黒き翼と最弱の騎士 (シュオウ・麗翅)
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番外編
おまけ編、バイサー観察日記、前編


全部書こうと思ったけど書く時間にモチベガガガ……きり悪くなりそうだから一旦切り上げ。平たくいえばバイサーの過去編です。完全捏造ね。

堕天使生存は割とあると思うけどバイサーって生存率低めよね。


「……はぐれ悪魔……か……」

 

下半身が異形の女性、バイサーが目を瞑って

この話は、明日斗がまだ小さかったの頃のお話。そして、自分を見直す機会を与えてくれた中学1年生の二学期初めのお話である。

つまりは、回想の回想の事だ。

 

その日は授業参観の日だった。宿題の提出日で、自由研究の発表会の日。

ちなみにバイサーはその辺の鳥を仮使い魔として使役する事で授業参観に参加している。

 

「……という訳で、日食が起こる訳です。」

 

「はい!田中くん、ありがとうございました。よく調べて来ていますね!」

 

田中と呼ばれた生徒の発表が終わり、田中は頭を掻きながら席に座る。

 

「じゃあ、次は〜竜胆明日斗くん」

 

「ハイ!!」

 

中学二年生でありながら、小学四年生並の幼い外見の竜胆明日斗。

幼稚園生の出席確認のような元気な声を出して発表したのは……

 

『観察日記』

 

「なんだよ〜中学生にもなって観察日記って……小学生かよ〜」

 

ゲラゲラと笑うクラスメイトに、担任も半ば呆れている。

それもそのハズ、中学生の自由研究ともなれば、小学生の自由研究よりも高度なクオリティが求められる事が多い。

観察日記なんて、言ってしまえば小学校低学年がやるものだ。代表的なのはアサガオが挙げられる。

 

「明日斗くんは観察日記なのですね?ではお願いします」

 

「ハイ!!」

 

それでも担任は表情を変えることなく明日斗に言った。軽んじるわけでも、ましてや過大評価するわけでもない。

 

ーーー7月23日。今日は何もしたくありませんでした。宿題もやりたくありませんでした。演劇の仕事も休みです。一日中家でダラダラしようと思いましたが、ふと紅い稲荷が食べたくなったので近くのスーパーに寄り、118円(+税込)で買いました。その帰りに神社で日向ぼっこをしようとした時です。

 

「うぐっ……に……肉くれぇ……」

 

地べたに這いつくばって身体中からワインを出しているバイサーが私の元にゆっくりと近づいてきました。

 

それが、私とバイサーの出会いでした。

 

「……え?バイサー?」

 

一日目の日記を読み終えるた途端にシーン……と静まり返るクラスメイト。

 

7月24日

 

今日から、バイサーの観察日記を始めようと思いました。

 

バイサーはこの神社に住んでいるボスです。神社に行くと身体中からワインを出して寝そべっています。

 

ーーーそれ、単に血を出しているだけだよね!?早く治療しないとダメなやつだよね!?てかボス情けな!!

 

バイサーは変わった生き物です。上半身が人間の女の子に対し、は肉食獣のように強靱な下半身を持ち合わせています。イメージ的にはヴォ〇ク〇ス(下半身)でしょうか?

 

ーーーもうそれ怪物じゃん!!人間の敵みたいな存在じゃん!!

 

今日はお肉をあげると、『お前を食ってやるぅぅぅぅ!!!』と言って鬼ごっこが始まります。

そう言えば、バイサーの角は何時になったら生えるのだろうか?

 

ーーーいや、それ鬼ごっこじゃなくて捕食されそうになってるよね!?ていうか角って何!?

 

7月25日

 

今日は思い切ってお肉にハチミツをぶっかけたものをあげてみました。ムシャムシャ食べた後は一緒に隠れんぼをして遊びました。ハチミツをあげて立派に育てて早く相撲に参加させたいと思いました。

何時になったら角が生えるんだろう?

 

ーーー相撲!?なんでここで相撲が出るの!?バケモノを相撲に出すの!?

 

7月26日

 

今日は思い切って大樹にハチミツを塗りたくりました。お肉の準備もバッチリです。きっとバイサーはハチミツが好きだと思うのでハチミツ入り落とし穴に嵌めたら追いかけてきました。

それでも、バイサーに角が生えてくる気配はありません。いつになったら生えるんだろう?

 

7月27日

 

今日は町内カブトムシ相撲大会の日。角がないのは仕方が無いけど、バイサーを相撲に参加させようと思い、公園に行きました。

するとみんな叫んでどっかに行きました。やったねバイサー!ボク達の勝利だ!!

 

ーーーそりゃそんなバケモノが居たら一目散に逃げ出すわ!!

 

7月28日

 

バイサーが寝ていたのでお肉を顔面にスパーキング!したら、一緒に隠れんぼをして遊んでくれました。

きっと犬のように鼻が効いているので、すぐに見つかって今度は鬼ごっこをしてくれました。

いつになったら角が生えるんだろう?

 

ーーーあぁ、わかった。明日斗くん?自由研究サボったんでしょ?神話級の化け物がこの世に存在するはずないもん。フィクションの世界だもん。ねぇ、正直に答えて?毎日貴方に振り回されてばかりだから今回はそう言っていやマジで。

 

7月29日

 

なんかバイサーが知らない教会の服着た人達から一方的にボコられていました。

 

「明日斗くぅぅぅぅん!!!?????」

 

盗み聞きした感じだと、なんか『はぐれ悪魔』って単語が出てきました。はぐれた水銀みたいに経験値が1万50位あるのかな?どのくらいレベルアップするんだろう?ボクはそうおもいながら、買っていたタバスコとデスソースを教会の服を着ていた人の顔面に目掛けてスパーキング!!

経験値はボクの物じゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!

もしくはあれかな?カブトムシ相撲大会の優勝者であるボクに対する復讐かな?

 

……なんで教会の服を着ていた人達はのたうち回ってたんだろう?ただタバスコとデスソース投げただけじゃんと思いながら、今日も角が生えないかと考えていました。

 

「今お前自分で答え言ったぞオイ!」

 

 

7月30日

 

ーーーねぇ、まだ続くの?それ?ねぇ、もうやめよ?正直に話そ?サボったんでしょ?

 

家族が増えました

 

「何があったァァァァァ!?この一日の間でなにがあったァァァァァ!?」

 

仕事の人に事情を説明したら快くOKをもらいました。『ちゃんと自分てお世話する事』を条件に特注品の犬小屋で三食昼寝付きです。

 

……だと言うのに、なぜそんなに微妙な顔をしているのだろうか?三食の中にはきちんとお肉も入っているというのに……?神社のボスだった頃と比べれば生活レベルは上がったはずだ。

雨風は凌げる。朝昼晩おなかいっぱい食べられる。死ぬ可能性はぐっと縮まる。それなのに、一体何が……?

 

7月31日

 

バイサーと一緒に公園を散歩したら多くの人が悲鳴をあげてどっか行きました。

公園デビューの失敗はこんなにも心が痛むのか……?なんで逃げ惑うのか?コレが分からない。

ただ散歩に連れていっただけなのに……

 

「だからそんな化け物が公園いたら誰だって逃げ惑うわ!!」

 

 

8月1日

 

犬小屋と庭が荒らされてました。

 

「なにがあったァァァァァァァァ!?」

 

 

ーーーーーーーーー

 

ふむ、8月か。確かあの時は……

 

「悪魔ってだけでもクソなのにはぐれ悪魔ってやつはもっとカスだからさっさと死んでちょ〜だいな☆」

 

バイサーの目の前に迫る1人の青年。銀髪なのか白髪なのかどっちなのかよく分からない色をしている目がイッちゃってる青年だ。

 

以前、満足に力を発揮出来ずに終わった神社にいた神父達は恐らくコイツの部下だったのだろう。

……まぁどこからともなく飛んできた激辛香辛料によって撃退されたが……。

 

「ふん、以前の私ならいざ知らず、万全な状態の私に勝てるものか!」

 

「へぇへぇ、クソのクソザコの言葉なんてぜ〜んぜんきっこえっませ〜ん。だってさぁ〜」

 

舌なめずりをしながら、狩りの獲物を見つけたハンターのような目で私を見つめる青年。

この時の私は額に青筋を浮かべていたと思う。この舐め腐った口調といい、気持ち悪い目付きと言い……とにかくイラつく要素しかないこと男をぶっ飛ばしてやろうかと思った。

 

「ほざけ!貴様の髪を直ぐに赤いシミだらけにしてやるわ!!」

 

「うっわ、セリフのセンスわっる!!」

 

私は直ぐにこの巨体を活かして相手を踏み潰そうと突進。

相手は悪魔や堕天使等の人外系では無い、単なる人間。神父故に多少は腕が立つとみたが、人間ではパワーに限界があるのを知っている。

人間の潜在能力は凄まじいと聞くが、それの全てを出すと肉体が耐えきれずに壊れてしまう……という話を聞いたことがある。

だから人間は最大でその100%の内の30%しか力を発揮できない。人外系や神機持ちは例外だが、そのどちらにも当てはまらない相手である事から私が圧勝するだろうと思っていた。

 

「やっぱ雑魚じゃん」

 

ブシュッ!!

 

「なっ……!?」

 

「やっぱキミってまじクソザコだわ。典型的なクソザコだわ。あ〜あ、やりがいねぇの〜」

 

ふぁぁ……と欠伸をして余裕をかます青年。

ーーー何が起こったのか分からなかった。確かに踏み潰したハズ。

なのに、後ろ脚が斬られていた。

 

「さ……さっきのはまぐれだ……!!」

 

「テンプレセリフ乙〜(笑)」

 

「黙れ!!今度こそ踏み潰してくれるわ!!」

 

再び青年に向かって突進。今思えばマジでイノシシだったなぁと反省する。

しかも今は斬られて派手に出血している状態だ。後ろ脚からブシャブシャ血が流れているが、まだ気にする必要は無い。

 

ーーーそんな事よりも綺麗に踏み潰してスッキリしたかった。

このちっぽけな人間をアリのように踏み潰してスッキリしてやりたかった。

 

「あんたさぁ〜それしか出来ないの〜?」

 

青年は耳くそをほじる。こんな攻撃、余裕で対処できると言わんばかりに。

小指に着いた大きな耳くそをふっ……と吹いた。

 

「ほざくなぁァァァァァァっ!!」

 

下半身の獣の強靭な腕をおおきく振りかぶってぶん殴る!!

ドゴォォォォォン!!

 

地面に大きなクレーターが出来上がる。

 

だが、青年はスッ……とつまらない流れ作業をするが如く自然な動きで避け……

 

ザシュッ!!

 

「ねぇねぇ〜舐めプしてんの〜?それともコレが実力ぅ〜?」

 

ーーーまるで歯が立たなかった。

稀にくるエクソシストとは比べ物にならないほどに。

 

パンチを放つ。受け流されて斬られる。

キックを放つ。避けられて撃たれる。

ぶちかます。呆気なくいなされて返り討ちにあう。。

 

「く……そ……がぁ……」

 

「あーつまんね。さっさと殺らーーー」

 

青年が剣を振り下ろした……その瞬間だった。

 

 

デッデンデデデデン! カーン! デデデデン! カーン!デデデデッ! カーン

ペーペペーペペーペペペーペー

 

「もしもし、警察ですか?」

 

「いや着メロォ!?」

 

壮大な音楽が流れたと思ったら、後ろから少女のような男が警察に通報しているところだった。

 

「今家のペットのカブト虫を盗もうとしてる不法侵入者です!!年齢は10代から80代の男、もしくは女!!老人みたいな白髪だし、もう老人でいいや!」

 

「いやそれ誰かわからんでしょうよ!老人じゃない!オニーサンだろおおおおお!?アレカブト虫違う!!はぐれ悪魔!あ・く・ま!!」

 

「あ、ごめんね〜。家は神道なんで神父はちょっと……」

 

……雰囲気台無し……




バイサー(ロマサガ風味方初期ステータス)

HP、90
WP、10

腕力、15(技レベル12)
精神、8
素早さ、5
器用さ、6
魅力、3
愛、4

初期技

パンチ、キック

閃き適正・棍棒、体術



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ifルート、明日斗(月の部)とカラワーナのデート前編

続きが思い浮かばないから息抜き(若干ネタバレ)


(ふふん!さぁこい竜胆明日斗!お前の神器を……!)

 

そう意気込むカラワーナは握りこぶしを作り、自分を鼓舞する。

ニヤリと口元を三日月のように釣り上げた彼女の表情は悪の組織のネームドキャラを彷彿とさせるようだ。

 

シャラン……

 

「!?」

 

雰囲気が、変わった。

後ろからなんだかよく分からない気配が近づいてくる。

周囲にいた人たちにもすぐに気づいたのか、その方向へと視線を向ける。

 

ーーー後にカラワーナはこう語る。その様子はまるで、『王様が通る道を開ける統率された兵士のよう』であったと。

 

「……なんでジロジロとボクの方を見るのだろうか……?」

 

ふぅ……と呆れたような表情をして現れたのは竜胆明日斗。カラワーナとのデート(大嘘)相手である。

精神年齢が好奇心旺盛な子供のように幼く、テンション高めではしゃいでいるイメージの昨日とはまるで正反対だ。

 

「え?誰?」

 

思わず呆然とした感じで聞いてしまった私は悪くない。

 

ヒポグリフに乗って慌てて合流すると思っていた。昨日の彼の様子を見て簡単に予想出来た事だ。

だが、今の彼はどうだろうか?幼さは若干残っているものの、昨日見た印象とはまるで違う。完璧に男装をした儚い女性のような面影を感じさせる。少しだけ化粧をしているようだ。

衣装は、肩を露出させている真っ赤な着物。女の私でも思わずドキッとしてしまうようなすらっとしたラインを描いている。というかこんななりで本当に男なのだろうか?

 

普通のストレートヘアから、お団子状に結んだ髪のポニーテールにしているようだ。簪は3つ首のドラゴンを彷彿とさせるようなデザインだった。

 

「アハハ……満月が近くなるとこうなるんだよねぇ……」

 

なんで夜じゃなくて昼にこうなるんだよムシケラァ……とボヤくように言った。

 

「ん?ボクの顔になにかついてる?」

 

「あっ……いや……本当に昨日見た男と同一人物なのか照らし合わせてたんだ……」

 

「まぁ無理もないよねぇ……」

 

本日何度目か分からないくらい溜息をつき、振袖から煙管を取り出した……って!!

 

「お前!!未成年だろ!?なんで煙管なんて持ってるんだ!?」

 

「いや?これキセルじゃないよ。飴だよ飴」

 

「飴なはず無いだろ!!いいから咥えるのやめろ!!」

 

「えぇ〜?」

 

ええ〜?じゃない!と目にも止まらぬ早さでキセルを奪い取ったカラワーナ。しかし、その手は何故か、ネチョネチョしていた。

 

「あぁもう。だから言ったのに〜。それ、咥えるとこしか上手く固まってないから溶けやすいんだよもぉ〜」

 

「……え?いやマジで飴だったの?」

 

「そうだよ。竜姫さんが作ったんだって。この衣装も竜姫さんの本気の衣装とおソロだよ。あとは3匹の竜魂があれば完璧らしいんだけどね」

 

そう言った瞬間、着物の帯締めから3匹の龍が飛び出してきた。闇を思わせる漆黒の怪物。どうやら身体は一匹一匹が独立してリボン結びの要領で巻きついているようだ。

 

「オイイイイ!!それ何!?」

 

「何って……着物の帯だけど、なんでそんな当たり前のこと聞くの?」

 

「着物の帯がこんなうねうね動く怪物であってたまるかぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「何言ってるかわかんないんだけど……ねぇ青髪美女くんちゃん?人間は誰しも自分の内側にドラゴンを1匹買ってるんだよ。ウィ○ード然り、花○烈○くん然りおっ○い○○○ン然り。みんな内側に熱いもの秘めてるの。だから着物の帯くらい些細なものでしょ」

 

「いや、些細じゃないんだけど……寧ろ大きいんだけど……?あと私の名前カラワーナ……」

 

「そんなことより行くよ。ちょっと知り合いにあって2人デートじゃなくなるかもしれないけどいい?」

 

「……もう好きにしてくれ……」

 

「イクゾー」

 

ツッコム気力すら失せたカラワーナは明日斗の生肩を掴んでフラフラと歩いていく。

その姿は酔っ払いの先輩が酔ってない後輩に掴まり立ちの千鳥足で何とか進んでいくようは哀愁さを漂わせている。

 

……たどり着いたのは、ゲーセン。騒がしくも楽しいひと時を過ごせる魅惑の空間である。1プレイ100円で様々なゲームを楽しめる。

ただし、それは上級者のみに与えられた特権である。慣れてないものや初心者にとっては苦痛を味わうこととなる。

 

格ゲーで壁ハメされ、クレーンゲームで金をスりまくる。唯一の楽しみは100円でポップコーンを作れるやつや、メダルゲームが精々。

あるのは敗者の屍と、勝者の美酒。そしてひっそりと楽しむ観客達。

 

そこに、一人の少女がいた!!

 

「コレで終わりだァァァァァァ!!」

 

バコォォォォォン!!

 

カーンカーンカーン!!

 

ここに今!!戦いの終了のゴングが鳴り響いたァァァァ!!

 

「ふぅ〜……アンタ、強いッスねぇ……名前、なんて言うんスか?」

 

「名乗るほどのものでは無いが、海智鯨真(かいちけいま)とでも呼んでくれ」

 

「ウチはミッテルトっス!今日は辛勝だったけど次は圧勝してやるからな!!」

 

「ふん!次は俺が勝たせてもらうぜ!!」

 

エメラルドグリーンの髪をポニーテールに纏めた中性的な美少年、鯨真はミッテルトと握手を交わした。

その姿はまさに、再戦を約束したライバルのように熱いものであったという。

 

 




明日斗「後半へ〜つづく」


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番外編、バレンタインで恋に勝利を!!前編

ちょい季節ネタ。前編ばっか上げて後編上げてないからわけわかめになりそう

展開のネタバレ注意ね(いつになるかは分からんけど)


バレンタインデー。それは2月14日に異性が好きな人にチョコを渡す日である。

義理、友、本命など。渡すチョコでその人が自分をどう思っているのか?というのが理解出来る日だ。

元は古代ローマ時代にいたキリスト教司祭のヴァレンティヌスという人物が関係していると言われているのだが、ここは割愛。

 

 

その前日の12月13日から準備は始まっているものだ。チョコを買い、チョコを選別し、型を考え、渡す人を決める。

 

それこそ、本命、義理、友。その関係を決断する日なのだ。

 

だからこそ……その夜は……

 

 

「全く……なぁにがバレンタインデーだよ。菓子会社の策謀に踊らされてなっさけない。何?チョコみたいに頭の中ドロドロに溶けてんの?溶けたやつ固められてんの?お、10連で○ック○ーケきたやった」

 

ルージュ色のアホ毛付きの髪のロングヘア。目にはハイライトが宿っておらず、死んだ魚のような瞳をした女顔の男がいた。

彼の名は竜胆明日斗。セブンソードプロダクションという芸能事務所に所属している、駒王学園の2年生である。

ソファーに背中を預けるように座り、右手を後頭部に当ててだるそうにスマホの画面に向かって言い放つ。

 

「お前……バレンタインに告白の全てをかけてる女もいるんだぞ……」

 

そんな彼に呆れた声を漏らすのは青髪の女性だ。高身長でツリ目の鋭い瞳を持つ、片目が隠れている髪型。どちらかと言うと同性に好かれそうな見た目の女性はカラワーナ。堕天使だ。

 

「まぁそう言うな。明日斗の奴、去年は散々だったらしいぞ」

 

「貰えなかったとかか?」

 

そんなカラワーナに対して宥めるように言うのは黒髪の女性。姐御のような雰囲気を漂わせるスタイルのいい女性。

しかし下半身は神話のバケモノを思わせるような、ケモノのような巨大で強靭な肉体だった。大概の人ならば怯え逃げ惑うような見た目をしている。

そんな女性の名はバイサー。はぐれ悪魔として3大勢力を悩ませた存在である。

 

「全く……あの男共……なぁにが『リアス先輩に届けてくれ』だの『リアスの妹さん』だの好き勝手言って……挙句の果てには人違いされた上幻滅されるとかなんなの?男からも何度も告られたし……ほんとどうしてくれんのこれ?マジで頭痛くなってきた……バレンタインなんて滅びればいいのに……明日休もっかなぁ……?」

 

「明日は撮影だよお兄ちゃん」

 

無表情で淡々と要件を言った水色髪の少女。片目が隠れるギリギリのラインの前髪に、セミロングまで伸ばした髪型。ぴょこんとあるアホ毛に加え、少々小柄な少女は竜胆龍騎。明日斗の妹だ。

 

「何?バレンタイン衣装に着替えてロケ?それともチョコクッキング?駒王学園の撮影?」

 

「チョコレートイベントとしか聞いてない」

 

「ふーん」

 

さも興味無さそうに反応する明日斗。それを見てため息をつくカラワーナに、明日斗の頭を撫で、ほっこりした雰囲気を作っているバイサー。

 

「そういや堕天使って妖魔並に階級にうるさかったよね?バレンタインってどうしてんの?」

 

「……基本は郵便物だな。下級が中級に会うだけでもかなり厳しいし、上級ともなれば雲の上の存在だからな」

 

「全くよ。しかも郵便物でも下級が上級に渡すだけで手続きに時間がかかるんだから。おかげでアザゼル様にチョコを渡すことすら出来なかったんだから」

 

「大変なんだなぁ……ん?」

 

