Re:ゼロからでもない私の異世界生活! (アルトΔライヤ)
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第一章:秘鬼編
見たことのない世界


きっかけは何でもない事だった。

 

「おはようユウ。」

「おはようハルマ。」

 

ちょっと良いとこの坊っちゃんと遊園地に遊びにいく日。

 

「じゃあ、行こっかハルマ。」

「うん。あはは、何かデートみたいだね。」

「そうかな?別にハルマと付き合った覚えないんだけど。」

「う、ひどい。」

 

残念そうに肩を落とすハルマ。彼はユウのことが好きなのだ。

 

改札を通る。

 

階段を登り、駅のホームに出る。

 

生憎今の時間は人が少なくて、一番前にならんで電車を待った。

 

「うぅ...僕、ユウのこと好きなのに...。」

「私もハルマのこと好きだよ?好きじゃなきゃ一緒に遊園地行かないじゃん。最高の友達だよ。」

「友達かぁ…」

 

『まもなく、二番線に東京行きの電車が参ります。危ないので、黄色い線までお下がりください。』

アナウンスが流れる。

 

「…ハハ…ハ……ハハハハハ!」

 

ドンッ

 

「えっ?」

 

電車が着たところにハルマがユウを突き飛ばす。

 

「このバカ女。僕の家に素直に嫁げば良いのに…ハハ…ハハハハハハハ!」

 

狂ったようにハルマは笑い声を上げる。

 

少ししてハルマは駅員に取り押さえられて警察に連行された。

 

「申し訳ありません母上、僕はせっかく見つけた『能力者』を殺してしまいました。

でも安心してください。彼女はそう簡単には死にません。いえ、死なせませんから。」

_____

 

 

 

「…ねえ、大丈夫?」

「おーい、聞こえる?」

 

誰かが私に話しかけてくる。

 

「…何ですか………」

 

目を開けて見るとここは、見たことのない世界で、

目の前には二次元的銀髪エルフ美少女と飯使いっぽい青年が居た。

 

「ほら起きた、だから言ったでしょスバル、この子は生きてるって!」

「お、おう。わかったわかった。死んだとか言って悪かったって。」

どうやら私は死んでいるように見えたらしい。

 

それにしても何だ?私はさっきハルマに突き飛ばされて電車に撥ねられた筈だ。

そう、死んだ筈なのに何故…?

私は死んで、ここはあの世とか?でもそれにしては中世ヨーロッパ感溢れているし…

うーん、なんだろ、ジャンヌダルクとかが居そうな雰囲気のこの世界は一体…

 

そんなことを考えていると、銀髪エルフ美少女が話しかけてきた。

 

「…で大丈夫?そこの路地から急に飛び出して来たけど。」

「え?あ、はい。大丈夫です。」

「それはよかった。立てるか?」

 

そっと手を差し出す青年。目付きは悪いけど実はいい人なのかも。

「ありがとうございます。」

 

しかし、うっかりしていた私は、

その手を左手で握ってしまった。

 




スバル「やぁ読者の諸君!一話はどうだったかな!?このコーナーはずばり、次回予告だ!」
エミリア「ねぇスバル。じゃんぬだるく…って、何かしら?」
スバル「おぅ!ジャンヌダルクってのは女騎士の一人でな、簡単に言うと忠君愛国、キリスト万歳な、少女だ!」
エミリア「うーん、よくわからないけど次回予告に入りましょう!」
スバル「だな。えー、ユウの左手に触れた俺はまさかの展開に!?」
エミリア「次回:『時戻し』お楽しみに♪」


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時戻し

エミリア「前回のあらすじ!」
パック「前回はユウが電車にバーンされてリアとスバルがユウを見つけたんだよね。」
エミリア「そうそう、スバルったら『こいつは死んでんだから声かけても起きねーよ。』なんて酷いよね!死んでても生きてても、そこに倒れてる人が居たら助けてあげなくちゃいけないのに。」
パック「リアは優しいね。優しい子に育ってくれて僕としても嬉しい限りだよ。」
エミリア「では、本編どうぞ!」


「…あれ?」

 

ロズワール邸の廊下で佇むスバル。

 

「そうだ、東棟の掃除…ってバケツ無いじゃん!」

「あら、もう買い物は終わったの?バルス」

「買い物ぉ?何言ってんだよ姉様。俺はこれから東棟の掃除をするところだぜ?」

「は?ついに頭が可笑しくなったようね。バルスにはどうしてもって言うからエミリア様と一緒に町で買い物を頼んだのに。」

「おい待て待て待て待て!ワケがわかんねぇぞ?エミリアたんと買い物?聞いてねぇぞ、そんな重要なこと。」

 

 

 

 

「あーもう私のバカ…」

「ね、ねぇ、スバルが消えちゃったんだけど…?」

「ごめんなさい、私のせいで。」

 

はぁ、とユウはため息を吐く。

 

「そのスバルさんとやらは、一日前に彼が居た場所に居る筈です。」

「『時戻し』の能力だね。」

 

ピョコっと妖精サイズのパックが出てくる。

 

「あ、かわいい。…とにかく、この左手に触れたものは、一日前に居たもしくはあった場所に一日前の状態で戻るんです。

原因とか、原理は…すみません。わからないです。」

 

落ち込むユウを見て慌てるエミリア。

 

「う、ううん!わからなくても平気だよ!私だって、わからないこといーっぱいあるから!」

「うんうん、これから学んでいけばいいよ。」

 

「で、『時戻し』って?」

「『時戻し』は彼女が言った通りの能力なんだけどレベルによって戻す時間が増えていくんだ。

彼女はまだ初期段階だから良いけど、レベルが上がると1週間、1か月、1年…あげくの果てには万物の起源まで戻す…

つまり存在そのものを消すんだ。死体も残さずに。」

「そんな危ない能力なの!?」

 

灰色の雲が出てきて太陽を隠す。

 

「そうだね。でも、この力は凄く珍しいんだよ?

ものすごく昔、神様の時代に一度、世界を滅ぼしたとされる神が使った能力で、ちょうどこの国ができた頃に能力者は全滅したんだ。

だから珍しいんだよ。」

「何の話かさっぱりですけどそれほどにレアな人間ってワケですね?」

「えっと、一応魔法なの?」

「魔法かどうかはわからない。この能力には謎が多いし、ほとんど奇跡に近いからね。」

 

 

 

 

「とりあえず、バルスはエミリア様を迎えに行くこと。いい?またのんきに戻って来たら殺すわよ。」

「わかった。お前に殺されないようエミリアたんを連れて帰るぜ。」

 

「それなら、ちよっと頼み事をしてもいいかーぁな?」

 

ひょっこりと出てくるロズワール。

 

「ロズワール様!申し訳ありません。バルスのせいで…」

「俺のせいなの!?」

「まぁまぁ、仲良くしたまーぁえ。それに、君が戻って来たのも、君の意思じゃなーぁいだろう?」

「だから、何だよ頼みって」

「君をここに強制的に戻した能力の持ち主が居る筈だーぁからね、その能力者も連れて帰って欲しい。」

「あぁ、顔はわからねぇがその能力者を取っ捕まえるんだな。」

 

 

 

 

「おーい!エミリアたーん!」

「あ、スバル!」

「…っと、お前が俺を何かした(正直把握してない)犯人だな!」

 

スバルはがっしりとユウの腕を掴む。

 

「いたっ。す、すみません。この手のせいで…」

「手?何が何だかわからねぇけどロズっちに連れて帰るよう頼まれてるんだ。」

「ロズワールが?」

「い、痛いってば!離してください!」

「ああ、理由は聞いてないけど連れて帰って欲しいって頼まれてさ。」

「そうなんだ…」

「は、離せって言ってんだろこの童貞が!!」

「なっ、おまっ、俺が童貞とか決めつけんな!」

「うっさい、女の子をこんなにも強い力で掴む男が童貞じゃないわけ無いじゃん!警察呼ぶぞ!」

「あ、えーっと、離してあげよう?ね?ね?」

「エミリアたん、こいつは俺を怒らせたんだからただじゃおかないぜ。」

「そーやって私を犯すんですか?エロ同人みたいに!エロ同人みたいに!」

 

するとスバルはあることに気づく。

 

「おい、ちょっと待て。お前まさか…」




ラム「ラムと」
レム「レムの」
ラム&レム「「次回予告~!」」
レム「姉様姉様、今回姉様は出番があったのにレムの出番が無いとはどういう事でしょうか?」
ラム「簡単な事よレム。作者がラム派なのよ。」
レム「流石姉様…と言いたいところですが作者はレム派です。」
ラム「ならどちらも推しであるということにしましょう。」
レム「わかりました。では次回予告をしましょう。
次回はスバルくんが童貞か否かだけで丸々一話使います。」
ラム「使わせないわ。バルスが童貞であろうと無かろうと、そんな情報は誰も望まないもの。」
レム「確かにそうですね。では次回はレムのお料理教室にしましょう。」
ラム「いいえ、ロズワール様特集をやるのよ。」
レム「次回:『レムのお料理教室』お楽しみに!」
ラム「次回:『ロズワール様特集』お楽しみに!」
スバル「どっちもやらせねーよ!次回:『ロズワール邸』お楽しみに!」


