spirit V.v-Unpublished works- (犬猫阿骨打(藺草影志))
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#1.hatsugu

――1月1日 天々座家 ダイニング――

 

 

 

リゼ「おはよう――……?」ガチャッ

 

 

ここあ「りぜちゃん、はやくたべよう」

 

 

使用人B「お嬢、明けましておめでとうございます」

 

 

メイド「」ペコリ

 

 

リゼ「お前たちだけか?親父やあいつは?」

 

 

使用人C「それが……」

 

 

メイド「」スッ

 

 

リゼ「手紙?」

 

 

使用人B「昔の友人と今年もおみくじで対決すると、先ほど出ていかれました」

 

 

リゼ「みんなで神社まで行けばいいのに、せっかちな親父だ」バサッ

 

 

リゼ「あいつは?」

 

 

使用人D「あの方でしたら、ついさっきお嬢の幼馴染の方が来られて……」

 

 

リゼ「ユラが?」

 

 

ここあ「ゆらちゃんきてるの?」

 

 

使用人D「はい、姿を見た途端に逃亡されました」

 

 

リゼ「」

 

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

 

 

ユラ「待って~」タタタ

 

 

使用人「くっ……!」ダダッ

 

 

ユラ「逃がさないよ~」

 

 

使用人「っ……!」スッ

 

 

ユラ「あれ~どこか行っちゃった?」

 

 

使用人「………………」

 

 

ユラ「窓から飛び降りたのかな~?さすがにわたしじゃ無理だね~」

 

 

使用人「………………」

 

 

ユラ「仕方ない、諦めよっか~」テクテク

 

 

使用人「………………」

 

 

使用人「…………」

 

 

使用人「……」

 

 

使用人(撒いたか……)ホッ

 

 

使用人「…………」スッ

 

 

ユラ「♪」バァ

 

 

使用人「のぁっ!!?」

 

 

ユラ「おはよう~顔見て逃げるなんてさすがのユラちゃんも傷つくよ~?」ムフー

 

 

使用人「フェイントでしたか……」

 

 

ユラ「もう観念しよ~?」

 

 

使用人「……ですが、今回はお断りします」

 

 

ユラ「まだ何も言ってないのに~」

 

 

使用人「初詣のお誘いでしょう。小さいお嬢には申し訳ないですが」

 

 

ユラ「………………」

 

 

ユラ「ふーん、そっか~」ポスッ

 

 

使用人「………………」

 

 

ユラ「ここあちゃん、昨日みんなで行くって張り切ってたよ~」

 

 

ユラ「みんなの中には、わたしも使用人さんも入ってるんじゃない?」

 

 

使用人「ですが、あくまであっしは……」

 

 

ユラ「…………」

 

 

ユラ「わたしもさぁ、ここあちゃんに誘われなかったらきっとリゼの誘いでも断ってたよ~」

 

 

使用人「え……?」

 

 

ユラ「わたしがいなくても大丈夫なら、わざわざわたしがいる必要はないからね~」

 

 

使用人「…………?」

 

 

ユラ「分からない~?つまりね」

 

 

ユラ「ユラちゃんが欠けて悲しむ人が一人でもいるなら、わたしは絶対に誘いを断ったりしないってこと~」

 

 

使用人「!」

 

 

ユラ「使用人さんが欠けたらここあちゃんが悲しむよ~。たぶん千夜ちゃんも」

 

 

使用人「………………」

 

 

ユラ「でもこれはリゼたちを見守る使用人さんの役目じゃないね~。だから立場として行く理由は無いから、結局はわたしのも屁理屈かな~」スッ

 

 

ユラ「それじゃあわたしは行って来るよ~」

 

 

使用人「待ってください」

 

 

ユラ「?」

 

 

使用人「やっぱり、あっしもいきます」

 

 

ユラ「…………」

 

 

使用人「お嬢とあの子の友人として、です」

 

 

ユラ「……ふふ~♪」

 

 

ユラ「立てる?」スッ

 

 

使用人「どうも……」

 

 

ユラ「追いかけまわしてごめんね~大丈夫?」

 

 

使用人「いえ……ありがとうございます」

 

 

ユラ「年始めからユラちゃん良いこと言いました~」

 

 

使用人「そういえば、初詣に行くのに普段着ですか?」

 

 

ユラ「千夜ちゃんが貸してくれるんだって~お言葉に甘えようと思ってさ~」

 

 

使用人「……誘いに来てくださったんですね、わざわざ」

 

 

ユラ「どうかな~?」

 

 

使用人「フッ……感謝します」

 

 

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

――神社――

 

 

 

リゼ「おっ……あれはチマメ隊だな」

 

 

マヤ「あっ、リゼとここあと黒服だ!おーい!」

 

 

メグ「チノちゃん、ここあちゃん来たよ」

 

 

 

ここあ「ちのちゃーん♪」タタタ

 

 

チノ「ここあさん……」

 

 

 

――ギュッ

 

 

 

ここあ「あけましておめでとう//」ニコッ

 

 

チノ「おめでとうございます、今年もたくさん遊びましょうね」

 

 

ここあ「うん!きょうはみんなでもちつきするよ」

 

 

マヤ「待てここあ!その前に屋台で買い食い、あとおみくじ対決だ!」

 

 

ここあ「おみくじ?ひきたい!」ピョン

 

 

マヤ「今年は絶対に大吉を引くぞ!心の準備はできてるか!」

 

 

ここあ「いえっさー!」

 

 

チノ「おみくじなのに大げさすぎます……」

 

 

メグ「千夜さんとシャロさん、ユラさんがまだだね」

 

 

リゼ「そろそろ来ると思うが」キョロキョロ

 

 

使用人「お嬢、恐らくあれですね。来られました」

 

 

 

千夜「みんな、明けましておめでとう」

 

 

シャロ「遅くなってすいません」

 

 

リゼ「気にするな、わたしたちもいま来たところだ」

 

 

使用人「どうも」ペコリ

 

 

シャロ「使用人さんも来てくださったんですね」

 

 

千夜「良かったです、もしかしたらお留守番されるのかと思って」

 

 

使用人「ははっ……」

 

 

ここあ「ちやちゃん、しゃろちゃん//」ギュッ

 

 

千夜「ここあちゃん、明けましておめでとう」ナデナデ

 

 

シャロ「可愛い振袖ね、似合ってるわ」

 

 

ここあ「りぜちゃんがかってくれたんだよ」

 

 

リゼ「わたしのここあは何を着ても可愛いんだ」フンス

 

 

ユラ「振袖ユラちゃんだよ~使用人さん似合ってる?」

 

 

使用人「あ、はい、すごくお似合いです」

 

 

ユラ「ありがとう~シャロちゃんは~?」

 

 

使用人「素敵だと思います」

 

 

ユラ「リゼは~?」

 

 

使用人「お嬢ももちろんです」

 

 

ユラ「千夜ちゃんは~?」

 

 

使用人「振り袖姿がとても似合って――」

 

 

ユラ「おっぱい大きいね~」

 

 

千夜「え……//」

 

 

使用人「ブッ!!//」

 

 

ユラ「使用人さんの心の声を代弁してみたよ~」ムフー

 

 

使用人「ひでぇ捏造だ!?」

 

 

シャロ「そ、そうですよ吹き矢部長!使用人さんに限って……!」

 

 

マヤ「ふざけてないで早く行こうよ~お腹すいた~」

 

 

チノ「わたしたち参拝に来たんですよマヤさん……」

 

 

メグ「マヤちゃんは屋台の方が目的だから」

 

 

ここあ「りぜちゃん、いこっ」

 

 

リゼ「ああ、はぐれないように手を繋ごうな」

 

 

ここあ「うん♪」ギュッ

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

チノ「お賽銭は……あの柵の中に投げ入れればいいんでしょうか?」

 

 

メグ「お賽銭箱、あんなに遠いね」

 

 

マヤ「よーし!目標補足!」

 

 

メグ「マヤちゃん、この距離から届くの?」

 

 

マヤ「柵の中なら楽勝だって!とうっ!」ビュッ

 

 

ここあ「すごい!」

 

 

マヤ「ふふん、お参りも終わったし、次はおみくじだぁ!」

 

 

千夜「シャロちゃん、お賽銭もってる?」

 

 

シャロ「100円くらいあるわよ」

 

 

リゼ「よっと」ヒュッ

 

 

ここあ「りぜちゃん、わたしも、わたしも!」

 

 

リゼ「ここあも投げ入れするのか?よし」ヒョイ

 

 

リゼ「どうだ、入れられそうか?」

 

 

ここあ「えいっ」ビュッ

 

 

ここあ「はいったよ!」

 

 

リゼ「上手だな」ギュッ

 

 

ここあ「えへへ//」

 

 

ユラ「使用人さん、ここからあの柵の中のお賽銭箱に入れられる~?」

 

 

使用人「あれですかい……どうでしょう」

 

 

ユラ「何事も挑戦だよ~」

 

 

使用人「………………」

 

 

ビュッ! ――チャリン

 

 

ユラ「おお~」

 

 

使用人「入りましたね」

 

 

ユラ「それじゃあわたしも~」ビュッ

 

 

使用人「10枚投げ!?」

 

 

――チャリン

 

 

ユラ「1枚入ったね~ふふ~」

 

 

使用人(やはりくえない、この人は……)

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

リゼ「おっ……中吉だ」

 

 

ユラ「小吉~負けちゃった」

 

 

リゼ「ふふん」ドヤッ

 

 

シャロ「あっ、大吉だわ」

 

 

千夜「すごいわシャロちゃん、わたしは吉よ」

 

 

メグ「千夜さんも?わたしも吉だったよ~」

 

 

千夜「今日からメグちゃんと吉同盟ね」ガシッ

 

 

メグ「なんだか平和な同盟だね~♪」ガシッ

 

 

チノ「……!」

 

 

チノ「だ、大吉です……!」パアァ

 

 

ティッピー「よかったのぉ、チノ」

 

 

チノ「まぁ、凶を引くよりはいいです……//」

 

 

チノ「…………//」ニコッ

 

 

マヤ「どうしてわたしだけ凶なんだ!?」

 

 

メグ「マヤちゃん凶だったの?」

 

 

マヤ「うぅ~そうだ、ここあは?」

 

 

ここあ「りぜちゃん、これなんてよむの?」

 

 

リゼ「これは、小吉だな」

 

 

ユラ「ユラちゃんとお揃いだね~」

 

 

ここあ「ほんと?よかった//」

 

 

ユラ「ここあちゃんとわたしが愛で繋がってる証拠だよ~」

 

 

リゼ「くっ……小吉が出るまで引き直すか……!」←※中吉を引いてます

 

 

千夜「使用人さんはどうでした?」ヒョイ

 

 

使用人「あっしは吉でした」

 

 

千夜「ならお揃いですね」ニコッ

 

 

メグ「使用人さんも吉同盟だね~」

 

 

使用人「ははっ……」

 

 

マヤ「こうなったらもう一度引き直して……!――ん?」

 

 

ザワザワ ザワザワ

 

 

マヤ「………………」

 

 

チノ「マヤさん?」

 

 

マヤ「チノ、あれ……」

 

 

チノ「?」

 

 

 

タカヒロ「……」ゴゴゴ

 

 

リゼ父「……」ゴゴゴ

 

 

 

チノ「お父さん!?」

 

 

リゼ「親父!?」

 

 

ユラ「すごいオーラ……なにか真剣勝負みたいだね~」

 

 

使用人「まさか、喧嘩では……」

 

 

 

リゼ父「……いくぞ」

 

 

タカヒロ「……ああ」

 

 

 

――フリフリ

 

 

 

リゼ父「――!大吉だ」バッ

 

 

タカヒロ「小吉……俺の負けか」

 

 

リゼ父「ふっ、見たかタカヒロ」

 

 

タカヒロ「約束だ、今夜の酒代は奢ろう」

 

 

リゼ父「おみくじで俺に勝とうなんざ10年早い」ドヤッ

 

 

 

千夜「おみくじ対決だったのね」

 

 

リゼ「知り合いと思われたら恥ずかしい、早く行こう」

 

 

メグ「チノちゃんのお父さんて意外とお茶目なんだね」ニコニコ

 

 

チノ「はうぅ……おじいちゃん、父がだんだんおかしくなってきてます」

 

 

ティッピー「もともと全員おかしいじゃろ」ピョン←喋るうさぎ

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

ユラ「今年は年初めから賑やかだね~」

 

 

リゼ「やっぱり嫌だったか?」

 

 

ユラ「ううん、楽しいよ~」

 

 

リゼ「そうか……」ホッ

 

 

ユラ「リゼとまたこうして初詣に来られたことが一番の役得だけど~」

 

 

リゼ「……言ってくれたら誘うのに」

 

 

ユラ「ん~それだと嬉しくないかな~」

 

 

ユラ「小さい頃みたいにリゼに必要としてほしいんだよね~」

 

 

ユラ「ユラがいないと嫌だ~って、ふふ~」

 

 

リゼ「………………」

 

 

ユラ「なーんて、でもその反面リゼにたくさん友達が出来て安心してたよ~」

 

 

ユラ「いまはここあちゃんもいるしさ、ユラちゃん一安心~」

 

 

リゼ「……でも、本当はユラにもいてほしい」

 

 

ユラ「わがままだね~リゼは」

 

 

リゼ「なんだ、悪いか?//」

 

 

ユラ「嬉しいよ~ありがとう」

 

 

リゼ「……また、誘ったら来てくれるか?」

 

 

ユラ「そうだね~これでここあちゃんの頼みじゃなくても来る理由が出来たよ~」

 

 

リゼ「?」

 

 

ユラ「なんでもないよ~リゼの頼みを断るわけないさ~」

 

 

リゼ「……ありがとう//」

 

 

ユラ「かわいいね~リゼは、ユラちゃんがモフモフしてあげる~」ギュッ

 