聞き覚えのある女性の声。しかし、ここに住んでいる家族は明日斗とカラワーナ、バイサー。そして妹の龍騎の4人。

ペットにヒポグリフがいるのだが、彼は獣に分類されるので除外。

チラッと横を向くと……

 

「……なんでキミがいる訳?」

 

黒髪ロングのボルテージ衣装を着た美女がいつの間にか明日斗の隣に座ってコーヒーを入れていた。

 

「なんでって……部下に会うのに理由なんているの?」

 

「いや、カラワーナはもう君の部下じゃないから。ボクの部下だから」

 

「いや……お前の部下じゃないからな……?」

 

苦笑いをしながらツッコむカラワーナ。この光景ももう見慣れてきた。

レイナーレが兵頭一誠。そして明日斗とカラワーナに敗れ、復活してからは夜はこんな光景が日常となっている。

レイナーレが口を開き、明日斗が口を開き、それが広がり口論となる。まるで根っこが似ているものの、馬が合わないためによく喧嘩をする友人のように。

 

 

「大体家の番鳥と番蜘蛛を手懐けてなぁに企んでんの?なに?《私は至高の存在になるのよー!》とかまだ思ってたりするわけ?《ぼくのしょうらいはやきゅうせんしゅになりたいです!》って言う幼稚園生と同じレベルなの分かんないの?」

 

「そういうアンタは無駄にスペック高い癖に無駄な事しかしてないわよね?なに?自慢してるの?自分は高スペックだって自慢してるわけ?こういう奴ほどいや〜なやつなのよね〜。自分のスペックに胡座かいてなーんにもしないやつ。典型的なやられ役ってそういう奴が多いのよねぇ〜」

 

「黙ってよ至高の堕天使(笑)!お前こそ転生したばかりの見習い悪魔に手も足も出ないまま殺られたじゃないか!アレか?ソウ○スティール抜きのクジ〇シー?ソウ○スティール見切られたのぉ〜?『流○切りが完全に入ったのに』ってやつ〜?得意技ひとつ見切られた位で途端にクソザコナメクジになるのもテンプレだよね〜?」

 

「いや明日斗。それク○ンシー違う。クジ○シーに殺られたやつ」

 

カラワーナがやんわりと訂正を入れるものの、口論はどんどんヒートアップしていく。

 

「アンタのその外見、どう見てもグレモリーよねぇ?どう見ても背と胸が低くなったグレモリーよねぇ?」

 

「うるせぇ!作者のボキャブラリーの無さを舐めんなゴラァ!1回知り合いのDMで見せた時なぁ!なんて言われたと思う!?『アホ毛とか髪色とかリアスですよね』だぞ!!別作品での没案をそのままボクに半分移植したんだぞ!」

 

「でもそのおかげでキャラが纏まったのは事実よね?」

 

「そうだねク○ンシー」

 

「ク○ンシー言うなぁァァァァァァ!!!」

 

「2人ともうるさいぞ!近所のこと考えろ!」

 

「「黙って(黙りなさい)ウォッチ○ン!!」」

 

「誰がウォッチ○ンだゴラァァァァァァァァ!!!」

 

止めに入ったカラワーナもカチンと来て口喧嘩に参加。益々痛烈さを増していく。

 

それを呆れるようにジト目で見つめる番蜘蛛と番鳥。彼らはバイサーが与えたエサを無言で食べながら3人の喧嘩を見つめているようだ。

 

「……明日のチョコの仕込みでもするか……」

 

バイサーはキッチンへと向かい、龍騎は欠伸をして部屋に戻る。

 

それに気づかない3人は更に発展。それは夜中まで続いた。

 

 

(……腐りやすいし、明日まで持つかなぁ……?)

 

虚ろな目で家の冷蔵庫を一瞬見たあと、頭を掻きながら面倒くさそうに欠伸をする。

ヒートアップしたレイナーレとカラワーナにチョップをかまし、部屋で3人で川の字になって明日を迎えるのだった。

 




後半めっちゃ急ぎあしぃ……(´・ω・`)


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おまけ編、台本形式での小話やら未公開シーンやら諸々

新年明けの投稿ぅ……


〜明日斗の趣味〜

 

カラワーナ「……明日斗、今何をしている?」

 

明日斗(月)「何って?見たら分からない?演奏だよ演奏」(オルガンで『迷い』をイメージしてます)

 

カラワーナ「いや、朝は三味線弾いてたじゃないか」

 

龍騎「あー……お兄ちゃんは朝と夜で性格も好みも真逆になるんです……」

 

竜姫「そうよ。『甘いもの』と『辛いもの』『明るい曲調』と『しんみりした曲調』。『ヒーロー』と『ヴィラン』。『ザ○』と『ガン○ム』。他にもあるわよ」

 

カラワーナ「……後半関係なくない?」

 

 

〜明日斗の好きな食べ物(日の出編)〜

 

 

明日斗(日)「おっちゃーん、海鮮丼特盛でちょうだ〜い」

 

店主「おお、役者の嬢ちゃんか!うん?そっちのハンサムは……デートか!!」

 

明日斗「そうだよ〜。しかもウチの上司がスカウトした人材さ!ボクが女役で、彼女が男役ね☆」

 

カラワーナ「普通逆じゃない!?」

 

明日斗「それで、カラワーナは何頼むの?」

 

カラワーナ「スルーなのか……そうだな……ラーメンを頼む」

 

数分後

 

店主「はい、ラーメンと明日斗くんスペシャル一丁!!」

 

明日斗「わーい!!」(刺身醤油だばー)

 

カラワーナ「……お前……これ、なんだ?」

 

明日斗「見て分からない?海鮮丼だよ」(もぐもぐ)

 

カラワーナ「それ海鮮丼じゃないじゃん!わさびしかないじゃん!丼の上にわさび乗ってるだけだろ!!」

 

明日斗「わさび醤油だよ!二度と間違えないで!!」(モグモグ)

 

カラワーナ「そういう問題じゃないだろぉぉぉぉ!!」

 

店主「嬢ちゃん……コイツはア○トやヴァ○並の味覚バカだから許してやってくれ」

 

カラワーナ「……それ逆に大丈夫なのか……?」(ズズズー)

 

 

〜ヒポグリフ〜

 

カラワーナ「そう言えば、何故お前の家のペットが『ヒポグリフ』なんだ?」

 

明日斗「あぁ、アレね〜、公園に赤ん坊だった龍騎がゆりかごの中にいた時に守るように威嚇してたんだよ。いや〜手とか頭とかつつかれたり噛まれたりして大変だったんだよ」

 

カラワーナ「なっ……!?」

 

明日斗「ついでに言うと、手紙があったんだけど『あなたの子供です。拾ってください』とかいうご都合展開があってねぇ〜」

 

カラワーナ「マジかよ捨てたやつサイテーだな」

 

明日斗「ほんと、そういう輩ってどこでもいるよねぇ〜。その後、なんやかんやあって家族になったんだよ」

 

カラワーナ「いやそのなんやかんやを知りたいんだけど!?」

 

 

〜デート後日〜

 

 

カラワーナ「……はぁ……今回もアイツの飯を見せられるのか……」

 

バイサー「大丈夫だ。今夜は猪のエサじゃない」

 

カラワーナ「……わさび丼じゃないのか?」

 

龍騎「うん……犬猫が食べられないエサだから大丈夫だよ」

 

明日斗(月)「え?なに?」(練乳だばー)

 

カラワーナ「……胸焼けが……」

 

バイサー「大丈夫だ。あのバカはジャイ○ンシチューを食っても何も感じなかったから」

 

カラワーナ「いやすごいなあいつ!!」

 

龍騎「デスソース一気飲みしてもなんともなかったのを見た時は目を疑ったよ?」

 

明日斗「いやボクがそんな味音痴に見える?ボクの味覚は至って正常だよ?泣くよ?ハダカデバネズミ並に泣くよ?」

 

バイサー、龍騎「「いや、勝手に泣いてて」」

 

明日斗「ひっどい!」




(´・ω・`)


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番外編長編版第1話、新たなフロンティアへ!

モチベ回復のためのやつ。基本いきあたりばったりとかいうオチ。そして深夜テンション。

⚠️今回はハイスクールDxDの舞台では無いです(´・ω・`)


「ジーナ」

 

「は〜い」

 

「今日は終わりにしよ〜」

 

「は〜い。お疲れ様でした〜」

 

 私はジーナ。この仕立て屋の親方の元でお針子として奉公をして、もう3年になります。

 最初は、この陰鬱な感じの『根っこの町』が嫌でたまらなかったのですが、もう慣れました。

 私達の頭を押さえつけるように、町の上に聳え立つ『針の城(ファシナトゥール)』の事も気にならなくなりました。

 なんの楽しみも無い町でこの屋根裏だけが、私の気を紛らわしてくれる場所です。

 ここには大切な衣装がしまわられています。お城からの注文で、あるお方のために毎年新しい服を仕立てているのです。もう数十着にもなります。

 先輩達は【お城の若様の衣装だ】と噂していました。その若様はもう何年も眠っていると言います。

 私の胸の中にも、まだ見ぬ方の想いが膨らんでしました。明日にでも、目覚めればいいのにと……。

 ……その時の私は知らなかったのです。その方が、どんな運命を背負っているのかを……。

 

 私はいつものように、屋根裏に行って若様の衣装がしまわれている棚を開きます。

 勿論、お針子の噂でしかありません。しかし、私はこれを噂ではなく本当の事だと思っています。

 この中からどれが若様の衣装に選ばれるのでしょうか? これを着て喜んでくれるのでしょうか? まだ見ぬ若様の笑顔を想像するだけで、仕事疲れから来る眠気なんて吹き飛んでしまいます。

 

 ……あれ? 針の城から光が……? まさかアレは、若様が目覚めたという合図でしょうか? 

 そう思うと、不思議と笑みが零れました。

 

 ──────ー

 

 場所は移り代わって駒王学園オカルト研究部室にて。

 

「やっほぉぉぉぉぉぉい!! やっと完成したぜぇぇぇぇ!!」

 

 肩で息をしながら、欲しがっていた玩具を買って貰った子供のように大喜びしているのは堕天使総督、アザゼル。金髪に黒のメッシュが入ったダンディズムなおっさんだ。

 

「子供はもうおねむの時間なのに……五月蝿い……ふあぁ〜……」

 

「アザゼル様。態々こんな時間に私たち二人を呼び出した理由はなんですか?」

 

 眠そうに瞼を擦っているのは、ルージュ色のロングヘアをした女顔の男。竜胆明日斗。寝起きなのか、若干不機嫌気味のようだ。

 そして隣にいる青髪の男装が似合いそうなイケメンな女性はカラワーナ。堕天使である。 こちらも顔には出さないが、纏っているオーラが「くだらない用ならどうしてくれようか?」という幻聴が聞こえるほど不機嫌気味のようだ。

 2人の目の前には急いで被せたのだろう、大きな布を纏ったナニカが存在感を放っている。

 

「ふっ……そんなに慌てるな。聞いて驚くなよ? コイツはなんと!! 【次元転移装置】だ!!」

 

 大袈裟で雑に。しかして装置を倒さないように配慮をして布を取る。すると、中から現れたのは、大きな円柱。

 材質はガラスのようで、小型のポッドのような印象を感じさせる。その下には絡まったイヤホンのようにパイプが絡まっているようだ。

 

「はいかいさーん。カラワーナ。おねむの続きだよ……」

 

「待て待て待て待て待て!!」 「どうぞ」 「マテ茶じゃねぇ!!」

 

 カラワーナと一緒に帰ろうとする明日斗。ちゃっかりとカラワーナの手を握り、倒れないようにしているようだ。モロ恋人同士じゃん……俺への当てつけかコノヤロウ……

 

「もういいよ。アザゼルも深夜テンションでおかしくなってるんだよ。栄養ドリンク何本飲んでるの一体……辺りにその形跡がたんまりあるんだけど? 後で掃除しないとリアス達から怒ら⚫◢◣◻️〜」

 

 今にも鼻風船を出しそうな勢いで眠ろうとする明日斗。それをカラワーナが強く手を握って支えとなり、何とか倒れないようにこちらから手を握り支えている。

 

「はぁ……カラワーナだけでもいいから聞いてくれ……」

 

「いえ。私はこれから録画した【ハイスクールDxD】を視聴しなければならないのでこれにて」 「お前もか!!」

 

 なんで竜胆の野郎の周りには我が道しか行かん見たいなやつしか居ないんだ……その後も帰ろうとする所を何とか引き止め、渋々聞いてくれるようだ。

 

「んんっ! コイツは俺の人工神器に次ぐ傑作中の傑作! コイツはまだ試作品の段階だが、名前の通り別の次元に行くことが出来るんだぜ!」

 

 そこからは捻った蛇口のように言葉が出るわ出るわ。纏めると、悪魔の大規模の転移魔法陣を応用し、人工神器のノウハウを活かして作ったものと言った感じだろうか? もっと細かい感じもするが。

 

「とにかく! コイツがありゃあ転移魔法陣が設置されていない場所でもひとっ飛びって寸法さ! 冥界だろうが天界だろうが女風呂だろうが、好きな所に行きたい放題なんだぜ!! どうだ? すげぇだろ2人とも?」

 

 もうめっちゃ興奮している。それはもう友達に新作ゲームを発売日に買ったことを自慢する小学生みたいに。例え話に自分の願望が入っていようがお構い無し。どれだけこの装置が凄いのか暑苦しい雰囲気でプレゼンを始めた。

 

「ああもううるさい!! 完全に目が覚めちゃったじゃんどうしてくれんのこれ!」「あの〜……ウチの相方がこうなんでもう帰っていいですか?」

 

 カラワーナの一言でポカーンとなるアザゼル。まさか俺が丹精込めて作った開発物を目の前にないかのように振舞っている。それによって生まれる沈黙の数秒。

 

「ええい! とにかく入れ!」

 

 話を打ち切るかのように先に動いたアザゼルは強引に2人を詰め込んだ。

 プシュ! という音と共に閉じたガラス製の扉は2人を簡単に閉じ込めた。

 

「ちょっと何勝手なことしてんの!?」

 

 文句を言う明日斗には目もくれず、急いで装置を起動させる。ドンドンドンドンドンといまにも壊しそうな音を立て、カラワーナに至っては両刀で斬ろうとしているようだ。

 

「無駄だぜ。コイツァセラフォルーと俺の魔力を丹精込めた超強化ガラスだ。魔王クラス2人分じゃねぇとビクともしねぇよ」

 

「なにその無駄な耐久性!? なに!? なんなの!? このまま帰れない場所に飛ばされるの確定!? ボクの睡眠時間返せゴラァァァァァァ!!!」

 

 先の紹介から想像つくだろうが、この男アザゼル。武闘家というよりは研究者気質なところがある。それも、堕天使界1の研究者だ。そうでなければ人工神器なんて作れるはずもない。

 だが、このアザゼル。実は頑固な一面を持っている。作った発明は役立つもので皆が感心するものばかり。しかし、戦闘用以外には何かしらの欠陥や使い所が微妙なものばかりだ。

 

 そしてコレは、戦闘用の発明品ではない。つまり……

 

 ビー! ビー! ビー! 

 

 デッデデッデンデッデデン! デーッデッデーン! デッデデン! デッデデン! デデッデデデッデデッデデッデーン! 

 

「トラウマBGMやめろォぉぉぉぉっ!!」

 

 けたたましい警告音と共に鳴り響く某トラウマBGM。しかも中は真っ赤に点滅しており、どのボタンを押してもうんともすんとも言わない。

 稲妻のような電流がピリッと視認出来る。周りは真っ赤。もう爆発してもおかしくないくらいの異変だ。

 

「あっ! すまねぇ! 試作段階だから緊急脱出装置ついてねぇんだわ……」

 

 参った参ったと頭をかいて笑いながら謝罪するアザゼルに、2人はキレた。

 

「「こんのくそオヤジぃぃぃぃぃぃぃ!!」」

 

 末代まで呪ってやる! と言わんばかりの大きな怒声。カラワーナもキャラなんて殴り捨てていっその事殴ってやろうかと両刀をガンガン突き刺していく。

 

 ……シュン!! 

 

 と、この世界から2人の姿は消えた。

 

「……アイツらに説明した方がいいかな?」

 

 冷や汗を流しながら、アザゼルの言った声は闇への消えた。

 

 ──────ー

 

 

「そろそろ名乗ったらどう?」

 

 おどろおどろしい玉座の間で目の前に鎮座する王らしき男に物申す緑髪の少女。

 その言葉は、王が返事をするのではなく……

 

「魅惑の君!」

 

 側近のひとりらしき緑髪の王子様風の男が答えた。

 

「無慈悲な王!」

 

「闇の支配者!」

 

「裁きの主!」

 

 王の周りにいた侍女が答えた。

 

「バラの守護者!」

 

 側近のひとりらしき金髪の騎士が答えた。

 

「美しき方!」

 

 最後の側近らしき緑髪の黒騎士が答えた。

 

「この針の城(ファシナトゥール)の主!」

 

「妖魔の君、オルロワー……」

 

 4人目、最後の侍女がトリを飾ろうとしたその時。緑髪の少女と王の間が眩く光った。

 目が眩み、どの様なものであろうとも数十秒は目が空けられないほどに。

 

「……ほう?」

 

 だが王は眩まず、光の中心を興味深そうに眺めた。

 

 ──-また、余興がひとつ増えた。そう思い、口に笑みを浮かべたのだ。

 

 さて、その光から現れた2人は……

 

「「ここどこぉぉぉぉぉぉっ!!???」」

 

 ……全く知らない場所に来ていたのだった。




アセルス編めちゃくちゃ好きですね。あの独特な雰囲気といい。ミステリアスなBGMといい。全部好きです。

RSではオルロワ、メサルティム、アセルス、金獅子はもうHP4桁ですわ。1番使ってるのはメサルティムで次点でオルロワージュだけど。……サガアセェ……(´;ω;`)


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本編
6話


リメイク版、始まるよ〜

盗賊王の大宮殿クリアしますた( ˇωˇ )
乗せる系強すぎィ!!(ベビーサタン、ゴールデンスライム、クローハンズ、キースドラゴン辺りがエースでした)


ジリリリリリリリっ!!

 

 

早朝、けたたましく鳴り響く目覚まし時計。

ぐっすりと眠っている時、この音が鳴ると強制的に夢の世界から覚めるのだ。

 

停止スイッチを探しているのか、モゾモゾ、ソワソワとあちこち行く色白な右手。

そしてようやく握るようにカチリとスイッチを押した。

 

「あ〜う〜」

 

寝ぼけなまこでよろよろと動きながらベッドから起き上がる。

足取りが酔っ払いのようになっているものの、扉にたどり着いてドアノブを引っ張った。

 

「ZZZーーーー」

 

扉を開けたと同時に役目を終えたのか、落下する石のようにバタン!!と倒れ込んだ。

頭の頂にあるぴょこんとあるアホ毛がピクピクと犬のしっぽのように動いているが、当の本人は呑気に鼻風船を出してグーグー眠っているようだ。

 

「むにゃむにゃ……いせーじんめー。かくごしろー」

 

……どうやら寝ぼけているだけだった。

 

 

 

「お兄ちゃん、遅いなぁ……」

 

ところ変わってリビング。

庭に近いところにある8人くらい囲めるような大テーブルに座っているのは、1人の少女だ。

淡水のように綺麗な水色の髪で片目を隠している女の子。

 

「…龍騎(ルキ)、私が見てこようか?」

 

ズズーっと、湯のみでお茶を啜る龍騎と呼ばれた女の子の名前を呼ぶ女性。

前髪を真ん中で分けたロングヘアーの黒髪に、縦模様のセーターを着ているようだ。

出るところは出て、引っ込むところはシュッと引っ込んでいるようなスタイルがいい女性。

 

「……なら……バイサー、よろしく」

 

龍騎と呼ばれた女の子はバイサーと呼ばれる女性に任せ、もう一度お茶を啜る。

 

バイサーはと言うと、直ぐに立ち上がって大きな音を立てながらその巨体で移動し始めた。

 

 

「……ほんっと、朝は弱いんだから……」

 

湯呑みを机に置いて、はぁ……と、呆れるようにため息をつく龍騎は、テレビのリモコンに手を伸ばして電源をつけ始めた。

 

 

階段を上がり、のっそのっそと歩いているのはバイサー。

美人と呼ばれるであろう顔立ちとスタイルの良さから大概の男なら振り向くであろう容姿……なのだが、下半身が虫なのか獣なのかよくわからない感じのようだ。

これを見ると、某帝国を滅ぼしたアリの女王や、某ロボット大戦に出てくる地底世界の邪神の下半身を思い浮かぶであろう異形の容姿。

しかも上半身に対して下半身が大きすぎるため、非常に幅が狭くならざるを得なくなってしまう。

 

「侮辱罪……名誉毀損罪……セーブデータ……むにゃむにゃ……」

 

「おきろぉぉぉぉぉおぉ!!」

 

よく分からない寝言を聞いたバイサーは、手を思いっきり振り下ろした!!

