神殺しの大空は異世界でも世界最強!? (大空の剣聖)
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設定1

以前のリメイクしようと思います、すみません。


設定

名前:沢田綱吉

年齢:16歳

性別:男性

神器:赤龍帝の籠手、赤龍帝の指輪ver X

真・創造祖龍神皇帝の腕輪

禁手:赤龍帝の鎧、赤龍帝の死炎鎌 等

魔力:無限 聖力:無限 神力:無限

絶力:無限 崩力:無限 冥力:無限 呪力:無限

スキル:超直感(神レベル)

死ぬ気の炎

大空・嵐・雨・晴・雲・霧・雷、大地・氷河

山、川・森・沼・砂漠・夜・闇・光、神

雪・闇夜・光天・虹、朝、昼、夜空、極神、

傲慢(大空+嵐+雨+晴+雲+霧+雷)

憤怒の炎(大空+嵐)、怠惰の炎(大空+雨)

嫉妬の炎(大空+晴)、暴食の炎(大空+雲)

色欲の炎(大空+霧)、強欲の炎(大空+雷)

純白の炎(大空+嵐+雨+晴+雲+霧+雷+大地+氷河+山+川+森+沼+砂漠+夜+闇+光)等

武器・XグローブverVG・Xブレード・Xガンナー・匣兵器

アニマルリング:天空ライオン(ナッツ)

アニマルリング:虹龍(アウラ)

武器

XグローブverVG 、Xガンナー、

匣兵器、 黒龍刀、白龍刀、Xナイフ、

所持品

NEWボンゴレリング(全属性)SSSランク

原型(オリジナル)ボンゴレリング(全属性)Aランクオーバー

マーレリング(全属性)Aランクオーバー

カルディアリング(全属性)SSSランク

チェーロリング(全属性)SSSランク

タイズリング(全属性)SSSランク

ジャッジメントリング(全属性)SSSランク

創造と再生のリング XXXランク

備考:人間である沢田家光と神である沢田奈々(アマテラス)との間に生まれた半神半人の沢田綱吉である。

ロヴィーノ事件後綱吉達は高校一年生になり平穏な生活を過ごしていたが、実はボンゴレX世候補は表向きで本当のボンゴレX世の影武者に仕立てられやってもない罪を被せられ奴隷の如く扱おうとし更にはリボーン.ビアンキ、フウ太、ランボ、イーピン、獄寺、ボンゴレファミリー、キャッバローネファミリーに裏切られ絶望しそうになるが、それでもなお、信じてくれた山本武、クローム髑髏、六道骸、雲雀恭弥、笹川兄妹、家族である沢田家光と奈々と明聖、日本神話神々、歴代の赤龍帝の先輩に支えられ無実を証明しボンゴレとの決着を付け事件を解決した。裏切り者のボンゴレ・キャッバローネファミリーとリボーン達と元凶である者は1人残らず、復讐者に投獄されボンゴレ&キャッバローネファミリーは壊滅し、事件は解決し一般人に戻ったが、一年の間だけ入学した学校で異世界トータスに巻き込まれる。

 

名前:八重樫雫

年齢:17歳

容姿:原作通り

使用流派:八重樫流

備考

お節介焼きの苦労人

剣術の才能は山本武には劣るが素晴らしい物を持っている。

山本武の従兄妹で海鳴沙耶とは再従姉妹

 

名前:白崎香織

年齢:17歳

容姿:原作通り

備考

笹川了平と京子の従姉妹

 



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第1話大空の転入



リメイク作品ですけど、読んでくれる読者様だけついて来な!


 

転入当日父家光に言われた言葉が引っかかっていた。

 

「外見は先生には見えないだろうがちゃんとした先生だ」と

 

どう言う事だ?と聞いてみたがハハハと笑ってスルーされた。

 

そんなこんなでツナは学校の職員室に来ていた。

 

コンコン

 

「失礼します、転入して来た沢田綱吉です、畑山愛子さんおられますでしょうか?」

 

すると職員室の奥からちbゲフンゲフン背の低い女性が出て来た。

 

「あっ、貴方が家光さんの息子さんですね!私が貴方の担任の畑山愛子です、よろしくお願いします。」

 

「こちらこそよろしくお願いします。」

 

「あの、つかぬ事を伺いますが父とはどう言う仲でしょうか?」

 

「そうですね、私の車が調子悪くなってしまった時に偶々部下の方と一緒におられて車を見てくださった時に知り合って貴方の事を聞いたのです。」

 

「そうですか、俺の事を…余計な事を。」

 

「ん、なんか言いましたか?」

 

「いえ、何にもないです。」

 

「では教室へ案内するのでついて来て下さい。」

 

先生に案内されて教室の前に来ると

 

「では沢田君先生が呼ぶまでここで待っていて下さい。」

 

先生はそう言うと教室の中に入って行く。

 

「はーい!みんな静かに、知っている人もいるかもしれませんが転入生が来ます!」

 

「転入生ですか?こんな時期に?」

 

「まぁ、訳ありなので聞かないであげて下さい。」

 

「愛ちゃん先生、男子ですか?女子ですか?」

 

「男子ですよ。じゃあ呼びますね、入って来て下さい!」

 

カラカラ、カラカラ、ピシャ。

 

ツナは先生の横に移動する。

 

「では自己紹介してもらいます。ではお願いします。」

 

「沢田綱吉、16歳、趣味、ロードバイクとゲームをすること。

好きな物事、天体観測、料理、修行。嫌いな物事、特に思いつかない。

まぁ、よろしく頼む。」

 

「はい、ありがとうございます。沢田君の席は八重樫さんの隣が空いてますね、そこに座って下さい。」

 

「沢田君よろしくね。」

 

「こちらこそよろしく頼む。」

 

そして、授業を受けたりして休憩時間になると

 

ツナはある生徒に声をかける

 

「なぁ、ちょっといいか?」

 

「う、うんどうしたの?」

 

「校内を案内して欲しいんだが、いいか?」

 

「あ、うんいいよ!あっ、ぼく南雲ハジメよろしく!」

 

「沢田綱吉だ、よろしく頼む!」

 

スッと手を出すとハジメも手を出して握手する。

 

そしてツナとハジメが教室を出て行く。

 

「どうしたの雫ちゃん?」

 

「香織、沢田君の周りの空気…」

 

「空気?空気がどうしたの?」

 

「見て気付かない?周りの空気と比べて異常に澄んで見えるのよ。」

 

香織は雫に言われた通り見てるとツナの周りだけ異常に澄んでいるのが見えた。

 

「…雫ちゃん、沢田君って何者なんだろう?」

 

「さぁ、わからないわ。でも悪い人じゃ無いと思うわ」

 

「そうだね!」

 

その後ツナはハジメと話をしながら校内を案内して貰った。互いにアニメや漫画が好きな事もあって意気投合した。

 

その後も授業を受けて帰った。

 

ツナは母親から買い物をして帰る様に言われ、買い物をしてしっかりとお会計を済ませ店から出てバイクで帰えっている途中に女性の叫び声が聞こえた。

 

ツナは叫び声が聞こえた場所に行くと、同じクラスの八重樫雫と同じクラスの白崎香織がいた。

二人は異常なオーラというよりは禍々しいオーラを放っている魔物に襲われそうになっていた。

 

「こ、来ないで!」

 

「雫ちゃん、ど、どうしよう!」

 

その時

 

「システムコール、サーマルエレメント、エアリアルエレメント、フォームエレメント、アローシェイプ、ディスチャージ!!」

 

ズドドドドドドドドドドドドドドド

 

炎矢と風の矢が合わさり蒼炎の矢となり魔物を襲い燃やし尽くす。

 

そしてツナは炎を魔力で水を作り出し消してから元の状態に戻す。

 

「…こんな遅くに何やってるんだ?八重樫と白崎。」

 

「さ、沢田君どうしてここに?それよりもあれはなんなの?」

 

「そ、そうだよ!あれは何?」

 

「何って、何言ってんだ?幻覚でも見たんじゃ無いか?」

 

「はぐらかさないで!幻覚な訳ないでしょ!」

 

「そ、そうだよ、あれは現実だよ!」

 

「はぁ〜わかった教えてやるよただし他言無用だ、他の奴には話すなよ、それを守れるなら話す。」

 

ツナは真剣に表情で二人に問う

 

「わ、わかったわ。守る」

 

「わ、私も守るよ。」

 

「あれは魔物だ。」

 

「魔物ってゲームじゃ無いんだから冗談言わないでよ!」

 

「冗談で言っていると思うか?」

 

「えっ?ま、まさか本当なの?」

 

「この世界には悪魔や天使、堕天使なんか伝説上の存在や空想上の存在は存在する。」

 

「例えば伝説最強の武器といえば何を思い浮かべる?白崎」

 

香織は少し考えると

 

「アーサー王の約束された勝利の剣(エクスカリバー)かな!」

 

「そうか」

 

ツナは魔法陣から武器を取り出す。

 

あえて言っておく話しをする前に結界を張っている為ツナと雫と香織以外いないし見られていない。

 

ツナは魔法陣から武器を取り出し雫たちに見せる。

 

「沢田君この武器は?」

 

「先程白崎が言っていた、約束された勝利の剣(エクスカリバー)だ、勿論本物のな。」

 

「「!?」」

 

「な、なんで貴方が持っているのよ!」

 

「俺は学校に転入する前に旅をしていた。その時に見つけた泉がかの有名なアーサー王伝説に出て来る泉だったわけ、それで泉の女神に認められてこの剣を俺が貰ったわけ。勿論ケルト神話の主神スカサハの許可は貰っている。」

 

「凄いわね、それにしても綺麗ね。そう思うでしょ香織?」

 

「うん、武器とかあまり詳しく無いけど綺麗だね。」

 

「まぁ、信じるか信じ無いかは君達次第だけどね。」

 

「まぁ、目の前で起きたことを信じ無いわけ無いでしょう!」

 

「そうだよ!沢田君魔法使えるんだね!」

 

「あれは魔法じゃなくて、神聖術な!」

 

「「へぇ〜」」

 

「まぁいいや。」

 

ツナは剣を鞘に納め固有空間にしまう。そして結界を解く。

 

「もう遅いから家まで送るよ。」

 

「ありがとう!助かるわ!それと助けてくれてありがとう!」

 

「そうだね、助けてくれてありがとう!」

 

「どういたしまして。さて行きますか?」

 

「「うん!/えぇ!」」

 

その後ツナは香織と雫を家まで送り届けてからバイクに乗って帰った。

 

 

 

 



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第一章 第2話 大空異世界に召喚される



今回もついて来れる読者様だけついて来な!


 

転入初日から魔物事件を解決してから、数日が過ぎた、白崎と八重樫から名前で呼ぶ様に言われ名前で呼ぶ事になった。

 

ツナは朝から相棒の超直感が警鐘を鳴らしている。異世界に呼び出されない事を願いながら、念の為必要な食料やら衣服などを保存用匣の中に収納する。勿論自分の武器である物を全て固有空間にしまい学校の準備をしてバイクで学校に行き匣に仕舞う。

 

学校に行くと既に雫と香織がいた。

 

「おはようツナ!」

 

「おはようツナ君!」

 

「おはよう。香織、お前見ていると中学の時の同級生に似ているな。」

 

「えっ、そうなの?なんていう名前の子なの?」

 

「笹川京子」

 

「えっ?えぇ!!?待って京子ちゃんの事知っているの?」

 

「同じ中学だったし。」

 

「私の従姉妹だよ!凄いよ、雫ちゃん私の従姉妹と同じ中学だったて!」

 

「香織落ち着きなさい、という事は私の従兄妹とも同じ中学なのね!」

 

「ん?従兄妹、誰だ?」

 

「山本武よ。」

 

「武は俺の親友だよ、ちなみ武の従兄妹の海鳴沙耶は俺の幼馴染。」

 

「えっ?嘘でしょ?沙耶姉と幼馴染なの?」

 

「あぁ、他にも幼馴染いるけどまぁいいや。」

 

するとハジメが教室に入って来た。すると

 

「よぉ、キモオタ! また、徹夜でゲームか? どうせエロゲでもしてたんだろ?」

「うわっ、キモ~。エロゲで徹夜とかマジキモイじゃん~」

 

相変わらずか檜山の糞野郎は

 

南雲ハジメはオタクであるが身嗜みが悪いわけでもないし至って普通の少年だ、檜山達は南雲曰く小悪党集団にああいう風に言われるのは俺を通じて八重樫雫と白崎香織と仲が良いからだ。

 

「よっ!おはようハジメ、なんか眠そうだな、また徹夜か?」

 

「おはよう南雲君、もう少し早く来なさいよ。」

 

「南雲君おはよう!今日もギリギリだよ、もっと早く来なよ」

 

「ああ、おはよう、ツナ、八重樫さん、白崎さん」

 

香織と雫はハジメに対してフレンドリーなのでツナも二人の事を信頼している。

 

すると謎の威圧感を感じとったツナは周りを見渡すとハジメとツナの事を睨む様な視線を送っているのがわかった。

 

ツナは意思返しとして殺気や威圧を送っている生徒全員に一割に満たない殺気を放つ、すると殺気を放たれた生徒全員は顔面蒼白状態になっていた。

 

「沢田と南雲おはよう。あいつらまだ懲りて無いのか、大変だな。」

 

「おう、二人ともおはよう!ほっとけよあいつらの事なんて勝ってにやらせとけ!」

 

この二人は天之河光輝と坂上龍太郎だ、天之河は思い込みの激しい正義馬鹿だが、ツナが友人であるハジメの事を馬鹿にされた事でブチ切れ強制的にその思い込みの激しさを直した。思い込みの激しさはなんとかなったが正義馬鹿なのは治らず多少マシになっただけだった。

坂上龍太郎はツナに近接戦闘を挑んだが返討ちにあったというよりは、瞬殺された為弟子にしてくれと言う熱血漢、悪くいえばただの脳筋野郎。

勿論弟子の件は断った。

 

そして授業を受けて昼休みになったが朝から警鐘を鳴らしている超直感が

さらに強くなった。

 

周りを見ると購買組はもう既に出て行っていたのか人数が減っている。

そして教室には四時間目の授業行っていた畑山愛子(25歳)が数人の生徒と談笑していた。

 

「南雲くんとツナ君珍しいね、教室にいるの。お弁当? よかったら一緒にどうかな?」

 

香織がそう言うと不穏な空気が教室に漂いそしてツナとハジメを睨んで来るがツナがすかさず殺気を放って黙らせる。

 

「俺は良いがハジメは?」

 

「あ~、誘ってくれてありがとう、白崎さん。でも、もう食べ終わったから天之河君達と食べたらどうかな?」

 

「南雲、しっかり食べないと倒れるぞ、俺の分けてやるから一緒に食おうぜ!」

 

「そうだぞ南雲、身体が持たないぞ!俺のも分けてやるから一緒に食おう。」

 

「南雲君一緒に食べましょう。」

 

「だってさ、お前の事をちゃんと思ってくれる奴がいるんだ、大切しろよ。」

 

「ええとじゃあ、一緒に食べようかな。」

 

そうして昼食を食べ終えて片付けると警鐘がガンガンにレッドシグナルを鳴らす。

 

ツナの様子様子を見ていた雫が

 

「どうしたのツナ?」

 

「……嫌な予感がする!」

 

「えっ?嫌な予感って?」

 

すると光り輝く円環と幾何学きかがく模様が現れたからだ。その異常事態には直ぐに周りの生徒達も気がついた。全員が金縛りにでもあったかのように輝く紋様

 

「魔法陣だと!まさか異世界転移とかじゃねぇだろうな!」

 

 その魔法陣は徐々に輝きを増していき、一気に教室全体を満たすほどの大きさに拡大した。

 

 自分の足元まで異常が迫って来たことで、ようやく硬直が解け悲鳴を上げる生徒達。未だ教室にいた愛子先生が咄嗟に「皆! 教室から出て!」と叫んだのと、魔法陣の輝きが爆発したようにカッと光ったのは同時だった。

 

その後カバンやペットボトルなどが置いてあるが、人が全くいなくなった事で神隠し事件と世間を騒がす事になるのだった。

 



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第3話 大空異世界に降り立つ



今回もついて来れる読者様だけついて来な!


購買組を除く教室にいた者達全員が突如現れた魔法陣によって異世界に召喚された。

魔法陣による光が収まり周りを見渡すと、まず目に飛び込んできたのは巨大な壁画だった。その壁画には、金髪の中性的な顔の人物が描かれていた。

 

そしてツナ達の周りには白地に金の刺繍を施した法衣に身を包みその傍に錫杖を持ち祈りを捧げる様な格好をした人達が三十人近い人数いた。

そしてその内の一人、法衣集団の中でも特に豪華で煌びやかな衣装を纏い、細かい意匠の凝らされた烏帽子のような物を被っている老人が進み出て来てツナ達に話しかけて来た。

 

「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」

 

ツナは名前を聞いた瞬間胡散臭い奴だと思った。

 

そしてツナ達は十メートル以上ありそうなテーブルが幾つも並んだ大広間に案内されていた。そして全員が席に着くと何故この世界に召喚されたのか説明するようだ。

 

「さて、あなた方においてはさぞ混乱していることでしょう。一から説明させて頂きますのでな、まずは私の話を最後までお聞き下され」

 

この世界はトータスと呼ばれている。そして、トータスには大きく分けて三つの種族がある。人間族、魔人族、亜人族の三種族

 

 人間族は北一帯、魔人族は南一帯を支配していて、亜人族は東の巨大な樹海の中で生きているらしい。

 

 この内、人間族と魔人族が何百年も戦争を続けている。

 

 魔人族は、数は人間に及ばないものの個人の持つ力が大きく、その力の差に人間族は数で対抗して来たという。戦力は拮抗しており大規模な戦争はここ数十年起きていないが、最近、異常事態が多発しているという。

 

 それが、魔人族による魔物の使役だ。

 

 今まで本能のままに活動する彼等を使役できる者はほとんど居ない。

使役できても一、二匹程度だという。だがその常識が覆されたのだ。

 

 この意味する所は、人間族側の〝数〟というアドバンテージが崩れたということ。つまり、人間族は滅びの危機を迎えている。

 

そして説明が終わり、そして次に

 

「あなた方を召喚したのは〝エヒト様〟です。我々人間族が崇める守護神、聖教教会の唯一神、そしてこの世界を創られた至上の神。おそらくエヒト様は悟られたのでしょう。このままでは人間族は滅ぶと、それを回避する為に貴方方を召喚された。貴方方の世界はこの世界より上位にあり、例外なく強力な力を持っています。召喚が実行される前に、エヒト様から神託があったのですよ。貴方方という〝救い〟を送ると。あなた方には是非その力を発揮し、〝エヒト様〟の御意志の下、魔人族を打倒し我ら人間族を救って頂きたい。」

 

イシュタルは何故か恍惚とした表情を浮かべている。おそらく神託を聞いた時のことでも思い出しているのだろうか。

 

 

ツナが、神の意思〟を疑う事なく、しかしそれどころか嬉々として従うであろうこの世界の歪さに言い知れぬ危機感と恐怖を覚えていると、突然立ち上がり猛然と抗議する人が現れた。

 

畑山愛子先生だ。

 

「ふざけないで下さい! 結局この子達に戦争させようってことでしょ! そんなの許しません! ええ、先生は絶対に許しませんよ! 私達を早く帰して下さい! きっとご家族も心配しているはずです! あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」

 

ツナは父親に言われた事を思い出していた。

 

あぁ、そう言う事か親父。納得したよ、確かにこの人は間違いなく先生だ。きっと自分の事よりも生徒達の身を案じて行動する良い先生だ。

少し信じて見ても良いかもしれない。

 

とツナは思っていた。

 

「お気持ちはお察しします。しかし……あなた方の帰還は現状では不可能です」

 

場の雰囲気が静寂で満ちる。重く冷たい空気が全身に乗し掛かっているようだ。誰もが何を言われたのか分からないという表情でイシュタルを見る。

 

「ふ、不可能って……ど、どういうことですか!? 喚べたのなら帰せるでしょう!?」

 

「先ほど言ったように、貴方方を召喚したのはエヒト様です。我々人間に異世界に干渉するような魔法は使えません、貴方方が帰還出来るどうかもエヒト様の御意思次第ということですな」

 

「そ、そんな……」

 

「それって、帰還させるつもりがないと言っていると同義だよな、普通なら帰還の事も頭に入れてから召喚魔法を発動する筈だと俺は思うがそこんとこどうなんだ?」

 

「それは…」

 

「答えられないか?まぁいい、そもそも俺達が帰還出来るとは思ってもいないだろうからな。帰す気がないのに召喚して思う様に操ろうとあんたの言う神エヒトはとんだ詐欺師か策略家だな。」

 

「そ、そんな事はありません!詐欺師や策略家など滅相もない!」

 

ツナの言葉を聞きクラスメイトはパニックになる。

 

「嘘だろ? 帰れないってなんなんだよ!」

「嫌よ! なんでもいいから帰してよ!」

「戦争なんて冗談じゃねぇ!ふざけんなよ!」

「なんで、なんで、なんで……」

 

そこで天之河

 

「みんな落ち着け!沢田もみんなの不安を煽るな。」

 

「ん、悪い。不安を煽るつもりは無かったんだが、俺が発言しなくてもパニックになってたと思うぞ。」

 

「…確かにそうだな。」

 

そして天之河が机をバンと叩きパニックになるクラスメイトを黙らせる。

 

「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実だ。それを知って、放って置くなんて俺には出来ない。それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。……イシュタルさん? どうですか?」

 

「そうですな。エヒト様も救世主の願いを無下にはしますまい」

 

「俺達には大きな力があるんですよね? ここに来てから妙に力が漲っている感じがします」

 

「ええ、そうです。ざっと、この世界の者と比べると数倍から数十倍の力を持っていると考えていいでしょうな」

 

「うん、なら大丈夫。俺は戦う!人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!」

 

そこでツナが、

 

「お前本気で言ってんのか?お前本当に舐めてんのか?お前のお得意の正義感じゃないのか?戦争だぞ、俺を除いてお前も含めた全員がつい最近まで戦った事の無い素人がいきなり大きな力を持ったからって戦場に出て勝てるわけないだろ!

それになお前、魔人族も俺達と同じ様に感情を持ち家族がいて、または恋人がいるかもしれない。それでもお前はそいつを殺せんのか?捕虜にすればいいとか、捉えればいいとかと言う甘い考えは求めてない。正義感とか感情で考えんな!よく頭で考えて答えを出せ!覚悟を持たないままだとお前いつか冗談抜きで死ぬぞ。」

 

ツナは真剣な表情で言葉を紡いだ。

 

「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 

「もう一度問う、天之河それでも戦うのか?」

 

「俺はお前に言われるまで深くは考え無かった。ただ正義感のまま突っ走ろうとしていた。確かに戦争に参加するなら覚悟を持たないと行けないと思った。だけどこの世界の人達を見捨てる事は出来ない!だから俺は戦う。」

 

「…そうか、一つ言って置く世界を救った英雄は最初から世界を救う為に行動したわけじゃないと思うぞ。目の前の事に真剣に向き合って来た結果世界を救ったと言うだけだと思うぞ。ただし英雄は功績を残し周りに認められなきゃ英雄にはなれないし、力の使い方を間違えれば唯の化け物だ。」

 

「あぁ、頭に入れて置く。」

 

「そうか…お前が良く考えて決めたなら覚悟を持って取り組めよ。俺は知らん、勝手にしろ。」

 

「へっ、お前ならそう言うと思ったぜ。お前一人じゃ心配だからな。……俺もやるぜ?」

 

「龍太郎……」

 

「今のところ、それしかないわよね。……気に食わないけど……私もやるわ」

 

「雫……」

 

「え、えっと、雫ちゃんがやるなら私も頑張るよ!」

 

「香織……」

 

ツナが口を開く

 

「悪い香織、きつい事言うかも知れないけど許せ。香織、誰かがやるからと言うなら戦場に出ない方が良い、と言うよりは出るな。はっきり言うとそんな感じだと戦場に出て一番最初に死ぬ可能性がある。誰かがやるからじゃない、自分の意思で決めろ!そうじゃなきゃ生き残れない可能性が大きい。だから自分の意思で決めろ!これはお前の為を思って言っている。」

 

「…もう私は決めたんだ、戦うと。でも心配してくれてありがとう。」

 

先生は「ダメですよ〜」て言っていたが結局全員が参加する事になった。

 

ツナとハジメは気がついていた。イシュタルが事情説明をする間、それとなく光輝を観察し、どの言葉に、どんな話に反応するのか確かめていたのを。正義感の強い光輝が人間族の悲劇を語られた時の反応は実に分かりやすかった。その後は魔人族の冷酷非情さ、残酷さを強調するように話す。おそらく、イシュタルは見抜いていたのだろう。この集団の中で誰が一番影響力を持っているのか。

 

しかしイシュタルは見誤った、天之河よりも強く優しいツナ事沢田綱吉

の存在をツナの影響力は天之河よりも大きいその為自分の思惑通りにならないかと思ったがなんとか納得する形に収まった事を良しとした故に沢田綱吉に目をつけられていた事をそしてこの世界の神が終焉に近づく音が少しずつ大きくなっていく事に気付かずにいた事を。

 

そして世界的宗教のトップなら当然なのだろうが、油断ならない人物だと、ツナとハジメは頭の中の要注意人物のリストにイシュタルを加えるのだった。

 

 



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第4話 ステータスプレート


今回もついて来れる読者様だけついて来な!