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ロズワール邸

ベティー「にーちゃと送る前回のあらすじなのよ!」
パック「僕はこのまま前回あらすじ皆勤賞を狙おうと思ってるよ。」
ベティー「流石にーちゃなのよ!」
パック「さて、前回はスバルが『時戻し』によってこの屋敷に戻されて女の子を襲ったところ、何かに気づいた様子だったね。」
ベティー「何してんのよアイツ。」
パック「スバルも年頃の男の子なんだろうね。ではどうぞ!」


「まさか…何ですか?だが男だなんて展開は無いですからね?」

「いやちげーよ、お前、地球から来たんじゃねぇのか?」

「は?何ここが地球じゃないみたいな言い方して…いや待て…」

 

言葉も通じるし空気だってある。重力にも違和感は無いからてっきり地球だとばかり思っていたがしかし、

私はあのとき死んだ筈だ。ここがあの世であっても可笑しくないが…

私は天国に逝くほどの善行はした覚えないしなぁ…

 

「残念だが、この世界にエロ同人なんて無い。あぁ、本当に残念だ。しかしその存在を知っているということはお前は何らかのアレ(語彙力)でこの世界に召喚された人間ということだ!」

「スバル、『えろどーじん』って何?」

「エミリアたんの口からそんな言葉を聞くことになろうとは…」

「きっと清楚なリアには似合わない言葉だからリアには教えたくないんじゃない?」

「えっ、じゃあスバルはこの子にそんな酷いことをしようと…」

「してないぞ!断じてしてないぞ!」

「で、召喚って?童貞さんは何か知っているんですか?」

「ラムより変なあだ名だから止めて!?

まぁ、要するにお前は異世界召喚、もしくは異世界転生してきたんじゃないかって事だ。」

「私は別に引きニートでも不登校児でもなく社交的かつ健全な高校生なのでそれは無いです。」

「健全ってとこが引っ掛かるがそうでもないぜ?お前が実は知らず知らずの内にこの世界と何か接点を持ってしまったとか…」

「まぁ、こんな能力持ってて普通なワケ無いですけど、私だって欲しくて得た能力じゃないし、潜在的にあった能力ですし…」

 

…む、充分に引き寄せられる原因はあるな。

だとしたら私が死んだのが引き金になったのか?

 

「…ところで、童貞さんが異世界転生or召喚じゃないかと言う説をあげると言うことは、童貞さん自信もその体験をしていると?」

「そうだ、俺自信が経験済みだからな。」

 

実際に転生or召喚された人間はいる。なら私にも十分事になる。

なら、受け入れるしか無いのか。

 

「わかりました。童貞さんの説を信じましょう。でも、それでどうするんですか?この危険人物を。」

「ねぇ、家で暮らさせてあげない?すごーく珍しい能力の持ち主なんでしょ?」

「いや、連れて帰れとは言われてるけど、そこまでするか?」

「私が人を見捨てられないの、知ってるでしょ?」

「ま、決めるのはロズっちだからな。でも、『童貞さん』はいい加減止めろ。」

「わかりましたクリぼっちさん」

「なぜバレたし!」

 

 

 

 

屋敷につくと二人のかわいらしいメイドが出迎えてくれた。

二人のメイドは一瞬顔を見合わせこちらを向いた。

 

「おかえりなさいませエミリア様、スバル君。そしてようこそお客様、ロズワール様は客室でお待ちになっております。」

「ようこそお客様、うちのバルスの無礼をお許し下さい。」

「俺が何かした前提!?」

「あはは、お客様なんてそんな、大層なものじゃないですよ。」

 

バルスってなんか天空の城が破壊されそうなあだ名ですね。

私のクラスメイトにもスバルって名前の子が居るんですけどその子もそんなあだ名でした。ちなみにこいつじゃありません。

 

さて、そろそろ客室に到着ですね。

 

「ようこそ。私はこの屋敷の当主、ロズワール・J・メイザースだーぁよ。まぁ座りたまえ。」

「時雨 悠です失礼します。」

 

高そうな椅子に座る。生憎私は高校受験の際、面接で落ちたら自殺する!という勢いで練習したのでお偉いさんとの作法はある程度身に付けているがエミリアという美少女も相当なご身分だったのに気づかなかったのは反省したい。

 

「ではエミリア様、彼がここに強制送還された原因…能力についてはわかりましたかーぁな?」

「パックの知識だけど彼女の左手には『時戻し』?の能力があって、それにスバルが触れました。」

「ほう…」

 

ロズワールさんがこちらを見る。

 

「な、何でしょう?」

「いやぁ、『時戻し』の能力者に出会えるのはとても光栄だーぁからね。ぜひ研究させていただけなーぁいかな?」

「研究?」

 

果たして研究でどうにかなるのだろうか?

まぁ、それで宿を得られるならそれも良いかな。

 

「ねぇ、それなら研究のついでにこの子をここに住まわせてあげない?お話をしたところ、お家もないみたいなの。」

「勿論許可しようじゃなーぁいか。よろしくねユウ。」

「あ、ありがとうございます!」

 

嬉しい。とにかく嬉しい。

何がって聞かれれば元の世界より良い生活ができそうだし、何せここの人たちは面白そうだから。

でも、いくら研究と言えど、なにもしないのは良くないよな…。

 

「何か、この屋敷で働かせて下さい。」

「ほう?」

「この手があるかぎり、出来ることが減ってしまうのは確かですが、何もしないのは失礼かと…」

「君が望むならそぉーれもいいけど、そうだな…3日ほど待って頂ければ、その能力をコントロール出来るようにしよう。働くのはそれからだーぁね。」

「本当ですか!?」

 

働けで能力の操作も出来るようになる…一石二鳥だ!!

 

さて、私の異世界生活とやらも、何だかんだ言っていろいろ用意されてた感もありゼロからでは無いけど、良いスタートが切れました!




ロズっち「あれ、今回私だけかーぁな?」
ロズっち「えー、次回予告だーぁよ。」
ロズっち「ユウの能力の研究と共に始まった我が家での生活。一体なにが起こるのかーぁな?」
ロズっち「次回:『一日目』お楽しみにぃーね。」







ラム「ロズワール様特集は実現したわ。」
レム「流石姉様。」


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一日目

エミリア「今回は更新遅かったねパック。」
パック「作者がSCP?を見て軽くトラウマになってたところに某アニメ会社放火事件が重なって精神的に原作三章白鯨線手前のスバルになってたからね。」
エミリア「その例えはよくわからないけど前回のあらすじに入りましょう。」
パック「そうだね、さて、前回はユウがロズワール低に来てリアによってここに住むことになったね。」
エミリア「うん、あの子のこと見捨てられなくって。」
パック「優しい子に育ってくれて僕も嬉しいよ。」
エミリア「では、本編をどうぞ!」


とりあえず、私は空き部屋を使うことになった。

昨日はいろいろあったけど、とにかくご飯が美味しかった。

 

「この世界は、元の世界との時差がなくていいな~っ」

 

少し体を伸ばす。

状況も落ち着いているので今のうちに私の見た目などを紹介させていただきます。

私は時雨 悠、16歳です。髪は短めでなぜか毛先だけ白くてあとは黒です(なんでだろ?)。

目の色は赤で、自分でも普通の人間じゃない気がしてままなりません。

遺伝とかの授業では例外として扱われましたが絶対何かあります。

両親は居なくて、小さい頃から施設暮らしでした。

コンコンとドアをノックする音が聞こえた。

 

ガチャ…

 

「あぁ、レムさん。おはようございます。」

「おはようございます。ロズワール様から聞きましたけどお客様もここで働くんですね。」

「うん、よろしくね。」

「えっと、その…図々しいかも知れないんですけど『ユウちゃん』って呼んでもいいですか?」

「うん、全然いいよ。」

「ありがとうございます。レムのことは『レム』でいいですからね?」

「うん、そうさせてもらうよレム。」

 

早速朝食を作るとのことで何も出来ないが手伝いに行った。

あ、見学の方が正しいですね。

 

「スバル先輩ヘタです。」

「解せぬ。」

「バルスのは見ても視力が落ちるだけよ。」

 

彼は一応私よりも先輩なので先輩と呼びますが正直だらしないので先輩と呼びたくありません。

 

「酷いぜラムちー。」

「ラムは事実を述べたまでよ。」

「ユウちゃんの見た通り、スバル君はお料理下手なので宛にしちゃダメですよ?」

「わかった。あ、ゴツゴツになった芋がかわいそうですよスバル先輩。」

「だったらお前もやってみるか?」

「えぇ…コントロール出来るようになってからじゃダメですか?」

「おっと、そうだったな。すまない、んじゃあ出来るようになったらでいいぜ。」

 

ふむ、意外とちゃんとしてる辺りは見習おう。

 

 

 

 

「いただきます。」

 

本日の朝食はパン(らしきもの)とスープ(らしきもの)とサラダ(らしきもの)という朝っぽい爽やかな朝食だ。

らしきものとつけているのはスバル先輩曰く、この世界と元の世界とでは食材の名前が違う(一部例外)そうだ。

なお、キッチンにあったマヨネーズにおいてはスバル先輩がこの世界に伝えたのだとか。(詳しくは公式の『第一次マヨネーズ騒動』をお読み下さい。)

 

 

さて、朝食を終えるとすぐロズワールさん(様の方がよいだろうか?)に私の手のことで呼ばれる。

レムに案内をしてもらい、部屋につく。

ドアをノックし許可を得て部屋に入る。

 

ちなみに余談だが、私の能力は発動しっぱなしと言うことでもない。

能力が発動するのは本当に稀で、でもいつ起こるかわからないから普段から気を付けていたのである。

しかし不思議なことにここに来てからと言うものの私が手をついていた地面は少しえぐれていたのだ。

土の時を『戻した』のである。それも一日前のまた一日前…と続けていればその存在もずっと遠くへ行くか生まれる前に戻るのである。

しかし、元の世界では全然そんなことなかったのになぁ…?

