リトルウィッチジャスティス (ベンジャー)
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EPISODE1 『正義の味方』

そこは「魔法」というものが存在する世界。

 

その世界のある日のある夜、とあるライブ会場にて・・・・・・。

 

そこでは「シャイニィシャリオ」と呼ばれる魔女が本日会場に来てくれた人々の為に本日は彼女によるマジックショーが行われていたのだ。

 

勿論、マジックショーと言っても手品などの類ではなく本当の「魔法」によるマジックショーであり、観客席はほぼ満席。

 

そしてシャリオによるショーはスタートし、先ず最初にシャリオは幾つもの眩い光が会場に降り注ぎ、彼女の愛用の杖である「シャイニィロッド」が現れるとロッドは光を放ちながら独りでに動き出し、その光の中から1人の赤髪の女性・・・・・・シャリオが現れる。

 

「みんなー!! ようこそ!!」

 

シャリオがそう叫ぶと光は花弁となって舞い、彼女がロッドを床にかざすと幾つもの光が客席の周りに放たれると白い木が出現し、門のような形を作る。

 

「さぁ、魔法の国に出発よー!!」

 

そう言いながら彼女は踊るようにロッドを振るって今度は上空にロッドを向けるとそこから様々な色の動物や妖精のようなものが現れ、人々の顔は笑顔で溢れかえる。

 

その時、客席の後ろから鯨の身体とカエルの手足、蝙蝠の羽のようなものがついた魔物が出現し、シャリオはロッドを箒にするとその上に飛び乗り魔物に向かって行く。

 

シャリオは先ほど自分が作った門の上に着地するとシャリオは呪文を唱えながらロッドを今度は弓矢のような形に変え、それを構える。

 

「マクミル、ミクミル!! シャイニー・・・・・・!! アルク!!!!」

 

シャリオは矢を放ち、魔物はそれを飲み込むと身体が膨らんで破裂・・・・・・そのまま先ほどの魔物は花火となり、暗い空を明るくしたのだ。

 

「忘れないで。 信じる心が・・・・・・あなたの魔法よ」

「「わああ・・・・・・!!」」

 

そんな彼女のショーはとても幻想的で美しく、シャリオに憧れの視線を向ける目を輝かせた少女が2人いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それれから、10年の月日が流れ・・・・・・。

 

「ブライトンベリー」という街にて・・・・・・。

 

そこでは街の噴水の前でシャリオに憧れの視線を向けていた2人の少女・・・・・・1人は茶髪の「カガリ・アツコ」こと「アッコ」という少女ともう1人は胸に片翼のバッジをつけ、黒髪だが赤いメッシュの入った長髪の少女「正義(まさよし) ジュリ」が何やら興奮した様子で立っていた。

 

「遂に来たんだ! 世界一の魔女シャイニィシャリオが学んだ聖地に・・・・・・!」

「アッコ!! 記念写真撮ろうぜ記念写真!! 聖地に来たら先ずは写真撮影っしょー!!」

「だよねだよね!!」

 

ジュリは「夜は焼き肉っしょー!!」みたいなテンションでシャフ度をしながらスマホを取り出し、アッコと肩組みをしながらパシャリと自撮りし、2人は「ヒャホホホヒャッホイ!!」と元気にハイタッチ。

 

そのまま手を繋いで一緒にクルクル回っていると不意に2人は動きを止め、手で口元を押さえる。

 

「「うぇっぷ・・・・・・」」

 

どうやら回り過ぎて2人とも気持ちが悪くなったらしい。

 

「あたし達、ここで魔女になるんだ!!」

 

実はこの2人、幼い頃にシャイニィシャリオのショーを観て以来魔女になるのが夢であり、今日はその夢の第一歩として魔女を育成する学校・・・・・・「ルーナノヴァ」の入学式がある日なのである。

 

「さて、それじゃルーナノヴァの停留所へ・・・・・・しゅっぱーつ進行ーーーー!!!!」

「イエェーーーイ!!!!」

 

ジュリのかけ声と同時にアッコも元気に右手をあげながら2人でルーナノヴァ行きのバスの停留所を探すことになったのだが・・・・・・。

 

幾ら探してもなぜかルーナノヴァ行きのバスの停留所が見つからず、仕方が無いのでアッコは色んな人にルーナノヴァ行きの停留所を聞いて廻ることにしたのだが、誰に聞いても停留所の場所は知らないらしく、中々見つけられないでいたのだ。

 

「ってジュリも停留所の場所色んな人から聞いてよ!! なんであたしばっかにやらせんの!!?」

「しししし、知らない人に声かけるとか必要に無理だし。 そ、そういうのはアッコの方が得意じゃん」

「このコミュ障!!」

「なんとでも言え!! コミュ力お化け!! 知らない人と話すくらいならミミズにキスする方がマシだ!!」

 

アッコは指をつんつんしてるジュリに呆れた視線を向け、「あたしにはズカズカ来る感じのくせに」と文句を言いながらもアッコだけで停留所の場所の聞き込みを続けるのだが・・・・・・。

 

やがてこの町には停留所なんて存在しないということが判明し、取りあえず分かるところまで行くことになり、そこまで辿り着くと彼女達は一旦ベンチに座り、再び案内地図を見る。

 

「はぁ、おっかしいな。 確かに『停留所』ってあるのに・・・・・・。 大体この地図おおざっぱすぎだよ。 こんなんで分かる訳ないじゃん」

 

地図を見ながら文句を言うアッコだが、その時ジュリは「んっ?」とあることに気づき、アッコから地図を借りて少し先のところにある建物と見比べてみる。

 

「これあそこじゃない? シルエット的に一緒じゃん」

「えっ? おぉ、ホントだ!! みっけたみっけた!!」

「見つけたのは私だけどな!」

 

アッコとジュリは急いで停留所のある場所へと駆け出して行くのだが・・・・・・その時、アッコが前方不注意で反対方向を歩いていた1人の少女とぶつかってしまい、2人はその場に転けてしまう。

 

「ちゃんと前見ないからだぞ、アッコ」

「あいたた・・・・・・ご、ごめんなさ・・・・・・うぁ?」

 

その時、アッコの目の前に1枚のパンフレットが落ち、それは先ほどアッコとぶつかった少女が持っていたものであり、箒も持っていたことから彼女も自分達と同じルーナノヴァの新入生なのではと考え、アッコは興味津々な様子で先ほどの少女に詰め寄る。

 

「これあなたの!? ルーナノヴァの新入生!? 今から始業式に行くところ!? やったぁ! 魔女の学校にたった2人で乗り込むなんてちょっと心細かったんだぁ・・・・・・。 あたしアッコ! 6歳の時にシャイニィシャリオの魔法ショー見てから夢だった! っていうか、夢以上の宿命? 勿論知ってるよね、シャイニィシャリオ!!」

 

アッコはそう言いながらシャリオのカードを取り出して少女・・・・・・「スーシィ・マンババラン」に見せ、ジュリは「よく喋んなこいつ」と思うのだった。

 

アッコの後ろにビクビクして隠れながら。

 

「っていうかジュリは何あたしの後ろに隠れてんの?」

「い、いやだって・・・・・・知らない人と話すのとか・・・・・・無理」

「もー! そんなんでジュリの夢って叶えられるの!? あっ、この娘は私の友達の正義 ジュリ! 人見知りであたしと同じ日本から来て今日一緒に入学するの! あたしと同じようにジュリもシャリオのショーを見たのが魔女になろうと思ったのが切っ掛けなんだ!! まぁ、あくまで切っ掛けってだけでジュリの夢はあたしとは違うんだけどね」

 

そしてアッコはシャリオのレアカードを「あたしの宝物!」と自慢げにスーシィに見せつけるのだが、彼女はあんまり興味が無さそうだった。

 

「魔法界でもシャリオってすごいんだよね? あたしの周りだと、シャリオ好きな子ジュリくらいしかいなくて・・・・・・いつの話してんのって言われるんだけど、あんな凄いことできるのシャリオ以外いなくない? なんてたって月を・・・・・・」

 

するとスーシィはなぜかアッコが転んだ際に落っこちた鳥のぬいぐるみのような枕の元まで突然歩き出し、紫の液体の入った瓶を取り出すとその枕に紫の液体の一滴を落とす。

 

(えっ、何してんのこの人?)

 

するとアッコの枕はその液体の影響か突然動きだし、それにアッコとジュリは驚きの声をあげる。

 

「すごーい! 傀儡魔法! 初めて生で見たよ。 よーしよし、こっちおいで」

 

アッコは枕に両手を広げて「こっちへおいで~」と言うのだが、枕は嘴でアッコの左目を突いた。

 

「うああああああ!!!? 目が~!!? 目が~!!?」

「ちょっ、大丈夫アッコ!? なにすんのさアンタ!?」

 

コミュ障のジュリもこれには怒り、スーシィに文句を言おうとしたのだがスーシィはそそくさとその場から歩き去っており、2人は慌てて追いかける。

 

「あなた名前は? さっきのどうやるの? あたしも通販の魔法教材で習ったんだけどさっぱりで・・・・・・。 基本もできてるかよく分かんないし。 でも学校に入れたらシャリオみたいな魔法使えるようになるかなーって」

(ってかアッコの目がもう治ってやがる。 相変わらずどんな身体してんのさ)

 

ジュリはアッコの傷の回復力の高さに驚いている中、今度は橋の上で不意にスーシィが立ち止まると突然彼女はアッコに向かって手を差しのばして来たのだ。

 

アッコは戸惑いながらも「よろしくー!」とスーシィと握手するのだが・・・・・・今度は少女が服の下に忍ばせていた蛇がアッコの腕に絡みついたのだ。

 

「うわあああああ!!!!? やだやだやだ!!」

 

そのままアッコはバランスを崩して橋の下の池に落下してしまう。

 

「アッコー!!?」

 

ちなみに蛇の正体はただの縄であり、どうやら魔法で変身していたようだった。

 

尚、スーシィはそのままアッコのことなど放って置いて立ち去っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、全く・・・・・・。 なんなの、あいつ・・・・・・」

「完全にからかわれてるね、アッコ」

 

その時、停留所に向かう為の階段を登っていると2人の目にルーナノヴァの制服を着た少女3人がいることに気づき、アッコはそんな彼女達に話しかけようと階段を駆け上がる。

 

「ルーナノヴァの制服!!」

「ちょっ、置いてかないでよアッコ~!!」

 

3人のルーナノヴァの生徒は春休み中のことを話していた。

 

「春休みどうだった?」

「どこへ行っても観光客でうんざり」

「ところで、今日来る新入生2人ほど魔女家計の娘じゃなんだって~」

 

それを聞いて生徒2人は「マジで~!?」と驚いた声をあげ、そのことに不満の声をあげる「ハンナ」という少女。

 

「まったく、最近一般人入れすぎ!」

「近頃学校が経営難で魔女家計でなくても入れないとやっていけないとか。 ルーナノヴァの品格が下がりますわ!」

 

ハンナと同じように文句を言っているのは「バーバラ」という少女であり、「もしかして箒にも乗れないんじゃない?」なんて話をしており、それを聞いてアッコはなんだか気まずくなり、いなくなるのをちょっと待とうかと思ったのだが・・・・・・。

 

「誰?」

 

気づかれてしまい、止むなく「か、カガリ・アツコ。 新入生の・・・・・・」と名乗り、ジュリに至っては速攻でアッコの後ろに隠れた。

 

「えっと、それでこの娘は正義 ジュリ」

「じゅじゅじゅ・・・・・・じゅえっぐ!?」

 

今回はなんとか頑張って名乗ろうとしたのだが、緊張のあまり彼女は思わず舌を噛んでしまい、涙目になってしまう。

 

「あ、あの・・・・・・早く来ると良いね、バス」

「バス?」

「えっ? ここがバス停なんでしょ!?」

 

すると3人の少女はそれを聞いて突然「あはははは!!」と笑い出す。

 

「何にも知らないのね!」

「こんなところにバスが来るとお思い?」

「「「ティアフレーレ!!!!」」」

 

3人は箒に対して呪文を唱え、ハンナが言うにはここはバスではなく箒の停留所「レイラインターミナル」という場所らしく、ルーナノヴァまではレイラインというもので結ばれており、レイラインには太古の昔から魔法のエネルギーが走っていてそのエネルギーに乗ればルーナノヴァまで飛んで行けるというのだ。

 

3人は箒に乗ると建物の中に入り、天井にあるトンネルのようなものに向かって浮遊する。

 

恐らく、あれが彼女等の言う「レイライン」なのだろう。

 

「急ごう!」

「始業の儀式に遅れたら魔法界から永久追放ですわ!」

 

そのまま彼女等3人はレイラインの中へと消えて行き、今の話を聞いてアッコとジュリは「どうしよう」と顔を見合わせる。

 

何せ、彼女等2人は箒を持っていないのだから。

 

「ええい!! 今更諦めきれるか!! 最後まで諦めないぞ私は!!」

 

ジュリはそう叫びながら一差し指を天井に向ける。

 

「一度故郷を離れたからにゃあ負けねぇ引かねぇ悔やまねぇ!! 前しか向かねぇ振り向かねぇ!!  ねぇねぇ尽くしの男意地よ!!」

「ジュリって女じゃん。 胸ないけど」

「やかましい!! アッコだって大してないくせに!!」

「少なくともジュリよりはあるよ」

「クソッタレ!!」

 

何にしても、アッコもここまで来て諦めるなんて選択肢はなく、箒が乗れない以上ここから木の蔦を伝って這い上がるようにして登るしか手はなく、2人は蔦を掴みながらなんとかレイラインまで駆け上がろうとする。

 

しかし、蔦は途中で耐えきれずに千切れてしまい、2人とも落下して背中を地面に打ち付けてしまう。

 

「いったぁ~!?」

「うぅ~!」

 

2人が少し泣き出しそうになっていたその時、また別のルーナノヴァの制服を着た少女「ロッテ・ヤンソン」がこちらに向かって歩いて来ていることに気づく。

 

だが、ロッテは途中でつまずいて転んでしまい、持っていた荷物が幾つか飛び出してしまう。

 

「もぉ~! お母さんもヤンネさんもお土産持たせすぎだよ!! こんなに・・・・・・」

 

不満げな様子でそんなことを言っているとそこへアッコが彼女の帽子を拾い、ジュリも荷物から飛び出していた物を拾いあげ、顔を引き攣られせながらも「ど、ど、どうぞ・・・・・・」と物を差し出す。

 

「ありがとう」

 

そのままロッテはお礼を言ってから建物の中に入り、箒に跨がってレイラインに乗ろうとするのだが・・・・・・そんな彼女をアッコはジトっとした視線で見つめていた。

 

(えっ、なにその『ちょっと乗せてってくれないかな~』って視線?)

