幻想甲虫録 (さすらいのエージェント)
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設定資料集
登場人物…ならぬ登場甲虫
主人公
ソウゴ(さすらいのエージェント)
種類
カブトムシ
容姿
ムシキング同様体色は赤茶色だが、体長はムシキングより少し小さめ。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・ローリングスマッシュ(グー/ダゲキ)
・カワセミハッグ(チョキ/ハサミ)
・トルネードスロー(パー/ナゲ)
追加技
・スーパートルネードスロー(パー/ナゲ)
『白羽の子 ー放て、究極奥義ー』から。
性格
基本的に明るく楽観的、自信過剰。たまにクールな一面を見せることも。
パートナー
博麗霊夢
概要
霊夢と並ぶ本編の主人公。一人称は《俺》。
博麗神社に住み、ある日鈴奈庵で『外の世界でかつて森の平和を守った1匹のカブトムシの英雄がいた』という伝記を読み、幼い頃から大きな夢を持っていたため、自分も幻想郷の甲虫王者になりたいと決意。様々な強者を相手にすると共に異変を解決していく。
樹液とハチミツと果物全般とお菓子全般と酒全般が好物で、キュウリが苦手。
最近霊夢の死活問題に悩んでいるが、彼女との仲は良好。だが時に対立することもあり、そこからバトルに繋がることも。
モデルは『仮面ライダージオウ』の常磐ソウゴ/仮面ライダージオウ。
ギルティ(ヒビキ7991さん)
種類
コーカサスオオカブト
容姿
ゴールドの背中にたくましい黒い角を持つ。体長は角の大きさを除けばソウゴと同程度。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・トレインアタック(グー/ダゲキ)
暴走列車のようにものすごい勢いで敵にぶつかる技。ただの突進技じゃんとは言わないで。
・マスタースパーク ギルティVer.(チョキ/ハサミ)
3本の角の先端にエネルギーを集め、強力な光線を放つ遠距離技。魔理沙のマスタースパークを見よう見まねで習得したため、威力では魔理沙のマスタースパークには手も足も出ない。魔理沙から直々に習得すれば威力は上がるかも?
・旋風竜巻落とし(パー/ナゲ)
自分の角で相手の動きを封じ、そのまま高速回転しながら竜巻を起こし相手と共に空高く舞い上がる。そして空高くから相手を地面に投げつけるナゲ技。
性格
基本的に明るく元気。一度始めたことは最後までやり通す努力型。
パートナー
霧雨魔理沙
概要
一人称は《俺》。ソウゴのよき友達でもありライバル。霊夢と魔理沙のように、時にはソウゴと対立し、時にはソウゴと協力して戦う。一部の幻想郷の住人(特に寺子屋の妖精たちやてゐ、ナズーリン、こいし、フランドールなど)からは《ギル》と言う愛称で呼ばれていて、ギルティもこの愛称を気に入っている。魔法の森で昼寝をしていたところを魔理沙に捕獲され、魔理沙のパートナーになる。非常に力持ちで、飛行速度では魔理沙の箒を凌駕するほど。そのためバトル以外にもキノコ狩りの手伝いや逃走の足などに使われてるとか何とか。好物は甘いもの全般。キュウリは好きではないが嫌いでもない。
紅魔郷
マンスタ(鳴神 ソラさん)
種類
マンディブラリスフタマタクワガタ
容姿
真っ黒。全体の色が光に当たっても光らない。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・サマーソルトプレス(グー/ダゲキ)
・マンディブクラッシュ(チョキ/ハサミ)
・S・A・S(パー/ナゲ)
性格
穏やかでオカン的な性格。
パートナー
ルーミア
概要
ルーミアのパートナーを務めるクワガタ。
一人称は《私》、二人称は基本呼び捨て。
身体は生まれつきで放浪してたところをお腹を空かせていたルーミアと出会い、行動を共にしていき、パートナーとなる。
よく紅魔館でご飯をもらい、代わりとしてフランドールとバーサーカーの遊び相手兼暴走した時のストッパーとしてルーミアと共になっている。
本人曰く、暴走を止めるくらいなら勝つより簡単とのこと。バトルは申し込まれる以外はあまりせず、ルーミアの世話に時間を使っている。
ツルギ(鳴神 ソラさん)
種類
ノコギリタテヅノカブト
容姿
ザックの冒険編に出るヤイバの全体の色をきれいなオレンジ色にした感じで首に緑色のスカーフを巻いている。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・カゲロウ(グー/ダゲキ)
・ハヤブサ(チョキ/ハサミ)
・スーパーサイドロックボム(パー/ナゲ)
性格
ザックの冒険編のヤイバからかませキャラ(重要)を抜いた感じ。
パートナー
大妖精
概要
大妖精と共にチルノと鎧丸を見守る忍者カブトムシ。
一人称は《我》、二人称は鎧丸や偉い人を様づけ、他の者は呼び捨てしているが慧音や永琳には先生をつけている。
鎧丸を主君として務めている部下であり、友でもある。
天然なボケキャラで一言よけいなことを言ってツッコミを入れられたりしているがその際に弾幕が飛んできたら無駄に華麗な避けをする。
首に巻いているスカーフは大妖精から親愛の証としてもらったもの。
博麗神社に月1でお小遣いもとい奉納している。
種類
カブトムシ
容姿
ザックの冒険編に出るカブト丸の青い所を深紅に染めた感じで首に青いマフラーを巻いている。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・ハヤテ(グー/ダゲキ)
・ランニングカッター(チョキ/ハサミ)
・スーパートルネードスロー(パー/ナゲ)
性格
カブト丸のように真面目で困っている人を見逃せない正義感の強い性格。
パートナー
チルノ
概要
チルノと共にサイキョーを目指すカブトムシ。
一人称は《拙者》で二人称は悪者以外には誰にも《殿》とつけていて、口調はカブト丸と同じござる口調。
チルノとは彼女が特訓しているところで出会い、共に強くなろうと約束してパートナーとなった。
首に巻いてるマフラーはレティが編んでくれたもので大切にしている。
よく困ってる人がいたらチルノと共に助けている。
チルノをよきパートナーと思っているがいたずらはほどほどにと思っている。
スーパートルネードスローを使えるが、時たま目を回すのが玉に瑕。
博麗神社に毎日奉納している。
リュウガ(深緑 風龍さん)
種類
ヘルクレスオオカブト
容姿
どちらかと言うとヘルクレスリッキーブルーのような見た目だが、斑点が少し赤い。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・ヒャクレツケン(グー/ダゲキ)
・クロスダイブ(チョキ/ハサミ)
・アースクエイクスロー(パー/ナゲ)
性格
純粋。感情豊かで考えるより先に行動がでる筋肉バカ。
パートナー
紅美鈴
概要
美鈴と共に紅魔館の門番をやっているが、なぜかリュウガの方がよく働くことが多い。騙されなければ誰も入ることがないが、純粋ゆえに騙されて突破されているせいで咲夜とジェットに呆れられている。
虫なのにプロテインラーメンの汁が好きで、樹液が苦手(身体に悪いと美鈴に言われ、ハチミツで我慢)。
なぜかナゲよりダゲキ技を多用する。
モデルは『仮面ライダービルド』の万丈龍我/仮面ライダークローズ。
ゼパル(スコープさん)
種類
サタンオオカブト
容姿
金の体毛が赤く、鞘翅に悪魔の翼を彷彿とさせる紋様が刻まれている。厨二心を刺激するサタンオオカブト。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・ダンガン(グー/ダゲキ)
・ドリルストーム(チョキ/ハサミ)
・イヴィルホイール(パー/ナゲ)
相手を正面からつかんだ後、脚をたたんで横一直線に転がる。10回転目で脚を伸ばして跳ね上がり、地面に向けて投げつける。身体に粘着シートをつけて廊下を転がればいい感じに汚れが取れる。
性格
従順。というか従順になった。恋愛煩悩脳みそ(スーパースイーツ)。
パートナー
小悪魔
概要
パチェが以前使用した悪魔の召喚術式を流用して小悪魔と最も相性のいい甲虫を用意した時に現れた。小悪魔と相性がいいのがサタン(魔王)なのは必然か。
とにかく恋愛系の出来事が好き。同性愛でもいいし異種間恋愛もいいじゃないか!そのおかげでヘルブロスの雷電にそれが恥ずかしいがゆえに襲われるようになった。
イクス先輩の恋路には口を出さずに見守り隊を結成(メンバーはゼパル1匹)し、陰ながら見守っている。
小悪魔がイクスに落とされているが気にしていない。だって純愛ならハーレムでもいいんだもの。
無理に寝取る奴は殺す系であるが、愛があるならオッケーです!暇な時には身体に粘着シートや雑巾やらの掃除用のものをつけ、廊下を転がったりして清掃をしている。
少しうざいし、召喚された当初はゼパルの名前とサタンオオカブトの名前にふさわしい威厳を持って会話していたが、紅魔館のヤベー奴らと触れ合ううちにカリスマブレイクした。ゼパる(動詞)とも言うが、その結果かなりフランクな話し方をする。
紅魔館の内部での立ち位置としては小悪魔の使い魔。そのため紅魔館の防衛戦にはほぼ必ず参加することになる(死ぬまで借りる以下略)。
イクス(深緑 風龍さん)
種類
エレファスゾウカブト
容姿
体色は金と白で、首のところにそれぞれ赤・黄・青のグラデーションのスカーフを巻いている。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・スクラップストライク(グー/ダゲキ)
スーパーハヤテのように折り返して何度も激しく切りつけ、真上に空高く飛ばした後、とどめに叩きつける。
・ローリングクラッチホールド(チョキ/ハサミ)
・サイクロンホイップ(パー/ナゲ)
性格
キザで底抜けの自信家。さらに『劇場型』のバトルジャンキーなところがあるが、家族や仲間を第一に思っている。
パートナー
パチュリー・ノーレッジ
概要
一人称は《俺》で、よくパチュリーを口説いている(虫なのに)。
そのせいか小悪魔に嫉妬されているが、口説いてメロメロにさせているせいでパチュリーからの制裁を食らっている。
あげくの果てには本を盗みまくる魔理沙にも戦いながらも口説いていたようで、その後に説教されている。とは言ったものの、なんだかんだでパチュリーのことを気にかけたりすることが多く、本気で惚れている(もう一度言うが、虫なのに)。
ちなみにリュウガとは喧嘩友達。
バトルに入ると性格が変わり、戦いを楽しむかのような目つきに変わり、苦戦すればするほどハイになり、一度スイッチが入ると無双の戦闘力を発揮する。
モデルは『仮面ライダービルド』の猿渡一海/仮面ライダーグリス、『仮面ライダーキバ』の紅音也/仮面ライダーイクサ/仮面ライダーダークキバ。
ジェット(天羽々矢さん)
種類
タランドゥスツヤクワガタ
容姿
オリジナルとあまり変わらないが、ハサミの先がわずかに赤みがかっている。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・ヒャクレツセン(グー/ダゲキ)
ヒャクレツケンと同様に相手を乱れづいた後に弾き飛ばして距離を開けた後にハヤテのように相手を一閃する。
・ブルロック(チョキ/ハサミ)
・S・A・S(パー/ナゲ)
性格
クールで温厚だが、少しSっ気が入っている。
パートナー
十六夜咲夜
概要
紅魔館に迷い込んだところを咲夜に発見され、一度はお互い嫌悪し合っていたが本気で戦った後にお互いにその実力を認め合い、パートナーになった。
普段は咲夜や他のメイドたちの手伝いをしているが、時折暴走するバーサーカーの仲裁役に駆り出されることもしばしば……その都度バーサーカーにボコられるため、苦手意識を持っている。
一人称は《
カリスマローグ(深緑 風龍さん)
種類
ギラファノコギリクワガタ
容姿
体色は紫で、背中になぜか『鰐』と書かれた文字がある。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・ガンガンスマッシュ(グー/ダゲキ)
・クロコダイルファング(チョキ/ハサミ)
ブルロックのように相手のナゲ技をかわして横から挟みつけ、闘犬のごとく振り回しながら絞め上げた後、地面に強く叩きつける。
・S・A・S(パー/ナゲ)
性格
素直で争い事を嫌うが、やる時はやる。あとレミリアよりおこちゃま。時々看板を顎で持って意思疎通する。
パートナー
レミリア・スカーレット
概要
レミリアのわがままで買った虫だが、どういう育て方をしたのかと思うほど今の色に変色し、このような性格になっている。
バーサーカーのストッパー役にもなっていて、ローグがいつも以上にふざけるとドン引きされるほど。しかも意外と身体は頑丈で、何度ボコボコにされようともケロッと起き上がる。
苺味のゼリーが好物で、ピーマンが出ると逃げるが、イクスやリュウガによって退路を塞がれ、渋々食わされる羽目に。
ちなみに看板で意思疎通をすると、決まって『オォラァ!!』と聞こえる。
モデルは『仮面ライダービルド』の氷室幻徳/ナイトローグ/仮面ライダーローグ。
バーサーカー(天竺犬さん)
種類
コーカサスオオカブト
容姿
後翅がフランドール仕様になっており、黄色。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・グレートマックス(グー/ダゲキ)
鬼のごとく殴る。
・ミッシングカッター(チョキ/ハサミ)
4体に分身するが、どこから挟むかはわからない。
・スマッシュハザード(パー/ナゲ)
とりあえず打ち上げ、高速で投げ飛ばす。
性格
鬼畜、凶暴、快楽主義者の危険人物(?)でフランドールの命令しか聞かない暴走虫だが、フランドールには優しい。
パートナー
フランドール・スカーレット
概要
フランドールが地下室で泣いている時に現れて遊び相手になった。正確は元はおとなしかったがフランドールと遊ぶにつれて凶暴化した。フランドールを泣かせたり傷つけたら家族であろうと容赦しない。
妖々夢
種類
カブトムシ
容姿
ザックの冒険編に出るイッカクの体を深紅に染めた感じ。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・コンプリートスマッシュ(グー/ダゲキ)
・カワセミハッグ(チョキ/ハサミ)
・極トルネードスロー(パー/ナゲ)
究極必殺技のスーパートルネードスローよりさらに上を行く超絶必殺技。スーパートルネードスローのように高く飛び上がった後、地面に叩きつけたところを素早く接近して再びつかみ、高速回転したところを投げ飛ばす。
性格
厳格だが息子思いな性格。
パートナー
レティ・ホワイトロック
概要
鎧丸の父親であるカブトムシ。
一人称は《ワシ》、二人称はレティを《殿》づけ、霊夢は《巫女殿》、他は呼び捨て。
息子と相棒であるチルノをレティと共に遠くから見守っている。
弱気を助け、強きをくじく、最強の矛を殴り飛ばす、最強の盾であれを信条としており、幻想郷をレティと共に渡り歩きながら人助け、妖怪助け、甲虫助けをしている。
ガイアとは旧知の仲で蜜を飲み合いながら彼の愚痴を聞いてあげている。
種類
コガシラクワガタ
容姿
猫耳装備のコガシラクワガタ。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・ヒャクレツケン(グー/ダゲキ)
・デビルスリーパー(チョキ/ハサミ)
・サイドスクリュースロー(パー/ナゲ)
性格
臆病なロリコン予備軍、泣き虫。
パートナー
橙
概要
大抵の場合、橙の後ろに隠れるように行動している。苦手なものは大きな音、雷なんて天敵もいいところである。橙との関係は友達のような主従のような微妙な関係で、橙のパートナーになった理由はマヨヒガにたまたま迷い込んでたまたま最初に出会ってたまたま気が合っただけ。深い理由なんてない。
戦闘力は高くないし、臆病なため基本的に逃げの一手。橙が支持してやっと隙を突けるレベルの戦闘能力。
よく橙に餌づけされており、最近めでたくロリコン予備軍に入隊した。
一人称は僕で二人称は君、三人称はあの人(虫)となる。
マジックチェーン(天竺犬さん)
種類
マンディブラリスフタマタクワガタ
容姿
黄色い希少種。アリスのリボンが巻かれている。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・ドールアタック(グー/ダゲキ)
どこかの背後霊のような人形が現れ、本体が殴る(意味ね~)。
・カットサービス(チョキ/ハサミ)
いろんな方向から大顎で挟んでいく。
・アリスマジック(パー/ナゲ)
なぜか分身みたいなことをし、最後は胴上げのごとく投げ飛ばす。
性格
紳士で執事のような口調。アリスを庇護しており、何かあると襲いかかる。でも臆病。
パートナー
アリス・マーガトロイド
概要
アリスの人形作りの手伝いもしており、大顎の使い方は作中ナンバー1かもしれないが、怖がりなところもあり、実力が出せないでいる。人形の頭に乗っていたりアリスの肩に乗っている。
スライン(スコープさん)
種類
ストリアータツヤクワガタ
容姿
鞘翅の黒い部分を桃色にしたストリアータ。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・必殺ふうじ(グー/ダゲキ、特殊技)
・プロペラダイブクラッシュ(チョキ/ハサミ)
・はるのおつげ(パー/ナゲ、特殊技)
モンシロチョウを呼び、春の陽気で相手の感覚を鈍らせる(技の威力が減少、特殊技が50%の確率で不発になる)。日常的な効果としてのほほんとした気分になる。
性格
のほほんとしており、平和主義。
パートナー
リリーホワイト
概要
よく人の名前を間違える。リリーのことをベリーだとかサリー、シリー、ソリー、トリーなどと無茶苦茶間違えるし、他人も同じように間違える。時には1文字もかすらずに間違えることも(ディアボロをブランドーと言うなど)。
趣味は花鑑賞、春の陽気を浴びながらの昼寝。冬は冬眠安定。
最近はリリーと温泉巡り(地霊殿)に行ったり、神社巡り(風神録)や肝試し(永夜抄)と、無茶苦茶幻想郷を満喫している。
間延びした口調は時折相手のペースを狂わせる。
フォルテ(天羽々矢さん)
種類
ラコダールツヤクワガタ
容姿
黄色い部分が赤みがかってるオレンジになっている。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・サブマリンアタック(グー/ダゲキ)
・デビルスリーパー(チョキ/ハサミ)
・サイクロンホイップ(パー/ナゲ)
性格
真面目で正々堂々。
パートナー
ルナサ・プリズムリバー
概要
一人称は《俺》、二~三人称は呼び捨て。
白玉楼でプリズムリバー三姉妹の演奏に聞き惚れ、何かと3人の世話を焼くようになった。
日常にてネガティブ思考なルナサに「周りの望むままでなく、自分が納得できればそれでいいんじゃないか」とアドバイスしたことをきっかけにルナサに好かれ、それ以降はルナサの相棒となる。
バトルで自分に負けた相手であろうと敬意を払うほど真面目で不正や非道を嫌い、チルノなどのいたずらやズルを見つけた場合にはバトルそっちのけで叱る(しかも言い逃れできないよう手口もわかった上で論破する)。このためチルノなどの一部の妖精からは苦手意識を持たれている。
種類
ヒメカブト
容姿
コロコロイチバン限定のスーパーアタックタイプと同じ赤い体。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・ハヤテ(グー/ダゲキ)
メルランが応援している時はスーパーハヤテに昇華。
・カワセミハッグ(チョキ/ハサミ)
・リバーススラム(パー/ナゲ)
性格
素直だがやんちゃ。
パートナー
メルラン・プリズムリバー
概要
一人称は《僕》、二~三人称は呼び捨て。
三姉妹の住む廃洋館の近くで遊んでいたところをメルランの能力に当てられ目が赤く発光し、ハイテンションになったがそれを機にメルランを探すようになり、見つけたところで自分からパートナーにしてほしいと頼み、メルランもフォルテがいたことから2つ返事で承諾し相棒となった。
メルランに懐いており普段はかわいらしい口調だが敵対する者に対しては一転、敵意むき出しの口調になる。
たまにいたずらをしては姉のルナサのパートナーであるフォルテに叱られている。
バトルの時は普段は特に何ともないが、メルランの応援の音楽が入るとハイテンションになる。しかし以前のような目の発光現象はなくなった。
種類
タイゴホンヅノカブト
容姿
ムシキングの通常版と同じ。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・ヘッドスピンラッシュ(グー/ダゲキ)
・アクセルグライド(チョキ/ハサミ)
・スーパーサイドロックボム(パー/ナゲ)
性格
フランクで陽気。
パートナー
リリカ・プリズムリバー
概要
一人称は《俺っち》、二人称は《お前》、三人称は呼び捨て。
過去には何の努力もなしに究極技を使えたことから他の同族から疎外されていた経験があり、今の性格はそんな自分を隠すための仮面。その一面もあるゆえに世話好きである。
リリカが他のチンピラ甲虫(メンガタカブトとサビイロカブト)に襲われてた時に追い払ったことでリリカにその強さを見始められ、成り行きでパートナー関係となる。そのためたびたびリリカと衝突することはあるが何かとお互いの仲は良好である。
身体を動かすのが得意でよくプリズムリバー姉妹の演奏に乗って踊るが反面勉強面に弱く、長ったらしい話を聞くと頭痛を起こすか居眠りする。
ソウトウ(スコープさん)
種類
ノコギリクワガタ
容姿
右が長く、左が短い大顎を持ったノコギリクワガタ。緑に白のチェック模様のマフラー着用。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・ヒャクレツケン(グー/ダゲキ)
・魂魄流六道断絶楼迷断(チョキ/ハサミ)
左右非対称の顎を使い連続5回で斬りつけ、最後に大回転で2回同時に斬る。ハサミ技というよりキリサキ技。
・ローリングドライバー(パー/ナゲ)
性格
不屈、守るための強さを求めて修行を続ける武士(バトルジャンキー)。
パートナー
魂魄妖夢
概要
妖夢と共に冥界にて暮らすクワガタ。左右非対称の顎のためにつかむことは苦手な代わりに、顎を剣として扱う技術を極限まで高めた。その結果、ハサミ技と言うよりキリサキ技と言われるような奥義が完成した。
非常に少食でグラトニーと合わせて一応?なんとか?ギリギリ食費は回っている。
鎧丸のような武士道系甲虫とは手合わせをする中であり、現世には買い物ついでに誰かと戦うことが多い。
妖夢の財布が荒野にならないためにもバイト戦士として今日も頑張る。
グラトニー(天竺犬さん)
種類
ヘルクレスオオカブト
容姿
ピンクに近い希少種でなぜか桜模様。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・ゴウレッカ(グー/ダゲキ)
力任せに攻撃する。
・スピンクロス(チョキ/ハサミ)
どこかの体操選手並みに挟んで回転する。
・デビルスペシャル(パー/ナゲ)
突き上げた後、再度つかみ、投げ飛ばす。
性格
基本のんびりでいつもハングリー。そんで僕が一人称、そんでアホの子にもなるが一応まとも。
パートナー
西行寺幽々子
概要
幽々子が妖夢の料理を食べている時に飛んできた。よく食べるので妖夢とソウトウの財布が悲鳴をあげることになる。だが力とか強いため門番とかしているが腹が減ると弱くなるか暴れる。好きなことは幽々子との食事であり幽々子が嫌がることは基本しない。
ケイジロウ(深緑 風龍さん)
種類
ブルマイスターツヤクワガタ
容姿
甲にSの字が刻まれた盾のエンブレムが描かれており、角が赤い。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・ダンガン(グー/ダゲキ)
・クロスダイブ(チョキ/ハサミ)
・DGトリガー(パー/ナゲ)
性格
熱血漢かつ真面目、一度決めたらとことん突っ走る。
パートナー
八雲藍
概要
外の世界からやってきた昆虫国際警察の刑事で、犯罪者である虫たちの取り締まりの担当している。警察でも手を焼いているディアボロの逮捕並び、幻想郷にはびこる犯罪者を捕まえるために上官の命に何らかの方法で幻想郷に降り立つ。
現在は八雲紫の式神、八雲藍のパートナーとなり、幻想郷中にいる虫の犯罪者を探している。
特に怪盗であるリクトを探し回っているが、足取りがつかめずにいる。
家にいる時は妙にオッサン臭いところがあり、橙から『おじさん』呼ばわりされ、ちょっとショック受けている。
モデルは『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』の朝加圭一郎/パトレン1号。
ループ(天竺犬さん)
種類
パラワンオオヒラタクワガタ
容姿
紫とお揃いの帽子を被っている。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・ハサミハンマー(グー/ダゲキ)
大顎をハンマーのように振るう。
・ハサミマンティス(チョキ/ハサミ)
高速の大顎で何度も挟む。
・ループトルネード(パー/ナゲ)
体格差も気にしない力で投げ飛ばす。
性格
からかい上手で異様に煽り倒す。昼寝とか基本で邪魔されると紫なら普通についていくが、他だとガチギレする。一人称は我。地味にホストの才能があると紫氏は言う。
パートナー
八雲紫
概要
スキマから出てきて紫は何度か戻そうとしたがなぜか戻ってきており、諦めた結果ついていった。煽り倒して笑う嫌な奴だがたまに稼いだ金で人里の子供にお菓子を買ってあげることや霊夢に賽銭をあげるという虫なのに優しいおじさん。物知りで知識はすごい。
永夜抄
ゴルド(天羽々矢さん)
種類
オウゴンオニクワガタ
容姿
オリジナルと変化はないが、葉っぱのマフラーを巻いている。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・ヒャクレツケン(グー/ダゲキ)
・クロスダイブ(チョキ/ハサミ)
・アースクエイクスロー(パー/ナゲ)
性格
真面目で温厚。少し抜けている。
パートナー
リグル・ナイトバグ
概要
一人称は《俺》。
リグルが他の気の荒い甲虫に襲われていた時にそれらを力づくで追い払ったことから成り行きでリグルの相方となった。
口数少なめ。
性格通り少し抜けており、相手に技を放った時よく木を倒すことや竹をへし折ることが多く、後で二次被害の惨状に気づくことが多い。
樹液と果物は好きだがハチミツというより蜂が苦手らしい。
リクト(深緑 風龍さん)
種類
ヒシガタタテヅノカブト
容姿
・背中の甲には赤いシルクハットが描かれていて、首に赤いスカーフを巻いている(怪盗時)。
・緑色の小さなエプロンを甲を覆うように着け、帽子を被っている(バイト時)。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・スティールダンガン(グー/ダゲキ)
普通のダンガンとは変わりないが、攻撃が直撃と同時に相手のお宝を盗むという神業。
・キリガクレ(チョキ/ハサミ)
・カザクルマ(パー/ナゲ)
性格
自由奔放で飄々、少し子供っぽい。
パートナー
ミスティア・ローレライ
概要
表向きはミスティアが経営する八目鰻の屋台でバイトする虫だが、本性は幻想郷中に騒がせている怪盗として名を馳せている。
ある目的のために怪盗をやっており、目当てのものではなかった場合すぐに返す。フランス語を交えたり独特な言い回しをすることが多い。
仕事はサボり気味だが、料理は得意。ミスティアの気を遣って鶏肉を使わない料理やおつまみを作っている。
ある生き別れの兄の形見を探しているらしく、ミスティアも協力して客から情報を引き出そうとしている。
モデルは『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』の夜野魁利/ルパンレッド。
ケイロン(スコープさん)
種類
ケンタウルスオオカブト
容姿
胸角に青に緑のチェックの入ったマフラーを巻いた、頭角の先端が黄色がかっているケンタウルスオオカブト。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・ドラゴンアタック(グー/ダゲキ)
・ローリングクラッチホールド(チョキ/ハサミ)
・アルナスルスロー(パー/ナゲ)
飛行しながら相手をつかみ、そのまま上昇。空中でドリルのように回転しながら投げ飛ばす。相手は回転しながら飛んでいき、地面に突き刺さる(アルナスルは射手座の矢の先端にある星)。
性格
おとなしく、争いを好まない。子供好き。
パートナー
上白沢慧音
概要
寺子屋の副担任的存在。子供の遊び相手や勉強の手伝い、慧音の授業の手伝いなど様々なことを熟す。元々は名無しの記憶喪失で竹林を彷徨ってた際に慧音に拾われた居候の身だったが、寺子屋を手伝うようになった際にその性格や行動から慧音に「まるでギリシャの賢者『ケイローン』のようだな。そうだ、お前の仮の名としてケイロンなんてどうだろうか?」と言われる。それからケイロンと名乗るようになり(以前まではケンタウルスと呼ばれていた)、人里では知らない人はいない程度には顔が知れている。記憶喪失以前のことは全く気にしてないし、知ろうとも思わない。最近は鈴奈庵にて神話や伝説の本を読むのが趣味。戦闘能力は低く、幻想郷の中でも下から数えた方が早い。
子供のためなら命を張り、最近の目標は死者蘇生の秘薬の開発(ケイローンの弟子『アスクレピオス』の伝説を読んで以来死者蘇生を目標とする)。不慮の事故で亡くなった人や妖怪、虫のために薬を作ることを独学で目指している(永夜組には頼らず自力で)。
レーザー(深緑 風龍さん)
種類
コクワガタ
容姿
体色の上半分は黄色と黒、下半分は青色で全身に禍々しい紋様がある。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・ギリギリスラッシュ(グー/ダゲキ)
スーパーハヤテのようなしぐさだが、自身の体力が0に近いほどダメージ量がすさまじく上がり、逆に体力全快であるとあまりダメージが入らない。
・サーフィンライド(チョキ/ハサミ)
・ダイシャリン(パー/ナゲ)
性格
ノリが軽く、てゐと同じくらい嘘をつく。その分仕事に熱心で、てゐと商売繁盛すべく呼び込みをしている。時折自己犠牲の考えを持つ。
パートナー
因幡てゐ
概要
ボロボロの状態で竹林に迷っていたところをてゐが見つけてくれたものの、突然てゐを襲ってきた虫たちを一掃したおかげかてゐに感謝され、以降はパートナーとして活躍している。
ボロボロだったレーザーだが、永琳の治療で全快し、恩を返すためにお手伝いとかいろいろとやっているが、てゐのいたずらに加担しているゆえに制裁を一緒に食らうこともある。
とはいえ異変の察知や洞察力は霊夢より鋭い。真実を知るべくてゐと共に潜入し、場合によっては単独で解決しようとするが、強すぎるゆえに失敗し、情報だけを手にして霊夢たちの所に行ったりする。
モデルは『仮面ライダーエグゼイド』の九条貴利矢/仮面ライダーレーザー。
マガツ(天竺犬さん)
種類
ヘルクレスオオカブト
容姿
ピンクっぽく、なぜかウサ耳を装備している。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・ルナ・アイ(グー/ダゲキ)
狂気のごとく襲いかかる。
・患部で止まってすぐ溶ける(チョキ/ハサミ)
ツボを的確に押し、動きを止める。
・うどんげフィーバー(パー/ナゲ)
月の兎の幻影が見え、気を取られているうちに投げ飛ばす。
性格
優しい奴で困っていると無償の奉仕をする。かなり愛されキャラでもあり永琳からも気に入られている。鈴仙の悩み相談相手にもなるオカン気質持ち。
パートナー
鈴仙・優曇華院・イナバ
概要
薬の配合やらいたずらの後始末などもしている。いろいろ苦労している。ソウトウとは苦労人仲間や安売りなどの場所を教える主夫でもある。名言が「見返りを求める助けは助けとは言わない」とかある。うどんげを愛しており、口説きにかかるがよく成功する。
ソウジ(ヒビキ7991さん)
種類
カブトムシ
容姿
赤い甲に上面が赤、下面が金の角を持つ。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・スーパーハヤテ(グー/ダゲキ)
・アクセルグライド(チョキ/ハサミ)
・スーパーストライクバック(パー/ナゲ)
性格
戦いも日常も常に冷静でクールだが、他人にはクールでありながらも優しく明るく接する。だが自分が敵と認識した相手には誰であろうと容赦はしない。
パートナー
八意永琳
概要
甲虫の頂点を目指しており、『天の道を行き、総てを司る者』と自称する破天荒で型破りな性格。迷いの竹林で傷を負って休んでいたところを永琳に拾われ手当てを受け、その時の恩として永琳のパートナーになる。時に「おばあちゃんが言っていた…」というセリフの後、亡き祖母(?)の教えを口にする。その教えは永琳や紫など、幻想郷のカリスマたちを納得させてしまうほどの力を持つ。なぜか料理を得意とし、その腕前は幽々子の舌を唸らせるほどのプロ級。誰に対しても基本的に呼び捨て・タメ口を使うが、自分より優れた腕を持つ相手には常に敬意を払う。ソウゴのことは“共に頂点を目指し競い合う友”と評し、ソウゴが窮地に陥った時には手を貸すこともある。
モデルは『仮面ライダーカブト』の天道総司/仮面ライダーカブト、カブトゼクター。
エクス(天羽々矢さん)
種類
ヘルクレスエクアトリアヌスブルー
容姿
エクアトリアヌスの青羽で黒斑点がほぼない。要はアダー完結編に出てきたものと同じ。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・サマーソルトプレス(グー/ダゲキ)
・クロスダイブ(チョキハサミ)
・ジャベリン(パー/ナゲ)
性格
争いを好かず義理堅い優しい性格だが、自分が大切に思っている者を侮辱されたり傷つけられると怒る。
パートナー
蓬莱山輝夜
概要
傷ついていたところを永琳に拾われ治療してもらってからは恩義を感じており、以降は永遠亭の手伝いになるが物珍しさから輝夜に気に入られ彼女の騎士的な立場になる。それゆえか輝夜を《姫》と呼ぶ。
一人称は《私》だが、感情が昂ると《俺》になる。相手に対しても普段は《お前》や呼び捨てといった具合だが、これも激昂時も《貴様》や《テメェ》になったり口調も荒くなる。
邪魔な岩も砕いたりどかせるほどパワーが強く他の昆虫たちの稽古相手にもなる親方のような奴で、最近では永琳から許可が下り輝夜を背に乗せ散歩や遊覧飛行するのが最近の趣味らしい。
樹液は好きだが彼の中では『樹液<ハチミツ』といった具合。
種類
オオクワガタ
容姿
黒い身体に手足、赤い目と甲、金の角を持つ。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・マイティアタック(グー/ダゲキ)
身体にエレメントをまとい、上空から敵に突撃する。甲の色に応じてまとうエレメントは変わる。
・ハヤブサ(チョキ/ハサミ)
・ローリングドライバー(パー/ナゲ)
性格
穏やかかつ飄々とした性格で、強い意志と優しさを内に秘めている。
パートナー
藤原妹紅
概要
自由気ままに世界中を旅していた冒険野郎のクワガタ。幻想郷へとやって来たのは、新たな発見と出会いを求めてのこと。迷いの竹林入り口で困っていた妹紅を助け、その後自分が旅した世界の話などをするうちに仲良くなり、パートナーになる。基本的に甲の色は赤だが、状態に応じて甲の色と特性を変えることができる。
赤なら熱に強く、炎を操ることができる。
青なら素早さが増し、水を操り水中での行動が可能。
緑なら視覚と聴覚が増し、風を操ることができる。
紫なら動きが鈍くなる代わりにパワーと防御力が大幅に向上する。
黄色なら電気に強くなり、角先から稲妻を放つこともできる。
ただあまり能力を使いすぎると体力切れになり甲が白くなる。実は上記の6つの姿の他に、最強と言われる禁断の姿がある。
時々エクス・優曇華院・マガツと協力し、妹紅と輝夜の喧嘩を止めようとすることもしばしば……。
モデルは『仮面ライダークウガ』の五代雄介/仮面ライダークウガ。
萃夢想
種類
ニジイロクワガタ
容姿
虹色の身体をしたニジイロクワガタ。違うのは目に光がないところである。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・コンプリートスマッシュ(グー/ダゲキ)
・フォレストブリッジ(チョキ/ハサミ)
・トルネードスロー(パー/ナゲ)
性格
穏やかで聡明。その場の状況を冷静に判断することもできる。しかし、その反面戦いに出ると熱くなることがある。
パートナー
伊吹萃香
概要
萃香と親しいニジイロクワガタ。一人称は《私》。ニジイロクワガタの自分と萃香は闘いにおいても相性がよく、常にお互いを助け合うパートナーのような存在。酒は萃香と同じくらい愛している。樹液も大好きだが、萃香と共に食べるものなら何でも好物。ゆえに嫌いなものはない。戦闘は萃香と違って冷静に判断し、かなわないと感じれば撤退することが多いが、萃香が関わると回避しながらの戦法を発揮する。挑発されても性格上効かない。また、萃香が霧状になれば迷彩効果を上手く発揮できるといった連携も可能。
花映塚
ガイア(青龍騎士さん)
種類
カブトムシ
容姿
サファイアのカブトムシ。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・ガイアラッシュ(グー/ダゲキ)
強烈なラッシュを繰り出し、最後のパンチで遠くまで弾き飛ばす。
・サファイアフォース(チョキ/ハサミ)
サファイアの強烈な光線を発射し、敵に大ダメージを与える。
・アースクエイクスロー(パー/ナゲ)
性格
ツッコミ役で仲間思い。
パートナー
射命丸文
概要
心優しきカブトムシで幻想郷の甲虫たちをまとめるリーダー。外の世界でかつて森の妖精ポポと共に森の平和を守った1匹のカブトムシの英雄……つまり『甲虫の王者ムシキング』こそ彼である。悪の妖精アダーとの決着後である数年後、彼は幻想郷に移り住み、多くの甲虫たちと共に幻想郷の平和を守っている。
幻想郷で最初に出会った人物である文とはよきパートナー関係だが、彼女のスクープ行動が悩みの種。
デネブ(スコープさん)
種類
ネブトクワガタ
容姿
若干緑っぽいネブトクワガタ。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・ストライクライナー(グー/ダゲキ)
上空に飛び上がり、落下する際の勢いも加えて加速、地面スレスレを列車のごとく飛び、最後に相手をひき逃げする。
・マンディブクラッシュ(チョキ/ハサミ)
・サイクロンホイップ(パー/ナゲ)
性格
心配性、世話焼き。
パートナー
メディスン・メランコリー
概要
モデルはご存知のあいつ。メディスンのことをメディと呼び、メディスンからはデネブさんと呼ばれている。異様なまでに相手を心配したり世話をしようとするため大抵の場合うざがられる。メディスンも少し鬱陶しく思っているが、まあ本人に悪気がないため仕方ないと割り切っている。無名の丘で昼寝をしたり弁当(メディスンの好物と嫌いなものが入っている)を用意したりと平和を謳歌している。意外と強く、半端な相手なら雑談しながらでも倒せる。
レックス(鳴神 ソラさん)
種類
ブルマイスターツヤクワガタ
容姿
ザックの冒険編に出る技の紋章が常時出ているブルックスで体中に切り傷がある。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・ヒャクレツケン(グー/ダゲキ)
・スーパークロスダイブ(チョキ/ハサミ)
相手を挟み込んで投げ飛ばした後に挟み込んで地面に引きずるところは一緒だが、その後に再び投げて、叩きつけたところを再び引きずって最初に引きずったのと合わせてX字を描いてからその中央に相手食い込むように叩きつける。
・アースクエイクスロー(パー/ナゲ)
性格
紳士で世話好き。
パートナー
風見幽香
概要
幽香に仕える虫で太陽の畑の警備をしている。
一人称は私、二人称は幽香をご主人様、他の人は女性を嬢づけ。
耐えた強さと花を大事にしたところを一目おかれて幽香にパートナーにならないと持ち込まれて了承する。
時たま技を使って花が生えるのに邪魔な岩などを撤去したりしている。
丁重に話すが言うことを聞かない人には肉体言語で追い払う。
紅魔館に時たま修行の名目で行ったりしているので魔理沙に捕まったら説教されるということで苦手意識を持たれている。
アカフタ(鳴神 ソラさん)
種類
セアカフタマタクワガタ
容姿
角が赤く、体の背中部分が青いセアカフタマタクワガタ。セアオフタマタクワガタの方が正しいかも?
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・ドラゴンアタック(グー/ダゲキ)
・スーパーローリングクラッチホールド(チョキ/ハサミ)
・サイドスクリュースロー(パー/ナゲ)
性格
不良っぽいが、困った者を見過ごせない堅気な番長。
パートナー
小野塚小町
概要
小町と共に仕事をしているクワガタ。
一人称は《俺》で二人称は映姫は《様》づけ、慧音や永琳を《先生》づけ、他は呼び捨てしている。
よく小町の胸元にいて、サボっている時にハサミで小町の胸元部分をつまんで無理やり起こして仕事をさせている。
下心とか一切なく、小町自身も嫌がっていないのと映姫に怒られないようにしてくれているので頭が上がらない。
ジャスティスさん関連の後始末で動いたりして慧音に謝りに行ったり、映姫の胃薬を取りに行ったりしている。
ちなみにジャスティスさんをおバカ野郎と呼んでいる。
ジャスティスさん(スコープさん)
※さんまでが名前。つまりジャスティスさんさんとなる。
種類
グラントシロカブト
見た目
黒い斑点すらない純白、黒い部位は角と脚のみ。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・鉄拳は愛の制裁(グー/ダゲキ)
相手の身体を上にのけ反らせた後、身体の向きを変えてヒップアタック。その後尻をこすりつけ続ける対精神の技。絵面がひどい。そもそも鉄拳とは?
・ギロチン☆断罪しちゃうぞ♡(チョキ/ハサミ)
相手の胴と胸(鞘翅と胸の角のある所の間)をギチギチと絞め上げる技。名前に反して結構エグめ。むしろ悪役用の技。
・ジャスティスポイ捨て(パー/ナゲ)
相手をつかんだ後地面に4回叩きつけ、ポイ捨てする。正義とは?
