【完結】大乱闘より帰ってきてしまったカムイくん (気力♪)
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大乱闘より帰ってきてしまったカムイくん

風花雪月が発売する前に完結させたい超展開短編です。
作中でのカムイくんの操作に注釈をつけようか迷いましたが、やめることにしました。だって知ってる人しか見ないでしょうし。


「夢、だったのか?」

 

暗夜王国北の城塞、そこでカムイは目覚めた。

 

それは、濃密な戦いだった。光と闇、2つの強大な力が数多の魂を操っての大戦争。その中で、自分は世界を守るためのひとりのファイターとして戦った。そして、光の化身と闇の化身を同時に倒すという荒技にてあの世界を守った。

 

そしてその後、自由に戦い続けた。

 

そんな夢を見ていた。

 

「だが、実感はある」

 

そうして、カムイは何気なく起き、心の中でLボタンを押した。

すると、当然のように現れる赤いバリアフィールド。そのまま下にスティックを弾いて見ると、その場での緊急回避はきちんとできた。

 

それから、自分の動作を確認する。寝起きであのよくわからないチェーンソーがないのは残念だが、緊急回避、二段ジャンプなどの基本動作は問題なく行うことができた。そして、竜への体の変化は問題なくできた。これで鉄の剣でもあればスマッシュホールド時のチェーンソー攻撃はなくともいつも通りの動きができるだろう。闇の世界で洗脳されて学んだ戦い方だが、力に貴賎はない。しっかりと使っていつかウルフさんとかピーチ姫とかルキナさんを倒せるように鍛えておこう。

 

「カムイ様ー、皆さまがお呼びですよー!」

「ああ、ありがとうフェリシア。すぐに行く」

 

そうして、遠い昔の自分の記憶を思い出す。自分はマークス兄さん達が訓練をつけてくれるという事を当たり前に受け入れてはいけないと思ってしっかりと自主稽古をした後に眠ったのが最後の記憶だ。

 

そして、どうやら眠り過ぎていたようだ。フェリシアの話では、一度皆で起こしに来てくれたのだが、ぐっすり眠り過ぎて起きなかったらしい。不覚だ。

 

今は、皆でジョーカーの入れているコーヒーを飲みながらのんびりしているのだとか。その言葉を聞いて、自分も久し振りにジョーカーのコーヒーが飲みたくなってきた。あの戦いの日々では、食事はダメージ%を回復するための行動でしかなかったのだから、ひさびさにゆっくりとコーヒーが飲みたい。

 

だが、その前に機嫌を損ねているであろうきょうだい達をどうするかを悩む所だ。

 

ルフレさんがいればこういう時にうまい対応をするのだろうと思う。あの人は軍師らしく自分たちファイターに軋轢ができないように采配してくれた名軍師であり、そしてメンタルケアのプロなのだから。

 

「フリーマップを使わない場合だと支援を完璧に組み上げるのには相当な計算が必要だ。お前はこれから戦いに行くことになるのだから、こういった仲間同士を繋ぐ事を覚えておいた方がいい。具体的には作りたいカップリングでひたすらダブルを組むんだ。出来るだけ長いターン」

 

その言葉は、何故か深く覚えている。

そして実際にあの戦いでは一見仲の悪い人?達をあえて組ませる事で実力以上の力を発揮させたりしたのは記憶に新しい。

 

ピーチ姫とガノンドロフさんを組み合わせる事で確実に魔神拳を当てるコンビネーションは恐ろしいものを感じた。切り札ゲージ溜まったピーチ姫はチーム戦において最強なのではないかと思っている。

 

「カムイ様!着きましたよ!」

「ああ、ごめんフェリシア、考え事をしてた」

「...なんだかカムイ様、お変わりになられました?」

「そうだといいなと、思ってる」

 

なにせ、自分は末席とはいえあの苦しくも楽しい戦いの世界を超えたのだ。少しくらい成長があってもいいだろう。

 

「起きたか、寝坊助」

「まったくしっかりしてよね、僕たちの兄さんなんだから」

「でも、寝顔のカムイはとても可愛かったわ、食べちゃいたいくらい」

「でも、フェリシア達の氷の力でも全く起きなかったのは凄かったよね。最後の方なんか私の杖が必要になるくらいカチンコチンだったのに」

「すまんエリーゼ、その話詳しく。僕は一体何をされたんだ?」

「...まぁ、なんの病もなく起きれたのなら幸いだ。訓練所へ行くとしよう。これが、お前をこの城塞から外に出す試験でもあるのだからな」

「そうか...でも、大丈夫」

 

「僕は、きっと強くなったから」

「ほざいたな?なら見せてみろ!」

 

訓練所へと向かう。その途中で、「実はレオンって、マント逆さまのまま気付いてなかったんだよー」とエリーゼが楽しそうに語っていた。それは是非見たかった。

 


 

そうして、やってきた訓練場。久しぶりに握る訓練用の剣はあのチェーンソーと比べると少し重心が変わっている。ので、軽く弱の素振りをしてみたが、とりあえずフレーム単位のズレが生まれるような事にはならなさそうだ。

 

「カムイ⁉︎おまえ何をやった⁉︎」

「?いえ、普通に弱を」

「じゃなくて!一瞬お兄ちゃんの腕がトゲみたいに!」

「ああ、これか」

 

確かに、弱のモーションの1発目は自身の左手での突きだ。なんか使えた竜化の力を応用しているので驚かれるのも無理はない...のだろうか

 

正直、食べた相手の能力をコピーするあのカービィ先輩を見ているとそんな事どうでもよくないかと感じる次第だ。たかだか体が竜になるくらい普通のことではないだろうか。

 

「いや、それは異常だぞカムイ!竜の血を引くと言ってもそこまで変わったりはしない!」

「まぁ、とりあえず訓練を始めましょう、マークス兄さん」

「確かに、そんな力に目覚めたのなら増長するのも無理はないか。よかろう、しっかりと教育してやる!」

 

そうして、向かい合うマークス兄さんと僕。

 

マークス兄さんに飛び道具のカウンターがあるかは定かではないが、距離は十分離れている。まずはBで様子を見よう。

 

「ハァッ!」

「腕を竜に変え、ブレスを放つだと⁉︎」

 

だが、距離は十分。マークス兄さんには余裕を持って回避されてしまった。

 

正直、ジャンプ回避からの突撃を上強で返せたら良いなと思っての行動だったが、思ったより驚かれたようだ。

 

「これは、手加減をしてはいられないな!」

 

そうして、マークス兄さんが走りながら剣を構えて突撃してくる。この感じ、DAだろう。「カムイもDA死んでるよなー」と慰めてくれたリンク先輩の事が頭をよぎるが、それを振り払い普通に下Bでカウンターを構える。

 

そうして、マークス兄さんの剣を受けて竜化を開始し、地面からの水流で反撃して宙に浮かしてみる。

 

マークス兄さんは面食らったようだ。確かに、カウンター攻撃の癖にベクトルが使い辛いことこの上ないこの下Bだが、それでも着地を狩るくらいはできるのだ。持続が無駄に長いという弱点と表裏一体の長所を持つ自分のDAなら。

 

そうして、マークス兄さんが着地してくる所に回転しながら突撃する。緊急回避か、反撃か。

 

そのどちらでもなくマークス兄さんは普通に着地して、自分の突撃を喰らって膝をついた。

 

「参った、降参だカムイ」

「...マークス兄さん?」

「竜に成る力も、剣術も、動きの速さも全てが本気の俺に通用する。お前を倒すには俺もジークフリートを抜かなくてはならないだろうな」

「ということは!お兄ちゃんは!」

「ああ!合格だ!」

 

「やったー!」と体全体で喜ぶエリーゼ。それにつられてレオンもカミラ姉さんも笑顔になった。

 

「だが、ここまでの竜化を使いこなすなど訓練もなしにはできない事だ。しっかり吐いて貰うぞ?カムイ」

「ああ、正直夢みたいな話なんだけれど...」

 

そうして、カムイは語り始める。

敵に操られ、それを救ってくれた英雄たちと共に異世界を救う為の戦いを。

 

これは、誇りなのだと。胸を張って。




作者はカムイ使いとしてはまだ未熟なので、こんなコンボがあるぜ!というVIPカムイ使いの方はどしどしご意見をくれるとありがたいです。下強上強のコンボしか知らぬのです。故にとりあえず空Nで様子を見る弱者

7/21 ジョーカーがなぜか紅茶を淹れていたので修正しました。なぜ忘れていたのだろうか...と思ったら勘違いだったのでした。ジョーカー違いでした。ですがせっかくなのでコーヒーのままにしておきます。屋根裏のゴミくんコーヒー淹れるの上手いらしいですよ!凄いですね!


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魔剣ガングレリ(投擲武器)

カムイでオンライン潜ったら、クソ強いルキナさんと出会って世界戦闘力が1万くらいになりました。一応ピットでVIP入りしてるから自分は普通くらいのスペックはあると思うのだけどなー


「よく来たな、カムイ」

「はい、父上。お久しぶりです」

 

ここは、暗夜王国王都ウィンダム。暗夜王国の王都だ。

 

「聞けば、竜の力をその身に宿したという。マークスが絶賛するほどの力とは興味深いな」

「いえ、自分の力などまだまだです。上を見れば、果てはありませんから」

「...まるで大海を知ったかのような口ぶりだな」

「ええ、実に奇妙な出来事がありました。所詮夢といえばそれまでなのですが、それでも経験と知恵と絆が自分を強くしてくれたのだと思います」

「ほう、ならば我に示してみろ、カムイ」

 

そうして、玉座の間の後ろのドアが開く。そこには、暗夜の兵士に6名の兵士が縄で縛られて連れてこられていた。

 

装いから言って、白夜王国の兵士だろう。

 

「知っての通り、我が暗夜王国は東方の白夜王国と戦争の最中にある。故に、王族に求められるのは力だ。『真祖竜』の血を引く我らには、単騎で一隊を滅ぼすことは容易いこと。マークスもレオンもカミラも、その力を持っている。故に...」

「ええ、分かっています父上」

 

「これが噂に聞いた組手タイムアタックですね!6人とは珍しいですが、やってみせますよ!」

 

瞬間、父上が固まった。周りにいるきょうだいたちも家臣達も固まった。

 

何かおかしな事を言っただろうか。

 

「...まぁ良い。カムイよ、その力を示せ。この、魔剣ガングレリを使ってな」

「ありがとうございます、父上!」

 

剣を受け取ってから軽く何度か振る。赤くならないキルソードのようなものに感じられた。なにかスマッシュボームのような空気を感じるので、恐らくは爆発物の類だろう。

 

とすれば、剣として使うのは危険か。いつも通り使うとしよう。

 

「二刀流?」

 

そう呟いたのはギュンターだ。このスタイルに違和感を覚えたのだろう。

 

「カムイ様、慣れぬ使い方は体を壊しますぞ」

「安心してくれギュンター。これが、僕のスタイルだ」

 

鉄の剣を右手に、ガングレリを左手に持つ。

 

「では、白夜の敗残兵を仕留めるが良い。その魔剣を使ってな!」

「カムイ様、我らもお伴しましょう」

「そうですよ!カムイ様1人に無理はさせられません!私たちはカムイ様の剣も同じなんですから!」

「ええ、我らの暗器術、見せるとしましょう」

 

「大丈夫だ、ギュンター、フェリシア、ジョーカー」

 

正直に言えば、その心意気はとても嬉しい。家族同然に思っている皆が自分のために戦うと言ってくれるのだから。だが、問題があるのだ。重大すぎる問題が。

 

「正直、ヘイトが逸れて巻き込み狙えなくなる方が困る」

 

その言葉に頭を抱えるギュンター。自分は組手のセオリーを言ったつもりなのだが、何かおかしい事だっただろうか。

 

「では、危ないと思った時は勝手に手を出させていただきます」

「大丈夫だ」

 

「100組手の経験はある。だから、遅くても1分以内で終わらせてみせる」

「ほざいたな!暗夜の王子!我は炎の部族の族長の娘、リンカ!」

「カムイだ。短い間だが、よろしく頼む」

「カムイ...ッ⁉︎」

「どうしたスズカゼ」

「...なんでもありません。私はスズカゼ。白夜の忍です。では、よしなに」

 

「やれ、カムイ」

 

そのガロン王の言葉と共に縄が解かれて白夜の兵士が一斉に攻め立ててくる。

 

ので、まずはガングレリをスマッシュ投げにて放り投げる。どうやら、かなり吹っ飛び率は軽いようだ。これなら、この王城から逃がしてやることもできるかもしれない。

 

