転生した俺はゲーム会社に就職した、だが、この世界は…… (北方守護)
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第1話 新生活とオリキャラ設定

4月のある日の朝……

 

「フワァ〜……うーん」

マンションの一室で1人の男性が起きた。

 

「今日は新社会人として新しい会社に行く日だからな……

遅刻しない様に早めに行くか……」

男性は寝室から出るとシャワーを浴びに向かった。

 

シャワーを浴びた男性は朝食を食べるとスーツに着替えて部屋を出た。

 

「今日は燃えるゴミの日だったな……あっ、おはようございます」

 

「は、はいっ!お、おはようございます!!」

男性がゴミ捨て場に行こうとするとちょうど隣の住人の女性が出てきたので挨拶をしたが、何処か挙動不審だった。

 

(ふぅ……やっぱり、初対面の人からすれば怖い顔なんだろうな……)

男性は落ち込みながらゴミを投げると会社に向かった。

 

一方……

 

「嘘でしょ!?管理人さんから隣に新しい人が来るって聞いてたけど、あんなに格好いいなんて!!」

女性は男性の顔を見て自分の気持ちを吐露していた。

 

「よっしゃー!これから仕事だけど頑張れるわー!!」

女性は鼻息を荒くしながら仕事に向かった。

 

その頃、男性は自分の車で会社に向かいながら何かを考えていた。

 

2()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

実は男性は一度命を落とした人間だった。

 

彼は以前いた世界で普通に仕事や生活をしていた……

 

だが、会社の健康診断で体に癌が見つかり入院をした……

 

そして、彼は、そのまま()()()()()()()()()()()()()……

 

だが、彼が目を覚ました時には初めて見る女性の子供として産まれていた。

 

 

男性が自分の事を考えていると会社の駐車場に着いたので車を停めて入り口に行くと……

 

「よーし……今日からここが私の働く場所なんだ……」

何処か見覚えのある紫の髪をツインテールにしてスーツを着た女の子が立っていた。

 

「あれ?もしかして……(よう)か?」

 

「ピャッ!?って……アキっち!?なんでここに!?」

女の子の名前は涼風 青葉(すすかぜ あおば)と言い男性の幼馴染で小、中、高校でも同級生だった。

 

「いや、なんでも何も……今日から俺が働く場所だからだ」

 

「そうなんだ!良かった〜 知ってる人がいて……」

 

「ねぇ、君たち?そこで何をしてるのかなって……まさか男性?」

男性と青葉が話してるとピンク色の髪の女性が立っていた。

 

「すみません……実は今日からここで働く事になった焔地 武昭(えんち たけあき)と言います」

 

「あ、あ、あ、あのっ!私も新入社員の涼風青葉って言います!!」

 

「そ、そうなんだ……君たちが今日から来る人達だったんだ……

私の名前は遠山 りん(とおやま りん)て言うの、よろしくね」

3人は自己紹介をすると会社に入った。




簡単なオリキャラと物語設定。

焔地 武昭 (えんち たけあき)

年齢18歳 身長 187cm 体重 95kg

髪 茶色混じりの黒髪で軽い癖っ毛だが首の後ろで縛れる程の長さ。

瞳 青色混じりの黒だが左眉から左のコメカミの辺りに切り傷がありツリ目がち」

顔は普通でも怒っている様に見えるが実は女性達からはクールで寡黙な男と思われている。

パソコンの腕前はプロ級。

イーグルジャンプ社員の()()と親戚関係。

世界設定。

男性と女性の数 3:7の割合で女性が多い。

その為、少しばかり男性に過ごしやすい世界になっている。

例:男性専用車両がある。 一夫多妻が認められている。





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第2話 パンツと出会い

りんは青葉と武昭を連れて会社に入ると軽く話していた。

 

「ここの会社はイーグルジャンプって言ってゲームを作ってる会社なの……

それにしても……2人って本当に同級生なの?」

 

「「あぁーーー」」

2人は互いに、そう言われた理由に思い当たった。

 

「「葉(アキっち)が小さい(大きい)からですね」」

 

「あはは、すごく息が合ってるのね……(嘘嘘嘘!なんで涼風さんは男性と普通に話せてるの!?)」

 

「俺と葉が幼馴染なのはさっきも言いましたけど、昔っから俺ってガタイがでかいんです」

 

「それで私の方は逆に体が小さい方なのにアキっちが近くにいると余計に、そう見られるんです」

 

「へぇー、そうなんだ……あぁ遅れたけど私はここでADをしてるの」

 