戦争参加の決意をした以上、ハジメ達は戦いの術を学ばなければならない。いくら規格外の力を潜在的に持っていると言っても、元は平和主義にどっぷり浸かりきった日本の高校生だ。いきなり魔物や魔人と戦うなど不可能である、ツナを除いては。

 

しかし、その辺の事情は当然予想していたらしく、イシュタル曰く、この聖教教会本山がある【神山】の麓の【ハイリヒ王国】にて受け入れ態勢が整っているらしい。

 

王国は聖教教会と密接な関係があり、聖教教会の崇める神―創世神エヒトの眷属であるシャルム・バーンなる人物が建国した最も伝統ある国というこだ。国の背後に教会があるのだからその繋がりの強さが分かるだろう。

 

 

そしてツナ達は今聖教教会の正面門にやって来た。下山しハイリヒ王国に行くためだ。

 

 聖教教会は【神山】の頂上にあるらしい、凱旋門潜るとそこには雲海が広がっていた。

 

 高山等特有の息苦しさなど感じなかった為高山にあるとは気がつかなかった。おそらく魔法で生活環境を整えているのだろう。

 

そしてイシュタルの案内で王宮に案内された。

ツナ達は王宮に着くと真っ直ぐに玉座の間に案内された。

 

ツナは嫌な記憶を思い出すので顰めっ面になっている。

 

すると雫が

 

「ツナ、どうしたのよ?そんな顰めっ面な顔をして。」

 

「あぁ、なんでもない。」

 

「何でもないわけ無いでしょ!」

 

「沢田どうした?」

 

「嫌な記憶を思い出しただけだ。」

 

「そう、それなら良いけど。」

 

「何かあったら言えよ?」

 

「あぁ、すまない雫、坂上。」

 

ツナ達は王宮の中を歩いているとメイド等の使用人とすれ違うのだが、皆一様に期待に満ちた、あるいは畏敬の念に満ちた眼差しを向けて来る。ツナ達が何者か、ある程度知っているようだ。

 

ツナはハジメを見るとハジメは居心地が悪そうに、最後尾をこそこそと付いて行くのでそれに着いて行く。

 

巨大な両開きの扉の前に到着すると、その扉の両サイドで直立不動の姿勢をとっていた兵士二人がイシュタルと勇者一行が来たことを大声で告げ、中の返事も待たず扉を開け放った。

 

 イシュタルは、それが当然というように悠々と扉を通る。光輝等一部の者を除いて生徒達は恐る恐るといった感じで扉を潜った。

 

 扉を潜った先には、真っ直ぐ延びたレッドカーペットと、その奥の中央に豪奢な椅子――玉座があった。玉座の前で覇気と威厳を纏った初老の男が立ち上がって待っている。

 

そしてその隣には王妃と思われる女性、そしてその更に隣には十歳前後の金髪碧眼の美少年、十四、五歳の同じく金髪碧眼の美少女が控えていた。更に、レッドカーペットの両サイドには左側に甲冑や軍服らしき衣装を纏った者達や文官らしき者達が三十人以上並んで佇んでいる。

 

 玉座の手前に着くと、イシュタルはハジメ達をそこに止め置き、自分は国王の隣へと進んだ。

 

 そこで、おもむろに手を差し出すと国王は恭しくその手を取り、軽く触れない程度のキスをした。どうやら、教皇の方が立場は上のようだ。これで、国を動かすのが〝神〟であることが確定だな、とツナとハジメは内心で溜息を吐く。

 

ツナは内心思った、つまりこの国は神の道化という事かと嘲笑った。

自分の意思で決めず神の意思で動くとは正に道化でしかない。

 

それからはただの自己紹介。国王の名をエリヒド・S・B・ハイリヒといい、王妃をルルアリアというらしい。金髪美少年はランデル王子、王女はリリアーナという。

 

 後は、騎士団長や宰相等、高い地位にある者の紹介された。ちなみに、途中、美少年の目が香織に吸い寄せられるようにチラチラ見ていたことから香織の魅力は異世界でも通用するようである。

 

ツナにはどうでもいい事なので殆ど聞いていない。

 

ツナの目的はただ一つこの世界の神エヒト殺し、元の世界に帰る事

勿論一人で出来るなんて思ってはいない、かの神々史上世界最強・最恐・最凶サイキョウと言われた邪神ロヴィーノも仲間共に力を合わせやっと倒す事が出来たのだから。

 

その後、晩餐会が開かれ異世界料理を堪能した。見た目は地球の洋食とほとんど変わらなかった。たまにピンク色のソースや虹色に輝く飲み物が出てきたりしたが非常に美味だった。

 

 王宮では、ツナ達の衣食住が保障されている旨と訓練における教官達の紹介もなされた。教官達は現役の騎士団や宮廷魔法師から選ばれたようだ。いずれ来る戦争に備え親睦を深めておけということだろう。

 

ツナはこの世界の神に意のままに操られる気はさらさらない、寧ろツナは神エヒトを殺す気満々でいる為この世界がどうなろうと知ったこっちゃない、立ち直り未来に向かって歩もうと言うなら復興の手伝いはするし、絶望するなら放っておくだけだ。

 

「あっツナどう?楽しんでる?」

 

「雫か、まぁそこそこ。」

 

「明日から修行ねお互い頑張りましょう。」

 

「俺は別にこの世界の者がどうなろうとどうでもいい、雫や香織、ハジメに危害を加えると言うなら神エヒトを殺すだけだ。」

 

「ツナ、私達の事を大切にしてくれるのは嬉しいけど、本当に戦わないの?」

 

「戦うか戦わないかは自分の意思で決める、ただそれだけだ。」

 

そこに香織が来た。

 

「あっツナ君と雫ちゃんここにいた!」

 

「香織かどうしたんだ?」

 

「ツナ君と雫ちゃんたらずっと端っこの方にいるんだもん中央の方に行こうよ。」

 

「いいんだよ、俺は別に戦争なんざ参加する気は無いし。」

 

「やっぱ考え変わらない?」

 

「変わらないな、さっきも雫に言ったけど俺は香織や雫やハジメに危害を加えると言うなら神エヒトを殺すだけだ、それが俺のこの世界で戦う理由だ。」

 

するとそこにドレスを着た女性がやって来た。

 

「この世界の為に戦っては貰えないのですか?」

 

「戦う理由がないな、俺は俺の大切な者の為に戦う、この世界の者がどうなろうと知ったこっちゃない。」

 

「神エヒトの命ならばなんでもやりそうなお前達を信じる事は俺には出来ないからな。つうかお前誰だ?」

 

「ちょっとツナ!?この人はねこの国のお姫様よ!名前はリリアーナよ。」

 

「ありがとう雫。まぁ俺は元の世界に帰ることしか興味ないからな。人に戦えと言う前に自分がお手本として戦ってみせろ!戦う事もしない者にとやかく言われる筋合いはない。」

 

そういうとツナはその場去る。

 

「はぁ、ツナったら、確かにツナの言い分もあるけど。」

 

「まぁまぁ雫ちゃん、ツナ君は命令するだけじゃ誰もついて来ないって事が言いたかったんだと思うよ。」

 

「そりゃそうでしょうねツナは余り人を信じないから。」

 

 その後晩餐が終わり解散になると、各自に一室ずつ与えられた部屋に案内された。天蓋てんがい付きベッドに愕然がくぜんとしたのはハジメだけではないはずだ。豪奢な部屋にイマイチ落ち着かない気持ちになりながら、それでも怒涛の一日に張り詰めていたものが溶けていくのを感じ、ベッドにダイブすると共にその意識を落とそうとしたが出来ず外に出て準備運動をするそして有幻覚で作った木刀で素振りをする。

 

勿論認識阻害の結界と視認阻害の結界を張って。

 

十分くらい素振りをしてから木刀を消し結界を解除して部屋に戻ってシャワーを浴びて眠りについた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

翌日から早速訓練と座学が始まった。

 

 最初に集まった生徒達に十二センチ×七センチ位の銀色のプレートが配られた。不思議そうに配られたプレートを見る生徒達に、騎士団長メルド・ロギンスが直々に説明を始めた。

 

「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」

 

その時ツナは

ステータスプレートねぇ、あれ?これって俺ヤバくね?もしかしたらバレるんじゃね?神殺しの事どうしたもんか…そうだ有幻覚で偽装しよう、そうしよう!なんて思っていた。

 

そして非常に気楽な喋り方をするメルド。彼はフランク性格で、「これから戦友になろうというのにいつまでも他人行儀に話せるか!」と、他の騎士団員達にも普通に接するように忠告するくらいだ。

 

 ツナ達もその方が気楽で良かった。遥はるか年上の人達から慇懃いんぎんな態度を取られると居心地が悪くてしょうがないのだ。

 

「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。 〝ステータスオープン〟と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ? そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」

 

「アーティファクト?」

 

「アーティファクトって言うのはな、現代では再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。まだ神やその眷属達が地上にいた神代に創られたと言われている。そのステータスプレートもその一つでな、複製するアーティファクトと一緒に、昔からこの世界に普及しているものとしては唯一のアーティファクトだ。普通は、アーティファクトと言えば国宝になるもんなんだが、これは一般市民にも流通している。身分証に便利だからな」

 

 なるほど、と頷き生徒達は、顔を顰しかめながら指先に針をチョンと刺し、プクと浮き上がった血を魔法陣に擦りつけた。すると、魔法陣が一瞬淡く輝いた。ツナも同じように血を擦りつけ表を見る。

 

 すると……

 

=======================

沢田綱吉 16歳 男 レベル:1

天職:魔導士(騎士王・魔導帝王・英雄・祖龍神皇帝・神殺しの大空・赤龍神帝王、真なる赤龍神炎光帝・赤龍帝・赤龍帝王)

筋力:500[Error]

体力:1000[Error]

耐性:600[Error]

敏捷:900[Error]

魔力:800[∞]

魔耐:800[∞]

技能:全属性適性・複合魔法・光技・闇術・神聖術・付与術・滅龍魔法・滅神魔法・滅悪魔法・全属性耐性極・物理耐性極・剣神術・銃神術・剛力・縮地・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+効率上昇][+身体強化][+魔力錬成]・呪力・崩力[+魔力+呪力]・冥力[呪力-呪]・絶力[+冥力+魔力] 想像構成[+イメージ補強力超上昇][+複数同時構成][+遅延発動]・創造魔法[+魔法創造][+アイテム創造][+技能創造][+銃創造][+刀剣創造]・超高速魔力回復・偽装・限界突破・毒素分解EX・超経験値獲得・武器召喚・真名解放・言語理解・日本神話の神々の加護[+即死無効化][+状態異常無効化]・和剣鍛造[+魔剣鍛造][+聖剣鍛造][+神剣鍛造][+聖魔剣鍛造]

===============================

 

 

 表示された。

 

ツナは知らなかった本来のステータスはもっと高いがエヒトにより本来のステータスを封印されていることを

*本来のステータスは[]の中の数値である。

 

メルド団長からステータスの説明がなされた。

 

「全員見れたか? 説明するぞ? まず、最初に〝レベル〟があるだろう? それは各ステータスの上昇と共に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりレベルは、その人間が到達できる領域の現在値を示していると思ってくれ。レベル100ということは、人間としての潜在能力を全て発揮した極地ということだ。まぁそんな奴はそうそういないがな。」

 

 どうやらゲームのようにレベルが上がるからステータスが上がる訳ではないらしい。

 

「ステータスは日々の鍛錬で当然上昇し、魔法や魔法具で上昇させることもできる。また魔力の高い者は自然と他のステータスも高くなる。詳しいことはわかっていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。それと、後でお前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の勇者御一行だからな。国の宝物庫大解放だぞ!」

 

 メルド団長の言葉から推測すると、魔物を倒しただけでステータスが一気に上昇するということはないらしい。地道に腕を磨かなければならないようだ。

 

「次に〝天職〟があるだろう? そいつは簡単に言えば〝才能〟だ下の方にある〝技能〟と連動していて、その天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦系天職に分類されるんだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが……百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくないものも結構ある。生産職は持っている奴が多いな」

 

「後は……各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな! 全く羨ましい限りだ! あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな」

 

ツナは自分のステータスを見てヤバいと冷や汗をかいた。天職が四つある事自体イレギュラーだ。バレれば自身の身が危なくなる可能性もある為ツナはステータスを偽装した。

 

 

 

ツナは偽装を完了するとハジメに話し掛ける。

 

「ハジメどうだった?」

 

「いや、ちょっとね…」

 

「そっかまぁお互い頑張ろう。」

 

「そうだね、地道にコツコツとやって行こう。」

 

「その勢いだ!」

 

ツナはハジメと話しいた。そして

 

メルド団長の呼び掛けに、早速、光輝がステータスの報告をしに前へ出た。そのステータスは……

 

============================

天之河光輝 17歳 男 レベル:1

天職:勇者

筋力:100

体力:100

耐性:100

敏捷:100

魔力:100

魔耐:100

技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

==============================

 

 こいつが勇者か

 

「ほお~、流石勇者様だな。レベル1で既に三桁か……技能も普通は二つ三つなんだがな……規格外な奴め! 頼もしい限りだ!」

 

「いや~、あはは……」

 

まぁ今は笑えるかもしれないが今後その余裕も無くなると思うだろう。とツナは考えていた。

 

そしてツナのステータスを見ると目を丸くして見ていた。

 

「お、おいこれは光輝より凄いぞ!全ステータスがレベル1の段階で俺以上だとマジで凄いな!」

 

「沢田見せてくれないか?」

 

「別に見世物じゃないんだが。」

 

ツナ天之河に対して真顔で言う。

 

「頼む。」

 

ツナは天之河にステータスプレートを渡す。

 

沢田綱吉 16歳 男 レベル:1

天職:魔法剣士

筋力:500

体力:1500

耐性:600

敏捷:800

魔力:1000

魔耐:1000

技能:全属性適性・複合魔法・付与術・全属性耐性・物理耐性・剣術・剛力・縮地・超高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

 

天之河はそれを見て固まった。

 

「え?ははは、上には上がいたか。」

 

「技能が多くても使いこなせなければ意味は無いからな」

 

「うん、綱吉のいう通りだ。」

 

「確かにそうだよな。」

 

「俺は非戦闘系が良かった。例えば錬成師とか。」

 

「え?何故だい?」

 

「色んんな武器作れるから、技能なんて後から増えて行くんだからさ俺が錬成師だったら銃を作るかな?」

 

「!?」

 

ハジメが反応する。

 

「後はバイクとか、ロケランとかアニメの武器とか作れそうだし、元の世界に帰ったら、彫金師とか出来るからかな。」

 

「確かに錬成師ならではの良さがあるな!」

 

ツナ天之河が話していると

 

今まで、規格外のステータスばかり確認してきたメルド団長の表情はホクホクしていたメルドが、「うん?」と笑顔のまま固まり、ついで「見間違いか?」というようにプレートをコツコツ叩いたり、光にかざしたりする。そして、ジッと凝視した後、もの凄く微妙そうな表情でプレートをハジメに返した。

 

「ああ、その、なんだ。錬成師というのは、まぁ、言ってみれば鍛治職のことだ。鍛冶するときに便利だとか……」

 

「いいなぁ、ハジメある意味良い意味で最強だな、そう縁の下の力持ちだ。」

 

「何故なら、戦う者が使う武器はハジメの様な錬成師や鍛治師がいないと作れないわけだだからハジメの様な存在は貴重だと思う思うよ。」

 

そこで話を聞いていなかったのか檜山大介が、ニヤニヤとしながら声を張り上げる。

 

「おいおい、南雲。もしかしてお前、非戦系か? 鍛治職でどうやって戦うんだよ? メルドさん、その錬成師って珍しいんっすか?」

「……いや、鍛治職の十人に一人は持っている。国お抱えの職人は全員持っているな」

「おいおい、南雲~。お前、そんなんで戦えるわけ?」

 

檜山ウゼェ、実に不愉快だ。いつか捌くとツナは内心思っていた。

 

「さぁ、やってみないと分からないかな」

「じゃあさ、ちょっとステータス見せてみろよ。天職がショボイ分ステータスは高いんだよなぁ~?」

 

メルドの表情から内容を察しているだろうに、わざわざ執拗に聞く檜山。本当に嫌な性格をしている。取り巻きの三人もはやし立てる。強い者には媚び、弱い者には強く出る典型的な小物の行動だ。事実、香織や雫などは不快げに眉をひそめている。

 

 

「ぶっはははっ~、なんだこれ! 完全に一般人じゃねぇか!」

 

「ぎゃははは~、むしろ平均が10なんだから、場合によっちゃその辺の子供より弱いかもな~」

 

「ヒァハハハ~、無理無理! 直ぐ死ぬってコイツ! 肉壁にもならねぇよ!」

 

次々と笑い出す生徒に香織が憤然と動き出す。しかし、その前にウガーと怒りの声を発する人がいた。愛子先生だ。

 

「こらー! 何を笑っているんですか! 仲間を笑うなんて先生許しませんよ! ええ、先生は絶対許しません! 早くプレートを南雲君に返しなさい!」

 

 ちっこい体で精一杯怒りを表現する愛子先生。その姿に毒気を抜かれたのかプレートがハジメに返される。

 

ツナは我慢の限界まで余裕があるがイラッとしたので檜山とその取り巻きと笑った生徒に一割の殺気を放つ

 

「「「「!?」」」」

 

檜山とその取り巻き達はツナの方を顔面蒼白にしながら見てきた。

 

「実に不愉快だ、特に檜山とその取り巻き共。少し黙れ。」

 

ツナは殺気出しながら檜山達に言う。

 

そして、愛子先生はハジメに向き直ると励はげますように肩を叩いた。

 

「南雲君、気にすることはありませんよ! 先生だって非戦系? とかいう天職ですし、ステータスだってほとんど平均です。南雲君は一人じゃありませんからね!」

 

 そう言って「ほらっ」と愛子先生はハジメに自分のステータスを見せた。

 

=============================

畑山愛子 25歳 女 レベル:1

天職:作農師

筋力:5

体力:10

耐性:10

敏捷:5

魔力:100

魔耐:10

技能:土壌管理・土壌回復・範囲耕作・成長促進・品種改良・植物系鑑定・肥料生成・混在育成・自動収穫・発酵操作・範囲温度調整・農場結界・豊穣天雨・言語理解

===============================

 

 ハジメは死んだ魚のような目をして遠くを見だした。

 

「あれっ、どうしたんですか! 南雲君!」とハジメをガクガク揺さぶる愛子先生。

 

 確かに全体のステータスは低く非戦系天職である事は一目でわかるのだが……魔力だけなら勇者に匹敵して、更に技能数なら超えている。糧食問題は戦争には付きものだ。ハジメの様にいくらでも優秀な代わりのいる職業ではないのだ。つまり、愛子先生もチートだったのだ。

 

 ちょっと、一人じゃないかもと期待したハジメのダメージは深い。

 

「あらあら、愛ちゃんったら止め刺しちゃったわね……」

「な、南雲くん! 大丈夫!?」

「あれで天然だから恐ろしいよなぁ……」

 

 反応がなくなったハジメを見て雫が苦笑いし、ツナは天然は恐ろしいと思い、香織が心配そうに駆け寄る。愛子先生は「あれぇ~?」と首を傾げている。相変わらず一生懸命だが空回る愛子先生にほっこりするクラスメイト達。

 

 ハジメに対する嘲笑を止めるという目的自体は達成したものの、上げて落とす的な気遣いと、これからの前途多難さに、ハジメは乾いた笑みを浮かべるのだった。

 

ツナは殺気を解き、ハジメにある才能を見出していた、まだ芽吹いていないがそれは強者となる才能。

故に、どの様に開花させるか考え物だと思った。

そしていつの日かこのトータスに語られることになるだろう。神殺しの大空とそれを支えた親友の錬成師の話を。



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第5話 最弱とイジメ


今回もついて来れる読者様だけついて来な!


ハジメが自分の最弱ぶりと役立たず具合を突きつけられた日から二週間が経った。

 

 現在、ハジメは訓練の休憩時間を利用して王立図書館にて調べ物をしている。その手には〝北大陸魔物大図鑑〟というなんの捻りもないタイトル通りの巨大な図鑑があった。

 

 なぜ、そんな本を読んでいるのか。それは、この二週間の訓練で、成長するどころか役立たずぶりがより明らかになっただけだったからだ。力がない分、知識と知恵でカバー出来ないかと訓練の合間に勉強しているのである。

 

 そんなわけで、ハジメは図鑑を眺めていたのだが……突如、「はぁ~」と溜息を吐いて机の上に図鑑を放り投げた。重い音が響き、偶然通りかかった司書が物凄い形相でハジメを睨む。

 

 ビクッとなりつつ、ハジメは急いで謝罪した。「次はねぇぞ、コラッ!」という無言の睨みを頂いてなんとか見逃してもらう。自分で自分に「何やってんだ」とツッコミを入れ再び溜息を吐いた。

 

 ハジメはおもむろにステータスプレートを取り出し、頬杖をつきながら眺める。

 

 

==================================

南雲ハジメ 17歳 男 レベル:2

天職:錬成師

筋力:12

体力:12

耐性:12

敏捷:12

魔力:12

魔耐:12

技能:錬成、言語理解

=================================

 

これが、二週間みっちり訓練したハジメの成果である。「刻み過ぎだろ!」と、内心ツッコミをいれたのは言うまでもない。ちなみに光輝はというと、

 

==================================

天之河光輝 17歳 男 レベル:10

天職:勇者

筋力:200

体力:200

耐性:200

敏捷:200

魔力:200

魔耐:200

技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読

高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

==================================

 

 ざっとハジメの五倍の成長率である。

 

おまけに、ハジメには魔法の適性がないこともわかった。

 

 魔法適性がないとはどういうことか。この世界における魔法の概念を少し説明しよう。

 

 トータスにおける魔法は、体内の魔力を詠唱により魔法陣に注ぎ込み、魔法陣に組み込まれた式通りの魔法が発動するというプロセスを経る。魔力を直接操作することはできず、どのような効果の魔法を使うかによって正しく魔法陣を構築しなければならない。

 

 そして、詠唱の長さに比例して流し込める魔力は多くなり、魔力量に比例して威力や効果も上がっていく。効果の複雑さや規模に比例して魔法陣に書き込む式も多くなる。それは必然的に魔法陣自体も大きくなるという。

 

それでもイレギュラーは存在するツナ事沢田綱吉だ。

ツナは魔力操作の技能を持っている為魔方陣及び詠唱の過程を必要としない。更に強力な魔法も使える為はっきり言って一人で国を相手にすることが出来るのだ。

 

ツナは何故図書館に来ているのか、それは訓練だけじゃなく知識を持っていないとどんなに強くても勝てるものも勝てない為だ。

 

ツナとハジメが訓練城に行くと既に何人もの生徒達がやって来て談笑したり自主練したりしていた。どうやら案外早く着いたようである。

 

ツナはハジメに話し掛ける。

 

「ハジメ非戦系でも最低限近接戦闘は出来るようになろうか。」

 

「そうだね、相手してくれるかい?」

 

「いいよ、やろうか。」

 

ツナはハジメのレベルに合わせ丁寧に教える。

 

「そう、そう!そんな感じ。良い感じだね。」

 

「はぁ、はぁ、はぁ、これはちょっとキツイね。相手の力を利用するから後手に回ってしまう。」

 

「まぁ、あくまでさっき戦い方はカウンターヒッターの戦い方だしね。」

 

そこで、

 

「よぉ、南雲。なにしてんの? お前が訓練しても意味ないだろが。マジ無能なんだしよ~」

 

「ちょっ、檜山言い過ぎ! いくら本当だからってさ~、ギャハハハ」

 

「なんで毎回訓練に出てくるわけ? 俺なら恥ずかしくて無理だわ! ヒヒヒ」

 

「なぁ、大介。こいつさぁ、なんかもう哀れだから、俺らで稽古つけてやんね?」

 

ハジメは檜山達を無視してツナに向き直る。

 

「ツナ頼むよ!」

 

ツナハジメの真っ直ぐな瞳を見て思った、こいつ覚悟を決めた眼をしている。

 

「そうか、行くぞ!」

 

そこからは近接戦闘の押収だった。もともとハジメは飲み込みは早い方だ。それに加えてアレンジ力も。ツナが教えたカウンターヒッターの戦い方を自分なりに考えアレンジしてツナと撃ち合っている。

 

ツナは手加減しているのだが、この成長力は素晴らしいと思う。

 

そこで檜山が

 

「無視してんじゃねぇええ!!」

 

檜山はハジメに殴り掛かってくるがハジメはカウンターヒッターの戦い方で檜山の懐に潜り込んで腹に一発強力な一撃を放つ。

 

「ぐふぁあ!?」

 

その様子見ていた檜山の取り巻きがハジメに魔法攻撃して来るが軽快なリズムステップで避け一人ずつ殴り飛ばす。

 

ツナはそれを見て納得のいく顔をしながら見ていた。そして周りにいた生徒はハジメの姿を見て唖然としていた。

 

パチ、パチ、パチ

 

「Congratulations !いや、流石ハジメ強くなっているね。」

 

「いや、まだまだだよ!でも動き易くなったよ!」

 

「そうか、それは良かった。」

 

そこで倒れていた檜山が

 

「南雲ぉおおおおお!!!!!!」

 

それに気づいていたツナとハジメは、襲いかかってくる檜山に対して二人の回し蹴りが炸裂する!

