指揮官と少女達の絆 (氷野心雫)
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始まりの戦い

別の作品の合間、合間に書きますので、投稿は不規則です。

プロローグというか、若干あらすじかも知れません。


ある日、宇宙の何処からか、それとも異次元の世界からか、得体の知れない侵略者達によって、平穏な日常に終わりを告げる。人類はあらやる手段で殲滅を試みるも、その侵略者達に太刀打ち出来ず、徐々にその数を減らす人類。滅亡のカウントダウンはすでに終わりを告げようとしていた時だった。絶望的な状況、しかし、一人の青年が立ち上がり、侵略者達の侵攻を止めた。青年は数人の少女達と共に、侵略者達に立ち向かう。青年と少女達の活躍によって、平穏な日常が戻り、地球は平和を取り戻す。

 

 

 

 

筈だった……

 

 

 

 

それから、数十年の時が経ち、再び侵略者達が侵攻を開始する。すでに侵略者に対しての兵器を人類は掴んでいた。それは、かの有名な戦艦を擬人化、兵器として利用する事。ただし、擬人化出来るのは、その素質のある者のみ。そして、その素質は、産まれた時に分かる。産まれた時に小さな手の中に握られている淡い水色のキューブ。そのキューブから召喚されたのが、擬人化した戦艦達だった。しかし、産まれて間もない赤ん坊に、そのキューブを扱う事は出来ない。しかも、その赤ん坊が16歳にならないと召喚する力が発動しない。赤ん坊達が、無事に成長するまで、人類はすでに召喚された戦艦少女達と共に戦い守り抜いた。

 

 

 

 

16歳迎えた赤ん坊達は、立派な少年達へと成長。新たな戦艦が召喚、擬人化していく。戦力が増え、人類は侵略者達との守りから、攻めに転じ始める。人類の反撃に、侵略者達は再度退いた。ようやく訪れた平穏。人類は再び侵略者が攻めてくる事を予測し、キューブを持つ赤ん坊を探し始めたのだった。キューブを持つ赤ん坊は、ほとんどが親の遺伝子によるものと研究で判明している。父親からの遺伝子が100%。それ以外からの確認が取れなかったのが、その理由である。故に、政府は父親の遺伝子情報を一番に集めていた。それと同時に、素質のある赤ん坊が、擬人化した戦艦少女達の指揮官として自覚するための学習機関『指揮官養成校』を立ち上げる。この学校に通う少年達は、将来を約束されたも同然だった。やがて、その優越感が歪みを生じさせ、自身が召喚した戦艦少女達に歪んだ想いを募らせる。ほとんどの戦艦少女達は美人、または可愛い。見た目もそうだか、身体も色っぽさがあるもの、ツンデレな性格。ヤンデレ、甘えさせてくれるお姉さん系、姉御系。様々で、思春期の少年達はどんどんハマり、やがて指揮官としての自覚は無くなり、自身の欲で動くようになっていった。そして、気が付けば、侵略者達の思惑に踊らされていたのだった。人類は三度目の危機に瀕する。そして、物語は一人の赤ん坊の誕生から始まるのだった。




今回は、プロローグのみで申し訳ありません。次回から、本編始まります。


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運命の子




突如、内閣府官邸に鳴り響く電話機。この国のトップが受話器を取った。

「……私だ、何の用だ」

苛立ちを隠す事なく話す。そのトップは、驚愕の表情で勢い良く立ち上がり。

「何だと!?それは確かか?……分かった。すぐに準備しろ」

震える手で受話器を戻し、深々と椅子に腰掛けた。

「……遺伝子データに載っていない、素質の子か」

ポツリとこぼし、トップは不敵な笑みを見せる。何の前触れもなくもたらされた情報に、内閣府は混乱が起こっていた。

 

 

 

 

過疎化の進んだ山奥の集落

 

 

 

 

民家の少ない集落に、不釣り合いな高級外車が一件の家に止まり、黒スーツの集団が一斉に降りてくる。その光景を、集落の重鎮達が怪訝な表情で見ていた。築年数がかなり進んでいるその家は、何の変哲もないただの民家だ。所々に長年の雨風で傷みが進み、屋根には割れた瓦も数ヶ所ある。黒スーツの集団に囲まれる様に、国のトップがその家に近付いた。玄関の前に立つと黒スーツの一人が、インターホンを押す。家の中で誰かが近付いてくる足音。ガチャリと鍵が開き、ゆっくりと扉が開いた。そこに立っていたのは、見た目30代くらいの細身の男性。その男性は黒スーツの集団を睨んだ。

「……どちら様?」

「我々は政府の者です。こちらの方は、今の内閣総理大臣」

「帰れ」

男性は言葉を遮り扉を閉めた。国のトップ、総理がインターホンを押す。しかし、扉は開かない。

「水瀬さん、お願いです。お話させて下さい」

「話す事はない。帰れ」

「貴方に無くても、こちらにはあります」

「それは俺には関係ない」

「…そうですか、しかし、我々は帰りませんよ。貴方のお子さんに会うまでは」

頑なに閉じられた扉を見つめ、総理は小さなため息を吐く。

「貴方のお子さんは、この国の戦力になる。例え、本人が拒否をしたくても逃げられない運命」

「……子供の命を差し出せと言いたいのか?」

「それは保証出来ません。……が、我々は全力でお子さんのサポートします」

「………俺は認めない…」

「恨まれる覚悟はしています。憎まれるのも、蔑まれるのも覚悟しています。しかし、どうかお願いします。一人でも素質のある子がこの国には、否、この世界には必要なのです」

総理は扉に向かって頭を下げた。扉の向こうに立っている男性からは見えない。それでも頭を下げ続けた。しばらくの静寂。ガチャリと扉の開く音。男性は苦悩の表情で総理を見た。

「……まだ認める事は出来ないが、会わせても良い」

そう言って、家の中に入る様目配せした。総理は少し目尻を下げ。

「ありがとうございます」

そして、一歩中に入る。黒のスーツの集団は、家の外で待機。総理と秘書の一人が部屋の奥へと通された。通された場所は、どうやら居間だったらしい。だが、居間には見えない空間が広がっていた。寛ぐ為の椅子やテーブル、テレビ等は無く、あるのはベビーベッドのみ。男性がベッドの側に立つ。総理も同じ様に近付いた。

「……こ、これは!?」

驚愕の表情の総理。隣にいた秘書も目を見開き驚いていた。ベビーベッドで寝ていた赤ん坊の周囲を無数のキューブが浮遊していたからだ。

「…なんて……数なんだ。信じられない」

「どうした」

「…いゃ、その…水瀬さん、お子さんは産まれた時からこの状況、つまりキューブを?」

「…?」

総理の問いが良く分からない様な表情を水瀬がした。

「言っている意味が分からない」

「ですから、出産時の状況を知りたいのです。水瀬さんのお子さんは最初のキューブ、幾つありましたか?」

「最初からこの数なんだけど?……っあ、でも最近増えた感じもあるかもな、把握してないから正確な事分からん」

水瀬の言葉に、総理も秘書も開いた口が塞がらない。呆然としながらも、キューブに目をやり、一番近くを浮遊していたキューブに、そっと触れようと指を近付けた。触れる直前、キューブから電流が弾け、暴れまわる。その様子に、キューブ全体が電流を弾けさせながら部屋の中を回り始めた。

「何してくれてんだ!」

水瀬が怒号を上げる。総理は青ざめ、立ち尽くしていた。

「……あ…う」

緊張感のない可愛らしい声。その声の主を見ると、さっきまで寝ていた赤ん坊が目を覚まし、総理を睨んでいた。次の瞬間、赤ん坊が小さな手を天井に向け。

「…うう…あう」

赤ん坊の声に、キューブ全体が電流の放出をやめ、素早い動きで赤ん坊の回りに集まる。一つのキューブが赤ん坊の頬に触れた。キューブを優しく掴む赤ん坊。そして、また眠りにつく。

「……今のは」

「いや、俺も初めて見た。大体、この状況になった事が一度もなかったからな」

何も言えず、ただ赤ん坊を見つめる総理。

 

(……こんな事、聞いた事がない。しかも、まるで意思があるような動き、もしかしたらこの子供、今までの子供達と違うのでは?)

 

総理は赤ん坊とキューブを見つめ続けた。




全体的にコンパクトなお話を書くと思います。短編なだけに…(うん、ツッコミが欲しいね)

多分、進むに連れて長めになるであろうと思っています!


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二人の女性と若い指揮官

続きをどうぞ


衝撃的な光景を目の当たりにしてから数時間が経過。内閣府官邸に戻る車内で、総理は数枚の資料に目を通してした。資料には、あの赤ん坊と両親の情報が書かれている。その中でも赤ん坊の出産時の情報を食い入るように見つめる総理。

 

水瀬猛海(みなせたけみ) 性別 男

『父、淳と母、圭子の間の第一子。出産時の状況、複数のキューブと共に産まれ出てくる。子供は健康そのものである。へその緒等の処置の際に、特に異常なし。ただし、出産後、母である圭子は死亡。キューブとの因果関係は不明。』

 

総理は小さなため息を一つ。

「……水瀬猛海。彼はもしかしたら」

窓の外を眺めながら、静かに決意する。

 

 

 

 

それから五年の月日が流れた。周囲の大人達に見守られながら、猛海はすくすくと成長。時に悪戯をしては怒られ、猛海は元気に走り回る。勿論、猛海の回りにはキューブ達が浮遊。猛海とじゃれるように回る。その様子を離れた場所から、黒スーツの男達が監視していた。それは集落の住民も猛海の父親も知っている。最初、監視する事を反対していた住民もいたが、猛海に危害が及ばないと分かると、反対する事も無くなっていた。

「……今日も特に異常なしか」

猛海を監視している者からの報告書を読み、総理はポツリと溢した。

「あれだけのキューブの数、どうしたら手に入るのでしょうか?」

「…さぁ、それは今の段階では分からない。しかし、不思議な子供だ」

秘書の問いに、総理は淡々と答えた。秘書もため息混じりに書類を見つめる。書類を机に置き、椅子から立ち上がる総理。ゆっくりと窓の外を眺め。

「まぁ、いずれ何か変化があるだろう。その時を待とう」

「そうですね」

 

 

 

 

 

さらに月日は流れ、猛海、十歳を迎える。元々、過疎化の集落。児童数は少ない学校に猛海は通っている。そんな中、一人の児童が猛海を虐めていた。

「お前、この村から出ていけよ」

「……」

「鬱陶しいだよ。何だよ!いつも変な物引き連れやがって」

そう言って、キューブを指差す。猛海の回りにはキューブが浮遊している。その数は、年々増えていた。出産時、ざっと30個位のキューブだったが、今は50位は超えている。一つ一つの大きさは小さいが、数が多ければ、嫌でも目に入ってきて、見ている者には異様に映るのだろう。

「何か言えよ!」

肩を押され、バランスを崩す猛海。彼は何も言わない。ただ、無言でその児童を睨んでいる。それが余計に気に障り、児童は猛海の胸ぐらを掴んだ。

「……ご主人様に触れる事は許しません」

猛海の胸ぐらを掴んだ児童に、一つのキューブが反応する。バチバチと電流を弾けさせながら、猛海と児童の間に入ってきた。いきなりの事に、児童が後退り尻餅をつく。キューブはゆっくりと猛海から離れ、光を増し、そして。

「……初めまして、ご主人様。ベルファストでございます。すぐの召喚で、不慣れではございますが、ご主人様のお世話をさせて頂きます」

メイド姿の女性が現れ出た。スカートを軽く摘まみ、恭しく頭を下げ、礼をする女性。これには猛海も驚いた。

「……ベルファストさん、指揮官様を心配されるのは理解出来ますが、先走りは良くないですよ」

ベルファストと名乗った女性の横に、別のキューブが近付く。そして、同じ様に光を増し、そこに着物姿の獣耳の女性が現れた。

「……初めまして指揮官様。天城でございます。私も指揮官様のお世話をさせて頂きますので、以後宜しくお願いします」

女性二人は、猛海を優しく見つめている。猛海は見惚れていた。何故なら、二人とも美人だったからだ。メイド姿の女性は、銀髪の長い髪を後ろで軽く纏めて流している。目鼻立ちはくっきり。着物姿の獣耳の女性は、何処か儚げで、日本女性の大和撫子を連想させた。その上、二人ともスタイルが良く、巨乳。猛海だけでなく、そこにいた男の子達は胸を高鳴らせる。

「ベルファスト、天城良いなぁ。私達も早く指揮官様にお逢いしたい」

「仕方ないですよ。もう少しの辛抱です」

周囲に浮遊しているキューブから声が上がる。その声は女性。猛海の身体に触れる様にクルクル回る。猛海はキューブ達にされるがまま。ベルファストと天城は微笑んでいる。

 

その日の夜

 

猛海は内閣府官邸にいた。目の前にいるのは、総理と秘書。そして、猛海の後ろでベルファストと天城が寄り添い、総理を見つめている。猛海の父もそこにいた。勿論、キューブ達も浮遊している。総理と秘書は驚きを隠せてはいないが平静を保とうと、軽く咳払いし、猛海達に椅子に座るよう促す。猛海は素直に従い、座ったがベルファストと天城は立ったまま、猛海の後ろに控えた。

「…いや、驚きました。こんな事、初めてです」

「何がですか?」

「詳しい事はまだ解明されていませんが、戦艦少女達を召喚出来るのは、16歳を過ぎた少年達だったもので。まさか、10歳で召喚するとは。しかも、召喚する装置も使わずに」

総理が言っているのは、本当である。今までの召喚は、政府が開発した戦艦少女達を召喚する装置で、召喚させていた。しかも、素質のある男の子が、16歳を迎えてようやく出来る事である。それを猛海はどちらも無しで召喚したのだ。

「お言葉ですが、指揮官様は他の方々と違います。一緒にしないで下さい」

言葉に怒気を含ませた天城が言う。勿論、ベルファストの表情も怒りが表れている。

「……申し訳ありません」

総理が頭を下げる。猛海は黙ってそれを見つめていた。今の状況が分かっていない。それは仕方がない事である。猛海はまだ10歳の男の子なのだ。

「…俺、良く分かんないんだけど、ここに呼ばれたのって、何かしないといけないの?」

首を傾げながら猛海が言う。その言葉を聞いて、総理はベルファスト達を気にしながら、猛海を見つめ。

「君は、いずれ戦場に向かわないと行けなくなる」

「戦わないといけないって事?何と?」

「侵略者と。君の後ろにいる彼女達の力を借りて」

そう言って、ベルファスト達に視線を送る総理。猛海は後ろの二人を見た。優しく微笑んでいる二人。しばらく見つめ、総理に視線を戻す。

「何で二人の力を借りないといけないの?俺が戦えば良いんじゃないの?」

「……侵略者を倒せるのは彼女達の力だからだよ」

「おじさん、女性に戦わせるって、それでも男?」

猛海の言葉に、ずっと無言だった猛海の父が吹き出す。猛海は一瞥し、総理を見た。

「君の言いたい事は分かってるつもりだ。しかし、侵略者は普通の武器では倒せない。彼女達の武器でないと」

「良く分かんない。なら、その武器を俺が使えば良いんじゃん」

「指揮官様。私達の武器は、指揮官様にも扱えないのです」

「どうして?」

「……」

「どうして使えないの?みんなの言っている意味が分からない」

「ご主人様」

猛海は身体を震わせ、怒りをみせた。ベルファストが肩に触れる。猛海の腕がベルファストの手を拒否の意思を示す。ベルファストの表情が悲しみに染まる。

「猛海君、君には知識が必要だ。そうすれば、私達の言っている意味が分かる」

「……本当に?」

「ああ、本当だ」

「……分かった」

猛海が小さく頷く。それを確認し、総理は口を開いた。

「猛海君、来月から『指揮官養成校』の特例として転校してもらいます」

「……転校」

「そこで学べば、私達の言っている意味が分かる。彼女達の事も。行くかい?」

猛海は無言。しかし、力強く頷く。そして、そのまま部屋を出ていった。その後ろをベルファスト達とキューブが追う。部屋に残ったのは、総理と秘書。

「上手く言って、あの少年を使えば良かったんじゃないですか?」

「無理だろう。あの二人が黙っていない」

「それは確かに。今までの戦艦少女達と違いますね」

二人は小さなため息を吐く。

「しかし、あの指揮官養成校に行かせるのは、反対です。確かに知識は学べますが、それ以外の問題が悪影響を及ぼしかねません」

「……君の言いたい事は分かっている。対策も万全だ。まぁ、いずれは目の当たりにするだろうが、それも猛海君が通る道だ。我々は見守ろう」

二人は頷き合うのだった。




ベルファストと天城が出ました!これから少しずつ色んな少女達が出てきます。


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若い指揮官の苦悩の日々

立て続けに頑張ってます。


『指揮官養成校』

 

 

 

 

猛海は校門の前に立つ。無言でその学校名が書かれた文字を見つめた。総理との話し合いから数週間。猛海の周囲は慌ただしかった。転校の手続きや寮に入る為の手続き。仲の良かった友人達との別れ。猛海の心情は複雑に絡まる。猛海の後ろでベルファストと天城は無言のまま猛海の後ろ姿を見つめた。その様子を、上級生達が横目で見ながら通り過ぎる。

「おい、あれだろ?特例の転校生って」

「何だよ。ガキじゃん、あんなのが俺らと一緒かよ」

口々に言う。中には。

「おい、あの二人美人じゃん。俺の戦艦と交換出来ねぇかな」

「エロい身体してんな。俺、ヤりたくなったぜ」

ベルファスト達に対しての卑猥な言葉も聞こえてくる。それは猛海の耳にも入ってきた。何とも言えない怒りが猛海を支配する。

「ご主人様。さぁ、行きましょう」

ベルファストが猛海の手を取る。反対の手は天城が握っていた。猛海達が向かったのは、上級生達が入っていった校舎とは違う別館である。それはまだ小学生の猛海の為に、総理が配慮しての事。ただ、別の理由もあるのだが、今の猛海には知る由もない。特例の転校生は、猛海一人。必然的に同級生はいないが、猛海はそれでも良かった。ベルファスト達の事や他に知らなければいけない事があったから。他に、猛海の中で人知れず決心している事も、猛海を強くさせた。その事は、ベルファスト達は知らない。

 

それから三年が経過

 

猛海は中等部に上がる。色々な知識が増える側面、別の問題が猛海を悩ませた。それは、ベルファストと天城の事だ。小学生の時は、性に対して全くの無知だった彼は、思春期を迎え、今置かれている自分の状況に焦りを感じている。特に寮にいる時は気を休めてなどいられない。初めて二人に出逢った時は、嬉しさが強かった。二人は、時に母親の様に。時には姉の様に猛海を見守り、側にいた。しかし、猛海が大人の男性へと成長するにつれ、好意を示し始めていたからだ。

「猛海様」

ベルファストが猛海の側に寄る。頬はほのかに染まり、瞳は潤んでいた。後退る猛海。

「……ベルファスト、近い」

「ベルファストさん、あまり猛海様を困らせてはいけませんよ」

そう言う天城も猛海の側に立つ。左右二人に挟まれ、猛海は悶えた。

「どうしたんだよ。二人共」

「何がですか?」

「何がでしょうか?」

同時に問われる猛海。顔を強張らせ、二人の間を脱兎の如く逃げ出し、事務室へ駆け込む。事務室には、一人の男性職員が座っていた。

「おう!水瀬、どうした?そんなに慌てて」

「小野先生、お願いです。部屋を別々に出来ませんか!?」

「…あの二人と別々にか?それは無理だ。指揮官とそのパートナーは『何時如何なる時も共に行動』がここの決まりだからな」

豪快に笑いながら言う小野。事務職員の小野は見た目30代の男性。体格も良く、男ばかりの寮に、管理人として常駐している。

「なら、せめて広い部屋に移動させてくれ!」

「何だ?身の危険でも感じるのか?」

「……限界なんだよ」

げんなりと表情をさせる猛海。小野は一瞬、目を見開いたが。

「良いじゃねえか、二人共美人なんだし」

「そう言う問題じゃないよ……」

「しっかりしろよ。試されてんだよ、お前。ここの連中は、すぐに欲に溺れたが。お前はまだ平気なんだろ?」

小野が言いたい事に、猛海は理解していた。この学校は、欲に埋もれている。思春期の男の側に、常に綺麗な。若しくは可愛らしい女性がいるのだ。しかも、自分に好意を寄せ、言えば何でも言う事をきく『据え膳喰わぬわ、男の恥』状態だ。その状況が、今猛海にも訪れていた。しかし、猛海はそれを受け入れられない。

「……二人は好きだけど、簡単な気持ちじゃない。でも、身体が言う事を利かないんだ。油断してたら二人を傷付ける」

「俺は二人を受け入れても良いと思うけどな。だって水瀬、二人と関係持っても戦闘に支障無さそうだし」

「……それは」

猛海は、それ以上何も言えなかった。

 

その日の夜

 

猛海は眠れない夜を過ごす。何故なら、セミダブルのベッドに、浴衣姿の天城とパジャマ姿のベルファストが猛海を挟んで寝ていたからだ。部屋自体が狭い為に、セミダブルのベッドと小さなテーブル。ソファー、テレビくらいしか置けない。小学生の時は、三人一緒に寝ていた。しかし、今はソファーで寝るようにしていた猛海だったが、今日の二人はそれを拒み、無理やり猛海をベッドに引き入れる。二人の体温が、薄い生地から猛海に伝わり、猛海の心臓は早鐘を打つ。時折、二人から放たれる甘い香りに目眩を覚えた。無意識に身体が疼く。両腕に触れる柔らかな乳房。猛海は心の中で発狂した。

「……猛海…様」

「…好き…」

二人の寝言。頭の中で何が弾ける音。猛海はそろそろとベッドから這い出ると部屋から出た。そのまま泥だらけになりながら、朝まで走り続けたのだった。

 

 

 

 

それからさらに月日は流れ、猛海は高校生になった。ますます男らしく成長する猛海に、相変わらず、いやそれ以上に好意を示す二人。最初の頃に比べ、猛海も動揺する様子はない。勿論、三人一緒にベッドで寝ているが、猛海は何もしない。

「ベルファスト、天城。出掛けてくるから、先に寝てろよ……それから」

「絶対について来るな。ですね」

「ああ、……お前達も分かっているな?」

猛海は浮遊しているキューブ達に視線を送る。

「…分かった」

「分かったよ」

残念そうにキューブ達がクルクル回る。それを確認し、猛海は部屋を出た。暗い夜道を猛海は歩く。向かっている場所は、校舎の一角、整備場。そこに小さな灯り。猛海は無言で入る。中には整備服を着た一人の男性。その男が振り返った。

「おう!猛海、遅かったな。さてはパートナー達と愛を深めてたか?」

「……小野先生、毎度毎度よく飽きないな」

ため息混じりに言う猛海。小野の手伝いを始める。今、二人は夜な夜なある道具を作っていた。それは、人の足サイズの武具。猛海はその武具を足に装着した。

「どうだ?」

「ああ、ぴったりだ。重さもそんなに感じない」

「……あとは実際に使えるか試すだけだな」

小さく頷く。猛海は一度その武具を外す。

「今から試しても良いか?」

「っは?今からか?」

「試すなら早い方が良い。改善点も見つかるしな」

「…分かった。まぁ、俺は物さえ作れたら言う事ないからな。行ってこい」

猛海は無言で頷き、海岸へ向かった。月の明かりに照らされ、水面がキラキラと光る。風は弱く波も穏やかだ。猛海は武具を装着し、浜から海へ入って行った。

「……発動」

猛海の言葉に武具が反応。猛海を水面の上に立たせた。そのままバランスを保ち、猛海は沖へと走り出る。水面を滑る様に走る猛海。大きく円を描き、力強く水面を蹴った。そして着水。

「…良い感じだ。あとは、どのくらいの持続性があるかだな」

浜辺に戻りながら猛海はようやく笑う。整備場に戻ると小野がいた。

「どうだった?」

「ああ、ちゃんと起動したよ。速度もあるし、水面での着水も出来た。あとは持続性の確認だな」

「そうか、水瀬。俺に感謝しろよ」

「ああ、ありがとう。流石、小野先生だ」

「……やけに素直だな。気持ち悪い」

二人は吹き出す様に笑い、その日は解散した。興奮冷めやらぬ状態で部屋に戻る猛海。ベッドでは気持ち良さそうに寝息をたてる二人。猛海はベッドに入らずソファーに腰掛けた。

「…あらあら、こんな夜更けに、ご主人様はいけない人ですね」

猛海の背後でベルファスト達とは違う女性の声。猛海は咄嗟に振り向き身構えた。フワリと覆い被さる何か。そして、口に触れる温かな感触。猛海の思考は停止した。口からゆっくりと感触が離れ、暗がりの中、目に映るのはメイド姿。

「……君…は」

「初めまして、ご主人様。キュラソーと申します。メイド長のベルファストの様な働きは出来ませんが、精一杯頑張りますね」

そう言うキュラソーと名乗る女性は、妖艶に微笑むのだった。




自分の中で、キュラソーは小悪魔なイメージなんですよ。新たな戦艦少女召喚に、ベルファストと天城はどうする?


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惑わされる指揮官の苦悩

何とか本日三本目の投稿

続きをどうぞ


「ご主人様?どうされましたか?もしかして、キスは初めてでしたか?」

妖艶に微笑んで、ゆっくりと近付くキュラソー。彼女も間違いなく美人だ。何の反応もみせず、固まったままの猛海の頬に優しく触れる。そして、近付く唇。

「……キュラソー、貴女。猛海様に何をしているのですか?」

氷の様に冷たい言葉と共に、部屋の灯りがつく。いつの間に起きてきたのか、ベルファストと天城が仁王立ちして猛海とキュラソーを見下ろしていた。二人の目には殺意が見え隠れしている。

「あら、メイド長。起きていたのですね。今、ご主人様にご挨拶をしていたんです」

悪びれた様子もなく、にこやかに言うキュラソー。その言葉に、微かにベルファストの眉が動く。

「挨拶とは、殿方にキスをする事ですか?」

「あら、違いました?」

ベルファストの問いに、平然と答えるキュラソー。ベルファストとキュラソーの間に不穏な空気が漂う。ベルファストの後ろでは、天城が今にも斬りかかりそうな表情。猛海は慌てる。

「落ち着け、天城。ベルファストも」

そう言って、二人の肩に触れた。ベルファストと天城が同時に猛海を抱き締める。固まる猛海。

「猛海様」

三人の様子を、キュラソーは小悪魔な表情で見つめている。

「ご主人様は、メイド長と天城さんにキスしないんですか?」

「……っへ!?」

唐突なキュラソーの問いに、声が上擦る猛海。ベルファストと天城が猛海から離れ、見つめた。

「メイド長もして欲しいと言わないんですか?」

「……そんな事」

言い掛けて、俯くベルファストと天城。

「キスくらいしたら宜しいのに」

悪戯っ子の様にキュラソーが言う。

「それは難しいよ。君が言う程、簡単な気持ちでは出来ない。それに…」

猛海が二人を見つめ。

「いや、何でもない。悪い、外の空気吸ってくる」

それだけ言うと、猛海は部屋を出ていった。その後ろ姿を二人は悲しい表情で見送る。

 

 

 

 

寮近くの公園

 

 

 

 

猛海はベンチに腰掛け、夜空を無言で見つめた。頭の中をベルファストと天城の表情が過る。

「悲しませるつもりはないんだけどな」

「なら、どうしてキスしないんですか?」

突然、後ろから問われる猛海。声の主は。

「…えっと、キュラソーだっけ?」

「はい、もう覚えて頂けたのですね。嬉しいです」

本当に嬉しそうに微笑むキュラソー。その表情を見つめ、猛海は小さく溜め息をついた。

「さっきも言ったろ?簡単な気持ちじゃ出来ないんだよ」

「……そうですか?ご主人様は複雑に考えすぎじゃないですか?好きならその想いを伝えるべきだと、私は思いますが」

「……キュラソーはさ、今さっき召喚されたばかりで知らないかも知れないけど、ベルファストと天城は」

言いかけた猛海の唇を、キュラソーの指が塞ぐ。猛海はキュラソーに視線を向けた。

「知っていますよ?」

「っえ?」

「私達はキューブの状態からでも、見えているし、聞こえています。猛海様が産まれた時から」

驚きの表情で、キュラソーの言葉に耳を傾ける猛海。

「私達は、猛海様が産まれた時から、恋をしているんです。ずっと。勿論、私も猛海様が好きです」

その言葉に嘘は見えなかった。キュラソーの表情は、恋する女性そのもの。猛海を見つめている。猛海はゆっくりと立ち上がった。

「…キュラソー、俺は」

「はい、猛海様の思うようにして下さい」

ようやく決心がついた猛海は、キュラソーの手を取り、部屋へ戻った。ソファーに腰を掛けて俯くベルファストと天城。猛海は二人に近付く。その場に膝をつくと、覗き込むように二人の表情を見た。

「…猛海様、私達は」

「ごめん、二人共。俺は悲しませるつもりはなかったんだ」

そう言うと、二人に軽く口付ける。いきなりの事に、二人は顔を真っ赤に染め、驚いていた。

「ごめんな、本当は初めて俺の前に来てくれた時から、二人が好きだったんだ。でもあの時から色々ありすぎて考えないようにしてた」

今にも泣き出しそうな二人。猛海は二人の頭を優しく撫でた。勢い良く抱き付く二人を猛海は支えられず、そのまま床に押し倒される。次の瞬間、猛海は狼狽えた。それは、二人が服を脱ぎ捨て、産まれた姿になったから。

「…な…何してんだ!?二人共」

「ようやく、私達の想いが猛海様に届いたのです」

「猛海様、どうかこのまま私達を抱いて下さい」

二人の後ろでは、キュラソーも同じように服を脱ぎ捨て、立っていた。

「…キュラソー?」

「猛海様、メイド長と天城さんの後で、私も愛して下さいね」

静かな夜に、猛海の悲鳴が木霊したのだった。

 

 

 

 

それから、数ヶ月が経過

 

 

 

 

ベルファスト達三人と猛海の生活が続いていた。あの日、猛海は無我夢中で逃げ出し、貞操の危機は守られている。がしかし、女性は強いもので、二人の時より三人になるとここまで強くなれるものなのかと感心してしまう。三人は、あの手この手で猛海を誘惑してくる。それを猛海は何とか理性で押し込め、今現在も三人に手を出していない。ただひとつ変化があるとすれば、1日一回は三人を抱き締める事だ。今日も朝から天城が猛海に甘えてきた為、猛海は優しく抱き締める。それでも、猛海は油断出来ない。それは、天城の身体から放たれる甘い香りのせいだ。他の二人もそれぞれ異なる甘い香りを放ち、猛海を惑わす。所謂、フェロモンだ。それだけならまだ良い。三人共スタイルが良く胸も大きい。抱き締める行為は、必然的に三人の柔らかな胸が押し付けられ、猛海の理性を崩しに掛かるのだ。

「猛海様、もう大丈夫ですわ」

猛海が悶々としていると天城が腕を離しながら言う。猛海はゆっくりと腕を退けた。そのまま上目遣いで猛海を見つめる天城。その瞳は潤んでいる。無意識に猛海は天城にキスをした。気が付けば長い時間、唇を重ねている。猛海の身体を天城が軽く押すと、猛海は抵抗する事無く押し倒された。啄む様なキスを二人は続けている。猛海の手が天城の頬に触れた瞬間。

「…猛海様、酷いです。私にもして下さい」

ベルファストとキュラソーが頬を膨らませ、二人を見ていた。我に帰る猛海。

「…いゃ、今のは」

「猛海様、御馳走様でした」

猛海の上に覆い被さっていた天城が妖艶に微笑んだ。生唾を飲み込む猛海。

 

(しまった。天城の色気に当てられた)

 

そう心の中で頭を抱える猛海だった。

 




次の投稿は未定ですが、出来れば週一で上げたいと思ってはいます。


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触れて良いのは

続きです。どうぞ


『指揮官養成校』校長室

 

 

 

 

校長に突然呼ばれた猛海。部屋に入ると、校長と猛海をこの学校に転入させた総理がそこにいた。

「やぁ、久しぶりだね。見ない間に立派に育ったな」

にこやかに笑い言う総理。その横で校長が猛海に座るよう促す。軽く頭を下げ、猛海は椅子に座った。その後ろには、ベルファスト達が控えている。ただし、表情は暗い。総理はベルファスト達を見た。

「一人増えているね」

「……キュラソーです」

猛海の言葉に、キュラソーが総理を見る。その視線に目を細める総理。

「猛海君に今後の話をするつもりだったが、その前に別の話をさせてもらっても良いかな?」

部屋の空気が一瞬で暗くなる。これから話す内容を、猛海は何となく分かっていた。

「……昨日、君の部屋で爆発があったと聞いている。爆発の原因は、彼女達だとも報告を受けた。本当かね?」

総理の問いに、黙って頷く猛海。話は、日付が代わる深夜に遡る。猛海はいつもの様に、小野と新たな武具作りに勤しんでいた。

「…水瀬、お前そろそろ話した方が良いんじゃないか?」

作業の手を止めずに小野は猛海にそう言った。

「何が?」

「お前のパートナー達に、お前が何をしているのかって話だよ」

その言葉で猛海の手が止まる。小野は視線を猛海に向けた。

「……いゃ、まだ駄目だ」

「そうか、でも。俺はそろそろヤバイと思うんだよな」

「……?」

猛海が首を傾げる。

「お前、自分のパートナーが周りの指揮官候補の奴等からどう見られているのか考えた事あるか?」

小野に向き直る猛海。

「毎日、夜お前が出掛けて、遅くまでいないって意外と知られてんだよ。だからさ」

小野の言葉を遮り、静かな夜に響き渡る爆発音。猛海は寮の方を見た。

「……あぁ、予想的中」

小野が頭を抱えてしゃがみ込んだ。猛海の表情は無だ。青ざめている。そして、寮の方に走り出したのだった。

 

 

 

 

一方、ベルファスト達はいつも悩んでいた。いつからか、猛海が夜遅くに出掛け、帰りが遅い事に。彼女達にとって猛海は心の拠り所であり、愛する人でもある。それは猛海が産まれた時から今現在、そして、これからもずっと変わらない。彼女達が猛海に惹かれたのは、魂の輝き。その輝きは、彼女が今まで出逢ってきた指揮官達よりも大きく、温かかった。

『……あぁ、何て眩しく、温かい輝きなんでしょう』

『とても落ち着くよぅ』

『この人の側にいたい』

沢山のキューブが引き寄せられる。キューブ同士は互いを干渉しない。同じ空間に浮遊するだけだった。それから、数ヶ月が経ち、猛海産まれる。猛海の魂の輝きは、赤ん坊であるにも関わらず強く、その強さに遠く離れていたキューブも引き寄せられた。ある日、知らない男が家を訪ねてくる。それは、あの時の総理。総理はキューブの一つに触れる。言葉を話せない彼女達は激昂した。それから、数年が経過し、猛海はすくすくと成長。魂の輝きはより強くなる。その強さに、彼女達も変化が芽生えた。干渉しなかったキューブ同士は、協力し合い猛海を見守る。そしてあの日が来た。猛海が虐められ、胸ぐらを掴まれた瞬間。ベルファストが一番に動いた。

 

(ご主人様に触れるのは許せません!)

 

沸き上がる怒りから、自ら召喚したのだ。そして、それは天城も同じだった。彼女も内なる怒りにより自ら召喚。その他のキューブもあの日を境に、猛海の側を離れなくなる。日々、成長していく猛海。彼女達は魂の輝きだけではなく、猛海の心にも恋に堕ちていく。猛海は、戦艦である自分達を、兵器ではなく女性として見ていてくれたから。まだあどけない少年が、時折見せる男の色気に彼女達は虜になった。そして今は、大人の男に成長した猛海に、沸き上がる欲情を抑えられない彼女達。

「……あぁ、猛海様」

すやすやと寝ている猛海の横顔を見つめながら、天城が声を上げる。猛海を挟んで、反対側で横になっているベルファストも同じように見つめていた。

「……猛海様」

猛海の首筋に唇を寄せ、息を吸い込む二人。

「…はぁ……キスしたい」

うっとりと見つめ、二人は言う。

「……んん」

眉間にシワを寄せながら身動ぎする猛海。咄嗟に二人は身体を退ける。一瞬、目蓋を開けた猛海だったが、再び眠りにつく。彼女は見合わせるとゆっくりと横になり、眠りについた。

 

 

 

 

キュラソーが召喚された日。実はキュラソー自身が召喚したのだ。猛海の魂の輝きは、猛海本人の意思など関係なく、彼女達の強い想いが召喚をさせていた。そして、キュラソーもベルファスト達と同じように猛海に恋をしている。他のキューブ達も。

「……猛海様は、いつも何をしているのでしょうか」

「分かりません。聞いても答えてくれませんし、絶対について来るなと言われますから」

「まだ、キューブのままの子達にも釘を刺すくらいですしね」

『指揮官には、指揮官の考えがあるのだろう』

「エンタープライズは心配じゃないのですか?」

『私は指揮官を信じるのみだ』

キューブがクルクル回る。

『……それより、最近怪しい気配がする』

『ビスマルク、本当か?』

『あぁ、何か嫌な予感がする。ベルファスト、天城、キュラソー。気を付けて』

ビスマルクの言葉に、三人は頷く。その日の夜、猛海がいつもの様に出掛けた。三人はベッドに入り悶々としている。

「…猛海様に触れたい」

キュラソーがポツリと溢す。ベルファストと天城も切な気に溜め息をつき、ゆっくりと目蓋を閉じた。

 

 

 

 

寝静まった深夜。三人が寝ている部屋の扉がゆっくりと開く。三人はまだ気付かない。人影が一人、二人、三人と入ってくる。荒い息遣いで三人に近付く人影達。そろそろと掛け布団を剥ぎ、人影から一番近い天城の胸に手を伸ばし、触れた。

「……んん」

天城は身動ぎする。身体が思うように動かない。

「…いや!」

次の瞬間、目を見開き何かを突き飛ばす。よろける人影。天城の浴衣が少しはだけている。

「…誰ですか!」

「……天城さん、どうしましたか?」

天城の大声に目を覚ますベルファスト。部屋の中にいる人影達を見た。その瞬間、ベルファスト達の身体が光り、次に光りが消える代わりにベルファスト達は武装していた。身長よりも少し大きい砲台が人影に向けられる。慌てる人影達。

「……猛海様以外に触れられました。猛海様以外には触れられたくないのに」

天城の目は据わり、ハイライトが消えている。ベルファスト達も共鳴し、同じようにハイライトが消えていた。

「……死になさい」

氷の様に冷たい天城の声。耳の鼓膜が破れる程の轟音と共に、砲台から爆炎が轟いた。一瞬にして部屋が吹き飛ぶ。崩れ落ちる天井や壁。人影達は床に倒れているが、かろうじて生きていた。それでも天城の砲台が人影達に向けられている。

「…まだ生きていましたか。ゴキブリみたいにしぶといですね、でもこれで最後ですわ」

血を吐きながら、人影達は命乞いをする。不適に笑う天城。そこに走り近づいてくる音。

「天城、やめろ!」

走り近付いていたのは猛海だった。猛海は天城の腕を取る。そして、抱き締めキスをした。長い長いキス。硬直していた天城の身体に力が抜ける。

「……落ち着いたか?」

「…猛海様、私」

「うん、分かってる。もう大丈夫だから」

天城の頭を撫で、優しく微笑む猛海。天城の手を引きながら、ベルファスト達に近付く。そして、同じように頭を撫でた。

「……水瀬、とりあえず救護は俺がしとくから、お前は彼女達の側を離れるなよ」

いつの間にか駆け付けていた小野が言う。猛海は小さく頷き、崩れ落ちた部屋を出た。そして、話の最初に戻る。

 

 

 

 

話の全体を聞いて、総理は大きく溜め息をついた。

「話は分かりました。幸い、怪我をした指揮官候補生達に命の危険はないと報告も受けています。が」

言葉を切り、ベルファスト達に視線を向けると。

「……君達には別の場所で寮生活をしてもらわないといけません」

「私達から猛海様を取るおつもりですか?」

ベルファストが素早く砲台を出現させ、総理に向ける。

「…ち、違います」

「ベルファスト!」

慌てふためく総理。猛海も声を荒げた。ベルファストが砲台を消す。総理は冷や汗を掻きながら。

「心配しないで下さい。勿論、猛海君と別の場所で、です」

「…分かりました。それなら宜しいです」

三人は頷く。猛海はから笑い。

「新しい寮は、校内の整備場の上ですが、猛海君、宜しいかな?」

「…っえ!?」

驚く猛海に、総理が手招き、耳打ちする。

「小野君から話を聞かせてもらったんでね」

小さく笑い、ウィンクする総理。猛海は降参するしかなかったのだった。

 

 

 

 

急遽、整備場の上で寮生活をする事になり、猛海は荷物を運ぶ。ベルファスト達三人も手伝ってもらいその日の内にようやく済んだ。家具はかろうじてベッドだけが残り、猛海はベルファスト達三人をそこに寝てもらう予定にしていたが。今日の三人は頑なに拒んだ。しかも、猛海と一緒にベッドで寝て欲しいと言う事を聞かない。猛海は諦め、ベッドに入る。そして、後悔した。ふわりと香る三人のフェロモン。天城が猛海の唇を指でなぞる。ベルファストが猛海の首筋に唇を寄せ、キュラソーは猛海の上に覆い被さった。ゾクゾクとした刺激が猛海の身体を駆け巡る。

「……猛海様、好きです」

「やっと触れられました」

「…キスして下さい」

三人の想いが告げられる。無意識に猛海の身体が反応した。下半身に熱が帯び、雄としての欲情が身体を支配する。猛海の上に覆い被さっていたキュラソーが一番に反応。

「…あぁ、猛海様」

頬を染め、甘い声を出す。キュラソーのフェロモンが一層強くなり、天城とベルファストが気付く。これから長い夜の始まりだった。




次回、エロ全開で突っ走る!


