横島と美神とかが同年代なのを書きたかった (ブロンティスト(誤字的な意味で))
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始まってすらないからのスタート

何番煎じか分からない様な設定だけど許して下さい!なんでもはしませんけど!!


 

走る、それも命がけと言える程に疾く

 

何故?・・・それはそこに「ソレ」があるから

 

最高速でのストップ&ゴーに足が痛むがそんな事は無視して駆ける、もう「ソレ」は目の前だから

 

そして遂に手が掛かり、そして・・・

 

 

「その隙、もろたあッ~!!」

 

 

全力でスカートを捲り上げたエロクソガキ主人公、横島忠夫の勝利の雄叫びが響き渡った

 

 

 

 

 

 

「・・・で?ちゃんと反省したん?次は許さへんってゆうたんやけどな?」

 

 

笑顔ではあるが、こめかみに青筋が浮かび、声色にも怒りしか感じ取れず鬼の形相にしか見えない夏子

 

 

「かんにんや~!!しかたなかったんや~~!!」

 

女子から説教を受け、ぼろぼろになった横島忠夫もとい、集団暴行された横島忠夫・・・完全に自業自得でしかない

 

「・・・もうっ!ほんんっっと~~に次ぎやったら許さへんからな!!・・・あ~もうっ!!!」

 

「ありがとな~夏子、もうせぇへんから・・・た、助かった・・・生きとる・・・!」

 

集団暴行を受け、ほんのちょっぴり生命の危機を感じていたのか、生の実感を得て感動に浸る小学生

 

波乱万丈なのはこの時から既に始まっていたのか、しかし自業自得でしかないので完全にただのアホである

 

「む~・・・ほんとちゃんとしぃや?私らもこんなことされたないねんし、したないねんから」

 

淡い恋心を向ける相手が「こう」なのだ、本気でどうにかしてほしい、だが残念ながらそれは未来永劫無い、そして出番も無い

 

「はい!この横島忠夫!全力で頑張ります!!」

 

「ん!そいじゃまた明日な~」

 

授業も終わり、帰ろうかという所でスカート捲りされたが、最後は「仕方ないな~」で許す夏子たち女子

 

それが彼の最後にしばかれれば許される的な思考を齎してるのだが全然気づいてない、そして夏子は男を見る目がない

 

 

 

 

 

 

 

「いや~・・・今回はきつかったわ~・・・ん?」

 

そんな事をつぶやきながら帰り道を歩いて居ると、なんとなくとしか言えない、妙に引っ掛かる、そんな「ナニカ」を感じる

 

きっと行けば面白い、そんな感覚に身を任せる。ワクワクする、きっと面白い事が起こる、出会いが有る、それが何故か「解る」、

 

 

 

 

 

 

辿り着いた先に居たのは、栗色の髪をした親子だった

 

 

 

 

 

「こんにちは坊や、何かを探していたの?」

 

その言葉は右から左へと耳を通過するだけで彼の内には入ってこない、一人の少女から目が離せない、視線も身体も思考さえも釘付けになっている

 

「・・・何じっとみてんのよ?」

 

"歳は同じ位な"少女が不機嫌そうに告げる

 

「あっ・・・いや・・・」

 

「ふふっ、まぁいいじゃない?それじゃ行きましょう令子・・・それと坊や」

 

「は、はいっ」

 

たどたどしく返事をする横島に女性は一枚の紙を渡しながら微笑む

 

「”何かあったら”この人の所へ行きなさい」

 

紙には「唐巣和宏 **県**市***-*** 電話番号 ***-***-****」そう書かれてあった

 

「私は美神美智恵、私からのお願いだって言ってくれればそれで分かってくれるわ」

 

「え?・・・いや、そんなんいわれても・・・」

 

「すぐに分かるから、覚えておいて・・・それにしても、子供の時はこんな感じだったのねぇ」

 

頭を撫で、笑みを浮かべながら感慨深い表情をする美智恵

 

「・・・ん?どういう──」

 

「そのうちね?それじゃ令子、行きましょう」

 

子供の自分に子供の時と言われる、訳が分からないという言葉は切って捨てられた

 

 

 

呆然とただ去ってゆくのを見送り立ち尽くし、渡された紙を見ながら呟く

 

「ほんま、なんなん?わけわからんし、コレどーしよ?」

 

一瞬、捨ててしまおうか?そんな考えが脳裏をよぎるが次の瞬間それどころではなくなる

 

「──っっ、うっ、がああああああああああああっっっ!!!」

 

唐突な頭痛、それも尋常でない痛みと入り込んでくる「ダレカ」の記憶

 

 

 

「オレに惚れろ!!」「惚れるって何?」「俺の魂はお前のもんだよ」「こんなの欲しく無い!!私は──」「美しいが滑稽だよ」「また会おうな」

「幸せでした、貴方と出会えて」「ぶざけんな!母親と恋人を同時に──」「美人だね、名前は?」「玉藻」

「はあ~、帝の禊かぁ、めんどくさ」「冗談でもそんな事を言わないでください」「お急ぎください、安倍晴明様」

 

 

 

 

「はあっ!・・・んぐっ・・・はぁ~・・・くっそ、これって」

 

 

こみ上げる吐き気を飲み下し息をつく、問題は入り込んできた「知識」と「経験」それも「自分自身」とも言える「安倍晴明」

 

「んなあほな・・・ありえへん・・・あってんやん」

 

一人ツッコミしながらも段々と記憶が馴染み、現状を理解する、そして──

 

 

「どないしよ・・・」

 

 

 

 

 

一人で途方に暮れる少年が出来上がった

 

 

 




モノ書くってこんなに疲れんだ・・・


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親の愛

ギャグ路線になれない。でも、シリアスはなんか薄っぺらい



 

上を向き、悟りを開いた表情で微笑む少年、横島忠夫。そんな彼の心境は「空が青いなぁ~」と、色々と悟りきっていて、ただ不気味にしか見えない

 

(さっきの人、ココに連絡ゆうてたなぁ・・・)

 

