気がついたら名も無きパイロットになってた (ボートマン)
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プロローグ

息抜きがてらに書いてみました。


「はぁ〜疲れた。」

 

いつも通りバイトを終えた俺は我が家であるアパートに帰っていた。

 

「この後やる事無いし着いたら寝ようかな。」

 

そんな風に家に帰った後の事を考えていた俺はこんな事になるとは思っていなかった。

 

「おい!フィル!」

 

「ふぇっ!」

 

誰かを呼び声に俺は目を覚ました。

 

「やっと起きたかフィル。」

 

「フィル?俺の事か?」

 

「そうだよ。何変なこと言ってんだよ。」

 

呆れた様子の男に俺は部屋の備えてある鏡を見る。

 

「(え?これが俺?)」

 

鏡に映る自分を見て俺は驚くしかなかった。

 

何せ鏡に映る自分の姿は全然似ていなかった。

 

「(というかこれグレミーじゃん。)」

 

鏡に映る姿をよく見ると、ガンダムZZのグレミー・トトだった。

 

「(何で俺がグレミーに・・・あれこの服は?)」

 

どうして自分がグレミーになってしまったのか考えている中、俺は自分が着ている服を見てあることに気づいた。

 

「(この服って、ガンダムSEEDの連合の軍服?)」

 

連合の軍服を着る自分の姿に俺はまさかと思った。

 

「(もしかして・・・ここはガンダムSEEDの世界なのか?)」

 

そんな考えが出てきて、俺は分からないことだらけで頭がこんがらがっていた。

 

「おいフィル、さっきから鏡見てから考え始めてどうしたんだ?」

 

友人と思われる男に声をかけられ、俺は一旦落ち着くことにした。

 

「何でもない、ちょっとな・・・」

 

「まあいきなりハルバートン准将からMSのパイロット候補生に任命されたのはびっくりしたよな。」

 

男の言葉に俺はちょっと待てと思った。

 

「(ハルバートンにMSのパイロット候補生だと。)」

 

おぼろげだが内容を覚えている俺は嫌な事を思い出した。

 

「(MSのパイロットってGのだろう、ということは爆死する運命じゃん!)」

 

そう俺はGに乗るはずだったパイロット候補生は爆破に巻き込まれて死んでしまうという事を思い出した。

 

「おいどうしたフィル、顔色が悪いぞ。」

 

「ああ、すまない。色々と考えてしまってな。」

 

「そうか、なら少し休んどけよ。訓練までまだ時間あるしな。」

 

そう言って男は部屋を出て行った。

 

男が部屋を出てから俺は頭を抱えた。

 

「おいおい、このままじゃ爆死する運命まっしぐらだよ。」

 

このままでは死ぬという事実に俺の気分は最悪だった。

 

「だいたい何でガンダムの世界にいるんだよ。」

 

俺は家に帰って寝たことまでは覚えているが、その後の記憶が一切ない。

 

「くそ!このまま死んでたまるか。」

 

気を取り直した俺は原作など関係なく生き残る為の努力を開始するのであった。

 

 

 




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第1話

最初に俺は自分に関することを調べた。

 

名前はフィル・レオルドで階級は少尉。

 

北米の都市で生まれて17の時に軍に入隊して今は22だ。

 

同期は先程の男だけで他にはいないようだ。

 

ちなみに名前はショウ・ブレズベントというらしい。

 

「簡単な情報はこんなところか。」

 

次にここが何処か調べてみると、ここは月のプトレマイオス基地のようだ。

 

「今の日付は・・・C.E71年の1月15日だと!?」

 

原作開始の10日前である事に俺は驚いていた。

 

「これじゃあ鍛える事が出来ないじゃないか。」

 

俺は原作開始までに自身の体や操縦技術を鍛えるつもりでいたが、残り10日でどこまで鍛えられるかわからなくなった。

 

「くそ〜OSの方もどうにかしないといけないのに。」

 

原作では全てのGのOSは滅茶苦茶で、主人公のキラが見た時は酷すぎて驚いていたはずだった。

 

それにナチュラルである自分が上手く動かすためにもOSの改良は必須である。

 

「間に合うかな。」

 

原作開始はあと少しで今から行動して間に合うかどうかわからない状況である。

 

「・・・OSはこの際置いておくべきか?」

 

OSを一時置いておくべきか考えたが、それでは操縦技術が良くてもOSがダメでは撃ち落とされてしまう可能性もありその考えは消した。

 

「でもそう簡単にOSの書き換えなんてできないよな。」

 

自分はキラの様なスーパーコーディネイターではなく、何処にでもいるただの平凡な青年である。

 

OSの事もよくわからないので簡単に書き換えれると思えず、俺は溜め息を吐いた。

 

「はぁ・・・取り敢えずやれる事からやってみよう。」

 

俺は立ち上がるとショウが言っていた訓練を行う為部屋を出た。

 

場所は格納庫で行うことはすでに調べてあるため、格納庫へ向かうことにした。

 

地図を何度も見ながらもどうにか格納庫に到着すると、そこではショウ以外の自分と同じMSパイロットに任命されたと思われる新兵達がいた。

 

すでにMSのシミュレーションは行われているようで、訓練する彼らを金髪の男性が見ている。

 

その男性を見たフィルは驚きと嬉しさで叫びたかったが、どうにか抑えて我慢する。

 

フィルが来たこと気づいた男性はフィルに近づいてきた。

 

「お!やっと来たか!」

 

「遅れて申し訳ありません、フラガ大尉。」

 

そうフィルの目の前にいるのはあのムウ・ラ・フラガだ。

 

SEEDの世界で連合がMSが唯一MSを多く撃破したパイロットであり、フィルがカッコいいと思うキャラクターの一人だ。

 

この日俺は原作で重要なキャラであるムウ・ラ・フラガと会うのであった。

 

 

 




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第2話

「別にいいよ。お前もやってみるか?」

 

ムウはシミュレーションを示しながら言い、丁度1人が撃ち落とされてシミュレーションが終了したようだ。

 

「わかりました、いいか?」

 

「ああ。」

 

やっていた新兵と入れ替わってシートに座って操縦桿を握る。

 

シミュレーションが起動して1機の1つ目の巨人が現れる。

 

ザフトが開発した主力兵器であるMSジンである。

 

この機体が開発されたことによって圧倒的物量を誇る連合を圧倒し、これまでの戦局をあっという間に変えたのだ。

 

「(こっちの設定されている機体はデュエル。武装はビームライフルとビームサーベルに頭部バルカンのみ・・・)」

 

武装を確認してシミュレーションを開始される。

 

ジンは重突撃銃を構えて撃ってきた。

 

俺は回避しようと動こうとしたが、機体は思う通りに動かず命中してしまった。

 

「動きが・・・遅すぎる!」

 

全てのGに装備されているフェイズシフト・システムによってあらゆる物理的攻撃を無効化するが、設定されたOSがお粗末のためか満足に動くことができずにいた。

 

「(これじゃただの的だ・・・!)」

 

こちらも応戦とばかりビームライフルを撃つが、ジンは軽やかに回避していた。

 

そして、再び重突撃銃を撃ってきて、こちらはくらうばかりであった。

 

「(これ以上くらい続ければ、いくらフェイズシフト装甲でももたない!)」

 

意を決してペダルを踏んでジンに向かって接近する。

 

近づいてくるデュエルにジンは重突撃銃をしまい重斬刀を構えた。

 

ジンは銃斬刀を振りかぶって振り下ろしてくるが、俺は防御も回避もせずに突っ込んだ。

 

そのため重斬刀は直撃してもフェイズシフト装甲を防ぐが、大幅にエネルギーを削ってしまうも俺はこの際気にしなかった。

 

ジンへタックルしてそのまま押し倒した。

 

「この距離なら!」

 

馬乗りの状態でビームサーベルを引き抜くとジンに突き刺した。

 

いくら動きが遅くて押し倒した状態なら攻撃を外すことは無い。

 

そして、ビームサーベルを突き刺されたジンは爆散しシミュレーションは終了した。

 

「ふぅ〜」

 

シミュレーションを終えて溜め息を吐いて周りを見ると、ムウやショウ達は驚いている様子だった。

 

「凄いなフィル!」

 

