ウイングダイバーでも艦娘になれますか? (魚介(改)貧弱卿)
しおりを挟む

1話

いっちばーん!な試作品ですので
もしクッダラネとなっても
wwwwwと温かーい目でブラウザバックしてあげてください


私は地球防衛軍

とかいう謎の組織に所属している

鉋狩 翼(カンナガリ ツバサ)

うん、女の子の名前っぽくないことは理解してる

そのせいか口調も男性的であると言われる事が多い

 

本当に、親は何を考えてこの名前をつけたのかわからない

 

兵科ウイングダイバー

このクラスは空を飛べるクラス、空を飛べる、その響きから

一回は憧れる人が大半だと思う

 

実際には空を飛ぶのにはかなり制限がある

正確には機械で飛ばされているにすぎないからだ

 

なぜこんな事を考えているかというと

私は今現在飛行訓練中だからです

ウイングダイバーの専用スーツの背中に固定されたユニットを揺らしながら

定位置に立つ

 

「はい、ステンバーイ、ステンバーイ」

「先輩そんなボイス要らないですから早くして下さいよ」

「じゃあゴー!」

 

「それはきゃぁっ!」

 

いきなり過ぎると言おうとした私は

真っ当に発音する事もできずに空にはね上げられた

 

肩から背中を動かしてウイングを制御

なんて細かいことできないいっ!

 

十秒後、対ショックの為に私のスーツは初めて生命保護機能を発揮する事になった

 

「ほーんと下手だねー」

「ちょっと待ってくださいよ!せめて申告はしてください!」

目の前に突っ立っている先輩に叫ぶ

「敵さんは待ってくれないしぃ、それにあんたが要らないって言ったんでしょぉぉお!生意気なのはこの口かぁ?」

 

「ひょっとまっへやめへぇ、、ひっはらわいれぇ」

そう、口の両端をぐいぐい引っ張られながら

抗議する私は

とてつもなく飛行が下手なのだった

 

 

十五分後

私はロッカールームで私服に着替えながら

つぶやいていた

「やっぱり私には向いていないのか?、、地球防衛やめようかな」

 

しかし、、転職するにも

[前職はなんですか?]

[はい、地球の防衛を少々]

[お帰りください]

 

こうなるのが目に見える

 

前職に地球防衛軍なんていうふざけた名前が載ってしまった時点でもう転職は不可能である

 

退職すら許さないとは嫌な組織だこと

ウイングダイバーのスーツは薄いし

なぜか太ももや肩を露出するし

やたらと体のラインを出しておっぱいとおしりを強調するようなデザインだし

 

女性は入隊時に殆どかウイングダイバーかオペレーターに振り分けられるし

 

最後には一度入ったら転職不能なんて

ひどい、、酷すぎるよ

 

「はぁ、、」

 

「なーにブルーにフォールしてんの?!ユーはスマイルが素敵なんだからほら笑って笑って!」

 

「先輩?無理に英語混ぜてもウケは取れないよ?私はそういう謎語より日本語の方が好き」

 

「あたしはアンタが好きよ」

「レズは受け入れてません」

 

「チョット待ちなさいコラ!」

私服に着替え切った私はサッサと逃げ出し

同時に警報が耳をつんざく轟音を立てた

 

「緊急警報!」

「レッドアラートの音!?」

 

はぁ、、どうやら今しがた脱いだスーツをもう一度着ることになりそうだ

 

3分後、

ウイングダイバーのスーツは薄く

パーツごとにバラバラに存在している為

レンジャーやフェンサーなどの制服に比べて着やすい、その為ファッションや露出を無視すれば

非常に使い勝手の良い服で

 

長々と話すのはやめよう

取り敢えず着脱が容易である

つまるところ、支度が早いのだ

 

「総員出撃!」

私はどうすれば良いのかな?

「お前もだ!早く行け!」

おっと1人だけ残ってたら言われてしまった

どうしよう

 

私は飛べないからウイングダイバーとしては戦力外なんだけど、、エアレイダーになりたかった

 

建屋の外に出て、移動用に用意されてあとビークルを確認、、エアバイクはない

ベガルタもフェンサー達が持って行った

ダメだこれ、ウイングダイバーは自前の翼で移動ってことか

 

使えないなりに頑張っていこう

具体的にはジャンプ+一瞬だけ推進で

滑空を繰り返す感じで

 

「遅い!何をしている!」

「遅れないで!急がないと先行してるレンジャー達が危ない!」

 

「そんな状態で戦えるか?」

「サッちゃんがんばー!」

 

うわ、めっちゃ叱られた

でも仕方ないか、、全力、、推進!

 

スラスターユニットを真後ろに揃え

加速

 

自分の限界だの飛行速度上限だのは完全に無視する

幸いにもここは道路上

滑走するになんの問題もない!




アリ、、クモ、、赤アリ、、キモいほんとやめて


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

艦これ要素ないのはわかってる

すいっ、、しーん!

 

 

って、、はやすぎぃぃい!

あっという間に空中、地上を立体的に移動する隊列を追い抜き、最前線へ飛び出す

背中を押されながら走るって

飛ぶより早いんだな!

 

滑走しながら減速し、、足を休める

 

ふぅ、、ん?うわ、、

 

 

「巨大アリ、、?キモッ!」

あんなのと接近戦なんてやれない

ってかやらない!

 

私はずっと遠距離からチクチクやって生きて行く!

アリ多くない?

 

「こちらウイング1我、先頭領域に突入!支援に入る!」

 

おっと、後ろから他のウイングダイバー達が合流してきた

 

「ストーム1了解した!」

「レンジャー2了解!」

「レンジャー3了解、、ぅゎあぁぁ!」

「たっ、隊長おおぉ!」

「畜生!隊長がやられた!」

 

了解の無線と同時に3隊長がやられたらしい

隊員達が混乱に陥る前に行かないと!

 

「梁上先生!レンジャー3隊のレスキュー許可を!」

「今は隊長とよべ!許可する、ウイング3とともにレスキューへ向かえ!」

 

私も陸上移動なら速いと分かったのか

ウイングダイバーとして普通の動きが可能な一部隊と一緒なら許可を出してくれた

つまり、

 

「ウイング5DASH突撃します!ウイング3援護求む!」

救助に行ける

 

私のコードはウイング5

ただし訓練兵故にDASHコード

 

「DASHって!ムリでしょう!下がって!」

 

「後ろだ!」

ウイング3の隊員が私を制止するが

彼女の後ろからアリが襲い掛かる

翼の展開には間に合わない

 

「えっ、、きゃあぁぁあ!」

「ふぅっつ!」

 

私は加速突撃を掛け、道中で拾ったレンジャー兵装のショットガンを発砲

アリは気色の悪い体液を撒きながら死んだ

 

おそらく持ち主を殺した個体だろう

前足と牙?に血が付着している

 

供養になれば良いが

 

「ひぃっ」

 

「動かないなら無理をしないでくださいね

武装が勿体無いので、私は行きます!」

 

声の温度を急激に下げながら走る

先程から無線の応答がないレンジャー3を救助しなくては

 

加速!

 

なんとも表現し難い音と共に

私の羽は思いに応えて、私に推力を与える、もっと、もっとだ!もっと速く!もっと速く!

 

地面を蹴る足が速度に追い付かなくなる寸前まで加速し、ブーストを切る、そして

「だぁぁぁぁ!」

 

自前の足で、走る

大きく跳躍するように後ろに足を出し

できるだけ速度を減らさないように

全力で走る

 

これなら!

 

15秒で戦場を走り抜け

レンジャー3部隊が展開していた場所まで到達する

 

そこには

 

大量のアリと血を撒きながら倒れている隊員がいた

「しねぇぇえ!」

 

ウイングを展開しながら突っ込み

突撃斉射

ショットガンがアリの群れを吹き飛ばす

 

八匹を殺し、残り二匹を

蹴り飛ばす

対ショック機能が私の足へのダメージを受けるがアリにそんなアーマーはない

ベガジャッ!とも聞こえる音と共に

アリの甲殻を突き破り

その内側の肉に深く足が突き刺さる

 

ゼロ距離で、私はウイングダイバーの武装

レイピアを起動、発射する

 

射程は短いけど、、威力はそれなり以上

ペイルウイングと呼ばれていた頃の部隊から所属していた先輩から教えてもらった情報だけどこの手の武器は命中させるのが難しい代わりに

 

取り回しが楽

 

死んだアリから足を抜き

後ろから忍びやっていた最後のアリを振り向きざまに貫く

 

翼で一瞬だけ推力を作りアリの死体から離れ

レンジャー隊員の元へ移動する

 

「貴女 、は、無事か」

 

「しゃべらないで、傷に障る

エイドキットが落ちてる筈だから

それ持ってくるまで生き延びて」

 

「もう、、無理だ、、俺も

隊長も、、みんなやられた」

 

「黙りなさい!とにかく体力を温存して!」

 

「俺の武器はくれてやる、

貴女も、はやく、撤退しろ」

 

私はそれ以上聞かずに飛ぶ

そこらの死骸や明確に死んでいるのがわかるレンジャー達の亡骸からアイテムを引き出す

 

アーマー、アーマー、ウエポン、、アーマー

エイドキット、あった!

 

よしっ

 

「レンジャー隊、エイドキット使用だ」

缶の蓋を開けて

共通規格の装甲にリキッドを注ぐ

 

このリキッドかアーマーの機能を発揮する触媒なんだとか

ちょっと詳しい理屈は分からないけど

取り敢えず生命維持装置は機能を取り戻す筈

 

武装を放棄していたレンジャーは

 

「ぐっ、、貴女は無理をする、、どうして足の無い(たたかえない)隊員になど構う」

 

「仕方ないでしょ!救援に来たんだから!生きてるなら助ける!何か間違ってる!?」

 

「強いて言うなら、、タイミングだな」

 

後ろにいたアリを

私の拾ったショットガンが撃ち殺しながら

彼は笑った

 

「どのみち俺は固定砲台、せいぜい撃ちまくるさ」

 

「だぁぁぁぁ!!それじゃ意味ないでしょ!」

「ウイング3、ウイング5DASHとレンジャー3残存隊員を発見!」

 

先輩方が見つけてくれたようだ

 

「ん?ウイング隊か、DASHって貴女は訓練生だったのか!」

「今は緊急!ほら下がるわよ」

 

私が彼を抱えて走ろうとするが

「俺にもレンジャーの意地があるんだ、

最後は戦場で死ぬと決めた」

「その人は置いていくわよ」

 

レンジャー隊員はそれを拒否し

ウイング隊員は撤退を優先した

 

「なんでよ!今戦力をすり減らせる余裕はないでしょ!」

「すまん、これは意地の問題だ」

 

「はぁ、、男ってみんなそうよね

ペイル隊だった頃もそうやって死んでいく人何人も見たわ、貴女は脱出しなさい、私も追うわ」

 

「ウイング3」

「これは命令よ!」

 

「貴女は生き延びろ、俺は死地を決めたんだ」

彼は無い足を気にせずに無理やりに歩き

隊長らしき亡骸に敬礼して

その装備を取る

 

「俺が隊長になったら

くれるんでしたよね、AF19X-B3(これ)

ありがたく、使わせてもらいます」

 

私は彼を見送ることもできず、撤退した



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ただのEDF5

撤退した私は、そこら中に転がっている武装を使い捨ててアリどもを攻撃して

突貫射撃しながら周囲の生存者達を救助して行く

周囲には結構アイテムが落ちているから

それを拾って使う

 

武装もたまに拾う、使うを繰り返しだ。私自身のレーザーランスは使うのはいいが

推進エネルギーを消費するので

動けなくなる可能性がある

出来るだけ使うのは控えて拾った武器で戦う

 

取り敢えずトリガーロックはかかっていないので銃を向けて引き金を引くだけで十分だ

 

死ね死ね死ね死ね!

 

同僚達を殺した恨み!その身で贖え!

撃ち尽くしたら捨てて別の武器を取り

それを撃ち尽くす

もはや誰のものだったかもわからない武器達を使って

どいつかもわからない持ち主の仇を取る

 

そんな無謀な戦いを続けて

時折上がる悲鳴を聞いては移動する

正直『ウイングダイバーの機動力』とは少し違う気がする移動でアリどもに追いつき、駆逐する

 

先輩が言ってたサイ・ブレード

とかガイストDとかの特殊な兵器を使うわけではないけど、レーザーランスやアサルトライフルで的確に虫を潰していく

 

そんな作業を続けていたら

撤退指示が無線で飛んできたので

残戦力をレンジャー2に任せて

ウイング部隊に合流することにした

 

ビーム兵器って使いづらいなぁ

 

私は何回言ってもレンジャーやフェンサーに転向出来ないのにウイングダイバーではずっと落ちこぼれでさ

「お陰で、実戦までずっとビームばっかだったんだよね!」

 

「ビーム兵器より、ずっと手間がない分!重くて飛べないんだろうね!私には関係ないけど!」

 

撃ちながら下り、武器を交換して撃つ

またその戦い方で少しずつ下がり

レンジャー達を支援する

エアレイダー達の支援要請装備までたまに落ちているのだけれど、それは流石に使えない

 

ごめんなさい、エアレイダーさん

あなたの仇は取れそうにない

 

と言うかレンジャーの兵装でとるからごめんね

 

「付近のアリは殲滅した、ストーム、レンジャー達と一緒に撤退するわよ」

 

《了解》

 

ウイング部隊全員で、とはいかないが

隊列を組み、移動する

 

任務中に行方不明に陥った未帰還者や

明確に死亡した隊員もいる、

先輩や隊長は無事だけど、出撃時に私を追い抜いて行った一団の人数が2人少ない

 

多分食われたかその辺で転がっているかの二択だ

しかし、アレが地球のアリと同型の生物であり

甲殻強度や自重などの諸々の問題を無視した相似形と考えるならば

巣を作ってそこに餌を持ち込むはずだ

遅かれ早かれご対面できるだろう

 

まぁそこで出会ったとして、

彼女達に対するべき面が残っているかは疑問だけど

 

「帰還するわよ!」

 

私達は基地へと帰投した

 

「クソっ!巨大生物殲滅に失敗!既存兵器の殆どが効果不足!戦闘員達にも多数の死者、行方不明者!ダメダメじゃないか!これで何が地球防衛軍だ!民間人も、地域も

何も守れていないじゃないか!」

 

机に拳を突き立てる司令官

 

正直怒るだけエネルギーの無駄

まぁそれでも怒るのはやめられないのだろうけど、騒がしいからやめてほしい

 

「ですから!司令官落ち着いて」

「これが落ち着いていられるか!私の守護する極東で!こんな失態!」

 

侵攻は一旦終了しているが

全てを駆逐できたわけではないだろう

見落とされてその辺をさまよう個体もいるはずだ

基地にまで侵攻されなかったのは幸運だが、

 

ん?いま何か

『原作より早い時間で開始されてるから環境が変わってるよ!』という声が聞こえたんだが、、

 

まぁいいか

取り敢えず

「司令官、まずは冷静にならなくてはなりません、頭脳が混乱しては手足を有意義に使えません、貴方は頭脳として、せめて立派な死因を作ってやらねばならないのです

ただ無意味に殺されるのではなく、敵の足止めのために自らを犠牲にしたと

補給もなく使い潰されたのではなく、たとえ弾が切れても勇敢に敵に向かい、民間人を救助したと!死に価値を与えるのは貴方なんです!」

 

「バカな、死に価値など無い」

「いいえ、歴史を変えるほどの価値ある死は存在する、それを作るのは貴方です」

 

「司令官!その隊員は極めて有効な戦術を現場で編み出し、多数の隊員の支援、救助に尽力した優秀な隊員です!

意見は一考に値すると思えます!」

 

梁上隊長が進言してくれたおかげか、顔色を変えた司令官は

「わかった、、私は少々頭を冷やそう

処理すべき案件は膨大だ、すぐに戻る」

 

歩み去って行った

 

はぁ、、平和な世界とはお別れのようだ

 

願わくば私が死ぬ前に戻ってきてほしいものだが、奴らが巣を作るのならば、

戦争はかなり長期化するだろう

私の安心できる寝床はないかもしれない

 

寝られるだけマシか?生きたままに四肢をねじ切られて、あるいは噛みちぎられて達磨状態にされたりするのはスレンダーボディの私には流石に耐えられない

思わず自爆してしまうだろう

虫一体と引き換えでは割に合わないが

 

それでもやらねばならない

最後にただ餌になるのはゴメンだ

あぁ!あのレンジャー隊員もこんな感じだったのだろうか?いまようやくわかった気がする!

 

絶対嫌なわかり方した、、

 

一時間後

 

「再び、謎の円盤が出現

謎の塔を投下、建造した模様です!」

 

というよくわからないアナウンスで集合した私達は

その続々と虫を出す塔、、命名『アンカー』の破壊へ向かうのだった

 

「あんた速いんだから、先行きなさいよ」

「嫌ですよ先輩、そもそも私は飛行訓練最低レベルですよ?」

 

「何をほざくかこの口は!

私より水平移動速いでしょうがぁあ!」

 

「いやてふやれへやれへ!」

 

また口を引っ張られてしまった、、

気を取りなおして出撃しなくてはならない

 

「行くわよ!ウイング部隊!突撃!」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閃光の一撃ぃい!

山道だと走り辛い!

フェンサーになりたいっ!

 

あぁんもう!みんな軽快に飛びすぎだ!

飛べない豚がどれだけ苦労すると思ってるんだろ!ただの豚じゃないよ?汚染物質まみれの豚だよ!

 

そもそも他の隊員も美味しく食べられちゃうという点では飛べるだけの豚だし、あっ、また誰か蜘蛛の巣に引っかかってる

 

地球の防衛の前に自分の貞操の防衛をするべきじゃないのかな?只でさえ露出度高い、、うんはっきり言ってしまおう

()()()()()()()で戦ってるんだから

無理して突っ込んだら敵の罠にかかってやーんなんてネタにしかならないじゃないか

 

自分の発想が怖いな

しかし蜘蛛の巣にとらわれ、抵抗もできずにその毒牙にかかる美女たち、、というのは男性にはとてもありがたいことだろう

 

無駄にできるタンパク質があればの話だが

 

「ほら先輩!やっちゃってください!」

 

「サンダーボウ使うよ」

「サンダー!」

 

とりあえず叫ばなくてはいけない気分になった私は全力で叫びながらレンジャー兵装を用いて

周囲のアリを圧しに掛かる

 

蜘蛛は見当たらない、、いいや

探すより先にアリを撃とう

 

私は、アリを何匹殺せばいいのか

教えてくれ!ゼロ!

 

いやゼロなんていないんだけど

 

アリアリアカアリ、、赤い?

あいつシャア専用?

 

それともジョニーさん?

全然真紅じゃないジョニーさん?

 

速くはない、でも硬い!

 

このショットガンの接打ちじゃ一確出来ない!

 

「ギシャァ!」

 

やっぱりシャア専用だ!

下がりながらレンジャー隊員と合流する

 

「赤いのは硬い!それに酸を出してきてない!

ここまで離れて出さないってことは多分出せないんだと思う!近接特化を予測、一応警戒だけして、遠距離から斉射!」

 

「了解!勇敢なダイバーに感謝する」

「情報提供ありがとう!」

 

私はウイングユニットを展開して

スラスト、真横軌道で体を浮かせずに走る

 

そして

 

「オラァッ!地球じゃあ赤いのは速いって相場が決まってんだよ!硬いだけで赤くなるなぁ!」

 

なおウルトラマンは除く

 

え?なんてそんなの知ってるかって?

私の趣味は若干男性的な方向に偏っている、以上QED

『495年の波紋』

 

待って待って

なんであの人一人で虫突破してるの?

あのレンジャー凄すぎない?

アリ相手に至近距離格闘戦挑む人初めて見た、、私がいた!

 

取り敢えず空中へ上がれない私は

陸上を突破することを決意して

「せんぱーい!やっちゃってー!」

 

「はいはい、やればいいんでしょ?無理しないでねぇ?」

 

後ろに着地した先輩が

スナイパーライフル『LRSL-AC』で連続掃射し

アリどもの防衛戦に穴を開ける

 

その銃便利だな、扱いやすそうで

「加速だ!」

 

空いた穴を走り抜ける

 

少々でも遅れれば致命となる場所を

一気に走る

 

そして、渡りきるその瞬間

突然アリが飛び出してきた

 

「ギィ!」

 

アリはこちらに尻を向けて

酸を出してくる

 

しかし

「大丈夫か?」

「はい!」

 

その瞬間に、

アサルトライフルに蜂の巣にされた

 

「お前は俺の指揮下に入れ、いいな!」

 

「はい!これよりストーム1の指揮下に入ります」

彼の指揮は到底常人にできない事を命じてくると有名だけどね、

本人がそれをできるんだから恐ろしい

 

それでもストーム1と同じ作戦に出たら死ぬ

なんて噂はない

 

それは何故か、彼が全滅してもおかしくない作戦ばかりに出ているからだ、そもそも全滅失敗するのが前提のような作戦を、あろうかとか単独で成功する

 

そんな戦力を陥れる余裕などないのだ

 

多分、そうだと信じたい

書類上ではそう

 

 

 

うん希望的すぎる観測だけど

せいぜい身を守ろう

 

ストーム1の指揮は無茶振りだが

ストーム1の生存率だけは唯一信頼できるものだ

詰まる所、彼は強すぎるのだ

個人で強すぎて他の強さを自分基準にしてしまったがゆえに、他の人に無茶ぶりを平然と要求する

 

彼が出来るから出来ると信じて

 

かくいう私に出来るのは

ウイングダイバーらしい立体的な支援などではなく、超平面的な高速機動、そもそも間違っている私運用がうまく行くはずがない、、

 

まぁいいか、どうせアリを殺すだけの仕事だ

 

そう、私は油断した

 

「プシッ!」

 

「なっ!」

先程から姿の見えなかった蜘蛛が

なんと超遠距離から糸を吐いてきたのだ

私は咄嗟に手にしたライフルを盾にして

なんの抵抗もなく貫通してきた糸に体を貫かれた

 

「ごぶ、、貫かれちゃった、、かぁ

せめて彼氏に言いたかったなぁ」

 

それに既存の穴にして欲しかった

脇腹は跡が残りやすいのに、、どうしてくれるのかな?貰ってくれるの?(命を)でしょ?

 

でもさ、私とてウイングダイバー

蜘蛛に殺されるなら当然で済む

 

だからと言って、、ここで簡単には死なないっ!

 

レーザーランスで糸を焼き切り

糸に含まれていた酸を加熱分解するために傷を焼く

 

エイドキットがあればよかったんだけど、医療用ナノマシンでも可

 

「ストーム1、あとは頼みます」

「まて!無理をするな!」

「もう相手の射程内です、、戦闘続行します」

 

せめて最後くらい、、女の子らしく輝こうか!

 

「行くよ、加速!」

 

半壊した体で無理に加速し、

蜘蛛に突っ込む

ビームで糸を焼けるとわかった以上

レーザーランスで糸を防げる

喰らえよ、私の終わりを飾るランスチャージ

 

あぁ、次産まれる時は

可愛い子だといいなぁ

こんなドスケベスーツ着たくないなー

 

そんな雑念を込めたランスチャージは

正しく蜘蛛を貫き、一撃で斬滅せしめ、同時に私自身にも死を送り返して来た

 

「さよならストーム1、先輩、板棟先生、、私もう寝るわ」

 

そして私は

虫の爆発に巻き込まれて消滅した

 

 

筈だった

 

「…………ここどこ?」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ワールドダイバー

ここはどこでしょう

 

多分答えの出ることはない質問を繰り返しながら歩く

ウイングユニットの出力は永続ではない

謎理論でジェネレータを積んでいるからといって枯渇しないわけではないんだ

 

というわけで、陸上へ行こう

 

 

は?

なんで私は海を歩いていた?

私のスーツは海上を歩けるような機能はない筈だけど?

というか当然のように海立ってるんだけど誰か答えてくれないかな?

 

「キィイ!」

 

突然海面を蹴立て現れたそれは

知識があれば

 

駆逐イ級と判断できるだろう存在だった

しかし

私はその時、反射的にレーザーランス

『パワーランス』を起動して

刺突していた

 

瞬間的に出来上がる黒い物体の串刺し

 

「勝ったな」

 

正直遅い、虫のように奇怪な高速機動をしないなら楽過ぎる

勝てる勝てる

 

「で、一体なんなんだ?これ」

 

取り敢えず刺したはいいものの

爆発もしないし酸も出さないコレをどうするべきかと思案にくれていると

 

コレのお仲間らしきものが

四体出現した

 

もちろんレーザーランスのお世話になってもらう

 

「せーのっ!かそっ、くぅ!」

 

海上を滑るように移動して

レーザーランスを突き立てる

 

しかし

 

突如として目を輝かせた個体が

謎のミサイル(?)を発射

 

レーザーランスのアーク刃を防いだ

 

「なんと!」

 

私は驚愕しながら離れてビーム銃、

『LRSL-33』を発射し

ソレは驚異的な反応で回避を試みるが

流石に遠距離のレーザーを回避は難しかったらしく、瞬く間に爆発を起こした

 

その威力を察したらしい他個体は

私に向けて攻撃を試みて、、その瞬間

私の体の横を通り過ぎてミサイル、、いや訂正しよう

魚雷が飛来し

 

直撃、沈没していった

 

「そこのアンタ!見ない艦型だけど、誰?名乗りなさい!」

 

「………?」

見ない関係?何が?体型ならまだしも関係?

しかも今の魚雷は明らかに軍用装備

この子もEDFなのか?

だとしたらアレはプライマーの兵器か?

 

「名乗りなさいよ!所属と艦名くらい言えないの?!」

 

いやまずこの子だ

この子、謎の装備を持っている

お前にさっきの魚雷はまさしくレンジャーのミサイル級の火力

おかしい、私の知る兵科に

レンジャー、フェンサー

ウイングダイバー、エアレイダー

以外には存在しない

もちろん海上移動可能な兵科などない

 

いや私も似たような状態か?

「名乗らないなら敵性勢力と認識するわよ!」

 

この子がEDFの装備を見て、認識外の装備だと判断したのならソレは間違いなくこの子がEDF以外の組織に所属しているという事の証明であり

EDF以外の組織がプライマーに対抗しうる装備を開発などしているはずがない

あるとしたら秘密結社かテロ組織くらいだ

そういう組織に所属しているのなら幼すぎる外見から判断して間違いなくこの子は特攻兵器タイプの使い捨て

 

それはダメだろ

 

「所属確認不能と判断!攻撃開始!」

 

少女が手に持っていたオモチャのような砲?を発砲する

私にそんなものが当たると?

 

私は姿勢を正して

ウイングブーストをかける

 

加速した私は少女に急接近して

「よしよし、もう大丈夫だよ

貴方はEDFが保護する」

 

抱きしめる

人形兵器タイプには自爆するものもいるらしいが、この子は洗脳されているような妙な一元的思考を見せなかった

 

つまるところ、

この子自身の意思が残っている

 

それなら確保できれば保護できるはず

あわよくば彼女の兵器の情報を解析して、、

 

いや、コレは技術班に任せよう

私はマッドじゃない

 

「アンタ、、何いってんのよ!」

「何って、保護だよ?私が君の安寧を保障しよう、、とはいえプライマーがいる以上

完全に安全とは言い難いけど」

 

「だからプライマーって何よ!深海棲艦でしょ!」

 

抱きしめられた少女はもがきながら喚く

 

うーん、、あんまり暴れないでほしいなぁ

 

「取り敢えず自己紹介と行こうか」

陸に戻るまでにはこの少女から出来るだけ情報を引き出さないと、、

 

私は姿勢を正して彼女から少し離れる

 

「私は全地球防衛機構(earth defense force)日本、関東支部、ウイングダイバー板棟中隊、第五、ペリコ小隊隊員の鉋狩 翼、ウイングダイバーよ」

 

「………はっ?」

 

どうやら、この子は全くこちらを知らないようだ、、コレは手間がかかる事になりそうだ



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

着任、、しました?

さて、この子から情報を吸わないと

 

「まずは落ち着いて、ゆっくり深呼吸」

「そんなのどうでも良いわよ!まず地球防衛ってなによ!」

 

「プライマーから地球を守ってる組織だけど?略称EDFで地球防衛軍の方が通りが良いかな?」

「ドンドン謎が謎を呼ぶわね、、」

 

ついには呆れ始めた、、

私の方が呆れたいんだけど?

「ねぇ?まずは陸上へ行かない?

私のエネルギー残量は怪しいんだけど

貴女はどうかしら?」

 

私はとりあえず地上へ戻れば何処かしらにアンカーの柱が見えるだろうと予測して提案する

「そう、なら好都合ね、

ここでアンタを沈める!」

 

少女は突然機械的な装備?を鳴らして

砲口を私へ向ける

当たったとしてもEDF装備なら多分耐えられるんだけどなあ

 

「ごめんね、そういうわけにも行かない、私の方が早いぞ」

『LRLS-33』を起動してトリガーに指を掛ける

発砲はともかく爆発したら互いを巻き込む位置関係上、これで互いに撃てない状態だ

 

「ぅ、、撤退するわよ、、」

大人しく下がってくれたか、、まぁ

良しとしておこう

 

私の対応も流石に良くなかった

いきなり銃を向けるのはどう考えてもNGだ

最近は敵に銃を向けるどころか

何処かに銃を向ければ敵がいた状態だったから感覚が麻痺してるんだな

 

早くなんとかしないと

「朝潮型駆逐艦十番艦、霞」

 

「……はっ?」

「だから!自己紹介よ!アンタだけ名乗って私は言ってないなんて不自然でしょ!」

「あぁ、なるほど、、って朝潮型駆逐艦?」

 

私の記憶が確かなら駆逐艦とは比較的小型の軍艦を指している筈、、

この子はたしかに小型ではあるが、

それはあくまで人間の範疇だ

全長うんメートルとかそういう話ではない

 

唸りこんでしまった私の方をチラ見しながら霞ちゃん(自称駆逐艦)はきっつーい目で睨んできている

こんなに対空火力(上目遣い)の高い(かわいい)駆逐艦って、、

 

まぁいいか、取り敢えず

偽名なら偽名で良い

本名や所属を探る必要もない

 

おっ?陸が見えてきた

 

「よし、もうすぐだ」

「さっきも思ったけどアンタの口調ってなんでたまに男っぽいの?」

「ん?、、あぁ

口調の事は名前からだね

私は男っぽいとか言われ続けて小学校の時からあだ名がおとこおんな、やめて欲しいな本当に」

 

「そういえば、翼だっけ?」

「翼だよ、私の名前」

 

やっと笑ってくれたなこの子

ん、、笑うと可愛いな

「海岸の方が近いか?」

「ドック行くわよ、付いて来なさい」

「えぇ、、」

 

なにそれ?ドックってアレだよね?

入院とか、検査とかの時に使うアレ

 

精密検査でもするのか?

 

まぁ今更か

仕方ない!考えるのはよそう

「一緒に来て」

 

霞ちゃんに先導されて移動する

ドックから陸上に上がり、

霞ちゃんが重々しい装備を外して行く

 

「ほら、アンタも艤装外しなさいよ!」

「艤装、、、?」

「アンタそんなことも分かんないの!?良いからその羽とかメット外しなさいって言ってるのよ!」

 

「あぁ、、これは

スーツ固有の装備だから外せないんだ」

ウイングダイバーのスーツは面倒な構造だが

着脱は楽である

とはいえウイングユニットは外せない

手袋とかメットなら外せるけど

上着に固定されてるから

これ脱ぐしかないし、、

流石に上裸で出歩きはできない

 

「そう、じゃあ武装解除は?」

「意外に冷静だね、、じゃあはい

『LRLS-33』だ、

ただし誰にも触らせないこと」

 

「そんなの誰も弄りゃしないわよ

それだけ?」

 

「うん、これだけだよ」

 

もちろん嘘、『パワーランス』の柄ユニットは小型なため、腰に固定していかにも飛行ユニットの一部ですとばかりに偽装している

 

「じゃあ行くわよ」

「行くって何処に?」

「決まってるじゃない、司令の執務室よ」

うんわからない

全くもってわからない、司令ってアレ?

本部の罠使いさんでしょ?

 

 

日本には一箇所しか支部はないし

外国だとしたらここまであからさまに日本語で話さないし、最初にその地域の公用語で話しかけてくるだろう

 

うーん、、よくわからない、、

 

「ほら!付いて来なさい!」

「……はーい」

 

その後、彼女に連れられて付いた執務室はやはりあからさまに日本人の司令官が居て

日本国旗が掲げられて居た

 

「さて、、まずは情報を嚙みあわせるところから始めようか」

 

取り敢えず自己紹介から準備を始めた私は、そのあと歴史やらプライマーやら諸々全てを説明することになるのだった



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

謎の神話解釈

「君はたしか、EDFという組織に在籍していたんだよね?」

 

「はい、私は地球防衛軍、日本関東支部所属ウイングダイバーです」

 

「うん、その地球防衛軍のウイングダイバーっていうのは説明をいただいた、問題は全く現実味が無いことだ」

 

どうも納得せねばならないらしい

私は別の世界に来たと

 

「うー、、ん、、

私としてはこっちの世界の方が全くもって現実感ないんですけどね、、どうしましょうか」

 

全く話が噛み合わない

こういう時にどうするかって?