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もう無理です~意識を失くすまで~

続きをどうぞ


四人では狭いセミダブルのベッドがギシリと軋む。猛海の鼓動は大きく脈打つ。猛海の上に覆い被さったキュラソーが、猛海の胸板を服の上からゆっくりと撫でた。

「……ちょっと待って」

「いいえ、もう待てません」

上体を起こし、後退りする猛海にキュラソーの細く長い色白の腕が、猛海のズボンに手を掛けた。抵抗する猛海。キュラソーの方に意識を集中していると、猛海の両脇にいた天城とベルファストが猛海の腕を掴み、天城が猛海の耳朶を舐め、ベルファストが猛海にキスをする。

「…んん!」

いきなり、三人の責めに翻弄される猛海。抵抗が緩み、キュラソーが猛海のズボンを引き剥がす。ボクサーパンツはすでにテントを張り、雄の象徴がその存在を誇示していた。

「……マジでやめろ」

ベルファストのキスから逃れ、猛海が言う。その言葉は耳に入っていないキュラソー。性急にボクサーパンツを引き下ろし、床に落とす。勢い良く現れる肉棒。それを目の当たりにして、三人の目が一気に釘付けになった。

「……もう良いからパンツを寄越せ」

天城とベルファストを優しく退け、猛海が体勢を変えようとした時、キュラソーの唇が猛海の肉棒を咥えた。猛海の身体を駆け巡る刺激。キュラソーは肉棒に手を添えると、上下に滑らせる。

「……はぁ…はぁ…っく」

キュラソーから与えられる刺激に悶え耐える。小刻みに震える猛海。すると、今度は舌で肉棒を舐め始めた。キュラソーの舌が、下から上へに舐め上げると、尖端から透明な液が出始める。キュラソーはそれを舐め取った。そして『チュッ』とキスをする。猛海の手が、天城とベルファストの胸を掴んだ。

「…猛海様」

天城が着物の帯を緩め、胸をはだけさせた。ベルファストも上着を脱ぎ捨て、胸を露にさせる。猛海は二人の胸を直に触れ優しく揉みしだく。何度も揉み、時折指の間に尖端を挟むとクニクニと引っ張り、二人の反応を見る。その間もキュラソーは肉棒咥え離さない。猛海の腰に力が入る。それを確認し、キュラソーが頭を上下に動かした。部屋に響き渡る卑猥な音。

「……はぁ…ヤバイ」

切羽詰まった猛海の声。キュラソーが動きを止める。口から猛海の肉棒を解放すると、はち切れそうな程の硬くなった肉棒を見つめた。ビクビクと生き物の様に脈打つ肉棒。

「……お前達。俺をこんなに煽って、覚悟は出来てんのか」

獲物を見るような視線を三人に向ける猛海。いつもより低い猛海の声に、三人の身体は自然と疼く。

「…猛海様、どうかこのまま私達を愛して下さい」

頬を染めながらそう言った天城。キュラソーとベルファストも同じように頬を染めている。

「……沢山愛してやる」

言って、天城の着物に手を掛ける。途中まで帯を緩めていたおかげで、パサリとベッドに落ちる着物。猛海は天城にキスをする。啄む様なキスは、すぐに舌を絡め合う濃厚なものに変わり、猛海はキスをしながら天城を押し倒した。猛海はキスをしながら、天城の胸に触れた。尖端を摘まみ、クニクニと弄る。次に、首筋を舐め、徐々に下へと下がり、乳房に到達。思い切りしゃぶりついた。

「……んぁ…猛海様ぁ」

天城の声が上がる。

「…可愛いな、天城」

微笑む猛海。舌がゆっくりと下がり、天城の大事な場所へと到達した。すでに濡れ始めていた天城の秘所。ライトに照らされて光っている。猛海は生唾を飲み込んだ。舌を秘所に這わせる。ビクリと反応する天城の身体。堪らず何度も舐め上げる。上目遣いで覗き見ると、天城は口を隠しながら声を圧し殺していた。猛海はクリを優しく押し潰しながら秘所の中に指を入れる。

「……あぁ…」

天城の声が甘く、何度も聞きたくなる。秘所の中に指を出し入れすると、その声は何度も猛海の身体を刺激した。

「もう無理だ。天城、入れるぞ」

「…私も、猛海様のが欲しいです」

天城が両足を広げ、猛海が来るのを待っている。その表情は、期待と不安。天城の秘所に肉棒を宛がう猛海。何度か入り口に肉棒を擦り付け、そしてゆっくりと腰を進めていく。天城の表情は苦痛で歪んでいた。額に汗が滲み、苦しそうな呼吸を繰り返す。そんな天城を見下ろしながら、猛海は一気に貫いた。

「…あぁああ!」

天城の指が、猛海の腕に食い込む。ヒクついている天城の秘所。猛海は天城の表情を見ながらも、肉棒をグリグリと押し入れる。

「…猛海様」

いつの間にか横にいたベルファスト。猛海の唇にキスをする。猛海は天城と繋がったまま、ベルファストと舌を絡め、貪る。

「……分かってるよ。今度はベルファストを愛してやる」

「はい」

猛海にそう言われ、満足そうに微笑むベルファスト。猛海はもう一度、ベルファストにキスをしてから、天城に視線を戻す。円を描くように腰を動かし、強弱を付けては突き上げた。天城の口から溢れ出る甘い声。甲高い声を一つ上げる天城。身体を反らせ、痙攣。天城の中がキュンキュンと締め付け、猛海は一番奥に精子を流し込んだ。 ぐったりと力が抜け、幸せな表情で天城は意識を失くす。猛海の肉棒は、まだ衰えない。すぐに硬く反り、準備万端だ。ベルファストが猛海に抱き付く。それに答える猛海。舌を絡め、胸を揉む。指はベルファストの秘所を出たり入ったりしていた。天城と猛海の情事を見て、ベルファストの中は洪水状態。猛海はベルファストを四つん這いにさせる。グチュリとイヤらしい音を立て、ベルファストの秘所は猛海の肉棒を受け入れた。ベルファストの身体が小刻みに震えている。

「…キツくないか?」

「……はい、少し痛みはありますが、大丈夫です」

「ゆっくりするから」

「いいえ、猛海様のお好きな様に突いて下さい」

背中越しに微笑むベルファスト。色白の背中はうっすらと汗ばみ、むっちりとしたお尻に猛海の肉棒がより一層硬くなる。次の瞬間には、ベルファストのお尻に思い切り腰を打ち付けた。乾いた音とベッドの軋む音が部屋に響く。ベルファストの声がどんどん甘くなる。

「…んん……あぁ…気持ち…良いです」

キュンキュンと締め付けるベルファストの秘所に、猛海は天城と同じように一番奥に精子を流し込んだ。勢いの強さに、ベルファストが絶頂。身体をしならせそのままベッドに沈み込んだ。

「…さぁ、キュラソー」

衰えない猛海の肉棒。キュラソーはうっとりと猛海を見つめている。すでに準備万端なのは明白だった。天城とベルファストの情事を見て、キュラソーの秘所は涎を垂らしている。猛海がキュラソーの身体を持ち上げ、膝の上に跨がらせた。

「…ほら、自分で入れてみろ」

「……はい」

嬉しそうに自ら腰を肉棒へと下ろすキュラソー。ベルファスト達と同じように、苦痛で顔を歪ませるが、腰を下ろす事は止めない。最後まで進め下ろし、完全に繋がった。荒い呼吸て猛海を見つめるキュラソー。微笑み、キュラソーにキスをする猛海。

「…どうして欲しい」

キュラソーの両足を持ち上げ、猛海は言う。

「…もう、猛海様の意地悪、言わなくても分かっていますよね」

「良いよ。思い切り突き上げてやる」

そう言って、キュラソーの身体を上下に揺さぶる。自分の重みも加わって、キュラソーの深い所を肉棒が抉る。痛みはすぐに飛んでいた。突き上げられる強さに、キュラソーの声が掠れる。何度も抉り突き上げられ、キュラソーは何度も絶頂を迎えたが、猛海は3回目。すぐに射精出来ない。キュラソーが意識を失くす。猛海はキュラソーをベッドに下ろす。猛海の肉棒は、射精出来ずにギンギンに立ち上がったまま。ふと、天城を見る。

「……猛海…様……やぁあ」

意識を取り戻した天城に、猛海は一気に貫いた。そして、天城が意識を失くすまで何度も射精したのだった。




次回も話の前半はエロ含みます


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新たな仲間

続きをどうぞ


東の空が明るくなり始め、眩しい光が校舎を照らし始める。静けさの中、整備場の2階部分から聞こえるリズム良く聞こえる軋む音。セミダブルのベッドの上で、全裸のベルファストが、猛海の上に股がり、豊満なバストを揺らし喘ぐ。ベッドの隅で天城はまだ夢の中だった。そして、キュラソーは猛海とベルファストの情事をうっとりと見つめている。

「…もう、そろそろ限界なんだけど」

「…んん、ダメです。猛海様、……あぁ…私、まだ足りません」

「昨日からずっとヤりっぱなしだろ」

昨日、猛海はようやく天城やベルファスト、キュラソーに対しての気持ちに素直になり、三人を抱いた。ずっと抑え続けていた感情。一度理性が外れるともう止められなかった。

「…天城さんにはあんなにシてたのに、私達は一回だけだとか、不公平です」

頬を膨らませ、キュラソーが抗議する。猛海は小さく溜め息をついた。ベルファストとキュラソーが意識をなくしている間、猛海は天城を何度も抱き、精子を流し込んだ。天城はただ猛海から与えられる刺激に声を枯らし喘ぐ。どのくらいの時間が経ったのか猛海も分からない。しかし、気が付けば、ベルファストとキュラソーは意識を取り戻し、ぐったりと力尽きた天城の姿を羨ましそうに見ていた。そして、今に至る。

「……分かった。二人が満足するまで付き合うよ」

猛海の言葉に二人は嬉しそうに微笑む。ベルファストの中に入れていた肉棒を一度引き抜く猛海。上体を起こし、ベルファストを押し倒す。そして、再度突き入れた。

「…あぁあ」

抉られる角度が変わり、ベルファストが身体を震わせる。すかさず、猛海はベルファストの唇にキスをした。半開きになるベルファストの唇。猛海の舌が唇を舐める。ベルファストも舌を出した。二人の舌が絡み合う。その間も猛海の腰は動きを止めない。何度も責め立てて、ベルファストに快楽を与える。

「……んぁ…もう、私」

「良いよ。ベルファストのイッてる顔みてみたい」

「…あぁ、猛海様……ダメぇ」

両手で顔を隠しながら、ベルファストは頬をピンクに染めた。次の瞬間、ベルファストの中が痙攣、猛海の肉棒を何度も締め付ける。猛海はそれを確認すると、何度か突き上げ、ベルファストの中に精子を勢い良く放った。その後も、猛海はベルファストとキュラソーを交互に抱き、精子が無くなるまで流し込んだ。

 

 

 

 

数日後、整備場に猛海と小野の姿。二人は、相変わらず武具作りに勤しんでいる。今作っているのは、日本刀の形をした武具。そして、腕に装着する盾型の装甲。

「猛海、最近やつれてるが、身体は大丈夫かぁ?」

「…あぁ何とか」

「毎日、パートナーと勤しんでいるらしいな」

ニヤニヤしながら、小野が言う。猛海はその言葉に突っ込む気力なし。

「おいおい、反応なしか」

いつも何かしらの反応をみせる猛海。無反応の猛海に、小野が表情を変える。

「猛海、本当に大丈夫か?」

「…正直な話、大丈夫とは言えないな。ベルファストとキュラソーの性欲が強すぎて、睡眠もまともに取れていないからな」

猛海の言うとおり、ベルファストとキュラソーの性欲はかなり強く、猛海の腰が持たなくなる事もあった。それでも、猛海は二人を抱いた。猛海にとって、ベルファストとキュラソー、天城は大切な存在だったから。勿論、まだキューブ姿の子達も猛海には大切な存在だ。

「う~ん、性欲っていうより、猛海の事を好き過ぎて歯止めが効いてないんじゃないか?」

小野の言葉に猛海は同意の意思を示した。二人は会話中も作業の手を止めない。

「……そういえば、猛海、お前召喚装置使った事あるか?」

「いや、一度もないな。それ以前に、装置そのものを見たことがない」

小野の問いに、猛海はそう言った。

「それって凄い事だよな」

『指揮官は特別だからな』

猛海と小野が固まる。今の時刻は正午。ベルファスト達三人は警備員同行の元、買い物に行っていて整備場には二人しかいない筈。二人は声のした方に振り向いた。二人の目に映るのは一つのキューブ。

『どうした?指揮官』

キューブから聞こえる凛とした女性の声。次の瞬間、キューブが淡く光を放ち、ゆっくりとその姿を形作る。光から現れ出たのは、白銀の髪をなびかせ、白の海軍服を身に纏い、短い黒のスカート姿の女性。頭には上着と同じ白の海軍帽を被っている。唖然とする二人。

「初めまして、指揮官。私はエンタープライズだ」

『エンタープライズ、我々を置いて戻るな』

『まぁ、良いじゃねぇか、ビスマルク』

『伊勢さん、そういう問題ではありません』

エンタープライズと名乗る女性の横に3つのキューブが近く。3つのキューブが同時に光を放ち、それぞれの姿に変化していく。一人は、エンタープライズと対象的な黒の海軍服姿の女性。髪の色も金色。もう一人は、天城と同じ獣耳の女性。着物袖はなく、引き締まった二の腕を腕組みしている。最後の一人は、ベルファスト、キュラソーと同じメイド服姿の女性。髪型や目元が少し違うが、どこかキュラソーに似ている。

「初めまして指揮官、ビスマルクだ」

「よう、指揮官。ようやく逢えたな。伊勢だ、これから宜しく頼むよ」

「初めまして、ご主人様。カーリューと申します。」

四人の女性がそれぞれの礼をし、猛海の前に立つ。猛海が四人の顔を見つめる。四人ともベルファスト達三人と違うタイプの美人だ。

「…召喚装置無しで召喚したの初めて見た」

驚愕の表情で言う小野。その言葉に四人が小野に視線を向けた。伊勢以外は苛立ちが含まれた視線。後退りする小野。

「…っえと、小野先生に睨みきかせるのやめてくれるか?」

猛海が頭を掻きながら言う。四人の視線が猛海に戻る。

「猛海様、ただいま戻りました」

ベルファスト達三人は、エンタープライズ達に気付く。数秒間の無言。

「おう」

伊勢が満面の笑みで三人に声を掛ける。しかし、他の三人は、ベルファスト達を腕組みし睨んでいた。ベルファスト達の表情は暗い。猛海も何も言えず七人の様子を観察するだけだ。

「……一悶着ありそうだから、俺は帰るぞ」

そう言って、小野は早々と整備場を後にする。残されたのは、猛海と女性七人。猛海は小さく溜め息をつく。

「上でゆっくり話そう」

それだけ言うと、猛海は2階へ上がった。七人も無言で2階へ上がる。2階は居住スペースにしてもらっているが、整備場の空きスペースだった事もあり、間仕切りのない巨大な一間のような空間だ。家具も箪笥が一つ、セミダブルのベッドが一つだけ。腰を掛けるソファーもなく、床に絨毯もない。会議室で使う様な長テーブルとパイプ椅子があるだけだ。猛海が七人分のパイプ椅子を出し、並べ置く。七人は、ベルファスト達三人とエンタープライズ達四人で向かい合う形で座る。

 

(…こうして見ると、凄い光景だよな。みんなタイプが違う美女だし)

 

無言で見合う七人を見ながら、猛海はそう思った。

「……さて、そろそろ話してもらおうか」

最初に口を開いたのは、エンタープライズ。ベルファスト達三人の視線が下に落ちる。

「……」

「話したくないようだな」

次に口を開いたのは、ビスマルクだった。二人の目は苛立ちが見え隠れしている。猛海はちらりと天城を見た。いつもピンと立っている獣耳が力弱く垂れている。

「…キュラソー、私は姉妹として悲しいです。ベルファストメイド長に対しても、貴女ほどのお人が…」

「……姉妹!?」

カーリューの言葉に、猛海が反応する。いきなりの驚きの声に、女性七人は猛海を一斉に見た。

「…何を驚く事がある。姉妹艦など沢山いるぞ」

「……あぁ、そうなんだ」

「指揮官、ここは指揮官養成校なのだろ?今まで何を学んでいたんだ?」

エンタープライズとビスマルクの言葉に、何も言えない猛海。

「最近、お前達の行動が逸脱しはじめている」

「我々は、指揮官をお守りする為に存在する」

「…キュラソー、私達は貴女達を指導し直す為に、自ら召喚したのです。」

エンタープライズ達三人が口々に言う。

「あたしは指揮官と遊びたくて来ただけなんだけどな」

屈託のない笑みで言う伊勢。重苦しい空間に、伊勢の笑い声が、何とも言えない空気にしていた。

「…それで?これからどうするつもりだ?」

「そうだな……」

伊勢の問いに、思案するエンタープライズ。しばらく、考えて小さく頷き。

「よし、これからここを改装して、いくつか部屋を作ろう」

「…ふむ、そうだな。しかし、指揮官の護衛も必要だろう」

「でしたら、当番制にしては如何でしょうか?」

「っお!良いねぇ。指揮官を独り占め出来るじゃん」

口々に言う四人を、猛海は圧倒されながら見つめるのだった。




新たに四人登場しました。賑やかになりましたね。ベルファスト達三人はどうなる事やら…。
自分的には天城が気になるところ。


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猛海の一週間(前半)

続きをどうぞ


新たにエンタープライズ達が加わってから、初めての月曜日。四畳半位のスペースに区切られた部屋で、猛海は寝ていた。一応、リフォーム業者に改装してもらったが、元が整備場の2階スペース。壁は明らかに薄い。隣の部屋の音が良く聞こえる。猛海の部屋の隣は居間にしていた。勿論、猛海の護衛と別の目的の為だ。そして、今聞こえているのは、七人の女性の会話である。

「さて、昨日色々と決め事をしたが、みんな覚えているな?」

「うむ、勿論だ」

「はい」

エンタープライズの問いに、みんな口々に答える。

「…よし、では今日から指揮官の為、精一杯責務に励むように」

エンタープライズが手を叩く音。それを合図に女性七人が各々の目的の為、行動する。それぞれの配置に向かう姿を見届けて、エンタープライズが猛海の寝ている部屋へ近付いていく。

「……指揮官、起きているか?入るぞ」

「…あぁ」

猛海の意識はまだ微睡んでいる。扉の開く音を聴きながら、再び目蓋を閉じた。柔らかく、暖かな温もりが右頬に触れる。猛海はゆっくりと目蓋を開けた。猛海を覗き込む様にエンタープライズの顔が近くにある。そして、右手が猛海の頬に触れていた。急激に高鳴る猛海の鼓動。エンタープライズの頬はうっすらとピンクに染まっている。

「…指揮官、朝だぞ」

「……あぁ」

生唾を飲み込む猛海とは対称的に、エンタープライズの表情が曇る。

「寝過ぎだ、指揮官。もっと自覚を持て」

「……はい、すみません」

仁王立ちのエンタープライズに、気付けば猛海はベッドの上で正座。謝罪していたのだった。

 

 

 

 

日中、まだ高校生の猛海は校舎にいる。勿論、他の指揮官候補生達も教室で講義を受けていた。真面目に講義を受けている猛海に対して、他の指揮官候補生達は、教室の後ろで立っているエンタープライズを横目でチラチラと盗み見している。理由は簡単。エンタープライズが美女だからだ。

「……あれ、水瀬のパートナーだってよ」

「マジで!?何人いるんだよ、水瀬のパートナー」

「…さぁ、知らねぇ。でも、他のパートナーもめちゃくちゃ美人だったぜ」

指揮官候補生達が猛海を見る。当の猛海は聞こえていない。黒板に書かれている講義の内容をノートに書き写していた。そんな猛海の姿を満足そうに見つめるエンタープライズ。お昼、猛海はエンタープライズと中庭に移動。二人で天城が作ってくれたお昼弁当を食べ始めた。

「指揮官」

「…あのさ、その指揮官って呼び方、やめてくれるか?」

「では、何と呼べば良い」

「猛海で良いよ。本当は、ベルファスト達もそう呼んで欲しいんだけどな」

「…分かった。では、猛海」

真剣な表情のエンタープライズ。猛海はエンタープライズを真っ直ぐに見つめる。

「…昨日の続きだが、私達は戦艦だ」

「分かっている」

「いや、猛海。貴方は分かっていない。私達は、指揮官を護り、闘う存在。余計な感情は無用だ」

その言葉に、猛海の表情が変わる。それは苛立ちの表情。無言で立ち上がる猛海。エンタープライズを一瞥すると、その場を立ち去った。

 

 

 

火曜日、ベルファストが猛海を起こしに来た。エンタープライズ達を気にしてか、ベルファストはベッドの横に立ち、猛海に声を掛ける。

「猛海様、お早うございます」

「…あぁ、お早う」

いつもの様に、猛海の身体に触れる事なく、ベルファストは恭しく頭を下げた。

「朝食の準備は整っています」

「……そうか」

メイドとしての責務を全うしようとするベルファスト。しかし、その表情は冴えない。猛海は無言でベルファストの頬に触れた。

「…駄目です。猛海様」

「何で駄目なんだ?」

首を左右に振り、猛海から離れようとするベルファスト。そんなベルファストに、猛海は優しく抱き締め、軽くキスをする。

「…ベルファスト、今まで通り俺に触れろ」

そう言って、今度は深いキスをする。困惑していたベルファストも舌を出し、絡め合う。

「…猛海様ぁ」

甘ったるい声を出し、ベルファストが見つめる。猛海が微笑み、そっと耳打ち。真っ赤に染まるベルファストの頬。猛海はベルファストを部屋に残し、出ていく。夕方、誰もいない校舎に猛海とベルファストの姿があった。すでに、ベルファストの服は乱れ、豊満な乳房が顔を覗かせている。猛海がベルファストに覆い被さった。

「…あまり声を出すなよ」

「はい、猛海様」

頬を染め、猛海を見つめるベルファスト。二人はほとんど服を着たまま。ショーツはベルファストの片足に掛かっている。猛海は制服のズボンとボクサーパンツを少しだけ下ろし、肉棒を出した。準備万端の肉棒。ギンギンに反り上がった肉棒が、ベルファストの割れ目を擦る。まだ入れていないのに、ベルファストの割れ目は濡れていた。

「入れるぞ」

一言声を掛け、猛海はベルファストの中に肉棒を押し入れる。

「…あぁ……はぁ…ん」

色白の首筋を見せながら、声を上げるベルファスト。猛海の腕にベルファストの爪が食い込む。ベルファストの中は、猛海の形になり、猛海の肉棒を優しく包み込む。ベルファストの腰を掴み、深く突き入れる猛海。咄嗟に口を塞ぎ、ベルファストは声を圧し殺した。教室に響き渡る乾いた音。時折、ベルファストが我慢出来ず、声を漏らす。

「…ベルファスト」

腰を突き動かしながら、猛海が囁く。猛海の声に反応し、ベルファストの中が蠢いた。激しくなる猛海の責めに、ベルファストがついに声を上げる。

「…あぁ…猛…海様ぁ」

もう限界が来ていた。必死に喘ぎ声を圧し殺すベルファストを見つめ、猛海は白濁の液をベルファストの一番奥に流し込んだ。射精の勢いに、ベルファストも身体を震わせる。

「ベルファスト」

「猛海様」

二人は呼吸が整うまで、何度も口付けをしたのだった。

 

 

 

 

水曜日、猛海の部屋をノックしたのは、ビスマルク。エンタープライズよりも威圧的な視線を猛海に向ける。

「お早う、指揮官」

「…あぁ、お早う」

「起こしに来る前に起きていたのは、感心だ」

「それはどうも」

ビスマルクの言葉に、視線を逸らす猛海。教鞭の様な物を何度もしならせ、猛海を睨む。

「さて、そろそろ朝食の時間だ。冷める前に食べた方が」

「…言われなくても分かっている。それと、今日の講義に、ついて来るな」

「それは無理な相談だな、指揮官護衛は我々の責務だ」

猛海の言葉を聞き入れる様子はない。エンタープライズと同様に、ビスマルクは教室の後ろで立っている。指揮官候補生達が、これまたエンタープライズの時と同様、ビスマルクを横目でチラチラと見ていた。

「今日は、黒の海軍美人か」

「俺、白の海軍美人が好み」

こそこそと話す指揮官候補生達。相変わらず、猛海は聞こえていない。ビスマルクは無言で猛海の後ろ姿を見つめた。お昼、二人は天城が作ってくれた弁当を食べる。

「指揮官話がある」

「…言いたい事は分かっている。それと、エンタープライズにも言ったけど、俺の事は名前で呼べ。指揮官とか言われるとムカつく」

猛海の言葉に、考え込むビスマルク。そして、小さく頷き。

「…分かった。それが、猛海の望みなら」

納得したのか、ビスマルクは了承した。しかし、猛海の表情は怒りだ。

「どうせ、その後に我々は戦艦だ。とか、指揮官を護衛するのが責務だ。とか、余計な感情は無用だ。とか、言うなら、聞くつもりないぞ」

「……う」

どうやら、それを言うつもりだったようだ。ビスマルクの表情が赤く染まる。猛海はビスマルクを一瞥。

「俺は護られるより、護りたいんだよ。……大切なんだ」

真剣な表情で言う猛海。ビスマルクはそれ以上何も言えなかった。




今回は前半、後半に分かれてます。


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猛海の一週間(後半)

続きをどうぞ


木曜日、まだ東の空が明るくなる前の早朝。ベッドでまだ夢の中にいる猛海。しかし、強制的に身体を揺さぶられ、現実に引き戻される。

「…何…だぁ」

揺さぶられたまま目蓋を開けると、目の前には伊勢の顔。しかも、満面の笑み。

「…どうした?」

「おう、指揮官。ちょっとあたしに付き合え!」

「はぁ!?」

猛海の返事も聞かず、半ば強引に身体を引っ張り、外へ向かう伊勢。急な事に声を上げる猛海。

「……どうされました?っあ」

その声に他の女性達も部屋から出て来はじめていたが、すでに猛海と伊勢の姿は見えなかった。

 

 

 

 

校舎の裏手に、猛海と伊勢の姿。二人は少しだけ離れ見合う。二人の手には、何故か木刀と薙刀が握られていた。

「…伊勢、ちょっと聞いて良いか?」

「おう」

「どうして、俺とお前は向かい合ってるんだ?」

猛海の問いに、一瞬呆ける伊勢。その後、吹き出すように笑い。

「何でって、今から稽古するんだろ?」

「…いやいや、そんな約束してねぇよ!」

さも当然の様に答えた伊勢に、鋭く突っ込む猛海。しかし、伊勢はそれすら楽しんでいるようで。

「まぁ何でも良いじゃん!ほら、早く構えろよ」

「……はぁ、何でこんな事に付き合わされないと」

猛海の言葉を遮るように、伊勢が鋭く突きを繰り出す。猛海は驚きながらも木刀の背で受け流す。

「…あ、ぶねぇ」

「へぇ、やるじゃん」

「感心するな!ってか、伊勢お前」

また猛海の言葉を遮り、伊勢が薙刀を横に払う。木刀でしっかりと受ける猛海。二人は無言で打ち合う。数十分後、息を切らして見合う二人。伊勢は感情が抑えられない。白い歯を見せて、笑う。一方、猛海はうんざりとした表情。

「よし、指揮官。海辺まで走ろうぜ」

またしても猛海の返事も聞かず、猛海の手を取り、強引に引っ張る伊勢。もう抵抗する気も失せた猛海は、自らの意思で走る。伊勢は繋いでいた手を放す。約1キロ近くある距離を全力で走った猛海は、海辺に辿り着くと浜辺に寝転んだ。寝転んだ猛海の横に立つ伊勢。視線は真っ直ぐ水平線の空を見ていた。空が徐々に明るくなり、海と山、街を照らし出す。猛海は寝転んだまま伊勢を見た。太陽の光に照らされ、伊勢の綺麗な顔がより美しく見える。息を呑む猛海。

「…っしゃ!指揮官、戻るぞ!」

寝転んだ猛海を置いて、伊勢が全速力で走り出す。取り残された猛海。呆然と小さくなる伊勢の後ろ姿を見つめた。

「……何なんだよ、あいつは」

ポツリと溢しながら、ゆっくりと伊勢の後を追った。

 

 

 

 

日中、猛海の集中力はがた落ちだった。理由は、勿論伊勢。講義中に、猛海に声を掛ける伊勢。何度、注意しても治らず、廊下に追い出す。それでも伊勢は平然と教室に入ってくる。それを繰り返した。昼は昼で、稽古に付き合わされ、昼食も取れず午後の講義を受け。当然、伊勢が邪魔をした為、教員に大目玉を食らう。

「……散々な一日だった」

ベッドに倒れ込み愚痴る猛海。どっと疲れが出て、そのまま猛海の意識は途切れた。

 

 

 

 

金曜日、昨日の疲れが取れないのか、猛海はまだ寝ていた。時刻は6時半。静かに猛海の部屋の扉が開く。部屋に入って来たのは、キュラソー。寝ている猛海に近付き、頬にキスをする。

「猛海様、朝です」

キュラソーの優しい声に猛海の目蓋が開く。目の前には、優しく微笑むキュラソーの姿。猛海は小さく安堵の溜め息を溢した。

「…あぁ、お早う」

「大丈夫ですか?お疲れの様ですが」

「……まぁちょっとな」

昨日の出来事を思い出し、グッタリとした表情を見せる。キュラソーも分かっているのかそれ以上は聞いてこない。猛海を無言で見つめるキュラソー。

「キュラソー、どうした?」

「……いいえ、何でもありません」

何処か冴えない表情のキュラソー。猛海はキュラソーの手を取り、引き寄せ抱き締める。

「猛海様」

「ん、甘えて良いぞ」

キュラソーの頬を指でなぞる。堪らずキュラソーが猛海の唇を自らの唇で塞ぐ。二人は長い時間、唇を重ねる。啄む様なキス。舌を絡め合う濃厚なキス。様々なキスを時間の許す限り貪った。

「…ちょっとヤバそう」

猛海がポツリ溢した。少しだけ硬くなった肉棒をキュラソーに触れさせる。頬を染めるキュラソー。

「猛海様ぁ」

「キュラソー、時間無いから後で」

そう言って、もう一度キスをする猛海。キュラソーの頭を撫でると部屋を出た。日中、昨日伊勢のせいでまともに講義を受けられなかった分、猛海は集中して講義を受ける。その間、頬を染めたキュラソーが猛海の後ろ姿を、熱い眼差しで見つめていた。他の指揮官候補生達は、キュラソーの醸し出す色気に、みな生唾を飲み込む。

「…水瀬のパートナーって、ほとんどが巨乳だよな」

「昨日のパートナーは、じゃじゃ馬だったけどな」

そんな事を口々に言う。

「止めとけよ、手を出したら死ぬぞ」

誰かがそう言った。その言葉で他の指揮官候補生達が口を閉じる。そして、猛海を横目で見ると、黙って講義を受けたのだった。

 

 

 

 

夕方、誰も使っていない空き教室に猛海とキュラソーの姿。二人は舌を絡め、互いの唇を貪る。すでに猛海の肉棒は準備万端。朝から我慢していた分、その肉棒は血管が浮き出るほど硬く、ギンギンに反り上がっていた。キュラソーの手が、肉棒を撫で上げる。脈打つ肉棒。

「…キュラソー、咥えて」

「はい、猛海様」

キュラソーはしゃがみ、猛海の肉棒を優しく握ると、舌を出し、下から上へと一気に舐め上げ、すかさず尖端を口に含む。キュラソーの舌が肉棒を這う度、猛海の腰が浮く。それを確認して、キュラソーの手が上下に扱き始めた。

「…はぁ、ヤバい」

そう言うと、猛海は腰を引き、キュラソーのショーツを脱がす。キュラソーはメイド服を着たまま、スカートを捲し上げられ、壁に手をついた。そして、ショーツを脱がされたお尻を突き出す。猛海は、ズボンとボクサーパンツを脱ぎ捨て、ギンギンに反り上がった肉棒をキュラソーの割れ目に宛がった。肉棒が割れ目を往復する度、グチュグチュと卑猥な音が耳を犯す。

「猛海様」

肩越しに視線送るキュラソー。その瞳は熱を帯びていた。キュラソーの反応をみながら、ゆっくりとキュラソーの中に肉棒を突き入れる。小刻みに震えるキュラソー。

「…あぁ…やぁあ」

しっかりとキュラソーの奥まで突き入れ、キュラソーの中が肉棒に馴染むのを待つ。キュッキュッと肉棒を締め付けるキュラソーの中。猛海の我慢は限界だった。キュラソーの艶かしい括れを両手で掴み、ムッチリとした臀部に腰を打ち付ける。乾いた音が教室に響き渡った。

「…あ……猛…猛海様ぁ…気持ち…い」

喘ぎ声を上げながら、キュラソーが言う。潤んだ瞳でキュラソーが見つめる。猛海はキュラソーの片足を持ち上げ、下から突き上げた。

「やぁあ…」

甲高い喘ぎがキュラソーの口から出る。猛海はキュラソーの唇を塞ぐ。そのまま、激しく腰を打ち付けた。

「…ん……んん、んぁ」

キュラソーの中が蠢き、肉棒を絞り上げる。猛海は何度も腰を突き入れ、キュラソーの一番奥に、大量の精子を流し込んだ。その勢いにキュラソーも何度も小さく絶頂。

「…はぁ…はぁ、こんなに沢山、赤ちゃん出来ちゃいそうです」

うっとりとした表情でキュラソーが言う。

「その時はどうする?」

「…勿論、産みます」

「そうか」

猛海の問いに、笑顔で答えるキュラソー。その返事を聞いて、猛海も笑顔だった。

 

 

 

 

土曜日、学校は休日。しかし、ここ数日の生活環境が変化した為、猛海はいつもの時間。6時には起床していた。ベッドに腰掛け、小さく溜め息をつくと、扉をノックする音。

「ご主人様、カーリューです」

「…あぁ、どうぞ」

猛海の返事に、ゆっくりと扉を開き、部屋の中に入ってくるカーリュー。

 

(キュラソーに比べて、カーリューは固いな)

 

黙ってカーリューを見ながら、猛海は思った。カーリューは、扉の前でカーリューは歩みを止め、その場から動かない。

「ご主人様、朝食の準備が出来ております」

「…あのさ、ご主人様って呼び方、やめてくれるか?」

「申し訳ございません。それは致しかねます。私はご主人様のメイドですので」

カーリューの返答に、猛海は一瞬呆ける。

「…やっぱり、キュラソーと違うな」

「姉妹艦ですが、キュラソーとは考え方が違いますので」

何処か二人の間に距離感があるのを猛海は感じた。掛ける言葉を探す猛海。

「それではご主人様」

カーリューが部屋の外で待機する。猛海は思案しながら部屋を出た。

 

 

 

 

猛海の休日の過ごし方は、一つしかない。1階の整備場で小野と武具作りが、猛海の休日の過ごし方だ。今、二人が没頭しているのは、拳銃と刀を合体させた武具と、後ろに背負う砲台だ。

「…猛海、あれ放っておいて大丈夫か?」

小野が指差す場所にいるのは、カーリュー。猛海は小さく溜め息を一つ。

「…あぁ、俺の事は気にするなって言っても、ご主人様の護衛は我々の責務なので。って言って、聞かないんで。無視して下さい」

「…そうか、それにしても、猛海も大変だよな」

小野の言葉に、猛海は項垂れる。

「新しいメンバーが、あまりにも固すぎて息が詰まりそうな時がありますね」

「まぁ、来たばかりだから仕方ないな。少しずつ仲良くなれば良いだろ」

「……現時点でその可能性は感じないな」

ポツリと溢した猛海の言葉に、カーリューが反応した事は、猛海は知らない。

 

 

 

 

夜、猛海は驚いた。風呂から上がって、部屋に戻ったらベッドに腰掛けているカーリューがいたからだ。

「…っえ、と」

「…………」

猛海が掛ける言葉を探していると、いきなりカーリューが立ち上がった。

「……ご主人、様」

潤んだ瞳で猛海を見つめるカーリュー。猛海は生唾を飲み込んだ。

「……私、私はご主人様と」

言葉の続きは聞けなかった。何故なら、顔を真っ赤に染め、カーリューが部屋を出ていったから。

 

 

 

 

日曜日、カーリューの事で悶々とした猛海は、朝方にようやく眠りにつこうとしていた。飛び掛けた意識の中で、扉がノックされる。朦朧とした意識で部屋に入ってきた人物を見た。優しい笑みで猛海を見つめる天城。

「毎日天城の姿を見るのに、なんか久しぶりな感じがするな」

「…猛海様、眠たいのですか?」

「ああ、夜寝付けなくてさ。ごめんちょっと寝る」

「分かりました。ゆっくりとお休み下さい」

そう言って、部屋を出ていこうとする天城。猛海は咄嗟に腕を掴んだ。

「…一緒に寝て、天城」

天城の返事を聞かずに、猛海は天城をベッドに引っ張り込んだ。横になったまま、天城を抱き締める猛海。天城の髪に顔を埋め、思い切り吸い込む。天城の甘い香りが猛海の鼻孔を擽る。天城の腕が猛海の身体を抱き締めた。

「…俺が起きるまでここにいろよ」

「はい」

天城の返事を聞いて、猛海は意識を手放した。

 

 

 

 

どのくらい時間が経ったのだろう。猛海はゆっくりと意識を覚醒させる。目の前に、天城の綺麗な顔があった。目蓋が閉じられ、すやすやと寝息を立てる天城。どうやら、猛海の眠気に当てられ、寝ていた。柔らかく温かい天城の身体。甘い香りに、猛海の肉棒が反応する。布越しから、天城の乳房を撫で始める猛海。首筋に舌を這わせ、着物を脱がしていく。まだ眠いっている天城。天城の綺麗な裸体が、猛海の肉棒を刺激した。大きく柔らかな乳房を揉みしだく。先端の摘まみ、片方にしゃぶりついた。寝ていても、少しずつ息が荒くなる天城。猛海は天城の割れ目に指を這わせる。クチュクチュと濡れた音。猛海の指が天城の中に入っていく。二本の指が天城の中をかき混ぜた。

「…我慢出来ねぇ」

猛海は服を脱ぎ捨て、天城と同じように全裸になると、ギンギンに反り上がった肉棒を天城の中に突き入れた。

「…あぁああ」

入れた瞬間、喘ぎ声と共に覚醒する天城。何が起こったのか分からず、猛海を見た。

「…猛海様?」

天城が覚醒した事で、天城の中がキツく肉棒を締める。堪らず猛海は腰を打ち付けた。グチュグチュと卑猥な音が部屋に響く。

「…あぁ…待っ……猛海…様ぁ」

急に与えられた快楽に、天城の身体が反応する。天城は必死に喘ぎ声を圧し殺す。猛海は天城の腕を掴み、ベッドに押し付けた。ギシギシと激しく軋むベッド。

「…やぁ……猛…んん、みな……聞かれ…んん」

「…なんだ。みんないるのか?」

腰を激しく打ち付けながら、天城に問う猛海。天城は必死に頷いた。

「そうか」

涙を流す天城に、猛海は一旦動きを止めた。

「ごめんな、意地悪するつもりじゃなかったんだ」

「……猛海様」

「もう少しだけ我慢して」

天城の唇を塞ぐ猛海。同時に腰の動きが再開。ギシギシと軋むベッド。天城も猛海を抱き締めた。唇を重ねたまま、天城の一番奥に精子を流し込む猛海。その勢いに天城も絶頂した。荒い息でキスする二人。すると、勢い良く部屋の扉が開かれる。猛海と天城は扉の方を見た。部屋の向こう側で仁王立ちするエンタープライズ達。

「……指揮官、話がある」

猛海は静かに生唾を飲み込んだのだった。




思いの外、長い話になりました。


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覚悟と決意(前半)

しんと静まり返った居間に、猛海と7人の女性達が無言で座る。猛海を上座に、右側にベルファスト達3人。左側にエンタープライズ達3人。そして、何故か伊勢が猛海の少し後ろに座っていた。険悪な空気が漂う空間は、呼吸さえ出来ない程重苦しい。猛海の額に一筋の汗が流れ落ちた。

「……さて、何から話してもらおうか」

腕組みし、目蓋を閉じたビスマルクが言う。

「そうだな、聞く内容がちょっとな」

「うむ、だが聞かねば、今後の関係にも差し支える」

エンタープライズとビスマルクが交互に話す。猛海達を他所に、二人は頷き、視線をベルファスト達に向ける。

「……天城、先程見たアレはどういう事か、説明してもらおう」

アレというとは、猛海と天城の情事の事だ。座ってからずっと目蓋を閉じ、沈黙していた天城がゆっくりと目蓋を開ける。その視線は真っ直ぐエンタープライズ達を捉えていた。

「……私は、猛海様を愛しています」

「!?」

静かに放った天城の言葉に、エンタープライズ達が見開く。

「…天城、自分が何を言っているのか、分かっているのか!?」

「落ち着け、ビスマルク」

テーブルを強く叩き、声を荒げるビスマルク。激しく動揺しているビスマルクとは対称的にエンタープライズは落ち着いていた。

「分かっています」

ビスマルクの問いに、天城は小さく頷く。

「ビスマルク、質問は私がする。良いな?」

「…あぁ、頼む」

エンタープライズの言葉に、ビスマルクは再び腕組みし、眉間にシワを寄せながら目蓋を閉じた。

「天城、貴女の指揮官に対する想いは分かった。だが、我々は戦艦だ。指揮官を護り、闘うだけの存在だ。その事は忘れていないか?」

「忘れてはいません。その上で私は。否、私達3人は猛海様を愛しているのです」

その言葉を聞いて、エンタープライズは小さく溜め息をついた。

「…いずれ別れの時が来ると分かっていてもか?」

「それは、百も承知です。猛海様を愛してしまった時点で、私達は覚悟をしています」

天城の言葉に、ベルファストとキュラソーが頷く。

「……別れの時って、どういう事だよ」

猛海の口から溢れた声は、低く震えていた。7人の女性の視線が、猛海に集まる。

「指揮官」

「指揮官って呼び方止めろ」

猛海の声とは思えない程、低い声が猛海の口から出る。エンタープライズは小さく息を吐く。

「…猛海、ずっと言っている事だ。我々は戦艦だと、侵略者達から指揮官を護り、最前線で闘う。それが我々の存在意義」

エンタープライズの言葉に、女性達の視線が猛海を見つめている。ベルファスト達も微笑みながらも、瞳は寂しさで揺れていた。

「……そうか、俺の想いはベルファスト達にも伝わっていなかったんだな」

ポツリと溢した猛海。項垂れ、一階に続く階段へと向かう。

「…猛…猛海様」

後ろからベルファストが近寄る。差し出されたベルファストの手を優しく払う猛海。

「しばらく、一人にしてくれ」

そう言って、猛海は出ていった。猛海は一人、目的地もなく歩く。頭の中を支配しているのは、悲しみでも、苛立ちでもなく、ベルファスト達に対する想いだけ。勿論、そこにはキューブ姿の子達とエンタープライズ達も含まれていた。