そう思い、レオンにアイコンタクトを飛ばす。優秀な弟であるレオンは意図を汲み取って、吹っ飛んだ先にクッションを作ってくれたようだ。ブリュンヒルデの命を操る力は、木々を自由に生み出すことができる。飛び道具をNBしか持たない自分では戦うのにすこし苦しいだろう。

 

そんな考えは傍に置いて、なにが起こったか分かっていない白夜の兵士を盾にしてダッシュで距離を詰める。

 

「そんな単調な動きでは!」

 

スズカゼの投げてくる手裏剣。ゲッコウガさんほどの牽制力もバースト力も感じないが、念のため回避しておこう。

 

ダッシュの慣性のままジャンプ、そして空中にいる自分を狙うその手裏剣を、とりあえず空中Nでかき消しつつ白夜の兵士を捕らえる。そして宙に浮いた所を着地後すぐの上強で浮かせて、ジャンプして空上でクッションのある場所にバーストする。

 

「流石に強いか!お前たち、防陣を組め!仲間を信じて守りを固めろ!」

 

と、リンカの声で何故か二人組で残った兵士たちが固まっている。あれが、互いの絆を深める支援を作るという防陣(ダブル)だろうか。

 

だが、そんなものはチャージさせなければ問題はない。連携が完全になった時に支援防御が発生するのが防陣だと兵法書で読んだが、それには防陣に慣れないといけない。

 

つまり、今のままでは単に的が固まっただけなのだ。

 

降ってきたガングレリをもう一度掴み、またしてもスマッシュ投げ。

今度は固まっていた2人同時にバーストすることができた。

 

「一斉にやるぞスズカゼ!我ら白夜の誇りを見せるのだ!」

 

そして、やってくるリンカとスズカゼのコンビ。金棒による剛撃、手裏剣による牽制、どちらも一級品だ。

 

だが、それ故に対応はやりやすい。

 

自分には、超一流といっていいほどの実力者達と戦い続けた経験があるのだから。

 

リンカさんの大振り、恐らくはスマッシュに対して緊急回避で内側に潜り込む。そして、すかさずの下B、スズカゼさんの手裏剣に反応して竜化を起こし、纏めて上空へと弾き飛ばす。

 

それをもって、6人全員場外に弾き飛ばす事に成功した。

 

「タイムは⁉︎」

「...カムイ様、誰も計ってはいないかと」

「...しまった、計測係を頼むのを忘れてた」

 

こういう時にしれっとストップウォッチを差し出してくれるゲームウォッチ先輩はいないのだ。気をつけなくてはならない。

 

「見事な力だカムイ。その力で暗夜に尽くすが良い。次なる司令は追って下す。今は休むが良い」

「はい、父上」

 


 

そうして、父上の目を逃れて暗夜から白夜兵を逃がした自分たち。疑わしげな目を向けられているが、それは仕方のない事だろう。戦争をしている敵国の行為なのだから、裏があるとみられてしまってもおかしくはない。

 

「カムイ兄さんに感謝するんだね。じゃあ行きなよ」

「傷は私がちゃんと直したから大丈夫!」

 

「...暗夜の王族が、どうして私たちを助ける?」

「理由はないよ」

 

「だって、死ぬ事はないから。沢山戦ってる敵国だって、いつか仲良くなれるかもしれない。いつか、手を取り合えるかもしれない。そういう未来を願った方が、楽しくない?」

 

それは、何度となくファイターと、洗脳されたスピリットと戦ったあの決戦の日々と、その後の自由に戦いを楽しむことができたあの日々が積み重ねて作られた僕の思い。

 

敵だからといって、憎しんでいてばかりはいけない。

敵だからといって、好きになっていけない訳はない。

だって、先ほどまで一対一をやっていた相手と協力してトップを追い落とすなんて作戦を即興で行うのが、できるのが大乱闘なのだから。

 

それはこの世界での戦争とて同じ事だろう。きっと。

 

「戦いが終われば、ノーサイド。そうなれるって信じてる」

「...暗夜王子カムイか、覚えておこう」

 

そうして、白夜の兵士達は去っていった。

 

「なぁ、マークス兄さん」

「どうしたカムイ」

「白夜と同盟関係を結ぶにあたって、障害になっているのは何かな?」

「...白夜との同盟か、考えたこともなかったな」

 

そうして、そのままの流れで白の資料室へと向かっていった。

 


 

「白夜と暗夜の戦いの始まりは、白夜側の関税か」

「ああ、昔において、暗夜と白夜は手を取り合っていた。しかし、白夜に欲が出たのだろうな、鉄しかない暗夜と豊かな土地を持つ白夜。当時は鉄を加工する技術を対価とする事で成り立っていた食物の貿易が途切れてしまった、そして、暗夜は生きる為に剣を取るしかなかった。随分と皮肉な歴史だな」

「でも、昔は交流できていた。それは大きいと思うんだ。暗夜は、戦争に特化した国になってしまったから簡単には止まれない。やるなら大きな変革が必要だ」

 

「マークス兄さん、王位の簒奪やってみない?」

 

暗夜王国における歴史の転換点は、きっとここにあった。

 

暗夜に生きたきょうだい達の、この国をより良くしようという願いから。




細かい設定は適当ですが、多分こんな感じじゃないかなーとはプレイしてた時から思ってました。白夜側が正義正義しすぎて裏がありそうにしか見えなかったのです。そう、蒼炎のベグニオンのように!


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空逆飛行の繋ぐ縁

カムイくんの世界戦闘力が全然上がらない問題。まだ3万くらいです。しかも結構負ける、主に復帰ミスで!
なんであのカッコいいモーションで絶妙に足りない復帰距離なんでしょうねーカムイくん。


「駄目だ、こっちもだよ」

「レオン、ごめんな。ここまで大事になってるとかは思ってなかったんだ」

「気にしないでよ兄さん。僕たちは気づけた。ギリギリで。だから、まだ間に合う。間に合わせる」

 

暗夜王国王城の資料室、そこで俺とレオンは白夜との戦争における収入と支出を計算していた。

 

自分たちの戦いをする為に。

 


 

僕がマークス兄さんに王位を奪わないかと持ちかけたとき、当然マークス兄さんは頷かなかった。正直これに乗ってくるとは思っていなかったので、次の手を考えるかと思ったところ、レオンがその言葉に待ったをかけたのだ。

 

ここ数十年の、金の動きを知りたいと。

 

レオンがそう思うきっかけとなったのは、自分の話したあの戦いの日々の話がきっかけだった。

かつての父さんは厳しくも、優しく強い王だった。今の暴君のようなものではなく。それの原因が自分と同じように何者かに操られているのではないか、そんな荒唐無稽な仮説をレオンは立てたのだ。

 

そして、それに真っ先に否と唱えるべきマークス兄さんとカミラ姉さんは、その言葉にどこか納得してしまっていた。

 

「戦争をやってる以上、絶対に記録が残ってる。もし本当にこの仮説が正しいのなら、操られてから経済の指針が変わってる筈なんだ。...そして、最近のノスフェラトゥを使った自国の事も考えないやり方。これで勝って稼いでいるなら僕はそれも戦略だと受け入れる。けど、そうじゃないなら...」

 

そう言ったレオン。そして、その言葉を補足したのは意外なことにエリーゼだった。

 

「私さ、結構街を見回ったりしてるんだ。...皆、ノスフェラトゥのせいで食べ物が作れないで困ってるのを知ってる。暗夜麦も暗夜豆も、僅かな光で育つけど、絶対に土と水は必要なんだって。そう農家のドニさんは言ってた。このままだと、戦争してごはんを奪わないと皆が死んじゃうような国になっちゃうかもしれない。レオンが言いたいのは、そういう事だよね?」

 

そう、頷くレオン。

 

「...正直、僕は白夜との戦争を止める事しか考えてなかった。レオンは、僕よりちゃんと王族をやってくれてるんだな」

「そうだよ、だって僕は母様からこのブリュンヒルデを託されたんだ。そんな僕が恥を晒すわけにはいかないだろう?」

「マント逆さまに着てたけどねー」

「それは!」

「...わかった。レオン、お前はカムイと共に資料を集めてくれ。少しでも他の諸侯を説得できる材料になればそれでいい。カミラは私と共に来てくれ。第1王子である俺と第1王女であるお前が一緒にいる事で、王位を奪う事につきものの権力闘争の色を少しでも減らすぞ。エリーゼ、お前は護衛のサイラス、ハロルド、エルフィを連れて市井での情報を集めてくれ」

 

そうして、僕たちきょうだいは戦いを始めたのだ。

暗夜王国を守る為に。

 


 

そうして出てくるのは、戦争国家としては最悪の結論。

 

この国は現在、戦争する事で()()()()()()()()()

 

戦い、勝つ事でギリギリ補えていた国費が、賄えなくなっている。

今ではもう、ギリギリの延命の為に戦いをやめられなくなっているだけだ。

 

変革が必要だ。それは、俺とレオンの中ではもう確定事項になっていた。

 

「まず、変革の為には時間が必要だ。その為に必要なのは、民が戦争をする事なく飢えないですむ状況」

「白夜から、食料を奪うのか?」

「それは、策の1つでしかない。現実的なのは、白夜の土地を奪って、その返還の対価としての食糧支援の約束を取り付ける事」

「そんな約束、白夜側が守ると思う?」

「その為に、僕が行く。この前助けたリンカは、白夜でそれなりの発言力を持ってる筈だ。正確には、そのお父さんだろうけど」

「でも、どうやって?」

「...そこなんだよねぇ。合法的に白夜に行く方法と、白夜から暗夜への連絡手段、それがないと成り立たない。無線でもあれば良いんだけど...スネークさんにつくり方聞いておけば良かったな」

「むせん?」

「離れた所にいる人と話ができる道具だ。向こうの世界で一緒に戦ったスネークさんはそれで遠方の仲間と連絡を取ってたんだ」

「...それなら、良い代替案がある。最近魔導研究所で見つかった石なんだけど、魔導師が強く念じれば対応する石に思念が届くんだ。実験段階のものだけど」

「真祖竜の力で繋がってる僕たちなら、遠くでも話せるって事か!希望が見えてきた」

「ただ兄さん、やっぱり白夜に行くのは危険だよ。暗夜の事を憎んでる奴らは多い。王子がそんな所に行ったら、感情だけで殺されてしまうかもしれない」

「それは大丈夫」

 

「バースト技さえ回避すれば俺は死なないから!」

「兄さんが何を言ってるのか時々わからないんだけど僕」

 

そんな事を言いながら魔導研究所へと向かう。目的の石のサンプルはすぐに手に入った。

 

様々な名前が考案されたが、発見者の名前をとってヤクシの石とする事にした。名前から用途がバレてしまっては大変だからだ。

 

そうして、様々な準備をしていく中でガロン王から指令が下された。

 

自分の力の最終テストとしての、任務。

 

白夜の側にある廃砦の偵察、それを自分と従者たちだけで行うという事だ。

 

『レオン、予定より早いけど動く。この任務にかこつけて白夜側にコンタクトを取れないか試してみる』

『了解。ただひとつだけ約束して欲しいんだ』

『何でも言ってみてくれ。兄らしく、弟との約束は守るよ』

 

『何を知っても、何があっても、必ず帰ってきて』

『安心してくれ』

 

『吹っ飛ばされてからの復帰は強い方じゃないけど、その分たくさん練習したんだ!』

『兄さん、それ違う』

 


 

そうして、ジョーカーとギュンター、そして父上から推薦された暗夜一の力自慢のガンズを共にして白夜王国へと向かう。

 

「へへへ、俺の力を頼りにしてくれて良いんだぜ?王子様よぉ」

「...すまないガンズ、お前の働きに文句はない。馬車に荷物を積み込む時に全く働いてくれなかったりと短い間でもお前は良き働きをしてくれた、ありがとう」

「お、おう?」

「だが眠れ、今回お前は邪魔なんだ」

 

そうして油断していたガンズに下強を入れて浮かせ、そこにジョーカーの持ってきたスリープの杖の力を当てる。これで、確実にガンズは眠っただろう。

 

「ここから王都までの旅費ってこれで足りるかな?」

「無くても良いのではありせんか?この者、間違いなく間者ですし」

「この無限渓谷の底に投げ落としてしまうのでよろしいかと存じます、カムイ様」

「なるべく人死には出したくないんだけどなぁ...」

 

だが、致し方ない。流石に完全に敵なガンズによりこちらの目的が果たされないというのは問題だ。

 

ここは心を非情にしなくてはならない時だ。

と、わかってはいる。だが、それを認めたくないのが僕の願いだ。

 

ガンズは略奪や殺人を犯した重罪人だとマークス兄さんは言ったが、それを命を絶たれて良い理由には、したくない。

 

だって、人を殺した数で言えばぶっちぎりの魔王ガノンドロフさんでも、話せばそれなりに分かり合えたのだから。

 

「うん、馬車にガンズの荷物と一緒に転がしておこう。どうせこの橋では馬車は通れない。置き手紙を残しておけばきっと大丈夫だ。父上に託された強者をこんな扱いにしてしまうのは心苦しいけど、仕方ない」

 

そうして、馬車自分たちの荷物を取り出して無限渓谷に架かる橋へと足を踏み入れる。

 

無人の砦のその先にある村までの食料などの装備は十分だ。

 

さぁ、行くとしよう!