 

「「暫く寝てろ!/寝てなよ!」」

 

「ぐふぁあああ!!!」

 

二人の回し蹴りが綺麗に決まり檜山はぶっ飛ばされる

 

「何やってるの!?」

 

 その声にツナとハジメは「あっ…」

 

「いや〜ハジメと近接戦闘の訓練してたら檜山がハジメにちょっかい掛けて来てそれでハジメが無視して俺と訓練してたら檜山達が殴り掛かって来たからハジメが檜山達を帰り打ちにしたその後また檜山が襲い掛かって来たから俺とハジメの二人で回し蹴りしたら綺麗に決まった感じだ。」

 

「は?南雲が檜山達を帰り打ちにした?マジか!」

 

「周りにいるやつに聞いてみれば良いさ、俺は最後の回し蹴りしかしてないからな。」

 

「光輝聞いたか?南雲が檜山達を帰り打ちにしたんだってよ。」

 

「あぁ、周りの奴に聞いた檜山達を相手取って帰り打ちにしたって。どうやったんだ?」

 

「俺が教えた。」

 

「沢田が南雲に近接戦闘を教えたのか?」

 

「俺が教えたのは近接戦闘の基礎とカウンターヒッターの戦い方だけだ。後はハジメ自身が自分で考え編み出した物だ。」

 

「凄いな、ステータスプレートを見せてくれないか南雲!」

 

ハジメはステータスプレートを天之河に渡す。

 

==================================

南雲ハジメ 17歳 男 レベル:3

天職:錬成師

筋力:100

体力:80

耐性:60

敏捷:70

魔力:80

魔耐:80

技能:錬成・大空の加護[+即死無効化][+状態異常無効化]・言語理

=================================

 

物凄く成長していた。

新たな技能として大空の加護があったこれはいわゆるツナによる加護だ。

つまり大空であるツナの信頼を得る度に成長速度等がどんどん上がっていく。

 

「凄いじゃないか!この調子で頑張って行こう!」

 

「ありがとう」

 

「それよりもどうするの檜山達は。」

 

「ほっとけ、自業自得だ。クラスの仲間を好き好んで傷つける奴に治癒を掛ける必要は無い。」

 

「それもそうね。」

 

「そうだね、ほっとこうか!」

 

その後厳しい訓練をした。その後訓練が終了した後、いつもなら夕食の時間まで自由時間となるのだが、今回はメルド団長から伝えることがあると引き止められた。何事かと注目する生徒達に、メルド団長は野太い声で告げる。

 

「明日から、実戦訓練の一環として【オルクス大迷宮】へ遠征に行く。必要なものはこちらで用意してあるが、今までの王都外での魔物との実戦訓練とは一線を画すと思ってくれ! まぁ、要するに気合入れろってことだ! 今日はゆっくり休めよ! では、解散!」

 

そう言って伝えることだけ伝えるとさっさと行ってしまった。ざわざわと喧騒に包まれる生徒達の最後尾でツナとハジメは天を仰ぐ。

 

(……本当に前途多難だ)

 

(…て何も無いといいが)

 



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第6話 月下の語らい



今回もついて来れる読者様だけついて来な!


【オルクス大迷宮】

 

 それは、全百階層からなると言われている大迷宮である。七大迷宮の一つで、階層が深くなるにつれ強力な魔物が出現するダンジョン。

 

 だがこの迷宮は冒険者や傭兵、新兵の訓練に非常に人気がある。それは、階層により魔物の強さを測りやすいからということと、出現する魔物が地上の魔物に比べ遥かに良質の魔石を体内に抱えているからだ。

 

 魔石とは、魔物を魔物たらしめる力の核をいう。

 

 良質な魔石を持つ魔物ほど強力な固有魔法を使う。固有魔法とは、詠唱や魔法陣を使えないため魔力はあっても多彩な魔法を使えない魔物が使う唯一の魔法である。一種類しか使えない代わりに詠唱も魔法陣もなしに放つことができる。魔物が油断ならない最大の理由だ。

 

 ツナ達は、メルド団長率いる騎士団員複数名と共に、【オルクス大迷宮】へ挑戦する冒険者達のための宿場町【ホルアド】に到着した。新兵訓練によく利用するようで王国直営の宿屋があり、そこに泊まる。

 

ツナが何故戦争に参加しないと言っていたのにいるのかと言うとこの世界事をもっと知る為である。

 

 そして久しぶりに普通の部屋を見た気がするツナとハジメはベッドにダイブし気を緩めた。全員が最低でも二人部屋なのにツナとハジメだけ一人部屋だ。「まぁ、気楽でいいさ」と、少し負け惜しみ気味に呟くハジメ。寂しくなんてないったらないのだ……

 

 明日から早速、迷宮に挑戦だ。今回は行っても二十階層までらしく、それくらいなら、ハジメのような最弱キャラがいても十分カバーできると団長から直々に教えられた。

 

 ハジメとしては面倒掛けて申し訳ないと言う他ない。むしろ、王都に置いて行ってくれてもよかったのに……とは空気を読んで言えなかったヘタレなハジメである。

 

 しばらく、借りてきた迷宮低層の魔物図鑑を読んでいたハジメだが、少しでも体を休めておこうと少し早いが眠りに入ることにした。学校生活で鍛えた居眠りスキルは異世界でも十全に発揮される。

 

 そしてその頃、ツナがウトウトとまどろみ始めたその時、ツナの睡眠を邪魔するように扉をノックする音が響いた。

 

 少し早いと言っても、それは日本で徹夜が日常のツナにしてはということで、トータスにおいては十分深夜にあたる時間。怪しげな深夜の訪問者に、すわっ、檜山達かっ! と、ツナは、緊張を表情に浮かべる。

 

 しかし、その心配は続く声で杞憂に終わった。

 

「ツナ君起きてる? 白崎です。ちょっと、いいかな?」

 

なんですと? と、一瞬硬直するも、ツナは慌てて扉に向かう。そして、鍵を外して扉を開けると、そこには純白のネグリジェにカーディガンを羽織っただけの香織と黒色のネグリジェを来た雫がいた。

 

「……なんでやねん」

「「えっ?」」

 

 ある意味、衝撃的な光景に思わず関西弁でツッコミを入れてしまツナ。よく聞こえなかったのか香織はキョトンとしている。

 

 ツナは、慌てて気を取り直すと、なるべく香織を見ないように用件を聞く。いくらリアルに興味が薄いとはいえ、ツナも立派な思春期男子。今の香織と雫の格好は少々刺激が強すぎる

 

「あのな香織と雫その格好で女性部屋に行くならまだしも男の部屋に行くにはどうかと思うぞ。」

 

「えっ?格好?」

 

香織と雫は自分の格好を見直すと顔をカァと赤くしていた。

 

「はぅう、どうしよう恥ずかしいよ。」

 

「はぁ、ちょっと待ってろ。」

 

ツナは自分の荷物から羽織るものを持って来る。

それを香織と雫に掛けて見えないようにする。

 

「あ、ありがとうツナ君///

 

「ありがとうツナ///

 

 

「どういたしまして。」ニコ

 

「「///」」

 

「それでだ大丈夫だったか?訪ねて?」

 

「あ~うん。大丈夫だよ。えっと、どうしたのかな? 何か連絡事項でも?」

 

「ううん。その、少しツナ君と話たくて……やっぱり迷惑だったかな?」

 

 最も有り得そうな用件を予想して尋ねるが、香織は、あっさり否定して弾丸を撃ち込んでくる。 気がつけば扉を開け部屋の中に招き入れていた。

 

「ありがとう。」

 

「悪いな夜遅くに。」

 

 なんの警戒心もなく嬉しそうに部屋に入り、ツナと香織は、窓際に設置されたテーブルセットに座った。

 

 若干混乱しながらも、ツナはは無意識にお茶の準備をする。といっても、ただ水差しに入れたティーパックのようなものから抽出した水出しの紅茶モドキだが。ツナは香織と雫と自分の分を用意し香織と雫に差し出す。そして、向かいの席に座った。

 

「ありがとう」

 

「すまない。」

 

 紅茶モドキを受け取り口を付ける。

 

 香織がその様子を見てくすくすと笑う。ツナは恥ずかしさを誤魔化すために、少々、早口で話を促した。

 

「それで、話したいって何、明日のこと?」

 

 ツナの質問に「うん」と頷き、香織はさっきまでの笑顔が嘘のように思いつめた様な表情になった。

 

「明日の迷宮だけど……ツナ君には町で待っていて欲しいの。教官達やクラスの皆は私が必ず説得する。だから! お願い!」

 

 話している内に興奮したのか身を乗り出して懇願する香織。ツナは困惑する。ただツナがやる気が無いからというには少々必死過ぎないかな? と。

 

ツナは香織の表情を見て足手纏いとか考えていないな、なんならかの理由があるはずだとツナは思っていた。

 

「えっとな……確かに俺はこの世界の為に戦おうとは思わないけど……流石にここまで来て待っているっていうのは認められないんじゃ……」

 

「違うの! 足手まといだとかそういうことじゃないの!」

 

 香織は、ツナの誤解に慌てて弁明する。自分でも性急過ぎたと思ったのか、手を胸に当てて深呼吸する。少し、落ち着いたようで「いきなり、ゴメンね」と謝り静かに話し出した。

 

 

「あのね、なんだか凄く嫌な予感がするの。さっき少し眠ったんだけど……夢をみて……ツナ君が居たんだけど……声を掛けても全然気がついてくれなくて……走っても全然追いつけなくて……それで最後は……」

 

 その先を口に出すことを恐れるように押し黙る香織。ツナは、落ち着いた気持ちで続きを聞く。

 

「最後は?」

 

 香織はグッと唇を噛むと泣きそうな表情で顔を上げた。

 

「……消えてしまうの……」

「……そっか」

 

「………」

 

夢だからと安心出来る物じゃ無いな何かの予兆じゃ無いといいがとツナは思っていた。

 

 そしてしばらく静寂が包む。

 

 そして再び俯く香織を見つめるツナ。

 

 確かに不吉な夢だ。しかし、所詮夢である。そんな理由で待機が許可されるとは思えないし、許された場合はクラスメイトから批難の嵐だろう。いずれにしろ本格的に居場所を失う。故に、ツナに行かないという選択肢はない。何故なら神エヒトを殺す為に経験があるとはいえ知識が必要だ

 

 ハジメは、香織を安心させるよう、なるべく優しい声音を心掛けながら話しかけた。

 

「夢は夢だ、香織。今回はメルド団長率いるベテランの騎士団員がついているし、天之河みたいな奴も沢山いる。むしろ、うちのクラス全員チートだし。敵が可哀想なくらいだよ。俺戦闘経験は豊富だし、実際にやる気無いところを沢山見せているから、そんな夢を見たんじゃないかな?」

 

 語りかけるツナの言葉に耳を傾けながら、なお、香織は、不安そうな表情でツナを見つめる。

 

「それでも……それでも、不安だというのなら……」

「……なら?」

 

 ツナは若干恥ずかしそうに、しかし真っ直ぐに香織と目を合わせた。

 

「俺を支えてくれないかな?」

「え?」

 

 自分の言っていることが男としては相当恥ずかしいという自覚があるのだろう。既にハジメは羞恥で真っ赤になっている。月明かりで室内は明るく、香織からもその様子がよくわかった。

 

「香織は〝治癒師〟だよね? 治癒系魔法に天性の才を示す天職。何があってもさ……たとえ、俺が大怪我することがあっても、香織なら治せるよな。その力で俺を支えてもらえるか? それなら、絶対俺は大丈夫だから」

 

 しばらく、香織は、ジーとツナをを見つめる。ここは目を逸らしたらいけない場面だと羞恥に身悶えそうになりながらツナは必死に耐える。

 

 ツナは、人が不安を感じる最大の原因は未知であると何かで聞いたことがあった。香織は今、ツナを襲うかもしれない未知に不安を感じているのだろう。ならば、気休めかもしれないが、どんな未知が襲い来ても自分には対処する術があるのだと自信を持たせたかった。

 

 しばらく見つめ合っていた香織とツナだが、沈黙は香織の微笑と共に破られた。

 

「変わらないね。ツナ君は」

 

「?」

 

 香織の言葉に訝しそうな表情になるハジメ。その様子に香織はくすくすと笑う。

 

「ツナ君は、私と会ったのは高校に入ってからだと思ってるよね? でもね、私は、中学二年の時から知ってたよ」

 

その意外な告白に、ハジメは目を丸くする。必死に記憶を探るが全く覚えていない。

 

 う~んと唸るハジメに、香織は再びくすりと笑みを浮かべた。

 

 「私が一方的に知ってるだけだよ。……私が最初に見たツナ君は土下座してたから私のことが見えていたわけないしね」

 

「……は?」

 

「……え?」

 

「だって、ツナ君。小さな男の子とおばあさんのために頭を下げてたんだもの」

 

「どういう事なの香織?」

 

 その言葉に、ツナは、ようやく思い当たった。確かに、中学生の頃、そんなことがあったと思い出す。

 

 男の子が不良連中にぶつかった際、持っていたタコ焼きをべっとりと付けてしまったのだ。男の子は泣き、それにキレた不良がおばあさんにイチャもんつけるし、おばあさんは怯えて縮こまり、中々大変な状況だった。

 

 偶然通りかかったツナもスルーするつもりだったのだが、おばあさんが、おそらくクリーニング代だろう――お札を数枚取り出すも、それを受け取った後、不良達が、更に恫喝しながら最終的には財布まで取り上げた時点でつい体が動いてしまった。

 

 といっても喧嘩など無縁の生活だ。厨二的な必殺技など家の中でしか出せない。仕方なく相手が引くくらいの土下座をしてやったのだ。公衆の面前での土下座は、する方は当然だが、される方も意外に恥ずかしい。というか居た堪れない。目論見通り不良は帰っていった。

 

その後、雲雀さんから聞いたがその後風紀員によってボコボコにされキッチリ不良が御老人から取り上げた財布とお金は風紀員によって返却されその不良達は警察に捕まったそうだ。

 

「強い人が暴力で解決するのは簡単だよね。光輝くんとかよくトラブルに飛び込んでいって相手の人を倒してるし……でも、弱くても立ち向かえる人や他人のために頭を下げられる人はそんなにいないと思う。……実際、あの時、私は怖くて……自分は雫ちゃん達みたいに強くないからって言い訳して、誰か助けてあげてって思うばかりで何もしなかった」

 

「そうか、昔の俺を見られていたのか」

 

「ねぇ香織、香織があの時の事を後悔しているならば次その様な事があったら行動に移せばいいだけの事よ。」

 

「そうだよね。」

 

 香織が自分を構う理由が分かったツナは、香織の予想外の高評価に恥ずかしいやら照れくさいやらで苦笑いする。

 

「だからかな、不安になったのかも。迷宮でも南雲くんが何か無茶するんじゃないかって。不良に立ち向かった時みたいに……でも、うん」

 

 雫と香織は決然とした眼差しでツナを見つめた。

 

「私と香織がツナ君を支えるよ」

 

 ツナはその決意を受け取る。真っ直ぐ見返し、そして頷いた。

 

「ありがとう」

 

「気にするな、お前達は俺が守るから!」

 

「ありがとうツナ///

 

「ありがとうツナ君///」

 

 それから直ぐツナは苦笑いした。

 

 それからしばらく雑談した後、香織は部屋に帰っていった。

 

香織が帰った後でツナと雫で話をする

 

「それでツナ話しって何かしら?」

 

「あぁ、それは香織の事頼むな。」

 

「もしもの事があった時に香織の事支えてやって欲しい。」

 

「それは言われなくてもわかってるわ。でもなんで?」

 

「もしもの事があった時はって話、後檜山達小悪党組みには気をつけろよ、何をしでかすかわからないからな。」

 

「そう、わかったわ、気を付けておくわね。」

 

「あぁ、そうしてくれ。」

 

「それじゃあ帰るわね、お休み!」

 

「お休み!」

 

そして雫は自分の部屋に戻って行く。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 深夜、香織がツナの部屋を出てハジメ部屋に行き夢の中の出来事を話して自室に戻っていくその背中を無言で見つめる者がいたことを誰も知らない。その者の表情が醜く歪んでいたことも知る者はいない。

 

 



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第7話 トラップ

読者の皆様ご愛読ありがとうございます!

楽しんで頂けていますでしょうか?

楽しんで頂けているのであれば幸いです。

では行きましょうか!

「今回もついて来れる読者様だけ着いて来な!」



現在、ツナ達は【オルクス大迷宮】の正面入口がある広場に集まっていた。

 

 ツナとしては薄暗い入口を想像していたが、まるで博物館の入場ゲートのような入口があり、受付窓口まである。制服を着たお姉さんが笑顔で迷宮への出入りをチェックしている。

 

 なんでも、ここでステータスプレートをチェックし出入りを記録することで死亡者数を正確に把握するのだとか。戦争を控え、多大な死者を出さない措置だろう。 

 

 入口付近の広場には露店なども所狭しと並び建っており、それぞれの店の店主がしのぎを削っている。まるでお祭り騒ぎだ。

 

 浅い階層の迷宮は良い稼ぎ場所として人気があるようで人も自然と集まる。馬鹿騒ぎした者が勢いで迷宮に挑み命を散らしたり、裏路地宜しく迷宮を犯罪の拠点とする人間も多くいたようで、戦争を控えながら国内に問題を抱えたくないと冒険者ギルドと協力して王国が設立したのだとか。入場ゲート脇の窓口でも素材の売買はしてくれるので、迷宮に潜る者は重宝しているらしい。

 

 ハジメ達は、お上りさん丸出しでキョロキョロしながらメルド団長の後をカルガモのヒナのように付いていった。

 

 迷宮の中は、外の賑やかさとは無縁だった。

 

 縦横五メートル以上ある通路は明かりもないのに薄ぼんやり発光しており、松明や明かりの魔法具がなくてもある程度視認が可能だ。緑光石という特殊な鉱物が多数埋まっているらしく、【オルクス大迷宮】は、この巨大な緑光石の鉱脈を掘って出来ているらしい。

 

 一行は隊列を組みながらゾロゾロと進む。しばらく何事もなく進んでいると広間に出た。ドーム状の大きな場所で天井の高さは七、八メートル位ありそうだ。

 

 と、その時、物珍しげに辺りを見渡している一行の前に、壁の隙間という隙間から灰色の毛玉が湧き出てきた。

 

「よし、光輝達が前に出ろ。他は下がれ! 交代で前に出てもらうからな、準備しておけ! あれはラットマンという魔物だ。すばしっこいが、たいした敵じゃない。冷静に行け!」

 

 その言葉通り、ラットマンと呼ばれた魔物が結構な速度で飛びかかってきた。

 

 灰色の体毛に赤黒い目が不気味に光る。ラットマンという名称に相応しく外見はねずみっぽいが……二足歩行で上半身がムキムキだった。八つに割れた腹筋と膨れあがった胸筋の部分だけ毛がない。まるで見せびらかすように。

 

 正面に立つ光輝達――特に前衛である雫の頬が引き攣っている。やはり、気持ち悪いらしい。

 

ちなみにツナはハジメと共に最後尾にいる。

 

 間合いに入ったラットマンを光輝、雫、龍太郎の三人で迎撃する。その間に、香織と特に親しい女子二人、メガネっ娘の中村恵里とロリ元気っ子の谷口鈴が詠唱を開始。魔法を発動する準備に入る。訓練通りの堅実なフォーメーションだ。

 

 光輝は純白に輝くバスタードソードを視認も難しい程の速度で振るって数体をまとめて葬っている。

 

 彼の持つその剣はハイリヒ王国が管理するアーティファクトの一つで、お約束に漏れず名称は〝聖剣〟である。光属性の性質が付与されており、光源に入る敵を弱体化させると同時に自身の身体能力を自動で強化してくれるという“聖なる”というには実に嫌らしい性能を誇っている。

 

 龍太郎は、空手部らしく天職が〝拳士、その姿は盾役の重戦士のようだ。

 

 雫は、サムライガールらしく〝剣士〟の天職持ちで刀とシャムシールの中間のような剣を抜刀術の要領で抜き放ち、一瞬で敵を切り裂いていく。その動きは洗練されていて、騎士団員をして感嘆させるほどである。

 

 ハジメ達が光輝達の戦いぶりに見ていると、詠唱が響き渡った。

 

「「「暗き炎渦巻いて、敵の尽く焼き払わん、灰となりて大地へ帰れ――〝螺炎〟」」」

 

 三人同時に発動した螺旋状に渦巻く炎がラットマン達を吸い上げるように巻き込み燃やし尽くしていく。「キィイイッ」という断末魔の悲鳴を上げながらパラパラと降り注ぐ灰へと変わり果て絶命する。

 

 気がつけば、広間のラットマンは全滅していた。他の生徒の出番はなしである。どうやら、光輝達召喚組の戦力では一階層の敵は弱すぎるらしい。

 

「ああ~、うん、よくやったぞ! 次はお前等にもやってもらうからな、気を緩めるなよ!」

 

 生徒の優秀さに苦笑いしながら気を抜かないよう注意するメルド団長。しかし、初めての迷宮の魔物討伐にテンションが上がるのは止められない。頬が緩む生徒達に「しょうがねぇな」とメルド団長は肩を竦めた。

 

「それとな……今回は訓練だからいいが、魔石の回収も念頭に置いておけよ。明らかにオーバーキルだからな?」

 

 メルド団長の言葉に香織達魔法支援組は、やりすぎを自覚して思わず頬を赤らめるのだった。

 

 そこからは特に問題もなく交代しながら戦闘を繰り返し、順調よく階層を下げて行った。

 

 そして、一流の冒険者か否かを分けると言われている二十階層にたどり着いた。

 

 現在の迷宮最高到達階層は六十五階層らしいのだが、それは百年以上前の冒険者がなした偉業であり、今では超一流で四十階層越え、二十階層を越えれば十分に一流扱いだという。

 

 ハジメ達は戦闘経験こそ少ないものの、全員がチート持ちなので割かしあっさりと降りることができた。

 

 もっとも、迷宮で一番恐いのはトラップである。場合によっては致死性のトラップも数多くあるのだ。

 

 この点、トラップ対策として〝フェアスコープ〟というものがある。これは魔力の流れを感知してトラップを発見することができるという優れものだ。迷宮のトラップはほとんどが魔法を用いたものであるから八割以上はフェアスコープで発見できる。ただし、索敵範囲がかなり狭いのでスムーズに進もうと思えば使用者の経験による索敵範囲の選別が必要だ。

 

 従って、ハジメ達が素早く階層を下げられたのは、ひとえに騎士団員達の誘導があったからだと言える。メルド団長からも、トラップの確認をしていない場所へは絶対に勝手に行ってはいけないと強く言われているのだ。

 

「よし、お前達。ここから先は一種類の魔物だけでなく複数種類の魔物が混在したり連携を組んで襲ってくる。今までが楽勝だったからと言ってくれぐれも油断するなよ! 今日はこの二十階層で訓練して終了だ! 気合入れろ!」

 

 メルド団長のかけ声がよく響く。

 

 ここまで、ハジメは特に何もしていない。一応、騎士団員が相手をして弱った魔物を相手に訓練したり、地面を錬成して落とし穴にはめて串刺しにしたりして、一匹だけ犬のような魔物を倒したが、それだけだ。

 

 基本的には、どのパーティーにも入れてもらえず、騎士団員に守られながら後方で待機していただけである。なんとも情けない限りだ。それでも、実戦での度重なる錬成の多用で魔力が上がっているのだから意味はある。魔力の上昇によりレベルも二つほど上がったのだから実戦訓練はためになるようだ。

 

(ただ、これじゃあ完全に寄生型プレイヤーだよね、はぁ~)

 

 再び、騎士団員が弱った魔物をハジメの方へ弾き飛ばしてきたので、溜息を吐きながら接近し、手を突いて地面を錬成。万一にも動けないようにして、魔物の腹部めがけて剣を突き出し串刺しにした。

 

(まぁ、なんか錬成の精度が徐々に上がっているし……地道に頑張ろう……)

 

 魔力回復薬を口に含みながら、額の汗を拭うハジメ。騎士団員達が感心したようにハジメを見ていることには気がついていない。

 

 実を言うと、騎士団員達もハジメには全く期待していなかった。ただ、戦闘に余裕があるので所在無げに立ち尽くすハジメを構ってやるかと魔物をけしかけてみたのだ。もちろん、弱らせて。

 

 騎士団員達としては、ハジメが碌に使えもしない剣で戦うと思っていた。ところが実際は、錬成を利用して確実に動きを封じてから、止めを刺すという騎士団員達も見たことがない戦法で確実に倒していくのだ。錬成師は鍛冶職とイコールに考えられている。故に、錬成師が実戦で錬成を利用することなどあり得なかった。

 

 ハジメとしては、何もない自分の唯一の武器は錬成しかないと考えていたので、鉱物を操れるなら地面も操れるだろうと鍛錬した結果なのだが、周りが派手に強いので一匹相手にするので精一杯の自分はやはり無能だと思い込んでいた。

 

 ちなみに本邦初公開である。王都郊外での実戦訓練で散々無様を晒した末、考え出した戦法だ。

 

ちなみにツナはまだ戦っていない。ただ後ろをついて歩いているだけ。

 