性格
ハイテンションのオネエ。
パートナー
四季映姫・ヤマザナドゥ
概要
四季映姫の元に派遣された……というより押しつけられたカブトムシ。
誰が呼んだか正義のオネエ系ヒーロー、ジャスティスさんさん。名前がジャスティスさんになった原因はいろいろとあるが、簡単に言うと「こいつのキャラに意識が持ってかれて書類がミスって登録された」である。ひどいことに……彼?彼女?はそれを「いいじゃなぁい!」と言って気に入ってしまったためもう取り返しはつかない。
人里や妖怪の犯罪率の低下には貢献している。そりゃそうだ、誰が好き好んで「ハイテンションオネエな巨大カブトムシ」に追われることを選ぶのだろうか?意外と寺子屋の子供には人気があるが……寺子屋の子供の間で「ジャスティスオネエ!お仕置きよぉんっ!ヒップアタァックゥ!」などと言う遊びが流行ってしまった原因でもある。
女の子はちゃん。男の子は君。男の娘っぽい子はたそ呼び。
霖之助や他のオス甲虫たちは充分恋愛対象である。最近では四季映姫の胃痛の原因トップである。
風神録
モミジ(スコープさん)
種類
サンボンツノカブト
容姿
胸に赤い紅葉の模様があるサンボンツノカブト。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・ドラゴンアタック(グー/ダゲキ)
・ターンアンドターン(チョキ/ハサミ)
・キングトルネードスロー(パー/ナゲ)
性格
几帳面、甘くて冷たい食べ物が好き。
パートナー
秋静葉
概要
幻想郷に兄と共に流れ着いた虫。アイスクリームが大好物でアイスクリームに釣られてホイホイ協力してしまうチョロ虫。
静葉が葉を塗る時には紅葉にバラツキがないように細かくチェックしており、静葉が言うには「彼が来てから紅葉がより美しくなった」とのこと。フランクなしゃべり方で友好関係もかなり広い。足が速く、暇な時は妖怪の山周辺を飛行している。
カジツ(スコープさん)
種類
クロパプアサンボンヅノカブト
容姿
胸に赤い果実(ブドウ柄)のあるクロパプアサンボンヅノカブト。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・ヒャクレツケン(グー/ダゲキ)
・クロスダイブ(チョキ/ハサミ)
・ローリングドライバー(パー/ナゲ)
性格
言葉は乱暴で粗暴だが優しい。
パートナー
秋穣子
概要
いわゆるいい人系ヤンキー。弟と共に幻想郷に流れ着いた際に秋姉妹と出会う。食べ物を粗末にする奴には鉄拳(角)が飛ぶ。
あまり知られていないが実はモミジとは全く血縁関係も何もない赤の他人、いわゆる義兄弟で深い絆で結ばれている。
力が強く荷運びなどが楽だが、喧嘩っ早いせいでトラブルをよく起こす厄介な奴。人里の畑を耕したりするのを手伝うおかげでより豊作かつ美味しいものができあがるとのこと(穣子の談)。
アルーク(スコープさん)
種類
ブケットフタマタクワガタ
容姿
黒紫のオーラのようなものをまとったブケットフタマタクワガタ。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・サマーソルトプレス・厄(グー/ダゲキ)
・フォーエバーディザスター(チョキ/ハサミ)
顎に自身の厄を集約、相手を横から挟んで自身にまとわりついた厄を利用してダメージを与える。
・ダイブボンバー・厄(パー/ナゲ)
※厄の技は厄が少しずつ相手に蓄積する。
性格
明るい。むっちゃ明るいし前向き。
パートナー
鍵山雛
概要
比較的厄が溜まりやすい、というか神も驚くほどの不幸体質。雛に出会う前は歩いていると木が倒れてきたり投げられた他の虫と衝突したり3日ほど何も食べられなかったりとほぼ毎日散々な目に遭っている。
しかし厄を溜め込み回収する雛と出会ったらマイナスにマイナスをかけたらプラスになる理論なのか、お互いの厄が相殺し合うのか比較的悪いことが起きなくなった。黒紫のオーラは厄であり、彼が元々持つものである。雛曰く「これを回収するなら殺した方が早いレベル」とのことでもはや魂レベルで不幸。
ちなみにこの性格は「いちいち不幸を気にしてたらキリがないし精神が持たないからむしろ前向きに行こう!」という諦めに近いもの。
技によって相手に蓄積された厄によって突然足が滑ったり技が不発したりとかなり厄介なことになる。
ネプ
種類
ネプチューンオオカブト
容姿
ある理由により体色がわずかに青黒くなっている(後述)。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・ドラゴンアタック(グー/ダゲキ)
・デビルスリーパー(チョキ/ハサミ)
・サイドスクリュースロー(パー/ナゲ)
ガチギレ時はスーパーサイドスクリュースローに昇華。
性格
温厚で器も広く滅多にキレないが、キレると手がつけられない(これも後述)。
パートナー
河城にとり
概要
一人称は《俺》、二人称は《お前》か名前、三人称は《あいつ》か名前。
にとりに実験という名目で捕獲され最初は『ネプ夫』という安直すぎる名前をつけられていたが、にとりによる実験(という名の改造)により一時は体色も濃い青色になり他の個体よりも格段に強くなったことがあったが、その弊害か目が赤く発光し、ついに理性を失い暴走した経歴を持つ。
にとりが命懸けで止めに入ったことで目の赤い発光も消え、理性も取り戻した。その後は反省したにとりに虫にも尊厳を込めることで自分の種別である『ネプチューン』の名をもらった。わずかに青黒くなっている体色はこの時の後遺症とも言える。
今でもたまに無茶ぶりを頼むにとりには苦手意識こそあるが、パートナーとして信頼している。
実験の後遺症で今でもキレると目が赤く発光し、暴れ回る。収まると元に戻るがその後激しい自己嫌悪に陥る。
モデルは『劇場版甲虫王者ムシキング グレイテストチャンピオンへの道』にて溝呂木シローが使っていたネプチューンオオカブト/ダークサイドネプチューンオオカブト。
種類
ミヤマクワガタ
容姿
普通のミヤマクワガタ。普通of普通。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・クイックタッチ(グー/ダゲキ)
目にも止まらぬ速さで突き、突いた際の衝撃で相手を吹き飛ばし、吹き飛んだ相手を追って再び突く2連続の刺突技。
・スーパーシンザンキョウ(チョキ/ハサミ)
・センプウ(パー/ナゲ)
相手の周囲を高速で回転し続けて旋風を巻き起こす。相手と周りの石や枝、砂を一緒に巻き上げるため、上昇中は相手に石や枝、砂が当たり続け、頂点まで昇ってきた相手を地面に向けて投げ落とす。
性格
ドがつくほどの変態でスケベ。セクハラは挨拶代わり。けれど変態なりの矜持はあり、ある程度の(変態性に隠れる程度の)優しさはある。
パートナー
犬走椛
概要
妖怪の山を代表するド変態。椛の胸を顎でムニムニ、センプウでスカートをめくり、飛行中は椛の下側を飛行する。ロリコンではなく、デカい方が好きだと言う。鈴奈庵に薄いアレを探しにくるわ香霖堂に大人なアレを探しにくるわである意味幻想郷の有名虫。一部からは(女にとっての)害虫と呼ばれるほどの変態。
しかし意外と椛との仲は悪くない。実は家では家事全般の手伝い、ちょっかいの際には触角による感知、妖怪戦では時間稼ぎや椛の援護と意外にも有能であり、椛曰く「もう少し変態でなければまあ考えられる程度の優良物件」とのこと。椛も椛でセクハラをされることにはある程度慣れたらしい(慣れてはダメだと思うの by夜摩)。
戦闘に関しては耐久、時間稼ぎが主で攻撃力は低い……が、日常でクイックタッチを応用したパイタッチ、センプウによるスカートめくりと女にとっては充分天敵。
アラタ(ヒビキ7991さん)
種類
オオクワガタ
容姿
金の差し色が入った青い甲と巨大な角、さらに赤い目を持つ。大きさはソウゴの約1.2倍。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・エクステンドアタック(グー/ダゲキ)
空高く舞い上がり、高速回転しながら落下し相手に突撃する。命名は早苗。
・ガタックカッティングスライサー(チョキ/ハサミ)
大顎にオーラをまとい巨大化させ、30メートル圏内のあらゆる物体を切り刻む。角で相手を挟み込むことや、角からエネルギー波を出すことも可能。こちらも命名は早苗。
・キングトルネードスロー(パー/ナゲ)
性格
心優しい熱血漢で、目的のためなら早苗の指示に反する行動にも出る強い信念を持つ。
パートナー
東風谷早苗
概要
一人称は《俺》。早苗を含む守矢神社の人たちには必ず《さん》をつけて呼ぶ。それ以外の人たちでは、自分の力が及ばなかった人たち限定で《さん》をつける。早苗が守矢神社の境内の掃除中に遭遇し、パートナーになる。外観が以前早苗のいた外の世界に(テレビの中で)存在したクワガタのヒーローに似ていることから、早苗がアラタという名前を与えた。特訓がてら早苗の妖怪退治によく加勢する。巨大化して早苗を背中に乗せて飛ぶのが大好き。ソウゴとはよく特訓相手として戦うことが多い。早苗が外の世界で見ていた昆虫ヒーローたちの話を聞くのが彼の楽しみで、特に自分と同じ色をしたクワガタのヒーローに憧れている。早苗が神奈子や諏訪子に振り回されているのに頭を悩ませており、時には怒って巨大化し2人を投げ飛ばすことも。それなのか神奈子と諏訪子からは《早苗専属の守り神》と言われている。早苗が人里などに出向く時は巨大化してついて行ったり、家事など早苗の手伝いをする。基本的に嫌いなものはないそうだ。
モデルは『仮面ライダーカブト』の加賀美新/仮面ライダーザビー/仮面ライダーガタック。
ブレイド(ヒビキ7991さん)
種類
ヘルクレスオオカブト
容姿
青と金の差し色が入った銀の甲と角、さらに赤い目を持つ。甲にはスペードのマークが大きく刻まれている。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・ライトニングブラスト(グー/ダゲキ)
全身に稲妻をまとい、地面スレスレの超低空飛行で敵に突進する。
・サイズ(チョキ/ハサミ)
・アースクエイクスロー(パー/ナゲ)
性格
明朗快活で裏表のない性格だが、不器用かつ純粋すぎる性格で騙されやすかったりする。
パートナー
八坂神奈子
概要
親友のオオクワガタ"ギャレン"と共に外の世界から幻想郷に迷い込んだヘルクレスオオカブト。早苗曰く、外観の配色とデザインが外の世界(テレビの中)に存在したある騎士のヒーローに似ているとのこと。ハチミツや樹液も好きだが、一番の好物はオロノメンC。微妙に不幸体質であり、飛んでいる最中に枝や小石にぶつかって墜落したり、チルノやてゐのいたずらに巻き込まれることもしばしば……。
同じ外の世界の住人ということで、初対面の彼に明るく接してくれた神奈子を気に入りパートナーになる。よく神奈子と酒を飲むが、神奈子ほど強くはない。
モデルは『仮面ライダー剣』の剣崎一真/仮面ライダーブレイド。
ギャレン(ヒビキ7991さん)
種類
オオクワガタ
容姿
赤い身体に金の差し色が入った銀の甲と角、さらにグリーンの目を持つ。甲には大きなひし形が刻まれている。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・ガンガンスマッシュ(グー/ダゲキ)
・ローリングクラッチホールド(チョキ/ハサミ)
・バーニングアッパー(パー/ナゲ)
角に炎をまとい、角を大きく振り上げ相手を空高く投げ飛ばす。
性格
生真面目な性格で、自分の身よりも仲間の身を案じる。だが、不器用で愚直な面もある。
パートナー
洩矢諏訪子
概要
親友のヘルクレスオオカブト"ブレイド"と共に幻想郷に迷い込んだオオクワガタ。早苗曰く、ブレイドと同様外観の配色とデザインが外の世界(テレビの中)に存在したある騎士のヒーローに似ているとのこと。ブレイドが神奈子のパートナーになったため、流れで諏訪子のパートナーになる。が、諏訪子はギャレンの真面目なところをかなり気に入っている。諏訪子が時々腹黒い発言をするたびにギャレンがツッコミを入れて阻止している。神奈子と諏訪子が喧嘩を始めた時は、ブレイド・早苗・アラタと協力して止めようとする。
モデルは『仮面ライダー剣』の橘朔也/仮面ライダーギャレン。
緋想天
ウルティマ(スコープさん)
種類
ジュダイクスミヤマクワガタ
容姿
ゲーム登場時の姿まんま。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・ハヤテ(グー/ダゲキ)
・ジュダイクスセイバー(チョキ/ハサミ)
・アースクエイクスロー(パー/ナゲ)
性格
優しいが、引っ込み思案。
パートナー
比那名居天子
概要
引っ込み思案な上に自己評価が低い。何かあれば基本的に自分のせいだと感じる。自己評価が高く、自己中心的な天子とは対照的な虫とも言えるかも?最近は天子に「私の下僕なんだからもっと胸を張りなさい胸を」と言う言葉に励まされ……励まされ?少しは前向きになっている。天子への忠誠心は高く、天子のことはご主人様と呼ぶ……しかし、最近は本人も上手く言えない、よくわからない感情が天子を見るたびに沸く。
テディ(ヒビキ7991さん)
種類
カブトムシ
容姿
全身紺色で足に黒い鎧を着けている。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・ヒャクレツケン(グー/ダゲキ)
・ブルロック(チョキ/ハサミ)
・トルネードスロー(パー/ナゲ)
性格
真面目だが控えめで自己主張はあまりしない。
パートナー
永江衣玖
概要
天子に世話を焼く衣玖を見かねた紫が派遣したカブトムシ。衣玖の危機に迅速に対応(突然雨が降ってきたら傘をさす、後ろから襲われそうになったらナゲ技を繰り出す、天子のわがままがやかましくて衣玖が仕事に集中できない時にヘッドホンを持ってくる、衣玖の目の前にバナナの皮が落ちていたら真っ先に拾ってゴミ箱に捨てるなど)したり、普段は衣玖より一歩引いて後ろに立っている執事のような位置にいるのがほとんど。面倒くさがりでのんびりな衣玖に対し、仕事は何でもテキパキとこなす。時に見下した態度をとった衣玖を叱ることもある。天子やチルノたちからはよく《天丼》と間違われるが、本人はちゃんと《テディ》と呼んでもらえなくて悲しいらしい。
モデルは『仮面ライダー電王』のテディイマジン。
地霊殿
種類
ギガスサイカブト
容姿
全身灰色のギガスサイカブト。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・ギガントマキアホーン(グー/ダゲキ)
前脚で地面を叩き、その衝撃で相手を上に飛ばす。そして落ちてきたところに全力のひと突きをお見舞いする。
・クロスダイブ(チョキ/ハサミ)
・S・A・S(パー/ナゲ)
性格
戦闘狂、勇猛で無慈悲。
パートナー
キスメ
概要
戦いという行為自体が好きな戦闘狂。戦いであるなら老若男女問わずに全力で叩き潰しに行く。早押しクイズならボタンを砕く勢いで押し、早食いなら殺意すら感じる食いっぷりを見せ、徒競走ならば獲物を追う飢餓状態の獣のごとき気迫である。それを見た子供は大抵の場合泣くぐらいには気迫がすごい……一応勝負事にはさっぱりしているため、負けたら素直に負けは認めるが、何度も再戦を挑むため、クソめんどくさい。
キスメとは持ちつ持たれつの関係で狭い場所を好む内気なキスメに反して広い場所でなおかつ恐れ知らずな岩鉄は一見正反対だが、互いに相手の意見は多少は尊重するためほどよく具体的にはアルカリ性と酸性を混ぜ合わせるような感覚で中和し合っている。
種類
ビルマゴホンツノカブト
容姿
全身が純白のビルマゴホンツノカブト。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・ラビットスマッシャー(グー/ダゲキ)
兎のように縦横無尽に跳ね回り、背後を取った瞬間に飛びかかり、身体を捻って回転を加えた一撃を与える。
・サーフィンライド(チョキ/ハサミ)
・ばいがえし(パー/ナゲ、特殊技)
性格
気弱、平和主義。
パートナー
黒谷ヤマメ
概要
食事以外全ての時間を地面の中で過ごす引きこもり。ヤマメに呼ばれたら出てくるがかなり不機嫌になる。地底では角の形も相まって兎君と呼ばれることが多いため、小倉と呼ばれても反応が遅れる。
戦闘能力が引きこもりにしては高い理由は主に地底に住む奴らのせい。好戦的な奴らばかりのせいで戦わないと引きこもることすらできない……引きこもるために外に出て運動する。ジレンマ。
ラビットスマッシャーはかなり動き回るため嫌いな技ナンバー1で、グーとあいこやぶりでボコボコにできる(やりすぎるとさすがにラビットスマッシャーを使うが)。
種類
ヒメオオクワガタ
容姿
普通のヒメオオクワガタ。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・ドラゴンアタック(グー/ダゲキ)
・ブルロック(チョキ/ハサミ)
・トルネードスロー(パー/ナゲ)
性格
嫉妬深い。自分を他人より下に見続け、嫉妬し続ける。
パートナー
水橋パルスィ
概要
パートナーと息ぴったり(嫉妬深さ的な意味で)なクワガタ。名前と種類が男なのに姫なことも合わさってさらに他の雄への嫉妬が深まる。
一に嫉妬、二に嫉妬、三四も嫉妬で五も嫉妬。大抵のことに妬ましい妬ましいと言っている。
戦闘力は中堅程度なため、他の大型甲虫と戦えば勝てる確率は低いし、小型にも下克上されることもある。ああ妬ましい。
趣味は人間妖怪甲虫観察からの嫉妬ポイント探し。
種類
ヘルクレスリッキーブルー
容姿
ムシキングでヘルクレスリッキーブルーといえばの見た目だが、角の先端が赤くなっている。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・金剛拳(グー/ダゲキ)
溜めに溜めた力を一点に放つ突き。隙が多いが決まれば一撃とも謳われる。溜めの時間を短くすれば一撃必殺にはならず普通の技程度だが、充分強い技。
・
勢いよく振り下ろした角で地面を割り、そこに相手を落とした後、地面を怪力で閉じ、万力のごとく攻撃する。ハサミ……技……?
・岩投げ(パー/ナゲ)
名前そのまま。岩を掘り出してぶん投げて攻撃する。ナゲ技ってそういう意味じゃねーから!
性格
豪胆、意外と世話焼き。
パートナー
星熊勇儀
概要
力技以外必要ない。パワーイズパワー。こうなった原因は元々の性格に加えて勇儀と戦った結果である。強敵と書いてトモと呼ぶ関係のパートナーだが、日夜組手をするため周りへの被害がヤバイ。
技は全て勇儀との戦いで編み出されたもののため、脳筋仕様になっている。
日課は特訓、趣味も特訓。仕事として地底の入り口の警備をしている。
相手は誰でも貴様やあいつ呼びだが勇儀のみは
キトゥリノセイレーン(深緑 風龍さん)
種類
ファブリースノコギリクワガタ
容姿
甲の色は緑から黄色の美しいグラデーションで、黄色い小さなニット帽子を被っている。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・イチゴイチエ(グー/ダゲキ)
・ステルスミスト(チョキ/ハサミ)
スーパーキリガクレとスーパーカゲロウの合体技で、最後に上空に現れて相手に捕まる寸前に姿を消し、逆に捕まえた後に地面に叩きつける。
・フウジン(パー/ナゲ)
性格
無邪気で人懐っこい。少し甘えん坊。
パートナー
古明地さとり
概要
地霊殿三羽烏のメンバーで、コードネームは黄羽。主人のさとりの護衛を任されている。さとりが最初に選んだ虫でもあり、しっかり育てているうちに今の性格になった。
心を読まれることに恐れておらず、むしろもっと知ってほしくて読ませてあげているらしい。
時折こいしの相手にさせられている時は柱に隠れながらヤキモチしており、それでよくウォズに頭を叩かれる。
モデルは『仮面ライダービルド』の黄羽(三原聖吉)/オウルハードスマッシュ/オウルハザードスマッシュ、『仮面ライダーキバ』のラモン/バッシャー。
キュアノスリュコス(深緑 風龍さん)
種類
クロゴホンヅノカブト
容姿
甲の色合いが青白く、小さい黒いベレー帽を被っている。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・カゲロウ(グー/ダゲキ)
・スタッグスラッシャー(チョキ/ハサミ)
青く光る顎を出現させ、相手の攻撃をはじき出した後、居合切りで決め、挟みつけてから引きずっていき、とどめにジャンプして地面に叩きつける。
・スーパーエメラルドフロージョン(パー/ナゲ)
性格
ツンデレで、シニカルなセリフも口にする。地霊殿三羽烏の中では唯一のしっかり者だが、相手が敵なら容赦はしない冷酷な一面もある。
パートナー
火焔猫燐
概要
地霊殿三羽烏のメンバーで、コードネームは青羽。旧地獄エリアを担当して平和を保っている。時折燐とつき添って死体運びを手伝っているが、運ぶたびにどこかに行って吐いてきている。
リーダーに対して毒を吐いているが、なんだかんだで慕っている。だが空とのイチャイチャ見せられるたびにため息をついている。
ちなみに好みはコーヒーゼリーで、猫好き。
モデルは『仮面ライダービルド』の青羽(相河修也)/スタッグハードスマッシュ/スタッグハザードスマッシュ、『仮面ライダーキバ』の次狼/ガルル。
ライジングキャッスル(深緑 風龍さん)
種類
タランドゥスツヤクワガタ
容姿
体色は赤紫色で、右顎には赤いスカーフを巻いている。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・トマホーク(グー/ダゲキ)
・マンディブクラッシュ(チョキ/ハサミ)
・ライジングドライバー(パー/ナゲ)
性格
威勢がよくやや短気。さらに空よりバカだが、家族を思う気持ちはすさまじく強い。
パートナー
霊烏路空
概要
地霊殿三羽烏と呼ばれるチームのリーダーで、コードネームは赤羽。地霊殿の平和を守っている。空と一緒に灼熱地獄跡の温度調節とかしている。
空よりもバカであるゆえに、他の仲間や家族がフォローしなくてはならないらしいが、侵入者が来ると的確な判断で行動をする。
ちなみに空とはこれでもかというほどいちゃついているが、その好意になかなか気づいてくれず、周りの人たちは砂糖を吐いている。
モデルは『仮面ライダービルド』の赤羽(大山勝)/キャッスルハードスマッシュ/キャッスルハザードスマッシュ、『仮面ライダーキバ』の力/ドッガ。
ウォズ(深緑 風龍さん)
種類
グラントシロカブト
容姿
首に緑のスカーフを巻き、頭にこいしの帽子のようなものを被っている。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・一撃カマーン(グー/ダゲキ)
ハヤテとスーパーカゲロウが合体したような技で、3体分身を作った後、居合い抜きのごとく油断した相手の急所を1秒ずつずらして貫く。
・プロペラダイブクラッシュ(チョキ/ハサミ)
・ウチナートルネード(パー/ナゲ)
性格
うさんくさいが、相手の意志に尊重したり、非情になりきれないところがある。
パートナー
古明地こいし
概要
ダークロードバグが君臨する未来からやって来たと思われる謎の虫。ソウゴのことを『我が魔王』と呼び、彼が勝利するとどこからともなく現れ、『勝利の儀』というものを始める。
というもの、実際にはソウゴと出会う前にこいしと遭遇し、なんだかんだで彼女のパートナーとなって、一緒に『勝利の儀』をするようになる。
それ以外はこいしと一緒にいろんな場所に回っていたり、地霊殿で本を読んだりしている。
ちなみにボケるとどこからともなく『カマシスギッ!』と聞こえる。
モデルは『仮面ライダージオウ』の黒ウォズ/仮面ライダーウォズ。
星蓮船
デュラ(スコープさん)
種類
ケブカヒメカブト
容姿
毛深さを増量、ロン毛にしたケブカ"すぎ"ヒメカブト。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・ダンガン(グー/ダゲキ)
・ローリングクラッチホールド(チョキ/ハサミ)
・リバーススラム(パー/ナゲ)
性格
ジジ臭い。長年のゲフンゲフン……生来の鋭い第六感で物事を進めるため、行き当たりばったりに見える。
パートナー
ナズーリン
概要
毛深いせいで遠くからだと大型の哺乳類に見える。そのせいで命蓮寺や無縁塚の近くで毛球みたいな妖怪がうろついていると噂になったりもした。酒とつまみをこよなく愛する……が、仮にも命蓮寺(仏教)の元にいるため、飲酒はほどほどにしている。
冬場は暖かいため冬眠いらずだが、夏場は意外と辛いらしい。
ナズーリンの探し物の手伝い(主に移動面)や墓の掃除、足腰が弱く命蓮寺に通いづらいお年寄りの送迎などを行なっている。アクティブなジジイ。ただし実年齢はジジイではなく人でいう20代後半で、意外とジジ臭いと呼ばれると心が砕けかけるし、蒼炎候のじいさんと同期か?なんて言われたら首を吊りかねないレベルで落ち込むしマジ泣きする。自分のことをワシと呼ぶのもその一因だが、もう変えられないため勘違いはなかなか止まらない。
レオ(スコープさん)
種類
モーレンカンプオウゴンオニクワガタ
容姿
金ではなく銀のオウゴンオニクワガタ……オウ、ゴン……?
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・クレセントムーンスマッシュ(グー/ダゲキ)
相手を正面からつかみ、上に勢いよく持ち上げた後体勢を三日月のように反り、その反動で地面に勢いよく叩きつける。
・ターンアンドターン(チョキ/ハサミ)
・ギアスクリュースロー(パー/ナゲ)
相手を横向きに回転するようにしながら上に投げ、それに自身も回転しながら突撃し、歯車のように互いに回転。最後に相手を正面からつかみ、地面に向けて投げる。
性格
陽気でハイテンション。
パートナー
多々良小傘
概要
甲虫界のマイケルなんちゃら。ダンサー甲虫として幻想郷に入ってきた。本来なら彼が幻想入りすることはないが、結界のほころび(ご都合主義+お約束)により迷い込む。当初は紫も外の世界に帰そうとしたが、彼は「踊らずに帰るのはもったいないネ!」としばらく留まることに。小傘とは幻想郷を踊って回っている際に出会い、彼が踊ることで驚く人や彼がいることに驚く虫などがいることから彼と共に行動することに。最近では小傘にも踊りを教え、共に踊ることもある。戦闘中も常に踊っており、ゲーム的に言うなら「行動予測不能」な状態で、その面でのみ歴戦の猛者とも渡り合える。ただし本業はダンサーなため攻撃力や体力はない。
語尾が片言になったり発言に英語を混ぜる癖があり、自分のことを《俺っち》、他人を《YOU》、名前呼びなら《~っち》となる。
小傘との関係は良好で、よく居酒屋に入り浸っている。
アマゾーン(スコープさん)
種類
ヘルクレスエクアトリアヌス
容姿
羽が緑色のエクアトリアヌス。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・ダイ・セツ・ダン(グー/ダゲキ)
上に跳躍し、縦に回転しながら角を全力で叩きつける。
・フォレストブリッジ(チョキ/ハサミ)
・アースクエイクスロー(パー/ナゲ)
性格
超野生児。友好的ではあるが、敵には容赦がない。
パートナー
雲居一輪
概要
アマゾン育ち(それが普通)の野生児。生き残るために自分独自の戦い方を目指した結果、ナゲではなくダゲキを使うようになり、シンプルかつ高威力を求めた結果が大切断である。
しかもそういった暮らしをしていくうちに食生活も変わり、肉食となっている(樹液も食べられるが使用するエネルギーの消費を考えると肉の方がいい)。
彼の角は他のヘルクレスと比べて非常に硬く、生半可な攻撃では傷すら入らない。その角を使った全力のダゲキ……弱いはずがなく、どっかのドM門番が大喜びする技となっている。
友達と認めた相手とは角や顎を合わせる『トモダチのシルシ』を行い、そのまま友達になる。敵には容赦がない分身内には激甘で仕留めた獲物のおすそ分けや夜の見張り番と、いろいろなことをしてくれる。
ボクが一人称で他人は名前呼びかオマエorアイツ呼び。しゃべり方は訛りが強く、片言に聞こえる。
ちなみに雲山とは仲がよく、同僚のような存在。
モデルは『仮面ライダーアマゾン』のアマゾン(山本大介)/仮面ライダーアマゾン。
ミノ(スコープさん)
種類
プラティオドンネブトクワガタ
容姿
内歯がより発達したプラティオドンネブトクワガタ。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・ダンガン(グー/ダゲキ)
・ウッドカッター(チョキ/ハサミ)
相手を正面からつかみ、壁や木、岩などに何回も叩きつける。相手を斧に見立てた木こり。打ちつけるたびに内歯が食い込み結構痛い。
・ダイブボンバー(パー/ナゲ)
性格
ネジが数本吹き飛んだ頭ハッピーセット野郎。
パートナー
村紗水蜜
概要
落ち着きなんてない。あるはずがない。というのも村紗と共に封印されていたせいで1000年も眠ることに。封印中であったがために死にも老いもしなかったが精神がちょいとバグった。村紗曰く元は「誠実で真面目。利口で優等生的な存在」だったらしい……が、今ではことあるごとに問題を起こす頭ハッピーセット野郎である。
自身のことを『1000年冷凍食品』などと言ったり、聖を『スーパー若作り』、紫には『神(小ジワ)隠しの妖怪』、果てには映姫へ『罪人の白黒はつけられるのに他者と自身の胸の白黒はつけられない』などととんでもないことばかりを口にする。そしてそれに村紗が巻き込まれるのがお約束である。
他にも問題行動をあげると『鈴奈庵に薄い本を置く』、『博麗神社の賽銭箱に偽金銭』、『魔理沙の家にある借りパク本を全て返却』、『地霊殿にカチコミ』『夜摩と共謀してセクハラ大作戦』、『焼き鳥を食べながらみすちーとリクトに会いに行く』、『バーサーカーを激昂させる』、『橙にセクハラ』、『藍の尻尾の毛をボサボサにする』、『守谷神社でモリヤステップ』、『聖に浣腸』、『人里にいる子供に悪いことを教える』etc……全方面からヘイトを稼いでいくスタイルの甲虫。
一応、これらの行動にも誠に遺憾ながら理由はある。彼は1000年もの間封印され、意識はずっと音も変化もない闇の中にあった。聖人でも妖怪でもない彼の精神は物の数分で壊れ、その後も正気を取り戻しては発狂し、取り戻し発狂、取り戻し発狂取り戻し発狂取り戻し発狂取り戻し発狂発狂取り戻し発狂……やがて、彼は少しでも良いから誰かに自分を見てほしいと願った。
そして村紗と共に解放され、幻想郷にて自由を得る。
誰かに、自分を見てほしい。彼は誰かから、敵意でもいいから自分のことに意識を向けてほしかったのだ。
種類
ネプチューンオオカブト
容姿
胸部に青い爬虫類の鱗のような模様がある。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・ドラゴンアタック(グー/ダゲキ)
・スネークバイト(チョキ/ハサミ)
蛇のように蛇行しながら近づき、間合いに入った瞬間、噛みつくように挟んで攻撃した後、横に投げる。
・ヴァルナスロー(パー/ナゲ)
高速で相手に接近した後、身体を1回転させながら放り投げ、即座に落下地点に移動。落ちてきた相手をつかみ、1回転して放り投げる。
性格
信心深い。親切な方ではあるが、信心深すぎてちょっと気持ち悪い。
パートナー
寅丸星
概要
水天ヴァルナの弟子。同じ十二天の毘沙門天の弟子であるということで星とパートナー関係となる。厄介な点は水天のことが大好きすぎることで、水天語りはもはや悪意すら感じる長さとなる(それでも「あと数時間は語れる」と言う辺りもう狂信者の域に入り始めている)。
水浴びを好み、滝に打たれたりと水に関係することを好む。十二天の毘沙門天もそこそこ尊敬しており、星との仲も悪くはない……と思う。
星の慕うだと言う聖の復活にも協力的で、本虫は面識はなかったものの聖のために全力で戦う(彼が派遣というか星と出会ったのは聖が封印された後)。
一人称は我、他人のことは貴殿やご婦人となる。ある程度親しいなら○○殿や嬢をつけるようになる。
種類
オオクワガタ
容姿
通常のオオクワガタよりも体が大きく、左顎がノコギリクワガタの大顎のように長く発達している。全身に傷を負っており、さらに全ての足が他のクワガタに比べて太く、頑強。
すくみ
グー/ダゲキ
初期必殺技
・激震(グー/ダゲキ)
太い足を相手の頭に叩きつけて脳を震わせ動きを止め、発達した左顎を相手の脇腹に叩きつけて吹き飛ばす。
・スーパーグリーンアロー(チョキ/ハサミ)
・
発達した大顎を相手の足に引っ掛け、勢いよく1回転し、相手をコマのように回転させ投げ飛ばす。
性格
正義感や使命などというものに興味はなく、純粋に戦いを求めている。相手が強ければ強いほど全力を出す。弱い相手には興味がなく、それでもなお挑んで来るようであれば徹底的に叩き潰す。だが見込みのある者にはアドバイスをする。
パートナー
聖白蓮
概要
一人称は《我》と書いて《オレ》、二人称は誰であろうと《貴様》。実は外の世界からやってきたオオクワガタで、幻想郷に来る前までは日本各地を転々とし暴れまわっていた。通常とは異なる見た目とその強さから阿修羅、羅刹などの異名がつけられ、さらには15体ほどのカブトムシとクワガタを相手に勝利するほどの実力を持っていた。そこにパートナーを求めて外の世界にやって来た聖白蓮にスカウトされ、まだ見ぬ強者を求めて幻想郷へと旅立つ。それからは多くの異変を解決し、その元凶が操る虫たちと壮絶な死闘を繰り広げる。今まで見てきた虫の中でもソウゴに特に可能性を感じ、唐突に戦いを仕掛けたりアドバイスをしたりとソウゴを困惑させる。だが最近は肉体の衰えを感じており全盛期ほどの実力ではなくなったが、それでもある程度の実力者が3匹同時までならマトモに殴り合えるため、幻想郷のパートナーの中では一二を争う強さ。
種類
クロゴホンツノカブト
容姿
エメラルド色のクロゴホンツノカブト。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・ヒャクレツケン(グー/ダゲキ)
・ローリングクラッチホールド(チョキ/ハサミ)
・リバーススラム(パー/ナゲ)
性格
熱血漢。
パートナー
封獣ぬえ
概要
カブト忍一族の末裔。熱き心を持っている。
ソウゴの親友でヴォルタロスの後輩。ガイアに憧れている。
ダブルスポイラー
ヴォルタロス(青龍騎士さん)
種類
ノコギリクワガタ
容姿
黒いノコギリクワガタ。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・天空螺旋拳(グー/ダゲキ)
風の拳で敵を大きく弾き飛ばす。
・旋風ハサミギロチン(チョキ/ハサミ)
風をまといながら敵を挟み、そのまま切断する。
・紅蓮旋風投げ(パー/ナゲ)
紅き風を巻き起こし、そのまま遠くへ投げ飛ばす。
性格
冷静沈着でござる口調を使う。
パートナー
姫海堂はたて
概要
クワガタ忍一族の末裔。はたてを主君と慕っており、彼女を守る守護神として活動する。ガイアの親友。
神霊廟
ヤヌス(スコープさん)
種類
ヤヌスゾウカブト
容姿
鞘翅に人の顔のような紋様のあるヤヌスゾウカブト。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・J-G-G(グー/ダゲキ)
正式名称は『January-Guardian-God』。飛び上がった後、落下。硬く重い身体を用いて地面を隆起させて相手を攻撃する。要はストー○エッジ。ちなみに攻撃する本虫も結構痛い技。
※元ネタ:種族名にもなった守護神ヤーヌスは出入り口の神であり、年の始まりである1月(January)の語源ともなったという。
・あいの力・M(チョキ/ハサミ、特殊技)
メス(今回はパートナー)の応援で回復する。本来回復量は少なめだが、一度発動すると3ターンの間回復ができる上に響子の能力で応援を反射させ、効果を2倍に。アゲハの回復より少し多い回復を3回も出来るちょっとしたチート技となっている。
・ダメージはんげん(パー/ナゲ、特殊技)
仲間のゴライアスハナムグリを呼び3回分攻撃のダメージの半分を肩代わりしてもらう。要はダメージを3回半減する。
性格
マゾ紳士。
パートナー
幽谷響子
概要
響子と共に門前で暮らし、門番的な行動をしている。基本的に苦行を好み、誰かの代わりに苦しむことに快感を覚えている(結果的に人助けになりやすい)ため、初対面では親切な人だがある程度交流を重ねると本性(マゾヒスト)を垣間見ることができる。時折響子に頼んで箒で尻を叩いてもらったり、あえて妖怪に襲われたりしている。非常にタフでスーパーディフェンスというよりハイパーディフェンス、その硬さは幻想郷脳筋勢の一撃を耐え、ちょっとよい子には見せられない反応をする余裕がある程度には硬い。その反面攻撃性能はお察しの通りで、文字通りの足止め役。
響子のロックバンド仲間のミスティア繋がりでリクトとは仲がよく、幻想郷を騒がせる怪盗とリクトに関係があるのは薄々気づいている(といっても血縁関係があるのか?程度だが)。
ちなみに受けるのが気持ちいい技はハサミ技、あの絞め上げられる感覚がたまらないとか何とか……。
余談だが、ゴライアスハナムグリとはマゾヒスト仲間の交流で出会ったらしい(愛称ゴラさん)。
シュサイ(スコープさん)
種類
クビボソツヤクワガタ
容姿
紫一色のクビボソツヤクワガタ。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・ローリングスマッシュ(グー/ダゲキ)
・ランニングカッター(チョキ/ハサミ)
・サイドロックボム(パー/ナゲ)
性格
自由奔放。
パートナー
宮古芳香
概要
青娥が最近見つけた珍しい紫のクビボソツヤクワガタ。せっかくなので芳香のパートナーにした結果いい感じなのでそのまま芳香の同僚的立ち位置になった。同時に風嵐の同僚でもあり、自由奔放ではあるが戦闘力は決して低いわけではない。時おり行方不明になるのが悩みの種。
自分のことをシューと言い、「シューはこう思うな」、「シューの意見はこんな感じ?」といった形のしゃべり方をする。ちなみにシューは芳香が彼につけた渾名。
種類
タイリクカブト
容姿
純白。角も目も羽も……全身が白一色。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・コンプリートスマッシュ(グー/ダゲキ)
・ローリングクレイドル(チョキ/ハサミ)
・ホワイトハリケーン(パー/ナゲ)
相手を打ち上げた後即座に飛び、正面からつかみ下降しながら自身を軸に回転していく。そして地面に触れる瞬間に相手が地面を滑るように投げ飛ばす。いわば逆トルネードスロー。
性格
親切で主人に忠実。
パートナー
霍青娥
概要
青娥の僕。響くような声でしゃべるのが特徴。青娥に対して絶対の忠誠を誓っており、何があろうと裏切らない。
青娥と敵対していなければ親切な虫だが、敵対中は殺意の塊となる。
普段は芳香のパートナーであるシュサイと共に力を強めるために切磋琢磨している。
元々青娥の故郷にいたが青娥が日本に来る際に故郷の思い出のひとつとして連れてきたのがきっかけ。それから必然的に共に行動することになり、最終的に仙人の気に当てられて異様に長生きをしている。
無論、豊聡耳神子とも面識がある。何やらアギトのこともどこかで見たような気がするらしいが……?
ニギハ(スコープさん)
種類
ノコギリクワガタ
容姿
中歯型のノコギリクワガタ。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・モールアタック(グー/ダゲキ)
・ジャーマンホールド(チョキ/ハサミ)
相手を横に弾いて前後を反対に、そしてジャンプして相手の背中をつかみ、そのまま1回転して着地した後、今度はバク宙3回転と共に地面に頭から突き刺す。ローリングクラッチホールドの改変技。
・ダ・ブエルタ(パー/ナゲ)
性格
熱血漢。
パートナー
蘇我屠自古
概要
気合いでどうにかするタイプの虫。いざとなれば気合いで解決。
屠自古とは仲がいいが、屠自古自身はこの熱血っぷりに少し引いている。意外にも小動物が好きで、小動物側からも好かれており、よく小鳥やリスのたまり場となっている。私や君といった一人称と二人称を使う。
座右の銘は「元気があ(ry」。何かに努力する人間や虫が大好きで、そういう奴のためなら協力を惜しまない。
種類
ムナコブクワガタ
容姿
ザックの冒険編に出るチャン・Gの体を水色に染めた感じ。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・スーパーカゲロウ(グー/ダゲキ)
・ハサミガエシ(チョキ/ハサミ)
向かってきた相手の角or大顎をつかんで投げ飛ばす。
・ダイシャリン(パー/ナゲ)
性格
とぼけていそうで厳しい性格。
パートナー
物部布都
概要
布都のお目つけ役を務める老甲虫。
一人称は《ワシ》、二人称は基本的に呼び捨て、神子には様づけ。
のんびりしているが、いざバトルとなると並大抵の相手には負けない。ただもう老年なので息切れが早いのとぎっくり腰が悩みの種。
アギト(ヒビキ7991さん)
種類
ミヤマクワガタ
容姿
身体と手足は黒。金の甲に金の角と赤い目を持つ。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・タツマキ(グー/ダゲキ)
・グランドショット(チョキ/ハサミ)
角を展開し光のエネルギーを集め、一気に放つ(早い話が某モンスターの****ビーム)。
・ストライクバック(パー/ナゲ)
性格
温和でやや能天気、マイペースで天然ボケな部分もある。記憶喪失であることも、性格上特に気にしていなかった。
パートナー
豊聡耳神子
概要
記憶喪失のクワガタ。幻草原で目覚めた時には自分の名前・出身地・幻想郷に来るまでの記憶などがなく、右も左もわからぬまま人里にたどり着いたところで神子と遭遇。人の言葉を話すクワガタに驚く神子だったが、異空間にある自分の同情に引き入れ、その後彼が記憶喪失であることを知り驚く。その後神子は守矢神社で早苗に相談すると、早苗は彼に“アギト”と名づけた(早苗曰く、彼と配色がよく似たヒーローの名前らしい)。アギトはその名を受け取り、「幻想郷で新しい人生を送るのも悪くないかな?」と言って神子のパートナーになる。
よくダジャレを言うが、あまりに寒くて場の空気を凍らせるレベル(神子には大ウケ)。妖怪の山のふもとに無農薬の菜園を作っており、その手入れが趣味。料理の腕前はソウジや妖夢には負けるがかなりある。
モデルは『仮面ライダーアギト』の津上翔一/仮面ライダーアギト。
種類
ヒメカブト
容姿
灰色のヒメカブト。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・ハヤテ(グー/ダゲキ)
・ハヤブサ(チョキ/ハサミ)
・カザグルマ(パー/ナゲ)
性格
うさんくさい。若者には試すような行動を取る。
パートナー
二ッ岩マミゾウ
概要
マミゾウとはパートナーというより古い友人。自力で日本に渡来してきた(自力で)。刑部という名は日本に渡来した際に遭遇した妖怪自身の名前の一部をもらった……らしいが、まあその妖怪の名前なんてだいたい予想がつく。そしてマミゾウとは時々人間を脅かしたりして友好を深めていた。
マミゾウが旧友に呼ばれて幻想郷に行くと言うので自分もついていくことにした。そして最近は虫をパートナーに持つ妖怪も多いらしいので何かあれば共闘する関係となっている。
心綺楼
リビィ(スコープさん)
種類
ヘルクレスレイディ
容姿
お面をたくさんぶら下げたレイディ。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・ダンガン(グー/ダゲキ)
・ブルロック(チョキ/ハサミ)
・ライジングドライバー(パー/ナゲ)
性格
好奇心旺盛。いろいろと幼い。
パートナー
秦こころ
概要
心が見つけたサナギ(地上にある。昆虫飼育だとごく稀に起きてしまうあれ)から羽化したレイディ。異変時にはこころと共に希望の面をうんぬんしたり周りを盛り上げたりしたが、最近ではヘルクレス系(ディナステス種)の周りにいることが多い。曰く虫生の先輩だからいろいろ学んでいる……のだが、こころはジャスティスさんの影響を受けないか心配している。一人称は僕、他人のことはあなたと呼び、こころは母さんと呼ぶ。母さんと呼ぶ。母さんと呼ぶ(大事なことなので3回)!