「え?あ〜」

 

確か原作では候補生達は機体を動かす事だけでも苦労していたはずだった。

 

俺自身も上手く動かすことは出来なかったが、それでもシミュレーションでジンを撃破出来た事は驚いても無理もないのだろう。

 

「へえこりゃ驚いたな。あの動きでジンを倒すなんてな。」

 

「まぐれですよ。実戦では上手くいくとは限りません。」

 

その言葉にムウは頷いていた。

 

今のシミュレーションだったが実戦ではこんな風にいくとは限らない。

 

「それでもあの動きで撃破出来たのはお前だけだよ。」

 

褒めてくれるムウに俺は嬉しく照れ臭かった。

 

「ですがOSを改良しなければただの的になりますね。」

 

「そうなんだよな。これで実戦となるとなあ・・・」

 

頭を掻きながらムウは俺の言葉に同意する。

 

それから何度もシミュレーションを続けるも先程のように上手くいかず、敵機の数が増えただけであっという間に撃ち落とされてしまった。

 

そうしてシミュレーションを何度も行い1日を終えるのであった。

 

そして、翌日ついに俺を含めた新兵達はGが開発されているヘリオポリスに機体を受領しに向かうことになった。

 

「遂に原作が始まるか。」

 

原作が始まることに俺は緊張で手が震えていたのであった。

 




やっぱり戦闘描写書くのは苦手です。



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第3話

アンケートにご協力ありがとうございます。

見てみると2の意見が多かったです。


月のプトレマイオス基地を出発したマルセイユⅢ世級はヘリオポリスに向かうことすでに3日が過ぎた。

 

原作開始まであと6日となる中、フィルこと俺は用意された部屋の中で頭を抱えていた。

 

部屋はショウと相部屋でショウは食堂に行き、俺は部屋である作業を行なっている。

 

「やっぱりそう簡単にいかないか・・・」

 

その作業はあのノロノロとした動きを少しでも改良しようとOSを書き換えていた。

 

「はぁ、素人に書き換えは無理か。」

 

何時間も書き換え作業を行なっているが、一向にOSの書き換えは上手くいかない。

 

「このままじゃ原作の戦闘に間に合うかどうか。」

 

もしヘリオポリスで機体の奪取を防いだとしても、MS戦になればMSと共に奪取されかねない。

 

そうなれば確実にその場で始末という可能性もあるため、俺は非常に焦っていた。

 

「それにもう1つの心配は・・・」

 

俺は机の上に置かれている物を見る。

 

机に置かれている物は拳銃であった。

 

俺は拳銃を持って構えるがすぐに下ろして机に置いた。

 

「銃撃戦の可能性もあるよな。」

 

原作でも潜入したアスラン達は、機体を搬送しようとしたマリュー達やメカニックとの銃撃戦があった。

 

先に機体の確保ができなかったから、ザフト兵と銃撃戦に絶対になるであろう。

 

前の世界でも拳銃とは縁のない俺がザフト兵と撃ち合っても勝てる見込みは絶対ない。

 

「はぁ〜」

 

心配事がありすぎて溜め息を吐いていると、ドアが開きショウが入ってきた。

 

「おいおい入ってきて溜め息ってお前な。」

 

「ああ違うんだショウ、色々と考えていてさ。」

 

「ふーん、何を考えてたんだ?」

 

俺はショウにOSの書き換えに悩んでいることを伝えた。

 

「ふーん、そんなこと今考えなくてもいいじゃん。」

 

ショウは気軽に言うが、原作を知る俺は今考えないといけないのだ。

 

「大体俺達はパイロットなんだからOSはメカニックとかに任せればいいじゃん。」

 

ザフトが来ることを知らないため簡単に言っているが、来ることが知っている俺は気楽に待つことが出来ないのである。

 

「だけど動きは少しだけでも良くしないといけないんだよ。」

 

「確かにあの動きには苦労したけどさ。」

 

ショウもシミュレーションでノロノロとした動きは苦労したため、OSが改良されて動きやすくなるのは嬉しいがすぐに改良されるとは思ってないのだ。

 

「だから、OSを改良をして動きを良くしようとしてるんだ。」

 

「まあ程々にしろよ。」

 

そう言ってショウは上段のベッドで横になり寝始めた。

 

「わかってるよ。」

 

そして、もう少しだけOSの書き換えを続けるも上手くいくことはなかった。

 

それから6日間、OSの書き換えてシミュレーションで試してみるが上手くいかず、ついにマルセイユⅢ世級はヘリオポリスに到着した。

 

「遂に、始まるか・・・」

 

俺は小さく呟き、原作が始まることに気を引き締めるのであった。

 

 

 

 




次回は原作を開始します。

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第4話

たくさん意見ありがとうございました!
色々な意見があり悩みましたが、オリ主の機体はストライクのプロトタイプででフェイズシフト・システムの試験機ということに決めました。

カラーリングはプロトタイプガンダムに決めました。




マルセイユⅢ世級は無事に中立国オーブの資源衛星コロニーであるヘリオポリスに到着した。

 

「(遂にか。)」

 

俺を含めた候補生達はブリッジに集まっており、ムウもブリッジに集まっていた。

 

「これでこの船の最後任務も無事終了だ。貴様も護衛の任務、ご苦労だったなフラガ大尉。」

 

「いえ、航路何事もなく幸いでありました。周辺にザフト艦の動きは?」

 

「2隻トレースしておるが、な〜に港に入ってしまえばザフトだろうと手は出せんよ。」

 

完全に安心しきっている艦長だが、連合の船が中立国のコロニーに入れば何かあると疑うはずだ。

 

「中立国でありますか?聞いて呆れますな。」

 

ムウの言う通り、連合と協力してザフトに対抗するためのMSを開発しているのだから中立が聞いて呆れる。

 

「はっはっはっ!だが、そのおかげで我々の計画はここまでこれたのだ。オーブとて地球の一国ということさ。」

 

「では、艦長。」

 

笑いながら言う艦長に俺達は敬礼し、艦長も敬礼し返し俺達は輸送艦を後にする。

 

輸送艦を後にした俺達は用意されていたエレカに乗り込み、国営企業のモルゲンレーテが所有する工場区に向かい始める。

 

エレカを自動操縦に設定して走り始める。

 

エレカが走る中、俺はヘリオポリス内の風景を見る。

 

「平和・・・か。」

 

「ん?どうした?」

 

「いや、何でもない。」

 

今見える風景は誰も彼もが戦争の事など知らないかの様なのどかな風景だった。

 

だが、その平和も自分達のせいで破壊してしまう。

 

そうなることを知る俺は辛く感じていた。

 

そして、エレカが鉱山部に続くセンターシャフトに入る直前に俺はエレカを止めた。

 

「うわっ!?何すんだフィル!」

 

「悪い、俺ちょっと腹痛くなってきたから先に行ってくれ。」

 

エレカを降りた俺はすぐさま走り出した。

 

「あ、おい!」

 

ショウは俺を止めようとするも、すでに走り出したため諦めた。

 

「すまない・・・」

 

ショウ達がセンターシャフトに入った事を原作を知る俺は彼等を見捨てることに小さく謝った。

 

それから俺は搬送されていないGがある工場に向かっていた。

 

「(アスラン達はすでに潜入してるはずだ。急がないと!)」

 

走り始めてしばらくして、巨大なコンテナを積載したトレーラーと作業員を見つけた。

 

「間に・・・合った!」

 

そういうと同時に爆発が起きた。

 

「始まった!」

 

爆発が起き外ではすでに戦闘が始まっていた。

 

一台のトレーラーに近づくと、作業服を見つけた男性が俺に気づいた。

 

「そこで止まれ!」

 

男性は拳銃を取り出して俺に構えてきた。

 

「敵じゃない!そのGに乗る予定のパイロットだ!」

 

俺の言葉に男性は戸惑いながらも拳銃は下ろさない。

 

だが、Gという言葉を知っているという事は友軍なのかという思いは出ていた。

 

「俺はフィル・レオルド!階級は少尉!あんた達が開発したその機体に乗る予定のパイロットだ!」

 

「・・・本当なのか?」

 

「嘘じゃない!外ではザフトが仕掛けているんだ!」

 

