Fate/レッツラーイ 導入編 (mobimobi)
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Fate/レッツラーイ 導入編
YOUTUBEでドラゴンナイトがやってたのでネタだけ暖めてた奴を書き出しだけ投稿。
現状でFGO要素がない?しょうがないじゃん向こう描写しても大体本編通りだよ!
モンスター名、武器名、ルビや表記などは小説版仮面ライダードラゴンナイト 2ワールド1ハーツ準拠です。
さあ、君も気軽にレッツラーイ!
あ、若干KRDKのネタバレあります。
「よし、これで最後だ」
「ああ。敵の反応はないな。手慣れて来たじゃないか、キット」
「それ、いつと比べての話だい?」
「……そう言えばそうだな。どうにも世話を焼くのが癖になっているらしい」
「今じゃ僕も同じくらい世話を焼いてる」
「違いない」
バイザーの下で苦笑をしたらしい紺と銀の戦士――カメンライダーウイングナイトが、赤と銀の戦士――カメンライダードラゴンナイトの肩を気安げに叩いて歩き出す。
少し遅れる形でウイングナイトの背を追い、ドラゴンナイトもまた自らのマシンへと向かった。
ここは地球から見て鏡を挟んだ向こう側、ベンタラと呼ばれるパラレルワールド。
地球にて生まれ育った少年、キット・テイラーはウイングナイト=レンと出会い、ゼイビアックス将軍と呼ばれる侵略者との戦いを通じてベンタラを守護する十二人の戦士、カメンライダードラゴンナイトとなった。
ベンタラを制圧し、現実世界にまで手を伸ばそうとしていたゼイビアックスは既に倒れ、激しい戦いは終わりを告げている。
しかし、ゼイビアックスが戦力として連れていたモンスターたちが霞の様に消え去るか、と言われればそれはあり得ない事だ。その残党は依然としてベンタラに潜んでいるし、場合によっては地球にすら手を伸ばしてくる。
それらと戦うことが今のカメンライダーたちの仕事だ。敵の数は減ったが、守るべき世界の広さは二倍。必要とあれば鏡の裏と呼ばれる異空間を通じ、地球とベンタラの鏡面間を自由に移動できるカメンライダーをして大変な仕事だと言わざるを得ない。
しかし、それでもやらねばならない。父が暮らす地球を守るため、そして大事な仲間であるレンと、自分を認めてくれている他のライダーたちの故郷であるベンタラを守るために。
今日もキットはカメンライダーとして戦っている。そして、明日もそれは変わらない――そのはずだった、のだが。
「……あ?」
「キット? どうした……、っ!!」
不意にキットのいぶかしげな声が聞こえたことで、振り向いたウイングナイトの仮面の下で、レンの目が大きく見開かれる。
ドラゴンナイトの体が明滅するようにぼやけている。まるで彼と言う存在そのものが揺らいでいるかのように。
敵の攻撃か、と腰から剣型の召還機・ダークバイザーを素早く抜き放って周囲を警戒するウイングナイトだが、その五感が敵対者の存在を捉える事はない。
では何故、ドラゴンナイトがこんな状態になっているのか。状況が分からない事に仮面の下で表情を歪めたレンだったが、幸いにして助けの手は直ぐに伸びてきた。
『キット! レン!』
「マスター・ユーブロン!」
精悍さを感じさせる男の声がキットとレンの耳を打つ。
カメンライダーたちのリーダー的存在、アドベントマスター・ユーブロンがキットのバイタルの異常を察知して通信を行ってきたのだ。
「一体……キットはどうなっているんです!? 明らかに異常だ!」
『こちらでも確認している。結論から言おう、今直ぐにドラゴンナイトをベントするんだ』
「ベントだって! 何故!? キットは味方です!」
ベント――ライダーは一定以上のダメージを受けると、強制的にアドベント空間と呼ばれる閉鎖次元に転移・幽閉されてしまう。このことを示して、『ベント』と呼ぶ。
これはカメンライダーが大きなダメージを受けた際に命を落とさないように保護する、と言う意味合いがあるのだが、しかしその機能を強制的に発動させると言う事は、命を落としかねないような強力な攻撃を行うと言うことに他ならない。
反射的に反論を吠えたレンに、ユーブロンは静かな声で告げた。
『詳しくは君が戻ってから説明するが、キットの存在は外的要因によって消滅しかけている。今は
「――了解しました」
その必要性があることを理解したならば、レンにもう迷いはない。ベルトのバックルとしてセットされたアドベントデッキから一枚のカードを抜き出す。
各ライダーが保有する最強の技を発動させるカード、
数多の戦いを共に潜り抜けてきた二人だ。それだけで思いは通じる。ダークバイザーにカードをセットし、紺色の騎士は空高く飛翔した。
《