”何かあったら” そう言われて渡されたモノを見て息をつき、冷静に考え、答えを出す、そして──

 

 

 

「うし、帰ろ」

 

 

 

問題を先送りにした

 

 

 

 

 

「ただぁ~いま~・・・」

 

そんなリストラ直前のサラリーマンな声で帰りを告げる小学生、横島忠夫

 

「ん!お帰り、今日は遅かったな、友達と遊んでたん?」

 

笑顔で迎える母、横島 百合子(現在は専業主婦だが、会社に居るだけで株価が上がるといわれるとんでも人物)、それでも何も言わず帰りの遅い息子を心配していた

 

「いや、そうやないねんけど・・・おとん帰ってきたら話すわ」

 

「・・・なんかあったんやね?」

 

「ちょい今は一人で考えたいねん・・・」

 

息子の顔つきが違う、何かが有った、思い詰めている、それは解る、だからこそ言う

 

 

 

「私は忠夫の母親やからな、何があっても味方やで?全部はなしぃや」

 

「・・・ありがとな」

 

 

 

 

 

顔を上げられない、背負ったランドセルは重く膝をつきたい、母の愛に泣きたくなる、そんな込み上げる感情を抑えられそうにもない

 

そんな横島忠夫が取れる行動は、唯々・・・自室へと逃げるだけだった

 

 

 

 

 

 

「はぁ~、幸せ・・・なんやろうなぁ・・・」

 

これだけ思ってくれる人が居る、絶対の信用と安心が有る、これが幸せでなければなんなのだろうか?しかし、それでも・・・

 

「どこまで話すんや?適当にぼかして?それとも全部話せばいいんか?」

 

不誠実、そう取られても仕方ない前者と、拒否したとしても自分を守ろうとするであろう親

 

前世「安倍晴明」「高島」その知識と力、これこそが問題だ、有名と言うだけではない、ゴーストスイーパーという職業が有る以上、ある程度の力が有る者であれば、

自分の力は隠し通せるものでは無いだろう、何よりも──

 

「目の前に霊障で命の危機に晒されている」「人々の横暴な振る舞いで居場所を奪われる妖」「人々や神族から不当な扱いを受けている」

 

それらを目にしても、見て見ぬふりをするなど出来はしない、それは己の矜持だから

 

 

「腹くくるしかないかぁ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「忠夫~、夕飯出来たで~」

 

「わかった~」

 

そんな母からの言葉を有難く思う、父である横島大樹は既に帰っている、父が自宅に帰るまで自分が考える時間をくれたのだろう

 

「おまたせ~・・・」

 

「うむ!何やら話が有る様だが、まずはメシを食ってからだな!」

 

ばつの悪そうな息子を見て父(大樹)は笑いながら言う。無言で進む食事もすみ、両親は息子の前に座り言葉を待つ、それを見て──

 

 

 

 

 

 

「・・・今から色々と滑稽無糖な話をするんだけどさ、ゴーストスイーパーに成ろうと思うんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少年は覚悟を決めた

 

 

 

 




オリジナル展開とガバガバ設定が有ります。
けっこう昔の漫画なんで許してね?仕方ないよね?


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親の愛(2)

前回の「俺はGS王に成る!」みたいなのが後々みたらいくら何でも無いだろって思ったのでその話を無理やりこじつけました。
バイクを盗まず書きだしたので、完全に行き当たりばったり

書きたいシーンが幾つかあるのですが、この調子だと最初が100話超えるかも、どうしよう・・・


 

ゴーストスイーパー

 

 

悪霊や妖などを祓うことを生業とする横島忠夫の前世、陰陽師と同じ職種

 

テレビや新聞等でも特集が組まれる程には有名な職業ではあるが、科学的な思考が有るこの世界では胡散臭さはそれ以上だろう

 

それを目指すと言う息子に大樹も百合子も眉を顰める、GSと言う職業に嫌悪感が有る訳ではない、ただ息子を心配しての事だ、二人とも現代社会で一角の人物だ、当然にGSへの依頼も有り、造詣も有る

 

「・・・それがどれ程危険な事か知っているのか?いつ死んでも可笑しくないんだぞ?・・・まぁ、話はそれだけでは無い様だからな、まずはそれを聞いてだからだがな」

 

「・・・・・・」

 

「・・・ありがとな、おやじ」

 

夫である大樹の言葉に口を噤む百合子、息子の一大事であるからこそ夫に任せようと思った、それが自身が育て共に成長した大樹だから

 

そして突然な話にも馬鹿にせず、まず親なら頭ごなしに否定して止めさせる事を、笑みを浮かべながらも目は本気で話を聞きたいという父に感謝の言葉しかない忠夫

 

「ほんま、ありがとう・・・・全部話すわ」

 

 

 

 

今日あった出来事、出会った親子、自身の霊力、そして前世の記憶───それらは一笑に付す処ではない、荒唐無稽と言われ馬鹿にされるはずの話

 

それでも両親は最後まで真剣に話を聞き、息子のたどたどしい言葉に誠実に応えた

 

「・・・そうか・・・まぁなんだ、その、お前の持っている霊能で、俺たちに見せられる物を見せてくれるか?」

 

疑う訳ではないがそれが本当に勘違いではないかいうのは当然の確認だろう、「高島」これは聞いたことはないが「安倍晴明」日本だけではない、海外で知られるほどの名だ、それが息子の前世

 

「うん・・・あの、この身体だと陰陽師としての能力って実はそこそこ程度でさ、親父たちやったら分かると思うねんけど・・・これでええかな?」

 

両親が霊感が多少なりとも有ることはわかっている、そしてオーラと言ってもいい物を纏っている、それは殆どの不運や不幸を覆す程に強固で自身には無い物

 

霊能と言ってもその種類は多岐にわたる、呪符・呪術・祈祷・式神など様々だ。しかしそれらを現状では使いこなせない忠夫はシンプルな方法を選んだ、霊圧をぶつけるという方法を

 

「っ、・・・なるほどな、確かに重圧の様な物を感じる・・・それで?その美神とか言う人の言葉通りにするのか?」

 

<美神美智恵>

彼女こそがこの話の発端、彼女と会ったあの時に忠夫は間違いなく”誘われた”霊能に目覚めた今でははっきりとわかる、呼び寄せるように霊波を放っていたのだから

アレ程の使い手だ、十中八九GSかそれに関わる人物だろう、何よりこれから起こる事態を知っている様だった

そして何より気になる言葉 ──子供の時はこんな感じだったのね──そのうちね?