取り敢えずそういうことって感じに受け入れちまえば良いのさ

という魔物の声が聞こえてきたので取り敢えず従っておく

どうだって良いだろう

私は今生きてここにいるのだから

今するべきは迅速な行動

拙速は巧遅に勝るのだ

 

主に軍ではの話だけど

 

「で、君から艦娘特有の磁場は観測されない、つまり君はあくまで普通の人間って事だ」

 

 

それ何回も言ってるんだけどね

全然信じてくれなかったよね

 

まぁこっちの世界にはEDFが無いというし、あの忌々しいアンカーもない、さらにはテレポーションシップ?とかいうデカい円盤も確認されていないし巨大生物もいない

 

平和だなぁ、、と思ったのは束の間

この世界は、深海棲艦という外来存在に侵略されているらしい、

 

突如現れたそれらは

人の手の及んだもの全てを破壊しているそうだ、幾らかの例外を除いて、人間と穏便に接触した例はなく、発見次第攻撃してくるのだとか、、なんとも嫌われているな人類

 

どこの世界でもそんなものか

 

どうでも良いけど世界中の神話に

天から落ちてきた卵から出てきた存在が人類に知恵を与えたって話とか

天を征く船であるとか

 

ギリシャ風にいうと

牛の肉と皮or骨のどちらを選ぶか

日本風にいうと

木花之咲耶姫と磐長姫

のどちらを嫁にするか

南米風にすると

バナナと石のどちらを取るか

の二者択一であったりとか

 

色々と話があるんだが

(SUNチェック)

この骨子がひどく似通った話って

バベル/シャクシェクの塔の話を踏まえると

人類が未だ小スケールであり

統一されていた頃に起こった事件を

言葉が分かたれ、人類が

バラバラな地域に散った後に

後世に記したあと、

 

宇宙船で地球にきた異星の生命が地球の未発達の文明を進化させた

宇宙船、あるいは飛行機の技術

 

霊的、悠久の存在or物質的、刹那の存在の二者択一

の情報がそれぞれ残され

それをそれぞれの地域風にローカライズしたって事にならない?

 

そうなると人類の進化系統における旧人類と新人類の間のミッシングリンクと突然進化してる新人類の飛躍が旧人類を異星の生物が駆逐したと考えるのか?

 

いや異星の生物が

旧人類と混血した?

もしそうだとしたら旧、新人類の間の格差は解消されるんだが、、いやまてよ

となるとロストテクノロジーとオーパーツ

そして終末の予言について分かる事があるんだが(アイデアロール)

 

『歴史は繰り返される』

 

つまりそういうことだ

この世界が何巡目かは分からないが

滅びるたびに神は人類の痕跡を滅ぼし

新たな霊長を作り

そしてそれを滅ぼす

 

それを繰り返してきたのだとすれば

EDFとはそもそも造られた時点で負けが決まっている組織なのでは?

詰まる所人類は発展と崩壊を繰り返す地球に存在する一シーズンの覇者に過ぎないものであり

やがては神に滅ぼされる、?

だとしたら極東、日本はどうだ

日本神話では人は神と非常に近しい存在だ

特に力の弱い(プライマー)ばかりが住む場所つまり被差別集落的な地域だったのか、それとも安全地帯だったのか、あるいは人間との融和、混血を行なっていた現場だったのかは分からないが、

取り敢えず、プライマーを倒すキッカケはギリシャやアメリカではなく、日本にこそあると思う

プライマー同様

戦闘者としての本能が最前面に出た種族的英雄個体は日本から生まれる可能性が高い、、ストーム1か

 

そうか分かったぞ!

日本において敵から得られた力を用いて敵を倒すストーリーが多いのはそれを実践してきた民族性からだ!つまり日本とは種族的英雄を作り出す勝利の鍵だったんだ!

他所の国では大体敵であり

滅ぼす者である龍が日本と中国に限っては守護者だったりするのも龍とはプライマーのガンシップか何かの暗喩だったのだとすれば、

日本が英雄を作るための実験施設だった、という可能性も目につくが、、がプライマーを凌駕し得る存在が日本に生まれる可能性は高いというべきだろう!

(SANチェック)

 

うん、プライマーが居ないこの世界ではなんの意味もないし、通信が通じない以上は向こうにも伝えようが無いけど

 

こんな仮説立ったところで

なんの意味もないや

まぁ、放っておこう

(諦めの境地)

 

ぼんやりとしているうちに話は終わったようだ、割り当てられた部屋の鍵は

 

『208号室』あとで霞ちゃんに案内を頼もう

場所は聞いてない

適当に話を聞いては考え込みながら頷いてただけで話が終わってしまったのだろう

仕方の無いことだ

 

「じゃあ、君は人間として

この鎮守府に所属している提督候補ということにしておくよ、あとはよろしく」

「はい、よろしくお願いします」

 

取り敢えず返事だけ返しておく

私はこの後、猛烈に後悔することになる

この時、もっとしっかりと話を聞けばよかったと…




恐ろしい真実に気づいてしまった翼ちゃんは1d6のSUNチェックで失敗し
さらにアイデアロールに成功、SUN値を8も減らしてしまいました、、今後彼女はどうなってしまうのでしょう、、


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ダイヤモンドブリザード!

「霞ちゃん案内プリーズ」

「はぁ?アンタなにボケた事言ってんのよ」

 

対応が冷たいよお(ブリザード ナウ)

 

ダメだこりゃ、、

「はぁ、、全く、、仕方ないわね

付いて来なさい、逸れたら置いてくわよ」

 

ちゃんと連れてってね!(エンゲージ プリーズ!)

 

可愛い霞ちゃんに連れられて

鎮守府旅行に繰り出すのだった

 

可愛い

 

はぁはぁ

 

かわいい

 

「アンタまともに聴いてんの?!」

「はぁっ!はぁっ!、、あっ、、」

思いっきり目があってしまった

これは辛い

 

 

「何よ、言いたい事があるならちゃんと言いなさいよ!」

「はーい」

そのままくるりと前に向き直って行ってしまった、、スルーされた?

まぁいいか

 

「はい、着いたわよ、ここがアンタの部屋」

「ほえぇ、、すごく、、何にもないです」

 

部屋を見渡しながらのコメント

「当然じゃない、元々カラ部屋なんだから、ほらはやく荷物置いて、、荷物なかったわね」

「クスッ!」

おっと、不覚にも笑ってしまった

話の途中ですまない

 

「ちょっと!何笑ってるのよ!」

 

ムスッとした表情の霞が迫ってくる

かわいい、そしてかわいい

やばいかわいい

 

ナデナデ

「あっ、、何撫でてんのよ!」

顔赤いよ霞ちゃん

「ごめんね、つい衝動的に撫でちゃったんだ、次からは気をつけるよ」

 

「……全く!気をつけてよね!」

 

これもスルーしてくれた、、

なんと懐の深い駆逐艦か

懐に入り込むのが駆逐艦の仕事なのに、

 

さて、私は何をするんだろうか

 

部屋に入ってとりあえず座った私は、何をすべきかを思案しているのを目ざとく見咎めた霞ちゃんによって引っ張り出されていた。

 

「まずは提督候補生としての教練よ!提督になる以上、指揮は欠かせないわ!」

 

「という事で呼ばれた響だよ

今回は仮装敵艦としての参加だから、駆逐ヒ級と名乗った方がいいかな?」

 

後で聞いたところ

深海棲艦は基本的に

艦種 イロハ一文字、級

と呼ばれるそうだ

人類が発見した順にイロハニホヘト

と振られている為

駆逐イ級などはまだしも軽巡ホ級や千、違った重巡リ級などは頭を抱えて居ないだろうか?

 

補給出来ないのにホ級とかw

とか言われたり

お茶点ててよねぇ

とか言われてストレスマッハなリ級とかの深海勢なんて絵面があったら見てて面白そう

 

くっだらないけどね

私の発想力ってなんかおかしな方向に進む事が多いなぁ

どうにか出来ないんだろうか?

 

え?無理

それない仕方ない諦めよう、

逆に考えるんだ

おかしくなっちゃっても良いやって

うん、女の子はガンガン突かれるとおかしくなっちゃうのが宿命だからね!構わないよね!

 

「ほら、演習開始するよ」

「ボーッとしない!」

また怒られてしまったか

 

「まずは戦い方から確認するよ」

陣形、単艦同士故に発生せず

 

「「敵艦隊見ゆ!」」

 

「行くよ」

 

霞ちゃんに向かって加速する響ちゃん

ハリボテの矢を放る

 

どうやら航空戦のフェーズを省略したものらしい、艦載機ガン無視かな?

空母ならそこで艦載機を飛ばすが、今回は駆逐艦なので略、と言った形らしい

 

《同航戦》

 

「制空権確保だよ」

響ちゃんが制空権を取る!ただし

今回のシチュエーション上、制空値を持つのか彼女だけが故の結果である、悲しい

 

「「砲撃戦に入る!」」

弾着観測射撃をわざわざ口で宣言してから砲を構える響ちゃん(レ級役)

可愛いなぁこの子も!

 

双方撃ち合うが、互いに外れ、、

「雷撃、始め!」

響が演習用のインク魚雷を発射、

続いて霞も同様の魚雷を放って、互いに回避行動に入り、、命中

「流石に、これはつらいかな」

 

霞大破、戦闘不能判定、

響中破、戦闘続行可能判定

 

響勝利、Bランクだ

「おつかれ様、、インク落としておいで」

二人とも結構ひどく着色している、、綺麗に落ちるかな?

 

「大丈夫よ?ここの洗濯は鳳翔さんがやってくれてるから!」

「それは気にしなくて良いよ

鳳翔さんの技術は確かだから」

 

二人ともに言われた、、

鳳翔さんとやら、一体何者なんだ…

 

「じゃあ体の方のインク落としは?」

そう言った私には、

二人の硬直する顔がよく見えた

 

「あっ」

「入渠に行かなきゃ…」

 

なんか抜けてるなぁ霞ちゃんも響ちゃんも、?響ちゃん?ひびき?響鬼?

響ちゃんは音撃ハンター!?

「ねえ響ちゃん!太鼓に興味ない?」

 

「よく言われるけど違うからね?装甲も付かないし赤くなったりもしないしバイク壊さないから!」

 

「なんでそこだけピンポイント…まぁバイクはよく壊れる(SDL2)し仕方ないでしょうよ」

 

あれは本当に良く壊れる、レンジャーの先輩に乗せてもらったけど壊れかけてたし、ぶつけたら壊れるし早すぎて街とかだと使いづらい

 

結局活躍するのは海上という残念な結果になった…フェンサーの先輩に曰く、あれは

乗るというより動かすであり

いまいち操作性に難があるんだとか

 

まず姿勢制御からブツクサ言われたのも良い思い出だ…「というかはやくお風呂行ったら?」

 

「あっ!行ってくる!」

「不死鳥の秘密は、修理のタイミングにもあるんだよ」

「それ言うタイミングおかしいったら!」

 

謎の掛け合いを始めながら走って行く二人だった、

 

インク落ちるかなぁ?

綺麗に落ちてくれると良いけど

残ると結構悲惨になるからなぁ

 

私も演習弾の跡が消えるのに二週間掛かったし、ウイングダイバーのとある先輩は一生消えないから責任とってよ!とか言ってフェンサーの先輩に迫ってた、、

 

あれはなんて作戦だったのか、、

寿退社なされた先輩だが

今はどうしているだろうか…

 

もう死んでるかな?それとも復隊してるかな?ちょっと気になるなぁ

 

その次の週にあった時には跡は綺麗に消えてたんだけど

「もう籍は入れたから!」

って笑ってたなぁ

一緒にいたフェンサーの先輩の方は

「俺ぁ騙されたんだ、女の涙にゃろくな成分が入って無いってなぁ学べたがよぉ、その釣りにゃ人生の墓場と来た」

 

とかショボくれていた、

とはいえ本気で嫌では無いらしく周囲の野郎どもに『コイツはオレのだオーラ』出して威圧してたのが印象的だった



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ダイバー提督

ちょっとした謎解きをしていく主人公

なかなかおかしい推理あり


よし!

一応話を聞き終わった!

 

私はいま、提督から呼び出されて、提督候補としてのお話を聞いているのだが

 

これが長いったらありゃしない

意味もない話を延々と繰り返すし、突然話が飛ぶどうなってるんだこの人は

おかしいんじゃないのか?

「と言うわけで大本営からの命令だから君提督よろしく」

 

「え?」

「いや、え?じゃなく命令だから、よろ」

 

「その命令おかしいよねぇ!」

「汝、隣人を愛せよっていうだろ?俺を助けると思って!」

 

例えばこんな風におかしい

 

「無理ですって!私着任して一日経ってませんよ!」

「大丈夫大丈夫、初期艦の叢雲残していくから、あの子ちっちゃいけど素人を提督に仕立て上げることについてはスゲーから!じゃあ俺は退任しまーす!」

 

そのまますっごく嬉しそうになる軽い足取りで去っていった、

「彼は一体何がしたかったんだ、」

 

ちなみに、彼は本当に退任したらしく

大本営の人事異動指令書には何故か私が次任の提督として書かれていた、、カオス

何が鉋狩 翼少佐を呉の次任提督とするだ、思いっきり経歴詐称に引っかかってるじゃないか大本営

 

なんでそんな所で本場の罠展開してるんだ

無能ムーブしやがって

 

「しかも極秘扱いって、なにこれ?」

 

命令書の裏には炙り出しらしき空白部分と、鉛筆で擦ると出てくるレタリング転写と水をかけると変色するペンとブラックライトという

謎の凝りようでバラバラに書かれた文字で[艦娘達には提督の退任を表明しない事]

 

と書かれていた、、

誰が解読するんだよこれ

 

私だろ!?私の負担を考えろよ!文書渡されて普通に表面に文章書いてあったら取り敢えず炙ってみる奴なんていねぇよ!

 

まぁ文字の跡がルーペで拡大してライトを当てて透かして見ればなんとか読めるくらいで残ってたから気付いたんだけど、

この凝り様は異常だと思う

 

「ん?ブラックライトで照らしてみるとも1個出てきた?bc 創世 11-27」

全然わからん。

BCってのは確か紀元前を表す西暦表示だった筈、創世?

 

創世って神がやったとか言うアレ?裁きの神剣?

 

うー?、?

創世っていうと、有名なのはいわゆるキリスト教の新約聖書だよな?だけど聖書は一般的に紀元後、DCに生まれてるし時間軸的にも創世がどうってのはあまり触れられてない

ええっと、イエス様から遡ると、アブラハムまで遡るけど結局新約聖書には創世記にあたる部分があまり残ってないはず

 

?!!

アブラハム!そうだよ!

彼がユダヤ教の聖書に記される最初!誕生については旧約聖書の創世記、BCってのは西暦でキリスト教を想起させるワードと多分旧約聖書の編纂時期!紀元が子孫の誕生日で決まってる先祖なんだから、紀元前に決まってる!

思い出せ私、、彼について語られる話は、、誕生は、、旧約聖書、創世記、11章27節!

 

私は机から後ろの本棚へ振り向き、

本を探す、あった

新約聖書とか艦隊戦のススメとか嘘の吐き方とか神道とか色々本がある中に一冊だけ隠されてた!一番左の棚、それも左から27冊目(一番右の側に)、一番上の段に

ここででも11.27

 

鍵が掛かっている、、

ダイヤルロック?

 

9桁じゃあわからない、、

ん?9桁?特注の鍵か?普通3、4、6、8ってなるものだが

普通に進数とか数列じゃ解けなそうだ、、

11 27に続いて9桁、つまり旧?

 

いやたしかヘブライ語圏ではアルファベットを番号に変換して並べて置いて番号に当てはめて字に直すと文になるって古い暗号があるよなぁ?

アブ ラ ハ ム

A b ra ha m

1 2 18 1 8 1 13

これか?

131818113

 

カチッ!

 

開いたし、、

満を持してページを開くと

そこには旧約聖書の創世記が、書かれていたわけでは無く

 

「落丁本?」

真っ白だった

 

また暗号?どんだけ凝ってるんだ?なにがそんなにバレたくないんだ?

 

取り敢えず一番最初のページを開き、、そこに書かれていたのは、

『西暦2013 -4/23 PM2:30 鍵元帝督は呉鎮守府の提督に着任した、』

事細かに記された日記だった

 

この聖書全落丁どころじゃない!これガワだけすり替えた分厚い日記だ!



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

dark side

ガワだけすり替えられた日記を読む事にした私は、執務室を封鎖し

完全に無音で読み始める

 

一応だが周囲も警戒しておく

何があるかわからないからだ

(クトゥルフ脳)

 

『4/23、PM3:20

初期教練終了、最初の秘書艦、初期艦を選択する運びとなった、私は迷わず叢雲を選んだ』

 

ほう、叢雲を迷わずねぇ?

『4/24最初の建造を行なった、駆逐艦の睦月が建造された、燃費が良い艦娘と聞いている

私は幸運だ、だが叢雲は小言が絶えない』

 

『4/25、小規模ながらに鎮守府近海へ出撃し、深海棲艦を撃破した

これで敵が減ったとは思えない。

睦月が小破したため、すぐに入渠させたが、資材の消費は予想以上に激しい、しばらくは節約だ』

 

『4/26、また建造を行なった、今回は武器を作る《開発》もセットだ、当時秘書艦は叢雲、建造されたのは吹雪型駆逐艦《特Ⅰ型》二番艦、白雪、作られたのはドラム缶だった

燃費は良いがイマイチ戦闘力に欠けてしまっている、しばらくは練度上げと節約につとめよう』

 

うーん?内容は普通の日記?

らしいのだけど、、

 

『10/20、敵大規模侵攻を受けて鎮守府は半壊滅状態におちいった、私自身も出撃して

ようやく戦闘が終結した頃には艦娘も半数以下になっていた、私も左腕以外を動かせないほどの重篤な火傷、銃創を作ったが、沈めてしまった娘達に比べれば軽いものだ

あまり心配しないでほしい』

 

ん?なかなかアグレッシブな提督だったんだな、帝督さん

 

『10/21、

敵大規模侵攻は完全に終了し、各鎮守府はそれぞれで連携して相互修復を試みている

私の体が動けばすぐにでも行きたい所だ

話は変わるが、今日は睦月達が見舞いに来てくれた、林檎を剥くのはいいが、何故口移しで食べさせようとするのだろうか?』

 

なっ、、睦月ちゃん意外とやるな?

『10/22、鎮守府の外観は元に戻ったらしい、妖精さんはいつもそうだ、科学を無視している

今日も艦娘が来た、今日は那珂だ、耳元で何事かを囁かれていたようだが、はて?ナカハオレノヨメ ニドトハナサナイ とは一体なんの呪文なのだろうか?』

 

おぉう、、

『10/23、今日は鳳翔さんが来てくれた、いつものように鳳翔さんと呼ぶとひどく悲しそうな顔で何故さん付けなのかと言われて、《鳳翔》と呼ぶとすごく嬉しそうに笑ってくれた、

私の服を洗濯してくれているのも鳳翔さんだというし、手土産にと小説も貰った、頭が上がらない

《日本初の一等空母.鳳翔戦史》というタイトルなのだが、こんな本が出回っていたのだろうか?』

 

『10/24、不知火が来た、落ち度は私の責任だから泣かないでほしい、ずっと泣いていて、私より点滴が必要なんじゃないかと思った、頭を撫でると静かになるのは駆逐艦の基礎機能なのだろうか?』

 

『10/25、今日は龍田が来た、元気になるおまじないとか言って私のいまだ不自由な足を撫でていたが、如何なるまじないなのかは不明だ、、龍田の恍惚とした表情が気になり、質問してみたがはぐらかされてしまった

 

しかし、子供の名前はどうしましょうか?とは些か誤魔化すにも無理がある話題では無いだろうか?』

 

龍田さぁん?

もうここまで来たらわかった

ここの艦娘、、ヤンデレだ

 

「私、、いけにえにされた、、?」

え?私は退任まで提督を演じきらないといけない?、、死ねるんだけど

どうすればいいかな?

 

そうだよ艦娘になればいいんだ

私は幸い女性だし

深海棲艦とも戦える、それなら艦娘としての価値はある

私は何としても、生き残る!

 

とりあえずは提督の人となりを知る必要があるか、、これは必須アイテムだな

 

よし、日記を読もう

『12/25、数隻の艦娘からひどく絡まれた、巨大なサイズのケーキを食べきるのは人間では不可能だ、、甘すぎるのと多すぎるのが相まって、、今にも気絶しそうだ、』ここからは筆致が乱れていて読めない

 

『12/31、大晦日

駆逐艦は私の足元を囲い、軽巡は私に抱きつき、重巡や空母は私を抱えて何処かへ連れ去ろうとしている、戦艦に至っては直接拉致に来た、、最近改二になった川内の助けでなんとかなったが、夜戦を強いられた

私の気力はもう空っぽだ』

 

ヤラれてるわ!

『1/1、川内と共に目覚めた私は

まず服の乱れがないかを確認したが、なんの問題もなかった、危うかったな。新年の挨拶は鳳翔さんらか用意してくれた和服で行なった、格好は付いていると思うが、肝心の私が全く格好悪いので、むしろ着られている風に見えるかも知れない

赤城にはベタ褒めされたが、鳳翔さんの事を伝えたら急に不機嫌になってしまった、何故だろう』

 

お前が他の女の名前を出すからだよ!

 

『1/2、全く私は運がいい

新年早々加賀さんをお迎えできた

これで一航戦が揃う、なのだが、史実でも仲が良かったとされる赤城と加賀がどうにも睨み合いをしてしまっているようだ、何があったのだろうか?』

 

『1/3、加賀を秘書艦に指定し、執務を始めたところ、彼女はなぜか膝の上に乗って来た、そのまま平然と執務を始めて、しかも正確に、早いのだからなんの指摘もできない

一方の私はといえば視野を塞がれて加賀の背中をただ受け止めるだけの状態だったが、

やわらかい太ももの感触が素晴らしく、気づけば一日中終わっていた、《ここは譲れません》とはどういう事だったのだろうか?』

 

お前の膝に座る指定席だよ!

ひたすらツッコミを入れながら読んでいると、艦隊が帰還してくる時間になっていた、、

 

マズイマズイ、、どうしよう!

慌てて隠れられる場所を探す私に、希望の光が差した

 

「蝶リボン型変声機?」

名前的にはどう見ても未来少年なのだが

大丈夫だろうか?

 

まぁやってみる!

説明書を見ながら私自身の髪に着けて起動すると、私の声が、提督のそのものになる

 

さぁ、演技の時間だ




覚醒めしヤンデレども相手に
どれだけやれるのか!?次回
鉋狩、シス!どうなっpーーー


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

クイーンオブ

すぅ、、はぁ、、

よし

time to play(さぁ、演技の時間だ)

声が変わる

 

提督そのものだ

 

よし、

 

「艦隊、ただ今帰還しました」

この声は、

鹿島さん(ユンケル)だっけ?

 

「失礼します!」

入室してきたのは、銀髪を、、それはツインテールで良いのか?な髪型にまとめた中学〜高校生くらいの美少女

 

「提督?、、どういたしましたか?」

やっぱり外見偽装できない以上は隠れるしかない、流石に声だけではダメか、、?

 

「いや、なんでもない。大丈夫だよ」

 

「そうですか、なら良かったです!

ところで提督?」

「ん?何かな?」

「提督の匂いが、いつもと違うんですけど、どうかしましたか?」

 

匂い!?そんなのでバレる!?

取り敢えず、、こうだ!

「いや?シャンプーが変わったからじゃないか?」

 

まぁ怖い

視線とかなくてもわかるくらい

雰囲気が怖い

流石尉官なだけある、

 

「提督のシャンプーが変わったんですか?じゃあ髪の香りを覚え直さないといけないので出てきてもらって良いですか?」

 

机の下は無理があったか…

じゃあ、

 

「そもそも、君が今相手にしているのは提督かな?俺が提督だという証拠は?僕は今どこにいる?私は実在しているのか?」

 

矢継ぎ早に質問して考えさせない

これ詐欺手法

 

「実在はします!だって私と話してるじゃないですか!」

おお、ちゃんと返してきた

 

正解は思考を絞って、

一つの正解を出すことなんだけど

それを見事に実践されてしまった

 

どうすればやり返せるかな?

そうだこうしよう

 

「今君が話しているのは録音だよ、私の声をレコードして置いたものだ、俺は君のことならなんでも知っているからね、会話くらい擬似的に予測するのは朝飯前さ」

 

適当に煙に巻く!

私は私の全力で自然体な嘘をつきながら、必死にカバーストーリーを組み立てる

 

そもそもの基幹として

鹿島の艦娘歴はたしか半年ない程

つまりまだ愛が突き抜けてるくらい、、よし、まだいける

 

「そもそも、このボイスはチュートリアル用の録音に過ぎないし、君が何を提督だと思い込んでいたのかは知らないが、雇われの俳優も配備すると言われている

もう一度言うよ、()()()()()()()()()()()

 

まるで世界の真理を叩きつけるように、冒涜的な言葉が鹿島の脳を侵食する、

 

ごめんな練習巡洋艦さん、

今はちょっと我慢してくれ

あとで多分カバーするから

 

「じゃあ、、私が今まで提督だと思い込んでいたのは」

 

「そうだね、俳優さんだろうよ

一年に一度入れ替わるんだ、その日に最初に来た艦娘だけに明かすことが許されるんだよ、この事実は秘密だ、私と鹿島だけの、ね」

 

最後にリカバリーも忘れない

 

これを怠ると悲惨なことになるかもしれないからだ

「………はいっ!了解しました!」

悲壮な覚悟でも決めたのかな?

 

さっさと出て行ってしまった鹿島

ロー○ンの株価は上げられても、自分のテンションは上げられなかったようだな

 

可哀想に

 

私もさっさと部屋を出て

私の個室に移動する

 

私は艦娘ではないため、個室が与えられている

のだが、この状況では良し悪しだな

 

「ヘーイ ……ステンバーイ …ステンバーイ

ビューティフォー」

 

部屋に突入して、、

クリアリング完了、制圧

 

よし、誰もいないな

 

ふぅ、、なんでこんな警戒なんてしなくちゃならないんだか

 

私は床に座り込み、備え付けの冷蔵庫を開けて、中に置いてあった手紙を開く

 

嫌な予感が迸った私は速攻で窓とドアを閉鎖し

『ごめんなさい、君には迷惑をかけることになる、という事で、詫び代わりに用意した蝶リボン型変声機と置き時計型麻酔銃は有意義に使ってくれただろうか?

追加のプレゼントがあるんだ、受け取ってくれ』

 

私はそこまで読んだ瞬間に体を反らして

 

「乙女の部屋に、勝手に入るなー!」

 

叫びながら部屋中を漁った

 

出て来たのは以下のもの

1、外見を偽装するための提督の軍服と軍靴(高底)

2、煙に巻くための艦娘の性格集

3、特殊メイクキット

 

何を仕込んでるんだあの提督は

 

まぁ役立つから使わせてもらうんだけど

 

ん?そりゃつかうさ

使わなかったら損だし、特殊メイク無しにどうやって長期間的にごまかすんだい?

 

というわけで早速、リボン型変声機は女性用という事で、付属していたピン型変声機を使い、ヘアピンを付け替える

 

髪の色はもともと似ていた上に、もともと短くかった私の髪は、ほとんど提督と同じ髪型だったため、

結構な割合で誤魔化しが効き、

私の素の髪のままだ

いつか誤魔化しようのウィッグを使わねばならない日が来るかもしれない、、

それまでに変装の技能を磨かないといいけない、まぁ今はこの日記と手紙を読まなくてはならないので、まずはこちらを優先しよう

 

『最終的には、バラしてしまっても構わない、五日あれば私は絶対にバレない場所へ隠れてみせる、その自信もある

だから、君は何としても5日間だけ、五日間だけ偽物を演じてくれればいいのだ』

 

『お詫びとして、君の口座と社会保障を用意した、当面の費用も入っている』

 

ほう、、

『口座には、当分の間を賄えるだけの金額は入っているはずだ、よろしく頼む』

 

よろしい、頑張ってあげましょう

 

私は自分を偽って、

提督として生存する事を誓うのだった




ジ 有明です


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ILL

さて、あと五日間、私は提督として振る舞うわけだが、そのためにも一応私は艦娘たちの思考回路を知っておかねばならない、それを怠れば

気づかないうちに選択肢ミスでアボンの可能性だってありうるのだから

 

五十音順か

 

(あかつき) 艦型:暁型(特|||型 )駆逐艦 所属:第六駆逐隊

同型艦:響、雷、電、建造地:佐世保

 

うん、情報量多いね、思考を把握するのには良いかもしれないけど、一気に読むのに不向きすぎる

 

あと雷って妹だったんだね?私は長女だと思ってた

 

いなづま?いなずま?と何度も見返したが

正解は表記上いなづまで

現代仮名遣いではいなずまらしい

どちらにしても常用漢字変換では出てこない、大人しく電気と打とう

 

駆逐艦は大体幼いとされているが、いくつかの例外がある、その一つが

白露型駆逐艦、外観年齢そのものが他より少々高い、

大体jcからjk

ロリとは呼ばないかな?くらいな年齢だ

 

まぁどうあがいても可愛いが、、

ワンこれ、というらしい

 

うーん、どう誤魔化すかぁ

この子達、改二にさせない以外にないかな?

犬型駆逐艦達はそれを対策にしてしまえばいいとしても、戦艦や重巡はどうすればいいのか

 

足柄とかどう対処すればいいのか、、外観を誤魔化せても流石にメイクでは骨格は誤魔化せない、つまり触られたら終わりだ

どこまで避けるか、それが勝敗を決める

 

ええっと、

神通、川内(せんだい)型軽巡洋艦、所属:第二水雷戦隊

同型艦:川内、那珂 建造地:神戸

 

鬼の二水戦旗艦と呼ばれた、、普段は温厚かつ几帳面な性格をしており、理想的な良妻の一つの形とも言えるが、衝突事故をトラウマとしている他、訓練に於いては自他問わずに厳しく、駆逐艦達に恐れられる

 

まぁ、、私でも怖いよそんなの

先輩の訓練は最初からぶっ飛んでたけど、、ん?ペリコ先輩の訓練メニュー?

まず走る、足が動かなくなるまで

この時間と距離を計って

速度とスタミナを数値化する

そしたらそれを越えられるように動かす

自己ベストは毎日更新、するわけでもないんだけど、それでも頑張る

 

それが初期、次に平衡感覚を鍛える

平均台から始まり、砂山やランダムに動くブロックの上で姿勢を保つとかもやった

 

さしたら最後に飛ぶ、、のだが

私はこれに躓いたわけだ

他は大体優秀だったのに飛べない、何が何でも飛べない、ジェットや反動を全く制御できなかった

なまじ他の部分で成績が良いからウイングダイバー部隊から離れることもできない

離隊しようとすると部隊長に止められる優秀な隊員を流してなるものか

なんて言われるけど

飛べないウイングダイバーに価値はあるのだろうか?

 

まぁどうでもよくなってしまったが

 

「翼!」

部屋のドアがノックされる

「ん?客か?」

 

私は不都合なものを即座に片付けてドアを開ける

 

そこにいたのは霞

「霞ちゃんじゃないか?どうしたんだいこんな時間に」

「こんな時間って今昼よ!

じゃなくて提督知らない?」

 

「提督?、、あぁあの人か

彼なら執務室じゃないのかい?」

 

「それが居ないのよ!」

随分と慌てた様子だけど、どうしたのだろうか

 

「あの人は私が居ないと…何にもできないんだから

私が全部やってあげないと

 

私がそばにいてあげないと…」

 

目がイってる…

この子もか、この子まで病んでるのか

 

「私がいなきゃいけないの

私は提督が居ないとダメなの、、私が提督にずっと付いて行ってあげるから、私を置いていかないでよ、提督っ!」

 

泣きそうだぜ…愛が重い

ハイパー重い

 

もうダメだろこの子

っていうか、すぐに走り去るなよ

私に失礼じゃないか

わざわざ応対しているのに言いたいことだけ言って無視するとは

 

まぁそんな道理を考えているはずもないか

往々にして病んだ娘というのはそういうものだ、山の猪並みに猛進する上に、イギリス並みに手段を選ばない

 

さて、私も提督になりきらないとな

 

生き残る為に必死だぜ、、

頑張らないと死ぬからな!

 

霞の情報はすでに暗記したが

記録の閲覧を急がないと、記憶の擦り合わせや思い出がどうこうって言うのに妙に拘る習性がある女もいるから、気をつけないと




英語で感染症を示すILL
さて、次は誰が病むのでしょうか


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ヴァジュラ

特殊メイクは一応練習してあるし、

私自身の技能も、具体(クトゥルフ)的に言えば変装:30

くらいある

問題なく体格ごと誤魔化して提督を完成させる

というか、今は私が提督なんだけどね

 

さぁ、今日も元気にがんばるぞい!っと

 

後ろに誰もいないよね?

 

 

 

 

ふぅ、さて、スニークミッションだ

『執務室まで静謐性を維持して移動』

これもまた難関だ、

見つかったらヤンヤンされるから達成しないとまずい

 

そっと部屋から鏡を出し

誰も来てない事を確認する、

よし、サイレントラーン!

無音歩行で走り、

足音を立てずに移動する

 

寮を抜けて、執務室のある鎮守府本棟に移動する

 

あっ花壇にリンドウ咲いてる

誰が育ててるんだろ?

 

じゃなかった!行かないと!

 

本棟、、いつ誰が出でくるかもわからない、執念で見つかるかもしれない

急いで慎重に、丁寧かつ迅速に

 

 

無理だろ

 

 

 

出来たわ

今私は執務室前にいる、

正確には執務室から一本道を隔てた最後の角にいる

のだが、この角を曲がれば終わりだ!

 

「そんな都合いい事、あるわけないよね?」

響が待っていた

「待ち伏せか?」

 

「いや、それに私は気づいているよ

()()()()()()

 

「なんだと…私が偽物だと、お前はそういうのか?」

 

「そうだよ、気付かないと思ったかい?、残念だったけど私の次艦は音響測定に特化した艦でね、僕もその恩恵に与ることができる」

 

パッシブソナー、、だと?!

 

「英語ではソナーだね、響の名の元に、僕は限定的にひびきの力を使える、他の艦もそうだよ」

 

笑いながら軽く言ってくれる…

「でも、司令官、私は彼を追うつもりはないよ」

「へ?」

 

あっ、思わず間抜けな声が出てしまった

「彼は絶対に帰ってくる

そう信じているからね、

それに、こう言っては難だけど

他の艦娘たちは最近彼に負荷を掛けていた、だからクールダウン時期が必要だと判断しているのさ」

 

「以外にも冷静だった?」

「私は一人でいる時期が長かったからね、一人には慣れてるんだ、だから…

大丈夫だよ、私は一人でも」

 

な、なんだこの悲しいオーラ

まだ響は読んでないからよく分からないけど、すごく可哀想なオーラが漂ってる…

 

「ほら、君は今司令官なんでしょ?

