盾の勇者と蒼炎の勇者 (アルティメットフリーダム)
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再召喚

Twitterで予告した新作です!
あくまで錬転の方がメインなので更新は遅いと思いますがこちらも楽しみに待ってくれると嬉しいです!
あと、自分はスマブラのアイクしか知らないのでもしかしたら口調がおかしいかもしれません。
では本編をどうぞ!


 

 

 

この世界に召喚されてどれぐらい経っただろうか…まだやり残したことがあるかもしれないが、もうこの世界にいることはできないようだ…

 

「もう行ってしまうのか…」

 

「ああ、どうやらこの世界での俺の役割は果たしたらしい」

 

足元が光り輝いてきた…もう時間がないな。

 

「守、フィトリア…俺は元の世界に帰ってしまうが俺がいなくてもしっかりやれよ」

 

「もちろんだよ」

 

「蒼炎の勇者様も元の世界で頑張ってね!」

 

俺のことはアイクでいいと前は何度も言っていたが今ではもう諦めた。

 

「じゃあな…守、フィトリア…またどこかで会おう」

 

「ああ、きっとまたどこかで…」

 

「うん!また会おうね!」

 

それを最後に俺は光に呑まれ、異世界から元の世界へと戻った。

 

 

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あれから3年

 

 

女神アスタルテを倒し、戦争は終わった。

 

戦争が終わってしばらくして旅に出た。

 

今は辺りが暗くなり、俺はたき火を起こして食料である野生動物の肉を焼いている。

 

旅を始めてからしばらく経つが俺はらしくもなく夜空を見上げながら考え事をしていた。

 

俺は3年前、異世界に召喚された…今でもちゃんと覚えている。

 

最近はよくあの時行った異世界のことを考えてしまう…俺は心のどこかでまたあの世界に行ってみたいと思っているのかもな。

 

すると突然俺の足元が光り出した。

 

この光は3年前と同じ…そうか…また呼ばれたのか。

 

俺は目を瞑り、何も抵抗せずに光に呑まれた。

 

 

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目を開けるとそこはどこかの建物の中だった。

 

「おぉ、勇者様方!どうかこの国をお救いください!」

 

左を見るとそこにはそれぞれ剣、弓、槍、盾を持った4人の青年がいた。

 

服を見る限り、俺とは別の世界から召喚されたのか。

 

なるほど…彼らが2代目の四聖勇者になるわけだな。

 

しかし…一緒にいるということは1つの国が四聖勇者全員と俺を召喚したのか。

 

「それはどういうことですか」

 

弓を持った青年…弓の勇者が周りにいるローブの男達に質問した。

 

「色々と込み合った事情がありますが勇者様達を古の儀式で召喚させていただきました」

 

「召喚…」

 

「この世界は今、存亡の危機に立たされているのです。勇者様方、どうかお力をお貸しください」

 

力を貸すことは別に構わないが…俺が3年前に召喚された時は1つの国に1人勇者を召喚していた。

 

先代の盾はもちろん三勇者とも面識はあるが同じ場所で召喚されたわけではない。

 

この国はなにか企んでいるのか…

 

「まぁ話だけなら…」

 

「断る」

 

「そうですね」

 

「元の世界に帰してくれるんだろうな?話はそれからだ」

 

俺が考えてる間に四聖勇者が話し始めるが盾はともかく三勇者は協力する気がないらしい…これはまた盾の勇者と行動を共にするかもしれないな。

 

「強制的に呼びつけたことに対する罪悪感をお前らにはないのか?」

 

剣の勇者がローブの男に剣を向ける。

 

「仮に、世界が平和になったらポイっと元の世界に戻されてはタダ働きですしね」

 

弓の勇者も同意してローブの男を睨み付ける。

 

「こっちの意思をどれだけ汲み取ってくれるんだ?話に寄っちゃ俺達がお前らの敵に回るかもしれないぞ」

 

2代目の三勇者は好戦的だな…俺はともかく盾の勇者は話についていけてないぞ。

 

「ま、まずは我が国メルロマルクの王に拝謁して頂きたい。報奨金の交渉はそれからでお願いします」

 

「しょうがないな」

 

「考える余地はありそうですね」

 

「ま、どいつが相手でも話は変わらねぇけどな」

 

そういうと三勇者はローブの男について行った。

 

あいつらは勇者に選ばれて浮かれているのか?

 

「あん…あなたはどうするんですか?」

 

「…行くしかないだろ」

 

四聖勇者で信用できるのは盾の勇者だけだな。

 

ローブの男についていき、王座にたどり着いた。

 

「ほぅ…この者達が古から伝わる四聖勇者と蒼炎の勇者か…儂がメルロマルクの王、オルトクレイ・メルロマルク三十二世だ。勇者達よそれぞれの名を聞こう」

 

「天木錬、年齢は16歳、高校生」

 

「俺は北村元康、21歳大学生だ」

 

「次は僕ですね。川澄樹、17歳高校生です」

 

「じゃあ次は俺だな。俺は…」

 

「ふむ。レンにモトヤスにイツキか」

 

…どうやら王は盾の勇者と俺を嫌っているようだな。

 

よく周りを見れば亜人が1人もいない…このメルロマルクは亜人を良く思ってない国なのか?亜人を良く思ってないなら盾の勇者、そして行動を共にした蒼炎の勇者は裏切り者扱いされてしまっても仕方ないか…

 

「俺の名前は岩谷尚文、20歳大学生だ」

 

一応、俺もしておこうかと思ったが王は俺を無視して話を進めた。

 

尚文がいいのか?と聞くような目で見てきたが俺は気にせず、王の話を聞いた。

 

要約するとこの世界には終末の予言というものがあり、それによると世界を破滅へ導く波が幾重にも重なって訪れる。

 

波が振り撒く厄災を跳ね除けないと世界が滅ぶというがそんなことは知っている。

 

この世界で俺が元の世界に帰ってから何年経っているかはわからんがまだ波は終わってないんだな。

 

1回目の波はなんとか退けたが2回目は勇者がいないとダメだと判断して俺達を召喚したそうだ。

 

「話はわかった…だが召喚されて、まさか無報酬ってわけじゃないだろうな」

 

錬が質問すると家臣と思われる男が答えた。

 

「もちろん波を退けた暁には報酬を差し上げます」

 

「へぇ…ま、約束してくれるならいいけどさ」

 

「敵にならない限りは協力してやる…だが飼い慣らせると思うなよ」

 

「ですね。甘く見てもらっては困ります」

 

王にまで上から目線とは…こいつらに勇者の資格はないと思うのは俺だけか?

