人じゃなくても守りたい (石油爆発)
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本編
ミッドチルダ北部臨海第八空港


一応プロローグです。
ちっちゃいスバル可愛いよね。


~地上本部、食堂にて~

 

三人称side

 

「……っはぁ~、」

 

いつも通りの平日。地上本部の食堂にて

[ヴァン・アスメラウス]は自分で運んだ夕食を目の前にして大きくため息をついた。

 

「いきなりため息か?テンション下がるなぁ。」

 

そう言ってヴァンの席の前に夕食を持って腰を下ろした

[ウォンテ・ミラン]は呆れた顔をした。

 

「ため息も出るって。こんな仕事ばっかしてたらよ。」

 

「働かねぇと食っていけねぇんだからしゃあねぇだろ。」

 

「………部隊間違えたかなぁ…。」

 

「上官殿に聞かれてたら首飛ぶぞ。」

 

「わぁってらい。」

 

彼らは時空管理局の局員、ヴァン、ウォンテ共に二等空尉である。彼らは本日の作業を終え食堂に来ているが、様子を見るにどうやら今の仕事に不満があるようだ。

 

「事件が発生して出向いて見れば上官は偉そうに下手な指示ばっか、民間人の救出どころかお偉いさんの護衛が優先。おまけに終わったら民間人のクレーム対応。」

 

「まぁ、楽しくは無いよな。」

 

「こんなことするために局員になった訳じゃないのになぁ。」

 

そう言ってヴァンは背もたれに体を預け、天井を仰ぐ。

 

「仕事っつうのはそんなもんだろ。今更変わろうとしても変われねぇよ。」

 

「もっと守れるものがあるはずなのに…。」

 

そしてまたため息をつくヴァン。

するといきなり地上本部のアラートが鳴り響く。

 

「「!?」」

 

そして状況と場所、出動する隊のアナウンスが流れる。

 

「……さて、お仕事ですか。」

 

「夕食は後かよ、はぁ。」

 

二人は座っていた席を立ち、指定された場所へ向かっていった。

 

 

~ミッドチルダ北部臨海第八空港~

 

ヴァンside

 

俺達は本部への報告を受け現場に急行した、

一等陸尉の上官率いる部隊は消火活動、及び民間人の救出を行っていた。

 

「……随分と酷い状況だな。」

 

「そんな事見ればわかる、今は救出が優先だ。行くぞ!」

 

ウォンテの合図と共にバリアジャケットを身に纏って救出を開始しようとした時、

 

「待て!お前達は中にいる大臣殿の救出に向かえ!」

 

すると俺達のモニターに情報が送られて来た。

俺はそれを見て疑問をぶつけた

 

「?大臣殿がいるフロアは既に陸上部隊が向かっています、俺達は中にまだ残っている民間人の救出へ向かいます。」

 

そしてその提案に対して返ってきた返答はあまりにも腹立たしい返答だった。

 

「民間人こそ後で良い!今は大臣殿を救ったという事の方が重要だ!地位の低い者が救うよりよっぽど受けが良い!民間人が災害で死ぬ事などごまんとある!上官命令だ!従え!」

 

「…………は?」

 

「お、おい、ヴァン!」

 

「ウォンテ、俺は俺のやり方で行く。大臣は任せておけばどうにでもなる。」

 

「っ!…わかった、なら俺もお前を手伝う。一人でも多くの命を救うぞ。」

 

少し小さめの声でお互いの意思を確認し合ったところで俺は上官を睨み付ける。

 

「大臣殿は既に救出の手が回っている!なら今はまだ手が回っていない人の所へ行くべきです!こんなところで受けなど気にしていられません!」

 

そう言って俺は空港へ向かって行った。

後ろで上官の止める声が聞こえたが振り切って中へ突入した。

 

「(誰か!中にまだ民間人が居ます!子供が二人と大人が一人!中にいる局員は情報をもとに救出へ向かって下さい!)」

 

「(念話か…。ウォンテ!俺は広場の子供の救出へ行く!)」

 

「(了解、俺は大人の方へ行く!くれぐれも死ぬなよ!)」

 

そして念話は切れる。俺は子供の元へ全力で向かって行った。

 

 

 

 

スバル・ナカジマside

 

 

熱い……。

私は…そうか、空港で…いきなり爆発が起きて……

 

意識が朦朧としていたがなんとか状況を飲み込み始めた。

 

私は、死んじゃうのかな?

もう、辺りは炎が……

助からないのかな?

 

 

………嫌だ。

怖い、怖い!怖い!

嫌だ!助けてよ!誰か!誰かぁ!

 

「……うっ!…グスッ……怖い…よぉ…!」

 

もうどうしようも出来なくて、泣いてしまった時、

私の位置から少し遠い壁が崩れ落ちた。

 

「…!」

 

それに連なるように壁や天井が私の回りで崩れて行く。

 

「…ッ!い、嫌だァ!誰か!誰か!助けてぇ!」

 

何度叫んだところで回りの騒音で掻き消されてしまう。

それでも、何度も叫んだ。誰かに届いてほしくて、助けてほしくて、何度も、何度も。

 

「っ!カハッ!ゲホッ!ゲホッ!」

 

壁や天井が崩れた時や火災の煙で喉がどんどん痛くなっていく。もう、叫べない。でも、まだ…!

 

「っ!誰か、助けt…えっ?」

 

希望を捨てずに、もう一度叫ぼうとしたところで私は自分の真上の天井が落ちてくるのが見えた。

 

『死んじゃう。』

 

私は目を瞑ってしゃがみ込んだ。

 

 

しかし、天井が降って来ない。

いや、落ちている、落ちているが、私に当たっていない

不思議に思って目を開き、見上げるとそこには一人の

男性が私を守ってくれていた。

 

 

 

ヴァンside

 

「よく生きててくれた!お前の声、ちゃんと聞こえたぜ!」

 

危なかった、もう少し遅かったらこの子に当たるところどった。

 

「急いでここからでないといけない!君!ちょっとこっちに来て!」

 

子供を抱き上げ、急いで出ようとしたとき、此方へ一人の女性が飛んで来た。局員だろうか。

 

「良かった、この子は無事みたいだね!」

 

おそらくこの人もこの子の救助に来た人だろう。

そうだ、もう一人子供がいるんだった!

急いでそっちにも行かないと!

 

『こちら地上部隊!情報の入っていた民間人の救出が確認されました!空港内にいる局員は直ちに撤退してください!』

 

救出の確認?という事はウォンテももう一人の子も無事ってことか!