言動から未来予知等の能力を持っているのだろうと当たりをつけているし、態々あのような真似までして自分に会いに来たのだ、無視ををする様な真似は悪手だろう、何より自分の頭を撫でるなど親し気に接していた所から、少なくとも未来では悪い関係では無いと分かる

GSの仕事に携わっていれば彼女の素性に近づくのに一番の近道のはず、目指さない理由がない、そして───

 

 

 

 

<令子>そう呼ばれていたあの少女・・・「また会いたい」と、ただひたすらにそう思う

 

 

 

「「──っ!!」」

 

 

身体が凍り付く、その無意識に霊圧を放つ息子を前にして驚愕と畏怖を覚えるが、親としては有ってはならないだろうという気持ちからか、精一杯の気持ちで余裕を持って声を出す

 

「ふむ、だがその力は抑えていれば大抵の人にはバレんのだろう?それでは駄目なのか?前世は前世だしな、今の人生を楽しめばいいだろう」

 

「っと、ごめん、おやじ・・・えっとさ・・・ほんとは・・・あの子に会いたいっていう俺のわがままやねん、ほんま無茶苦茶言ってごめんな・・・」

 

慌てて霊圧をしまい、ばつの悪そうにそう溢す、理由は一目惚れ少女にまた逢いたいという不純な動機にしか見えない、それでも1000年も経ってもまた会えるとなればその可能性に縋りつきたい

そんな俯き、少女と逢引きしたいなどと言う息子に大樹は口角を上げ

 

「くっはははっ!流石は俺の息子だ!!ホレた女のためならなぁ・・・そりゃあ全力だ!突き進む以外に無いな!」

 

「あなた・・・」

 

大笑いする夫を見て、「はぁ~・・・」としか言えない百合子、真面目な話をしていたはずなのに何故こうなるのか?、頭痛で思わず片手で顔を覆うように米神を揉む

 

「俺達もそうだっただろう?惚れた女の為に向こう見ず、まずは様子を見てみないか?」

 

「・・・それはそうやけど・・・はぁ~、少なくともその件の親子とメモに有る人物については調べてや?それで危なない人やってわかってからやで?それが条件や!」

 

「ん、クロサキ君に頼んでおこう、彼ならおまえも信用できるだろ」

 

「まぁ彼なら適任さかいええわ、報告は詳細に、な?」

 

念を押す百合子、それに頷てから大樹は息子に話しかける

 

「っとまぁ、こんな感じでなら俺達はお前に行ってけって言えるが、お前は何かあるか?遠慮無く言ってくれ」

 

「・・・なんもない・・・ほんま、ありがとな、おやじ・・・」

 

 

 

 

そう言って無言で泣き続ける息子と、その息子を抱きしめる父親が居た

 

 

 




女癖はともかく、大樹の様な父親が好きなんですよね。
母子家庭で育って、長男だったので父親や兄とかの憧れが強いだと思います。
だから美神令子みたいなのが好きで嫌いなんでしょうねぇ、なんとなくですが共感しちゃいますから、年上の人の庇護に入りたい、でも年下の人には頼りたくない、格好悪いって思いますから。


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唐巣教会

ストーリーの進行の遅さにやっと気づきました。


 

 

「それでは、唐巣神父の所へ行こうか!」

 

 

 

 

部下で在るクロサキに運転手を任せた高級車を目の前に用意し、ドヤ顔な横島大樹

 

両親と前世など色々含めて話をしての数日後の土曜日、笑顔でそう言う父親に「え?」としか言えない忠夫

 

この数日であの親子や唐巣神父の身辺をしらべたのだろうか?クロサキ氏の苦労が偲ばれるが、この小説的には馬の耳に念仏も良い所なので気にしなくて良い

 

そんな人としての一般性相対思い遣りをブラックホールに投げ捨てた横島大樹は胸を張って息子に言う

 

「用意は出来てるからな、荷物持ってさっさと行くぞ~」

 

「・・・え?」

 

「ほらっ、自分で決めたんやろ?さっさと行きぃな」

 

「え?」

 

「車も新幹線の切符も向こうでのホテルも用意してるから問題ないぞ」

 

「え?」

 

「そいじゃあ、後は頼むわ」

 

「え?」

 

「ああ、日曜には戻る、待っていてくれ」

 

「いや、あの──」

 

「いってらっしゃい、お願いね?」

 

「ああ・・・任せてくれ」

 

 

妻の百合子から全権を任される、その重圧を物ともしない、そんな頼もしい夫に思わず引き寄せられる、そして二人の唇は段々と近づき──

 

 

 

「ちょいとまてえええぇぇ!!!!」

 

無粋な息子に遮られた

 

 

 

 

「ぐおっ!・・・ちょっ!いきなり車に放り込むとか・・・!」

 

「夫婦の別れを妨げるとは何事だ・・・?」

 

「いや、親のラブシーンなんて見たないねんけど・・・」

 

「だが夫婦の愛の確認は重要だぞ?よく覚えておけよ?」

 

「ならなんで浮気すんねん・・・」

 

 

思わず叫んだ息子を車に放り込み、部下のクロサキが運転する車の中で腕を組みながら言う

 

「それはそれ、これはこれだ!」

 

「さいてーやな、親父、いや・・・俺もあんま言えんけど・・・」

 

今の思考と前世を考えればこその答え、あちらこちら手を出して死刑になりそうになり、最終的には魔族に手を出そうとして死んだのだ、全くもって笑えない

 

「男などこんなものだ、お前も権力財力と色々と手に入れたら、こう成らないと絶対と誓えるか?」

 