普段は寺子屋で慧音先生の授業を受けたりしている。
輝針城
レジ(スコープさん)
種類
アラガールホソアカクワガタ
容姿
普通のアラガールホソアカクワガタ。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・マルスハンマー(グー/ダゲキ)
・ブルロック(チョキ/ハサミ)
・ダイブボンバー(パー/ナゲ)
性格
兄貴肌で気前がいい。
パートナー
わかさぎ姫
概要
涼しい環境が好きで川沿いを歩いた際に足……足?を負傷したわかさぎ姫と出会う。その時に助けられた縁からよく会うようになり、今ではパートナーとして生活している。最近は山奥の川で獲れる魚を釣り、小遣い稼ぎをしている(山奥のため人が踏み入れるのは危険。その金は使い道がなくだいたいわかさぎ姫に髪飾りやら何やらを買う資金になる。他には人里の子供にアイスをおごったり)。
意外と面倒見がよく、子供の相手をしたりするのは得意。ごくたまに博麗神社に賽銭を入れたり、守矢神社へ参拝をしたり、命蓮寺で修行をしたりといろいろな場所で見かける(さすがに地底には行かないが)。
好きなものは焼き魚。
ムボウ(スコープさん)
種類
フェイスタメルシワバネクワガタ
容姿
真っ黒なフェイスタメルシワバネクワガタ。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・カゲロウ(グー/ダゲキ)
・ゲキオリ(チョキ/ハサミ)
・ローリングドライバー(パー/ナゲ)
性格
不思議っ子。
パートナー
赤蛮奇
概要
突拍子もないことをしでかす。放っておくとすぐにどこかに行って迷子になる。会話が噛み合わないなど相手にするのが難しい……が、赤蛮奇はなぜか完全にコミュニケーションを取ることができている。
語尾に「?」をつけたりと疑問系でしか話さない。
フラフラと歩いているところを蛮奇に舎弟として拾われたが……お察しの通り舎弟になんて向いていない。その上彼を探しに行くたびに蛮奇は他人と関わる必要があるので原作と比べて蛮奇はマイルドになる一因となった。
コウタ(スコープさん)
種族
ノコギリタテヅノカブト
容姿
中頃で折れた胸の角(野生のノコギリタテヅノカブトではよくあることらしい)と背中の鞘翅に入った1本の傷跡が特徴的なノコギリタテヅノカブト。
すくみ
パー/ナゲ
初期必殺技
・カゲロウ(グー/ダゲキ)
・イナズマ(チョキ/ハサミ)
・スーパーソードアンドスフィア(パー/ナゲ)
性格
物静かな武人タイプ。折れた角は誇りでもあり自身の力のなさを示す戒めであるため、あまり触られるのを好まない。
パートナー
今泉影狼
概要
迷いの竹林に住む武人系の甲虫。「むやみやたらに戦いを挑まない、挑まれれば全力で答える」がモットーであり、妖精や妖怪との手合わせもしばしば……影狼を信頼に足る者と感じており彼女以外が自身の角に触れるのを好まない。静かに竹の汁を吸うのが密かな楽しみ。
戦闘の際には技名は影狼が叫ぶ形で、彼は戦闘中一切しゃべらない(承知したとか了解ということはある)。影狼にジジ臭いと言われて以来結構気にしている。
ジャック・ジョーカー(スコープさん)
愛称
J2
種類
オキピタリスノコギリクワガタ
容姿
青に緑迷彩のギターを背負ったオキピタリスノコギリクワガタ。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・ウィンドミル(グー/ダゲキ)
相手を上から叩きつけ地面に軽く埋め、固定した後にウィンドミル奏法(腕をグルグル回して演奏するあれ)のごとく頭を振り回し、5回目に地面からすくい上げるように弾き飛ばす。
・R3(チョキ/ハサミ)
正式名称は『ロックン・ロール・ロック』。相手を横から挟み、ギターを演奏するかのように大顎を前後左右に動かして攻撃し、最後に無造作に投げる。
・ヘッドバンギングスロー(パー/ナゲ)
正面から挟んだ後上下にヘドバンのごとく振り回し、勢いよく背後に投げる。早い話、ヘドバンしてぶん投げる。
性格
我が道を行き、自分を曲げない。
パートナー
九十九弁々
概要
九十九姉妹や相方のMKにはJ2と呼ばれ親しまれている。外で行方不明になっていたモーレンカンプオウゴンオニクワガタのレオが幻想郷にいるという噂を聞いて幻想郷に行こうと外側の結界付近で四苦八苦していたところを八雲紫とループに見つかり、そのまま幻想郷に入らせてもらった。その時ちょうど「逆様異変」の最中で、打ち出の小槌で九十九神となった九十九姉妹と出会う。音楽を愛する者として自然と楽器の九十九神である彼女たちと行動するようになり、現在ではパートナー化している。
背負っているギター「アースクラウン」は師匠である甲虫から頂いた宝物であり、バカにされるとマジギレする。
普段は人里や妖怪の集落などでゲリラライブを行っている。
マーズ・キング(スコープさん)
愛称
MK
種類
マルスゾウカブト
容姿
真っ赤なマルスゾウカブト。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・最後の力(グー/ダゲキ、特殊技)
・すてみのいちげき(チョキ/ハサミ、特殊技)
・かいふく(パー/ナゲ、特殊技)
性格
仲間思い。仲間のためなら身を呈して守る。
パートナー
九十九八橋
概要
J2とバンドを組んでおり、バンド名「アイアンフラワー」のボーカル担当、バンド一筋で生きてきたため戦闘が少し……いや、かなり異質。基本的にすてみのいちげきで自分の体力もわずかに削りつつ、瀕死で耐えられるギリギリのラインで攻撃を受け、最後の力とかいふくでダメージ……それをチマチマ繰り返していく……のだが、そもそもこの戦法自体があれなため、本人の戦闘能力の低さも相まって大型甲虫のくせに幻想郷最弱の座を争う虫でもある。
しかしボーカルとしての実力は高く、その声はロック以外にも演歌、オペラ、民謡、ジャズ、ラップ、神楽歌……その実力は全てのジャンルで遺憾なく発揮され、ファンも多い。
八橋の演奏に合わせて歌うこともあり、最近はバンド名をアイアンフラワーから
余談だが特殊技で来るアゲハにはミカ、ゴマダラにはバルバトス、ミツバチにはライドと名前をつけている。
ゲイツ(新緑 風龍さん)
種類
オオクワガタ
容姿
角以外の体色は赤で、角部分が黄色。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・ドラゴンアタック(グー/ダゲキ)
・ギコギコスラッシュ(チョキ/ハサミ)
・サイドスクリュースロー(パー/ナゲ)
性格
クールで無愛想。時折ツンデレ。
パートナー
鬼人正邪
概要
ソウゴをこれでもかと言わんばかりに敵視する虫。正邪のパートナーとなり、どこからともなく現れ、ソウゴの邪魔をする。
その理由は、ある予言の本にて『そう遠くない未来、甲虫の魔王が誕生し、幻想郷だけでなく全ての森を支配するであろう』と書かれているのを見て、偶然ムシキングになろうと決意するソウゴを見て、『こいつが魔王になるのか』と思い込むことに。
正邪とは時折喧嘩するが、なんだかんだで身を案じており、他の人からすれば甘い光景を見る羽目になる。
モデルは『仮面ライダージオウ』の明光院ゲイツ/仮面ライダーゲイツ。
種類
オキナワカブト
容姿
カブトムシのミニ版。左目から短い方の角にかけて傷が刻まれている。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・ダンガン(グー/ダゲキ)
・ランニングカッター(チョキ/ハサミ)
・ウチナートルネード(パー/ナゲ)
性格
武士道を体現したような性格。
種類
少名針妙丸
概要
かつて針妙丸に命を救われた過去があり、それ以来彼女に忠義を尽くす。正邪の企てた下克上、それには半信半疑ながらも、革命に闘志を燃やす針妙丸に協力する。
一人称は《私》か《我》。
樹液が好物だが、飢えに慣れているせいか滅多に食事することはない。
ブレッド(スコープさん)
種類
パンカブト
容姿
レッドアイのパンカブト。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・ドラムクラッシュ(グー/ダゲキ)
相手を地面に叩きつけた後、ドラムを叩くかのように角(大顎)で何度も叩いて最後に横1回転の打撃でフィニッシュ。
・リズムチェックゴールド(チョキ/ハサミ)
相手を横から挟み、地面にリズムよく叩きつけながら絞め上げ、最後に上に放り投げる。
・ホットケーキミラクル(パー/ナゲ)
性格
ドラム、ベース、ギターの前や戦闘以外ではおとなしく無口な性格。
パートナー
堀川雷鼓
概要
アイアンフラワーの師匠。J2の技は彼の技をリスペクトしたものが多く、彼も以前使っていたギターをいまだ大切にしてくれていることを嬉しく思っている。
彼は外の世界にて1匹でギター、ドラム、ベース、ボーカルを務め、一虫四役を熟していた……が、ある日を境にギターのみを背負い音楽の世界から去っていった……自身の才能に限界を感じたのだ。そして彼は逸材とも言える2匹組――まだバンド名すら持っていなかったアイアンフラワーと出会い、それ以降は毎日稽古をつけ、自分の持てる技術全てを与えた……そしてアイアンフラワーは彼を超え、彼はそれに満足して遠い異国の地に行くとだけ伝えて去っていった……そして異国の地の楽器の上でひと休みしていると近くを和太鼓の付喪神が通り、拾われた。それが堀川雷鼓である。
その後雷鼓がドラムに鞍替えをした際に少しばかり感傷に浸ったりもしたが今では人里で元弟子たちの演奏を陰から聞いたり、他の音楽好きな虫たちと会話をしたりと楽しんでいる。
深秘録
タケル(深緑 風龍さん)
種類
アルキデスオオヒラタクワガタ
容姿
甲の色が橙色で、頭部にフードのようなものをつけている。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・コンプリートスラッシュ(グー/ダゲキ)
ハヤテとコンプリートスマッシュの合体技で、相手を真上に空高く弾き飛ばし、落ちてくる間に後ろに下がって居合い抜きのごとく地面に当たるギリギリで相手の急所を一瞬で貫く。
・ヨウソウハザン(チョキ/ハサミ)
・ワダツミ(パー/ナゲ)
性格
心優しく温厚だが、命に対しては重く見ている。
パートナー
宇佐見菫子
概要
元々外の世界にいた虫で、菫子のパートナーだった。寿命でこの世を去ったと思われたが、何の因果か幻想郷で復活。時を経て菫子と再会し、また彼女のパートナーとして行動する。
菫子が来ない間は基本人里を見回っており、いろんな人や虫と対話している。目的達成のためなら命を平気で弄ぶ人や虫、自分の命を簡単に捨てようとする人間に対しては怒りをあらわにしているが、他人を犠牲にしないことを第一にしており、自分以外の人を優先する傾向もある。
モデルは『仮面ライダーゴースト』の天空寺タケル/仮面ライダーゴースト。
紺珠伝
コスモ(スコープさん)
種類
プリモスマルガタクワガタ
容姿
白いプリモスマルガタクワガタ。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・ラビットスマッシャー(グー/ダゲキ)
兎のように縦横無尽に跳ね回り、背後を取った瞬間に飛びかかり、体を捻って回転を加えた一撃を与える……小倉も同じ技を使っているが関係性は不明。
・クロスダイブ(チョキ/ハサミ)
・サイクロンホイップ(パー/ナゲ)
性格
いつもふざけている。陽気。
パートナー
清蘭
概要
地上にいる月の都、もとい無数に存在する月の民に仕える虫の1匹。普段は地上の事を報告するだけだが、清蘭や鈴瑚のように月の兎などが地上に派遣された場合、共に行動するようになっている
自分にとって楽しいことばかりをしている快楽主義者で、周りもよく巻き込む。さすがに子供は巻き込まないが、それでも充分迷惑。
時折妖怪に追いかけ回されているのを目撃されることから相当周りに迷惑をかけているのだろう。
因みに月の民に仕える虫は『月虫隊』とも呼ばれ、月虫隊の合言葉は「(゚∀゚)ラヴィ!!」。
サイキ(スコープさん)
種類
ビルマゴホンヅノカブト
容姿
コバルトブルーなビルマゴホンヅノカブト。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・ラビットスマッシャー(グー/ダゲキ)
兎のように縦横無尽に跳ね回り、背後を取った瞬間に飛びかかり、体を捻って回転を加えた一撃を与える……小倉も同じ技を使っているが関係性は不明。
・エアロキャプチャー(チョキ/ハサミ)
・アースクエイスクロー(パー/ナゲ)
性格
真面目で陰気、毒舌。
パートナー
鈴瑚
概要
「(゚∀゚)ラヴィ!!」の時以外はテンションが低くダウナーな甲虫。情報収集を得意とするため戦闘は苦手。ネコ科動物に何故か好かれるが、本人は動物が苦手な為四苦八苦している。ちなみに動物系妖怪はギリアウト。
小倉とは昔会ったことがあるが、その時は「なんか同族いるなー」程度だったこともあり、小倉のことは覚えてない。
最近団子にはまっており、いろいろな味の団子を試している。
なお神経質な相手に毒を吐いて攻撃されるのはお約束な模様……ムシキングのことは「様々な事件の解決を背負わされる人柱ならぬ虫柱」と考えているため、ムシキングを目指すソウゴのことはバカな奴と思っている。
ダビデ(スコープさん)
種類
ダビディスカブト
容姿
紫色のダビディスカブト。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・モンキードリーム(グー/ダゲキ)
相手の周囲をまるで猿が木から木へと移動するように縦横無尽に動き回り、相手の隙が生まれた瞬間に上から突撃して地面にめり込ませる。
・ゴーストハグ(チョキ/ハサミ)
地面に潜り、相手の下から頭部だけを出して胴体を挟む。その後一気に潜ることでダメージを与える(相手は地面に中途半端に埋まり、自分は潜った場所から出てくる)。
・ナイトメアトルネードスロー(パー/ナゲ)
相手をつかんで飛んだ後、上下逆さまの状態でトルネードスローを行う。
性格
ドS。他者が悪夢に苦しむ様や不幸になっている状況を見ると興奮する。
パートナー
ドレミー・スイート
概要
超がつくほどのドS。相手が苦しむのを見るのが娯楽で、唯一の対象外はドレミー。それ以外の者は助けを求められた場合、助けはするが必ずより悪い方向に向かうように仕向ける(最低)。
一応、自然と不幸になる様が好きなため積極的に危害は加えないが……あまりにも不幸が見られなかった場合、ストレスの発散として近くの誰かに喧嘩を吹っ掛け、できるだけ痛めつけようとする。
どっかのドM門番との相性はある意味で抜群である。
ドレミーとの出会いは彼自身の夢をドレミー自身が覗いたために出会い(その時見ていた夢は今のところ不明)、ドレミー自身が彼にパートナーとして活動すること、寝ている間は他人が見ている悪夢の閲覧などを条件に助手のような立場として雇った……そして、たまに夢の世界でも他の虫に喧嘩を吹っ掛ける彼にドレミーは呆れている。「そこまで他人が苦しむ様を見たいか」と。
一人称は《
アマノ(スコープさん)
種類
ペロッティベトナムシカクワガタ
容姿
頭部に三日月型の傷があるペロッティベトナムシカクワガタ。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・ディアツインホーン(グー/ダゲキ)
正面から突撃してすくい上げるように大顎を振り上げる。そして落ちてきたところを大顎で突き、遠くへと飛ばす。
・カワセミハッグ(チョキ/ハサミ)
・サイドスクリュースロー(パー/ナゲ)
性格
礼儀正しく、細かなことによく気づく。
パートナー
稀神サグメ
概要
サグメの能力ゆえに代弁役を務める虫。地上の虫でありながらその礼儀正しさといろんなことに気づく点から特別に月の都に住むことを許されている。奴隷としてだが(なお本人は「まあ安全な生活の対価ですから」と納得はしている)。
月の兎がサボっていたらシバいていいと許可を与えられている辺りは地上の生き物にしては信頼されているようで、桃をよく食べている(どこの桃かは言わずもがな)。
地上で生きる虫たちのことは「天敵の多い中でも生き抜く猛者」として考えており、地上の虫との戦闘では初撃から倒しに行く。
イジス(スコープさん)
種類
エレガンスホソアカクワガタ
容姿
普通のエレガンスホソアカクワガタ。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・エレガントストライク(グー/ダゲキ)
自分の美しさを見せつけるように踊りながら敵に近づき、一瞬の隙を突いて打ち上げる。
・サイズ(チョキ/ハサミ)
・ストライクバック(パー/ナゲ)
性格
ナルシスト。自分が最も美しい。
パートナー
クラウンピース
概要
自己が強すぎて洗脳とか効かないタイプ。地獄には「私の美しさを全ての魂に知らしめるのです!」と言いながらやって来てクラウンピースに気に入られ、地獄に住むことになった(ちなみに純狐に純化されたらナルシストさに磨きがかかった)。
ナルシストすぎてむしろ周りに気配りができるタイプ。美しい私は下々の者にも優雅に対応するのだ……といった思考から基本的に友好的。
(精神的に)強者の余裕。
クスノハ(スコープさん)
種類
パプアミツノカブト
容姿
亊角が長いパプアミツノカブト。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・スティング(グー/ダゲキ)
・サイズ(チョキ/ハサミ)
・S・A・S(パー/ナゲ)
性格
脳内ピンク色。
パートナー
純狐
概要
純狐さえ純化できない恋愛脳。生き物が2体いればそれはカップルの可能性がある、いやそうに違いない……そんな頭ハッピーセット。本虫の事はその一言で事足りると純狐の談。
攻防共に平均的ながらも小柄な体躯を活かした機動能力を持ち、敵を追い詰めていく。空中戦を好み、地上での戦いに関しては機動力が落ちるため苦手。
一人称は《あっし》で男女ペアならニヤニヤ、同性ペアなら「あら^〜」と影から見る。純狐の復讐にも協力的で嫦娥赦すまじの精神を持っている。
クロトシン(深緑 風龍さん)
種類
コクワガタ
概要
体色は左右非対称で白と黒。大顎の色も同様に赤と青。甲には『神』の文字が書かれている。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・スーパーマッドパニック(グー/ダゲキ)
・サイズ(チョキ/ハサミ)
・リバイブゾンビ(パー/ナゲ、特殊技)
勝利して自身の体力が0になるとゾンビのように復活し、3ターン以内に存命できる(つまり4ターンまで耐えれば相手の勝利)。
性格
他者を見下すくらいの傲慢かつ冷酷。命を投げ出す行為を何より嫌う。
パートナー
ヘカーティア・ラピスラズリ
概要
自らを『甲虫の神』と言うほど自信を持っており、かなりエキセントリックでマッドな言動をする。が、その分パートナーであるヘカーティアには頭が上がらないらしく、叱られるとしばらくおとなしくなる。
過去に救おうとした命を救えなかったことを今でも悔いているが、悟られないように嘘をついている。だが命を投げ出そうとする生き物がいるとすぐさま止めに行ったり、説教したりする。
好きなものは苺で、お金をもらったらすぐさま苺を買いに行くほど。案外甘党なのか、スイーツ系を好む(特に苺か苺を使ったスイーツならさらに喜ぶ)。
モデルは『仮面ライダーエグゼイド』の檀黎斗/仮面ライダーゲンム。
天空璋
エイヤ(スコープさん)
種類
エラフスミヤマクワガタ
容姿
黄緑色のエラフスミヤマクワガタ。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・コンプリートスマッシュ(グー/ダゲキ)
・デビルスリーパー(チョキ/ハサミ)
・かいふく(パー/ナゲ、特殊技)
性格
責任感が強く、率先して誰かを助ける。
パートナー
エタニティラルバ
概要
ラルバが幼虫から育て上げた甲虫。好きなものはラルバと花、蝶でいろいろな花と蝶を見て回っている。そのためよく幽香とレックスの二者とは顔見知りである。ラルバのことはラル姉さんと呼び、幽香とレックスのことは風見さん、レックスさんと呼ぶ。
大抵の虫は先輩なのでほとんどの虫が憧れ(一部のドSドM甲虫、オネエなど濃い奴らは除く)。
花を育てる、命を育てるという事を体感しながら成長したため、責任感が強くなり、幼いが故に手の届く物は全てに手を差し出す。
ピタゴラ(スコープさん)
種類
フンボルトヒナカブト
容姿
ブカブカの白衣を着たフンボルトヒナカブト。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・シャークアタック(グー/ダゲキ)
・クロスダイブ(チョキ/ハサミ)
・ローテートX(パー/ナゲ)
性格
アクティブでオタク気質な研究者
パートナー
坂田ネムノ
概要
ひたすらその土地の地質や気候など自然環境に関する研究を行っている。普段……というより本来は地面の下で誰にも知られることなく研究を続けていたが、四季異変の際にあまりのことに地面から飛び出して幻想郷中を回って環境型のサンプルを採取していた際にネムノと遭遇、未開の地にて暮らすネムノに興味を持った彼はそのままネムノに引っついていき(直喩)、彼女の縄張りでいくらかの研究成果と引き換えにネムノの縄張りの環境に関する研究の許可を得た(研究成果は簡単に言うと夏の作物が冬にもスクスク育つように配合した土や水など)。
パートナーというよりギブアンドテイクのビジネス相手のような感覚だが仲はまあ……可もなく不可もなく。時々人里に来て季節外れの作物や果物を売り、研究に使う道具を購入するための金を稼いでいる。
好きな物を語り出すとブレーキをアクセルに改造した新幹線になるし、彼の研究成果(魔改造された土地)によってネムノの縄張りはプチ砂漠、プチジャングル、プチ太平洋など魔境になっているが、ネムノはその環境を意外と楽しんでいたりする(一応ネムノの縄張りの中でも生活に深く関わる場所の環境は変わっていない)。
コジロウ(ヒビキ7991さん)
種類
ゴホンヅノカブト
容姿
全身真っ黒で、背中に"G-546"という番号がふられている。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・バクレツケン(グー/ダゲキ)
ヒャクレツケンの強化版。目にも留まらぬ速さで炎を纏った連続ダゲキを浴びせる。
・夢想封印 コジロウver.(チョキ/ハサミ)
5本の角の先端に各々色の異なるエネルギーを集め、それを中心に集約し放つ遠距離技。霊夢の教えを受け習得したが、霊夢の夢想封印には遠く及ばない。集めたエネルギーを無数の光弾として放つこともできる。
・ちゃぶ台返し(パー/ナゲ)
地面に角を突き刺し、相手ごと地面をひっくり返す。
性格
礼儀正しく真面目で、一生懸命な性格。冗談が効かない。
パートナー
高麗野あうん
概要
コクドウの作ったビートルーパーの1匹。コクドウ曰く、完全な感情と自我を持つ数少ない変異体。元々ビートルズの戦闘員だったが、突如自身の中に完全な感情と自我が生まれ、ビートルズとコクドウのやり方に疑問を抱きビートルズを離れたが、追っ手のビートルーパーに襲われ傷を負い、博麗神社の屋根で気を失っていたところをあうんとソウゴに発見された。その頃の彼には名前がなく、あるのは背中の番号だけ。その際あうんから"コジロウ"という名をもらった(546=コジロウ)。以後、彼はあうんのパートナーとなり、幻想郷の平和を守るため、霊夢やあうんや魔理沙・ソウゴやギルティたちと共にビートルズや異変へと立ち向かっていく。
戦闘力は最初、他のビートルーパーと変わらなかったが、ソウゴたちとの特訓によってギルティと同等に張り合えるまでに強くなった。
ラクシュ(スコープさん)
種類
カンターゴカクサイカブト
容姿
"普段"は普通のカンターゴカクサイカブト。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・クシティガルバ(グー/ダゲキ)
一歩も動かず、じっと力を溜めながら構えて相手が少しでも動いた瞬間に一撃を加える。
・シュリー・マハーデーヴィー(チョキ/ハサミ)
自分の身体を見せつけるように、舞うような仕草で近づき、隙を突こうとした相手を逆に挟み、怪力で絞めつける。
・エーカダシャムカ(パー/ナゲ)
相手を上に打ち上げ、落ちて来たらまた打ち上げる。それを十回繰り返し、11回目に斜めに打ち上げる。
性格
厳格で説教ばかりする。
パートナー
矢田寺成美
概要
普段から魔法の森の地蔵をきれいに掃除しており、ある日矢田寺成美とばったり出会う。龍徒とは腐れ縁で幼馴染。なお2匹で喧嘩するとなぜかラクシュが勝つ。曰く気合いの問題だとか……。
香霖堂の和長を気にかけており、時折寿命を延ばした聖や仙人として不死となった神子たちから話を聞いて、和長の延命方法を片っ端からかき集めている。成美殿や霊夢殿など名前+殿づけで呼び、丁寧語のみで話す……が、説教時はジジイっぽくなり、さらに説教に熱が入ると呼び捨てでなおかつヤンキーみたいな言葉使いになる。そのため一人称は段階的に私→ワシ→俺、二人称もあなた→貴様→テメェといった風に変化していく。
ダゲキ技で力を溜める際に体色が黄金に変化していき、最終的には全身黄金の某聖闘士のごとくキンキラキンになる。その状態は技を打ち終わってから10秒と持たないが、その間の戦闘能力は幻想郷の最強格と五分五分になる……が、それでも無茶をしているので次の日は全身筋肉痛で歩くたび、飛ぶたびに苦悶の声を漏らすことになる(そのためドSに目をつけられている)。
ホープ(スコープさん)
種類
ティティウスシロカブト
容姿
羽が金色のティティウスシロカブト。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・メシアトルネード(グー/ダゲキ)
回転しながらの飛行で相手に突撃、そのまま相手を挟み、回転しながら上昇。そして途中で放り出し、目を回した相手を地面に向けてダンクシュートのごとく叩きつける。
・サイズ(チョキ/ハサミ)
・T4(パー/ナゲ)
性格
他人をからかうのが大好き。けど本気で悩んでる相手はからかったりしないし、本気で他人を困らせるようなことはしない。
パートナー
丁礼田舞
概要
からかえそうな人は放っておけない奴。舞のことをほぼ毎日からかっており、果てには上司もからかう始末。そのたびに緑やその他の甲虫にしばかれている。唯一のトラウマはジャスティスさんであり、一目見ると即座に逃げ出す。一応本気で悩んでいる相手はからかうことはない……が、その分悩みが解決した際のからかいっぷりがすごくなる。密かに相方のクンバーと共に里乃と舞を傀儡状態から解放する方法を模索している。理由?だって自由に動けないじゃないか!
一人称は俺だがからかう時にはコロコロと一人称が変わり、僕ちんやら我輩やらたくさんの一人称を使う。他人はお前呼びが基本で舞と里乃のみ名前で呼ぶ。上司もお前呼び。
クンバー(スコープさん)
種類
クルビデンスオオクワガタ
容姿
全身褐色のクルビデンスオオクワガタ。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・G・G・ラッシュ(グー/ダゲキ)
・デビルイーター(チョキ/ハサミ)
相手を横から挟み込み、まるで噛みつくかのように絞めつけながら相手の頭部を地面に向けて何度も叩きつけ、最後に飽きたかのように放り投げる。
・サイドロックボム(パー/ナゲ)
性格
穏やか。食いしん坊。
パートナー
爾子田里乃
概要
四六時中眠っている。だいたい初めて会った時のことをみんなに聞くと「寝てた」と言われるぐらいには眠っており、眠っている間はループの技をフルコースで食らっても起きない。一時は「眠ってる時は最強説」なるものも立ち上がっていたほどには起きない。
が、起こす方法はもちろん存在し、それはまさかのマッサージである。具体的には腹をなでるようにしながら一定間隔でグッと力を入れると心地よさから起きる。食欲は幽々子の3分の1程度(それでも充分ヤバイが)で、戦闘は寝ぼけながらのものとなるため技の威力はそこそこ……チョキ技を除いて、だが。
里乃との出会った原因は居眠り飛行。飛んでいる際に眠り始め、そのまま里乃の上に墜落。幸い里乃は緑がかばったため擦り傷で済んだが、おっきーなの「私の部下を傷つけようとした罰だ。里乃の相棒として里乃と共に行動せよ」と言う発言によりそのまま成り行きのごとくパートナーとなった(なおその際の出来事を射命丸に知られ、「里乃の許嫁はクワガタ!?」と新聞の一面を飾ることになった)。
種類
エンガノオオカブト
容姿
外見は通常のエンガノオオカブト。そう、外見だけは。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・ゆう気のいちげき(グー/ダゲキ、特殊技)
・ファングブレイカー/スーパーファングブレイカー(チョキ/ハサミ)
相手を横から挟み、跳躍して自身の角を地面に叩きつける。その衝撃を利用して相手を強く絞め上げる(ここまでがノーマル)。その後反動でバク宙、胸角も地面に叩きつけてもう一度絞めつける。
・トルネードスロー(パー/ナゲ)
性格
普段は礼儀正しく、忠誠心が深いが戦いの時には狂戦士となる。
パートナー
摩多羅隠岐奈
概要
小型サイズでなおかつ普段は礼儀正しく、一見強そうではないがその技は洗礼されており、過去に大型甲虫相手を何度も下している。外見的特徴もないため、たかが小型と侮った相手は問題無用で倒される運命にある。ループやグラトニー、カリスマローグなどと戦っても充分互角になると言えば強さはわかると思われる。一番の恐ろしさは戦闘時にネジが外れはするのに、戦術性は失われず、ただバカ力を発揮し続けるだけとも言えるところ(正し口は悪くなる)。
敗北しても並大抵のことでは動じず、少し経てばケロッとしているため、意外と耐久面も強い。
隠岐奈の補佐や秘書のような立ち位置で使い魔のようなことや雑用も熟す。仕事や表では隠岐奈のことを秘神様と呼ぶが、私生活では摩多羅さんと気軽に呼ぶ関係で意外と仲がよい(酒を飲んだりする)。
憑依華
ラーサー&レーサー(スコープさん)
種類
オニクワガタ
容姿
ラーサーは右半身、レーサーは左半身に兄弟と書かれている。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・スパイラルブラザーズ(グー/ダゲキ)
2匹揃って初めて使える必殺技。片方が相手を正面から挟みテコの原理で裏返す。もう片方は尻の方を挟み、最初に挟んだ方も挟み直す。そして裏返しにした状態で時計回りに回転、コマのように相手を回し、その相手の回転の反対側になるように打撃を加えダメージを与える。
・ツヴァイハント(チョキ/ハサミ)
飛び上がり、四方八方から同時に突撃を3回(兄弟のため合計6回の突撃)を行う。
・サルガッソー(パー/ナゲ)
相手の角or大顎を兄弟で挟み、縦に回転して投げ、遠くの地面に叩きつける。
性格
兄は陽気、弟は呑気。
パートナー
依神女苑、依神紫苑
概要
兄弟揃って初めてまともに戦える。その分連携はまさに人馬一体、2匹で1匹で、兄に気を取られれば弟から、弟に気を取られれば兄からの攻撃を受けることになる。
姉妹と仲はよく、そもそも虫なのでお金はないし、ひもじいのもまあまあ慣れている。そういう意味では相性抜群だし、パートナーとしても普通の相性。仲のよい友達程度の関係。
兄はラーサー、弟がレーサーで、実の兄弟。兄と弟の序列は羽化した順番。
兄はハキハキとしゃべり、弟は「〜」と語尾を伸ばす癖があるが声は瓜二つ。一人称は兄は《俺》、弟は《僕》。
香霖堂
和長(スコープさん)
種類
オオコクワガタ(決してオオクワガタでもコクワガタでもない)
容姿
オオクワガタ寄りの体格とコクワガタ寄りの大顎を持っている。パッと見ヒラタクワガタに見えなくもない。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・カオススマッシャー(グー/ダゲキ)
右へ左へとダゲキで回転させフラフラにさせた後、相手の上を飛び越えるようにジャンプしながら胸を挟み、地面に叩きつける。親であるコクワガタとオオクワガタが得意とする技を元に、彼が自分なりのアレンジを加えた技。
・カワセミハッグ(チョキ/ハサミ)
・サイドスクリュースロー(パー/ナゲ)
性格
丁寧でおとなしめ。かわいいもの好き。
パートナー
森近霖之助
概要
香霖堂にて看板犬ならぬ看板クワガタをしている。交雑種である影響で短命であることがわかっており、延命法を霖之助「は」探している。本人は短命であることは気にしていない。
霖之助とは同じように親が別の種族であることからシンパシーを感じている。出会いはある意味運命だったのかもしれない。
かわいらしいものが流れてくると犬小屋ならぬクワガタ小屋の奥にてコレクションされる。美少女人形とか美クワガタ人形ならば即座にコレクション(殿堂)になる
時折人里で人運びのバイトのようなものをしている。霖之助へのせめてものお返しとしてお金をコツコツ貯めてプレゼントを買う準備中。
なお、美少女と同居しているカブトクワガタ勢に対して少し(だけ抑えた熱烈な)嫉妬を向けている。朝起きたら美少女が居るとか何それずるい。結構スケベな僕っ子。
三月精
リドラーバスター(深緑 風龍さん)
種類
パラワンオオヒラタクワガタ
容姿
甲の左右に○と×が対称に描かれており、大顎の色は真っ赤。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・○×カゲロウ(グー/ダゲキ)
変わったダゲキ技で、左右の高速移動で相手の目の前に分身を作ってから○×問題を出題し、相手が間違えると攻撃できるが、正解してしまうと相手の攻撃が当たってしまう。
・ドリルストーム(チョキ/ハサミ)
・あせらせ(パー/ナゲ、特殊技)
性格
口が悪く、思ったことを口に出したり、態度は少々横柄だが社交的。情熱を秘めている。
パートナー
サニーミルク
概要
幻想郷に迷い込み、飛び回っていたところをサニーに見つかり、最初は喧嘩していた。だが徐々にお互いを認め合い、パートナーになる。
博識でどんな時でもクイズを出すほど好きなのだが鶏料理、特にニワトリが嫌いで、見るだけでも逃げだしたり、過呼吸を起こしたり………まあ要するに、この虫の前にニワトリを見せない方がいいだろう………。
モデルは『仮面ライダージオウ』の堂安主水/仮面ライダークイズ、『特命戦隊ゴーバスターズ』の桜田ヒロム/レッドバスター。
キノ(深緑 風龍さん)
種類
アトラスオオカブト
容姿
背中の甲は空色で歯車のようなものが描かれており、それ以外の体色は金色。
すくみ
パー/ナゲ
初期使用技
・グレイシャルバレット(グー/ダゲキ)
身体に氷の力をまといながら弾丸のごとく回転し、相手にぶつかる。
・シンザンキョウ(チョキ/ハサミ)
・大車輪投げ(パー/ナゲ)
基本ダイシャリンと同じだが、飛び上がった後、空に向けて投げ飛ばす。
性格
優しい心を持つお兄さん。
パートナー
ルナチャイルド
概要
自分が誰なのかを彷徨っていたところをルナチャイルドが見つけ、以降はパートナーとして共に行動している。
子供の相手が得意なのか、よく遊んであげたり慰めてあげたりする。
実は誰かの手によって作られた虫なのだが、その誰なのかが思い出せず、思い出そうとするたびに頭が痛くなるらしい。
ただ別れの挨拶をする時は『アディオス』と言ったり、かき氷が好きだったり、彼の存在は謎に包まれている。
モデルは『仮面ライダージオウ』の真紀那レント/仮面ライダーキカイ、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』のザミーゴ・デルマ。
シノビスター(深緑 風龍さん)
種類
アカアシクワガタ
容姿
右足の赤い部分が紫で、左側は金色。甲には手裏剣が描かれている。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・陽炎・改(グー/ダゲキ)
スーパーカゲロウを言い換えた技。
・霧隠れの術(チョキ/ハサミ)
キリガクレとミストクラッシュの合体技。相手が突っ込んできた瞬間に煙を起こしながら姿を消し、足払いをかけ、動きが鈍ったところで相手の後ろから煙と共に現れて背中に飛び込み地面にねじ込む。
・フウジン(パー/ナゲ)
性格
腰が低いが積極的で高潔。正義感が強い。
パートナー
スターサファイア
概要
甲虫忍者界の中で知らぬ者がいないと言われるほど有名だが、今の彼は休暇という名の隠居で幻想郷に滞在している。しかし幻想郷にはこびる悪の虫たちを見て正義感が刺激され、再び戦いに赴くことに。
その際にスターサファイアを見つけ、事情を話し、以降はパートナーとなる。
時折英語を混ぜながら話すこともある。
モデルは『仮面ライダージオウ』の神楽蓮太郎/仮面ライダーシノビ/アナザーシノビ、『手裏剣戦隊ニンニンジャー』のキンジ・タキガワ/スターニンジャー。
儚月抄
デューク(深緑 風龍さん)
種類
ノコギリクワガタ
容姿
レモン色の体色をしており、甲にはレモンの絵柄がある。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・ダンガン(グー/ダゲキ)
・スーパーグリーンアロー(チョキ/ハサミ)
・エンシェントブレイカー(パー/ナゲ)
性格
飄々としており非常に気さくだが、冷酷非道。用心深さと狡猾さも併せ持っており、子供っぽい。
パートナー
綿月豊姫
概要
元地球の虫だが、ある野心を持って月に滞在し、技術などを極めている。地上の民に対しては無関心で、我々に勝てるはずがないと割り切っている。
豊姫とパートナーで、お互いの関係は意外と良好。
ロマンのためなら何でもするらしいのだが、作ったものの一部は使えない代物になってしまい、考えた本人が笑う。
モデルは『仮面ライダー鎧武』の戦極凌馬/仮面ライダーデューク。
ヴァーンフレーダー(深緑 風龍さん)
種類
ヒラタクワガタ
容姿
後ろ羽がコウモリの翼になっており、背中の甲が紫色で、他は真っ白。右目にモノクルをつけている。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・アンダーワールド(グー/ダゲキ)
・スーパーカワセミハッグ(チョキ/ハサミ)
・ポルテリーウィップ(パー/ナゲ)
性格
常に無表情のように見えるが、苦労人。時折壊れる。
パートナー
綿月依姫
概要
月夜見に忠誠を誓った元地球の虫で、今では綿月姉妹の妹のパートナーとして働いている。ほとんどの仕事は全部彼が請け負っていて、疲れきっているような飛び方をしているが、本人曰く大丈夫とのこと(本当に大丈夫なのか?)。
地上の虫などの地球にいるものを見下しているが、それを努力をしない月人にも皮肉を言う。その上で、本当の意味で月人こそ最も偉い種族として日々頑張っているが、ストレスが溜まりすぎると壊れてしまい、発散するまで止まることはないという。
しかも正気に戻った後は何も覚えていないらしい。
モデルは『仮面ライダービルド』の内海成彰/ナイトローグ/仮面ライダーマッドローグ。
茨歌仙
種類
コカブト
容姿
でかい。ヘルクレス級に大きなコカブト。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・
残像を生み出す速さで相手の前後左右に頭突き(ダゲキ)を浴びせ、衝撃で上に飛び上がった相手に追撃として上から頭突きを行う、頭突きの5連撃。
・
相手を脚で抱え、地面に擦りつけながら低空飛行を行い、地面を抉りながら突き進む。通り過ぎた跡はさながらモーセの海割りのようになる。
・
相手を脚で抱え、大きく円を描くように飛び、徐々に円を小さくしながら上昇。頂点に達した瞬間に地面に向けて投げ落とす。相手は地面を穿つように埋まる。
性格
根っからの武闘派で礼節を重んじる。
パートナー
茨木華扇
概要
角がない種類のカブトムシであるため、頭突きによる打撃を使って戦闘を行う……のだが、とにかくまずその大きさが問題。ヘルクレス級の大きさとか名前のコカブトに正面から正々堂々とドロップキックを行うかのようなものである。鍛錬と鍛錬と鍛錬が好きな鍛錬厨、不届き者には正拳突きならぬ正頭突きを食らわせ、眠らせる。
華扇との関係は試合をよくする好敵手、酒もたしなむし時には寝床も共にする(意味浅)。酒には異常に強く、スピリタスを数キロリットル単位で飲んでも平然とするのは当然のこと。
勝負(死合)に関しては自身は卑怯な手は使わないものの、相手が使うのは気にしない。命を賭して闘うのであれば闘い自体に善も悪もなく、生き残ることだけが正義となる……その考えを元に相手に敬意と殺意を持って対峙する。
しかしその分、命を尊重し、尊き物であると断じる。殺すがゆえの敬意を払う。
鈴奈庵
カルボナーラ(スコープさん)
種類
パプアキンイロクワガタ
容姿
青色のパプアキンイロクワガタ。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・ヒャクレツケン(グー/ダゲキ)
・エアロキャプチャー(チョキ/ハサミ)
・S・A・S(パー/ナゲ)
性格
無口だが情に厚い。小鈴と本が大好き。
パートナー
本居小鈴
概要
文字通りの本の虫。いつも本を読んでおり、ジャンルはホラー、恋愛(同性愛系も含む)、ラノベ、哲学、辞書、図鑑、伝記、伝説や神話関係、ファッション雑誌、料理本……ほぼ全てのジャンルを読んでいる。元々は鈴奈庵に通う常連甲虫だったが、いつの間にか小鈴のパートナーとして同居する状態になっていた。
元はホラー小説ばかりを読んでいたが、小鈴に惚れてからいろんな本を読んで小鈴の話す話題に合わせられるようにしている。
声は小鈴以外は聞いたことがないらしく、小鈴は「すごくきれな声で女の人のようだった」と言っており、女声の模様。一応小鈴はなんとなくで言いたいことを理解しているらしく、通訳を行っている。
求聞史記
名前
種類
アカアシクワガタ
容姿
平々凡々なアカアシクワガタ。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・
・
・風車《カザグルマ》(パー/ナゲ)
性格
物静かでなおかつ従順。
パートナー
稗田阿求
概要
転生する稗田に代々仕えるクワガタの子孫。彼も先祖と同じく阿求に仕え、阿求を稗田様と呼び慕っており、稗田に仕えるアカアシクワガタは全て空丸と名を改め、襲名する。
技は稗田の書いた書物の中に記された物(2代目の稗田が記したもの)にある技を受け継ぎ、それだけで稗田を守るのが代々の掟となっている。これは初代空丸の用いた技で、稗田に仕える者として受け継ぐべきもの。
私生活や幻想郷縁起の執筆の手伝いを行い、人らしい生活を送ることを――元より短命の克服方法の発見が空丸たちの役目となっている。
戦闘能力はお世辞にも高いとは言えないが、阿求を守るために全身全霊で闘うため、一筋縄で行くと思う者は一度痛い目を見る。
空丸の名をもらう前の名は『泉』だが、その名前は阿求以外は誰も知らず、阿求は空丸と2人きりの時は泉と呼ぶが、そのたびに空丸はその名はすでに捨てたものとやんわりと断りを入れる。
秘封倶楽部
ラヴィタン(ヒビキ7991さん)
種類
ヒラタクワガタ
容姿
体は黒だが、向かって右が赤・左が青の角と、右が青・左が赤の甲を持つ。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・コンプリートスマッシュ(グー/ダゲキ)
・G・ネックブリーカー(チョキ/ハサミ)
・サイクロンホイップ(パー/ナゲ)
性格
クールでマイペースなナルシスト。ついでに言うと自意識過剰。
パートナー
宇佐見蓮子
概要
本名は"レイヴィット・ターキッシュ"。秘封倶楽部所属のヒラクワガタ。自称"天才物理学者"を語っているが、その腕前はピカイチ。大学内の林で相方の"エヴォラ"と話をしていたところを蓮子とメリーに発見され、秘封倶楽部に招待されメンバーに。その際彼の腕前を気に入った蓮子と半ば強引にパートナーとなる。様々な機械やアイテムの発明を得意とし、メリーが以前迷い込んだ幻想郷という別世界に強い興味を持ち次元転移装置を開発。秘封倶楽部が幻想郷へと向かう道を築いた(ちなみに現実世界側の出口の出現場所は装置を作動させ入口を出現させた場所に固定されているが、幻想郷側の出口の出現場所は使用する度に変わる)。
モデルは『仮面ライダービルド』の桐生戦兎/仮面ライダービルド。
エヴォラ(ヒビキ7991さん)
種類
ギラファノコギリクワガタ
容姿
黒い身体にワインレッドの角と甲を持つ。所々に水色の差し色がある。
すくみ
チョキ/ハサミ
初期使用技
・サブマリンアタック(グー/ダゲキ)
・エアロキャプチャー(チョキ/ハサミ)
・リバーススラム(パー/ナゲ)
性格
享楽的で掴みどころのない陽気な性格。自分から約束を破ったり、味方とした存在を切り捨てることはしない。
パートナー
マエリベリー・ハーン
概要
本名は"エンヴィル・トラサルディ"。秘封倶楽部所属のギラファノコギリクワガタ。大学内の林で相方の"ラヴィタン"と話をしていたところを蓮子とメリーに発見され、秘封倶楽部に招待されメンバーに。その際ラヴィタンが蓮子のパートナーになった流れでメリーのパートナーになる。一度味方した相手を葬る(本当の意味ではなく見捨てるか切り捨てるという意味)のは相手が裏切ってからという、義理堅いハードボイルドとも取れる一面を持つ。だがラヴィタンと秘封倶楽部の面々に関しては永久に味方でいると誓っている。メリーの夢に直接干渉できる存在で、メリーが悪夢にうなされている時は必ず彼が助けに来る。時々倶楽部内でコーヒーをドリップして振る舞っているが、味は微妙(決してまずいというわけではない)。
モデルは『仮面ライダービルド』の石動惣一/エボルト/ブラッドスターク/仮面ライダーエボル。
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野良虫軍団
ディアボロ(さすらいのエージェント)
種類
ギラファノコギリクワガタ
容姿
森の救世主のマティ同様左目に傷跡があり、体にも無数の引っ掻き傷がある。体色は今まで殺してきた人間の返り血を浴びたかのように真っ赤。
すくみ
チョキ/ハサミ
使用技
・サマーソルトプレス、バッファロークラッシュ(グー/ダゲキ)
・G・ネックブリーカー、ブルロック、サイズ、スーパーギコギコスラッシュ(チョキ/ハサミ)
・ローリングドライバー、アースクエイクスロー(パー/ナゲ)
性格
歪みに歪んだ精神を持つ狂戦士。全ての甲虫を破滅に導こうとするほど甲虫たちを憎む。
概要
甲虫たち及び大型甲虫の中では珍しく超必殺技3つと究極必殺技を持った甲虫……いや、甲虫という名の皮を被った化け物と呼んだ方がふさわしい。一人称は《俺》。
ムシキングになりたいと夢見るソウゴを『小僧』呼ばわりし、それ以外は『木偶』、『クソガキ』、『甲虫以下』と見下す。相手がソウゴのようなパートナーの人間だろうと妖怪だろうと容赦せず、時には再起不能に陥れるほどの力を発揮。甲虫にしては樹液やハチミツなどを好まず、生物の血を吸うことでさらなる力を蓄え、しかも全て吸い尽くさなければ気が済まないほど飢えている(ゲイツ曰く『力の亡者』)。
なぜそこまでしてソウゴたち全ての甲虫を殺さなければならないほど憎むのかは今のところ不明。
モデルは『テイルズシリーズ』のバルバトス・ゲーティア。
オズワルド(さすらいのエージェント)
種類
アルケスツヤクワガタ
容姿
全身真っ黒のアルケスツヤクワガタ。前翅に赤いラインが走り、目の色は黄色。
すくみ
チョキ/ハサミ
使用技
・バーニングバースト(グー/ダゲキ)
・スーパーサイズ(チョキ/ハサミ)
まず左右コンビネーションを決める。飛びかかって大顎で相手を引きずるところは同じだが、一旦回転しながら離れて再び飛びかかって引きずり、またさっきと同じことをし、弱らせたところをとどめに空中から大顎を叩きつける。
・サイクロンホイップ(パー/ナゲ)
性格
常に冷めきっており、ひねくれた性格。ディアボロとは違い、自分と組まない者に対しては容赦しない。
概要
見た者は必ず不幸になる『死神甲虫』の異名を持つ虫として恐れられているクワガタ。一人称は《俺》。
ダークロードバグにはやや劣るが威圧感がすさまじく、さらにメンガタとサビーのようなどんなチンピラでも小の方を漏らして逃げてしまうほど。気に入らない相手に対しては『歩く粗大ゴミ』と見下し、相手のお気に入りのものを壊すこともしばしば。よく鼻歌を歌っている。
本編開始前に1人は爆死、もう1人は闇討ち、最後の1人は自殺と立て続けに3人のパートナーを死なせており、そのせいか今の前述のような性格になってしまった。だがこう見えて表には出さないが、彼らを守れなかったことと死を常に悔やんでいる。
モデルは『ケータイ捜査官7』のフォンブレイバー01/ゼロワン。
デストロイヤー(深緑 風龍さん)
種類
セアカフタマタクワガタ
容姿
足以外の体色はマゼンタ。甲はマゼンタと黒の縞々。顎の色は緑色。
すくみ
チョキ/ハサミ
使用技
・ディメンションインパクト(グー/ダゲキ)
左右の連続コンビネーションで相手をふらつかせ、相手を上空に吹き飛ばした後、後ろに下がり、弾丸のごとくぶつかり、吹っ飛ばす。壁にぶつかれば大ダメージ。
・フュージョングレイブ(チョキ/ハサミ)
・エンシェントアックス(パー/ナゲ)
性格
自信家で、誰に対しても尊大な態度を取る俺様キャラ。
概要
数多の世界を渡り歩いていて、『世界の破壊者』と呼ばれることもある虫。料理、スポーツ、営業、音楽など何でもこなす多才ぶりで、多国の言語や異世界の言語も話せたり書けたりなど、その優秀さは計り知れない。
幻想郷に来た理由のひとつは、ソウゴが『甲虫の魔王』にならないことで、時折現れては襲ったり、時には助言や協力してくれたりなど、食えない虫。
ただし本当に魔王になってしまう未来が確約された場合、ソウゴを殺すつもりで来る。
しかもメタ認知もできるらしく、とある特撮ヒーローたちの名言を言ったりする………らしい。あとどこかに笑いのツボがあるらしい。
モデルは『仮面ライダーディケイド』及び『仮面ライダージオウ』の門矢士/仮面ライダーディケイド。
イーストシー(深緑 風龍さん)
種類
グランディスオオクワガタ
容姿
全身の体色はシアン色で、甲はシアンと黒の縞々。
すくみ
グー/ダゲキ
初期使用技
・ディメンションバレット(グー/ダゲキ)
青緑色の光のカードのようなものがイーストシーから渦巻くように伸びて敵をロックオンし、高速回転しながら相手に突進しぶつかりに行く。
・キリガクレ(チョキ/ハサミ)
ちなみに逃げる時も使用。
・エンシェントブレイカー(パー/ナゲ)
性格
『お宝』に対する執着が強く、悪びれる様子もなく外道行為や裏切りを平然とやる一方、気まぐれではあるが情に厚い一面も持ち合わせている。ある虫に対してヤンホモ。
概要
デストロイヤーと同様に数多の世界を旅をしているクワガタ。ただ違うところといえば、その世界にとっての『お宝』を盗むことと、デストロイヤーを追いかけていること(デストロイヤー曰く「鬱陶しい」らしい)。
料理は得意なのだが、ナマコだけは調理できない。食えない(というか食いたくない)らしく、ナマコが大の弱点なゆえに、とりあえずナマコを見せたら退散すると思ってくれればいい。
幻想郷に来たのも『お宝』というものを探しているらしく、いろんな場所に現れては姿を消す。デストロイヤーがピンチな時にどこからともなく現れてはキレているような表情を見せ、襲いかかってくることも(ホモか?)。
デストロイヤーと同様にメタ認知できるらしい。
モデルは『仮面ライダーディケイド』及び『仮面ライダージオウ』の海東大樹/仮面ライダーディエンド/アナザージオウⅡ。
???(スコープさん)
種類
ウスバクワガタ
容姿
黒い布を全身にまとったウスバクワガタ。
すくみ
チョキ/ハサミ
使用技
・ダンガン(グー/ダゲキ)
・レッドスプラッシュ(チョキ/ハサミ)
高速回転をしながら相手の横を5回通りすぎる。通りすぎる際に急所を攻撃する。
・ストライクバック(パー/ナゲ)
性格
不明。人や虫、妖怪を殺すこと以外に興味を抱かない。
概要
神出鬼没の殺戮者。襲う対象は無差別、さらに彼の着けている黒い布はどうやら妖怪のものを加工したもので、気配はそこら辺の雑魚妖怪と同じ。そのため雑魚妖怪と油断した隙に首を落とされるという事態が多発しており、被害に遭った者の中には上級妖怪なども含まれることもあって雑魚妖怪の気配事態に危険意識が高まるほど。
幻想郷の管理人さえも彼がどこから来ているのかを突き止められないことから、幻想郷にて蘇ったジャック・ザ・リッパーとも呼ばれている。そして彼は一切しゃべらないため、より不気味さが際立つ。彼は単独の存在を優先的に狙う傾向があり、団体行動が対策ともされる(それでも狙われる時は狙われるが)。
真相
彼は幻想郷の外から来た。そして無数の妖怪を殺すうちに正体を隠す布、「身隠しの黒布」を手に入れる。それは言わば自身の正体限定の透明マントで、着用中はいかなる相手からも自身の正体がバレない。ただし身体的特徴や鋭い第六感などには無意味。彼自身の本来の性格も無機質然としており、会話を行わず、殺すこと以外に興味を抱かない
メンガタ(天羽々矢さん)
種類
メンガタカブト
容姿
ムシキング通常版と同じ。
すくみ
グー/ダゲキ
使用技
・ローリングスマッシュ(グー/ダゲキ)
・ランニングカッター(チョキ/ハサミ)
・サイドロックボム(パー/ナゲ)
性格
短気で乱暴。
概要
サビイロカブトのサビーと徒党を組んでリリカに絡んでいたチンピラ甲虫。
特にこれといって特徴が無く強くもない、まさにかませ犬ならぬかませ虫。
自称「甲虫界の喧嘩番長」。
最期
夜の魔法の森にてサビーと共にリリカと日花を痛めつけていたところをフォルテに妨害され、日花のスーパーサイドロックボムを食らい敗北。その後ディアボロに遭遇し、サビーを殺した彼に怒りを爆発させ猛攻を仕掛けるも歯が立たず、G・ネックブリーカーで首を変な方向に曲げられ死亡。
サビー(天羽々矢さん)
種類
サビイロカブト
容姿
ムシキング通常版と同じ。
すくみ
パー/ナゲ
使用技
・ダンガン(グー/ダゲキ)
・カワセミハッグ(チョキ/ハサミ)
・ダイシャリン(パー/ナゲ)
性格
嫌味ったらしい。
概要
メンガタと徒党を組んでリリカに絡んでいたチンピラ甲虫。
特に特徴がなく強くもない、かませ虫その2。
虚言が得意で話術が達者であり、リリカが2匹に絡まれたのもサビーの虚言に引っかかったから。
最期
夜の魔法の森にてメンガタと共にリリカと日花を痛めつけていたところをフォルテに妨害され、フォルテのデビルスリーパーを食らい敗北。その後ディアボロに遭遇し、スーパーギコギコスラッシュで首を切断され死亡。
ヘルクス(鳴神 ソラさん)
種類
ヘルクレスオオカブト
容姿
ザックの冒険編に出るエンペラーで、全体の色が白い。右目が見えず、眼帯をつけている。
すくみ
パー/ナゲ
使用技
・ドラゴンアタック、ドラゴニックブレイブ(グー/ダゲキ)
・エンペラーズララバイ、フュージョングレイブ(チョキ/ハサミ)
・ヘルクレススパイラル(パー/ナゲ)
性格
物静かで武神な性格。少し天然なところあり。
概要
強者を求めてさすらう甲虫。一人称は《私》、二人称は呼び捨て。
宴会が開催されるたびに現れてはその場にいる甲虫たちに勝負を申し込む。
1対多でも圧倒する強さを持っていて、本気になればグーとチョキを後者に変えてくる。
鎧凰丸を生涯のライバルと認めており、彼の息子の鎧丸とパートナーのチルノに対して将来的に大きい存在になると考えて彼らの前に時たま現れて修行という名のバトルを挑んでくる。
ルリッド(鳴神 ソラさん)
種類
ヘルクレスリッキーブルー
容姿
ザックの冒険編のシャドウだが、全体の色が暗い青色。
すくみ
パー/ナゲ
使用技
・トマホーク、アンタエウスインパクト(グー/ダゲキ)
・グリーンアロー、マンディブギロチン(チョキ/ハサミ)
・アースクエイクスロー(パー/ナゲ)
性格
好戦的で荒っぽい。
概要
ヘルクスの弟甲虫。一人称は《吾輩》、二人称は《貴様》、基本は呼び捨て、ヘルクスは兄者呼び。
兄であるヘルクスと違い、荒っぽく人を傷つけることを平然とする。
兄にも平然と挑んでは負けているので勝つことを目指している。
短気なところもあって待つことが苦手。
ザミーゴ(深緑 風龍さん)
種類
コーカサスオオカブト
容姿
全身の色は水色で、ソンブレロと寒々しい青いポンチョを身につけている。
すくみ
パー/ナゲ
使用技
・ブリザードシェル(グー/ダゲキ)
キノのグレイシャルバレットの強化版。後方に空高く舞い上がり、身体に氷の力をまといながら高速回転し、相手に突進して弾き飛ばす。砲弾のような一撃があるため、結構強い。
・アクセルグライド(チョキ/ハサミ)
・ノーストルネードスロー(ナゲ)
相手を前からがっちり挟み上げ、竜巻のように高速回転しながら上昇していき放り投げるが、発動中は吹雪が発生し、相手をじわじわと弱らせる。
性格
飄々としつつも気だるげなダウナー口調で相手のことを小バカにするタチの悪い性格で、一匹狼。戦闘狂。
概要
リクトの兄を殺害した犯人で、手当たり次第にいろんな人間や虫を氷漬けしている。基本的に冬に活動することが多く、逆に夏になるとなぜか湖の近くやチルノの家に(勝手に)滞在していることが多い。
冷たいものが好物で、特に氷やかき氷をスナック感覚で食べている。ただかき氷を食ってる時に邪魔されるとめっちゃ怒る。
ディアボロのことを何か知っているそうだが、まるで見下すかのようなことを言う。
モデルは『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』のザミーゴ・デルマ。
種類
マルスゾウカブト
容姿
甲には白い歯車が数個と雷神が描かれていて、首には白いスカーフを巻いている。
すくみ
グー/ダゲキ
使用技
・スーパーハヤテ(グー/ダゲキ)
・イナズマ(チョキ/ハサミ)
・エンシェントアックス(パー/ナゲ)
性格
よくしゃべり、挑発など積極的に行うほど好戦的だが、想定外なことが起きても取り乱さない冷静さもあり、兄を大事に思っている(できているという噂も)。
概要
『ヘルブロス』と呼ばれる兄弟の虫で、紅魔館や地霊殿を襲撃してくる。目的は不明で、喧嘩を売ってはいるのだが、ゼパルに兄である疾風との関係性を知られてしまい、以降はゼパルだけ集中して襲いかかってくる(恥ずかしいゆえに)。
最も、他の人や虫たちにも知られているため、なんとしてでも忘れてもらおうと襲撃しているが………ちなみに弟が受け(殴
どうやらディアボロや王牙にはこの兄弟に因縁があるようだが………………?