 

「やぁ。」

「ど、どうも。」

 

一目見たときから思っていたがなぜこんなピエロみたいな顔(流石にメイクだよね?)をしているのだか…

正直いつ牙を生やして連れ去られるかわからないので恐いです。(ペ●ーワイズほどではないが。)

 

「まぁくつろぎたまーぁえ。君はもう家族同然じゃなーぁいか。」

「はぁ…」

 

貴族ピエロに家族扱いされるのは光栄なのか恐怖なのかわからないですね。

それはともあれ本題です。

 

「昨日君も言っていたけーぇれど、ここに来て能力が活性化された訳だーぁね?」

「そうです。そうじゃなきゃ16年間も生きれませんし。」

 

まぁ、私は小さい頃記憶喪失になったらしいんですけど。

 

「少し、私の前でやってみてくれないかーぁね?そうだね…例えばこのペンなんてどうかーぁな?私は昨日ほちょうどここで作業をしていたかーぁらね、私の目の前に移動するだろう。」

「わかりました。」

 

サッと高そうなペンに触れた途端ペンは消え、ロズワールさんの目の前に現れ机に落ちた。

 

「ふむ、本物のようだーぁね。では自力で抑えようとは出来るかーぁな?」

「それは既に昨日やりました。ただ、いくら気を付けてもダメなものはダメでした。」

「なるほど、ならこれをつけてみてくれなーぁいかい?」

 

と言いロズワールさんは警察とか執事とかが着けてそうな白手袋を渡す。左手様で、手の甲に何かかっこいい中二病かん溢れるマークが描かれている。

 

「これは?」

「エミリア様が身に付けている認識阻害のローブの原理を利用した魔力を封じる手袋だーぁよ。と言ってもその紋様だけ切り取ってしまえばただの手袋なんだーぁけどね。」

「この紋様に魔力を封じる力があるんですね。…でも、私のこの能力って魔法なんですか?」

「あぁ、神代の魔法だから奇跡に近いところはあーるけど、一応魔法なんだーぁよ。ちなみにこれあまりしやれてないんだーぁよ。」

「確かにパックくんも知らなかった…ロズワールさん博識ですね。尊敬します!

ただ、さっき言ってた認識阻害のローブって何ですか?」

「彼女は銀髪のハーフエルフだからね、その容姿を人々に見られないようにしてあるんだーぁよ。」

「私、普通に見えたんですけれども…」

「おやぁ?」

「え、あのっ、何か銀髪でハーフエルフだとマズいんですか?」

「いやぁ、ここでは常識だーぁけどね。まぁ、君はきっとそれを知ってもエミリア様を差別しないと信じて話そうかーぁな。」

「あーいや、差別って時点でなんか察しました。多分その容姿の方に昔何かあったんですよね?」

 

憶測だが、黒人差別のようなものだろう。

その差別の対象がエミリアさんであるってことかな?

まぁ、私は差別とか正直あまり意識してないし、白人も黒人も黄色人種もみんな平等だと思うので。

ってかエルフはわりと美人が多いのに悲しいなぁ。エミリアさん自覚無さそうだけど。

 

「そうだね。では、この事実を知って、君はどう思うかーぁな?」

「大丈夫ですよ、だって家族みたいなものですから。」

「……まぁ、とりあえずそれをつけてみたまーぁえ。」

「はい」

 

と、手袋に手を入れると…

 

「いたっ!な、何これ…」

「君の手から放たれている魔力を抑えようとして痛みを伴っているんだーぁよ。

勿論、外してしまえばまた能力はつかえるかーぁらね。」

「もしかして、この痛みになれるのであと2日ですか…?」

「その通りだーぁよ。」

 

マジですか…

私サラっと喋ってますけどこれすごく痛いですからね!?

例えるならうーん…手にホッチキスの芯が刺さった感じです。それが何度も繰り返されてます。

つまり、めっさホッチキスの芯が刺さる痛みをあと2日です。

いやぁしばらくは眠れそうに無いですね。

 

 

 

 

「_____ったく、まさかここに飛ばされるとはな…

困ったものだ。あの力が覚醒すれば、世界は滅びかねないってのに。」

 

謎の空間から、肩掛け鞄を持った一人の青年が出てきた。




ベティー「なんでお前と次回予告をしなきゃいけないかしら。」
スバル「いいじゃんかベア子、楽しくお茶でもしながら次回予告をしようじゃないか。」
ベティー「はぁ…まぁ今回だけは特別にいいのだわ。」
バルス「んじゃあ次回予告ってあれぇ!?俺の名前変わってね!?」
ベティー「次回はやっとベティーの出番なのよ。」
バルス「って無視!?え、どうしたレム。あぁ、追加情報?」
バルス「えーっと次回こそはレムのお料理教室を…って願望かよ!」
レム「そろそろネタが尽きたかと…」
バルス「尽きてねーよ!ちゃんと秘鬼編は終わるしまだまだ続きそうな終わり方じゃん!」
ベティー「そろそろ時間なのよ。次回:『二日目』お楽しみになのよ。」


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二日目

パック「前回のあらすじだね!」
ベティー「いつになったらベティーは本編に出られるのかしら。」
パック「珍しいね、ベティーが出たがるなんて。」
ベティー「いい加減痺れを切らしたのよ!」
パック「作者の趣味上、やっぱりキャラとの絡みは偏ってしまうからね。」
ベティー「まぁ、次回こそは出演してやるのだわ!」
パック「頑張ってねベティー。えー、前回はロズワールから白手袋を受け取ったね。」
ベティー「だんだんこのコーナーも雑になりつつあるかしら。
じゃあ、本編を見るのよ。」


「眠痛い…」

 

昨晩はこの痛みで全然眠れませんでした。

レム睡眠でした。

でもまぁ、痛みは少しマシになりました。

ホッチキスの芯からシャーペンの芯ですかね?

 

さて、痛みはありますが能力は押さえつけられているのでひとまず安心です。

なんと今なら人と握手ができます。

 

「あ、ユウちゃん。おはようございます。」

「うん、おはようレム。また何か用?」

「はい、実は服の採寸をしようと思ってきました。」

 

と、どこからかメジャーを取り出す。

 

「うん、いいよ。」

「じゃあ、計りますね。腕を方の高さまてわ上げて下さい。」

 

レムの指示通りにする。現在私はT字になっている。

そしてバストが計られる。すると…

 

「どうしたのレム?」

「い、いえ、何でもありません。あ、何にもありません。」

「何も…?」

「わ、私はユウちゃんが驚異的な貧乳でも全く気にしませんから。」

「え…」

 

ふとレムの胸に目をやる。(下心はないぞ。)

そこには男性の8割が好きであろう胸がある。

ちなみに残り1割は貧乳派ともう1割はゲイの方である。

 

「あっ…」

 

自分の胸に手を当てる。

そこにはきれいな壁がある。

そう知ったとたん私はとても虚しい気持ちになった。

でも、昔

「貧乳はステータスだ希少価値だ。」

そんな教えを説いた人物が居たものだと、思い出した。

 

「次、計ろう。」

「…わかりました。」

 

少し変な空気になったけど、無事採寸は終わりました。

私用のメイド服ですか、あまり女の子らしい服は着ないので似合わなそうです。

 

「では、すぐ朝食を作るので、ユウちゃんは無理のない範囲で手伝って下さい。」

「了解。」

 

部屋を出てレムとキッチン(厨房?)に向かう。

その途中でレムは不思議な話をした。

 

「ユウちゃんって、何か昔の友達に似てるんです。」

「昔の友達?」

「はい、レム達がまだ村にいた頃の友達です。

『ルト』って言う子で、ユウちゃんと瓜二つなんです。」

「私に似てる?どんな子なの?ルトって」

「見た目も力の制御が出来ないところもそっくりで、力を押さえる羽織を着てないと鬼化しっぱなしで、

魔法は姉様程ではないけれど、本当にルトがあのまま成長したら丁度ユウちゃん位なんです。」

「!もしかしてルトは…」

「処刑の日…いえ、あの炎の夜の前の晩に行方不明になりました。」

「処刑って、そのルトが何かしたの?」

「ルトは、力の制御が出来ないので、ある程度育ったら殺す予定だったんです。

それであの子は最後に会ったときレム達に言ってくれたんです。

『僕は明日殺される。でも悲しまないで、僕は生まれ変わっても絶対二人のことを忘れない。だから、二人も僕のことを忘れないで。』って。」

「懐かしい話ね。」

「ね、姉様っ!」

「どうも。」

「でも、その子はルトじゃないわ。ラムだって一目見たときはもしかしてと思ったけど、それでもあなたはラム達を知らなかった。それがルトではない最大にして唯一の証拠よ。」

「なんかすいません。期待に答えれなくて…」

 

ラムさんの鋭い視線が刺さる。嫌われてしまっただろうか?