 

「そ、そうだな」

 

盾の勇者は場の空気に乗ったが戸惑ってるだけまだまともか。

 

それから王にステータスを確認するよう言われ、視界の端にあるアイコンに意識を集中する。

 

 

アイク 蒼炎の勇者 Lv95

 

 

いきなりレベル95ということは3年前のレベルを引き継いでるのか…ステータスは3年前より高くなってるな。

 

だが四聖勇者のレベルは1らしい。

 

これは俺のレベルは言わない方がいいな。

 

だから旅に出て四聖武器を強化しろと言われている。

 

そして四聖武器は反作用が発生するから別々にパーティを組まないといけないそうだ。

 

だがラグネルは四聖武器じゃない…俺には関係ないな。

 

「もう日も暮れてきておる…今日は休み、明日旅立つがよい。勇者の仲間はこちらで逸材を用意しておく」

 

「…必要ない」

 

ここで俺は王座に来て初めて口を開く。

 

「俺は1人で十分だ。仲間が必要になったら自分で見つける」

 

「そうか…では蒼炎の勇者には用意しないでおこう」

 

「お部屋に案内します。こちらへどうぞ」

 

そのまま俺達は部屋に案内された。

 

なぜか四聖勇者とは別の部屋だったがあの三勇者と一緒にいるよりはマシだ。

 

少し嫌な予感もするが今日は寝るか。

 

そして俺は眠りについた。

 

嫌な予感が的中することをこの時の俺はまだ知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回『冤罪』
ここで軽くアイクの説明をしますね。

アイク 蒼炎の勇者

先代勇者の時に召喚されたイレギュラーな勇者
どこの国が召喚したかのすら不明
最初は1人で行動していたが盾の勇者と知り合ってからは行動を共にし、フィトリアとも仲が良い(フィトリアはアイクのことが気になっているようだが本人は全く気づいていない)

今、考えてるのはこれぐらいです…なんか色々と足りない気がする…

えっと…次の更新がいつになるかはわかりませんが、楽しみに待っていてください!
それではまた次回


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冤罪

少し急いで書いたので前回よりもクオリティは低いと思います。
個人的には早くフィトリアを登場させたい。


 

 

 

翌日

 

俺は王座へ呼ばれた。

 

途中で四聖勇者と会うと三勇者に

 

「昨日から気になってたんだが…なぜお前は俺達とは違っていかにも勇者みたいな格好をしてるんだ?」

 

「そうですね。その剣も僕達の武器より強そうですし」

 

「なんかチートでも使ったのか?」

 

などと言われた。

 

だが俺は答える気はない。

 

「お前達に話すつもりはない。王に呼ばれているんだろ?早く行くぞ」

 

無理矢理だが話を終わらせて王座へと向かう。

 

王座に着くと王の前に12人の冒険者が横に並んでいた。

 

最初は四聖勇者がこの冒険者の中から仲間を選ぶと思っていたがどうやら冒険者が共に旅に出る勇者を選ぶらしい。

 

これは…盾の勇者には誰も行かないだろうな。

 

「俺は1人で旅立てってか‼︎」

 

やはりか…剣の勇者に5人、弓の勇者に3人、槍の勇者に4人、盾の勇者には誰もいない。

 

こうなるとは薄々わかっていた。

 

なら…俺と組めばいい話だ。

 

「尚文…俺と組むか?」

 

「えっ?」

 

「盾だけだとレベルも上げづらいだろう。それにラグネルは四聖武器じゃないから俺と組んでも問題はない」

 

「あ、ありがとう!えっと…」

 

そういえば…昨日は名乗ってなかったな。

 

「俺はアイク、尚文達とは別の世界から召喚された。よろしく頼む」

 

「ああ!よろしく!」

 

尚文と握手を交わす。

 

「あの〜私も盾の勇者様の元へ行ってもいいですか?」

 

槍の勇者のところにいた赤髪の女冒険者が俺達に声をかけてきた。

 

だが…この女…なにか怪しい。

 

俺はこれでもグレイル傭兵団の団長だ…人を見る目はある。

 

正直なところ、この女冒険者とパーティを組むのはやめた方が良いだろうが決めるのは尚文だ。

 

「いいのか?」

 

「はい!」

 

「それでは支度金である!しっかり受け取るのだ!」

 

「皆様には銀貨600枚を用意しました」

 

支度金か…装備は最初から整っているし、貯金するか。

 

「これで装備を整えて旅立つがよい」

 

そして俺達は王座を後にした。

 

 

 

 

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アイク…だと…伝承に伝わる蒼炎の勇者の名もアイクだった。

 

蒼炎の勇者は色々と謎が多い勇者だ…唯一、伝承で名前が伝わっておる。

 

まさかとは思うが…詳しく調べる必要があるかもしれん。

 

 

 

 

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それから女冒険者…マインと言うらしい。と武器屋に立ち寄り、尚文の防具を一式購入したが、なぜかマインが買い取り金額を店の店主に聞いていた。

 

マインが言うには尚文が成長したらいらなくなるからと言っているが買い取り金額など買う時に聞くものではないだろう?

 

ますます怪しいな…マインという冒険者は…

 

そしてレベル上げに出たが俺は手を出さずにただひたすら眺めていた。

 

夜になり宿に泊まることになったが俺は尚文とは別の部屋を取った。

 

別とはいっても向かいだがな。

 

理由はもちろんマインのことを信用できないからだ。

 

これで明日、なにもなければいいのだが…

 

 

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翌日

 

俺の願いは叶わなかった。

 

今朝、尚文が俺の部屋のドアを叩き、出てみて話を聞いてみれば装備や金が全てなくなったそうだ。

 

やはりマインは黒だったか…

 

そのまま俺達は王の騎士達に王座まで連れて行かれ、尚文に槍が向けられる。

 

「オルトクレイ王…これはどういうことだ」

 

「冒険者マインよ。もう一度証言してはくれぬか?」

 

するとマインは尚文が酒に酔った勢いで自分を押し倒したなどと言った。

 

「はぁ⁉︎」

 

「…尚文は身に覚えがないみたいだが?」

 

「蒼炎の勇者様は口を出さないでいただきたい」

 

それからも尚文は無罪を主張し続けたが誰も信じてはくれない。

 

「…お前…騙したな!」

 

どうやら尚文も気づいたようだな…マインの仕業だということに。

 

俺もそろそろ動くか。

 

「…オルトクレイ王…あんたはそこまで盾の勇者が憎いか」

 

「なっ⁉︎」

 

「いや…先代の盾の勇者が憎いというべきだな。だから同じ盾の勇者の尚文に八つ当たりしてるわけか…しかも国全体でな」

 

俺はラグネルを背中から抜き、地面に突き刺す。

 

「俺は尚文を信じ、これからも尚文と行動を共にする!そして俺はメルロマルクの、いや…オルトクレイ王の命令には従わない!」

 

「アイク…お前…」

 

「な、なにをぉー!」

 

尚文に槍を向けている騎士とは別の騎士達が俺に槍を向ける。

 

できれば言いたくなかったが、いずれはわかることか。

 

「いいのか?俺のレベルは95だ。ここにいる勇者や騎士では俺を倒すことはできない」

 

「きゅ、95…だと」

 

王座がざわめくが俺は気にせず、ラグネルを地面から抜き、尚文に槍を向けてる騎士達に話しかける。

 

「その槍をどけろ。死にたくないならな」

 

「くっ」

 

騎士達は渋々槍をどける。

 

「尚文…行くぞ。こんなところに居たくはないだろ?」

 

「ああ、そうだな…」

 

俺は尚文を連れて王座を出る直前、ラグネルをオルトクレイ王に向ける。

 

「あまり俺を怒らせないことだな。次になにかすれば、俺は容赦しない」

 

そう言い残して王座を後にした。

 

 

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それから色々あった。

 

尚文と同行者設定をしてレベル上げでバルーンの大群を衝撃波だけで倒したり、武器屋の店主は尚文のことを信じてくれているから尚文の防具を買ったりしていたが、俺は1つ思うことがあった。

 

「尚文、少し提案があるんだが」

 

「なんだ?」

 

「今は2人だけでもやっていけるが後々はわからん。だから奴隷を使わないか?俺としてはあまりしたくないが戦力補充のためには仕方ない…」

 

仲間を募ったところでロクなやつは来ない。

 

なら奴隷を使うしかないと苦渋の決断をした。

 

「ほほぉー私をお呼びですかな?」

 

急に俺達に声をかけたのは黒い服を着た男だった。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回『奴隷の少女』
ちゃんとラフタリアも出しますよ!
それではまた次回!


