R18ガチャ (早見 彼方)
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【淫乱子持ち妻】更識楯無

『ガチャを回してください』

 その声で意識を取り戻した俺を待ち構えていたのは、途方もない暗闇とそこに響く女の声だった。視界は塞がれ、体の感覚もない。直接脳内に響く女の声が精神をガリガリと削っていく。まるで拷問だ。叫びたいのに叫ぶこともできない。このままこの痛みが続けば、俺の心はここで少しずつ死んでいくのだろう。

『ガチャを回してください』

 女の命令に従えば生き長らえるかもしれない。ただ、その選択をした場合、今より悪い結果が待っているかもしれない。死ぬことも許されず、永遠に嬲られる。もしもそんな未来が待っているのならば、このまま死んだほうが幸せかもしれない。

『ガチャを回してください』

 女の声が纏わりつく。俺の心を擦り減らす。最悪の気分だ。直接心に触れられ、弄ばれているような不安な気持ち。体があればとっくに吐いていただろう。しかし、体がないために負の感情を上手く排出できず、心の中で渦を巻いてしまっていた。

 やはり、命令に従おう。そう決断するのに時間は掛からなかった。

 しかし、どうすればガチャとやらを回すことができるのだろう。そもそも女が言っているガチャというのは、ソーシャルゲームなどで一般的なキャラクターやアイテムを手に入れる行為のことを指しているのだろうか。この場合、ガチャを回すには金銭やゲーム内の引換券などの何かしらの対価が必要となると思うが、それは必要ないのだろうか。昔から無駄に真面目だった俺は、些細なことに頭を悩ませた。

 そんな俺を導くように、女の声が脳内に反響した。

『ガチャを回します』

 その言葉とともに、俺の心の中から大切な何かが吸い上げられ始めた。

 何だ、これは。俺にいったい何をしている。

『ふふっ……』

 心の中で叫んだ俺に対して、女は小さな笑い声を漏らす。いつまでも楽しそうに笑う女。ドクン、ドクンという心臓の鼓動に似た音とともに、消失を続ける大切な何か。それに伴い、俺の意識が薄れていくのを感じた。

 どこかへと流されていくような感覚。それを味わいながら、俺は意識を手放した。

 

 目を覚ましたときには、俺は知らない部屋に立っていた。間に仕切りを挟んで置かれた二台のベッド。壁に沿う形で設置された茶色の長い天板デスク。その上には最先端と思われるパソコンが二台分置かれていた。ベランダへと続く掃き出し窓からは外の暗い景色を望むことができる。

「ここは……」

 ホテルのような部屋。知らないはずなのに、ここがどこなのかわかった。

IS(アイエス)学園……」

 俺が通っている学校の名前だ。去年の四月に入学して、今は三月下旬の春休み期間。四月になれば俺は二年生に昇級する。俺は一年間、IS学園の生徒として学園の敷地内にあるこの学生寮で過ごした。俺以外の男子生徒は一人もいない、ほぼ女子高という特殊な環境下で。

 脳に雪崩れ込んでくる膨大な情報量。俺は軽く頭痛を覚え、近くのベッドに腰掛けた。

 痛む頭を抱えて記憶を探る。しかし、わからなかった。自分がここで目を覚ます以前の記憶は、どれも自分の知らない記憶だった。他人の体に乗り移り、記憶を手に入れることができればこんな感じになるのだろうか。とにかく、これが夢ではなく現実だということだけははっきりしていた。

 腰を上げて窓の前に向かうと、窓に反射して俺の体が映った。IS学園の白い制服を身に着けた、中肉中背の男子生徒。顔立ちは普通だろう。特徴を挙げづらい、黒髪黒目の平凡な容姿。他人ではなく、間違いなく俺自身だ。

 だとすれば、記憶だけが捏造されたという状況のほうが正しいかもしれない。

 では、なぜそんな状態になってしまったのか。

 考えようとしていた俺の背後で、突然扉が開く音が聞こえた。

「お待たせ」

 ビクリと肩を震わせ、慌てて背後を振り向いた俺が見たのは、バスタオル姿の少女だった。毛先が外側に向かって軽く広がった水色の髪。シャワーを浴びていたのか、髪は湿っている。頭に被せたタオルを使って髪の水分を拭いながら、少女は俺のほうへと歩いてきた。

「ん? どうかした? 真一(しんいち)君」

「俺の名前……」

 知り合いではない少女の口から俺の名前が紡がれたことで、俺は驚いた。

 だが、直後に先ほど同じような脳内への記憶の流入を体感したことで、俺は少女が俺の名前を知っている理由を理解した。

 見惚れるような若い美貌に明朗快活な微笑みを浮かべる少女。魅力的な目の内に秘めた赤い瞳で俺をまじまじと見ている。その視線を受け止めながら、俺は少女に関する記憶を思い出した。