 

「痛ァァァァァァァァァァァ!?」

 

バイサーの拳が頭に直撃し、その衝撃で家が少し揺れた。

腐ってもはぐれ悪魔。その一撃を受けたただの人間の頭が、お湯の煙のようなものが見えてしまう。

何回か床をゴロゴロした後、何事も無かったかのようにムクリと立ち上がり、バイサーの方へと身体を向ける。

 

「明日斗、もう朝だぞ」

 

「バイサ〜、何するのさ〜!!」

 

よよよ……と、泣き真似をしてバイサーに迫る。

 

「知るか。そんな事より、龍騎が待っているぞ……って!!何故毎回毎回背に跨るのだ!?」

 

「え〜、いいじゃん別に〜。ひんやりして気持ちいいし」

 

はぁ……と、呆れたように息を吐いてそのまま移動する。

その時、水を得た動物のように気持ちよさそうだったのは余談である。

 

 

 

「やっと来た」

 

朝ごはんを前に、座って待っていた龍騎。

のっそのっそとバイサーの背から降りて、明日斗も自分の席に座った。

 

「済まない。このバカがま〜た廊下で寝てたんだ」

 

「むぅ〜、ひっど〜い!!」

 

バイサーの一言で、ぷぅ……っとフグのように頬を膨らませて拗ねる。

この様子に、龍騎も呆れたようで

 

「バカやってないでご飯食べるよ。お兄ちゃん」

 

「おっ、そうだったそうだった。じゃあ早速」

 

「「「いただきます」」」

 

 

これは、少しおバカな炎の龍の神器を持つ男の娘の物語である。

 




カタリーナとベルタ、両方持ってないけど断然ベルタが欲しいのじゃ……ギリギリ引けるくらいやけど……明日から数えて五日後が最低ラインだもんなぁ……
通信が出来なくなったらおじゃん……(´・ω・`)

天井でベルちゃん来た(素振り)


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家を出るまで└(՞ةڼ◔)」

就活、先が見えないし、不安すぎて全然行動に移せないめう……(´・ω・`)
一応、学校求人が出てる会社からバイトの誘いは来たけど……(´・ω・`)

あ、ストフリをXーΩに進化させたお( ˇωˇ )

今回も短めです


今日の朝ごはんも美味しそうだ。龍騎が作ってくれたものに美味しくないものなんて無い!!

卵焼きだって、ほんのりと甘みがあって、しっとりふわふわ。

味噌汁だって、出汁が効いていて、豆腐とわかめが味を引き立たせている。今日の+αの具材はネギのようだ。

 

 

「美味しい〜♪」

 

もっきゅもっきゅと、口いっぱいに頬張る様はまさにリスのよう。

その証拠に、左右の頬がこぶとりじいさんのような見事な丸みが出来上がっている。

 

「ほふひへは、ひふ……」

 

「飲み込んでから喋れ……」

 

「お兄ちゃん……」

 

口に含んでいる状態で喋っているため、何を言っているのか分からない。行儀も悪い。

その事を指摘され、少しだけ噛んでゴクリと一気に飲み込んだ。

 

「ちゃんと噛んでよ……」

 

はぁ……と、龍騎は呆れたような声音で明日斗を睨む。

それを見てないのか、気にしていないのか、急須でお茶をいれて、ズズズー……と音を出して飲んでいく。

 

「今日は何して遊ぶ〜?」

 

にへら〜と笑って2人に話しかける飛斗。

 

「何を言っている?お前、学校だろ」

 

バイサーが淡々と発言した瞬間、明日斗の空気が銃弾を受けたガラスのようにヒビが入った。

 

「ガッ……コウ……?」

 

時刻を見ると、走らないと間に合わないような時間帯……

 

「ち……遅刻だ〜!!」

 

バタバタと音を立てて2階に上がり、急いで制服(女用)に着替え、カバンを持ってリビングに戻る。

この間、なんと40秒で支度した!!

 

「ジ・バーイサー、原理の力でボクを送っておくれ〜!!」

 

涙目なりながら、バイサーの蟲のような背中に抱きついて泣すがいでいく。

 

「いや、私ははぐれ悪魔として指名手配されてるんだが……それに私は次元力は操れないし、ドSでドMでも無い」

 

「ばっさりと切り捨てるね。バイサーだけに……」

 

的確に、冷静にツッコミを入れるバイサー。

冗談じゃない。あんな力が使えるのなら、世界の支配者になっている。

……と、2頭身にデフォルメされたような明日斗を引き剥がして、丁寧に置物を設置するかのように扱った。

 

「平行世界の自分を呼び出したり、時空震動を意図的に引き起こしたり、平行世界の自分を自分と融合することでルックスを変えたり出来ないからな……」

 

つらつらと述べていくバイサー。自分の発言でくすくす笑う龍騎。

 

「ぶ〜……いいも〜ん。走っていくから〜」

 

口を3の字に歪め、そそくさと出ていく。

もちろん、「いってきまーす」を忘れない。

 

バタン!!と勢いよく閉じられた扉を見て、龍騎も準備を始め、バイサーは後片付けを始めるのだった。




スパクロのベルタや、ギアスのモニカ、アーニャしゅき……

あとは無印スパロボZのラスボスみたいに明るくなりたいなぁ……


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日常かにゃ?

お久しぶりです(´・ω・`)

今回の作業用BGMはハートブレイクコロリン。それでは久しぶりのやつどうぞ〜


「待ちなさいぃぃぃい!!こんの変態トリオォォォォォォォォっ!!」

 

ズドドドドド!!っと、まるで怒涛の羊の群れのように、砂煙を巻き上げて走るのは体操服を着ている女子生徒達。

 

「おいイッセー!!お前があそこでヘマしなければこんなことにはならなかったんだぞ!?」

 

「そりゃお前があんな感想出したら気になってしょうがないだろ!?」

 

「何言ってんだ!!お前は「楽しみは最後まで取っておくものだ」とか言ってただろ!!」

 

「そりゃジャンケンに負けたからだ!!俺だって一番最初に見たかったんだぞ!!」

 

「「そんなことよりイッセー、お前走り方キモすぎ!」」

 

「ひでぇ!」

 

などと、逃げながら感想と言い争いを器用にこなしているのは3人の男子生徒。

 

1人は、野球部に所属しているような風貌である丸坊主の男。

もう1人は、メガネをかけている細い体躯の男。

そして、つんつんしている茶髪の男。

 

それぞれ松田、元浜、イッセーという、学園では悪い意味で有名な3人組だ。

彼らは性欲という人間の3大欲求の1つを解放したかの如く、教室内では……と言うよりも、この街では悪い意味で有名になったものである。

 

曰く、メガネを通して女子を見ることでその女子のスリーサイズが完璧にわかる。

 

曰く、四六時中パンチラだのおっぱいだの言っている。

 

曰く、教室内で堂々とエロ本にエロビデオを広げて談義している。

 

うん、自由人すぎるネ!!

 

「うお!!危ねぇ!!」

 

追いかけている女子生徒が竹刀をぶん投げる。それに便乗するかのように、他の女子生徒たちも次々と色んなものを投げ出した。

 

ここで、唐突な話題になるが『乱定剣』というものをご存知だろうか?

 

その前に、それを話す前に忍者が使う武器についてザックり説明しよう。

 

忍者といえば手裏剣やクナイといったものを投げるのが一般的なイメージだろう。手裏剣にも様々な種類があるが、そういうのを全てひっくるめて『忍者と言えばこの武器!!』という物は一般的に『静定剣』と言う。

 

一方で『乱定剣』とは『身の回りのものをなんでもいいから投擲物として扱う』という、物を選ばない武器だ。これは現代でも護身術としてもある程度広まっており、古い時代の武術等でもそういう意味合いがある。大事な考え方である。(乱定剣は忍たまで知りましたBy作者)

 

そう、今まさに3人はバトルアニメのマシンガンの嵐の中を避けながら撤退している主人公のような気分である。見ていて「カッコイイなー」と思うことは荒れど、実際に体験したいと思ったことは無い。下手すりゃ死ぬから。

 

……それにしても明らかに重いものを投げまくっておきながら平然としている女子高生マジパネェ。

 

「筋肉系女子ってどう思うよ?」

 

「おお、いいねぇ!俺は好みよ!!」

 

「んな事後でいいから!!とにかく逃げるぞ!!」

 

走りながら唐突に話題を吹っ掛ける元浜と松田。そこにツッコミを入れるイッセー。

 

 

……そんな時だった。

 

「遅刻だ遅刻だ〜!!」

 

シャーーーーーー!!っと、気持ちのいい自転車のこぐ音を盛大に出しながら漕いでいるのは竜胆明日斗。今日も今日とて女子の制服で登校である。

 

それはもう時速30〜40キロで走る車と並べるくらいのスピードで漕いでいる。当たれば無事では済まない。

 

「うわうわうわ!!どいてどいて〜!!」

 

「……へ?」

 

ドーン!! と、当たればすまないのだ。普通の人間ならば。

 

「……ボクハナニモミテイナイ……」

 

そう。何も見ていない。神父服を気崩している白髪ロン毛のテンション高そうな男なんて見ていない。

 

目からハイライトを消した明日斗は気にせずに自転車のペダルを漕ぎ続ける。

もう学校は目の前だ。

 

 

 

「も……桃ぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

 

思わずイッセーが叫ぶ。学校に向かっているのは、正しく桃である。

 

何故か壮大なオペラ風のBGMを流し、車くらいの速度で向かっている桃である。

 

「ちょっ!?危な!!まだ投げてんのかよ!どんだけ筋力強いんだよ!!」

 

「「「うっさいエロ兵藤!!」」」

 

「「「息ぴったりだな女子達!!」」」

 

……あの3人も大概である。

 

ビュンビュンと3人の意識を取らんとばかりに迫る投擲物を避けまくる彼らも投げまくる女子と同類ではなかろうか?ホラゲーやスペランカー系ゲームに欲しい神回避スキルだ。マジで欲しい。うん。

 

と、1人の女子高生が投げた竹刀が桃にせまる!!

 

「ふべら!?」

 

スコーン!!と、その竹刀が明日斗の額にクリーンヒット!!

 

後ろに投げ出された明日斗は思いっきり後ろに吹っ飛び、桃型の自転車は兵藤達に向かって飛ばされる!!

 

「ひぇっ!?」

 

……哀れイッセー。桃型の自転車は彼の頬を掠り、摩擦熱によって生じた擦り傷をおってしまう。(ちなみに残りふたりは間一髪避けました)

 

 

一方、後ろにぶっ飛ばされた明日斗は……

 

「いやぁ……バイサーが心配して来てくれて助かったよ……」

 

「どうせこうなるだろうとは思っていた……もうちょい落ち着いたらどうだ?」

 

「……許してヒヤシンス?」

 

「……GUILTY」

 

「ちょっ!?やめ……ぎゃああああっ!?」

 

……教室に着いた時は頭にタンコブを作っていたとさ(チャンチャン)

 

ちなみにその様子を見ていた学園の悪魔(文字通りの意味で)達はなんとも言えない表情をしていたそうな

 

「そんなことよりモン娘どうよ?」

 

「オレはラミア派だな」

 

「お!いいね!モン娘のエロアニメDVD見ようぜ!!」

 

……この3人、やはりツワモノ……!?




ミョーミョミョミョミョミョッーミョーミョミョミョッミョーンミョーンミョミョミョッミョンミョンミョンミョーン派?

それとも

ウォォォォォォォォォォォーン……(デンデンデデンデンデデンデン)派?

主人公の名前(漢字表記)変えました。久しぶりに見て「あれ?コレで飛(あす)って読むっけ?」ってやったら「ああ、飛鳥ってあったな」みたいな感じだったけどなんか読みづらいと思ったから変えました(´・ω・`)


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授業風景やで└(՞ةڼ◔)」

完全捏造( ˇωˇ )

明日斗は自由人すぎるという事で問題児認定されてます。(成績はそこそこいい分、教師も言いづらい)

⚠️家庭科教師は某戦乙女ではありません。


学校の座学は退屈の一言にすぎる。まぁそれは教師によっては面白くもあるが、基本的にはつまらないものだ。催眠術師の才能でもあるのではないか?という程に眠くなる授業が多い。

 

1時限目!世界史!

 

「じゃあこの神殿の名称わかる人おる?」

 

モニターに映し出されたのは、2〜4人のスフィンクスが椅子に座っているような土でできた4角のカマクラのような建物。しかも2体目のスフィンクスらしき象の上半分が目の前の地面に転がっているものだ。

更にエジプト神らしき小さな象が奥に見えている。

 

「ハイ!!」

 

「お、竜胆か。じゃあ言ってみろ」

 

自分が一番だ!と言わんばかりにシュバッ!と手を挙げたのは竜胆明日斗。待ってました!と言わんばかりの表情をした後に彼は言った。

 

「『オジマンディアス』の神殿!!」

 

ビシッ!!と、指をさしてドヤ顔で言う明日斗。

 

……あ〜……と、気まずそうに世界史の教師は小さく訂正を促す声で

 

「……名称やで?名称を言うんやで……?」

 

「……じゃあ『ラムセス二世』の神殿?」

 

「同一人物やろがい!!」

 

盛大なツッコミ。……変な所でズレている……。ちなみに正式名称は『アブ・シンベル神殿』で、4体のスフィンクスは青年期〜壮年期までのラムセス二世だそうな。

 

2次元目!簿記!

 

「う〜ん……わからん!!掛けが全くわからん!!」

 

黒板を見ても分からず、唸っているのは元浜。黙ってれば頭良さそうな

見た目してるインテリ風のメガネ男子だが、授業中もエロい妄想をしているのか全然聞いていない。

ましてこの授業は実戦形式で、とにかくプリント問題を解きまくって数をこなさなければいけないため、基本的に放置授業なのだ。

 

「あ〜……これねぇ、元浜くん。キミってエログッズに興味あったよね?」

 

「もちろん!!」

 

大声で言ったせいか、クラス中の視線が元浜に集中!肝心の彼は冷や汗を流していた。

 

「まず『買掛金』って言うのは簡単に言えば『ツケ』だね〜。例えば……そうだね。キミがイッセーから1個20万するプレミアエロDVDを買ったとするよね?」

 

明日斗は元浜のプリントに元浜とイッセーの立場それぞれの仕訳表を書く。ら

 

「何!?イッセー!お前持っているのか!?」

 

「持ってねぇよ!むしろ欲しいわ!!」

 

「そこのエロコンビ。静かにしろ」

 

女子生徒全員から殺気を向けられる2人。汗をダラダラ垂らしまくる2人だが、明日斗は平然と続けていく。

 

「でもキミはエロ本1冊分のお金しか持っていない。だから『イッセー!1ヶ月後全額払うから俺に売ってくれ!』と頼んで、イッセーが承諾すればこの時点で商談は成立するんだ。」

 

ここで明日斗は元浜①の表の左側に『仕入れ』、右側に『買掛金』と金額を書いた。

 

「そして1ヶ月後、必死こいてバイト掛け持ちして何とか支払いに成功。ここで、元浜くん。『現金』は増える?減る?」

 

「え?そりゃあ払うから減るだろ?」

 

「そう。現金が減る時はどっちに現金を書く?」

 

「っ!右側だ!」

 

「正解。で、この場合のイッセーの立場だと最初に商品が減って売掛金が増えたからこうなるんだ」

 

そう言ってイッセーの表①に左側に売掛金、右側に売上を書き、②に左側に現金、右側に売掛金を書いた。

 

 

「すっげーわかりやすい!!」

 

と、元浜はどんどん掛けが絡む問題を解いていく。

 

……その際の彼の視線は冷たいものであったとだけ言っておこう。ちなみに明日斗にも向けられていた。

 

「なんで!?ボクあの3人みたいにオープンじゃないのに〜!!」←明日斗

 

 

 

3〜4次元目!家庭科!

 

「は〜い。今日はケーキを作りま〜す。皆さん。お昼休みに間に合うように作りましょうね〜」

 

みんながワイワイ楽しみながらケーキを作っている様子を見てホッコリしている家庭科教師。

 

……2時間後

 

「みんな〜ケーキはでき……?」

 

各グループの机には確かにケーキが置いてある。どれも美味しそうだ。

 

……なのだが、1組のグループのみ異様な存在感を放つケーキがあった。

まず、デカい。この教室の天井まで届きそうなくらいでかい。しかも5段積み。いちごをふんだんに使ったストロベリーケーキである。

 

次に装飾が派手だ。大きな皿の周りにはこれでもかと言わんばかりに薔薇で囲まれている。

 

極めつけは1番上の飾り。純白のドレスを着た女性とタキシードを着ている男性を形作っている砂糖飴細工は……

 

「ウエディングケーキ!?」

 

「八割くらいボクが作りました〜」

 

エッヘンとドヤ顔を決めてエプロンをケーキの材料で汚している見た目女の男は竜胆明日斗。

やつれながらも満足そうな表情をしている男子生徒が。

 

「誰がたかが調理実習でここまで本格的なものを作れと言いました!?アレですか!?未だに彼氏いない歴=年齢の私に対する当てつけですか!?明日のクラスの分の材料全部使ってからに!!」

 

「ああああああああぁぁぁぐわんぐわんするーーーーー!!」

 

分身ができるかってくらいの幻覚が見える程に肩を揺さぶられる。各グループの後片付けが終わったあと、明日斗は家庭科室の掃除をやらされた(ケーキの汚れがすっごい)

ちなみに翌日のケーキの材料費は理事長のポケットマネーから出たそうな

 

明日斗、サーゼクス「「解せぬ」」

 

家庭教師、奥さんメイド「「当然です」」

 

 

ーーー

 

 

「└( 'Д')┘ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙やっと終わったぁぁぁぁぁ……」

 

もう全身が筋肉痛になりそうってくらい頑張った。うん。

途中、ケーキ作りのグルだった男子生徒が手伝ってくれたとはいえ、これは相当きつい。

 

「はぁ……バイサーになんて言おうかな?門限過ぎたし」

 

ドボドボと歩いている中、1人の黒髪女子高生が門の前で立っていた。

……疲労の為目からハイライトが消えている彼の目には見えていなかったが。

 

「あ……あの……竜胆あ……」

 

「遅かったな」

 

女子高生が何かを言う前に、遮った女性の声。

明日斗が思わず見上げてみると……

 

「は……はぐ……」

 

「ア……アリだー!!」

 

「誰が帝国を滅ぼしたアリの女王だ!!」

 

「いったぁぁぁぁっ!!」

 

バイサーから思いっきりゲンコツを食らう明日斗。女子高生は目の前の出来事に処理が追いついていないのか呆然としていた。

 

「帰るぞ。乗れ」

 

「え?マジ?やったァァァァァっ!!」

 

これで歩かないで済む!ーしかも、持っている買い物袋から察するに今日は焼肉!!ちょうどめちゃくちゃお腹空いてたんだよね〜

 

「あ……あの……」

 

「さぁ!!ゆくぞ!発進!マシンが唸るのだ!!」

 

「別に私は機械でも鉄人でもないがな」

 

 

 

ドシンドシンと巨大な下半身で歩くバイサー。それに乗ってスヤスヤと幸せそうに眠っている明日斗。

 

女子高生が処理落ちから目覚めた時、学校には誰一人いなかったそうな。




簿記2年くらい手をつけてないから説明あってんのか不安やわ。仕訳は楽なんだけど、貸借対照表損益計算書がくっそムズいのよ……(´・ω・`)

簿記のくだり間違ってたから修正


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堕天使とのデートやで( ˘ω˘ )その1

大幅に変えます。

具体的にはデートの相手が変わります。


焼肉パーティーから翌日。今日は土曜日。学生には嬉しいお休みである。

休みというのは素晴らしい。ひたすらゴロゴロ出来るし、好きな事に没頭できる。

 

……5日溜まった疲れがたった2日で取れるとは思っていないが。

 

「……っと、今週は仕事も休みだし、何しよっかな〜」

 

ルンルン気分でコーヒーを嗜み、アニメのDVDを部屋で視聴して言う。

欲しい衣装は昨日通販で手に入ったし、ご飯の買い出しも昨日の内にバイサーが終わらせている。今日のご飯の当番は自分とはいえ、昼餉には十分に時間がある。

 

「……っと、そう言えば龍騎が風呂と食器用洗剤切らしてたって言ってたっけ」

 

お菓子を買いに行くついでに買い物に行くかぁ……と、コーヒーをゆっくりと味わい、P○3の電源を切った。

 

「ん?何処かへ出かけるのか?」

 

「バイサー?うん!ちょっと洗剤を買いにね〜」

 

「あぁ分かった。それと、今日の夜頃『桃源郷』の2人が来るらしいから早めにな」

 

「ん?来週の仕事の話かな?りょうか〜い」

 

っと、財布をポケットに入れて両耳にイヤホンを装着して扉を開けると……

 

ーーーー美女が居た。とびきりの。

 

深海のような青いロングヘアの美女である。背はバレーボール選手並に高いんじゃないかというくらい有り、明日斗が見上げる形を取らなければ顔を見れない。

 

引っ込むところはちゃんと引っ込んでおり、出ている所はちゃんと出ている。スリムでモデル体型の女性だ。

 

そして何より……

 

(……ヤダ……ボクより男らしい顔……/////)

 

そう。イケメンである。見るもの全てを射抜きそうな瞳をしているイケメンである。

表情には出していないが、内心めっちゃ動揺しているオトコノコの姿がここにはあった。

 

「あ……あの……ここって竜胆あ……」

 

「いいねぇ!!キミ!良かったらボクの相方にならない!?コンビ組んでさ!!僕と契約して舞台俳優になっ……」

 

「お前は何処のいん○ベーダーだ!!」

 

「いったぁぁぁぁっ!!」

 

マシンガントークの如く美女に迫る明日斗にバイサーのゲンコツが直撃!ぬぉぉぉぉ……と、蹲りながら頭を抑えている。

 

(……え?なんなんだこの状況……)

 

目の前の女性はこの光景にめっちゃ動揺していた。

 

 

 

 

 

堕天使カラワーナ。下級堕天使の1人だ。

 

自分とあと3人とチームを組んでエクソシストの勧誘に、神器回収。はぐれ悪魔の討伐など、様々な仕事をやっている。

 

……最も、エクソシストは堕天使サイドに勧誘するのだが。誰が天使サイドに行かせるものか!!