「あ、あの!ADって大変ですよね!TVとかで見ても雑用が多いイメージですし!!」

 

「おいおい葉、お前が言ってるADはアシスタントディレクターの事で遠山さんが言ってるADは多分アートディレクターの意味だと思うぞ?」

 

「そうよ焔地君の言う通りよ。私の仕事はアートディレクターで主にグラフィック管理をしてるの」

 

「あっ……まことに申し訳ありませんでした……」

本来の意味を聞いた青葉は真顔になると小さい声でエレベーター前で土下座をしていた。

 

その後、武昭は青葉を立たせると遠山と共にオフィス前に来ていた。

 

「ここが、これから私たちが仕事をするオフィスよ」

 

「うわー……これがガンッ!ハァー またやった……」

 

「えっ!?今の音って……」

青葉が遠山に案内されてオフィスを見ていると大きな音がしたので音の出所を探すと頭を抑えた武昭が蹲っていた。

 

「どうしたの!焔地君!?」

 

「いつもの事だから大丈夫ですよ、はいアキっち」

 

「あぁ、ありがとうな葉……ふぅー気持ちいい……」

遠山が慌てて駆け寄るが青葉は冷静に冷えピタを武昭に渡した。

 

「一体、どうしたのって……まさか入り口の上枠に頭をぶつけたのかしら?」

 

「はい、俺って見ての通り体が大きいんで初めての場所とかで、よくやるんですよ……」

 

「それで私もクセで常に冷えピタを持ってる事が多いんです……今日はたまたまなんですけど」

 

「そ、そうなんだ……これから気をつけてね。そうだ何か飲む?」

 

「じゃあ俺はコーヒーに砂糖とミルクをお願いします」

 

「私はオレ……ブラックコーヒーでお願いします!」

 

「分かったわ、少し「遠山さん葉の奴も俺のと同じにしてください」え?えぇ分かったわ」

 

「アキっち!勝手に変えないでよ!!」

 

「あのな、別に会社員になったからって無理して飲めない物を飲む事も無いんだよ」

武昭に軽く言われた青葉は小さく頬を膨らませていた。

 

 

遠山が飲み物を取りに行ってる間、武昭と青葉が椅子に座って話しながら社内を見回していた。

 

「それにしても優しそうな人で良かったなぁ……アキっちが入社してるなんて思わなかったけど……」

 

「確かに遠山さんは優しそうだな、まぁ俺の場合は()()()()()()()()でここに決まったんだけどな」

 

「ちょっとしたコネ?」

 

「う〜ん 疲れたぁ〜 もうやだぁ〜」

 

「うん?今、何か聞こえたよね?」

 

「あぁ、もしかしたら先輩が昨夜残業で今朝までいたんじゃないのか?(()()()()()何回かやった事があるからな)」

 

「だったら挨拶しとかないと……確か声は向こうから……え?」

青葉が声の方に行くと机の下の空間で寝てる女性がいたのだが……

 

「お、おパンツーー!?」

タオルケットからはパンツだけの下半身が見えていた。

 

「う〜ん……うるさいなぁ〜……誰〜?……」

 

「うわわ!そのまま立たないで下さい!アキっちはコッチを見たらダメだよ!!」

 

「コウちゃん!また下履いてないじゃない!!」

 

「あ〜おはようり〜んこの子誰?……え?まさか、そこにいる初対面の子って……男の子??!?!?!

コウと呼ばれた女性はソッポを向いている武昭に気づくと顔をリンゴの様に真っ赤にしてから慌てて下を履き始めた。

 

 

少しして……

 

「あ、あの……変な所を見せて申し訳ありませんでした……」

 

「いえ、俺は見てないので、そんなに気にしないでください……」

りんと武昭がどこか気まずそうに謝罪し合っていた。

 

「はい!謝るのはそこまでにしておいて、互いに自己紹介をしてちょうだい」

 

「分かったわよりん、私はこの会社でキャクターデザイナーをしてる八神コウよ」

 

「あなたが八神先生なんですか!?私は涼風青葉って言います!