モデルは『仮面ライダービルド』の鷲尾雷/エンジンブロス。
種類
アクティオンゾウカブト
容姿
甲には水色の歯車が数個と風神が描かれていて、首には水色のスカーフを巻いている。
すくみ
グー/ダゲキ
使用技
・タツマキ(グー/ダゲキ)
・エアロキャプチャー(チョキ/ハサミ)
・エース・オブ・ザ・トルネードスロー(パー/ナゲ)
究極必殺技を遥かに超えた数少ない技『最終必殺技』とも呼ばれている技。スーパーキングトルネードスローの上位互換で、回転しながら相手弾き上げ、落ちてきたところ捕まえて竜巻を起こせるほどの音速で壁などにぶつかっていき、上空に飛ばした後、最後は地面に叩きつける。ただし大技である分、自身のダメージも大きいため、ここぞという所でしか使わない。
性格
冷静で落ち着いているが、慇懃無礼そのものな態度で他人を見下している。だが弟のことを大事に思っている(できているという噂も)。
概要
『ヘルブロス』と呼ばれる兄弟の虫で、紅魔館や地霊殿を襲撃してくる。目的は不明で、弟である雷電が戦っている一方で何かを探している様子。
なぜかゼパルに微笑ましい目で見られていて、雷電がキレて襲っているが、兄である疾風はなんのことか理解していない様子。ちなみに疾風が攻め(殴
どうやらディアボロや王牙にはこの兄弟に因縁があるようだが………………?
モデルは『仮面ライダービルド』の鷲尾風/リモコンブロス/ヘルブロス。
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本編
プロローグ
〆切りは7/2。応募したい方はお早めに。
2068年の幻想郷、人間や妖怪を問わず人々ががいなくなった時代………幻想郷の甲虫たちは1匹のカブトムシによって支配されていた。
そのカブトムシは他の甲虫たちに畏怖され、ひどい仕打ちを受けても強く言うことはできなかった。
抗う者もいた。『レジスタンス』はその甲虫を始末するため、不満を持つ甲虫たちを集め、襲撃を試みたものの、強大な力によって全滅させられてしまう。そして決まってどこか悲哀に満ちた目をしていた。
レジスタンスが全滅したその日のこと。ある甲虫は言う。
オオクワガタ「甲虫の魔王……我々は………レジスタンスは………諦めんぞ………!我々を滅ぼしても………次の世代が………いずれ…………!」
甲虫の魔王「無理だな」
低く威厳のある声でカブトムシは全てを否定するように答える。
オオクワガタ「何……!?」
甲虫の魔王「例えどれだけの力をつけようが、どれだけの数で攻めてこようが、お前たちに私を倒すのは不可能だ。なぜかわかるか?」
オオクワガタ「………」
甲虫の魔王「私は『
オオクワガタ「………化物……め………………」
レジスタンスの最後の1匹、リーダーであろうオオクワガタが息絶えた。
周りではレジスタンスを倒したカブトムシの圧倒的な力に生き残りの虫たちが恐れおののいていた。甲虫の魔王と呼ばれたカブトムシは玉座に戻り、一面不気味に赤く染まった空を見上げながら呟く。
甲虫の魔王「………そうだ、負けるわけにはいかない。負けてしまったからこそ、私は……彼らを…………」
全身黒い体に黄金の角を持ったカブトムシ。その名は『ダークロードバグ』。『甲虫の王者』にして、『甲虫の魔王』と呼ばれた甲虫だった。
ダークロードバグ「霊夢……魔理沙……ギルティ……ゲイツ……私は…………」
少し離れた地には『甲虫の魔王になる前のカブトムシ』と『たくましい角を持ったコーカサスオオカブト』の石像、そのそばには彼らのパートナーであろう巫女の『博麗霊夢』と魔女の『霧雨魔理沙』の石像が置かれていた。
2018年、現在の幻想郷。あるカブトムシには誰にも譲れない夢があった。そのきっかけは人里の貸本屋、鈴奈庵で『外の世界でかつて森の平和を守った1匹のカブトムシの英雄がいた』という伝記を読んだ。
カブトムシの英雄、すなわち彼は『ムシキング』と呼ばれ、森の守護者として崇められていた。
そんな『ムシキング』を見て、憧れを抱き、そのカブトムシは決意する。自分も『甲虫の王者』になりたいと……『ムシキング』になりたいと。そのカブトムシの名は………。
???「俺にはムシキングになりたいっていう夢がある!」
霊夢「誰に向かって言ってるのソウゴ?」
当代の博麗の巫女を務める少女『博麗霊夢』のパートナーであり、どこにでもいる普通のカブトムシ『ソウゴ』。これはソウゴが『ムシキング』になろうと駆け巡る物語である。
プロローグはここまで。次回から本編スタートです。
ところでYouTubeに配信されてるムシキングのアニメ、すごく面白いよね。生きてこそ神曲だよね。
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刻まれし始まり 前編
思えば活動報告の提供ネタ少ねぇ…。
時は少し前に遡る。ソウゴがムシキングになりたいと言い出したのは数日前。鈴奈庵である伝記を読んでいた時のことだった。
ソウゴ「スッゲェ……俺と同じカブトムシが外の世界で森を守ってたなんて……」
伝記を食い入るように読むソウゴ。文章や絵を余すことなくどんどん目に通す。
彼が読む伝記に書かれていたのは『外の世界でかつて森の平和を守った1匹のカブトムシの英雄がいた』こと。森の妖精の少年と共に捨てられた甲虫たちやそんな彼らを操って森を支配しようとする悪の妖精との戦い……ソウゴはそれらに興味深げな目をしていた。
霊夢「ソウゴ、あんたそれもう1時間以上も読んでるわよ?どこがそんなに気に入ったんだか………」
そんなソウゴに呆れていたのは、当代の博麗の巫女を務める『博麗霊夢』、ソウゴの相棒。見た目は愛らしいが、少々口が悪く短気、たまに暴力的なのが玉に瑕である。
読み終えたソウゴは伝記を閉じると、目を輝かせながらこう言った。
ソウゴ「決めた!俺は王者になる!幻想郷最強の…甲虫王者に!2代目ムシキングに!」
霊夢「………はいはい、1回永遠亭で検査受けてきましょうね~」
ソウゴ「嫌です。あんなマッドドクターな人の治療は断じて嫌です」
と、ざっくり説明すればソウゴがムシキングになりたいという夢を抱いたのはその日からであった。
その夢を追いかけ始めたことがきっかけか、彼の運命が大きく左右されることになるとは誰も知らなかった。
そして今に至る。ムシキングになることを決意したソウゴは今日も鈴奈庵である1冊の本を読んでいた。
【ムシキングになるための本】
ソウゴ「やっぱり誰にも負けないパワーか…そのパワーを身につけるには…」
霊夢「あんた、ホントに飽きないわね……努力したってなれるもんじゃないと思うけど」
青いパプアキンイロクワガタ「………」
相棒がこんなに勤勉なところは見たことがない。霊夢は少しあきれながらも、心の中では感心していた。
そんな1人と1匹の会話を聞いていたのは鈴奈庵の娘、『本居小鈴』。肩に乗っているのは青いパプアキンイロクワガタ『カルボナーラ』。
だがカルボナーラはしゃべることは滅多になく、基本的に無口。そのためいつも小鈴が代弁してくれる。
カルボナーラ「………」
いつも無口で周りには何を言おうとしているかはわからないものの、ずっと一緒にいる小鈴には朝飯前だ。
小鈴「霊夢さん、それはちょっと酷ですよ?誰だって努力すればなれると思いますよ?カルボナーラだってこう言ってます。『99%の努力と1%のひらめきさえあれば乗り越えることができる』って」
霊夢「それはあくまでも過程でしょ?してもしなくても問題ないわ」
小鈴「いえ、問題かと………そういえば霊夢さん、こんな本が出版されているんですけど」
取り出したのは、ある1冊の本。それを手にしてタイトルを見るなり、霊夢は禍々しい怒気を放った。
霊夢「………誰よ、この本出版したの。てか、何このタイトル?『博麗神社の巫女、博麗霊夢。本当に人間なのか?』って……」
小鈴「わ、わわわわ私じゃないですよ!?」
カルボナーラ「………」
本を片手に小鈴の襟元をつかんで睨みつける霊夢。乱暴はダメ、あと静かにしてというような目で霊夢を見つめるカルボナーラ。
一方ではソウゴがちょうど終わりのページに目を通していた。
ソウゴ「ねえカルボナーラ。他にこの本に関連する本はない?」
カルボナーラ「………(あるよ)」
本を読み終えたソウゴに対しカルボナーラが新たな本を渡した。霊夢はまだ小鈴の襟元をつかんで怒りを飛ばしていた。
カルボナーラ「………(止めてくる)」
ソウゴ「うん。ごめんね、霊夢があんなで」
霊夢「ちょっとソウゴ、それどういう意味?」
ソウゴ「何でもないよ。あと読み終わるまで待ってね」
霊夢「はぁ……とにかく、この本燃やしてよ」
小鈴「燃やすなんてダメです!!」
無口なカルボナーラが何を言いたいかは小鈴にしかわからないはず。
なのにソウゴもカルボナーラの言いたいことがわかるのは、なんかわかる気がするらしい。
霊夢「あーもう…とりあえずソウゴ。いつまでもここにいるわけにはいかないし、日が暮れちゃうし、早く昼ご飯の買い物済ませちゃうよ」
ソウゴ「うん」
鈴奈庵の外にて。小鈴とカルボナーラに別れを告げ、昼食の材料の買い物に行こうと店まで足を運ぼうとしたその時だった。
???「目的のカブトムシはっけーん!」
霊夢「ふぇ?」
ソウゴ「ん?」
突然背後から黄色い洋服と緑のスカート、黒い帽子を身につけた少女に声をかけられた。少女の名は『古明地こいし』、種族は覚り妖怪。地霊殿の主人『古明地さとり』の妹である。
頭の上にはパートナーなのか、こいしと同じ帽子を被り、首に緑のスカーフを巻いたグラントシロカブトが乗っていた。
霊・ソ「「…………」」
急に現れたこいしとグラントシロカブトにポカンとする霊夢とソウゴ。するとグラントシロカブトがソウゴに目を向けたかと思うと、頭上から飛び上がってホバリングし、恭しい態度と共にお辞儀しながらこう言った。
グラント「初めまして、若き姿の『我が魔王』」
ソウゴ「はい?」
霊夢「えっと……こいし?」
我が魔王?ソウゴが魔王?
わけがわからず頭の中がごちゃごちゃになり、混乱する。
こいし「その前に自己紹介が先じゃないかな?ウォズ」
ウォズ「おっと、こいしの言う通りでしたね。では………私は2068年の未来からやって来たグラントシロカブト…名を『ウォズ』と申します。以後お見知りおきを、我が魔王」
ウォズと名乗るグラントシロカブトは改めてお辞儀する。
しかし、霊夢とソウゴはウォズの恭しい態度と言葉にますます混乱するばかり。
ソウゴ「いや、その前に……何で俺を『我が魔王』って?」
霊夢「そ、そうよ!何でソウゴが魔王なの?」
ウォズ「………あまりおいおいと説明することはできないが、仕方あるまい。我が魔王のパートナーは確か……『博麗霊夢』で合っているかな?」
霊夢「そ、そうだけど?」
しかしここで立ち話している暇はあまりない。なぜならソウゴと昼食の材料の買い出しをしなければならないのだ。
ウォズはそれを全て見通したかのように霊夢とソウゴに気遣うように言う。
ウォズ「確か何かしらの用事があるようだね。先にそれを済ませてから説明させていただく。それまでどこかで暇潰しさせていただく」
再びこいしの帽子の上に乗ったウォズ。こいしは鈴奈庵の前から去り、ソウゴと霊夢は互いの顔を二度見していた。
ソウゴ「…………今の何?」
霊夢「さあ…………」
買い物を終え、霊夢が住む神社『博麗神社』へ足を運んだ1人と1匹。
ところが博麗神社に到着した瞬間………。
こいし「やっほ~霊夢、ソウゴ~」
ウォズ「ようやく用事を済ませたようですね」
再び現れたこいしとウォズ。霊夢とソウゴは『またか』というようなあきれた目でこいしとウォズを見る。
ソウゴ「また君たちか……あっ、そうそう」
何か思い出したようにウォズはソウゴに問われた。なぜ自分を魔王と呼ぶのか。
霊・ソ「「はぁ!?」」
互いに信じられない顔をするのも無理はない。何しろウォズが未来から来たことも、未来のソウゴが幻想郷を統治しているのも。
ウォズが来たといわれる未来での出来事……それはソウゴが『甲虫の王者』にして『甲虫の魔王』ダークロードバグとして幻想郷に君臨しているとのこと。
話を聞き終えるや否や、霊夢とソウゴは信じられない顔をしていた。
霊夢「そんなわけないでしょ!?ソウゴが魔王になるなんて、ましてや甲虫の王者になるなんて、私が負けて幻想郷が滅んでしまうぐらいの確率よ!?」
ソウゴ「それ遠回しにバカにしてね!?」
こいし「でも嘘はついてないよ。外歩いていたら突然空間が裂けて、そこからウォズが現れたんだもん」
霊夢「だとしてもその虫は外の世界の虫じゃん……」
ますます混乱してしまった。
混乱する霊夢をよそにソウゴは何か考えている。
ウォズ「外の世界……というより…あなた方からすれば並行世界、異世界という意味合いでいいのかな?そう言われても仕方ないですね。ですが私の説明はあくまで未来の出来事。我が魔王が『甲虫の王者ムシキング』を目指す限りは、少なくとも魔王になるという未来があるということをお忘れなく」
ソウゴ「………だったら未来の霊夢は?」
何気ない問いにウォズは少し暗い雰囲気に当てられた。
ウォズ「………我が魔王、それは酷な話です。できることなら、それは話さない方が―――――」
???「おーい霊夢ー、遊びに来たぞ~!」
コーカサス「おーいソウゴ遊ぼうぜ~!」
霊夢「魔理沙!」
ソウゴ「おう、ギルティ!」
ウォズの話を遮るように遠くから声が聞こえてきた。声がした方へ振り向くと、箒に乗った魔女とコーカサスオオカブトがこちらへ向かってきていた。
魔女の方は『霧雨魔理沙』、コーカサスオオカブトの方は『ギルティ』といった。ギルティと呼ばれる甲虫は金色の前翅、黒くたくましい角を持ったコーカサスオオカブト。魔理沙のパートナーにして、ソウゴの親友でもありよきライバル関係でもあった。
ウォズ(……いつかは話さなければならないとはいえ、それを我が魔王に伝えるとなると、きっとショックを受けるだろう………)
こいし「ん?ウォズ?」
魔理沙とギルティの方に顔を向けた霊夢とソウゴにウォズは少しホッとし、こいしはどうしたのというような表情でウォズに声をかけた。
ギルティ「なあソウゴ、こいしと一緒にいる白いカブトムシ、一体何なんだ?」
ソウゴ「未来から来たんだってさ。こいしにはいつも会ってるけど、鈴奈庵から出たらこいしと一緒にいたんだよ」
ウォズ「我が魔王、その魔女とコーカサスはあなたのご親友ととらえてよろしいかな?」
ソウゴ「うん、ウォズ(魔理沙が一番仲いいのは霊夢なんだけどね………)」
飛び上がってソウゴに声をかけたウォズと初対面の魔理沙とギルティは自分たちのことも覚えてもらおうと思い、自己紹介することに。
魔理沙「へー、お前ウォズっていうのか。私は霧雨魔理沙ってんだ。よろしく!」
ギルティ「俺はギルティ、よろしくな!」
ウォズ「霧雨魔理沙にギルティ君ですね。では改めまして、私はウォズ。未来から来たグラントシロカブトにして、古明地こいしのパートナーにございます。以後お見知りおきを」
お互い自己紹介を済ませ、魔理沙が目を光らせる。
魔理沙「なあウォズ。お前未来から来たんだって?だったらお前の時代ってさ、文明とかすごい発達してんだろ?もしそうならウォズにも未来予知とかそういう特異能力も持ってるんじゃないのか!?」
ギルティ「いや、さすがにそれは持ってないと思うぞ…俺が気になるのは何でソウゴを魔王って呼ぶのか」
霊夢「私だって信じられないわよ。そもそも虫が未来から来るとか………」
ソウゴ「でも俺が2代目ムシキングになろうとしているのは事実だ。さすがに闇堕ちして魔王になるのは……」
どうやら魔理沙はウォズが未来から来たことを信じ、ギルティは信じていないようだ。
いや、信じていないのは霊夢も同じだが……それに対してソウゴは半信半疑だった。この場にいるのは本気で信じている魔理沙、ウォズが現れたのを目撃したこいしの2人だった。
こいし「ソウゴが魔王になる話は無視か……そのうち誰かと戦っているうちにわかるか」
???「ガゥΩ☆$※∬ア℃×£♯ンワロ♀■@∞♂○〃Σ*◎〆!!!!!」
3人&3匹『!!?』
突然上空から得体の知れないような雄叫びが聞こえてきた。ソウゴたちが驚いて見上げると、地上20メートル以上離れた上空に1匹のクワガタがホバリングしていた。
ギルティ「な、何だァ!?あの虫!」
こいし「…ウォズ、あれ何?」
ウォズ「あれは……確か……」
クワガタは博麗神社の屋根めがけて飛び移るように着地した後、またすぐ地面に飛び移るようにソウゴたちの目の前に着地した。
ウォズ「世界には様々なカブトムシとクワガタがいるが……まさか猫耳が生えたコガシラクワガタがいるとはね………」
猫耳コガシラ「ア゛ァァァァ…………青太郎、オ前ラ…殺スゥゥ……ソウゴモ…博麗ノ巫女モ…魔法使イモ…ギルティモ…ミンナ殺スゥ………オ前ラ殺シテ……青太郎、最強シテクレルゥゥゥ……………」
自身を『青太郎』と名乗り、喉から絞り出すような声を出す猫耳コガシラクワガタ。ソウゴたちに向けるうつろな目は不気味に赤く光り、まるで正気を失っているようだった。
次回から戦闘ですが、最初の敵が読者提供キャラって……スコープさん、ごめんなさい。
キャラ募集の方は明日で終了しますが、敵キャラとネタはまだ募集してますのでそちらもよろしくお願いします。
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刻まれし始まり 後編
青太郎「☆♯×ゞ¥@±#※¶§¢∂ω…………」
不気味な呻き声をあげ、コヒューコヒューと息をしながらジリジリとソウゴたちに近づく青太郎。
ソウゴ「霊夢、援護して!もしかしたら操られてるのかも!」
霊夢「え、ええ……」
一応警戒態勢に入り、必殺の切り札とも言われる札『スペルカード』を取り出すが。
ウォズ「その前に……我が魔王」
ソウゴ「何だよウォズ。今それどころじゃ―――――」
ウォズ「意思表明をさせてもらいたい。私が話したことは、ほんのひと握りでしかありません。それでも甲虫の王者になりたいですか?」
ソウゴ「そんなの………決まってる……!」
ソウゴは正気を失っている青太郎の前に立ち、睨みつける。
ソウゴ「俺は甲虫の王者になるって決めたんだ!!けれど……俺が魔王になるって言うのなら………誰からも好かれ、霊夢たちを守れる最強のムシキングに………『甲虫の魔王』になる!!」
霊夢の肩から飛び上がったその時、不思議なことが起こった。
全身がまばゆい閃光に包まれたかと思うと、先ほどより人間並に、青太郎並に巨大化したカブトムシが立ちはだかっていたのだ。
だが霊夢たちにはすぐにその正体がわかっていた。もしかしなくてもそのカブトムシはソウゴである。
ウォズ「…………」
巨大化したソウゴにウォズが静かに近づき、彼の決意が真実か否か問う。
ウォズ「………嘘偽りはないですね?」
ソウゴ「ああ!」
ウォズ「わかりました。魔理沙、ギルティ君。我が魔王の援護は無用です。まずはこの世界の我が魔王の実力を見定めてもらいます」
この時、ソウゴの気持ちは霊夢たちに伝わっていた。この決意は本物だ。本当に私たちを守りきるつもりでいると。
しかし正気を失っている青太郎にはソウゴの決意など何ひとつわからず、ソウゴを倒すことばかりで頭がいっぱいだった。
青太郎「オ前、ソコノグラントシロカブトニ魔王トカ呼バレル時点デサラニムカツク……ソウゴ、マズオ前カラ血祭リニアゲテクレルワァァァァァァ!!!!」
魔理沙「うわっ!ホントに操られてんのか!?スッゲェ迫力!」
ギルティ「ソウゴ、ぜってぇ負けんなよ!」
霊夢「そうよソウゴ!あんたがホントにムシキングになるってんなら私たちに実力見せてみなさい!」
ソウゴ「無論そのつもりさ!来な、青太郎!必ず元に戻してやるぜ!」
青太郎「ホザケェェェエェエエェ!!」
猛り狂う牡牛のように青太郎は突進するが、ソウゴも負けじと青太郎に飛びかかる。
ソウゴ「まずはフック!次もフック!」
青太郎「グォ!?ガァ!?」
ソウゴ「懺悔しやがれ!これがダゲキ技『ローリングスマッシュ』だぁ!!」
左右コンビネーションを決め、全身回転打を浴びせるダゲキ技『ローリングスマッシュ』。最後の一撃を食らった勢いで近くの大木に叩きつけられる青太郎。
青太郎「グゥゥゥ……貧乏巫女ノパートナーノ分際デェ………!」
ソウゴ「ちょっとカッコつけてみたけど、結構効いたの……かな?」
霊夢「効いたも何も、ちょっとどきなさい」
ソウゴ「え?」
大木に叩きつけられた青太郎に霊夢は微笑みながら額に青筋を浮かべて近づき、そのまま大顎をつかんでギリギリと締め上げ出した。
さあ青太郎、殺意の笑顔を浮かべる霊夢の顔を見るなりもうたまったものではない。赤い目から怯えの色が現れた。
青太郎「ナ、何ナンダソノ笑顔!?青太郎、何カ変ナコト言ッタ!?」
霊夢「あなたねぇ…………知らないと思うけどいつもうちの神社に奉納してくれる虫が最近現れたのよねぇ♪あのバカ妖精がパートナーの忍者虫がねぇ♪」
青太郎「バカ妖精専用忍者虫………ソウカ、アノ絶対正義ノ心ヲ持ツ父親ノ息子カ!」
霊夢「私の前で禁句言って絡まれるなんてとんだ災難ね。私はソウゴとは違うわ………正気に戻ってもボッコボコにして差し上げないと気が―――――」
大顎を握る力をさらに強めたその時、急に肩にポンと手を置かれた。
手と共にある黄色い長袖。こいしの手だった。
魔理沙「こいし?」
ギルティ「ウォズ?」
こいし「霊夢~?今はソウゴが戦ってるでしょ~」
ウォズ「霊夢、今は我が魔王の実力を見てもらう時間だ。手荒い真似はしたくないが邪魔しないでもらいたい」
こいし「というわけで………『キャッチアンドローズ』!!」
霊夢「ギャース!!」
ピチューン
こいしのスペルが発動され、霊夢はもろに直撃した。
霊夢「な、何……でぇ………」ピクピク
ウォズ「どうも失礼。このまま放っておけば『儀』ができなかったものでね」
魔・ギ「「儀?」」
儀とは何ぞやと言わんばかりに首をかしげる魔理沙とギルティ。こいしのスペルを食らい、ダメージが大きかったのかピクピクと体を震わせる霊夢。
だが、こいしのスペルを食らったのは霊夢だけではなかった。
魔理沙「ところでこいし。霊夢を止めたのはいいけど、そこで巻き添え食らった虫2匹誰だと思ってんだ?」
こいし「え?あっ!!」
そう、少し遡ると青太郎は霊夢に対し貧乏巫女と呼び、大顎をつかまれた。ソウゴの実力を見せる邪魔をしないでほしいとウォズは言い、こいしはスペルを発動させた。その近くには青太郎とソウゴ。
つまり青太郎は霊夢に大顎をつかまれた状態だったので回避できずに被弾、なぜか無関係のソウゴまで巻き込まれてしまったのだ。
青太郎「ヴヴヴヴヴゥゥゥゥ………」ピクピク
ソウゴ「俺も巻き添えにしないでぇぇぇ………」ピクピク
こいし「ああ………ごめんね。霊夢を止めるためにはそうするしかなかったの」
ウォズ「我が魔王、ご無事ですか?」
すぐにソウゴの安否を確認するが、命に別状はない。安心すると同時に青太郎を横目にこう伝える。
ウォズ「だが青太郎も巻き込まれたということは……今がチャンスです、我が魔王。我々甲虫は………そうですね、例えば先ほど我が魔王が出したダゲキ技、ローリングスマッシュ。あれ以外にも強力な必殺技を持っているのはあなたもご存じのはず」
ソウゴ「………俺とギルティみたいなカブトムシはナゲかダゲキ………クワガタならハサミかダゲキ………青太郎のすくみはチョキでハサミだからあいつの方が有利だよな………でも待てよ?さっきこいしのスペルでかなりのダメージ食らってるし、俺が得意なあの技見せれるじゃん!」
ウォズ「その通りです。あなたの一番得意とする必殺技で青太郎を正気に戻せるはず!」
ソウゴ「っしゃあ!やってやるぜ!!」
意気込むソウゴに青太郎はふらつきながらも立ち上がり、殺意を秘めた赤目でソウゴを憎らしげに睨みつける。
青太郎「オノレ……コウナレバセメテ貴様ダケデモ……………!!」
おぼつかない足取りでソウゴに近づくも、先ほどのダメージのせいで思うように前に進めない。
そんな青太郎にソウゴは襲いかかり、前からガッチリとつかんだ。
ギルティ「青太郎の足が浮いた!てことはあの技…!」
魔理沙「出やがった!ソウゴが得意なあの風を巻き起こす回転技!」
ソウゴ「風よ、唸れ!『トルネードスロー』!!」
そう叫ぶと、魔理沙の言う通り青太郎をつかんだまま竜巻のごとく大回転。
目を回したのを確認すると、そのまま遠くへ放り投げたのだった。
ソウゴ「どっせーい!!」
青太郎「ヌ゛ア゛ァァァァァァ!!」
ズシイイイイイイイイン
放り投げられた青太郎はなす術もなく地面に落下。そのままピクリとも動かなくなった。同時に目の赤い光が消える。
ソウゴ「勝った……これで青太郎は正気に戻ったはず」
ウォズ「こいし、我が魔王の『勝利の儀』の準備はいいか?」
こいし「オッケー!」
ギルティ「ん?勝利の儀?さっきウォズが言ってたのって、まさか…」
先ほどのウォズの言葉『儀』を思い出し、全てを悟ったように察した。
こいし「静まれ~!そして崇めよ~!魔王ソウゴの勝利を祝うがいい~!」
ソウゴの横に立ったこいしは彼の前足を手に取り、天へと掲げる。
同時にウォズも威厳のある声でこう叫んだ。
ウォズ「祝え!全甲虫を凌駕し、時空を超え、過去と未来をしろ示す『甲虫の王者』!その名もソウゴ!!今ここに勝利が刻まれた瞬間である!!」
魔理沙「……………」
ギルティ「……………」
いちいち必要なのかと言わんばかりに魔理沙とギルティはポカーンと口を開けてしまった。
霊夢「………それいちいち必要なの?」
霊夢も同じように呆れていた。
ソウゴ「なんか恥ずかしい……」
???「青太郎ォ!!こんな所にいたんだ!」
階段の方から少女の声が聞こえてきた。そこに現れたのは猫耳と2本の尻尾を生やした少女『橙』。様子からして青太郎のパートナーであろう。
後からサイズはソウゴより大きいブルマイスターツヤクワガタが橙を追うように現れた。背中にはどういうわけか『S』というアルファベットが刻まれている。
ブルマイスター「待ってくれ橙!青太郎が心配なのはわかるが………って青太郎がボロボロに!?」
霊夢「橙!?そっちの虫は!?」
青太郎「………」キュー
目を回して倒れている青太郎を見つけるなり、ブルマイスターツヤクワガタはソウゴの方へ目を向けた。
ブルマイスター「お、おい君!?」
ソウゴ「はい?」
ブルマイスター「一体誰が青太郎にこんなことしたんだ!?」
ソウゴ「ちょっと待ってちょっと待って!?え、あんた誰なの!?」
ブルマイスター「ああ、失礼。俺は外の世界からやって来た『昆虫国際警察』の警官、ケイジロウだ」
魔理沙「け、警察!?」
混乱するソウゴたちにケイジロウと名乗るブルマイスターツヤクワガタは警察手帳を見せる。
するとウォズが説明するために前に出た。
ウォズ「警察の方ですか。失礼ながらあの者は我が魔王に倒されました。ですがこちらが応戦しなくては、我が魔王だけでなく霊夢たちがやられていた可能性もあります」
橙「どういうことなの?」
ウォズ「えっと、青太郎………でしたか?彼はいきなり襲いかかってきました。しかも彼の目は赤く光り、我を失っていた様子でした」
橙「青太郎はそんなことしない!だって青太郎は臆病で泣き虫だもん!」
だが青太郎はソウゴたちを始末しようと襲いかかってきた。ウォズの言葉とソウゴたちが目撃したことに間違いはない。
にもかかわらず橙には信じられず、あり得ないというような表情で首を振った。
ケイジロウ「橙、何気にひどく言ってないか?」
ギルティ「子供は純粋だからなぁ……」
霊夢「………」
なぜか霊夢がソウゴをジッと見つめている。
ソウゴ「霊夢、何で俺を見るの?」
ケイジロウ「だが……青太郎が赤目?」
ソウゴ「そうなんだ。鈴奈庵で読んだ伝記に出てきた『赤い目をした虫たち』のような感じが……」
ギルティ「あ、それ俺も読んだぞ。確か『森の妖精の少年と共に捨てられた甲虫たちやそんな彼らを操って森を支配しようとする悪の妖精との戦い』って………」
ソウゴ「ギルティも読んでたんだ!!」
ウォズ「待て、その悪の妖精というのは『アダー』と呼ばれる老人か?」
ソウゴ「うん。でもアダーはすでに死んでるはずだけど………何で青太郎が?」
ケイジロウ「後で徹底的に調査する必要があるな………ともかく、今は青太郎が気絶しているが、止めてくれたことに感謝する。君、名前は?」
ソウゴ「あ、俺は…」
名乗ろうとした途端、ウォズがそれを遮るように口を開いた。
ウォズ「待ちたまえ」
ソウゴ「ウォズ?」
ウォズ「とりあえずあれを言っておかなくては……」
こいし以外全員『?』
何をしたいのかわからず、ソウゴたちは首をかしげた。
そしてウォズは青太郎に勝った時と同じように威厳のある声でこう叫んだ。
ウォズ「ひれ伏せ!彼こそ『甲虫の王者ムシキング』になる男、ソウゴ!そのパートナーの博麗霊夢、魔王たるソウゴとその家臣であるウォズ!三位一体となって未来を創出する甲虫の王者である!!」
こいし「王者であるぞ~!」
こいし以外全員『……………』
カマシスギッ!
この場にいる全員がポカーンとしてしまった。
こいし「…あれ?」
ウォズ「あー…ゴホンッ、である!」
ソウゴ「ちょっと!?何なの!?」
ウォズ「何とは?」
霊夢「そもそも何なのそれ!?」
ウォズ「決まっているではないか。気絶であるとはいえ、我が魔王はまず青太郎に勝利したのだ。それを喧伝しなければならない」
ケイジロウ「あー…んと………その………ソウゴ君で……いいんだな。えっと……精神病とか知らないから精神科の病院紹介できないんだ………強く生きろよ?」
気遣うように苦笑しながら気絶した青太郎を背負って言った。
ギルティ(あ、これ警官に痛い子認定されたっぽいな……)
ソウゴ「解せぬ」
ケイジロウ「とりあえず橙、まずは青太郎を永遠亭に連れてこう」
橙「うん、おじさん!」
ケイジロウ「いや、だからおじさんはやめてくれ橙……」
博麗神社を去る橙とケイジロウに別れを告げたソウゴたちであった。
そんな中、とある木の枝にソウゴたちが橙とケイジロウに別れを告げるところを眺める1匹のクワガタがいた。
マゼンタのセアカフタマタ「………あれが甲虫の魔王になると言われるソウゴか。なるほど、確かにあいつの可能性は未知数だ」
そのセアカフタマタクワガタはソウゴを評価するような目で見ており、そう呟いた。彼の名は『デストロイヤー』。数多の世界を渡り歩くクワガタだ。何か目的があって幻想郷へ来たのだろう。
だがこの時、デストロイヤーは気づいていなかった。背後からもう1匹のクワガタが忍び寄ってきていたことを。
デストロイヤー「まあ、もし甲虫の魔王になるような未来に確約されてるならこの世界を破壊するしか―――――」
シアンのグランディス「やあ、デストロイヤー。こんな所にいたんだね」
デストロイヤー「ゲッ、『イーストシー』!?」
もう1匹のクワガタことグランディスオオクワガタのイーストシーはソウゴたちを見るデストロイヤーに話しかけるが、彼は思わず嫌そうな顔をしてしまった。
イーストシー「もういい加減ナマコを食べられるようになった?」
デストロイヤー「お前に言われたくない。てか、何セクハラしようとする?ナマコぶつけるぞ」
イーストシー「残念だけど幻想郷には海がないからナマコは…」
デストロイヤー「言うと思った。ほい」
イーストシー「え゛?」
デストロイヤーは自分の持っている荷物からあるものを取り出した。
イーストシーの言う通り、幻想郷には海はない。海はないはずなのだ。にもかかわらずデストロイヤーの荷物からは………ナマコが出てきたのだ。
イーストシー「何でナマコ持ってるの?」
デストロイヤー「どうした?お前はナマコ食えるんだろ?」
イーストシー「あ……えーっと、僕ちょっと用事を思い出した。そろそろ行かなくては。『キリガクレ』」
煙に紛れて姿を消し、上から挟み込んで地面に埋めるハサミ技『キリガクレ』。本来ならその攻撃のはずだが、去るためにも使用できるらしい。
逃げるように姿を消したイーストシーにデストロイヤーはため息をつく。
デストロイヤー「………幻想郷の住民にナマコでも渡そうかな。イーストシー対策として。あいつ絶対お宝狙うからなぁ……」
ところ変わって、ある森にて。
血のように赤い体色のギラファノコギリクワガタが雑魚妖怪の死体の生き血をすすっていた。
???「ペッ、まずい。クソガキ共の相手をするのはもう飽きた。まだまだ足りねぇなぁ………こんな血じゃ全く満たされねぇ………」
その血を吐き出した後、大顎で死体の首を切断し、空を睨みつける。
???「もっと生き血が欲しい。もっと殺して、もっと血が欲しい!甲虫のクソ野郎共を1匹残らず殺し尽くしてやる………!!」
悪も動き出そうとしていた。
左目と全身に負った引っ掻き傷が特徴的なギラファノコギリクワガタ、その名は『ディアボロ』。ある理由でソウゴたち全ての甲虫の存在を憎むクワガタだった。
敵キャラとネタはまだまだ募集中です。
異生神妖魔学園の方はもうしばらくお待ちください。
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広まった噂
魔理沙「霊夢、ソウゴ!今日の新聞読んだか!?」
ソウゴ「何だようるせぇな。もうすぐ朝ご飯なのに」
霊夢「ていうかまだその新聞取ってたの?飽きないわねぇ…」
ギルティ「飽きないも何も、これ見てくれよ!」
翌朝、朝食の準備をしていた霊夢とソウゴだったが、ギルティに乗った魔理沙が慌てた様子で飛んできた。
魔理沙の手には幻想郷各地で起こった様々なニュースが載っている新聞『文々。新聞』。一体何だと言わんばかりに霊夢とソウゴは新聞の記事をひと通り読んでみることに。
しばらく無言でいた霊夢とソウゴだったが、やがて目に驚愕の色が現れた。
霊夢「なっ!?」
ソウゴ「……な、何なんだよ……これ…………」
【博麗神社に住むカブトムシ、夢は甲虫の王者にして魔王!?】
霊夢とソウゴは言葉を失った。思い当たる節といえば昨日ソウゴが青太郎を倒し、こいしとウォズによる勝利の儀が行われたことだ。
喧伝すると言っていたウォズだが、あの場にいたのは霊夢、魔理沙の2人とソウゴ、ギルティの2匹。いくら未来から来たウォズでもあっという間に各地にそんな噂を広められるのは不可能な話だ。となればこんなことをするのはあいつしかいない。
ふとソウゴに目を向けた魔理沙とギルティ。どういうわけか歯を食い縛り、体を震わせていた。
ギルティ「お、おいソウゴ…?」
魔理沙「……話しかけない方がいいんじゃね?よく見たらこいつ………怒ってんじゃ?」
ソウゴ「…………レだよ」ボソッ
霊夢「ふぇ?」
ソウゴ「正当ギレだよ!!!いくらウォズでも幻想郷各地に『俺がムシキングになる』って噂広める力持ってると思うか!!?みんな聞いてねぇだろ!!!霊夢も、魔理沙も、こいしも、俺も、橙も、ケイジロウさんも!!!ギルティだってそう思ってただろ!!?」
ギルティ「朝から声デッケェな……ひと目見てすぐわかっちまったよ。てことは………あの噂広めたのは………あの天狗なんじゃねぇのか?白狼と電波使う奴じゃない奴」
ソウゴ「そうかそうか、あの烏天狗か…………」
改めて噂を広めたであろう烏天狗への殺意を飛ばすソウゴであった。
魔理沙「………後でゼリー買ってやるから落ち着いてくれ」
ソウゴ「え、ゼリー!?マジで!?何味!?」
魔理沙のゼリーという一言で一変したソウゴ。目を輝かせながら何味のゼリーを買ってくれるのか問うた。
霊夢「何でソウゴたち甲虫ってゼリーとか果物とかで怒りが鎮まるのかしら」
ギルティ「悪りぃ、その辺は俺も知らん」
同刻、地底にて。
さとり「ん?どうかしましたかウォズさん?」
旧地獄のほぼ中央に建てられた巨大な屋敷、地霊殿。その当主でありこいしの姉であるさとりが急に箸を止めたウォズに声をかけた。霊夢とソウゴが新聞を読んでいた頃、さとりたちは朝食の最中だった。
ウォズ「失礼、どこからか我が魔王の殺意が飛んできた気がしてね。ところで君たちは新聞を読んだのかい?我が魔王の件なんだが―――――」
八咫烏「うにゅ?『ちり紙を食ったのかい』?」
赤紫のタランドゥス「え!?ちり紙食べたのお空!?」
火車「いや、何でそうなるの?」
さとり「そこじゃないわよお燐」
どこをどう聞き間違えたらそうなると言わんばかりの八咫烏と彼女の相棒であろう、それに乗ってしまう赤紫のタランドゥスツヤクワガタ。お気に入りだろうか、彼の右の大顎には赤いスカーフが巻かれている。
名は八咫烏の方は『霊烏路空』。タランドゥスツヤクワガタの方は『ライジングキャッスル』、コードネームは『赤羽』。灼熱地獄跡の温度調節の仕事をしているペットと甲虫だった。
ベレー帽のクロゴホンヅノ「素で言うからな、お空は。ハハハ」
お燐と呼ばれた猫耳と三つ編みの火車の相棒であり、ベレー帽を被った青白いクロゴホンヅノカブトがいつものことさといった表情をし、笑いながらジュースを飲む。
名を『キュアノスリュコス』、コードネームは『青羽』。お燐と呼ばれるゴスロリ風のペットこと火車『火焔猫燐』と共に旧地獄で死体運びの仕事をしている。だが本人曰く、慣れないとのこと。いつも運び終えるたびに燐に見えない場所で吐いているんだとか………。
ニット帽のファブリースノコギリ「それでウォズ、何の話?」
そしてさとりの相棒であるファブリースノコギリクワガタがウォズに問う。黄色いニット帽を被り、緑と黄色の美しいグラデーション。その名は『キトゥリノセイレーン』、『黄羽』というコードネームを持っていた。
ウォズ「我が魔王の件だよ。確かに私は勝利の儀をした……幻想郷中の皆に伝わるのはいいのだが、私はそこまでの影響力はあっただろうか?」
こいし「うーん、でもこの新聞書いてる人って『射命丸文』なんだよね」
さとり「……またあの烏天狗か」
ウォズ「………ちょっと急用を思い出した」
箸を置いたウォズは飛び上がると、こいしの肩の上に乗る。
ウォズ「こいし、その射命丸の家に案内してくれ」
こいし「はーい」
セイレーン「ちょちょちょちょちょ!?ウォズ、何しに行くの!?」
ウォズ「何って、今から射命丸の家に行って、彼女とじっくりO☆HA☆NA☆SHIしてくるだけだよ。もちろん二度と新聞を作れない程度で説教するつもりさ」
ヤリスギィ!
さとり「それ天狗たちにカチ込みしに行くって言ってるようなものよね!?」
セイレーン「落ち着いてよウォズ!?いくら何でもまずいよ!」
ニンマリと悪魔のような笑みを浮かべるウォズにセイレーンは思わず大顎でウォズを挟み、共にこいしの肩から転げ落ちてしまった。
空「え?『カチ込みゼリーを食べに行く』?」
リュコス「いや、どういう耳してるんだ?」
ウォズ「全く、黄羽君。なんと乱暴な…」
セイレーン「自分でも結構痛い……背中が……」
体についたホコリを落としながらウォズは再びテーブルに着いた。
だがお互いダメージはあったようだ。セイレーンも床に落ちた際、背中を強打していたのだ。
燐「ウォズ?後でデザートにゼリーあげるからまずは落ち着こう」
ウォズ「安心したまえ。私はいつだって冷静。説教だけで済ませる」
さとり「心の中で『射命丸死スベシ、慈悲ハナイ!』って思ってる時点で説得力ないですよ!?」
キャッスル「てか、飯の後に行けばいいんじゃねぇのか?こっちは早くお空と一緒に灼熱地獄跡の温度調節しなきゃなんねぇんだから」
リュコス「おいおいリーダー!?」
ウォズ「………それじゃあ朝食を食べてからにしよう」
こいし「その後出発だね~!」
燐「………一応…止まった……のかな?」
セイレーン「いや、まず止める方法を考えようよ……赤ちゃんと空ちゃんはダメっぽいし………」
リュコス「だよなぁ………俺たち地霊殿三羽烏でしっかりしてるのは俺しかいねぇし……リーダー、あんなんでいいのかな………」
空「うにゅ?」
リュコス(いつも思ってるけど『うにゅ?』じゃねぇよ!よけい心配になるわ!)
