Fate/ the over-riser 別編 (ho9tocraft)
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Post Disaster編 鉄華の壱「雪花の盾」 なんで鉄血世界なんですかマーリンさん〜プロローグ〜

 ―――side 神城まどか

 はじめましての人ははじめまして。Fate/the over-riser振りの人はヨーソロー、神城まどかだよ。

『全く、レム睡眠とは良くないじゃないか』

などという花の魔術師の戯言から始まり。

「拒否権なし?」

「ゴリ押しで引いてくると思うよ?」

という問答の果てに、魂丸コピ&魂間で記憶同期という凄まじい優遇っぷりでどっかの世界のカルデアに魂飛ばされた私ですが。

 あ、ありのまま 今見ている事実を話すぜ!

 カルデアの召喚サークルに居ると思ったら、何故かSFチックなベッドの上に居た。

 な。何を言っておるのかさっぱりわからんと思う方もいらっしゃると思うが。

 わ、わわわ、私にもさっぱり分からなかった。

 頭がどうにかなりそうだった…。

 召喚失敗とか強制転移とか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ。

 もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…。

 とか言ってる場合じゃねぇ!!

 私は速攻で頭の上に乗っかってた手紙を読む。

 

 鉄血世界のまどかさんへ

 ごっめーん、魂のコピペ数増やしちゃった。

 というわけでごめんねー。

 鉄血世界、楽しんできてねー!

 あ、召喚特典として、他に人も居るし、受肉もしてるから魔力関係は問題ないよ!

 あとお詫びに機動兵器も数機程送ったよ!全部マーリン印の強化版さ!

 それでは、チャオ!

               マーリンより

 

「ふ…ふ………

 ふっざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

 私に旅の終わりを見せてくれないのかお前はァァァ!

 過労死は嫌だぞ!!」

と私は叫んだ。

「うるさいぞ、セイヴァー」

と、抗議を申し立てる女の方が1名ほど。

 CV:坂本真綾。

 嫌な予感しかしない。

 そう考えて後ろを向くと…、そこには、全裸の金髪赤目の女性がいた。

 正体が分かった。

 この女性はあーぱーではない。

 麗しの英雄王、ギルガメッシュだ。

 よかった、男じゃなくて。

「………すみませんね、英雄王。

 いや本当に申し訳ない」

と私は深々と謝った。

 私が礼儀を弁えてないといつから錯覚していたんだい君達!

「とりあえず、これを読んでもらえればだいたい分かるかと」

と言って、女帝ギルガメッシュに私が悲鳴を上げた原因である手紙を見せる。

 女帝ギルガメッシュはすーっと読んでいき…、笑い出した。

「ククク………。奇遇だな、妾もだよ!

 こんな世の中だ、妾のことはギルと呼ぶがいい!」

と気前よく女帝ギルガメッシュが言った。

「では、私のことはまどかと呼んでください」

と言って、深々とお辞儀をして自室(恐らくにょギルとの共用)を後にした。

 で、すぐに私は、この場所に、地球並みの重力があることを知った。

 しかし数秒後、手紙の裏の館内MAPを見て、「小惑星基地か」と言って把握したのだった。

 恐らく、この基地には重力発生装置が何処かにあるのだろう。

 そして、格納庫に入った。

 バァァァンと眼の前に映ったのは………。

 それは、最強の破壊神。それは、勇気の究極なる姿。我々が辿り着いた、大いなる遺産。

 その名は………。

「ナンデジェネシックガオガイガーがいるんじゃァァァ?!」

戸惑うに決まっておろう。

 てことは…。

「よぉ、はじめましてだな、お嬢さん」

デスヨネー!

「………獅子王凱さん、ですよね?」

とりあえず聞く。

「おう、よく知ってたな。お嬢さんの名は?」

と凱。

 肉体の状態から察するに、彼はエヴォリュダーか………。

「神城まどかです。以後お見知りおきを」

と言って、颯爽と立ち去ることにした。

 ハッキリいいます。怖いです。高機能自閉症的な意味で恐怖を感じてます。

 そして、ジェネシックガオガイガーの隣に2機ほど居た機体は………、ジェニオンとダブルオークアンタフルセイバー。

(どれもオーバースペックです本当にありがとう御座いました。

 というかなんで鉄血世界なんですかマーリンさん)

と私は思った。選出基準が分からぬ。

 そして何より、そちら(読者のこと)がイメージするであろう絵面が、どうもコハエースっぽい絵面であるということ。

 それから私は考えた。

 ギャグ時空ですか、そうですか抑止力がアホやらかす時空ですか。

 謀ったな花の魔術師マーリン。

「おーい、まどかー?」

そして呼ばれる私。今度は誰だ?!

「え、えーと、まじんさん?」

「そうだぞーまじんさんだぞー」

日焼けしたような小麦色の肌に、銀目銀髪(?)の武士っぽい女性がいらっしゃった。真名を沖田総司オルタナティブという。

「よかったぁぁぁ、貴女もいたんだぁぁぁ」

感動のあまり抱きついてしまった。

 アカンなぁ、本当に。

「おぉ!

 お主が真化の獣、神城まどかであるか!

 可憐よのぉ〜。是非もないネ!」

という女性の声が。あー、ぐだぐだしてて嫌だなぁ。

「なんで貴女までいるんですかノッブ。

 つーかアーチャーかよ。アヴェンジャーで出直してきたまえ。あ、出来れば第2霊基再臨でお願いしますね」

と、辛辣な対応をさせてもらった。

 というか、ノッブの後ろにあるやつ。

 プトレマイオス2改、通称トレミーじゃないですかーやだー。

「ワシに対して酷い扱いじゃな!!なんでさ!

 にょギルや凱に対しちゃ礼儀正しく対応してて、魔神セイバーに対してはその状態で、なんでワシだけ辛辣ぅ?!」

とノッブは供述しており。

 まぁ、とにかく………。

「ここはローマでも、カルデアでもないではないか!なんで余までおるの?!」

そして黄色い悲鳴。

「ネロ帝、少し頭冷やそうか」

と私は言わざるを得なかった。うん、しょうがないよね………。

 さて、ここまで謎の疾走感があったりなかったりしたわけだが。

 私は設備をざっとまとめてみた。

「えーと?金属資源食糧燃料その他諸々が全部無から作り出されてて?

 機動兵器の修理は全部カレルがやる、つまりハロが無数にある、と。

 リーダーは………、案の定オレンジハロですか」

と私は言った。そして、会議室に全員が揃う。

「恐らく全員が何らかの形でサーヴァントとして呼び出された後に受肉したハグレモノだと思う。

 だから、リーダーを決めようと思う。

 誰か、立候補しようと考える人はいないか?

 推薦でも構わない」

と私は言った。

 意外ッ!にょギルが立候補しないッ!

「「「「「じーっ」」」」」

5人の視線が痛い痛い。

「分かった、わかったよ。言い出しっぺの法則だろう?

 リーダーはやるとして………、エミヤがいないから料理係がいらっしゃらない訳ですが」

と私は言う。

「英霊召喚、試せばよいではないか」

とネロが言った。

 よろしくないわ!

「なんつーかさー、この場に料理スキルを持ってる人はいないのか?」

とこんにゃく大嫌い勇者王。

 敢えて言おう。

「私、庶民的なものしか作れないです」

と言った。「安心し給え、凱。牛丼は作ったことはない」という視線を凱に送ったよ。

「安心しろ、まどか。今の妾達では、庶民的な生活しか送れんよ。

 それに、妾も、此度の現界に際しては、食事は庶民的でも良いと決めておる」

とにょギルが言ってくれた。

「ありがとうございます、ギル。

 さて、軽い料理スキル持ちである私が一応の料理長にもなった訳だけど、エミヤとかも現界してる可能性があるわけだよね?」

と私は言った。全員が頷いた。

「ならば、探そうか。うん」

と言って、私は役割分担を決めた。

 ジェネシックガオガイガーは、当然獅子王凱。

 ネロが乗りたいと喚いたが、却下だ。

 ジェニオンとダブルオークアンタフルセイバーは、乗りこなせるのが私しかいないという事実から、実質私専用機となった。

 そして、売れるMSがないか、といったような事も含んだ、私達のデブリ帯の探索が始まった。

 今回の乗機はダブルオークアンタフルセイバー。相乗りでネロちゃま。

 とりあえず、神経を研ぎ澄ませ、辺りを見渡す。

「………生体反応?!」

私は、周囲を確認した。眼の前に、半壊したスピナ・ロディが1機、浮かんでいた。

「ヤバそうか?」

とネロちゃま。

 うん、と私は頷いて、スピナ・ロディを抱きかかえてトランザムで一気にデブリ帯を抜けた。そしてホームポイントに帰還した。

 帰還後、スピナ・ロディのコックピットハッチをこじ開けて、中にいた子供の男女各1人を無理矢理引きずり出し、プトレマイオス2改の医療ポッドに放り込んだ。

「成果は?」

とノッブが聞いてきた。

 私はタブレットをテーブルの上に置いた。

「ほほぅ、半壊状態のスピナ・ロディとな。

 モビルスーツではないか!やったな!」

とノッブは言った。

「悪い報告もある。そのスピナ・ロディに、ヒューマン・デブリの男女各1名がいた。機体の振動による外傷が多く目立ってた。恐らく、どこかの組織から奪ってきたのだろう」

と私は言った。

 医療カプセルに放り込んだから、こき使う気満々なんだけどね!

 それで、初期メンバーの6人を除いて、新参者は基本的に戦国時代における足軽スタートじゃオラァ。

 週休二日制。有給休暇あり。なんてホワイトなことでしょう。

 1ヶ月後、P.D.322年4月。

 救助した2人が、目を覚ました。

 

 ―――side エレミヤ・ジェームズ

 僕は…エレミヤ・ジェームズは、見知らぬ天井で目を覚ました。

 起き上がると、体がめっちゃ重い。

 重力って奴があるみたい。

 テーブルの上に手紙があった。僕はそれを読んだ。

 

 (英語から日本語に翻訳後)

 名も知らぬヒューマン・デブリの男の子へ

 衣服はこちらで用意致しました。進路を決めるまでお付き合いさせていただきます。

 よろしくお願い致します。

           マドカ・カミシロより

 

 それより、妹のベイリーは?

 起き上がって、とりあえず食堂へ行こう。

 

 食堂に行ったら、そこには、見慣れぬ料理を用意する女の人が居た。

「はいこれ。白身魚のポワレ。レモンを絞って食べて見れば美味しいと思うよ」

と女の人が言った。

 魚である。

 とにかく、お腹も減ってるから、食べてみることにした。

 一口。

 食べた途端に、旨味が一気に広がっていった。

 美味しい。

 レモンを絞って、絞り汁をかけて食べてみる。

 味がさっぱりする。

「美味しいです」

と僕は言った。

 食事をとっていると、入口から妹が入ってきた。

 よかった、無事で。

「全員来たところで君達、名前は?」

と女の人が聞いてきた。

 正直に答えるべきだろうと思ったので、僕たちは自己紹介を行った。

「エレミヤとベイリーか…。紹介が遅れたね。私の名前はマドカ・カミシロ。これからもよろしく頼むね」

と女性―――マドカさんは言った。

 なんか日本人みたいな名前だと思った。

 

 ―――side 神城まどか

 えー、はい。

 正直、超次元世界でのID登録名で通すことになるとは思いませんでした。

 だってそうじゃないか〜。

 『スーパーロボット大戦J』に於いて、『紫雲統夜』名義だったトーヤ氏が、『スーパーロボット大戦OGムーン・デュエラーズ』では『トーヤ・シウン』名義になってるんだからさ〜。

 この世界に於いてもそうしなければならないという直感故だよ。

 スキル云々関係なし!ズバリ、女の勘よッ!

 で、この2人。

 ヒューマン・デブリだったよ。案の定。

 なんかの組織から脱走してきたことが容易に想像出来る。

「凱、とりあえず哨戒頼む」

『了解だ!』

ツー訳で、勇者王の出番じゃゴルァ。

 そして警戒態勢を整えてから、2ヶ月が経過した、6月。

『強襲装甲艦が接近してきておる!通信をつなぐか?リーダー!』

と、哨戒任務に赴いていたネロちゃまが通信を通して言った。

「回線を開け。とりあえず、サバーニャ、ハルートからGN粒子を供給。

 いつでもGNフィールドを展開できるようにするぞ」

と私は言った。

『こちらは〘イレミヤ・トランスポート〙の団長、ジェシカ・イレミヤだ』

相手は女か。質が悪い。

「あー、この小惑星基地に住んでいる、マドカ・カミシロだ。何のようだ?」

と私は応じつつ、質問をした。

 何がともあれ、保護したヒューマン・デブリ2人を生かさなければ。

『邪険になるでない、少女よ。

 私達は、盗人のヒューマン・デブリを捕まえに来ただけよ。お前んとこの基地に盗人が盗んだモビルスーツの固有周波数と同じエイハブリアクターの周波数があったから、それでやって来ただけよ。

 ヒューマン・デブリ2人、そして盗まれたモビルスーツの返却を求む』

とジェシカは言った。

 成程、コイツに迫害されてたのか………、ってナチュラルに納得している場合かー!!

 ツッコミが追いつかねぇぇぇ!!

 お前の!眼の前にはッ!

 ネロ・クラウディウスが搭乗するッ!

 ダブルオーガンダムセブンソード/G(ネロカラー)が居るんだよぉぉぉ!!

「………あー、私達が回収した、あのモビルスーツのことか。

 中のヒューマン・デブリは、死んでたぞ。

 後数分回収が早ければ、助かってたレベルでな」

と私は答えた。

『そうか。それは残念だったな。

 ヒューマン・デブリなんざどこでも居るさ。

 んで、モビルスーツはどうなんだ?』

とジェシカが聞く。だが、私は聞き逃さなかった。

 彼女が、「上玉を取り逃がしたか、クソッ」と悪態をついたのを。

(コイツ、ヒューマン・デブリを悪いようにこき使ってたな)

と私は考えた。

「酷い有様だな。修理してやってもいいが、如何せんフレーム自体がイカれてた」

と私は言った。ガンダム・フレーム機であるグシオンリベイクフルシティの修理も行った事があるからね。これくらいは十分よ。

『修理してくれるのか?ならば………と思ったが、気が変わった』

とジェシカが言った。

 恐らく仕掛けてくるのだろう。

 私は秘匿回線を開く。

「ネロ、スタンバイ」

『余に任せよ!』

シミュレーターできっちり扱いたんだ、大抵の事ならネロに任せればよかろう。

『その小惑星基地、貰おう。何、お前もこき使ってやるからよ』

とジェシカが言った。

 事前にガンダムサバーニャ、ガンダムハルート、ダブルオーガンダムセブンソード/G、ガンダムエクシアリペアⅣを開発できて良かった、と私は思った。

 ぐだぐだしつつも、私はジェシカに―――、〘イレミヤ・トランスポート〙に、死刑宣告をする。

「併合しようと考えるとは、いい度胸じゃねぇか。

 だが、力を見誤ったな。

 いつからこの基地に防御設備がないと思っていた?」

と言って、GNフィールドを展開。そして………。

「凱、ここは任せる。ネロは相手が出してくるであろうモビルスーツの無力化を!」

『了解だ!』

『うむ!死なない程度に痛めるぞ!』

2人が返事をする。

「で、お前はどうするのだ?」

とにょギル。

 当然のことを聞いてきたのだから………、少し、笑ってしまった。

「当然、ダブルオークアンタフルセイバーで出る」

 

 一度、深呼吸をする。

 まさか、これ(CBのパイロットスーツ)を着ることになろうとはね。

『発進準備完了!発進準備完了!』

と、発進シークエンス担当のハロが言う。

 射出タイミングが譲渡されている。

 リニアボルテージは750%、いつでも出られる。

「了解。ダブルオークアンタフルセイバー、セイヴァー・ジ・オーバーライザー、出る!」

発進用カタパルトから、ダブルオークアンタフルセイバーが射出される。

 さぁ、西暦世界の馬鹿力を見せに行こう。

 ………想定絵面はコハエースだけど。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side エレミヤ・ジェームズ

 マドカさんが部屋を出ていってから、オレンジ色の球体ロボット―――『ハロ』と言うらしいです―――がコンソールを操作してた。

 数秒後、部屋の真正面にある大画面モニターに、戦況が映し出された。

 ネロさんと、マドカさんが乗る機体は、フレームが装甲でしっかり覆われていた。

 これは、格納庫の緑色の装甲のモビルスーツと、オレンジ色の装甲のモビルスーツ、胴体部に獅子が象られた巨大モビルスーツなどにも言えることだった。

 僕達の知るモビルスーツで、フレームを装甲でしっかり覆っているのは、海賊〘ブルワーズ〙がロディ・フレームをレストアし、積載重量ギリギリまで装甲を上げたマン・ロディぐらいだ。

 だけど、それらは四肢こそあれど、人型とは言い切れない。

 しかし、ネロさんやマドカさんが乗るモビルスーツはどうだろう。

 フレームを装甲でしっかり覆ってるのに、まるで人のようなシャープな姿をしている。

 それに、各部のスラスターから、淡い緑色の光の粒子を出している。

 あんなモビルスーツは見たことはない。だけど、綺麗だ。

「綺麗…」

とベイリーが言った。

 僕達は、2機の謎のモビルスーツが放つ光に魅了されながら、彼女らが戦闘に入るのを見ているしかなかった。

 

 ―――side ジェシカ・イレミヤ

 盗人のヒューマン・デブリの案件は、恐らくあの少女が嘘をついたのだろう。

 あの少女が保有する小惑星基地は、見た感じ、入船ドックが3つある。アレは、私達の活動にうってつけのものだろう。

「御頭、全MS隊の出撃が完了しました。それと、例の小惑星基地から、MSが1機、出撃したのを肉眼で捕捉したそうです」

と部下が報告してきた。流石は私の愛しい部下たちだ。

 私の艦の主砲が、小惑星基地に向く。撃て、と言おうと考えた途端に、小惑星基地に異変が生じた。

「小惑星基地から、何かが放出されています!

 原因不明!」

と、オペレーターを務める傭兵が言った。

 私は、それを見て不思議に思った。

 それは、光の膜だった。

「ナノミラーチャフか………?構わない、撃って正体を見極めなさい!」

と言って、私の艦〘ゲイルオブグローリー〙は主砲を発射した。

 しかし………、着弾したのに、小惑星基地にはキズひとつついてない。

 アレが少女の言っていた防御設備か。

 面白い。

「フハハハハハ!面白い!面白いぞ!アレを手に入れれば、私達は鉄壁の防御を手に入れるってことか!」

と、笑い転げながら私は言った。

「現在、我がMS部隊は、2機のMSと交戦中!劣勢である模様!」

という報告が飛んできた。

 コイツは面白い。

「ククク………。そりゃあ面白い報告だ。

 間違いではないな?」

と報告をしたオペレーターに私は訊いた。

「はい!間違いではありません!戦線がどんどん押し戻されています!」

とオペレーターが言った。

 たった2機でこれである。

 こちらはヒューマン・デブリの機動兵器部隊10機。

 あっちは1機あたま5機を相手しているという。

「深刻な人材不足のようだねぇ!よし、各員に伝えろ!

 ジェシカが出ると!」

 

 ―――side 神城まどか

 件の強襲装甲艦からモビルスーツ10機が出撃したのを確認した私は、すぐさまネロとの通信を開いた。

「ネロ。この機体もそうだが、大抵のサブマシンガンや手榴弾は効かないと思って良い。

 だから、1機ずつ無力化していこう」

と私は言った。

『無力化だな!任せよ!』

と言って、モビルスーツ部隊と真正面からぶつかり合った。

 流石はネロちゃま、分かっている。

 両腕両脚頭を切り落として、実質無力状態にする。

 そうすれば、パイロットは助かるだろうし、多少は問題ないか。胴体にバルカンあったら知らんが。

「私もやらなければな…。行くぞ、クアンタフルセイバー!」

機体の霊子に訴えかけ、あたかも阿頼耶識搭載型のように稼働する。

 そして、こちらに群がってきた敵モビルスーツ―――スピナ・ロディ5機のうち、1機に飛びかかる。

 腰からGNソードⅤを抜き、抜刀の瞬間に相手の頭を、斬る!

 サクッ、と、まるでレタスを包丁で切ったかのような感覚とともに、敵モビルスーツの頭部が吹っ飛んだ。

 ………ぐだぐだしておるなぁ。

 ぐだぐだ鉄オル?

 変なことを考えつつも、右肩のGNソードⅣフルセイバーからGNガンブレイドを1個取り出し、ブレイドモードで右腕をもぎ取る。

 次にGNソードⅤで左腕を下から上に向かって斬り上げて、左腕を強制パージさせる。

 そして、若干下に降りて、敵の両脚、その膝から下をスパァァンと切断して、無力化する。

「クッ、やつは射撃武装は持ってないようだ。デブリどもはヤツを撹乱しろ!!その隙に俺が行く!!」

という、敵機のリーダー格(?)の号令がかかったのが、容易に想像できた。

「ネロ!私はビーム兵器を使う!貴女は実体剣で無力化してくれ!」

と私は言った。

『了解!やりすぎないようにな!』

ネロに一応伝えて、私はGNガンブレイドを仕舞い、GNソードⅤをライフルモードにする。

「射撃武装は、あるんだよ!!」

まずは一射。

 後ろへ回り込もうと動いていた、リーダー格と思しき深い青色のスピナ・ロディに向かって撃つ。

 すかさず、懐に飛び込み、コックピットがあると思しき部分にGNソードⅤ・ソードモードを叩きつけ、少し食い込ませる。

 歪に敵機のコックピットハッチは歪み、ほぼ確実にこの機体のパイロットは死んだだろうと把握できた。

 これくらいなら、修理すれば使えるだろう。

「Eins」

無力化した奴はカウントしない。

 コックピットが振動に見舞われる。

 しかし、メインコンソールに表示された状態は「NO DAMAGE」。

「その程度で………、この機体を止められるか!!」

速攻で後ろを向き、スラスターを噴かせて射撃してきたスピナ・ロディを斬り、コックピット内部を露出させる。

 そこには、ほぼ不利だと分かっていながら、機体を操縦するヒューマン・デブリの姿があった。

 私は心苦しくなった。

 だけど………、せめて。

「無力化だけはさせてもらうぞ!!」

私は、そのスピナ・ロディの両腕両脚頭を切断して、無力化する。

 この世界にないであろう、太陽炉とGN粒子を齎したのは、恐らく、あの花の魔術師、マーリンだろう。

 そうじゃなかったら召喚特典としてこんなもの置いていかない。

 つーか、太陽炉についてはオリジナルで手元にあったのは30基、既に搭載されていたクアンタ用太陽炉を含めて32基である。速攻で4基使わせてもらったが。

 ちなみにエクシアリペアⅣは擬似太陽炉ね。

(グラハム枠、マクギリスかなぁ)

なーんて思いつつ、私のところに来たスピナ・ロディを全て無力化した。その時である。

 警告音が鳴りひびく。

「新手か………!」

私は速攻でGNソードビットを6基展開し、GNフィールドを形成して、敵機の強襲を防ぐ。

 GNソードビットを戻しつつ、敵機―――黒いシュヴァルベ・グレイズの斧をGNソードⅤを以て受け止める。

『その動き、ネズミだね』

という声がした。

「………ジェシカ・イレミヤ!見込み違いだよ、それはッ!!」

空いている左腕で、シュヴァルベ・グレイズを殴り飛ばす。

『見込み違いだぁ?そんな馬鹿な。

 少なくとも、モビルスーツ乗りでそんな人のような動きをする人間様はいなかった………よ!!』

と言うジェシカ。だが、私はその意思が気に食わん!!

「―――ァッ!!」

シュヴァルベ・グレイズの右腕を切断して切り離し、両脚を切り落とし、アックスを受け止め、返す刃で引き抜いたGNソードⅣフルセイバーで、頭部と左腕を一気に切り落とす。

「これでお前も、もう手の打ちようが無くなっただろう。

 降伏したまえ」

と言った。ネロも戦闘を終え、敵母艦にGNソードⅡブラスターを突きつけていた。

『………私らの負けかい。何なりとしなさい』

とジェシカは言った。

「とりあえず、ヒューマン・デブリ全員譲渡しろ。あと可能な限り状態の良いモビルスーツを1機だ。それだけで十分だ」

母艦は間に合ってるので(魔術的強化済みプトレマイオス2改)。

『それだけでいいのかい?私のタマとったりしないのか?』

と、通信越しでジェシカが言ってきた。

 ハァ、この事実を言うべきなのだろうか。

「………要求自体はそれだけだ。それ以上の交渉は中でやろう」

と言って、小惑星基地に招待した。

 なお、件のヒューマン・デブリについてはにょギルが部屋に匿っている。

 

 数時間後、交渉会議が行われた。

「………明確な料理人不足たぁ、私らと同じ悩みを抱えていらっしゃる…」

というジェシカの発言もあり、こちらの要求通り事が運び、どうにかこの窮地を乗り切った。

 

 状態が良かったモビルスーツは、フレームしかないモビルスーツだった。パット見からなんとなく分かる。

 ―――コイツは、ガンダム・フレームだ。

 エイハブリアクターが停止していたため、再起動を行って、状態の確認を行った。

 メインコンソールに映った起動画面には、『GUNDAM PHOENIX』と書かれていた。

「ガンダム・フェネクス………」

それは再生を司る悪魔だという。

 ならば、UC世界のあれっぽくしてもよかろう?

(フルアーマー・ユニコーンガンダムの別パターンでもいいか)

いわゆるタイプB。フェネクスっぽくなったアレを完成形として、私達は研究開発に励むことになった。

 そして、研究開発及びウィルスチェックを行い始めてから、4ヶ月が経過した、10月。

 私達は火星に行くことにした。

 小惑星基地には、光学迷彩をし、動力源及びGN粒子供給源として製作した、ガンダムアストレア・リビルド(Rebuild:再建)とラファエルガンダムドミニオン・リザレクト(Resurrect→Resurrection:復活)を置いて、保護した20人のヒューマン・デブリ―――否、子供達と共に、とりあえず火星へ向かった。

 艦長は………、今はいない。

とりあえず、今ブリッジには(一応)大人である私達6人しかいない。

 子供達は全員雇っている扱いだ。

 倫理的に問題はあるとはいえ、この世界の法律上は問題はない。

 ちなみに、今、小惑星基地には、ハロとチビノブ、そしてガンダム・フェネクス研究中の4ヶ月のうちに雇った、15歳を越えた少年少女20人を住み込みで居てもらっている。

 まぁ、責任者として、(何とか見つかった)アーチャー・インフェルノと千子村正(衛宮士郎)、諸葛孔明(ロード・エルメロイⅡ世)と司馬懿(ライネス・エルメロイ・アーチゾルテ)と英霊グレイ(Grand Orderのアサシンの拙)に住み込みで居てもらってるが。

 まぁ、不安がないかと言われたら、不安だらけだけど(グレイの持っている魔術礼装の、アッド的な意味で)。

 

 3週間ほどかけて、私達は火星に到達した。非正規ルートである為、海賊との遭遇が危惧されたが、何事も無く到達できた。

 ………なんで何も起こらなかった、と言いたいくらいに何も起こらなかったから、やっぱりぐだぐだしていると感じた。

「ぐだぐだするのもまた一興だろう」

とは、2ヶ月前に加入したエミヤの言い分である。これで、多少は料理人問題は解決した。

 ………えぇ。加入後僅か1日でギャーギャー喚き散らすような仲になったよ。

 つーか、タマモキャットカモーン。

 そして、火星の衛星軌道上で待機してから1ヶ月、11月のこと。

 鉄華が動き出した。

 私達は、大気圏突入を敢行し、急ぎCGS本部へ向かった。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side オルガ・イツカ

 俺は、参番隊を率いて、ギャラルホルンの連中をぶちのめしていった。だが、相手方はモビルスーツを投下してきた。

 俺は、ミカに例のモビルスーツを託して、前線を維持していた。

「今だ、やっちまえ、ミカァ!!」

そして、地面から例のモビルスーツが現れると同時に、空中に巨大な影が映った。

「何だ?ありゃぁ…」

そこに現れたのは―――巨大な船だった。

 

 ―――side 女帝ギルガメッシュ

 どうも、麗しの英雄王こと、妾だ。

「ふぅ、どうにか、CGS本部に到着したぞ」

と妾は言った。

 何がともあれ、光学迷彩を解除する。

「セイヴァー………、行って来い!」

そして、妾達、『エクステラ・ゼロ』による、てっけつのおるふぇんずへの介入が始まった。

 

 ―――side 神城まどか

「今日も順調そうだな、クアンタフルセイバー」

乗機を心配するように、または励ますように、私は声をかけた。

 今日は、絶対に譲れない。

 目指すは、クランク・ゼントとアイン・ダルトンの救済。

 さて、乗り込むとするか。

 鉄血のオルフェンズに―――!

「聞け!ギャラルホルンの者共よ!

 我等が真名()は『エクステラ・ゼロ』!

 腐りきったお前達に物申す者だ!」

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

〜次回予告〜

 腐りきったギャラルホルンに物申さんと、その旗を掲げた、英霊達と雇うという名目で救済したヒューマン・デブリ達から成り立つ『エクステラ・ゼロ』。

 ぐだぐだ鉄オルと言うべき世界で、原作ブレイクが出来るのか―――?!

 次回!

 『我等が真名はエクステラ・ゼロ』。

 それは、鉄の華を守る、雪花の盾也―――。




エターナるになった訳じゃないからね、本編。
そういうことで、よろしくお願いしまーす!


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我等が真名はエクステラ・ゼロ

やっと序盤じゃァァァァ!!
何度でも言うことになるけど、「Fate/ the over-riser」本編は執筆中だからね!まだ更新する気満々だからね!


〜前回のあらすじ〜

①まどかの魂の複製体、鉄血世界において受肉

②まどか、獅子王凱、にょギル、ネロちゃま、魔神さん、ノッブの6人、初陣。

③火星にて、遂にギャラルホルンと戦闘。

 原作ブレイク、開始。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side 神城まどか

「今日も順調そうだな、クアンタフルセイバー」

乗機を心配するように、または励ますように、私は声をかけた。

 今日は、絶対に譲れない。…譲れない日…なんだ。

 目指すは、クランク・ゼントとアイン・ダルトンの救済。

 さて、乗り込むとするか。

 鉄血のオルフェンズに―――!

「聞け!ギャラルホルンの者共よ!

 我等が真名()は『エクステラ・ゼロ』!

 腐りきったお前達に物申す者だ!」

高らかに、私はそう言った。

 そして、火星の地を、霊子の天使(ダブルオークアンタフルセイバー)が踏み抜く。

 さて、アイン・ダルトン機は―――アレか。

「ハァッ!」

GNソードⅤで、グレイズの足元を斬りつける。

『小癪な…!』

と言って、グレイズはマシンガンを撃ち込んでくる。

「効かんよ…!」

私は左肩のGNシールドで銃弾を弾き飛ばす。

 ダメージ状態は「NO DAMAGE」のままだ。

 行ける…。行けるぞ………!!

 まずは………左腕を斬る!!

「貰った!!」

私はグレイズAの左腕を斬り飛ばした。

 グレイズAの左腕だった金属塊が天高く飛んでいく。そして、放物線を描いて、少し遠い場所に落ちる。

『な…?!

 モビルスーツの装甲を、フレームごと?!』

とグレイズAのパイロットが言った。

 グレイズBには、ガンダム・バルバトスが突っ込んで行った。

 私はグレイズAに回し蹴りを叩き込んで吹っ飛ばし、急旋回を行って、グレイズBに突っ込む。

 背部コーンスラスターと、姿勢制御用スラスターからGN粒子を放出しつつ、ダブルオークアンタフルセイバーはグレイズBにGNソードビット6基を差し向ける。

『俺達の敵か?アンタ』

「いいや、味方だ!

 そちらはモビルスーツでの戦闘経験が皆無と見た…。無茶はするなよ!」

バルバトスのパイロットと、ちょっとだけ通信を開き、私はそう伝えた。

 恐らく、バルバトスのパイロットは三日月・オーガスだろう。

 とすれば、バルバトスを起ち上げたシステムは、阿頼耶識システムだろう。

「遅い!」

グレイズBのバトルアックスを弾き飛ばし、左腕に持ったGNソードⅣフルセイバーでグレイズBの右腕を切断しようとする。

 しかし、見事に躱された。

『その腕前、相当戦い込んだと見た!』

とグレイズBのパイロットが言ってきた。

「黙れ。お前らが腐りきっているだけだ」

と私は言ってやった。

 だって腐敗してるじゃないか。

 300年の内に。

『その声………!子供か…?!』

グレイズBのパイロットが驚愕した様子でいった。声音で大体把握できた。

「私は大人だ。

 だが、バルバトスのパイロットや、彼が所属するチームのメンバー、そしてお前らが殺してきたCGSの面子は、全員子供だ、戯け………!」

そう言って、グレイズBの顔面を思いっきり殴り、グレイズBを背負い投げする。

『クランク二尉!!』

ライフルを乱射してくるグレイズA。恐らく、アレのパイロットはアイン・ダルトンだろう。

 そして、さっき会話したグレイズBのパイロットこそ、クランク・ゼントだろう。

 私は銃弾をGNシールドで防ぐ。

 一方のバルバトスは、ガス欠のようだった。

「バルバトスのパイロット。下がれ。

 ガス欠だったら、もう下がってろ」

通信を入れて、三日月にそう伝えた、だけど。

『でも、彼奴等を殺らなきゃ…!』

と言って抗う三日月。

 しかし、私は三日月にこう言った。

「アホか。

 まずは自分の命を優先して考えろ」

『………?!』

「信頼している人が泣くぞ。お前を頼りにしてるやつだって居るんだからな」

私はそう言って三日月を諭し、無理矢理にでも下がらせた。

 そして、敵も下がっているのを見て、私は母艦へ帰投した。

 

 Post Disaster 〜Fate/ the over-riser 別編〜

 我等が真名はエクステラ・ゼロ

 

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 ―――side continue(神城まどか)

 CGS本部から100mほど離れた場所にプトレマイオス2改を着艦させた私達は、そこから徒歩でCGS本部に入った。

「ここが例のCGS………クリュセ・ガード・セキュリティであるか。

 阿頼耶識システムの手術を入社の義務とし、過酷な労働をさせる民間軍事会社。

 ………やれやれ。妾も少し、引いてしまう義務であるの」

とにょギルが言った。

 流石に、私だってドン引きしている。

 ギャラルホルンが何の変哲もない民間軍事会社を襲った理由は、どうやらクーデリアという政治家の動きが原因らしい。

 彼女は、火星ハーフメタルの利権獲得など、火星の自立に必要な条件を整える為に、地球へ向かいたいらしく、その護衛にCGSを頼ったらしい。

 結果として、火星独立運動を支援するような動きを見せる彼女をバニッシュする為に、ギャラルホルンや彼女の両親などの、多数の勢力が動いたらしい。

「先程は援護していただき、ありがとう御座いました」

と、応接室にてオルガ・イツカが言った。

「いえいえ、私達は然るべきことをしたまでです」

と言った私。これぐらい億劫にならないとやってられない。

 エクステラ・ゼロ。小惑星、というか準惑星ケレスに建設されていた小惑星基地を塒に、民間軍事会社として活動している組織。

 最近はそれだけではなく、貧困地域への食料提供なども行っている、謂わば『慈善団体』である。

 大体の構成員は、傭兵と、敵組織から保護したり、買い集めたりしたヒューマン・デブリである。また、この世の中では珍しい、週休二日制のシフト制を採用している組織である。

「それで、実は………」

と言って、オルガが耳を貸すように言ってきた。

 話を聞き終えた私は、かなり厳しい目でオルガを見た。

「それが、どういうことか、理解しているのならば、いい。

 私達とて、元は傭兵の集まり。

 やってやらない事はない」

と私は言った。条件は提示しない。

 オルガは若干首を傾げた。

「なに、条件は出さないさ」

と私は言った。

 そう言っておけば、信頼されるだろうからな。

 

 そして、夜。

 オルガ達『参番隊』は、壱番隊の大人達を薬で眠らせ、拘束した。

「おはようございます、薬入りのシチューの味はいかがでしたか?」

というオルガの発言から始まる展開は同じ。

 ここからぐだぐだと大人達を殺って行きますかね。

「我が才を見よ!万雷の喝采を聞け!

 座して称えるがよい……、黄金の劇場を!!

 謳え!童女謳う華の帝政(ラウス・セント・クラウディウス)」

ネロちゃまの宝具で大人数が蒸発し。

「塵刹を穿つ。無辺の光をもって天命を断つ!『絶剱・無穹三段』!!」

沖田オルタの宝具で一直線に薙ぎ払われ………。

 そして、私が一部の人間を天叢雲剣で斬り捨てていった。

 結果、大人達の生存者は6人(最初から対象として除外されていたナディ・雪之丞・カッサパ、意地でも残ると表明していたトド・ミルコネンを除く)。

 うち5人は即刻解雇され、残りのひとりであるデクスター・キュラスターは、怯えながら辞意を表明するも………。

「経理を務めるデクスターさんだな。

 簿記できるやつがいないから、君は辞められないぞ」

という魔神さんの死刑宣告により、逃げられなかったのだった。

 

 原作とは違い、退職金を出さなかった(経営者による解雇という扱いにした)為、序盤の資金不足はどうにかなっていた。

 また、ギャラルホルンの目を掻い潜って行く為、オルクス商会に頼るというのも同じだった。

 そして、2日後、今後の方針を考えていた時のことである。

「オルガさーん、客ですってー!」

少年―――名をライド・マッスと言ったか。

 彼が、オルガにそう言ってきた。

「客?壱番隊か、マルバのおっさん目当てか…。

 適当にあしらう訳にもいかないな」

とオルガは言った。隣りにいたユージン・セブンスタークが、不満そうに「追っ払えばええじゃないか」と言った。

 しかし、こういうときって大概すっごい注文してくる筈なんだが??

 そう思った私は、プトレマイオス2改内部で待機しているエミヤに連絡した。

「光学迷彩解除して。なんとなくチャンスな気がする」

『了解だ。ちょっと時間がかかるから、少し待っていてくれ』

とエミヤは言った。

 すぐにオルガ達の方を見る。

「それが…、『ガンダム・フレームの点検に来た』って言ってます」

あっ…、嫌な予感しかしない。

 

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「えぇ?!エクステラ・ゼロの皆さんまで居たんですか?!」

という少年の声が響く。

 なんつーのか、その………。

 第一印象が、『美少女』だったんだよ。

 うん。

 それで、彼。マジでメカニックだよ。うん。この身体付きで。

 これが初対面なんだが、噂レベルで私達の存在を知っていたらしい。

「えーと、エルネスティ・エチェバルリアさん?

 それで、今のこのモビルスーツの状態はどうなんだ?」

とオルガは訊いた。

 オルガの言う『このモビルスーツ』とは、バルバトスのことだ。

「装甲以外は全然問題ないです!それより、エクステラ・ゼロの保有する、他のモビルスーツを見せてくださいよー!」

とエル。

 対応に困っているのが私だ。

 サンプル程度にダブルオークアンタフルセイバーを引っ張り出しているのだが………、既に確認済みで、「修理のレベルがヤバい」と評していた。

「それで、アンタ無所属なんだよな?どこに入るとか、決めたのか?」

とオルガは再び訊いた。

 また言っておく。

 この世界、めっちゃぐだぐだしてます。

 だから、何故かナイツアンドマジックの主人公たるエルネスティ・エチェバルリアがいる訳なんです。

 正直、初見じゃ理解に苦しみますよ。えぇ。

「はい!エクステラ・ゼロに入ろうかと!ここと協定結んでいるからここに居るんですよね?

 ね!」

と、エルが言う。

「あのなぁ。前の襲撃の時に、私らはギャラルホルン食い止めただけだぞ?

 まだ協定結んでない………」

と私は言った。

 結べば得だろうな、とは考えているものの…。

「なら結べばいいじゃないですか!

 そのほうが、両者ともに得になると思いますよ!」

とエルが言った。

 ツッコミが追いついてくれない、追いつかせてくれない。

「………ハァ…。

 次襲撃があったら考える………」

と私は言った。その矢先に襲撃になるとは考えずに。

 ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ………、と、警報音が鳴り響く。

「襲撃?!何だ?!」

とオルガは言った。

 

「―――そちらの代表と、一対一の決闘を申し込む!私が勝ったら、クーデリア・藍那・バーンスタインの身柄を引き受けよう。

 そちらが勝ったのならば、この機体と私の身柄を譲る!」

とクランク・ゼントが言った。

 相手のグレイズには、左腕のシールドに赤い布がつけられている。

 アレが決闘申し込みのサインらしい。

「マドカさん、俺等が行きます」

とオルガは言った。

 しかし、このまま三日月が行くと、クランクを殺しかねない。

「いや、私達が行く。

 何としてでも………この組織に『教育できる人』を招き入れる為にも、あの人は必要だ」

と私は言った。

 オルガは驚いた様子でこちらを見てきた(何度でも言うが、絵面はコハエースである)。そして、三日月がこちらを見た。

 私も大人なのだ、信頼できないのだろう。そう私は思ったのだが。

「オルガ、ここはこの人に任せたほうがいいんじゃないの?

 バルバトスは、装甲以外は全然問題はない、ってエルが言ってたじゃん。つまり、装甲はなんかマズいことが起きてるって事だよね?」

と三日月が言った。これは意外だ。

 オルガはニヤリと笑った。

「それじゃあ、お言葉に甘えて、そちらにお願いしますかね!」

とオルガは言った。

 

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 ―――side オルガ・イツカ

 マドカさんは、「俺達の組織には教育できる人が必要だ」と言った。

 三日月が時の読み書きが出来ないのと同じように、俺達は、経理などの難しい業務ができない。

 恐らく、そういうのもひっくるめて言ったのだろう。

 だったら、任せる他ないだろう。

 それに………。

「オルガ、ここはこの人に任せたほうがいいんじゃないの?」

ってミカが言ったんだから、任せてもいいと思ったってのがポイントだ。

 さて、マドカさんはダブルオークアンタフルセイバーっていうモビルスーツで来るのか?

「アレは何だ?!」

というライドの声で、はっとした。

 マドカさんは、まだ機体を持っていた!

「おぉぉぉ〜!!アレは、ジェニオンじゃないですか!!機械じかけの悪魔の3号機!

 ますます期待が高まりますねぇ!」

とエルが言った(実況した?)。

 

 ―――side クランク・ゼント

 私は、上司に刃向かうという罪を負った。故に、勝っても処分されることを覚悟でここに来た。

 そして、相手方は、モビルスーツを出してきた。

 全身が蒼い装甲で包まれたモビルスーツだ。

 恐らく、グレイズ・フレームだろう。

『あー、聞こえてるか?

 この勝負、私達、エクステラ・ゼロが承った』

前の戦いで、ガンダム・フレームによく似たモビルスーツに搭乗した少女の声が聞こえた。

「感謝………!」

 

 ―――side 神城まどか

 今回は、ジェニオンで対応することにした。

 いがみ合う双子というイレギュラーを除けば、ほぼ対等に殺り合えるからだ。

「あー、聞こえてるか?

 この勝負、私達、エクステラ・ゼロが承った」

と、通信を入れた。

 

 そして30分後。

『ギャラルホルン火星支部、実動部隊、クランク・ゼント!』

「エクステラ・ゼロ代表取締役社長兼実働部隊隊長、マドカ・カミシロ!」

互いが名乗りを上げ、ぶつかり合う。

 バトルアックスとアクセルグレイブがぶつかり合い、火花が散る。

 サシの戦闘であるため、相手は銃器を持っていない。

 故に、私もDソリッドパニッシャーを使わない。

 決め手にかけるだろうが、こちらのほうが若干の誤差とも取れるくらいに上手だった。

「そこだ…!」

私は、アクセルグレイブでグレイズの足元を狙う。しかし、流石は熟練パイロットと言うべきなのだろうか。

 その癖を読んでいたらしく、跳躍して回避していた。

『うおぉぉぉぉぉ!!』

雄叫びと共に、グレイズが大上段にバトルアックスを構えて、降下と共に振り下ろさんとする。

 ならば、使わざるを得ないか。

「ジェニオン・ガイ!

 フル・ブーストアップ!」

私はそう言って、ジェニオンを後退させると同時に、変形を開始させる。

 変形終了後、クランク・ゼントの目の前に映ったであろう機体は、ジェニオン・ガイだ。

『な、変形しただと?!』

「―――ォォォォォ!!」

クランクの驚愕を余所に、私はグレイズを殴り飛ばす。

 そして、一気に―――サード・ステージまで登り詰める!

「行くぞ、ジェミニオン・レイ!!」

腰からフルアクセルグレイブを抜き、グレイズの左腕を切断する。

 すかさず、右腕を切断して切り離し、グレイズを無力化する。

「これでどうだ!」

と私は言った。

『流石だ………。パイロットを傷付けず、無力化だけに専念するとは………。

 私の負けだ………』

とクランクは言った。

 これで、火星編は終わりと言ってもいいだろう。

 ………ぐだぐだしてるけど。

 

 そして、作戦会議に突入する。

 

 ―――side オルガ・イツカ

 俺達は、ギャラルホルン他敵組織による襲撃に関係した対策と、技術者の支援という理由から、エクステラ・ゼロと協定を結んだ。

 内容としては、「技術者の支援、及び育成」「敵組織からの襲撃に関係した対策及び協力」「エクステラ・ゼロ本部のあるケレス基地への着艦許可」だ。メインは2つ目だが、3つ目が非常にデカかった。

 ケレスってのは、アステロイドベルト上にある小惑星で、『準惑星』っていう基準に収まる小惑星だ。

 そこに、厄祭戦の時代に、密かに基地が作られていて、完成した頃には厄祭戦が終わっていたから放棄され、存在そのものを忘れ去られていたらしい。

 そこに近年、エクステラ・ゼロの初期メンバーが住み着いた。

 というよりは、『異世界召喚』っていう、説明の難しい方法で来たエクステラ・ゼロの初期メンバーが住み着いた、という流れだそうな?

「クーデリアの護衛任務は続行。

 それと、一度ケレスに立ち寄って態勢を立て直して、それでそのままテイワズへ直行。

 テイワズを後ろ盾に、クーデリアを地球に送り届ければ、俺達の勝ちって訳だな」

とユージンが言った。

 俺は頷いた。

「ケレスまでは、エクステラ・ゼロのプトレマイオス2改が案内してくれるんだそうです」

とビスケット・グリフォンが言った。

「あのデカイ船か…」

と俺は言った。

 多目的攻撃母艦、プトレマイオス2改。

 エクステラ・ゼロの持ち物故、勝手な改名はできない。

 中も拝見させてもらったが、かなり広い上に、医療設備なども充実している。

 それが俺達をケレス基地まで案内してくれるんだ。ありがてぇに決まってる。

「で、僕達は、CGS時代に購入していた強襲装甲艦、ウィル・オー・ザ・ウィスプ、改め、漁火(イサリビ)で向かう事になりますが、基本的に、地上から宇宙へはプトレマイオス2改で上がるということになってます」

とビスケットが続けて言った。

 これで、作戦会議は終了。

 俺達は、エクステラ・ゼロと共に、クーデリアを地球に送り届ける仕事を請け負った。

 

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 ―――side マクギリス・ファリド

 私の名は、マクギリス・ファリド。

 ギャラルホルン監察局の、特務三佐だ。

 私は、部下から受けた、「エイハブウェーブを出さないモビルスーツ」の報告を受けた。

 所属は、いずれも民間軍事会社である『エクステラ・ゼロ』で、フレーム情報も不明とのことだ。

「ガエリオ、このモビルスーツを見てどう思った?」

と、私は聞いた。

 私が指し示すモビルスーツは、勿論、例の、「エイハブウェーブを出さないモビルスーツ」のことだ。

「このフォルム………。まるで、噂に聞くガンダム・フレームみたいじゃないか」

とガエリオは言った。

 パット見からすれば、確かに、バエルを始めとするガンダム・フレームによく似ていると思える。

「性能のデータでは、『シールドについているブレードを、ワイヤーなしで遠隔操作』、『モビルスーツのフレームを一刀両断』、『射撃を行ってもシールドには傷ひとつつかない』のだそうな」

と、私は解説するように言った。

 ガエリオはそれに驚愕していたようだった。

「おいおい、そりゃあ硬くないか?

 なんかの勘違いかも知れないぞ?」

とガエリオは言った。

 私も、信じたくはなかったのだが…、シールドに高硬度レアアロイが使われている可能性を考えた。

「何がともあれ、鉄華団はオルクス商会に導かれて上がってくるだろうさ。

 エクステラ・ゼロもついてくるだろう。

 そのときに殴り込めば、大体分かるだろうさ」

と私は言った。

 そう言わざるを得なかった。

「エクステラ・ゼロ、か………」

『零の新天地』を意味する組織。

 私は、その組織に可能性を見出した。

 

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 ―――side オルガ・イツカ

 俺達は、ガンダム・バルバトスをプトレマイオス2改に積み込み、宇宙へ向かった。

「で、モビルスーツの射出も出来るのか?!」

と俺は驚きのあまり叫んだ。

 操舵手を務めるソージ・オキタは、「大気圏離脱中に機体を射出したこともあるらしいぞ」と言っていた。

 多目的攻撃母艦と言っていたから、何となく予想は出来ていたが…、まさか、ここまで技術レベルが高いとは。

「それで〜、目標ポイント到達まであと数分ってところなんだが」

とトドが言った。

 ブリッジに居るマドカさんは、何か作業をしているようだった。

 そして。

『総員、第一種戦闘配置。

 これより、敵モビルスーツを射出した、オルクス商会、及び、ギャラルホルンの駆逐に移ります』

とマドカさんが通信越しで言った。

 え?と俺は思った。

 トドも「どういう事だ?」と首を傾げていた。

『ダブルオーガンダムセブンソード/G、射出準備。第一カタパルトデッキ、開放します!』

という少女の声が聞こえた。

 俺たちがいる部屋の中にいた、エメラルドグリーンの球体型ロボットが、モニター前のコンソールを弄り、モニターに映像を映した。

 映像は2つあり、1つは最大望遠で出したのであろう、火星衛星軌道上のオルクス商会の船の近くに、ギャラルホルンのモビルスーツが数機いるのが映っていた。

 そしてもう1つは、この船の右舷側のハッチが開放され、何かが射出されようとしているのが見えた。

『リニアボルテージ上昇、730を突破。

 射出タイミングを、ネロ・クラウディウスに譲渡します!』

また少女の声が聞こえた(先程の少女の声と同じだった)。

 恐らく、この少女がオペレーターを務めているのであろう。

 そして、右舷ハッチから、白と赤のモビルスーツが射出された。

「よぉ、鉄華団のリーダー!

 厳つい顔してモニターの画面に食いついておるが、どうかしたかの?」

そこに、ノブナガさんが入ってきた。

「丁度いいところでした、さっきのは射出シークエンスですか?」

と俺はノブナガさんに訊いた。

 ノブナガさんは頷いた。

「何度見ても射出シークエンスは気持ちが高ぶるのぉ。

 この艦のカタパルトデッキは少々特殊でな。

 機体の回収もカタパルトデッキでやるのじゃ」

とノブナガさんは言った。

 そう言えば、ガンダム・バルバトスもこの艦の中央のカタパルトデッキから入れてたな…。

「この艦って、カタパルトデッキいくつあるんです?」

と俺はもう一度訊いた。

 これにはソージさんが答えてくれた。

 ただし、ソージさんはブリッジに居るので、通信越しだ。

『3つだぞ。右舷側の第一カタパルトデッキ、左舷側の第二カタパルトデッキ、そして中央の第三カタパルトデッキ。

 モビルスーツについては、カタパルトデッキ以外にも、搬入口があるぞ』

「搬入口あったんですか?!」

俺は流石にずっこけかけた。

『ただ、搬入口は基本的にケレス基地専用だ。

 地上じゃロクに使えない』

とソージさんは言った。

 

 ―――side ネロ・クラウディウス

 余だ!

 久々の戦場故な、興奮しておる!

『ギャラルホルンの機体は基本的にコックピットブロックを潰してくれ。

 それ以外のモビルスーツ、もしくはシュヴァルベが来たら、出来る限り無力化するように』

とまどかが言ってきた。

 当然、その要望通りにやるぞ!

「了解!余に任せよ!!」

ダブルオーガンダムセブンソード/Gを駆り、接近してくるグレイズ数機を、背部にマウントしてあったガトリング砲で牽制する。

 勿論、偏差射撃しておるぞ!

 吸い込まれるようにガトリング砲の弾が当たりおる。

(このくらいでよかろう)

と考えた余は、ガトリング砲を背中にマウントして、腰からGNソードⅡロングを取り出す。

「ダブルオーセブンソード、迎撃行動に移る!

 余の独壇場にしてみせよう!」

と言って、余はクロスレンジにいたグレイズ1機のコックピットブロックめがけてGNソードⅡロングを突き刺す。

 たちまち、グレイズは動かなくなる。

 更にこの後、グレイズを数機倒したぞ。

『クランク二尉を、返せ!!』

と言って突出してきたグレイズがいた。

 恐らく、こいつがアイン・ダルトンという男だろう。

 何としてでも鹵獲しなければならないの。

「とぉう!」

空いている左腕でコックピットブロックがある辺りを殴る。

 すかさず、このグレイズの両腕両脚、そして頭を切り落とす。

「アイン機と考えられるグレイズを無力化した。一時帰投するぞ!バルバトスを出せ!」

と余は通信を入れながら言って、プトレマイオス2改のいる場所まで飛行した。

 つくまでの間、ぐわしと掴んでいる胴体だけのグレイズに通信を入れた。

「生きておるかの?そなたが、アイン・ダルトンで合っておるかの?」

と、優しく余は言った。

『な、何故殺さない………!そして、何故俺の名前を知っている………?!』

とアインは言った。

「それはついてからのお楽しみというものよ!

 余は………、余達は、そなたを歓迎すると思うぞ」

と余は言って、第一カタパルトデッキに入った。

 

 ―――side 神城まどか

 今回はダブルオークアンタフルセイバーに乗ることにした。

『射出準備完了!いつでもどうぞ!』

というオペ子のコレットのアナウンスが入る。

「了解、ダブルオークアンタフルセイバー、セイヴァー・ジ・オーバーライザー、出る!」

第三カタパルトデッキから、機体が射出される。

 数秒後、敵機を捕捉した。もう、粗方バルバトスがケリをつけているようだが…。

(こちらに向かってくる敵機が2機?)

私は、その反応を見て、母艦に命令を送った。

 

 ―――side 獅子王凱

 勇者王こと、凱だ。

 俺は、クアンタフルセイバーが送信してきた命令コードを確認した。

「GNフィールド展開、急げ!」

と俺は言った。

「了解!サバーニャ、ハルートの太陽炉を本艦に接続。GNフィールド展開!」

とオペレーターが言った。

 直接攻撃を警戒しての事だろう。流石だ。判断速度が早い!

「ダブルオークアンタフルセイバー、敵モビルスーツ2機と交戦中!」

とコレットが言った。

 始まったか………。

 

 ―――side 神城まどか

 私は今、2機のシュヴァルベ・グレイズと交戦している。

 この機体の性能であれば、大抵の場合は弾き返せるだろう。だが、相手が………、速い。

「槍使いとはうざったいものだな…!」

と私は言って、紫のシュヴァルベ・グレイズの槍をGNソードⅤで受け流す。

『その性能と技量、かなり鍛え上げたと見た!

 だが、ここから先へは行かせない!!』

と、紫のシュヴァルベ・グレイズのパイロットが言った。

 いい覚悟だ。だが………。

「ならば、相応の報酬をくれてやる………!」

と私は言って、GNソードⅤをライフルモードに『切り替える』。

 そして、紫のシュヴァルベ・グレイズめがけて、撃つ。

 放たれるのは、圧縮GN粒子の光。即ち、ビームである。

『な………?!』

一発撃っただけで、ビームが効かないと言われるナノラミネートアーマーを『貫通』し、紫のシュヴァルベ・グレイズの左腕が破壊された。

 その隙に、青のシュヴァルベ・グレイズが攻撃してくる。

 瞬時にGNソードⅤをソードモードに戻し、バトルアックスを受け止める。

『高い機体性能にビーム兵器の搭載、光の粒子による推進加速能力。

 しかもその粒子を使えば切れ味も上げられるか。惚れたぞ、その機体』

と、青のシュヴァルベ・グレイズのパイロットが言った。

「おかしいな、私、惚れ薬なんて飲んでないんだけど………な!!」

そう言って、私はGNソードⅤで青のシュヴァルベ・グレイズの左腕を斬り飛ばす。

 そうして、私はシュヴァルベ・グレイズの左腕を戦利品として、緊急離脱した。

 漁火が、プトレマイオス2改とランデブーしたからだ。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side out

 どうにか帰還を果たしたまどかは、プトレマイオス2改のある部屋に於いて、クランクに再会できて涙するアインを見かけた。

 ネロは、廊下で口笛を吹きながら、廊下を歩いた。

 

 束の間の休息を得てから、1日が経過した、ある日のこと。

 漁火とプトレマイオス2改の後ろに、ベージュ色の強襲装甲艦が居た。

 

 ―――side 神城まどか

 

『貴様らぁぁぁぁ!良くも、よくも俺の会社と船をォォォォォ!!』

と、画面の中のマルバが言った。

 凱は「発狂してんのかこいつ」と思っていた。

 相手はタービンズ。だが、名瀬よ。お前の目の前にある、もう一つを見てみろ。

『要するに、漁火を含むCGS時代のモノを全部要求するんだな、お前は』

と、隣の艦のオルガは言った。

 私はその通信に割って入った。

「マルバ・アーケイ。お前、よく考えてみろ。

 お前らがやってたときの収入支出、見事に大赤字だったぞ?