「あ、あなた達行かないの? 始まっちゃうよ始業式?」

 

ロッテがそう尋ねるとアッコが目尻に涙を浮かべ、ロッテは見ない顔だったので「もしかして新入生?」と不思議そうな顔を浮かべながら尋ね、それにアッコとジュリは頷く

 

「ルーナノヴァは校則に厳しいの。 遅刻したら学校に入れないよ? 即退学」

「箒がないの、あたし達2人とも。 あっても乗れないし・・・・・・」

「わ、私も多分・・・・・・」

 

ロッテは困った顔を浮かべ、少し考え込んだ後・・・・・・とても残念そうにしている彼女等2人を見かねたのか「乗る?」と尋ね、その申し出を受けてアッコとジュリの2人は「えっ?」と首を傾げる。

 

「3人乗りはしたことないけど、やればできるかもしれないし」

「ホントに!? ありがとう!! 親切な魔女もいるんだね!! あたしカガリ・アツコ!! アッコって呼んで!! この娘は正義 ジュリ!」

 

アッコはロッテに抱きついてお礼を言い、それに戸惑いつつもロッテも自分の名を彼女等に名乗り、もう時間が無いそうなので急いで箒に乗って欲しいと頼まれる。

 

「うん!!」

「あり! あがっ・・・・・・あざす!!」

「「あざす?」

 

ジュリもせめてお礼くらいちゃんと言おうとしたのだが・・・・・・緊張してしまい上手く言えず、変な言葉を口にしてしまうのだがジュリ本人は「よし、ちゃんとお礼言えた!」と満足げだった。

 

「いや、言えてなくない?」

 

兎に角、ロッテの言葉に甘えてアッコは箒に自分の手提げの荷物をかけ、ジュリは荷物は背中のリュックだけなのでそのままロッテの箒に一緒に跨がる。

 

「それじゃ行くよ!」

「「うん」」

「飛べ、我が箒・・・・・・ティアフレーレ!!」

 

ロッテがそう呪文を唱えると箒は浮かびあがり、荷物が多すぎて若干落ちそうになりはしたが・・・・・・なんとかレイラインに入ることが出来たのだ。

 

しかし、荷物が重い割に予想以上のスピードが出ており、アッコもジュリも叫び声をあげてしまう。

 

「なんかのアトラクションみたいこれ!? 私ジェットコースター苦手なのにいいいい~!!!!」

「なにこれなにこれなにこれ!? うわあああああ!!!!? やっぱ無理無理! 降ろして~!」

「少し大人しくして!」

 

騒ぐジュリとアッコにロッテは注意するが、その時突然強い突風が起き、それを受けた3人は吹き飛ばされそうになる。

 

なんとか持ちこたえはしたが、その際にいくつかの荷物を落としてしまい、その荷物の1つ・・・・・・もう動かなくなってしまった先ほどの枕が彼女等の後ろを飛びながら本を読んでいたスーシィの顔面に激突。

 

「伝説の森、アルクトゥルスへは並みの魔女では入ることはできない・・・・・・ってうっ!? なんなの、この枕・・・・・・?」

 

一方でジュリ達はというと・・・・・・。

 

先ほどから突風が吹いており、普段ならこんなことはないのだがロッテは「もしかしたら」と思い2人に「塩」を持っているかどうかを尋ねる。

 

「「塩?」」

「レイラインは塩分を嫌うの!」

 

ジュリは首を横にブンブン振って特に塩分のあるものは持って来てはいないと言い、アッコは少し考えた後、「これとか?」と小さな壺のようなものを取り出す。

 

「なにそれ?」

「梅干し」

「捨てて!!」

「えっ、でもあたし梅干しがないと生きていけな・・・・・・」

 

だが相変わらずレイラインから突風が吹き荒れており、ジュリも「捨ててアッコ!!」と懇願し、アッコも「分かった!!」と言って梅干しを捨てようとするのだが・・・・・・その際、彼女の持っていたシャリオのカードが飛び出し、どこかに飛んでいってしまう。

 

「あたしの宝物!!」

「「ちょっ、危ない!!」」

 

アッコがカードに手を伸ばしたせいでバランスを崩してしまい、アッコとジュリは箒から落っこちてしまう。

 

「「うわああああ~~~!!!!?」」

 

その時、アッコは丁度枕を顔から剥がしたスーシィと顔面衝突してしまい、4人はレイラインの突風に巻き込まれてしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ~・・・・・・」

 

次にジュリが目を覚ました時、そこは見知らぬ薄暗い森の中であり、丁度近くにいたのかアッコが「ジュリ大丈夫!?」と声をかけてきた。

 

「私は大丈夫・・・・・・」

「良かった。 あっ、私のお宝も無事だったよ!」

 

周りを見ればロッテやスーシィもおり、ジュリはスーシィの顔を見て一瞬「げっ」と少し嫌そうな顔をしていたが。

 

「ロッテ大丈夫? 怪我ない?」

「大丈夫だけど、箒が・・・・・・」

 

ロッテの箒は先が折れており、これではもう飛ぶことができなくなってしまったのだ。

 

「・・・・・・どうやら目的の場所に着いたらしいね」

「目的の場所? じゃあここがルーナノヴァ?」

「まぁ、魔女が住みそうなところではあるよね」

 

スーシィの呟きを聞いてアッコがここがルーナノヴァなのかと疑問に思うのだが・・・・・・ロッテ曰くここは全く知らない森なのだと言う。

 

「・・・・・・アルクトゥルスの森」

「アルクトゥルス・・・・・・。 嘘!? 禁断の森!?」

 

スーシィの呟きにロッテは驚きの声をあげるのだが、アッコとジュリは「なにそれ?」と首を傾げる。

 

ロッテが言うにはここは古い伝説の森であり、「魔法樹」と呼ばれるもので守られた神聖な場所で一度迷い込んだら魔女でも出るのは難しいらしい。

 

「そんな! 困るよ、始業式に間に合わなくなる!」

「それどころか一生ここから出られないかもね」

「ちょっと! 脅かさないでよ!!」

 

アッコはスーシィの言葉に怒り、またスーシィの言葉を聞いたジュリはこの状況をなんとかする為に胸のバッジを使うべきかと一瞬悩んだのだが・・・・・・。

 

(いや、こんなことでこの力を使う訳にはいかないか・・・・・・。 マジでここから抜け出せなくてダメな時は頼ろう)

 

するとアッコは先ほど自分が落とした荷物を発見し、急いでそれらを拾いあげるのだが・・・・・・。

 

木の上にあった巨大なワカメのようにぶら下がっていた植物・・・・・・「吸血植物 スフラン」が長い蔦を使ってアッコに襲いかかって来たのだ。

 

「アッコ!!」

「うぇ?」

 

紙一重でアッコはスフランによる一撃を避けるが、スフランは大量の蔦を使ってアッコ達に襲いかかり、一同は急いでその場から走って逃げる。

 

「なんなのあれ!?」

「吸血植物スフラン、名前の通り生き物の血を吸う植物さ」

 

アッコの疑問にスーシィがそう答え、彼女は「こっち!」とジュリ達を誘導すると崖の下に隠れ・・・・・・なんとかスフランから逃げ切ることに成功したのだった。

 

その際アッコが足を踏み外して身体を車輪のように回転して転んでいたが。

 

「・・・・・・うん、よし」

 

するとスーシィは何かを見つけたらしく、彼女の視線の先には巨大な鳥の足跡のようなものがあり、ジュリもそれに気づいて首を傾げる。

 

(なにこれ? 足跡・・・・・・?)

「ねえ、ちょっとこっち来て」

 

次にスーシィはロープをどこから取り出し、それを円を描くように置くと彼女はジュリ達を呼び、ロープの中央に立たせる。

 

「あっ!! ちょっと待ってアッコ!! なんか嫌な予感が・・・・・・!!」

 

最初こそスーシィの言う通りにしていたジュリだったが、先ほどのアッコとのやり取りを思い出し、もしかして何かよからぬことを企んでいるのではと不安になり、すぐにロープの外に出ようとするのだが・・・・・・。

 

「ジュラスハラスハラス」

 

時既に遅く、スーシィはどこからか瓶を取り出し、その中に入っていた液体をロープにかけるとロープはボール状になって彼女達を包み込んだのだ。

 

「なにこれ?」

「檻か? 檻かこれ!?」

「呪文唱えて」

 

スーシィの言葉に「呪文?」とアッコは首を傾げ、ロッテは「それで道が見つかるの?」と疑問に思うのだが、スーシィはそれには答えず呪文の言葉だけを伝える。

 

「クチュルカテラフラーラ」

「クチュルカテ・・・・・・フラ、フラフラ?」

「クチュルカテラフラーラ!! もっと腹から声出す!!」

 

スーシィにそう言われ、アッコは言われた通り今度は言い間違えもせず、しっかりとスーシィに教えられた呪文を大声で唱える。

 

「クチュルカテラフラーラアアアアアア!!!!!」

「キジャアアアアアアアア!!!!!」

「んっ? なんの声?」

 

すると、突然どこからか獣の鳴き声のようなものが聞こえ、後ろに気配を感じ、ジュリ、アッコ、ロッテが後ろを恐る恐る振り向くと・・・・・・。

 

「クエエエエエエエン!!!!」

 

巨大な鳥の怪獣、「火山怪鳥 バードン」が姿を現し、こちらに向かって来ていたのだ。

 

バードンはジュリ達を睨み付け、ジュリとアッコは「アハハハ、どうも」と苦笑いをしながら挨拶し、アッコはひっそりとスーシィにさっきの呪文は一体なんだったのかと尋ねる。

 

「『バカめ、悔しかったら私を食べな』って意味」

「はぁ!!?」

「お前もう怒ったぞ!! 下手に出てりゃ良い気になりやがって!! 私達をこいつの餌にするつもりか!!?」

 

流石のジュリもこれには怒り、先ほどと違ってスーシィに対しハキハキと喋り文句を言いまくる。

 

しかし、スーシィはそんなこと全く気にせず、箒に乗って空を飛び上がる。

 

「火山、もしくはアルクトゥルスの森にしかいないと言われている火山怪鳥 バードン、その口袋には猛毒があると言われてる。 猛毒コレクターにとっては超レアアイテム、その間に奴から毒を抜くから」

「つまり私達は囮かい!!」

「違う、生け贄! さっきのもう1度唱えて」

 

無論、アッコもジュリも「唱えるかーーーー!!!!?」と怒鳴り、バードンが嘴で彼女等を突こうと攻撃を行い、アッコ達は慌ててボール状の縄の折を中から転がすことで回避。

 

「そうそう気をつけて。 そいつの毒、嘴から相手に流し込むし、掠っただけでも人間には結構有害でさらには口から火も吹くから」

「毒に火って・・・・・・!!」

 

バードンは口から炎をジュリ達に放つが、右に曲がることでなんとか回避し、一方スーシィは注射器のようなものを取り出し、バードンに気づかれないようこっそりと口の毒袋に近づく。

 

スーシィはその毒袋に注射器を突き刺すと素早くそこから毒分を抜き取り、急いでバードンから離れる。

 

「へへっ、頂き・・・・・・」

 

しかし、人間が普段使うサイズの注射器程度では全くダメージの入らないバードンだったが勝手に注射されて毒を抜かれたのか鬱陶しかったのか、バードンは狙いをスーシィに変え、彼女に口から炎を吐き出す。

 

「おーっとと」

 

慌ててスーシィは火を回避するのだが、バードンはしつこくスーシィに襲いかかり、またジュリ達は坂道を走っていた為に止まることができず、木に激突して吹き飛ばされてしまっていた。

 

その際、アッコはなんとか崖から落ちそうになったロッテの腕を掴み、自分も崖に生えていた木に足を絡ませてなんとか落ちずに耐えていたのだが・・・・・・。

 

