メガネくんに転生しました (花蕾)
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プロローグ

俺は、いや、“僕”は転生者だ。突如、言われたら、はあ!?、と言われてしまい、次の日からは頭のおかしい人認定を受けるだろう。

 

しかしながら、事実である。

 

僕は、週刊少年ジャンプ、現在は月刊ジャンプSQUAREにて連載されている『ワールドトリガー』の主人公、『三雲修』になっていた。

 

このキャラクター、三雲修には二つ程特徴がある。

 

一つ目の特徴は弱いである。

 

少年マンガ特有の主人公の俺Tueeee!なんてない。かといって知略が特別に優れているかと言われると、優れてはいるが特別優れているわけではない。

 

二つ目は面倒見の良さだ。

 

原作では他メインキャラクターから面倒見の鬼と言われるほどだ。

 

二つ目はともかく、一つ目は驚異的だ。

 

何しろ、このワールドトリガーは恋愛漫画ではなくバトル漫画なのだから。

 

主人公だからといって安心できない。自分というイレギュラーがどこまで左右するかわからない。もしかしたら、全く左右しないかもしれないし、思いっきり左右して原作崩壊するかもしれない。

 

僕は転生したと分かった次の日から筋トレとランニングを始めた。はじめということもあり、軽く腹筋とスクワット、腕立てを各20回、一時間のランニング。

 

僕は三雲修の肉体を少し強く見積もりすぎていた。

 

たったこれだけの運動で身体は悲鳴を上げた。

 

とはいえ、ここでやめるわけにはいかない。

 

僕はどうやら、既に『ボーダー』に入っているみたいだし。

 

『ボーダー』というのは、簡単に言うと異世界から来た敵を倒す組織だ。この異世界から来た敵、通称“近界民”が繰り出す“トリオン兵”には地球上の兵器では傷一つ付けることはできない。そこで、ボーダーが近界民のテクノロジーを解析し、作り上げたのが『トリガー』と呼ばれるものだ。このトリガーというのが便利なもので、トリオン兵を倒すための武器生成以外にも使用者の身体能力がとてもアップする。

ここまで聴くと、筋トレする意味なくね、だって身体能力上がるんでしょ、という人がいるだろう。それは違う。この身体能力アップだが、これは下地も関係してくる。元々運動神経がいいやつや普段から運動をしている人は恩恵が受けやすい。

対して、この肉体はどうだ?

軽い筋トレをしただけでへばる。学校の体育を受けている中学生ならこれぐらいだったら余裕のはずなんだが。

 

そして、トリガーにはトリオン量が関係してくる。原作の三雲くんはトリオン量が最低ラインより下だったが、今の僕はボーダーの平均ぐらいある。おそらく、元々三雲修の肉体にあるトリオンに比べて前世の僕のトリオンが入っているのだろう。

 

思わぬ形で片方の難題をクリアしてるわけだが、もう片方がまじでやばい。

はじめの筋トレからもう数ヶ月立っているが、あの時から腹筋とスクワットと腕立てが各10回、ランニングの時間が30分増えただけだ。

これ以上やったら僕は死ぬ。筋トレが終わったら汗が滝のようにでているし、ランニングでは直ぐに過呼吸になる。

 

まあ、今の僕は原作を超えているだろう。

 

ただ、原作同様にレイガストを使うつもりはない。なぜかというと、デカくて使いづらい。ボーダーでの順位の上げ方は個人ポイントは個人戦などで上がり、チームのランクはランク戦というもので決まる。詰まるところ、対人戦だ。素人の俺がこんなもん振り回してもスピードもなく正確性もないから当たらない。

だが、射手というのは素晴らしい。

銃に比べて射程は短いが、自由度は高い。さらに、合成弾という違う種類の弾を混合させることもできる。

これは僕にあっている。

攻撃手のように剣を振り回したりすることはできないし、銃手のように銃を寸分狂わず撃ち抜くことはできないし、狙撃手のように針に糸を垂らすような技巧は持ち合わせていない。勿論、やりはじめたら慣れていくだろう。だが、そんな暇はない。もう既に中学生。つまり、あと数ヶ月で原作が始まる。