ちなみに赤ちゃんとはセイレーンがキャッスルに対して呼んでいる愛称。リュコスに対しては『青ちゃん』である。
一方、人里の鈴奈庵。
カルボナーラ「………ソウゴ、『王者』と『魔王』の意味わかってるのかな」
小鈴「いつもムシキングになるための本読んでたからわかってるんじゃないかな?不吉なことが起こらなければいいんだけど……」
どうやらこのコンビもあの新聞の記事を読んでいたようだ。
もしソウゴが本当に悪の魔王として君臨したら?カルボナーラはそんなことを想像したが、思わず悪寒で身を震わせてしまった。青ざめると同時に元から青い体がさらに青くなり、青黒い体となった。
カルボナーラ「……………」ガタガタガタガタガタ
小鈴「どうしたのカルボナーラ?風邪でも引いたの?」
そして、とある場所では………。
天邪鬼「へー、こいつがねぇ?」
オオクワガタ「やっぱり疑って正解だったか…」
建物の陰で1人の天邪鬼と1匹のオオクワガタが霊夢とソウゴが読んだ同じ新聞の記事に目を通していた。
赤いメッシュが入り、サンダルを履いた天邪鬼の方は『鬼人正邪』。ある異変がきっかけで幻想郷のお尋ね者となった少女だった。黄色い大顎と赤い体が特徴的なオオクワガタの方は正邪の相棒『ゲイツ』。お尋ね者の正邪と手を組み、共に逃げている甲虫である。
記事に目を通したゲイツが真剣な眼差しで正邪に顔を向け、こう言った。
ゲイツ「あいつは魔王になる。正邪、俺の言いたいことはわかるな?」
正邪「わかるわかる。こんな奴が強者に成り上がったら、多くの弱者たちが横たわってしまう。なら、やることはひとつ…」
正邪の口元がニヤリと不気味に歪む。
ゲイツ「あいつがいる博麗神社を襲撃するぞ!」
正邪「オッケー!」
自分を倒した博麗の巫女への下克上にもちょうどいい。
すぐに新聞を丸めて地面に投げ捨てた後、正邪とゲイツは見つからないようにその場を去った。
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ひねくれ少女と救世主クワガタ
八雲邸。ここは幻想郷の管理者であり妖怪の大賢者である『八雲紫』が住む屋敷である。
住んでいるのはその大賢者だけではない。彼女の式である狐の耳と9本の尻尾を生やした女性『八雲藍』、そしてコガシラクワガタの青太郎のパートナーである橙の3人が住んでいた。
最も、八雲一家と青太郎以外にも住んでいる甲虫は他にもいるのだが………。
ケイジロウ「………あの、藍。話があるんだが」
ケイジロウである。ケイジロウは昆虫国際警察の刑事にして、藍のパートナー。彼女と共にいつも犯人がいないか幻想郷中を見回っているクワガタだった。
藍「後でな。今はかわいいかわいい橙をめでなければならない」
ケイジロウ「いや、その橙のことで…」
???「諦めよケイジロウ。こうなればめで終わるまではあのままだ」
ケイジロウ「何…………だと…………?」
ちゃぶ台の上に立ち、緑茶を口にしながらパラワンオオヒラタクワガタは威厳のある声で遮るように言った。
そのパラワンオオヒラタクワガタは紫と同じ帽子を被り、名を『ループ』と言った。だがこう見えて性格は意外と悪いとのことだが………。
ケイジロウ「………それはそうと新聞にソウゴ君が魔王になるっていう記事があったが、事実なのか?」
ループ「いや、たぶん文がどこかでパパラッチして記事を作ったんだろう。ところでケイジロウはソウゴを見てどう思った?」
ケイジロウ「どうって………痛い虫であるのは確かですね。可能性は秘めているが、ソウゴ君が魔王になるとは思えないなぁ」
予想通りだった。昨日ギルティが考えていた通りケイジロウはソウゴを痛い子と認定していたようだ。
紫「まあ、どうとらえるかは人次第よ。いや、虫次第とも言えるかも……でもこれのせいで命が狙われないことを祈るしかないわ」
ケイジロウ「なぜですか?紫さん」
表情を曇らせる紫。それもそのはず、昨日赤い目をした青太郎がソウゴたち甲虫のみならず霊夢たちを襲ったのだ。
甲虫同士の戦いならよくある。橙が言っていたようにパートナーのいる虫が突然赤目となり、人を襲うなどあり得ない。となるとどこかに青太郎を赤目にした元凶が潜んでいるとでもいうのか?
紫「私の予想だと、誰かがソウゴ君の命を…いや………下手したらこの幻想郷に巻き起こる何かが動こうとするかもしれない……」
ケイジロウ「………………本当ですか?」
ループ「さあのぉ。まっ、のんびり待つとするかね」
のん気そうにそう言った後、大顎でせんべいを持ち、バリバリと食べ始めてしまった。
ケイジロウ「うぉぉぉい!!起きてしまってからじゃ遅いんですよループさん!!」
紫「まあまあケイジロウ。異変が起きても霊夢たちが解決するからいいじゃない」
ケイジロウ「紫さんといいループさんといい人任せにもほどがありますよ!?異変が起きる前に早期発見したほうが賢明でしょ!?楽観視するにもほどがあるだろう………!?」
橙「おじさん、ちょっとうるさい」
藍「ケイジロウ、少し静かにしろ」
ケイジロウ「ッ!!!」
互いに抱きつく藍と橙に静かにしろだのおじさんだの言われたケイジロウ。相当傷ついたのか仰向けになってひっくり返ってしまった。
ケイジロウ「俺はおじさんじゃないって………泣くよ俺?」
ループ「とか言いながら泣いてるではないか、ハハハハハ!ねえねえどんな気持ち?国際警察にいた時と比べてどんな気持ち?我に教えてブハハハハハハハ!」
傷ついた相手をさらに煽る。そう、これがループの性格の悪さだった。
ところ変わって博麗神社。時刻は午前9時半過ぎ。
霊夢「プハー、今日もいい天気。こういう日こそのんびりしながらお茶飲むのが最高ねぇ……」
ソウゴ「せんべい美味っ…」
あの後魔理沙とギルティと別れた霊夢とソウゴは朝食を終え、縁側で晴れた空を眺めながら茶とせんべいを口にしていた。
ソウゴ「やっぱり異変も事件も何もないのが一番いいね。平和が一番」
霊夢「でもソウゴ、何もないからって油断しちゃダメよ?あなたムシキングになりたいって言ってたじゃん。野良犬…じゃないか。野良虫たちがいつあなたの命狙ってくるかわからないわよ?」
ソウゴ「野良虫といえばそこら辺の雑魚妖怪よりランクが高い奴らだったっけ。大丈夫だよ、変なトコさえうろついてなければ殺されないから」
???「と言いつつも神社でこの正邪様に攻撃される巫女とカブトムシでした~。逆弓『天壌夢弓』!」
聞き慣れた声と共に矢印の形をしたレーザーが霊夢とソウゴめがけて襲ってきた。
霊夢「あの弾幕…!ソウゴ、避けなさい!」
ソウゴ「ファッ!?でぇーっ!!」
攻撃が当たる寸前でギリギリ回避できた1人と1匹。そこには霊夢を嘲笑するような目で見る正邪とその肩に乗ってソウゴを睨みつけるゲイツがいた。
ソウゴ「せ、正邪……!」
霊夢「正邪、あんたまたやられに来たっていうの?」
正邪「確かにお前にも用があるが……今回の目的はそれだけじゃないんだよな」
ソウゴ「どういうこと?」
正邪の肩に乗っているゲイツに目が止まる。
あんな派手な色のオオクワガタいたかな?だが自分の記憶にあんな色をしたオオクワガタなどいない。
ゲイツ「お前が『甲虫の王者ムシキング』だの『甲虫の魔王』になるだのと言ったソウゴか?」
ソウゴ「…………誰?」
正邪「こいつは私のパートナーのゲイツだ。ソウゴだったか?お前は魔王になると宣言したそうじゃないか」
ソウゴ「…………だったら何?」
第一、ソウゴも正邪が嫌いだった。何しろ正邪は幻想郷で異変を起こした張本人。彼女がお尋ね者となって狙われるようになってからはソウゴも彼女を捕まえようと全力を出すようになっていた。
しかしあのずる賢さにはどうしてもかなわない。今日こそ負けない、今度こそ捕まえてやろうとさらに睨むが。
ゲイツ「単刀直入に言わせてもらう………お前を殺しに来た」
霊・ソ「「はぁ!!?」」
突然の殺害予告。ソウゴは自分が殺されるようなことなどした覚えがない。
何を言っているんだと言わんばかりに驚愕する霊夢とソウゴ。
霊夢「殺す!?あんた、本気で言って―――――」
ゲイツ「お前は確か霊夢といったな。ある予言の本を見たんだ。この先『甲虫の魔王』と呼ばれる虫が幻想郷を支配し、多くの者を苦しませると」
霊夢「………未来から来たウォズって虫にも言ったけど、こいつが魔王になるなんて私が負けて幻想郷が滅んでしまうぐらいの確率よ?」
ソウゴ「霊夢!頼むからやめてくれよ!そういうこと言うなんて霊夢らしくないよ!」
ゲイツ「だがそのウォズとやらが未来から来たということはそういうことだ。こいつのせいで幻想郷が滅ぼされる。予言通りになるぐらいならば早いうちに手を打たなければならない……」
どうやら本気のようだ。それもそのはず、予言書以外に今日の新聞も読んだのだ。
だが霊夢とソウゴは予言の本なんてあっただろうかと信じることができなかった。
ゲイツ「ソウゴ、お前には恨みはないがこの幻想郷の未来のためだ。ここで死んでもらう」
そう言うや否や飛び上がったゲイツ。すると体がまばゆい閃光に包まれた。
霊夢(この光、昨日も似たようなの見たけど………
気がつくと、ソウゴが青太郎と戦った時のようにソウゴ同様巨大化したゲイツが立ちはだかっていた。
霊夢「こいつもソウゴみたく戦う時には巨大化できるのね………」
ゲイツ「正邪、サポート頼むぞ」
正邪「そういうわけだ、覚悟するんだな霊夢。ここでお前らを倒す!!」
霊夢「もう…………ソウゴ!遠慮はいらないわ!こいつらさっさと倒すわよ!!」
ソウゴ「気が乗らないけど…………やるしかない!!」
後方宙返りをするソウゴ。ゲイツ同様まばゆい閃光に包まれ、巨大化したソウゴがゲイツの前に立ちはだかった。
ソウゴ「俺は赤目の青太郎と戦ってあいつを正気に戻したんだ……なんか……行ける気がする!」
正邪「まとめて私にひれ伏しな!ゲイツ、行けぇ!!」
一方、とある家にある虫籠の中にクワガタが入れられていた。
漆黒に染まった体、前翅に走る赤い禍々しいライン、黄色い目。そのクワガタの名は『オズワルド』、アルケスツヤクワガタだった。
オズワルド「…………」
オズワルドは虫籠の中、無言で太陽を見上げながらあることを考えていた。その時間は長くは持たない。突然ドアがバタンと強く開かれた。
夫?「やいオズワルド!!何いつまで寝てんだコラッ!!」
オズワルド「俺は寝てなどいない。ただ少し俺を支えてくれた奴らのことを考えていただけだ」
虫籠のふたが乱暴に開かれる。オズワルドは巨大な手で捕まれると、そのまま壁に思いきり叩きつけられた。
オズワルド「ッ……!」
夫?「嘘つきクワガタが!」
妻?「あなたやめて!虫にまで暴力振るうなんて…!」
夫?「離せ!!誰のおかげであのクワガタを手に入れたと思ってんだ!!テメェのそのうるさい口も縫い合わせんぞクソアマ!!」
オズワルドを拾ったといわれる夫らしき男は妻らしき女に平手打ちした。
オズワルド(………さすが推測した通りだ。こいつは人間ではない、ただの凶暴なケダモノ………)
妻に暴力を振るう夫を冷ややかな目で見つめ、さらに夫の様子をうかがってみる。
オズワルド(このケダモノには子供もいるみたいだが……俺と妻にどころかそいつにまで暴力……毎日酒を煽り、人を殺してでも酒代を稼ぎ………悪いが時を見て見限らせてもらう。なぜならお前は………『歩く粗大ゴミ』だ)
様子をうかがっていたオズワルドだったが、夫の目線が再びオズワルドへ。夫はオズワルドにヅカヅカ近寄ると、そのまま鷲づかみする。
夫「おい嘘つきクワガタ、さっさと行くぞ!!」
オズワルド「『行く』とはどこに?」
夫「俺が飲む酒の金を稼ぐんだろうが!!忘れたとは言わさんぞ!!」
オズワルド「となるとまた殺人か………歩く粗大ゴミめ」ボソッ
夫「あ゛?」
オズワルド「お前が気にすることではない。それよりも酒代か?また俺を殺人兵器としてこき使うのか」
夫「グダグダ言ってるとハチミツが入ったツボに入れて酒のつまみにするぞコラ!!」
夫はオズワルドを鷲づかみにしたまま家を出た。
無力な妻は黙ってそれを見ることしかできず、やがてワッと泣き崩れた。
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魔王VS救世主
正邪とゲイツの襲撃。博麗神社で今まさに霊夢とソウゴがその餌食となっていた。
しばらくの沈黙と睨み合いが続く中、それらを破るように先手を取ったのはゲイツだった。
ゲイツ「挨拶代わりだ、お前の首を切り落とす!『ギコギコスラッシュ』!!」
ソウゴ「会って早々物騒なこと言うな!?『ローリングスマッシュ』!!」
大顎をギラリと光らせた後襲いかかるゲイツにソウゴがダゲキ技で応戦しようとしたその時、正邪はニヤリと口元を歪めた。
そして取り出したのは1枚のスペルカード。一体何をしようというのか。
正邪「おっと、そうはさせねぇぜ?逆転『リバースヒエラルキー』」
ダゲキはハサミに勝つ。ソウゴは正邪のスペルなど無視してゲイツに突撃。青太郎の時のように左右コンビネーションを―――――
ガシッ
ソウゴ「!?」
一瞬何が起きたかカブトムシと巫女にはわからなかった。ここで決まるダゲキ技はゲイツのハサミ技に勝つはず。
にもかかわらずソウゴは大顎で首をつかまれていた。
霊夢「ちょっと!何つかまれてんのよ!?あれハサミ技でしょ!ソウゴのローリングスマッシュが決まるんじゃないの!?」
正邪「おいおい、私の能力を忘れたのか?『何でもひっくり返す程度の能力』を!!」
ゲイツ「オラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」
ギコギコギコギコギコギコギコギコ
ソウゴ「アバババババババババババババババ!?」
内歯をノコギリに見立て、相手の頭を切断しようとばかりに自分の頭を押し引きさせる技。これが『ギコギコスラッシュ』だ。
霊夢は正邪の能力を理解していなかった。異変で対峙した時、正邪のスペルカードのほとんどは自分が思っていた動きが逆になるだけで、たいしたものではなかった。
霊夢(でも……もしこれがこの勝負で使われたら……)
ジャンケンといえばご存知のように、グーはチョキに勝ち、チョキはパーに勝ち、パーはグーに勝つ。しかし、彼女の場合その常識が逆になる。
例えば彼女と仮にジャンケン勝負をする時。自分がグーを出せば目潰しかしっぺ、チョキを出せばビンタ、そしてパーを出せば鉄拳を顔面に食らう。
深く考えた結果、この能力が真価を発揮すればソウゴのみならず他の甲虫も恐ろしい事態に巻き込まれかねない。
霊夢「………舐めていたわ、あなたの能力を!!」
ゲイツ「オラァ!!」
ソウゴ「ぁ………」
放り投げられたソウゴは霊夢にぶつからんばかりにすぐ近くに倒れ伏した。霊夢は心配そうな声をかけながら意識を戻そうと大きく揺すぶる。
ソウゴ「ま……マジで痛かった………」
霊夢「よかった、生きてたのね!それよりソウゴ、話を聞いて!さっきのように普通に攻めたら………
ソウゴ「え……負ける!?どういうこと……なの?」
霊夢「早苗の言葉を借りるのはしゃくだけど………『常識にとらわれちゃダメ』なのよ!!だからあいつに負ける技を出しなさい!」
ソウゴ「あいつに負ける技………?早苗の『常識にとらわれちゃダメ』………?さっき俺はダゲキ技を出そうとしてハサミ技を決められた………………ってことは、そうか!俺の得意なトルネードスローを出せば―――――」
ガシッ
ソウゴ「あ」
言い切らぬうちに横から挟み込まれていた。
ゲイツ「よそ見なんかしやがって。『サイドスクリュースロー』!!」
正邪「やれやれぇ!」
ソウゴ「んぎゃああぁああぁぁぁぁあああ!!」
横から挟み込み、そのままの状態で後ろへ投げつける技『サイドスクリュースロー』。ソウゴをつかんだゲイツが回転しながら宙を舞った途端、しょうがないわねと霊夢がスペルカードを取り出した。
霊夢「ソウゴ、当たっても歯ァ食い縛りなさい!霊符『夢想封印』!!」
発動された霊夢のスペル。無数の赤札がソウゴとゲイツの周りを囲む。
隙は一瞬しかない。2匹が地面に背中をつける直前に白札を飛ばすと同時に赤札がソウゴとゲイツに襲いかかる。
ソ・ゲ「「!!!!!!!!!」」
弾幕はソウゴもろとも直撃した。だがゲイツにつかまれていたため、致し方なし。
地面から煙が立ち上る。すぐにソウゴの元へ駆けつけようとした霊夢だったが、目を疑うような光景を目の当たりにするとは知る由もなかった。
霊夢「ソウゴ、大丈…夫…………!?」
思わず足が止まる。霊夢が目にしたもの、それは。
ソウゴ「き、昨日よりひどいことにぃぃぃ………」
正邪「……まさかの虫シールドって………」
霊夢「嘘……あいつ、
なんとゲイツにはかすり傷ひとつもない。
よけいボロボロとなっていたのはサイドスクリュースローを決められる際つかまれたソウゴだった。
ゲイツ「よそ見してたこいつが悪い。最も殺す気でやってるがな」
そのままボロボロのソウゴを放り投げる。
昨日の青太郎戦とは全く大違い。ソウゴが一方的に押されている。このままだと本当に殺されてしまう。
ソウゴ「くっ……そぉぉ……!」
霊夢「ソウゴ!しっかりしてよ!あんなのに殺されたら承知しないわよ!」
ソウゴ「わかってるよ…!わかってるけど…!」
正邪「こいつの泣き顔見たいと思わねぇか、ゲイツ?そろそろとどめさしちまいな」
ゲイツ「ああ……未来のためだ、許せ博麗の巫女。これでとどめを―――――」
その時、どこからともなく羽音が聞こえてきた。羽音を聞いたゲイツはとどめをさす手を止め、空を見上げる。
羽音を聞いたのは正邪とソウゴと霊夢も同じだった。だがソウゴと霊夢はどこか似たような展開だと感じていた。『まさか青太郎みたく何かに操られた虫が来たのか?』と。
ゲイツ「興冷めな………誰だ一体?」
霊夢「ギルティ?じゃないな………ヘルクレス?」
ゲイツとソウゴの間に割って入ったのは前翅以外体が白いヘルクレスオオカブト。右目は何者かに潰されたのか、眼帯をつけていた。
ゲイツ「貴様、誰だ?」
白いヘルクレス「我が名はヘルクス、強者を求める甲虫なり」
正邪「チッ、ここに来て邪魔が入ったか……ゲイツ、撤退だ!」
ゲイツ「撤退だと!?ふざけるな!!あと少しで魔王を仕留めることができるんだぞ!?それを見逃せっていうのか!!」
ヘルクス「ほう、ゲイツといったな。オオクワガタよ。ならば私が相手になるぞ?ソウゴと戦うお前の気から………強者の雰囲気を持っているようだが?」
ヘルクスと名乗る甲虫はまるでソウゴを守るような形にも見える。
健康な左目で睨みつけるヘルクス。その目はやたらと威圧感があり、さすがのゲイツと正邪も少し後ずさってしまうほどだった。
ゲイツ「…………チッ、命拾いしたなソウゴ。今日の勝負はお預けだ。次に会ったその時は今度こそ殺してやる」
正邪「っつうわけで……あばよ~とっつぁ~ん!!」
霊夢「おいコラァァァァァ!!!!だぁれがとっつぁんじゃァァァァァァァァァァ!!!!私は巫女だァァァァアアアァァアアァァァアァァァァァァアアァ!!!!」
博麗神社に響き渡る霊夢の怒号など聞くわけがない。正邪は完全に無視し、ゲイツの背中に乗って飛び去っていくのを見つめるしかなかった。
しかし、ゲイツの心境は呆れていた。
ゲイツ(正邪ェ……お前も女だが女に向かってとっつぁんはないだろ……)
ゲイツと正邪が飛び去っていくのを黙って見つめていたヘルクスだったが、ボロボロのソウゴに目を向けた。先ほどまで怒鳴り散らしていた霊夢もすぐにソウゴに駆け寄る。
霊夢「ていうかソウゴ、大丈夫?」
ヘルクス(やはりな………私が来なければ今頃こいつは………)
ソウゴ「霊夢…俺の首ちゃんと繋がってる?」
何しろギコギコスラッシュを食らったのだ、下手をすれば本当に切断されかねなかった。そう思うと全身に寒気が走り、鳥肌が立つ。
霊夢「繋がってるけど……あんた結構ボロボロじゃん……」
ソウゴ「君の夢想封印もすごかったけどね………」
ヘルクス「……それでお前が『甲虫の王者』にして『2代目ムシキング』になると宣言したソウゴで相違ないか?」
ソウゴ「う、うん……」
霊夢「それより、あんた誰なの?助けてくれたのは礼を言うけど」
ヘルクス「さっきも名乗ったが、ヘルクスだ。話は手当てがてら中でいいか?」
霊夢「え?ええ………」
『誰かがソウゴの命を狙う』。紫のこの予言は当たっていた。だがもうひとつの予言『幻想郷に巻き起こる何か』とは一体何を意味するのか。
だが彼女たちはまだ知らなかった。ムシキングを夢見るソウゴの命を狙う者はゲイツ以外にもまだいるということを………。
その頃、デストロイヤーはイーストシー対策としてナマコを運んでおり、今彼は人里の鈴奈庵にいた。
小鈴「な、ナマコ……ですか?」
デストロイヤー「ああ。もしシアンのグランディスオオクワガタに何か盗まれそうになったらぶつけてほしい。あいつはナマコが大嫌いだから思いっきりぶつけてやってくれ」
小鈴「クワガタが泥棒?」
デストロイヤー「あいつはそういう奴だからな。さて、小鈴と青いパプキンにも渡したし、他の住人にもナマコを配ってきますかね」
そう言ってデストロイヤーは鈴奈庵から出たが、小鈴もカルボナーラも彼から渡されたナマコをポカンとした表情で見ていた。
小鈴「………」
カルボナーラ「おかしな虫だね……」
???『寄ってらっしゃい見てらっしゃい、商売虫特売の新技だよ~』
外からメガホンを通した声が鈴奈庵まで聞こえてきた。
小鈴とカルボナーラにとっては聞き慣れた声。声の主である甲虫は鈴奈庵に入店してきた。
小鈴「いらっしゃいま……ってシグルドさん?」
入ってきた甲虫は『シグルド』、通称『技屋』。メガホンとカバンを持ち、黒い山高帽を被ったスティーブンスツヤクワガタだった。
カルボナーラ「………?」
小鈴「シグルドさん、今日は何しに?」
シグルド「ああ、ちょうど新技を売りに人里に来たんだが―――――」
するとシグルドが机の上に置かれているナマコに目をつけた。
シグルド「なあお嬢ちゃん、それ何だ?新しい商品?」
小鈴「あの変なピンクのクワガタがくれたんです」
デストロイヤー「ピンクじゃない、マゼンタだ!!!」
小・カ・シ「「「!!?」」」
小鈴がピンクのクワガタと言った瞬間、去ったはずのデストロイヤーが突然割って入るように現れ、そう叫んだ。
デストロイヤー「ピンクは赤と白が混ざった色だが、俺のはマゼンタ100%だ!!それでも同じだと言うなら一度ピンクとマゼンタの違いを見てみろ!!以上ッ!!」
言いたいことを全て言い、再び去っていくデストロイヤー。彼の背後を見ながら小鈴たちはポカンとするしかなかった。
シグルド「………お、おう」
カルボナーラ「………(あの虫いつの間に聞いてたんだろ?)」
小鈴「私だってどうやって聞いてたのか知らないよ……」
シグルド「んで………それは商品……なのか?」
再び机に置かれているナマコを見るシグルド。小鈴はこう答える。
小鈴「さっき言おうとしましたが、違います。シアンのグランディスオオクワガタ撃退用の『ナマコ』というものらしくて、さっき『これはマゼンタだ!!』って言ってたクワガタのデストロイヤーさんがくれたんです。何でもぶつけるものらしいんですが………」
シグルド「ナマコ?幻想郷って海ないよな……わけわかんねぇ……」
小鈴「それとシグルドさん。あなたの帽子にナマコが…」
シグルド「え?」
山高帽に前足を伸ばすと、何かヌメヌメしたものがある。取るとそれはデストロイヤーが持っていたナマコだった。
シグルド「い、いつの間に!?まさかさっきの虫が!?」
カルボナーラ「………」
シグルド「……ところでさっきからこのパプアキンイロクワガタ黙ってるけど、何が言いたいんだ?」
小鈴「『恐ろしいほどの早置き、僕でも見逃してしまった』と言ってます」
シグルド「無言なのによくわかるな。まあいいや、帰ったら今夜はゆっくり寝ようかな。今後も商売虫特売の新技をよろしくな~」
シグルドはそう宣伝した後、山高帽にナマコを乗せながら鈴奈庵を後にした。
ところが出ていったのはいいが、ナマコを乗せていたせいで技以外にナマコも売っていると思われてしまうことはシグルド自身も知らなかったという。
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死神甲虫オズワルド
手当てを終えたソウゴは今霊夢と共に人里へ向かっていた。ソウゴは先ほどの戦いのせいで重傷を負い、全身包帯を巻かれた状態。ミイラ男ならぬミイラ虫となっていた。
人里に行く数分前、霊夢はソウゴの手当ての最中ヘルクスと話していたが、彼からこんなアドバイスをもらっていた。
ヘルクス『ソウゴ、今のお前は弱者だ。強者として成り上がるのであれば多くの虫たちと戦え。そして相手の虫とパートナーの動きをよく見て行動を起こせ。あと博麗の巫女。もはや努力が報われないとかどうとかの問題じゃない……これをきっかけに修行をしなければ今のような戦いになるぞ』
ヘルクスのアドバイスを思い出しながら人里へ向かう霊夢とソウゴ。今のソウゴは飛ぶこともままならず、安静にしていなければならなかったので、霊夢の頭の上に乗っていた。
ソウゴ「…………ん?ねえ霊夢、あれって………」
団子屋の近くで妖精2人とカブトムシ2匹が団子を食べている。その人物と甲虫は霊夢とソウゴがよく知る者だった。
霊夢「あっ、最近賽銭入れてくれるチルノたちじゃない!」
団子を食べていたのは氷の妖精『チルノ』とその親友『大妖精』、そして彼女たちのパートナーである赤いカブトムシと明るいオレンジ色のノコギリタテヅノカブトだった。
青いマフラーを巻いた赤いカブトムシの方は『鎧丸』、チルノの相棒。共に最強を目指しているが、いつもチルノのいたずらに振り回されているのが唯一の悩みの種。緑のスカーフを巻いた明るいオレンジ色のノコギリタテヅノカブトの方は『ツルギ』、大妖精の相棒。鎧丸の家来にして、彼女と共に鎧丸とチルノの成長を見守る甲虫である。
鎧丸「これはこれは、霊夢殿にソウゴ殿ではござらんか!」
チルノ「ヤッホー、霊夢!ソウゴ!」
ソウゴ「こんにちはチルノ、大ちゃん、鎧丸、ツルギ!」
もう1匹の鎧丸?「お前たちの知り合いまで来るとは……全く、にぎやかなことだ」
霊夢「あら、鎧丸のお父さんまで来てたのね」
そして鎧丸とツルギ以外にももう1匹のカブトムシがいた。姿は鎧丸そっくりだが、彼とは違って青いマフラーを巻いておらず、体も深紅。
彼の名は『鎧凰丸』。霊夢の言う通り、彼は鎧丸の父親。加えて冬の妖怪『レティ・ホワイトロック』を相棒とするカブトムシだった。
ソウゴ「何で君たちがここにいるの?鎧凰丸さんまでどうしたんですか?」
鎧凰丸「人里をうろついていたらたまたま息子たちと出会ったのだ。だからこうして皆と団子を食べている」
チルノ「そうそう!」
大妖精「チルノちゃんと鎧丸さんは毎日ですが、今日私たちもちょうど霊夢さんの所に行ってお賽銭を入れようと思ってたんです」
チルノ「そうだよ。さいきょーのあたいに感謝しなさい!」
ツルギ「いつも落第点のお前も感謝という言葉を知ってたのか……」
幻想郷には『寺子屋』という今で言う学校と同じものがあり、チルノと大妖精はその施設の生徒である。自称最強を名乗るチルノだが、ツルギの言う通り試験の成績はいつもクラスの中では最下位だった。
例えば算数の試験があったとする。どういうわけか答えが『9』の式は正解し、それ以外は全て不正解。鎧丸も彼女の成績を上げようといつも勉強を教えているが、いつも徒労に終わり、毎回教師の雷が落ちるため、鎧丸もとばっちりを食らっている。彼女のいたずらのみならず頭を抱えていた。
するとツルギがなぜ霊夢の頭に乗っているソウゴがミイラ男ならぬミイラ虫状態なのか不思議に思い、声をかけた。
ツルギ「ところでソウゴ、そのケガは一体?」
ソウゴ「これ?正邪とそのパートナーに急に襲われて……」
霊夢「しかもあいつにジャンケンの常識をひっくり返されたの。グーはチョキに、チョキはパーに、パーはグーに勝つでしょ?ソウゴがローリングスマッシュ出したら、正邪のオオクワガタのハサミ技が勝ったのよ。改めてあいつの能力の恐ろしさを知った……今思い出しただけでもゾッとするわ………おかげでソウゴ死にかけたのよ?」
大妖精「死にかけた!?大丈夫なんですか!?」
ソウゴ「うん。でもヘルクスって虫が来て俺を助けてくれたんだ。ヘルクスが来なかったら今頃俺は………」
改めてヘルクスが来ず、ゲイツに殺される自分を想像してみる。鳥肌どころか全身にチクチクするような痛みが走ってきた。
ソウゴ「うっ…イテテテテテ!なんかチクチクするんですけど!」
鎧丸「ああソウゴ殿!無茶は禁物でござる!」
霊夢「変なこと想像するからでしょ!」
ツルギ「……一度永遠亭に行って薬をもらってくるか?」
呆れ顔のツルギ。しばらくソウゴたちを見ていたが、彼らをよそに鎧凰丸にパートナーであるレティがいないことを問う。
ツルギ「ところで鎧凰丸様、レティがいませんが…」
鎧凰丸「レティ殿か?彼女なら今洞窟で休んでいるぞ?」
ツルギ「そういえば冬の妖怪でしたね」
一方で大妖精も新聞の記事の話題を出していた。出したのはもちろんソウゴが甲虫の王者にして魔王になるかもしれないという話題だ。
大妖精「ところでソウゴさん、今日の新聞読みましたか?」
ソウゴ「あー、あれ?魔理沙が持ってきたのを読んだんだけど………確かに言ったのはマジだぜ!?どう考えてもおかしいじゃん!!あの烏天狗、せめてもうちょっと間ァ開けてから流してよ!!」
鎧丸「文殿の仕業でござるか……全く、パパラッチにもほどがあるでござる……」
だがソウゴたちは知らなかった。地霊殿にて朝食後、ウォズがこいしと共にあの烏天狗をしばきに行ったことを。
ところがソウゴたちが駄弁っているうちにだんだん人里が何かと騒がしくなってきた。
チルノ「一体何だろ?また変な虫でも現れたのかな?」
団子屋店主「変な虫……?ああ、あいつらな。おいあんたら、早いトコ逃げた方がいいぞ。ここ最近黒いクワガタとそいつを使う男が無差別に人を殺してるんだ」
鎧凰丸「何?無差別殺人?」
鎧丸「……嫌な予感がするでござる………すぐに行かねば!」
店主の話を聞いた鎧丸が何かを察したような表情をし、騒ぎが起きている場所まで飛んでいった。
チルノ「あっ、待ってよ鎧丸!パートナーのあたいを置いてくなー!」
団子屋店主「あっ、ちょっと!?」
残ったのは先ほどまで鎧丸とチルノが食べていた団子。やれやれといった表情でツルギは財布を取り出し、金を店主に差し出す。
ツルギ「店主、金はここに置いておく。釣りはいらん」
大妖精「ツルギさん、チルノちゃんと鎧丸さんが行っちゃいましたが…」
ツルギ「手を煩わせるわけにはいかぬだろう。まだ未熟な一面もあるのだ、我々も行かねばなるまい」
団子屋店主「ちょ―――――」
ツルギが金を払ったのを確認すると、全員店主を無視してチルノと鎧丸が向かった騒ぎの中心へ駆けつけていった。
店主が言っていた黒いクワガタ。一体どんなクワガタが暴れているというのか。
全員『!!!!!!!!』
騒ぎの中心へ駆けつけた霊夢たち。そこにはすでにチルノと鎧丸も来ていたが、霊夢たちはそこで恐ろしいものを目の当たりにした。
小太りの中年男「ひ、ヒエェェェ!!お願いだ!有り金全部やるからどうか見逃してくれぇ!!」
オズワルド「………………」
ソウゴ「あれは………あのクワガタは………見たら必ず不幸になる『死神甲虫』オズワルド!!」
そこにいたのは団子屋の店主が言っていた黒いクワガタことアルケスツヤクワガタのオズワルド、そして家を出る前オズワルドと妻に暴力を振るっていた夫。
夫はオズワルドに命令を下し、オズワルドは大顎で中年の首を挟む。止めようとする間もなく中年は首をへし折られ、同時に骨が砕ける不気味な音が全員の耳に入った。
霊夢「なんて…………ことを…………!!」
オズワルド「………………(恨むならあの歩く粗大ゴミにしてくれ。俺が人を殺したなんて、死んだパートナーたちに口が裂けても言えん)」
夫「チッ、たったこれだけかよ。この役立たずめが!!」
中年の財布を懐から抜き取った夫は中身を確認するも、あまり入っていなかったのか、八つ当たりと言わんばかりにオズワルドに殴る蹴るといった暴力を振るう。
パートナーの虫になんてひどいことを!この光景を見ていた霊夢たちに抑えられない怒りが沸き上がってきた。
鎧丸「貴様ァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
チルノ「ちょ、鎧丸!?」
ツルギ「鎧丸様、お待ちくだされ!今突っ込めば逆にあなたが!」
夫の横行に怒りを爆発させ、チルノとツルギの制止も聞かず夫に襲いかかる鎧丸。そんな彼に夫は次の命令をオズワルドに下した。
夫「クソが、邪魔が入りやがった!あいつを殺せば前言撤回してやる!」
オズワルド「………悪く思うなよ」
鎧丸はオズワルドが襲いかかる前につかんだ。そのまま羽を広げ、竜巻のごとく回転しながら空中へ飛び上がる。
このナゲ技、トルネードスローとは全く違う。ソウゴと霊夢がそう確信したその時だった。
鎧丸「ウォォォォォォオオオオオオオオオオ!!『スーパートルネード』ウブッ!?」
突然鎧丸の身に異変が起きた。空中で突然回転が止まったかと思うと、鎧丸の方から何かを吐き出すような生々しい音が。
鎧凰丸「………全く、いつになればスーパートルネードスローを目を回さずに決められるようになるのだ」
鎧丸「オボボボボボボボボボボボボボボボ」
そう、鎧丸が出した技はソウゴのトルネードスローを超える究極必殺技『スーパートルネードスロー』。本来なら発動すると強力なのだが、鎧丸はその技を出すたびにいつも目を回し、吐いてしまうのだった。
地面に滴る吐瀉物と空中でオズワルドをつかんだまま吐いている鎧丸を見て呆れる鎧凰丸。オズワルドも呆れたのか、ため息をついた後羽を広げ、鎧丸を地へ放り投げてしまった。
オズワルド「それだけか」
チルノ「鎧丸!!」
大妖精「鎧丸さん!!」
ツルギ「鎧丸様!」
目を回した鎧丸にチルノと大妖精が駆けつける。意識はあったものの、焦点が合わない。チルノたちと世界が歪んで見える。
オズワルドは地へ降り立ち、残りの甲虫に目を向ける。するとツルギが霊夢たちを守るように立ちはだかった。
ツルギ「それでは勝負続行は無理だ。チルノは鎧丸様を安全な場所まで運び、休ませろ。大妖精はサポートを頼む」
大妖精「わ、わかりました!」
チルノ「うん……鎧丸、あんたはあたいとさいきょーを目指すことを約束したでしょ!いつも迷惑ばっかりかけてるけど……それでもあんたはあたいの最高のパートナーなのよ!?あんたが死んだら、あたい………!」
オズワルド「…………ふむ」
これをオズワルドは確かにあいつらは可能性があるといった目で見つめ、夫はそれを反吐が出るぜと貶めていた。
大妖精「ツルギさん、オズワルドさんが固まってます!今のうちに『スーパーサイドロックボム』を!」
ツルギ「承知した、大妖精」
大妖精にうなずいたツルギは自身の得意とするナゲ技『スーパーサイドロックボム』を放とうとオズワルドに突進。しかし。
ツルギ「秘術!『
オズワルド「ぬるい」
余裕綽々とかわされた。その上隙を突かれ、オズワルドに1度2度とどつかれる。
オズワルド「この程度で俺を倒そうなど思い上がりにもほどがある。教えてやろう、死神の戦い方とはこういうものだ」
体を横に向け、飛びかかって大顎でツルギをひっくり返し、押さえつけながら地面に引きずる。
ハサミ技『サイズ』か?だがツルギから一旦離れたかと思うと、追い討ちをかけるようにまた飛びかかって大顎でツルギを引きずる。またさらに一旦離れて飛びかかり、大顎でツルギを引きずり、弱ったのを確認するとオズワルドは空へ。
鎧凰丸「やはりか……あの技はただのサイズじゃない」
大妖精「逃げてー!!」
大妖精の叫びもむなしく、オズワルドは空中で羽を閉じ、風車のように体を回転させながら倒れたツルギまで急降下。
オズワルド「『スーパーサイズ』!!」
大顎がそのままツルギに勢いよく叩きつけられた。
ソウゴ「ツルギーッ!!」
霊夢「そんな……!」
大妖精「嘘でしょ……ツルギさんまで……!!」
ツルギ「ゴ………ゲボァ………」
土煙が立ち上ぼり、晴れてくると変わり果てた姿となったツルギが現れた。
ソウゴ「お前…くっ……!」
巨大化しようとするソウゴだが、再び全身に痛みが走り、顔をしかめてしまった。
霊夢「ダメ!今のあなたはケガしてるのよ!?」
ソウゴ「でも俺が行かなきゃ……このままじゃ鎧丸とツルギが……くそっ!」
鎧凰丸「ソウゴ、今は巫女殿の命に従え。お主は完治するまで体を休めるのだ。奴はワシに任せてくれぬか?」
ソウゴ「鎧凰丸さん?あなたが代わりに?」
霊夢「でも…あなたまでやられたら!」
鎧凰丸「大丈夫だ巫女殿。ワシを信じろ」
鎧凰丸は微笑むと、ソウゴたち同様巨大化。そのままオズワルドに立ちはだかる。
前に出た鎧凰丸に夫は憎らしい笑い声をあげた。
夫「ヒャッハッハッハッハッハッ!!所詮ゴキブリと虫ケラの分際で何ができる!!俺はこいつを使って好き放題すんだよ!!金も人里も全部俺のもんだ!!俺に逆らう奴など、こうなって当然なんだよ!!」
夫は憎らしい笑い声をあげた後、スーパーサイズにより倒れたツルギをサッカーボールのように蹴り飛ばした。
ツルギ「グフ………」
大妖精「ツルギさん!」
ツルギ「わ………我はなんとか無事だ………それより大妖精、我と鎧丸様……そしてチルノを連れて逃げるのだ…………」
ツルギの意識はここで途絶えた。
大妖精「う……うわああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
相棒が倒れた。鎧丸も戦闘不能。大妖精の叫び声は人里全体に響き渡り、霊夢とソウゴも直感でわかった。あの男は人間じゃないと。
夫「もっと叫びなぁ、メスガキィ!!次はテメェをターゲットにしてやるからよォ!!ヒャハハハハハハハ!!アーッハハハハハハハハハハハ!!」
ソウゴ「メチャクチャだ……まるでケダモノにも見える………」
霊夢「妖怪より妖怪らしい人間よ……あれは」
夫「テメェらゴミ虫みてぇな雑魚共が俺のオズワルドにかなうもんかぁ!!この死神クワガタは最強の虫で『
オズワルド(何が『大事に』だ。それに俺は最強と名乗ったことなど一度もない。歩く粗大ゴミの分際で………って、ん?)