 


 

そうして橋の中頃までたどり着いた時、思わぬ人物が現れた。

 

「やはり来たか!暗夜軍め!」

「お前たちは、白夜軍⁉︎」

「あ、ここの砦に勤めてる方ですか?」

 

ものすごく目立つ魔剣ガングレリを橋に起き、両手を上げたまま白夜軍兵士に近づく。

 

「貴様は何者だ!」

「僕はカムイ、暗夜王国第2王子だ。白夜の者と繋ぎが作りたくてここに来た。この戦争を、変えるために」

 

そうして、ゆっくりと兵士に近づいていく。いつ剣を振られてもおかしくない状況だが、それでも、だからこそしっかりと胸を張って前に出る。

 

「すまないが、一筆したためたい。ここの責任者の名前を教えてくれないか?」

「ここで書くのか⁉︎」

「ああ、なので少し不恰好な字になっているかもしれないとも共に伝えて欲しいな」

 

そうして、ここの砦の主であるモズ殿に対して手紙を書く。

 

暗夜王ガロンを操り、暗夜と白夜の戦争を泥沼化させている何者かが存在している事。その証拠を掴むために白夜側に協力者が欲しい事。そんな事を白夜流の手紙のフォーマットで書き連ねる。縦書きというのは慣れないものだ。

 

「これを、モズ殿に」

「...いいや、渡せぬ。貴様が本当に暗夜の王子であるとは思えぬ!罠に決まっておろう!」

「ならば見せようか!暗夜の王の持つ真祖竜の力を!」

 

そうして、橋の中継点になっている小島に行く。

 

そこからの距離は、行ける距離だ。

マスターハンドさんたちが作ったステージで練習したあの動きを見せる時だろう。いざ!

 

「とう!」

「な、この無限渓谷を飛び越えるつもりか⁉︎」

「だが、圧倒的に距離が足りない、あれでは自殺も同然だ!」

 

そうして、距離を稼ぐ為に空逆を放つ。自分の空逆には少し特殊な性質があり、羽ばたいた分だけ前に進めるのだ。

 

尚、この性質に慣れるまでは復帰ミスの嵐だった事は忘れてはならない。復帰阻止に使える技これしかないのにピーキーすぎるのだ。何故自分の技のベクトルはことごとく上に飛んでいくのか、これがわからない。

 

「竜になって、羽ばたいた⁉︎」

「だが、上には進めていない!落ちちまうぞこのままじゃ!」

「カムイ様!」

「待て、ジョーカー。迂闊に動くな。信じるのだ、カムイ様を」

 

そうして、十分な距離を稼いだ所で、二段めのジャンプをする。

 

「空を跳んだ⁉︎」

「凄え、これなら行けるんじゃねぇか⁉︎」

「馬鹿、なんで暗夜の王子を応援したんだ!」

「お前もさっき羽ばたいたときガッツポーズしてただろうが!」

 

だが、まだ届かない。それは知っている。

どうせなら上方向の空中緊急回避で安全に行きたかったが、仕方ないだろう。

 

「崖側のアーチャーさん!ちょっと離れて下さい!」

「お、おう!」

 

そうして、復帰距離を稼ぐ為にできる自分の最後の行為、上Bによる復帰を行う。

これは、たまに崖上の人にダメージを与えられるのでちょっと離れてくれないと危ないのだ。

 

そうして、竜の姿となり水流によっての上昇で崖を掴む。

 

ひさびさに掴んだ崖だ。どこか安心感すら覚える。

 

そうして回避上がりによりアーチャーさんたちの前に上がる。

 

「どうですか、やって見せましたよ俺は!」

「すまん、それを認める訳にはいかない」

「あなたがモズ殿ですか?」

「ああ、お前の行動は、正直目を疑った。だが、真祖竜の血を引く白夜の王族の方々とてそんな奇怪な動きはしない!」

「今のが、奇怪⁉︎」

 

信じられない事を言う、あの程度の動きで奇怪などといったらワリオさんやプリンさん、ヨッシーさんのような空中に住んでる人たちは何といえばいいのだ!

 

「ま、いいです。これが先ほどしたためた書状です。どうぞお受け取り下さい」

「これを、俺が信じず破り捨てるとは思わないのか?」

「ええ、きっと大丈夫なんじゃないかと。アーチャーさんたちを心配して崖の側に来てくれたあなたのような人なら、特に」

「...書状の内容は精査して王城に送ろう。しばらくは待っていてくれ」

「じゃあ、自分たちを捕虜として捕まえると言うのはどうですか?大手柄になりますよ?」

「...自ら捕まりに来る捕虜がどこにいるのやら。仕方ない、伝令だ、騎馬の老兵と執事の男を連れて来い。しばらく砦で面倒を見る」

 

そうして、白夜王国に繋がる1つの繋ぎができた。

 

明らかに僕を暗殺するようなこの任務の先に、道はあった。ならばこの奇運、逃してなるものか!

 

そうして、ギュンターとジョーカー、そして何故か来ていたリリスと共に自分たちは白夜の砦の中に入るのであった。

 

いや、リリスなんでいるの?という疑問を持ちながら、レオンにとりあえず侵入成功の報告をするのだった。




カムイの復帰の必殺技の空逆飛行でした。尚、カムイの向きを勘違いしてフィールドから離れることはしばしばあったりとか。



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白夜王国入国

カムイくん腕伸ばしてくれとは言わないから、横スマで当たらない部分があるのだけは修正して欲しいなーと思う次第です。ピカチュウピチューあたりだと、横スマの腕の下に抜けてしまうのです。悲しみ。




無限渓谷の城砦に滞在して3日。

 

その間、連絡の行き届いていなかったマークス兄さんがやってきたりしたハプニングはあったもののとりあえずなんとかなった。

 

ヤクシの石様様である。というかレオン様様である。レオンが弟で本当に良かった。

 

そして、俺は今なんだかやけにフレンドリーなリンカとスズカゼと共に白夜王国の王城に案内されている。

 

「なぁ、これ暗夜で言うところの“殺す前にはワインを振る舞え”的な奴か?」

「...カムイ様、私達はカムイ様に着いて行きます、何があっても、どこであっても」

「ジョーカー、それってあの世までとかって話じゃないよな⁉︎ごめんだぞそんなの!罠ならどうにかして逃げるからな!」

 

「安心しろカムイ、命の恩には命で返す。貴様が本当にそうなのかは知らないが、白夜王城まできちんと案内する。任せてくれ」

 

すると、門の前で赤揃えの武具を装備した見覚えのある武者が走ってきた。あれは、道場の中で唯一役に立ったあの道場の師範代だ!

 

「スズカゼ、リンカ!」

「これは、リョウマ様⁉︎」

「あなたは!鬼神流の!」

「...すまん、鬼神流とはなんだ?」

 

どうやら、スピリットでしかなかった鬼神流の人は記憶を引き継いではいなかったようだ。自分があの世界の記憶を引き継いでいるのはファイターとして存在を確立していた自分のような者だけなのだろう。

そのあたりの事をマリオさんに聞いてみたいと思った。あの人大乱闘参戦経験最多を誇るレジェンドだし。

 

「すいません、知り合いに似ていたもので」

「そうか、だが神を名乗る流派の者に似ているとは、少し誇らしいな」

「...ははは」

 

「と、そうも言っていられないんだ。北方の山の村々が敵襲を受けている。いま、そのあたりにはヒノカ達がいるはずなんだ。スズカゼ、リンカ、手を貸してくれ」

「...襲撃は、ノスフェラトゥによるものですか?」

「ああ、暗夜の卑劣な兵器だ」

「...なら、手を貸します。僕はカムイ、そしてこちらはギュンターとジョーカー。守る為の戦いなら、任せてください」

「カムイ...?まさか、お前が?」

「はい、暗夜王国第2王子です。思う所はあるかもしれませんが、今は」

「...ああ、きょうだいを助けるのが最優先だ。力を借りるぞ、カムイ!」

 

そうして、森の茂る山間の村々にて、戦闘音が聞こえる。

 

助けたい。理由も分からずそう思った。

 

そのために、やるべき事は!出来る事は!

 

「スピリットセット!シーダさん!ホウオウさん!モトクロッサーさん!空での速さ、お借りします!」

 

僕の呼び声に答えて、スピリットが力を貸してくれる。

今回のスピリットセットは、シーダさんがメイン。ジャンプ強化のアビリティを持っている強力なスピリットだ。そして、サブに付けているのはホウオウさんとモトクロッサーさん。ホウオウさんは空中ジャンプの回数を一度増やしてくれる力を持ち、モトクロッサーさんは地上、空中での移動速度を上げてくれるという効果を持つ。

 

この力と、自分の空逆があれば、木々の枝葉を飛び移り、山を飛び越えながらあの場所に辿り着けるだろう。

 

「じゃあ、リョウマさん!先行きます!」

「何を...何を⁉︎」

「空中を跳ねている⁉︎しかも凄い速さだ⁉︎」

「...私より忍者をしている気がしてなりませんね」

「スズカゼ殿、忍は空を飛びません」

「それよりも各々方、我らは我らの戦いをしましょう。カムイ殿が奇怪な事と敵の数は関係がありません。カムイ殿が王女様方を護衛しているうちに我らはノスフェラトゥを殲滅するのが得策かと」

「...そうだな、礼を言うぞ老騎士殿。行くぞ!リンカ、スズカゼ!」

「「は!」」

 

「ジョーカー、白夜の者に遅れを取るなよ」

「ご心配なく、誰に鍛えられたと?」

「フ、それなら安心だな。行くぞ!」

「癒しの杖なら私も使えます!援護は任せてください!」

 

背後で、森に足を取られているノスフェラトゥを倒していくリョウマさん達が見える。戦っているのは、僕1人じゃない。

 

たとえ一時であっても、白夜と暗夜の者が手を取り合えた。それは、きっとおおきな一歩なのだ。

 

そうして森を飛び越え、ノスフェラトゥの拳を受けそうになっていた天馬武者を救う為に上空から空下を放つ。

 

急速落下とその衝撃波によりダメージを与える技。

 

こういった、奇襲にはもってこいなのだ。

 

「空から⁉︎」

「安心してくれ」

 

「僕はカムイ。あなた達を、助けに来た!」

「そうか...サクラは今足を挫いている。大きくは動けない」

「ならばあなたはサクラさんの護衛に集中して下さい。もっとも...」

 

「1匹たりとも通すつもりはないですけどね!」

 

まず、先程空下で吹き飛ばした 一体が丁度いい距離にいたので、横B先端当てで思いっきり吹っ飛ばす。まず一体。レジェンド級のスピリットであるシーダさんの力は、反則とも言えるバースト力を自分に与えてくれるのだ。

 

次に、山から降りてくる4匹のノスフェラトゥが来たが、纏まっている。攻陣を保っているのだろう、連携攻撃に気をつけなくてはならない。

 

が、正直レジェンド級のスピリットの防御力をもってすればその程度の攻撃力など誤差でしかないので、強気に攻める。横Bで固めて派生のキックで2体纏めて飛ばす。その後の後隙を殴られるも、ダメージは3%ほど、無視していい。

そして、ダメージにより硬直がなくなったのでとりあえず小ジャンからの空Nを放つ。巻き込みで2人をひっかけられたので、サクラさん達に近い方に追撃を入れる。空上で更にかち上げてもう一段ジャンプ、そして上Bでバーストする。

 

これで、残りは3匹、うち2匹は当てた感じから強攻撃ならバーストできる。

 

「東の山から3匹来たぞ!気をつけろ!」

「ありがとうございます!天馬の人!」

 

ノスフェラトゥのスピードはそう早くない、纏めて倒せば天馬の人にたどり着く前に片付けられるだろう。

 

というわけで、適当な攻撃をしてきた無傷のノスフェラトゥに下Bでカウンター、続けて帰ってきた2体のノスフェラトゥを上強で纏めて宙に。

 

そして、ジャンプ、上強、ジャンプ、上強、ジャンプ、上強。

 

三連コンボによってノスフェラトゥ達は上空バーストできた。それを確認しないまま次に行く。

 