俺の言葉を証明するかのようにジンがコロニーに入り込んでいた。

 

「っ!急いでその機体に乗れ!」

 

「ありがとう!」

 

どうやら友軍と理解してくれたことに俺は感謝しながらトレーラーの中に入る。

 

「この機体は?」

 

トレーラーに積載されている機体は見たことのない機体で、原作の全てのGに当てはまらなかった。

 

「考えている暇はない!」

 

見ればジンはトレーラーを破壊しながらこちらへ近づいていた。

 

機体に乗り込んだ俺はシステムを立ち上げた。

 

計器類に光が入り始め、モニターが明るくなって外に風景を映し出した。

 

「あとは!」

 

俺はぎこちないがどうにか機体を立ち上がらせることに成功した。

 

少し離れた所ではデュエル、バスター、ブリッツの3機が起動していた。

 

起動した3機の所に1機のジンが着地した。

 

「このまま見逃しては・・・」

 

ジンは重突撃銃をしまうと重斬刀を構えて斬りかかってきた。

 

「くれないか!」

 

俺は急いでフェイズシフト・システムのスイッチを押した。

 

すると機体の装甲は瞬くように色づき始めた。

 

胸部と腹部と関節部が黒と赤、四肢は白く変化した。

 

重斬刀で斬りかかれるも、フェイズシフト装甲のお陰で損傷はなかった。

 

3機は俺を目の前のジンに任せて機体を持ち帰ることを優先し、コロニーから離脱していた。

 

「4対1は無くなったが、どうすべきか・・・」

 

今の動きで目の前のジンをどうにか出来るかわからない。

 

「それでもやってやるんだ!」

 

再び斬りかかってくるジンに直撃しながらも体当たりした。

 

体当たりを食らったジンはよろめきながら後ろに数歩下がった。

 

「武装は?」

 

俺は急いでこの機体の武装を確認した。

 

「武装はイーゲルシュテンにアーマーシュナイダー、あとはビームサーベルだけか!」

 

原作とは違い、ビームサーベルがあるだけでも俺は嬉しかった。

 

ジンは先程の体当たりが癪に触ったのか、重斬刀を片手に持ち替え、もう片方に重突撃銃を持ち撃ってきた。

 

「面倒な!」

 

ペダルとレバーを操作してどうにか回避に努める。

 

「(一撃で決めなければ負ける!)」

 

回避しながらも時折頭部バルカンで牽制して機会を伺う。

 

バルカンはジンにカスリもせず、ジンの攻撃は何度も命中していた。

 

「くそ!このままじゃ!」

 

やはり実戦はシミュレーションのように上手くいかず、焦っているとジンに向かって数発のミサイルが向かった。

 

ミサイルはまだ生き残っていたミサイルトレーラーから発射されたものだった。

 

ジンはあっさりとミサイルを回避し、そのままミサイルトレーラーを破壊した。

 

「今だ!」

 

ペダルを踏んでジンに接近すると同時にビームサーベルを引き抜きざまに切り裂いた。

 

こちらに気づいたジンはジャンプして回避しようとしたが、一瞬反応が遅く片足を切り裂かれてしまった。

 

片足を切り裂かれたジンはうまく着地できず倒れ込んだ。

 

片足のないMSなど脅威ではなく、トドメを刺そうとしたが機体からパイロットが脱出していた。

 

「っ!やばい!」

 

俺は急いでジャンプして距離をとるも、上手く着地できず倒れてしまった。

 

そして、倒れ込んでいたジンは突如爆発した。

 

「自爆か。」

 

こうして俺は初の実戦をどうにか乗り越えることが出来た。

 

 

 



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第5話

ジンとの戦闘を終えた俺は機体をモルゲンレーテの工場に向かわしていた。

 

先ほどの戦闘で電力を消費したため、次の戦闘に備えるため急いでいた。

 

「急がないといけないのに。」

 

しかし、未完成のOSのため歩かせるだけでも苦労していた。

 

時間をかけてモルゲンレーテの工場に到着すると、一台のトレーラーが出てきていた。

 

「あれは?」

 

ザフトは今はコロニー内にいないため、あのトレーラーに誰が乗っているかはすぐにわかった。

 

「こっちも急がないと。」

 

機体を跪かせてコックピットから降りて、俺は換装するバッテリーを探し始めた。

 

しかし、ジンの攻撃により工場の殆どが破壊されていた。

 

「これは酷いな。」

 

中々バッテリーが見つからず探していると、破壊されていない一台のトレーラーを見つけた。

 

「これは・・・スナイパーパック?」

 

一台のトレーラーの中に残された資料を見ると、このバックパックはプロトストライクという俺が乗っていた機体の専用の兵装パックのようだ。

 

「ストライクのプロトタイプだったのか?」

 

手元の資料だけでは目の前の機体の事はまだ分からなかった。

 

「っと、それよりも今すぐこの兵装を換装しないと。」

 

そう考えていたが、今は考えている場合ではない事を思い出した。

 

1人で換装作業を行うも、1人のため作業には時間がかかった。

 

「よしこれで・・・」

 

ようやく換装できるという時にコロニー内に1機のMSとMAが入ってきた。

 

「あれは・・・シグーにゼロか!?」

 

入ってきたのはラウ・ル・クルーゼのシグーとムウのメビウス・ゼロだった。

 

「急がないと!」

 

スナイパーパックを装着したプロトストライクのバッテリーは回復し、鋼色の装甲は再び色づき始めた。

 

シグーは換装し終えていないストライクに向かって重突撃機銃を撃った。

 

ストライクは急いで換装した事でバッテリーが回復し、フェイズシフトが起動した事で防いだ。

 

そして、鉱山の岩盤を破壊して白く輝く戦艦がコロニー内に現れた。

 

「あれが・・・アークエンジェル。」

 

アークエンジェルに見とれていた俺は、今はそれどころではない事を思い出した。

 

「コロニー内に戦艦を入れるなんて・・・!」

 

冷静になった俺はアークエンジェルが現れたことになんて事をと思った。

 

狭いコロニー内に戦艦が入れば思うように動けず、戦艦の火力ならセンターシャフトを破壊することだって出来る。

 

そして、シグーは標的をアークエンジェルに変更して攻撃し始めた。

 

アークエンジェルはシグーの攻撃をギリギリで回避していた。

 

シグーは標的を再びストライクに変更して攻撃するが、ストライクではなくトレーラーに向かって攻撃していた。

 

ストライクは膝を折り曲げて何かを守っていた。

 

「くそっ!これ以上コロニー内で戦闘を続けるわけにはいかない!」

 

このままでは原作通りアークエンジェルの艦尾ミサイルやストライクのアグニによってコロニーの被害が大きくなってしまう。

 

俺はバックパックに備え付けられていたスナイパーライフルを掴み、緩慢な動作ながらもどうにか構える。

 

俺は照準スコープを引き出して覗く。

 

シグーはこちらに気づいたようだが、緩慢な動作からいつでも対処出来ると決めて放置した。

 

「舐めるなよ!」

 

スコープを覗いてシグーの機影を捉えようとするが、動きが早くロックオンする事が出来なかった。

 

「くそっ!やっぱり動きが速い!」

 

ロックオン出来ずに焦っていると、メビウス・ゼロがシグーの周りを旋回して動きを一時的に止めていた。

 

「今だ!」

 

トリガーを引いて狙撃するもあっさりと回避されてしまった。

 

そして、アークエンジェルの艦尾からミサイルが発射された。

 

ミサイルはシグーに向かうも撃ち落とされ、シャフトの後ろに回り込まれてしまいミサイルはシャフトに命中してしまった。

 

「やばいこのままじゃ!」

 

この先の展開を知る俺はこのままではいけないと思った。

 

スナイパーライフルで再び狙撃するも避けられ、焦る中ストライクが超高インパルス砲 “アグニ”を構える姿が見えた。

 

「やめろ!それを撃つな!」

 

俺は叫んでしまうもアグニから発射される一条の光はシグーへと向かう。

 

シグーは回避するも片腕を破壊することは出来たが、それと同時にコロニーの地表に大きな穴を穿ったのだ。

 

「くそっ!」

 

結局原作通りに進んでしまい俺は何も出来なかった。

 