いや、でも二人のことはきれいさっぱり記憶にございませんし……

まぁ、心当たりとしては私は小さい頃記憶喪失になってることかなぁ?

それでも、私は私だよ。

 

少しの間沈黙が続いて遅れてきたスバル先輩の空気の読めなさで暗い雰囲気は打ち砕かれた。

 

「何してんの~?ってあれ、お取り込み中?」

「いいえ、そんなことないわ。朝食を作りましょう。」

「何したんだよユウ、ラムちーがいつもより不機嫌だぞ。いつも不機嫌だけど。」

「そんなことないですよスバル君、姉様はいつでも上機嫌です。ほら、スバル君に罵声を浴びせる時なんかすごく楽しそうですし。」

「うーん、どうしたものか…」

 

やっぱり怒ってますよね…

髪でも染めていっそのことルトに似てない容姿にするとか?

うーん、困ったものだ。

 

無事朝食も済ませ、自室に戻る。今日は誰にも呼ばれてないので暇だ。

 

「…そうだ。」

 

この世界に来る前から持っていた鞄からキャンプ用のフォールディングナイフを取り出す。

遊園地にいったあとにキャンプをする予定だったのだ。

あ、フォールディングナイフとは折りたたみナイフとも言うよ。

 

「せっかく買ったのになぁ…」

 

一応護身用に持っておこう。

よい子の皆はキャンプやサバイバル以外の目的で使うとアウトなので気を付けよう。

 

「掃除でも手伝うか。」

 

ナイフをポケットに入れて部屋を出る。

すると部屋のすぐ側を掃除していたラムさんに遭遇する。

 

「何?用が無いなら部屋で大人しくしてなさい。」

「いやぁ、掃除でも手伝おうかなって、思いまして……」

「…手、大丈夫なの?」

「へ?」

 

あれれ?

 

「痛いんなら無理に手伝わなくていいのよ。」

 

これは…俗に言うツンデレ?

いやでも目付きは鋭いままだし元々嫌われてなかったというオチ?

 

「少し位なら出来るから、手伝わせてよ。」

「じゃあ、あそこから曲がり角までの窓拭きを頼むわ。」

「了解。」

 

…ってちょっとまて、窓めっちゃあるじゃん。

ラムさん達これを毎日やってたのか…

 

とまぁ、不満ばかりを言ってちゃ始まらないので取り合えず水濡れ雑巾で一つ目の窓を拭き始める。

 

 

 

窓拭きに熱中してしまい昼食に参加できなかった…

終わった頃には外はもう綺麗な夕焼け色で染まっていた。

 

「全く…ここまで時間をかけるなんて呆れたものよ。出来栄えに文句はないけど。」

「すみません。つい、熱中しちゃって…」

「仕方ないわね、昼食もとってないでしょ?」

「そうですけdはぐ!?」

 

いきなり口にクッキーを入れられる。

ふむ、チョコクッキーですね。私が好きなタイプです。

この美味しさ、愛情の籠り具合(謎)…!

レムか!?

 

「ん、おいしいです。」

「それはよかったわ。レムがユウのために作ったものだから。」

「後でお礼言わなくちゃですね。」

「そうね。」

 

そういったラムさんの横顔は、少し微笑んでいるような気がした。

 

 

 

 

「捕まえなきゃ、研究の為にも、母様の為にも…!」

 

ロズワール邸に続く森を、一人の青年が歩き出した。




レム「ついに始まりましたレムのお料理教室です!」
レム「記念すべき最初のゲストは…え、違うんですか?」
レム「それは残念です。あ、次回予告なんですか。なるほどなるほど。」
レム「えー、次回はユウちゃんのここでの生活の三日目ですね。レムも楽しみです。」
レム「次回:『三日目』お楽しみに。」




ところで、何で次回予告なのにレム一人だったのでしょうか?


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三日目

スバル「前回のあらすじだぜ!」
パック「この組み合わせは不思議だねー。」
スバル「『ロズワール邸男子の会』だな。」
パック「なるほど。それは僕も参加しなくちゃ。」
ロズっち「つまり私も参加しなくちゃーぁね。」
スバル「あー、前回昼メシに居なかったのは窓の掃除をしてたみたいだな。」
ロズっち「仕事に集中するのはいいけーぇれど、食事も大切にしてほしーいね。」
パック「ちなみにスバルは前回何をしていたんだい?」
スバル「……本編どうぞ!」
ロズっち「へぇ…」


この屋敷に来てから三度目の起床。

手の痛みも引いてきて現在裁縫の針が刺さった程度です。

もうお茶碗持てますね。

 

今日もレムに出会えるかな?

ちょっとワクワクしながら部屋で待つ。

 

コンコン

 

お、来た!

 

「どうぞー。ってあれ、ベアトリスさん?」

「ちょっと話があるのよ。」

「話?取り合えずどうぞ。」

 

ベアトリスさんを部屋に入れる。

話とはなんだろうか?私何かしましたっけ?

 

「話って?」

 

ベアトリスさんは私をじっと見て言う。

 

「アンタには、変な奴が近づいているのよ。」

「え…?変な奴?」

「恐らく明日。アンタのところへ来るかしら。それを予告しに来ただけなのよ。」

「明日!?」

「そう、だから明日は頼れるやつのところに居るのがいいのよ。」

「わかりました、ありがとうございます。」

 

本当に私何かしたかなぁ?心当たりないんだけども…

 

それにしても頼れる人か…スバル先輩以外なら皆強そうだけど、相手にもよるよな…

……やっぱり、ラムさんとレムだろうか?レム曰くラムさんは魔法の腕が良いとか。

どうせ仕事も始まるし、一緒に見てくれたりするだろう。

もしなかったら自分から頼む!よし、そうしよう。

 

結果今朝はキッチンでレムと会うことになった。

痛みも引いてきたので今日は芋の皮剥きぐらいはやろう。

 

「お前…」

「あれ?やっぱりスバル先輩が不器用なだけじゃ…痛っ!」

「っておい大丈夫か?」

 

思ったより深く入って手袋が切れ、指先に刺さってしまうと案の定、包丁が綺麗に片付けられてしまった。

 

「あー…It´ a magick!」

「手品後輩!?」

「私も私ですがそのネタはわからない人が多いと思うのでやめた方がいいですよ。」

 

はい。一応そのあとレムに縫ってもらい(つけたまま慎重に)手品は直りました。

 

で、今日もやっぱり掃除を手伝っていると、日が暮れていた。

 

「あ…」

 

綺麗な夕焼けが見える。昨日とは違う位置から見たものでこれはまた美しい。

 

「あ、いたいたー!」

「あ、エミリアさん。ごめんなさい、だいぶ時間かかっちゃっいました。」

「そうなの?でもレムがまた楽しそうにお菓子を焼いていたの。コレはユウに渡してきてって頼まれたもの。はい、どーぞ。」

「やったぁ!ありがとうございます!」

 

エミリアさんからお菓子の包みを受け取り少し休む。

 

 

やっぱり、明日と言われても早朝かもしてないのでラムさんとレムに頼み、今夜は同じ部屋で寝てもらった。

 

 

 

 

 

少年は森を歩いている。

強い怒りに包まれている彼は、殺気が押さえきれてなく、周りの動物たちは逃げていく。

 

「いけない、僕の任務は殺す事じゃないんだから…」

 

少年が森を抜けた頃にはもう夜遅かったので、近くで野宿をした。

 

 

朝、少年が目を醒ます。少し体を動かして。

目の前のロズワール邸を睨み付ける。

 

「やっと見つけた…!」

 

少年は右手に持ったナイフを強く握りしめた。




エミリア「次回予告~!」
ベティー「何でベティーまで…」
ラム「『お屋敷女子の会』らしいわよ。」
レム「あれ、でもユウちゃんは…?」
ラム「掃除中よ。」
レム「今日もですか。じゃあレムはユウちゃんにお菓子を作りに行ってきます!」
エミリア「ユウも大変なのね…」
ベティー「次回はついにアイツが来るのよ。」
ラム「次回:『ミッション』お楽しみに。」



エミリア「ねぇレム、私にも一つだけくれないかな?」
レム「喜んで。」
エミリア「はむっ…うん、おいしい!ねぇ、もう一つ!」
レム「流石なくなっちゃいますからダメです。…おっと、もうこんな時間ですね。レムは夕食の準備に入るので、申し訳ありませんがユウちゃんにコレを渡してきて頂けませんか?」
エミリア「うん、渡してくるね!」


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ミッション

パック「前回のあらすじだよ!」
スバル「前回はまたユウが掃除してたなぁ。ってかエミリアたんからクッキー手渡しとかズルくね!?」
パック「僕も欲しいなぁ。(本編の出番)」
スバル「ま、まぁ、パックもいつか出るだろ…多分。」
パック「えー、本編どうぞ!」


「おはようございますユウちゃん。」

「あぁ…おはよう。」

 

取り合えず、早朝の襲撃は無かった。

手の痛みも完全に引き、早速働けそうな気がする。

 

「二人ともありがとう。」

「いいのよ。あとコレ。」

「おぉ!」

 

ラムから私用の服が渡される。

上からネクタイ、片方だけの白手袋、Yシャツ、ベスト、ズボンの順に畳まれており、燕尾服(執事服)の上着がないバージョンっぽい。

正直メイド服は恥ずかしいのでこの服はいいと思う。

 

「ちなみに冬用には綿のつまった暖かい上着があります。」

「ありがとう。早速着替えたいんだけど…」

「お着替えはレムに任せて下さい!」

「ん?」

「いやいや、自分でできるよ?そこまで子供じゃないからね?」

「でも胸は子供ですよね?」

「これも一つのアイデンティティーだから!」

 

結局目の前で着替えた。

普通同性でも、少しは目をそらすと思うんだけどね…まじまじと見つめられるとすごく恥ずかしいです。

 

ナイフをポケットに入れてネクタイをキュッと絞め、片方の手袋を右手にはめれば完成!