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奴隷の少女

まさかあの涼宮ハルヒの憂鬱やけいおん!、CLANNADなどの神アニメを生み出してきた京アニのスタジオが放火されるなんて…亡くなられた方にご冥福をお祈りします。

そういえば尚文の精神状態について書いてなかったのでここで簡単に書きますね。
アイクという頼り甲斐のある味方がいることで多少は原作よりマシですが、それでも味覚は感じてませんしアイク以外の人間は信用できない状態です。


 

 

 

「あんたは?」

 

「私は奴隷商を営んでいる者です」

 

奴隷商…まさか俺達が話してる時に来るとは…都合が良すぎる話だが信用するしかないな。

 

「あんたが俺達に奴隷を…提供してくれるのか?」

 

「ええ…私について来てください」

 

半信半疑で俺達は奴隷商についていく。

 

ついていくと途中で尚文が俺に声をかけた。

 

「なぁ…奴隷はアイクが選んでくれないか?」

 

「俺が?」

 

「ああ…奴隷のことを提案したのはアイクだ、それにアイクの方がこの世界に詳しいだろ?だから頼む」

 

尚文には俺が3年前…この世界では何百年も前らしいが…にこの世界に召喚され、先代盾の勇者と行動を共にしていたことを話していた。

 

だからこそ尚文は俺に奴隷を選んでほしいのか…

 

「…わかった」

 

「盾の勇者様と蒼炎の勇者様こちらですぞ」

 

案内されたのは大きなテントだった。

 

中に入るとそこには大量の檻があって檻の中には亜人や獣人が入れられていた。

 

「薄々わかってはいたがメルロマルクは人間至上主義なのか?だからこの国で亜人や獣人は奴隷としてでしか生きていけない」

 

「ほほぅ、ご名答です。蒼炎の勇者様…この国メルロマルクは亜人を魔物に近いものと見ています。なので亜人や獣人がこの国で生きるためには奴隷になるしかないのです」

 

俺はテントの中にある檻を軽く見ていると少し布が掛かった檻を見つけ、布をめくるとそこには亜人の少女がいた。

 

「お客様…こちらが」

 

「悪いがもう決めた…この亜人にする」

 

「ひぃ⁉︎」

 

かなり怯えているな…ここに来る前にかなりひどいことをされて来たんだろう。

 

「そのラクーン種は病を患っておりまして、そう長くは持たないと思いますが…」

 

「構わない…尚文もいいか?」

 

「アイクが決めたんなら文句はない」

 

そして俺達はその少女…ラフタリアと言うらしい…を銀貨30枚で購入した。

 

もちろん奴隷紋は刻んだ。

 

俺としてはやはり気が進まないが今後のためには必要だ…仕方ない。

 

そのあと武器屋に行き、ラフタリアの装備を整えて飯を食べた後、狩りに出かけたが俺はラフタリアの成長のため、手を出さずに眺めていた。

 

 

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しばらくすると辺りが暗くなり、野宿をすることになった。

 

飯を食べているとラフタリアがこんなことを聞いてきた。

 

「ご主人様達は何者なのですか?」

 

「俺か?俺は蒼炎の勇者だ」

 

「同じく勇者だ。盾のな」

 

「え?…盾の勇者様と…蒼炎の勇者様?」

 

 

 

 

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盾の勇者様と蒼炎の勇者様って…昔お父さんとお母さんが話してた。

 

『ラフタリア…伝説の四人の勇者を知っているかい?』

 

『うん!剣の人に弓の人に槍の人あと盾の人!』

 

『そうだよ。中でも盾の勇者様は我々亜人を大切に扱ってくれたんだよ』

 

『でも…もう1人亜人に優しい勇者様がいたんだけどラフタリアは知ってる?』

 

『もう1人?ええと…』

 

この時は勇者様は四聖の勇者様しか知らなかったから私は全然わからなかったな…

 

『…わからない』

 

『ははは!知らなくても仕方ないよ。知る人ぞ知る勇者様だからね』

 

『その勇者様は蒼炎の勇者様っていうのよ』

 

『蒼炎の勇者様?』

 

『そうだよ。蒼炎の勇者様は盾の勇者様と一緒に亜人に優しく接してくれたんだ』

 

『ホント!私会ってみたいなぁ〜』

 

『いい子にしてたらきっといつか会えるわよ』

 

『うん!』

 

 

 

 

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「あの!お、お名前は!」

 

「アイクだ」

 

「岩谷尚文だ」

 

「アイク…イワタニナオフミ…」

 

そう言うとラフタリアは咳き込んだ。

 

やはり奴隷商の言う通りこのままではそう長くは持たないな…薬も苦いから吐き出してしまう。

 

苦いのはわかるが我慢してもらわないとな。

 

結局薬は無理矢理飲ませた。

 

まぁ…森にラフタリアの悲鳴が響き渡ったが…

 

 

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俺は見張りをしていたのだが尚文と交代の時間になり、寝ようとしていた。

 

ラフタリアは寝ているがひどくうなされていた。

 

きっと嫌な夢でも見てるのだろうと俺は思っていたが実際は違った。

 

「イヤァァァァァァァ‼︎お父さん‼︎お母さん‼︎」

 

「!?どうした!落ち着け、落ち着くんだ」

 

「助けて…イヤァァ」

 

泣き叫びながら飛び起きたラフタリアを咄嗟に尚文が抱きしめ頭を撫でる。

 

そうか…最初の波で両親を失ったのか…奴隷商に売られてる時点で両親がいないことはわかりきっていたがまさか波の怪物に殺されたなんてな。

 

ラフタリアのような子どもを増やしたくはない。

 

俺はこの日、改めて必ず波を収めると決意した。

 

 

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翌日からは色々と忙しかった。

 

なぜか手作りで薬を作っている尚文に盾に材料を吸わせれば自動的に作れるシステムがあることを教えたり、尚文とラフタリアを訓練したり、新しくラフタリアの装備を買ったり、遊び道具としてボールを買ったりしていた。

 

そして俺達は武器屋の店主が教えてくれたリユート村に行くことになった。

 

 

 

 




次回『もう誰も失わないために』
次はちょっと短くなるかもしれません。
…なんか1話からどんどんクオリティが落ちてる気が…
き、気にしたら負けだよね…
それではまた次回!


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もう誰も失わないために

3話の時点でお気に入りがメインの錬転を越しそうな勢いで増えていて、一瞬自分の目を疑ったアルティメットフリーダムです!
はい!まさかの錬転を更新したその日に更新です!
正直自分も驚いてます
でもいつもはアニメを見ながら書いてるんですが今回は見ずに書いてるのでいつもよりも違和感とかあるかもしれません
少し短いですが本編をどうぞ!


 

 

 

俺達は今、リユート村の坑道に来ていた。

 

理由としては尚文がリユート村の商人に一気に金を稼げる方法はないかと尋ねたところ坑道の鉱石を売れば多少の金にはなると言われたからだ。

 

「最初の波以降、危険な魔物が住み着いてるらしいな」

 

「ああ、アイクはともかくラフタリアは気をつけてくれ」

 

「は、はい!」

 

ピッケルを片手に俺達は坑道を進んでいくと少しずつだが鉱石が出てきた。

 

「これが商人が言ってた鉱石か」

 

「よし!アイク、ラフタリア!掘るぞ!」

 

尚文の掛け声で俺達は鉱石を掘り始めた。

 

 

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しばらくして…

 

「かなり集まったな」

 

「そうだな。そろそろ帰るk」

 

「アイク?どうかしたのか?」

 

この気配…魔物が近い!

 

「イヤァァァァァァァァァァァァァァ‼︎」

 

急にラフタリアが悲鳴を上げた。

 

ラフタリアが怯えて見ている先を見るとそこには2つの頭を持った魔物がいた。

 

あれは確か…オルトロスだったか!