原作が始まるまでの目標はB級への昇格である。現在は、訓練兵のC級に属している。同期は皆、全体訓練を受けたあと、個人戦をやりポイントを稼いでB級に昇格している。B級になるのに必要なポイントは4000。今の僕のポイントは、2985。これはこつこつ、全ての訓練に受けてきた賜物だろう。あと、個人戦してないから減っていないだけだろう。何しろ、訓練が終わったら筋トレのために直ぐに帰っていたからな。

C級で使えるトリガーは一つ。なので、射手で一番ベーシックなアステロイドを選んでいる。

変化弾なんて使いこなすまで時間がかかるし、炸裂弾は威力が高いだけこの素人だらけのC級の個人戦で使う意味はない。追跡弾も迷ったもののやめた。なぜか?それは対策が立てやすいからだ。他の弾が使えるならともかく、追跡弾だけだと対処しやすい。なにしろ、追ってくるのだ。射線なんて丸わかりだ。

 

とりあえず、今日から個人戦を数回やってから帰ることにします。

 

********

 

驚きました。筋トレの効果はあったようです。

今回初めて戦ってみたわけなんですが、全勝しました。あっさりと勝てました。調子に乗って予定より多く個人戦をしましたが、勝てました。ポイントは3287まで上がっており、今月中にはB級に上がれているだろう。

 

********

 

はい、B級に上がりました。普段は訓練がない日は来てなかったものの個人戦のため、毎日ボーダーに通っていた。そのおかげか、B級に上がれた。

嬉しさで舞い上がりそうなぐらいだ。

 

学校に行くと、人気モノになれました。

 

ボーダーのホームページにはB級以上の人間の名前が載る。バレないだろと思っていたが、直ぐバレました。まあ、原作でも直ぐバレていたが。

 

それから数週間がすぎたとある日。

もうすでに授業が開始しているはずだが、未だに先生が来ない。近くの席の会話に聞き耳を立てるとどうやら転校生がきているらしい。

 

これは確定だろう。

 

「空閑遊真です。よろしく」

 

原作の開始だ。



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防衛任務

空閑が転校してきた日、僕がとった行動はーーーーーーーー

 

『防衛任務』だった。

 

いや、空閑と話したくないわけじゃないんだよ。いつ、原作始めか知らなかったから間違えて防衛任務入れちゃっただけだよ。

 

「何、考えてるの、三雲くん?」

 

「ああ、那須先輩。今日、僕のクラスに転校生が来まして、どう接しようかと」

 

僕に話しかけてきたのは、今回防衛任務で一緒になった那須隊の隊長の那須玲さん。

 

「そんなことに迷うタマじゃないでしょ、あんたは」

 

「熊ちゃん、そんな言い方はないと思うけど…」

 

「そうですよね…普通の人だったら迷わないんですが…」

 

「え、その子、普通じゃないの?」

 

「あ…まあ」

 

「どこらへんが?」

 

「えっとですね…」

 

『ゲート発生、座標誘導誤差2.56!』

 

僕がどう話そうかと思っていると、ゲートが発生した。このゲートを通ってネイバーは出現する。今回、出現したのはモールモッドと呼ばれる個体で、機敏な動きと鋭い爪が特徴的だ。

ただ、B級でも対応できる。しかし、今回は…

 

「数が多い!!」

 

普段の数倍の量が現れる。これだけの量だと、いくら那須隊がいるとはいえきつい。

 

「那須先輩!二手に分かれましょう」

 

「でも、三雲くん!この数だと」

 

「この数だからです。僕がここにいると多分、那須先輩達の連携の邪魔になると思います。なので、僕が何体か注意を引きます。それだったら、対処ができるはずです」

 

そう言い、僕は弾速重視にしたアステロイドを数体のモールモッドに当て注意を引く。

 

「鬼ごっこの始まりだ」

 