すこしコスプレっぽい気もするがまぁ良いだろう。

 

「どうかな?」

 

くるりと一回転する。

 

「とても良いと思います!」

「似合ってるわ。」

「ありがとう。じゃあ、行こっか。」

 

恐らく、私に近づいているのはハルマだ。

なら、私が何とかしなくちゃいけない。二人には、その手伝いをしてもらう。

 

 

 

 

「……久しぶりだね、ハルマ。」

 

屋敷の目の前に、ハルマは居た。

 

「やぁ、久しぶり。早速だけどおとなしく捕まってくれないか?」

「断る。私はここに居るって決めたから。」

「そうか、じゃあ、力付くだね…!」

 

キィイイン!

 

レムのモーニングスターとハルマのナイフがぶつかって大きな音をたてる。

その隙にすかさずラムが風魔法を撃つ。

 

「っと危ないなぁ、女の子がそんな物騒なもの持って…」

「隙ありっ!」

 

私も隙をみてハルマに切りかかる。

当たった…!

 

「ダメじゃないか、キャンプ用のナイフをこんな使い方しちゃ…」

「何で…!」

 

腹部を切られたのにニヤリと笑っている。

 

「おいおい、朝っぱらから何して…」

 

最悪だ。スバル先輩が来た。

先輩とハルマは中学時代仲が良かったらしい。

 

「あぁ、ナツキ先輩じゃあないですか。」

「おいおい、なにしてんだよハルマ。おまえもこっちに来たのか?

ってかなにそのナイフ、本当に何する気だよ。」

「邪魔をしますか?」

「スバル先輩戻って!ハルマの狙いは私だから!」

「ユウが狙い…?」

 

この時スバル先輩は何を思ったのかハルマに飛び付いた。

 

「何をしやがるんですか!?」

「俺の身内は誰だって殺させねぇよ!」

 

先輩が思いっきりハルマを殴る。

 

「ひどいなぁ…何も、殺すとは言ってないじゃないですか…」

「スバル君危ないです!相手はナイフをもっています!」

 

ハルマは先輩の腹にナイフを刺そうとしている。

 

私はすぐに左手の手袋を取って放り投げ、ハルマのナイフめがけて手をのばす。

 

「くらえ!『時戻し』!!」

「なっ!」

 

無事ナイフに触れることができた。

ナイフはどこに行ったかわからないけど、取り合えずハルマにもう武器はない。

 

「あっぶねぇ…助かったぜユウ。」

 

バッとスバル先輩はハルマから放れる。

 

「悪いことは言わない。私のことは諦めてくれないかな。」

「あはは、仲間のピンチに気がつかないなんて君も最低だな。」

「え…?」

 

ハルマが指を指した先には、ラムとレムが宙に浮いている。

 

「見えざる手…!ハルマてめぇ!」

 

スバル先輩には何が見えているのかわからないけど二人が捕まっているらしい。

 

その時、私の中で何かが起きた。

 

「…二人を離せ。」

「気づくのが遅いんだよ。ユウ。」

 

ハルマはユウを蹴り飛ばす。

 

ゆらりと立ち上がったユウの頭には、立派な鬼の角が二本生えていた。

 

「ユウ、お前その角…」

「下がって下さい先輩。これは僕たちのことですから。」

「やっと正体を現したねユウ。いや…『ルト』と呼ぶべきかな?」

「二人を離せって言ったんだよ。」

「ははは、いいねいいね!一つ聞こうじゃないか、同族の彼女達は君にとっての何だ!?」

「ラムとレムは…僕が守るって決めた、僕の唯一の友達だ!」

 

ハルマの背後に回り込み見えざる手を切る。

二人は運よく柔らかい草の上に落ち腰を少し打った。

 

「ケホッ、レム、あれってもしかして…」

「正真正銘ルトです。」

 

その時、スバルは一人見ることしかできなかった。

 

「くそっ、アイツは見えねぇ手と戦ってんのに俺は…そうだ!」

 

スバルは何か思い付きハルマの元に走っていく。

 

「やっぱり邪魔をするんですね!?」

「くらえ!『シャマク』!!」

「ぐぁっ!」

 

『シャマク』でハルマの視界を塞いだ隙にユウが一気にハルマに触れた。

 

「全ての起源まで戻れ。」

 

この瞬間、アリヅカ・ハルマという人物の存在は無くなった。

 

「よし、よくやったなユ…ウ……?」

 

バタッ

 

ユウが倒れる。既に角は消えている。

 

「恐らくマナ切れでしょう。お部屋まで連れていきますね。」

「これもつけてあげなくちゃね。」

「お、おう。そうだな。ってかその手袋の模様かっこいいな。」

 

 

 

 

 

ただのマナ切れ。それだけならどれほどよかっただろうか。

あの後一週間がたった。

ユウはずっと昏睡状態で目を醒まさない。

 

 

 

__昔の話をしよう。

鬼族の住む村に、『ルト』という一人の子が居た。単髪で毛先だけ白くそれ以外は黒髪の子で、彼女は鬼化の能力が自分では納められない子であった。

それを神様の怒りだと不吉に思った村人は、ルトがある程度育ったら殺す予定であった。

処刑の日はちょうど、忌まわしき炎の夜の日。

しかしその前の晩に、ルトの処刑を可哀想に思った村長は、彼女の能力を封じ、記憶を消し、別の世界で生かしてやることにしたのであった。

 

そのあと、地球に送られたルトは、病院で目覚める。

そこに施設園長が来て引き取られたそうだ。

 

また、大人に激しく怨みを持っていたルトは、地球に送られる直前に『時戻し』の能力に目覚めたとか。

 

 

 

「ねぇルト…目を…開けて下さい……」

 

彼女を愛していた一人の少女は、涙を溢した。




ロズっち「次回予告の時間…っておやぁ?次回は未定?」
ラム「この小説に次章があるかは不明のようですロズワール様。」
レム「でも、番外編が出るそうです。」
ロズっち「秘鬼編は謎が多いかーぁらね、解説とかほーぉしいね。」
ラム「質問などがあれば随時答えていくそうよ。作者が。」
レム「次回:『番外編』お楽しみに。」


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番外編

ユウ「さて、秘鬼編も終わりましたね!」

スバル「あれ、お前起きたのか!」

ユウ「番外編なので本編とは別世界線と考えて下さい。ギャグ世界線です!」

エミリア「つまりわいわいやりましょう。ってこと?」

ユウ「そうですよエミリアさん!」

 

ユウ「さて、ここではボツ設定や本編で語られなかったこと、秘鬼編の感想を私達目線で語るよ。」

 

~ボツ設定~

 

ユウの手袋ですが、最初の設定では赤い包帯でした。

「いやでも赤い包帯って血に染まってそうで何か嫌じゃない?」

と、なり次に指貫手袋(ロックンローラーがつけてそうな)にしようとして考えてみると、

「かっこいいけど指の部分判定どうすんだろ?」

と、またまたダメな点が浮上。しかも、

「これ投げ捨てんのもったいなくね?お高そうだし(庶民感覚)。」

と、まぁ結局白手袋になりました。

 

他にもフォールディングナイフや執事服ですね。

 

フォールディングナイフだけではまだ大きなくくりなので、想像するのが困難になってしまった事でしょう。

一応これには理由があって、『フォールディングナイフ かっこいい』と調べるとまぁかっこいいけどナイフが出てくるんですが、

種類や銘柄が多くて作者自身、訳がわからなくなりフォールディングナイフという名称で書かせて頂きました。

 

執事服は、最初スバルと同じものでいいかなー?いいともー!してましたが、

で、いざ自分でイメージ画を描いてみると、違和感の塊な訳ですよ。絵がヘタなのもありますが。

ちなみに、ユウのイラストはありますが、今後晒すことはありません。(多分)

話を戻して執事服ですが、調べたところ

「スーツ無しでも充分清楚じゃね?」

と考え、シャツ&ベストになりました。

 

 

~本編の補足~

 

最後の方でユウが鬼化しましたね。

そこでの戦闘シーンが分かりにくかったと思うのでちょっと解説です。

お気づきの方もいらっしゃると思いますが、「私の中で何かが起きた。」以降ユウの心情は語られていません。

それについては、鬼化によってユウとしての意識が無くなったと考えて下さい。

ハルマとの戦闘は、スバルが『シャマク』を使って視界を塞がないと『時戻し』が使えないほど激しい打ち合いでした。

最後は鬼化によって最大まで強化された『時戻し』でハルマは消えます。

 

 

~本編の感想~

 