「・・・自信ないわ・・・」

 

「だろう?」

 

そんな小学生と、その父親の普通ならばあり得ない会話をしつつ駅前に着き、大樹と忠夫はクロサキに礼をする

 

「色々と助かったよ、すまなかったね、クロサキ君」

 

「本当にありがとうございました、クロサキさん」

 

「いえ、私の方こそいい経験をさせてもらいましたから」

 

部下を労い、それなりの額の紙幣が入った封筒を渡す大樹に受け取るクロサキ、受け取らないのはそれこそ礼節にかける以上、受け取る以外に無い

 

「また何か有れば頼むことも有るかも知れないが、その時も頼んでもいいだろうか?」

 

「ええ、もちろんです、お任せください!」

 

尊敬する上司に胸を張って応える部下、しかし彼の活躍は書かれるか分からない、いい仕事をしたからといって、その後の活躍が保証される小説では無いのだ

 

 

 

 

 

「はむはむ・・・思っていたより美味いやん・・・そいで?神父さんともう話はしとるんやろ?」

 

乗務員から父親と一緒に弁当を受け取り美味しそうに食べる忠夫、笑顔で弁当と飲み物を渡す乗務員に「美人やなぁ~、お近づきになりたいなぁ~」と言う煩悩を何とか笑顔で誤魔化しながら受け取っていた

 

「まぁな、アポは直接取っているが、この話を知っている様子だったな、すぐに会いたいと言っていたぞ?」

 

「あ~そっか、美神(美智恵)さんと話はしてて当然か」

 

(ふむ・・・調査通りの、清貧な人物であるのは話した時にある程度は理解出来るが・・・)

 

電話で話した内容にも誠実に答えてくれた、言えない事にははっきりと言えないと言った、そう・・・「言えない」と言ったのだ、ただあの手のタイプは誠実で在り、それに誇りを持っている、息子を任せるには悪くない人選だろうが・・・

 

(全ては会ってからだな)

 

そう心の中で考える、見た目・印象・言動、それらのみで判断出来るほど甘い世界で生きてはない、しかし大樹の”勘”はこの流れを肯定している

 

 

「オヤジ、ぼうっとして、どないしたん?」

 

「いや、ちょっと考え事をな、取り合えず飯を食っとくか」

 

 

言葉少なに食事を終え、目的の駅へと到着してからタクシーで目的地に向かう。

 

到着した先の教会の扉ノックする、出迎えたのは眼鏡を掛け、優しい笑顔を浮かべた神父だった。

 

 

 

「初めまして、唐巣和宏と申します、横島大樹さんと横島忠夫君ですね?」

 

 

 




表現がくどいとか冗長というか単純に下手なだけなんですが、悩んで書くって面白いですね。


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唐巣教会(2)

 

 

「特に何も無い所ですが、どうぞ」

「こちらからの用件で押しかけているのにすみません。ありがとうございます」

「ありがとうございます」

 

唐巣神父から紅茶を渡され、礼を述べる大樹と忠夫。笑顔で温和な雰囲気だが、忠夫への興味を隠し切れない様子。

紅茶に口を付け(やはり嘘を付ける様なタイプでは無さそうだな)と、軽く神父の観察をしながら、話を切り出す大樹

 

「それではお話を聞かせて頂けないでしょうか、美神美智恵と言う人物とその言動の意味、そして息子に起こった出来事の理由」

 

一瞬考えを纏めて話し出す唐巣神父

「・・・まず、美神美智恵は私の知人です。GS界でも上位に名を連ねる程の人物で、六道家の現当主の弟子に当たります。」

 

「・・・(六道家か、またデカイ所が出て来たな、しかも当主の弟子ときてる)」

日本GS界でも最大手の名家。何故そんな所が?と、聞きたいのを我慢し、無言で先を促す

 

「そして彼女の言葉の意味ですが、私の所でGSと成る為の修行を受けて貰いたいのです」

「ぜ、是非!お願いしまっ・・・」

神父の言葉に、身を乗り出して頼み込む忠夫だが、大樹がその首根っこを掴み、無理やり座らせる

「まだ話は終わっていないぞ?少し落ち着け」

「うっ・・・すまん、おやじ」

「はははっ、元気なお子さんですね。では、彼に起こった事の理由ですね?」

「はい、何故息子が霊能に目覚める事を知っていたのですか?息子の事をどれ程知っているのか、お聞かせ願えますか?」

そう真剣な目で話す大樹に神父は───

 

「お答え出来ません」と、はっきり断った

 

「やはりですか・・・」

断られると分かっていたのでそう溢す、そして一番重要なのがこの部分で有ると確信を得る

 

「先日、連絡を受けた時に申し上げた通り、自信の霊能が重要では有るほど、それは秘匿せねばなりませんから」

「そうですか、分かりました・・・忠夫、お前が決めなさい」

「・・・ええの?」

父親の言葉に恐る恐る確認を取る忠夫

「ああ、母さんとはもう話し合っている、最終的にはお前に任せるとな」

「そいじゃあ、唐巣神父、よろしくお願いします!」

「ん!こちらこそよろしく、忠夫君」

机越しに礼をする二人、忠夫は目指すGSの師を得て、神父はこの才有る少年を師事すると言う大役を任されて、共に笑顔に成る

 

「よし!それじゃタクシーから、キャリーバッグを運転手の人に言って、持ってきてもらえ」

「うん、なんかあるん?」

「ああ、お前は今日からこの教会に住み込みで修行だ!」

「えええええ~~~~~!!!」

自信満々のドヤ顔でとんでもない事を言い出す父親に、絶叫を上げる忠夫

 

 

 

「学校は!?」「既に転校手続きをしている、まぁ実際に通学しだすのは来週位だな!」「友達とのお別れ会とかは!?」「こっちで友達を作るんだな!」「そのほかなんかもろもろは!?」「この俺に不手際が有るとでも?」「朝からいくら何でも突然すぎやろ!?」「いいからさっさと行ってこい!」