片腕を破壊されたシグーは穿たれた穴からコロニーの外へと離脱したのであった。

 

 




スナイプパックのイメージは、ランチャーパックのアグニの部分がフルアーマーガンダムの360mmロケット砲を装着して、スナイパーライフルは右肩のバルカン砲の部分に懸架している感じです。


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第6話

シグーがアグニによって開けられた穴から後退し、地表に着地させたアークエンジェルにフィルはどうにかプロトストライクを着艦することが出来た。

 

「ふぅ〜やっと着艦できた」

 

発進デッキにはキラ達の他にナタル達など爆発から生き残っていた士官にパイロットスーツ姿のムウがいた。

 

「さて、どうにか誤魔化さないとな」

 

ハッチを開け、フィルはロープに足を掛けて降りる。

 

「お前フィルか!?」

 

「・・・ども」

 

プロトストライクに乗っていたパイロットがフィルだと気づき、予想どおりムウが驚いていた。

 

「何でお前がそれに乗っていたんだ?確か着任挨拶に行っていたはずだろ」

 

「えっと、実物のGを見たくて」

 

「・・・お前だったのか、着任挨拶に遅れているというパイロットは」

 

ナタルがフィルに対し、物凄く機嫌悪そうに睨んでいた。

 

軍人気質の彼女にとって、着任挨拶に来ず勝手な事をしたフィルをよく思わないのだろう。

 

「はぁ・・・まあそのお陰で貴重な一機が守られたんだ。そこまで睨んじゃ可哀想だろ?」

 

ムウが睨まれているフィルをフォローしてくれた。

 

「だからと言って着任挨拶を遅れていいことにはなりません」

 

しかし、ナタルの言っていることも一理あるため、フィルとしては何も言うことはできない。

 

「今は彼について議論するより、私達にやるべき事があります」

 

そこへマリューの言葉でフィルの事より今やるべき事に話は戻る。

 

「フラガ大尉、どこまで話されたんですか?」

 

フィルはここでの話の内容は知っているが、どこまで話されているのかわからないためムウに尋ねた。

 

そして、ムウから現在の状況を教えてもらった。

 

状況は原作通り艦の主だった士官は爆発によって戦死し、アークエンジェルの現在の責任者はマリューであること。

 

また、ストライクに乗ったキラがコーディネイターである事を判明した所で、プロトストライクが着艦したのであった。

 

「そうですか、ありがとうございます」

 

「それよりお前の方は何ともなかったのか?」

 

「いえ、こっちの方にもジンが来て大変でしたよ」

 

「ん?まさか・・・ジンを退けたのか?」

 

「ええ、とは言っても運が良かったと一言につきますが」

 

フィルの言葉にこの場にいたトール達以外の全員が驚いていた。

 

フィルにとってはこの驚きようは当然だと思っていた。

 

ムウやマリューにキラは最初に設定されていたOSの粗悪さは知っており、ナタル達はジンを撃退したという事実に驚いていた。

 

「へえ〜これは驚いたな。よくやったなフィル」

 

フィルの肩を叩きムウが誉めてきた。

 

「あのノロクソな動きでよくやったな」

 

「いえ、本当に運が良かっただけですよ。それでキラ君・・・だっけ?」

 

「な、何ですか?」

 

突然自分が呼ばれたことにキラは身構えていた。

 

「ああ、そんな身構えなくていいよ。実は君にお願いしたいことがあるんだ」

 

「お願い・・・ですか?」

 

「君もこの機体に乗ったのなら知っているだろう。設定されているOSの酷さを」

 

「・・・はい」

 

キラ自身もストライクのOSを見た時、あまりの酷さに驚いていた。

 

「おそらく敵はまた攻撃を仕掛けてくる。その前にあれのOSを少しでも改良してまともに動かせるようにしたい。そのためにどうか力を貸して欲しい」

 

そう言ってフィルはキラに頭を下げる。

 

フィルはこのヘリオポリスに来るまで何度もOSの改良を試みたが、OSに関する知識が少なすぎたため改良することは出来なかった。

 

この後の戦いをあのOSで乗り切ることはハッキリ言って不可能だ。

 

敵も本腰を入れて攻撃を仕掛けてくるため、あの動きでは撃ち落としてくださいと言っているようなものだ。

 

実際、先程のジンとの戦闘では的になっていた。

 

「待て、民間人に軍の重要機密を見せるつもりか!」

 

答えを迷うキラにナタルが待ったをかけてきた。

 

「すでに四機のGはザフトの元にあります。重要機密云々言っても無駄だと思われます」

 

「だからといって民間人に重要機密を触らせるなど!」

 

「まあまあ、そうカッカすんなよ」

 

ムウがフィルとナタルの間に入り、場を落ち着かせる。

 

「俺としてはフィルの案に賛成だな」

 

「な!ですがフラガ大尉!」

 

「外にいるのはあのクルーゼ隊だ。あいつはしつこいぞ〜」

 

攻撃を仕掛けてきた敵がラウ・ル・クルーゼだとわかり、マリュー達は動揺していた。

 

「そういうわけであまりのんびりしている暇はないんだよね」

 

そう言ってムウは自身の乗機の整備と補給に向かう。

 

「聞いて通りだ。頼む、君の力を貸してほしい」

 

フィルは再度キラに頭を下げて頼み込む。

 

「・・・・・・わかりました」

 

少ししてキラはOS改良を了承してくれた。

 

「ありがとう。それで疲れていると思うがすぐに取り掛かろう」

 

時間も限られているため、フィルとキラはOSの書き換えに取り掛かるのであった。

 

 

 

 



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第7話

ヘリオポリスに着地したアークエンジェルのすぐ側で、フィルにOSの改良を頼まれたキラがプロトストライクのコックピットの中でOSの書き込み作業を行なっていた。

 

「・・・すまないな」

 

「え?」

 

淡々と作業を行なっていたキラはフィルの声に手を止める。

 

「本当なら休ませてあげたかったが、外の連中が何もしないわけないからな」

 

軍人でもないキラにとってジンとの戦闘は肉体と精神共々相当疲労したはずだ。

 

だが、敵がこのまま何もしないという保証があるわけでもないし、必ず攻撃を仕掛けてくる。

 

その時にこの機体を少しでも動かせるようにしなければ、これから生き残ることは出来ない。

 

「いえ、別に。・・・あの、本当にジンを撃退したんですか?」

 

「こんなOSで撃退出来たことがやっぱり信じられないか?」

 

「そんなわけじゃ・・・」

 

「まあ、君の言いたいこともわかるよ」

 

ナチュラルでこんな酷いOSでジンを撃退出来たなんて、誰に話しても信じてはくれないだろう。

 

「あれは運が良かった。ただその一言に尽きるだけだ」

 

「運・・・ですか?」

 

「ああ。正直あの戦闘は勝てると思えなかったよ」

 

実際に操縦して戦ったが、動きは鈍くこちらの攻撃は一切当たらなかった。

 

あの戦闘は敵の注意がミサイルトレーラーに引かれていたから勝てたようなものだ。

 

でなければジンの攻撃を食らい続け、フェイズシフトがきれて撃ち落とされていただろう。

 

「長々と話してしまったな。どうだいOSは?」

 

「あ、一応改良は出来ました」

 

「そうか。すまないが少し変わってくれ」

 

シートに座っていたキラと交代し、レバーを握り操縦する。

 

片膝をついていた状態のプロトストライク先程に比べ、多少だが動きが良くなっていた。

 

「短時間でここまでとは・・・!」

 

短時間でここまでOSを改良したキラの技術に、フィルは驚くと同時に流石だなと思った。

 

何せ最初はおぼつかない足取りに加え、ノロノロとした動きだった。

 

それを短時間で問題無く歩かせることが出来たのだ。

 

これを流石と言わずにはいられないだろう。

 

「ここまでで十分だ。君は艦に戻って休んでいてくれ」

 

「・・・はい」

 

キラはロープに足をかけて機体から降りて艦に戻って行った。

 

「さて、ここまで頑張って貰ったんだ。あとは俺が頑張る番だ」

 

次にどう戦うべきか考える。

 

「確か・・・D装備で来るはずだ」

 

原作では拠点攻撃用であるD装備を装備したジンが来るはずだ。

 