八神先生がキャラクターデザインした〔フェアリーズストーリー〕をゲームしてこの仕事を志したんです!!」

コウの名前を聞いた青葉が目をキラキラさせて迫っていた。

 

「俺の名前は焔地武昭って言います。俺は親戚のツテでここの会社に入社しました」

 

「へぇ、親戚のツテって人が本当に居たんだー それにしても大きい身体だね焔地君て」

 

「大体、初対面の人にはそう言われます……それによく怖がられるんですよ、こんな顔してるんで……」

そう言うと武昭は苦笑いで落ち込んでいたが青葉はりんとコウに耳打ちで説明を始めた。

 

(ああ言ってますけど、私の周りの女子達はクールで大人っぽくてカッコいいって言ってましたよ)

 

(それは分かるわ、私も会社の前で初めて見た時に夢かと思ったわ)

 

(ねぇ、りん 本当に焔地君はウチの会社に入社したのよね?今もまだ信じられないんだけど)

女性陣は武昭を見ていた。

 

 

 

 




ちょっとした過去話。

武昭は小さい頃から顔が怖かったので怖がられていたが付き合いが長くなる程、良さがわかっていく。

その為、バレンタインのチョコレートは学年が上がる毎に増えていった。

だが自分がモテるとは気づいてなく義理チョコか罰ゲームで渡されてると勘違いしていた。


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第3話 紹介

女性陣が話してる中、コウが近くにあったコーヒーを手に取って飲んだが……

 

「あっ、喉が渇いたからこれもらうね ゲホゲホ!何これ!?凄い甘いじゃない!!」

 

「すみません、八神さん、それ俺の奴です」

 

「え?……これって……焔地君の……ご、ごめんね間違えて

 

「気にしないでください、間違いは誰にでもありますから コッチが八神さんのですね」

武昭は近くにあったコーヒーを渡すと自分の奴を受け取って飲んだ。

 

「ね、ねぇ……それって私が口付けたんだけど……気にしないの?……」

 

「別に気にはしないですね、それに()()()()()()()()()()()()()()()()()()

武昭は普通にコーヒーを飲んだ。

 

「ねぇコウちゃん、焔地君のコーヒーってそんなに甘かったの?」

 

「甘いなんてもんじゃないわよ!まるで濃い砂糖水を飲んでるみたいだったんだから!!」

 

「アキっち……()()()()()()()()()()()()()()()()()()

青葉だけは理由がわかってる様子だった。

 

「当たり前だろ?俺は()()が無いと駄目なんだから」

 

「ねぇ、それって何なの?」

コウは武昭がポケットから出した小瓶が気になっていた。

 

「コイツは蜂蜜に砂糖を混ぜて煮詰めた糖分エキスです」

 

「アキっちは昔から超甘党なんで、それを常に持ってるんですよ」

青葉と言葉にコウとりんが苦笑いを浮かべていると2人の女性が出社してきた。

 

1人はTシャツの上にパーカーを着てショートパンツの女性で、もう1人は黄色の髪のツインテールにロリータ系のロングドレスを着た女性だった。

 

「「おはようございます」」

 

「あら、おはよう、ちょうど良かったわ2人に紹介するわ 彼女は飯島ゆんさんで、彼女は篠田はじめさんよ」

 

「初めまして、今日からこの会社に入社した涼風青葉って言います」

 

「俺は焔地武昭って言います、これからよろしくお願いします」

2人が武昭が居た事に驚いて声を出したのを見たりんとコウは自分達もこんな感じだったのかと苦笑いして居た。

 

自己紹介が終わった後、武昭と青葉は自分の仕事場所を教えられていた。

 

「ここが2人の仕事場所よ コッチの方が青葉さんで、その隣が焔地君のよ」

 

「うわぁ……ここが私の仕事場所……」

 

「俺はここか……ちょっと下が狭いけどしょうがないか」

 

「そう言えばアキっちって学校の机も特別だったよね」

 

「違うぞ青葉、特別じゃなくて高学年用の奴を使ってたんだぞ」

 

「まぁ、それだけの大きさやったらしゃあないわな」

皆は武昭の体を見てどこか納得していた。

 

 

 




ちなみに武昭は自分が食べる物だけは超甘党だが
料理自体は超上手で高校の学園祭などで行列ができる程の腕前。


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第4話 初仕事と人見知り

武昭と青葉は自分の席を教えられて少しすると就業時間になったので仕事を開始した。

 

「それで新人ちゃん達には何をしてもらおうかな……3Dの経験は?」

 

「あっ、私は絵以外は何も分からないんですけど……」

 

「俺も3Dはやった事は無いですけど、それ以外ならそれなりに自信あります」

 

「そう 分からなくても大丈夫だよ、なら青葉ちゃんはこの参考書の第1章をやる事

それで焔地君は……りーん、何をやらしたら良いかな?」

 

「そうそう言い忘れたけど焔地君は本来なら違う班だったのよ、けど席が空いてないからキャラ班にいるのよ だから、はい」

りんは武昭に数枚の書類を渡した。

 