艦娘として、僕がサポートしてあげるから、しばらくの間提督を演じていてくれ」

 

「う、うん」

響に手を引かれて執務室に入る

 

「いいかい?今ここの艦娘たちは提督が居なくなったことに気づいていない、だから艦娘には絶対にバレてはいけない、期限は…そうだね

五日くらいかな」

 

提督の手紙であったのは五日、見事に一致している

「そしたらバラしても問題ない、提督がいないことを知った艦娘たちは必ず君を詰問してくる、それには耐えてもらうけどね」

 

「詰を拷に変えないよね?」

「それは君の行い次第さ」

サラリと言われた

 

「それより、早く座って、そろそろくるよ」

何が、とは問わない

この状況で示すのはやはり

艦娘以外にありえない、

 

ふぅ〜キリッ!

 

カッコいい顔を作った私は

声音を変えて

 

「失礼しマース!」

「…入れ」

 

「テートクー!戦果Resultが上がったヨー!」

 

入ってきたのは

提督ラブ勢筆頭、金剛さん

コでよかった、ヒの比叡とかだったらまだ読めてなかったよ

 

「そうか、状況はどうだ?」

「我が艦隊は第4海域、ジャム島沖のボスに遭遇、これを撃滅に成功、並びに燃料100の回収デース!」

 

「そうか、燃料の獲得は意味が重い、ありがとう」

 

「どういたしましてデース!」

 

照れたように笑う彼女を見ながら

問うことは決まっている

「被害はどうだ?」

損害確認だ

 

「出撃メンバーの金剛(ワタシ)、高雄、最上、球磨、吹雪、白雪の内

白雪、吹雪、高雄が中破、最上と球磨は小破と損害軽微、私は無傷デース!」

 

「大破は無しか、良かった」

「溢れるラヴパワーがあれば余裕デース!」

 

「コホン…まずは白雪、吹雪、高雄を入渠だ。それと最上と球磨には補給を優先

白雪と吹雪の修復を完了次第、最上、球磨を入渠、四番目のスペースは確保しておく、金剛も疲労やカスダメくらいはあるだろう」

 

一応読んでおいた艦隊運用の基本、帰還後の対応編である

 

これで合ってるよね?提督諸氏?

まぁ答えなんて帰ってくるはずないけど

 

感想でよろしく

 

「NO!提督とずっと一緒にいたくて最短でボスを狩って来たのに入渠なんて悠長にしてられないデース!」

 

飛びついて来そうな姿勢になる金剛

それを

「金剛さん、汗臭い体で提督にくっついて良いの?」

響が止めた…のだが

それはアウトだと思う

 

「なっ…汗臭くなんかありマセーン!」

「それはどうかな?」

 

言葉巧みに金剛を入渠に誘導する響

「さっきから思ってましたケド、響、アナタは提督の何になったつもりなのデース!?」

 

詰め寄るように放たれたそれを

軽く受け流した響は

 

「さぁ?……強いて言うなら

秘書艦…かな?」

 

反撃のフィニッシュブローを放った

 

「グハッ…クッ!

ティ、tea timeは大事にしなきゃネー!

 

 

 

グスン」

 

あぁ、なんか悲しそうな感じに……

本当にあれ大丈夫なのかな?




意味は金剛
そんな訳で今回はあんまりヤン成分はない

代わりにラヴに溢れすぎて性能がヤバイ
金剛さん登場でシター!


あっ口調移った…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

鶴って綺麗だよね

『八月六日、今日は艦隊決戦の予定日だ

今日こそ戦艦棲姫を倒して暁の水平線に勝利を刻もう』

 

『八月七日、戦艦棲姫撃破祝いに

建造を行ってみた所、

なんと大和さんが出てきた

なぜかウチにある掃除機に親近感を覚えるそうだが…一体…』

 

『八月十日、大和さんを秘書官に指定して、執務を行ってみたが、驚いた

素晴らしく早く、正確な処理が出来ている

大淀と那智と大和がいれば

提督などいらないという大本営の説も真実味が漂ってきた気がする』

 

『八月十一日、島風と競争する事になった、勝てない』

唐突だな提督、

もっと起承転結あるでしょ?

起結しかないじゃん

これでどう理由を察するのさ

 

「はぁ、、よくわからない」

『八月十二日、突然だが私には密命が下された

鎮守府を退任せよ、ただし機能は停止させない事、だそうだ』

 

下の方に書いてあった細かいところを読むと、どうも上層部、通称《大本営》は

『艦娘の艦娘による艦娘のための鎮守府』

構想を練っていたらしい

中、大型艦の中でも事務能力の高い艦娘は並の人間よりも頭を使えるため、鎮守府に人間がいる必要などない、艦娘だけに回させれば良い

と考えているらしい

 

兵器と呼ぶならコマンダーくらい大人しく置いとけよ、なんでそこに自律行動を求めるんだよ

反乱待ったなしでしょうが

 

敵味方を自動で識別して攻撃する兵器

確かに使い道は多い、だが

それは裏を返せば最強の兵器が自分たちの手綱に帰属しない事にならないか?

人的被害がどうとか言うが

艦娘が人格を持つ兵器だというなら、それが敵になった時の絶望感は分かるだろうに

 

ええい、上層連中の頭(れんぽうのもびるすーつ)は抜け殻か!

 

艦娘は単体では提督()がないジオングだ

いくら百パーセントを発揮できると言われても、足がなければ得意の足技は使えないのだから遠距離砲撃だの近接殴りだのと戦法が偏るに決まっているし

それでは本来のスペックどころか、艤装の性能すら活かせない

 

怯えろ!竦め!状態だ

艤装の性能を生かせぬままに沈んでいけ!と言われても困る、なにせ命がかかっているのだから

 

あぁ、だから私が呼ばれたのか?

私が提督の代わりに足になって戦えば、ネオとは言い難いが、パーフェクトくらいはいけるだろう(戦力過剰)

 

本来の要求スペックには届かないかもしれないが、現時点での要求値には届いているといったところか、、まぁそれはそれ

 

私が誰にもバレないで提督を演じ切るという大問題があるんだけどね!

 

何考えてるんだ大本営…

 

『九月7日、大和さんが掃除機のコードを首に繋げて戦艦棲姫の真似をやっていた

駆逐艦たちが怖がるからやめてもらったが、あまりにも似すぎていて確かに怖かった』

 

『九月八日、島風と競走する事になった

勝てない』

 

もうちょっとなんか情報ないの?

起承転結あるだろ?

これじゃ起結しかないじゃん

 

『九月九日、やってしまった

北上が轟沈してしまった

あぁ、私のせいだ………

私が撤退中を狙われる危険を予期できなかったせいで

大破撤退中の艦隊を逃がすために北上が殿になり、壮絶な戦闘の末に沈んだ

やはり私が提督になどならなければ良かったのだ……』

 

あれ?でも所属してる艦娘のリストにたしか北上はいたはず、、新しく出たのか?

 

『九月十日、北上が帰ってきた

制服と茶色の髪が黒くなっていたが

間違いなく北上だ、

青い血を零しながらも帰還してくれた

今日はただ、それだけが嬉しい

帰ってきた北上を抱きしめて、入渠ドックに放り込んだ』

 

うん?血が青い?

艦娘の血って青いのか?

『九月十一日、精密検査を実施した所

どうも強い衝撃が原因で、目が充血しており、色彩感覚も赤に強く寄っているらしい、全て私の責任だ

如何にすれば贖えるのかもわからない

今は、ただ深海棲艦を撃滅するだけだ』

 

『九月十二日、北上の復帰祝いに

北上旗艦で、春雨、阿賀野、赤城、瑞鶴、大和の艦隊でカレー島沖に出撃して行った、心配だが

出来ることはやった、最新武装も渡したし練度も十分だ

最古参の春雨は改修を積んだ改二発現艦だ、負けるようなことはないだろう』

 

『帰還後に、いくら心配したとはいえ

一人に集中しすぎだと瑞鶴に怒られてしまった、私のことをよく心配する艦のくせに…』

 

瑞鶴ェ……

 

「提督?入るわよ」

パタンとドアが開く

いつのまにか誰か来ていたらしい

 

「おう、どうした…瑞鶴」

「どうしたもこうしたもないでしょ!?約束よ!」

 

彼女は私の元へ来て、私の前で屈み込むような姿勢になり、目をそっと閉じた

 

え?これはアレ?キスしろってこと?

私には出来ないなー

キス顔撤退作戦だなぁ

 

「 早くしなさいよ!」

 

ぇ、、うん

 

私はそっと瑞鶴を抱き寄せて

 

髪を撫でる……さらっさらだぁ

なんでこんなに髪質いいんだろう

ぱっと見枝毛とか傷みも見えない

 

どれだけ気を使って髪を維持しているのか……

「ぅ、、ん」

 

エオォフ

おっと危ない…

 

危うくキスしてしまう所だった」

「えっ……?」

 

え?

「貴方いま…」

顔を赤らめながら特に嫌がる様子もない?これはイケるか!?

 

やめとこう、それは提督がすべきだし、私はレズルートに進む気はない

 

「いや、冗談だよ冗談」

 

手を離して、とりあえず誤魔化す

「……」

俯いてプルプル震えだした?

「どうした瑞鶴?」

「…この……」

ふわり、と髪が浮き上がる

さらっさらの髪は意外と軽かったんだなぁ

 

「この…無自覚タラシぃっ!」

ふおっ!カイヒッ!

 

突如として振るわれた腕を必死で回避する、メイクを崩されてはたまらない

「大人しくっ!叩かれ!なさいっ!」

ヒュンヒュン言ってる腕は殺傷力高すぎると思うよ?

 

「何が悪かったのか!教えてもら!えないかなっ!」

こちらも回避しながら声をかけてみる

すると

 

「全部よ全部!貴方が無駄にそんなことするから!勘違いする女が出るのよ!提督は私だけので十分なのよ!」

 

怖い怖いこわいいはいはい

 

腕をひとしきり回避した私は

軽く足を払うとあっさり転んだ彼女の

彼岸花のように浮き上がっていた髪が元どおりに下がり、床に広がっているのを見て、それはそれでよろしくない気分になった

 

具体的には押し倒してみたい

 

誘い受け属性なのか?

血迷うわけにはいかない私は

「んじゃあーこの辺で…サヨナラ!」

 

さっさと執務室から逃げるのだった



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

何故って病んでるで説明つくよね

「提督、、提督、、起きて」

 

ん??私は提督なんかじゃなくEDF2本カントー支部……あぁうんまて違う、全体的に違う

 

現状をを再確認しよう

私は全地球防衛機構(earth defense force)

日本関東圏防衛基地所属、降下翼兵ウイングダイバー、ウイング5DASH、現役大学生19歳の鉋狩翼で、、うん提督だ

 

残念ながら今は私が提督だ

 

ついでにこの少女の声は

 

響、暁型駆逐艦 二番艦と言う割に建造順では四番の末っ子系姉で、全体的に大人びた銀髪の少女

確か史実では大戦後にロシアに嫁に出されて、ヴェールヌイ(だっけ?)に改名したあと、数年後にデカブリストに再改名、、日本にいた頃よりロシアで過ごした時間の方が長い艦だったはず

 

うん、よし全部覚えてる

私の気づいていない記憶欠損がなければ全部

 

「起きた、起きたよ」

 

体を起こす

提督になってから今日で五日

最後の日だ

 

さぁ、

「time to play」

今日も、演技を始めよう

 

執務室へスニーク移動し、急いで変装

午前六時に間に合わせる

 

「ぁぁ、、あえいうえおあお

よし、問題なし」

 

声のセットも良好と、ここ四日で十分に提督っぽく動けるようになってきた

もはや私に負けはない!

二十分程後、、

 

「提督、失礼します」

 

執務室に入ってきたのは

加賀さんだった

なんというかさん付けが似合う

赤城は赤城さんより赤城なのに、加賀さんは加賀さんなのだ、わかるよね?

 

「どうした?」

 

「ボーキサイトが計算上の量より少ないくなっております、貯蔵庫の方にもなかったので、流失の可能性ありと考えて報告に参りました」

 

「なるほど……何故?」

考えよう、まずボーキサイトの消費は何故起きる?

艦載機の製造に使う、艦載機を使うのは空母、空母以外は基本食べない

犯人が艦娘なら空母の可能性が極めて高い

 

加賀がボーキサイトの量を確認していた理由は?倉庫の番は各担当艦娘が責任を負っているし、空母艦は一航戦赤城、二航戦蒼龍が担当している

 

加賀は記憶力と計算力がいいのを活かして作戦の立案と海域の状態予測などを担当しているはず、、まさか

 

「はぁ、、まず加賀は何故ボーキサイトの貯蔵庫に入った?」

 

「そっ、、それは」

 

「つまみ食いでもしようとしたか?いやまさか誇り高き一航戦の、一等空母であるはずの加賀がそんなことをするはずは無いよな、泥棒なんぞという非国民の所業に走るはずが無いよ

疑ったりして悪かったな

さて、、犯人は誰だろうな

食われたわけでないのならもしや深海棲艦の侵入か?だとすれば昨日の管理艦娘の赤城に責任が及ぶんだが」

 

「すみませんでした」

 

「ん?何故加賀が謝るんだい?

それは赤城の立場だろ?」

 

勝ったな(ゲス顔)

大方の予想では、加賀がつまみ食いしていたか、赤城達が管理をサボった、つまみ食いしていた。この三択だ

 

 

「私は……赤城さんの代わりに貯蔵庫の代わりを行なっていました」

やはり予想通りか?

「で?それは誰が悪いのかな?」

 

「………提督の歯ブラシにつられた私が悪いです」

 

ん?ぶっ飛んでないか?

「提督の歯ブラシ、、」

「怒るよ?流石に」

 

「お願いします、歯ブラシは

歯ブラシだけは!」

「没収です」

それを告げた瞬間、加賀の顔が真っ白になった、表情が抜け落ちて、ただあるだけの顔になったあと、全身が急に脱力して

恥も外聞も無く崩れ落ちた

 

「歯ブラシ…私の…歯ブラシ」

 

うわごとでも言っているのかな?

「失礼します、ここに加賀…」

控え目なノックと共に入ってきたのは

「赤城、何か弁明はあるか?」

赤城だ

 

「赤城さん…」「加賀さん…」

加賀さんが死んだ目で赤城を見ると同時に赤城は察したらしい

 

「提督の歯ブラシ……没収」

 

「加賀さん……提督、せめて提督の歯ブラシくらい許してあげ」「没収ね」

 

加賀が泣きそうになっている

 

「こうなったら……提督を全部貰っちゃえばいいんですよ…歯ブラシなんていらなかった

私が提督の全部をもらえば…」

「一航戦としては大賛成です

一緒に提督を二人じめしましょう」

 

あれ?急に病んだ。

「さぁ、、二人一緒に…提督、貰います!」

取り出したのは艤装……ではなくナイフ?

赤城はサバイバルナイフ

加賀さんは小型のククリ(片手曲剣)

 

「何故空母が刃物を…」

「提督…お忘れですか?私たちはもともと戦艦として設計された艦ですよ」

加賀さんが私の方にゆらりと歩み寄ってくる

遠距離戦を得意とするはずの空母に似合わない近距離格闘戦を前提とした剣の動き

 

それを認識した瞬間、私は失敗を悟った

「ふふっ、、提督の血の味を…教えて」

「それは永遠の謎にしといてくれ」

 

振り下ろされるククリナイフを椅子を蹴飛ばして下がることで回避

続く赤城の横薙ぎをプラズマアーク刃で弾く

 

「二人とも…ごめんな」

赤城のナイフは瞬間的に溶断されて崩れ落ち

それと同時に赤城は気絶する

それを確認した私は

肩にナイフを突込まれる痛みで頭をあげ

「シャアあっ!」

ゼロレンジへ飛び込み

右肩から腕を使わずに加賀を投げ飛ばす

執務室が騒がしくなるが

それは響がなんとかしてくれるだろう

 

投げられた加賀は頭を打ったらしく意識が薄くなっていた

その目の前でククリナイフを叩き折り

 

加賀さんにキスをする

「ごめんね加賀さん、今はこれ(偽物)で満足して」

 

こわばっていた眼力が消え去り

優しい目に戻ったと同時に

加賀さんも意識を失った

 

しかし、プラズマアーク(ランス)刃を使ってしまった以上

バレた可能性が高い

これ以上隠蔽は無理か

 

「提督っ!ご無事ですか!」

 

執務室に新たに入ってきたのは大淀さん

秘書さんが似合う艦6年連続No1な美人秘書である

 

スケベなスカートが視線を誘う

 

「この二人は…そう、

提督の邪魔をするなんて

解体ね」

 

砕いたばかりのククリナイフの刃を拾った大淀は何かに取り憑かれたような動きで加賀にそれを突き刺そうとする

 

「止めろ!」

パシッと音を立てて大淀の腕を掴む

それと同時に、大淀の表情が歪み、驚愕、そして激怒へと変化する

 

「どけ…偽物!」

「残念ながら退くわけにはいかない」

 

大淀も秘書専任な筈なのに無茶苦茶に早く動いて

天井に張り付く

 

「そんなヤモリみたいな!」

 

「専用執務室潜入装備『黒守宮(クロヤモリ)』です!」

 

どうも正しかったようだ

「二十四時間三百六十五日

提督監視守護装備、(モリ)シリーズの第2世代です」

 

第2?つまりそういう装備が

過去にもあったのか?

 

「偽物にはもったいないものですが」

後ろを取られた?無音で高速機動されても反応に困るが

 

「死ね」

「無理っ!」

もう演技をする必要はない

着装…は無理だとしても

プラズマアーク刃の1本や2本くらいは持ち込める

「レイピアとパワーランスの二本持ち、、単純に『紫電蒼刃』」

 

エネルギー消費が増えるけど

攻撃力はピカイチだ

 

20センチ砲による砲撃でもプラズマアーク刃を抜ける前に焼却分解できる

 

「徹底抗戦!」

「消えろ!その(提督の)姿で、私の前に立つなぁ!」

 

大淀さんつよくね?



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アウトライン

大淀さんが空中から発砲

軽巡の主砲程度なら問題なく

焼却、蒸発する刃で防ぎ

 

「本物の提督はどこ!?ねぇ!どこなの?」

「私も知らないっ!」

 

「言いなさいよ…言えよ!」

 

あぁ、響の予想通りに詰問が始まってら

 

「残念ながら本当に知らないし

今は私が提督なのは本当なんだよ」

 

レイピアを継続照射しながら振り

擬似的なレーザー剣で攻撃する

それを大淀さんは眼鏡で反射し

私のほうに飛んできたビームが制服を焼く

 

自損事故、いわゆる自爆だ

大規模攻撃系武装使いにはよくある失敗

 

なんだけど

 

大淀さんつよくね?

 

戦いながら移動して、私の装備を回収

スパークバインとレイピアとLSR-33に

スパークウィップの4本装備で大淀さんを攻撃する

 

正直ウィップは鞭という武器の使い方と構造をよく調べなおしたほうがいい

 

どちらかというと拡散レーザーなんだけど、それはそれでトリガー引いてるだけで周囲を殲滅できるという良さがある

 

けど拡散率高すぎて攻撃が全方位に飛ぶから扱い辛い

 

大淀さんはビームが銃口の方向以外に飛ぶことを知らないからこれは秘策になるだろう

まぁもっとも、武装もそこまで大火力ではないから艦娘であるなら死にはしない程度だ

 

「提督は…どこなの!」

変態機動すんなや美人秘書

 

パワーランスで迎撃して、砲撃を無力化

同時にスパークバインを照射し反撃

艤装に当たって体勢を崩した瞬間にパワーランスを突っ込み、艤装を大破させる

「これで、、私の勝ちだ」

 

「あぁ、そして、私の敗北…なんて言うとでも?」

破壊された艤装に構わず、大淀自身が飛び込んできた

まずい、これでは私の武装では火力が高過ぎて殺してしまう

 

「なら、スパークバイン!!」

エイムを逸らして側撃に収める

 

感電した大淀さんにさらにスパークバインの電流を味わってもらい、ビクビクしている筋肉にしっかりと電気を通す

 

よし、まぁこれくらいでいいでしょう

 

「さて、これは……どうしようかな?」

取り敢えず入渠ドックに投げ込み

浸けておくが、、大丈夫だろうか?

現在入渠ドックは空だから問題はないが

 

さて、ここまで騒げば誰も気がつかないわけがない、私自身の方も特殊メイクを落として、提督の制服を脱ぐ

 

え?体型補正?コルセットとフレームと、、士官制服って硬くてよれないから良いよね

 

胸を抑えるのには苦労したけど、まぁなんとかなった

三分で装備を変え終わり

自身のスーツとアーマー、および武装を再装着して同じくドックにきた艦娘達をごまかすために換気口のファンをエネルギー切れ寸前のスパークバインで破壊し

こっそりと潜入して

 

壁裏へ出る、、

トタン屋根とかじゃなくてよかった

 

あとは中庭までスニークステップ移動して、何事もなかったように陸路からドックに行く

 

こうすれば艦娘の後ろに回れるって訳だ

 

「どうしたんですか?」

取り敢えず後列にいた鈴谷さんに聞いて見る

 

「どうも提督がいないとかなんとからしいけど、、おかしいよね?提督がいなくなるなんてはずないよねえ提督、提督はずっとここにいるじゃない」

 

静かに目が死んでらっしゃる

 

特殊工作艦ハイライト級一番艦ハイライトが轟沈してるんですが、ねぇ女神さんなんとかならない?

 

(ならないね!アタシの修理は身体だけだもの、壊れ切った心は心理士にでも頼みな)

 

うわっきっつうーい(棒)

 

「ねぇ提督、ほらいっしょに帰ろ?」

 

鈴谷さんが空気を掴んで何処かへ

(いや多分巡洋寮の自室だと思うけど)

 

行ってしまった

 

ちなみに、よく誤解されてるけど

軽巡から航巡、雷巡が派生するから

重巡と雷巡は関係ないよ?

 

(重巡洋艦と重雷装巡洋艦で名前は似てるけどね)

 

女神さんツッコミ兼解説チース

 

私はどうするべきだろうか?

逃げる、隠れる、ひっそりとアサシンムーブで艦娘たちを解体する

この三択かな?

最後が間違ってることは私にもわかる

 

うん、隠れよう

艦娘:強襲揚陸艦 随神級五番艦鉋狩翼(カンナガリツバサ)としての仕事を全うすればいいんだ

 

地味に強襲揚陸艦って艦種、降下翼兵とマッチしてるよね

それに某天馬級 白い基地(直訳)と同じ艦種やし

 

それなりにつおいとおもうよ?

ただ継戦能力とか、武装によっては射程とか対空能力に劣るってだけで

 

サイバネ接続オンにすればパワードスーツも使えるんだけどね?

それじゃ二刀装甲兵だから

どこかの世界で戦ってる航空戦艦さんと一緒の扱いにされちゃったら向こうに失礼だから

 

向こうはブラ鎮潰し、こっちは闇鎮救いで行動の方向性が全く違うから

 

さて、それは置いといても

五日も隠したしちゃんと隠れられたと思おう

私は提督と無関係、よしOK

 

「ひびきちゃーん!」

今は取り敢えず響を探す、状況収拾にはあの子の力が間違いなく必要になるから

 

いないなぁ、、




自分に向いてない病みって多分こんな感じだと思う


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ファクトリカルエフェクト

さて、私は今

どこにいるでしょうか……

 

正解は レイテ島沖です

 

「ニゲロ オマエハ ニゲルンダ」「死ね」

「オネエサマ!」「死ね」

「コナイデッテイッテルノニ!」「死ね」

「ヒノ…カタ「死ね」

 

ひたすらに深海どもを殺してます

何故って?私は鎮守府のゴタゴタ(あらそい)から逃れてここに来ているからさ

 

その間は哨戒任務って事にして

ここの深海棲艦を潰して回っているわけだ

 

プラズマコアからの粒子供給量は残り72%、補充がそろそろ必要かな?って所だけど、たしかプラズマコアは水素の核分裂を極めて小規模に行なっていて、高密度圧縮鉄のバー材を焼きとかして射出し、プラズマアーク刃にしている

 

つまり、補充するのは鉄と純水でいい

なんとも効率のいい事だ

 

とはいえ、95%H2Oでは純度が足りない

99.99%くらいが必要だ、とはいえ超純水クラスのイレブンナインは必要ないし、まず人力では維持できないので

比較的楽な純度でよかった

 

蒸留した水をイオン交換膜にかければ作れる程度の純度だから、高校あたりの施設なら科学実験で使う、つまり最悪高校一つ確保すれば補給はそれでいいわけだ

 

まぁこの世界にそんなこと言ってられないわけだが

鎮守府に無理言ってつけてもらおうかな?純水精製機

 

一人のためにはコスト高いかな?

いや、既存の浄水抽出器を改造すればいいから、、問題ないかな?

 

私が作ることになるのか?それは勘弁

 

はぁ…っ!

「後ろからか」

 

飛んで来た魚雷をピンポイントで狙撃

空中で爆散させる

 

これくらいみんな出来る事なのに何を驚いているのか、このチ級は

 

三千度を超える高熱のアーク刃は深海棲艦にも効果は絶大、つまりどういうことかって?

深海棲艦には格闘戦が有効ってこと

 

だったら動き遅いし、よゆーよゆー

「こちとらストレス溜まってんだよ!もっと発散さセロォ!」

 

あればあるだけ壊滅させる私は

多分この海域で一番アブナイ存在だと思う

 

 

一時間ほど殲滅して

周囲の安全を海水浴出来るレベルに確保した私は

装備を脱いでスーツのみの状態となり

 

持ち込みの水着で少々泳ぎながら潜水艦型を撃破し、

ゲームでよくあるような超立体的な潜水移動で泳ぎまわり資源マス(?)を漁ったら

 

ゆっくりと帰還した

 

暇だったからね、仕方ないね

 

さて、鎮守府に、帰ってきたわけだが

 

「ハハハハハ……ハハ」

 

提督死んでないか?というか提督いたのか

帰ってきたのかマジで

 

いや捕まって引きずり戻されたらしいな

 

「翼くんボスケテ」「今回は無理」

 

ふつうにイチャイチャしてればよかったのに、なんで加減を間違えるのかなこの提督は

 

「さぁ提督、待っていたよ

ほら一緒にいこう、まずはデートコースの選定を…」

 

そこで執務室から逃げた私は悪くない

比較的症状が軽かったはずの響きまでそんな目になってるはとは

 

「大淀さん?()()()()()()()()()()()

「ええ、()()()()()()最近ひどかった肩凝りもすっかり()()()()()()よ」

 

ちなみにこの会話、互いに笑顔である

流石大淀さんだ

 

ちょうっと症状の軽い艦娘を探してみたところ、明石、夕張は比較的軽く、鳳翔は無害

駆逐艦は大抵排除、攻撃型の初期発症してるかしてないか、提督とスキンシップ取る奴にちょっと嫉妬してるくらいかな?

 

意外だったのが

クレイジーサイコレズがクレイジーサイコペロリストになってた事

 

世界一短い艦名の彼女、oiさんである

ちなみに、伊王(io)がいるから二文字タイで単独ではない

魚雷を撫でる手を止めて提督の触れたものを舐めたりしていた、、ちょっと理解できない性癖だ

それにキタカミキタカミと壊れたラジオのように繰り返さないようだ

 

高濃度酸素の供給装置持ってる酸素魚雷搭載艦ならそれ使ってコアに純水供給できないかな

 

圧縮噴霧+ミスト電気分解で純度を上げられるはずだが

まぁできないことは諦めよう

 

「さて、武装の修理を頼めるかな?夕張」

「お任せあれ!」

 

テンションが空回りしなければいいけど、、ちなみにその後、明石を呼んで二人と技師さん(?)の三人でパーツを分解したり理論を推察したりしていた

 

その日は部屋にこもることにした

 

詳しい理論なんて私に聞かれても困る

そういうのはペリコ先輩かレンジャーの先輩に頼むしかない、私は詳しく機構を把握する余裕があるなら大学の試験内容を復習しているスタイルなのだ

 

ごめんなさい理論把握してなくて

なんて、考えていたのも束の間

明石と夕張はすぐさまに機構を解明

ジェネレーターの構造や

プラズマコアの機能やら何やらを把握したらしい

 

EDF企画に合わせてくれるなら

追加武装とか欲しいんだけど

そろそろレンジャー武装も尽きたし

 

エネルギー兵器のみで2本持ち+裏セット

の四積み、別名フェンサー持ち

をする意味はない

 

残念ながらエアレイダーの武装は拾っていない

 

夕張に説明したら

「無い物は作る!日本の心得です」

 

と言ってバーナーとプレート片手に何処かへ去っていった

ケタケタ笑ってなければもっと格好ついたと思いますが?



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

オトナノカオリ

二日が経過して

 

プラズマコアができた

 

意味不明だと思うが実際にできたんだから仕方ない、性能も比較したし負荷実験もやった

その上で間違いなくプラズマコアジェネーターの初期型であるとしか判断できなかった

 

私も訳がわからない

ひとまわり大きいビックコアサイズとはいえ

プラズマコアが作られている訳だから驚いた

 

取り敢えず補給問題、故障問題は解決に近いところまで来た、という認識でいいと思うけど、、

先に提督を助けたいなぁ

 

「夕張ちゃんありがとう!」

「どういたしましてですよ!私としても楽しかったです!、、ねぇー明石さん!」

「ええっ!それはもう、眠らないどころか眠れない街ってくらいに!」

 

それは不眠症……

「じゃあ私は小型化に取り掛かりますんで」

「次はスーツの方もデータが欲しいんですけどぉ、、よろしいですか?」

 

うぅ、、ん、、どうしようかなぁ

 

 

よし!「いいよ、貸してあげる…

ただし壊さないでね!」

 

ロッカールームへ移動して、スーツを脱ぎ

リキッドで大半出来ているらしいから洗濯できないんだけど、自己修復できるし、自動浄化機能あるから良いよね?

 

畳んで私服に着替えたあと、スーツは夕張に渡した

 

EDF備品でもあるし、スーツとかユニットは私物扱いになるけど機密技術も使われてるから、退職するときには返却する

 

体に密着するデザインなのに要返却ってのもちょっと以上に嫌だけどね、

 

 

あぁ、そうだ提督

ずっと拉致監禁されてるし

多分お風呂とかにも行けてないと思うし

 

現提督がアレだと先任提督の私も困るんだよね

 

ん?先任?現任?

どっちになるのかな?

書類上私だけど艦娘は提督にしか従わなそうだし

というか無理にでも提督にしそうだし

 

助けるにも無理があるかぁ

 

五日間あれば絶対に大丈夫って書いといて見つかってるし

提督行方不明の報告は大淀さんが騒いだせいで流れちゃったし、赤城、加賀さんが解体されそうになったから止めたせいで起こったんだし、赤賀が病んだのは提督が原因、つまり提督の自業自得、

 

っていうのもおかしいかぁ

 

よし!提督を逃してあげよう

 

どうやって、って?

 

ふふふ、、私は飛べるのだぁ!

 

嘘です跳びます

 

鎮守府を壁ジャンプ反射で天井に上がり

回線保守用の屋根の穴(?)の蓋を開けて入り、スニーク侵入

 

速やかに屋根裏を移動して

 

うわっ!蜘蛛の巣が体にくっつく!

こんなことならスーツで来ればよかった!

 

ビーム兵器なくても格闘すれば良いよね

ってレンジャーの先輩に言われて対人戦はやってたけど、何千馬力とかの相手に格闘で勝てるかなぁ?

 

 

まぁやってみよう

 

 

ヘイひびきちゃん!

「なんだい?司令官」

 

「ここの艦娘たち締め落とすからあとよろ」

 

それだけ告げて離脱して、

なんとなくだけどとりあえず

駆逐艦、睦月の部屋へ向かう

 

睦月型の部屋は寒い、、というかエアコンかけ過ぎじゃない?

 

 

あっ察し

 

寒いから抱き合うを部屋でやるために温度を下げたのね?

なんという電力の無駄遣い

 

(翼ちゃん! タスケテ)

ベットに縛られている提督がアイコンタクトを送ってくるが、天井の私としてはここから睦月を締め落とす必要があるから無視

 

「ふふっ、、提督……」

 

 

睦月ちゃんが服をゆっくりと脱いでいく

「この勝負、睦月がもらったのです」

 

スカーフを解いてシュルリと音を立てながら足元に落とし、

 

緑のセーラー服に手をかけ

横のファスナーを開けて

 

ゆっくりと裾を持ち上げて

ヘソが見えるくらいで止める、

 

体をゆっくりと揺らしながら裾を持ち上げて、

 

「ていとく、どうしましたか?

お子様のからだでは興奮しないんじゃなかったんですか?」

 

ニヤリと笑う、、のが見えるわけではないが

多分ニヤリとしてる

 

「ばかを言うな!興奮などしていない!」

 

あぁていとく、、それはフラグだ

 

「へぇ、、そうですか」

 

特に事もなく受け流した睦月は

おっと!ここで一気に上着を脱ぎ去る!

 

晒されたのは意外と今回のイベントに向いていない薄水色のシンプルなブラ、、しかしそれがまた幼女の声と合わさってロリコンを誘う!

 

「じゃあ、こんな事しても

提督は興奮しないんですねー」

 

おっと!ここで大胆にものしかかった!

幼女だから重くも感じないぞ!