「あれ? ジュリはどこ!? ジュリを探して早くルーナノヴァに行かなきゃ。 グズグズしてたら始業式に遅れちゃう!」

 

アッコはロッテを引っ張り上げて自分も起き上がり、立ち上がろうとするのだが・・・・・・。

 

その時ロッテが「痛っ!?」と声をあげ、アッコが見ると彼女は膝を擦りむいており、こんな状況ではもう間に合わないと彼女は諦めかけてしまう。

 

「そんなことない!! 諦めないよ、絶対!!」

 

そう言いながらアッコはロッテに肩を隠して起き上がらせ、少しでも進む為にジュリを探しながらアッコ達は歩き始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、そのジュリはというと・・・・・・。

 

先ほど牢が壊された際にジュリはアッコ達とは別方向に吹き飛ばされてしまい、彼女は後もう少しで崖から落ちるという寸でのところな場所で倒れ込んでおり、ジュリはそれに驚いて思わず飛び上がってしまう。

 

「うおっ!? ビックリした・・・・・・。 ってあれ? アッコー?」

 

ジュリは辺り一面を確認し、アッコがいないことに気づく。

 

その後、彼女はバードンに襲われているスーシィの姿を見つめると・・・・・・彼女は「はぁ」と溜め息を吐き出す。

 

「嫌な奴みたいだけど、放っておく訳にはいかないか。 アッコ達を守る為にも・・・・・・」

 

ジュリはそう呟きながら自分が胸につけていたバッジを取り外そうとするのだが・・・・・・。

 

「んっ? あれ? ない!!? どこいった!!?」

 

辺り一面をちょろちょろと探していると彼女は少し下の・・・・・・手を伸ばせば届くか届かないかくらいの距離がある崖下に生えた木の枝にバッジは引っかかっていたのだ。

 

「あんなところに!! ふにゅぅ~!!」

 

ジュリは必死に腕を伸ばし、バッジを手に取ろうとするのだが・・・・・・中々手が届かない。

 

「クッソ・・・・・・!!」

「「わあああああ!!!!?」」

 

その時、アッコとロッテの悲鳴が聞こえ、顔だけをバードンの方に振り向かせるとバードンは再びアッコとロッテを追いかけて襲いかかっており、それを見てマズいと思ったジュリはもっとバッジを取る為に手を伸ばす。

 

「アッコ!! ロッテ!! ぐぐっ・・・・・・もう少し・・・・・・!! 友達の1人や2人、助けられないでどうする!! それができなきゃ、私が目指す私になんてなることはできない!!」

 

彼女は小さい頃から・・・・・・苦しんでいる人や困っている人、多くの人を助ける仕事がしたいと昔から思っていた。

 

そんな時、彼女はアッコと一緒にシャリオの魔法ショーを見て思ったのだ。

 

『魔法を使えるようになれば、色んな多くの人を助け、守ることができるのではないか』と、そんな自分になりたいと。

 

誰かを救い、誰かを助け、弱きを助け強きを挫く・・・・・・そんな自分になりたいと。

 

「だから私は・・・・・・『正義の味方』になるんだ!!」

 

そして彼女のその手は・・・・・・バッジを掴むことに成功し、ジュリは立ち上がるとバッジ・・・・・・「ジャストランサー」の折り畳まれていた羽を展開し、2つにする。

 

それを胸に押し当てるとジャストランサーから光が溢れ出し、彼女はその光に包まれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わああああ!!!? こっちくんなー!!」

 

未だにアッコとロッテを追いかけるバードン、バードンは彼女等に対して口を開き・・・・・・炎を放とうとするのだが・・・・・・。

 

『デェエヤァ!!!!』

「クエエエエエ!!!!?」

 

突然、何者かに蹴り飛ばされ、バードンは大きく吹き飛ばされる。

 

「あれは・・・・・・」

 

そこに降り立ったのは・・・・・・赤と黒のカラーリングが施された光の巨人、「ウルトラマンジャスティス スタンダードモード」が立っていたのだ。

 

『シェアアア!!』

 

ジャスティスは倒れ込んでいるバードンを起き上がる前に掴みかかって持ち上げると、ジャスティスはそのままバードンを投げ飛ばす。

 

「クエエ!!?」

「あれって・・・・・・やっぱり、ウルトラマンだ!! いたんだ!! ウルトラマンって、本当に・・・・・・」

 

アッコはジャスティスを見て目を輝かせながら彼・・・・・・彼女? を見つめ、そんなアッコにロッテは不思議そうに首を傾げる。

 

「アッコ、あの巨人のこと知ってるの?」

「知ってるも何も、日本じゃ有名な絵本のヒーローだよ!! 実在説とかあったみたいだけど・・・・・・まさか本当にこの目で拝める日が来るなんて~」

 

戦闘BGM「ジャスティス!」

 

起き上がったバードンはジャスティスに向かって火炎を放つのだが、ジャスティスは腕を交差して炎を防ぎながらも強引に突き進み、炎を振り払ってバードンに殴りかかるが・・・・・・バードンはそれを躱して右腕を振るい、逆にジャスティスを殴りつける。

 

『グウゥ!!? デヤァ!!』

 

しかし、ジャスティスも負けじとすぐに蹴りをバードンの腹部に喰らわせて反撃し、それによってバードンが怯んだところにバードンの嘴を掴みあげて膝蹴りをさらに腹部に叩きこむ。

 

『シェア!!』

「グルアアアアア!!!!」

 

バードンは首を振ってジャスティスを引き離し、嘴で突こうと何度もジャスティスに攻撃を仕掛けるのだが・・・・・・ジャスティスはそれらを全て躱し、バク転してバードンから距離を取る。

 

『ハアアア、シェアア!!』

 

ジャスティスは右拳から放つ光弾「ジャスティススマッシュ」を発射し、それに対してバードンも火炎を口から吐き、2人の攻撃はぶつかり合って間で爆発。

 

そんな爆発の炎から空中を飛行したバードンが飛び出し、体当たりを喰らわせてジャスティスを突き飛ばす。

 

『ウアアアッ!!?』

 

そのままバードンは旋回してジャスティスに向かって突き進んで来るのだが・・・・・・ジャスティスはそれを嘴が身体に刺さらないように気をつけながら両手で受け止め、そのまま地面に叩きつける。

 

『デヤアア!!』

「グアアア!!?」

 

ジャスティスはそのままバードンに追撃しようと駆け出して行くのだが・・・・・・その時、突然謎の音波が周囲に鳴り響き、ジャスティスはその音波に思わず耳を塞ぎ、苦痛の声を漏らす。

 

『グアアアッ!!?』

「っ、な、なにこの耳障りな音!!?」

「あ、アッコあれ!!」

 

ロッテが指差す方をアッコが見るとそこにはミツカドコオロギに似た巨大な怪人、「音波怪人 ベル星人」が立っており、ベル星人は自身から発せられる音波を使い、ジャスティスを苦しめていたのだ。

 

「なにあれ・・・・・・魔人?」

「クアアアアア!!!!」

 

そこへ、バードンにはベル星人の音波の影響があまりないのか、何事もないかのように立ち上がるとバードンは嘴でジャスティスを突こうと攻撃を仕掛け、ジャスティスは咄嗟に両手でバードンの嘴を掴む。

 

『グウウ・・・・・・!!』

 

だが、そこにベル星人がさらに強力な音波を発し、それによって苦しめ・・・・・・アッコ達も思わず耳を塞いでしまう。

 

そのままベル星人は身動きの取れないジャスティスの横腹に後ろから蹴りを叩き込んで蹴り飛ばし、地面を転がるがすぐにジャスティスは立ち上がって反撃しようとベル星人に向かって行く。

 

しかし、ベル星人は音波をジャスティスに向かって放ち、ジャスティスは耳を防いで動きを止めてしまい、そこにバードンの放った火炎が直撃。

 

ジャスティスは吹き飛ばされて地面に倒れ込む。

 

『グウウウ・・・・・・!!?』

 

そのままバードンは真っ直ぐ倒れ込んで苦しむジャスティスに向かって歩いて来るのだが・・・・・・それを見たアッコは「助けなきゃ!!」と叫び、バードンに向かって先ほどの呪文を唱える。

 

「クチュルカテラフラーラ!!!! やーい!! 悔しかったらこっこまでおいで~っだ!!」

 

スーシィに教えられた呪文を唱え、それによってバードンはアッコ達に視線を移して彼女を睨み付ける。

 

「よし!! あっかんべーっだ!!」

 

あっかんべーをしながらアッコはさらにバードンを挑発し、それに怒ったバードンは雄叫びをあげながらアッコを追いかけ始める。

 

「クアアアアアア!!!!」

『アッコ・・・・・・!!』

 

それを見たジャスティスは自分を踏みつけようとしているベル星人の足を掴み取り、持ち上げてベル星人を転ばせる。

 

『シェア!!』

 

倒れたベル星人にジャスティスは立ち上がって馬乗りとなり、拳を叩き込もうとするのだが・・・・・・寸でのところでベル星人は再び慌てて怪音波を発し、それに思わずジャスティスは耳を塞ぐ。

 

『グウウウ!!?』

 

ベル星人はジャスティスを押し退かし、横腹に蹴りを入れ、さらには回し蹴りをジャスティスに喰らわせる。

 

「ど、どうしよう・・・・・・このままじゃ、アッコもあの巨人も・・・・・・!」

 

アッコはバードンに追われ、ジャスティスはベル星人の音波に苦しめられて上手く反撃ができず、ロッテは一体どうすればこの状況を打開できるのかと思い悩む。

 

「・・・・・・毒キノコでもアイツに食わせてみる? 自衛の為に持って来てたやつが1つあるんだけど」

 

すると、いつの間にかロッテの隣に立っていたスーシィが紫色のキノコを1つ取り出し、ロッテは「それだ!!」と彼女からキノコを受け取り、彼女はベル星人の口(どこにあんだよとツッコんではいけない)に向かって思いっきり放り投げたのだ。

 

「いっけえええええ!!!!」

 

すると見事に毒キノコはパクリとベル星人の口の中に入り、するとベル星人は顔は青ざめ・・・・・・お腹が「ギュルルルル!!」と音を立て始める。

 

『・・・・・・!? ・・・・・・!!?』

 

ベル星人はお腹を押さえながら突然苦しみだし、ロッテは一体自分を何を食べさせたのだろうとスーシィに顔を向けるとスーシィ曰く、あれは「下剤キノコ」らしいのだ。

 

つまり、今ベル星人はお腹を壊している訳である。

 

「げ、下剤って・・・・・・」

「ちなみに人間が食ったら一生死ぬまでトイレから出られないくらい強力なやつだよ。 あんな巨大な生物にまで効き目があるとは思わなかったけどね」

「え、えぇ・・・・・・」

 

賞味期限切れの芋ようかん食わされたラスボスか。

 

何はともあれ、ジャスティスはチャンスだと思い、立ち上がってベル星人に向かってドロップキックを喰らわせる。

 

挿入歌「Touch the Fire」

 

「うわあああ!! ちょっとこっちも助けて~!!」

 

アッコの叫び声を聞き、ジャスティスはジャンプしてアッコを庇うように立ち塞がり、アッコを追いかけていたバードンに回し蹴りを喰らわせる。

 

「クアアアア!!?」

 

ジャスティスはそのままバードンに掴みかかり、アッコから遠ざける為に力尽くでバードンを遠ざける。

 

しかし、途中でバードンはジャスティスの腕を振り払い、嘴による攻撃を行うがジャスティスはそれを流れるように躱してバードンの首筋にチョップを叩き込む。

 

それによってフラつくバードン、そこにジャスティスはバードンに再び掴みかかり、バードンを逆さまに持ち上げてパイルドライバーを喰らわせる。

 

『ハアアア、デヤアアア!!!!!』

「キジャアアアア!!!!?」

 

頭を地面に思いっきり叩きつけられ、目を回したバードンはそのまま倒れ込み、気を失ってしまうのだった。

 

バードンが気を失ったのを確認するとジャスティスはベル星人に向かって駈け出し、勢いをつけたラリアットをベル星人に喰らわせる。

 

『!!?』

『シェア!!』

 

倒れ込んだベル星人の足をジャスティスは掴みあげ、フルスイングして投げ飛ばす。

 

それによって地面を転がるベル星人。

 

ベル星人はなんとか立ち上がろうとするが・・・・・・お腹がまたギュルルルと鳴って痛みのあまり膝をついてしまう。

 

そして、ジャスティス両手を前に突き出して放つ必殺光線「ビクトリューム光線」をベル星人に向かって発射。

 

『ハアアアア、シェアアアア!!!!』

『!!!!!?』

 

直撃を受けたベル星人は身体中から火花を散らし、倒れて爆発四散するのだった。

 

「やったぁ!! ウルトラマンが勝った!!」

 

ロッテ達の元に戻ってきたアッコはジャスティスが勝利したことに喜びの声をあげ、ジャスティスは彼女達の傍にまでやってくると右手を地面に向かってかざし、光の粒子を注がせるとその空間に1つの穴が開く。

 

「これって・・・・・・レイライン?」

 

ロッテの言うようにその穴の中は先ほどまで自分達がいたレイラインが存在しており、もしかしてここを通ればルーナノヴァに行けるのかとアッコはジャスティスに尋ねる。

 

するとジャスティスは頷き、それにアッコは「よし!!」とガッツポーズを取る。

 

『・・・・・・シェア!!』

 

そしてジャスティスは空中へと飛行して姿を消し、ロッテは急いでレイラインの中に入ろうとするのだが・・・・・・。

 

「待って!! まだジュリが・・・・・・!!」

「そっか。 置いて行くわけにはいかないね・・・・・・!!」

 

時間がないのは分かっているのだが、やはり放っておく訳にはいかない為急いでジュリをアッコ達は探そうとする。

 

だが、そこへ・・・・・・。

 

「おーい!!」

 

ジュリが手を振りながらこちらに向かって走って来ているのが見え、それを見てアッコ達は安堵の溜め息を吐くのだった。

 

「もう、どこ行ってたのジュリ!?」

「ごめんごめん! それより、これレイラインでしょ? これに通れば・・・・・・!」

「そうだね、急ごう!!」

 

そのままジュリ、アッコ、ロッテ、スーシィの4人は再びレイラインの中に入ってルーナノヴァを目指すのだった。

 

「ってこれなんか落っこちてない~!!!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔法学校、ルーナノヴァ・・・・・・。

 

そこでは丁度今から始業式の儀式が行われようとしていた。

 

「ではこれより、始業の儀式を・・・・・・んっ?」

 

丁度校長の話が終わったところで、突然部屋の真ん中に緑色の光が溢れ・・・・・・その光の中からジュリ達4人が飛び出したのだ。

 

「「「「うわわ~!!?」」」」

 

そのまま床に落っこちる4人。

 

(もうちょっと丁寧にやるんだった・・・・・・!!)