 

「チッ!尚文!アイツは今まで戦ってきた魔物とは違うぞ!」

 

「だとしても倒さないと帰れない!やるぞラフタリア!」

 

「い、いやぁ…」

 

ラフタリアは怯えて戦力にならない…か。

 

あのオルトロスを倒すのは簡単だ…だがそれではラフタリアのためにはならない。

 

「尚文!ラフタリア!あの魔物はお前達で倒せ!」

 

「アイク⁉︎正気か⁉︎」

 

「お前達の成長のためだ!危ないと感じた時は手を貸す!来るぞ!」

 

オルトロスが噛み付いてくるのを尚文が盾で防ぐが左の頭で右肩を噛まれる。

 

「ぐはぁ!」

 

「ご主人様!」

 

俺は我慢して手を出さない。

 

「くっ!やるしかない…ラフタリア!今だ!斬れ!」

 

「い、いやぁ…くっ!ぅぅぅぅ!」

 

尚文の命令を無視したことにより、奴隷紋が反応する。

 

ラフタリア…お前がここまで嫌がるということはお前の両親はオルトロスに似た魔物…おそらくケルベロスだろうが…に殺されたのだろう。

 

だがいつまでも過去に囚われてはいけない…ラフタリア、過去を乗り越えて強くなれ!

 

「ラフタリア!ヤツを倒さなければ尚文は死ぬぞ!」

 

「えっ?…いやぁ…死んじゃいやぁ…」

 

「なら戦え!戦わなければなにも守れない!」

 

「そうだ!お前の両親はもう戻ってこない!だけどな!俺達が戦うことでお前みたいな境遇の人を減らすことはできる!ぐわぁぁ!」

 

オルトロスがさらに強く噛み付く。

 

これ以上は危険だな…そう思いラグネルに手を伸ばしたその時

 

「死んじゃいやぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

ラフタリアが勇気を振り絞り、尚文の右肩に噛み付いていたオルトロスの頭に剣を突き刺した。

 

「ハァーッ!」

 

俺は痛みに怯んだ隙を突き、ラグネルを背中から抜いて居合斬りでオルトロスにトドメを刺す。

 

オルトロスは倒れ、息絶えた。

 

「ナオフミ様ぁ!」

 

ラフタリアは泣きながら尚文へと走り、尚文は優しく受け止めてやる。

 

「おっと!あのなぁ…盾の力があっても痛いものは痛いんだ」

 

「ナオフミ様…アイク様…死なないで…私を1人にしないで…」

 

「大丈夫だ。アイクとラフタリアが戦って俺が守れば、俺達は死にはしない」

 

ラフタリアは既に両親を失っている…だからもう誰も失いたくないと…自分を大切にしてくれた人達を失いたくないと勇気を振り絞ったのか。

 

「さて…あの魔物を盾に吸わせたら帰るぞ」

 

「…うん」

 

返事はしたがラフタリアが尚文から離れようとしない。

 

「お、おい…」

 

「もうちょっと…」

 

「尚文諦めろ。ラフタリアが満足するまでそうしておいてやれ」

 

それからこの坑道を出たのはオルトロスを倒してから15分程後のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回『災厄の波』
そろそろ本格的な戦闘回か…錬転で多少は慣れたけど難しいことに変わりはないんだよなぁー
でも自分なりに全力を尽くして書きますので!
それではまた次回!


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災厄の波

今回、戦闘はありません
なぜなら思った以上に長くなってしまったから!
ではどうぞ!



 

 

 

オルトロス倒してから1週間が経った。

 

あれからラフタリアは見た目は14歳ぐらいの少女に成長していた。

 

亜人は幼い頃にレベルに上げるとそれに応じて肉体が急成長することは知っていたがここまでとはな。

 

今、俺達はいつもの武器屋に来ていた。

 

理由としては尚文の防具を買うためだ。

 

結論から言うと店主がオーダーメイド品を作ってくれることになったが、そういえば尚文がウエポンコピーをしてるところを見たことがないな…まさか知らないのかと思った俺は尚文にウエポンコピーシステム…同じ武器種であれば手に持つだけでコピー出来ると教えたところ。

 

「そんなシステムがあるのか!」

 

やはり知らなかったか…

 

「ここは武器屋だ。試してみたらどうだ?」

 

「ああ!」

 

尚文は近くにあった盾を手に取る。

 

「なにやってんだ?」

 

店の奥から出てきた店主が商品の盾を持っていることに首をかしげているがそんな店主を気にもせず、尚文はその盾をコピーし、スモールシールドがその盾に変化した。

 

「出来た…」

 

「出来た…じゃねぇよ‼︎そんなことされちゃウチの商売あがったりだぜ‼︎」

 

「すごい!これがアイク様が言っていたスキルなんですね!」

 

「他の盾もやってみたらどうだ?」

 

「そうだな!」

 

「じゃあこの盾なんてどうですか?」

 

「あ!おい!その盾は貴重品で!」

 

店主の声を無視して尚文は次々と店にある盾をコピーしていく。

 

ラフタリアにも店主の声は聞こえてる筈なんだが無視して尚文に盾を渡している。

 

「もう好きにしやがれ〜‼︎」

 

店主の叫びが店中に響き渡った。

 

 

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「もう満足したか?」

 

「ああ、この借りはちゃんと返すよ」

 

「おう、ちゃんと波の戦いから生きて帰って来て、またここで装備を買ってくれればそれでいい」

 

「とは言ってもいつどこで波が起こるかわからないからなぁ…」

 

そういえば…あの女も王も龍刻の砂時計のことを教えてなかったな。

 

「店主、龍刻の砂時計の場所を教えてくれないか?」

 

「「龍刻の砂時計?」」

 

尚文とラフタリアが見事にハモる。

 

「なんだ?あんちゃん達教わってないのか?」

 

「ああ、全くな」

 

「そうなのか…龍刻の砂時計は広場から見えるデカイ教会の中にあるぞ」

 

「お、おい!龍刻の砂時計ってなんなんだ?」

 

おっと、尚文達を置き去りにしてしまったな。

 

「簡単に言えばデカイ砂時計だ。その砂が落ちきった時、勇者とその仲間達は波が起こった場所に飛ばされる」

 

「そんなものが…」

 

「場所はわかった。行ってみるか?」

 

「いや…明日にしよう。今日はやめておく」

 

「そうか…ならとりあえずラフタリアの剣を買うか」

 

結局、今日はラフタリアの剣を買い、いつもの定食屋で飯を食べて、眠りについた。

 

 

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翌日

 

店主から尚文のオーダーメイド品である蛮族の鎧を受け取り、俺達は龍刻の砂時計がある場所まで来ていた。

 

「これが龍刻の砂時計か」

 

この時、俺の視界の上には波までの時間が記されている。

 

波まで残り20時間か…あまり時間がないな。

 

「そこにいるのは尚文か?あと…げっ⁉︎蒼炎の勇者…」

 

この声は槍の勇者の元康だな。

 

振り向くと案の定そこには槍の勇者御一行が佇んでいた。

 

「おいおい、まだそんな装備で戦ってんのか?蒼炎の勇者も最初と全く装備変わってないし」

 

「ナオフミ様、アイク様こちらの方々は?」

 

「くっ!」

 

「…槍の勇者とその仲間達だ」

 

「ゆ、勇者様?」

 

尚文は無視して元康の横を通り抜けようとするがその先には錬と樹がいた。

 

「チッ!」

 

その間に元康がラフタリアに近づき、自己紹介をしたかと思えばいきなりナンパじみたことを始めた。

 

「君みたいな可愛い子に」

 

「フンッ‼︎」

 

俺は元康の顔面を思いっきり殴った。

 

ラフタリアが尚文を見限ることはないと思うが念のためだ。

 