「スナイパーパックでは改良されたとはいえジンの動きについてこれるか」

 

フィルムはトレーラーにあったファイルを開く。

 

「他に何か・・・これだ!」

 

あるページに書かれているデータに目つける。

 

「ストライカーパック・・・これなら」

 

ストライカーパックと書かれているページには、プロトストライクに最低限の装甲とエールストライカーを装着し、脚部にスラスター・バーニアを増設して高い機動力を発揮する。

 

今は問題無く歩けるが、高機動戦闘となるとうまく動かせれるかわからない。

 

なら高い機動力で無理矢理にでも戦わせるしかない。

 

そう決めたフィルはすぐさま機体を艦に戻す。

 

「マードック軍曹!バックパックはストライカーパックをお願いします!」

 

「おし!わかった」

 

そうしてザフトが再び攻撃を仕掛けにきた。

 

プロトストライクは頼んでいた通りストライカーパックが装備される。

 

「標準武装はビームライフルにビームサーベルか」

 

バックパックの装着が終わり、フェイズシフトを作動させ発進準備が完了する。

 

『プロトストライクを発進させろ』

 

「プロトストライク、フィル・レオルド発進する!」

 

カタパルトが起動し、プロトストライクが発進する。

 

「ぐっ!やはり発進のGはきついな!」

 

発進時のgに呻きながらも、フィルはどうにか機体を安定させる。

 

コロニー内にはD装備のジン四機に強奪されたG、X303イージスが侵入していた。

 

「ん?ジンが四機だと!」

 

原作ではジンは三機のはずだったが、侵入してきたジンは四機だった。

 

その内の肩に大きなビーム砲を持つジンが突っ込んできた。

 

「っ!」

 

ビーム砲をこちらに向け、後ろのコロニーにお構いなく撃ってきた。

 

「っつ!なんて事を!」

 

ギリギリで回避するもビームはコロニーに命中してしまった。

 

イージスともう一機のビーム砲を持ったジンは遅れて発進したソードストライカーを装着したストライクを攻撃し、残った大型ミサイルを持った二機のジンはアークエンジェルを攻撃する。

 

「ええい!無茶苦茶に撃ってきて!」

 

キラにOSを改良してもらったお陰でどうにか戦闘することが出来るが、動きは相手のジンの方がこちらより上だ。

 

現にビームライフルで狙い撃っても簡単に避けられてしまう。

 

それに対してこちらはペダルを踏んで全力で回避しないと命中してしまうほどだ。

 

「しかし、何でこっちを集中して狙うんだ?」

 

こちらを集中して狙うことに不思議に思ってしまったが、今はそれどころではないため後で考えることにする。

 

「それよりもバカスカ撃ちやがって!」

 

ジンのビーム砲によりコロニーの被害は更に大きくなっている。

 

「一か八か好きじゃないんだけどな!」

 

相手のビーム砲が撃つ同時にアンチビームシールドを前に出し、ビーム砲を受け止めながらジンへと突っ込む。

 

「いけぇぇぇ!」

 

そのままジンに体当たりする。

 

体当たりで怯んだジンにビームライフルを突きつける。

 

「この距離なら避けきれまい!」

 

そのままトリガーを引き、ジンはビームに貫かれ爆散した。

 

「はぁ・・・はぁ・・・よし!」

 

今回もギリギリでどうにか出来たが、戦闘はまだ続いているため気を引き締める。

 

ストライクはビームブーメランをジンに投擲し、ジンは回避するも後ろから戻ってきたブーメランに気付かず右脚を斬られた。

 

そして、体勢を崩した隙を見逃さず、ストライクは対艦刀“シュベルトゲベール”で斬り裂いた。

 

残る敵はイージスとジン二機だが、アークエンジェルの主砲により一機のジンを打ち落とした。

 

だが、その一撃によりコロニーの被害は更に大きくなる。

 

「これ以上コロニーを傷つけるわけにはいかない!」

 

最後のジンに向けて突撃し、ビームサーベルで斬りかかる。

 

ジンはビームサーベルを回避するも、その行動を先読みしたアークエンジェルの主砲が命中する。

 

だが、その際にミサイルが発射され、そのミサイルがシャフトに命中してしまった。

 

「くそっ!」

 

シャフトが完全に破壊され、コロニーは切り取られるように分解されいく。

 

「このままでは!」

 

コロニーが分解されていくと同時に空気の急激な流出による乱気流により、フィルは機体のコントロールする事ができなかった。

 

「うわぁぁぁー!」

 

バーニアを噴射して抵抗するも、プロトストライクは気流に押し流され宇宙に押し出されたのであった。

 

 

 

 

 



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第8話

『X100プロトストライク、応答せよ!』

 

「こちらプロトストライク、聞こえています」

 

通信機から聞こえる声にフィルはすぐさま返事する。

 

『はぁ・・・無事か?』

 

「はい、問題はありません」

 

『わかった。こちらの位置はわかるか?』

 

フィルはすぐにアークエンジェルの位置を確認する。

 

「はい、確認しました」

 

『よし。それならすぐに帰投しろ』

 

「了解」

 

通信を切り、フィルは視線を崩壊したヘリオポリスに向ける。

 

「やっぱりこうなってしまったか」

 

フィルとしてはコロニーの被害を最小限にとどめ、崩壊を防ぎたかった。

 

だが、結果は原作通りに崩壊してしまった。

 

「原作を知っていても変えることは出来ないのか?」

 

自分ではどうすることも出来ないという事実に、悔しく思いながらもアークエンジェルに帰投した。

 

帰投したフィルが機体を降りた後、一基の救命ポッドを抱えたストライクが帰投してきた。

 

「あれって・・・?」

 

フィルはストライクの抱える救命ポッドが誰が入っているのか予想はすぐに出来た。

 

「マードック軍曹、あれは?」

 

「ああ、坊主がデブリで推進部をやられて漂流してたのを見つけて拾ってきたようだ」

 

「成る程。まあ、確かに見捨てたくないとは思うけど今の状況ではな」

 

現在この艦はザフトに追われているため、救助したはいいが危険に晒してしまう可能性があるというより絶対に晒してしまう。

 

「それよりも今は機体の整備をしとこう」

 

そうしてフィルが機体の整備に取り掛かっていると、キラがコックピットから顔を出して救命ポッドから乗組員の手を借りて外に出た少女に注目していた。

 

キラが少女に注目していると、胸元から小型の鳥のロボットのトリィが出て少女の方に向かっていった。

 

少女は自分に近づいてくるトリィに気づき、そのトリィを追うキラに気付くと嬉しそうな表情に変わった。

 

「あれがフレイ・アルスター・・・か」

 

確かに美少女である。

 

アニメでも見たが本当に美少女である。

 

「羨ましいな・・・」

 

フレイに抱きつかれているキラを見て、思わず呟いてしまう。

 

フィルとしてもああいう美少女に抱きつかれて欲しいという思いはあるが、フィルにはそんな出会いがないため無理な話である。

 

これ以上は虚しくなりそうな気がしたため、機体の整備に集中しようとしたがこれから先のことを思い出し艦橋に急いで向かうのであった。

 

艦橋に向かう途中、艦が大きく揺れた事でフィルはヤバイと思った。

 

「艦長!今すぐ進路をアルテミスから変更してください!」

 

艦橋に入るや進路変更を提言する。

 

「フィル少尉!どうしたの急に?」

 

「このままアルテミスへ向かえばザフトに挟み撃ちにされてしまいます!」

 

「何故そう言い切れる?」

 

当然の様にナタルがフィルの言葉の根拠を尋ねる。

 

「敵も宙域図からこちらがアルテミスへ進路をとることは予想できます」

 

ヘリオポリスから近い友軍の基地はアルテミスのみだ。

 

「それだけでは進路変えることは出来ん」

 

「相手はクルーゼ隊です。こちらの考えを先読みすることは造作もないはずです。ほかにこのままアルテミスに入っても彼方が味方になるとは思えません」

 

「何故だ?国は違えど同じ連合軍だぞ」

 

ナタルは必ずアルテミスが味方するはずと思っているが、実際は味方どころ利用しようとしていた。

 

「確かに同じ連合軍ではありますが、彼らにとって見れば我々は貴重な極秘兵器を届けてくれた愚かな友軍としか思わないでしょう」

 

