれば無傷じゃ済まないとお互いに分かっているようで、お互いに利害が一致しているという所だろうか。

 なので、話し合いならぬ、何故か”あっち向いてホイ”で。となったようだ。

 まあ、はたから見ると大暴れじゃなく静かに地味に”あっち向いてホイ”をしているなどと、ハンター達からすればイメージが……。と嘆きそうである。だが、モンスターも生き物であり、心も持っている。そんなほのぼのした光景があってもいい。(んな、寒い所じゃなくても………。)

しかも、2頭はかなり真剣でラザック達にまるで気付いていない。

ラザック達は気付かれないように、壁に沿ってゆっくりと移動していく。隣のエリアへと4人並んで、そうっと歩を進めて、なんとかエリア8へ。

 

「あの光景ありかよ……。」

 

「いや、俺も全く想定外。」

 

「だよな。”あっち向いてホイ”ってどゆこと!?」

 

「勝負してみたい♪」

 

「「「おい!!」」」

 

理解しがたい事だっただけに、ラザック達も話しに身が入らない。

エリアに入ってきた先で話をしていたので、ブランゴ4頭に気付くのが遅れてしまった。

モンスターに攻撃してはならない。今回のクエスト条件の1つだ。

そう思うも既に遅し。囲まれてしまったのだ。

 

「ちぃ!しまった!」

 

「囲まれちまった!」

 

「どうする!?」

 

「”あっち向いてホイ”出来ないかな?」

 

「「「おい!!!」」」

 

 3対1のボケ・ツッコミをしながらどうする事も出来ずに、背中合わせに一か所に固まる。

 攻撃が来る!……。そう覚悟をした時だった……。

 

 ”ヒュルヒュルヒュルヒュル”風切り音が上空より近づいて来る!

 

 ”ズドン!!!”

 

 何かが落ちてきたと同時にブランゴ4頭が雪だるま状態と化した!4人は驚いて前方を見ると、ラザック達にとっては仲良くなった……、見慣れた顔ぶれがそこにいた。4人の顔が思わず綻ぶ……。

 

「蓬君~~~♪♪」

 

「焔君~~~♪♪」

 

 そう、ガムートの蓬君が放った巨大な雪球だったのだ。後ろを振り返ったブランゴ達がガムートとディノバルドが居る事に勝ち目がないと悟ったのか一目散に逃げだすのだった。

 

「すま~~~ん!!助かった~~!!」

 

「ありがとうな~~!!」

 

 傍までやって来た蓬と焔に感謝するラザック達だった。

 

「で、白羅さん達は見つかったかい!?」

 

 ラザックが気になって蓬に声をかけるも、顔を横に振ってまだという意思表示をしていた。

 

「そうか……、俺たちもだ……。一体どこに行っちまった……。」

 

 ラザックも悩んでしまう。もっと範囲を広げないといけないだろうかと考え直していた。

 すると、4人の内の1人が蓬に話しかける。

 

「な、なあ、蓬君!?隣のエリア7でドド・ブランゴとラージャンが、”あっち向いてホイ”をやっているのを見たんだが……。」

 

「バォ!!」

 

 すると、蓬が鼻でエリア7へ行こうと示してきた。

 

「えっ……。」

 

「マジか……。」

 

「やっとこっちに来れたのに!?」

 

「”あっち向いてホイ”出来るかな!?」

 

「「「おい!!!」」」

 

 ……何となくだが、良いコンビの様だ♪♪

 

「ガルッ!!」

 

 焔も行こうと歩き出す。3人は渋々と1人はウキウキと2頭について行く。

 エリア7に来ると、どんだけやってるの!?と言いたくなるぐらい、まだ続けていた。4人もあっけにとられてしまった。

 

「どんだけだよ!?」

 

「いや……餌の為なら……だろ!?」

 

「そうだな……死活問題だろうしな……。」

 

「俺が勝ったら、あの肉くれるのかな!?」

 

「「「勝つ気かよ!!!ってか参戦すんのかよ!!!」」」

 

 楽しい連中である。で、蓬がその2頭の横に行く。すると、さすがに”あっち向いてホイ”を中断し、なんだ、とばかりに威嚇してくる。だが、蓬はお構いなしに自身の背中から鼻を使ってある物を取り出した。2頭は目を丸くして驚き、更にはうっとりとしてしまう。金色に輝くように見えるその物体は2頭にとっては大大好物!それが数十本とゆさゆさと揺れていた。”バナナ”である。しかも、5,6本が一房というのなら、数十本の巨大な塊はなんと言うのだろうか……。

 

 それを蓬は目の前に”ドサッ”と降ろし、鼻を地面に突き刺して雪球を作り、2頭の間に降ろす。2頭は驚いたが、焔が反対側に現れたので更に驚く。

 焔がその雪球を尻尾で横に輪切りにし、上側は捨てて、下側を尻尾でペシペシと叩いて固めていく。

 

「バオバオ、バォァ。」

 

 蓬が2頭に話しかけたようだ。すると2頭が納得したようにその臨時に作られた雪の土台に歩み寄る。

 2頭ともニヤリとしながら、やる気満々である。

 それぞれ、胸を叩いて咆哮し、右腕の肘を台に乗せて、ガッシリと手を組む!その組んだ手の上に鼻を置いて押さえる蓬……。

 

 4人はさすがに何をせんとしているのか理解した。

 

「あ、あはは……そうくるか♪♪」

 

「これは面白そうだな♪♪」

 

「さすがは蓬君だ♪♪」

 

「対戦してもいいかな!?」

 

「「「病院送りだから!!!」」」(どんだけ自信があるんでしょうね……♪♪)

 

 そんな4人を横目に、蓬が声を上げる!

 

「ォ~~~……バォッ!!」

 

 掛け声とともに鼻を上げて試合開始のゴングだ!!

 

 2頭は一気に渾身の力で腕を動かしていく!!右腕の筋肉が異常なほど膨れ上がり、血管が浮き出ている!お互いに睨み合って、全身に力が入っているのが見て取れる。右に左にお互いに腕を倒されそうになるのを必死に堪えて持ち直す!そのやり取りが暫く続く。いつの間にか4人のハンター達も周りで応援を始め、いつの間にかさっきのブランゴ達も応援に加わっていた。

 

 腕相撲は”万物共通”か!?と思い知る事になったのだった………………。

 

 

 

 




 読了誠にありがとうございます。 今しばらく救出作戦にお付き合いいただいて、次のお話に行こうかと思っておりますので、お付き合いくださいね。
 では、また次話にてお会いできることを切に願って……♪♪  紅龍騎神でした……♪♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪白羅とラルクの救出作戦⑤♪♪♪

更新いたします~~~♪後程後書きにて~~~♪では、物語りの始まり始まり………♪



「ゴルァ………!!!」

 

 長い格闘の末、勝負を制したのはラージャン。両手を上げて雄叫びをあげていた。

 

「「「「おぉ~~~!!!!」」」」

 

ハンターやブランゴ達が拍手喝采である。蓬は勝利者のラージャンにバナナの束を渡す。

すると、それを受け取ったラージャンが半分に割り、その片方をドド・ブランゴに渡したのだ。ブランゴも驚いたが、それを受け取って、がっちりと握手していた。

何故かスポーツマンシップのような変な清々しさが、その場を駆け抜けていくのだった。

 

「ゴルァ、ゴルゴル、ゴァ!?」

 

焔が2頭に今度は話し掛けていた。すると2頭はお互いに頷きあい、遥か遠くの方角を指差したのだ。これにはハンター達も驚いてその方向を見る。

 

「その方向で見たって言うのかい!?」

 

「バォ!」

 

ラザックの問いに蓬が返事を返していた。はっきりとした場所ではないが、白羅達が生存している事は確認出来た。だが、蓬も焔も首を傾げていた。ラザック達にはその意味は分からなかったが、少なくともこの雪山には居ないことだけははっきりとした事だった。

 

「一緒に探しに行かないか!?お互いの力を駆使して捜す方が効率が良いし、発見しやすいと思うんだ。」

 

ラザックが蓬にそう話し掛けて、一緒に行動しようと誘っていた。

蓬と焔も分かったと、頷き返していた。

 

「それは良いな♪」

 

「そうだな♪」

 

「じゃ、決まりだな♪」

 

そこからは、ラザック達4人のハンターと、ガムートの蓬とディノバルドの焔がチームを組んで、捜索する事になったのだった………。

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

森丘のエリア4は正に二つ名を冠するモンスター同士が戦おうとしていた。そのエリアの緑の大地は、あちこちがこげつき、そちらこちらも地面が抉れていた。

ここ森丘の大地は名前の通り緑の大自然に囲まれた土地で、生き物が生存するにも、住みやすい土地柄である。

だが今は、縄張り争いではない。片や戦いに勝つために……。片や、仲間を守りたいが為に………。“隻眼イャンガルルガ”……“黒炎王リオレウス”………。

両者の想いが激しく激突する!!!

お互いに目の前で睨み合い、顔を横に向けて片目で上目遣いにドヤ顔をしながら、自慢を始めたのだ。徐々に顔を近付けていく……。くっつけそうになるぐらいに近づいた時、横から声がした。

 

「あんたら何やってるニャ……。」

 

その瞬間、硬いもので双方とも頭を思いっきり殴られる!2頭とも頭に大きなタンコブが……。翼で頭を抱えてしゃがみ込む。

 見上げると姫沙羅が自身の丈の2倍以上の棍棒!?を片手に持って肩に担いでいる。

 隻眼が文句を言おうと咆哮を上げようとするが、

 

「うるさいニャ……。」

 

 姫沙羅が低い声で、片手に持っている棍棒を振り下ろし、隻眼のタンコブの上にもう1つのタンコブが………。(姫沙羅さん、コワイ……。)

 更に鋭い視線で隻眼を睨む。その恐ろしい殺気にレウスもたじろぐ……。

 

「ニャにか文句あるニャか……。」

 

 低い口調で睨んだまま問いかけられて、隻眼も急におとなしくなり、黙って頭を下げ、すごすごと引き下がって行ったのだった……。

 

「キ、姫沙羅ニャ……コフッ……。」

 

 岩壁下で横になって動けずにいた灯羅が声をかけていた。姫沙羅はすぐに灯羅の傍に。レウスとタマミツネも傍に。

 

「こ、この毒ニャ……。」

 

 かなり青ざめて苦しそうな灯羅に姫沙羅も参ってしまった。解毒薬や漢方薬で果たして即効性があるのか、緊急を要する事態だ。

 するとレウスが足の爪の1本で、ゆっくりと灯羅の腕の上に重ねる。するとどうだろう。灯羅の青ざめた顔が一変し、生気が戻り、苦しさが和らいでいく。何とか動けるほどまで回復する。

 

「レウス、凄いニャ!!」

 

 姫沙羅も驚いていた。解毒できるとは……。

 

「ありがとうニャ♪」

 

 灯羅はレウスにお礼を言う。レウスも返事を返して回復できたことに喜んだ。

 

「ニャ!?調査船ニャは!?」

 

 上空を見上げると、調査船から皆が手を振っている。何とか無事の様だ。

 手を振り返すと、一旦船を修復するためゆっくりと移動しながら戻って行くのだった。

 

「とりあえず、何とかニャりそうニャ。」

 

「とんでもない奴に出くわしたニャ。」

 

「まさか、二つ名に会うニャンてニャ。」

 

「何故か、レウスまで二つ名になってるニャが。」

 

「姫沙羅まで二つ名になるかと思ったニャ……。」

 

「ニャんか言ったニャか!?」

 

「ニャ!?ニャにも♪ニャ、ニャァ、1度戻ろうニャ。ニャ♪♪」

 

 とレウスに乗ってしまう。

 

「ニャにか、誤魔化された気がするニャ……。」

 

 首を傾げながら、タマミツネに乗り、後をついて行くのだった……。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 随分と移動した……。麒麟にも負担は掛けられないと、時折ラミアも一緒に歩いた。

今は“鏖魔”の案内で砂漠の中や洞窟内、なんと、砂の滝の底まで………。そこを通った時は、ラミアも麒麟も周りをよく見回しながら、探しつつ移動したが見つけることは出来ず……。確かに案内してくれている“鏖魔”が通り過ぎて行くのだから、居ないとは思っても探さずにはいられなかった。そこを抜けて、そこから更に砂漠の中をかなりの距離を移動していた。

クーラードリンクも節約しながら飲んでいたつもりだが、それでも後1本となっていた……。

その時、前方に木々や緑が急に広がりだした。そこで砂漠地帯が終わりだと告げていた。ラミア達は安堵した。クーラードリンクは間に合ったようだ……。だが、森が広がってはいるが、何か様子が変だった。風が吹き荒れ、草木が大きく左右に揺れ動く。空が暗雲の渦であり、生物たちは身の危険を感じてそこから避難してしまっていて、虫1匹すら居ない。

“鏖魔”がその渦の中心を見上げている。ラミアも麒麟もその強風に耐えながら渦の中心を見上げていた。

 ”生物”の気配を感じ取っていたからだ。やがてゆっくりと姿を現す。

 

 全身に半透明のヒレを纏い、常に浮かんでいるため、後ろ脚が退化し、前脚の部分も爪はない。翼の代わりをしている感じだ。常に嵐を纏い、厄災とまで言われ、最強種の一角である古龍”嵐龍アマツマガツチ”がラミア達の前にフワリと降り立った。

 ラミアも麒麟も驚いてしまった。ラミアにとっては、この古龍に会うのは初めての事。話には聞いているものの、実際にしかもこんな目の前になど、驚かないわけがなく、圧倒されっぱなしである。逆に麒麟は驚きはしたもののほとんど動じてはいない。

 

「グァグルァ、グルッ。」

 

「キィァ、キュキュ、キィ。」

 

 何か会話がなされたようだ。すると“鏖魔”が方向を変え、砂漠の方へと歩き出す。どうやらここからはアマツマガツチが案内をしてくれるようだ。

 

「ありがとう!!」

 

 ラミアは礼を言って手を振った。“鏖魔”もそれに応えるように尻尾を振って返事をしていた。やがて、砂の地面に潜って離れていった……。

 

 アマツマガツチの方へ向き直ると、突然背中を見せて乗るように促してきた。狩の時はダウンさせようと乗る事があるが普通に乗せてくれるのは、初めてだ。しかも古龍に……。

 

「の……、乗せてくれるの!?」

 

「キュイ!」

 

 返事を返して催促してくる。キリンと顔を見合わせ、緊張しつつ背中へと乗った。

 

「よ、よろしくお願いします。」

 

 背中の上でしゃがむと身体を起こし、ゆっくりと前進を始める。やがてかなりの上空へと昇ると、一方向へ向かって真っすぐに飛翔する。

 ラミアは暗雲ながら、周りの景色とアマツマガツチを交互に見つめながら、感嘆するのだった……。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 

 白羅とラルクと白龍は話し合っていた。

 白龍は記憶は引き継がれるのだと言う。それで白羅の事を知っていたのだ。

 

『なぜ、お主はその時、友になりたいと思ったのだ!?』

 

「ニャ……。それはニャ……。」

 

 白羅はモジモジしながらも、白龍に向き直り話始める。ラルクもそこが知りたいと興味津々で白羅を見つめていた。

 

「き、綺麗だったニャ……。」

 

『な、我がか!?』

 

 その答えには2頭とも驚いた。普通ならば最強だからという意味合いで、仲良くしたいと思うところだが、そういう事ではなく、全身が白い体躯の古龍など他には居ない。そこに目を奪われたのだと言う。

 

(クスッ、白羅らしいと言えばらしいね♪)

 

ラルクも何となくだが分かった気がした。

 

『友になりたい気持ちは、今も変わらぬか?』

 

改めて聞いてきたので、白羅は直ぐに頷いた。

 

「なりたいニャ。お願いできないニャか!?」

 

白羅は再度願った。一緒に住むまでにはならないが、仲良くなりたいとは思っていた。

 

『ふむ。敵対する理由もなし………。それも良いか。』

 

「ニャ!?ニャら!?」

 

『良かろう。力もお主に継がれている部分もあるしの。ぶつかり合う言われもない。そこの竜とも仲が良さそうだしの♪』

 

「ニャッた!!よろしくですニャ!!」

 

『ふむ。よろしくな。』

 

(良かったね白羅♪)

 

「ありがとうニャラルク♪」

 

2頭と1匹は微笑んで顔を見合わせるのだった。

 

『む……。あやつがこっちに向かって来るのう。まだ少し遠いが……。』

 

「ニャ!?そう言えば皆心配してるニャ……。」

 

(そ、そうだね……。探しているかも……。)

 

白羅もラルクも急に思い出し申し訳なくなった。ファルマさんの依頼でバブルボッカから欠片を取り戻そうとしていた矢先の事だっただけに、連絡も取れず心配しているだろうと思ったのだ。

 

『ならば、もう少しでおのずと会えるだろう。あちら此方から近づいて来ている気配がするしの』

 

「ニャ!?本当ニャか!?」

 

白羅もラルクも驚いた。

 

『うむ。今しばらくここで待つがよい。ここから離れてしまっては、会えなくなってしまうぞ。』

 

「わ、分かったニャ。待たせてもらうニャ……。」

 

そう言うと、早く会いたいと焦る気持ちをぐっと堪えて、皆が到着するのを待つのだった…………。

 

 

 

 

 

 

 




読了ありがとうございます♪やっと次話にて再会できそうです~~♪次話も読んでやってくださいましね~~~♪では次話にてお会いできる事を切に願って………♪紅龍騎神でした♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪帰って来たニャ!!♪♪♪

 更新しちゃダメですか……。させてください……、いや、します。しちゃいました♪
 誰がなんと言おうと読んでやってくださいまし。
 読んでもらえるのが私の励み……。ささ、本編へ。後ほど後書きにて。
 では、物語の始まり始まり………♪




 雲の絨毯の取り巻く岩山の頂上!?と思われる、だだっ広い岩の地面で日の光を浴びながら1匹と2頭は、向かって来ると思われる方向を見て待っていた。

 皆と会える喜びと申し訳なさで、心が入り乱れていた。どんな顔で会えば良いのか……。

 

『心配する事は無い。皆、お主に会うために来るのだから……。』

 

「ニャ、それはそうニャが……。」

 

(大丈夫だよ、僕もいる♪)

 

「そうニャね……、ニャ、分かったニャ!」

 

『来たようだ。』

 

「ニャ!!ニャンと!!」

 

(ま、まさか!?)

 

 そこに現れたのは、最強古龍種の1頭”アマツマガツチ”……。

 

 ((君が白羅か?))

 

「ニャ!?はいニャ!!」

 

 思わず直立不動に……。

 

 ((君を探している者達を連れて来たぞ。))

 

 すると”アマツマガツチ”の背中から降りて来る者が……。

 顔を赤くし、目には涙を浮かべながら白羅の傍まで歩いて来る……。

 

「ラ……ラミアニャ……キリンさんニャ……。」

 

 白羅も目が潤む……。

 

「良かった……、無事で……。」

 

 目の前で手で口を押えながら涙を流しつつ、その場に崩れてしまう。

 

《元気そうで何よりだよ♪もう少しで皆も来るよ。》

 

「ニャ!?まだ来るニャか!?」

 

 白羅はラミアを支えつつ、キリンの言葉に驚いていた。

 すると半透明の雷を纏った巨大な球体が突然に現れる。

 

(こ、この球体は……まさか……。)

 

「ニャ!?ラルク知ってるニャか!?」

 

 白羅は気を失っていた所為で、この球体に運ばれた事を知らない。ラルクが必死に白羅を庇っていた事も……。

 その球体は地面に着くと上側からゆっくりと消えていく。中から2頭と2匹の顔が見えてくる。不安に周りを見渡すと白羅達が視界に映る。

 

「ニャ!?灯羅に姫沙羅ニャ!それにタマミツネに……、レウスニャか!?」

 

「ニャ~~~~!!!白~羅ニャ~~~~!!!」

 

 猛ダッシュで涙を流しながらジャンピングで白羅に飛びついてきた!!

 

「ニャ、ニャ、ちょっと姫沙羅ニャ!ニャ~~~!!」

 

 抱きつかれた勢いでひっくり返った。

 

「絶対離さないニャ~~~ミ”ャ~~~~!!!」

 

「キ、姫沙羅ニャ……。」

 

 白羅も大泣きする姫沙羅を優しく撫でてやる……。

 

「白羅……後ろに居るニャは”ミラルーツ”ニャか!?……。」

 

灯羅が驚いて固まっている。

 

「そ、そうニャ。友達になってくれたニャ♪♪」

 

「マ、マジニャか!?」

 

「そうニャ♪ところでレウスの姿が変わってニャいか!?」

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ニャ!?もしかしてその姿は二つ名ニャか!?」

 

「そうニャ。俺を助ける為に“黒炎王”に進化したニャ。」

 

「そ、そうニャか!?凄いニャ!!」

 

(僕と同じに進化する事があるんだ………。)

 

()()()()()()()()()()()

 

進化したもの同士で話をしている。どこか通じるものがあるのだろう。

すると更に巨大な球体が現れる。同じように上側から徐々に消えて行く……。

 

「な、なんだ!?」

 

「なんだここは!?」

 

「何処に連れて来られたんだ!?」

 

「あ~~待って、いや~~~ん♪♪………。」(大丈夫でしょうかこの人……。)

 

「「「おい!!!」」」(お医者さんを……。居ませんよね……。)

 

「ラザック!!焔!!蓬!!ニャ~~焔羅ニャ~~~!!」

 

 焔羅が上から被さるように飛んできた。姫沙羅とラミアを巻き込んで倒れ込む。

 

 「ニャ~~!焔羅!!ちょっといいかもニャ♪♪」

 

「「「「おい!!!!」」」」

 

 姫沙羅の発言にラザック達4人がツッコミを入れている。

 

 ((((良かった生きてて。))))

 

 と、焔。

 

 ≪そう簡単にくたばるとも思ってなかったが。≫

 

 と蓬。

 

「ニャハハハ。心配かけたニャ、ゴメンニャ♪♪」

 

 ≪問題ない。白羅が生きていたならそれでいい。≫

 

「ありがとうニャ……。」

 

「ふふ……。先を越されたわね♪♪」

 

「そうだな。一番乗りと思ったんだが♪♪」

 

「ニャ!!ママさんにアルザ―ト様ニャ!!」

 

 そんな人物達にまで探されていたなどとは、思いもよらなかった。(ってか、どうやってここまで!?!?)

 

「途中で一緒になってね……。こうしてたどり着いたと言うわけさ。」(ここまでの道のりを聞いてみたい気がするんですけど……。)

 

「でも、本当に復活していたなんて……。」

 

 ママさんも白羅と共に白龍と相まみえた人物……。複雑な表情をしていた。

 

「今度は友達になれたニャ♪攻撃したらダメニャよ♪♪」

 

「え、と、友達に!?」

 

 白羅も頷く。アルザ―ト達もため息交じりにここまで来たら何でも来い!!と開き直っていた。

 ”キ~~~~~~~~~ン……。”はるか上空から、猛スピードで向かって来る物が!?

 

「ニ”ャ~~~~!!!ちょっと待つニ”ャ~~~~!!!」

 

「皆”よけるニ”ャ~~~~!!!」

 

 全員、慌ててその場から離れてスペースを作る……。間一髪で地面に激突するぐらいの勢いで着地する物が……!?

 

「ニ”ャ!!!ファギルニャか!!ニャ、ニャンと、ファルマさんも一緒ニャか!?」

 

 バルファルクことファギルの背中を良く見るとファルマが抱きつくように背中に乗っている。顔を赤くしてうっとりしながら……。

 全員、注目しつつ、冷や汗を1つ垂らしていた……。その視線に気付いたのか、咳ばらいをしながらファギルの背中から降りて来た。

 

「びゃ……白羅さん……、無事で……うっうっ……。」

 

「「「「おい!!!!」」」」

 

 あまりのわざとらしさにツッコミを入れられていた。

 

「良かったわ。あなた達が無事で♪♪」

 

「ゴメンニャ。クエストクリアにはならなかったニャ……。」

 

「大丈夫よ……、ほら。」

 

 ファルマはポシェットから例の破片を取り出して見せた。白羅は目を丸くした。

 

「ニャ!?どうしてこれニャが!?」

 

「あの後、焔が助けてくれて、ゲット出来たニャ。」

 

 灯羅が補足する。

 

「そうだったニャか!焔君ありがとうニャ♪♪」

 

 ((((たまたまだよ。助けに入れて良かったよ。))))

 

 白羅と焔は微笑みながら頷きあった。ラザック達も白羅の後ろに居る、2大巨頭に驚きを隠せない。一緒に居るなどあり得ないからだ。

 

「白羅さんとラルクが無事で良かったが、後ろに”ミラルーツ”と”アマツマガツチ”とは、俺たち夢を見てるのか!?」

 

「ニャ……。違うニャ……。立派な現実ニャ……。ラザック達もおいらに関わって、奇跡な事が起こってるニャ♪♪信じていいニャ♪♪そして、心配してくれてありがとうニャ♪♪」

 

「あ、当たり前だろ!仲間なんだからな!!」

 

 とそっぽを向いて、ポリポリとほっぺを掻いている。礼を言われて照れているようだった。そんなラザックを見て、白羅とラルクは顔を見合わせて微笑んでいた……。

 

「そうすると、クエスト終了ね!?」

 

「そうだな。通達を出さないと、収まらないな。」

 

「そうだね。そろそろ戻らないと。」

 

 そう言いつつも、全員どうやって戻ろうか、悩んでしまった。来たまでは良いが、帰り道……。ほとんど考えてなかったようである。

 

『フム。ならば我が送ってやろう。全員一緒でよいか!?』

 

 白龍がとんでもない発言……。白羅とモンスター達が驚いた。

 

「ニャ!?出来るニャか!?」

 

『大差ない。我にとっては一握りの力しか使わぬ。ゆえに心配せずともよい。』

 

「そ、そうニャか!?凄すぎるニャ。」

 

(そうだね。僕らでも出来ないよ。)

 

 全員、中央に固まるように促すと、白羅やラルク達がラミア達を誘導して中央に固まる。モンスター達がその周りを固めると、白龍が前足の爪を1本前に出すと、その先から半透明の雷を纏った球体が現れ、急激に大きくなっていく。

 その球体が白羅達全員を包み込んでいく。

 

「は!白龍ニャ!また会えるニャか!!」

 

『心で我を呼ぶがよい……。お主とは繋がっているからの……。』

 

「ニャ!!良かったニャ!!ありがとうニャ♪♪」

 

『またゆっくりと話をしようぞ♪♪』

 

「了解ニャ♪♪また来るニャ♪♪」

 

 やがて球体が全員を包み込み、真っ白に光り輝き、パッと消えてしまう。その場所には、白龍とアマツマガツチだけが残っていた…………。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 

 曇りのない、爽やかな風と共に自然の湯気が立ち込める、温泉村のユクモ村……♪♪

 その一角の広場に、巨大な雷を纏った球体が!?!?!?

 

「そ、そ、そ、そ、村長~~~~~!!!」

 

 やはり、この役は門番さんが相応しいのか……♪♪ま、今回はその村長と一緒に待機していたアイラさんもビックリ仰天!!!危うく腰を抜かしそうになっていた。辛うじて、広場の方へと進んでいく。

 球体は広場の中へ着地する。そして、上側からゆっくりと消えていく。徐々に中にいる者たちが姿を現す。

 その姿に、村長は驚き、アイラさんは涙を浮かべるのだった……。帰って来たのである♪♪♪♪

 

「ニャ!村長さんニャ!!ニャ!?アイラさんもニャか!?!?」

 

 その全員の真ん中いたアイルーが声を挙げた!真っ先に、一番に、聞きたかった声が……。

 アイラはそのアイルーの元に駆け出していた。村長も歩いてついて行く。広場の外にいた、研究員たちも最初は驚いたものの、中にいたのが白羅や他の全員だと分かると、一斉に腕を振り上げて万歳をし出した。肩を取り合って喜ぶもの………。拍手を送る物……。何度も万歳を繰り返すもの……。村総出で沸き返る!あまりの事に白羅達全員が照れてしまうのだった……。それほどの帰還だったのだ。何せ全域のハンターにクエスト発注していたのだから……。

 

「村長、クエスト終了の通達を出してください。白羅君達が見つかったと。」

 

アルザートが直ぐに声をかけていた。

 

「分かりました!門番さんラザックさん、クエスト終了の通達を願います!参加者のハンター達には、報酬を!で、最初に見つけた人は誰ですの!?」

 

村長が見渡すと、どうやらラミアらしい。

 

「私は報酬は要りません!白羅さんとラルクが戻って来てくれさえすればそれでいいんです!」

 

「ラミアニャ………。」

 

白羅は嬉しかった。こんなにいい仲間が沢山出来るとも思っていなかった。それだけに、申し訳ないとも思うのだった。自分がもう少し強かったら、こんな心配をさせずにすんだのだろうと。

 

「まずは、皆さん休んで下さいな。モンスター達にしても、ゆっくりしたいでしょうし♪」

 

村長が気を利かせてくれていた。

 

「そうニャ。みんなありがとうニャ♪ゆっくり休んでニャ♪改めて挨拶するニャから♪」

 

村長の促しに、白羅も改めて、みんなに話す。

 

「分かった!今日はみんな休もう。詳しい事は明日にしよう!」

 

アルザートも、気を使ってくれた。みんな、納得して、それぞれに自分達の場所へと戻るのだった………。

 

「アルザート様、ありがとうですニャ♪」

 

「いや、みんな疲れているだろうからね♪我々も帰るとするよ。また明日に。」

 

「おやすみなさいニャ♪」

 

そう言って、アルザートもママさんも帰って行く。

 

「おいら達も家に入ろうニャ。」

 

そうラミア達を促し、家に入る。既に、ラルクとファギル、焔羅が寝ていた。起こさぬように、しかし、感謝しながら2階に上がるのだった……。

 

2階では、猫飯屋の専属マスターが心配そうに出迎えてくれていた。

 

「良かったニャ♪心配したニャ♪無事で何よりニャ♪」

 

「ごめんニャ。心配かけたニャ…。もう大丈夫ニャ♪」

 

お互い両手で握手をしあって、再会を実感しているのだった。今晩はさすがに寝ようということになり、3階へ。

 

「今日はゆっくり休んでニャ……。明日改めて、話そうニャ♪♪」

 

「そうしようニャ。お休みニャ。」

 

 と、灯羅は部屋に戻って行く……。姫沙羅とラミアは名残惜しそうに部屋に戻る。

 

「それじゃ……、お休みなさい……。」

 

「お休みニャ……。」

 

 白羅もその姿に申し訳なく思いつつ、部屋に入るのだった……。

 だが、しかし……………………。

 

 ある1室の扉が音もなく開かれる………。そしてすぐに音もなく閉まる…………。

 トトトトト………………。忍び足で、ある扉の前に………。

 ドアノブに手を掛けようとしたその瞬間………。

 

「キ~サ~ラ~ちゃん♪あなたの部屋って、そこだったかなぁ~~♪」

 

 ”ビクゥッ!!”体が固まって全身の毛が逆立つ。冷や汗を垂らしながら、ゆっくり振り向くと、当然のようにラミアの姿が………。

 

「ニャ、ニャ、ニャ、ご、ゴメンニャさい。部屋を間違えたニャ……♪」

 

「ふ~~ん、部屋を間違えた割には枕を抱えてるけどね~~~♪♪」

 

 ラミアにはバレバレである。姫沙羅の冷や汗が更に増えた。

 

「ゴメンニャさいニャ!」

 

 捕まる………!?そう思って目を瞑る……………!?!?!?