元康は吹き飛び、壁に激突して気絶した。

 

「元康様〜!いきなりなにをするのです!」

 

「大事な仲間がナンパされていたら助けるのは当然だ。行くぞラフタリア、尚文、コイツらと一緒にいてもなんの意味もない。時間の無駄だ」

 

「ああ…そうだな」

 

「?は、はい」

 

後ろからガヤガヤ聞こえるが無視してそのまま俺達は教会を出て、いつもの宿屋に泊まった。

 

夜…ラフタリアが尚文に他の勇者様となにかあったのかと聞かれたが尚文は答えなかった。

 

俺にも聞かれたが尚文本人が答えない以上俺も答えることができなかった。

 

 

--------------------------

 

 

波の前日…準備を終え、雑談している俺と尚文にラフタリアが声をかけてきた。

 

「尚文様、アイク様」

 

「どうした?」

 

「なんだ?」

 

「いえ…その…私はお二人に出会えて本当に良かったと思っています。ナオフミ様は私の病を治し、温かい食事を与えてくれました。アイク様も私に剣術や戦い方…生きる術を教えてくださいました。お二人は私に戦う理由を示してくださいました。あの波に立ち向かう理由を…」

 

俺はチラッと振り向くとそこには覚悟を決めた目をしたラフタリアがいた。

 

きっと察したのだろう…尚文はなにかを隠していると、誰にも知られたくないようななにかを…それでも尚文についていく覚悟を決めたのか。

 

「私はあなたの剣です!どこへだってついていきます」

 

「…そうか」

 

「…時間だ」

 

その瞬間、空が赤く染まり俺達は転送された。

 

転送された先は森の中だったが空は赤いままだ。

 

「ここは…」

 

「あっ⁉︎」

 

空を見上げると禍々しい災厄の波が現れていた。

 

「あれが…災厄の波…」

 

俺は周りを見渡すと森の木々の間から村が見えた。

 

あれは…リユート村か!

 

「尚文!ラフタリア!リユート村だ!」

 

「なに⁉︎」

 

「尚文様!アイク様!リユート村に急ぎましょう!」

 

他の勇者が見当たらないがそんなことは大した問題じゃない!

 

俺達は急いでリユート村へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 




次回『リユート村防衛戦』
ようやくこの小説初の本格的な戦闘回か…
自信はないけどやるだけやりますよ!
それではまた次回!


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リユート村防衛戦

やっぱり戦闘描写は難しい!
まぁアイク無双ですがww
この世界でアイクに勝てる者などいるのだろうか…
ではどうぞ!


 

 

リユート村に着くと波から現れた魔物達が村を破壊しながら人々を襲っていた。

 

俺はラグネルを背中から引き抜いて構える。

 

「ラフタリア!あんたは住人の避難を誘導してくれ!尚文は魔物から住人を守ってくれ!」

 

「「アイク(様)は?」」

 

「俺は魔物を倒す。これぐらいの魔物なら俺1人でも十分だ」

 

ラグネルを左から右へ振り抜き、衝撃波で前方の魔物を一掃する。

 

「すげぇ…」

 

「あの数の魔物を一瞬で…」

 

「驚いてる暇があるなら早く避難誘導と取り残された住人を守れ!」

 

「「あ、ああ(は、はい)‼︎」」

 

俺は振り返らずにラグネルを振り回し、衝撃波で魔物を一掃していく。

 

そしてなぜか魔物達が集まっている場所があった。

 

よく見ると住人が農具を持って魔物と対峙している。

 

あんな物では魔物は倒せない。

 

「とりゃァァァァッ‼︎」

 

俺は居合い斬りで一気に距離を詰め、住人の近くにいた魔物を数体倒す。

 

「あなたは…蒼炎の勇者様!」

 

「コイツらは俺に任せてあんた達は早く逃げろ」

 

「で、ですが…」

 

「俺達はこの村を守るためにここに来た。死者はあまり出したくない。亜人の娘が避難誘導をしている。それに従って逃げろ」

 

そう言われると何も言えないらしく、住人達は避難した。

 

衝撃波で魔物を一掃しながら俺は考えていた。

 

いくらなんでも魔物が弱すぎる…どこかに親玉がいるはずだが、周りには見当たらないか。

 

三勇者がここにいないということはあいつらは魔物に襲われてる村を無視して親玉を倒しに行ったのか。

 

全く…手柄を取ることしか頭にないのか。

 

まぁいい…あいつらがいても邪魔なだけだ。

 

「アイク!」

 

「尚文!住人は全員避難したのか?」

 

「ああ!もうこの村に人はいn」

 

「勇者様!」

 

こちらに1人の住人が走ってきた。

 

「何故戻ってきた!」

 

「皆、勇者様の勇敢な姿を見て思い直したんです!この村は、私達の村です。逃げるわけにはいきません。私達も戦います」

 

「アイク…どうする?」

 

できることなら戦わせたくはない。だが彼達は覚悟を決めた。その覚悟を無駄にはしなくない。

 

「わかった。俺が倒し損ねた魔物を倒してくれ」

 

住人が頷いたその時ゴーレムのような魔物が斧を俺達に向かって振り上げていた。

 

俺は咄嗟にラグネルに蒼炎を纏わせゴーレム擬きの目の前に突き刺す。

 

「フンッ!」

 

するとゴーレム擬きの下から蒼炎の火柱が上がり、ゴーレム擬きは耐えきれずその場に倒れた。

 

「すごい…」

 

「この魔物はお前達では倒せない。死にたくないなら手を出すな」

 

「ですが!」

 

「お前達にも家族がいるんだろ!こんなところで無駄死にするな!」

 

「尚文様!アイク様!」

 

「ラフタリア!避難誘導は終わったのか?」

 

「はい!あなた達もここは私達に任せて避難を!」

 

「はい。どうかご無事で!」

 

ここで戦っていた住人も避難した…あとは魔物を倒すだけだが…

 

親玉を倒さない限り、魔物は増え続ける。

 

あいつらは村を無視しておきながらまだ倒せないのか!

 

そう考えていると村の外から魔法のようなものが撃ち込まれた。

 

その魔法は村の上空でぶつかり、火の雨となって村に降り注ぐ。

 

「ラフタリア!」

 

尚文は咄嗟にラフタリアを抱きしめ、盾で守る。

 

「アイクも俺の近くに!」

 

「俺は大丈夫だ!」

 

俺はラグネル頭上に掲げてスキル名を口にする。

 

「ファイアーインクロウズ!」

 

このスキルは簡単に言えば相手の炎をラグネルに纏わせるスキルだ。

 

アイクの周りに落ちてきた火の雨は全てラグネルに纏う炎となった。

 

「ハッハッハッ!一気に焼き殺せたな。ん?盾の勇者と蒼炎の勇者か、頑丈な奴らだな」

 

「王直属の騎士…お前ら…俺達諸共焼き尽くすつもりだったのか」

 

するとラフタリアが騎士団長らしき人物に斬りかかった。

 

「尚文様とアイク様がいると知ってて、返答次第では許しませんよ!」

 

「…抜剣!」

 

「盾の勇者と蒼炎の勇者の仲間か」

 

「私は尚文様の剣!無礼は許しません!」

 

「亜人風情が王国騎士団に逆らうつもりか?」

 

「そこまでだ」

 

見かねた俺は止めに入る。

 

「アイク様!」

 

「こいつらにはなにを言っても無駄だ。自分が正しいと思い込んでる奴らにはな」

 

「な、なにを!」

 

「1つ忠告しておこう。今の攻撃で魔物が全滅したと思わないことだな」

 

「なっ!」

 

騎士団長らしき人物が振り向くとそこにはまだまだ魔物がいた。

 