 

リゼ「やめろ、恥ずかしい//」

 

 

ここあ「りぜちゃーん」タタタ

 

 

リゼ「ここあ、おかえり」

 

 

ユラ「それたいやき~?おいしそうだね~」

 

 

ここあ「ゆらちゃんずるい、わたしもりぜちゃんとぎゅってする」ピョンピョン

 

 

ユラ「ごめんね~リゼはちゃんとここあちゃんに返すよ~」

 

 

ユラ「向こうでマヤちゃんたちと焼きそば食べてくるから~」フリフリ

 

 

ここあ「りぜちゃんみて、ちのちゃんにかってもらったの」ニコッ

 

 

リゼ「たいやきか、家に帰ったらみんなでお餅を食べるからほどほどにな」

 

 

ここあ「だからりぜちゃんとはんぶんこするよ」

 

 

ここあ「んっしょ……はい♪」

 

 

リゼ「…………」クスッ

 

 

リゼ「尻尾の方でいいぞ」スッ

 

 

ここあ「あ……」

 

 

リゼ「ありがとう」ナデナデ

 

 

ここあ「でも、あたまのほうがたくさんあんこはいってるよ?」

 

 

リゼ「ああ、だからここあに食べてほしいんだ」

 

 

リゼ「優しいな、お前は……」ギュッ

 

 

ここあ「んっ……//」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

――――――

 

――――

 

――

 

 

 

――天々座家 客室――

 

 

 

リゼ「フッ!」ペタッ

 

 

メイド「」クルリ

 

 

リゼ「ハッ!」ペタッ

 

 

メイド「」ペシッ

 

 

リゼ「よっと」ペタッ

 

 

メイド「」ペシッ

 

 

 

メグ「つきたてのお餅ってこんなにもちもちなんだね」

 

 

マヤ「チノ~海苔取って」モグモグ

 

 

チノ「あっ、はい」

 

 

千夜「餡子ときな粉、持ってきて正解ね」

 

 

シャロ「そうね、これはこれでおいしいわ」

 

 

ユラ「ここあちゃん、はいあーん」

 

 

ここあ「あーん……」

 

 

ユラ「おいしい?」

 

 

ここあ「うん!」モグモグ

 

 

使用人「あの、そろそろ交代しましょうか?」

 

 

リゼ「まだまだ平気だ」

 

 

メイド「」コクコク

 

 

使用人「しかし、お嬢がついてあっしが食べるだけというのも……」

 

 

ユラ「たまにはいいんじゃない~?ねぇメイドさん?」

 

 

メイド「」グッ

 

 

千夜「使用人さんも使いますか?甘兎庵特製の餡子です」

 

 

使用人「……!」

 

 

使用人「……これが」スッ

 

 

シャロ「使用人さん?」

 

 

マヤ「黒服?どうしたの?」モグモグ

 

 

使用人「あ…………いえ」

 

 

使用人「では、頂きます」

 

 

メグ「チノちゃんも食べる?このお餅すごくおいしいよ」

 

 

チノ「メグさん、わたしが食べているのもきなこのお餅です」モグモグ

 

 

メグ「はっ、そうだったね!」

 

 

ここあ「ちのちゃん、きなこおいしい?」ヒョコ

 

 

チノ「おいしいですよ、ここあさんも食べますか?」

 

 

チノ「はい、あーんしてください」

 

 

ここあ「あーん♪」

 

 

 

リゼ「ふぅ……」

 

 

メイド「」バッ

 

 

リゼ「んっ、交代か?」

 

 

メイド「」コクリ

 

 

リゼ「つくほうが辛いぞ?」

 

 

メイド「」ガシッ

 

 

使用人「お嬢、あっしが代わります」

 

 

千夜「あっ、それならわたしにひっくり返すほうをさせてください」

 

 

使用人「!?」

 

 

リゼ「千夜が?でも見た目より大変だぞ」

 

 

千夜「やったことあるから大丈夫よ」

 

 

使用人「いやしかし、手を怪我しないとも限りませんし……」

 

 

メイド「」ススッ

 

 

千夜「ありがとうございます♪」

 

 

メイド「」グッ

 

 

使用人「ちょっと……!」

 

 

ここあ「めいどさん、ぼたもちだよ~あーん」

 

 

メイド「」アーン

 

 

ユラ「千夜ちゃんファイト~」

 

 

千夜「よろしくお願いします」

 

 

使用人「……では」

 

 

千夜「はぁ!」ペシッ

 

 

使用人「……」ペタッ

 

 

千夜「とりゃあ」ペシッ

 

 

マヤ「黒服~腰が引けてるよ~?」

 

 

シャロ「あの、代わりましょうか?」

 

 

使用人「ご心配なく……」

 

 

使用人(誤って手を叩いてしまったりしたら……)ハラハラ

 

 

メグ「チノちゃん、口にきなこがついてるよ」フキフキ

 

 

チノ「あ……ありがとうございますメグさん//」

 

 

メグ「しっかり者のチノちゃんが珍しいね」ニコッ

 

 

ユラ「お疲れ様、リゼ~」

 

 

リゼ「ああ、休みのせいか少し身体がなまってるな」

 

 

ユラ「お正月だしのんびりいこ~」

 

 

リゼ「お前はいつものんびりしてるだろ」

 

 

ユラ「そうかもね~」ムフー

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

――――――

 

――――

 

――

 

 

 

 

――PM6:24――

 

 

 

リゼ「それじゃあな」

 

 

千夜「新年早々から楽しかったわ」

 

 

シャロ「リゼ先輩、いつもありがとうございます」

 

 

マヤ「ここあ、明日はチマメコ隊で新年初シストだ。準備を怠るな?」

 

 

ここあ「いえっさー!」ビシッ

 

 

メグ「マヤちゃん、ここあちゃんのためにわざわざ青山さんにシストの地図をお願いしに行ってたんだよ」

 

 

チノ「マヤさん……」

 

 

マヤ「メグ!それはチノとここあには秘密にするって約束だろ!?//」

 

 

ユラ「じゃあねリゼ、ここあちゃん、また招集がかかるの待ってるよ~」

 

 

ここあ「みんなありがとう!ちのちゃん、ばいばい!」

 

 

チノ「ここあさん、また明日」フリフリ

 

 

 

ガチャッ バタン

 

 

 

ここあ「りーぜちゃん♪」ギュッ

 

 

リゼ「楽しかったか?」

 

 

ここあ「うん!おもちもおいしかった!」

 

 

リゼ「そうか、さすがに今日はお腹いっぱいだな」

 

 

ここあ「ばんごはんいらないってめいどさんにいってくるね」タタタ

 

 

ここあ「りぜちゃんはさきにおへやにもどってて」

 

 

リゼ「あっ、ここあ……」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

 

 

――天々座家 リゼの部屋――

 

 

 

リゼ「…………ふぅ」スッ

 

 

リゼ(あとは風呂に入るだけか)

 

 

リゼ(親父のやつ、今夜はラビットハウスで過ごすつもりかな)

 

 

リゼ「まったく、新年初日目から飲んだくれとは……」

 

 

リゼ「……………………」

 

 

リゼ「……」クスッ

 

 

リゼ「……幸せ、だな」

 

 

リゼ「…………」ウツラウツラ

 

 

リゼ「……スゥ」

 

 

リゼ「………………」Zzz

 

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

 

タカヒロ「……帰らなくていいのか?」

 

 

リゼ父「当たり前だ、タダ酒なんだから飲めるだけ飲んで帰ってやる」

 

 

タカヒロ「別にいいが、酔いつぶれる前に連絡くらい入れないとリゼくんが心配するぞ」

 

 

リゼ父「大丈夫だ、リゼには小さいのが付いてる」

 

 

リゼ父「お前の娘も、他の奴らもな」

 

 

タカヒロ「フッ……そうだな」

 

 

リゼ父「………………」

 

 

リゼ父「タカヒロ」

 

 

タカヒロ「んっ?」

 

 

リゼ父「また笑えるようになって、良かったな」

 

 

タカヒロ「……ああ」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

使用人「………………」

 

 

トントン

 

 

使用人「んっ、どうぞ」

 

 

メイド「」ガチャッ

 

 

使用人「どうされましたか?」

 

 

メイド「」コトッ

 

 

使用人「雑煮……お嬢たちがついたお餅の残りですかい?」

 

 

メイド「」コクリ

 

 

使用人「なるほど……ありがたく頂きましょう」

 

 

メイド「」ストン

 

 

 

使用人「――んっ?」

 

 

使用人「――ええ、甘いもの、食べられるようになったんです」

 

 

使用人「お嬢のお友達のおかげで」

 

 

メイド「」クスッ

 

 

使用人「……………………」

 

 

 

――――――

 

――――

 

――

 

 

 

人生の99%が不幸だとしても。

 

 

最期の1%が幸せならば。

 

 

その人の人生は。

 

 

幸せなものに変わる。

 

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

 

リゼ「…………ん?」パチッ

 

 

リゼ(少し寝てしまったか……)

 

 

リゼ「あれ……この毛布……」

 

 

ここあ「すぅ……すぅ…………」Zzz

 

 

リゼ「……ここあ」

 

 

ここあ「んっ……」Zzz

 

 

リゼ「………………」

 

 

リゼ「ありがとう……」ナデナデ

 

 

ここあ「ぇへへ……」Zzz

 

 

リゼ「…………」

 

 

 

リゼ(もう一回、寝てもいいよな……)

 

 

 

リゼ(布団よりもずっと、ずっと……温かい)

 

 

 

リゼ「………………」ギュッ

 

 

ここあ「……りぜちゃん」Zzz

 

 

リゼ「………………」Zzz

 

ーーーーーーーーーーー

 

あとがき

 

お久しぶりです、藺草影志です。

5ヶ月も待たせてしまいすいませんでした。

色々忙しかったりとなかなか続きが書くことが出来ず

時間が経ちました、本当にすいません。

……と言いつつ、気になった方もお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、連載中のspirit Vですが、未完となります。

理由は……ここでは言わない事にします。

 

2019.7.26

藺草影志

ーーーーーーーーーーーー

end.



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#2.Secret wedding

――ドレスルーム――

 

 

 

リゼ「………………//」

 

 

千夜「リゼちゃん、もう少しだから我慢してね」キュッ

 

 

リゼ「……千夜、やっぱりわたし」

 

 

千夜「動いちゃダメ」ピタッ

 

 

リゼ「うっ……」

 

 

千夜「大丈夫、似合ってるわ」ニコッ

 

 

リゼ「……っ//」

 

 

千夜「心配ないからもっと自信を持って」

 

 

千夜「――はい、完成」ポンッ

 

 

リゼ「!」

 

 

千夜「今年は楽しくなりそうね」

 

 

リゼ「うぅ~千夜、やっぱりわたしには無理だ!//」

 

 

千夜「でももう内緒で用意しちゃったもの」

 

 

リゼ「ならせめて普通の格好で……//」

 

 

千夜「ここあちゃんやみんなが待ってるわ、行きましょう」

 

 

リゼ「千夜ぁ……//」

 

 

千夜「おうちの中だけだから大丈夫、ほら早く」

 

 

 

リゼ「こんなの聞いてないぞ~っ!!//」

 

 

千夜「だってサプライズだもの」クスッ

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

――2月14日 PM7:14 天々座家 大広間――

 

 

 

リゼ「赤絨毯まで引いて……これだと本物の……//」

 

 

千夜「リゼお嬢様、どうぞ」

 

 

リゼ「…………っ//」

 

 

 

――ギイィ

 

 

 

マヤ「あっ、リゼが来た!」

 

 

メグ「わぁ……!綺麗~」

 

 

チノ「リゼさん、ようこそ」

 

 

シャロ「ドレス姿のリゼ先輩……//」

 

 

リゼ「み、見るな!//」

 

 

ユラ「リゼ~」

 

 

リゼ「?」

 

 

ユラ「ふふ~」パシャッ

 

 

リゼ「ユラぁ!!//」

 

 

ユラ「待ち受け画面にしとこ~っと」

 

 

リゼ「すぐに消せ~っ!//」チャキ

 

 

使用人「お嬢、これは預かります」ヒョイ

 

 

リゼ「あっ、こら!」

 

 

千夜「ここまできたらもう観念しましょう、ねっ?」

 

 

リゼ「くっ……//」プシュ~

 

 

メイド「」ニコニコ

 

 

ここあ「りぜちゃんきた~?」

 

 

シャロ「もう来てるわよ」

 

 

リゼ「!」

 

 

ここあ「あっ……」

 

 

リゼ「こ、ここあ……」

 

 

ここあ「………………」

 

 

リゼ「うっ……すまない、こんな格好で……」

 

 

リゼ「似合わないよな……ごめん……」

 

 

ここあ「……かわいい」

 

 

リゼ「えっ?」

 

 

ここあ「かわいいよ!りぜちゃん!」ピョン

 

 

リゼ「か、かわいい……?//」

 

 

ここあ「えへへ//」ギュッ

 

 

リゼ「ここあ……?//」

 

 

ここあ「おひめさまみたい。りぜちゃん、きれい//」

 

 

リゼ「えあ……ぅ……//」

 

 

ユラ「良かったね~リゼ~」ムフー

 

 

千夜「ねっ?心配ないって言ったでしょう?」

 

 

シャロ「でもリゼ先輩、ほんとに綺麗ですっ//」

 

 

メグ「リゼさんてツインテール以外も似合うね~羨ましいなぁ」

 

 

マヤ「リゼ~赤くなってない~?」

 

 

リゼ「っ~~!い、一列に並べ!お前ら~!//」

 

 

リゼ父「おい、酒が足りないぞ」

 

 

タカヒロ「ウチのストックはこれで全部だ」

 

 

使用人「あの、お嬢たちは未成年ですので酒はほどほどに……」

 

 

 

ここあ「りぜちゃん、おたんじょうびおめでとう//」ニコッ

 