 

兵藤一誠は単なるエロガキだから対処は簡単だったとレイナーレ様は仰っていたが、次の標的が問題だった。

 

竜胆明日斗。誰よりも女らしい顔をしている男。レイナーレ様は一誠の調査と一緒に彼の事も調査していたらしいが、行動が全くもって読めなかったらしい。

 

曰く、『数時間も潜水し、深海魚をモリで突いた』←衣装は人魚だったらしい

 

曰く、『私達よりも強いかもしれない『フリード・ゼルゼン』を一撃で重症に追いやった。』←後でアーシアが綺麗に治しました

 

曰く、『はぐれ悪魔を打倒、支配下に置いている』との事。

 

そして先日。なんと1人でウエディングケーキを作ったらしい。……私も結婚したい……

 

と、他にも様々な逸話が残る彼。実際にそのはぐれ悪魔を見るまでレイナーレ様は半信半疑だったが、今は処理落ちして部屋に籠っている。

 

……もしも彼と嘘デートするなら、絶対処理しきれずに胃がやられるかもしれないと。

 

だが、これはチャンスだ。レイナーレ様が求めているのは『トワイライト・ヒーリング』のみ。もしも、レイナーレ様が問題視している男の神器を私のモノにすれば……と。

 

すぐさま立候補した結果、次は私に白羽の矢が立った(他メンバーが行きたくなかっただけ)

 

特にミッテルトは『次の動画制作で忙しいっス!!今度こそ1時間以内に縛りプレイで全クリするっス!ガバも積もればロスとなる!!なるだけガバを無くから邪魔しないで欲しいっス!!』と言っていた。何言ってるんだミッテルト……

 

立候補して任務に赴いた私だが、レイナーレ様が動揺していた理由がわかる気がする。

 

「ちょっとバイサー!!いきなり何すんのさぁ!!」

 

「勧誘の仕方というものがあるだろう!!ついでにこの女は人外だぞ!!」

 

「え〜?バイサーいるから今更じゃない?てかバイサー以外に人外っていたんだ」

 

「……ペットにヒポグリフがいるだろう?」

 

「アレって突然変異かなにかだったんじゃないの?」

 

「はぁ……」

 

……コイツらは何言ってるんだ?ヒポグリフ?アレは気性が荒い幻獣の一体じゃないのか!?なんでたかが人間がそんな大それたものを!?と言うよりなんでこんな見た目が化け物のやつが堂々としているんだ?街の人おかしいだろ!?なんで見た目でわかる異形が普通に生活してるんだ!?

 

「ん?」

 

暗くなったので後ろを振り向いた。

 

バクリ!!

 

……わたし の めのまえ が まっくら に なった。

 

 

 

 

「……っちょっ!?ヒポくん!?違うから!!この人はキミの朝ごはんじゃないから!!ぺっしなさい!!ぺっ!!」

 

「……明日斗!お前、ヒポグリフのエサやりサボっただろ!!」

 

「いっつもボクがやる時はバイサーや龍騎よりも遅いの!!バイサーこそヒポくんに伝え忘れてたんじゃないの!?」

 

「うっさい!!元はと言えば……」

 

「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?!?!?!?」

 

言い争いをしている2人だが、離さないピポくんともがいている女性の姿を見て一気に我に返り……

 

「って、こんなことしてる場合じゃない!!お肉を解凍して持ってこないと!!」

 

脱兎のごとく逃げ出すように急いでお肉を取り出し、そのままバイサーの元へ向かう。レンチンで解凍している時間は無い。

 

「バイサー!火!早く!!」

 

「……はぁ……」

 

ぼう!!とバイサーは魔力を通して火を作り出す。すぐさまお肉を中に入れる。ガスコンロの強火並みの火力で、炎の中にぶち込んだお肉を瞬く間に解凍していく。

 

「ヒポくん!!とってこーい!!」

 

数秒で解凍したお肉を上空へ向かって思いっきりぶん投げた!!

勢いよく飛んだお肉は山へ一直線へ向かう。

 

それを見たヒポくんは咥えていた女性を思いっきり離し、明日斗にクリーンヒット!!

 

2人して痛みに悶絶している声を上げるのを無視して飛んでいく餌に向かって一直線!!空を地面で走るダチョウのように駆け抜け、そのままキャッチ!

 

「クェー!!」

 

と喜びを表現するように大きな鳴き声を上げて戻っていく。

……明日斗目掛けて一直線に。

 

「う〜ん……」 「……つぅ……」

 

「ヒポー!!」

 

「「……へ?」」

 

ドーン!!

 

「「ノワァァァァァァッ!?」」

 

明日斗に思いっきり甘える子犬のように全力でぶつかったヒポくん。しかし、その巨体に人間が耐えられるはずもなく、重さと衝撃で再び倒れ込んだ。

 

……その場にいたカラワーナも巻き添いにして

 

その光景を見ていたバイサーは目も当てられなかったという。




バイサーは魔法系は下級なら扱える設定。ビーム打ってた描写あったしイけるやろ多分。

明日斗はボケ担当でトラブルメーカーでありながらある程度酷い目に合うキャラに変更。そして、私はカラワーナをひっじょうに贔屓します。

作業用BGMは前半ぶっちぎり万歳。カラワーナの下りからは高飛車マーチを聴きながらやってました。


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堕天使とのデートやで( ˘ω˘ )その2

DxDのブラウザゲー始めたけど、イベントロスヴァイゼさん来てほかのメンバーとのステータス差が尋常じゃなく広いっていう(´・ω・`)

コスト30縛りとかやってられっか!!

明日斗の特技と本性?の一端を見せる(予定)

あと執拗い表現と暗め注意ですわ(´・ω・`)


ヒポグリフに突撃されて再度気絶したカラワーナと直ぐに起きた明日斗。

いやぁ参った参った。アハハ〜と笑いながらカラワーナを寝室に運んでいく。

 

……こうしてみると本当に王子様みたいな顔付きだ。女でも惚れそうな程に。

 

舞台に上がると女子に人気でそうだなぁ……と思いながら気絶している彼女の顔を見つめる。

 

「もし本当に人外なら、イケメンさんや美人さんがデフォなのかな〜?」

 

寝室のベッドに放り込み、布団をかぶせてやった。

 

うーん……と考えるも直ぐにバカバカしくなってやめた。

人外だとしてもピンキリだろうし、この女の人からはそういう威圧感とかを感じない。

 

ーーーー寧ろ、感じたのは『焦燥』や『承認欲求』……それに、『諦観』だろうか。もう表情で丸わかりだった。

 

なんだろう?この人からはなんか……放っておけない感じがするんだよね。上手く言えないけど。

 

なんに焦っているのか?何に認められたいのか?何に?何に?

 

不安、恐怖。それも、漠然としたナニかなのか?それとも、視認できる何かなのか?

 

自己否定か?何かしらの渇望か?何かしらに飢えているのか?

 

視認できるだけまだマシだ。対処法があるから。1人ででも、他人を巻き込んででも。解決できる問題が多いのだから。

 

 

 

ーーーーだが、漠然とした……よく分からない問題は解決はほぼ不可能。なぜなら、『自分でも分からない』から。自分が分からないものを他人が分かるはずがない。計算法が分からない。漢字が分からない。等ような物理的な問題ならまだしも、精神的な面なら尚更だ。

 

……増大した不安はやがて大きな闇を生み出し、やがて病んでいく。毒のようにジワジワと、ココロを蝕んでいく。

闇。やみ。病み……。

 

我ながら下手な物だね。座布団も上げられない。

 

「でも、まぁ……」

 

嬉しいなぁ……こんなに近くに……

 

「ボクに似たような輩に会えたんだからねぇ……」

 

思わずに口角をツリ上げてしまった。仮面が剥がれ落ちるかのように。自らの皮膚を引き剥がすように。本性を曝け出すように。別の人格に上書きされたように。

 

 

瞳孔を見開く。マッドサイエンティストが実験にやっと成功した喜びを噛み締めるかのように。

 

 

ネェ、ボクッテイッタイ、ナンナンダロウネ……?

何のために……?ナンノタメニ……?

 

 

 

「う……う〜ん……」

 

確か、私は……

 

竜胆明日斗の神器を奪うために、嘘デートの約束を取り付けようとして……

 

ーーーーはぐれ悪魔に動揺した挙句、大型の獣に食われかけたんだっけ。

 

「あぁ、気がついた?」

 

はっ!!と声のした方へと顔を向ける。ここは戦場。神器を奪い取るまでは戦場なのだ。

 

「?コレに毒なんか入ってないから安心して」

 

ずずい〜っと渡されるうさぎの形をしたりんご……って!!

 

「いや!!凝りすぎだろコレ!!」

 

一般的なうさぎ型リンゴは皮を上手に切ってうさぎの耳のように見える形にしたもののはずだ。なのに、差し出されたのは……

 

木彫りのうさぎのような、とにかく材料が食べ物じゃなかったら置物としてお金を取れそうなほどのクオリティ。お店の宣伝として使えそうでもあった。

 

「食べないなら貰うよ〜」

 

「……!!食べる!!食べるから取るな!!」

 

「ほ〜い」

 

思わず皿をひったくって貪るように食べていく。

……なんだか後味が悪い気がするのは気の所為だろうか?ウサギを生で食べている気がしてならない。

 

「……礼は言わんぞ」

 

「いいよ。アレは元はと言えばボクの餌やりが遅かっただけだしねぇ〜」

 

「というかアレはなんだ!?あれはどう見ても人間が飼う生き物じゃないだろ!?」

 

「え?ヒポ君はヒポ君だよ?それ以上でもそれ以下でもないよ?」

 

何を言ってるんだ?この人みたいな表情でこてんと首を傾げた。クソゥ……この容姿で男とか全っぜん信じられない。

 

「明日斗。少々早いが、『桃源郷』の2人が来たぞ」

 

「え?早くない?まだ3時だよ?」

 

「そうもいかん。来週の仕事の件だが、結構大事になりそうだ。ついでに、私も出すらしい」

 

「え?何?異能系バトルものの実写でもやるのかな?りょうかいっと」

 

ドタドタと騒がしい様子で降りていく明日斗を見て、はぁ……と息を吐いた後にバイサーが口を開く。

 

「そこの堕天使。今から俳優の2人が来るから、会ったら自己紹介を念入りにしておけ。じゃないと恥ずかしい目に会うぞ」

 

意味ありげな言葉を発した後に、バイサーも明日斗を追いかけるように降りていく。

 

……下半身のせいで歩く音が大きくならざるを得ないのは言うまでもなかった。




シリアスがァァァァァっ!!はよ弾けたい!!そして主人公割と黒い!!どーしてこうなったんや(´・ω・`)

なんか主人公をとことん虐めたい衝動に駆られる俺氏(´・ω・`)

桃源郷の2人のモデルは……なぞの男となぞの女です(わかる人にはわかりそう)


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堕天使とのデートやで( ˘ω˘ )その3

サブタイトル詐欺第3段( ˘ω˘ )

デーンデーンデーン(ミョッミョーン)デレデッデレデッデデー

ミョッミョッミョッミョーン(デーレーデデデッデッデーレーデデデッデッデーンデンッ!!)


「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!邪魔してるぞ!!アストル……」

 

「竜胆明日斗!!宝瓶院さぁん……いいかげん名前覚えてよォ……」

 

「それでだな!今日は急ぎの要件があったのだ〜♪」

 

「相変わらずだな……」

 

「治す気ゼロだね。知ってたけど」

 

王様のような威厳たっぷりの高笑いをしている、紫を主体とした十二単を着ている男。……否、十二単の着物の数を若干少なくしたような感じだ。

紫のメッシュがかかった黒髪のツリ目をしたイケメンさん。ミュージカル調のノリで話しかける様はリアルでもステージとして認識している節すらある。

 

当然、バイサーと明日斗の間に座っているカラワーナには話についていけていない。

 

ちなみに並びは

 

龍騎、明日斗、カラワーナ、バイサー

 

この順番。

 

「で、急ぎの要件とはなんだ?宝瓶院真水(ほうびょういんしんすい)」

 

「うむ!!それはだな〜」

 

ゴソゴソとバッグから何かを取り出し、それをバン!!と叩きつけるように置いた。

カラワーナ以外の3人が覗き込むと……

 

【メンバー募集!!セブンソードプロダクション〜桃源郷編〜】

 

「……人手不足ですか……?」

 

「うむ!!正直言って、私と相方の鷲獅狼竜姫(しゅしろうりゅうき)」とアシスタント4人だけでは……ってちが〜う!」

 

ノリツッコミしながらひったくるように紙を戻し、もう一度机に勢いよく紙を置いた。

 

再び3人が覗き込むと……

 

【シャルルマーニュ伝説、狂えるオルランド、遂に実写化!!】

 

「へぇ……って!!メインはボク!?」

 

「私の役は……ブラダマンテ?」

 

「そう〜♪アストルフォの家は人外魔境!さ・ら・に、ヒポグリフもいるではないか〜♪」

 

「……もうツッこむ気も失せたよ……」

 

シャルルマーニュ伝説と狂えるオルランド。原典から12勇士のコントが繰り広げられながらも壮絶な戦いを繰り広げる物語である。

発狂して全裸になるイケメンの騎士や、アホの子ポンコツ騎士等、様々な騎士たちが繰り広げる戦いの結末とは……?みたいなキャッチフレーズが書かれてあった。

 

「さらに他にも理由があってな〜……ん?おお!こっちだこっち!!」

 

真水が手招きをしながら足音に応えるように呼びかける。

ガラ!!っと扉が開かれ、見えた女性は……

 

「真水!!頼まれたもの、持ってきたわよぉ〜」

 

……とても派手だった。キラキラ光るようなゴールドブロンドのポニーテールにウェーブがかかっているような感じだ。

おっとりしていそうな大きな瞳に鋭さを付け加えたような眼を持つ美女で、溢れ出るオーラが一流のスターをすぐさまイメージさせられる。

結んである髪に刺さっているのは簪。それぞれがグリフォンと獅子、犬をモチーフにしたような代物。特注で作らせたものらしい。

 

着ているものは真水の着物を赤とオレンジが主体のカラーリングに変えたような衣装。

 

「「あっ、竜姫さん。こんにちは」」

 

「あら、2人とも、元気そうねぇ〜……あら?そちらの青髪の女性は……?」

 

「……あっ!私のなま……」

 

「この女性はアンジェリカだそうだ!アストルフォの知り合いらしいぞ!」

 

カラワーナが重要なこと思い出したように慌てて自己紹介をしようとした時。真水がノリノリでカラワーナの代わりに言った。

 

「……やってしまったな……」

 

はぁ……と溜息をつくバイサー。事情を知ってる皆は同情の視線をカラワーナに向ける。等の本人は困惑し、真水の方はいつもの楽しそうな表情のままだ。

 

「だから自己紹介は念入りにしておけと言ったんだ……」

 

「真水さんは自分のイメージで勝手に名前をつける悪い癖があるからねぇ……」

 

ちゃんとした人名なのが唯一の救いだけど……と後から付け加えた。更に言えば、1度名付けられればこの名前で通されるらしい。

……まぁ芸名を考えなくていいって言う点ではメリットかもしれないが。

 

「それでそれで?頼まれたものって?」

 

明日斗が食い気味に竜姫に聞いた。このタイミングで真水に頼まれたもの……という事は、この件に関係がある可能性のものが高いからだ。

そしたら「これこれ」とバッグから何かを取り出した。

 

……純白の馬上槍。大きな角笛。魔術本らしき物。……って!!

 

「そう!!アストルフォが実際に使っていたとされる魔法の槍、角笛、魔術キャンセルの魔本よ♪」

 

ニコニコと楽しそうに。友達が持ってないゲームを持っている事を自慢する同級生のように。満面の笑みで答える。

それを見た、聞いた4人は驚きを隠せず、無言の状態が続いた……と思いきや

 

「ところでアンジェリカよ!キミも『実写版、シャルルマーニュ伝説と狂えるオルランド』の出演を認めよう〜♪役はブラダマンテの双子の兄、リッチャルデットだ〜♪」

 

「……は?」

 

「……それって絶対髪の色で決めたよね?」

 

トントン拍子に話が進む様についていけないカラワーナ。ジト目で睨む龍騎に、呆れた表情で見る竜姫とバイサー。ミュージカル風な喋り方をして話を進める真水。

結局彼女は内容が耳に入らないまま、デートの約束を取り付けるのも忘れてそのまま帰還。原因は処理落ちたなのは、言うまでもなかった。

 

ちなみにレイナーレに報告したら怒られたとか何とか。(ちゃんちゃん♪)

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

オマケ

 

ミッテルト「今日は散々だったらしいっスねぇ〜」

 

カラワーナ「あぁ……レイナーレ様のお気持ちがわかったような気がする……」

 

ミッテルト「まぁカラワーナの内蔵量は8ビットだから仕方ないっスよね〜……早く16ビットに進化してくれたら嬉しいのになぁ」

 

カラワーナ「私はファミコンか!?」

 

ミッテルト「そんなことより、その『宝瓶院真水』って人の写真見せてくんない?なぁんか引っかかるっスよねぇ〜」

 

カラワーナ「……そんなことって……あ、あぁ。ほら」

 

ミッテルト「どれどれ〜?ッッッッ!?」

 

カラワーナ「どうした?」

 

ミッテルト(いやいや!!どうしてあのお方がこんな所に!?え?ミュージカルスター!?マジで!?)

 

カラワーナ「もしも〜し?」

 

ミッテルト「ちょっとサインとツーショット写真貰ってくるっス!!晩御飯までには戻ってくるからよろしく〜!!」

 

カラワーナ「あぁ……レイナーレ様になんと言って誤魔化そう……」




シャルルマーニュ伝説や狂えるオルランドって積文館で買えるん?(´・ω・`)

マジで原典からカオスらしいから見てみたいのよね

文章意識してやるとめっちゃムズいのよねぇ……俺氏すっごいヘタクソやから精進せんと……(´・ω・`)


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堕天使とのデートやで( ˘ω˘ )その4

唐突な話になるけど、パワプロとかゴエモンとかで流れる「みょんみょん音」ってどんな楽器使ってるん?(´・ω・`)

そんな今日の作業用BGMは熱血マン

そして後半嫌な表現入ってるかもしんない(´・ω・`)そしてコロコロ変わる場面に注意かな?

3000字以内でコロコロ切り替わるのは悪手って聞いたけど、そもそも1話1万字いかねぇからなぁ基本(´・ω・`)ちゅらい


カラワーナが処理落ちして帰還した翌日。急いでデートの約束を取り付け、現在は駒王学園前で待っていた。

 

ドーナシークがイッセーをはぐれ悪魔と勘違いして葬りそうになったグレモリー領の中枢での待ち合わせ。知ってる者からすれば命知らずと言われるかもしれないが、カラワーナはその事は知らないし、悪事を犯したわけでもない。イケメンの美女でありながらキャラが立っていないのか影が薄いと言われることに何かしらの因果を感じられずには居られない……。

 

本日のカラワーナのデート用の服は、黒のドレス姿である。(イメージはSSレアカラワーナのドレスの座ってるやつ)

 

(ふふん……昨日は煮え湯を飲まされたが、今日はそうはいかんぞ!!必ずお前の神器を奪い取って……)

 

「お〜い」

 

 

内心、ドヤ顔で考え事をしながら背後から声をかけられた。少しビクッとしたが、直ぐに平静を取り戻して振り向くと……

 

「ヒポー!!」

 

……ヒポグリフが居た。白昼堂々と幻獣に跨って駆けつけるところはいっそ清々しいものがある。

更に言わせれば上半身を食われかけ、尚且つ突進を食らったカラワーナは軽くトラウマとなっている模様。あぁ、獣の口の中って、暖かいんだなぁ……

 

 

 

「……いやぁ……ヒポ君の散歩忘れちゃってさぁ……いっその事『デートに連れていけばいいんじゃね?』って考えついたボクって天才だネ♪」

 

「……天災の間違いじゃないか?」

 

もはやツッコミを入れる気力すら無い。何処のデートにヒポグリフを連れる者が何処にいるのか?

さらに言わせてもらうが、竜胆明日斗が着ている服装もおかしい。

何処のデートに女物の服装で来る男がいるのか?しかも違和感なく似合っているのが腹が立ってくる。

 

フリフリのミニスカートに薄い黒のストッキング。特にスカートの下の部分が見えそうなのに見えないのがもどかしいをどうせならもっと長いやつを履いてこいと声を大にして言いたくなる。

 

服は単純に白く、これまたフリフリのワンピース。しかも目を凝らしてみると、うっすらと欲情を煽るような、色気を感じる腰周り。

……襲いたい……って!!何を考えているんだ私はァっ!?

 

 

「……って事で、まずはピポ君と一緒に遊ぼう!!レッツゴー!!」

 

「ちょっ!?まっあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!?」

 

明日斗の掛け声と同時に、ヒポグリフが急発進!!

回転、直進、リターン、ループ、カーブ!!もはや絶叫マシンやジェットコースターの領域である。

 

ーーーここで、唐突な話題となるが、皆は風を受けたことがあるだろう。追い風。向かい風。様々な方向から、様々な強さを持つ風を。そしてそれは『速度によって受ける感覚が違う』という事を感じたことは無いだろうか?