ユウ「いやー、ちょっと悲しい終わり方だったねー。」

エミリア「すこーし私の出番少ないと思うの。」

パック「ユウが鬼っていう設定なのと作者の趣味で自然と二人との出番が多くなっちゃってたねー。」

ラム「正直、バルスはもう少し出番をエミリア様に譲っても良いと思うわ。」

スバル「何それヒドくない?」

レム「でもでも、スバル君はかっこいい活躍でしたよ。」

スバル「お、俺に惚れちゃったりした?」

レム「いいえ全く。」

ベティー「ざまあないのね」

ロズっち「残念だったねスバル君」

スバル(待てよ?もしかして次章はユウが俺に恋をするラブストーリーか!?いや、でも俺はエミリアたんラブだからな…)

ユウ「先輩が何考えてるかはわからないけど私は先輩のこと尊敬はしてても好きではないんで。」

スバル「俺に恋のキューピッドはおらんかね…」

ユウ「異世界に来たのにハーレム状態じゃないとか可哀想ですね。」

ユウ「あ、ちなみにキューピッドのギリシャ名は「言わせねーよ!」

スバル「俺は知ってるから言わなくてよろしい!」

ユウ「へぇ…先輩やっぱり変態ですね。」

スバル「ええい!うるさい!」

 

エミリア「なんか盛り上がっちゃってるね…」

ラム「ラム達だけで閉めましょう。」

レム「ですね。」

ベティー「ベティーは先に帰るのよ。」

ロズっち「私も仕事に戻るとしようじゃなーぁいか。」

レム「お疲れ様です。」

ラム「では、」

エミリア「ここまで読んでいただきありがとうございました。

次章があればぜひ読んで下さい!」

 

 

 

 

次章:『君のために』




後書きです。
秘鬼編、お楽しみいただけたでしょうか?
投稿した直後にラムのフィギュアの広告が出てきてちょっと運命感じました。
買いましょうかねぇ?

次章は書き上がり次第投稿させていただきます。
では、次章でお会いしましょう。


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第二章:君のために編
行かなきゃ


パック「さて、お待ちかねの第二章だよ!」
エミリア「私のかっこいい活躍を皆お楽しみに!」
パック「それでは本編どーぞ!」


あれから何日たってもユウは起きない。

 

あの日からずっと、屋敷全体は暗い雰囲気のままだ。

死に戻る事は考えた。でも、あの時俺に何が出来たかなんて分かりやしないし、もう手遅れだ。

 

 

 

「本日もまたスバル君が指を切っちゃって…えぇ……おやすみなさい、ルト。」

 

レムは毎日朝晩一回づつユウに話しかけている。

ユウの部屋から出て来る度に悲しそうな顔で「まだ、疲れているようです。」なんて言って、見ている俺まで苦しい気持ちにさせられる。

 

そんな眠ったままのユウを置いているのも、やはり『時戻し』が相当珍しいものだからだろう。

 

「なぁロズっち。俺に出来る事はないのか?」

「それは難しいかーぁな。実際、どうして目覚めないのかが分からないうえに、魔法でも治せやしない。」

「それでも…!」

「それでも助けたいっていうのは皆同じだーぁよ。」

「くそっ…」

 

そんなこと、わかってんだよ。

それでも、それでも何とかしなくちゃって思ってあーもう!

 

「…ひとつ。考えがあるの。」

 

それまで黙ったままだったエミリアたんが口を開けた。

 

「ラムの『千里眼』に頼るのはどうかな?」

「でも、寝たきりのユウの視界を視ても真っ暗なんじゃないのか?」

「ただ眠っているだけならここまでならないでしょ?」

 

 

急いでラムの元に行き、概要を説明する。

 

「…なるほど、やるだけやってみるわ。」

「よし、任せた!」

 

ラムが静かに目を瞑る。

 

「ひとつ、おかしい視界があるわ。」

「何が見えてるか説明してくれ!」

 

すると、ラムは少し黙りこんでしまった。

 

「お、おい、どうしたんだよ?」

「…本当に不思議だわ。これがルトの視界ならなおさら。」

 

目を開けて説明を開始する。

 

「恐らく、視えたのはあの子の意識。」

「人の意識まで視えんのか?」

「ラムだって経験が無いから推測よ。だからおかしいの。

で、場所は鬼の村だったわ。」

「そこで何があった…?」

 

恐る恐る聞いてみる。

 

「____あの、忌まわしき炎の夜よ。」

「炎の夜って…」

「ただ、第三者の視点なのよ。でもあの時、既にルトは行方不明だったし、あの炎の中で生き残ったのはラム達しかいないからなおおかしい。」

「……あいつの意識がその場に行っちまったんじゃねぇか?」

「あの子の意識…」

 

少しの沈黙の末、ラムは何かを決心したように言った。

 

「なら、迎えに行かなきゃね。……ラムの…いえ、ラム達の家族みたいなものだから。」

「……あぁ!」

 

レムには申し訳ないけど、二人で鬼の村の跡地に急いで行くことにした。

 

跡地につくと、そこには黒い和服に白い羽織り着た子供がいた。

 

「……あの頃のルトだわ。」

「あれが…」

 

近づいて肩を叩いてみる。(一応触れるっぽい。)

くるりと振り替えってこっちを見たユウ(ルトの方が良いのか?)は小さな声で

 

「お兄さん達にはアレが見えないの?真っ赤に燃え上がる炎。」

 

と、何もないところを指差して言った。

ラムの言った通り、ルトには炎が見えているらしい。

 

「えぇ、見えないわ。見えるはず無いじゃない。」

「おいラム…!」

「だって、それはもう過去の事。そして、それは貴方が本来、見るはずの無かったもの。」

 

冷たく言われたルトは少し微笑んで、

 

「…そっか。じゃあ、僕はもう、この夢に囚われなくていいんだね。」

「そうよ、貴方はもう、ここから離れてもいいの。」

「よかった。」

 

ルトはあっけなく消えていった。

 

すごく早く解決してしまった気がする。

これで明日にはアイツは目覚める筈だ。

 

「___残念。幻覚を見ているのは坊や達よ。」

 

そう、思っていた。

しかし、突然背後から、何者かに殺された。




スバル「次回予告の時間だ!」
ラム「バルスと次回予告だなんて死ぬほど嫌だけど仕方ないからやってあげるわ。」
スバル「酷くない!?」
ラム「えー次回はロズワール様のかっこよく優しい言葉が聞けるから楽しみにしてなさい。」
スバル「お、そりゃ楽しみだ。」
ラム「次回:『リトライ』お楽しみに。」


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リトライ

パック「前回のあらすじだよ!」
エミリア「前回はラムとスバルがすごーくがんばってた気がする。」
パック「スバルはがんばってたかなぁ?」
エミリア「では、本編どーぞ!」


「…はっ!」

 

戻ってきた。

 

「どうしたんだーぁいスバル君?」

 

ついさっきの話し合いってとこか。

本当にさっきだな。

 

「いやぁ、何でもない、続けてくれ。」

「うん、それで、考えてって言うのは…ラムの『千里眼』に頼るのはどうかなって。」

 

そうだ、これでユウを見つけたら何者かに殺されたんだよな。

んで、殺す前に「幻覚を見ているのは君達なんだよ」って言われた。

つまりあのユウ(ルト)は罠ってことだよな。

 

「でもよエミリアたん、『千里眼』を使っても、眠ったままのユウの視界は真っ暗なんじゃないのか?」

「でも、ただ眠っているだけならここまでならない筈なの。」

「そ、それでも、その…『千里眼』を使ってどうするんだ?」

「ユウのいる場所がわかるかもしれない。」

「場所って…アイツの部屋じゃねぇのか?」

「もしかしたら、魂が別の場所にあるんじゃないかなって話。」

「なーぁるほど、そう言うことか。」

「眠っている原因が魂抜けた可能性…」

「それで魂を戻す手がかりとして『千里眼』を使うんだーぁね。」

 

マズい、このままじゃさっきと同じ展開になっちまう!

 

「でーぇも、『千里眼』を使う必要はなーぁいよ。私が彼女の魂を見つけよう。ラムにも苦労はさせたくないかーぁらね。」

「え?」

「私に任せたまーぁえ。」

「なら、そうしましょう。」

 

結局、ロズっちに任せることになってしまった。

これで何か変わればいいのだが。

 

 

翌日、今日は誰も死んでいない。ロズっちも大丈夫のようだ。

 

「さて、少し不思議なことになってーぇね、彼女の魂が複数あるんだ。

少し図に表すと、ユウの魂が至るところにあーるんだけど、その魂は全て糸をひいていてーぇね、その糸をたどると一点にたどり着くんだーぁよ。」

 

と、ロズっちはこの国の大きな地図に魂を感知したところをに書き込みをする。

 

「魂が糸をひいている?」

「そう、ここから考えられるのはふたつ、ひとつはこの一点からユウの魂が出てきている。もうひとつはここに何者かがいてユウの魂をエサに我々をおびき寄せようとしているの二択だーぁよ。」

 

俺が殺されたことから恐らく後者だろう。

ただ、俺らをおびき寄せてどうするんだ?犯人の想定がつかないし、動機もわからねぇ。

 

「ん、鬼の村には、魂が無かったのか?」

「私も一番関係がありそうなところだーぁから入念に探索魔法を使ったーぁよ。」

 

もはやどんな魔法で探したのかは不明だが、鬼の村に魂が無いのはなぜだろう。

俺はそこで見た筈なのに…?