 体に力を入れるも、掴まれる気配がない!?姫沙羅はゆっくりと目を開けると姫沙羅の方が目を疑ってしまった。

 なんと、ラミアも枕を片手にドアノブに手を掛けていたのだ。

 ラミアは姫沙羅に微笑んでウィンクしてきた。どうやら、今回は気持ちが同じだったようだ。姫沙羅も嬉しくなってお互いに頷きあって、扉を静かに開け、ゆっくりと中に入る。ベッドの両側から覗き込むと、白羅が寝息を立てていた。再度頷き合って、布団の中にゆっくりと潜り込んで、白羅にくっつく。

 

「んニャ……。!?!?!?ニャ、ニャ!?ニャンだぁ!!」

 

 白羅が顔を真っ赤にして蒸気を上げながら飛び起きる!!だが、両腕を姫沙羅とラミアに捕まれ、その場に押し倒され、そのまま布団をかぶせられ、両手に花♪♪の状態で添い寝されてしまった。

 

「ニャ、ニャンで……!?」

 

 顔を真っ赤にしたまま、身動きが取れない。

 

「ちょっと待ってください!!」

 

 と、突然扉が開いて、どかどかと中に入って来た人達が……。

 村長さん、アイラさん、ファルマさんの3人が部屋の中に……。これには姫沙羅とラミアも驚いた。白羅はそれどころではなさそうだが……。

 

「抜け駆けは許しませんわと前にも言いましたわよね。」

 

「あ、あの、これは、その……。」

 

 しどろもどろに返事しているラミアをよそに村長さんが指を”パチン”と鳴らすと、どこからか布団が2組、3組と部屋に運び込まれる!部屋中に布団を敷き詰められ、歩くスペースもないぐらい♪♪

 

「これでいいですわ。さ、寝ましょ♪♪」

 

 姫沙羅とラミアも唖然!?女性たちはキャッキャとはしゃぎながら布団に入り、暫く話していたがそのうちに寝息が立ち始めた。ラミアも姫沙羅も安心したのか、白羅の両側で寝息を立て始める。しっかりと白羅を押さえたままで……。

 

「ニャ、ニャンか眠れないニャ……。」

 

 顔も目も真っ赤っかで、1匹女性に囲まれて、ドッキドキで眠れずにいる白羅であった…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 読了大変ありがとうございます♪
 やっと、白羅達が戻って参りました。周り共々、いろんな経験をしつつ、無事に帰還する事が出来ました。次話は束の間の休息!?ということになろうかと。まだまだ物語は続きますので、お付き合いのほどよろしくお願いいたします♪
 ではまた、次話にてお会いできることを切に願って……♪  紅龍騎神でした……♪♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪感謝の大宴会ニャ!!♪♪♪

 更新ですよ~~~。させてもらいましたよ~~~。読んでやってくださいね~~~。
今回は息抜きのようなお話になっております。
 ささ、本編をご覧ください。後ほど後書きにて。
 では、物語の始まり始まり…♪♪



 ………………次の日………………。

 

顔と目を真っ赤にしたまま、眠れなかった白羅は、みんなで村長さん宅にお邪魔していた。

 

「クスクス、まあまあ大丈夫ですの!?」

 

 白羅の部屋でぐっすりと寝られていた女性陣は、朝がスッッキリ!!

 何も言いようがない白羅は、目を充血したまま皆と村長さんの話を聞いていた………。村長さんが意を決して自腹をしてまで白羅達の探索クエストを発注した事。周りのみんなが尽力してくれた事。モンスター達も、自ら探索に意気込んでいた事………。1つ1つの話に白羅は目をウルウルしながら聞き入っていた。

 

「ウ~~~申し訳なかったニャ……。嬉しいニャ……。」

 

 テーブルを囲んでいる女性陣と灯羅やラザックを見る。

 

「だ~から言ったろう!仲間なんだってな♪♪」

 

 ラザックが”珍しく”ウインクして返事をしてくる!?(ほっとけ!!)

 

「そうニャ!紹介したい子がいるニャ!」

 

 突然、姫沙羅が思い出したように話を切り出してきた。

 

「ニャ!?誰にゃ!?」

 

「この子ニャ……。」

 

 姫沙羅が抱っこして見せてくれたのは、子熊!?といっても特徴的な……。

 

「アオアシラの子供にゃか!?」

 

「そうニャ。親が居なくて、ジンオウガに襲われている所を助けたニャ。」

 

 だが、凄く姫沙羅に懐いていた。戻って来た時も真っ先に姫沙羅に駆け寄って、甘えていたぐらいだ。

 

「この子を引き取って一緒に住みたいニャが、いいニャか?お願いニャ……。」

 

 姫沙羅が目を大きくしてウルウルしながら、白羅を見つめて来る……。白羅も一瞬たじろいだが、即返事を返した。

 

「ニャ、いいニャよ♪姫沙羅に凄くなついているしニャ♪」

 

「ニャった!良かったニャ!一緒に居られるニャ!」

 

「グァ♪」

 

子熊も嬉しそうだ。無論関わったからには、放置する訳にはいかない。弱肉強食が強いこの時代に、当然この子はダメだと外に出すということにはならない。

 

「ニャにせ、可愛いしニャ……♪」

 

ま、それが一番の“本音だろうか。

そろぞれの道中の話がなされ、各々会話を興味津々に真剣に聞き入って、驚きと感嘆を漏らしていた。

ファルマさんはメモをとるのに命懸け………。(の、ノート、足りますか!?)

アイラさんは驚いてばかり。白羅が白龍と友人になったと聞いた時は、気を失いそうになった。ラザックもあれは今でも信じられんと半信半疑である。

ラミアも何故“鏖魔”が手助けしてくれたのか、不思議で仕方なかった。

 

「黒炎王にもビックリニャ!」

 

「そうニャ……申し訳なくて、レイアに謝りに行ったニャが許してくれたニャ♪」

 

 灯羅が寝る前に様子を見に行ったらしい。姿が変わっても、相変わらずのラブラブぶりに逆に充てられたと言っていた。安心したとも……。

 

「でも、モンスター達の腕相撲も面白そうね♪」

 

「いやぁ、あれには俺も驚いたよ。腕相撲を知ってたなんてな。だが、挑戦するなんて考えるなよ。即、腕をへし折られるのは間違いないぞ♪」

 

「ニャ!?ここでモンスター腕ぞもう大会をするニャは!?」

 

「やめよう。修羅場になる……。」

 

 ラザックが手を額に当てている。

 

「ニャ!?村長さん、クエスト報酬、出来る限り手伝うニャ!」

 

「それには及びませんわ。今まで蓄えも結構出来てましたし、そう簡単にはつぶれませんわ♪♪」

 

 手で口を覆いながらホホホと笑って見せる村長さん。白羅は感謝を何かで返したかった。

 

「ニャ!?そうニャ!!大宴会ニャ!!予算はおいらが持つニャ!それならいいニャか!?」

 

 皆が目を丸くする!!

 

「お、おい!いいのか、そんなこと言って!?」

 

「そ、そうニャ!自爆しかねニャいニャ!」

 

「ニャ、ニャンとかなるニャ……。ニャにかお返しがしたかったニャ……ブツブツブツ……。」

 

 指先で地面をいじりながらいじけている……。

 

「私も手伝うわ♪♪」

 

「ニャ!?ラミアニャ……。」

 

「愛するニャ~リンの為にゃ♪♪」

 

「姫沙羅ニャ……。」

 

「主役が居ないと締まらニャいニャ……♪」

 

「と、灯羅ニャ……。」

 

「私たちもお手伝いします♪♪」

 

「ニャ!?アイラさんにファルマさんニャ……。」

 

「ふうっ……。分かりましたわ。皆で出し合いましょ♪でもクエスト報酬の方は大丈夫ですわ♪♪」

 

「ニャ!?村長さんニャ……。」

 

 白羅の顔がパッと明るくなる。皆この笑顔が見ていたいのだ……。白羅につられてみんなも微笑む。

 

「それじゃ、村中挙げて盛り上がりますわよ♪♪」

 

「「「「「「「おおぉ!!!」」」」」」」

 

みんな腕を振り上げて喜んだ!余程お祭りや、パーティーが好きらしい♪♪みんな、ガヤガヤとそれぞれ準備に移るのだった……。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 暫くして、村長さんが報酬の支払いを受付嬢を通して払い、その時にユクモ村で大宴会を開催すると招待していた。ハンター達は報酬をもらえて、尚且つ宴会に招待などと、絶対に行きます!!と即返事ばかりだった……。

 言い出しっぺの白羅が自宅の猫飯屋のマスターやユクモ村のマスターに頼んで、料理の腕を振ってもらう。

 更にはベルナ村からもママさんにご登場願って、数々の料理技を披露してもらい、広場にラザックが用意してくれた数々の長テーブルに食器や料理が並べられてゆく。その傍に、モンスター達も揃い、そこにもモンスター達ようのご馳走が用意された。

 

「久しぶりじゃの、白羅君。」

 

「ニャァ♪♪ベルナ村、ココット村、ポッケ村の村長さんニャ!!」

 

「私が招待しましたの♪♪」

 

「君と仲間たちの活躍はあちこちで話題になっとるよ。人気者じゃな♪♪」

 

「ニャ、そんなことはないニャ……。照れるニャ♪♪」

 

「助けられてばかりニャのにニャ……。」

 

「と、灯羅ニャ……。」

 

「ほっほっほ。それだけ好かれているという事じゃよ。羨ましい限りじゃ。」

 

「ふぇふぇふぇ。そうじゃの。ガムートのあんな表情は初めて見るわい♪♪」

 

「おお、そうかもしれんの♪他のモンスター達も良い顔をしておる♪」

 

「に、しても凄いモンスター達ばかりじゃな!?」

 

「今回、ミラルーツとアマツマガツチもお友達になったそうですわ♪♪」

 

「「「な、なんと!!!」」」

 

 3人とも目を丸くして、腰が抜けそうになっている。それほど奇跡的な事なのだ。

 

「な、なあ、わしもお友達になれんかの。」(今からですか!?)

 

「そ、そうじゃな。せめて会うだけでもの。」(卒倒しない事を祈りますが!?)

 

「お、押し倒されたらどうしようかの♪♪」(なんの事でしょう!?)

 

「「「「マジで!!!」」」」(私も同意見♪♪)

 

「ニャ、ニャァ、楽しんで行って下さいニャ♪」

 

白羅は、お辞儀をしてその場を離れる。

その近くで、ラザックに案内されてくる、アルザートと集会酒場のママさんが。

 

「やあ、お招き頂いてありがとう。」

 

「ニャ♪ようこそいらっしゃいましたニャ♪ゆっくりして行って下さいニャ♪」

 

「勿論、そのつもりだよ。何せ君の話を聞きに来たのだから♪♪」

 

「ニャ…照れるニャ♪」

 

「そうね♪後でたっぷりとね♪」

 

「ニャ…ニャはは。お、お手柔らかにニャ……。」

 

そう言いつつ、さりげなく、後ずさる白羅。また後でと一先ず退散。

あちこちに灯りや、飾り付けもされ、今日一日は、クエストもお休みと強引に、各村の受付嬢も押し掛け、猫嬢も、姉妹で参加。龍識船の隊長やクルー達も、こぞって参加。

クエストに参加した、色んなランクのハンター達大勢。研究員の面々、一般人まで、ユクモ村と広場に、大勢集まった!

 

「皆さん!聞いて下さい!遠路遥々ようこそおいでくださいました!今宵は、白羅さんとラルクさんが無事に見つかり帰還し出来たお礼がしたいと申し出があり、ご招待した次第です!では、主催者である白羅さんに一言お願いしましょう!」

 

と白羅の背中を押して、前に出す。白羅もそれは聞いてないと、焦ってしまい、大勢の大注目の前で緊張してしまう。

 

「ニャ、ニャ、ニャ、ニャ………そんなに見つめられると……照れるニャ♪いやニャ♪」(村長さんか!!)

 

村中にいた全員が、注目したまま冷や汗を一つ垂らしていた………。

 

「ニャ、ニャほん!皆さん、集まってくれてありがとうございますニャ!おいら達を探してくれて、申し訳なかったニャ。でも、凄く嬉かったニャ。ずっと何年も一匹狼だったおいらには、信じられないくらいニャ…。いっぱい、いっぱい、優しさを貰って感謝ニャ!これからもよろしくお願いしますニャ!!」

 

白羅が深々と頭を下げた。その瞳から、涙がこぼれるのだった………。だが、白羅は逆に驚いた。一つの拍手に始まり、徐々に大きな拍手へと拡がったのだ!

 

「み、みんニャ………。」

 

ユクモ村と、広場中が白羅や仲間達、そしてモンスター達に惜しみ無い拍手が送られていた…………。

 

村長さんが、音頭をとって、コップを片手に取った。

 

「さあ!今宵は楽しんで下さいな!皆さん、乾杯!!」

 

「「「「「「「乾杯!!!!!!!」」」」」」」

 

全員が一斉にジョッキを高々と掲げる!

大宴会の始まりとなった…………。

 

 いろんな料理に舌鼓をする者、酒を飲み交わす者、食事に集中する者、話しに花を咲かせる者、モンスター達に、話し掛ける者、踊り出す者、それを見入っている者、酔って介抱される者、樽を用意して腕相撲大会を始める者、今回意気投合して、今度一緒にクエストしようと約束している者、モンスター達も話しに花を咲かせていて、今回の出来事を、お互いに聞き入っているようだった。人もモンスターも、あちこち入り乱れていた。だが、みんな凄く楽しんでいて、白羅も嬉しかった。そしてラミア達のところに行く。すると、後ろから声を掛けられた。

 

「済まんが、ちょっといいかの!?」

 

振り向くと、一人の老人が……。老いてはいても醸し出す雰囲気は隠せないでいた。

 

「ニャ!?ココット村の村長さんニャ。一体どうしたニャ!?」

 

「実はお主に頼みたい事があるのじゃ。」

 

威厳さを醸し出すこの老人が、真面目な顔つきで白羅達に話をしてくるのだった…………………。

 

 

 




 読了ありがとうございます。え、いや、終わりではございません!まだまだ続きますので、よろしくお願いいたします♪♪次話はまた、クエストにて♪♪
 では、また次話にてお会いできることを切に願って……………。紅龍騎神でした……♪♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪懐かしの英雄と冒険!?!?!?①♪♪♪

 更新させてください!ダメですか!?否定されても更新します♪♪
 大宴会後の余韻が………。などと言ってるまに、クエストに出発です。なぜかもう1人加わってる気が………。
 さ、ささ、本編で確認をば。後ほど後書きにて。
 では、物語の始まり始まり………………。



 ここはユクモ村のよ・る~~~~♪♪♪

満天の星空の下、白羅主催の大宴会中である。いまだ、村中、広場中、ワイワイ・ガヤガヤ人やモンスターが入り混じって賑わっている。 

 あちこちに灯りがともり、温泉共々賑わいを見せている。肩を組んで歌っている者、ジョッキを上げて、意気投合したハンター達が次のクエストに行く約束をする者、踊りを踊る者、それを楽しそうに見ている者、腕相撲大会は、誰が優勝か分からずじまいで、終わっていたが……。話に花を咲かせている者、料理に食事に夢中になっている者、ちゃっかりデートを楽しんでいる者……。

 大勢いればいろんな人物が見えて来る。もちろんモンスター達も……。ただ、共通する事があるとすれば今ここにいる全員が楽しんでいるという事……。その光景を白羅達は嬉しく微笑んで見ていた……。

 

 そんな折に白羅の元にココット村の村長さんが………。

 

「お主に頼みがあるんじゃ。前回も言ったがの。」

 

「ニャ!?それは2回目ニャか!?」

 

「オ、オホン!ま、それは良いとしてじゃ。」

 

 村長は1枚の紙を懐から取り出した。それを渡しながら、とんでもない事をいいだした………。

 

「すまぬ…孫を助けて欲しいのじゃ………。」

 

「「「ニャ!!ニャに~~~~~!!!」」」

 

「あらあら、お孫さんて久しぶりに聞きましたわ。お元気なんですの!?」

 

ユクモ村の村長さんも、話しに混ざってきた。

 

「ふぅ、元気が良すぎて困っておるのじゃ。問題ばかり起こしおって!」

 

「血圧が上がりますわ。深呼吸をされてはどうですか?」

 

「まずは、話を聞きますニャ。落ち着いて下さいニャ。」

 

白羅は、ココット村の村長に椅子を差し出す。

 

「う、うむ。済まんの。」

 

そう詫びながら、椅子に腰掛けた。その周りにも椅子を用意し、みんなで腰掛ける。

 

「なに、あやつがどうかしたのか、ココットの!?」

 

 ベルナ村、ポッケ村の村長さんもやって来て、話に加わる。椅子を用意して腰を下ろしてもらった。

 

「ふむ。恥を忍んで、白羅君に頼もうと思ってな。」

 

「一体、ニャにがあったんですかニャ!?」

 

「実はわしにも孫がおっての。わしに似てしまって、お転婆娘に育ってしまったのじゃ。集会所☆7に上がって調子づいてしまってな。」

 

「ふむ。そこは確かにお主に似ておるのう。」

 

「ほっとけ!! でな、仲間にからかわれた事もあって、ソロで狩に行くと言い出したのじゃ。」

 

「ほう!なるほど、そういうことじゃったか。で、どのクエストに挑んだのだ!?」

 

「”廻り集いて回帰せん”☆7の方のクエストじゃ。」

 

「おお、それはまた難儀なクエストを……1人でか!?」

 

「そうじゃ。1人でも勝てると息巻いて行ったそうな………。」

 

 ココットの村長も頭を抱えている。ポッケ村の村長さんは納得したようにココットの村長をからかう♪

 

「確かにお主にそっくりじゃわい♪」

 

「分かった、分かった。それで、助けを頼もうと思ったのじゃ。あれでも可愛い孫での……。で、どうじゃろうか!?行ってもらえんかの!?」

 

 白羅も微笑んで即返事をしていた。

 

「分かりましたニャ。いいですニャよ♪」

 

「おお!!行ってもらえるか!!ありがたいのう♪」

 

「ニャ、明日にでも出発しますニャ。」

 

「そうしてもらえると助かる!お礼はしっかりと払うでの♪」

 

「ニャ!?いいですニャよ!?モンスター達の広場を作る時も賛成してもらって借りもあるしニャ♪♪」

 

「いや、そうはいかん。これでも、義理は固い方でな。報奨金が駄目なら孫を貰ってくれてもいいんじゃぞ♪」

 

「「「「「駄目です!!!!!」」」」」

 

 かの女性陣が大声で即答否定していた。さすがに3人の村長たちもたじろぐ。灯羅も噴出してしまった。

 

「ニャ、ニャはは……。そういう事だそうニャので、まずは助けに行ってきますニャ……。」

 

 白羅もたじろぎながら、村長に返答する。

 

「う、うむ、分かった。ついでにもう一つ頼みたいんじゃが!?」

 

「ま、まだあると言うのか!?」

 

「せっかちな爺さんじゃのう!?」

 

「いいではないか!悪いかの!?ま、これはわしからの頼みじゃ。」

 

「ニャ、ニャンですかニャ!?」

 

「わしも、一緒に連れて行ってはくれんかの!?」

 

「「「な、なんじゃとぉ~~~~~!!!」」」

 

 ……………………………………………………。

 

「お、お主、なんという事を。」(確かに……。)

 

「あ、あの、村はどうされますの!?」(そこは気になりますよね……。)

 

「ひゃはっ!わしも行っても良いじゃろか!?でも押し倒されたら……、照れるのう♪」(そこですか……。)

 

「「「マジで!?!?!?」」」(ポッケ村の村長さん……、ノリがいいですね♪♪♪)

 

「ニャ!?大丈夫ですニャか!?」

 

「ほっほ。これでもまだまだいけるわい。大型はどうか分からんが、ドスマッカオぐらいはいけるぞよ!」

 

「ドスマッカオも大型に入ると思うニャが……。」

 

 その心配をよそに、行く気満々で準備運動まで始めている。こうなったら、誰も止められそうにない。

 白羅もため息をついて村長を見る。だが、必死に身体を動かしついて行こうとしている姿を見て、白羅もつい微笑んでしまった。

 

「どうしたの!?」

 

 そんな白羅を見て、ラミアが不思議そうに声をかけて来る。

 

「ニャ、いいニャァと思ったニャ。」

 

「どうして!?」

 

「孫さんの為に身体を張って、一緒に行くと言ってるニャ。体力はどうか分からニャいが、それでも孫のために……と言ってる村長さんがカッコイイと思ったニャ。羨ましいニャ。」

 

「白羅さんもカッコイイと思うよ♪♪いつだって人助け、モンスター助けに全力で身体を張ってるじゃない♪♪ だからみんな、白羅さんについて来るの♪♪自信持っても良いと思うよ♪♪みんな白羅さんが大好きだし♪♪」

 

「ラ、ラミアニャ……。ありがとうニャ……♪♪」

 

 みんなに周りからからかわれつつ、行くんじゃ!と言い出したら聞かないご老人に白羅は近寄って声を掛けた。

 

「村長さん、一緒に行きましょうニャ。そして、お孫さんを救出するニャ♪♪」

 

 その言葉にココットの村長は顔が明るくなった。

 

「おお!!連れて行ってくれるか!ありがとうじゃ♪♪益々、お主の事が気に入ったわい♪♪」

 

「調子のいい爺さんじゃわ。」

 

「こりゃあ、孫も相当だのう♪♪」

 

「久しぶりですわね、戻って来たら、会うのが楽しみ♪♪」

 

 他の村の村長さんもため息をつきながら、はしゃいでいるココットの村長を見て微笑むのだった………。

 

「ニャ!?して、孫さんのニャ前は!?」

 

「おお!忘れとった。イサラと言うんじゃ。」

 

「イサラニャ♪♪」

 

「私もG級に上がったばかりだから、同じぐらいの腕かしら!?」

 

「いニャァ、あんたの方が上だと思うニャ。ニャにせ、酒場のママさんの愛弟子ニャからニャ。」

 

「な、なんと!あの子のか!?それは、それは……。」

 

 ココットの村長にまじまじと見つめられ、照れてしまうラミアだった。

 

「ニャて……、場所は禁足地にゃが……。」

 

 灯羅が、怪訝に首を傾げている。

 

「どうしたニャ!?」

 

「ニャ、今回の相手ってニャ!?シャガルマガラだよニャ!?」

 

「当然ニャ、このクエストニャが、シャガル…………あニャ!?」

 

「え、どうしたの!?」

 

「ニャ、シャガルマガラニャって……もしかしてニャ!?」

 

「あ……、まさか……!?」

 

「ニャンか嫌な予感がするニャ!?」

 

「ん!?どうしたのじゃ!?みんなして!?」

 

 事の次第が分からず、首を傾げまくるココット村の村長であった……………………。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

あ、あの…………禁足地なんですけど………、今私の上で、シャガルマガラさんと戦っている、女性のハンターさんが居ます………。

どう見ても勝ち目が無さそうに見えるのは私だけでしょうか!?いえ、あれは間違いなく勝てないと思います。禁足地である私が言うのですから、確かな事かと。

何故って。ほぼ一方的な展開に陥ってます。

岩場に隠れながら、回復等をしていますが、スタミナ、体力が追い付いていないようで………。しかも、何度か攻撃出来ても、倍返しされるばかり………。

とても、見ていられません。と、言っても強制的に目を背けられません。このままでは、彼女が可哀想です。誰か助けてあげて下さい!禁足地からお伝えしました。

………………………………。

 

確かに禁足地の速報によればそのハンターは、かなりのピンチに陥っているようだ。だが今しばらく、救世主が登場するまで、待つしかない…………。

 

変わってこちらは、救世主!?の御一同様。ラルクの背中に乗せてもらい、禁足地へ向かっているところである。

 集会場でアイラさんに確認すると、確かにソロで出発しているようだった。白羅達は前日まで村長さん達や、モンスター達と。更にはアルザ―ト様と集会酒場のままさんに捕まり!?楽しくも大変!?な大宴会がお開きとなった。もちろん、お開きの挨拶の時には”え~~~!!”と残念がる者、改めて拍手を送る者、”また、ないのか~~~!”とツッコミを入れる者、様々であった。

 そんな余韻の残る次の日にラザックには申し訳なかったが、片付けを頼み、行く気が満々のココット村の村長さんと集会場に来ていた。

 さすがにココットの英雄と呼ばれるだけあって、ハンター達には一目置かれているのだった。だが、何故白羅と!?と不思議そうでもあった。

 

「え、村長さんもこのクエストに!?」

 

 アイラさんと後輩の受付嬢がビックリしているが、村長は俄然行く気になっている。

 

「すまんがそういう事じゃ。よろしく頼みたい。」

 

 杖を片手に話をする小柄な老人は、強者としての威厳を保ちつつ、偉大な雰囲気を醸し出していた。

 

「おいらからも頼むニャ。おいらもこの依頼を受けたニャから。」

 

「えっ!?大丈夫なの!?」

 

 アイラが心配するのも無理もない。今回ずっと村の方で心配し続けて、やっと戻って来てくれて安心していたにも関わらず!!またクエストとは何事か!!と、そういう意味での驚きだった。

 

「ニャ、ニャはは………。ごめんニャ。ハンターが1人ピンチになってるニャ。助けに行くニャ♪♪」

 

「今度はロープでしっかり繋いでおくので大丈夫!」

 

「そうニャ、絶対離さニャいニャ!」

 

「落ちたら釣り上げてやるニャ。」

 

「「「魚か!!!」」」

 

 そんなツッコミを聞いているうちにクスッと笑いながらため息をついて、諦めたように話しかける。

 

「駄目って言っても行くんでしょうね………。」

 

「モチロンニャ♪ダメニャか…………!?」

 

 目を丸くしてウルルン目線でアイラに懇願する。

 

「ん、もう!分かりました!その代わり、絶っっっ体に戻って来てくださいね!!」

 

「ニャ!了解ニャ!!」

 

 と言うことで、ココット村の村長の孫であるイサラの向かったクエストに特別で、途中参戦する事になったのである。

 それで今、ラルクの背中に2人と3匹が乗って、禁足地へと向かっていた。モンスターの背に乗れて大空を優雅に飛んでいるものだから、村長1人ではしゃいでいたが、やがて暗雲の立ち込める禁足地が視界に入って来る。

 

「ニャ!?見えて来たニャ、ラルク頼むニャ!!」

 

(まかせて!!)

 

 周りの上空や、禁足地の付近を警戒しつつ、ハンターのいる所へと急ぐのだった………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 読了、誠にありがとうございます。
 次話は今回の続きですが……。どうなってしまうのか!?お楽しみに♪♪
 では、次話にてお会いできることを切に願って………。  紅龍騎神でした……♪♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪懐かしの英雄と冒険!?!?!?②♪♪♪

 更新させて~~~!しちゃいましたけど……。コロナウイルスにかからぬように負けじと執筆していきますので、読んでやってくださいまし♪♪
 ささ、本編をどうぞ。後ほど後書きにて。
 では、物語の始まり始まり………。



 けたたましい咆哮と共に、狂竜ブレスが放たれる!地面で爆発していく狂竜ウイルスを何とか躱し、2,3度剣を振るっては逃げる!岩を挟んで裏手に回り、回復アイテムを使い、砥石で武器を研いでいく。強走薬を飲んで、スタミナを維持させる。

 それで、その都度古龍の前に出て攻撃を繰り返すも、動きを把握しきれていないために避け切れずにダメージを喰らってしまう。

 

「ど……、どうなってんのよ……、強いし!?!?」

 

 岩陰で息を切らしつつ、回復薬を飲むも、アイテムがほぼほぼ少なくなってしまった。このままではじり貧で自滅するばかり……。

 女性ハンターである彼女は、半ば諦めと後悔が入り混じっていた。

 

「こんなに強いんなら、啖呵きるんじゃなかった……。」

 

 狂竜ブレスは吐くわ、低空飛行で突っ込んでくるわ、翼爪の振り下ろし攻撃は強いわ、尻尾で振り払って来るわで、彼女にとって慣れない動きに反応しきれない。彼女はべそをかき始めていた。精神的に堪えているのだろう。

 岩陰でがっくりと落ち込んでいるのだった……。

 失礼……。ここは禁足地……。そして彼女は今、シャガルマガラという古龍と戦っていた。

 リタイヤを考え出していたその時、彼女に救世主現る!?

 

「イサラ!!!どこじゃあ!!!」

 

 上空から聞き覚えのある声が……。すると、シャガルマガラも何かを見つけ、その方向に向かって咆哮を上げた!

 イサラは慌ててその声の方へ向き直る。すると1頭上空より飛来してくる物が……。更にその背中に乗っている者たちを見つけ、目を丸くする!!

 

「おお!そこか!!待っておれ!!わしが今から加勢するぞい!!」

 

 ココット村の村長は、自身で持ち出してきた片手剣と盾をラルクの背中の上で構えだした。

 

「ちょっ、ちょっと待って!!」

 

「ニャ!?そうニャ!!ちょっと待つニャ!!」

 

「いざ行かん!!相手にとって不足無しじゃ!!」

 

 なんと!!ラルクが降下している途中だと言うのに、ジャンプして飛び降りる!!