警戒区域から出さないように注意しながら逃げながら、できれば倒したい。

 

(危ない…)

 

モールモッドの鋭い攻撃が頭を掠る。僕のトリオン量だと、ゴリ押しで倒すことは厳しい。基本的、僕の戦い方は速攻で弱点の目をアステロイドで狙い撃ちだ。ただ、この量だとそれはできない。となれば、まだ使いこなせてはいない特殊弾を不器用ながら使うしかないだろう。

 

「やな仕事だ…!」

 

***

 

あれから10分程度が経った。アステロイドにバイパーやメテオラを織り交ぜつつ、五体ぐらいをようやく倒せたところで。

 

「よくやった」

 

上から弾が飛んでくる。その弾丸は漆黒で、当たったモールモッドに重りがつく。

 

「三輪隊、現着した。これよりトリオン兵の殲滅に入る」

 

A級7位三輪隊。アタッカーの二人が撹乱してスナイパーで仕留める、といったスタイルをとっている質実剛健な部隊だ。

どうやら、那須先輩達が増援を呼んでくれていたらしい。

流石、A級。みるみる内にトリオン兵の数を減らしていく。ものの数分で敵であるトリオン兵は全滅した。

そこで

 

「警戒区域ギリギリにトリオン兵だと!」

 

『さらにゲート発生!まずい…今回も数が多い!』

 

さらにゲートが発生し、モールモッドや他の種類のトリオン兵が現れる。

 

「チッ!そこのB級隊員!」

 

「はい!」

 

「こいつらは俺たちがやる。お前は警戒区域ギリギリのほうをやれ!」

 

「了解!」

 

僕は勢いよく駆け出した。今回は試験的に入れていたあれが役に立ちそうだ。

 

「グラスホッパー!」

 

グラスホッパーを使うことで移動のスピードが段違いに上がる。

警戒区域自体はそこまでの広さじゃない。このスピードならすぐつきそうだ。

 

「見えた!」

 

たしかに見えた。そう、トリオン兵の死骸が。

 

「あれ?」

 

と不思議に思うもののすぐに思い出す。これ、空閑の仕業じゃん。

とはいえ、正直に言えるわけもないが、この攻撃の仕方はボーダーが所有するトリガーに当てはまらない。黒トリガーだしね。

唯一の救いは、今のボーダーには嘘を見抜くサイドエフェクト、またはそれに準じるサイドエフェクトを持っているものがいないことだ。

 

さて、と、誤魔化すか(白目)

 

「こちら、三雲。大型近界民の撃破を確認」

 

***

 

ようやく事情聴取も終わり、自宅へ帰ることができる。てか、三輪さん怖すぎでしょ。延々と、本当に見てないのか、嘘じゃないだろうな、って叫ぶんだぜ。耳がイカレルかと思った。

 

まあ、それを乗り切り一段落ついたということで自分にご褒美ということで、近頃JKに話題のタピオカミルクティーを飲んでいる。僕、DCだけど。

 

「あれ?オサムじゃん」

 

「ん、空閑か。どうしてここに?」

 

「腹減ったからな」

 

空閑の腹からぐ〜と可愛らしい音が鳴る。

 

「お金あるのか?」

 

「勿論」

 

空閑が鞄から現金を出そうとして、ってちょっと待て!!

 

「出さなくていい。金は見せびらかすもんじゃないし」

 

「ム?そうなのか?」

 

「そうだぞ」

 

「ならいっか」

 

ふぅ、あぶねぇ。あのままだと、チンピラに絡まれるところだった。それは勘弁…

 

この後、空閑と焼き鳥を数個食べた。帰りの最中に空閑が轢かれかけたが、なんやかんやあって無傷だった。あ、空閑は轢かれてないからな。

 

 

 

「ただいま」

 

この時間帯だと、誰も家にいない。母さんは仕事中だし、父さんは…何してるか分からない。本当に何してるんだ?