 

「とりあえずこの集まった一点に行くべきだな。」

「そうだーぁね。」

 

最短クリア目指してレッツゴー!だな。

 

屋敷のメンバー全員の同意の元、ユウを救いにユウの肉体と共に全員で行くことにした。

ベア子が抵抗せずに賛成したのには何か裏の理由がありそうな気もするが、抵抗して時間が経っちまうよりは全然良い。




ロズっち「次回予告だーぁね。」
スバル「『ラムにも苦労はさせたくない』とかイケメンかよ。俺が女だったら惚れてたぜ。」
ロズっち「思ったままを言っただけなんだーぁけどね。」
スバル「ただ変なメイクしてるだけの変態じゃないんだな。」
ロズっち「次回はついにユウの魂を探しに行くーぅよ。」
スバル「次回:『サイコ女』お楽しみに…したくねぇタイトルだな。」


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サイコ女

パック「前回のあらすじだよ!」
エミリア「前回はユウの魂が一点に集まってることがわかったね。」
パック「今回はついにあの場所に!?」
エミリア「では、本編どーぞ!」


「うわ、なんだコレ。」

 

目的地には特に敵は居なかったが変なゲートみたいなものがある。

 

「ここからユウの魂が出ているのね。」

「スバル君、ルトが!」

「何だ!!」

 

ユウはおぶられていたレムの背中から唐突に浮いてゲートへと引き込まれて行った。

 

「この先に何が…?」

 

ユウにつられるように俺たちもゲートへ入る。

眩しい光に包まれて足をついた場所は……。

 

「ここは…!」

 

大きな山々に一面の畑。ちょっと古臭い古民家があるここは…

 

「___日本だ。」

「にほん?知ってるの?スバル。」

「あぁ、何せ俺とユウの故郷の国だからな。」

「早くしないとユウを見失うよー!」

「お、おう!」

 

パックにせかされてユウを追う。

生憎、ド田舎のようなのでおじいちゃんおばあちゃんが仏でも見たかのように手を合わせる程度で済んでよかったぜ。

東京の秋葉原とかだったら痛々しい中2病こじらせたコスプレイヤーに見えるからなぁ…俺が言えたことでも無いが。

あと小学生がロズっち指差してサーカス団が来たとか言ってたな。

そんときのラムの表情は忘れられねぇぜ。

 

…と、ユウを追いかけていると目の前にはド田舎には似合わないデカイ洋館が見えてきた。

 

「目的地はアレかしら?」

「多分そうだな。」

 

 

目的地に着くと丁度女性が現れた。女性はこちらを見て笑顔で言った。

 

「この子の体を持ってきて頂いてありがとうございます。」

「その子をどうするおつもりですかーぁな?」

「どうするって…我々有塚家は現代に残る亜人族の研究をしてますの。

ハルマの命を引き換えにこの子の魂だけは持って帰ることができましたから、あなた方を利用して体も持ってきて頂きましたわ。

あぁ、でも安心なさって?貴方たちのようにあちらの世界での生活の長い純粋な亜人族ではなくて現代社会に紛れている者だけが対象ですのよ?」

「あなた方は亜人族でどのような研究をしていらっしゃるのかーぁな?」

「主に特殊能力を持つ亜人族が研究にうってつけで、私達はその人並み外れた能力を自分の体に伝授させてこの世界の支配者になろうとしているのですわ。ハルマの『見えざる手』もそのひとつなのよ。

ちなみに、現代社会に紛れている亜人族の方が私達の体に馴染みやすいのよ。」

「それなら、わざわざ拐う必要なんて…」

「私利私欲の為の研究に貢献するバカがいるかしら?」

 

腹が立つ。

 

「スバル君?」

「あら、どうしたのかしら坊や。」

 

自分が世界の支配者になりたいとか言うガキみてぇな考えのために人を拐うこいつが、

腹が立つし、許せねぇ。

 

「お前の馬鹿げた理想のために何でユウが利用されなくちゃなんねぇんだよ!」

「馬鹿げたとは失礼ね。なんの取り柄もない彼女に、変な能力で社会に適合しづらい彼女に利用価値を見いだしてあげているのよ?」

「そんなアイツでも人として生きようとしてたんだぞ!

社会に適合しづらい奴なんて沢山いる。認めたくないが俺だってそうだった。

でも、それでもアイツは生きようと___!」

「人として生きる?何言ってるの?元々鬼族の中でさえ忌み子として扱われてたのに!?」

「「それでも」」

 

その時、ラムとレムが声を揃えて言った。

一瞬見つめあって、ラムが喋り出す。

 

「どんなに忌み嫌われいても、生きようとする権利はあるわ。それは、誰かが勝手に剥奪して良い者じゃない。」

 

ラムがチラっとこっちを見て後は任せた感を出す。

 

「その通りだ。それに、この世界では人体実験は禁止されている。」

「あら、亜人は人に含んで良いのかしら?」

「人とか人じゃねぇとか関係ねぇ!お前のくだらない私利私欲に、誰のためにもならない実験に生き物使うのが間違いなんだよ!」

「はぁ…あなたは自分が迫害されて、迫害したやつに復讐したいとか思わないの?」

「思うさ。でも、だからと言って犯罪に手を染めれば相手と同レベルのクズに成り下がる。」

「でも、迫害されるのは自身の力が無いからなのよ。最近の世の中は頭の良さだけで対決をするけれど、実際は武力が一番強いのよ。どんなに頭が良くても、銃で撃たれたら死ぬもの。」

「アンタは人が死ぬのを何とも思わないのか…?」

「えぇ、むしろそれが快楽だわ♪」

 

今の一言で確信した。

 

「アンタはとんだサイコ女だ。」

「良く言われるわ。」

 

その言葉が、戦いの火蓋を切った。




スバル「やあ皆!夏休みの宿題は順調に進んでるか?俺は年中ホリデーだったから関係無いぜ!」
エミリア「何かすごーくイラっとする入りで学生と社会人の読者を煽っていくのはダメだよスバル。」
スバル「おっと、それはすまない。気をとりなおして次回予告だ!」
エミリア「次回は謎の女性との対決!そしてついにユウが___!」
スバル「次回:『取り返せ』お楽しみに!」


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取り返せ

パック「前回のあらすじ!」
エミリア「前回は謎の女性との言い争いだったね。」
パック「あの人ちょっとヤバイよねー。」
エミリア「では、本編どーぞ!」


女は腕を変形させて刃のような形にして襲いかかってくる。

 

「危ないスバル!」

 

咄嗟にエミリアたんがシールドを張ってくれる。

 

「サンキューエミリアたん!」

「スバルは危ないから下がってて!」

「あ、はい。」

 

ピシャリと言われた俺はそそくさとベア子の元に行く。

 

「何でこっちに来るのかしら。」

「いやぁ、ベア子なら俺を守る余力ぐらいあると思ってな。」

「全力で拒否したいけど今回は特別なのよ。」

 

…にしても、相手が強い。

ロズっちやエミリアたんの魔法を顔色ひとつ変えずに相殺している。

まぁ、相手がそっちに目を向けている間に、ラムとレムは無事館に潜入できたけどな。

 

 

 

 

「館の中にルトの魂があるはずです。」

「ひとつ、大きな牢屋みたいなものがあるわ。」

「流石です姉様。」

「場所がわかったわ、こっちよ。」

 

二人の少女が走り出した。

 

「あの時の言葉、嬉しかったです。」

「そうね。」

 

『友達』その言葉がずっと屋敷で暮らしてきた二人にはどれ程大きなものになっただろうか。

 

「この扉の先よ。」

 

異様な雰囲気を漂わせる扉を開ける。

扉の先はいくつもの牢屋がある。その中には皆人が入っている。

 

「た、助けて下さい…」

「ここは何?それを説明しなさい。」

 

助けを乞う人にも冷たく対応するラム。

 

「俺らは元々変な能力を持ってたんだ。俺は肉体変形、向かいのアイツは読心、それでも普通に生活していたある日、あの女に襲われたんだ。

あの女は俺らを変な魔法陣の上に立たせて、気がついたら能力が無くなってたんだ。」

「それで、魂を保管する場所みたいなのは知らないの?」

「魂?それはわからねえけど最近、誰も居ないのにあの女が開けた檻があったな。」

「普段、空きの檻は清掃員しかはいらないよね。」

「それはどこ?」

「あそこだ。」

「あそこじゃわからないわ。全員出してあげるから案内しなさい。」

「ひいっ!すいません!」

 

レムがモーニングスターを降って檻を壊す。

 

「ここです!」

「見える。」

「どうした…ってそうか、お前は人一倍霊感が強かったな!」

「なにかふよふよ浮いてる。」

「多分それね。」

「わかりました。」

 

また檻を壊す。

 

「逃げる。」

 

霊感の強い男がふらふらと走りだす。

 

「あっち言った。多分外。」

「ありがとう。役にたったわ。アンタ達も外に出て元の生活に戻りなさい。」

「おう!」

 

 

 

 

 

「うわっ!」

 

何かユウの体が大きく痙攣した。

 