 

ジュリは時間が無かったとはいえ、もう少しまともなものを用意すべきだったと反省し、またアッコは周囲を見回してここがルーナノヴァであることを即座に理解。

 

彼女は「やったー!!」と両手を広げて喜ぶのだった。

 

「やったよジュリ!! ウルトラマンのおかげで間に合った~!! イェーイ!!!」

「ハッ!! い、い、い・・・・・・色んな人のしししし!! 視線がいっぱい・・・・・・。 うっぷ・・・・・・!」

 

またジュリは周りの生徒や教師からの多くの視線に耐えきれず、彼女は口元を押さえながらリュックから紙袋を取り出してそこに思わず吐いてしまうのだった。

 

「おげぇ・・・・・・!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃・・・・・・アルクトゥルスの森のとある場所。

 

そこでは巨大な円盤・・・・・・UFOが着陸しており、その中の黒い身体をした宇宙人、「悪質宇宙人 メフィラス星人」は「はぁ・・・・・・」と深い溜め息を吐いていた。

 

『ふむ、全く。 ウルトラマンがあんなところに現れるなんて予想外でしたよ。 戦力になる為の手駒の怪獣を捕獲する筈が・・・・・・』

『どうしますか? 手駒になる怪獣集めはまだ続けますか?』 

 

そんなメフィラスにおかっぱ頭が特徴的でシマシマ模様の宇宙人、「三面怪人 ダダ」が尋ねるとメフィラスは首を横に振る。

 

『いいや、ただでさえ少ない戦力をこれ以上下手に失う訳にはいかない。 もうここには用はない、移動の準備に入れ』

『分かりました』

 

メフィラスの言葉に頷くとダダはその場から歩き去り、UFOを起動させて空の彼方へと飛んでいくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜のルーナノヴァにて・・・・・・。

 

アッコとジュリは「フィネラン」という教師にこってり怒られながらこれから自分達が暮らす寮の部屋に案内されていたのだった。

 

「まったく、前代未聞の始業式でした。 あなた方は校長先生の特別なご配慮により入学を許可されたのです。 そのご恩を忘れないように」

「「・・・・・・はい」」

 

やがて部屋に辿り着き、フィネランがノックをして扉を開けるとそこにはロッテとスーシィがおり、アッコとジュリは驚きの顔を浮かべた。

 

「「あっ・・・・・・」」

「今日から3年間あなた達4人には特別に厳しい指導を与えることになるでしょう」

 

フィネランはそれだけを言い残して扉を閉めて出て行き、アッコとジュリは改めてロッテとスーシィに自己紹介をするのだった。

 

「あたしカガリ・アツコ!! よろしく!!」

「わ、わわわ! わた、私は・・・・・・正義・・・・・・じゅ、ジュリ・・・・・・でひゅ!!」




この作品では魔物の何体かはウルトラ怪獣に置き換わっています。
ちなみにスーシィが持って来ていた下剤キノコは実用で保管用と観賞用を持ってたりします。
この作品の世界観はアニメミライ版であり、なのでアッコはまだシャイニィロッドを持っておらず、アーシュラ先生も次回に出番が回ります。
1話だけ一応TVシリーズベースの話ですけど。
尚、注射器で毒を抜かれた程度ではバードンの毒は外に溢れないし逆流もしないです。





正義(まさよし) ジュリ/ウルトラマンジャスティス
女性
年齢 16歳
イメージCV 花澤香菜
黒い長髪に赤いメッシュがあるのが特徴の少女でアッコとは幼馴染み。
かつてシャリオのショーをアッコと一緒に見に行き、彼女の魔法にアッコと同じように魅了された人物。
だがアッコとは違い、シャリオのような魔女ではなく魔法で色んな人を助ける「正義の味方」になることが彼女の夢である。
若干コミュ障気味であり、基本アッコの後ろに隠れながらではないとまともに人と話せない可能性すらある。
だが怒った時や自分が「そんなの違う!!」と思うことは割とハッキリと喋ることができ、スーシィが自分達を生け贄にした時は普通に喋っている。
というか怒鳴っている。
なぜジャスティスに変身できるのかは不明。
ちょっとオタク気質部分なところもあり、アッコ以外の友達はかなり少ない。
ちなみに胸は絶壁で全く無い。


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EPISODE2 『蘇るモンスター』

ジュリ達がルーナノヴァに入学して数日が経過し・・・・・・今、ジュリ達は丁度教室で授業を受けているところだった。

 

「このように我が校はアルフレッド・ワトキンスによって提唱されたレイライン上に位置しています。 魔力のパイプラインとも言うべきレイラインから運ばれてくるエネルギーは『新月の塔』に安置された魔導石に蓄積されます」

「ぐがっ・・・・・・」

 

この学校にある「新月の塔」と呼ばれる建物に安置された「魔導石」と呼ばれるものについての説明を教師が行っていると、女性の教師は誰かがイビキをかいていることに気づき、教師は説明をしながら杖を構え、狙いを居眠りをしているアッコに向ける。

 

「ちょっ、アッコ起きろ! 狙い定められてるよ!! なんか弾丸みたいなの飛んでくるよ多分!」

「ぐがぁー」

 

アッコの右隣に座るジュリは居眠りをしている彼女を起こそうと肩を揺さぶるのだが、中々起きようとはせず、教師は青い光をアッコに向けて放つと青い光は丸っこい羽の生えた生物のようなものになり、アッコの髪を引っ張り上げて顔を机の上に叩きつける。

 

「うぶっ!?」

 

それによってアッコは身体をピクピクさせ、ジュリとアッコの左隣に座るロッテに大丈夫かと心配される。

 

「えー、蓄えられた魔力は私達魔女の力の源となるのです。 己の為にのみ魔法を使う者は魔法によって身を滅ぼす。 誰の言葉か分かる者は?」

 

すると教師の言葉に対して1人の女子生徒・・・・・・「ダイアナ・キャベンディッシュ」が手を挙げて答える。

 

「T・Sダニエルズ、『魔法の幸運論』です」

「うむ、正しく魔法を使うにはその歴史を知ることも重要。 よろしいかな? ミス・カガリ?」

「ふぁーい」

 

教師に言われ、アッコは返事をしながら顔を挙げるのだが、その顔は叩きつけられたせいで赤く染まっており、ロッテは心配そうな表情を浮かべるが・・・・・・逆にジュリは思わず「ぶふ!?」と吹き出してしまった。

 

「くwっwさwww」

「なに笑ってんのさ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、多くの生徒が休憩室として使用している場所にて・・・・・・。

 

先ほど顔を叩きつけられ、鼻を怪我したアッコはスーシィから傷の手当てを受けており、彼女に傷薬を鼻に塗って貰っているところだった。

 

ちなみに最初に出会って数日も経過していることもあり、ジュリは既にロッテとスーシィとは打ち解けており、普通に楽しく会話するくらいには仲良くなっていたりする。

 

「いたたた、染みる~! ホントに聞くのこれ?」

「大丈夫、アッコは私を信じなさい。 スー特性魔法の力を信じなさい。 ホレ信じなさい」

「なんかどっかで聞いたことあるフレーズ!!」

 

だが、その時・・・・・・突然アッコの顔が膨れあがり、すぐにアッコの顔は元に戻るのだが彼女の鼻はピノキオのように伸びてしまっていた。

 

「ふがっ!? ちょっと何これ!!?」

「ぷひっ! ちょっとは魔女らしくなったんじゃない?」

 

それを見てスーシィは思わず笑い出し、アッコは「またあたしを実験台にしたでしょ!?」と鼻を押さえながら怒って立ち上がる。

 

「大丈夫、一時間もしたら腫れも引いて元に戻るよ・・・・・・多分」

「まぁまぁ、元はと言えばアッコが居眠りするから・・・・・・」

 

怒るアッコを宥めるように言うロッテだが、それに反発するようにアッコは「あんな退屈な授業寝ない方がおかしいよ!」と言葉を返す。

 

「そうかなー? 私は結構面白いと思うけど、魔法史」

「私もそれなりに楽しんでるよ。 過去のことでも少しでも魔法の知識が付くのは私も嬉しいし」

 

ロッテとジュリはアッコにそう言うのだが、アッコは「大昔のことなんて興味ない!!」と一蹴し、勢いよく再び椅子に座り込む。

 

「あたしはカビ臭い魔法使いのオバハンになるためにこの学校に来たんじゃない!! シャイニィシャリオみたいにイケてる魔女になりたいの!」

「でもシャリオだってそういう大昔のことも学んでそのイケてる魔女になったんじゃないの? 古き良き時代って言葉もあるし、もうちょっと興味持とうよ」

 

ジュリにそう言われ、「うぅっ」と思わず言葉を詰まらせるアッコ。

 

そんな時、ジュリ達の会話の内容を偶然聞いていたバーバラとハンナを引き連れたダイアナが現れ、「シャイニィシャリオですって?」とどこか怪訝そうな表情を浮かべる。

 

「随分懐かしい名前ですわね」

「ダイアナ! シャリオのこと知ってるの!? やっぱ良いよね、シャリオ!!」

 

自分と同じようにシャリオのことを知っている人物に会えて嬉しそうにするアッコ。

 

そしてダイアナ達とは殆ど会話したこともなジュリは慌ててアッコの後ろに隠れる。

 

「いい加減他のクラスメイト達にも慣れようよ・・・・・・」

「無理言うなロッテ!!」

 

そしてアッコの言葉に対しダイアナから返って来た言葉は「全く嘆かわしい!」というものであり、それに不満げな顔を見せるアッコとジュリ。

 

「あのような低俗な見せ物に憧れて我が校の門をくぐるとは!」

「な、なにをー!!?」

「魔法界であれを快く思っているものはいませんわ!!」

 

アッコが言い返す前に、ダイアナは力強くそう言い放ち、それに同調するようにハンナとバーバラもバカにしたような言葉を言い放つ。

 

「あーんな子供だましが好きなら・・・・・・!」

「魔法幼稚園に行った方がよろしくてよ? あなたと同じレベルの子が沢山いますもの!」

「「あはははは!!!」」

 

そんな彼女等に対し、アッコは「うぐぐぐ!!」と強く睨み付ける。

 

「アンタ等のコーマンチキな鼻をへし折ってやる!!」

「ご自分の鼻を心配なさいな」

 

そんなアッコにダイアナは長く伸びたアッコの鼻を掴んで弾くと、彼女はバランスを崩して後ろに倒れそうになり、そんな彼女をジュリ、ロッテ、スーシィの3人が慌てて支えられる。

 

「せいぜいお大事に・・・・・・。 では、ご機嫌よう・・・・・・」

「待たんかい。 優等生に腰巾着共」

「「誰が腰巾着よ!!?」」

 

ジュリの呼びかけに思わずハンナとバーバラは怒るのだが、そんな彼女等に対しジュリは胸を張って「だって名前覚えてないもん!!」と言い放つ。

 

「胸張って言うことじゃないよね」

 

ジュリの発言に苦笑しながらツッコミを入れるロッテ。

 

そしてジュリはダイアナ達を睨み付け、言い放つ。

 

「そりゃさ、アンチはどの作品や芸能人とかにもつくもんだからそこはしょうがないとする!! 本当はムカつくけど・・・・・・。 でも、たださ・・・・・・誰が誰に憧れ、誰が何を好きか・・・・・・それを幼稚だなんだとバカにして良い権利なんて・・・・・・どこの誰にもありはしない!! 魔法界でシャリオがどう言われてようが私やアッコには関係ないんだよ!! 私もアッコもシャリオが好きだ!! その『好き』という気持ちに、文句を言われる筋合いは1ミリ足りともありはしない!!!!!」