 

「提督、、ていとく、、ていとく」

 

徐々に幼げに、しかし艶めく濡れた声に変化させながら、提督の腰元に座ったまま上体を揺らす睦月

 

「あれぇ?ていとく

なんかかたくなってにゃい?」

 

ゆっくりと上体を傾ける睦月、

大半着衣でありながら上は下着のみというアンバランスさと幼女のえっちな声が色気を強め、、

 

「提督の主砲、装填済みですねぇ」

 

焦らずじっくりと提督の士官制服のボタンを外し、シャツをはだけさせて

提督の胸元を白い指がなぞる

 

「うふふ…頑張って、ていとく」

 

なんとか抜け出そうとして足掻く提督も無駄にばたつく程度の抵抗では駆逐艦さえ振りほどけず

逆にそれをからかわれる

 

提督が暴れる時に体に来る衝撃でナニカを刺激しているようにも見えるんだけど……

「提督の主砲径はぁ、、おいくつ?」

 

にゃしいがまるで無い睦月ェ

 

細い指が提督のズボンへと伸びて

提督の長十センチ砲が晒される寸前、

私は睦月の背後へと立ち

 

背後にまるで警戒できていない低練度艦の首を思い切り締める

 

というか思い切り行かないと締まらない

 

「ゔっ、ぁっ、!」

 

さっきまで余裕の表情だったくせに

自分が攻められると途端にもがき始める紙装甲艦睦月は

 

「役得タイム終了です」

 

と耳元で囁くと同時に気絶した

 

「ヘイ!提督!助けに来たヨー!」

 

「そのセリフは、、金剛の、、」

「固い事言っちゃNOなんだからネー!」

 

可愛く笑いながら縄を切り

「まていまどうやった!?」

提督を起こす

 

「ん?素手で、こうやって縄の張力の強いところを押さえて、こう」

ふつん、と切れる縄に驚愕する提督

しかし甘いな、こちとら拘束された時に全裸だって抜け出せるように仕込まれてるんだ

 

ペリコ先輩ほんとおかしい、なんで虫の巣に突入してそのまま虫のエサ(性的)にされるとこまで想定した訓練してんの?

 

ちなみにこの縄を切るの技の原理は簡単

張力がかかっている中心点を狙い、原子と原子を掻き分けて爪から指を挿し入れて、そのまま引き抜く、これだけ

 

トンネルエフェクトが

どうだか、、だっけ?

 

「簡単だよ?理論は忘れたけど」

「おかしいよな!だいぶ!!」

 

「そりゃダイバーだからね!さぁ行こうよ」

 

私は提督の手を引いて魔境と化した鎮守府から逃げ出すのだった……




やりたいからやった、反省はしていない


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

エクスターミネート

鎮守府から逃げることにしたのだけど、、

対提督用の警戒網見たいのが張られてて困った、

 

どうしよう、、そうだ!

 

「提督は隠れててください

息を潜めて逃げる、これ重要」

「….うん」

 

⚠︎天井裏です

 

ジャンプと静音挙動で赤城の後ろを取った私はそのまま後頭部を思い切り(じゃないと通じないから)殴り、体制が揺らいだ瞬間に空気投げ、背中から地面に落としてそのまま踏みつけておく

 

このくらいしないと気絶しないので、、申し訳ない

 

近くにいるであろう加賀を警戒しながら赤城を縛り上げて廊下の角(影)に転がしておく

これを見つけた加賀が駆け寄ったタイミングで再び後ろから強襲して気絶させる

 

目標は監視兼索敵に秀でた空母艦赤城、加賀、飛龍、瑞鶴、隼鷹、龍驤、航戦扶桑、山城、日向

この10人の撃破

 

航巡鈴谷は夢想モードな為に無視する

気絶させた拍子に提督がいない事に気付いてしまったら危ないからだ

 

航空戦力が少なくてよかったね

 

まぁ軽巡がヤバイんだけど

前戦(鎮守府防衛戦)において天龍が轟沈したせいで提督に依存してる龍田、ヤベーイ大淀

利根の為にと騒ぎ立てて提督を殺そうとする筑摩、事あるごとにくっついてくる球磨、タマ、

 

最近プリキ○アにハマったという那珂、日夜刀を振り回している神通、夜以外鎮守府に所属しない川内の色物枠三姉妹に

仮面ラ○ダーになったとか言い出した北上と意見は求めない大井

 

対潜のン我が魔王と呼ばれる五十鈴

暇さえあれば駆逐艦と一緒に輸送してる阿武隈はいいとしてもぶっ飛んだ火力を叩き出す論者積み主義の長良がいる

 

どうやれば潜り抜けられるのか……

幸いにも4スロ軽巡の一人

夕張は味方、大淀は撃破済み

障害は減っている……のだが

 

超感覚で提督を察知する神通と五十鈴、長良は逃れられないから戦闘になると思うが、どこまで避けられるか、それが問題だ

 

天井裏にジャンプで戻った私は

そのまま移動を再開して、、

 

「探照灯照射!」

やっべ、神通もういんの?!

 

慌ててゼロレンジプラズマアーク刃、レイピアの柄を取り出し、それを神通の後ろに投げ

後に気づいて反射的に振り返った神通に

 

ダイレクトアタック

 

卑遁卑劣斬!

 

という名のラリアットをお腹の筋にキメて執拗にレバーブローを叩きつけ、最後に壁に背をつけた神通へフライングチョップからの変形トルネードスロウを決めた後に細いテープ紐を結ってまとめた高強度縄で(実際に体重+装備類を預けられるほどの耐久値あり)縛り上げる

 

神通を倒すならこれくらいしないと倒せない…陣痛はおっとりしてるけど太平洋戦争中に最も激しく戦った艦と呼ばれるいわば主力中の主力(エースオブエース)

 

敵艦隊ど真ん中に探照灯付けっ放しで突撃して砲撃して随伴艦と共に敵艦隊に多大なる損害を出すも

探照灯なんてつけて突撃してくればもちろん的になり、一斉集中砲撃を浴びる、

瞬く間に爆発炎上し、艦橋の艦長、航海長、砲長を失いながらも戦い、ついには爆発して沈んだ、と思われたが沈んだのは後ろ半分であり、位置的に一番砲は無事で、砲手達は艦長の最後の命令に従ってひたすらに撃ち続け、駆逐艦一を撃沈し、駆逐艦一、軽巡(?)三を大破に追い込む大戦果を道連れに沈んだ

 

受けた弾数2630発という鉄の雨

 

まさしく戦いの中に沈んだ艦である

 

そんなのを具現化した艦娘が真っ当に刺した撃ったで死ぬはずがない、止められらない

 

だからこそ殴って締めて撃って投げたのである、一瞬行動不能に陥らせることは出来たようで、取り敢えず絶対に外れないように縛っておいたが、それもいつ抜けられるとも知れない

 

急がないと……

 

提督と共に屋根裏を再度進み

 

「ん?」

あれは…….駆逐艦か、問題ないな

 

「違うわ!」

突っ込まれた、こんなに離れてるし視線も感知されてないのに

 

「……ウチなに言っとるんやろ?

誰もおらへんのに」

 

よかった、、気付かれなかった

 

「なんて言うとでも思ったったかいな」

艦載機が待機状態からは飛翔体に変化して襲いかかってきた

 

「提督、いまロリコンにしたるから待っとってな」

 

「待てません」

瞬間移動、ならぬ水平跳躍で床を滑走して

龍驤に超低空ドロップキックを仕掛けるが、

それを読んでいたようにジャンピングプレスで対応されて、カウンターを受ける

 

「歴戦の一航戦相手にはちぃっと甘かったね」

 

「それは……どうかな?!」

私はビニール紐を取り出して、伸ばし

鞭の要領で廊下にある天井の柱に巻きつけて

 

「はっ!外れとるやないか」

「いや、これでいい」

 

私は、体を回転させながら即席鞭をひねり、引き戻り、暴れさせる

 

「楼蘭舞踏鞭、襲え!砂蛇の如く!(ナジャ・マ・イ・ハーヴ)

 

あの人もコテコテな関西弁なのに出身楼蘭だったなぁ、って思い出した鞭技!劣化版だけど喰らえっ!

 

「んなアホなっ!」

龍驤は必死にかわそうとするが、有機的に動きを変化させる鞭はやがて龍驤を捉え

 

「がぁっ!」

 

強かに打ち据えて、

 

「ごめんなさいね」

床に叩きつける

 

「楼蘭舞踏鞭、彷徨え、独楽の如く(ロブ、ノルウラ)

幾重にも重ねた鞭が一気に引き抜かれる反動で龍驤の小柄な体が吹き飛ばされた

 

一体いくつアクセルなのかね?

間違いなくオリンピックで優勝できるよ

 

気絶した龍驤のまな板っ振りを確かめた後、鞭代わりに使っていた紐を使って縛る

 

こんなのが楼蘭舞踏鞭とか世も末だな

 

私のせいか、ハッ!!

そうだ!全部私のせいだ!それで気がすむならそうしておけ!(鎧武風)

 

提督に一言告げてから走り

龍驤の部屋に気絶中の龍驤を押し込み、提督には教えないけど全裸にする

 

これなら追ってくるのには時間がかかる

 

メイクを気にしならなら別だけど?

ん?私の人が悪い?そんな訳ないじゃないか、悪い人ならここで全員殺しているよ?

 

まぁそんなことはどうでも良い

今はここを切り抜けるのが問題だ

 

「まじかるー♪」

おいそれダメだろ!

 

私は杖を振ってはポージングを繰り返しているゴスロリの那珂に向かって走り出した




龍驤だって立派な駆逐艦…違いました
龍驤だって立派な一航戦です!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

まぁ、落ち着け

おや?こんなところに手紙が落ちてる……

 

『本当に面白いです!毎話楽しみに待ってます!』

うんありがとう、でもそれ私じゃないオチじゃないよね?

面白いの私だよね?

 

テリン!なんか嫌な予感!

 

具体的には深海堕ちした別作品のキャラが襲ってきそうな感じ!

 

違う?

 

まぁいっか

 

鎮守府脱出まであと少し

龍驤、加賀、赤城、神通は倒した

日向は、、どうしようかな

 

まぁ今考えるべきはこの、

「ねえねえ!私と契約して、魔法少女になってよ!」

那珂ちゃんだ

解体のアイドル那珂ちゃん

 

「いやそれ魔法少女(ちがう)シリーズだからね?」

 

プリキュ○にハマってるんじゃ無かったのか?最近のは星座だよ?魔法のは三年くらい前だよ?

 

那珂ちゃんのナカはどうなってるのかな?……え?ヤラシイ方に捉えたって?それは貴方がhen Thaiだからさ!

 

「♪〜」(歌詞秘匿)

「何年前のウルトラマンよそれ」

 

那珂が突如歌い始めたのは

有名な三部作の最初のやつ……なのだけど

元々は告白の詞なんじゃ無かったっけ?、だとすれば那珂ちゃんが曲調を変えて歌にしてもおかしくないか?

 

可愛いのは確かだし恋歌系の歌なら映えるだろう

 

え?最近オマージュであった?

オーブダークブラ(ry

の事は忘れなさい、良いね?

あんなおじさんのこと覚えていてもなんの価値もないから、

 

「那珂ちゃんだよー?」

「那珂ちゃんなのは知ってるんだけどさ、どうかしたかい?」

「提督が最近henなんだけど

どうかしたのかなぁ?」

 

そんな突然提督がジミヘンになったみたいな言い方……

 

「急にカッコよく見えてきちゃって

提督を見るたびにお腹の奥がキュンキュンするんだよ」

 

(^_^)ダメだコリャ

 

ごめんねナカちゃん

速攻で気絶させてあげるから静かにね

 

すぅっ、と後ろから首を決め

「ゴートゥーヘル」

「きゅうっ」

 

よし、片付いた

 

ちゃんと気絶にとどめているよ?

しかし、、ビニール紐は使ってしまったし、追加武装なし

どころか装備品なしで離脱するのは無理だったらしくそこで一旦工廠へ向かうことにする

 

「提督、十五分で帰りますから」

「わかった、よろしくね」

 

工廠に到着したあと

 

「すぅ…すぅ」

私のスーツを持ったまま寝ている夕張がいた

 

「メロン、メロンちゃん」

 

「ん……」

「メロンちゃん?揉むよ?」

「きゃあっ!やめてください!」

 

指をクイクイと動かしながら徐々に近づけていくと、パッと離れられてしまった

 

あぁ、せっかく甘くて美味しそうなのに

 

「もう!怒りますよ?…………あぁ、スーツ取りに来たんですか?」

「ご明察だよ」

 

できるだけ爽やかに言いながら

夕張からスーツと武装を受け取る

 

「スーツ自体は複製不可、ただし武装は可

改造も武装のみって感じですねぇ」

 

うーん、やっぱりかぁ

よくわかんない科学使ってるからなぁ

改造はちょっと無理だったかぁ

 

「そもそも、こんなのおかしいんですよ、なんですかフェンリルって!追尾するエネルギー弾って!」

 

「それは私に言わないでください」

そんなの私が知っているはずがないでしょうに

と内心呆れながらスーツを回収して

 

士官制服を脱ぐ

 

「きゃあっ!ここで着替えないでくださいよ!」

「すぐ終わるから良いでしょ?

先っぽだけだから」

 

「それ全部しちゃう常套句じゃないですか!」

「はいはい大丈夫大丈夫」

 

上からボタンを外して、上着を脱ぎ

ワイシャツを艶めかしく魅せながら

膝丈のスカートのチャックを開けて

腿を大胆に見せながらホックを外してスカートを足元へ落とし

ワイシャツを第2ボタンまで開けた状態で一度表情を作り

 

それなりな胸と私的には自信ある脚を強調する姿勢でポージングしてからワイシャツのボタンをゆっくり外して

めくる、脱ぐのではなく第五ボタン下の裾を持ち上げながら開いてめくる

 

まぁ私が脱ぎを見せても誰も得しないので完全に下着を露出してからは早いけど、さっさとスーツに着替える

 

「なんか最初の方無駄にドキドキさせるような脱ぎ方でしたね……」

 

「一応練習したの」

「何のために……」

 

「男に見せるため、、なんて訳じゃないけどエロい方が生き延びやすいのよ」

 

「そんな理由で……」

「だってペリ子先輩が必修って言うから」

 

私としても泣きそうである

何が悲しくてストリップなどせねばならないのか

 

まぁ手を出して欲しい特定の彼がいて、なおかつ紳士すぎるようならコレで獣にするのもアリかもしれないけど

 

「私じゃ魅力値足んないよなぁ」

自虐ネタにしかならない未来が見える

 

さっさと装備を整えて、スラスター移動で縦横無尽……いや縦は無理だから

前横無尽かな?な動きで移動して

屋上に登り、天井裏に入り、移動して

提督と合流する

 

「提督、おまたせ」

「キッチリ十五分で帰って来るとは」

「時間厳守は軍隊の基本でしょ?」

「そうですね」

「じゃあ行きましょうか」

 

⚠︎天井裏です

 

そのまま移動して外縁部に出る

 

「おりょくるでち〜」

呂律の回っていないゴーヤが転がっていた

 

「提督っ!管理責任!」

「俺に言わないでっ!」

 

取り敢えず保護しよう

揃って同じ選択肢を選び、私が

ゴーヤを回収…いや収穫する

 

「でち公、でち公?」

天井裏から流石に出て、近くにあった医務室に運び込む

ベットに寝かせてしばらく経ったあと

 

「……おりょくる…おりょ?」

 

気付いたみたいだけど

 

「ゴーヤはオリョクルに行かなきゃいけないでち、離すでち」

「過労だからやめなさい」

 

見るからに疲れている、こんな状態で何をすると言うのか

 

「嫌でち!」

激しく首を振って拒否されてしまった

「何故かな?」

「だってオリョクルは資源が増えるでち!ゴーヤが!ゴーヤたちが!ガンダムでち!出撃するでち!」

 

「そんな無理をしなくてもいいから!」

「資源は有限でち!只でさえ戦艦だの重巡だのに資材を取られるでち!鎮守府を支えられるのは駆逐、潜水艦達だけでち!」

 

暴れない暴れない

体を抑える私の横から提督が話しかける

 

「ごーや、いや伊58、すまない

潜水艦たちを酷使しすぎていたね

 

今は責めて休んでくれ」

「提督!でもゴーヤ達が頑張らなきゃ資材が…」

「資材は良いさ、幸い勲章もそれなりにある、いざとなれば割っちまえばいいんだ」

 

「ダメでち!」

ゴーヤが顔面蒼白のままで反論する

「勲章は一部艦の改装に必要でち!

提督もずっと溜めてたでち!」

 

「もう暫く前に十分な個数になったから保留してた子達も全員改装したよ?しばらくは無用さ」

 

「資材は消費されるものでち!」

「そりゃそうだ、それで?」

「だからゴーヤ達が集めないと枯渇して」

「しないよ」

 

「するでち!」

「させないように努力するのが提督さ

君の疲労は目に余る、少しの間だけど、まずは休みなさい」

 

横たわったゴーヤの頭を優しく撫でる提督

 

「資材が……たり、ふ 」

 

徐々に目が閉じて行き

すぐに眠ってしまった、余程に

疲れていたんだろう

 

「寝ちゃった…ね」

「静かに行こう」

 

なんか子持ちの夫婦みたいな会話になってしまった…….まぁいっか

「行こう、提督」

 

また私は提督を先導して歩き出した



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

一撃の重み

ゴーヤを休ませる、潜在的に無理をしやすい艦娘たちの数人は多分過労で倒れる寸前をキープして働いている…その子たちが倒れたら鎮守府も傾いてしまう

それは困る、という事で

 

他の過労艦も休ませなきゃ

と使命感を発揮していた提督を拘束させないために私もついていくことにした

 

提督は甘い、甘すぎる

艦娘たちは提督が好き過ぎるから行動が過激で、危険なのに、加減がわかっていないだけとか言い出して

全く、そんなんだから監禁されたり駆逐艦にくちくされたりするんだよ

 

本人がそれをわかっているのか心配だ

 

多分わかってない

だから艦娘側のギリギリの一線を完全に、そしていとも容易く超えて来るのだ

 

いとも容易く行われるエゲツないナデポ(行為)

それがこの提督のスタン()

 

正直、お前のするべき事はまず脱出だ

とばかりに縛り上げても良いのだが

それはやめておく、こんな事で提督からの好感度を下げたら不信が募る

 

そもそも縛り上げる暇がないし

 

「伊19、呂500、伊168、伊13、まるゆそして伊58、潜水艦チームは一つしか作れない、その一つで働かせすぎていたんだ……」

 

うん、まず提督は逃げなよ

せっかく脱した罠に自ら掛かりに行くなんて自殺行為だよ?

 

と、言っても聞いてくれないのが提督だけどさ?

まぁ提督は提督、

三つ子の魂、、いくつだっけ?

まぁ良いや

 

とにかくそんな感じだ

提督は屋根裏にすら入らずに堂々とドアを開けて……艦娘寮に入る

 

「潜水艦はいるか?」

「えっと、見てないっぽい!」

 

「フフフ……」

「潜水艦たちの居場所を知っているか?」

「おっ、俺は知らねえぞ?」

 

「潜水艦たちの居場所を知っているか?」

「ぱんぱかぱーん……?

知らないですけど?」

 

「ひやっはー!」

「潜水艦たちの居場所を知っているか?」

「知らないなぁ〜提督も飲むか〜?」

 

「潜水艦たちの居場所を知っているか?」

「はい!気合い!入れて!案内します!」

 

片っ端から聞いて回っていた

 

バカすぎる……やり方がおかしい、

 

あと、比叡さん?案内に気合いがいるのは松岡修○さんと地方案内ガイドさんだけだと思う

 

「出撃ドックと、執務室と、潜水艦寮の三つの地点を結ぶ三角形、潜水艦はこのバミューダトライアングルに出現します!」

 

本当に観光ガイドみたいなことを

始めてしまった……

 

「ちゃんと部屋にいてくれたようで何よりだ」

 

潜水艦たちは部屋で眠っていた

つまり、ゴーヤは疲労で先に倒れたけど他の艦はそれに気づかずに部屋に戻り、結果的に落伍したゴーヤだけが取り残された、という事だろう

 

「よかった…みんな…」

提督は涙目だ

 

「よしっ、じゃあ出よ?」

「えっ……?」

 

「はっ?」

 

バカなのか?経過を見るとか言い出すつもりなのか

 

「だって今しがた倒れた艦娘が出たばかりだからこれ以上の任務は止めさせないと……」

 

「ごめんね……流石にそれは無神経すぎる上に馬鹿だよ提督」

 

せっかく逃げるチャンスなのに潜在的な敵を助けて時間を取られて重巡とかのパワーある艦に捕まったら私じゃ流石に助けられないよ?バカなの?死ぬよ?」

 

「うん、声に出てる」

「おっとごめんなさい

というか、私は一人で逃げるぜ、

 

そろそろカバーもきついし、陣痛とか駆逐空母が復帰してきてもおかしくないし

 

そうなったら武器がEDF基準の私では殺傷力が高すぎて危険だから

「そうならないように逃げんさいな」

 

私は、取り敢えず考えうる限り危険な艦娘たちを無力化するために、そして、提督の退路の確保のために走り出した

 

「で、結果こうなった、と」

「春雨になにか、、ゴヨウデスカ?」

「いよいよ阿賀野ノ出番ネ」

「慢心はいけマセンヨ」

「カエサナイ…」

 

鎮守府の建屋から出て、海岸で向かい合う

 

なに?艦娘たちは髪が白くなったり黒くなったりオーラが出たりするの?

最近聞いた改ニってやつ?

 

「でもこりゃヤバイなぁ

下手すりゃ死にそうだ」

 

私は傷つける可能性に構わず、武装を展開し

 

「EDF日本関東圏防衛基地所属、降下翼兵ウイングダイバー、ウイング5DASH、交戦開始(エンゲージ)!」

 

戦端を開いた

 

「まずは……支援要請!」

 

砲撃支援(エアレイダー武装)でド派手に牽制だ

妖精が呼び出され、砲撃を開始

爆撃の音と衝撃が響き

 

周囲を耕す……ちなみに一応だけど私自身は被害を受けない

 

「続いて…!グレネード!」

 

もちろん手投げ式

不遇武器だがそれだけに威力が高い榴弾を投擲し、それを発砲音と誤認した艦娘がそちらに注意を向けた途端に

 

「決めるよ…必殺ファンクション!」

夕張が遊びで搭載したというボイスコマンドシステムを発動し、指定のモーションを取る

アタックファンクション(必殺攻撃)!アイスレーザーネット!]

 

私の持っていたスパークバインから光が溢れ、それは青い氷の網となって迸る

 

〈!〉

回避を試みた艦娘のうち、その場でジャンプした阿賀野と後ろへ下がった瑞鶴が凍るが、横へ逃れた加賀と小さくて当たらなかった春雨は凍結を逃れた

 

「反撃…行きます!」

「いつから私のターンが終わったと錯覚していた?」

スパークバインをレイピアに持ち替えた私はそのまま、剣を振って、突き、連撃を仕掛ける

突いて、突いて

加速して蹴り飛ばして突撃!

「必殺ファンクション!」

アタックファンクション(必殺攻撃)ヒートウイング!]

 

再度回避を試みて横へ跳んだ加賀を、炎の翼が打ち据え私自身もヒートウイングを維持したままで壁キック反転

再度突撃してラリアット……だって剣で刺したら危ないでしょ?

 

しかし、ヒートウイングを維持した代償としてレイピアはオーバーヒート、スラスターもしばらく使えない

 

だから

「武器がなくても体術で勝てる」

「きゃああっ!」

突撃してきた春雨にカウンターで掌を入れ、

 

「破ッ!」

 

いわゆる二重の極み理論と、体内の電磁波を限界以上に引き上げてEMPパルスを発生させる特殊な発勁の同時撃ちで昏倒させる、、しばらく起きないよ

 

さて、なかなかの強敵だったし

初見の技も回避されちゃったし

私もまだまだか……レンジャーの先輩すごい……私になんか凄い剣術と格闘術?教えてくれた人なんだけど、呼吸がどうとか気がどうとかってちょっとよくわからない

 

あと六塵散魂無縫剣ってなんだ?

 

本人は律儀に言いながら使っていたけど

一瞬で10回くらい切ってたし、それ以外言ってるだけとかだった

 

壊れたテレビを叩いて直すとか言ってたけど、それは真空管の接触不良とかの問題であって、断じて最新機器には意味ないよ?

 

「まぁ……今はいいか」

危機を退ける事が出来ただけで十分だよね?




必殺ファンクション!ハイパーエネルギー……なんだっけ?とか言わせてみたい


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最大戦速

とりあえず敵を制圧した、、けど

流石にこれは…やりすぎたかな?

ヒートウイングは強かった、いや明鏡止水とかでは避けられていた

 

え?技のこだわり?

もともとこのスーツは特定の挙動を外部からアシストする簡易パワードスーツとしての機能もあるし、武装の方を改造してアシストに介入すれば良いだけだ

 

音声起動はちょっとアレだから

対応する武装をもった状態で、前動作を取り、技名を宣言することで初めて起動するようにした

 

例えば腰を落とし、二丁拳銃を両手に持ったまま前傾姿勢になり、ブラッディレインとか

ランスを一度空中に投げて一回転させてから手に取り直してオーバースロー、カゲヌイ

とかそんな感じ

 

アクションが細かくて少しわかりづらいけど、そこは感覚で覚える

 

え?ダメ?もっとわかりやすく表記しろ?

「ぐぅ、、」

 

そんな暇無さそうだよ?まぁ

真っ当に攻撃させるつもりもないけど

 

「ちょーっとごめんよ」

私は春雨の帽子のリボンを外して

手早く布に引っ掛け

リボンを引きちぎるか布を破るかしないと切れないように絡めた後、春雨を縛り上げる

 

ちよっとエッチいね

 

その後阿賀野の足を加賀の腰に引っ掛けて

十字固め(関節の構造上すごく負荷がかかる)にして加賀の体重で自動的に締まるように絡ませて

阿賀野の方はまだ凍っている瑞鶴で押し潰す

 

氷って重いよね

 

可愛い子達を固めた後

提督の元へと戻り、潜水艦を休ませる交渉を見守る

 

結局着任から日が浅い私は何もできないから、取り敢えず見ておく

 

私の専門は本来戦闘職だけど

遠距離戦専門、

口論をやるには向いていないのだ

 

「提督?終わった?」

 

「………今終わったよ、行こう」

 

全く、散々振り回してくれちゃって

礼の一言も無しか、この提督は…

 

「わかった、いくよ」

 

まぁいいけど

 

医務室を出て、鎮守府の1棟から正面玄関に向かってレイピアを冷ましながら歩く私と、その二メートル後ろを歩く提督

このくらいの距離感がちょうどいい

護衛しやすい距離だ、提督もなかなかわかっているじゃないか

 

「さて、提督、そろそろくるよ」

私たちは王手をかけた、

ならば艦娘たちは戦艦級の切り札(joker)を使ってくる可能性が高い

ハイディングしている艦娘や

たまに砲を向けてくる艦娘を素通りして出られるとは思えないけど、そろそろジェネレーターも補給が欲しいし

レイピアを冷ましきる時間も必要だ

 

ちなみに緊急冷却は使わない

あれはジェネレーター自体を空冷するってだけだからレイピアを冷却する機能はないし

 

それにそもそもレイピアを弾切れまで撃ったところでオーバーヒートしない設計なのだからレイピアに冷却機能は無い

 

「さて、門まで残り約30メートルの直線、ここを出れば艦娘は武力行使不可能!」

 

ここまで来たら隠密とか関係ないとばかりに正面に立ちはだかる艦娘達を抜けるために、、全力になるしかない

 

「すぅ、はぁ、すぅ、はぁ、、

よし、いける……トランザム!!」

 

別に本当に発動するわけではないが

そんな気分で走る

 

スラスター加速は提督の体が持たないために使わないけど一応スラスターは待機状態になっている

 

「抜けるよ!」

 

「通しません!」

重巡、羽黒がこちらに主砲を向ける

が、

「踏み込みが浅い!」

 

一瞬で加速した私はその速度のまま左拳で羽黒を吹き飛ばし、後列から飛んで来た足柄を蹴り飛ばす

 

そのままの勢いで木曽に攻撃を許さずに顎を蹴り、

「必殺ファンクション!」

《アタックファンクション、トライデント》

 

パワーランスで広範囲攻撃の使える必殺技を発動し、旗風が編んで来たらしい網をサンダーバーストで焼き払い、同時に閃光で目を潰して

 

立ち並んでいた艦娘達の内、戦艦達の一団をようやく冷却の終わったレイピアで撃ち抜き

制圧した

 

「よし!あとは」「あとは…なに?」

 

突如、真横に出現したそれは

 

川内改二

 

「なっ!」「はいはい、驚きすぎ」

 

私が加速を止めた瞬間に魚雷を投げつけられ、、躱す

「高速戦…アクセラレーション!」

 

「英語かぁ……ライドオン!」

そこは乗るんだね

 

二人で向かい合い、走る

格闘技とかそんな次元じゃなく

私がウイングユニットで走る速度に平然と並走する川内が攻撃を仕掛けて来て、私がそれに対処する

私の攻撃に川内がスピードを落とさずに対応する

 

 

どれもこれもが高速で行われており

周り全ての速度が激しく減じて見える

 

「やっぱり早いね」

「どの口がいう!」

 

魚雷クナイをパワーランスで撃ち抜き

手裏艦載機をLRLS-33で狙撃し

格闘でぶつかり合う

 

兎に角走りながらぶつかり合う

川内早すぎやしないかな?



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

サヨナラの翼

なんでこんなに速いの川内って

 

いや

原因は大体わかってる、ニンジャは足が速くなきゃいけない、だから川内も早い、とてつもなく早い

 

いや強引だけどニンジャだし

艦娘ってそれくらいイメージ補正強いらしいから仕方ないね

時速300キロくらい出てないかなぁ?

ないか、スーツの耐圧補正が間に合わないしそこまでになると私自身が追いつかない

 

まぁ、追いつかせるのがEDF流

やってやるさ、存分に!

 

「必殺」「言わせないよ」「っ!」

 

ファンクションすら言わせてもらえないなんて、必殺技はプレモーションに入ったら妨害しないのがマナーでしょ!

 

マナー(良識)マナー(原則)であってルール(絶対)じゃないのよ」

 

「心の声に反論すんな!」

 

「くひひっ、サーセン」

 

ヒュンヒュンヒャダインと交錯しながらビームやら魚雷やらが飛び交う別次元の戦場、私らはRタイプかなんかか!?

 

バケモノのような機動力を発揮して格る艦娘とウイングダイバー

側から見ればバケモノ同士だけど、本人達はまったくもって真面目なんだよなぁ……

 

「ひっ」「せいっ!」

必殺を言い切る前にカウンターが放たれ

しかし、そのタイミングでワザと撃たせることで

 

覚悟を決めた状態で、

ひるむことなく宣言を終える

「殺ファンクション!」

 

『アタックファンクション!ソニックランス!』

私は川内に向けて突撃して…

 

「つっ!」

 

その防御をブチ抜いた

 

「……私の勝ちよ」

「えぇ、そして私の敗北ね」

 

「…………なに正統派強敵感出してんの?」

「……え?」

強敵では有ったけど、正統派かと言われるとそれはひとえに疑問というか

 

そもそもニンジャでしょ?

 

「はぁ、、格好いいと思ったのになぁ

まぁいいわ、

貴女が自分の状態を自覚出来てればね」

 

「自覚?」

 

取り敢えず体を見まわしてよく見るが

異常はない、せいぜい蹴りの多様で足の爪が割れている程度だ

 

「貴女は気付いていないかもしれないけど、貴女自身が既にヤンデレに墜ちてるのよ」

 

「………え?」

 

「自覚なかったのね…行動をよく振り返りなさい」

 

えええっと、、

「そもそも幼子をアリが喰い殺す世界だから、これがスタンダード」

「…えぇそんな返しは考えてなかった、って感じなんだけど」

 

だろうね、逆にこの世界来た時は

平和だなぁって思ったし

 

「絶望して泣き叫んだほうがよかった?」「いや流石にそこまで求めてないから」

 

よかった、川内に良識があって

「私をなんだと思ってるの!?」

「ネオサイタマのニンジャでしょ」

「嫌ー!あんなのと一緒にしないでー!」

 

口では否定していても体は正直に対魔忍のごときエロエフェクトを出しているんだけど?

 

「川内食べちゃダメ?」「ダメ、っていうかサッサと行きなさいよ!」

 

川内は私を振りほどき、押しのける

「私がこっちを引き受けるから

貴女は提督と一緒に、ね」

 

「…分かった!川内、ありがとう」

「死亡フラグ立てないの、全く…

まぁ、提督のためにこんな無茶しちゃう辺り、私もヤンデレなのかな」

 

はやくも復帰して来ている艦娘達を、再度撃破するために川内は主砲を構えた

 

 

しばらく走って、提督を降ろす

「さて、提督、どうする?」

「一応金はある、川内はちょっと心残りだが、俺も隠居するよ」

 

「そっかぁ、、提督」

 

「なんだ?」

「私が提督になるよ、私が提督を継いで

海域を維持する、だから見てて」

 

安心して休めるように、言葉をかける

 

「分かったよ、次見るのはテレビの向こうかな?」

「クスッ、そうだね、そうなると思うよ」

 

「翼」「提督」

「「さよなら」」

 

互いに手を振って、別れる

 

私は今しがた来た道を通って鎮守府へ

提督はまっすぐ進んで市街地へ

 

二人の道は分かたれた



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

翼大僧正…違った提督着任

「というわけで、私が着任しました、それに伴い前任提督は退職、つまりもう追いかけることはかないません」

 

艦娘全員を講堂に集めて

笑いながら説明する私に

殺意を込めた視線がぶつかる

 

「なに?文句あるなら、ヤル?」

 

私は羽を見せて臨戦をアピールする

いかに空母といえど、純粋な火力では私が押し負ける、だが私にはチャンスゲージが完全チャージ状態というアドバンテージがある

 

5、6人なら制圧できる、

 

ジョーカーを切れば全員制圧できる可能性もあるけど、それは私自身も危険だから避ける

 

「…私が異議を唱えたところで意味はありません、今回は折れます」

 

「ありがとう(にっこり)加賀ちゃん」

「ちゃんはやめてください」

 

嫌そうな顔になる加賀

 

「那珂ちゃんはセクシー路線からキュート路線に変えようかな〜」

 

そぅっと目をそらしながら言ってきた

シニヨンの少女に

「何言ってんの!セクシーが一番だよ!」

 

肩を掴んで揺する

「那珂ちゃん!ナカちゃん!目を覚ましてナカちゃん!」

「ちょっと発音がおかしいよ!」

 

慌てた様子で胸元を抑えるナカちゃん

その手の中にはナカちゃんの何があるのかな?言ってみなさい?