 

「ニャ~~!!待つニャ~~~!!」

 

 ギリギリのタイミングで両足を掴む!だが勢いが良すぎて止められない!ラミアも慌てて白羅を抱きしめる!その後ろを灯羅と姫沙羅が捕まえる!何とか止められたものの、村長はぶら下がっていた。

 

「こら~~!!何をしとるんじゃ!離せ~~~!!」

 

「お、落ち着くニャ!!ラルクが着地してからでも大丈夫ニャ!!」

 

「それじゃ間に合わん!!お主たちどうしてそんなに落ち着いていられるんじゃ!!」

 

 ぶら下がったまま、ラルクが地面に着地する。降りられた村長が走って庇うようにイサラの前に出て、武器を構えなおす。イサラも驚くばかりだった。かつての英雄と呼ばれた、ましてイサラの祖父でもある、ココット村の村長がかつての剣と盾を持って、助けに来たのだ。

 

「お……お爺ちゃん……どうして……。」

 

 イサラは精神的に参っているところに、かつての英雄が助けに来たことで涙を浮かべていた……。

 

「バカ者が!!調子に乗っておるからこういうことになるのじゃ!!」

 

 シャガルマガラに剣を向けたまま、後ろに居る女性ハンターに怒鳴っていた。

 

「じゃが、無事で良かったわい♪」

 

 ニカッと横顔で微笑む英雄は、イサラにとって安心できる存在であった……。

 

「おじいちゃん……。」

 

 イサラから涙がこぼれる。抱きつきたいのを堪えつつ、その涙を拭った。

 

「さあ!倒すぞ!イサラよ!!」

 

「はいっ!!」

 

 2人は武器を構えて改めて攻撃の姿勢をとった……。そこに横から歩みでる物が……。

 

「えっ!?」

 

「なっ!なんじゃ!?」

 

「任せて欲しいニャ……。」

 

 いつになく真剣な表情でシャガルマガラを見据えたまま、村長たちに声をかけた。すると反対側からラミア、灯羅、姫沙羅が現れ、しかも何故かロープを手にしている。

 

「ごめんなさい!!」

 

 ラミアがそう声を発すると、村長とイサラの両手を後ろで縛り、ロープを伸ばしてラルクの元に。ラルクの翼爪にロープを引っ掛けて固定する。それ以上動けなかった。

 

「ど、どういう事じゃ!!」

 

「な、何で!?どうして……!?」

 

 2人はパニックになっていた。白羅はそのままシャガルマガラの方へと進んで行く。武器を構えずに……。

 

「ごめんなさい、白羅さんに任せてあげてください。多分、収まります。」

 

「な、なんじゃと!?」

 

「ね、ねえ、おじいちゃん、この人たちってもしかして……。」

 

 さすがのイサラも何者が一緒に来たのか気付いたようだ。

 

「そうじゃ!白羅君とラルク君に仲間の者たちじゃ。無理行ってついてきてもらったのじゃ。」

 

「や、やっぱり……この人達が……。」

 

 あまりにまじまじと見つめられてラミア達の方が照れてしまった。その白羅が歩みを進めて近づいて行く。シャガルマガラも同じように歩いて近づいて来る。

 そしてお互いに目の前に立ちはだかった。

 村長もイサラも緊張しつつ、ラミア達と一緒に注目する。

 

 お互いに右前脚を後方に引き、力を込める。が、ゆっくりと前に出して来る。

 

 ”ガッチリ握手”をして、ニカッと微笑むのだった……。

 

 これには村長とイサラも目を真ん丸にして、口をあんぐりと開けたまま固まってしまった。

 

「「なんなんだ~~~~~!!!」」(そうですよね、そう思いますよね……。)

 

 そう叫んでいるうちに、ひとしきり話が終わったようで、白羅とシャガルマガラが村長やラミア達のいる場所まで歩いてきた。さっきとは全く違い、シャガルマガラの敵意が全く感じられず、むしろ嬉しそうに感じられるのは、気のせいだろうか。

村長とイサラは腰を抜かしたようで、その場に座り込んでいる。

やっと少し落ち着いた村長が白羅に話し掛けていた。

 

「どういう事か説明してもらおうかの!?」

 

ロープはほどかれ、その場からは動く気すらないようだ。

 

「ごめんなさいニャ。話そうとした矢先に村長が飛び出したニャ………。実はこのシャガルマガラも友達ニャ♪」

 

そうなのだ。白羅がニャん拳で、シャガルマガラに勝った事から、仲良くなっていたのだ。だが、そこは村長もイサラも知る由もない。二人ともガックリと首を横に振っていた。

 

「まったく、何て事じゃ。」

 

「だめ。あたしも整理つかない………。」

 

「すいません、直接確認出来るまでは、確信がなくて。」

 

ラミアも悪気はないと

白羅をフォローする。

 

「なるほどのう。まぁ、分からないでもないが……。」

 

「あたしが、必死になってたのって一体………。」

 

ガックリと項垂れているイサラに、驚いた事にシャガルマガラが自身の鱗を2枚!?差し出してきた。

 

「えっ……、これって………!?」

 

逆にイサラの方が驚いた。

 

「イサラさんとも、友達にニャりたいそうニャ♪おいらもそうニャが、証しにくれることがあるニャ♪でも、受け取るかどうかは、イサラさん次第ニャ♪」

 

「え……でも………。」

 

彼女は困惑してしまった。たった今まで、戦いをしていた相手に、友達になって欲しいと、鱗をくれると言うのだ。困惑するのも分かるきはするが。

 

「ふむ。イサラよ、このシャガルマガラは白羅君の友人であることが判明したと報告するがよい。そして、友達にもなったとな。」

 

「えっ、いいの!?」

 

「無論、クエストクリアにはならずじゃ。しかし、狂竜ウイルスをもつ古龍が、暴れるどころか友達になりたいじゃぞ。こんな奇跡的な事があるものか♪長生きするもんじゃわい♪♪」

 

「おじいちゃん………。」

 

「そうニャ♪逆に、シャガルマガラと一緒に腕を磨いて、イサラさんを馬鹿にした仲間を見返してやるといいニャ。」

 

白羅の後押しに納得したイサラは鱗を受け取る事にした。

 

「ありがとう。じゃあ、これからよろしく♪♪」

 

 シャガルマガラとイサラが握手する。村長もやれやれと、一安心するのだった。イサラは鱗を受け取ると、自分も何か……。と身の回りを探すと防具の中で首飾りをしているのに気づき、それを外してシャガルマガラに渡す。

 お返し物があるとは思わず、目を丸くしていたが喜んで受け取っていた。

 

「良かったニャ……♪これでシャガルマガラも寂しくないニャ♪♪」

 

「ほっほっほ。こんな孫じゃがよろしく頼むじゃ♪♪」

 

「ニャ!?た、頼むニャって……!?」

 

「モチロン、孫を嫁にもら……。」

 

「「ダメです!!」」

 

「じょ、冗談じゃ……。そんなに怒らなくてもいいじゃろうに……。」

 

 村長が珍しくいじけている。白羅と灯羅も顔を合わせて苦笑いしてしまった。

 

「白羅さん改めてイサラです。こんなおじいちゃんの孫ですが、よろしくです♪♪」

 

「ニャはは……こちらこそよろしくニャ♪♪」

 

 と、握手を交わす。また、1人仲間が出来た瞬間でもあった。

 

「よし!帰るぞい!」

 

「あ、あの……。」

 

「ニャ!?何ニャ!?」

 

「もう少しシャガルマガラと話がしたいのだけれど……。ダメかなぁ!?」

 

 イサラがシャガルマガラの顔を見つめている。白羅もそれに関しては気持ちが分かった。なので、ラルクに頼んで村長とラミア達を送ってもらうことにした。

 

「私たちは一緒に残ります!!」

 

 さすがにラミアと姫沙羅が反発する。だが白羅は首を横に振った。

 

「嬉しいニャが、おいらとイサラさんが残るニャ。今度は居なくなったりしないニャ。必ず戻るニャ。ダメニャか…………!?」

 

 今度はラミアと姫沙羅にウルルン目線で懇願する。チワワが可愛いようにこの顔の白羅にも勝てる気がしない♪♪ 1人と1匹は照れてほっぺを赤く膨らませて応える。

 

「わ、分かりました!もうっ!ズルいその顔!!」

 

「そ、そうニャ!その母性本能をくすぐるのは、凶器ニャ!」

 

「ゴメンニャ……。でもありがとうニャ♪♪」

 

 そう言うと更に照れてそっぽを向いてしまった。

 

「じゃが、帰りはどうするんじゃ!?」

 

 村長が心配になって白羅に問いかける。

 

「大丈夫ニャ。シャガルマガラが送ってくれると言ってるニャ♪♪」

 

「な、なんと!!わ、わしも乗ってみたい……。」

 

「「「ダメです!!!」」」

 

 再度、突っ込みを浴びせられる村長だった。

 

「いいのう。わしも乗りたかったのう……ブツブツブツ。」

 

「おじいちゃん、今度乗せてもらえるように頼んでみるから♪♪」

 

「ひょほっ!!本当かの!約束じゃぞイサラよ!では、帰るとするかの♪♪」

 

 あまりの豹変ぶりに、一同コケてしまった。そして、ラルクの背に乗った村長とラミア達を見送ると、1匹と1頭と1人になる。禁足地の中央付近でお互いにゆっくりと腰を降ろす。

 

「ニャにか聞きたい事があれば、聞いてみるニャ。話が出来るニャから。」

 

さらっと言う白羅の言葉にまたまたイサラが目を丸くした。

 

「ええっ!!言葉が通じるんですか!?」

 

………まぁ、貴重な存在と言うべきか……。改めて驚かれたので、白羅も照れてしまう。

 

「ニャァ、そうニャね。白龍と再会出来たからかニャ♪」

 

と、さりげなく今度は爆弾発言である。

 

「えええっ!!!は、はく、白龍って………ミラルーツ!?」

 

白羅が頷き返すと、イサラは卒倒しそうになった。

 

「ニャ、ニャ、大丈夫ニャか!?」

 

慌てて白羅もイサラを支えるが、額に手をあてて混乱している。

 

「凄い人………いや、猫さんですね。ミラルーツとですら知り合いなんて、凄すぎてついていけなさそう………。」

 

「ニャ、ニャはは、大丈夫ニャよ♪おいらはそんなに偉くないしニャ♪」

 

『礼を言ってもらってもいいか!?』

 

不意にシャガルマガラが声を掛けてきた。

 

「ニャ!?ごめんニャ。話してみるニャ。」

 

シャガルマガラがお礼を言っているとイサラに説明した。イサラは首を横に振って、シャガルマガラに返事をする。

 

「ううん、貴重な鱗をくれたんだから、おあいこだよ♪」

 

白羅はその言葉をシャガルマガラに伝えた。

お互いにしばらく照れていた。そんなやりとりが続いた……。

 

「そろそろ戻ろうかニャ!?」

 

「そうですね♪」

 

『うむ。送ろう♪』

 

1匹と1人はシャガルマガラの背に乗せてもらい、一度禁足地を離れ、ユクモ村へ向かう。その間も、白羅を通して会話を楽しんでいた。そしてユクモ村の広場内に降り立つ。

 

「おかえりなさい♪」

 

「おかえりニャ♪」

 

「ただいまニャ♪」

 

イサラが名残惜しそうにしている。だが、会えない訳ではない。シャガルマガラもイサラの気持ちは分かっていた。静かに頷くと、イサラも納得したようで、

 

「また、会いに行くね♪」

 

『また会おう、待っている♪』

 

白羅を通してそう言うと、シャガルマガラが飛び立って行く………イサラも、ラミア達も手を振って見送るのだった……………………。

 

 




 読了ありがとうございます。 ココット村の村長、こんなにお茶目だったかな!?
 次話も頑張りますのでお楽しみに♪♪
 では、次話にてお会いできることを切に願って……♪  紅龍騎神でした……♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪事件です!!①♪♪♪

あーあー、こちらは飛竜とアイルーと。でございます♪10日ちょっとぶりでございますが、物語を進めさせていただきます♪ダメと言われても、進みますのでご容赦を♪
ささ、早速本編を読んでやってくださいな。後程後書きにて。では、物語の始まり始まり………♪♪




相変わらずいい湯気の上がる温泉のユクモ村。一層の活気と、一層の賑わいが、人々を惹き付ける。まして、白羅達のいるモンスター広場は、更に賑わっていて、研究者達は勿論、一般人からも人気者で、子供たちとも戯れることもしばしば。

すっかり村になじんでいて、人気者でもあった。子供たちと遊ぶのも広場内ではあるが、白羅達の家の傍に限定で奥はモンスター達の住みかであったり、プライベートなところもあるので、奥は立ち入り禁止としていた。その代わり、子供好きなモンスター達なので、家の傍に来て、背中に乗せたり、鼻でブランコしたり、薪割りを披露したり!?と大にぎわい♪♪

ちゃっかりしっかりしているのは、商店街。モンスターグッズが飛ぶように売れていて、眼鏡美人のファルマさんまで便乗するしまつ。温泉もそのお陰で、入浴客倍増♪番頭アイルーは扇子を持って踊りっぱなし!?

村は潤いまくっていた。と言っても白羅達を探すクエストや大宴会(これは白羅も資金を出してはいるが……。)に費やした分もあるので、一概には言える事ではないが……。

 

 すっかり、村の人々やハンター達、龍暦院の研究者たち、勿論モンスター達もみんな仲良くなって、制限は勿論している部分もあるが、柵の傍でモンスター達を観察させたりと生態調査には協力していた。

それこそ、研究員たちは我こそはと必死にメモを取り合っている。普通であれば、遠巻きに観察するか、捕獲後に調べるか……。それも、寝ているかもしくは、討伐後で解体された後になるので、直接目の前でしかも動いている状態を観察できるなどほぼほぼ無いに等しい。新大陸では気付かれないための衣があるようだが、こちらでそこまでは用意されてはいない。

 なので、大変貴重と言える。まして、二つ名や希少種、古龍やキリンまで、よくぞ揃ったという所か……。

 

その中を、疲れを癒しに来ているもの達が……。

「ぷニャァ……♪久々の温泉ニャ~~~♪気持ちがいいニャ~~~♪」

 

クエストは一時お休みにして、昼間っから……ではあるが、みんなで温泉に入りに来ていた。

 

「ニャァ……♪ほんとニャ~~~♪久々ニャ~~~♪」

 

「そうだね~~♪昼間っからゆっくり入れるなんていい気持ち~~~♪♪」

 

「ニャ!?!?ニャんで一緒に入ってるニャ~~~!!」

 

白羅は慌てて、ザブンと湯船に潜ってしまう。しか~~し♪♪、潜ったのは失敗、逆効果だ♪

タオルを巻いているとはいえ、目の前にはラミアさんの綺麗で色っぽい生足が♪♪♪…………。

しばらくすると、気絶した白羅君が背中を上に向けて、プカ~~~っと浮いてきた………♪

 

「え、ちょっ、白羅さん!?」

 

「ニャ!?ニャにやってるニャ!?」

 

1人と1匹は慌てて白羅を抱き起こす。完全に真っ赤な顔で気絶している♪

 

「あ~~、何やってるんですか!?私も混ぜてくださいよ♪」

 

な、なんと!イサラさん!?村長(ココット村の♪)はイサラを残し、村へと戻っていた。イサラもタオルを巻いて湯船に浸かっている。

 

「え、イサラさん何で!?」

 

「え~と……実は………。」

 

話を聞いてみるとこう言うことだ。白羅達の傍について、修業すること。ついでに白羅君をモノに出来れば、上出来だ♪と村長が言い残して戻って行ったのだそうだ。

 

「村長、転んでもタダでは起きない人ね。」

 

「そうニャね………、何を考えてるか分からニャいわ。」

 

と二人で話し合っているうちに、イサラが白羅を抱き抱えている。

目を覚ました白羅がいないはずの人物が視界に。

 

「ニャ!?イサラさんニャ!?どうしてここにいるニャ!?」

 

「一緒に暮らすようにっておじいちゃんが ………。」

 

照れながらも、ニコッと微笑んで白羅を見つめる♪白羅も思わず照れてしどろもどろになり、目を右往左往すると、目の前にインパクトが!!

ピュ~~~~!!!鼻血噴火~~~~!!!ガクッ………………。

 

「え、あ、えっ!白、白羅さん!?」

 

「ニャ~~~!こらっ!何やってるニャ!!」

 

「い、いや、何も………!?」

 

「白羅さん!?大丈夫!?ねぇ!?」

 

白羅も完全にノックアウトであった………♪♪

さすがに前日は大騒ぎであったので2人と3匹がゆっくりと自宅の猫飯屋で夕食をとり、ラミアと姫沙羅が白羅と一緒に部屋に強引に………。イサラまでも負けじとついていく事に。案の定他の3人の美女達も駆け込み、子熊も、姫沙羅にくっついて!?

 

「ニャ、ニャんでこうなるニャ…………。」

 

とやっぱり気絶する白羅なのであった。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

その日の夜…………。

月明かりと星が輝き増す頃、足音を立てずに移動する黒い影が………。

その影は、誰に気付かれる事なく、ユクモ村の中を通り抜け、広場へと向かう。柵の側で寝泊まりしている研究員達にすら気付かれる事なく、広場へと侵入する。あろうことか、白羅達の家の1階、即ちラルクやファギル、焔羅が寝泊まりしている出入口から侵入してきた。

音を立てずに移動するその影は、何個ものある球を取り出す。そして、ラルクとファギルと焔羅に向けて4~5個を顔の前に投げつけて破裂させる!!それに気が付いた2頭だったが、破裂したガスを吸い込んでしまい、ガクリと崩れ堕ち、寝てしまう!焔羅も同じであった。

影は、眠ったのを確認すると自身より大きな麻袋を取りだし、焔羅をその袋に入れ込んでいく!?

と、その時、2階から階段を降りてくる物が……。影は、緊張しつつも階段下の脇に隠れる。

 

「グァァ………。」

 

降りてきたのは、アオアシラの子供。欠伸をしながら外で用を足そうと降りて来たのだ。だがさすがに異様な臭いには気付いた。

 

「グァ………フグッ!?」

 

何者かに後ろから口を開けないように押さえ付けられた!逃れようと、必至に体を動かすが、離れる事が出来ない!そのうちに、ガスが充満して子熊を包み込み、子熊は力を失いその場に崩れ堕ちた。

影は、もう1つの麻袋を取りだしその麻袋の中に入れてしまう。

2匹の小型のモンスターの入った麻袋を担ぎ、引きずりながらも、なるべく音を立てずに出入口から出ていく。

 出てすぐの所に大きな影が……。月明かりにうっすらと白い体躯が、低い姿勢で浮かび上がるが、気配を消しているため、他のモンスターも気付かない。麻袋を担いで出て来た影は、大きな白き影に2つの麻袋を咥えさせ、その背中に飛び乗る。 それを確認すると、一瞬にして上昇し空へと消えていった……。

 ……………そして朝を迎えた………………。

 

「ニャ!?ニャ~~~~!!!」

 

 家中に目覚まし時計代わりの様に響き渡る姫沙羅の悲鳴!全員が当然飛び起きる!!

 トイレに行ったはずの姫沙羅が血相を変えて白羅の扉を思い切り開く!

 そこにはベッドの上で白羅を中心にみんな寄り添うように添い寝していた♪♪

 

「なにやってるニャ~~~!!」

 

「コッコホッ。これはその……。」

 

「い、いやですわ。冗談ですわ、冗談♪♪」

 

「全く冗談に見えないニャ……。」

 

「い~~じゃないですか~~。減るもんじゃないし~~♪♪」

 

「「「「減るわっ!!!」」」

 

「で、でも、どうしたニャ!?大声ニャンて!?」

 

 白羅に言われてハッとする姫沙羅。急に真顔になって白羅を見た。

 

「大変ニャ!子熊が居ないニャ!」

 

「ニャ!?おしっこじゃニャいニャか!?」

 

「ガアァァ………!!」(大変だ~~~!!)

 

 こちらも家中に響く咆哮。全員慌てて1階に駆け降りる!

 

「ニャ!?何があったニャ!!」

 

(焔羅が拐われた!!!)

 

「ニャ!ニャに~~~!!」

 

「ど、どうしたの!?なんて言ってるの!?」

 

「焔羅が拐われたそうニャ……。」

 

ショックのまま、白羅は焔羅が寝ていたはずの寝床の方を見ている。

 

「「「「「えぇぇぇっ…………!!!!!!」」」」」」

 

「ま、まさか子熊もニャか………。」

 

「で、でも、何の為ですの!?」

 

村長さんもそこは疑問だった。

 

「少し眠り薬の匂いがするね。」

 

「確かに。これは計画的ね……。」

 

(ごめん。僕もファギルも気付いた時には、ガスが充満していて、起きていられなかった………。)

 

「そうニャったニャ……。ニャ、ラルク達のせいじゃないニャ。」

 

「そうよね。これは焔羅ちゃんを狙って、子熊ちゃんに見つかりそうになって、一緒に拉致したようね……。」

 

珍しくファルマさんが眼鏡をクイッと持ち上げて推理し出した。

 

「ニャァ…子熊は大丈夫ニャか~~!?」

 

姫沙羅が子熊が心配でファルマに言い寄る。

 

「えぇ。目的はまだ分からないけど、すぐに殺される事は無いと思うわ。」

 

「どういう事!?」

 

イサラも真剣に耳を傾ける。

 

「だって、拐ったのは子熊と少し成長した焔羅ちゃんよ。素材が欲しいならもっと成長してからの方が良いと思うし、研究材料にするなら生かしておく必要がある。少なくとも暫くは無事だと思うわ。」

 

「じゃあ、目的は何!?」

 

「今の所は不明ね。でも探し出す猶予はあるわね。」

 

「そうニャ。でも手がかりがニャいニャ………。」

 

そこで全員悩んでしまう………。

 

「だけどここで悩んでいても始まらないわ。みんなで手分けして訊いて回りましょう。」

 

その問い掛けに全員頷いた。

 

「では、情報は私のところに。まとめて皆さんにお知らせしますわ。」

 

村長さんが司令塔役をかって出てくれた。

 

「ありがとうニャ♪今度一緒に食事を約束するニャ♪♪」

 

「まぁ!♪♪」

 

両手で頬を押さえて照れる村長さん♪久々の御約束で、メチャクチャ上機嫌だ。

 

「じゃ、じゃあ、あたしは………。」

 

そう、途中までラミアが言いかけた時、勢いよく扉を開けて飛び込んできたラザックがいた。

 

「びゃ!白羅さん!大変だ!!」

 

いつも以上の慌てぶりに、全員が驚いた。

 

「ニャ!?一体どうしたニャ!?」

 

白羅も何事かと聞き返す。周りもラザックに注目する。

 

「お、表に、領主のところの衛兵隊が!!」

 

「ニャ、ニャんと!!」

 

「どういう事ですの!?」

 

村長が事の次第を訪ねていた。

 

「領主命令で、この広場は没収すると言い出したらしい!」

 

「「「「「「「なにぃ~~~~!!!!!!!」」」」」」」

 

次々に事が起こるので、全員驚きと動揺を隠す事が出来なかった………………。

 

 

 

 

 

 




読了お疲れ様でございます♪事件はいつも突然に……。と言うことでございまして、一体白羅達はどうなるのか……!?焔羅と子熊は何処に!?次話に続きますのでお楽しみに♪ではまた、次話にてお会いできる事を切に願って………♪紅龍騎神でした………♪




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪事件です!!②♪♪♪

こ~~~し~~~んしました………………。読んでやってくださいな……………。
では、物語の始まり始まり………♪



此処は何処でしょう………。い、いや、失礼しました。

ここは薄暗い、岩壁に囲まれた、光の差し込みがない、広さでいけば20×20mぐらいの広さがある部屋のような造りで、岩壁に4ヶ所蝋燭が灯っていた。1ヶ所だけ地上にでも出れるのだろうか、鉄格子の扉があり外には2人の衛兵が居た……。

 

その部屋の半分を5等分に分けた鉄格子が一層その場の雰囲気を不気味に醸し出していた。その真ん中の檻と、すぐとなりの檻に者と物が居た………。

真ん中の檻には、両手、両足を鎖で繋がれ、膝を着いた状態で両手の鎖は後ろ斜め上から出ていて、力なくぶらさがっている人物がいた。ボロボロの服に、髪は乱れて下がり、顔は力なく下を向いたままであった。

その隣の檻には、先日かどうかも分からなくなっていたが、2匹のモンスターが入れられ、2匹とも鎖に繋がれている。

眠らされて、意識を失っていた2匹だったが、その内の1匹がゆっくりと目を覚ました!可愛い子熊の方である。テディベアではありません。アオアシラの子供です。

しかし、周りを見回すと薄暗い岩壁に囲まれた大きな場所に格子の部屋があり、そのそれぞれの格子の出入り口は鍵もかけられ、自由にはならない。

しかも、足首全部に鎖が繋がれ、格子の傍に行くことすら叶わない状態だ。すぐ傍に寝かされている焔羅も同じく鎖で繋がれていた。1匹だけじゃ限界がある。鎖ぐらい!?………、と噛みついて鎖を噛み切ろうとするも当然砕けるような軟な鎖ではない。

鎖がちぎれないと分かると、諦めてその場に座り込んでしまった。そして、とりあえずは焔羅を起こそう!そう考えて前足で焔羅を揺り動かす。

するとのんきに欠伸をしながら背伸びをし、ゆっくりと目を開けた……。

 

「!?!?!?!?!?」

 

 驚いて慌てて身体を起こす!やっと状況を理解したようだ。自身の寝床ではない事とジャラっと鎖が繋がれている事に気付く。何故ここに居るのか自問自答する。だが、どう考えても急に別の場所に居るのだから、分かるはずもなく………。

 

それで、皆やる事は同じで。まずはその鎖がちぎれないかと噛みついたり、引っ張ったり、引っ掻いたり色々試す。そして、いま考えられる事をやって無駄だと分かると、こちらもやはり座り込んでしまった。とりあえずは傍に子熊が居て、元気そうなのは安心してホッとしていた。

 痛めつけられたとか、傷を負わされていたとかあったなら焔羅は迷わずにキレていただろう。1人ぽっちじゃない事がせめてもの救いだろうか……。何とか一緒に脱出しなければ……。何か方法はと考えつつ、子熊に寄り添いながら周りを見渡した。

すると、隣は一列の金属の格子で区切られているだけで隣に人らしき者が鎖に繋がれ、うつ向いているのが見えた。気を失っているのかと思ったが、起きてはいるようだ。ただ、うつ向いたままで、動こうとはしない。何時からここにいるのか焔羅達には想像もつかない事だった。

焔羅は更に周りを見回す。薄暗い中に蝋燭の明かりがゆらゆらと揺らめいて、この場所の内部を照らす。格子に囲まれた区切られた部屋が5つ………。焔羅達も牢屋に閉じ込められているのだと言う事が改めて分かった事だった。

しかも、牢から出られたとしても外に出る為にはその部屋の扉が1ヶ所だけ………。更には外側に衛兵までが二人いる。でもそこからでなければ外に出ることは叶わない。まして、出れたとして無事に白羅達の元に辿り着けるかどうかも分からないのだ。

一筋縄ではいかなそうだと理解した。しかし、諦める訳にはいかない。何としてもここを出て、白羅の元に帰るんだと誓う。そしておもむろにふと隣の牢にいる人間に目を向けていた。先客のようで、焔羅も死んでは居ないと子熊と同じように確認しているものの、どう話し掛けたらいいものかとなやんでしまう。白羅ならば、言葉を理解してくれただろうが………。

体型や姿から男性のようではあった。そして、まずは行動しようと考え、動こうとしたその時その男性からとんでもない言葉を耳にする。

 

「白………羅…………。」

 

「「!?!?!?」」

 

流石に今度は2匹で驚く!びゃ、白羅と言ったか!?2匹は顔を見合わせ驚きを隠せないまま、改めてその男性を見た。

 

「白………羅………。」

 

今度は間違いは無かった。2匹とも白羅と聞いたのだ。だが、何故白羅の事を知っているのか………。

2匹は頷きあって、その男に話し掛けようと試みる。

 

「ガァ、ガ、グァグゴ!?」

 

「グァ、グァ、グァグ、グゴグゴ!?」

 

が、話し掛けてみるも、反応がない。もう一度と2匹が話し掛けようとしたとき、不意に男が何年ぶりだろうか、顔を上げてきたのだった!そして焔羅達の方に振り向いたのだ!

 

「おぉ!何年ぶりだろうか、ここに客が来るのは。しかも、小さな可愛い2匹のモンスターとはな。」

 

その男は憔悴しきった顔でニコッと微笑んだ。

2匹はどうやったら気持ちが伝わるのか悩んだ。お互いに言葉が通じないだけに、気付いてもらうにはどうしたら……………。

ただ咆哮を上げただけでは、理解してもらえない。なら、どうしたら………。焔羅は突然にゆっくりと目を閉じる………。そして、思いの丈をその男性に向けて念を送ってみた!……………。

 

「おぉ!今のはそなたか!?心で話が出来ると言うのか!?これは凄い。」

 

通じた!?焔羅が送った念が男性に届いたのである!再度確認の為に念を改めて送ってみた。

 

「おぉ!焔羅と言うのか、良い名前だ。こうして話が出来るとは思わんかったぞ。私は雅盛だ。」

 

その名前………と気にはなったが、思い出す事が出来なかった。

まずは何故白羅の事を知っているのか聞いてみることにした。すると逆に、雅盛の方が驚いて聞き返してきた。

 

「な、なんと!?白羅の事を知っているのか!?」

 

今までにないほどに驚いていた。焔羅は一緒に暮らしていること、仲間のモンスター達がいること、みんな白羅を慕っていること等を話した。雅盛は目を瞑りながら少し上を向いて、聞き入っていた………。

 

「そうか………。あやつらしいな。白龍との戦いでもそうだったしな。」

 

その白龍とも友人になっていると付け加えた。当然雅盛も驚いていた。

 

「ほう!白龍もか!?暫く見ないうちに凄いじゃないか。私は追い越されそうだな♪しかし懐かしい……。会いたいなぁ………。」

 

どうやら思いに耽っているようだ。焔羅は何故ここに!?と聞いてみることにした。

すると、ちょっと前まで優しい顔つきだった雅盛の顔が険しい表情に変わる。

 

「私は、かつての仲間に裏切られ、ここに捕らわれてしまった。奴が許せない事と、白羅やアイラに申し訳ない事で、落ち込んでもいた。絶望感で、何もする気が起きず、ここで不甲斐ない自分をずっと責めていた………。」

 

焔羅は雅盛は悪くないと、念を送った。するとにっこりと焔羅に微笑んでくれた。

 

「そうか………。こういう心を持っているモンスターも居ることをアイツは分かってたんだな。白羅に会いたいな、アイラにも………。」

 

そう言うと寂しげな表情になる。焔羅は一緒にここから出ようと話し掛けた。

 

「はは………。お誘いは嬉しいが………。どうやってここを出る?まずはこの鎖をどうにかしなければならんし、格子の扉の鍵もある。更にこの部屋から出るための扉はあそこだけだ。出ても外には衛兵が二人番をしている。簡単には抜け出せんぞ。」

と、苦笑いしながら焔羅に話してきた。焔羅も、それで状況は大体把握したが、あとはどうやって抜け出すか、を考えていた。

と、突然アイデアを思い付く!それを雅盛にも伝える。雅盛は目を丸くして驚いたが、暫く考え込んで、頷いて返事を返してきた。

 

「ならば、そのアオアシラの子供を逃がそう。そして白羅達に応援を頼むんだ。」

 

 焔羅と雅盛は顔を見合わせて頷く。焔羅は子熊にその事を伝え、白羅の元に行って欲しいと話した。子熊も心配になったが、大丈夫と慰めて白羅達と一緒に僕達を助けに来て欲しいと伝えると、子熊も覚悟を決めたようだ。

 真面目な顔で頷いて甘えるのだった……。

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 

ここはその焔羅達のいる牢屋のずっと上の階地上3階建ての大きな屋敷である。1階はロビーに玄関があり、2階に食堂やキッチン、脱衣場に御風呂、くつろぎスペース等々生活に必要な品物が用意されていた。

3階は家主の寝室やリビングがあり、別に客室も用意されている。執事やメイド達の部屋もあり、住み込みで働いている。

 

 その家主の執務室にその男は居た……。後ろに手を組み、仁王立ちで窓の外を眺めている……。

髭を生やし、肩までぐらいに伸ばしたストレートヘアで体格があり、高級な紳士服を着た男………。

 

「お呼びですニャか、バルド様…………。」

 

ナルガネコメイル一式を装備し、ナルガネコ手裏剣を背中に装備したオトモが足音も立てず、忽然と姿を現す。

 

「ミリザか………。首尾は………。」

 

その男は窓の外を見たまま、動じる事なくそのオトモに問いかけた。

 

「はいニャ。アオアシラの子供は想定外でしたニャが、無事に2匹のモンスターも牢に入れ、 鎖で繋がれていますニャ。順調ですニャ。」

 

「フム、そうか…、引き続き抜かりないようにな。」

 

「分かりましたニャ。お任せ下さいニャ。」

そう言うと一瞬で姿を消していた。

 

「ククッ……。あやつの命運もこれ迄かな………。」

 

ひとり含み笑いをしながら外を眺めつつ、何かを企んでいるようであった………。

が、世の中そう簡単に事が運ぶとは限らない。

地下の牢屋内では、焔羅達の計画も地道に進んでいた。

まずは子熊を脱出させるため、焔羅が子熊の鎖を噛み砕こうと必死になっている。簡単に砕けるような鎖ではないのだが、焔羅は諦めずに噛みついていた。何とか3本は繋がれている側の根元で砕いた。後り1本………。

だがかなりの負荷が牙にかかり、痛みと疲れが焔羅の気持ちを鈍らせる。

子熊も心配そうに甘えた声で焔羅を見ている。

その声で焔羅は気持ちを奮い立たせる!

゛バキンッ!………゛残りの鎖1本を噛み砕いた!゛コンッ!…コンッ!…コロコロコロ………。゛!?!?!?

地面に何かが音を立てて落ちた………。子熊も、つられてその方を見る。白い尖ったしかも血の付いた、牙が1本落ちていた………。

子熊も驚いて、焔羅を見る!しかし、焔羅は気丈に口を閉じたまま、微笑んでいた。口元から血を滲ませながら………。

 

「天晴れだ!そなたの心意気、しかと見せてもらった!この雅盛、その気持ちに応えようぞ!」

 

その姿に感動し、雅盛は自分の番だと下を向いて、苦しみ出した!

 

「ぐ……ぐぇぇ……!く、苦しい!助けてくれ!!!」

 

なんと胃から戻して吐き出し、苦しい表情で迫真の演技をして見せたのだ!無理に吐いているので少し血も混ざっている。

 

「どうした!」

 

番をしている衛兵のひとりが中へと入ってきた。

 

「く、く、く、苦しい!助けてくれ!頼む!!」

 

雅盛は苦しんでいる振りをしながら大声で叫んでいた。

 

「一体どうした!?」

 

衛兵が、格子の扉の鍵を開け、中に入り雅盛の様子を伺う。確かに地面には吐いた物が拡がっていて、ただ事ではないようだと判断した時だった………。

 

「グギャギャ!ガァ!!」

 

今度は焔羅が、苦しい声を上げて倒れてもがき出す!

 

「な、なんだ!!」

 

雅盛を介抱しようとしていた衛兵が、驚いて隣の牢を見た。

 

「どうした!一体何があった!?」

 

「すまん!そこのモンスターを見てやってくれ!この男が苦しみ出したと思ったら、そこのモンスターまで苦しみ出したんだ!」

 

「分かった!モンスターの方だな!?」

 

「あぁ、そうだ!」

 

もう一人の衛兵も格子の扉の鍵を開けて中へと進む。

 

「ほら、そっちに離れてろ!」

 

衛兵が子熊を焔羅から離す。心配そうに少し離れた位置に移動する。衛兵は気をつけつつ焔羅に近寄る。衛兵二人は、雅盛と焔羅に集中し、扉を全開にしている事を忘れていた。

苦しんだ振りをしながらも、焔羅は目で合図を送っていた。子熊も頷き返し、衛兵に気付かれないように足音を消し、気配も消して、格子の外へ………。

それから地下室の扉へ………。廊下に顔を出すと、他に人間が居ないことが分かると、そのまま静かに姿を消していた………。

 

「これはそれぞれ医者を呼ぶ必要がありそうだな。」

 

「ウム。そうしたほうが良いだろうな。おい、もう少し待っていろ。医者を呼んできてやる!」

 

衛兵同士が頷きあうと、格子の外へと出て鍵をかけようとしたその時だった。

「ん!?待て!アオアシラの子熊が居ないぞ!!」

 

「なんだって!」

 

もう一人の衛兵もよく見ると、鎖だけが虚しく取り残されている。部屋の中を見渡しても、その姿がない!