刀奈(かたな)……」

 更識(さらしき)楯無(たてなし)。本名は更識(さらしき)刀奈(かたな)。俺と同じIS学園の生徒だ。一年間、俺のルームメイトとして過ごした。夕食も就寝も一緒。彼女と過ごした時間が学生生活の中で一番多く、刀奈のことを思い出したことで記憶のピースは全て揃った。自分の物ではない一年間の記憶が脳内で構築され、俺は微かな眩暈を覚えた。

 思い出した記憶の中に、とんでもない事実が紛れ込んでいた。

「刀奈……」

「どうしたの? さっきから様子が変よ?」

 刀奈は俺の下へと歩み寄ってくる。俺は何も返事をすることができず、やって来る刀奈から距離を空けるよう後退った。背中に窓の硬い感触が当たる。三月の冷たい外気を受けた窓に触れて、全身に感じていた火照りは背中の一部分だけ冷やされた。

 やがて、刀奈は俺の前で立ち止まり、下から俺の顔を覗き込んだ。

「んー? 何か隠し事してる? 駄目よ、夫婦間で隠し事なんて」

 ジト目を向ける刀奈は、持ち上げた左手で俺の頬を撫でた。

 その左手の薬指には、銀色の指輪が嵌められている。

 記憶の中の俺が、刀奈へとプレゼントした物だ。告白の言葉と一緒に。

「私に、何でも話してみなさい?」

 あなたの愛する妻に、ね? 刀奈は俺の頬を撫でながら、小さく囁く。

「う……」

 その魅惑的な暴力に俺の理性は揺さぶられる。全身に巡っていた血が股間に集まっていくのを感じた。制服のズボンの上からでもはっきりとわかるほどに股間が隆起し、存在感を主張し始めた。

 まずい、と思って俺は股間を隠そうと手を伸ばした。

 しかし、それは叶わなかった。

「あっ……」

「あら、もうこんなに硬くしているの?」

 刀奈が、空いた右手で俺の股間を撫でていた。形を確かめるように、覆った手の平で指先を動かす。その動きはいやらしく、俺の股間にぞわぞわと這いまわるようなこそばゆさを感じさせた。

「硬くて立派なおチンポ。私のおマンコにずぽずぽ嵌め込んで、何度もびゅーびゅー精液を放った可愛い子。今日、金玉袋の子種ミルクたくさん搾り取ったばかりなのに。また、私に種付けしたくなっちゃった?」

 俺へと顔をさらに接近させる刀奈。その大きく、綺麗な赤い瞳に俺は射抜かれた。

「それじゃあ、孕ませちゃいましょうか。あなたに絶対服従した私の孕ませ袋に精液ギッシリ詰め込んで、卵子を追い掛け回して輪姦して、あなたの優秀な遺伝子を受け継ぐ二人目の子供を作っちゃいましょう?」

 ね? 耳元で囁かれ、俺の胸板に押しつけられた柔らかい感触。熱を帯びたバスタオル越しでもはっきりとわかる大きな膨らみと、心臓の音。トクン、トクン、という規則正しい音を聞きながら、俺はゆっくりと首を縦に振った。二人目の子供とか、いろいろと聞きたいことはあったが、冷静ではいられなかった。

 

「あっ、あんっ、あんっ、んっ……」

 俺の前で裸になって、艶めかしく喘ぐ刀奈。ベッドで両手と両膝を突き、俺に尻を向けている。どうすればこれだけ綺麗な尻になるのか。手の平で鷲掴みにしてもし足りない絶妙な肉付きの色白美尻を撫でながら、俺は裸になった体を動かした。

 陰裂から覗く綺麗なピンク色の粘膜。そこにある小さな膣口の穴に肉棒を侵入させ、膣奥まで亀頭を進ませる。すると、肉棒に絡みつく膣壁によって柔らかくも強烈な引き締めを浴びせられ、俺の口から声が漏れた。

 俺との子を産んだらしい刀奈の膣は、具合が良すぎた。少し前まで膨らんでいた腹は既に細く、子供を産んだとは思えない美しい括れになっている。だというのに、子を産んだ経験はしっかりと体に残っていて、効率的に俺の子種を搾り取ろうと膣壁が蠢いているかのようだった。

「あんっ、あっ、あっ、ふふっ」

 大きく実った乳房を揺らし、自ら尻を振る刀奈。子宮口に亀頭が食い込む度に声を上げ、時折顔を後ろに向けては俺に対して蠱惑的に微笑む。まだ余裕がありそうだ。それに対して、俺はまずい状況だった。

「くっ、あっ、うっ……!」

 一瞬たりとも気を抜けない。今にも達してしまいそうだ。出したい。だが、さすがに早すぎるのではないか。もう少し粘らなくては、男として恥ずかしい。

「真一君。今日は随分と敏感ね? 反応も初心で可愛い」

 刀奈は小さく笑い、俺へと熱の混ざった視線を向けた。

「本当に、素敵。あなたと繋がれて、子宮が喜んでいるわ。早く次の子供が欲しいって、子宮が降りて来ちゃってる。わかる? 亀頭に当たる子宮口の感触。いつもより浅い位置にあるのは、あなたの精液をごくごく飲み干したいって思っているからなの」