 アレは何なんだ?

 赤字にならないように収入に数字を盛り、挙げ句、収入源の情報まで改竄する。

 経営者として必要最低限すべき事をこなせてないじゃねぇか」

と私は言った。瞬間、マルバの顔が真っ青になった。

『うーわ、エクステラ・ゼロも居たのか。こりゃ勝ち目がねぇわ。

 親父と一二を争う程、圏外圏で恐ろしいとされるエクステラ・ゼロの頭が居たんじゃあ、たまったもんじゃねぇな』

と名瀬。

 勝ち目ないと悟ったのであろう。

 名瀬は、戦闘も起こさずに、そのままプトレマイオス2改の案内で、ケレス基地に入った。

 

 ケレス基地。

 私達の塒であり、同時に業務の本拠地でもある家に、鉄華団とタービンズは招かれた。

「まどか、遅かったではないか」

とライネスが言った。「悪いな。客を連れてきた」と謝りつつ、鉄華団とタービンズを紹介した。

 

 モビルスーツ等の格納庫への通路を歩きながら、

「それで、機体の点検を行ってるって話だが、工廠でもあるのか?」

とオルガが言った。

 私は頷いた。

「太陽系最大の準惑星を丸々基地にしようって考えた、先人達の頭は絶対おかしい」

と私は言った。

 そして、格納庫に着いたら。

「兄貴ーーー!!」

昭弘の顔を見た、少年が飛び出してきた。

「まっ昌弘?!

 お前、こんな所にいたのかよ!」

と昭弘が言った。生き別れた兄弟の感動の再開だよ。泣けやお前ら。

 こうなった理由としては、ブルワーズに行く前の昌弘がヒューマン・デブリとして売られているのを確認したから、即刻落札&正規雇用を行っただけだ。

 エクステラ・ゼロでは、(エイハブリアクターの回収のみであるが)ダブルオークアンタフルセイバーを乗りこなすレベルの実力を持っており、現在はガンダムアストレアtype-MB(Mは昌弘の頭文字、Bは元を辿ればガンダムアストレアtype-Bの『B』である)を乗りこなすための訓練を行っている。

 ガンダムアストレアtype-MB。

 昌弘の為に、彼の雇用後3週間後に開発が始まったガンダムアストレアの亜種。

 ガンダムアストレアの太陽炉のコーンスラスターをダブルオーガンダムに採用された形にし、なおかつ各種スラスターユニットを強化、GNソードⅡを搭載した機体である。

 武装は、GNソードⅡと、選択装備のGNソードⅡロング/ショート、GNミサイルポッド、脚部に追加搭載したGNカタール、120mm口径アサルトライフルである。

 更に、トランザムシステムも使用可能で、これで後にグレイズ・アイン(アイン・ダルトンは救出したので恐らく別の名前になるだろう)など呼ばれる化け物と殺り合えるであろう。

「兄弟だったのか、昌弘」

と、付き添いのノッブが言った。

「なぁ、さっき昌弘が降りてきたあのモビルスーツは何だ?」

と言って、昭弘があるモビルスーツを指差した。

 指差した機体は、ネロの乗るダブルオーガンダムセブンソード/Gによく似た機体。

 昌弘が乗るかもしれない機体その2であり、出典元では計画のみで終わった、『ダブルオーガンダムの究極の姿』。

 GN-0000GNHW/7SG+GNR-010/XN『ダブルオーザンライザー・フルパッケージ』。

 実は昌弘には(操縦面での煩雑さ故に)あまりオススメしていないモビルスーツである。

 昌弘自身の阿頼耶識は、(それに宿った霊子を弄って)本物に近いレベルにまで底上げしているが、基本的には三日月や昌弘などの鉄華団の阿頼耶識と変わらない。

 アストレアとダブルオーザンライザー・フルパッケージにも一応、阿頼耶識は搭載されているが、基本的に誰でも乗れるよう、マニュアル操縦を教えている。

(………私がやってる事は阿頼耶識とさほど変わらないけどね………)

私の場合、両肩と両膝にあるスフィアを同調させて、「自身の意志で最適なマニューバーを構築している」。

 結果として、他組織に『ネズミ』と勘違いされてしまっている。

「とりあえず、アミダさん、シミュレータ入りません?」

と私は言って、名瀬にくっついていたアミダを誘った。

「お目が高いこと」

と言ってアミダは誘いに乗り、格納庫の奥の部屋にあるシミュレータに入った。

 数十分後、そこには、疲れ果てた私とアミダが居た。

「10戦もやるこたぁないでしょ………」

と私は言った。

 勿論全勝したが、ヒヤヒヤしたシーンはめっちゃ多かったと言っておこう(数えるのもおこがましいレベルであるとだけ言っておく)。

 で、この後、オルガと名瀬と私がこの後の予定を構築している頃、三日月、昭弘、アミダ、ラフタ、アジー、ネロ、昌弘が、強化シミュレーションをしてたらしい。

 会議終了後に会った時に彼ら(ネロちゃまと昌弘以外)が言ったこと。

『殺す気かお前!!』

である。アミダすら音を上げるとは思わなんだ。

 シミュレーションの内容としては、「通常装備の愛機でハーフビーク級6隻&シュヴァルベ・グレイズ60機を倒せ」というもので、タイムアタック方式になっている。

 ただし1度撃墜されたらゲームオーバー、最初からやり直しである。

 まぁかなーり鬼畜である。まずシュヴァルベ・グレイズ1機ごとに、純粋種のイノベイターでも乗っけたかのようなパイロット能力が付与されている。

 次に、シュヴァルベ・グレイズ自体もロングソード+アサルトライフルという武装の組み合わせである為、相手の動きが読めない。

 最後に、戦艦がむちゃクソ硬いというもので………。

 私自身、バランス調整の段階で(ダブルオークアンタフルセイバー使っていたにも関わらず)何度か乙っている。

 この抗議に対しては。

「いつ何時窮地に陥るか分かりませんし、こういう窮地を想定したシミュレーションをしておくに越したことはありませんよ」

と私は言った。

 まぁ、ちょっとした補給と機体の修理で1週間はかかるので(ガンダム・フレーム機は得に)、ちょっとした休息としてもいいのではないかな?

 ちなみに、会議の内容は「テイワズ傘下に入るかどうか」である。

 いい加減後ろ盾は欲しかったので、喜んで兄弟となることにした。

 つーか鉄華団と協定結んでるし(正式な書類まで発行して)、鉄華団がタービンズと兄弟になるのであれば、なるしかないとも言う。

 行き先は『歳星』。

 ………プトレマイオス2改(トレミー)、着艦できるのやら。主に着艦プラットフォーム的な意味で。

 

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〜次回予告〜

 鉄華団とエクステラ・ゼロは、タービンズと兄弟になる。そして、ガンダム・バルバトスが本来の姿を取り戻す。

 次回、「贈り物」。

 タカキ専用機が、このタイミングで出るっていうね。是非もないよネ!!




・ネロのダブルオーガンダムセブンソード/G
 元ネタは勿論、『ダブルオーガンダムセブンソード/Gインスペクション』だが、こっちは単に①しっかりツインドライヴにして、②塗装を変えただけのダブルオーガンダムセブンソード/Gである。
 オプション装備で300mm滑腔砲(バルバトスのアレ)を持つこともある。
・ダブルオーザンライザー・フルパッケージ
 ザックリ言ってしまうと『ダブルオーガンダムセブンソード/Gにザンライザードッキングさせただけ』。パーツさえあればプラモデルでも再現できるやつ。
 刹那はいないので、昭弘の弟(ブルワーズ加入前にまどかが引っ張ってきた)が乗る………、かもしれない。
 ちなみに阿頼耶識には対応させてある。
・残りの面子
 ガンダムサバーニャ:ノッブ(三千世界的な意味で)
 ガンダムハルート:まだパイロットが居ない。複座式につきパイロット募集中
 ガンダム・フェニクス:サイコフレームはないが、フルアーマー・ユニコーンガンダムの別パターンのアレを目標に開発中(フレームはガンダム・フレームである為、外装の話である)。搭乗者は女帝ギルガメッシュの予定。
 ガンダムエクシアリペアⅣ:グラハム・エーカーは居ないので魔神さん。でも魔神さんは操舵手である為、今の所空席。
 ガンダムアストレアtype-MB:昌弘専用機として開発
 ダブルオーザンライザー・フルパッケージ:誰でも乗れるようにはしているが、筆頭が何故か昌弘。操縦系統が煩雑


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贈り物

 タカキ負傷フラグ折るためにエクスバイン出すという案。
 テイワズのMS工房でみっちり調整かけてます。
 あ、TC-OSはないですよ?あとボクサーは開発難航ナウ。


〜前回のあらすじ〜

①クーデター敢行。組織を乗っ取り、CGSは鉄華団に。

②クランク・ゼントVS神城まどか。勝利し、グレイズとクランクの身柄を獲得する。

③火星圏離脱時の戦闘で、アイン・ダルトンの鹵獲に成功。

 アイン機は下取り用に回収される。

④アイン・ダルトン、恩師に再会。

 感涙を流す。

⑤マルバwithタービンズと遭遇。

 エクステラ・ゼロ見るやいなや、名瀬が頭下げる。

 ちなみにマルバはテイワズ管轄の資源採掘衛星での強制労働送りになる。

⑥昭弘、弟と再会。

 ちなみに昌弘には専用機(ガンダムアストレアtype-MB)が用意されているが、本人は『ダブルオーザンライザー・フルパッケージ』を気に入る。

⑦歳星、行くぞ!!

 

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 ―――side out

 民間軍事会社、『エクステラ・ゼロ』の本部基地であるケレスから出航した、2隻の強襲装甲艦と1隻の「多目的攻撃母艦」。

 彼らが向かう先は、テイワズの本部である大型惑星間航行艦、『歳星』。

 しかし、多目的攻撃母艦『プトレマイオス2改』の搭乗員の殆どは、ちょっとした不安に苛まれていた。

 ―――歳星の艦船ドックに入るのだろうか?

 と………。

 

 Post Disaster 〜Fate/ the over-riser 別編〜

 贈り物

 

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 ―――side 神城まどか

 出航前に、私は乗組員の入れ替えを行った。

 まず、昌弘を入れて、代わりに結那・リヒテンシュタイン(ヒューマン・デブリだった女の子。整備士)をケレス基地に戻した。彼女はシフトだったから丁度良かった。

 次に、未だ担い手のいないハルートを預け、昌弘の希望によって選択された、ダブルオーザンライザー・フルパッケージと、開発が完了したという『新型』の積載を行った。

 これにより、第1格納庫にジェネシックガオガイガー、ジェニオン、ダブルオークアンタフルセイバー、サバーニャが、第2格納庫に『新型』とダブルオーザンライザー・フルパッケージとアストレアtype-MBが積み込まれた。

 第三に、工廠に『新たな多目的攻撃母艦』の建造を指示した。

 名は『イザナギ』。

 来るべき規模拡張に備えて、モビルスーツの積載量を増やした、プトレマイオス2改と同タイプの艦船である。

 ざっくりと言うと、『プトレマイオス2改のサイズを若干大きくし、格納庫1個あたりの駐機量を増加させた艦船』である。

 最後に、プトレマイオス2改にミサイルを積んだ。

 GNミサイルで、この世界に於いて強力無比なナノラミネートアーマーを貫通する為の加工を行ってある。

 あとサバーニャ用の予備ミサイルポッドも搭載し、更に工廠にはエル専用機である『イカルガ』の建造も指示した。

 この世界に於いて、イカルガ本来の動力源であるエーテルリアクターが使えるか怪しかったので。

 GNドライヴ×2のツインドライヴ+アイン機グレイズのエイハブリアクター1基で代用する(一応、イカルガ本来の動力源である『皇之心臓(ベヘモスハート)』と『女皇之冠(クイーンズコロネット)』はあったし搭載はするが、稼働は地球圏に限られるデメリットがある上にメインではない)。

 フレームはダブルオークアンタの設計を流用する。

 

 話は現在の時間軸へ戻る。

 私は、ダブルオークアンタフルセイバーの点検を行っていた。

 何せ、装甲の交換こそ行ったものの、その後に行う微調整はまだ済んでいないから。

「各部可動域は交換前との誤差はなし。

 GNシールドの開閉は問題なし。

 後はトランザムかよ………」

と私は言った。

 オーバーテクノロジーの塊だから、歳星の人に見せたら発狂するよなぁ。

「エル、トランザムシステムの運用テストやる。モニタリングを」

と、私はダブルオークアンタフルセイバーの付近のキャットウォークにいたエルに言った。

「了解です!いつでもどうぞ!」

丁度端末を持っていたエルは、トランザムシステムのモニタリングを開始した。

「よし。それじゃあ、負荷テスト開始。

 トランザム!」

私はダブルオークアンタフルセイバーのトランザムシステムを起動する。

 トランザムシステム発動の証拠の、発光色の赤色化が発生する。

「よし、これで限界時間まで放置してどうなるかを見てみるか」

と私は言って、持ち歩いていたレーズンロールパンを齧り始めた。

 ―――結果として、異常は全く見当たらなかった。

 途中、射出してのトランザムテストも試し、花形(?)とも言えるライザーソードの運用も行ったが、結果は「無問題」であった。

 そして、あーだこーだしているうちに、歳星についた。

 あとプトレマイオス2改は無事に着艦ドックに入れた。

 

 ―――side マクマード・バリストン

 俺はテイワズの頭、マクマードだ。

 久々に名瀬が帰ってきて、しかも客を連れてきたという。

 そして早々、名瀬が、「親父、俺はこいつらと盃を交わそうと思うんだが」と告げた。

 俺は名瀬の指した者を見て、目が点になった。

「エクステラ・ゼロか?!お前さん、遂にその気になったのか?!」

と俺は叫んだ。

 まどかは礼儀を知っている。彼女が生粋の日本人だからだろうか、俺達のやり方を大体『把握している』。

「えぇ、ギャラルホルンと事を構える事になりましたので。

 それに、彼らとは協力する関係にありますから、兄弟になっておけばよろしいのではなかろうか、と」

とまどかが言った。

 それを聞いた俺は、ニヤリと笑った。

「お前さんとこのモビルスーツの販売もしてくれるのか?」

と俺は聞いた。

 まどかは流石に首を振った。

「機体点検がかなり煩雑ですし、大抵の機体は阿頼耶識等の搭載が困難ですので、販売は残念ですができません。

 その代わり、ダブルオーガンダムセブンソード/Gの運用データは提供いたします」

とまどかが言った。

 名瀬と隣のガキ―――オルガがぎょっとしておる。

 俺は堪えきれなくなり爆笑してしまった。

「ハハハ!エクステラ・ゼロの機動兵器のうち、エースが乗ることが多い機体の運用データの提供と来たか!笑わせてくれる!

 気に入ったわ!」

と俺は言った。

 そして、オルガら鉄華団の確認だ。

 この俺を前にして、不動の少年、三日月・オーガスが気に入った。

 だから、鉄華団も気に入った。

 故に、名瀬とオルガ、まどかが盃を交わすのを認めた。

 1組織が2つの組織を相手に、同時に盃を交わすというのは、テイワズではたまにあるかないかぐらいだが、まさかタービンズがやるとは思わなんだ。

「ガンダム・バルバトスの点検・修理、そして改装の手配をしろ。

 勿論、無償だ」

と俺は言った。

 

 ―――side out

 この後、鉄華団は一時の休息を手に入れた。

 オルガは主要メンバーを連れて繁華街へと行ったが………。

「20歳に満たない君達が飲酒喫煙するのは、健康上よろしくないから、私達と、ここにあるレストランにでも行かないかな?」(意訳)

というまどかの釘刺し&勧誘の結果、オルガ達はドリンクバー付きのレストランに入り、打ち上げでめっちゃ飯食ってめっちゃジュース飲んだ。

 

 数日後、名瀬とオルガとまどかの盃が交わされた。

 その日の、式典の開催前のこと。

「そう言えば酒飲めねぇってまどか言ってたな」

というマクマード氏の粋な計らいにより、盃の中身はノンアルコール飲料になった。

 漢字の当て字は、名瀬、オルガ、三日月にはあったが、まどかには………。

「そもアンタ日本人でしょ。名前のところの漢字をどうにかすれば問題ないんじゃないか?」

と名瀬が言った結果、『神城望』となっていた。

(なんで苗字と名前が逆になってるんだ?)

と多数の人間が思ったのだが、マクマード氏は式典に於いて説明を行った。

「まどかは日本人でな。

 日本の名前の付き方の関係で、最初に苗字が来る。だから、元からあの名前だそうな」

という説明に、一部の人間が理解に苦しんでいた。

 無理もない。

 IDでの登録名は欧米式。

 基本的に、まどかは欧米式の名前で書類を通していた為、この式典になって初めて知ったという者が多かったのだ。

 MS工房の一部の人間などしか、彼女の日本人としての名である『神城まどか』を知らない。

 というか見た目からして日本人と分からないというのもある。

 なぜなら、彼女はアルビノ。

 先天性白皮症と呼ばれる、アフリカ地域ではちょくちょく見られる遺伝疾患を患っているのだから。

 

 ―――side 神城まどか

『それでは、こちらが指定するポイントにて合流しましょう』

と言って、オルガは通信を切った。

 漁火(イサリビ)には、テイワズからの仕事として、積荷が積まれていた。

 その漁火が、タービンズのハンマーヘッドの先導の元、歳星を発つ。

 取り残されたのは、改修中のバルバトスと、三日月、そして、私達『エクステラ・ゼロ』だった。

 マニュアル操作への切り替え機能と、阿頼耶識の感度調整に、当時あと30分かかるから、鉄華団そのものを先行させたのだ。

「間もなく、バルバトスの改修が完了します。

 プトレマイオス2改(トレミー)の第三格納庫に入れますんで、発進はもう少しお待ち下さい」

と、MS工房の整備員が言った。

 クレーンで慎重にバルバトスが第三格納庫に突っ込まれる。

「第三格納庫への格納を確認。MSロックも正常に稼働中」

とオペレーターが言った。

「艦船ロッカー、解除されました。いつでもいけます!」

とオペレーターその2が言った。

「よし。プトレマイオス2改、発進。

 サバーニャ、アストレアの太陽炉接続。

 トランザムで、指定ポイントに急行します!」

と私は言った。

 歳星から発進して、10分が経ったタイミングで、プトレマイオス2改はトランザム起動。

 指定ポイントまで、急行した。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side 昭弘・アルトランド

 俺は、エクステラ・ゼロの開発した新型を与えられたタカキと共に、哨戒任務に赴いていた。

 簡単に言うと、母艦の進路確保だ。

「タカキ、()()の乗り心地はどうだ?」

と俺はタカキに訊いた。

『絶好調ですよ。阿頼耶識も俺専用にフィッティングしてあって、安定性も非常に高いです』

とタカキが答えた。

 タカキの乗る新型の名は、「エクスバイン・ガンナー」。

 マドカさんが言うには、「本来は『パーソナルトルーパー』と呼ばれる機体を、『モビルスーツの枠に()()()()()()』」そうな。

 本来、エクスバイン・ガンナーは『エクスバイン』という人型の部分と『AMガンナー』と呼ばれる乗り物の部分に分けられ、それぞれに動力源が積まれているのだそうな。

 だが今回、『AMガンナーにハロ(薄紫)を乗っけて自動操縦にし、エクスバインとAMガンナーが射出された後に自動でドッキングする』という方式に変更したのだそうな。

 一応AMガンナーにも人は乗れる。

「エイハブウェーブ反応?!

 モビルスーツか?!」

しかし、平穏っていうのは、すぐに終わるってのが定石で、俺達の機体はエイハブウェーブを感知した。

 数は8。

 どれも、緑色の丸っこい機体だった。

「さて、俺等は新型の性能試験テストをやりますかね!」

と俺は言った。

 丁度良く来たんだ。やる他ない。

『まずは、これで!』

と言って、タカキの乗るエクスバイン・ガンナーは腰からでかい銃(グラビトン・ライフル)を取り出した。

『外れないでよ!!』

と言ったタカキと同時に、エクスバイン・ガンナーはその銃からドス黒いビームを放った。

 結果、1機に命中、転倒した。

「コケただけか………」

と俺は言いながら、むちゃくちゃ装甲の硬いモビルスーツを相手に奮戦していた。

 

 ―――side タカキ・ウノ

 俺は、うまいことエクスバイン・ガンナーを乗りこなしながら、謎のモビルスーツ部隊を相手取っていた。

 でかいハンマーを持ったモビルスーツが接近してくる。

 アレに当たったら確実に死ぬ。

 そう思って、急加速して一気にその付近を離脱した。

「すっげぇ、こいつ、ヒットアンドアウェイも出来るのか?!」

と言って、俺は大回りでその場に戻った。

 ハンマーを持っていない、丸っこいのが近づいてくる。

『おおおおおおお!!』

銃を乱射してくるけど、そんなの関係ない!

「こっちだって、近接武器はある!」

と言って、俺は左腰にマウントしてあったコンバットブレードを取り出し、文字通り切り払う。

 パワー調整がめちゃくそ難しい。切り払うと考えて操作したはいいが、パワーが凄すぎて相手との距離がめっちゃ空いてしまった。

 だがそれがいい。

「こいつで止めだ!」

俺は操縦桿を握りしめ、そこにあるスイッチを押す。

「Gインパクト・ザッパー、行けぇぇぇぇ!」

AMガンナーの4門の砲口から、ドス黒いビームが放たれた。

 見事にターゲットの右腕に着弾し、右腕が消滅した。

 その直後、その機体めがけてバルバトスが降ってきた。

「三日月さん!」

『生きてるー?』

「はい!無事です!」

という会話が、俺と三日月さんとの間で起こったのと同時に、

 プトレマイオス2改が到着した。

 

 ―――side 昌弘・アルトランド

 俺は、ダブルオーザンライザーのコックピットに座っていた。

『いいか?いくら阿頼耶識があるとはいえ、ソイツの操縦系統はめっちゃ煩雑だ』

とマドカさんが言ってきた。

 注意事項なぞ先刻承知。

「大丈夫です。こいつに乗るつもりで訓練してきましたから」

と俺は言った。

『了解だ。くれぐれも、やりすぎないようにな』

というマドカさんの激励を受けた。

 そして、射出タイミングが譲渡された。

「昌弘・アルトランド、ダブルオーザンライザー・フルパッケージ!

 行きます!!」

 

 ―――side 神城まどか

 はぁ、どう言っても昌弘はアレに乗るんだろうなぁ。

 とはいえ、代機っていうのは必要だから、アストレアは昌弘専用機だけどね。

「はぁ〜、ホント、コレは胡散臭いねぇ」

と言った私は、謎のモビルスーツ部隊の1機、恐らく隊長機と思われる機体を画面に映し出していた。

 エイハブウェーブの波形がガンダム・バルバトスと研究開発中のガンダム・フェニクスとよく似ている。

「そして、譲渡したエクスバイン・ガンナーが早速初陣ですかい。タカキもご苦労なこった」

と私は言った。

 合流してから6分後、謎のモビルスーツ部隊は、結局2機を撃墜されて撤退した。

(何らかの電撃作戦を行ったか?

 いや、それにしてはやり口が雑だな)

と私は思った。

 さてと。

 私はプトレマイオス2改を漁火・ハンマーヘッドとランデブーさせるように指示し、ダブルオーザンライザー・フルパッケージの点検の指示も出した。

 

 で、ダブルオーザンライザー・フルパッケージも初陣だった訳だが。

 昌弘、うまいこと使いこなしているようだ。

 使いこなせていないと、ヘンに装甲やらフレームやらが()()から、何となく分かるのだ。

(実際、ジェニオンについては異常なマニューバーはできないしね)

と私は思った。

「ほれ、これを飲め」

「ひゃっ?!あ、ありがと」

急ににょギルが冷水を首元につけてきた。

 冷水を飲みながら、私は何故こんなときににょギルが来たのか訊いた。すると。

「まどか、お主はちと頑張りすぎだ。6時間ぐらい寝ておれ。

 次の戦闘ではノッブが出るからよ。

 ブリッジは妾に任せろ」

と言われてしまった。

 で、私は自室で寝ているわけだが。

 受肉しているせいか、夢を見た。

 

「我、聖杯に願う」

「誰かが、一対世界という理由で苦しまなくていい世界になりますように」

「優しい人達に出会って………笑い会える友達を作って………、あたたかでささやかな、幸せを掴めますように」

と言う、『私』の声を聞いた。

 コレは、誰の願いなのだろうか。

 美遊の兄か?それともイリヤ?クロ?

 もしかして、私自身?

「私のこの願いを悪と、『獣』と断定するのならば、お前の………、お前達の『善』を凌駕して、尽くを打ち砕こう。

 行くぞ、ジュリアン・エインズワース!

 私は、貴様等を、貴様等の救済を、『破壊』する………!」

これが、『私』なのか?

 こんなに、怒り狂った少女が、『私』だと言うのか?

『おのれ………!同じ英霊の座よりいでし存在でありながら………!

 お前は、己が運命を乗り越えると言うのかッ!』

「あぁ、乗り越えるさ!

 乗り越えてみせるとも…!

 それが、私、セイヴァー・ジ・オーバーライザー、いや、『神城まどか』が為すべき事なんだ………!」

『ぐあああああ!!』

アレが、私の別側面か?

 え?違う?

 何が何だかさっぱり分からなくなった瞬間、光が爆ぜた。

 

「ここは、どこだ………?」

まるで、雲の上に乗っているようだ。

 そんな事を思わされる空間に、私は居た。

『はぁ、やっと2人目だよ………』

という声がした。紛れもない、私の声だ。

 そして、目の前に、私と瓜二つの少女が現れた。それにしても………。

 2人目?

 どういうことだ?

「お前は………?」

『私自身のことをお前呼ばわりか…。なんか寂しい世の中に放り出されたんだね…』

質疑応答。これで、一瞬にして目の前の彼女が私だと分かった。

『私ね………、マーリンがバカやらかしたせいで、私を除けば3人に別れたみたい。

 全部、魂と記憶を丸コピされて、記憶を同期された存在。

 その中のひとりが、貴女なわけよ』

と『私』は言った。

 そういう事なのか、『2人目』という『私』の発言は。

『それで、思い出せていないんでしょう?

 私こと、「神城まどか」の夫の名を』

と『私』は言った。そうだった。私には、何か空っぽなものがあったんだ。

 それを埋められるのであれば、この案件はそれで十分だ。

『私達の夫の名、それは、ヒビキ・カミシロだよ。

 私は、蘆屋道満とかいう外道に、「獣」になって欲しかったらしく、その記憶を封じられていた。

 だけどね。

 ソッチの世界には、蘆屋道満なんて居ない。

 だから、「もう思い出してもいい」と判断したんだ』

と『私』は言った。

 そうか。やっと、切れていた彼の顔と名前が結びついた。

 蘆屋道満という男に記憶を封じられていた私は、『本体』が『思い出した』ことで、その封印を解かれたんだ。

『………。

 もう、大丈夫そうだね。

 じゃあ、もうそろそろ行くね。

 ………そっちの世界を、頼んだよ』

と『私』は言って、彼方へ消えた。

 

 そして。

 私は目を覚ました。

 きっちり6時間、ではなく、10分程早く目が覚めていた。

「………頼んだよ、ねぇ………」

夢に出た『私』を思い返して、そう呟いた。

 私はすぐに起き、寝起きでアイスコーヒーを飲み、身支度を整えてブリッジへ向かった。

「おう、起きたか、まどか」

とにょギルが言った。

「………ギル、戦闘は?」

と私は訊いた。

 全体的に青っぽい空間に入っているのが、メインモニターを見て分かった。

「まだぞ?

 ついさっき、ラフタの百里とクタン参型つけたバルバトスが出撃していった。

 ノッブが乗るガンダムサバーニャはトレミーの上で見張りやっておるし、他にもネロのダブルオーガンダムセブンソード/Gと昌弘のダブルオーザンライザーは出ているぞ」

とにょギルが答えた。

 まだかいな。

 いやまだなのか。

 ぐだぐだの影響は時間軸にすら影響したのか。

 いややはりコハエースの絵面がなんか悪さをしているのか。

(とうの昔に終わっているのかと思った)

と私は思った。

 

 ―――side out

 実は、まどかが起きる1時間前、相手方から通信が入った。

 相手方―――ブルワーズの、頭領ブルック・カバヤンと、組織のナンバー2兼主力のクダル・カデルが、鉄華団、タービンズ、エクステラ・ゼロに『クーデリア・藍那・バーンスタインの身柄の引き渡し』を要求してきたのだ。

『テイワズの下でいい気になってるようだが、こっちにもでかいバックがいるんでなぁ』

と自慢げのブルック。

 しかし、ここで、盛大に、『ブルックに()()()()()が成立した』。

 まず、「真正面から対決しようとしたこと」。

 次点に、「バックを言いふらしたこと」。

 最後に、「強力無比なモビルスーツ数機を有するエクステラ・ゼロ相手に思い切って宣戦布告したこと」。

 それを思いっきり女帝ギルガメッシュが突き、「勝てるものなら勝ってみろ。妾達がこてんぱんにしてみせよう」と敢えてフラグを建てたのだ(回収されるけど)。

 そういう経緯もあり、ブルワーズの要求は蹴られ、交渉とは絶対に言えない会話は打ち切られる。

「ククク、ハハハ!!

 言ってみせたわ!慢心しておる相手に()()()慢心する!

 これ程()()なことはないわ!」

とにょギルが言って、ノッブを始め多くの人間(寝てたまどかを除く)がドン引きしたのは、また別の話であろう。

 この後の作戦会議では、「ノッブや昌弘、ネロの負担が増えるが、真正面から撃ち合っても勝てる」という結論が早々出た。

 しかし、『()()()()()()()』慢心したにょギルは、「念には念を入れてだな」と言って、プトレマイオス2改をタゲ取り要員とした、奇襲作戦を発案した。

 作戦はこうだ。

 ①有視界領域までガンダム・バルバトス、百里が先行する。それについていく形でプトレマイオス2改withダブルオーザンライザー・フルパッケージ&ガンダムサバーニャ&ダブルオーガンダムセブンソード/Gが突っ込む。

 ②漁火、ハンマーヘッドは敵から見て10時の方向にスタンバイ。

 ③プトレマイオス2改が肉眼で敵艦を捕捉したら、トランザム&艦首にGNフィールドで()()

 ④プトレマイオス2改吶喊後、スタンバってた2隻がそのまま()()

 ⑤ヒューマン・デブリ各機の無力化、及び敵ガンダム・フレームの鹵獲。

 これを実行するには、各艦の()()が必須となる。

 作戦第一・第二段階まで進行したタイミングで、まどかが起きたのだ。

 まどかが寝てから4時間半、何もなかったのがおかしいレベルである。

 更に、作戦会議では………。

「念の為、漁火に積んだ荷物の確認をしといたほうがいいんじゃないかの?

 あと、宛先への確認も忘れずにな」

というネロの発言もあり、ブルワーズ討伐後に再ランデブー。

 荷物の確認が行われることになった。

 挙げ句。

「真正面から宣戦布告とか、アホか何かか?

 挙げ句、裏手の存在と推測されるであろうギャラルホルンを言いふらすとか、バカなのアホなの死ぬの?」

とノッブが言ってしまうのだった。

 

 ―――side 神城まどか

 この作戦に際し、ダブルオークアンタフルセイバーには改修が施されていた。

 まず、背部ユニットに、ダブルオークアンタ用ザンライザーをドッキング。

 そのまま、脚部に追加のGNスラスターユニットを搭載。

 専用ザンライザーにはGN粒子貯蔵タンクを追加搭載。

 勿論専用ザンライザーにはコックピットが存在し、そこには赤ハロとアイン・ダルトンが搭乗する。

 また、内股の膝部には、更にGNミサイルポッドを搭載した。

 これにより、これまで、実弾の射撃武装がなかったクアンタフルセイバーに、GNマイクロミサイルが追加された。

 かなり無茶な構成であるため、これを正式化する場合はちょっと構成を変えなければならない。

『レーダーに、ブルワーズの強襲装甲艦2隻が映りました!ダブルオークアンタフルセイバー、射出準備!』

通信越しにオペレーターが言った。

 ダブルオークアンタフルセイバーの全システムは正常。

 後部のザンライザーも、安定している。

「アイン、こいつは結構無茶苦茶だ。

 幾ら対G装備を着てるからと言って、耐えきれるとは言えない。

 覚悟しておけよ」

と私は言った。

『は、はい!』

と、むっちゃビビってるアインが言った。

 そりゃ、下手すればトランザムするかもしれないし、ねぇ?

『カタパルト、異常なし。いつでも行けるぞ』

と魔神さんが言った。

「了解。ダブルオークアンタフルセイバー、セイヴァー・ジ・オーバーライザー、アイン・ダルトン、作戦行動を開始する!」

ダブルオークアンタフルセイバーが、カタパルトから射出された。

 

 ―――side ブルック・カバヤン

 俺は、真正面から来るであろう、あのガキどもを迎え撃つために、モビルスーツ隊を全員出した。

「敵艦、肉眼で捉えました!」

と部下が言った。

「………来たか。モビルスーツ隊、攻撃を開始しろ!」

と俺は言った。

 その、瞬間。

「エイハブリアクター未搭載型モビルスーツが1機、急速接近!」

「何ぃ?!」

圏外圏でマクマードと一二を争うくらい怖い女がやってきた。

 

 ―――side アイン・ダルトン

 俺は、ダブルオークアンタフルセイバーの後部に追加でくっつけられたザンライザーというパーツに乗り込んで、作戦に参加した。

 クランクさんは、まだ機体が支給されない関係で、今はプトレマイオス2改の砲火手を担当している。

「ぐ……うぅ……!ギャラルホルンでは絶対に体験できないGだ……!」

機体にかかる加速度に耐えながら、右端に映るハロに訊いた。

「今………、この………機体は、時速…何キロで、動いて…いるんだ?!」

『4896km/h!4896km/h!』

とハロは答えた。

 何という速さだろうか。

 というか、マッハ4だと?!

『敵艦接近!敵艦接近!』

というハロの発言により、俺達は戦闘に入ったと分かった。

 

 ―――side 神城まどか

 ふー、グレイアウトしてたー。

 速度を緩めて、私はダブルオークアンタフルセイバーにGNバスターソードⅢを持たせる。

「はぁぁぁ………、せりゃぁ!!」

一閃。

 敵艦の艦砲のみを狙い、丁寧に『切り離す』。

 無理矢理切り離された艦砲は文字通り爆散する。

「まだだ、まだ、足りない………!」

私はそう言いながら、敵艦の横っ腹を減速用のレールとして使用し、敵モビルスーツ部隊に殴り込みにかかる。

『ビトー!敵だ!』

『嘘だろ、もうあんな所にいたのかよ!』

とヒューマン・デブリの男子達が言っているのが、容易に想像できる。

 実際、無茶苦茶な移動速度であるが故に、ダブルオークアンタフルセイバーにザンライザーを積んでデブリ帯を突っ切るという考えがやばいかもしれない。

 GNT-0000/FS+GNR-010Q/XN《ダブルオークアンタフルセイバー 対デブリ帯仕様》。

 やたらめったら武装が多いが、如何せん相手はデブリ帯。剣を多くしないと突破もクソもない。

 大きく上方(Y軸プラス方向)へ移動し、下方を見た。

 そこには、ブルワーズの強襲装甲艦に吶喊した、トランザム状態のプトレマイオス2改があった。

「作戦第4段階、漁火、ハンマーヘッド、吶喊!」

と私は言った。

『行くぜオラァ!!』

というユージンのセリフと共に、漁火、ハンマーヘッドが突っ込む。

「さてと。奇襲が終わったから、あのハンマー持ちを倒すかね………。

 アイン、火器管制制御システムに異常は?」

と私は言った。

 アインはコンソールを弄って確認していた。

『問題ありません!コントロールはそちらになってます!

 というか………、この機体、Gが凄かったですね………』

とアインが言ってきた。

「………。

 ―――否定はしない」

と私は言わざるを得なかった………。だって事実だし………。

 実際グレイアウトまで行ってたし………。

 まぁ、そんなこんなで、私は再び戦場へと駆け出した。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

〜次回予告〜

 ブルワーズを撃破した一行は、荷物を依頼書通りにして、ドルトコロニーへ立ち寄る。

 次回、「荷物はしっかり確認しよう」。

 積み荷は、本来税関とか通ると思うんだがなぁ。妾もちと退いておる。



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荷物はしっかり確認しよう

〜前回のあらすじ〜

①歳星行ってタービンズと鉄華団とエクステラ・ゼロが盃を交わした。

 これで、タービンズ視点で鉄華団とエクステラ・ゼロは『双子の姉弟』という状態になった。

②ブルワーズの部隊の攻撃に、哨戒任務中の昭弘とタカキが遭う。しかし、タカキは出立前にエクステラ・ゼロから受け取っていたエクスバイン・ガンナーに乗っていた為、負傷しなかった。

③ブルワーズと事を構えることになった。

④まどか、大切で、最も尊き記憶(夫の名前)を思い出す。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side out

 ブルワーズとの戦闘は、案外早く終わった。

 武闘派海賊という名が廃るかのように、あっさりと。

 デブリ帯はエクステラ・ゼロのホームグラウンドではない。

 しかし、ブルワーズは、完全にアウェイの相手に負けた。

 

 Post Disaster 〜Fate/ the over-riser 別編〜

 荷物はしっかり確認しよう

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side 神城まどか

 私はブルワーズの強襲装甲艦の1つの艦に乗り込み、損害賠償を請求する場に居た。

「艦一隻にヒューマン・デブリ全員、それと残存モビルスーツ全機と武器弾薬洗いざらい、でどうだ、兄弟?」

と名瀬が提案した。

 圏外圏での損害賠償は大体こんな感じだ。私の場合、ヒューマン・デブリ全員とモビルスーツ1機で腹いっぱいなのだが………。

 『艦一隻にヒューマン・デブリ全員、残存モビルスーツ全機と武器弾薬洗いざらい』という、法外な損害賠償だった。

「そんなぁ!無茶苦茶言いやがって!!」

とブルックが言った。

「あ゛?」

流石にコレはキレますよ私。

「お前、人食(カニバル)用にテメェの身体を肉屋に売っ払ったって良いんだぞ?

 それともスナッフフィルム用の資材にされたいか?あ゛ん?」

と私は言った。

 『圏外圏でマクマード・バリストンと一二を争うくらい怖い女』なーんて呼ばれてるレベルなんだ、これぐらいやっておかないとその二つ名が錆びる。

「「いやにリアルで生々しいカニバリズムやめんか」」

2人に怒られた。

 だけど私は、笑顔で、「これぐらいやらないとこいつ復讐(リベンジ)してくるだろ」と言った。

「「復讐(リベンジ)?!マジかよオイ?!」」

と2人は言った。驚き過ぎである。

 こちとら復讐者(アヴェンジャー)のなり損ない(=ノッブ)が居るんだ。

「………マドカさんが優しいうちに頷いたほうが得だぞ?

 これ以上だと、もう止められる気がしない」

とオルガが言った。

 まぁ、止められないだろうね………。

 これでも頷かなかったら固有結界(無限の剣製・天国の極限)出す気満々だったし。

 で、視線をブルックに移すと、物凄い勢いで頷いていた。

 これで賠償問題は解決した。

 後は、ヒューマン・デブリの案件だけだ。

 そう考えた私は、先程の戦闘を振り返る。

 

 クダル・カデルが出てきた瞬間、私はダブルオークアンタフルセイバーのGNソードⅣフルセイバーでグシオンハンマーを受け止めた。

『グシオンのハンマーを受け止めるタァ、パワーは凄いじゃないの!面白い!このクダル様の相手をしてもらうぜ!!』

と、接触回線越しにクダルが言ってきた。

「今のお前の攻撃で、右腕の関節サーボモーターがちょっとダメージを受けた………。

 右腕フレーム部にヒビが入り、GNソードⅣフルセイバーの刀身も若干危うい状態になっている………。

 クダル・カデル、返礼は高く付くぞ………!」

と私は言った。

 私はコンソールを弄り、トランザムシステムの起動をスタンバイさせる。

 流石ツインドライヴ、粒子量は既に満タンだった。

「投影、開始(トレース・オン)」

臨時ではあるが、右腕の損傷箇所を『(私自身)』で補強する。戦闘が終われば補強は解けるだろう。

 また、強化の魔術でGNソードⅣフルセイバーの強度を底上げする。

『次ぃ、耐えられるか!!』

「遅い!!」

同時。

 同時にGNソードⅣフルセイバーとグシオンハンマーが交錯する。

 結果は私の一枚上手、グシオンハンマーを弾き飛ばす。

「―――ァッ!!」

続けざまに一太刀入れるが、ダメージは浅いようだった。

(―――硬い)

そう思った私は、GNソードⅣフルセイバーを右肩に懸架し直し、背部から2振りのGNバスターソードⅢを取り出す。

「これなら、どうだ!!」

そう言って、私はグシオンの胸部装甲に更に傷をつける。

「………な?!」

しかし相手にはダメージが入らない。

『切り傷しかついてないのか?!』

『切れ味不足!切れ味不足!』

アインが、赤ハロが、次々と言う。

「チッ、完全に重装甲か。ビーム兵器もほぼダメージはないだろうな、コレは………。

 ならば………!」

と言い、私はザンライザーからGNマイクロミサイルを発射する。

『その程度で………!』

クダルは両腕でGNミサイルを受け止める。

 しかし、その腕の装甲をえぐるように、GNミサイルが爆ぜる。

「硬っ、ミサイルもほぼ効かないか………。

 こいつは結構まずいかな?」

と私は言った。久々に苦戦している気がする。

 『本体の記憶(プリズマの私)』からたどれば、ギルガメッシュ戦かな?

「ならば………、トランザム!」

ここで、私は切り札を切る。

『装甲が赤く光った?!

 どういう仕掛けだ、ソレは!!』

憤慨するように、回収したグシオンハンマーで接近し、そして叩きつける。

 叩きつけただろうな、確かに。

(これが量子化か…)

密かにグシオンの後ろへ回り込んだ私は、トランザムにより性能が上がったGNソードⅤ・バスターソードモードで、グシオンの背部を袈裟斬りにする。

『何ぃ?!』

とクダルが言い、そして………。

「『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』」

横に薙ぐようにもう一度グシオンの背部を斬った後に、グシオンを正面に向けて、組み付く形でグシオンの上に飛び乗り、ライフルモードのGNソードⅤを胸部装甲に『突きつける』。

「ゼロ距離、喰らえぇぇぇ!!」

胸部装甲、その接合部分に目掛けて、GN粒子のビームを撃ち込む。

 そして、想像と違って溶けた装甲を引っ剥がし、グシオンのコックピットブロックを破壊した。

『ギィェェェェェァァァァァ!!』

その時、断末魔が木霊した。

 

 ―――振り返ったは良いが、ちょっと損失が出た。

 GNソードⅣフルセイバーは、GNカタールの部分を丸々交換しなければならなくなり、右腕は肘から下のフレームの修理を現在行っている状態だ。

「さて………、どうしたものか」

と私は言った。

 アレから時が少しだけ流れ、今は鉄華団の積み荷の前にいる。

 ソレは、武器弾薬。

 ソレは、戦闘用モビルワーカー。

 まさに、『ドルトコロニーでテロ起こすぞ』と言っているようなものだった。

(GNトレーディングス………。

 ノブリス・ゴルドンのアホがクーデリア殺す為の手段として出してきたか)

と私は考えた。

 ヒューマン・デブリは、全員が鉄華団預かりとなった。

 その全員が鉄華団の『家族(正規社員)』として入社し、IDの存在がある者はI()D()()()()されることが確約された。

 仕事が終わったら()()()()()()()()()()()()のも、また。

 

 そんなこんなで数十分後。

「マドカさん、この通話代わってくれますか?」

とビスケットが言ってきた。

「もしもし、通話変わりました、マドカ・カミシロですが」

()()()には()()とありましたか?』

と、速攻でナボナさんが訊いてきた。

 私は依頼書を再確認する。

「いえ、()()()には『()()()()』と。

 荷物はクーデリア嬢の()()()()()()()()()()です。

 ましてや武器の供給など、話にも聞いていませんが」

と私は言った。

『そんな!ギャラルホルンを尽く打ち破ってきた鉄華団が、我々に希望を運んでくれると…』

とナボナさんが言った。

 ドルトコロニーに住まう人々は、()()()()()()()()()()奴らばかりと聞く。

 仕事の都合でプトレマイオス2改+資材輸送船4隻で入ったこともあるが、デモ行動などを起こしていたのは見たが、実力行使まではしていなかったと思った。

「何を言っている?

 とりあえず、私達は『戦う為の武器こそ持っているが、武器の輸送業務は受け持たない』主義だぞ?

 テロでも起こそうっていうのか?」

と私は言った。

 ナボナさんは黙り込んだ。

「まぁ、その話は後でするとして。

 噂話程度でいい、『アリアンロッド艦隊が、何らかの形で演習をしていないか』?

 予定だけでも上等だ」

と私は言った。

『それぐらいなら………。分かりました、調べておきます』

とナボナさんが言った。

 ここで、速攻で作戦会議に突入した。

 

 ―――side 名瀬・タービン

 俺等は、プトレマイオス2改、通称『トレミー』のブリーフィングルームにて作戦会議を行った。

 この時、全艦が()()()()()()している。

『今の所、敵らしき敵は見当たらんぞ』

とノッブが言った。

 ノッブはガンダムサバーニャで哨戒中だ。

 射撃のポイントはマドカよりノッブのほうが若干高い。任せておけばいいだろう。

「ここからの作戦を説明します。

 本艦隊はこれより、ケレス基地より、本来の要求通りの資材を、輸送艦《カグツチ》でここまで輸送します。

 カグツチに戦闘能力はあるので、あしからず」

とマドカが言った。

「大胆だな。船の形状からして、ギャラルホルンのハーフビーク級か?」

とオルガが言った。

「多分違うだろうね。

 プトレマイオス2改とよく似た部分がある。

 ということは、プトレマイオス2以前のものがあるね?」

とアミダが言った。

 マドカは頷いた。

「プトレマイオス2の前の船が存在し、その艦を中央部に接続し、テスラ・ドライブを搭載して、大気圏内での飛行能力を確保。

 動力源は擬似GNドライヴ2基のツインドライヴだ。

 中央部の艦はプトレマイオスと言う」

とマドカが言った。

 戦闘能力を持った輸送艦、ねぇ………。

 この御時世では確かに武器搭載は必須だが…、一体幾つエクステラ・ゼロは艦を持っているんだ。

「なぁ、マドカ。

 あんたら、一体幾つ艦を持っているんだ?」

と俺は訊いた。

「GN系兵装を搭載した、イサリビと同型の強襲装甲艦を6隻、GN系兵装搭載大和型イージス艦を4隻、多目的攻撃母艦を1隻、プトレマイオス型輸送艦を4隻だ。

 多目的攻撃母艦は、プトレマイオス2改を三回り大きくした同型艦を1隻、建造中だ」

とマドカは言った。

「合計で16隻か………。そりゃ人間足りんわけだ」

と俺は言った。

 言った途端、マドカさんは俺の額に指を当ててきた。

「お言葉ですが、兄さん。

 人数そのものは足りているんですよ。

 今はヒューマン・デブリだった子達の艦の運用に関係する教習で強襲装甲艦をちょこっとしか使っていないだけですが」

とマドカは言った。

 足りてるんかーい!!

「マジ?」

と俺は言った。

「マジだ」

とガイ・獅子王は言った。

「………続けますよ。

 万一、アリアンロッド艦隊がこちらに敵意を向けた場合、私達が()()()()を行います」

とマドカは言い切った。

 オルガ、ユージン、ビスケット、俺、アミダ、アジー、ラフタ、そして戦術に関わらない三日月、昭弘すら。

「え゛っ?!」

と言った。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side 神城まどか

 作戦会議終了後、クーデリアに念の為確認を取った。

「ドルトコロニーに武器を手配したのはお前か?」

「はい?………はいぃぃ?!」

………という反応をされたので、確実に『(白確)』だと分かった。

 更に、クーデリアの侍女、フミタン・アドモスも呼び出しては居たのだが。

「はぁ、それ、私の雇い主とも言える、ノブリス・ゴルドンのせいじゃないですか?

 流石に外道すぎるので、亡命ついでに裏切りますが」

と言ったため、彼女も『(白確)』だと判明した。

 重大発言があった為、主要メンバーを全員呼んで彼女の事情を説明したのだが。

「「「まぁそんな事だろうと思った」」」

と全員が言う始末。

 釘としてフミタンに『鉄華団及びタービンズ及びエクステラ・ゼロへの敵対行為をしない(ノブリス・ゴルドン他への報告を除く)』という内容のセルフギアススクロール書かせたのは、また別の話。

 

 3週間後、年まで明けてP.D.323年、1月。

 やっとカグツチが到着した。

「長旅ご苦労。

 さて、積み荷の挿げ替えを開始しようか」

と私は言った。

 乗組員のひとり、リョータ・岩見(元ヒューマン・デブリ)が、「イカルガも完成したんで積んできました」と言った。

「完成したんですか?!」

とエルが目をめっちゃ輝かせながら言った。

「運用の制限あるだろ、アレ。特にエーテルリアクター」

と私は呟いた。

 それで、てきぱきと積み荷の挿げ替えが行われる。

「もしもーし、サヴァラン?」

通話で、サヴァランに連絡を取った。

『はい、もしもし。

 積み荷の挿げ替えが完了したんですか?』

とサヴァランは訊いてきた。

「ああ。それと………」

『アリアンロッドは、第6艦隊がドルトコロニー付近で()()と称して部隊を展開しているそうです』

とサヴァランは、私がしようとした質問に答える形で言った。

「でかした、これで行ける………!」

と私は言った。

 細工は程々に。そして、仕掛けるときは、大胆に………。

 

 ―――side out

 

 ドルトコロニーに、2隻の強襲装甲艦と、2隻の異色な艦船が入港した。

 カグツチは、ドルトコロニーに『()()()()で』入港した。

 プトレマイオス2改も()()である。

 イサリビから運び出されたコンテナを見て、2人のギャラルホルンの武装隊員は頷きあう。

「動くな、ギャラルホルン警務局だ、そのまま両手を上げて大人しくしろ!」

と隊員のひとりが言った。

 受け取り側の男性は「はぁ?何ですかいきなり!我々は何も疚しいことはしてませんよ?」と言った。

「ここでテロに使われる武器の取引があると通報を受けた!荷を改めさせてもらうぞ!」

と隊員のひとりが言った。

 彼等は知らない。コンテナの中身が、工場の稼働に必要不可欠な資材ばかりなのだと。

 コンテナを武装隊員が開封し、中身を確認する。

「「え゛?」」

と隊員2人は言った。

 すると、船側の責任者と思われる女性が、

「どこの誰が通報したのか知りませんが、我々が運んできたのは資材です。

 我々は民間軍事会社につき、我々が保有する武器こそありますが、ここドルトコロニーにはその武器を供出せず、資材を搬送しています」

と言った。

「なら見せてもらうぞ!」

と隊員が言った。

「ならば()()()()()を出してください。それがあるのならば、捜査に協力するのも吝かではありません」

と女性―――メリビット・ステープルトンが言った。

 隊員2人は困惑していた。

 当然だろう。彼等は令状なんて持っていないのだから。

「もしかして令状を持ってきていないのですか?だったら話にもなりません。管轄局に問い合わさせて頂きます」

とメリビットは言った。

 隊員達は困惑しきっていた。

「い、いや待て!コレは何かの間違いで…」

と隊員のひとりが言った。

「間違いならさっさと連絡して確認取って令状取ってくるなりなんなりしなさい。こちらも暇じゃないんです!」

とメリビットは言った、というか怒鳴った。

 

 ―――side 神城まどか

 

 さて、私達はドルト3に纏めて入港して、生活資材を買っている訳だが。

 鉄華団とタービンズはドルト2に入港している。

 

 私達は繁華街にいるので、そこでデモをしているデモ隊がうっさい。

 だけど、武装してないから問題ない。

 してたら天叢雲剣で叩き斬ってる。

(武装デモならアレだが、ただのデモなら何も言えまい?アリアンロッドよ)

と私は思った。

 さて、ネロと昌弘は頑張れるのかな。

 

 ―――side out

 

 アリアンロッド艦隊、第6艦隊は、ドルトコロニーの連中が暴れ出すのを期待していた。

 しかし、一向に暴れ出す気配を見せず、それどころか、「労働者組合とカンパニーが和解、交渉を開始した」という報が入ってきたのだ。

「どういう事だ?労働者組合とカンパニーは、相容れない存在のはずではないのか?」

と、第6艦隊の司令官は言ったという。

 そして、何事もなく。

 そして、『エクステラ・ゼロが()()として放ったダブルオーガンダムセブンソード/G(ネロ・クラウディウス)ダブルオーザンライザー・フルパッケージ(昌弘・アルトランド)にフルボッコにされることもなく』。

 アリアンロッド艦隊の総司令、ラスタル・エリオンの命令変更すら入らず、すーっと鉄華団などが通り過ぎていくのを見ているしかなかった。

 

 ―――side 神城まどか

「何もなかった?!」

と私は言った。

 ネロはうんうんと頷いていた。

「光学迷彩で姿を隠しながらアリアンロッドの艦隊を確認していたんですけど、一切動かなかった上に、漁火やハンマーヘッド、俺等の2隻の通過も見過ごしてましたよ」

と昌弘が言った。

 やっぱりぐだってるじゃねぇか。

「ノブリス・ゴルドン出し抜いたなコレ。

 とりあえず、クーデリアは?」

と私はにょギルに訊いた。

「あの娘か?

 あ奴はマクマードに()()を取っておったが」

とにょギルが言った。

 え?

 マクマードに、つーか、(私達の)親分さんに連絡を?

 はて、どういう理屈でそうしたのやら。

 

 私は、連絡が終わったクーデリアに確認を取った。

「はい、『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』マクマードさんに『ノブリス・ゴルドンにブチギレ電話する』ように言っておきました。快く承諾してくれましたから、暫くはノブリスも手は出せないでしょう」

とクーデリアが言った。

 しかし、それって「ノブリス・ゴルドンとかいう鬼畜外道を圏外圏1恐ろしい男であるマクマードに擦り付けた」ってことじゃねぇの?