アルテミスの方からしたら、わざわざ水や弾薬を補給して送り出すより自分達の物にしたいと考えるはずだ。

 

ナタルもその考えがあるのか否定できないでいた。

 

「また、入港出来たとしてもアルテミスは陥落してしまいます」

 

「どうしてだ?」

 

アルテミスには全方位光波防御帯という装置があり、この装置によって傘のアルテミスと呼ばれるようになった。

 

とはいえ戦略的に何の価値もないため、ザフトの侵攻は受けていない。

 

「ザフトに強奪された四機のGの内の一機、ブリッツには特殊な機能がついています」

 

「特殊な機能だと?」

 

「はい、私もデータでしか見たことはありませんが、ミラージュコロイドと呼ばれるステルスシステムがあります。アルテミスが防御帯を解除したところを狙われれば、あっという間に陥落するでしょう」

 

フィルの説明に誰も何も言えずにいた。

 

もし、フィルの言う通りこのまま進めばザフトが待ち受けているだけでなく挟み撃ちのあうかもしれない。

 

それをどうにか突破しても、アルテミスがこちらに味方してくれるかわからない。

 

それどころか先ほど言われた通り、ブリッツによってアルテミスが陥落する恐れがある。

 

「だが、どうする。月本部までに物資が持つかどうかわからないんだぞ」

 

「分かっています。ですからあまり気は進まないかと思いますがデブリ帯に向かい、現地調達をするべきだと提案します」

 

「な!それは!」

 

ナタルだけでなく、マリュー達も驚いていた。

 

確かにデブリベルトには撃沈された艦船が多いため、残骸からまだ使える物資が見つかるかもしれない。

 

だが、やろうとしている事は墓荒らしも同然の行為なのだ。

 

「なるほどね。確かにその進路なら物資を補給できる上に奴らの追跡を逃れるわけか」

 

ムウは驚きながらも感心し宙域図を確認する。

 

「艦長、俺はフィルの案に賛成だ」

 

「私は反対です。確かに彼のいうことには一理ありますが、それが絶対であるというわけではありません」

 

ムウは賛成してくれたが、ナタルは反対する。

 

二人の言葉に暫く考え、マリューは頭を上げる。

 

「わかりました。ここはフィル少尉の提案で動きましょう」

 

「艦長!」

 

「ありがとうございます!」

 

ナタルは苦言を呈し、自身の提案を聞いてくれたことにフィルは頭を下げた。

 

「ノイマン曹長、進路をアルテミスからデブリベルトに」

 

「りょ、了解」

 

こうしてフィルの提案により、どうにか戦闘を避けることができたのであった。

 

 

 




ストライクよりデュエルにした方がという感想があったので、どちらにすべきか迷っているのでお手数ですがどうかアンケートにご協力いただければありがたいです。


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第9話

久しぶりの更新です。
こちらゆっくりですが更新していく予定です。


「さて、これで次の戦闘は無くなってしばらくは時間が稼げるな」

 

原作とは全く違うルートで移動しているため、クルーゼ隊と鉢合わせすることにはならないだろう。

 

「とはいえなあ、キラの操縦技術をこのままにするべきか?」

 

いかにキラがスーパーコーディネイターとしてもこのままの操縦技術で大丈夫か不安に思えてしまう。

 

本来ならアルテミスに向かう道中と、アルテミスの戦闘でキラの操縦技術が少しずつ成長していた。

 

それをフィルの行動によってなくなったため、自分がやった手前これでよかったのか悩んでいた。

 

「今更考えても仕方ないか」

 

艦橋に戻ってやっぱりアルテミスに向かおうなんて言えるわけがない。

 

とりあえずはサボってしまったプロトストライクの整備に向かうために格納庫に向かうことにした。

 

「あれは・・・キラ君と友人かな?」

 

向かう道中で食堂で飲み物を持って行こうと立ち寄ると、食堂ではキラと友人であるサイ達が何やら話しているようだった。

 

キラ達は見ているフィルに気づくと、軍人ということもあってか畏っていた。

 

「やあキラ君。それと君達は初めましてかな、私はフィル・レオルド。よろしくね」

 

「は、はい。サイ・アーガイルです」

 

「トール・ケーニッヒです」

 

「ミリアリア・ハウです」

 

「カズイ・バスカークです」

 

「フレイ・アルスターです」

 

5人との自己紹介が終わり、フィルはキラにもう一度OSの調整を頼もうと思いついた。

 

「あの、フィルさん。この艦はどこに向かっているんですか?」

 

キラの質問にフィルはどう答えるべきか迷った。

 

正直にデブリベルトに向かっていると言うわけにはいかない。

 

何故ならそこで行うことは、撃沈した艦の残骸から使える物資があるか漁るという墓荒らし同然の行為をするのだ。

 

これを聞いてなんとも思わない人はいないはずだ。

 

「この艦は現在月基地に向かってるところだよ」

 

「月ですか?ここからかなり距離があると思いますが?」

 

サイの言う通りヘリオポリスから月までかなりの距離がある。

 

「サイ君の言う通り月まではかなりの距離はある。だけど、月基地からも部隊が派遣されているはずだから一度その部隊と合流するはずだ」

 

月基地でもヘリオポリス崩壊の情報は入っている筈だ。

 

智将と呼ばれるハルバートン提督なら部隊を派遣するはずだろう。

 

「もうしばらく時間はかかるけど我慢して欲しい。それとキラ君少しいいかな?」

 

「え?わかりました」

 

フィルはキラを連れて食堂を出る。

 

「それで話って何ですか?」

 

通路に連れてこられたキラは用件を尋ねてきた。

 

「1つは何度も申し訳ないんだけど、OSの調整を手伝って欲しい」

 

「・・・またですか?」

 

少し嫌そうな表情をするキラにフィルは仕方ないと思った。

 

キラの現在の立場一応民間人である。

 

ストライクを操縦したとはいえ、彼は軍人ではない。

 

そんなキラに何度もOSの調整を頼めば嫌な顔をされても仕方ないだろう。

 

「まあ・・・何度も頼んで申し訳ないんだけど、何かと人手が足りなくてね」

 

ザフトの破壊工作によって主だった士官は亡くなっており、実際人手が足りなくて忙しい状況だった。

 

「わかりましたよ。それで他にもあるんですか?」

 

「これはまだ内緒だけど、デブリベルトに到着したら艦艇の残骸から使える物資を収集する予定だ」

 

「な!待ってくださいそれって!?」

 

「君の言いたいことはわかるよ。この行いは許されることではないということは。だけど、急な発進のせいでアークエンジェルの物資は十分とはいえないんだ」

 

「ですけど・・・」

 

「おそらくだけど、キラ君にもストライクで作業を手伝うよう言われるかもしれない」

 

「そんな!何で僕が?」

 

「作業中に何が起こるか分からない。護衛として頼まれるだろう」

 

「そんなのフィルさんがいけばいいじゃないですか」

 

何で自分がという思いが顔に出てるキラに、フィルは申し訳ないなと思いながらも話を続ける。

 

「そうだとしてもプロトストライクのOSはまだ不完全なんだ。それは君が一番わかってるだろ?」

 

「それは・・・」

 

プロトストライクのOSを調整したのはキラであるため、まだ不完全であることはわかっていた。

 

「そうならないためにもOSの調整を手伝って欲しいんだ」

 

「・・・わかりましたよ。やればいいんでしょ」

 

「・・・すまない」

 

フィルは頭を下げて一足先に格納庫に戻るのであった。

 

そして、キラに手伝ってもらいながらOSの調整は進んでいき、アークエンジェルは無事にデブリベルトに到着した。

 

フィルはパイロットスーツに着替えてプロトストライクに搭乗するとき、ストライクに青いパイロットスーツを着たキラが搭乗するのを見た。

 

また、キラの友人であるトール達もキラを手伝うために作業に参加するようだった。

 

「少尉、バックパックはどうしますか?」

 

「スナイパーパックで頼む」

 

「わかりました!」

 

「プロトストライク、発進する!」

 

プロトストライク、ストライクにポッドがアークエンジェルから発艦した。

 

「流石だな。ここまで改良するとは」

 