 

ユラ「いえーい」パチパチ

 

 

チノ「リゼさん、おめでとうございます」

 

 

マヤ「プレゼントも用意してるよ」

 

 

シャロ「リゼ先輩、これからもここあのことよろしくお願いします」

 

 

メグ「リゼさんの席はあそこだよ~」

 

 

リゼ「まぁ、お前たちは分かるとして……//」

 

 

リゼ「どうして使用人やメイドたちまで全員いるんだ!?」

 

 

使用人B「……?」

 

 

使用人C「そりゃあ……」

 

 

使用人「お嬢のお誕生日のお祝いだからです」

 

 

メイド「」コクリ

 

 

リゼ「こんなに大げさにしなくていいっ!//」

 

 

リゼ父「もう終わったか?始めてもいいのか?」

 

 

リゼ「親父は宴をひらきたいだけだろ!?」

 

 

リゼ父「それじゃあリゼの誕生日パーティーを始める。無礼講だ、好きなだけ食べて飲んで騒げ」

 

 

オオーッ!! パチパチパチパチ

 

 

ユラ「リゼのお父さんらしいね~」

 

 

リゼ「みんな、すまない……//」

 

 

マヤ「いいじゃん、かた苦しく無くていいよ」モグモグ

 

 

メグ「マヤちゃんもう食べてる」

 

 

千夜「チノちゃんの時もだけど、こういうのって楽しいわね」

 

 

シャロ「翌日からの節制が大変だけど……」

 

 

千夜「そうなの?」キョトン

 

 

シャロ「太らないあんたには分からないの!」

 

 

チノ「ここあさん、何から食べますか?」

 

 

ここあ「からあげ!あとふらいどちきんも!」

 

 

チノ「鶏肉ばかりですね」

 

 

ユラ「リゼのお父さん、その樽酒いくつ割るの~?」

 

 

リゼ父「もちろん全部だ」

 

 

タカヒロ「本当の宴会にするつもりか」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

メグ「ローストビーフの早食い対決、勝者マヤちゃーん!」

 

 

使用人D「早い……!」

 

 

マヤ「さぁ、ひゅぎはだえだ!」モグモグ

 

 

 

シャロ「今月はきびしぃれすし、もうやってられませんよ~//」ヒック

 

 

千夜「あらあら、カフェインを摂取しちゃったのね」

 

 

チノ(お酒を飲まずとも酔いつぶれてます……)

 

 

 

使用人「やりますね……ヒック……//」

 

 

メイド「」ゴクゴク

 

 

 

タカヒロ「これは何度だ?」

 

 

リゼ父「25度だ……リタイアか?」

 

 

タカヒロ「ふっ……」ゴクゴク

 

 

 

ティッピー「チノや~ここはどこじゃ~//」

 

 

チノ「ティッピー!?お酒飲ませたの誰ですか!?」

 

 

ユラ「お酒ってジュースと混ぜたら分からないのかな~?」←犯人

 

 

 

ここあ「りぜちゃん、はいあーん♪」

 

 

リゼ「あーん//」ニヘラ

 

 

 

 

――――――

 

――――

 

――

 

 

 

メグ「ジュースの一気飲み、勝者マヤちゃーん……//」ヒック

 

 

マヤ「なんだかさっきから頭がフラフラするんだけど、気のせいかな……//」ポワポワ

 

 

 

使用人「Zzz…………//」ガァー

 

 

メイド「」テッテレー←飲み比べ勝者

 

 

 

タカヒロ「………………」Zzz

 

 

リゼ父「やっとくたばったか……ヒック……//」

 

 

 

チノ「うぅ……ユラお姉ちゃん……//」グスッ

 

 

ユラ「よしよし、大丈夫だよ~//」

 

 

ティッピー「Zzz……//」チーン

 

 

 

シャロ「ちやぁ……うぃ~……//」

 

 

千夜「ふぅ、なんだか熱いわ……//」パタパタ

 

 

 

ここあ「りぜちゃんがえらんだの、このかーどでしょ」

 

 

リゼ「正解だ、ここあは手品もできるんだな」

 

 

ここあ「ゆうしゃさんにおしえてもらったの」エッヘン

 

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

 

――PM9:02――

 

 

 

マヤ「…………//」Zzz

 

 

メグ「すぅ…………//」Zzz

 

 

リゼ「……………………」

 

 

千夜シャロ「…………//」Zzz

 

 

ここあ「ちのちゃん、おきてー」

 

 

チノ「んっ……おねえちゃん……//」Zzz

 

 

ユラ「りぜ~……わたしがついてるよ~……//」Zzz

 

 

タカヒロ「…………」Zzz

 

 

リゼ父「グゥ…………//」Zzz

 

 

使用人「…………//」Zzz

 

 

リゼ「全滅じゃないか!?」

 

 

ここあ「みんなねちゃったの?」

 

 

リゼ「どうしてお酒なんか飲んだんだ?」

 

 

リゼ(ここあとイチャイチャしてたせいで全く気付かなかった……)

 

 

ここあ「おふとんもってくるね」

 

 

リゼ「いや、先に余っている料理をダイニングまで持っていこう」

 

 

ここあ「いえっさー!」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

――PM9:53――

 

 

 

リゼ「ふぅ……なんとか片付いたな」

 

 

ここあ「………………」

 

 

リゼ「疲れたか?」

 

 

ここあ「へいきだよ」

 

 

リゼ「こんな誕生日会でごめんな」ナデナデ

 

 

ここあ「ううん、りぜちゃんのおたんじょうびかいだもん」

 

 

ここあ「りぜちゃん……たのしかった?」

 

 

リゼ「ああ、みんなのおかげでな」

 

 

ここあ「そっか……よかった♪」

 

 

リゼ「………………」

 

 

ここあ「…………」モジモジ

 

 

リゼ「――ここあ」スッ

 

 

ここあ「!」

 

 

リゼ「なにか他に用意してくれてたのか?」

 

 

ここあ「うん……」

 

 

ここあ「……あのね」

 

 

ここあ「みんなと、するつもりだったの」

 

 

ここあ「このまえ、りぜちゃんがいってくれたこと……」

 

 

リゼ「なんのことだ?」

 

 

ここあ「わたしとけっこんしてくれるって」

 

 

リゼ「ブッ!!//」

 

 

ここあ「りぜちゃん、だいじょうぶ!?」

 

 

リゼ「げほっ!ごほっ!あ、ああ……//」

 

 

ここあ「だから、さぷらいずでけっこんしきしようねってちやちゃんが」

 

 

リゼ(だからドレス衣装に……あの赤い絨毯もそういうことか!)

 

 

ここあ「でも、みんなねちゃったから……ごめんね、りぜちゃん?」

 

 

リゼ「いいんだぞ、結婚なんてしなくてもわたしとここあはずっと一緒だ」ヒョイ

 

 

ここあ「けっこんってゆびわをはめるんでしょ?」

 

 

リゼ「そうだな、それで永遠を誓うらしい」

 

 

ここあ「――あっ!」

 

 

ここあ「んっ……」ガサゴソ

 

 

リゼ「?」

 

 

ここあ「りぜちゃん、これなめて」

 

 

リゼ「パインアメ?」

 

 

ここあ「このまんなかのあなが、ゆびにはまるまで」

 

 

リゼ「……!」

 

 

リゼ「なるほど……そういうことか」

 

 

リゼ「少し待ってくれよ」パクッ

 

 

 

 

リゼ「んっ……」

 

 

ここあ「ゆび、はいる?」

 

 

リゼ「ギリギリ先だけだな。でもほら、ゆびわだ」

 

 

ここあ「ぁ……!」パアァ

 

 

リゼ「ありがとうここあ。お風呂に入るまではめておくよ」

 

 

ここあ「ううん、だめ」

 

 

リゼ「えっ?」

 

 

ここあ「こうするの……――んっ」パクッ

 

 

リゼ「!」

 

 

ここあ「えへへ……//」ニコッ

 

 

ここあ「りぜちゃんのゆびわをたべたから、これでずっといっしょだよ//」

 

 

リゼ「ここあ……//」

 

 

ここあ「ん……りぜちゃん……//」ギュッ

 

 

 

メイド「」パチパチパチ

 

 

リゼ「!?」ビクッ

 

 

ここあ「めいどさん、おきてたの?」

 

 

メイド「」コクリ

 

 

リゼ「お、起きてるなら起きてると早く言え!//」

 

 

メイド「」スッ

 

 

ここあ「さらんらっぷ?」

 

 

リゼ「もしかして、ダイニングに運んだ料理を片付けてくれてたのか?」

 

 

メイド「」グッ

 

 

ここあ「めいどさんねむってなかったんだね。ゆうしゃさんもねちゃったのにすごい!」

 

 

メイド「」ニコッ

 

 

リゼ「すまなかったな……とりあえずもう遅いし、今夜はみんなでここで雑魚寝するか」

 

 

リゼ「千夜のおばあちゃんと、マヤとメグの家族には連絡しておかないとな」

 

 

リゼ「連絡先分かるか?」

 

 

メイド「」コクリ

 

 

ここあ「おふとんもある?」

 

 

メイド「」ビシッ

 

 

リゼ「もう用意してあるのか、早いな」

 

 

ここあ「みんなにかけてあげよう」

 

 

メイド「」フルフル

 

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

 

メイド「」スッ

 

 

リゼ「着替え……お風呂か?」

 

 

メイド「」コクリ

 

 

リゼ「でも、お前ひとりじゃ……」

 

 

メイド「」ガシッ

 

 

リゼ「?」

 

 

ここあ「わたしにまかせなさーいだよ!ねっ?」

 

 

メイド「」ネッ

 

 

リゼ「そうか……それじゃあよろしく頼む」

 

 

ここあ「めいどさん、ありがとう」

 

 

メイド「」フリフリ

 

 

 

ガチャッ バタン

 

 

 

メイド「」ササッ

 

 

メイド「」スッ

 

 

使用人「んっ…………?」

 

 

メイド「!」

 

 

メイド「…………」ナデナデ

 

 

使用人「…………ん」Zzz

 

 

メイド「…………」

 

 

メイド「」ホッ

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

リゼ「ふぅ……肩がこった」

 

 

ここあ「りぜちゃん、『おひめさま』すごくにあってたよ」

 

 

リゼ「ありがとう、でもやっぱりわたしのガラじゃないな」

 

 

ここあ「あのね……」クイッ

 

 

リゼ「?」

 

 

ここあ「おひめさまなりぜちゃんもかわいいけど……でも、いつものりぜちゃんはもっとかわいいよ」ニコッ

 

 

リゼ「!」

 

 

ここあ「りぜちゃん……おたんじょうび、おめでとう//」

 

 

リゼ「……ああ」ヒョイ

 

 

ここあ「りぜちゃん……?」

 

 

リゼ「また来年も、一緒にお祝いしてくれるか?」

 

 

ここあ「うん!」

 

 

リゼ「約束だぞ……」ギュッ

 

 

ここあ「だって、りぜちゃんとけっこんしたもん//」

 

 

リゼ「……っ」グスッ

 

 

ここあ「どうしたの?」

 

 

リゼ「ううん、なんでもない……」グシグシ

 

 

リゼ「――お風呂、入ろうか」

 

 

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

――消灯 大広間――

 

 

 

ここあ「………………」Zzz

 

 

リゼ「…………」ナデナデ

 

 

 

??「――リーゼ」ギュッ

 

 

 

リゼ「!」

 

 

ユラ「ここあちゃん寝ちゃった?」

 

 

リゼ「ユラ……起きたのか」

 

 

ユラ「お誕生日おめでとう、これからもたくさん幸せになるんだよ~」

 

 

リゼ「ありがとう。……でも、もういいんだ」

 

 

ユラ「?」

 

 

リゼ「今のままで充分幸せ過ぎるから……あとは、これを失いたくない」

 

 

リゼ「今の幸せを……ここあを失うくらいなら、わたしは……」

 

 

ユラ「…………リゼ」

 

 

??「そんなこと言っちゃダメ」ギュッ

 

 

リゼ「!」

 

 

千夜「ネガティブに考えるのはやめましょう」

 

 

リゼ「千夜……」

 

 

千夜「失ってからを考えるんじゃなくて、幸せな今をどれだけ大切にするかだと思うわ」

 

 

千夜「だからそんな悲しいこと言わないで、リゼちゃん」

 

 

千夜「みんな、リゼちゃんの味方よ」

 

 

リゼ「…………」グスッ

 

 

ユラ「リゼ~泣かないで~」ナデナデ

 

 

リゼ「泣いてない……」ジワッ

 

 

ユラ「シャロちゃんもチノちゃんも、こっちに来て慰めてあげてよ~」

 

 

シャロ「っ!?」ビクッ

 

 

チノ「ど、どうして起きてるのが……」

 

 

ユラ「ん~、気配?」

 

 

千夜「みんなでギュってしながら寝ましょう」

 

 

 

シャロ「リゼ先輩、大丈夫ですか?」アセアセ

 

 

チノ「ここあさんはずっとリゼさんのそばにいてくれます、大丈夫です」

 

 

リゼ「シャロ……チノ……」

 

 

ここあ「んっ……りぜちゃん……」Zzz

 

 

リゼ「!」

 

 

ここあ「すき……」ギュッ

 

 

ここあ「…………すぅ」Zzz

 

 

ユラ「…………」クスッ

 

 

ユラ「リゼ~好きだよ~」ギュッ

 

 

千夜「わたしもリゼちゃんだーいすき♪」ギュッ

 

 

シャロ「はわわ……わ、わたしもです!//」

 

 

チノ「わたしも……あぅ……//」

 

 

リゼ「みんな…………」

 

 

リゼ「…………」グスッ

 

 

 

リゼ「――ああ……//」ジワッ

 

 

 

リゼ「――わたしも、だいすきだぞ//」ポロポロ

 

 

 

リゼ「っ……グスッ、ぇぅ……//」ポロポロ

 

 

 

リゼ父「…………」

 

 

タカヒロ「良かったな……」

 

 

リゼ父「ああ――早く寝るぞ」

 

 

タカヒロ「……」フッ

 

 

 

――おしまい?