 

 小休止に入り、ふと前方を見ると香織とツナの目が合った。ツナを見て微笑んでいる。

 

そして雫と共に歩いて来る。

 

「ツナ君まだ戦っていないでしょ?」

 

「あぁ、まぁそうだな。やる気はないけど。」

 

「ツナは戦闘系の天職なんだから戦えるでしょ!」

 

「まぁ、みんなの戦いぶりを見ていて面白いからな、特にハジメの近接戦闘と錬成の組み合わせは凄いと思うぞ。雫の剣技も中々の物だ。」

 

「そ、そう?ありがとう///」

 

「まぁそろそろ俺も戦おうか、戦争なんざやる気はないが、俺も久しぶりに暴れたいからな。」

 

そして一行は二十階層を探索する。

 

 迷宮の各階層は数キロ四方に及び、未知の階層では全てを探索しマッピングするのに数十人規模で半月から一ヶ月はかかるというのが普通だ。

 

 現在、四十七階層までは確実なマッピングがなされているので迷うことはない。トラップに引っかかる心配もないはずだった。

 

 二十階層の一番奥の部屋はまるで鍾乳洞のようにツララ状の壁が飛び出していたり、溶けたりしたような複雑な地形をしていた。この先を進むと二十一階層への階段があるらしい。

 

 そこまで行けば今日の実戦訓練は終わりだ。神代の転移魔法の様な便利なものは現代にはないので、また地道に帰らなければならない。一行は、若干、弛緩した空気の中、せり出す壁のせいで横列を組めないので縦列で進む。

 

 すると、先頭を行く光輝達やメルド団長が立ち止まった。訝しそうなクラスメイトを尻目に戦闘態勢に入る。どうやら魔物のようだ。

 

「擬態しているぞ! 周りをよ~く注意しておけ!」

 

 メルド団長の忠告が飛ぶ。

 

 その直後、前方でせり出していた壁が突如変色しながら起き上がった。壁と同化していた体は、今は褐色となり、二本足で立ち上がる。そして胸を叩きドラミングを始めた。どうやらカメレオンのような擬態能力を持ったゴリラの魔物のようだ。

 

「ロックマウントだ! 二本の腕に注意しろ! 豪腕だぞ!」

 

 メルド団長の声が響く。光輝達が相手をするようだ。飛びかかってきたロックマウントの豪腕を龍太郎が拳で弾き返す。光輝と雫が取り囲もうとするが、鍾乳洞的な地形のせいで足場が悪く思うように囲むことができない。

 

 龍太郎の人壁を抜けられないと感じたのか、ロックマウントは後ろに下がり仰け反りながら大きく息を吸った。

 

 直後、

 

「グゥガガガァァァァアアアアーーーー!!」

 

 部屋全体を震動させるような強烈な咆哮が発せられた。

 

「ぐっ!?」

「うわっ!?」

「きゃあ!?」

 

 体をビリビリと衝撃が走り、ダメージ自体はないものの硬直してしまう。ロックマウントの固有魔法“威圧の咆哮”だ。魔力を乗せた咆哮で一時的に相手を麻痺させる。

 

 まんまと食らってしまった光輝達前衛組が一瞬硬直してしまった。

 

 ロックマウントはその隙に突撃するかと思えばサイドステップし、傍らにあった岩を持ち上げ香織達後衛組に向かって投げつけた。見事な砲丸投げのフォームで! 咄嗟に動けない前衛組の頭上を越えて、岩が香織達へと迫る。

 

 香織達が、準備していた魔法で迎撃せんと魔法陣が施された杖を向けた。避けるスペースが心もとないからだ。

 

 しかし、発動しようとした瞬間、香織達は衝撃的光景に思わず硬直してしまう。

 

 なんと、投げられた岩もロックマウントだったのだ。空中で見事な一回転を決めると両腕をいっぱいに広げて香織達へと迫る。その姿は、さながらル○ンダイブだ。「か・お・り・ちゃ~ん!」という声が聞こえてきそうである。しかも、妙に目が血走り鼻息が荒い。香織も恵里も鈴も「ヒィ!」と思わず悲鳴を上げて魔法の発動を中断してしまった。

 

「おい、気を抜くな!死にたいのか!」

 

 慌ててツナがダイブ中のロックマウントを斬り伏せる。

 

 香織達は、ツナに対して「ありがとう」と言っている傍らメルドを含めた騎士団達は唖然としていた。

最後尾にいた筈のツナが一瞬にして最前線に移動しロックマウントを二体とも斬り伏せたのだから。ただし斬り伏せたはいいが斬撃によって壁が崩れてしまった

 

 その時、ふと香織が崩れた壁の方に視線を向けた。

 

「……あれ、何かな? キラキラしてる……」

 

 その言葉に、全員が香織の指差す方へ目を向けた。

 

 そこには青白く発光する鉱物が花咲くように壁から生えていた。まるでインディコライトが内包された水晶のようである。香織を含め女子達は夢見るように、その美しい姿にうっとりした表情になった。

 

「ほぉ~、あれはグランツ鉱石だな。大きさも中々だ。珍しい」

 

 グランツ鉱石とは、言わば宝石の原石みたいなものだ。特に何か効能があるわけではないが、その涼やかで煌びやかな輝きが貴族のご婦人ご令嬢方に大人気であり、加工して指輪・イヤリング・ペンダントなどにして贈ると大変喜ばれるらしい。求婚の際に選ばれる宝石としてもトップ三に入るとか。

 

「素敵……」

 

 香織が、メルドの簡単な説明を聞いて頬を染めながら更にうっとりとする。そして、誰にも気づかれない程度にチラリとツナに視線を向けた。もっとも、雫ともう一人だけは気がついていたが……

 

「だったら俺らで回収しようぜ!」

 

 そう言って唐突に動き出したのは檜山だった。グランツ鉱石に向けてヒョイヒョイと崩れた壁を登っていく。それに慌てたのはメルド団長だ。

 

「こら! 勝手なことをするな! 安全確認もまだなんだぞ!」

 

 しかし、檜山は聞こえないふりをして、とうとう鉱石の場所に辿り着いてしまった。

 

 メルド団長は、止めようと檜山を追いかける。同時に騎士団員の一人がフェアスコープで鉱石の辺りを確認する。そして、一気に青褪めた。

 

「団長! トラップです!」

「ッ!?」

 

 しかし、メルド団長も、騎士団員の警告も一歩遅かった。

 

 檜山がグランツ鉱石に触れた瞬間、鉱石を中心に魔法陣が広がる。グランツ鉱石の輝きに魅せられて不用意に触れた者へのトラップだ。美味しい話には裏がある。世の常である。

 

 魔法陣は瞬く間に部屋全体に広がり、輝きを増していった。まるで、召喚されたあの日の再現だ。

 

「くっ、撤退だ! 早くこの部屋から出ろ!」

 

 メルド団長の言葉に生徒達が急いで部屋の外に向かうが……間に合わなかった。

 

 部屋の中に光が満ち、つ達の視界を白一色に染めると同時に一瞬の浮遊感に包まれる。

 

 ツナ達は空気が変わったのを感じた。次いで、ドスンという音と共に地面に叩きつけられた。

 

 尻の痛みに呻き声を上げながら、ツナとハジメは周囲を見渡す。クラスメイトのほとんどはハジメと同じように尻餅をついていたが、メルド団長や騎士団員達、光輝達など一部の前衛職の生徒は既に立ち上がって周囲の警戒をしている。

 

 どうやら、先の魔法陣は転移させるものだったらしい。現代の魔法使いには不可能な事を平然とやってのけるのだから神代の魔法は規格外だ。

 

 ハジメ達が転移した場所は、巨大な石造りの橋の上だった。天井も高く橋の下は川などなく、全く何も見えない深淵の如き闇が広がっており、落ちれば奈落の底といった様子だ。

 

 橋の横幅は十メートルくらいありそうだが、手すりどころか縁石すらなく、足を滑らせ様ならば掴むものもなく真っ逆さまだ。ツナ達はその巨大な橋の中間にいた。橋の両サイドにはそれぞれ、奥へと続く通路と上階への階段が見える。

 

 それを確認したメルド団長が、険しい表情をしながら指示を飛ばした。

 

「お前達、直ぐに立ち上がって、あの階段の場所まで行け。急げ!」

 

 雷の如く轟いた号令に、急いで動き出す生徒達。

 

 迷宮のトラップがこの程度で済むわけもなく、撤退は叶わなかった階段側の橋の入口に現れた魔法陣から大量の魔物が出現しからだ。更に、通路側にも魔法陣は出現し、そちらからは一体の巨大な魔物が……

 

 その時、現れた巨大な魔物を呆然と見つめるメルド団長の呻く様な呟きがやけに明瞭に響いた。

 

――まさか……ベヒモス……なのか……

 

 

 



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第8話 ベヒモス



今回もついて来れる読者様だけついて来な!


橋の両サイドに現れた赤黒い光を放つ魔法陣。通路側の魔法陣は十メートル近くあり、階段側の魔法陣は一メートル位の大きさだが、その数がおびただしい数である。

 

 小さな無数の魔法陣からは、骨格だけの体に剣を携えた魔物〝トラウムソルジャー〟が溢れるように出現した。空洞の眼窩からは魔法陣と同じ赤黒い光が煌々と輝き目玉の様に辺りを見回している。その数は、既に百体近くに上っており、尚、増え続けているようだ。

 

 しかし、数百体のガイコツ戦士より、反対の通路側の方がヤバイとハジメは感じていた。

 

十メートル級の魔法陣からは体長十メートル級の四足で頭部に兜のような物を取り付けた魔物が出現したからだ。もっとも近い既存の生物に例えるならトリケラトプスだろうか。ただし、瞳は赤黒い光を放ち、鋭い爪と牙を打ち鳴らしながら、頭部の兜から生えた角から炎を放っているという付加要素が付くが……

 

 メルド団長が呟いた〝ベヒモス〟という魔物は、大きく息を吸うと凄まじい咆哮を上げた。

 

「グルァァァァァアアアアア!!」

 

「ッ!?」

 

 その咆哮で正気に戻ったのか、メルド団長が矢継ぎ早に指示を飛ばす。

 

「アラン! 生徒達を率いてトラウムソルジャーを突破しろ! カイル、イヴァン、ベイル! 全力で障壁を張れ! ヤツを食い止めるぞ! 光輝、お前達は早く階段へ向かえ!」

 

「待って下さい、メルドさん! 俺達もやります! あの恐竜みたいなヤツが一番ヤバイでしょう! 俺達も……」

 

「馬鹿野郎! あれが本当にベヒモスなら、今のお前達では無理だ! ヤツは六十五階層の魔物。かつて、“最強”と言わしめた冒険者をして歯が立たなかった化け物だ! さっさと行け! 私はお前達を死なせるわけにはいかないんだ!」

 

 どうにか撤退させようと、再度メルドが光輝に話そうとした瞬間、ベヒモスが咆哮を上げながら突進してきた。このままでは、撤退中の生徒達を全員轢殺してしまうだろう。

 

 そうはさせるかと、ハイリヒ王国最高戦力が全力の多重障壁を張る。

 

「「「全ての敵意と悪意を拒絶する、神の子らに絶対の守りを、ここは聖域なりて、神敵を通さず――〝聖絶〟!!」」」

 

そこでツナが右手を前に出して魔法を発動する。

 

「リフレクション」

 

するとベヒモスは突っ込んで来た威力をそのままベヒモスに与える。

 

「グルァアア!?」

 

そしてツナはリフレクションを破壊する為魔法を発動する。

 

「リフレクションバースト!」

 

ツナはリフレクションを破壊しベヒモスにダメージを与え爆風を起こしベヒモスから距離を取る。

 

「ちっ、ほんの少しダメージが入っただけか」

 

そして二メートル四方の最高級の紙に描かれた魔法陣と四節からなる詠唱、さらに三人同時発動。一回こっきり一分だけの防御であるが、何物にも破らせない絶対の守りが顕現する。純白に輝く半球状の障壁がベヒモスの突進を防ぐ!

 

 衝突の瞬間、凄まじい衝撃波が発生し、ベヒモスの足元が粉砕される。橋全体が石造りにもかかわらず大きく揺れた。撤退中の生徒達から悲鳴が上がり、転倒する者が相次ぐ。

 

 トラウムソルジャーは三十八階層に現れる魔物だ。今までの魔物とは一線を画す戦闘能力を持っている。前方に立ちはだかる不気味な骸骨の魔物と、後ろから迫る恐ろしい気配に生徒達は半ばパニック状態になっている。

 

 隊列など無視して我先にと階段を目指してがむしゃらに進んでいく。騎士団員の一人、アランが必死にパニックを抑えようとするが、目前に迫る恐怖により耳を傾ける者はいない。

 

 その内、一人の女子生徒が後ろから突き飛ばされ転倒してしまった。「うっ」と呻きながら顔を上げると、眼前で一体のトラウムソルジャーが剣を振りかぶっていた。

 

「あ」

 

 そんな一言と同時に彼女の頭部目掛けて剣が振り下ろされたが

 

ガキィン

 

 死ぬ――女子生徒がそう感じた次の瞬間、トラウムソルジャーの剣が弾かれ更に足元が突然隆起した。

 

 バランスを崩したトラウムソルジャーの剣は彼女から逸れてカンッという音と共に地面を叩くに終わる。更に、地面の隆起は数体のトラウムソルジャーを巻き込んで橋の端へと向かって波打つように移動していき、遂に奈落へと落とすことに成功した。

 

 橋の縁から二メートルほど手前には、座り込みながら荒い息を吐くハジメの姿があった。ハジメは連続で地面を錬成し、滑り台の要領で魔物達を橋の外へ落としたのである。いつの間にか、錬成の練度が上がっており、連続で錬成が出来るようになっていたおかげだ。錬成範囲も少し広がったようだ。

 

 錬成は触れた場所から一定範囲にしか効果が発揮されないので、トラウムソルジャーの剣の間合いで地面にしゃがまなければならず、緊張と恐怖でハジメの内心は一杯一杯だったが。

 

 魔力回復薬を飲みながら倒れた女子生徒のもとへ駆け寄るツナとハジメ。錬成用の魔法陣が組み込まれた手袋越しに女子生徒の手を引っ張り立ち上がらせる。

 

 呆然としながら為されるがままの彼女に、ハジメが笑顔で声をかけた。

 

「早く前へ。大丈夫、冷静になればあんな骨どうってことないよ。うちのクラスは僕を除いて全員チートなんだから!」

 

「死んだらゆるさねぇよ、生きて帰ろうぜ園部!」

 

 自信満々で背中をバシッと叩くハジメと隣にいるツナをマジマジと見る女子生徒は、次の瞬間には「うん! ありがとう!」と元気に返事をして駆け出した。

 

ハジメは周囲のトラウムソルジャーの足元を崩して固定し、足止めをしながら周囲を見渡し、ツナがそれを斬り伏せる。

 

 誰も彼もがパニックになりながら滅茶苦茶に武器や魔法を振り回している。このままでは、いずれ死者が出る可能性が高い。騎士アランが必死に纏めようとしているが上手くいっていない。そうしている間にも魔法陣から続々と増援が送られてくる。

 

「なんとかしないと……必要なのは……強力なリーダー……道を切り開く火力……天之河くん!」

 

「ハジメ、俺も行く!共に戦おう!」

 

「うん!行こう!」

 

 ツナとハジメは走り出した。光輝達のいるベヒモスの方へ向かって。

 

ベヒモスは依然、障壁に向かって突進を繰り返していた。

 

 障壁に衝突する度に壮絶な衝撃波が周囲に撒き散らされ、石造りの橋が悲鳴を上げる。障壁も既に全体に亀裂が入っており砕けるのは時間の問題だ。既にメルド団長も障壁の展開に加わっているが焼け石に水だった。

 

「ええい、くそ! もうもたんぞ! 光輝、早く撤退しろ! お前達も早く行け!」

 

「嫌です! メルドさん達を置いていくわけには行きません! 絶対、皆で生き残るんです!」

 

「くっ、こんな時にわがままを……」

 

 メルド団長は苦虫を噛み潰したような表情になる。

 

 この限定された空間ではベヒモスの突進を回避するのは難しい。それ故、逃げ切るためには障壁を張り、押し出されるように撤退するのがベストだ。

 

 しかし、その微妙なさじ加減は戦闘のベテランだからこそ出来るのであって、今の光輝達には難しい注文だ。

 

 その辺の事情を掻い摘んで説明し撤退を促しているのだが、光輝は〝置いていく〟ということがどうしても納得できないらしく、また、自分ならベヒモスをどうにかできると思っているのか目の輝きが明らかに攻撃色を放っている。

 

 まだ、若いから仕方ないとは言え、少し自分の力を過信してしまっているようである。戦闘素人の光輝達に自信を持たせようと、まずは褒めて伸ばす方針が裏目に出たようだ。

 

「光輝! 団長さんの言う通りにして撤退しましょう!」

 

 雫は状況がわかっているようで光輝を諌めようと腕を掴む。

 

「へっ、光輝の無茶は今に始まったことじゃねぇだろ? 付き合うぜ、光輝!」

 

「龍太郎……ありがとな」

 

 しかし、龍太郎の言葉に更にやる気を見せる光輝。それに雫は舌打ちする。

 

「状況に酔ってんじゃないわよ! この馬鹿ども!」

 

「雫ちゃん……」

 

 苛立つ雫に心配そうな香織。

 

「神聖なる鎖よ、我らに仇なす敵を捕らえよ! セイクリッドチェイン!!」

 

そして光の鎖がベヒモスを縛り上げる

 

 その時、二人の男子が光輝の前に飛び込んできた。

 

「南雲君!、ツナ!?」

 

「なっ、南雲!?、沢田!?」

 

「南雲!?、沢田!?」

 

 驚く一同にハジメは必死の形相でまくし立てる。

 

「早く撤退を! 皆のところに! 君がいないと! 早く!」

 

「いきなりなんだ? それより、なんでこんな所にいるんだ!  ここは俺達に任せて南雲は……」

 

「そんなこと言っている場合じゃねぇだろ!!こっからは俺とハジメで相手する。」

 

 ハジメに撤退するように促そうとしたがツナが光輝の言葉を遮って、ツナは乱暴な口調で怒鳴り返した。

 

 いつも見守るような大人しいイメージやこの世界に来てからは戦争なんざ興味もないと言った様な態度とは違うギャップに思わず硬直する光輝。

 

「あれが見えないの!? みんなパニックになってる! リーダーがいないからだ!」

 

 光輝の胸ぐらを掴みながら指を差すハジメ。

 

 その方向にはトラウムソルジャーに囲まれ右往左往しているクラスメイト達がいた。

 

 訓練のことなど頭から抜け落ちたように誰も彼もが好き勝手に戦っている。効率的に倒せていないから敵の増援により未だ突破できないでいた。スペックの高さが命を守っているが、それも時間の問題だろう。

 

「一撃で切り抜ける力が必要なんだ! 皆の恐怖を吹き飛ばす力が! それが出来るのはリーダーの天之河くんだけでしょ! 前ばかり見てないで後ろもちゃんと見て!」

 

 呆然と、混乱に陥り怒号と悲鳴を上げるクラスメイトを見る光輝は、ぶんぶんと頭を振るとハジメに頷いた。

 

「ああ、わかった。直ぐに行く! メルド団長! すいませ――」

 

「下がれぇーー!」

 

 〝すいません、先に撤退します〟――そう言おうとしてメルド団長を振り返った瞬間、その団長の悲鳴と同時に、遂に障壁と光の鎖が砕け散った。

 

 暴風のように荒れ狂う衝撃波がツナと

 

ハジメ達を襲う。咄嗟に、ハジメが前に出て錬成により石壁を作り出すがあっさり砕かれ吹き飛ばされる。多少は威力を殺せたようだが……

 

 舞い上がる埃がベヒモスの咆哮で吹き払われた。

 

 そこには、倒れ伏し呻き声を上げる団長と騎士が三人。衝撃波の影響で身動きが取れないようだ。光輝達も倒れていたがすぐに起き上がる。メルド団長達の背後にいたことと、ハジメの石壁が功を奏したようだ。

 

 光輝が問う。それに苦しそうではあるが確かな足取りで前へ出る二人。

 

「やるしかねぇだろ!」

 

「……なんとかしてみるわ!」

 

 二人がベヒモスに突貫する。

 

「香織はメルドさん達の治癒を!」

「うん!」

 

 光輝の指示で香織が走り出す。ハジメは既に団長達のもとだ。戦いの余波が届かないよう石壁を作り出している。気休めだが無いよりマシだろう。

 

 光輝は、今の自分が出せる最大の技を放つための詠唱を開始した。

 

「神意よ! 全ての邪悪を滅ぼし光をもたらしたまえ! 神の息吹よ! 全ての暗雲を吹き払い、この世を聖浄で満たしたまえ! 神の慈悲よ! この一撃を以て全ての罪科を許したまえ!――〝神威〟!」

 

 詠唱と共にまっすぐ突き出した聖剣から極光が迸る。

 

 先の天翔閃と同系統だが威力が段違いだ。橋を震動させ石畳を抉り飛ばしながらベヒモスへと直進する。

 

 龍太郎と雫は、詠唱の終わりと同時に既に離脱している。ギリギリだったようで二人共ボロボロだ。この短い時間だけで相当ダメージを受けたようだ。

 

 放たれた光属性の砲撃は、轟音と共にベヒモスに直撃した。光が辺りを満たし白く塗りつぶす。激震する橋に大きく亀裂が入っていく。

 

「これなら……はぁはぁ」

 

「はぁはぁ、流石にやったよな?」

 

「だといいけど……」

 

 龍太郎と雫が光輝の傍に戻ってくる。光輝は莫大な魔力を使用したようで肩で息をしている。

 

 先ほどの攻撃は文字通り、光輝の切り札だ。残存魔力のほとんどが持っていかれた。背後では、治療が終わったのか、メルド団長が起き上がろうとしている。

 

そしてツナが

 

「クソッたれ!、最悪なフラグ立てやがって!やってねぇよ!無傷だよ!」

 

 そんな中、徐々に光が収まり、舞う埃が吹き払われる。

 

 その先には……

 

 無傷のベヒモスがいた。

 

「…嘘だろ」

 

 低い唸り声を上げ、光輝を射殺さんばかりに睨んでいる。と、思ったら、直後、スッと頭を掲げた。頭の角がキィーーーという甲高い音を立てながら赤熱化していく。そして、遂に頭部の兜全体がマグマのように燃えたぎった。

 

「ボケッとするな! 逃げろ!」

 

 メルド団長の叫びに、ようやく無傷というショックから正気に戻った光輝達が身構えた瞬間、ベヒモスが突進を始める。そして、光輝達のかなり手前で跳躍し、赤熱化した頭部を下に向けて隕石のように落下した。

 

光輝達は、咄嗟に横っ飛びで回避するも、着弾時の衝撃波をモロに浴びて吹き飛ぶ。ゴロゴロと地面を転がりようやく止まった頃には、満身創痍の状態だった。

 

 どうにか動けるようになったメルド団長が駆け寄ってくる。他の騎士団員は、まだ香織による治療の最中だ。ベヒモスはめり込んだ頭を抜き出そうと踏ん張っている。

 

「お前等、動けるか!」

 

 メルド団長が叫ぶように尋ねるも返事は呻き声だ。先ほどの団長達と同じく衝撃波で体が麻痺しているのだろう。内臓へのダメージも相当のようだ。

 

 メルド団長が香織を呼ぼうと振り返る。その視界に、駆け込んでくるハジメの姿を捉えた。

 

「坊主達! 香織を連れて、光輝を担いで下がれ!」

 

 ハジメにそう指示する団長。

 

 光輝を、光輝だけを担いで下がれ。その指示は、すなわち、もう一人くらいしか逃げることも敵わないということなのだろう。

 

 メルド団長は唇を噛み切るほど食いしばり盾を構えた。ここを死地と定め、命を賭けて食い止めるつもりだ。

 

 そんな団長に、ハジメは必死の形相で、とある提案をする。それは、この場の全員が助かるかもしれない唯一の方法。ただし、あまりに馬鹿げている上に成功の可能性も少なく、ハジメが一番危険を請け負う方法だ。

 

 メルドは逡巡するが、ベヒモスが既に戦闘態勢を整えている。再び頭部の兜が赤熱化を開始する。時間がない。

 

ツナはこの国の刀をしまい雫に渡す。

 

「ツナ!?何武器しまっているの!早く構えなさい、死にたいの!」

 

「安心しろ死ぬつもりは全く無い。」

 

そしてツナはリングと一つの匣兵器を出してリングに炎を灯し匣に炎を注入する。

 

「開口」

 

すると匣からニ梃拳銃のXガンナーを取り出す。

 

その頃ハジメは

 

 

「……やれるんだな?」

 

「やりますよ、ツナも一緒ですから!」

 

 決然とした眼差しを真っ直ぐ向けてくるハジメに、メルド団長は「くっ」と笑みを浮かべる。

 

「まさか、お前さん達に命を預けることになるとはな。……必ず助けてやる。だから……頼んだぞ!」

 

「はい!」

 

そこにツナが来て

 

「良く言うぜ、そんな体たらくで。」

 

「くっ、言い返す言葉も無い。」

 

「さてと、いっちょ戦いますか!」

 

「うん!」

 