そして、3匹のノスフェラトゥが攻陣のままに攻めてくるが、山に足を取られている連中などただの的だ。

 

空前にて浮かし、ジャンプして空上で追撃。先程の連中よりも軽かったのか3匹のノスフェラトゥはそれでバーストできた。

 

残りを探すが、どうやらリョウマさんとギュンター達が残りは倒してくれたようだ。

 

「無事か!ヒノカ!サクラ!」

「リョウマ兄様!ええ、カムイのおかげです。まるで宙を跳んでいるかのような華麗な動き、侮れませんね」

「ああ、正直俺も目を疑った。だが、詳しい事は後でいいだろう。救出もできた事だ、きょうだい皆で王城に帰ろう」

「はい!」

 

そうして、帰ろうとした時に服を掴まれた。

先程の天馬武者さんだ。リョウマさんの言葉が正しいのなら、彼女がヒノカ王女なのだろう。第一王女は空を飛ばなくてはならない運命でもあるのかとちょっと思った。カミラ姉さんとヒノカさんとピーチ姫を見ていると。

 

「カムイとは、カムイ、なのか?」

「...よくわかりませんが、僕は暗夜王国第2王子のカムイです。先程はヒノカ王女様だとは気づかずに申し訳ありませんでした。怪我などはありませんか?」

「...そのことについても、王城についてから話そう。だがヒノカ、俺たちならわかるはずだ」

「ええ、カムイはカムイだ!帰ってきたのですね!」

 

「すみませんサクラ王女、話がさっぱり見えないのですが解説してはくれませんか?」

「す、すいません。私も実はさっぱりです」

 

 

そうして、山の村々を襲うノスフェラトゥからヒノカ王女とサクラ王女を救出するという緊急任務は達成された。

 

「ギュンター、これで多少は信用されるかな?」

「わかりません。ですが王族2人の命を救ったともなれば発言が完全に無視されてしまうことはないでしょう。カムイ様にはすぐそこまで選択が迫っています。暗夜で生きるか、白夜で生きるかの」

「ギュンター?」

「どちらにせよ、我々はカムイ様のお供をします。それだけは信じてください」

「そうです!カムイ様の為なら、私は命を惜しみません!」

「ありがとう、ギュンター、ジョーカー。あと、リリスはなるべく命とか懸けないでほしいかな。大切な、家族なんだから」

 


 

そうして、やってきた白夜王国。太陽が眩しくて仕方ないが、この感覚に懐かしさを感じる自分がいる。

 

あの世界での戦いの時は、本当に驚いたものだ。世界はこんなにも明るいのかと。

それを見て感動して涙を流してしまっていた所を、ネスさんとリュカさんに慰められたのはいい思い出だ。

 

「さぁ、ここが白夜王城だ。暗夜育ちで見るもの全てが珍しいのはわかるが、少しキョロキョロしすぎだぞ、カムイ」

「すいません、こちらの串焼きはいくらなのですか?」

「これかい?そうだな、リョウマ王子のお付きの人なんだし50でどうよ」

「いえ、権力をそのように扱えば落ちる先は邪悪のみです。定価で買わせていただきたいと」

「これは驚いた。そんなら定価は70だよ。だけども、あんたの心意気に免じてもう一本おまけしてやるよ」

「...ありがとうございます」

「リョウマ様を頼むよ!」

 

そうして、2本の串焼きを持ってきた俺を見て、なんだか「コイツはもう...」と言った視線を感じた。

 

「リリス、おまけもらったから一本食べるかい?」

「はい!頂きます!...ですが、これが70Gですか」

「ああ、相当だぞこれは。肉なんて高級品、暗夜では500Gは下らないのに」

 

敵の大きさを感じ取ってしまった、一幕であった。

確かに、こんな良い暮らしができるのなら白夜に住んでしまうとも思われてもおかしくはない。だが、流石にレオンは兄を侮り過ぎだと思うのだ。

 

暗夜で白夜の暮らしができるようにするのが、僕たち王族の仕事だろうに。

 

そうして何店かの露店を巡りつつ王城にたどり着く。

 

木で作られた、ちょっと目眩なさそうな城だった。

 

「白夜って凄いですね、リョウマさん」

「当たり前だ、そうであるように父上も母上も頑張っているのだからな」

 

そうして、白夜王城の中に入る。

 

当然武器は取り上げられるのが当然と思い、腰の鉄の剣を渡したところで気付く。

 

「あ、ガングレリ砦に忘れてきた」

「カムイ様⁉︎」

 

さらばガングレリ、君のことは忘れない!

 

 




ついに使ったスピリットセット。カムイくんは自分が英雄でないときに英雄たちに揉まれた経験から、なんでも使う逞しい子にジョグレス進化しました。パワーインフレが加速する!


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ミコトとアクアと弟と父と

思ったよりも分量が増えてびっくりな自分でした。後2話くらいですが、頑張ります!


「カムイ、ああカムイ!帰ってきてくれたのですね!」

 

玉座から駆けつけて俺を抱きしめようとするどこか懐かしい女性。

 

しかし、ダッシュ投げを無意識に警戒していた自分はその場回避を咄嗟に出してしまった。

 

俺の体を通り抜けて俺の後ろでビタンとつまづく女性は、白夜王国の女王、ミコト様。

 

俺の母親を名乗る、女性であった。

 


 

『なぁレオン、知ってたのか?』

『...うん。兄さんとは血が繋がってないって事は、皆知ってた』

『...そっか』

 

『それでも皆は、俺をきょうだいと呼んでくれたんだな』

 

それは、とても暖かい真実だった。

 

たとえ血が繋がっていなくても、暗夜の皆はきょうだいだ。今なら、胸を張ってそう言える。

 

だって、あの幽閉の日々は楽しかったのだから。心の底から、皆のおかげで。

 

『うん、やっぱ頑張るわ。暗夜と白夜が殺し合わなくて済むような仕組みを作り上げてみせる』

『できるの?兄さんは今、白夜に亡命した逆賊として扱われてる。白夜との繋がりは作れても、暗夜との繋がりは難しいかも知れない。ま、僕たちきょうだいは別だけど』

『やる。その為の道筋は、もう見えてる』

 

『だからレオン、女の子を口説くやり方を教えてくれ!』

『...兄さん、それカミラ姉さんに殺されるよ。下手したら』

『...待ってくれレオン、カミラ姉さんと血が繋がってないってことは、あの過剰なスキンシップはもしかしなくても⁉︎』

『ほら、狙った獲物は逃がさない的な奴じゃない?』

『...暗夜に帰るの怖くなって来た』

『...そっか帰って来てくれるんだ』

『そりゃ、約束は守るって言ってるだろ。大切な弟との約束なんだ、それを守らないのは男じゃない』

 

『てな訳で、頼むわ』

『明日ね、大体僕もそんなに女性経験ないし。ちょっと部下の馬鹿どもに聞いてみる』

『ありがとう、レオン』

『いいよ、きょうだいなんだから』

 

そうして、ふらりと聞こえて来た歌声に惹かれていく。心に安らぎを与え、しかしどこか悲しみを訴えかけるような、不思議な歌だ。

 

プリンさんの、心が踊りついでに命も絶たれる歌声とは大違いだ。

 

そうして、泉で歌う彼女に見惚れた。

 

「あなた、カムイ王子ね」

「そういうあなたは、アクア王女」

 

歌を切り上げてこちらを向いたアクア王女。名前と顔は知っていた。あの戦いにおいて、僕らを助けてくれたスピリットの1人だったから。

 

しかし、それが僕と対をなす人質として白夜にいるとは不思議なものだ。

 

「あなたは、暗夜で生まれて白夜で育った」

「あなたは、白夜で生まれて暗夜で育った」

 

「なんだか、奇妙な縁ですね。というわけでアクアさん。ちょっと面白い話があるんですけど乗りませんか?」

「私に?」

「はい。マークス兄さんから白夜に攫われた暗夜の王女が居るってのは聞いていたので」

 

それはレオンからの又聞きだが、まぁ言わなくて良いだろう、うん。

 

「白夜と暗夜との交易を仲介する会社を作るつもりでいるんです。それが成立すれば、暗夜側から白夜を攻撃する必要は無くなる。そうすれば、戦争は終わる。今短期的に進めてる策と並行して、長期的に戦争を無くす策としてそんな事を考えてます」

「...その、会社というのは何かしら?」

「マリオさんに聞いた話では、いろんな人からの支援でいろんな人が集まって仕事をする集まり、みたいな感じでしたね」

 

マリオさんは実は配管工という人々の飲み水を守る仕事をしている人たちの社長さんらしい。まぁ、副業で稼ぎすぎたので実質趣味みたいなものだとも言っていたが、それは王子でありながら商人の真似事をする自分も同じようなものだろう。

 

「...商人とは違うのかしら」

「実の所、軽く聞いただけの話なのでわかってないんですよねそのあたり」

「案外適当なのね」

「いえ、当時は見るもの聞くもの全てが輝いて見えていて、いろんな事を聞いていたんです。でも、そのせいでそんなに深いところまで理解はできていなかったというか」

「...そう」

「はい、そうなんです」

 

「でも、本質は捉えられたとは思ってます。そして暗夜からの支援は確実に取れます。暗夜には信頼できるきょうだいがいますから」

「それで、白夜からの支援を取り付ける為に私を?」

「はい、白夜と暗夜の橋渡しをするのには、絶好の人材だと思ったので」

 

「...それは、ミコト様から離れてしまうという事よね。あなたの実の母親は、ミコト様なのよ?」

「...それでも、俺は約束したんですよ。心の繋がった大切なきょうだいと」

 

「必ず帰るって」

 

真っ直ぐに見つめ合う俺とアクアさん。

 

少しして、「あなたなら、大丈夫かもね」と呟いた。

 

「聞いてカムイ。暗夜と白夜の戦争の裏にはある者がいる。呪いのせいでその名前は出せないけれど、そいつをどうにかしない限り、あなたの言う会社とやらが成功しても意味はないわ」

「分かってます。そいつの名前は暗夜においては異形神ハイドラと呼称してます。父さんが、狂わされ操られている元凶です」

 

「なので、必ず倒します」

「...どうして気付いたの?歴史から居なくなっているはずなのに」

「父さんが妙な宗教にかぶれたのと、暗夜の戦争方針が変わったのが同時期でしたから。そこに関係性がないとは思えませんよ」

「...そう」

 

「とりあえず、これからこっちで集める証拠を根拠の裏付けとして父さんを弾劾してマークス兄さんに王位を継がせます。会社設立はそのあとなので、白夜でゆっくりしていてください」

「ええ、あなたを信じてみるわ、カムイ」

 

そうして、その夜の密会は終わった。

 

世界を変える為の、大きな一歩として。

 


 

白夜王国にやってきて3日、自分がミコト様の息子であるという事(勘違いではないかと少し疑っているが)がきっかけで白夜の資料室への立ち入りを許可された。

 

が、レオンから少しキナ臭い情報がもたらされた。

 

白夜王国との国境近くで暗夜王国の大軍が演習をする計画があるようだ。

それはつまり、ミコト様が作ってる忌々しい白夜の結界を破る術が考案されたのかもしれない。

 

あるいは...