「自分で弾劾すればよかったじゃねぇか」

と私は言った。

「いえ、それでは『()()()()()()()()()()』ので、『()()()侮ってもらうことにした』のです」

とクーデリアは言う。

 それで、地球へ降りる方法を私はクーデリアに聞かれた。

「決まってる。

 漁火とハンマーヘッドは宇宙に置いて、プトレマイオス2改とカグツチを降下挺代わりに降下する」

と、気前よく私は言った。

 

「え!?ワシがプトレマイオス2改に張り付きながらギャラルホルンと()()張れとな?!」

とノッブが言った。

「そりゃそうだろう。グシオン改弐、グシオンリベイクだけじゃ射撃要員が足りないし()()()

 大気圏突入だから、ライフルビットの展開は不可能。

 故に、それでも尚射撃のポイントが高いノッブ、貴女に賭けることにした。

 一応、鉄華団からグシオンリベイクとグレイズ改弐が出るそうだから、()()()()単騎ではないな」

と私は言った。

 今回の大気圏突入ミッション、どう足掻いても艦砲射撃だけじゃ捌ききれない。

 というわけで、ノッブに頼んだのだ。

「まぁ、それよりも先に、ラグランジュ2に行くんだけどね。

 ラグランジュ5のドルトコロニーから、一度ラグランジュ2まで戻るっていう寸法だ」

と私は言った。

 

 実は、ノッブに作戦を話す前に、作戦会議があった。

 そこで、「一度ラグランジュ2に行く」ということを明言した。

「何故だ?そのまま地球に降りれば、ギャラルホルンが混乱している内に突入できるじゃねぇか」

とオルガが反論したが…。

 そこは、何となく察したにょギルが。

「待て待て。

 むしろ、『指揮系統が煩雑なギャラルホルンを、更に混乱させる』という方法を取ることにしたんだろう」

と言ってくれた。

 実は、ラグランジュ2にはヴェーダがある。

 というか、それを収めたソレスタルビーイング号がある。

「ラグランジュ2にあるソレスタルビーイング号で、人と合流する。

 合流後、バルバトス、グシオンリベイク、グレイズ改弐をプトレマイオス2改に、エクスバイン・ガンナーをカグツチに載せ換え、また乗員の移乗を行って、出立。

 然る後に、ギャラルホルンの防衛網を突破し、蒔苗東護ノ介の指定したポイントへ降下する」

と私はその時言った。

 

 ―――side out

 

 4隻は一度、ラグランジュ2へと向かう方向に舵を取る。

「直接突っ込んでくるから、そこで迎撃すればよかろう」

と見込んで、カルタ・イシューは部隊を展開していたが、くるっと向きを変えてラグランジュ2へ向かった4隻を見て、

「何やってんのあいつら?迷子になったのか?」

と言ったと、ギャラルホルンの()()()()に残るのだった。

 ともあれ、カルタの読みを裏切って、鉄華団とタービンズ、エクステラ・ゼロによる混成艦隊は、ラグランジュ2にあるソレスタルビーイング号へと向かうのだった。

 

 ―――side オルガ・イツカ

 俺達は、ラグランジュ2にあるという、ソレスタルビーイング号に来た。

 初見では、「なにもないじゃないか」と思ったが、ガイドレーザーが出たので「何かあるー?!」と叫んじまった。

「ここが、ソレスタルビーイング号か………」

と俺は言った。

 そして、だだっ広い(マドカさん曰く「()()1()5()k()m()」。これにはクランクさんとアインさんが驚いていた)艦内を抜け、俺達はホールと思しき場所に来た。

「ようこそ、ソレスタルビーイング号へ」

迎えたのは、美女と言って差し支えない女性だった。

 彼女の名は、アニュー・リターナー。

 マドカさんが、「ヴェーダの手によって、情報収集型イノベイドとして造られた人造人間である」と説明した。当の本人は恥ずかしそうに頭ポリポリ掻いてた。

 更に、マドカさんが待ち合わせていた人が続く。

 医療担当のナイチンゲールさんに、アニューさんと同じだけど用途が違うイノベイドのティエリア・アーデさん。

 タカキたちと余り変わらないように見えるけど優秀なモビルスーツパイロット(※阿頼耶識ついてない)の、美遊・エーデルフェルトさんとクロエ・フォン・アインツベルンさん、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンさんの3人組(いずれもGrand Order設定)。

 そして、吸血種であり、教師でもあるシオン・エルトナム・アトラシア(設定上はGrand Orderのソカリスのほう)さん。

 以上のメンバーが、合流することになった。

 

 そして、機体の載せ換えも順次行われた。

 更に、ティエリアさんの要望から、カグツチには『ラファエルガンダムドミニオンズ』が搭載されることが決定した。

 擬似太陽炉搭載型モビルスーツであり、代償として、トランザムは出力を上げすぎることができなくなっている。

「俺等は一時的にプトレマイオス2改やカグツチに乗ることになるんだ。設備は丁重に扱えよ!」

と団員に指示した。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side out

 彼等がプトレマイオス2改やカグツチに機体や人員を移している頃、地球衛星軌道上で部隊を展開していたカルタは、いつまで経っても来ない、鉄華団とエクステラ・ゼロに憤慨していた。

「まだ撤退させる訳には行かないわよ………。

 何としてでも、クーデリアの身柄を確保する」

とカルタは言ったそうな。

 そして、()()()

 事態は動き出す。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side 神城まどか

 ソレスタルビーイング号から出立する前、ハンマーヘッドから通信が入った。

『悪いな。テイワズ直系である俺達が、堂々とやらかすのもアレだから、漁火を民間港まで案内する。

 お前らは、月の裏側から表へ出て、そのまま地球に突っ込んでこい』

と名瀬が言った。

「イエイエ、大気圏内は本来、私達のホームグラウンドですし」

と私は言った。

 この後、礼儀作法に応じた応答が数回行われた。まぁ、それはいい。

 ここからは、鉄華団とエクステラ・ゼロ、双子の力でどうにかするしかない。

「それじゃあ、『行ってきます』」

そう締めて、私は通信を切った。

 タービンズやユージンら、『降りない組』は、民間港への舵を取る。

 『降りる組』のメンバーや、クーデリアを乗せたプトレマイオス2改とカグツチは、敵艦隊の真正面へ向くように舵を取る。

 さぁ、ここからが正念場だ。

「………」

息を吸う。

 そして、吐くと同時に―――叫ぶ。

「行くぞぉぉぉぉぉ!!」

月の表側へ出た瞬間、トランザムで一気に突っ切る。

 さぁ、()()()と行こうではないか。

 

 ―――side out

 

 カルタは最善を尽くしたとは言えなかった。

 しかし、それでも、彼女はエクステラ・ゼロという『壁』を越えなければならなかった。

「さあ来なさいエクステラ・ゼロ!鉄華団!

 その馬鹿力を、技量で凌駕してあげるわ!」

とカルタは言った。

 そして。

「敵艦進路、………馬鹿な、全て降下進路を取っています!」

「敵艦は2隻!周囲にモビルスーツらしき機影を確認!」

「構わん、全艦砲撃を開始せよ!」

戦闘の火蓋が、切って落とされた。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

〜次回予告〜

 大気圏突入。

 その後、蒔苗を乗せ、ミレニアム島から脱出する。

 次回、「エクステラ・ゼロ進撃!ぐだぐだ鉄血のオルフェンズ」。

 第六天魔王信長、ガンダムサバーニャを以て出撃す。

 まぁ、ライル・ディランディ居ないし、是非もないよネ!



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エクステラ・ゼロ進撃!ぐだぐだ鉄血のオルフェンズ

〜前回のあらすじ〜

①ブルワーズから子供達と強襲装甲艦1隻、残存モビルスーツ全機を掻っ攫った(主に鉄華団が)。

 ・エクステラ・ゼロの取り分は少ない。

②まどかがクダル・カデルとの戦いを振り返る。トランザムも使わされた。悔しい。

 ・未だ、碌な出番のない勇者王ェ………。

③鉄華団の積み荷の中身を確認する。中身は武器弾薬及び武装モビルワーカー。

④ドルトコロニーと連絡を取る。クーデリアの名義が使わされていたことが判明、荷物の挿げ替えを敢行する。

 ・新登場:カグツチ

⑤ドルトコロニーへ。プトレマイオス2改なども『観光目的で』入港する。

→デモ隊のデモ行進は平和なものになった。

→サヴァランも頑張った。労働者組合とカンパニーの交渉の場が出来上がった。

⑥アリアンロッド、むっちゃ困惑する。

⑦一行は一度ラグランジュ2へ。ドルトコロニーはラグランジュ5に変更した(ラグランジュ7が存在しない為)。

→ソレスタルビーイング号で乗員移乗を行い、カルタがうっかりで封鎖しそびれた民間港にハンマーヘッドと漁火が行った。

 ・新たに複数人参戦した。紹介しきれないので前回を見るべし。

⑧プトレマイオス2改とカグツチ、地球外縁軌道統制統合艦隊と真っ向から戦闘へ(降下軌道に乗せてるけど)。

 ・カルタの意表を突いた。

 ・意外ッ!ソレはッ!宇宙航行艦が大気圏突入ッ!

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side out

 プトレマイオス2改には、単騎での大気圏突入、及び大気圏離脱の能力がある。

 その能力を反映したカグツチも同様だ。

 それらは、GNフィールドを展開して大気圏突入を行うことで、難なく大気圏内に入れるのである。

 ハーフビーク級の半分程度しかないが(ハーフビーク級は全長400m、対しプトレマイオス2改はリチャージャブル・ブースター(設定上は使い捨てだったブースターの再使用可能版)込みで260m)、それでも通常の降下艇よりはデカイ、プトレマイオス2改の特性を利用した戦術だった。

 カグツチも全長251mであり、これも意表を突くことができるであろう。

 まさに、相手の常識を覆す大作戦。

 それを見ている者が居た。

 

 Post Disaster 〜Fate/ the over-riser 別編〜

 エクステラ・ゼロ進撃!ぐだぐだ鉄血のオルフェンズ

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side ?????

「しかし、商談持ちかけなくてよかったんですか?旦那」

とトドが言った。

 彼は、結局、ドルトコロニーで降りて鉄華団を辞し、私達『モンターク商会』に入社したのだ。

「エクステラ・ゼロなら、ああすると思っていたさ。

 しかし、ラグランジュ2に立ち寄ったのが、少しばかし不可解ではあるがな」

と私―――モンタークこと、マクギリス・ファリドは言った。

 ラグランジュ2に何があるのか。

 それも気になりはしたが、今の鉄華団とエクステラ・ゼロは、腐り切ったギャラルホルンを変える外的要因になるだろう。

(期待しているぞ、鉄華団、エクステラ・ゼロ)

独り、私は思うのであった。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side 神城まどか

「うっへー、すっごい攻撃だ。

 だけど、意味ないんだよねー」

と私は言った。今、プトレマイオス2改とカグツチはGNフィールドを展開している。

 イカルガとクアンタフルセイバー、2機のツインドライヴ機から供給されるGN粒子のおかげで、GN粒子をめっちゃ使うGNフィールドの粒子消費より、粒子の供給のほうが多いという状態だ。

 この世界の艦砲射撃程度なら、まだノーダメージである。

 レールガンの弾丸はちょっとヤバイかもしれないが、それでも耐える耐える。

 ダインスレイヴ?

 出来れば使われたくないね!

「各機は出てくる可能性のある敵モビルスーツの牽制を。私達は、グラズヘイムⅠにちょっと攻撃します」

と私は言った。

『『了解!』』

『了解じゃ!』

と、昭弘(ガンダム・グシオンリベイク)、シノ(グレイズ改弐『2代目流星号』)、ノッブ(ガンダムサバーニャ)が返事を通信機越しに言った。

「さてと、魔神さん、砲撃手になっちゃったけど、大丈夫?」

と、アニュー・リターナーが加わった事による役職変更で、沖田オルタは砲撃手になってしまっていた。

「射撃のポイントはお前と同じなんだ。

 大丈夫だ、少々不安ではあるが、魔神さんは問題ない」ガクガクブルブル

「いつの記憶思い出しているんだ………」

自慢げではあるが全身が震えている魔神さんを見て、思わず私は突っ込んだ。

「本艦は、敵拠点、グラズヘイムⅠをちょっと攻撃します。

 GNミサイル、1番から12番までハッチ解放、目標、グラズヘイムⅠ!

 撃て!!」

と私は言った。

 魔神さんがコンソールを弄り、ハッチを解放する。

 ミサイルランチャーのうち、1番から12番が解放され、使用可能状況が解放された部分だけオールグリーンになる。

「悪く思うなよ………!」

と魔神さんが言い、GNミサイルが12発発射される。

 ミサイルランチャーのハッチが速攻で閉鎖される。

「これでOKか?」

と魔神さんが言った。

「OKだ、だが警戒は怠らないでくれ」

と私は、魔神さんを褒めつつ、そう言った。

 そして、数秒後、結果が戻ってきた。

「全弾命中!グラズヘイムⅠ、軌道離脱が開始されました!」

とコレットが報告した。

「よし、全機、張り付け!私も出るが、ミレニアム島に向かうぞ!!」

と私は言った。

 

 私は、ダブルオークアンタフルセイバーで出撃し、プトレマイオス2改、及びカグツチの護衛についた。

 同時に、ガンダム・バルバトスも射出された。

「ガンダム・フレーム機?!相手も引っ張り出してきたか………!」

と、苦虫を噛み潰したように言った。

 エイハブウェーブの探知機能をいつぞやの時に追加したダブルオークアンタフルセイバーは、正確に敵ガンダム・フレーム機をターゲッティングしていた。

『マドカ、とりあえず付随してる敵機を殺るから、相手のガンダム・フレームは任せたよ』

と三日月が言った。

 さてと、一仕事やりますかね………。

「ダブルオークアンタフルセイバー、目標を駆逐する!」

スラスター出力を全開にして、敵ガンダム・フレーム―――ガンダム・キマリスを攻撃する。

『幾ら、かのエイハブリアクター非搭載モビルスーツであっても、キマリスの機動性にはついてこれないか!』

とガエリオが言った。

 確かに、デブリ帯じゃないからザンライザーをつけていないダブルオークアンタフルセイバーでは、キマリスの機動性には追いつけないだろう(トランザムを除く)。

「知った事か」

だが、その程度は技量で補えばいい。

 奴の攻撃を受け流しながら想像しろ。己が刻む切っ先の動きを。

 そして、勝ち取れ。

 「キマリスのランスを破壊する」という結果を―――!

「………!」

見えた。

 ほんの少しのムラがキマリスの動きに見られた。私は、先程からGNソードⅣフルセイバーとGNソードⅤバスターソードモードの二刀流で対峙している。

「そこだぁぁぁぁぁ!!」

一閃。

 すれ違いざまに、私はキマリスのランスを斬った。

『何ぃ?!』

メイン武装を破壊されたキマリスは、コンバットナイフを持ち出して攻撃してくる。

「メイン武装を失ったから、太刀を抜いたか………」

と私は言った。

『まさか、武装を狙って攻撃してくる奴がいるとは思わなかったよ。

 だが、この機体は、お前達を倒す為に持ち出した機体だ。ありがたく思って死ね!』

とガエリオが叫ぶ。

 文句だらけだ。

 『ありがたく思って死ね』、だと?

 ふざけるな。

 私は―――。

「その言葉、そっくりそのまま………、お前に、返させてもらう!!」

 

 ―――side 三日月・オーガス

 あ、やっと出番が回ってきた。

 俺は、バルバトスで敵のモビルスーツを相手していた。

 けど、相手はワイヤーでバルバトスを絡め取ってきた。

『私の仲間を尽く奪い去ってきた火星の悪魔め、今ここで討ち倒す!!』

と敵機のパイロットが言った。

「仲間…?最初に仲間を殺したのはお前じゃねぇかよ」

俺は背中にマウントしてあった太刀で、ワイヤーを斬ろうとする。

 だが、相手はそうはさせてくれなかった。

 こいつ、本当にうざいな…!

『今死ね!火星の鼠!!』

と言うソイツは、もう殺してしまっても構わないと思った。

 だけど、急にソイツはワイヤーを切り離してどっか行った。

「逃がすわけ………!」

『もういい三日月!もうすぐ大気圏突入だ!』

とノブナガが言った。

 ―――もういいのか。なら、もう下がるか。

 そう思ってプトレマイオス2改に向かった。

 けど、そうは問屋がおろさなかった。

『エイハブウェーブの反応?!また新手か!』

とノブナガが言った。

 ソレは悲鳴に聞こえた。

「行く?」

『いや、アレはまどかに任せておいたほうがいい!』

と、俺の質問に彼女は答えた。

(とりあえず戻るか)

と考えて、プトレマイオス2改の上部装甲に機体を固定した。

 

 ―――side 神城まどか

「たちが悪いな………」

私は、メイン武装をやられても尚立ち塞がるガエリオに飽き飽きしていた。

『奥の手を隠し持っているようだが、俺に対して使わないとはなぁ!!』

とガエリオが言って、コンバットナイフで突っ込んでくる。

 踏み込みが甘い。

「………遅い!」

コンバットナイフとGNソードⅣフルセイバーが激突する。

 状況は互角―――のように見えるが、相手方は追加スラスターをやられていて、動きの精細さが欠けている状態だった。

「いい加減退いてもらおうか………。こっちだって暇じゃないんだよ………」

『誰が!』

対話はほぼ無意味。

 ならば、その首、貰い受ける。

「そこを、退きやがれ―――!!」

GNソードⅣフルセイバーで、キマリスの胸部装甲を切り裂こうと、私はダブルオークアンタフルセイバーを操縦してGNソードⅣフルセイバーを振るう。

『がぁぁぁ?!』

「な………に………?!」

しかし、その切っ先は、キマリスではなく、紫のシュヴァルベ・グレイズに食い込んだ。

 仕方ない、私は新たなエイハブウェーブを確認して、そっち方向に行った。勿論、剣は回収している。

 

 ―――side ガエリオ・ボードウィン

「ドミニク!何故俺を庇った!」

俺は、シュヴァルベ・グレイズのパイロットの、ドミニク・フレゲンハイマーに言った。

『あなたは、私の恩人です………。だから………、ここで、死んでは………なりま………せん………』

「おい!しっかりしろ、ドミニク!

 ドミニク!!」

ドミニクの言葉を尻目に、俺は呼びかけ続ける。

 しかし、コックピットの緊急脱出装置が作動し、シュヴァルベ・グレイズからコックピットブロックがイジェクトされる。

「ドミニーク!!」

俺は、その名を叫びながら、コックピットブロックを受け止めて、その場を離脱した。

 

 ―――side 昭弘・アルトランド

 俺達は、敵のモビルスーツを片っ端から叩き落としていた。

「クソ、数が多すぎる…!」

『こいつら、殺った側から復活してきおる!』

とノブナガさんが言った。

 そこに、三日月が入ってくる。

「三日月?!お前、滑腔砲も持たずに………!」

と俺は言った。

『撃ち漏らしは俺に任せて。余り動けないけど』

と三日月が言った。余り動けない………?

 あぁ、そういうことか。

「分かった、クロスレンジは任せる!」

と俺は言って、砲をぶっぱした。

 そこへ、2機のモビルスーツがやってきた。

『助太刀参上!』

「ラフタさんか?!その機体は………?」

と俺は言った。

『百錬のままじゃテイワズでございますって言っているようなもんだからね。エクステラ・ゼロが提供した、ダブルオーガンダムセブンソード/G(ネロちゃまの機体)のデータをちょっと使って、いじってきたのさ』

とアジーさんが言った。

『これからは百錬改め漏影ってことで、ヨロシク!』

ラフタさんが言った後、プトレマイオス2改に捕まって、敵モビルスーツを片っ端から撃墜していった。

「………ありがてぇ」

 

 ―――side 神城まどか

 機体の表面温度が上がりだす。

「そろそろ拙いか。

 敵機も殆どが撤退している…」

と、レーダーのデータを確認しつつ、私は全力でスラスターを吹かしてプトレマイオス2改に近づく。

「………ん?」

しかし、未だ大気圏突入コースを辿っている敵モビルスーツが、1機。

 よく見ると、スラスターから煙を吹かせていた。

「こっちに近づいている………。てことはメインスラスターが逝かれた機体ってことか」

と私は呟く。

 ならば、コックピットブロックをぶっ潰すだけだ。

「あと数ミリ寄ってくれれば直撃コースなんだよなぁ」

さっきからプトレマイオス2改に捕まっている為、無理なマニューバーができない。

 故に、丁度いい場所まで寄ってくれないと、攻撃ができない。

「………今だ!」

偏差で、丁度いい場所を突き、相手のナイトブレードをGNガンブレイドで受け止めつつ、GNソードⅤを銛のように使って、グレイズリッター1機を鹵獲した。

 GNソードⅤごと、グレイズリッターを引き寄せる。

(ふぅ、一仕事終わったか)

と思った私は、だらんとしているグレイズリッターをプトレマイオス2改に固定し、そのまま大気圏内へと入った。

 

 ―――side 蒔苗東護ノ介(まかないとうごのすけ)

 儂は、部下の『鉄華団とエクステラ・ゼロの地球降下成功』の報せを受けて、ニヤリと笑った。

(ギャラルホルンの、アーブラウへの癒着。

 それを晴らすことが出来る『切り札』が、遂に地球に来たか…)

と儂は思った。

 さてと、彼等を迎え入れる準備をしよう。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side out

 オセアニア連邦領、ミレニアム島。

 その近海の上空に入ったプトレマイオス2改とカグツチは、ミレニアム島に着陸した。

 面子はかなり疲れた様子で、蒔苗東護ノ介の保有する邸宅に踏み込んだ。

 蒔苗の差し入れということになっている魚を見て、鉄華団メンバーの殆どが拒絶反応を示した中、料理人のアトラやエミヤ、その他エクステラ・ゼロの面子の殆ど(一部の子供たちは拒絶反応を示した)が殆ど平らげたという一悶着(???)こそあったが。

 一行は、蒔苗東護ノ介と面会することができた。

「遠いところよう来てくれた。儂が蒔苗東護ノ介じゃ」

「お初にお目にかかります、私がクーデリア・藍那・バーンスタインです」

といった、礼儀作法による自己紹介から始まった面会では、衝撃の事実が齎された。

 

 ―――side 神城まどか

「はぁ?!失脚!?」

素っ頓狂な声を、私は上げてしまった。

 ミレニアム島に来いという発言から、何か疚しいことがあるのだと思ってはいたが………。

(政治は分からん)

まさか、失脚していたとは。

 『政治は分からん』と、そう思わざるを得ない。

「私達は骨折り損の草臥れ儲けかよ。だが、こうやって話し合いの場を設けた、ということは………。

 貴方、何か策があるのか?」

と私は言った。

 礼儀も糞もない。私は敬語が苦手で、そして、謙って話すのが大の苦手だ。

 立場なんて関係ない。人は人。対等の立場にあるべきだ。

「お嬢さん、頭が回るのう。そうじゃ。儂が代表に返り咲く手段があるのじゃよ」

と蒔苗は言う。

 その『手段』。

 ソレは、近々カナダのエドモントンで行われるアーブラウ代表選挙(選出会議と言うべきだろう)に赴き、選出されるというものである。

 彼の政敵、アンリ・フリュウ(エミヤも私も、最初聞いたタイミングでは『無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)』と聞き間違えた)が、ギャラルホルンと手を結んでいる。そこを突くと、蒔苗は言う。

「………なるほど、つまり護送を頼みたい、と」

とオルガが言った。

 蒔苗は頷いた。

「勝算は?」

とビスケットが言った。

 確かに、ソレは気になる。

「馬鹿かお前ら。ギャラルホルンとの癒着とか、殆どの議員が嫌がるだろ。

 勝率はほぼ10割だろうが」

と私は言った。

 普通に考えて、あんなに非道なことをするギャラルホルンを、議員達は嫌がるに決まっている。

「その通りじゃ。彼女には勝算は無きに等しい。

 報酬は弾むぞ?

 それに、国家中枢への繋がりができるというのは、『お前さん達の後ろ盾』にとってもいい話じゃないかの?上手いこと話が回れば大きな取引もできるよのぉ」

と蒔苗が言った。

 報酬云々は兎も角、テイワズ関連にまで踏み込んで言及するとは………。

 締めに、蒔苗は言った。

「ゆっくりとは言わないが、まだ時間はある。

 考えるとよかろう」

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side ガエリオ・ボードウィン

「ふざけるな………。ふざけるな!

 お前は、ドミニクを、機械仕掛けの化け物にする気か!」

と俺は叫んだ。

 前回の戦闘で、コードネーム『スカディ』に機体を貫かれ、重傷を追ったドミニク。

 一命を取り留めて、意識の回復こそしたものの、腰から下が動かなくなっている他、左脚を切断されていた。

「大丈夫ですよ、義足くらいは。しかし、きっちり無力化されたのが痛いですね………」

とドミニクは言っていた。

「良くないわ!第一、お前は………」

と、再び俺は叫んだ。

 俺はすっかり忘れていたが、通話中だった。

『………えーと、ガエリオ?

 状況を確認する為に連絡を取ったが、熱くなりすぎじゃないか?』

とマクギリスに宥められた。

 きっちり、話の一部始終を聞かれていた。流石に恥ずかしくなった。が………。

「悪いな、マクギリス。

 少し、医師にブチギレてた」

と俺は言った。

『まぁ、それはともかく。

 ドミニク・フレゲンハイマー三尉の件、何とかなるかもしれない』

とマクギリスは言った。

「何?!」

『ただし、ギャラルホルンの意に反するような所業をせねばならなくなるのは変わらない。

 このまま療養させるのも手は手だぞ』

とマクギリスは言った。

 確かに、このまま療養施設に送るのも手かもしれない。

 だが、俺は―――。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side 神城まどか

 さて、どうしたものか。とりあえず、クーデリアを送り届ける任務を果たすことはできた。

 だが、ここで降りたら拙い気がするのだ。

 エクステラ・ゼロ『だけ』でやってもいいが、『あの数』を止められるかどうか………。

「………はて、どうすべきか」

私達としては、「受けたい」。

 ここまで来たクーデリアを失う気がするのだ。

 だからといって、鉄華団の団員に「(タマ)張れ」と言えるのか?

「………いや、『言わなければ駄目』だ」

私はそう考えて、オルガの元へ行った。

 

「『強制はしないが、出来れば命を張ってほしい』?」

とオルガが怪しむように言った。

 私は、後ろめたい気持ちだったが、ここで退いたら後がないように感じた。

「ここで退いたら、世間に見放される気がする。

 『名だけはある出来損ない』って思われる気がする。

 それだけは嫌だ」

と私は言った。

 視界が歪む。

 あぁ、久々に涙を流した気がする。

「馬鹿言うな。

 双子の姉が頑張っているっていうのに、そこで頑張らねぇ弟がいてたまるかよ」

とオルガが言った。

 駄目だ、その言葉だけで涙がボロボロと出てくる。私はオルガに泣きつきながら、それに感謝した。

 

 ―――side 女帝ギルガメッシュ

 日が明けた朝。

 周辺をギャラルホルンが取り囲む中、妾達はせっせと出発の準備をしていた。

「まどかも頑張り過ぎだったしな………。ここで休んでもらえばよかろう」

と妾は言った。

 妾の横には、横になって眠っているまどかが居た。

 彼女は疲れていたようだった。それに、昨日の晩には、目元を赤くしていた。

 泣いたのだろう。

 『心の底に残った義務感のせいで、気が重くなった(精神が若干壊れた)』と妾は考えている。

 もしくは、『鉄華団にこの仕事をやれと言うのが辛い』と彼女が思ったか、だが。

 結果として、オルガは「ここで頑張らねぇ弟は弟失格だ」という考えに至ったようだ。

「ブリッジは妾が預かる」

と言い残し、妾はブリッジに向かった。

 

「ハァ?!寝てる?!」

とオルガが言いおった。

「まどかは規則正しい生活送ってるっちゃ送ってるが、ありゃ暫くは寝込むぞ」

と妾は言った。

 まどかには無茶をする癖がある。

 その反動で寝込むのだが、今回は半ば精神が崩壊しておった為、早くてもミレニアム島脱出するまでは目を覚まさんだろう。

「さて、宴を始めようとするかの。

 それに、今日が初陣の者も居る。

 お前達、存分に暴れてこい!!」

と妾は言った。

 そして間もなく、戦闘が始まった。

 

 ―――side out

 敵は海上に展開していた。

 それを見かねた鉄華団、エクステラ・ゼロ、タービンズは、空中、及び陸上からの迎撃を考えることにした。

 オルガ達は、獅子王凱の提案により、プトレマイオス2改の一室からオペレートしている。

 陸上には、グレイズ改弐『2代目流星号』とグシオンリベイク、ダブルオーガンダムセブンソード/Gが。

 空中には、ダブルオーザンライザー・フルパッケージ、イカルガ、ガンダムサバーニャ、エクスバイン・ガンナーが。

 陸上・空中の両方の遊撃として、ジェネシックガオガイガー、ガンダム・バルバトス(エクスバインと同型のフライトユニットをバックパックに増設した、謂わば第5形態)、漏影2機があたる。

 ダブルオークアンタフルセイバーは、乗り手(神城まどか)が休養中の為、出撃していない。

 結論から言えば、圧倒的だった。

 まず、グシオンリベイクの攻撃に遭う。これで半数近くが撃沈される。

 次に、ネロ・クラウディウス駆るダブルオーガンダムセブンソード/Gの攻撃を受け、(ネロが「余は楽しい!」とか言いながら)更に、減った分から半数近く減らされ、全体の4分の1近くになる。

 バラけて上陸することを選んだ敵部隊は、空にいたダブルオーザンライザー・フルパッケージ、イカルガ、ガンダムサバーニャ、エクスバイン・ガンナーによる洗礼を受け、更に半数近く減らされる。

 どうにか上陸できても、ウィルナイフを展開したジェネシックガオガイガーやら、ガンダム・バルバトスやら、漏影2機に殴られたり斬られたりする。

 結果、地上に先んじて展開した部隊は、見事に全滅。

 空からやってきたカルタ隊も………。

「ボルティングドライバー!!」

通常のモビルスーツの2倍近いサイズの巨大機動兵器に破壊されるものや。

「遅いですよ!!」

この期に及んで現れた新型機によってフルボッコにされたり。

「とぉう!!」

ネロちゃまに滅多切り(注:射撃能力に結構振られてるGNソードⅡブラスターで)にされたりする。

 結果、カルタ隊も半数をやられ、撤退を余儀なくされたのだった。

 まさに、喜劇。

 これを見ていたモンタークは、「まさしく、ギャラルホルンを変える刃付きの風だよ」と言ったのだった。

 また、プトレマイオス2改に乗っていたビスケットは「うわすっご」と言い、アニューも「えぇ…」とドン引きし、オルガはこの喜劇に絶句する他なかった。

 まさに『大虐殺(ジェノサイド)』。

 これが、本当に、ギャラルホルンを変えうるというのだろうか。

 そう疑問に思う人も出るだろう。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side 神城まどか

「ふぁ〜ぁ………」

あれから、凡そ8時間。

 眠気が失せ、目が覚めた私は、身支度を整えてブリッジへ向かう。

 ブリッジには、オルガとビスケットも居た。

「お、起きたか」

とにょギルが言った。

 地図には、この艦が太平洋上を大回りして突っ切っているのが映っていた。

 はぁ、蒔苗も拾った事だし、あとはエドモントンへ向かうだけだけど、流石に直行するんじゃあ対策されるもんね………。

「マドカさん………、よかった………」

とビスケットが言った。

 まだ疲れているか、寝ぼけているのだろう、頭の回転率が低かった。

「そりゃどうも。

 で、クーデリアと蒔苗は?」

と私は言った。

 私達の艦で身を預かっているんだ、そりゃ無事を案じるさ。

「勿論、無事ですよ。

 それより、どうします?相手はきっと、私達追ってますよ?」

とアニューが言った。

 ギャラルホルンの事だ、『空中に浮かぶ2隻の艦船』なんて、すぐに見つけられるだろう。

「まぁ、当然、正面から突破するだけだが?」

と私は言った。当然だよなぁ?

 

 さて、場所はアンカレッジを過ぎた辺りだ。

 アンカレッジ通過後10分のこと。

「レーダーに、敵モビルスーツが映りました!」

とコレットが言った。

「数は?………訊くまでもない、か」

と私は言う。

 数は、レーダーに映った限りでは、3機。

 ダブルオークアンタフルセイバーは、対デブリ帯仕様で出撃する。

「三日月、私、エルの3人で行くぞ。

 とりあえず確認する。相手の機体には『赤い布はついているか』?」

と私は、肉眼で確認している監視班に訊いた。

『はい、ついてます!相手は決闘を申し込む気です!』

と監視班についていた昌弘が言った。

「ご苦労、艦内に戻っていいぞ」

と私は言って、昌弘に退避を促した。

 さて、相手がその気なら………。

「決闘でケリをつけるの?」

不意に、三日月が訊いてきた。

 私は頷いた。

「そのほうが、相手も満足するってもんだ。

 不意打ちしたら、後味悪いだろうが。

 まぁ、これは主に私の意見だけども」

と私は言った。

 

『トレミー、全ハッチオープン』

オペレーターが言う。

 視界が開ける。

「さてと、こいつは重力圏じゃジャジャ馬な訳だが…。

 ………しっかりサポートしてくれよ、ハロ」

と私は言った。

 直後に、『了解!了解!』と言う赤ハロの声が聞こえた。

「じゃあおっ始めようか!

 ダブルオークアンタフルセイバー、セイヴァー・ジ・オーバーライザー、出る!」

と言って、私は出撃した。

 同様に、エル、三日月も出撃し―――、誰もいない、今は誰も通らないレールの上で、まことしやかに、カルタ隊と決闘を始めた。

 

『総大将自らお出ましか…!』

とカルタが言った。

「ちょっと休んだんでな。しっかりこの時間を返上しようってもんだ、死んでも悪く思うなよ………!」

と私は言って、カルタ機のナイトブレードをGNソードⅤでジリジリと押す。

『意地があるのよ、女にはァ!』

「私も女だ、舐めんじゃねぇぞゴルァ!!」

低レベルの罵り合い。

 (ぐだぐだしているとはいえ)それはないんじゃないかと思ってしまうエルが居た様子。

「大人しく無力化されろ………!!」

『誰がッ!』

鍔競り合いの中、罵り合う私とカルタ。

 グレイズ・フレームと比べたら、若干の誤差とはいえ、見劣りするようなダブルオークアンタフルセイバーの出力。

 しかし、その出力差を。

 GN粒子による補正と、私の技量で補う………!

 瞬間、膠着していた戦況が動いた。

『そこっ!』

「舐めるな、はァァァッ!」

鍔競り合いが一度終わり、再び(まどか)(カルタ)がぶつかり合う。

 互いが互いを鍛え合い、殺し合う。

 そのような状態が続いて、20分。

『く、見事なり。

 ここまで私と打ち合う者がいるとは思わなかった。

 だが、これで最後だァァァ!!』

「ぐ………、舐めるなッ!」

両者、頭から血を流すような状況になりつつも、剣をぶつける。

 結果、負荷に耐えきれなくなったナイトブレードがボキッと折れ、GNソードⅤも刀身の交換を余儀なくされる状態に至った。

『くっ………!』

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

両腕、両脚、そして、頭。

 いつものように、機体を無力化した。

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ………。

 私達の、勝利だ………。疾く失せろ………」

と私は言った。

 その後、新たにエイハブウェーブが観測された。

『新手?!避けてください、マドカさん!』

「チッ、糞がっ!」

エルの号令と共に、私は機体にバックステップを踏ませる。

 瞬間、先程までいた足元が爆ぜた。

「キマリスか………!」

と私は言った。

 前回の戦闘で破壊した筈のランスまで装備していやがる………。

 しかし、先程の攻撃は牽制だったらしく、彼―――ガエリオ・ボードウィンの目的は―――。

「………()()()()()()か。

 退くぞ。ここには、もう用はない」

と言って、引き上げた。

 

 ―――side ガエリオ・ボードウィン

「カルタ、無事か?!」

と、俺はカルタに呼びかけた。

『あ、あぁ…。無事だ…。だが…、少し、負傷してしまった…』

とカルタが言った。

 動揺しているのか、言葉がおかしい。

「よかった、今、基地に戻るからな!」

という俺の言葉をよそに。

『彼女には…()()()()…。

 どう足掻いても…、()()()()()…』

と、カルタは言った。

 

 ―――side 神城まどか

 負傷した私は、額に包帯を巻いて、自室で打撲していた右腕を冷やしていた。

(腕、捻っちゃったか。

 仕方ないよね、私って、そういう癖があるし)

と私は思った。

 『神城まどかは無理をする』、というジンクスが、ここで現れるのだった。

 だが、駆け抜けねばならない。

 

 さぁ、()()してもらおうか。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 遂に始まるエドモントン決戦。

 まどかはダブルオークアンタフルセイバーで要人を輸送した後、『()()』と対峙する。

 次回、「Iron-Blooded Orphans, and EXTELLA/Zero」。

 終わりの、始まり。



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Iron-Blooded Orphans and EXTELLA/zero

原作第一期ぶん終わり!ヴィダールフラグ、しっかりと折らせてもらったぞ!


〜前回のあらすじ〜

①地球外縁軌道統制統合艦隊と戦闘(1回目)。

 ・カルタ達の意表をついた他、GNミサイルでグラズヘイムⅠを攻撃。軌道上から押し出した。

 ・プトレマイオス2改とカグツチが単騎での大気圏突入・離脱ができる関係で、チョコの人の出番が減った。

②ミレニアム島に到着。ここでまどかが一時的にダウン。

③地球外縁軌道統制統合艦隊と戦闘(2回目)。物量で勝っていたギャラルホルンを、性能と技量で圧倒した。

 ・鉄華団組は、エクステラ・ゼロが提供するシミュレーターで5分以上耐えられるように技術を磨いた。

 ・書かれてはいないとはいえ、レンチメイスの出番もあった。

④アンカレッジを過ぎた辺りのレールで、地球外縁軌道統制統合艦隊と戦闘(3回目)。決闘であり、隊長機以外の機体はイカルガ(MS化仕様)とガンダム・バルバトスが蹴散らしたが、カルタとまどかは文字通り『女の意地の張り合い』をしていたのだった。

 ・完勝であったが、直後にガエリオ・ボードウィン駆るガンダム・キマリストルーパーがカルタ機を回収、離脱していった。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side out

 数時間前、ガエリオ・ボードウィンは、先の戦闘で負傷したドミニク・フレゲンハイマーをどうにか戦えるようにする為に、ドミニクの人体改造の手配を行った。

 結果、ドミニクには阿頼耶識システムがつけられた他、腰から下が人工物となった。

「これで俺もまた戦えます。去っていった者達に、鉄華団とエクステラ・ゼロの首を手向けとしたいです」

とドミニクは施術後に言っていた。

 阿頼耶識との同調率が、ギャラルホルンのデータバンクにあるもの『以上』になったということも、施術した者から言われた。

 そして、ハンガーにある、異形の機体を見ながら、ガエリオは………。

「エドモントンでの戦いが、恐らく節目となるだろう。禁忌をも犯したんだ………。

 だから、絶対に勝つ!」

と言ったと、ギャラルホルンの公式文書に残された。

 

 これは、『思想が交錯する』決戦である。

 

 Post Disaster 〜Fate/the over-riser 別編〜

 Iron-Blooded Orphans and EXTELLA/zero

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side 神城まどか

「壊れ方が酷すぎる」

一言、クランクに言われた。

 今どうなっているのかと言うと、修理点検後、破損状態が異常だったダブルオークアンタフルセイバーの両腕を交換した時。

 たまたま通りかかったクランクが「取り替えた後の腕のパーツみせろ」と言ってきたのだ。

 で、見てみたら、ヒビが地味に入っているという状態。

 結果、先程の発言が飛び出たのだ。

「フレームに使用されている素材が特殊であるという説明は分かっていたが………。

 マドカ、次に開発する機体には、高硬度レアアロイ使わないのか?」

とクランクが訊いてきた。

 使わない、というよりは、『GN粒子との相性がべらぼうに悪くて使えない』というものだ。

「動力源との相性の関係で、使えないです」

と一言、私は答えた。

 エイハブリアクターを自前で作れるのなら兎も角、そんな技術はギャラルホルンにしかないわけで。

 カギ握ってそうな肉おじにはまだ会えてもいないわけで、私は、結局そう答えざるを得なかったのだった。

「動力源………。太陽炉、か………」

とクランクが言いながら、格納庫の逆サイドへ行った。

(やれやれ、本当にヒヤヒヤしたよ)

包帯が巻かれている額に手を当てながら、私はそう思った。

 カルタ戦にて、相手の強引な手段から、操縦桿に思い切り頭をぶつけ、負傷したのだ。

 しかし、まさかあの機体で突進してくるとは思わなかった。

 手を離し、再び目の前の機体を見つめる。

 ダブルオークアンタフルセイバー。

 最終的に、両腕にヒビが入り、GNソードⅤの刀身も交換せざるを得なくなるような大ダメージを受けた、今の私の『愛機』。

 本来の担い手を失っても尚、私達に力を貸してくれる、『西暦世界の技術の塊』。

(されど、担い手はここにひとり、か)

しかし、この機体は、本来の機能を私にしか開放してくれない。

 つまり、今は私がかの機体の担い手である。

 それを自覚した私は、目の前の機体に思いを馳せた。

(ここまで、あなたは私に力を貸してくれました。

 ここからは、私があなたに力を貸します)

 

 エドモントンまで、あと数km。

 ギャラルホルンは、私達の突入を防がんとすべく、大量の部隊を展開していた。

 この時に備えて、各機体には強化を施してある。

 ダブルオーザンライザー・フルパッケージには、各種電子戦用機器を追加で搭載し、ザンライザー側のコックピットにはダンテ・モグロが搭乗する。

 同じように、ラファエルガンダムドミニオンズにも、電子戦用機器を搭載。

 頭部がまた重くなったが、これでダンテによるハッキングを、ティエリアがサポートできるようになった。

 また、全身にくっついているセラを使用して、ハッキングの影響範囲を拡大できるようになっている。

 ガンダムサバーニャには、『劇場版機動戦士ガンダム00』と同じ強化を施してある他、背部に追加でGNバスターライフルを2基背負っている。

 イカルガには強化を施さない代わりに、GNミサイル用VLSを搭載している(オプション装備ということで、背負わせているだけ)。

 ジェネシックガオガイガーは出撃しない為、強化を施さない。

 ガンダム・バルバトスには、ラファエルガンダムドミニオンズの予備パーツを流用した強化を施し、更に擬似太陽炉2基を追加搭載。

 脚部と背部にはGN粒子貯蔵タンクを搭載し、GN粒子を利用した防御能力を付与している。

 ガンダム・グシオンリベイクには、腰部に弾薬箱を搭載して継戦能力を強化。

 グレイズ改弐には強化を施さなかったものの、プロトソードメイスを追加している(2振り)。

 ガンダムエクシアリペアⅣには、膝にGNミサイルポッドを追加している。

 そして、ダブルオークアンタフルセイバー(対デブリ帯仕様から、膝の各種武装を廃したもの)には、人員の輸送用コンテナ(切り離し可能)と腰部追加ブースターユニット、GNタチを追加で搭載している。

 準備は万端だ。

「行くぞ、ギャラルホルン。

 武器の貯蔵は十分か?」

 

 ―――side マクギリス・ファリド

 もうすぐ、ギャラルホルンと鉄華団、エクステラ・ゼロによる戦闘が始まる。

 私も『モンターク商会の者』として、この戦闘に『鉄華団とエクステラ・ゼロの側で』参戦する。

「さて、特等席で見せてもらうぞ。

 エクステラ・ゼロ、そのリーダー機である、『スカディ』の活躍を………」

と私は、グリムゲルデのコックピットの中で、北叟笑みながら呟いた。

 

 ―――side out

 エドモントン攻防戦と、後の歴史書に記された戦闘は、鉄華団がモビルワーカーで都市郊外のギャラルホルンの陸戦隊に奇襲を仕掛けるところから始まった。

 予想だにしなかった方法での奇襲から始まり、『エイハブリアクターを搭載していないから』という理由で都市内部に突入した、コードネーム『スカディ』の活躍で締められるこの戦いは、まさに『死闘』であった。

 

 1日目、ギャラルホルンの陸戦隊を、鉄華団のモビルワーカーが攻撃。

 そのまま、エドモントン郊外を丸々制圧。

 陣地も作成され、エドモントン新市街地のギャラルホルン部隊との戦闘が始まった。

 同時に、鉄華団のモビルスーツ部隊、及びエクステラ・ゼロのモビルスーツ部隊が展開される。

 2日目。ギャラルホルンの作戦行動に支障が出始める。

 理由は簡単。

 ダンテ・モグロとティエリア・アーデによる電子戦で、殆どのギャラルホルンのモビルワーカーがハッキングされて、動かなかったり、武器の安全装置が解除されなかったりしたからだ。

 モビルスーツ戦でも、『鬼神』や『深緑の狙撃手』を始めとする、鉄華団エクステラ・ゼロ連合軍による殲滅戦が展開され、ほぼ一方的にギャラルホルンのモビルスーツが撃破されていった。

 何より、相手は『ビーム兵器』を多用していた。

 本来、ナノラミネートアーマーを突破できないとされるビーム兵器だが、『貫く』のではなく、『融解させる』という方法で、『結果から見て』ゴリ押しで突破していた。

 また、タカキ・ウノ駆るエクスバイン・ガンナーが重力兵器を使う為、ギャラルホルンは劣勢に立たされていた。

 3日目。

 遂に、状況が動き始めた。

 

 ―――side 神城まどか

『トレミー、第3ハッチオープン』

コレットが言う。

 リニアボルテージは既に700%に到達している。

 いつでも行ける。

「オルガ、クーデリア、蒔苗、アトラ、フミタン。

 輸送はするが、到着するまで通信はしないように。

 あと、振動はこらえてくれ」

と私は言った。

『了解だ』

とオルガが言った。

「………ダブルオークアンタフルセイバー、神城まどか、出る!」

この戦いは、『救世主』として出撃するのではない。

 この戦いは―――子供が、大人になるための、戦いだ―――!

 

 射出された瞬間、光学迷彩を起動する。

「さてと、まずはここまで行くかな」

と言って、私はそこまで向かった。

 5分も経たずに、目的地―――議事堂に着く。

 輸送用コンテナを切り離して、地面に置く。

『サンキュ、マドカさん!後は任せろ!』

その中身は、モビルワーカー1台と、数人の要人。

 モビルワーカーに乗ったオルガが、先程の台詞を言ったのだ。

 運転手はビスケット・グリフォンだ。

「さてと、そろそろ、予想時刻な訳だが。

 魔神さん、頑張ってるだろうか」

と私は言って、戦場まで飛行した。

 

 ―――side out

「もう待てないわ!蒔苗東護ノ介は欠席!

 選挙を始めなさい!」

とアンリが言った。

 ここまでの2日間、ずっと遅延工作をされていたのだ。もう嫌になっていたのがアンリという女だ。

「やかましいのう。いつからここは動物園になった?」

と言って、議事堂裏から堂々と蒔苗東護ノ介が現れる。

「な?!ま、蒔苗?!ば、馬鹿な!

 正面にはギャラルホルンが居て、突破は困難なはず………!」

とフリュウが宣う。

 蒔苗は不敵に笑う。

「何、儂はここの代表ぞ?裏道くらい知っておる。

 それに、陸路が駄目なら空路を使えばいいではないか」

と蒔苗は言った。

 作戦開始前のまどかは言っていた。

「ギャラルホルンの事だ、どうせ陸路を封鎖してる。

 だからな、『陸路が駄目なら、空路を使う』だけだ。

 理にかなっているだろう?」

と。

 それを聞いて、蒔苗は、老いぼれながらも閃いていたのだ。

「面白い事を言うのう、アンリ・フリュウ。

 『正面にはギャラルホルンが居るはず』、じゃと?

 経済圏の政治に不介入のはずのギャラルホルンが、なぜ政治に口を出す?なぜ儂を狙う?

 そして、なぜお前さんは『ギャラルホルンの行動を知っておる』?」

と蒔苗が問い詰める。

 アンリはぐ、と言葉に詰まる。

 そこに、議長が来る。

「蒔苗先生、所信表明をお願いします」

と議長が言った。

 蒔苗はふむ、と言いつつも。

「しかし、それよりも、彼女に話をさせてやってくれないか?」

と蒔苗は、クーデリアを指しながら言った。

「蒔苗先生?!」

クーデリアは目が点になりながら驚く。

 議長も硬直する。蒔苗は頷く。

「お前さんが見てきたこと、知ったこと、感じたこと。

 それらをここでぶちまけてみろ。儂の演説より、もっと得なものになるぞ?」

と蒔苗は言う。

 戸惑うクーデリアを、アトラが、フミタンが支持する。

 腹は決まった。後は―――。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side 昭弘・アルトランド

 俺は、片っ端から敵を撃破しまくっていた。

「弱いな、マドカさんとこのシミュレーターよりも。

 もっと強い奴、どんと来い!」

と俺は言った。数秒後、目の前に黒い影が現れた。

 グレイズに似ていると言われれば似ているが、手足が長く、奇妙だった。

「よし、次はお前か!」

と言って、俺はハルバードを振り回す。が、ソレは当たらない。

「何?!」

『阿頼耶識か。なるほど、相手は禁忌を破ってでも勝ちに来たと言うことか』

とソージさんは言った。

 2対1、数的にはこちらが優勢。

「おおおおおお!!」

『その程度かネズミども!!』

ハルバードを当てようとする。直撃コースだった筈なのに、見事に回避される。

「何?!躱された?!」

『速すぎる!』

とノブナガさんが言った。

 ガンダムサバーニャのGNライフルビットⅡがさっきからビームを撃ちまくってるけど、全くと言っていいほど当たっていない。

『ネズミども!我等の同胞を奪った罪、ここで全て断罪する!!』

と、異形のグレイズのパイロットが言った。

 しかし直後に、異形のグレイズは横に弾き飛ばされた。

「な………?!」

『異形のグレイズ風情が、ガンダムに手ェ出してんじゃねぇよ!!』

そこには、光学迷彩を解除し、思いっきり異形のグレイズを蹴り飛ばした、ダブルオークアンタフルセイバーの姿があった。

「マドカさん?!」

『聞け!要人2人は議事堂に送り届けた!もう既に選挙が始まってる頃だろう!

 私達は勝ったんだ!後はそこのデカブツ潰せば勝ちだ!』

とマドカさんが言った。

 

 ―――side 三日月・オーガス

 俺は、ガリガリを相手取っていた。

『あれが、阿頼耶識の真の姿だ!』

とガリガリが言った。

「はぁ?」

と言って、俺は太刀で相手の剣を受け止めた。

 正直、訳がわからない。

『お前達のものとは違う!』

とガリガリが言うけど、正直飽き飽きしてきた。

「あっそう、だったら?」

『大人しくくたばれーーー!!』

剣と剣がまたぶつかる。

 どうする………?

 相手を、『剣を叩き斬って』かち割るには、どうすればいい………?!

(………相手を)

鍔競り合いを解除し、一撃『蹴り』をブチ込む。

(剣ごと)

着地した瞬間、相手の動きを見て、真正面から。

(斬る)

スパァァァン、と。

 ガリガリの機体の武器が全て斬られ、胸部装甲にも傷がついていた。

(………こいつの使い方、やっと分かった)

と思った俺は、先程と同じような考えで、ガリガリの機体を斬ろうとする。

『な………?!』

「が………?!」

しかし、上からの邪魔が入った。

『その機体の相手は、私がしよう』

と、チョコの人が言った。

 言葉に甘えて、俺は昭弘達の場所に行った。

 

 ―――side 神城まどか

『チョコの人が介入してきたけど?』

と三日月に訊かれた。

 あの馬鹿野郎か。

 あの野郎が私らの側についた、だと?

(笑わせるな。

 お前の思惑には乗らんよ)

と私は考えた。

「そんなことより、このデカブツ倒すぞ…」

と私は言って、デカブツに接敵した。

 相手は、すっと後ろに回り込んできた。

『ネズミ如きが、俺達に抗うか………!』

「あぁ抗うさ!私はネズミなどと言われる存在じゃねぇが、そいつらだって人間さ。

 だったら、抗うに決まってるだろう、ド阿呆が!

 ただ、生き抜くためにな!!」

敵のほうがパワーは高いだろう。

 だが、そんな程度で、私は負けてられない。

『それが、その傲慢さこそが!お前達の、歪みだ!』

「歪んでるのはてめぇらのほうだ外道!

 人間生きる為に戦う業を背負ってるんだ、諦めろってんだよ!!」

バトルアックスとGNソードⅣフルセイバーがぶつかり合う。

 それに生じた隙を突いて、

『らぁぁぁ!!』

『あんたはもう邪魔だ!!』

『うおぉぉ!!』

昭弘が、三日月が、昌弘が、それぞれ得物で攻撃する。

 しかし、センサーの類とも同調させてあるのか、全て見切られた挙げ句、逆立ちからの両脚での蹴りで、ガンダム・バルバトスが、ガンダム・グシオンリベイクが、ダブルオーザンライザー・フルパッケージが吹っ飛ばされる。

『ハハハ!!貴様らの阿頼耶識とは違うのだよ、貴様らの阿頼耶識とは!!』

と奴は言う。

 嘲笑うようにこちらを迎撃する。

 ソレは、私には、『ある極致』に歪んだ状態で至っているように見えた。

「ハッ、ここに、阿頼耶識なんて使ってねぇやつが居るってのに、お前はガン無視かよ」

と私は言う。

 奴はこちらを凝視する。

 そして、手に持った斧を振り上げる。

『ならば、まずは貴様からケリをつけてやろう!!うおおおお!!』

挑発に乗った奴が接敵する。

 大それた事を言った自覚はない。

 ただ、『あたかも阿頼耶識を使っているかのような操縦』ができるだけで、それ以外は完全に手動操縦だ。

「エンゲージ………。トランザム!」

貴様が至らなかった、『真化の極致』、見せてやろうじゃないか。

 私は腰からGNタチを抜く。

『な、何?!』

奴の感覚は、「トランザムを発動したダブルオークアンタフルセイバー」を捉えることは叶わなかった。

『いなくなった………?逃げたか。

 やはりあの女もネズミのようだな!

 ならば、取り残された貴様らから死ねい!』

と奴は言う。

 奴のターゲットは、ガンダム・バルバトス。

「甘い!」

一太刀。

 踏み込みから残心までの全行程を、トランザムの加速状態を利用して早送りする。

 結果、相手の予測を優に凌駕する『結果』が生まれる。

『な………、逃げたのでは、なかったのか?!』

と奴は宣う。

 へ、と私は笑う。

 頬に魔術回路が浮かび上がる。

「逃げたのは、貴様の方だ、外道が。

 私は最初から逃げてなかったよ………。

 『お前の攻撃』を『躱し』はしたがな」

と私は言った。

 次元力が、血を流れ、神経を流れ、指先に伝わり、機体に伝播する。

『だが、その小細工も見切った、死ねい!』

と言って、奴は斧を振り下ろす。

 その行動を読んだ私は、奴の背後まで量子化で移動し、奴の左腕を、太刀で叩き斬る。

『がァァァ?!』

痛みに悶えるように、奴は斬られた左腕を右腕で抑える。

 その際に斧を落っことす。

「てめぇの、敗因は!」

と言って、私はGNタチを器用に使って、奴の目を潰す。

「たった1つだ、下郎!」

すかさず、奴の右腕も切り落とす。

「三日月!一太刀入れてフィニッシャー決めちまえな!!」

最後に、奴の首を切り落とす。

『………!』

『いけー!!』

『やっちまえ、ミカァ!!』

三日月が、大上段に太刀を構え、そして、振り下ろす。

 相手のコックピットブロックは確実に潰えただろう。

「丁度、トランザムの限界時間か………」

同時に、ダブルオークアンタフルセイバーも、トランザムの限界時間を迎え、赤色化が解ける。

 私は、荒野にて、ギャラルホルンの『禁忌』を、仲間たちと共に破壊した。

 

 ―――side out

 別の場所、厳密には三日月がグレイズ・スルトとの戦場に行く前に居た場所では、マクギリス・ファリド駆るグリムゲルデと、ガエリオ・ボードウィン駆るガンダム・キマリストルーパーが戦闘をしていた。

「君が死ねば、アルミリアを嫁に迎える私がボードウィン家を継ぐことになる他、イズナリオ失脚後のファリド家も手中に収め、彼が後見人を務めていたイシュー家も、カルタが失脚することによって、私がその権限を預かることになるだろう。

 だから、君には死んでもらうよ、ガエリオ」

とマクギリスが言っていたのに対し、ガエリオは感情的になりながらも。

「友を、誰かを信じ、信じられることすらも否定するのか貴様は!

 アルミリアをも裏切るというのか、貴様はァッ!」

と、至極まともな事を言っていた。

 そこへ。

「お前らいい加減にしろ!!」

魔神さん―――沖田総司が割って入った。

「お、まえ、ら、は………?!」

ガエリオが凍りつく。

 マクギリスが顔を顰める。

「いい加減にしろ!

 もう、ギャラルホルンの部隊は引き上げた!

 お前らは負けたんだ!