「……俺のやれる事をやるだけだ」

誰に聞かせる訳でもない言葉。猛海は小野がいる寮へと向かう。

 

 

 

 

一方、猛海が出ていった後の女性陣。ベルファスト達は、悲しみの余り猛海の部屋に籠ってしまっていた。

「天城、ベルファスト、キュラソー。部屋から出なさい」

カーリューが扉の向こう側の3人に言う。部屋から返答はない。

「もう良いだろう。ベルファスト、キュラソー、天城。我々の存在意義は、侵略者達から指揮官を護り、闘う事だけ。無用な感情は捨てろ」

「……そんな簡単に割り切れる想いではないんです」

ビスマルクの言葉に、キュラソーが返す。

「だが、いずれは辛くなる。今ならまだ間に合うだろ?」

「…そんな事が言えるのは、猛海様の寵愛を頂いていないからです」

ベルファストが返す。

「なら、どうする?今のままでは、侵略者が攻めて来た時、まともに闘えるのか?」

エンタープライズの言葉に、部屋の扉が開く。部屋から天城達が出てくる。

「なら、証明してみせます。エンタープライズさん、ビスマルクさん、カーリューさん。今から模擬戦しませんか?」

「……ほぅ、良いだろう」

三対三の模擬戦が始まる。

 

 

 

 

養成校近くの海、陸地から数キロ離れた沖合いに天城達六人の姿。皆、武装を装着し、普段見られない戦艦姿。ベルファストとキュラソーは前衛、天城は後衛の陣形。対して、エンタープライズ達は、カーリューが前衛、エンタープライズとビスマルクが後衛の陣形だった。

「…エンタープライズさん、私達が勝ったら」

「分かっている。もう、口出しはしない。だが」

「はい、私達が負けたら、エンタープライズさん達に従います」

六人全員が確認出来る位置に伊勢の姿。伊勢は審判役だ。伊勢の右腕が頭上から一気に下りた。開始の合図。先に動いたのはカーリューとキュラソー。砲台から爆炎が轟く。紙一重で砲弾を避ける両者。エンタープライズが爆撃機を射ち放つ。ベルファストが爆煙でその視界を塞ぐ。ビスマルクと天城は互いの砲弾を打ち消し合っていた。両者一進一退の攻防。力は同格に感じた。しかし、エンタープライズの爆撃機を完全に防ぎきれず、ベルファストが損傷。天城とキュラソーも一部武装が破壊されている。

「勝負あったな」

「…まだです!」

天城の言葉に、ベルファストが反応。爆煙で広い範囲を見えなくし、キュラソーと天城が同時攻撃した。これには、エンタープライズ達の防御も追い付かず、武装が一部破損する。それでも優位な状況は変わらない。

「……!?」

天城達のいる方とは別の角度からの砲撃が、エンタープライズ達を襲う。エンタープライズ達がそちらを見た。そこにいたのは、人為らざる異形の者。それを侵略者と呼んだ。大きさは3つに分類している。一番大きい侵略者は空母。中型は、武装の種類が多く戦艦、軽巡、重巡。一番小さい侵略者が駆逐艦である。そして、今エンタープライズ達に向かって来ている侵略者の数は、空母5、重巡4、軽巡3、戦艦4、駆逐艦4だ。闘えば、圧倒的不利な状況である。しかし、エンタープライズ達はまだ動く砲台を向け、闘う意思を示した。

「…エンタープライズさん、ここは一旦引きましょう」

「いや、引かない!引けない!我々の存在意義を今ここで証明してみせる」

エンタープライズのその横顔に、天城達もふらつきながら侵略者に砲台を向ける。

「でしたら、私達は猛海様の想いを、その覚悟を証明してみせます!」

「……全艦、一斉に撃て!」

エンタープライズの号令と共に、爆炎が轟いた。

 

 

 

 

数時間前に遡る。猛海は小野の元にいた。理由は簡単。武具作りをする為だ。

「…猛海、良いのか?」

「確かに、良くないけど、みんなに分かってもらう為には、早くこれを完成させないと」

小野の問いに、作業の手を止めずにそう言った猛海。その眼差しには、猛海の決意が見てとれる。小野は、そんな猛海を無言で見つめ、作業を再開した。しばらく作業していると、慌てて近付いてくる足音。それは養成校の校長だった。

「……あぁ!?水瀬君、ここにいたのか!」

「どうしたんですか、校長」

息を切らした校長に、小野が問う。数回深呼吸した校長は、猛海に近付き。

「水瀬君、お願いです!君のパートナーを戦場へ向かわせて下さい」

「…何故ですか?」

校長の言葉に怪訝の表情の猛海。

「先程、政府から侵略者がこちらに向かっていると情報が」

『…指揮官!…猛海、聞こえるか?』

「……伊勢?」

急に頭から伊勢の声が聞こえ、周囲を見渡す猛海。

「…伊勢か、お前どこから」

『そんな事は後から説明する。兎に角、今エンタープライズ達が侵略者と交戦中。状況は不利だ』

「…はっ?何で、エンタープライズ達が?天城達もそこにいるのか」

『全員いる。だが、説明する時間がない、このままだとみんな沈む。猛海、早く来てくれ』

その言葉を聞いて、猛海の中で何かが弾けた。

「小野先生、校長。俺行ってきます」

「……あぁ、分かった」

猛海は返事もまともに聞かず、武具を手に取り走り出した。走る途中で、小さな少女が二人、猛海を見ているのに気付く。一人はウサギの様な耳を付け、眠たそうにしていた。もう一人は、機械の様な耳を付け、無表情。

「……指揮官、ラフィーも一緒に行く」

「綾波も、一緒に行きます」

「君達も戦艦少女?って、今はそんな悠長な状況じゃ」

そう言って走り出す猛海。ラフィー、綾波も同じように走り出した。ラフィーはやはり眠たそうに。

「綾波達は、駆逐艦だけど」

「…指揮官のお役に立つぅ…」

「寝るなぁ」

走りながら寝そうなラフィーを猛海は担ぎ走る。海が見えて来ると、黒い煙が沖合いから上がっているのが見えた。猛海の背筋が凍る。

「指揮官、まだ間に合います。行きましょう」

綾波が言いながら、走る。猛海はがむしゃらに走り、浜辺に着くと、武具を素早く取り付け、海に入った。いつの間にか下ろされたラフィーも海の上に立っている。

「二人共、俺の指示で動けよ」

「……分かった」

「了解、です」

二人の頷きに猛海は海面を滑るように、ベルファスト達の元へ向かったのだった。




某アニメみたいな感じに話を割ってるわぁ…
近い内に、後半書きますから、勘弁して下さい…


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覚悟と決意(後半)

続きをどうぞ


黒い煙が幾つも空へ昇る。大きな波しぶきがエンタープライズ達を襲う。ベルファストとキュラソーがその勢いでバランスを崩した。

「…くっ!?ここまでか!?」

全身、ボロボロになりながらビスマルクが言う。その間も容赦なく侵略者の砲弾がビスマルク達を襲う。

「……!?」

ビスマルク達の頭上を、一発の砲弾が飛び越え侵略者に命中する。

「全員、撤退!!」

誰かの声が聞こえた。その声のする方へ視線を向ける。そこには、砲台を侵略者に向けた伊勢の姿。同時に、何かがビスマルク達の横をすり抜けた。その何かは、あまりにも速く、目で捉える事は難しい。素早い動きで侵略者の背後に回り込むのが見えただけ。

「…エンタープライズさん、撤退して、下さい」

いつの間にか横にいる綾波。そこにはラフィーも眠そうに立っている。

「…いゃ、しかし」

エンタープライズ達が困惑していると、伊勢の砲台から爆炎が轟く。

「……指揮官命令、早く行こ?」

目蓋を擦りながらラフィーが言う。それでもエンタープライズ達は、決断出来ずにいた。

「綾波、ラフィー!」

誰かの声。その声には聞き覚えがある。声に反応し、綾波とラフィーが、エンタープライズ達の前に回り込み、交差しながら侵略者に魚雷を放つ。同時に、伊勢が砲弾を放った。侵略者に命中すると同時に、一番後ろにいた空母型の侵略者が、横からすり抜ける様に動いた何かに、横一閃で真っ二つになる。唖然とする面々。何が起こったのか分からない侵略者達は、その何かに襲い掛かる。しかし、素早い動きで、数体を蹴り上げ、隙間からその包囲網を抜け出し、エンタープライズ達の前に立つ。

「全員撤退しろって、命令した筈なんだけど」

「…指……猛海」

動揺を隠せないエンタープライズ。いや、エンタープライズだけではない。そこにいた面々はみな、同じ表情だった。何故なら、今目の前にいる人物が、本来ならここにいるべきではない猛海だったから。さらに、猛海の姿が、動揺を増幅させていた。

「……猛海様、その姿まるで」

ふらつきながら、天城が言う。猛海の姿は、エンタープライズ達と同じ、武装姿。しかも、その武装は明らかに異様。右手には長刀。左側の肩から爆撃機の滑走路が腕の長さまであり、腕で固定されている。その滑走路の横幅は、エンタープライズの身に付けている滑走路より、2倍近くあった。背中にも、猛海の身長と同じライフル。腰には短刀が2本ある。両太腿に、黒い装甲。足元は、天城達と同じ、水上に浮く為の装置。その装置も明らかに、分厚く、天城達の装置より馬力が違うのが、分かった。

「…全員撤退、早くしろ」

「…いゃ、だが」

「ビスマルク、前に言ったの覚えているか?」

猛海の問いに、ビスマルクは瞬時にその時の記憶を思い出す。その間、猛海の背後に侵略者の砲弾が向かって来るのが見えた。声を上げるよりも早く、猛海はライフルを肩から抜き、その砲弾を撃ち落とす。

「俺は、護られるより、護りたいんだよ」

無駄のない動き。ビスマルクは見惚れてしまう。いや、エンタープライズ、カーリュー。そして、天城達全員が猛海の漢らしさに、頬を染めた。

「綾波、ラフィー。それから伊勢、エンタープライズ達を援護しながら撤退しろ」

「了解、です」

「…分かった」

「任せろ!」

猛海の命令に、ラフィー達三人が動き出す。 すると、ビスマルクが猛海の腕を掴んだ。

「…猛海待ってくれ」

「何だ?」

「…私もここに残る、側にいたい」

ビスマルクが懇願するように猛海を見つめた。ビスマルクの頬を猛海の手が撫でる。切ない表情をみせるビスマルク。猛海はビスマルクの唇を指で触れ、軽くキスする。

「大丈夫だ。すぐに戻るから、みんなと撤退しろ」

何も言えないビスマルク。猛海は、ビスマルクをその場に残し、一人侵略者の方へ向かった。離れた場所からエンタープライズ達は猛海を見守っている。最初、心配で胸が張り裂けそうだったが、そんな心配を余所に、猛海の猛攻は凄かった。空母型の侵略者を3体、重巡、軽巡4体を沈め、戦艦1体と駆逐艦2体を難なく沈めた。侵略者達は、劣勢と悟ったのか、蜘蛛の子を散らす様にその場から離れていく。そして、猛海は侵略者達が見えなくなるまでその場にいた。ゆっくりと振り向く猛海。陽の光に照らされ、猛海は神々しかった。

 

 

 

 

 

整備場の2階。畳の大部屋、布団を並べ横になるキュラソー、ベルファスト、天城、カーリュー。猛海が胡座のまま、四人を見ている。一つ大きく息を吐く猛海。

「…本当、勘弁してくれ。俺は肝が冷えたぞ」

「申し訳ありません」

四人それぞれから謝罪の言葉が出る。

「まぁ、今回は間に合ったから良かったけど」

そう言って、近くで横になっているキュラソーの頬を撫でる猛海。キュラソーが頬を染めた。

「…猛海様ぁ」

猛海の手を掴むキュラソー。ヨロヨロと起き上がり、猛海に抱き付いた。猛海が優しく抱き締める。

「…私、もう猛海様に逢えないかと」

嗚咽を漏らし、そう言うキュラソー。気が付けば、天城とベルファストも猛海に寄り掛かる。カーリューはその状況を静観していた。猛海の手が、カーリューの頭を撫でる。ビクリと身体を反応させるカーリュー。目尻が下がり、瞳を潤ませる。

「…肩の力を抜けよ、カーリュー」

猛海がそう言うと、カーリューが微笑む。初めて見せる表情に、猛海の鼓動が高鳴った。

 

 

 

 

「…ビスマルク」

「何だ、エンタープライズ」

ボロボロの服を脱ぎながら、エンタープライズとビスマルクは互いの身体に消毒液を付け合う。

「指揮官…いゃ、猛海は今までの指揮官達とはやはり違うな」

「…そうだな」

無言になる二人。静かな部屋に聞こえる隣の部屋の声。二人は耳を澄ませた。

「……ちょっ…と待って…」

「ほら、良いから」

声の主は、猛海とカーリュー。二人は見合い、服を着ると猛海達がいる畳部屋に向かう。勢い良く襖を開けた。目に飛び込んで来たのは、下着姿の天城達と猛海に服を脱がされているカーリュー。一気に顔を真っ赤に染める二人。

「…な……何を」

「ああ、丁度良いところに、二人も服を脱げ」

恥ずかしがるカーリューに、猛海は服を脱がし下着姿にさせると、今度はエンタープライズ達に近付く。二人は後退り。しかし、猛海は二人の腕を掴んだ。掴まれた腕の強さで、猛海に敵わないと悟る二人。諦めて素直に従った。その様子を、天城達は黙って見ている。猛海の前に下着姿の女性6人。猛海は6人の身体を真剣に見つめる。一人ひとりを隅々まで観察し、怪我の箇所に触れた。

「……んぅ」

「……ぁ…」

猛海に触れられる度、天城達が甘い声を出す。

「…ちょっと声出すの我慢しろ」

珍しく猛海が注意する。3人は必至に我慢。猛海の視線がエンタープライズに向く。真っ赤に染め、猛海の視線から顔を反らしたエンタープライズ。猛海の手が、エンタープライズの肩に触れる。ビクリと反応するエンタープライズ。

「…ん~、かなり怪我の箇所が多いなぁ、ビスマルクも」

そう言って、ビスマルクの脇腹を撫でる猛海。

「よし、お前達はしばらく休んどけ」

猛海の発言に、6人全員が猛海に集中する。

「それはどういう事ですか?」

「そのままの意味だ、怪我が治るまで大人しくしてろ」

「…そんな」

ベルファストが泣きそうな表情をする。猛海は優しく頭を撫でた。

「たまにはゆっくりしてろ」

「でも、猛海様に触れられないのは、辛いです」

「分かった。撫でるくらいはしてやるよ」

ベルファスト達3人の甘えっぷりを目の当たりにし、エンタープライズ達3人は唖然とする。

「俺はお前達を護りたいんだ。頼むから今は俺の言う事を聞いて休め。勿論、エンタープライズ達も怪我が治るまで休めよ」

「……猛海がそこまで言うなら、でも護衛は」

「心配しなくても、綾波達がいる」

「…ぅん、ラフィー頑張る」

部屋に綾波とラフィーがいた。実は最初から部屋にいたのだが、エンタープライズとビスマルクは気付いていなかった。伊勢もいたのだが、居眠りしている。

 

 

 

 

 

ある程度、話が纏まったところで、猛海は1階に作ってもらった浴場へと向かう。元々整備場だった場所。住むには色々と足りなかった。特に水回りは生活する上で欠かせない。意外と風呂が好きな猛海。鼻歌混じりに浴室へと足を踏み入れる。

「…あら、貴方誰?」

湯けむりで視界が曇っているが、そこには見知らぬ獣耳の美女。勿論、一糸纏わぬ姿で、猛海を見つめていた。隠す物が薄い布だけのその女性は、妖艶に微笑む。色白の肌、豊満な乳房と括れた腰。そして、むっちりとした臀部。長い黒髪は濡れ、背中に張り付いている。言葉が出ない猛海に、その女性が近付く。次の瞬間、猛海の首筋に冷たく硬い感触が。

「…ほぅ、拙者の目の前で堂々と覗きとは」

背後にいたのは、少し垂れ耳の黒髪の女性。その女性も美女だった。しかし、今の猛海はそんな余裕等ない。何故なら、首筋に刀を突き付けられたからだった。




かなり間が空きました。なるべく、話を割らないように頑張ります。


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彼女達は興味津々

続きをどうぞ


猛海が1階の浴場に向かった後、エンタープライズ達は居間で寛いでいた。畳部屋では、綾波とラフィーがお絵描きを始め、伊勢は相変わらず居眠りしている。テーブルに6人分のお茶を用意する天城。傷の痛みがあっても表情や行動に出さない6人だが、猛海に触れられた傷を擦りながら座る。

「……さて、これからどうしたものか」

「…そうですね」

急な休みを与えられ、戸惑う6人。今まで、沢山の指揮官を護衛してきた彼女達。怪我の度合い等関係無く、指揮官を護衛してきた。それは、彼女達の中で当たり前の事で日常、そして、存在意義。

「…やはり、猛海は今までの指揮官達とは違うな」

「……」

無言になる6人。ほぼ同時に溜め息をつく。

「休みを与えられた以上、私達は何も出来ない」

「……休みはどう過ごせば良いのでしょう」

ぽつりと溢す天城に、他の5人が再び溜め息をついた。私的な理由で休日等、取った事が皆無の6人は、休日の過ごし方を知らない。しばらく、無言でお茶を啜る6人だったが、何やら1階が騒がしい。怪訝な表情になる。女性の声が、1階から2階へと続く階段に移り、そして、居間の前まで来た。

「さっさと来い。拙者の手を煩わせるな」

「…いゃ、だから」

声の主は、猛海と女性。居間の扉が勢い良く開く。唖然とする面々。居間に入ってきたのは、二人の女性とボクサーパンツ姿の猛海。

「おぉ!?これはエンタープライズ殿、それに天城、ベルファスト、ビスマルク殿達も」

垂れ耳の美女が明るく声を掛ける。

「…高雄さん、それに愛宕さん」

驚きの表情で天城が声を掛ける。エンタープライズ達も二人の事を知っているようだった。

「二人共、久しぶりだな」

「…元気そうで何よりだ」

「あら、天城さん達はお怪我をされてるようですね」

「ああ、つい先程まで侵略者達とな」

もう一人の獣耳の美女が話す。それに答えるビスマルク。女性達の会話は弾む。

「それで?いつこちらに?」

キュラソーが問う。その問いに、二人は何故か照れていた。

「…いゃ、お恥ずかしい。実は綾波とラフィー四人で援護に向かう予定だったんだが」

「思いの外、召喚に時間が掛かってしまって、出遅れたの。それに」

「ああ、二人共方向音痴だったか」

「……面目ない」

高雄と愛宕が申し訳無さそうに話す。クスクスと笑う面々。畳部屋から、のそのそと伊勢が出てくる。

「……お!?高雄じゃん、久しぶりだな!」

「伊勢殿!」

伊勢と高雄は顔を見合わせると、がっちりと手を組んだ。その勢いのまま、腕相撲が始まり、伊勢が勝つ。

「おっしゃ!今回はあたしの勝ち!」

「…くっ!負けた…」

その状況を猛海は呆然と見ていたが、軽く咳払い。

「…盛り上がってる所、悪いんだが」

「……」

「俺、行って良いか?風呂に入りたい」

その言葉で、先程まで笑顔だった高雄が猛海に詰め寄る。そして。

「エンタープライズ殿、覗き魔を連れてきた」

真剣に言う高雄。高雄の言葉に、その場にいた面々は盛大な溜め息をつく。

「…高雄さん、それ本気で言っていますか?」

「…何が?」

天城の問いに、キョトンとする高雄。天城は椅子から立ち上がり、猛海の側に立つ。

「高雄さん、この方が私達の指揮官様です」

「……」

沈黙する高雄。その後ろでは愛宕が微笑んでいる。

「高雄、やっぱり気付いていなかったのね」

「…はっ!?おま…愛宕、知っていたのか!?」

「当たり前じゃない。キューブの時からずっと側にいたしでしょ?」

「……」

「まぁ、大方予想はつくが」

呆れ顔のエンタープライズ達。高雄は顔を真っ赤に染め、猛海の目の前で土下座した。

「…大変、申し訳ありませんでした!拙者、どうお詫びをすれば」

「いやいや、俺は気にしてないから」

「いいえ、そういう訳には」

床に額を擦り付け、表情は窺えないが、声は少し震えている。急に高雄は身体を起こし、短刀を出すと自らの腹に当てた。

「指揮官殿に対する無礼、死んでお詫びします」

「…だから、待て待て!」

猛海は素早い動きで、短刀を奪い取った。手の平を切り、血が出ている猛海。その様子を震えるように高雄は見つめた。

「高雄だっけ?さっきも言ったけど、俺は気にしてないから、お前も気にするな」

「…しかし」

「良いな?」

「……はぃ、指揮官殿の命に従います」

ようやく大人しくなり、猛海は溜め息を一つ。天城が猛海の手に触れた。

「…猛海様、お風呂ご一緒します」

「…いゃいや、これくらい支障はないし、それに天城も怪我しているだろ?」

天城が身体を寄せる。みんなに見えない位置に動き、ボクサーパンツの上から、猛海の肉棒を撫で上げた。生唾を飲み込む猛海。天城は上目遣いに微笑んだ。

「でしたら、流し合いっこしましょ」

「私達もご一緒します」

ベルファストとキュラソーが反応。素早く立ち上がり、猛海に近付く。

「……分かった」

「なら、私もご一緒しても宜しいですか?」

「…えっ?」

愛宕の言葉に、猛海が目を丸くする。

「愛宕で良いんだよな?」

「はい」

「さっき入ってたろ?」

「私も入り直そうと思っていましたので」

笑顔を崩さない愛宕。感情が読めない。猛海は何か言おうとするが、言葉が出ない。

「さあ、行きましょ」

猛海の腕を引き、天城達は居間を出ていった。

 

 

 

 

それから三時間が経過。艶々の肌で色気駄々漏れの天城達四人。それに対して、少しくたびれている猛海が居間に戻ってくる。エンタープライズ達は何とも言えない表情。

「とても良い湯でしたわ」

愛宕が微笑む。天城達も満足そうに微笑んだ。一方の猛海は、小さく溜め息をつくと。

「俺、ちょっと出掛けてくる」

「どちらまで?」

「小野先生の所、武具の整備」

「……分かりました。お気を付けて」

「暗くなる前に戻ってくるから」

猛海の言葉に、その場にいた面々は、複雑な表情。猛海がいなくなると、もう何度目か分からない溜め息をついた。

「それにしても、猛海様素敵でしたわ」

「そうですね。愛宕さんにも優しくされた猛海様、素敵です」

何の前触れもなく、天城と愛宕が話し出す。

「……愛宕さん、本当に初めてですか?」

「初めてですよ」

ベルファストの問いに、愛宕は頷く。

「初めてにしては激しかったようですけど」

「うふふ、私より天城さんと猛海様の交わりの方がとても凄かったですよ」

キュラソーの言葉に、愛宕が微笑み天城を見る。愛宕の視線で天城が顔を真っ赤に染めた。

「天城さん、あんな風に啼くんですね。とても可愛らしかったです」

「もう、愛宕さん。あまりからかわないで下さい」

少し不貞腐れた天城。四人の会話に、エンタープライズ達は口をパクパクしている。

「どうされました?」

愛宕がエンタープライズ達に問う。問われた方のエンタープライズ達は、頬を染めて、小さく咳払い。

「…え…と、その」

「……天城達は、その猛海と」

しどろもどろになるエンタープライズとビスマルク。頭から蒸気が見えそうだ。

「エンタープライズさん達は、まだ『猛海様に抱かれていない』という事ですか?」

愛宕の発言に、無言の二人。カーリューも無言で視線を反らす。

「エンタープライズさん、猛海様の事好きですよね?ビスマルクさん、カーリューさんも」

「…勿論だ」

「…ぅむ」

「……はぃ」

恥ずかしさから、歯切れの悪い返答。

「でしたら、何を躊躇しているのですか?」

「…いゃ、心の準備が」

「……右に同じく」

「私も同じく」

「その…初めては痛いと聞くし」

エンタープライズの言葉に、愛宕は小さく溜め息をつく。

「私も痛かったですよ」

「…えっ?そんな感じには見えませんでしたよ」

「猛海様、とても優しくしてくれましたから、思ったより痛くなかったんです」

ベルファストの言葉に、愛宕は答えた。

「痛みより猛海様に抱いてもらえる嬉しさの方が強くて、あまり痛みを感じなかったから」

「それなら分かります。私もそうでした」

愛宕の発言に、キュラソーが賛同した。四人は同じ気持ちだったのが嬉しく、微笑み合う。

「どうしましょう」

「……?」

愛宕の言葉に、女性6人の視線が集まる。

「猛海様の事を考えたら、身体が疼いて」

顔を真っ赤に染め、身体を震わせる愛宕。その様子を見て、天城達3人も同じようになり、それをエンタープライズ達3人は、顔だけでなく、全身真っ赤に染めながら見つめるしかなかった。




気付く人は気付いていると思う。自分が天城推しだという事に。ちなみに、大体出てくる彼女達は、自分の嫁が大半です。


追記、お風呂場での濡れ場、書こうか悩み中。書いた方が宜しいですかね?誰か意見をお願いします。


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賑やかになる日常

本日2本目のアップです。
続きをどうぞ


侵略者と一戦交えた次の日。猛海はいつもの様に、自室で寝ている。訳もなく、別の部屋にいた。猛海の上に覆い被さるように、長い銀髪が広がっている。

「……んむ?朝かぁ」

目蓋を軽く擦り、銀髪を手櫛で整え、綺麗になった頭を優しく撫でた。猛海の左右に濃い青紫の髪と金髪が見えている。

「……んぅ」

猛海に覆い被さっていた人物が、もぞもぞと動き、猛海と同じように目蓋を擦りながら、目を覚ます。

「…お早う、エンタープライズ」

「……お…お早う、猛海」

起き抜けに猛海の顔が目の前にあり、驚くエンタープライズだったが、すぐに状況を理解して、頬を染めた。猛海が身体を起こす。身体に掛かっていた布団が落ち、ボクサーパンツ姿の猛海と全裸のエンタープライズが抱き合う形になった。エンタープライズの身体に、数ヵ所包帯が巻かれていて、痛々しい。

「身体、痛くないか?」

「傷の事か?」

「…いゃ、ココ」

そう言って、エンタープライズの下腹を軽く撫でる猛海。猛海のその言葉に、エンタープライズの顔が真っ赤に染まった。猛海はじっとエンタープライズを見ている。

「……ぃや、痛みはないと言えば嘘になるな」

「そうか」

「だが、痛みより『猛海に愛してもらえた』その気持ちの方が大きい。天城達の言っていた意味が分かったよ」

嬉しそうに微笑むエンタープライズ。はにかんだ表情に、猛海は鼓動を高鳴らせ、ゆっくりと唇を近付ける。猛海の意図を感じ取り、エンタープライズも目蓋を閉じた。触れ合う唇。ただ重ねるだけのキスは、次第に深くなり、互いを求め合う。猛海の手がエンタープライズの乳房に触れた。

「……ん…」

いつも凛としたエンタープライズの声が、少し可愛らしくなる。

「…エンタープライズ、ズルいぞ」

「そうですね、私達を忘れるなんて」

猛海の左右から聞こえる声。ビスマルクとカーリューだった。二人もエンタープライズ同様、全裸である。カーリューの髪は下ろされ、長い髪が肩から背中にかけて流れていた。

 

(髪を下ろすと、キュラソーそっくりだな)

 

そんな事を思う猛海。ビスマルクとカーリューの頭を撫でる。

「…お前達も身体は大丈夫か?」

「ぅむ、傷の」

「いや、ココの事」

ビスマルクの言葉を遮り、エンタープライズ同様、カーリューとビスマルクの下腹を撫でる猛海。二人は顔を真っ赤に染めた。

「大丈夫そうだな」

猛海は微笑む。そして、二人にもキスをした。嬉しそうにはにかむ二人。

「今日から、傷が治るまで大人しくしとけよ?」

「ぅむ、了解した」

猛海の言葉に、頷く3人。猛海は、3人を部屋に残し、登校の準備を始めた。

 

 

 

 

猛海が学校に行っている間、天城達7人は特に何をする訳でもなく、居間で寛いでいた。

「エンタープライズさん、ビスマルクさん、カーリューさん、おめでとうございます」

「あ、ありがとう」

「これで、私達の仲間入りですね」

天城達は喜んでいる。エンタープライズ達も恥ずかしさで頬を染めているが、微笑む。

「それで?どうでしたか?」

キュラソーが笑顔で問う。言葉を飲み込む3人。しかし、天城達4人の視線は3人に注がれたまま。

「……痛みはあった。しかし、天城達が言った通り、嬉しさの方が大きくて」

「ですよね。分かります」

「ずっと願っていた事です」

「だって私達は、産まれる前から猛海様の事を愛しているのだから」

キュラソーの言葉に、天城とベルファストが続けた。そして、その想いはエンタープライズ達も同じ。

「伊勢や高雄もそうなんだろ?」

ビスマルクが高雄に問う。ビスマルクの問いに、二人は少し頬を染めながら。

「…いゃ、あたしはどちらかってぇと、猛海と遊びたい」

「…ぅむ、好きではあるが、猛海殿と手合わせしたい気持ちが大きい」

二人のそれぞれの気持ちに、天城達が苦笑する。

「……ラフィー、猛海お兄ちゃん好きぃ…」

「綾波も猛海兄さん好きです」

背後に立つラフィーと綾波。エンタープライズ達が一瞬、思考停止。

「……ちょっと…待て、今誰が猛海の護衛を?」

「あら?話していませんでしたか?」

「いゃ、何も聞いてないぞ」

「…私達も知りませんけど」

愛宕の発言に、天城達が動揺する。

「私達と同じタイミングで、エセックスさん、ダンケルクさん、ヨークタウンさん、他に夕立ちゃんとジャン・バールさん、プリンツ・オイゲンさん達が来てますよ?」

その名前の多さに、驚愕の表情の6人。

「……オイゲン、あの子は…」

ビスマルクが溜め息をつきながら、眉間にシワを寄せる。

「愛宕、その話聞いてないぞ」

「あら?それはごめんなさい。でも大丈夫。猛海様を護衛しているのは、ダンケルクさんとオイゲンさんのお二人ですし」

「…ヨークタウン姉さんも来ていたのか」

「ええ、ただ今は、先日の侵略者の件で、近海の海域に偵察中よ。エセックスさんとジャン・バールさん、夕立ちゃんと一緒に」

愛宕の報告に、一同が溜め息をつく。ビスマルクはもう一度溜め息をつくと。

「猛海、オイゲンを上手く扱えれば良いのだが」

その心配は、予想通りになりつつある。

 

 

 

 

講義中の猛海。教室の後ろには見知らぬ女性が二人。1人は銀髪、色白のどこかあどけなさが残る女性。もう一人は、銀髪を左右に束ね、ショーツが見えそうな程、際どい服を着た女性。そのデザイン、生地はビスマルクに似ている。

「あの二人、誰のパートナーだ?」

誰が話す。その言葉に、みな後ろをチラチラと見ていた。2つに束ねた女性がゆっくりと歩む。それを止めようとするもう1人の女性。

「ちょっと、オイゲンさん、講義中に勝手な行動は」

「あら、良いじゃない」

オイゲンと呼ばれた女性は、制止を振り切り、猛海の前に立つ。

「初めまして、指揮官。私はプリンツ・オイゲンよ。あっちにいるのは、ダンケルク。宜しくね」

言いながらウィンクを一つ。唖然とする猛海。

「…はっ!?……いゃ、それより今講義中だから」

しかし、オイゲンは猛海の机に座り、猛海を見下ろす。

「近くで見ると、やっぱり素敵ね。ねぇ、指揮官。お話しましょ?」

「…オイゲンさん!」

ダンケルクが慌ててオイゲンの腕を掴む。オイゲンの表情が曇った。

「邪魔しないで、私は指揮官とお話したいの」

「駄目です。今は講義中なんですよ」

二人は言い合いを始めた。猛海に注がれる非難の視線。猛海は溜め息をつくと、二人の腕を掴んだ。

「……他の人の迷惑だから、こっちに来い」

腕を引き、二人を連れて、猛海は居住している整備場に向かう。その間、二人は無言。階段を上がり、居間の扉を開く。

「あら、猛海様」

居間で寛いでいた面々。いきなり入ってきた猛海に驚きつつも、後ろにいた二人を見て、何故か納得している。

「…オイゲン」

「あら、ビスマルク」

オイゲンを見て、眉間のシワを濃くするビスマルク。オイゲンの方は、飄々としている。

「いつも言っているだろ。召喚後は速やかに私の所に来いと」

「仕方ないでしょ?海見たかったし、散策したくなっちゃったから」

「……っく、ああ言えばこう言う」

珍しく、ビスマルクが遊ばれている。そんなビスマルクを後目に、オイゲンが猛海に抱き付く。

「…なっ!?」

「服の上からでも、指揮官の身体付きが分かるわ。付き過ぎずバランスの取れた筋肉。抱かれてみたい」

恍惚とした表情で、猛海の身体を撫でた。猛海は困惑の表情。

「オイゲンさん、無闇に指揮官に触っては駄目です」

ダンケルクが懸命に引き剥がそうとする。

「ビスマルク、彼女。オイゲンっていつもこんな感じか?」

「……いつもと言うか、今回は見た事がないくらい酷い方だ。それだけ、猛海に惚れているのだろう」

呆れたままビスマルクがそう言う。しばらく考えた猛海は、オイゲンの顎を軽く掴むとくいっと上に上げ、視線を合わせ、有無を言わさず唇を重ねた。いきなりの事に、オイゲンの手が猛海の身体を強く押した。バタバタと暴れるオイゲン。その状況に、その場にいる面々が息を飲む。

「……んぅ…」

ようやく長いキスから解放されたオイゲン。その場に座り込み、顔を真っ赤に染め、涙目で猛海を見た。

「…俺の勝ちだな。オイゲン」

不適に笑う猛海だった。




次回は濡れ場ありです。乞うご期待?


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流し合いっこ?

お待ちかね?の濡れ場
どうぞ


湯けむりで曇る視界の中、猛海の瞳はしっかりと四人の美女を映す。それは魅惑の光景。女性の全裸を、猛海は見慣れ始めている筈だった。

 

(濡れた身体がこんなにもイヤらしく見えるとは)

 

初対面の時、薄い布で身体を隠していた愛宕も、今は隠す事なく全てをさらけ出している。猛海は四人の身体を舐め回すように見た。同じように見える色白の肌も少しずつ違いがある。特に尖端の色は薄い桃色、少し赤色が出たピンク色。乳輪の大きさ等違う。四人は猛海の視線に気付く。

「猛海様、どうされました?」

天城が声を掛ける。猛海はおもむろに天城の乳房に触れた。そして、愛宕の乳房も触れる。

「…同じように見えて、やっぱり違うんだな」

一人納得している猛海。

「猛海様、私達のも」

ベルファストとキュラソーが猛海の腕を取り、自分達の乳房に触れさせた。しっかりとそれに答える猛海、二人の乳房を揉みしだく。乳房の違いは見た目だけじゃない。肌の張り、艶、柔らかさ。肌のぬくもりどれも違う。猛海の指が、ベルファストの尖端を摘まむ。

「……ん…」

頬を染め、声を上げるベルファスト。猛海がボディーソープを泡立て、ベルファストの身体を洗い始めた。

「流し合いっこするんだろ?」

悪戯っぽい笑みで言う猛海。ベルファストの頬が膨らむ。猛海に対抗するようにベルファストとキュラソーがボディーソープを泡立て、猛海の身体を洗い始めた。猛海の後ろに回り込むキュラソー。猛海の背中に柔らかな感触。

「どうですか、猛海様」

キュラソーが乳房で猛海の背中を洗っている。時折、尖端が擦れて、猛海の肉棒が反応した。それをベルファストは見逃さず、猛海の肉棒を乳房で挟んだ。上下に乳房を動かし、肉棒をしごく。二人の息の合ったコンビネーションに、猛海の欲情は強くなる。ふと、猛海の視線が、天城と愛宕に向いた。獣耳の美女が、全身泡まみれでじゃれている。 愛宕の指が、天城の乳房を揉み、全身を優しく撫で洗う。頬を染めた天城。呼吸も荒いようだった。猛海は見てはいけない秘密の花園を覗いてしまった様に感じ、視線を反らす。

「……んぅ、愛宕さん」

「天城さん、とても素敵ね」

二人の会話に、猛海は抑えが効かなくなった。性急に、ベルファストの泡を洗い流すと、押し倒し、ベルファストの秘所を舐め始める。

「…あぁ!猛海様、いきなり…」

ざらついた舌で、クリを舐め擦り、舌先で弄る。その度に、ベルファストの身体が跳ね、甘く啼く。その間、猛海の腕は、キュラソーの下半身に伸び、指は割れ目を擦っていた。二人の口から溢れる甘い喘ぎ。猛海の肉棒は、血管が浮き出る程固くなっていた。

「…猛海様」

「どうした」

潤んだ瞳でベルファストが猛海を呼ぶ。天城達に見られている状況の中、ベルファストは両足を開く。

「…我慢出来ません。早く猛海様を感じたいです」

その言葉を聞いて、ベルファストにキスをする猛海。 唇を重ねたまま、猛海の肉棒がベルファストの秘所に宛がわれる。グチュリと濡れた音。猛海は一気に貫いた。ベルファストの身体が弓なりになり、呼吸が一瞬止まる。ベルファストの呼吸が戻るまで、猛海は待った。

「……あぁ…んぅ……はぁはぁ」

「大丈夫か?」

「…はぃ、大丈夫…です」

ベルファストの瞳は期待で震えている。ベルファストの唇を塞いだ猛海は、腰の動かし始めた。身体がぶつかり合う音が、浴室に響く。その間も二人の唇は重なったまま、舌を絡め合う。猛海は時折、ベルファストの下半身に腰を強く押し付け、肉棒の尖端で子宮を刺激した。ベルファストの中がきつく締め付ける。何度も押し付け、ベルファストの子宮と密着させた。

「猛海様ぁ」

切羽詰まったベルファストの声。猛海は激しく腰を打ち付け、ベルファストの中に白濁の液を流し込んだ。ベルファストの身体が痙攣し、そのまま意識を失くす。精子を出し切ると、すぐに引き抜き、キュラソーの唇を塞ぐ猛海。衰える様子のない猛海の肉棒。肉棒を優しく撫でるキュラソー。猛海の身体がびくりと反応した。荒い呼吸のまま、キュラソーの首筋を舐め、乳房を揉みしだく。猛海の右手は、キュラソーの割れ目を這う。グチュグチュと卑猥な音を出し、キュラソーの割れ目から涎が出ている。

「…猛海様、入れて下さい」

浴室で四つん這いになり、臀部を突き上げたキュラソー。猛海は生唾を飲み込んだ。熱に浮かされる様に、キュラソーの割れ目に肉棒を宛がう猛海。

「…キュラソー、イヤらしいな」

臀部を撫でながら、猛海はゆっくりと肉棒を入れていく。ゆっくりとした動きで、猛海は腰を打ち付ける。ふるふると揺れるキュラソーの乳房。猛海は後ろからキュラソーの乳房を揉み、尖端を指と指で摘まむ。キュッと締まるキュラソーの中。

「…あぁ…ぁん、気持ち…いぃ……もっと」

「そんなに気持ち良いか?」

「…んん……気持ちいい…です」

「キュラソー、本当にイヤらしいな。腰が動いてるぞ」

キュラソーの耳元で猛海が言う。その言葉に、キュラソーの中が反応。猛海は、一気に腰を引き抜き、強く打ち付けた。

「あぁ!」

同じように何度も打ち付け始める猛海。器用に、片方の手は乳房を揉み、もう片方の手は、クリを弄る。クリと尖端を強く摘まむと、キュラソーが声を枯らしながら啼く。何度も絶頂を繰り返すキュラソー。何度目かの絶頂で、猛海がキュラソーの子宮に精子を注ぎ込んだ。

 

 

 

 

 

意識を失くしたベルファストとキュラソーの身体に、猛海はタオルを掛けた。猛海の肉棒は、まだ衰える気配はない。猛海自身も荒い呼吸で次の獲物を狙う。それを理解してか、愛宕が猛海の唇を塞いだ。猛海の手が、愛宕の乳房を優しく撫でる。小刻みに震える愛宕。

「優しくするから」

愛宕の耳元でそう言う猛海。何度もキスをし、次第に舌を絡め合う。その間も、愛宕の乳房を揉み、尖端を優しく摘まむ。愛宕が太ももをもじもじさせている。猛海は指を割れ目に這わせた。しっとりと濡れている愛宕の割れ目。猛海は、何度も往復させ、クリを捏ねる様に弄る。愛宕のアソコは、トロトロに濡れ、指が中に入っていく。しばらく指を抜き差し、馴染むと指を一本から二本。三本と増やす。猛海が愛宕に覆い被さる。

「…猛海様、優しくして」

「ああ」

程好く濡れた愛宕の割れ目に、猛海の肉棒が宛がわれる。期待と不安、愛宕の瞳は揺れていた。ズブリと濡れた音で耳を犯す。猛海の肉棒が入る度に、愛宕の表情が歪む。額に汗が滲み、猛海の背中に爪が食い込む。二人の身体は、空気が入り込めない程密着した。

「最後まで入ったよ」

そう言って、猛海が微笑む。愛宕は苦痛の表情から、嬉しさに変わり、うっすらと涙を滲ませた。そして、自分から猛海の唇を塞ぐ。

「嬉しい…、猛海様」

まるで少女のような笑顔に、猛海の肉棒が反応し、愛宕の中を押し広げた。

「猛…海様…」

口を閉ざして、愛宕は小さく頷く。猛海はゆっくりと腰を動かし、愛宕の反応を見る。最初、苦痛の表情だった愛宕。徐々に悩ましげな表情に変わり、甘い声を上げ始めた。腰を打ち付ける度に、愛宕の豊満な乳房が揺れる。猛海は乳房に吸い付きながら、腰の動きを加速させた。そして、次の瞬間。愛宕が甲高い声を上げ、意識を失くす。猛海は愛宕から、肉棒を引き抜く。