しかも真後ろにゴーレム擬き魔物が斧を振り上げている。

 

「あ、慌てるな!体制を」

 

斧が振り下ろされたがその斧は尚文が防いだ。

 

「ここで名誉の戦死を遂げるか?ラフタリア!」

 

「はい!」

 

ゴーレム擬きはラフタリアに斬り裂かれ倒れた。

 

「いいか。俺達が時間を稼ぐ!その間に陣形を整えろ!ラフタリア、アイク、行くぞ!」

 

「ああ(はい)!」

 

炎が纏ったラグネルにさらに蒼炎を纏わせ地面に突き刺す。

 

「どりゃぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」

 

ラグネルを突き刺したところから前方に3本の火柱が上がり、その場所にいた魔物が燃え尽きる。

 

だが魔物はまだまだいる。

 

俺はラグネルを頭上高く廻し上げ、俺も跳躍してラグネルを掴み近くにいたゴーレム擬きに向かって振り下ろす。

 

「天‼︎空‼︎」

 

ゴーレム擬きは真っ二つになって倒れた。

 

「盾の勇者と蒼炎の勇者を援護する!密集陣形!」

 

やっと騎士団が動いたか、ここからが正念場だな。

 

それから騎士団と共に戦っていると急に波が消え、空が晴れた。

 

やっと倒したのか。

 

「尚文様、アイク様、空が」

 

「ああ、終わったんだ」

 

 

--------------------------

 

 

夕方になるまで俺達は村に残った魔物退治と怪我をした住人の手当てをしていた。

 

「尚文様…アイク様」

 

手当てもひと段落した時、ラフタリアが不安そうな声で話しかけてきた。

 

「村にいた魔物は全て倒しました…私達は勝ったのでしょうか?」

 

「それは」

 

「勇者様!ありがとうございました」

 

俺がラフタリアの質問に答えようとした時にお礼を言ってきたのはこの村、リユート村の村長だった。村長の後ろには何人か住人もいる。

 

「盾の勇者様と蒼炎の勇者様がいなければ、皆助かっていなかったと思います」

 

「なるようになっただけだ」

 

「勇者として当たり前のことをしただけだ」

 

「貴方達がいたから私達はこうして生き延びることができたんです。勇者として当たり前のことでも私達は助けられた」

 

「このご恩は一生忘れません」

 

「…勝手にしろ」

 

全く…尚文はかなり捻くれてしまったな。あんなことがあれば仕方ないのかもしれんが。

 

「あんた達を助けられて良かった。復興に手伝いが必要なら遠慮なく言ってくれ」

 

「わかりました。勇者様の力が必要な時は頼らせていただきます」

 

そういうと村長達は復興作業へと戻っていった。

 

「感謝されましたね」

 

「そうだな」

 

「私みたいな人、少しは減らせましたよね?」

 

「ああ、きっとな」

 

「お前はよくやったよ」

 

尚文がラフタリアの頭に手を置くと同時に俺は右肩に手を置く。

 

「泣きたい時は泣けばいい。泣くことは恥ずかしいことじゃない」

 

「はい…アイク様…」

 

しばらくの間、ラフタリアは泣いていた。

 

騎士団に報酬があるから城に来いと言われるまで…

 

 

 

 

 

 

 

 




次回『オルトクレイの罠 アイクの怒り』

では今回使用したスキルの説明を

天空
剣を頭上高く廻し上げ、自らも跳躍して剣を掴み、敵に向かいながら回転して斬り下ろし、着地後すかさずバック転のように斬り上げる二連撃技だが着地後、バック転のように斬り上げないこともできる(スマブラの上B)

噴火
蒼炎を纏わせたラグネルを地面に突き刺すことで火柱を発生させる技
溜めた時間によって火柱の量が変わり、最大で3本まで出すことができるが限界まで溜めると身体に負担がかかり、体力が少し減ってしまう
ファイアーインクロウズによって威力が上げられていれば溜めていなくても3本の火柱を出すことができる

ファイアーインクロウズ
相手の炎をラグネルに纏わせる
自身の蒼炎と合わせて噴火などの炎技の威力を上げることもできれば、衝撃波とともに火の粉として飛ばして攻撃することもできる
相手の炎が強ければ強いほど炎技の威力も上がり、火の粉の量も多くなる

天空と噴火は原作とスマブラからですがファイアーインクロウズはこの世界の蒼炎の勇者としてのスキルとして作ったオリジナルスキルです
他にもオリジナルスキルは考えているのでお楽しみに!
もし蒼炎の勇者のオリジナルスキルで案がある人はメッセージにスキル名とスキルの内容を送ってくれると嬉しいです
今のところ3つしかオリジナルスキルを考えられてなくて…
こういうの苦手なんです…はい…
とりあえず…みんなでアイクをどんどんチート勇者にしていこう!的な感じですかね?
送られてきた案は出来るだけ採用するつもりです!
あっと!後書き長いか!
次回は短くなると思います!
それではまた次回!


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オルトクレイの罠 アイクの怒り

おまたせしました!
それに遅くなりましたが『盾の勇者の成り上がり』二期&三期決定おめでとう‼︎
これで続編も書けるぞ!
今回かなり短いですし、急いで書いたのでクオリティも低いですがどうぞ!


 

 

 

俺達はメルロマルクの城に来ていた。

 

もちろん好きで来てるわけじゃない…報酬の話がなければこんなところに来る価値などない。

 

今、大広間で宴会が行われているが俺と尚文は端で窓から外を眺めている。

 

「尚文様、アイク様、すごい料理ですよ!一緒にどうですか?」

 

「俺はいい…アイクはどうだ?」

 

「俺もいらん。ラフタリア1人で食べてきたらどうだ?」

 

「いえ、お二人も一緒に…」

 

「「いらん」」

 

「む〜」

 

ラフタリアには悪いがこんなところで飯など食いたくはない。

 

後でいつもの飯屋にでも行くか。

 

そう思っているとラフタリアが俺の顔の前に料理を刺したフォークを差し出してきた

 

「アイク様もどうぞ!美味しいですよ」

 

ここまでしてくれたのに食べないわけにはいかないな。

 

俺は素直に料理を口にする。

 

…確かに美味い。

 

「あぁ、美味いな」

 

ラフタリアは嬉しそうに微笑んだその時、誰かが手袋を尚文の前に投げた。

 

「尚文…俺と決闘だ。俺が勝ったらラフタリアちゃんを解放しろ」

 

「はぁ?」

 

「聞いたぞ。ラフタリアちゃんは奴隷らしいな」

 

「…だからどうした?」

 

「勇者が奴隷を使うなんて恥ずかしいと思わないのか!」

 

俺達も好きで奴隷を使ったわけじゃないんだが…話して無駄だろうな。

 

「わ、私は!」

 

「あんたには関係ない。俺達は帰るぞ」

 

もう報酬なんていらん…ここにいるだけで気分が悪くなる。

 

そう思い、城から出ようとすると騎士に止められる。

 

「話は聞かせてもらったぞ!」

 

オルトクレイ王か…

 

「勇者ともあろう者が奴隷を使役するなど許されんことだ!この決闘!儂が認めよう!」

 

「⁉︎だから私は!」

 

なにかを言おうとしたラフタリアを後ろにいた騎士が彼女の口を塞ぐ。

 

「「ラフタリア‼︎」」

 

「おぉ〜可哀想に。盾の味方をするよう呪いをかけられておるのだな。すぐに解いてやるからな」

 

「ん〜!」

 

「貴様ァァァァァァ‼︎」

 

尚文がオルトクレイに殴りかかろうとするが騎士達に止められる。

 

流石に俺も限界だ…オルトクレイ…あんたは少し痛い目をみないとわからないみたいだな。

 