 

「急いでその子と一緒に脱出しましょう!」

 

と、女性に言われたので、先に出口へ進んでいった女性の後ろを子を抱えてついていく。

 

 

 

その後、多くの局員の仕事により炎は無事鎮火。

火災の原因はガジェットと呼ばれるモノの仕業だと

わかった。これで一件落着、とはいかず、

上官の命令に背いた俺とウォンテは2週間の謹慎と、

1週間講義を受け、二等空尉から三等空尉へ降格された

 

 




StrikerSは専門用語が多いからムズィ…

指摘等ございましたら遠慮なくどうぞ


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機動六課

急展開って良いよねぇ(黄昏感)


ヴァンside

 

あれから4年、俺にとってはとても大きい4年だった。

この4年前のについてはまた別の機会に。

今は4年で変わってしまった事を話そう。

 

まず、俺の左足が義足になった事。理由は簡単だ。

俺の勝手な行動により重なっていたモノが一気に降り注いだ。それだけだ。

 

そしてこれが一番変わったのだが、俺の友人が増えた事、主に女性。

4年前の空港事件で子供を助けた時に出会ったあの女性。

彼女の名は[高町 なのは]一等空尉。

今の回りでは二つ名の様なモノで[エースオブエース]とも呼ばれているようだ。

 

彼女とはあの火災現場で出会ったものの、もう会うこともないと思っていた。しかしこれも何らかの縁だろうか。廊下、食堂、終いには演習場にも出くわしてしまってお互いぎこちなく会話をしていたが何故か和解し合い、今では友人として仲良くさせてもらっている。

 

……仲良く、させて、貰っている、のだが。

 

「ねぇねぇヴァン君、今度一緒に外食でもどう?新しく出来たお店でね、少し気になってるんだ~♪行ってみない?」ギュッ

 

「……高町一等空尉、距離が近いです。必要以上に近寄りすぎです、離れて下さい。」

 

どこか幸せオーラを放ちながら俺の右手に体を密着させる高町一等空尉。

俺は己のモニターから目を逸らす事無く言う。

そう、何故か高町一等空尉含む女性が近いのだ。

後に説明することになるが

[フェイト・T・ハラオウン]執務官や、

[八神 はやて]機動六課総部隊長、

そしてその隊長や副隊長にもである。

 

言っておくが勘違いしないでほしい。

俺は自慢をしているのではない、何故こうなったのか嘆いているのだ。

 

ん、そういえば。

 

「高町一等空尉、今言うのも何ですが機動六課の設立おめでとうございます。」

 

そう、今の高町一等空尉が所属している

[古代遺物管理部 機動六課]。

それは昔に作られたモノではなく、最近出来たモノで、八神 はやて総部隊長が4年かけて必死に作り上げた部所である。

 

「ん~、それはそれとして…」

 

「はい?」

 

心なしか周りの温度が下がった気がした。

そして密着されていた右手に力が加えられる。

勿論俺が不思議に想わない筈がなく、高町一等空尉を見る。

 

「………私の事はなのはって呼んでって言ったよね?」ハイライトオフ

 

あれ?この人こんな目してたか?

 

「そういう訳にもいかないですよ。それよりここで時間潰して大丈夫なんですか?今は忙しい時期なんですよね?」

 

「……はぁ、ヴァン君冷たいなぁ…。」

 

「高町一等空尉が明るいんですよ。」

 

すると部所の扉が開く音がして喋りながら男女二人が入ってきた。一人はウォンテ、もう一人はハラオウン執務官だった。

 

「おはようございます!ハラオウン執務官。」

 

ハラオウン執務官はにこやかに「うん。おはよう。」と返してくれた。

 

「ヴァン、さっき八神さんが探してたぞ。」

 

資料を片手に帰ってきたウォンテが隣の仕事席に座りながら伝える。

 

「八神[二佐]だろうが、もっと立場を弁えろ、ウォンテ。」

 

「はいはい、でも相手は許してくれているぞ?」

 

「関係ねぇよ。んで、どこに行けばいいんだ?」

 

そう言いながら立ち上がり、机の上に広げていた常時持っている手帳を閉じて胸ポケットに入れる。

 

「機動六課の総部隊長室にいらっしゃるんじゃないか?」

 

「アバウトだな、まぁ行ってきますか。」

 

そう言って俺は部所の扉へ歩き始める。

 

「あ、ヴァン君、私も行くよ。そろそろ戻らないといけないし。」

 

「わかりました。」

 

そんなわけで高町一等空尉と機動六課へ出向く事へなった。

 

 

 

~廊下~

 

なのはside

 

「ハラオウン執務官はなんでわざわざうちの部所まで来たんですかね?」

 

「この前ウォンテ君が担当した事件の詳細の確認なんだって。(まぁ、フェイトちゃんの事だからヴァン君の顔見に来たんだろうけど…。)」

 

私とヴァン君は廊下を歩き続けながら話をしていた。

ふとヴァン君の目を見たとき目の下に少しクマが出来ているのが見えた。

 

「……ヴァン君最近ちゃんと寝てる?」

 

「え…あぁクマか。そうですね、最近は無駄に事件とか出てますし。ちょっと忙しいです。」

 

「無理しちゃダメだよ?体壊したら意味無いからね?」

 

「……善処します。…」

 

あ、絶対しないパターンだね。

でも流石に酷かったらウォンテ君が気づくだろうし、今はまだ厳しく止めない方が良いかもしれないね。

 

「…そういえばこの前のBランク試験で二人受けてましたよね、あの二人どうでした?」

 

「う~ん、ギリギリ合格みたいなモノなんだよね。危ない判断することもあったし、しっかり育てないとね。」

 

「両方機動六課志望しているんですか?」

 

「多分そうだと思うよ。まだ返事は聞いてないけどね。」

 

「……頑張ってるんだなぁ、あいつらも。」

 

「え?」

 

「すみません、独り言です。」

 

今、なんて?もしかして二人と知り合いなの?

そんな…。只でさえフェイトちゃんやはやてちゃんがいるのに…!

 

「そういえば、高町一等空尉はお付き合いされてる男性とかいらっしゃらないんですか?」

 

「え?い、いきなりだね?」

 

「いえ、無理に答えて頂かなくても結構ですよ?」

(ウォンテにゲームで負けて聞いてこいって言われたからな…。)

 

「いや、私はいないけd…!」ハッ!

(もしかしてこれは良くある恋愛に発展するパターンなのでは!?片思いしてる男の子が女の子に聞いて、いなかったらガンガン距離近づけていくヤツでは!?)

