糞眼鏡が変革を試す話 (ゼウス)
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糞眼鏡が変革を試す話
ある意味、本編以上に狂人扱いされそう。
人間は誰しも、頑張りさえすれば不可能など一つもないのだ。
不断の努力と意志の力さえあれば人間は歩き続けられるし、どれだけ歩みが遅かろうと前に進む事実に変わりない。ならばこそ頑張りさえすれば人の可能性は無限大である。
なぜ言い切れるのか? 決まっている、軍事帝国アドラーの第三十七代総統にして、英雄と仰せられる程のお方、クリストファー・ヴァルゼライド閣下こそがその証。彼は才能もなく、生まれも劣悪で、それでも努力と意志の力を武器に一国の頂点に立ったのだから。
なのにこの世界では無益な言い訳を重ねる連中の何と多い事か――憂世の徒たるギルベルト・ハーヴェスは思うのだ。
自分には向いていない。才能が無い。やってはみたけど出来る気がしない、難易度が高すぎる――等々、口を開けば揃って出来ない理由ばかり追求し、夢を抱くことすら諦める始末。自己にかける心の強さが全くもって足りていない。
だからギルベルトは望むのだ。誰もが彼のように雄々しく目標に向けて一直線に歩ける世界をと。
「……さて、それでは検証を行ってみるが……」
まず第一に、ホムンクルスを想定してみよう。
仮に、別世界あるいは別次元にいるホムンクルス達をヴァルゼライド閣下のようになりたまえと言われて彼らはなるだろうか。
ある意味、ホムンクルスは業腹な事に言い訳ばかりが上手い連中と同じ体型を(尤も、閣下も同じ体型なのだが、全く遺憾でもある)しているからな。非協力的になるかもしれない。
それは魑魅魍魎(妖怪or廃神)や式神と言われる連中も同じことだ。
彼ら彼女らもまた、肉体という器の脆さを鑑みれば閣下の雄々しき放射光を長期間内蔵できるのだろうか。
きっと「貴様こそあってはならん異分子だ」だの「ありえない。貴様を人間とは認めない」だの言い訳ばかりするのだろうな。嘆かわしすぎる!!
と、思っていたのだが……
「なんだ……と……」
黒ウサギのぬいぐるみが意志を持ち強大な力を持つ存在になる本を読んだのだが……非常に興味深過ぎる。
何でも第二太陽の如き大いなる力の集合体があり、そこに黒ウサギの人形を置き続けると意志を持ち始めたらしい。
もし仮に、星辰体を人のいや、並の魔星の倍以上に内蔵する事が出来たら。
そして閣下の放射光を無限に増幅する事が可能になれば。
ああ、考えるだけで私の心は昂ぶってしまう。
かの神星の如き人造の金属生命体で無限に飛翔させるか、人形でアストラルと強度を徹底的に高め無限に飛翔させるか、ああ、妄想とはいえ素晴らしすぎる願いだ。
そうすれば、言い訳ばかりの上手い連中も恐怖を抱き、高めようと努力する筈だ。絶対に。
無論、雲を掴むような話だが、まあ、案ずるに及ばん。
すべては新たな光を掴み、勝利の先を知る為にッ!!
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