 

「しまった!逃げられたぞ!」

 

「なんて奴だ!鎖を断ち切ったのか!?」

 

「いずれにせよ、領主様に報告せねば!お前は医者を頼む!俺は領主様に報告する!」

 

「分かった!!」

 

二人の衛兵は慌てて牢屋から出て、鍵をかけ、それぞれ走り去って行った………。

それを見届けた1人と1匹は演技を止め、お互いに顔を見合わせて、ニヤッと微笑んだ。

1人と1匹は改めて扉の方を見つめる。

 

「無事に白羅のところにたどり着いてくれよ………。」

 

それぞれが切に切にそう願うのだった……………。

 

 

 

 

 

 

 




読了ありがとうございます……………。
子熊が無事に、白羅に会う事が出来るのか!?
次話にてお会い出来ることを切に願って………♪ 紅龍騎神でした………♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪事件です!!③♪♪♪

 ど~~~も~~~………………。さりげなく更新しま~~~~す。
 いつも高評価やお気に入り、読んでくれている方々には感謝しておりま~~す♪♪♪
 早速、本編を読んでやってくださいまし~~~♪♪後ほど後書きにて~~~。
 では、物語の始まり始まり……………♪♪




ここは……!?ジャングル!?密林!?熱帯雨林!?ここどこ!?!?!?

迷う……よね………、こんなジャングルの中………。しかも、夜ですよ。月明かりが、足元を所々照らしてくれるものの、先の方は闇………。いかなるモンスターが出てもおかしくはない。そんな道なき道を、匂いと感でユクモ村へと向かって歩いて行く小柄なモンスターが1匹………。

アオアシラの子供である。彼は焔羅と雅盛に助けられつつ、領主の屋敷から何とか抜け出し、真っ暗夜道を……といっても道はないのだが、茂みの中を必死に歩いて行く………。追っ手に捕まらないために……、白羅の元にたどり着く為に………。託された思いを胸に……。

その事だけで、前脚、後脚を必死に動かしていた。頼みとなるのは自分の感だけ……。追手に気付かれるまで少しでも遠くに離れたい……、その一心だった……。

 だが、所々に差す月明かりだけが頼りでスムーズに進むことが出来ずにいた。大きな音を立てるわけにもいかない……、かと言ってなるべく遠くに離れたい……。緊張と焦りが子熊を可哀そうなほど追い詰めていく……。

 事実、この時子熊はまだ気づいていなかったが、間違いなく追手が迫って来ていた……。

 

「お、おやかた様大変です!」

 

「どうした!?騒々しい!」

 

領主であるバルドの自室に、いきなりドアを開けて入ってくる者がいた!

 

「も、申し訳ありません!地下牢に捕らえていた子熊が脱走しました!」

 

「なんと!他の者は!?」

 

「はっ!今のところその子熊1匹かと!」

 

「そうか……、分かった。追っ手は何とかする。お前は引き続き、他の者達を監視しろ。これ以上の失態は許さんぞ!」

 

「はっ!全力を持って!!」

 

と衛兵は扉を閉めて、早足で持ち場へと戻るのだった。

 

「ミリザは居るか!?」

 

「はいニャ、ここに……。」

 

自然と音もなく、バルドの傍に姿を現わすオトモ。見事なまでに気配を消し、部屋の何処に隠れていたか分からぬ程、隠密に長けている。

 

「今のは聴いていたな。すぐに連れ戻すのだ。抵抗するならば構わん、その場で討伐しろ。」

 

「はいですニャ。お任せ下さいニャ。」

 

静かに姿が暗闇に消えて行く。

 

「俺の計画の邪魔はさせん。必ず手に入れてやるぞ………。」

 

一人呟きながら月夜の空を窓から眺める領主バルドであった………。

 

月の明かりが、地上を照らし、森の木々が地面の光を遮る中、1匹と1頭が気配をかぎ分けながら森の中を進んでいた。

 

 体毛は白と黒の縞模様で4本の四肢、前脚に翼があり、とげとげしい尻尾がある。顔は猫似で見方を変えれば可愛らしいが、攻撃や素早さ、隠密性は侮れない……。迅竜≪白疾風≫とも呼ばれるナルガクルガが匂いと気配を探りながらじわじわと追いつこうとしていた。

 その背中に一匹の武装したアイルーが乗っていた。

 ナルガネコメイル装備とナルガネコ手裏剣を装備したオトモアイルー”ミリザ”である。

  

「どうニャ!?≪リネル≫分かるニャか!?」

 

 匂いを嗅ぎながら進んでいる≪リネル≫と呼ぶナルガに声をかける。すると、不意に顔を上げ小走りに歩き出した。どうやら子熊の気配を察したようだ。

 ミリザも背中に捕まりながら、その行く手の先の方を凝視していく……。姿を見つけ次第、取り押さえる気が満々であった。が、一つ気がかりもあった……。

 

「一体どうやって逃げ出したニャ!?……。」

 

あの簡単には千切る事が出来ない鎖を断ち切ったなどと、誰が予想しえただろうか。まして親ならともかく、相手は子熊だ。 

徐々に子熊の気配に近づいて行く。だが、子熊もアオアシラの子。獣の気配や匂いを探知出来ぬ訳ではない。まして大型モンスターの気配だ。いくら隠密とはいえ、同じモンスター。そして子熊も神経のアンテナを張り巡らせながら進んでいる。

 

後ろからの追っ手に気付き、走り出そうとしたその時だった!

何者かが、子熊を後ろから捕まえ、茂みの中へと引き込んだのだ!

 

「フグッ!?」

 

口を抑えられ、声を挙げる事が出来ない!

 

(しっ!静かにするのじゃ!)

 

耳元でそう囁かれて、子熊も慌てて声を挙げるのを止める!

 

(姫様!来ました!)

 

驚いた事に、もう一人居る!しかも二人とも女性のハンターのようだ。子熊も観念して、その二人に従い気配を殺しながら様子を見ることにした。

案の定、オトモとナルガがほんの5、6メートル先にやってきた。子熊も息を飲んだ!緊張が、子熊にもハンターにも走った。嫌な脂汗も滲んでくる。必死に気付かれまいと、動きを止める。

 

「チッ、ここで匂いと気配が消えたニャ。気付かれたかニャ!?まあいいニャ。空から追うニャよ!!」

 

 そう促すと、《リネル》と呼ばれるナルガクルガが頷いて真上にジャンピング急上昇し、飛翔して離れていった……。暫く、気配が遠のくのを確認するとようやく子熊を地面に降ろし開放した。

 

「すまんのう。ああするしか方法がなかったのじゃ。許しておくれ♪」

 

 と苦笑いしながら子熊に微笑んだ。普通ならば、そのまま捕獲しどこかに連れ去られるか売り捌かれるところだろうが、彼女達は違っていた。

 

 1人は黒髪のストレートヘアで、和の国の武装のような武具をつけた”桐花・真”で、太刀”叛逆刃ジールレギオン”を背中に背負っていた。

 もう1人は忍装束のような武具をつけた”忍・極天”で、双剣”対剣ヴォルトトス”を背負っていた。

 

「姫様!?今の者たちは、この子熊を狙っていたようですが……。訳アリの様ですね。」

 

 もう一人の女性ハンターが子熊を降ろした”桐花”の女性ハンターに話しかける。

 

「うむ。その様じゃな。しかも、親熊も居ない。意味ありげじゃの。」

 

「グァ!!」

 

 子熊が一声礼を言うと、また歩き出した。枝や葉っぱをかき分けながら進んで行く。

 

「ちょっと待つのじゃ!?」

 

 突然、声をかけられ、驚いて振り向く。

 

「姫様、この子熊、どうやらこの方向からするとユクモ村に向かっているようですが!?」

 

「お主、ユクモ村に行きたいのか!?」

 

 なんだろうか、話など出来うるはずもない者が声をかけて来る。

しかも、ここで初めて会ったばかりだと言うのに心配してくれているのだ。

だが、子熊も直感的に悪い人間ではないと判断した。なので素直に頷いて見せた。

 

「おお!話が分かるんじゃな!?人慣れしているアオアシラの子なぞ、そういるものではないぞよ。亜夕羅≪あゆら≫よ。この子熊と共にユクモ村へ行きたいがどうじゃ!?」

 

「沙夜姫≪さよひめ≫様、私も同感です。ここで子熊を放置していくのは、忍びないかと。まして、先程の追っ手は、特にナルガクルガに乗っていたアイルーは、かなりの手練れかと。一緒に同行していく方がお互いに利があると思われます。」

 

「そのようじゃな。なら決まりじゃ。お主と一緒に行こうと思うがいいかの!?」

 

 子熊は驚いた。こんなに親切な人間に会うのは姫沙羅や白羅達以来の事。寂しさと不安が少し和らいだ気がした。頷いて一緒に行く事にする。

 

「よし、ならば、先の奴らを警戒しつつ、ユクモ村に向かおうぞ♪」

 

 木々や枝葉をかき分けつつ、2人と1匹はユクモ村へと進むのだった……。これが後に白羅達とも深い関りがある出会いとなる…………。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 

いつもは明るい太陽に照らされ、陽気に活気のあるユクモ村………。が!突然の来訪者に戸惑いを隠せない。村の子供達も流石に家に隠れて様子を見ている。

龍暦院の研究員達、村の人々も、急な来訪者に戸惑うばかりだった。

 

白羅達は全員、家の外へと慌てて飛び出す!すると、20人程の衛兵隊が、広場の入り口に待ち構えていた。あまりに物々しいので、研究員達や、村の人達も警戒し、萎縮している。

 その、一番前に若干の武装が違う者が居た。どうやら、彼がその隊の隊長らしい。

 

「私はこの隊の隊長をしている者だ!白羅と申す者はおるか!?」

 

張りのあるハッキリと通る大きな声で、白羅達に向かって叫んできた!

 

「おいらがそうニャ!」

 

みんなのいる位置より1歩前に出る。

 

「領主様の命により、今よりこの広場はモンスター共々、領主様の管轄下に入る!従って貴殿達は立ち退き願いたい!」

 

「ニャ!?ニャんだって!?!?」

 

「は!?何それ!?」

 

「そんニャ話しは聞いてないニャ!?」

 

「当たり前ニャ!あってたまるかニャ!」

 

白羅を含め、ラミアに姫沙羅、灯羅も寝耳に水の話しだった。

 

「繰り返す!これは貴殿達に同意を求めている訳ではない!強制的に退去せよ!との、命令である!従って、抵抗する者有らば容赦はせん!」

 

「あまりにも横暴ニャ。」

 

「親の顔が見てみたいニャ。」

 

「「「そこか!?!?」」」

 

そんなツッコミをしつつ、困ってしまう。

だが、モンスター達は白羅を信用・信頼してこの広場にいる。

 その白羅達を退けばどうなるか……。白羅達にとっても、大切な仲間達だ。ハイそうですかと簡単に引き下がれる訳がない。

 白羅達はお互いに顔を見合わせて無言で頷く。そして決心したように衛兵隊の隊長に向き直る。

 

「申し訳ニャいが、お断りするニャ。」

 

「何!?」

 

 隊長の目つきが変わった。素直に従うものと上から目線でもあったので、反発されるとは思わなかったらしい。

 

「ニャら聞くニャが、おいら達が居なくなったら、広場にいるモンスター達は歯止めが利かなくなるニャ。そのモンスター達を全部止められるニャか!?」

 

 そうなのだ。LVUPしたり、進化したり、希少種であったりしているモンスター達だ。その団体が暴れ出したら……。想像もつかないほどの大惨事になるだろう。その覚悟を白羅は問うていた。

 

「ふんっ!その時は国中のG級のハンターを繰り出して止めてくれよう。」

 

「ニャンだと!討伐すると言うニャか!」

 

「もしもの時はと言っている!大人しくしておれば、討伐する事もない。」

 

「おいら達が居なくなれば、どっちみちモンスター達は動き出すニャ。生かしておく気がなさそうニャ……。」

 

「そんなっ……。」

 

 ラミアも絶句する。灯羅達も唇を噛みしめていた。それぞれが拳を握って、わなわなと身体を震わす。

 

「さあ、話は終わりだ!大人しくここから去るか、それとも抵抗して捕まり連行されるか。どうする!!」

 

「ちょっとお待ちくださいな!」

 

 綺麗な着物を着飾った女性が扇子を持って現れた。

 

「村長さん……。」

 

「ユクモ村の村長か……。何か用か!」

 

「えぇ。この広場を提供する者として、この村を代表する者として、私や他の村の村長やギルドナイト様等の相談も無しに強引に話を進めようなど、失礼千万ですわ!!」

 

「そ、村長さんニャ………。」

 

白羅はうれしくなって村長の横顔を見た。村長もまじめな顔のまま、相手の隊長を見据えている。

 

「この広場にいるモンスター達には私たちも大変世話になっております。村の危険が及んだ時も助けになってくれた事もあり、村の子供達に大人気なのです。それには白羅さん達の貢献度があり、その白羅さん達が居なくなってしまったら………。モンスター達は一斉に暴れだし、瞬時に村は焼け野原と化しあなた方の住む土地も只では済みませんよ。それを踏まえておっしゃっておりますの!?」

 

村長は毅然として言い返していた。

村長にとってもかけがえのない者達になっている。モンスターを含めてだ。かの場所にもライダー村と呼ばれる村が存在するが、少し違うのは、絆石と呼ばれる石が、ここでは使わなくとも仲良く住む事が出来ていると言うこと。勿論、人間側の、モンスター側の、生活スタイルがあるのですべてに共同と言うことにはならないが、お互いを認め会う事で、お互いに寄り添う事で、絆が生まれるのだ。その事を白羅とラルクが、身をもって教えてくれているのである。だからこそ、村長も白羅を助ける為に必死であった……。

 

「だから、先程から何度も申している!いざとなればハンターを動員して食い止めると!これは領主命令である!駄目とは言わせぬぞ!」

 

白羅達と衛兵達のにらみ合いが、続いた。

 

「ワシらもその話し、聞いておらんが、領主殿はそこまで礼儀知らずじゃったかの!?」

 

「おじいちゃん!」

 

イサラの顔が明るくなる!

そう、ココット村の村長、ポッケ村の村長、そしてユクモ村の村長が揃っていた。

 

「ほほ~~い!イサラよ、白羅君との日取りはいつにするかの!?」

 

「「「「「「「それどころじゃないし!!!!!!!」」」」」」」

 

「なんじゃ、つまらんのう。」

 

と一人いじけているココットの村長であった…。

 

「私の所も使いは来ていないが、私達を差し置いて、直接とはどういう了見か!?」

 

「アルザート様ニャ………。」

 

「そうだぜ!白羅さんやモンスター達に助けられた俺達にとっても、命の恩人だ。それを出てけだと!どの面下げて言ってやがる!…………あ、その面か!?」

 

「ラザックニャ…………。」

 

白羅は目に涙を浮かべながら、苦笑いをしていた。

 

「我々も同感だ!」

 

とぞろぞろと白羅達の傍に寄って来たのは、龍暦院の研究員達………。

 

「僕たちもです!」

 

「隊長さん!ママさん!」

 

龍識船の隊長さんとママさんまで……。

 

「私達も白羅さんに賛同します!」

 

なんと、アイラを筆頭に受付嬢の全員が!

 

「みんニャ、ありがとうニャ♪おいらこんニャに仲間が出来たんニャな………♪♪♪」

 

白羅は涙ながらにみんなを見回した。みんな微笑んで頷いてくれる。その気持ちが凄く有り難く感謝だった。

 

「な、何なんだ!お前達は!一緒に連行されたいのか!!」

 

あまりの人数が白羅の周りに揃い踏みで、衛兵隊の隊長も焦ったようだ。

 

「悪いニャが、お引き取り下さいニャ!領主様に何をされようと、何を言われようと退去するのはお断りしますニャ。」

 

「我らを愚弄する気か!」

 

隊長がそう叫んだ途端!背筋が凍りつき身体が固まってしまった。白羅の頭上に白いオーラが立ち上り、それはかの古龍の顔になった………。

 

「なっ、ミ、ミ、ミラルーツだと!!」

 

さすがにそれは予測しえなかったのだろう、身体がカタカタと震えだし、衛兵たちも腰を引いてしまっていた。

 

「きょ、きょ、今日のところは、引き上げるぞ。領主様にご報告だ!」

 

と慌てて、引き返す。他の衛兵達も慌てて退散していった。

 

「わ~~~~~~!!♪♪♪♪♪」

 

みんなが一斉に沸き上がる!気持ちが1つに………とはこう言うことをいうのだろうか。みんな喜びに沸き返る。そして白羅達に拍手の渦が……。

 

「あ、ありがとうニャ♪♪みんな大好きニャ!!!」

 

 と大声で叫び、皆に向かって大きく手を振る!!そうして周り全員、白羅達を囲む中、1匹の大きな咆哮が上がった……。

 

「グオァァァァ!!!」

 

 その声がした方向に全員振り向く!!その広場の入り口に、当然衛兵達は居ないが、代わりに2人の女性ハンターと1匹の子熊が現れたのだった……………………。

 

 

 

 




 読了お疲れ様です~~~♪♪新しいモンスターが出てきていませんが、新たなハンターが2人出てきました。どう繋がりがあるのか………。次話をお楽しみにしていただければ♪♪
 他、短編や、斬破刀の日常もよろしくお願いいたします♪♪
 では、次話にてお会いできることを切に願って……♪♪紅龍騎神でした……♪♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪驚きの事実!!♪♪♪

そ~~~~~っと、さりげな~~~く、更新しとこ~~~っと。
え、ばれてる!?ガチで!?失礼しました。ささ、まずは読んで頂いて、後程後書きにて♪
では、物語の始まり始まり………♪♪




いつも良い気候に恵まれているユクモ村………。

 その中で、ひと騒動があって広場に集まっている人々に、その鳴き声は響き渡った。振り向いた先にいた物に対し驚きを隠せなかった。

 

「グァ!!」

 

 子熊が今度は姫沙羅に向かって声を挙げた。姫沙羅はその場で声も出せず、子熊を見つめたまま大粒の涙をぽろぽろと流す……。

 

「ニャッ…………。」

 

 声を出せないほど詰まった思いに、子熊が姫沙羅に向かって走って来る。姫沙羅もしゃがんで両手を広げた。そこに子熊が飛び込む。しっかり受け止めて抱きしめる。

 

「良かったニャ……。心配したニャ……。」

 

 叱りつけることも通りすぎ、ただただ無事に帰ってきた子熊を抱きしめたまま、そのぬくもりを確認し合うのだった……。

 

「良かったのう。飼い主が見つかって。」

 

 一緒に居た女性ハンターが2人傍により、その内の1人が話しかけてきた。

 

「ニャ、あなた達ニャは?」

 

 白羅達も傍に来ていた。周りのハンター達とは違う雰囲気の2人であった.

 

 1人は黒髪のストレートヘアで、和の国の武装のような武具をつけた”桐花・真”で、太刀”叛逆刃ジールレギオン”を背中に背負っている。

 

 もう1人は同じ黒髪だがポニーテールで忍装束のような武具をつけた”忍・極天”で、双剣”対剣ヴォルトトス”を背負っていた。

 

「これはすまぬ。申し遅れたが我は沙夜≪さよ≫じゃ。こっちは我のオトモをしておる亜夕羅≪あゆら≫じゃ。追いかけられている所を偶然に通りかかっての。助太刀させてもらった。」

 

「ニャ、ニャンと!ありがとうございますニャ。仲間を助けてくれたニャンて、嬉しいニャ♪♪」

 

「いやいや、礼には及ばん。我らもこの村に用があったでの。」

 

「ニャ、用事ですニャか?」

 

「うむ。ずっと人探しをしておっての。手がかりだけでもと、向かっている途中で会ったのじゃ。必死にお主達の元に帰ろうと1匹で頑張っているので、見過ごす事が出来なんだ。何者かに追いかけられてもいるようだったから、一緒に来る事にしたのじゃ。」

 

「白羅さん、まずは家に案内したら?」

 

ラミアが、客人として仲間を助けてくれた恩人として、家に招きたいと促した。

 

「ニャ!そうニャね。家に来てくださいニャ♪お話はそこでしましょうニャ♪」

 

どうぞ♪と手招きしつつ、案内をする。

 

(ひ、姫様大丈夫でしょうか?)

 

「大丈夫じゃ。少なくとも人々に害を与える様には見えないぞよ。逆に彼の信頼度の方が勝っているようじゃ。」

 

(分かりました、警戒は解きませんが、一緒についていきます。)

 

「分かったのじゃ。」

 

白羅達と沙夜達は、広場の中にある3階建の家についた。

 

「こちらですニャ♪」

 

と扉を開けて、入って行く。続いて沙夜達も中に入る。

 

「な………、なんと……!!」

 

「こ………、これは………。」

 

沙夜と亜夕羅は目の前にいる物に対し驚きを隠せず、その場に立ち止まってしまう。

ラルクこと、進化したセルレギオスと、銀翼の凶星バルファルクのファギルが、仲良くお出迎えしてくれたのだ。彼らにとっても、仲間を助けてくれた事には感謝していた。

 

「おいらの大親友のラルクと仲間になってくれているファギルニャ。」

 

「お、お主、今仲間と申したか、大親友と?」

 

「はいニャ。まだまだ居ますニャが、みんな仲間ですニャ。」

 

「白羅さんはモンスター達と話をする事が出来るんですよ。」

 

と、ラミアが補足する。

 

「なんと!そなたは話が出来るのか?」

 

「そうですニャ。と言っても、最近の事ですニャが。」

 

と、2階へと階段を登っていく。二人もそれに習うようについていく。2階に上がってきた二人は更に驚いた。専属の猫飯屋があるなど、どんな上級のハンターかと、不思議がってしまう。

 

「ね、猫飯屋があるなんて………。」

 

沙夜についてきた亜夕羅が、驚きの声を洩らす。確かに、自宅に専属猫飯屋があるなど、此処くらいだろう。

 

「どうぞ、こちらにお座り下さいニャ♪」と姫沙羅と灯羅が椅子を引いて二人を誘う。

 

「おぉ、すまんのう。礼儀のあるアイルーは好きぞよ♪」

 

「かたじけない♪」

 

と二人は席につく。白羅達も順に席についた。

円卓テーブルに座り、コックにお任せ料理を頼み、乾杯と共に少しく食事を楽しんだ。

 

「沙夜様………、申し遅れましたニャが姫沙羅と言いますニャ。お礼を言ってませんでしたニャ。助けてくれてありがとうございますニャ。」

 

と姫沙羅と子熊が頭を下げていた。

 

「いや、良いのじゃ。羨ましいのう、気持ちが通じておる。あの人にも通じると良いのだが………。」

 

姫沙羅達を微笑ましく思う反面、寂しくもなる沙夜………。

 

「ニャ、人探しをしていると言ってましたニャ。なんと言うニャ前ですかニャ?」

 

「うむ、わたしの兄での。名を雅盛と言う。」

 

「ニャ!………………。」

 

白羅を始め、ラミア、姫沙羅、灯羅が絶句して固まる………。まさか、その名が出ようとは。

 

「ニャ、ニャ、ニャんと、妹君ニャか!?」

 

「どうしたのじゃ皆固まって………んっ、まさか、知っておるのか兄上を!?」

 

「雅盛様は古き良きご主人様ニャ………。」

 

白羅がそう答えると今度は沙夜と亜夕羅が絶句して固まる。

 

またひとつ、繋がりと言う歯車が動き出した瞬間でもあった……。

そしてそのメンバーの中で、一番に驚きを隠せなかった物が………。

 

「グァ~~~~~!!!」

 

子熊が部屋をぶち抜きそうな程の咆哮を上げる!

 

(びゃ、白羅、大変だ!!焔羅を助けて!それと、雅盛も捕まってる!!)

 

「ニャ!!ニャに~~~~~~~~~~!!!」

 

今度は白羅が、大声を張り上げる!みんな耳を押さえるのに必死。

 

「ちょ、ちょっと白羅さん!一体何なの!」

 

耳に響いた音を堪えながら、白羅にツッコミをする。白羅は驚いたまま、ラミアを見、そして沙夜達を見た。

 

「まっ………雅盛様が見つかったニャ…………。」

 

白羅も放心していたが、周り全員も放心してしまった。

 

「「「「「なにぃ!!」」」」」

 

……………………………。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

「ま、雅盛……いや、兄上が見つかったじゃと!」

 

「子熊が、そこから逃げてきたようニャ……。」

 

「い、一体どこから………。」

 

「ニャ、そこはどんなところニャったか?」

 

白羅が、すかさず子熊に問い掛けていた。

 

(地下にある折の中から鎖に繋がれているのを焔羅が噛み千切ってくれた。そして、雅盛と一緒に衛兵を引き付けているうちに僕が飛び出したんだ。大きな屋敷だったよ。)

 

 子熊と白羅が話しているのをじっと見つめる全員……。沙夜と亜夕羅もその光景をくいるように見つめていた。雅盛の繋がりがある者が居て、更に居所が分かるかもしれないとなると降って湧いて出た話の様ではあるが、スルー出来るような事柄ではない。

だが、何故捕まっているのか……。以前に牢獄等も訪ねて探したが、無駄に終わっていた。だとしたら何処に……。

沙夜はすがる思いだった……。亜夕羅はそんな沙夜を横で見つつ、2人でこれまで苦労してきた事を思い返していた。どこを回っても手掛かりすら見つからず……。挫折しそうになった沙夜を励まし、ここまで踏ん張って来たのだ。それがここに来て、手掛かりどころか居場所すら分かりそうなのだ。

 

(心中お察しします、姫様……。)

 

 亜夕羅も必死に見つめる沙夜に心で語り掛けるのだった……。

 

「でも、ニャンで捕まってるニャ?牢獄ニャらアルザ―ト様が分かるはずニャ?」

 

「ん!?お主、アルザ―ト殿を知っておるのか?」

 

「はいニャ。こっちの灯羅と2人でアルザ―ト様をサポートしていた時もありましたニャ。そして、おいらからも雅盛様探しを依頼していましたニャ。」

 

「おお!そうであったか。嬉しいのう。こうして慕ってくれる者が居ると言うのは。礼を言うぞよ。ありがとう♪♪」

 

「ニャ、とんでもニャいですニャ。離れてから、居場所が知れてる内ニャら良かったニャが、途中から消息が途絶えてしまいましたニャ……。心配になって、アルザ―ト様にお願いした次第ですニャ。」

 

「そうであったか……。で、子熊からは居場所は掴めたかの?」

 

「はっきりとは分からないニャが、一緒に行けばたどり着くニャ。」

 

「おお、そうじゃな。しかし、追手はどうする?相手はアイルーと白疾風ナルガクルガだったが?」

 

「ニャァ~~~!それってニャ……。」

 

「ま、まさかニャ……。」

 

 姫沙羅と灯羅が驚きの声を上げる。皆の注目がその2匹に向いた。

 

「知ってるニャか?」

 

「当たっていればニャけど……。」

 

「恐らくそいつらだろうニャ。アイルーとナルガクルガが一緒に行動してるニャンてそうニャいからニャ。」

 

「一体何者なのそいつらって?」

 

「アイルーのニャ前はミリザ、ナルガクルガの方はリネルニャ。そいつらはバルドの飼い犬ニャ……。」

 

「ば、バルドって……。領主の!?」

 

「ニャ!ニャンだって!?」

 

 かつての仲間であり、白羅を嫌ってもいた大剣持ち……。それが、領主になっていようとは……。しかも、そこから、灯羅達も知っている追手が差し向けられていたと……。だが、昼間の衛兵隊の事と言い繋がりを見せ始めていた。

 

「それで、昼間の衛兵隊ニャか……。」

 

「それはどういう事じゃ。わしらが着く前に何かあったのか?」

 

「はいニャ。実はかくかくしかじかニャで……。」

 

「ほう!そのようなことがあったのか?」(この人も良く分かるね、これだけで♪)

 

「ニャが、衛兵隊が逃げ帰って報告してるニャから、奴も焦り出したかもしれニャい……。」

 

「それもそうじゃな。そこでどうじゃ?皆で一緒に助けに行かんか?」

 

「ええ!姫様、いけません!!」

 

 亜夕羅が思わず叫んでいた。

 

「ひっ姫様ニャって……。」

 

「バカ者が。」

 

「すっすみません!」

 

「まあ、よいわ。この者たちには話してもよかろう……。わちらの国では殿様がおる。わちと兄上はその子供での。兄上は後々、後を継いで殿様になる予定じゃ。じゃが、こっちも急に消息が途絶えての。わちも居てもたってもいられずに兄上を探すため、飛び出してきたのじゃ。侍女をしていた、亜夕羅が一緒に飛び出してついてきてくれた。あの時は嬉しかったぞよ。」

 

「さ、沙夜姫様……。もったいのうございます……。」

 

 怒られつつも、嬉しかったと言われて涙ぐむ亜夕羅。彼女も沙夜と親しい者だったゆえに、姫に仕える役職を捨ててまでついてきたのだ。想いも感慨深いものがある。

 

「そうだったですニャか……。おいらはそこまで話を聞いた事がなかったですニャ。ただ、雅盛様は今でも大好きですニャから、探していたのですニャ。」

 

「うれしい事を。で、どうじゃろう、手伝ってはくれまいか?」

 

「モチロンですニャ!一緒に助けましょうニャ!」

 

「おお!有り難い!頼もしい限りじゃ♪」

 

と、テーブルの真ん中で両者がガッチリと握手を交わす。その上に皆がそれぞれ、手を重ねていく。

 

「私も大切な仲間のために。」

 

「アタイもこの子を助けてくれた恩人を見捨てる訳にはいかないニャ。」

 

「俺にとっても、居る奴が居ないのは寂しいニャ。」

 

「私も沙夜様にお供します♪」

 

「雅盛様と焔羅の奪還ニャ!」

 

「みんな、宜しく頼むぞよ!」

 

「「「「「「おうっ!」」」」」」

 

全員お互い顔を見合わせて頷く。

 

「パォッ!」

 

外から急に鳴き声が響き、何事かと外に出て見ると、モンスター達が一同に集まっていた。

 

「み………、みんニャ………。」

 

「ほおぉぉぉ!こんなに………。皆、そなたの仲間達か?」

 

麒麟を始め、ガムートにディノバルド、金レイアと黒焔王の家族、タマミツネとそうそうたるものだった。

「そうですニャ。皆、大事な仲間達ですニャ。みんニャ!ありがとうニャ!」

 

ホロリと涙を流しつつ………。雅盛と焔羅の奪還作戦が、始まったのだった…………。

 

 

 




読了頂きましてありがとうございます♪
いよいよ、雅盛と焔羅の救出作戦が始まります。雅盛と焔羅は、白羅達一行は……。
では、次話にてお会いできる事を切に願って…………♪
紅龍騎神でした………♪♪



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪焔羅と雅盛の奪還作戦!①♪♪♪

 長ら~~~~くお待たせして……。更新させていただきます。ありがとうございます。
 ささ、本編を。後ほど後書きにて。
 では、物語の始まり始まり………♪♪♪



「スミマセンニャ………。村に入られてしまいましたニャ……。」

 

「そうか………。まぁ、子熊が戻った所で、詳しい事は分かるまい。」

 

領主事務室で、会話をする一人と1匹。ミリザと呼ばれるアイルーは、子熊を捕獲できなかった事を報告していた。しかし彼らは知らない。白羅がモンスター達と会話が出来るという事を……。

 領主は 窓の外を眺めながら、急に振り向く。

 

「しかしだ。衛兵隊が、逃げ帰って来たのは想定外だ。」

 

領主バルドは衛兵隊、1個隊を派遣したにも関わらず、権利を取り上げるどころか逃げるように戻って来たのである。

 報告によれば各村の村長や、ギルドナイト、龍識船の隊長やあの”カミラ”まであ奴の味方に付いていたとは……。

 その事に関しては調べ切れていなかった事もあり、そこまで仲間を増やしている事に気付かなかったのだ。念入り……の様で、ちょっと抜けている所もある。(悪かったな。)

 

「ふむ。地下の門番の話によると、切れるはずのない鎖が切れていたと聞く。何者かが手助けをしたとしか思えんのだが、不審な者の侵入は無かったか?」

 

「はいニャ。子熊が逃げるまでの館内は侵入されてませんニャ。《リネル》も気付くと思いますしニャ。」

 

「ふむ。ならばどうやって……。」

 

 バルドは見当がつかなかった。雅盛では隣の格子内であるし、一緒に居た龍では成獣ならともかく子供なので噛み切れまい……。そう思っていた。命懸けでその想定外が起こっていたとも知らずに……。

 

「うむ……。やむを得ないか……。奴等を召集するか……。」

 

奴等と聞いて、背中の毛が逆立つミリザ。

 

「ニャ、まさか奴等を呼びますニャか?」

 

「そうだ。やむを得ないだろう。そうしないと嫌な予感がする。」

 

旧ハンターの感と言うか、何かを察しているようでもあった……。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

「ふむ。無事に逃げ仰せたかな?」

 

手足を鎖で繋がれた雅盛が、衛兵が出て行った後、焔羅に話し掛けていた。焔羅もテレパシーできっと大丈夫!と返していた。

 

「信頼してるのだな。」  

 

雅盛は羨ましく思っていた。私には、白羅の事をそこまで信頼出来ただろうかと。

私は、あの時バルドを選んでしまった。今更ながら後悔している。生きてここを出られたら、白羅に真っ先に謝らなければ………。そう思いつつ、焔羅と共に助けが来るのを待つことにしたのだった。

 

そしてユクモ村。白羅の家では、作戦会議がなされていた。

かなりの危険性を伴うので、少数精鋭で突入する事に。沙夜《さよ》と亜夕羅《あゆら》。白羅にラミア。姫紗羅と灯羅。ラルクと焔。黒焔王とタマミツネ。相手もモンスターを出して来る可能性が大と踏んでの事だった。しかも、秘密に動かないと捕まればただ事では済まされない。まして、雅盛や焔羅の命も危険に晒されるのだ。慎重に動かなければならない。それぞれが思いを馳せながら、作戦を練っていた。

 

「で、どうやって救出するニャ?」

 

 灯羅が白羅に策があるのかを聞いていた。

 

「ニャ、それはニャ……。」

 

…………………………………………。

 

「「「「「正面突破~~~!!!」」」」」

 

 家中に全員の声が轟く!!