 

「誰だ、お前」

 

そんな考えを吹き飛ばしたのは、書物を積んで勉学に励んでいる少年だった。年の頃はレオンと同じくらいだろう。

 

「俺はカムイ。まぁ、客人扱いされてるよ」

「そうか、お前が暗夜のッ!何をしに来た!」

「ガロン王を追い落とす資料を集めにだよ」

「...暗夜で育った、お前が?」

「暗夜で育った俺だから、やらなくちゃならないんだよ」

 

そうして、刺さるような視線と共に資料を読み進める。

 

やはり、金の動きは変わってきている。間違いなく、このタイミングからガロン王の動きは変化しているのだ。

 

俺が暗夜王国に攫われる少し前、俺の実の父親である(らしい)スメラギ様が殺される少し前。

 

その時に、ガロン王は操られたのだ。

 

「なぁ、タクミ王子」

「なんだ、暗夜の」

「人の心を操る術っての、白夜にどれくらいある?」

「...暗夜じゃないんだ、そんな非道な術はウチにはない」

「じゃあ、それを解く術については?」

「...無病息災という祓串があると聞いている。もっとも、作るのに相当な費用がかかるからまだ量産はできてないがな」

「博識だな、タクミ王子は」

「うっさい、僕はこういう面できょうだいを支えるって決めているだけだ」

「とすると、やっぱりあの策しかないか」

「何を考えている?」

「ちょっと、借りたいものがあってな」

 

そんな話をしながら、しっかりと警戒してすぐに弓を取れる位置にいるタクミ王子。正直、心強い。

 

「タクミ王子がいるなら、白夜は大丈夫だな」

「なんでそんな事を?」

「血の繋がってないきょうだいがいるんだから、血の繋がった敵がいるのもおかしくない。それをちゃんと認識して、戦う事を選べるのは、多分すごい事なんだよ」

「...変な奴だな、暗夜の」

「いや、俺なんかまだまだだよ。世の中には爆弾で自爆する事でフィールドに帰ってくる凄い人もいるんだから」

「それ凄いの意味違うだろ!」

 

リンクさんのアレ、一発芸かと思ったら普通に実戦で使ってくるのだから恐ろしい。崖外でNB当てても帰って来られるのはけっこうしんどいのだ。

 

などと言いつつ、隠し持っていたヤクシの石を握る。

 

白夜側の関係資料の写しは大体終わったと、念を送る。

 

これからが、勝負だ。

 


 

「リリスさん、やはり筋が良いですね。ここはこんな感じに力を開くのです」

「はい!...凄い、できました!」

「ええ、流石あの人の娘ですね」

 

何やら物凄く仲の良くなっているリリスとミコト様。念のための人質として軟禁されているジョーカーとギュンターには申し訳ないが、実の息子との触れ合いが出来なかったミコト様への対応をリリスに任せたのは案外悪くなかったのかもしれない。

 

「ミコト様、カムイです」

「そんな、お母様でも母さんでもママでも良いんですよ?カムイ」

「そうですよ!カムイ様、ちゃんと言ってあげて下さい!」

「心から思えていないのにそのような大切な言葉を吐くのは不誠実だと思っています。...というのを何度言えばいいんでしょうね」

 

もはやテンプレと化したやりとりである。

 

「それよりカムイ様、見てください!とぉ!」

 

リリスの翳した手から、団子か突然に現れる。隙は大きいが回復アイテムを生産する技だろうか。まぁ、その手の技は大体回復効果がおまけなのは周知の事実。何が飛び出てくるのか体が反射的に警戒をしてしまった。

 

「どうですか!」

「その団子にフレームで重なると大ダメージを受けるとかか?」

「カムイ、何を言っているのですか」

 

とするとなんの技だろうか?

 

「これは、収納の術と名付けています。竜石からの力で異空間への入り口をつくり、そこに物を入れるというものですね。リリスさんには才能があったので、ちょっと教えていました。これがあると料理も掃除も便利なんですよ」

「はい!取り出せる量もコントロールできる上に、出す過程でふるいをかけたり混ぜたりできるので、お菓子作りの手間が大幅に短縮できてしまうのです!」

「ああ、むらびとさんとかしずえさんとかの収納技か。アレNB食べられるから怖いんだよなぁ」

 

なんて会話を挟みつつ、ミコト様にあるお願いをする。都合のいい時だけ息子である事を利用するようで心苦しいが、やらなくてはならない事なのだ。

 

「ええ、ですが条件があります」

「何ですか?」

「家族みんなで、街を回りましょう。あ、リリスさんも一緒にきて良いですからね!」

 

そんな訳で、白夜王族プラス自分とリリスという謎の豪華メンバーによる街歩きが急遽決定した。

 


 

白夜の街は、本当に豊かだ。太陽の恵みが溢れ、木々は鮮やかに彩り、食物も衣服も容易く手に入り、そして、人々が笑顔を絶やさない。

 

本当に、美しい。

白夜に来る前に一度見た暗夜の街では、皆が皆怯えていた。皆が皆苦しんでいた。それでも、頑張ろうと皆で生きていた。

 

だが、そこに笑顔はなかったのだ。

 

「なぁリリス、目標は高いな」

「大丈夫ですよ、カムイ様なら」

 

「カムイ様は、私に幸せをくれました。なら、暗夜の皆を幸せにするなんて訳ないですよ!ちょちょいのちょいです!」

「リリス...」

 

「お前ミコト様の駄目な所ばかり学んでないか?」

「そんなことはないですよ!」

 

だが、正直ミコト様の印象は最初に出会った時のダッシュ掴み失敗して転んだあのイメージのままなのだ。いくら高貴な母親らしさを見せても、あれが覆ることはないだろう。

 

失礼だと思うが、まぁ仕方ないのだ。

 

「カムイ!こちらの店の串焼きは絶品だぞ!」

「お、この前の兄ちゃんじゃねぇか!白夜王族のお付きとは、出世したねぇ!」

「いいや、カムイは私たちのモガガガガ」

「ええ、お付きとしてしっかり護衛をさせていただいてます。正直緊張ばかりですよ」

 

ヒノカ様の口を塞ぎつつGを払って串焼きを買う、「何をするのだ!」と抗議が来たが、そりゃ自分が白夜の王子である事はまだ秘密なのだから当然だろう。

 

自分は、暗夜に帰るつもりであり、暗夜を救う為にここにいるという宣言は、最初の日にしっかりと言ったのだから。

 

「ム、そういえばそうだったな」

「忘れちゃダメですよ、ヒノカ姉様」

「ま、コイツが白夜の王子だなんて認めてないけどね」

「タクミ、そう突っかかるな」

「フフ、皆元気ねぇ」

 

そうして和気藹々としつつたどり着いたのは王都の中央広場、なにやらデカイ石像から懐かしい響きが聞こえるような気がするが無視しよう。白夜で買った青銅の刀が便利なのが悪い。何せ必殺回避10という破格の能力値を誇るのだから。

 

尚、リョウマさんが奢ってくれるという話なので10本も買ってしまった。後悔はしていない。

 

あのチェーンソーがないのに与えるダメージもバースト力も変化しなかったのは確認できている。つまり、剣ならなんでもいいのだ。スマッシュホールド時のあのガリガリがない事は少し弱くなったとも言えるが、そもそも横スマなんて多用したら後隙で殺されるので関係は多分ない。

 

そんな事を思っていると、平穏な空気に戦場のものが混ざったのを感じた。これは、奇襲の類だ。

 

「リョウマさん!ミコト様の護衛を!リリスとアクアとサクラ様は後衛、ヒノカ様とタクミ様は迎撃しつつ市民の避難を!俺は、敵を倒しに行きます!」

「敵だと⁉︎どこに...ッ⁉︎」

 

反射的にリョウマさんが放つ雷撃により奇襲を仕掛けてきた透明な兵士は手傷を負う。

敵の武器は鉄の剣。

 

「兄さん、僕が!」

 

そして、追撃の弓。タクミ王子の弓さばきによりその見えない兵士は消滅した。

 

「こいつら、見え辛い!」

「カムイ、あれはドラゴンキラー!あなたを殺すための剣よ!」

「大丈夫!」

 

「あいつらからは、剣士として脅威を感じない!獲物が立派であろうとも!」

 

同時に攻め込んできた3人の透明剣士。ドラゴンキラーが唸りを上げているような気もするが。

 

ぶっちゃけ、カウンターすれば怖いことは特になかった。

 

「軽い軽い!そして、吹っ飛べ!」

 

綺麗に同じ方向に飛んで行った透明剣士3人を、そのまま空上でバーストする。

 

スピリットセットはまだしていないが、それでもバーストできたということは軽いという事。

 

なら、気をつけるべきはこちらに対して尋常じゃない剣気を当ててくるあの奥の剣士だけだろう。あの剣気、アイクさんに匹敵するかもしれない。

 

そうしていると、周囲からサンダーが飛んでくる。ルフレさんほどの精度はないが、囲まれて打たれるのは結構に厄介だ。

 

故に、ここはいつもの手で行こう。

 

「スピリットセット!アルカードさん!アナさん!ロボボアーマーさん!寄って斬るの、頼みます!」

 

スピリットが力を貸してくれるのを感じる。

 

まず、サブスピリットに置いたアナさんの力により、俺の体にフランクリンバッヂが取り付けられる。これにより、遠距離からの攻撃を全て反射する事ができる。そして、それを補強するのがメインスピリットのアルカードさんの剣攻撃強化の力と、サブスピリットのロボボアーマーさんの武器攻撃強化の力。これで青銅の刀の攻撃力を強めて早期バーストを狙う。遠距離を使う的に対しての鉄板スピリットセットだ。

 

「カムイ!危ない!」

「大丈夫!飛び道具は、全て反射だ!」

 

スピリットセットの隙を狙った魔術師たちが反射によるダメージを受けて怯んでいる所を、すかさずタクミ王子の弓が貫く。

 

凄まじい精度だ。これならば残りのダークマージたちは適当に殴る程度でいいだろう。

俺が攻め込んだ段階で増援のダークマージがやってきて白夜の民に無差別攻撃を始めている。タクミ王子とヒノカ王女はそれの対応に追われているが、逆に言えば対応してくれている限り民に被害は出ていないのだ。

リリスとサクラ王女の献身的な杖によるところも大きいが。

 

なんにせよ、後詰めにはリョウマさんがいる。ミコト王妃の事は心配しなくて大丈夫だ。

 

そう思って侍にDAを放つが、それは侍によってカウンターされた。見切り、回転のスレスレを潜り刀を振るう事によって。

 

こいつ、かなりできる!

 

「ああ、そんな...あなた?」

 

そんな声が響く。ミコト王妃の声だ。

 

何か因縁のある相手なのかもしれない。可能なら、生かして捕らえよう。可能であるとは思えないが。

 

「すいません、ダークマージは完全に任せます!コイツは、ここで倒す!」

 

やってみろ、とばかりに刀が構えられる。

 

そして、放たれるのは小太刀。背後に隠し持っていた一本だろう。それをフランクリンバッジにより反射しながら突っ込む。

 

小太刀を最小の動きで回避したその侍は、こちらの攻撃に対応できるようしっかりと構えている。

 

故に、まずは牽制だ。NBフルチャージをバックジャンプしながら放つ。チャージの段階で回避するのは読めていたので当たるものではないとわかっている。

 

それでも撃ったのは、後々のバースト技を当てるためだ。

 

そうして、侍は水のブレスを回避しながら突っ込んでくるが、あえて再びNBを構える。

 

そして、ノーチャージで放つ。

 

先ほどのフルチャージの弾が来ると想定していた侍はこの弾を避けきれず、結果ブレスの効果により一瞬動きが固まる。

 

そこからは、僕のステージだ。

 

ステップから入り下強で浮かし上強でさらにあげる。そこからジャンプして空前を当てて浮かせて、もう一度ジャンプして空上を叩き込む。

 

全てが青銅の剣によるものであり、2つの攻撃力増加ボーナスを受けている強力な攻撃である。

 

その連続攻撃によって、見えない侍は空に飛んだ。

 

急速落下により先に待ち構えた僕は、どんな行動にも対処できるようにしっかりと見据えて

 

男が、小太刀でミコト王妃を狙うのを見た。

 

そして、何故か一瞬躊躇った後に小太刀を投げ。

それを、ミコト王妃を守るために構え続けていたリョウマ兄さんの雷神刀により払われた。

 

その行動が最後のあがきだったようで、見えない侍は、しかしどこか満足そうに消えていった。

 

「大丈夫か、カムイ!」

「はい、スピリットに助けられました。あの一撃、スピリットなしで食らってたら1発で死んでいたかもしれません」

「...そうね、あの人はそんな剣士だったもの」

 

そうして、ミコト王妃暗殺未遂事件は終わった。

建国時よりの無傷の像は、その光景をただ見ていた。

 

内側に、英雄の刀を宿しながら。

 


 

「本当に行くのですね、カムイ」

「はい、ミコト王妃。正直、あのドラゴンキラーは明らかに僕を殺すためのものでした。今回の目的は、おそらく白夜の王族を殺す事によって戦争を激化させようとする暗夜の、暗夜を操る者の策です。だから、時間を与えてはいけません。最短でガロン王を倒し、暗夜、白夜の戦争を終結させる事が黒幕の思惑を挫く事だと思います」

 

白夜の、血の繋がったきょうだいに見送られて僕とギュンター、ジョーカーとリリスは再び暗夜を目指す。目的地は暗夜の演習場、そこで暗夜のきょうだいと合流して、白夜で手に入れた必殺の策を結実させる。そのために。

 

「カムイ、私は行かなくても良いの?」

「うん、ガロン王を操る者は多分アクアの不思議な歌を知っている。連れていったら逆に警戒されてしまうよ。まぁ、マークス兄さん達に会いたいってなら止めないけど」

「なら、ガロン王を倒したら連絡して。奴を倒すためにはきっと私の歌が必要だから」

「そうだね。じゃあ、今度もモズさんに手紙を渡すから、それで頼むよ」

「ええ。わかったわ」

 

そうして、僕は短い白夜王国での滞在を終えた。

 

「なぁ、リリス」

「何ですか?カムイ様」

「今度は、フェリシアとフローラも連れてまた来よう。戦争を変えた、その後で」

「...はい!」

 

不安はあれど、希望を抱いて僕たちは進む。

 


 

「ミコト様!大変です!」

「ユキムラどうしたのですか?」

「玉座が、ありません!忽然と消えてしまっています!」

「ああ、それですか」

 

「あげちゃいました」

「...は?」

 


 

座らせれば洗脳も解けるという、この凄い椅子を持って!