 

「…?いないんですか?」

(まぁ、教導官だしな。)

 

「え、えぇっとぉ、そういうのは秘密っていうか、その…。今は言えない、かな~~?」

(今言ったら「あ、そうなんだ。じゃあまだ余裕ある」ってなっちゃう…!取り敢えず今ははぐらかして私を探るように仕向けなきゃ…!)

 

「あ、そうですよね、すみませんデリカシー無さすぎでした。」

(まぁ何でもいいか、この際。)

 

「え、ううん!気にしないで!」

(今は嫌われない様に謝ってるんだよね!大丈夫!私はいつでも待ってるし、嫌いになんてならないからね!)

 

そのまま私とヴァン君は世間話やたまに愚痴を挟みつつ機動六課へ進んでいった。

 

 

 

~機動六課・総部隊長室~

 

ヴァンside

 

「失礼します。」

 

総部隊長室へのドアが開き、中へ入ると八神二佐がモニターへ向かい仕事をしていた。

 

「あ、いらっしゃい。わざわざ来てもらってすまんなぁ。」

 

そう言いながら立ち上がり、此方へ歩いてくる八神二佐。

 

「いえ、お気になさらず。早速ですがご用件の方をお伺いしてもよろしいですか?」

 

「うん、ほんならそこのソファー座ってな。」

 

「失礼します。」

 

「はーい。」

 

お互いに腰を下ろして座ると八神二佐が話始めた。

 

「それじゃあ本題に入ろうな、今回君を呼んだのは君を機動六課に迎えたいというお願いなんや。」

 

「俺を、ですか?」

 

「せや、君は今は地上本部所属やったな。ここでいうのもなんやけど、地上本部へ不満があったりせぇへん?」

 

「……!」

 

「今所属している所の悪い部分を君にいうのはちょっと酷いけど、思ってることない?」

 

「……そうですね、不満はあります。災害、事件の対応の遅さ。それでいて守るものは地位や利益。……もう腐りきっている。」

 

「実はこの機動六課を立ち上げたのもそれが理由でもあるんや、ただ、あくまで本職はロストロギア関連の仕事やから、内容は厳しいんやけどな。」

 

「……自分も話は聞いてますよ、最悪な事態に対処するために設立した部隊ですよね?」

 

「まぁ、そんなあやふやな理由で設立してるから優秀な戦力が確保しづらいんや。そこで君をスカウトしたいんや。」

 

「……おこがましいですが自分が戦力になれるとは到底思えません。」

 

「そんなことないやろ?ウォンテ君から色々聞かせて貰ったで?実力はあるのに時間を割けないからSランク試験を受けてないって。」

 

「……。(余計な事を…後で殴る。)」

 

「君のその闘志と実力なら十分に戦力になると考えているんだけど、どうや?」

 

噂によれば裏で何か別の目的があるとかどうとか言われてる部所だぞ。

何かあるかわからないのに入っていいのか、それに一年で解散するとかさせるとか上司がぼやいてたし、どうする…。

 

……………答えは簡単だった。

 

「えぇ、俺で良ければ入らせて頂きますよ。」

 

すると八神二佐の顔がパアァと効果音がつきそうな程明るくなる。

 

「そか、そか!入ってくれるか、!ありがとうな!」

 

「はい、因みにウォンテは勧誘してたりしますか?」

 

「勿論やで、ウォンテ君も即答やったわ。」

 

あいつ、俺にいうのがおせぇんだよ。

 

「それじゃあ、詳しい資料は今日の午後か明日の朝には届く様に手配するから、よろしくな。」

 

「はい、お世話になります。」

 

そのまま少し話をした後、俺は機動六課を出た。

俺は新しくなれるんだ。もう届かなかったところへ手が伸ばせる様になるんだ…!

 

 

そう思って見上げた空は心なしかいつもより明るく見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




駄文や、駄文過ぎる。ホントに色々書きたいことがあるのに時間がない!今回なんか適当な詰め合わせみたいになって文の構成もめちゃくちゃですね、すみません。
もっと気合い入れて書きます、更新遅くてすみません。
次回はもっと気合い入れて腕立て伏せしますのでよろしくお願いします(書け)

それでは失礼しました


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腕試し

誰しも心に弱さを持っている
だからこそ、ヒトはヒトに手を差し伸べる事が出来るんだ。

ロックマンZXより モデルX


めっちゃ好きなんですよね
今回もキングクリムゾンスタートです


~機動六課 部所前~

 

 

ヴァンside

 

 

八神二佐からの勧誘から二週間、

書類等の片付けが済み、俺とウォンテは機動六課の部所前に立っていた。

 

「……新しい部所か…。」

 

「気合い入れて行こうか。」

 

と言って俺達はグータッチをして中へ入る。

 

 

 

 

 

そしてそんな呑気な事を言ったが、今は……

 

「うおおおおおおおっ!」

 

「はあああああああっ!」

 

お互いのデバイスをぶつけ合い、相手を潰しあっていた。

 

 

 

数十分前……

 

「と、いうわけで。」

 

「今回、新しい戦力として機動六課に力を貸してくれることとなりました、ヴァン・アスメラウス三等空尉と、同じくウォンテ・ミラン三等空尉や。皆よろしくな。」

 

「「よろしくお願いします。」」

 

八神二佐の紹介のもと、俺達は機動六課に所属している方々に頭を下げていた。

 

「ほんなら今日の朝会はここまでや。皆、今日も頑張ってな。」

 

八神二佐の締めの言葉て各々自分の持ち場へ帰っていくメンバーを横目に俺達は自分の荷物を持ち、当てられた机へ向かった。

 

「まさか機動六課に来るとはな。」

 

「ああ、驚いたぞ。ヴァン、ウォンテ。」

 

すると機動六課のスターズ分隊の副隊長、ヴィータ三等空尉とライトニング分隊の副隊長、シグナム二等空尉が声をかけてきた。

 

「お久しぶりです。シグナム二等空尉、ヴィータ三等空尉。」

 

「その呼び方と敬語は良いって言ったろ。シグナムはともかくお前と私は同じ階級だろ。もっと砕けろよ。」

 

「私も敬語は無くても気にしないが…。」

 

「ほら、未だ敬語なのお前だけなんじゃねぇの?ヴァン。」

 

「いや、ウォンテは敬語だ。」

 

「なんで!?」

 

「そういう訳だ。お前は敬語な、ウォンテ。」

 

「さて、雑談はここまでだ。」

 