見ると、鎧凰丸の目が冷ややかとなっていた。だがその視線はオズワルドではなく、夫に刺さっていた。
鎧凰丸「『
ブチッ
『ゴミのように扱って捨てる』の間違い。その言葉に夫の何かが切れたような音がした。
夫「…………殺せ。ぶちのめせオズワルド。二度とその口を利けなくなるぐらいグチャグチャにしろ!!その次はあのメスガキ共も殺せ!!」
オズワルド「チッ……了解」
苛立ちながらも鎧凰丸に襲いかかる。鎧凰丸も技を放つためにオズワルドに突進した。
オズワルド「『バーニングバースト』!!」
鎧凰丸「『コンプリートスマッシュ』!!」
互いの角と大顎がぶつかり合った。
霊夢「あいこ!?」
鎧凰丸「ッ………!」
オズワルド「ぬぅ………っ!」
だがあいこであるにもかかわらず、鎧凰丸の方が若干大きく後ずさっている。
角と大顎を押し合っている中、鎧凰丸が急に口を開いた。
鎧凰丸「死神よ、オズワルドといったな。あの男に道具として扱われているが、それでいいのか?お主自身にも思うところがあるのではないのか?」
オズワルド「………このままでいいから話を聞いてくれないか?」
鎧凰丸「何だ」
オズワルド「お前の言い分はごもっともだ。どの道俺はわざと負けてあの歩く粗大ゴミと縁を切るつもりだったんだが………」
鎧凰丸「わざと負ける?お主、正気か?」
オズワルド「あいつの目的を聞いて改めてわかった。あいつには生きる価値もクソもない。これで言うことを聞く必要がなくなった」
鎧凰丸「………本当にそれでいいのか?」
オズワルド「構わん。もううんざりしていたところだ…………」
そして互いの角と大顎が弾かれ、互いに大きく後ずさる。オズワルドは今度こそ仕留めようとスーパーサイズを放つ体勢に入った。
オズワルド「ゼェ……ゼェ……ここで死にさらせ……!」
だがオズワルドに疲れが見えていることには鎧凰丸自身にも、霊夢とソウゴにもわかっていた。
そして。
ガシッ
オズワルド「ぐっ!?」
鎧凰丸「見せてやろう、死神。戦いの年季の違いを………そして、究極必殺技を超えた『超絶必殺技』を!!」
決着の時が訪れた。オズワルドをつかんだ鎧凰丸は息子と同じく羽を広げ、竜巻のごとく回転しながら空中へ舞い上がる。
鎧凰丸「オオオオオオオオオオオオオオオオ!!ゼヤァ!!」
オズワルドを地に叩きつけるように投げつけ、宙を舞ったオズワルドが背中をつく前に素早く接近するように地へ降り立つ。
鎧凰丸「これぞ我が極み!我が修練により鍛えられし超絶必殺技!!『極トルネードスロー』だァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
追い討ちをかけるようにオズワルドを逆さにしたままつかみ、ソウゴのトルネードスローのように大回転。放り投げると同時にオズワルドは夫のところまで吹き飛ばされた。
夫「ゴブァ!?」
夫はオズワルドもろとも建物に激突し、鎧凰丸の勝利に終わった。
大妖精「や……やった……!」
チルノ「やったー!!鎧凰丸が勝ったー!!」
ソウゴ「すごい……あれが鎧凰丸さんのトルネードスロー………」
霊夢「ソウゴのトルネードスローとは大違いだわ……」
夫「ッッッ………!!」
オズワルド「…………」
鎧凰丸に負けたオズワルド。家を出る前夫が妻に手を出した時と同じように暴力を振るわれる。
夫「この役立たずめ!!グズが!!ゴミ虫が!!何あの雑魚に負けてんだコラッ!!」
オズワルド「…………」
夫「聞こえてんのか、おい!!勝手に負けやがって!!一体何様のつもりでいやがるんだ!!ハチミツ漬けに―――――」
ブヂィッ
夫「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!俺の指がァァァアアァアァアアアァァァァアァアァアァアアアアアアァァァァアアァアアァァァァァアアアアァァァアアアァアアァァァアァアァァァァ!!!!?」
それは誰もが絶句するような光景だった。鎧凰丸も思わず唖然とするほどだった。
オズワルドが何を思ったのか、自身のパートナーの指を大顎で引きちぎったのだ。地に落ちる指、傷口から噴き出す血。
オズワルド「………『バーニングバースト』」
それだけでは飽き足らず、鎧凰丸に決めようとして決められなかったダゲキ技『バーニングバースト』で夫を何度も殴り、最後の気合いの一撃で別の建物に叩きつける。
夫「貴様ァァァァァァアアアアアアアア!!!何の真似だぁ!!!この俺を裏切るつもりかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
オズワルド「裏切る?フン、寝言は寝てから言え。お前に拾われた時から一度も主だと思ったこともなければ、パートナーと認めたこともない。せいぜいお前はただのケダモノ、歩く粗大ゴミ……いや、『道端にへばりつく牛の糞のようなゴミ』としか思ったことがないな」
夫「ゴミ!?役立たずのグズ野郎の分際で俺を粗大ゴミやら牛の糞だと!?」
睨みつける夫を無視し、オズワルドは鎧凰丸に近づくと、こう言い残して飛び去っていった。
オズワルド「礼は言わんぞ、鎧凰丸。後はお前たちの好きにするがいい」
オズワルドを失った夫は霊夢たちを憎悪の目で睨みつけながら、奇声を混じらせながら襲いかかってきた。
夫「クソがクソがクソがァァァァァァァァァァ!!!俺の人生を狂わせやがってェェェェェェェェェェ!!!テメェらまとめて地獄に落としてやるァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
鎧凰丸「救えん男だ………『コンプリートスマッシュ』」
夫「#Ω◎※▲Σ〆℃*■仝%∴〓∞☆¥£α×□ω$々@ゞ§;≠⇔○♪♂±♭⊥∋∬‡⊿√△●ŧ≒∧¢∠∇∃¶!!!!!」
野球の満塁ホームランのごとく敵を吹き飛ばすダゲキ技『コンプリートスマッシュ』。鎧凰丸に角で吹き飛ばされた夫はどこかへ消えてしまった。
さて、夫が飛ばされた場所は竹林。鎧凰丸とオズワルドに対する憎悪を抱え、何度も地面を殴っていたが。
ウスバクワガタ「…………」
夫「何だぁテメェ!!俺が悔しがってるのがそんなにおかしいか!!」
黒い布を身にまとったウスバクワガタに睨まれ、自分の憎悪をぶつけようと殴りかかろうとしていた。
だが突然その手を止めると、機転を変えた。こいつを使えばオズワルドとあのカブトムシを殺せるんじゃないのか?と。
夫「ああ~、そうだ……その手があったぜ。こいつを調教すれば―――――」
が、それも束の間。ウスバクワガタは羽を広げると、ダゲキ技『ダンガン』できりもみ回転しながら夫の肩を貫いた。
夫「ヒギャアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
血を噴き出す暇もないままウスバクワガタに何度も大顎で斬りつけられ、やがて全身の至る所から血が噴き出す。
夫「うぐ……クソがぁ………!この俺が虫に裏切られ、虫に殺されるだと……!?ふざけんじゃねぇ………!こんな結末………地獄でも断じて認めねぇぞ…………!!例え首ひとつになろうと…………オ………レ………は………………」
その恨み言を最後に、夫の首は切断された。
ウスバクワガタ「………………」
ウスバクワガタは自分が殺した夫になど目もくれず、むしろ興味がないという風にその場を立ち去った。
しばらくして夫だった遺体に1人の少女と1匹のコクワガタが近づいてきた。ピンクの洋服にニンジンの首飾り、頭に生えた兎の耳が特徴的な少女の方は『因幡てゐ』。一方でコクワガタの方は『レーザー』、てゐのパートナー。上半分は黄色と黒、下半分は青く禍々しい紋様が特徴的だった。
てゐ「ありゃりゃりゃ、ここで声が聞こえたから来てみたけど…こりゃひどいね……」
レーザー「うわぁ……確かこいつ、最近人里で問題起こしてた奴だよな?この様子からして、たぶんパートナーに裏切られたんだろうなぁ……しかも迷いの竹林で………」
てゐ「どうするレーザー?この人間の家族に伝える?」
レーザー「別にいいんじゃね?こいつは散々好き放題してきた罰が当たったんだ。ディアボロのことも頭に入れとかなきゃなんねぇ……永琳たちに伝えねぇとな」
てゐ「あいよー」
てゐとレーザーが立ち去ってしばらく経つと、ディアボロが夫の遺体の血をすすっていた。
だが途中ですするのをやめると、その血を吐き出した。
ディアボロ「最近人里で暴れてるこいつの血肉の味を期待してたが……まずい味を出してやがる!もっといい血はねぇのか………俺の欲求を満たしてくれる血肉はねぇのか………!」
ディアボロは憎々しげに呟いた。
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幕間1:役立つ時は唐突にやって来る
ここは古道具屋、香霖堂。人間と妖怪のハーフである青年、『森近霖之助』が経営している店だ。
霖之助にも霊夢や魔理沙のように相棒の甲虫がいる。彼はクワガタの『和長』。オオクワガタのようにガッシリとした体格にコクワガタの大顎を持っている。まるでヒラタクワガタのようだ。いや、『大きなコクワガタ』だから『オオコクワガタ』と言うべきだろう。
シグルド「俺はナマコ売りじゃねぇってのに、どうしてこうなった………てか、さっきから帽子がヌルヌルしやがる………」
移動販売から帰ってきたシグルドがぶつくさ文句を言いながら霖之助と和長と共にいつの間にか渡されたナマコを見つめていた。
この時ヌルヌルになった山高帽を脱いでいたが、甲にはどういうわけかサクランボの絵が描かれていた。
シグルド「そもそもナマコ投げつけるとかどういう神経してるんだ?」
霖之助「まあ、ナマコは外の世界で普通に食べられてるからね。仕方ないね」
和長「何で食べ物じゃなくて投擲として使うんだろうね……」
シグルド「俺が聞きたいわ!」
どうやら霖之助と和長もデストロイヤーからナマコをもらっていたようだ。あれはシグルドが帰ってくる数十分前だったとのこと。
自分たちもあのマゼンタのクワガタからナマコをもらったと和長が話し、ナマコを机の上に置く。
シグルド「お前らももらってたの!?マジで何がしたいんだあいつ!?あ、そうそう。最近また新しい技を仕入れたんだが……」
そう悪態をつきながらも、アタッシュケースからある2枚のカードを取り出した。スペルカードではないものの、シグルドは確かに『技屋』。甲虫にしか使えない技の販売をしている。
取り出したのは今まで誰もかつて見たこともない絵と技名が記載されたカード。ひとつは大気圏に突入する寸前で宙を舞う相手に突撃するカード、もうひとつは真っ黒な背景に赤字で『滅』という漢字1文字だけが書かれたカード。
シグルド「中でも一番おすすめなのがこいつらだ。アダーのじいさんも求めてたダゲキ技でな、『ミーティアスマッシュ』*1と『シュンゴクケン』*2っていうんだ」
和長「ミーティアスマッシュ?シュンゴクケン?」
霖之助「確かそれ、コンプリートスマッシュとヒャクレツケンの………」
シグルド「その通り!いやぁ、この技手に入れるのに苦労したなぁ……これらは一撃必殺とも呼ばれてたが、ミーティアスマッシュは使っただけで森ひとつが壊滅的になったって話があるし、シュンゴクケンは下手をすれば自我を失って目につくもの全てを襲う。なかなかの曰くつきだぜ」
すると技の説明を聞いていた同じ甲虫である和長が突然目を輝かせ、ミーティアスマッシュとシュンゴクケンのカードをまじまじと見始めた。
急にどうしたと言わんばかりの表情をする霖之助だが、そんな彼に和長は全く気にしない。
和長「ねえシグルド、これちょうだい!ひとつだけでいいから!」
シグルド「無理。頼まれても売れないもんはある。第一、君は霖之助と働いてる虫だろ?」
あっさりと断られた。それでも技を欲しがる和長の気持ちは変わらない。
和長「霖之助!お金用意して!この技欲しい!!」
シグルド「いや、話聞いてましたぁ!?売れないし曰くつきだって言ってんじゃん!」
霖之助もカードを手にすると、興味深げな目で見た。そしてこう問う。
霖之助「なるほど……いかにも危険な代物だね。仮に売ってくれるとしたらいくらだい?」
シグルド「仮に、ねぇ……うーん、そうだなぁ……………合計でだいたい800万以上80億以下かな?」
和長「高スギィ!!?」
なんという高額。思わず机から転落し、背中を強打してしまった。
シグルド「だってしょうがねぇだろ。森を滅ぼすかもしれねぇし、俺たち虫どころか人妖問わず殺しまくるかもしれねぇし」
和長「う、売る気ゼロですか……?」
シグルド「当たり前だ。そもそも仕入れた俺でも使えそうにねぇし、お前だって使えそうにねぇだろ?下手すりゃ幻想郷滅んじまうぞ」
???「へー、ちょっと見せてよ」
シグルド「まあ見るだけならいいが」
技に興味を持った客人らしきクワガタがいつの間にか香霖堂に店内にいた。
そのクワガタは霖之助と同じくミーティアスマッシュとシュンゴクケンのカードを興味深そうに見る。
???「あのアダーが求めてたダゲキ技ねぇ……」
シグルド「だがそれは曰くつきだぜ?果たしてあんたに使いこなせるかどうか―――――」
客人と話すシグルドに目を向けた霖之助と和長の目つきが突然変わった。
デストロイヤーが言っていた泥棒クワガタ。シアンのグランディス。イーストシーだった。
霖之助「ねえシグルド、そいつって………」
シグルド「ん?どうかしたか?」
和長「デストロイヤーさんが言ってたあの虫……」
シグルド「…………あ、鈴奈庵のお嬢ちゃんが言ってたシアンの虫……って、あ゛ぁ!?」
さりげなく現れたイーストシー。声をかけた霖之助に顔を向けて目を放した隙にミーティアスマッシュとシュンゴクケンのカードを奪っていた。
気づいた時にはすでにカードを持ったイーストシーがそのまま窓から飛び立って逃げようとしていた。
イーストシー「おっと、バレちゃったみたいだね。せっかく手に入れたところ悪いけど、この技僕がいただくよ」
シグルド「いつの間に取ったんだ!?曰くつきだから売れないってのに!それ返せ!!」
和長「シグルドさん!これ、ナマコの出番じゃないですか!?」
イーストシー「え…?ナマコ……?」
和長のナマコという一言でイーストシーが固まった。机に置かれたナマコを見てシグルドは。
シグルド「絶対使い方違うと思うが………もう考えんのめんどくせぇ!ヤケクソだぁ!!」
大顎でナマコをつかむと、イーストシーめがけて勢いよく投げつけた。
『ベチャッ』という濡れた雑巾が叩きつけられたような音がしたその瞬間だった。
イーストシー「アバババババババババババ!?」
シグルド「え?」
イーストシーの身に異変が起こった。ナマコをぶつけられただけで痙攣が起こったのだ。
痙攣が起こったと同時に窓から転落するイーストシー。何が起きたと言わんばかりに唖然とするシグルド、霖之助、和長。
イーストシー「だ、ダメだ………吐き気が……頭痛が……僕はナマコアレルギーなのに………ひどいよ………!何でこんなことを平然と………!」
霖・和・シ「「「そうだったの!?」」」
イーストシー「まさか……デストロイヤーの仕業か……!?て、撤退……『キリガクレ』……!」
苦し紛れにキリガクレで逃げるように姿を消した。彼が倒れていた場所には彼が盗もうとしたあのカードが散らばっているだけだった。
シグルド「…………アレルギーだったのか」
和長「って、霖之助さん!?商品が!」
霖之助「そんな!どさくさに紛れてうちの商品が消えてる!?」
シグルド「うわぁ……こりゃあのマゼンタ野郎の言う通りナマコが必要かもなぁ………」
だが霖之助たちのみならず、イーストシーはまだ知らなかった。デストロイヤーが幻想郷各地を回り、対策として住民に次々にナマコを配っていることを………。
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魔法の森のチンピラ
鎧凰丸がオズワルドを倒し、夫がウスバクワガタに殺された翌日のこと。赤い帽子と洋服を身につけた1人の少女が魔法の森の中を歩いていた。
彼女はプリズムリバー三姉妹の末っ子にしてキーボードの演奏を担当する『リリカ・プリズムリバー』、種族は姉と共に騒霊。リリカは魔法の森の中を歩く足を止めると、あることをポツリと呟いた。
リリカ「そういえば私………ここで日花に助けてもらったっけ……………」
足を止めたリリカは魔法の森を見渡しながら、
遡ること数週間前、ソウゴが2代目ムシキングになると言い出す前の出来事………リリカはある甲虫に呼ばれて魔法の森へ来たのだが。
リリカ「あの虫さんが言うにここっぽいけど、ここに何かあるのかな?何もないように見えるけど……」
???「やいコラ、そこのお前!オメェだよ、そこのお嬢ちゃん!」
リリカ「へ?もしかして……私?」
???「そうだ、テメェだよコラ!!ここにはテメェしかいねぇんだ!!俺たちの縄張りに何しに来やがった!!」
振り向くと、大木には声の主であろうメンガタカブトがしがみついていた。だが彼だけではない、他にもリリカを呼んだと思わしきサビイロカブトがメンガタカブトと同じ大木にしがみついている。
メンガタカブトとサビイロカブトは自分たちが大木から飛び降りると、ソウゴたちのように巨大化。リリカの前に立ちはだかる。
サビイロカブト「ねえメンガタ、あいつだよ。君のことバカにしてた女の子」
リリカ「へ?何言ってるの?てか、あなたたち誰?」
理解できないまま名前を聞こうとする。するとメンガタカブトがグイと顔を近づけてきた。
メンガタカブト「は~ん?俺のことを知らねぇ奴がいるたぁどんだけ鈍感なんだ?まあいい、耳ン中かっぽじってよ~く聞きやがれ!甲虫界の喧嘩番長、メンガタ様たぁ俺のことよ!!」
サビイロカブト「そして僕はサビー。よろしくね~」
安直すぎる名前に思わず吹き出しそうになったリリカ。それが火に油を注ぐ羽目になってしまい、メンガタにさらにグイと顔を近づけられ、睨まれながらこうすごまれた。
メンガタ「テメェ、今笑っただろ……?笑ったよなぁ……?この甲虫界の喧嘩番長をバカにするたぁいい度胸じゃねぇか………!」
リリカ「え、ちょっと待って。ねえ、ホントに何言ってるの!?私別にバカにしてないし、第一初対面でしょ!?」
サビー「ほらほらメンガタ。あの目。君のこと虫ケラみたいな目で見てるよ~」
メンガタ「ほう、やっぱりバカにしてんじゃねぇか!俺に楯突くってこたぁ、ボコられてもいいってことだよなぁ!?」
リリカ「へ?ちょ、何を!!」
ソウゴと同じダゲキ技、ローリングスマッシュでリリカを殴ろうとするがかわされた。
それを見計らっていたかのようにサビーがニヤリと笑う。
サビー「かかったね。食らえ、『ダンガン』!」
リリカ「イタッ!」
夫の肩を貫いたウスバクワガタのものより威力は劣るものの、きりもみ回転しながら体当たりするサビーに直撃したリリカは近くの木に激突。そのまま崩れ落ちた。
崩れ落ちたリリカにサビーはニヤニヤしながら近づいてきた。同時にメンガタもリリカを攻撃しようとジリジリと寄ってくる。尻餅をついたまま後ずさるリリカ。
サビー「いや~、君が来てくれて本当によかったよ。いじめ甲斐のある奴がいないか探してたトコでね~」
リリカ「な…何言って…」
サビー「君は見るからに騙されやすかったんだもん。まあ、恨むなら僕たちじゃなくて騙された自分を恨むんだね……アッハハハハハハハ!!」
メンガタ「ギャハハハハハハハハハ!!お前のそのかわいい顔、アザだらけにしてやるから覚悟しなぁ!!」
2匹の笑い声が魔法の森に響いた。その隙にリリカは震える足で立ち上がると、すぐにメンガタとサビーの前から姿を消した。
笑うのをやめた時には魔法の森から脱出しようとおぼつかない足取りで全力疾走するリリカの姿があった。
メンガタ「おい逃げんな!!」
サビー「逃げられると思ってるのかい?」
せっかく見つけた獲物だ、絶対に逃がさない。
共に羽を広げると、逃げるリリカの後を追っていった。
一方、リリカはメンガタとサビーから逃れるため、魔法の森から脱出しようと半べそで疾走していた。
森の奥には出口である光が差していた。
リリカ「嫌だ…嫌だ…!誰か助けて………!ルナ姉……メル姉……フォルテさん……奏……!」
背後から不気味に聞こえる大きな羽音がリリカをさらに恐怖で煽っていた。早くなる鼓動、込み上げる吐き気。だがここで足を止めれば最悪な結末が降りかかる。
足がだんだん思うように動かなくなってきた。しかし出口へと続く光がどんどん大きくなっていく。リリカと出口との距離はどんどん縮み、あと10メートル、9メートル、8メートル……もう少し、もう少しだ。
同時にリリカを追う2匹の甲虫も彼女との距離がどんどん縮んでいた。リリカに暴行したくてたまらないメンガタ、にやけるサビー。
リリカ「!!」
なんという災難か。出口まであと5メートルというところで石につまずいた。
転倒したところをあっという間に追いつかれた。顔を上げると、出口を塞ぐようにメンガタとサビーが立ちはだかっていた。
メンガタ「もう逃がさねぇぞ……ボッコボコにしてこのメンガタ様に逆らえねぇようにしてやる……!」
サビー「そうそう、念入りにね?」
リリカ「い………いや………お願い……やめて………!来ないで……!」
絶体絶命。万事休す。これから起こる最悪なことを想像し、思わずこんなことを言い放った。
リリカ「お願いだからやめてよ!!こっちに来ないで!!このゴーカン虫!!変態!!痴漢!!私を痛めつけて【自主規制】とか【自主規制】とかするつもりでしょ!?」
サビー「は?君、何言ってんの?ねえメンガタ、なんかあの子変なこと想像してない?」
メンガタ「知るか!いや待てよ……?」
リリカの口から飛び出した3つの言葉『ゴーカン』、『変態』、『痴漢』。一度サビーに怒鳴ったメンガタだが、改めて考え直すと、自然に気色悪い笑みが浮かんできた。
メンガタ「………ゲヘヘヘヘヘ、こいつァいいや。グレートだぜ、こいつァ。このメスは俺たちの縄張りに入ってきやがったんだ。そういうことをするのもあり―――――」
???「待ーて待て待て待て待て、待てぇい!」
リ・メ・サ「「「!?」」」
リリカの背後から別の声が聞こえてきた。まさかこいつらの仲間?リリカは恐る恐る振り向いた。
メンガタ「な、何だ何だ!?」
彼女の背後にいたのはどこからともなく現れたカブトムシ、ゴホンヅノカブトだった。だがゴホンヅノカブトにしては前翅がいぶし銀に染まっている。見たところクロゴホンヅノカブトでもなさそうだ。
いぶし銀のゴホンヅノカブトが目を向けているのはリリカではなく、メンガタとサビー。どうやら彼らに用があるようだ。
いぶし銀のゴホンヅノ「お前ら、女の子に手を出そうなんてこの俺っちが許さねぇ!」
サビー「あれぇ?君よく見たらタイゴホンヅノか。ていうか君、日花じゃん!」
メンガタ「あ、ホントだ。また俺たちの邪魔しに来やがったのか!うぜぇんだよ!」
日花と呼ばれるタイゴホンヅノカブト。敵ではなさそうだ。
そしてメンガタとサビーのようにまばゆい閃光が全身を包んで巨大化すると、リリカを守るように彼らの前に立ちふさがる。
日花「お前らはこの日花様が相手してやんよ!逆にお前らに吠え面かかせてやる!」
サビー「僕ちゃんたちに勝つって?無理無理!僕ちゃんとメンガタは―――――」
日花「先手必勝!!『ヘッドスピンラッシュ』!!」
逆立ちしながら回転して突進するダゲキ技『ヘッドスピンラッシュ』。言い終わらぬうちに日花はすぐさまそのダゲキ技を食らわせにサビーに襲いかかった。
とどめに強烈な一撃を食らったサビーは魔法の森の外まで吹き飛ばされた。
メンガタ「サビー!」
日花「どうでぃ!俺っちの技は!」
サビー「イッタタ………日花のくせに生意気な………!」
メンガタ「テメェ……人の話を無視してサビーに攻撃するとかいい度胸じゃねぇか!!」
リリカ「危ない、避けて!」
日花「え?って、ヤッベ!『アクセルグライド』緊急回避バージョン!」
羽を広げ、メンガタの突進を素早くかわした。もしあの時リリカに声をかけられていなければ、ハサミ技を食らっていただろう。
さて、突進をかわされたメンガタはというと。
メンガタ「と、止まれねぇ!?おいサビー、そこどけぇ!!」
サビー「え?」
ゴッヂイイイイイイイイイイン
突進をかわされた上、サビーにも正面衝突してしまった。それだけならまだマシだったものの、彼らは互いに顔をくっつけていた。
メ・サ「「……………!//////」」ブチュウウウウ
正面衝突したはずみでキス。この場にある恋愛煩悩なサタンオオカブトがいればさぞ歓喜をあげていたであろう。
メンガタ「サビー!!よくも俺様の唇を奪いやがって!!」
サビー「わ~ん、わざとじゃないのに~!!」
日花(うげぇ………あいつらそういう関係なの?吐きそう………)
この光景を見た日花は引いていた。戦いを放り出したメンガタは激昂しながらサビーを追いかけていった。
彼らの姿が見えなくなったことを確認すると、リリカの方に目を向け、心配そうに優しく声をかけた。
日花「なあお嬢ちゃん、大丈夫か?」
リリカ「う、うん………えっと…あなたは?」
日花「俺っちか?俺っちは日花ってんだ。お前は?」
リリカ「…リリカ。リリカ・プリズムリバー」
日花「リリカか。もう安心しな、俺っちがお前を守ってやるよ。俺っちは―――――」
次の言葉を遮るように、リリカはこう言って日花に笑顔を見せた。
リリカ「うん。私を助けてくれた虫だよね。お願い、どうかこれからもそばにいて!」
日花「え!?これからもそばに!?………お、おう、任せとけ!この日花様にできねぇこたぁねぇ!」
その日から日花はリリカを守るため、彼女のパートナーになった。
時々衝突しながらも、リリカは日花と共に過ごしていった。
そして今に至る。数週間前の出来事を隅々まで思い出し、気づけば彼女は魔法の森の奥まで来ていた。
愛用のキーボードの鍵盤に指を置き、やがて魔法の森にキーボードの美しい音色が響き渡る。
リリカ(…………ホント、日花が助けに来なかったら今頃大変なことになってたかも。あの2匹はもう二度と私を狙ってこない。それにここなら誰も来ないし、ゆっくり練習ができる―――――)
日花「おーい、リリカー!」
遠くから聞き慣れた声が聞こえてきた。少しぎょっとするも、声の主が日花であることにそんなに時間はかからなかった。
リリカ「日花!?私、1人で出かけるって言ったよね!?」
日花「はぁ!?何言ってんだよ!?1人で行くって…しかもここ、あいつらがいた場所じゃんか!そう言ってくれれば俺っちもついてくのに!」
リリカ「大丈夫。だって日花が私を助けてくれるんでしょ?」
日花「そう思うなら次から俺っちも呼んでよ!?心配させんなよ!」
だが………日花の悪い予感がここで当たり、さらにリリカの身に最悪な事態が起こるとは思ってもいなかった。
リリカの過去と現在を含め、今回出したのは日花のみ。
次回にはリリカが言ってたフォルテと奏も出しますのでお楽しみに。
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リリカと日花が魔法の森に出かけているその頃、彼女たちの住処である廃洋館にて。
廃洋館にはリリカの姉にして種族は同じく騒霊である『ルナサ・プリズムリバー』、『メルラン・プリズムリバー』が住んでいる。もちろん彼女たちにもパートナーである甲虫がおり、ルナサは朱色のラコダールツヤクワガタ、メルランは赤いヒメカブトをパートナーとしていた。
ラコダールツヤクワガタの方は『フォルテ』、ヒメカブトの方は『奏』。姉2人と2匹の甲虫は魔法の森へ出かけた妹とタイゴホンヅノカブトが心配でならなかった。
ルナサ「大丈夫かな、リリカ。確かリリカってあそこでメンガタカブトとサビイロカブトに襲われたんだよね?」
フォルテ「ああ。リリカを連れてきた時あいつ『俺っちが助けてやったぜ』って言ってたしな」
メルラン「でもなーんか嫌な予感がするんだよねぇ………」
奏「気にしすぎだよメルラン。大丈夫、大丈夫」
メルラン「大丈夫って言われても……」
相棒とは対照的に妹が心配でたまらないルナサとメルラン。とりあえず夕食までには帰ってくるだろうと思い、そのまま待つことにした。
フォルテ「ところでお前たち、今日の夕食はどうする?」
ル・メ・奏「「「カレーでいいよ」」」
フォルテ「カレーか………材料あったかな?」
カレーの材料は全て揃っていた。日はすっかり暮れ、カレー作りがてらリリカと日花の帰りを待つ一同。
ところがいくら待ってもリリカと日花が帰ってこない。どれだけ練習に夢中になっているのだろうかとフォルテは思った。
時は刻一刻と過ぎ、完全に日没してしまった。時刻は午後6時半過ぎ、カレーはすでに完成している。リリカと日花が帰ってきたら食べようかと思っていたが、あまりにも遅すぎる。
奏「あ~、お腹空いたよぉ!もうこんな時間なのに帰ってくるの遅スギィ!早くカレー食べたいよぉ!」
ルナサ「私だって食べたいわよ!!いくら何でも遅すぎるよ!!やっぱりあの虫たちに襲われてるんじゃないの!?」
フォルテ「……………」
メルラン「ていうかフォルテだけ何で落ち着いてるの!?リリカと日花が心配じゃないの!?」
空腹のあまり駄々っ子のように足をばたつかせる奏、悪態をつくルナサとメルラン。
そんな中フォルテは目を閉じ、微動だにせずじっとしていた。しかし突然目を開け、ルナサたちに目と体を向けたかと思うと。
フォルテ「空腹ぐらいで何をガタガタ抜かす!!俺は考え事をしてるんだ、少しでいいから黙ってられないのか!!気が散るだろうが!!」
怒鳴ったフォルテは再び背中を向けて目を閉じ、落ち着いてあることを考え出す。
一方で怒鳴られたルナサたちは身震いしていた。空腹でイライラするのはわかるが、考え事?非常事態だというのに。
フォルテ(あいつは練習のために魔法の森に行った………日花も心配してあいつの後を追って………ん?待てよ?チンピラ共は自分をボコボコにした日花を恨んでいるん……だよな?それにリリカをレ○プしようとしてたとも言ってたが………)
フォルテは不穏の空気に包まれた。もしそれが本当なら今頃リリカと日花は。
再び目を開けると、ルナサたちに再び目と体を向けた。
奏「こ、こ、こ、今度は何?八つ当たり?」
フォルテ「……さっきは怒鳴ってすまなかった。それよりルナサ。さっき何と言った?あの虫たちだと?」
ルナサ「う、うん…そうだけど…どうかしたのフォルテ?」
フォルテ「あの虫たち……つまりあのチンピラ共、メンガタとサビーのことか……リリカを襲った虫……魔法の森でメンガタとサビーに………ん!?」
目を大きく見開くフォルテ。窓の方まで飛び立ち、開けると、地面に降り立った。
メルラン「どうしたのフォルテ?こんな時間にお散歩する気?」
フォルテ「誰がお散歩と言った。リリカと日花を迎えに行くだけだ。それにあいつらに何かあったらすぐに助けなきゃならないだろう。もし日花が言ってたあのチンピラだったら………ダメだ、説明してる暇はない。留守を頼むぞ、お前たち」
自身の体を高速回転して土煙を起こし、地中に消えていった。先ほどまでフォルテがいた場所には大きな穴がある。
奏「確かリリカと日花が行ったトコって…………」
ルナサ「魔法の森って言ってたわね。フォルテが行っちゃったけど、もう手遅れなんじゃ―――――」
メルラン「やめてよ姉さん!それ以上不安にさせないで!今はあの子たちの無事を祈ろうよ!」
ルナサ「……うん。それもそうだね」
さて、ところ変わってリリカと日花がいる魔法の森の奥にて。
悪い予感は的中していた。日花以外にもルナサ、メルラン、フォルテの予想は当たっていた。リリカを襲ったチンピラ甲虫ことメンガタとサビーが練習中の最中に急襲してきたのだ。
日花「お前ら、マジで懲りる気ゼロなんだな。バカなの?いい加減諦めて―――――」
メンガタ「諦める?そいつはどうかな?」
日花「何?」
サビー「『ダンガン』!」
きりもみ回転しながら日花に体当たりしようとするサビー。日花は余裕綽々で吹き飛ばそうと構えるが。
日花「バーカ、見え見えだぜ!」
サビー「その気になっていた君の姿はお笑いだったよ」
リリカ「え………?」
ブーーーーーーン
ガツンッ
リリカ「!!!」
日花「なっ!?リリカァ!!」
そう。最初こそ日花が優勢に立っていたが、サビーが卑怯な手口を使い始めたせいで劣勢に立たされるという展開に陥ってしまった。
ダンガンを食らい、吹き飛ばされたリリカは大木に激突。そのまま崩れ落ちた。
メンガタ「隙あり!!『ローリングスマッシュ』!!」
日花「ブッ!フゲッ!ガハァ!?」
ローリングスマッシュで日花に左右コンビネーションを決めた後、立て続けに彼を下から担ぎ上げ。
メンガタ「まだ終わってねぇぞ!『サイドロックボム』!!」
日花「グフォ!?」
横に飛び上がって日花を頭から地面に叩き落とした。
リリカ「うう……ひ、日花…………」
メンガタ「食らえ、『ランニングカッター』!」
日花「アダダダダダダダダダダダ!!熱い熱い熱い熱い熱い削れる削れるーっ!!」
攻撃の手を緩めることなく立て続けにハサミ技『ランニングカッター』で日花を引きずり回し、とどめに飛び上がって地面に叩きつける。
彼が宙を舞ったところをサビーが回転しながら襲いかかってガッシリとつかみ、地面をタイヤのように転がった。
サビー「『ダイシャリン』!!」
当然避けられず、サビーのナゲ技を食らった日花はそのまま空中で放り投げられた。
放り投げられる際、サビーはまるでリリカに狙いを定めたかのようにニヤリと笑ったようにも見えた。
ドオオオオオオオオン
放り投げられた日花はリリカもろとも大木に激突。同時に大木はメキメキと大きな音を立てながら倒れてしまった。
地に倒れ伏した日花とリリカにメンガタとサビーがジリジリ近づいてくる。彼らの目はまるで見下すかのように冷たかった。
メンガタ「どうだ………このメンガタ様を怒らせるとどうなるか思い知ったか………!」
サビー「ねえメンガタ、もういっそのこと……見せしめにこいつの前であの女の子を殺した方がいいんじゃないかな?」
日花「な…………!?」
リリカ「ふぇ…………!?」
殺す!?日花は信じられなかった。憎らしい笑みを浮かべるサビー。
見るとメンガタにも憎らしい笑みが浮かんでいた。
メンガタ「殺しか……ヘヘ、考えたこともなかったなぁ。こいつは甲虫界の喧嘩番長という看板に泥を塗ったんだ。ついでだから日花もじっくりとなぶり殺すってのも悪くねぇなぁ?」
サビー「でしょでしょ?僕たちに逆らったらどうなるかこいつらの体に刻ませる……最高のチャンスだよ」
リリカ「い……いや………待っ……殺さ…ない…で………!」
日花「て、テメェら………リリカに手出したら……ただじゃ………」
なんとかして立ち上がろうとするが、ダメージがよほど大きかったのか、全身に走る痛みで体が思うように動かない。
???「お前たち、ずいぶん楽しそうなことをしているな。殺しだと?俺も混ぜてくれよ」
誰かの声が聞こえてきたのはその時だった。まるで地中から聞こえてきたようにも感じる。
だがサビーは何の疑問を抱えることもなく、謎の声にこう返事をした。
サビー「ん~?誰かは知らないけど、君もこいつら殺したいの?」
メンガタ「手伝いてぇなら好きにしろ。だがこのメンガタ様の興を冷ますような真似をするなら………って、何だ?」
サビー「どうしたのメン……あれ?急に固まってどうしたの?」
地中から聞こえてきた謎の声にメンガタの動きが止まった。
謎の声を聞いたのはメンガタとサビーだけではない。リリカと日花もしっかり聞いていた。
リリカ「あ………あの声って………」
日花「まさか………」
サビー「え?え?」
メンガタ「??????」
リリカと日花にとっては聞き慣れた声だった。状況が飲み込めないメンガタとサビーが首をかしげたその瞬間だった。
???「オォォォラァァァ!!!」
バゴオオオオオオオオオン
サビー「ボヘェェェェェェェェェェェェイ!!?」
メンガタ「サビィィィィィィィィ!?」
声の主と思われる謎の物体が地中から飛び出し、サビーを吹き飛ばした。
???「………『サブマリンアタック』」
リリカ「あ…あなたは……!?」
日花「……その赤っぽい体………お前……まさか………!」
声の主にしてサビーにサブマリンアタックを決めた物体の正体。一番上の姉が使うパートナーだったのですぐにわかった。
朱色のラコダール「大丈夫か?リリカ、日花」
リリカ「ふ……フォルテさん………!」
日花「フォルテ……来てくれたのか………!」
朱色に染まったラコダールツヤクワガタ、彼の名はフォルテ。ルナサのパートナーにして、あることを何よりも嫌う甲虫だった。
メンガタ「ウガァァァァ!!誰だ、せっかくいいトコを邪魔しやがってぇ!!」
サビー「邪魔も何も、あいつ……」
メンガタ「うるせぇ!!ギッタギタのメッタメタにしてバラバラに引き裂いて……や……!?」
地中から飛び出した物体ことフォルテに目をつけ、睨みつけた途端、驚いて目を丸くした。
メンガタ「ゲェー!?お、お前は………卑怯なことが大嫌いなクワガタ……フォルテ!!」
サビー「ぷ、プリズムリバー三姉妹の怖いクワガタが何でここに来たの!?」
フォルテ「リリカ……!」
痛めつけられてボロボロになったリリカが信じられなかった。
なんてことだ。もう少し早く気づいていれば。フォルテの心境はまさにそうだった。
リリカ「ご、ごめんね……し…心配かけちゃって……」
日花「悪りぃ……俺っちのせいでリリカがボロボロになっちまって……こりゃルナサとメルランと奏に顔向けできねぇな………」
フォルテ「何を言うんだ日花。よくやったじゃないか。お前はあのチンピラたちを追い払おうと…リリカを守ろうと全力を出して戦ったんだろう?何も落ち込むことはない……むしろ『自分はよく頑張った』と誇ってもいい。ポジティブになるんだ。自分に自信を持て」
日花「フォルテ…………」
一方で突如現れたフォルテに困惑するメンガタとサビーは。
サビー「あのクワガタ……もしかしてあの女の子の仲間なんじゃ……」
メンガタ「その前にお前、さっき何つった?プリズムリバー三姉妹だと?日花が言ってたリリカって女……まさか…………っ!?」
甲虫界の喧嘩番長と自称するメンガタもさすがに不安を感じてきた。だがその不安はすぐに恐怖に変わった。
サビー「ヒェ!?」
それはサビーも同じだった。フォルテがすでにメンガタとサビーに目を向けており、血走った目で睨みつけていた。
彼の目にこもった色ははもはや憎悪と殺意。抹殺すべき存在として認識していた。同時に彼の体から漂い、立ち上る赤黒いオーラがさらに恐怖を煽らせていた。
フォルテ「貴様ら………ずいぶん死に急いでるみてぇだなぁ?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
メ・サ「「ひ、ヒィィィィィィィィ!!?」」
フォルテから立ち上る赤黒いオーラはまるで般若のような悪魔のような形をなしているようにも見えた。
すさまじい威圧感とドスの効いた声に畏怖し、震えるメンガタとサビー。
サビー「や…ややややヤバババババババ…!?これヤバイよメンガタ……!」
メンガタ「お、おおおおお前があの女を殺そうとか言うからじゃねぇのか…!?」
サビー「な、何言ってるんだよメンガタ……!?き、君が……!」
メンガタ「おい!?俺じゃなくてお前だろ!?」
フォルテ「ほう………?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
責任をなすりつけ合うチンピラ2匹をよそに、フォルテが日花に目を向けた。
フォルテ「日花、立てるか?」
日花「あ、ああ……ま…まだ行けるぜ……(こ、怖ぇぇぇ!!こんなにブチギレてるフォルテ見たことねぇよ!!)」
日花もフォルテの威圧感に内心恐怖していた。だがそれを表に出さず、おぼつかない足取りで立ち上がり、グッと踏ん張る。
フォルテ「よし、ならさっさとあいつらをぶっ殺すぞ。二度と俺たちの前に立てねぇようにしてやろうじゃねぇか」
目に憎悪と殺意の色を込めたままフォルテはジリジリとメンガタとサビーに近づく。
同時にフォルテについていくように日花も彼らに近づいた。
サビー「や、ヤバイ…どうしよう……こっち来たよ……!」
メンガタ「………ち、チクショォォォ!!こうなったらやってやらぁ!!サビー、もうヤケクソだ!!ヤケクソであいつらをぶっ殺すぞ!!」
サビー「え゛!?え゛え゛え゛え゛えええええええええええ!?」
準備が整っていないことを機会に、フォルテは地中に潜って姿を消した。まるでリリカと日花を探しに行く時と同じように。
そして突然現れた時と同じように地中から飛び出し、サビーを吹き飛ばした。
フォルテ「『サブマリンアタック』!!」
サビー「アラァァァァァァァァァァ!?」
フォルテ「いちいちオーバーなんだよ、かませ犬が……いや、虫だからかませ虫か」
サビー「こ、このぉ!」
羽を広げ、ダンガンを食らわせようとするが、真っ先に突撃したのはフォルテだ。
フォルテ「遅い。『サイクロンホイップ』」
ブォンブォンブォンブォンブォン
サビー「ギニャアアアアァァアァアア!!目が回るゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
相手を軸に懐に入り、竜巻のように回転する技『サイクロンホイップ』。サビーが目を回したのを確認すると、そのまま放り投げた。
宙を舞い、なす術もなく地に落ちるサビー。彼が翻弄されている一方でも日花はメンガタと対峙していた。
あれだけのダメージを受けたにもかかわらず、メンガタの攻撃を何度もギリギリでかわしている。
メンガタ「動くのがやっとなくせに、ちょこまかちょこまかと俺様をバカにしやがって!」
日花「元はと言えばお前らがリリカをあんな目に遭わせやがったんだ………覚悟はいいか?俺っちはできている!!」
目をカッと大きく見開き、次の攻撃に備える日花。
メンガタ「ほざけ!!『サイド』―――――」
日花「『アクセルグライド』!!」
メンガタが放とうとしたサイドロックボムをアクセルグライドでかわし、円を描くようにメンガタの様子をうかがう。
背後に回ったところで飛び上がり、上から挟み込んで地面にねじ込んだ。
メンガタ「ゴヘェ!?」
日花「さあ、立てよド三流!お前らは戦いを舐めてるから言っても無駄かもしれねぇけど……フォルテが言ってた『誇ってもいい』、俺っちの務め『リリカを守る』…そうさ、負けて何が悪い!負けたからこそまた戦う時、次は勝つと信じれば必ず勝てるんだ!!リリカは誰にも殺させない!俺っちのリリカを守る気持ちがある限り、俺っちの不屈の炎は無限大だ!!」
メンガタ「笑わせるな!!戦いごっこと友情ごっこなら向こうで仲良く遊んでやがれ!!『ランニング』―――――」
日花「『ヘッドスピンラッシュ』!!」
メンガタ「ガダァァァァァ!?」
技の名前を言い切る前にヘッドスピンラッシュで攻撃。もはや日花の攻撃は先ほどの仕返しと言わんばかりだった。
サビー「い、痛いよぉ………」
メンガタ「くっ……これはマジでヤベェな……」
共に翻弄された2匹のチンピラ甲虫は日花に負けないぐらいボロボロ。いつ降伏してもおかしくない状態だった。
メンガタ「やっぱり……サビーに従うべきだったか………?やっぱり……ここは逃げるべきだったか………?」
フォ・日「「逃がすとでも思ってんのか?」」
メ・サ「「ゲェ!?」」
全て聞こえていた。フォルテはサビーの前に、日花はメンガタの前にいつの間にか立ちはだかっている。
フォルテ「貴様ら……ついでに言っておくがな、『ぶっ殺す』と思った時点でなぁ……」
再びドスの効いた声を出し、それと同時に大顎でサビーの首を挟む。
サビー「ガッ!?」
フォルテ「すでに終わってんだ!!『デビルスリーパー』!!」
ゴギャアッ
サビー「グギャアアアァァァァアアアァアァアァアアアアァァアアァァァァァァアアアアアァアァァァァア!!!!」
メンガタ「サビィィィィィィィィィィィィィ!!!!」
大顎で相手の首を挟んで一気にへし折る痛々しいハサミ技『デビルスリーパー』。
サビーの首がへし折られたのを見て絶叫したメンガタ。だがそれが大きな命取りとなった。
日花「オラァ!」
隙だらけとなったメンガタに日花が襲いかかり、メンガタをかち上げ、かつぎ上げたのだ。
日花「これに懲りたらぁ!」
メンガタを担ぎ上げたまま横に飛んで頭から地面に叩きつけ、その反動でさらに高く飛び上がり。
日花「二度と俺っちとリリカの前に現れるなぁ!!『スーパーサイドロックボム』!!」
ゴシャアッ
メンガタ「ぐわらば!!」
サビー「ギャス!?」
とどめと言わんばかりにサビーめがけて叩き落とした。これが日花のナゲ技にして究極必殺技『スーパーサイドロックボム』である。
日花「い、イテテテテテ………」
こればかりは無茶が祟ったのか、足をふらつかせて転んでしまった。
メンガタ「ち、チクショォォォォォ!!フォルテさえいなければァァ!!覚えてろォォォォ!!」
サビー「ま、待ってよメンガタァァァァ!」
もはや彼らにはチンピラという言葉はどこにもなく、かませ犬ならぬかませ虫に成り下がっていた。
かませ虫の遠吠えをしながら逃げるメンガタ、逃げる彼を追うサビー。フォルテと日花にとっては耳に心地よい声だった。
フォルテ「ハッ、二度と俺たちの前に現れるな」
それからフォルテは負傷したリリカと日花の元に寄り、安否の確認のため声をかけた。
フォルテ「おい日花、リリカ、生きてるか?しっかりしろ」
日花「ヘヘ……ちょっと…無茶しすぎちゃったよ……」
リリカ「私も……なんとか大丈夫……」
フォルテ「ならよかった…命に別状がなくて何よりだ。さあ、帰ろう。今夜はカレーだ、姉さんたちが腹空かせて待ってるぞ。立てるか?」
リリカ「ご心配なく………」
日花「奏の奴『お腹空いたよー!!』ってスッゲェ騒いでるだろうなぁ……」
その頃、敗走したメンガタとサビーだが、香霖堂のシグルドに頼んで新しい技を手に入れようとしていた。日花のように究極必殺技を使えられるようになれば勝てるかもしれないと思ったのだろう、求めていたのは『スーパーローリングスマッシュ』と『スーパーダイシャリン』だった。
サビーを外で待たせ、メンガタが鼻息荒く扉を乱暴に開け、店内に入る。
和長「いらっしゃいませー」
メンガタ「おい!!技屋はどうした!!シグルドのおっさんはどこだ!?いつもここにいたじゃねぇか!!」
霖之助「ああ……彼なら住み込みで仕事してるけど、移動販売に行ったっきり帰ってきてないよ」
机に置かれたサクランボの形をした紙にはこう書かれている。
【店内にてご用がある方は移動販売が行われていない日に】
メンガタ「ざけんな!!あいつがいねぇと困るんだよ!!俺たちには新しい技が必要なんだ!!『スーパーローリングスマッシュ』と『スーパーダイシャリン』を出しやがれ!!」
和長「新しい技かぁ……そんなこと言われてもこっちが困りますよ。えっと、メンガタさんだっけ?あなたカルシウム足りてないんじゃないですか?牛乳あげますから、それ飲んで落ち着いてくださいな」
メンガタ「もういい!!」
和長「ありがとうございましたー」
乱暴に扉を閉めて出ていった。その様子を見ていた霖之助はため息をついた。
霖之助「やれやれ…彼にはビタミンも摂取してほしいんだけどね……」
香霖堂を出たメンガタだったが、店から出るなりすぐに異変を感じた。
誰かに連れ去られたか?サビーがどこにもいないのだ。
メンガタ「サビー?おい、サビー!?どこ行きやがったあいつ!」
その時だった。闇の奥深くから悲鳴が聞こえてきたのは。