 

とまぁオッサン臭いセクハラをかました後はちゃんと講壇に戻る

 

「さて、良い?大本営公式として通達が来ている以上、私が提督である事に違いはない、いくら君達が病んでいようと、それには従わざるを得ないよ」

 

艦娘たちからはムッとした気配を感じるものの、駆逐艦あたりの幼い子はあまり深く考えていなさそうだ

 

「今回は告知だからあまり強くは言わないけど、私の首を狙うのならば好きにしなさい

ただし、全武装でお相手する用意はある」

 

強烈なインパクトを残して

私は講壇を去った

 

その1分後

執務室へ向かって廊下を歩いていると、

新規建造された天龍を提督に置き換えたらしい龍田と建造されたばかりの天龍による

新天龍型姉妹が話しかけてきた

それも各々の武器を持ち出して

 

「俺たちがお相手するぜ」

 

「天龍か、龍田と一緒に何してんの?

二人掛かり?」

「あ?んな事しねえよ!連戦だバカ!」

 

「それ結局卑怯だよね…」

 

笑いながらパワーランスを起動して

無造作に龍田の左腕を刺した

 

「なっ!てめえ」「なに?」

 

龍田の光に焼かれて大穴の空いた左腕が握力を失い

薙刀を取落す

 

「戦いに始めも終わりもないでしょ?そんなことも忘れたの?」

 

にっこりと、諭す様に

優しく声をかける

 

「私はさっき声をかけられた時は龍田が薙刀を出したのを知っていた、天龍に戦闘を持ちかけられて天龍に集中した瞬間に私の首を刎ねるつもりだったのに気づいていた

 

同じことを、戦闘特化存在である貴女達が出来ないはずがないのに、忘れてしまったの?」

 

私たちが相手にするのは宇宙から来たアリ、クモだけじゃない、人も、害獣もそう

だから先の先を取る事になれる

 

龍田の攻撃に気づくくらいなら簡単だった

でも、今の問題はそこじゃない

 

「ねぇ、貴女達もしかして

弱い?」

 

「んだとゴラァ!もいっぺん」「何度でも言うよ、弱い、それに近視眼的、龍田の方気にしてあげなよ、気絶しかけてるよ?」

パワーランスは強烈な電圧の共にアーク放電で溶解、蒸発した金属を射出しているゆえに、

命中部分は金属に焼かれ、擦られる

当然一瞬しか血は出ないが、傷周辺の神経ごとダメージになるし、なにより麻痺するだけじゃなく、激痛もある

 

複合的に龍田は大きなダメージを受けていた、んだけど、天龍はそれに気づかなかった、姉なのに、隣にいたのに

 

それで姉妹か?笑わせてくれる

 

姉妹ってのはもっと深い絆で根源的に繋がってるものだろ

 

慌てて救護班に連絡を取る天龍

これは勝ちましたわー

 

去り際に睨まれたが、まぁそんなものだ

 

「さぁ、提督業を始めようか!」

 

正直に言えば、こんな外道ムーブはしたくない

私が何事もなく振る舞えたのは

艦娘の攻撃に常にさらされるよりも

正面から挑まれるほうが効率的かつ生存率が高いと考えているからだ

 

それで人道を無視するのはよくないけど、生き残って提督を少しでも長く逃すためだ

 

もう元の世界に戻る方法がない以上

私はウイングダイバーとしての私、と提督としての鉋狩翼を分離する必要がある

もちろんお粗末な仮面だけど

まぁまぁ別人っぽく振る舞えたと思う

 

ヤンデレと化して提督のことしか見ていない艦娘を強引に従えるには恐怖政治しかない、その先が反乱による自壊だとしても

私はそれに乗り切った

 

「龍田の入渠費用と時間は大丈夫かな?」

やっぱり自分がやったから心配だ

 

「可愛い艦娘達に傷をつけたくはなかったけどねー、もし跡が残ったら責任とって私が貰う」

 

きっぱりと言い切りながら

手を止めずに作業を続ける

一応レベルではあるけど、執務の補助ノートもあったからね、私が来てから書いたっぽい

 

「っぽい!?」

扉の向こうからぽいぽいの声が聞こえた

 

愛称ぽいぬ、白露型駆逐艦四番艦夕立

語尾にポイが付く、改二で犬耳が生える

砲戦能力に優れた艦、高速

甘える、可愛い、狂犬病(愛)

 

とまぁこんな感じで情報が羅列してあったノートを暗記したわけだけど、この子は特徴が強くてすぐに覚えられた

 

「失礼するっぽい」

 

ガチャ、とドアを開き、夕立が入ってきた

「今日もがんばるっぽい!ぽ〜いっ!」

 

ほんとに語尾にポイつくんだね?

 

「B型砲、C型砲、水上電探装備で夜戦最大級火力の改二、しかし自滅しやすい突撃型、っとこんな所かな?」

「ん?なんの話っぽい?」

 

自分で気付いてないんかい!

 

まぁ、いいや

「夕立の話だよ、今夜は雨らしいから

早くおかえり、少し歩くだろ?」

「たしかに艦娘寮と鎮守府はちょっと歩くっぽい、でも雨が降っても提督さんと一緒なら大丈夫っぽい!」

 

「なぜ君はそんなに私に懐いているのかな」

すり寄ってきた夕立を撫でて

髪を優しく揃えながら抱き込む

 

「ん、ふぁ…ぽぃ〜」

 

色っぽい声だこと、夕立は体型も威圧感も戦力も重、軽巡の間に入っててもおかしくないレベルなんだから

もう駆逐艦卒業してもいいんじゃないかな?

 

「嫌っぽい!白露型からは離れないっぽい!」

心を読むの凄くない?あと白露型みんな駆逐より軽巡の性能してるよね?

 

暁型や漣、雪風とかは背が低いとわかっているけど、白露や時雨達は比較的長身だし

 

「絵師さんに聞いてっぽい!」

「おぉメタイメタイ」

 

夕立やっぱり可愛いなぁ

提督の交代で騒然となる鎮守府の中で執務室だけは静かに

しばし夕立を可愛がるタイムが流れるのだった



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

鶴翼の陣

「ぼいぽい……っぽい」

 

静かにぽいぽい言ってたのも限界が来たか

っぽいが緩むぽいぬ

 

「って、よく寝言でまで言えるね」

「すゃ〜〜っぽい〜」

 

ゴロゴロと床を転がりながら

夕立が寝ている

 

あの後すぐに眠ってしまったのだった

どうやらゴタゴタで疲れていたらしい

 

「はぁ〜……みんなこんなに可愛ければ良いんだけどなぁ〜」

 

現実はそうもいかないと分かってはいるが、それでも理想は言わざるを得ない

 

「かぷっぽい」

きゃっ!

 

「手、噛まないでぇ」

 

寝ていた夕立が私の腕を捕まえて

噛んで来たのだった

「ハムハムハム…」

甘噛みでよかった

 

最後にねっとりと手を舐めてから離れる夕立

左手ベタベタ…洗わないと

 

「提督、失礼します」

 

静かな声とは裏腹に

ガチャバタンとばかりに乱暴にドアを開けて入って来たのは

 

「ずいずい………だっけ?」

「瑞鶴っ!間違えないで!」

 

「あぁごめん瑞鳳」「だから瑞鶴だって!」

 

手を噛まれた私は取り敢えず水道で手を洗うために部屋を出て、瑞鶴は執務室に残る

 

「ってなんで取り残されてるのよっ!」

 

追って来たようだ

 

廊下の反対角をチラッと見で、そこにいた人物と距離を確認しながら、突然のクイズ!

 

「加賀は?」「卑しい女ずい!」

「………へぇ……そんな風に見られていたんですか、瑞鶴」

 

柱の影って見え辛いけど

背後に気をつけてください瑞鶴さん

死んでしまいます

 

「ひっ!」

 

露骨に怯えた表情で振り返る瑞鶴

するとそこには

 

「……頭にきました」

「いやーっ!」

 

瑞鶴は悲鳴と共に転んで、お尻が地面に擦るのも構わずに必死な表情で後ずさるものの

加賀が無表情でゆっくり進んで来る方が僅かに早く、結果的に距離は徐々に縮まっていく

 

それでも逃げるしかない瑞鶴と

瑞鶴にプレッシャーをかけながらゆっくり近寄る加賀

 

瑞鶴視点ではホラーだ

「ふふふ…怖かろう!」

 

私は遥か後方の安全地帯からゆっくり実況させてもらう

 

アゴを強化したカロッゾなのか

それとも天龍なのかって?

アゴを強化した天龍に決まってるでしょ?

 

「ふふふ…オレの真似かっ!」

 

上から声が聞こえた瞬間、私は回避運動に移っていた

「また来たの?」「うるせえっ!」

飛び掛かってくる天龍に

スパークバインが輝きを放ち

 

「アババババ!!」

「大丈夫、死にゃしないよ」

 

少しばかり()()()()なってくれた天龍を抱きかかえて

「反抗的な子はっ…っぽ〜い!」

 

窓の外へ(三階)ほうり捨てる

大丈夫、死にゃしない死にゃしない

ビルから飛び降りてもレンジャーは平気だし、

ん?ダイバー?それこそ地面に飛び込むじゃん

 

夕立に舐められてベッタベタな左手でガッツリ制服掴んじゃったけどごめんね

 

「かっこ私は悪くないかっこ」

 

ん?なんか違う?

 

「『私は悪くない』」

うん、こうだな

 

さて、私は悪くないから私に責任はない

従って全て自業自得、瑞鶴も天龍も

みんな自業自得なんだ

 

さて、ひとしきり楽しんだ後は

口調を戻して……

 

「死んでくださいやめてしまいます」

 

爆撃機が突撃して来るのを回避

声の聞こえた方を見遣ればそこには

 

「提督を返して…提督を……」

ゾンビ、いや空母の…えっと、誰だっけ?

 

「この短時間で忘れないでよっ!瑞鶴っ!」

「あぁすいかくだったね」

「偽物みたいに言うのはやめて!瑞鶴!」

 

「瑞確…でいいのかな?」

 

「ずいかくなのはずいかくだけど

瑞雲確定って書いてない?」

「無い無い、瑞亀確認って書いてる」「こらーっ!」

 

首をつかんで振るのはやめましょう

今度こそやめてください死んでしまいます

 

「スパーク…」「させない」

瑞鶴は何を考えたか私にくっつき、密着して来る、ダメだあんまりエッチな雰囲気を感じない(触ってもおっぱいがわからない)

 

「この距離なら!ビームは撃てないでしょ!」

 

「なんとなく面が割れそうな感じがするんだけど」

「クワガタじゃないっ!」

 

「そうだねガタガタいってるもんね」

「ムキーっ!」

「猿だったの?」

「クエーッ!」

 

「なんだ、チョコボールか」

「鶴よ!七面鳥じゃないわ!」

「いか………ずち?」

「だから違うってのー!」

 

「騒々しいですよ、瑞鶴、これだから五航戦は…」

「むうぅっ!先に沈んだくせにぃ」

「…はて、()()()()()()()()()

加賀さんから怒りオーラが湧き上がる

 

「ひうっ」

 

また、瑞鶴の悲鳴が上がった

 

ちなみに私はもう離れてある、

ここの鎮守府はこれが日常らしいが

瑞鶴はずいぶん騒いでいるなぁ

 

「ですよね、我が妹ながら、あそこまで落ち着きがないと、少し不安になります」

 

「きゃっ!、翔鶴さんいつからそこ(壁の影)に!」

「……15.326秒前からです」

 

細かい!

「人型時計ですし、座標と方角もわかりますよ?」

 

「時刻方角座標って、航海に必要な数値やね

翔鶴さん全部わかるの?すごい」

 

「うふふ、これでも五航戦ですから」

ニコニコしてる翔鶴さん可愛い

()()?どうかしましたか?」

 

あっダメだこれ、私のことが提督に見えてる

時刻だの座標だの言ってる場合じゃない

 

「これは危険だ………逃げなくては…」

 

「逃がしません、捕まえちゃいますよ?」

「あっ不味い」

瞬間移動並みのスピードで移動した翔鶴は

私の背後を取り、

さっきまで自分のいた壁の隙間に私を閉じ込める

 

「……提督…」

熱い瞳で(他人)を見られても…

 

なんでゆっくり身を寄せてくるんですかね

だからその顎クイはやめ……

 




って絶対相手を壁に挟んで使うわけじゃないよね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ブレイカー翼ちゃん

「ちょっと、、翔鶴さん……」

「ん、ちゅ………くちゅ…」

 

体感十秒以上、ずっと唇を奪われっぱなしになって、流石に対抗するものの。酸欠で出力が安定しない…

 

「んぅっ!離れな」「ちゅ」

 

二、三分もされていると思考がだんだん鈍くなって抵抗が弱ってきてしまう

 

「ん、ぷぁっ、、ご馳走様でした

ていとく」

 

「はぁ…ふぅ…はぁ…」

 

鈍化した思考では真っ当に動くこともできずに頽れるだけだった…ちなみに、側から見ていた瑞鶴曰く

完全にレ○プ後だったという

 

「じゅぃかくぅ、、たしゅけぇよぉ」

 

呂律の回らないまま瑞鶴に助けを求めても

「はいはい、落ち着いて…立てる?

まずは水でも飲んで落ち着きましょ」

 

予想以上にしっかり助けてくれた

 

「翔鶴姉に強引にキスされた人は大体そうなるから、慣れちゃったのよ、はい、お水」

「ありがと、、っ、」

 

まずはゆっくりと水を飲む、

精神安定効果はもとより、

口の中に残された翔鶴の匂いが消えていくような感覚がして、すごく落ち着いた

 

半日後………

 

「キルゼムオール!」

 

翔鶴ショックから立ち直った私は

平たく言えばブチギレていた

 

ボセゼロパダギパゴドレバンザゾ!(これでも私は乙女なんだぞ!)

 

全武装を装備しながら叫んで

とりあえず出撃する、大丈夫

補給は済ませた

 

「コンディション:グリーン

EDF日本関東圏防衛基地所属

降下翼兵ウイングダイバー ライドオンスターター!」

 

「セット!you have control!

出撃許可、いつでもどうぞ!」

 

「I have control、鉋狩翼・

ウイングユニット!出撃!」

 

試製甲板カタパルトを改造した代物に

足を預けて、強制加速した私は

ガンダム風に出撃した

 

 

「オペレーター役ありがとっ!」

「いえいえ、私がお役に立てるなら構いません」

 

インカムから聞こえる

このきゃわわな声の源は

そう、春雨ちゃんでした、カワイイ!

 

「いつもの姫さまがたは何方かな?」

 

海上を駆ける、

私のシューズはどうも水に立てるらしく

スラスターを使わなくても浮けるのだ

 

そこらじゅうを走りまわり、

やっと、、見つけた

 

「深海海月姫に、双子棲姫、

 

君たちは絶版だ」

 

わざと声をかけて、ゆっくりと近づく

ギリギリの射程に到着したら

 

「オマエハ」「死ね」

深海双子が攻撃してくる寸前に超加速

航空戦省略でスパークバインを撃ちまくる

 

まずは海月姫の元にたどり着き

真っ正面から

レイピアでプラズマブレードを発生させ

その腹を貫く、

 

そして、

 

「リボルクラッシュ!」

 

レイピアを上に振り切り、反転して背を向け、斜めに引く

同時に、悲鳴さえ残さずに海月姫は爆散、

その光が、海を照らす

 

「さぁ、今救ってあげよう」

 

慌てて呼び出された雑魚どもの砲火をスパークバインやアサルトライフルで迎撃、主砲も機銃も全弾弾き飛ばして

 

平然と微笑う

 

「どうしたの?弱いよ、遅いよ?

もっと私を笑顔にしてよ」

 

「ギイイイッ!」「アァアアッ!」

突貫してきたロ級とホ級のエリートを

放った手榴弾で一撃爆殺

 

直後に、再度砲火が放たれるが

「今こそ、審判の時…」

 

レイピアを撃ちっ放しにした私は

砲弾の雨の中を突撃、

周囲の雑魚共にレイピアの極光を浴びせて消滅させていく

 

「砲火だ、、砲火を燃やしてぶっ潰す!」

 

とりあえずポーズを決めて

「必殺ファンクション!」

 

『アタックファンクション!

リフレクトビット!」

 

展開された三つの角錐形ビットは

エネルギーフィールドを展開し

私に向けられた砲雷撃全てを跳ね返した

 

「無駄だ!無敵だからな!」

 

それでもフィールドの隙を狙って射撃してくる奴はいるが、リフレクトビットのフィールドを射撃で抜くのは不可能だ

 

今の私はまさにハイパームテキ

そのまま雑魚共は自爆して数を減らすのに任せて、私は深海双子棲姫に近づく

 

「片方ずつ…かな?」

 

「ユルサナイッ!」「コッチニコナイデ!」

引き撃ちはいいけど腰が入ってないなぁ

それじゃ火力はともかく衝撃がない

当たればいいけど当たらなければどうという事はないよ。

 

「まぁ、どうでもいい……死ね」

クールタイムの終わったレイピアで

再びの必殺ファンクション

『アタックファンクション!

五月雨斬り』

 

黒い方を狙ってファンクションを発動する

その瞬間

「サセナイッ!」

 

白い方が割込んだ

私は今更中断も出来ず、

瞬間二十連撃、五月雨斬りが白い方に直撃する

 

「キャアァアアッ!」

 

白い方が全身を血に塗れさせて倒れ

黒い方が白い方を抱き抱えて

「イヤアァァア!」

 

絶叫した

 

「…ユ…ナイ……」

 

私はレイピアのリチャージのために一旦武装を切り替えて離れ、LRLS-33を構える

 

そして、

「絶対二!ユルサナイ!!」

 

二人で操っていた艤装を一人で動かし

猛機動で航空機を飛ばしてくる黒い方

 

しかし、一人で扱う分

意識が弱い、集中力が足りない

思考速度が遅い、

 

 

残酷だけど、これが現実

 

「終わりよ、死になさい」

 

航空機をスナイパーライフルで撃墜し

構える、無数の残骸の浮かぶ赤い海の先に

片割れの骸を抱いて

たった一人で砲を繰る孤独な姫を捉え

 

「必殺ファンクション」

『アタックファンクション、ホークアイドライブ!』

 

lock-on、

三連射(バースト)!」

 

赤熱した弾丸が、一発は艤装を、

二発目は白い方を、三発目で黒い方を

それぞれ撃ち抜いた

 

「ワタシタチガ…ウソヨ…」

 

「あぁ、さようなら」

 

「沈ムワケ…ナインダカラァッ!」

 

艤装の爆発によって、周囲が噴煙に紛れて

 

煙が晴れた時には

海は青く変わっていた

 

「帰ろう、鎮守府へ」

何もいないそこへ、手を差し伸べる

「一緒に」

 

((ありがとう))

(えぇ)

 

どこからか、声が聞こえた気がした

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

喰らえ、ロジカル拳法論者拳!

鎮守府に帰ってきた私は

 

「おせーぞ提督っ!オラァッ!」

当たり散らされていた

 

 

「はぁ…天龍…」

反抗的なのは良いが

態度に実力が伴わないと惨めだね

 

「うふふ〜〜」

天龍が首を引っ張られていった

(誰にとは言わない)

 

「…お疲れ様でした!」

「春雨ちゃんか、どうしたの?」

 

「いえ、なんでも…ただ、私が出撃を見送りしましたから、お帰りなさいも

私が言いたかったんです」

春雨ちゃんが良い子すぎる

 

かわえぇ。この子アレか?

一昔前のギャルゲーで出てくる幼妻系か?

 

「可愛い可愛い」

撫でる手が止まらない…

 

 

はっ!

私は春雨の頭を撫でようとしていた

瞬間に既に撫でていた!

 

撫でるという行動が抜け落ち

撫でたという結果だけが残るこれが

「King Crimson!」

 

はっちがう、何を言っているんだ私は

 

「…あう、あう」

「ほにゃあ、かわえぇ」

 

 

もう撫でる、

いいや限界だ!撫でるね!

 

散々に撫で回して

好きなだけ弄ったあと

 

「もうやめてくださいよぉ」

振り払われてしまった

 

「あっごめんごめん、嫌だった?」

「…撫ですぎです」

 

「嫌だったのね」

提督になって、正式に提督が変わったことが告知されてからずいぶんと艦娘が好意的になった気がする

 

前の提督に私を被せてるのかね?

まぁ、今はそれでもいいけど

[私]と[彼]が違う人間であることをちゃんと知ってもらわないとあとあとで面倒なことになるな

 

「…と言うわけで響だよ」

「響だよ、会いに来てくれたはいいけど、展開に愛を感じられないよ」

 

「クズ!っていって欲しいよ

霞ちゃんだよ」

 

「何いってんのよこのクズ提督!死になさいよ!」

「バ艦娘が何か言ってるよ、文脈が足りなくてまるで理解できないよ」

「こんのぉ!」

 

銀髪駆逐艦と水色髪駆逐艦(語呂悪い)ロビーで見つけた私はそのまま

お話タイム!凄い!時代!未来!に突入して、、お叱りを受けていた

 

「だいたいなんなのよあの演説!

あんなんじゃ反感を煽るだけじゃない!

全くこのクズは!心配事増やさないでよ!」

 

「心配してくれてて地味に嬉しい」

「心配されて喜ぶなんて何考えてるの

周りに迷惑かけてるって実感があるならさっさと改善しなさいよ!だからクズなんて呼ばれるのよこのクズ!」

 

罵声すらも心地よい…

はっ!これがMの境地!

 

新しい扉を…開かずに済んでよかった

 

「ガチロリコンのドMなんて業の深い存在を量産する自動工場(人類滅亡後感)は放置して、

兎にも角にも響だよ、可愛いよ」

 

「自己紹介の時の口調を真似しないでくれるかな?すこし恥ずかしいよ」

 

帽子を被って表情を隠す響

「くーっ!King Crimson!」

 

再び結果だけが残り

 

「…はっ!いつ撫でられたのかまるでわからないのに撫でられたという結果だけはわかる」

 

「はぁ?アンタ何いってんの?

結果には行動と現象が付随するでしょ」

 

「その行動が抜け落ちているからこうなってるんだよ…あぁもう、言い争うよりまずは現象の究明を…」

二人が混乱している

 

「はぁ、ぐうかわかよ」

今日の私はEDF装備を脱いだ私服であり

衣摺れ音が出てしまうため

完全無音移動はできないが

それでもゆっくり忍びよって

 

「ぎゅーっ!」

あーでもないこーでもないと言い合っている二人をまとめて抱きしめる

 

あぁ、幸せ…私レズ系じゃなかったはずだけど、まぁ可愛いものは好きだしいいかな

 

「さっさと離しなさいよこのクズ!」

「ちょっと苦しいからそろそろ」

 

二人からの抗議を受けて腕を引いて

「駆逐艦を独り占めとはいい身分ではないか」

 

ゴゴゴゴ!とつきそうなオーラを放つ

長門が私の首を掴んだ

 

「少し私と決闘しないか?何、勝負は一瞬だ」

 

「良いよ?約束通り24時間365日いつだって受け入れちゃう、めだかちゃんじゃないよ?」

 

「ならば今ここで!その傲慢を叩き直してやる!」

 

ふーん、マズイなぁ

今の私にパワーアシストはないし

アブソリュートディフェンサーもない

クローサーさんタシュケント(助けて)

 

ダメかな?

 

いや、なんてことはない

ビルから落ちるとき、私はどうやって着地していた?そう、()()()()()

 

体ごと振り回されて地面に叩きつけられる私は、しかし手が離されてから地面につくまでの僅かな時間で体位を変え

 

背中から地面に着き、同時に衝撃を体内に通さず、骨に伝達させて

脊椎→骨盤→脚→靴と流して

両足の靴が弾けて砕けるだけの被害ですませる

 

あぁ¥7800…

 

「っ!」

会心の手応えがあったはず、地面に間違いなく叩きつけられたはずの相手が笑いながら立ち上がって来た、その現象を理解できずに一瞬固まる長門

 

「これが出来なきゃEDFは非常勤要員の予備役候補にも上がらないよ?」

 

はっきりいって所属していないと同義である

 

「さて、反撃といこう」

地面を踏みしめて、足から手に『経』を通して…同時に呼吸と神経を制御、全身の因子を統制し

 

生体電気を一方向に集約、

一瞬だけ電圧を跳ね上げる!

「電磁発勁・紫電掌!」

 

「なにいっ!」

内臓に直接響く浸透経、

同時に電流が流れて神経を侵す

 

自身の腕を焼きながらそれでも左手を握り…

「速吸流星拳!」

 

流星ガン積みの速吸が大和型をワンパンし得る火力を出す謎の拳法、…な訳はなく

ただの人体制御術に過ぎない

 

足裏、特に踵の加速を生かし

地面を蹴り、加速した体を前に出して、さらに揃えて体をひねり、筋肉を連鎖させて左手の拳を突き出す

 

いわゆる()()()()()拳で相手を殴るのと同時に短距離走の理論で加速する

それだけ

同方向の速度は単純な加法計算式で求めることが可能であるからして、代入式を記すと

 

『腕〜拳の速度』+『体の速度』=『全体速度』

かつ、重力を生かした下方への振り下ろしとなるため、さらに『重力(体重)』が乗算され

 

全体速度(motion)×質量(volume)』がエネルギーとなる

これを損失なく相手にぶつければ

 

私の体重52kg(重いかな?)

全体速度(時速)約140km

 

運動量はメートル毎秒(m/s)計算なので

140キロを×1000でメートルに直して

時速を秒速に変換する

140000÷3600=38.88(無限小数)

 

これに対して運動エネルギーは

k(j(ジュール)=2/1・mv二乗

19.44×19.44=は378.9

約380キロのパンチなわけですね

 

なお、

 

人間の私でこれなんだから

正式に使用できる速吸ならもっと強いのは当然、大和だってワンパン大破ですよハハハ

 

0.38トンのパンチなんて

ゾウも一撃じゃ殺せませんよまったく

 

仮面ライダーのパンチはエグゼイド

アクションゲーマーレベル2で5.7トン

 

私の15倍だ、

しかもこれでエナジーアイテムなし

最底辺レベルでこれなんだから

まったく不平等な話だ

 

そんな仮面ライダー世界じゃ弱パンにもならない一撃は、見事に長門の顎に命中、その衝撃を脳に叩き込んで

 

一撃で昏倒せしめた

 

「………あれ?」

 

「ハラショー…」

「長門さん?…あら?」

 

その後、『提督は長門を装備なしで

一撃のもとに撃破する怪物』

 

という噂が広まってしまうのだった…



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ちょっとした日常

あぁ、もう

なんで気絶なんてするんだ長門さん

速水流星拳は瞬間火力は出るかもしれないけど、持続性なしの一瞬全力

瞬瞬必生の化身のような拳法なのに

 

長門さんの体重がガチでかかったら片腕じゃ運べないじゃないか

 

ちなみに、右手は腕の半ばから

自身の神経パルスで感電して服の袖が焼けております

 

「こりゃ修理かな…面倒な」

 

EDFやってりゃ勝手にしなやすスタイルになるものだけど、流石に服の袖焼けるのはやり過ぎたかな

 

相変わらず調整難しいなぁ

ポン刀肩にかけたレンジャー先輩はぶっ飛んだ拳で建物やらフェンサーのアーマーやらをぶっ壊してたけど

 

そしたは耐電型みたいなのが作られちゃって、それでフレーム強化の副次効果的に…なんだっけ?あの加速する槍

忘れたけど、なんかあったんだよ

カタパルト付きの謎武器が

カタパルト加速で斜めに移動して

空中からスラスターして再加速

っていう『高機動フェンサー』なんてスタイルが使用可能になってね

ウイングダイバーの機動力とはちょっと違う何か、を体験できたよ

 

ちなみに私はフェンサーも出来た

エアレイダー武装も使えるけど、あれは権限が与えられてるから使えるのであって、他の人の支援要請とダブっちゃうと混乱するから使うのは控えている

 

私はオールラウンダーというわけですな

飛べないけど

フェンサー装備で高機動すればウイングユニットなんて要らない、という思考はダメなんだろうか

 

「で、どうしようかな」

「ちゃんと後のことを考えて行動しなさいよこのクズ!」

 

「ううん、今罵倒されると本当にキツイんだよね、ただでさえ片腕が使い物にならない状態だし、左も長門さんに使ってる、だからあと出るのは足なんだけど、どうする?」

 

にっこり

 

「蹴るつもり?自分の失策を指摘されて逆ギレの挙句暴力?見下げ果てた女ね」

「何言ってんの?安直な発想を人に押し付けた挙句に自分の低水準な思考で物事が進むと思い込んだ観点的自己中心思考に私を巻き込んで勝手に見下さないで貰えるかな」

 

口を出さないと誰が言った

 

とりあえずこの手の女は

自分の思考が絶対基準になっているから

それを揺るがしてやれば

途端に動揺する…

 

ビクビクしてる霞ちゃん可愛い

 

「とりあえず長門は放置して

…いいや、後で勝手に起きるでしょ

私は書類の処理とかに戻るよ」

 

別にいつでも対応するとは言ったが

アフターケアまでしてやるとは言ってない

私に挑んで死んだのなら自業自得だ

 

わざわざ戦いに来ているのだから

そのくらいは覚悟してほしい

 

「長門さんはどうすればいいのかな」

「放置すればいいと思うよ」

 

某初号機のパイロットのようなセリフを出して

執務室へと帰った

 

あぁ、今日は昼食をとってない

 

まぁいいか

 

「可愛い駆逐たちとも会えたし

出撃もできてる、資材も上昇線気味

書類も捌けてる」

 

これなら問題ない、大丈夫

鎮守府としては生きてる

 

「うう〜〜…最近出撃やら戦闘やら繰り返してたし、たまにゃゆっくり過ごすのも良いかもねー」

ぎゅううっ!

と擬音が出そうなほどに体を伸ばしながら

一人、呟く

 

そこに、

 

「テートクー!duelデース!」

 

death!

 

「コンゴウさんじゃないか、どうしたの

そんなに破顔して」

 

「その金剛じゃナイデース!

そんな序中盤の敵になるけど後半じゃカミナリがウザいだけのやつにしないでクダサイ!」

 

「アイツは属性一致武器さえあれば

そこまでの強敵じゃないからな

ただ乱戦時のチャージ中に広範囲攻撃でキャンセルされるのがウザい」

 

「私はウザくないデース!」

「それはうざい人のセリフだよ?」

 

「…ガーン……」

「お姉様!?」

おっと比叡さんじゃないか

 

「ヒエヒエの実の比叡さんや

金剛さんがショートしとるから連れ帰ってあげて?」

 

「はい!気合い!挿れて!行きます!」

 

なんか発音がおかしいような

「ぐへへ、お姉様と一緒にお部屋でぐへへ」

 

だめだこいつ、早くなんとかしないと…

「私は別に提督の事は好きでも嫌いでもないので、前任提督に思うところはありませんよ?

ただお姉様が好き過ぎるだけです」

 

金剛を連れた比叡は

ウヘヘヘ…と気味の悪い笑顔で去って行った

 

「大丈夫かな、止めなくて良いのかな?」

 

まぁ、本人が幸せなら良いか

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2/4/11 別に意味のある比率じゃないよ?

う、ん……どうするか

 

私は今、悩んでいることがある

最近、スマホで見てるとある小説サイトの

お気に入り小説の更新が止まっている

 

まぁ、作者さんがたもお仕事とか忙しいだろうしね〜私自身も提督業と出撃やんないといけないし

 

ある程度仕方ないよね

 

「どうしたの?提督」

「ん?あぁ、愛宕さんかぁ

 

んーと、実はね?」

 

愛宕に異世界転移や小説の更新促進の方法なんて知見があるとは思えないが

いちいち隠しだてするのも良くない

 

ちゃんとお話ししましょう

「実はね?アイレムさんとキョウジンさんと淡茶さんと歴戦戦隊さんの更新が最近止まってるんだよね

面白いし可愛いし楽しいからずっと追ってたんだけどさぁ、最近周辺の作品も読み尽くしちゃって」

 

「まぁ…それだけ読み込んでいると

内容を覚えたりする程度では済まないのでしょう?となるとあとは全文を覚えられるかどうかの問題ですね」

 

にっこりされた

「読み尽くした、というのなら

そのくらいできますよね?」

氷の笑顔こえぇ

 

「それでは本文をどうぞ」

「読み直させてください」

 

流石に某インデ○クスではない私に

本文の全部を暗記は不可能だ

平然と言ってくれるぜ

 

笑いながらスマホを起動したその瞬間

警報が響き渡った

 

「深海棲艦接近警報!」

 

響き渡るその音に、聞き違いなどあり得ない

「提督!」「りょーかい」

 

「「出撃するっ!」します!」

 

私は即時無線を起動、全艦に通達

「オールウエポンズフリー!

全力を以って侵略に対抗せよ!」

 

鎮守府のそこら中に艦娘はいる

戦力として運用できずとも

艦娘である以上、壁程度にはなる

 

「EDFの守護する鎮守府に

簡単に侵略出来ると思うなよ」

 

私は武装を取りに交渉に走り

「明石!緊急だ!」

 

「ふぇっ!?どうしたんですか?」

「新武装!たしか今組んでるんでしょ!?

流石にもうスパークバインもレイピアも運用限界だから早いところ乗り換えたいんだ」

 

特殊な必殺ファンクションを用いて

攻撃を反射するなど、そもそも武器に依存しない戦闘ならまだしも、

姫級相手には火力不足が否めなくなっている、私の持ってこられた武装も、レイピア、 パワーランスのみが私物でスパークバイン、LRLS-33は拾った鹵獲品だし

どれも初心者用レベルを超えない

 

そんなもの長く使えるはずもない

さっさと高出力モデルに乗り換えたい

 

できればドラグーンランスくらい欲しい

 

「えっと、すいません未完成です!

まだ外装の成形が終わってなくて」

「じゃあ急いで出来るだけ!

私はもう出るからよろしく!」

 

それだけ言って、私は駆け出した

 

もちろん基本四系統初期装備を携えて

「この戦いは奇襲迎撃となる!

奇襲における最重要項は初撃であり、

我々はそれを察知することに成功した!

もはや敵は奇襲に失敗したも同然である!