そう言うとシグナム二等空尉は少し姿勢を整えてこちらを真っ直ぐ見る。

 

「仕事ですか?」

 

「いや、これはちょっとしたテストの様なモノだ。」

 

シグナム二等空尉が言った後にヴィータ三等空尉がビッ!と俺達を指さして、

 

「お前らの実力を調べるテストだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~機動六課、更衣室~

 

「実力テストねぇ…。」

 

「良いじゃねぇかよ、久々にボコボコにしてやるよ。」

 

「やってみろ、返り討ちにしてやるわ。」

 

先程テストの内容を伝えられた俺とウォンテは

男性用更衣室にて準備をしていた。

 

テストの内容は次の通りだった。

 

1、今回のテストは個人のデバイスの使用を許可し、お互いにデバイスを使用するモノとする。

 

2、勝敗はお互いに表示されているヒットポイントゲージが0になった時点で決着とする。

 

3、バインド等の拘束系魔法の使用は禁止する。

 

「……用は敵を全力でぶっ叩け、と…。」

 

「シンプルで分かりやすいじゃねぇか。」

 

「お前は気楽だなぁ、ウォンテさんよぉ。」

 

「あったり前よぉ!さっさと戦いたくてウズウズしてんだよ!つか、こういうのヴァン好きじゃなかったっけ?どうしたんだよ?」

 

俺は備え付けられているベンチに座ってため息をつく。

 

「……いや、その、このテストの観戦でよぉ、スバルとティアナがいるんだよ……。」

 

「?……それがどうしたよ?」

 

「てめぇ!俺が緊張しやすいの知ってんだろ!」

 

「ああ、そういうことか。ハッハッハ!後輩には下手な戦い見せらんねぇってか!じゃあ俺の勝ちだな。」

 

「……あ?」

 

「ヴァン三等空尉殿は緊張で実力が出せずに俺に負けるんだよ。何か問題でも?」

 

ブチッ、

 

「上等だ!オラァ!ぶっ飛ばしてやるわ!」

 

「それでいいんだよ相棒。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~模擬戦用市街地~

 

ヴァンside

 

それぞれスタート配置についた俺達は

上空にいる審査等を担ってくれる高町一等空尉の説明を受けていた。

 

「………はい、じゃあそろそろ始めるよ。カウント、始めます。」

 

すると上空に出てきたモニターがカウントを始めた、10…

 

俺は気合いを入れるために自分のアームドデバイスに語りかける。

 

「いくぜ、[ナターシャ]全力でヤツをブン殴る…!」

 

『勿論、今日は二つ目を使わせませんからね?』

 

「使わなくても勝つ…!」

 

『御意…!』

 

6…

 

『あれだけ煽っといてやられないで下さいよ?』

 

「当たり前だろ、今日こそヴァンに勝つぜ!」

 

『今日こそナターシャを越えます。』

 

「任せるぜ、グレン…!」

 

『承知…!』

 

3…

 

三人称side

 

二人はお互いをじっと睨み合い、集中する。

 

ヴァンのデバイスはアームドデバイス、名は[ナターシャ]。

バリアジャケットは真っ黒なイタリア軍服。帽子は着用しておらず、両手にナックルシールドを装備しており、メイン武器となるモノは全長が己の背をも越える大型の槌矛(メイス)である。

手の甲の上にセットアップ前のナターシャの姿である正八面体を横に真っ二つにしたモノを両手に着けている。

 

対する相手のウォンテのデバイスもアームドデバイスであり、名は[ヘルグレンガ]セットアップ前の姿はダイヤモンドの形をしており、バリアジャケットは白いドイツ軍服、こちらも帽子は着用していない。

こちらも両手にナックルシールドを装備して、メイン武器は斧槍(ハルバード)である。

 

彼らを見ているのは高町一等空尉だけではなく

ギャラリーにはスターズ分隊、ライトニング分隊が見ていた。

 

「ヴァンさん勝てるかな…。頑張ってヴァンさん…!」

 

「なに祈ってんのよ、ヴァンなら勝てるわよ。あの人が負けたとこ見たこと無いわよ。」

 

「で、でも、何らかの事故かなにかがあったら…!」

 

「それでも強盗だのデカい機械だの全部倒してきたじゃない、ヴァンを信じなさい、スバル。」

 

「ウォンテさんの戦い見るの久々だなぁ…!」

 

「エリオ君知ってるの?」

 

「うん、少しだけ教えて貰ってた時があってね、強いんだよ!ウォンテさん!」

 

「それにしても二人の持ってるデバイス見るの初めてだなぁ、私。ヴァンさんは大きいハンマー…?でも少し違うし、ウォンテさんのも斧だけどどこか違うよね。」

 

「いいところに気がついたな、キャロ。」

 

「ヴィータ副隊長!」

 

フォワードチームが話していると、ちょっとした雑務を終えたヴィータ副隊長がやってきた。

 

「ヴァンが使ってるのはメイスって言われるもんだ。まぁ簡単に言えば殴打武器の頭をつけて長くした感じな。殴る専門の武器だ。ほんとはあんなにデカく無いが、ヴァンが使いづらいって言って改良したんだと。んで、ウォンテのはハルバードって言われる斧と槍をくっ付けた感じだな。」

 

「ヴィータさん、」

 

ヴィータの説明を聞いた後にスバルがヴィータを呼ぶ。

 

「ん、どした?」

 

「えぇっと、メ、メイス?は元々どれくらいの大きさなんですか?」

 

「そうだな、私のアイゼンの初期状態と一緒ぐらいだな。」

 

「なら大分大きくしたんですね、ヴァンさん…。」

 

「まぁ、それが使いやすいって本人が言ってるしな。……おっ、そろそろ始まるぞ。」

 

設置されたモニターのカウントが始まる。

そしてそれが0になる。

 

すると同時にヴァンとウォンテはお互いに距離を縮め、デバイスをぶつけ合う。

 

「うおおおおおおおっ!」

 

「はあああああああっ!」

 

ギリギリと金属同士が力で擦れ合う音がする。

お互いに少しだけ距離を取るとまたぶつけ合う。

 

「……やっぱりお互いに相手を知ってるから小細工使わず正面からぶつけあってんだろうな。」

 

ガキィン!と何度も何度も音を鳴らす。

 

「(こいつとは長期戦はしたくない、そもそも長期戦向きじゃないしな。)」

 

「(終盤に差し掛かるとお互いに魔力が無くなってるからそこからはほぼギャンブル状態になる…なら!)」

 

「「((最初から全力でぶっ叩くっ!))」」

 