 

あ、ちゃんとリリスにしまってもらっています。大切なものなので。




黄金のチェーンソーになる剣「俺を拾えぇえええええええええ」

はい、夜刀神さんの出番はありません。ありがとうございました。

カムイ君は青銅の刀というチート装備を使っていきます。威力はスマブラ補正で変化しないのです。2Pカラーみたいな扱いになってます。


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偽物親子の説得(物理)

この小説を書くにあたって色々確認してたのですが、ジャイアント化してる相手って掴めたんですねー。灯火100%終わらせてから長いこと経ってたので忘れてました。


「カムイよ、何故に戻ってきた?役目を果たせず、己が運命を知りながら」

「そんなものは決まっています父上。暗夜王国の王族である自分の行動の目的など、ただの1つ!暗夜王国を救うために僕は今ここにいる!」

 

ガロン王の濃密な魔力が、俺を襲う。

それに対して、しっかりと。気持ち的に前にずらしを行なっている感じで対峙する。

 

ここ、暗夜王城クラーケンシュタイン城にて数多の兵士に槍を向けられながら、僕はいた。

 

「ほう、暗夜王国を救うとな?」

「ああ、この暗夜王国を救うには、父上の戦争方針が邪魔だ。だから、父上には玉座から退いてもらう」

 

『カムイ兄さん、そこの兵士達の説得は終わってる。いつでも行けるよ』

『ありがとう、本当にできた弟だよレオンは!』

 

「リリス!」

「はい!」

 

リリスが虚空に手を出して、そこから白夜王城の玉座を取り出す。

操られた者を正常に戻す力を持つという、神秘の玉座だ。

 

僕が座ったら頭が竜になったので、効果は折り紙つきだ。半人半竜が僕の真の姿だったのだ!とは特に驚きはしなかった。だってもう竜への変化は崖への復帰で距離が足りてる時に緊急回避を使うことくらいに日常になっているのだから。

 

あと、技を使うときいちいち変化するらしいし。

 

「さぁ!ここに取り出したるは白夜王城より盗み出した神秘の玉座!ここに座る事で、その者は本来の心を取り戻すことができる!その証拠として、僕は実の父上である白夜王スメラギが矢の雨に打たれながらあなたに致命傷を負わせたのを僕は思い出した!」

 

嘘である。いや、父上(真)のことはなんとなく思い出してはいるのだが、それがそんな鮮明になっている訳はない。

 

レオンと共に、どうやったら父上を煽れるかを考えた結果が、嘘を交えた説得なのだ。

 

「ほう?」

「つまり、この椅子に座る事が出来ないのであれば、父上は僕を攫った少し前から心を奪われてしまっているという事だ!異形神ハイドラの手の者によって!」

 

兵士達が槍を下ろし、リリスの取り出した玉座への道を作ってくれる。

 

そうして、玉座を普通に持ち上げてガロン王の前に玉座を叩きつける。

 

「この椅子に座ること、それで何もなかったのならば僕は命を断ちましょう。しかし、この椅子に座る事が出来ないのであれば...あなたは!暗夜王国を私物化し、戦争を無駄に引き伸ばした大罪人だ!」

 

「さぁ、この椅子に座るか、座らないか!選べ!」

 

「ククク、そんなものは決まっておろう。そのような見え透いた罠にかかるとでも思っておるのか?役割を果たせずに舞い戻ってきたヒトモドキよ」

 

「つまり、それが返答なんだな」

「マークスよ、こやつを殺せ!」

 

そうして、マークス兄さんがおれの前に立ちふさがる。

 

だから、その目を見る。

今のやりとりで、マークス兄さんは覚悟を決めてくれたようだ。

 

ジークフリートを横薙ぎに払うように放ったマークス兄さん。そして、その剣の上に着地する僕。

 

「カムイ、行けぇ!」

「はい!」

 

そのまま、剣の腹を使って僕をガロン王の元に投げ飛ばしてくれるマークス兄さん。

 

カミラ姉さんが周囲の説得できていない兵士達を抑え、レオンは軌道調整のためにブリュンヒルデを起動させている。

 

「マークス、貴様⁉︎」

「私は、弟達の突き止めた真実を信じる!それが長兄である私の在り方だ!」

 

そして、父上は手元に置いていた斧で迎撃を仕掛けようとしたが、そんなのは読めている。斧が当たる寸前で緊急回避を行い斧をすり抜け、父上にダッシュ掴みを当てる。

 

「貴様⁉︎」

「せい!」

 

つい癖で膝を1発入れてしまったが、まぁ誤差だ。逆投げにて玉座へと放り投げ、それをレオンがブリュンヒルデの重力操作により正確に玉座に座るようにコントロールされる。

 

そうして、父上は白夜の玉座に、真実を明らかにする玉座に座った。

 

「さぁ、真実の姿を見せろ!」

「おのれ、貴様ら!」

 

そこにいた父上は、泥のような水により姿形を保っていた死体だった。

 

「え、ここまで効果出るとか聞いてないんだけど」という言葉を飲み込んで、即興で演説をかます。

 

「こ、これこそがガロン王の真の姿!異形神ハイドラの眷属として暗夜に破滅をもたらそうとしたこの国の癌だ!」

「ククク、おのれカムイ!拾い子でしかない貴様をここまで育ててやった恩を忘れ!このような外法で我を謀るとは!」

「言い訳無用!今そこにある穢れた姿が真実だ!そこに嘘はない!故に今、ここで!」

 

「我ら、暗夜の兵士達は貴様の敵になった!覚悟せよ、父上の名を姿を騙った邪悪よ!」

 

マークス兄さんの差配した、マークス兄さんの王位譲渡に肯定的な諸侯と、その護衛の兵士達が一斉になだれ込んでくる。

 

これで、ガロン王もどきは逃げられない。

 

「さぁ、ここからは僕達のステージだ!全力で行かせてもらう!」

「ふん、この姿になったとしても我には貴様同様竜の力がある!我は暗夜竜なれば!」

「そんな些細な事で勝敗は変わらない!勝敗を決めるのは!」

 

「スピリットの、相性だぁ!」

 

「...え?」

 

きょうだい達の空気が凍った気がするが気にしないでおく。だって事実なのだし。

 

「スピリットセット!全ての闇の王さん!パワフルダッシュキノコさん!パルテナもどきさん!デカイやつ、頼みます!」

 

攻撃属性であるガロン王に対しては、有利属性の防御属性において高いステータスを誇る全ての闇の王さんを中心にして、困ったらとりあえずデカくなっとけというマリオさん直伝のパワフルダッシュキノコのジャイアント化とパルテナもどきさんの変化時間延長。そのコンボでガロン王もどきを攻め立てるつもりでいた。

 

しかし、なんとガロン王もどきは、竜の力を最大限に発揮して、ドロドロはそのままに巨大な竜の姿に変化したのだ。これで、ジャイアント化のアドバンテージは互角になった。

 

「これは、何だ⁉︎」

「これが、真祖竜の戦いなのか⁉︎」

 

「カムイお兄ちゃんがおかしいだけだと思うの私だけかなぁ」

「気にしなくていいと思うわ、エリーゼ」

 

さて、この大きさの竜が相手となれば後ろに通すわけにはいかない。

 

邪悪のブレスが俺を襲う。ので、とりあえずジャスガで弾いて横強の距離に詰める。

 

今のブレスの軌道から、おそらくウルフさんのブラスターのようななんか相殺できない奴だろうと予測をつける。撃たせまくられるのは面倒だ。常に横強の距離を保ちながら柔軟に動いていこう。

 

「ほう?今のを弾くか!」

「その程度を防げない奴がファイターを名乗れるか!」

 

今度は、骨の羽による叩きつけ。だが、元ガロン王は戦いというものを分かっていない。

 

そんなスマッシュ攻撃ぶっぱしてるだけで勝てるほど、戦いは甘くないのだ。ちゃんと弱やB技の硬直少ない技で相手を崩さないと戦いは成立しないのだ。

 

というわけで、ボコろう。

 

まず、スマッシュ技と思わしき硬直マシマシの振り下ろしをバックジャンプで回避してNBをノーチャージで放つ。

 

小さな水球は竜へとあたりその体に一時の硬直を産ませた。

そして、今はとでもいい位置なのだ。

 

「必殺、横B先端!」

 

自分のバーストの奥の手とも言える横Bの先端当てが当たる位置。暗夜竜は吹き飛び、ついでに白夜の玉座に穴を開けてしまった。

 

返す時、こっそり直そう。

 

そして、暗夜竜は壁に叩きつけられ帰ってきたので横Bの派生の飛び蹴りで追撃を入れる。

上方に吹き飛ぶ暗夜竜。天井にあたり帰ってくる。ついでに、空下か下Bと思わしき落下攻撃を伴って。

 

下Bには、クッパさんのガード破壊のような強いものもあるので一旦緊急回避で距離を取る。当然のように放たれる着地時の衝撃波は見えにくいが、自分の空下と同じくらいの範囲だろう。あながち警戒しなくてもよかったかもしれない。

 

「お父様もどきが、ピンボールみたいになってるよ...」

「エリーゼ、それは違うぞ」

 

「あれは、スーパーボールという玩具のようだというのだ」

「マークス兄さんまで壊れないでくれる⁉︎」

 

後ろからの声が少し気になる。スーパーボールとは、物凄く跳ねるボールだと聞いていたが暗夜にもあったのだろうか。キャプテン・ファルコンから話を聞いてちょっと気になっていたものだったのだ。

 

さて、降ってきた暗夜竜は技の後の硬直で動けないので、ここは堅実に%を稼ぐとき。ファイター屈指のリーチを誇る自分の弱を見せてやろう。

 

「くっ、何故我の竜鱗を破れるのだ!そのような青銅の何でもないような刀で!」

「そんな事、答えは決まってる!」

 

「僕が知ってるわけないだろうがぁ!」

「ヌゥウ⁉︎」

 

左手を竜の口に変えての連続噛みつき。それによりダメージは十分に重ねられた。何故か後ろにずらしをしない暗夜竜の行動により予定以上に。

 

そして、苦し紛れに放たれた尻尾の振り払い。城壁を壊しながらの攻撃は散弾のように僕を襲うが、その時には僕はその場所にはいない。

 

弱が入って焦った相手の攻撃をジャンプで回避して、とりあえずで空Nを撃つと割と当たるのだ。ガードされた時は横Bで逃げればいいのだし。

 

そうして、空中に暗夜竜を上げたときに時間が来てしまった。効果時間延長を入れていても、ジャイアント化は永続ではないのだ。できれば効果内にバーストしたかったが、まぁ良い。

 

「貴様、力を使い果たしたか!死ねぃ!」

「とりあえず上強!」

 

またしても落下攻撃を放とうとする暗夜竜だったが、そろそろ仕込みも終わった訳だししっかりとバーストさせて貰おう。

 

「兄さん、準備オーケー!」

「サンキューレオン!というわけで、終わりだ暗夜竜!