 パチュッ、ヌチュッ。肉棒を奥まで飲みこむ度に湿った音が結合部から漏れる。その音も、股間に触れる尻の感触も、卑猥な言葉も全部が股間に毒だった。まるで股間だけで生きているかのように意識がそこへ集中し、刀奈からもたらされる刺激に全身全霊を持って抵抗していた。

「ほら、パンッ、パンッ。気持ちいいわよね? 子持ちの現役女子高生妻のおマンコにぬぷぬぷおチンポを挿入して、亀頭も裏筋も、竿も全部おマンコのひだひだに擦られる気分はどうかしら? 金玉の精液、ぜーんぶ私の中にまき散らしたくならない?」

 刀奈は心から俺との性行為を楽しんでいた。俺の肉棒を膣で食らう動きに躊躇いなどはなく、バックで犯しているのは俺だったはずなのに、いつの間にか主導権は刀奈に握られていた。

 というか、子持ちって言っているが、子育てはどうしているのだろうか。記憶の中の俺は子育てにノータッチだったようで、よくわかっていない。また、学校側は当たり前のように妊婦の刀奈を受け入れていたようで、この学園やここに住む人の常識はどこかおかしいのかもしれない。

「ほら、1、2、1、2……」

 声に合わせて刀奈が尻を俺の股間に押しつける。その柔らかさと絶妙な弾力を備えた尻によって興奮が上昇する。唇を噛み締めることでどうにか我慢は長続きした。だが、限界の先へ至るのはもう時間の問題だ。

「我慢しなくていいのに」

 パンッ、パンッと乾いた音が響く。俺の股間と刀奈の尻が触れ合う音だ。

「私はあなたの奥さん。あなたが求めれば、いくらだってエッチなことしてあげちゃう。あなたが望めば、何でもしてあげちゃう。せっかくこの学園は校内セックス自由なのだから、青姦もいいわね。皆が羨ましそうに見ている前で、制服着用種付けセックスしましょう。私とあなたの遺伝子を交じり合わせるの」

「うぅっ……」

「本当は私だけを求めて欲しいけど、きっと我慢できないわよね。だから、もしも私以外の子が欲しかったら、求めればいいわ。どの子をどんな状態で手に入れられるかわからないけど、たくさん求めればいろいろな子のいろいろな姿を見られる。それには代償が付きまとうけど、大丈夫」

 刀奈の腰振り速度が上がっていく。俺はもう自分から腰を動かすことができず、ただベッドに両膝を突いてその場に留まることで精いっぱいだった。刀奈が何かを言っているが、話の内容が頭に全然入ってこなかった。

「気持ちよくなることだけを考えて? 他のことは何も気にしなくていいの。だから」

「っ、あっ、あぁっ!」

「逝っちゃいなさい」

 どぶびゅるるるっ、びゅぶぶぶぶっ、びゅびゅーっ、びゅるるっ、ごぽっ、どぷぅっ。

「ぁ、あああ……」

 尿道口から精液が放たれる。尋常ではない量と快楽。俺は体を震わせ、俺のほうを振り向いたまま嬉しそうに微笑む刀奈の顔を見つめ返す。射精中にも関わらず根元から精液を搾り取ろうとする、貪欲で淫乱な妻の中へと、新しい生命の素を注ぎ込む。

「あんっ、とっても熱い……」

 舌なめずりをする刀奈。その表情はぞっとするほど美しく、淫らだった。

「どぷっ、どぷっ、びゅるびゅるーって、おマンコが子種で犯されちゃってる……」

 射精が止まらない。刀奈の中にどんどん新しい精液を送り込んでいる。その快楽の暴風雨は俺の意識を刈り取ろうとする。気持ち良すぎて気絶してしまいそう。

 だが、これで気絶などしたくない。こんなに気持ちいいことを、途中でやめたくない。

 俺は、射精しながら刀奈の子宮口に亀頭を押しつけた。

 一回目の射精の後、俺は刀奈を求め続けた。ベッドの上で体勢を変え、満足するまでたっぷりと精液を放出する。だが、全然足りない。刀奈とベロチューしながら何度目になるかわからない種付けプレスを行った。

『ガチャを回しますか?』

 脳内で響いた女の声。これは誰の声だっただろうか。よく覚えていない。それなのに、俺はこの声に従うのが正しいと思っていた。

『ガチャを回します』

 俺は何も言っていない。しかし、俺が抱いた肯定の気持ち汲み取ったらしい。女が告げた瞬間、俺の中の何かが奪われた。この感覚はいったい何なのか。聞こえてきた声の主は何者なのか。考えるのも面倒になるほどに理性が働かず、相対的に大きくなった欲望を刀奈に叩きつけた。 



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