 

 

 

 

※リゼちゃんの誕生日パーティーが開かれるまで

 

 

 

――『ここチノ』 天々座家のダイニングでチョコ作り――

 

 

 

チノ「まずはバレンタインチョコと、リゼさんへのお誕生日チョコレートを作ってから、終わり次第わたしたちも料理の方に移ります」

 

 

ここあ「」ドキドキ

 

 

チノ「パーティー開始までずっと料理ですよ、準備はいいですか?」

 

 

ここあ「いえっさー!」

 

 

チノ「では、以前と同じ手順でみんなの分のチョコレートを作りましょう」

 

 

ここあ「ちのちゃん、よろしくおねがいします」ペコリ

 

 

チノ「……ここあさん」

 

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

 

チノ「あの……チョコレート作り、大丈夫ですか?」

 

 

ここあ「?」

 

 

チノ「えと……」アセアセ

 

 

タカヒロ「心配ないよ、チノ。ここあくんは過去の不幸を引きずるような子じゃない」ポンッ

 

 

チノ「お父さん……」

 

 

ここあ「ちょこれーと……――あ……」

 

 

チノ「!ご、ごめんなさいここあさん、掘り返すつもりでは無くて……あぅ……」

 

 

ここあ「ちのちゃん……」

 

 

 

――テ ギュッ

 

 

 

チノ「……!」

 

 

ここあ「だいじょうぶ」

 

 

ここあ「こんどこそ、みんなに『はーと』のちょこをわたすの」ニコッ

 

 

チノ「ここあさん……」

 

 

タカヒロ「二人のおいしいチョコ、楽しみにしているよ」

 

 

ここあ「わたしにまかせなさーい!」

 

 

チノ「……」クスッ

 

 

ここあ「ちのちゃんもして?」

 

 

チノ「えっ!」

 

 

ここあ「いつもふたりでするよね」

 

 

チノ「あれは二人きりの時だからで……父の前では、その……//」

 

 

ここあ「?」

 

 

チノ「うっ……//」

 

 

チノ「お、おねえちゃんに、まかせてください!//」ガシッ

 

 

ここあ「!」パアァ

 

 

タカヒロ「フッ……」

 

 

 

タカヒロ「…………」ザクザクザク←料理担当

 

 

タカヒロ「いい頃合いだね」ジュー

 

 

タカヒロ「……」パッパッ

 

 

タカヒロ「ミディアムならこれくらいだろう」

 

 

 

 

――『千夜ユラ』 ドレスルームで衣装選び――

 

 

 

ユラ「どう~?」

 

 

千夜「良いと思います、でもリゼちゃんにはどうでしょうか?」

 

 

ユラ「ん~リゼが着るならもう少しティアドロップが似合いそうなドレスがいいかな~」

 

 

千夜「ならこっちはどうです?」

 

 

ユラ「いいかもね~着てみよっか~」シュル

 

 

千夜「すいません、シャロちゃんにモデルをお願いするつもりだったんですけど断られてしまって」

 

 

ユラ「ふふ~それはシャロちゃんが正解だよ~」

 

 

千夜「えっ?」

 

 

ユラ「千夜ちゃんって察しが良くて気遣いもできるのに、変なところで鈍感だよね~」ムフー

 

 

千夜「?」

 

 

 

 

――『シャロ』 サプライズまでの時間稼ぎ――

 

 

 

シャロ(ここあに贈るためのバレンタインチョコを私の家で作って……6時になったらリゼ先輩の家に――)

 

 

リゼ「シャロ」

 

 

シャロ「うぇ!?は、はい」

 

 

リゼ「やっぱりココアパウダーをふんだんに作ったほうがいいかな?」

 

 

シャロ「リゼ先輩の手作りならどんなものでも喜んでくれると思いますけど」

 

 

リゼ「迷うなぁ……そうだ、いっそのこと全部作るか!」

 

 

シャロ「全部!?」

 

 

リゼ「ホワイトチョコにミルクチョコ、ビターは苦いからやめておくか。あとイチゴにバナナ味も」ガコッガコッ

 

 

シャロ「さすがに多すぎです!溶かすのも大変ですし……!」アセアセ

 

 

リゼ「ここあ~わたしがおいしいチョコを作ってやるからな~ふへへ//」ニヘラ

 

 

シャロ(あっ、何言ってもダメなやつだこれ)

 

 

 

 

――『マヤメグ』 誕生日プレゼントを買いに――

 

 

 

マヤ「リゼへの誕プレだから、やっぱりミリタリー?」

 

 

メグ「でもああいうのってどこに売ってるんだろう?」

 

 

 

――ヒョコ

 

 

 

マヤ「んっ?」

 

 

メグ「あれは、ウサギのぬいぐるみ?」

 

 

 

――ヒョイヒョイ

 

 

 

マヤ「?」タタタ

 

 

メグ「あっ、待ってマヤちゃん」

 

 

 

マヤ「……?」キョロキョロ

 

 

 

――ヒョイヒョイ

 

 

 

マヤ「いたぞ!そこかぁ!」タタタ

 

 

 

マヤ「」バッ!

 

 

マヤ「……?だれもいない……?」

 

 

マヤ「――あっ!」

 

 

 

メグ「マヤちゃん、待って~」

 

 

マヤ「メグ、あったよ!ミリタリー専門店!」

 

 

メグ「本当!?」

 

 

マヤ「ほら、ここだ」

 

 

メグ「わぁ~やったね!」

 

 

マヤ「確かリゼがまだ持ってないのはAKS74Uていうアサルトライフルで」

 

 

メグ「マヤちゃん詳しいね」

 

 

マヤ「この前リゼと話したときに言ってた」

 

 

ガヤガヤ ワイワイ

 

 

 

メイド「」ノゾキミ

 

 

メイド「…………」ヒョイヒョイ

 

 

メイド「」ニコッ

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

使用人「おかえりなさい」

 

 

メイド「」ペコリ

 

 

使用人「上手く誘導できましたか?」

 

 

メイド「」グッ

 

 

使用人「自分たちの力で見つけたほうが嬉しいですからね」

 

 

メイド「」コクコク

 

 

使用人「さて、我々も料理の方を手伝いましょうか」

 

 

メイド「」フンス

----------

next.



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#3.Les gens dans la maison

――天々座家 PM4:34――

 

 

 

使用人「では、今日の夕飯も我々にお任せということでよろしいですね」

 

 

リゼ父「ああ、頼む」バサッ

 

 

使用人「承知しました、では……」

 

 

リゼ父「待て」

 

 

使用人「?」

 

 

リゼ父「にんじんとトマトはなるべく控えめにな」

 

 

使用人「…………」

 

 

リゼ父「リゼには内緒にしててくれ」バサッ

 

 

使用人「フッ……」

 

 

使用人「小さいお嬢が苦手ですもんね」

 

 

リゼ父「…………」

 

 

使用人「好き嫌いは良くないですが、お気持ちは分かります」

 

 

リゼ父「好きなものを好きなだけ食べてほしいんだ」

 

 

使用人「それはお嬢も一緒ですよ、本心ではきっと」

 

 

リゼ父「分かってる」

 

 

使用人「小さいお嬢、喜びます。では」ペコリ

 

 

 

ガチャッ バタン

 

 

リゼ父「…………//」

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

――リゼの部屋――

 

 

 

使用人「」トントン

 

 

使用人「…………?」

 

 

使用人「失礼します」ガチャッ

 

 

 

ここあ「えいっ!」

 

 

メイド「」ガクッ

 

 

ここあ「これでとどめだよ!フルムーンレクト!」ビュッ

 

 

メイド「」バタリ

 

 

ここあ「やった~!かったぁ♪」

 

 

使用人「あの……」

 

 

ここあ「あっ、ゆうしゃさん。どうしたの?」

 

 

使用人「お取込み中すいません。今から夕飯の買い出しですけど、ご一緒されますか?」

 

 

ここあ「ばんごはんのおかいもの?もうそんなじかん?」

 

 

使用人「短い針が4、長い針が37ですね」

 

 

ここあ「……んーん、きょうはおるすばんしとくね」

 

 

使用人「承知しました」

 

 

ここあ「もうちょっとでりぜちゃんかえってくるから、げんかんでまつの」

 

 

使用人「なるほど、お嬢も喜びます。ではあっしはこれで」

 

 

メイド「」ヒョコ

 

 

使用人「あっ、いいですよ。小さいお嬢と遊んであげててください」

 

 

ここあ「りぜちゃんもうすぐだからへいきだよ。めいどさん、ゆうしゃさんについていってあげて?」

 

 

メイド「」グッ

 

 

ここあ「いってらっしゃい!」

 

 

使用人「行って参ります」

 

 

メイド「」フリフリ

 

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

使用人「小さいお嬢とチャンバラごっこでも?」

 

 

メイド「」フルフル

 

 

使用人「えっ?違うんですかい?」

 

 

使用人「――RPGごっこ?同じようなものでは……」

 

 

メイド「」フルフル

 

 

使用人「小さいお嬢は魔法使いで、あなたが悪党ですか」

 

 

メイド「」コクコク

 

 

使用人「さっきのは和解した設定?いや……しかし、やられて倒れてましたよね」

 

 

使用人「――戦意を失っただけですかい……」

 

 

メイド「」フンス

 

 

使用人「あっしはてっきりトドメというから退治されたのかと」

 

 

メイド「」フルフル

 

 

使用人「――なるほど、小さいお嬢の魔法使いは相手を攻撃せずに戦意を消失させて沈めるわけですか」

 

 

使用人「優しい設定ですね、あの子らしい」

 

 

メイド「」コクリ

 

 

使用人「って、何の話ですこれ」ハハッ

 

 

メイド「」ニコッ

 

 

 

 

 

使用人「あの」

 

 

メイド「?」

 

 

使用人「いつも思っていたんですが、買い出しの時もみんなメイド服のまま外に行ってますけど……いいんですかい?」

 

 

メイド「……?」キョトン

 

 

使用人「いや、屋敷の外だと注目を浴びるのではと思いまして」

 

 

メイド「」カクカクシカジカ

 

 

使用人「我々は冬場はスーツですし、そこまで目立つことは」

 

 

使用人「時折り暴力団お断りの張り紙を突きつけられたりもしますが……ははっ……」

 

 

メイド「」ポンポンッ

 

 

使用人「ありがとうございます、慣れてますから平気ですよ」

 

 

使用人「メイド服を気にされないなら結構ですが、くれぐれも変な輩には気を付けてくださいね。まぁウチのメイドに限ってその辺の心配はありませんが……」

 

 

メイド「」ドヤッ

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

使用人「ええ、ここの栗羊羹おいしいですよね」

 

 

メイド「」コクコク

 

 

使用人「――んっ?」

 

 

使用人「――ああ……いえ、甘いものが嫌いってわけでは無かったんです」

 

 

使用人「ただ、食べられなくなっていたと言いますか……」

 

 

メイド「…………」

 

 

使用人「お嬢のご友人がくださった栗羊羹のおかげです、感謝しないと……」

 

 

メイド「」ニコニコ

 

 

使用人「あ……ただ純粋に感謝の気持ちですよ?」

 

 

使用人「お嬢が冗談でいつも良からぬことをおっしゃってますが、あれはただからかっているだけで」アセアセ

 

 

メイド「!」エッ

 

 

使用人「いや、本気にしないでくだせぇ!?」

 

 

――ガラッ

 

 

メイド「?」

 

 

使用人「!」

 

 

千夜「あらメイドさん、使用人さん、こんにちは」

 

 

メイド「」ペコリ

 

 

使用人「あっ……どうも」ペコリ

 

 

千夜「使用人さんに似た声が聴こえたので、もしかしたらと思いまして」

 

 

使用人「すいません、店の前で大声出してしまって」

 

 

千夜「お客さん誰もいないから大丈夫ですよ。良かったら寄って行かれます?実は新メニューを開発したんです」

 

 

使用人「すいません、お誘いにあやかりたいのは山々なのですが、今からかいだ――」

 

 

メイド「」トンッ

 

 

使用人「っと……」

 

 

メイド「」グッ

 

 

使用人「へ?」

 

 

メイド「」タタタ

 

 

使用人「ちょっと、待ってくだせぇ……!」

 

 

千夜「メイドさん、使用人さんお借りしていいんですか?」

 

 

メイド「」ニコッ

 

 

千夜「くすっ、ありがとうございます。では一名様ご案内です♪」スッ

 

 

使用人「あ……//」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

――買い物終了――

 

 

 

『ごぼう・だいこん・豚肉・油揚げ・マイタケ』

 

 

メイド「………………」メモ

 

 

メイド「」ポク…ポク…

 

 

メイド「――!」

 

 

『豚汁』

 

 

メイド「」グッ

 

 

 

――横断歩道 赤信号

 

 

メイド「………………」

 

 

――公園

 

 

メイド「」コクリ

 

 

メイド「」タタタ

 

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

――公園――

 

 

 

メイド「♪~♪♪」

 

 

オイテメェコラ!

 

 

メイド「!」

 

 

DQN1「なんだよカス!おいっ!」

 

 

一般人「だって落ちてた財布を拾って……それ、あの人のですよ」

 

 

DQN2「言いがかり付けんなよ!こらっ!」

 

 

女性「あの、もう結構ですから……」ビクビク

 

 

DQN3「この人も違うつってるだろうが、ふざけんなよてめぇ!」

 

 

ガヤガヤ……ザワザワ……

 

 

メイド「…………」

 

 

 

DQN1「お前、喧嘩売ってきたってことでいいな?」グイッ

 

 

一般人「!」

 

 

女性「警察……!」ピッ

 

 

DQN2「余計なことするな」バシッ

 

 

女性「あっ……」

 

 

DQN3「裏通りに連れてこうぜ」

 

 

一般人「あっ……」ガクガク

 

 

 

――スッ

 

 

メイド「」ザッ

 

 

 

女性「!」

 

 

DQN1「あっ?」

 

 

DQN2「なにこいつ?コスプレイヤーか?」

 

 

DGN3「おい、アニメの見過ぎかお前?」

 

 

メイド「」バシッ!