無機質な合成音声が響き、間近の鏡面からウイングナイトの
ブラックウイングの翼が変形したマントを身に纏ったウイングナイトは漆黒の弾丸と化し、ドラゴンナイトへと天空から突撃した。
ウイングナイトの
「――キットっ!!」
攻撃を終えたウイングナイトはドラゴンナイトへと駆け寄ってその身を抱き起こした。
済まないと言えばいいのか、自分たちが必ず何とかしてみせるから安心してくれと言ってやればいいのか。
感情が喉に詰まってしまい、言葉を口に出来ないウイングナイトの胸部アーマーをドラゴンナイトが力の入らない拳で軽く叩く。
存在消滅の脅威とベントによる転移のせめぎ合いによって、声を出す事すらできないらしい。しかし、その行いに込められた思いは確かにレンに伝わった。
「……ああ、後は任せろ」
その言葉が紡がれた直後、ドラゴンナイトの身体が跡形もなく消滅し、そのバックルにセットされていたアドベントデッキが地面に落ちた。
拾い上げたそれを、ウイングナイトが力強く握り締める。親友を必ず助けて見せると言う誓いを胸にして。
「ユーブロン、いったい何があったと言うんです! キットは……!」
「落ち着け、レン。全て説明する。……まず、キットは無事だ。バイタルは安定している」
鏡の裏を経由して基地へと帰還したレンは、その足でユーブロンの元へと駆け込んだ。
レンは戦いの中でベントされる仮面ライダーを一度ならず目にしてきた。だからこそ、今回のキットに起こったことが尋常ならざるものだと言う事も理解できる。
黄金のアーマーを纏うライダー、ラスの
焦りを隠せないレンに対し、ユーブロンは泰然としたものだ。キットの保護が成功したことが理由の一つだろう。後もう一つは、何を原因としてこの現象が起こったのかを理解しているからに他ならない。
「キットの存在が消滅しかけた理由だが、簡単に言えばタイムパラドックスに近い現象だ。地球上で刻まれてきた歴史と言う土台の上に彼の存在は刻まれている。どうやらそれが時間干渉によって崩壊した事により、連鎖してキットの存在も消え失せようとしていた。
しかし、彼は幸いにもベンタラの戦士として此方の世界に強い縁があった。地球の歴史が崩壊して尚、僅かな時間その存在を保っていられた。――キットが消滅する前にアドベント空間に転送できたことは幸運だった。あそこで保護している限り、彼の存在は保たれるだろう」
「それは……いや、なんですって。地球の歴史が崩壊!?」
「そうだ。それによって地球は今その存在そのものが不確定に近い。星が消滅する様な事はないだろうが、歴史の改竄が容易な……いや、世界そのものを根底から作り替える様な干渉ですら可能になってしまうだろう。――このままでは」
「……それを防ぐ方法があると?」
静かにユーブロンは頷いた。
「ああ、ある。……その現象が起こる際、プライスが地球に居た。彼はこちら側の存在だ、崩壊する歴史の中でもその存在が失われる事はない。
そして、今も彼のバイタルを確認できている。その結果として分かった事だが、どうやら地球上における歴史、そのターニングポイントへと干渉を行った事によって今回の現象は発生しているらしい。
そして、そのポイントはまだ生きている。――何が理由か、どのように干渉を行ったかは分からない。しかし、キットを救うのならば……」
「その干渉を行った存在をどうにかしなければならない。そう言うことなのですね、ユーブロン」
「ああ。いつまでそのポイントが残っているかは分からない。今から調べている余裕もない。可及的速やかな介入が必要だ。その上で、気休めではあるが――…」
ユーブロンの言葉を、レンが手で制す。
「俺もベンタラの人間だ。そのポイントの崩壊に巻き込まれたとしても存在は消滅しない、そう言うことでしょう。ならローリスクハイリターンです。行かせてください、ユーブロン」
「ああ。……異世界間を接続する技術を応用し、プライスの存在をビーコンとして君をあちらに送り届ける。その後、恐らくシグナルは乱れるだろう。連絡も難しくなる。プライスと協力して乗り切ってくれ。
私も可及的速やかに増援・通信の手はずを整える。頼んだぞ、レン。――ベンタラと地球に」
「――ベンタラと地球に」
カメンライダー。
それは鏡の向こうの世界、ベンタラで生み出された戦闘システム。
カメンライダーの戦いは鏡から溢れ出し、今、一つの世界の滅びに抗おうとしていた。
その時出会うのは人理を修復せんとするカルデア最後のマスターと、異世界の戦士レン。
今壮大な物語が幕を開ける――!
プロットは用意していないのでたぶん続かない
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