 

例えば、歩いている時に感じる風と走っている時に感じる風。自転車を漕いでいる時の風に、車に乗っている時に感じる風。後者になればなるほどに『強い』と感じるだろう。

 

それは『加速度』と呼ばれるものが関わっており、一般的には『Gがかかる』というものだ。感じる風の強さが違う原因はコレにある。

 

0Gは何も加速していない状態。1Gは時速100㌔を1〜3秒程で出した速度。つまり、レーシングカーの急発進とほぼ同じ速度である。

そして、ジェットコースターや絶叫マシンのGは大体3〜5G。前述の車の約3〜5倍の速度だ。体感では3〜5倍の力で押さえつけられているということに他ならない。

 

さて、ここで話を戻すが、現在ヒポグリフが出してある速度はジェットコースターの3倍。人間が対策無しに基本的に耐えられるGは最大で6。

……つまり……

 

「ちょっ……げんか……」 「おぉ〜♪はやいはやーい!!」

 

……この始末である。いくら堕天使といえども下級も下級。凄まじいまでのGに耐えられる筈がない。今のカラワーナは気合いで何とか意識を失わずにいられている状態である。

え?明日斗が耐えられている理由?無駄に頑丈だからな(CV坂〇〇綾)

 

時には空気を走って。時には翼で羽ばたいて飛ぶヒポグリフの様子を見ながら、「元気だなー」とペットに癒される大人のような感覚で言う明日斗。

 

「おーし、ヒポくん!!ここいらでお前のお昼ご飯を買うぞ〜!!」

 

「ヒポー!!」

 

……デートとは一体。ウゴゴゴゴゴ……

 

 

散歩を一段落させた明日斗は1度降り、カラワーナとヒポグリフと共に商店街へ。

ぐったりとしたヒポグリフにつかまり立ちしているカラワーナを連れ、目的のお肉屋さんへ。

 

「あらいらっしゃい!明日斗ちゃん、今日もヒポちゃんのご飯を買いに来たの?」

 

「うん!!いつものおひとつくださいな〜♪」

 

あいよ!!っと、孫に返事をする祖母のような元気のいい声でお肉をやるおばちゃん。

チャリン!!と気持ちのいい音を立て、813円を手渡してすぐさまヒポグリフの口に放り込む。

 

「クェッ!!クェーッ!!」

 

ぴょんぴょんとジャンプし、羽を動かして喜びを表現するヒポグリフ。その姿はまさに尻尾をフリフリする犬のよう。その姿を見て明日斗は笑い、頭を撫でた。

 

「ところで明日斗ちゃん。そこの女の人は彼女?」

 

「ううん。違うけど、今日は一緒に遊び尽くすんだ〜」

 

「あらそう?彼女ちゃん。色々振り回されると思うけど、楽しんでいってね!」

 

「は……はぁ……」

 

サムズアップするおばちゃんに、困惑するカラワーナ。

2人はまたヒポグリフに跨り、飛んでいく。

 

 

 

〜ここからはダイジェストでお送りします〜

 

 

「この服、似合うかな?」

 

「男なのに違和感ない……女として自信が……」

 

ウサミミメイド服を試着したり。

 

 

 

「ここはボクのオススメの食事処!『ぐるめちっく☆バトルシップ!』」

 

「え?味噌汁プール?回転寿司式のベルトコンベア?何コレ……」

 

遊びながら食事も楽しめる!1度で2度美味しいグルメスポット。

 

 

 

「ぐあああああああああああっ!?最終面がクリア出来ないっスゥゥゥゥゥゥ!!」

 

「おお!!ダ〇〇アスtwinあるじゃん!!2人プレイしよー!!」

 

「ちょっと待て!!ここはダメだ!!」

 

「なんでー!?」

 

ゲーセンに見知った顔がいたために退散するカラワーナ。

 

 

「見て見てー!!大物漁れたーー!!」

 

「ダイオウイカァァァァァッ!!!????」

 

人魚姿で家並みの大きさのイカをモリで突いたのを見て驚いた(この後2人が美味しく頂きました)

 

「じゃあボク男だから男湯に入るね〜」

 

「待て!!お前が男湯に入ると嫌な予感しかしない!!混浴湯があったろ、そこにするぞ!!異論は認めん!」

 

ズルズルと引きづって混浴湯に連れていく。

 

 

 

「いやぁ〜たのしかったぁ〜♪」

 

「はぁ……」

 

〆はイヨの道後温泉で日々の疲れを癒す。(ヒポグリフはペット専用のお風呂に入っております)

 

 

ウキウキしていて楽しそうな明日斗。振り回されて窶れているカラワーナ。

 

デートとは、こんなに疲れるものなのか?こんなに振り回されるものなのか?と思わずには居られなかった。

こんなに疲れるなら、王道のデートが良かったなぁ。レイナーレ様はすっごくつまらなさそうに感じるだろうけど、こんなに振り回されるなら普通の方がいい。と、振り返っていく。

 

「明日も時間があればおもちゃ城にも行きたかったんだけどねぇ〜。明日は仕事に学校だよ〜」

 

はふぅ……と気持ちよさそうに息を吐いた。こんなに遊んだのは久しぶりだ。と言わんばかりに。

 

「……で、いつになったらボクを殺すのかにゃ〜?」

 

「……ッ!?」

 

一瞬、カラワーナの顔が強ばる。いつバレたのか?何故バレたのか?皆目見当もつかないからだ。

確かに、ミッテルトのように情報収集は出来ないし、ドーナシークのように日々訓練みたいな考えも持っていない。ぶっちゃけて言えば、4人の中で1番弱い位だ。

だがしかし、たかが人間風情に負ける気はしない。そもそもの能力に差がありすぎるから。

 

だが、この人間はなんだ?当たり前のようにヒポグリフを従え、、当たり前のようにはぐれ悪魔を使役している。

あんな格好で深海に潜れることも意味不明だし、息が続けられることもおかしいのだ。

 

「……なぜわかった?」

 

「ん〜?そりゃあボクってば演技で食ってるわけだし?キミってわかりやすいんだよねぇ〜」

 

ほっこりした表情で、アヒルさんを浮かべてから言った。

 

「流石にプロの人の演技は見抜けないけど、新人さんや大根役者の演技は見抜く事って簡単なんだよ?」

 

……何か言っているが、頭がフリーズしていて何も言えなかった。

 

「ん〜……もしかして黄金の守護像とか真名叫んで命令すれば巨大な剣になる短剣とか?」

 

……そんなものがあるのだろうか?

 

「……いいよ?別に」

 

「……は?」

 

「いやぁ……人間100年っていうけど、別にそこまで長生きしたくないし〜?心残りなんて1つしかないからねぇ〜」

 

何言ってんだこいつ?

 

「それに、今死のうが寿命で死のうがそんなに変わんないんじゃないかな?結末はおな……」

 

パァン!!と、気づけば私は彼の頬を平手打ちしていた。

額に青筋を浮かべながら。目元に涙を浮かべながら。

 

「貴様……何を言っているんだ……?」

 

「……はぇ〜」

 

「なんならもう1発行っとくか?」

 

「すみません、勘弁してください」

 

手のひらを返したような凄まじいまでの変わり身。

 

「……まったく……私にはよく分からんが、お前には『ファン』がいるんだろ?」

 

「……ハイ」

 

そこから柄にもなく説教が続いた。やれファンが悲しんだらどうだの、やれ妹がどうだの、やれ私の立場はどうなるだの、やれなろうの方とpixivの方の投稿はいつになるかだの、やれゴ〇モンの新作はいつ発売されるかだの……とにかく、良い子が寝る時間まで温泉で説教が続いた。

 

その後はヒポグリフで帰り、今作ではよろしくと互いに言った後に去っていった。

 

……あっ!!神器回収忘れたァァァァァァっ!?

 

今夜もレイナーレ様に怒られた事は、言うまでもなかった。




施設紹介

《ぐるめちっく・バトルシップ》

見た目は戦艦大和。飲食店でありながらちょっとした遊び場でもある施設。
中に入ると豪華な海産物のサンプルがお出迎え。地下式となっており、B3Fまである。

1Fはお土産コーナー。この店で食べられるラーメンや味噌汁などのインスタント食品に、ちょっと高級な調味料。果てはペット食品など幅広いものがある。

B1Fが広いレストラン。色んな種類の食事が楽しめる。値段は高めだが、その分味は美味しいため週末や月末のちょっとしたご褒美に来る客も多い。1番安いので1500円ほど。ドリンクバー付き。

B2Fはプールゾーン。味噌汁やラーメンスープ、うどん出汁で出来たプールが楽しめる。お客を讃岐うどんのリフトで運び、回転寿司式のベルトコンベアで歩きも短縮。月末にはお菓子の家でショーが行われる。1時間子供300円。大人1200円。
プールで泳いだ後は備え付けのシャワーを浴びよう。でなければベットベトの状態で帰る羽目になるゾ

B3Fは子供限定の食べ放題ゾーン兼公園。流しそうめん式の滑り台やおでんの具のブランコ、ウインナーで出来たうんていの他、色んな遊具がてんこ盛り。
食事ゾーンには子供が給食や弁当に入ってたら嬉しいものがこれでもかと言うくらいあり、値段は1時間700円。食べて遊んでまた食べるという夢のような広場。なお、雰囲気ぶち壊しな為、デートには全然向かない施設。マスコットキャラはマグロダイ将軍。

後半すっげぇ急ぎ足(´・ω・`)そして暗め

カラワーナにオカン(もしくは小姑)属性付与?


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オカルトの語源って、オクレーレ(ラテン語で隠す、土をかけて埋めるの意味)らしいですよ?

漸くオカルト研究部のめんめんやでぇ……掘り下げると中々ダークな過去をお持ちのようで……(´・ω・`)

そういやキャラを立たせるために必要なのは『過去』らしいですね。赤ん坊でも『生まれた』って過去がありますし、過去がない人間なんていませんしね。過去があるから人格だの性格だのが作られるんですねぇ……
モブはともかくメイン、準メイン、サブメインは作り込まないと……(´◉ᾥ◉`)

好き嫌いを明確にさせるだけで違いって出るらしいっすね(´・ω・`)


カラワーナとデートをした翌日の放課後の事。不意に教室のドアが勢いよく開かれた。

 

「やぁ、竜胆明日斗くんは……」

 

入ってきた人物は、金髪の華やか系イケメンの木場祐斗。オカルト研究部に所属しているが、実は剣道の腕前もある。もしも剣道部に正式に入部すれば全国制覇も夢ではないとの事らしい。

 

そんな彼が、不意に言葉を続けられなかった。大概の事はなんでもこなしそうな彼がだ。

……その原因は……

 

「ふんふんふ〜ん♪」

 

……何故か制服ではなく着物を着ており、三味線を弾いていたのだ。さらに座布団とステージ用の台まで用意している徹底ぶり。

しかも弾き方にも問題があった。なんと足の指を手のように器用に使っているからだ。

三味線を足で弾きながら、口に笛を加え、演奏する。(弾いてるのはカブキングをイメージしています)

 

(なんだろう……呼ぶに呼べない……)

 

しかも無駄にクオリティが高い。流石に他の音はラジオの録音声だが、これをやれと言われれば出来ないと答えるだろう。

そもそも足で弦楽器を弾く事も出来ない。練習すれば弾くことは出来るのかもしれないが、それも手での範囲でだ。

 

……そうこうしているうちに、数分がたった頃。

 

 

「ふぅ〜いい汗かいたァ……」

 

(終わった……?)

 

一息つくように大きく息を吐いたのを見た。どうやら演奏が終わったようだ。

彼は水を1口飲んだあと、よっこいしょと言いながら背中をバキッと鳴らしてまた座り、尺八を構える。

 

「え?また……?」

 

尺八を咥え、音を鳴らす。今度もラジカセを使うようだが、弾く曲が違った。(うどんこたろうをイメージしています)

 

「木場先輩、遅いです。何をして……?」

 

後ろから声が聞こえた。振り向くと、白髪の幼女が自分を呼びに来たようだ。

塔城小猫。部長の眷属で、戦車と呼ばれる役目を持つ。華奢で小柄な見た目からは考えられない程のパワーファイターだ。

僕は無言で指を指し、小猫は覗き込む。

 

「……クオリティ高いですね……」

 

「この曲はなんだろう?」

 

「日本の旅番組で流れている曲ですね」

 

「……旅番組かぁ……」

 

「……時間が無いので、辞めさせてきます」

 

名残惜しそうな声をしながら、夢中で弾いている明日斗の方へ向かう小猫。

鼻歌を口ずさみながら夢中で演奏しているのか、近づいてくる幼女に気づかないまま……

 

……片手ででお持ち帰りしていた。米を運ぶような持ち方をして。

運ばれていることに気づかずに演奏を続けているところを見るに、かなり集中しているのだろう。それこそ、周りが見えなくなるほどに。

 

 

「部長。連れてきました」

 

ノックをして扉を開ける。ガラガラとスライド式の扉がいい音を立てて滑っていく。

バン!!と大きな音を立て入ってきたのは木場と小猫。この部室の主、リアス・グレモリーの眷属である。

 

「……」

 

普段は元音すら立たないほど静かな部室。せいぜいがメンバーのおしゃべりや、悪魔との契約に関する事。お菓子や紅茶の音がするくらいである。

だが今は違う。小猫が担いでいる女……ではなく男の足と手によって演奏されている三味線と尺八の音が部屋中に鳴り響いているのだ。

 

「……って?アリ?」

 

集中が解け、辺りをを見渡すとそこはステージではなく、黒魔術の儀式をやる部屋になっていた。

 

「……!!」

 

ふと、明日斗はイタズラを思いついたようにニヤリと笑う。

なんか中心部分にある真っ赤な魔法陣。黒魔術……これは……

 

「ふんぐるい むぐるうなふ くとぅぐあ ふぉまるはうと んがあ・ぐあ なふるたぐん いあ! くとぅぐあ!」

 

……言わなきゃ(使命感)クトゥルフ召喚詠唱を!!

 

「ちょっ!?やめてえええええええ!!??」

 

一瞬呆然としたリアスはキャラを崩壊させて詠唱を止めようとする。明日斗が何を言っているのか分からないイッセーはただ目をぱちくりさせていた。

……今日のオカズは何にしようとか考えながら。

 

数分後、やり遂げたぜ!!みたいな表情をした明日斗。対照的にげっそりとした表情のオカルト部の面々。

 

……何このカオス。

 

「んんっ!!竜胆明日斗。貴方に2つ、話があって呼んだのよ」

 

「ほへ〜?」

 

直ぐに咳払いをして体裁を整えるリアス。ここに呼んでからまさかクトゥルフ召喚の詠唱をしてくるとは思わなかった。

ここで召喚されたら溜まったものじゃない。そもそもが魔王ですら勝てるかも分からないと言われるほど、規格外の邪神とされている。

 

所詮は御伽噺の中の存在。しかし、悪魔、堕天使、天使という種族が存在する以上、クトゥルフ神話の邪神が存在しても不思議ではない。

 

明日斗を止めるのに躍起になって本題を忘れそうになったのは秘密である。

 

「……あなたは昨日、堕天使レイナーレとデートをしたわね?」

 

「はぇ?レイナーレ?誰ソレ?」

 

「……とぼけてるの?」

 

神器目的でイッセーを殺したレイナーレ。目的は何かは知らないが、グレモリー領で人間を殺した。例えるならば、他国の間者が自国の一般市民を強盗目的で殺したのと同義である。

更に、リアスが仲間意識が他よりも数倍強いという事も拍車をかけている。これは耐え難い屈辱であり、倍にして返してやりたい痛みであることは想像に固くない。『これがお前らが俺の国の人間にやった事なんやぞ』と。魔王に連絡して堕天使陣営に抗議してやりたい気分である。1番は八つ裂きにしてやりたい。

 

なのに何故イッセーが殺されて明日斗が殺されなかったのか?そこも気になった。どちらも、『神器』を持つという点では共通している。神器を抜くには殺すか決まった手順を踏んで慎重に抜くか。そのどちらかしかないのだ。

……気まぐれと言われればそこまでかもしれないが。

 

「う〜ん……まずレイナーレって人?がどんな容姿かわかんないんだよねぇ……こっちは名前も聞いてなかったし」

 

「そうなの……イッセー」

 

「あっはい」

 

リアスに指名されたイッセーはレイナーレの容姿について説明する。

 

黒髪巨乳美少女。天野夕麻と名乗って近づいたこと。デートした事。夕方の公園で殺された事を詳細に。

 

話を聞いた明日斗はう〜ん……と考え込む仕草をして数秒後、口を開いた。

 

「うん。違うね☆ボクがデートした相手は黒髪じゃなくて青髪だし、ボクより背が高いハンサム顔だったし。どっちかって言うと男友達みたいな感覚でやってたかなぁ……ほらアレ。ゲームしに行くために友達の家行くみたいな感覚」

 

「そ……そう……。レイナーレでは無さそうね。所で、『堕天使』って気づいてたの?」

 

「全然?バイサーが人外って言ってたからそうなのか〜としか」

 

あっけからんと答える明日斗。彼の中では人外=バイサーみたいな異形という方程式が成り立っているのだ。ヒポグリフにだって、「こういう生き物なのかぁ〜」としか思っていない。今更悪魔だの堕天使だのと言ったところで、結局は『翼ある人間』くらいにしか思わない。

 

「……2つ目はその『バイサー』についてよ」

 

「?サインでも貰いたいの?」

 

「違うわよ!!バイサーは『はぐれ悪魔』として指名手配されてるの!!」

 

「はぐれ悪魔?経験値が10050くらい入りそうだね」

 

「ちがァァァァァう!!」

 

ツッコミ疲れて肩で息をしているリアスは説明する。はぐれ悪魔とは、決して経験値が多く手に入るはぐれた水銀などではない。ざっくりと説明すれば、『主に逆らい、殺害した眷属悪魔』の通称である。

はぐれ悪魔は欲望に身を任せ、主を殺害し、力に溺れると言われている。力に溺れた悪魔は社会を混乱させ、意味もなく殺戮を繰り返すとも。要するに無差別虐殺者と成り果てるのだ。

 

故に、はぐれ悪魔は指名手配をされている。中には懸賞金をかけられているものもいるという。

 

「だから、私はバイサーの捕獲。或いは討伐をしないといけないのよ。わかった?」

 

「ふ〜ん……なるほどね」

 

「ちょっと、聞いてる?」

 

「バイサーがはぐれ悪魔ねぇ……イマイチ実感無いかなぁ〜。ボクや妹の母親代わりでもあるわけだし?人間食ったとか信じられないんだよねぇ〜……見た目はともかくとして」

 

信じられないものを目にするような表情で固まるリアス。魔王の妹とはいえ、ツッコミ疲れに、はぐれ悪魔が人間の母親代わりと聞いて処理落ちが発生した。

 

「……と、もうこんな時間じゃん!!じゃあ明日ね〜!!」

 

バビューン!!とギャグ漫画のように駆けていく明日斗を見て、オカルト部の面々はポカーンとしていたそうな。

 

ちなみに仕事に遅刻しかけた明日斗はバイサーにゲンコツを食らいましたとさ




オマケ

イッセー「所で、デートプランとかあったのか?」

明日斗「いや?全然。基本いきあたりばったりだし、ペットの散歩も兼ねてたからねぇ……」

イッセー「お……おう。参考までに聞きたいんだ。デートコース」

明日斗「いいよ〜。まずはヒポ君で空中散歩でしょ?それからエサの買い出しに、お昼ご飯に『バトルシップ』に行って〜」

小猫「バトルシップ!?もしかして、『ぐるめちっく・バトルシップですか!?』」

明日斗「うん!!プールでも遊んだし、ご飯も食べたし、公園でも遊んだからね!!楽しんで遊んで食べられるのはソコだけさ☆」

リアス「……ねぇ、小猫。その『ぐるめちっく・バトルシップ』って、どういう所かしら?」

小猫「はい!まずは……(以下略)」

リアス「……そこ、飲食店としては良さそうだけど、デートスポットとしては雰囲気台無しになるんじゃないかしら?」

明日斗「えぇ〜味噌汁プールとかラーメンスープールとか面白かったよ〜?身体中ベットベトになるけど」

朱乃「……」

明日斗「その後イカが食べたくなったからダイオウイカ突いてきて食べて〜ゲーセン行って、温泉入ったかな」

木場「……相手は疲れてそうだね……」

小猫「……私も食べたかったです」

明日斗「いいねぇ!!今度青髪のイケメンさんと3人でデートだぁ!!」

朱乃「デートの意味、わかっていってますの?」

明日斗「うん?異性が一緒に遊んだり食べたりすることでしょ?」

全員「はぁ……」


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セブンソードプロダクションその1

楽屋裏や打ち上げみたいなやーつ

なおオリキャラ多数注意。そして後半急ぎ足。

やっぱ後半になればなるほどペラッペラになるわ(´・ω・`)何とかしたい


実写ドラマの打ち合わせが終わり、役や小道具。果ては衣装に化粧まで。やるからには徹底的にやる。クオリティは高く、決められた予算も妥協しない。それがセブンソードプロダクションだ。

元々は7人の幹部が立ち上げた会社だったのだが、1度少ないファンたちによる融資の中で作られた、【サーガ〜7人の英雄〜】が爆発的大ヒット。そこから事務所は大きくなり、今や大企業の領域まで行っている。

 

ちなみにボクもその番組の敵幹部の紅一点の部下という形で出演している。中々楽しかった。

バイサーは7人の英雄の宿敵である女王役。とてもハマり役だったらしい。

 

さて、そんなボクたちはというと……

 

「ふはははははハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!アストルフォよ!!この肉は貰ったァ!!」

 

「させるか!!これはボクが育ててたんだ!!」

 

「酒がうめぇ」 「食後のデザートはまだ〜?」 「今始まったばかりだろうが……」

 

自宅ですき焼きパーティーをしていた。大掛かりな映像の撮影前と上映後は大概これである。

ついでにボクの肉を死守した時の表情は、鬼気迫る感じだった。

今回の役者との交流の場でもあるが、何故にボクの家でやるのか……コレガワカラナイ……

 

「明日斗く〜ん!魚捌き終えたわよ〜」

 

ようやく終わったぁ……とばかりに息を吐いて背中をゴキゴキ言わせてるグラマラスなロングヘアの女性はリーシャ・ルシア・リーヴァ。空中アクション担当のスタントマンだ。

今回は役者としても出演するためこの宴会に来ており、モルガンの役に抜擢されている役者だ。

 