 

まあ、焼き鳥だけじゃ腹は膨れないので家にあるカップ焼きそばを作り始める。普段だと、料理をしているが流石に疲労が溜まっていてその気にはなれない。

 

ちなみに焼きそばのお気に入りの食べ方は卵乗せ。



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イレギュラー門

お気に入り人数が230越してビビリ腰になった花蕾です。どうも。
では三話。すこし無理やりの部分もありますが、どうぞ


翌日、いつも通りつまらない授業を能動的に受け、時刻は昼休みとなった。

 

修と空閑は屋上で昼食をとっていた。周りを見れば、多くの生徒がいる。この学校、珍しいことに屋上が解放されているのだ。普通の学校だと解放されてないからね。確か、自殺防止とかだっけ。

 

「うまいな、この弁当。オサムって料理上手いんだな」

 

「まあね。母親が帰ってくるのが遅い時があるから」

 

この会話から分かるように空閑が食べている弁当は僕の手作りだ。いつも、自分用と母用に作ってるので、一人増えたところでそこまで負担にならないのだ。

 

弁当を食べながら話してる内容は日本での一般常識だ。人をむやみに殴らないとか蹴るなとか、まあ小学生レベルの道徳の話だ。

 

「なかなか窮屈な暮らしですな」

 

空閑はそう言った後、少し経ちほうほうと呟く。おそらく、レプリカと話したのだろう。レプリカというのは空閑と行動を共にしている多目的型トリオン兵のことだ。まあ、この時点での僕は本来知らないことのはずだし、今の僕も知り合ってはいないため、あえて無視する。

 

「まあ、オサムがそう言うならそうしてみるか」

 

信頼感高すぎない?原作に比べて交流回数減ってるはずなんだが…まあ、おそらく僕が空閑のこちらの交流関係の中で一番接してるのだろう。

 

「オイオイ、どうなってんだぁ〜人がたくさんいるぞ〜」

 

クラスの不良3人組が屋上に現れる。そりゃ、たくさんいるだろうよ。眺めいいし、教室にいるよりすっきりするし。

 

「おめーら、誰に断りいれて屋上使ってんだ、あ?」

 

学校に断りいれています。

ていうか凄んでるけど、僕がボーダーだと分かった瞬間、こいつら僕から手を引いたんだよね。ただのチキンなんだよね。

 

屋上にいる人に絡んで、使用料500円をせびってる。

 

「ほう、そんなルールが」

 

「あるわけないだろ、馬鹿馬鹿しい」

 

冷めた目で不良達を見る。数分たちようやく不良達がこちらに気づく。

 

「何、じろじろと…ヒッ」

 

「あ?…チッ」

 

不良達は何か怯えたように気にくわないように、屋上から去る。ボーダーの威を借りている感じだが使えるものは使わないと。

 

それから僕は空閑とこの世界でのネイバーのことを話しながら食事を続けた。というか、一人分増えるからといって張り切りすぎた。いつもより量が多い。

 

『緊急警報!緊急警報!』

 

学校の、いや、市内のスピーカーからけたたましい警告音が

 

『門が市街地に発生します。市内の皆さんは避難してください』

 

門から現れたのはモールモッド。本来なら警戒区域内に誘導されるものなのだが、まあ色々とあって市内に出る。原因は分かっているが、実際にこのイレギュラー門にあった後に報告したほうが信憑性が増すだろうし、自然でしょ。

屋上から見渡せばもう被害は出てるようで南館のほうで校舎の一部が崩れ落ちる。

 

「オサム、どうするんだ?」

 

「お前はシェルターに逃げろ。僕はあいつらを倒しにいく」

 

はあ?と言ってる顔をしてるが。あ、そうだった、僕、まだ空閑にボーダー隊員だって話してなかった。

 

「トリガー・オン!」

 

掛け声と共に僕の身体はトリオン体に変換される。

 

「ほう、オサムはボーダーの隊員だったのか」

 

「まあね」

 

勢いよくジャンプし、先ほど崩れてたところへ移動する。

 

「バイパー!」

 