「焔地君には、この場面での背景を作ってほしいのよ」

 

「うーん……このプログラミングのシステム内の言語からすると街中の昼と夜、それと森の中って所ですか」

 

「え?焔地君、見ただけで何処の場所か分かるの?」

 

「えぇ、俺はパソコンには自信がありますから……じゃあ始めますか」パキパキ

武昭は指を鳴らすと指示された仕事を開始した。

 

それからしばらくして……

 

「あっ……おはようございます……」

黒髪でポニーテールの女性が青葉の後ろの席に座った。

 

「(あの人が、あそこの席の人なんだ……)おはようございます!今日から入社した涼風青葉って言います!!」

 

「……滝本……ひふみ……」

 

「あの……滝本さんもキャラ班何ですか?……ひっ、ごめんなさい……」

青葉はひふみに睨まれて謝罪した。

 

「ハハハ、葉は初対面だから知らないけど、彼女は人見知りで恥ずかしがり屋なんだよ。

そうだよね?()()()

 

「あっ……久し振りだね……()()()

ひふみは武昭が来ても普通に話していた。

 

「え?アキっちって滝本さんの事知ってるの?」

 

「あぁ、朝に親戚の事を話したけどその親戚がふみ姉で俺の婆ちゃんの妹の娘さんの子供なんだ」

 

「うん……たっ君は私からすると……ハトコになるの……」

 

「へぇー まさか、ひふみんと焔地君が親戚だったなんて思わなかったな」

 

「まぁ、俺も知ったのは5()()()()ですけどね……」

 

「そうだったね……それよりも……たっ君は今、何をしてたの?」

 

「ああ、俺がしてたのはコレだよ」

武昭はひふみに自分がしてた仕事を見せた。

 

「そうなんだ……たっ君は背景班なんだね……」

 

「どれどれ、ふーん、もうここまで出来てるんだ」

ひふみとコウは武昭の仕事を見て感心していた。

 

「じゃあ、このまま続けて」

 

「はい、分かりました」

 

(うわぁ……アキっちがパソコン得意なのは知ってたけど、凄いなぁ……それに比べて私は……)

青葉は自分の仕事が進んでない事で自己嫌悪に陥っていた。

 

「(アキっちに聞けば教えてくれるだろうけけど……それなら昔と変わらないよね……よしっ!)あ、あの…ひふみ先輩……」

 

「ひっ!?な、何か、わからない事があるの……?」

 

「えっと、な、何でもありません!!」

青葉はひふみに何かを尋ねようとしたが軽く怯えられたので聞かない事にした。

 

そうして青葉が席に戻るとパソコンに八神からメッセージが送信されていた。

 

その指示に従って青葉はひふみにアドバイスをもらいながら仕事を進めた。

 

そんな中……

 

「ん?青葉からメッセージ?……んな?」

八神がメールを確認すると青葉からのメッセージだったが、それにはタメ口で絵文字が書かれていた。

 

 

 

「ふーんふーん、ん?八神さんからメッセージ……なっ!?」

そのメールを見た青葉は八神に呼ばれて叱られていた。

 

(全く……葉の奴は……多分、俺に迷惑かけると思って聞かなかったんだろうな)

武昭は、その様子を見て苦笑いしていた。

 

 

 




オリジナル設定。

ちなみに武昭がしてる仕事は、この小説でのオリジナルです。

武昭の母親とひふみの母親は従姉妹同士ですが、事情があり()()()迄知らなかった。



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第5話 昼食と社員証

青葉達が仕事をしているとお昼の時間になったので、ゆんとはじめの2人が青葉を誘っていた。

 

「涼風さん、お昼行こうか?」 「ウチもウチも」

 

「あ、あの、ひふみ先輩は……」

 

「ひふみ先輩はいつもお昼取らへんから……今日は行きますか?」

 

「ん……あの……(どうしよう……でも……)……あっ」

ひふみが、どうしようか考えてる最中に皆が昼食に行き誰もいなかった。

 

「せっかく、勇気振り絞ったのに……」

 

「あれ?皆どうしたんだ?」

「あっ……タッ君……もうお昼だから、皆は……食べに行ったよ……」

 

「あぁー……そんな時間だったのか……ふみ姉は行かないの?」

 

「アッ……わ、私は、もう家で食べてきたから……」

 

「そうなんだ……じゃあ、俺は近くの店で食べてくるよ……あれ?」

 

「おーい青葉 一緒にお昼でも……あれ?」

 