何故か空中浮遊をしている刺身の乗った皿を器用に各メンバーの元へ置き、リーシャも自分の席に座った。

 

「リ……リーシャ……近い……」

 

「なぁに〜?まさか、女みたいなあんたが興奮でもしてるのかしら〜?」

 

「『夜』の明日斗をあんまりからかうものではありません。リーシャ」

 

「ちっ……はぁ〜い」

 

踊り子の格好じみた露出度が高い衣装に、出ているところは出て引っ込むべきところは引っ込んでいる、立派なボディ。若干ツリ目で目元の赤い模様に、茶色のメッシュが入った水色のロングヘアの美女。それが色仕掛けのように近づいてきたら、男ならば反応せざるを得ない。

 

そんなリーシャを止めたのは、若干褐色の肌をした筋肉質の男だ。だがボディビルダーのようなムキムキではなく、かといって細マッチョでもない。

白みがかった青色の髪をオールバックにし、逆立たせている。

そんな男の名はエルノドーレ・ターリアッド。この事務所の最古参のメンバーだ。

 

「……すみません、助かりました…」

 

「……日が登ってるうちと月が出ているうちでこうも対応が違うと調子狂いますね……」

 

「しかも明日は満月……明日はどんなに暗くなることやら……」

 

「まぁ、明明後日からはいつものハイテンションな明日斗ですよ」

 

気が滅入ったような小さな声音で発するリーシャ。安心させるように肩に手を置いて言うエルノ。

まるでその様子は、初めての同窓会に参加した親友とのやり取りのようで、どこか羨ましくもあった。

 

……ふと、呼び鈴の『ピンポーン』といった音が聞こえる。

 

「おっ……来たかな?」

 

真水が通販で来た品物が届いたかのような反応をする。瞬時に立ち上がり、早歩きで玄関まで直行。

 

「おお!!待っていたぞ!!」

 

「あっ……いや……その……」

 

「ハッハッハ!!遠慮するな!!新米の歓迎会も兼ねているのだ!!」

 

 

ドタドタと騒がしい真水に連れられ、明日斗とデートをしたカラワーナ。衣装はデート時に着ていた黒ドレスのようだ。

デートの時はなんにも考えていなかったが、満月が近い夜の状態では、すっごい綺麗に感じていた。

街中でスーパーモデルと対峙して、会話したような気分。それに近い感じだ。

 

「……?」

 

「あぁ、気にしなくていいわよ。彼、だいたいこの時になると途端に大人しくなるから」

 

困惑するカラワーナを宥めるリーシャ。

同じような格好の上司を持つ彼女からしてみたら、割かし違和感を感じていた。

 

ピンポーン

 

「む?私はアンジェリカしか呼んでいないが……どれ、見に行ってみるか」

 

「竜姫さんじゃないですか?なんだか見知った顔がいたから追加分買わせて参加させるって言ってましたし」

 

「おお!!そうか!!ふはははははハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!竜姫〜!!今行くぞ〜!!」

 

龍騎がジュースを飲みながら真水に言う。

そういえばそうだったな!!と手を叩き、バビューン!!とカーテンが揺れる程の速度で玄関に向かう。

……その際に、すき焼きの雫が飛び散ってメンバー数人が被害をこうむったのはヒミツ。

 

「……ホント、いなくなると静かね」

 

「……そうですね……」

 

(……本当にあの人、ミッテルトが言うように高貴な方なのか……?単なる騒々しい男にしか見えないが……)

 

ズズー……とお茶を吸う明日斗に、味噌汁を持ったまま真水を見送ったリーシャ。真水の様子を見て認識に誤りがないか確かめ出すカラワーナ。

 

数分後……

 

ガラッ!!と扉が開き、真水と竜姫の後ろにいた人物を見て、お茶を吹き出す明日斗。

 

なぜならーーーー

 

「ええっ!?」 「なっ!?」 「嘘でしょ!?」

 

駒王学園の生徒である、リアス・グレモリーとその眷属たちが居たのだから。

 

「おお!!アストルフォの知り合いだったのだな!!遂に友達が……」

 

余談だが、リアス達と明日斗の関係を知った真水は、親バカ全開の父親のような反応をして号泣していたという……。




セブンソードプロダクションメンバーその1。

リーシャ・ルシア・リーヴァ

種族、悪魔(中級上位)

セブンソードプロダクションのメンバー。明日斗と同期の女性。オフの時は目のやり場に困るような露出度が高い衣装を着ている。
作中に書いてあるような見た目でクールな第一印象を持つため、男女共に人気がある。
空中パフォーマンス担当のスタントマンで、常に低空飛行をしている。それをファンからは『超能力』と勘違いされている。(実際は魔力を使っている)

空中浮遊を常にしているのは歩くのが面倒だからという点と、低所恐怖症という点がある。鍛錬は欠かしていないため、歩いた時に急激に疲れるという仕様は無い。
明日斗の同期というせいか、役の時は密かにライバル視しているが、オフの時は面倒みがいのある妹として扱う。とある地雷を踏むと相手を完膚なきまでに叩きのめすらしいが、だれもその姿を見たものはいないという。最古参を除く、メンバー1のスピードが自慢らしい。

リーシャの名は真水が考え、苗字は自分で考えたそうな。本名よりはマシという感覚で以降、これで通している。


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セブンソードプロダクションその2( ˘ω˘ ) スヤァ…

グッダグダになりそう(´・ω・`)

基本ノリと勢いだけで書いてますわ(´・ω・`)

あ、銀魂映画見てきました( ˘ω˘ )やはり銀魂、容赦ない(笑)

笑えるし感動するし、ギャグとシリアスがいい感じに入ってるからめっちゃ楽しいのよね。ノベライズ買ったからこれで安心( ˘ω˘ )紅桜のコミックも買ったお( ˘ω˘ )


明日斗とカラワーナ、そして今来た人達の空間だけ、時間が止まったように感じた。

それもそのはず。片やバイサー関係で色々言われたニンゲンに、上司がトラブルを起こした部下の堕天使という関係。しかもつんつん頭の男は上司であるレイナーレが殺した。

 

ーーーーなぜ生きているのか?その事も気になるが、今は目の前の魔王の妹である赤髪との戦いをどう避けるか?ということを考えていた。しかし、もう一個の思考が頭をよぎる。そして、それはカレーのシミのように消える事は無かった。決して考えないような。狂人でなければ思いつかないような考えを。

 

もしも、この身をきれいさっぱり滅ぼしてくれるのならば、私は楽になれるのだろうか?と……。

 

何処かで見たような言葉が脳内を駆け巡る。『死は、救いである』この言葉が。それがもし本当なら……死が私を救ってくれるのならば……

 

私はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「やはり、堕天使ね」

 

赤髪の女性、リアス・グレモリーが納得したような声音で発した。

3大勢力の一端である堕天使。格下が相手でも、相性的には向こうが有利。下級の放つ光の槍が直撃して上級悪魔がやられた……という事例もある。

更に、はぐれエクソシストを堕天使側の戦力として取り込んでいる……との情報もあった。

故に、油断出来ない。数の上では向こうが有利。質ではこちらが上でも、相性の問題はどうしようも無い。運が悪ければ即死……という事もありうる。

 

「ん?なんだ?修羅場か?」 「ケンカはいいけど修羅場は勘弁しちくり〜」

 

浮いている状態で胡座をかいて刺身を食べているのは、リーシャ・ルシア・リーヴァ。

セブンソードプロダクションには様々な種族が混同している。それは堕天使だったり、悪魔だったり、果てはスキュラ、ケンタウロス、死神、ハーピィetc。普段は認識阻害や魔力によって隠しているが、リーシャのように隠していないメンバーもいる。

 

だからこそ、態々『堕天使』と種族名で言うグレモリーが気になった。種族名で相手を呼ぶ人物が持つ理由は、大きく2つある。

 

1つ目は、単純に他種族を見下している場合。又はその種族に差別意識がある場合だ。だがその場合には声にめちゃくちゃ余裕や油断が感じられたり、いけ好かない感じがモロに出てくるため分かりやすい。が、グレモリーからはそれを感じられない。

 

となると、2つ目になる『最近、若しくは過去にその種族に対する抗議。若しくは報復』になるのか?

堕天使と聞いた瞬間、後ろの茶髪のつんつん頭が一瞬、反応したのを見逃さない。

グレモリーは家族や眷属に対する情愛が他の悪魔よりも数倍強いのは有名な話だ。もしつんつん頭が眷属で、そいつに何かをしたのならば、報復に来てもおかしくない。目には目を歯には歯を悪には悪を。という言葉がある通りに。

 

……にしても、追加分のすき焼きの材料が入ったビニール袋を両手に持っている状態でのそれは少々シュールではなかろうか?

 

……あっ、座ってすき焼きの具を入れ始めた。

 

「だったらなんだ?」

 

「なら、『レイナーレ』っていう堕天使を知っているかしら?」

 

「……」

 

内心、恐怖と苛立ちでいっぱいだった。

何故このタイミングで、この場所で、それを聞くのか?正に、今じゃなきゃダメ?明日でよくね?みたいな感覚。

 

カラワーナ自身、嘘をつくのは得意ではない。良くも悪くも真っ直ぐで、ゲームでも補助技や妨害技を使わずに『レベルを上げて物理で殴る』みたいなプレイングの持ち主だ。だからこそ、相手の使う搦手にも弱いし、自身も搦手所か嘘をつくとどうしても顔に出てしまう。

 

「……し……知らない……ですののことよ…?」

 

「……ちょっとはポーカーフェイスを貫きなよ……」

 

当然こうなる。目は泳ぎまくり、冷や汗は滝のようにダラダラと流れ、口調もどこか怪しいものがある。

あまりにもヘタクソすぎる誤魔化し方を見てジト目で見る明日斗。こんなんで役を演じられるのか?と疑問が浮かんだ役者一同。

 

その間にも、リアス達の入れたすき焼きはグツグツ煮込まれてある。

 

「……最初は町民Aとかの方が良かったのですか……?」

 

 

と、考え込む真水までいる始末。しかもミュージカル風の口調ではなく、素で言っているからして、相当真面目に考え込んでいるのがうかがえる。

居るだけで騒々しい人物の素を初めて見る面々の反応は様々だ。

 

「んんっ!!で、貴女とレイナーレの関係は?」

 

体勢を整えるためなのか、咳払いをして再度カラワーナに問うた。

オカルト部での明日斗もそうだったが、この場はそれ並み……若しくはそれ以上のカオス空間なのだ。いちいち気にしてはこっちの身が持たない。さっさと堕天使への用事を済ませようと急かすように言う。

ついでに言わせれば、こっちにはレイナーレに殺されたイッセーがいるのだから、さっさと質問に答えて欲しいと言わんばかりの眼光でカラワーナを睨んでいる。

 

……おいそこの女男。興味無さそうに自分の皿に追加の卵を入れるな。彼女の危機だぞ?おい。自分だけ食べ進めるな。卵をかき混ぜるなぁァァァァァァっ!???

 

「……レイナーレ様は、私の上司だ」

 

「やはりそうなのね。なら、貴女の上司が私の眷属にやった事も分かってるのよね?」

 

「……あぁ」

 

申し訳なさ1割、苛立ち4割、諦め5割でほぼ投げやりに返事をする。反論する気力もわかない。彼氏(仮)も助け舟を全然出さない。おい

 

「うわ何この肉。こんなん入れてすき焼きにしてるの?おたくらどんな味覚してる訳?」

 

「はぁ!?これは魔界で取れたコッカトリスの肉の1番いいところよ!?」

 

「はっ!!値段だけ見て中身見てないタイプのようだねキミは。いくら高くてもねぇ、その部位が料理に合うのかちゃんと確かめた?大方、その辺にある魔獣ってやつの肉をテキトーに取ってテキトーに処理したんでしょ?」

 

「あんた何言ってんの!?仮にもパーティーにそんなの出すわけ無いでしょ!?魔界でも、『コッカトリスに無駄はなし。肉は食用。骨は素材や加工品。羽は衣類。余ったものは肥料』って言われる程超万能な食材よ!!」

 

「やれやれ、コレだからシロウトは……いくら万能の食材でもねぇ、万能じゃない時もあるんだよ。石化だって『せきかをとく』を使わなきゃ石化は解けないんだよ。きずぐすりやばんのうやくじゃあ直せないの」

 

「……先輩、それはロ○○ガ1です。食材関係ないです」

 

「はぁボクが言いたいのはね?そこの赤髪が味音痴だってことさ」

 

「お前が言うなァァァァァァァっ!!!!」

 

明日斗のこの一言に思わず叫ぶ。冗談じゃない。デートの時のあの海鮮丼を忘れたとは言わせないぞ。

 

「まぁ部長が味音痴かどうかはさておき、レイナーレの部下の言い分を聞こうか?」

 

「祐斗!?私は味音痴じゃないから!!コイツ!この私のパチモンの言うこと信じないで!?」

 

「誰がパチモンだコラァァァァァ!!コイツとの関係なんてないから!姉弟関係とかないから!こんな姉嫌だから!」

 

「私だってあんたみたいな妹まっぴらよ!」

 

「ボクは男だ!女違う!!」

 

「話が進まないのでお二人とも?静かにして貰えますか?」

 

「「は……はい……」」

 

ニッコリと笑っているが、目は笑っていない姫島朱乃がドス黒いオーラを纏ってバズーカを構え、明日斗とリアスを強制的に黙らせた。

 

「さ、続けて貰えますか?」

 

ニコニコと笑っているものの、やはり威圧感は健在のようだ。しかも目元に若干稲津が走ったような気がする。

 

 

……ぶっちゃけて言えば、自分の上司についてマジで『うそ……なんなんほんまこいつ……』と思うようになっている。

 

ぐいーーーー!!ドンッ!!

 

……ヒック……

 

「だいたいあの堕天使はさぁ〜……買い物する時も寝る時もいつも痴女丸出しのボンテージ衣装だし、人の見る目は気にしないし、人のおかずは勝手に食べるし、理不尽な事で毎回怒るし、セーブデータは勝手に上書きするし、寝返り打つ時に肩パットが毎回毎回刺さるし……槍だってレイナーレ様のひん曲がっている精神に影響されてるんじゃね?ってくらいマジでぐにゃぐにゃだし。」

 

……糖分取らなきゃやってられないわ。顔も赤くなっていようが、どんどん上司に対する愚痴が出ようが、どんだけ悪魔にドン引かれていようが。兎に角吐き出さずには居られなかっオボロロロロロロローーーー

 

「いや、それ糖分じゃなくてアルコール。マジで酔って吐かないでね?処理が大変だから……」

 

だが、私の実力もヒエラルキーも1番下なのは事実。

ミッテルトは主に偵察が任務でいつも重要な情報を持ち帰っている。生活費を1番稼いでるのもミッテルトで、レイナーレ様も頭が上がらないようだ。

ドーナシークはレイナーレ様に次ぐ実力を持ち、戦闘センスも高いため、あんまり強く出ていない。

 

だが、私はなんなのだろうか?『美女』というよりは『イケメン』の部類に入る。実力は偵察役のミッテルトよりも低い。戦略センスも『レベルを上げて物理で殴る』タイプだ。ちなみにミッテルトは『敵の見た目や種族、行動で相手の戦闘タイプを読み、その上で補助魔法等を駆使して安定に攻略する』タイプ。ロ○グイマジで倒せねぇ……。グレウォのタイミングマジわかんねぇわ……。私を好いてくれるのは女ばかりで、男は全然よってこないしさぁ……。

 

「おい……途中からお前の愚痴になってるけど、こっちは1度殺されーーーー」

 

イッセーが酔ったカラワーナに何かを言いたげな目で見ていたが、それは直ぐに止まった。いや、止まらずを得ない光景を見てしまったのだ……

 

ニュルニュルニュルニュル……

 

「……え?何?」

 

「またお前か!いい加減にしろ毎回毎回!話が進まないんだよ分かる!?」

 

「ああね。ボクの事はいいから続けて続けて」

 

「うるせぇ味覚バカ!!じゃあそれはなんだ!?」

 

イッセーがビシッ!と指さしたのは、明日斗が握っているお椀にあった。

すき焼きをおかずに白米を頬張るその姿は見慣れている光景だが、白米に乗っているものが常識外れだった。見ているだけで胸焼けが起こりそうだ。

 

「何って……白米だよ。見てわかんない?」

 

「いや白米にかかってる白いのだよ!うわ!めっちゃ甘ったる!!」

 

「これだよコレ」

 

そう言って明日斗が持ったのは、空になった練乳の容器だ。まさか……と思ったリアスは思わず聞いてしまった。

 

「……まさか、丸々1本……」

 

「うん。使い切ったけど?」

 

「よくもそんな事して私の事味音痴とか言ったわね!!あんたの方がよっぽど味音痴じゃないの!!」

 

「しかもお前私とデートした時海鮮丼にわさび1リットル位入れてたよな!?今度は練乳!?なんなの一体!!」

 

「これがボクの1番美味しい食べ方だよ。それに、日が出てる内はこれ使ってるから」

 

そう言って取り出したのはデスソース。まさかこれをご飯にこれかけて食ってるのか……!?

あれ?どっかで『私の彼氏を殺す気!?』って声が聞こえたような気が……どこかで聞いたことある声だったぞ……?気のせいか……?

 

「全く……お兄ちゃん。それ、人前でやめてよね」

 

「いや、我が妹も人のこと言えないだろ……何そのとぐろ巻いてる赤いの。そっちこそやめなよ」

 

「いや、お前ら両方やめろよ……」 「全くだ」

 

イッセーとカラワーナが2人のおわんを指さした。方や練乳。方やケチャップと、不衛生極まりないし、匂いがやばい。

 

「キミたち分からないの?」 「……ケチャップは何にでも合う……」

 

「「限度があるわ!!」」

 

「息ぴったりだなお前ら……」

 

「そんな事より竜姫さん。めぼしい子を見つけたけど、この子なんてどう?」

 

「鬼の面を付けた少女ねぇ……ふむ。時代劇似合いそうねこの子……保留ね」

 

「……かわいい……」

 

カラワーナとイッセーのツッコミや話してる内容を無視してまさかの新人スカウトについて話しているようだ。

 

「……話戻そうか……」 「うん……」

 

2人は意気消沈。もはやツッコむ気力も失せた。もう2人で飲みあかそうか。そんな事を思いつく程に。

 

ぐいーーーー!!ドンッ!!

 

 

「……あのーー……こっちは1度殺されてるんですよ。貴女の上司のせいで。どうしてくれるんですか?」

 

「……ほんとごめん」

 

先程までの勢いはどうしたのか、何故かめちゃくちゃ気まずい雰囲気の2人。数秒間の沈黙の後、カラワーナがゆっくりと口を開く。

 

 

「……私はな……半端者なんだよ……。」

 

酔いが回っているのか、カラワーナはポツポツと語り始めた。

 

「……私は、誰の輪にも入れなかった。大した実力はない。大した頭も持っていない。私よりも上の階級の奴らから言われ続けたよ……。『お前、大したことないくせに見た目だけはいいよな』ってさ……。『総督の愛人ならワンチャンアルンジャネ?』とか……『大したことないくせに私より美しいとかなんなの?』とか。挙句の果てにはその場で純潔を奪われそうになったよ……」

 

そしてまたぐいーーーー!!っと一気飲みしてうつ伏せになる。もう飲んで忘れたい……二日酔いになろうと、トイレで嫌な思い出と一緒に吐き出したかった。吐き出さずにはいられなかった。

 

「そんな時、手を差し伸べてくださったのがレイナーレ様だ。確かに、私に対する対応はアレだが、仲間に入れてくださった時は……嬉しかったんだ……」

 

「……」

 

「本当に、あの時の事は鮮明に思い出せる……。レイナーレ様は私にとっての『ヒーロー』だったんだ……。私の身も心もお救いになったのは……レイナーレ様ただ1人だった……。他の者は見て見ぬふり。時には結託して私を嵌めた者までいた……」

 

ーーーー嗚呼、彼女が私を救ってくれた。鍛えてくれた。元々、レイナーレ様は下級上位並の実力があった。下級下位の私を下級中位にまで上げてくださったのは、他でもない。彼女だ。

 

「……『私達をバカにした者を見返す……』そのためなら、例え他人を踏み台にしようとも、他人の血肉を貪り食おうとも構わない。あんな思いは二度としたくないんだよ……」

 

ふらつく足でゆっくりと立ち上がる。

フラフラと窓に向かい、足を乗せた。

 

「……兵藤一誠。貴様はアーシア・アルジェントと親しかったな……」

 

「だったらなんだ……?」

 

「……明日の夜中、アーシアの神器を抜き取る儀式を行う」

 

なんですって!?と驚くリアスを無視し、イッセーと明日斗を睨みつけてさらに続けた。

 

「既に矢は放たれた!止めたくば止めてみろ!!レイナーレ様は……私達はもう止まらない!!例え翅をもがれ、地に落ちても燃やし続けるぞ!」

 

そう言って黒い翼を広げて飛び立っていった。

 

……練乳入り白米を食べながらその様子を静観していた明日斗は、ただただ悲しそうに落ちた一切れの翅をゆっくりと拾い上げて懐にしまい込む。

 

ーーーー決戦は明日らしい。その間に、彼女を止められるのだろうか?