フィルの操るプロトストライクは今では問題なく動くまで改良されていた。

 

「あれ?これってナチュラル用のOSが完成してる?」

 

フィルは気づかぬうちにナチュラル用のOSが完成したことに気づいた。

 

「・・・・・・黙っておこう」

 

フィルは今後のことを考え黙っておくことにした。

 

ポッドは開戦直後に連合の核攻撃で破壊された砂時計型のコロニー“ユニウスセブン“から水を調達していた。

 

また連合軍の艦艇から使える物資を調達も行なっていた。

 

ユニウスセブン側にストライク、連合軍艦艇側にはプロトストライクが護衛についていた。

 

フィルの方は何の問題もなく作業は終了したが、ユニウスセブン側で爆発が起きた。

 

「敵か!?」

 

照準スコープを引き出して確認すると、MSの残骸と思われる物を発見した。

 

「何があった?」

 

『ザフトのジンがいたんだ。坊主が助けてくれなきゃ危なかったぜ』

 

「わかった。こちらも警戒を強める」

 

フィルは周囲を警戒するもこちら側には敵機はいなかったのであった。

 

こうして作業が完了したが、艦に戻るとまた問題が発生するのであった。

 

キラがまた救命ポッドを回収したのであった。

 

 

 




次回作であるクロスアンジュの主人公の機体についてアンケートをとります。
どうかご協力をお願いします!


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第10話

「(救命ポッドか。乗っているのはラクスだよなぁ)」

 

現在格納庫ではマードックが救命ポッドのロックを解除している。

 

扉の前にはライフルを持つ数名の警備兵。

 

その後ろには救命ポッドをキラにマリュー、ナタルといった士官。

 

ほかにはキラの友人であるサイ達やフィルが集まっていた。

 

「開けますぜ」

 

マードックが操作して扉が開き、警備兵がライフルを構える。

 

そうして開いた扉から出てきたのはピンク色の球体だった。

 

「ハロ!ハロ!」

 

パタパタと耳と思わしき部分を動かす物体にフィルは見覚えがあった。

 

「(やっぱりガンダムと言ったらハロだよなあ)」

 

そして、次に出てきたのはロングスカートを着た美少女だった。

 

無重力空間であるからかスカートをひらひらとさせて出てきた少女は、フィルの予想通りの人物だった。

 

「ありがとう。ご苦労様です」

 

そう言って出てきた少女はキラの手を借りて着地する。

 

「あら、あらあら?」

 

キラの軍服を見た少女はこの艦がザフト軍でないことに気づいた。

 

「まあ!この船はザフトの船ではないのですね?」

 

その言葉にマリューや警備兵たちが唖然とし、ナタルが頭を抱える。

 

 

「さて、どうしよう?」

 

ポッドから出た少女(ラクス)はマリューとナタルとムウの三人が士官室で詳しい話を聞いている。

 

一方、フィルはプロトストライクのコックピットの中でこの先どうすべきか考えていた。

 

「優先すべきはフレイの父親が死ぬのを避けるべきかな?」

 

フレイの父親は先遣隊の旗艦に同乗していた。

 

しかし、先遣隊はクルーゼ率いるラクス捜索隊と遭遇してしまい戦闘に入った。

 

そこでフレイの父親が死んでしまった。

 

「でもそうすると大幅に原作から離れるな」

 

原作では父親を失ったフレイがコーディネイターへの憎しみが大きくなり、キラの恋心を利用して復讐の道具にしようとした。

 

「だけど、俺という存在自体がイレギュラーだよな」

 

本来ならフィル・レオルドというキャラは原作に存在しないうえ、プロトストライクとい機体も存在しない。

 

「はぁ~こうなったら覚悟するしかないか」

 

機体から降りたフィルは詳しい話を聞くために艦橋に向かうことにした。

 

そうして向かう途中で通路で佇むキラを見つけた。

 

「どうしたんだキラ君?」

 

「……別に」

 

明らかに何かに悩んでいる様子のキラにフィルは話を聞くことにした。

 

「何か悩んでるなら相談に乗るよ」

 

「でも……」

 

「こういうことは腹の中に溜め込むより吐き出すほうがいい」

 

フィルの言葉にキラは少しずつ話してくれた。

 

ユニウスセブンで自分が撃ったジンのこと。

 

そのジンは何か探しているようだった。

 

それがあのポッドの少女だったのではないのか。

 

そして、自分はそんなジンのパイロットを撃ったことを思い悩んでいること。

 

「そうか…今の俺が君に言えることは仕方なかったとしか言えない」

 

「でも、仕方なかったとしても僕は…人を…」

 

「だけどそうしなければ別の人間が死んでいた。その上敵は増援を要請してさらに多くの人間が死んでしまうことになっていた。だから思い悩む必要はない」

 

「………」

 

 

「それでも納得できなくてこれだけは覚えていてほしい。君がジンを撃ったお陰で俺たちは生きているということを」

 

「……はい」

 

フィルの言葉に少しだけ気が晴れたのかキラは小さいながらも返事をしてくれた。

 

「(しかし、戦争なんかと関係ない子供に理解しろと言ってもそう簡単にはできないよな)」

 

「あの…ありがとうございますフィルさん」

 

「何、気にしないでくれ。本当なら俺達軍人が頑張らないといけないのに、不甲斐ない俺達のせいで君たちを巻き込んでしまったんだ」

 

「それでもこうやって話を聞いてくれて嬉しかったです」

 

「まあ色々と悩んでいることがあったら相談に乗るから遠慮なくいってくれ。例えば…あのフレイって子のこととかね?」

 

「な、何言ってるんですか!?」

 

フィルの言葉にキラは慌てだした。

 

こういった所は年相応の姿なのだろう。

 

「嫌よ!」

 

そうして二人で歩いていると、食堂からフレイの大きな声が響いた。

 

「フレイ!」

 

対するミリアリアも怒鳴り返していた。

 

「嫌ったら嫌よ!なんで私が持って行かないといけないのよ!」

 

「どうしたんだ?」

 

一緒にいるカズイにどういうことか事情を聴いてみることにした。

 

「えっと、キラが拾ってきた女の子の食事をミリィがフレイに持っていってもらおうとしたら揉め始めたんです」

 

「そうか」

 

「私は嫌よ。コーディネイターの子に近づくなんて嫌よ」

 

フレイの言葉にキラが顔を俯かせる。

 

先ほど話を聞いて少なからず精神ケアできたのに、これではまた振出しに戻ってしまう。

 

「フレイ!」

 

「あ、もちろんキラは別よ。でもコーディネイターって反射神経がよかったり運動神経が凄かったりするでしょ、ねえ?」

 

そこでキラに同意を求めるも、キラは答えられるわけがなかった。

 

「フレイ君、一ついいですか?」

 

「何よ?」

 

「コーディネイターを何か野蛮な人間だと思っていますが、コーディネイターも私たちナチュラルと大して変わらないんですよ」

 

「で、でも」

 

「コーディネイターは確かに遺伝子を操作して身体能力などを向上しています。ですが、コーディネイターでも怪我をすることもあれば病気になることもある。それにコーディネイターだって誰かを好きになったり、友達と笑いあったりする私たちと変わらない人間なんだ」

 

我ながらこんな言葉を軽々と言って恥ずかしい気持ちだが、今はフレイのコーディネイターに対する認識を変えるために我慢する。

 

「だけどパパはコーディネイターは危険な存在だって」

 

「確かに一部のコーディネイターはナチュラルを敵視する者はいるでしょう。ですがナチュラルも同じようにコーディネイターを敵視しています。フレイ君、私はただ周りの言葉をただ鵜呑みするのではなく、互いに話し合って知ることが大切だと思うんです」

 

長々と話してしまったが、周りを見るとキラ達は意外そうにこちらを見ていた。

 

そこでフィルは食堂の入り口にいるラクスに気づいた。

 

「はぁ~なんで外に出てるんですか?」

 

フィルの声に皆入り口にいるラクスに気づき驚く。

 

「驚かせてしまって申し訳ございません。(わたくし)、喉が渇いてしまって」

 

喉が渇いてしまって水を貰いに来たのかもしれないが、先ほどの話の後のため妙な雰囲気になってしまった。

 