「あぁ、八神さん 葉だったら篠田さん達と一緒にお昼を食べに行きましたよ」

 

「そっかぁ……じゃあ焔地くんはどう?」

 

「えぇ、構いませんよ。俺もこの辺りはまだ慣れてないんで」

 

「よっし、じゃあ行こうか」

 

「あ……コウちゃん……たっ君は……()()()()()()()()()……気をつけて……」

 

「んー?そうか、分かったよ」

八神は武昭を連れて昼食に向かった。

 

「大丈夫……だよね……?」

ひふみは、その後ろ姿を見て呟いていた。

 


会社の近くで……

 

「うーん、ひふみも言ってたけど……焔地くんて、そんなに沢山食べるの?」

 

「まぁ、普通くらいだと思いますけど……八神さんが良いなら、あそこのラーメン屋でも構いませんか?」

 

「あぁ、私は構わないよ、じゃあ行こうか」

武昭は八神と共にラーメン屋に入った。

 

 

 

昼食を終えて……

 

「ただいま、帰りました……あれ?アキっちはまだ帰ってきてないんですか?」

戻ってきた青葉は武昭がいない事に気づいてひふみに尋ねた。

 

「あ……お帰り……たっ君なら……八神さんと一緒にお昼を食べに行ったよ……」

 

「え?!本当ですか!?」

 

「ん?どうしたんや青葉ちゃん。そんなに驚いて」

 

「八神さんが焔地くんとお昼を食べに行っただけでしょ?」

 

「そうなんですけど、アキっちって沢山食べるんです!!」

 

「ただいま戻りました……ん葉達も帰ってたんですか」

 

「ただいま……まさか、あれほどとは……」

武昭と八神が帰ってきたが八神が顔を青くしていた。

 

「コウちゃん!?どうしたの!顔色が悪いわよ!?」

偶々来たりんは八神の顔色が悪い事に驚いていた。

 

「あぁ……りん……いや、何でも無いから……」

 

「あぁ……八神さんの気分が悪いのは俺のせいなんです……」

 

「あら?どういう事かしら?」 

りんは笑顔だが軽く怒っていた。

 

「いや、八神さんと一緒にお昼を食べに行ったんですけど……俺の食べる量に驚いたんです」

 

「焔地くんの食べる量って……どれだけ食べたの?」

 

「えっと……麺が5玉入ったチャーシュー麺のチャーシューのトッピングを5人前に餃子を7皿と炒飯の超盛りと唐揚げを3人前ですね」

 

(((うわぁ……)))

武昭の食べた量を聞いたりん、ゆん、はじめは顔を青くしていたが……

 

「え!?たった、それだけなの!?」

 

「たっ君……身体……調子悪いの?……」

武昭の事を知ってる2人は逆に驚いていた。

 

「ちょ、ちょっと待って青葉ちゃん……それだけって……焔地くんは、もっと食べるの?」

 

「はい!アキっちは普通ならラーメンだけでも()()()()1()0()()()()()()()()()()!!」

 

「最低て10人前って……」

 

「本気出したら、どれだけ食べるん?」

はじめとゆんは武昭を驚愕の目でて見ていた。

 

「ほらほら、驚いてないで仕事を始めましょう」

りんの言葉に皆は席に座って仕事を開始した。

 

▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲

午後の仕事を開始して……

 

「(トイレでも行ってくるか……)あれ?すみません飯島さん」

 

「んー?どうかしたんか?焔地くん」

 

「トイレに行こうかと思ったんですけど、このフロアには無いんですか?」

 

「あぁ、そうやでウチの場合は一回このオフィスから出ないと行けないんや」

 

「そうですか……すみませんけど、ちょっとトイレに行ってきます」

 

「そうや、帰ってくる時に社員証が無かったら入れへんから気をつけてなぁ」

 

「わかりましたって……俺、社員証はまだ貰ってないんですけど」

 

「えぇ?そんな筈無いやん。ウチかて入社した、その日に貰っとるで ほら」

ゆんは自分の社員証を武昭に見せた。

 

「じゃあ誰かが忘れてるって事ですか……ちょっと遠山さんに聞いてきます あっ、丁度良かった」

武昭がりんの所に行こうとした時に偶々通りかかった。

 

「あら焔地くん、何か私に用かしら?」

 

「えぇ、実は社員証の事なんですけど、まだ貰ってないんです」

 

「そうなの?おかしいわね……コウちゃんに頼んでおいた筈だけど、ちょっと待ってね聞いてくるから」

 

「なら俺も行きますよ、その方が早いですから」

武昭はりんと一緒にコウの所に向かった。

 