「っ・・・・・・!」

 

鬼気迫る勢いで言い放つジュリに少しだけ圧されるダイアナ達。

 

「・・・・・・」

 

そのままダイアナは不満げな顔を見せつつもその場を立ち去り、それに続くように慌ててハンナとバーバラも彼女の後を追いかけた。

 

「「な、何よ偉そうに!」」

 

という捨て台詞を2人は残して。

 

また、ロッテやスーシィはあんまり話したこともない相手には慣れるまでは何時もオドオドした態度だったジュリに、驚きの表情を浮かべ・・・・・・そんな彼女にアッコは嬉しそうな顔を見せ、ジュリの背中をバンっと力強く叩く。

 

「痛いんだけど、アッコ・・・・・・」

「いやぁー、言いたいこと言ってくれて嬉しかったよ~! 見た? ダイアナ達のあの悔しそうな顔!!」

「ああいう『何かを好き』という気持ちを否定する奴等がただ許せなかっただけだよ」

 

そんなジュリの様子を見てロッテとスーシィは互いに顔を見合わせ、スーシィは「ジュリって人見知りじゃなかった?」と疑問に思ったことをアッコとジュリに尋ねる。

 

「ジュリは確かに人見知りだけど・・・・・・それでも自分が間違ってると思うことには初対面の相手にもズバリと言えるんだよね、昔から」

「でも多分次にダイアナ達に会うときにはきっと緊張で吐くかも・・・・・・」

「吐かないように頑張って・・・・・・」

 

次にダイアナ達と会うことを思うと今度は緊張で吐いてしまうかもしれないと考え、気分が悪くなり口元を押さえるジュリ。

 

そんなジュリに苦笑しながら吐かない努力をしてくれとお願いするロッテだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから午後の授業にて・・・・・・。

 

本日は高層ビルほど高い塔の上から箒に乗って飛行する練習が行われており、物見台まで飛んでそこで待機するように教師から指示され、既にスーシィ、ロッテ、ジュリは教師に指定された場所まで箒で飛んで到着していた。

 

そしてアッコはというと・・・・・・。

 

アッコは本日、箒に乗るのが初ということで緊張しており、自分の番が来るとアッコは思わず下を見て怖じ気づいてしまう。

 

「うっ・・・・・・」

 

そんなアッコに対し、彼女が中々飛ばないため、教師は手に持っていた箒で「さっさと行かんか!!」と言いながらアッコを背中から叩きつけ、彼女は地上へと落下。

 

「うわああ~!!? 上がれ上がれ上がれ!!」

 

アッコは叫ぶようにそう念じると箒は途中で空中停止・・・・・・しかし、すぐに箒は上昇・・・・・・しかも物凄い勢いで。

 

「わああ~!!? 上がるな上がるな上がるな~!!? 止まれぇ!!」

 

それによって箒は塔よりも高い場所まで飛行し、急に箒が止まるとその反動で両手で箒にしがみついていたアッコはくるくると身体が回転し、止まると彼女は目を回し・・・・・・気持ちが悪くなって顔を青ざめさせる。

 

「うっぷ・・・・・・」

 

それによって吐きそうになるアッコ。

 

「アッコ!! 吐くのは私の特権だぞ!!」

「なに変なことで張り合ってるのジュリ!!?」

 

そのまま彼女は暴走する箒に振り回され、一度ちゃんと乗れたかと思うと今度はゆっくりだがどんどん地上へと落ちていき、森の茂みの中に落ち、最終的には地面に落下・・・・・・そのまま箒が頭に激突し、彼女は「ふぎゃ!?」と小さな悲鳴をあげながら気を失ってしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、怪我の手当てをしたアッコはベッドの上で寝込んでおり、「アイタタタ、まじで死ぬよぉ」と涙目で嘆いていた。

 

「薬いる?」

「結構よ!!」

 

スーシィから薬がいるかと尋ねられると昼間のこともあり、即座にアッコはスーシィの提案を断る。

 

「でもまさか箒初体験だっとはね、良いドジっ娘っぷりだったよ」

「そりゃどーも!! ってか、なんでジュリはあたしと同じく箒初体験なのに普通に乗れてた訳?」

「知らん、そんなことは私の管轄街だ。 でも私が思うにアッコは箒に乗って飛ぶ想像力が足りなかったと考える。 私はよくそういう空想はしてたから」

 

なぜか自分と同じように一般の家庭出身の筈のジュリだけ普通に箒に乗れてることに納得できず、アッコはムスッとした表情を浮かべてふて腐れてしまう。

 

「それに普通、魔女の家計じゃないならしょうがないとも思うよ私は」

「そうそう、私が箒に上手く乗れたのだってきっとたまたまだよ」

 

一応ロッテやジュリからはフォローを入れられるが、アッコ曰く「あれくらい出来なければシャリオには程遠いもん」ということでアッコからしては箒に上手く乗れないなど納得できる筈が無かったのだ。

 

「まーたシャリオ」

「アッコはよっぽどシャイニィシャリオが好きなのね」

「そりゃそーよ!! シャリオは可愛くてかっこ良くてキラキラしてるの!!魔女なのにシャリオに憧れないことの方がよっぽどどうかしてる!!」

「私もシャリオ好きだから気持ちは分かるよ。 でも多分アッコの方がシャリオへの愛は上な気がするけどね」

 

上からスーシィ、ロッテ、アッコ、ジュリの順番でそれぞれ喋り、アッコの言葉を聞いたロッテとスーシィは顔をなんとなく一度見合わせる。

 

「・・・・・・シャリオって魔法界じゃ評判良くないんだよね」

「魔女に対する間違ったイメージを広めたって・・・・・・」

「荒唐無稽なデタラメ魔法ばっかり」

「マジックというよりイリュージョンね」

「インチキ、まやかし、演出過剰」

「あの衣装もちょっと下品」

「そもそも呪文がダサ過ぎ」

 

そんな風にボロクソにシャリオのことをロッテとスーシィから言われたアッコはそのことに頭に来たのか顔を真っ赤にして勢いよく起き上がろうとすると上段のベッドに頭をぶつけてしまい、「うぐ!!?」と小さな悲鳴をあげて頭を抑える。

 

「大丈夫?」

「これ以上頭を打ったら魔力が~」

「元から無いくせに」

 

スーシィにそう言われ、アッコは「どーせあたしはミーハー魔女よ!!」と拗ねるように寝込んでしまう。

 

「2人までさ、そこまでシャリオのこと悪く言わなくても良いじゃん・・・・・・ぐすっ」

「あれ? ジュリなんでそんな隅っこの方に・・・・・・泣いてる?」

「泣いて・・・・・・ないし、うぅ・・・・・・」

 

尚、ジュリにもシャリオの悪口は結構効いたらしく、彼女は隅っこの方に移動してロッテ達に背中を見せるように蹲っており、ぐすぐすと泣いていた。

 

「衣装もダサくないし、ってかちょっとエロいのが良いんじゃ~ん・・・・・・うえぇ・・・・・・」

(面倒くさいなこいつ)

「2人とも気に障ったんならごめんね? 私もスーシィもそんなつもりはなくて・・・・・・」

 

そんなアッコとジュリを見てロッテは慌てて謝罪。

 

「そっ、アッコ達の自由だし、それが子供だましのシャリオだからって別に・・・・・・」

「スーシィ!!」

 

スーシィの言葉にロッテは「どうして何時も余計なこと言うの!?」と叱り、ベッドの上で寝込んでいるアッコはその間「どうしたらみんなシャリオのことを分かってくれるのだろうか」と考え込むのだった。

 

(みんなシャリオのこと誤解してる。 魔女が素敵なものだって教えてくれたのに。 どうしたらシャリオのこと分かって貰えるんだろう・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、ジュリ達は本日は実戦の訓練を行う為の授業に出ており、とある塔の中で今は青い髪でメガネをかけた女性の教師「アーシュラ・カリスティス」から訓練のルールについてジュリ達は説明を受けているところであった。

 

「今日は実戦訓練を行います。 この塔は古代の迷宮の上に建てられていますが本日の課題はその迷宮に降り、そこに隠れた宝物を探し出し持ち帰ることよりレアな宝物を入手したチームには高い得点が与えられています。 尚、迷宮には野生のモンスターも生息していますから各自注意するように」

 

そんなアーシュラの説明を受けてスーシィは「なんか月並みのRPGみたい」と評し、それにはジュリも同意するように頷いた。

 

「でも面白そうじゃん、自分が実際にゲームの中にいるような体験ができるなんてさ」

「でもモンスターを相手にするなんてだいじょう・・・・・・アッコ?」

 

不意にロッテがアッコの方に視線を移すと彼女はウルトラダイナマイトでも出すのかと言うくらい全身が気合いで燃えており、それに思わずロッテは後退ってしまう。

 

「遂に実力を見せる時が来た!!」

「おぉ~、燃えてんね~、アッコ・・・・・・あっ、マシュマロ焼けた」

 

尚、ジュリはそんなアッコの炎を使って串に刺したマシュマロを焼いて頬張っており、それを見たロッテからは「えぇ!?」と驚きの声が上がる。

 

「えっ!? このアッコの炎演出とかじゃないの!? ホントに燃えてるの!?」

 

尚、迷宮は下の階層ほどレアな宝物があるらしいのだがそれと同時により危険なモンスター達が守っているそうでアーシュラはなるべく無茶をしないよう生徒達に注意し、彼女は迷宮の入り口を開ける。

 

「制限時間は3時間、日頃学んだ魔法力を存分に生かして先生を驚かせてね? では!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから生徒達一同はそれぞれ迷宮の中へと入り、ジュリ達は今は薄暗い階段を杖の小さな光とランタンを頼りに降りて地下に進んでいるところだった。

 

「早く早く!!」

「待ってよ~」

「早くしないとダイアナに先越される!!」

 

アッコはダイアナよりも早くお宝を見つけるため、ロッテ達を急かすのだが・・・・・・。

 

ロッテは「でも暗くて危ないよ」と注意し、彼女は杖を取り出すと杖でトントンっとランタンを叩く。

 

「出ておいで~」

 

そうするとランタンの中の炎が小さな精霊となって出現。

 

「あら可愛い」

 

ランタンから飛び降りてアッコの足下にまで行くと眩い光を放つ。

 

「これで足下安全♪」

「もう~、危ないから面白いんじゃん。 ってん?」

 

アッコが精霊を出したロッテに対してそう不満を呟くのだが、その時アッコは壁に張付いた小さな丸っこいモンスターを発見。

 

「出たなモンスター!! 我が魔力受けてみよ!!」

 

アッコが杖をモンスターに向けると魔物のいた場所が小さく爆発、モンスターは階段の上に落ちるとその丸っこい身体を生かして下の方へと逃げていく。

 

「逃がすかー!! 待て~!!」

「もうアッコったら!! 課題はモンスター退治じゃないよー!!」

「目的すぐ忘れるんだから、アッコってば」

 

そのままジュリ達ハモンスターを追いかけて行ったアッコを追いかけ、一同は階段を駆け下りて行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、バーバラとハンナを引き連れたダイアナはというと・・・・・・。

 

ダイアナは杖から魔法の光弾をカマキリに似た巨大なモンスターに直撃させて一撃で倒し、彼女はつまらなそうな顔を浮かべる。

 

「ふん、手応えのない・・・・・・」

 

だが、ダイアナの後ろに隠れるようにいる2人は強気なダイアナと違い、怯えており、ハンナはそろそろ戻るべきではないかと提案。

 

「そ、そうですわ! 結構なお宝も手に入れたことですし・・・・・・」

 

それに同調するようにバーバラが持っていたリュックから迷宮の中で今まで集めたものを取り出していく。

 

「ミスリルメイルにガルボルンのナイフ、シルマリルのリングもありますわ!!」

「・・・・・・はぁ」

 

そんなハンナとバーバラにダイアナは呆れたように溜め息を吐く。

 

「ありきたりな物ばかり、その程度では宝とは呼べませんわ」

 

どうやらダイアナは今まで集めたものでは満足できないようでハンナ、バーバラと違い彼女は今まで集めた物を宝とするには全く納得することはできなかった。

 

「でも、ここ凄くヤバそう・・・・・・」

「わたくし達もう耐えられないかも・・・・・・!」

 

周囲には打ち果てられた騎士達の骸骨がそこら中に転がるように倒れており、そのことからハンナ達は身体を震わせながら互いに手を握りあって怯えていた。

 

「魔女は恐れられる存在、自らが怯えてどうするのですか!? それにわたくしの魔法は無敵、何も恐れることなどありませんわ!」

 

ダイアナは振り返って怯える2人に対し、論すようにそう言い放つ。

 

そんな時のことだ、アンナとバーバラがダイアナの後ろを見て今まで以上に怯えた様子を見せ、身体を震わせてダイアナの後ろを彼女等は指差す。

 

「「ダダダ、ダイアナ・・・・・・! う、うしうし・・・・・・!!」」

「うし?」

 

ダイアナが後ろを振り返るとそこには巨大な牛のモンスター、ミノタウロスが荒い息をしながら立っており、そのミノタウロスの凶悪な面構えにこれには流石のダイアナも目を見開き、驚きを隠せなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、アッコ達はというと・・・・・・。

 