メルド団長はそう言うとベヒモスの前に出た。そして、簡易の魔法を放ち挑発する。ベヒモスは、先ほど光輝を狙ったように自分に歯向かう者を標的にする習性があるようだ。しっかりとその視線がメルド団長に向いている。

 

 そして、赤熱化を果たした兜を掲げ、突撃、跳躍する。メルド団長は、ギリギリまで引き付けるつもりなのか目を見開いて構えている。そして、小さく詠唱をした。

 

「吹き散らせ――〝風壁〟」

 

 詠唱と共にバックステップで離脱する。

 

その直後、ベヒモスの頭部が一瞬前までメルド団長がいた場所に着弾した。発生した衝撃波や石礫は〝風壁〟でどうにか逸らす。大雑把な攻撃なので避けるだけならなんとかなる。倒れたままの光輝達を守りながらでは全滅していただろうが。

 

ベヒモスの動きをハジメが止めツナは銃で攻撃する。

 

ツナは死ぬ気の炎銃にチャージして撃ち抜く。

 

ズガァアン、ズガァアン、ズガァアン

 

耳をつんざく様な音を鳴らしベヒモスを撃ち抜く。

 

 

雫はカラン、カラン、カランという音を聞いて音の正体を拾い上げ

ポケットにしまった。

 

「ハジメ、後どの位持ちそうだ!」

 

「そろそろキツイかもしれない!」

 

「そうか、ハジメベヒモスの地面を盛り上げる事は出来ないか?」

 

「難しいと思うけどやってみる!」

 

「頼む!」

 

ツナも銃に死ぬ気の炎をチャージして撃ち抜く。

 

ハジメはツナの指示通りベヒモスの地面を盛り上げようと奮闘する。

 

「――〝錬成〟!」

 

その間に、メルドは回復した騎士団員と香織を呼び集め、光輝達を担ぎ離脱しようとする。

 

 トラウムソルジャーの方は、どうやら幾人かの生徒が冷静さを取り戻したようで、周囲に声を掛け連携を取って対応し始めているようだ。立ち直りの原因が、実は先ほどハジメが助けた女子生徒だったりする。地味に貢献しているハジメである。

 

「待って下さい! まだ、ツナ君と南雲君がっ」

 

 その間に、メルドは回復した騎士団員と香織を呼び集め、光輝達を担ぎ離脱しようとする。

 

 トラウムソルジャーの方は、どうやら幾人かの生徒が冷静さを取り戻したようで、周囲に声を掛け連携を取って対応し始めているようだ。立ち直りの原因が、実は先ほどハジメが助けた女子生徒だったりする。地味に貢献しているハジメである。

 

坊主達の作戦だ! ソルジャーどもを突破して安全地帯を作ったら魔法で一斉攻撃を開始する! もちろん坊主がある程度離脱してからだ! 魔法で足止めしている間に坊主が帰還したら、上階に撤退だ!」

 

「なら私も残ります!」

 

「ダメだ! 撤退しながら、香織には光輝を治癒してもらわにゃならん!」

 

「でも!」

 

 なお、言い募る香織にメルド団長の怒鳴り声が叩きつけられる。

 

「坊主達の思いを無駄にする気か!」

 

「ッ――」

 

その頃ツナはベヒモスを相手にしながら超直感によって嫌な予感を感じ取っていた。

 

 

メルド団長を含めて、メンバーの中で最大の攻撃力を持っているのは間違いなくツナであるが、ツナは現在ハジメと共にベヒモスと戦闘中だ、次に天之河を少しでも早く治癒魔法を掛け回復させなければ、ベヒモスを足止めするには火力不足に陥るかもしれない。そんな事態を避けるには、香織が移動しながら光輝を回復させる必要があるのだ。ベヒモスはハジメの魔力が尽きて錬成ができなくなった時点で動き出す。

 

「天の息吹、満ち満ちて、聖浄と癒しをもたらさん――〝天恵〟」

 

 香織は泣きそうな顔で、それでもしっかりと詠唱を紡ぐ。淡い光が光輝を包む。体の傷と同時に魔力をも回復させる治癒魔法だ。

 

 メルド団長は、香織の肩をグッと掴み頷く。香織も頷き、もう一度、必死の形相で錬成を続けるハジメと必死にハジメが止めるベヒモスを倒そうと奮闘するツナを振り返った。そして、光輝を担いだメルド団長と、雫と龍太郎を担いだ騎士団員達と共に撤退を開始した。

 

 トラウムソルジャーは依然増加を続けていた。既にその数は二百体はいるだろう。階段側へと続く橋を埋め尽くしている。

 

誰もが、もうダメかもしれない、そう思ったとき……

 

「――〝天翔閃〟!」

 

 純白の斬撃がトラウムソルジャー達のド真ん中を切り裂き吹き飛ばしながら炸裂した。

 

 橋の両側にいたソルジャー達も押し出されて奈落へと落ちていく。斬撃の後は、直ぐに雪崩れ込むように集まったトラウムソルジャー達で埋まってしまったが、生徒達は確かに、一瞬空いた隙間から上階へと続く階段を見た。今まで渇望し、どれだけ剣を振るっても見えなかった希望が見えたのだ。

 

「皆! 諦めるな! 道は俺が切り開く!」

 

 そんなセリフと共に、再び〝天翔閃〟が敵を切り裂いていく。光輝が発するカリスマに生徒達が活気づく。

 

「お前達! 今まで何をやってきた! 訓練を思い出せ! さっさと連携をとらんか! 馬鹿者共が!」

 

 皆の頼れる団長が〝天翔閃〟に勝るとも劣らない一撃を放ち、敵を次々と打ち倒す。

 

 いつも通りの頼もしい声に、沈んでいた気持ちが復活する。手足に力が漲り、頭がクリアになっていく。実は、香織の魔法の効果も加わっている。精神を鎮める魔法だ。リラックスできる程度の魔法だが、光輝達の活躍と相まって効果は抜群だ。

 

 治癒魔法に適性のある者がこぞって負傷者を癒し、魔法適性の高い者が後衛に下がって強力な魔法の詠唱を開始する。前衛職はしっかり隊列を組み、倒すことより後衛の守りを重視し堅実な動きを心がける。

 

 治癒が終わり復活した騎士団員達も加わり、反撃の狼煙が上がった。チートどもの強力な魔法と武技の波状攻撃が、怒涛の如く敵目掛けて襲いかかる。凄まじい速度で殲滅していき、その速度は、遂に魔法陣による魔物の召喚速度を超えた。

 

 そして、階段への道が開ける。

 

「皆! 続け! 階段前を確保するぞ!」

 

 光輝が掛け声と同時に走り出す。

 

何故こんなにもツナが苦戦しているかと言うと、戦闘している場所が問題なのとハジメと共闘するにあたり強力な一撃にはそれなり時間がいる為だ。

ハジメが頑張っているのに手を休めていられないので高威力かつスピードが速い技で対応しているのだ。

 

「皆、待って!ツナ君と南雲君を助けなきゃ! ツナ君と南雲君がたった二人であの怪物を抑えてるの!」

 

香織の言葉に困惑するクラスメイト達が、数の減ったトラウムソルジャー越しに橋の方を見ると、そこには確かにハジメとツナの姿があった。

 

「なんだよあれ、何してんだ?」

 

「あの魔物、上半身が埋まってる?」

 

「怪物から血が吹き出している?」

 

「オレンジの炎?」

 

次々と疑問の声を漏らす生徒達にメルド団長が指示を飛ばす。

 

「そうだ! 坊主達がたった二人であの化け物を抑えているから撤退できたんだ! 前衛組! ソルジャーどもを寄せ付けるな! 後衛組は遠距離魔法準備! もうすぐ坊主の魔力が尽きる。アイツらが離脱したら一斉攻撃で、あの化け物を足止めしろ!」

 

「沢田、南雲、待ってろ!今行く!」

 

ツナはその声が聞こえたのか大きな声で天之河に向かって。

 

「来るな!邪魔だ!天之河そこでクラスの奴ら守ってろ!」

 

その声で天之河は足を止めた。

 

『X SKY CAOS SHOT』

 

ズガァアン、ズガァアン、

 

「ハジメ!」

 

ツナはハジメに魔力回復薬投げ渡しハジメはそれを飲み回復する。

 

ビリビリと腹の底まで響くような声に気を引き締め直す生徒達。中には階段の方向を未練に満ちた表情で見ている者もいる。

 

 無理もない。ついさっき死にかけたのだ。一秒でも早く安全を確保したいと思うのは当然だろう。しかし、団長の「早くしろ!」という怒声に未練を断ち切るように戦場へと戻った。

 

 その中には檜山大介もいた。自分の仕出かした事とはいえ、本気で恐怖を感じていた檜山は、直ぐにでもこの場から逃げ出したかった。

 

 しかし、ふと脳裏にあの日の情景が浮かび上がる。

 

 それは、迷宮に入る前日、ホルアドの町で宿泊していたときのこと。

 

 緊張のせいか中々寝付けずにいた檜山は、トイレついでに外の風を浴びに行った。涼やかな風に気持ちが落ち着いたのを感じ部屋に戻ろうとしたのだが、その途中、ネグリジェ姿の香織を見かけたのだ。

 

 初めて見る香織の姿に思わず物陰に隠れて息を詰めていると、香織は檜山に気がつかずに通り過ぎて行った。

 

 気になって後を追うと、香織はとある部屋の前で立ち止まりノックをした。その扉から出てきたのは……ハジメだった。

 

 檜山は頭が真っ白になった。檜山は香織に好意を持っている。しかし、自分とでは釣り合わないと思っており、光輝のような相手なら、所詮住む世界が違うと諦められた。

 

 しかし、ハジメは違う。自分より劣った存在(檜山はそう思っている)が香織の傍にいるのはおかしい。それなら自分でもいいじゃないか、と端から聞けば頭大丈夫? と言われそうな考えを檜山は本気で持っていた。

 

 溜まっていた不満は、憎悪にまで膨れ上がっていた。香織が見蕩れていたグランツ鉱石を手に入れようとしたのも、その気持ちが焦りとなってあらわれたからだ。

 

 その時のことを思い出した檜山は、たった二人でベヒモスを抑えるハジメとツナを見て、今も祈るようにハジメとツナを案じる香織を視界に捉え……

 

 ほの暗い笑みを浮かべた、その様子を一人の少女と少年が見ている事に気付かずに。

 

檜山が暗い笑みを浮かべている頃ツナの超直感が警鐘を鳴らし始めた。

 

ツナは気を抜く事なく更に引き締め戦闘に臨む。

 

その頃、ハジメはもう直ぐ自分の魔力が尽きるのを感じていた。既に回復薬はない。ツナに貰った回復薬もきれた、チラリと後ろを見るとどうやら全員撤退できたようである。隊列を組んで詠唱の準備に入っているのがわかる。

 

 ベヒモスは相変わらずもがいているが、この分なら錬成を止めても数秒は時間を稼げるだろう。その間に少しでも距離を取らなければならない。

 

 額の汗が目に入る。極度の緊張で心臓がバクバクと今まで聞いたことがないくらい大きな音を立てているのがわかる。

 

 ハジメはツナとアイコンタクトで意思疎通を図り二人でタイミングを見計らった。

 

 そして、数十度目の亀裂が走ると同時に最後のツナの攻撃をベヒモスに打ち込みハジメの最後の錬成でベヒモスを拘束する。二人同時に一気に駆け出した。

 

ツナとハジメが猛然と逃げ出した後、地面が破裂するように粉砕されベヒモスが咆哮と共に起き上がる。その眼に、憤怒の色が宿っているだろう鋭い眼光が己に無様を晒させた怨敵を探し……

 

 そしてツナとハジメを捉えた。

 

 再度、怒りの咆哮を上げるベヒモス。ツナとハジメを追いかけようと四肢に力を溜めた。

 

 だが、次の瞬間、あらゆる属性の攻撃魔法が殺到した。

 

 夜空を流れる流星の如く、色とりどりの魔法がベヒモスを打ち据える。ダメージはやはり無いようだが、しっかりと足止めになっている。

 

 いける! と確信し、転ばないよう注意しながら頭を下げて全力で走るハジメとツナ。すぐ頭上を致死性の魔法が次々と通っていく感覚は正直生きた心地がしないが、チート集団がそんなミスをするはずないと信じて駆けるハジメ。超直感が警鐘を鳴らす中必死に走るツナそしてベヒモスとの距離は既に三十メートルは広がった。

 

 

 思わず、頬が緩む。

 

 しかし、その直後、ツナとハジメの表情は凍りついた。

 

 無数に飛び交う魔法の中で、一つの火球がクイッと軌道を僅かに曲げたのだ。

 

 ……ツナとハジメの方に向かって。

 

 明らかにツナとハジメを狙い誘導されたものだ。

 

(なんで!?)

 

(クソッ、嫌な予感が的中した。ハジメだけでも逃す!)

 

 疑問や困惑、驚愕が一瞬で脳内を駆け巡り、ハジメは愕然とする。

 

 咄嗟に踏ん張り、止まろうと地を滑るハジメの眼前に、その火球は突き刺さったかに思えたがツナがハジメを庇い着弾の衝撃波をモロに浴び、来た道を引き返すように吹き飛ぶ。直撃は避けたし、内臓などへのダメージもないが、三半規管をやられ平衡感覚が狂ってしまった。

 

 ツナはフラフラしながら少しでも前に進もうと立ち上がるが……

 

 ベヒモスも、いつまでも一方的にやられっぱなしではなかった。ツナが立ち上がった直後、背後で咆哮が鳴り響く。ツナに庇われ前を走らされていたハジメは思わず振り返ると三度目の赤熱化をしたベヒモスの眼光がしっかりツナを捉えていた。

 

 そして、赤熱化した頭部を盾のようにかざしながらツナに向かって突進する!

 

 フラつく頭、霞む視界、迫り来るベヒモス、遠くで焦りの表情を浮かべ悲鳴と怒号を上げるクラスメイト達。

 

 ツナは、なけなしの力を振り絞り、必死にその場を飛び退いた。直後、怒りの全てを集束したような激烈な衝撃が橋全体を襲った。ベヒモスの攻撃で橋全体が震動する。着弾点を中心に物凄い勢いで亀裂が走る。メキメキと橋が悲鳴を上げる。ハジメはツナを助けようと戻って来る。

 

橋が崩壊する前にツナは檜山が俺とハジメを狙って魔法を発動したのをしっかり見ていた。

 

 そして遂に……橋が崩壊を始めた。

 

ハジメはツナを助けようと最後の力を振り絞って引き上げる

 

 度重なる強大な攻撃にさらされ続けた石造りの橋は、遂に耐久限度を超えたのだ。

 

「グウァアアア!?」

 

 悲鳴を上げながら崩壊し傾く石畳を爪で必死に引っ掻くベヒモス。しかし、引っ掛けた場所すら崩壊し、抵抗も虚しく奈落へと消えていった。ベヒモスの断末魔が木霊する。

 

 ハジメもなんとか脱出しようと這いずるそしてそこでツナが捕縛魔法バインドをハジメに巻き付けメルドさんがいる場所まで投げ飛ばしメルドさんがキャッチすると橋が崩れる。

 

(ああ、ダメだな……)

 

 そう思いながら対岸のクラスメイト達の方へ視線を向けると、香織が飛び出そうとして雫や光輝に羽交い締めにされているのが見えたそして

他のクラスメイトは青褪めたり、目や口元を手で覆ったりしている。メルド達騎士団の面々も悔しそうな表情でツナを見ていた。

 

 そして、ツナの足場も完全に崩壊し、ハジメは手を必死にツナに向かって手を伸ばすが届かず涙を流すハジメは仰向けになりながら奈落へと落ちていった。徐々に小さくなる光に手を伸ばしながら……

 



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第9話 奈落の底

ザァーと水の流れる音がする。

 

 冷たい微風が頬を撫で、冷え切った体が身震いした。頬に当たる硬い感触と下半身の刺すような冷たい感触に「うっ」と呻き声を上げてツナは目を覚ました。

 

 ボーとする頭、ズキズキと痛む全身に眉根を寄せながら両腕に力を入れて上体を起こす。

 

「痛っ~、ここは……俺は確か……」

 

 ふらつく頭を片手で押さえながら、記憶を辿りつつ辺りを見回す。

 

 周りは薄暗いが緑光石の発光のおかげで何も見えないほどではない。視線の先には幅五メートル程の川があり、ツナの下半身が浸かっていた。上半身が、突き出た川辺の岩に引っかかって乗り上げたようだ。

 

「そうだ……確か、ハジメが落ちそうなのを庇って、その時橋が壊れて落ちたんだ。……それで……」

 

 霧がかかったようだった頭が回転を始める。

 

 ツナが奈落に落ちていながら助かったのは全くの幸運だった。

 

 落下途中の崖の壁に穴があいており、そこから鉄砲水の如く水が噴き出していたのだ。ちょっとした滝である。そのような滝が無数にあり、ツナは何度もその滝に吹き飛ばされながら次第に壁際に押しやられ、最終的に壁からせり出ていた横穴からウォータースライダーの如く流されたのである。とてつもない奇跡だ。

 

 もっとも、横穴に吹き飛ばされた時、体を強打し意識を飛ばしていたのでツナ自身は、その身に起きた奇跡を理解していないが。

 

「よく思い出せないけど、とにかく、助かったんだな。……はっくしゅん! ざ、寒い」

 

 地下水という低温の水にずっと浸かっていた為に、すっかり体が冷えてしまっている。このままでは低体温症の恐れもあると早々に川から上がる。ガクガクと震えながら服を脱ぎ、絞っていく。

 

 そして、パンツ一枚になると固有空間から鞄を取り出し、そこから着替えの下着や服の上下を取り出し着替える。濡れた服や靴や靴下などは母奈々から最初に教わった生活用魔法で洗い乾燥させ鞄に畳んで入れ新しい靴や靴下を出し履く。

 

「ぐっ、まだ寒いな……」

 

ツナは錬成魔法で地面の岩を暖を取れるように形に変え暖をとる為に魔法を使う。

 

 望むのは火種の魔法だ。その辺の子供でも十センチ位の魔法陣で出すことができる簡単な魔法。

 

 しかし、今ここには魔法行使の効率を上げる魔石がないが、ツナには関係ない。ツナには魔力操作がある為無詠唱な上に魔法式要らずである、それに加えて全属性魔法適正を持つ為魔法に関してはチートである。

 

だがツナは遊び心を持って魔法式を書き詠唱してみる。

 

「求めるは火、其れは力にして光、顕現せよ、〝火種〟 ……言いたいことがあると言えば、長い!長すぎる!たった火を起こすだけでこの詠唱は長すぎる!マジであり得ない!」

 

 魔法詠唱の長さに文句を言いつつも、それでも発動した拳大の炎で暖をとる。

 

「ここどこだ。……だいぶ落ちたんだと思うが……さて帰れるか?……」

 

 暖かな火に当たりながら気持ちが落ち着いてくると、次第に不安が胸中を満たしていく。

 

 無性に泣きたくなって目の端に涙が溜まり始めるが、今泣いては心が折れてしまいそうでグッと堪える。ゴシゴシと目元を拭って溜まった涙を拭うと、ツナは両手でパンッと頬を叩いた。

 

「やるしかない。なんとか地上に戻ろう。大丈夫、きっと大丈夫だ」

 

 自分に言い聞かせるように呟き、俯けていた顔を起こし決然とした表情でジッと炎を見つめた。

 

 二十分ほど暖をとり服もあらかた乾いたので出発することにする。どの階層にいるのかはわからないが迷宮の中であるのは間違いない以上、どこに魔物が潜んでいてもおかしくない。

 

 ツナは慎重に慎重を重ねて奥へと続く巨大な通路に歩を進めた。

 

 ツナが進む通路は正しくは洞窟といった感じだった。

 

 低層の四角い通路ではなく岩や壁があちこちからせり出し通路自体も複雑にうねっている。二十階層の最後の部屋のようだ。

 

 ただし、大きさは比較にならない。複雑で障害物だらけでも通路の幅は優に二十メートルはある。狭い所でも十メートルはあるのだから相当な大きさだ。歩き難くはあるが、隠れる場所も豊富にあり、ハジメは物陰から物陰に隠れながら進んでいった。

 

 そうやってどれくらい歩いただろうか。

 

 ツナはそろそろ疲れを感じ始めた頃、遂に初めての分かれ道にたどり着いた。巨大な四辻である。ツナは岩の陰に隠れながら、どの道に進むべきか逡巡した。

 

 しばらく考え込んでいると、視界の端で何かが動いた気がして慌てて岩陰に身を潜める。

 

 そっと顔だけ出して様子を窺うと、ツナのいる通路から直進方向の道に白い毛玉がピョンピョンと跳ねているのがわかった。長い耳もある。見た目はまんまウサギだった。

 

 ただし、大きさが中型犬くらいあり、後ろ足がやたらと大きく発達している。そして何より赤黒い線がまるで血管のように幾本も体を走り、ドクンドクンと心臓のように脈打っていた。物凄く不気味である。

 

 明らかにヤバそうな魔物なので、直進は避けて右か左の道に進もうと決める。ウサギの位置からして右の通路に入るほうが見つかりにくそうだ。

 

 ツナは息を潜めてタイミングを見計らう。そして、ウサギが後ろを向き地面に鼻を付けてフンフンと嗅ぎ出したところで、今だ! と飛び出そうとした。

 

 その瞬間、ウサギがピクッと反応したかと思うとスッと背筋を伸ばし立ち上がった。警戒するように耳が忙しなくあちこちに向いている。

 

(やばい! み、見つかった? だ、大丈夫だよな?)

 

 岩陰に張り付くように身を潜めながらバクバクと脈打つ心臓を必死に抑える。あの鋭敏そうな耳に自分の鼓動が聞かれそうな気がして、ツナは冷や汗を流す。

 

 だが、ウサギが警戒したのは別の理由だったようだ。

 

「グルゥア!!」

 

 獣の唸り声と共に、これまた白い毛並みの狼のような魔物がウサギ目掛けて岩陰から飛び出したのだ。

 

 その白い狼は大型犬くらいの大きさで尻尾が二本あり、ウサギと同じように赤黒い線が体に走って脈打っている。

 

 どこから現れたのか一体目が飛びかかった瞬間、別の岩陰から更に二体の二尾狼が飛び出す。

 

 再び岩陰から顔を覗かせその様子を観察するハジメ。どう見ても、狼がウサギちゃん(ちゃん付けできるほど可愛くないが)を捕食する瞬間だ。

 

 ツナは、このドサクサに紛れて移動しようかと腰を浮かせた。

 

 だがしかし……

 

「キュウ!」

 

 可愛らしい鳴き声を洩らしたかと思った直後、ウサギがその場で飛び上がり、空中でくるりと一回転して、その太く長いウサギ足で一体目の二尾狼に回し蹴りを炸裂させた。

 

ドパンッ!

 

 およそ蹴りが出せるとは思えない音を発生させてウサギの足が二尾狼の頭部にクリーンヒットする。

 

 すると、

 

ゴギャ!

 

 という鳴ってはいけない音を響かせながら狼の首があらぬ方向に捻じ曲がってしまった。

 

 ツナは腰を浮かせたまま硬直する。

 

 そうこうしている間にも、ウサギは回し蹴りの遠心力を利用して更にくるりと空中で回転すると、逆さまの状態で空中を踏みしめて・・・・・・・・地上へ隕石の如く落下し、着地寸前で縦に回転。強烈なかかと落としを着地点にいた二尾狼に炸裂させた。

 

ベギャ!

 

 断末魔すら上げられずに頭部を粉砕される狼二匹目。

 

 その頃には更に二体の二尾狼が現れて、着地した瞬間のウサギに飛びかかった。

 

 今度こそウサギの負けかと思われた瞬間、なんとウサギはウサミミで逆立ちしブレイクダンスのように足を広げたまま高速で回転をした。

 

 飛びかかっていた二尾狼二匹が竜巻のような回転蹴りに弾き飛ばされ壁に叩きつけられる。グシャという音と共に血が壁に飛び散り、ズルズルと滑り落ち動かなくなった。

 

 最後の一匹が、グルルと唸りながらその尻尾を逆立てる。すると、その尻尾がバチバチと放電を始めた。どうやら二尾狼の固有魔法のようだ。

 

「グルゥア!!」

 

 咆哮と共に電撃がウサギ目掛けて乱れ飛ぶ。

 

 しかし、高速で迫る雷撃をウサギは華麗なステップで右に左にとかわしていく。そして電撃が途切れた瞬間、一気に踏み込み二尾狼の顎にサマーソルトキックを叩き込んだ。

 

 二尾狼は、仰け反りながら吹き飛び、グシャと音を立てて地面に叩きつけられた。二尾狼の首は、やはり折れてしまっているようだ。

 

 蹴りウサギは、

 

「キュ!」

 

 と、勝利の雄叫び? を上げ、耳をファサと前足で払った。

 

(……嘘だろ!?マジかよ!……)

 

 乾いた笑みを浮かべるツナ。ヤバイなんてものじゃない。ツナ達が散々苦労したトラウムソルジャーがまるでオモチャに見える。もしかしたら単純で単調な攻撃しかしてこなかったベヒモスよりも、余程強いかもしれない。

 

 ツナは、「戦ってもいいけど面倒臭い」と、表情を浮かべながら警戒隊勢に入る。

 

 すると

 

カラン

 

 その音は洞窟内にやたらと大きく響いた。

 

 下がった拍子に足元の小石を蹴ってしまったのだ。あまりにベタで痛恨のミスである。ツナの額から冷や汗が噴き出る。小石に向けていた顔をギギギと油を差し忘れた機械のように回して蹴りウサギを確認する。

 

 蹴りウサギは、ばっちりツナを見ていた。

 

 赤黒いルビーのような瞳がつなを捉え細められているツナはは蛇に睨まれたカエルのような顔をした。

 

 やがて、首だけで振り返っていた蹴りウサギは体ごとハジメの方を向き、足をたわめグッと力を溜める。

 

(来る!)