「猛海様」

猛海が天城に振り向く。その瞬間、天城が猛海の唇を塞いだ。いつも啄むキスをしてから、濃厚なキスをする二人だが、今回は舌を絡め合う濃厚なキスだった。ずっとおあずけ状態だった天城。欲求を抑えられなかった。猛海の唇を貪る様に塞ぎ、身体を押し付ける。猛海もそれに答えた。天城を浴室の壁に押し付け、すでに濡れた天城の割れ目に、肉棒を宛がう。天城の片足を持ち上げると、一気に貫いた。強い刺激に天城の身体が反応。少しでも逃れようと動いたが、壁が邪魔をしている。必然的に猛海の強い責めを受ける結果に。

「ああぁ!…」

「…滅茶苦茶にしていいか、天城」

天城の中がヒクついている。

「私は、猛海を愛しています」

「俺も愛している」

自然と唇を重ねる二人。優しく見つめ合い、猛海は天城を床に押し倒す。ゆっくりと腰を打ち付けた。天城が声を上げる。体位を変え、天城が馬乗りに。上下する度、天城の乳房が揺れる。猛海は何度も射精した。天城を色々な体位で責め、四つん這いの時は、子宮に肉棒の尖端をキスさせる。

「…あん……ぁ、ゃん…猛……んぅ」

「…ヤバい」

「あぁ…気持ち…い」

天城の身体には、猛海の精液が至るところに掛けられている。まるで、『自分の』だとマーキングしているかのようだ。

「天城、もうそろそろ」

「…はぃ、中に……下さい」

猛海の責めが強くなる。天城の中が蠢いた。次の瞬間、白濁の液が放たれる。二人は同時に絶頂を迎えたのだった。




いつになるか分かりませんが、エンタープライズ達の濡れ場書きたいですね。


追記

本編、彼女達は興味津々?の番外編です。


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彼女達の存在出来る理由

今回は濡れ場なしで

続きをどうぞ


オイゲンとダンケルクを天城達に任せてから、猛海は校舎に戻る。

「猛海、護衛は付けないのか?」

「…いゃ、勘弁してくれ。それでさえ、他の奴らから睨まれてる」

猛海の言葉を聞いて、みんな何も言えなかった。天城達は、猛海との会話を思い出しながら、溜め息をついて無言で座る。静寂な時間がしばらく流れ、ビスマルクがゆっくりと立ち上がった。

「…どうされました?」

「……少し外の空気を吸いに行ってくる」

キュラソーの問いに、そう答えたビスマルク。居間から出ていく。再び流れる静寂な時間。畳部屋に、伊勢、高雄。ラフィー、綾波もいたが、やはり無言だった。誰もどう言葉を掛ければ良いか迷っている。しばらく経つと、1階から複数の声が聞こえてきた。一人はビスマルクのようだ。

「……はい、現段階で侵略者の気配はないです」

「そうか、なら今は安心だな」

「それより、疲れたよぅ」

「お前の場合、はしゃいだからだろ?」

「…ぅ、違う…もん…」

声は、居間の扉の前。そして、扉が開く。入ってきたのは、ビスマルク。その後ろに、ヨークタウン、夕立。ジャン・バールの三人。

「…ヨークタウン姉さん」

エンタープライズが立ち上がる。それに気付くヨークタウン。エンタープライズに近付く。

「エンタープライズ。怪我の具合は大丈夫?」

「…ぁあ、まだ痛みはあるが、生活に支障はない」

「そう」

それ以上は言葉を交わさない二人。

「ところで、エセックスはどうした?」

「…あっ。はい、こちらに向かう途中で、指揮官様にお逢いしたので、護衛に」

その言葉を聞いて、青ざめる面々。

「それはまずい。猛海に先程付けるなと言われたばかりだ」

エンタープライズが声を上げる。あまり動揺を見せないエンタープライズの姿に、ヨークタウンは驚く。

「…それなら問題ない。指揮官には了承してもらった」

ジャン・バールが言う。

「……そうか、なら良い」

力なく、椅子に座るエンタープライズ。その様子に、ヨークタウンは無言で見つめる。

「とりあえず、猛海が戻るまで待つしかないか」

「…そうだな」

ビスマルクの言葉に、エンタープライズが答えた。

 

 

 

 

夕方、猛海が戻ってくる。その後ろには、エセックスの姿。猛海は、居間の人口密度に驚いた。

「…話には聞いていたが、やっぱり実際に見ると多いな」

「猛海様、お帰りなさい」

入り口で立ち尽くしている猛海に、天城が近付く。

「猛海様ご不在の間、偵察から帰って来た者達です」

天城の言葉に、猛海の前に立ち並ぶ面々。

「指揮官様、ヨークタウンです。宜しくお願いします」

「夕立だ。指揮官、頑張ったご褒美頂戴」

夕立がピョンピョン跳ねる。

「……夕立、うるさい。……ジャン・バールだ。指揮官、宜しく」

猛海は三人を見る。ヨークタウンは、エンタープライズの姉だ。やはり似ている。ただ、ヨークタウンの瞳はどこか不安で、自信がない様に感じた。夕立は、機械の獣耳を付け、落ち着きがない。白髪を揺らし、コロコロ変わる表情が、可愛らしい。ジャン・バールは、金髪の一匹狼。他者を寄せ付けない雰囲気を醸し出している。馴れ合いは好きではないようだ。しかし、夕立の言動にツッコミを入れる辺り、完全拒絶ではない。そして。

「…改めて。指揮官、エセックスです。エンタープライズ先輩の様に、完璧に出来ませんが精一杯頑張ります」

青色が少し強い青紫色の髪に、エンタープライズ達とは違う青色の海軍服を纏っているエセックス。ただ、少し際どい服である。エンタープライズを先輩と呼んでいる辺り、後輩なのだろう。

「…猛海、すまない。護衛の件」

「いや、エンタープライズが気にする事じゃない。四人は知らなかったんだし」

エンタープライズの言葉を遮り、そう言う猛海。他の面々も少し申し訳無さそうな表情。

「それより、今後の話をしようか」

「今後の話ですか?」

「ああ」

猛海の言葉に、首を傾げる面々。猛海はその仕草に。

 

(……何か、みんな可愛い)

 

そう思ってしまった。我に帰り、誤魔化す様に咳払いをする。

「とりあえず、場所を変える。移動するぞ」

そう言って、猛海が移動を開始する。猛海の後を追うように、全員が移動を始めた。猛海の後ろにぞろぞろと美女達が続く。その光景を不快な瞳で見つめる黒い影が複数。不穏な空気が近付いている事など、この時の猛海は知らない。

 

 

 

 

今、猛海達がいるのは、学校内の応接室。ここは、幾つかある応接室の中で、一番大きい部屋。現に、天城達が全員入れ、座る事も出来る。ただ、天城達は絶対に座らず、猛海の後ろに控えていた。猛海と向かい合う形で、反対側に座っているのは、校長、小野と猛海をこの学校に転入させた総理と秘書。

「お久しぶりです。総理」

「ははは、猛海君。名前で呼んでくれ、木下と」

「……慣れないんです。総理の方がしっくりくるというか」

「そうか、君の好きな呼び方で良いか」

猛海をこの学校に転入させた木下は、数年前に政界を引退し、今はこの学校の理事をしている。そして、当時秘書だった宮根という男が、現在総理大臣に就任していた。

「それにしても、しばらく会わない間に、大所帯になったね」

「…まぁ、そうですね。」

「何人いるのかな?」

「…偵察に行って、今日顔合わせた子達を入れると、17名ですか」

猛海の言葉に、驚いた表情になる木下。

「それは凄い!いや、赤ん坊の時に、キューブの数が多かったし、驚くのは違うな。うんうん」

木下は一人感心している。

「やっぱり、猛海君は他の指揮官候補生と違うね。何が、彼らと違うのだろうか」

「さぁ、俺には解りません」

木下の問いに、そう答える猛海。

「そもそも、猛海様とその他の方々とは、魂の輝きが違います」

無言で後ろに控えていた天城が答えた。猛海が振り向く。天城は猛海に微笑むと、真っ直ぐ木下を見据えた。

「私達がこの世に実体として現れ出る事が出来るのは『魂の輝き』その一言だけです」

「……魂の輝き」

「はい」

ポツリと溢した木下に、力強く頷く天城。

「我々は、『魂の輝き』を持つ者に惹かれ、その者から離れない。そして、『魂の輝き』がある程度強くなった時、この世界に実体として召喚出来る。自らの意思で」

「自らの意思。つまり君たちは自ら召喚したという事かな?」

「そうだ」

ビスマルクが頷く。

「猛海と他の者達との違いは、その『魂の輝き』そして、猛海の私達に対する愛だけだ」

エンタープライズの言葉に、お茶を飲んでいた猛海が噎せる。

「成る程、愛の成せる技ですか」

「そ…総理、感心しないで下さい」

木下相手にツッコミをいれる猛海。しばらく、談笑が続く。

「ところで、猛海君。何か困っている事はないかい?」

「…あります。見ての通り、人数が増えて少し狭くなりそうな事が悩みなんですが」

実は本題はこれなのだ。ようやく、口に出せて、安堵する猛海。

「確かに、これだけ人数が増えると色々大変だろうね」

「それなら、心配いらないぞ」

ずっと無言だった小野が口を開く。猛海の視線が小野に向いた。

「整備場の裏に、広くは無いけど、平屋を建築中だ。あと数ヶ月で完成だから」

「…っえ!?」

「いや~、ほら猛海って、ギリギリまで言わないだろうから、俺が前以て木下理事にお願いしてたんだわ」

「……いつの間に」

「猛海様、ご存知無かったのですか?」

天城の言葉に、無言で首を横に振る猛海。

「私、てっきり猛海様はご存知なのかと」

「…知らねぇよ。教えといてくれよ」

建築中は、平日、猛海は学校にいて、土日は、武具作りで集中している猛海が気付く筈などない。力無く項垂れる猛海。その場にいた面々の反応は様々。クスクスと笑う者。小さく溜め息をつく者、無表情で見つめる者。

「猛海君」

「はい」

和やかな雰囲気になっていた空間が、ガラリと変わった。木下と猛海の表情が緊張しているのが分かる。

「…君に酷なお願いをするよ」

「分かっています」

猛海は後ろを振り向いた。天城達も表情固く頷く。

「水瀬猛海。君を本日付で正式に指揮官として任命する。政府からの要請があった場合は、何をしていても要請が優先です。宜しいですね」

「分かりました」

指揮官としての猛海の生活が始まった。

 

 

 

 

整備場の2階、居間に集まる面々。人数分の椅子がない為、畳部屋から座布団を持ち込み、床に座る。

「さてと、これからどうしようか」

猛海は思案する。猛海に集まる視線。

「猛海様、一つ私達からお願いしても宜しいでしょうか」

「ん?どうした?」

いつになく、神妙な面持ちの天城達。天城はみんなを見渡す。真剣な表情でそれぞれ頷く。

「猛海様、今後は戦場に出ないで下さい」

「……はぁ!?何で?」

「みんなの総意です。猛海様に何かあっては困ります」

猛海の表情が変わる。怒り、その一つに。

「…気持ちは分かります。『私達を護りたい』その想いはとても嬉しい」

「例え我々が沈んでも、復活する事は出来る。直ぐにではないが」

天城の言葉をビスマルクが引き継ぐ。

「猛海、さっきの話覚えているか?」

エンタープライズが問う。頷く猛海。

「私達は『魂の輝き』でこの世界に存在出来る。しかし、それは『魂の輝き』を持つ者が生きているからだ。しかし『魂の輝き』を持つ者が死んでしまえば、私達はどのみち消えてしまう。闘わなくても、闘ったとしても」

エンタープライズの言葉で空気が重くなる。

「お前達の総意は聞けない。どのみち消えてしまうんだろ?俺が生きていても、闘い沈めば消え、俺が死んでも同じ。なら、余計に聞けない」

「だが、猛海が生きてさえいれば、私達がいなくなっても」

「…他の戦艦少女が、俺の所に来て、護ってくれるって?馬鹿か!?」

猛海は怒りで立ち上がる。猛海に集まる視線。猛海は、深呼吸すると目蓋を閉じた。誰も言葉を掛けられない。

「お前達の気持ちは嬉しい」

ゆっくりと目蓋を開ける猛海。

「でも、やっぱり無理だ。俺には、お前達が必要だから。それに他の戦艦少女達が来ても、お前達じゃないんだ。例え、復活しても俺が逢えないんじゃ意味がない」

猛海はゆっくりと居間から、自室に向かう。猛海は振り向かず。

「俺にとって、お前達は兵器じゃない。大事な女の子達だ。恥ずかしい話、大事な子達を護りたい俺の愛情表現だよ」

そう言葉を残して、自室に籠った猛海。天城達女性陣は、顔を真っ赤に染め、悶絶したのだった。




近い内に、番外編でエンタープライズ達三人の濡れ場書きます。乞うご期待?


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我慢の限界、反動(前半)

ちょっと長め

続きをどうぞ


元総理、木下達との話し合いから、3ヶ月が経過。その間、特に変わった事はなかった。特に、身体の繋がりは、全く無く。猛海自身も、元々積極的に誘う事もしない。それに反比例するように、指揮官としての活動は増え、猛海は毎日忙しい日々を過ごしていた。

「猛海様、今日から寝室は平屋になります」

「…ああ、もう完成したんだ」

「はい」

3ヶ月前に、小野から聞いていた平屋の件。猛海は、特に気にしていなかった。

「それで猛海様。就寝の際は、二人一組で猛海様の護衛を付けますので」

「……ああ、任せる」

天城の言葉に、猛海は軽く聞き流す。猛海の手には、書類の束。猛海はそれを確認中だった。天城は無言で猛海を見つめる。少し赤く染まっている天城の顔。猛海は気付かない。

「猛海様、こちらに護衛の名簿置いておきますので、ご確認下さい」

「…分かった」

天城を見ずにそう言う猛海。天城は無言で部屋を出ていく。しばらくして、猛海が名簿を手に取った。驚く猛海。名簿には、護衛の際のメンバーが書かれている。

 

『第一班 夕立、ラフィー、綾波』

『第二班 伊勢、高雄』

『第三班 愛宕、オイゲン』

『第四班 キュラソー、カーリュー』

『第五班 ダンケルク、ベルファスト』

『第六班 天城、ヨークタウン』

『第七班 ビスマルク、ジャン・バール』

『第八班 エセックス、エンタープライズ』

 

「……これはまた」

小さく溜め息をつく。名簿を机に置き、天井を仰いだ。

 

 

 

 

その日の夜、第一班の夕立、ラフィー、綾波が来た。三人は真新しい畳の匂いにはしゃいだ。三人が眠るまで、猛海は絵本を読む。次の日、第二班の伊勢、高雄が来た。この二人、眠るという行為がないのか、猛海は夜明けまで稽古に付き合わされ、日中死んだように眠る。そして、その日の夜、猛海は文字通り『喰われた』、オイゲンと愛宕に。処女である筈のオイゲン。しかし、全くそれを感じさせず、猛海の上に跨がり、イヤらしく腰を振る。乳房の横にあるホクロが、余計にイヤらしい。愛宕もその豊満な乳房で、猛海の肉棒を挟み扱く。3ヶ月の間、我慢していた反動か、猛海を貪り尽くす。次の日は、第四班のキュラソーとカーリュー。二人も3ヶ月のお預けで、反動があった。二人揃っての奉仕。最初は猛海の身体の疲れを取る為、マッサージをしてくれていた。しかし、猛海の身体に触れている内に、猛海から放たれる漢の色気に我慢出来なくなる。猛海は二人の欲求に答えた。精子が空っぽになるまで二人を抱く。

 

 

 

 

その後、第五班から八班までは特になかった。普通に布団に入り、朝を迎える。しかし、猛海の身体を知っている者達の我慢の限界は当に越えていた。二巡目、第一班は、猛海にとって、幼女の子守りみたいだ。絵本を読んだり、トランプゲームをしたりして夜を過ごす。二班は、相変わらず、夜明けまで稽古。三班と四班は、前回貪り尽くしたお陰か、他愛のない会話を楽しみ、大人しく一緒の布団で朝まで眠りについた。

「…猛海様、もう」

「良いのか」

ベルファストの瞳が潤み、臀部を猛海に突き出す。その様にダンケルクが呆然としていた。猛海がベルファストの割れ目に肉棒を宛がう。羞恥で頬を染めるダンケルクを尻目に、猛海がベルファストの中に肉棒を突き入れた。ベルファストのフェロモンが色濃くなる。グチャグチャとイヤらしい音。ベルファストが甘く啼く。色白の裸体がうっすらと汗ばむ。二人のぶつかり合う音が、ダンケルクを追い立てた。

「どうした?ダンケルク」

腰を突き動かしながら、猛海は腰を抜かしているダンケルクに問う。問われたダンケルクは、顔を真っ赤に染め、震えていた。

「…ちょっと刺激が強かったか」

ベルファストを仰向けにし、結合部を隠す。時折、ベルファストの唇を塞ぎ、強目に腰を打ち付けた。ベルファストの乳房が、フルフルと揺れる。何度もベルファストは絶頂していた。それでも、猛海は責めを止めない。ベルファストの中に、しっかりと肉棒を刻み付ける。

「……わ…私」

ダンケルクの声が震えている。ベルファストが何度目か分からない絶頂を迎えた。猛海も追うように白濁の液を流し込む。ぐったりとしているベルファスト。猛海は肉棒を出し抜き、ダンケルクに視線を送る。ビクッとするダンケルク。

「心配しなくても、何もしない」

そう言うと、猛海はボクサーパンツを穿く。すでに意識を手放したベルファスト。猛海はベルファストに布団を掛け、同じように眠りつく。一人残されたダンケルクは、その日眠れなかった。

 

 

 

 

次の日、猛海は腕を負傷していた。理由は一つ。侵略者と交戦。指揮官として、猛海は戦場に出る。本来は戦う必要はない。しかし、猛海は大事な者達の為に戦う。今回、進行してきた侵略者の数は十体程度。部隊編成は、オイゲン、愛宕、ラフィー。伊勢、ジャン・バール、ヨークタウンである。戦況は悪くなかった。しかし、一瞬の油断が命取りである。侵略者達の最後の悪あがきは、一斉射撃。猛海はそれを全て撃ち落とした筈だった。がしかし、ヨークタウンの背後に、もう一体いたのだ。侵略者がヨークタウンに砲弾を放つ。

「ヨークタウン!」

素早い動きで猛海はヨークタウンを庇った。猛海の右腕は火傷。ヨークタウンが青ざめる。直ぐに侵略者を打ち倒し、猛海はヨークタウンの頭を撫でた。

「……ごめん…なさ…」

ヨークタウンが意識を失う。崩れ倒れるヨークタウン。猛海は咄嗟に抱き止めた。その後、直ぐに猛海は病院、ヨークタウンは医務室へ運ばれる。

 

その日の夜

 

病院から帰ってきた猛海は、平屋にいた。横にはヨークタウンが青ざめ、猛海の右腕を震えるように見つめる。

「心配しなくても、大丈夫だ」

「…でも、私のせいで」

「ヨークタウンのせいじゃない。俺が油断してたからだ」

「……でも」

猛海が溜め息をつく。ヨークタウンがビクッと肩を震わせた。

「でも禁止な」

ヨークタウンの唇に、猛海の指が触れる。小さく頷くヨークタウン。猛海は微笑む。

「エンタープライズの様に、強くなりたい…けど」

「うん」

「強くなれるのか、不安なんです」

猛海はヨークタウンの頭を撫でる。

「なれるよ。俺もいるし、仲間だっている。エンタープライズだって、ヨークタウンが強くなれるって信じてるんじゃないか?」

猛海の言葉に、ヨークタウンの瞳が揺れた。ギシリと床の軋む音。二人はそちらに視線を送る。そこに立っていたのは、天城だった。頬を赤く染め、潤んだ瞳。少し呼吸も荒い。猛海は一瞬で理解する。

「…猛海…様ぁ」

天城が猛海の唇を塞ぐ。一旦離れると、舌を少し突き出す天城。猛海がそれに答え、舌を絡めた。

「…天城、ヨークタウンが」

猛海の言葉が耳に入っていない天城。猛海の上に跨がり、着物を脱ぐ。猛海は天城の乳房を揉みしだく。尖端を摘まむと、天城の身体が揺らいだ。

「…ごめん、ヨークタウン。天城を落ち着かせるから」

ヨークタウンの返事を聞く暇はない。天城が再び猛海の唇を塞いだからだ。天城の手が、猛海の身体を撫でる。ゾクリと猛海の身体に電流が走った。猛海の肉棒を服の上から撫で上げ、性急に脱がす。ボクサーパンツ越しでも解るほど、猛海の肉棒がそそり立っていた。跨がったままの天城を、猛海が押し倒す。押し倒された天城のフェロモンが色濃くなる。猛海が割れ目に触れると、すでに濡れていた。猛海はパンツから肉棒を出し、何度も擦り付ける。

「猛海様、早く頂戴」

甘えた声で腰を揺らす天城。いつも見ない天城の様子に、猛海は生唾を飲み込む。一気に猛海は天城の中を貫いた。

「…あああぁ!」

肉棒から与えられる刺激。天城の身体は悦んだ。猛海の肉棒を嬉しそうに締め付ける。天城の中を突き上げる猛海。その度に中が蠢き、猛海を離さない。

「…ちょっと…天城、緩めて」

「…ああ、む…無理…あぁ、やぁ」

イヤらしい音が部屋に響く。天城は絶頂を迎える。猛海は一旦抜こうと腰を引いた。

「…抜いちゃ…駄目ぇ…」

腰をくねらせ天城が甘える。猛海は再び突き入れた。

 

(天城がこんな風になるなんて)

 

普段の天城から想像出来ない言動に、猛海は驚いた。そして、天城の中を抉る。何度も何度も絶頂している天城。猛海も天城の中から抜かずに射精を繰り返した。天城が落ち着いたところで、猛海はヨークタウンを見る。恥ずかしそうに頬を染めているヨークタウン。猛海の視線に気付き、戸惑いを見せた。

「…悪かったな」

「……いぃえ…ごめんなさい」

ヨークタウンの視線が天城を見る。

「ちょっと驚いて…」

「まぁ、反動だろうな」

「反動ですか?」

「ああ」

猛海は天城達の話をした。その間、ヨークタウンは頬を染めたまま頷いたり、恥ずかしそうにしたりと表情を変える。

「一応、こんなところだ」

「…羨ましいです」

「羨ましい?」

「だって、猛海様に愛されてる証拠ですから」

溜め息をつきながら言うヨークタウン。猛海は思案して。

「…俺はヨークタウンも愛してる」

「…っへ!?」

真っ赤に染まるヨークタウンの顔。猛海はヨークタウンの髪を優しく撫で、口元に引き寄せると。

「ヨークタウンが嫌じゃなければ、今すぐ抱きたい」

「…えぇ!?」

猛海の告白に驚きながらも、猛海の愛を受け入れたヨークタウンだった。




次回は、エンタープライズ、カーリュー、ビスマルク、ヨークタウンの脱処女編です

本編は、その後ですので、ご了承下さい。


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愛されたくて~脱処女~

前回から、かなり経過してしまった。

続きをどうぞ


今、猛海は指揮官養成校内の寮にいた。理由は小野に会う為。

「おう、猛海。どうした?」

猛海に気付き、軽く手を上げながら、小野が言う。猛海は小さく肩を揺らし、小野に近付いた。

「…先生に会うと、少し落ち着くわ」

「それって、俺に惚れ」

「違う。そう言う意味じゃない」

恥じらう乙女の様に頬を染める小野。猛海は呆れながらもツッコミをした。小野が白い歯を見せて笑う。

「それで?何の用だ?」

「武具の調整をしたい。さっきの戦闘で、ちょっと気になる箇所があったから」

「分かった」

猛海の言葉に、小野が立ち上がる。二人は無言である場所に向かう。寮を出て、駐車場に停めてある小野の車に乗り込む。走り出す車。校舎を離れ、住宅街、街中を通り抜ける。そして、人気の無い山の中を走る。ここは、小野の所有する敷地だった。

「…小野先生って、お金持ちなんですね」

「ははは、金持ちじゃないけど、小銭稼ぎしてる」

「ぃや、小銭稼ぎの範囲を超えてるでしょ」

実は、小野には2つの顔がある。一つは指揮官養成校の先生。そして、もう一つは、多種多様の武器を設計、開発する重要人物でもある。しかし、その事を知っているのは猛海だけ。

「まぁ、猛海は口が固いし。俺も色々助かるしな」

しばらく走ると、いきなり目の前が開けた。山の中腹に、不釣り合いな建物。警備の人が近付いてくる。小野を見ると、何やらボタンを押す。すると、建物の一部が動き、出入り口が出てきた。小野が車を近付けると、入り口が開く。小野は、猛海を乗せたまま、建物の中に入っていった。

 

 

 

 

数時間後、猛海は小野と別れ、整備場の前に立っていた。居間の灯りが点いている。

 

(…思いの外、遅くなってしまった)

 

天城達に、なるべく早く帰ると言ってしまった手前、気まずさがある。猛海は覚悟を決めたが、なるべく足音を立てないように階段を上がった。扉の前で小さく息を吐くと、ゆっくりと扉を開ける。居間にいたのは、エンタープライズ、ビスマルク、カーリューの三人。三人は、神妙な面持ちで猛海を見た。

「…えぇと、ただいま」

「ああ、お帰り」

「遅かったな」

「……すまん」

エンタープライズとビスマルクの言葉に、珍しく小さくなる猛海。

「ちょっと武具の調整に時間が…」

「そうですか」

猛海から視線を外しながら、カーリューが言う。エンタープライズとビスマルクも同じように視線を外した。三人の頬は少し赤く染まっている。

「それより、起きているのは三人だけか?」

言いながら三人に近付く猛海。エンタープライズの横に、猛海が立つ。エンタープライズの肩がビクリと揺れた。ビスマルクとカーリューも顔を猛海から反らす。三人の行動に、首を傾げる猛海。

「さてと、俺はもう寝るから」

そう言って、踵を返す猛海に、エンタープライズが無言で猛海の服を掴んだ。振り向く猛海。

「どうした?」

「……」

「ん?」

猛海が、エンタープライズの顔を覗き込む。全身を真っ赤に染めるエンタープライズ。唇が小刻みに震えている。その様子に、猛海の手がエンタープライズのおでこに触れた。ビスマルクとカーリューが息を呑む。

「うん、熱は無いみたいだな」

手を退け、猛海が言う。エンタープライズの手が、猛海の手を掴む。

「…どうしたんだよ。様子もおかしいし、何かあったのか?」

「……くれ」

「すまん、聞き取れなかった」

「…猛、猛海様。私達を…」

カーリューが口ごもる。いきなりビスマルクが立ち上がった。ビスマルクに視線を送る猛海。ビスマルクの顔は、熟れたトマトの様に真っ赤。

「……我々を抱いてくれ!」

ビスマルクの発言に、猛海の目は思い切り見開かれている。呆然と立ち尽くす猛海。ビスマルクは、大股で猛海に近付くと、有無を言わさず、手を掴み、天城達が寝ている畳部屋から離れた、もう一つの畳部屋に連れていく。部屋には、すでに布団が敷かれていた。ビスマルクが猛海を押し倒し、馬乗りになる。

「…ちょっと、待て!?」

「いいや、待てない。猛海、我々を抱いてくれ」

「ビスマルク、落ち着け」

猛海の言葉に、ビスマルクの動きが止まる。ビスマルクの瞳は潤んでいた。部屋の入り口には、カーリューに手を引かれたエンタープライズの姿。三人の視線は、猛海を捉えたまま。猛海は小さく息を吐くと、身体を起こし、ビスマルクの頭を撫でた。

「…我々を抱いてくれないのか?」

「私達には魅力が無いからですか?」

二人の言葉に、猛海は首を横に振る。

「そうじゃない。魅力は十分ある」

「私達が嫌いなのか」

「何でそうなる」

「…最初、私達は猛海に対して、距離を置いていたからか?」

エンタープライズの言葉に、猛海は溜め息をつく。

「そうだな、それもある」

「やはり、そうか」

「…正直、戸惑ってる。三人は俺の事、本当はどう思ってるんだ?」

猛海の視線が、三人に注がれる。エンタープライズの手を離し、カーリューが猛海に近付く。猛海がカーリューに視線を向けた。猛海の横に座り、カーリューの顔が猛海に近付く。猛海の唇に、カーリューの唇が重なる。軽く触れるだけの一瞬のキス。

「私、猛海様が好きです。でも、キュラソーの様に正直に表現が出来ません。ずっとメイドとして生きてきましたから」

「私も猛海の事が好きだ」

「……私もだ」

猛海は一人ひとりに視線を送り、再び息を吐く。

「前から思ってたけど、三人は感情表現が固い。分かりにくい。けど、それも三人の良さなんだろうな」

そう言って、カーリューの頭を撫でた。頬を染め、俯くカーリュー。猛海の手が、カーリューの服に伸びる。胸元を外し、カーリューの身体を引き寄せると、首筋に舌を這わせた。次に、ビスマルクの唇を塞ぐ。

「ビスマルク、少し口開けて」

猛海の言葉に、ビスマルクは戸惑いながらも開いた。直ぐに、猛海の舌が口内に侵入する。ビスマルクもぎこちない動きで、それに答えた。カーリューの乳房を揉みしだく猛海。ビスマルクの身体がビクリと揺れた。

「…何か、固いものが」

視線を下に向けると、猛海の下半身の一部が盛り上がっている。ビスマルクはソレが何か直ぐに気付いた。

「エンタープライズ、おいで」

猛海の言葉に、エンタープライズは立ち尽くしたまま動けずにいた。その間も、カーリューが自ら服を脱ぎ始める。ビスマルクも同じように服を脱ぎ、下着姿になった。猛海は器用に片手でビスマルクの乳房を揉みしだき、もう一方で、カーリューの下半身に手を伸ばす。ショーツの中に手を入れ、クリに触れた。

「…ぁん」

指が優しくクリを捏ねる。カーリューの腰が揺らめいた。猛海の肩に手を置き、与えられる刺激に身を揺らす。ビスマルクの乳房に舌を這わせ、猛海はその尖端にしゃぶりついた。ビスマルクも呼吸を荒くし、与えられる刺激に、身を震わせる。エンタープライズは、二人の甘い声に身体を震わせ、視線が外せない。猛海の指が、カーリューの割れ目を往復する。シットリと濡れ、猛海は中に指を入れた。何度も抜き差しする度に、次第にグチュグチュと卑猥な音が聞こえ始める。ビスマルクの方もショーツが濡れていた。猛海がビスマルクを押し倒す。上着を脱ぎ捨て、裸になる。引き締まった上半身に、雄の色気が滲み出ていた。ビスマルクが生唾を飲み込む。

「…二人共、すげぇ綺麗だ」

そう言って、カーリューをビスマルクの横に同じように寝かせると、ショーツを引き抜いた。ビスマルクの頭上には、立ち尽くしたままのエンタープライズ。膝が震えている。ビスマルクは一瞬、エンタープライズに視線を送ったが、下半身に感じた強烈な刺激に思考を止められた。猛海が、ビスマルクの割れ目を舐めている。同時に、クリを捏ねられ、ビスマルクの身体が跳ね、強張った。中に指を入れ、何度も抜き差しされ、指の本数が増えていく。そして、何度も中を擦り上げられた。

「…ビスマルク、入れるぞ」

割れ目に、固くそそりたった肉棒が擦り付けられ、身を震わせるビスマルク。その横では、カーリューの中を指が抜き差しされている。猛海は、ビスマルクの返事を待たず、肉棒を入れ始めた。

「…狭い……な」

ゆっくりと腰を進めながら、猛海が言う。苦痛に歪むビスマルク。猛海の腕を爪を立てる。完全に互いの下半身が密着。割れ目からうっすらと血が滲んでいる。痛みから、ビスマルクの瞳が濡れていた。猛海の指が、涙を拭う。そして、唇を重ねた。

「ゆっくり動くから」

ビスマルクの耳元でそう言うと、腰を動かし始める。猛海の動きに合わせ、ビスマルクは無意識に息を吐く。余計な力が抜けた事で、猛海の与えられる刺激が全身を襲う。

「…ん……ぁあ」

少しずつ可愛い声で啼き始めるビスマルク。

「…猛、海…ぁん」

「どうした?」

腰を動かしながら、猛海が問う。ビスマルクの乳房が、動きに合わせて揺れる。

「…私……何かおかしい…はぁ」

「どこが」

「んん…ぁん、奥が疼いて…やぁ」

その言葉で、猛海が腰を強く打ち付けた。ビスマルクの身体が弓なりになる。猛海はもう一度強く打ち付けた。

「…ん!…やぁ」

「気持ちいいか?」

「あぁ…ん!…そんな…ゃあ、恥ずかしい事」

「でも、ビスマルクの中は正直だぞ」

ビスマルクの意思とは関係なく、猛海の肉棒を締め付ける。中が蠢き、肉棒を包み込む。猛海が腰を強く打ち付け、ビスマルクを責め立てた。

「…いきなり…ん!あぁ」

ビスマルクの中が脈打つ。初めての絶頂を、ビスマルクは迎えた。猛海はそれを確認して、ビスマルクの中に白濁の液を流し込む。

「…あぁあ、熱ぃ…ん」

ビスマルクは絶頂の余韻に浸る。そのままぐったりと意識を手放した。

「猛海様」

カーリューが潤んだ瞳で猛海を見つめている。一瞬、視線をエンタープライズに向けた。猛海とビスマルクの情事を目の当たりにして、完全に足に力が抜けている。その場に座り込み、猛海を見つめていた。

「猛海様」

カーリューが猛海の腕に触れた。猛海は視線をカーリューに向けると、唇を塞ぐ。カーリューが腕を猛海の腰に回す。すでにカーリューの中は潤み、準備万端。猛海は復活している肉棒を割れ目に宛がう。

「入れるぞ」

「はい」

ズブズブと卑猥な音を立て、猛海の肉棒が中に入っていく。カーリューも苦痛に顔歪ませていた。中は狭く、締め付けは強い。

「カーリュー、息を吐いて」

猛海に言われて、カーリューは深呼吸した。先程より、締め付けが緩み、猛海は腰を進める。密着する互いの下半身。猛海は覆い被さり、カーリューの唇を塞ぐ。舌を絡め合い、猛海は腰を動かし始める。

「…ん…ぅん…」

キスをしながら、溢れ出るカーリューの声。ゆるゆると腰を動かし、カーリューの中が肉棒に馴染むのを待つ。時折、乳房を揉みしだく。尖端を摘まみ、擦り上げた。カーリューの両足が猛海の腰に巻き付く。腰を強く打ち付けた。

「あぁ!」

カーリューが声を上げる。ぶつかり合う音が、部屋に響く。グチュグチュとイヤらしい。猛海は深く突き入れたまま、腰をグリグリと押し付けた。肉棒の尖端に、子宮がキスをする。ディープキスのように濃厚な触れ合い。カーリューの中が蠢き、締め付けは強くなる。猛海は身体を起こすと、激しく責め立てた。

「あぁ…ゃあ!…猛…様ぁ」

「…もぅ、イキそうだ」

「…中に…んん…下さい…んぁ」

言うのと同時に、カーリューが絶頂する。一気に締め付けは強くなり、猛海は堪らずカーリューの一番奥に射精をした。子宮にグリグリと押し付け、結合を深める。カーリューの子宮が、嬉しそうに尖端を包み込む。

「…はぁ…猛海…様」

うっとりと表情を緩ませ、猛海を見つめているカーリュー。猛海が唇を塞ぐと、カーリューはそのまま眠りについた。荒くなった呼吸を整え、猛海が再びエンタープライズに視線を向ける。エンタープライズは、腰を抜かしたまま、真っ赤に顔を染めていた。猛海の視線に、ビクリと肩を揺らす。

「エンタープライズ、心の準備が出来てないなら、無理はするな」

「…そんな…事」

「でも、明らかに怖がってないか?」

猛海の言葉に、力なく首を横に振る。猛海は溜め息をついた。そして、エンタープライズの腕を引く。脱力しているエンタープライズは、猛海の力強い腕に引かれ、布団の中に誘われる。二人の左右には、気持ちよさそうに眠るビスマルクとカーリュー。エンタープライズは二人の幸せそうな表情を無言で見つめ、猛海の胸に飛び込んだ。

「…私も貴方に愛されたい」

上目遣いのエンタープライズ。猛海は生唾を飲み込んだ。吸い寄せられるように、猛海の顔が近付き、エンタープライズの目蓋がゆっくりと閉じる。二人の唇が重なり、軽く触れるだけのキスは、すぐに舌を絡め合うキスに変わった。キスをしながら、猛海がエンタープライズの服を脱がす。豊満な乳房を猛海は揉みしだく。尖端は薄い桃色。猛海はしゃぶりついた。恥ずかしさで頬を染めるエンタープライズ。必至で声を圧し殺す。

「可愛いな」

猛海がエンタープライズを押し倒し、両手を布団に押し付けた。猛海に見下ろされ、身悶えするエンタープライズ。そのまま覆い被さる猛海。エンタープライズの唇を塞ぐと、割れ目に肉棒グリグリと押し付けた。エンタープライズの身体強張る。

「…本当に良いんだな?」

「あぁ、覚悟は出来てる」

エンタープライズの真っ直ぐな視線に、猛海は微笑み、エンタープライズの割れ目に指を這わせる。ビスマルクとカーリューの情事を見ていたお陰で、エンタープライズの中はしっかりと濡れていた。猛海の指が、中に入っていき、擦り上げる。

「…エンタープライズ、初めてでツラいかも知れないんだけどさ」

「……何だ?猛海」

「俺が満足するまで付き合ってくれるか?」

申し訳無さそうにそう言う猛海。猛海の肉棒は、三回目だと言うのに、固いまま反り上がっている。エンタープライズは、一瞬怯んだものの、しっかりと頷く。それを確認して、猛海はエンタープライズにキスを一つ。そのまま肉棒を中に入れていく。やはり、エンタープライズも苦痛に顔を歪ませた。しかし、猛海に何度も突き上げられ、次第に甘く啼き始める。エンタープライズが絶頂を迎えた。猛海の責めは止まらない。エンタープライズを四つん這いにさせると、後ろから突き上げた。ぶつかり合う音が響く。

「…猛……あぁ…深……ぃん」

エンタープライズは力なく猛海の責めに喘ぐ。猛海は何度もエンタープライズの子宮に白濁の液を流し込む。エンタープライズを跨がせ、下から突き上げた。エンタープライズの乳房がリズム良く揺れ踊る。あまりの強さに、エンタープライズは猛海に覆い被さった。

「…あぁ…もぅ、無理…ぃ…猛……やぁ」

「もう少しでイくから」

突き上げが激しくなる。エンタープライズの声は掠れていた。そして、猛海が力一杯突き上げた瞬間、エンタープライズが声を枯らし啼くと、同時に白濁の液を流し込む。エンタープライズが意識を手放し、猛海の身体に覆い被さる。猛海は程好い脱力感でそのまま眠りについたのだった。




謝罪
ヨークタウンの脱処女も書く筈でしたが、三人の濡れ場書くのが、楽しくなりまして、かなり長くなったので、次回に書きます。申し訳ありません。

追記
毎年、年末年始が忙しく、アップは確実に不規則になります。ご了承下さいませ!