アッコは先ほどのモンスターを追って階段を降り、そんな彼女を追いかけてジュリ達も合流。

 

「どこ行った!?」

「はぁ、はぁ・・・・・・アッコちょっと落ち着いて」

 

ロッテは息を切らしながらアッコに一度落ち着くように言うのだが・・・・・・その時、どこからか悲鳴が聞こえ、アッコは「そっちか!!」と言いながらモンスターを探して悲鳴のした方へと駆け出して行く。

 

「待ってろよ~!! 今トドメを刺して・・・・・・!!」

 

しかし、辿り着いた先にいたのは先ほどダイアナ達が遭遇したミノタウロスであり、さらに同じくそこにいたダイアナはハンナとバーバラを守る為に守りに徹してバリアを張り巡らせていた為、反撃することが出来ずにいた。

 

「み、ミノタウロス!?」

「アッコ!?」

 

ダイアナがアッコの存在に気付くとミノタウロスもアッコに気づき、狙いをダイアナから変えて彼女に襲いかかるように突進して来た。

 

「う、うわあ~!!?」

 

アッコが咄嗟に杖をミノタウロスにかざすとミノタウロスの左目が爆発し、ミノタウロスは怯む。

 

「よっしゃ、次は私が!!」

 

さらにそこへジュリが飛び出し、ミノタウロスに向かって強烈な跳び蹴りを顔面に喰らわせたのだ。

 

「勇者ぁ!! キィーック!!!!」

 

おい、魔法使えよ。

 

「っていうかそれ人の技!?」

 

尚、ジュリの技名の発言に対して即座にロッテからツッコミが入る。

 

「今ですわ!!」

 

そして、アッコとジュリの攻撃によってミノタウロスが怯んだ隙をダイアナは見逃さず、杖を掲げ、周りに落ちている複数の剣に魔法をかける。

 

「剣達よ!! 我が刃となりて貫け!!」

 

ダイアナの呪文によって複数の剣が空中に浮かび上がると、剣はミノタウロスの背中目がけて何本も突き刺さる。

 

しかし、それでもミノタウロスは倒れず・・・・・・逆に怒り狂ってダイアナの方へと振り返りながら雄叫びをあげる。

 

「グオオオオオ!!!!!」

「げぇ、効いてない・・・・・・」

 

それを見て「マジか」とでも言うような顔を浮かべるジュリ。

 

「ヤバいよあいつ・・・・・・!!」

 

ジュリの言葉に同意するようにそう言い放つアッコ。

 

そんな時、スーシィが「私の出番だね」と言いながらゆっくりと歩いて来たのだ。

 

「スーシィ!? どうする気?」

「私に任せなよ。 ちょっと牛さん!」

 

スーシィがミノタウロスに話しかけると、それに反応してミノタウロスはスーシィの方へと顔を向け、彼女の間近で雄叫びをあげる。

 

「召し上がれ♪」

 

それを見てスーシィは不気味な笑みを浮かべてすかさずどこからか取り出した瓶を開け、ミノタウロスの口の中に入れると、ミノタウロスは突如として苦しみ出す。

 

「ゥグルウウウ!!!!?」

 

やがてミノタウロスの身体は徐々に溶け始め、そのあまりのグロテスクな光景にアッコ達は「うわぁ・・・・・・」とでも言うようにどん引きしてしまう。

 

「うっぷ、オボロロロロロ・・・・・・!!」

 

無論、普段から吐きやすいジュリは当然今の光景を見て隅っこの方でリバースしていた。

 

ついでにバーバラも吐いていた。

 

「フヒヒヒヒ! ちょっと効き目がありすぎたみたい」

「はぁ、はぁ・・・・・・。 私思うんだけど、スーシィが1番魔女っぽいよね」

 

不気味な笑うスーシィを見て、ジュリはそう言わずにはいられなかったのだった。

 

尚、ミノタウロスが溶けた際に床に丸い巨大な穴が開き、それを見たダイアナはその中を覗き込みながら「ここから降りられそうね」と呟く。

 

それを聞いたハンナとバーバラは「えぇ!? まだやる気なの!?」と驚きの声をあげる。

 

「怖かったら、そこらのボンクラ魔女とここに残っていてもよろしいですわよ」

「はぁ!?」

 

ダイアナの言葉にアッコは怒って彼女を睨むのだが、ダイアナは気にせず杖を掲げて魔法でゆっくりと穴を通って下の階層へと降りていき、それに続くようにハンナとバーバラもダイアナの後を追いかけるのだった。

 

「あっ、待って!!」

「わたくし達も行きますわ!! ボンクラと一緒は嫌!!」

 

彼女等2人もダイアナと同じように杖を掲げて魔法でゆっくりと下の階層へと穴を通って降りていき、またそんな彼女等の態度にアッコは不満げな顔を浮かべる。

 

「助けてやったのになにあの態度!? あたし達も行くよ!!」

「・・・・・・どうやって?」

 

スーシィがアッコにそう尋ねると「どうやってって・・・・・・箒で・・・・・・」と答えるのだが、彼女等今、誰1人として箒を持っておらず、それを知るとアッコは「えぇー!!?」と大声をあげる。

 

「なんで持って来ないのさ!?」

「あっても乗れないくせに」

「なっ、う、うっさいな!! 兎に角ダイアナ達を追いかけるよ!!」

 

スーシィに図星を突かれ、そう言うとアッコはどこかに歩き始める。

 

「でも時間内に戻れなくなるよ?」

「このままじゃダイアナに勝てないじゃん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、かなり下の階層まで降りて行ってダイアナ達はというと・・・・・・。

 

「こんなところまで降りて来て、いいのかしら?」

 

杖に光を宿して周囲を照らしているとはいえ、先ほど以上に薄暗く、不気味な洞窟のような場所にハンナとバーバラは未だに怯えており、その時、ダイアナが目の前に何かが置いてあることに気付いて光を灯すと・・・・・・。

 

そこには拷問器具であるアイアンメイデンが置かれており、それを見て思わず悲鳴をあげながらハンナとバーバラはお互いに抱き合う。

 

「ひいい!? あ、アイアンメイデン・・・・・・! 何百もの魔女の生き血を吸った伝説の拷問具・・・・・・!」

「・・・・・・フン、このようなコケ脅しで魔女を遠ざけようとは・・・・・・。 この中には余程の物が隠されているようですね」

 

ハンナ達とは違い、アイアンメイデンを見ても強気な態度を崩さないダイアナ。

 

「わたくしが暴いて差し上げますわ!!」

 

すると彼女はその中に隠されているであろうものを暴くために、杖をアイアンメイデンに振り、魔法をかけてアイアンメイデンの扉を開く。

 

するとその中から現れたのは・・・・・・。

 

「クウゥ・・・・・・」

 

弱々しい鳴き声をあげる兎によく似たピンク色の可愛らしい容姿をしたモンスターだった。

 

「何かと思えば、ただの兎ではありませんか」

「「へっ? あっ、ちょっと可愛い・・・・・・」」

 

それを見てハンナとバーバラは口を揃えてそう呟くのだが・・・・・・可愛らしい容姿をしているとは言えどモンスター。

 

モンスターはダイアナ達を見ると威嚇するように鳴き声をあげ、それに少し苛立ちを覚えるハンナとバーバラ。

 

「何よ、チビの分際で!」

「ちょっと可愛いからって生意気にも威嚇してますわ!」

「お仕置きしてあげる!」

 

そう言いながらハンナが杖を取り出してモンスターに向かって電撃を浴びせるのだが・・・・・・モンスターはそれでは倒れず。

 

ならばと思い、今度はバーバラが炎を杖から放つのだがそれをモンスターは口から飲み込み、モンスターはほんの少しだけ成長し、大きくなってしまう。

 

「しぶといわね・・・・・・」

 

だが、そのことにハンナとバーバラは気付かず、ならば今度は2人でと同時に魔法の光線をモンスターに放つ。

 

「遊びは終わりよ!!」

 

一方ダイアナはそのモンスターを見て何か引っかかることがあったのか、バーバラ達の様子を見ながら考え込んでいると・・・・・・フッと彼女はこのモンスターを本かなにかで読んだのを思い出し、ダイアナは慌てて2人に攻撃を止めるように言い放つ。

 

「・・・・・・はっ、いけない!! 魔法を使ってはダメ!!」

 

しかし、時既に遅く・・・・・・魔法の攻撃をモンスターは突如として爆発し、煙が巻き起こる。

 

「「「わああああ!!!!?」」」

「グルルルル・・・・・・!!」

 

そして、その爆発の中から現れたのは・・・・・・。

 

巨大な翼を持ち、体色が紫色に変化し血のように赤い目を持った6メートルほどの怪物・・・・・・「超変身怪獣 キングマイラ」第2形態である。

 

「グルオオオオオオ!!!!!」

「これは・・・・・・!!」

「「ひいいい!?」」

 

キングマイラは雄叫びをあげ、その咆哮にバーバラとハンナは抱き合い、それにはダイアナですら冷や汗を流して怯んでしまうほどだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、ジュリ達は様々なものが置かれた大きく広い部屋に訪れていた。

 

「うわ~、なんか山ほどあるよ?」

「でも宝物庫じゃなさそう」

 

ロッテの言うように、ここは様々なものが置かれているが宝物庫などではなく、ただのガラクタ置場・・・・・・というよりもゴミ捨て場であり、特に大したものは無さそうだった。

 

「なんか中古のアニメのフィギュアとか無いかな~」

「あっても汚れてそうだけど・・・・・・。 っていうかそろそろ引き上げないと時間ないよ? みんなどうする?」

 

ロッテが時計を見ながらそう言うと、アッコは不満そうな顔を浮かべ、スーシィは「仕方ないよ、ここでなにか適当に拾って帰ろう」と意見を出す。

 

「これから先だってダイアナに挑むチャンスは幾らでもある筈だよ。 今回は諦めよう、アッコ?」

「むぅ」

 

ジュリもアッコを説得するようにそう言うのだが・・・・・・その直後、アッコはゴミ捨て場の中で見覚えのある物が視界に入る。

 

「んっ? あれは・・・・・・まさか!!」

 

だが、その時・・・・・・床が突如揺れ始めるとジュリ達は尻餅をついてしまい、彼女達の目の前に・・・・・・床を突き破ってキングマイラが出現したのだ。

 

「グルアアアアア!!!!」

「今度は何なの!?」

 

キングマイラは飛行して天井を拳を振るって穴を開けて破壊し、さらに上の階へと飛行していく。

 

(なんかヤバそう・・・・・・。 でも、アッコ達がいるしな・・・・・・)

 

キングマイラを見てジュリは胸につけたジャストランサーに手をかけるが、アッコ達がいる為変身ができず、どうしようかと思い悩む。

 

そんな時、キングマイラが開けた床の穴からダイアナ達が這うようにして出てきたのだ。

 

「ダイアナ!? 下で何があったの!?」

「な、なんでもありませんわ!」

「でもボロボロじゃん?」

 

アッコがダイアナにすぐさま駆け寄り、何があったのか事情を聞こうとするのだがダイアナは誤魔化し、アッコの言葉を遮ってキングマイラがどこに行ったのかを尋ねる。

 

「そんなことより、アレはどこに行きました!?」

「さっきの悪魔みたいな奴のこと? 飛んでったけど?」

 

アッコは天井を指差してそう答え、それを聞いたダイアナはバーバラとハンナに箒を貸すように言い、それに2人は戸惑いながらも言われた通り箒をダイアナに貸す。

 

するとダイアナは自分とハンナ、バーバラの箒を融合させて1つの箒にし、それに跨がってキングマイラを追いかけようとする。

 

「あなた方はここに残りなさい、後は私がなんとかします」

「待って! どういうことなの!?」

 

しかし、箒を掴んでアッコはダイアナを引き止める。

 

「アレは・・・・・・わたくしが解き放ってしまったようです・・・・・・。 だからわたくしがカタをつけなければ!」

「いや、でも・・・・・・幾ら優等生でも1人じゃアイツを止められないと思う」

「それでも、わたくしがやらなければ・・・・・・!! では、ごきげんよう!!」

 

ジュリも流石に無茶ではと言うのだが、ダイアナは聞かずそう言い残すと彼女は今度こそ箒で飛行し、キングマイラを追いかけるのだった。

 

「・・・・・・いちいちかっこつけちゃって! あっ、そうだ!!」

「アッコ? どうしたの?」

 

突然、アッコが走り出し、山になっているゴミをかき分けて行くと・・・・・・目的の物を発見し、アッコは嬉しそうな顔を浮かべ「あった!」と声をあげる。

 

「なに探してるの?」

「値打ちもんでも見つけた?」

「もしくはアニメのフィギュアあった?」

「アニメのフィギュアなんてないよ!! それよりももっとすっごいお宝見つけちゃった!!」

 

そう言いながらアッコが取り出したのは、1つの杖であり・・・・・・シャイニィシャリオが使っていた杖、「シャイニィロッド」だったのだ。

 

「シャリオのシャイニィロッド!!」

「「「・・・・・・はぁ!?」」」

 

 

 

 

 

 

 

その頃、迷宮の入り口前ではそれぞれお宝を発見した生徒達が帰還しており、互いに何を見つけたかお宝を見せ合ったりなどしているところだった。

 