「多分これでルトは戻りました!」

「チッ、アイツら___!」

「相手に隙を見せちゃあダメだーぁよ。」

「ぐっ!」

 

館から出てきた人達に気をとられているうちにロズっちが強めの魔法を撃った。

 

「う、動けない!?」

 

どうやらスタン効果もあるらしい。

 

「今だよリア!」

「うん!」

 

「ただいま戻りましたスバル君。」

「おぅ、良くやったな。」

「ルトはそろそろ目を醒ますはずよ。」

 

エミリアたんが一気に決めて戦闘は終了した。

 

「ふふっ、あなた達は本当に強いわ。でも忘れないで、いずれまた、私とあなた達は戦うことになるのよ。」

「いいや、そんなことさせねぇよ。」

「何?」

「お前が…主犯か……」

 

目を醒ましたユウは唐突に鬼化した。

そして、鬼化したユウの『時戻し』は最強だ。

 

「まさか…!嫌、嫌よ!私はこの世界の支配者になるのよ!」

「そんなの、僕がやらせない…!」

 

サイコ女は悲鳴もあげずに消えた。

そして、ユウはまた倒れたが、今回は穏やかな顔で眠っていた。

 

 

 

 

 

 

その後、無事ロズワール邸に帰った。

 

「様子はどうだ?」

「まだ、疲れているようです。」

 

部屋から出てきたレムは笑顔で言った。

 

 

 

 

 

 

「おはようございますルト。」

「ん…おはよう……」

 

『ルト』の頃の記憶がある。

だからと言って『ユウ』じゃなくなった訳でもなく…

難しいな、なんか混ざった感じ。

 

「ルト…!」

 

泣きながらレムが抱きついてくる。

そんなレムの事を懐かしく思った僕はふと、

 

「また、泣いているのかい?」

 

なんて昔のように言ってしまったので余計泣き出した。

 

「あ、ご、ごめん!レムを泣かせる気は無かったんだ、ラム!ラムー!」

 

「なによ、朝っぱらから騒がし…!?」

「レムを泣き止ませてやってくれ…ってラム?」

「ルト…なのね…?」

「ルトでもありユウでもあるけど…ってうわぁ!?」

 

ラムにも抱きつかれた。

本当に僕に会えて感動してるんだなぁ…

 

「ってあれ、もしかしてこの包帯って…?」

「ぐすっ、ルトの鬼化を押さえる包帯です、ロズワール様が作っていました。」

「流石ロズワールさん…いや、僕も従者だからロズワール様か。」

 

で、そこにムードブレイカーが参上する。

 

「よぅ、お三方。感動の再開で良い感じの百合展開を繰り広げるのも良いけど、いい加減朝食を作った方が良いぜ。」

「本当にバルスは雰囲気を台無しにしていくわね。」

「ってうわ姉様泣いてた!?ちょっとユウ、お前スマホとか持ってない?」

「スバル先輩、趣味悪いですよ。スマホはありますが充電が無いと思いますし、ラムの泣き顔撮る目的なら僕怒りますよ?鬼のように。」

「撮影は諦めるから洒落にならない冗談はやめてくれ。」

 

 

「ってかルトって呼んだ方が良かったりする?」

「どっちでも良いですよ。ルトでもありユウでもありますから。」

「そうか。いやぁ、何だか昨日までずっと昏睡状態だったお前がウソのようだぜ。」

「はは、そうですね。ってうわ先輩料理下手だなぁ…食材が叫んでますよ。例えるならマンドラゴラ。」

「そこまで言う!?」

「最近は料理が得意な男子の方がモテますよ。」

「マジ!?料理出来るようになったらエミリアたんも俺に惚れたりする?」

「……あ、レム、そこでソルテとペッパをひとつまみづつ入れると美味しくなるよ。」

「了解です!」

「え、ねぇ、俺の話は?」

「さぁ?エミリア様と僕は違うからね、もしかしたら、もう既に先輩のこと好きだったりしてね。」

「やっぱりユウもそう思う!?やっぱ俺って隠れイケメンだからなぁ…」

「ルトがせっかく良いこと言ったのに台無しにするなんて最低ねバルス。」

「バルスバルス。」

「ラムのはあだ名だろうけど、ユウは絶対目潰ししにきてんだろ!?」

「さて?なんのことやら。」

 

 

「いやぁ、君が復活してくれて私も嬉しいよ。なにか欲しいものとかはあるかーぁな?」

「欲しいもの…ですか。」

 

復活記念ってことだろうか…?

欲しいもの…特に足りなくて困っているものは無いからな…

 

「じゃあ、ここに居続ける許可を下さい。」

 

ロズワール様は少し驚いた後に、

 

「勿論、許可しようじゃなーぁいか。」

 

許可をくれた。

 

「さて、この後はベアトリス様に呼ばれてるんだったな。」

 

こうして、私のゼロから出もない異世界生活が始まるのでした。




ラム「本当に、目覚めてくれてよかったわ。」
レム「はい、レム達の大切なルトですからね。」
ラム「ところでレムはユウとルトどっちが好き?」
レム「そうですね…ユウのちょっと距離を置いている感じもルトのレム達を大切にしてくれる感じもどっちも好きです。」
ラム「じゃあ、今のルトは最高ね。」
レム「はい!」
ラム「次回からはきっとほのぼの系の話が続くと思うわ。」
レム「次章:『平和な暮らし』お楽しみに!」


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ちょっとここらでTea time

ユウ「この回は章のまとめ&雑談タイムだよ。

ま、章のまとめと言っても、今回僕は寝たきりだったので皆さんにお任せします。」

スバル「任されるぜ!今回のお話はユウを目覚めさせるって話だな。

そこでヤベえ女と戦って最後はユウが決めたって感じだ。

ってかベア子、あのロズっちを手こずらせたあの女、ただ者じゃねぇよな…」

ベティー「ロズワールは別に苦戦してないかしら。」

スバル「え、そうなの!?」

ベティー「アイツの中では隙さえつければ良かったのよ。そうね、強いて言うならあの女の変形した腕の固さは異常だったかしら。」

スバル「やっぱロズっちってすげえな。」

ラム「ロズワール様なら当然よ。」

ユウ「も、もしかしてロズワール様のかっこいいシーン奪っちゃってたりした?」

ラム「そんなこと無いわ。ロズワール様は何時だってかっこいいもの。」

ユウ「それはよかった。」

 

スバル「ってかユウって記憶戻ってから超料理得意だよな。ルトの頃に何かしたの?」

ユウ「元々大人が大嫌いだったからね。独学で学んで自分で料理作ってたよ。」

スバル「得意料理とかあんの?」

ユウ「焼き芋かなぁ?あっちの世界の頃に作ってたけど。」

スバル「そういえば『蒸かし芋』と『焼き芋』って何が違うの?」

ユウ、ラム「「は?」」

レム「スバル君、無知にも程があります。」

スバル「え、」

ラム「蒸かし芋と焼き芋はその名の通り調理方法が違うのよ。」

ユウ「そうそう、蒸かすか焼くかの違いで味にも差があってね、

焼き芋の方が焼いて水分が飛ぶ、その分味が凝縮されてすこし甘みがでるんだよ。」

ラム「前にも言ったけど、ラムの場合はロズワール様の残り湯を使っているからより美味しくなるのよ。」

ユウ「ちょっと待ってラム、僕それ初耳なんだけど…」

ラム「確かに、ルトには教えて無かったわね。」

 

バタッ

 

レム「ルトー!」

スバル「あー!もう姉様が年頃の女の子に衝撃の事実を見せつけるからまた気絶したじゃねぇか!!」

ラム「?」

スバル「自覚ないのが余計タチ悪い!」

ユウ「いてて…」

レム「よかった。目覚めました。」

ユウ「何かラムが作る蒸かし芋にはロズワール様の残り湯が使われてるっていう夢を見た気がする。」

スバル「バッチリ覚えていらっしゃる!」

ユウ「あと先輩が町の子供を襲ってる(意味深)のも見た…」

ラム「それは最低ねバルス。」

スバル「それは100%夢だ!」

レム「スバル君ならやりかねないので町の子供達に注意換気しておきますね!」

スバル「俺はロリコンでもショタコンでもねぇよ!」

ユウ「今レムコンって言ったぞコイツ。」

スバル「言ってねぇよ、ってか何その新しい言葉!」

レム「姉様姉様、スバル君は一体何を?」

ラム「見ちゃダメよ。」

スバル「おいいい!!」

 

エミリア「あー、自体の収拾がつかなくなったのでここまで!第二章も読んでくれてありがとう。」

パック「アニメ二期も映画も楽しみだね~。」

エミリア「次章:『平和な暮らし』お楽しみに。」




二章、いかがだったでしょうか?
個人的にはただのギャク系にしようと書き始めたこの小説が原作愛により真面目系に曲がった気がします。
次章は主にロズワール邸メンバー一人づつとの絡みが書ければと思っております。
ロズワール邸メンバー以外にもこの子との絡みが見たいとかあればリクエスト受け付けてますのでどうぞどうぞ。
映画は行きたいけどエミリアたんと同じ声優の別作品の方に行こうと誘われて見れなさそうです。orz
アニメイトでグッズが出ると信じて二期を待ちます。
え?二章はレムの出番が少ないって?ええ、知ってますよ。だったら二次創作で盛り上げればいいじゃん!


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