我々はすでに勝利している!各員、

油断なく、連携して対応にあたるべし!」

 

出撃しながら演説、という慌ただしい状態ではあるが、一応みんなを落ち着かせる効果はあったらしい

奇襲とは相手が戦闘態勢に入る前に攻撃して、混乱しているうちに出来るだけ被害を広げて撤退するのが王道

初撃に失敗とは待ち伏せを意味するのだ

 

さぁ、この際敵艦隊を全滅させてやろう

 

「キャァァ!ギュウ!」

「アヘェェェ!」

「ラァアァアァア!」

「ママァァー!」

 

だめだこいつら、奇襲する気ないわ

あとママって誰?霞ちゃん?雷ちゃん?鳳翔さん?仮に前二つだった場合

ロリコンとマザコンとM気とバブりを併発しとるよ?致命的だな

 

姫級、鬼級に分類されるような奴は

…………アヘってる軽巡棲鬼だけだ

 

どう見てもあいつが旗艦なのに

わざわざ複横陣やってる

 

あいつとリ級とチ級とホ級の四体艦隊か

なんで六体揃えないの?

 

 

はっ!奇襲?!

鎮守府の戦力をある程度引っ張り出して

残る二体で背面から破壊工作するのか!

 

「なかなか考えるじゃないか

深海那珂ちゃん、

那珂ちゃんのファンやめるぞ?」

 

「ファンヤメナイデ…私…マダ歌エルノ…」

 

涙目になった、

 

「私が今、那珂と言った回数は?」

「…エット…ナカナカ考エルジャナイカ深海那珂チャン、那珂チャンノファンヤメルゾ、ダカラ、二回!」

 

「バカめ平仮名も含めろ四回だ」

 

言いながらスパークバインとパワーランスで攻撃

 

「キャァァッ!」

仰け反る軽巡棲鬼は流石の背筋で

すぐに姿勢を戻し

 

「怒ッチャウカラ!」

こちらに砲を向けてきた

 

「やれるもんなら、やって、みな!」

顔芸と同時に

「必殺ファンクション!」

『アタックファンクション!リフレクトビット!』

 

私の周りにビットが展開すると同時に

深海那珂ちゃんが砲撃してくる

 

そして

 

完全に反射された砲撃が深海那珂ちゃんの方は向かい…

「ヘヴゥッ!」

 

お腹に直撃!

乙女が出すような声ではないね

 

「アイドルだから顔は狙わない、

取り敢えずボディ、良いね?」

後ろに居た那珂ちゃん(鎮守府)に笑いかける

 

「アッハイ…でも私そんなんじゃない!」

 

人を指差してそんなの呼ばわりとは

なかなか酷いことをする

 

さて、効果不足っぽいからもう一発プレゼントしよう、ファンからの贈り物は受け取って、くれるよね?

『キュ〜〜ン…ズドン!』

パワーランスのフルチャージは一発扱い

繰り返すが、良いね?

 

 

「キュウ〜」

「おやおや、気絶してるじゃないか

誰がこんなひどい事を」

 

「シ…シラジラシイ…」

「黙れホ級、そして死ね」

 

レイピアを連射して残る三体を5秒で沈め

深海那珂ちゃんをひっかついで

鎮守府へ帰り、

残り二体による破壊工作を警戒して

鎮守府中を探し回る

 

その時だ!

 

………特に何も起こらない!

 

深海那珂ちゃんを寝かせていた部屋に

行ってもまだ寝ている

深海棲艦の艦隊や別働隊が来る様子もない

 

…カリスマが足りずに艦隊を集められなかった、とかだったら笑える話だけど

 

取り敢えず那珂ちゃんと一緒に

深海那珂ちゃんが寝ている部屋を

出来るだけ大人しめかつ清涼感のある部屋に改装して、(もともと空き部屋だったらしい)

そこに資材の在庫から持ってきた

燃料、弾薬、鋼材をある一定比率でまとめた束を配置する

 

さて、起きるまで待とうか



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

インピンジメント

ビクンビクン!

と軽巡棲鬼の体が痙攣し始めたところで

とりあえず四肢に重りをつけておく

 

一個200キロの重りを両腕に合計4個

チェーンはギリギリ立てるかどうかの長さに固定、ごめんね深海那珂ちゃん

 

「おっはよー!那珂ちゃんなのー?」

強引に声をかけて叩き起こしてあげよう

 

「…オハヨウ…那珂チャ…ヒッ!」

 

周囲を見渡した深海那珂ちゃんは

薄暗い部屋を見渡し

そこら中に屹立するドラム缶や

なぜか4つセットの弾薬、そして

中途半端に積まれた鉄鋼材をみて悲鳴をあげる

 

そう、それは

 

ナカチャンダッタヨーと称される物体

そう、燃2弾4鋼11である

 

「イヤ…イヤァァッ!解体サレタクナイ

私ハマダ!友達モツクレテナイノニ!

マダ死ニタクナイノォ!」

 

泣き叫ぶ軽巡棲鬼

「……これは過去と未来のあなたの姿

あなたはかつて、ここから生まれ

あなたもいずれ、こうなるのよ」

 

優しく微笑みながら、声をかける

 

「イヤァァアッ!」

 

「いくら足掻いても…む、だ♡」

「イヤッ!イヤァァア!」

「でもね、そんな貴女を、私だけが救ってあげられる、私は貴女を助けてあげるわ」

そう、言い切った瞬間

私に後ろからスポットライトが当たる

 

いや、後ろにいる那珂ちゃんが

探照灯をつけただけなのだけど

 

「エ…」

「ほら、こっちよ、私が見えるかしら?」

「ミエル!ミエルヨ!タスケテエッ!」

「ええ、助けてあげるわ」

 

焦りや恐怖の浮かぶ表情でこちらに手を伸ばす軽巡棲鬼に優しく微笑みながら

その手を取り

 

「苦しみと(くろがね)に囚われし者に救いあれ」

 

鎖の鍵を軽巡棲鬼の視界外で開けて

さも私の言葉に反応して鎖が外れたかのように見せかけながら

軽巡棲鬼の手を引き

 

暗い部屋から明るい廊下へと連れ出す

もちろん探照灯で照らされているため

部屋から出る瞬間は視界が真っ白になるので、そのタイミングで那珂ちゃんは離脱

 

嫌なオブジェの置かれた暗い閉鎖空間から

明るく、空気の通った開放的な廊下へと移動した軽巡棲鬼は

「アァ…アリガトウ…」

 

私に縋り付いて泣き出してしまった

 

実はこれ、簡易化した洗脳の手順であるのだが

効果のほどはどうだろう

 

「さぁ、私は対価を支払った、

次は貴女の番よ、貴女の事を教えて?」

 

「ハイ、ワカリマシタ」

うん、ちゃんと言うことを聴いてくれた

 

ちなみに、そのあと聞き出した話によれば

艦隊はもともと六人揃っていたが

深海の別勢力による襲撃?でネ級とヘ級を失った状態だったらしい

 

まぁ他の三体も私たちに殺されたが

それを知るところでは無い彼女に

察しろ言うのは酷な話だ

 

情報を引きましたあとは一緒にご飯を食べて

一緒にお風呂に入った

 

ごく普通な事だけど

それもまた、彼女には強烈な記憶として

残ったことだろう

 

洗脳するのは最初だけで十分だ

むしろ後々に心理的な歪みが残る可能性を考えると邪魔にすらなる

 

「さて、軽巡棲鬼、貴女に個体名はある?」

「…私ノ…名前?」

 

「えぇ、それに類するものがあれば良いけど」

「…特二無イデス…軽巡棲鬼…カナ?」

「それはクラスでしょ、そうね

悪珂野はどうかしら?」

名前の由来?今適当に作った

嘘、前提督が残したノートに載ってた阿賀野って娘と服が若干似てたから

そこから名前を持ってきた

 

「アガノ?…ウン、私ノ名前ハ、アガノ」

若干の罪悪感すら感じるのは何故かなぁ

 

その瞬間、バチバチという音と共に

軽巡棲鬼の真っ白な肌に色味が生まれる

 

「キャッ!…-なに?」

おや、随分と発音がよろしくなったね

「提督、これ…どういうこと?」

 

自分の、色づいた肢体を見て

驚愕する

 

「それに、色がある…提督」

指に融合していた鋭い爪もきえて

人らしい指に戻っている手を電灯に翳し

 

「すごい…」

「…へぇ…じゃあ」

自分の体を見直している軽巡棲鬼に

ゆっくりと近づいて

 

「はむっ!」

指先を咥えてみる

 

「ぴゃぁあっ!」

ぱっ!と手を引く軽巡棲鬼

うん、美味しい、女の子の手の味

 

「ていとくっ!やめてよう」

涙目になるとは、こやつやりおる

 

「うん、やめよう

じゃあアガノちゃん、これから一緒に生活することになるから、みんなに挨拶行こっか」

 

そして驚異の企画

ドキドキ!鬼級の鎮守府訪問挨拶!

が始まるのだった



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新たな発見

「………こーしんがこないー…」

 

楽しい楽しい鎮守府巡りを終えた私は

そろそろ更新されてるかなぁ?と歴戦氏達に期待を込めながらスマホを覗き込み…

 

絶望していた

 

「俺が最後の希望なんじゃなかったのか…そーなのかー」

思わず黒衣幼女の代表的なセリフを言う

 

仕方ないかなぁ…忙しいだろうし

私だって毎日五千文字投稿とか迫られたら無理だと言わざるを得ない

 

二、三千文字ならできるけど

それでも筆が乗らない時は12:00寸前で1800文字くらいのを投稿して、追記編集を使って日を超えて書くとか

ごく稀にだけどする

 

最近してないけど

 

さて、

「鬼級の鎮守府巡りとかいうちょっと笑えてくる企画は終わったけど

霞ちゃんにぶっ叩かれ掛けたなぁ

アンタ何考えてんのこのクズ!って」

 

未だにピリピリする頬を撫でながら任務達成報告や連絡を回す

「よーどー?」

「大淀です」

「…じゃおーよどさん、この遠征って

なんでこんなに時間長いのよ」

 

「72時間程度、作戦時間としては短いと思いますが?」

「…………私たちの戦闘は10分単位なんだけどなぁ」

 

そもそも戦場で何時間も戦っていられるような弾数を装備していないし

弾薬パックはあるにはあるけど

各弾種別だからとりあえず拾っておく

とか出来ないし…

 

「艦娘たちは移動時間だってありますし、戦闘可能になるまでの待ち時間、物資収集時間なども含めての総計時間が長くなるのは当然の話ですよ」

 

「……はぁ〜」

 

私はため息をついて深く椅子に座り直し

…おもむろに扉の前に立ち

 

「いらっしゃーい」

グイッ!と扉を開けた

 

そこにいたのは…大井

「大井さんかぁ、あたりだね」

「あたり?」

 

「…え?」

二人で固まる、

「…どうして私が当たりなのよ?」

「え?だって綺麗だし、可愛いし」

 

「………………外見?」

「うん、外見」

 

「なんで外見なのよ!そこは性能とか性格で見なさいよ!」

「…綺麗じゃん、なにかと優しいし、だめ?」

「ダメ…じゃないけど……あぁもう!襲撃に来たのに話し込んでるなんて!」

 

やる気を挫けたようだ、

「じゃあ、書類処理手伝って」

「えっ?」

 

さすがというべきか

大井の書類作成技能は高く、振り分けた仕事をさっさと終えてしまった

「…私、なんでこんな事してるんでしょう?」

「君自身の意思だよ(適当)」

 

混乱しているうちに強い勢いで指示を出されるとつい従うのが人間、大井さんも強引にされると従っちゃう押しに弱いタイプ

 

つまりそういう事です

 

素で美人だし、色々できるよね

「よーし、今日の仕事終わり!

ありがとう大井さん、大淀」

 

「………はぁ…」

「大井さん、諦めたほうがいいです」

 

「そうさせてもらうわ」

 

なんでそんな疲れた表情になってるのかなぁ

「おーいさん、おーいさん」

「大井よ!」

 

噛みついてくる大井に、手を差し出し

「飴どーぞ」

「いただくわ」

 

酒保より購入、1個110YEN(税込)ナリ

かなり高いだけあってか

大井さんの表情もすぐに険が取れる

 

お菓子好きなんだね、と聞けば

顔を赤くして怒ってくる

 

「本当に可愛いなぁ大井さんは」

一緒に歩きながら笑う

「もう!…任務完遂したので、帰投します」

「うん、お疲れ様」

 

そういえば今日は出撃していなかったなぁ

 

it's show time(遊びましょうか)!」

 

今日行くのは…よし!1-4!

 

「春雨ちゃん♪」

「ひゃいっ!」

 

白露型のお部屋にお邪魔すると

可愛いお返事が来た

「あぁ〜…かわええんじゃ〜」

 

プルプルしてる春雨ちゃんにインカムと

秋雲たちとふざけて作った

SE○Dの連合制服を渡して

オペレーターをお願いした

 

その10分後

 

「進路クリア、オールグリーン!

発進どうぞ!」

「了解、鉋狩翼、モデルストライク

出撃!」

 

ごうぅん、と音を立てるカタパルトから出撃した私は、南西方面へ向かった

 

 

「春雨ボイスかわいい、耳が幸せ

 

…さて、やるか」

 

表情を切り替える、思考が入れ替わる

戦闘タイムですよ戦闘タイム

 

「ダメージが足りない?レベルを上げて

物理で殴れ!」

 

深海棲艦どもを爆散させるのには

高熱が有効だ、

レイピアとかの高熱系が特に効く

…なんでかわからないけど

 

「とりあえず、使えるのなら使う」

ビーム…じゃないんだよねぇ、正確には

圧延した鉄だったもの、らしいし

 

海を走り抜けながら深海棲艦どもを撃ち抜く楽しいお仕事だ

 

「軽空母仕込みのひやっはー!」

 

引き金が引かれると同時に銃身内部で

圧延され、プラズマ化した鉄分子が崩壊

陽子、電車、中性子が拡散する

 

「しにさらせぇっ!」

オラオラオラオラ!毎秒更新しろ作しゃぁっ!」

 

装甲も肉体も区別なく

当たったモノを消滅させる光が

特に理由もなく深海棲艦を襲う

 

その時

 

突然足元の水面に巨大な影が差す

 

頭上を見上げると、その瞬間

砲撃が降ってきた

 

「必殺ファンクション!」

『アタックファンクション リフレクトビット!』

 

慌てて展開したビットが砲撃を反射

吸い込まれるように

頭上の黒い巨体に直撃する

 

墜落してきたそれは

 

「クジラじゃないんだし…」

 

深海棲艦、戦艦棲姫

 

「来る場所違うよ!もっと奥だよ!

きゃあっ!」

 

叫びながらツッコミを入れるが、

巨体の墜落で起きた波が押し寄せて

私を押し流した



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

幕開け

『二刀装甲兵、突貫する!』参照のコラボ回
そのストーム3=翼ちゃんサイドのストーリーとなります
今回は導入のみですが
次回からは思いっきり入りますのでどうぞ


「ぷはぁ……生き残った…のかな?」

 

幸い、四肢が欠損しているような感覚はない

一応だけど生き残っている事は確かなようだ

 

「よし、それならそれで良いや」

 

装備は…パワーランス以外全滅

実弾系は重いから、

どこかで落としてしまったのだろう

意識を失っても握力は絶やさない訓練は積んでたはずなんだけど

 

「まぁ仕方ないかね」

 

塩が目に入って痛い、

これは海水に呑まれたせいかな?

 

「まさかEDFの兵士が…海でながされるなんてね…これじゃEDF失格だよ」

 

体に力を込めて、

無理やり立ち上がろうとして

「まだ無理に起きないほうがいい」

 

群青色のトーガを纏った長身の男に止められた

「この展開は私のミスだが、君が甚大なダメージを受けている事には責任を取ろう」

 

落ち着いた声で、その男は語り出す

「私は『転移神』ヤリド、

本来は別の世界で勤めているものだ」

 

その内容はまったくもって突拍子も無いものだが、一応ながらに聞いて置いてやる事にした私は、寛大にもその先を促した

 

「こことは別の世界の神である私が

この世界に介入した理由はただ一つ

私が転移を司る世界のうち一つで、ひとりのEDF隊員が戦っている

そこに救援を要請する」

 

「…私以外にも、

別世界に飛んだEDF隊員がいるの?」

「無論だ、様々な場所、立場になって

彼らも活躍している…が、今回に限っては戦力差が強い、そこで、極めて似た世界線から応援を要請しているのさ」

 

「了解、それならそれでオーケー

同じEDFなら、流儀も通じるからね」

「いや」

 

微笑んだ私は、即座に入った否定で

無表情に戻る

 

「君にはわからないかもしれないが

並行世界は無数に分岐するが故に、『EDF』という組織の形態もまた違うのさ、だから少しずつ違う『EDF』の隊員達を呼ぶ事になる」

 

「なるほどねー…ダメじゃんそれ」

 

飛び起きる私は、流石に止められるような速度ではなかったらしく、そのまま立ち上がり

 

「いいったぁっ!」

悲鳴をあげる

「あぁ、だから動かない方が良いと言ったのに…左足に骨折が起きているのだから、まだゆっくりとしていたまえ」

 

「それは先に説明しようか…!」

 

プルプル震えながら、

それでも姿勢を固定して

「まぁ、大丈夫だよ…

たとえ世界が違っても私たちは『EDF』

ただ、地球を守るために、私たちは戦う、それが別の世界だろうと」

 

「了解した、それでは転移開始する」

男…ヤリドが片手を掲げると同時に

周囲が真っ白に漂白される

 

「…ここは世界と世界の間に位置するボイド空間、人が転生の間と呼ぶ場所だ…ここから世界と世界の境界線を越えていくぞ」

 

急に、体が動く

いや、足場が動かされる感覚

「世界に突入する」

 

それはなんとも不思議な感覚

柔らかな膜を通り抜けるような

実態のない霧を駆け抜けるような

奇妙な感覚だった

 

「…、ここだ、緊急転移に応じてくれた礼として、ホテルは用意してある

君の装備を喪失させた責任を取って、装備をグレードアップさせよう」

 

「え?」

 

キュウイィン!という音と共に

私のスーツに固定されていたパワーランスの柄ユニットが見覚えのある色に…ドラグーンランスに変化した

 

「基礎世界の認識の差の方は

君の記憶領域に入っているから

詳しくは『思い出して』くれたまえ

 

装備の方はプレゼントとして、スーツの装甲部に固定できるようにしたぞ」

「…うっわぁ〜、本当に神なんだ〜」

 

私は若干引きながら愛想笑いして

「でも、ありがとう♪そろそろ

基礎装備だと運用限界に来てたんだよ

更新できてよかった」

「喜んでくれて何よりだ…これを」

 

ヤリドから差し出されたのは

 

「ガラケー?」

今時見ないような古い型の携帯電話

第四世代の通信機器だ

 

「君の他に呼んだ2人と、この世界のEDF隊員『クローサー』との連絡用だ

傍聴の危険を鑑みて

軍用秘匿コードを用いているから

セキュリティは気にしなくていい」

「わかった、受け取るよ

連絡先ちょうだい」

 

私はさっさと携帯電話を受け取り

同時に連絡先に

『ストーム2』(レンジャー)『ストーム1』(エアレイダー)『ストーム4』(フェンサー)を登録した

 

それじゃ()()()頑張ろう

この地球を守るために

 

「ウイング5DASH改め

ストーム3、出撃するよ」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最高の戦力…サイドウィング

「あ〜はいはい、了解でーす…」

ピッ!という音と共に、通話を切り

 

「はぁ〜…」

思いっきりため息をつく

 

「………………………」

 

何いう気にもなれずに座り込んだ

私に、注がれる視線は厳しい

 

ちなみに、場所は東京郊外の

東京都管理指定公園のベンチ

 

もちろん不法侵入なのだけど

環境を気にしすぎるあまりにカメラも設置されていない絶好の隠れ場であるという

ある意味逆効果な現象も起きていた

 

「…よし、今日は寝よう」

電話相手はレンジャーの…ストーム2

もとの世界では彼もストーム1だったらしく

エアレイダーのストーム1と混乱しないように、コールサイン『ストーム2』を名乗っている

 

本名は教えてくれなかったが

まぁ仕方ないと思う…

クローサーはどう呼べばいいのかな?

『光也くん』『涼くん』かな?

 

「まぁ、本人がストーム4名乗るなら

それでいいや…私も名前呼ばれる事なんてないと思うし、その辺りは気にしない方針で行こう」

 

指定されたホテルにチェックイン

…というより、案内されただけである

 

「ありがとう、お疲れ様」

「いえこちらこそ、

御利用ありがとうございました」

 

さっさと去って行くホテルマン…イケメン

やっぱり世界は顔で出来るなぁ

 

さぁて、する事もないし

ちょっと仕様書でも読むかぁ

 

私は目を閉じて

「ゆっくり〜して行くね♪」

 

記憶を()()()()

それは、人の知らない知識

世界の基礎構造についての真実

そして、別の世界のEDFは

ゲームの中の架空存在であったり

私達のように実際に戦っているものがいたりと様々な形を持っている

 

「ふむふむ……」

 

仕様書、と例えたのは

まさにこの、記憶の中から自身の知り得ないはずの知識が湧く状況である

 

「まだまだあるのか…よし

この際だから、全部読んじゃおう」

 

ちょっと勢いよく宣言して

私は目を再び閉じた

 

その半日後

 

「よし!全部把握したぞ!」

勢いよく立ち上がって、目眩に見舞われる馬鹿(ダイバー)が一人…

 

 

「うぅ〜まぁいいや

今日は作戦決行の日だからね?

ある程度の失敗は仕方ないね

コラテラルダメージ コラテラルダメージ」

 

誰にとも無く言い訳しながら

電話での連絡を待つ

 

『ぴりりりり!』

よし、ストーム4からの連絡だ

 

「はいもしもーし?こちらウイング

…ストーム3だよ」

〈こちらストーム4、クローサーです〉

 

ちょっと急いでるみたいな感じかな?

〈すみませんが、説明の場所は

東京郊外のホテル 千の空になります〉

「時間は?」

 

〈今からです!〉

「んにゃっ!?」

 

そんなの急に言われても困るよ?!

〈すみません、

本当にウチの馬鹿(提督)がすみません〉

「いやいや良いよ、突発的な自体なんて

私達EDFにはよくある事でしょ?」

 

〈恐縮です…それでは、

よろしくお願いします〉

 

プツンという音と共に、通話は切れる

「…行くか」

 

タクシーを拾えばいいかな

ちょっと贅沢だけど、経費は

大本営から出してもらおう

 

自分の泊まっているホテル

バル・マスケを出て

ホテルに隣接しているタクシー乗り場へ向かう

 

そして、無事にタクシーを拾い

「急ぎでお願いします」

「承りました」

 

出来るだけ急いでもらう

割増料金?知らん

建て替えておくだけだ

 

「…到着です、ありがとうございました」

「こちらこそ、ありがとう!」

 

料金支払いを済ませて

歩き出す…走らないのかって?

流石にこういう公式の場で

ドタバタ出来るほど私の精神はガキじゃない

 

「…あ」

色違いの携帯電話を携えて

同じように到着した二人と出くわす

 

「ストーム1とストーム2…?」

「?…まさか、君がストーム3か?」

 

ストーム2が聞いてきたのは

あって当然の人物確認、

 

「はい、ストーム3です、今作戦には

機動戦力として遊撃に当たります」

 

「よろしく、俺はストーム1、

エアレイダーの本領を見せてやる」

 

「同じくストーム2、レンジャーだ

一点火力がいるなら俺に任せろ」

 

ストーム三人で自己紹介を終えたその時、ストーム2が腕時計を見て…

 

「まずいぞもう時間だ…

急いで行くぞ」

「「了解!」」

 

小柄がここで仇になるとは思わなかった

…座高は低いから足は

長いと信じたいんだけど

 

 

「ーークローサーを含め彼の呼んだ

EDF兵士四名の参加もあります。あとで軽く話しをしておくことをー」

 

応接室らしき部屋?に通された私達はこの話にいつ介入するかを考えていたのだが

 

その言葉が出た瞬間、迷わず

進み出たストーム2がドアをノック

 

「ちょうど良かった、

三人共到着したようだ。開けるぞ」

 

ドアを開け放ったのは…ストーム4

その風体は以前ヤリドに尋ねた際に聞いたものと一致している

 

「彼らは?」

「蒼真の話にあったEDFの兵士です。」

 

お偉いさんとストーム4は

サクサク話を進めようとしているが

そこにドアを開けた責任を取って

ストーム2が介入する

 

「ほったらかしで話を進めないでくれ」

「失礼、ストーム2」

 

お偉いさんが何やら話したり無さそうな表情をした…こりゃダメだ

ほっといたらまた長話が始まる

 

「私達の仕事は、結局掃除でしょ?」

私は、少しばかり強引に、あるいは失礼に

話に介入することにした

 

ゆるして〜…ほんとは

こんな事言いたくないんだよ〜

 

なんて内心考えているうちに

ストーム1が歩み出る

 

「俺もいるぞ、支援なら任せろ」

おお、かっこいい!

 

「了解です、ストーム1、最強を見せてください…俺のコールサインはストーム4です。

お願いしますね、先輩?」

 

クローサー君はおどけてみせる…が

顔と口調のマッチが格好良過ぎて

全く真面目に言っているように見える

 

というか彼もイケメンか!

…いや、

そもそも私こそ本来は後輩なんだけど

 

なんて雑多なことを考えているうちに

どこかの提督?がクローサー…

ストーム4に問う

 

「どれ程の戦力かだけ、教えてくれ」

 

ちょっと首をひねったストーム4は

「そう、ですね。ストーム3は時速300キロでの高速戦闘、ストーム2は隕石落とせる超能力倒して、ストーム1は地球の半分以上を覆う攻撃パネルの親玉を落とした、と言ったら?」

 

「───十分過ぎるな。───全員隣の部屋で楽にしててくれ。会議が終わり次第作戦開始だ」

 

どこかの提督が指示を出し

その鎮守府の艦娘?は移動して行く

しかし、残留する艦娘達がこちらに視線を向けて来ていて…自己紹介大会の開催だ

 

「はじめまして、鳥羽鎮守府の皆さん

私はラバウル特殊艦隊旗艦、『戦艦 大和』です」

「同じくラバウルの『戦艦 陸奥』よ」

 

同一艦を見たことのある別人の艦娘達の自己紹介を聞き流す…長いなぁ

 

「ほら、貴様らだぞ ストーム?」

挑発的な声が聞こえた

 

「こら武蔵。ごめんね、妹が」

姉…大和が庇うが、

雰囲気の悪化は抑えきれていない

 

「姉さんこそ、こんな奴らを信用するのか?

クローサーは兎も角、他の三人は───」

 

その瞬間、私は判断した

これは以前の鎮守府と同じ

完全に見下されていると

 

そして、EDFは舐められるわけにはいかない

決断は早かった

 

 

私に与えられた武装のうち、大型砲に近い外観を持つものを選択し

即時展開、暗い青紫のドレスの下に

装備されていたサイオニックリーダーが

瞬時に服を換装し、その武装を召喚する

 

『マグ ブラスターDX』

 

起動と同時に出現したそれを取り

武蔵に向ける

 

「これでいい?なんなら撃つけど」

私は笑いながら引き金にかける圧力を上げて…あと僅かにでも力をかければ発射される状態を作る

 

「やめてください!味方ですよ」

「わかってるよ」

 

大和に制止されたので

トリガーから指を外して

ブラスターを消す

 

「済まないな、疑って」

「私は気にしてないよ」

 

クスリ、と微笑んで応じる

 

「はい、じゃあストーム1、お願いします」

 

ストーム4が仲介をやるようで

自己紹介とポジションの説明を求めてきた

 

「俺からか?まぁいい、特別遊撃部隊『ストーム』部隊長ストーム1だ。

兵科は『空爆誘導兵(エアレイダー)』、空爆なら任せろ」

 

ストーム1は全くの仏頂面から

そこそこ優しげな顔になって

親指を立てる、そこに

「同じく、ストーム2、特戦歩兵(レンジャー)

皆と同じ位置で戦う、頼むぞ。」

 

腕を組んだまま言い切るストーム2

……これ、なんかポーズ決めた方がいいのかな?カットインシーンかな?

 

「ストーム3、鉋狩翼。『降下翼兵(ウイングダイバー)』として

最前線にいると思う」

 

結局オーソドックスにウインクして

右手をヒラヒラさせるだけに収める

 

あんまり格好つけ過ぎるとこのメンバーの顔面偏差値の高さに押しつぶされるからね

 

どうぞ最後だよ、と囁いて

ストーム4を見遣ると

「ストーム4、クローサーだ

ストーム3と同じく最前線で戦う。後ろは任せた」

 

やはりキメッキメの台詞である…

全く、恥ずかしくないの?(歓喜)

 

まぁ、この一言を終いに

自己紹介タイムは終了したようで

各々自由時間?に入る

 

私は部屋の隅で小説でも…読むわけないだろ常識的に考えて(JK)

 

私は近くにいた電と夕立に

チラチラと視線を送りつつ静かに接近して…

 

「ストームワンっぽい!」

夕立は別の興味の対象を見つけたらしく、逃げられてしまった…ストーム1、ちょっとそこ代わって?

 

「あ…あの、翼さん、なのです」

 

おどおどとした電が声をかけてくる

so-cute!

「うんうん、翼お姉さんだよ?」

 

私は早速甘やかしに向かった

…ストーム2と4が真面目に戦艦組と話し合ってるのは無視してる訳じゃない

 

うん、私はちゃんと電ちゃんと

ストーム4、どっちの話も聞いている

…だから無視じゃない、はず

 

そんな事を頭の中で言い訳しながら

数十分を過ごし

 

提督達が帰ってきた

「会議は終了、必要事項だけ伝えるよ

戦艦とストーム2、4は前線へ

後ろは空母とストーム1、中央を残りで固めること」

 

私は『残り』なの?ストームチームってせっかく特殊部隊なのに…

『残り』…

 

「この作戦は二段階ある、第一段階は基地の防衛能力と深海棲艦を出来るだけ削って、第二段階で突入と排除。他は臨機応変に対応する、以上

鳥羽鎮守府のドックに入って

艤装を装着後、抜錨せよ。

目標地点は指示する。質問は?」

 

残り呼ばわりを根に持ちながら

私は作戦の穴を捜索する

第一段階…基地の探索は?エアレイダーがいる上に、電探も用意されている

敵に強力な艦がいた場合は?

ストームチームに対処できなければ遅かれ早かれ世界は滅ぶだけだ

敵が全部陽動だとしたら?

構わない、それはそれで

大多数の深海棲艦を攻撃できる

 

 

なら、

「はい、予想作戦時間は?」

真っ先に手を挙げたのは、大和

 

それに答えるのは、

電に蒼真と呼ばれていた提督

 

「不明だ、但し作戦開始から6時間経過ごとに一旦補給するけど、可能かどうかはわからない─他には?」

「夜戦はアリっぽい?」

 

大和に続いて夕立が切り込む

さすが高火力

「ここまで来たらなんでもやって

弾薬や資材の消費も度外視してくれて構わない」

 

ほう、夜戦ですか……これはこれで

けどまぁ、

なんで皆これ聞かないのかな?

 

「敵の艦娘と提督の規模は?」

 

私としては軽く聞いたつもりだったのだけど、予想以上に重苦しい空気を作ってしまったようだ

 

息の詰まるような沈黙を経て

提督は語り出す

「クローサーの情報では提督三人、全員が初期のクローサーの装備を持っているとの事だ。十五個艦隊くらいは視野に入れて

他は───無いね、行って」

 

その一言、それは

張り詰めた空気に、激甚な変化を起こした

『了解!』

『 Sir Yes Sir!』

 

返答と共に、説明を終了と判断

案内される鎮守府へと急いだ

 

作戦開始直前

「…」

 

私は通信を、自らに割り当てられた電波帯から、切り替えていた

それは広域開放通信

全ての回線を傍受し、

全ての回線に発信する特殊回線

 

そして、

EDF兵士達が一番使い慣れた回線

 

部隊が違って声が届けられないのであれば、助けを求める声が聞こえない

近くにしか声が届かないのであれば、彼方で戦う仲間たちを鼓舞できない

 

それではなんの意味もない

戦場と後方の区別なく、戦闘員のみならずオペレーターの一人に至るまで

全員でこその『EDF』なのだから

 

『エナジーコア チャージ完了

PAギア オンライン』

「スターター、俺に力を」

 

隣のドックで、ストーム4がフェンサーの強化装甲(パワーフレーム)を展開する

 

ストーム2は私の知るレンジャーのように、ふつうに装甲服を着て…

「前哨基地戦を思い出す…ストーム1

戦闘準備良し」

 

はっきりと言い切った

私も…着脱容易…どころかサイオニックリーダーさえつけていれば一瞬で展開出来るようになったとはいえ、今回は普通に着込んで…

 

「プラズマコア フルチャージ

サイオニック・リンクOK

ブースター、火器制御良し

ウイング5DASH 鉋狩翼、交戦準備完了(ポゼッション)

 

私の最大限の決め台詞を

涼やかな声で告げた

 

「ブレインの時みたいだな、エアレイダーストーム1────戦闘準備完了」

 

全員の戦闘準備完了コールを確認後

ゲートに集まり

ストーム4の出撃宣言を待つ

 

「あぁは言いましたが、艦娘に人殺しは多分無理でしょう、俺たちだけで、始末する」

 

物騒なことを言われてしまった…

まぁ、敵なんだから仕方ない

 

そうする(殺す)より他に無いね」

 

「願わくば、抵抗しないことを、だな」

「敵に祈ってどうする」

 

全員で認識を共有した後、声を揃えて

 

『ストームチーム、抜錨』

 

その宣言と共に、出撃ゲートが開き

逆流するように

軽巡ホ級エリートが飛び出して来て…

 

私は、短距離で可能な限りに加速し

思いっきり足を叩きつけた

 

溢れる爆発音

 

そして、それに続く爆音

ストーム2がアサルトライフルで撃ち抜き

ストーム1が爆弾を放ち

ストーム4が長大な剣で斬り裂いた

 

軽巡は骸のかけらも残さずに消え

開かれた道を EDFは驀進する



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

圧倒的過ぎる力…サイドウィング

傍受する通信が情報を伝えてくる

 

そもそもEDFでは全域開放通信が基本であり、部隊コードでの通信など

極秘内容くらいにしか使わない

例外はストーム1のように

そうでもしないと指示が混乱するような事情を持つ人物くらいだ

 

〈ストーム4、目標地点に到達

そっちはどうです?〉

 

〈こちらストーム2、配置についた

タイミングはストーム1に任せた〉

〈了解です、ストーム1は?〉

 

〈準備良し、ストーム4、攻撃地点を指示する、カロンを飛ばしてくれ。〉

〈了解、ストーム1のタイミングで戦闘を開始します〉

 

ストーム用のコードからは

一切の感情を排除した、戦士達の

事務的な情報の伝え合いが聞こえる

 

私も乗ったことのある攻撃機、

『カロン』が発進したらしい

 

基礎設計の詳細…の記憶によると

ケルベロス、エキドナと同シリーズのカロンは『最強の攻撃機』としてデザインされている

 

突破力を重視し、重火力と加速で全てを乗り越えるケルベロス、広範囲殲滅を重視し、エネルギーチャージ武器の圧倒的な爆発力であらゆる障害を破壊するエキドナ

それらと同型のカロンの設計思想は

長距離移動と高火力持続の両立

 

爆装と機銃による対地火力と

長い航続距離による

指向性を伴った対地殲滅を

敵が死に尽くすまで続ける

というものだ

 

「おっそろしい事…」

 

〈こちらクローサー所属の攻撃部隊『ウォーリード』だ、そちらは?〉

〈今回の空母隊旗艦『蒼龍』所属の零戦隊。戦端を開くのは頼むぜ〉

〈任せな、ゼロ〉

 

やたら濃い男達の会話を傍受していると

〈お喋りは仕舞いだ〉

ストーム1が制止した

 

〈了解です、ストーム1〉

〈1600まで、5…4…3…2…1…全機突入せよ!機銃掃射開始!〉

〈了解!ウォーリード Engage!〉

 

km6の爆音が通信から鳴り響く

 

〈おーおー、派手におっぱじめたな」

通信から生声に…というか

ストーム2が寄ってきた

 

「行った方がいいかな。」

「だな、総員攻撃開始!主砲一斉射!」

上手いこと横から攻撃できたらしく

挟撃された深海棲艦達は混乱に陥る

 

そこへ、ストーム4が飛び込んだ

 

エスペランサ(Esperança)システム(System)!バレットウォール!」

 

弾丸の雨を意味する単語と共に

跳躍するストーム4

[パスワードの入力をお願いします]

「Memory 22years ago

─────STARTER」

[パスワード認証。音声をオリジナルと確認しました。バレットウォール!]