 

 

DQN1「いてっ!」

 

 

メイド「」ドンッ!

 

 

一般人「わっ……!」

 

 

女性「メイドさん……!?」

 

 

メイド「」スッ ダイコン

 

 

DQN2「やろうっ!!」ブンッ

 

 

メイド「」ヒュッ

 

 

メイド「!」バゴッ!

 

 

DQN2「がっ!」

 

 

DQN3「おらぁ!」キック

 

 

メイド「」バシッ!

 

 

DQN3「!?」

 

 

メイド「」スッ ゴボウ

 

 

メイド「!」ドガッ!バキッ!

 

 

DQN3「ぐぁああぁ゛……!」ジタバタ

 

 

DQN2「この……っ!!」ブンッ!

 

 

メイド「」スッ

 

 

メイド「!」ミドルキック!

 

 

DQN2「ぐぇっ!!」ゴロゴロ

 

 

DQN1「……!」

 

 

メイド「…………」パンッパンッ

 

 

DQN1「くそっ……こいつ!」シャキン

 

 

キャーッ!

 

 

一般人「誰か!警察を!」

 

 

女性「もしもし警察ですか?公園で刃物を持った男が……!」

 

 

メイド「…………」

 

 

DQN1「しね……!」

 

 

メイド「」スッ

 

 

 

――ガシッ

 

 

メイド「!」

 

 

 

使用人「またお前か……」

 

 

 

DQN1「え……――!」

 

 

使用人「俺の家族に2度と手を出すなと言わなかったか……?」グググ

 

 

DQN1「ぁあ゛……!」

 

 

使用人「っ!」ドゴッ!

 

 

DQN1「ガァッ!!!!!?」

 

 

 

DQN123「」チーン

 

 

使用人「ふぅ……」

 

 

使用人「遅くなってすいません、怪我はないですかい?」

 

 

メイド「」コクリ

 

 

使用人「良かった……」

 

 

メイド「」スッ

 

 

使用人「大根とごぼう、バラバラですね」

 

 

使用人「――いえ、このまま帰りましょう。あんまり遅いとお嬢たちが心配されます」

 

 

使用人「このまままっすぐ――俺たちの『家』に」

 

 

メイド「……」ニコッ

 

 

ザッザッ

 

 

 

一般人「…………」ポカーン

 

 

女性「あの、ありがとうございました」スッ

 

 

一般人「いえ……こちらこそごめんなさい」

 

 

女性「あの人たちは?知り合いですか?」

 

 

一般人「……」ブンブン

 

 

 

 

――

 

――――

 

――――――

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

使用人「ただいま戻りました」ガチャッ

 

 

ここあ「おかえりなさい!」タタタ

 

 

使用人「小さいお嬢、ただいまです」

 

 

メイド「」ペコリ

 

 

リゼ「ずいぶん遅かったじゃないか、なにかあったのか?」

 

 

使用人「いえ、特に何も……」

 

 

リゼ「本当か?」

 

 

使用人「うっ……」

 

 

メイド「」スッ

 

 

リゼ「写真?なんだ、甘兎庵に寄っていたのか」

 

 

使用人「!」

 

 

メイド「」コクコク

 

 

リゼ「素直にそう言えばいいのに、やっぱり千夜に対して何かあるんだな?」

 

 

ここあ「ゆうしゃさん、ちやちゃんのことすき?」

 

 

使用人「違いますって……!」

 

 

ワイワイ ガヤガヤ

 

 

 

メイド「」ニコニコ

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

――夕飯――

 

 

 

リゼ父「今日は豚肉の生姜焼きか」

 

 

ここあ「んっ……おいしいよ♪」

 

 

リゼ「ここあ、口の周りに付いてるぞ。ほら」フキフキ

 

 

使用人「お茶取ってもらえますか?」

 

 

使用人B「どうぞ」

 

 

メイド「」モグモグ

 

 

ここあ「めいどさん、ごはんがおわったらおひるのつづきしよっ?」

 

 

メイド「」グッ

 

 

リゼ「二人で遊んでたのか、なにしてたんだ?」

 

 

ここあ「RPGごっこだよ、りぜちゃんもしよ!」

 

 

リゼ「いいぞ、わたしがいる限りここあには指一本触れさせん」

 

 

ここあ「ゆうしゃさんもいっしょにしてくれる?」

 

 

使用人「フッ……承知しました」

 

 

リゼ父(俺は……俺は……?)ドキドキ

 

 

ここあ「おとうさんもいっしょに――」

 

 

リゼ父「よしっ!!」

 

 

メイド「!」

 

 

使用人「どうされたんですか!?」

 

 

リゼ「親父、びっくりするだろ!」

 

 

リゼ父「ああ、すまん……つい」

 

 

ここあ「?」

 

 

使用人「ははっ」

 

 

メイド「」ニコッ

 



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#4.The contradiction of cruelty and kindness

――休日 甘兎庵 AM8:04――

 

 

 

千夜「………………」

 

 

千夜「アンコ、今日は少し曇りね」

 

 

アンコ「」コクコク

 

 

千夜「お昼からいい天気になったりしないかしら」

 

 

アンコ「………………」

 

 

千夜「おいで~」

 

 

アンコ「………………」

 

 

千夜「ダメ?」

 

 

アンコ「」ピョンピョン

 

 

千夜「ありがとう」ギュッ

 

 

アンコ「」フムフム

 

 

千夜「…………」

 

 

千夜「………………」チラッ

 

 

千夜「頑張らないとね」

 

 

アンコ「…………」コクリ

 

 

 

――トントン

 

 

 

千夜「はーい」

 

 

チノ「あの……」ガラッ

 

 

 

千夜「あらチノちゃん、いらっしゃい」

 

 

チノ「おはようございます、千夜さん」

 

 

千夜「遊びに来てくれたの?いまお茶を入れるわね」

 

 

チノ「あっ、いえ、すぐに帰らないといけませんので」アセアセ

 

 

千夜「せっかく来てくれたのに何もおもてなししないなんて悲しいわ、少しだけ待ってて」

 

 

チノ「……ありがとうございます」

 

 

千夜「ううん」ニコッ

 

 

 

 

千夜「お待たせしました」コトッ

 

 

チノ「…………」

 

 

千夜「ココアちゃんは?」

 

 

チノ「まだ寝てます、恐らく11時ごろまで起きてこないかと」

 

 

千夜「ねぼすけさんね、ココアちゃんらしいわ」

 

 

チノ「…………」ズズッ

 

 

チノ「……」モグモグ

 

 

千夜「おいしい?」

 

 

チノ「はい、とっても」

 

 

千夜「そう、良かったわ」

 

 

チノ「………………」

 

 

千夜「リゼちゃんは今日はお休み?」

 

 

チノ「はい、甘兎庵に行くと言ってました」

 

 

千夜「来てくれるのね、楽しみ」

 

 

チノ「……シャロさんは?」

 

 

千夜「シャロちゃんならまだおうちで寝てると思うわ、今日はアルバイトが忙しいみたい」

 

 

チノ「そうですか」

 

 

千夜「………………」

 

 

チノ「……えっと」

 

 

千夜「ありがとうチノちゃん」ナデナデ

 

 

チノ「ぁ……」

 

 

千夜「そろそろ時間よね」

 

 

チノ「……はい」

 

 

千夜「またゆっくり来てね、待ってるわ」

 

 

チノ「……千夜さん」

 

 

チノ「………………っ」

 

 

 

――ガラッ

 

 

 

リゼ「あ……チノ」

 

 

チノ「リゼさん……」

 

 

千夜「リゼちゃん、おはよう」

 

 

リゼ「おはよう、千夜」

 

 

リゼ「…………」

 

 

チノ「リゼさん、その……」

 

 

リゼ「チノ、そろそろラビットハウスの時間だろう?」

 

 

チノ「は、はい……」

 

 

リゼ「帰らないと遅れるぞ」

 

 

チノ「……失礼します」

 

 

チノ「千夜さん、ではまた」

 

 

千夜「またね、チノちゃん」フリフリ

 

 

リゼ「………………」

 

 

 

ガラッ バタン

 

 

 

リゼ「…………」

 

 

千夜「お手伝いに来てくれたの?」

 

 

リゼ「違うよ、わたしはただのお客だ」

 

 

千夜「すぐに帰っちゃう?」

 

 

リゼ「いや、千夜さえよかったらずっといてもいいか?混んできたら奥に下がっておくから」

 

 

千夜「ほんと?嬉しい、ありがとうリゼちゃん」

 

 

リゼ「なにかあったら、頼れよ……?」

 

 

千夜「ううん、大丈夫」

 

 

リゼ「……そうだな」

 

 

千夜「倒れたりしたら助けてくれる?」

 

 

リゼ「当たり前だろう!!本当ならもっと……!」

 

 

千夜「!」

 

 

リゼ「あっ……いや、なんでもない。……ごめん」

 

 

千夜「…………」クスッ

 

 

千夜「リゼちゃんは優しいわね」

 

 

リゼ「優しくなんか、ない」

 

 

千夜「ううん、優しい」

 

 

千夜「……お客さんとして助けに来てくれるところとか」

 

 

リゼ「!」

 

 

千夜「今までたくさん損してきたでしょう?」

 

 

リゼ「…………っ」

 

 

千夜「冷たいなんて思ってないわ。むしろ……」

 

 

リゼ「やめろ、千夜」

 

 

千夜「…………」

 

 

リゼ「……買い被りだ」

 

 

千夜「…………」

 

 

リゼ「お前のこと、特別扱いなんてしてない」

 

 

千夜「……そう」

 

 

リゼ「………………」

 

 

千夜「…………雨、降りそうね」

 

 

リゼ「……おばあさんは?」

 

 

千夜「厨房にいるわ」

 

 

リゼ「そうか……」

 

 

千夜「おばあちゃんも、リゼちゃんと同じで優しいの」

 

 

リゼ「わたしは違う」

 

 

千夜「くすっ……そうね」

 

 

リゼ「………………」

 

 

千夜「面倒って思ってる?」

 

 

リゼ「そんなはずないだろう」

 

 

千夜「ほんとう?」

 

 

リゼ「ああ」

 

 

千夜「…………」ジッ

 

 

リゼ「…………」

 

 

千夜「……嘘つきね」

 

 

リゼ「嘘じゃない」

 

 

千夜「分かってる。だからね、やっぱり優しいわ」

 

 

リゼ「………………」

 

 

千夜「意地悪だった?」クスッ

 

 

リゼ「……千夜だって、わざと損ばかりしてるじゃないか」

 

 

リゼ「わたしなんかよりも、ずっと」

 

 

千夜「ただ性格が悪いだけだったりして」

 

 

リゼ「千夜っ!」

 

 

千夜「…………」

 

 

リゼ「冗談でもやめろ」

 

 

千夜「……ごめんなさい」

 

 

リゼ「わたしのほうこそすまない……怒鳴ってばかりだな」

 

 

リゼ「ちょっと外の空気を吸ってくるよ」ガラッ

 

 

リゼ「あ、三色団子貰えるか?すぐに戻ってくるから」

 

 

千夜「うん」

 

 

ガラッ バタン

 

 

千夜「…………」スッ

 

 

千夜「――!?」ガクッ

 

 

リゼ「どうした!?」ガラッ

 

 

千夜「あ……」

 

 

リゼ「千夜、大丈夫か!?」

 

 

千夜「少しふらついただけよ」

 

 

千夜「平気だから、ほら」

 

 

リゼ「………………」

 

 

千夜「いつもと同じ……ねっ?」

 

 

リゼ「……千夜」

 

 

千夜「心配いらないわ、リゼちゃんはゆっくりしてて」

 

 

リゼ「…………」

 

 

リゼ「……わかった」

 

 

リゼ「そうだよな……千夜は、大丈夫だもんな」

 

 

千夜「ええ、何も変わらないわ」

 

 

リゼ「……ああ」

 

 

千夜「リゼちゃん、そんな悲しい顔しないで」

 

 

リゼ「してない、わたしは普段通りだ」

 

 

千夜「クスッ……そうね」

 

 

リゼ「………………」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

千夜「雨、止まないわね……」

 

 

リゼ「結構降り出してきたな……この調子だと、たぶんラビットハウスもガラガラだ」

 

 

千夜「おばあちゃんはさっき出かけちゃったし」

 

 

リゼ「買い物だって言ってたな」

 

 

千夜「……二人きりね」

 

 

リゼ「そうだな」

 

 

千夜「座ってもいい?」

 

 

リゼ「当たり前だろう」

 

 

千夜「向かいじゃなくて、リゼちゃんの隣に」

 

 

リゼ「いいぞ、ほら」

 

 

千夜「…………」スッ

 

 

リゼ「千夜も何か食べるか?もちろんわたしの奢りだ」

 

 

千夜「ううん」

 

 

リゼ「お腹すいてないのか?」

 

 

千夜「………………」

 

 

リゼ「ならコーヒーでもどうだ?缶コーヒーだけど」

 

 

千夜「リゼちゃん、気を遣わないで」

 

 

リゼ「……気なんか遣ってない」

 

 

千夜「こうして会いに来てくれただけで充分」

 

 

リゼ「千夜に会いに来たわけじゃないぞ、何も理由が無い……」

 

 

千夜「……うん」

 

 

リゼ「………………」

 

 

千夜「………………」

 

 

 

千夜「……心配ないでしょう?」

 