それから少し前……

 

「ふんふんふん……うわっ、どうしたんだ?青葉」

 

「あっ……八神さ〜ん……」

コウがトイレにと社外に出ると青葉が体育座りで泣きそうになっていた。

 

トイレから戻ってきて……

 

「全く……社員証を用意してないなんて……事務も適当だなぁー」

 

「あっ、コウちゃん、丁度良かった焔地くんの社員証って出来てるかしら?」

 

「え?社員証って……」

 

「昨日言ったじゃない、新入社員の社員証をお願いって」

 

「あっ!そういや……じゃあ今から作ってきまーす!!青葉行くぞー!!」

 

「焔地くん、コウちゃんに着いて行って社員証を作ってもらってきて」

 

「分かりました」

コウが青葉を引っ張っていく後を武昭は一緒に行った。

 


撮影場所について……

 

「じゃあ最初は青葉からだなって、なんで学生服で来てるんだ?」

 

「嫌だなぁ、八神さんこれはれっきとしたスーツですよー」

 

「だったら、ちゃんとスーツの正しい着方くらい覚えようぜ……(うわ……童顔だからスーツが似合わねぇ……)まぁ良いや」

 

「今、心の声が聞こえましたよ!?」

 

「そういや葉は高校の時に小学生と間違われてたよな」

武昭は苦笑いをして昔の事を思い出していた。

 

写真撮影をしていて……

 

「うーん……ちょっと照明が足りないな……はじめ、照明貸してよ」

 

「え?私、照明なんて持ってませんよ」

 

「多分だけど八神さんは光る剣のオモチャの事を言ってるんじゃないんですか?」

 

「あぁ、それだったら、どうぞ」

 

「焔地ー 悪いけど 光を当ててくれるか?」

武昭は八神の指示通りに光を青葉に当てていた。

 

次に武昭の撮影だったが……

 

「うーん……焔地は焔地でスーツが似合い過ぎてるな……」

 

「まるで、何処かのSPみたいですよね」

武昭は黒いダブルのスーツを着ており、その顔と体格で会社員には見えなかった。

 

「アキっちは私とは逆にお店とかでお酒の試飲を頼まれたりしてたんですよ」

 

「他には新製品のタバコのサンプルを貰ったりもあったな……」

 

「まぁ……青葉も焔地も互いに辛い事があったって事か……これで良しっと。

じゃあ後は私がやっておくから2人は仕事に戻ってて」

八神は武昭の撮影を終えると社員証の作成を頼みに向かった。

 

 

暫くして八神が2人の社員証を持ってきた。

 

「わぁ……こうしてみると入社した気分になりますね!」

 

「とっくに入社してるんだって!それで2人は何処まで進んだ?」

「私は参考書の半分くらいまで進みました……」

 

「俺は、この辺りまでですね」

 

「ふーん青葉も焔地もなかなかじゃん、じゃあもう少ししたら違う仕事を振るから細かい所は実践で覚えてもらうよ」

 

「「はい、分かりました」」

2人の返事を聞いた八神はその場を離れた。

 

「んふふー よーしこれからも頑張るぞー (っとその前にお手洗いに……)」

青葉は仕事を再開しようとした時にトイレに行ったがデスクに社員証を置いて行った。

 

その結果……

 

「うーん……トイレでも行ってくるか……あ、八神さんもトイレですか?」

 

「あぁ、焔地か……うん、ちょっと一息ついたからな うわ!?」

 

「あ……アキっち…八神さん……」

2人が外に出ると体育座りで泣き顔の青葉がいた。

 

「全く……そうならない為にストラップが付いてるんだろ……」

武昭は一度戻ると青葉の社員証を持って戻ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 



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第6話 おやつと過去

武昭と青葉が入社し社員証の件が起きた日の午後……

 

「うーん……とりあえずは、こんな所かなぁ……「アキっち」ん?どうした」

 

「先輩達とオヤツを食べないか誘われたから呼びに来たんだ」

 

「そうか、じゃあ行くよ……っと、ちょっと待っててくれ」

武昭は青葉に断りを入れると何処かに行った。

 


青葉が先輩達の所に戻るとゆんが声をかけてきた。

 

「あれ?青葉ちゃん、焔地君はどないしたん?」

 

「はい、誘ったんですけど何処か行ったんです」

 

「そういえば焔地君て、ひふみ先輩の親戚なんですよね?」

 

「うん……とは言っても私が最後に会ったのは5年前……なんだよね……」

 