 

システム音と共に異様なオーラを纏い、装甲を展開するストーム4

 

「バトルキャノン連射!」

ブラストホールスピアによる間合いの確保と同時にガトリングでの重対空砲撃

 

重力に喧嘩を売って飛び回る高機動フェンサーの姿はまさしく天を駆けるかの如く

 

携えた大槍と機関銃は目まぐるしく振るわれ次々に深海棲艦を潰していく

 

装甲がピカピカ光ってずっと飛んでいるのはどうかと思うが、正直羨ましいのは確かだ

 

「あぁもう!なんであんなに飛べるのさ!

この恨みは───お前らにぶつけてやる!」

 

元北米トップエースである

ペイルウィング部隊所属

ペイルリーダー、ペリコ先輩

 

様々な武装を使いこなして転戦する先輩より───私の方が速い

 

私は全力加速と急停止を繰り返して残像を残しつつ、一跳びに駆逐イ級の頭に飛び乗り、即座に蹴り砕いて再度跳躍し、三角跳びの要領で加速

 

ブースト加速と同時に海面を蹴り飛ばして…レイピア乱射

赤い光条を閃かせながら周囲にあふれる深海棲艦達を撃ち抜いていく

 

「ついでに、スパークバイン!」

非利き手側である左手のレイピアを

スパークバインY8へ変更し、発射

 

射程限界の半分程の距離で

海面に叩きつけて

 

拡散する電流は、

一瞬だけ深海棲艦を拘束する

 

「ハアァァァ!!」

 

アクセル全開からの急減速と同時に

前に出る体をそのままにして足を振り上げ、全ての慣性力を伝える回し蹴りを放つ

 

首の下あたりに命中し、

重巡をそのまま撥ねとばす

 

「グギャァァッ!」

 

悲鳴をあげながら飛んで行ったリ級は、空中で突然爆砕される

キャノン砲による狙撃

 

そう、ストーム4による

超高精度の支援砲撃だ

 

「ナイスショット!」

「ナイスコントロール!高高度強襲ミサイル斉射!」

スババババン!という炸裂音と共に

計48発のミサイルが専用のコンテナより発射される

 

これが、私とは違う

前線を戦い抜いた者達の動き──

 

私も、いや、一旦護衛に戻るべきか

 

〈五番隊右から入れ!あークソ二番!

右に逸れてるぞ!三番は一番に続いて雷撃しろ!〉

 

攻撃指示を矢継ぎ早に出していくストーム1、これこそ本来の彼の役割である

空爆誘導(エアレイド)

前線に立ちながらの戦いではない

全体を俯瞰する指揮官としての戦いが

彼の本領なのだ

 

しかし、深海棲艦も戦略くらい練る

波の引くように圧力を乱降下させ、前線に緊張を強いて…戦力を一斉投入

 

莫大な数を以って、

防御を打ち崩さんと迫ってくる

 

しかし

「味方に通達!迫撃砲集中運用戦術を使用!」

〈了解、迫撃砲集中運用戦術!前線は退避せよ!〉

 

ストーム1はそれを見抜いていた

逆に敵が寄せてくるタイミングで

重火力を叩きつけて数を削りにいく

 

〈了解!総員退避!迫撃砲が来るぞ!〉

ストーム1麾下の妖精部隊による

支援砲撃、

弾着観測もなしによく当たるものだ

 

深海棲艦爆破解体が至る所で行われる中

私は全力加速で爆風より早く移動して

爆破を避けながら前線を突破

敵陣へと飛びこんだ

 

〈次!ホエール、105ミリ速射砲!〉

〈了解だ、鉄の雨を降らせてやる〉

 

唐突に戦場に出現したホエールから

速射砲による砲撃が行われる

 

〈ポーターズに支援要請!アレを持って来い!〉

〈ポーターズ了解!……………目標地点に到達、ビークル投下!〉

 

ネグリングとイプシロンブラストの重砲台組、火力殲滅を試みるつもりだ

 

ピン、ピン、ピン、ピン

聞き慣れた…というか鳴らしたことすらあるロック音が響いて…十を数えた直後

「収束ロケット砲、行け!」

 

誘導ミサイルが放たれ…ロック対象の深海棲艦共に向かって飛翔する

その間に再びロックを進め…

 

「直撃!第二射!」

 

今まで砲や魚雷やとアナログな戦闘方法をしていた深海棲艦は突然の文明的攻撃に全く対処できず

とっさに対空弾幕を展開したヘ級エリートも相手にすらされずに爆散した

 

三射、四射、弾のある限り撃ち尽くしたネグリングを乗り捨て、ストーム1はイプシロンに搭乗

 

私は乗り捨てられたネグリングにこっそり乗り込み、水際をキャラキャラ移動する

 

「……ふふっ…」

 

深海棲艦だろうと挽き潰せる重量と

多少のダメージでは壊れない装甲の信頼性を兼ね備えた機体である

 

「こいつM3じゃん…いいもの貰った♪」

 

私はゆっくり深海棲艦を挽き潰しているうちに、前線の方の無線から、ストーム2の交戦開始宣言が聞こえる

 

〈頃合いだな、総員突撃!突き崩せ!〉

言うが早いかエンジン音とともに風切り音…おそらくバイク系統のマシンで突っ込んで行ったんだと思う…!?

 

爆発音!?

「ストーム2!?」

 

私は急いでネグリングを加速させ、

水際から乗り捨てて…

ハヴォック神の怒りを発動

 

質量体かつ非固定オブジェクトに、慣性モーメント持ちのオブジェクト、もしくはエフェクトを掛けると

中途半端に突っ込んだオブジェクト同士の干渉により、慣性の移動力が重複計算されて蓄積し

 

『ブッゴォォン!』

 

爆発的に推進する

 

水際から最前線に向けてカッ飛んだネグリングを見送りながら、自分も加速し

 

「ストーム2ー!?無事ー?」

 

最前線に突入する

「今のネグリングはお前か?」

「そそ、ハヴォック神の怒りを知れ」

 

「お前なぁ…やる事がおかしいという次元じゃないぞ…」

「それは良いから!怪我してない?」

 

私はマグ・ブラスターやスパークウィップで前線を抉りながら問う…もちろん笑顔で

 

しかし、ストーム2は表情一つ動かさずに、ライサンダーなどの実体銃で一瞬の内に周囲を掃除して…

 

「お生憎様、レンジャーの装甲は伊達じゃないんだ」

返事をして来る、

その声は平坦であった

 

周囲の殲滅につき、

漸次前進していく艦娘部隊

 

「優勢だな…だが、妙だ…」

 

「なにか…見落としているような…」

 

私たちは違和感を拭う事ができずにいた

そう、その状況は順当だった

順当過ぎていた

 

そして、気付くにはあまりに遅過ぎた

 

〈おい、そこの流星隊、そっちは味方空母の位置だ、爆撃体勢を解除せよ〉

 

「まさか!」

〈…おい!聞いているのか!?そこの流星!〉

「やられた!」

 

私は全力で加速し、

後方へと取って返すが…

 

〈空母隊!敵の流星がそっちに!回避行動───!〉

〈えっ?なに───キャア!〉

 

爆弾倉を開いた流星隊を視界に捉えながら

私は狙撃で迎撃を試み…射程不足で落としきれなかった

 

空母艦娘の内、赤城と蒼龍は小破、そして翔鶴、瑞鶴、飛龍が中破

旗艦を庇うために身を挺した加賀が大破

 

「届かなかった───」

 

悲鳴じみた声をあげながら停止し

 

〈前衛部隊!一旦引いて空母の援護を!

殿はストーム4が行え!〉

〈了解!交代するまで敵を防ぎ止める!〉

 

〈ストーム2より全隊!ストーム4と退く味方を支援!寄せ付けるな!〉

 

ストーム1の指示が飛び

素早く部隊をまとめるストーム4

撤退する味方の支援を行う為に

僅かな未練も見せずに今しがた制圧したばかりの区画を捨てる判断を取ったストーム2

 

私だけだ、何も成せていないのは

私が配置されたのは何処だ?

中衛での機動支援じゃないのか?

 

私が最前線に出るのではなく

場所を確保する中衛として動いていれば

流星の迎撃も間に合ったのではないか?

 

そんな意味のないIFが頭に浮かぶ

 

その中で、鋭く声が響く

 

〈ストーム3!流星を飛ばしてきた空母を探して沈めろ!〉

 

失態は別の功績で上塗りする

今するべきはそれだけだ

 

「ストーム3.了解!」

〈ウォーリード、コピー!〉

 

宣言と同時に、私は再び前線へと向かった

 

通信で垂れ流される雑音は全て無視

どうせ私がどうよりストーム4が優先的に守るだろう、私は…『残り物』として

周囲の敵を潰していくのがお似合いだ

 

「………?」

 

私の視界に入ってきたのは──

()()()姿()

深海棲艦の後詰として用意されていたようだ

 

〈こちらストーム4、カメラと俺の目が狂ってなきゃ、ありゃあ艦娘だな、新しい敵さんだ〉

〈来たか!規模は?〉

〈戦艦、空母、重巡、雷巡、航戦…とにかくヘビーだ、ざっと50弱くらいか?〉

 

どうもストーム4が見ているのは私が見ているのと同じ集団である様だ、そしてそこ以外に

艦娘の姿はない、つまり

()()()()()()()()()()()()()()()

 

「こちらストーム3、ストーム4と同じく敵発見!」

〈ストーム2、戦闘開始!〉

〈ストーム1、ビークルで突撃する!〉

 

ストーム2率いる前線残留組の艦娘達が戦線を構築、敵の艦娘とぶつかり合う

 

私はレーダーを見やり…

「敵味方識別コードの書き換えを要請!

敵は艦娘だ!艦娘と深海棲艦を見分けるコードでは誤認するぞ!」

 

通信に叫んだ

 

同時に私専用の回線に切り替えて

〈やっと繋がった!こちらラバウル第二艦隊所属、阿賀野です、これよりCP(コマンドポスト)を担当させて頂きます」

「ごめんいらない!それより

早くレーダーの識別コード書き換えて!」

 

急かすだけ急かしてごめんね!でも今はそんなことを言って居られる余裕は無いんだ!

 

〈了解しました、こちらから

全艦隊に新コードを送ります!

実戦用識別コードから演習用の鎮守府識別コードに変更!ラバウル、呉、横須賀!三鎮守府で合同コード作成!

 

識別コード書き換え開始します!〉

 

識別コードが変化したことで

ラバウル、呉、横須賀の三鎮守府と

ストームの四人の光点がマップ上に残り、残りの光点が赤く染まる

 

…よし、敵味方識別確認

発動!

 

「敵しかいないのは…あっちの方

んで、艦隊展開するとき一番安全なのは

敵中核部に居るのか、()()は」

 

大雑把な当たりをつけて

一気に加速、視界を振り切る速度を以って、艦娘達の戦線を縫って移動する

 

道中の駆逐や軽巡などの小型感は全て無視、重巡以上の大型のみを狙って

フェンサー用武装

『NC104ハンドキャノン』で射撃

 

重い武器だからか慣性に振り回されるが

それでも一直線の移動なら問題はない

 

「いた!」

ハンドキャノンを消して急減速

見るからに空母、と言わんばかりの装備を携えた艦娘達の前に出る

 

ここ(陣中)に居たんだ」

 

私はにっこりと素敵な(自称)笑顔を見せながら挨拶をする

 

編成は空母重巡軽巡の5:3:2

かなりヘビーな編成だけど

その程度、EDFのレンジャー訓練コース

ランクB、百人組手に比べればまだまだだよ

 

「こいつ、事前資料に無かったわよ?」

 

敵旗艦らしい瑞鶴改二甲が刺々しい口調で翔鶴改二に問う、しかし、その内容はあまりにも無意味、まさに論外と言った代物だった

 

そもそも

「事前資料なんて当てにしてるから

死ぬんだよ。」

 

即座にレイピアを展開

プラズマアークの刃を槍として

護衛艦隊を気取っているらしい軽巡

天龍と長良の砲台を破壊する

 

そして、武装を破壊されてなお

闘志を失わない天龍の瞳を見据え

殺すしかないと改めて判断する

 

私は加速中に右足を水の中に突っ込み

物理境界を突破した反動で足が弾かれると同時に跳躍

 

天龍の頭上で足を一回転させ

サマーソルトキック

 

全体重、落下速度を懸けた

全力での踵落としである

 

「がッ?!」

 

振るわれた足は当然の如く頭骸骨ごと

脊髄を粉砕し、飛び散る脳漿を見送る

 

自分の状況を理解することすら無く

遺言の一つもなく、

軽巡洋艦、天龍は死んで行った

 

「嘘っ!天龍が!」

「遅いよ」

 

崩れ落ちる天龍の体を蹴りつけて足場とし

角度をつけて海面へ飛び込み

三角飛びの要領で加速

 

相手が砲撃の一発も行う前に

その目の前に到達して

 

「っ!」

私は加速中に溜めた運動エネルギーを

全身の捻りと筋収縮で右腕に伝え

 

いつもより早く、

助走付きの速吸流星拳を発動し

あっけなく腹を貫通した腕を引き抜いて、派手に開いた穴からレイピアを内蔵に突き立てる

 

「焼け死ね」

「ギァア─────!!」

 

プラズマ化した圧縮鉄に内側から瞬間加熱された長良は、体内の水分が沸騰して────内側から爆発した

 

レイピアをひき抜き、肉片と血にまみれた体をそのままに、強張りそうな表情で、無理に笑顔を作ってみせる

 

「さて、次はどっちにしようか。」

 

「くっ!死になさい!」

返事もなく三方向から砲撃してくる重巡

足柄、青葉、古鷹それぞれの改

 

「そんな遅い攻撃!必殺ファンクション」

 

私は三人を射角に収めるように

回避しながらわざと引き下がり

追ってきた所を…

「『トライデント』!」

 

手の中で一回転させたレイピアを腰だめに引き…一気に突き出す、その瞬間

赤い閃光は青く反転し

三条の光に分かれて…

 

それぞれの穂先が三隻の重巡を貫いた

 

「そこの空母、君達も死のうか」

感情を凍らせて、相手の人格を

その存在を否定する言葉を放つ

 

「ふん!甘いわ!」

帰ってきた返事は攻撃を伝えるもので

 

「何っ?!」

 

私の意表を衝いてみせた

 

見覚えのあるあの憎っくき流星隊から

風切り音と同時に投下された爆弾が

私へと降り注ぎ

 

「不味い────なんてね。」

 

第ニ近接射程内であるのなら

レイピアによる対空攻撃が可能だ

 

爆弾がまだ空中にある内に迎撃を始め、同時に私に命中するコースのものを移動回避する

 

今回は全て撃ち落とす必要は無い

これは示威行為であり

爆煙の中から無傷で出てくる方が

圧倒的に強そうだからだ

 

私の周囲に爆弾が降り、私からズレるコースのものが爆発を始め…瑞鶴は勝ち誇った顔になる

 

愚かな…、何故死亡を確認するまで

攻撃を継続しない

 

私はただ攻撃を受けているだけのようなポーズを作りながら武装を再度選択

 

追尾プラズマ銃『ミラージュ』

サイオニックリンクを使いこなし

なおかつ高い空間認識能力を発揮しない限り真価を示さない、高速で敵を追尾するビーム弾を発射する銃だ

 

山のように集ってくる艦載機どもに

ミラージュ15WRを連射する

 

無論、全て手動ロックオン

15発の光条の描く軌道を完璧に制御しつつ発射しながら次弾の軌道をイメージし直して速射

 

敵は数百もいるのだから

一発一殺では間に合わない、だからその分は数を充てる…何か間違いはあるかな?

 

全てを落とし終えた

笑顔で瑞鶴の方を振り向き

 

「う、あ………」

「そんな、こんな………」

 

絶望的な表情の彼女達に迎えられる

 

私は脳内で念じ描いていたフェンリルの軌道をリセットし、フェンリルをレイピアに再換装

(ごめん私一般訓練生なんだ)

 

高位の武装を使っていればそこそこ戦力にはなるんだなぁ…などと考えながら

レイピアを起動して、

プラズマアークをチャージする

 

「終わりだ、深海棲艦に与した艦娘達」

ギロチンバースト、と俗称されるフルバースト状態のプラズマ刃による薙ぎ払い

 

特大の極光は膨大な熱量を収束させ

振るわれた光の槍は空母達を切り裂いた

 

「…………ごめんね」

 

私は目を閉じて…黙祷の後

再び移動し、最前線に出る

 

通信で聞こえる声はやはり全域戦闘中を伝えてくるが、味方に壊滅的被害が出たというような情報はない

 

ならば私は手土産に…

ここの戦線を制圧でもしようかな?

 

「本邦初公開…私の艦娘としての艤装…見せてあげるよ、もっとも、見た後に

感想を言えるかは分からないけど」

 

私はレイピアを基底状態に戻して

腰にマウント、同時に装備されていたLALS-33を両手に握り、狙撃姿勢を取る

 

「必殺ファンクション…」

 

ゲージが急激に減少し始める

同時に装甲がそのファンクション発動のために展開して、放熱を開始

 

動きの止まった私を好機と見たか

艦娘達が攻撃を始めるが

まるで相手にせず、私はダメージを受けながらも()()を起動する

 

『ヘルファイヤー』

 

人工衛星から投下された超巨大なウエポンベースは私の後ろに配置され…サイオニックリンクを確立すると同時に、私に接続する

 

「…………フルバースト!」

連装主砲と四連装プラズマビーム砲による制圧射撃、六本の青水色の光線は

空間に放電条の後を残しながら直進し

 

私の正面方向に展開していた敵艦娘を

その遥か後ろにあった島ごと蒸発させた

 

同時にエネルギー切れに陥った砲を放棄し、単なる移動用装備として運用開始、

 

ストーム1の元へ向かう

彼は後方に待機しているが、彼を護衛しながら移動できる高機動戦力は艦隊に無い

 

私がヘルファイヤーで運搬するのが

最適解であろう

 

……………いた!

 

「ストーム1!乗って!」

私はヘルファイヤーから身を乗り出してストーム1に呼びかける

 

「ストーム3?なんだその装備は?」

「私の艤装!さっき使い切っちゃったから砲撃は使えないけどそこそこ早いから乗って!」

 

ストーム1は、見たことのない装備に多少混乱しつつも

 

「不安だが、仕方ない!」

「はいはい早く早く!」

 

ストーム1には後部コンテナの上に乗ってもらい、そのまま海面滑走で移動を開始する

 

「いっくよぉーっ!」

「ぬぉぉわっ!」

思いっきり加速して限界速度で移動、ちょっと浮遊して艦娘たちの頭上を通過し

 

「深海棲艦撃滅だ!」

 

マグ・ブラスターとスパークバインの両手持ちで周囲の敵と深海棲艦を撃滅しながらノーハンドル走行…おっと、ちょっと揺れちゃった

 

「機体後部に人がいることを忘れるな!」

「あぁうんごめんごめん!

次からは止まってから撃つよ!」

「そもそも移動中にいちいち撃つな!」

 

ストーム1に叱られながら前線に飛んだ私は…突然の砲撃に機体を破壊された

 

「きゃぁぁあっ!」

「どわぁぁぁあっ!」

 

水面に叩きつけられたヘルファイヤーの残骸が爆発、すんでの所でストーム1は飛び降り

海面にSDL2を要請、支援要請で運んできたそれに乗って…

「何があった!?」

 

「わかんない!でもどっかから撃たれた!」

 

海面に立った私と背を合わせて全周防御態勢に入る

 

そこに現れたのは、武蔵

 

「…先ほどの砲撃を行ったのは貴様か?」

「答える必要はない!」

 

私は豆鉄砲(フェンリル)を発射し

空中で迎撃される

 

「ストーム1!ネグリングは?」

「ダメだ!功績が足りない!」

 

チッ!と舌打ちしながら

武装の残弾を確認する…事ここに至ってエネルギー切れ、なんて事はないが、ヘルファイヤーの召喚にゲージを使い切った、つまりファンクションは無し

 

ストーム1の支援要請も期待できない

 

「なら!先に行って!」

「通すと思うか?」

 

低速だというのに的確に前を塞ぎ

横に進めないSDL2の動きを遮る

 

…まるで慣れているような…

「っ!」

思考に入りかけた私に、武蔵の主砲が直撃する

 

「戦闘中に考え事とは、余裕だな」

「ストーム3!…クソッ!俺も援護するぞ!」

SDLによって、軌道こそ限定的ながらに高速移動可能になったストーム1は武蔵の撃破のためにリムペットガンによる直接攻撃を試みる

 

「ダメ!コイツは私たちに損耗を強いるつもりだ!相手をしてはいけない!」

私の制止に手を止める

 

「コイツは私が倒す…そのあとは頼みます」

「ストーム1───了解」

 

ひたすらに回避に徹するストーム1と

こちらに砲撃を続けながら足止めと損耗を狙ってくる武蔵、そのどちらの動きも把握して…

「ガイスト-D、展開」

 

持ち込んだ中でも最悪の地雷兵器を起動

 

「撃ち放つ…光の大槌…昏の閃光に…夕の日を……」

どうか自爆しませんように

そう思いながら、光の玉を射出し続けて

 

 

「くっ、こちらの道を遮るつもりか!」

 

空間に拡散したガイストは長時間残留するため、エネルギー切れを考慮せずばら撒いた場合…空間を埋め尽くす範囲爆撃となる

 

「今、此処に」

 

起爆、同時に、紅の閃光が溢れて

周囲を打ちのめす

 

極光の中で私は

 

「さらばだ…提督」

武蔵の、最後の言葉を聞いた

 

「……………終わったか…」

「うん、終わったよ、ストーム1」

 

私自身も莫大なエネルギーの余波を受けて、大幅に装甲を削られた…けど、それに見合うだけの戦果はあったと思う

「ごめんね、武蔵」

 

ゆっくりと目を閉じて、黙祷したのち、海面に落ちていた武蔵の眼鏡を拾う

「キャリバンを呼ぶか?」

「いや、良いよ、大丈夫

それよりSDL私にも出して、さっきのでヘルファイヤー 壊れちゃったし、超電ギルディライフルもまだチャージ出来てないから」

 

私はリバーサーを壁にぶつかるテクニックの応用で、ヘルファイヤーの残骸にぶつけて…反射したナノマシンで装甲をある程度回復

 

「それじゃ、後ろの席に乗ってくれ」

「おっ?デートのお誘いかな?」

 

私は疲れをごまかすためにわざと茶化して、

 

「…フッ、そう取ってくれても構わないぞ?」

 

それに気づいているのだろう

ストーム1の優しさに甘える事にした

 

「なら遠慮なく、それじゃ

前線に連れてって♪」

 

「了解だ、最高速で突っ切ってやる」

「それは嫌」

「分かってるさ、冗談だ」

 

緩やかに加速しながら移動する

SDL2 、これ操作性悪いのに、

上手に動かしてるなぁ…流石ストーム1、

 

「ストーム2と4が合流して戦ってる

最前線に行きましょう」

「了解だ、ナビゲートは任せるぞ」

 

高加速型の最速ほどでは無いが

それでもかなりの速度を出して前線に向かう、運送役と被運送役が逆になってしまったけど

まぁ問題はない、

 

「向こうの方の通信を拾ったよ!」

「内容は!?」

「ストーム2が敵フェンサーと交戦!

ストーム4は単独で前線を突破して砲撃に突っ込んでる!」

 

「どちらも不味い…

掴まれストーム3!全速で突っ込むぞ!」

「望むところっ!」

 

さらに加速したSDL2は

まるでロケットのように海面スレスレを滑り、滑走しながら艦娘や深海棲艦、それらの残骸などを通り抜け

 

「ラバウル艦隊、到着!」

「クローサー、到着した」

「呉もいるぞ、クローサー」

 

各鎮守府の艦隊が集合したポイントに到達した

無論、途中でストーム2も拾った

 

「悪い、少し疲れてな」

「ビークルを新調してたら手間取った」

 

私の艤装(ヘルファイヤー)の事言ってますねクォレハ…

まぁいいか

 

「遠かったからね、仕方ないね」

私も便乗して言い訳しつつ、残弾やエネルギーなどを確認しておく

 

〈全員集まったな、第二段階を開始する〉

「了解、みんな道を開けてくれ」

 

ストーム1がレーザー式のポイントガンを取り出し…空爆を開始した

 

「おーこわ…やってんなぁ」

「むしろこれがエアレイダーの本領だろ」

「すっごいよね〜」

 

3分も経たずに基地地上部の砲台は沈黙、地上部分は速やかに制圧された

 

「じゃあストーム4は先行、2が支援随伴ね、私は引き続きき1の護衛するよ」

 

私の分割案には不満は出ず

(とは言っても、それが手堅く、順当な分け方というだけだが)

了承の声が上がる

 

「あぁ、艦隊の方も頼んだ」

「俺はストーム4の支援を担当するのか

わかった、フェンサーのお付きなら何度もやってるから慣れてる」

 

ストーム2の直掩を受けられるなら

ストーム4の戦闘力を活かせれば

 

そうそう簡単に沈みはしない

と互いに実力を信頼しているようだ

 

「おお?なんかかっこいいね

がんばれ♡がんばれ♡」

 

高校時代にやってた応援団(チアガール)のポーズである…歳?気にするな!(渋い声)

 

「よろしく頼むぞ」

「はいよろしく、」

 

ストーム1の優しさに泣いた

 

「おーい、入り口見っけたぞー!」

「ありがとう、天龍」

 

おっと、天龍(味方)が入り口を発見してくれたみたいだ

「この先だな、」

「ですね、誰が行きましょう?」

 

ストーム4の驚愕の発言であった

 

「いやさっき分担したじゃん!」

「それは前後衛って分担だろ?」

「俺は閉所では支援のほとんどが使えなくなるから外で待機するつもりだったんだが」

「すまない、俺も前後衛の話かと」

 

見る間にストームチーム内で話が分裂し始めてしまった…

「よし、ここは全員突入しましょう!」

 

ストーム4の強引な一言で

前提がひっくり返った

そもそもこの世界におけるEDFとは

ストーム4、クローサーのこと

1〜3である私たちは本来おまけだ

 

本部の命令であるならば拒否はできない

結局、全員で突入する事になった

 

「基地内部を知るのは時雨だけだ

覚えている範囲でいいから教えて」

「うん。たしかここを降りて────」

 

ストーム4とこの世界の時雨が

道を示し…

「ちょっと待ってくれ………」

ストーム1が二人を止める

そして

 

「ほいっと」

自走式のロボットボムを起動し

道の先の曲がり方に放る

 

ピピッ、ドーン!

「ほら、やっぱり」

 

レーダーに写っていたが、素晴らしい武装選択だったと思う、

こういう時に私にできるのは

フェンリルの水平曲射くらいだ

 

その後も五、六回同じようなことを繰り返し…遂に、部屋になっている場所にたどり着いた

 

「軍曹の先導を思い出すな…」

「間違っても軍曹爆弾を作ったりするなよ?」

 

ストーム1、2は互いに言葉を

交わしながらも警戒を絶やしはしない

油断なく、部屋の奥を見つめている

 

その向こうから出てきたのは

「よくぞここまでたどり着いた。」

 

フェンサーのパワーフレームを纏った男だった、その男はやたら格好良いポーズで

なにやら語り始めるが…長いし単調

しかもせっかく重装甲なのに

腰が引けている

 

「貴様は?」

「私はリーパー、フェンサーだ。ここまでたどり着いた事を称賛すると共に」

 

リーパー(自称)はフォースブレードを構えた姿勢を示し、突進しながら叫ぶ

「ここで終わりにしてやろう!」

「遅い、及び腰、ついでに中二病」

 

しかし、その動作はストーム4と同じフェンサーとは思えないほどに鈍重で隙が大きい、鍛え方が足りないと容易にわかるものだった

 

しかもスラスター速度もまるで足りていない、それで高機動フェンサーを名乗るなら

せめて倍速稼働してから言え

というべき有様であった

 

全く、恥ずかしくないの?(嘲笑)

 

「深海棲艦に与して、何のつもりだ?」

「フッ、簡単だ、教えてやろうか?」

 

あぁ〜!話のテンポが悪い!

ここぞとばかりに勿体をつけ始める

自称リーパーにイライラした私は

「さっさと言って、色々つかえてるから」

 

普段ならロマンのために敢えて乗る

その勿体をあっさり切り捨てた、

 

「自由にしたい、それだけだ」

 

驚愕…そして激怒が湧き上がる

ふざけるな、それはEDFの装備だ

私たちと同じ、私たちの愛する

地球を守るために作られた物だ!

 

自由だと…それが秩序なく振るわれればどんな被害を産む力であるか!理解しないわけではない筈だ!

頭の沸騰を抑えながら

なんとか歯軋りだけで済ませる

 

「じゃあ、あの艦娘たちは?俺達の沈めたあの子達は?」

「ゲームと同じだ、捨て駒に決まっているだろう?」

 

そう言い切られた時、私は

拳を握りしめて…踏み込もうとして

 

ストーム4に先を譲った

「さてと、終わりにしよう」

 

ガッ!とリーパーの生身が露出している頭を掴み上げたストーム4は

「ぐわっ!っはっ離せ!」

「うるさい。捨て駒?────本物を知ってから言え」

 

私よりも酷い方法を取った

 

「やっやめろ!」

その言葉と共に、握り方はパワーフレームの強化を活かしたものへと変わり…

 

「やめ───」

ぐしゃ…という音と共に、頭蓋を握りつぶした

 

「てめぇみたいに遺志の無い奴が、俺達(EDF)を語るな」

 

無理に頬を吊り上げたような表情を作ったストーム4は、再びこちらに向き直り

「皆さん、ここで待機をお願いします」

「何?信用できないって?」

「いえ、ただ偵察して、邪魔がいたら排除します。それにここから先はかなり狭いようですし、全員で行くのは無理があるかと」

 

それだけ言って歩き出す

ストーム4、その後ろから

私の前を通り抜けた時雨が

腕を掴んだ

 

「涼、待ってるからね」

「…………ありがとう、時雨」

「気をつけて、この先が確か本部の筈だから」

「わかった、行ってくる」

 

最後の別れでもないのに、ずいぶん感傷的な事をおっぱじめたストーム4は

そのまま壁をファイトネスハンマーで砕いて突貫して行った

 

背後に佇む時雨に、一瞥もなく

 

「………」

俯く時雨に、気づきもせずに

 

「はぁ……」

どうしてこう、男という奴は…

いや、私も言えた筋じゃないけどさ

 

まぁ、こういう時は女の子の情ってやつに共感できる、EDFとしてストーム4と同じ立場である私がやるべきかな

 

「大丈夫だよ、クローサーは帰ってくるから」

「ストーム3?」

 

ゆっくりと時雨の背に手を回し

その身を抱きとめて、耳元で囁く

「彼もEDFの一人しかも閉ざす者(クローサー)の名を持ってるんだよ?」

 

ここまでは優しく、ゆっくりと低い声で

そしてここからは、殊更にゆっくりと

甘やかに、色づいた声で

「絶対、戻ってくる

だから、信じてみなよ」

 

だって、こんなに可愛い子の元に

帰ってこない訳がないから

 

「…おお、背景に百合が見える…」

「俺もだ…本当に見えるとは…」

「野郎連中は黙る!今いいとこなんだから

ほら時雨ちゃん、信じて待ってみよ?」

 

「…うん、ありがとう、ストーム3」

「どういたしまして、さぁみんな」

 

私は後ろの艦隊に振り返り

「青い地球を守るため、EDFの出撃だ!」

「「応っ!」」

 

EDF兵士達と、艦娘達に呼びかける

こういう時に提督経験があると便利だ

 

時雨、長門達六人は

ストーム4の帰路を守る方向で落ち着いたようで、

再び増えてきた深海棲艦に向き直り、各々の砲を構える

 

「さぁ!艦隊の殴り合いだ

胸が熱いな!」

 

その声とともに

再びの砲撃戦が幕を開けた



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

同じ力と似た過去と…サイドウィング

ようやく、ようやく書けました!