だがその悲鳴はサビーのものではない。もしかすると人間か?メンガタは悲鳴が聞こえた場所へすぐさま向かうことにした。
メンガタ「確かこの辺だよな?悲鳴が聞こえたのって………」
辺りを見回すと、ふとある甲虫に目が止まった。
香霖堂の前から姿を消したサビイロカブトのサビーだった。
メンガタ「サビー、何してんだこんなトコで。急にいなくなったからびっくりしたぞ」
サビー「……………」
だがサビーは何かに怯えている様子だった。メンガタに声をかけられてもただ震えるだけで何もしゃべらない。
メンガタ「そんなことより技屋がいなかったから探しに………おい、さっきから何黙ってんだ?」
サビー「……………」
メンガタ「黙ってちゃわかんねぇだろうが。あっちに何かある………!?」
サビーが怯えながら向けていた視線にはある恐ろしい光景があった。その視線に目を向けたメンガタも愕然とした。
グチャッ
ズズズズッ
彼らが目の当たりにしたものは血を流しながら倒れている人間。
そして1匹のギラファノコギリクワガタ………遺体の血をすするディアボロの姿。
ディアボロ「チッ、こいつもまずい。どうして幻想郷にはこんなまずいものばっかしかねぇんだ………!」
サビー「あ、あわわわわわ……!」
メンガタ「あいつ………噂で聞いたことがあるぞ………ディアボロ……だったか?」
ディアボロ「あ?」
血をすすることに夢中でメンガタとサビーに気づかなかったディアボロだが、話し声を聞くや否や彼らに視線を向けた。
ディアボロ「……何だ、クソガキ共か。ちょうどいい…まずい奴の血ばかりで飽き飽きしていたところだ、次は貴様らを食らうとしよう」
サビー「ひ、ヒエエエエエエエエエエエ!!に、逃げようよメンガタ!!」
メンガタ「いや、この際あいつを殺せば……あるいは……」
サビー「何言ってんのメンガタ……!?ね、ねえ……これホントに逃げた方がいいよ……!」
メンガタ「バカ野郎!!今さらこんなところで尻尾巻いて逃げられるか!!ここで殺せば―――――」
ガォンッ
メンガタ「!?」
突然の風圧がメンガタを襲った。気づけばディアボロが間近におり、サビーがまた大顎に挟まれていた。
メンガタ「サビー!?」
ディアボロ「甲虫以下風情が俺を殺せると思ってんのか?ヴァカめ……!」
サビー「い…嫌ぁ…メンガタ……助けて……!」
ディアボロ「痛すぎて失神すんじゃねぇぞ?いや、貴様はこれから殺されるから失神の『し』の字もねぇか。訂正だ」
ギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコギコ
サビー「!!!」
内歯で首を切断しようと挟んだまま大回転。だがゲイツのギコギコスラッシュとはまるっきり違う。ディアボロは本当に切断するつもりだった。
ディアボロが使うハサミ技、ゲイツのギコギコスラッシュの上位版。
ディアボロ「粉砕されねぇだけありがたく思えィ!!『スーパーギコギコスラッシュ』*1!!」
ブシャアアアアアアアアッ
メンガタ「サビィィィィィィィィィィィィィ!!!!」
サビーの切断された頭が宙を舞い、胴体が地に崩れ落ちた。
ディアボロ「フン、ウォーミングアップにもならねぇな。カスが………!」
メンガタ「……………こんの、クソ野郎ォォォォォオオオオォォオオオォォォォオォオオオォオオォォォォオオオオォォオォオォ!!!!」
呆然と立ち尽くしていたメンガタだったが、我に返って何が起きたか改めて思い出した。サビーが殺されたのだ。
怒りを爆発させ、その身に任せてまずはランニングカッターで距離を詰める。怯んだところをさらに追い討ちとして左右コンビネーションを放った。
メンガタ「クソがァァァァァァ!!『ローリングスマッシュ』!!」
だが渾身の一撃が決まる前に避けられ、隙ができたところを大顎で挟まれた。
メンガタ「なっ!?」
ディアボロ「こそばゆいな!その程度の攻撃でハサミだのダゲキだの笑わせやがる!」
そのまま空中へ放り投げ、自身も空中に舞い上がり、メンガタを逆さの状態で抱え込む。
ディアボロ「『ローリングドライバー』!!」
メンガタ「グブゥ!?」
ドライバーで板にネジを入れるかのように回転しながら落下し、メンガタを頭から地面にねじ込んだ。
しかしすぐに地面から抜け出したものの、ディアボロが次の技を出そうと距離を遠めに置いていた。
ディアボロ「弱すぎる。木偶ごときが俺に挑もうとはな。貴様に本当のハサミ技というものを教えてやろう……そして精神もろともへし折ってくれる」
大顎をギラリと光らせるディアボロ。とどめの一撃を食らわせようとばかりに満身創痍のメンガタに突撃する。
ディアボロ「ブルルァァァァァァァァ!!」
メンガタ「何が本当のハサミ技だ………ふざけんじゃ―――――」
ディアボロ「『G・ネックブリーカー』*2!!」
ゴリュウッ
大顎がメンガタの頭を挟み、一気にねじり上げた。メンガタの頭が変な方向に曲がった。
メンガタ「んなこと…………ある………か………よ………………」
精神がへし折られたどころか生命まで失った。
ディアボロ「最高にぬるい奴らめ………口ほどにもねぇな」
かくして2匹のかませ虫もといチンピラ甲虫のメンガタとサビーはディアボロに圧倒的な力を見せつけられ、一生を終えた。
ディアボロは夜空に浮かぶ月を見上げると、こんなことを呟いた。
ディアボロ「………カブトムシのソウゴか。自称ムシキングになるとかほざきやがる小僧に俺の強さを思い知らせてやろう。そして博麗の巫女の血肉を食らってやろうじゃねぇか………!」
不気味な風が辺り一面に吹き、木の枝を揺らした。
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青黒く青白い弟
ヘルクス「美味い団子だ」
昼下がり、人里ではヘルクスが団子屋の前でみたらし団子を口にしていた。
団子屋店主「おい、あんた知ってるか?あの黒いクワガタ使ってた奴、誰かに殺されたらしいな」
ヘルクス「肩を貫かれ、全身切り刻まれた上に首を切断された状態で見つかったとのことだろう?」
しかも男の指は何者かによって引きちぎられていたらしい。
そう、その被害者こそあの日オズワルドに裏切られ、迷いの竹林で黒い布をまとったウスバクワガタに殺された暴力夫であった。
ヘルクス「だが殺されたのは人間だけじゃない……甲虫も惨殺されていたらしいな。目撃者はシグルド、サビイロカブトは首を切断され、メンガタカブトは首が変な方向に曲がり………となるとあんなことをするのは奴しかしない」
団子屋店主「ほえ~、虫まで殺されたのか。噂には聞いてたが、それってディアボロのことかい?」
ヘルクス「ああ。我々甲虫を根絶やしにしようと目論んでる化け物だ。お前も気をつけろ、奴の歪んだ精神は半端じゃない。私の弟がかわいく見えるほどにな」
???「ん?そこにいるのはヘルクス殿ではないか」
ヘルクス「?」
通りすがりの者に声をかけられた。声がした方向に顔を向けると、そこには長い大顎と短い大顎を持ち、緑と白のチェックのマフラーを巻いたノコギリクワガタが。
声をかけたであろうノコギリクワガタは白髪の少女の肩に乗っており、その少女は2本の刀を携えていた。
ヘルクス「久しぶりだなソウトウ、魂魄妖夢」
名をノコギリクワガタの方は『ソウトウ』、少女の方は半人半霊『魂魄妖夢』。共に冥界に住む剣士であった。
妖夢「お久しぶりです、ヘルクスさん」
ソウトウ「ここで団子を食べているとは珍しいな」
ヘルクス「私だって団子ぐらいは食う。お前たちは何しにここへ?」
妖夢「お買い物です。食材がまた底をつきそうなので」
妖夢は山のように大きな風呂敷を背負い、両手も大量の食材が入った袋によって塞がっていた。
ヘルクス「………また西行寺幽々子とグラトニーの大食いが暴走したのか。苦労してるな」
妖夢「ホントですよ。あの人と虫の胃袋どうなってるんでしょう………」
ソウトウ「まさに幻想郷のブラックホールだ……じゃなきゃ幽々子様もグラトニー様も大食いなんてしない」
妖夢「そうですねぇ……あっ、そういえばヘルクスさん。こんなのもらいませんでした?」
懐からある黒くヌメヌメしたものを取り出す。それはデストロイヤーからもらったと思われるナマコだった。
だがもらっているのは妖夢だけではない。ソウトウももらっていた。
ヘルクス「ん?何だそれは」
妖夢「ナマコだそうです。なんか買い物途中で現れたピンクのクワガタが―――――」
デストロイヤー「だからピンクじゃなくてマゼンタ」
妖・ソ・ヘ「「「!?」」」
またどこかで聞きつけたのか、ピンクに反応したデストロイヤーが妖夢の背後から声をかけた。
背中にはナマコを背負っている。
デストロイヤー「……おっと、説明は俺がしよう。このナマコは対泥棒クワガタ用の投擲具で、もしそいつが何か盗もうとしたらぶつければいい。その泥棒クワガタはシアンのグランディスだから見分けがつきやすいはずだ。というわけで、お前にもナマコをやろう」
ヘルクス「?」
デストロイヤー「あ、間違えても食うなよ?別に食ってもいいが対処できなくなるぞ。そんじゃあな」
さすがのヘルクスも理解できなかった。同時に疑問も頭の中でいっぱいになる。幻想郷に海はないはず。この世界で一体どうやって手に入れた?と。
ヘルクスが疑問を抱える中、デストロイヤーはどこかへ飛び去ってしまい、妖夢とソウトウはそれを見届けていた。
ヘルクス「変な虫だな………だが奴もゲイツみたく強者の雰囲気が漂っていたな」
妖夢「変な虫ですよね………」
ソウトウ「ところであの虫は氷を食しているのか?」
ヘルクス「ん?」
近くでガリガリと聞こえる何かをかじるような音。ヘルクスたちが音のする方へ目を向けると、氷が入った袋を持った甲虫だった。
その甲虫はソンブレロを被り、見ているだけで寒そうな真っ青なポンチョを身にまとった全身水色のコーカサスオオカブト。袋から氷を取り出してはガリガリとかじっている。
音の正体はこの水色のコーカサスオオカブトだった。
妖夢「ザミーゴさんまで人里に来てたんですね」
ザミーゴという名を持つコーカサスオオカブトに気づいた店主が彼に話しかけた。
団子屋店主「おいあんた、いっつも氷そのまま食ってるみたいだがかき氷にして食わねぇのか?」
ザミーゴ「ん?ああ気にすんな。このままでも食えるから……って、かき氷?」
団子屋店主「ちょっと待ってろ、今作ってやるから。きっと気に入るぜ」
この店主、普段はヘルクスが食べているような団子を売っているのだが、夏になるとかき氷も売っていた。
カキゴオリ?ナニソレオイシイノ?と言わんばかりに疑問を抱えるザミーゴ。
ソウトウ「……ザミーゴ殿はかき氷を知らぬのか?いや、まだ夏でもないのに氷を食しているとは」
ヘルクス「……………」
物珍しそうな目でザミーゴに近づくヘルクス。
ザミーゴ「ん?何か用か?」
ヘルクス「いや、このような季節に氷を食らう虫がいるのが珍しくてな」
ザミーゴ「まあ珍しいのは仕方ねぇな。今時俺みたいな虫が氷を食うトコなんて見ねぇと思うし。それよりかき氷か……どんな味かな?」
案外期待していた。ザミーゴはいつも氷の塊ばかり食べていたので氷菓子といったものを一度も食べたことがなかった。むしろ『氷菓子の存在を知らなかった』と言った方が正しいだろう。
店の奥で氷を削る音が外まで聞こえ、同時にザミーゴの期待はより一層深まっていく。
ヘルクス「失礼だが、水色のコーカサスよ。ザミーゴといったな」
ザミーゴ「そうさ。いかにも俺がザミーゴだ。そういうお前は?」
ヘルクス「私はヘルクスだ」
ザミーゴ「ほう、そうか。ところでお前らが持ってるそれ何だ?」
まだデストロイヤーに会っていないのか、ヘルクスたちが持っているナマコに目をつけた。
妖夢「ナマコだそうです」
ザミーゴ「ナマコォ?」
ソウトウ「何でも幻想郷のどこかにシアンのグランディスオオクワガタがいるらしい。奴は泥棒をやっているとのことだが、マゼンタのセアカフタマタクワガタが言うにこれはシアンのグランディスオオクワガタへの対策らしい」
ザミーゴ「何だそりゃ。というかマゼンタ?ピンクじゃねぇのか?」
デストロイヤー「ピンクじゃない、マゼンタだ」
ザミーゴ「ファッ!?おまっ、どっから現れた!?」
再びピンクに反応し、どこからともなく現れたデストロイヤー。今度はザミーゴの背後に立っていた。
デストロイヤー「ピンクと言う奴がいる限り、俺はどこからでも出てくるぞ?」
ザミーゴ「……ヤベェ、まだ
デストロイヤー「さて、そろそろナマコがなくなりそうだし、また補充してこねぇとな。じゃあな」
ザミーゴ「って俺の隣にいつの間にヌメヌメしたのが!?これがナマコっていうのか!?」
困惑するザミーゴなど無視して再び飛び去っていくデストロイヤーを見届けるヘルクス、ソウトウ、妖夢。
一体何なんでしょうねと言わんばかりに妖夢は複雑そうな表情をしていた。
ヘルクス「…………あ、奴の名前を聞き忘れた」
ソウトウ「あの様子からしてまたどこかで会うかもしれんな」
そんな時、また誰かがオズワルドを暴れさせているのだろうか、人里が騒がしくなっていた。
妖夢「何でしょう、この騒ぎ?」
ソウトウ「ただ事ではないのは確かだな。様子を見に行かねば」
ザミーゴ「ん?お前ら行くのか」
ソウトウ「ザミーゴ殿は行かぬのか?」
ザミーゴ「俺はここでかき氷とやらを食わなきゃならねぇからな。どんなものか気になってしょうがねぇんだ」
ヘルクス「そうか。なら、さらばだ」
ザミーゴ「アディオス」
別れを告げるヘルクスを見た妖夢とソウトウも別れを告げると、騒ぎが起きている中心へ向かっていった。
ちょうどその時、店主が苺味のシロップと練乳と思わしきものがかかったかき氷を持ってきて、それをザミーゴに差し出した。
団子屋店主「待たせたな。これがかき氷っていうんだ」
ザミーゴ「おっ、できたか。どれどれ?」
ストロースプーンですくうと、ゆっくり口の中へ運ぶ。
すると………。
ザミーゴ「ゥンまああ~いっ!!!!こ、これはぁ!!この味はァァ!!」
今まで食べたことのなかった氷菓子。口に入れるなりザミーゴは絶叫した。
口の中に広がるいつもの冷たさ、シャリシャリした食感、舌に大きく広がる苺の味、トロトロの練乳。いつもかじっている氷とは大違いだった。
団子屋店主「気に入ったかい?」
ザミーゴ「ああ!気に入ったよ!こういうのもいいかもしれねぇな!」
相当美味しいと感じたのか、がっつくようにかき氷を食べた。
ザミーゴがかき氷を食べているその頃、ヘルクスたちが向かっている騒ぎの中心にて。
???「ウスノロ共が!!!待たせすぎだ愚か者めらが!!!吾輩が時間にうるさいことを知っててわざといじってるのだろう!!?」
元凶はこの暴れるカブトムシだった。姿はどこかヘルクスに似ているものの、前翅が青白い。このカブトムシは『ヘルクレスリッキーブルー』というヘルクレスオオカブトの亜種だった。
青白い前翅ばかりでなく、彼にはもうひとつ特徴がある。それは青黒い体だった。
???「―――――です!道を開けてください!」
逃げ惑う人々の中から声が聞こえ、逃げ惑う人々の間を割るように現れたのは1人の妖狐と1匹のブルマイスターツヤクワガタ。藍とケイジロウである。
どうやら犯罪者や野良虫がいないか共にパトロールしていたようだ。
ケイジロウ「動゛く゛な゛!!国゛際゛警゛察゛だ゛!!」
藍「また待ちきれずに人里を荒らしてるのか!常習犯ルリッド!」
この暴れている青黒いリッキーブルーはルリッドというようだ。藍とケイジロウの怒鳴り声にすぐさま振り向く。
ルリッド「また吾輩を倒しに来たのか、八雲の式に警察クワガタ!たまには吾輩の話を聞こうと思わんのか!」
藍「お前が常習犯として何度も人里を荒らしている以上、ここで話を聞くわけにはいかん!」
ケイジロウ「話は紫さんの家で聞かせてもらう。今日という今日こそ逮捕だ!覚悟しろルリッド!!」
先手を取ったのはケイジロウ。ルリッドを横から挟み込み、振り回す。
そして空中に放り投げられたルリッドの巨体。ケイジロウは羽を広げ、落ちてきたルリッドの体を回転しながら飛びかかると同時に大顎で挟み込み、地面に押さえ込むように引きずった。
ケイジロウ「『ク゛ロ゛ス゛ダ゛イ゛ブ゛』ゥゥゥゥ!!」
ケイジロウが最も得意とするハサミ技『クロスダイブ』が決まり、藍もスペルカードを取り出す。
藍「ケイジロウ、危ないから離れろ!式輝『狐狸妖怪レーザー』!!」
ケイジロウ「危なっ!?」
周囲に放たれる無数の赤と青の光線。ケイジロウは危うく当たりそうになり、ギリギリでかわした。
2匹の甲虫で唯一逃れられなかったのはクロスダイブを食らって動けないルリッドである。
ルリッド「ぬああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
藍の光線を食らったルリッド。周囲が爆風に包まれる。
藍「やったか!?」
まだだった。煙の中からボロボロになったルリッドが姿を現した。
ルリッド「ウガァァァァァァァァアアアア!!図に乗りおってぇ!!何度八雲の式の援護攻撃を!何度八雲の式のスペルを食らったと思ってるのだァ!!」
あれだけのダメージを受けたにもかかわらず、立ち上がるなり咆哮をあげた。
ケイジロウ「なんてタフなんだ……やはりあいつの血を受け継いでるからか?」
藍「あいつ?……ああ、冬の妖怪をパートナーとしている侍をライバル視してる奴か」
ルリッド「吾輩が逮捕されたら誰が吾輩の相手をしてくれると思ってるのだァ!!」
藍「ッ!?ケイジロウ、危ない!」
ケイジロウ「え?」
気づけばケイジロウは空中へ弾き飛ばされていた。豆のように小さく見える藍、羽ばたきながら迫り来るルリッド。
ケイジロウに追いついたルリッドは飛びながら何度も彼に体当たりし、何度も彼を弾き飛ばす。そしてとどめと言わんばかりにケイジロウをつかみ、地面にまっしぐら。
ルリッド「死にさらせ!!『アンタエウスインパクト』*1!!」
ズドオオオオオオオオン
ケイジロウ「ゴバァ!!」
藍「ケイジロウ!!」
地面にクレーターができるほどの威力でケイジロウは叩きつけられた。
ルリッド「次は………貴様だァ!!」
藍「ぐっ!?」
藍に目をつけたルリッドは頭角と胸角で彼女を挟み込む。
だが挟まれたのは藍だけではない。ケイジロウも巻き込まれるように挟まれていた。
藍「この…離せ!」
ルリッド「ぬぅぅん!!オォラァァァァ!!」
藍「いやああああああああああ!!」
ケイジロウ「ぐああああああああああ!!」
力任せに持ち上げられ、力任せに遠くまで放り投げられた。
藍とケイジロウは橋を飛び越え、そのまま川の中へ。
ザッパアアアアアアアアン
ルリッド「フン!八雲の式も警察虫も口ほどにもないわ!吾輩の話を聞かぬからこうなるのだ!」
この時、ルリッドは気づいていなかった。
図に乗っているのは自分の方だと。藍とケイジロウを倒し、うぬぼれているその罰が当たろうとしていたことを。
???「斬!!」
ルリッド「!?」
ある少女による刀の斬撃。斬りつけられた青黒い体に1本の線が走る。だがそんなことで怯むルリッドではない。自身を攻撃した少女に目をつける。
斬りつけたであろう刀を持った白髪の少女。妖夢だった。そして彼女のパートナーである肩に乗った左右非対称の大顎を持つノコギリクワガタ、ソウトウも一緒だった。
ルリッド「き、貴様らは………魂魄妖夢にソウトウ………!」
妖夢「騒ぎの元凶はルリッド、あなただったようですね……また待ちきれずに暴れてたんですか?」
ソウトウ「貴殿を止めに来たのは我々以外にもう1匹いる…………」
ルリッド「何だと?」
ソウトウ「わからぬか?では教えてやろう………
ソウトウはルリッドに関係する言葉をはっきりした声で出した。
その瞬間だった。ルリッドの背後から彼そっくりの姿をした白いヘルクレスオオカブト、ヘルクスが迫ってきたのを。
ズガンッ
ルリッド「どぉえへぷ!?」
吹き飛んだルリッドは再び宙を舞う。落ちてきたところをヘルクスはつかみ、絞め上げる。
そして放り投げたヘルクスは飛び上がり、空中のルリッドを挟み込む。しかし挟んだのは1回だけではない、一瞬離したところをもう1回挟んだ。
ヘルクス「『フュージョングレイブ』!」
ルリッド「!?!?!?!?!?」
絞め上げられ、地へ放り投げられたルリッド。空を見上げると、自身に正体であるフュージョングレイブを決めた甲虫が飛んでいた。
ルリッド「…………あ、兄者ァァァァアァアアアァアァァアアアァアアァァアアァァアアアアアァァァァアアァァァ!!!!!!」
兄者と呼ばれるヘルクスを見るなり咆哮するルリッドであった。
ちなみにルリッドの咆哮は博麗神社にまで聞こえていた。
霊夢「あの声……またあのリッキーブルーか」
ソウゴ「現れたのがここじゃなくてよかったけど、今度は何やらかしたのかな?」
霊夢「やらかしたも何も、あいつがここに現れて神社破壊してたら
殺せばたぶん霊夢にも未来はないと思う。ソウゴはそんな気がした。
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奥義、魂魄流六道断絶楼迷断
弟のルリッドにフュージョングレイブを決めたヘルクス。地に降りるとこんなことを問う。
ヘルクス「よく行列ができるラーメン屋……新メニュー『灼熱血の池ヴォルケイノラーメン』……またこんなくだらんことで暴れてたのか?」
ルリッド「くだらんだと!?やかましい!!新メニューをすぐ食べようとしてなぜ悪いか!?そもそも
さっきの仕返しと言わんばかりにまたアンタエウスインパクトを繰り出そうとした。
だがヘルクスは涼しい顔をしながらかわし、ルリッドに大きな隙ができたところを横から挟み込む。
ヘルクス「…………」
無言でルリッドをゆりかごのように優しく左右に揺らす。するとどうだろう、ルリッドのまぶたが次第に重くなってきた。
ルリッド「こざかしい真似を…………2度もそんな催眠術に………かかるものか………わ……吾輩は…………ダメ………だ………意識が…………薄らい………で…………い……く……………………」
やがてルリッドのまぶたは完全に閉じ、完全に眠ってしまった。
眠ったのを確認したヘルクスは優しく地面に放し、彼から距離を少し遠くに置く。
妖夢「……あっ(察し)」
ソウトウ「終わったな、あれは……」
距離を少し遠くに置いたヘルクスは眠ったルリッドに突進していた。
ヘルクス「『エンペラーズララバイ』!!」
ルリッド「!?!?!?!?!?」
そして強力な絞め技を食らわせた。襲いかかる激痛と同時に目を覚ますルリッド。
ソウトウ「『2度もそんな催眠術にかかるか』と言ってたのにまたかかってしまったな」
妖夢「ですがソウトウさん、あれはかなりダメージが大きいですよ!今のうちに!」
ソウトウ「うむ!」
ソウトウもソウゴたちのようにまばゆい閃光に包まれ、巨大化。話を聞いたヘルクスもすぐにルリッドから離れた。
ルリッドがソウトウの突進に気づいた時にはもう遅かった。ナゲ技を放とうとしていたのだ。
ソウトウ「弾く!」
小さいながらもルリッドを怪力で上空へ弾き飛ばす。それを追うソウトウ。
ルリッド(あいつ…昔兄者が使ってた『ローリングドライバー』を放つつもりか…!)
ヘルクス(ローリングドライバーか………かつての私もあんなのを使っていたな。懐かしい技だ)
そのナゲ技はディアボロもメンガタに対して使っていた。だが。
バサッ
ヘルクス「な!?」
ソウトウ「何!?」
ルリッド「吾輩よりチビなくせに怪力で吹き飛ばしたことだけは褒めてやろう!!」
宙を舞うルリッドが羽を広げたではないか。追いかけてくるソウトウをかわし、そのまま背後へ。
妖夢「嘘……ソウトウさんのナゲ技が破られた!?」
ルリッド「ソウトウ!!兄者を倒すのは今日は諦める!その代わり貴様が吾輩と勝負しろ!!」
ソウトウ「兄を倒せないことに対する私への八つ当たりか………」
妖夢「ちょっと、ソウトウさん!?まさかこの勝負受けるとか言うつもりじゃないでしょうね!?やめてください!バラバラにされちゃいますよ!」
どうやら妖夢も
だがヘルクスは弟がまた暴れているという話はよく聞くが、殺しに関わっているという話は今まで聞いたことがない。彼が知っている弟といえば短気、好戦的、そしてさっきのように行列のできる店で待てないといったものだ。
妖夢「ヘルクスさん!」
ヘルクス「落ち着け妖夢。ソウトウもまた強者の雰囲気を漂わせている。ルリッドには負ける未来しかないが、バトルジャンキーな性格からして引き受けるだろう」
妖夢「……というと?」
ヘルクス「あれを見ればわかる」
空を見上げる1人と1匹。見ると、ヘルクスの予想通りソウトウが提案に乗ったのかルリッドと空中戦を繰り広げていた。
彼らは持っていないが、まるでハサミ技『エアロキャプチャー』のような激しさだ。
ソウトウ「穿つ!『ヒャクレツケン』!!」
ルリッド「落ちろ!!『トマホーク』!!」
互いにダゲキ技を発動させる。その攻撃は妖夢の目に映らないほどの速度だった。
ソウトウ「アァタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタ!!!」
ルリッド「ボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラ!!!」
目にも止まらぬ速度で連続打撃を繰り出すソウトウ、同じぐらいの速度で前方を中心に連続打撃を放つルリッド。
ソウトウ「ホォアタァ!!!!」
ルリッド「
バギイイイイイイイイン
妖夢「ううっ!?」
ヘルクス「…………」
すさまじい連続打撃が放たれる中、互いに最後の一撃の威力を比べるかのように大顎と角をぶつけ合った。
互いに出したダゲキ技、ヒャクレツケンとトマホーク。決まったと同時に片方が空から落ちてきた。
妖夢「一体どっちが……!」
ヘルクス「妖夢、離れろ!」
地に落ちた巨大な物体。それはヘルクスがよく知っている青黒い甲虫。
リッキーブルーのルリッドだった。
ソウトウ「汝のトマホークより私の高速打撃の方が上だったようだな」
ルリッド「グ……グフッ………」
そう、威力が高かったのはソウトウのヒャクレツケン。実を言うとルリッド、あまりにも速すぎてだんだんついてこれなくなり、疲弊したところで最大の一撃を食らったのだった。
地に降りたソウトウを見て、ルリッドは彼と妖夢とヘルクスを睨みつける。
ヘルクス「あの程度の速さについてこれんとは未熟者め。ムシキングを夢見るソウゴ、あと最強を目指す鎧丸とチルノの方が可能性があるぞ」
ルリッド「黙れぇ!!ソウゴの見る夢なぞ……ムシキングなぞくだらん……むしろ興味もない………!鎧丸もいつも兄者に挑まれ、それに家臣もろともオズワルドにやられたくせに何ができるというのだ………!!」
血走った目をしながら立ち上がると、ソウトウだけに目をつけた。
ルリッド「吾輩は強くなることが目的……だからこいつを……ソウトウを倒す………むしろ倒さなければならない………!」
妖夢「この虫さん、諦め悪いですね……」
ソウトウ「ふむ………ならルリッドよ、汝に試練を課す……『我が
ルリッド「
ソウトウが持つ左右非対称の大顎。ルリッドはソウトウが何を言っているのかさっぱりわからなかった。
すると戦いの最中だというのになぜかソウトウが目を閉じ、瞑想し始めた。
ソウトウ「天、人、従、畜、餓、地……汝に安らぎを与えん―――――」
瞑想しながら呟くソウトウ。やがて大顎が鋭い刃のようにきらめき。
ソウトウ「―――――奥義『魂魄流六道断絶楼迷断』」
瞬間移動したかのように大顎でルリッドを斬り裂いた。
一体何が起こったというのだ。悲鳴をあげる間もなく斬られたルリッドは考えられず、まるで未知との遭遇を体験したような気分だった。
斬られたのは1回だけではない。立て続けに2回、3回、4回、5回と瞬間移動のごとく連続で斬りつけられた。
ルリッド「ま…待て……これは……
ザシュッ
ルリッド「ナガァ!?」
ソウトウ「斬ッッッ!!!!」
ズシャアアアアアッ
とどめの一撃が決まり、ルリッドの巨体が崩れ落ちるように倒れた。
ソウトウ「………我が
ルリッド「………うぐ……くそ……吾輩はまた負けるのか………しかもこんなチビごときに…………」
妖夢「や、やった………ソウトウさんが……勝った………!」
倒れたルリッドを見た妖夢は震えていた。
妖夢「よ……よかったぁ!よかったですぅ、ソウトウさぁん!!もしあなたがバラバラにされてたらと思うと……私………私………!!」
ソウトウ「おいおい泣くんじゃない。恥ずかしいだろ」
勝ったことと生きていたことの嬉しさで駆けつけ、抱きつくと同時に泣きじゃくった。
それを見たヘルクスは表情が緩んだ。だがすぐにルリッドを見て睨みつけると、すぐに彼の前に無言で立ちはだかる。
ヘルクス「……………」
ルリッド「兄者……吾輩は……さっきの負けを認めとらんぞ………貴様らを超えるためにも……技屋に大金を払ってでも………絶対………うぐ………」
ヘルクス「……………」
ルリッド「何とか言ってくれ兄者………ソウトウ、次に会った時は今度こそ貴様を………」
おぼつかない足取りで立ち上がり、千鳥足でヘルクスたちの前から立ち去るルリッドであった。
ヘルクス「……………(あのまま帰りがけにディアボロに殺されなければいいが………)」
そのルリッドだが、帰り道、ソウトウに負けた腹いせで小石を角で弾いていた。
ルリッド「技屋さえ……シグルドさえいれば吾輩は……!」
ズポッ
ルリッドは気づいていないが、彼が通ったのは団子屋の前。今ザミーゴがかき氷を食べている場所。
強く弾かれた小石が運悪くザミーゴが食べているかき氷に埋まってしまった。
ザミーゴ「………おい」
氷カップを横に置き、小石を飛ばしたであろうルリッドを凍てつくような目で睨みつけるザミーゴ。
ルリッド「な、何だ?」
ザミーゴ「………俺のかき氷台無しにしたのお前かァァァァァァァ!!!」
ザミーゴの咆哮にルリッドは恐怖のあまり後ずさった。
しかしそれだけではない。ザミーゴが羽を広げたかと思うと、後方に空高く舞い上がった。高速できりもみ回転しながらルリッドに突撃するが、ルリッドはあり得ないものを見た。
きりもみ回転しているザミーゴがどういうわけか冷気と氷に包まれていたのだ。
ザミーゴ「カチコチに凍らせてやる!!『ブリザードシェル』!!」
ルリッド「うわらば!!」
その威力は砲弾並だった。ルリッドはかなり遠くまで吹き飛ばされた。
そればかりでは飽き足りないのか、吹き飛ばされたルリッドの前まで高速で飛ぶザミーゴ。ルリッドを動けないように前からガッチリと挟んだ。
ルリッド「ま、待て!待ってくれ……!吾輩……貴様に何か恨まれるようなことしたか!?」
ザミーゴ「俺のかき氷に石入れたお前が悪いんだからな。じっくりと弱らせてやるよ」
鎧丸のスーパートルネードスローと同じく羽を広げ、竜巻のごとく回転しながら空中へ飛び上がる。
だがそのナゲ技は何かが違う。ルリッドは不審に思ったが、その瞬間またあり得ないものを目の当たりにするとは思ってもみなかった。
ルリッド(どういうことだ!?今の時期、冬じゃないだろ!?)
なんと彼らの周りが吹雪と極寒に包まれていた。
ルリッド「∬∝§*※仝〒◎Ω℃¥£¶≒■±¢々Σ!?」
吹雪の中、平気なザミーゴとは対照的にルリッドは極寒のあまり舌が回らない。同時にルリッドの目から光がどんどん失われていく。
ザミーゴ「氷の力、思い知れ……!『ノーストルネードスロー』!!」
極寒で弱ったのを見計らい、上空へ放り投げたザミーゴであった。
その頃、ルリッドによって川に投げ飛ばされた藍とケイジロウはというと。
藍「ゴボボボボボボボボボボボ」
ケイジロウ「…………」
藍は背中と尻尾を水面から出して水死体のようにうつ伏せに浮かび、ケイジロウは頭が地面に埋まったように水面から体を出して気絶していた。
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白羽の子 ー預かりー
霊・ソ・魔・ギ「「「「は?コクワガタの子守りィ?」」」」
朝、寺子屋に霊夢、ソウゴ、魔理沙、ギルティが呼び出された。
2人と2匹の前にいるのは霖之助と同じく人間と妖怪のハーフである寺子屋の教師『上白沢慧音』、肩に乗っているのは彼女のパートナーであるケンタウルスオオカブト『ケイロン』。頭角の先端が黄色く、胸角に青と緑のチェックマフラーを巻いていた。
慧音「ああ。私たちが幼虫の頃から育てていたんだが、ついにサナギから孵ったんだよ」
ケイロン「ソウゴはサナギといえばアダーという老人にサナギの頃から改造手術を受けたコーカサスオオカブトを想像するんじゃないかな?いや~、本当にアダーみたいな奴に誘拐されてなくてよかったよ」
ソウゴ「……あの河童もアダーみたいに道踏み外さなければいいんだけどね」
霊夢「ネプチューンを強くしようと何度も
ケイロン「全くだ。非力な私はスーパーサイドスクリュースローであっけなくノックアウトだ」
慧音「ハハハ、あれはひどかったな」
笑い話ではないような気がするも、それを言うことはできなかった。
ソウゴ「でも慧音さん、あの暴れたネプチューンってにとり本人に止められたんですよね?」
慧音「そうだな。あいつ、あの日ボロボロだったしなぁ………」
ギルティ「終わったことをいつまでも話しててもしょうがねぇや。話を戻そうぜ。で、何だって?サナギから孵ったばっかのコクワガタだって?まだ見ぬ世界を初めて見るから、俺たちかなり手がかかるかもしれねぇな」
魔理沙「そのコクワガタは今寺子屋にいんのか?」
慧音「うむ。ちょっと待ってろ、今呼んでくる」
寺子屋の奥へ姿を消す慧音とケイロン。それからすぐに子供のような声が聞こえてきた。
???「やったー!!ぼくおそとでみんなとあそぶー!!」
ケイロン「こ、コラコラ!まだ羽白いんだからそんなにおだっちゃいけません!」
慧音「母親かお前は…」
子供の声を聞いた霊夢たちは。
霊夢「……魔理沙、まさかとは思うけど今日1日コクワガタの面倒見るとか言うつもりじゃないでしょうね?」
魔理沙「何言ってんだ?見るに決まってんだろ」
霊夢「はぁ!?ホントにそのつもりなの!?」
ギルティ「ああ、マジだ」
霊夢「……そ、ソウゴはさすがに魔理沙とギルティと同じこと考えてない……よね?」
ソウゴ「1日だけだから大丈夫でしょ」
すると霊夢は両膝をついたかと思うと。
霊夢「………そんな………嘘でしょ………ウゾダドンドコドーン!!!!」
土下座するように地に崩れ落ち、絶叫した。大勢の人々の視線が刺さったが、霊夢は全く気にも留めなかった。
この時、慧音とケイロンが寺子屋から出てきたが、なぜか土下座するように崩れ落ちている霊夢にポカンとした。そして慧音の肩には。
コクワガタ「このおねえちゃんどうしたの?なんでおちこんでるの?」
慧音「知らん。ていうか見るな」
魔理沙「お?お前が慧音とケイロンが言ってた白羽のコクワガタか」
コクワガタ「うん、そうだよ。ぼく、まださなぎからかえったばかりなの。おねえちゃんたちがぼくをいろんなところにつれてってくれるみたいだからすっごくうれしいんだ」
ギルティ「こいつの声ここまで聞こえてたからなぁ……てか霊夢の落ち込み様スゲェな……」
霊夢「……………」チーン
相当ショックだったのか、そんな霊夢を横目にギルティは呆れていた。
ケイロン「聞こえてたのか。ああ、そうそう。私も霊夢の叫びを聞いたぞ。何なんだ『ウゾダドンドコドーン!!!!』って」
コクワガタ「『ウゾダドンドコドーン!!!!』ってなぁに?」
慧音「滑舌が悪かったが、たぶん『嘘だそんなことー!!』って言いたかったんじゃないのか?」
ソウゴ「ていうか霊夢、いつまでこの状態なんだろう………」
霊夢「……………」チーン
魔理沙「そういえば渋ってたな」
するとコクワガタが白羽を広げたかと思うと、魔理沙に飛びついてきた。
どうやら幻想郷の甲虫は羽が白くても飛ぶことができるようだ。
魔理沙「お、おいおい!お前まだ羽白いんだろ!?羽化したばっかりでも飛べるとはいえ、はしゃぎすぎたら…」
コクワガタ「いいのいいの!ぼくね、げんそーきょーのいろんなところまわってね、げんそーきょーはどんなせかいなのかね、い~~~っぱい『べんきょー』したいんだ!」
ケイロン「……そ、そういうわけだ。我々はこれから仕事があるからこの辺で」
慧音「今日1日世話よろしく頼んだぞ~」
こうして慧音とケイロンは仕事のため、寺子屋へ入っていった。
何を思ったのか、ソウゴが寺子屋の中を覗く。大勢の子供が座っており、その中にはチルノと大妖精をはじめ、小鳥の羽を生やした少女、ホタルのようなボーイッシュな少女など様々な種族がいる。
そして彼女たちもまたチルノと大妖精と同じく甲虫をパートナーとしていた。
ソウゴ「ところで鎧丸とツルギ大丈夫かな…?」
ギルティ「そういや確かにあいつらいねぇな。一体何があったんだ?」
???「どけぇぇぇい!!!!貴様ら雑魚がこの
霊・ソ・魔・ギ「「「「!?」」」」
突然の叫びと共に3匹の甲虫が霊夢たちの前に落ちてきた。その甲虫はアヌビスゾウカブト、マキシムスマルバネクワガタ、マンディブラリスミツノサイカブトだった。
霊夢「また誰かオズワルドをパートナーにして暴れてるの!?今度は誰!?」
叫び声を聞いて立ち直った霊夢。落ちてきたアヌビスたちを見て警戒する。
マキシムス「くそっ!何なんだ、あいつの強さとデカさは!」
マンディブラリスミツノ「あんなデタラメに強くてデカいオオクワガタがいるかよ!」
アヌビス「あのジジイクワガタに何ビビってんだお前ら!今日こそあいつを倒すって言ったのはどこのどいつだ!」
霊夢「あっ、こいつらこの前私たちに喧嘩売ってソウゴにコテンパンにされたチンピラじゃん」
魔理沙「私たちもこいつら知ってるぜ。わざとぶつかってきたのに私たちのせいにしやがった奴らだろ?」
その時だった。マンディブラリスミツノが巨大な何かにつかまれると同時に姿を消したのは。
ギルティ「き、消えた!?」
ソウゴ「上で羽音がするよ!?」
見上げると、マンディブラリスミツノがクワガタらしき甲虫の大顎に挟まれていた。
マンディブラリスミツノはここから抜け出そうと必死にもがいている。
???「どれ、一発決めてやろう!!『スーパーグリーンアロー』!!」
マンディブラリスミツノ「うぎゃああああああ!!」
クワガタらしき甲虫はマンディブラリスミツノをつかんだまま上空から落下し、地面に叩きつけた。
その衝撃で立っていられないほど地が大きく揺れ、地面にも大きな窪みができ、マンディブラリスミツノは宙を舞った後、地に倒れ伏した。
マキシムス「死ねぇぇぇぇぇ!!」
???「甘いわぁ!!『独楽』!!」
マキシムス「ホゲエエエエエエエエエ!?」
襲ってきたマキシムスの足に自身の大顎を引っ掛け、勢いよく回転させる。するとどうだろう、マキシムスはオモチャの独楽のように回転したではないか。
それをよそにクワガタはアヌビスに目を向けた。
???「腹ごなしに散歩していたが、こんな弱者が
どうやら彼の名は轟天というようだ。彼の見た目だが、マンディブラリスミツノが言っていたように、種類はオオクワガタ。だがお前は本当にオオクワガタなのかと言いたくなるほどの見た目だった。
大きくたくましい体にディアボロみたく全身に刻まれた無数の引っ掻き傷、右の大顎より大きく発達した左の大顎。そして全ての足が他の甲虫に比べて極太かつ頑強。まさに化け物といってもいいような姿である。
アヌビス「バカにしやがってクソジジイがァァァァァァァァ!!」
轟天のハサミ技とナゲ技を食らい、あっけなく倒れたマンディブラリスミツノとマキシムス。そんな彼らを見てアヌビスは激昂しながら轟天に突撃した。
ゴワアアアアアアアアン
アヌビス「ゴブゥ!?」
轟天「フン!歳を重ねたがこの轟天、若さに遅れを取るほど鈍ってはおらん!」
一瞬何が起きたのかアヌビスにはさっぱりわからなかった。
だが霊夢ははっきりと目の当たりにしていた。突撃したアヌビスに轟天がとった行動を。
霊夢「あのオオクワガタ……
ギルティ「足!?」
そう、轟天の頑強な前足がアヌビスの頭めがけて振り下ろされていたのだ。
アヌビス「ぁ………ぁ………」
殴られた衝撃で脳震盪を起こしたのか、動きが止まったアヌビス。足で殴ることで敵の動きを止めるなど霊夢たちは今まで一度も見たことがなかった。
轟天「我が奥義を味わえるのだ、生きてその技を覚えておれ!これが我が奥義!『激震』だァァァァァ!!」
動けなくなったアヌビスの脇腹を発達した左顎で殴った。アヌビスはそのまま吹き飛ばされ、その飛距離は10メートル以上にも及んだ。
轟天「グハハハハハ!非力なり!
コクワガタ「うわぁ……あのむしさん、すごくつよい……ぼくもきたえたらあんなふうになれるのかなぁ?」
圧倒的な力に翻弄された挙げ句、倒されたアヌビスたち。轟天の戦いぶりを見て目をキラキラさせるコクワガタ。轟天は笑った後、彼の戦いぶりを見ていた霊夢たちに目を向けた。
提供者の蝙蝠男さん、本当にお待たせしました。
最初は紅魔館に行かせようかと思いましたが、轟天を出すにはちょうどいい機会だと思って轟天を出させていただきました。
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白羽の子 ー放て、究極奥義ー
ここは命蓮寺。轟天がソウゴの前に立ちはだかる。
轟天「さあ、始めるぞソウゴ!そして然と目に焼きつけよ、小僧!強さとは何か見せてやろう!!」
ソウゴ(マジでやる気満々じゃねぇか!?)
なぜこのような事態になったかというと、それは数分前までに遡る。
アヌビス、マキシムス、マンディブラリスミツノをあっけなく倒してしまったところを見て驚いている霊夢たちに目を向ける轟天。
今度はこちらが勝負を申し込まれると思ったのか身構えていると、あの戦いぶりを見て興奮したコクワガタが轟天に近づいた。
ギルティ「あっ、おい!?迂闊に近寄ったら危ないぞ!?」
コクワガタ「すごいやむしさん!どうやったらむしさんみたいにつよくなれるの!?」
ソウゴ「声かけちゃった!もうダメだ、絶対終わった……もし殺されたら……俺たち絶対…………頭突きだけじゃ済まない!!」
魔理沙「コクワァァァ!!逃げルルォォォ!!」
霊夢「危な―――――」
コクワガタが目を輝かせながら声をかける。霊夢たちは自分より小さいクワガタを見た轟天の機嫌を損ねてしまうと思い、引き離そうと駆けつけた。
しかし轟天、機嫌を損ねるどころかコクワガタを引き離そうと駆けつけた霊夢たちを見て笑い飛ばしたではないか。
轟天「フハハハハ!何もそう警戒することはない。小僧のしたこと程度で怒るほど
霊夢「いや………そんなことはないと思うけど………」
不安がるのも無理もない。何しろコクワガタとオオクワガタの大きさはただでさえ違うというのに、轟天は普通のオオクワガタよりさらに大きいのだから。
もし同じオオクワガタであるゲイツが見たら一体どんな反応をするのだろうか。彼のパートナーの正邪の反応も気になるところだ。
轟天「ところで小僧、お前は強くなりたいのか?」
コクワガタ「うん!ぼくもむしさんみたいにつよくなりたい!」
目を輝かせながら質問に答えた。すると轟天は気をよくしたのか、目を細めて笑うと、コクワガタの頭をなでた。
轟天「ハハハ、そうかそうか。なら命蓮寺に来るか?お前を住み込みの弟子とし、
そんな提案に待ったをかけたのは霊夢とギルティだった。
霊夢「あ~……悪いんだけど私たちその子のお守りしなくちゃいけないの」
ギルティ「ホントにごめんな。その提案はいただけねぇ」
轟天「むむ…………それなら仕方がない」
だが戦いを楽しむ轟天にとって、この先自分の相手になるかもしれないこの甲虫をどうにかして命蓮寺へ連れていきたかった。
一体どうすればこの小僧を命蓮寺に連れていけるのか。しばらくの間いろんな考えを張り巡らせていたが、そのうち彼の目に1匹のカブトムシが映った。
轟天「………そういえば貴様は確かソウゴといったな」
ソウゴ「お、俺!?」
自分が声をかけられるなど思いもよらなかったソウゴは自分の名前を呼ばれたことに動揺する。
轟天「ムシキングにして甲虫の魔王を目指す者とあの烏天狗の新聞で知ったが、まさかこんなにも早く会えるとは!」
この時、轟天の頭にこんな考えがひらめいた。ソウゴたちを連れていけばコクワガタも自分についていく、と。
それにソウゴとも戦えて一石二鳥だ。
轟天「ムシキングになると言った貴様の実力、この
霊・魔・ソ・ギ「「「「え゛!?」」」」
轟天「無論、お前の意見は求めん!」
そう言って巨大な大顎でソウゴとコクワガタを挟むと、羽を広げる。
ソウゴ「え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛えええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」
霊夢「嘘でしょ!?」
コクワガタ「うわぁ!たかいたかーい!もっともっとたかくとんでー!」
空高く飛び上がり、今の状況が飲み込めないソウゴと興奮するコクワガタを挟んだまま命蓮寺へ。
霊夢と魔理沙も轟天の後を追うため、ギルティの背中に乗った。
魔理沙「虫には虫、ってな!」
ギルティ「よーし、ちゃんと捕まってろよお前らァ!!」
霊夢「ギャアアアアアア!!!速い速い速い速い速い速すぎるってェェェェェェェェ!!!首ーっ!!!首がーっ!!!首もげちゃうーーーーーーーーっ!!!」
魔理沙「イヤッフゥゥゥゥ!!!お前の背中に乗ってるとマジ最高ォォォォォォ!!!」
そして今に至る。突然すぎてまだ今の状況を飲み込めていないソウゴ。これから始まるソウゴと轟天の対決に目を輝かせているコクワガタ。
霊夢と魔理沙とギルティもそんな彼らを見ていたが、ある女性が姿を現した。
???「あら?あの虫、確か新聞で……」
この寺の住職、『聖白蓮』だ。ソウゴの様子を見て何が起きたのか聖は理解できたようだ。
聖「……また轟天がしでかしたようですね。本当に申し訳ありません。いつも注意しているんですが、なかなか直らなくて………」
霊夢「あのクワガタ轟天っていうんだ」
聖の言葉から察するに、どうやらソウゴのように無理矢理連れてこられた虫が何匹もいるようだ。
しかし、魔理沙とギルティは笑いながらこう言った。
ギルティ「いやいや、大丈夫っすよ!見ての通り俺たちが預かったコクワガタもウズウズしてますし、俺だって参考にしたいと思ってますよ!」
魔理沙「そうそう」
ソウゴ「魔理沙とギルティまで何を言うとんねん!?」
コクワガタ「ねえねえ、むしさん。むしさんとかぶとむしたたかうの?」
ソウゴ「話を聞いて―――――」
轟天「……………」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
そうはさせまいと言わんばかりに轟天が睨む。ソウゴは怖じ気づいてしまい、それ以上言葉が出なかった。
霊夢「な、何あいつ!?サポート担当の私もすごい鳥肌が…!」
ソウゴ「くっ…………こうなったら…………やってやる!!やってやるぞぉ!!」
轟天「その言葉を待っていたぞソウゴォ!!」
霊夢「い、言いたいことは山ほどあるけどもういいわ!やっちゃいなさいソウゴ!そいつをぶっ飛ばして次は紅魔館に向かうわよ!」
ついに覚悟を決めたソウゴ。うなずくと同時についに轟天との戦いが幕を開けた。
コクワガタ「むしさん、がんばれー!かぶとむしさんもがんばってー!」
轟天(仮にターンをあいつに譲るとして、まずは何で来るか……ローリングスマッシュか?カワセミハッグか?いかなる技もねじ伏せてみせようぞ)
ソウゴ(たぶんこの虫は小回りが利かないはず……なら、体格差を利用して!)