 それに………友を想う気持ちが、世界を変えることだってある」

と魔神さんは言った。

 マクギリスは苦虫を噛み潰したように、「決着は預けさせてもらうぞ、ガエリオ」と言って、離脱していった。

「お前、なんで、敵なのに、助けてくれたんだ?」

と、ガエリオは魔神さんに訊いた。

 返ってきた答えは、ただ一つ。

「ここで貴方が死なれたら、それこそあの赤い機体のパイロットの思うツボだ」

と。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side continue(side out)

 こうして、アーブラウを巻き込んだ、第一次ギャラルホルン危機は決着を迎えた。

 改めて代表に選ばれた蒔苗東護ノ介は、早速と言わんばかりにアンリ・フリュウとギャラルホルンの癒着を公表し、ギャラルホルンに激しく抗議。

 『徹底的追及』と、『第三者機関による内部監査』を彼は要求した。

 それに対し、ギャラルホルンは「誠に遺憾である」として、のらりくらりとやり過ごそうとした、が。

 それに止めを刺すかのように、ヴェーダ(というかティエリア・アーデ)が調べ上げていた情報―――アンリ・フリュウとイズナリオ・ファリドの癒着の実態―――がネット上に公開され、世界中から激しい非難を浴びた結果、今までのように煙に巻いて誤魔化すということができなくなった。

 生贄が必要になったのである。

 

 結果として、イズナリオ・ファリドはギャラルホルンから追放され、ファリド家の当主はマクギリス・ファリドになった。

 しかし、彼もまた、『カルタ生存』という情報は掴んでいなかった。

 その為、『ガエリオも墜ちず』、『カルタも生き長らえた』セブンスターズは、1家が2家以上の実権を握るという厄介な事態にはならずに済んだ。

 

 諸々の後始末の為、地球にタービンズの残りのメンバーのうちの一部と、テイワズの関係者が降りてきた。

 

 ―――side 神城まどか

「兄さん、今回は本当に有難うございました。

 機体はどうにか損壊させずに済み、人員も全員無事です」

と私は言った。

 心臓がバクバク言っていて、私自身、いつぶっ倒れるか分からない状態になっていた。

 今回『は』死者を出さずに済んだが、次の大仕事は死者を出すだろうと私は考える。

「お疲れさん。

 めっちゃ汗ダラダラ流してるが、大丈夫かお前」

と名瀬は言った。

「だ、大丈夫ですよ。多分」

と私は応えた。

 正直、あのデカブツの相手は骨が折れた。もう二度と戦いたくないと思った。

 けれど、私は………。

 ………いや、もう考えるのはよそう。

「しっかしまぁ、『エイハブリアクターがないから市街地に入れる』なんて無茶な案を立てたもんだ。

 クアンタ使えなかったらモビルワーカーか何かで突っ込んでたな?」

と名瀬が訊いてきた。

 私はただ笑うしかなかった。

 ―――GNコンデンサー型のサキブレが1機、カグツチに積んであったから、それ使って運ぶのも案の1つだったのは、これまた別の話。

 私達の横には、アンテナ部分が多少破損したダブルオークアンタフルセイバーが鎮座している。

「アハハハハハハハハハ………、はぁ………」

後処理めんどくせー………。

 こうして、『機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ』1期に相当する戦いは終わった。

 終わった………の、だが………。

 ここからは、1企業主としての戦いが始まる。

 過酷な事務作業である。

 時に、P.D.323年2月上旬。

 さあ、地獄の期末決算の始まりだ。

 

 ………。

 

 ………………まぁ、黒字だったんだけど、ね(臨時ボーナス分差し引いた後で)………。

 

 ―――side out

 世の中は目まぐるしく変化していく。

 ギャラルホルンの権威は衰退。

 ボードウィン家とファリド家が仲違いし、ボードウィン家がエリオン家側につく始末。

 火星と地球の関係も、いずれは変化するだろう。

 経済圏のパワーバランスもまた、変化点となるであろう。

 事実、アーブラウには防衛施設が設立される予定になっていて、その軍事オブザーバーに鉄華団及びエクステラ・ゼロが選ばれ、正式に契約することになったのだ(これも、まどかがヒヤヒヤしていた原因の1つでもある)。

 軍事オブザーバーの窓口として、鉄華団は地球支部を設立しなければならなくなった他、その地球支部を間借りする形でエクステラ・ゼロが入る形になった。

 結果的に、両社共に、幾人か面子を置いていかなければならなくなった。

 地球の支部長には、鉄華団側はビスケット・グリフォンが、エクステラ・ゼロ側はティエリア・アーデが入ることになった(流石のティエリアもこの人選は硬直していた)。

 彼ら以外にも、鉄華団はチャドやタカキ他数人、エクステラ・ゼロは凱や美遊、エル他数人を置いていくことになった。

 更に、クーデリアも交渉の為、地球に暫く残ることになり、結果的に離れ離れになる状態になった。

「とりあえずは成功祝いだ!ボーナスには期待しとけよお前ら!!」

とオルガが言い、

『おおーっ!!』

と鉄華団のメンバーが叫んだ。

 

 彼らは火星に、ケレスに帰還する。

 そして、この濁流は、今の世間には止めることはできなかった。

 

 さぁ、物語と物語の『間』を見に行こう。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side 神城まどか

 私は、ケレス基地に帰還し、最終決算報告書を纏め、行政に報告した。

 そして、ある一報を受け、格納庫に向かった。

「遂に完成したか、ギルへのプレゼントが」

と私は言った。

 ガンダム・フェニクス。

 厄祭戦当時の姿ではなく、『宇宙世紀世界のフルアーマーユニコーンガンダム・プランBをサイコフレーム抜きで再現した』ものである。

 制御系が煩雑になった他、ダブルオークアンタフルセイバーなどと同様、腹部にも装甲がついたり、リアクター以外の全フレームを丸々交換する(GNドライヴ×2(ツインドライヴ)搭載の為)など、大胆なことをしている。

 結果、フレームから何から1から作り直した、『心臓部だけガンダム・フェニクス』という、わけがわからんモビルスーツが出来上がった。

 

 ケレス帰還後、とりあえず、部署の整理をした。

 そのうえで、必要になるであろう部署の追加の検討を行った。

 整備部門、輸送部門、研究開発部門、農業部門、そして戦闘部隊だ。

 まず?農業部門は、三日月・オーガスが目指していた『新たな農作物の生産』の為の、品種改良を行っていた。

 皆揃って嫌がるメンデルの法則のお時間だ。

 メンデルの法則により、優性の遺伝子は孫4種のうち、3種に発現する………、とかなんとかっていうアレだ。

 中学高校の生物の授業では、これが出るや否や小テストなどで点数を落とすということを、私は盛大にしでかしていた。

 ………そんな過去は兎も角、火星の土で、上手く育つ品種(ロメインレタス)の開発を行っていたのだが。

 育つっちゃ育つという、色んな意味で「ファッ?」となるような結果が出たのは言わずもがな。

 現在は、『どういう条件で育たないのか』という研究を行っている様子。

 これは必要だろう。

 輸送部門。これはタービンズと競合しかねないので廃すべきだろうが、輸送部門に配属した面子をタービンズが動かすという事案も振り込んでくるようになったので、廃すにも廃せない状態だった。

 研究開発部門。

 これは十中八九要る。

 対マクギリス用にマジで要る。

 ラストの戦闘部隊と整備部門は、一応これでも民間軍事会社なので必要不可欠だ。

(これに必要なのは、地球支部の部門か………)

と私は思い、椅子の背もたれを利用して伸びる。

(このままじゃ人員不足に陥るだろうから、新規雇用を出すか………)

と私は考え、新規雇用の書類を作り始めた。

 30分も経たぬうちに出来上がり、後はデータに起こして作るだけだが………。

「眠い。寝る」

ここ最近働き詰めだったんだ。

 既に夜9時だ、もう寝なければ不味い。

 私は部屋の電気を消し、厳重なロックをかけて退室した。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

〜次回予告〜

 鉄華団本部を大規模改造?!CICを追加して、更に可変機構まで?!

 次回、「鉄華団本部大改造!」

 まぁ、私が提案したことを飲んだって事なんだろうし。仕方ないか………。



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Post Disaster編 1.5期『鉄華の間奏』 鉄華の間奏・壱

今回より、1期と2期の間の話をちょっとだけやります。
話の内容がおかしいかもしれません。


〜前回のあらすじ〜

①エドモントンでの攻防戦。

 ・相手の裏を掻きまくる鉄華団&エクステラ・ゼロ。

②ギャラルホルン、グレイズ・スルトを投下。しかし、時既に遅し。

 ・『エイハブリアクター非搭載機』であるダブルオークアンタフルセイバーはモビルワーカーと言っても差し支えがない→だったら入れるよねコレ

③グレイズ・スルトとダブルオークアンタフルセイバーが戦闘、苦戦するが、トランザムを使用して勝利する。

④ガエリオ逃がす、されどキマリスヴィダールフラグは折れず。

⑤勝ったッ!第一期分、完ッ!

⑥さぁ、地獄の最終決算タイムだ………orz

 

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 ―――side out

 

 第一次ギャラルホルン危機から1ヶ月後の、鉄華団本部。

 質素な基地の形態をしているこの施設は、ある問題を抱えていたのだ。

 

 〜モビルスーツとモビルワーカー頼みの防衛能力〜

 

 Post Disaster 〜Fate/ the over-riser 別編〜

 Bridge 01 〜鉄華の間奏・壱〜

 

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 ―――side 神城まどか

 私達は、鉄華団本部を見に来ていた。

 それで、その鉄華団本部を歩いていて、思ったことが幾つかある。

 まず、『団長が表へ出て指示を出さねばならない』ということ。

 これは、いつ団長であるオルガ・イツカが死ぬかも分からないということを示していた。

 早く修正しなければならない事だろう。これは。

 次点として、『防衛能力がモビルワーカー・モビルスーツ抜きでは皆無』ということだ。

 私達のところですら、防衛能力があるというのに、これは流石にまずいのではなかろうな?

 更に、『本部の人員の為の寮がない』ということ。これは重大なことで、入ってくる奴も入って来れなくなるだろう。

 最後に、『医療設備がほぼない』。

 それら4つの問題を見た私は、プトレマイオス2改にて、改造プランを作成し始めた。

 ベースとなったものは、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』の第3新東京市だと言っておく。

 翌日、これをオルガに提出した。

「何だこれ?」

とオルガに言われた。

「鉄華団本部の改造プランだ。この際だから、本部の持ってる敷地を使い倒して、『可変式要塞に仕立て上げる』。

 欠けていた本部自体の防衛能力や、医療設備の増設、戦闘指揮所(CIC)の設置、非戦闘員退避用の地下シェルターの追加だ。他にも色々あるが、それはできてからのお楽しみってところかな」

と私は言った。

 これには莫大な資金が必要であることも伝えた。

 日本円に換算すれば、ざっと兆を超す。

 しかし………、今の鉄華団は、色々な事業に手を出していて、その結果として、必要額に届くような状態になっていた。

「ヘッ。

 これ、地下の掘り下げとか、全部モビルスーツでやれば、もうちょっと額を抑えられるんじゃねぇか?」

とオルガは言った。

 しかし………、それでも、多少マシになるだけで、上(主にテイワズ)の許可が降りるとも限らない。

 さて、どうプレゼンしたものか………。

 私自身、プレゼンは苦手だ。

「いいぜ。戦術を組み立てやすいあんたがそう思うんなら、そうしたほうがいいだろうな。

 医療設備がほぼないってコト自体も、いずれはどうにかしたいと思っていたしな。

 その改造プラン、有難く頂戴させて頂くぜ」

とオルガは言った。

 承諾するんかい!!

 結果、2日後に歳星に居るマクマード氏にプレゼンする事になった。

 ………はぁ、これでどのような評価を受けるのだろうか………。

 心配でならない………。

 

 緊張で疲れが取れた気がしないまま、2日が経って、プレゼン当日。

「そうそう。

 発案者はあんただが、施工する場所は俺らのところだから、プレゼンは俺がやるわ」

とオルガ。

 お前かいな。やるの。

 で、プレゼンすること数十分。

「ありがとうございます、親父!資金援助までしてくれるなんて………!」

というオルガの声が、壁越しに聞こえてきた。

 私が出した改造プランの中にある、『可変式要塞』という項目に、なんかあったのだろうか。

「マドカさん、許可が降りました!」

と、一言、オルガが言った。

「………まじかよ」

呆然としていた私は、そう言ってしまうのだった。

 

 そして、施工開始。

 本部の建造物の面積が、今までの2.25倍になるということで。

 言い出しっぺである私達も、その施工に参加することになった。

 カグツチをケレス基地との連絡船として応用し、更に、プトレマイオス2改は鉄華団臨時本部として利用された。

 少年達は、モビルワーカーで土砂を一度所定の位置まで運び、モビルスーツで土砂を掘り出した。

 また、旧本部も一度解体するなど、その有様は、『大改造!劇的ビフォーアフター』のようだった。

 本部のある中央部、そこには、地上5〜7階地下3層(withモビルスーツ格納庫)という建造物が出来上がることになった。

 地下から鉄筋コンクリートで組み上げていき、2ヶ月が経過した、P.D.323年5月中旬頃。

「何してるんです?」

「鉄華団本部の大改造です」

鉄華団本部のリフォーム現場に、先月アドモス商会を立ち上げたクーデリアが訪れた。

 商談に来たらしく、『来たはいいが、なんか工事している』という理由で硬直していた………らしい。

「商談なら、臨時の本部として使っているプトレマイオス2改まで行きましょうか」

と言って、工事現場を見ながらプトレマイオス2改へ向かった。

 

 そして、工事を進めること、2ヶ月。

 遂に、本部の『本部ビル(7階建て)』『寮(5階建て)』『地下モビルスーツ格納庫』『CIC@部屋だけ(本部ビル地下)』『地下シェルター(本部ビル大深度地下)』が形になった。

 すぐさま本部機能を移設しようと考えたオルガだが………。

「どうやって渡るの?」

と三日月に言われた通り、まだ本部周辺を覆う防衛設備が完成していない。

 その影響で、完成した本部ビルには、まだ行くことができなかった。

 地面から生えてくる砲台など、本部区画完成時に完成していない区画の整備を行うこと、3ヶ月。

 本部から見て、北東・北西・南東・南西方向の区画以外の部分が完成し、オルガはこのタイミングで本部機能を移設した。

 そして、ガンダム・バルバトス、ガンダム・グシオンリベイクまで引っ張り出して行った、鉄華団本部の大改造。

 それは、施工開始から8ヶ月経った、P.D.323年11月に竣工を迎えたのだった。

 

 改装された鉄華団本部は、まるで、『地上はダミーで地下が本体』と思えてしまう程の規模になっていた。

 地上には、鉄華団の本部ビルと団員用の寮、モビルスーツ用の格納庫、モビルワーカー用の格納庫、他、プトレマイオス2改などの小型艦船の入渠ドックが追加された(ほぼエクステラ・ゼロ用である)。

 地下には、第二モビルスーツ格納庫と、各種砲台へのメンテナンス通路、CIC、地下シェルターが追加されている。

 そして目玉は、収納可能な各種砲台だろう。

 ………と言っても、ナノラミネートアーマーの関係で『あくまで』牽制である。

 モビルワーカー相手ならば迎撃も可能だろうが………。

 また、GNミサイルが使用可能なホットローンチ式の垂直発射装置があったり(GNミサイルなので熱は出ないし排気不要)、大出力レールガンがあったりする。

 レーダーも幾つか存在し、エイハブウェーブやら電波やらに対応している。

 兵器系以外では、医療設備が追加されていたり、水道関係もきっちり整備されていたり(無論、トイレや浴場なども完備している)、新たに開発されたオリジナル太陽炉2基と大出力プラズマジェネレーター1基、擬似太陽炉6基が電力源として追加されていたりする。

 さて、改装工事が終わったものの、『具体的に何が変わったのか』というものを見せなければならない。

 故に、私は、『新鉄華団本部の紹介動画』を撮影することにした。

 もちろん、地上部分は全カットである。

 

 ―――side out

 質素だった鉄華団の本部が、本部ビルまで作られ、綺麗に作り改められた。

 医療設備がほぼなきに等しかったという問題点も、プトレマイオス2改のものと同型の再生医療ポッドが作られ、無事解決に至った。

 防衛設備がモビルワーカーとモビルスーツしかなかった鉄華団に、収納が可能な砲台が追加された。

 また、地下にはCICが追加されたり、地下シェルターが作られたりしており、万一、クリュセに危機が迫った場合、地下シェルターを開放することが可能になった。

 その、地下設備を、まどかが撮影した動画にて紹介していた。

 地下第一層。そこは、後で紹介する砲台へのメンテナンス通路や、地上部分にある本部ビルや寮、第一モビルスーツ格納庫、モビルワーカー格納庫に繋がる通路がある。

 また、地下第二層・第三層への階段やエレベーター、地下シェルターへの通路も設置されている。

 資材保管庫と第二モビルスーツ格納庫は、第一層と第二層に跨って建設されている。

 地下第二層。ここには、医療設備が設置されている。

 他、第二モビルスーツ格納庫への通路や、小型艦船の入渠ドックへの通路もあり、資材保管庫へはこの層から行くことになっている。

 地下第三層。ここが本命であり、戦闘指揮所(CIC)や動力室(クリュセ側から電力を引っ張ってきてはいるが、停電対策や節電用として設置)、非戦闘員退避用の地下シェルターが存在する。

 地下シェルターは地下第一層から行ける他、第三層からも行くことができるようになっている。

 そして、この層にあるCICが、重要な役割を担っている。

 このCICには、砲台の収納・展開を行うシステムが組み込まれており、一種の発令所となっている。

 お待ちかね、砲台の紹介に移るとしよう。

 まずは、強襲装甲艦にも使われている主砲を流用した砲台だ。これはまぁ、ありきたりなものだろう。弾頭も同じである為、説明する必要がない。

 次に、大出力レールガンを紹介しよう。これも砲台方式で、連射性能は非常に低い。敵が数機であるときに、リーダー機をターゲットとして撃つものだ。

 出力こそ高いものの、禁止兵器であるダインスレイヴよりも低い上に、弾頭も通常弾頭である為、条約には引っかからない(地形破壊も発生しないことを確認している)。

 最後に、ホットローンチ方式の垂直発射装置だ。これも、砲台として収納・展開ができる。

 使用できる弾頭は、通常の対モビルスーツミサイルや対地・対空・対艦・対弾道弾の他、特殊弾頭の使用もできる。

 ただし、この特殊弾頭は、この垂直発射装置でしか扱えない特別製であり、その仕様も、エクステラ・ゼロの企業秘密である為、詳しい情報は公開できない。

 そして、この砲台の制御には、戦闘指揮所が関係する。

 他方、エイハブウェーブの能力を多少なりとも無視できるレーダーと、エイハブウェーブ探知装置、光学捕捉の3点捕捉でターゲットを映し出し、砲台はオートターゲットで、それ以外はターゲット手動選択のセミオートで動作する。

 以上が、兵装面での新鉄華団本部の全容だった。

 

 ここまでが、動画の内容である。

 その他の施設も、きっちり用意されている。

 まず、小型の農業施設。

 これは、三日月・オーガスの夢である、『農場経営』を、簡易的に叶える為のものであり、地上施設として設置してある。

 これと同時進行で大浴場が追加された(メリビット・ステープルトンの要望。「団員のニオイがキツイ」)のも、改修点の1つとも言えるだろう。ちなみに混浴ではない。

 これらの水源は基本的に水道水。

 だが、足りない分はエクステラ・ゼロ本部の『無限水道水発生ユニット(仮称)』を、まどかがどうにか投影して設置することで、無理矢理解決している。

 それでも、水道水は、貯水タンク5個(地下第一層)と大型貯水タンク2個(本部ビル屋上及び団員寮屋上に各1)を経由する形になっているが。

 次に、団員寮に個別で風呂場がつけられたこと。これは、「ひとりで風呂に入りたい」という考えを持つ団員の為の設備である。その他、(規模拡大に伴って発生する可能性がある)トイレ渋滞の対策として、各所にトイレを追加している。

 昭弘が通うトレーニングルームは、地下第一層に設置された。

 また、広くなった関係で、団員が道に迷う可能性も出た為、ところどころに館内マップが設置された。

 結果、可変式要塞としての側面を持った本部が出来上がったのだ。

 

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 ―――side 神城まどか

 私が送った動画を見た親父さんは、大爆笑したと、兄さん(※名瀬・タービン)から伝えられた。

「………そこまで笑う事かよ………」

ケレス基地、即ちエクステラ・ゼロの本部に帰還した後に兄さんから伝言を受けた。

 そのため、「やっちまった」とか「年寄りに無茶させてしまった」とか、色々思ってしまった結果、現在進行系で頭が逆上せている状態である。

 ………頭が熱い。

 

 

 

 ある意味「なんでさ」と言われかねない偉業を成し遂げてから、3ヶ月が経過し、とうとうP.D.324年に突入した。

 あれから、色々と報せが入ってきた。

 鉄華団地球支部には、ラディーチェ・リロトという男がテイワズから配属されることになった。

 不穏な予感しかしない、が。

 『伝手』は、新鉄華団本部建設中にできている。

 ………利害の一致、という程度でしかないし、相手方は嘗て敵対していたギャラルホルンである為、何時手を切られるかわかったもんじゃない、というのがあるが。

 が、沖田オルタが(エドモントン攻防戦に於いて)救ったガエリオ・ボードウィン経由で、ラスタル・エリオンとコネができている。

 ガラン・モッサの動きの牽制ぐらいはできるだろう。アーブラウで、テロは起こさせない。

 今日は、そのガエリオと会議を行っていた。もちろん、鉄華団のオルガも強制参加である。

『………なるほどな、アーブラウ防衛組織には、真っ先にテロ対策を取らせる、と』

とガエリオが言った。

 さすがだな、と言いたげな表情でガエリオは笑ってやがる。気に食わないが、権威が失墜したギャラルホルンに代わって、テロ対策をするのはアーブラウである。

 ギャラルホルンから、1から10までテロ対策のしかたを引き出す他ない。

「そうする他ない。要人保護は基本だからな。

 『万一、ギャラルホルンの本部、ヴィーンゴールヴに、何者かの手によって爆弾が仕掛けられたら』?

 それを想定して、テロ対策をしていく事こそが、治安維持に欠かせない事だろう?」

と私は言った。

 通信越しのオルガが驚愕していた。

 これは全て、私は『英霊として』記憶した、『超次元世界』に於ける『テロ対策』である。

 『常に、史上最悪のバッドエンドを想定してテロ対策を行う』。

まさに、私は出した喩えの通りである。

 『ヴィーンゴールヴに爆弾』。

 文字通り、ギャラルホルンにとっての『史上最悪のバッドエンド』である。

『そんなことまで想定するのか、貴女は………。

 ちなみに、鉄華団は?』

とガエリオが訊く。

 オルガは、片目を瞑りながら答える。

『俺達は、そこまでテロ対策っていうのを知らねぇ。

 文献漁って調べて実行しての繰り返しだ。マドカさんに「甘い」と言われてた理由がそれだったとは、考えてもなかった』

とオルガが答える。

 ガエリオは息を呑む。オルガは続ける。

『だから、1年前の事から考えて、「巫山戯んな」ってあんたらは思うかもしれない。事実、俺達も、姉さん達も、あんたらに敵対してた。

 だけど、テロ対策とか、そういうのは、あんた達から「教えてもらう」身なんだ。

 だから、宜しく頼む………!』

とオルガが言い切った。

「私からも、宜しくお願い致します」

と私も言った。

 一応ビデオ通話なので、ガエリオの表情が伺える。

 その表情は、「うーん?」と言いたげなものだった。とはいえ、話はいい方向に纏まった。

 

 翌日、ガエリオから、『ギャラルホルン式テロ対策』のマニュアルが送られてきた。

(甘い)

基礎的なことがそこには記されていた。

 しかし、『史上最悪のバッドエンドを想定したテロ対策のしかた』というものはなかった。

 甘い。砂糖が滅茶苦茶入ったコーヒーみたく甘い。流石に、私自身が『地獄を見過ぎた』だけと考えたくなるぐらいに甘い。

(さて、どう扱いたことか)

アーブラウのテロ対策。

 蒔苗東護ノ介を守る為にも必要なことだし、ラディーチェ崩しつつガラン・モッサ生存させる為にも必要なことだ。

 徹底的に扱く。

 それ以外やりようがない、が………。

(………問題は、新型機だな………)

と私は考える。

 

 現在、単眼のイオ・フレームを使用した『獅電』と、双眼の高性能用であるジーク・フレームを使用した、モビルスーツ版『ラフトクランズ』及び、そのカスタムモデル(ラースエイレムは駄目だった)である『ラフトクランズ・アウルン』『ラフトクランズ・ファウネア』の開発が進んでいる。

 獅電はテイワズが開発していて、ラフトクランズ系統はエクステラ・ゼロだ。

 獅電は開発が若干遅延しているようだが、ラフトクランズは、残すところファウネアタイプのみである。

 カロクアラは、予算の関係で無理だったし、現実的ではないので諦めている。

「アウルンとベーシックタイプのラフトクランズは試験運用に成功。

 ファウネアも、試験運用に成功すれば量産にこぎつけられる、か………」

と私は天を仰ぎながら呟く。

 オルゴン・エクストラクターのセッティングも、どっちかって言うと『抽出機』であり、動力源としては使えないのでエイハブリアクター(厄祭戦当時のものの流用)の搭載が行われている。

 ちなみに、全タイプに既に発注予定が出ている他、既に配属された先行量産型も居る。

 白と桜色のカラーリングでベーシックタイプのイリヤ機、白と薄紫色のカラーリングで同じくベーシックタイプの美遊機、『OGMD』でのジュア=ム機のカラーリングと同じでベーシックタイプのクロ機は地球支部に配属される予定である。

 鉄華団には、ピンク色のアウルンタイプで阿頼耶識搭載型の『ラフトクランズ・アウルン:三代目流星号』と紅白のベーシックタイプ(ラフトクランズ:コマーシャルモデルと呼称)3機が鉄華団本部に送られる予定(もちろん三代目流星号の代金はもらったしノーズアートはやってない、つーかできない)。

 また、ピンク色のファウネアタイプのアミダ機と、コマーシャルモデルに追加でスラスターを搭載したラフタ機をタービンズに送られる予定となっている。

 兄さんには深々と謝りつつも、ラフタ機につけたスラスター代は貰っている。

 アーブラウ防衛組織には、隊長用の青いラフトクランズ・アウルンと、一般用の薄茶色のコマーシャルモデル10機を、既に送ってある(コマーシャルモデルは先行量産型、隊長機は量産型としては最初に生産された機体)。

 ちなみに。

 コマーシャルモデルのプロトタイプは白色である。

 また、アウルンタイプのプロトタイプは灰色(原典でのアル=ヴァン機のラフトクランズ・アウルンと同じ配色)である。

 更に、ファウネアタイプのプロトタイプは、白色と黄緑色のツートンカラー(原典でのフー=ルー機のラフトクランズ・ファウネアと同じ配色)である。

 

 ここで、各機の開発時期を紹介しよう。

 ラフトクランズは、エドモントン攻防戦から帰ってきた直後に、ジーク・フレームでプロトタイプの製造を開始。

 2か月後に完成し、試験運用に成功。

 翌日、先行量産型10機の製造を開始する。

 プロトタイプ完成4か月後に、イリヤ機、美遊機、クロ機の製造開始。また、同時に鉄華団本部配属用コマーシャルモデル3機と、ラフタ機の製造開始。

 そして、8か月後に10機完成。

 その翌日に、プトレマイオス型輸送艦『プトレマイオス』によってアーブラウ防衛組織に送り届けられる。

 現在、イリヤ機、美遊機、クロ機、鉄華団本部配属コマーシャルモデル3機、ラフタ機を急ピッチで製造中である。

 ラフトクランズ・アウルンも、ラフトクランズベーシックタイプのプロトタイプ開発と同時進行で作成が始まり、3か月後に完成。

 翌日から、アーブラウ防衛組織の隊長機用の青いカラーリングの機体と、(シノから要望があった)ピンク色の『三代目流星号』の製造が始まる。

 アーブラウ防衛組織の機体は、その8か月後に完成したが、三代目流星号は機体そのものの完成はしたが、阿頼耶識システムとのフィッティングが難航。

 アーブラウ防衛組織用の機体は翌日に速攻でプトレマイオスに積まれて送られた。

 一方のシノ機は、本人呼び出して現在進行系で調整中である。

 ラフトクランズ・ファウネアは、今年度初頭にプラン提出、7月よりジーク・フレームにて開発開始。

 特殊な機構である、『胸部オルゴン・キャノンとライフルの連結機能』の調整で手間取っており、先月それがようやく出来上がり、プロトタイプは完成した。

 現在、各部のテストを行っており、もう暫くかかると報告されている。

 何せ、砲身と砲身を連結させるのだ。

 安全性の確保の為にも、その必要性がないベーシックタイプやアウルンタイプよりも少しばかし時間がかかる。

 

 ………考えすぎた。うん。

 ちょっと寝よう。そうしよう。

 

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 ―――side 女帝ギルガメッシュ

 妾は、この日、社長室を訪れた。

「まどか、入るぞ」

と言って、扉を叩いたが、返事がなかった。

 仕方ないので、中に入ると。

(案の定寝落ちしておったか)

と妾は思う。

 目の前には、事務疲れからか、思いっきり寝落ちしたまどかが居た。

 その目元には隈ができており、寝不足であることが伺える。

 現状、エクステラ・ゼロは、実質的にまどかと妾の2人での経営だ。

 しかし、妾は基本的に経理と戦闘部隊に所属するプトレマイオス2改の暫定艦長だから、実際にはまどかがワンマンで組織を回している。

 まぁ、要するに、だ。

 妾達の不出来故に、責任感と精神力が強い反面徹夜が苦手なまどかに極度の負荷がかかっているということよ。

「ハァ、今日は妾が受け持とうか」

と言って、妾は予定を見る。

 まぁ、重要な予定はなかったが。

 この1時間後に、まどかは起きた。

 で、このあとまどかが何をしに行ったかというと………。

「ちょっと風呂入ってくる」

というまどかのセリフ通り、風呂場に行ったのだ。

 ………期待した?残念だったな、そんな事態は起こらんよ。

 た だ し 。

 風呂上がった直後は彼女は全裸であり、熱が冷めるまで彼女はそのままである。

 故に、それ聞いた瞬間に社長室の入り口のドアにロックかけた。

 のぞき防止だ。仕方ないだろう、このタイミングで野郎に入ってきてほしくない。

 

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 ―――side out

 にょギルが社長室のドアに鍵かけた為、特に何も起こることなく、時が過ぎて、日も回った翌日。

 ラフトクランズ・ファウネアのプロトタイプは、全テストを終えて、遂に量産に漕ぎ着けることになった。

 ただし、察しがいい方は分かるかもしれないが、指揮官機である為、生産量は少ない。

 アミダ機と、エクステラ・ゼロ地球支部配属用の4機、計5機を生産し始めた。

 工廠は全領域が生産中のラフトクランズ系統で一杯になり、ある意味で初期面子であり、経理事務もする少年、エレミヤがニヤニヤするような状況に陥っていた。

 この日は、プトレマイオス2改にラフトクランズ・ファウネアのプロトタイプを積み、歳星へと向かった。

 実はこういうことを、新鉄華団本部完成後に、ラフトクランズ(ベーシックタイプ)とラフトクランズ・アウルンで同時に行っている。

 その際にまどかが毎回言うことは。

「あまり数多く生産できませんのでご了承ください」

であり、同時に阿頼耶識非搭載であることも強調している。

 更に、エクステラ・ゼロ主催の試乗会にて、アジーがラフトクランズ・アウルンに試乗したとき。

「うわっ、ちょっと触っただけでも動くのか」

と彼女は言っていた。是則『遊び』が少ない。

 『遊び』がデフォルトで少ないが、その代わりに、「戦闘中であっても、各自で『遊び』を調節できる」という点を示している。

 これはラフトクランズ系統に於いて、全て共通した話だ。

 通常、というか、この世界のほぼ全てのモビルスーツ(異世界産であるダブルオークアンタフルセイバーなども含む)は、『遊び』を格納庫で調節する。

 しかし、「それ不便じゃね?」というエルの意見から、『遊び』を臨機応変に変えることができるようにソフトウェアを組み直した。

 ソースコードはとにかく『見やすさ』を重視して作っており、『遊び』の変更も、初心者でも分かりやすいよう、スライド操作で調節できるようにしている。値が低くなるにつれて、次第に『遊び』がなくなっていく。

 あと、必ずマニュアルが付属する。

 ソフトウェアのアップデートは無いに等しいものの、重大なバグが見つかると、購入した組織の社長を呼び出して、バグフィックス用のパッチが入ったデータが手渡される。

 

 翌日。

 トランザムを使ったとはいえ、アステロイドベルトから歳星までの距離は長く、18時間を要して、歳星に到着した。

 まどかは長旅を終えて、「ふぅ………」と言いつつ、アイスコーヒーを飲んでいた。

 この時の時刻は、午前7時頃であるからだ。

 丁度、朝食の時刻である為、彼女は『次元力で腹を満たせる』ことを逆手に取り、目覚まし的な意味も持たせてアイスコーヒーを飲んでいたのだ。

 同乗していた魔神・沖田総司オルタナティブと織田信長は、しっかり朝食を摂っていた。

 同じように、クルーとして同乗していた面子は、皆揃って朝食を摂っていた。

 この面子の殆どが、元々ヒューマン・デブリだったとは分からないような光景が広がっていた。

 そして、この日、《ラフトクランズ・ファウネア:プロトタイプ》の試乗会が開かれた。

 それに、エクステラ・ゼロの兄組織であるタービンズだけではなく、テイワズの商業部門を受け持つ〘JPTトラスト〙まで参加していた。

 この時のまどかは、ラフトクランズ系統のライセンスそのものを買われないか、警戒していた。しかしそれは、杞憂に終わる。

 JPTトラストのトップ、ジャスレイ・ドノミコルスは居た。

 だが、『居ただけ』で、試乗もせず、ただただアミダが試乗したラフトクランズ・ファウネア:プロトタイプが優雅に舞うのを眺めているだけだった。

 試乗会後、ジャスレイはまどかにこう言ったという。

「工業製品として出来すぎている」

これが意味する事柄を、まどかは把握できなかった。

 ジャスレイに対して殺意剥き出しだった魔神さんはなんとなくジャスレイが言いたげなことを把握していたようだが、肝心な部分である、『それが良い意味なのか、悪い意味なのか』は把握し損ねていた。

 ノッブは「出来過ぎていて何が悪い!アフターサービスまで充実させるのが工業製品だろうが!!」と吼えていた。

 しかし、マクマード自ら試乗するなど、前回同様の成果を得られたのは事実であった。

 マクマードやモビルスーツ工房の面々などはこの機体をベタ褒めしていた(少数生産型である為、獅電とはあまり競合しないことも良点とされた)が、ジャスレイの文句に、主要メンバーが頭に「?」を浮かべる状態で、この試乗会は終了した。

 

 ―――side 神城まどか

 私は入社希望の面々の履歴書を見ていた。

 その殆どが、「殺人経験あり」とか「ヒューマン・デブリである」とか、色々ヤヴァい連中が多かった。

 しかし、そのリストの中で、一際目立つものがあった。

 ………「保護を希望します」。

 その顔写真から察するに、茶髪で水色の目をした少女といった印象を受ける。

 ………この人物に、何があったのだろうか。

 翌日のオリエンテーションにて、ちょっと確認してみることにした。

 

 そして、その翌日。ダッシュで帰還した為、通常より30分早く到着した。

 然る後に開かれた新入社員オリエンテーションにて、基本的な規則を話した後に、個別で話を聞くことになった。

 最初に来た人物こそ、件の人物である。

「あなたが、フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアですか」

と私は訊く。

 女性は「はい、そうです」と答える。

 成程。同姓同名の別人か。

 故に彼女は魔術師ではない。

 最初に、私は、訊くべきと思った事を訊く。

「なぜ、履歴書に『保護を希望します』と書いたのですか?

 もちろん、保護はしますが、なにかあったんですか?」

と私は訊く。

 フィオレは困惑しつつも、答える。

「実は、私、このなりで………ヒューマン・デブリと称される者で………」

と彼女は語りだす。

 その話を、私なりに要約してみた。

 ①15近くの時に海賊に捕まり、そのままヒューマン・デブリにされる

 ②その海賊に使い潰された挙げ句、両足を動けなくされる

 ③その海賊から売り飛ばされる。登録書も彼女の手に渡される。

  結果、己を売り込む形での就職活動ができるようになる

 ④鉄華団に斡旋され、エクステラ・ゼロ本部に辿り着く

 というものだ。

「成程。阿頼耶識はあるのか………」

と私は言う。

 個室であることを利用して、彼女の背中を見せてもらったが………、流石にこれは驚いた。

 阿頼耶識のピアスが3つある。

「………とりあえず、保護は了解した。

 出来れば、海賊の名前を教えてほしい」

と私は言った。

 フィオレは、更に顔が強ばる。しかし、恐怖を堪えて、彼女は言った。

「………………………………〘夜明けの地平線団〙」

 

 その後、フィオレには、指定の場所に行くように指示した。

 そこには、(地球に現界していて、下半期始めに入社した)医神アスクレピオスが居る。

 そこで、脚を診てもらうことにしたのだ。

 ………外科に対応してるかは知らないが。

 さて、次は、この少年か。

「貴方が、ジークですか」

 

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〜次回予告〜

 新入社員を迎え、P.D324年度に突入するエクステラ・ゼロ。

 実は、その新入社員には、ちょっと頭を抱えたくなる人物が居て―――?!

 あとバルバトスも改修されるよ!

 次回、Bridge 02、『鉄華の間奏・弐』。

 え、フィオレ、ソレ乗るの?




フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニア
 Fate/Apocryphaの人物とは同姓同名の別人。
 とある事情からヒューマン・デブリだった。
 脚は治るのだろうか(すっとぼけ)。


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鉄華の間奏・弐

〜前回のあらすじ〜

①鉄華団本部を大規模改造。劇的ビフォーアフターが発生し、某使徒迎撃専用要塞都市みたいな収納式砲台が追加された。

②鉄華団地球支部にラディーチェ・リロトが配属される。不穏な空気が漂う。

③エドモントン攻防戦にてほぼ無傷で返したガエリオに、テロ対策の方法を教えてもらおうとする。

④フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニア(Fate/Apocryphaの該当人物や、ロード・エルメロイII世の事件簿のカウレス・フォルヴェッジ・ユグドミレニアの姉とは同姓同名の別人。ヒューマン・デブリである)がエクステラ・ゼロに入社する。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side out

 フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニア。

 『Fate/Apocrypha』と呼ばれる世界では、才能に恵まれた優秀な魔術師であった女性。

 しかし、このぐだぐだ鉄血世界に於いては、夜明けの地平線団によってヒューマン・デブリにされた挙げ句、今に至るまでの3年間、その夜明けの地平線団に扱き使われた少女である。

 その彼女は、『医神』アスクレピオスに、扱き使われていた間に動かなくなった両脚を診断してもらっていた。

「夜明けの地平線団という組織は、本当に外道だな」

フィオレ診断後、アスクレピオスは一言目からこの言いようである。

「膝関節が、両方とも折れている。外見からは分からないようになっている辺り、本当に嫌らしい。

 (アスクレピオスの同期の)ナイチンゲールに手術してもらわないと、ちょっと治すのは厳しいだろうな。

 そのせいで、膝から下の筋肉も、オマケで衰弱している。しっかり食ってリハビリこなさないと完治させるのは困難だろうな」

と、グサグサと刺すように、アスクレピオスは言った。

 翌日、即座にナイチンゲールによる手術が行われ、どうにか矯正することになった。

 その手術の3日後(あまり意味がないが)、神城まどかはスタンド『夢幻の射手』をどうにかこうにか発動し、(リハビリしなければならない点は変わらないとはいえ)フィオレの脚をどうにか治すことに成功した。

 当時のまどかはこう語る。

「………東方仗助おったら楽だってのに」

 

 Post Disaster 〜Fate/ the over-riser 別編〜

 鉄華の間奏・弐

 

 ―――side 神城まどか

 新入社員を迎え入れて、新年度―――P.D.324年度へと突入した。

 フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアは、リハビリを続けた結果、どうにか自立歩行できるようになった。

 しかし、話はそれどころではない。

 鉄華団本部に於いて、予備パーツによる修繕を続けてきたバルバトスが、敵対組織との戦闘により、中破(具体的には、右腕喪失、左腕の異常なまでの摩耗、サスペンションの大破、各種遠距離武器の喪失)したというのだ。

 急ぎ、その敵対組織の名前を、ヴェーダも使用して確認した。

「………〘トリニティ〙………、だと………!?」

検索結果のその名に、私は驚愕した。

 リーダーの名はヨハン・トリニティ。

 ………何故、この組織があるのか。

 何故、こいつらが『この世界』に居るのか。

 何故、こいつらが『テイワズの傘下組織を攻撃した』のか。

 訊きたいことは山ほどある。だが。

(巫山戯んな………。

 トリニティ?上等、ぶっ潰させてもらうぞ。後で、必ずな………!)

と私は思うのだった。

 

 それから数時間後、私達は火星に向け出発した。

 無論、バルバトス改修プランを引っ提げて、だ。

 その改修プランは、2つ用意してある。鉄華団本部大改造は、大人数がCICについて戦況確認をする為、たった1プランだけで済んだ。

 しかし、バルバトスはどうだろう?

 バルバトスは、ほぼ三日月・オーガスのワンマン運用である(マニュアルに切り替えれば誰でも乗れるが)。

 その為、最初期の運用データを参考に、エドモントン攻防戦における太刀筋を使用する『プラン・ルプス』と、嘗ての超次元世界にあったレイオス計画を参考に、エドモントン攻防戦における太刀筋を重視した『プラン・ラーミナ』を、オルガに提示する予定だ。

 どちらも、選ばれれば、機体名がそれぞれ『ガンダム・バルバトスルプス』『ガンダム・バルバトスラーミナ』になる他、テスラ・ドライブが追加搭載され、大気圏内での飛行も可能になる予定だ。

 また、これは既に提出済みのプランなのだが、ガンダム・グシオンリベイクは、ナックルガードとシザーシールドを追加する『プラン・リベイクフルシティ』を提出、現在歳星では改修用パーツを鋭意製作中だそうだ。

 一応、『プラン・村正』なるプランがグシオンリベイクにはあったのだが。

 それの内容が、ざっくりと言うと、「グシオンリベイク阿修羅化計画」とでも言うべきものなので、昭弘とシノ、昌弘にやんわりと断られた。

 が、このリベイクフルシティ、私が知る限りのガンダム・グシオンリベイクフルシティとは異なる。

 まず、ARX-8レーバテインにインスパイアされた300mmデモリッション・ガンを搭載していること。また、足裏にはヒールバンカーが追加されており、腰部には追加でちっこい刀を追加している。

 これが、リベイクフルシティのプラン。

「斧に頼らない攻撃方法を確立させようよ」

と当時の私は言った。

 そして半日も経たずに、プトレマイオス2改は新鉄華団本部の着艦ドックへ入った。

「久方振りです、マドカさん」

とオルガは言った。

 ここから数分、私達は礼儀作法による会話をかわした。

 そして、私はオルガに三日月を呼び出すように言った。ここから先は、三日月との相性問題が発生する。

 実機試験もあるので、急いで決定してもらいたい案件だ。

 どちらもスペックアップすることは確定している。

「で、俺まで呼び出して、何の用なの?」

と三日月は言った。

 私は、2つの端末を用意する。

 1つは、プラン・ルプスによる改造後のバルバトスのシミュレート結果の値や、設計データが表示されている。

 もう1つは、プラン・ラーミナによる改造後のバルバトスのシミュレート結果の値や、設計データが表示されている。

 値の誤差はほぼ±10。

 故に、どちらを選ぼうが何ら変わりはない。

「こっちで」

と言って三日月が選択したのは、プラン・ラーミナ。

 ガンダムエクシアリペアⅣ(原作に於ける通称は《グラハム・ガンダム》)やダブルオーガンダムセブンソード/G同様、《セブンソード》と呼ばれる設計方法を採用している。

 『草薙の太刀』と名付けられた、千子村正が鍛えた妖刀を装備する。

 その他、『魔狼王の脇差』(腰部に備えられた、草薙の太刀より若干短い刀)、『騎士王の聖剣』(同じく腰部に備えられた両刃剣。『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』よろしくビーム(重金属粒子の刃)が飛ぶ)、有線誘導式ソードビット×2、コンバットブレード×2(形状はGNソードビットA)が装備されており、まさに7剣(セブンソード)である。

 草薙の太刀は背部にマウントされる。

 有線誘導式ソードビットは左右に増設したシールド兼バインダーにそれぞれ1基ずつ、背中側に装備される。

 コンバットブレードはバインダーの前部にマウントされ、いつでも取り出せるようになっている。

 遠距離武器として、バインダーに装備した電磁投射砲(威力はめちゃ低い)、両腕部につけられる200mm機関砲が挙げられる。

 こいつに打ち勝とうものなら、きっちり装備を整える必要がある。

(まさか、重武装のこっちを選ぶとは、ね)

てっきりルプスのほうを選ぶものと思っていた私は、半ば驚きながらも、笑顔で。

「了解です。オルガ団長も、これで宜しいですか?」

と訊く。

 オルガは難しい表情で、「プラン・ルプスへの換装とかはできるか?」と訊いてきた。

「一応できますが、歳星での換装になってしまう関係で、長い時間が掛かってしまう可能性があります。

 リアクターの調整もしなければならないので」

と私は答えた。

 実は、ルプスとラーミナでは『リアクターの出力』が大幅に違う。

 ラーミナの場合、敵を斬る際に出力を絞るように調整されており、これによって緩急をつけて刀剣の切れ味を上げているのだ。

 一方、ルプスの場合は、(原作のように)大出力でソードメイスで敵を潰すという戦法を取る。

 故に、出力を『絞る』か『上げていく』かにより、調整の仕方が変わってきてしまうのだ。

「オルガ、俺はこのバルバトスにある『草薙の太刀』が使いたい。

 だから無理にルプスへの換装機能をつけなくても、刀と剣でやりきるよ」

と三日月が、私の意見をフォローするように言った。

 有り難い。

 (一応、ルプスの予備装備としても用意していたとはいえ)千子村正の努力が報われた。

「ミカがそう言うんなら、それを選択させてもらうぜ。

 それで、武装の方は?」

とオルガが訊く。

 私は不敵に笑ってこう言ってやった。

「もう、ラーミナの分は完成させていたよ」

 

 夜。私は、ある機体の前に来ていた。

 実は、この裏で、ダブルオークアンタフルセイバーの改修も行われていた。

 その改修プランの名を、『デイブレイク』。

 黎明の名を冠する改修プランには、対デブリ帯仕様に於いて追加されていたザンライザーの正規搭載や、ダブルオーセブンソードの装備の追加搭載。

 更に、折りたたみ式の大出力陽電子砲と、それ用の電力電池の搭載を行っている(流石にツインドライヴの出力じゃ足りない)。

 因みに、この陽電子砲、1戦闘につき1回しか使えないことが判明している。

 GNT-0000Ext/FS《ダブルオークアンタフルセイバー・黎明(デイブレイク)》。

 基本的に『クアンタ』『クアンタフルセイバー』としか呼ばないが、正式名称はそういうことだ。

 ―――クアンタフルセイバーが、より一層強化された。

 ―――この、剣の塊とも言えるこの機体を、本来の担い手が見たら、どう思うのだろうか。

「まぁでも、この世界じゃ私が担い手だし、いいよね」

と私は独り呟いて、クアンタフルセイバー・黎明の前から立ち去った。

 そして、その日の夜、鉄華団はトリニティによる襲撃に遭った。

 

 ―――side オルガ・イツカ

 俺は、CICにて、鉄華団の部隊指揮をとっていた。

「改修の都合から、俺らはミカを出せねぇ。だから、そっちで頼む!」

と俺は、マドカさんにお願いした。

 画面の向こうのマドカさんは、かなりきつそうな表情をしていた。

『それは分かってる。

 分かってるんだけど………、フィオレ、そりゃマジで言っているのか?』

理由が何となく分かった。

 エクステラ・ゼロの新入社員のひとりで、元ヒューマン・デブリの、フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアが、『新型』に乗りたいと言って駄々こねているのだろう。

 いや多分そうだ。

「大丈夫なのか?」

心配になった俺が訊く。

『だ、大丈夫大丈夫、部隊は出してるから………ハハハ………はぁ………』

不安になるような言葉がめっちゃ並んだ発言をマドカさんはした。

 一体何があったんだ。うん。

 

 ―――side 神城まどか

「ファウネアに乗せてください!」

唐突ではあるが、そんなコトを、フィオレは言ってきた。

 ………ファッ?!

 いや、その………。

 ち ょ っ と 待 て 今 な ん て 言 っ た ?

 ふぁ、ファウネアだと?!

「………アレは、新入社員が乗っていい代物じゃない」

と私は言った。

 だって事実だし。他のモビルスーツとは違って、プロトタイプだからじゃじゃ馬だし。

「それでも乗せてください!

 マニュアル操作もある程度学んでます!

 それに、リハビリがてら、あの鬼畜シミュレーターのルナティックで10分耐えてます!」

とフィオレが宣う。

 それは分かってる。特に後者。

 フィオレの、鬼畜シミュレーターのルナティックでの成績は、阿頼耶識を使わず10分オーバー、現在のスコアは12分28秒23。

 阿頼耶識ありだと、更に伸びる可能性も示唆されていた(シミュレーターが阿頼耶識に対応してないからアレだけど)。

 それは分かってる。

「阿頼耶識積んでねーし、シミュレーターと現実じゃ訳が違う」

と私は言った。だがフィオレは粘る。

「でも、それでも。

 夜明けの地平線団への復讐の為の経験値稼ぎの為にも………、私が私であるという証明のためにも、私はラフトクランズ・ファウネアに乗りたいです!」

と、フィオレは言い切った。

 ………私、ダブルオークアンタフルセイバー・黎明の試し斬りしたかったんだけどなぁ。

 流石にそこまで言われるとアレだなぁ。

 どうしようか悩んでいた時、通信が入った。

『俺だ。

 そっちの状況はどんなもんだ?』

という、オルガの声が聞こえた。

「各プロト機体を除いて、問題なく出すことができるよ。既に、モビルスーツ部隊を展開させてる」

と私は言った。

 トリニティは、新鉄華団本部の正面ゲートを12時とした、10時の方向から接近している。

 全方位に展開するにも、こちらとて量産機は現在進行系で製造中なので、敵が来る方向にモビルスーツ部隊を展開させた。

 昌弘・アルトランドのダブルオーザンライザー・フルパッケージ。

 ネロ・クラウディウスのダブルオーガンダムセブンソード/G。

 沖田総司のガンダムエクシアリペアⅣ。

 織田信長のガンダムサバーニャ。

 エルネスティ・エチェバルリアの禍斑鳩(マカツイカルガ)。

 そして、初陣となる、女帝ギルガメッシュのガンダム・フェニクス(サイコフレームも製造方法がサルベージできたので、1ヶ月前までに換装を終わらせた)。

 以上である。

 ここに、昭弘・アルトランドのガンダム・グシオンリベイクが入った部隊が、戦闘する。

 だが、バルバトスのデータを覗いて分かっていることがある。

 それは、トリニティのモビルスーツが、阿頼耶識搭載型のスピナ・ロディ20機と、スローネシリーズと思われるガンダムタイプ4機で構成されているということだ。

 トリニティに、『誰か追加されている』。

 まさか、アリー・アル・サーシェスじゃないだろうな、と私は思う。

 嫌な予感しかしないのだ。

 映像として残ったログから出た、アルケーの存在から出るナニかが、私の頭に引っかかっていた。

 そんなことは、今は気にしてはいられない。

 今は、フィオレをどうにかしなければ。

「ベーシックタイプのラフトクランズは持ってきてないし、ラフトクランズ・アウルンはオーバーホール中だし………。

 オーバーホールすらできてない、動くっちゃ動くだけの試験機であるファウネアで出ようっていうのか?

 ふざけんなよ。

 私は、()()()()()()()()()には遭わせられない」

と私は言った。

 だがフィオレは身じろぎもしない。

「私にIDを返却したのはあなたです。それに見合った仕事をしないと、元々ヒューマン・デブリだった身としては泣きたいくらいです」

とフィオレが言う。

 ここで私はプツンとキレそうになった。

 しかし。

『マドカさん、俺等はバルバトスの改修の都合から、ミカは出せねぇ。だから、そっちで頼む!』

というオルガの通信が入った為、そちらに応じなければならなかった。

「それは分かってる。

 分かってるんだけど………、フィオレ、そりゃマジで言っているのか?」

通信に応じつつも、私は、嫌気が差したような表情でフィオレに訊いた。

 ラフトクランズ・ファウネアに搭乗して経験値を積みたいフィオレは当然頷く。

 溜息が出る………。

『大丈夫なのか?』

とオルガが訊いてくる。

「だ、大丈夫大丈夫、部隊は出してるから………ハハハ………はぁ………」

その質問に、私はそう答えるしかなかった。

「駄目………、ですか………?」

とフィオレが訊いてくる。

 私は、少し悩む。

「………分かった。だが、()()()だ」

2人乗りでどうにかするしか方法がないと、そう判断した私は、改修された愛機の試し斬りを取り止めて、ラフトクランズ・ファウネアに乗り込むことにした。

 

 ―――side ???

 俺達は、鉄華団とかいうガキ共の集まりを叩くことにした。

 テイワズ?知るかよバーカ。

 あんな髭生やしたクソジジイの組織の傘下に入っていようが関係ねぇ。

 さぁ、殺し合おうか!

「おいデブリ共!

 鉄華団ぶっ潰したら、お前らのID返却するし、臨時ボーナスも出してやる!

 だから気合い入れろ!」

と俺は言って、隣りにいたリーダーのヨハン・トリニティに同意を求めた。

 ヨハンは頷いた。

「よし、行くぞ!!」

俺は咆える。

 ヒューマン・デブリ達も「応ッ」と応える。

 さぁ、殺し合おうか、オルガ・イツカ。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side out

 トリニティによる襲撃。

 スピナ・ロディ40機に、件のガンダムタイプ4機が、一気呵成に新鉄華団本部を目指す。

 しかし、トリニティは、『自分達だけが飛べる』と()()()()()()()

 まず、飛行能力がないスピナ・ロディは、変形した新鉄華団本部を目にして驚愕する。

 そして、地面から生えた砲台によって、転がされたり、下手すれば破壊されたりする。

 それもあったが、地上での遊撃を担当していたマカツイカルガとグシオンリベイクが、砲台の射程圏外へと出たスピナ・ロディを無力化していく。

 結果、地上からの攻撃部隊は、片っ端から無力化され、全滅した。

 一方、空中は、というと。

 トリニティの主力である、ブライソン・トリニティ駆るヤークトアルケーガンダムを、ラフトクランズ・ファウネア:プロトタイプが、搭乗者であるフィオレの類稀な才能が活きた精密射撃で追い詰め、昌弘駆るダブルオーザンライザー・フルパッケージが〆ようとバスターソードを振るう。

 ヨハン・トリニティのガンダムスローネアインは、魔神・沖田総司が駆るガンダムエクシアリペアⅣが追い詰め、最終的には両腕を切断されるに至った。

 ミハエル・トリニティのガンダムスローネツヴァイは、ネロ・クラウディウス駆るダブルオーガンダムセブンソード/Gが………。

「余は楽しい!!」

「ぎ、ぎゃあああああ!!」

といった会話で表されるような蹂躙劇を経て、破壊される。

 ネーナ・トリニティのガンダムスローネドライは、にょギルが搭乗する、ガンダム・フェニクスによって終始圧倒され、その最期はビーム・トンファーによる袈裟斬りだった。

「い、嫌だ!死にたくない!死にたくな―――」

という、ネーナの断末魔に嫌気が差したにょギルは………。

「黙れ雑種」

と言って、ビーム・トンファーでスローネドライを袈裟斬りにしたという。

 

 ―――side フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニア

「はあああああああっ!!」

私は、ヤークトアルケーを、オルゴナイトバスカーライフルで撃ち落とした。

 太いエネルギーのビームは、胸部に見事に命中し、喩えパイロットを仕留められなくても、十分殺りきれる状態になっていた。

「よくやった。損傷状態もほぼ0%………。

 臨時ボーナスは弾むぞ!」

気前よく、(一応、エクステラ・ゼロ社長の)まどかさんが言った。

 

 ―――side 神城まどか

 私は今、鉄華団の応接室に居た。

 そこでは、トリニティからの損害賠償請求の交渉が行われていた。

「無力化したヒューマン・デブリ全員と、武器弾薬総ざらいで十分だ」

とオルガは言った。

 そして、私の手番。

 既に、兄弟2人を殺された挙げ句、主力も失われたトリニティの、最後のメンバーであるヨハン・トリニティは、怖気づいていた。

「私達は、お前達全員殺す気でいた。

 だが、お前達のヒューマン・デブリほぼ全員と、お前だけが生き残った。

 その事実をまず考えろ」

と私は言った。

 ヨハンは「ヒィッ!」と言っていた。

 もうこいつはアウトだ。

「それが分かっているという前提で話をするが………。

 要求するものは、お前らの持ってるモビルスーツだ。

 ついでに質問に答えてもらう。

 まず、お前達の後ろ盾は何だ?」

と私は訊く。

 もしテイワズなどと言おうものならば、速攻でマクマード氏に連絡する。

「よ、夜明けの地平線団だ!」

とヨハンは答える。私が殺気立つ。

 更にヨハンが怖気づく。

 オルガも冷や汗をかく。

「夜明けの………地平線団だと………?!

 巫山戯るな………、お前達は………『下請け』だったってことかよ………!!」

と私は叫ぶ。

 フィオレの件もある。

 私は机を壊れない程度にぶん殴りながら続ける。

「お前達全員、私のところに新入社員として入ってきた、あの少女を追って来たのか?!