「ひふみ先輩、5年前ってもしかして……()()()()()()()()()()()()()

 

「やっぱり……青葉ちゃんも知ってたんだ……」

 

「何ですのん?2人だけの秘密みたいな感じで」

 

「私達にも教えてくださいよー」

ゆんとはじめが何かを聞こうとした時に武昭が戻ってきた。

 

「おかえり、アキっち、何処に行ってたの?」

 

「あぁ、駐車場だよ 車からこれを持ってきたんだ」

武昭は紙袋からタッパーを取り出して机の上に置き蓋を開けると中身一杯のプリンが入っていた。

 

「うわぁ……これってプリン?」

 

「あぁ、会社の人達に作ってきたのを忘れててな 先輩達もどうぞ」

武昭は紙袋から紙皿とプラのフォークを出し更に幾つの小さな入れ物に色が着いた物を取り出した。

 

「焔地君、それって何なん?」

 

「これはプリンに掛けるソースですよ これがイチゴでこっちはオレンジに……」

 

「ハハハ、焔地君て普通の女性達よりも女性らしいね……」

 

「アキっち、その紫のって何?」

 

「コイツはブルーベリーだぞ いるか?」

 

「うん、ちょうだい……う〜ん、やっぱりアキっちの料理は美味しいなぁ〜」

 

「アキ君……私は、その茶色の奴をくれるかな」

 

「はい、ふみ姉 そいつはカカオとラム酒を混ぜて煮詰めた奴だよ」

 

「そうなんだ……うん……苦味があって互いに引き立て合ってる……」

 

「飯島さんと篠田さんもどうぞ」

 

「ほな、私はイチゴので食べてみようかな」

 

「私は、その緑の奴でちょうだい」

 

「どうぞ、緑の奴はキウイで作りました」

 

「何やろ……美味しいんやけど……」

 

「女性として負けを感じるな……」

 

「おっ、何か美味しいそうな物食べてるじゃん」

 

「あっ、八神さんにりんさんもどうですか?俺が作ったプリンですけど」

皆が食べてるとコウとりんが来たので武昭は声をかけた。

 

「へぇ、焔地って料理が上手いんだな……うん、美味しい」

 

「コウちゃんの言う通りね、ねぇ焔地君、これって簡単に作れるの?」

 

「はい、レシピは簡単なんで、直ぐに書きますよ これですね

ついでにソースのも書いておいたんで」

 

「えぇ、ありがとう」

りんは武昭からプリンのレシピのメモを貰った。

 

「あっ、さっき焔地君がいない時に青葉ちゃん達と話してたんですけど……

ひふみ先輩が焔地君と5年前に再会したって言ってたんですけど何があったんですか?」

はじめが気になった事を尋ねた時に事情を知る2人は軽くビクッとなったが武昭だけは何処か言いづらそうにしていた。

 

「あぁ……5年前に……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「え……そ、そうだったんだ……焔地君……その……」

 

「別に謝らなくても良いですよ……いつかは話す事でしたから……

それに、今はこうしていますから……」

 

「ハイハイ、休憩するのはそこまでにして仕事を再開しましょう」

 

「そうだな、りんの言う通りだな……ほらほら 終わらせないと残業になるぞ?」

武昭の話を聞いた皆は軽く気まずい雰囲気だったが、りんとコウが仕事を促したので皆は仕事を再開した。

 

(ふぅ……いつかは話す事って言ったけど……やっぱり、こうなったか……)

武昭は仕事をしながら、さっきの事を考えていた。

 



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第7話

試験的に今回の話はキャラ達が分かる様にセリフの前に名前の文字を一文字入れています。

ですので、多少読みづらいと思います。

青葉→青
ひふみ→ひ
コウ→コ
りん→り
はじめ→は
ゆん→ゆ
上記の様にします。

ちなみに何も無いセリフは武昭です。


青葉と武昭が仕事をしていると終業時間が来たので皆は帰り仕度をしながら話していた。

 

「うーん……今日は、ここまでにして帰ろうか」

 

「そうね、コウちゃんも、ちゃんと家に帰らないとダメよ?」

 

「もーう、ちゃんと2日おきには帰ってるよー」

 

「いやいや、2日おきでもダメだと思いますよ」

 

「さーてと、私は何処かでラーメンでも食べて帰ろうかなぁ」

 

「私は、明日は朝ごはんの当番やったなぁ」

 

「あ、ふみ姉 良かったら送って行こうか?俺、車だし」

 

「う、うん……アキ君が構わないなら……お願いするね」

 