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我慢の限界、反動(後半)

約1ヶ月振りの投稿

続きをどうぞ


真っ暗だった空が、ゆっくりと陽の光で明るくなる。ヨークタウンは、身体に気だるさを感じながら、目蓋を開けた。目の前に、猛海と天城。天城の膝枕に、猛海はリラックス状態だった。

「ふふ、猛海様ったら」

「だってさ、天城」

ヨークタウンが感じた二人の仲は、恋人のじゃれあい。

 

(…あぁ、二人は愛し合っているのですね)

 

ほんの少しの寂しさを感じながら、ヨークタウンは二人を見つめ続ける。天城がその視線に気付いた。

「あら、目が覚めましたか?」

柔らかく微笑む天城。猛海も視線をヨークタウンに向けた。

「猛海様、天城さん。お早うございます」

掛け布団で裸を隠し、身体を起こしながら、ヨークタウンは挨拶をする。

「あぁ、お早う」

天城の膝枕を名残惜しそうに、猛海は身体を起こす。ヨークタウンは、無意識に視線を反らした。その一瞬で、天城は納得。

 

(ヨークタウンさん、勘違いされてますね)

 

天城の行動は早い。猛海の唇を素早く奪い、猛海の手を、自らの乳房に誘う。天城の意図が分からない猛海は、とりあえず乳房を揉みしだく。耳元に掛かる天城の吐息。猛海の肉棒はそれだけで臨戦態勢になった。猛海の手が、天城の着物を脱がそうと掴んだ瞬間。天城が素早く立ち上がり、部屋を出ようとする。

「…天城?」

「ヨークタウンさん、思っている事は、きちんと猛海様に言って下さいね」

「っえ」

天城の言葉に、ドキリとするヨークタウン。猛海の方は、意味が分からずにいた。天城は肩越しから視線を二人に向ける。

「それから、猛海様のお相手、宜しくお願いしますね。朝食は起きてからで良いので」

それだけ言うと、天城は部屋を出ていった。いきなり二人きりになり、無言になる。

「…えっと」

先に声を出したのは、猛海。ヨークタウンが、視線を猛海に向ける。

「ヨークタウン、俺に何か言いたい事があるのか?」

猛海の問いに、ヨークタウンは視線を反らした。小さく息を吐く猛海。ヨークタウンの身体がビクリと震える。

「…それなら、素直にさせてやる」

「…っえ…んん」

猛海は有無を言わさず、ヨークタウンの唇を塞ぐ。ヨークタウンは、必至に猛海の身体を押し、抵抗した。抵抗すればする程、布団がずり落ちる。ヨークタウンの意識が布団に向いたその一瞬を、猛海は見逃さない。ヨークタウンを押し倒し、組敷く。それでも、抵抗するヨークタウン。猛海は固く反り上がった肉棒を、ヨークタウンの中に突き上げた。昨夜、猛海に抱かれ、女になったヨークタウンの中は、猛海の形を覚えていて、猛海の肉棒を嬉しく締め付ける。中は、しっかりと潤んでいて、肉棒をすんなり受け入れていた。猛海は、ヨークタウンの表情を窺う。苦痛に歪んでいる様子はない。

「猛海様、お願いです。抜いて下さい」

「何で?」

「…お願いですから」

言いながら視線を反らすヨークタウン。頬はピンクに染めている。猛海の喉がゴクリと鳴った。言葉とは裏腹に、ヨークタウンの中は、ヒクヒクしていた。猛海の目の前に、ヨークタウンの呼吸の度に上下する乳房がある。しゃぶりつく猛海。

「…んん…あぁ」

その刺激に、ヨークタウンの中がより一層蠢く。指の腹で片方の尖端を擦り摘まむ。舌全体で乳房を舐め回し、尖端を甘噛みした。その度に揺らめくヨークタウンの腰。

「…あぁ、ゃん……猛海様ぁ」

「……素直に言う気になったか?」

「ぃや…言え……ません」

「そうか、なら」

猛海の指は、尖端を摘まみ上げ、引っ張る。肉棒は中に入ったまま動かない。結合部からは、ヨークタウンの愛液が、涎の様に流れている。

「…猛海様ぁ……意地悪…しないでぇ」

「意地悪してない」

言いながら、繋がった状態で、ずっと尖端を擦り、摘まみ、しゃぶりつく。

「言いますからぁ、だから、お願いです。シてぇ」

涙目で懇願するヨークタウン。猛海はクスリと笑う。猛海の表情に、ヨークタウンの鼓動は高鳴る。

「嫉妬したんです」

「嫉妬?」

「はい、だって。二人はとても愛し合っているように見えて、恋人みたいに。だから、寂しかったんです」

その言葉に、猛海の肉棒は質量を増す。

「…っあ、大きく…」

「……可愛い」

猛海はヨークタウンの腰を掴むと、捩じ込む様に突き上げた。急な責めに、ヨークタウンの腰が後退る。しかし、猛海にしっかりと掴まれて、逃げられない。

「可愛い、ヨークタウン。天城に嫉妬するくらい俺の事、好きなんだ?」

猛海の問いに、答えられないヨークタウン。それは、猛海の責めが激しいからだ。

「…凄ぃ…あぁ……んん、奥まで…」

猛海が体勢を変え、ヨークタウンを四つん這いにさせた。後ろから突き入れる猛海。部屋に響き渡る乾いた音とヨークタウンの喘ぎ声。

「愛してるよ。ヨークタウン」

耳元で囁かれる猛海の愛の言葉。ヨークタウンを絶頂に誘うには、十分な言葉だった。ヨークタウンが、甲高く鳴き声を上げ、絶頂を迎える。猛海もあとに続き、肉棒を子宮に押し付け、白濁の液を吐き出した。荒い呼吸で、貪る様にキスをする二人。

「……猛海様」

「もう大丈夫か?」

「…はい」

「そうか、なら良かった。それでさ、ヨークタウン」

猛海は申し訳無さそうな表情。ヨークタウンは首を傾げた。だが、すぐに理解する。ヨークタウンの中で、猛海の肉棒が復活したからだ。

「もう少し付き合って」

「……はい」

 

(天城さん、それを分かっていて)

 

天城の言葉を思い出しながら、ヨークタウンは猛海の激しい愛を受け止める事になった。

 

 

 

 

 

その日の夜、ビスマルクとジャン・バールの二人が当番だった。すでに我慢の限界を迎えていたビスマルクが、猛海の上に跨がり、猛海の肉棒を口で奉仕している。ぴちゃぴちゃと音を立て、全裸のビスマルクが腰を揺らす。猛海の目の前には、ビスマルクの大事な部分が丸見えだ。ビスマルクの放つ雌の匂い。猛海の肉棒は、更に固さを増す。

「…すまない、ジャン・バール。こんな姿見せたくは無かったが」

猛海の肉棒から、少しだけ離れ、ジャン・バールに視線を送るビスマルク。ジャン・バールの顔は真っ赤だ。

「もう無理なんだ」

ビスマルクは再び肉棒にしゃぶりつく。猛海の舌が、ビスマルクの割れ目を這う。クリを捏ね、舌を中に入れるその刺激に揺れ踊るビスマルクの腰。荒い呼吸で、懸命に肉棒を舐め回した。

「…っあ、出そうだ」

猛海の言葉に、ビスマルクの頭が上下する。猛海の短い声と共に、身体が痙攣。ビスマルクの喉が、上下している。

「はぁ…猛海ぃ」

恍惚な表情で、猛海の肉棒見つめるビスマルク。無論、肉棒はずっと反り上がったまま。猛海が動く。ビスマルクを布団に押し付け、性急に突き入れた。ビスマルクが軽く絶頂する。

「猛海、一杯突いてぇ」

淫らに揺れるビスマルクの腰。いつも感情を表に出さない彼女。そんな彼女が見せた表情が、猛海を煽る。激しい責めに、ビスマルクの表情は雌に変わった。体位を変え、何度も交わる。猛海の上に跨がり、自ら腰を動かせば、その豊満な乳房も揺れ動く。猛海は何度も、ビスマルクの子宮に、白濁の液を流し込んだ。その度に、ビスマルクが身震いする。ドロドロになるまで抱き合う二人は、ジャン・バールの存在をすでに忘れ、互いを貪る。一方、ジャン・バールは、目の前で繰り広げられる男女の情事に、声すら上げれず、涙目で顔を朱色に染め、その場を逃げる様に離れた。

 

 

 

 

次の日、エンタープライズの様子がおかしかった。猛海の近くまで来て、その匂いを嗅ぐ。明らかに、限界を超え、危うさが見てとれる。しかし、それでも猛海を求めず、距離を置こうとした。無意識に猛海に近付き、我に帰ると、すぐさま離れる。それを繰り返す。

「…恐らく、エセックスさんが関わっていると思います」

猛海にそう言う、天城。猛海は首を傾げた。

「何で、それで距離を置くことになるんだ?」

「エセックスさんにとって、エンタープライズさんは憧れの先輩だからです」

「…成る程ね。それで、エンタープライズも彼女の前では遠慮しているのね」

オイゲンがクスリと笑う。

「私だったら、遠慮なんてしないけど」

そう言って、猛海の首筋を舐めた。オイゲンは猛海の膝の上に座り、猛海の前に乳房を差し出す。天城とメイド隊のメンバーから放たれる殺意。オイゲンの頭をスパーンと良い音がした。

「……ぃたあ、誰よ」

「オイゲン、いい加減にしろ」

オイゲンの後ろに立っていたのは、ビスマルク。手には、ハリセンが握られている。

「そんな事言って、ビスマルクだって、猛海にたっぷり可愛がってもらったんでしょ」

「…い、今はそんな事どうでもいい。エンタープライズの事だ」

「話、逸らさないで」

睨み合う二人を見て、猛海が溜め息をつく。

「兎に角、エンタープライズが心配だ」

猛海の言葉に、その場にいた全員が頷く。そして、密かに作戦が練られたのだった。

 

 

 

 

夜、平屋にいたのは、猛海とエンタープライズ。しかし、エンタープライズは、猛海から離れた場所に座る。

「エンタープライズ、こっちにおいで」

そう優しく言う猛海。それでも、頑なにエンタープライズは動かない。珍しく猛海は苛ついた。

「エンタープライズ、こっちに来い」

「…しかし」

「何度も言わせるな」

今までに見せない猛海の表情に、エンタープライズは猛海の横に座る。猛海から匂う漢のフェロモン。エンタープライズは目眩を覚えた。

「…やっぱり、離れた方が」

猛海がエンタープライズの腕を掴む。息を飲むエンタープライズ。

「エンタープライズ、今日は俺と二人きりだ。だから、我慢しなくて良い」

優しくエンタープライズの頭を撫でる猛海。エンタープライズの瞳には、猛海の顔が映る。やがて、近付く猛海の顔。エンタープライズは目蓋を閉じ、猛海のキスを受け止める。軽めのキスは、次第に舌を絡め合う濃厚なものに変わり、猛海の唇がエンタープライズの耳朶を食む。首筋を舐め、鎖骨を通り、乳房に到達。呼吸が段々と荒くなっていく。猛海の手は、すぐエンタープライズの割れ目に行き、長い指が抜き差しされている。二本の指が、中をかき混ぜた。エンタープライズの腰が揺れ動く。

「ぁん…ダメぇ……猛」

腰をくねらせ、エンタープライズが甘い声を上げる。猛海が乳房を揉みしだく。尖端を舐め、吸い上げる。エンタープライズの瞳は蕩けていた。

「…んん…猛…頂戴……欲…ぃ」

その言葉を待っていた猛海。一気に突き入れる。一瞬、呼吸が止まるエンタープライズ。すぐに呼吸が再開し、猛海にしがみつく。猛海が突き上げる度、エンタープライズが鳴く。猛海の肉棒は、更に固さを増し、エンタープライズの中を突き上げた。腰を掴み、グリグリと押し付けると、肉棒の先端と子宮がディープキスをする。エンタープライズの中が蠢いた。何度も責め、エンタープライズを絶頂させる。結合部からは、二人の愛液が混ざり合う。

「…もっと…んん…猛海ぃ」

四つん這いになり、猛海に臀部を差し出すエンタープライズ。猛海は、腰を掴み、乱暴に打ち付けた。エンタープライズの身体が、弓なりに反る。猛海が腰を打ち付ける度に、自らも腰を打ち付ける。

「…はぁ…んん、気持ち…あぁ…いぃ」

色々な体位で交わる二人。エンタープライズの声は掠れ、ぐったりと布団に沈み込む。猛海はそれでも止めない。

「…ぁ……もぅ…」

全身、汗と猛海の精子で汚れたエンタープライズ。声も出せない。

「エンタープライズ。愛してるよ」

猛海の言葉に、エンタープライズは小さく微笑み、意識を手放した。

 

 

 

 

一方、エセックスは、平屋の入り口に座り込んでいた。真っ赤に染まった顔。扉から聞こえるのは、エンタープライズの掠れた喘ぎ声と身体をぶつけ合う音。耳を塞ぎたくても、身体に力が入らない。そして、自分の身体の変化に戸惑う。下腹部が疼く。粗相をしたように、ショーツが濡れている。エセックスの思考はぐちゃぐちゃだ。

「ほら、だから忠告したのに、いけない子ね」

その言葉に振り向けば、オイゲンと愛宕の姿。二人は、悪戯に成功して喜んでいる子供の表情だった。




ヨークタウンの処女喪失が書けそうに無かったので、若干無理やりですが、濡れ場を捩じ込みました…。
違和感なく、読めてもらえたら良いかなっと。まだ、しばらくは不規則なので、ご了承下さい。


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不吉と変化

年明け一発目の投稿

続きをどうぞ


荒れる海原を、猛海が進む。真っ黒だった空は、次第に明るくなり始めていた。ようやく、昼間らしくなった。波はまだ荒れている。大きくうねり、大波が夕立達を襲う。

「猛兄、もう帰ろうよぅ…」

「そうだな、そろそろ帰ろうか」

半泣きの夕立。夕立の頭を撫でながら、猛海は言う。猛海の側には、愛宕、高雄、夕立、エセックス、ジャン・バール、ダンケルクの六人がいる。先程まで、猛海達は侵略者と交戦していたが、出てきた次いでに、猛海の新たな武具の調整の為、ここに留まっていた。

「もう良いのか?」

「ああ、付き合わせて悪かったな」

「猛海様と一緒なら、構いませんわ」

高雄と愛宕に、柔らかく微笑む猛海。二人の頬が、ほんのり染まる。そんなやり取りを、後ろからエセックス達三人が無言で見つめていた。猛海はその視線に気付く。素早く近付き。

「どうした?」

「…ぁ…ぃえ、何でも…」

「…気にしないで…下さぃ」

「…ぃや…何でもなぃ…」

視線を泳がせ、猛海から距離を取ろうとする三人。猛海は、首を傾げた。その後ろで、愛宕の口元が緩む。

「…愛宕、何を考えてる?」

「別に、ただもう少し、素直になれば良いのに。って、思ってるだけよ?」

「…拙者は、愛宕は素直になりずきだと思うが」

呆れた表情で、高雄が言う。猛海と六人は、港へ急いだ。

 

 

 

 

港が小さく視界に入る。猛海は、後ろの六人に視線を向けた。一瞬で青ざめる猛海の表情。その猛海の表情に、六人が一斉に背後を見る。すぐ側まで迫る侵略者達。みんなが、息を飲んだ。猛海は奥歯を噛む。

「…いつの間に!?レーダーには反応が無かったぞ!」

「恐らく、この荒れた波で」

「数は!」

「…分からん」

目視確認出来た数は、空母型から駆逐艦型全て含めて、20は超えている。

「みんな、弾薬の残りはあるか?」

「…ギリギリ…っと、いったところだな」

「分かった。なら、俺が引き付けるから、しっかり狙え。無駄撃ちするなよ!」

そう言って、侵略者に向かい、駆け出す猛海。猛海と六人の連携は見事な物ものだった。侵略者達に斬り込み、着実に一体ずつ落としていく。誰も無駄な弾を撃つことはない。猛海の指示通り、動いていく。

「これで、最後!」

最後の一体を沈め、その場に片膝を付く猛海。肩が激しく上下している。六人も同じように、呼吸が荒い。

「…猛海様、大丈夫ですか?」

「……あぁ、何とか」

猛海の側に愛宕が近付き、手を差し出そうとした時。

「……指揮官!?敵機が!?」

エセックスの言葉に、猛海は視線を動かす。そこにいたのは、空母型が3、戦艦、重巡5、駆逐艦型が7。

「…どうしますか?」

震える唇で、エセックスが問う。弾薬はもうない。撤退するにしても、港までは距離がある。

「……愛宕、エンタープライズ達に伝達」

「もうしました。でも、間に合うか…」

猛海は一度、目蓋を閉じ深呼吸を一つ。そして、ゆっくりと開く。

「……撤退だ」

「はい、でも」

「良いから、撤退しろ」

「指揮官、その命令は聞けません」

ダンケルクとエセックスが同時に反発。猛海が二人を睨む。ジャン・バールも、無言だが聞くつもりはないようだ。

「愛宕、高雄」

「私達も、猛海様を置いて行くことは出来ません」

いつも猛海の言葉に従っている愛宕も、頑なに拒む。侵略者の砲台が轟く。猛海は身を翻しながら、砲弾を切り捨てた。

「…今のお前達は、足手まといだ。撤退しろ。それが聞けないなら、お前達の指揮官を辞める」

猛海は無表情だった。一切の感情が読めない。その間も、砲弾が向かってくる。猛海はそれを、次々に切り捨てた。

「…分かりました。撤退します」

泣きそうな表情と声で、愛宕が頭を下げ、ゆっくりと港へ向かった。高雄と夕立も同じように、頭を下げ、港へ向かう。しかし、エセックス達は残った。侵略者達は、三人が戦えないと解ると、執拗に狙う。その度に、猛海が三人を庇い、負傷。体力を削られていく。次の瞬間、一斉攻撃で猛海に砲弾を放つ。大きな爆発音を響かせ、水柱が立った。猛海の身体が宙を舞う。エセックス達の悲鳴が、空に響き渡った。

 

 

 

 

数十分前に遡る。居間で寛いでいたビスマルク、天城、エンタープライズの元に、青ざめた表情の伊勢が飛び込む。怪訝な表情の三人。

「…大変だ!?早く、猛海の元に!」

「どうした」

「少し落ち着いて」

天城が、お茶を伊勢に渡す。一気に飲む伊勢。その湯飲みを放り投げ、伊勢が机を叩く。

「そんな、悠長な事をしてる場合じゃないんだ!?」

そう言って、愛宕から伝達された内容を、三人に伝える。三人は無言で椅子から立ち上がり、ベルファスト達、メイド隊と港へ向かった。かなり離れた場所から黒煙が上がっている。一台の車が、エンタープライズ達の横に停まった。中から出てきたのは小野。

「…貴方は」

「おぅ、話は猛海から聞いてる」

「…っえ?」

小野の言葉に、その場にいた全員が固まる。言葉を探している天城。小野はそれに気付く。

「話は後だ。とりあえず、これを君達に」

そう言って、車のトランクを開けると、人数分の水上装置があった。猛海と同じ物。

「これなら、猛海の所まであっという間」

白い歯を見せ笑う小野。小野の言動に、全員が呆けていたが、我に帰るとその武具を掴む。

「すまない、助かる」

「兎に角、今は考えている暇はない。装置の性能は、猛海を見てたから分かるだろ。行くぞ!」

エンタープライズとビスマルクの号令で一斉に飛び出る面々。バランスを崩しながらも、猛海の元に急いだ。

 

 

 

 

猛海の身体が、水面に叩き付けられる。エセックス達は、発狂しかけた。その時、無数の砲弾が、侵略者達に向かったのが見えた。力無く振り向く三人。エンタープライズ達がそこにいた。

「エンタープライズ…先輩」

「エセックス。何故、猛海を護らない」

「…違うんです。もう弾がなくて」

エンタープライズとエセックスの横を、天城が通り過ぎる。水面に浮かんでいる猛海の身体を起こす。猛海の顔面は、血で汚れ、左目蓋が切れている。腹部に刺さる幾つもの鉄片。

「猛海様」

「天城、今救護ヘリがこちらに来ている」

上空に響く、ヘリの音。猛海の呼吸が弱い。咳き込み、蒸せた猛海の口から、大量の血が出る。救護スタッフが、素早く猛海をヘリに乗せ、搬送した。

「ベルファストさん、カーリューさんとキュラソーさん三人で、猛海様の元へ」

「分かりました。では、後程連絡します」

ベルファストの言葉に、頷く天城。ビスマルクとエンタープライズ達は、その場に力無く座り込んでいるエセックス達を囲む。

「戻るぞ。立て」

「……はぃ」

恐怖で怯えた表情の三人が頷く。無数の侵略者達の残骸を残し、エンタープライズ達は港へ向かった。

 

 

 

 

静まり返る居間で、エンタープライズ達は、ベルファスト達の報告を待つ。重苦しい空気が、さらに場を暗くする。そこに、天城と愛宕が戻ってきた。

「…猛海は、どんな状態だ?」

「辛うじて、息はあります。今夜が山場だと」

「……そうか」

「私は、悲観する事はないと思っています」

天城の発言に、エンタープライズ達は視線を向ける。

「どうして、そう言える。根拠は?」

「私達は、『魂の輝き』でこの世界に存在する事が出来ます」

「そうだな」

ビスマルクの返答に、天城は頷く。

「もし、猛海様の『魂の輝き』が弱っているのであれば、私達の身体には明らかな変化がある筈です」

天城の言葉に、自分達の身体を見る。そして、近くにいる者達の身体も観察した。

「確かに、変化は見られない」

「…私は」

「はい、そこまで~」

居間の扉を蹴破り、入ってくる数人の男達。

「何者だ!?」

「おお~怖」

高雄が刀を抜く。ニヤニヤとイヤらしい笑みを見せながら、男達が近く。

「俺らを切ったら、君達の大切な人が死んじゃうよ」

「…何を」

「だから、抵抗したら、水瀬が死んじゃうよ?って、言ってんの」

その言葉に、力無く刀を落とす高雄。刀を隅に蹴飛ばし、ニヤニヤと笑う男達。

「…何が望みだ」

エンタープライズが問う。すると、男達が、近くにいたエセックス、ビスマルク、ダンケルク、天城、愛宕の背後に周り、胸を揉みしだく。

「っな!?」

「俺らのモノになれよ」

その発言に、背筋が凍り付いた。

 

 

 

 

混濁する意識の中、猛海は夢を見ていた。天城達が、見知らぬ男達に、胸を揉まれ、服を脱がされそうになっている。

 

(止めろ!?)

 

男達の手は止まらず、彼女達の大切な部分に触れようとしている。

 

(…彼女達に触れるなぁ!!…)

 

激昂し、猛海が腕を伸ばす。何が猛海の腕に触れた。猛海の視線が、その何かを捉える。そこに、七人の見知らぬ女性達。逆光でその表情も見えない。

 

『死にかけている状況で、その輝きは興味深い』

『単なるバカなのよ』

『私は、好きよ』

『ウム』

『あいつらに比べたら、マシなのは確か』

『心配しないで』

『そう、私達が護って上げるから』

初めて聞く声。そして、光が強くなる。猛海は、七人に手を伸ばした。

 

(…君達は)

 

『これから宜しく頼むよ。我々の指揮官。また後で逢おう』

 

声だけを残し、彼女達は消えていった。




明けましておめでとうございます。年末年始の激戦中、真っ只中です。グロッキーな状況で、ようやく休みがね…。まだまだ、激戦が続くので、不規則なアップは変わりません!

疲労困憊でも、インフルエンザになってないのが奇跡やわ~。


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彼女達の権利

何とか、二本目書き終わった…

続きをどうぞ


ICU(集中治療室)が、慌ただしかった。治療室の中に、緑色の長い髪の女性、黒髪ロングで額に二本の角を生やした女性、そして、ベルファスト達も知っている三姉妹の末っ子、フォーミダブルが、猛海の側に立っていたからだ。

「フォーミダブル様!?どうして、何故この様な事を!?」

ベルファスト達の腕を拘束する三人の女性。赤髪の女性、白銀の女性は、ベルファスト達も初めて見た。もう一人は、エンタープライズ達とよく共にし、ベルファスト達も顔馴染みのチェイサーだった。

「チェイサーさん、答えて下さい!」

「…五月蝿いわねぇ、馬鹿指揮官の命令なんだから、聞くしかないでしょ」

「……アドミラル・ヒッパー」

ベルファストの拘束を解き、チェイサーがベルファスト達の前に立つ。複雑な感情が見て取れる。

「私達の指揮官は、ベルファストさん達の指揮官の命を狙っています」

驚愕の表情の三人。チェイサーは溜め息を一つ。

「理由は?」

「……馬鹿な事だと思っていますが、私達の指揮官は、ベルファストさん達を含め、エンタープライズ達を欲しがっていて」

「…欲しがってって」

呆然とするベルファスト。

「ベルファストさんが、考えている事は分かっています。私達を召喚、維持する為には『魂の輝き』が強くなければ無理ですから」

「まぁ、あの馬鹿指揮官達はこの事、知らないんだけどね」

やれやれとヒッパーが首を横に振る。

「…猛海様をどうするのですか?」

「エンタープライズ達が、指揮官達に危害を加えたら、殺すように命令されています」

その発言に、ベルファスト達が猛海の方に視線を向ける。緑色の長い髪の女性が短剣を持っていた。すでに、その剣の先は、喉元に当てられている。

「動かないで下さい。ベルファストさん達が抵抗すれば、その時点でも殺すように言われています」

ベルファストの奥歯がギシリと鳴った。それは、キュラソーとカーリューも同じだ。しかし、喉元に当てられた短剣を、その女性は退けた。チェイサーが驚く。フォーミダブルと黒髪ロングの女性も様子がおかしい。緑色の髪の女性の方に、視線を向けず、猛海を見て驚いていた。三人の口元が何やら動いている。

「…信じられない。こんな事が」

「凄いです」

「面白い」

ベルファスト達も、猛海の異変に気付いた。明らかに、猛海の『魂の輝き』が大きく強くなっている。意識が戻る様子はない。だが、その強さは広がり、治療室全体を包んだ。ベルファスト達を囲んでいたチェイサー達四人が、猛海の方に向かう。輝きは、七人を呑み込んだ。ベルファスト達は、輝きの強さに目が眩み、七人の姿を捉えられない。

「…何が起こっているのでしょうか」

「分かりません」

カーリューの問いに、ベルファストはそう答えた。次第に、輝きが元の状態に戻る。ベルファスト達が七人を見た。

「指揮官の望みとあらば」

緑色の髪の女性が言う。七人の身体は、淡く光っている。ベルファスト達は息を飲んだ。チェイサーが、ベルファスト達に視線を向ける。表情は笑みが見えた。

「心配しないで。私達の指揮官は、この御方よ」

そう言って、猛海の手に触れた。ベルファストが、ハッとした表情。

「ベルファストさん、ちょっと行ってきます」

「…どこへ」

「そんなの。元、馬鹿指揮官の所に決まってるでしょ?」

そう言うと、七人はゆっくりと消えていった。

 

 

 

 

天城と愛宕は抵抗している。しかし、服は破かれ、その豊満な乳房が、男達の前で震えていた。

「良いねぇ、もっと抵抗しろよ。その分、燃えるぜ」

ビスマルクも必至に抵抗している。エセックスとダンケルクは、抵抗する力はない。猛海に対する罪悪感からきているのか、成すがままだ。

「抵抗がないのは、ヤリ易くて助かるけど、面白くねぇな。犯す気も起きねぇわ」

服を脱がされ、全裸にされている二人。エンタープライズが叫ぶ。

「お前達の猛海への気持ちは、その程度か!?お前達も猛海を慕っているのだろ?その気持ちも諦めるのか!?」

「心配するなよ。コイツらをヤったら、お前もたっぷり可愛がってやるから」

エンタープライズの髪を摘まみ、匂いを嗅ごうと鼻を近付けた。その時。

「彼女達から離れてもらおうか」

言葉と共に、緑色の髪の女性、チェイサー達が現れ出る。驚く面々。

「…お前ら、何命令無視してんだ!?」

「そうだ。指示があるまで、待機してろ」

激昂する男達。エンタープライズ達は、何が起こっているのか分からない。

「その命令は無効だよ。我々の指揮官は、君達ではない」

「お前、何を言っている?リットリオ」

リットリオと呼ばれた女性に、男が問う。リットリオは、朗らかに笑う。

「何を言っている?簡単な話だよ。我々の指揮官は、水瀬猛海だ」

「…そんな」

「そんなもこんなも、そうなんだから分かりなさいよ。本当、馬鹿ねぇ」

アドミラル・ヒッパーが呆れた表情で言う。男達の表情が、怒りに染まっていく。殺意が見てとれた。その場にいる女性全員が、砲台を出現させ、男達に向ける。全裸の二人も、天城、愛宕、ビスマルクも同様。一瞬で、形勢逆転になった。

「一つだけ、教えて上げよう。我々は、自らの指揮官を選ぶ権利がある。例え、別の指揮官に従っていたとしても、それを上回る能力がある指揮官を選ぶ。それが、我々のたった一つの権利だ」

腕組みしたリットリオが言う。

「それに、君達が彼女達を、自分のモノにするには『魂の輝き』が弱すぎる。これだけの人数を、君達は召喚、維持する事は出来ない」

壊れた居間の扉を、壁に立て掛ける人物がいた。振り向く面々。そこにいるのは、指揮官養成校の理事長になった木下と小野だった。二人を連れてきたのは、黒髪ロングの女性とチェイサー。

「これはまた、どうしたものか」

「…理事長」

男達が後退り、壁際に追い込まれた。その間に、エセックスとダンケルクに上着を掛ける天城とエンタープライズ。天城も片手で胸元を隠している。

「君達の指揮官は、彼らかい?」

「いいえ、我々の指揮官は水瀬猛海に移っています。彼らのパートナーはもういない」

「…成る程」

うんうんと頷く木下。いつも、穏やかな笑みを見せている木下の表情が、一変する。殺意とも似た視線。ゆっくりと男達に近付く。

「指揮官としての能力が無くなった者は、ここにいる資格はない。早々に出ていきなさい。それから、彼女達に対する言動、壊した扉の修理費、分かっていますね?」

木下の発言に、青ざめる男達。戦意喪失状態だ。小野に連れられ、トボトボと部屋を出ていった。

「それじゃ、私もこれで」

「…はい、ありがとうございました」

木下に頭を下げるエンタープライズ達。張り詰めていた空気が緩む。エセックスとダンケルクの頬に涙が流れ落ちた。

「間に合って良かった」

「はい、ギリギリでしたから」

そう言って、エセックスとダンケルクの前に座るチェイサー。天城と愛宕に、服を渡す伊勢と高雄。綾波、ラフィー、夕立は、畳部屋から怯えた表情で出てきた。

「もう、大丈夫ですよ」

愛宕が優しく言うと、安堵の笑みで、みんなのところに駆けてくる三人。

「ヒッパー、久しぶりだな」

「元気そうで何よりだわ。ビスマルク、それとオイゲン」

「ヒッパーの指揮官があんなのだなんで、知らなかったわ」

「五月蝿いわねぇ。私だって、好きであんな馬鹿指揮官を選んだ訳じゃないっての」

「召喚装置のせいか」

「そうよ。水瀬って男が産まれる前に、あんなのに捕まったのよ」

ヒッパーがお怒りモードで言う。ビスマルクは溜め息を一つ。

「水瀬猛海の存在を知ったのは、我々が元、指揮官に捕まった後だからな」

「…初めて見る顔だな」

リットリオに近付くエンタープライズ。ビスマルク達も視線を向ける。

「我々は、先の大戦で戦った貴女方の後、召喚された戦艦達だ。だから、知らないのは無理もない」

リットリオが目配せする。一歩前に出るリットリオ。

「私は、リットリオだ。それから、こちらはザラ。それから、ジュリオ・チェザーレ」

赤髪のザラが頭を下げ、白銀の髪のジュリオ・チェザーレが同じように下げる。

「私は、能代と言います。天城さん達よりも後に召喚されたので、ご存知ないと思います」

黒髪ロングの能代が言う。天城は能代を見つめ、優しく微笑む。

「能代さん、これから宜しくお願いしますね」

「…はぃ」

憧れのお姉さんに逢えて、嬉しそうな能代。頬を染めた。

「ちょっと質問」

伊勢が手を上げ、声を掛ける。視線が一気に伊勢に集まった。

「お前達の指揮官が、猛海になったって言ったよな?」

「…ああ、そうだ」

「なら、猛海の意識は回復したのか?」

その問いに、首を横に振るリットリオ。天城達の表情が曇る。

「危機的な状況なのだが、指揮官の『魂の輝き』は強かった。我々を召喚する力がある程に」

「猛海様が、召喚?」

「…ああ、そうだ」

天城の問いに、頷くリットリオ。そして、事の経緯をみんなに説明したのだった。

 

 

 

 

猛海が負傷してから、三ヶ月後。ようやく、猛海が戻ってきた。殆ど入院中の世話をメイド隊の三人と天城が担っていた。久しぶりの猛海との再会に心を踊らせる面々。先に部屋に入って来たのは、車椅子を抱えた天城とキュラソー。みんなの表情が一瞬で変わる。そして、両脇をベルファストとカーリューに支えられながら、猛海が部屋に入って来た。エンタープライズの瞳は揺れた。ビスマルクは唇を噛み、ヨークタウン、愛宕、ダンケルクの頬は、涙で濡れる。伊勢や高雄、夕立、ラフィーと綾波も今にも泣きそうだ。みんなの目に映る猛海の姿。それは、左目を失い、右手の手首から先はない。そして、左の足は。付け根から無くなっていた。

「よう、久しぶりだな」

当の猛海は、いつも通り笑っていた。




アップが不規則になってしまうので、書ける時に書きましたぁ…。

次の投稿まで、勘弁して下さい…。次回は、極甘で行きますから!


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最前戦からの離脱?~1日目~

前回の投稿から、時間が経ちまして。大変、申し訳ありません。

また、前回のあとがきに、甘々の話にしますと書きましたが…。予定以上に話が…。

詳細は、あとがきに書きます。

続きをどうぞ


よく晴れた大海原。空と海の境目が分からない。そこに、天城達はいた。波は穏やかで、心地好い風が吹き抜ける。

「…なかなか来ないな」

腕組みしたビスマルクが、静かに言う。

「天城、本当にここで間違いないのか?」

「ええ、ここで間違いありません」

エンタープライズの問いに、天城は小さく頷く。しかし、周囲を見渡しても、何も見えない。今、ここにいるメンバーは、天城、ビスマルク、エンタープライズ。能代、伊勢、高雄、夕立にラフィー。綾波とエセックス、ダンケルクとジャン・バール。ヨークタウンにメイド隊の三人。チェイサー、フォーミダブル、ジュリオ・チェザーレ、アドミラル・ヒッパーだ。残りの4名は、猛海のお世話と警護の為にいない。

「天城さん、来ました」

ダンケルクが声を上げ、その方へと指差す。指された方から、水飛沫を上げ、こちらに近付く人影達。面々は少し驚きの表情。

「お待ちしておりました」

「いや、申し訳ない。思いの外、準備に時間が掛かってしまって」

天城は、柔らかく微笑んだ。そして、ゆっくりと視線を面々に向け。

「紹介します。今日、援護してくださる皆様です」

「三笠だ。宜しく頼む」

「日向だ。姉さん、久しぶり」

日向が、伊勢に手を振った。手を振られた伊勢は、反応出来ない。

「ティルピッツ…」

「ビスマルク姉さん…」

ビスマルクとティルピッツは無言で見つめ合う。そして。

「シリアスにダイドー。貴女方まで」

「お久しぶりです。メイド長」

「今日は宜しくお願いいたします」

二人は優雅に礼をした。

「天城、これはどういう事だ?」

「どう?とは」

「……」

エンタープライズの表情が困惑している。それは、ここにいるメンバーも同じ。天城は一度目蓋を閉じると、ゆっくりと開き。

「もうすぐ、侵略者達と接触します。今日は、その討伐に私達は来ています」

「それは解っている。そうではなく…」

ビスマルクの言葉を、天城は手で制止した。

「私達は、今まで猛海様と一緒に、侵略者と戦って来ました。でも、今はいません。しかし、猛海様不在でも、私達は戦えます」

「なら」

「…私は、他の戦艦の方々と連携した方が良いと思ったんです」

その言葉に、エンタープライズ達は息を呑む。

「それに、猛海様の事ですから、必ず戦場に戻る筈。なら、私達に出来る事は、あらゆる事を想定した実践、経験が必要不可欠だと」

「…ああ、天城が言いたい事は分かった」

額に手を当て、溜め息混じりにエンタープライズが言う。エンタープライズだけではない。ここにいるメンバーが同じ様に、溜め息をついた。

「確かに、猛海様ならあり得ますね。天城さんの行動は、正解だと思います」

ベルファストが微笑みながら言った。

「皆さん、来ました!」

ダンケルクが声を上げる。一斉にそちらに視線を向ける面々。まだ、遠くに見えるが、侵略者達だ。

「…報告より、数が多いようだが」

「恐らく、こちらの動きを察知したのかも知れません」

「まぁ、何とかなるだろ。みんな優秀だからな」

侵略者の軍勢が、射程内に入る。

「それでは、皆さん。作戦通りにお願いします」

天城の言葉に、みんなが頷く。そして、双方の砲台が轟いた。

 

 

 

 

一方、その頃

 

 

 

 

猛海の部屋では、ちょっとした攻防。猛海を押し倒し、馬乗りになるオイゲン。妖艶に微笑み、猛海の上着に手を掛ける。オイゲンの腕を掴む猛海。

「何をするつもりだ?」

「何をって、服を脱がしてるのよ」

「…服くらい、自分で脱げる。それに、ここで脱いだら、風呂場まで寒いだろ」

オイゲンを押し退け、猛海は上体を起こす。不服そうな表情のオイゲン。立ち上がろうとする猛海を、愛宕とザラが両方から支えた。猛海の視線が泳ぐ。リットリオが素早く反応した。猛海の前に、松葉づえを準備する。

「ありがとう」

「感謝される程の事でもないよ」

松葉づえを掴む猛海。少しバランスを崩し、リットリオが前から支えた。必然的に猛海の顔には、リットリオの胸が触れる。リットリオから放たれる甘い香り。猛海は、軽く目眩を覚えた。

 

(…ちょっとヤバい)

 

リットリオの心地好い体温と香りに、猛海の肉棒が反応する。それに愛宕が気付いた。猛海の背後に回り込み、服の上から肉棒を撫で上げる。

「猛海様」

「…ば、バカ。触るな」

「でも、猛海様のココ、大きくなってますよ」

イヤらしい手付きで、肉棒を刺激する。猛海がバランスを崩す。

「愛宕、止めろ」

リットリオが一喝。怒られた愛宕は、不満顔。無言でオイゲンの横に座る。

「君達は何を考えているんだ」

猛海を支えたまま、リットリオが言う。

「…いや、リットリオ。良いんだ。この二人はいつもこんな感じだから」

「っえ!?いつも?」

「ああ、気にしないでくれ」

猛海の言葉に、リットリオは愕然とした表情。猛海の横に立っていたザラも目を見開き、驚いている。ゆっくりと体勢を立て直す猛海。リットリオは、無意識に猛海の下半身に視線を向ける。視界に入ったのは、猛海の下半身が膨らんでいるという事。徐にそこを触る。猛海の身体がびくりと反応した。

「…こ…これ…は、もしかして」

「あんまり、じろじろ見るな」

リットリオが、猛海の下半身を凝視。猛海は、身体をずらし、ゆっくりと歩き出した。その後を、ザラとリットリオも付いて行く。勿論、オイゲンと愛宕も一緒だ。五人は、整備場の中に作られた風呂場に入る。

「…1人で入れるから、ついて来るなよ」

そう言うと、脱衣室で猛海は服を脱ぎ始める。無言で見つめる四人の視線。上着はすぐに脱ぐ事は出来た。しかし、ズボンがなかなか下ろせない。リットリオは椅子を猛海の前に置く。

「……」

無言でその椅子に座る猛海。ようやく全裸になり、大事な部分をタオルで隠す。

「悪いんだけど、出て行ってくれないか」

「どうして?」

「…恥ずかしいんだよ」

顔を少し染め、猛海が言う。その恥じらう姿に、オイゲンと愛宕が悶絶した。

「…なんて可愛いの」

二人は、着ている服を素早く脱ぎ、猛海に抱き付く。リットリオとザラが見ていてもお構いなしだ。

「さぁ、猛海様。私達が隅々まで、身体を洗いますわ」

「自分で洗える!バカ、どこ触って」

二人に揉みくちゃにされながら、猛海は浴室へ。脱衣室に残されたリットリオとザラ。

「…あれは、どういう事だ?」

「さぁ、でも……ふふ、何だか楽しそう。リットリオ、私も行ってくるわ」

「っえ?行くって、ザラ」

リットリオの言葉も聞かず、ザラは服を脱ぎ、全裸になると、そのまま浴室へ。一人残されたリットリオ。静かに腕組みし、目蓋を閉じる。『ギンッ』と効果音が聞こえそうな程見開くと。

「よし!私も入ろう!」

言うのが早いか、脱ぐのが早いか。そそくさと服を脱ぎ捨て、浴室に向かった。

 

 

 

 

豊満な乳房が八つ、猛海の前で揺れている。猛海は小さく溜め息をついた。何故、溜め息をついたかというと。

「猛海の身体を洗うのは、私よ」

「オイゲンさん、勝手に決めないで。私だって洗いたい」

「…いや、そもそも君達は、指揮官に馴れ馴れしい」

「私はどっちでも良いわ。みんなで洗えば良いんじゃないの?」

口論している四人。四人に挟まれ、彼女達が落ち着くのを待つ。しかし、収まる気配はない。猛海は、再び溜め息をつくと、湯船に浸かった。

「っあ、猛海様。私も」

愛宕の言葉に、他の三人も『私も』と湯船に浸かった。ここの湯船は、大人が十人くらい入っても、まだ余裕の広さはある。整備場を生活拠点にする際、猛海が重要視したのが、部屋数とお風呂だ。理由は簡単。猛海の側にいる彼女達が、不便にならないようにと、猛海なりに考えた結果である。未だ、キューブのままの彼女達が、実体化しても、窮屈にならないように、先を見越しているのもあるが。

「…そう言えば、リットリオ達は、元は違う指揮官についてたんだよな」

「…ああ、そうだね」

猛海の問いに、頷くリットリオ。

「どうして、ここにいるんだ?」

「……そうか、指揮官はずっと病院にいたから、知らないのは無理はないね」

猛海が退院してから、リットリオ達と生活を始めて、まだ一週間しか経過していない。その間、話す機会が無かった訳ではないが、猛海のリハビリが思った以上に大変で、猛海自身に余裕が無かった。故に、彼女達が『何故』ここにいるのか知らない。リットリオは、猛海に視線を向けると、その経緯を話した。

「…そうか、そんな事が」

話を聞き、猛海は小さく言う。

「召喚したのは、指揮官だが。私達は、君に惹かれたんだ。その『魂の輝き』に。あれだけの戦艦を惹き付けて、尚且、維持させられるだけの『輝き』に」

真っ直ぐ見つめるリットリオとザラ。猛海も真剣な表情になる。

「『魂の輝き』だけじゃないわ。猛海は格好いいもの」

「それに、とても素敵で。とても可愛い」

猛海の身体に触れながら、オイゲンと愛宕が言う。その手付きはイヤらしい。猛海に触れながら、徐々に呼吸が荒くなる二人。オイゲンが、猛海の首筋に舌を這わせる。愛宕も自分の乳房を、猛海の左手に押し当てた。

「…君達は何を」

顔を赤く染めたリットリオが狼狽える。

「何って、猛海と愛を深めているのよ」

妖艶に微笑み、オイゲンは言う。愛宕が猛海の唇を塞いだ。リットリオとザラの目の前で、オイゲンと愛宕が猛海にキスをする。

「…ちょっと、二人共。俺は、身体を洗いたいんだ」

「なら、私達が隅々まで洗いますから」

「今は、猛海が欲しいの」

「ちょ…ちょっと、待て!」

狼狽える猛海。勢い良く立ち上がる。座ったままの四人の前に、少し立ち上がった猛海の肉棒が視界に入った。オイゲンがすかさず、パクリと咥える。その刺激に、猛海は前屈みになった。オイゲンの頭が前後し、片手は、陰嚢を優しく揉む。猛海は、オイゲンを押し退ける。

「…ちょっと、マジで止めろ。オイゲン」

「嫌よ、ずっと猛海とエッチ出来なかったんだもの。もう我慢出来る訳ないでしょ」

「そうですよ。私達は、猛海様に愛されたいんです」

愛宕は猛海の背中を舐め上げた。この状況に、リットリオとザラは、唖然と見つめる。

「リットリオとザラもいるだから、自重しろ!」

焦った声で言うも、二人は聞くつもりはないようだ。

「…ああ!もう分かった!前みたいに、色々出来ないから、文句は言うなよ!」

「それでも嬉しい」

二人は満足そうな表情。三人は、湯船から出ると、何度もキスをする。猛海の指が、二人の割れ目に触れた。お湯ではない、ヌルヌルとした感触。

「……準備万端じゃないか」

オイゲンの中を解しながら、猛海はそう呟く。オイゲンを俯せで寝かせると、後ろから圧を掛ける様に中に突き入れた。オイゲンの身体に力が入る。

「…ああ!……深…ぃ」

猛海の片足がない分、体重がオイゲンの奥をより一層押し広げ、今まで以上に、子宮を刺激する。そして、ゆっくりと突き上げた。腰を早く動かす事が出来ない猛海は、何度も同じ場所を突き上げる。オイゲンのうなじに舌を這わせ、耳朶を食む。