 それとも、ただ鉄華団をぶっ潰したかっただけか?!」

と私は言う。

 ヨハンは前者に対しては首を振る。後者には頷く。

「………あっそう。

 次だ。

 ガンダムスローネとヤークトアルケーはどこで手に入れた?」

冷静になって私はもう一度訊く。

 ヨハンは、怖気づきながらも答える。

「モンターク商会から購入した………。

 なんでも、新ガンダム・フレームとして、擬似太陽炉搭載型モビルスーツを売り出しているのだそうな」

「あのクソ野郎か………」

スローネを手に入れた原因は、どうやらマクギリス・ファリド(モンターク)とかいう()()()()鹿()のせいらしい。

「………最後に、質問したい。

 お前達、一体どこを拠点にしているんだ?」

と、私は訊く。

 怪しい。

 こんな短期間に、連続で攻めてくるなんてことが。

「………基本的には宇宙だ。だが、地上にもアジトを作ってる。

 鉄華団本部の数十キロ先の場所にある、ハーフメタル採掘跡に住んでいた」

とヨハンは答える。

 私は、ヨハン達がただのビーコンにされている可能性を把握した。

「………分かった、もういい。

 お前達のことは、すぐにタービンズに、そしてテイワズに上げさせてもらう。

 だから疾く失せろ」

と私は言って、交渉を終了させた。

 正直、今私は怒っている。

 

 夜明け後の1日を、私が落ち着くのに利用して、火星に来てから2日が経過した、その日。

 バルバトスと三日月、グシオンリベイクと昭弘を乗せて、私達は歳星へ向かった。

 今は火星付近にいるということなので、コース計算の後にトランザムによる移動を開始した。

 そして、1日後、そこにはカグツチも着艦していた。

「ジェシカ、それは?」

最初に雇用したジェシカに訊いた。

「完成したんですよ、鉄華団用のラフトクランズシリーズが!」

とジェシカが答えた。

 そこには、イリヤ機と美遊機とクロ機のラフトクランズと、鉄華団用の紅白のコマーシャルモデル、そして、ラフトクランズ・アウルン:三代目流星号があった。

「………分かった。鉄華団本部用のラフトクランズシリーズをプトレマイオス2改に積み込んでおいてくれ。

 色々終わったら火星に向かうから」

と私は言った。

 その『色々』こそ、バルバトスとグシオンリベイクのMS工房への搬入という訳だが。

 で、その2機をMS工房へ搬入し、三代目流星号とコマーシャルモデルのラフトクランズを搬入した時には、既に3日が経過していた。

 急ぎ、昭弘と三日月を乗せて、火星へ急行した。

「シノ!頼みのものが完成したよ!」

『おう、マジか!?ヒュー、これで三日月と同じ戦場に立てるってもんだぜ!』

通信越しに、シノが言っていた。

 グレイズ改弐では太刀打ちができなくなってきた環境である。そりゃそうなるか。

 トランザムまで使用して、大急ぎで向かうこと、1日と6時間。

 火星の新鉄華団本部に到着し、そこからてきぱきと積み荷―――ラフトクランズ:コマーシャルモデル3機と、三代目流星号を下ろした。

 ………因みに。

「ライド!ノーズアート描くぞ!」

「無理だぞシノ。流石に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

シノの趣味たるノーズアートは、後の四代目流星号までお預けとなった。

 

 ―――side 名瀬・タービン

 俺は、エクステラ・ゼロが上げたトリニティのデータを見ていた。

「スローネアインにスローネツヴァイ、スローネドライにヤークトアルケー………、ねぇ………」

と俺は言う。

 どれも聞いたこともない機体名だ。

 どれも『ガンダム』とついていたから、ガンダム・フレームかと思ったが、どうやら、ダブルオークアンタフルセイバーとかと同じ、『ガンダムタイプ』と呼ばれる異種機体らしい。

「全部あっちで片付けて、スローネアインは擬似太陽炉以外をばらして売っぱらう手筈になってるね。

 擬似太陽炉は破壊処理をして処分するらしいけど」

とアミダが言った。

 大分面倒な処理をするな、と俺は思う。

 まぁ、それだけ、擬似太陽炉というものがヤバいと言うことだが。

 数分後、鉄華団地球支部から通信が入った。

『もしもし、名瀬さん』

「おう、ビスケットか」

相手はビスケットだ。

 とすれば、獅電か。

『獅電の開発が難航してるって本当ですか?』

とビスケットが訊いてくる。

 現在の獅電は、簡単に言うと、『本体はできている』、という状態だ。

 獅電用の武装がまだ完成しておらず、一応既存の武器を使えば戦うことはできる。

 しかし………。

 「テスト運転まできっちりやれ」というまどかの意見を採用した結果、これまでのやり方では見つからなかったボロが大量に出てきて、武装に関しては再テスト中の状態だ。

「武装が難航してるんだ。参ったことにな。

 何せまどかが『テスト運転しっかりやって問題ないようにしろ』って言うから、完璧に仕上げなきゃいけないわけだ」

と俺は答えた。ビスケットは、

『マドカさんらしいですね』

と言っていた。

 徹底した品質管理をし、アフターサービスもきっちり整えるのも、彼女のやり方だ。

 親父も、鉄華団とエクステラ・ゼロを子として認めた後、まどかのやり方をよく見て、それをうまく反映しようとしている。

 ―――ジャスレイ()()反発していたが。

 曰く、「俺等は工業組織じゃねぇんだぞ!アフターサービスまでキッチリするとか、どこの阿呆から学んだんだよ親父!」だそうな。

 それに対する親父の反論は、というと。

「モビルスーツ運用してる時点で、一種の工業組織だ、ジャスレイ。

 それに、ガチの()()()持ったまどかが『品質上げないと文句こかれるぞ』と進言してきたんだ。採用する他ねぇっての」

………らしい。

 おまけに、親父は『裏切り者絶対許さないキャンペーン(仮称)』を実施していることを仄めかす発言までした。

 これで、テイワズのナンバー2たるジャスレイも動きにくくなっただろう。

「アミダ、百錬手放してラフトクランズ・ファウネア使い出すらしいが、もう慣れるためのシミュレートを始めたのか?」

不意に、俺はアミダに訊いた。

「勿論。ラフトクランズ・ファウネア、そのシングルナンバー機を使えるのだから、ね」

 

 ―――side 神城まどか

 火星まで行って、機体渡して戻ってきたら最終的に3週間も経ってたよ畜生!

 それで、今は、あと少しで完成であるラフトクランズ・ファウネアのアミダ機、1週間前に発注し、武装以外も形だけならほぼ完成したラフトクランズ・ファウネアのフィオレ機(因みに機体カラーはプロトタイプモデルのライムをアクアグリーンに変えただけ)を見ている。

 特に、阿頼耶識システムをつけることになるフィオレ機は、フィオレとのフィッティングもあって、結構めんどくさい状態である。

 最後の手段として、歳星に持ち込む、というのもあるが………。

 従来の阿頼耶識とは違い、極限まで、グレイズ・スルトの阿頼耶識に近いものへ仕上がったつもりだ。

 ………繋ぐ側、つまりピアスと端子は、フィオレがヒューマン・デブリだった為に贋作だが、偽物が本物にかなわないという道理はない。

「シンクロ率、という言葉で表せば、どうにか100%になったし、即応性能も、マン・ロディとかの阿頼耶識とは比べ物にならないくらいのモノなんだけど、マニュアル操作時の反応性能が若干高すぎるんだよなぁ」

と私は言った。

 この状態のファウネアをシミュレーターに落とし込み、フィオレに操縦させてみたところ。

「ヒェッ、()()()()()()()()()()()()()()()

とフィオレがこぼしたくらいに、『遊び』がない。

 というか『これ以上上げると阿頼耶識側の反応性能が落ちる』。

 故に、OSを2つ入れた、()()()()()()()方式で、起動させるOSを切り替えるだけで、阿頼耶識使用とマニュアルを切り替えられるようにした。

「マドカさん、アストレア操縦してみたんですけど、反応速度が体感で早く感じます」

とフィオレが言った。

 アストレアMB。昌弘用に開発したのだが、昌弘自身はダブルオーザンライザー・フルパッケージに乗ってるがために、空席となっている機体。

 それを、仮の操縦機体として、フィオレは30分前まで、アステロイドベルトにあるエイハブリアクターの回収作業を行っていた。

 厄祭戦終了当時より減ってはいるらしいが、それでもアホみたいな量あるんだ。

 しかも、今日は大物を持ってきていた。

 モビルアーマー、ハシュマルのエイハブリアクターと、同じくモビルアーマーのゼルエルのエイハブリアクターである。

 まぁ、ハシュマルは腐る程厄祭戦で活動していたらしいから、色々とアレなんだけど。

 既に討伐済みだったらしく、回収された2機は、制御中枢が破壊されていた。

 ………案の定、エルが目をキラキラさせて見ていた。

「ゼルエルのエイハブリアクターは、フィオレのラフトクランズ・ファウネアに乗っける。

 ………異論はねぇな?」

と当時の私は言った。

 フィオレはファウネアの横に転がっている、ゼルエル(だったもの)のエイハブリアクター―――後にエルにより『神腕之核(ゼルエルズコア)』と命名される―――を見ていた。

 その他、回収されたエイハブリアクターは4基。いずれもモビルスーツのものと思われるもので、単独で転がっていただけだった。

 さあ、急いでこいつを完成させようか!

 

 (Bridge 02 完)

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 次回、遂に2期突入。

 ガンダム・ヴィダールのフラグは折れなかったよ。ダミーのリアクターは積まなかったらしいけど。

 次回、「初陣ッ!ラフトクランズ・ファウネア:ジーリオ」

 天使は天から舞い降りる。




ダブルオークアンタフルセイバー・黎明
頭頂高:18.3m
動力源:GNドライブ×2(ツインドライヴ)、GN粒子貯蔵タンク×2
武装:GNソードⅤ、GNソードⅣフルセイバー(GNガンブレイド×3、GNカタールⅡ(仮称))、GNソードビット×6、GNソードⅡブラスター、GNバスターソードⅡ、GNバスターソードⅢ×2、GNカタール×2、GNマイクロミサイル、GNシールド
搭乗者:神城まどか
 ダブルオークアンタフルセイバーの対デブリ帯仕様を正式化した機体。ダブルオーガンダムの肩パーツが追加されており、そこにGNソードⅡブラスターとGNバスターソードⅡが懸架されている。
 代わりに、GNシールドとそれに付随するGNソードビット、GNソードⅣフルセイバーは、斜め前方向に迫り出している。

ラフトクランズ・ファウネア:ジーリオ
頭頂高:19.5m
動力源:エイハブリアクター『神腕之核』、オルゴン・エクストラクター
武装:オルゴンキャノン、ソードライフル、超硬シールド
揚力発生機構:テスラ・ドライブ
MMI:阿頼耶識システム
搭乗者:フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニア
 まどか達、エクステラ・ゼロの面々が、ジーク・フレームを使用して作成した、『モビルスーツ以外のものを無理矢理モビルスーツに落とし込んだ機体』。
 元となったラフトクランズ・ファウネアをベースとして制作しており、本機はそのシングルナンバー機である。
 フィオレがアステロイドベルトで拾ってきた、制御中枢が見事に破壊されたモビルアーマー『ゼルエル』のエイハブリアクターを流用しており、大出力を以て、オルゴン・エネルギーのエクストラクターとしての機能しか持たないオルゴンエクストラクターを稼働させている。
 バスカーモードも使用可能である。
 因みに、阿頼耶識での操縦とマニュアル操縦は、OSの切り替えによって実現している。


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Post Disaster編 鉄華の弐「鉄華を見続ける救世の女神」 初陣ッ!ラフトクランズ・ファウネア:ジーリオ

〜前回のあらすじ〜

①フィオレが、リハビリの末に足が動くようになった。

②トリニティが襲撃してきた。ただし速攻で鉄華団とエクステラ・ゼロに返り討ちにされた。

 因みにフィオレは、エクステラ・ゼロに所属してから初の戦闘だった。

③三代目流星号とコマーシャルモデルのラフトクランズが完成する。

 更に、フィオレ用のラフトクランズ・ファウネア、『ジーリオ(イタリア語で百合を意味する)』と、ラフトクランズ・ファウネアのアミダ機がもうじき完成という状態になる。

④バルバトス、グシオンリベイクが改修に出される。バルバトスはラーミナ(ラテン語で刃を意味する)へ、グシオンリベイクはフルシティへと改修される。

 既にパーツが出来上がっていた為、原作より改修が早く終わることに。

 

 ―――side 神城まどか

 

 なぁ、お前達はどう思うんだ?

 私の手では救えなかった、異常な数のヒューマン・デブリ………、つまり、少年少女の、使い捨てとされる兵達は。

 お前達は、一体何を考えて、何を思って『死んでいった』のだ?

 私は何人も、ヒューマン・デブリの少年少女を『救って』は、戸籍データなどを返却して、『人間』に仕立て上げてきた。

 お前達は、そいつ等を見て、何を思う?

 憧憬?怨嗟?それとも、期待?

「………救えなくて、悪かったな」

と私は、火星のある場所にある慰霊碑に向かって言った。

 私は、罪だらけだ。

 クランク・ゼントを救い、アイン・ダルトンを救い、昌弘を救い、そして、この世界に於いてヒューマン・デブリだったフィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアを救っても尚、この胸に残る『罪悪感』。

 ………体は剣でできている。

 まさに、その言葉を体現するような、心の冷たさ、身に積もった罪の数の多さだった。

 そんな己を、私は、慰霊碑の前で恥じる。

 慰霊碑には、多くの少年少女の名前と、鉄華団の鉄の華が描かれている。

「………投影、開始(トレース・オン)」

私は、ふと思って、『約束された勝利の剣』を投影する。

 そして、献花代わりに、それを慰霊碑のそばに置く。

「剣やら槍やら、武器ばっかりで悪いな。

 人を殺せるなんて馬鹿げた力がある事を除けば、きれいな工芸品なんだ。

 ………これに見惚れながら眠ってくれ」

と言いながら、私は空を見る。

 そして、今の所見つかっていない、玉藻の前とアルテラ・ラーヴァを幻視する。

 そして十数分が経過する………。

(いつか、お前達にも会えるよな)

そう思いながら、私は投影宝具を消し、慰霊碑の前から立ち去った。

 これは、『ヒト』が、『希望の未来』を『掴み取る』、物語だ。

 

 Post Disaster 〜Fate/ the over-riser 別編〜

 

 第2期 Goddess of Savior who watching Iron-Blooded Orphans

 

 初陣ッ!ラフトクランズ・ファウネア:ジーリオ

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side continue(神城まどか)

 時は遡ること、2ヶ月前、P.D.325年2月末。

 ラフトクランズ・ファウネア:ジーリオが、オーバーホールの末に完成する。

 然る後に性能テストを行い、規定ラインにあることが実証された。

 この機体の心臓部である、嘗てはモビルアーマー・ゼルエルの心臓だったエイハブリアクター、『神腕之核(ゼルエルズコア)』も、満足に動くことが確認された。

 また、『制御中枢が破壊されたモビルアーマーが発掘された』という情報そのものはガエリオにも伝えてあり、当の彼から………。

「さてはモビルアーマーのエイハブリアクター転用したな?」

などと言われた。

 勿論、「使えるものは全部使う」気でいたので、Yesだ。

「勿論。あれを売り払うなんてとんでもない。

 故に、新型の動力源に転用させていただきました」

と、当時の私は答えた。

 今度、イオク辺りでも呼び出そうかな。………なんて思ったこともあったりした。

 こいつの完成の1ヶ月前に、ラフトクランズ・ファウネアのアミダ機が完成し、ガンダム・バルバトスラーミナとガンダム・グシオンリベイクフルシティも仕上がった。

 勿論、譲渡した。

 また、この2週間ほど前に、ラフトクランズのラフタカスタムも完成した。

 ブースター代はきっちり頂いているので。

 それ以外の視点では、前々から発注していた、プトレマイオス2型多目的攻撃母艦《イザナギ》も完成し、遂にプトレマイオス2改と同型の艦船を作成することができた。

 その他、ノッブからは『八華のランサーが喜びそう』、エミヤからは『重量問題大丈夫なのかこれ』、セタンタ(=クー・フーリン)からは『なんつーかその、武器積み過ぎじゃね?』などと言われる機体である、ダブルオークアンタ26剣(元ネタは例のアレ、詳細はググれ)まで、データ上だけではあるが製作し、データ上の『ハシュマル・イマージュ』と戦わせてみたりした。

 泣いたり笑ったり、怒ったりコケたりしたP.D.324年度が過ぎ。

 遂に、P.D.325年度、鉄血のオルフェンズ2期へと突入した。

 そして、その春、つまり今に至るのだ。

 

 ―――side とある戦場ジャーナリスト

 鉄華団、そしてエクステラ・ゼロ。

 この2つの組織は、第一次ギャラルホルン危機にて脚光を浴びるようになった民兵組織である。

 現在、火星にてアドモス商会を取り仕切る活動家、クーデリア・藍那・バーンスタイン氏を地球・アーブラウへ送り届けるという大偉業を成し遂げた2つの組織。

 この2つの組織は、蒔苗東護ノ介と協力し、アーブラウへ政治的介入を試みた、元ギャラルホルン総司令イズナリオ・ファリドの野望を、文字通り『粉砕』した。

 その後の彼・彼女等の発展は目覚ましいものであり。

 鉄華団は『アーブラウの軍事オブザーバー』となって地球支部を開設。

 アドモス商会と連携して、ハーフメタル採掘事業やインフラ整備、農業などに手を出す『企業家』としての側面が強くなった。

 エクステラ・ゼロは、これまで行っていた貧困地域への薬の輸送や、デブリ帯からのエイハブリアクターのサルベージといった慈善活動や工業的な事業を続ける。

 反面、テイワズ製の新造フレームである『ジーク・フレーム』を使用した新型モビルスーツ、《ラフトクランズ》シリーズの販売及びプロモーションが始まった。

 結果として、彼女等は『工業脳』とまで言われるようになった。

 その徹底した品質管理やアフターサービスもあって、アーブラウの防衛組織に先行配備されているくらいだ。

 順風満帆と言っても問題ない、鉄華団とエクステラ・ゼロ。

 だがその影響は、ヒューマン・デブリの増加や、モビルスーツの需要増加など、ギャラルホルンの権威失墜による治安悪化によって生じた『はやり』まで発生させてしまっていた。

 『台風の目』『竜巻』『正と負の二重螺旋』………様々な言葉が当てはまる。

 私は、彼・彼女等がその鍵を握る存在だと考え、火星へ飛んだ。

 目的は唯一つ。

 鉄華団とエクステラ・ゼロ、2つの『新たな光』を、特等席で見せてもらう為だ。

 

 ―――side オルガ・イツカ

「マイ・コバヤシ。

 戦場ジャーナリスト、ね………」

と俺は言った。

 電子機器による自己紹介が可能となった今時となっては珍しい名刺を受け取った俺は、眉を顰めて、ちょっとだけ警戒した。

 ピンク髪のショートヘア。

 そして何より、身長が三日月やらエルぐらいしかない、という衝撃の事実。

 そんな彼女は、俺に対して挑戦的な視線を当ててくる。

「ドルトコロニーの労働者組合からの紹介と聞いているが、何故わざわざ火星まで来たんだ?

 ここには目新しいものって言うと、あの収納可能砲台ぐらいしかないんだが」

と俺は言う。

 彼女は、俺達のことを取材させてほしいと言う。

 目新しいものは、正直言って、俺達よりもマドカさんところのが多い。

 オーバーテクノロジーがふんだんに使われたダブルオークアンタフルセイバーや、ラフトクランズ系列。

 原初の勇者王に、ガンダム・フェニクスを保有しているのだ。

 こっちのほうが確かにガンダム・フレームは多いが、それでも技術レベルじゃマドカさん達が何枚も上手だ。

 アフターサービスまでできるのだから。

 それに、俺達もマドカさん達も、謂わば『出る杭』というもの。

 いずれは打たれ、元の平坦な状態に戻されるだろう。

「かのギャラルホルンに喧嘩吹っかけて、それで勝ったのはでかいと思う。

 それ自体、今まで誰もできなかった大偉業なんだから」

とマイは言う。

 敬語を使わないスタイルなのが彼女だ。

 『誰にでもフランクに接する』、というよりは………『敬語なにそれ美味しいの』状態故のものらしいが(しかも生まれつきと来た)。

「誰もやらなかった、の間違いじゃないか?それ。

 無事に終わったのは向こうが大ポカやらかして自爆したのが原因だっただけで、俺達はそれに便乗してケリつけただけだ」

と俺は言った。こういうふうに言うのはメリビットさんの指導―――『猫を被れ』―――がきっかけだ。

 というか今日、エクステラ・ゼロ来てたよな?絶対卒倒するよねマドカさん。

 

 ………。

 ………はい、案の定卒倒しましたとさ。

 しかも1日完全にダウンしちまったし。

 ………どれだけ人が怖いんだ、マドカさんにとっては………。

 

 ―――side 神城まどか

 ………開幕から卒倒して、見事にぐだぐだした私ですが。

 こえーよ戦場ジャーナリストとか。いやマジでこえーよ来んなよ話しかけられたくねぇよそして私のそばに近寄るな………怖いから。

 それで、私のところも、新たに社員を雇い入れた訳なんだけど。

 見てて恥ずかしー社員が約1名ほど。

「『Ⅲ世(サード)』って………、孫かよ………」

私の孫こと、神城まどかⅢ世。

 まさかと思うかもしれないが英霊枠であり、クラスはセイバーだった。

 なんとこいつ病弱。

 しかし、それを補って余りあるほどの根性や体力があり、弱音を吐かないことに定評のある三日月相手に「もうマジ無理」と言わせた、というかへたばらせた程だ。

 但し、性格は弱かった頃の自分に限りなく近い。ニヒルなのは親譲りか?

 つーか病弱なのに体力あるって何だよ。

 三日月と神城まどかⅢ世(ポニテ故に見てるこっちが恥ずかしーのだが)が、鉄華団の周りを走り回って50周ぐらいして体力が有り余ってるんだと。

 新鉄華団本部って、1周辺り4kmはなかったか?それに高低差もきっついし。

 私なんてスフィア補正なしじゃ1kmも持たねぇぞ(補正ありでも40kmが限界だが)。

 というか、私のほうが病弱なんじゃねぇか?

 と思っていたのだが、彼女、某Oさんよろしく血を吐く。

 原因は咳が出る気管支喘息+肺炎+アレルギー性気管支肺アスペルギルス症と、肺関連の病気のオンパレードじゃねぇか!

 挙げ句肺結核までやらかして死んだァ?!お前のオールキャンセラーどうなってるんだ。

 そういえば。

「そういえば、獅電とラフトクランズが模擬戦してるんだっけな。見るか」

と言って、私は部屋にある大画面モニターを見る。

 それのコンソールを弄り、獅電とラフトクランズが模擬戦しているのを見る。

 おー、きっちり動いてるー、と思いながら、昨日のことを思い出す。

(対人恐怖症、まさかあそこまで重症だったとは)

私は某SCPの白いアレか?と言いたくなるような症状だった。戦場ジャーナリストの顔を見た瞬間に倒れるとは思ってもなかった。

 というか立ちくらみ発生したのが戦場ジャーナリストの髪の毛の先がちらっと映ったタイミングだ。

 パソコン的に言うと2ピクセルもなかっただろアレ。

 それで私は、獅電のカタログスペックを見る。

 『扱いづらい代わりにハイスペック』であるラフトクランズベーシックタイプに比べて性能はおとなしめだが、汎用性が非常に高い。

 その獅電に阿頼耶識を取り付け、最適化を施した獅電改《雷電号》は、ライド・マッスの専用機だ。

 ………今戦っているのは両者ともにコマーシャルモデルだが。

 しっかし、ジーリオには大仰なものを乗っけたなぁ、と私は反省する。

 今プトレマイオス2改に乗っけているラフトクランズ・ファウネア:ジーリオには、阿頼耶識システムを使う上で『欠けていたもの』を搭載している。

 簡単に言うと、『安全装置』である。

 搭乗者保護の為の制御システムだ。

 ほぼ本物の阿頼耶識と考えられる、ギャラルホルンのグレイズ・スルト(原作のグレイズ・アインに相当する機体)に乗っけられていた阿頼耶識に施されていた、搭乗者保護用安全装置を再現したものだ。

 これにより、接続優先時の神経系への負荷が今流通している阿頼耶識よりめっぽう減る。

 ………因みに、これにフィオレが試験搭乗したとき、データのアップロードとダウンロードの速度が初っ端遅すぎてフィオレが気絶したのは公然の秘密。

 

 それで、私達は、模擬戦終了後に(ジャーナリストの目を鉄華団側に押し付けながら)アドモス商会へ向かった。

 勿論、目的はクーデリアの護衛だ。

 そこで、結果と過程がキング・クリムゾンしてる野郎に遭った。

 アリウム・ギョウジャン、だっけ?

 こいつに(投影品で悪いが)ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムぶつけてぇ。

「ですから今こそ!貴女には立っていただきたいのです!火星の独立運動の火種を絶やさない為にも!!」

とアリウム(笑)は言う。

 アリウム・ギョウジャンのガワかぶったディアボロだろこいつ。

 そして私はこの悪魔に物申す。

「悪いがアリウム。

 コイツは動かねぇ時は『全くと言っていいほど動かねぇぞ』。

 実体験だからマジだ」

と私は言った。

 証拠はヴェーダ酷使して(勿論ティエリアも許可して)集めたくっている。

 私は、草の根運動を続けている活動家の発言を収めた資料を提示する。

「ここ1年の、活動家たちの記録だ。流石にスパコン数台をフル稼働して集めただけはある。

 ネットを通じて、多くの活動家が草の根運動してるし、『どっちにせよ独立ルートは確定』だから、激しい活動しなくたって、貴方達の目的は果たされるよ。

 憶測に過ぎない、という弱点はあるけどね」

と私は言う。

 憶測に過ぎない、というよりは、未来視使って見てみたのだが、やっぱ独立してるんだよな火星って。

「エクステラ・ゼロである貴方達もそういう立場ですか」

と悪魔は宣う。

「こちとら準惑星丸々本社としてる身なのでね。客観的に物申すことはできるが、貴方達のような視点は持てない。

 だから、データを纏めて証拠として出す、ぐらいしかできない。申し訳ない」

と魔神さんが言った。

 この他の面子として、にょギルがいる。社長と副社長がガン飛ばして悪魔を睨む図………、ある意味こえーな。客観的に考えると。

「………ではどうあっても、ご協力は頂けない、ということなんですね」

と悪魔は残念そうに言う。

 裏に『夢幻の射手』を忍ばせ、いつでもニトロハーケンを撃てるようにする。

「ヒィッ?!」

アリウムが後ろを向くが、そこには『何もいない』。

「ここには、亡霊がいるんですかね………」

と悪魔は言う。クーデリアは流石に首を振る。

 しかしアリウムの後ろには『夢幻の射手』が忍び込んでいる。

「で、では、『気が変わったら』気軽に声をかけてください。お待ちしております」

と言って、アリウムは退室する。

 私は即刻、アリウムが取締役を務めるテラ・リベリオスの通信回線の監視を開始する。

「お疲れ様でした、社長。それにエクステラ・ゼロのみなさんも。………向こうさんはやはり資金繰りが苦しいようですね」

と、ククビータというアドモス商会の事務が言った。

「私に限っては、任務にかまけて鉄華団からちょっと避難してきただけなんだよなぁ、アハハハ………」

と私は苦笑しながら言う。

 正直言って戦場ジャーナリストが来るのは心臓に悪すぎる。

 更に、クーデリアの側にいたフミタンが「あいつ非常識な動きに打って出てくるかもよ」という意味の発言をした。

「既に策は打ってある。

 ………が、私達が火星にいたら、暫くは攻められねぇよ」

と私は言った。

 しかし、クーデリアを止める発言ではない。

「鉄華団に連絡を。対策を取ります」

とクーデリアは言った。

 その時に立ちくらみがしたのは言うまでもない。

(できれば今行くのはよしてほしいものだ)

そう思いながら、私はにょギルに介抱を求めた。つらい………。

 

 ―――side out

 鉄華団本部へ戻るという事になり、ジャーナリストがいるという理由で悶絶しているまどかを他所に。

 灰色の髪の少年、ハッシュ・ミディは、鉄華団に入団してから、毎日モビルスーツに乗る訓練を受けており、既に難易度ノーマル(とは言うが鬼畜)のエクステラ・ゼロ製シミュレーターで、次の難易度にトライできる『基準点』である25分に到達していた。

 理由は唯一つ。

 『阿頼耶識をつけている三日月・オーガスを超える』。

「ある程度慣れてきたね。もう難易度ハードに挑んでいいよ」

と三日月は言っていた。

(三日月さんすらヒィヒィ言うシミュレーターなんだ、あっちはハードコアモードのルナティックらしいから、俺はまだマシな方なんだよなぁ)

とハッシュは思う。

 そして10分後にシミュレーターに入り込む。

 難易度ハード。

 たった1回やっただけで、ハッシュはへたばった。

「なんだこの人外魔境………。

 『定点狙撃手のMS1機に対し、獅電のノーマル装備で挑め』だと………?!」

とハッシュは言う。

 そこを、三日月が通りかかる。

「ハッシュ、どうしたの?」

と三日月が言う。

 率直に、ハッシュは言った。

「三日月さん、難易度ハードってどれぐらい突破に手間取りましたか?」

その質問に対し。

「うーん。1ヶ月ぐらい覚悟しておいたほうがいいかもよ?俺も3ヶ月も突破に時間を要したし。

 阿頼耶識つけた人も、シミュレーターじゃマニュアルだから、オルガですら5ヶ月近い時間がかかったし」

と三日月は言った。

 衝 撃 の 事 実 。

 それに、ハッシュはカチコーンと固まるしかなかった。

 

 エクステラ・ゼロが火星からケレスへ帰った2週間後。

 アリウム―――悪魔は、フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアの仇敵である、夜明けの地平線団を雇い、鉄華団を襲うように指示した。

 その当日、鉄華団本部には、クーデリアが居た。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side 夜明けの地平線団・正規の団員・指揮官

 俺は、団長の命令で、新鉄華団本部を襲撃した。

 トリニティが確認したデータがある。

 彼奴等は、基地に砲台仕組むとかいう、この御時世じゃ珍しい行為でトリニティを撃退していた。

 さて、どう動く?鉄華団。

 

 ―――side オルガ・イツカ

「エイハブウェーブが360!5個大隊のモビルスーツ部隊が、11時方向からまっすぐこっちに突っ込んできます!!」

と、オペレーターを務めるビトーが言った。

 来やがったか畜生。

「総員、第一種戦闘配置につけ。非戦闘員は地下へ、全砲台を展開。

 整備部はモビルスーツの出撃準備につけ。

 戦闘部はモビルスーツ乗りはモビルスーツへ搭乗、モビルスーツ持ってねぇ奴は監視部隊以外は全員地下へ避難。

 無人モビルワーカー爆弾を敵にぶつけろ。できる限り転けさせろ!」

と俺は言う。

「流石に慣れてますねぇ」

とマイは言う。

「エクステラ・ゼロに扱かれたので。

 しかも『指揮官が表に出てどうするんだ』と言われてしまいまして。

 昔とは違い、俺はここで指示飛ばしてるってわけですよ」

と俺はマイに話した。

 そして、監視部隊に所属しているユージンが、望遠で敵部隊を捉えた事を報告した。

『よし、陽動開始!無人モビルワーカー爆弾、一斉投下!!』

とユージンが言った。

 相手はモビルワーカーを出してきた事で、油断していた。

 ザマァねぇぜ!

 俺らだってガキから大人になるべく勉強してるんだよ!

 と俺は思った。

 

 ―――side 神城まどか

 遂に動き出したか。良かった、光学迷彩でここまで接近できた。

「よし、彼奴等に一泡吹かせてやろうじゃねぇか!」

と言って、光学迷彩を解除したプトレマイオス2改の全ハッチを開けた。

『ダブルオークアンタフルセイバー・黎明、ダブルオーガンダムセブンソード/G、ラフトクランズ・ファウネア:ジーリオ、射出準備!』

とオペレーターが言った。

 遂に、クアンタフルセイバー・黎明と、ファウネアジーリオが初陣となる。

「行くぞ………!

 ダブルオークアンタフルセイバー・黎明、神城まどか!

 ダブルオーガンダムセブンソード/G、ネロ・クラウディウス!

 ラフトクランズ・ファウネア:ジーリオ、フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニア!

 出る!」

特徴的な見た目の3機が、プトレマイオス2改から出撃し、大気圏へ突入した。

 それは、鉄華団にも分かっただろう。

 

 ―――side 三日月・オーガス

 俺は、新しくなったバルバトスで、敵を既に20機ぐらい撃破していた。

「数が多いな………」

と呟きながら、ガトリングを焚きながら敵機を斬り伏せていった。

『鉄華団の悪魔め………!』

ライフルを乱射してきたけど、その程度なら効かない。

「遅いよ」

バルバトスが握った太刀―――、『草薙の太刀』で、敵モビルスーツをばっさばっさ斬っていく。

 シノが乗る流星号や、ライドの雷電号、ダンテのラフトクランズや昭弘のグシオンリベイクフルシティもいるけど、それでもいつ物量で押されるかも分からない状態だった。

「出力を絞って」

色々調整して、太刀が動きたい方向に動かす。

 それで、敵モビルスーツを一文字に。

「斬る」

スパァァァン、と、敵モビルスーツが上半身と下半身に分かれる。

 これで26機。2個中隊は撃破してるけど、全然減らない。

(これが5個大隊か。ハードコアモードのベリーハードよりはマシだなぁ)

と俺は思う。

 ベリーハード、それは『愛機でダブルオーガンダムセブンソード/Gインスペクションの50個大隊と無補給で殴り合え』であり、俺でも「初見殺し」って言ってしまうほどだった。

 ハードコアモードじゃなくてこれだ。ハードコアモードだと相手の機体がアホみたいに硬くなる。

 そもそも使われてる機体が鬼畜。

 ダブルオーガンダムセブンソード/Gっていう、ネロが乗ってる機体の強化改修版の『ダブルオーガンダムセブンソード/Gインスペクション』という化け物機体が使用されてる。

 しかもパイロットは阿頼耶識以上の超反応で斬り殺しにかかってくる。

 しかも、『一発でも斬られたら即死』という特殊条件がハードコアモードでは付与されるんだ。

 まさに鬼畜。

 これをアーブラウの防衛組織も受けてると考えると………、うん。

 ブートキャンプ・インフェルノなんて馬鹿げた名前がつくよ。

 ハードコアモードに突入できたらオワタ式。

 それだけで、『イージーでも』ルナティックって言われる。

 そんな状況を経験したからこそ。

 バルバトスは被弾してもダメージが少なくなるように操作してる。

 四の五の言わずに片付けること、10分。

 60機以上のモビルスーツが破壊、若しくは無力化されて、相手も戦力の6分の1を蹴散らされていて、焦ってはないように見えるけど、突破を急ごうとしていた。

 そこに。

『ミカ!エクステラ・ゼロが来る!』

とオルガが言った。

 あ、やっぱり来るんだ。

 

 ―――side out

「く、押されているのか?

 こっちは5個大隊だぞ?」

と敵方の指揮官が言った。

 敵の実力を見誤っていた。

 只のガキだと勘違いしていた。

 否応関係なしに、敵は認めざるを得なかった。

「こいつ等、只のガキの集まりから、より洗練された民兵組織に変わりつつある………!」

と敵方の指揮官が言った。

 鉄華団の悪魔がガルム・ロディを斬り伏せ、阿修羅がガルム・ロディを殴り倒し、ピンク色のモビルスーツが直線に並んだ数機を剣で玉砕する。

 それに続くように、獅電と変な形のモビルスーツが攻撃を仕掛け、どんどん夜明けの地平線団の戦力が溶けていく。

 そこへ。

「上空に熱源だと?!」

指揮官が『来てほしくない』と願っていて、そいつ等が『鉄華団本部にいない事を確認した上で襲撃した』というのに。

 そいつ等は、ここへ天より舞い降りた。

「エクステラ………ゼロ………?!」

 

 鉄華団とエクステラ・ゼロには、ネームドが所属しているという。

 【流星の】ノルバ・シノ。

 【鉄華団の阿修羅】昭弘・アルトランド。

 【鉄華団の悪魔】【現代の剣豪】三日月・オーガス。

 【重力の魔術師】タカキ・ウノ。

 【薔薇の皇帝】ネロ・クラウディウス。

 【不死鳥の女帝】ギルガメッシュ。

 【二者穿一】魔神・沖田総司。

 【黄金千界樹の白百合】フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニア。

 そして、名を轟かせたのは彼女だ。

 【圏外圏で怒らせると怖い女】【真化の導き手】【太極】【無限の剣】【白銀の天使】【神稚児】。数多くの異名の中で、最も有名なのはこれだ。

 【矛盾を越えた超越者】神城まどか。

 彼女が駆る機体には、【量子の担い手】などという異名がつけられた。

 そして、その彼女は、強化された愛機と共に、火星へと再び舞い降りた。

 そして、その横には、戦場では初陣となる機体―――ラフトクランズ・ファウネア:ジーリオの姿があった。

「行くぞ、夜明けの地平線団。

 機体の貯蔵は十分か?」

 

 ―――side 神城まどか

 私達が参戦してからは、ほぼ圧倒的だった。

 ネロが片っ端から敵陣の中央へ突入して敵機をバラバラにしていたし。

「遅い!」

私も私で、敵機にGNマイクロミサイルぶち当ててヌッ殺しまくってたし。

 何より、実戦初投入であるファウネアジーリオが、これでもかと言わんばかりに強かったこと。

 これが、今回の勝因に入っていると言うべきだろう。

「扱いやすかったです。バスカーモードも、十二分に動きましたし」

と、戦闘終了後のフィオレが語るくらいに強い。

 性能面に安全面、2つの案件を考慮しつつ、『本来の』ラフトクランズ・ファウネアから設計データを流用した機体。

 モビルスーツ化に伴い、性能が大幅ダウンすると推測されていたが、ファウネアジーリオだけは違った。

 本家に匹敵する大出力。

 オルゴンエクストラクターの安定(過ぎるくらいの安定)稼働。

 各種スラスターの燃料消費の減少。

 いい事ずくめだった。

 それに、バスカーモードも十二分に動くとフィオレが報告する辺り、出力レベルは非常に高いことが伺える。

 そりゃまぁ、アレにはモビルアーマーのエイハブリアクターを積んであるし、当然と言われれば当然だが。

 それ以上に、制空権を取ったというのも要因の1つかもしれない。

 ともあれ、(ジャーナリストの目に怯えつつも)夜明けの地平線団の襲撃部隊を全滅させることに成功した。

 で、後日。

 月外縁軌道統合艦隊アリアンロッドの総司令様が、直々に新鉄華団本部を訪れるのだった。

 

 ………ちょ待って今このタイミングで貴方来ないで………(撃沈)。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 恐怖から撃沈したまどかだが、結局、彼女がいないと駄目なわけで。

 次回、「アリアンロッドと本気の対談!」。

 ………シニソーナンダガ。



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アリアンロッドと本気の対談!

〜前回のあらすじ〜

①まどか、己の心の冷たさを猛省する。

「………救えなくて、悪かったな」

 ・体は剣でできている。

②鉄華団の元に戦場ジャーナリストのマイ・コバヤシ(元ネタは名前の如く)が来訪する。

「戦場ジャーナリスト………マスコミ………うっ頭が」

 ・まどかはジャーナリストが苦手である。

③まどか孫入社。おのれマーリンby神城まどか

「ポニテとか、見てるこっちが恥ずかしいのだが。ポニテは悪くないのだが」

 ・神城まどかⅢ世、クラスはセイバー。

④まどか孫、三日月をそうそうにへたばらせる。

「病弱のくせに何だその体力」

 ・まどか孫の病気、咳が出る気管支喘息+肺炎+アレルギー性気管支肺アスペルギルス症と、肺関連の病気のオンパレード。ただし、これでも直接の死因にはならなかった。

⑤まどか、アリウム・ギョウジャンと会う。

「こいつに(投影品で悪いが)ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムぶつけてぇ」

 ・アリウム、結果と過程が入れ替わっている。まどか的に言うと、「キング・クリムゾンしてる」。

 ・GERで殴る………後は、分かるな?

⑥ハッシュ、難易度ハードのシミュレーターに入る。

 ・三日月でも苦労している。

 ・芋スナイパー相手にアッサシーンしなければならない。そりゃきついってもんだよ………。

⑦夜明けの地平線団、5個大隊(?!)360機のモビルスーツ部隊で新鉄華団本部を襲撃する。鉄華団、無人モビルワーカー爆弾と各種砲台で迎撃行動に移る。

「数が多いな………」

 ・三日月、流石に困惑する。

 ・(これが5個大隊か。ハードコアモードのベリーハードよりはマシだなぁ)………これでもエクステラ・ゼロの本気が伺える。全員イノベイター級であるダブルオーガンダムセブンソード/Gインスペクションと無補給で殴り合え、そりゃねーよエミヤ。

⑧ラフトクランズ・ファウネア:ジーリオ、降臨。というかエクステラ・ゼロ、強すぎ。

⑨後日、月外縁軌道統合艦隊アリアンロッドの総司令様が、直々に新鉄華団本部を訪れるのだった。

「………ちょ待って今このタイミングで貴方来ないで………(撃沈)」

 ・やめてラスタル!まどかの残りの空き容量はもうゼロよ!

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side out

 興味深い話だっただろう。

 現ギャラルホルン総司令とも言える、マクギリス・ファリドにとっては。

 『月外縁軌道統合艦隊アリアンロッドの総司令であるラスタル・エリオン自ら、鉄華団本部へと足を運ぶ』。

「どういう事だ………?」

その一報を聞いたマクギリスは、始めにそう言った。

 マクギリスは、鉄華団に夜明けの地平線団の討伐依頼を行おうと考えていた。

 しかし、行動するよりも先に、ラスタル・エリオンは『動いた』。

(まさか………)

彼は勘付き始める。

 『鉄華団は、別の誰かを通じて、アリアンロッドとの繋がりを強めているのではないか?』

 マクギリス派に、嫌な予感がし始めた。

 

 ―――side マイ・コバヤシ

「………ていた。………と、うん、いい記事になりそうだ。開幕から凄い記事が出来上がりそうだな」

と私は言った。

 書き上げた文章をクラウドにセーブ。私は、いつもこうするようにしている。

 さて、と。

「ふむ。かの超越者どのと団長は応接間で来客の対応ですか。それにしても、先程の悲鳴は一体………」

数分前、少女の『ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!』という悲鳴が上がっていた。

 ………何が起こったんだ………。

 

 ―――side 神城まどかⅢ世

 はい、その悲鳴の主が私です。

 シミュレーターにはまり込んでたとかじゃないんです。

 単に「Fate/Apocryphaのルーラー(女)と同じ状況」になっただけです。

 だって………、だっっって………!

 〜〜〜(恥ずかしすぎて何も言えない)?!

 

 ―――side 神城まどか

 アカン、体の震えが止まらない。

 目の前にいるのは、月外縁軌道統合艦隊アリアンロッドの艦隊司令官である、ラスタル・エリオン。通称肉おじ。

 いや、待ってくれマジで。ガエリオ経由でコネあったとはいえ………、そりゃねぇぜ………。

 自ら来訪だぁ?!自分の不始末を侘びに?!

 突然決まったことだから、イロイロな意味でこっちが再起不能になりかけてる。

「夜明けの地平線団襲撃の件、我々が対応しきれなかったのが原因だ。済まなかった」

とラスタルが言う。

 ………土下座で。

 横にいたイオクが「ら、ラスタル様?!」と言う。この時点で色々ヤバい。

 ここまでの覚悟を見せられたら、こちらも気絶寸前になっているわけにも行かない、か。

 さて、私はどうにかして、彼に椅子に座るように言う。………苦手な敬語で。

「それで………、ただ謝りに来たわけではないのでしょう?」

と私は言う。Yes思考No未来視。いいね?

 ラスタルは頷く。

「ああ。君達には、『夜明けの地平線団の討伐』を依頼したくてね。

 勿論、我々もイオク率いる第2艦隊も向かわせる。

 万一、マクギリスの部隊が来た場合には、基本的に無視で構わないが、攻撃してきた場合はその限りではない」

とラスタルは言った。

 やはりそうか。

 未来視、と呼ばれる力を使わずとも、そう言ってくるという予感はしていた。

「報酬は?」

とオルガが言う。

 こいつ、金の話になると某100万Gの男の如く食いつくな。

「………先払いだ。

 技量の低い奴を10名、それとそちらが望む者、それぞれ3人を選んで、夜明けの地平線団が全戦力を集結させるまでの間、そちらで扱き上げてほしい」

とラスタルは言う。

 私はそれを聞いた瞬間、口元が緩み、三日月状に歪んだ。

「それじゃあ………」

私は、その人物達を指名する。

 その人物達には、催眠術とか比喩とか、そんなチャチなものじゃ断じてない、もっと恐ろしいものの片鱗を味わうレベルの地獄が降りかかるのだった。

 ………指名した人物?

 あぁ、そりゃ………。

 鉄華団は適当なモブ(と言っていいのか分からない)3人、私達エクステラ・ゼロは、イオク・クジャン、ガエリオ・ボードウィン、ジュリエッタ・ジュリスを指名した。

 これ聞いたイオクは「フザケルナ!フザケルナ!バカヤロー!」と某ケリィ状態になり、ガエリオは「なんで俺なんだ」と言いたげな表情になり。

 ジュリエッタは「ありがとうございます」と一礼していた。

 が、彼等に待ち受けていたのは、先程言った通りの地獄だった。

 因みにラスタルは腹抱えて大爆笑していた。

 

 そ し て 。

 予定調和の如く、新鉄華団本部にて、ラスタル主催の焼肉パーティーが開かれた。

(やはり肉おじは肉おじであったか)

とか思いつつも、いつ胃に穴が開いてもおかしくない状態なのが私だ。

 育ステラで言うところのアルキメデスと言えば分かるだろうか。

 あいつもあいつで不憫な目に遭っているようだが(主に一人ツッコミ&もうひとりの主人公的な意味で)。

 鉄華団の面子は異常なスピードで肉を平らげていく。

 エクステラ・ゼロの社員の殆ど(凱を除く主要メンバーとフィオレを除く全員)も、鉄華団の団員程ではないにせよ、かなりの速度で肉を食う。

 一方、主要メンバーはあまり食事の速度が速くない。

 A5の黒毛和牛まで出されて、困惑しているのだ。主にグレイとアストライアが。

「食っておいて損はないと思うがな(もっきゅもっきゅ)」

と宣いつつ、焼きカルビを食らうロード・エルメロイⅡ世。

「こんなに美味い肉があったのか………!(もっきゅもっきゅ)」

感動のあまり、涙を流す衛宮s………ゲフンゲフン千子村正。

 やっぱりオカンはオカンだったよ。率先して肉を焼くエミヤ。

「社長!これ美味しいですよ!」

と宣いつつ米飯と共に肉を掻っ込む神城まどかⅢ世(私の孫(笑))

 奥の方で物凄いスピードで肉を平らげていく鉄華団を見て硬直するにょギル&魔神さん。

 周りに気圧されて食が一層進まなくなる私&グレイ&アストライア(ルヴィアさん)&フィオレ。

 ジュリエッタと何故か大食い対決しているライネスの横には、三日月とアトラ。

 カオスすぎて食が進まない。少しだけボリューム下げてくれ………。

 ラスタルの横で飯を食うノッブとイオク。

 ………そして、その光景を写真に収めつつ、隙あらば私に取材しようとする戦場ジャーナリスト。

 色んな意味で私が死にそうになっていた。

 ………英霊なのに走馬灯が見えるって何だ。

 そして、夜明けの地平線団の討伐依頼を受けたことを名瀬に報告した。

 

 ―――side out

 名瀬からの報告に、マクマードは、にっと笑う。

「良いタイミングで依頼が舞い込んできたな。しかもアリアンロッド直々に………。

 まどかがラスタル派についたガエリオ・ボードウィンとコネを持ったことそのものは把握していたが、まさか、ラスタルとも正式なコネができるとは………」

とマクマードは言う。

 彼女曰く、『奇跡の産物』らしい。

 しかし………。

「都合を合わせてきたな、ラスタル。

 しかも報酬は、アリアンロッドの兵士の育成経験。

 こりゃ『終わりのないのが終わり』とかいうやべーのになりゃしねーか?」

とマクマードは冗談交じりに言う。

 事実、彼女は戦場ジャーナリストとして名を馳せる、マイ・コバヤシに対して「私のそばに近寄るな、そして取材もするな。いいな?!」と言ってしまうほどである。

「まどかの胃が心配でならねぇが、彼奴等には依頼を受けさせてやれ。

 それなりにデカイヤマ、油断のならねぇ相手だ。袴きっちり締めてかかるように言っておけよ?」

とマクマードは名瀬に言った。それに、

「はい、しっかりと伝えておきます」

と名瀬は頭を下げながら言った。

 暫しの時間の後、丁度おやつ時の1時間程前に、名瀬はアミダと落ち合った。

「親父の許可が出た。早速オルガとまどかに伝えるとするか」

「ラスタル司令は何か期待しているのかねぇ。

 まぁ、あの人は端からあの子達にやらせる気だったんだろうけど」

と会話しつつ、2人は立ち去ろうとする。

 が、それを阻む者が1人。

 包帯ぐるぐる巻き(現在進行系)の男、ジャスレイ・ドノミコルス。

 テイワズの専務取締役にして、ナンバー2の男。

 1ヶ月前、神城まどかに女にとって迷惑千万な話をしたために、(マクマードの許可まで取って)まどかにオラオラされた人物。

まどか『質問だ。

 右で殴られるか、左で殴られるか………、どっちがいい?』

ジャスレイ『ひ、一思いに、右で………』

まどか『………(首を振る)』

ジャスレイ『ひ、左?!』

まどか『………………(首を振る)』

ジャスレイ『りょ、両方かーーー?!』

まどか『………(こくり、と頷く)』

ジャスレイ『もしかしてオラオラですかーーーッ?!』

マクマード『Yes, Yes, Yes, ………Oh My God』

………という会話があったとかなかったとか。

 この出来事の後のジャスレイは語る。

「あ、ありのまま さっき起こったことを話すぜ!

 『勘でオラオラであることを勘付いたのはいいが、まどか本人が殴ってくるわけじゃなかった』

 頭がどうにかなりそうだった………。

 守護霊(スタンド)とか奇妙な冒険とか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ………」

再起不能にならなかっただけマシだが、ジャスレイは大怪我を負うことになった。

 結果として、オラオラされる直前の、まどかの「鉄華団をガキの集まりと、私達をただの寄せ集め集団などと侮るんじゃあない。あと女を罵るな」という忠告通り、ジャスレイは(原作よりも)慎重になり、また鉄華団との関係も良好になりつつあった。

 そんな彼をも交えた3人で、しょーもない世間話をする傍ら、本題に移った。

「鉄華団とエクステラ・ゼロがでかい仕事を任されることになりましてね。ケツ持ちでてんてこ舞いってところですよ。

 ………あと、俺も1回彼女を怒らせたことがあるんですよね………。あんたと違って、オラオラはされませんでしたが、ありゃ次怒らせたら殺されるわ」

と名瀬は言った。瞬間、3人の空気が重くなった。

「流石神稚児だ………。()()()()()()()()()()

とジャスレイが。

「ありゃあんたの自業自得だったとはいえ、流石に()()()()()()()()()()()()()()()()()()ね………」

とアミダが言った。

 エクステラ・ゼロ―――特にまどかに関連した話になると、決まってこの3人は顔色が悪くなる。

 事実、彼女は社長のくせしてテイワズ内にて『マクマードの()()』呼ばわりされる程で、決まって彼女が忙しい時以外に限って裏切りを画策する馬鹿が出るため、彼女が『斬って回る』のである。

 その斬り筋を見たことがあるジャスレイや名瀬は確信していた。

(アイツは下手すりゃエイハブリアクターすら斬ってみせる)

と。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side 神城まどか

「―――へっくし!」

思いっきりくしゃみをした。

 誰か噂でもしているのだろうか?

 まあ、それはともかく。

 1週間前、アリアンロッド艦隊の第2艦隊が火星に到着した。

 ―――なので、夜明けの地平線団との決戦に向けて、兵士の練度上げが行われていた。

 うち、ケレスで行っていた兵士育成では、ガエリオ、イオク、ジュリエッタの3人が、必死にシミュレーターに嵌まり込んでいた。

「ば、化け物め………がくっ」

とイオク。

「強い、強すぎる!!」

とジュリエッタ。

「うっへー、容赦ねー」

とガエリオ。

 シミュレーターから出た後の3人は、這々の体でそう言っていた。

 何せ、シミュレーターの難易度がいきなりベリーハードからスタートしており、おまけにイオクに至っては特別教練メニューまで組まれているほどだからだ。

 この時の私は、(まさ)しく鬼教官だったと言える。

 その後の、ノッブによる対人訓練中だから、振り返ることができる。

 新兵教練を行う者は、全員揃いも揃って鬼畜だが、それでもここまではやってない。

 チャンスだったから、大人気なくやったとしか、今さっきの私の教育は振り返れない。

 だが、この1週間で、着実に、この中で最も技量が低かったイオクの技量がついている。

 ジュリエッタすら、その変化に気づくくらいには、技量が上がっている。

 具体的には、近接格闘の技術力上昇。

 また、サバイバル技術も、ある程度はつけられた。

 そして、何より。

 ダブルオークアンタフルセイバー・黎明(トランザムまで使用)との模擬戦で、イオクは勝利条件とされた『弾痕が残る程度のダメージを与える』という行為を、相手がトランザム状態の時に、『5発も』、『レールガン』で当て、見事にクリアしてみせた。

 また、ガエリオが評価するほどに艦隊指揮官としての技量が上がり、私をして「目つきが美遊兄みたいになった」と言わしめたほどだ。

 だが、これでも妥協はしない。

 残り1週間の強化期間、全てを使い、この3人を扱き上げて見せる………!

 

 そして、1週間が経過する。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side out

 依頼を承ってから2週間後。

 再び、火星にラスタルが来訪した。

「今度は何なんです?」

とオルガが言った。

 すると、ラスタルはタブレットを提示した。

「これを見てほしい。

 夜明けの地平線団の艦は、強襲装甲艦20に大型輸送艦60の、合計80。

 だというのに、カチコミをかける予定の地点にいる艦は、『旗艦と護衛艦の合計4隻しかいない』。

 オルガ、そしてまどか。これをどう見る?」

とラスタルは言った。

 タブレット上には、夜明けの地平線団の艦隊の位置が示されている。その中で、旗艦と護衛艦3隻しかいないという状況は、明らかに怪しかった。

『罠だな』

と。

 オルガとまどかは勿論、エクステラ・ゼロで練度上げをしていたガエリオとジュリエッタとイオク、オルガの護衛として来ていたユージンとダンテ、本来こういうところでは口出ししない筈の三日月と昭弘、まどかの護衛として来ていたにょギルとノッブ、魔神さんまで、揃って言った。

「アステロイドベルト抜けてから速度落とすとか、どう考えても罠だろこれ」

とダンテ。

「しかも他の船が影も形もないんだろ?どう考えたって罠だろ」

とユージンが言った。

 あからさま過ぎる。

 相手は奇襲しようと考えているのだろうが、生憎と、こちらにも『エイハブリアクター非搭載型艦船』が存在する。

 逆に奇襲もできるのだ。

 簡単に言うと、イザナギ、カグツチ、プトレマイオス(無印and2改)で、漁火(イサリビ)蛍火(ホタルビ)、そして第2艦隊を引っ張るのだ。

 イザナギが最もパワーが高く、第2艦隊から引っ張り出された6隻のうち、4隻までならトランザムなしで引っ張れる。

 ………が、ラスタルは、その手は使わないようだ。

「罠が仕掛けられているのはほぼ確実だ。

 だがここで手招きしている訳にもいかない。

 故に、『既にそこにいる』と仮定して、そこへ向かうのがいいだろう」

とラスタルは言った。

 全員そう考え、1ヶ月と3週間後までの討伐を決定した。

 

 その会議から1週間後、ギャラルホルンの本部・ヴィーンゴールヴでは、セブンスターズの面々が専用会議室に来ていた。

 第一席・イシュー家当主代理、【戦乙女】カルタ・イシュー。

 第二席・ファリド家当主、【バエル馬鹿】ことマクギリス・ファリド。

 第三席・ボードウィン家当主、【鉄人】ガルス・ボードウィン。

 第四席・エリオン家当主、【肉おじ】ことラスタル・エリオン。

 第五席・クジャン家当主、【脆き夢想(モールデッド)】イオク・クジャン。

 第六席・バクラザン家当主、【絶対中立】ネモ・バクラザン。

 第七席・ファルク家当主、【無銘】エレク・ファルク。

 全当主が勢揃いし、会議が行われている。

「イシュー公連携しての地球外縁軌道統制統合艦隊の再編と、各経済圏との関係改善。見事な手腕だな。ファリド公」

と、ガルスが称賛した。マクギリスとガルスは、ガエリオの妹であるアルミリアとの婚約の関係で義理の親子関係を構築している。

 対しマクギリスは、すました態度で応える。

「いえいえ、皆様方のご指導と、統制統合艦隊旗下隊員の努力の賜物でしょう。実際に指揮をとっているのは、イシュー公です」

「いや、あそこまで行ったのは、ファリド公、貴方の骨が折れるような活躍故ですよ。

 何なら、正式に私が就いている艦隊司令の座を『譲っても構わない』わ」

とカルタが言う。だが、マクギリスは頑なにその提案を断る。

「いえ、その座はあなたのものです。これからもそこについていてください」

とマクギリスは言った。そして、本題に移る。

「現状、地球圏は安定を取り戻しつつありますが、火星圏や圏外圏は未だ不安定なままです。

 さらに、各経済圏は己の戦力を保持し、水面下での競争をし続けています。

 ギャラルホルンの権威が失墜した今、これまでの方法では問題だらけで、新たな手を切る必要がありますが、どうでしょうか」

とマクギリスは言った。

 そこへ、口を閉ざしていたラスタルが口を開く。

「ファリド公、その『新たな手』というものの試験運用は、いつ、どこで行う気だ?」

「はい、主に火星近海で活動を行う宇宙海賊、夜明けの地平線団。

 その討伐にて、『新たな手』………『あらゆる状況下に於いて最先鋒を務める遊撃部隊』の試験運用の許可を頂きたい」

とマクギリスは言った。

 ファリド家独自の部隊ができると、マクギリスは言う。

「残念だがファリド公、『それはできない』」

とラスタルは言った。

「夜明けの地平線団は、既に鉄華団本部を『クーデリア・藍那・バーンスタインの殺害』を目的として襲撃し、少なくない被害を出している。

 そのことで数回、鉄華団とエクステラ・ゼロと打ち合わせを行っており、既に両方の了承を得て、正式に契約している。

 故に、我らアリアンロッドから、夜明けの地平線団の討伐の許可を頂きたい」

とラスタルは言った。

 マクギリスはそれを聞いて、少しムッとしたが、すぐに気を取り直した。

「了解した。夜明けの地平線団は、そちらに任せる」

とマクギリスは言った。

 結果として、マクギリスは新設部隊の試験運用のタイミングを逃すことになった。

 

 地球、アーブラウの鉄華団地球支部兼エクステラ・ゼロ地球支部。

 そこで、鉄華団地球支部副支部長のチャド・チャダーンが、ラディーチェ・リロトと揉めていた。

「どういうことですか!獅電の到着が遅れるとは!予定はきっちり守ってもらわないと困ります!」

とラディーチェは言っていた。

 それに対し、チャドは。

「例の海賊騒ぎで、正確な航路が組めないんです!それ故正式なスケジュールも組めませんし、最初の予定から半年遅れることは予測済みでした!」

とチャドは言っていた。

 事務室で事務作業をする団員たちも、眉を顰めたり、隣同士で陰口を叩きあうなど、ラディーチェに文句があるような行為をしていた。

 ついでに言うと、エクステラ・ゼロ地球支部長のティエリアも眉を顰めていたし、アストンとタカキと陰口を言ったりしていた。

「一度決定して頂いたことはきっちり実行して頂かないと。それに、ランドマン・ロディと少数生産であるラフトクランズだけでは戦力不足です。

 一刻も早く獅電の配備を急がないと、防衛組織の方々からせっつかれてしまいますよ………」

とラディーチェは言った。

「それがどうした?