混乱している息子を蹴り飛ばし、満足気に神父の前に座り直す

 

 

「・・・なんと言うか、説明してなかったのですね」

「行動は早い方がいいでしょう?また明日、また今度、そうやって行動を遅くすると決意が鈍るものです、そしてなにより私達夫婦は危機感を覚えています」

「確かに・・・」

「幼いうちに目覚めた霊能は、制御が甘く、暴走の可能性が高いと聞きました」

前世が高名な霊能者だとしても、身体は子供で在る事に変わりない。霊力のコントロールが完全ではない、その可能性が捨てきれない。もし何か有れば、その被害は息子の周りの人々と、息子自身に振り掛かる、それ故の緊急処置だった。

 

「どうか、忠夫をよろしくお願いいたします」

「分かりました、私も全力を尽くし、彼を立派なGSにして見せます」

頭を下げる大樹に、自信を持って応える唐津神父。だが「それではこちらを───」と、言って大樹が懐から渡してきた、分厚い封筒に顔が引きつる

「い、いえ!これは頂けません!」

封筒を押し返そうとする神父だが、大樹はニヤリと笑い

「風の噂で聞いたのですが、一流のGSでも財政状況は余り宜しくない様で・・・3ヶ月前には電気が止まったとか?食べ盛りの子供を飢えさせるので?」

「うっ!・・・」

そう言われては、受け取る以外に無い

「はぁ~、分かりました、受け取らせて頂きます。このお金は忠夫君の為に使うと誓いましょう」

「貴方も頑固な人だ、では宜しくお願いしますね」

師匠が倒れでもすれば、弟子に師事する所では無いだろうと思うが、ここらが落とし所かと、少し笑いながら封筒を渡す。それと同時に扉が開き・・・

 

 

「おやじがワイロ渡しとる・・・」

 

 

まったく空気の読まない息子が全力で勘違いしていた

 

 

 

 

 

 




勝負は始まる前に終わっている!

そして次回は時間が飛びます
中学生編スタート


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出会い


主人公なのになんというか目立ってない横島


 

 

横島忠夫(14歳)。GSを目指す青春真っ盛りで、前世にやらなんやらかんやら問題を抱える中学生

 

そんな主人公である横島忠夫は、某所のとある館に住み着いている悪霊の除霊を唐巣と共に行っていた

 

 

 

横島は目の前の悪霊に讃美歌を詠う

 

「神はわれらの避所また力なり」

聖書を片手に、しかし油断なく言葉を紡ぐ

「なやめるときの最ちかき助なり」

横島の霊力がゆったりと高まり、悪霊はじりじりと後退る

「さればたとひ地はかはり山はうみの中央にうつるとも我儕はおそれじ!」 ※神はわがやぐら

そしてその霊力が最高に達し、聖歌を詠いきり───

 

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 

 

何も起こらなかった

 

「・・・うん、やっぱり君に信仰心は無いみたいだね」

そう疲れた笑いをする唐巣の目の前には、無言で霊波刀を振るって悪霊を真っ二つにする横島が居た

 

 

「そやから無理やって言うたやないっすかあぁぁ!!」

「いやぁ、どうしても最後に確かめたくって・・・ね?」

下級の悪霊の除霊を(除霊費用は依頼人が低所得の為に無し)終わり、ほのぼのとするはずの会話だが、横島は当然の如く吠ええた。

「信仰心なんかあっても腹は膨れんのじゃあぁぁ!!!」

地面を叩き、泣きながら力説する横島。因みに電気は止められているため、先月からエアコンは動いていない。

「働けど働けど・・・俺の暮らしっ・・・えぐえぐ・・・楽にならず・・・って最後って?」

そう泣きながらも、神父の言葉に首を傾げる

「うん、横島君・・・GS試験受けようか」

「・・・それ、拒否権あるんすか?」

「無いに決まっているだろう」

無慈悲にいい笑顔で笑う唐巣、いっそ殴りたくなるがギリギリの所で耐える

「いくら何でも突然すぎやないっすか!?」

「突然の事態にも動じない、そんな人になってほしくてね。やったね?いい経験出来たよ」

「理不尽過ぎる・・・」

「世の中は理不尽な事ばかりさ、早めに慣れないとね。それじゃあGS試験の手続きとはしてるから、試験会場に行ってきてね?タクシーも用意してるし」

「なんていうか、おやじに毒されてきてません?」

「親御さんとの連絡はしっかりしているからね」

自分の知らない所で話が決まるのは良くある、そもそも最終的には自分で決めたとはいえ、この師弟関係すらそうなのだから。それでもだからといって一生に関わる事案を勝手に決めるのはいかがなものだろうか

「なんでこう俺の周りって事前説明無い人ばっかなんやろ・・・」

そうホロリと涙を流す

「でもGSに成るのを目標にここに来たのだろう?それなら当然の流れではないかね?」

「いや・・・そりゃそうっすけど、心の準備というかなんていうか」

「まぁ突然なのは済まなかったと思っているからね、これに関しては埋め合わせをしよう」

「それやったら依頼料をちゃんと貰って下さいよ・・・って、埋め合わせって何するんすか?」

一流のGSなのに、毎月ぎりぎり生活な唐巣を結構本気で心配している横島。自身の生活も含めて本当にどうにかして欲しい。

「はははっ・・・それじゃあタクシーもそろそろ着く頃だし、準備しようか」

「そんなはぐらかさんでも・・・まぁ、準備しますね」

「うん、食事なんかは向うで手配しているから、衣服を持ってい行く位で十分だよ」

「ういっす、んじゃ荷物纏めてきますね」

そう言って自室へと向かう横島を見ながら唐巣は思う

(14歳でGS試験、それも確実に合格出来る実力)

 

───{天才}───そんな言葉は陳腐であろうか?しかし、他に形容出来る言葉が見付からない

 

「まったく、とんでもない弟子を持ったな・・・・」

そう一人ぼやく、しかしどことなく嬉しそうな顔と声色は、そんな弟子を持てたという喜びが有るのだろう

 