「ストーム4は突貫した、私たちはその後を守る、それだけの役割分担…やれるね?」

 

私はとりあえず長門を始めとした艦娘たちに、基地施設周辺の徹底防衛指示を出し

 

「私たちも行きましょう、

ストーム1.ストーム2」

 

「おう、やってやる」

「ストーム2、了解した」

 

ストーム2がストーム1と共に行動し、私は周囲の敵の数減らしを担当する

 

島の外まで前進防衛だそうだ

 

私は走り回りながら

レイピアを連射して、正確に

深海棲艦を貫いていく…といっても

来る方向が限定されているから

地上よりも幾分楽だけど

 

「…レイピアって

高級品だと使い勝手がいいね」

 

深海棲艦三隻をまとめて貫きながら呟く

 

「艦隊決戦してる所悪いけど…

全滅させるよ」

 

パワーアシストを全開にして

加速した私は、その勢いのままに四肢を振るい、深海棲艦を粉砕して行く

 

一方で臨時二人組(バディ)を組んだストーム1.2の二人はというと

 

「ガンシップに支援要請!」

ストーム1の要請した機銃掃射プランCが基地周辺に登って来た深海棲艦を粉々にする

 

無論、永続できるわけではないため

リロードタイムが入った瞬間に

ストーム2が飛び出して

 

「こっちだバカども!」

『TZストーク』による弾幕を展開

レンジャーの特色たる汎用性と弾数で、

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

凄まじい火力だ

「攻撃衛星ノートゥングに支援要請!」

 

矢継ぎ早に支援要請が飛んではビームやら爆発やらと派手な攻撃が広範囲を攻撃する

 

ちなみに、ストーム1は

ストーム2がギリギリで攻撃範囲に入らない距離で撃っているので

かなりスレスレの位置だが

「大丈夫だ、俺は気にするな!」

 

たった一言とサムズアップとともに、彼は再び攻撃に入った

 

「開戦から約30分、たったこれだけの土地の孤島に構えられた基地程度ならもう十分に探索を終えても良い頃…通信も通じないし、どうしたんだろ」

 

私は一旦陸地に戻って

安地に入ってから呟く

「ストーム3!どうしたんだ!?」

「エネルギー切れ!リチャージまでガードお願い!」

「ストーム2了解だ!」

 

前線を駆け回っていた私が消えた事で

深海棲艦の狙いが基地周辺に固まっている私たちに集まる

 

「シネ…シズメ…!」

「うるせえ馬鹿が!」

 

ストーム2が罵詈雑言を言い放ちながら、至近距離爆破で空母ヲ級をダイナミック解体

 

同時にリムペットガンで防衛に参加し、周囲に簡易地雷を敷設するストーム1

 

しばらくは二人と私のドラグーンランスで対応が追いついていたが、

燃料切れで艦娘達が引き下がった頃には

 

「くっ!なんて物量だ!」

「まずいぞもう押されてる!」

 

深海棲艦達の圧倒的な物量に押されて

島への上陸を許しかけていた

 

私も遠距離から、消費エネルギーの少ないスナイパーライフルの『LALS-AC』で狙撃支援を試みる

 

「ヘッショかまされたら死んでよ…」

ゆっくりと狙いを定め、相手の集中の途切れた瞬間を狙いピィン!という音と共に

赤いレーザー光が

今まさに上陸して来たリ級を撃破した

 

「よし、一隻撃沈!」

「こっちも落としたぞ!」

 

私の快哉と同時に、ストーム2が叫ぶ

 

「もう一時間にもなるけど…っ!

ストームチーム!」

「「おう!」」

 

私は通信機越しの言葉を、全力で叫んだ

「今、呉第一艦隊が()()()()()()()()()()()を確認した!」

 

それは絶望を告げる言葉

それは敗北への道標

 

一体だけですら戦場を支配する鬼級、圧倒的戦力を以って海域を統べる姫級

 

その影響たるや、もはや戦力係数で測るようなものですらない

 

「まずいぞ…対抗策はあるのか?!」

 

ストーム2はアサルトライフルのマガジンを交換しながら、私の方を振り向いてくる

 

しかし私にもそんな都合のいい策はないので、ここは

 

「ストーム1頼んだよ!」

「俺に振るなっ!」

 

「「えっ??」」

 

だって、ほら

ストーム1は作戦考えるお仕事(エアレイダー)でしょ?

 

「もういい、お前たちが俺にどんな評価を出しているのかはよく分かった」

 

ストーム1は黙考の姿勢をとり…

「よし、作戦を説明するぞ

今立てた未検証のプランだから穴は承知で聞いてほしい」

「「了解」」

 

「結論から言えば…徹底的にアウトレンジから押しつぶす!まずは俺がネグリングとイプシロンを要請する!ストーム3はネグリングを

ストーム2はイプシロンを使ってくれ!」

 

「ストーム1はどうするの?!」

「俺か?俺は…」

ストームは、右手でサムズアップして

笑いながら言った

 

空爆誘導(お仕事)するんだよ」

 

私達が呼ばれた車両に乗り込むのに

時間はかからなかった

 

「誘導サイト、ロック完了、撃てるよ」

「こちらもサイトオン完了だ」

 

照準を揃えて、発射準備を完了した二人は

ストーム1のレーザー式ポインターで

誘導されるその先へ、

それぞれの攻撃を解き放つ

 

「イプシロン自走レールガン…」

「ネグリング自走ミサイル砲」

 

「「fire!!」」

轟音とともに、戦騎の炎は放たれ

遥か彼方へと駆けて行き……

 

ドォォオン! という爆音と共に

最精鋭と思われる敵艦隊を全滅せしめた

 

パワーアシストによる火力補助を受け

最高火力を発揮して

かつその弾頭を的確に誘導する

 

配下の妖精が弾着観測をせずに迫撃砲を放っていたのは、ストーム1が()()()()()

くれると信じ切っていたからなのだろう

 

「よし!やったぞ!」

「まだ油断するな!

弾切れするまで撃ちまくれ!」

「もう撃ってるよっ!」

 

EDFの威信は正しく示され

侵略者を撃滅した…とまでは言い切れないが、それでも敵に大損害を強いた

 

ビークルの攻撃力はミッションランクと機種依存、そして今使用されているのは

両者ともに最終段階の機体

同シリーズ内最強の組み合わせだ

 

「このままいくぞ!」

「私は艦娘達に指示を出し直すよ!」

「了解だ!俺も火力支援に入る!」

 

私はストーム1、2に前線を任せて

艦娘達の現状を把握し直し

編成を再構成し前線へと集中するように指示を出す

 

「呉第一艦隊は艦隊を1.2.4番艦と

3.5.6番艦に分割、以降

それぞれをa隊、b隊と呼称する!

 

まずはb隊が右翼アルファに

続いてa隊が右翼チャーリーに!」

「ラバウル第一艦隊は艦隊を全員まとめて左翼アルファを守って!そこだけ守ればいい、ストームが左翼ベータ以降を対応する

横須賀第一艦隊は中央と右翼デルタ

およびベータを防衛!中破艦は迷わず退避して!鳥羽に引っ込んでるのは誰?」

 

これ以上ないほどのスピードで言い切り、未だ損傷修復中の加賀に連絡を取る

「こちら遊撃隊ストームよりストーム3、加賀っ!貴女の見地を聞かせて!

現状の前線に出ている空母は蒼龍と赤城だけ、修復中の飛龍、瑞鶴、翔鶴はどれくらいで復帰できる?現状の対空能力で制空拮抗は可能?」

 

突然の連絡にもかかわらず

ドック内らしき音の中で、

加賀が通信に応じる

 

〈こちら空母連合艦隊所属、三番艦加賀、ストーム3へ返信、まず復帰は難しいわ、中破艦娘も完全回復まではドックから出られない

耐久の高い瑞鶴は一歩遅れるとして

飛龍単独ならあと8時間ほどのはず〉

「…到底間に合わない…!」

 

空母の回復はないものとして考えなくてはならない、現状の空戦能力はカロンが

墜とされれば無いにも

等しくなってしまうだろう

 

〈対空については、現状の戦線を鑑みて…可能よ、ただし拮抗を維持できるのは

対空に特化した摩耶と天龍、それに秋月が落とされるまで、そうなったら劣勢どころでは無いわ〉

「了解、切るよ!」

〈了解、私はもう前線に立てないけど〉

 

加賀の言葉を聞きながら

私は通信を遮断する、

その最後の一瞬に、聞こえた

 

〈…ご武運を〉

 

フツン、という音と共に

通信が終了し

 

「……ありがとう、頑張るよ」

 

私は、再び戦意を固めた

「ストーム1、制空権は拮抗を維持可能、条件は秋月、摩耶、天龍の三人が生存

かつ対空戦で撃墜を上げること!」

「了解!」

「ストーム2はここの防衛をお願い!

私はすぐに後方へ鎮守府側に行って

鳥羽の艦娘たちを誘導してくる!」

「おう!行って来い!」

 

宣言しながら跳び上がり

空中で姿勢転換、砲撃の反動で移動して、斜めに落下し、加速

水を蹴って、ウィング起動

ブーストと同時に再跳躍

 

「走って急ぐよ!」

私は再び戦場を駆ける

 

私の速度を至近距離から捉えられる者はいなかったようで、

平然と深海棲艦の横を通り過ぎる

そして

 

「よし!たどり着いた!長門!

艦隊ひっぱってきて!私が先導するから、敵基地の方に行くよ」

 

「了解した!」

艦隊旗艦として前方に出る長門を引いて

私は来た道を逆行する

当然妨害に溢れた道のりだが

 

「どけぇっ!」

「そこだよ」

 

艦娘たちの一気呵成の砲撃により

道を強引に突破する

 

「…よし!抜けたっ!ストームコードより発信!こちらストーム3

現在鳥羽の艦娘を牽引中、敵陣を突破した!これより仮称基地島に上陸する!」

〈了解だ〉〈ストーム1了解!〉

 

通信に叫ぶと同時に体勢を変えて

一気に加速し、反転跳躍

トビウオのような背面跳びの状態で

ミラージュ15WRを発射

 

上空の敵機を撃破しつつ反転着水

スピードを殺さずにバック滑走で移動して

 

「こちらストーム3!鳥羽の艦娘と共に基地島防衛圏に接触!」

「了解だ!早く入れよぉっ!」

 

ストーム1の声が聞こえると同時に

私は鳥羽の艦娘の長門、山城、時雨、電を率いて…艦隊後方に追いすがる深海棲艦に撃たれながら

ストーム1が展開したトーチカの防壁に艦隊を引っ張り込んだ

 

「よし!ストーム4へ通信は?」「ダメだ、何度もやったが、通じない」

 

トーチカの防壁は敵の砲撃を受けてバチバチと鳴っているが、それを砕けば

視界の彼方からカウンターパンチが飛ぶようになっている

 

「ストーム4は依然、通信に応じない

なんらかのジャミングが起きている可能性が高い、通信は諦めた方が良い」

 

「やっぱりダメか…帰ってくるまで

待つしかないよね、時雨!」

「っ!きゃぁぁっ!」

 

トーチカが破られ、

その先に隔てられていた攻撃が

艦隊へと襲いかかり

 

続け様に展開された新たなトーチカが障壁となって防ぐ

 

「トーチカそのものがあまり長くは保たないな…持久戦は不利だぞ」

「クソッ!弾切れだ!だれか弾を!」

「誰かって二人しかいないよね、はい」

 

アーモパックの中に同梱されている弾を、ストーム2に渡して

私も武装の冷却とエネルギーのリチャージを再開しつつ

 

「二人とも、一旦後退するよ

基地内なら敵の攻撃を制限できる」

「乗った!」

「俺の火力は…まぁ仕方ないか」

 

〈こちらストーム1!ストームチームは鳥羽鎮守府第一艦隊と合流した

これより、敵基地内に再侵攻する!〉

 

ストーム1が通信で宣言してから

「早く!山城さん掴まって」

「ええっ」

 

私は山城、ストーム1が長門

ストーム2が電を連れて

EDF流のクリアリングと同時に

基地内に再突入する

 

「涼!涼!聞こえてる?

聞こえてたら早く帰ってきて!」

 

時雨は通信越しに話し聞けているが

謎の電波障害で通じていない…

しかし、

 

〈こちらクローサー、どうした?〉

奇跡は起こった

 

「僕だよ、悪いけど早く戻ってきて!」

〈何があった?!ついでにどのくらい経った?!〉

 

「もう二時間だよ!バカっ!

深海棲艦の攻撃が激し──キャッ!」

 

その瞬間、入り口近くに展開されていたトーチカが破られ、飛び込んで来た

砲弾の破片が時雨に掠る

その声を聞いた瞬間

ストーム4の声が変わった

〈了解だすぐ向かう、ついでに新しいEDFの仲間を発見したと伝えろ!〉

 

「伝えるも何も聞いてるよ…切れたし」

まったく、こっちの通信には全く応じずにのんびりしてたクセに、時雨が

一声かければ『すぐ向かう』か

いいご身分ですこと

 

……まぁ、そこは?アベックの特権ってやつかも知んないけどさ

 

私?うるさいよ

 

「…もうじき来るよ、我らが英雄様(ストーム4)が」

「あぁ、聞いてたよ」

「全く、若いってやつかね」

 

ストーム一同ニヤニヤである

ニヤニヤ笑いを崩すことも無く周囲の深海棲艦を処理していくのは

それだけの実力がある事の証左

 

そして、程なくして

地獄の様な光景の中に

二筋の光条が閃く

 

「クローサー到着!ついでに突貫する!」

「はじめまして!そしてグリムリーパー3戦闘開始!」

 

到着するやどころか減速中に迫撃砲をぶっ放して、反動で停止するストーム4と

……どこかで見たような色の

パワーフレームを装備した男

 

どう見ても…いや、もしかしたら違う人物かもしれないから一旦は

他人として扱うことにしよう

 

「あとで教えてもらうぞ

ストーム1 ゴーッ!」

「大変なことになったな、ストーム2、攻撃(アタック)!」

 

他の二人は早くも新参を

味方戦力とカウントしたらしい

 

流石実戦経験が違う…それじゃ

私も

 

「厄介者だけは勘弁してね!

ストーム3、交戦開始(Engage)!」

 

私はウイングを広げて…加速

敵の後ろを取るために壁へ足をつけ

 

その瞬間

「デプスクロウラー 全門斉射!」

 

天井に張り付くという

どう見ても物理法則に喧嘩を売った挙動で上を取ったデプスクロウラー(with inストーム1)はそのまま火力を発揮して

 

マシンガンやらロケット砲やらを全て一人で制御して扱い、敵軍にその殲滅力を遺憾無く叩き込む

 

「うぉぉっ!」

ストーム2の方は、

武装を展開しつつ水際に出て

障壁に接近して来る深海棲艦を寄せ付けない弾幕を張る…

弾幕とは(哲学)

 

間違ってもゲームのような画面を埋め尽くす物じゃないんだが…

 

「まあいっか、フッ!」

フェンリルでの深海棲艦5枚抜きから

高速移動で敵の後ろを取り

 

「喰らえ」

 

マグ・ブラスターを叩き込む

即座に後背に迫る艦隊を

サンダーボウガンで焼灼

 

「はい!あーエネルギーが!

次!これ単発なの?」

 

しっかしまぁ、

初めて使うような武装ばかりでは

スペックの把握にも漏れはある

 

もう赤ラインに来てしまったエネルギー残量を確認しつつ

最初からチャージ済みの大規模攻撃型圧縮プラズマ砲

プラズマキャノンを発射するが…

「あっこれはまずい」

 

その瞬間、残り僅かなエネルギーが

プラズマキャノンに吸われて底をついた

 

 

「やっちゃったし…いやいや

レイピアは弾数制だから」

 

好機!と迫って来る深海棲艦の首をレイピアで射抜き、ストーム4がつれてきた

グリムリーパー3を見遣る

 

口の悪い罵り声と共に

ブラストホールスピアやフォースセイバーやらで的確に攻撃を加え

圧倒的な装甲能力で敵の攻撃を無視して進む黒い姿があった

 

「アタックファンクション!」

 

ストーム4の方から喚声が聞こえる

その直後に、ストーム4は

「『シューティングスター』」

スピアで突進しつつ貫通した敵をまとめて

 

「『ライズショット』!」

ガトリングで殴りあげて爆殺

「『乱れ撃ち』!」

すぐさま肩の迫撃砲で冷却を考えない連射を放っては跳躍して

 

「『ギロチンカッター』」

迫撃砲の爆発で浮かせた相手を二段狩り

 

直後に装備をハンマーに持ち替えて

「『アースクエイク』!」

地面をぶっ叩いて衝撃を飛ばし

抉り取った勢いのままに一回転した

体を空中で静止させ、76ミリ砲を起動

 

「『ホークアイドライブ』!」

本来三連射であるところを規格外の四連射

さらに着地と同時に腕を引き

 

「『焔崩し』!おまけで

『グングニル』!」

炎を纏った(どこから出た?)両手で拳を握り、接近して殴りつけ、その炎をブラストホールスピアに流し込んで炎の尖刃を飛ばす

 

「おーおーやってんねー…」

様々な技を連続で、高速で、かつ

重複なく放つ技巧は素晴らしいと思う

 

 

「はぁ、はぁ…いなくなったか?」

たしかに視界範囲は完全焼却された…あくまで、『視界範囲は』だが、

 

「それが、フラグじゃなきゃね」

 

壁の裏からぞろぞろと新しい団体さんのお出ましである

 

「それなら最悪、そこに、鬼級がいるぞ」

「マジ?」

「マジだよ、はぁ………

さっさと殺ってしまおう」

 

「了解」「おう」「やろっか」「あぁ」

 

私たちは全員で即座に合意して

通常種の深海棲艦数十隻と、それらを率いる鬼級八隻という、連合艦隊としても

些か戦力過剰に見える敵艦隊の前に立つ

 

「ちょっと!無茶だよ涼!」

 

そこで心配するのはストーム4だけなのね?さすが恋する乙女

 

「大丈夫だ、レ級とは違う

仲間がいるからな、時雨は休んで」

 

キメ顔のストーム4は、

表情を即座に消し去り

その意図を汲んだ四人と並ぶ

 

「あら?まだ楯突く気なの?」

 

「悪いが諦めは阿保ほど悪いんでね」

 

「そう、ミんナ、ヤルワヨ!」

 

戦艦棲鬼が叫ぶと同時に

その背後の深海棲艦達から砲撃が飛んでくる、その数は凄まじいが…

 

「「ディフレクト!」」

隊列の両端から即座に前に出た

二人の二刀装甲兵(フェンサー)がシールドを展開

敵由来のテクノロジーを応用した

非実態型物理反転障壁

ディフレクターを起動

 

二つのシールドから放たれた輝きは

深海棲艦の砲撃を全て反射する

 

「お前達は僕の艦娘を人質にして、挙句殺した、その償いはしてもらおうか!」

「全力で征こう。初めてだよアグレッサー以外で本気になるのはな!」

 

前に出た二人、ストーム4とグリムリーパー3が宣言する、それと同時に

 

「「オールウエポンズフリー

モードチェンジ───」」

 

二人で言い切りながら

盾を下ろし…グリムリーパー3から

「『Dead Memory』!」

 

鮮血のようにも、戦場の血飛沫にも見えるオーラが溢れ出し、

 

──いつまでも、一緒ですよ──

 

薄れた声とともに、緋色の鎧が輝く

 

 

一方、アークキャリバーを構えた

ストーム4は

「『Iron Rain』!」

装甲からわずかに見える生体部に

金色のオーラが弾ける

 

──力を貸してやる…何度でも──

 

男の声とともに、

オーラは一際強く輝き…

 


 

その瞬間

私は全く違う戦場にいた

 

「…ここは…いや、敵がいるなら

戦うだけだ!」

 

マグ・ブラスターを握りなおして

周囲に警戒を振りまきながら

私は現在位置を把握しようとして

 

「いい覚悟だが、まだ甘い」

 

背後に現れた男に声をかけられる

「俺はスターター、いま外で戦っているクローサーの元相方だ」

 

「クローサー…ストーム4の相方?

なら何でこんなところに…いや

まず外だと?」

「随分頭が早いな、さすがはペイルリーダーの弟子と言ったところか

まず…状況を説明している余裕はないな、手を貸せ!」

 

その言葉と同時に、何処からともなく巨大なクロアリが出現する

 

「まずはあいつだ、特徴は把握しているな?」「もちろん」

 

「なら話は早い…やるぞ」

「了解」

 

 

それから私は、様々な敵と戦い続けた

スターターを相方として

徐々に増えていく敵戦力を叩き続け、転戦した…そして、理解する

 

これはストーム4、いや

クローサーの体験してきた戦場だと

 

「ついにここまで来たな…」

「その口ぶりは、何かあるんですか?」

「いや、ここにあるのは一つだけ

…この世界からの脱出口…扉だけだ」

 

っ!

 

それは私が望んでいたもので

同時に、相方(スターター)との別れを意味していた

 

「…そう」

「そうだ、…だがその前に

ここの番人を倒す必要がある」

 

その声が放たれた瞬間

ラスボス…

ラズニードネフィリムが顕現した

 

「…こいつがラスボスね」

「あぁ、そしてこれが

俺の体験した、最後の戦いになる」

 

「そう、お別れになるわね…でも」

 

私はマグ・ブラスターFDXを取り

ネフィリムに向かって構えながら

スターターに告げた

 

「私たちはEDF、例え戦場が違っても

例え道半ばに倒れても、その志はただ一つ

この地球を守るという決意」

 

「あぁ、倒れ、散った者達の遺志を継いで、残された者達は戦い続ける

遥か彼方の勝利のために

…行け!ストーム3」

 

返る言葉も、また同じ

「了解──ストーム3 突貫する!」

 

私は勢いのままに、

4枚の羽を広げた堕天使に突撃して

 

その体を貫通した

 


 

──頑張れよ!──

「うん、頑張るよ!」

 

声とともに、現実側に帰還する

 

「っ!」

その瞬間、グリムリーパー3と

ストーム4が突進して行く

 

「グリムリーパー、貴様裏切リオッテ」

 

「悪いけど元より手を組んでいない

懐柔出来るかと思っただけだよ」

「テメェ、舐メヤガッテ!」

 

重巡棲鬼が叫びながら放った主砲を

首先だけで躱して、瞬間加速

 

円の動きで対象を撹乱

ターゲットを中央に固定

「まず1匹」

そのまま速やかに火力を集中

「次」

最後は中央を突破っ!」

「終了」

 

左腕に大きな紅の鎌(リーパー)を形成したグリムリーパー3は

一声と共に腕を振り抜き

 

相対する全ての鬼級をなぎ払った

 

「榛名、みんな、ごめんね

まだそっちに逝くのは許してもらえなさそうだ」

 

──会えないのは寂しいですが

ゆっくりと、お待ちしております────

 

オーラが消失して、鎧が外れる

そして、敵のいなくなった青い海を茫洋と眺め

頬を僅かに鳴らしながら

それでも涙は溢さずに、空を見上げる

 

その眼に映る空は、未だ暗い

 

 

一方、ストーム4は

 

「俺が凸りますんで、ストーム3はその後に続いてなんでもいいんで攻撃、ストーム1は誤射構わず空爆を、ストーム2は支援射撃と、隙あらば来てください

 

あとは、()()()()()

 

作戦は継続している

暗にそう言いながら

ゆっくりと前に出る

 

「ヘェ、ソンナ程度デヤリアウツモリ?」

「………」

 

動揺を誘うつもりだったのだろう煽りは、なんの波風も立てずに過ぎ去る

 

そう、ストーム4、クローサーは

怒っている、すごく

会話すら無視するほどに

 

「全門、徹甲弾至近斉射」

無言で近づいてくるストーム4に苛立ったのか、戦艦棲鬼が砲撃を始め

 

しかし、E-フィールドで防御される

 

「……で………は、……………りだ?」

 

その瞬間、声音と経験が

答えを導き出す

彼が呟いたのは

 

「ここまで怒ったのは、何時ぶりだ?」

 

戦場を風が往く

 

無風であるはずの海面に

細波が立つ、それは常の現象とは異なり

ストーム4を中心として

渦を巻く

 

それは闘争の渦

クローサーが背負う業の一つ

 

それは敵も、味方も隔てなく

彼へと全てを引き寄せる

 

その果てに待つのが、

平等な死だけであるとしても

 

「「俺は、お前らの存在する事実自体を許しはしない」」

 

ストーム4の声に、記憶で聞いた、(クローサー)の声が重なる

 

『だから、ここに宣言する』

 

ゆっくり声が響き

その声を聞くたびに

私の視界は、

美しく、悍ましい琥珀色に染まっていく

 

『EDF北米支部、総司令官直属遊撃部隊ブラスト所属、コールサインブラスト31(32)が全戦力、戦術、戦略を以って

 

排除を開始する』

 

視界が完全に琥珀色に染まる

 

その直後、ストーム4が跳んだ

 

他の何に捉えられなかろうと

()()()()()()

彼が何をしようとしているのか、

彼がどう動くのか

 

()()()()()()()

 

私は彼と同じ、

彼の記憶()を知っている

だからわかる、彼が何をしたいのか

彼が何をして欲しいのか

 

突撃したストーム4がアークキャリバーで切り掛かり、当然のごとく戦艦棲鬼が進み出て防ぐ

 

特性上、刀身の維持が難しいはずのフォースブレードであるアークキャリバーで

戦艦棲鬼と鍔迫り合いに突入した

 

そのタイミングで、彼の背を見る

その背には未だ焦燥の色はなく

 

ただ信頼がうかがえる

 

「なら私も……」

 

その信頼に応えようじゃないか

 

「っ!」

 

急加速で突進を仕掛け

レイピアのトリガーを引きっぱなしに

 

「必殺ファンクション『レーザーカッター』」

 

そのまま薙ぎ払う!

「躱セ!」

叫び声とともに、戦艦棲鬼に飛びついた

重巡棲鬼が後ろから引っ張って

戦艦棲鬼も回避してしまった

 

「「チッ!」」

 

ストーム4とシンクロした状態で

舌打ちを一つ

 

同時に砲撃を回避した

直後に飛来する、ストーム2のヴォルカニック・ナパームによる爆炎

 

それは視界を遮り、状態を確認できない空間を作り出す可能性があるが

「Air Ride ゴー!」

ストーム1に、そんなことは関係ない

 

私はストーム1の呼び出した戦闘機に先んじて超加速、爆炎の中に突入して

 

「死ね」

 

一番近くにいた標的、空母水鬼の首へと右足を振り抜き、その首を刎ねる

無論、爆炎に入る前に位置を確認したし、狙い通りの相手だ

 

そして

 

「コノママデハ──空母水鬼!艦載機ヲ!」

()()()判断を下した戦艦棲鬼は

既にいない戦力に指令を下し──

 

貴重な時間をゴミ箱に捨てた

 

「オイ!空母水鬼!聞イテイルノカ!艦載機ヲ!」

「お探しはこの子かな?」

 

見事な断面を晒した少女の首。放り上げて視線を誘う、もちろんその程度の誘導

ほんの一瞬、

意識を逸らす事しか出来ない

 

極限状態で、その隙を見逃す者はいない

 

軽巡棲鬼と重巡棲鬼の二体も

その例には漏れなかったのだろう

青い閃光と球体に、それぞれ撃ち抜かれて爆死する

 

ストーム2の『TZストーク』による精密射撃とストーム1の『イプシロンブラスト自走レールガン』による狙撃である

 

「やれ!ストーム4!」

「今だ!」

 

二人の声に押されるように

ストーム4は跳ぶ、しかし

 

戦艦棲鬼に到達する寸前で

砲架が廻り

ストーム4へと向かう

 

その全ては見えている

「───Iron Rain、双眼───」

 

ストーム4の宣言と共に

私もまた、脳使用領域を引き上げられているからだ

 

「Over Lord──Psinonic Burst」

 

サイニックバースト、サイオニックリンクの接続先を無制限解放して

莫大な負荷で使用者を廃人にする代わりに、戦場中に意識を広げる特殊使用

 

サイオニックリンク適正が『S』でなければ使用どころか起動すらできない裏技だ

 

私の脳が負荷に軋みをあげると同時に

意識が接続される

 

急激に減速する視界に、砲撃の軌道を捉え

その回避コースを構築する

「……脚部」

 

私と同じ歩法で急加速

スラスターを私のウイングと同様に

ブースターとして使用して、海面を蹴り砕き

砲撃の隙間を通り抜ける

 

『Lost Word 「平和」』

 

金色のオーラが、

宣告と共に一際強く輝きを放ち

 

空中で回転したストーム4は

その勢いのままにブレードを振り切る

 

『Mission Complete ビジネス終了」

 

重なっていた声は消えていく

同時にオーラも薄れて消える

 

私の視界も、琥珀色から復帰する

 

「「ありがとう、スターター」」

彼の声とともに、私も呟く

 

ふと笑って、倒れるストーム4へ駆け寄る時雨を眺める

 

『ストーム4!?』

『クローサー!』

「涼!どうしたの?」

 

急に倒れたストーム4に慌て出す周囲、ふむ、なかなかいい空間だ

 

この仲間達を、大切にね

ストーム4(クローサー)

 

私はもう一度だけ笑って

作戦終了後の撤収作業に名乗りを上げた



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

告げる言葉

「とりあえずカタは付いた…な」

 

ストーム1の声とともに

戦後処理(後片付け)は終わり…後は各々の世界に帰還する、という場面になった

 

「で、聞かせてもらうぞ

そいつの事を、キッチリとな」

 

「あぁ、わかっているよ、自分で話すさ」

 

ストーム2の声に応えるのは

グリムリーパー3

 

「いいの?貴方はあの島にいたんでしょ?つまりは…」

 

艦娘達を呼び出すこともなく、ただただ戦い続け、虚ろな瞳で全てを薙ぎ払い行く彼の姿は、未だに鮮烈に記憶に残っている

そして、彼はこうも言われていた

 

『貴様、裏切りおって』

そう、彼はあの島にいた深海棲艦と

協力関係にあった可能性が高い

なぜ翻意したかは知らないが、それでも、明確に敵だとわかっている

 

「いいんだよ、それに榛名は

僕の艦娘達は、もういない」

 

変わらない暗い瞳で

微笑んだ彼は

 

自分の境遇、過去、そして鎮守府にいた艦娘達のこと、様々な情報を語り始めた

 

「…最後は艦娘を人質に取られて、ここの戦いに駆り出された

これで終わりだよ」

 

「…そう」

 

つまり、私たちが蹂躙してきた艦娘は、敵の艦娘は、彼が指揮していた鎮守府にいた艦娘だった

という事だろう

 

「…わ」「悪かったなんて言わないでくれ」

 

「俺も、それは言うべきではないと思う」

 

口を開いた瞬間、グリムリーパー3自身とストーム2に止められた

 

「…うん、わかった、じゃあ…ありがとう」

 

腕を組んだストーム1と、私のそばに座っていたストーム2はそれだけを聞き届けて

 

「俺がいるべき場面じゃないな」

「俺もだ」

 

ストーム2の声かけに応えて

二人ともさっさと臨時司令部である鎮守府の方に帰ってしまった

 

「聞きたいことだけ聞いて帰っちゃうとか…ひどい人達」

 

「それは仕方ない、彼らは戦うために来たんだろ?なら戦後処理を終えた後にまで

現場に残る方がおかしいんだ」

 

ストーム4は倒れたままだし

ストーム1.2は帰ってしまった

 

艦娘達も撤収済み

後は私たちがテントとかを持って引き上げれば撤収完了だ…とはいえ

所属の明らかでない男と

うら若き乙女を一緒に置いていくとかちょっとないと思わないかな?!

 

「…はぁ…」

 

私がため息をついていると

「僕だってため息をつきたい所だよ」

 

テントのヒサシの影のところで、ポリ箱に座ったまま、軽く手を伸ばしながら

ニヒルに笑うグリムリーパー3

 

先ほど名乗られた本名は『諒弥』

 

「そりゃ、ちょっとの期間に色々なことが変わっちゃったし、変えられてしまったから、仕方ないと思う…でもひとつだけ言わせて?」

 

「なんだい?」

 

「貴方の艦娘達は、貴方との別れをこそ嘆いているけど、貴方と一緒に居続けている」

「っ!」

 

「私、いわゆる見えるタイプでね?

直接言うけど、貴方の艦娘達、結構いるわね、蒼龍とか長門とか、あとあったことない娘とか…榛名さんとか」

 

「榛名が!?」

 

ガタッ!と立ち上がって詰め寄ってくる諒弥さん

 

「ちょっ、押さないで…」

「あ、すまない、つい熱くなった」

 

そのあとは冷静になって再び着席した…のだけど、これは良いネタ掴めました

 

「…榛名さんが嫁艦だったんだ?」

 

「その通りだけど?」

「榛名さん喜んでるけど…蒼龍がちょっと妬いてるね、可愛いよ」

 

「……!」

 

諒弥さんは背後に凄まじい視線を向けてしばらく視線を漂わせて…

やがてがっくりと肩を落とした

 

「僕に霊感がないことをこれ程までに恨む日が来るなんて、思っても見なかったよ」

「…まぁ、気にしたら負けだよ」

 

その真正面で無い胸(まないた)を張って堅固極まる防御力を誇示している龍驤を華麗に無視して、諒弥さんに声をかける

 

「…あとさ、愛宕さんがさっきからずっとニコニコしてるんだけど」

「……ヒッ…」

 

私は諒弥さんが本気で怯えた時の表情を始めて見た気がするよ

 

「それじゃ私帰るね」

「待ってくれ!」

「ごめん待てないっ!あと背後霊連中みんな悪ノリ始めてるから気をつけてね!」

 

「そんなありがたく無い情報は初めてだよ!君は僕にどれだけのイレギュラーを発見させるつもりだ!?」

 

私が走り始めると

流石にフェンサーのアーマーもなしには追いつかないのか、追い掛けるのは諦めたのか、彼の姿は遠く消えていく

 

いや、私自身が消えていっている

 

「あ…早く無い?もうちょい感慨とか最後の一言とかさぁ…」

 

そんな残念丸出しなセリフとともに

私はこの世界線から完全に消滅した



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。