 海賊騒ぎのせいで、獅電だけではなく、追加で生産したラフトクランズ5機とラフトクランズ・ファウネア1機の輸送もできない状況で、本部がモビルスーツを送ると思うか?」

とティエリアが乱入しながら言ってきた。

 ラディーチェはぎょっとする。

 しかも、追加生産のラフトクランズと、新型であるラフトクランズ・ファウネアの輸送すら滞っているとは、ラディーチェ自身も思っていなかった。

「な………、そ、そうなんですか………。分かりました、本部には無理言わないでおきます」

と、ラディーチェは反省するように言った。

 そして、入れ替わりでビスケットとイリヤと美遊とクロが事務室に入ってきた。

「まーたラディーチェさんですかーぁ」

とイリヤが言った。成長したのか、雰囲気が若干変わっている。

「獅電の輸送関連はテイワズの仕事だ。

 鉄華団が文句言ってもしょうがない。

 だけど、ラフトクランズはそっち持ちですよね?」

とビスケットは言った。

「そうだ。だが、流石に本部は都合が悪いようだな。それに、やっぱり海賊騒ぎのせいで迂闊に手が出せないようだ」

とティエリアが言った。

 2人の支部長は笑い、そして、ため息をついた。

「ラディーチェ、裏切る気満々だろ、アレ」

とティエリアはこっそりビスケットに言った。

「まぁ、たしかにそういうニオイも雰囲気もするけど、やるとは思えないんだよねぇ」

とビスケットは応える。

「その根拠は?」

とティエリアは言う。

 その理由として、1ヶ月前の、まどかがジャスレイをオラオラした、という話を上げた。

「あぁ、ジャスレイの何気ない一言で、まどかをブチギレさせて、挙げ句マクマード氏の許可を得て再起不能寸前にした、っていうアレか」

とティエリアは言った。

 あれを出してきた、ということは………。

「裏切ったら、どういうことであれ、すっ飛んできてフルボッコにするんじゃないですかね?

 それで、『終わりのないのが終わり(ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム)』って状態にするとか」

とビスケットは言った。

 まどかだったらやりそうで怖い。

 しかし、その着眼点は確かに当たっていて。

 ラディーチェは、鉄華団やテイワズ、エクステラ・ゼロを裏切るという、まどかでも想像つかないような真似をした。

 

 もちろん、予定調和の如く失敗する。

 ある金髪の青年と、ジッパーの男たち、通称『内部監察(ブチャラティ)チーム』の手によって。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 そして、準備は着々と進んでいく。

 イオクのレギンレイズは、技量が上がったことが評価され、腰にナイトブレードの改修版である《ナイトブレード改》を装備することになった。

 また、ジュリエッタは、この戦闘のために特別に貸与された機体である、エクステラ・ゼロの試験機、GN-0000+GNR-010《ダブルオーライザー》を使うための各種訓練を受けていた。

 ほか、ガエリオはガンダム・キマリストルーパー改め、ガンダム・ヴィダールの操縦桿の『遊び』の調整を行ったりした。

 ラスタルは、鉄華団、そしてエクステラ・ゼロと打ち合わせをし続け、更に追加で資金の贈呈を行うことが決定された(あと祝勝会と称した()()()()()()()も追加された)。

 鉄華団も鉄華団で、機体の調整などを進め、獅電の最終調整も敢行していた。

 そして、エクステラ・ゼロは、ダブルオークアンタフルセイバー・黎明やラフトクランズ・ファウネア:ジーリオなど、調整がむちゃくそ面倒臭い機体の整備を推し進め、また各パイロットの訓練なども必死に行っていた。

 更に、ガンダムハルートも乗せ、準備を完了させた。

 翌日、アリアンロッド艦隊第2艦隊のハーフビーク級6隻と、鉄華団の漁火と蛍火。

 エクステラ・ゼロのイザナギ、プトレマイオス、プトレマイオス2改、カグツチ、それとGN兵装の強襲装甲艦2隻という、合計すると14隻という艦隊で、夜明けの地平線団が居る宙域へと向かった。

 相手は、総計で80を越す艦隊を有する、大規模な宇宙海賊。

 しかし、そこへ、技量と戦術脳が身についたイオク率いるアリアンロッド艦隊第2艦隊と、天下無敵の鉄華団、天下無双と謂われるエクステラ・ゼロが加われば―――勝機は、漆黒の闇の中の小さな点という程度ではあるが、『ある』と言える。

 できる事なら、夜明けの地平線団の首領、サンドバルを捕らえる。できなくても、半数以上を撃墜する。

 それだけでも、多少はマシになる。

 この戦いで、『夜明けの地平線団を壊滅させられるかどうか』。

 そこに、ありとあらゆるメディアが注目した。

 例えば、マスコミ。

 まどかはとことん酷評しているが、彼らがいなければ、地球支部にも情報が伝わらない。

 例えば、戦場ジャーナリスト。

 鉄華団には戦場ジャーナリストであるマイ・コバヤシが来ており、『夜明けの地平線団が壊滅した』という情報を世間に齎したいと考えている。

 例えば、ネットの住民。

 記事を受け取り、それを評価する者が、良いようにも、悪いようにも情報を解釈する。

 まどかはそれを狙った訳ではない。

 善意の押し売りと言われたら仕方がない。

 だが、やるしかないのだ。未来の為に。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

〜次回予告〜

 

 お前は、どこへも、向かうことはない。

 特に、真実に到達することは、決して………!

 次回、「真実に到達することは決してない。お前達は、な」。

 奴等はもう、どこへも向かうことはない。特に奴等が、真実に到達することは決して。

 死ぬという真実にさえ、到達することは決して、『無限に』。

 終わりのないのが『終わり』、それが―――。




ジャスレイ生存ルートです。あとイオク生存ルート(&超強化)です。
ラディーチェは某金コロネにチョコラータと同じ状態にされる予定です(話が変わらなければ)。


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真実に到達することは決してない。お前達は、な

〜前回のあらすじ〜

①ギャラルホルン・月外縁軌道統合艦隊アリアンロッドの艦隊司令官、ラスタル・エリオンと対談。

 ・夜明けの地平線団に関係した対談。

 ・まどか、対談中、ずっとビビりまくっていた。

 ・この後焼肉パーティーになった訳だが、まどかは「フェイト/育ステラ」のアルキメデスのような状態になっていた。

 「英霊なのに走馬灯が見えるってなんだ」

②イオク、ジュリエッタ、ガエリオがエクステラ・ゼロのシミュレーターをやる。3人共にSAN値が直送される。

 ・シミュレーターの難易度が、ベリーハードからスタートしている。殺す気か。

③報告を受けた名瀬、マクマード・バリストンから許可をもらう。あとジャスレイが地味に、過去に酷い目に遭っている。

 ・酷い目:まどか『質問だ。右で殴られるか、左で殴られるか………、どっちがいい?』→ジャスレイ『ひ、一思いに、右で………』→まどか『………(首を振る)』→ジャスレイ『ひ、左?!』→まどか『………………(首を振る)』→ジャスレイ『りょ、両方かーーー?!』→まどか『………(こくり、と頷く)』→ジャスレイ『もしかしてオラオラですかーーーッ?!』→マクマード『Yes, Yes, Yes, ………Oh My God』

 ・因みに、名瀬もあわや、な状態になっていた。アミダ曰く「あんたの自業自得」。

 ・こういうこともあって、鉄華団、エクステラ・ゼロ、タービンズ、JPTトラストの関係は良好である。

④夜明けの地平線団、けっこうつおい。

 しかも罠を敷いている。

 ・艦隻数が8倍、モビルスーツも原作以上の量。質がないなら数で押せ。

⑤マクギリスが自分の腹に収める部隊の試験運用の許可を求めるが、ラスタルが遮る形で夜明けの地平線団討伐の許可をもらう。

 ・復習だ。マクギリスとラスタルは政敵。

⑥ラディーチェの悲鳴にティエリア他多数が文句を言う。

 ・獅電輸送遅い!→この状況ではラフトも来ねーよ→またラディーチェか

⑦ラディーチェの行動は、ブチャラティチームによって防がれることになる。

 ・金コロネ(ジョルノ)もいるよ!

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side out

 その日、アリアンロッド艦隊と鉄華団、エクステラ・ゼロの連合軍は、宇宙海賊・夜明けの地平線団と交戦した。

 夜明けの地平線団側は、総計80隻という大艦隊だった。だが、その大艦隊に加えて1000機以上のモビルスーツ部隊を持つ彼らであっても、技量を磨かれていた連合軍の方のが圧倒的に有利だった。

 

 Post Disaster 〜Fate/ the over-riser 別編〜

 真実に到達することは決してない。お前達は、な

 

 ―――side 神城まどか

 私は、ダブルオークアンタフルセイバー・黎明で、夜明けの地平線団のガルム・ロディやスピナ・ロディを片っ端から無力化していった。

『うおおおお!!』

『自由、自由、自由だああああ!!』

夜明けの地平線団に買われたヒューマン・デブリ達は一様に叫ぶ。

 なので、両腕を切り落とした後には必ず膝蹴りを入れて中のパイロットを気絶させている。

「ちょこまかと、しつこいぞ!!」

と言って、私は纏わりつこうとしてきたガルム・ロディの頭を潰す。

 然る後にサマーソルトキックをぶちかまし、急速後退する。

(ヒューマン・デブリの様子がおかしい………。

 まさか、何らかの言葉で誘った?)

と私は考える。まさか………、『ID返却を人参にしている』?

「投影、開始(トレース・オン)」

仕方ない。ちょっと爆弾投下するか。

「我が骨子は捻れ狂う………!」

クアンタフルセイバーは弓を左手に持ち、右手で『偽・偽・偽・螺旋剣(カラドボルグⅣ)』を番える。

「………!!」

そして放つ。

 放った弓は、重力のない宇宙空間という事もあり、一直線に飛んでいき、指揮官級と考えられるガルム・ロディに直撃する。

「―――壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)」

当たったのを確認した後に『壊れた幻想』をぶちかます。

 その機体は、周囲にいたガルム・ロディ数機を巻き込んで爆散し、フレームとエイハブリアクターを除いた全てが消滅した。

 巻き込まれた機体も、装甲が焼け落ちたり、武器を喪失したり、四肢のいずれかが外れたりしていた。

「遅い!」

その、ボロボロの機体群を無力化していき、私はダブルオークアンタフルセイバー・黎明で敵機体群の真ん中に突っ込んで行く。

 かれこれ、300機以上のモビルスーツを無力化していったが、尚も敵機は健在だった。

(状況が芳しくない………。ダンテの報告を待つ他ないな………)

と思いつつ、私はゾンビ狩りをするかの如く、機体を駆って敵モビルスーツ部隊を蹴散らしていった。

 ダンテは、今頃、敵モビルスーツ1機を生け捕りにして、データの吸い出しを行っている頃だろう。

 

 そして、敵部隊のヘイトを取る行動―――タゲ取りを行っている間に、敵艦隊の正確な位置の割り出しを行ったダンテが、味方部隊にデータを送ってきた。開戦から10分のことだ。

「ほう………?

 味な真似をしているな、サンドバル・ロイターという男は」

と私は言った。

 この間にも、私は追加で175機無力化していて、その代償なのか、ダブルオークアンタフルセイバー・黎明の右腕にガタが来ていた。

「だけど、右がやられる前に、サンドバルは生け捕りしておきたい、なァッ!!」

自棄になった私は、左腕にGNバスターソードⅢを持って、近づいてきていたガルム・ロディ6機のコックピットブロックを破壊した。

『くっそ、矛盾を越えた超越者(アムブリエル・ジ・オーバーライザー)め………!!』

とか言いながら、突っ込んでくるガルム・ロディ数機。

「じゃんけん、死ねぇ!!」

もう何がなんだかわかんねーよ。

 とりあえず、GNバスターソードⅢで近づいてきていたそいつ等を叩き斬った。

 生身じゃねぇから鶴翼三連できねぇ畜生!投影魔術は使えるが、カラドボルグの例からも分かると思うがランクがガタ落ちする!!

「オラオラァ!

 解体(バラ)されたいド阿呆から掛かってきやがれ!」

 

 ―――side ガエリオ・ボードウィン

 俺は、ガンダム・ヴィダールで夜明けの地平線団の討伐を行っていた。

 しかし、数が多い………。

『皆さん、敵艦隊の正確な位置が割り出せました!』

と言った、鉄華団のダンテが、データを送ってくる。

「これは………?!

 伏兵か………!全機、補給を受けられるならすぐに受けに行け!伏兵がいるぞ!」

と俺は号令を出した。

 俺も、100機近くのモビルスーツを無力化している。ちょうど頃合いだろう。

 

 ―――side サンドバル・ロイター

 俺達は、ギャラルホルンと鉄華団、エクステラ・ゼロの部隊を迎撃していた。

「頭目、そろそろ良いんじゃないですか?」

とオペレーターが言った。

「ああ。伏兵(シーフ)を出せい!」

と俺を指示した。

 しかし、その直後に面倒臭い一報が入った。

「敵部隊、後退していきます!!前線で暴れ回っていた矛盾を越えた超越者もです!」

「ほう………?ビビったか………?」

と俺は言った。

 しかし、オペレーターの顔色は悪いままだ。

「いや………、バレてます!伏兵艦隊5隻のいる方向に、ミサイル多数!」

とオペレーターが言った。

「な、何ぃ?!」

俺は、その報告に、只々驚愕する他なかった。

 伏兵がバレた。それだけで、俺は冷や汗をかかされた。

 

 ―――side フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニア

 私は、ファウネアジーリオに乗って、出撃待機をしていた。

『出撃準備、完了!』

とコレットさんが言った。

「了解、フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニア、ラフトクランズ・ファウネア:ジーリオ、行きます!」

私を筆頭とした、第2攻撃部隊が、さっきまで戦闘していた、第1攻撃部隊が補給し終えるまでの時間を稼ぐことになった。

 大丈夫。こっちには、まどかⅢ世が居る。

 

 ―――side 女帝ギルガメッシュ

 妾は、ガンダム・フェニクスの補修が終わるまでの間、補給としてエミヤが作ったサンドイッチを食べていた。

「数多過ぎであろう?!」

流石に音を上げざるを得なかった。

「仕方ないだろ?そういう奴らなんだから。

 しかも整備部は現状、ダブルオークアンタフルセイバーの腕の付け替えを行ってるんだ。

 帰ったらその部品の状態確認まで行われる。

 その影響で、暫くはフェニクスは出せねぇ。

 ま、暫く腹を満たしておけばいいだろう」

とエミヤが言った。

 確かにそうだな。腹が減っては戦はできぬ。

「その言葉、忠告として受け取っておこう」

と妾は言った。

 

 ―――side out

 フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアを筆頭とした、第2攻撃部隊の活躍は凄まじい物があった。

「な、何だこのモビルスーツは?!ウワアアアア!!」

エル駆るマカツイカルガが圧倒的速度を以て、片っ端から敵を無力化していき。

「遅い遅い!もっと速く動いてみよう!」

「ひぎゃああああああ?!」

まどかⅢ世駆るジェニオンが、前線をかき乱しながら敵機の駆動系を破壊し。

「そこ、動かない!」

「「「ヤッダァァァバァァァアアア!!」」」

フィオレのラフトクランズ・ファウネア:ジーリオが、オルゴンキャノンで敵機体群を一網打尽にし。

 結果として、夜明けの地平線団は、全モビルスーツ戦力のうち、8割を失っていた。

 そして、第2攻撃部隊が戦闘を開始してから30分が経過した頃、第1攻撃部隊が再武装を完了して出撃した。

 

 ―――side 神城まどか

 再び宇宙空間に出た私は、敵機を片っ端から無力化していった。

 ジェニオン―――まどかⅢ世が活躍している場所では、20機程度のガルム・ロディが浮遊していた。

「ちょっと邪魔だ、お前等!!」

と言いながら、私は接近してきたガルム・ロディ2機の両腕を切り落とした。

『貰ったァァァァ!!』

しかし、後ろに回り込んでいた奴がいた事には気付かなかった。

「邪魔するんじゃねぇ!!」

ザンライザーのバインダーからGNマイクロミサイル数本を射出し、爆発させる。

『うおおおおお!!

 俺は自由になるんだァァァ!!』

頭部を破壊され、両腕をもがれても尚、突っ込んでくるガルム・ロディ。

「………ッ!」

振り向いて、GNソードⅡブラスターで敵機を撃ち抜く。

 敵機は無力化される。

『貰ったァァァ!!』

しかし、それが隙を生んでしまった。

 絶対に回避できない場所に、アサルトライフルを持ったガルム・ロディが5機。

「………チッ、クソッタレが………!!」

GNソードビットで、5機を迎撃する。が、その後ろから現れるユーゴー。

「なっ………!?」

『かかったなアホが!!』

何をしても対応できない。

 どうする………?!

 生存が絶望的だった私を救ったのは、ダブルオークアンタの前世代機―――ダブルオーライザーだった。

『大丈夫ですか!』

「悪ぃ!心配かけたな………!」

ジュリエッタに感謝しつつ、私は敵部隊の中央へと突っ込んで行く。

 

 ―――side サンドバル・ロイター

 俺達の思ったように事が運んでいない。それどころか、地味に押されている。

「奴ら思った以上にやりやがる。件の新型まで引っ張り出して、まさに鬼畜な状態だ」

と俺は言った。

 ブリッジの面々まで困惑する。

「だが………、だが、逆に言うと、奴らの中核さえ倒せばまだ勝ち目がある。………ふん、ここは1つ、起爆剤を投下することにするか。

 総員に伝えろ!サンドバルが出るとな!!」

 

 ―――side 神城まどか

『サンドバル!サンドバル!サンドバル!サンドバル!サンドバル!』

周りが煩くなってきた………。遂にサンドバルが動くか………。

「来やがれ、サンドバル・ロイター………!

 ガエリオさん、ジュリエッタ!力を貸してくれ!

 サンドバルを、倒す………!」

と私は言った。

 敵旗艦の艦橋から現れたユーゴーは、偃月刀を持っていた。

『見せてやろう、このサンドバルの戦いをな』

と奴は言った。

 サンドバルのユーゴーが、先行したアリアンロッドのグレイズ2機を、常人ならば目にも留まらぬ速度で、コックピットブロックごと破壊する。

「ジュリエッタ、援護は任せる!ガエリオさんは裏取りよろしく!」

『はい!』

『了解だ!』

ダブルオーライザー、ダブルオークアンタフルセイバー・黎明、ガンダム・ヴィダール―――3機の『ガンダム』が、バラけて行動する。

 私は、奴のヘイトを集めることに専念し、可能ならば奴を無力化する。

「ラァァァッ!!」

サンドバルのユーゴーの2振りの偃月刀とダブルオークアンタフルセイバー・黎明のGNソードⅤが激突する。

 1、2合打ち合っただけで、なんとなくだが相手の動きが読めてきた。

「なんか、お前………、癖があるな?『斬り筋を受け流そうとする』癖が………!」

と私は言った。

『よくその領域に辿り着けたな!』

とサンドバルが応じる。

 この間にも剣戟をしていたのだが、やっぱりというか、『偃月刀の形状だけではなく、サンドバルの技量も込みで剣が受け流される』。

「毎日『 (から)』の領域に方足突っ込んでりゃなんとなく分かるさ………!」

と呟きつつ、私はコンソールを操作する。

「上げていくぞ………!トランザム!!」

私はトランザムを起動する。

『コイツ、まだ速度が上がるか!!』

とサンドバルが言う。その瞬間だ。

『後方注意だ!悪く思うなよ!!』

ガエリオ駆るガンダム・ヴィダールの持つバーストサーベルが、サンドバルのユーゴーに食い込む。

『コイツぅぅぅ!!』

とサンドバルは悶絶する。

 彼は油断してはいなかっただろう。だが、今起こっている事象に驚愕しっぱなしで、その次を見切ることができなかった。

「――――――ァッ!!」

GNソードⅤを、奴の左腕にぶつけるように振るう。

 一撃で、サンドバルのユーゴー、その左腕は破壊された。

「まだまだぁ!!」

『〜〜〜〜〜ッ!』

振るう剣は、また偃月刀に止められた。返す刃でユーゴーは偃月刀でこちらの右腕をもごうとする。

「甘い!!」

サブアームで保持したGNバスターソードⅢで、偃月刀を受け止め、若干ノックバックさせる。

 すぐにGNバスターソードⅢを再マウントし、私はGNソードⅣフルセイバーを抜刀。

 ユーゴーの右腕目掛けて振るい、そのまま全速力で加速。

 夜明けの地平線団の旗艦にぶつけ、そのままユーゴーをホールドした。

『超越者め………!』

とイジェクトされたサンドバルが言った。

 こうして、決着はついた。

 因みに、剣戟回数は普通に万を越していた。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side out

 夜明けの地平線団壊滅後、1週明けた日。

 ギャラルホルン本部、ヴィーンゴールヴ。

 ラスタル主導の夜明けの地平線団の討伐は成った。

 だが、ラスタルやイオク、ガエリオ他セブンスターズにとっては、ここからが『戦い』の本番である。

「任務は達成しましたが、問題が浮き彫りになりました。

 第2艦隊には、抑止力という抑止力がありません。故に、これからも、民間協力者たる、鉄華団とエクステラ・ゼロとの連携の下、クジャン公を筆頭とした部隊の演習を行っていこうと考えております」

とラスタルは言った。

 マクギリスの目元が暗くなる。

「民間協力者には報奨を出す。

 それで構わないか?ファリド公」

とラスタルは言った。

「あぁ、構わないとも。私達はそちらへは妨害工作を行っていない。

 これでこの件は手打ちとして良いでしょう。

 異論はございませんか?」

とマクギリスが言う。

 他の面々は何も言わない。ただ首肯するだけだ。

 

 一方その頃の鉄華団とエクステラ・ゼロは、火星の新鉄華団本部にて、地球支部と連絡を取っていた。いつも通りの定期通信である。

「………ということだそうな。こっちへの報奨は滞りなく支払われるそうだ………。

 あぁ、お前達を()()()()()()()に誘えなくて、本当に悲しい………」

とユージンが言っていた。

 通信後、オルガは慣れぬデスクワークをこなしつつ、夜明けの地平線団との戦闘で被った被害をまとめ上げていった。

 死者こそ出なかったものの、怪我人やモビルスーツの損壊など、上げられるだけ上げたら大変な事になっている。

 鹵獲したモビルスーツの売却や、アリアンロッドからの報奨で、収支的には大がつくくらいの黒字だが。

(アリウムには、ちゃんとツケ払わせなければならないな………)

と、オルガは考えた。

 捕えた団員のうちの幾人かは、「テラ・リベリオスが俺達に指示した」と言っている。

 ならば、落とし前をつけなければならないのが道理だろう。

 

「………ということで、報奨は滞りなく支払われる。1週間以内に祝勝会でそちらに向かう」

と、通信越しにラスタルが言った。

 まどかはそれに礼をしつつ、『ヒューマン・デブリの保護』に関する打診についての質問をした。

「あぁ、それか………。

 それについては申し訳ない。所有物扱いであるとはいえ、彼らも犯罪に関わっていた為、無罪放免という訳には行きそうもない」

とラスタルは答えた。

 敵対組織であっても、その組織を潰した後に残ったヒューマン・デブリの保護をしてきた鉄華団とエクステラ・ゼロだが、流石にギャラルホルンが―――特に、アリアンロッドが関わってくると、そう簡単には保護できない、ということだろうな、とまどかは考える。

「分かりました、子供達のことは任せます。

 夜明けの地平線団のことも、話し合った結果、全面的にそちらに預けることになったので………。

 こちらはこちらで、落とし前をつけなければならない外道がいるので」

とまどかは言った。

「テラ・リベリオスだな?

 ならば火星支部の面々に協力させよう」

とラスタルは答えた。

 その後、幾許かの会話の後、通信が終わった。

 まどかは溜息を付きながら、自室のベッドに横たわった。

(マクギリス………、()()()()()()()には、させないからな………)

と、まどかは心のなかで呟いた。

 

 3日後。

 クリュセ市街の古めかしいビルの中にあるテラ・リベリオス本部に、オルガと三日月、その他主要メンバーが訪れていた。

「………そんなわけで、俺達、鉄華団とエクステラ・ゼロは、あんた達に―――いや、あんたに損害賠償を請求する」

とオルガは言った。

 アリウムは身を震わせながら、やれ「夜明けの地平線団と我々は無関係」だの、やれ「火星の独立の為に尽力しただけだ」だのと宣い、御為ごかしをし続けていた。

 しかしオルガは、「『テイワズが本気を出す前に』片をつけたほうがいいと思ってな………」と言って、アリウムに反論の余地を与えないようにしていた。

 即座に、オルガはタブレットを2つ提示する。

「算出したうちとエクステラ・ゼロの損失だ。

 耳揃えて出せとは言わない。融資なり何なりして、払うんだな」

とオルガは言った。

 提示されたタブレットを、恐る恐る見たアリウムは、さらに悲鳴を上げる。

「こ、こんな法外な!我等が財産を全て売り払っても、こんな額は出せるものか!」

とアリウムが叫ぶ。

「じゃあどうするんだ?俺達は、あんたに、落とし前をつけに来たんだよ」

とオルガが言う。

 三日月が銃を取り出す。しかし、オルガはそれを止める。

「あんた達はそれだけヤバいことを仕出かしたんだ。

 ちょっとでもズレてたら、俺達はともかく、火星も『血で染まっていた』かもしれないんだぞ?」

とオルガが、ドスを付けて言う。

 アリウムは恐らく、『クーデリアを殺して、強引に火星の独立運動を炎に変えようとした』のだろう。

 そうでなければ、夜明けの地平線団が、あんな大規模な襲撃や、80隻を超す大艦隊を組んでの迎撃などする筈がない。

 法外とか言っていたがアレでもまだ安い。

 黒字だからそこまで求めていない、という点もあったが、『できる限り、市場の最安値で集められるように』損害賠償のカネを計算した。

 最低限、一生かけて払えばどうにか払い終えるぐらいの額だ。

「じ、時間をくれ………」

とアリウムが言う。

 そうして、金策を練ろうとするアリウムだったが、そんなこと『出来る訳がない』。

 理由は簡単である。

 これに関連した情報を、『クーデリアを通じて』流しているからだ。

 おまけに、テラ・リベリオスは落ち目だと言う。

 そんな状態じゃあ、『融資をしてくれる者など』どこにも居ないだろう。

 狼狽しているアリウムを尻目に、オルガは後ろにいるまどかに話しかける。

「いつでもアリウムを斬れるように準備しておいてくださいよ」

「OK、()()()()だけど宜しいかな?」

「いや斬るなら()()()斬ってください」

と、まぁアリウムが手詰まりになるまでの間、『アリウムの斬り方』というテーマで話していた。

「………!!」

完全に手詰まりになったアリウムは、オルガ達に向き直る。

「万策尽きたようだが、どうするんだ?アリウム。

 金が払えないって言うなら、落とし前つけてもらわなくてはならねぇな………」

とオルガが言う。

 と同時に、三日月が拳銃を構え、まどかが天叢雲剣を構える。

 血の気が引けたアリウムは、土下座をして許しを請おうとした。

「た、頼む!何でもするから、どうか!

 どうか、命だけは………!!」

遅すぎる亡命。故に、三日月によって、4発弾丸を撃ち込まれた。

 が、()()()()()()()()()()

「左腕、利き腕じゃないよね?」

と三日月が言った。苦しみ悶えながらも、アリウムは「利き腕は右だ………!」と答えた。

「ならば結構。それじゃあ、『この契約書にサインしてもらおうか』」

とオルガが言って、契約書を提示した。

 

 ―――side 神城まどか

 アリウムはオルガの提示した契約書―――つまり、アリウムにとっての自爆スイッチに署名した。

 結果、アリウムは一度ギャラルホルンに捕まった後に、証拠不十分として釈放され、三日月が撃った左腕の治療後、テイワズの資源採掘衛星へと放り込まれる手筈になっている。

 アリウムが望む通り、『命だけは』助かっている。しかし、もう、奴は()()()()向かうことはない。

 特に奴が、『()()()()()()()()は決して。

 『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()………『()()()』。

 ()()()()()()()()、『()()()』。

 それが、奴に科せられた、『死刑の代わり』―――人呼んで、『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』。

「さて、どうなる事かな………。

 『()()()()』は」

と私は呟いた。

 

 更に3日後、翌日に焼肉パーティーを控える私達は、とある事情から全員の顔面が青ざめていた。

「なん………だと………?!」

タブレットに映っていたのは、大規模な採掘場の移譲が決まった、という話だ。

 流石にビビって、オラオラした後に連絡先を交換したジャスレイと連絡を取った。

 いやむしろ、ジャスレイのほうが私達に連絡を取ってきた。

『あ、ありのまま(ry』

第一声がポルナレフ状態だったのは言わずもがな。

「………マジですか?いや本当にマジなんですか?

と私は言った。テレビ通話なので、ジャスレイの顔色が分かった。

 つーか思いっきり首を縦に振っている。

「………マジかよ………」

私は頭を抱えた。

 そして、私とジャスレイは1つの結論に至った。

()()()()

 

 翌日、祝勝会と称して、肉おじプレゼンツの焼肉パーティーが開かれた。

 A5の黒毛和牛が振る舞われ、グレイ()()涙を流してかぶりつくソレを、私は青ざめた表情で食べるしかなかった。

「気分が悪いんですか?」

とアトラが訊いてきた。

 私は首を横に振る。

「いや………、これ、()()()()()()()()()()軽く(ピー)円くらいするよね、って………」

と私は言った。何だ今のピー音。

 当のアトラは苦笑いしていた。

 いや、よく考えてみてくれ。

 A()5()()()()()だぞ?ラスタルの涙ぐましい努力で仕入れたんだろうと考えられるけど、流石にA5は………、A5は心が苦しくなる………!

 しかも、オルガとかユージンとかの幹部クラスが、食った瞬間口から魂が出たりうけけけけと笑いだしたり目がぐるぐるになったり燃え尽きたりしてるって時点で………。

(さ、さささ流石セブンスターズと、い、いいい言ったところか………)

恐怖のあまり、食事のペースが遅くなっていた。

 また、この焼肉パーティーには、顔見せがてらガラン・モッサが来ていた。

 これで彼の死亡フラグは………、折れた………かなぁ?

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 ―――side out

 所変わって、アリアンロッドのホームグラウンドであり、鉄華団とエクステラ・ゼロのアウェーである惑星、地球。

 そこにある四大経済圏のうちの1つであるアーブラウでは、防衛組織発足式にむけて、その準備に追われていた。

「モビルワーカーの配備状況、確認急いで下さい!」

「建物関係のチェックポイント、直接見に行くように!」

「各モビルワーカーとヴェーダの接続急いでください!」

「ラファエルガンダムドミニオンズ、配備完了しました!」

鉄華団もエクステラ・ゼロも、発足式に向けた準備で大忙しだった。

 そして、またかお前はと言わんばかりに、ビスケットにラディーチェが詰め寄っていた。

「獅電とラフトクランズ・ファウネアが発足式に間に合わないとはどういう事ですか!!」

とラディーチェが言っていた。

「ラフトクランズ・ファウネアについてはこちらの問題だ。あと1日あれば、ファウネアのコマーシャルモデルが届く。だからそこは安心してくれ」

とティエリアが言った。「それに」と、彼が続けて言った。

「獅電はテイワズが決めるものだ。発足式に向けて配備するものじゃないと言われていたはずだが?」

「あなた方がしっかりと上申しないからテイワズが獅電の配備を遅らせるんでしょう!」

とラディーチェが言った。そこへ、介入する者がひとり。

「ラディーチェさん、少し落ち着いて考えてください。

 最初の予定では、発足式から半年経った日に獅電が正式に配備される予定になっています。

 それが何故、『発足式当日にしっかり有るように』という解釈になったんですか?

 それと、ラフトクランズ・ファウネアも、本来の予定であれば、正式配備は発足式から3ヶ月後だった筈です」

と金髪に特徴的な髪型の青年―――ジョルノ・ジョバァーナが言った。

 彼は、内部監察チームの副リーダーである。

 リーダーはブローノ・ブチャラティで、それ以下にレオーネ・アバッキオ、ナランチャ・ギルガ、グイード・ミスタ、パンナコッタ・フーゴ、トリッシュ・ウナが続く。

 ジョルノは続ける。その一方で、ラディーチェはイライラしたような表情でジョルノを見つめる。

 そして、ラディーチェは、レオーネ・アバッキオのスタンド『ムーディー・ブルース』によって『不正』がバレた。

 それ以降、ラディーチェは内部監察チームに尋問されることになる。

 

 ―――side ?????

「うずくまって、おじちゃんお腹痛いの?」

少女が声をかけてきた。俺はビビって悲鳴を上げる。

(お、俺は、何回死ぬんだ………?

 つ、次は、ど、どこから、い、いつ襲ってくるんだ………?!

 俺は、俺は………!!)

疑心暗鬼になる。誰もが信じられなくなる。

 少女が近づいてくる。

「く、来るな!!」

俺はそう叫んで止めようとする。しかし、人形を持ったその少女は足を止めない。

「来るな………!!」

再び叫ぶ。しかし彼女は依然として近づいてくる。

「お、俺の………!

 俺のそばに近寄るなああああーーーーーーーッ!!

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

〜次回予告〜

 アーブラウ発足式の前日、内部監察チームは蒔苗など、要人が待機する場所に爆弾が設置されていることを確認する。

 アーブラウにソレを報告した彼らは、爆弾を仕掛けたテロリストを捜索する。

 次回、「爆破テロは起こさせない」。

 テロリストシスベシフォーウ!な内部監察チームである。




・最後の人
 ディアボロさん。この世界でもGERで無駄無駄されるのだった………。南無
・ラディーチェ
 ブチャラティチームによってフルボッコという運命が確定する。


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爆破テロは起こさせない

 今回(と、もしかしたら次回)は短めです。


〜前回のあらすじ〜

①夜明けの地平線団との戦闘。多少なりとも損失を出しつつも、終始優勢に持ち込む。

 ・神城まどかⅢ世、ジェニオンに搭乗する。また、フィオレも復讐を果たす。

②サンドバルVSまどか、ガエリオ、ジュリエッタ。

 ・決め手になったのは、ダブルオークアンタフルセイバー・黎明のトランザムだった。

③翌週、テラ・リベリオスが、鉄華団とエクステラ・ゼロの損害賠償請求によって壊滅する。

④祝勝会。まどかがA5黒毛和牛が使われていることを知った途端に狼狽する。

⑤一方、地球支部ではラディーチェが怪しい動きを見せていた。

⑥「俺のそばに近寄るなああああーーーーーーーッ!!」 by ディアボロさん

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

[side out]

 アーブラウ防衛組織の発足式。

 その前日、最終チェックとして確認に来ていたグイード・ミスタは、爆弾を発見した。

 ちょっとしたプラスチック爆弾で、彼はこの前のチェックで『爆弾を仕掛けられていない』ということを確認していた。

「………怪しい」

と、ミスタは言って、これを『収入支出が噛み合わない』という名目でラディーチェを尋問しているジョルノ達に報告した。

 

 Post Disaster 〜Fate/ the over-riser 別編〜

 爆破テロは起こさせない

 

「何ですって?!」

と、ミスタの報告を聞いたジョルノが言った。

「ミスタ、その爆弾の解除は成功したか?」

とブチャラティが訊く。

「あぁ、問題ねぇ。

 仕掛けられていた場所は、演説する場所と、蒔苗とかが待機する部屋の2箇所で、数は演説会場に20個と待機部屋に5個の、合計25個。

 アバッキオ、スタンドで確認頼む」

とミスタは言った。

 それを聞いたアバッキオはすっと立ち上がり、犯人捜査を開始した。

 それと同時に、非常に疑わしい存在である、ラディーチェに、フーゴとジョルノが事情聴取を開始した。

「質問します。午後3時から今までの間、あなたは何をしていましたか?」

とジョルノがラディーチェに訊く。

 ラディーチェは「ただ会計作業をしていただけだ」と答えた。

 しかし、それにしては妙である。

 団員総出で警備していたのだ、爆弾が見つかるなんて事態はおかしい。

「では、それを示すことができる証拠はありますか?タイムカードでは話になりませんよ」

とジョルノは言う。

 この質問でラディーチェの顔は凍りついた。

 グル確定である。

「では、どこかのタイミングで、鉄華団やテイワズ、エクステラ・ゼロとは別の組織と連絡を取っていたんですね?」

とジョルノが訊く。

 ラディーチェは首を横に振るが、直後にフーゴが、

「そうじゃないと示す証拠はないと、お前はさっき言ったのと同じなんだよ、このド低脳がぁぁぁ!!」

と言って、ラディーチェの胸ぐらを掴んだ。

「私は何もしていないんだ!端末の通信履歴を見れば分かる!」

とラディーチェは言った。

 しかし、それに対してもフーゴが、

「消しているのだろう?だったら見つかる訳がないだろう!!」

と叫んでいた。

 ナランチャは、ラディーチェを胡散臭そうに見ていた。

 ブチャラティは、通信ログを見ていた。

「ジョルノ、この通信ログ、不自然な穴がいくつか出来ている。

 これを上手く復元できれば、ラディーチェが不正を、ましてや、テロ未遂をやらかしたという事実が見えるだろうと俺は考える」

とブチャラティは言った。

「復元できますか?」

「あぁ、やってみる」

という、2人の会話の後、アバッキオが表へ出てきた。

「ジョルノ、ブチャラティ。

 ムーディー・ブルースで調べた結果、午後5時近くに、客人を装って不審者が3人、侵入していたことが分かった。

 そのうち1人は国際指名手配犯であるテロリスト、ランドン・ターナーだった」

とアバッキオが言った。

 内部監察チームの表情はおろか、ラディーチェの表情まで凍っていた。

「つまり、だ。

 ラディーチェが獅電の輸送を急かそうとしていたのは、そのランドンってやつに獅電を提供する為か?」

とミスタはアバッキオに聞いた。

 それには、内部監察チーム唯一の女性であるトリッシュが答えた。

「恐らくは、ね。

 完全合理主義者は、アレだから嫌われるのよ」

とトリッシュは言った。

 それに、とトリッシュは続ける。

「ラディーチェにとっては、鉄華団地球支部は『野放しにされた宇宙ネズミ』、エクステラ・ゼロ地球支部は『絶対殺すべき害悪』なのよ。

 私達内部監察チームは、形式的にはエクステラ・ゼロの所属だけど、鉄華団もしっかり見るように言われてる。

 だから、ラディーチェのやり口はちょっと面倒なのよね」

「それはともかく、だ。データ復元に成功したぞ」

とブチャラティは言った。

 モニターには、復元前の通信ログデータを表示した画面と、復元後の通信ログデータを表示した画面が表示されていた。

「これはひどい」

「コイツ殺してしまってもいいですよね?!」

「真っ黒だったか、ラディーチェは」

ジョルノ、フーゴ、アバッキオが次々と発言した。

「始末するのは待て。

 コイツ、本気でランドン・ターナーと絡んでいやがった!!

 どういうことか、説明して貰うぞ、ラディーチェ」

とブチャラティが、敵意を剥き出しにしてラディーチェを見た。

 ラディーチェは怯えていた。

 露骨に殺意を剥き出しにしたブチャラティに怯えていた。

「し、知らない!

 ランドン・ターナーなんて男は、今初めて聞いた!!」

とラディーチェは弁解する。

 しかし、ブチャラティは退く気はなかった。

「嘘をつくんじゃねぇ!

 お前の汗を舐めるまでもなく、お前が使用していた端末から証拠が出たんだぞ!!」

とブチャラティは言った。

 だが、ラディーチェは「違う、私はただ会計をしていただけだ!」と宣う。

「そうじゃないなら、俺達が見つけた証拠を否定できる証拠はあるのか?!

 さっきも言った通り、タイムカードは証拠にはならないぞ!」

とブチャラティは言った。

 

 当然、ラディーチェを擁護する証拠は何もなく。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄、無駄ァァァッ!!!」

ジョルノの『ゴールド・エクスペリエンス』の無駄無駄ラッシュを受けた。

 結果、ラディーチェは失脚し、テイワズの資源採掘衛星送りとなった。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

[side 神城まどか]

 

 今日は、アーブラウ防衛組織の発足式だ。

 何事もなく式が終わればいいのだが、と私は思う。

 しかし、こういうときって言うのは大抵面倒なことが起こるので、私達は、急遽プトレマイオス2改とカグツチ、強襲装甲艦2隻の、合計4隻による、アーブラウ静止衛星軌道上に配置した。

 テレビでは、発足式の生放送の映像が流されている。

「お茶をお持ちしました」

事務員として、今季の募集で入った女性が、紅茶(ホットのアールグレイだよ悪かったな!この飲み方が好みなんだよ!!)を持ってきた。

 私はそれを受け取って、少し啜る。

 これは私個人の意見だが、やっぱり、ある程度は砂糖は入っていた方が美味しいと感じる。

 しかし、これはあくまで『個人的な感想でしかない』と知っていた。

 いやむしろ、『誰もが私と同じ感想を抱いていたら怖い』。

 偶然ダブるのは良い。

 それは仕方のないことだ。

 だが、地球上にいる面子が全員『同じ感想』を抱いていたら、怖いの一言に限る。

「………粛々と進んでるな」

と私は呟いた。

 これでもか、というくらい何事もなく、『放送事故すら起こらず』発足式が終わろうとしていた。

 その時である。

『地球支部に向かうと考えられるモビルスーツ群を、光学で捕捉しました!』

クソッタレなネズミは、この瞬間を待っていたのかと思わせるような行動を取った。

 SAUのある方向から、エドモントンまでひとっ走りしようとしているのが目に見えて分かった。

「強襲装甲艦、4番艦と5番艦はその場で待機。命令があるまでそこから動くな。

 これより、プトレマイオス2改とカグツチで、エドモントン付近に突入します」

と私は言った。

 

[side ランドン・ターナー]

 俺は、エドモントン郊外のとあるカフェで、ラディーチェと話していた。

「君は心が痛まないのだな。仮にも寝食を共にしていた面々が戦禍に巻き込まれることに」

と俺は言った。

 しかし、ラディーチェは、腫れ上がった箇所に湿布を貼っていながらも、首を縦に振り、肯定した。それに加えて、

「いいえ全く。彼らは野放しにされた獣のようなものです。言うことを聞かない獣に対しては何の共感も持てませんね。

 それに私、動物アレルギーがあるんです。特に宇宙ネズミ」

とラディーチェは言った。

「エクステラ・ゼロだったか?

 彼女等は立派だと聞いていたが?」

と俺は訊いた。

「いえ、彼女等も獣です。特に神城まどかは、『真化の獣』と言っても過言ではありません」

とラディーチェは答えた。

「フッ、それは仕方ないな」

と俺は言った。

 

 そして、式典の開始時刻となった。が………。

「………おかしいな」

テレビの中継は何の問題もなく行われていて、なおかつネット上での騒ぎもあまりない。

 ―――初手で失敗をこいてしまったようだ。

「………俺だ。

 鉄華団地球支部、及びエクステラ・ゼロ地球支部を襲撃しろ。

 レスイは会場の様子を確認しに行ってくれ」

と俺は言った。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 次回、テロリストとの戦闘。

 「売られた喧嘩は買うのが定石」

 活躍のチャンスが巡ってきたぞ昭弘!!



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売られた喧嘩は買うのが定石(Post Disaster編終了)

〜前回のあらすじ〜

 

 鉄華団とエクステラ・ゼロは、ガラン・モッサを味方につけて、彼の生存が確定した。

 一方ラディーチェは無駄無駄された。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

〜とある掲示板での会話記録〜

 

104:名無しのオルフェンズ

 鉄華団とエクステラ・ゼロの地球支部が攻撃されてるってマ?

 

105:名無しのオルフェンズ

>>104

 マ

 鉄華団とエクステラ・ゼロ、迎撃体制に入ってる

 見慣れないモビルスーツが居たから、カチコミに行った奴ら負けたな絶対

 

106:名無しのオルフェンズ

>>104

 それはマ。ニュースでも速報でやってる

>>105

 いや、分からん。切れ味が良くても耐久力が低かったら圧倒されかねない

 

107:巴御前

>>104

 マジか………ヤバくないか?

 これ下手したら鉄華団とエクステラ・ゼロの地球支部潰れるんじゃねぇか?

>>105

 新型機だから圧倒してくれると思うけどなぁ

>>106

 それは仮説でおk?

 

108:106のオルフェンズ

>>107

 Yes!!Yes!!Yes!!

 

109:がらん

 彼奴等ならば大丈夫だろう

 必ずテロリスト共を駆逐してくれるさ

 

110:名無しのオルフェンズ

>>109

 

 ………マジ?

 

111:がらん

>>110

 マジだ

 配備されている機体はカタログスペックでグレイズを越している

 それにパイロットの熟練度も並の傭兵を越しているからな

 

112:名無しのオルフェンズ

>>111

 ならば、鉄華団とエクステラ・ゼロの安泰を願って保守だ

 

 >暫く保守タイム<

 

444:らすたる

 保守サンクス

 疲れた

 テロリスト討ち取ったり

 そしてミスタいじめゲッツ

 

445:名無しのオルフェンズ

>>444

 

446:名無しのオルフェンズ

>>444

 

447:名無しのオルフェンズ

>>444

 

448:名無しのオルフェンズ

>>444

 

449:名無しのオルフェンズ

>>444

 

450:名無しのオルフェンズ

>>444

 

451:名無しのオルフェンズ

>>444

 

452:名無しのオルフェンズ

>>444

 

453:名無しのオルフェンズ

>>444

 

 うおおおおお、らすたるが生きて帰ってきたぞォォォォォ!!

 

454:名無しのオルフェンズ

>>444

 

 おめぇぇぇぇぇ!!

 皆の衆赤飯を炊けぇぇぇ!!

 そして誰かA5黒毛和牛を持って来い!!

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 Post Disaster 〜Fate/ the over-riser 別編〜

 売られた喧嘩は買うのが定石/エピローグ

 

[side 神城まどか]

 地球に速攻で降りた私達は、まず敵の正確な数を割り出していた。

 それで分かったことは―――20個中隊であることだった。

 洒落にならない数である。

 相手は、どこから拾ってきたかも予想がつかない、擬似太陽炉搭載型モビルスーツ―――《アヘッド》に乗っていた。

 実弾武装であるランドマン・ロディでは太刀打ち出来ないのが容易に想像できた。

「私達も、テロリストのモビルスーツ部隊の迎撃に移ります。宜しいですね?」

とフィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアが言った。

 私は許可した。

「ビーム兵器の無制限使用を許可します。

 ただし、確実に当てられる場合以外では使わないようにして下さい。

 誤射した時の被害がえげつないので」

と私は言った。

『了解!』

とブリッジの面々は言った。

 そうした後に、私はティエリア・アーデに連絡した。

「防衛ラインを構築して。ランドマン・ロディではアヘッドには太刀打ち出来ない可能性が高いよ」

『今、それを行っているところだ。

 防衛組織の面々にも出撃してもらっている次第だ』

とティエリアは言った。

 

 さて、マクギリス。

 お前は一体何を考えている?

 

[side ラスタル・エリオン]

「―――と、言う事らしいです」

と、諜報部の面子が言った。

 俺は、今提携先に降り掛かっている災難を見逃すことが出来なかった。

 ………おのれマクギリス、と叫びたくなった。

「………エクステラ・ゼロは、どうしている?」

と俺はその男に訊いた。

「はっ。

 既に、プトレマイオス2改とカグツチが大気圏内に突入しており、新型機で構成された中隊を含む、モビルスーツ部隊を展開し、迎撃しています。

 我々も、参戦出来るのであれば参戦した方のが良かろうと」

と彼は言った。

「………マクギリスめ………」

忌々しく、俺はそう吐き捨てた。

「イオクの部隊を地上に下ろし、地球外縁軌道統制統合艦隊と連携して事に当たるように通達しろ。以上だ」

 

[side 神城まどかⅢ世]

『ジェニオン、射出準備完了です!』

と、オペレーターが言った。

「りょーかい!

 神城まどかⅢ世、ジェニオン、出るよ!」

と言って、カタパルトから射出された。

 ここから、「狂気の1か月」という大事件が発生したのだった。

 

[side out]

「そらそらそらぁ!!」

神城まどかⅢ世駆るジェニオン・ガイは疾走する。

 大量のアヘッドを片っ端からスクラップに変え、破壊していく。

 それは正しく蹂躙と言って差し支えはないだろう。

 

 ジェニオン・ガイによる蹂躙劇が繰り広げられる中。

 ティエリア・アーデ駆るラファエルガンダムドミニオンズは、子機であるセラを遠隔操作して、LCSによる通信網を確保しつつ、火星の鉄華団本部と綿密な連携を取っていた。

「まだまどかは出てないんだな?」

と通信先のユージンがティエリアに訊いた。

「映像でも分かる通り、ダブルオークアンタフルセイバーはまだ出ていない。

 アリアドネも死んではいないが、万一を考えて、独自の回線を使用している。

 ついでに、証拠として取るために、ラファエルにはよくテレビで見るカメラの大型版を使用している」

とティエリアは答えた。

「ぶーっ?!」

とユージンは飲んでいた水を吹き出す。

「そ、そりゃマジか?!

 その映像はどこに上げてるんだ?」

「YouTubeだ。絶賛ライブ配信中だ」

と、ボケたかのようにティエリアは淡々とユージンの質問に答える。

 戦場からのスクープ映像。これに飛びつかないネット住民はいない訳がなく。

 チャット欄は荒れていた。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

〜ティエリアLIVEの上位チャット〜

 

・え?これどこの映像?

 →エドモントン郊外の荒地だ。

・なんか戦ってね?

・モビルスーツ?というかこれ何で撮影しているんだ?

 →絶賛戦闘中だ。モビルスーツ用ビデオカメラからライブ配信中だ。

・イェェェァァァ、クレイジーな生放送だなオイ

 →褒め言葉として受け取っておこう。

・テロリストが無駄無駄されてる

・無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!

・WRYYYYYYYYYYY!!

・ウリャーーーーー!!

・テロリスト「ヤッダーバァァァアアア!!」

 →『燃えるゴミは月・水・金』

・オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!

 →ツケの領収証だぜ………。

・ドラララァァァ!!

 →アンジェロ岩

・ホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラ!!

 →エラーイネー!

・アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ!!

 →アリーヴェデルチ!

・ボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラ!!

 →ボラーレ・ヴィーア!

・WAAAANABEEEEEEE!!

 →お前らジョジョ好きだなぁ。

・BGMは?

 → 各 自 で 無 駄 無 駄 動 画 な り 流 し て く れ 。

・テロリスト「オレのそばに近寄るなあああーーーーーーー!!」

 →終わりのないのが『終わり』、それがゴールド・エクスペリエンス・レクイエム。

・テロリストよ、南無

・反テロリスト生放送?

 →単に証拠を残すための生放送だ。BGMとかは各自で用意してくれ。

・敵は何?

 →テロリスト。ランドン・ターナーという男が率いるテロリスト集団だ。

・移動しないの?

 →しない。したらライブ出来ない。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

〜とある掲示板での会話記録〜

 

1:ティエリア

 本掲示板ではこの生放送で上位チャットに食い込めなさそうな話をする場所だ。

 リンクはここだ。→(URL省略)

 

2:名無しのオルフェンズ

 これは………www

 テロリストが蹂躙されてますねぇ!

 

3:名無しのオルフェンズ

 ようつべwww

 堂々とテロリストが蹂躙されていくぅ

 

4:名無しのオルフェンズ

 ふるえるぞハート!燃え尽きるほどヒート!

 刻むぞ、血液のビート!

 山吹色の波紋疾走!!

 

5:名無しのオルフェンズ

 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!

 WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!

 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄、無駄ァァァ!!

 

6:名無しのオルフェンズ

>>5

 なんかジョルノが湧いてるぅぅ!!

 

7:名無しのオルフェンズ

 アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ、アリーヴェデルチ!

 

8:名無しのオルフェンズ

 ボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラボラ、ボラーレ・ヴィーア………!

 

9:名無しのオルフェンズ

 WAAAANABEEEEEEEEEEE!!

 

10:名無しのオルフェンズ

 オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!

 

11:名無しのオルフェンズ

>>7、>>8、>>9、>>10

 お前らジョジョ好きだなぁ

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 荒れているチャット欄を尻目に、ティエリアはライブ放送を続行する。

 

[side 神城まどか]

 

「戦い始めてはや1か月。もうそろそろケリをつけたいな」

と私は思った。

 いい加減、テロリストとの戦闘は、ケリをつけなければならないだろう。

 3週間前に、ランドン・ターナー率いるテロリスト集団【射殺す百頭(ナインライブズ)】は国際指名手配された。

 その他、アーブラウはSAUにアーブラウ防衛組織、及び鉄華団とエクステラ・ゼロの名簿と機体の名簿を渡し、協力を要請。

 SAU側に降りた地球外縁軌道統制統合艦隊と、アーブラウ側に降りた月外縁軌道統合艦隊アリアンロッド第2艦隊の面子とも連携し、GN-Xを片っ端から倒していった。

 しかしながら、相手はゴキブリのように増えていく他、練度も爆上がりしており、またヒューマン・デブリも出してきた為、こちらも徐々に押されつつあった。

『トレミー、全ハッチオープン』

そんな状況下に活を入れるべく、私達は出撃することになった。

 私こと、神城まどかが駆るダブルオークアンタフルセイバー・黎明。

 ネロ・クラウディウスが駆る、ダブルオーガンダムセブンソード/Gインスペクション・ネロエディション。

 女帝ギルガメッシュが駆る、ガンダム・フェニクス。

 昌弘・アルトランド駆る、ダブルオーザンライザー・フルパッケージ。

 エミヤ駆る、ガンダムアストレアタイプF2。

 以上5機が、敵陣へと飛び出して行った。

 戦場に介入するのはエクステラ・ゼロだけではない。

 鉄華団も、この戦場に介入した。

 三日月・オーガス駆るガンダム・バルバトスラーミナ。

 昭弘・アルトランド駆るガンダム・グシオンリベイクフルシティ。

 ハッシュ・ミディ駆る獅電………など、本部の面子が参戦する。

 殺伐とした戦場に、光は差し込むのだろうか………?

 

 まぁ、差し込んだって言われれば、差し込んだんだけどね。

 

 まず、私は500機近くのアヘッドを片っ端から撃破した。

 その後に、ランドン・ターナーが乗るケルディムガンダムサーガと相対し、全力で戦った。

 しかし、相手の銃撃センスも高かった。

『その程度か、矛盾を越えた超越者(アムブリエル・ジ・オーバーライザー)サマよォ!

 くだらねぇ名前だなァ!!』

と煽ってくるランドン。

 私は、そぼ挑発には乗らなかった。

「くだらないこと、その象徴たる戦争をふっかけているのは、お前達の方だろうが」

『あ゛ァ゛ン゛?!戦争のどこがくだらねぇって言うんだよバーカ!!

 戦争ほど、人類を楽しませる催しはねぇっつーの!!』

私の文句に、ランドンは反論する。

 確かに、人類は戦いなくして生き残れない。

 確かに、歴史は戦争が創り上げものだ。

 だが、戦争がなくても、歴史というものは築かれたものだ。

 仮に、第2次世界大戦及び太平洋戦争が『起こらなかった』世界があったとする。

 その世界では、きっと現オセアニア連邦の東京に、スカイツリーなんてものは建設されていなかっただろう。

 それに、明治憲法が日本という国を支配していただろう。

 そんな世界は―――『剪定事象』と呼ばれる、『絶対に有り得ない事象』として処理され、文字通り世界の分岐から『剪定』されるだろう。

 そんな世界があったのならば、それは『異聞帯(ロストベルト)』と呼ばれることになる。

「確かに、戦いなくして人は生き残れない。

 だが、戦いが毎回起こっていたら、その世界はすぐに消えてなくなる………!!」

と私は言った。

 戦いが起こる。

 人が亡くなる。

 怨嗟が起こる。

 やがて戦いが起こる。

 その無限ループを、『空亡(真化を司る人類悪)』は見てきた。

 そうはさせない為にも、『神城まどか(矛盾を越えた救世主)』は戦わなくてはならない。

 この戦いで、アーブラウにまた戦いを起こさせない為にも―――!

「この世界を消させない為にも、『超越者』は全力でお前というゴミを処理しなくてはならないんだよ………!」

と私は叫んだ。

『ハッ、世界を消させない為、かよ!

 むしろ消えてなくなった方のが面白いじゃねぇか、アァン?!

 これだから、俺は()()()は嫌いなんだよ!』

とランドンは言った。

 とんでもない発言だ。「世界が消えてなくなった方が面白いじゃねぇか」、だと………?

 ふざけるな。

 もし仮に世界が消えるほうが面白いのなら、『何故人類愛が生まれる』?

 消えてなくなった方が面白いのであれば、最初から―――人類という種が生まれたタイミングで、抑止力は世界を剪定するはずだ。

 ―――それが面白くないから、抑止力は世界を続けるんじゃないか。

「―――ブッ潰す!!」

私はそう叫びながら、地面にGNソードⅡブラスターをぶつけ、土埃を舞わせる。

『その程度で………!!