「…やぁ……ん…ああ、気持ち…ぃ」

右手がない腕で、バランスを取りながら、左手で乳首を摘まむ。オイゲンの身体が戦慄いた。

「…っあ、ダメ…ぃ…ちゃう」

何度も深く、同じ場所を突かれ、オイゲンは絶頂した。中が蠢き、ビクビクと痙攣。恍惚とした表情で、ぐったりとその場で休む。すぐさま、愛宕が猛海の唇を貪った。猛海もそれに答える。乳房も揉みしだき、尖端を摘まむ。

「…はぁ…はぁ」

愛宕の呼吸が荒くなり、猛海に抱き付く。猛海は、愛宕を押し倒した。愛宕の左足を持ち上げ、オイゲンと同じ様に、体重を掛け愛宕の中を何度も深く突き上げる。

「んん…やぁ」

腰の動きはゆっくり、同じ場所をねっとりと。浴室に響く、愛宕の喘ぎ声。愛宕の唇を塞ぎ、乳房を揉みしだく。指の腹で、尖端を擦り、キュッと摘まんだ。

「…あぁ…やぁ…ぃ…くぅ」

猛海の唇を貪りながら、愛宕が身体を震わせ、絶頂した。愛宕の中から、肉棒を引き抜き、そのまま座り込む猛海。射精出来ずに、血管が浮き出るほど反り上がった肉棒。リットリオとザラは、顔をさらに真っ赤に染めた。体力が少し回復し、オイゲンが猛海に近付く。向き合う形で、オイゲンは股がると、肉棒を中へと誘った。グチュグチュと結合する音。しっかりと奥まで入れ、腰を揺らし出し、時折、舌を絡め合いキスをする。

「…んん…猛海、イけそう?」

「…ああ」

腰を打ち付け、強弱をつけるオイゲン。猛海の表情が、快楽で歪む。左手が、オイゲンの腰を掴む。右側は、器用に腕を腰に押し付けると、オイゲンの動きに合わせて上下させた。オイゲンの中が蠢いた。次の瞬間、オイゲンの中に白濁の液を流し込む。

「…はぁ…はぁ」

繋がったまま、荒い呼吸で互いの唇を貪る。二人の目に、リットリオとザラは映っていない。

「オイゲン、もう良いか?」

「…ん、仕方ないわね。我慢するわ」

そう言って、猛海から身体を退かすオイゲン。その横で、愛宕が上体を起こす。猛海は、愛宕にキスをした。

「愛宕は?」

「…私も、猛海様の愛を感じたので、今日は大丈夫です」

そう言いながらも、少しだけ残念そうな愛宕。猛海は徐に愛宕の頭を撫でた。リットリオとザラの目の前で、繰り広げられた衝撃の光景。猛海は、二人がいたことを思い出した。

「……悪いな、びっくりさせたろ?」

「…ぃ…え、そんな事は…」

気まずい雰囲気。猛海は、溜め息をついた。

「さぁ、猛海。身体を洗いましょ」

先程まで、妖艶な表情だったオイゲンが、ボディソープを泡立て始めていた。二人は気付く。いつものオイゲンの表情に、戻っている事を。勿論、愛宕もいつもの表情に戻っている。その後、猛海の身体を洗い、四人も身体を洗ったのだった。

 

 

 

 

その日の夕方、天城達が帰ってくる。猛海は、居間で寛いでいた。

「…お帰り、みんな怪我はないか?」

猛海の問いに、みんな顔を見合せ、天城を見た。天城は、ジャン・バールとダンケルクに視線を送る。

「申し訳ありません。少し負傷しました」

そう言って、二人が猛海の前に立つ。猛海の眉間にシワが寄る。以前、猛海の寝室として使っていた部屋に、猛海が移動。

「二人共、ちょっとこっちに」

猛海の言葉に、無言で従う二人。そのまま部屋に入っていった。残された面々。天城がエンタープライズとビスマルクを見る。

「良いんですか?三人も怪我してるでしょ」

能代が天城に言う。天城は無言で、首を横に振った。

「…天城、エンタープライズとビスマルク、部屋に来て」

部屋から、猛海が言う。ドキリとする三人、その場で動けない。

「三人共、部屋に入って」

少し怒気が含まれている。三人は、無言で部屋に入っていった。部屋の中では、猛海の声が聞こえるが、内容は分からない。居間に残された面々は、ただ静かに、猛海達が出てくるのを待つだけ。しばらくして、猛海達が部屋から、出てきた。少し苛立っている猛海の表情。

「…今日は、お疲れ様。みんな、ゆっくり休んでくれ」

それだけ言うと、平屋に向かう猛海。重苦しかった部屋の空気が軽くなる。

「…オイゲン、部屋で何があったんだい?」

リットリオが、オイゲンに問う。オイゲンは、小さく溜め息をつきながら。

「身体検査よ」

「身体検査?」

「怪我の箇所を、猛海が確認してるの」

「…それで、どうして、指揮官は怒っていた?」

再び溜め息をつくオイゲン。

「天城、エンタープライズ、ビスマルクの三人が、最初に聞かれた時、黙っていたからよ」

三人に視線を向けると、暗い表情だった。リットリオは、オイゲンに視線を向ける。

「猛海はね。私達が傷付くのを嫌うの」

「しかし、我々は戦艦。ただの兵器に過ぎない」

その言葉に、オイゲンは首を横に振る。

「猛海にとって、私達は兵器じゃない。女性として、いつも見てるわ」

オイゲンの言葉に、リットリオの表情が変わる。リットリオの横で聞いていたザラも同様だ。それは、驚きの表情。

「それで、ああいった事をしているのか?」

リットリオは、お風呂場での情事を言っている。

「違うわ。私達は、異性として猛海を愛してるの。猛海も私達を愛してる。貴女達から見たら、異様に見えるんだろうけど。私達は、ただの『指揮官と戦艦』っていう関係じゃないわ」

オイゲンは、天城達を見つめる。

「…フム、なるほど。面白い」

リットリオはポツリと言う。

「今までの指揮官とは、かなり違いますね」

「ああ」

リットリオとザラは、天城達をゆっくりと見渡した。

 

 

 

 

夜、猛海は一人、平屋で寛いでいた。しかし、その表情は苦悶。

 

(…早く、新しい武具を作る必要があるのに…)

 

自分の身体を見下ろす。特に気になったのは、付け根から無くなった左足。

 

(義足、作る方が先か)

 

小さく溜め息をつく。渡り廊下から、数人の足音。ノックの音が聞こえ。

「猛海様」

そう言って、入って来たのは、天城。そして、リットリオとザラ。珍しい組み合わせ。

「どうした?」

猛海の問いに、リットリオが近付く。そして、猛海の頬に触れた。怪訝な表情になる猛海。

「…指揮官。指揮官にとって、我々は何だ?」

「……はぁ?女性だろ?」

何でこんな質問をするのか『分からない』といった表情。少し思案して。

「リットリオが言いたいのは、何となく理解した。エンタープライズやビスマルクが、最初に俺の所に来た時も、似たような話をしたからな」

リットリオの腕を掴み、リットリオとザラを見る。

「ここにいる娘達は、俺にとって『愛する大切な人達』だ」

「…我々もか」

「他の指揮官じゃなく、俺を選んだんだろ?なら、お前達も、俺の『大切な人』だ」

その言葉で、ザラの頬が真っ赤に染まった。リットリオの頬も少し赤い。猛海に掴まれた腕を、反対の手で優しく触れた。無言で猛海を見つめる。

「用はそれだけか?」

「…ぁ…あ」

猛海の言葉に、我に帰るリットリオ。掴んでいた手を離す。猛海は、優しく微笑み。

「今日は、休め」

リットリオとザラの頭を軽く撫でながら言う。惚ける二人。

「…どうした?」

猛海が、二人の顔を覗き込む。急に覗き込まれ、二人は真っ赤に顔を染めた。無言で立ち上がり、そそくさと部屋を出ていく。急に、天城と二人きりになる。

「……」

無言のまま、部屋の出入り口で、天城は立ち尽くす。猛海は、一度天城を一瞥。小さく溜め息をつく。

「天城、いつまでそこにいるつもりだ?」

「…申し訳、ございません」

振る声。猛海は、振り返った。天城の瞳から溢れる一筋の涙。

「天城、おいで」

バランスを崩しながら、猛海は立ち上がる。天城は駆け寄った。猛海は、天城を優しく抱き締める。

「天城、俺が怒ってるって、思ったのか?」

「…はい」

小さく頷く天城。猛海は、天城の頭を撫でた。

「正直、少し怒っている。けど、それよりも。今、みんなの事を守れないのが悔しい。だから、もし怪我をしたら、ちゃんと言って。俺の事を、大切だと思っているなら」

言って、天城の頬を撫でた。天城の涙が止まる。猛海の唇が、天城の唇と重なった。

「…ちょっと座らせて」

猛海が腰を下ろす。天城は、支えながら、一緒にその場に座った。猛海の手が、着物の上から天城の乳房に触れる。

「猛海様、もう大丈夫なんですか?」

「ああ、天城達が出掛けている間、オイゲンと愛宕に喰われたし」

それを聞いて、天城がフフッと笑う。

「二人はやっぱり、我慢出来なかったんですね」

「リットリオとザラが見ていても、お構い無しだった」

「…それで、リットリオさんとザラさんの様子が、少し変だったんですね」

会話をしながらも、猛海の手は止まらない。着物の帯を解き、天城を脱がしていく。

「天城も、そろそろ限界だったんだろ?たまに、呼吸荒かったし」

「…猛海様は、お見通しですね…んん…」

乳房を揉み、尖端を摘まむ猛海。天城の首筋を舐め上げた。

「ずっとみんなを見てるからな。天城とベルファストとは長い時間一緒にいるから。特に」

耳朶を食む。天城が、猛海の上着に手を掛ける。黙って猛海は脱がされた。

「それに、他のメンバーもそろそろ限界だろ?エンタープライズとビスマルクは、隠してるようだけど、全然隠せてない」

指が、天城の中をかき混ぜる。次第に呼吸が荒くなる天城。天城を押し倒し、ボクサーパンツを脱ぎ捨て、猛海の肉棒が、天城の割れ目に宛がわれる。しっかりと濡れている秘所。天城は、両足を広げ、猛海を受け入れる準備万端。

「前みたいに、出来ないけど」

「猛海様を感じられるのなら」

グチュリと天城の中に入る肉棒。天城の身体が、戦慄いた。

「…はぁ…ん…」

久々の刺激に、天城の中が蠢く。天城に覆い被さり、唇を塞ぐと、ゆっくりと腰を打ち付ける。体重を掛け、深く抉った。天城の腕が、猛海の背中に回る。急に、猛海は天城の身体を起こした。

「天城、自分で動いてみて」

「…っえ?」

「天城が、気持ちいいって感じる所、教えて」

猛海に言われて、戸惑いながらも、天城はユルユルと腰を揺らす。天城の中で、子宮と肉棒の尖端がディープキスをした。子宮と尖端が擦れるのが、気持ちいいらしい。甘い声を上げながら、猛海に抱き付く天城。猛海の目の前に、天城の乳房が揺れている。猛海は乳房を揉み、反対側の乳房を舐め回し、尖端を甘噛みした。

「…ああ…んん…はぁ」

天城の腰がイヤらしく揺れる。猛海の指が、天城のクリを弄り、指の腹で捏ねた。

「…やぁ…ぃ…イちゃ…ぅ」

涙目になりながら、天城が鳴いた。身体をビクビクと痙攣させ、絶頂する天城。猛海の肉棒を、愛しいそうに、キュッと締め付けた。猛海が再び天城を押し倒す。天城の腰をしっかり掴み、抱き締めたまま、小刻みに腰を打ち付ける。

「…ああ!…待ってぇ…まだ、イっ…」

体重が乗っている分、突き上げが深い。片手と片足だけでバランスを取り、猛海は器用に責め立てた。元々鍛えていた為、体力はある猛海。天城はガクガクと揺さぶられ、成すがまま。次の瞬間、白濁の液を流し込む。

「…はぁ…はぁ」

「天城、気持ち良かったか?」

猛海の問いに、声が出せない天城。荒い呼吸で、頷くだけ。天城の横に、猛海も横に寝転ぶ。互いを抱き締め合い、キスを繰り返す。

「…猛海様」

「何だ?」

「明日は、エンタープライズさんとビスマルクさん。それと、ダンケルクさん、ジャン・バールさんが、猛海様のお世話しますからね」

「分かった」

天城の言葉に、猛海は頷く。二人は、そのまま布団に入り、眠りについたのだった。




まえがきにも書きましたが、予定の内容より、かなりの変更がありまして。

何故か?

理由はですね。新たに猛海の『大切な人』が増えた。と言うのが、理由です。出てくる人物が増えると、その分。その娘達の言動や心情というものが、表れて、猛海との関係性や、他の娘達との絡みが必要と思ったのが要因です。

自分にもっと文章力があれば、まだスマートな内容になるのでしょうが、何分。素人に毛が生えているか、生えていないかのレベルなので、自分の作品を読んでくれる皆様には、大変申し訳ない気持ちです。

さらに、次の投稿も未定です。今回も全く時間が無くて、3日掛けて書きました。所々、読みづらい箇所があると思います。本当にごめんなさい。日数を掛けても、なるべく投稿したいと思いますので、最後までお付き合い頂けると幸いです。


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最前戦からの離脱?~二日目・前半~

お待たせ致しました…。

色々、話したいですが、とりあえず、あとがきにて。

続きをどうぞ


空は暗く。街はまだ、眠りの中。指揮官養成校の片隅で、聞こえてくる複数の人の声。校庭にいるのは、伊勢、高雄。ジュリオ・チェザーレ、能代の四人。四人は、朝練をしていた。まず最初に、筋トレから始まり、体術、剣術等のトレーニングをしている。時間は早朝、五時過ぎ。汗を流した四人の表情は、満足気。

「いゃ~、二人加わると、色々助かって良いねぇ」

「拙者も、同感だ」

「張り合いがあるわぁ」

伊勢と高雄が、満面の笑みで言う。

「身体を動かさないと鈍るから、こっちも助かっているよ」

ジュリオ・チェザーレもにこやかに言う。四人は、汗を拭いながら、整備場へ向かった。猛海の部屋の前を通る。微かに聞こえる声。天城の声だと、四人は気付く。その声は、艶っぽさを含み、部屋の中でナニが行われているか、容易に判断出来た。その場を、素早く通り過ぎようと、歩く速さが上がる三人に対して、能代だけが、その場に立ち尽くす。

「…天城さん?」

能代の脳内は、パニックを起こしていた。伊勢が能代の腕を掴む。伊勢の顔は真っ赤に染まっていた。

「…能代、早く行くぞ」

伊勢に、強く腕を引かれ、能代は素直に従った。しかし、思考は停止状態。風呂場に逃げ込む様に入り、荒くなった呼吸を整える。四人の顔は真っ赤だ。

「…ぃ…今のは」

震える声で、能代が言う。それは、誰に問うつもりでもなかった。

「……」

能代の独り言に、三人は無言。気まずい雰囲気が、脱衣室を包む。急に伊勢が、自分の頬を叩く。

「…よし!風呂入ろうぜ!」

「…ぉお、そうだな」

伊勢と高雄の言葉に、ジュリオ・チェザーレと能代が頷き、四人は服を脱ぐと浴室へと入っていった。

 

 

 

 

 

朝、七時過ぎ。台所で朝食を作る天城。その横では、無言で能代が手伝っている。時折、視線を天城に向け、何か言いたげな表情になるものの、すぐに視線を反らす能代。

「…能代さん」

「……はぃ」

「何かありましたか?」

手早く、卵焼きやお味噌汁を作りながら、天城が視線を能代に送り、出来上がった卵焼きを、能代の前に置く。能代は、それを等間隔で切り、後ろのテーブルに並べられた複数の皿に、盛り付けていく。

「……いぇ…それより、ベルファストさん達は」

「猛海様のところです」

能代の問いに、天城が淡々と答える。天城は鯖の味噌煮の味を確認中。軽快な音と共に、ご飯が炊き上がった。

「能代さん、皆さんを呼んで来て下さい」

「分かりました。指揮官」

「ベルファストさん達と一緒に来るでしょうから、その必要はありません」

能代の言葉を遮り、微笑む天城。その表情は妙に艶めいている。能代の顔が、赤く染まり、天城を直視できない。逃げるように、みんなを呼びに向かった。

 

 

朝食を済ませて、各々寛いでいた八時半頃。松葉づえを付きながら、猛海が居間に入ってくる。

「…あら、猛海様?ベルファストさん達は?」

椅子に座り、お茶を啜っていた天城が、声を掛ける。天城の横には、エンタープライズが座り、天城とエンタープライズに向かい合う形で、能代とビスマルクが座っていた。

「うん?…あぁ、ちょっと責めすぎた」

「…猛海、もう少し言葉を考えてくれ」

不敵な笑みで言う猛海に、エンタープライズとビスマルクが溜め息をつく。

「何で?」

「……」

猛海の問いに、無言で能代に視線を向ける三人。能代の顔は、熟れたトマトの様に赤い。猛海は能代に視線を向けた。それと同時に、豪快に鳴る猛海のお腹の虫。天城はクスクス笑う。エンタープライズとビスマルクも笑っていた。天城が、椅子から立ち上がり。

「猛海様。今、準備しますから、こちらにお掛け下さい」

促され、猛海は椅子に座る。しばらくすると、目の前に朝食が用意された。右手がない猛海は、使い慣れない左手に箸を持つ。天城が隣に座った。

「……見られると食べにくい」

四人の視線を集め、猛海は呟いた。ビスマルクが椅子から立ち上がり、台所に向かう。再び戻って来たビスマルクの手には、三人分の箸が握られている。ビスマルクが、天城とエンタープライズに箸を渡す。ビスマルクの意図を理解した二人。天城がお茶碗を持ち、箸で掴んだご飯を、猛海の口元に持っていく。

「はい、猛海様」

「…っえ?」

「あ~んです」

素直に口を開ける猛海に、天城はご飯を入れた。咀嚼する猛海を見つめる四人。ビスマルクも、卵焼きを口元に運び、エンタープライズも鯖の味噌煮を口元に持っていく。それらを、大人しく猛海は頬張り咀嚼。三人はニッコリと微笑む。

「…なんと言うか、餌付けしてるみたいだな」

「そうですね」

「……ちょっとクセになりそうだ」

三人の会話を、能代は無言で聞いている。そして、猛海を、愛しいく見つめる三人の表情を観察。その後も三人は、次々と食べ物を、口元に持っていく。

「あのさ、リハビリにならないんだけど」

朝食を食べ終えた猛海が言う。

「…ぃや、あまりにも」

「その、可愛らしくて」

「母性本能が…ねぇ?」

しどろもどろの三人は互いを見合う。猛海は溜め息を一つ。

「まぁ、俺も調子に乗って食べたから、怒る権利はないんだけど」

そう言って、椅子から立ち上がる猛海。

「ちょっと出掛けるから」

「どちらに?」

「小野先生の所」

行き先を聞いて、黙り込む三人。能代はその様子に、首を傾げた。

「どうしたんですか?」

「猛海様が、小野先生の所に行く時は、私達はついて行けないんです」

「…どうしてですか?」

「それは…」

言葉を濁す天城。能代達、新メンバーは、その理由をまだ知らない。当の天城達でさえ、どうして猛海は、連れて行ってくれないのか、教えてもらっていない。

「いや、今回は全員連れていく。天城、ベルファスト達を起こして来て」

猛海の発言に、三人は驚きの表情。言葉を発せずにいる。

「天城?」

天城の顔を覗き込む猛海。天城は、我に帰った。

「…畏まりました。今すぐに」

そう言って、そそくさと居間を出ていく。天城が、居間を出たと同時に、猛海のスマホが鳴った。

「もしもし、小野先生?」

『おう、猛海。こっちの準備は出来てるぞ』

「分かりました。今、みんなに準備するように、言ったので」

『了解、んで?ちゃんと、話したのか?』

電話越しから、小野が問う。猛海は無言。

『…まだなのか。まぁ、良いや』

「小野先生も良いんですか?」

『そうだな、本当は知られたくはないんだが、猛海のところの娘達なら、心配はしてないよ』

「…そうですか」

『とりあえず、一時間後に迎えに行くから、宜しく』

そう言って、小野は電話を切った。スマホを無言で見つめる猛海。その後ろ姿を、エンタープライズとビスマルクが見つめていた。

 

 

小野からの電話から、一時間後。整備場の前に、大型のバスが停車。出迎える猛海達。バスから出てきた人物に、天城達が驚いた。

「…貴女は」

「遅れて申し訳ないね。水瀬君。天城達も、昨日はお疲れ様。怪我の具合は良いのかい?」

にこやかな笑顔で、三笠が言った。天城は、猛海に視線を向ける。

「猛海様、どうして三笠さんがここに?」

「…う~ん、その説明は、後で良いか?とりあえず、小野先生の所に着いてからするから」

「…分かりました」

猛海の言葉に、頷く面々。続々とバスに乗り込み、バスは、小野が所有する山へと向かった。

 

 

 

 

 

猛海達を乗せたバスは、山の中腹にある建物の前に着く。そして、そのまま建物の中に入っていった。真っ暗な建物の中、地面が小刻みに揺れ、天城達は警戒する。

「警戒する必要なない」

猛海の言葉に、天城達は黙って従う。しばらくして、地面の揺れが治まった。猛海は慣れたように、バスを降りる。天城達は、警戒しながらも、猛海の後を追い、バスを降りた。バスを降りてから、異なる反応を見せる面々。驚いた表情の者、感心したような表情の者、期待に目を輝かせる者。それぞれの感情が、表情だけで分かる。天城達の目に映るのは、大きな何かの装置、沢山の配線やパイプが、至る所に張り巡らされ、中には、大きな水槽もある。その側で、複数の白衣を着た研究員達が、忙しなく動き回っていた。

「…これは」

エンタープライズが小さく呟く。

「やぁ、俺の研究所へ、ようこそ」

白衣を着た小野が、エンタープライズ達の前に現れた。猛海も小野の横に立つ。

「いゃ、正確には『俺達の』って言うべきか」

「……俺達のって」

「言葉の通りだよ。君達も、薄々気付いていただろ?」

小野の言う通り、エンタープライズ達は気付いていた。猛海が、いつも身に付けていた武具。あれは、小野と開発しているであろうと。

「やはり、そうだったのか」

ビスマルクがポツリと言う。他の者達も、複雑な表情で、猛海を見た。

「私達をここに連れて来た理由は?」

リットリオが問う。猛海は、みんなを一瞥すると、口元を隠しながら、背を向ける。

「おいおい、猛海」

「…ゎ…分かってる…けど、心の準備がなぁ」

猛海の言葉に、呆れた表情の小野。一同は無言で、猛海を見つめる。小野は、溜め息を一つ。

「なら、俺から言ってやろうか?」

「…いや、自分から…言う」

その言葉で、小野は猛海の肩を軽く叩くと、他の研究員の元へ向かった。小野がいなくなり、猛海は何度も深呼吸をする。猛海の背中に突き刺さる、複数の視線。

「…えっと、みんなに来てもらったのには、その……理由があって」

言いながら振り返る猛海。真剣な表情の面々。猛海は、一瞬、視線を反らす。

「猛海様、話して下さい」

ベルファストの言葉に、猛海は覚悟を決めた。

「…その、俺をサポートして欲しい」

そう言葉にする。無言の面々。猛海はみんなに視線を向けた。呆けた表情で、猛海を見つめている面々。そして、一気に吹き出し笑い。

「何を言うのかと思ったら」

「そんな事か」

「…そんな事って、俺には」

リットリオが手で、猛海の発言を制する。

「サポートも何も、我々は指揮官をお守りするのが、使命だ」

「いや、そうじゃない」

リットリオの言葉に、猛海は首を横に振る。

「俺は守られるより、守りたい。それは、天城達がよく理解してるだろ?」

「ええ、そうですね」

猛海の言葉に、頷く天城。

「俺が、言いたいのは、そのままの意味。侵略者達の戦闘で、サポートして欲しいって事だ」

視線を一人一人に向け言う。

「正直、今の俺じゃ、戦場に出ても足手まといなだけ」

「それなら」

「俺が嫌なんだ。分かるだろ?ビスマルク」

真剣な表情の猛海。ビスマルクは、小さく息を吐く。

「やっぱり、そう言うと思ったぜ。流石、あたし達の指揮官だ」

伊勢が満面の笑みで言う。高雄も満面の笑み。夕立達も悪戯っ娘のように可愛いらしい笑みを見せる。

「私達が、猛海様の『お願い』を拒否すると思いましたか?」

「……いや、それはないって、思ってたけど」

「それでは何故ですか?」

「…それは…、俺の…」

「俺の?」

メイド隊三人の上目遣い。真っ赤な顔を、隠しながら。

「プライドって言うか。俺が、お前達を守るって言ったのに、サポートをお願いするのが、恥ずかしかったからだ!」

ヤケクソ気味に、猛海は叫んだ。その叫びは、研究所内に響き渡る。他の研究員と話していた小野が、ニヤニヤと見ていた。一瞬の静寂。

「猛海しゃ~ん!」

突如、誰かが乱入してきた。緑色の髪に、獣耳を生やした少女。腕よりも長い白地の服が、猛海に抱き付く。

「おう、明石か。久しぶりだな。留守の間、元気にしてたか?」

「心配で、元気な訳ないにゃ!猛海しゃんが、負傷したって、小野先生から聞いた時、生きた心地しなかったにゃ!」

言いながら、猛海の腹部をポコポコと殴る明石。

「すまん、すまん」

「すまんじゃ、ないにゃ!」

涙目の明石。猛海が頭を撫でる。それを唖然と見つめている面々。天城が近付く。

「猛海様、もしかして」

「あ~、すまん。みんなに紹介する。明石だ」

「夕立、綾波久しぶりにゃ、他のみんなも久しぶりにゃ。明石の指揮官は猛海しゃん。みんなの仲間にゃ!」

無言の面々。

「……あの、明石さんは、いつ召喚されましたか?」

「えっと、そうだにゃ。キュラソーの後くらい?かな」

その発言に、絶句する天城。

「…つまり、私達と同じ時に?」

「うんにゃ、エンタープライズ達より前にゃ」

「一年以上前って事か」

驚愕の表情。

「待ってくれ、それが事実だったとして、今までどこにいたんだ?」

「それは」

「明石、その続きは俺が説明する」

そう言って、猛海はみんなに説明をした。

 

 

「要するに、明石さんは、猛海様の為に、小野先生の所で、ずっと武具作りのお手伝いをしていたと」

「そうだにゃ。猛海しゃんから、天城達の事は聞いていたにゃ。やっと逢えて、明石嬉しいにゃ」

屈託のない笑みの明石。

「それに、他のみんなも逢いたがってたにゃ」

「他のみんなは?」

明石の言葉に、猛海は問う。

「…猛海、怪我の具合はどうだ」

猛海の背後から近付く、一人の女性。赤髪を結い上げ、白い軍服に身を包んだその女性が、猛海の背中を優しく撫でる。

「モナーク、心配掛けたな」

「ったく、猛海も無茶をする。助かったから、良かったが。一つ間違えば死んでいたそうじゃないか」

呆れた表情で、モナークはそう言った。そして、視線を面々に向ける。

「…私はモナーク。先の大戦前の者だから、知らない者もいるだろう。私の指揮官も君達と同じ、猛海だ」

新たな登場者に、面々は目を見開いたのだった。




大変、お待たせ致しております。日々、全速力で駆け抜け、行き急いでいる自分であります。そして、コロナの影響で、暇なのに!死ぬほど忙しい毎日です。

さて、新たな仲間が増えました!嫁が多過ぎて、書ききれない!ちなみに、明石は未だにお迎え出来ず仕舞い、誰か、明石のお迎え方法教えて下さい!(切実)

又、もう暫くは、いつアップしますと、報告出来ませんが、新年度を過ぎた位には、アップ頻度を上げれる、かも?期待せず、寛大なお心でお待ち頂ければ、幸いです。


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最前戦からの離脱?~二日目・後半~

とりあえず、続きをどうぞ


「……」

言葉が出ない面々。ただ、茫然とモナークを見つめ、立ち尽くしている。何とも言えない雰囲気に、猛海は腕組みし。

 

(…う~ん、これはどうしたものか。ここまで困惑するとか、まだ話さないといけない事があるんだけど…)

 

と、思案していた。ただ言えるのは、召喚されて『ここ』にいるのは、『モナークと明石だけではない』という事だ。言うべきか悩んでいる内に、モナークが天城達に近付き、一人一人観察を始めていた。モナークの視線が天城達に突き刺さる。怪訝な表情を見せたジャン・バール。

「…何だよ」

今にも、モナークに掴み掛かりそうだ。

「モナーク、止めろ。みんなが怯えるだろ?」

猛海の言葉に、モナークは無言で猛海を一瞥。そして、小さく息を吐く。

「分かった。ただ、一言だけ良いか?」

「…ああ」

天城達に背を向け、モナークは猛海を見据えた。

「…猛海、我々の事。彼女達に話していないだろ」

「……ぅ」

図星を突かれ、猛海は小さく呻く。猛海の反応をみて、モナークは再び息を吐いた。

「前から思っていたが、猛海は肝心な事を話さない。彼女達だけではない。我々にも、これだけ仲間がいる事を何故話さないんだ」

「…すみません」

指摘されて、猛海は小さくなった。猛海は、みんなに自分の本心を話さない。その理由は、ちょっと子供っぽいかも知れないが。

「モナークといったか、猛海からあたし達の事を、どんな風に聞いているんだ?」

ずっと黙っていた伊勢が問う。モナークは、伊勢に視線を向け、腕組み。

「…どんな風にか…、そうだな。エンタープライズ、ビスマルク。伊勢、カーリューが、召喚されたところまでは聞いている」

「……」

猛海に、複数の視線が向けられる。猛海の身体がびくびく怯えていた。

「その後は、誰が召喚されて、何人いるという話は最近までなかったな」

モナークの話に、一同は、ほぼ同時に溜め息をついた。

「…猛海様」

天城とベルファストが、同時に声を掛ける。その表情は、恐ろしいほどの微笑み。猛海の頬に、一筋の汗が流れ落ちた。

「全て、包み隠さずお話しして頂けますね?」

「……はぃ」

大きな身体を、小さくしながらそう返事した。

 

 

 

 

「なるほど、君達は自ら猛海を選んだのだな」

椅子に腰を掛け、優雅に紅茶を飲みながら、モナークがそう言った。その真向かいに座っているのは、リットリオとザラ。ジュリオ・チェザーレ、アドミラル・ヒッパー。モナークの両隣に、フォーミダブル、チェイサー。少し離れた場所に、能代が座っている。

「ああ、指揮官の『魂の輝き』に惹かれてね」

そう言いながらも、少しだけ頬が赤い。モナークはすぐさま気付いた。

「…ふむ、それだけではないようだが」

その言葉に、一番反応したのは、リットリオとザラ。誰が見ても明らかに、顔が真っ赤。それを見て、モナークの表情が和らいだ。

「君達は、猛海に好意を抱いているようだ」

「……」

「ははは、隠さなくていい。猛海には、我々を惹き付ける力がある。その証拠に、我々も猛海を愛している。指揮官としてではなく、一人の男性として」

二人は、恥ずかしそうに俯く。モナーク達がいるのは、研究所の食堂。奥のキッチンでは、研究員達のパートナーが、昼食を作っていた。

「しかし、驚いた。我々の知らない間に、こんなにも仲間が増えていたのだな」

改めてモナークは言葉を発する。視線は、モナーク達から離れた場所に座り、天城とベルファスト、ビスマルク、エンタープライズの四人に説教される猛海を見た。

「…どうして、猛海は私達に何も話さなかったのかしら?」

珍しく、オイゲンが首を傾げた。モナークの視線が、再度猛海に向き、オイゲンを見据える。

「…猛海の心意は分からないが、話せない事情があったのだろう。…まぁ、猛海の事だから、大した内容ではないだろうな。ただ、ようやく合点がいった」

モナークの言葉に、全員が首を傾げた。

「…以前から、猛海は、『我々が使える武具を作りたい』と話していた。その言葉に、意味が分からない訳ではなかったが、作る数が多かったから、疑問に感じていたが。そういう事だったのだな」

「…明石は、大変だったにゃ」

くたびれた表情で、明石が言う。そこに、天城達の説教から解放された猛海が戻ってきた。その表情は疲労困憊。

「…ああ、明石お疲れ」

「猛海しゃん、よしよししてにゃ」

猛海に抱き付く明石。猛海は、躊躇いなく、頭を撫でる。羨ましそうに見つめるラフィー達、幼女組。猛海はその視線に気付き、ラフィー達もなでなでしている。

「それで?猛海、ちゃんと話をしたのか?」

椅子に座ったまま、モナークが言う。

「……はぃ」

「何だか、歯切れが悪いな。もしかして、まだ隠しているのか?」

「…他のメンバーの事か?」

「いや、それもだが。猛海が、天城達をここに連れて来なかった理由だ」

猛海の視線が、宙を舞う。

「この期に及んで、まだ、何か隠しているのですか?」

猛海の背後に立つ、天城。恐怖を感じて、ゆっくりと猛海は振り返った。凍り付く程の笑顔。猛海は、本能的に後ろに下がる。

「…同志が戻ってるって!?」

「同志~、猛海さ~ん、どこですか~?」

「猛海さ~ん」

「…お前達、廊下は走るな」

「そんな事言って、君だって、ソワソワしてるよ」

「…してない」

「ははは、正直に認めたまえ」

食堂前の廊下が騒がしい。猛海に集まっていた視線が、食堂の出入口を見る。勢い良く開かれる扉。飛び込んできたのは、金色の髪の幼女。その幼女が、猛海を見つけると。

「みんな~、猛海さんいたよ~」

廊下に向かって、声を上げる。声を聞き付け、ぞろぞろと入ってくるメンバー。猛海を見つけると、一目散に猛海に向かって走ってきた。そして、抱き付く。

「…ぉい、こら」

「猛海、待ちわびたぞ!」

「猛海さん、いけない子ね。お仕置きしないと」

「ははは、同志猛海。元気そうで何よりだ!」

猛海を囲み、ワイワイ騒ぐ。天城達は呆然。誰かが、咳払い。モナークだった。それに気付いた面々が、我に帰り、猛海を囲っていたメンバーが、黙る。

「…お前達、久しぶりに猛海に逢ったからと、はしゃぐ気持ちは分かるが、とりあえず、彼女達に自己紹介だ」

モナークが目配せする。モナークの言葉に、頷き、姿勢を正すメンバー。一人、一歩前に出る。白銀の長髪。踝まである白いコートに身を包んだ女性が、天城達を見据える。

「お初にお目に掛かる。私は、ソビエツカヤ・ロシアと言う。宜しく頼む」

ロシアが、自身の左右に姿勢を正して立つ女性二人に視線を振る。それが合図で、視線を向けられた二人が、一歩前に出た。最初に右側に視線を向け。

「彼女はチャパエフ」

「みなさん、宜しくね」

ショートカットの淡い青髪の女性が、にこりと微笑む。次に、左側に視線を向けるロシア。

「彼女は…」

「いやぁ、私はオクチャブリスカヤ・レヴォリューツィヤだ。又は、ガングート。好きな方で呼んでくれ」

ロシアと同じロングコートを肩に掛け、白銀の長髪、緩めのパーマを揺らし笑う、オクチャブリスカヤ・レヴォリューツィヤ。又の名を、ガングート。

「…はぁ」

盛大な溜め息を一つ、ロシアは吐いた。

「んじゃ、次は私の番だね」

そう言って、濃いピンクの長髪を2つに結い、豊満な乳房を揺らす女性。

「私は、ブレマートンだよ。宜しくね」

天城の視線は、ブレマートンのヘソピーに釘付け。天城だけではなく、能代、高雄、愛宕。メイド隊三人。伊勢と夕立達も、ブレマートンのヘソピーを凝視している。

「…んん、最後は。アルバコアか」

「はいは~い、私、アルバコア。みんな宜しく~」

猛海の腕にぶら下がり、満面の笑みで、アルバコアは言った。

「…ふむ、これでここにいるメンバーは、紹介し終わったな」

モナークが言う。そこに、三笠、日向、ティルピッツ、ダイドー、シリアスの五人が入ってきた。

「自己紹介は終わったのかい?」

「三笠、今終わったところだ」

「……っえ?三笠さん達は?」

愛宕の問いに、三笠がキョトンとしている。そして、猛海に視線を向けた。

「水瀬君、君。いい加減、ちゃんと話をしなさい」

三笠の叱咤。姿勢を正す猛海。

「すみません。ちゃんと話します…」

猛海は、天城達真っ直ぐ見据え、ポツリ、ポツリと話し出す。

 

 

 

 

「…本当、猛海様には」

「すみません」

「つまり、三笠をはじめ、ティルピッツ、日向。ダイドーとシリアスの五人は、別の指揮官のパートナー。って事だな」

ビスマルクが言う。それに頷く猛海。

「モナーク達は、猛海の武具の手伝いをしていた。ここまでは合ってるか?」

無言で、頷く猛海。

「んで、猛海が今まで、あたし達をここに連れて来なかった理由が、格好悪いところを見せたくなかったと」

「…はぃ」

猛海の呆れた理由に、面々は息を吐く。

「ははは、確かに。猛海からしたら、見せたくないかもな!」

豪快に笑うガングート。猛海が情けない表情で溜め息一つ。そんな猛海を微笑んで見つめる面々。急に、猛海が顔を上げ、みんなを見回す。その表情に、面々は息を飲んだ。

「…悪い、話してない事が、もう一つある」

「……っえ?」

「天城達をここに連れて来た理由だ。モナーク達にも関係あるから、聞いてくれ」

天城達から、少し離れた場所で立っていたモナーク達が、近付いてくる。

「…えっとだな、ざっくり説明すると、今日からここで、暮らす」

「……それは初耳だぞ。猛海」

「言ってなかったからな」

モナークの問いに、淡々と答える猛海。

「俺が、天城達をここに連れて来た理由。それは、モナーク達を、生活拠点にしている整備場に連れて行くと、人数オーバーで暮らせないからなんだ」

言われて、面々は互いを見つめ合う。この食堂が広かったから、気付きにくいが、猛海をパートナーとして選んだ彼女達の人数は、31名。まだ、キューブ姿の娘達が、実体化すれば、さらに窮屈に感じるだろう。

「そこで、俺が提案したんだよ」

その声のした方に視線を向ければ、白衣姿の小野がいた。小野の横に、三笠とティルピッツが立つ。

「ここで働いている研究員は、元々指揮官として働いていた者達ばかりだし、モナーク達も、ここで武具の調整とか手伝ってくれてるし。研究所には、使ってない部屋があるから、どうか?って」

小野はニヤニヤしながら言う。それを見て、天城とモナーク、エンタープライズが溜め息を一つ。

「今まで、黙っていて悪かった。本当は、もっと早く言いたかったんだけどさ」

それを言う前に、侵略者との戦闘で負傷。入院や退院、その後のリハビリ生活で、なかなか言えず。要は、言うタイミングを逃したのだ。

「…出来れば、今のまま、整備場で暮らしたいけど。お風呂、気に入っていたし。平屋も住みやすかったから」

「…仕方ありませんね。これだけの人数が生活するとなると、今の場所では無理です」

ベルファストが言う。その言葉に、猛海が頷く。他の面々も頷いた。

「話が纏まったところで、引っ越しの準備が必要だな」

エンタープライズ達が、食堂を出るところで、三笠がみんなの前に立つ。

「ああ、その必要はないよ。すでに荷物は、君達が居住する部屋に運んでいるから」

唖然とする面々。猛海は、何とも言えない表情のまま、みんなを新たな居住部屋に連れていくのだった。




まずは、始めに謝罪を。ごめんなさい!今回、ちょっと話がおかしくなりました。

…なんと言いますか、色々ごちゃごちゃで、このごちゃごちゃを、次話で上手く纏まれば良いなぁ、と思っています…

まぁ、主人公が何とかしてくれるでしょう!