 

「ニャったく!あんた、ニャにも考えていないニャ!」

 

 ギクッ!

 

「そうだニャ。強引に押し通ろうとしているニャ。」

 

 ギクッ!

 

「白羅さん、それは余りにも楽観しすぎじゃ…。」

 

 ギクッ!

 

「そうじゃのう、ちと穏やかではないのう。」

 

 ギクッ!

 

「私はどうかと思います。」

 

「「「「えっ!」」」

 

 ほっ…。

 

 1人だけ白羅の意見に賛成してくれた事にホッとしていた。だが、一番警戒心が強いはずの亜夕羅が沙夜姫とは反対に白羅の意見に賛同するとは……。

 

「どうゆう事じゃ?」

 

「はい。秘密に動いて、仮に助けられたとしても拉致していた事は知らぬ存ぜぬで通されて逃げられてしまいます。それならば少し騒いで民に見守られる中で雅盛様や焔羅ちゃんを助け出した方が動かぬ証拠となりましょう。

 そうなれば逃げられはしません。私は白羅殿の意見に賛同しますがどうでしょう?」

 

「「「「ほうっ!」」」」

 

 白羅そっちのけで亜夕羅の話を聞いて感心している。白羅はちょっと寂しかった。でも、彼女の言う事に納得もしている白羅でもある。

 

「ならば、堂々と悪者退治に行くとするかの。のう、白羅殿。」

 

「ニャ、そ、そうですニャ。それがいいニャ♪」

 

「ホントはそこまで考えてなかったでしょ?」

 

 ギクッ!全身の毛を逆立てて冷や汗を流す白羅。

 

「ごめんニャ~。それぐらいしか思いつかなかったニャ~~。」

 

「クスッ、いいの。そういう白羅さんが好き♪」

 

「ラ、ラミアニャ……。」

 

 ウルルン目線でラミアを見つめる白羅だった。

 

「ニャ~~!ズルいニャ!あたいも好きだニャ!」

 

 姫沙羅も負けじと白羅に詰め寄る。

 

「なんじゃ、白羅殿モテるのう♪」

 

「雅盛様が、オトモにしていた事も分かる気がしますね。」

 

「そうじゃなぁ、分かる気がするのう。」

 

 2匹と1人のやり取りを眺めつつ、兄への思いをはせる沙夜と亜夕羅であった……。

 

そしてそれは、直ぐに動いた方が良いと、明日にでも。と言うことで決まった。それぞれ明日に備え、部屋で就寝する。

だが、寝付けない者もいるようで。静かに部屋を出て、音を立てないように階段を降りて行く者が。

 

「ニャ!沙夜様ニャ。」

 

「おおぅ!白羅殿か。寝れぬのか?」

 

「姫様もニャか?」

 

「うむ。やっと会えると思うと、眠れないのじゃ。」

 

「おいらもですニャ。なんて声を掛けたらいいニャか……。」

 

「まぁ、こっちに座ると良いぞ。マスター!ジョッキを頼むのじゃ!」

 

「はいニャ~~~!今行きますニャ~~!」

 

猫飯屋のマスターはジョッキ2杯と一緒に、串を持ってきてくれた。

 

「おおぅ、気が利くのう!」

 

「大丈夫ニャ。代金は白羅の旦那につけておくニャ!」

 

「ニャ、ニャはは……やっぱりニャ。」

 

ま、そのぐらいは、と気にはしていない白羅であった。

 

それぞれジョッキを持って、乾杯と軽く当てる。程よい喉ごしが、気持ちを少し楽にしてくれる。

 

「のう、白羅殿。兄上の事をどう思っておる?」

 

「ニャ、雅盛様ニャか?」

 

「そうじゃ。兄上は何故にそなたを手放したのか………。」

 

申し訳なさそうに、話す沙夜に驚いていた。

 

「ニャ!そんニャことはないニャ。あのときは、離れるしか方法がなかったニャ。確かに天然ニャところもあるニャが、優しさ一杯の人だニャ。白龍と戦う時ニャって、灯羅でニャく、おいらを連れて行ってくれたニャ。」

 

「そうなのか………。嫌いにはなってないのじゃな?」

 

「ニャ、とんでもないニャ。今でも大好きニャ。じゃニャきゃ、アルザート様に依頼してないニャ。」

 

「確かにそれもそうじゃな。いや、疑って済まなかったのう。そして、今でも慕ってくれている事に礼を言うぞよ、ありがとう。」

 

「ニャ、そんニャ………照れるニャ……♪」

 

顔を赤らめて、ジョッキを煽っている。酔っているせいではないようだ。沙夜も微笑みながら、串を頬張るのだった。

 

「沙夜様は雅盛様を慕っているニャか?」

 

白羅も沙夜に同じ質問をしていた。沙夜が遠くを見つめて思いを馳せる……。

 

「うむ。大好きじゃ。何年も会ってはおらんが、無事であって欲しいと願うばかりじゃ。」

 

「そうニャね、おいらもそう思うニャ。」

 

お互いに、遠くを見つめつつ、夜が過ぎていく………。本番の時が、刻一刻と近付くのだった……。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

「ニャて!みんな準備は良いニャか?」

 

白羅の問い掛けに、全員無言で頷く。モンスター達も、同様だった。

 

「ニャ!出陣ニャ!」

 

白羅が先頭を切って歩き出す。それに全員続いていく。

  研究員達もその場の雰囲気からただ事ではないと察して動き出してくれていた。龍暦院に、ギルドマネージャーに、ギルドナイトに、各村長に、龍識船に……。手分けして通達をしてくれていた。

 そんな動きをつゆ知らず、白羅達は焔羅と雅盛の奪還の為に領主であるバルドの館へと向かうのであった……。

 国の外れにバルドの館がある。中央の城からは目が届きにくい場所でもある為、一部無法とも言える状態であった。名声と実力があった事もあり、そこで領主に成り上がったのである。

 

 「領主様、奴らが動き出しました。こちらに向かっているとのことです。」

 

 衛兵隊長がバルドに報告に執務室に来ていた。

 

「そうか、ならば丁寧にお迎えしなければな……ククク。」

 

「では、その様に……。」

 

「うむ。今度はぬかるなよ。2度は許さぬぞ。」

 

「はっ!心得ております。では。」

 

 隊長は会釈して執務室を後にした。バルドは窓の外を眺めつつ、二やついていた。

 

「来るなら来い!昔の事も含めて返り討ちにしてくれよう。」

 

 バルドも執務室を出ていく。

 

「ミリザはおるか!俺の着替えを手伝え!」

 

 寝室へと向かいながら、声を張り上げると自然とさりげなくバルドの後ろをついて行くのだった……。

 

 

 物々しい、しかもモンスターも一緒の行進……。先頭は武具を纏ったアイルー。旅の行商人達もその行進を避けるように通り過ぎていく。白羅達の事を知っている者は何事かと騒ぎ始める。それは、白羅達にとっては有利な事であった。但し、大勢の前で助け出せればの話。その前に倒されるか、王国軍でも来て、助ける前に捕まってしまえばアウトである。焦るわけにはいかないが、時間との勝負でもある。それだけに白羅達も真剣な表情で真っ直ぐ領主バルドの館へと向かうのだった……。

 館に近づいた時、前方の道を塞ぐように仁王立ちする者たちが4人ほど。G級の武具に身を包み、1人は太刀を。1人は大剣を。1人は操虫棍を。1人はライトボーガンを所持していた。

 

「ここからは通す訳にはいかない。悪いが、お帰り願おう!」

 

「悪いニャが引き下がる訳にはいかニャいニャ。押し通るニャ!!」

 

「ここは通さぬ!!」

 

 双方武器を構えて走り出す!白羅達の救出劇が火ぶたを切ったのだった………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 読了いただきましてありがとうございます。救出作戦突入となりました。無事に雅盛と焔羅を助ける事が出来るのか……。この後の物語もどうぞお付き合いください。よろしくお願いいたします。
 では、また次話にてお会い出来ることを切に願って……。紅龍騎神でした……♪♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪焔羅と雅盛の奪還作戦!②♪♪♪

お久しぶりに、更新いたします。
ささ、本編をば。後程後書きにて。物語の始まり始まり………。



晴れ渡る空の中、周りの一般の人々が騒ぎながら見守るなか、お互いに武器を構えた双方が、相手を目掛けて突進していく!目の前で白羅がジャンプして剣を振り降ろしていく!それを大剣をもって横に構えてガードの体制をとる男性ハンター!激しい金属音と共にお互いの剣がぶつかり合い火花を散らす!

 

「ニャがぁ!」

 

「くっ!こんなチビのどこにこんな力が………!」

 

お互いに更に剣に力を込める!睨みあったまま、それ以上に動けない。

 

「もらったー!!」

 

大剣持ちの後ろからジャンプして太刀を振りかざし、白羅目掛けて襲いかかってくる女性ハンターが!

 

「白羅さんを殺らせない!!」

 

その太刀を下から斜め上に一閃し、はじき返す女性ハンターが!

 

「ラ、ラミアニャ!」

 

不意打ちを弾かれて、地面に着地する女性ハンター。すぐに太刀をラミアに向ける!

 

「ふん!やるじゃないか。」

 

「不意打ちなんて卑怯なことを!」

 

「ふんっ、戦いに卑怯もくそもあるもんか。殺るか殺られるかの世界なんだよ戦いってのはね!」

 

「あたしは戦いをそんな風に思った事はない!命懸けだけど、相手には敬意を払ってる!例えどんな奴でも!」

 

「クスッ、綺麗事はあの世に行って話してな。あまちゃんハンターさん!」

 

「悪かったわね!」

 

同じ太刀を扱う女性ハンター同士、一気に間合いを詰めて、刃先がぶつかり合う!

 

「くっ!」

 

「ぐっ!」

 

お互いに剣を弾き返し、更に振るっていく!鈍く激しい金属音が鳴り響く!何度か繰り返して、鍔迫り合いになった!お互いに力を込めて睨みあいになる!

その後方から更に高いハイジャンプでラミア目掛けて、操虫棍を振り下ろして来るハンターが!

 

「きえぇぇぇぇ!!」

 

「なっ!?」

 

「ラミア肩を借りるニャ!!」

 

 バンッ!ラミアの肩を土台にして更に空中にジャンプして操虫棍のハンターに立ち向かう者が!

 

「姫沙羅ちゃん!!」

 

「こいつは任せるニャ!」

 

「抜かしたな!猫が!!」

 

「ニャンターをニャめるニャ~~!!」

 

 獰灼炎のブレイニャーで操虫棍を弾き返す!更に空中でお互いに回転して操虫棍とブレイニャーが火花を散らす!お互いに地面に着地して武器を向けつつ立ち上がる。

 

「姫沙羅殿、私に任せてもらえますか。」

 

「ニャ!亜夕羅さんニャ。」

 

 姫沙羅の横を歩み出たのは沙夜姫のお供をしている亜夕羅であった。亜夕羅も武器を構えて間合いを詰めていく。

 

「ニャ、ニャンで……。」

 

「ごめんなさい。この男とは少し縁がありまして。」

 

「亜夕羅。大丈夫かの?」

 

「はい、沙夜様は姫沙羅殿と一緒に白羅殿のサポートに回ってください。ここは私が。」

 

「あいわかった!姫沙羅殿、白羅殿を助けるぞよ!!」

 

「ニャ!?ニャ!分かったニャ!亜夕羅、負けるにゃよ!!」

 

「大丈夫です!負ける訳にはいかない……。」

 

 姫沙羅と沙夜姫は白羅に加勢に向かう。亜夕羅は対剣ヴォルトトスを構えてその男性ハンターを睨みつける。

 

「久しぶりだな、亜夕羅と言ったか。あの日以来だな。」

 

「あの時の屈辱……。晴らさせてもらう!」

 

「ククク…何度やっても同じ事。お前の屈辱が増えるだけ………。」

 

「いつまでも同じレベルと思わない方がいい。」

 

「勝ってから言う事だな!」

 

操虫棍を棒高跳びのように地面に突き立て、身体をジャンプさせて反動を使って後ろから前に降り降ろしてくる!

 

亜夕羅も身構えて静かに目を閉じる……。

 

「和の国、沙夜様一の家臣、亜夕羅。いざ参る!!」

 

かっ!と目を開き、地面を蹴って、身体を横に捻り、双剣の刃先を外に向けて回転し上昇していく!

降り降ろす操虫棍!回転上昇していく双剣!お互いの武器が激突する!!…………………。

 

 姫沙羅と沙夜姫が白羅の加勢に向かっていた時、その後方から白羅を狙い、弓を引くハンターがいた。

 

「白羅!危ないニャ!!」

 

「ちっ!」

 

 ハンターが矢を放つ!だが、矢の方が当然早い!間に合わない……!!そう思った時、1つの影が横を通り過ぎた……。

 

 ”斬っ!”

 

「なにっ!?」

 

 地面に降り立った影はその場に立ち上がる。姫沙羅と同じ装備の獰灼炎のブレイニャーで矢を横から叩き切った物……。

 

「俺に任せるニャ。」

 

「と、灯羅ニャ!」

 

 ダッシュで弓矢のハンターに向かっていく!ブレイニャーを抜刀し横に薙ぎ払う!それを弓で受け止めるハンター。

 

「貴様、灯羅と言ったか?ギルドナイトと一緒に狩をしていたことがあるだろう!」

 

「ニャンでそれを知ってるニャ?」

 

「やはりな。あの時、俺に声を掛けてくれるはずだったのに話が来なかった……。なぜならお前に決まってしまったからだ!!」

 

 ブレイニャーを弾き返して横っ飛びで間合いを取り、矢をつがえて灯羅に向ける!

 

「この屈辱、晴らさせてもらう!」

 

「逆恨みもいいとこニャ。」

 

「ぬかせっ!!」

 

 ハンターが矢を放ってくる!灯羅がそれを払いのける!

 

「これならどうだ!」

 

 ハンターが3本同時に矢をつがえる!

 

「ニャら放てない様にするまでニャ。」

 

 ハンターに向かって走り出す!ハンターが矢を放つ!その瞬間にジャンプして矢を躱し、ブレイニャーを振り下ろしていく!こちらも対一の戦いが始まった…………。

 

「くっ貴様ら……。」

 

 大剣使いのハンターが白羅の剣を弾き返し、間合いを詰めて真上から振り下ろす!それを躱して横っ飛びからコテツを突き出し、突進する!

 

「ふん!!」

 

 すぐさま手首を返して大剣の切っ先を真下に向けコテツを受け止める!

が、次の瞬間巨大な影が上から降ってきた!ズズン!!勢いよく地面にめり込むは、尻尾。研ぎ澄まされた刃の尻尾は、何物も両断するぞとばかりに、間に割って入る!

 

「焔ニャ!」

 

焔と呼ばれたディノバルドは白羅に話し掛ける。

 

(ここは任せろ!白羅達は先に行け!)

 

「わ、分かったニャ!任せたニャ!頼むニャ!!」

 

(任せろ!ここは食い止める!)

 

 大剣持ちのハンターに向き直り、睨みをきかせる。

 

「なんて事だ。モンスターに邪魔されようとは。」

 

ハンターも大剣を構え直す。

焔がジャンピングで尻尾を降り降ろしてくる!

 

「おおぉぉぉ!!」

 

ハンターも溜め斬りで応戦する!両者のパワー比べが始まった………。その隙に、白羅と姫沙羅、沙夜が通り抜け屋敷へと駆け込むのだった……。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

屋敷の廊下を走り抜ける一人と2匹。地下へと続く道を探しながら進んで行く。やがて、中庭にたどり着いた。

 

「む、みんなしゃがむのじゃ!」

 

沙夜の掛け声に2匹もしゃがむ。その上を三日月を横にしたような刃が通り抜けていった………。

 

「白疾風か………。」

 

全体に白い体躯のナルガクルガと、その背に乗るはニャンター。

 

「やっぱり、お前だったニャ。」

 

姫沙羅が前に出る。

 

「ふんニャ。久しぶりニャね。よくここまで来られたニャ。」

 

「当たり前ニャ。こんなシケタ屋敷でくたばりたくないニャ。」

 

「減らず口はあいかわらずニャね。」

 

「あんた程じゃないニャ。」

 

「ふん!その口きけないようにしてやるニャ!」

 

ミリザが手裏剣を構えて、白疾風と攻撃しようとした時。

 

「グォアァ!」

 

上空から巨大な影が咆哮と共に舞い降りた!

 

「ラルクニャ!」

 

まさしく進化したセルレギオス、ラルクであった。

 

(ここは姫沙羅と食い止めるから、白羅達は先へ!!)

 

「ニャ!?分かったニャ!姫沙羅!ラルクが加勢してくれるニャ!頼むニャ!」

 

「ニャ!?ラルク良いニャか?」

 

姫沙羅が、ラルクに問い掛けると頷き返して来た。姫沙羅も微笑んだのだった。

 

「ニャ、ラルク、ヨロシクニャ!反撃するニャ!」

 

「グァ!」

 

姫沙羅がラルクの背に乗ってブレイニャーを構え、白疾風とミリザを睨む。

 

「どちらが上か決着をつけてやるニャ。」

 

「望むところニャ!」

 

お互いのモンスターがジャンプして片方の腕を振りかざして向かって行く!両者中央で、激しく交差したのだった………。

 

白羅と沙夜は更に奥へと進む。地下への階段の手前に来たとき、衛兵が10人ほど立ち塞がった。隊長が剣を構えて、叫ぶ。

 

「今度こそここは通さん! 」

 

「ニャ!まだそんニャ事を言ってるニャか!」

 

「任せてもらえんかの?」

 

沙夜が前に出る。シミターアルナジトを構えつつ。

 

「ニャ、沙夜さま…。」

 

「貴様!やる気か!」

 

「通らせてもらうには、やるしかないのじゃろう?」

 

「なんだと!そうやすやすと、通らせんぞ!」

 

「ふ……、わちには造作もないこと……。」

 

沙夜がそう言うと、ゆらりと影を残し、衛兵達の後ろに立っていた!一瞬である。

 

「ば……ばかな……動き……が……見え……なかった…………。」

 

隊長を始め、全員がその場に崩れ落ちた。

白羅も驚いている。

 

「沙夜さまが敵でなくて良かったニャ……。」

 

「白羅殿参ろう。この先のようじゃ。」

 

「ニャ!行こうニャ!」

 

二人は頷き、前に進む。雅盛や、焔羅のいる牢屋へ……。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「バルドよ。何故にそなたをそこまで変えてしまったのだ………。」

 

雅盛が、鎖に繋がれたまま、牢屋の前で仁王立ちする巨漢に話し掛けていた。

領主ことバルドは、牢屋の前で大剣を地面に突き立て、待ち構えていた。

 

「変わっただと。ふん、何も変わってはいない。昔からな。」

 

「どういう事だ。」

 

「貴様がどう思っていようが、俺は俺だと言う事だ。」

 

「なっ!お前達は……ぐぁ!」

 

外にいる衛兵達の声が響く。

 

「来たか………。」

 

武器を構えつつ、扉を開けて入って来る者が。

 

「ニャ!バルド!」

 

「ふん、久しぶりだな。馬鹿猫よ……。あの時の借りを返させてもらうぞ…。」

 

「ニャんだと!」

 

「あ、兄上………。」

 

「なっ、沙夜!沙夜か!?」

 

やっとの思いで再会出来た雅盛と沙夜……。

 

「グァ!」

 

「ニャ!焔羅ニャ!……。」

 

隣の牢屋には焔羅の姿が………。

 

「ニャんでこんニャ事をするニャ!」

 

「知れたこと。全ては貴様に復讐する為だ!ぬぅん!」

 

バルドは大剣を構えて白羅を睨みつける!白羅と沙夜もその殺気に太刀を構える!

 

「二人とも気をつけろ!その装備、ミラボレアスの物ぞ!」

 

「ニャ!?」

 

「なんと!?」

 

「来ぬならこちらから行くぞ!ぬりゃ!!」

 

大剣を振りかざし、バルドが白羅達に襲い掛かる!白羅達との因縁のバトルが始まった!…………………。

 

 




読了大変ありがとうございます。今回、戦闘シーンだらけになってしまいましたが、次回で決着がつくものと、予想されます。お付き合いヨロシクお願いいたします。
では、次話にてお会いできる事を切に願って………。紅龍騎神でした……♪♪



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪焔羅と雅盛の奪還作戦③……♪♪♪

皆さま、50話までお付き合い頂き、ありがとうございます。更新させて、頂きます。い、いえ、まだ終わりません。ここまで来れると思ってなかったものですから。感慨深いものがありまして。
ま、まずは本編を。後程後書きにて。
では、物語の始まり始まり……♪



 ゆらゆらと揺らめく蝋燭が灯る地下牢の中、トップ同士の戦いが火ぶたを切った……。

 

 軽々と振り回すバルドの大剣と白羅の振るうコテツと沙夜の振るうジールレギオンと……。それぞれが気を抜けない剣と剣のぶつかり合いが続いていた。

 コテツとジールレギオンを大剣でブロックし、すぐに反撃に出るバルド……。それを躱してカウンター越しに斜め上に切り上げる白羅と沙夜……。すぐさま振り向き、大剣を背中に回し攻撃を受け止めるバルド……。大剣を横に回し、まとめて薙ぎ払おうと身体も反転させて勢いをつけるバルド!それを躱して一度間合いを取る白羅と沙夜……。

 

「ニャ、ニャンて奴ニャ……。」

 

「うむ。ここまで大剣を容易く振り回すとはの。」

 

「ククク。俺とてハンターを引退したからと言って怠けていた訳ではない。鍛錬はしていたのだ、世の中物騒だからな。」

 

 お互いに睨み合ったまま、隙を伺って意識を集中する。

 

「もう一度聞くニャ。ニャンでこんニャ事をするニャ!」

 

「ふん、全てはあの時から始まったのだ。白龍と対峙した時からな。」

 

「ニャ!?あの時ニャか?」

 

「そうだ!あのクエストの後から俺の名声は崩れ去ったのだ!」

 

 更に凄みを利かせた顔つきで白羅を睨みつけた……。

 

「あの後、白龍を倒した英雄の一人として名を馳せる予定だった……。だが、お前の想定外の行動が元でクリアにはなったものの、倒した事にはならず名誉もなかった……。おかげで陰では倒さずの英雄とバカにされる事となった。周りのハンター達からもからかわれ、良くは見られず蔑まされる日々が続いた……。お前によってな!」

 

「ニャがどうして雅盛様まで巻き込んだニャ。」

 

「当然の事だ。あの時お前を選んで連れて来たのは雅盛だからな。だから雅盛も同罪なのだ……。」

 

「酷いニャ……。」

 

「酷いだと?人を屈辱まみれにしたお前が言えた事か?俺だけではなく、カミラやこの雅盛すら馬鹿にされ蔑まされていたのだ。だから、雅盛もお前を離した。」

 

「ニャ……、そんニャ……。」

 

「あ、兄上……。」

 

「すまぬ!私もバカであったのだ。白羅のあの優しさを忘れ、カミラまで蔑まされる日々……。耐える事が出来なかった。だが、牢屋で過ごすうちに白羅との日々ばかりが思い出され、ようやく離れてしまった事を悔やんでいた。すまぬ!再会できた時は土下座してでも謝らなければと思っていた。よもやこんな形で再会しようとは……。」

 

 雅盛も鎖に繋がれたまま、肩を落としうな垂れていた。後悔と申し訳なさが入り混じっていてそれ以上言葉にならなかった……。

 

「ふん!こんな馬鹿猫にいくら謝ったところで何も変わりはせん!今度は俺がお前の名声を叩き落とす番だ。覚悟するといい。」

 

 改めて、大剣を構えなおすバルド。だが、沙夜が一足早くバルドに切りかかっていた!

 バルドも反応して大剣で防御する!鈍い音が響き、押し合いになった!

 

「白羅殿!ここはわちが相手をする!そなたは兄上と焔羅ちゃんを!!」

 

「ぬうふふ、お前だけで私が倒せるとでも言うつもりか。」

 

「やるだけやってみるのがわちの心情での。」

 

「なら、俺を倒して見ろ!ぬうん!!」

 

「おおお……!!」

 

 お互いの力と技がぶつかり合っていく……。何度も剣がぶつかり合いその度に火花が散っていく。

 白羅も急ぎ格子の傍により、扉の鍵を壊そうと手を掛ける!

 

 ”バリッ!!”

 

「ガッ……!!」

 

 慌てて手を離した。鋭い痛みが走ったのだ。

 

「ククク、格子には電流が流れている。余程でないと開ける事は出来んぞ。」

 

「ニャ、ニャンだって!?」

 

 白羅はここまで来て……、と悔しかった。

目の前に焔羅と雅盛が居ると言うのに解放出来ないとは………。

 

「ぬぅりゃあ!!」

 

「グフッ!!」

 

「さ、沙夜~~!!!」

 

「沙夜様ニャ~~!!!」

 

沙夜の脇腹に痛みが走る!ジールレギオンでガードした分、致命的ではなかったが深手を負ってしまった。その場に両膝を着いて崩れ落ちる。

 

「まずは一人目だ。」

 

バルドが振り上げた大剣を垂直に降り下ろす!

 

「ニャ~~!!!」

 

コテツを構えて、バルドの大剣を受け止める!

 

「バカが!黙ってみておれば良かったものを!」

 

「そんニャ訳ないニャ!!大事な仲間を見捨てる訳ないニャ!!」

 

「ふん!そう言う綺麗事は、違う世界でほざくんだな!ぬりゃ!」

 

「ギャガッ!」

 

コテツをはじき返し、大剣を横に凪ぎ払う!白羅が壁まで吹き飛ばされた!激突して崩れ落ちる!

 

「びゃ、白羅!!」

 

雅盛も叫んでいた。何も出来ない自分が情けなく苛立たしいとさえ思った。

 

「く、くそっ!バルド!やめろ!やめてくれ!」

 

「聞く耳もてんな。貴様はそこで黙って、見ていろ。そして後悔するといい。積年の怨み、晴らしてくれよう。」

 

「やめろ~~~!!!」

 

バルドが沙夜を狙い、大剣を振り上げたその時だった!

 

「ニ゛ャ~~~~!!!!!!!」

 

「な、なに!!」

 

 けたたましい鳴き声と共に、白羅の周りから煙が立ち込め白羅を包み込んで天井へと上昇していく。

 

「びゃ、白羅……殿……。」

 

 座り込んで、その場で動けない沙夜も白羅の方を見つめていた。何が起こったのか……。

 やがてその煙は上から徐々に消えていき、一人の男性ハンターの姿が……。

 

 白金の武者鎧に身を包み、コテツではなく握りが白い鉄刀に似た太刀を背中ではなく腰に着け、ショートヘアで端正な顔立ちの2枚目とでも言おうか。兜のマークは肉球マークは変わっていないがハンターから放たれるオーラは半端なく………。

 

「なんだ、お前は!邪魔をするなら容赦はせんぞ。」

 

 バルド以外の雅盛と沙夜、焔羅は驚いていた。ここで、こんな事が起きるとは。そのハンターは太刀を抜いて構えをとった。

 

「私に直接刃を向けて来るなら分かるが、他の人達を巻き込むのは許せん!」

 

「なら、どうだと言うのだ。この俺を止められるか?」

 

「言われずとも止める!」

 

「ほざくなぁ!!」

 

 大剣をそのハンターに向けて突進し振り下ろしていく!だが、その時、ハンターが同時に動く!バルドの大剣を分身したかの様に左右に分かれて躱す!大剣が空を切って地面に打ち付けられる!

 

「なんだと!?」

 

 ハンターがその両脇をすり抜け様に太刀を繰り出していた。無数の切り傷と打撃が撃ち込まれていく……。

 

「が、がはぁ!!バカな!動きが見えん!!」

 

 一つとなったハンターが振り向き、腰の鞘に納める。片手に握りを掴んだままで……。バルドも何とか身体を起こし立ち上がって振り返る。大剣を持ち直し、再度ハンターに襲い掛からんと握りしめる。

 

「俺がやられるなどあり得んのだぁ!!」

 

 バルドが一気に大剣を振り上げた時、腰をかがめたハンターが太刀を抜刀して一閃する!!

 その動きにバルドも大剣を振り上げたまま固まってしまった。するとズズッと音がして大剣が上下に真っ二つに……。刃先の方が地面に落ちて突き刺さったのだった……。

 

「ば、ば、バカな……。黒龍の素材より作りし大剣だぞ……。真っ二つなぞあり得ん!」

 

「現に切れている。得物なくばこれまでだな。」

 

 太刀を納刀しながら、バルドの方を振り返った。

 

「何という……、強さじゃ……、わちでも……太刀筋が……見えんかったぞよ……。」

 

「びゃ、白羅なのか!?」

 

 雅盛がそう問いかけるとハンターがニッコリと頷いて返事を返してきた。確信はしたものの、雅盛もハンターの白羅にお目にかかるのは初めての事だった……。

 

「ぐ、く、くそっ!これまでか……。ならば!」

 

 バルドが身を翻して、牢屋から逃げ出していた。取り合えずピンチは去ったと言おうか。

 

白羅はすぐに沙夜の傍に寄り、抱き起こして薬を出す。

 

「すまない。今はこれを飲んで下さい。」

 

「おぉ、秘薬か、悪いのう。助かるぞよ。」

 

「さぁ、これを……。」

 

沙夜は秘薬を口にする。完全ではないにしろ、痛みやキズが和らいだ。

 

「ここで待っててください。」

 

 白羅は雅盛と焔羅の間の格子あたりに立ち静かに目を瞑る……。そしてゆっくりと握りに手を掛ける。一気に目を見開き、抜刀して横一閃に払う!

 太刀を納めると、バラバラと崩れ落ちていく格子……。雅盛と焔羅の鎖も断ち切れていた……。

 

「おお!動ける、動けるぞ!!」

 

(白羅~~!!)