 トランザム!!』

相手はトランザムを使って、こちらを追うべく、土埃の場所から脱出する。

 そのタイミングを待っていた。

「―――やぁぁぁっ!!」

敵の死角から、私はGNバスターソードⅡをぶつけ、吹き飛ばす。

『ぐぼおおおお?!野郎………、おもしれぇじゃねぇか!!

 お前も楽しんでるんだろう?戦争をよぉ!』

とランドンは言い、GNビームカービンを連射してくる。

「誰が戦争なんて楽しむか………!!

 戦争っていうのは、お前達みたいなクソ外道が、金を得るために国に理由をこじつけて、武器売って大儲けするだけの話じゃねぇか!!

 立派なマッチポンプだよクソ外道!!」

と私は叫んだ。

 ラスタルも時にマッチポンプをするが………、それは『敵組織の弾圧のためのマッチポンプ』だ。

 しかし、ランドン率いる射殺す百頭は、『()()()()()()()()マッチポンプ』を行っている。

 それは絶対に、赦されることではない。

お前達(ナインライブズ)のことを()()()()()と言うのならば、私は何度でも()を成そう………!」

と私は言った。

 そこから何度も遠距離で撃ち合った。

 しかし、ランドンはくたばらなかった。

「そろそろ決着をつけさせてもらうぞ、ランドン!」

『そう来なくてはなぁ!!』

互いが互いを罵り合った、下らないこの戦い。

 これを終わらせる方法は、唯一つ。

「―――鶴翼、欠落ヲ不ラズ(しんぎ むけつにしてばんじゃく)。

 ―――心技、泰山ニ至リ(ちから やまをぬき)。

 ―――心技 黄河ヲ渡ル(つるぎ みずをわかつ)。

 ―――唯名 別天ニ納メ(せいめい りきゅうにとどき)。

 ―――両雄、共ニ命ヲ別ツ(われら ともにてんをいだかず)……!」

一投一投、全てが必殺。

 奴がGNビームカービンをこちらの弱点に向けている間に、私は投影し、巨大化させた干将・莫耶を1対投げ、弾かれたタイミングでもう1対投影し、1対目と同時攻撃した。

『遅い遅い!!』

奴にロックオンされたことを感じ取る。

 しかし、撃たれるよりも先に決着がつく。

「鶴翼三連………!」

3対目の干将莫耶によって、ケルディムガンダムサーガは切り裂かれ、搭載されていた擬似太陽炉はトランザムの影響でオーバーヒートし、機能を停止した。

「ランドン・ターナー。

 決意も覚悟も足りなかったようだな」

と、私は、イジェクトによって出てきたランドン・ターナーに、コックピットから出てきて、トンプソンコンテンダーを構えながら言った。

「いや、全く………。

 面白いものだな、戦争っていうのは」

と言いながら、奴もピストルを向けてくる。

 互いに相容れないと悟った私と奴は、発砲した。

 しかし、ランドンの撃った弾は、いずれも当たらず、私の撃った弾は、全て急所に当った。

「じゃあな。理想を抱いて溺死しろ………!!」

〆にそう言いながら、私は干将・莫耶(改)でランドンを斬り伏せた。

 

 売られた喧嘩は、買い叩いて返り討ちにするのが普通だ。

 

 その後、テロリスト集団は降伏し、彼等は法のもとで裁かれることになった。

 一方、私達はこの一連の出来事が各国とテイワズにとっての評価点となり、鉄血のオルフェンズ原作のような撤退には追い込まれずに済んだ。

 しかし、暫くは商売できないことになり、自粛は免れないことになった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

[side continue(神城まどか)]

 

 鉄華団が有する火星ハーフメタル採掘場。

 そこで、モビルアーマーハシュマルが発掘されたと言う。

 私は、エイハブ・リアクターを搭載していない、ダブルオークアンタフルセイバー・黎明でそこへ向かった。

 そして、私はそのモビルアーマーハシュマルを解体した。

 エイハブ・リアクターを摘出し、テイルブレードもきっちり取り出し、バルバトスラーミナを改修にぶっ込んだ。

 また、全阿頼耶識搭載機にも改修するように進言し、オルガから承認を貰った。

 これで、ラフトクランズ・ファウネア:ジーリオと同じ改修が施せるようになった。

 そうして、1ヶ月が経過した。

 

 マクギリス・ファリドが、反乱を起こし、『第二次ギャラルホルン危機』なる大戦が起こった。

 マクギリス・ファリド率いる革命軍は、アヘッドで構成された軍を率いて、アリアンロッド艦隊と敵対し、攻撃を仕掛けた。

 マクギリス・ファリドの駆るリボーンズガンダムは、正直言って『最強』の一言に限った。

 しかし、アリアンロッドも、GNドライヴ搭載モビルスーツとの戦い方を学んでいた。

 結果、ダブルオーライザーに乗るジュリエッタや、エクステラ・ゼロの面々が、圧倒的な技量で革命軍を押していき、革命軍側の重鎮、石動を討ち取ることに成功する。

 そこから、火星に逃れたマクギリスは、そこで待機していたエクステラ・ゼロの艦隊+鉄華団の艦隊によって迎撃された。

 圧倒的な劣勢に立たされたマクギリス。

 終いにはガエリオ・ボードウィン駆るガンダム・キマリスヴィダールと、私が駆るダブルオークアンタフルセイバー・黎明の鐘(デイブレイクスベル)によって、何十回ものラッシュを食らってリボーンズガンダムを破壊された。

 スキップジャック級に乗り込んで、ラスタル・エリオンを倒そうとしたマクギリスだったが、そこにはクロエ・フォン・アインツベルンを忍ばせていて、クロが放つ鶴翼三連によってマクギリスは討ち取られた。

 こうして、マクギリスの存在が影響したギャラルホルンは民主化をせざるを得なくなり、結果として、マクギリスの望む革命は果たされることになった。

 

 そこで、私の記憶は途絶えた。

 時間切れだ。

 ここまでクソッタレな長話に付き合っていただき、ありがとうございました。

 それでは、またいつか。




ダブルオークアンタフルセイバー・黎明の鐘
 ダブルオークアンタフルセイバー・黎明を更に改修したモビルスーツ。武装が増えている。
 武装:GNソードⅤ、GNソードビット、GNソードⅣフルセイバー(GNガンブレイド×3)、GNソードⅡロング、GNソードⅡショート、GNソードⅡブラスター、GNバスターソードⅡ、GNバスターソードⅢ、GNマイクロミサイル、GNミサイルポッド、GNシールド、GNビームカービン×2、GNホルスタービット×8、GNライフルビットⅡ×8

ガンダム・バルバトスラーミナ/B
 ハシュマル解体後に取り出されたテイルブレードを使って改修した機体。セブンソードとしてカウントしない、テイルブレードが追加されただけの機体である。


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僕のヒーローアカデミア編 転生

[side 神城まどか]

 やりやがったなマーリン!!シスベシフォーウ!!転生なんてさせる必要なかっただろうがァァァ!!

 というわけで、転生しました。

 聖杯の知識によって、ここが『個性』なる能力を人類が持ち、魔術協会の神秘の秘匿云々が消失した世界―――つまり僕のヒーローアカデミアの世界であることが分かった。

 で、私の個性は―――文字通り、英霊『神城まどか』が持つ能力全てだ。

 個性の名を『真化の獣(ザ・ビースト・オブ・アセンション)』という。

 そしてこの転生に際し、私はスタンドのルビを変えた。

 フレキシブルサジタリウスというルビだったのが、イマジナリ・アラウンド(※間桐桜の概念礼装である例のアレ)というルビになった。

 生前の名前そのままで行けるのが良かった。

 両親の個性?

 父が施しの英雄カルナの能力によく似ている他、アルジュナオルタ(?)の能力も使えるようである。

 個性の名は『燃える三神の衣』。

 また、母はジェミニオン・レイの能力に類似した個性を持っていた。

 個性の名は『事象制御』。

 正直に言う。どっちもチートか?

 (チート+チート)×英霊召喚=チートofチート、とはよく言ったものだ。

 まあそれでも、その方法でもチートじゃない例があるけどね!(例:マシュ・キリエライト(デザイナーベビー×英霊召喚)、グレイ(ロンゴミニアド))

 物心ついた頃から個性の特訓を始めて、今となっては神造兵装も出し入れできるようになった。

 ………唯一の例外、『聖槍・最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』を除いて。

 『最果てにて輝ける槍』に限って、本物を出す事ができるのだ。

 因みに限定解除とかない。

 

 で、問題はそこからだ。

 実は、今(15歳)から5年程前に、オール・フォー・ワンと対敵し、撃破している。

 そして真名解放を繰り返した結果………。

 神霊になっちまったよちくせう。

 まさかの女神ロンゴミニアド化だよ、ちくせう。

 倫理観は変わってない。固有結界は『|無限の剣製・天国の極限《アンリミテッドブレイドワークス・オーバーヘブン》』だから問題ない。

 そもそも私という英霊自体が神霊級だった。

 だが私は人として―――逸般人として生きさせてもらう!

 それが私の―――決意だから。

 

 はい、深刻な話はここまで。

 進路選択とかいうめんdなものは、きっちり雄英高校のヒーロー科にさせてもらったよ。

 クラスメートの中では、緑谷出久が雄英高校の普通科に、爆豪勝己が同じ雄英高校ヒーロー科に行くことになった。

 ………この時点で腹が痛くなった方、手上げてくれ。

 正直、私も願書書いている途中で笑ってしまった。

 神霊(かみさま)がヒーロー科に行くっていうね………。

 もう、なんというか………カオス?

 

 これから始まるのは、英霊が神霊になっちゃって、ハチャメチャなことをする物語だ。

 ギャグだと思ってくれ。

 

 魂分割されたと思ったら転生してた件〜Fate/ the over-riser 別編〜

 転生

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

[side continue(神城まどか)]

 

 さて質問だ。

 「()()」と言われたら、何を思い浮かべる?

 基本的には、神話に謳われる神々のことを指すだろう。

 しかし、私にとってはそうじゃない。

 人が至れてしまう可能性―――高次元生命体の極致であると、私は考えた。

 故に、その根本は人間である。

 「人を超えれば神になる」―――という考えで分かるくらいに、人間。

 だから私は、()()()()()()()()()()()()()()という、前世でしっかり理解した『真理』を以て神霊へと至っていた。

 ………普段の生活?

 一般的だけど何か?

 フライパンとかを投影魔術(グラデーション・エア)で出していたりすることを除けばね。

 因みにアルビノ。

 これだけはどうにもならなかった。

 聖杯やら根源やらに訊いたけど、「それはどうにもならん」のだそうな。

 だったら是非もないよね。

 

 さて、先程『10歳の頃にオール・フォー・ワンをブチのめした』と言ったが、簡単に言ってしまうと、「聖槍でオラオラした」って感じ。

 分かりやすい話だよね。

 聖槍の抜錨を繰り返した関係で神霊となった訳だが、スタンドは『夢幻の射手』のままだった。

 故に。

〈ループ開始〉

夢幻の射手『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァァ!!』

私「『最果てにて輝ける槍』ォォォォォ!!」

〈ループ頭に戻る〉

AFO(オール・フォー・ワン)「ヤッダーバァァァアアア!!」

→燃えるゴミは月・水・金

 となり、AFOが発見された頃には当のAFOは死んでいたとのこと。

 ケッ、AFOザマァ見ろ!

 

 そして、私は雄英高校の入試試験を受けた。

 筆記試験は余裕だ。

 『知りたがる山羊のスフィア』が答えを速攻で根源から引き摺り出してきたというのもあるが、根の知識量が試験問題と大きな差を生んでいた。

 さて、問題は実技試験だ………。

 

『今日は俺のライブにようこそー!!エヴィバディセイヘイ!!』

「「「「「………………………」」」」」

ボイスヒーロー《プレゼント・マイク》が受験生相手に無茶な返しを要求してくる。

 ここからが本番で、全員緊張しているというのに、それはどうかと思うのだ。

 しかし、テンションを下げず………いやむしろ上げて、プレゼント・マイクは説明を続ける。

『リスナーにはこの後!10分間の模擬市街地演習を行ってもらうぜ!!』

そして配られたプリントと、説明の内容が噛み合わなくなる。

 が、そんなことは『既に予想できていた』。

「質問よろしいでしょうか!

 プリントに記載されている4種目の仮想敵についてです!

 これに関する説明がなく、もし誤載ならば日本最高峰たる雄英においてこれは恥ずべき痴態!

 説明を求めます!」

とメガネのやつが言った。

 成程、このやたらめったらでかいロボットは―――マリオで言うところのドッスン、か。

『オーケーオーケー! そこの受験生、ナイスお便りサンキュー!

 説明しちまうと、この四体目はそいつは0Pのお邪魔虫だ!』

と、予想通りの回答をした。

『それじゃ俺からは以上だが………受験生リスナーへ我が校の校訓プレゼント!

 かの英雄ナポレオン・ボナパルトは言った………。

 ―――【真の英雄とは人生の不幸を乗り越えて行く者】だと。

 “Plus Ultra”!!それでは皆、良い受難を!』

と、〆にプレゼント・マイクは言った。

 そして10分後。

『はいスタート!!』

実技試験、開始。

 

『ブッコロス!』

『ブッコワス!』

「投影、オーバーエッジ!!」

私は片っ端から2Pと3Pの敵を、投影した干将・莫耶オーバーエッジ(改)で斬り伏せていく。

『ブッコロス!!』

「『主守る次元の盾(D・フォルト)』!!」

不意打ちをかけられたが、私は次元の盾を以てそれを防ぐ。

「らぁっ!!」

『ブッコ………』

敵の装甲は厚くない。この程度でも余裕で切り抜けられる。

「次………!」

私は更に突き進む。

 

 90P近く稼いだ。だが、恐らく0P敵が居る理由は―――。

(レスキュー、か)

私は肩にマウントしていた『最果てにて輝ける槍』を右手に持つ。

 思慮している内に、市街地に轟音が響く。例のお邪魔虫の登場だ。

「うへー、でかいな………。

 だけど、敵わない訳じゃない」

と言って、私は槍に魔力を流す。

「最果てより光を放て!其は空を裂き、地を繋ぐ、嵐の錨!!」

詠唱を終え、真名を開放する。

「『最果てにて輝ける槍』ォォォォォ!!」

その光は星の光。

 その光は、迷わず0P敵の制御中枢を撃ち抜き、加圧によって後ろへ仰け反った。

 そして倒れ、沈黙した。

『終ーーー了ーーー!』

直後、実技試験が終了した。

 

 90Pに加え、0Pをも撃破したのだ。

 恐らく、合格圏内だろう。

 あとは結果を待つだけだ………。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 翌日、午前10時くらいだったか。

 郵便ポストに手紙が投函されていた。

 その送り主は、雄英高校。

 つまり………合否確認か。

『わーーーたーーーしーーーがーーー投影された!!』

「おぉ、こりゃすごい」

と私は呟きながら、そのホログラム映像に驚いた。

『やぁ神城少女!驚いたかね?

 HAHAHA!!実は私もここの教師になるのだよ!よろしく!』

とホログラム映像の中のオールマイトは言った。

『さぁお待ちかねの結果発表だ!敵ポイント98P!ダントツ1位だ!!

 またそれ以外にも我々が内緒で見ていた救助ポイント!

 君は最後に0Pの敵を倒れる角度とかをシミュレートしながら倒していたね!

 それに攻撃に夢中になっていた受験生をインターセプトしていた敵も葬っていたね!

 というわけでこれは歴代最高点の70P!いやー素晴らしい!!

 合計168P!

 歴代最高得点で主席入学だ!!おめでとう、神城少女!』

とオールマイトは言った。

 当然、とは思っていない。だが、まさか歴代最高得点とは………。

「よし………」

と私は言った。しかしホログラム映像は終わらない。

『力だけではない心意気!幼少期にオール・フォー・ワンを返り討ちにする気高さ!

 最高だったぜ神城少女!

 その素晴らしい才能と力を伸ばす場所!

 最高の仲間たちと最高の施設が待つ雄英高校で待っているぜ!!』

とオールマイトは言った。そしてホログラム映像は終わった。

 

 私はその日中、ずっと投影魔術を使い、特訓を続けていた。

 

 翌日、私はオールマイトに会った。

 驚いた、まさかオールマイトの本来の姿があんなにガリガリだとは。

 というわけでちょっと小仕掛けを施した。皆大好きオーバーヘブンタイムである。

「何をしたのだね?」

とオールマイトが訊いてくる。

「時間制限があったようなので、その真実を上書きして時間制限をなくしました」

と私は言った。

 引退フラグは折ったが………、ここで更にそのフラグを折る行為をした。

「HAHAHAHA!!とんでもない個性だ!

 『英霊・神城まどか』の個性を丸々付与する自己増強型個性のように見えたが、まさかそれだけではなかったとはな!!HAHAHAHA!!」

とオールマイトは笑い出した。

 凄く………キザ男です。

 

 雄英高校入学式当日。

 玄関で自分のクラスを確認した後、[1−A]へ向かう。

 かなり早いタイミングで来たためか、教室には殆ど人がいなかった。

 というか担任の相澤消太先生しかいなかった。

「おはようございます。主席入学者の神城まどかです」

「おう、おはよう」

と、あからさまに睡眠不足の形相で返事をしてきた。何かあったのだろうか………、先行きが不透明だ。

 私は指定された席に座り、日商簿記2級の勉強を開始した。金の回り方を知りたいからだ。

 3級は既に資格として取得している。

「とりあえず、これを配っておく。

 人が全員集まったら、グラウンドに出るからな」

と相澤先生が言った。

 

 そして、どんどん人が集まってきた。

 私の次に来た生徒は、八百万百。

 個性は『創造(投影魔術の間違いじゃなかろうな?)』だ。

「おはようございます。それじゃ教壇に立ってる担任の先生のとこ行きましょうか」

と私はヤオモモに言った。

 これを繰り返すこと、19回。

 いきなり疲れさせられた。

 

 3人目は飯田天哉。個性は『エンジン』。

 脚部のバーニアの個性だ。

 

 4人目は麗日お茶子。

 個性は『無重力(ゼロ・グラビティ)』。

 文字通り、ものを無重力状態にする個性だ。

 

 5人目は轟焦凍。個性は『半冷半燃』。

 実はエンデヴァーとのコネで私は彼との面識がある。

 その個性の真価を発揮させるための実験台になったこともあり、その影響もあって、既に両方を使う状態だ。

 

 6人目は蛙吹梅雨。とりあえず………『梅雨ちゃんと呼んで』がクソうざすぎる。あと声がほぼ同じとか………。

 個性は『カエル』。蛙ができることならば大抵できるという凄まじい個性である。

 

 7人目は切島鋭児郎。個性は『硬化』。身体をガッチガチに硬化する個性。

 

 そして、ここを全て省略して、20人目(私含む)となった人物は―――ご存知、爆豪勝己だ!

 個性は『爆破』。

 その名の通り、手のひらの汗腺からニトロみたいな汗を出して爆発させる個性だ。

 

飯田「机に足を掛けるな!! 雄英の先輩方や机の製作者に申し訳ないと思わないのか!?」

爆豪「思う訳ねーよ!てめーどこ中だよこの端役が!!」

 そして開幕からこのザマである。

 無視だ。落ち着け。徹底的に『無視』だ。

 ここはお友達ごっこをする場所じゃない。

相澤先生「お友達ごっこがしたいなら他所へ行け………。

 ここはヒーロー科だぞ?」

ナイス先生。

 このまま言ってたら聖槍抜錨してたよ。

「早速だが、君達これ着てグラウンドに出ろ」

と言って、手元の体操服を指しながら言った。

 

上鳴「個性把握テストォ?!」

ヤオモモ「入学式は?ガイダンスは!?」

驚愕の内容に、直感的に察していた私を除く全員が驚愕していた。

「ヒーローになるならそんな悠長な事に出る時間はない。

 ―――雄英は《自由》な校風が売り文句。

 そしてそれは《先生側》もまた然り。

 てことで、君たちには中学の時にやっていた体力テストを個性を解禁してやってもらう」

と相澤先生は言った。

 成程。理屈が通っている。

「入試1位は………神城か。ちょっとこい」

「はい」

相澤先生に呼ばれたので、私はそこに向かった。

「ああ!?俺が2位だと思ったらてめぇがトップだったのか!無口女ァ!どんな手使いやがったァ!?」

と爆豪に突っかかられたが、無視だ。

「うるさいよ。

 次はマジで怒るぞ。………どうやったかなんて今から生活してりゃいやでもわかる。

 ………おら、神城」

と言って、相澤先生は計測機器が搭載されたソフトボールを手渡してくる。

「ソフトボール投げだ。円から出なければ何してもいい。思いきりやってみろ」

と相澤先生は言った。

「―――『夢幻の射手(イマジナリ・アラウンド)』」

夢幻の射手、そのパワーである256ギガジュールを以てソフトボールを投げる。

 空気抵抗による減衰や、重力の影響も受けるだろうが、それは大気圏を突破し、果ては太陽系外まで飛んでいくだろう。

「神城、アレはどこまで飛んでいく?」

と相澤先生に聞かれた。

「太陽系外まで飛ぶと思います」

と私は答えた。ああ、やっぱ敬語は苦手だ。

「………つまり無限か………」

と相澤先生は言った。

「まず自分の最大を知れ。それがヒーローの下地を形成する合理的手段だ」

と相澤先生は言い、直後に他の生徒がぶーたら言い出したため、私は肩にマウントしていた聖槍を持つ。

「お前らいい加減にしろよ?

 面白そう、だと?ヒーローになる為の三年間を、そんな腹づもりで過ごす気か?」

と私は言った。

「聖槍、抜by」

「待て待て待て落ち着け真名解放はやめろ」

と、聖槍がどれだけヤバいか把握していた爆豪が止めに入った。

「よし……ならトータル成績最下位は見込みなしと判断し除籍処分としよう」

と相澤先生は言った。

「「「「「はぁぁぁっ?!」」」」」

私を除く生徒、驚愕。

 合理的虚偽であることを何となく把握した私は、背部の『異形型』であることの象徴を解放する。

 それはジェニオンの大型バーニアに似たウイングスラスターだった。

「生徒の如何は先生の自由だ。

 ―――ようこそ。これが雄英高校ヒーロー科だ」

と相澤先生が言ってから、個性ありの体力テストが始まった。

 

 2種目目、50メートル走。

 飯田のエンジンのレシプロバーストに0.01秒差で負け、2位。

「な、なんて速度だ………。

 君の個性は、一体どういうものなのだ?」

と飯田が訊いてきたが………。

「ノーコメントで」

と返させてもらった。

 

 3種目目、握力。

 ここも夢幻の射手を使わせてもらった。

 記録は1300kg。堂々の1位だ。

 周りから『化け物め………!』と言われたが、気にしない。

 

 4種目目、反復横跳び。

 ブーストアップを使って、2位。

 5種目目、長座体前屈。

 スタンドで押し込んで、1位。

 6種目目、立ち幅跳び。

 そのまま個性で飛べてしまうので、問答無用の1位。

 7種目目、持久走。

 時折ブーストアップを使いながら、飛行して廻りきった。が、4位。

 8種目目、上体起こし。

 スタンドに手伝ってもらって100以上を叩き出したが3位。

 

 総合成績はまぁ、1位だった。文句なしの1位だった。

相澤先生「因みに除籍は嘘な」

私とヤオモモ除く全員『はぁぁぁぁぁ?!』

「あんなの嘘に決まってるじゃないかー。

 もし仮にそうなったとしたら、ある意味詐欺だ」

と私は言った。

 相澤先生、いい趣味してやがる…。

 

 教室に戻った後、私は常闇踏陰と轟焦凍と話をしていた。

 そこで、私の机(原作では緑谷の机)の上に、聖槍―――『最果てにて輝ける槍』が転がっていた。

「うおおおお!!本物の聖槍だこれー!!」

常闇、大歓喜。

 いやー。流石にオカルトマニアなだけはあるか………。

「何でそんなものを持っているんだ?」

と、何年か前の轟は訊いていた。

 それには、私はこう答えた。

「なんかよく分からないけどお年玉代わりに物貰った。その際にこれが渡された」

いやマジでこの通りだった。

 そして先祖に遡ってみれば、グレイがいるっていうね………。

 アルトリアの血は濃かったか………。

 

 そして、授業日初日に突入する。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

[side マーリン

「本当に、あの聖槍を渡してしまっても良かったのかい?獅子王どの?」

と僕は彼女に訊いた。

 彼女はコクリとうなずいた。

「世界を変える力を持つ彼女には相応しい武器だ。

 彼女は神霊の域に入ったようだが、その視点は人のままだ」

と獅子王―――女神ロンゴミニアドが言った。

 それが良いのか悪いのかは私には判断できない、と彼女は言った。

「そうかい。

 ならば、ある少女の話をするとしよう」

と僕は言った―――。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

[side 神城まどか]

 授業日初日。

 午前中は必修科目など、至って普通の授業が行われた。………教師がヒーローであることを除けば、至って普通だ。

 え?教師がヒーローである時点で普通じゃない?またまたー。

 昼休みに大食堂でクックヒーロー《ランチラッシュ》が作る料理を安価で頂けるという時点で素晴らしーものだ。

 が、私は自前で弁当を持ってきている。

 他人に作られるより、自分で作った方のが美味しく感じるからだ。

 一応、ランチラッシュのも美味しいということは言っておく。

 

 エネルギーは全て摂取した。

 さぁ、ヒーロー基礎学の時間だ。

 

「わーーーたーーーしーーーがーーー!普通にドアから入ってきた!!」

HAHAHA!!と笑う、筋肉隆々のオールマイトが現れた。

 生オールマイト。が、しかし、初ではない。

 私は反射的に、空中にいくつか投影宝具を展開する。

「ウヒョーッ、神城少女はお怒りかァー?!」

とオールマイト。

 いいから授業を始めてくれ………(投影宝具を仕舞いつつ)。

「………ウム、そういうことなら始めよう!

 ヒーロー基礎学!ヒーローの素地を作るため様々な訓練を行う科目だ!

 ―――早速だが、今日は戦闘訓練!」

とオールマイトが言った。

 爆豪の目つきが変わったのが分かった。

「そしてそいつに伴って………こちら!!―――入学前に貰った『個性届』と『要望』に沿ってあつらえた………戦闘服(コスチューム)!!」

と言った側から、壁面からそれぞれ収納された戦闘服が出てくる。

 成程、そういうことか。

 ヒーローチームと敵チームに分かれ、戦闘訓練を行う。よくできた方法だ。

「おおおお!!」

会場のボルテージはマックスだ。

 

 私は着替えている途中に、肩と膝のデキモノに触れる。

(今日もよろしく頼むぞ)

それを優しく撫でる。

(スフィア)

太極―――()()()()()の感情の欠片である、スフィア。

 私はそれを持つ者としての責任を胸に、その戦闘服を身に纏った。

 ざっくりと言うと、2つ用意してもらった戦闘服のうちの片方はジェミニオン・レイに似せてある。

 異形型個性である私の、特徴的な背部バインダーをフルに活かせる構造である他、ニトロハーケン、ハウンドペネトレイターの使用が可能である。

 ギアさえ上がればジ・オーバーライザー・アークを使えるが、代償として暫くの間、両腕が使えなくなるという弱点がある。

 それを戦闘服側で補うように、超小型のディメンジョンエクストラクターを片腕2基、両腕で合計4基、腰部に2基の、合計6基を搭載している。

「さて、行くか………」

戦闘服全体に強化の魔術を施し、私はグラウンドβへ向かった。

 

「始めようか、有精卵ども!戦闘訓練のお時間だ!!」

コスチュームに着替え、集合した生徒達にオールマイトが声をかける。

 私の服装―――戦闘服版『是・禁忌の向こうにある希望(ジェミニオン・レイ・ブレイドワークス)』というべきもの―――に興味を引かれた蛙吹梅雨や常闇、轟がハメ外してわーきゃー言うが、私は気にしない。

蛙吹「かっこいいわ、まどかちゃん。凄く似合ってるわよ」

轟「ろ、ロボ………?!それも、ジェミニオン・レイまんまじゃねぇか!」

常闇「そっち方向の趣味もあったか………」

「うるさいなぁ、………というかそっち方向って何だ常闇」

と、私は反論した。

「ここは屋外の演習場のようですが、市街地演習を行うのでしょうか?」

とごっついコスチュームを着た人がオールマイトに訊いた。

 誰かと思ったら、飯田だったのか………。

「いいや。もう二歩先に踏み込む!屋内での対人戦闘訓練さ!!」

と、気前よくオールマイトが答えた。

 よし固有結界使ったる。この世界に神秘の秘匿とかはない。使ってやる………!!

 その瞬間。

「勝敗のシステムはどうなる?」

爆豪「ぶっ飛ばしてもいいんスか…」

お茶子「また除籍とかあるんですか…?」

ヤオモモ「どのように分かれるのでしょうか」

上鳴「オールマイトに見て貰えるんですかぁ!!」

大量の質問が、(私を含む)全員から飛んできた。

 「んんん~~聖徳太子ぃぃ」とオールマイトが苦しんでいる。こういうのは駄目か。教師失格ではなかろうな………?

 ざっくりとまとめると、ヒーロー2対敵2人の対戦を行い、制限時間まで『核兵器』を守りきり、ヒーローチームを全員拘束すれば敵チームの勝利。

 対し、ヒーローチームの勝利条件は、「制限時間までに『核兵器』を取るか、敵チームを全員拘束する」である。

 場所は訓練用のビル。チーム分けは公正に、PCフル活用のメルセンヌ・ツイスタである。

 おっと、チーム分けが始まるようだ。

 

「A、か………」

と私は呟く。

 常闇と蛙吹はHチームらしい。

 そして轟は轟でまた別のチームに割り振られた。

「あ!まどかさん!宜しくー!」

相方は麗日お茶子だった。

 あ。これ………勝ったんじゃね?

 

「最初の相手はこいつらだ!

 ―――Aチーム『ヒーロー』!Dチーム『ヴィラン』!」

というオールマイトの声が響く。マジか、初手からかよ。

 そしてDチームには爆豪。

「………勝つぞ、お茶子」

と私は言った。

 

 ビルに入ってから、私は即座にハウンドを展開した。

 そして、私は背部バインダーを使って、一気にビルを上がっていく。

「見つけたぜ神城ォ!!」

チッ、真正面に爆豪がいやがった。

「喰らいやがれ!!」

と言って、爆豪は大出力の爆破を行う。

「………『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』………!」

しかしその爆炎と爆風は、『熾天覆う七つの円環』によって防がれる。

 うん、『無限の剣製(アンリミテッドブレイドワークス)』強いね。なら使うしかなかろう。

「体は剣でできている。

 血潮は鉄で、心は硝子。

 幾度の戦場を越えて不敗。ただ一度の敗走もなく、ただ一度の勝利もなし」

詠唱を開始する。

 それは『無限の剣製』を展開する呪文(なり)

「何かわからんが喰らえやゴルァ!!」

爆豪が爆破してくる。

 しかしそう簡単に『熾天覆う七つの円環』は砕けない。

「担い手はここに一人、剣の丘で鉄を鍛つ。

 ならば、我が生涯に意味は不要ず。

 この身体は、『夢幻』の『武器(つるぎ)』でできていた!!」

『熾天覆う七つの円環』が4枚残っている状態で、私は詠唱を完了させた。

 そこは、無限に、剣や武器を内包した世界。

「個と世界。空想と現実。

 内と外とを入れ替え、世界を心の在り方で塗り潰す………魔術の最奥、固有結界」

と私は高らかに言う。

 対し、爆豪は。

「お前どんな小仕掛け施した?!あぁ?!」

この始末である。

 それに構わず、私は続け、

「なぁ、お前にはどう見える?

 無限に武器を内包した世界………。

 私には、その全てが、墓標に見えるよ」

と言った。

「あ゛ァ゛!?

 無限に剣を内包した世界だァ?!

 知るかよクソがッ!!」

と爆豪は反論する。

「悪いがここで無力化されて貰うぞ。

 私の(からだ)が尽きる前に」

と私は言った。

 そこからは、蹂躙にも似た殲滅戦だった。

 爆豪が爆破してくる→『熾天覆う七つの円環』で防ぎつつ全投影連続層写(ソードバレルフルオープン)→着弾と同時に『壊れた幻想(ブロークンファンタズム)』を繰り返し、9回目の全投影連続層写で爆豪は吹き飛ばされた。

「クソがァァァッ!!」

「天の鎖よ………!」

奴を『天の鎖』で拘束し、私は固有結界を解除した。

 そして私は、最上階の核保管フロアへ向かう。

「辿り着いたぞ、飯田ッ!!」

私は両手に干将・莫耶オーバーエッジ(改)を構え、振り下ろそうとする。

「な………」

飯田はキョトンとしていた。

 私はその隙にそこを通り抜け、核を確保した。

『ヒーローチームWIIIIIIIIIIIIIIIIN!!』

オールマイトの声が響く。

 とりあえず、1勝を獲得した。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 次回は講評からスタートです。



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神城まどか:オリジン

[side 神城まどか]

 

 さて、ここから私は何を言えばいいのだろうか。

 私が、この世界に転生してからの話をすれば良いだろうか?

 ………え?「ぜひそうしてくれ」だって?

 ………分かった。けど、私の闇は深いぞ?

 

 魂分割されたと思ったら転生してた件〜Fate/ the over-riser 別編〜

 神城まどか:Origin

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

[side continue(神城まどか)]

 

 地獄を見た。

 

 地獄を見た。

 

 地獄を見た。

 

 辿ってきた地獄を見た。

 私という存在は、死後、英霊と化して抑止力によって固定された。

 

 人類悪の暴走を止める、森羅の守護者―――その名をビーストEX、またの名を『真化の獣』という存在―――それが私という英霊だった。

 しかし、それを憂く思った冠位魔術師―――マーリンによって、私の魂は複数個に分割され、記憶を同期され、それぞれの世界に放り出された。

 親となった『魂』はそこでの役目を終え、英霊の座へと帰還した。

 ある魂は『鉄華団』があった世界へと飛ばされ、マク………何だっけ?を倒し、数十年後にその世界から消え去った。

 ある魂は、人造人類悪『ビーストIF』の居る世界へと赴き、特異点と化したセイレムを鎮めたという。

 そしてある魂は、『個性』による社会構成が成された世界へと転生を果たした。

 その転生を果たした個体こそ、今の私だ。

 

 4歳の時に私の『個性』は発現した。

 両肩と両膝に球状の摘出不可能な異物がそれぞれ3個ずつ、合計12個発生し、また背部に物性(コライダー)のない大型ウイングスラスター―――ジェニオンのそれと同じバインダーが現れた。

 明確な自我が現れた8歳時、私は両親にどういう関係か訊いた。

「互いに愛し合って結婚した仲だよ」

と両親は口を揃えて言った。

 カルナの能力に、無銘の事象制御能力が混ざり、合わさった結果、英霊・神城まどか〔セイヴァー・ジ・オーバーライザー〕の魂が入った子が誕生したというわけらしい。

 つまり、能力をそのままに、英霊から人間への転生を果たしたのだ。

 私は即座に、英霊召喚を試した。

「我が魂に覚えのある者よ、我が信念に共感を覚える者よ。

 我が呼びかけに応じ、ここに顕現せよ。

 ………告げる。

 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

 抑止の寄る辺に従い、この意、この理に従うならば応えよ」

生身の人間となったが故にできることだ。

 やるに越したことはない。

 私はただひたすらに詠唱を続けた。

 奇跡を起こすために。

「―――誓いをここに。

 我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。

 汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ………!」

詠唱を完了させる。

 触媒は『私自身』だ。最初の詠唱でも分かるだろう?

 そして結果は―――、「召喚成功」だ。

「我が真名は魔神・沖田総司、召喚に応じ現界した。

 この身の霊基が砕け散るその時まで………共に戦おう」

サーヴァント・セイバー、魔神・沖田総司オルタナティブ。

 ………と更に数名いた。

「宜しく、沖田さん。

 ………で、そこにいる貴方達は?」

エルメロイⅡ世「俺達の存在に気づいたか………!

 キャスター、エルメロイⅡ世だ」

グレイ「墓守の、グレイです………。

 クラスは、ランサーです………」

巴「アーチャー、巴御前!召喚に応じ参上しました!まさかのサーヴァント4人抜きとは凄くないですか?!」

と、それぞれ言った。

 わーお、こりゃ凄い。

「これから宜しくお願いします。

 そして巴さん、会いたかったです!召喚に応じてくれて、ありがとうございます!!」

そして当然の如く、私は発狂した。

 

 その後も、私が召喚した英霊に鍛えてもらいつつ、次々とサーヴァントを召喚していった。

 その中で、私はあることに気付いた。

(英霊の座は機能しているようだが、抑止力や魔術協会自体が存在しない?

 それに、令呪が『食事を摂ったり日付の経過で増えている』………?!)

それに気付いた私は、色々研究を重ねていった。

 

 研究の成果は十二分にあった。

 まず、私の『個性』―――『真化の獣(ザ・ビースト・オブ・アセンション)』の片鱗である『背部大型ウイングスラスター』は、アルトリア・ペンドラゴンの宝具である『風王結界(インビジブル・エア)』によって常時隠されていること。

 令呪は見た目以上に大量に画数があること(確認した限りでは8000画を超えていた)。

 背部大型ウイングスラスターを使えば、夏場の日中ぐらいの長時間を、高速で飛行できるということ。

 また、飛行せずに使えば、常人超えの速度で移動できるということが分かった。

 正直に言おう。―――チートか?

 そして、転機が訪れる。

 10歳の夏休み、私はオール・フォー・ワン(以降AFOと称す)と遭遇した。

 

 その時の記憶は今も脳裏に焼きついている。

 人の心につけ込むような言い草。

 誘惑するような言霊の数々。

 そして、〆にAFOはこう言った。

「もう大丈夫。僕がいる」

黙れ、とそいつに言い、私はこれまで『ただ頑丈な槍』として使ってきた聖槍を抜錨した。

「な、なにをs」

「『最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』ォォォォォ!!」

そこからは、蹂躙に近い戦闘だった。

「………ッ、君がそう来るならば、私も全力を出さねばならんな………!!」

と言って、AFOは『個性(オール・フォー・ワン)』を発動させようとする。

 しかし、『個性』発動直前に『夢幻の射手(イマジナリ・アラウンド)』の拳が届いた。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」

「グギゴゲオボアガグハッ」

 スタンド『夢幻の射手』による怒濤の無駄無駄ラッシュと、その間にリチャージした『最果てにて輝ける槍』を使用し、それを連発した。

 結果、AFOはその心臓を『最果てにて輝ける槍』によって貫かれ、締に食らった『夢幻の射手』のジャブで殴られ吹き飛ばされ、ゴミ収集車の中に丁度入って、燃えるゴミとして処理され―――AFOはその一生を閉ざした。

 そして、その日、私は、神霊『女神ロンゴミニアド』へと変生した。

 理由は簡単だ。『最果てにて輝ける槍』を、人間のままで使用できる5回を超過して使用したからだ。

 

 その日からも、私は研究や鍛錬を重ねていき、今に至る、という訳だ。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

[side continue(神城まどか)]

 

 所変わって、講評の場。

「私怨で独断行動を行った爆豪は愚策でした。

 麗日はあまり行動していなかったので評価しようがありません。

 飯田はきっちり『(ヴィラン)』役を演じられていたのが良点でしたが、それでもそればかりに集中しすぎていました。

 そして神城。

 ツッコミ追いつきませんが一言………。なんですか()()?」

とヤオモモが言った。

 飯田は感動していたが、当の私は『えー』という表情を浮かべていた。

「また展開するの?アレ」

と私は言った。

 アレ―――『|無限の剣製・天国の極限《アンリミテッドブレイドワークス・オーバーヘブン》』は、結構魔力の消費がエグいので使いたくはない。

「パット見では何なのかさっぱり分からなかったので、もう一度出していただけると」

とヤオモモ。

 まじかよ。まぁ幸い、もう一発なら行ける。

「体は剣でできている。

 血潮は鉄で、心は硝子。

 幾度の戦場を越えて不敗。ただ一度の敗走もなく、ただ一度の勝利もなし。

 担い手はここに一人、剣の丘で鉄を鍛つ。

 ならば、我が生涯に意味は不要ず。

 この身体は、『夢幻』の『武器(つるぎ)』でできていた………!!」

固有結界を展開する。

「Wow、こりゃすげぇ」

と、これを見たオールマイトが言った。

 また、ヤオモモも「創造の個性と似てますね」と言った。

「個と世界、空想と現実………。

 内と外とを入れ替え、現実世界を心の在り方で塗り潰す………魔術の最奥、固有結界。

 本来、これは神秘性を失わせない為に、秘匿されるものだが、個性なんていう魔術師が泣き喚くようなものがある以上、私はこれを公表できる」

と私は言った。

「これで、ビルに傷一つつけずに爆豪を倒したんですか………。

 にしては、色々やばい気もしますね」

とヤオモモが言った。

 まぁ見せびらかしという名の種明かしは終わったので、私は固有結界を解除する。

 そこからは、『ヒロアカ』原作通りなので、また私の話をするとしよう。

 

 11歳の時に、私は固有結界『無限の剣製・天国の極限』を使うことができるようになった。

 だが、それ以前に―――私はクラスメートの女性陣に虐められていた。

 

「武器が個性とか、マジウケる~」

「それ使って攻撃してみろよー」

「攻撃できないんでしょ?

 ハハハ!マジウケる~!このチキン野郎!」

個性が発現しても、その当時の私には、聖槍を扱うぐらいしかできなかった。

 オマケにその聖槍も真名解放が出来ず、私はただ虐められるだけだった。

 だが、かのAFO戦以後は、形勢逆転を果たす。

「な、何よそれ!そんなの訊いてない!」

「は?聖槍?ナニソレウケる………って、待ちなさいよ!何で私にそれ向けるのよ!」

「最近人が変わったように思えたら、こんな始末かよォォォォォ!!」

ある者は真実を否定しようとし、ある者は現実に怯え、ある者は絶望のあまり絶叫した。

 聖槍(ロンゴミニアド)の真名解放ができるようになってから、私は彼女らに反撃した。

 こんな奴等がヒーローになるだと?

 信じられない。

 私にとって、ヒーローとは、為すべきことを成す為に生きる、その為に戦う人間達のことだった。

 右手の令呪を包帯で隠しながらも、私はサーヴァントも使って怒濤の反撃を繰り広げた。

 結果として、反撃された側の両親が凸ってきた訳だが、私は9歳の時の虐めの記録をICレコーダーに録っていた。

 その記録を奴等に叩きつけてやった。

 その他、私は『いじめられ始めた4歳時から当時(11歳)に至るまでの間につけていた日記帳』を証拠として提示し、更に「最初にふっかけてきたのはお前達だ」と言った。

 しかし、その親達は「偽造記録」だの、「捏造」だのと宣い、「最初にふっかけたのはあんたの方だ」と言った。

 だが、これは探偵ヒーロー《アサキム》(ぶっちゃけて言うとヒロアカ世界のアサキム・ドーウィン)の介入により、一気に進む。

 アサキムは私の証拠を正しいものとする為に奔走し、そしてキチ(ピー)の親達にこう言った。

「貴方達を、彼女への暴行幇助罪で裁判所に提訴しますよ。

 生憎、彼女は弁護士を雇っていますし、僕だって弁護士資格は持っているんです」

そこからは、快進撃と言う他ないものだった。

 裁判沙汰となったこれは、示談で終わり、とはならず、真っ向から対決する事となったが、結論から言えば「完勝という名の大勝利」だった。

 まず、ICレコーダーの音声が有効だった。

 それに対し、キチ(ピー)集団は「偽造された記録」だの「捏造」だのと言うが、即座にアサキムが一蹴した。

「まだ小学生である彼女が、捏造情報を提示できる訳がないし、昨年のAFO襲撃事件で彼女は両親を失っているから、この証拠は両親の手ででっち上げる事すらままならない。

 ついでに、日記帳は彼女の直筆だ」

とアサキムは言った。

 証拠は十分だった。

 その反論にぐうの音の『g』の音も出なかったキチ(ピー)の親達は、そのまま裁判結果の『求刑通りの判決』に従わざるを得なかった。

 その『求刑通りの判決』は、各人400万円の罰金(キチ(ピー)で15人、危害を加えて提訴対象となったのはうち6人、つまり両親で12人であり、総合計金額は4800万円)であった。

 そして、転校命令すら出されたキチ(ピー)達は、その年の夏休み中に次々と転校していった。

 

 14歳の時に、使用された対象の絶望を一時的に祓う能力に目覚めた。

 それは個性『真化の獣』に由来するもので、英霊・神城まどかの『円環の理(カナメマドカ)』としての逸話が表に出た能力だった。

 

 そして、15歳。

 雄英高校ヒーロー科へ進学した。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

[side out]

 授業も終わり、下校時刻となった。

 まどかは爆豪に呼び止められ、彼女は彼と共に昇降口に居た。

「―――俺はテメェを越える。

 真っ当な方法でいじめを越えたテメェを、入試で主席入学を果たしたテメェを、『個性』の力で越えてやる」

と爆豪は言った。

 まどかはそれを、何の文句も言わずに聞いていた。

「ふーん。

 私はそれでも構わないけど、私が言うことは唯一つだ。

 『私は推薦入学者である轟を越える』。

 だから、もし越えるのであれば、『私が熟してから』越えればいい」

とまどかは言った。

「クッソ!!お前はいつもそうだ!!

 轟を見て敵わねぇんじゃねぇかと思っちまった!

 ポニーテールの奴の言うことに納得しちまった!!

 お前のあの心象を見て絶望しちまった!」

爆豪は叫ぶ。

 獣が哀しみから吼えるように叫ぶ。

「クソが!クッソ!!なぁ、テメェもだ神城!

 ここからだ………俺は………ここから………ここで1番になってやる!!」

その目には悲しみが浮かんでいた。

 非力な自分への悲しみ。

 あの心象風景を見たことへの絶望。

 何もかもが渦巻いていて、まどかが祓おうにも祓えない状態だった。

 そこへ。

「爆豪ーーー少年!!」

オールマイトがやってきた。そして爆豪の肩をガッチリと掴む。

「いいかい!プライドは大切だ!君は間違いな―――「離してくれよオールマイト。俺は言われなくても、アンタを超えるヒーローになってやる」………」

彼の言葉を遮るように、爆豪は決意を表明する。

「そして必ず、神城、テメェを越えてやる」

と言って、爆豪は下校した。

 まどかはそれに対し、ジークみたいな視線を浴びせていた。

「全く………。

 ヒーローと英霊を区別出来ていないんじゃないのか………?」

爆豪が目指すものが、英霊であるように思えた彼女はそう言った。

 

[side 神城まどか]

 

 あーあ、マス○ミうぜぇ。

「オールマイトの授業の程はどんな感じです?」

「………」

徹底無視を決め込み、私は雄英バリア内へと突入する。

 S○IT、マス○ミF○CK YOU

「彼は今日は非番です。授業の妨げになるのでお引取りください」

相澤先生が来てくれた。助かった。あと数秒遅かったら鶴翼三連か聖槍抜錨してた。

「神城。お前が最後だ、さっさと行くよ」

「はい………」

私は背部に隠してあるソレ―――『最果てにて輝ける槍』から手を離しつつ、教室へと向かう。

「………ちょっと待って下さい!!」

後ろから質問が飛び交うが、無視だ。

 1人が入り込んだところで雄英バリア発動。

 マス○ミの侵入をバッチリ防いだ。

「………面倒なもんですね、マスコミは」

相澤先生「そう言うな。お前も将来引っ掻き回されるぞ。見た目もそうだが、お前は英霊の転生体なのだからな」

という他愛もない会話の後に、相澤先生が訊いてきた。

「お前、まだ『個性』の最大出力を使ってないな?」

「………はい。使える分には使えるんですが、使ったが最期、死亡するので………。

 出力調整も不可能であることは、自分が1番知っているので」

と私は言って、急いで(背部のバインダー出力を全開にして)教室に入った。

 

 私はこれまでに、英霊を大量に召喚した。

 

 セイバーの沖田オルタ、キャスターのエルメロイⅡ世、ランサーのグレイ、アーチャーの巴御前の他に、しっかり召喚している。

 ライダーのレオナルド・ダ・ヴィンチ(通称ロリンチ)。

 アサシンの“山の翁”(通称キングハサン)。

 バーサーカーのアルジュナオルタ(ちなみに第3霊基再臨)。

 シールダーのマシュ・キリエライト。

 ルーラーのアストライア(ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルト)。

 アヴェンジャーの、巌窟王エドモン・ダンテス。

 ムーンキャンサーのBB。

 アルターエゴのメルトリリス。

 フォーリナーの葛飾北斎。

 以上のサーヴァント達を、私は召喚した。

 それで、私が嫌な予感を察し、霊体化させて連れてきたサーヴァントは6人。

 マシュ、アストライア、エドモン、キングハサン、エルメロイⅡ世、グレイだ。

 

相澤先生「学級委員長を決めてもらう」

私以外の全員『めっちゃ学校っぽいのキタァァァ!!』

あーあ、喧しい1日が始まった。

 各々がマニフェストを提示する中、飯田が多数決を推し、結果として多数決となった。

 結果………。

 神城まどか 3票

 飯田天哉 3票

 八百万百 3票

 その他 1〜0票

 何故入ったし。

「………Why」

私はただ絶句するしかなかった。

 その後、私は『飯田が学級委員長になるべき』と言った。

 しかし、その決選投票では………、私に大多数が入れていて、飯田は4票であった。

 なんでさ。

 

お茶子「うわぁ…」

梅雨「エグい量が吸い込まれていく…。なんで太らんのかな…(※女神の神核)」

常闇「なんと…」

飯田「凄いですね、まどかさんは…(※超次元世界では普通だった)」

私は、ざっと3人前ぐらいの唐揚げ定食を食べていた。………無論自分で作った弁当である。

 私はその昼食を、周りの目を気にせずに食べていた。

「こうでもしないと生きていけない」

と私は言った。

 食えるときに食って栄養を補給しないと、背部バインダーへのエネルギー転送効率が悪くなり、最悪飛べなくなる(※朝食抜いただけでアウトだった)。

 ほぼ砂藤力道のシュガードープだが、飛べないだけで推力は出るので地上移動の為に使うこともある。

 だが、鍛錬しているので、今は朝食抜いても1分程度ならば飛行できる。それでも昼食は絶対に抜かない主義である。

「女子高生がたくさん食べてはいけないなんてルールはなかろう?」

と、いかにも「女子高生はそんなに食わない」という視線を向けてくるお茶子、梅雨、常闇、飯田に対してそう言った。

「………ところで、俺は君たちに聞きたいことがあるんだ。

 君たち二人は票が入っていないかったよな?誰に投票したんだ?」

と飯田が訊いてきた。

お茶子「私は神城さんに投票したよ」

常闇「俺もだ………」

梅雨「ヤオモモだよ」

「お前ら全員ふざけてんのか………?」

その回答に、私は苛立ちを隠せなかった。

 私に投票すんなし。

「で、飯田、お前は?」

飯田「………神城、あんただよ」

「なんでさ」

食事を進めながらも、会話に乗る。

 正直、学級委員長は嫌だ。

 大抵、碌でもないことに付き合わさせられるからやだ。

「で、私はあんたに投票した」

と私は飯田を指差しながら言った。

 こうは思わないか?と私は飯田に言う。

「お茶子、常闇、そして誰かもうひとりは私に託した。

 その私は飯田に託している。

 つまり君には6票票が入っているのだ、と」

と。

 自己推薦が多かった学級委員長決めで、私のような奴は馬鹿呼ばわり(ハブケに)されるだろう。

 しかし、かのジョルノ・ジョバァーナが言った通り、『去ってしまったものから受け継いだものは、更に先に進めなければならない』。

 故に、私は飯田に票を入れたのだ。

「神城さん………ありがとう!」

いや、なんでそこでお前『ありがとう』なんだよ………。

 

 昼食を完食したときに、異変は起こった。

 

 ウゥゥゥゥゥゥ〜〜〜〜〜〜!!

 

『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんは速やかに屋外へ避難してください』

………侵入者が現れたらしい。

「アホかお前達は………」

と思いながら、『知りたがる山羊のスフィア』を使って状況を調べ上げる。

 その前に、校門前を監視させていたマシュから伝達された。

〘マスコミです!マスコミが何らかの方法で侵入してきています!!〙

(グッド。そのまま監視を続行してくれ)

と私は念話でマシュに伝える。

 そして弁当を畳み、麗日と飯田に伝える。

「麗日、飯田。相手はマスコミだ。

 やることは………分かるな?」

2人(頷く)

その後、飯田が非常口の標識になり、うまく混乱を鎮めた。

 マス○ミめ、一度ロンゴミニアドされたいのか?

「委員長の座を飯田に譲る。それでいいな?」

と、授業前に私は言った。

 クラスの全員が頷いた。

飯田「委員長の指名とあらば致し方あるまい!」

上鳴「任せたぜ!()()()!」

切島「()()()飯田!しっかりなー!」

 私は緑谷と違って、人の前に立ってもあまりガチガチにならない。だが、『人の上に立つ』ということが嫌いなのだ。

「あ、もう1つ言わせて欲しい。

 昼休みのマス○ミ侵入の件だ。

 私は、彼等が自力で雄英バリアを突破してきたとは思えない。

 貴方達だったら、『どんな方法で雄英バリアを突破する』?」

と私は言った。

 それに乗ったかのように、相澤先生が「今まどかが言ったこと、レポートとして提出すること」と言った。

 私は既に書き終えていた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

[まどかのレポート]

 

 マスコミが雄英高校のセキュリティを突破した方法は、2つ考えられる。

 まず1つ、マスコミが『個性』を利用して突破する方法。

 もう1つは、マスコミが『敵』を利用して突破する方法だ。

 他にもいくつか考えられたが、騒音が発生する可能性が非常に高かった為、私はこの2つの方法に絞ることができた。

 だが、『騒音を発生させず』『周りに被害を出させずに』セキュリティ3まで突破するという条件であるため、爆破や衝撃波ではないのが前提となる。

 私は、常に『史上最悪のバッドエンド』を考えながら行動している。

 ネガティブではあるが、こうした方のが確実に良い方向に行くと理解しているからだ。

 結論から言うと、後者である。

 『敵』の『個性』のうち、『まるでGarry's Modのツールガンのように物を消すことができる個性』を持った『敵』がいたとしか考えようがない。

 『敵』の中に『時間を止められる個性』を持った『敵』が居るのであれば話は別だが、今現状で考えられるのは、先程述べた『個性』を持った『敵』による攻撃だろう。

 以上の推論より、私はこのマスコミ侵入事件を『敵』と結びついたマスコミによる攻撃と結論づけた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

[side 神城まどか]

 

 どうだろうか?

 私の推論方法は『これでもかっていうぐらいに』雑だが、これでも頑張って読みやすくしたつもりだ。

 ちなみにこういうやり方はアサキムに教えてもらった。

 さて、今はその翌日の午後。

 ヒーロー基礎学の時間だ。

 

「今日のヒーロー基礎学だが、俺とオールマイト、そしてもう1人の3人体制で見る事になった。

 内容は災害水難なんでもござれの人命救助訓練だ!!」

と言って、相澤先生は『RESCUE』と書かれたプレートを見せびらかす。

 「大変そうだな」と言ったり考えたりする生徒と、「腕が鳴る」と言ったり考えたりする生徒に大まかな分類がなされたが、私は「ヒーローというものが果たすべきことだろうが、私はその先を目指しているから大変そうとも思えない」という考え―――つまり中立―――だった。

「おい。まだ途中」

と相澤先生が言ったついでにここ最近仲が良くなったクラスを諌めた。

「コスチュームの着用は各自に任せる………。

 訓練所は少し離れているから、バスで移動する。

 以上。準備開始」

と相澤先生は言った。

 私は、コスチューム要望書に書いたもう1つのコスチュームを着ていくことにした。

 何を言うまい、『赤原礼装』だ………!

 

 バスは進む。

 訓練所へ進む。

 それにつれて、『ぼやけていた』私の『未来視』の能力が映し出す映像が『鮮明になる』。

 ざっくりと言うと、144pだった解像度が、その場所へ向かうにつれて4320p(の更に上、ここでは仮に、8847360pとする)になっていく、というイメージだ。

「………嫌な予感しかしない」

現状、8K映像を見ている状態なので、私としては酔いそうである。

 だがそれ故三半規管がめちゃ強くなっているから、目眩程度で済む。

「おい、そりゃどういう事だ?」

と、隣に座る爆豪に訊かれた。

「中学校時代に話したでしょ?

 正直言って起きてほしくないことが起こることが『視えた』からね………。

 それも8Kの映像で(むっちゃ鮮明に)

と私は答えた。

 爆豪は「なんだ、そういうことか」と呟くだけだった。

 あまりにも強すぎる為、私の『未来視』は緑谷と爆豪、相澤先生にしか言っていない。

 所謂箝口令である。

 「お?爆豪が他人のことを気にしてる?!」とか「熱でもあるんか?」とか言う輩が数名いた。

 だが、『箝口令敷かれている未来視のことを伝えたくなかった』爆豪は、「うるせぇ」と低く唸るだけだった。

「もう着くぞ。

 いい加減にしとけよ、お前ら………」

と相澤先生が言ってくれた。顔色の悪さを見たのか、こちらを見てくる。

(未来が視えたのか?)

(はい、………『敵』が群がって攻めてきます)

ジェスチャーで、大まかに未来視の映像から得た情報を伝えた。

 そして、和やかな雰囲気(一部例外あり)のまま、バスは訓練所へ到着する。

 

「水難事故、土砂災害、火事、etc.