 

 ツナが本能と共に悟った瞬間、蹴りウサギの足元が爆発した。後ろに残像を引き連れながら、途轍もない速度で突撃してくる。

 

 気がつけばツナは、全力で風を槍の形に変え蹴りウサギの腹を貫いた。

 

 直後、一瞬前までツナのいた場所に砲弾のような蹴りが突き刺ささり、地面が爆発したように抉られた。硬い地面をゴロゴロと転がりながら、尻餅をつく形で停止するツナ。そして陥没した地面を貫く風槍を見る

 

 蹴りウサギはお腹を抑え痛むお腹を抑えゆらりと立ち上がり、再度、地面を爆発させながそしてツナに突撃する。

 

 ツナは咄嗟に地面を錬成して石壁を構築するも、その石壁を軽々と貫いて蹴りウサギの蹴りが地面にに炸裂した。

 

 咄嗟に複数の魔法障壁を張り攻撃を防ぐ

 

「ぐぅっ、危な!――」

 

 見ればまだ蹴りウサギは余裕そうに見える。

 

 蹴りウサギの目には見下すような、あるいは嘲笑うかのような色が見える。完全に遊ばれているようだ。

 

 ツナはその態度にムカつき戦闘態勢に入り腕に炎を纏う。

 

そしてツナは蹴りウサギに対して滅龍魔法で応戦する。

 

「火龍の斬撃!」

 

ザッシュ!ドゴォオオオオン!!

 

「キュ、キュウ〜」

 

バタリと蹴りウサギは力無く倒れた。

 

ツナは蹴りウサギを倒した後焼き尽くし消滅させる。

 

ツナは、奥に進んで行こうとした時魔物は現れた。

 

 その魔物は巨体だった。二メートルはあるだろう巨躯に白い毛皮。例に漏れず赤黒い線が幾本も体を走っている。その姿は、たとえるなら熊だった。ただし、足元まで伸びた太く長い腕に、三十センチはありそうな鋭い爪が三本生えているが。

 

「よぉ、熊なのかパンダなのかよくわからんが一応爪で攻撃するみたいだし爪熊にしとくか、まぁこの階層にいるといことは強いんだろ?なぁ俺を楽しませろよ!」

 

「行くぞ爪熊!魔力貯蔵は充分か、ここで俺はお前を倒し、神エヒトを殺す!」

 

ツナは滅龍の魔力を高める

 

「うぉおおお!!火龍の咆哮!!」

 

ゴォォオオオオオオオオオ!!

 

爪熊はそれを魔力を宿した爪を大きく振りかぶった攻撃で切り裂く

 

その隙をツナは見逃さず縮地法を使い爪熊の顔面に攻撃を叩き込む。

 

「火龍の鉄拳!」

 

ドゴォオオオオン!

 

「グゥオオオウ!?」

 

爪熊物凄い勢いと威力で壁に叩きつけられ壁を破壊していくき爪熊が止まったと思えばそこには水溜まりと光輝く神結晶が有った。



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第10話番外編 お粗末な悪意を断罪する豹変する錬成の魔王



今回もついて来れる読者様だけついて来な!


響き渡り消えゆくベヒモスの断末魔。ガラガラと騒音を立てながら崩れ落ちてゆく石橋。

 

 そして……

 

 瓦礫と共に奈落へと吸い込まれるように消えてゆくツナ。

 

 その光景を、まるでスローモーションのように緩やかになった時間の中で、ただ見ていることしかできない香織は自分に絶望する。

 

 香織の頭の中には、昨夜の光景が繰り返し流れていた。

 

 月明かりの射す部屋の中でツナの入れたお世辞にも美味しいとは言えない紅茶モドキをツナと雫とで飲みながら三人で話をした。あんなにじっくり話したのは初めてだった。

 

 

 夢見が悪く不安に駆られて、いきなり訪ねた香織と雫に随分と驚いていたツナ。それでも真剣に話を聞いてくれて、気がつけば不安は消え去り思い出話に花を咲かせていた。

 

 浮かれた気分で部屋に戻ったあと、今更のように自分が随分と大胆な格好をしていたことに気がつき、羞恥に身悶えると同時に、特に反応していなかったツナを思い出して自分には魅力がないのかと落ち込んだりした。一人百面相する香織と同室の雫と一緒に悩んだのも黒歴史だろう。

 

 そして、あの晩、一番重要なことは、香織と雫が約束をしたことだ。

 

 〝ツナ君を雫ちゃんと一緒に支える〟という約束。香織の不安を和らげるために提案してくれた香織のための約束だ。奈落の底へ消えたツナを見つめながら、その時の記憶が何度も何度も脳裏を巡る。

 

 どこか遠くで聞こえていた悲鳴が、実は自分のものだと気がついた香織は、急速に戻ってきた正常な感覚に顔を顰めた。

 

ハジメはツナに助けられ後にハジメは助けようとするが叶わずそのまま気絶した。

 

その後ハジメはメルドに担がれ自室まで運びこまれたのだ。

 

目を覚ましたハジメは己の拳を血が出るくらい握り締める。

 

ハジメは一緒に強くなろうと言っておきながら出来なかった。ツナが転入して来て初めての友人のツナを助けられなかった。助けて貰ったのに助けられなかった。ハジメは己の無力さを呪った。

 

ハジメは決意した檜山を断罪した後強くなってツナを探しに行くと。

きっと生きている。

ツナは生きていると心に言い聞かせる。

俺は強くなる、そして助けに行く!その言葉と共にハジメは豹変する。

 

そしてハジメは香織の元に行くと

 

「離して! ツナ君の所に行かないと! 約束したのに!ツナ君を私と雫ちゃんがぁ、雫ちゃんと私が支えるって! 離してぇ!」

 

 飛び出そうとする香織を雫と光輝が必死に羽交い締めにする。香織は、細い体のどこにそんな力があるのかと疑問に思うほど尋常ではない力で引き剥がそうとする。

 

 このままでは香織の体の方が壊れるかもしれない。しかし、だからといって、断じて離すわけにはいかない。今の香織を離せば、そのまま崖を飛び降りるだろう。それくらい、普段の穏やかさが見る影もないほど必死の形相だった。いや、悲痛というべきかもしれない。

 

「香織っ、ダメよ! 香織!」

 

 雫は自分の感情を押さえつける、そして香織の気持ちが分かっているからこそ、かけるべき言葉が見つからない。ただ必死に名前を呼ぶことしかできない。

 

「香織! 君まで死ぬ気か! 沢田はもう無理だ! 落ち着くんだ! このままじゃ、体が壊れてしまう!」

 

 それは、光輝なりに精一杯、香織・・を気遣った言葉。しかし、今この場で錯乱する香織には言うべきでない言葉だった。

 

「無理って何!? ツナ君は死んでない! 行かないと、きっと助けを求めてる!」

 

そこでハジメが来ると

 

「ハジメくん大丈夫なの!?」

 

「南雲君!大丈夫!?」

 

「俺の事はどうでもいい、安心しろツナは生きている。」

 

「「「「!!」」」」

 

「ハジメくん、本当にツナ君生きているの?」

 

「あぁ、大丈夫だ。」

 

「本当なのか!嘘じゃないだろうな!?」

 

「嘘でも冗談でも無い!言っていい事と悪いことがあるだろうが!」

 

ハジメは天之河の胸ぐらを掴みながら天之河に言う。

 

「…悪い、そうだよな。」

 

「アイツには即死無効化の技能があるそれにツナは天之河より強い。、だから生きている。」

 

「そうか……」

 

「それよりも犯人を捕まえないとな」

 

「犯人?何のだ?」

 

「最後生徒全員の魔法攻撃が放たれた時魔法の一つが突如軌道を変えて曲がって来た。その時俺とツナに対しての攻撃だった。ベヒモスに向いて放たれたと魔法と見せかけてのな」

 

「その時ツナが俺を庇い先に走らせたんだがその時一人だけ悪意に満ちた笑顔をしていた奴がいた。」

 

「あれは事故じゃ無いのか?」

 

「確実に故意で行われたものだ。それが一発だけじゃ無いからな数発はあった。」

 

「そ、そんな」

 

「犯人はわかっているのか?」

 

「あぁ、檜山大介だよ。」

 

「奴は俺とツナの事を快く思って無かったからな。」

 

「あぁ、成る程そう言うことか!」

 

「わかっただろ。」

 

その後

 

ハジメ達はみんなと合流した。

 

メルドさんに話をして納得してもらった。

 

その後ハジメ達は迷宮から抜け出し集まっていた。

 

天之河達は理解している為大丈夫だが突如ハジメが殺気を出した事に周りは顔面蒼白にしながらな見ていた。

 

「さてと何か言う事はあるか檜山大介。」

 

「な、何をだよ!」

 

「ほぅ、しらを切るか」

 

ハジメは殺気を出しながら笑顔で檜山に歩み出す。

 

「南雲くんなに笑っ…」

 

「光輝?」

 

「雫見てみろ、南雲の表情顔が笑っているのに眼が笑って無い。」

 

「相当切れてるのね南雲くんは……」

 

隣では香織も殺気を出している。

 

「テメェ、バレて無いと思ったら大間違いだ!テメェはベヒモスに対して魔法を一斉に放つ時テメェは誤爆と見せかけて俺とツナを狙っただろ。」

 

「な、何のことだよ!、あ、あれは事故だろ!」

 

「本気でそう思っているのか?そして何を焦っているんだ?やっていないなら堂々としていればいいのに。」

 

「ハジメ待て、どう言う事だ?」

 

「メルドさんが俺とツナの援護の為魔法を一斉に放つ指示をした時誤爆があっただろ。」

 

「あぁ、あったな。綱吉にぶつかって吹っ飛んだやつだな?」

 

「あぁ、そうだ。あれは実際事故に見せかけた故意に行われたものだ。」

 

「なっ!?」

 

その話を聞いていた生徒達全員と騎士全員が驚愕の表情に変わる。

 

「放たれた魔法はベヒモスに向かっていくはずだったが、突如軌道を変えて俺とハジメに向かって来た。それが二回程あった。」

 

「本来俺にに一発、ツナに一発当てる筈だったのだろうどれも高威力の魔法だ。まぁ、二発ともツナが庇い俺はくらっていないけどな。特に俺には属性耐性が無い。それを知っているのはステータスプレートを見た檜山とツナとメルドさんと先生だけだ、メルドさんと先生は導く立場の人だから除外。俺はツナと共に走っていたから除外後はお前だけなんだよ檜山、それにお前は俺とツナの事を快く思って無かっただろ。何故なら俺とツナは香織と仲が良かったからな。テメェは香織の事が好きだったもんなぁ、俺を虐めてたのもそれが気に食わなかったからだろ。本来ならツナも虐めようと思ってツナに突っかかったが帰り打ちにあったから俺のみにしたところだろうがな。好きな人に振り向いて欲しければ虐めなんてしてんじゃねぇよ!テメェの程度が知れるんだよ!そんな逆効果に決まってんだろ!それに俺はお前が魔法放つ時憎悪に満ちた笑顔で魔法を俺達に向けて放つのを見たんだよ!これでも言い逃れする気か?」

 

「そうだよね、私見たもん檜山が南雲くんと沢田君に魔法を放つところを!」

 

「俺も見たぞ!檜山が魔法使って二人を事故に見せかけて攻撃するの!」

 

闇術使いでビーストテイマーの清水と魔法少女の園部優香が証言した。

 

すると檜山は

 

「クソォオオオオ!!!死ね南雲オオオ!!!」

 

檜山は武器である剣を振りかぶって攻撃しようとするが

 

「俺は……テメェより切れてんだよ三下ァアア!!」

 

檜山の剣による攻撃をかわし一本背負いで地面に叩きつける。

 

「ぐぅうううう」

 

それでも檜山は抗おうとするが檜山はステータスではハジメ以上だが今の状態のハジメには敵わない。

 

ハジメの隠し技能・怒りの瞬間爆発

効果・短時間だけ全ステータスを相手のステータスの10倍のステータスにする。

 

「半永久的に苦しめ。」

 

天之河が話しかけて来た。

 

「南雲何をするつもりだ!?」

 

ハジメはツナが付与術を持って付与した魔法カード使用し檜山のステータスを一般レベルに落とし、さらに言語理解以外の技能を消し、さらには人に危害を加えようとしたり悪事を働こうと思うと闇の呪いによって身体が麻痺して行く。死ぬ事は無いが苦しみが強くなる魔法で本来敵の捕虜等に使用するものだがハジメは容赦なく使用する。

 

「ぐわぁあああああ」

 

檜山はハジメの使用した魔法によって苦しみ出すが痛みに耐えきれず気絶する。

 

「な、南雲?」

 

「なんだ?」

 

「檜山は死んだのか?」

 

「いや、死んではいない、彼奴程度の三下を俺自ら殺してやる価値も無い。ただ、気絶しているだけだ。まぁ、この呪いはツナ以外決して解呪する事は出来ないがな、例え神父でも修道女でも神だろうと。」

 

『!?』

 

「まぁ、帰ろうぜ。」

 

「そうだな、取り敢えず帰るか」

 

「うん、そうしようか。」

 

「そうね、色々あって疲れたわ。」

 

「…南雲くん?」

 

「何か考えているの?」

 

「八重樫?」

 

「貴方まで居なくならないでよ。もう友達を失いたくないのだからお願いだから無茶はしないでね。」

 

「ふっ、安心しろ俺は簡単には死なないよ。」

 

「白崎、殺気を解け檜山には呪いを施した。」

 

「うん、ありがとう。」

 

ホルアドの町に戻った一行は何かする元気もなく宿屋の部屋に入った。幾人かの生徒は生徒同士で話し合ったりしているようだが、ほとんどの生徒は真っ直ぐベッドにダイブし、そのまま深い眠りに落ちた。

 

そしてその後ハジメ達は王宮に戻り檜山はメルド達の尋問を受けている。

 

 



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第11話 奈落の底の封印部屋

今回もついて来れる読者様だけついて来な!


ツナは爪熊を殴り飛ばした先に神結晶と神結晶から出た神水の水溜りを見つけた。

 

ツナは爪熊を炎で焼きつくし灰にして神水を以前神器で作り出した容器に入れて固有空間にしまった。

 

そこで思い出した。神器といえば使えるのか、使う事が出来れば戦いが有利になる。

 

そこでツナは魔物が入って来ないように視認阻害結界と防御結界を張って神器の中に意識を集中させる。すると

 

久し振りに精神世界に来た。

 

おーい、ドライグ、ミラ〜いるか〜?

 

すると大きな赤い龍と白銀に赤いラインの入った龍がやって来た。

 

 

「相棒!無事だったか!」

 

「ツナ!無事だったのね!」

 

「あぁ、無事だ、神器って使えるのか?」

 

「それに関しては私が答えるわ、私の方は禁手は使えないけど普通の創造や能力は使えるようになっているから安心して、念話で私達とも話せるから、赤龍帝の籠手に関しては使えるわだから暫くの間はドライグと共に頑張って。直ぐにこちらも使えるようにするから。」

 

「そうか助かる。ミラよろしく頼む。」

 

「えぇ、任せておいて!ツナの為ですもの!」

 

「ドライグも頼むな!」

 

「あぁ、わかっている。相棒は強いが無茶だけはするなよ?」

 

「あぁ、わかった。」

 

すると奥の方から一人の女性がやって来た。

 

「ツナ〜」

 

「エルシャさん!?どうしてここに?」

 

「それは、ツナに会いに来たのよ!」

 

「えぇ、ツナが久しぶりにここに来たってドライグが言っていたから!」

 

「ツナ、たまには私ともデートしましょう❤️❤️」

 

「エルシャさん既に肉体無いじゃないですか、既に魂の状態でここに宿っているんですから。」

 

「それじゃあ、ツナが肉体を作ってよ!創造と再生のリングで。」

 

「エルシャさんの肉体って何処に埋められているんですか?」

 

「確かイタリアの……にあると思うわ。」

 

「肉体は腐らない様にしてあるんですよね?」

 

「えぇ、肉体の損傷も腐敗もしないように保護して埋葬してあるわよ。」

 

「本来墓荒らしをするのは赦される事ではないしやりたくもないんですけどエルシャさんの為ですのでやりますけど許して下さいね?」

 

「えぇ、もちろん許すわ。それで出来そう?」

 

「そうですね、おそらく出来ると思います。創造と再生のリングでやるのは最後の手段ですね。それでもいいなら。」

 

「ふふ、えぇそれでいいわ!それじゃあ元の世界に戻ったらよろしくね!」

 

チュ❤️

 

エルシャは唇にキスをする

 

「それじゃあまたね、ツナ!」

 

「あぁ、またねエルシャさん。」

 

ツナは精神世界から現実に戻り、神器を使いフェニックスの涙を12ダースとエリクサーを20本作成する。

 

ツナはステータスプレートを確認する。

 

=======================

沢田綱吉 16歳 男 レベル:55

天職:魔導士(騎士王・魔導帝王・英雄・祖龍神皇帝・神殺しの大空・赤龍神帝王、真なる赤龍神炎光帝・赤龍帝・赤龍帝王)

筋力:4500[Error]

体力:4800[Error]

耐性:5000[Error]

敏捷:5500[Error]

魔力:6800[∞]

魔耐:6800[∞]

技能:全属性適性・複合魔法・光技・闇術・心意・神聖術・付与術・滅龍魔法・滅神魔法・滅悪魔法・全属性耐性極・物理耐性極・剣神術・銃神術・剛力・縮地・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+効率上昇][+身体強化][+魔力錬成]・呪力・崩力[+魔力+呪力]・冥力[呪力-呪]・絶力[+冥力+魔力] 想像構成[+イメージ補強力超上昇][+複数同時構成][+遅延発動]・創造魔法[+魔法創造][+アイテム創造][+アイテム転送][+技能創造][+技能譲渡][+銃創造][+刀剣創造]・超高速魔力回復・偽装・限界突破・毒素分解EX・超経験値獲得・武器召喚・真名解放・言語理解・日本神話の神々の加護[+即死無効化][+状態異常無効化]・和剣鍛造[+魔剣鍛造][+聖剣鍛造][+神剣鍛造][+聖魔剣鍛造]

=======================

 

ツナはステータスプレート原型のボンゴレリング指に装着して

奥を目指し進み続ける。途中トレントみたいな敵に出くわした時に攻撃方法がリンゴのような果物(味はスイカ)の実を投げて攻撃するという敵がいたので無我夢中で狩り尽くした。

リンゴ擬きの実は固有空間にしまつてある

 

そしてどんどん進んで行き50階層まで到着した。

 

 ツナは、この五十層で作った拠点にて銃技や蹴り技、錬成の鍛錬を積みながら少し足踏みをしていた。というのも、階下への階段は既に発見しているのだが、この五十層には明らかに異質な場所があったのだ。

 

 それは、なんとも不気味な空間だった。

 

 脇道の突き当りにある空けた場所には高さ三メートルの装飾された荘厳な両開きの扉が有り、その扉の脇には二対の一つ目巨人の彫刻が半分壁に埋め込まれるように鎮座していたのだ。

 

 ツナはその空間に足を踏み入れた瞬間全身に悪寒が走るのを感じ、これはヤバイと一旦引いたのである。もちろん装備を整えるためで避けるつもりは毛頭ない。ようやく現れた〝変化〟なのだ。調べないわけにはいかない。

 

 ツナは期待と嫌な予感を両方同時に感じていた。あの扉を開けば確実になんらかの厄災と相対することになる。だが、しかし、同時に終わりの見えない迷宮攻略に新たな風が吹くような気もしていた。

 

「さながらパンドラの箱だな。……さて、どんな希望が入っているんだろうな?」

 

 自分の今持てる武技と武器、そして技能。それらを一つ一つ確認し、コンディションを万全に整えていく。全ての準備を整え、ツナはゆっくりXガンナーを抜いた。

 

 そして、そっと額に押し当て目を閉じる。覚悟ならとっくに決めている。しかし、重ねることは無駄ではないはずだ。ツナは、己の内へと潜り願いを口に出して宣誓する。

 

「俺は、生き延びて故郷に帰る、その為には神エヒトを殺す。その為にもここで死ぬわけにはいかないんだ。」

 

 目を開けたツナの目は覚悟を灯した瞳をしていた。

 

 

 扉の部屋にやってきたツナは油断なく歩みを進める。特に何事もなく扉の前にまでやって来た。近くで見れば益々、見事な装飾が施されているとわかる。そして、中央に二つの窪みのある魔法陣が描かれているのがわかった。

 

「? わならないな、少なくとも大昔の魔法式なんだろうな。」

 

 ツナはこの世界の情報を集める為勉強していた。

 

「相当、古いんだろうな。」

 

 ツナは推測しながら扉を調べるが特に何かがわかるということもなかった。いかにも曰いわくありげなので、トラップを警戒して調べてみたのだが、どうやら今のツナ程度の知識では解読できるものではなさそうだ。

 

「仕方ない、一通りやってみるか!」

 

 一応、扉に手をかけて押したり引いたりしたがビクともしない。なので、いつもの如く錬成で強制的に道を作る。ツナは右手を扉に触れさせさいしゆ錬成を開始した。

 

しかし、その途端、

 

バチィイ!

 

「うわっ!?」

 

 扉から赤い放電が走りツナの手を弾き飛ばした。ツナの手からは煙が吹き上がっている。ツナは悪態を吐きながら神水を飲み回復する。直後に異変が起きた。

 

――オォォオオオオオオ!!

 

 突然、野太い雄叫びが部屋全体に響き渡ったのだ。

 

 ツナはバックステップで扉から距離をとり、腰を落として手をホルスターのすぐ横に触れさせいつでも抜き撃ち出来るようにスタンバイする。

 

 雄叫びが響く中、遂に声の正体が動き出した。

 

「まぁ、ベタと言えばベタだな」

 

 苦笑いしながら呟くツナの前で、扉の両側に彫られていた二体の一つ目巨人が周囲の壁をバラバラと砕きつつ現れた。いつの間にか壁と同化していた灰色の肌は暗緑色に変色している。

 

 一つ目巨人の容貌はまるっきりファンタジー常連のサイクロプスだ。手にはどこから出したのか四メートルはありそうな大剣を持っている。未だ埋まっている半身を強引に抜き出し無粋な侵入者を排除しようとハジメの方に視線を向けた。

 

 その瞬間、

 

ドパンッ!

 

 凄まじい発砲音と共に電磁加速されたタウル鉱石の弾丸が右のサイクロプスのたった一つの目に突き刺さり、そのまま脳をグチャグチャにかき混ぜた挙句、後頭部を爆ぜさせて貫通し、後ろの壁を粉砕した。

 

 左のサイクロプスがキョトンとした様子で隣のサイクロプスを見る。撃たれたサイクロプスはビクンビクンと痙攣したあと、前のめりに倒れ伏した。巨体が倒れた衝撃が部屋全体を揺るがし、埃ほこりがもうもうと舞う。

 

「悪いが、空気を読んで待っていてやれるほど出来た敵役じゃあないんだ」

 

 いろんな意味で酷い攻撃だった。ツナの経験してきた修羅場を考えれば当然の行いなのだろうが、あまりに……あまりにサイクロプス(右)が哀れだった。

 

 おそらく、この扉を守るガーディアンとして封印か何かされていたのだろう。こんな奈落の底の更に底のような場所に訪れる者など皆無と言っていいはずだ。

 

 ようやく来た役目を果たすとき。もしかしたら彼(?)の胸中は歓喜で満たされていたのかもしれない。満を持しての登場だったのに相手を見るまでもなく大事な一つ目ごと頭を吹き飛ばされる。これを哀れと言わずしてなんと言うのか。

 

 サイクロプス(左)が戦慄の表情を浮かべツナに視線を転じる。その目は「コイツなんてことしやがる!」と言っているような気がしないこともない。

 

 ツナは、動かずサイクロプス(左)を睥睨する。ツナの武器、銃というものを知らないサイクロプスは警戒したように腰を低くしいつでも動けるようにしてツナを睨む。

 

 十秒、二十秒……

 

 いつまで経っても動かないツナに業を煮やしたのかサイクロプス(左)が雄叫びを上げ踏み込んだ。

 

 直後、顔面から地面にダイブした。

 

 足を踏み出した瞬間、ガクッと力が抜け、勢いそのままに転倒したのだ。サイクロプス(左)は、わけがわからないといった様子で立ち上がろうと暴れるがモゾモゾと動くだけで一向に力が入らない。

 

 低く唸り声を上げもがくサイクロプス(左)に、ツナがゆっくり近寄っていく。コツコツという足音が、まるでカウントダウンのようだ。ツナは、サイクロプス(左)の眼前までやってくると倒れ伏す頭に銃口を押し付けた。そしてなんの躊躇いもなく引き金を引いた。

 

ドパンッ!