 

 真っ先に白羅の胸に飛び込む焔羅……。

 

「すまない、遅くなった。偉かったな。」

 

 焔羅を強く抱きしめる。焔羅もしがみついて喜んでいた。

 

「さ、沙夜!」

 

 雅盛も沙夜の傍に……。

 

「兄上……、無事で何よりじゃ。」

 

「すまぬ、お主にまで心配をかけた……。」

 

 沙夜の手を取って、手の甲に額をつけて謝る雅盛…。申し訳なさで一杯の様だった。

 

「いや、兄上が生きていてくれただけで、嬉しいぞよ。逢えて良かった。」

 

「さ、沙夜……。」

 

 雅盛の目に涙が浮かぶ。数年ぶりの再会であった……。

 

「さ、まずはバルドを追いましょう。奴を止めないと大変な事になる。沙夜様は私が抱きかかえます。」

 

「うむ。私も同感だ。かつての仲間として、これ以上の悪事は止めねばならぬ。」

 

 3人と一匹、頷き合って白羅はお嫁さん抱っこで沙夜を抱え、牢屋を急ぎ出るのだった……。

 階段を上がり、衛兵隊が倒れている廊下を通り抜け、さらに進むと中庭に出た。そこでは激しくぶつかり合うモンスターとニャンターが居た。

 

「姫沙羅!!ラルク!!」

 

 横から大声で叫ぶ者が……。驚いて、振り向く。その声にミリザと白疾風のリネルも振り向く。そこには雅盛と焔羅、沙夜に一人の男性ハンターが居た……。

 

「ニャ!?白羅ニャは?あんたは誰ニャ?」

 

(ま、まさか……。白羅なの!?)

 

 ラルクが目を丸くして驚いている。焔羅がそうだと返事をしていた。

 

「姫沙羅、よく踏ん張ってくれたね。私に任せてくれ。」

 

 白羅は沙夜を雅盛に託し、ミリザとリネルの前に立つ。

 

「なんニャお前。あたしらに勝てるつもりニャか?」

 

「すまないが、そのつもりだ。」

 

「舐められたもんニャね。リネル見せつけてやろうニャ。後悔させてやるニャ。」

 

 リネルも返事を返す。ラルク達から白羅に向き直る。殺意剥き出しで……。しかし、白羅は冷静だった。

 仁王立ちで静かに目を閉じる。そして、ゆっくりと太刀の握りに手を掛けていく……。

 

「八つ裂きにしてやるニャ~~!!」

 

「ガァァァァァ!!」

 

 白疾風が前足の鋭い刃を振り上げジャンプして勢いをつけて飛び掛かる!白羅も目を見開き抜刀して下から斜め上に一閃する!!

 

 リネルとミリザの後ろに立ち、太刀を納刀する。

 

「ば、バカニャ……。」

 

「ガッ…アッ……。」

 

 攻撃しきれないままにその場に崩れ落ちていた。ラルクと姫沙羅は目を大きくして固まっていた。

 

「白羅よ、先を急ごうぞ。」

 

 雅盛がそう話しかけると、姫沙羅が驚いた。やっとわかったようで。

 

「ニャ!白羅ニャか!?」

 

「姫沙羅が無事で良かったよ。」

 

「ニャ~~!!いい男ニャ~~~!!」(食いついたのはそこですか~~!!)

 

 ジャンピングで白羅に飛びついていた。目が完全にハートマーク……。姫沙羅の顔の周りにもハートマークが無数に浮いている。

 

「はは、話は後で。それよりバルドを見なかったかい?」

 

「ニャ!?い、いや、見てないニャ。逃げ出したニャか?」

 

「そうなんだ。奴を止めないと。」

 

「わ、分かったニャ。でも、こいつらはどうするニャ?」

 

 ミリザとリネルを指差して、対処をどうするか迷っていた。

 

「いや、みね打ちで気絶させてある。しばらくは起きれないだろう。後で、捕まえに来ればいい。今は先を急ごう。沙夜様も早めに治療しなくては。」

 

 雅盛が沙夜を抱えているものの、それ以上の速さは移動が難しい。

 

(僕が乗せて行く!)

 

「ラルク!分かった、お願い出来るか?」

 

(勿論だよ!ただ、姫沙羅に沙夜様を支えて欲しいんだ!)

 

「なるほど分かった!姫沙羅に頼みがある!」

 

「な、なんニャ?」

 

「これから、ラルクが沙夜様を乗せて行く。沙夜様を支えてあげてほしい。これはラルクの提案でもある。お願い出来るかい?」

 

「ニャ!?ラルクがニャか?」

 

振り向くとラルクが頷いていた。一時的に組んだタッグだが、相性は良かったようだ。姫沙羅もそれを理解出来たようで頷き返していた。

 

「分かったニャ!ラルクに乗って、沙夜様を運ぶニャ!」

 

「ありがとう、姫沙羅。」

 

珍しく、顔を赤くして照れている(ほっといてニャ)

まずは、沙夜をラルク達に任せる事に。

 

「兄上!これを!」

 

「おぉ!これはそなたの太刀!」

 

「奴の事、どこで待ち伏せているか分からぬゆえ、持っていてほしいのじゃ。」

 

雅盛もしっかりとその太刀を握る。

 

「しかと借り受けた!必ず奴を止める!」

 

「一足先に行っているのじゃ。」

 

「あい分かった。」

 

「白羅殿、兄上を頼むのじゃ。」

 

「分かっております。お任せを。」

 

「うむ。」

 

そしてラルク達に頷いて、その場をホバリングで上昇し、屋敷の外に飛翔して行くのだった。

白羅と雅盛、焔羅は頷きあって、先へと急ぐのだった。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「な、なんてことだ。この俺が負ける事などあり得ん。」

 

急ぎ足で移動しつつ、領主バルドは自問自答していた。なぜこうなったのか?しかし、考えれば考えるほどバルドにとって苛立たしい事だらけであった。まずは、ここから離れ体制を立て直すつもりでいた。屋敷の外に飛び出す。そこでもやはり戦いが繰り広げられていた。

「お前達!撤収だ!!」

 

戦いを繰り広げているハンター四人に大声で指令を出す。すると全員が振り返った。

 

「「「「今、忙しいから後で!!」」」」

 

「う………うむ。ってそれどころでないわ~~~!!」(ツッコミしてくれる人がいないもんだからぁ、イケズ。)

 

「ちっ、あれはダメだな。俺だけでも離れなければ。」

 

「待て!バルド卿何処へ行かれる!」

 

驚いて、声の方を向くと、30人程の同じ装備に同じチャージアックスで盾を前に出して構える団体様が……。

 

「なっ、お、王国騎士団………。」

 

「貴殿は何処に行かれるおつもりか?」

 

騎士団の隊長格の男性騎士が、バルドに質問をしていた。

 

「は、はは!滅相もありません。不逞の輩を討伐せんと、出て参ったところ。しかし、私の愛用の大剣が折られ、命からがら飛び出して来た所にございます。」

 

「して、その不逞の輩は何処に?」

 

「待て!バルド!」

 

そう叫んで、屋敷を飛び出して来た二人と1匹。

 

「な、王国騎士団……なんでここに?」

 

 ズラリと並んだ騎士様の方々……。威圧感が半端ない。その少し離れた所に、ラルク達が舞い降りた。姫沙羅に支えられて、沙夜がラルクの背から降りる。

 

「なっ!そこに居るのは沙夜殿ではないですか!」

 

 その騎士団の後ろから大声で叫ぶ者が……。それに合わせて騎士団が中央を二つに分かれ、道を作る。

 そこを歩いて来る者が……。後ろに2人連れ立ち、ひときわ目立つ鎧に身を包み青年が姿を現した。

 

「おお……。殿下、殿下ではありませんか!」

 

「「「「「「殿下!?!?!?」」」」」

 

 王国の第一王子が、そこに居た。後ろについている2人も直属の護衛か雰囲気でかなりの手練れと分かる。

 ただ、殿下と騎士団が登場したことでモンスター含め、全員戦いをストップした。それもそのはずで、全員逮捕だ!!となったら焦るどころでは済まない。どうなってしまうのかと白羅達や殿下の方を注目するしかなく……。

 

「どうされました?ま、まさか怪我をされているのか?誰にやられました?」

 

 ギクッ!ま、まずい……という顔の冷や汗を流しているバルドの姿が……。

 

「そこの、領主に殺されかけました。わちは領主の地下牢から兄上と仲間を助けに乗り込みましたのじゃ。それを助けてくれたのがそこの白羅殿と仲間たち……。わちの命の恩人じゃ。」

 

「おお!兄上とは雅盛殿か!?」

 

「お久しぶりですな、殿下。」

 

「おおお……。ようやく沙夜殿の念願が叶いましたな。私も嬉しい限りです。」

 

「沙夜様をお預けしてよろしいですか殿下。」

 

 その男性ハンターが殿下に声を掛ける。殿下もその顔を見、しばらく沈黙した後ポロポロと涙が頬を伝っていく。後ろに居た2人の護衛と騎士団たちが動揺して、どうしたものかと心配していた。

 

「ど、どうなされたのじゃ殿下!?」

 

「ずっと……ずっと……行方を捜し続けておりました……。お師匠様……。」

 

「な、なんと!この白羅殿がお師匠じゃと!?」

 

「「「「「師匠!?!?!?」」」」」

 

周り全員がすっとんきょうな声を上げる。

それも当然である。人になっている白羅にもビックリであると言うのに、師匠と殿下に呼ばれれば驚かない方がどうかしている。

 

「な、なに?どういう事?あ、あれ、白羅さんなの?」

 

急に現れた男性ハンターに、驚いて動揺が隠せない。しかも、アイルーではなく、ハンターなのだ。男らしくハンサムとくれば、緊張と恥ずかしさで顔を赤くしてうつ向いてしまう。

 

「そうニャのよねぇ。いい男ニャのよねぇ。」

 

あいかわらず姫沙羅もウットリしている。ラミアもまともに直視出来ないでいた。

 

「ば、バカな!あのバカ猫が殿下の師匠だと!」

 

「ん!?お主、私の大事な師を愚弄すると言うのか?それに沙夜殿は私の大事な許嫁だ。それを知っての狼藉か!どうなのだ!答えよ!!」

 

「お、お、お、お待ち下さい!バカ猫と申したことはお詫びします!しかし、恐れながら沙夜殿がお許嫁であられる事や、白羅殿が殿下の師匠であられたなど知る由もなく、平にご容赦を!」

 

土下座して、頭を地面に擦り付けるバルドであったが、許されるはずもなく。

 

「殿下、その男罪状だらけで御座います。」

 

横から男女のハンターが。その声に驚いて顔を上げるバルドが。

 

「お前達!なんでここに!?」

 

「アルザート様!、それにママさんも!」

 

白羅も、驚いていた。まさか来てくれるとは。

 

「罪状だらけとな?」

 

「はい。モンスター素材の密輸や密売、他に関わっている領主もおります。そして目の前に居られる雅盛様の監禁、白羅君のところにいるモンスターの拉致、更には沙夜殿の殺害未遂。どれも、免れない罪と存じます。」

 

「ふむ、確かにそれは捨て置けんな。バルドを引っ立てよ!其奴に加担したもの達も同罪だ!牢屋で洗いざらい喋ってもらうぞ。引っ立てぃ!」

 

「「「「「「はっ!!」」」」」

 

騎士団が数人ずつで、バルドに加担したハンター達を捕まえていく。暴れるものもいたが、騎士団も伊達ではない。即座に押さえつけて捕縛していた。

 

「ぬうっ!かくなるうえは!」

 

いきなり立ち上がって、バルドが短剣を取りだし、殿下に襲いかかる!

 

「ぐあっ!」

 

「いい加減にしたら、バルド!」

 

「ぐっ、カミラ!何故だ!お前もあのバカ猫を恨んでいたのではないのか?」

 

鉄扇で押さえつけられて、驚いてバルドが叫んでいた。

 

「えぇ。最初は恨んでいたわ。1匹になっていい気味とも思っていた。でも、どうしても一緒に飲みたいとすがりついて来るものだから、飲む事にしたのよ。その時に白羅君のハンター時代を聞かされて、納得しちゃったの。この人には敵わないってね。」

 

「カミラさん……。」

 

「ふん!こんな奴の何がどうだと言うのだ!」

 

「貴方も対峙したなら分かるでしょう?この世界、一概には言えないけど、私や貴方のHRは300を越えているけど、彼はニャンターならともかく、ハンターとしてはHR は800を越えている……。しかも、ソロで白龍を倒している強者よ。それを聞いて、吹っ切れたの。」

 

「な、何だと!800越えだと!しかもソロで白龍を倒しただと!」

 

「うむ。それは確かに私も聞いておるし、記録として残っている。私がまだ少年の頃に師匠から剣を教えて頂いた頃の事で、確かに覚えている。しかし、その後しばらく剣を習ったが、急に辞められ、行方が分からなくなっていた。それから私は、ずっと探していたのだ。」

 

「殿下……。」

 

白羅も寂しげな切なげな顔を向ける。

 

「だが、こうして逢うことが出来た。今一度、戻ってはもらえませぬか?」

 

真剣に白羅を城に連れて行きたいと願う殿下であった……。

 

「お申し出、痛み入ります。ですが、私はあの時最愛のオトモを亡くしてしまいました。私の慢心が起こしたこと。悔やみきれるものではございません。なので、オトモとして、ニャンターとして、体験すべくこの身を変えて生活する事を望みました。今は、お陰で沢山の仲間がおります。こんな私の事を慕ってくれる人やモンスター達が……。」

 

「白羅さん……。」

 

「白羅ニャ……。」

 

(白羅……。)

 

「……わかりました。貴方を連れ戻すのは諦めます。しかし、会いに行くのは構いませんよね?」

 

「え!?は、はい。構いませんよ。いつでもいらして下さい。御二人のお子様もご一緒にお待ちしております。」

 

「な、なんと!」

 

沙夜と殿下が顔を見合わせてお互いに赤らめて照れていた。相性が良さそうで、安心する白羅であった……。

 

「で、でも、白羅さん、アイルーには?」

 

「うん、そうなんだ。どうやって人に戻ったのかも分からないんだけど、まさかこのままって……うわっ!」

 

プシューーー!

 

いきなり蒸気のような煙が出て、いつものニャンター白羅に戻っていた。

 

「あ、戻った。」

 

「人騒がせな奴ニャ。」

 

「あたいはハンター姿の白羅も捨てがたいニャ~~。」

 

「あたしは、どっちの白羅さんも素敵だけど。」

 

「ニャはは、照れるニャ……。」

 

元に戻った白羅の周りに寄り添って来る仲間やモンスター達……。

その楽しげな顔を見て、納得する殿下であった。バルドと加担したハンター達は連行され、ママさんは酒場に、アルザートはバルドの取り調べに戻って行った。また後で、と言い残して。

 

「では、沙夜殿、雅盛殿、参りましょうか。誰か、雅盛殿に衣服を持て!」

 

すぐさま着るものが届けられる。

 

「おお、かたじけない。心使い痛み入る。」

 

「では、参りましょう兄上殿、沙夜殿。」

 

「そうじゃな。白羅殿大変世話になったの。恩は忘れぬぞよ。」

 

「ニャ、何も出来ませんでしたニャ。」

 

「そんな事はないぞよ。そなたは立派じゃ。」

 

「そうです、どんな姿であれ私にとっては大事な師、いつでも何かあれば相談に乗りますよ。」

 

「ありがとうニャ。殿下も立派になられたニャ。」

 

「いえ、まだまだですよ。では。」

 

手を振りながら、殿下達が帰って行く。白羅達はそれを見送くるのだった……。

 

「ニャて、みんな無事ニャか?」

 

「勿論!」

 

「当然ニャ!」

 

「どこかの変身猫とは違うニャ。」

 

(白羅も無事で良かった。)

 

「ニャ、おいらも大丈夫ニャ。」

 

と、ここで突然わっと歓声が上がる!遠くから、見守っていた人々から、白羅達を称えるように拍手の渦が沸き起こっていた。モンスター恐くないのかな?と思いつつ、

 

「ニャ~~て、凱旋ニャ~~~!」

 

「「「「お~~~~!!」」」」

 

人々に大拍手で見送られながら、ユクモ村へと歩いて向かう。それぞれの状況を話し合いながら、楽しげに戻って行く白羅達なのであった……………。

 

 

 

 




読了ありがとうございます。途中、あれぇ人化??がありましたが、スルーしていただければと。なりゆきでございます。次回はゆったりまったりとしたお話しになるかと。
ではまた次話にてお会いできる事を切に願って………♪紅龍騎神でした……♪♪



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪♪凱旋パーティーだニャ!!♪♪♪

皆様、明けてしまって遅くなりましたが、おめでとうございます。本年も私の事をお忘れなきようお願い申し上げます!ささ、読んでやって下さいませ。物語の始まり始まり………♪



城下町を離れ、モンスターと白羅達一行は(水戸黄門じゃないですからね。)足取り軽く、賑やかにユクモ村へと向かっていた。

どこまでも晴れ渡る空は白羅達の心も軽やかにさせるのだった……。

 

「ね、白羅さんのあの姿って……、しかも王子様の先生だったなんて雅盛様は知ってたの?」

 

「ニャァ、申し訳ニャいニャが知らないニャ。」

 

「あたし達ですら知らなかったニャ。」

 

 確かに姫沙羅達もチームを組んでいた時はニャンターだったので知りうるはずもなく……。ラミアにすればもっと付き合いが浅いので、全くと言っていいほど知り得なく。

 

(僕も分からなかったよ。その時に出会ってたら、どうなっていただろうね。)

 

 ラルクも興味深々である。雅盛と一緒に狩りをしている時に出会っているので、姫沙羅達よりは以前を知っている。一緒に歩きながら白羅達の会話を聞き入っていた。

 

「大丈夫ニャ。やっぱりあの時と同じように助けてたニャ。手当たり次第にモンスターを倒せばいいというニャは、おいらの性に合わなかったニャ。」

 

「ラルク達も興味があるみたいね。」

 

ラミアもラルクが話し掛けてきたので、ニュアンス的に分かったようだ。

 

「ニャハハ、その当時に出会ってたらどうしてたかを聞かれたニャ。」

 

「なるほど、それで……?」

 

「そうニャ。ニャから軍に入るのは嫌だったニャ。それで、ニャンターになったニャ。」

 

「フフ……そうなんだ、良かった♪」

 

「ニャンで!?」

 

「だって、こうして白羅さんと出会えたんだもん。師匠と繋がりがあったのだって、意味があったんだろうし。」

 

「そうニャァ……意味があったんだよニャ。こうして、皆と一緒に居られる今がおいらには一番大事ニャ!」

 

「びゃ、白羅さん……。」

 

「あたい達もニャよ。」

 

(そうだよ、僕らもだよ。)

 

「み、皆ニャ……。」

 

 みんなで目に涙をウルウルさせている。今まで一緒に乗り越えて来たからこそ、思いが込み上げるのだった……。

 そうこうしているうちに、ユクモ村に到着する。入り口には村人や研究員達、村長や受付嬢等々、大勢集まって出迎えてくれていた。

 

「た、只今戻りましたニャ!!ニャわっ!!」

 

 1人の女性が白羅を思い切り抱きしめる……。ユクモ村の代表である、村長さん………。

 

「そ、村長さんニャ……。」

 

 抱きしめながら肩を震わせている村長さんの肩を白羅は優しく抱きとめるのだった……。

 

が!!突然白羅の両肩を掴まれ村長と顔を見合わせる!静かに、だがかなり強めの口調で、

 

「白羅さん!」

 

「ニャいっ!」

 

「無事に帰って来てくれて良かったですわ……。しかし!」

 

 ビクゥッ!!白羅は毛が逆立つと共に音が聞こえるほどに唾を飲み込んだ。冷や汗がとめどなく流れている……。

 

「私達に内緒で危険な所へ出発した事は、どれだけ残された私達が心配した事か……。」

 

「ご、ごめんなさいニャ。ああするしかなかったニャ。ゆ、許してくださいニャ。」

 

「いいえ、今回は許すことが出来ません!公開処刑に処します!」

 

「ニャ!ニャ!ご、ごめんなさいニャ!許してくださいニャ!助けてニャ~~~!!」

 

 あっという間に村長の権限で白羅は縛られ、麻袋を被せられて2人のハンターに担がれていったのだった……。

 

「ちょ、ちょっと村長さん!」

 

「ニャ!白羅をどうする気ニャ!」

 

 突然の事に慌てて村長に詰め寄る。しかし、村長はニッコリ微笑んでウィンクをしてきたのだ。2人はどゆこと?の不思議ちゃんな顔で訳が分からなくなっている。

 

「さあ!みなさん!準備を始めますわよ!!」

 

「「「「「「「おおおっ!!!」」」」」」」

 

 村にいる全員がわらわらと散らばっていく……。ラミアや姫沙羅達は余計に訳が分からない顔をしている。モンスター達も同様だった…………。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 

「おい!これをそっちに持って行ってくれ!」

 

「これを運ぶのを手伝ってくれないか!」

 

「お~い!こっちも手伝って欲しいんだが誰かいないか?」

 

 村中、てんやわんやの大騒ぎ!村中全体が入り乱れている。お店をにぎにぎしく飾っている者、木材を運んでくる者、テーブルや椅子を並べていく者、猫飯屋では各村のアイルー料理人と白羅宅の専属アイルーも参加して腕を振るい、沢山の料理がテーブルに並べられていく……。美味しそうな料理の匂いが村の外まで届くほどに広がっていた。その白羅達の広場の家の傍に3m程の高さに作られた椅子に白羅は縛られ、頭に麻袋を被せられていた。ラミア達もやっと主旨が分かって、手伝うと言い出しみんなと一緒に準備しているのだった。

 

 勿論、モンスター達の料理も作られ、大きく作られた木皿に盛り付けられ、モンスター達がみんなで一斉に生唾を飲み込んでいたのは有名なお話……。でも、始まるまではお預け♪になっていたのでちょっと可哀そう。

なので、少しずつ味見をさせたら大喜び!後は待っててねと諭すと、うんうん頷いて行儀よく待っているのだった……。

 

 当の白羅は全く訳が分からず、しかも公開処刑などと釘をさされた日には何をされるのかとハラハラするばかり。と言って、近くではいい匂いがあちこちで漂っている。しかも、人々が忙しそうに行き来している足音がずっと聞こえてくる。

 余計にパニックになっていた。普通ここまで来たら何となくでも分かりそうなものだが、あそこまで村長に強く言われたその事に意識がいってしまい、気が回らない状態でもあった。で、急に周りが静かになる…………。

 静かになったらなったで、余計に不安が募ってくる……。

 

「さあ白羅さん!始めますわよ……。彼の麻袋を……。」

 

 2人のハンターが麻袋を外す。急に周りが眩しくなり、ビクビクしながらも白羅はゆっくりと目を開ける……。

 

「ニャ…………、ニャンと…………。」

 

 そう、目の前に現れたは無数のテーブルに並べられた、豪華な料理の数々……。そのテーブルに沿うように椅子に並ぶ大勢の人達……。みなジョッキを片手にして、白羅を見つめている。その顔はとても嬉しそうに……。

 

「お帰りなさい、白羅さん。お疲れさまでした……。白馬の王子様でなかったのだけは残念で……。」

 

 村長さんがハンカチを片手にウルウルしている。

 

「ゴ、ゴホン!!」

 

 咳払いでツッコミを入れたのはラミア。全員の注目を浴び、ハッ!と気づいて慌てて姿勢を戻す村長さん……。相変わらずの天然と言うか、お茶目と言うか……。

 

「で、では!乾杯っ!!」

 

「「「「「「乾杯っ!!」」」」」

 

 一気にジョッキを煽って一斉にテーブルに置く。その後大拍手の渦が……。白羅に対しての拍手喝采であった。

 

「み……みんニャ……。」

 

 白羅も目を丸くしてウルウルしている……。こんなに大勢の人達から拍手が送られる……。

 

(おいら、一人じゃないんニャね……。こんニャに認めてくれる人達がいるニャンて……。嬉しいニャ!!)

 

 縄を解かれ、椅子から降ろされた白羅の元に皆が集まってきた。ウルウルしながらぐるっと回って皆の顔を見ていく……。目に涙を浮かべている者……ウィンクしてくる者……親指を立ててグッドポーズする者……ハイタッチをしてくる者……。皆白羅の事を慕って集まってくれている者達……。

 

「こんニャおいらに付き合ってくれてありがとうニャ。」

 

 白羅は深々とお辞儀をした。逆に、周りの方が驚いた。

 

「い、嫌だなぁ!なに言ってるの白羅さん!」

 

「そ、そうニャ!こんニャいい男離す訳がないニャ!」

 

「そうですわ。人の時も、いい男だったと聞いては益々離しませんわ!」

 

「そうね、式の日取りも決めなきゃならないし。」

 

「「「「「おい!!」」」」」

 

「ニャ、ニャハハハ……。かなわないニャ。」

 

 苦笑いをしながらもみんなの気持ちが凄く嬉しい白羅であった……。

 

「さあ!飲んで食べて踊って盛り上がりますわよ!」

 

「「「「「「「おおっ!!」」」」」」

 

 白羅を囲んでテーブルに向かう。バイキング形式で料理が並べられ、飲み放題!食べ放題!モンスター達も同じく。演奏する人達が現れ、その曲に合わせて踊りを踊る人達……。その輪に巻き込まれ、白羅達も楽しく踊り出す……。階級等々などは関係なく、入り乱れてみんな楽しく良い笑顔で踊りあかすのだった……。

 

「ニャぁ~酔っぱらったニャぁ。」

 

 白羅が近くの椅子に腰かけると、ギルドナイトのアルザートがやって来て隣に座った。

 

「アルザート様ニャ。」

 

「お疲れ様だったね。よくあの男の悪事を暴いてくれた。なかなか尻尾を出さなくて、私達も手を焼いていたんだ。礼を言うよ。」

 

「ニャ、たまたま偶然が重なっただけですニャ。雅盛様が捕まっていると聞いて、いてもたってもいられなかったですニャ。」

 

「そうか……でも、私でも見つけられなかった雅盛さんをどうやって見つけたんだい?」

 

「おいらの所の焔羅とアオアシラの子熊が拉致されましたニャ。探そうとしていた時に子熊が脱出してきたんですニャ。その時に雅盛様も捕まってると教えてくれましたニャ。」

 

「ほう!そんな事が……。」

 

「はいニャ。それでみんニャで話し合って、少数精鋭で乗り込む事にしましたニャ。家族を、大事な人を、助けに行かなきゃ、ニャンターの名折れですからニャ。」

 

少しの間、お互いに真剣の眼差しで見つめあう……。 先に口を開いたのはアルザートの方だった。

 

「やはり、君しか居ないようだ。君にお願いがある。明日、私と一緒に王城に行って欲しいのだが、だめだろうか?このとおりだ!」

 

アルザートが深々と白羅にお辞儀をしてきた。白羅の方こそ驚いた。こんな偉い人に頭を下げられるなど、あり得ない事……。何があったと驚いた周りが二人を注目する。

 

「ニャ!ニャ!ア、アルザート様!頭を上げて下さいニャ!分かりましたニャ!分かりましたニャから!」

 

想定外の事に慌てて返事をしてしまう白羅君。

 

「え!?何処に行くって?白羅さん?あ、アルザート様もいらしてたんですね♪」

 

傍に寄ってきたラミアが何の事か気になって、問いかけてきた。それにつられて女性陣が集まってくる。

 

「ニャ、ニャァ、明日王城に行く事になったニャ……。」

 

と爪でポリポリと頬っぺたをかきながらラミアに応えていた。

 

「「「「「「な!なんですって~~~!!」」」」」」

 

全ての人々が 振り向く程に女性達の叫びが響き渡る。そう滅多な事でないと入る事がない場所へのアルザートの誘い……。果たして…………………。

 

 

 

 

 




読了ありがとうございます。とんでもない人からとんでもない事を頼まれた白羅達の運命やいかに!
では、次話にてお会いできる事を切に願って……♪ 紅龍騎神でした…………♪♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪追跡調査!?……って。♪♪

 更新させていただきます。では……♪


 大パーティーが、盛りに盛り上がって結局朝まで続いた次の日……。

村の人達が片付けを始めてくれていたが、主要のメンバーの面々はこの通り泥酔でその場で睡眠中………。

まあ、微笑ましいこと♪っと、一人笑みをこぼしながらそっと彼等に毛布を掛けてあげているユクモ村の村長さん……。彼女も一緒にかなり飲んでいた筈だが、かなり強いとみた!

 

「ホホホ、白羅さんには内緒でね♪」(りょ、了解しました!)

 

な、何か別の威圧感が……。

 

「あ………おはようございます………。」

 

まずはラミアが目が覚めたようだ。

 

「クスクスクス…もうお昼ですわよ♪」

 

村長さんにそう言われて目を丸くする!