「せんせ~、準備できたっす」

到着した車をに待ってもらい、横島を待つ唐巣。そして私服を入れたバッグを持ち、ふらっと現れる横島

「ん、丁度タクシーも来たから、行っておいで?まぁがんばってね」

「なんか適当すぎません?」

「それだけ君を信用してるんだよ。埋め合わせに関しては、本当に期待しててくれ」

「んまぁ、期待しとくっすね。それじゃ行ってきます」

そう言って教会から出ていく横島を見送る唐巣

(緊張も気負いも無しか・・・激励の言葉位は言おうと思ったが、必要なさそうだ)

そんな頼もしい弟子に薄く笑う。一抹寂しさを覚えるのは、その弟子が我が手を離れるのが、そう遠くないと感じているからだろう

 

 

 

そんなこんなでGS試験会場に到着した横島、そんな彼を出迎えたのは───

 

「初めまして~~キミが横島君ね~~~?お話は~~~聞いてるわ~~わたしは~六道冥奈とい~います~~」

「は、初めまして・・・横島忠夫っす・・・・」

余りにも間延びした言葉に、思わずガクッと膝が崩れそうになるが、なんとか持ち直す横島

「あんまり~~GS受験生をね~~贔屓しちゃ駄目だから~ほんと~は~~声を掛けたりしないんだけど~~唐巣君の愛弟子って聞いたからね~~?どーしても一目見たくてね~~」

「いや、えっとそのっ・・・よろしくっす」

しどろもどろに応える横島とニコニコと話す<六道>冥奈

GS業界でまず間違いなく超が付く名家、その当主

(話は聞いてるって事は、唐巣先生から挨拶位はいっとんのやろーなぁ)

親し気に話す六道冥奈の様子からそう当たりを付ける

「それじゃ~~がんばってね~~横島君~」

「ういっす、そんじゃ行ってきます」

そう言ってGS試験の受付に向かう横島を笑顔で見送る冥奈だが、その内心は笑顔とは程遠い

(へぇ、あの子が唐巣君が私から隠しておきたかった子ね・・・)

確かに「話は聞いて居る」それは嘘ではない、だがそれは口を割らない唐巣に焦れて、部下に調べさせて聞いたもの

あの唐巣がGS試験を受けさせる、そんな人間なのに霊力は感じられない、’感じられない’のだ、つまりそれは霊力のコントロールの高さを物語っている

口角は吊り上がり、薄目に横島を見詰める冥奈は思わず呟く

「欲しいわね・・・」

 

 

 

そんなGS試験中な横島を置いておいて、唐巣教会では新しい弟子───横島に”埋め合わせ”、そんなプレゼントでは無いが、素敵な出会いをと言う意味での話

「さて・・・君の事情はある程度知ってはいるが、まずは自己紹介からかな?私は唐巣和宏、これから君の師を務めさせてもらう」

 

 

「はい、よろしくお願いします」

亜麻色の髪、気の強い視線。一流のGSである唐巣を前にしても、その心は折れない。そのんな彼女の名は・・・

 

「美神令子です、ご指導ご鞭撻のほどを」




来た!
メインヒロイン来た!
これで勝つる!!


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それはそれで楽しみ

今年も暑すぎ、地球は人類を殺しに来てる


 

「98番、合格です」

 

GS第一試験、霊力を見せるという単純な振るい落とし。落とされるはずもなく横島は合格を告げられるが、それでも鋭い眼付きで回りのGS受験生を見詰めていた。

そうして退場して行く横島を、六道家当主は見詰めなが思う

 

(油断は無し、GSとしての心構えはきっちり出来ているわね・・・)

そんな横島を見て、表情が崩れるのなんとか抑える、此処では人目が有りすぎる。六道女学院の生徒がGS試験の見学に周りに居るからだ

 

「それじゃぁ~~みんな~~~宿舎で~~感想でも~~~お話ね~~~」

内心を隠し、間延びした言葉で生徒を引率する六道冥奈

(ほんと、ますます欲しくなったわね)

 

そんな確実に危ない人物にターゲットとされている横島の胸中はと言うと・・・

 

(むさいオッサンばっかりやないかぁぁ!!六道女学院の子がいっぱいおるって話やったのにっ!だまされたあぁぁ!!!)

騙されたと憤っているが、本来であれば別に嘘ではない。毎年の六道女学院生徒はGS受験を受ける人数の2~3割程だ、しかし・・・

 

 

───ただ、今年度の六道女学院は絶望的に不作だった

 

 

 

そんな最大手、六道女学院の生徒がほぼ居ないヌルゲーをしている横島はほっといて唐巣教会

 

唐巣の目の前には、ショートの亜麻色の髪、礼儀正しい言葉遣いではあったが、それが霞むほどの目つき、境遇を思えば仕方ないと思えなくはないが───ぶっちゃけケンカを売りに来たとしか思えない、そんな少女

「まず話は知っていると思うけど、西条君から話はある程度は聞いているよ、美神君」

「はい、ご迷惑をお掛けするとは思いますが・・・母の様なGSを目指しています」

(気が強いのはいいんだけど・・・それでいい世界では無いんだけどね、まったく)

 

感じられる霊力は年齢を考えれば多い方だろう、才能は確かに有る、それでもまだ強かさ、美智恵の様な計算高さは無く、ただやけっぱちに成っている、そん危うさを感じる。

 

「それじゃまずは、君の部屋を案内するね?見ての通りの貧乏教会だから、君の自宅だと思って好きにしていいから」

「あ、はい」

唐巣の自分を思い遣ってであろう言葉に思わず頭を下げる美神、しかしその言葉が真実だとは全くもって考えていなかった

「それと今は出ているけど、君と同い年の兄弟子が居るから、戻って来たら紹介するね」

笑顔で部屋へと案内する唐巣から、衝撃の事実を知らされて動きを止める美神

「・・・あの、それ・・・聞いてないのですが・・・・」

「あぁ、君の部屋は彼の部屋からは私の部屋が間にあるし、年頃の女の子だからね、流石に考慮はするよ」

「えっと、いや、その年頃の女の子と同年代の男の子が一緒に住むのがそもそも・・・」

困惑と不満がありありとわかる美神に「はははっ」笑いながらはぐらかし、美神の部屋へと案内する唐巣

 