お知らせ
今後の執筆活動を、活動報告にアップしています。読んで頂ければ、幸いです。又、執筆活動の内容が、変わる場合も有りますので、ご了承下さい。


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最前戦からの離脱?~二日目・夜~

すみません、今回は、クソ長いオマケ編をお送りします。

では、どうぞ


新たな居住に運び込まれた荷物。それらを片付け、少し遅めの夕食を終え、各々の時間を寛いでいた。食堂に灯りが点いている。そこにいたのは、エンタープライズ、ビスマルク。天城、愛宕。オイゲン、メイド隊三人。リットリオとザラ。ジャン・バール、ダンケルク。モナーク、チャパエフ、ヨークタウン。ソビエツカヤ・ロシア、エセックスの面々。メイド隊が、給仕する。

「…さて、こうして一つの場所に集まったんだ。今日は、ゆっくり話をしよう」

「他の娘達は、良かったのですか?」

「…うむ、そう思ったのだが。まぁ、そうだな。ちょっと恥ずかしい話になるだろうからな」

モナークが言いたい事を、それだけで理解した面々。なかには、顔を真っ赤に染めている者もいる。それでも、ここにいるという事は。

「さぁ、今日は猛海に対する気持ちを語り合おうか」

淡々と話すモナーク。そこに違和感を感じた。他の娘達が、頬を染めたり、ソワソワしたり、何かしらの感情が見え隠れしているのに対し、モナークの表情はどこか落ち込んでいる。

「…モナークさん」

天城は何かに気付き、声を掛ける。モナークは小さく笑い。

「恥ずかしながら、私は、猛海に嫌われているようだ」

憂いを帯びた瞳で、モナークが言う。

「そうなんですか?私には、そんな風に見えませんでしたよ?…ああ、でしたら、今から、猛海様にきちんと想いを伝えて、猛海様に愛されに行けば良いんですよ」

その瞳を見つめ、愛宕が微笑みながら、口を開いた。

「……ぃ…や、しかし」

「モナークさん、もしかして、猛海様が、モナークさんのお気持ちに気付いているとお思いですか?」

首を傾げながら、愛宕が言う。無言で愛宕を見つめるモナーク。

「…残念ですけど、猛海様。意外と鈍感なんですよね。しかも、積極的な人ではないですよ?こちらから、アプローチしないと、キスすらしてくれませんし」

「確かにそうね。猛海が積極的なら、ここにいるジャン・バールやエセックス。ダンケルク、ザラとリットリオが、未だ『処女』の筈ないもの」

オイゲンの発言に、名指しされたメンバーは、真っ赤に顔を染め、硬直する。それを見て、モナークは。

「私は、猛海に怖がられているのかと」

「モナークさん。前にも言ったでしょ?猛海さんは、攻めではなく、受けなんですって」

にこりと笑い、チャパエフが言う。

「……だが」

「モナークさん、猛海様に愛されたいんですよね?」

天城が静かに話す。その言葉に、無言で頷くモナーク。その瞳は、真剣だ。天城は微笑む。愛宕、チャパエフ、オイゲンも微笑み、視線で合図を送る。勿論、メイド隊三人も微笑み、頷く。

「…では、エンタープライズさん。ビスマルクさん。お願いしますね」

天城に名指しされ、身体をビクッと震わせる二人。身体から軋む音が聞こえそうだ。首だけを動かし、天城を見る。妖艶な微笑みで二人を見つめ返す天城。その微笑みに、その場にいた面々は、見惚れてしまう。

「……ぅえ…と、天…」

「限界ですよね?」

エンタープライズの言葉を遮る天城。微笑みから、段々とプレッシャーを感じ始める。

「いい加減、猛海様を喰っちゃって下さい」

「…ぉ…天城、何?いゃ、話し方が…」

「お二人が、我慢し過ぎると、困るんです。特に、エンタープライズさん。エセックスさんに、気を遣うのは分かりますが、それが逆に大変な事になるんです。自覚していますよね?それと、恥ずかしがるのは、止めて素直になって下さいね」

畳み掛けるような天城の言葉に、絶句する面々。凍り付く程の笑顔の天城。エンタープライズの背筋が、震えた。恐怖を感じ、エンタープライズが立ち上がる。それにならう形で、ビスマルクも椅子から立ち上がった。

「…モナーク、猛海の所に行こう」

「…あ…あぁ」

ビスマルクに声を掛けられ、モナークも立ち上がり、三人はそのまま食堂を後にした。

 

 

 

 

「…びっくりしました。天城さんがあんな風に仰るなんて」

エンタープライズ達が立ち去ってから、ベルファストが口を開く。声を掛けられた天城は、ゆっくりと紅茶を飲み込んだ。

「ああでも言わないと、お二人は行動しないでしょ?」

「それも、そうなんだけど。天城の口から『喰っちゃって』なんて、言葉が出るなんてね」

テーブルに頬杖を付き、不適な笑みで、オイゲンが言う。天城は、オイゲンを一瞥。小さく息を吐き。

「…オイゲンさんと愛宕さんには、もう少し我慢を覚えて欲しいところです。猛海様が、いつもお二人から『喰われた』と仰っていますから」

「あら、そう言うけど。私と愛宕が我慢なんてしたら、もっと大変な事になると思うけど?」

その言葉に、再び息を吐く。

「…確かに、それはそれで大変ですね」

諦めの表情の天城。オイゲンがニヤリと笑う。

「天城だって、意外と我慢出来てないわよねぇ?」

「…そん…な事は…」

「ないなんて、言わないわよねぇ?」

言葉を詰まらせる天城。二人のやり取りを、面々が見守る。オイゲンの表情は、満足気。

「天城さん、猛海様の前だと、フェロモン駄々漏れなんですよね。気付いてました?」

愛宕が、オイゲンの代わりに言う。天城が愛宕を見た。何かに気付いた天城。

「…隠せていませんでした?」

「全然、アレで隠せているとお思いですか?」

ベルファストが問う。天城は愕然とした表情。実際、天城は隠せていると思っていた。猛海が天城の側に近く度、天城の身体は火照り、子宮が疼く。それを感じ取られない様に注意していたのだが。

「…そんな」

「あんなに駄々漏れだと、流石の猛海様も気付くと思います」

ベルファストの言葉に、天城が額に手を当て、溜め息をついた。その様子に、クスクスと笑うオイゲン。

「…反省、しますわ」

「別に、良いんじゃないの?猛海は、楽しんでいるみたいだし」

「っえ?」

「猛海、天城が我慢している姿を、楽しんでいるわよ?知らなかった?」

オイゲンの発言に、驚きの表情。

「基本、冷静沈着な天城が、必至に抑えようとしている姿を見て、猛海、キュンキュンしてるんでしょうね」

オイゲンが、そう言って、微笑む。隣に座っていた愛宕も微笑んでいる。ちょっと恥ずかしそうな表情の天城。エセックス達は、唖然とした表情で聞いていた。

「ところで」

オイゲンの視線が、エセックス達に向けられた。身体をビクッと震わせるエセックス達。その反応に、オイゲンがニヤリと笑う。一方天城は、真顔に戻り、ベルファストが注いでくれた紅茶を飲む。オイゲンに、会話の主導権を渡したようだ。

「あんた達は、どうするのかしら?」

「……」

「猛海に、抱かれたいとは思わないの?」

オイゲンの発言に、真っ赤に染まるエセックス達。視線が宙を舞い、右往左往している。リットリオとザラは、平静を保とうと、飲んでいた紅茶を吹き出し、噎せていた。チャパエフがクスクスと笑い、横に座っていたソビエツカヤ・ロシアは、頬を染めながら、小さく唸る。

「チャパエフとロシアは、どうなの?」

「フフフ、オイゲンさん。私、オイゲンさん達と同じタイプですよ?」

不適に笑うチャパエフ。オイゲンの表情が、驚きから満足気な表情に変わった。

「そう、やっぱりね。ロシアはどうなの?」

「……」

オイゲンの問いに、ロシアは不貞腐れながら、視線を反らした。

「彼女、素直じゃないから、私が猛海さんにお願いして、襲ってもらったの」

「あら」

「それに、エンタープライズさん達と、似たところがあってね。今も我慢してるみたいだから、ロシアも、今から猛海さんの所に行って欲しいんだけどね」

頬に手を当てながら、小さく溜め息つくチャパエフ。

「…ぃ、行くわけ、無いだろ…」

顔を真っ赤に染めたまま、ロシアは狼狽え、言葉の語尾の方は、口の中でモゴモゴ言って聞こえない。ロシアの発言に、やれやれと首を横に振るチャパエフ。

「へぇ~、そうなのねぇ」

オイゲンの表情が、悪戯っ子に変わり、ロシアを見つめる視線に、ロシアの身体が、ビクッと震えた。

「ロシア、今から猛海の所に行くのと、私達のオモチャになるの。どちらが良いかしら?」

「……た…猛海の所に行ってくる」

オイゲンの言葉に、青ざめながら、ロシアは食堂を出た。その後ろ姿を見つめ、チャパエフがニッコリと微笑む。

「オイゲンさん、ありがとうございます」

「気にしないで。ふふ、チャパエフも大変よねぇ」

オイゲンとチャパエフが微笑み合う。二人を見つめる面々。どうやら、この二人、息が合うようだ。そして、その二人の次の獲物を狙う視線が、エセックス達に向けられ、 恥ずかしい尋問を受ける事になることは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

猛海が今いるのは、6帖ほどのフローリング。一応、猛海専用の個室でトイレとお風呂も備え付けられている。ちゃんとベッドもあるのだが、何故か、ベッドはダブルサイズ。このベッドを用意したのは、勿論、小野先生である。猛海の部屋には、チェイサーと能代の二人がいた。

「…指揮官、ここはどうですか?」

「うん、気持ち良いよ」

「指揮官、こちらは試しますか?」

「そうだな、ちょっと着けてみて」

「…はい」

猛海の後ろに座り、肩を揉んでいる能代と、手首から無くなった猛海の右手に、義手を取り付けるチェイサー。当然だが、三人は衣服を身に付けている。

「…指揮官、ここ、凄く固いです」

「っあ、本当だ」

「解れるのに、時間が掛かりそうです」

「…無理、しなくて良いよ」

その会話を、扉の向こうから誰かが聞いているようだ。

「…どうする?すでに先客がいるようだが」

「ぃや、しかし…」

「このまま戻っても、天城達に何と言われるか」

エンタープライズ達三人だった。話振りから、どうやら誤解しているようだ。猛海は、チェイサーと能代に無言で、左の人差し指を口元に当て『静かに』と口パクで合図。頷く二人。ベッドから立ち上がる猛海。二人が、両脇を支え、静かに扉に近付く。

「……まさか、チェイサーと能代が、猛海とそんな仲になるなんて」

「いつからなんだろうか?」

「…私に聞かれても困るが」

三人の会話に、二人が動揺する。二人の頬がピンクに染まった。猛海が、勢い良く、扉を開く。そこには中腰になり、聞き耳を立てていた三人が、驚いた表情で固まっている。暗い廊下からだと、部屋の明かりを逆光に立つ猛海の表情は見えない。勿論、二人の表情も。

「何してんの?」

猛海が三人に問う。三人の視線が、互いに視線を送り合い。

「エンタープライズ」

「…っえ!?私がぁ!?ビスマルク」

「私だって、嫌だ!モナーク、君が言ったら」

「私に言えと?」

いつも落ち着いた行動を取る三人の意外な言動。チェイサーと能代が唖然としている。そこに。

「…何をしているんだ?」

少し遅れて現れたロシア。何とも言えない雰囲気。

「ロシア、どうした?」

静かに問う猛海。ロシアからも、猛海の表情は見えない。少し戸惑いながら、ロシアは口を開いた。

「……その、オイゲンとチャパエフから、エンタープライズ達と猛海の所に行けと」

その顔は真っ赤。

「…エンタープライズ達と?俺の所に?」

頷くロシア。猛海は、暫く思案。

「……分かった。チェイサー、能代。もう戻って良いよ。四人は中に入って」

それだけ言うと、部屋に入っていく。気まずい雰囲気で立ち尽くす六人。

「…何してんの?早く入って」

猛海の催促に、エンタープライズ達四人は、無言で部屋の中に入っていき。

「…すまない。その……今日は、誰もここに来ないで欲しい」

真っ赤に顔を染めたエンタープライズが、チェイサーと能代に言う。それだけで、二人は理解してしまった。同じように、顔を真っ赤に染め、無言で頷くと足早に去っていく。エンタープライズは、廊下に誰もいない事を確認して、扉を閉め、施錠する。猛海は、ベッドに腰掛け、四人を見据えた。

「んで?四人は、何しに来たの?」

右手の義手を、外しながら、猛海は問う。無言の四人。しかし、頬は赤い。じっと猛海は四人を見つめる。

「…その…猛…海」

真っ赤な顔のエンタープライズ。明らかに、恥ずかしさで、身体が震えている。猛海は堪らず吹き出した。

「分かってるよ。もう、言わなくて良いから」

そう言って、エンタープライズの腕を掴み、引き寄せ、唇を塞ぐ。その情熱的な口付けを見て、ビスマルクが猛海に抱き付いた。

「…私も」

エンタープライズにキスをしていた猛海が、ビスマルクの唇を塞ぐ。猛海のキスだけで、身体の力が抜け、呆けている二人。モナークは、無言で立ち尽くす。そのモナークの後ろでは、ロシアが身体を震わせ立っていた。顔を真っ赤に染めたまま。

「…猛海、私は」

口ごもるモナーク。

「モナーク」

立ち上がった猛海が、モナークに近付く。そして、モナークの唇を指で撫でた。自然とモナークの目蓋が閉じられていく。モナークの唇を優しく猛海は塞ぐ。初めてのキスに、モナークは緊張している。猛海の唇が離れ、モナークの頭を撫でた。

「…私は、猛…猛海が好きだ」

「うん、知ってる」

その言葉に、モナークは驚いた。唇がワナワナと震えている。

「…猛海は、そういう事に」

「鈍感だと?…まぁ、誰が言ったのかは、予想出来る。大方、オイゲンと愛宕に、俺がそういった気持ちに鈍いとか言われたんだろ?」

「私は…」

モナークの思考は混乱しているようだ。そして、ハッと我に返り。

「なら、どうして。私を…その、抱いてくれなかったんだ」

「いや、だって。モナーク、心の準備出来てなかったろ?」

モナークの問いに、猛海はそう答えた。目が点になっているモナーク。暫くして、照れ隠しのように笑う。

「そうか、猛海は待ってくれていたんだな」

「…モナーク」

囁くように、モナークの名を呼んだ猛海。モナークは、照れながらも、小さく頷いた。それを確認し、猛海は、モナークの後ろに立っていたロシアを見る。

「ロシアは、良いのか?」

問われたロシアは、固まる。

「まだ、心の準備が出来てないなら」

その問いに、モナークが反応した。

「…ちょっと、待って。ロシアは経験済みじゃないのか?」

「あぁ、そうか。モナークは知らないのか」

「…ぅ…」

ロシアが小さく唸る。モナークがロシアを見た。

「まだ、心の準備が出来てないロシアが、チャパエフに言われて、先走りしたんだ。途中で気付いて、止めたんだよ」

「…つまり、ロシアも私と同じ」

ロシアはぎこちなく頷く。

「チャパエフは、多分それに気付いて、俺の所に行くように言ったんだろうな。どうする?ロシア」

ロシアは、恥ずかしそうな表情で、暫く悩んでいたが、覚悟を決め、小さく頷いた。猛海の手が、ロシアの腕を掴み、引き寄せる。モナークにしたように、優しくキスをした。ベッドの上では、エンタープライズとビスマルクが、潤んだ瞳で猛海を見ている。呼吸は少し荒い。猛海は、二人に近付き、キスをした。エンタープライズの唇を塞ぎながら、ビスマルクの胸を服の上から撫でる。猛海が、左手だけで、器用に服の中に腕を入れ、ビスマルクの乳房を直接触った。右腕は、しっかりとエンタープライズを抱き締めている。身体の力が抜けたエンタープライズが、ベッドに横になり、猛海を抱き締めた。その横では、ビスマルクが自ら服を脱ぎ始める。顔を真っ赤に染めたモナークが、その様子を食い入るように見つめ、ロシアも同様に見ていた。

「…猛…海、早く…」

ビスマルクが、猛海の左手を掴み、自ら割れ目に触れさせた。猛海の指が、イヤらしく動き、ビスマルクの割れ目を何度も往復する。

「…はぁ…ん…あぁ」

指の動きに合わせて、ビスマルクの腰がユラユラと揺れる。エンタープライズに覆い被さっていた猛海は、ビスマルクの乳房を舐め、尖端を甘噛み。

「あぁ…ん」

猛海が、ビスマルクの乳房を舐めている間、横になっていたエンタープライズも、服を脱ぎ、猛海の上着に手を掛けた。ビスマルクが、反対側を掴む。二人は、示し合わせていたかのように、同時に猛海の服を脱がす。上半身が裸になった猛海。ビスマルクの唇を再び塞ぐ。

「…ん…ぅ」

押し倒し、首筋に舌を這わせた。エンタープライズが、猛海の背後に回り、ズボンとボクサーパンツを脱がす。勢い良く飛び出る、猛海の肉棒、すでに臨戦態勢。ビスマルクの割れ目を何度も往復すると、しっかりと濡れ、ヒクヒクと反応していた。ズプッと卑猥な音を立て、肉棒が中に入っていく。ゆっくりと肉棒を圧し入れる猛海。

「…ん…あぁ…あ」

久々の感覚に、ビスマルクは震えた。短く荒い呼吸を、何度も繰り返す。猛海は、ビスマルクの中が馴染むまで、動かず、乳房を揉みしだき、尖端を摘まんだりしていた。その間、ビスマルクの身体は小刻みに痙攣。

「猛…海ぃ」

甘ったるい声を出し、ビスマルクが言う。猛海は答える様に、腰を打ち付けた。

「あ…」

可愛い声で鳴くビスマルク。猛海は、何度も腰を打ち付け、肉棒の尖端を子宮にグリグリと押し付けた。ビスマルクの唇を貪りながら、肉棒を小刻みに出し入れする。ビスマルクの中が、次第に蠢き始め、猛海はバランスを取りながら、肉棒をビスマルクの子宮に強く押し付けた。

「…んあ…あぁ」

ビスマルクが、絶頂した。それでも、猛海は子宮にグリグリと肉棒を押し付け、ビスマルクの身体は痙攣。小さな絶頂を繰り返す。久々の快楽に、ビスマルクはぐったりとしている。猛海は、肉棒を引き抜き、エンタープライズの割れ目に、肉棒を擦り付けた。ビスマルクとの情事を見て、エンタープライズの中はしっかりと濡れ、準備は出来ている。猛海は、エンタープライズを四つん這いにさせ、プリンとした臀部を撫で上げた。

「…ん、猛海」

「エンタープライズ」

グチュと卑猥な音を立てながら、肉棒をエンタープライズの中に入れていく。横では、ビスマルクが蕩けた瞳で、エンタープライズを見ている。

「…はぁ…んぅ…ゃあ」

エンタープライズの身体が震えている。上手くバランスを取り、エンタープライズにのし掛かる様に、腰を打ち付ける猛海。エンタープライズも、猛海がバランスを崩さないよう、両肘で身体を支えていたが、猛海の責めに、力が抜け、お尻だけを突き出した格好になった。

「やぁ…ん、猛…」

ゆっくりだが、グチュグチュと音を立て、腰を打ち付ける。エンタープライズの乳房が揺れた。猛海が、エンタープライズの頬を撫で、背中に舌を這わせる。エンタープライズの中が、肉棒をキュッと締め付けた。ずっと、我慢していた分、エンタープライズの中は、ちょっとした愛撫に敏感になっている。

「…はぁ、そろそろイきそう」

エンタープライズの耳元で、猛海は囁く。頬を染めエンタープライズが、潤んだ瞳で猛海を見上げた。お互いを引き寄せ、キスをする。中で、猛海の肉棒が一際大きくなった。

「…大きく、なった」

ちょっと悪戯っぽく微笑むエンタープライズ。すると、猛海が肉棒をグリグリと子宮に押し付ける。その刺激に、エンタープライズの背中が反った。性急に腰を打ち付け、猛海は強弱をつける。そして。

「中に出すけど?」

猛海の言葉に、エンタープライズは反応出来ない。ただ、甘い声をあげるだけ。

「どうする?」

「…ん…あぁ、中に…あぁ、イッ…」

エンタープライズが絶頂、痙攣する。すぐに、猛海も白濁の液を、中に吐き出した。まだヒクヒクと痙攣している中に、猛海は腰を押し付け、精子を出し尽くす。

「エンタープライズ」

猛海の声に、呼吸がまだ荒い、エンタープライズが見る。猛海は、エンタープライズの頬にキスを一つ。肉棒を引き抜いた。まだ肉棒は固いまま、天を仰いでいる。ベッドの横に立ち尽くすモナークとロシアを、猛海は見た。二人共、真っ赤に顔を染め、身体を震わせている。

「…やっぱり、止めとくか?」

「……いゃ、私は猛海に愛されたい」

身体を震わせながらも、モナークはそう言った。ロシアの方は、無言だったが、小さく頷く。それを確認し、猛海は、エンタープライズとビスマルクを見た。二人は、まだ絶頂の余韻が残った身体を起こし、モナークとロシアの腕を掴み、ベッドに誘う。モナークは、自ら猛海の唇を塞いだ。その横で、エンタープライズとビスマルクが、ロシアの服を脱がすところ。

「…ちょっと、何を」

「何って、服を脱がしてるんだ」

狼狽えるロシアに、そう答えるビスマルク。

「待って、服くらい。自分で」

「…いゃ、ロシアも私に似て、素直になれないところがある。そんな事を言って、ギリギリまで、服脱がないだろ?」

エンタープライズが、ロシアの上着を剥ぎ取る。観念したロシアが、自ら服を脱ぎ始め、エンタープライズとビスマルクは、手を出すのを止めた。モナークも、猛海に馬乗りになったまま、器用に服を脱ぐ。猛海が、モナークを押し倒し。

「初めてだから、ゆっくり時間を掛けないとな」

そう言うと、右手でバランスを取り、左手でモナークの乳房を揉みしだき始める猛海。猛海の舌が、乳房を舐め上げ、ゆっくりと下に下りていく。モナークの割れ目は、エンタープライズとビスマルクの情事を見て、しっかりと濡れている。何度も、モナークの中に指を出し入れする。

「…ん、猛海…恥ずかし」

「うん、ちゃんと解さないと。キツいぞ」

中を解しながら、クリを捏ね、優しく押し潰す。それを何度も繰り返すと、モナークの腰がユラユラと揺れ始めた。

「…んん…あぁ」

足を擦り合わせ、モジモジするモナーク。猛海の身体が、モナークの足の間に入り込む。

「そろそろ良いかな」

割れ目に肉棒を擦り付け、まだ狭い入り口に、尖端を押し入れ始めた。モナークの表情が、少しずつ苦痛で歪む。猛海の肉棒が、半分くらい入ったところで、さらに中は狭くなっていた。

「…やっぱり、まだ解れてないか」

そう言うと、一度、肉棒を引き向こうと腰を引く。モナークが、涙目のまま猛海の腕を掴んだ。

「…ぃい、進めてくれ」

「でも、多分痛いぞ?もう少し慣らした方が良いと思うんだけど」

「早く、猛海と一つになりたいんだ。痛みくらい我慢出来る」

「……分かった」

猛海の腰が、再び進み始めた。先程の狭い場所まで進めると、一旦、モナークを見る。頷くモナーク。少し勢いを付け、猛海は肉棒を奥へと突き上げた。処女の証、処女膜が貫通され、痛みがモナークを襲う。

「……ぃ…」

大粒の涙を流すモナーク。短い呼吸を繰り返し、身体が震えている。猛海は、優しく抱き締め、モナークの唇を塞ぐ。

「ごめん、ちょっと」

「……な…んだ?」

「…痛みに耐えてるモナーク、可愛い」

「バ、バカ」

痛みで少し、顔を歪ませていたモナークが、今度は真っ赤に頬を染め、猛海の胸板を叩く。そんなモナークを見て、猛海の肉棒が中で、一際大きくなった。

「…っあ」

「ちょっと、動いて良い?」

その言葉に、無言頷くモナーク。猛海の腰が、ゆるゆると動く出す。モナークはまだ、苦痛の表情を見せている。何度も同じ場所を突き上げ、ゆっくりと打ち付けていると、次第に、モナークの声から、甘い声が混じり始めた。モナークの中も柔らかく解れ、猛海の肉棒を優しく締め付ける。猛海は、時折子宮に押し付けた。

「…ん…はぁ」

結合部から、グチュグチュと卑猥な音が聞こえ始め、モナークの腰も、猛海の動きに合わせて揺れる。

「イヤらしいな」

猛海の言葉に、モナークの中がキュッと締まった。モナークの腰を右手で抱き締め、左手と片足でバランス取りながら、律動を速めていく。戦闘で、身体の一部が無くなったとは思えない、巧みな腰使い。

「…あぁ、ゃ…くる…猛海…、何かくる…ぅう」

上半身を反らせ、モナークの中が、一際大きく波打った。キュッと一つ、モナークの中が締まり、猛海は肉棒を、子宮に圧し当て、射精。グリグリと押し付ける。

「…ん」

絶頂の余韻で、モナークの表情は蕩けている。猛海が唇を塞ぐ。初めて、舌を絡め合うキスを二人はした。モナークの中が、再びキュッと締まる。

「…もっと」

「待って、ロシアもいるから」

その言葉に、モナークは我に返り、周りの見渡す。エンタープライズとビスマルクが、頬を染めながら、視線を反らした。

「…その…意外だった」

「モナークが…」

二人の反応に、モナークの頭から蒸気が見えそうだ。そんな状況で、猛海は肉棒を引き抜く。

「…んぅ」

ちょっとした刺激でも、モナークの身体は反応してしまう。猛海の肉棒を見ると、まだまだ元気な様子だ。ロシアの方は、身体を震わせている。

「…何度も聞くけど、ロシア。本当に良いのか?」

真っ赤に染め、腰を抜かしているロシア。猛海に問われ、視線を猛海に向ける。静かに、ロシアは目蓋を閉じ、深呼吸を一つ。

「…猛海…、私も…猛海に愛されたい」

しどろもどろになりながらも、ロシアは言った。雪のように、白く透き通った肌が、ピンクに染まっている。猛海は、優しくロシアの腕を掴み、引き寄せると、そのまま押し倒した。その横で、モナークが身体を起こすところ。ベッドから立ち上がろうとしたが、足に力が入らず、座り込んでいる。

「モナーク、大丈夫か?」

「…あぁ、ただ足に力が」

ビスマルクの問いに、そう答えるモナーク。

「ああ、そうか。忘れていたよ」

「初めて猛海に抱かれた後は、こうなるんだった」

そう言いながら、モナークの両脇をエンタープライズとビスマルクが支える。三人は、ゆっくりと歩き、そのまま浴室に向かう。猛海は、横目でその様子を見た後、ロシアに向き直る。

「さて、これで気兼ねなく、ロシアを抱けるな」

「…猛、海。お願いだから、優しく」

「ん?ああ、分かってる。今度は、逃げるなよ」

猛海の問いに、真っ赤になった顔を隠すロシア。 以前、ロシアは猛海に抱かれる直前で、猛海の頬を平手打ちし、逃げ出していた。

「チャパエフが煽ったからって。平手打ちだけは止めてくれ」

「…う、善処する」

猛海は、ロシアの乳房に触れ、尖端を摘まむ。猛海の愛撫に、声を圧し殺すロシア。

「ロシア、声聞かせて」

「…恥ずかしい」

「ふぅ~ん」

猛海は、身体を起こし、ロシアの腰を掴むと、お尻を持ち上げ、ロシアの大事な部分を、自分の目の前に持ってくる。いきなり、恥ずかしい体勢にされ、ロシアは狼狽えた。

「…やぁ…恥ずかし…」

狼狽えるロシアを見下ろし、猛海の舌が、ロシアの割れ目を這う。

「…あぁ…ん…やぁ…ああ」

猛海の舌先が、ロシアのクリを舐め、ざらついた舌全体で舐め上げる。

「やん…あぁ」

ロシアの腰が揺らめく。割れ目から愛液が溢れ、猛海はそれを啜った。ロシアの腰が戦慄く。

「しっかりと解すからな」

そう言って、ゆっくりと身体を下ろすと、猛海の2本の指が、ロシアの中に入っていく。グチュグチュと中をかき混ぜ、擦る。親指は、クリを優しく潰し捏ねた。恥ずかしさで、涙目になっているロシア。口から溢れる声は、甘さを含み、次第に腰を揺らし始めた。猛海は、肉棒を割れ目に宛がう。ロシアは小さく頷いた。クチュと音を立て、ゆっくりとロシアの中に入っていく肉棒。途中で、処女膜の抵抗を感じたが、少し力を入れると、すんなりと入っていった。これには、ロシアも驚いた表情をみせる。

「…どうして」

「まぁ、個人差があるんだよ」

「成る程」

猛海の言葉に、納得するロシア。猛海の責めが、突然始まる。

「…ちょ…あぁ、そんな…ん」

「遠慮せずに出来る」

「…待っ…ん、私…初め…あん」

突然の責めに、ロシアは狼狽えた。しかし、溢れ出る声は、甘ったるい。唇を貪られ、抗議の声も上げられないロシア。猛海の舌が、ロシアの口の中に入り、舌を絡め取る。抵抗していたロシアは、猛海から与えられる愛撫を受け入れ始めた。気持ちが素直になり、ロシアの中が、肉棒を優しく締め付ける。猛海は、肉棒を子宮に圧し当てた。肉棒に突かれ、ロシアの身体がビクッと震える。その反応を見逃さない。ロシアの中から、一旦、肉棒を引き抜く。素早く、ロシアを四つん這いにさせ、上にのし掛かり、再び挿入。腰を打ち付け始めた。

「…あぁ…深い…ん、猛」

乾いた音が、部屋に響き渡る。ロシアの身体が、猛海の動きに合わせて、揺れた。猛海の舌が、ロシアの背中を這う。そして、首筋にキスを落とす。

「そろそろイくよ」

ロシアの返答を待たず、猛海の責めが、深くなる。ロシアの声が、掠れていく。もう何度も、小さな絶頂を繰り返しているロシア。ロシア本人は気付いていない。再び、ロシアの中がビクビクと締まり、猛海は、深く押し入れ、子宮に当てる。ロシアが啼いた。追うように、猛海が、射精する。ロシアの身体が、崩れ落ちるように、ベッドに横たわり、猛海ものし掛かる。二人は、荒い呼吸で見つめ合い、唇を貪った。ロシアの蕩けた表情。猛海の肉棒が、固さを増し始め。

「…猛海ぃ、もっとぉ」

ロシアが甘ったるい声で言う。ロシアの中で、肉棒はすでに存在を固持している。

「あんなに恥ずかしがってたのに」

笑いながら、猛海は言う。すでに、猛海の腰は、ゆるゆると動いていた。ロシアは蕩けた表情で、猛海を見つめる。

「…ロシア、なんかズルくないか?」

その声に振り向けば、お風呂から上がった三人が、恨めしそうに、ロシアを見ている。ロシアが、我に帰った。

「…ぃや、これは」

狼狽えるロシア。猛海から離れようとしたが。

「…あん…ちょ…ゃ、猛海…なんで」

「いや、ロシアがもっとって言ったから」

「…そ…れは、んん…お願…ぃ。抜い…あぁ」

みんなに見られ、ロシアの顔は真っ赤。猛海は、エンタープライズ達に視線を向け。

「時間はあるんだ。沢山愛してやるから、ちょっと待って」

妖艶に微笑む猛海。エンタープライズ達は、その微笑みに目を奪われ、猛海とロシアの情事が終わるのを、黙って見つめ続けたのだった。




いゃ、今回の話は、書く必要がないかな?って、思ったんですけど。本編を書いてて、ここで、捩じ込まんと、どうなん?っと、一人ツッコミしたんですよね。
とりあえず、書いてはみたんですけど、話が長くなりすぎて…。分割も難しかったので、そのままアップしました。

お知らせ
『美女と狼の奇妙な恋愛事情』と新たに『放っておいて下さい』を含めた三作をランダムでアップしていきますので、宜しくお願いします。


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最前線からの離脱?~三日目~

今回は、ちょっと不愉快な気分になると思います。

続きをどうぞ


猛海と小野の研究所で、生活を始める初日の朝。いつもの生活リズムを送る為、天城とメイド隊の三人、能代が、食堂で朝食を作っていた。初めて、広いキッチンでの調理。調理器具や調味料の位置が違って、多少の混乱が起こるのかと思いきや。その広いキッチンの一角で、五人はスムーズに調理している。理由は、簡単だった。整備場で生活していた時の家電品、家具。生活全ての荷物を、運び込んでいたからだ。そして、五人のいる場所には、その時使用していた冷蔵庫、電子レンジ、他。調理器具、調味料が置かれている。五人の手際はとても良く、次々と朝食作りが進んでいく。能代が、周囲を見渡した。

「天城さん、ヨークタウンさんは?」

「猛海様の所です」

能代の問いに、そう答える天城。能代は、一瞬、手を止めた。本来、朝食作りは、ヨークタウンを含めた六人でしている。

「……」

「…心配しなくても、大丈夫ですよ」

微笑む天城。能代は、目を見開いた。何故なら、天城の表情が、妖艶だったから。それだけで、能代は気付いてしまった。戸惑いながら、視線をメイド隊の三人に向けると、天城と同じ表情。視線を、手元に戻し、顔を真っ赤に染め、能代は黙々と手を動かしたのだった。

 

 

 

 

猛海の部屋の前で、ヨークタウンは深呼吸する。意を決して、扉をノック。ガチャリと鍵が解除され、部屋から顔を覗かせたのは、エンタープライズ。

「ああ、ヨークタウン姉さん。お早う」

「…エンタープライズ」

「猛海を起こしに来たのか?」

エンタープライズの問いに、ヨークタウンは無言で頷く。

「猛海なら、ベッドで寝てるけど」

「…それじゃ、また後で来るわ」

「いや、姉さん。悪いけど、猛海の事お願い出来るかな?ビスマルクも寝てるから。起きたら、猛海と一緒に来るように伝えて」

そう言って、ヨークタウンを部屋の中に招き入れる。エンタープライズの横に、モナークとロシアが身支度を整えていた。ベッドには、エンタープライズが言ったように、猛海とビスマルクが寝ている。ヨークタウンの表情は、少し困惑。

「それじゃ、ヨークタウン姉さん。あとは宜しく」

エンタープライズ達三人は、部屋を出ていく。残されたヨークタウンは、ゆっくりとベッドの側まで行き、猛海を見つめた。気持ち良さそうに眠る猛海。その横で、ビスマルクもスヤスヤと寝息を立てている。ヨークタウンが、猛海の髪に手を伸ばす。触れる直前、猛海の左手が、ヨークタウンの手を掴んだ。ビクッと身体を震わせるヨークタウン。ゆっくりと目蓋を開け、猛海がヨークタウンに視線を向けた。

「…もう朝か」

「……はい」

ヨークタウンの手を掴んだまま、猛海は身体を起こす。

「ヨークタウンが、起こしに来たんだ?」

「…天城さん達が、私に行くようにって」

「ふ~ん、そう」

猛海は、掴んだ手を引く。ヨークタウンは、バランスを崩しながら、猛海に抱き着いた。

「キス、したいな」

そう言って、猛海は微笑む。頬を染めるヨークタウン。ゆっくりと唇を近付け、猛海の唇と密着させた。

「…んん!?」

優しいキスが一変。激しく貪られるヨークタウンの唇。抵抗する間もなく、ヨークタウンはベッドに押し倒された。

「…猛海様」

「ヨークタウン」

瞳を潤ませたヨークタウン。猛海は、ヨークタウンの服に手を掛け、脱がしていく。あっという間に、下着姿になったヨークタウン。一度、ヨークタウンの唇にキスをする猛海。ヨークタウンが、猛海の身体を抱き締めた。ヨークタウンの鼓動が聞こえる。

「ヨークタウン、良いか?」

猛海の問いに、ヨークタウンは無言で頷く。猛海の手が、ショーツの中に入り、ヨークタウンの割れ目に触れる。すでに、湿っている秘所。猛海は何度もクリを捏ねて、時折、秘所の中に入っていく。何度も何度も繰り返されると、ヨークタウンの腰が揺れ、悩ましげな表情に変わる。

「…猛海様…。もっと」

「ん?刺激が欲しい?」

猛海の問いに、無言で見つめるヨークタウン。猛海は、素早く下に下りると、ヨークタウンの割れ目に舌を這わせた。指でクリを捏ね、舌が割れ目を這い、中に入る。ヨークタウンの腰がビクッビクッと反応した。

「…んん…あ…あぁ」

ヨークタウンの可愛い声。猛海の肉棒は、ギンギンに反り上がる。

「ヨークタウン、もう入れ良いか?」

「…はい、猛海様の。私も欲しいです」

顔を真っ赤に染めながら、ヨークタウンが言う。猛海は割れ目に肉棒を宛がうと、一気にヨークタウンの中を貫いた。ヨークタウンの呼吸が止まる。

「……はぁ…はぁ」

少しずつ、ヨークタウンの呼吸が戻り、猛海はヨークタウンにキスをする。中が猛海の肉棒に馴染むのを待ち、ゆっくりと腰を打ち付け始めた猛海。

「…あ…んん……あぁ」

次第に甘い声を上げるヨークタウン。猛海の肉棒が、その声に反応して、固さを増していく。器用に腰を打ち付ける猛海。時折、ヨークタウンの子宮にグリグリと肉棒を押し当てる。その度に、ヨークタウンの中がうねった。

「ヨークタウン。気持ち良いか?」

猛海の問いに、何度も頷くヨークタウン。猛海は、腰を強く打ち付ける。

「あぁ…ん」

満足そうに微笑む猛海。何度もヨークタウンの中を突き上げる。ヨークタウンが、猛海の唇を塞いだ。それに答えるように、猛海の舌がヨークタウンの舌を絡めとる。猛海は、キスをしたまま、腰を動かす。唇の隙間から、ヨークタウンの可愛い声が溢れた。ヨークタウンの中を、圧を掛けながら突き上げる。次第に痙攣を始めるヨークタウンの中。それを感じとり、猛海は大きく突き上げた。

「…あああぁ」

「…うっ!」

ヨークタウンの締め付けに、猛海も堪らず中に射精した。無意識に結合を深め、子宮にグリグリと肉棒を押し付ける。ヨークタウンの恍惚とした表情。猛海が再びキスをする。乱れた呼吸が少しずつ整い、二人は見つめ合う。

「ヨークタウン」

「…はい」

「可愛い」

猛海の言葉に、ヨークタウンの顔が真っ赤に染まる。

「…猛海、ヨークタウン。私の存在を忘れてない?」

重なり合う二人の横で、横になったまま、ビスマルクが見ていた。

「ビスマルク、お早う。起きてたんだ」

「…ああ」

「……い…いつから」

ヨークタウンの問いに、ビスマルクは少し気まずそうに。

「…えっと、最初から」

「う…、恥ずかしい」

ヨークタウンは、両手で顔を隠す。その間、猛海は身体を退かし、ベッドに腰掛ける。

「腹減った。そろそろ行くか」

猛海の言葉に、恥ずかしがっていたヨークタウンも、気まずそうにしていたビスマルクも頷く。二人は手早く服を着ると、猛海に服を着せて食堂に向かった。

 

 

 

 

朝食を終えた面々。今いるのは、研究所の一角にある大きなプールにいた。水面に立っているのは猛海一人。戦闘で無くなった左足には、義足が装着されている。右手は、杖を改良した義手を装着。

「猛海、準備は良いか?」

「ああ、いつでもいい」

小野の合図で、プールの水面が大きく上下する。猛海は上下する水面に、苦戦していた。上手くバランスが取れず、何度も転ける。それでも、弱音を上げることはない。何度も立ち上がり、義足と義手に慣れようと必至だ。

「…猛海様は、今までこの様な事をしていたのですね」

「ああ、そうだ。私達はずっとその手伝いをしていた」

天城の言葉に、モナークが言う。その他の面々も、ただ固唾を飲んで見守る。しばらく見ていると、後ろから騒いで近付いてくる男達。

「…お前達は」

「よう、久しぶりだな。リットリオ」

そこにいたのは、以前のリットリオ達の指揮官達。面々の表情が曇る。猛海はまだ気付いていない。

「おい、あそこにいるの。水瀬じゃないか?」

「っあ、本当だ。見ろよ」

何度も転け、立ち上がる猛海を指差し、ゲラゲラ笑う男達。天城達の表情が変化する。

「…猛海様を侮辱しないで」

天城の気持ちは、他のメンバーも同じだ。

「侮辱しないで。だって」

男が、天城に近付く。気持ち悪い笑みを見せ、天城の髪に触れようと手を伸ばした。

「……俺の大切な娘達を傷付けるな」

天城を庇うように、男の腕を掴み、怒気を含んだ声で、猛海が立つ。

「…水瀬」

苦虫を噛み潰した様な表情で、男が猛海を睨んだ。

「猛海様」

天城に視線を向ける。

「心配するな」

そう言って、男達に視線を戻す。猛海を睨み付ける男達。そこに、小野がやって来た。

「お前ら、また問題を起こすつもりか?」

「…小野先生?またって」

小野は、猛海に男達の事を話した。話を聞いて、猛海の目付きが変化。

「へぇ…、そっか。お前らが」

「水瀬だけ良い思いして、ムカついてたんだよ!」

「だから?何?それで彼女達を傷付けて良いのかよ」

猛海の目から、怒りが見えた。

「所詮、兵器だろ?それに水瀬。お前だって、そんな身体になって、使い物にならないだろ?」

「なんなら、俺達がまたコイツらの指揮官になっても良いんだぜ?」

ニヤニヤと気持ち悪い笑みを見せる男達。

「…猛海をバカにするな!」

ジャン・バールが砲台を展開、男達に向けた。小さな悲鳴を上げ、後退る男達。

「ジャン・バール、落ち着け。俺なら大丈夫だ」

猛海が微笑む。そして、男達に向き直った。

「俺が使い物にならない?なら、試してみるか?今から」

そう言って、視線を巨大プールに向ける。

「…良いぜ。ただし、お前一人で俺達と勝負しろ」

「……ゲス野郎が!」

ジャン・バールが言う。その他の面々も、怒りに震えていた。

「分かった。構わない」

「…猛海!?」

「んじゃ、決まりだな」

それだけ言うと、男達は向かい側の方に向かう。気持ち悪い笑みを浮かべて。猛海を囲む面々。

「猛海!?」

「何だ?」

「何だじゃない!?猛海一人で、数人相手なんて」

エンタープライズが、抗議の声を上げる。

「心配するな。俺は負けないよ」

「どうして」

「…だって、みんなをあんな風に言われて、俺が許せると思うか?」

みんなの視線が、猛海に集中。猛海の目の色が変わる。それ以上は、みんな何も言えなかった。猛海は、プールに向かう。すでに、男達は準備万端で待っていた。小野の横を通り過ぎる直前。

「…あとで話、良いですね?」

小野を一瞥する猛海。小野の背筋が凍り付いた。猛海の迫力に、無意識に頷く小野。無表情で猛海がプールの水面に立つ。

「とりあえず素手で。猛海も良いか?」

「義足だけOKにしてくれれば問題ない」

小野の言葉に、男達も猛海も頷く。

「…始め!」

開始の合図で、男達がバラける。みんな、猛海の左側に動いた。なるべく、猛海の死角から狙う作戦のようだ。猛海の方は、ただその場に立っているだけ。そして、男達一斉に攻撃を仕掛けた。悲鳴を上げる面々。猛海が動く。左から来た一人を掴み、勢いを利用して、そのまま投げ捨てる。休む間もなく、次に来た一人の腕を掴み、反転しながら、右膝で男の顔を蹴る。男の身体がそのまま倒れた。猛海も水面に倒れ、ゆっくりと立ち上がる。猛海の鬼気迫る表情。男達が怯む。

「…ほら、来いよ。俺を倒すんだろ?」

「……」

「どうした?俺は片目も、手足も片方無いぞ」

「クソッ!」

リーダー格の男が猛海を殴る。しかし、猛海は全く動じない。逆に、リーダー格の男の頭に、頭突きを見舞った。他の男達は、すでに戦意喪失状態。

「お前らに、彼女達は任せられねぇよ。覚悟がないからな」

「…覚悟…」

猛海は男達を見渡す。

「まぁ、お前らが彼女達を兵器認識してる間は、任せるつもりも、許すつもりもないけどな」

それだけ言うと、プールから出る。メンバーが集まり、猛海を再び囲む。額から少しだけ血が滲む。ベルファストが持っていたハンカチで拭う。

「猛海」

「猛海様」

各々が猛海に声を掛ける。猛海が微笑むと、エンタープライズ達が、次々と頭を撫でた。

「…ちょっと恥ずかしい」

何故か照れる猛海。それを見て笑う面々。小野が、申し訳なさそうに近付いてきた。一瞬で表情が変わる猛海。その目付きに、ビクッと身体を震わせた。

「……えっと」

「さて、それじゃ。食堂に移動しようか。小野先生も良いですね?」

黒いオーラを纏い、微笑む猛海。小野は冷や汗を掻きながら、頷くだけだった。




お知らせ

前々から告知しておりました『放っておいて下さい』を、アップしております。もし…、もし興味が有りましたら、読んで頂けると幸いです。

又、内容につきましては、完全自己満足作品になっておりますので、予めご了承下さい。


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再始動~前半~

うん、とりあえず続きをどうぞ

あとがきにて、近況報告します


本来のお昼時の食堂は、人で賑わっている。しかし、今の食堂は静かで。その上、その空気は重苦しく、暗い。食堂には、猛海達と小野。そして、先程まで猛海を嘲笑い、見下していた男達がいた。ただ、今の男達の表情は脅えきっているが。

「…小野先生、これはどういう事かな」

足を組み、猛海の横に座っているモナークが口を開く。モナークの表情は、明らかに不機嫌。それは、他の娘達も同じ。ジャン・バールと伊勢に至っては、殺意を隠そうともしない。

「…えっと」

小野の視線が彷徨う。小野の後ろに立つ男達も視線を反らした。モナークの指が、一定のリズムでテーブルを叩く。モナークと同様、猛海の横に座っていたエンタープライズとその横に座っているビスマルクも腕組みし、指がリズムを刻んでいる。

「小野先生」

ずっと無言を貫いていた猛海が、目蓋を開け、口を開く。全員の視線が、猛海に集中する。

「コイツらがここにいるってことは、何か理由があるんだろ?」

「…ああ」

猛海の問いに、小野は頷く。ゆっくりと目蓋を閉じ、溜め息を一つ。再び目蓋を開くと、顎で『話せ』と示す猛海。

「…これから先、コイツらには、水瀬の護衛をしてもらう。勿論、侵略者との戦闘時も含めてだが」

「私達が了承すると思うか?」

小野の言葉に、ビスマルクが小野を睨み付けた。

「君達の気持ちは分かる。だけど、これは決定事項なんだ」

「ふざけるな!」

ジャン・バールが声を荒げ、テーブルを強く叩いた。

「天城達を傷付け、猛海を見下したコイツらに。猛海の命を預けられるか!」

「…ジャン・バール。落ち着け」

テーブルの上で、強く握られているジャン・バールの手を、猛海が触れる。我に帰るジャン・バール。視線を猛海に向けた。優しく見つめる猛海。

「…猛海、良いのか?」

「ああ、小野先生やコイツらに言ったところで、変えられないんだろ?なぁ」

ジャン・バールの問いに、そう言いながら、視線を小野に向けた。小野は苦悩の表情のまま頷く。

「…水瀬にも、君達にも悪いとは思っている。だけど、俺には決定を覆すだけの権力はない」

「って事は。国が動いてんだな?」

「ああ、ただこの国だけじゃない。世界のお偉いさん達は、『水瀬の能力と彼女達の存在が、この世界に重要だ』と考えたらしい」

猛海は溜め息をつく。

「この世界で、これだけの戦艦達を召喚、維持出来るのは水瀬一人だけだからな。その水瀬が、最前線で自ら戦闘しているんだ。お偉いさん達は、気が気じゃないんだよ」

「まぁ、俺は別に良いけど。コイツら、もう指揮官としての素質はないんだろ?」

「確かに無いな」

「なら、どうやって護衛するんだ?まさか、コイツら自身が、俺の盾になるとか?」

「…そのまさかだ。でも、水瀬は気にしなくて良い。コイツらには、それくらいの代償を払って貰う」

小野は腕組みしながら言う。猛海は小野の言葉を聞いて、天城達に視線を向けた。みんなの表情、行動はそれぞれ違う。不安な表情を見せる者、怒りをみせる者。飽きれ顔の者、無心の者。男達を観察する者。ただ、天城とベルファストだけは、猛海に微笑みを向けている。

「天城?ベルファスト?」

「…フフフフ」

二人の表情が歪む。

 

(…二人の笑顔が怖!…これは怒ってるな、アイツらが俺に対して言った事、絶対根に持ってる!)