 

 

リゼ「………………」

 

 

リゼ「……心配だよ」

 

 

千夜「えっ?」

 

 

リゼ「心配だ……でも、千夜がそういうなら……」

 

 

リゼ「……信じるしか、ないだろう」

 

 

千夜「……」

 

 

リゼ「本当は、こんなところに座っていたくなんかない……」

 

 

リゼ「できることなら、千夜の代わりに全部してあげたい……」ギリッ

 

 

千夜「……リゼちゃん」

 

 

リゼ「嘘つきでもいい……なんとでも言え……これがわたしの本心なんだ……」グスッ

 

 

リゼ「……ごめん」

 

 

千夜「……………………」

 

 

 

千夜「リゼちゃん……――おいで」

 

 

リゼ「え……?」

 

 

千夜「もたれ掛かって来て」

 

 

リゼ「…………」

 

 

――ギュッ

 

 

リゼ「……!」

 

 

千夜「……」ナデナデ

 

 

リゼ「千夜……?」

 

 

千夜「よしよし……リゼちゃんは優しいわね」

 

 

千夜「いい子いい子……」

 

 

リゼ「…………っ」

 

 

千夜「我慢できなくなっちゃった……?」

 

 

千夜「わたしの気持ちを尊重して……ずっと嘘を付いてくれてたものね」

 

 

千夜「ごめんなさい……ありがとう、リゼちゃん」ナデナデ

 

 

リゼ「……千夜」ポロポロ

 

 

千夜「でももう大丈夫だから……安心して」

 

 

リゼ「大丈夫なわけないっ!!」

 

 

千夜「!」

 

 

リゼ「……千夜っ」ギュッ

 

 

千夜「リゼちゃん……」

 

 

リゼ「もう、無理しないでくれ……!」ポロポロ

 

 

千夜「ううん……無理なんて」

 

 

リゼ「じゃあどうして走れない!?」

 

 

千夜「!」

 

 

リゼ「どうして転ぶんだっ!?……どうして」

 

 

 

リゼ「ならどうして……お前はそうやって、ひとりきりで頑張ってるんだ……!」ポロポロ

 

 

 

千夜「…………」

 

 

リゼ「千夜……頼む……」

 

 

リゼ「正直に、言ってくれ……」ポロポロ

 

 

千夜「…………」

 

 

千夜「……リゼちゃん、わたしね」

 

 

千夜「みんなのこと、大切なの」

 

 

千夜「ココアちゃんのことも、チノちゃんのことも」

 

 

千夜「リゼちゃんのことも、シャロちゃんのことも、ね」

 

 

千夜「あの事故以来、シャロちゃん……ずっと笑ってくれないわ」

 

 

リゼ「それは……!」

 

 

千夜「気にしてるのずっと……とっても優しいから、シャロちゃんは」

 

 

千夜「もう一度シャロちゃんに笑ってほしい……前みたいに、仲良しの幼馴染に戻りたい」

 

 

千夜「またみんなと笑い合いたい……」

 

 

千夜「だから……早く取り戻さないといけないの」

 

 

リゼ「……っ」

 

 

千夜「心配しないでリゼちゃん、もう少しで元通りに――」

 

 

 

リゼ「いい加減にしろ!!」

 

 

 

千夜「!」ビクッ

 

 

リゼ「千夜……よく聞け」

 

 

リゼ「無くしてしまったものは元に戻せる。でもな、失ってしまったものはもう二度と元には戻らないんだ!」

 

 

リゼ「どれだけお前が頑張っても、ひとりで全てを背負い込んでも!わたしたちはみんな元のようには戻れない!」

 

 

リゼ「前と同じようにお前と接することなんて、できない……」ポロポロ

 

 

千夜「…………」

 

 

リゼ「運動嫌いだからこれで体育に参加しなくて済むだと……カッコいいから平気だと……」

 

 

リゼ「嘘を付け!」

 

 

千夜「――!」

 

 

リゼ「もう、これ以上……頑張らないでくれ……」

 

 

リゼ「わたしたちを……シャロを、苦しめないでくれ……っ」

 

 

千夜「……………………」

 

 

 

――ストン

 

 

 

リゼ「千夜!」

 

 

千夜「イスから落ちちゃったわ……」

 

 

千夜「……転んだらね、なかなか起き上がれないの」

 

 

リゼ「……ああ」

 

 

千夜「夜中にお手洗いに行く時も、すごく大変なの……」

 

 

リゼ「……ああ」グスッ

 

 

千夜「御盆三刀流も、できなくなっちゃったの……」

 

 

リゼ「…………」

 

 

千夜「……本当は……泣きたいくらい辛い……」グスッ

 

 

千夜「でも……泣いたら、もう元に戻れないと思って……」ポロポロ

 

 

千夜「っく……ひっく……!」ポロポロ

 

 

リゼ「千夜……」ギュッ

 

 

千夜「ごめんなさい……わたし……」ポロポロ

 

 

リゼ「誰だって辛い、当たり前だろう」

 

 

千夜「リゼちゃん……わたし、どうしたらいいの……?」

 

 

千夜「元に戻れないのなら……わたしはシャロちゃんにどうしてあげたらいいの……?」ポロポロ

 

 

リゼ「……千夜は、もしシャロが自分と同じ境遇にいたら、どうしてあげたい?」

 

 

千夜「えっ……?」

 

 

リゼ「どうにかして力になってあげたい……違うか?」

 

 

リゼ「元に戻れなくたっていいじゃないか」

 

 

リゼ「誰も千夜のこと疎ましくなんて思わない……」

 

 

リゼ「だから、これからはたくさん頼ってくれ」

 

 

リゼ「千夜のこと、みんなで支えるから……」ナデナデ

 

 

千夜「…………」ポロポロ

 

 

リゼ「そうしたら、シャロもきっとまた笑顔になってくれるよ」

 

 

千夜「……ふふ」

 

 

千夜「そうね……」グスッ

 

 

千夜「リゼちゃん……ありがとう」ゴシゴシ

 

 

リゼ「立てるか?ゆっくりな」

 

 

千夜「大丈夫……」

 

 

千夜「リゼちゃんが支えてくれてるから、簡単よ」

 

 

リゼ「クスッ……ああ」

 

 

 

ココア「千夜ちゃん……?」ガラッ

 

 

千夜「ココアちゃん、いらっしゃい」

 

 

ココア「千夜ちゃん転んだの!?大丈夫!?――あっ、ううん、じゃなくて……その……!」

 

 

千夜「心配してくれてありがとう」ニコッ

 

 

ココア「えっ……千夜、ちゃん?」

 

 

千夜「ココアちゃん……ごめんなさい」

 

 

千夜「わたし、もう強がったりしないから」

 

 

千夜「辛い時は素直に言うわ」

 

 

千夜「――助けてって」

 

 

ココア「……!」

 

 

千夜「助けてくれる?」

 

 

ココア「もちろん!これからは千夜ちゃんもわたしの妹だよーっ!」ギュッ

 

 

千夜「きゃっ」

 

 

リゼ「急に飛びつくな、危ないだろ」グイッ

 

 

ココア「あうぅ、千夜ちゃんモフモフするの2週間ぶりなんだからさせて~!」

 

 

リゼ「まったく、しょうがないやつめ」

 

 

千夜「……//」ニコッ

 

 

 

 

――――――

 

――――

 

――

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

 

――PM 10:13――

 

 

 

千夜「……………………」

 

 

 

――トントン

 

 

 

千夜「シャロちゃん?」

 

 

千夜「……聞こえてる?」

 

 

 

…………………………

 

 

 

千夜「ありがとう……このままでいいわ」

 

 

千夜「……あのね、シャロちゃん」

 

 

千夜「あの日以来、シャロちゃんから笑顔が無くなって……楽しかった毎日が、突然壊れて」

 

 

千夜「みんなが気を遣ってくれて……シャロちゃんに、何度もごめんなさいって謝られて……」

 

 

千夜「……わたしね、耐えられなかった」

 

 

千夜「みんなに申し訳なくて……シャロちゃんの泣いている姿を見るのが嫌で」

 

 

千夜「もう一度、元の日常に戻りたくて……」

 

 

 

…………………………

 

 

 

千夜「だから、わたしが頑張ればいいって思ったの」

 

 

千夜「前と同じように振舞っていれば……周りに何の不便も感じさせなければ」

 

 

千夜「もう一度……みんなが、シャロちゃんが笑ってくれるって思った」

 

 

 

千夜「……でも、間違ってたみたい」

 

 

 

千夜「そのせいで、みんなを……シャロちゃんを苦しめていたことなんて、今日リゼちゃんに言われるまで全く気付いてなかった」

 

 

千夜「シャロちゃんの中の罪悪感を膨らませているだけだって……やっとわかったの」

 

 

千夜「みんなの笑顔を取り戻そうとするために、こともあろうかそれを奪ってて……」

 

 

千夜「……バカね、わたしって」

 

 

 

………………………………

 

 

 

千夜「……シャロちゃん」

 

 

千夜「わたし……これからもがんばるわ」

 

 

千夜「でもね、強がりは言わない」

 

 

千夜「助けてほしい時はちゃんとお願いするから」

 

 

千夜「元には戻れないけど、でも、今のままでも十分幸せよ」

 

 

千夜「シャロちゃんやみんなが周りにいてくれれば……これは、本当の気持ち」

 

 

 

千夜「……わたしがたくさん笑えば、無理せずに生きていれば」

 

 

 

千夜「また、シャロちゃんも笑ってくれる……?」

 

 

 

千夜「――幼馴染として、助けてくれる?」

 

 

 

 

――ギイィ

 

 

 

 

千夜「……シャロちゃん」

 

 

 

――ギュッ

 

 

 

千夜「よしよし……ごめんなさいね」

 

 

千夜「――ううん、謝るのはわたしよ……」グスッ

 

 

千夜「優しいシャロちゃんに、ずっと無理させてたわね……」ポロポロ

 

 

千夜「これからはわたしも無理しない……ちゃんとシャロちゃんのこと、頼りにするから」ポロポロ

 

 

千夜「――ええ、約束するわ」

 

 

 

千夜「泣かないで……ごめんなさい……」ナデナデ

 

 

 

――ピタッ

 

 

千夜「んっ……?」

 

 

千夜「ワイルドギース、どうしたの?」ヒョイ

 

 

千夜「もしかして気にしてる?シャロちゃんとそっくりね」

 

 

千夜「ワイルドギースのせいじゃないわ、大丈夫」

 

 

千夜「無事でよかった……」ギュッ

 

 

千夜「ほら見て、シャロちゃん」

 

 

千夜「シャロちゃんが支えてくれているおかげで、両手でワイルドギースを抱っこしても転ばないわ」

 

 

千夜「みんながいれば、シャロちゃんがいてくれれば平気よ」

 

 

千夜「元には戻れないけど――幸せなまま」

 

 

千夜「――やっと笑ってくれたわ//」ニコッ

 

 

千夜「久々に、一緒にお風呂入りましょう」

 

 

千夜「ううん、ゆっくり歩けば平気よ」

 

 

千夜「――手?」

 

 

 

千夜「――ううん……//」

 

 

 

千夜「シャロちゃんの手がいい……//」

 

 

 

千夜「……これからも、よろしくおねがいします」

 

 

 

千夜「シャロちゃん――だいすき//」 テ ギュッ

 

 

 

 

………………

 

…………

 

……

 

 

不便・不足・不満は。

 

 

不幸と、同一の線上には。

 

 

決して、存在しないものである。

 

 

自身に足り得ぬものを。

 

 

不幸と結びつけるのは。

 

 

常に。

 

 

己自身に他ならない。

----------

next.



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#5.physical examination

――天々座家 リゼの部屋 AM 10:21――

 

 

 

リゼ「………………」カキカキ

 

 

シャロ「………………」モクモク

 

 

シャロ「あっ、違う……」

 

 

リゼ「ここは3か……」

 

 

ここあ「りーぜちゃんっ」

 

 

リゼ「んっ?どうしたここあ?」

 

 

ここあ「よんだだけ♪」

 

 

リゼ「そうか~//」

 

 

シャロ「………………」

 

 

リゼ「なら、ここは2で……」

 

 

ここあ「りーぜちゃん」

 

 

リゼ「なんだ~?//」ニコッ

 

 

ここあ「よんだだけ~♪」

 

 

リゼ「そうか~//」ニヘラ

 

 

シャロ「…………っ」

 

 

リゼ「さっきからいたずらで呼んでくるやつは誰だ?」ヒョイ

 

 

 

ここあ「わぁ//」

 

 

リゼ「悪い奴は食べてやるぞ~//」ハムッ

 

 

ここあ「やっ~//」キャッキャッ

 

 

リゼ「ふへへ……//」スリスリ

 

 

シャロ「リゼ先輩っ!」

 

 

リゼ「どうしたシャロ?」

 

 

シャロ「課題に集中してください!先輩がここあと二人だと課題が手に付かないって言うから勉強会してるんですよ!」

 

 

シャロ「ここあも、リゼ先輩の邪魔しちゃダメよ?」ナデナデ

 

 

ここあ「なまえよんじゃだめ?」

 

 

シャロ「今二人で課題を終わらせてるから。終わったらみんなで遊びましょうね」

 

 

リゼ「いや、わたしはいくら呼ばれても全然――」

 

 

シャロ「リゼ先輩は黙っててください」

 

 

シャロ「それまで静かにできる?」

 

 

ここあ「うんっ」ニコッ

 

 

シャロ「良い子ね、あとでクッキー焼いてあげるわ」

 

 

ここあ「ほんと?ありがとうしゃろちゃん」

 

 

リゼ「ここあと遊ぶためにも早く終わらせよう」カキカキ

 

 

シャロ「最初からそうしてください!?」

 

 

 

ここあ「………………」

 

 

リゼ(さっきからずっとタブレットを見てる……なにかな?)チラッチラッ

 