「さ、ここが君の部屋だよ、好きに使ってくれたまえ」

「・・・有難うございます、ってそれよりも、その兄弟子の事を話してくれませんか?」

なにせ同年代で兄弟子だ、力に物をいわせて何をされるか分かったものじゃない。貞操の危機すら考える

「う~ん、それは君自身が実際に会って感じる事だね、それも霊感を鍛える事だからね」

確実に何か有りそうな唐巣の言葉にげんなりするが、なんとか耐えるが、次の発言に凍り付く

「横島忠夫君というんだけど、丁度GS試験を受けているんだよ。まぁ、数日中には帰って来るから直ぐに会えるよ」

「・・・え?GS試験?」

 

 

唐巣から案内してもらった部屋のベットにボフッっと倒れ込む

「はぁぁ~~・・・」そう心の底から溜息をつく

力、才能がモノを言う世界。大した霊力もない自分と同じ年齢でGSへ成ろうという兄弟子。分かってはいたつもりだった、それでも覆したがい現実

幼少の頃から一流のGSである母、美智恵にGS業と共に修行を受けて居た自分。そして同じく一流のGSである唐巣に修行を受けて居た兄弟子、この差は単純に才能だろう。だがそれでも───

 

「あたしは負けないわよ」

力?才能?そんなもの覆してやる、世界最高のゴーストスイーパー、そう成ると決めた。ソレこそが自信の矜持、負けられないと思わず声に気持ちが出る

 

 

そんな感じで二人の前世からの恋は、おもいっきり躓いていた

 

 

 

 

自室の机、その奥に有るワイン、そして煙草を取り出す。特別な日のみに手にするそれら。若い頃には良く嗜んでいたが今はすっかり絶っていた。

なんだかんだと言いつつも、捨てきれないのは、麻薬の様な魅力からか、それとも若き頃の気持ちを忘れない為だろうか

 

「ふぅ~・・・」

ワインを飲み、久しぶりの煙草を深く吸う。心地よい痺れを感じながらも二人の弟子を思う

(二人とも個性が強いからなぁ、横島君なんか美神君にセクハラしそうだし、そうすればあの気の強そうな美神君は・・・)

間違いなく全力で撃退するだろう、ちょっとリアルな想像にげんなりするが───

 

「まったく、前途多難だな」

そう呟く唐巣は笑みを浮かべていた

 

 

 

 




漫画を読み返してみると「あれ?こんなキャラだったっけ?」ってありません?


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此処からの物語

完全に夏バテ


 

「横島君~~合格おめでとう~~」

「あ、はい。どうもっす」

順当にGS試験を合格した横島を祝福する六道冥奈。とても愛らしく、純粋そうな笑顔で話しかける彼女の内心を横島は知らない

「やっぱり~唐巣君の~~秘蔵っ子~~流石ねぇ~~」

「あ~・・・やっぱそこそこ話はいってんっすか?たしか唐巣先生は六道家の派閥っすよね」

六道の派閥、世界的にも最高峰───人によっては嫌悪感を表すだろうが、それ以上のメリットが有る事を横島は知っている

 

「そうよ~でも~~どうしても~人手が足りない~~なんて時に~お手伝いを~~して貰うくらいよ~~」

「いやぁ~そでも仕事を回してくれたのは、ほんっっと~~に助かりましたっ!」

「いいのよ~~こっちは何時も~助けられてるし~~助け合えるって~関係でいたいのよ~~だから~横島君も~私が困ったら助けてね~~」

「当然っす!この横島忠夫、美人の助けには必ず応えて見せます!!」

そんな腹黒人妻に騙されるチョロ過ぎる横島忠夫

「それじゃあ~お願いがあるんだけど~今年のGS試験にね~~六道女学院の生徒って~~殆ど居なかったでしょ~~?」

「あ~、たしかにそうっすね・・・」

GS試験中にあわよくば、色々とサワサワ出来ただろうと思うと悲しさが込み上げる

「それでね~唐巣君の所に~美智恵ちゃんの子が行くのよね~~彼女が良ければだけど~~六道女学院を進めて欲しいの~~」

「あ、はいっ!本人の気持ちもあると思いますがって・・・美智恵さん・・・って事は?」

「美神美智恵ちゃんの子で~~令子ちゃんの事よ~~~」

「ガチっすか!?」

自身の知らない所で妹弟子出来て驚いている、そう見える横島

「あら~~聞かされて~なかったの~~?」

「・・・あっ、はい、聞いてなかったっす」

「よかったわね~~妹弟子が~~出来て~~」

「ういっす、いえっ、はい・・・嬉しいです」

「んふふ~~普段通りの~話し方でいいのよ~~」

「あざっす、気を遣わせてすんません」

それじゃあね~~と、好印象は与えただろうと内心で思いながら立ち去る六道冥奈。それに礼をしながらの横島の内心は一人の人物で埋め尽くされていた───美神令子

 

 

「メフィスト・・・」

 

 

 

 

「主よ、汝の祝福で我らを解き放ちたまえ」

美神令子が唐巣の弟子と成って数日の唐巣教会の庭

「喜びと平穏で心を満たしたまえ、汝の愛と救いの恵みを享受せん」

霊力を高め、聖歌に集中し、そして・・・

「我らを癒したまえ 荒野の旅路で!」※主よ、汝の祝福で我らを解き放ちたまえ

 

 

やっぱり何も起こらなかった

 