 

なんたってボクは相方であり、カラワーナの彼氏(仮)なんだから。と……

 

「いやお椀は下ろして拾えよ……雰囲気台無しだぞ……」

 

バイサーが呟いた一言は、ひと吹きの風の音にかき消されたのだった。

 




あぁもうめちゃくちゃだよ!!どうしてくれんのこれ?収拾つかないじょのいこ……(´・ω・`)

カラワーナキャラ崩壊……


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決戦前、堕天使視点

会話増やして地の文を上手く書く技術が対してないのを隠していくスタイル(´・ω・`)


駒王町の山奥にあるとある建物。今は使われていない、ボロボロに風化した教会があった。

それでも何とか住めるようにはしようとした形跡はある。現に、屋根やその上にある十字架、壁等はボロいままだが、扉周りは掃除をしているのか、綺麗だ。

 

そんな廃教会の地下に、4人の人間……否、堕天使がいた。

 

1人目は黒のドレスを着ている青の堕天使、カラワーナ。

2人目はゴスロリ衣装を着こなしている黄の堕天使、ミッテルト。

3人目は紳士のようなトレンチコートを着こなした灰の堕天使、ドーナシーク。

最後の1人は黒のボンテージ衣装に身を包んだ黒の堕天使、レイナーレ。

 

ーーーーそう。彼女らは人間から神器を密かに回収し、混乱を未然に防ぐ正義の堕天使戦隊ーーーー

 

 

 

Fエンジェレンジャー!!

 

テッテテーッテテテッテッテッテン!!

 

 

「なんか別の小説始まったァァァァァァっ!?」

 

エンジェルブルー、カラワーナが叫 「おい!今すぐその戦隊モノのOPっぽいBGMとナレーションやめろ!!場違いにも程があるだろうが!!」

 

「メタイッスよブルー。今のウチらは戦隊ヒーローッスよ」

 

ノリノリで戦隊衣装に着替えようと既に袋から服を取り出そうとするミッテルトがジト目で呆れたようにカラワーナに言った。

 

「どちらかと言えば、俺らは悪側じゃないか?現在進行形で純粋無垢な少女の神器を無理やり抜こうとしてるんだぞ?」

 

「悪の戦隊っていうのも乙なんじゃないッスかね?」

 

「正義の戦隊のニセモノ扱いがオチじゃないのか?」

 

「あんたら何くだらないことを真面目に考えてるのよ!!」

 

勢いよく壁を叩きつけて叱責するエンジェルブラッ「いらないわよそのノリ!!」 ……レイナーレ。

 

「いい?私達はトワイライト・ヒーリングを手に入れるために今日まで待ち続けたのよ!?至高の堕天使に近づける機会だっていうのに、こんな茶番で時間と文字数を取らないでよ!!」

 

「……レイナーレ様……貴女もメタイです……」

 

額を抑えてため息をつきながらカラワーナがつい洩らす。いくら部下といえども、ツッコミに上も下もない事だろう。

 

 

〜閑話休題〜

 

 

「……で、貴女は今日ここに侵入者が来るって言いたいのね?」

 

「はい。兵藤一誠とアーシア・アルジェントは友人同士になったばかりと聞きました。ならば、神器抜き取りの儀式を行う時間、アーシア・アルジェントを取り戻すだろうと推測します」

 

「……どう考えても焦って目の前でアーシアを攫ったレイナーレ姉様とうっかりネタばらししたカラワーナが原因ッスよねぇコレ」

 

報告連絡相談。簡単なようで実は難しいコレ。言えない、言いたくない、言うの怖いの三拍子揃ったこの3つ。……だが、今集まってる4人に関してはこれを徹底している。イッセーがアーシアを街中を案内している時に攫ったレイナーレと、酒に酔った勢いと自暴自棄になったカラワーナが言ってしまった計画の日程。ちなみに後者はレイナーレにこってり絞られたとさ。

 

「まぁ大丈夫よ。たかが1の能力をただの2にするだけの神器なんて。もう1人は神器も何も持ってない人間の女男でしょ?不測の事態さえ起こらなければ楽勝よ」

 

ふふん!と得意げにドヤ顔で鼻を鳴らすレイナーレ。現実そうだろう。まず、人間と堕天使には大きな身体能力に差がある。人間の腕力を1。堕天使の腕力を10とするならば、例え神器で腕力を2にした所で堕天使に負けるのがオチである。

 

たとえ悪魔に転生しようと、転生したばかりのクソザコナメクジなら下級上位の堕天使が相手なら秒で負けるだろう。身体能力の差に加え、相性の問題まで発生するのだから。

 

「不測の事態を起こさないようにするなら、『歩くパルプンテ』を何とかした方がいいんじゃないっすか?」

 

「……パルプンテ?」

 

「レイナーレ様。パルプンテはド○クエに登場する呪文で、何が起こるのか分からない効果だそうです」

 

レイナーレの疑問にすかさず秘書のようにカラワーナが答える。

 

「なにか恐ろしいものを呼び出したり、、何も起こらなかったり、状態異常にかかったり……とにかく詠唱者さえ何が起こるか分からないっていう特徴ッスね」

 

「本当にあのバカと来たら……デートはヒポグリフに乗って現れるわ、ダイオウイカは突いてくるわ、海鮮丼にワサビ1リットル入れるわでもう……」

 

嫌な事を思い出したように腹を抑えながら発する。本当にアレはやばかった……と思う中、レイナーレは驚いたようにカラワーナに聞いた。

 

「え?ヒポグリフ……?伝説の幻獣じゃないの!?なんで人間如きがそんな大それたもの従えてるのよ!!」

 

ありえない!!と声を大にして物言うレイナーレ。

 

ヒポグリフは元来、グリフォンよりはマシだが、プライドが高い幻獣として知られている。

高い知能を有し、グリフォンとほぼ同等のスピード。成体になれば上級中位の堕天使でも苦戦を強いられる。鋭い爪は下手をすればたったの一撃で殺られかねない威力を誇る、文字通り食らったらマズイ攻撃だ。

 

故に、レイナーレは考える。はぐれ悪魔のバイサーを使役しているのも気にかかるし、ヒポグリフの件もそうだ。もしかしたら人間ではなく、別のなにかなのでは?と勘繰らずにはいられない。

 

「……大丈夫よ。出来れば使いたくなかったけれど、万が一を備えて切り札を用意してあるわ」

 

汗を一雫たらし、口元を三日月のように鋭く歪ませた黒の堕天使。

 

それを合図に、配置に着く黄色、灰、青の堕天使達。

決戦のゴングがなる時間は、もうすぐだ。

 

 

 

 

カチッ

 

(デッデンデデデデン! カーン! デデデデッデッデンデデデデン!カーン!デデデデンッ!イクゾー!)

 

「ミッテルト!いつもいつも日常にBGMを流すなと言ってるだろうが!!」




次回はグレモリー陣営+オリ主視点となります


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決戦前、グレモリー陣営&オリ主視点

……(´・ω・`)

ゲーム楽しいの!ゲームいっぱいしたいの!まだまだ遊びたいの!お兄さん許して!


バンッ!!

 

「部長!俺はアーシアを助けたいんです!堕天使達の本拠地に向かわせてください!!」

 

いつも静かな雰囲気が漂うオカルト研究部の部室。1人の男が机を思いっきり叩いて目の前の女性に頼み込む。

つんつん頭の茶髪の男である兵頭一誠。いつも女を見ては鼻の下を伸ばしている彼だが、今はとてもとても真剣な表情をしている。

 

「だから、もう少し待ちなさいって言ってるのよ!もしあの堕天使達の行動が堕天使全体の総意なら、悪魔と堕天使の戦争になってもおかしくないの!軽はずみな行動は慎みなさい!」

 

と口論している相手は炎のように赤い髪の女性。リアス・グレモリー。魔王の妹である。

イッセーには3大勢力や大戦の事を悪魔になったばかりの時に軽く教えている。

戦争の凄惨さに、3大勢力の数がとてつもなく減っている事。2天龍に、今は3大勢力で睨み合いが続いている事など。

 

今戦争を起こしたらとんでもないことになる。それだけは魔王の妹として何としても阻止したい。

 

「なら俺の独断って事にして下さい!その後ははぐれ扱いでも構いません!俺はアーシアを……友だちを助けたいんです!」

 

必死に。ひたすら必死に。自分の一生を決める決断を反対している親に全力で向かい合う青年のような姿があった。

そこにはいつもの変態などでは無く、熱い心を秘めた1人の男としての姿だ。

 

テーンッテッテーンテッテッテーン!(テテーンテテーン!)

 

 

 

 

 

「あ、小猫ちゃん!ボクの赤アイテム取らないで!」

 

「こういうのは早い者勝ちです。これぞ、シューティングゲーム2人プレイの醍醐味……」

 

「くそぅ…あ!キューブ6体……うわーん!青アイテムいらないのにー!」

 

「あんたらこの非常事態に何呑気にゲームやってんのよ!!」

 

イッセーとリアスが真面目な話をしている隣でシューティングゲームに勤しんでるのは塔城小猫と竜胆明日斗。

方やリアスの眷属の少女。方やカラワーナの彼氏である男である。顔だけ見て彼氏彼女逆やろとか思ってはいけない。

 

「あ、中ボスの鳥来たから一緒に撃破だ!」

 

「了解です。あと先輩。ソレ鳥じゃなくてエンゼルフィッシュですよ」

 

「え!?マジ!?」

 

リアスのツッコミに気づかないほどに没頭しているようだ。

画面には赤いエンゼルフィッシュの衝撃波を最低限の動きで避けながらビームをブッパしている赤と青の戦闘機。

 

時折黄色のアーマーっぽいやつや、戦車が来るのだが、来る位置がわかっているかのように対処している。

 

「特に竜胆明日斗!貴方もこの事件に関わっているのよ!?少しは自覚を持って……」

 

「え〜?だってボクって眷属ゥじゃないからね〜『ウイーン!ウイーンウイーン!』……と、さぁ、一緒にアジのヒラキを平らげようじゃないか!」

 

テーーーーン!テテーーーーーン!テテーーーーン……テッ! テーレッテッテーレッテレー!

 

「お前呑気にゲームしてる場合かよ!こんなことしてる間にアーシアが……」

 

今度はイッセーが必死に明日斗を説得するが、彼が操作している赤の戦闘機は画面のアジの開きに攻撃をし続けている。

ちょっと下に行き、破壊できない弾を避け、その場に止まって破壊できる弾を破壊する。たったこれだけの作業をしているのだ。

 

「やりました!アジのヒラキ撃破!次はコイの夫婦ですね!」

 

テーン!テッテレーッ!テッテッテテテンッ!

 

「まぁまぁ焦らない焦らない♪カラワーナがあの様子なら、時間は守ってくれる筈だよ。彼女はそういう感じだからね」

 

「……あの堕天使の事、分かるのかよ」

 

テーレテッテッテッテーン!テーレテッテッテッテッテンッ!

 

「カラワーナは良くも悪くも真っ直ぐだよ。他人にウソはつけないし、あんなにわかりやすい。顔に出てるからね〜」

 

若干怒っているのを感じたのか、明日斗は気の抜けたように発した。

 

焦燥。諦観。不安。恐れ。最初に会ったカラワーナの第一印象がコレだ。

それに、彼女はボクの同類だ。種族云々の話ではなく、直感でそう感じた。そして、彼女の過去を聞いて、益々そう思うようになった。

 

半端者。ボクも彼女もそうだ。

 

「演技は『自分を演じる』行為そのものだからねぇ〜。自分を偽り、その役に成き……お、コイツはコバンザメ?」

 

「いえ、コイツは普通のサメですね。先輩、わかってると思いますが、サメに気を取られて大きなザコ敵に殺られないようにしてください」

 

「大丈夫大丈夫。ボクはそんなヘマしないよ」

 

画面には緑の骨を飛ばしてくるサメ。それを避けつつ攻撃を当てる2機の戦闘機。

時折硬い宇宙生物風のやつや、緑の戦車が来るのだが、それも容易く対処しているようだ。

 

「まぁ、ボクにいい考えがあるから、とりあえず夜まで待とうよ」

 

「……信用していいんだな……?」

 

「とーぜん!夜のボクはわかんないけど、今のボクに任せ……きたきた!コイの夫婦だ!……ハメる?」

 

「いえ、ハメは甘えです。堂々と正面から向かいましょう」

 

「だね。安置で延々と副砲撃つだけじゃ見栄えしないもんね☆さぁ、どんどん持ってけぇ〜」

 

「……大丈夫かホントに……」

 

 

そして数時間後、決戦のバトルフィールドへ!




ああもうめちゃくちゃだよ!(´・ω・`).;:…(´・ω...:.;::..(´・;::: .:.;: サラサラ..

今回は日の明日斗くんです。今章のメインは月明日斗くんなので。

カラワーナ×オリ主です。メインはカラワーナですので次回からめちゃくちゃ贔屓しますね(笑)


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潜入調査って地味な奴か変装が上手いやつがやる任務ってよく言うよね

前2つの蛇足感半端ないので、飛ばして大丈夫です(´・ω・`).;:…(´・ω...:.;::..(´・;::: .:.;: サラサラ..


私はカラワーナ。今はレイナーレ様の部下として働いている下級中位の堕天使だ。最も、この階級にはつい最近なったばかりだから下位の堕天使に近いが……。

堕天使には上級、中級、下級の3つの階級に加え、上位、中位、下位の3つの階級に細かく分けられる。

合計9つの階級。自身の位が物を言う堕天使社会。当然、私は弱い立場。

 

ーーーそれだけならまだ良かった。幸い、生まれた階級の者は強くなっても絶対に階級は上がらない……なんて事は無い。

 

私がーーーーーーー

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「……竜胆のやつ、遅いなぁ……」

 

もう月の光がないと見えないのではないか?と思えるほどの真っ暗な風景。懐中電灯等の明かりがないと見えないような深夜に、高校生の青年が山奥の廃教会をじっと見ていた。

 

入口くらいしか整備されていないボロい教会。そこには神父服を着ている武装した人間達が何人もいた。恐らく、リアスから聞いていた『はぐれエクソシスト』というものだろう。

 

「何らかの問題があって教会を追放された聖職者……だっけか」

 

「そうよ。悪魔を殺しすぎて虐殺を楽しんだ者や、賄賂汚職がバレた者……それらが多いわね」

 

「そうなのか……」

 

隣の声の説明を聞いて納得したイッセー。

 

……アレ?今まで隣に人居たっけ?と違和感を抱く。そして恐る恐る隣をむくと……

 

「ヤッホー」

 

……にっくき堕天使が目の前にいた。しかも笑顔で手を振っていた。

 

あの黒髪のボンテージ衣装の痴女堕天使なんてアイツしかいない!儀式をしているかと思っていたが、そっちから来たなら好都合だ!!

 

「ここであったが100年目ぇぇぇぇぇぇ!!」

 

「ちょっ!?」

 

目の前の堕天使に向かって篭手を出現させ、思いっきり拳を振りかぶ

 

「落ち着けバカ!」

 

……る前に目の前のクソアマの槍に触れた瞬間、身体が前に転んだ。

 

「ヌオオオオオオオ!!??」

 

石ころにつまずいたように大したことないコケ方だが、突然の事に対処しきれずにうつ伏せになって倒れてしまう。

 

「テメッ!」

 

「はぁ〜……キミの変態的な視線でも騙せたから一応完璧かな」

 

と面倒くさそうに欠伸をしながら頭を握り……思いっきり全体の髪を抜いた!!

 

「……はァァァァァァ!?おま……リンド……」

 

「声がデカい」

 

黒髪の下には、リアス部長の髪を少し薄くしたような髪が姿を現した。皮をむいたタマネギの白の部分のように。真の姿を現したのだ!

大声を出すイッセーに、レイナーレ……の変装をしていた明日斗がチョップをかまして強制的に黙らせる。

 

「……なんだってそんな格好で……」

 

「決まってるじゃん」

 

イッセーの疑問にカツラを被り直しながら説明する。

 

1つ。レイナーレに変装することで無駄な戦闘を避け、体力を温存する事。

 

2つ。あわよくば混乱させて同士討ちを狙える事。幹部クラスならともかく、下っ端ならボクの演技力を活かせば容易い事。女に関して洞察力の強いイッセーも騙せたから尚更。

 

「理屈はわかったけどよ……」

 

「全く……人の顔を見るやいなや仇敵を見るような目で襲いかかってくるなんて……あとコレはパッドよ」

 

「いや普通するだろ!!俺を殺した挙句にこんなふざけた儀式をしてるんだぜ!?」

 

「え?知ってるわよそのくらい。私を誰だと思ってるのかしら?」

 

「……コイツものすげぇぶん殴りてぇ……(#^ヲ^)ピキピキ」

 

ニヤニヤしながら煽り続ける明日斗と額に青筋を浮かべるイッセー。だが、あのすかした顔の女堕天使が本命だと気持ちを落ち着かせ、深く息を吸い込んだ。

 

「あぁそうだ。早くこれに着替えなさい」

 

すっかり役にはまった明日斗がゴソゴソとパッドの隙間から何かを取り出した。

 

「……え?まさか俺にこれを着ろと……?」

 

「当たり前じゃない。制服なんて着てたら悪目立ち間違いなしよ」

 

「いやこれの方が目立つだろおぉぉぉぉぉっ!?」

 

明日斗に渡されたもの。それは……

 

男用の、ボンテージ衣装と星型のニップレスだった……。

 

「何言っるのかしら?あんたレイナーレが傲慢の塊って言ってたじゃないの。だったら、儀式が成功したらボンテージ衣装をユニフォームにするに決まってるわ!!」

 

ドヤァ!と効果音がなるくらいウザイ顔をしているレイナーレ……ではなく竜胆明日斗。しかも無駄に洗練された無駄にかっこいいポーズを取っているようだ。

しかも声までほぼほぼそっくりとかいう謎仕様な為、どう見ても本人にしか見えない。

 

ーーー故に、「本当かも」と考えてしまう。

 

……クソ、我慢だ我慢……目の前のコイツはぶん殴りたいが、無駄に疲れることだけは避けたい。

ここはぐっと堪え、明日斗も手伝ってくれたのもあって、難なく着ることが出来た。

 

 

 

「半裸のボンテージ衣装に星型のニップレスねぇ……多分変態だと思うんですけど」

 

「お前が着せたんだろうが!!」

 

言い合いをしながら扉へ向かう2人。その様子を見たはぐれエクソシストは困惑である。

 

それもそのハズ。儀式の準備をしているレイナーレが、半裸の変態と言い争いをしながらこちらへと向かっているのだから。




この時点でぶち切れそうで、レイナーレの目的と理由聞いてから堪忍袋の緒が切れた印象

補完。今の明日斗くんはイッセーによるちょっとした情報しかないからそれを元に演じている感じです。詳細もへったくれもないのでネームドから見れば『アレ?本当にレイナーレなん?』もしくは『あ、こいつパチモンや』なのはご愛嬌。下っ端からは『あ、この人レイナーレだわ間違いない』って感じ

女の声ならある程度似せることは出来ます。が、やはりそれもネームドから聞けば違和感を感じるくらいです。
え?声が似てる理由?天野夕麻とは1度会ってるから……(震え)


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本格的な潜入へ

*・ω・)チラッ

|ω・)つ
(投稿)


|)彡 サッ


廃教会内部に入るための唯一の入口である扉。そこにははぐれエクソシストと呼ばれる存在がいた。

神父服の十字架を取り外したような漆黒の衣装に身を包み、ある者は槍を。ある者は剣を。またある者は銃火器を持っている。

 

そんな彼らは、目の前の光景に困惑していたのだ。

それは……

 

「全く!こんな体たらくで私に仕えるつもりなの!?ほら、もっとキビキビ動く!!」

 

「あ、いや……やっぱこの衣装やめませんか?」

 

「この衣装は至高たる私に仕える資格がある選ばれし者のみが着ることを許される物!その試作品を着れることを誇りに思いなさい!」

 

あーだこーだ。自分の主が見知らぬ男とあんなにぺちゃくちゃ喋っている様子。

レイナーレは幹部級の3人としか親しく話すことはない。人間でありながら幹部の地位に属しているフリードも例外では無い。むしろ邪魔者扱いしている節まであるのだ。

 

……なのに、見るからに変質者のような格好……レイナーレも似たようなもんか。まともな衣装はミッテルトとドーナシーク位だろう。

カラワーナは……ボディコンスーツかドレス姿かどっちが正規の衣装か分からないので保留。

 

「あ……あの、レイナーレ様?そちらの男性は?」

 

「期待の新人よ。珍しい神器持ちだからスカウトしたの」

 

「珍しい神器……?それは一体……どのような……?」

 

うーん……神器の効果かぁ……確か『赤龍帝の篭手』って言ってたよね?使用者の身体が耐えられる限り永遠に倍加出来るってやつ。

 

対魔○みたいな展開とか、トラ○ザム。ド○ゴンボールの重力室とか色々応用効きそうな予感はするよねぇ。

 

「神器の効果は『ありとあらゆる物を半減させる程度の能力』よ」

 

「どこの幻〇郷?」

 

「似たようなもんよ」

 

チート級の能力では無いか。レイナーレ様はこんな人材をスカウトしていたのか!!

ありとあらゆる物を半減できるということは、力から胸のサイズまで。何でも半分にする事ができるということ!!

 

(というか逆の能力教えてどうするんだ?)

 

(はぁ?アンタの神器の能力は既に知られてるのよ?組織なんだから情報が伝達されてもおかしくないのよ?特に魔王の妹にケンカ売ってるような奴よ?何を仕掛けられてもおかしくは無いわ!二誠!!)

 

(一誠だけど!?)

 

(んなこたぁどうだっていいのよ。正体がバレずに建物にさえ入ればスニーキングミッションが開始されるのよ。安心しなさい。メ〇ギアの称号で終始《CHICKEN》だった私に死角は無いわ!!)

 

(……なんだろ?一気に不安が増したぞコレ……やっぱり単独行動していいかなぁ?)