変化弾を繰り出す。いつもならしないのだが、今回は一般の人もいるし建物をなるべく壊さないように、リアルタイムで弾道を決める。これをすると脳の五割以上が演算に持っていかれるからいつもはしたくないのだ。涼しい顔でやる那須さんと出水さんはヤバイと思う。

 

「さっさと逃げる!」

 

「三雲くん!!」

 

「ボーダー隊員だ!」

 

こちらを見て足が少し止まったが、みんな上のほうへと走っていく。さて、狭い密室での二対一。なんとかして、外に出したいものだが。

 

ブォンという音と共にモールモッドが鉤爪を繰り出す。それをジャンプで避け、アステロイドをいじらず射出。大したダメージにはならないが、相手の腕一本ぐらいだったら持っていける。

 

「シールド!」

 

次に後ろから来たモールモッドの爪をシールドで防ぐ。ひびが少し入るが、まだ持ちそうだ。そして、

 

「アステロイド」

 

ふたたび、アステロイド。半開きとなったモールモッドの口に弾が入っていき撃ち抜いた。

一体を倒し終わり、同じ数となったこの戦い。

まあ、腕は一本削れてるから楽っちゃ楽。

 

そんな修の戦いを見てる空閑は

 

「強いな、オサム」

 

『そうだな。荒削りのところはあるが、モールモッドをあの短時間で倒したのは実力がある証拠だ』

 

砂煙で見えないはずだが、空閑とレプリカはトリオンの動きで修とモールモッドの戦いを見ていた。戦況が悪かったら自身も参戦しようと、手の黒い指輪を触っていたが、それをする必要もないと空閑は決断を出す。

 

もう一体のモールモッドも先ほど同様に倒し終わり、修は南館から外に出る。そんな修にシェルターから出てきた生徒がわらわらと群がる。イレギュラー門の原因を探しに行きたいものだが、これも悪くない、と少し愉悦に浸る。

 

それからしばらくして、A級5位の嵐山隊が現着した。

嵐山さんからは原作同様感謝され、木虎さんからは敵対視された。なんで???あ、イレギュラー門の原因は見つけて報告しました。なんか排水溝にいた小さいトリオン兵。こいつが原因だ。周りから少量ずつトリオンを採取し、集まったところで門を展開。厄介すぎない?

 

あと、本部のほうに連絡するの忘れてた、純粋に



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イレギュラー門②

前回、230で驚いていたら360越してて驚きました。

…手元に漫画がないから大分おかしな点があると思いますが、優しい目で見て感想欄で伝えてください。


放課後

 

と言ってもあのネイバー襲撃の後、学校は休校になり僕は見つけ報告したイレギュラー門の原因のトリオン兵のレポートを作っていた。正直に言って面倒くさい。ただ、報告するため作らなくちゃならない。中学生というのもありそこまでしっかりしたものは期待されていないが、ある程度しっかりしたものじゃないといけない。

 

そして、面倒くさいのはこの後だ。これを持って開発室長の鬼怒田さんに提出しにいかないといけない。開発室にいくと、どうやら会議中らしくいなかった。開発室で待っておこうかと思ったが、周りにいた開発室員によると早めに伝えたほうがいい案件のため、直接会議室に持っていったほうが良いとのこと。

 

作り終わったレポートを片手に僕はとある部屋を目指す。それは上層部がいつも会議している部屋。扉の前まで来るが、

 

「入りたくないなぁ…」

 

扉からすごい威圧感を感じるんですけど!?近くだけで肌がピリピリするとかおかしいでしょ。中でやってるのって、会議だよね!