 

猛海の顔が引きつる。小さく咳払いし、小野に向け直ると、小野の後ろで脅えていた男達の表情が、さらに強張っていた。天城達の表情に気付いたのだろう。

「…フフフ、猛海様を護衛するなら、本気で護衛して下さいね」

「もし、猛海様に傷一つ付くような事があれば、命は無いですよ?」

「まあ、その前に。お前達が俺達に『ついて来られたら』の話だがな」

天城、ベルファスト、ジャン・バールが言う。

 

(…大丈夫か?)

 

猛海は内心、不安を覚えながらその日は過ぎた。

 

 

 

 

次の日

 

 

 

 

猛海と天城達は大海原にいた。

「久々の海だな」

猛海の心の中の様に、空は青く澄み。波は穏やか。海面を撫で吹く風は心地好い。

「そう言えば、全員で出るのは初めてだな」

猛海を囲む様に、天城達が立っている。みんなの表情も、穏やかに微笑んでいた。

「……水瀬…」

穏やかな雰囲気を壊す、間の抜けた呼び掛け。天城達の表情が、苛立ちに変わる。猛海は溜め息一つ。

「…お前ら、遅いな」

「…そんな事」

「……言われても」

呼吸を乱しながら、男達が言う。海面に膝をつく男達。

「足を引っ張るくらいなら、帰れ」

男達を見下ろし、腕組みしたジャン・バールが言う。その横に、伊勢が近付き。

「猛海の護衛に、お前達は力不足だ。ここに移動するだけで、弱音吐くとか。正直、足手まといなんだよ」

「…何だと」

伊勢の言葉に、リーダー格の男が立ち上がり、伊勢に詰め寄る。

「足手まといって言ったんだ」

伊勢はそう言った。怒りをみせる男達。一触即発。その様子に、猛海は再び溜め息を一つ。

「伊勢止めろ。それとお前らも」

二人の間に入り、伊勢の肩を優しく叩き、男達に視線を向ける猛海。

「お前ら、海は初めてじゃないんだろ?」

「…初めてじゃない。ただ、いつも使っている武具と違うから」

「もしかして、今まで旧式使っていたのか?」

猛海の問いに、頷く男達。旧式とは、猛海と小野が今の武具を開発する前の物だ。今、男達が装着している武具は、猛海と小野が開発した物。性能が圧倒的に違う。猛海は、腕組みし思案する。

「仕方ない。今日は訓練無しだな」

「猛海様、どうしてですか?」

「コイツらがこれじゃ、訓練出来ないだろ?」

天城の問いに、そう答える猛海。男達の表情が、苦虫を噛み潰した様な表情に変わる。

「ならどうする?」

リットリオが、男達を見下ろす。

「そうだな。何人か、コイツらに指導してくれるか?」

「猛海様のお願いでも、絶対に嫌です」

「冗談のつもりか?嫌だね」

「断固拒否します」

猛海の言葉に、みんな即答。その反応に、猛海はから笑い。

「…しかしなぁ、一応コイツらを使える様にしとかないと、後々大変になるだろ?」

「それでも、私達は嫌です。彼らを指導するくらいなら」

『その役割、私達が請け負いますわ』

エセックスの言葉を遮る様に、声が重なる。猛海達が声のする方へ視線を向けた。そこには、キューブが4つ浮遊している。

「頼めるか?」

『はい、指揮官様のご命令とあれば』

『あたしが、きっちり指導してやるよ』

『まぁ、任せてよ。指揮官』

キューブが淡く光り、人の形になっていく。淡い光がゆっくりと消え、四人の女性が立っていた。その一人が、一歩前に出る。金色の長い髪が風に揺れ、キラキラと光っていた。赤色を基調とした海軍服。白いマント。スカートは短く、黒いタイツに白いブーツがエロい。

「初めまして、指揮官。私はハウよ。宜しくね」

次に前に出てきたのは、メイド服の女性。猛海は、ベルファストに視線を向ける。

「…彼女は、ハーマイオニーです」

「ハーマイオニーです。指揮官様、以後お見知りおきを。メイド長、お久しぶりです。これから宜しくお願いします」

「ええ、こちらこそ宜しくお願いしますね」

ハーマイオニーが、スカートを摘まみ礼をする。その横に、ショートの白髪。黒いミニスカの女性が立つ。

「あたしはワシントンだ。宜しく頼むよ」

腕組みをして言う。最後に、どこかの民族衣裳の様な服に身を包み、褐色肌の女性が猛海の前に立つ。

「私は、ミネアポリス。宜しく!」

白い歯を、見せ笑うミネアポリス。つられて猛海も笑顔になった。猛海は、一度視線を天城達に向けると。

「…よし、ならお前達に、コイツらの指導を任せる。頼んだぞ」

そう言って、男達に視線を向ける。茫然と立ち尽くしている男達。じっと、ハウ達を見つめていた。

「…何だ?どうしたんだよ」

怪訝な表情で、猛海が言う。その言葉に、男達は動揺しながら口を開いた。

「…ぇ?いゃ、水瀬」

「今、召喚したの…か?」

「いや、俺が召喚したんじゃない」

男達の問いに、猛海は首を横に振る。

「…いや、でもお前の事。指揮官って」

「ああ、確かに。彼女達の指揮官は俺だけど。召喚したのは、俺じゃない。彼女達が自分で召喚したんだ」

猛海の発言に、再び動揺する男達。

「自ら召喚って、あり得ないだろ?」

「…そうか、初めて見たんだっけ?う~ん。どう説明したら良いかな」

猛海は、頭を掻きながら、男達に説明した。猛海の話を聞いて、男達はただずっと、驚き続ける事になる。

 

 

「…はは、最初からお前は俺達と格が違うんだな」

ようやく男達は納得。その表情は、何か吹っ切れたようだった。猛海とハウ達は一通り話をすると、ハウ達は、男達と一緒に猛海達から離れ、水上装着の練習を始めた。

「さて、俺達はどうしようか」

腕組みし、思案する猛海。

「…折角来たんだ。少し身体を動かしてはどうだ?」

モナークが言う。

「それもそうですね。運動ついでに、ちょっとした模擬戦でもします?」

少し嬉しそうにキュラソーが言う。

「良いわねぇ。猛海も賛成でしょ?」

不適な笑みで、オイゲンが猛海を見た。猛海は少し飽きた表情を見せたが、小さく頷き。

「そうだな、久々だし。ちょっとやるか」

猛海の言葉に、喜ぶメンバー達。特に、伊勢と高雄、ガングートが子供の様に歓声を上げている。

「そうなると、組分けをどうするかだな」

「そうですね。一応、模擬戦という事ですので。猛海様を補佐するメンバーを決めてから、残ったメンバーが相手をするのはどうですか?」

ヨークタウンが、そう提案した。

「あたし、猛海と遊びたい」

「拙者、猛海と手合わせがしたい」

伊勢と高雄が同時に言う。それを聞いて。

「それじゃ、私も猛海と遊んでみたいわ」

「私も、オイゲンと同じ。猛海さんと遊びたいわ」

オイゲンとチャパエフが不適な笑みで言う。猛海は小さく溜め息をつく。

「では、私もオイゲンさん達の方につきますわ」

「うむ、私もそうしよう」

「…エンタープライズと天城がそちらなら、私もそちらにつこう」

エンタープライズ、天城、ビスマルクが口々に言う。

「ええ!?なら、誰が猛海しゃんの補佐に?」

「そうですね。ジャン・バール、リットリオ。ザラとチェイサー、能代。エセックス、ダンケルクにお願いします」

「…私達が(俺達が)!?」

明石の問いに、天城が答える。そして、天城の発言に、名指しされた七名がハモった。

「ええ、ですから。猛海様が全力を出せるように補佐して下さいね。私達も全力を出しますから」

驚いた表情の七名に、満面の笑顔で天城は言ったのだった。




前回の投稿から、かなりの時間が経過しました。もしかしたら、読みづらい部分や表現、疑問に感じ部分があると思います。ごめんなさい(本気で!)

皆さま、日々どのようにお過ごしでしょうか?コロナが猛威を振るう中、自分は相変わらず、暇なのに忙しい?日々を過ごしております。

猛海と嫁達が自分の頭の中で『早く書け!早く書け!』と騒いでおりますが、何分、書きたいのに、時間が無いのと体力が…。しか~し、必ず最後まで書き上げますので、もうしばらくお付き合い下さい。


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再始動~後半~

 近況報告は、後書きで

 とりあえず、続きをどうぞ


 静かだった海原に響く、爆発音。幾つもの水柱が立ち上がる。その間をすり抜け、特殊な義手と義足を上手く使いこなす猛海。

「…そこだ!?」

 威勢の良い声と共に、猛海は義手を振り下ろす。特殊な義手に取り付けられているのは、何故かピコピコハンマー。しかも、黄色のインク付き。

「…きゃっ!」

 黄色のインクが、着物にしっかりと付く。インクを付けられた天城が、少しバランスを崩し、海面に尻餅を付いた。

「油断したな、天城」

 天城の頭を優しく撫で、猛海はそのまま去っていく。その場に残された天城は『あら、残念』と小さく呟き、微笑みながら猛海を見送った。

「天城も落とされたか」

 まだ海面に座り込んでいる天城に、手を差しのべながらモナークが言う。そのモナークも胸や背中に、黄色のインクが付いていた。

「ええ」

 差し出された手を天城は取る。周囲を見渡すと、天城とモナークから少しだけ離れた場所に、エンタープライズとビスマルク。メイド隊の面々。綾波やラフィー達幼女組。その他、ロシアやチャパエフ達の姿もあった。みんなの服には黄色のインクが付着している。

「…明石、このインクは落ちるのだろうな?」

「心配いらないにゃ、水で簡単に落ちるにゃ。染みも残らないから、安心してにゃ」

 ビスマルクの問いに、明石は満面の笑みで答えた。モナークと天城が合流する。

「皆さんも落とされたのですね」

「ああ、天城とモナークもか」

 エンタープライズがクスリと笑う。

「猛海達の方も、能代とチェイサー。ダンケルクが落とされたよ」

 そう言って、視線を後ろに向けると、青いインクを服に付けられた三人がいた。三人とも苦笑している。

「さて、まだ残っているのは、猛海を含めて、エセックスとザラ。ジャン・バール、リットリオの五名か」

「そうですね。こちらは、オイゲンと愛宕、伊勢。ガングート、高雄の五名です」

 ベルファストとモナークの言葉に、みんなの視線は猛海達の方へ向けられた。2チームの力は拮抗している。天城達が撃っていたのは、実弾ではなく、ペイント弾だ。猛海達は黄色。天城達が青色。ルールは簡単。それぞれのインクが服に付けられた時点で、被弾と判定される。

「それよりも、こちらのメンバーは、癖が強いのが残ったようだな」

 モナークの言葉に、ビスマルクが息を吐く。同じようにロシアも溜め息を一つ。勿論、天城も溜め息をつく。

「…敵に回したら、面倒臭い」

 面々がポツリと溢す。

「あはは~!猛海!行くぞ!」

「参るぞ!猛海殿」

 言うのと同時に、猛海に幾つものペイント弾を放つ高雄と伊勢。猛海はそれらを難なく避け、二人に向かって一気に滑り込む。そして、ピコピコハンマーを振り上げた。高雄が後ろに下がる。横から、ペイント弾が猛海に向かって、放たれた。

「猛海!もらったぞ!?」

 満面の笑みで、ガングートが言う。猛海は、ニヤリと笑った。ガングートの放ったペイント弾に向かう猛海。着弾する直前で、身を翻し、避けた。猛海の瞳には、ジャン・バールの姿を捉えている。ガングートに向かって、ペイント弾を放つジャン・バール。

「…っうおぉ!?」

 間抜けな声と共に、ガングートの背中が黄色に染まる。猛海は、そのまま身体を反転して、伊勢に向かって小さな拳銃を向けた。拳銃から放たれるペイント弾。まるでスローモーションの様に、時間が過ぎる。しかし、素早い動きで、高雄がペイント弾を切り捨てた。猛海がバランスを崩す。それを見逃さず、高雄と伊勢が猛海に砲台を向けた。

「もらった!」

 二人の表情が、勝利を確信する。猛海は不敵な笑みを向け、そのまま海面に伏せた。倒れていく猛海に意識がいってしまった二人。猛海の背後から現れたリットリオとザラに気付く。

「っな!?」

 高雄と伊勢に向かって、砲台を向けているザラとリットリオ。すでに砲台からペイント弾が放たれていて、伊勢と高雄は、反応出来ずに真っ正面からペイント弾を食らった。思い切り、着物に黄色のインクが付く。放心状態の二人。すぐに立ち上がり猛海はその二人の横を通り過ぎ、次の標的に向かう。残るは、オイゲンと愛宕のみ。伊勢達があっという間に落とされ、オイゲンと愛宕が溜息を一つ。

「…降参よ」

 そう言って、両手を挙げたオイゲン。愛宕も同様に、降参を示している。猛海は躊躇した。その一瞬の気の緩みを、オイゲンと愛宕は見逃さない。ニコリと微笑み、砲台を猛海に向けた。しかし、猛海は小さく息を吐き、人差し指を上に向けると。

「二人共、ちゃんと上空も確認しような」

  猛海の言葉に、二人はハッとして、上に視線を向ける。二人の頭上にはエセックスの爆撃機が、ペイント弾を投下していた。水風船が弾ける様な音とともに、オイゲンと愛宕の髪に黄色のインクが付着。

「俺達の勝ちだな」

 柔らかい笑みで猛海はリットリオとザラに視線を向けた。二人も満足そうに微笑んでいる。離れた場所にいたエセックスが猛海達と合流した。

「うむ、見事だ」

 エンタープライズが言う。エンタープライズの横で、ビスマルクや天城達も頷く。

「ああ、良い感じに連携出来ていたな」

 言いながら猛海が近く。

「…あの、指揮官」

 申し訳なさそうに能代が口を開いた。猛海は視線を能代に向け。

「どうした?」

「…あの…私」

 口籠もる能代。猛海は小さく首を傾げた。表情は暗い。

「言いたい事は、はっきりと言うべきですよ」

 少し不機嫌そうに天城が言う。その言葉に、能代は小さく深呼吸。

「……私達、あまりお役に立てなくて。ご迷惑をお掛けしました」

 そう言いながら頭を下げる能代。能代の後ろで、チェイサーとダンケルクも頭を下げている。数秒の沈黙。猛海が能代に近く。そして、頭を優しく撫でた。

「大丈夫だ。ちゃんと役に立ってるし、迷惑とか思ってないから、心配するな」

 猛海の言葉に、能代が頭を上げる。その瞳には薄らと涙が。

「チェイサーとダンケルクも」

 二人に視線を向け、微笑む猛海。暗い表情だった二人にも笑みが溢れる。その様子を、離れた場所から見ているハウ達。

「かぁ〜!あたしも指揮官と遊びてぇ!」

 ワシントンが叫んだ。その声に、男達がビクつく。

「くそ〜、お前ら。早くそれを使いこなせ!」

 男達の足元を指差すワシントン。

「まぁまぁ、ワシントン落ち着いて。彼らも彼らなりに頑張っているし」

「そうそう、長い目で見守って上げないと」

 ハウとミネアポリスの言葉に、男達が半泣きになる。新しい武具に慣れる為、必至に頑張っている男達。だが、ワシントンの指導はスパルタだった。最初よりは大分使いこなせてはいるが、猛海の足元にも及ばない。

「少し休憩させてみては如何でしょうか?」

 ハーマイオニーが言う。男達の表情が明るくなった。

「はぁ〜⁉︎何言ってんだよ。このくらいで休憩?冗談抜かすな」

 物凄い剣幕でワシントンが言う。ワシントンの言葉で男達が硬直。

「休憩する程疲れてないだろ!」

「ワシントン、そんなに怒らないで」

「怒ってない!イラついてるだけだ」

「…それを怒っているって言うんだよ」

 困り顔のハウとミネアポリス。ハーマイオニーも溜息をついた。

「ワシントンの気持ちは分かります。しかし、彼らは指揮官様とは違います。その事、分かっていますか?」

「……分かってる」

 ハーマイオニーの言葉に、苛立っていたワシントンの表情が曇る。

「ワシントンが焦る気持ちは分かります。私も頭では理解していますが、焦る気持ちはあります。ですが、根本的に指揮官様は他の方々と違います。『魂の輝き』も私達に対する気持ちも、全てにおいて」

 ワシントンの視線が猛海に向かう。天城達と笑いながら話している猛海。ハーマイオニーがワシントンの横に立つ。

「私達はずっと指揮官様を見守って来ました。それはこれからも同じです。でも、指揮官様の事ですから、これからも私達の為に、危険を顧みず身を呈するでしょう」

「…ああ、分かってる。そういう奴だよ。指揮官は」

「だから、私達は指揮官を護る為に『自ら召喚』したんでしょ」

「…もう『あの時』の様な想いはしたくないから…」

 ミネアポリスの言葉に、三人の表情が『悲しみ』に染まる。その瞳に映る猛海は、空の青の様に澄んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 模擬戦を終えてから、数時間後。夕方の食堂でジャン・バールが一人溜息をつく。頬を少し染めて、何度も何度も溜息を繰り返す。

「どうしたのですか?」

 夕食作りをしていた天城が声を掛ける。

「…あ…天城か、いや…何でもない」

 そう言いながらも、溜息が溢れる。ジャン・バールの様子を見つめる天城。厨房の中では、天城以外にメイド隊三人とヨークタウン、能代も夕食作りをしていた。勿論、新しいメンバーに加わったハーマイオニーもいる。天城がベルファストに耳打ち。

「ベルファストさん。もしかしたら、ジャン・バールさん」

 天城の意図を、ベルファストは一瞬で理解した。二人は無言で頷き合う。下ごしらえしていた手を止めて、天城はジャン・バールに近く。

「ジャン・バールさん、ちょっと私について来てもらえますか?」

「…あ…?」

 言うのと同時に、天城はジャン・バールの腕を掴み、立ち上がらせた。そして、そのまま引っ張っていく。天城が向かう先は、勿論猛海の所。今、猛海は小野の整備室にいる。天城はそこへ向かった。大きな扉の前に立つと、インターホンを押す。静かな廊下。

「…天城、手を離してくれ」

「いいえ、それは致しかねます」

 きっぱりと断り、天城は再度インターホンを押す。しばらくして、扉が開いた。部屋の中は大きな機械音が響きわたり、ジャン・バールは耳を塞いだ。天城の耳もクニャリと垂れ、嫌そうな表情。それでも、ジャン・バールの手は離さない。部屋の中に入り、大きな機械の間をすり抜け、部屋の一番端まで向かう。ようやく機械の間から出てくると、幾つものモニターを見つめている猛海と小野の姿を見つけた。二人は天城とジャン・バールに背を向け、モニターを見つめ続けている。天城が猛海に近付く。

「天城、どうした?」

 モニターから視線を外す事なく、猛海が天城に問う。一瞬、天城は驚いた。

「…どうして私だと思ったのですか?」

「何となく?」

「何となくで分かりますか?」

「多分、感だよ。それで?何か用か?」

 ようやく猛海が振り向き、ジャン・バールと天城を交互に見つめた。ジャン・バールは、俯きながら天城の後ろに隠れるように動く。

「猛海様、ちょっとお時間をもらえますか?」

「…良いよ。んで?」

「ほら、ジャン・バールさん。猛海様に言う事があるのではないですか?」

「…えっ⁉︎」

 天城に問われ、硬直するジャン・バール。猛海の視線は、ジャン・バールを捉えている。

「…ぇ…いゃ…私は…」

「何だ?どうした」

 挙動不審のジャン・バール。猛海は小さく溜息をついた。

「小野先生、天城。ちょっと席を外してくれないか?」

「ああ、分かった」

「分かりました。猛海様、あとは宜しくお願いします」

「…っえ?…ちょっ…、待っ…」

 天城と小野はそのまま離れて行く。部屋に残されたジャン・バールは、逃げ場を失い、身体を小刻みに振るわせている。沈黙する猛海とジャン・バール。猛海は、先程まで小野が座っていた椅子を、自分と向き合う様に動かした。

「ほら、ジャン・バール。ここに座れ」

 そう言って、椅子の座面をポンポンと叩く。ジャン・バールは、しばらく棒の様に立ったままだったが、ゆっくりと猛海に近付き、椅子に座った。しかし、ジャン・バールは、猛海と視線を合わせない。

「どうしたんだ。何か話したい事があるんだろ?」

「……」

「俺に不満があるのか?」

「…いゃ、猛海に不満なんて…ある筈ない」

「じゃあ何だ?」

「…ぅ…恥ず…」

 消え入りそうな声でそう言うジャン・バール。両手で顔を覆った。心なしか、耳が赤い。

「仕方がないな」

 猛海の手が、ジャン・バールの頭を撫でる。ピクリとジャン・バールが反応した。猛海の手は優しくジャン・バールの頭を撫で続ける。徐々にジャン・バールの両手が下り、安心しきった表情を見せた。猛海が手を退ける。すると、ジャン・バールの表情が寂しそうに変わり、いきなり猛海を抱き締めた。ジャン・バールの急な抱擁に、猛海は抱き締め返す。

「…猛海、もっと頭を撫でて」

 甘えた声でジャン・バールが言う。猛海は、ジャン・バールを膝に乗せて、優しく何度も撫でた。次第にジャン・バールの寝息を立て始める。

「ジャン・バールって、意外と甘えん坊なんだな」

 ジャン・バールの体温を感じながら、ポツリと話す猛海だった。




 皆様、お元気でしょうか?自分は、色々ありました。と、言いますか、目まぐるしく、周囲の状況が変わり、魂が抜けそう…。

 さて、前回から数ヶ月ぶりに投稿しました。本当に、ごめんなさい。もうね、脳疲労を起こしてまして、書きたいのに、手が動かない状況が続いてました。

 しかし、ようやく一つの山は越えそうなので、投稿率は高まるかと思います。これからも、寛大なお心で見守っていただければ、幸いです。


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素直になりたい

 続きをどうぞ


 ジャン・バールが眠ってから数分後。猛海は、ジャン・バールを抱き締めた状態で、モニターを確認中。

「…あらま、彼女寝ちゃった?」

 そう言いながら、小野がモニターの覗き込んだ。猛海は小野を一瞥。

「ああ…」

 体勢を立て直し、返答する猛海。小野の視線が、ジャン・バールに向けられた。

「…見るな」

 近くにあった上着を、ジャン・バールの頭に被せる。それを見て、小野がニヤニヤと笑う。

「独占欲ですか?」

「…うるせぇよ。戻って来たなら仕事しろよ」

「へいへい、すみませんね」

 それだけ言い合うと、二人はモニターに視線を戻す。モニターには、今までの戦闘データや武具の設計図。試作品のデータが数値化され、表示されていた。

「今日の模擬戦のデータが、これか?」

 小野が一つのモニターを指差す。

「ああ」

「う〜ん、問題は無さそうだけど」

「性能には問題ないけど、もう少し軽量化出来ないか?長期戦になると、重くてスタミナ持ちそうにない」

「あれでも結構軽い物にしてんだよ?」

「分かってる。でも、まだ改善出来るだろ?」

「…うへぇ〜、猛海君。鬼だね、俺を殺す気かい?」

 呆れた表情で小野が言う。猛海は横目で小野を見た。

「小野先生なら、出来ますよね!」

「…うぐぅ…、わ…分かった。頑張ってみますよ」

 小野は肩を落としながらそう言った。小野の返答を聞いて、猛海はジャン・バールを抱き上げ、立ち上がる。

「おいおい、大丈夫か?寝室に連れて行くなら、俺が手伝うぞ」

「いや、いい……あ、じゃあ一つ頼める?」

「おう、何だ?」

「ドア、開けてくれるか?」

「えっ?それは良いけど。それだけで良いのか?」

 小野の問いに、猛海は頷く。義足の左脚を上手く動かし、体重移動もスムーズに行う猛海。小野はその後ろ姿を、感心しながら見つめた。

「猛海は、本当。凄いよな」

「何だよ。気持ち悪」

「いやさ、普通。そんなボロボロになったら、最前戦に行こうとか思わないだろう?」

「まぁ、普通はそうだろうな。俺は普通じゃないから」

 言って、廊下に出る二人。小野の整備室から五十メートル程離れた場所に、猛海の部屋がある。

「確かに、猛海は普通じゃないよな」

「小野先生、喧嘩売ってる?」

「いや、褒めてるんだよ。俺だったら絶対逃げてる」

 小野が真顔で言う。猛海は、小野に横目で見た。

「…正直、ほんの少しだけ辞めたいなって思う事はある。…でもさ。みんなを見てたら、やっぱり守りたいって」

 猛海の視線は、ジャン・バールに向けられる。

「次、もしかしたら死ぬかもって脳裏を掠めても、それでも彼女達を守りたいんだよ」

 猛海の言葉を、小野は黙って聞いていた。そして、猛海の頭を軽く手の平で叩く。そのまま無言で猛海の部屋の前にたどり着いた。小野がドアを開ける。

「小野先生、助かったよ」

「おう、これくらいお安い御用だ。んじゃ、また明日な」

 小野はそう言って去って行く。猛海は、しばらく小野の背中を見つめ、ゆっくりと部屋の中に入っていった。ベッドの横まで行き、ジャン・バールを優しく下ろす。ジャン・バールは起きない。猛海はドアを閉めると、ジャン・バールの横に座り、添い寝する。

 

(…そう言えば、ジャン・バールの寝顔、初めて見た)

 

 ジャン・バールの前髪に触れながらそう思う猛海。安心し切ったジャン・バールの寝顔。

「…ぅ…ん」

 声を上げながら、ジャン・バールの手が何かを探す。猛海はその手に触れた。すると、ジャン・バールが猛海の身体に抱き付き、顔を猛海の胸に擦り付けた。

 

(なんか、猫みたいだ)

 

 ジャン・バールの頭を少し持ち上げ、腕枕をする猛海。

「…ふ…ぁ」

 可愛らしい声を上げながら、さらに密着してくるジャン・バール。小さな笑みを見せた、猛海の下半身が疼き出す。

 

(うぉ、ヤベェ…、超萌え〜)

 

 いつもどこか冷めた表情で、あまり感情を表に出さないジャン・バール。そのジャン・バールが見せる姿に、猛海の内心は悶絶していた。下半身の疼きは小さく、まだ自制は出来るが、いつまで待つか分からない。

「…猛…海ぃ」

 ジャン・バールの口から出てくる自分の名前。猛海は反射的にジャン・バールの唇を塞いだ。ジャン・バールの身体が反応する。頑なに閉じられた唇に、猛海は何度も触れ、舌先で突く。

「…んん…ぁ」

 ジャン・バールの目蓋が開いた。次の瞬間、思い切り目を見開き、抵抗をみせる。猛海は覆い被さり、動きを封じた。抵抗していたジャン・バールは、すぐに大人しくなる。本人も気付かない内に、身体は素直に受け入れ始め、猛海のキスに応えた。猛海の舌が、ジャン・バールの口腔に潜り込み、ジャン・バールの舌を絡め取る。ぎこちない動きで、ジャン・バールの舌も動く。猛海は一度、唇を離す。頬を染め、蕩けた表情で猛海を見つめるジャン・バール。無言で見つめ合い、再び唇が重なる。猛海の手が、ジャン・バールの胸に触れると、小さく反応する。服の上から何度も撫でる猛海。

「…ふ…ぅ……はぁ…ぁ」

 甘い声を上げ、猛海にキスをねだるジャン・バール。猛海は服の中に手を入れ、ジャン・バールの乳房を直に触る。両手で揉みしだくと、ジャン・バールの身体が小刻みに反応。尖端を摘み上げると、ジャン・バールの声が上がった。

「…猛海…もっと触れて」

 懇願する様に、ジャン・バールが猛海を強く抱き締める。ジャン・バールの腕を解き、猛海はジャン・バールの服を全て剥ぎ取った。産まれたままの姿にされ、恥ずかしさで身体を震わす。その度に、色白の肌にお椀より少し大きい乳房が揺れる。その乳房の尖端は桜色。ジャン・バールが両手で乳房を隠す。それを無言で退け、撫でる様に触れる猛海。

「綺麗だ」

「…そ⁉︎…そんな…恥ずかしい事」

 頬を真っ赤に染め、ジャン・バールは狼狽えた。

「恥ずかしい事じゃない。とても綺麗だよ」

 猛海の指が尖端を摘み、捏ねる。

「はぁ…あ、あ…ぁ…やめ」

 ジャン・バールの反応を見ながら、猛海の舌が乳房を舐め始める。

「…あ…あぁ、やぁ…んん…」

 乳房に吸い付き、舌で尖端を転がす。ジャン・バールの両手は、猛海の頭を掴んだ。無意識に腰を揺らし始めるジャン・バール。それを確認して、猛海の指がジャン・バールの割れ目を擦り始める。クチュクチュとイヤらしい音を奏で、ジャン・バールの羞恥心を煽った。

「やだぁ、猛海。恥ずかしい…」

「なら、やめる?ジャン・バールが嫌なら、俺は無理にしたくない」

 そう言って、猛海はジャン・バールから身体を退かす。

「……ぃ」

「ん?」

「猛海、ズルいぞ」

「ズルいって」

「天城達とはしてただろ?何故、オレにしない」

「ジャン・バール、何か勘違いしてないか?俺はしたくて、そういう事をしてない。みんなの気持ちを尊重してるだけだ。だってさ、俺が欲に身を任せて、こういう行為を強要させるのはおかしいだろ?」

 猛海の言葉に、ジャン・バールは無言で聞いている。

「それにさ、身体だけ繋がっても虚しいだけだろ?俺は心さえ繋がっていれば満足だから」

「…じゃあ何でこんな事」

 ジャン・バールの問いに、猛海は一瞬硬直、頬を染めながら視線を逸らす。

「……いゃあ、ジャン・バールが可愛い過ぎて」

「…か、可愛い⁉︎…オレが⁉︎…」

 猛海の言葉に、ジャン・バールの声が上擦る。

「兎に角、ジャン・バールが望まない事はしないから」

 猛海はジャン・バールに服を差し出す。しかし、ジャン・バールはそれを払い除けた。

「…違う…こんな事…を、いやでも…」

 ブツブツと呟くジャン・バール。猛海の唇を強引に塞ぎ、自分の方に引き寄せる。勢い余って、ベッドに倒れ込む二人。ジャン・バールの腕は、猛海の首に絡む。

「ジャン・バール?」

「……」

 猛海の問いに、無言のジャン・バール。不貞腐れた表情で猛海を睨む。

「…ジャン」

「正直恥ずかしいし。素直に言葉にするのはオレらしくもないが。猛海、オレはお前を求めている。だから、猛海もオレを求めろ」

 照れ臭そうにそう言うジャン・バール。それを見て、猛海はクスリと笑う。

「…何で笑う」

「いや、ジャン・バールって。天邪鬼なのかな?って」

「……五月蝿ぃ」

 プイっと、顔を逸らすジャン・バール。

「確認するけど、本当に良いんだな?」

「…しつこい。オレは嘘が嫌いだ。さっきの言葉に嘘偽りはない」

 猛海は唇をジャン・バールに寄せた。それに応えるように、ジャン・バールが唇を重ねる。先程までぎこちなかったジャン・バールの舌が、猛海の舌に絡め貪る。猛海の指が割れ目をゆっくりと擦る。どんどん溢れてくる愛液。猛海は指をジャン・バールの中に入れた。ヌルヌルと愛液が指を濡らし、時折締め付ける。猛海は指を二本に増やし、中を大きくかき混ぜ、ヒダを擦った。

「…んん……ん」

 猛海の指の動きに合わせて、ユラユラと揺れるジャン・バールの腰。猛海が性急にズボンを下ろし、肉棒を引き出す。猛海の肉棒を初めて目の当たりにして、ジャン・バールが生唾を飲み込んだ。ドス黒く血管が浮き出た猛海の肉棒が、天を仰いでいる。

「ジャン・バール」

「…そんなモノがオレの中に…入るのか…」

「引き返すなら今だぞ?」

 猛海は不敵に笑う。ジャン・バールが頭を横に振る。何度か深呼吸をして、小さく頷く。猛海は、肉棒を割れ目に擦り付ける。そして、グジュという音を立てながら、ジャン・バールの中に挿入し始めた。苦痛に歪むジャン・バールの顔。指が、猛海の腕に食い込む。猛海の肉棒は、ゆっくりと圧し進めていく。途中、狭い所があった。猛海は一度挿入を止めると一気に貫く。そして、猛海の腰がジャン・バールの肌と密着した。肉棒を子宮にグリグリと押し付け、馴染ませていく。

「…ほら、ジャン・バール。俺のが子宮に密着してるの…分かる?」

 脚をプルプルと振るわせ、涙目のジャン・バール。浅い呼吸を繰り返す。猛海は、額を汗で滲ませたジャン・バールの首筋にキスをする。指は乳房を揉みしだき、尖端を摘む。

「…あ…ん、…待っ…」

 ジャン・バールの中がキュッと締まった。

「もう…少し…あぁ…はぁ……待」

 ジャン・バールは言葉が続かない。猛海は身体を密着させたまま、何度もジャン・バールの首筋に舌を這わせ、尖端を摘み捏ねる。その度に、ジャン・バールの子宮が切なくなり、腰が少しずつ揺れ始めた。猛海は身体を密着させたまま、器用に腰を動かし始める。クチュクチュとイヤらしい音が部屋に響く。

「んん…あぁ……やぁ…」

 苦痛に歪んでいたジャン・バールの表情が、悩ましげな表情に変化していき、段々と猛海の腰の動きが大きくなっていく。部屋に響き渡る身体をぶつける乾いた音。ジャン・バールの声が甘くなる。唇を重ね合い、お互いを求め合う。猛海が上半身を起こした。ジャン・バールの腰をしっかり掴み、激しくぶつけ始める。猛海の腰の動きに合わせて、ジャン・バールの身体が揺れた。

「もうそろそろイクぞ」

「…きて…」

 猛海の肉棒が一際大きくなる。ジャン・バールの中が大きく脈打った。

「…くっ!」

 勢い良く子宮に向かって放たれる精液。猛海はグリグリと結合を深めた。ドクドクと肉棒が脈打つ。猛海がジャン・バールの上に覆い被さる。猛海の脈動を感じながら、ジャン・バールは猛海を抱き締めた。荒い呼吸で見つめ合う二人。自然と唇が重なり合う。

「…猛海、夕食の時間だぞ」

 ドアをノックすると同時に、部屋の中に入ってくる人物。猛海は、射精の余韻が残ったまま身体を起こし振り返る。部屋に入って来た人物と目が合う。猛海の視界には、リットリオとザラが映っている。二人は硬直状態。見られた猛海は慌てる事もなく、ジャン・バールの中から肉棒を引き抜く。まだ猛海の肉棒は硬さを維持していた。猛海とジャン・バールの愛液で濡れている肉棒。二人は頬を染めながらも、身体を震わせている。ジャン・バールがゆっくりと身体を起こし、二人の存在に気付いた。二人も猛海が抱いていた相手がジャン・バールだと気付く。互いの視線が絡み合う。

「…どうした?」

 気まずさなど感じていない猛海が、リットリオとザラに声を掛ける。二人はしばらく立ち尽くし、混乱している脳を落ち着かせようと互いを見つめた。だが、とうしても猛海とジャン・バールに視線が向かう。

「…ジャン・バール…その…話が…」

 混乱しながも、リットリオが口を開いた。ザラも何か言いたそうに、口をパクパクと動かしているが、声が出ない。ジャン・バールも顔を真っ赤にして視線を逸らす。

「あっ、悪いな。服を着るからちょっと待ってくれ」

 猛海が服を掴みジャン・バールに渡した。猛海自身もボクサーパンツを履く。まだ固く反り上がった肉棒。パンツの中でも存在感を見せ付けていた。ジャン・バールがチラリと猛海の下半身に視線を送る。

「…猛海」

「ん?何だ?」

「その…ソレ」

 ジャン・バールは言葉を呑み込み、下半身を指差す。ジャン・バールが言いたい事に猛海は気付いた。

「ん?ああ…大丈夫だ」

「でも…」

「心配するな」

 いつも複数人も相手している猛海。基本、一回で済むはずも無い。本当なら、あと数回くらいしないと収まらないのだが、そんな事は言えない。ジャン・バールが徐に、パンツ越しから肉棒に触れた。ビクッと大きく反応する肉棒。

「…ジャン・バール、止めろ」

 猛海がジャン・バールの手を掴む。

「猛海、本当は我慢してないか?」

 言いながら、パンツを引き下ろすジャン・バール。勢い良く出てくる肉棒。ジャン・バールの手が、肉棒を直に触れ撫でる。ジャン・バールはリットリオとザラに視線を向けた。ジャン・バールが猛海の下半身に跨る。

「リットリオ、ザラ。猛海に対する気持ちが本当なら、素直に求めろ」

 ジャン・バールの言葉に、二人は生唾を飲み込む。二人から視線を猛海に戻し、自ら肉棒を割れ目に宛てがう。

「猛海、オレはお前と一つになれて嬉しいよ。これからもずっとお前の側にいたい」

 そう言って、肉棒を中に誘った。猛海は驚いた表情を見せたが、優しく微笑みジャン・バールの中を突き上げた。リットリオとザラの目の前で、二人が求め合う。時折、猛海が視線を二人に向けた。真っ赤な顔で呆然と立ち尽くしていた二人は、徐々に猛海に近付く。

「…わ…私も…猛海が…好きだ。だから…」

「猛海が好き…私も貴方の側にいたい。だから…」

 二人の告白に、猛海は柔らかい笑みで頷いた。そして、長い夜が始まる。

 

 

 

 

 

「リットリオとザラ、猛海を呼びに行ったまま戻らないな」

 食堂でエンタープライズが言う。

「…ジャン・バールも、姿が見当たらない」

 ビスマルクも口を開いた。天城はニコリと微笑み。

「三人なら、猛海様の所ですよ」

 その言葉に、その言葉の意味を理解している全員が『ああ、そういう事か』と同時に頷いた。




 新しいスマホに買い替えました。しかも、初iPhone。使い方がイマイチ分かんない…。でも、何とか使いこなせ始めた今日この頃。

 今、次話に向けて書き書きしてます。なるべく早めにアップ出来るとエエなぁ〜


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