 

 銃声が部屋全体に木霊する。

 

 しかし、ここで予想外のことが起きた。サイクロプス(左)の体が一瞬発光したかと思うと、その直後、直撃した銃弾を皮膚が弾いたのだ。

 

「むっ?」

 

 ツナは、おそらく固有魔法を使ったのだろうと推測する。どうやらサイクロプスの固有魔法は防御力を著しく上げるもののようだ。

 

 うつ伏せに倒れたままのサイクロプス(左)が、小馬鹿にしたように口元を歪めた。

 

 ツナは特に思うところもなく銃口を離すと、サイクロプス(左)の頭部めがけて蹴りを叩き込んだ。

 

 〝緋炎連脚〟により、ツナの蹴りはかつての蹴りウサギを思わせる美しい軌跡を描いてサイクロプス(左)をカチ上げ仰向けにひっくり返す。そして、あらわになった目に再度銃口を押し付けた。

 

 なんとなくサイクロプス(左)が「ちょ、ちょっと待って?」と言っているような気がするが、ツナは気にせず引き金を引いた。流石に、目まで強化することはできなかったのか、弾丸はあっさり貫通しサイクロプス(左)の頭部を粉砕した。

 

「ふむ、約二十秒か。ちょっと遅いな……巨体のせいか?」

 

 ツナは実験結果を分析するようにサイクロプスを見る。

 

 なぜ、サイクロプス(左)はいきなり倒れ動けなくなったのか。

 

 それは、パラライズのせいである。これは、モスラモドキから採取した鱗粉を手榴弾中に詰めて小規模な爆風で吹き散らし相手を麻痺させるというものだ。サイクロプス(左)が倒れるサイクロプス(右)に注目した瞬間に投げ込み鱗粉を撒いておいたのである。

 

「まぁ、いいか。後処理は後でやるとして……」

 

 は、チラリと扉を見て少し思案する。

 

 そして火龍の斬撃でサイクロプスを切り裂き体内から魔石を取り出した。血濡れを気にするでもなく二つの拳大の魔石を扉まで持って行き、それを窪みに合わせてみる。

 

 ピッタリとはまり込んだ。直後、魔石から赤黒い魔力光が迸ほとばしり魔法陣に魔力が注ぎ込まれていく。そして、パキャンという何かが割れるような音が響き、光が収まった。同時に部屋全体に魔力が行き渡っているのか周囲の壁が発光し、久しく見なかった程の明かりに満たされる。

 

 ツナは少し目を瞬かせ、警戒しながら、そっと扉を開いた。

 

 扉の奥は光一つなく真っ暗闇で、大きな空間が広がっているようだ。ツナの〝夜目〟と手前の部屋の明りに照らされて少しずつ全容がわかってくる。

 

 中は、聖教教会の大神殿で見た大理石のように艶やかな石造りで出来ており、幾本もの太い柱が規則正しく奥へ向かって二列に並んでいた。そして部屋の中央付近に巨大な立方体の石が置かれており、部屋に差し込んだ光に反射して、つるりとした光沢を放っている。

 

 その立方体を注視していたツナは、何か光るものが立方体の前面の中央辺りから生えているのに気がついた。

 

 近くで確認しようと扉を大きく開け固定しようとする。いざと言う時、ホラー映画のように、入った途端バタンと閉められたら困るからだ。

 

 しかし、ツナが扉を開けっ放しで固定する前に、それは動いた。

 

「……だれ?」

 

 かすれた、弱々しい女の子の声だ。ビクリッとしてツナは慌てて部屋の中央を凝視する。すると、先程の〝生えている何か〟がユラユラと動き出した。差し込んだ光がその正体を暴く。

 

「人……なのか?」

 

 〝生えていた何か〟は人だった。

 

 上半身から下と両手を立方体の中に埋めたまま顔だけが出ており、長い金髪が某ホラー映画の女幽霊のように垂れ下がっていた。そして、その髪の隙間から低高度の月を思わせる紅眼の瞳が覗のぞいている。年の頃は十二、三歳くらいだろう。随分やつれているし垂れ下がった髪でわかりづらいが、それでも美しい容姿をしていることがよくわかる。

 

 流石に予想外だったツナは硬直し、紅の瞳の女の子もツナをジッと見つめていた。やがて、ツナはゆっくり深呼吸し決然とした表情で告げた。

 

「すみません。間違えました」

 

 

 

 

 



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第12話 むしろ勇者よりチート

今回もついて来れる読者様だけついて来な!


「すみません、間違えました」

 

 そう言ってそっと扉を閉めようとするツナ。それを金髪紅眼の女の子が慌てたように引き止める。もっとも、その声はもう何年も出していなかったように掠かすれて呟つぶやきのようだったが……

 

 ただ、必死さは伝わった。

 

「ま、待って! ……お願い! ……助けて……」

「嫌です」

 

 そう言って、やはり扉を閉めようとするツナ。鬼である。いえ、半神半人である。

 

「ど、どうして……なんでもする……だから……」

 

 女の子は必死だ。首から上しか動かないが、それでも必死に顔を上げ懇願こんがんする。

 

 しかし、ツナは言い返した。

 

「あのな、こんな奈落の底の更に底で、明らかに封印されているような奴を解放するわけないだろう? 絶対ヤバイって。見たところ封印以外何もないみたいだし……脱出には役立ちそうもない。という訳で……」

 

 全くもって正論だった。

 

 だがしかし、普通、囚われた女の子の助けを求める声をここまで躊躇ためらいなく切り捨てられる人間はそうはいないだろう。元お人好しなツナは過去の出来事以来ピチュンしてしまったようだ。

 

 すげなく断られた女の子だが、もう泣きそうな表情で必死に声を張り上げる。

 

「ちがう! ケホッ……私、悪くない! ……待って! 私……」

 

 知らんとばかりに扉を閉めていき、もうわずかで完全に閉じるという時、ツナは歯噛みした。もう少し早く閉めていれば聞かずに済んだのにと。

 

「裏切られただけ!」

 

その言葉にツナは違和感を覚えた。何故なら相棒の超直感が違うと言っているからだ。

 

 もう僅かしか開いていない扉。

 

 しかし、女の子の叫びに、閉じられていく扉は止まった。ほんの僅かな光だけが細く暗い部屋に差し込む。

 

 十秒、二十秒と過ぎ、やがて扉は再び開いた。そこには、苦虫を百匹くらい噛み潰した表情のツナが扉を全開にして立っていた。

 

 ツナとしては、何を言われようが助けるつもりなどなかった。こんな場所に封印されている以上相応の理由があるに決まっているのだ。それが危険な理由でない証拠がどこにあるというのか。邪悪な存在が騙そうとしているだけという可能性の方がむしろ高い。見捨てて然るべきだ。

 

(なにやってんだかな、俺は)

 

 内心溜息を吐くツナ。

 

 〝裏切られた〟――その言葉に心揺さぶられてしまうとは。でも嘗て自分も信じていた師に友達に裏切られた過去を持つ。

 

 もう既に、クラスメイトの誰かが放ったあの魔弾のことはどうでもいいはずだった。この領域においてはまず地上に戻る最優先にしたかった。

 

 それでも、こうまで心揺さぶられたのは、やはりどこかで割り切れていない部分があったのかもしれない。そして、もしかしたら同じ境遇の女の子に、同情してしまう程度には前のツナの良心が残っていたのかもしれない。

 

 ツナは頭をカリカリと掻きながら、女の子に歩み寄る。もちろん油断はしない。

 

「裏切られたと言ったな? だがそれは、お前が封印された理由になっていない。その話が本当だとして、裏切った奴はどうしてお前をここに封印したんだ?」

 

 

 

 が戻って来たことに半ば呆然としている女の子。

 

 ジッと、豊かだが薄汚れた金髪の間から除く紅眼でツナを見つめる。何も答えない女の子にツナが「おーい。聞いてるのか? 話さないなら帰るぞ」と言って踵きびすを返しそうになる。それに、ハッと我を取り戻し、女の子は慌てて封印された理由を語り始めた。

 

「私、先祖返りの吸血鬼……すごい力持ってる……だから国の皆のために頑張った。でも……ある日……家臣の皆……お前はもう必要ないって……おじ様……これからは自分が王だって……私……それでもよかった……でも、私、すごい力あるから危険だって……殺せないから……封印するって……それで、ここに……」

 

 枯れた喉で必死にポツリポツリと語る女の子。話を聞きながらツナは呻いた。なんとまぁ波乱万丈な境遇か。しかし、ところどころ気になるワードがあるので、湧き上がるなんとも言えない複雑な気持ちを抑えながら、ツナは尋ねた。

 

「お前、どっかの国の王族だったのか?」

「……(コクコク)」

「殺せないってなんだ?」

「……勝手に治る。怪我しても直ぐ治る。首落とされてもその内に治る」

「……そ、そいつは凄まじいな。……すごい力ってそれか?」

「これもだけど……魔力、直接操れる……陣もいらない」

 

 ツナは「ヘェ〜」と一人納得した。

 

ツナは半神半人である為魔力操作もできるし陣も必要としない為そんなに凄いとは思わなかった。

 

「……たすけて…」

 

 ツナが一人で思索に耽ふけり一人で納得しているのをジッと眺めながら、ポツリと女の子が懇願する。

 

「……」

 

 ツナはジッと女の子を見た。女の子もジッとツナを見つめる。どれくらい見つめ合っていたが

 

「一つ言っておく恐らくお前の家族は好き好んでお前を裏切った訳じゃないと思う、何故なら吸血鬼というのは神の憑代に最適だからだ。それにお前は怪我をしても勝手に治るんだろう?だったらそれを神は利用しようとするのは当たり前だ、だけどお前の家族はそれを良しとしなかった。だからお前を守る為にここに封印した。何故かはわからない、恐らく神エヒトの目的を知ってしまったからだろう。それに俺はお前を助ける手段を持っていないんだ、悪いな。俺はお前を助けられる人物を一人知っている。俺はここを無事に出られたらそいつにお前の事を伝えとくよだから暫くの間待っていな。」

 

ツナは一つ嘘をついた助ける方法はあるがこの吸血鬼はハジメの力になってくれるだろうと思い。ハジメが助ける事でハジメが強くなるだろうと思ったから助けなかったのだ。

 

そして吸血鬼はそれを理解したのか数回頷いた。すると何かが迫って来ていた。

 

 その場所はちょうど……真上!

 

 ツナがその存在に気がついたのと、ソレが天井より降ってきたのはほぼ同時だった。

 

 咄嗟とっさに、ツナは縮地で距離を取り相手の姿を確認すると

 

 その魔物は体長五メートル程、四本の長い腕に巨大なハサミを持ち、八本の足をわしゃわしゃと動かしている。そして二本の尻尾の先端には鋭い針がついていた。

 

 一番分かりやすいたとえをするならサソリだろう。二本の尻尾は毒持ちと考えた方が賢明だ。明らかに今までの魔物とは一線を画した強者の気配を感じる。自然とツナの額に汗が流れた。

 

 部屋に入った直後は全開だった〝気配感知〟ではなんの反応も捉えられなかった。だが、今は〝気配感知〟でしっかり捉えている。

 

 ということは、少なくともこのサソリモドキは、吸血鬼と接触した後に出てきたということだ。つまり、吸血鬼を逃がさないための最後の仕掛けなのだろう。それは取りも直さず、吸血鬼を盾にすればツナだけなら逃げられる可能性があるということだ。

 

 だが身動きの取れない吸血鬼をチラリと見る。彼女は、サソリモドキになど目もくれず一心にツナを見ていた。凪いだ水面のように静かな、覚悟を決めた瞳。その瞳が何よりも雄弁に彼女の意思を伝えていた。吸血鬼は自分の運命をツナに委ねたのだ。

 

 その瞳を見た瞬間、ツナの瞳に覚悟が灯る。。

 

 

「上等だ。……殺れるもんならやってみろ」

 

 ツナは一瞬固有の空間から神水を取り出すと飲み干した。。

 

 

 試験管型の容器から神水が自分の体内に流れ込む。ここに来るまでに負った傷が一瞬で無くなり全快する。

 

 ツナは短時間で蹴りをつける為高火力で殲滅する事にした、吸血鬼を庇いながら闘うことは出来なくもないが面倒臭いので神器を使うことした。

 

「来い!赤龍帝の聖仗(ブーステッド・ドラグハート・エクセリオン)!」

 

 ギチギチと音を立てながらにじり寄ってくるサソリモドキ。ツナはレイジングハート・エクセリオンに似た武器を構えながら覚悟を灯した瞳で宣言した。

 

「行くぞ……戦闘開始だ!」

 



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第13話 最奥のガーディアン


今回もついて来れる読者様だけ着いて来な!


ツナは神器の赤龍帝の聖仗を構えてサソリ擬きの敵と対峙すると

ツナは体内で魔力と魔力ではないもう一つの力、魔力とは相反する力である呪力を綻びが無いように混ぜ合わせ新たな力を生み出す。

それは、森羅万象如何なる理も破壊し崩壊させる力。その名も崩力。

 

そしてツナは体内で生み出した崩力を使いサソリ擬きとの短期決戦に挑む。そしてツナは詠唱を始める。

 

「咎人達に、滅びの光を。星よ集え、森羅万象如何なる理も崩壊させ、全てを撃ち抜く光となれ。貫け!閃光! 」

 

スターライト・ルイーナブレイカー!!

 

ズドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン

 

蒼黒の閃光はサソリ擬きの魔物を飲み込み魔石ごと消滅させる。

 

「ふぅ、久々に使ったら疲れた。ん?」

 

ツナは後ろから視線を感じたので振り返ると先程の戦闘を見ていたのか

目を丸くして口をポカンと開けていた。

 

「どうした、そんな顔をして?ああ成る程先程の戦闘を見て驚いたのか。まぁ普通なら考えられないだろうからな。まぁいい、俺は行く。ちゃんとお前を解放してくれるであろう者にお前の事を伝える。ただしあいつが助けてくれるかはわからない。そこはお前が説得して解放してもらえるようににしろ。わかったか?」

 

「ん、わかった。」

 

「せめてもの償いとしてお前に名をつけようと思うがいいか?」

 

「ん、お願い名前つけて欲しい。」

 

「そうだなぁ、ユエなんてどうだ?俺の世界の言葉で月の意味を表す言葉だ。」

 

「ん、気に入った。ありがとう。」

 

「あぁ、別に大した事じゃない、元気でな。」

 

「ん、またいつか。」

 

「あぁ、またな。」

 

ツナは武装を解除し迷宮を進み続けた。

 

そして遂に、次の階層でツナが最初にいた階層から百階目になるところまで来た。その一歩手前の階層でツナは装備の確認と補充にあたっていた。

 

 

 ツナが最初にいた階層から八十階を超えた時点で、ここが地上で認識されている通常の【オルクス大迷宮】である可能性は消えた。奈落に落ちた時の感覚と、各階層を踏破してきた感覚からいえば、通常の迷宮の遥かに地下であるのは確実だ。

 

 銃技、体術、固有魔法、兵器、そして錬成。いずれも相当磨きをかけたという自負がツナにはあった。そうそう、簡単にやられはしないだろう。しかし、そのような実力とは関係なくあっさり致命傷を与えてくるのが迷宮の怖いところである。

 

 故に、出来る時に出来る限りの準備をしておく。ちなみに今のツナのステータスはこうだ。

 

====================================沢田綱吉 16沢田綱吉 歳 16歳 男 レベル:85

天職:魔導士(騎士王・魔導帝王・英雄・祖龍神皇帝・神殺しの大空・赤龍神帝王、真なる赤龍神炎光帝・赤龍帝・赤龍帝王)

筋力:9500[Error]

体力:9800[Error]

耐性:7000[Error]

敏捷:10500[Error]

魔力:9800[∞]

魔耐:9800[∞]

技能:全属性適性・複合魔法・光技・闇術・心意・神聖術・付与術・滅龍魔法・滅神魔法・滅悪魔法・全属性耐性極・物理耐性極・剣神術・銃神術・剛力・金剛・縮地・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+効率上昇][+身体強化][+魔力錬成]・呪力・崩力[+魔力+呪力]・冥力[呪力-呪]・絶力[+冥力+魔力] 想像構成[+イメージ補強力超上昇][+複数同時構成][+遅延発動]・創造魔法[+魔法創造][+アイテム創造][+アイテム転送][+技能創造][+技能譲渡][+銃創造][+刀剣創造]・錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・超高速魔力回復・偽装・限界突破・毒素分解EX・超経験値獲得・武器召喚・真名解放・言語理解・日本神話の神々の加護[+即死無効化][+状態異常無効化]・和剣鍛造[+魔剣鍛造][+聖剣鍛造][+神剣鍛造][+聖魔剣鍛造]

====================================

 

 ステータスは、初めての魔物を喰えば上昇し続けているが、固有魔法はそれほど増えなくなった。主級の魔物なら取得することもあるが、その階層の通常の魔物ではもう増えないようだ。魔物同士が喰い合っても相手の固有魔法を簒奪しないのと同様に、ステータスが上がって肉体の変質が進むごとに習得し難くなっているのかもしれない。

 

 しばらくして、全ての準備を終えたツナは、階下へと続く階段へと向かった。

 

 その階層は、無数の強大な柱に支えられた広大な空間だった。柱の一本一本が直径五メートルはあり、一つ一つに螺旋模様と木の蔓が巻きついたような彫刻が彫られている。柱の並びは規則正しく一定間隔で並んでいる。天井までは三十メートルはありそうだ。地面も荒れたところはなく平らで綺麗なものである。どこか荘厳さを感じさせる空間だった。

 

 ツナ達が、しばしその光景に見惚れつつ足を踏み入れる。すると、全ての柱が淡く輝き始めた。ハッと我を取り戻し警戒するツナ。柱はツナを起点に奥の方へ順次輝いていく。

 

 ツナはしばらく警戒していたが特に何も起こらないので先へ進むことにした。感知系の技能をフル活用しながら歩みを進める。二百メートルも進んだ頃、前方に行き止まりを見つけた。いや、行き止まりではなく、それは巨大な扉だ。全長十メートルはある巨大な両開きの扉が有り、これまた美しい彫刻が彫られている。特に、七角形の頂点に描かれた何らかの文様が印象的だ。

 

「……これはまた凄いな。もしかして……」

「……反逆者の住処?」

 

 いかにもラスボスの部屋といった感じだ。実際、感知系技能には反応がなくともツナの本能が警鐘を鳴らしていた。この先はマズイと。それ故にうっすらと額に汗をかいている。

 

「だったら最高だろ。ようやくゴールにたどり着いたってことだろ?」

 

ツナは笑みを浮かべる。たとえ何が待ち受けていようとやるしかないのだ。

 

 そして、扉の前に行こうと最後の柱の間を越えた。

 

 その瞬間、扉とツナの間三十メートル程の空間に巨大な魔法陣が現れた。赤黒い光を放ち、脈打つようにドクンドクンと音を響かせる。

 

 ツナは、その魔法陣に見覚えがあった。忘れようもない、あの日、ツナが奈落へと落ちた日に見た自分達を窮地きゅうちに追い込んだトラップと同じものだ。だが、ベヒモスの魔法陣が直径十メートル位だったのに対して、眼前の魔法陣は三倍の大きさがある上に構築された式もより複雑で精密なものとなっている。

 

「おいおい、なんだこの大きさは? マジでラスボス?」

 

 ツナが流石に引きつった笑みを浮かべる

 

 魔法陣はより一層輝くと遂に弾けるように光を放った。咄嗟に腕をかざし目を潰されないようにするツナ。光が収まった時、そこに現れたのは……

 

 体長三十メートル、六つの頭と長い首、鋭い牙と赤黒い眼の化け物。例えるなら、神話の怪物ヒュドラだった。

 

「「「「「「クルゥァァアアン!!」」」」」」

 

 不思議な音色の絶叫をあげながら六対の眼光がツナを射貫く。身の程知らずな侵入者に裁きを与えようというのか、常人ならそれだけで心臓を止めてしまうかもしれない壮絶殺気が叩き付けられた。

 

 同時に赤い紋様が刻まれた頭がガパッと口を開き火炎放射を放った。それはもう炎の壁というに相応しい規模である。

 

 ツナはヒュドラの攻撃を縮地を使い回避し反撃を開始する。ツナのレイジングが火を吹き電磁加速されたレイジングの弾丸が超速で赤頭を狙い撃つ。弾丸は狙い違わず赤頭を吹き飛ばした。

 

 まずは一つとツナが内心ガッツポーズを決めた時、白い文様の入った頭が「クルゥアン!」と叫び、吹き飛んだ赤頭を白い光が包み込んだ。すると、まるで逆再生でもしているかのように赤頭が元に戻った。白頭は回復魔法を使えるらしい。

 

 青い文様の頭が口から散弾のように氷の礫を吐き出し、それを回避しながらツナが白頭を狙う。

 

ドパンッ!

 

「ついでに〝緋槍〟!」

 

 閃光と燃え盛る槍が白頭に迫る。しかし、直撃かと思われた瞬間、黄色の文様の頭がサッと射線に入りその頭を一瞬で肥大化させた。そして淡く黄色に輝きツナのXガンナーの弾丸も受け止めてしまった。衝撃と爆炎の後には無傷の黄頭が平然とそこにいてツナを睥睨している。

 

「ちっ! 盾役か。攻撃に盾に回復にと実にバランスのいいことだな!」

 

 ツナは頭上に向かって〝爆裂収束爆弾を投げる。同時にXガンナーの最大出力で白頭に連射した。更に雷槍を連発する。炎熱魔法の〝蒼天〟なら黄頭を抜いて白頭に届くかもしれないが、最上級を使うと一発の隙が大きいので狙われる事になる。なので半数以上を減らす必要がある。

 

 黄頭は、ツナの攻撃を尽く受け止める。だが、流石に今度は無傷とはいかなかったのかあちこち傷ついていた。

 

「クルゥアン!」

 

 すかさず白頭が黄頭を回復させる。全くもって優秀な回復役である。しかし、その直後、白頭の頭上ではが焼夷爆裂収束爆弾が炸裂した。摂氏三千度の爆裂収束魔法が炸裂する。白頭にも降り注ぎ、その苦痛に悲鳴を上げながら悶えている。

 

 このチャンス逃すか! とツナが神器を発動させ3カウントで禁手を発動させる。

 

禁手(バランス・ブレイク)!!

 

『Welch Dragon Balance Blaker』

 

「|赤龍騎士王の剣鎧《ブーステッドソード・ナイト・オーナー・スケイルメイル》!!」

 

「出でよ剣よ!」

 

ツナは魔法陣からエクスカリバーに似た剣に赤き龍の刻印が彫られている剣を呼び出し詠唱する。

 

「束ねるは星の息吹、輝ける命の奔流、燃え盛るは覚悟の炎、譲れぬは我が誇り!受けるがいい!」

 

約束された勝利の赤龍帝の剣(ウェルシュ・エクスカリバー)

 

 

ドカァアアアアアアアアアアン

 

ヒュドラは赤き光の奔流に飲み込まれて光の粒子となって消滅した。

 

 

「流石に……もうムリ……」

 

 何とかヒュドラを倒したツナはゆっくり意識を手放した。

 

 

 



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第14話 クラスメイトsaid  悪夢再び

今回もついて来れる読者様だけついて来いよ!