 

「えぇっ!もうそんな時間なんですか!?」

 

「そうですわね、みんなを起こしてあげてくださいな。」

 

「あ、は、はい!…うわっ……みんな凄い格好……!?」

 

表現するのはちょっと失礼して、姫沙羅、灯羅、他の村の村長さん達は居たが、肝心な二人が居ない。

 

「ああ、白羅さんとアルザート様なら朝一で王城へと向かいましたわ。」

 

ラミアが探している様だったので、村長さんが気を利かせてそれに応えていた。

 

「えぇっ!私も一緒に行きたかったのに~~!」

 

大きな声で残念がるので、周りが何だどうしたと起きてきた。

 

「白羅さんが、アルザート様と王城に行ったって……。」

 

「ニャ~~!あたい達を置いてくニャんて許せんニャぁ~~!」

 

「いい加減になさいっ!!」

 

その場に居る全員ビクッとして、一人に注目する。当然、姫沙羅が一番に毛を逆立てて冷や汗を垂らしている。

 

「一体どんな顔で王様の前に出るのですか…、それに疲れているところを連日で連れ回すのは仲間に申し訳ないからと言って起きるまでそのままで……と白羅さんがそう言って出掛けて行きました。私にもデートの誘い……じゃなかった、頭を下げても行きましたよ。白羅さんの気持ちも分かってあげるのも、大事なんじゃなくて?」

 

村長さんに促されて全員しばらく無言であった……確かに自分達の気持ちばかりが優先になりがちで、白羅の気持ちを考えてなかったかもしれない……。

 

「今回はアルザ―ト様もついてるし、思いの深い場所でもあるので帰りを待つことにしましょ。大丈夫!私達を放置したまま、戻ってこない訳がありません。私達が信じてあげなくてどうするんですか?」

 

村長さんの言う事ももっともである。仲間を放って置けるほど、淡白な猫ではない。その事は、全員が分かっている事である。

 

「分かりました、こっちで出来る事をして、帰りを待ちます。彼が安心して帰って来られるように。」

 

「ニャ、あたいもそうするニャ。白羅の居場所を守らないとニャ。」

 

「そうですわ。白羅さんを待ちましょ。」

 

「そうですよね、戻って来たら日取りを相談しないと…。」

 

「「「おいっ!!」」」(って、まだ言ってる………。)

 

周りも苦笑いしながらも、身の回りから片付け始めるのだった………。

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

城下町へとやって来た二人は、元領主の居た屋敷に寄っていた。白羅達が乗り込んだ時の事、雅盛や焔羅を助けた事、姫には世話になった事、殿下に再会出来た事をアルザートに話ながら建物の前で話す。建物はその時のままで、雇われていたもの達は全員解雇され、時々掃除を頼まれたものが2、3人屋敷内を掃除して行く。

 今は無人であり、領主の座も空席になっているとアルザートが話していた。ここの事も含めて話がある、と王城へと案内されるのだった……。

 建ち並ぶ商店街、往来する人々、人数もさることながら、街は活気に満ちていた。その大きな通り道をアルザートと並んで歩いていく……。周りの人々もアルザートだけでなく、白羅もこの前の騒動の主役であった為に知っている者も多く、注目を集めるのだった。

 あまりに見つめられて、白羅が照れてアルザートに隠れるように歩いていると、若い女の子達に¨可愛い~~♪¨とか言われてしまい、顔を赤くしながら王城へと向かうのだった……。

 

白羅にとっては、王城は何年ぶりになるだろうか……、中へと入るとあの頃と少しは変わったところもあったが、殆どが変わりなくアルザートの案内によって、応接間へ案内されていた。

 

と、中に入って来る者が。

 

「おおっ!白羅殿!逢いたかったぞよ!」

 

「ニャ~!沙夜姫様ニャ~!」

 

「一昨日ぶりじゃの。何年の友の再会のようじゃのぅ。」

 

「ニャァ……、おめかしした姫様も綺麗ニャ……。」

 

「な、何をやぶから棒に……。わちは変わっていないのじゃ。」

 

と、言いつつ顔を赤くしている。まんざらでもなさそうだ。

 

「白羅殿、この前は姫様を助けて頂きありがとうございました。この恩はけっして忘れません。」

 

「ニャ、亜夕羅さんニャ。おいらの方こそ、姫様が一緒でニャかったら今頃どうニャってたか……。お礼を言うのはこっちの方ニャ。」

 

「おおっ!師匠いらしてたんですか?」

 

遅れて殿下が応接間に入って来る。沙夜姫と一緒に並んで顔を見合わせて微笑んでいる。

 

「今日は王様に呼ばれて参上しました、殿下。」

 

「おおっ、アルザートか。父に呼ばれたとな?」

 

「はい、件のお話かと……。王様にお会い出来ますか?」

 

「うむ、ならば謁見の間に居よう。私達も一緒に同行する。」

 

「はっ!ありがとうございます。」

 

「白羅殿、兄様も居ると思うぞ。」

 

「ニャ!雅盛様もニャか!?」

 

 まだ、和の国には戻ってはいなかったようだ。どうして……と思うより、会って話がしたいと思う事の方が優先だった。廊下を通り、大きな観音扉の前に立つ。綺麗な装飾が施され、優雅さと気品を漂わせた扉がゆっくりと開かれた。天井高くずっと奥の方に玉座がある。それに座るは国王陛下であろう、その傍で話をするは雅盛らしき人物が。白羅達は玉座の前まで赤い絨毯の上を真っ直ぐに歩いて行った。

 

「父上、アルザ―トと師匠をお連れしました。」

 

「ニャ!殿下、おいらはもう師匠じゃニャいニャ。」

 

「いいえ、そのお姿ではあっても私にとっては師匠に変わりなく!」

 

「そんニャ、偉くもないニャよ。」

 

「いや、傍で見ていたわちが保証する。そなたは真に強い。」

 

「ひ、姫様までニャ……。照れるニャ……。」

 

 そんなやり取りを見ていた雅盛が声を掛けてきた。

 

「白羅よ。改めて礼を言わせてくれ。ありがとう。」

 

「ニャ、ニャにを言いますニャ。当然の事をしただけですニャ。アルザ―ト様にもお願いして探してもらってましたニャ。助ける事が出来てこんニャ嬉しい事はないですニャ。」

 

「そう言ってもらえると私も少し気が晴れる。本当に済まなかった。」

 

「ニャ、雅盛様の所為ではないですからニャ、気にしちゃダメですニャ。」

 

「そうなのじゃ、ずっとあの調子なのじゃ。何とかならんかのう。」

 

「急には気持ちも切り換えは出来まい。ゆっくりと取り戻せば良い。」

 

「お、王様ニャ……。」

 

「白羅よ……久しいの。」

 

 何年ぶりだろうか……お互いに無言のまま、顔を見合わせていた……。

 

「お久しぶりでございますニャ。お元気そうで何よりですニャ。」

 

「ほほ……、そなたが居なくなって寂しかったぞ。」

 

「ニャ、そんニャ……。ご希望に添えなくて申し訳ありませんでしたニャ。」

 

「ほっほ、わしもそうだが、何より息子が寂しがっての。」

 

「ち、父上!それは言わぬ約束でしょう!」

 

「おや、そうであったかな?」

 

「ちちうえ~~……。」

 

 ははははは……。謁見の間に久しく笑いがこだまする。他にも執事や参謀等々も居たが、王様が笑顔を見せるなどここしばらくは無かった。ゆえに驚くを隠せなかった……。白羅の事を知る者も少なかった為、余計に不思議な光景に見えたようだ。

 

「しばらくぶりですね、すっかり可愛らしくなって。」

 

「お、王妃様ニャ……ご無沙汰しておりましたニャ……。」

 

 優雅なドレスに身を包み、優しい笑顔で迎えてくれる、人々からも好かれている王妃様。勿論超美人である。

 

「久しぶりに来たのです。ゆっくりしていってくださいね。」

 

「ありがとうございますニャ。」

 

「陛下、御団らんのところ申し訳ありません。そろそろ本題の方を宜しいでしょうか?」

 

アルザートが恭しくも催促する。

 

「お、おお!そうであったな。この続きはまた後でな。早速ではあるが、白羅よお主に頼みがある。」

 

改めて表情を引き締めた王様が白羅に話を切り出した。

 

「ニャ、ニャんですかニャ?」

 

「うむ、1つはお主も分かっておると思うが、領主の座が1つ空いておる。そこでお主に頼みたいのだが、どうじゃ?」

 

「ニャ、ニャんと!おいらがですニャか!?」

 

「そうじゃ、今のところ適任者が居らんでの。そなたがやれば各村との繋がりも深まるじゃろう、どうじゃやってみんか?」

 

白羅は迷った……。確かに自分が領主になった暁には、村との繋がり、モンスターとの繋がりも深まることになるだろう。しかし………。

 

「直ぐにお返事しニャいといけませんニャか!?」

 

「いや、今しばらくはよい。ただ長引けば誰かに領主の座を奪われることになる。さすれば村との繋がりが薄くもなろう。お前と一緒に暮らしているモンスター達の事もある。わしは問題ないのだが、他の領主たちがうるさくての。反対の者が多いのでそれらの管轄になってしまうとわしも助けにくくなる。じゃからお主を見込んで頼みたいのだ。」

 

 白羅も黙ってしまう……。領主になれば、モンスター達の生活がもっと楽になるだろう。しかし、ユクモ村にある自宅から離れてしまうのも、モンスター達を支えるのもやりずらくなってしまうし、白羅自信が寂しい事に思った。しばら~~~く考えていると、尻尾の先から頭のてっぺんまで電気が走り抜ける!!

 

「ニャ!!分かったニャ!居ますニャ!適任者がっ!!」

 

 周りがみんな驚く。一気に注目を浴びる白羅……。

 

「ニャ!て、照れるニャ……。」

 

 両手で顔を覆ってしまう白羅……照屋なのか、お茶目なのか……。

 

「ご、ゴホン!して、適任者とな?」

 

 王様が咳ばらいをして改めて白羅に応えるように促す。

 

「ニャ、おいら達をサポートしてくれているラザックニャ。」

 

「おお、彼か!なるほど……。」

 

 アルザ―トも知っていて確かに……と納得していた。

 

「知っておるのか?」

 

「はい、王様。彼ならば確かに適任でしょう。白羅君達とも付き合いが長いし、白羅君の家を建てたりモンスター達の面倒も見ています。事情もよく分かっていますし、私としても適任かと。」

 

「ほう、しかし、その者もハンターなのであろう?その方面も長けているという事か?」

 

「そうですね、下手な業者よりは頼りがいがあるかと。」

 

「なるほどの。アルザ―トにそこまで言わせるとは珍しい事ぞ。して、了承してくれそうか?」

 

「ニャンとか説得しますニャ。ラザックニャら分かってくれますニャ!」

 

「あい分かった、その件は二人に頼もう。実は本題はもう一つの件じゃ。」

 

「ニャ!?!?」

 

 領主の件が二の次なんて余程の事だろう。白羅も不思議がって王様の発言を聞いていた。

 

「実はお主に新大陸へ行ってきて欲しいのだ。」

 

「ニャい!?!?!?」

 

------------------------------------------------------------------------------------------------

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 

 ユクモ村に戻ってきた白羅とアルザ―ト。白羅の顔もあまり冴えない。

 

……………「新大陸に行って古龍渡りの調査をしてきて欲しいのだ。」

 

「こ、古龍調査ですニャか?」

 

「そうだ、既に今までも第1期団から5期団までが遠征している。彼らには彼らの調査がある。それとは別に動いて欲しいのだ。」

 

「ニャンと!」

 

「実はの。報告があって、飛竜種が多数新大陸の方角に飛来しているようなのだ。理由は分からぬ。龍達が向かった先に何があるのか……。モンスターと仲の良いお主ならそれを見つけられると思うての。どうじゃろう、行って来てはくれぬか?」

 

「ニャ……。2、3日貰っていいですニャか?考えてみますニャ……。」

 

「うむ、良い返事を待っておるぞ……。」

 

------------------------------------------------------------------------------------------------

 

 そんな会話があった後である。なかなかどうしたら良いのか、案が出てこない。かと言ってそのままな訳にもいかない。が、とりあえずみんなには帰って来た事を知らせ、ラザックの所へと向かう。ラザックもモンスター達の食料を調達して戻って来たところだった。

 

「たっ!大変ニャ~!ラザック~~!頼みがあるニャ~~!聞いて欲しいニャ~~~!」

(なかなか計画的だなこの猫……。やるな……。)

 

「な、何だ何だ!どうした?白羅さん?」

 

ラザックも白羅の慌てように、疑わない。

 

「どうしたラザック?」

 

「彼女か?」

 

「「おいっ!」」

 

「ニャ!二人にも聞いて欲しいニャ!とにかくおいらの家で話すニャ!一緒に来てニャ~!」

 

「アルザート様も居るってことは、関係があるんすね?」

 

「そうだな。まずは彼の話を聞いてやって欲しいんだがいいかな?」

 

「分かりました。行きましょう。」

 

と、言う事で白羅の家に。

 

「あ、お帰りなさい白羅さん。」

 

「白羅、お帰りニャ~!」

 

「ただいまニャ!ラミアニャ!姫沙羅ニャ!」

 

二人も微笑みながら迎えてくれた。

 

「ラミア達にも、聞いて欲しいニャ。ニャ!?村長さんもニャ。」

 

「村長さん迄もニャか!?」

 

「そうニャ。食事しながら会議ニャ。」

 

「ふ~ん、会議ねぇ……って、会議!?」

 

「それはただ事ではありませんわ、白羅さんが会議と言うからには余程の事態なのでしょう。早速話を聞きますわ。」(村長さんどこから…………。)

 

と、一同に介した面々が、白羅宅の2階で専属猫飯屋さんに料理を出してもらいつつ、テーブルを囲んで白羅の話を聞くことに……。

 

「まずはラザックに頼みがあるニャ、領主になってもらえないニャか?」

 

「ブフゥッ!!」

 

ラザックが驚いて、口に含んだアルコールを吹き出していた。

 

「な、なんだそりゃあ!」

 

「領主だってよ、柄にもない……。」

 

「彼女紹介してくれないかな?」

 

「「こらっ!」」

 

「ラザックが領主にって、どうして?」

 

「そうだ、そうだ。俺じゃなくたって他にも適任者が居るだろう。どうして俺なんだ?」

 

「ニャ、ラザックはおいら達と付き合いが長くなったし、モンスター達の面倒も見てもらってるニャ。一番気心が分かってていいニャと思ったのニャ。是非お願い出来ないニャか?」

 

「いや、しかしなぁ……。」

 

さすがにラザックも腕を組んで、考え込んでしまう。普通ならば魅力的な地位でもある。しかしラザックも一介のハンターである。他の事も器用にこなせるだけで、領主の仕事が何かは全く知らない事なのだ。大変そうな事なのも予想がつく。

 

「ラザックにお願いしたいニャ、村を、モンスター達を守って欲しいニャ。領主にニャってくれれば、各村の流通も良くなるニャし、モンスター達を守ってもらいやすくなるニャ。こんな嬉しい事はないニャ。この通りニャ!どうか……!」

 

白羅がその場で土下座して、ラザックに頼み込む。

 

「な、ちょ、ちょっと、頭を上げてくれよ白羅さん!俺なんかに任せて良いのかよ?」

 

「いいニャ!ラザックだからこそ頼んでるニャ!頼もしい仲間ニャからな♪」

 

「びゃ、白羅さん………。」

 

仲間と言ってくれる白羅に嬉しく思うラザック。一緒にいる二人以外に、仲間と思ってくれている者がいる事が何より嬉かった……。

 

「フゥ……。分かったよ、恩人から土下座されたらやらないわけにはいかないだろ。どうなるかは分からんがやるだけやってみるさ。」

 

「ラザックニャ……。」

 

お互いに握手を交わす。領主ラザックの誕生であった。

 

「あともう1つニャは…………。」

 

全員が白羅に注目する。

 

「おいら新大陸に行って来るニャ。」

 

!?!?!?

 

「「「「「「なにぃっ!!!」」」」」」

 

………………………………。

 

「びゃ、白羅さん新大陸って………。」

 

「そうニャ。実は王様からもう一つ依頼されたニャ。ニャンでも飛竜種が新大陸の方角に多数飛来して行ってるそうなのニャ。」

 

「え、でも新大陸には別に派遣されている期団があるはずでは?」

 

「そうニャ。でも、別任務だそうニャ。」

 

「別任務って……。」

 

「帰って来れる保証はあるニャか?」

 

「ニャンとも言えないニャ……。」

 

 白羅もうつ向いてしまう。必ず戻れるという確証は無い。だが、飛竜たちがこぞってどこに向かっているのか……。なぜそこを目指すのか……。これからのモンスター達との繋がりにも大きく影響する気がしていた。

 

「私は反対……。」

 

「ラミアニャ……。」

 

「あたいもニャ……。」

 

「姫沙羅ニャ……。」

 

「私も賛成しかねますわ……。」

 

「そ、村長さんニャ……。」

 

「だってよ、俺も素直には賛成出来ないな……。なんで、白羅さんなんだよ。他にもベテランのハンターならいくらでも居るじゃないか?」

 

「ニャ、モンスター達の気持ちも分かり合えるのもおいらしか居ないとも言ってたニャ……。」

 

「だからって……。」

 

 全員、黙ってしまった……。みんなの反対の気持ちも分かる……。ゆえに白羅も説得する言葉が浮かんでこなかった……。だが、外ではそれに関連するが如く別の出来事が起こっていた……。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 

(少しは強くなって帰って来たか……。)

 

(うん、少しね。父さんこそ黒炎王だなんて……。)

 

(お前も大人になれば進化出来るさ。)

 

(そうかな?)

 

(そうね、あの猫さんと一緒ならあるいは……ね。)

 

(母さん……。)

 

(僕らも負けないからな!)

 

(兄ちゃん、姉ちゃん……。)

 

 広場の奥の方高台の上で家族の語らいをしているリオレウス達家族。焔羅の無事を確認しつつ、再会を喜びつつ……。大パーティでも一緒に過ごしていた唯一の貴重な家族……。だがそれを邪魔される出来事が……。

 

(呼んでる……。)

 

 不意に黒炎王が上を向く。どこか遠くを眺めるように……。

 

(ど、どうしたの?)

 

(呼んでる……。)

 

 今度は金竜の方が……。

 

(呼んでる……。)

 

(呼んでる……。)

 

 今度は2匹の子竜が……。

 

(えっ、父さん!母さん!兄ちゃん!姉ちゃん!みんなどうしたの!!)

 

 焔羅以外同じ方向を見つめているのだ。急に言葉が棒読みになって何かにとり憑かれたかのように、焔羅の声が耳に入っていない……。

 

(行こう、呼んでいる。)

 

(行きましょう。)

 

(行こう。)

 

(行こう。)

 

 焔羅を残し、ホバリングを始める。

 

(え!ま、待って!どこに行くの!?父さん!母さん!兄ちゃん!姉ちゃん!待ってよ!!)

 

 焔羅が大声で叫ぶも全く聞こえていない。焔羅を置いて飛翔して行ってしまう……。

 

「グルオアァァァァァァ!!!」(いくなあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)

 

 何が起こったのか……。訳が分からないまま、取り残されてしまった焔羅……。頭を下げて1匹そこにたたずんでいた………………。

 

「ヒヒヒィィィンッ!!」

 

 白羅達の家の外で馬の否鳴き声が……。すぐにキリンと分かり何があったのかと白羅達は外に出た。

 

(大変!!焔羅の家族が、居なくなったわ!!)

 

「ニャ!ニャ二ィッ!!」

 

 それを聞いて白羅が一気に飛び出して行く!

 

「ど、どうしたの!」

 

「黒炎王たちが居なくなったニャ!!」

 

「「「「「「ええっ!!」」」」」」

 

 全員白羅に続いて飛び出して行く!広場の奥の方、黒炎王たちが住処としていた丘の上……。

 行くとそこに一人ぼっちでたたずんでいる焔羅の姿が……。

 

「え、焔羅ニャ……。」

 

 声を掛けると、振り向いて涙目で白羅に抱きついてきた。白羅も抱きしめる……。1人となった時の寂しさや悲しみは痛いほどよくわかっている……。なので力一杯抱きしめていた。

 

「ど、どうして……。」

 

 白羅もアルザ―トも思い当たる節があった……。古龍渡り……。その調査に至極関係しているとの確信……。

 

(みんな、呼んでるって……。行っちゃったんだ……。)

 

「ニャンと!そうニャか……。」

 

「彼は何と?」

 

「はいニャ、みんニャ、呼んでる……。と言って飛んで行ったそうですニャ。」

 

「一体何に呼ばれていると!?」

 

「分かりませんニャ。でも、焔羅の止めるのを無視してまで行くニャンて考えられませんニャ。」

 

「ギルドや龍歴院にも話して捜索しましょう。少しでも手掛かりを集めないと。」

 

「お願いしますニャ。やっぱりおいら、行きますニャ!!」

 

「びゃ、白羅さん!」

 

「ごめんなさいニャ。焔羅の家族を放って置けないニャ。ここに一緒に住んでる限り、仲間であり家族ニャ。焔羅の悲しむ顔も見たくないニャ。」

 

「し、しかし……。」

 

「誰がニャンと言おうとおいらは行くニャ。おいらのわがままニャ、聞いて欲しいニャ……お願いニャ……。」

 

 白羅はウルルン目線で、みんなを見渡す。すぐに返事が出来ないままみんなうつ向いてしまう。

 

「分かりました!私も行きます!!」

 

「ニャっ!?村長さん!?」

 

「「「「「ええっ!」」」」

 

「白羅さんがどうしてもと言うのなら私も同行します!白羅さんと一緒に旅をしてみたかったですし。良いですよね白羅さん!」

 

「ニャ……そ、村長さんニャ……。」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!それなら私も行きます!」

 

「ニャ!抜け駆けは許さにゃいニャ!あたいも行くニャ!」

 

「私も一緒に行こっと。」

 

「み、みんニャ……。」

 

 結局、行く事になった面々……。更に一緒に行きたがる物が……。

 

(僕らも行くよ!)

 

「ニャ!?ラルク!焔!蓬!キリンさんもニャか?」

 

(僕も行く!何と言われようとついて行くからね!)

 

「勿論ニャ!焔羅がいニャいと始まらニャいニャ!よし、行こうニャ新大陸にニャ!!」

 

「「「「「「おおっ!!」」」」」」

 

 何だかんだと気合の入った白羅達……。未知の世界、新大陸……。どうなりますか……では……♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 読了ありがとうございます。一体どうやって行くんでしょ?次回をお楽しみに♪
                     紅龍騎神でした……♪♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪♪いざ出陣ニャ!!って良いかニャ!?♪♪

 お久しぶりにゴザイマス。この作品の更新にありつけたところでございます。
 他の作品共々よろしくお願いいたします。
 早速、読んでやってください。53話目始まりです♪



 さて、お久しぶりでございます。王様の勅命を受け、しかも焔羅の家族を探すため、新大陸に乗り出す事になった白羅達面々……。モンスターばかりか、ユクモ村の村長さんまで行く事になった次第……。まずは出発準備の為、各々が持ち物や各方面!?に手続きをしていた……。で、灯羅が疑問を白羅に投げかけてもいた。

 

「でも、ニャンで村長さんが行くと言い出したのニャ!?」

 

「おいらにもさっぱりニャ……。」

 

「うふっ♪実はね、姉が新大陸に居るんですの……。」(凄い……どこからともなく現れる……。)

 

「「ニャ!?」」

 

驚いて後ろを同時に振り向く2匹……。

 

「第1期団の内の一人ですわ♪」

 

「「ニャんですとぉぉぉ!!」」

 

 …………………………………。

 

「で、お姉さんニャは今どの辺にいるニャ!?」

 

「ここしばらくは音沙汰も無かったので、どの辺を移動しているかは分かりませんわ。」

 

「ニャ!?移動しているニャか?」

 

「その様ですわ、大きな船を改造して飛行船にしているとか……。」

 

「そのお便りニャは新大陸の様子は書いてあるニャか?」

 

「えぇ。でもザクッとした感じでしか書かれていなくて………。ハッキリ見たいなら、こちらに来ればいい…………。と書かれていて、新大陸のイメージはイマイチですの。」

 

「そうニャんですニャか……。」

 

「でも、こちらで見る生物達と違い、初めて見る生物ばかりだそうで少し期待感もありますわ♪」

 

「ニャるほど……。で、こんニャ夜更けに何の用でしたニャか?」

 

「ほっ、ほほほほほ!い、いえ、何でもございませんわ。準備の方ははかどっているのか気になりましたの。それに……。」

 

「な、なんですニャか?」

 

「明日、皆さんに集まってもらい御披露目をしますわ♪」

 

「ニャ!?御披露目って……ニャに!?」

 

「内緒ですわ、ほほほほほ。」

 

 村長は口を隠すように笑いながら部屋から戻って行った。

 

「ニャ、ニャンだったニャ!?」

 

 白羅と灯羅は顔を見合わせて?マークを頭にいっぱい浮かべるのだった……。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 ホントに次の日……白羅達の家の前に集められた面々、勿論今回一緒に行くモンスターもである。誰も何故集められたのかピンと来ない。

 

「そ、村長さん。全員集合は良いんですけど、一体何を……。」

 

「そうニャ、あたいも準備する物がいっぱいあるニャ。」

 

「へえ、どんな?」

 

「ベッドニャと……枕2つニャと……あれニャと……これニャと……きゃあ、恥ずかしいニャァ♪」

 

「「「「「こらっ!!」」」」」(抜け目ないなやっぱり)

 

「でも一体何があるんですニャか!?」

 

 白羅も何か不安になった。朗報ならばいいが、出発前にふ報は聞きたくないものだ。

 

「ええ、ごめんなさい。私達の乗る船……つまり飛行船が完成したので、そのお披露目です♪」

 

「ニャ!?船ニャか!?」

 

「え、私達独自の!?」

 

「ええ、そうですわ。」

 

「ニャァ!!あたいと白羅の愛の巣ニャァッ♪♪」(どこから来るのその発想……。)

 

「「「「「おいっ!!」」」」」

 

「で、で、何処に!?」

 

 もごもごと姫沙羅の口を塞ぎながら、ラミアや他の者も周りを見渡すが見当たらない。

 

「ふふ……来ましたわ♪♪」

 

 と、突然ユクモ村全体が暗くなり太陽を遮って影を作り出した。しかも上から機械音までする……。

 驚いて全員上を見上げると、そこには超巨大な飛行船が近づいてきていた……。

 

 龍識船のように横並びに三艘の船があり、気球もその大きさに倣って3つ浮いている。貨物船か!?と疑いたくなるような大きさだ。左右の二隻も大きめだがそれでも差がある。それぞれが勿論ユクモの樫木が使われ、更に鉄鋼で補強されている。乗組員も数十名、船内を右往左往していた……。

 

「ニャ、ニャンて巨大ニャ……。」

 

「ふふ、真ん中の船にはラルクさんやガムートさん達まで乗れるように建造しましたわ。」

 

「ニャニャニャンと!!蓬までニャか!?」

 

「で、でもこんなに大きな船だと……費用がものすごく掛かってないですか!?」

 

「大丈夫よ、ラミアさん……。王様に頼みましたから♪♪」(なんつう人でしょ、チートやん!ってなぜに関西弁!?)

 

「お、王様に!?」

 

「ええ、白羅さんが乗る船はモンスターの仲間もいるので大きくないと始まりませんわ、とね♪♪」

 

 村長さん恐るべし。決して敵にしてはいけません、いいですね!(誰に言ってるんだろ!?)

 

「王様に会ったですニャか!?」

 

「ええ、あなたが行く事に大層喜んでましたわ。ならばその準備くらいはしてやろう、と言ってくれましたわ♪♪」

 

「ニャ……ニャハハ、敵わないニャ。」

 

「さ、中へとご案内しますわ。みなさんこちらへ。」

 

 村長さんを先頭に陸と船の間に掛けられた足場の階段を一段ずつ上がっていく……。全員、その大きさに関心と感嘆と驚きに船を見回しながら村長さんの後をついて行く。

 甲板の上に上がると、乗組員のクルーたちが急ぎ早に準備を進めている所だった。龍識船のように、左右の船には酒場や武具屋、道具屋、猫武具屋があり、荷物も多く積まれている。本船は受付嬢も1人、大きさ違えど龍識船じゃあ……。

 

「いえ、違いますわ!」(何処がでしょう!?)

 

「真ん中の船は先程話した通り、後ろ側からラルクさん達が乗り降り出来ます。その上の階には私達の部屋がそれぞれ。一応、大砲やバリスタ等も完備していますわ。そして、食事に関しては彼が一番かと♪♪」

 

「ニャァ!光栄だニャァ!白羅さん達の専属してて良かったニャァ!」

 

「ニャッ!!そうだったニャか!」

 

 お互いにガッチリと握手する……まるで長年の友の再会のように……。

 

「料理は頼むニャ。」

 

「任せてニャ。全力でサポートするニャ。」

 

 頷き合って、猫の料理人もその場を離れる。準備の途中との事で、荷物の仕入れなど忙しそうであった……。

 

「わあっ!龍識船より見事な感じですね!」

 

「ニャ!隊長さんニャ。」

 

「お久しぶりですね、白羅さん。」

 

「ニャァ、おいらの船ニャンてピンと来ないニャ。」

 

「ふふ、帰ってきたら新大陸のお話を楽しみにしていますよ。まずは家族の捜索ですね。」

 

「ニャ、知ってるニャか!?」

 

「ええ、こちらも任務があるので新大陸に……とはいきませんが情報は上がってきています。ただ、全てが初めての場所なので……十分に気を付けてくださいね。」

 

「ありがとうニャ。隊長さんにもお世話になってるニャ。土産話を一杯持って帰って来るニャ。」

 

「無事の帰還を願って!」

 

「また、必ず会うニャ!」

 

 2人はハイタッチして、隊長さんは離れて行った……。

 

「白羅さんはやっぱり知り合いが多いですのね。」

 

「村長さんニャ……。おいらには運が良かっただけニャ。こうして仲良くしてくれる仲間がいっぱい居るニャンて。」

 

「ンニャ、これはあんたの持ってる力ニャ。」

 

「姫沙羅ニャ……。」

 

「そうね、白羅さんが違う性格だったらあたし達もついて来ることは無かったし……。」

 

「ラミアニャ……。」

 

「みんなお前を信頼してるニャ。」

 

「灯羅ニャ……。」

 

「うふっ、船の中でゆっくり日取りを決められるね♪♪」

 

「「「「「おいっ!!」」」」」

 

「やっぱりみんな大好きニャ!おいら良い家族が出来たニャ!!」

 

(僕らもだよ白羅。)

 

「ニャ、ラルクニャ……。」

 

(俺たちもお前に助けられた。まだ、借りを返したとは思っていない。)

 

「ニャ、蓬ニャ……。」

 

(そうね、不思議な運だけどあなたに会えたことは良かったと思うわ。)

 

「ニャ、キリンさんニャ……。」

 

(そうだな、これからどれだけ相手を尻尾で捌けるかと思うと涎が……。)

 

「ニャ!!勘弁してニャ、焔っ!」

 

(冗談だ……。)

 

「ニャ、ニャにか本気そうで怖いニャ……。」

 

 突然、甲板の上で白羅が正座する。みんな驚いて白羅に注目した。

 

「みんニャ、よろしくお願いしますニャ……。」

 

 深々と土下座する。すると焔羅も隣に来て頭を下げていた……。今回は甲板に頭で穴を開ける事は無い……。

 すると、何故か全員が白羅達に向かって土下座したのだ。モンスター達も頭を垂れる……。周りにいた船のクルーたちは何が起きているのか?マークだらけになっていた。

 しばらく下げていた頭を顔だけ起こすと、みんな同じ様な体勢でお互いに見つめ合い、微笑んで確認し合うのだった……。みな、思いは同じ…………大事な家族を助けるためそれぞれが気持ちを一つにするのだった……。

 

「さあ、出発準備ニャっ!!」

 

「「「「「「「おおっっ!!」」」」」」」

 

 早速、それぞれが荷物を運び入れていく……。それを蓬や焔羅、ラルク達も手伝う。その微笑ましさにクルーたちも感心していた……。考え方が少しでも変わった瞬間でもあった。それだけ白羅達が楽しそうだったのである。

 その夜は、出発前夜と言う事もあって見送りや餞別と言った、人々も来ていた。白羅も研究員さん達にも、残るモンスター達の事も頼み快く了承してくれたのはありがたかった。ラザックも領主の任命に急ぐどころか走り回るほどに行ったり来たりで、バテバテではあったが見送りには参上していた。

 

「すまにゃいニャ、無理ばっかり言ってるニャ……。」

 

「あっはっは!!なあにを今更っ!白羅さんの帰る場所はしっかりと守っとくぜ、安心してくれ。いや、実はね、めちゃくちゃ忙しいには忙しいんだが、領主って仕事もなかなか面白いなと思ってさ。」

 

「ニャ、ほんとニャか!?そう言ってくれると有難いニャ。」

 

「確かに他の領主達の付き合いもあるから気難しい所もあるけど、バックには白羅さんと王様が居るじゃないか。簡単にはこっちにちょっかいを出せないでいるらしいんだ。だからこっちもやり易くてさ。」

 

「ニャァ、ラザック頼もしいニャァ。やっぱり見込んだだけはあったニャァ♪♪」

 

「や、やめてくれよ恥ずかしい。ウルルン目線で見つめられても何も出ないぜ、はは……。」

 

「お取込み中ごめんなさい、良いかしら?」

 

「ニャ!ママさんニャ……。」

 

「お、おお、集会酒場のママさん。こちらにどうぞ。」

 

 ラザックは席をママさんに譲り椅子に促した。美人で強いママさんである、目の前にするとさすがにラザックでも照れる様だ。

 

「ありがとう、あなたも座って。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

 照れながらも隣の席にラザックも促されて座る。3人はジョッキを当てて一口飲んだ……。

 

「しばらく会えなくなるニャ……。」

 

「そうね、寂しくないと言えばウソになるけど、でも居ない間に領主さんと仲良くなってるかも……♪♪」

 

「え、ええ!お、俺ですか……マジで!?」

 

「ニャ!ラザックとニャか!?」

 

「ダメかしら?♪♪」

 

「い、いえいえいえいえ、とんでも無いですっ!!そ、そんな俺が声を掛けてもらえるなんて信じられなくて……。」

 

「じゃあ、お近づきの印に……。」

 

 ママさんが突然にラザックの頬にキスをした。白羅も全身が逆立って顔を真っ赤にして両手で顔を覆ってしまった。ラザックも顔を真っ赤に染めたまま硬直している……。

 

「くすっ、純な所もいいわね♪♪」

 

 ラザックの身が持つのか心配になる白羅であった……。相変わらず姫沙羅達はどんちゃん騒ぎである、それを心配そうに見ているモンスター達……。

 そんな姿を見ながら、白羅は改めて目の前に居る者たちを……そして助け出さねばならない者たちを……何としても守りたいと心に誓うのだった…………。

 

 次の日、大勢に見送られながら出発の日を迎えた。前の日のどんちゃんはどこへやら、全員引き締まった顔をしていた。

 

「さ、良いですか?忘れ物はありませんね?」

 

「「「「「「「「「「おおっ!!」」」」」」」」」」

 

 村長さんが皆を見回すと全員頷き返していた。村長さんもそれを確認すると、船長さんに合図を送る。

 

「これより出航するっ!!」

 

「「「「「「「「「「アイサーッ!!」」」」」」」」」」

 

 クルー達が返事をして船が起動する。船底の方にはラルクや蓬達も乗って待機している。

 

「みんニャ、頼むニャァッ!!」

 

「帰りを待ってます~~~っ!」

 

「全員ご無事で~~~っ!」

 

「モンスター達の事は任せてくれ~~~っ!!」

 

「ラザックの事は俺たちに任せてくれ~~~っ!!」

 

「子供の顔が見られることを楽しみにしてるぞ~~~っ!!」

 

 その場にいる者たちを含め、船に居る全員が…………コケた……。全員が照れている……。

 

「ニャ、ニャ、ニャハハハハハ……。おいら達の出発らしい見送りニャ……。」

 

 船は徐々に上昇していく。新大陸へ向けて舵を切るのだった。白羅は地上に居る者たちに改めて大きく手を振る!