 

「何やってるの、メガネくん。扉の前でビクビクして」

 

「あ、迅さん。実は上層部に提出する資料がありまして…」

 

扉の前で変な動きをしていた僕に話しかけてきた男は迅さん、フルネームだと迅 悠一。本部じゃなくて玉駒支部というところの『S級隊員』。S級というのはA級の上ではなく、『黒トリガー』と呼ばれる特殊なトリガーを使うものたちのことを指す。

黒トリガーとは、優れたトリオン能力者が自らの全トリオンを注ぎ込むことで命と引き換えに作り上げるトリガーで、その力は通常のトリガーと一線を画す。ただ、デメリットも少し存在する。それはボーダーが隊員に支給しているトリガーにつけられている緊急脱出、いわゆるベイルアウトというのが備わっていないことだ。つまり、負けたらトリオン兵やネイバーに生身を晒すということ。生身でトリオン兵やネイバーに立ち向かうなんて命知らずもいいところだ。ボーダーのノーマルトリガーには生身の人間には攻撃が当たらないよう設定されているが、ネイバーのトリガーにはそういう仕様はないだろう。

 

「へぇ、提出の資料」

 

「見ます?」

 

「いや、いいよ。どうせすぐにわかるし」

 

「それは何故?」

 

「俺のサイドエフェクトがそう言っている」

 

サイドエフェクト、それはトリオンが元より多かったものが持っている異能力的なサムシングのことだ。

ボーダーで能力にS~Cまでのランクを付けている。上から超感覚、超技能、特殊体質、強化五感となっている。超感覚なら必ずしもSランク判定を受けるという訳ではなく、超感覚はSかA、超技能はAかB、特殊体質はBかC、強化五感がCランクに分類される。

多くは先天性だが、一部には後天性のものもある。

 

迅さんのサイドエフェクトはSランクの『未来視』。確定した未来なら数年先まで見えるらしい。

 

「それじゃ、入ろうか」

 

「えっ!?」

 

こちらの心の準備が終わらないうちに迅さんは扉を開ける。

 

「実力派エリートの迅悠一でーす」

 

「…迅か、何のようだ?」

 

迅さんの独特な挨拶に答えたのは会議の長、つまりボーダーで一番偉い男。

 

「いや〜用があるのは俺じゃなくて」

 

「B級の三雲です。イレギュラー門の原因であるトリオン兵のレポートを持ってきたんですが…」

 

「ほう」

 

「何じゃと!?」

 

鬼怒田さんが立ち上がる。他の面々もそこまでオーバーといかなくても顔に驚きが現れている。きちんとコピーしていたレポートと開発室でもらった解析の資料を配る。

 

「周りの人から少しずつトリオンを吸い取って門を」

 

「なら確かにレーダーに引っかからないはずだ。確認できるほどのトリオンがないからな」

 

「だが、どうする?隊員を派遣してもその隊員からトリオンを吸われて門が発生するかも知れない」

 

「そうなった場合はマスコミからの悪態は避けられませんねぇ」

 

「…どう思う、迅」

 

「そうですね。この小型のトリオン兵の排除は必須です。ただ、三門市の全範囲をカバーできるほど隊員数はいません。それに門が発生した時の市民の避難などを考えるとやはり数が少ないですね。ここはA級、B級だけでなくC級も召集してみてはいかがでしょう?」

 

「正気か、迅!」

 

「C級の外部でのトリガーの使用は規定に反するぞ!?」

 

「どういう考えのつもりだ、迅」

 

「いや、言葉通りのつもりですよ、城戸司令。ね、メガネくん」

 

ここで僕に振る!?そのまま喋っといてよ!?ほら鋭い眼光がこちらに。怖ろしや〜怖ろしや〜。

 

「は、はい。皆さんがご存知の通り、トリオン体は通常の肉体の数倍の力を発揮します。もし、トリオン兵との戦いで建物が倒壊した場合の救助などにとても便利です。C級は回収と避難の勧告、救助を任務として、A級とB級はそれに加えてイレギュラー門が発生した場合のトリオン兵の排除というのはどうでしょうか」

 

「なるほどな」

 

「いや、しかし…」

 

「…この状況での特別な許可か…遠征部隊が帰ってくるまで待つとはいかないだろうからな。いいだろう、特別に今回だけ許可しよう」

 

城戸司令の鶴の一言でそう決まった。あっさり決まりすぎだが、時間と労力とか色々天秤に測った結果がこれだろう、多分。

 