「……たぶんこれはすぐ決着がつくな。」

 

「……っ!(一旦距離を置いて魔力をため直す!)」

 

「(ウォンテが距離を取った!逃がすか!)」

 

離れようとするウォンテへヴァンはどんどん距離を縮めてデバイスをぶつける。

 

「……そんな暇ないか…!」

 

「逃がさねぇからな!」

 

「知ってんよ!お前ならそうするってな!グレン![スラッシュバーニング!]」

 

『slashburning』

 

ウォンテの一振りはただの物理攻撃ではなく、スラッシュバーニングによりその一振りはぶつかると爆発を伴うモノになった。

 

「っ!ナターシャ!」

 

『protection』

 

ウォンテにより辺りには黒煙が立ち込め、回りが見えなくなったヴァンはメイスを振って黒煙を払う、がそこにヴァンの姿はなかった。

 

「クソッ!距離取らせちまったか!ナターシャ!」

 

『御意。』

 

ヴァンは上空へ飛び、辺りを見渡した。

 

「いねぇな…。」

 

『マスター。』

 

「どうした。」

 

『3、5、6……6箇所より収束魔法の反応を感知しました。』

 

「はぁ!?」

 

『何処かで分身魔法でも覚えたのでしょうか。』

 

「呑気な事言ってる場合じゃねぇだろ。どうする。」

 

『こちらも打って出ましょう。』

 

「大丈夫なのか?」

 

『私の計算上、成功確率60%前後といったところですね。』

 

「んまぁ、半分あれば上等だ!」

 

『マスターならそう言うと思ってました。』

 

「んじゃあやるか、俺の一つの超収束魔法…!頼むぜナターシャ!」

 

『御意、収束を開始します。』

 

するとヴァンの周囲に6つ、直径5mで、ブラックブルーの魔法陣が展開される。

 

「……怒れ大地、狂え大海。我が古の術式のもとに服従せよ、裁け曇天…!」

 

『収束、完遂。いつでもどうぞ。』

 

「大地を穿て!雷神!ガネルゲルボリッタ!」

 

ヴァンが唱えた魔法により空は黒い雲が覆い、

6つの大きな雷柱がナターシャが感知した場所へ落雷する。

 

しかし、地に雷柱が触れるより早く六ヶ所から迎撃が来る。

 

ウォンテの足元に直径10m程の赤と黒を足したドスのきいた色のベルカの魔法陣が展開される。

 

「豪炎と爆炎の厄災よ、汚れた霊の怒りよ!灼熱の悪魔フラウロスのもとに集え!」

 

『収束、完了。いつでも出せます。』

 

「天を穿て!炎神!ユネシスラグベンダ!」

 

次に唱えたウォンテの魔法は配置した六ヶ所は囮で中心に身を潜め、そこから火柱を出現させた。

 

「くたばれヴアアアン!!!」

 

「あれを6つ囮って正気かよおおおっ!」

 

轟音が鳴り響き辺りには煙が這い回る。

 

「はぁ、はぁ、勝ったか。倒したか?グレン。」

 

『……。』

 

「…?グレン?どうした。」

 

『どうやら我々の敗北のようです、マスター。』

 

「そういう事だ、ウォンテ。」

 

「んなっ!?」

 

ヴァンは既に疲れきったウォンテの背後に回っており、もう殴るモーションに入っていた。

 

ドコォ!!と鈍い音がして、テスト終了のベルが鳴り響く。

 

 

 

 

ヴァンside

 

「っ、だあああ、疲れたぁ!」

 

俺はバリアジャケットを解除してその場に仰向けに倒れこむ。

 

「また負けた…。クッソォ!」

 

俺に殴られたウォンテも仰向けに倒れ、バリアジャケットを解除する。

 

「……確かにprotectionの感覚はあったのに、何でだよ。」

 

「あぁ、ナターシャだけあそこに置いて、俺だけ突っ込んできたんだよ。」

 

「それで殴りかよ、痛ぇ…。」

 

「つか、6つもあんな収束魔法って底無しかよ。」

 

『いえ、6つも出せば流石に威力は軽減されます。なので私だけでも防げると読んだ上でマスターを行かせました。』

 

『全部お見通し、ですか。』

 

『まだ負けるわけにはいかないので。』

 

「お疲れ様~。スゴいテストだったね。あはは。」

 

審査をしてくれていた高町一等空尉が上空から降りてくる。その顔はどこか焦っている顔だった。

 

「すみません、派手に壊してしまって。」

 

ヴァンは急いで立ち上がり頭を下げた。

 

「ううん、気にしないで。今回は仕方ないよ。もとはと言えばテストでこっちが頼んだ事だしね。」

 

「ありがとうございます。」

 

「もう少し休んで。」と言う高町一等空尉の言葉に甘え、少し休もうと地面に腰下ろしたとき聞き覚えのある声とは少し大人びた声が俺の名を呼んだ。

その後ろにはまたも見覚えのある女性がこちらへ来ていた。

 

「ヴァンさ~~ん!!」

 

「ん、!スバル!?ティアナ!?」

 

 

 

 

 




戦闘ムズィ。
ふと思ったんですけど、本編とは別の日常系の短編出そうかなって思っているんですがどうしましょうか。
出すなら本編と交互に出そうかなって思ってるんですけど。次の更新が短編だったら「本編から逃げたなクソ主」って思って下さいよ。

指摘等ございましたら遠慮なくどうぞ。


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デバイス

アイマスにはまってるんだけどどうしよう笑

スバルの腹筋舐めt…おっと、誰か来たようだ…。


~機動六課 訓練所~

 

ヴァンside

 

「スバル!?ティアナ!?」

 

「お久しぶりです!ヴァンさん!」

 

「…久しぶりね、ヴァン。」

 

俺と元々面識があるこの二人は、

元気で明るい方が[スバル・ナカジマ]二等陸士。

凛としたしっかりしている方が[ティアナ・ランスター]二等陸士である。

 

この二人とは子供の時からの友達で、

スバルのお姉さんのギンガさんや、父親のゲンヤさんにもお世話になった事もある。

 

「スバル、ナカジマ陸曹と三等陸佐はお元気にしてるか?」

 

「はい!ヴァンさんとお話したい、って言ってました!」

 

「そうか、それは光栄な事だな。近々お伺いするよ。」

 

「……。」

 

「ティアナも元気そうでなによりだよ。」

 

「……。」

 

「…あ、あれ?」

 

「……く…。」

 

「……ん?なんだって?」

 

「っ、約束っ、覚えてるんでしょうね!!」

 