 

「どうぞお通りください」

 

割とすんなりと扉を開ける見張りの神父たち。

それを確認した後、堂々と真ん中を歩く2人はすれ違った神父たちに勘づかれる事無く、順調に歩を進めていく。

寧ろ仲間意識が生まれているような……

 

「そこの貴方?少し聞きたいのだけれど、例の計画をする儀式の場はどこだったかしら?ド忘れしちゃって」

 

……と思っていたら、あのバカがいつの間にかそこら辺にいたエクソシストに声をかけていた。

 

(……っておいいいい!!!そんなの聞いたら即バレるぞコレぇぇぇぇぇ!?)

 

計画を企てた本人が忘れる計画ってなんだよ!計画でもなんでもないよ!ただの行き当たりばったりの思いつきだよコレ!!

……あぁもうダメだ……本人そっくりとはいえ、あのバカを信じなければよかった……もう台無しだァ……!!

 

「は……はぁ……でしたら礼拝堂の祭壇の仕掛けを解いた後にパズルを解けば後はわかると思います」

 

「そう。ありがとう。仕事、頑張りなさいよ」

 

「は……はい!!」

 

何事も無かったかのように通じたァァァァァ!!ぇぇええええ!?エクソシストって何!?ガバの溜まり場!?ちょっとは違和感持てよ!!仕事しろよ!!敵侵入してるぞ!!

 

(ふふん!どうよ!コレでどこに向かえばいいのか分かったわ!!)

 

(割とガバガバな感じだったんだけど!?)

 

(お礼ついでに私のブロマイドをくれてやったわ!!コレで私の人気はうなぎ登りよ!!)

 

(それは無いから!!というかエクソシストの人気者になってどうするんだよ!!)

 

(何言ってるのよ!!私の変装元であるレイナーレはコアなファンがいっぱいいるのよ!!人気投票では上の下か中ぐらいだったんだから!!)

 

(リアルの話持ち込むなよ!!)

 

(ふっ……私の演技力の賜物ね……さぁ、私に跪きなさい!!そして感謝しなさい!!焼きそばパン買ってきなさい!!)

 

(誰がするかーーー!!)

 

眼力とオーラだけで会話出来るその姿はもはや人外の領域。特に一誠の顔芸の種類の数々は芸の才能を開花させていくようだ。

 

(そういや、レイナーレはヒーローだとも言ってたなぁ……アレかな?故郷滅ぼされたから酒に酔って地球に八つ当たりしたおじさんかな?わっかんねぇなぁ〜)

 

歩きながら顎に指を当てて思考を巡らせる。

 

悪堕ち。心酔。発狂。自暴自棄。やぶれかぶれ。その他諸々。カラワーナの証言のみだと動機の候補が幾らでも出てくる。

 

それはともかく、なんともまぁガバガバな計画なのだろうか?神器がどうのこうの言っていたが、アーシアという人物の神器は回復系と聞いている。

それを手に入れたところで、果たしてバカにしたヤツらとやらを見返す事が出来るのだろうか?

 

(……否だよねぇ。他人の力を奪った所で使いこなせる保証もなし。それどころか調子に乗って落とし穴に容易に引っかかるのが容易く想像出来るよ……)

 

はぁ……と溜息をついて頭をポリポリ掻く。それを見た一誠が「大丈夫か?」と聞いてきた。

 

「いいや。こう見えても荒事は嫌いだし、穏便に済ます方法は無いかなぁ〜って。ボクって平和主義者だし?」

 

「……相手の出方次第だな。アーシアを素直に解放してくれればそれでよし。もしもの事があったら……」

 

「ハイハイ。キミがレイナーレってやつを倒すんでしょ?別にいいけど、負けたらボクに譲ってよ。あとカラワーナはボクの獲物だから。手を出したら承知しないからね三誠クン?」

 

「……だから一誠だっつってんだろうが」

 

会話をしながらもどんどん先に進んでいく2人。礼拝堂の仕掛けは至極単純なものだった。

 

《一升分の水しか入らないオケの中に二升分の水を入れろ》

 

「わかるかァァァァァァ!!!!一升って書いてあるだろ!二升も入るわけが無いだろ!!」

 

「どうどう。見てるからね?恥ずかしいんだよこっちは。静かにしてくんない?」

 

「だからってこんな……こんな仕掛けって……」

 

目の前の祭壇にあるのは、一升分の水しか入らないオケが2つ。それから水道のみ。これらを使えということだろうが、全くわかんない。

ダメだこれ……部長や朱乃先輩がいれば……と思っている矢先

 

「ほいっと」

 

だばー!!っと片方のオケの中を満タンにし、もう片方を勢いよくひっくり返した。

 

「何やってんだァァァァァァ!!!??」

 

余りにもゴリ押しすぎるやり方。当然その方法では正解のはずもない。溢れた水は思いっきり一誠に降りかかる。

 

「(´^ω^`)ブッフォオオオオオwwwみ……水も滴る……(笑)」

 

「おーまーえーはーーーー!!!!!」

 

噴き出した後、指をさしてゲラゲラ笑う明日斗に向かって胸ぐらを掴んでグラグラと揺らす一誠。

 

 

……果たして2人はこの謎を解くことが出来るのか!?

そして地球の命運はどーでもいい!今、元カノと今カノトラブルを解決するために、2人は走り出すのであった!!

 

 




結構長くなりそうな予感。前作とどっちが好みなのかは気になるところ……

主人公の属性盛りに盛りまくってもう10段アイス並なんだよなぁ……


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謎解きアイテムは大概そこで手に入れた物がカギ

手をつけると楽しいっすね。小説書くの。

手をつけるまでが大変だけど……(´・ω・`)


一升。それは約1・8リットルのことである。主にスーパーで売っているボトル醤油位の量がわかりやすいだろうか。

その量が入るオケの中に倍の量の水を入れろ。そのお題は無茶ぶり以外の何物でもない。常識的に考えれば溢れる事は間違いない。

 

(だがあのエクソシストは《謎解き》と言っていた。なら必ず解く方法がある筈だ…考えろ一誠…。ここにあるのは……)

 

再び辺りを確認する。あるのは《桶》、《水》、《台座》位しかない。後は傍にトイレがある位だ。

 

「……わからん!おい竜胆。お前わかっ……?」

 

「はいもっと腹から声を出す!」

 

「「「「「あ!え!い!う!え!お!あ!お!」」」」」

 

「まだまだ!喉からじゃない!腹から出しなさ……」

 

「この状況でなぁにやってんだお前はァァァァァァ!!!」

 

ドゲシッ!!

 

「ラストリゾートッ!?」

 

一誠の飛び蹴りが明日斗に炸裂!その衝撃で教会の床にダイナミックキスをするという痛い光景がエクソシストに広まった。

 

「今俺があの問題解こうとしてるの知ってるよね!?アーシアが今危ない事知ってるよね!?なんで呑気に発声練習してる訳!?」

 

「いやぁすごいね。寄せ集めの烏合の衆だと思っていたらこんなに統率取れたんだもん。関心したよ」

 

「関心しなくていい!!今はこれを解くことが先決だろうが!最重要事項だろうが!」

 

明日斗に飛び蹴りを食らわせた後に肩を掴み、前後に揺らしていく。急がなければならないこの状況で呑気に敵と馴れ合っているのだから。

 

「全く……お前という奴……へ?」

 

「レイナーレ様!侵入者を確保しました!お怪我はありませんか!?」

 

「ええ。お手柄ね。礼を言うわ」

 

明日斗に説教をしようとした一誠。だがしかし、そんは問屋が下ろさなかった。何故なら、今発声練習をしていたエクソシストが一誠を取り囲み、手錠をかけたからだ。

何が起こったのか分からないと言った表情でキョロキョロする一誠。その一方で、胸パッドから取り出したチュパチャップスを咥えるレイナーレとそっくりに変装をしている明日斗。

 

「おぃぃぃぃぃぃぃぃ!!いつの間に手懐けてるのお前!?これ何!?今すぐ外せ!!」

 

「んんっ!!貴方たち!今すぐこの侵入者を地下牢に閉じ込めておきなさい!!」

 

「はっ!!」

 

「あと気をつけなさい!この男はありとあらゆるものを《半減》する力を持っているわ!この手錠の強度を半減される恐れがあるから十分注意しなさい!!」

 

「半減じゃねぇ倍加だゴラァ!!」

 

咳払いした後、エクソシストに命令を下すその姿は頭目そのもの。敵を言葉巧みに先導し、イッセーを拘束するその姿は訓練された軍人のようだ。

文句を言うイッセーに、大人しくしろ!と注意するエクソシスト。その姿はどんどん遠くなり、やがて見えなくなった。

 

「さ、貴方たちも早く持ち場に戻りなさい」

 

「は……はい!!」

 

(その方がボクとしても都合がいいしね)

 

いそいそとその場を去るエクソシストを見届ける。明日斗1人になった後、顎に手を当てて考えた。

単純に一升分の水しか入らない桶の中にバカ正直に倍の量を入れたところで溢れるのは目に見えている。それ以前に、規定の量の水を入れても溢れるのは誰でもわかる事実だ。

ならば桶を2つ用意……しても対して意味は無い。お題は『1升分の水しか入らない桶の中に2升分の水を入れよ』だからだ。これでは解決したことにはならない。

 

ただし、『水を入れろ』とあるが、べつに『水以外のものを入れてはならない』とは書かれていない。つまり、もうひとつ何かを使う必要があるということだ。

これがわかっただけでも大きな一歩。後はその物を探す必要がある。

 

(ま、イッセーなら簡単に抜け出してレイナーレって人の元に行くでしょ。目的は違うし、別行動をとるのが最善だよねぇ)

 

聞くところによると地下室で儀式は行われるわけだから、地下牢に行けば後は勝手に向かってくれるだろう。ぶっちゃけて言えば、自分の目的はカラワーナな訳だから、他の敵がどうなろうと知ったことでは無い。

 

……まぁ、カラワーナが望めば話は変わるけど。

 

欠伸を噛み殺しながらトイレに向かう。その目と手はあるものへと一直線に注がれている。

 

「あったあった。お手拭き」

 

立てかけられているやつと予備で取ってあるタオルを握り、鼻歌を口ずさみながら桶へと歩を進める。

そして桶の中にタオルを2つ程ぶち込んだ後、水を少しづつかけた。

2つのタオルはみるみるうちに水を吸収し、桶に水を濯ぎ終わった時。

 

\エバラノゴマダレッ/

 

ちかしつ の とびら が ひらいた !!

 

「イクゾー」

 

 




家で実際に実験したら桶が小さすぎてわかんない結果になったけど、実際にタオル分の水は減ってたし半分成功?

元ネタはとある嘘つき漫画に出てくるお題が書かれた神経衰弱ですね。ルールは神経衰弱と同じで、違うものを捲っても書かれたお題をこなせば最大4枚取れるやつです。

……知ってる人どんくらいいるんねやろ?(´・ω・`)

あと自分、結構頭硬いからなぁ……学生時代より硬くなってるからある程度鍛えねば……なぞなぞすら答えられぬ……(;`皿´)グヌヌ


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気まずい別れをした後に彼女に会う時、めちゃくちゃ気まずくなるよね

謎解きはカットォカットォ……




ちょっとした謎解きと色合わせパズルを解き終わり、道中立ちはだかったトカゲの戦士を倒した明日斗は、最下層へと足を進めて行った。

 

不思議のダンジョンよろしく、様々な種類の部屋と深い層へと続く階段。床にはパンやら剣やら盾やらが置いてあり、益々不思議のダンジョン味が出ている。

 

時折、教会で使われている材質とは違う階段が出てきたが、壁に囲われていたり、浮遊しなければ行けないところにあったり、炎や氷に覆われていたり、階段に大型の地雷が仕掛けられてあったりと行くことができなかった。

 

……まぁ、そこに行ったところでモンスターを配合できる祭壇があったり、2択クイズをしてくる少女がいたり、珍しいアイテムが取れたりする訳でもないのだが。

 

 

「ダンジョンに落ちてあるパンって硬いってあったけど本当にそうなんだね。火が欲しいよ」

 

ボリボリと噛み砕きながら歩いていく。

 

明日斗はレイナーレのボンテージ衣装とカツラに加え、木の盾と兵士の剣を装備し、手持ちにはやくそうとラ○ホー草を複数所持。

 

時折襲いかかってくるエクソシストにはラ○ホー草をぶん投げて無力化し、それでも来る者は経験値にしていた。

 

テテテテッテッテッテーン

 

「ふぅ……この階は探索し尽くしたし、次の階に降りるか〜」

 

パンを飲み込み、次の階へ降りる。

 

次に見た光景は、入り組んだ迷路のような場所……ではなく、大広間だった。目の前には大きな扉があり、左右の壁に灯っている燭台が「この先は重要地点ですよ」と伝えている。

降りた回数は4階。恐らく、この時点でLv3〜4くらいはあるだろう。

 

「ここがゴールかしら?」

 

無駄に再現度が高い声真似と口調に戻していく。そしてゆっくり歩いていくと……

 

「……侵入者か?」

 

ふと、声が聞こえた。キョロキョロと見渡していると、相手から姿を見せてくる。

ムーンサルトの空中回転ジャンプのように華麗に周り、スタッと着地をする。飛び込み大会が開催すれば、優勝間違いなしの美しさ。

更に容姿は片目隠れ……かと思いきや若干目が髪の間から視認できる位に分けられている。海のように深い青色の長い髪に、明日斗を見る鋭い目は男らしさを感じさせる。

 

「残念ながら、ここから先は通行止……ってレイナーレ様!?」

 

そう。目の前にいるのは堕天使カラワーナ。レイナーレの部下の1人で高身長イケメン美女という属性があるものの、影がマジで薄い堕天使だ。

かたや生意気系後輩ロリのミッテルト。かたや紳士系戦士でかつてイッセーを襲ったドーナシークにキャラを食われているのだ。カラワーナは対してキャラが立っておらず、「あれ?この人誰だっけ?」レベルである。ぶっちゃけ、知ってる人はマニアックレベル初級と言っていいだろう。

 

……まぁ、ソシャゲの影響で多少知名度は上がっているが。

 

(え?何でレイナーレ様がここに?今中にいたよね?ドーナシークと一緒にアーシアの傍にいたよね?なんでこんなところにいるの?)

 

さて、カラワーナはというと、相当テンパっていた。まだ時間ではないとはいえ、中にいるはずの上司が上の階から降りたであろう光景を見て。

 

「……見張りご苦労さま、カラワーナ」

 

「へ?……あっ……はい」

 

声も間違いなく本人だ。長年一緒にいたから間違えるはずもない。慣れ親しんだ声。

カラワーナがレイナーレ(明日斗)に近づいた……その時だった。

 

 

ドォォォォォォン!!

 

「!?」

 

突如として、横の壁が破壊された。突風が小さな瓦礫を吹上、明日斗とカラワーナに向かって飛んでいく。

カラワーナは黒の翼を盾のようにして防ぎ、明日斗は飛んできた瓦礫を手刀で破壊していく。

 

「何者だ!?」

 

カラワーナがツインランサーを出現させて叫ぶ。壁を壊してこんな所まで来るなんて、敵以外の何物でもない。

レイナーレ様に仇なす者は全て叩き潰す!とでも言わんばかりに。

 

やがて砂煙が晴れ、現れたのは……

 

「……兵頭……一誠……だと……!?」

 

馬鹿な!?あの日、レイナーレ様が……って!確かセブンソードプロダクションの飲み会の時に居たな!生きていたよな!と思い出した。

神器持ちとは聞いていたが、具体的に何かは分からないままだったが……恐らく、腕に装備されている深紅の篭手がそうだろう。

 

「ようやく来たわね」

 

……ん?漸く……?え?レイナーレ様が侵入者を手引き……いや待て!確か私の元カレの職場って……

 

ーーー確かめる価値はあるな

 

「……レイナーレ様。腹が減ってはなんとやら。といいます。どうぞ」

 

徐ろに茶碗に非常食のおにぎりを入れてレイナーレ様?に渡した。

「ええ。ありがとう」と軽く礼をいい、谷間から取り出したものは……

 

……練乳だった……

 

それを思いっきり茶碗にダバーっ!!

 

「ダウトォォォォォォォォ!!!!!」

 

「ツジギリッ!?」

 

カラワーナの右ストレートが明日斗に炸裂!その拍子にウィッグが取れ、隠れていた夕日のような赤色の髪が姿を現した。

 

「り……竜胆明日斗!?」

 

「バレちゃった♡」

 

ーーー今日は厄日かもしれない




お久しブリーフ。大急ぎで書いちゃったから以前よりも文章力下がってるかも


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VSカラワーナその1

|´-`)チラッ
 (՞ةڼ  )あばばば
|)彡 サッ




八割くらいサブタイ詐欺です。


カラワーナは困惑している。目の前にいる2人の人間が原因だ。

1人は、兵藤一誠。レイナーレ様が殺したはずの人間が生きてここに来ている。しかも、ヤバそうな赤い篭手を装備して。

パッと見は自身の力を2倍にするだけの神器かと思ったが、アレから出てくる雰囲気に震えてしまう。

 

そして2人目は竜胆明日斗。デートの時も何にしても何をしてくるか分からない男だ。現にここまで戦っている様子は無く、レイナーレ様に完璧に変装してここまで来ている。ヒポグリフやはぐれ悪魔と生活しているのだから強いのは確かだろう。つまり……

 

(勝てる気がしない)

 

今からこの2人を相手にしないといけないのか……。目からハイライトが消える。

ツンツン頭は篭手を構えて臨戦態勢取ってるし、明日斗はじっとこっちを見つめている。

そして、イッセーが叫び声を上げ、拳を上げて走った……その時だった。

 

「てい」 「ぶべらぁ!!」

 

イッセーに足を引っ掛けて転ばせる明日斗の姿が見えた。

 

「てめぇ!何すんだ!」

 

「あのさぁ、彼女に用があるのは自分なんだからさぁ、イッセーは関係ないよね?さっさと行った行った」

 

「関係なくねぇだろ!コイツは……」

 

「はぁ?キミこそカラワーナとは一切関係ないよねぇ!よしんば関係あるにしてもレイナーレって人の部下ってことだけだよねぇ!ボクはカラワーナの彼女だからアンタより関係あるからボクの方が優先!」

 

「いや逆!逆ぅ!私女!お前男!」

 

「はぁ?何言ってんのさカラワーナァ!キミはイケメン!ボクは可愛い!違いはお(T)とお(P)の有無だけ!たったそれだけだからボクはキミの彼女!はいQED終了!」

 

「なんだそのガバガバ理論!その有無が極めて重要なんだろうが!」

 

「だからカラワーナはそこの変態よりもボクを優先する義務がある!イッセーにカラワーナになにかする権利は無い!全てボクのものだ!」

 

「ふざけんな!んな勝手なこと認めてたまるか!」

 

明日斗とイッセーの言い争いにカラワーナも巻き添いにして騒ぐ3人。そこに思わぬ横槍が入った。

 

「んぢゃーっすー!おいテメェら!近所迷惑なのわかんない?ボクちん煩いの嫌いなんだけどぉ?……ってあー!テメェは!あん時のクソガキィ!!」

 

フリードが明日斗を指さした。さも知っているかのような口ぶりにカラワーナも耳を傾ける。

 

「……いや、誰よキミ。ボクとカラワーナの逢い引きの邪魔してさぁ……空気読んでくれない?KYってよく言われない?マジどっか行ってくれない?」

 

「うるせぇ!忘れたとは言わせねぇぞ!10年前、テメェのせいではぐれ悪魔討伐を失敗!俺っちがその後どれだけ苦労したか……」

 

「え?ちょっと待って?えー……10年前10年前……」

 

完全に置いてけぼりを食らっているカラワーナと兵藤一誠。マジキチ神父のフリードの言葉を聞き、思い出そうと考える。

そして……

 

「あ!もしかしてカブト相撲で連敗した溝口くん?なんだよそんな事今更さぁ!300円渡してチャラにしたよね!」

 

「フリードっつってんだろうがァァァァァ!!」

 

懐からビームサーベルを取りだし、血走った目で叫びながら明日斗に突撃する。

 

「ぐっ……クソガキィ!!」

 

フリードが明日斗にビームサーベルを振り下ろす。が、腕を捕まれ振りおろせない。

目の前に忌々しい奴がいる。刃を振り下ろせる状況にある。

なのにヤケに腕を掴んでいる力が強くて振りおろせない。

 

「だぁかぁらぁ!300円渡したからチャラって言ったよねぇ!」

 

「そんなはした金でチャラとか頭沸いてんなテメェはよォ!!」

 

「キミさぁ、女々しいとかよく言われない?」

 

「テメェに言われたくねぇよボケがぁ!!」

 

明日斗がフリードをぶん投げる。ビュン!と勢いよく投げられたフリードは壁に足をつけ、クイックターンの要領で再び明日斗に向かう。

 

「なんなのお前!もしかしてボクの熱狂的ファン?ファンならマナーを守ってよね執拗いよ!執拗い男は嫌われるよォ!」

 

「ファンじゃねぇよ頭沸いてんのかクソが!」

 

「だったらボクと彼女の逢い引き邪魔すんなやゴラァ!!」

 

頭に血が上り、闘牛のように突撃しているフリードの攻撃を避け、思いっきりケツを蹴りあげる。

まるでサッカーボールのように飛んだフリードは地下の天井を破り、教会入口まで飛ばされた。ちなみに、あと数分でリアス達が来るのだが、フリードと突入組2人は知らないのだった。




原作1巻の時系列での明日斗の総合戦闘力は……1巻のリアスと同じくらい?ただし物理攻撃力はリアスよりも遥かに高い感じ。強さがよーわからんぴ(´・ω・`)


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