ちなみにこの資料持っていくの俺じゃなくても良かったっぽいです。ふざけんな。

 

********

 

ということで小型トリオン兵の回収をしています。排水口とか人があまり見なさそうな場所にたくさんいて、正直にいって気持ち悪いです。

 

「ふぅ、これで20体」

 

「そう、まだまだありそうね」

 

「ええ」

 

僕が担当している地区では僕の他に数名のC級、そして嵐山隊の木虎さんが任務に当たっていた。このまま、何ごともなく終わればいいが…

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁ!」

 

『緊急警報!緊急警報!門が市街地に発生します。市内の皆さんは避難してください』

 

本日2回目の緊急警報。フラグ立てたからかなぁ。

 

現れたのはでかいイルカみたいなトリオン兵。確か名前は『イルガー』だったかな。

 

「何!?このネイバー…見たことない…」

 

「はあ、どうします、あいつ?」

 

とりあえず、いつでも戦闘に入れるようアステロイドを展開しておく。

 

「…っ。あのネイバーは私が始末するわ。貴方はおとなしくしておきなさい」

 

は?え、まじで言ってる。ここで意地はるの?

 

イルガーの迎撃に向かった木虎を見ながら修はそう思った。

 

「とりあえず、市民の避難とか手伝お」




はい、多分前半の上層部の部分が大分おかしいと思いますが私の限界です、すいません。

感想欄でヒロインについて言われたんですが、この作品のヒロインは未だに決まってません。


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お久しぶりです。どうも、花蕾です。
お気に入りが500人突破して嬉しい限りです。

正月の小遣いでワートリ一気買いしました。やばいな。これ書くために買ったんすけど、面白すぎて、書かずにずっと読んでました。流石に、と思って急いで書きました。
では、どうぞ


「さて、避難もだいたい終わったし、イルガーの方はどうなってるかね」

 

住民の避難が終わり、空を飛んでるイルガーを見ればちょうど木虎がその背に乗ったところだった。

 

うわ、嫌な予感がするなー

 

 

素早いスコーピオン捌きでイルガーの背の装甲を剥ぎ、体内に向かってアステロイドを連射する。

 

その結果、黒い煙を出しながらイルガーは堕ちていくのだが、ガシャンという音を立て、弱点の目が隠される。さらに背に突起が現れ、木虎がそれを斬ろうとするもののあまりに硬く歯が立たない。

 

(うわ、忘れてた…)

 

いわゆる、自爆モードというやつである。

イルガーは大ダメージを受けると、付近でもっとも人間がいる場所めがけて落下…あれ、ここら辺人いなくね。もしかして、僕のところに堕ちてくる?

 

ははは、ちょっと何言ってるかわからない

 

とりあえず、対岸に向かって走る。すると、イルガーもそちらの方向のほうに方向転換。もう一度、橋を渡る。イルガーもクルリ、と。

 

 

ハッハッハッ、わーい

 

 

僕は川に飛び込んだ。この季節(12月)の水遊びは最高だぜ!

それから少しした後、大きな水しぶきと共にイルガーが川の中へダイブ。イルガーの爆発で市街に被害は出なかったものの、僕のトリオン体は木っ端微塵になりました。

 

****

 

ベイルアウトで帰ってきたのだが、上手くいってよかった。上手くいかなかったら、いきなり川に飛び込んだ変人だ。いくら、状況説明しても変な目で見られる。なんなら、逆の立場なら変な目で見る。

とりあえず、僕の担当地域の残りは木虎が全部してくれるそうだ、ありがたや。ただ、なんで、木虎、勝ち誇った笑みでこちらにそれを報告するんだ?仕事増えただけなのに。

ま、ということで今日のお仕事は終わり。ちょっと、個人戦してから帰ろう。

 

1戦目。選ぶのは自分より少し上の人。大体7000ポイントぐらいかな。

ちょうどいい対戦相手を見つけたので、対戦開始。

 

市街地エリアに転送され、目の前にいたのは、

 

「ジャクソンじゃん」

 

無言、アステロイド。悲しいなぁ、挨拶しただけなのに。

ジャクソンこと、若村くん。原作の作者曰く、イケメン枠。

 

とりあえず、住宅街を使って逃げつつ

 

「ハウンド」

 

追尾弾を放つ。シールドで防御されたものの、一時的に弾幕は解除される。さて、この隙に、バックワームを、と…あれ、ない?もしかして、これ、グラスホッパーのままにしてる?