「オルトクレイ!あんたのことだ。どんな手を使ってでも尚文を負けさせるつもりだろう!」

 

「な、なにを!」

 

「だから条件をつけさしてもらう!もしあんた達が卑怯な真似をせずに尚文に勝ったなら俺はなにも言わない!だが卑怯な真似をしたら、俺が乱入して元康を倒す!この条件を呑んでくれるなら決闘を受けよう」

 

「ふん!儂は認めn」

 

「言ったはずだ!俺はあんたの命令には従わないとな!どうする?卑怯な真似をせずに勝つだけで俺になにも言われないんだぞ?良い条件だと思うけどな」

 

「ぐぬぬ…」

 

流石になにも言えないか…だが承諾するしかないだろう。

 

もしこれで断ったら卑怯な真似をすると言っているようなものだからな。

 

「仕方ない…その条件を呑もう」

 

「賢明な判断だな」

 

だが…俺にバレないように卑怯な真似をするかもしれん。

 

決闘中は油断できんな。

 

俺としては尚文が負けても構わないが卑怯な真似をされて負けるよりはちゃんと戦って負ける方がマシだろうしな。

 

尚文は俺とともに仕方なく決闘の地へと赴いた。

 

 

 

 

 

 

 




次回『尚文VS元康』
マインが邪魔するまでは原作通りなので飛ばすか書くか迷ってます
それではまた次回!


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尚文VS元康

約二ヶ月振りの更新です!
お待たせしました!
二ヶ月待たせてしまったにしては短いと思いますがそこは勘弁してください…
ではどうぞ!


 

 

 

闘技場に足を踏み入れ、俺は端に移動して腕を組む。

 

元康相手に尚文がどこまで戦えるかは俺にもわからんが、尚文を信じるしかない。

 

だが…マインも俺と同じように端で眺めているのが気になる。

 

あの女のことだ…なにか企んでるに違いない。

 

「それではこれより!槍の勇者様と盾の勇者様による決闘を始めます!」

 

ついに始まるか。

 

「それでは…始め!」

 

その声を合図に尚文と元康がぶつかり合う。

 

最初こそは元康が優勢だったが尚文が隠し持っていたバルーン数体により形勢が逆転し尚文が優勢になった。

 

が…ここで急に風魔法が尚文を襲い吹き飛ばされる。

 

犯人はもちろんマインだ。

 

全く…俺が気づかないとでも思っているのか?いや、敢えて俺を乱入させて尚文の仲間の蒼炎の勇者が神聖な決闘を貶したってことにして尚文の反則負けにするつもりか。

 

だが…たとえ罠だとしても見逃す訳にはいかないな。

 

「ライトニング・スピアァァァァァ‼︎」

 

俺は尚文と元康の間に居合斬りで割り込み、カウンターの構えをする。

 

「なにっ⁉︎」

 

「アイク⁉︎」

 

元康の技が俺に当たるが

 

「甘い‼︎」

 

カウンターで元康の技を衝撃波にして反撃する。

 

「な⁉︎うわァァァァァァ‼︎」

 

元康は軽く吹き飛ばされる。

 

元康の技ではこの程度か。

 

「いきなりなにすんだよ!」

 

「まさか…気づかなかったのか?あのぐらいの魔法も気づけないなら本当に勇者失格だな」

 

「な、なんだと‼︎」

 

「アイク気づいたのか!」

 

「当たり前だ。マイン!」

 

俺はマインにラグネルを向ける。

 

「あんた…尚文を風魔法で決闘を邪魔したな」

 

「あらぁ〜一体なんのことかしらぁ〜」

 

「この勝負!蒼炎の勇者が乱入したことにより、盾の勇者の反則負けとする!」

 

やはりか…

 

「とぼけるな。俺が気づかないとでも思っているのか?」

 

「とにかく負けは負け…奴隷紋は消すわ」

 

「…構わん」

 

「アイク⁉︎」

 

尚文の焦る声が聞こえてるが俺はラグネルを下ろし、尚文を無視して続ける。

 

「ラフタリアは奴隷紋があるから渋々俺達についてきたんじゃない。最初はそうだったかもしれんが、少なくとも今は違う。ラフタリアは自分の意志で俺達と共にいる。奴隷紋なんてものを消したとしてもラフタリアは俺達から離れることはないだろう。それに、俺としては消してもらった方がいいしな」

 

「へぇ〜なかなかの自信じゃない。あなたの思った通りになるかしら?」

 

「なら早く試してみたらどうだ?」

 

そしてオルトクレイの指示でラフタリアの奴隷紋が消されるが、ラフタリアは解放されるや否や元康にビンタした。

 

「なっ⁉︎元康様になにを!」

 

「この無礼者⁉︎一体誰が…助けてくれと言いましたか‼︎」

 

「で、でも君は尚文と蒼炎の勇者に奴隷として手酷く扱われていたんだろ?」

 

「ナオフミ様達は!お腹が空いたと言えばちゃんと食べ物を与えてくださいました!病で苦しむ私に大丈夫だと言いながら薬も飲ましてくださいました!」

 

「尚文は…そんなやつじゃ…」

 

「あなたは…病でいつ死ぬかもしれない亜人に手を伸ばすことができますか?」

 

「それは…できる…」

 

「ならあなたの隣には私じゃない別の奴隷がいるはずです!」

 

「くっ!」

 

正論だな…もし本当にできるならまずこんな決闘を申し込まないだろう。

 

「ちょっと!亜人風情が知ったような口を」

 

「マインさん!ちょっといいですか?」

 

そう言って話に割り込んできたのは樹と錬だった。

 

「あなたが行った反則行為についてお聞きしたいのですが?」

 

「なっ!反則行為⁉︎」

 

「ああ、元康。この勝負はお前の負けだ。どっかの誰かさんが尚文に向かって魔法を放ったんだ。風魔法のようだったからわかりづらかったがな」

 

「なに?マイン本当か!」

 

「さぁ〜てなんのことかしら。周りの民衆はなにm」

 

「オルトクレイに黙らされているんだろう。目を見ればわかる」

 

「まさか、王族自ら神聖な決闘を貶すとはな」

 

オルトクレイは目を逸らしてるな。これは確信犯だ。

 

だが放っておこう、指摘するだけ無駄だ。

 

「尚文…あんたも奴隷紋が消えたらラフタリアが見限ると思ってたみたいだが、そんなことはない。彼女は自分の意志であんたと共にいるんだ。俺と同じようにな」

 

「そう…だったのか」

 

「…はい。私はナオフミ様の剣でアイク様の弟子です。絶対にお二人を裏切るなんてしません」

 

泣くのを堪える尚文をラフタリアは抱きしめる。

 

「泣きたい時は泣いていいんですよ?アイク様が前に私に言ってくださったように泣くことは恥ずかしいことではないんですから」

 

「あ、ああ…」

 

そしてしばらくの間尚文はラフタリアに抱きしめられながら泣いていた。

 

どうやら俺はお邪魔みたいだな。

 

ラグネルをしまい、俺は闘技場をあとにした。

 

 

--------------------------

 

 

あの決闘から数日…ラフタリアは改めて尚文の前であなたの剣だと誓い、尚文もそのおかげか味覚が戻った。

 

まぁ、俺はなにも変わってないがな。

 

「アイク様!なにしてるんですか?行きますよー!」

 

「ああ!今行く!」

 

そして俺達は奴隷商の元へと行くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回『フィーロ』

まだ説明してないもしくは今回初めて使った技の説明を
居合斬り
素早く間合いを詰めて相手を斬りつける
離れた相手にも一瞬で迫ることができる。
カウンター
構え中に受けた攻撃を特定の倍率で近距離にはラグネルで、遠距離には衝撃波で反撃する
この技には熟練度があり、初期は1.1倍という倍率だがMAXだと2倍になるという強力な反撃技

どちらもスマブラからですね
カウンターは少しアレンジしましたけど…
それではまた次回!