「うん、君も信仰心とは無縁の子なんだね・・・」

「信仰心なんて無くても除霊は出来るじゃないですか!?それに信仰心じゃお腹は膨れないんですよ!!」

そう嘆く唐巣に、ある意味もっともな台詞を言う美神令子。この数日でも控えめに言って清貧な唐巣教会───ぶっちゃけただの貧乏───を知った令子は吠える

「こっちは食べ盛りで育ち盛りなんですよ!それを毎日毎食、庭に植えてる野菜ばっかりのひもじい思いをさせるなんて!!!」

自分はベジタリアンではないし、しかもその野菜が襲ってくる──横島と唐巣が呪符等と色々試した結果、何故かこうなった──正直に言ってしまえば肉が食いたい。この教会の食事にはタンパク質が足りてない、そしてお金も足りてない。

「あ~やっぱりGSは体が資本だしね、六道さんの所にでも仕事を回して貰おう」

「はい・・・ほんと、ほんっと~~に!お願いします!!」

ちょっぴり涙を浮かべながら念を押す令子に、笑いながら了承する唐巣

「六道さんの所に、借りはあまり作りたくないのだがね・・・っと」

そうぼやく唐巣だが、この数年で慣れ親しんだ霊力を感じる。本来であれば霊力を発するなどはしない彼がこうする、帰ってきたと知らせたいのだろう。

「ふむ、帰って来たようだ。鍛錬はここまでにして、君の兄弟子を出迎えるとしようか」

そう言って歩き出す唐巣に「あっ、ちょっ!」と言いながら付いて行く令子

「まぁまぁ、ほらもう来るからね?君の兄弟子なんだから、挨拶はちゃんとするように」

「分かりました・・・」

突然の兄弟子との出会い、完全に横島大樹に毒されて、サプライズ?な出来事を楽しんでいる唐巣。その前にジーパンにジャケット、そしてバンダナを巻いた青年が歩いてくる

「お帰り、GS試験はどうだったかな?」

「合格したっすよ、ていうか六道さんから連絡位いってっしょ・・・」

「まぁ多少はね、それでも愛弟子の成長を祝福したいんだよ、GS試験合格おめでとう」

「あざっす、っていうか後ろの子とも挨拶したいっすけど」

ずっと、そうずっと唐巣の後ろで控えて居る少女から目を離せない

 

「横島忠夫っす、よろしく」

「美神令子、よろしく」

 

 

 

1000年を超える恋愛が始まる

 

 

 

 




横島と美神の修行時代って描きたかったんです


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不良娘

ちょっと時間が空きました、ごめんなさい。
体調壊してたんです、嘘です。
スランプだったんです、嘘です。

面白い小説見つけて見入ってたんです!!ごめんなさい!!!


 

 

 

「それじゃ、よろしくお願いします」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

そう言って右手を差し出す横島と握手を交わす美神

 

(キレーな指やな~、ちょっとひんやりしてて、めっちゃきもちええ~・・・この子とひとつ屋根の下であんなことやこんなことを!)

「なにいきなりセクハラしてんのよ!!」

 

「ごふっ!」

 

美神の左フックで倒れ込む横島、やれやれと唐巣は首を横に振る

「心の声が駄々洩れだったよ・・・」

 

 

 

 

更地同然で、修行場として使われる唐巣教会の庭

 

 

才有るGSとして、唐巣は横島忠夫に一つの経験をさせようとした。もちろんGSに成りたてな横島だけではなく、自分自身も立ち会って居るが

 

 

「えっと、美神さん。霊力を高める時は、感情を高めるといいと思うんすよね」

 

「分かりました。それと横島さんは兄弟子なんですから、敬語なんてしなくて大丈夫ですよ」

 

話し方は目上の人に対する言葉だが、どういう訳か目付きが完全に笑ってない美神

 

「あ~、うっ、うん・・・そ、それじゃ美神の、さ・・・ね?とっ、得意な事とか探したいな~って・・・」

 

「吃り過ぎじゃないですか?それに得意な事って何ですか?流石にプラベートは詮索されたくないのですが」

 

 

いくら何でも得意な事というのが、自身が持つ霊能の方向性だとは美神にもわかる。

だがそれでも納得がいかない、セクハラに対して適切な怒りを表しただけでしかない。

 

何故か低姿勢な兄弟子、14歳でGS試験に合格するほどの人物が、実際に会って見ればコレだ。正直に言ってしまえば、情け無いやら悲しいだ。

 

 

───自分のライバル(相手)とした人なんだから───

 

 

 

 

「すまないが美神君、少し外して休憩しててくれないかな」

やんわりに唐巣は美神に退室する様に命じる。気に食わない訳ではないが、師の言葉である以上そう反発も出来ない為、自室へ戻る美神。

 

「さて横島君、事前に説明していたはずだよね?君がGSとして独り立ちしたら、弟子を取る可能性の為の修行と、美神君の修行の為だってね・・・怒ってはないから安心して、誰にでも初めては有って、失敗は付き物だからね?でも何時までもこれだと先に進まないよ?」

ずりずりと下がって行く横島。怒ってない確かに顔は怒ってないが、笑顔でずんずん近づいて来られたら怖くて仕方ない

 

「う、うっす・・・すみません」

 

ピンっと人差し指を立てて、いいかね?と続ける

「師と弟子というのは、互いに成長できる間柄と言われてる。これは君と一緒に居た私の実体験でもあるんだよ。彼女を成長する手助けを成し遂げれば、それは君とっても大きな財産になるはずだ。だから手を抜いてはいけないんだ、分かるね?」

 

「はいっ!分かりましたっ!」

 

「うむ、それじゃ修行の続きをするから、彼女を連れてきてくれないかな」

了解っす!と言いながら美神の部屋へ行く横島

 

「・・・多分、無理なんだろうねぇ」

 

 

 

 

美神の自室、その扉の前。コンコンと横島はノックする

 

「・・・なによ?修行の続きですか?」

修行の途中で帰された為に、半目で横島を不機嫌に見つめる美神、そしてそこに

 

 

 

 

「兄弟子への態度が悪いっ!」

 

スッパーンと美神の額へとハリセンを叩き付けた

 

 

 

「いきなりなにすんのよっ!!!」

 

 

 

今度は右フックをボディに食らい跪いた

 

 

 




面白い小説は見始めたら止まらなくなりません?


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