 

王城の天井には、暗夜の暗い空が見えている。

 

掴みからの逆投げで場所を調整し、着地寸前のガロン王をもう一度掴んで膝を3回。そして上投げを放つ。

 

自分の屈指のバースト技だ。ジャイアント化していようと、弱点属性のレジェンド級スピリットにこれだけボコボコに殴られていたのなら%は十分に溜まっただろう。

 

「星になれ!」

 

空を飛べない暗夜竜は、空の彼方へと蹴り飛ばされ、そして星になった。

 

なんてことはなく。そのまま垂直に落下して、そのダメージで骨がバラバラになった。

 

「...高所からの落下でダメージを受けた?どういう事だ?」

「いや、あんな高い所から落ちたら死ぬよ生き物は」

 

そんなレオンの呆れたような声が、暗夜王国の歴史を変える真祖竜の戦いの結末を告げた。

 

そうして、竜の姿も人の姿も保てなくなった父上もどきは、何とか動こうとして

 

その首を、マークス兄さんのジークフリートで落とされた。

 

不思議と、ガロン王だったものが最後に浮かべた顔は、笑顔だった。

 

「これは、ケジメだ。血の繋がった親子のな」

「マークス兄さん...」

「さぁ、まだやるべき事は多い!まずは人事の再編と白夜への停戦協定の草案作成!そして、父上を操っていた黒幕を倒す事!国内の事は俺たち暗夜王家の血を引いたものに任せて、お前は全力で暴れて来い!カムイ!」

「まぁ、それではカムイをのけ者にしているみたいじゃありませんの。言い方を変えていただけませんか?兄様」

「ム、だがカムイには暗夜の血が繋がっていない以上、血を理由に要職に付けるわけにはいかぬ。それは話し合っただろうカミラ」

「ええ、まぁそうなんですけどね」

 

「じゃあ!カムイお兄ちゃんには私たちから役職を与えてあげようよ!父様の偽物を倒してくれたお礼に!」

「そうだな...では、カムイにはハイドラ討伐部隊隊長の任を与えよう!そして、我らの側付きから何名か貸し出す事にしよう!」

 

その言葉に名乗り出たのは3人。

 

「それなら、マークス様。僕が」

「カミラ様!私が行きます!」

「ククク、我が闇の魔力の行方が決まったようだな」

 

「では、ラズワルド、ルーナ、オーディン。カムイの側で戦い以外の事からカムイを守ってくれ」

「「「は!」」」

 

そうして、ハイドラ討伐隊は結成された。

 

まだどこにハイドラがいるのかは定かではないが、きっと大丈夫だ。

 

僕には、きょうだいからの支援も、託された心強い仲間も、ずっと一緒にいてくれていた家族の助けもあるのだから。

 

「とりあえず景気付けに、この像ぶっ壊しておこう!」

 

そうして、あまり使う機会のない横スマの先端当てで異形神ハイドラを讃える像を破壊した。

 

ハイドラ討伐隊は、ここからがスタートだ。

 

 




ラストは、ラスボスさん相手に取り巻きを仲間に任せつつボス戦をするだけです。お楽しみに!

あ、なおこの小説において本編登場キャラクターたちはレベル上げとか無しに設定くらいの強さになっているので、そのままのカムイくんだったら無理ゲーでした。


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終章 カムイのブラザーズ

最終話です!毎日投稿完了しました!やったぜ。
前日の分を見ていない方は前話からどうぞ。


「来たわね、カムイ」

「アクア、来たよ。ガロン王は偽物だった。本人は、とっくの昔に死んでいたんだろうね」

「そう...」

「ごめん、アクアにとっては実のお父さんなのに」

「...構わないわ。所で、これで全員?」

 

集まったメンバーは、自分、ギュンター、ジョーカー、フェリシア、フローラ、リリス、ラズワルド、ルーナ、オーディンの9名が暗夜側、アクア、リンカ、スズカゼ、そして異界から現れた謎の勇者に指導を受けて戦士としての頭角を現したモズメという少女の4人が白夜側。

 

総勢11人、これが異業神ハイドラ討伐部隊の総勢だ。

 

「なぁ、あのモズメっ子からドニさんと同じ匂いを感じるのは俺だけか?」

「僕も思った。とんでもなく強くなるよあの子」

「ドニさんって、鍋を兜にしてる勇者さんの事か?」

「ああ...ってカムイ様⁉︎何故それを⁉︎」

「いや、クロムさんとかルフレさんが『こんな時、ドニが居てくれれば!』ってちょくちょく言ってたから」

 

びくっと反応するラズワルドとオーディン、ついでにルーナ。

 

「ドニさんってのも世界を渡り歩く英雄だったりするのか?」

「ああ、あの方は平民上がりでありながら王国最強と名高い最強の男だったからな。ブラッディ・コート・ポットとは彼を指す字名だ」

「ま、まぁ僕達の故郷の話ですけどね」

「へー、じゃあルキナさん達もこの世界にいるのかな?」

「いや、そういうわけじゃなくて」

「というかカムイ様、どうしてルキナ達の事知ってるんですか?」

「ああ、僕はちょっと前に異世界での戦いに巻き込まれてね、その時に一緒に戦った仲間なんだ、クロムさんとルフレさんとルキナさんは」

「スケールがデカい⁉︎フフ、だが異世界の危機を救ったという点では我も同じ事」

「オーディン、何張り合おうとしてんの」

 

などと微妙に衝撃の真実を知りながらアクアの説明を受ける。

 

意訳するとこう、『無限渓谷に敵はいる。殺るぞ』

 

「じゃあ、一番槍貰います!」

「待ってくださいカムイ様!万が一の事を考えて私が前に!」

「急速落下!」

「聞いてない⁉︎というか落下が速い⁉︎」

 

「このようにすれば敵の元へ行けるわ、行きましょう」

 

そうして、王族から先に落ちるという前代未聞のハイドラ討伐隊の進軍が始まった。

 


 

「ここは透魔王国、歴史の闇に消えた母さんと私、そしてミコト様とカムイの故郷よ」

「つまり、ハイドラを倒せば良いんだな!」

「カムイ様、理解を放棄してどうするのですか」

「だってこの土地の枯れ具合だと領地としての旨味はないだろ?だったら亡国の事とか気にするだけ無駄だろ」

「確かに、ここの土地、耕しても土に栄養がないんで駄目な奴ですわ。暗夜麦なら育つかもしれませんが」

「ああ、アレ基本不味いしな」

 

無言で頷く暗夜側の一同。パンが作れないわけではないのだが、何か根本的に不味いのだ。暗夜麦は。

 

「さて、進みましょう。ハイドラはこの電撃作戦を予想していたとしても、カムイの戦力を想定には入れられていないはず。最短で透魔城まで突き進むわよ」

 

そうして、数多の罠を潜り抜ける。

 

「カムイ、砦の龍脈を起動させて道を作るわよ!」

「あの程度の障壁なら飛び越えて行けばいい!スピリットセット!フィオルンさん!ホウオウさん!四段ジャンプだぁ!」

 

「カムイ、ここでは龍脈で写し身を作れるわ。敵兵力を削りましょう」

「ああ、向こう側の敵からは金の匂いがする!絶対に倒そう!」

 

「ここでは、橋を龍脈で操れるみたい...カムイ、空を飛ぶのを少し待ってくれないかしら」

 

「まさか、母様⁉︎」

「私は透魔王の眷属のひと」

「敵ならぐだぐだ喋っているでねぇですよ」

「ナイスモズメ!横Bからの、飛び蹴りッ!着地読みの上スマだぁ!」

 

「ここの床動くのね、敵が待ち構えているだろうから注意しましょう」

「あ、先に跳んで掃除しておくわ」

 

「ようやく、たどり着いたわね。ここが王城よ」

「そうか。じゃあ正門から入るのも馬鹿らしいから城壁登ろうか。ロープ出してくれジョーカー」

「ええ。しかし、どうしてカムイ様はこうも逞しくなられてしまったのでしょう」

「きっと良き出会いがあったのだろうよ。異世界での戦いでな」

 

そうして、雑魚を掃除しながらやってきたのは玉座の間の前。

 

この奥に、ハイドラがいる。アクアの国である透魔王国を滅ぼした最悪の竜、異形神として暗夜竜を操っていた元凶。

 

「...行こう」

「珍しいわね、あなたとモズメがそんな普通のことを言うなんて」

「ここまで来たら、正面突破でしかねぇです」

「爆弾があれば城ごとハイドラを倒したんだが、無い物ねだりはしょうがない。真っ正面から行くのが最適解だ」

 

そうして、門をこじ開ける。奥には、この城の空間を捻じ曲げて作られている亜空間に、巨大で邪悪な竜がいた。

 

「待っておったぞ、カムイ」

「白夜と暗夜の為に、この世界の為に、お前を倒すぞ、ハイドラ!」

 

瞬間、この城での戦いで弓聖へとクラスチェンジしたモズメの弓がハイドラの目と思わしき部分を射抜く。だが、竜の鱗で弾かれて致命傷には至らなかったようだ。

 

「あの鱗、破るにはカムイ様の妙なのが必要みてぇです。そこらの武器しか持ってないんじゃ深手は負わせらんねぇですね」

「...皆、ハイドラの相手は僕がする。皆は水から湧き出してる雑兵を任せるよ」

「信じてるわ、カムイ」

「雑魚の掃除が終わったら、援護しますからね!カムイ様!」

「さぁ、行こうか!スピリットセット!ジーノさん!セレビィさん!癒しの力、頼みます!」

 

ジーノさんは、シンプルに能力値の高いレジェンド級のスピリット。そしてセレビィさんには長期戦になるほどにじわじわと効力が生まれる力がある。

 

ボスクラスの相手をする時の鉄板スピリットセットであり、キーラとダーズを同時に討伐したあの時のスピリットセットもこれだった。

 

「さぁ、タイマンだ!」

「貴様さえ居なければぁあ!」

 

ハイドラのブレスをジャンプで回避する。これはダメージ時間の長い技だ、故にとりあえず殴れる隙だろう。

 

「空Nを喰らえ!」

 

安定のとりあえず空N、そして空中ジャンプで離れる。

 

ハイドラは大型ボスらしく先ほどの攻撃など意に介さず、右腕によるなぎ払いを仕掛けてきた。空中回避でタイミングから離れる。が、続いて放たれたのは左腕でのなぎ払い。ちょっと連打は厳しい。

 

空中での緊急回避は一度しかできないのだ。

 

「カムイ!」

「大丈夫!12パーくらいだから!」

 

ジーノの防御力を超えて12%もダメージを与えてくるとは、油断しているつもりはなかったが恐ろしい敵だ。

 

そうして頭を振り下ろしてくる。ハイドラのハンマーのような頭の形は伊達ではないのだろう。しっかりと余裕を見て回避をする。

 

そこで、背後から何者かが襲ってくるもこちらを攻撃する前に生き絶えた。ジョーカーの暗器とモズメの矢によってだ。

 

正直、本当に心強い。

 

「カムイ様、回復の杖は⁉︎」

「大丈夫だリリス!そこでモズメたちに矢弾を供給することを止めないでくれ!」

「我が手を受けてもさして応えぬとは、誠に、誠に許し難い!」

 

今度は、邪悪な水弾を5つ作り出し、それを自在に操ってくる。

 

この手の攻撃は見慣れているが、5つという量は厄介だ、それにそこそこ大きい。間を抜けて跳ぶのも一苦労だ。

 

そして、続けて放たれる水流。こちらの動きを制限して水弾に当てようとする戦術だろう。実際にそれは躱しきれずに水弾のダメージを受けてしまった。

 

1発、20%ほど。これは喰らい続けると厳しい。

 

一旦深呼吸をする。冷静に、動きを見きれ。

どんな奇想天外な敵でも、その攻撃にはパターンが存在する。それは、魂がもつ癖のようなものだ。

 

そうして、2分ほど猛攻を躱し続けた。

 

「何故だ、何故当たらぬ!」

「戦いの経験だ。僕は、ファイターとしてはそう強くはないのかもしれない。けど、それでもあの戦いを生き抜いて、戦い抜いてきたんだ!」

 

「僕には見えるぞ!お前の倒し方が!」

「小癪なぁ!」

 

右腕の振り払いが来る。まずはその場回避で抜ける。

左腕の振り払いが来る。これもその場回避で抜ける。

そうすると、頭での叩きつけがやってくる。それを横にダッシュで回避して、横スマッシュを叩き込む。

 

この動きは、パターンは取れている。

 

「ならば、これはどうだ!」

 

放たれる5つの水弾。それを、大きくなる前に青銅の刀による空Nや空前で払いのけていく。すると、力は霧散して巨大になる前に消える。

 

そうして出来た安全地帯から、空中でNBを放ってハイドラにダメージを与える。

 

「なんだ⁉︎何なのだコレは⁉︎我は何を相手にしている⁉︎戦いが続くたびに強く鋭く洗練されていくこの強さはなんだ⁉︎」

 

「我が血の力では決してない!あの女の血でも決してない!神の力でも決してない!悪魔の力でも決してない!理解できない!何なのだ、何が貴様を強くする⁉︎何が貴様に力を与える⁉︎仲間の絆とやらか⁉︎透魔王の歌とやらか⁉︎一体、貴様は何なのだ!カムイィイイイイイ」

 

「決まってる。僕は、1人の!」

 

「ファイターだぁああああああああ!」

 

そうして、だいたいの攻撃を回避し。時に相打ち覚悟でダメージを与えることで両手と頭を破壊することができた。

 

 

「これが、お前の正体か。ハイドラァ!」

「まだ終わらぬ!我は透魔竜ハイドラ!世界を犯す災厄の竜!たかがひとりにやられてなるものかぁ!...ッ⁉︎」

 

そのコアには、しっかりと矢が突き刺さっていた。

深く、深く。

 

そうして、その矢をキッカケに手裏剣や暗器、投げ棒や手斧といった遠距離から攻撃できる手段は全て放たれていた。

 

「1人じゃないのよ、カムイは」

「そうですよ!カムイ様は、カムイ様なんですから!」

「フェリシア、理由になってないわ」

「おのれぇ!」

 

そうして、コアからのブレスで反撃がされるが、それを防いだのはリリスだった。

 

「えい!」

 

ブレスを、しまうというむらびとさんのような技によって。

 

「な、我が力が何故そこに⁉︎」

「...私も、あなたの娘だからです。お父様」

「そうか、あの時あの残りカスが戦いを選んだ理由が貴様かぁ!」

 

そして、その言葉を聞く前に信じて前に出た3人の剣士。

 

ラズワルドと、ルーナと、オーディンだ。

 

「あいにくと」

「デカブツ退治は!」

「我らの得手とするの所なのだ!」

 

すれ違いざまに放たれる3つの斬撃が的確にコアを傷つけ、最後の切り札を叩き込める穴をこじ開けてくれた。奴を倒す為の、風穴を!