 

シャロ「リゼ先輩」

 

 

リゼ「あっ、ああ」ビクッ

 

 

ここあ「…………」(みんなとの思い出写真閲覧中)

 

 

ここあ「……えへへ//」ニコッ

 

 

リゼ(可愛い、写真撮らないと。スマホどこにやったかな?)キョロキョロ

 

 

シャロ「リゼ先輩!」

 

 

リゼ「シャロ、静かにしろ。シャッターチャンスを逃す」

 

 

シャロ「課題を終わらせる方が先決です!」バンバン

 

 

ここあ「」マドノソト チラッ

 

 

ここあ「!」

 

 

ここあ「」ピョン

 

 

リゼ「あっ!」

 

 

シャロ「ここあ、どうしたの?」

 

 

ここあ「おそといってもいい?」

 

 

リゼ「わたしを置いて一人でか?そんなの寂し――」

 

 

シャロ「いいわよ、家から出るなら使用人さんに付き添ってもらって」

 

 

ここあ「いえっさー」

 

 

リゼ「シャロの鬼、勉強の悪魔!」

 

 

シャロ「褒め言葉です」フフン

 

 

ここあ「いってきます」

 

 

リゼ「あぁ……ここあ」ガクッ

 

 

シャロ「さて、そろそろ本格的に課題を――」

 

 

リゼ「…………」カキカキ

 

 

シャロ「早い!?」

 

 

 

 

――天々座家 ガーデン――

 

 

 

メイド「」ドサッ

 

 

使用人「あといくつくらいですかい?」

 

 

メイド「」ビッ

 

 

使用人「4つですか、今日中に全部乾きそうですね」

 

 

ここあ「ゆうしゃさん。なにしてるの?」テクテク

 

 

使用人「小さいお嬢、どうも」

 

 

メイド「」ペコリ

 

 

ここあ「せんたく?」

 

 

使用人「ええ、今日は快晴ですから」

 

 

ここあ「わたしもてつだう!」

 

 

使用人「気持ちはありがたいですが、小さいお嬢の背丈ですと届きませんね」

 

 

ここあ「わたしじゃできない?」

 

 

使用人「なら洗濯物を取ってきてもらえますか?」

 

 

ここあ「いえっさー!」

 

 

使用人(小さいお嬢のカゴは軽めに)ハンドシグナル

 

 

メイド「」グッ

 

 

ここあ「めいどさん、いこう」

 

 

メイド「」コクリ

 

 

 

 

ここあ「めいどさん、そんなにたくさんもてるの?」

 

 

メイド「」グッ

 

 

ここあ「ちからもちだね、りぜちゃんといっしょ♪」

 

 

メイド「」テレテレ

 

 

ここあ「またいっしょに『あまうさあん』いこうね」

 

 

メイド「」コクコク

 

 

メイドB「あっ!」

 

 

メイドB「もう、こんなところにいたんですか」

 

 

メイド「?」

 

 

ここあ「こんにちは」

 

 

メイドB「小さいお嬢様こんにちは。いつもお手伝い誠に感謝いたします」ナデナデ

 

 

ここあ「ん……//」

 

 

メイドB「それよりも、メイド長」

 

 

メイド「!」

 

 

メイドB「今日の役割担当はどうなってるんです?確認したけど白紙でしたよ」

 

 

メイド「」カクカクシカジカ

 

 

メイドB「自分がやるから心配いらない?そういうワンマンプレーはやめてくださいと常々言ってますよね」ジッ

 

 

メイド「」アセアセ

 

 

メイドB「……たまにはわたしたちに任せてゆっくりしてください」

 

 

メイド「」ポリポリ

 

 

メイドB「では、わたしたちは昼食の支度をしておきますので」

 

 

メイド「」コクリ

 

 

メイドB「では……」

 

 

 

ここあ「めいどさん、おこられちゃった?」

 

 

メイド「」フルフル

 

 

ここあ「みんなやさしいよね」ニコッ

 

 

メイド「」コクリ

 

 

メイドC「あの、メイド長?」

 

 

メイド「!」

 

 

メイド「」タタタ

 

 

ここあ「あっ、まって~」

 

 

メイドC「……はぁ」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

使用人(このあとはお昼の買い出しに行って……)

 

 

ここあ「おまたせ~」

 

 

使用人「お、持ってきてくれましたか、助かりま――……?」

 

 

メイド「」ヨイショヨイショ

 

 

使用人「何してるんですか?」

 

 

ここあ「おぼん さんとうりゅうだよ、ちやちゃんにおしえてもらったんだって」

 

 

使用人「すごい身体バランスですね……ってそうじゃなくて!」

 

 

使用人「やめてください、カゴが落ちたらまた洗濯しなおしですよ」ヒョイ

 

 

メイド「?」

 

 

ここあ「みて~、わたしもできるよ」

 

 

使用人「小さいお嬢まで……とにかくありがとうございます」

 

 

ここあ「せんたくものおわったらゆうしゃさんもあそぼっ」

 

 

使用人「あっしもですかい?しかし、お昼ごはんの用意が」

 

 

メイド「」カクカクシカジカ

 

 

使用人「メイドたちが?そうですかい、なら」

 

 

ここあ「あそべる?」

 

 

使用人「ええ、なにします?」

 

 

ここあ「さばいばるげーむ!」

 

 

使用人「」

 

 

使用人(まずい……お嬢の悪い影響がついにここまで、どうにかしないと……)

 

 

使用人「お嬢に言ってやってくだせぇ。この子に軍事教育は控えるようにと」

 

 

メイド「♪」ワクワク

 

 

使用人「やる気満々!?」

 

 

ここあ「おとうさんもいれてみんなでやろっ」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

リゼ父「……さて、この辺で待つか」

 

 

使用人「確かにここなら絶好の的、奇襲をかける最高のポイントですね」

 

 

リゼ父「アンブッシュして近づいてくるか、遠距離からスナイプの二択だな」

 

 

使用人「チーム分け、あっしかあなたが小さいお嬢と組んだほうが良かったのでは?」

 

 

リゼ父「小さいのと組むほうは手加減なしに本気でやっていいハンデだ、俺でもお前でもあいつでも、誰だっていい」

 

 

使用人「本気でですかい……」

 

 

リゼ父「油断してたら怪我するぞ、一生もののな」

 

 

使用人「どんなサバゲーです!?」

 

 

リゼ父「……」ピクッ

 

 

リゼ父「……そろそろ動いてくるな」

 

 

使用人「ですね」

 

 

ここあ「すきありだよ!」バサッ

 

 

リゼ父「ふっ……」サッ!

 

 

ここあ「あっ!」

 

 

使用人(小さいお嬢にはボディショットのみ……と)

 

 

ここあ「あたらないよ!」サッ

 

 

使用人「やりますね」

 

 

バシュバシュバシュ

 

 

リゼ父「きたな」ビュッ!

 

 

メイド「」バシュ

 

 

ここあ「めいどさん!」

 

 

使用人「!」バシュ

 

 

メイド「」サッ!

 

 

メイド「」ミドルキック!

 

 

使用人「え、ちょ……!?」ガード

 

 

ここあ「わぁ……!」

 

 

使用人「待ってくだせぇ、これはサバゲーで……!」

 

 

リゼ父「そうこなくちゃな、俺たちの反撃は銃のみだ」

 

 

使用人「めちゃくちゃだ!」

 

 

メイド「」マワシゲリ!

 

 

リゼ父「当たらん」ヒョイ

 

 

メイド「」バシュ

 

 

リゼ父「!」

 

 

リゼ父「……油断した」

 

 

メイド「」グッ

 

 

使用人「簡単にやられないでくだせぇ!?」

 

 

メイド「」カカトオトシ!

 

 

使用人「おっと!」

 

 

メイド「」サマーソルト!

 

 

使用人「スカートの中が見えますから、上段攻撃は控えてもらえませんか?//」

 

 

メイド「」タタタ!

 

 

使用人(くっ……撃ち辛いふところに!)

 

 

メイド「!?」ガッ

 

 

メイド「」ドタッ!

 

 

使用人「こけた!?だがもらった!」

 

 

メイド「!」

 

 

千夜「誰かいますか?」ヒョイ

 

 

ここあ「あっ、ちやちゃん」

 

 

使用人「!?」

 

 

メイド「」キラーン

 

 

メイド「」ケリアゲ!

 

 

使用人「ぐほぉ!!?」

 

 

メイド「!」

 

 

リゼ父「1メートル……飛んだな」

 

 

千夜「使用人さん、大丈夫ですか!?」

 

 

使用人「ええ、なんとか……うっ」ガクッ

 

 

千夜「メイドさんと何が……まさか喧嘩……!?」

 

 

リゼ父「いや、ただのサバゲーだ」

 

 

ここあ「ゆうしゃさん、しっかりして」

 

 

リゼ父「とりあえず宿直室まで運ぶか」

 

 

メイド「」コクリ

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

使用人「いつつ……」

 

 

メイド「」ペコペコ

 

 

千夜「顎の下、赤くなってますね」

 

 

ここあ「ごめんなさいしてるからゆるしてあげて?」

 

 

使用人「ええ、気にしてませんよ。あっしの不注意です」

 

 

リゼ父「今日はゆっくり休め、寝ていろ」ガチャッ バタン

 

 

使用人「どうも……」

 

 

ここあ「でもめいどさんかっこよかったよ」

 

 

メイド「」テレテレ

 

 

千夜「今度わたしにもぜひ教えてください」

 

 

メイド「」グッ

 

 

使用人「ダメですって、やめてください」

 

 

メイド「」ガシッ

 

 

使用人「あ……すいません、安静にしておきます」

 

 

メイド「」ピタッ

 

 

使用人「なぜ聴診器!?」

 

 

ここあ「めいどさん、それなあに?」

 

 

メイド「」スッ

 

 

ここあ「?」

 

 

千夜「体の中の音を聴く医療道具ね。こうして耳にはめて、これを相手の身体にくっつけるの」

 

 

ここあ「おとがきこえるの?」

 

 

千夜「試してみる?」

 

 

ここあ「うん!」

 

 

千夜「待ってね」シュル

 

 

使用人「!」

 

 

メイド「」バサッ

 

 

使用人「うぷっ……」

 

 

使用人「……どうも」

 

 

メイド「」グッ

 

 

千夜「ここあちゃん、この辺に当ててみて」

 

 

ここあ「ここ?」ピトッ

 

 

ここあ「――あっ、きこえたよ!」

 

 

千夜「なにか鳴ってる?」

 

 

ここあ「どくんどくん ていってる」

 

 

千夜「それはしんぞうのおとね」

 

 

ここあ「からだのなかっておとがするの?」

 

 

千夜「ええ、みんな鳴ってるわ。チノちゃんもリゼちゃんもシャロちゃんも」

 

 

ここあ「……!」

 

 

ここあ「めいどさん、これきょうだけかして?」

 

 

ここあ「みんなのおと、ききたい!」

 

 

メイド「」コクリ

 

 

千夜「ラビットハウスにいくの?」

 

 

ここあ「うん!ちのちゃんのおとをきいてくる」

 

 

千夜「一緒にいくわ、ちょっと待ってね」

 

 

千夜「これ、リゼちゃんとシャロちゃんに差し入れの和菓子です、みなさんの分も入ってますので」

 

 

メイド「」ペコリ

 

 

千夜「使用人さん、無理しちゃダメですよ」

 

 

使用人「お気遣い感謝します」

 

 

ここあ「ちやちゃん、はやく~」

 

 

千夜「それではまた」

 

 

ガチャッ バタン

 

 

使用人「………………」

 

 

使用人「動かない方がいいですかね」

 

 

メイド「」コクリ

 

 

使用人「正直これくらいの怪我ならなんともないんですが」

 

 

メイド「」フルフル

 

 

使用人「……承知しました」

 

 

メイド「」ホッ

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

――ラビットハウス 厨房――

 

 

 

チノ「…………ふぅ」スッ

 

 

チノ「やっと完成しました」

 

 

チノ「おじいちゃん、どうですか?」

 

 

ティッピー「ふむ、上出来じゃろう。あとは味じゃな」

 

 

チノ(お父さん、部屋にいるかな……?)ガチャッ

 

 

タカヒロ「料理の練習かい?」

 

 

チノ「っ!?」ビクッ

 

 

タカヒロ「いい匂いがしてきたからね」キラン

 

 

チノ「えっと、昨日言っていたカツ丼を作ってみたので」

 

 

タカヒロ「なるほど……」

 

 

チノ「味見してもらえますか?」

 

 

タカヒロ「もちろんだよ」

 

 

タカヒロ「……頂きます」

 

 

チノ「……」ゴクリ

 

 

タカヒロ「…………」モグモグ

 

 

チノ「…………」ドキドキ

 

 

タカヒロ「………………」

 

 

チノ「うぅ……」

 

 

ティッピー「早く言わんか、チノが不安がる」

 

 

タカヒロ「おいしい」

 

 

チノ「ぁ……!」パアァ

 

 

タカヒロ「アドバイスをするなら、卵のとくときにわざと少し卵白を残すといいだろう」

 

 

タカヒロ「カツを揚げる時間もマニュアルではなく、チノのタイミングでいいと思う」

 

 

チノ「は、はい」

 

 

タカヒロ「ここあくんと一緒に作る時は、この二つに気を付けていれば十分だよ」

 

 

タカヒロ「味は完璧だ、さすがはチノだね」

 

 

チノ「//」テレテレ

 

 

ティッピー「ふん、当然じゃわい」

 

 

タカヒロ「このカツ丼、食べてしまってもいいかい?」

 

 

チノ「もちろんです。お父さん、いつもありがとうございます」

 

 

タカヒロ「かまわないよ、これからもどんどん挑戦していきなさい」

 

 

チノ「次は何にしましょうか、おじいちゃん」

 

 