そんな時、迷宮から出ようとキングマイラが出現。

 

「グルアアアアア!!!!?」

「わあああ!? なになに!? なんなの!?」

「た、大変!」

 

生徒達はキングマイラの出現に驚き、それを見たアーシュラは急いで入り口を塞ごうと緊急用のスイッチを押し、巨大なモンスターが出れないように巨大な鉄格子が入り口を塞ぐ。

 

「今よ!! やっちゃえ!!」

 

それによってキングマイラは身動きを封じられるのだが、それを見た生徒達はチャンスだとばかりに魔法の光弾をキングマイラに撃ち込んで行く。

 

「あぁ!? ダメダメやめなさーい!!」

 

しかし、アーシュラが止めるには一歩遅く、多くの生徒達の魔法を吸収したキングマイラはさらに巨大化し、鉄格子を破壊して迷宮から出てきたのだ。

 

「グアアアアアア!!!!!」

「あー、やっちゃった・・・・・・。 ただでさえ90分ごとに巨大化するのに・・・・・・!!」

 

アーシュラは杖を取り出して魔法で作ったメガホンを使い、生徒達に呼びかける。

 

「緊急避難!! 全員建物の外に逃げなさーい!!」

 

そこに丁度ダイアナも駆けつけるのだが・・・・・・ダイアナはキングマイラがさらに巨大化し、「第3形態」になっていることに驚愕する。

 

「ダイアナ!!」

「先生!」

 

アーシュラに呼ばれ、ダイアナが彼女の元へと降り立つ。

 

「えらいことになったわ・・・・・・! 古の時代に、3人の光の巨人が封印していた最強の『ソーキン・モンスター』が目覚めてしまったわ・・・・・・。 兎に角、私はアイツをなんとか足止めするから、あなたは生徒達を誘導して!」

「あ、あの実は・・・・・・」

 

ダイアナはキングマイラの封印を自分が解いてしまったことをアーシュラに言おうとするのだが・・・・・・。

 

「全く! どこの誰が封印を解いたのかしら?」

 

するとそこへ・・・・・・。

 

「わあ~!! 止まれ止まれ止まれぇ~!!」

 

アッコがガラクタ置場から拾ってきた箒で地面を引きずられるように飛んで来たのだ。

 

「もう、だから乗せてあげるって言ったのに」

 

さらにそこへ、少し遅れて同じようにガラクタ置場で拾った箒を使い、飛んで来たジュリ達が駆けつけてきた。

 

「うぅ~、ガラクタ置場のポンコツじゃなきゃ・・・・・・。 はっ!! 先生!! すっごいお宝ゲットしたよ!!」

 

アッコがアーシュラの存在に気付くと、彼女は即座に立ち上がり、アーシュラに見せつけるようにシャイニィロッドを取り出したのだ。

 

「シャイニィロッド!! シャイニィシャリオ愛用の魔法の杖!! 最高得点間違いないでしょ!!?」

「いっ、今はそれどころじゃ・・・・・・! はっ!?」

 

その時、アーシュラはアッコが突きつけてきたシャイニィロッドに埋め込まれた7つの宝石が光っていることに気付き、それに驚きの表情を見せる。

 

(7つ星が・・・・・・。 二度と輝きを取り戻すことはないと思っていたのに・・・・・・!)

「グルアアアアア!!!!」

「あっ、忘れてた!?」

 

そこでアーシュラがキングマイラが暴れていることに気付き、そんなアーシュラにジュリは「よくあんなの忘れられるな!?」と心の中でツッコミを入れる。

 

「よしアッコ! あなたにお願いするわ! その杖を持って『魔導石』のあるところに行って欲しいの!」

「まどうせき・・・・・・?」

 

なんでも、アーシュラが言うにはキングマイラは魔力を食べて成長している為、キングマイラは魔力の源である魔導石を狙うのは間違いないだろうとのことで、アーシュラは自分が足止めをしているのでアッコ達はそこに先回りするように頼む。

 

「ダイアナ、あなたも来なさい」

「は、はい!」

「じゃあ、頼んだわよ!!」

 

アーシュラはそう言うとダイアナと共に箒に跨がってキングマイラに向かって行き、アッコはロッテに「魔導石ってどこにあるの?」と尋ねる。

 

「この塔のてっぺんよ?」

「さてはアッコ、授業ちゃんと聞いてなかったな?」

「そりゃアッコだし」

 

ジュリとスーシィは少し呆れた視線をアッコに向けるが、アッコは「と、兎に角!! 今のあたしにはシャリオがついてる!! 怖いものなんかないわ!!」と言ってガラクタ置場の箒に跨がる。

 

「いざ、しゅっぱああああつ!!?」

 

しかし、やはり箒・・・・・・それもアッコのは特にガラクタな物とあっては上手く飛ぶことなど出来ず、相変わらず箒に振り回されるようにして飛ぶしかないのだった。

 

「・・・・・・取りあえず、魔導石の方はそっちに任せた!」

「えっ!? ジュリはどうするの!?」

「アーシュラ先生達を手伝ってくるから!!」

 

そう言うとジュリは箒に乗ってアーシュラ達を手伝う為に飛行し、彼女達の元へと向かう。

 

一方でキングマイラは拳で壁を破壊し、外に出ようとしていた。

 

「まずい!! 外に出る!! あなたは生徒の誘導を!!」

「はい!!」

 

アーシュラはダイアナに指示し、彼女は言われた通り、他の生徒達の避難誘導を行う。

 

またアーシュラは杖に光を灯してキングマイラの周囲を飛び回り、気を引こうとし、キングマイラはそんな彼女を鬱陶しそうに睨み付け、アーシュラを握りつぶそうと手を伸ばすのだが・・・・・・彼女はなんとかそれを回避。

 

「グルアアアアア!!!!」

「先生!! 私も手伝いに来ました!!」

 

そこへジュリも駆けつけるのだが・・・・・・彼女の存在に気付いたキングマイラは素早く手を振るい・・・・・・蚊でも払うようにぺちっとジュリを軽く吹き飛ばしたのだった。

 

「あじゃば!?」

「ジュリーーーーー!!!!?」

「ガアアアア!!!!」

 

ジュリが叩き落とされたことに動揺した隙を突き、キングマイラはアーシュラに向かって口から炎を吐き出す。

 

「しまっ!?」

 

しかし、その炎はキングマイラの目の前に現れた光の柱によって防がれ、その光の中から飛び出した赤い拳が・・・・・・キングマイラの顔面を殴りつけたのだ。

 

「グガァ!!?」

「あれは・・・・・・」

 

そして光の中から現れたのは・・・・・・キングマイラに叩き飛ばされるギリギリのところで、ジャストランサーを胸に押し当て・・・・・・「ウルトラマンジャスティス スタンダードモード」に変身していたジュリであった。

 

『シェア!!』

「光の・・・・・・巨人!?」

 

ジャスティスはキングマイラに掴みかかると巴投げを繰り出し、キングマイラを投げ飛ばす。

 

「グルアアアア!!!!?」

 

それによってキングマイラは背中を地面に激突させるが、キングマイラはすぐさま立ち上がり、ジャスティスに反撃しようとする。

 

しかし、ジャスティスは高速移動能力を使い、一気にキングマイラに向かって接近するとその勢いのままキングマイラにタックルを繰り出し、吹き飛ばす。

 

「グルウウウウゥ!! ガアアアア!!!!」

 

キングマイラはジャスティスに向かって駈け出し、ジャスティスも向かって来るキングマイラに対して拳を突き出し、殴りかかるが・・・・・・キングマイラは身を捻るようにして躱し、背後に回り込んでジャスティスを羽交い締めにする。

 

『ウグアア!!?』

「グルルゥ!! キシャアアアア!!!!」

 

そのままキングマイラはジャスティスを突き放すと同時に口から炎を放ち、ジャスティスの背中に直撃させる。

 

『グウウウウウ!!!!?』

 

それによって膝を突くジャスティス。

 

そんなジャスティスにキングマイラは容赦なく蹴りを叩き込んで空中にジャスティスを蹴り飛ばし、吹き飛んだジャスティスに向かって翼をはためかせて素早く飛行し、両拳を握りしめて振りかざし、空中に打ち上げられたジャスティスを地上に叩き落とす。

 

『ゼアアアアア!!!!?』

「グアアアアアア!!!!」

 

さらにキングマイラは地面に倒れ込んだジャスティスを踏みつけようと急降下キックを放つのだが・・・・・・、ジャスティスは身体を転がすことでそれをなんとか回避し、立ち上がると同時に右拳から放つ、敵の虚を突く攻撃光弾「ジャスティススマッシュ」を放つ。

 

『ハアア、シェア!!』

「グウウウ!!?」

 

それをキングマイラは両腕を交差して防ぐが・・・・・・ガードを解いた直後、続けざまにジャスティスが跳び蹴りが放たれ、キングマイラの顔面に叩きこまれる。

 

「ガアア!!?」

『ハアアア!!』

 

さらにジャスティスは拳を何発もキングマイラの顔面に叩き込んで行くのだが・・・・・・。

 

「キシャアア!!」

 

突如、キングマイラの両肩から鋭い牙のある口のついた触手のようなものが飛び出し、それらがジャスティスの身体を噛みつかせることで拘束。

 

『ムッ・・・・・・!?』

 

そして触手の口から炎を吐き出し、ジャスティスの全身を炎が包む。

 

『デヤアアアア!!!!!?』

 

それにより、身体中から火花をあげ・・・・・・倒れそうになるジャスティス。

 

しかし、倒れそうになったジャスティスの首をキングマイラは掴みあげ、弱ったジャスティスにトドメを刺そうと口から炎を吐き出そうとする。

 

「まずい!!」

 

それを見たアーシュラは杖に光を灯してキングマイラの周囲を飛び回り、キングマイラの注意を引きつける。

 

「グゥゥ!!」

(今だ・・・・・・!!)

 

キングマイラの注意がアーシュラに行った瞬間をジャスティスは見逃さず、足を振り上げてキングマイラの胸部を蹴りつけ、それによってキングマイラは思わずジャスティスから手を離し、即座にジャスティスはキングマイラから離れて距離を取る。

 

『ウゥ・・・・・・』

 

ジャスティスは自分の首を押さえながら膝を突き、それと同時に自身の胸のカラータイマーが点滅を始める。

 

『力が・・・・・・』

 

 

 

 

 

 

 

一方、塔の天辺を目指して箒で向かっていたアッコ達はというと・・・・・・。

 

「もー! 自分で行けるのに!!」

「アッコに任せていたらいつ着けるか分からないでしょ!?」

 

アッコはロッテの箒の後ろに乗せて貰っており、塔の中くらいの高さまで来るとそのまま一気に魔導石のあるところを目指し、飛行する。

 

しかし、それにキングマイラが気付き、キングマイラは魔導石を奪うことを優先し、ジャスティスを放って翼を羽ばたかせてアッコ達を追いかけ始める。

 

『待て・・・・・・!!』

 

ジャスティスはキングマイラを追いかけようとするが、残りエネルギーの少なさ、キングマイラによる攻撃の身体的ダメージにより、上手く動くことができず、その場に倒れ込んでしまう。

 

『ウゥ・・・・・・!』

「私がなんとかしないと!!」

 

アーシュラは再びキングマイラの周囲を飛び回って注意を引こうとするのだが、キングマイラはそんなアーシュラを翼を大きくはためかせて突風を起こし、それによってアーシュラは大きく吹き飛ばされてしまうのだった。

 

「ひゃあああ~!!?」

 

アーシュラはなんとか身体を起こしたジャスティスに両手で受け止められ、助かったのだが・・・・・・彼女は目を回し、気を失ってしまっていた。

 

「うぅ・・・・・・」

『なんとか・・・・・・しないと!!』

 

ジャスティスはアーシュラを地上に降ろし、なんとかキングマイラを追いかけようとフラつきながらも立ち上がろうとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、アッコ達を追いかけていたキングマイラは・・・・・・。

 

「アッコ!! 来てるよ!」

 

スーシィがアッコとロッテにキングマイラが追いかけて来ていることを伝え、キングマイラはアッコ達に拳を振るうのだが、3人はなんとか躱す。

 

「わああ~!!? ロッテ急いで!!」

「足止めしてみる!!」

 

そこでスーシィが自分が足止めすると言いだし、キングマイラに向かって行く。

 

「スーシィ!!」

 

スーシィはすれ違いざまにキングマイラに毒の入った瓶を投げつけるのだが・・・・・・。

 

「どうだ!?」

 

キングマイラは毒すら自身の力として吸収し、ほんの少しだがまた巨大化してしまい、スーシィに向かって炎をキングマイラは放つ。

 

「やば・・・・・・!」

『デヤアアア!!!!!』

 

だが、そこへ身体を強引に動かし、駆けつけたジャスティスが身体を張ってスーシィを守り、彼女の代わりに炎を全身に浴びてしまう。

 

「ウルトラマン・・・・・・!!」

「ガアアアアア!!!!」

 

それを見たキングマイラは「またお前か!!」とでも言うように雄叫びをあげ、触手でジャスティスの身体を拘束し、身動きを封じてジャスティスの腹部に強烈な拳を叩き込み、さらに両拳を大きく挙げて振りかざし、ジャスティスの頭部を殴りつけて地上に叩き落とす。