 

「「「「「行け!カムイ!」」」」」

 

「ああ、これで最後だ!チャージ切り札解放!激流咆!」

 

水流にてハイドラコアを上に飛ばし、風穴に竜の力の全てを込めたブレスによって貫き破る。

 

「こんな、コトが⁉︎私は、ワタシは...」

 

そうして消し飛ぶその寸前に

 

「...ああ、ミコト。カムイは、大きくなったな」

 

そんな言葉が、聞こえた気がした。

 


 

エピローグ

 


 

「えー、ではこれより。透魔商社の起業祝いパーティーを始めます!白夜王国の方、暗夜王国の方、思うところは多々あるとしても、互いの利益とその先の笑顔の為に今は同じ方向を歩いて行けると信じています!では、乾杯!」

 

ハイドラを倒してから、半年が経った。

 

まず、変わったことといえば呪いがなくなったこと。それにより透魔王国の存在が認識され「実は俺、透魔の人間だったんだ!」と気づく人々がそこそこに出てきた。普通なら今の生活を保つのだが、忠義の深い者たちは透魔の姫君であるアクアの元に集まるようになった。

 

それが、現在の透魔商社の社員たちである。

 

正直人材集めに関してはエリーゼに頼んで暗夜のスラムから使えそうなのを教育していくしかないと思っていたからこれは朗報だった。

 

まぁ、持ち上げられるアクアとしては微妙な感じをしていたが。きっと白夜でもここまで持ち上げられたりはしなかったので戸惑っているのだろう。

 

だが、暗夜と白夜の戦争が終わったかといえば、実の所そうではない。ガロン王を操り、ミコト様を暗殺しようとしたハイドラを倒すという目的があった為に休戦していたが、それがなくなった今は純粋に互いの国の為を思って諸侯は戦端を開いている。

 

白夜側は、新体制になって落ち着く前に暗夜の戦力を削ぐ為に。

暗夜側は、これからの新時代において少しでも暗夜の立場を白夜の上にする為に。

 

その2つの思いから暴走する諸侯は多く、未だ完全なる休戦は成立していなかった。

 

しかし、これからは変わる。変えてみせる。

 

白夜と暗夜、2つの国を結ぶこの商社の目的は、公正公平で継続的な貿易の実現。

 

現在の戦争国家暗夜王国を作り上げたキッカケである白夜の食料輸出規制戦略をさせない為の、決して途切れないパイプライン。

戦争国家暗夜王国に対抗する為の武器の原材料、主に鉄鉱石などを継続的に輸入する為の決して途切れないパイプライン。

 

それを、暗夜白夜分け隔てなく繋げるのが、自分達透魔商社の役割である。

 

これを機に、白夜の商人は大口の食料輸出先として透魔商社を利用し、暗夜の商人は大口の原料輸出先として透魔商社を利用する。

 

それが、未来の平和につながる実現可能なプランだった。

 

「俺は、白夜王国の為ならなんでもするだろう。貴君のジークフリートと剣を合わせることだとてな。マークス新王」

「構わない。私とてそうだ。私は暗夜王国の為ならなんでもする。それが貴君の雷神刀と剣を合わせることでもな、リョウマ新王」

 

そして、その戦争中の両国家の新王は、現在このパーティーに参加している。他の白夜のきょうだいも暗夜のきょうだいも共にいる。

 

そして、彼らを束ねる2人の王は、物騒な事を言い合いながらもしっかりと手を握り合っている。後ろ手にナイフを持つような真似をせず。しっかりと。

 

レオンとタクミのように一見相性の悪い者も、エリーゼとサクラのように一瞬で親友になった者もいる。

 

この多種多様な光景が、自分達が作る未来だと信じたい。

そう思って、配膳の仕事をしている実の妹を見る。

 

彼女は、商社の高い地位を望まなかった。故に、今でもジョーカーの元で自分のメイドをやってもらっている。

そのうちこっそりと商社の仕事を回して、その功績で取り立てるつもりでいるのはリリス以外の皆の知るところではあるが、それはいいだろう。

 

「さて!ここにいる皆様方にお聞きしたい事があります!」

 

「金色の、刃が回転する刀について情報を持っている方はいらっしゃいませんか?」

 

まずは、透魔商社を作るキッカケになってくれたあの戦いの立役者、あのチェーンソーを探せるまでの組織になる事。それが、当面の目標だった。




ちゃっかりとパラレルプルフでクラスチェンジしたオーディンさん。まぁテンプレなんですけども。

というわけで、ここからはダイレクトマーケティングタイム!

7/26日、ニンテンドースイッチにてファイアーエムブレムの最新作、ファイアーエムブレム風花雪月発売です!主人公は士官学校の教師となり、ほかの教室の可愛い子達をスカウトしまくって最強の教室を作るゲームになるでしょう!(推測)

ゲーム性としては最高クラスの暗夜を経て作られた最新作です、手ごわいシミュレーションを期待するクラシックなあなたも、キャラクター可愛いのでスカウトしまくりたいカジュアルなあなたも大歓迎!

しかも今なら、ニンテンドースイッチオンライン加入者特典、二本でお得ニンテンドーカタログチケットにより、ほかの好きなソフトとあわせて1万円で買う事ができるのです!お得!

さぁ、買うのです!


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あとがき & 異界を渡る元村人

投稿時間を執筆終わりのテンションでやったせいで、これUA伸びないぞ!という不純な動機から、自分には珍しくあとがきなるものを書かせていただきたいと思います。

 

この作品の元になったのは、暗夜側で経済戦争をする転生者カムイという妙な設定を思いついたからです。剣の腕はからっきしでも、前世の知恵で政治を回して暗夜王国の闇を暴く!みたいなのでした。

 

まぁ、ボツになったんですけどねー。ハイドラさんの洗脳が強いのと、ガロン王に関しては力技しかどかす方法はないと分かってしまったので。

 

転生特典でスーパーパワーを与えるのもなんか違うなーと思いながらゲームをして気分転換をしました。

 

そう、スマブラspを。

 

そこから出てきた狂気の発想が、この作品の元になりました。

 

ただちょっと残念なのは、大乱闘に参戦する!からストーリーを組み立てると無駄に長くなってしまうことなのでした。両国の兵士全てをバーストするカムイ無双!というシーンは浮かんだものの、じゃあその先は?どうやってきょうだいを説得する?となると面倒なイベントがちらほらと。

 

なので、ばっさりカットできるようにする為に一章スタートにしたのでした。

 

後は大体ノリで書きました。執筆の途中にスマブラでカムイくんを使ってルキナに連敗しまくって戦闘力が一万まで落ちたのもいい経験です。そのトラウマをどっかで入れたいと思ったのですが、マベコンを使いそうな剣士キャラがオーディン(剣持ち)くらいしかいなかったのであえなくボツに。カムイくんDAにマベコン合わせられると一方的になぶられるんですよ。

 

さて、ここからは本編の話。

 

この小説で気をつけた事は、笑って読める小説にする為に死者を出さない事でした。ガロン王による白夜兵の殺害、ガンズによるギュンターの殺害(みたいなもの)、リリスの献身など、ファイアーエムブレム ifは序盤から割と容赦のないストーリーでしたので展開にはかなり慎重になりました。ガンズを無限渓谷に落とそうかとも思ったのですが、流石にカムイくんにそれはやらせるのは芯がブレるなぁと思ったので、ガンズさんは馬車で暗夜に逃げ帰ってもらいました。

 

この時点で、ifにスリープの杖ってなかったわと気付かなかったのは作者の最大のミスでした。レストみたいなのもなかったやん、と調べて思い出したのもこの時でした。なので勝手に作った無病息災という杖。捏造です、申し訳ありません。

 

戦闘は、基本的に吹っ飛び率の高い兵士たちにカムイくんが無双するというものでした。敵に何もさせないで倒す事ができるのでちょっと最強系の小説が書きやすい理由がわかった気がします。まぁ、白百合の騎士の方ではこれから苦戦が続くので無双を書ける機会はだいぶ先になると思いますけどねー。という自作のステマをしてみたり。

 

ただ、この小説の反省点としましては、キャラの口調がものすごく怪しいという事があります。うろ覚え知識とかわき茶亭さんの会話集を頼りに書かせて頂いたのですが、やはりどうしてもキャラがブレてしまいました。この辺は反省点ですねー。まぁ、準備期間ほぼゼロにしては頑張った方だと自分では勝手に思うのですが、それは読者様方にとっては関係のない事。やっつけ仕事でクオリティ下げているなって話ですよねー。

それが故に減らない誤字報告の数々。本当にお世話になってます。

 

さて、こんな駄文をダラダラと書き連ねるのもなんなので、ちょっとした短編を挟んでここは終わりにしたいと思います。

 

村人が、勇者に会った日の事です。どうぞ

 


 

「おっ母ぁ!」

「モズメ、逃げて!」

 

ノスフェラトゥが、献身的にモズメを守った母親を壊す。まるで、おもちゃか何かのように無残に。

 

それを見て、モズメは思った。戦わなくてはならないと。

 

苦しみも、涙も、全て後でいい。いまは、隣のロスさんのウチにある鉄製の農具でこいつらを1匹でも、地獄に送らなければならないと。

 

しかし、そんなのは夢物語。まだただの少女だったモズメは、走りきる前にノスフェラトゥに捕まり。その憎しみを胸に死んでいくだけだっただろう。

 

突如空いたその穴から、神速の手斧が投げ込まれてノスフェラトゥの頭が切り落とされるまでは。

 

そうして、戻ってきた手斧を手にした男性は、モズメを背に庇い言った。

 

「よくわかんねぇ状況だけど、おらが君を守るべ」

「...あんたさんは?」

「おらはドニ。まぁ、迷子をしてるだよ」

 

そんなふんわりとした空気なのに、その背中は太陽のように暖かかった。

 

そして、思った。この人は、勇者なのだと。

 


 

それは、1人の勇者とこれから弓聖になる元村人の話。

 

ただの村人でしかなかったその男は、邪竜ギムレーの計略全てを力でねじ伏せて生き延び、「あ、コイツ駄目だわ」という理由で異界に追放されるほどの勇者となった。

 

しかし、その異界の先で、どんな苦境でも笑いながら「絶対、帰るべ!」と言い続けるその男には様々な世界の神が力を貸し、彼は異界を渡る英雄となっていた。

 

そうして、今日もまた通りすがってその心根のまま人を助ける。

 

鍋の兜を、いつか会える子供への目印にする為に。

 


 

そんな勇者を見たモズメは、その心と力に憧れ「自分もただの村人だったべ。モズメちゃんも、いつかはきっと強くなれる。だから、ちゃんと生きるんだよ」という心の師の言葉を胸に弓を取った。

 

生き残り、強くなり、いつかあの太陽の背中のように人を助けられるようになる為に。

 

そうして、モズメは周辺の村を救援に回っていた白夜軍に見込まれて、ハイドラ討伐隊へと加入するのだった。

 

 




ドニキは、モズメが白夜軍に引き取られた後すぐに次の世界に旅立ちました。その先の世界では緑が豊かで、そして多くのギムレーに殺された人々の墓があったのです。

ドニはその地を見て、ああ、子供たちはやってくれたのだと感じたのです。

「さて、今度は皆を探すべ!子供達の名前がないって事は、多分他の世界に行ったべさ!旅を続けていればいつかどこかで会えるべよ!」

勇者ドニの旅は続く、いつか、家族と出会えるその日まで。

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という小ネタでした。というか、ギムレーってどうやってドニキを殺したんでしょうねー、太陽での回復、超高確率の武器節約スキル、そして高すぎる成長率により戦うたびに強くなっていく恐ろしさ。



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