 

「行って来るニャァッ!!!」

 

 その姿見えなくなるまで白羅は手を振った……。これからの決意を胸に秘めて…………………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 読了ありがとうございます。新大陸へと出発した面々、どんな事が待ち受けているのか…………次回をお楽しみに。  紅龍騎神でした……♪♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

番外編“ザ・ファースト”……あり!?

ご無沙汰をしておりました。もうひとつの作品のコラボの相方には申し訳なく思いつつ、心が広い方だったと感動し、それにちょっと甘えつつ……、こちらの噺が出来たので先行で……。番外編ですが、読んでやって下さい♪
物語の始まり始まり……♪



あるハンターの部屋……いや、ニャンターか!?……。いや、大型モンスターで無いことだけは確か……。

 

テーブルを前に椅子に腰掛ける一匹がいた。猫鎧に、ニャンコテツを装備して頭を下げて床を呆然と見つめるアイルーと言う獣人族が………。

名を白羅《びゃくら》と言い、一人……いや、一匹でニャンターとして幾度かのクエストをクリアしていた頃の噺である……。

 

彼は雅盛“まさもり”と言う和の国出身のハンターと共に狩りに出ていたオトモであった……。名を馳せていた雅盛に、元領主であったバルド、現集会酒場に居るママことカミラがまだ若かりし頃で雅盛とチームになってフィールドを駆け巡っていた頃である……。

G級にも上がり、HRも開放となり、更に上を目指して辿り着いた最強種の龍の始祖、“祖龍ミラルーツ”との対決で、白羅は戦うのを途中で辞めようと言い出し、そこで戦いは途絶えてしまう……。しかもクエストはクリアになったものの、ミラルーツを倒すことは出来ずに凱旋。後に”倒さずの英雄“と呼ばれるようになった……。その後関係がギクシャクしていき、更には3人のそれぞれが白羅の責任と思い始め、最終的には雅盛が白羅を解雇するに至ったのである……。

 

 一番信頼していた雅盛にも見放され……何をする元気もなく自問自答の日々を2ヶ月程……。人の心というのはこうも揺れ動く物なんだと実感もしていた……。しかし、白龍と和解できた事も事実。

 だが、ある時そのニャンターに転機が訪れる……。扉をノックする音に下を向いたまま返事をする白羅。

 

「どちら様ですかニャ……?」

 

「突然済まない、お邪魔しても良いかな?」

 

「ニャ!?アルザ―ト様ニャ……。」

 

 驚いて気怠い身体を起こして扉へと歩いて行く……ゆっくりと開けるとそこにはギルドナイトであり筆頭リーダーであるアルザ―トが立っていた。

 あまり表情を出さない彼が唯一ニッコリと話しかけるその顔を見られるのはほんの数人……。その内の1人……いや1匹が白羅であった。

 

「どうしましたニャか!?おいらの所に来ても何も出ないニャよ。」

 

「いや、どうしても話したい事があってね。良いだろうか?」

 

「ニャ!?良いですニャよ。どうぞですニャ。」

 

 白羅はアルザ―トを招き入れ椅子へと促す。アルザ―トも頷きつつ椅子へと腰掛けた……。白羅は飲み物を出して対面側の椅子に腰かける。

しばしの間があって、アルザートは話を切り出した。

 

「あるクエストを私と共に、手伝っては貰えないだろうか?一緒にクリアしたいんだが……。」

 

「ニャ!?クエストニャか?おいらが!?」

 

さすがに白羅も目を丸くして驚く。ここ2ヶ月以上はまともにクエストなどしていない。まして大型モンスターなら尚更だ。

 

「場所は極圏……相手はあのモンスターだ。」

 

「ニャ!?極圏ニャってまさかニャ!?」

 

「うむ。”崩竜”ウカムルバスだ……。」

 

白羅は尚更驚いた。ハンターを仲間に誘うなら分かりそうだが、ニャンターを連れて行こうと言うのだ。あの独特な顎と、持続力のあるスタミナと体力、氷の地面を泳ぐ様は見とれている余裕などなく、氷の地面から突き上げられれば間違いなく吹っ飛ばされる……。冷気の直線ブレスもしかり。桁違いのパワーなのだ。

 

「ど、どうしておいらニャんか……。」

 

「いや、私は前からずっと君を雇いたかったんだ。」

 

「ニャ!?ニャんと!!」

 

その滅多に見られない笑顔で、白羅を見つめる。白羅も思わず照れてしまう。

アルザートのそのスマイルは冗談などではなく、本気のものだった……。ひしひしとその思いが伝わってくる……。

 

「わ、分かりましたニャ。こんニャ非力で良ければ手伝いますニャ。」

 

「おおっ!行ってもらえるか、有り難う♪」

 

アルザートは白羅の手を取り握手を交わすのだった……。何故か理由は分からなかったが、極圏の中でウカムルバスが暴れているらしい、止めなければ周りの氷壁が崩れ落ちそれが融けて更には巨大な振動連鎖で他の氷山も崩れて融け、海水上昇しかねないのだとか。

 それは緊急事態との事で、アルザ―トにクエストが回って来たと言うのだ。

 

「ニャ!?それで、他の仲間は行きますニャか!?」

 

「うむ、私と君の2人だけだ。」

 

「ニャッ!?ほ、ほんとですニャか!?」

 

白羅もその返答には驚いた。相手はあのどう考えてもウカムルバスなのだ。何をどうすれば、1人と1匹で止められると言う基準が生まれるのか?それでもアルザートのスマイルは変わらない。

 

「と、止められますニャか?」

 

「白羅君となら、止められる!」

 

「ニャ~~!!どこから出ますニャかその自信ニャッ!買い被り過ぎニャ~~~ッ!!」

 

「よろしく頼むよ♪♪」

 

「こっちの話を全く聞いてないニャ……。」

 

 頭と両前足を下に降ろしてガッカリする白羅にアルザ―トは微笑みを返すのだった……。

 早速明日には出発するとの事になり、アルザ―トも準備すると一度自宅へと帰って行った……。白羅も持ち物の準備を済ませ、コテツも研いで椅子に立て掛ける。

 

「動けるかニャ……。」

 

 しばらく、クエストには出ていない白羅であったためブランクがあると思った。コテツを軽く振り回してみるも、何となくだがしっくり来ない。全盛期の動きまで果たして戻るかどうか……1匹で疑問を持ちつつ、1夜を過ごすのだった……。

 集会場での待ち合わせで、白羅が到着するとアルザ―トが受付を終わらせ白羅を出迎えてくれた。

 

「隣のボードでクエスト受注を頼むよ。」

 

「分かりましたニャ。」

 

 白羅もすぐに隣のボードから参戦受注をする。しかし、受付嬢も心配そうに1人と1匹を交互に見ている……。

 いくらそれぞれが手練れだとしても、確実にクエストクリアで戻って来れるかどうかの確証は無い。それ故にハンター4人とか、せめてオトモかニャンターが後2匹居るとか……何で1人と1匹!?と言う疑問形であった……、それだけの相手だけに心配にならない訳がない。かと言ってそれが止める理由にはならない……元々クエストは危険と隣り合わせなのだから……。

 

「お気を付けて……。無事にお戻りになる事を祈っております。」

 

「ありがとう。」

 

「ありがとうですニャ!」

 

 そして、1人と1匹は極圏へと向かったのである……。

 

 …………………………………………………………………………

 

 

 極圏……凍土の地にあって、氷に囲まれた巨大な洞窟……。エリアはそこしかなく、さながら天然の闘技場の様でもある。違うのは、極寒と言うことと地面、天井、壁全てにおいて氷と言うこと。壁の一部が外へと穴が空いていて、外の光が中を照らし出している……。

アルザートと白羅はベースキャンプに来ていた。寒さの余り、そこに休むベッドは無いし作られてはいない。チェストから持ち物を持ったら、鬼神薬やホットドリンク、強走薬等を飲んで、戦いに挑む。その準備をしていた……。

 

「ニャ!?ギルドナイトセイバーじゃないニャ?」

 

「そうだね、属性の相性が悪そうだったから私の持っていた双剣の中でこれを選んだ……。“対剣ヴォルトトス”をね……。」

 

「炎と水属性ですニャね?“ガノトトス”と“ヴォルガノス”の素材の双剣ニャ♪」

 

「うむ、いかんせん対応出来そうなのはこれしか思いつかなかった。それでも、炎ダメージが与えられる分マシかと思ってね。」

 

「少しでも止める確率が上がるのは良い事ですニャ。」

 

 お互いに顔を見合わせてニッコリと微笑んだ……。

 

「さて、覚悟は良いかい?」

 

「良いですニャ!アルザート様はどうですかニャ?」

 

「私も問題ないよ、じゃあ行こう!」

 

「はいニャ!」

 

お互いに声を掛け合って走り出す。暴れていると言う巨大な相手に向かって……。

 

 

 

「グウゥオォォォォッ!!」

 

 エリア内に入ってしょっぱなから響き渡る咆哮!暴れていながらも、侵入者アリと察知したのか怒号を響かせていた。そして、こっちを見据える堂々とした面構え……。立派な剣先スコップのような吐出した顎に大きめの両前足、背中は刃のような縦に並んだ背ビレ!?が尻尾の方まで続いていた。尻尾も太く殴られたらハンマーよりきついかもしれない……。

 

「さて、攻撃開始だ!!」

 

「行きますニャ!!」

 

 それぞれ、武器を構えて走り出す!ウカムルバスが立ち上がって更に咆哮を上げる!すると、その音の振動で天井の氷やツララが降り注いでアルザートや白羅に無差別に襲い掛かってくる!2人は走りながらそれらをかわし、ウカムルバスの懐に……。

 

「オオオォォォ!」

 

先ずは先制とばかりにアルザ―トが双剣を振るっていく!振るうごとに炎と水が攻撃を強める為に姿を現す!すぐにではないが、後々ダメージが蓄積されていく事だろう。ウカムルバスもそのまま下敷きにしてやろうと、ボディプレスを仕掛けて来る!

アルザートはそれに気付き、一旦回避した。

白羅もコテツで後ろ足を集中攻撃!回転斬りで応戦し、ウカムルバスをひっくり返してダウンさせる!

 

「ナイスだ白羅君!」

 

その隙は逃さずにアルザートが双剣を叩き込んでいく!

白羅も負けじとコテツを振るっていた……。

 起き上がってすぐさま顎を使い氷の地面を掘り砕き、中へと潜り込んで行く……。丸まった背中を地面から吐出し、まるで水中を泳いで来るかのように氷の地中を進んで向かって来る!

 

「ニャ~~っ!!こっちニャか~~っ!!」

 

 そう、この場合どちらかを狙って突き進んで来るのだがターゲットになったのは白羅の方だった……。アルザ―トもウカムルバスの後ろを追いかけて来る!

 

「白羅君!」

 

「ニャ~~!間に合わないニャ~~っ!!」

 

 壁に追い詰められ地面からあの剣先のような顎を突き上げられる!!

 

「白羅君っマズイ!!!」

 

「ニ”ャァァァァァッ!!!」

 

 白羅が吹き飛ばされ、洞窟の天井近くを弧を描くように飛んで行く!!

 

「危ないニャっ!!」

 

「ニャっ!?ギャフっ!!」

 

「なっ!?!?」

 

 白羅は何者かに身体を受け止められる!それを見ていたアルザ―トも愕然とする。ここには居ないはずの1人……いや、1匹が居たのだから……。

 それは獰灼炎のブレイニャーと獰レウスネコメイルを装備し、見事な動きで白羅を受けとめた1匹のアイルーだった。

 

「あら♪良い男ニャ~~~!あたいはなんてラッキーニャ~~!」

 

「ニャ!?」

 

抱かれたまま、声の方を見ると雌のアイルー族がかなりの武具を装備して目をキラキラさせて、白羅を見つめている……。

その迫力にたじろぐ白羅。

 

「あたいのニャ~リンニャ~~チュウゥゥゥゥ!」

 

「ニャ!?ニャ!?ニャ!?ちょっと待ってニャ~~~!」

 

慌てて飛び起きようともがく白羅だがそのアイルーも簡単には離さない。

だが、周りからの冷たい視線を感じて2匹がその方を見ると、ウカムルバスが呆れていたかは分からないが、その様子を見据えていた……。

 

「…………………。」

 

「…………………。」

 

「……………………。」

 

「「ニ゛ャァァァァァァァァ!!」」

 

「ガァァァァァァ!!」

 

お互いに咆哮を上げる………………。

 

だが、先にモーションが動いたのはウカムルバスの方だった!

外気の冷たい空気を吸い込みながら仁王立ちになり、白羅達を目掛けて冷却ブレスを放とうとしてきたのだ!

 

「マ、マズイ!!そこから離れるんだ!!」

 

アルザートが叫ぶも間に合わないっ!!そう思った瞬間だった……。

 

「回転斬りニャ~~~っ!!」

 

「グオォォォォォォ!!」

 

「な、なにっ!!」

 

またもやアルザートが驚いてしまう。もう一人……いや、もう1匹現れて炎の回転斬りでウカムルバスの右側面から攻撃し、不意を喰らったウカムルバスがスタンしたのだ!

なんと!先に現れたアイルーと同じ武具を装備している。だが、その声からこちらは雄だと分かった。

 

「た、助かったニャ!」

 

「済まなかったニャ……お楽しみを邪魔したニャ。」

 

 ブレイニャーを肩に担いで白羅達の方に振り向く。

 

「ニャ!?ニャ!そんニャことないニャ!」

 

「ニャ~~~、良いとこだったニャ~~~!」

 

 雌のアイルーが滅茶苦茶残念そうにしている……。

 

「き、君達は!?」

 

アルザートも寄って来て、その2匹に問い掛けていた。同じ装備のアイルーが現れたのだから想定外だ。

 

「あたいは姫沙羅《きさら》ニャ。たまたま採掘に来てみたら、素敵な出逢いがあったニャ!こんニャ、ロマンチックがあるニャんてラッキーニャ~~~!」(既にこの頃からこんな感じですか!?)

 

「俺は灯羅《とうら》ニャ。騒がしかったニャから、覗いて見たらこの状況ニャったから体が勝手に動いてたニャ。」

 

「は、はっはっは♪♪こんな事が起きるんだね♪」

 

「おいらも驚きですニャ。」

 

アルザートと白羅は2匹を交互に見る。

 

「面白そうニャから参戦させてもらうニャ。」

 

「あたいも愛しのニャ~~リンの為に人肌脱ぐニャ………ニャァ!一肌だったニャ~~!ニャ~~リンのエッチニャ~~!」

 

「どこがニャっ!!」

 

と、何だかんだで四人組!?になるのだった……。

 

「かなり異例だけど、ヨロシクお願いするよ。奴を止めたいんだ!」

 

「「了解ニャ!」」

 

早速とばかりに、2匹が動き出す。アルザートと白羅も顔を見合わせて頷く。2匹を追い掛けるように走り出すのだった……。

 両側から姫沙羅と灯羅の2匹がブレイニャーに炎を纏いながら後ろ脚に同時に回転斬りを振るっていく!!

 同時の傷と痛みにウカムルバスが咆哮を上げる!立ち上がった所を腹部目掛けて1人と1匹が剣を繰り出していく!!

 

「狩技!螺旋斬っ!!」

 

「おいらも回転斬りニャ~~!!」

 

「ゴアァァァァァァッ!!」

 

 その連続攻撃にウカムルバスが崩れ落ちる!そのチャンスをそれぞれが逃さないっ!!ひたすら色んな部位を攻めていく!

 

「これで最後だっ!!」

 

 アルザ―トが最後の一撃を掛けようとした時だった……。

 

「キシャァァァァギィィィィィ!!」

 

「ア!アルザ―ト様ニャ!!待ってニャッ!!」

 

「なっ!?」

 

 ウカムルバスの前に氷の地面から現れたのは、小さな尖ったせびれに、シャープに尖った顔、四肢があって意外と可愛らしい。

 

「こ、これニャって……ザボアザギルの幼体ニャか!?」

 

「う、うむ。どうやらその様だが………どう言うことだこれは……」

 

「ニャ!?ニャんと!!」

 

そのザボアザギルの幼体には、余りに酷な物が3本刺さっていた。

矢のような物が背中や足、お尻の付け根に刺さり途中から折れている。いくらか弱ってもいるようだ。

 

「ニャ……いくらモンスターと言っても幼体にまでニャは……。」

 

「そうだね、しかもこれは普通のハンターの仕業じゃないよ。」

 

「ま、まさかニャ……。」

 

「うむ、密猟者も視野に入れないとだね。」

 

「ねぇニャ~リン、ニャんとか助けられないニャか!?」

 

「そうニャ、俺もいい気がしないニャ。」

 

白羅と同様に、姫沙羅と灯羅もさすがにこの幼体を助けてやりたいと思っていた。

 

「ふむ、私も戻って掛け合ってみないと分からないが……まずは捕獲して、傷の手当てをしたいが……大人しくしてくれるかどうか………。」

 

「困ったニャ……このままニャと衰弱するニャし……。」

 

攻撃を止めて全員が、幼体を助けるべく頭を悩ませていた。ウカムルバスをそっちのけで……。だが、ウカムルバスもスタンから立ち上がって復帰、白羅達に冷却ブレスを放射しようとしたときだった……。

白羅達の後方で蒸気が発生し、たちまち大きく広がっていく……。そして、何かの形へと変化していく……。

 

「クオォォォ……。」

 

突然、ウカムルバスがその蒸気の方に向いて頭を垂れたのだ。それを見た白羅達が後ろを振り向くと、蒸気が巨大な龍の形を成していた……。本体ではないのにも関わらず、迫力と威圧感が半端ない!だが、白羅だけはその龍を知っていた、何故なら和解できた龍だから………。

 

「ニャ!?ニャワワ……。な、なんニャこの龍ニャ!?」

 

「す、凄い力を感じるニャ……。」

 

「お久し振りですニャ。」

 

(久しいの、小さき者よ。)

 

「「ニャ!ニャにいぃぃぃ!!」」

 

「急で申し訳ありませんニャ、お願いがありますニャ。」

 

(話さずともよい……分かっておる……。)

 

その蒸気状の龍が幼体に向かって、優しくブレスをかけると幼体の身体全体が光だす……。ゆっくりと3本の矢が抜け落ち、傷口がふさがっていく……。やがて、幼体の体力も回復しお腹を膨らませて、跳び跳ねて喜んでいた……。

 

「す、凄いな……!」

 

「あたいも信じられニャいニャ。」

 

「俺もニャ。おい、一体あの龍はニャに者ニャ?」

 

「ニャ、“祖龍ミラルーツ”ニャ。」

 

「「ニャ!?ニャんだって!!」」

 

「ミラルーツ……私も会うのは初めてだが……。」

 

(では、またな。小さき者よ……。)

 

「あ、ありがとうございますニャ!」

 

(いずれ、また会う事になるだろう……。)

 

 その蒸気状の白き龍は靄となって姿を消した……。白羅に意味ありげの言葉を残して……。

 

「ゴロロロロォォォォ……。」

 

「キニャァァァ!」

 

 白羅達が唖然としている中、ウカムルバスとザボアザギルの幼体はお礼の咆哮を上げつつ氷の地面を潜って行ってしまった……1人と3匹はしばらく呆然と沈黙状態だった……。

 

「は……あははは……もしかして……クエスト完了かな!?」

 

「ニャは……そうですニャ、幼体が受けた傷を見てウカムルバスが暴れていたニャ。」

 

「ニャァ、確かにあの状態を見ればニャ……分かる気もするニャ。」

 

「ニャンかあっけなかったニャ……。」

 

 灯羅の言葉に白羅も苦笑いしつつ、問題は解決という事で一緒に集会所へと戻るのだった……。

 集会所ではアルザ―トが事情を説明し特例として姫沙羅や灯羅にもクエストクリアと報奨金が与えられた。心配していた受付嬢もほっと胸を撫でおろしていた……。

 

「君達も私と一緒に行かないか?是非、誘いたいが……。」

 

「良いかもニャ……。面白そうニャ……。」

 

「あたいも良いニャよ。1匹ニャ暇ニャったし。」

 

「おいらは止めとくニャ……。」

 

「白羅君……どうしてもダメかい?」

 

「はいニャ。申し訳ありませんニャ……誘いは凄く嬉しいし、光栄ニャ。でもまだ一緒に旅をする自信がありませんニャ。しばらく1匹で居たいですニャ……我儘言ってすみませんニャ……。」

 

 白羅は深々と頭を下げた……アルザ―トもそれ以上は誘う事が出来なかった……。

 

「分かった、無理強いをする訳にはいかない。残念ではあるけどね……。」

 

「すみませんニャ……。」

 

「ニャァ!ニャァ~リンと一緒じゃないニャか~~!!」

 

「ニャはは!ごめんニャ……ここで会ったのも何かの縁ニャ、また会える気がするニャ!」

 

「ニャ~~!そうニャか、運命の出逢いを感じるニャァァァ!!」

 

 姫沙羅の強引さに圧倒されつつ、そこで解散となった。

 

「それじゃ、また……。」

 

「またお会いしましょうニャ!」

 

「またニャ。」

 

「またね、ニャ~リン!!」

 

「また会おうニャッ!!」

 

 白羅はユクモ村に向かって歩き出した……。この後・後・後……今現在までに至る……。

 仲間が出来る前のエピソード……ちょこっとご紹介まで……………………♪♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読了ありがとうございます。楽しんで頂けたら幸い……♪
次話からは本編に戻りますが、他の作品共々ヨロシクお願い致します!ではまた次話にてお会い出来る事を切に願って……紅龍騎神でした……♪♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

♪新大陸……緊張するニャ♪

 


相変わらずいい湯気の上がる温泉のユクモ村。一層の活気と、一層の賑わいが、人々を惹き付ける。まして、白羅達のいるモンスター広場は、更に賑わっていて、研究者達は勿論、一般人からも人気者で、子供たちとも戯れることもしばしば。更にはラザックが領主になっている事で、ユクモ村は勿論他の村も少なからず恩恵を受けているのだった。

 

 そのユクモ村から白羅達ご一行……モンスター達や専属の猫飯屋、果ては村長さんまで……新大陸へと目指すことになっていた。

 大事な家族を探すため……また、新しい仲間を……絆を作るため……。それぞれの思いを秘めて巨大な専用の飛行船で出航していたのである。

 モンスター達も乗るこの船は実にデカい!!蓬も乗っているほどだ。他にもラルクやキリンさん焔など大小さまざまではあるが、乗り合わせている。ラルク達も飛翔しながら移動……も出来るとは思ったがそれでも距離が半端ない。なので、船で移動できるようにと村長さんもわざわざ国の王様に取り合って、予算を都合して貰ったとか……。無茶振りに驚いた一行だったが、いざ出発してみればそれもまた有り難し♪結局便乗している次第……。

だから村長さんには白羅も頭が上がらない……いや、元からか……。

 

「ニャ……村は大丈夫ニャかね………。」

 

「ニャ!?今更ニャか!?」

 

「そうですわね、でも心配要らないですわ。何せ領主さんも居ることですし……♪」

 

「そうね、白羅さんが選んだんだもの。彼も、そこは充分に分かってると思うわ。」

 

「ニャ……そうニャね、ラザックニャら大丈夫ニャ!」

 

「そ、あたし達の帰る場所は守ってくれるよ♪」

 

とまあ、そんな心配を他所に当のユクモ村にいるラザックは酒場に来て居た……。緊張の面持ちで、一人椅子に座り誰かを待っているようで向かい側に席がひとつ……。

 

「ごめんなさい、待たせたかしら?」

 

現れたのは、チャイナ風のドレスに身を包み、豪華な扇子を胸元に広げた酒場のママさんが微笑みながら立っていた。

 

「い、いえ!全く!ど、どうぞこちらに……。」

 

と、ラザックはもう1つの椅子に促して座ってもらうようママさんを誘導する。

 

「ありがとう♪」

 

と、レディの扱いに微笑んで椅子に腰掛ける。ラザックはその向かいの席に、緊張した面持ちで座った。体が硬直したようにギクシャクしている。

 

「ジョッキを2つお願い!」

 

「了解ですニャ!」

 

 そう返事のあと、ジョッキを2つ両手に持ったアイルーがテーブルに置いて行った。客が多いせいか、ジョッキを置いて直ぐにカウンターへと戻っていく。

 

「じゃ、乾杯しましょ♪」

 

 2人はジョッキを当ててひと口ふた口酒を口に運ぶ。お互いに見つめあって微笑んだ所で、ラザックが話を切り出した……。

 

「で、俺にお話しとは……?」

 

「ええ、実は貴方にお願いがあって……。」

 

 やはり……と、ラザックはため息をついていた。今更だが自分がモテるなどあり得ないとも思っていたのだ。改めて誘われた事で、少しでも期待した自身が恥ずかしかった……。身分相応な訳がないと……。

 

「ごめんなさい、単刀直入に失礼を承知でお聞きするわ。貴方…彼女とかいらっしゃるの?」

 

「は、はい!?彼女ですか?」

 

 彼はどういう事か分からなかった。お願いが……と言って仕事の話かと思ったが、何故こんな事を聞くのか理解できない……。突拍子もない事を聞かれたので、逆にラザックの方が動揺を隠せないでいた。

 

「い、いえ、居ません。居ればもっと人生楽しいんでしょうけどね……。」

 

 それを聞いてママさんが破顔したのだ。

 

「そう、それなら良かったわ。実はね…貴方に惚れちゃったの♪これから私と人生を一緒に楽しまない?」

 

 あ~~~、ラザックがそれを聞いて玉子以上に大きく目を見開いたまま固まってしまったようで……。

 

「なっ!!!なんですとぉ~~~~!!!」

 

 半径300m位にその叫びは響き渡るのだった……。

 彼女がウットリとラザックを見つめてくる……喉が鳴るほど唾を呑みこみ、顔を真っ赤にしながら汗を流しつつ彼女を見つめ返すラザック……しばし、見つめあった後ラザックが口を開いた。

 

「あ、あの……告白スッゴク嬉しいですよ♪でも、俺なんかで良いんですか?他にも白羅さんや、強くてカッコいいハンターさんとかいい人沢山居ると思いますが……?」

 

 どこをどうしてそうなったのかラザックには不思議でならなかった……。

 

「言ったでしょ、私は貴方に惚れたんだって♪信じられないなら……これならどお♪」

 

「えっ!?……うぐっ!?!?!?」

 

 ママさんの柔らかくてあま~い唇がラザックの唇を塞いでいた。それにも驚いたラザックだったが、彼女が本気なんだと分かると自然と彼女を抱き寄せていたのだった……。

 

「「「「「うお~~~~!!」」」」」

 

 パチパチパチパチ!!いきなり周りから拍手喝采が…………。

 

「し、しまった………酒場だった事をすっかり忘れてた………。」(いや、気持ちは良く分かります…。)

 

「クスクスクス……これだけ証人がいれば、既成事実は間違いないわね♪♪」

 

「い、いや、既成事実って……確かに………。お、俺なんかで良ければよろしくお願いします。」

 

「勿論♪♪」

 

 ママさんがラザックの胸に顔を寄せていた………ラザックも優しく抱きしめる………。異種!?カップルの誕生であった………。

 

 …………と、そんな事とはつゆ知らず………やっと見えてきました新大陸………。

 

「どうやら、無事に着きそうですわね。」

 

「ニャァ、あれが新大陸ニャ!?」

 

「そのようね♪」

 

「珍しい物が一杯ありそうニャ!」

 

「モンスターもニャ。」

 

「新天地で結婚式なんてロマンチック!!」

 

「「「「「そこかっ!!」」」」」(姫沙羅さん以外にも居ましたかこのパターン……。)

 

 

 仲が良いのか悪いのか………新大陸にご到着です…………。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 そこは深々と森が広がり川や水辺もあり、木々や植物が生い茂る豊かな大地……。しかし、殆どが初めて見る植物が多い。陸では、小動物や小モンスターらしき生き物も往来している……。確かに生き物の生息地として、生態系は良さそうだ。

 とりあえず、海辺に降りて見ることに。もう少し奥へと進めば第一拠点となっている“アステラ”に着くとの事だったが、先ずは新天地の台地を踏みしめたいと一度降りることに……。

 それでも船は着陸する訳にもいかないので、上空にて待機……錨を2本降ろしそこからいく本のロープで木々や岩に縛って船を固定した。

 

「よしっ!降りてみようニャ!」

 

 白羅を筆頭に順番に陸に降り立つ。村長さんは船に残り、船から皆を見下ろしていた。

 

「自然が一杯ニャ!」

 

「凄い大きな木々ね!」

 

「ここは水も綺麗ニャ。」

 

 見回すと先程見えた小モンスター達は船が近付いた事により驚いて逃げてしまったようだ。

 

「初めて見る植物や木々ね。」

 

 見るもの全て未知の物だけに、感動しっぱなしである。しかし、白羅達は周りの風景に気を取られすっかり忘れていたのである……ここにも大型モンスターが居る事を……。

 

「ニャ!?ニャにか足音がしないニャか?」

 

「ニャ、ニャんか段々音が大きくニャってるような……。」

 

「ま、まさかニャ。新大陸に来て直ぐにモンスターに出くわすニャんて、あり得………。」

 

「「「あり得たニャ~~~~~~!!」」」

 

 奥の茂みから姿を現したのは、二足歩行で、背中から尻尾まで体毛が生えていてディノバルドに似た体躯ではあるが、鼻が少しく大きめなティラノサウルスに近いだろうか……いずれにしても大人しそうな感じでは無いことが分かった……アンジャナフ………後でアンジャナフと言うモンスターだと知る。

 

「ちょっと、いきなりなの!?」

 

「せっかく、白羅とデートしたいニャに~~!」

 

「「「ツッコミどこそこっ!」」」

 

 良い肉!?食料!?と判断したのか、いきなり咆哮を上げ、白羅達に向かってくる!しかし、急に後ろ足で地面に突っ張り立ち止まり、左を向いて見つめていた……白羅達も何が……と思い、アンジャナフが睨む視線の先を見た。

 その小柄な岩山に降り立ったモンスターは大きく太い2本の角を持ち、胸や腹、翼の内側以外は尻尾まで全体に大小の棘が生えていた。

“滅尽龍”ネルギガンテ。拠点ではそう呼ばれていた……。そのネルギガンテが、アンジャナフに突進して来たのだ!アンジャナフの目の前で、立ち上がって大きく振りかぶり左前足を振り下ろしていく!アンジャナフが一気に地面に押し付けられる形となった!アンジャナフは振りほどこうと必死にもがく!しかし、首を押さえつけられていて身動きが取れない状態だ。

 

「イ、イ、今の内ニャ!避難するニャ!」

 

「こっちだ!!」

 

「ニャ!?」

 

 声のする方を見ると、大剣を背に鍛えられた細マッチョな青年が、手招きしていた!

 白羅達は頷いて、その青年の方へと走り出す!すると真後ろにアンジャナフが吹っ飛んで来た!あの巨体がである!危機一髪!!茂みに入り込んで難を逃れた。

 

「大丈夫かあんた達?運が悪いな、2頭の大型モンスターに出くわすなんて。」

 

 全員、息を切らしてなかなか返事が出来ない。

 

 

「ニャ、ニャァ……こ、これでイビルジョーまで出てきたら終わりだニャァ……。」

 

(………………呼んだか?)

 

「ニャヒッ!?」

 

 そっと振り返って暗い茂みの奥を覗くと怪しく光る眼が2つ……。草木を倒しながら、音を立てて現れたのは……。

 

「ニ”ャァ!!イビルジョーニャァァァァッ!!」

 

 ……………………………………………………。

 

「…………さん!」

 

「………………。」

 

「………白羅さん!」

 

「ニャ!はっ……!?」

 

「大丈夫なの?凄くうなされてたけど……。」

 

 そこは船の寝室。みんなが心配そうに白羅の事を見ていた。白羅は周りを見渡す……。

 

「ニャァ……夢ニャか……。」

 

 と深く息をはいて、安堵したのだった……。。

 

「新大陸に着いたぞぉ!!」

 

 部屋の外に居る船長がタイミングが良いのか、船中に響き渡るような大きな声で到着した事を告げる。

 急いで甲板の方へと出てみると、初めての土地、大陸がパノラマのように広がっていた……。

 

「凄い……。」

 

「とうとう着きましたわね♪」

 

「初物だらけニャ!」

 

「ゆ、夢で見た光景と一緒ニャ………………。」

 

 白羅だけは、自分の見た夢が正夢にならない様に1匹祈るのだった………………。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。