この前の防衛任務で試験的に入れていたグラスホッパー、抜くの忘れてた。

いつも、使っているバックワームで奇襲のニンジャスタイルが使えないんだが。予定変更。頑張ってゴリ押す。

 

「いつものスタイルはどうした?」

 

「今日はこんな気分なんですー」

 

「うぜぇ」

 

アステロイドを放つが、ジャクソンのシールドに阻まれる。ジャクソンが撃ち返してくるが、今度は僕のシールドに阻まれる。

 

(さて、どうしたもんか)

 

そう考えていると、僕とジャクソンの間に建物が入り、それを通りすぎたところで、

 

 

あいつ、消えやがった。

 

レーダーに写ってはいるし、ここら辺にいるはずだが、視界にはいない。おそらく、カメレオンだろう。幸い、カメレオンで消えてる最中は、他のトリガーは使用できないので、姿が見えるまではある程度安全かな。というわけで、

 

「メテオラ!」

 

いやー、一回やってみたかったんだよね、レーダー見てからの適当メテオラ。相当、楽しい。癖になりそう。

 

「ちょっ、まっ、お前、まじふざけんな!」

『戦闘体活動限界、緊急脱出』

 

あ、ジャクソン倒した。

 

 

この後、ジャクソンともう一戦やりました。グラスホッパー使って不意を突こうとしたらミスって蜂の巣にされました。ちくしょー。

 

****

 

ジャクソン以外にも色々な人と戦い、7000ポイントぐらいまでにはなった。やっぱり、バイパーは強いです。なんで、ジャクソンとの対戦で使い忘れてたんだろ、俺。その結果に満足し、今日は帰宅することにする。

 

「あれ、修くん?」

 

「…千佳か。久しぶり」

 

「うん、久しぶり」

 

帰り道の最中に話しかけてきたのは、雨取千佳。昔、僕に勉強を教えてくれた家庭教師の麟児さんの妹さんだ。

 

「今日は凄かったね、いっぱいボーダーの人が動いてて。修くんもいたの?」

 

「まあね。そういう千佳のほうも大丈夫だったのか?」

 

「うん。そういう修くんはどうだったの?」

 

「僕も特に問題はなかったよ。川に飛び込んだぐらいだし」

 

「12月にそれは問題だと思うよ」

 

千佳は苦笑しながらそう言う。

 

「今から、修くんはどうするの?」

 

「明日の弁当の材料をスーパーに買いに行こうと思ってる」

 

「あー、修くん、自分で作ってるもんね。私なんかお母さんに作ってもらってるよ」

 

「それが普通だと思うぞ。最近、母さん、僕のほうが料理が上手くなってふてくされてあまり作らなくなったし」

 

「ふふふ、そうなんだ。あまり会わなくなったから、知らなかった」

 

千佳と分かれてスーパーに食材を買って家に帰ると、ブーと頬を膨らませた母さんがいた。

 

「早く作りなさい」

 

「…母さんの好物作るからその手にある棒を床に置いてください」

 

なぜか、棒を装備して。




感想欄で来てた、三雲くんのステータス発表

トリオン…7
攻撃…7
防御・援護…5
機動…6
技術…7
射程…5
指揮…4
特殊戦術…3
トータル…44

トリガー内容
メイン…アステロイド、バイパー、メテオラ、シールド
サブ…アステロイド、ハウンド、バックワーム(今回はグラスホッパーになっていた)、シールド




憑依修くんの強化案は3つぐらいあります。話が進んだら、アンケートを取る可能性が高いです。その時はよろしくお願いします。


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