轟天の予想通り、先手を取ったのはソウゴだった。
ハサミ技を放とうと右に回り込み、挟み込む。しかし。
ソウゴ「な……何だよこれッ……スッゲェ重いッ………!」
ギルティ「おーいソウゴー!もしかして『カワセミハッグ』決めたいのかー!?
轟天の足が地から離れることはなかった。それどころかソウゴの方がどんどん地に沈んでいくではないか。
轟天「カワセミハッグか!
びくともしない巨体を振るう。彼が先ほど倒した3匹の甲虫のようにソウゴは大きく吹き飛ばされる。
背中から地に落ちると同時に激痛が走った。
コクワガタ「うわぁ、すっごーい!もっともっとむしさんのつよさみせてー!」
霊夢「あんたのパートナーっていっつもあんなことしてるのね…どうにかできないの?」
聖「それができれば苦労しないのですが……彼にはいつも手を焼いています。ですが彼をパートナーにして後悔したことは一度も……いや、やはりありますね」
霊夢「えぇ…(困惑)」
聖「それはそうとして、あなたのパートナーは大丈夫ですか?さっきからずっとあの調子ですけど」
目に映るのは轟天の強大な力に翻弄されるソウゴ。それは霊夢も理解していた。
彼女のパートナー、ソウゴの攻撃は轟天にろくにダメージを与えられていなかった。逆に轟天がガードするたびにソウゴがダメージを受けていた。無理もない、体格の差が違いすぎるのだから。
轟天「どうした?今にも倒れそうではないかソウゴォ!」
ソウゴ「うぐ……」
霊夢「ちょっと、しっかりしなさいよソウゴ!正邪の時みたいにボロボロじゃん!」
轟天「その程度でムシキングに、甲虫の魔王になろうとでもいうのか!もしそうならば片腹痛し!!貴様の夢、ここで覚ましてやろう!!」
前足が恐ろしい勢いで振り下ろされた。
魔理沙「ソウゴ危ない!!」
ギルティ「避けろーっ!!」
魔理沙とギルティが叫ぶも、当然間に合うわけがない。振り下ろされた前足がソウゴの頭に直撃した。
ゴワアアアアアアアアン
ソウゴ「!!!」
霊・魔・ギ「「「ソウゴ!!」」」
コクワガタ「かぶとむしさん!」
ソウゴ「ッ………グゥ……ッ…………」
人里でアヌビスに対して使ったダゲキ技、激震。脳が揺れ、視界が波のように揺れる。
だがソウゴは気合いで耐え抜き、自身の最も得意とする技を発動しようと轟天の前から挟み込んだ。
ソウゴ「食らえ……!『トルネードスロー』ォォォォォォォ!!」
全力を出すと同時に轟天の全ての足が宙に浮く。
霊夢「や、やった!持ち上がった!」
コクワガタ「でも……なんかぎこちないね」
なんとか持ち上げたのはいいものの、先ほどのダメージと轟天の重みのせいでどこか不安定な形になってしまっていた。
轟天「甘いわぁ!!」
ソウゴを引き剥がし、何度かどつく。そして大きく発達した左顎でソウゴの脇腹めがけて殴り飛ばした。
吹き飛ばされたソウゴはそのまま大木までまっしぐら。
ズドオオオオオオオオン
ソウゴ「ガ………ゴ………」
激突し、地に倒れ伏し、ピクリとも動かなくなった。
ギルティ「おいおいマジかよ……10メートルか?あいつもスゲェ吹っ飛びやがった………」
霊夢「ちょっと!今のはさすがにまずいんじゃない!?」
コクワガタ「もしかしてあのかぶとむしさん、まけたの?」
魔理沙「ああ…完全に決まったな……」
どこからどう見ても勝負はついた。動かなくなったソウゴを見て轟天もこれ以上の攻撃は不要と判断し、霊夢たちに目を向けた。
轟天「安心しろ、これ以上あいつに手を出す必要はない。聖、ソウゴの治療を頼んだぞ」
聖「全く、あなたという虫は………わかりましたよ。それじゃあ霊夢さんたちも中へ」
轟天に殴り飛ばされ、さらには大木に激突し、気絶したパートナーの姿を見た霊夢に悔しさが込み上げてきた。
霊夢「うう……正邪の時もそうだったけど、ソウゴにあいつらを倒せるほどの力があったら……轟天も倒せるほどの技が使えたら…………ソウゴも鎧丸みたいな究極必殺技が使えたらーっ!!」
悔しさのあまり膝をついて叫ぶ霊夢。そんな彼女に轟天が肩に手を置く。
轟天「博麗の巫女よ。その気持ちは
轟天の振り向いた先には、信じられない光景が映っていた。
霊夢も轟天の視線に目を向けると、そこには起き上がり、轟天に目を向けながら歩むソウゴの姿があった。
霊夢「へ!?ソウゴが立ってる!?」
轟天「ほほう……まだ立つと言うのかソウゴよ」
ギルティ「あんだけボコられたっていうのに何で!?」
魔理沙「あいつ死に急いでんのか!?」
轟天「その意気やよし!ならば
コクワガタ「まけないで、かぶとむしさん!」
再びたぎる轟天の闘心。今度こそ倒してやるといったような目で轟天を睨みつけるソウゴ。
だがこれ以上はソウゴの命に危険がある。霊夢はソウゴを、聖は轟天を止めようと駆けつけようとした。
霊夢「もうやめてソウゴ!本当に死んじゃうわよ!」
聖「そうですよ轟天、殺しになりますよ!」
だが霊夢と聖よりソウゴと轟天の方が速かった。
ソウゴ「轟天ンンンンンン!!」
轟天「ソウゴォォォォォォ!!」
互いに名を叫び、互いに突撃し、互いに技を出そうとする。
ソウゴ「俺はまだ死ねない!!今度こそあなたを倒す!!」
轟天「全身全霊の『激震』ッ!!その身で受けるがよいッ!!」
前足がソウゴの頭に振り下ろされたその直後、ソウゴが視界から姿を消した。
ソウゴではなく地を殴り、その衝撃で立っていられないほどの激しい揺れが起こる。マンディブラリスミツノにスーパーグリーンアローを決めた時と同じぐらいの衝撃だった。
轟天「何、消えただと!?ソウゴめ、一体どこに行きおった!?」
コクワガタ「あっ、むしさんのしたにいる!」
実際のところ、ソウゴは消えたのではなく、轟天の下に潜り込んでいた。
それも前足が直撃する寸前、轟天をも超える速度で回避していた。
轟天「死んだ技にまだすがるか!」
挟み込まれたところを再び振り払おうとソウゴを吹き飛ばそうとした。
しかしどうしたことか、いくら引き剥がそうとしてもびくともしないではないか。それどころか挟み込む力がどんどん強くなっていた。
轟天「な、なぜだ!?どうしたというのだ!?外れん!それにこの力、どこから来ているというのだ!?」
さすがの轟天も動揺するほどだった。そしてソウゴが羽を広げる時、2匹は竜巻のごとく回転しながら空中へ飛び上がる。
ソウゴ「ウォォォォォォォオオオオオオオオオオアアアアアアアアアア!!」
轟天「ぬおおおおおおおお!!離せ!何のつもりだ!何をする気だソウゴ!一体何が起きているというのだ!離せ!離さんかァァァ!!」
ギルティ「ふ、風圧がスゲェ…!」
魔理沙「私たちまで飛ばされるぅ…!」
聖「ソウゴさんがあの轟天を振り回している!?」
動揺しているのは聖も同じだった。まさか強大な力と巨体を持った轟天が持ち上げられるなんて。
この時、霊夢もさっき自分が叫んだ言葉を思い出していた。
霊夢『ソウゴも鎧丸みたいな究極必殺技が使えたらーっ!!』
霊夢「まさかあいつ………私の悔しさに応えて…………!?」
轟天「この技、まさか!
ソウゴ「食らえ轟天!!これが俺の!!怒れる風の力だァァァァ!!『スーパートルネードスロー』ォォォォォォォォォォォォォ!!!!」
轟天「ぐぅぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!!」
天高く投げ飛ばされ、回転しながら宙を舞う轟天。ソウゴも回転しながら着地した時、轟天の巨体が地に落ちる。
再び起こる立っていられないほどの激しい揺れ。
ソウゴ「や……やった………勝った………」
ギルティ「嘘だろ…マジで倒しやがった……」
魔理沙「霊夢の悔しさに応えてスーパートルネードスローを使えるようになるって、おい………」
この場にいる全員が唖然としてしまった。それは聖も同じこと、ソウゴが轟天を倒すなどあり得ない話だった。まるで夢を見ているかのような気分だった。
そんな中、ただ1匹だけ目を輝かせている甲虫がいた。白羽のコクワガタである。
コクワガタ「すごーい!あのむしさんもすごかったけど、かぶとむしさんがかったー!ぼくもいつかあのかっこいいわざつかえるようになるのかなぁ!?」
霊夢「す、すごいじゃんソウゴ!!今のが『究極必殺技』っていうんでしょ!?しかも鎧丸と同じ…!」
我に返った霊夢がソウゴに駆け寄ったその時、どこからともなく現れたこいしとウォズがソウゴの横に立つ。
霊夢「って、こいし!?」
こいし「はいは~い!ソウゴの勝利の祝いは私たちにお任せ!勝利の儀の時間だよ~!」
聖「勝利の儀?」
聖が首をかしげる。それをよそにウォズはソウゴが青太郎を倒した時と同じように威厳のある声で叫んだ。
ウォズ「祝え!全甲虫を凌駕し、時空を超え、過去と未来をしろ示す『甲虫の王者』!その名もソウゴ!!外の世界にて『阿修羅』、『羅刹』の異名を持ち、様々な甲虫たちを倒してきたといわれる最強のオオクワガタ、轟天を打ち倒した瞬間である!!」
またしてもこの場が静まり返ってしまった。それどころかソウゴの様子がおかしい。
ウォズ「……あれ?我が魔王?」
こいし「もしかしてソウゴ………寝てる?」
力を使い果たしたのか、ぐったりと眠っていた。
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白羽の子 ー奇跡の真実ー
轟天を打ち倒し、眠ってしまったソウゴの手当てをした後、彼が起きるまでの間霊夢たちはソウゴの究極必殺技について話していた。
戦いを見ていたコクワガタはソウゴのことが心配でたまらず、起きるまでソウゴのそばにいた。
魔理沙「けどスゲェよな。ソウゴがあの轟天を倒すなんて」
ギルティ「俺がやっても絶対負けてた」
聖「確かあの技が発動できたのって……」
ウォズ「恐らく博麗霊夢の願い………それか我が魔王が覚醒への片鱗を見せ始めたというべきか」
轟天「覚醒への片鱗だと?じゃあソウゴはあの技で
さすがは聖が使うオオクワガタ。轟天は頑強な体を持つだけあってソウゴのスーパートルネードスローを食らっても何事もなかったかのようにケロッとしていた。
ウォズ「だがさっきの戦いで力を使い果たしたのか、またトルネードスローに戻ってしまった……」
霊夢「じ、じゃあさっきみたいにまた願ったらまた使えるの!?」
ウォズ「……残念ですがまた願ってもさっきのような奇跡は二度と起こらないかと。とはいえ、我が魔王が究極必殺技を習得する方法はあります」
その話を聞いた途端、霊夢の目が光り、ウォズに詰め寄るように聞く。
霊夢「究極必殺技覚えられるの!?その方法って何!?教えて!!」
こいし「霊夢落ち着いて?ウォズがドン引きしてるよ」
霊夢「だってソウゴが究極必殺技使えたらどんな相手も簡単に倒せるじゃん!!それさえあればあのゲイツとかいう奴に勝てるんでしょ!?早く教えて!!ハリー、ハリー!!」
魔理沙「いや、あいつに何されたんだ?」
霊夢「そうだった!思い出したわ!魔理沙たちも聞いて!!」
以前博麗神社に襲撃してきた正邪とゲイツを思い出し、ソウゴが叩きのめされたことを隅々まで話す霊夢。それを聞いた魔理沙、ギルティ、聖は愕然とした。
魔理沙「ヤベェなそれ……」
ギルティ「確かにこういう戦いであの能力使われると厳しいな……」
聖「轟天は平然としているようですが…」
平然としているのは轟天だけではない。こいしとウォズも平然としている。
轟天「ああいうのは確かに厄介だが、それでもその逆をやればいいんじゃないのか?」
ウォズ「その意見は賛成だが、何度も同じ手を使ってくるとは限らない。話を聞く限り、そのゲイツという虫は我が魔王を盾代わりとして使ったのだろう?」
霊夢「ええ、そうよ」
ウォズ「…………今後はその対策も考えなくてはならないな」
するとこいしがこんな提案を口に出した。
こいし「じゃあさ、こんなのはどう?例えば正邪がスペルカード使う前に奪っちゃうとか」
霊夢「さすがにそれはルール違反でしょ」
魔理沙「それも対策されるんじゃねぇのか?」
轟天「
と、考えのつく限り様々な提案を出し合う一同。こいしの提案は霊夢の言う通りルール違反ということですぐに却下された。
すると先ほどまで眠っていたソウゴが目を覚ました。
コクワガタ「あっ、かぶとむしさんおきたよ!」
霊夢「ソウゴ!無事だったのね!よかったぁ……もしあのまま死んでたら……」
霊夢はもうそれ以上言葉が出なかった。何しろソウゴは散々轟天に痛めつけられたのだ。
にもかかわらずソウゴは覚醒し、スーパートルネードスローで轟天を打ち倒した。轟天を倒したことと生きていたことの嬉しさのあまり抱きつき、感極まって泣きそうになる。
ソウゴ「え?どうなったの?俺負けたの?」
轟天「負けたのは
ソウゴ「…………マジ?」
魔理沙「マジ」
ソウゴ「…………現実?」
寝ぼけ眼で聞く。まるで夢でも見ていたかのような反応だ。
ウォズ「我が魔王、勝ったという実感がないのですか?」
ギルティ「嘘だろ!?マジで何も知らねぇの!?お前のスーパートルネードスローで轟天に勝ったんだよ!」
ソウゴ「………………ごめん、覚えてない。無意識でやってたから………何があったかさっぱりで………」
ソウゴの口から出た言葉『無意識』。こいしの能力は『無意識を操る程度の能力』。霊夢たちは一斉にこいしの方を見る。
だがこいしはそんな能力など使っておらず、首を横に振る。釈然としなかったのか、全員微妙な表情を浮かべた。
ウォズ「ともかく!我が魔王が目覚めたことだ、究極必殺技を取得するために次の目的地に連れていくとしよう」
コクワガタ「ねーねーしろいかぶとむしさん、つぎはどこにいくの?」
ウォズ「それは秘密だ。まあ、いずれわかる……」
するとウォズのスカーフが生き物のように動き、巨大化し、ウォズたちを包む。彼らを包んだスカーフはそのまま命蓮寺を飛び出し、どこかへ消えていった。
聖「あのスカーフ万能ですね」
轟天「河童に頼めば作ってくれそうだな」
ところ変わって、ここは紅魔館。かつて幻想郷を紅い霧で閉ざす異変『紅霧異変』を起こした吸血鬼、『レミリア・スカーレット』が住む屋敷である。
この屋敷の門番、『紅美鈴』にもパートナーがいる。彼の名は『リュウガ』、種類はヘルクレスオオカブト。どちらかといえばリッキーブルーのような見た目であり、前翅が青白いが、斑点が赤いのが特徴的だった。
リュウガもまた美鈴同様紅魔館の門番を務めているのだが………。
美鈴「スゥー……スゥー……」
リュウガ「また寝てやがる………おい起きろ!門番が寝てどうすんだよ!?侵入者が入ってきたらまた咲夜とジェットに怒られるぞ!?」
美鈴「うぇへへ~、しゃくやしゃ~ん……」
いくら揺すっても声をかけても美鈴は目を覚まさない。
リュウガ「…………ったく、こんなん咲夜とジェットに見せられねぇじゃねぇか」
???「私たちに何だって?」
リュウガ「ゲッ!!お前ら帰ってたのかよ!!」
リュウガが目の当たりにしたのは紅魔館のメイド長、『十六夜咲夜』。そのパートナーである大顎の先が赤みがかったタランドゥスツヤクワガタ、『ジェット』。両手と大顎に食材が入った袋を持っている感じからして、買い物に行っていたのだろう。
呆れていたところを咲夜に声をかけられ、冷や汗をかくリュウガ。これでは自分もとばっちりを受ける羽目になる。
咲夜「また寝てるのね……ホントにもう、寝ないでちゃんと門番やりなさいっていつも言ってるのに………」
リュウガ「悪りぃ…今度は『ヒャクレツケン』使ってでも起こすから」
ジェット「ほう?でしたら今からでもしますか?私の『ヒャクレツセン』とどっちが多くボコボコにできるか試してみますか?」
美鈴「ヒェエエエエエエエ!!おおおお起きます起きます!!起きるからそれだけは勘弁してくださーい!!リュウガさんとジェットさんのスピードラッシュ、どっちも食らいたくないですゥゥゥゥゥ!!」
恐怖のあまり目を覚ました美鈴。そんな彼女を見て咲夜がナイフを取り出したかと思うと。
咲夜「じゃあ私のナイフでお仕置きね♪」
美鈴「あ゛」
ジェット「全く、リュウガを見習ってほしいものです」
美鈴は頭にナイフを刺され、気絶していた。そんな美鈴を見た咲夜、ジェット、リュウガは呆れ、ため息をついた。
ジェット「純粋ゆえに騙されて入られてしまうのも問題ですが、それでも仕事をしてくれて大変ありがたい」
リュウガ「ホントに面目ねぇ」
咲夜「イクスさんにはバカって言われていますが」
リュウガ「せめて筋肉つけろよなぁ、あいつ……」
ジェット「バカは公認ですか?」
リュウガ「筋肉バカと言うなら問題なし!」
咲夜とジェットがため息をついた時、紅魔館から紫色のギラファノコギリクワガタが出てきた。
そのギラファノコギリクワガタの名は『カリスマローグ』。背中にはどういうわけか『鰐』という漢字1文字が書かれていた。
カリスマローグ「お帰り。ピーマン入ってないよな?」
リュウガ「オメェはいい加減ピーマン克服しろや!」
ジェット「ローグ様、好き嫌いはいけませんといつも言ってるでしょう?」
咲夜「今日の夕食ももう決まっています。楽しみにしててくださいね?」
カリスマローグ「…………嫌な予感がする」
リュウガ「後でイクス呼んで
咲夜「それを言うなら
だがリュウガたちは全く知る由もなかった。この後ある客人が訪れるということを。
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白羽の子 ーいざ、紅魔館へー
ピーマン嫌いなカリスマローグをどうやって捕まえようか考えるリュウガ。そんな時、目の前に黒い塊のようなものが現れた。
リュウガ「うお!?どっから出てきた!?」
黒い塊の中から現れたのは霊夢、ソウゴ、魔理沙、ギルティ、こいし、ウォズ、そして白羽のコクワガタだった。
咲夜「あら?あれって霊夢たち?」
ジェット「見ればこいしもいますね。それにこいしと同じ帽子を被ったグラントシロカブトも……」
そう、黒い塊の正体はウォズが次の場所へ行くために使ったスカーフだった。
紅魔館の前に現れた霊夢たちを見て咲夜たちは駆けつける。
コクワガタ「うわー、おっきい!あかくておっきいたてものだねー!」
ギルティ「驚いたろ?ここは紅魔館っていうんだ」
また新たな発見をしたと興味津々に紅魔館を見上げて目を輝かせるコクワガタ。同時に早く入りたいという気持ちでいっぱいになった。
ソウゴ「え?ここって紅魔館?」
ウォズ「ええ。ここで究極必殺技を得られる情報が見つかることでしょう」
魔理沙「……あー!確かにパチュリーなら究極必殺技の習得方法も知ってるかもしれないな!」
霊夢「とりあえずパチュリーに会いに―――――」
リュウガ「ちょぉぉぉっと待ったぁ!!」
早速紅魔館に入ろうとした霊夢たちだが、美鈴のパートナー、リュウガがすかさず立ち塞がる。
いつになれば目を覚ますのだろうか、美鈴はまだ頭にナイフが刺さったまま気絶していた。
リュウガ「ここを通りたければ紅魔館のガードベントこと俺、リュウガを倒してからにしてもらおうか!!」
カリスマローグ「おい待て。あれは客人だぞ」
ジェット「いや、それより今は美鈴が気絶している…やめなさいリュウガ!パートナーが気絶してる今のあなたには無理だ!」
リュウガ「ウォォォォラァァァァァ!!『ヒャクレツケン』を食らいやがれぇぇぇぇ!!」
ジェットが止めようとするも、リュウガは全く話を聞いていなかった。ヒャクレツケンを放とうと突進するリュウガ。
しかし全員すでにリュウガの特徴をつかんでいた。「こいつはただの脳筋」、「筋肉バカ」だと。
霊夢「あの筋肉バカ……人の話聞く気なさそうだからやっちゃって!」
ソウゴ「病み上がりなんだけどなぁ…」
何しろ紅魔館に行く前、あの轟天のダゲキ技を食らったのだから致し方なし。愚痴りながらもすぐさま回避する。
だがリュウガは避けられたことなど露知らず、その辺にあった木にヒャクレツケンを放つ。
リュウガ「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」
コクワガタ「あのむしさん、なにがしたいのかな?なんできをなぐってるのかな?」
リュウガ「今の俺はッ!!負ける気がしねぇぇぇぇぇッ!!!」
ベキベキベキベキ
ドサァァァッ
外れはしたものの、木はヒャクレツケンによって音を立てながら倒れた。
それを見たウォズは冷や汗を流す。
ウォズ「なんという力だ………あのヒャクレツケンが我が魔王に当たっていたらと思うと………恐ろしい…………」
リュウガ「って、あれ?侵入者どこ?」
カリスマローグ「あいつ、本物のバカだな。すぐ後ろにいるってのに……」
リュウガ「へ?」
背後から気配を感じたのか、リュウガが振り向く。そこにはカリスマローグの言う通り、背後にソウゴがいた。
ソウゴ「行くぜ!挨拶代わりの『トルネードスロー』!!」
リュウガ「ギャアアアアアア!!目が、目が回るゥゥゥゥ!!」
轟天に決めたスーパートルネードスローには劣るものの、リュウガを前からガッチリと挟み込み、竜巻のごとく大回転。轟天の時とは違い、スムーズな動きだった。
ジェット「はぁ……今美鈴が気絶しているせいで誰に当たりに行こうとしていたのか気づいていないようですね」
咲夜「木を倒すのこれで何度目よ。この前なんて門の壁に穴を………」
霊夢「え、リュウガってそこまでパワーあるの?」
するとカリスマローグは大顎で何かを持つと、それを霊夢の前に掲げる。
【結構ある】オォラァ!!
霊夢「あなた、どんだけ口より看板で話したいのよ……」
そう、カリスマローグが掲げたのは看板。どうやら彼の癖らしく、最近看板で話すことが多いんだとか………。
ソウゴ「どりゃああああ!!」
リュウガ「ああああああああ!!」
バキッ
カリスマローグ「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ!!俺の看板がァァァァァ!!」
ソウゴのトルネードスローで吹き飛ばされたリュウガはそのままカリスマローグの看板へとまっしぐら。看板を突き破ったリュウガは立て続けに紅魔館の壁に激突してしまった。
リュウガ「な、何でぇ…………」
ウォズ「えーっと……これは……祝っていい………のか?」
こいし「なんていうか……微妙だね……」
呆れた様子で倒れたリュウガに近づく咲夜とジェット。リュウガは起こされると、悔しそうにソウゴを見る。
リュウガ「こ……こんなはずはぁ……」
咲夜「あのねリュウガ。美鈴が気絶してるせいで、今のあなたは周りが見えていない状態だったのよ?」
リュウガ「……あ」
ようやく気づいたというような目をする。さらに呆れたジェットがため息をついた時、紅魔館の玄関から1人の少女が姿を現す。
吸血鬼「あら、霊夢たち来たのね」
ジェット「これはこれは、お嬢様」
玄関から現れた少女はピンクのドレスを身につけ、背中にコウモリの翼を生やしている。
彼女こそ紅魔館の主人にして紅霧異変の首謀者でもある吸血鬼『レミリア・スカーレット』。同時にカリスマローグのパートナーでもあった。
咲夜「ただいま帰りました、お嬢様」
カリスマローグ「レミリア、今日の夕飯だが……ピーマン入るらしいぞ」
レミリア「え?」
今日ピーマン出るの?そういった表情で咲夜とジェットの顔を見るレミリア。どういうわけかジェットの目はまるで薄ら笑いを浮かべているようにも見えた。
ソウゴ「ローグもそうだけど、レミリア500歳だよね?」
ギルティ「だな。なのにピーマン嫌いって……」
コクワガタ「ぴーまんってなぁに?」
魔理沙「お前ピーマン知らないの?野菜だよ、野菜」
コクワガタはまだサナギから孵ったばかり。そんな甲虫にピーマンを食べさせたらどんな反応をするのかといたずら心が湧く魔理沙であった。
レミリア「………とりあえず霊夢たちを私の部屋に招待するわ。咲夜、ジェット、紅茶をお願いね」
咲・ジェ「「かしこまりました、お嬢様」」
レミリアの部屋に案内された霊夢たち。紅茶を飲みながら会話することになったのだが、咲夜とジェットが去る際、なぜかジェットはまるで「お前の分なぞ淹れたくなかった」と言いたそうな目で魔理沙を見ていた。
この時、魔理沙はなぜジェットが不機嫌そうなのか察していたが、そんな彼などどうでもいいといったような様子で無視。レミリアは霊夢たちに視線を移す。
レミリア「さて……あなたたちがここに来たのは『究極必殺技』を習得するためでしょ?」
霊夢「ファッ!?知ってるの!?ぜひ教えて!!ハリーハリー!!」
魔理沙「いきなりだな……こいつどんだけ究極必殺技に目がくらんでんだか………」
究極必殺技という言葉を耳にするや否や、霊夢はすぐに目を輝かせる。
レミリア「詳しいことはパチェに聞けばわかるわ。けどその前に…………ソウゴだったかしら?」
ソウゴ「?」
レミリア「そこで紅茶をすすってるウォズから『ムシキング』にして『甲虫の魔王』として幻想郷に君臨するという話は聞いてるでしょ?」
ソウゴ「……何か知ってるの?」
レミリア「私の能力は『運命を操る程度の能力』。あなたの運命が見えたの。遠い未来、2068年………確かにあなたは甲虫の魔王『ダークロードバグ』として君臨する。けど……そこには霊夢も魔理沙もいない。人妖問わず誰もいない。孤独の魔王として君臨していたわ」
レミリアが告げたことはあまりにも衝撃的だった。霊夢も魔理沙もいない幻想郷!?この場が死んだような静寂に包まれた。
しかし、静寂を破るかのように意を決したウォズがソウゴにこう伝える。
ウォズ「申し訳ございません、我が魔王。本来ならばあの時お答えするべきでしたが、今のあなたでは耐えられないと思い、黙っていました。この場を借りて率直に申し上げます。未来の博麗霊夢と霧雨魔理沙は…………いえ、我が魔王以外の者も虫も死にます」
レミリア以外全員『!?』
【俺も死ぬのか?】オォラァ!!
返事の代わりにまた看板を掲げるカリスマローグ。ウォズは悲しげな表情をしながらカリスマローグが掲げた看板に返答する。
ウォズ「残念ながらその通りです……」
ソウゴ「嘘だろ!?どうしてそんなことが!ていうか何で今まで黙ってたんだよ!!」
ウォズ「私も詳しく知りません。ですがこれだけは言えます。博麗霊夢と霧雨魔理沙は何者かによって殺されます」
コクワガタ「え……?おねえちゃんたち、しんじゃうの……?」
さすがのコクワガタも状況が飲み込めないでいた。
霊夢「ふ、ふざけんじゃないわよ!!私たちが誰かに殺されるなんてあり得ないでしょ!!」
ウォズ「いえ、殺されます。今のままでは我が魔王がムシキングを目指す限りあの事態になるでしょう」
ソウゴ「そんな…!」
するとウォズの話に何か引っ掛かったギルティが首をかしげた。
ギルティ「ん?ちょっと待ってくれ。さっき何つった?『今のままでは』?」
レミリア「そう……ここからよ。さっきウォズが言ったように、今のままでムシキングを目指せば、そういう未来が確実に起こる。その前に様々な『虫に関する異変』が起こるわ」
霊夢「異変の首謀者が何言ってんだか……」
レミリア「黙って聞きなさい。例えば『虐げられた甲虫たちの逆襲』。例えば『闇の世界から来た黒いカブトムシ率いる組織の欲望』。例えば『全てをリセットしようと企てる組織の願望』。例えば『悪の妖精の再来』。例えば『その妖精に忠誠を誓わんとする3匹の甲虫』………そして『運命の分かれ道』。異変を突破できて、なおかつソウゴが成長していればその未来は防げる。けどそれ以降は全く見えない。運命を変えるかこのままにするかは………霊夢、ソウゴ、あなたたち次第よ」
霊夢「……………」
ソウゴ「じゃあ俺が成長すれば、努力さえすれば、その運命は変えられるっていうんだな?」
レミリア「さっきも言ったけど、それはあなた次第よ。だからといって楽観視しないようにね。特に霊夢も」
その時だった。レミリアの部屋のドアがバタンと勢いよく開いたのは。
振り向くと、そこに立っていたのは赤と白を基調としたドレスを身につけ、背中に7色の宝石をあしらったような歪な翼を生やした少女。そして彼女の肩に乗った黄色いコーカサスオオカブト。
???「お姉様ずるい!私とバーサーカーを招待しないなんて!」
レミリア「ゲェ、フラン!?それにバーサーカーまで…!」
彼女の名は『フランドール・スカーレット』。レミリアの妹にして、種族は同じく吸血鬼。フランドールの肩に乗っている黄色いコーカサスオオカブトは『バーサーカー』というようだ。
バーサーカー「おいレミリア、何で俺とフランを呼ばなかった?ぶっ殺されてぇのか!?」
フランドール「あ、魔理沙とこいしちゃんもいるんだ!いらっしゃい!」
バーサーカーは入ってきてすぐにレミリアにイチャモンをつけ、フランドールは魔理沙とこいしを歓迎する。
魔理沙「よ」
こいし「ヤッホー、フランちゃん!」
カリスマローグ「まあまあ落ち着けバーサーカー。お茶でも飲んで話でもしようか」
【※アバ茶ではない】オォラァ!!
バーサーカー「臭ぇもん飲ますんじゃねぇよ腐れ脳味噌がァーーーーッ!!」
カリスマローグ「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ!!また看板がァァァァァ!!」
体当たりによりまた看板を破壊された。
ソウゴ「いや、アバ茶って何?」
霊夢「それは聞かない」
コクワガタ「ねえねえ、それよりこのかぶとむしさんがみせたきゅうきょくひっさつわざ、またみたい!」
霊夢「あ、ここに来た目的を忘れるところだった。でもこの様子からしてフランとバーサーカーを無視したらさらにめんどくさいことになりかねないわね」
バーサーカー「だぁれがめんどくせぇ奴だとコラァ!!」
再び体当たりを仕掛けるバーサーカー。それを霊夢はすかさず避ける。
それを止めようと魔理沙が前に出た。
魔理沙「待て待て、マジで落ち着けって!私とギルティがお前らと遊んでやるから!」
ギルティ「おぉぉぉぉい!?勝手に決めちゃっていいのかよォォォォ!?」
バーサーカー「テメェら、目的があって来たんじゃねぇのか?いいぜ、コーカサス同士仲良く遊んでやろうじゃねぇか!!紅魔館がぶっ壊れるまで―――――」
レミリア「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!それだけは絶対ダメェェェェェェェェェ!!」
カリスマローグ(ああ、またいつものあれが来るのか……)
魔理沙のおかげでなんとかバーサーカーの暴走を止めることができた。だが魔理沙とギルティはこの後フランドールとバーサーカーとの遊びにつき合わなければならなかった。
そんな2人と2匹をよそに、ソウゴの究極必殺技の習得のため、霊夢たちは紅魔館の地下にあるといわれる大図書館へ。すると………。
???『お前ぇぇぇぇぇぇぇ!!!俺と兄貴の関係を言うなァァァァ!!!』
ソウゴ「え?何今の!?」
霊夢「大図書館から聞こえたよね!?」
大図書館から聞こえた何者かの怒号。一体何が起きているというのか。霊夢たちは足を速める。
扉を開けると、羽に悪魔の翼を彷彿とさせる紋様が描かれたサタンオオカブトがある甲虫から逃げていた。
???「おい待てぇぇぇ!!いっぺん殴らせろやぁぁぁぁ!!」
レミリア「……え、えーと…小悪魔?」
小悪魔「お嬢様~、ローグ様~、助けてくださ~い!ゼパルがまた…!」
大図書館の司書である『小悪魔』がレミリアに助けを求める。
ゼパルというサタンオオカブトを追いかけている甲虫の名は『雷電』。体の右側に白い歯車数個と雷神が描かれ、白いスカーフを巻いたマルスゾウカブトだった。
ゼパル「いや~、幻想郷ってバラの花は見ないと思いましたが、あんな形で見られるとは。兄弟愛……つまり追いかけているのが攻め、そこで首をかしげているのが受けということですな?それとも逆というのもあり得ますな~。それはそれで―――――」
雷電「いい加減黙らねぇか!!」
アクティオン「攻め?受け?バラの花?どういう意味でしょうか?」
一方で、ゼパルに受けと呼ばれるアクティオンゾウカブトの名は『疾風』。体の左側に水色の歯車数個と風神が描かれ、水色のスカーフを巻いた甲虫だった。
カリスマローグ「……ゼパルがまた何かやらかしたのか?」
ソウゴ「ねえ小悪魔、あいつらって……」
小悪魔「ソウゴさん、聞いてください!またゼパルがあのゾウカブトの兄弟を…『ヘルブロス』を微笑ましい目で見てたんですよ~!」
レミリア「はぁ……要はまたあいつの恋愛煩悩が暴走したんでしょ」
泣きつく小悪魔に呆れるレミリア。
パチェ「ゲホッ、ゲホッ!す、すごいホコリ…!私喘息持ちって言ったよね……!」
パチェと呼ばれる少女が咳をする。パチェというのはレミリアが彼女に対して呼んでいる愛称で、本名は『パチュリー・ノーレッジ』。大図書館に住む魔法使いだ。
金と白のエレファス「おい、お前ら騒がし…………ああ、またか」
パチュリー「い、イクス……あなた、この状況何とかできる?」
イクス「任せろ」
続けて現れたのはパチュリーのパートナーであろう、『イクス』と呼ばれるエレファスゾウカブト。金と白の体色に、首に赤・黄・青のグラデーションのスカーフを巻いた甲虫だった。
イクス「ひとつ聞かせてくれ。うちのゼパルがまた何かやらかしたのか?」
疾風「あの……今私の弟が追いかけてるそちらのサタンオオカブトが攻めとか受けとかバラの花とか言ってましたが、どういう意味でしょうか?」
イクス「それ俺に言う?」
ウォズ「…………何だこの状況」
この光景に思わず唖然とするウォズだが、ソウゴだけゼパルが言っていたことを気にしていた。
ソウゴ「………バラの花って何?」
首をかしげるソウゴ。今の彼の気持ちは疾風とほとんど同じだった。
霊夢「えーっと、ソウゴ?//////」
ソウゴの何気ない疑問に霊夢が思わず顔を赤らめる。
霊夢「よ、世の中には知らなくてもいいことがあるのよ?き、気にしなくていいから//////」
ソウゴ「えー?気になるよ」
ウォズ「やめてください我が魔王。その先は底なし沼です」
こいし「そうそう」
同じく疾風と話しているイクスもこんなことを言っていた。
イクス「あー……なんつーか…な?もしお前がそういうのに目覚めたっていうなら止めはしねぇけど………」
疾風「?」
言えるはずがなかった。何しろイクスはバラの花の意味を知っているのだから。
雷電「ちょこまか逃げ回りやがって!これで仕留めてやる!!『イナズマ』!!」
バラの花の意味、それはボーイズラブ。つまり男性同士の恋愛のことを言っていた。
その意味を疾風に伝えていいものなのかイクスは悩むことになった。
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幕間2:白狼天狗のクワガタは変態という名の紳士?害虫?
そして天羽々矢さん、お待たせしました。いよいよアダー完結編のラスボスの登場です。
???「鎧丸とツルギが完治したのはいいものの、またどこかで襲撃に遭ったりしないだろうか……」
蓬莱人「まーだエクスはそんなこと気にしてるの?」
いかにも姫といったようなドレスを着た長髪の少女を背中に乗せ、空を飛ぶカブトムシ。リッキーブルーのように前翅が青白いが、彼の種類はリッキーブルーではない。
蓬莱人「それにしても驚いたなぁ。永琳に助けられた虫がヘルクレスの亜種……それもあの伝記に載ってた『悪の妖精が最初に出会ったカブトムシ』だったなんて」
エクス「何度も言いますが、姫。その虫は外の世界で森の妖精たちと敵対した虫。姿形は似ていても、全くの別人ではありませんか」
別個体でも悪の妖精ことアダーが最初に出会ったといわれるカブトムシ………彼はヘルクレスエクアトリアヌスブルー。元月の都出身の蓬莱人こと『蓬莱山輝夜』をパートナーとする甲虫である。
輝夜が悲しき過去と罪を背負っていることはエクス自身も知っていた。地上の暮らしに憧れていた輝夜が教育係だった賢者に『蓬莱の薬』を作らせ、それを飲んで罪人となり、輝夜自身が憧れていた地上に賢者と共に追放された過去を背負っていることは全て聞かされていた。
エクス「永遠亭の手伝いとして……姫を守る者として、誰の指1本も触れさせんぞ。触れさせてなるものか……!」
???「ウゾダドンドコドーン!!!ウェェェェェェェェェイ!!!」
叫び声がした方向に目を向けると、ある1匹のヘルクレスオオカブトが山に落ちていくのが見えた。
輝夜「また守谷神社の虫の不幸体質ね」
エクス「厄神が使うクワガタの方がもっと恐ろしいんだがな……後でパワーストーン買ってやろうかな?」
守谷神社の虫といわれるヘルクレスが落ちた山へ向かい、彼を探すことになった輝夜とエクス。
だが山といってもただの山ではなく、『妖怪の山』と呼ばれていた。
輝夜「確かこの辺に落ちたはずなんだけど………」
エクス「姫、それよりも何よりも妖怪の山には幻想郷きっての変態という名の紳士?害虫?とにかく、奴がどこかに潜んでいるかもしれませんので気をつけてください」
輝夜「ここにはあのクワガタなんかいないわよ」
輝夜は平然と答え、エクスは心配になってしまった。
だがすぐに機転を変えると、こんなことを問う。
エクス「……ところで姫。姫は私のことをどう思っていますか?」
輝夜「頼り甲斐のある虫って思ってるわよ。それにあなた、前に私の過去聞いた時………ボロ泣きしてたじゃない。それにパートナーとして私を守ってくれてることは感謝したくてもしきれない。あなたが私のパートナーになった時のこと、私が永琳から外出許可もらったこと覚えてる?」
エクス「今でも鮮明に覚えていますが、それが何か?」
輝夜「最初あなたみたいなヘルクレスの亜種はすごく珍しいと思ってたけど、永遠亭の手伝いとして一生懸命働いてくれたり、いろんな野良虫の襲撃から守ってくれたり……そして今みたく私を遊覧飛行で楽しませてくれて嫌なこと全部忘れさせようとしたり、私たちはあなたのことを邪魔なんて一度も思ってないわよ?あなたがいるだけで永遠亭はとても賑やかなの」
エクス「姫………」
言葉を紡ごうとしたエクスだが、輝夜の背後からある1匹のクワガタが迫ってきているなどまだ知らなかった。エクスと話している輝夜ももちろんそのクワガタの存在に気づくわけがない。
???「下着見せてー!!」
輝夜「ギャー!!//////」
輝夜の背後から現れたのはどこにでもいる普通のミヤマクワガタだった。
スカートをめくられ、スラッとした足とパンツがあらわになると同時に悲鳴をあげながら顔を真っ赤にする。
エクス「姫!?」
ミヤマクワガタ「今日は白か……いや~、やっぱり永遠亭のお姫様って見た目もパンツも上品で最高ですな~!どれ、もっと拝見させてもらいましょうか!『センプウ』!」
ミヤマクワガタは羽を広げると、地面を滑るように輝夜の周りを高速で飛び回る。
するとどうだろうか、輝夜のスカートが先ほどより大きくめくれ上がり、輝夜の上半身が隠れる。
輝夜「いやあああああ!!何するのよー!!やめてぇ!!パンツ見ないでぇぇぇ!!//////」
ミヤマクワガタ「フッハハハハ!スカートめくりなぞこの『夜摩』様にとって赤子の手をひねるより楽な作業よ!お姫様のスカートよ、もっともっと舞い上がれ!このまま脱げる勢いで舞い上がれぇぇぇぇ!!」
夜摩と名乗るミヤマクワガタはさらに速度を上げ、輝夜はめくれ上がったスカートを押さえようとする。
だが夜摩は全く知らない。輝夜のスカートめくりに夢中になりすぎたその天罰が下ることを。
夜摩「俺はパンツの他にもジャイアントなパイオツも好きだー!!白パンツ万歳!!!ピンクパンツ万歳!!!ジャイアントパイオツ万歳!!!万歳!!!万歳!!!バンザーイ!!!!バンザァァァァァイ!!!!」
輝夜「~~~~~~~~~~!!//////」
バゴンッ
夜摩「ドギャス!?」
唐突に中断される高速回転。体に激痛が走ると同時に数メートル吹き飛ばされた。
夜摩「ちょ……痛いんですけど!誰ですか!せっかくの楽しみを邪魔する奴は!」
エクス「…………姫に手を出す奴は何者だろうと断じて許さん」
夜摩「ゲェ!?え……えええエエエ………エクアトリアヌヌヌスブルルルルゥゥゥ!?」
そう、スカートめくりを楽しむ夜摩を吹き飛ばせるのはエクスしかいなかった。
輝夜「え、エクスゥ……!//////」
輝夜は赤面しながら涙目でめくられたスカートを押さえている。
エクス「夜摩、貴様………俺の前でよくそんなことが堂々とできるなァァァァァァ!!!」
激昂しながら吹き飛ばされた夜摩めがけて突進するエクス。そのまま自身の巨体を夜摩にぶつけるのかと思いきや、彼を踏み台にして空中に舞い上がった。
エクスは空中で宙返りすると、そのまま自身が踏み台にした夜摩めがけて落下。
エクス「『サマーソルトプレス』!!」
夜摩「ブナシメジッ!!」
動くこともできないまま夜摩はエクスの巨体に押し潰された。
夜摩「い、痛い……」
エクス「戦いとは痛いものだ。調子に乗るのも大概にしろよ?この女にとっての害虫という名の変態め!」
夜摩「が、害虫だって!?違うもん、害虫でも変態でもないもん!仮に変態だとしても、変態という名の紳士だよ!」
エクス「やっぱり変態じゃねぇか!!ふざけんじゃねぇぞ!!テメェのその首引きちぎってやろうか!!」
エクスは頭角と胸角で夜摩を挟み込むと、そのまま振り回し、空中へ放り投げる。
エクス「野郎オブクラッシャァァァァァアア!!『クロスダイブ』!!」
そして羽を広げ、地に落ちる直前の夜摩を回転しながら飛びかかってつかみ、地面に押さえ込むように引きずった。
夜摩「な、何なんだよ……この強さマジで半端じゃねぇ……!しかもさっきからずっとあいつのターンって……俺がいつもパイタッチに使ってる技も究極必殺技も何もかも出せねぇ……!」
エクス「オラ、立てよクソ野郎………覚悟しろよド変態クソビッチ野郎………テメェは俺を怒らせた………!」
夜摩「わっ……許してくださーーーいッ!!」
追い討ちをかけるようにすさまじい剣幕で夜摩にジリジリと近寄るエクス。彼の激しい怒りに恐怖しながら許しを請う夜摩。
エクス「許しはテメェが泣かせた姫に請いな。俺は最初からテメェを許す気はねぇんだ」
夜摩「お、お願いです!!今回だけはマジで見逃してください!!見逃してくれたらうちのパートナーの100の秘密全部教えてあげますから!!幻想郷の住人たちのバストサイズも教えてあげますからぁぁぁぁ!!」
エクス「やれやれ……テメェ、正真正銘の史上最低な変態虫だぜ……」
エクスにはもはや憎悪と殺意しかなく、抹殺すべき存在として見ていた。
男たちが聞けば興奮しそうな夜摩の命乞い。だがエクスは当然それを飲み込むはずもなく、夜摩をつかむ。
エクス「テメェのツケは!!!そんなんじゃ払えねぇぜ!!!」
夜摩をつかんだエクスは走り出す。
エクス「ウォオオオオオオオオオオオ!!」
夜摩「ひょえええええええええええ!!」
エクス「その癖を直してしっかり反省してから出直してこいクソカスがァァァァァ!!!!『ジャベリン』!!!!」
夜摩「ギィィィィィィヤァァァァァァァァァァ!!!!」
槍投げのごとく助走をつけ、相手を一気に投げ飛ばす技『ジャベリン』。投げ飛ばされた夜摩はそのまま地面に突き刺さってしまった。
エクス「この輩め……」
吐き捨てるように言うと、輝夜の元へ駆けつける。
エクス「姫、無事ですか?」
輝夜「なんとかね。それにしてもあの白狼天狗のミヤマクワガタ、本当にしつけがなっていないわね。どうにかならないのかしら?」
白狼天狗「夜摩!仕事サボってこんな所で遊んでたんですね!」
輝夜「あら、噂をすれば…」
夜摩のパートナーである白狼天狗が駆けつけてきた。彼女の名は『犬走椛』といった。
エクス「夜摩はお前の相棒だろう。あの性格はどうにかならないのか?」
椛「それができたら苦労しませんよ……ただあの癖がなければ……もう少し変態でなければ………まあ考えられる程度の優良物件なんですがね………」
椛はそう言ってため息をついた。
その頃、妖怪の山に落ちたヘルクレスはというと………。
???「あのー、俺のこと全部忘れていませんか!?俺の存在空気ですか!?オンドゥルルラギッタンディスカー!!!」
エクスと輝夜が救助に向かったにもかかわらず、夜摩のせいで忘れられ、ずっと地面に突き刺さったままだった。
そのヘルクレスは目が赤く、スペードが刻まれた銀の甲と角を持ち、そこに青と金の差し色が入っている。『ブレイド』、それが彼の名前だった。
ブレイド「誰でもいいから俺を助けてくださぁぁぁぁい!!!」
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