「おお、びっくりしたぁ。…勿論覚えてるけど今なのか?」

 

「……あとでいいわよ…。」

 

「???」

 

俺とティアナの会話に全くついていけないスバルがキョロキョロしている。

今気づいたが、確か、[エリオ・モンディアル]だったか、それと[キャロ・ル・ルシエ]がウォンテと話しているのに気がついた。

知り合いなんだろうか。

 

すると上から声がした。

声の主は高町一等空尉である。

 

「はーい、それじゃあフォワード陣も訓練始めようか。まずは準備運動からね。」

 

「「「「はいっ!」」」」

 

威勢よく返事をした四人はそれぞれ体をほぐしたり色んな方法で準備を始めた。

 

「じゃあ俺達は戻ろうか。」

 

「ああ。デスク整理と片付ける書類もあるしな。」

 

俺がそう言うとウォンテは高町一等空尉の方へ向いた。

 

「なのはさん!自分達、お先に戻ります!」

 

すると高町一等空尉が「はーい!」と手を振るのを確認した俺は頭を下げて更衣室へ戻った。

 

 

 

 

 

 

 

~機動六課ロングアーチ~

 

ヴァンside

 

「デバイスの詳細確認、ですか。」

 

お昼の少し前、俺とウォンテはロングアーチへ呼び出しが掛かり、呼び出した本人と対話していた。

 

相手は[シャリオ・フィニーノ]。

階級は一等陸士。

機動六課では通信とデバイスの製作、整備をしており、フェイト執務官の補佐でもある。

機動六課では愛称で[シャーリー]と呼ばれている。

 

「そう!先程のヴァンさんとウォンテさんの戦闘テストを見させて貰って、詳しいデータが必要になってね、ある程度書いて貰ったものはあるんだけど、詳細データを録らせてくれない?」

 

「ええ、自分達は全然問題は無いです。」

 

「ありがとう、それとそんなに堅苦しくしないで、私の事はシャーリーって呼んでね!」

 

「いえ、自分h「はい、シャーリーさん!」おいっ!」

 

お断りしようとしたところでウォンテに遮られる。

するとウォンテから念話が送られてくる。

 

『いいから承諾しとけ、ここは相手に自分を好印象に見せるためだ!我慢しろ。』

 

「それじゃあ早速行こうか、付いてきてね~。」

 

シャーリー…さん、が進んでいくのを俺達はついていく。

 

 

 

 

「……はい、じゃあお二人のデバイスをお借りしてもいいかな?」

 

なんだか機械と配線が複雑に入り組まれた場所で俺とウォンテはデバイスを渡す。

 

「……あの、シャ、シャーリー、さん…。」

 

「ん?なにかな?」

 

デバイスを大きな機械でスキャンしている途中で俺はシャーリーさんに話しかける。

 

「えっと、今からする話は他言無用でお願いしたいんですが…いいですか?」

 

「……うん、わかった。ちょっと待ってて。」

 

シャーリーさんは一旦席を立ち、近くにあったドアを開けて中へ入っていった。

 

「……ヴァン、『二つ目』の事か?」

 

「ああ、いつかはバレることかも知れないが、…今はまだある程度隠しておきたい。」

 

「……そうか。」

 

ウォンテと話し終えるとちょうどシャーリーさんが戻ってきて、また席に座った。

 

「監視カメラは今止めて来たから大丈夫よ。それで、話しって?」

 

一度深呼吸をした俺はシャーリーさんの目をしっかりと見て話し始める。

 

「俺のデバイス…本部や機動六課に残っているデータ上は一つですが、ホントは「二つ」あるんです。」

 

「二つ目?」

 

「はい、でもこれはだいぶ古い型式のデバイスで、アームドデバイスやインテリジェントデバイス、ストレージデバイス、ユニゾンデバイス、ブーストデバイスとは全然違うんですよね。」

 

シャーリーさんは「ふむふむ…。」と相づちをうちながら話を聞いている。

 

「俺の二つ目のデバイスは「体の中」にあるんです。」

 

「体内に?でもヴァンさんは戦闘機人じゃないですよね?」

 

「まぁ、似てない事もないんですけど…。」

 

「…え?」

 

「…!い、いまはデバイスの話しでしたね!えぇっと、忘れて下さい!そ、それで!俺の二つ目のデバイスは体内の背骨の部分にくっついています。」

 

「う、うん。」

 

「そのデバイスに正式な種類の名前はありません。でもそのデバイスの個体名称は「ゲヴァルブロン」。人格は無く、変形があります。」

 

「ちょ、ちょっと待って!色々わからない事があるから聞いていい!?」

 

「は、はい、どうぞ。」

 

流石のシャーリーさんもパンクしそうなので、一旦質問を聞く。

 

「えっと、デバイスは使用すると熱が出るから、熱を出す部分があるんだけど、それはどうなってるの?」

 

「そう、ですね。ゲヴァルブロンの変形は使用すればすぐに変形するんです。変形すると、4つの筒のようなものが背中を突き破って出てきます。」

 

「」

 

「あと、ゲヴァルブロンは使用する事事態が少ないんです。実際、ナターシャでも十分戦えてますし、なにより使用するとその代償が大きいんです。」

 

「た、代償…。」

 

「ゲヴァルブロンは簡単には言えば魔力の「リミッター」です。ゲヴァルブロンを使用すれば体の「反射」という機能がすべて「脊髄反射」に変わり、魔力が増幅し、一発、一発に使用する魔力が多くなり、より強力になります。」

 

「そこだけ見ればいい事しかないけど…違うんだよね…?」

 

「はい。ゲヴァルブロンを使用すると体の隅々の魔力を使われるので、使用後は当分動けなくなったり、悪い時は意識が消えます。また、体を酷使するので筋肉がズタボロにされます。骨も折れまくりですし。それと、脳からの命令をほとんど体が受け付けなくなるので、体の一部がゲヴァルブロンの使用後、動きが鈍くなったり動かなくなったりします。」

 

「」

 

シャーリーさんが静かになったので俯いていた顔をあげると、彼女は凄く驚いた顔をしていた。

……口開いてるし。

 

「なので、今は左足が使えないです。」

 

「そっ、そんなに危ないモノあんまり使っちゃダメだからね!?」

 

「は、はい…。それはわかってます、…多分…。」

 

いきなり両手を捕まれ目を合わされたので少し焦ってしまった。

 

少しして、考える仕草をしながら唸っていたシャーリーさんが口を開いた。

 

 