ティッピー「他人丼とかどうじゃ?」

 

 

チノ「またドンブリですか」

 

 

 

ここあ「ちーのちゃん!」

 

 

 

チノ「!」

 

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

チノ「ここあさん、千夜さん」ガチャッ

 

 

千夜「お休みなのにごめんなさいね」

 

 

チノ「いえ、ちょうど用事が済んだところだったので」

 

 

ここあ「ちのちゃん!」ギュッ

 

 

チノ「今日は千夜さんと外で遊んでるんですか?」ナデナデ

 

 

ここあ「りぜちゃんとしゃろちゃんがおうちでおべんきょうしてるの」

 

 

チノ「邪魔しないようにですか、偉いですね」

 

 

ここあ「だからちのちゃんのからだのおとをききにきたんだよ~」

 

 

チノ「?」

 

 

ここあ「ちのちゃん、ふくぬいで?」

 

 

チノ「え……//」

 

 

千夜「メイドさんからこれを借りてきたの」

 

 

チノ「聴診器?」

 

 

ここあ「こうしてからだにあてたらきこえるんだよ~」

 

 

チノ「なるほど……分かりました」

 

 

チノ「ですが、ここではちょっと……わたしの部屋でなら//」

 

 

ここあ「おじゃましまーす♪」

 

 

チノ「千夜さん、あれって本物ですか?」

 

 

千夜「だと思うわ、ちゃんと音が聞こえるし」

 

 

チノ「おもちゃにしても平気なんでしょうか?」

 

 

千夜「ここあちゃんと仲良しのメイドさんのだから」ニコッ

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

ここあ「んっ……」ピタッ

 

 

チノ「…………//」

 

 

ここあ「きこえたよ!」

 

 

ここあ「ちやちゃんよりも、たくさんどくんどくんっていってる」

 

 

千夜「きっと緊張してるのね」

 

 

ここあ「おちついて~だいじょうぶだよ」ナデナデ

 

 

チノ「ひゃっ……こ、ここあさん、胸を撫でたらダメです//」

 

 

ここあ「ふぉぇ?」

 

 

千夜「お腹の方はどう?」

 

 

ここあ「おなか?」

 

 

チノ「千夜さん……//」

 

 

千夜「ここあちゃん楽しそうだから」クスッ

 

 

ここあ「ん……」ピタッ

 

 

ここあ「へんなおとがなってるよ」

 

 

千夜「もしかしてチノちゃんお腹すいてる?」

 

 

チノ「ぅ……お昼、まだ食べていなくて……//」

 

 

千夜「ここあちゃん、診断結果が出たわ」

 

 

ここあ「うん!ちのちゃん、わたしがごはんつくってあげる」

 

 

チノ「ここあさんが?」

 

 

ここあ「おなかいっぱいになったらきっとなおるよ!」

 

 

チノ「えっと……」アセアセ

 

 

千夜「先生に逆らっちゃダメよ、チノちゃん」

 

 

チノ「あぅ……では、お願いします//」

 

 

ここあ「わたしにまかせなさーい♪」ガシッ

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

ここあ「ちのちゃんよろこんでくれたね」

 

 

千夜「診察するだけじゃなくちゃんと処置もするのね、偉いわ」

 

 

ここあ「ちのちゃんとちやちゃんはこれでだいじょうぶ。あとはゆらちゃんだね」

 

 

千夜「そういえばユラ先輩のおうちってどこかしら」

 

 

ここあ「わいるどぎーすにきけばわかるよ」タタタ

 

 

千夜「?」

 

 

 

ここあ「わいるどぎーす、おいで」

 

 

ワイルドギース「?」

 

 

ここあ「きょうはゆらちゃんみた?」

 

 

ワイルドギース「」フルフル

 

 

ここあ「みてない?」

 

 

ワイルドギース「」フン

 

 

ここあ「ゆらちゃんのおうち、しってる?」

 

 

ワイルドギース「………………」

 

 

ここあ「やさいかってきてあげたらおしえてくれる?」

 

 

ワイルドギース「…………」

 

 

千夜(ここあちゃん、動物と話せるの……?)

 

 

ここあ「わいるどぎーす?」

 

 

ユラ「千夜ちゃんとここあちゃん二人で押しかけ?ウェルカムだよ~」ポンッ

 

 

千夜「!」

 

 

ここあ「ゆらちゃん!いた!」

 

 

ユラ「何の遊び~?ユラちゃんも混ぜてよ~」

 

 

千夜「ユラ先輩、どうしてここが?」

 

 

ユラ「ワイルドギースにエサをあげに来ただけだよ~会えたのは偶然」

 

 

ユラ「わたしのこと探してくれてたの~?」

 

 

ここあ「ゆらちゃん、ふくぬいで!」

 

 

ユラ「わぁ、ここあちゃんてば大胆だね~いいよ~」シュル

 

 

千夜「診察ごっこしてるんです、メイドさんから聴診器をお借りしたので」

 

 

ユラ「そういうことか~勘違いしちゃったよ~」

 

 

ここあ「?」

 

 

ユラ「とりあえずここじゃ寒いし、甘兎庵にお邪魔してもいい~?」

 

 

千夜「はい、もちろん」

 

 

ここあ「ゆらちゃんはどんなおとがするの?」

 

 

ユラ「心臓の音?ん~銃撃音かも」

 

 

ここあ「ほんと!?」

 

 

ユラ「嘘だよ~ユラちゃんジョーク」コチョコチョ

 

 

ここあ「くすぐっちゃやだぁ//」

 

 

ユラ「ふふ~可愛いね~」

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

ユラ「そっか~リゼとシャロちゃんが勉強中なんだね~」

 

 

千夜「さっきチノちゃんを診療し終わったところです」

 

 

ここあ「ゆらちゃんのおと、ちやちゃんといっしょだね」

 

 

ユラ「面白くなくてごめんね~いくらユラちゃんでも心臓の音は変えられないのさ~」

 

 

ここあ「ゆらちゃん、おなかすいてない?」

 

 

ユラ「さっき携帯食料食べてスタミナ回復したところだよ~」

 

 

ここあ「れーしょん?」キョトン

 

 

ユラ「それよりここあちゃん、その聴診器ユラちゃんにも貸してくれる~?」

 

 

ここあ「いいよ、はい」

 

 

ユラ「ありがと~」

 

 

千夜「ユラ先輩?」

 

 

ユラ「千夜ちゃん、もしものことがあったらリゼには秘密にしててね」

 

 

千夜「え……」

 

 

ユラ「たぶん平気だけどさ~」

 

 

千夜「……――あ」

 

 

ユラ「ここあちゃん?ユラちゃんにも音聞かせてくれる~?」

 

 

ここあ「わたしのおと?いいよ!」シュル

 

 

千夜「あ、あの……」

 

 

ユラ「怖い~?わたしもだよ」

 

 

千夜「……っ」

 

 

ここあ「ちやちゃんどうしたの?」

 

 

ユラ「じっとしててね~」ピトッ

 

 

千夜「!」

 

 

ここあ「んっ…………」

 

 

ユラ「………………」

 

 

千夜「ゆ、ユラ先輩……?」

 

 

ユラ「……んふふ~」

 

 

ここあ「ゆらちゃん、どうだった?」

 

 

ユラ「ここあちゃんと同じで元気な音が鳴ってるよ~」

 

 

ここあ「ほんと!」

 

 

千夜「……!」

 

 

ユラ「心配いらないよ~千夜ちゃん」

 

 

千夜「……はい」ホッ

 

 

ユラ「良かったね~わたしも安心したよ」

 

 

ここあ「ちやちゃん、だいじょうぶ?」

 

 

千夜「ここあちゃん……ええ、平気よ」ヒョイ

 

 

千夜「良かった……」ギュッ

 

 

ここあ「?」

 

 

ユラ「そろそろリゼの家に戻ろっか~」ポンッ

 

 

ここあ「おべんきょう、もうおわったかな?」

 

 

ユラ「たぶんね~シャロちゃんも一緒でしょ~?」

 

 

千夜「――あ」

 

 

ユラ「どしたの~?」

 

 

千夜「リゼちゃんからの着信履歴が……」スッ

 

 

『15件』

 

 

ユラ「」

 

 

ここあ「?」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

――ラビットハウス 厨房――

 

 

 

ティッピー「チノや」

 

 

チノ「なんですかおじいちゃん」

 

 

ティッピ―「一緒に遊びにいかんで良かったのか?」

 

 

チノ「後片付けや洗い物がありますから」

 

 

ティッピー「そんなもの後で構わんのに」

 

 

チノ「ここあさんの前でそんないい加減なことできません」

 

 

ティッピー「ふむ」ピョン

 

 

チノ「あの手料理、すごくおいしかったです」

 

 

ティッピー「チノが教えたからの」

 

 

チノ「でも……わたしの作るものとは違います」

 

 

チノ「……懐かしい味」ボソッ

 

 

ティッピー「………………」

 

 

チノ「…………//」

 

 

 

リゼ「ここあっ!!」ガチャッ

 

 

チノ「!?」ビクッ

 

 

リゼ「チノ!ここに千夜とここあが来なかったか!?」

 

 

チノ「千夜さんとここあさんでしたら、さっきユラさんを探しに行くと――」

 

 

リゼ「あいつか……!」

 

 

シャロ「リゼ先輩!」ゼェゼェ

 

 

リゼ「どうしたシャロ?」

 

 

シャロ「千夜からメールが来ました、いまリゼ先輩の家の前にいると」

 

 

リゼ「入れ違いだと!?」

 

 

シャロ「ですから家で待った方がいいって言ったじゃないですか!」

 

 

リゼ「そうと分かれば早く帰るぞ!チノ、シャロ急げ!」

 

 

チノ「わたしも!?」

 

 

リゼ「振り回され隊、全速力だ!返事は!?」

 

 

シャロ「い、いえっさーっ!!」

 

 

リゼ「チノ、返事がないぞ!」

 

 

チノ「い……いえっさー!」

 

 

リゼ「よし!」

 

 

ティッピー(良かったのう、チノ)ピョン

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

――宿直室――

 

 

 

使用人「あの」

 

 

メイド「?」

 

 

使用人「さっきの聴診器はどこから?」

 

 

メイド「」カクカクシカジカ

 

 

使用人「物置部屋から出てきたんですかい」

 

 

メイド「」コクリ

 

 

使用人「いったい何のために誰が……」

 

 

メイド「」サッ

 

 

使用人「もうひとつ!?いくつあったんですか!」

 

 

メイド「」ジー

 

 

使用人「へっ?」

 

 

メイド「」ジー

 

 

使用人「まさか、やってみたいとかでは……」

 

 

メイド「」コクコク

 

 

使用人「……はぁ」バサッ

 

 

メイド「」パアァ

 

 

メイド「」ポスッ

 

 

使用人「馬乗りにならなくても……」

 

 

メイド「」プチップチッ

 

 

使用人「ボタン外せますか?」

 

 

メイド「」コクリ

 

 

使用人「胸の部分に当てるんです」

 

 

メイド「……」ピタッ

 

 

使用人「どうです?」

 

 

メイド「……!」ドクンドクン

 

 

メイド「//」ニコッ

 

 

使用人「それは良かった……」

 

 

――ガチャッ

 

 

リゼ父「おい、ちゃんと休んでる……か……?」

 

 

使用人「」

 

 

メイド「?」

 

 

リゼ父「………………」

 

 

使用人「あ、あのですね、これは……」

 

 

リゼ父「プレイ中か……すまない、邪魔したな//」ガチャッ バタン

 

 

使用人「ひでぇ誤解だ!?」

 

 

メイド「??」キョトン

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

――リゼの部屋――

 

 

 

シャロ「どう?」

 

 

ここあ「しゃろちゃん、ちのちゃんよりもどくんどくんしてるよ?」

 

 

シャロ「さっきまで全力疾走してたからね……」

 

 

ここあ「わたしのことさがしてくれてたんでしょ、ちやちゃんからきいたよ」

 

 

ここあ「だからね、しゃろちゃんにおれいのぷれぜんとがあるの」ガサゴソ

 

 

シャロ「ぷれぜんと?」

 

 

ここあ「しゃろちゃんがすきな『めろんぱん』だよ~」

 

 

シャロ「ここあ……クスッ、ありがとう。あとで半分こして食べましょう」ナデナデ

 

 

ここあ「んっ……//」

 

 

シャロ(ユラ先輩、千夜、ありがとう)ペコリ

 

 

千夜「♪」フリフリ

 

 

ユラ「いいのさ~」

 

 

千夜「ところでチノちゃん、さっきから気分が悪そうだけど大丈夫?」

 

 

チノ「食事した後に全力疾走したので……すぐに治ると思います」ハァハァ

 

 

リゼ「次はわたしだな」

 

 

ここあ「りぜちゃん、じっとしててね」

 

 

――ピタッ

 

 

ここあ「…………――!」

 

 

リゼ「どうだ?」

 

 

ここあ「りぜちゃん、びょうき」

 

 

シャロ「えぇ!?」

 

 

リゼ「びょうき……?」

 

 

ここあ「あのね――」ギュッ

 

 

リゼ「!」

 

 

ここあ「わたしのことだっこして、なでなでしてくれたらなおるよ//」ニヘラ

 

 

リゼ「ならすぐに完治だな!」ギュッ

 

 

ここあ「わわっ……//」

 

 

リゼ「もう課題は終わったからな、わたしとここあを阻む壁は何もないぞ!//」スリスリ

 

 

ここあ「えへへ//」

 

 

シャロ(ある意味いつもの病だけど)

 

 

ユラ「ユラちゃんもその病気にかかったみたい~ここあちゃんおいで~」

 

 

リゼ「さわるな!」シャー

 

 

千夜「みんな、チノちゃんが本当に病気みたいなんだけど」

 

 

チノ「ぅぷ……」バタリ

 

 

シャロ「チノちゃん!?」

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