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フィーロ

はいお久しぶりですね。
今回はフィーロ初登場ですが今まで以上に雑になってしまいました…
特に前半がね…


 

 

 

尚文と元康の決闘が終わった後、俺達は奴隷商の元に来ていた。

 

なぜならラフタリアがもう一度奴隷紋を刻みたいと言ったからだ。

 

奴隷商のテントの中でラフタリアが奴隷紋を刻んでる時、俺は見覚えのある物を見つけた。

 

「奴隷商。あれは魔物の卵か?」

 

「おぉ!蒼炎の勇者様はご存じでしたか。銀貨100枚で最低でもフィロリアル!育てれば倍の価値になる魔物の雛が当たりますよ!」

 

「フィロリアル?」

 

「尚文様も見たことがあるはずですよ。街で荷車を引いている大きな鳥のことです」

 

「…あれか」

 

フィロリアルか…フィトリアは元気にしてるだろうか…いや、流石に何百年とは生きないか…この世界に戻って来たからには一度会いたかったが…

 

「…一つ買ってもいいか」

 

「ほぉ‼︎それなら奴隷紋の代金込みでお安くしますよぉ‼︎」

 

「「アイク(様)?」」

 

「金は俺が出す。最初に貰った金がまだ残ってるからな」

 

俺は奴隷紋と魔物の卵の代金を払い、ラフタリアに無駄遣いは控えろと注意されながら薬剤師がいる店へと向かうと薬剤師は薬のレシピが書いてある本をくれたが尚文とラフタリアは読めないらしい。俺はある程度なら読めるが…教えてやるか。

 

「そうそう。魔法屋の婆さんも来てくれって。うちと同じで孫が世話になったと言ってたぞ」

 

今度は魔法屋か。魔法屋では婆さんが俺達の魔法適性を見てくれたが

 

「盾の勇者様は回復と援護の魔物適性があるようだねぇ。そちらのお嬢ちゃんは光と闇の魔法。蒼炎の勇者様は…」

 

「俺に魔法適性はない」

 

3年前にも見てもらったことはあるが、俺は魔法を使えない。たとえ使えても使う気はないが

 

「そうみたいだね…じゃ蒼炎の勇者様には悪いけど、盾の勇者様とお嬢ちゃんの為に…」

 

魔法屋の婆さんは尚文とラフタリアの為に魔法書をくれた。

 

婆さんは俺に役に立てなくてごめんねと謝っていたが俺はこれからも尚文の味方でいてくれたらそれでいいと答えた。

 

それから数日が経ち、俺が起きると魔物の卵にヒビが入っていた。

 

「ッ⁉︎尚文、ラフタリア、起きろ」

 

尚文とラフタリアの身体を揺すって起こし、3人で卵が孵る時を待つ。

 

「フィロ〜‼︎」

 

「「うおっ!?」」

 

「産まれたな」

 

産まれたばかりのフィロリアルは尚文の頭の上に乗っかる。

 

「早速懐かれたな」

 

「勘弁してくれ…お前の主はアイクだぞ?」

 

「そいつは尚文に懐いてるみたいだしな…そいつの主は尚文でいいだろう。俺からの日頃の感謝の気持ちだ」

 

「…マジかよ」

 

 

 

-------------------------

 

 

 

 

フィロリアルが孵ってから一週間が経った。尚文にフィーロと名付けられ、立派に成長して人が乗れる程デカくなった。

 

「フィロリアルだからフィーロって…ちょっと安直すぎやしませんか?ナオフミ様」

 

「そうか?コイツは気に入ってるみたいだが」

 

「クウェェェ!」

 

「本人が気に入ってるならそれでいいだろう」

 

「アイク様まで…」

 

フィロリアルだからフィーロ…守は同じような感じでフィトリアと名付けていたが、案外似た者同士なのかもな。

 

そんなことを考えているとなんだか外が騒がしくなってきた。尚文達と様子を見に行くと元康にマイン、そして王国の兵士達がいた。

 

マインの話をまとめると今日から元康がこのリユート村の領主になるから通行税をかけ、村を出入りする度に銀貨を50枚ずつ、合計銀貨100枚払えよとのことだ。

 

…コイツらは本当にバカだな。そんなこと村の人間が認める訳がない。

 

俺は進天空ですぐさま元康やマインの前に降り立つ。

 

「なっ!?」

 

「蒼炎の勇者!?」

 

「そこまでだ。あんた達みたいな自分のことしか考えない領主は領主失格だ。お引き取り願おう」

 

「くっ!国の決定に逆らうと?」

 

マインがそう言うと周りの兵士が俺に槍を向ける。

 

「当たり前だ。俺はオルトクレイに従わないと誓った。どうしても引かないと言うのなら力ずくで追い出すだけだ」

 

俺がラグネルを構えると同時に忍らしき人達が現れた。

 

忍の隊長らしき人がマインに巻き物を渡すと顔色を変え、尚文に村の権利かけて勝負を申し込んだ。

 

 

---------------------------

 

 

尚文&フィーロVS元康&ドラゴンのレースが始まったが突然、尚文&フィーロの前に穴が空き、元康に抜かされる。

 

全く、こんな卑怯な手を使ってまで勝とうとするとは王国の騎士が聞いて呆れる。

 

俺はこっそりとその場を離れ、術師がいるであろう草陰に入ると案の定術師が尚文に術をかけようとしていた。

 

「邪魔をするな」

 

術師の首根っこを掴んで後ろに蹴り飛ばす。

 

「尚文の邪魔はさせん。どうしても邪魔したいなら俺を倒してからにしろ」

 

…返事がないな?術師をよく見ると当たり所が悪かったのか気絶していた。

 

まぁ、これでもう邪魔は出来んだろう。

 

俺が戻るとちょうど尚文とフィーロがゴールし、このレースは尚文&フィーロの勝利に終わった。

 

 

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フィーロが突然デカくなったのは驚いたが、フィトリアも同じだったことを思い出した。まぁ、マインがまた突っかかってきたが忍に反則を指摘され、リユート村から去っていった。

 

俺達もリユート村を去り、野宿したのだが…翌日、問題?が起きた。

 

俺が起きると尚文に首を乗せて寝ていたはずのフィーロが人間になっていた。

 

…ああ、フィトリアと同じパターンだな。あの時は守も俺も驚いたな。いきなりフィロリアルが人間と同じ姿になるんだからな。

 

待てよ…この状態をラフタリアに見られるのはマズいかもしれん。

 

フィーロはもちろん服は身に付けていない、さらに尚文の膝を枕にして寝ているとなると…膝枕は俺にはどうしようも出来ないが、せめて俺のマントでも羽織らせておこう。

 

このあと、日課の素振りをするために俺がこの場所を離れてる間に色々あったらしく、戻ってきた時には俺のマントは切り株に置かれ、デカい布を身体が隠れるように巻かれキョトンとするフィーロと俺を見つけた途端に尚文とラフタリアがすごい速度で俺に詰め寄り、質問攻めにされた。

 

 

 

 

 

 

 

 




進天空
上昇力が少し低くなったが威力は通常天空より高く、かなり前に進むことが出来る

はい、改めてお待たせ致しました…盾と蒼炎久々の更新です。なぜか私が書いている小説でこれがダントツで人気なのになぜか上手く書けなくて中々更新が出来ませんでした。
次回はぬえの回です。いつになるかわかりませんがお楽しみに!
ではまたいずれかの小説で


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