「なるほど……。それは本部にはバレてないって事か…。よく隠せたね…。」

 

「はい、頑張りました。」

 

「この事は私の中で留めて、なにか考えてみるよ。取り敢えず検査はしておきたいから戦闘機人用の機械で体を調べてみましょう。後日連絡するね。」

 

「お願いします。」

 

すると、シャーリーさんはなにやら機械を弄って俺達が預けたデバイスのデータ収集を終わらせた。

 

「………はい、おしまい!わざわざありがとう。」

 

「いえ、こちらこそありがとうございました。」

 

「ありがとうございました。」

 

俺とウォンテはお互いシャーリーさんに頭を下げてその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~機動六課 食堂~

 

「………。」

 

シャーリーさんのデバイス検査が終わり、俺は一人で食堂にて昼食を摂っていた。

 

一人でいるのは訳がある。

いつものウォンテはというと、なにやら地上本部に出向けと言われたらしく、ぶつぶつと文句をいいながら向かっていった。

 

……そういえば、なんだかんだ一人で昼食なんて久しぶりだな。

 

ただなにかをしながら食べるわけでもなく黙々と食べ物続けていると隣の席に一人の女性が近づいてきた。

 

「お疲れ様。隣、いい?」

 

「ングッ!?ハ、ハラオウン執務官!?は、はい!だいじょ、っぶ、です、!」

 

急でかつ、意外な人物の登場に俺は食べていたパンを危うく喉に詰まらせそうになった。

 

「そ、そんなに驚いたかな?ごめんね?」

 

少し焦った顔で座って背中をさすってくれる、ハラオウン執務官。

 

「い、いえいえ、お気になさらず、俺が勝手に驚いただけですので…。」

 

「……ふふっ、ホントに変わったね。ヴァン。」

 

「そ、そうですか?」

 

機動六課でもかなりの実力者、高町一等空尉や八神はやて二佐やシグナム二等空尉と同世代で、執務官をしている彼女は[フェイト・テスタロッサ・ハラオウン]。

 

実は彼女とは訓練生時代から面識があり、わりと会話もしていた。

 

「うん、変わったよ。……なんで私を『ハラオウン執務官』って言うようになったんだろうね。なんで変わっちゃったのかなぁ……!」ハイライトオフ

 

「いっ!」

 

いつの間にかさすってくれていた手は俺の腕を掴み、握り潰さんばかりの力を加えられていた。

 

「……あ、ご、ごめんなさい!大丈夫!?」

 

「いつつっ、は、はい、大丈夫、です。」

 

掴まれた腕を撫でながら頑張って笑顔を作ってハラオウン執務官に向ける。

 

「ほ、ホントにごめんね、私、つい…!」

 

「いえいえ、ホントに大丈夫ですから…。……でも、こうやって話すのも久しぶりですよね。」

 

「…え?ああ、そうだね。訓練生卒業してからあんまり話せてなかったもん。」

 

もん。って、そんなこと言えたのね、執務官殿。

 

「訓練生時代からハラオ、んんっ!フェイト執務官は強かったですよね、懐かしいなぁ。」

 

「…!」パアアア!

 

あからさまに明るくなるハラオウン執務官の顔を見て安心する俺。だって、あのままハラオウン執務官って言ってたらホントに腕一本持っていかれてたよ。強すぎ。

 

「そ、そうかな?///ヴァンも強かったよ?」

 

どんだけ照れてるんだよ、この人。

 

「俺なんて毎度対戦式実習で負けてましたよ。フェイト執務官はほとんど全勝でしたじゃないですか。」

 

「ああ、懐かしいね。…そういえば対戦式実習の教導員の人がセクハラしたときヴァン君怖かったなぁ…。」

 

「……あ、」

 

「『そんなくだらねぇ事やってる暇があったら前線に出て戦え!てめぇみたいなヤツがデカイ面して俺達にモノ教えてんじゃねぇよ!』って、殴った時はホントに驚いたけどね。」

 

「……忘れて下さい、あの時の俺はまだガキだったんですよ。ホントやめて下さい…。」

 

俺は思い出したくない黒歴史を思い出して顔が真っ赤になってしまっているので両手で隠す。

 

「……私はカッコいいって思ったよ?ヴァン?」

 

そういって俺の頭を撫でるハラオウン執務官。

 

「ちょっ、だ、ダメっすよ!そういうのは彼氏さんとかとしないとですから!」

 

「ふふっ、焦ってるから口調がちょっと可笑しいよ?」

 

そういって小さく笑うハラオウン執務官。

ホント何やっても美しく見えるからよく出来た美人だ。

 

「………ちょっと、ヴァン。」

 

突然聞こえた俺を殺さんばかりの低く冷たい声が俺の背中を凍らせる。

 

「……なに、やってんのよ…。」

 

「……ティア、さん、な、なんでそんなに怒っていらっしゃるんですか?」

 

「わからないなら教えてやってもいいわよ?ヴァン?色々保証はしないけどね。」ゴキゴキ

 

すっげぇ指鳴らしてる……。

俺、ここで死ぬんですか…。

 

「っ!」

 

殴られるか蹴られるか、何らかの痛みが来ると思い、咄嗟に目を瞑った俺は少し肩を震わせながら体に力をいれて痛みを待った。

 

「………。」ガクブル

 

「………。」

 

「………?」

 

が、いつまでたっても痛みが来ることはなく、恐る恐る目を開くとそこには顔を真っ赤にして目を逸らし、こちらに両手を広げているティアナの姿があった。

 

「………ぇ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




やっべ、また遅くなりました。
すみません。

オンゲキ、楽しい。(洗脳)
次は短編の方出します。
短編よりほんへを出せ!って方がいましたらお手数ですが、なんらかの方法で自分にお伝え下さい。

指摘等ございましたら遠慮無くどうぞ。

感想、評価、もしよかったらお願いします。


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愛病
愛病~高町なのは~


逃げました。
というかタグでつけてる以上仕方ないですよね。

ヤンデレ、好きだけど書くのはわかんないけど頑張る

後ろに気を付けな(意味深)


~自宅~

 

 

ヴァンside

 

 

 

よくある何気ない一般的な今日。

俺は今だいぶヤバい状況になっている。

 

機動六課から帰ってきたわけだから勿論制服のままで、俺はとある女性に押し倒されている。

その女性は普段の制服の上着は脱いで、シャツのボタンをかなり開いて胸の谷間を大きく見せている。

 

「はぁ、はぁ、お、お帰り♡ヴァン君♡」ハイライトオフ+オメメハート

 