 ………あらゆる事故や災害を想定し、僕が作った演習場です。その名も、ウソの災害や事故(USJ)ルーム!」

と、スペースヒーロー《13号》が言う。

 13号に反応したクラスメートが湧き立つ。

 しかし、13号はそれに釘を刺すように話を続ける。

 「この社会は成り立っているように見えるが、個人個人が簡単に人を殺せる『個性』を持っている(=型月的な抑止力が息していない)ということ。その事を忘れずにいてほしい。そして、この授業では心機一転して、人命救助の為に『個性』の活用法を学んでいこう(要約)」と。

 

 だが私の意識はそこに向いていなかった。

 

 13号の後ろ、階段を降りた先にある『黒い渦』を見た私は、低く。

「投影、開始(トレース・オン)」

と言い、空中にいくつか『剣』を投影する。

「………相澤先生!!」

相澤先生「―――全員一塊になって動くな!

 13号、生徒を守れ!」

「―――停止解除(フリーズアウト)全投影連続層写(ソードバレルフルオープン)!!」

私は、全投影連続層写を敢行し、黒い渦に直撃させる。

「グッ………、やりますねぇ」

と黒い渦は言った。

 やはり、効いていない。ならば。

壊れた幻想(ブロークンファンタズム)

刺さったであろう剣を炸裂させ、奴に追加ダメージを与える。

 殆どの生徒は呆けているが、事の異常性に勘付いた相澤先生&13号と、『未来視』で把握していた私と、それを知っている爆豪が戦慄していた。

「動くな!あれは『(ヴィラン)』だ!」

と私は叫ぶ。

「どこだよ………せっかくこんなに大衆引き連れてきたのにさ………。

 オールマイト………平和の象徴………いないなんて………。

 ………子供を殺せば来るのかな?」

と男が言う。

 続々と現れる荒くれ者に対し、私はせっせと全投影連続層写を使って攻撃していく。

「ヴィラン!?バカだろ!?ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるぞ!」

と上鳴が言うが、現実は非情である。

「センサーが反応してねーなら、向こうにジャミングが出来る個性を持った奴がいるって事だな。

 校舎と離れた隔離空間、そこに少人数………。

 馬鹿だが阿呆じゃねぇ。

 何らかの目的があって用意周到に画策された奇襲だ」

と轟が言った。黄金の理解力:A、恐るべし。

「流石だな、轟。

 ところで………、気づいたか?やべぇのがいるっていうのは」

と私は轟に訊く。

「あぁ。やべぇのが2、3人居るな………。

 特にあのでかくて脳が剥き出しのやつ………、ありゃやべぇな」

と轟は答えた。

 私は背中にマウントしていた聖槍を持つ。

「13号避難開始!学校に連絡試せ!

 センサー対策も頭にあるヴィランだ、電波系の個性が妨害している可能性もある。

 上鳴、お前も個性で連絡試せ!」

と相澤先生は叫びながら、ゴーグルをかける。

「ッス!」

上鳴は個性を使って本校舎への連絡を試そうとする。

「『風王結界』、解除!即座に聖槍に『風王結界』を発動………!」

私は背部バインダーを覆っていた『風王結界』を解除し、それを『最果てにて輝ける槍』にかける。

「初めまして。我々は『敵』連合。

 僭越ながらこの度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせて頂いたのは、平和の象徴、オールマイトに息絶えて頂きたいと思っての事でして」

と黒い霧―――が、人型に変化したもの―――が言った。

 そいつの名は『黒霧』。

 私を除く生徒たちは戦慄する。

「本来ならばオールマイトがここにいらっしゃるはずですが………何か変更があったのでしょうか。

 まぁ………、それはいいとして。

 私の役目はこれ」

と言って、奴が動き出す。

 攻撃を仕掛けるか、『個性』を発動させるのだろう。

「聖槍、抜錨!

 最果てより光を放て!それは空を裂き、地を繋ぐ、嵐の錨!

 『最果てにて輝ける槍』ォォォォォ!!」

黒霧「な………に………?!」

黒霧の個性が発動する前に、聖槍が奴の心臓を貫く。

 ヒュー、と私は口笛を吹く。

「こいつはたまげた。

 まさか、呪いの朱槍と同じ効果が出るなんてなぁ………」

と私は言った。

 まぁFGOでは無敵貫通っていう回避と無敵を貫通する効果が先行するし、ねぇ………?

「流石だ………。

 だがな、生徒といえど優秀な金の卵………散らして、嬲り、殺す」

といって、黒霧は辺りを己で包み、『個性』を発動した。

 しかし、私は転移しなかった。

 オールキャンセラーがあるからだろう。

「いまのを耐えた………?!」

と黒霧は驚きのあまりこちらを見つめてくる。

「………聖槍、圧縮」

私はそう言って、聖槍を再抜錨する為の準備を行った。

 

 それぞれの戦いが、始まる。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 次回は………ヴィラン襲撃編の続きになります。



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一難去ってまた一難

[side 神城まどか]

 私は聖槍を再抜錨する為の準備をした。

 『最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』は、威力こそ凄まじいものの、一度撃つとリチャージの必要性が出てくるというのが難点である。

 しかし、私は、目の前の『(ヴィラン)』に打ち勝つために、再び真名解放をしようと、無意識のうちに動き出していた。

 だがその前に、雑魚を蹴散らさねば。

 

 魂分割されたと思ったら転生してた件〜Fate/ the over-riser 別編〜

 一難去ってまた一難

 

 

 

 私はスキル『オールキャンセラー』の能力で、転移させされずに済んだ。

 しかし、『敵』は今も居る。

「獲物が来たなぁ………。ヒヒ………、若いのにかわいそうによぉ………」

「イレイザー・ヘッドに噂の聖槍使いか………カカ、楽勝だぜ!!」

と、どこからどう見ても『一般的なチンピラ』と言うべき者達が言う。

 恐らく、『質より量』を件の『敵』連合が優先したためだろう。

「『夢幻の射手(イマジナリ・アラウンド)』!」

私はスタンドを使うことにした。

 そして、私は聖槍をしっかりと持つ。

「『風王鉄槌(ストライク・エア)』!!」

横薙ぎに風圧による攻撃を行い、私は更に聖槍を剣を大上段に構えるように持ち、再度『風王鉄槌』を行う。

「「「「「ぎゃあああああああ!!」」」」」

脳味噌丸見え男を除くチンピラは全員吹っ飛んだ。

「―――停止解除(フリーズアウト)全投影連続層写(ソードバレルフルオープン)!!」

私はそういう大立ち回りをしている最中に投影していた宝具を射出する。

「………!!」

脳味噌丸見え男がこちらを見る。

投影、開始(トレース・オン)

私は聖槍を背部にマウントしつつ、ヘラクレスの斧剣を投影する。

投影、装填(トリガー・オフ)

ヘラクレスの『射殺す百頭(ナインライブズ)』、それの秘剣としての性質を投影する。

「………〜〜!!」

脳味噌丸見え男が駆け出す。だがもう遅い。

「―――全工程投影完了(セット)、『是・射殺す百頭(ナインライブズ・ブレイドワークス)』」

私は脳味噌丸見え男の8箇所の急所にめがけて、その斧剣を振るった。

「〜〜〜〜〜………!!」

奴が痛みに悶える。

 その隙を突いて、私は更にもう一段階踏み込む。

「『破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)』!!」

奴の胸部に短剣を突き刺す。

脳味噌丸見え男「――――――!!」

「『刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)』!!」

そして呪いの朱槍を突き刺し、脳味噌丸見え男をじりじりと弱体化させていく。

 そして、私は聖槍を持つ。

「聖槍、抜錨!

 最果てより光を放て!それは空を裂き、地を繋ぐ、嵐の錨!

 ―――『最果てにて輝ける槍』ッ!!」

リチャージが終わった聖槍を抜錨し、私は宝具を撃つ。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」

呪いの朱槍を事前に受けていた影響か、脳味噌丸見え男は宝具の直撃で苦しんでいた。

 私はそこから追撃をかける。

()()()()()()()()()()よ!

 それは世界を裂き、次元を繋ぐ、星の瞬き!

 それは天を越え、時を越え、因果をも越える絶技(なり)………!!」

弓を引っ張り出し、ニセモノの『最果てにて輝ける槍』を番える。

「『|最果てを紡ぐ、因果を越えて絶望断つ希望の閃光《ウルティウム・デウス・シューティングスター》』………!!」

英霊・神城まどか、その()()()()を発動させる。

 一撃一撃、全てが必殺。更に、それを全球包囲で飽和攻撃を行うことで、その真実を確定させる絶技。

 ―――『最果てを紡ぐ、因果を越えて絶望断つ希望の閃光』。

 宇宙の終焉と開闢が駆け巡る、絶対神(至高神ソル)にのみ可能とされる究極の一撃を、私は放った。

 しかし、奴―――脳無は倒れなかった。

「まさか、衝撃を吸収した………?!」

と私は言った。それ以上に、傷口が(呪いの朱槍で貫かれた影響で遅いとはいえ)再生していっている。

 ―――脳無の拳が振り下ろされる。

「DETROIT SMASH!!」

しかしその拳は私には届かない。何故ならば。

 その直前に、先程まで来ていなかった『平和の象徴』―――オールマイトが来たからだ。

オールマイト「もう大丈夫………私が来た!!」

「オール………マイト………?」

その勇姿に、私は気を取られてしまった。

 だが、瞬時に意識が『未来視』に移行する。

(このまま………では………、オールマイトが………ジリ貧だ………。早く、加勢、しな、ければ、ならない………!)

「『夢幻の射手』ッ!」

私はスタンドで脳無を攻撃する。

 だが、ショック吸収のせいで効果が半減している。

 それでも、奴が一度に吸収できる力が128ギガジュールが限界であることが分かった。

 宝具の反動で痛む肉体に鞭打ちながら、私は聖槍を構え直し、脳無とオールマイトが戦っている場所に向かう。

「片腕………256ギガジュール………。それを………ラッシュに使えば………、どうなるか………想像つくよな………『敵』………ッ!」

突っ込む。

 やり方は前にAFOを燃えるゴミにした時と変わらない。

 スタンドが殴り、私が真名解放する。

 ただ―――それだけだ………!!

『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァァ!』

「聖槍、抜錨!!

 『最果てにて輝ける槍』ォォォォォ!!」

繰り返す程に5度、オールマイトの援護もあって、脳無はダメージを吸収しきれなくなった。

「聖槍、抜錨!

 最果てより光を放て!それは空を裂き、地を繋ぐ、嵐の錨!

 『最果てにて』―――『輝ける槍』ォォォォォォォォォォ!!」

私は聖槍の出力を140%(オーバードライブ)にして、渾身の一撃を放った。

 狙うは1点、穿つは心臓。

 そう念じて放った光は、見事に脳無の心臓に突き刺さった。

 それだけじゃない。

「『敵』よ!こんな言葉を知ってるか?!

 『Plus Ultra』!!」

オールマイトが放つ拳が脳無の胴に当たり、ものの見事に吹っ飛び、USJルームの外へ弾き出されたのだ。

「うおおおおおぉぉぉぉぉ………!!全然弱ってねぇじゃねぇか?!あいつ………俺に嘘を教えたのか!?」

と手だらけ男―――死柄木弔が言う。

「さて、どうするんだお前ら………。

 何なら、お前の顔面に聖槍打ち込んでもいいぞ」

と私はソイツに言う。

「クッソ!脳無さえ居れば!あいつさえいればッ!!」

死柄木は狼狽する。

 そこへ、無慈悲に。

「聖槍、抜錨」

悪を養豚場の豚を見るような目で、冷淡に聖槍を抜錨する私が居た。

 

[side out]

 

「………16、17、18、………槍を使いまくった結果ブッ倒れた彼女を除けば、これで全員無事か」

と飯田が言う。

「ブッ倒れた?どういう事だ?梅雨?」

当然の疑問を、常闇が蛙吹に問いかける。

「それがよく分からないのよ。戦闘中はブッ倒れる様子すら見せなかったのに、あの手だらけ男に聖槍をぶつけた後、『敵』が撤退したと思ったら、途端にブッ倒れたんだもの。

 今はリカバリーガールのところに居るはずよ」

と蛙吹は答えた。

 常闇は、僅かな『手がかり』を糧に、つながる線を探し始めた。

(聖槍………最果てにて輝ける槍………抜錨………戦闘後にブッ倒れる………。

 ………まさか)

そして、答えに至る。

 だが、常闇はこう考えた。

(この事実、彼女は確実に言うだろうな)

と。

「それより、相澤先生は大丈夫なんですか?」

と八百万が、猫の頭をした警官に訊く。

「右腕粉砕骨折………だが、命に別条はないそうだ。

 13号君も同じく背中から上腕にかけて裂傷が酷いが命に別条はない。

 オールマイトはリカバリーガールの処置で事足りるそうだ。

 しかし、問題は神城まどかだ」

深刻そうな表情を浮かべて、猫頭の警官は言った。

 曰く、「外傷の治療が終わったが、目を覚まさない」のだそうな。

 命に別条はないものの、極度の疲労からか、目を覚まさない、とその横にいる警官は言う。

 不安が1−Aを駆け巡った。

 

[side 神城まどか]

 

「………………?」

目が覚めたら、そこは保健室だった。

「目が覚めたかね」

と老婆に見える女性―――リカバリーガールが言う。

「………『敵』連合は、撤退したんですね………」

と私は訊く。

 リカバリーガールは頷いた。

「………聖槍はどこにあるんです?今すぐにでも帰りたいのですが」

と私はリカバリーガールに訊く。

「残念だけど、いまのアンタの体力じゃ自力で帰るのは困難だよ。あの聖槍は、使用者の体力をごっそり持っていってしまうみたいでね。

 それに、V見たけど、あの聖槍以外にいくつか技を持っているね?それも使用者の体力をごっそり抉るものみたいだね………。

 だから、今日は自力での帰宅は困難だと分かったのさ。

 だから、迎えを呼んでる」

とリカバリーガールは答えた。

 私は反射的に苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。

 聖槍を使いすぎたか………。

 しばらくすると、コンコンという、扉を叩く音がした。

リカバリーガール「どうぞ」

アサキム「失礼する」

迎えとは、アサキムのことだったようだ。

「荷物をまとめて帰るぞ。それぐらいのことはできるはずだ」

とアサキムは言った。

 だが、そうしようにも、今になって自覚し始めた全身筋肉痛のせいで動けない。

 故に………。

「令呪を以てルーラーに命ずる。

 ここに来い………!」

と私は言った。

「ルーラー、此処に」

すると、(距離のせいか、2〜3秒のラグがあったが)アストライアが来た。

「彼女は?ルーラーと言っていたが………」

とリカバリーガールが訊いてきた。

「………遥かな過去、英雄的な活躍をした者達がいた。

 その英雄達が信仰によって祀り上げられた存在―――その名も『英霊』。

 それを使い魔として呼び出した者達を、サーヴァントという」

と私は言った。

「サーヴァント………。

 つまり『個性』の片鱗かい?

 ますます謎めいたものになったわね、貴女の『個性』」

とリカバリーガールが言う。

 ※違います

 こんなテロップが出ただろう。きっと………。

「アストライア、私を運べる?」

アストライア「勿論」

という会話もあって、どうにか荷物をまとめて帰宅した。

 ………その家こそ、アサキムの法律事務所であった。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 2日後

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

[side 神城まどか]

 

 昨日は臨時休校となった。

 そして今日、「槍使いまくってブッ倒れた」私が来たことに驚愕していた。

「うおぉぉぉぉ?!復帰はえぇぇぇぇぇ!!」

と上鳴が叫ぶが………これから夏が終わるまでどんどん復帰が遅くなる。

 だから下手に気絶す(オチ)るわけには行かない。

「この程度で叫ぶな、上鳴………。

 そもそも、ただの魔力(オド)枯渇だ、復帰が早いのは当然だ」

と私は言った。

 しかし上鳴は驚愕しっぱなしであった。

 何故なら―――右腕粉砕骨折をしでかした相澤先生が居たからだ。

上鳴「相澤先生復帰はえぇぇぇぇぇ!!」

「いやだから驚くほどじゃねぇだろ」

思わず突っ込む。

 そして、相澤先生は、今1−Aに迫っている、新たな戦いの名を告げた。

相澤先生「雄英体育祭が迫っている」

一部を除く全員『クソ学校っぽいのキタァァァァァァ!!』

「………やれやれだぜ………」

呆れの余り空条承太郎の口癖が出る………が、気にしない。

 それに葉隠が異議を唱える。

葉隠「待って待って!一昨日『敵』に侵入されたばっかなのに大丈夫なんですか?!」

「逆に開催することで雄英の危機管理体制が盤石だと示す………って考えらしい。

 警備は例年の5倍に強化するそうだ。

 何より、ウチの体育祭は最大のチャンス。

 『敵』如きで中止していい催しじゃねえ。

 そして日本に於いて今『嘗ての五輪(オリンピック)』に代わるのが雄英体育祭だ。

 当然全国のプロヒーローが見に来る………スカウト目的でな。

 時間は有限。プロに見込まれれば、その場の未来が拓けるわけだ。

 年に1回………計3回だけのチャンス、ヒーローを志すなら絶対に外せないイベントだ」

と相澤先生が答える。

 確かに外せない。

 だが、私の『未来視(魔眼に非ず)』は、その時に起こる厄介事を、1080p60fpsという高画質で映し出していた。

 起点は轟。

 恐らく、彼の個性『半冷半燃』に関係したものだろう。

 最悪、『不死鳥の騎士の鎧(アーマー・オブ・フェネクス)』を使うのも手だが………。

「また神城が神妙な顔してやがる………。

 また『敵』か?」

と切島が言う。

 良かったな、お前等には未来が視えなくて。

「ホームルームはこれで終わりだ。

 それと………神城、昼に職員室に来てくれ」

と相澤先生に言われた。

「………はい」

と私は返事をした。

 

 ………そして時は流れて昼休み。

 私は、さっさと昼食を食べ終え、職員室に向かった。

「まず俺はお前に例を言わなきゃならねぇ。

 助かった。お前がいなければ、俺は右腕粉砕骨折だけでは済まなかっただろう。

 それに、クラスを守るべく無茶をしたという話も聞いた。僅か数時間で復帰したようだが、済まなかった」

と相澤先生が言った。

 しかし、私はそれだけじゃないことに勘付いていた。

「だけど1つ言わせてくれ。お前は確かに強い。幼少期にあのオール・フォー・ワンを『燃えるゴミ』にするぐらいだ、そこいらのプロヒーローより確かに強い。

 しかし、お前はまだ学生だ。裏があるようだが、それでもお前は此処では『学生』だ、USJでのヴィラン襲撃事件のような無茶はするな。

 俺達はお前達を一人前になるまで守る義務と責任がある。

 だから、頼るときは頼れ。分かったな?」

と相澤先生は言った。

 だけど、未来が『視えている』私と、『視えない』相澤先生では、大きな溝がある事を把握していた。

「はい。

 ですが、その忠告には一言言わせてもらいます。

 私は、意識的に『未来を視る』ことができます。しかし、先生には『未来が視えない』。

 だから、私が人一倍努力せねばならないと思うのですが?」

と相澤先生に言った。

 相澤先生は固まってしまった。

「………お前のその『未来視』については、箝口令を敷かせてもらう。

 それじゃ本題に入るぞ。2週間後の雄英体育祭の選手宣誓、お前がやることになった。考えておいてくれ」

「分かりました。それじゃ………1つ、いいですか?」

私はこの日、自分の『前世』を話すことを決めた。

 

 この日の午後、私は全てのサーヴァントを呼び寄せた。

 全て話す決意を固めたからだ。

 USJ事件の際の関係者となったオールマイトと根津校長、13号も来ていた。

「えぇっと、まずはオールマイトに13号先生、校長先生、お時間を頂いてすいません。

 どうせ話すなら、全員に話しておきたかったので………」

校長「気にする事はないさ。

 元々こちらも君からこの間の件について聞きたかったからね」

という会話の後に、私は右腕に巻き付けていた包帯を剥がした。

「ありがとうございます。それでは話を始めさせて頂きます。

 最初に話さなければならないのは、私の持つ『個性』についてです。

 私の持つ『個性』たる、『真化の獣(ザ・ビースト・オブ・アセンション)』は、背部のバインダーを追加する個性………、そういう認識だと思います」

と私は全員に、今ある事実を話す。

「―――しかし、それは表面、即ち見た目だけの話です」

そして、私はそれを覆す。

「私の『個性』、『真化の獣』は、『英霊・神城まどか』の能力そのもの………。

 つまり、前世の私たる『英霊・神城まどか』から受け継がれた『個性』です」

と私は言った。それを聞いたオールマイトの表情が一変する。

「オイオイ、んなゲームとか漫画みたいな話があるのかよ………?!」

と切島が訊く。

「ある。それどころか、大真面目な話だから」

「そんなホラみたいな話があるかよゴルァ!」

と、私の発言に爆豪が突っ込む。

「本当だよ。

 爆豪の文句も、切島の言いたいこともよく分かる。

 だけど、これは本当の話だよ。

 証拠として、私は本来この世界では成し得ないことができる。譬えば………」

と私は言って、手を天井に向ける。

「こんな感じでね………。投影、開始」

と言った後に、私の右手には『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』が投影される。

 八百万以外の全員が驚愕する。

峰田「ものを無から作り出した?!」

蛙吹「どういうことなのまどかちゃん!?」

青山「何が起こっているんだ………?!」

爆豪「また手品か!お前は、また手品を使ったのか!?」

切島「すっげぇ、だけど、ヤオモモとダダ被りだ………!」

次々に発言していくが、ヤオモモが当然の如く質問してくる。

八百万「私の『個性』と似通っているように思えますが、違いがあるんですか?」

「逆に訊くが、『何を使用して』お前は物品の創造を行っている?」

その質問に質問で返す。

 投影魔術と『創造の個性』、これの違いを明らかにするのだ。

「脂質です」

と八百万は答える。

「ならば区別がつくだろう。ヤオモモ、試しに『今私が右手に持っている剣』を作ってみろ」

と私は言った。

 そうしようとして『個性』を使う八百万だったが、一向に発動する気配を見せない。

「作れない………?!」

と八百万は言った。

「これでだいたい区別がついたと思うが。

 補足して言っておくと、ヤオモモが脂質を使用するのに対し、私は精神エネルギー、RPGで言うところのMPを使ってこれを『投影魔術』という魔術で投影した。

 ちなみにこれ、同じ投影魔術でも作れない奴が居るぞ」

と私は言った。

 そして、最大の証拠を見せる。

「相澤先生、私は英霊を呼び出すので『個性』で封じてみて下さい」

と私は言った。

 相澤先生は同意し、こちらを凝視する。

「令呪を以て命ずる。

 ここに来い、シールダー!」

と私は叫ぶ。

 相澤先生は『個性』を発動し、それの発動を防ごうとする。

 しかし、悲しいかな。令呪とはサーヴァントに対する絶対命令権。故に、サーヴァント側にやらねば効果を発揮しないのだ………!

マシュ「シールダー、マシュ・キリエライト。戦闘ではないのでこちらの姿で来させて頂きました」

相澤先生「抹消が発動してねぇ?!」

1−A『おおおおおーーーーー!!』

マシュを呼び寄せた瞬間、1−Aの生徒達が声を上げた。

峰田「眼鏡女子!」

上鳴「しかも可愛い!」

「よしマシュ、彼奴等(峰田と上鳴)しばいてもいいぞ」

特に女好きな上鳴と峰田が興奮のあまり叫ぶが、私の一喝で『ヒッ』と震え上がる。

 こほん、と私は咳払いをする。

「私が英霊だった時は、私は英霊をサーヴァントとして呼び出すことはできなかった。

 だがこうして、『にんげん』として転生を果たしたからこそできる魔術がある………。

 その名は英霊召喚。そしてこの右手に宿りしものこそ、『令呪』だ。

 これは、『個性』に関係なく使うことができる」

と私は言った。

 私が『人間として生を受けている』事を証明した後、私は更に衝撃の事実を突きつける。

「私が普段持ち歩いている『槍』………。あれは実はヤバいものなんだ。

 核弾頭とか水爆とか、そんなチャチなもんじゃあ断じてない、もっとヤバいもの………。

 それはアーサー王の槍、ロンゴミニアド。

 聖槍と呼ばれる、世界の表と裏を繋ぐ、最果ての塔………その『影』だ」

私を除く全員『な、なんだってー?!』

一同驚愕。

 しかし、相澤先生とかは「成程、だからブッ倒れたのか」と納得していたようだった。

「その聖槍を5回使うと、人ならざるモノになるのだが………、私はこの生涯に於いて24回使用している」

と私は言った。

 全員が硬直する。だが私は続けて言う。

「うち7回は、世界最凶の『敵』、オール・フォー・ワンの討伐に使い………、そして、その時こそ、聖槍の初抜錨だった」

相澤先生「………つまり、お前が両親殺され、あわや自分も殺されかねない状況下で、『自分の家の敷地内で』聖槍を使ったのか?」

と相澤先生が訊いてきた。

「はい。敷地内でした。

 それに、彼は不法侵入した上に、両親を殺害し、私も多少負傷しているので………。正当防衛です………『法律上は』、ね………。

 それに、ヒトじゃなくて神になったからシステムになれ、なんていう要求は呑めるかっていうんだ。

 だから私は、『神霊・女神ロンゴミニアド』ではなく、『人間・神城まどか』としてここにいる」

と私は答えた。

 そして、私は『夢幻の射手』を出す。

「私の『個性』は、強力な能力を2つ持つ幽波紋と、多くの『英霊・神城まどかの宝具』、そして、『英霊・神城まどか』由来のスキルに分けられる。

 そのうち、入試では第4宝具『主守る次元の盾(D・フォルト)』―――簡単に言うと次元の壁を使い、最初のヒーロー基礎学では第1宝具たる固有結界『|無限の剣製・天国の極限《アンリミテッドブレイドワークス・オーバーヘブン》』を、USJ事件では第5宝具『最果てを紡ぐ、因果を越えて絶望断つ希望の閃光』―――まぁ簡単に言うと相手は死ぬ宝具を使った。

 スキルは、主に『幾ら食っても太らない』っていう、女子だったら誰でも欲しがるものである『女神の神核』と、『15回なら殺されるなどの方法で死んでも問題がない』太極のオーバーライザーだね」

と私は言った。

 ん?と言いながら、常闇が質問してくる。

「太極のオーバーライザーって、『第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇』の主人公機(ジェミニオン・レイ)のBGMじゃないか?!」

それに私は、「前世で現物見た」と答え、ジェミニオン・レイを知る者たちを驚愕させ、遅かれ早かれ『神城まどかは転生者である』という事実を認めざるを得なかった。

 あと数分で授業が終わりそうなので、私は全員に『この事実は体育祭で少し明かすから口外厳禁ね』という事を念入りに言って、授業は終わった。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

[side out]

 翌日からは、各々が個性を磨いていた。

 譬えば、爆豪。

 彼は、対『敵』を想定して、『装甲を貫通できる爆破』―――即ち、AP弾の開発を行っていた。

 譬えば、切島。

 彼は、硬化の強度を上げていた。

 譬えば、轟。

 彼は、半冷半燃のうち、半冷を使いこなす為の訓練をしていた。

 そして、まどかは。

 

[side 神城まどか]

「古き神秘よ、死に絶えよ。甘き謎よ、尽く無へと還れ。

 ………聖槍、抜錨!」

私は、『最果てにて輝ける槍』の習熟特訓をしていた。

「『最果てにて輝ける槍』ォォォォォ!!」

《セメントス》が用意した分厚いコンクリート壁目掛けて、聖槍の光を放つ。

 威力は絶大だったが、8割近くえぐったところで『最果てにて輝ける槍』は光を放つのをやめた。

「やっぱり、最大出力での真名解放は、肉体に負荷がかかるようだな」

とセメントスは言った。

 あともう少しで繋がりそうなのだが………なかなかつながらない………『ピンとこない』。

 やっぱり、『使い魔(サーヴァント)』を構成する『霊子(エーテル)』ではない『生身の肉体』では、尋常ならざる負荷がかかるようだ。

 そのせいで、『無意識の内にリミッターをかけてしまう』。

 しかし、この出力でも、脳無クラスの『敵』を倒すには十分すぎる出力だと、セメントスは言う。

「それを雄英体育祭で使うと言っていたが、正気かい?

 それは世界の表裏を繋ぐ聖槍の塔の『影』………。『敵』連合に正体を知られたら、ヤバいんじゃないか?」

とセメントスは訊く。

 それに、ニヒヒと笑いながら、私は―――。

「確かにヤバいですけど、これに同封してある疑似人格を立ち上げればいいんですよ」

と答えた。

 私は槍に語りかけるように、『彼』を立ち上げる。

「『アッド』、モードシフト」

『よし来た!久々に出張るぞー!』

アホくさいセリフのあとに、『最果てにて輝ける槍』は『対死霊の鎌』へと変形した。

『俺様を呼んだということは、なにか良からぬことが起こったってことだな?まどか』

とアッドは訊いてくる。

 「まぁ、ね」と私は答える。

 雄英体育祭………。私は、この『鎌』と、己が持つ『個性』で戦うことにした。

 そして、時は流れ………。

 

 日本中の誰もが待ち望んだ―――

 

 雄英体育祭が―――始まる。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

[side out]

 雄英体育祭。

 学年ごとに異なる競技場で競技を行う形式であり、普段は最後のチャンスということから3年生のステージが注目されるが………。

 今年はUSJ事件での1−Aの活躍から、1年生ステージが注目されるようになっていた。

 尚、公平を期すために、生徒は全員ジャージで挑むことになっているが、シューズやベルトといった類のものは、事前に許可を貰えれば使用が認められていた。

 1−Aでは、『ネビルレーザー』の補助用のベルトを巻いている青山や、『酸』を出せるように加工した芦戸、『最果てにて輝ける槍』なしではフルスペックを発揮できない神城が許可をもらっていた。

 その神城や八百万のように、ものを作ることができる『個性』を持つ者も居るが、あくまで『個性』の範疇なので、余程のルール違反でなければ問題なかった。

 ………とは言っても、神城―――神城まどかの投影魔術と『最果てにて輝ける槍』はいろいろな意味でヤバいので、非殺傷設定を立ち上げている(但し、真名解放や壊れた幻想は『死ぬほど痛い』が)。

 

プレゼント・マイク『HEEEYッ!!括目しろ、オーディエンス!群がれ、マスメディア!! 今年もお前等が大好きな高校生達の青春暴れ馬!雄英体育祭が! 始まりEverybody!!Are you ready!!?』

「「「イエェェェェェイッ!!」」」

実況を務めるプレゼント・マイクの呼びかけに応じるように、観客席から声が響く。

『1年ステージ、入場だ!!』

プレゼント・マイクの声と共に………。

『雄英体育祭!ヒーローの卵達が我こそはとしのぎを削る年に一度の大バトル! どうせあれだろ、コイツ等だろ!『敵』の襲撃を受けたにも関わらず、 鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!

 ヒーロー科、1年A組だろぉっ!!』

今大会の注目の的、1−Aが入場した。

 

[side 神城まどか]

 私は入場すると共に、『鎌』を持ち直す。

『緊張してるのか?』

とアッドが訊いてくる。

「いや、そういう訳じゃない。

 周りが『諦めきっている』っていうのが、気味悪くてね………」

『確かに嫌気が差すかもしれんが、それを覆せるのがお前の選手宣誓だろ?』

と、私の愚痴に、アッドが反論した。

「そうだね………。ああ、そうさ………。

 私が実行しなくて、誰が実行するって言うんだ………」

と言って、私は気合を入れ直した。

『選手宣誓!』

朝礼台のような台座の上で、18禁ヒーロー《ミッドナイト》が立っていた。

「選手代表、1−A、神城まどか!」

「はい………!」

周囲の様子を気にせず、私は私のペースでそこへ向かう。

 その距離は長く感じたが………それよりも、もっと短く感じるものがあった。

 ―――時間だ。

 私は、短い時間を長くするかのように、数秒だけ時間を止め、そこへ立った。

「宣誓!我々雄英1年一同は、この学校の校訓『Plus Ultra』の精神に則り、 学年の頂点を目指して全力で競技に挑む事を誓います!」

と言った途端。

「「「ワアアアアアッ!!」」」

観客席が沸き立った。

 だが選手宣誓は終わらない。

「………ここまでは、生徒代表としての宣誓だけど………、ここからは、私個人から貴方達全員への宣戦布告だよ」

と私は言った。

 会場の全員が凍りつく。

「入場の時、既に諦めきっている生徒がちらほらいた。それがいいのか悪いのか………、それは分からない。

 だけど、やる気のない奴は去れ!本気出して競技に挑む奴の邪魔だ!」

会場の生徒達「「「ッ………?!」」」

「マスコミがどう言おうが、周りが何言おうが、ここじゃ誰もが同じ立ち位置なんだよ!

 本気で挑まない馬鹿がいるようなら、真っ先に『ソイツを叩き潰す』ッ!!」

会場の全員が凍りつく中、私は堂々と言ってのけた。

モブA「いいぜ!返り討ちにしてやる!」

モブB「そうだ!負けてたまるかよ!女如きにィ!!」

モブC「目にもの見せてやるから!」

モブD「負けねぇぞ、神城!」

それに反論するかのように、ヒーロー科以外の生徒が沸き立つ。

「ならば全力を出せ!『Plus Ultra』に反しない活躍をしろ!」

と私は堂々と叫んだ。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 次回は雄英体育祭編です。



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雄英体育祭&オマケ(ヒロアカ編打ち切り)

[side 神城まどか]

『さぁ!最高にテンションが上がった所で、早速第一種目に行きましょう!』

『所謂予選よ!毎年ここで多くの者が涙をのむわ(ティアドリンク)!』

実況&解説が盛り上がっている頃、私は投影魔術で自身に金ピカの鎧を纏わせていた。

 『不死鳥の騎士の鎧(アーマー・オブ・フェネクス)』と言うが、実際にはユニコーンガンダム3号機《フェネクス》のナラティブ版(尾が付いてる方)を『是・射殺す百頭(ナインライブズ・ブレイドワークス)』と同じ要領で投影・憑依させただけである。

 常闇とかがすんごい反応見せてたけど、知るかそんなこと。

 峰田と上鳴が興奮してたから、とりあえずビーム・トンファーでフルボッコにしておいた。

 会場のモニターではルーレットのようなものが表示されて文字が回転し………。

『さて、運命の第一種目!今年は………、コレ!』

ミッドナイトの掛け声とともに止まる。そこには『障害物競走』の文字があった。

 

 魂分割されたと思ったら転生してた件〜Fate/ the over-riser 別編〜

 雄英体育祭

 

 

 

『計11クラスでの総当たり戦よ!コースはこのクラスの外周4km!

 我が校は自由が売り文句!コースさえ守れば『何をしたって』構わないわ!!』

とミッドナイトは言った。

 つまり、他の生徒の妨害も認められるのだ。

 おまけに、私の得意分野である『空中戦』も認められた。

『さぁさぁ、位置につきまくりなさい!』

私は背後に戦闘機が飛び立つ際に後ろにある例のアレを投影する。

 それと同時にスタートゲートが開き、スタートゲートのランプが消灯していく。

『………スタート!』

そして、私は勢いよく空へ飛び立った。

プレゼント・マイク『いきなり神城が前に出たァァァ?!』

相澤先生『『個性』の()()使()()()()()()か………?速度が一定以下になった瞬間に再びブーストをかけているようだな』

プレゼント・マイク『まるで()()()()だぜ!』

実況がとてもうるさいが、私は気にせずコースを遵守しながら飛行する。

 『不死鳥の騎士の鎧(アーマー・オブ・フェネクス)』についている()()()()()()()()が発する()()で飛行に必要な出力を確保しつつ、亜光速で第一障害まですっ飛んでいく………!!

プレゼント・マイク『さぁ、いきなり障害物だ!まずは手始め……第一関門!

 ロボ・インフェルノだぁぁぁぁ!!』

目の前に大量のロボが群がる。

『ターゲット………大量!』

0P仮想『敵』がこちらを見る。

投影(トレース)開始(オン)

私は14セットのGNライフルビットⅡとGNホルスタービットを投影し、大量の仮想『敵』をロックオンする。

「頭上注意だ、悪く思うなよ………!」

と言って、私は他の生徒を妨害できる角度になるように狙いをつけ、乱れ撃った。

『神城、怒濤の快進撃だァァァァァ!!投影(グラデ)で銃を作り出したかと思ったら、そのまま遠隔操作で乱れ撃ちやがった!!』

とプレゼント・マイクが叫ぶ。うるさいが………マスコミが見てるからしょうがないか。

『一発一発、全てが必中。しかも全て、他の生徒を妨害するように撃ってやがる』

と相澤先生は言った。

 しかし、ロボはまだ居た。全部倒し切るのは面倒なので、私はそのまま再び進み始めた。

『ターゲット確認。攻撃開始』

ミサイルランチャーを積んだ0P『敵』がミサイルを撃ってくるが………、私は構わず前へと進む。

プレゼント・マイク『ミサイル『敵』はまさかのガン無視!一体どういう判断なんだぁ?!』

相澤先生『至極真っ当な判断だな。俺でもそうしていた。ミサイルは避ければいい。迎撃は要人が居るときだけだ』

という会話を尻目に、私は第2関門「ザ・フォール」へと突入する。

 しかし飛べるのでそのまま通過した。

『やっぱり飛行して通過しやがった!やべぇよあの個性は!!』

とプレゼント・マイクは言った。

 そして暫くすると、後ろから爆豪、轟、飯田が追いついてくる。

「最終関門………!」

と私は言った。だが、私はギアを下げなかった。

 否、『逆に上げた』。

『最終関門!かくしてその実態は………一面地雷原!怒りのアフガンだぁぁ!!

 地雷の位置はよく見りゃ分かる仕様になってっから目と脚酷使しろ!

 ちなみに威力は大した事無ぇが、音と見た目は派手だから、失禁必至だぜ!』

とプレゼント・マイクが言うが、

『人によるだろ。例えば………、ああやって空中飛んで回避してる神城みたいにな』

と相澤が返した。

「抜け駆けはさせねぇぞ神城ォォォォォ!」

と爆豪が言って、爆破で攻撃を仕掛けてきたが、当たらない。

 亜光速によくついてこられるな………。

投影(トレース)再開(オン)………!」

予め背後に忍ばせておいた刀剣類で爆豪を妨害する。

「オラァ!!」

しかし刀剣類は爆破で弾き飛ばされる。

 その直後だ。

 ドッッッゴオオオオオオオン!!

 途轍もない衝撃波と爆音とともに飛んできたのは―――結城友奈。

 1−Bに通う、個性『大満開』の持ち主である。

()()()()()()を………、舐めんなァァァ!!」

私はブーストアップを使い、そのまま全速力で加速を始めた。

 怒りのアフガンを、ほぼ同着で、私と友奈は通過し、そのまま同着でフィニッシュした。

 

[side out]

 時間は遡る。

 友奈が最終関門に着く頃には、既に神城、爆豪、轟の3人は、最終関門の終わりの方にいた。

 それに追いつくために、友奈は満開と同時に地雷原を連鎖爆破し、衝撃で一気に加速し、追いついたのだ。

「先ーーーにーーー、行ーーーかーーーせーーーーてーーー、たーーーまーーーるーーーかーーーァァァァァッ!!」

満開時に背部に追加される、(フルアーマーユニコーンガンダムの背部ブースターのような)ブースターを点火させ、そのまま突っ込んでいった。

 結果、同着となったのである。

 

『さぁさぁ、序盤の展開から誰が予想できた!?

 今一番に、大胆な宣戦布告をした神城まどかと同時にスタジアムに帰ってきたその女―――、結城友奈の存在をぉぉぉっ!!』

とプレゼント・マイクが実況する。

 神城まどかと結城友奈は未だにピンピンしており、互いの健闘を讃えると同時にいがみ合っていた。

『さぁ第1位が2人になるという波乱もあったが、ほんの数秒で轟と爆豪、飯田が続いていくッ!!イレイザー・ヘッド、お前どんな教育したらこうなるんだ?!』

『知らねぇよ。むしろ俺が聞きたいくらいだ。

 というか、余りにも早すぎて制御できないから短距離では使えなかったってことか?!』

と相澤がその性格に反して叫んだ。

「………参ったな、まさか同着になるとは思わなんだ」

とまどかはつぶやいた。

 

[side 神城まどか]

「さぁて、第二種目よ!私はもう知ってるけど………何が出るかしら?」

とミッドナイトが言う。

(出来レースかよ)

と思う私だったが、その合間に再びモニターにルーレットのようなものが映し出され、回転していく。

「言ってるそばから………コレよ!」

という掛け声とともに表示されたのは―――、『騎馬戦』。

曰く、予選を抜けた42位からポイントでどんどん加点していき、最終的に1位は(平年であれば)1000万ポイントになるという。

 しかし、今年は『ふるい落とし』であった障害物競走で、1位が2人出た。結果として分割となり、500万ポイントとなった。

 第二種目『騎馬戦』、具体的なルールはこうであった。

 制限時間は15分。チームを組んだ生徒に割り振られたポイントの合計がその騎馬のポイントとなる。

 騎手はそのポイントが掛かれたハチマキを首から上に装着し、そのポイントを制限時間の間、チーム対抗で奪い合う。

 ………奪い合うわけだが、ハチマキを奪われたり騎馬が崩れてもその場で失格になるわけではない。

 悪質な崩し目的で攻撃して退場にならなければ、フィールドに居続けられる、という特殊なルールが通常の騎馬戦のルールの上に追加されている(その為、通常の騎馬戦の原則である、ハチマキが取られたら失格という原則をオーバーライドしていることになる)。

 その為、奪われて身軽になり、終盤で奪ってクリアする………、という事も可能である(尚、ハチマキといってもマジックテープ式なので簡単に取る事ができる)。

 ルール説明が終わると、チーム決めのための時間が15分与えられたのだった。

 

 で、ものの見事に結城友奈と私は孤立していたのであった。

「………組むか」

「はい………」

仕方無しに、『真化の獣(ザ・ビースト・オブ・アセンション)』は『()()()()()()』と手を組むのであった。

 すかさず投影で(ただ足になるだけのハリボテであるとはいえ)ユニコーンとバンシィ・ノルン(どちらもデストロイモード)を投影した。フェネクスは一旦休養。

 そして、私は騎馬戦に挑んだ。

 

『15分経ったわ。それじゃあ、いよいよ始めるよ』

とミッドナイトが言った。

 チームがそれぞれ準備を始める。ちなみに、私は騎手だ。

『さぁ、起きろイレイザー!15分のチーム決め兼作戦タイムを経て、 フィールドに11組の騎馬が並び立ったぜぇ!』

とプレゼント・マイクが言う。

 寝ていたイレイザー・ヘッド―――相澤先生は、『中々おもしれぇ組が揃ったな。案の定、まどかは投影で人員を補ってるようだが』と言った。

 だって参加者全員が断ったんだよ。しょうがねーだろ。

『さぁ上げてけ、鬨の声!血で血を洗う雄英の合戦が今!狼煙を上げる!』

とプレゼント・マイクが言った。

 開戦だ。

 

 早速、1000万目掛けて多数の敵が接近する。

 しかし、悲しいかな、それは既に予想できていたものだ。

I am the born of my sword.(我が骨子は捻じれ狂う)

 ―――『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』!!」

前面に、7枚の花弁のような盾を展開する。

 すかさず私は弓を取り出し、矢―――『偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)』を番える。

「―――『偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)』!!」

矢を撃ち出し、敵騎馬の付近に撃って、炸裂させる。

 威力を極限まで抑えている為、ルール違反にはならない。

「転けそうだな、だがそのハチマキは貰っていくぞ!」

峰田「あ、クソ、待ちやがれ!」

転けそうになっていた峰田チームの騎馬からハチマキを奪取し、首につける。

「まず1つ………」

そう呟きながら、もう一度矢を射る。

「グボァ?!」

「そこだァァァ!!」

友奈によるフィジカルでの援護、ユニコーンガンダムのシールドファンネルの助力もあって、鉄哲のチームからハチマキを奪取することに成功する。

「2つ………」

その直後に、私は転けそうになっていた爆豪チームからハチマキを奪取する。

爆豪「クソ、あのアマ!!」

「3つ………」

快進撃は止まらない。

 

 結果から言うと、「完勝」だった。

 まさかの『ノーダメージクリア』である(攻撃を受けてはいたので『ノーヒットクリア』ではない)。

 同じことの繰り返しを序盤にし、全チームからハチマキを奪った後は『主守る次元の盾(D・フォルト)』でガードしながら逃げ回っていた。

 途中、峰田のもぎもぎを踏みそうになった場面もあったが、そこは騎馬ごと跳躍して回避した。

 そして轟戦では………。

「古き神秘よ、死に絶えよ。甘き謎よ、尽く無へと還れ」

アッド『疑似人格停止。魔力の収集率、既定値を突破。

 第2段階、限定解除を開始』

「聖槍、抜錨!

 『最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』ォォォォォ!!」

轟チーム「「「うおっ転ける………!」」」

真名解放した『最果てにて輝ける槍』で地面を軽く吹っ飛ばし(某這い寄る混沌(ニャルラトホテプ)が「自分の星守らないか………」と言うくらいではないと言っておく)、ふらついたタイミングで私は轟チームからハチマキを奪い、再戦時はハンマー状態のアッドで近寄らせないようにした。

 逃げの一手を尽く打ち続けた結果、1位キープで勝利したのである。

 

 その後の昼休憩の時に、日本No.2ヒーロー、エンデヴァーに声をかけられた。

「どうだ、轟は」

と。それに私は、「誰かに散々虐められたんでしょうね。そうでなければ、私が知る限りでは『個性』を半分しか使わないなんて事態は発生しないので」と答えた。

 原因はもう見抜いている。

「敢えて言わせてもらいますが、『個性婚』なんて馬鹿げたことをしたどこぞの誰かさんとは違いますし、個性を継げるかも怪しいですよ。

 そもそも、汎人類史において、『人類が倒すべき悪(ビースト)』の能力を『個性』として保持している人間とか、規格外過ぎますからね。そんな事をしても、『私の『個性』は発現しない』」

忠告するように、私はエンデヴァーに言った。

 エンデヴァーは苦い顔をしていた。

「リクエストを断ろうとは思いません。ですが、ただ『彼を超える』と考えるのであれば―――私は何度でも悪を成そう」

締めに、私はそう言った。

 

 で、戻ってくるや否や、目の前にはカオスが広がっていた。

 チアガールの服を来た私を除く女性陣、それを見てニヤニヤする上鳴&峰田。

「………お前ら、()()()()喰らいたいか?ん?」

と私は言った。

 ………般若面で。

「「ヒィィィーーー!!」」

恐怖でビビる全ての元凶ズ。

 チア程度であればその服着る必要がない。

 そこへ、すんごくいい笑顔で件のものを作り出す八百万。

 あーあ、真面目だと思ってたやつが真面目じゃないって証明されちまったよ。

「なぁヤオモモ。

 今すぐ解体(バラ)されたいか、それともその服を引っ込めるか、どっちか選べよゴルァ。

 強制であってもコンディション維持したいから断らせてもらう」

と私は言った。

 ………般若面で。

 しかし彼女は動じない。前者だと仮定し、私は右腕にサイコ・フィールドを纏う。

「ヒィィィ、フェネクスのサイコ・フィールドはやめてくださいーーー!!」

流石にそれを見た八百万はドン引きしていた。

『さぁさぁお前らレクリエーション楽しめよ!

 それが終われば最終種目!進出4チームからなるトーナメント形式!

 1対1のガチバトルだ!』

とプレゼント・マイクが言った。さて、次はどう動くのかな。

 

 トーナメントはこうなった。

 

Aブロック

 1回戦 神城VS心操

 2回戦 轟VS瀬呂

 3回戦 芦戸VS麗日

 4回戦 爆豪VS常闇

Bブロック

 5回戦 鉄哲VS切島

 6回戦 リタ(※フェネクス(ガンダムNT)の人)VS発目

 7回戦 上鳴VS八百万

 8回戦 友奈VS飯田

 

 初手からヤバいな。だがそれだけだ。勝ち目はある。オールキャンセラーだ。ありとあらゆる分野のデバフというデバフを無効化する、耐性能力の極致。私はそれで彼―――普通科の、心操人使を突破することにした。

 

『1回戦スタート!!』

投影(トレース)開始(オン)

私は速攻で『不死鳥の騎士の鎧(アーマー・オブ・フェネクス)』を投影し、相手が質問を投げかけてくる間に一気にクロスレンジに突っ込む。

「な………に………?!」

『嘘だろ………、一気に神城が至近距離に飛び込んだぞ!』

心操は驚愕し、プレゼント・マイクは我が目を疑った。

 そして、背中にマウントしていた『鎌』………アッドを持ち、一気に首を弾き飛ばせる体勢に移行する。

「ハハハ、一瞬で負けちまった。降参だ」

と心操は言った。

『心操人使、降参!勝者、神城まどか!』

 

 2回戦の相手は、轟だった。

「凍らせるだけだったら対策のしようがあるってね!!」

と言って、私は轟が飛ばしてくる氷を、ハンマー形態のアッドで片っ端から粉砕していく。

「氷使い倒した結果、そっちの身体はボロボロのようだな!!」

轟「………ッ!!」

スパイクを投影して装備していた私は、凍った床を動き回ることができていた。

 轟を本気にさせるには、私は全力を以てあいつの『炎』を出させる他ない………!

「使えよ、炎………!」

もう少しでフィニッシュだったタイミングで、轟は炎を使った。

 空間が爆ぜる、しかし空中に逃れた私には影響がなかった。

「次撃てば決着か………」

と言って、私はアッドを掲げる。

Gray(暗くて)Rave(浮かれて)Crave(望んで)Deprave(堕落させて)….

 Grave(刻んで)me(私に)…. Grave(墓を掘ろう)…, For you(貴方に)….

 古き神秘よ、死に絶えよ。甘き謎よ、尽く無へと還れ」

詠唱をする。

『な、なんだぁ?!』

『『最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』を使う!』

実況席が困惑する。

『疑似人格停止。魔力の収集率、既定値を突破。第2段階、限定解除を開始』

アッドが停止する。

 轟は、その炎を指先に纏めている。

「聖槍、抜錨!

 『最果てにて輝ける槍(ロンゴミニアド)』ォォォォォ!!」

私は聖槍をぶつける。

 一方の轟は、炎をぶつける。

 両者が拮抗しているように見えたが………。

「この勝負、貰ったぞ」

と言った私が押し切って勝利した。

 

 準決勝、爆豪戦。

 私は『不死鳥の騎士の鎧(アーマー・オブ・フェネクス)』を身に纏い、鎌形態のアッドで勝負した。

 しかし、爆豪は先程の真名解放を使って欲しかったらしく、煽り立ててくる。

 ―――知ったことか。

 私はビーム・トンファーで爆豪を突き、そのまま場外まで吹っ飛ばした。

 

 そして、決勝。

 相手は、結城友奈。

 最終決戦だ。

 

「行くぞ、友奈!」

私は『鎌』を持って接敵する。

 友奈が拳で殴りかかろうとする『未来をまどかは見た』。

 だが、『その先の未来』は見えていない。

 だから、『今を変える』!

「こっちこそッ!!行くよ、まどか!」

友奈は拳を強く握り、こちらを殴ってくる。

「………ァッ!!」

ガキィィィィィン、と凄まじい音が鳴り響き、空間が数秒間歪む。

「大満開とかいう『個性』も、聖槍の出力の前には敵わないってかァ?!

 だが唯一言えることがある………。聖槍が無い素の私だと、お前に負けるってなァ!!」

と私は叫んだ。

 互いに距離を取る。

「体は剣でできている」

そして、私は詠唱を開始する。

 友奈はそれと知らず、満開状態になって接敵してくる。

「血潮は鉄で、心は硝子。

 幾度の戦場を超えて、不敗」

全身の魔術回路と次元力系を総動員し、個と世界を入れ替える。

 あと数秒もあれば彼女はクロスレンジに入ってくるだろう。

「ただ一度の敗走もなく、ただ一度の勝利もなし。

 担い手はここにひとり、剣の丘で鉄を鍛つ」

私は更に、眼前に『熾天覆う七つの円環』を投影する。

 友奈がそれを破壊せんと殴る。

 しかし、盾は壊れない。

「ならば、我が生涯に意味は不要ず。この体は、『夢幻』の『武器(つるぎ)』でできていた!」

私は『|無限の剣製・天国の極限《アンリミテッドブレイドワークス・オーバーヘブン》』の詠唱を完了させ、己が心象風景を世界に投影する。

「これは………」

友奈が絶句する。

『うおおおおっ、急にフィールドに舞台が作られたぞ?!』

プレゼント・マイクは驚愕する。

『固有結界、『|無限の剣製・天国の極限《アンリミテッドブレイドワークス・オーバーヘブン》』か。成程、降伏するまで戦わせる気か』

対し、相澤先生は冷静に分析する。

「お前は初めて見るか、この心象風景を。

 結城友奈………!お前と相対するのは、ご覧の通り、無限の武器だ!」

と言って、私は突っ込んで行った。

「勇者パーンチ!!」

飛ばす武器を、彼女は拳で弾き飛ばす。

 しかし私は、貯蔵された武器を飛ばし続ける。

「遅いよ!」

死角から拳が飛んでくるが………、嘗てアンジェリカ・エインズワースがそうしたように、置換魔術で空間置換をして回避する。

「舐めるな、私を」

冷酷に私は告げ、固有結界内から『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』を引っ張り出す。

「束ねるは星の息吹、輝ける命の奔流。

 受けるがいい………!」

私は大上段に剣を掲げ、振り下ろす。

「『約束された勝利の剣(エクス………カリバー)』ァァァ!!」

その光は迷うことなく友奈に直撃し………、爆ぜた。

「………時間も残り少ない………」

私は固有結界の展開限界を察する。

 そして、大満開になって攻撃をやり過ごしていた友奈を見て、不敵に笑む。

「………だが相手は残っている、か………。

 面白い、『倒し甲斐がある』」

私は即座に『不死鳥の騎士の鎧(アーマー・オブ・フェネクス)』を投影・展開し、即座にデストロイモードに移行する。

「体は………剣でできている………!」

ビーム・トンファーを展開し、私は友奈を攻撃する。

「全部のせ………勇者パァァァンチ!!」

相手もフルスロットルで殴り飛ばす。

 結果は………、言うまでもなかろう。

 

 固有結界が晴れたときには、場外まで吹っ飛ばされた友奈と、ぎりぎり踏みとどまっていた私が居た。

『うおおおおお?!相討ちかと思ったら、神城まどか、踏みとどまったァァァ!!神城まどか、WIIIIIIIIIIIN!!』

とプレゼント・マイクが言った。

 会場が沸き立つ。

 こんな泥仕合をしたのは、いつぶりだっただろうか。

 ………今は、どうでもいいか。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

[side out]

 体育祭によって有名になった雄英生。

 しかし、有名になったが故の制約を、神城まどかは受けていた。

 

 魂分割されたと思ったら転生してた件〜Fate/ the over-riser 別編〜

 Extra No.1: マス○ミシスベシフォーウ!

 

[side 神城まどか]

 今日は何の変哲もない休日だ。

 休日だ。

 

 誰がなんと言おうと休日だ。雄英体育祭は土曜だった。故に今日(月曜)は振替休日だ。

 

 だがマス○ミは、休日を尽く無へと還す。

 これだからマス○ミは嫌いだ。

 故に、私は家に引きこもって友人となったリタ・ベルナル(決勝T初戦で発目がサポートアイテムをふんだんに使いまくった結果精神ブレイクされてリタイアした人)と家でゲーム(主にエクストリームバーサス)をしていた。

「ここまで来る途中、散々声をかけられました」

とリタは語る。

 それだけ雄英体育祭の影響力が高いということだが………リタを呼んだ人々は大抵「不死鳥」と言うのだった。

 そりゃ泣きたくなるよな。しかもこの後には職業体験が控えている。私とリタは、両方同じ事務所に行くことになっていた。

 ちなみにヒーロー名の考案などもこの日に行っている。

 リタは、個性の名である『不死鳥』から転じて『フェネクス』にすると言った。

「すべてのものは、何度でも生まれ変わるから」

とリタが言うように、そのヒーロー名には「輪廻転生」の意味も込めている。

 一方の私は………『アムブリエル・ジ・オーバーライザー』。もう考えることもできず、ヤケクソから『いがみ合う双子のスフィア』のリアクターの洗礼名を使わせてもらった。

 そんな名前を。

「かっこいいね。『矛盾を孕んでそれを超越する超越者』、か………」

と言ってベタ褒めしてくれるリタが居た。

 (機動戦士ガンダムNTとかUC不死鳥狩りのリタも含めて)優しいんじゃないだろうか、彼女は。

 いや彼女はその並行世界の同一人物だから、(フェネクスぶつけると)死ぬけど。

 でも、彼女も彼女で私と同じ『()()()』であることを知っていた。

 リタは原作(機動戦士ガンダムNT)終盤に銀河に向けて旅立ち、その数カ月後に『何故かフェネクスの能力や武装を持ったまま』転生したという。

 それで4歳の時にフェネクスの力を『異形型個性として』発現。

 以後、アームド・アーマー全種をくっつけたペルフェクティビリティ状態で、コントロールできるようになる10際になるまで生活していたという(10歳越えたあたりからアームド・アーマーを仕舞うこともでき、通常時はアームド・アーマーDE+スタビライザーの状態である)。

 私は今一度、転生とはどういうことかを感じたのだった。

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 つづかない。



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