 

『デヤアアアア!!!!?』

「まさか毒まで吸収するなんて・・・・・・こんなのどうすりゃ良いのよ」

 

魔力だけではなく、毒まで吸収してしまうことに驚きを隠せないスーシィ。

 

また、アッコ達はキングマイラにはウルトラマンでも叶わないのかと驚愕する。

 

そしてキングマイラは再びアッコ達を追いかけ、すぐに追いついて彼女達を捕まえようと手をかざすのだが・・・・・・ロッテは箒を操ってそれを回避・・・・・・。

 

しかし、僅かにキングマイラの手が掠り、軽く吹き飛んでしまうのだが・・・・・・吹き飛ばされた先は丁度塔の天辺の魔導石の設置ある場所の床であった為、2人は事無きを得たのだった。

 

「いっつ~!! はっ、ロッテ!!」

 

アッコはすぐさま床に倒れ込んでいるロッテの元へと駆け寄って無事かどうかを確認すると、ロッテは気を失っているだけで命に別状は無さそうだった。

 

そのことに安心するアッコだが、安心するにはまだ早く、そこでキングマイラが魔導石を奪おうと手を伸ばして来ていた。

 

「はっ!! ヤバッ!!」

 

しかし、建物の柱が邪魔で手がつっかえてしまい、ならばと思いキングマイラは触手で魔導石を奪おうとする。

 

だが、そんな時・・・・・・突然シャイニィロッドに埋め込まれた宝石が輝き始め、それに反応するかのように魔導石も緑色の眩い光を放つ。

 

「グウゥ・・・・・・!?」

「魔導石に反応してる!!?」

 

その光により、突然の眩しさにキングマイラは怯み、その間に魔導石から緑色の魔力エネルギーがシャイニィロッド目がけて放たれ、シャイニィロッドは魔導石の魔力を吸収する。

 

「ま、魔力が流れ込んで来る!!?」

「アッコ!!」

「先生!!」

 

そこへ、箒に乗った目を覚ましたアーシュラがその場に駆けつけ、アッコに「杖を渡して!!」と手を差しのばすのだが、魔力がかなりの勢いでロッドに流れ込んで気を抜けば吹き飛ばされてしまいそうな為、渡そうにもアッコは渡すことができなかったのだ。

 

「あっ、危ない!!」

「えっ? きゃああ!!?」

 

その時、キングマイラの触手がアーシュラを弾き飛ばし、さらには眩しさを堪えながらキングマイラは力いっぱいに柱を殴りつけて破壊。

 

「ひゃああ!!?」

 

その衝撃でアッコは吹き飛ばされ、キングマイラは右手で魔導石を掴み取ろうとする。

 

「ダメ!!」

 

しかし、咄嗟にアッコがロッドをかざすとそこから魔力による光線が放たれ、魔導石に直撃して床の上に落とし、キングマイラの右手は空を切る。

 

「・・・・・・あたしにも使える? だったら!!」

 

そしてアッコは自分にもロッドが使えることが分かり、ならばと思って魔導石の元へと駆け出すと、それを抱えて彼女は塔の上から飛び降りたのだ。

 

「杖よ!! 箒になれ!!」

 

アッコはそう言いながらロッドが箒に変わるように念じるのだが・・・・・・ロッドは全くと言って良いほどなにも変化はせず。

 

「嘘!? なんで変わんないの!?」

 

そんな時、キングマイラが突然テレポートしたかのようにアッコの目の前に現れ、それに驚きの表情を見せるアッコ。

 

「えっ!? 瞬間移動!? しかもなんかさっきよりも大きくなってない!?」

 

アッコの言う通り、キングマイラは90分が経過したが為にさらに巨大化しており、その身長はジャスティスの3倍ほどの大きさで新たにキングマイラはテレポート能力を手に入れ、その力を使ってアッコの目の前に出現。

 

魔導石を奪おうと2本の触手を伸ばす。

 

「うっ、うわあ~!!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『アッコ・・・・・・!!』

 

一方、その光景を見ていたジャスティスはボロボロの身体を引きずりながらもなんとか立ち上がり、アッコを助けに行こうとする。

 

『ぐぅ!?』

 

しかし、身体に激痛が走り、ジャスティスは倒れそうになる。

 

『動け・・・・・・!! 動け・・・・・・!! ここで動かないで、ここで友達1人守れなくて・・・・・・!! なにが正義の味方だあああああああ!!!!!』

 

身体に走る痛みを無理矢理無視し、ジャスティスはキングマイラに向かって飛び立つ。

 

その時、ジャスティスの身体が眩い光を放ち、ジャスティスの胸部のプロテクターの形状が変わり、色も金色に変化した姿・・・・・・強化形態「クラッシャーモード」へとモードチェンジ。

 

新たな姿となったジャスティスはキングマイラの腕を掴みあげて背負い投げを繰り出し、拳に気をためて放つ光弾「バトレックショット」を連射して放ち、直撃を受けたキングマイラは地面まで叩き落とされる。

 

そしてジャスティスはアッコを手の平に乗せてキャッチし、すぐさま彼女を地上に降ろそうとする。

 

だがその際、まだ不完全な状態であった為か、ジャスティスの姿はクラッシャーからスタンダードモードに戻ってしまうのだった。

 

「あ、ありがとう! また助けられちゃったね、ウルトラマン・・・・・・」

 

アッコの言葉にジャスティスは頷くのだが・・・・・・直後、背後にテレポートしてきたキングマイラが現れ、ジャスティスの背中を殴りつける。

 

「ガアアア!!!」

『グオオッ!!?』

 

ジャスティスはそのまま地面にまで落下してしまうが、アッコを守る為に身体を捻ってジャスティスは背中から地面に激突してしまう。

 

『グウゥ・・・・・・!!?』

 

ジャスティスはなんとかアッコを地上に降ろしつつ、同じく地上に降り立ったキングマイラに向かって立ち上がって駆け出す。

 

それに対し、キングマイラは両肩の触手の口2つと本体の口から合計3つの炎を吐き出し、それらの炎を弱っているジャスティスは避けきれず、身体に直撃し、火花を散らしながらジャスティスは吹き飛ばされる。

 

さらに、キングマイラはジャスティスが吹き飛ばされた先にテレポートし、飛んで来たジャスティスの背中にその巨大な拳を叩き込む。

 

『ヌオオオ!!?』

「ウルトラマン!! どうしよう、ウルトラマンでも勝てないなんて・・・・・・」

 

ジャスティスでも、キングマイラに勝つことができないことに絶望するアッコ。

 

だが、そんな時・・・・・・。

 

『忘れないで・・・・・・』

 

彼女はシャイニィシャリオの言葉を思い出した。

 

『信じる心が、あなたの魔法よ』

「・・・・・・あたしを信じる心。 マクミル、ミクミル、メクトラル!!」

 

アッコが呪文を唱え終えると、彼女はロッドを掲げ挙げる。

 

「出でよ!! 光の弓よ!!」

 

するとロッドは変形し、弓矢の形となってキングマイラに向かって構える。

 

またそれに気付いたジャスティスはなんとか立ち上がってキングマイラの背後に回り込み、ジャンプして背中にしがみつくように掴みかかりどうにか動きを封じようとする。

 

それをキングマイラはどうにか振り払おうとするのだが、ジャスティスは意地でもキングマイラを離さず、ならばと思いキングマイラはジャスティスから逃れる為にテレポートを発動しようとする。

 

『やっぱ、テレポート使うか!!』

 

ジャスティスはどうにかしてキングマイラの動きを封じられないかと考えたその時、キングマイラの頭に巨大な岩が激突し、テレポートに失敗してしまう。

 

その時、赤い髪の女性が、杖を構えていたのだが・・・・・・そのことには誰も気付いておらず、ジャスティスは「今だ!!」とでも言うようにアッコに対して頷く。

 

「シャイニィイイイ!! アルクゥ!!!!」

 

そしてアッコは光の矢、「シャイニィアルク」をキングマイラに向かって発射し、胸部に直撃を受けたキングマイラは突然苦しみ出す。

 

「グウウウ!!? グルアアアアアア!!!!?」

 

どうやらシャイニィロッドによる魔法はキングマイラが吸収できない唯一のものらしく、シャイニィアルクを受けたキングマイラは苦しみだし、徐々に身体が膨れあがる。

 

それにすぐさまジャスティスが離れるとキングマイラはどんどん身体が肥大化し、やがて耐えきれず花火のようになって破裂したのだった。

 

「ガアアアアア!!!!?」

「や、やった・・・・・・!!」

 

ジャスティスはアッコは見下ろし、彼女に対してサムズアップをして見せた。

 

「えへへ、イエイ!!」

 

それに対してアッコも答えるサムズアップし、その後、ジャスティスは空中へと飛び去って行くのだった。

 

「アッコ!!」

 

そこへ箒に乗ったダイアナが現れる。

 

「どうやら無事だったようですわね」

「うん、ウルトラマンが助けてくれたからね!」

「ウルトラマン? あの巨人のことですか?」

 

ダイアナが首を傾げながら尋ねるとアッコは「そうだよ!!」と頷く。

 

「あっ、魔導石が!」

 

その時、キングマイラが今まで吸収していた魔力が全て魔導石に集約されており、ダイアナ曰くキングマイラから解き放たれた魔力が魔導石に集まっているとのことだった。

 

「ところで、あなたどうしてシャイニィアルクの使い方をご存じでしたの?」

「どうしてって・・・・・・あの時、シャリオの声がして・・・・・・。 んっ? ダイアナ、シャイニィアルクのこと知ってるの?」

 

アッコにそう指摘され、ダイアナは「えっ!?」と顔を赤くする。

 

「そ、それは・・・・・・たまたま! たまたまどこかで聞いただけです!!」

「えー、なんか怪しい? 本当はシャリオのファンだったりして!!」

「そんなことありません!!」

「じゃあなんで赤くなってんのさ!」

「なってません!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、ジュリ達の自室にて・・・・・・。

 

「もぉ~、ジュリってば正義の味方目指すのは良いけどあんまり無茶しないでよ?」

 

キングマイラとの戦闘でジュリは身体の殆どを包帯で巻いた状態でベッドに寝ており、アッコに注意されて「ごめ~ん」と両手を合わせて謝罪する。

 

「まっ、アッコも割と無茶してた気もするけどね」

 

と言うスーシィに対し、ロッテも苦笑しながら「確かにね・・・・・・」と同意する。

 

「それにしてもさぁ、やっぱりウルトラマンってシャリオとはまた違ったカッコ良さがあるよね~! あのウルトラマン、ボロボロなのに何度もあたし達のピンチを救ってくれてさ・・・・・・」

「そうだね、凄く頑張ってたよね、あんなにボロボロにされても何度も私達を助けてくれた」

 

アッコの言葉にロッテも頷き、そんな時、ジュリは何かを思ったのか、「あの・・・・・・」と手を挙げる。

 

「どうしたの?」

「あのさ、ウルトラマンって、一応絵本だけでもいっぱいいて、元祖の人以外は1人1人に名前があるじゃん? だからさ、あのウルトラマンにも名前とかつけない? ウルトラマンなんとかみたいな」

 

そんなジュリの提案に対し、アッコは「良いね!」と彼女の意見に賛同する。

 

「じゃあ、フォーガス、マシュラって名前はどう?」

「なにそのキノコみたいな名前! しかもなんかどっちかって言うと敵にいそう! 却下!!」

 

早速スーシィが意見を出すのだが、それはアウトということでアッコに却下された。

 

「もっと強そうな名前にしない? ジャイアンとか、マウンテンガリバーとか!!」

「ジャイアンってドラ〇もんかい。 あと、マウンテンガリバーはなんかロボットっぽいし長い」

 

アッコも意見を出したのだが、これもすかさずジュリが却下した。

 

「う~んと、じゃあ・・・・・・ウルトラマンって正義の味方なんだよね? だったら・・・・・・『ジャスティス』って名前はどうかな?」

「そう!! 私もそれは言おうと思ってた!! 私の名字に因んで!!」

 

最後にロッテが意見を出し、それにはジュリも納得。

 

「ジャスティス・・・・・・良いかもね。 じゃあ、あのウルトラマンはこれから『ジャスティス』って呼ぼう!!」

 

アッコ達も特に良い名前が出そうにない為、ロッテの言う「ジャスティス」という名前にあのウルトラマンは決定するのだった。




超変身怪獣キングマイラ(強化体)
ウルトラマンUSA本編のキングマイラとの外見の違いは背中に巨大な翼が生えていること。
リトアカ映画本編に登場したドラゴンと同じ能力を備えている為、魔力や魔法、毒による攻撃を吸収し、成長エネルギーに変える力を持つ。
ただしウルトラマンの光線などは吸収できない模様。
さらにUSA本編動揺、90分経てば巨大化し成長する力も健在である。
ちなみに映画のドラゴンと同じ能力を持っているのは太古の昔にドラゴンを補食したことでその力を自分のものにすることが出来たため。
要はラゴラスエヴォみたいなもん。
唯一の弱点はシャイニィロッドによる攻撃であり、ロッドから放たれた魔法はキングマイラでも吸収できず、身体が膨らんで破裂してしまう上に再生もできない。
要はアントラーとバラージの石の関係みたいなもん。


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