ツナが吸血鬼と接触し、サソリモドキとの死闘を生き抜いた日。

 

 光輝達勇者一行は、再び【オルクス大迷宮】にやって来ていた。但し、訪れているのは光輝達勇者パーティーと、小悪党組、それに永山重吾という大柄な柔道部の男子生徒が率いる男女五人のパーティーだけだった。

 

 理由は簡単だ。話題には出さなくとも、ツナの転落が、多くの生徒達の心に深く重い影を落としてしまったのである。〝戦いの果ての転落〟というものを強く実感させられてしまい、まともに戦闘などできなくなったのだ。一種のトラウマというやつである。

 

 当然、聖教教会関係者はいい顔をしなかった。実戦を繰り返し、時が経てばまた戦えるだろうと、毎日のようにやんわり復帰を促してくる。

 

 しかし、それに猛然と抗議した者がいた。愛子先生だ。

 

 愛子は、当時、遠征には参加していなかった。作農師という特殊かつ激レアな天職のため、実戦訓練するよりも、教会側としては農地開拓の方に力を入れて欲しかったのである。愛子がいれば、糧食問題は解決してしまう可能性が限りなく高いからだ。

 

 そんな愛子はツナの奈落への転落を知るとショックのあまり寝込んでしまった。自分が安全圏でのんびりしている間に、生徒が転落してしまったという事実に、全員を日本に連れ帰ることができなくなった可能性が高いということに、責任感の強い愛子は強いショックを受けたのだ。

 

 だからこそ、戦えないという生徒をこれ以上戦場に送り出すことなど断じて許せなかった。

 

 愛子の天職は、この世界の食料関係を一変させる可能性がある激レアである。その愛子先生が、不退転の意志で生徒達への戦闘訓練の強制に抗議しているのだ。関係の悪化を避けたい教会側は、愛子の抗議を受け入れた。

 

 結果、自ら戦闘訓練を望んだ勇者パーティーと小悪党組、永山重吾のパーティーのみが訓練を継続することになった。そんな彼等は、再び訓練を兼ねて【オルクス大迷宮】に挑むことになったのだ。今回もメルド団長と数人の騎士団員が付き添っている。

 

 今日で迷宮攻略六日目。

 

 現在の階層は六十層だ。確認されている最高到達階数まで後五層である。

 

 しかし、光輝達は現在、立ち往生していた。正確には先へ行けないのではなく、何時かの悪夢を思い出して思わず立ち止まってしまったのだ。

 

 そう、彼等の目の前には何時かのものとは異なるが同じような断崖絶壁が広がっていたのである。次の階層へ行くには崖にかかった吊り橋を進まなければならない。それ自体は問題ないが、やはり思い出してしまうのだろう。特に、香織は、奈落へと続いているかのような崖下の闇をジッと見つめたまま動かなかった。

 

「香織……」

 

 雫の心配そうな呼び掛けに、強い眼差しで眼下を眺めていた香織はゆっくりと頭を振ると、雫に微笑んだ。

 

「大丈夫だよ、雫ちゃん」

「そう……無理しないでね? 私に遠慮することなんてないんだから」

「えへへ、ありがと、雫ちゃん」

「雫ちゃんも無理しないでね?ツナ君の事好きなんでしょ?私もツナ君の事好きだから」

「そうね、私もツナが好きよ!香織と一緒にいる時と同じ位楽しかったもの。」

 

 雫もまた親友に微笑んだ。香織の瞳は強い輝きを放っている。そこに現実逃避や絶望は見て取れない。洞察力に優れ、人の機微に敏感な雫には、香織が本心で大丈夫だと言っているのだと分かった。

 

 ツナの死はほぼ確定事項だ、例え即死無効化が有ったとしても。その生存は絶望的と言うのも生温い。それでも、逃避でも否定でもなく、自らの納得のため前へ進もうとする香織に、雫は親友として誇らしい気持ちで一杯だった。

 

 だが、そんな空気は読まないのが勇者クオリティー。光輝の目には、眼下を見つめる香織の姿が、ツナの死を思い出し嘆いているように映ったらしい。クラスメイトの死に、優しい香織は今も苦しんでいるのだと結論づけた。故に、思い込みというフィルターがかかり、微笑む香織の姿も無理しているようにしか見えない。

 

 そして、香織と雫がツナを特別に想っていて、まだ生存の可能性を信じているなどと露ほどにも思っていない光輝は、度々、香織にズレた慰めの言葉をかけてしまうのだ。

 

「香織……君の優しいところ俺は好きだ。でも、クラスメイトの死に、何時までも囚われていちゃいけない! 前へ進むんだ。きっと、沢田もそれを望んでる」

「ちょっと、光輝!……」

「雫は黙っていてくれ! 例え厳しくても、幼馴染である俺が言わないといけないんだ。……香織、大丈夫だ。俺が傍にいる。俺は死んだりしない。もう誰も死なせはしない。香織を悲しませたりしないと約束するよ」

「はぁ~、何時もの暴走ね……香織……」

「あはは、大丈夫だよ、雫ちゃん。……えっと、光輝くんも言いたいことは分かったから大丈夫だよ」

「そうか、わかってくれたか!」

「天之河忘れてないか?」

「何がだ南雲?」

「お前よりツナの方が強いことを。」

「あ!悪い、忘れてた。」

 

 光輝のその言葉を聞いて香織は苦笑いするしかない。

 

 光輝はツナが自分より強い事を忘れていた。

 

 ちなみに、完全に口説いているようにしか思えないセリフだが、本人は至って真面目に下心なく語っている。光輝の言動に慣れてしまっている雫と香織は普通にスルーしているが、他の女子生徒なら甘いマスクや雰囲気と相まって一発で落ちているだろう。まぁ、最後のやり取りで全部台無しなのだが。

 

 普通、イケメンで性格もよく文武両道とくれば、その幼馴染の女の子は惚れていそうなものだが、雫は小さい頃から実家の道場で大人の門下生と接していたこと、厳格な父親の影響、そして天性の洞察力で光輝の欠点とも言うべき正義感に気がついていたことから、それに振り回される事も多く幼馴染として以上の感情は抱いていなかった。もっとも、他の人よりは大切であることに変わりはないが。

 

 香織は生来の恋愛鈍感スキルと雫から色々聞かされているので、光輝の言動にときめく事ができない。いい人だと思っているし、幼馴染として大切にも思っているが恋愛感情には結びつかなかった。

 

「香織ちゃん、私、応援しているから、出来ることがあったら言ってね」

「そうだよ~、鈴は何時でもカオリンの味方だからね!」

 

 光輝との会話を傍で聞いていて、会話に参加したのは中村恵里と谷口鈴だ。

 

 二人共、高校に入ってからではあるが香織達の親友と言っていい程仲の良い関係で、光輝率いる勇者パーティーにも加わっている実力者だ。

 

 中村恵里はメガネを掛け、ナチュラルボブにした黒髪の美人である。性格は温和で大人しく基本的に一歩引いて全体を見ているポジションだ。本が好きで、まさに典型的な図書委員といった感じの女の子である。実際、図書委員である。

 

 谷口鈴は、身長百四十二センチのちみっ子である。もっとも、その小さな体には、何処に隠しているのかと思うほど無尽蔵の元気が詰まっており、常に楽しげでチョロリンと垂れたおさげと共にぴょんぴょんと跳ねている。その姿は微笑ましく、クラスのマスコット的な存在だ。

 

 そんな二人も、ハジメが奈落に落ちた日の香織の取り乱し様に、その気持ちを悟り、香織の目的にも賛同してくれている。

 

「うん、恵里ちゃん、鈴ちゃん、ありがとう」

 

 高校で出来た親友二人に、嬉しげに微笑む香織。

 

「うぅ~、カオリンは健気だねぇ~、沢田君め! 鈴のカオリンをこんなに悲しませて! 生きてなかったら鈴が殺っちゃうんだからね!」

「す、鈴? 生きてなかったら、その、こ、殺せないと思うよ?」

「細かいことはいいの! そうだ、死んでたらエリリンの降霊術でカオリンに侍せちゃえばいいんだよ!」

「す、鈴、デリカシーないよ! 香織ちゃんは、沢田君は生きてるって信じてるんだから! それに、私、降霊術は……」

「というよりツナは死んでないし、つか勝手に殺すなって頭をハリセンで打っ叩くぞ。」

「あ〜ありえるね〜」

 鈴が暴走し恵里が諌める。それがデフォだ。そこでハジメもツナがやりそうなことを言い鈴が納得する。

 

 何時も通りの光景を見せる姦しい二人に、楽しげな表情を見せる香織と雫。ちなみに、光輝達は少し離れているので聞こえていない。肝心な話やセリフに限って聞こえなくなる難聴スキルは、当然の如く光輝にも備わっている。

 

「恵里ちゃん、私は気にしてないから平気だよ?」

「鈴もそれくらいにしなさい。恵里が困ってるわよ?」

 

 香織と雫の苦笑い混じりの言葉に「むぅ~」と頬を膨らませる鈴。恵里は、香織が鈴の言葉を本気で気にしていない様子にホッとしながら、降霊術という言葉に顔を青褪めさせる。

 

「エリリン、やっぱり降霊術苦手? せっかくの天職なのに……」

「……うん、ごめんね。ちゃんと使えれば、もっと役に立てるのに……」

「恵里。誰にだって得手不得手はあるわ。魔法の適性だって高いんだから気にすることないわよ?」

「そうだよ、恵里ちゃん。天職って言っても、その分野の才能があるというだけで好き嫌いとは別なんだから。恵里ちゃんの魔法は的確で正確だから皆助かってるよ?」

「うん、でもやっぱり頑張って克服する。もっと、皆の役に立ちたいから」

 

 恵里が小さく拳を握って決意を表す。鈴はそんな様子に「その意気だよ、エリリン!」とぴょんぴょん飛び跳ね、香織と雫は友人の頑張りに頬を緩める。

 

 恵里の天職は、〝降霊術師〟である。

 

 闇系魔法は精神や意識に作用する系統の魔法で、実戦などでは基本的に対象にバッドステータスを与える魔法と認識されている。

 

 降霊術は、その闇系魔法の中でも超高難度魔法で、死者の残留思念に作用する魔法だ。聖教教会の司祭の中にも幾人かの使い手がおり、死者の残留思念を汲み取り遺族等に伝えるという何とも聖職者らしい使用方法がなされている。

 

 もっとも、この魔法の真髄はそこではない。この魔法の本当の使い方は、遺体の残留思念を魔法で包み実体化の能力を与えて使役したり、遺体に憑依させて傀儡化するというものだ。つまり、生前の技能や実力を劣化してはいるが発揮できる死人、それを使役できるのである。また、生身の人間に憑依させることでその技術や能力をある程度トレースすることもできる。

 

 しかし、ある程度の受け答えは出来るものの、その見た目は青白い顔をした生気のない、まさに幽霊という感じであり、また死者を使役するということに倫理的な嫌悪感を覚えてしまうので、恵里はこの術の才能があってもまるで使えていなかった。

 

 一行は特に問題もなく、遂に歴代最高到達階層である六十五層にたどり着いた。

 

「気を引き締めろ! ここのマップは不完全だ。何が起こるかわからんからな!」

 

 付き添いのメルド団長の声が響く。光輝達は表情を引き締め未知の領域に足を踏み入れた。

 

 しばらく進んでいると、大きな広間に出た。何となく嫌な予感がする一同。

 

 その予感は的中した。広間に侵入すると同時に、部屋の中央に魔法陣が浮かび上がったのだ。赤黒い脈動する直径十メートル程の魔法陣。それは、とても見覚えのある魔法陣だった。

 

「ま、まさか……アイツなのか!?」

 

 光輝が額に冷や汗を浮かべながら叫ぶ。他のメンバーの表情にも緊張の色がはっきりと浮かんでいた。

 

「マジかよ、アイツは死んだんじゃなかったのかよ!」

 

 龍太郎も驚愕をあらわにして叫ぶ。それに応えたのは、険しい表情をしながらも冷静な声音のメルド団長だ。

 

「迷宮の魔物の発生原因は解明されていない。一度倒した魔物と何度も遭遇することも普通にある。気を引き締めろ! 退路の確保を忘れるな!」

 

 いざと言う時、確実に逃げられるように、まず退路の確保を優先する指示を出すメルド団長。それに部下が即座に従う。だが、光輝がそれに不満そうに言葉を返した。

 

「メルドさん。俺達はもうあの時の俺達じゃありません。何倍も強くなったんだ! もう負けはしない! 必ず勝ってみせます!」

「へっ、その通りだぜ。何時までも負けっぱなしは性に合わねぇ。ここらでリベンジマッチだ!」

 

 龍太郎も不敵な笑みを浮かべて呼応する。メルド団長はやれやれと肩を竦め、確かに今の光輝達の実力なら大丈夫だろうと、同じく不敵な笑みを浮かべた。

 

すると後ろから

 

「調子に乗るなよ迷宮やダンジョン、戦場では一時の心の緩みが死を招く、故に決して油断しない事だ」

 

「「「「「「っ!?」」」」」」

 

「ツ、ツナなんで貴方がいるのよ!?」

 

「落ち着け、雫、俺は今休憩中だ。それに俺は本体じゃない、質量を持った限りなく本物に近い有幻覚だ。」

 

「えっ!?」

 

「さてと、お前らを少しだけ援護してやるよ!」

 

「綱吉!無事か?」

 

「俺があの程度で死ぬ訳ないだろ、それより敵から目を晒すなよ。いつ敵が仕掛けて来るかわからないからな。」

 

「そうか……よし気を引き締めろ!」

 

すると

 

「グゥガァアアア!!!」

 

 咆哮を上げ、地を踏み鳴らす異形。ベヒモスがツナ達を壮絶な殺意を宿らせた眼光で睨む。

 

 全員に緊張が走る中、そんなものとは無縁の決然とした表情で真っ直ぐ睨み返す女の子が一人。さらに男の子一人。

 

 ツナと香織である。ツナと香織は誰にも聞こえないくらいの、しかし、確かな意志の力を宿らせた声音で宣言した。

 

「もう誰も奪わせない。あなたを踏み越えて、私はツナ君のもとへ行く」

 

「行くぞ、戦闘開始!」

 

 今、過去を乗り越える戦いが始まった。



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第16話 クラスメイトsaid2 クラスメイトとの再会と真・オルクス迷宮に封印された吸血姫と最奥の扉



今回も付いて来れる読者様だけ付いて来いよ!


先手は、光輝だった。

 

「万翔羽ばたき 天へと至れ “天翔閃”!」

 

 曲線状の光の斬撃がベヒモスに轟音を響かせながら直撃する。以前は、“天翔閃”の上位技“神威”を以てしてもカスリ傷さえ付けることができなかった。しかし、何時までもあの頃のままではないという光輝の宣言は、結果を以て証明された。

 

「グゥルガァアア!?」

 

 悲鳴を上げ地面を削りながら後退するベヒモスの胸にはくっきりと斜めの剣線が走り、赤黒い血を滴らせていたのだ。

 

 

「いける! 俺達は確実に強くなってる! 永山達は左側から、清水は使い魔で撹乱を、メルド団長達は右側から! 後衛は魔法準備! 上級を頼む!」

 

 光輝が矢継ぎ早に指示を出す。メルド団長直々の指揮官訓練の賜物だ。

 

「ほぅ、迷いなくいい指示をする。聞いたな? 総員、光輝の指揮で行くぞ!」

 

 メルド団長が叫び騎士団員を引き連れベヒモスの右サイドに回り込むべく走り出した。それを期に一斉に動き出し、ベヒモスを包囲する。

 

 前衛組が暴れるベヒモスを後衛には行かすまいと必死の防衛線を張る。

 

「グルゥアアア!!」

 

 

ベヒモスが踏み込みで地面を粉砕しながら突進を始める。

 

「させるかっ!」

「行かせん!」

 

 クラスの二大巨漢、坂上龍太郎と永山重吾がスクラムを組むようにベヒモスに組み付いた。

 

「「猛り地を割る力をここに! “剛力”!」」

 

 身体能力、特に膂力を強化する魔法を使い、地を滑りながらベヒモスの突進を受け止める。

 

「ガァアア!!」

「らぁあああ!!」

「おぉおおお!!」

 

 三者三様に雄叫びをあげ力を振り絞る。ベヒモスは矮小な人間ごときに完全には止められないまでも勢いを殺され苛立つように地を踏み鳴らした。

 

 その隙を他のメンバーが逃さない。

 

「全てを切り裂く至上の一閃 “絶断”!」

 

 雫の抜刀術がベヒモスの角に直撃する。魔法によって切れ味を増したアーティファクトの剣が半ばまで食い込むが切断するには至らない。

 

「ぐっ、相変わらず堅い!」

「任せろ! 粉砕せよ、破砕せよ、爆砕せよ “豪撃”!」

 

 メルド団長が飛び込み、半ばまで刺さった雫の剣の上から自らの騎士剣を叩きつけた。魔法で剣速を上げると同時に腕力をも強化した鋭く重い一撃が雫の剣を押し込むように衝撃を与える。

 

 そして、遂にベヒモスの角の一本が半ばから断ち切られた。

 

「ガァアアアア!?」

 

 角を切り落とされた衝撃にベヒモスが渾身の力で大暴れし、永山、龍太郎、雫、メルド団長の四人を吹き飛ばす。

 

そこでツナが動く

 

「神聖なる鎖よ、我らに仇なす敵を捕らえよ! セイクリッドチェイン!!」

 

神聖なる光の鎖でベヒモスを縛り上げる。

 

「天恵よ 遍く子らに癒しを “回天”」

 

「錬成!」

 

ハジメは錬成を使い香織をドーム状の盾で守る。

 

 香織の詠唱完了と同時に触れてもいないのに四人が同時に癒されていく。遠隔の、それも複数人を同時に癒せる中級光系回復魔法だ。以前使った“天恵”の上位版である。

 

そしてツナが

 

「天候満つる処に我あり……」

 

そしてベヒモスの足元と頭上に魔法陣が形成されていく。

 

「おいおい、何するつもりだ?」

 

ツナは詠唱を続ける

 

「黄泉の門開く処に汝あり……」

 

「なんなのこの魔法は……」

 

「見た事ないぞ!」

 

そしてツナの詠唱が終わりに入る

 

「いでよ、神の雷!……」

 

『インディグネイション!!!』

 

そしてベヒモスに神の雷の名に相応しい威力の雷撃がベヒモスの頭上から落ちる。

 

ズドォオオオオオオオオオオオオン

 

 

するとベヒモスは丸焦げになりそして魔石だけを残して消滅した。

 

 

「か、勝ったのか?」

「勝ったんだろ……」

「勝っちまったよ……」

「マジか?」

「マジで?」

 

 

 

 皆が皆、呆然とベヒモスがいた場所を眺め、ポツリポツリと勝利を確認するように呟く。同じく、呆然としていた光輝が、我を取り戻したのかスっと背筋を伸ばし聖剣を頭上へ真っ直ぐに掲げた。

 

「そうだ! 俺達の勝ちだ!」

 

「……」

 

ツナその場で喜んでいる雫や香織達を残して霧となって消えた。

 

「ツナ!やったよ!……あれ?ツナ?」

 

「どうしたの雫ちゃん?」

 

「香織、ツナを知らない?」

 

「あれ?ツナ君さっきまでいたのに……あっ、いた!」

 

ツナはハジメと話していた。

 

 「ハジメ、これやるよ!」

 

ツナは銃創造で作り上げたリボルバー式銃を二挺拳銃を渡す。

 

「これは銃か!」

 

「後一つ真・オルクス迷宮の第50層に行け。そこに吸血鬼が封印されている。きっとハジメの力になってくれるだろう。後こいつを火で焼いて食え。」

 

「これは何だ?」

 

「魔物の肉だ もちろん毒素は全部分解してある。普通の生肉と変わらないから安心しろ。それ食って新たな技能を手に入れろ。」

 

「魔物の肉を食ったら技能が手に入るのか!わかった!そうするぜ。

銃も有り難く使わせて貰う。」

 

「今俺は最下層の100層にいる。そこで一時期滞在するつもりだ。早く来いよ。お前なら来れるさ。」

 

「あぁ、辿り着いてみせる!」

 

すると雫と香織が来た。

 

「ツナは今どこにいるの?」

 

「現在、真・オルクス迷宮の第100層いる。」

 

「一人で大丈夫?」

 

「大丈夫だ、心配するな。」

 

「兎に角ハジメ、50層で吸血鬼を助けてやって欲しい、そして100層に行け!そこで何か分かると思う。」

 

「そうか、ツナがそう言うならそうなんだろう。わかった。」

 

「雫、これ使いなよ。」

 

ツナは固有の空間から1本の黒刀を渡す。

 

 「これは?」

 

「それは俺が鍛造した聖と魔を有する刀、聖魔刀・雫。水属性の刀だ。

それは絶対に錆びない刀、水で斬撃強化したり敵を斬り裂いた時に水で血を洗い流してくれるからきっと雫の力になってくれるよ。」

 

「こんないい刀を貰ってもいいの?」

 

「雫の為に作ったんだ!だから使ってくれると嬉しい。」

 

「ツナ、ありがとう!大事に使わせて貰うわ。」

 

「香織には、また今度あげるよ。それまで我慢してくれ。」

 

「うん、わかった。」

 

「じゃあ俺は行くよ、あと天之河」

 

「ん、何だ沢田?」

 

ツナはハリセン取り出して天之河の頭を思いっきり引っ叩く

 

スパァアアアアアアアン!!。

 

「いったー!?何するんだ!沢田!」

 

「何するんだ!じゃねぇよ!勝手に死んだ事にしてんじゃねぇよ!つか殺すな!しばくぞ!」

 

「既にしばいてんじゃん!」

 

「ウルセェ!さっさと真・オルクス迷宮に突入しやがれ!じゃねえと強くなれねぇぞ!あっ!そうだいい事思い付いた!良し転移魔法で一気に50層に送ってやろう!」

 

「えっマシで?送ってくれるのか!助かる!」

 

「待ってくれ!一旦王宮に戻らないといけないんだ!」

 

「そうか、ハジメだけでも連れて行きたいんだがいいか?」

 

「待って!私も行く!」

 

「そうよ!私もついて行くわ!」

 

「あのな、お前達二人は勇者パーティーの重要メンバーだろ?抜けるのはマズイだろう。それに天之河が暴走したら誰が止めるんだ?なぁ?」

 

「でも、ツナ君達も回復役必要でしょ!」

 

「確かに俺も回復魔法使えるけど得意ではないし、いてくれると嬉しいけど雫が大変だろ?俺と一緒だと危険がいっぱいだし、確実に教会敵に回すぞ?」

 

「「「「「!?」」」」」

 

「どういう事だ沢田?」

 

「俺の目的は最初から戦争なんかに参加する気はさらさらない。俺の目的は二つ、一つは元の世界に帰ること、そしてもう一つはこの世界の神であるエヒトを殺す事だ。」

 

「まっ、他言無用で頼む!じゃあ行くわ、行くぞハジメ。」

 

「あぁ、そろそろ行くか!」

 

「あっ、清水、頼むぞ?後、香織、雫覚悟が出来たら言いな、連れて行くから。」

 

「あぁ、勿論任せとけ。沢田も気を付けろよ!」

 

ツナは清水に対し手を上げて答え、ハジメと一緒に転移魔法で真・オルクス迷宮第50層に転移する。

 

そこで、ツナがユエと名付けた吸血鬼を助けハジメを強くする為ハジメが主に戦闘を行い銃技や近接戦闘能力や錬成能力をを鍛え進み続ける。そして今現在のツナとハジメのステータスが、

 

 

====================================

南雲ハジメ 17歳 男 レベル:80

天職:錬成師

筋力:3580

体力:4890

耐性:3670

敏捷:4990

魔力:3960

魔耐:3970

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・熱源感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・威圧・念話・大空の加護[+成長速度上昇][+即死無効化][+回復速度上昇][+攻撃力上昇][+耐性強化]・言語理解

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====================================

沢田綱吉 16歳 男 レベル:95

天職:魔導士(騎士王・魔導帝王・英雄・祖龍神皇帝・大空の王・赤龍神帝王、真なる赤龍神炎光帝・赤龍帝・赤龍帝王・黒魔(ダーク・セイヴァー)白鉄(セイヴァー)・超越者)

筋力:10500[Error]

体力:10800[Error]

耐性:9000[Error]

敏捷:12500[Error]

魔力:11800[∞]

魔耐:11800[∞]

技能:全属性適性・複合魔法・光技・闇術・心意・神聖術・付与術・滅龍魔法・滅神魔法・滅悪魔法・全属性耐性極・物理耐性極・剣神術・銃神術・剛力・金剛・縮地・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+効率上昇][+身体強化][+魔力錬成]・呪力・崩力[+魔力+呪力]・冥力[呪力-呪]・絶力[+冥力+魔力] 想像構成[+イメージ補強力超上昇][+複数同時構成][+遅延発動]・創造魔法[+魔法創造][+アイテム創造][+アイテム転送][+技能創造][+技能譲渡][+銃創造][+刀剣創造]・錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・超高速魔力回復・偽装・限界突破・毒素分解吸収EX・超経験値獲得・武器召喚・真名解放・言語理解・日本神話の神々の加護[+即死無効化][+状態異常無効化][+超成長速度上昇][・和剣鍛造[+魔剣鍛造][+聖剣鍛造][+神剣鍛造][+聖魔剣鍛造]・超胃酸強化・気配感知・魔力感知・生命感知・気配遮断・完全毒耐性・完全麻痺耐性・完全石化耐性・熱源感知・気配遮断・威圧・念話

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それからツナとハジメとユエで迷宮攻略を再開し、ユエの実力を見たり

ハジメとユエの茶番劇もといイチャイチャがあったり、敵を倒す為に操られたユエに向かって躊躇いも無くハジメが発泡したり、それを見てツナとユエが唖然としたりして何とかエセアルラウネを問答無用に撃ち殺し、ユエが機嫌を損ねた日から随分経った。あの後、気絶するまで血を吸われたハジメ。その甲斐あってか何とかユエの機嫌を直すことに成功し、その時ツナは背を背けながら腹を抱えて笑っていた。そして三人は再び迷宮攻略に勤しんでいた。

 

そして遂に、次の階層でツナとハジメが再開した階層から百階目になるところまで来た。その一歩手前の階層でツナとハジメは装備の確認と補充にあたっていた。相変わらずユエは飽きもせずにツナとハジメの作業を見つめている。というよりも、どちらかというと作業をするツナとハジメを見るのが好きなようだ。今も、ハジメのすぐ隣でハジメとツナ作業を交互に見ながらまったりとしている。その表情は迷宮には似つかわしくない緩んだものだ。

 

「ハジメ俺の案内はここまでだ俺は奥の最奥の部屋で待っているから最後試練二人で頑張れよ!」

 

「そうか、ツナはもう既にクリアしているのか、わかった俺達も試練を乗り越えて直ぐに追いつく、だから待っていてくれ!」

 

「あぁ、勿論だ!ただし死ぬなよ?」

 

「ああ、わかっているユエと二人で追いつく。」

 

「ユエ、ハジメの事支えてやってくれ、本来なら俺がこの迷宮から出た後で助けてもらえるように伝えるはずだったけど、こいつらも迷宮に来ていた事がわかってこうして予定より早く助かる事が出来た。だから頼むぞ?」

 

「ん、わかった。頑張る!」

 

「それは良かった、んじゃ後でな。」

 

ツナは霧となって霧散して消えた。



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