「え?アキっちって車で通勤してるの?」

 

「ああ、そっちの方が楽だからな」

 

「へぇ、新入社員のくせにマイカー通勤とは生意気だなぁ」

 

「いやー 俺の場合は【男優法】の関係があるんで」

武昭の言葉に皆は納得していた。

 

「そう言えば、アキっちって高校入って直ぐ位に自動車学校に通って早めに免許を取ってたっけ」

 

「まぁ、運転は早ければ、それなりに慣れてくるからな」

 

「ねぇねぇ!焔地君てどんな車乗ってるか見せてくれる?」

 

「良いですよ、駐車場にありますから」

皆は武昭と一緒に駐車場に向かった。

 


駐車場に行くと敷地内に青みがかかった黒色をしたワンボックスカーが駐車してあった。

 

「あっ!やっぱりこの車だったんだ」

 

「え?青葉ちゃん、この車に乗った事があるん?」

武昭の車を見た青葉が見覚えがあった事にゆんが聞いた。

 

「えぇ、高校時代に葉が部活に入ってて、幼馴染の俺が足代わりだったんですよ」

 

「へぇー そうなんだぁ……ねぇ、中を見せてもらえる?」

 

「はい、どうぞ……とは言っても普通ですけどね」

 

『うわぁ………』

以前に武昭の車の車内を見た事がある青葉以外の皆が感心の声をあげていた。

 

「凄いキャンプの道具が入ってるわね……」

 

「けど、ちゃんと綺麗に収納してるな……」

 

「うわっ!これって冷蔵庫ちゃうん?」

 

「あっ!本当だ!!」

 

「たまに1人キャンプとかするんですよ さてと、じゃあふみ姉助手席に乗ってね」

 

「うん……それじゃあ、皆……さようなら」

 

「じゃ、皆さんお先に失礼します」

武昭はひふみを乗せて、そのまま駐車場を出て行った。

 

車内では武昭とひふみが話していた。

 

「それにしても……ありがとう、ふみ姉……俺を会社に紹介してくれて……」

「ううん……私もたっ君のお母さん……由奈(ゆな)さんには、お世話になってた事があったから……」

 

「そうだったんだ……ふみ姉……」

 

「どうしたの?たっ君……」

 

「ここの会社の人達って……皆、良い人達だね……」

 

「うん……そうだね……それに……何か困った事があれば……いつでも……頼って……」

 

「うん……ありがとう……」

車内は優しい雰囲気のまま武昭はひふみを送った。

 

青葉達が入社した次の日……

 

「青葉ー 昨日渡した参考書は何処まで出来た?」

 

「あっ!はい!ここまで出来ました!!」

 

「うん、そうか じゃあ今度は、これをやってもらおうか」

コウは青葉にあるゲームの画面を見せた。

 

「うわぁ……凄いですね……けど、何か寂しいですね……」

 

「そうだよ、だから青葉にはこれからキャラデザインをやってもらうよ はい」

コウは青葉にキャラの設定が書かれた書類を渡した。

 

「分かりました……そう言えば、アキっちは何をしてるんですか?」

 

コ「あぁ、焔地だったら……「八神さん これ確認お願いします」あぁ、ちょっと待ってて青葉。

うん、これで良いよ」

 

「ありがとうございます ん?なんだ葉も新しい仕事をやらせてもらえるのか」

 

「そうだよ……アキっちは何をしてるの?」

 

「あぁ、俺は言われてた背景の仕事が終わったから、同じキャラデザだよ」

武昭は葉に書類を見せた。

 

「それにしても焔地は仕事が早いし間違いも少ないな」

 

「まぁ、俺は1人でいる事が多かったんで、よくパソコンをしてましたから」

 

「そっか、まぁ早いなら、それにこした事はないからね」

 

「葉、何か分からない事があるなら俺が分かる範囲で教えてやるからな」

 

「うん、ありがとうアキっち」

2人は、そのまま自分の席に戻って仕事を始めた。




男優法……正式名称【男性優待保護法】と呼ばれてる物。

男性の数が少なくなってきてるので男性を優位にする為の法律。

具体例

一夫多妻の許可。
男性専用車両の設置。
各種免許の必要取得年齢の引き下げ。
(普通自動車免許が原付と同じく16歳から取れるが学校などは通う必要がある)
高額商品の購入時割引。

焔地由奈 武昭の母親。

武昭が産まれた時期に夫を事故で亡くしており女手一つで育てていた。
その為、身体を壊し体調が悪かったので火事が起きた頃は身体が自由に動かなかった。


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