「た、ただいま。なのは。」

 

ご存知、エースオブエースこと、[高町なのは]さんである。

 

「私ね、今日もちゃんとお仕事したんだよ。ヴァン君に会いたいのを我慢してしっかり[教官]したんだよ♡」ハァハァ

 

「お、おう。よく頑張ったな。それより涎を拭いt、」

 

「ねぇ、ヴァン君♡」ハァハァ

 

「は、はい。なんでしょうか。」

 

「ご・褒・美♡、頂戴♡」ハァハァ

 

 

 

 

彼女との出会いは四年前の空港火災の現場である。

俺のなかでは勿論気に止める事も無かったし、相手もそうだと思っていた。

 

まぁ、いざ聞いてみればもっと前から狙われていた訳だが…。

 

その後の俺は謹慎に入って講座を受けていたので人に会うこと事態そんなに無かったのだが、あらかた片付いて部所に戻ってみれば空港火災の報告から溜まった資料の整理など…。

 

そして俺と彼女はまた出会う。

その日は情報の収集をしている[フェイト・T・ハラオウン]執務官へ資料を持っていっていると

 

「……ん、」

 

「………あ、」

 

T字になっている廊下ではち合わせた俺と彼女は、未だお互いに顔を覚えていたらしく勝手に喉から声が発せられていた。

 

「……空港火災で会った方…ですよね?」

 

「…は、はい。」

 

「お互いケガしなくて良かったですね。」

 

「はい。あの女の子も無事でしたし。」

 

「……。」

 

「……。」

 

案の定、話す趣味も能力も興味もないので沈黙が場を凍らせる。

 

「…お名前……。」

 

「はい……?」

 

口を開いたのは彼女の方で、余り集中していなかったのでしっかり聞こえなかった。

 

「お名前、お伺いしてもいいですか?」

 

「あ、はい。ヴァン・アスメラウス二等k…じゃなかった、」

 

「?」

 

「ん、んん!改めまして、ヴァン・アスメラウス三等空尉です。よろしくお願いします。」

 

「あ、階級まで、すみません。私は高町なのはです。」

 

「…?…えぇっと、階級をお伺いしても?」

 

「女の子から情報を引っ張り出すのは野暮じゃないですか?」フフッ

 

そう言って軽く笑う高町なのはさん。

 

「……まぁ、地上本部でもわりと有名人ですしそれぐらいはわかりますけどね。」

 

「にゃはは、そんなに、かな?」

 

 

 

そんな会話が俺と彼女の初めての会話だった。

その後も事件等で出会う事もあり、いつの間にか俺と彼女は喫茶店や遊びになども行く仲に発展していった。

 

そして俺は彼女から、彼女自信の過去について話を聞いた。

 

幼少時代に[良い子]を演じていた事。

無茶をして己が負傷し、空を飛ぶどころか歩く事もままならない状態になった事。

 

俺は彼女にそれについて意見を求められた。

 

「簡単に言うのも失礼なんですが、わかりますよ。その焦りと気持ち。」

 

「でも今はもう前向きに進めているんですから余り偉そうな事は言えませんが。」

 

「……。」

 

「俺は、貴女に生きていてほしいと思います。」

 

「……!」

 

それは遊園地の帰り道。

道端のベンチに腰掛け、話をしていた俺は立ち上がり少し俯いている彼女の前にしゃがむ。

 

「貴女は一人しかいない。」

 

そっと、彼女の手を俺の手で包むように添える。

 

 

夕日が彼女を美しく照らす。

 

「その[貴女]を押し込まないで。貴女は一人じゃない。俺は貴女が大切だ。貴女の守りたいものを俺にも守らせてくれませんか?」

 

「……っ!///」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………プロポーズでは無い、断じて無い!

 

だが彼女はそれをプロポーズと捕らえてしまい、撤回しようにも言っても聞かない状態に。

それどころか言えば何かヤバいオーラが後ろから出てる始末。

 

 

 

 

 

そして俺の頭は現状をまた捕らえ始める。

……押し倒されると制服にシワできるんだよな。

 

「スンスン、……あれ?フェイトちゃんの、匂い?」

 

「……!(やっべ、あの時少し擦ったときのか…!)」

 

「なんで、フェイトちゃんの、匂いが、するの…?」ハイライトオフ

 

「ちょっと擦ったんだよ。別に何かあったわけじゃないから。大丈夫だよ、なのは。」

 

「……ホントに…?」

 

「勿論だ。」

 

「………じゃあ、キスして。」

 

「……え?」

 

「……んっ、」

 

そして彼女は少し体を引いて、目を閉じて可愛らしい唇を前に出している。

 

「……。」

 

俺は少し体を起こして左手を軽く彼女の頬に添えて唇を合わせる。

 

すると途端に。

 

「……っ!」ガバッ

 

「…!ちょっ!んん!?」

 

唇を合わせた途端に彼女は俺の両手を掴み床に完全に押し倒し、激しく唇を貪る。

 

「んっ、…ちゅっ、ちゃっ、……ちゃぷっ、……ハァ、ハァ…。」

 

俺の口の中に無理矢理舌をねじ込み、口内を舐め回すなのは。

 

離れた唇には銀の糸が掛かっていた。

 

「ハァ、ハァ、ヴァン君♡ヴァン君♡ヴァン君♡ヴァン君♡ヴァン君♡ヴァン君♡ヴァン君♡ヴァン君♡ヴァン君♡ヴァン君♡ヴァン君♡ヴァン君♡ヴァン君♡ヴァン君♡ヴァン君♡ヴァン君♡ヴァン君♡ヴァン君♡ヴァン君♡」

 

ヤバい、喰われる。

 

「ねぇ、ヴァン君、食べていい♡?」

 

「え、いや、ダメですけど。」

 

すると言ったのにも関わらず彼女は俺の指を舐め始める。すると噛んだのか、痛みが訪れた。

 

「………っ!つっ!」

 

「痛い?痛いよねぇ?あぁ、私、ヴァン君に印付けちゃってる…♡ずっとこうしたかった♡体の隅々まで印付けて、ずっと私の手の届くところにおいて♡それから……♡」

 

これが彼女のホントの姿なのかはわからない。

だがこうなってしまった以上、俺も腹を括らなくてはいけない。

………しかし……。

 

「俺達、付き合ってないんですよねぇ……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




遅くなって誠に謝ッ!
ヤンデレ難しいですね、ていうかこれヤンデレっていうより発情ですよね笑
次はほんへ書きますね
指摘等ありましたら遠慮なくどうぞ。


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