「(そういえばこの場面を忘れてた…)」

 

「それにお恥ずかしいですけど、お腹も空いてしまって。ここは食堂ですよね?何かもらえると嬉しいのですが」

 

「……一応お聞きしますが外出許可はとったのですか?」

 

「はい。(わたくし)、ちゃんと出かけてもいいですかーと三回ほどお聞きして大丈夫だと思いまして」

 

いくら人材不足といっても監視の一人もつけてないこの艦の状況にフィルは頭が痛くなった。

 

「それに皆さまとお話をしながら食事をしたくて」

 

「わかりました。食事には私が同席しましょう」

 

「まあ、それはありがとうございます」

 

「さて、キラ君。三人分運ぶから手伝ってくれないか?」

 

「え?三人分ですか?」

 

「そうだ。彼女と私と君の分だ」

 

「ぼ、僕もですか?」

 

驚くキラにフィルはそうだと頷く。

 

「食事は二人より三人のほうがいいだろ?」

 

そうして三人は部屋に戻る途中、フィルはキラに近づく。

 

「大丈夫か?」

 

先ほどのフレイの言葉はキラにとって精神的に辛かったはずだ。

 

「…はい、大丈夫です」

 

本当に大丈夫かわからないながらも返事をしてくれた。

 

「まあ、前も言ったが何か辛いことがあったら相談に乗るからな」

 

「ありがとうございます。それよりもフィルさんの言葉が嬉しかったです」

 

「そ、そうか…」

 

「はい、まだ若いのにしっかりとした考えを持っていて凄いって思いました」

 

褒めてくるキラにフィルは照れ臭かった。

 

「それよりキラ君。これからは彼女のことを気にかけてくれ」

 

「え?」

 

「何分、彼女はあまり出歩いてはいけないからな。俺も気に掛けるがキラ君も気にかけてほしい」

 

「わかりました」

 

「それにこんな可愛い女の子と話せるんだしな」

 

「な、何言ってるんですか!」

 

「どうかしましたか?」

 

慌てるキラにラクスが振り向いてきた。

 

「いえいえ、お気になさらずに」

 

その後は三人で食事しながら他愛のない話をして過ごすのであった。

 

そして、フィルはラクスをキラに任せて艦橋に向かった。

 

とりあえず今後の方針を聞こうと思った。

 

艦橋に入ると何やら盛り上がっている様子だった。

 

「どうしたんですか?」

 

「喜べフィル!今第8艦隊の先遣隊がこっちに向かってるんだ!」

 

ノイマンの言葉にフィルは嬉しそうにせず、この情報にやばいと思った。

 

「どうしたんだよ。そんな顔して?」

 

「いえ、少し嫌な予感がして」

 

「どういうこと?」

 

フィルの嫌な予感という言葉にマリューが尋ねる。

 

「ザフトのラクス・クラインの捜索隊と先遣隊が遭遇する可能性があります」

 

「待って!先遣隊と捜索隊が遭遇するって」

 

「皆さんもあの少女がどんな存在か知ってるはずです。その少女を捜索する部隊はユニウスセブン方面に向かってるはずです。恐らく戦艦一隻なんてものではないでしょう」

 

フィルの言葉にラクスが現最高評議会委員長の娘であることを思い出した。

 

「貴方はどうすべきと考えているの?」

 

「一番の最善手は先遣隊といち早く合流して宙域から離脱することです。ですが、もし先遣隊が戦闘状態になっていたら一つだけ状況をどうにかできる方法があります」

 

「それは何なの?」

 

「正直これは一か八かの賭けみたいなものです。最悪の状況になり次第移るのでその時は私の指示に従ってください」

 

「何を言ってる!なぜ今言わん!」

 

「これはあくまでも私の予想にすぎません。最終的な判断は艦長に委ねます」

 

そう言ってフィルはマリューを見る。

 

「わかりました。本艦はこれより全速力で先遣隊の合流します。もし、フィル少尉の言う通りの状況になっていた場合、フィル少尉の案に従いましょう」

 

「艦長!」

 

ナタルが納得できないと呼ぶも、マリューの意志は固かった。

 

「今は先遣隊と合流することが最優先よ。話はそのあとでするわ」

 

「……わかりました。しかし、この件はキッチリと報告させていただきます」

 

マリューの指示の下、アークエンジェルは最大船速で先遣隊との合流を目指すのであった。

 

 




次回作であるクロスアンジュの主人公の機体についてアンケートをとります。
どうかご協力をお願いします!


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第11話

現在艦内では先遣隊が向かってるという情報に、ヘリオポリスの避難民は皆一様に喜んでいた。

 

しかし、乗組員は喜んでいる場合ではなかった。

 

何せフィルの言葉から戦闘になる可能性があるため、乗組員は休んでる状況じゃなかった。

 

それはフィルも同じで格納庫で機体のチェックを行っていた。

 

「あの、フィルさん」

 

「何だいキラ君?」

 

キラもフィル同様にストライクのチェックのために格納庫に来ており、フィルより早くチェックを終わらせていた。

 

「先遣隊と合流するのにどうしてこんなに慌ただしいんですか?」

 

「俺の杞憂なら問題ないけど、もしかしたら戦闘になる可能性があるんだ」

 

「どういうことですか?」

 

「この船にはラクス・クラインが乗っている。おそらくザフトは今も彼女を捜索しているはずだ。その捜索隊と先遣隊が遭遇してしまったらどうなるか君ならわかるはずだ」

 

「そ、それは……」

 

そうなってしまえばどうなるかはキラにもわかっている。

 

先遣隊が全滅されてしまうことを。

 

いくら艦艇やMAの数が多かろうと、MSの前では歯が立たない。

 

「だから、その為の準備をしておく必要がある。それに、一応戦闘を止める方法があるがな」

 

「え?あるんですかそんな方法が?」

 

「う~ん…だけど、賭けになるかもしれないところがあるんだよな」

 

願うなら何も起こらないことが一番である。

 

しかし、そんな願いも叶うことはなかった。

 

警報が艦内に鳴り響いたのだ。

 

「フィルさん、これって!?」

 

「そううまくいかないか。キラ君はいつでも発進できるように準備してて!」

 

フィルはそう言って機体から出ると、何処かに向かいだす。

 

「何処に行くんですかフィルさん!」

 

格納庫から何処かに行くフィルが出撃準備をせずに何処かに行くフィルに、キラは不思議そうにフィルの後姿を見ていた。

 

格納庫から出たフィルはある場所に向かっていた。

 

「っと…。失礼しますよ」

 

「あら?どうなされたのですかフィル様?」

 

そこはラクスが軟禁されている士官室だった。

 

「現在貴女を捜索するザフトの部隊と友軍の戦闘がおこっています」

 

その言葉にラクスが表情を暗くする。

 

自分を捜索してくれてることは嬉しいが、だからといって無用に命が散ることは望んでいない。

 

それがザフトだろうと連合だろうと。

 

「戦闘を止めるために貴女の力をお借りしたい。私に同行してもらえますか?」

 

「……はい、参りましょう」

 

そして、フィルはラクスを連れて艦橋に入る。

 

「状況はどうなってますか?」

 

「レオルド少尉!?それに…」

 

突然艦橋に入ってきたフィルに驚き、その上ラクスを連れてきたことにマリューは言葉が出なかった。

 

「状況はどうなってるんですか!」

 

「す、すでに先遣隊とザフトの戦闘は始まってます。本艦はこれより援護に向かうつもりです」

 

フィルの大声に落ち着いたマリューは方針を告げる。

 

「艦長、急いで通信回線を開いてください」

 

そこへフィルは通信回線を開くよう頼む。

 

「何処に回線を開くんだ?」

 

ナタルは冷静にどこに回線を開くか尋ねる。

 

「ザフトと友軍にです」

 

「え、でもどうしてザフトにも?」

 

友軍にだけではなくザフトにも回線を開くことにマリュー理解できなかった。

 

「……なるほど、そういうことか」

 

ナタルはフィルの考えを理解できたつもりだが、フィルとしてはナタルが考えていることとは全く違った。

 

「急いでください!こうしてもたついてる間にも友軍が危険なんです!」

 

「護衛艦バーナード沈黙!」

 

そこへノイマンがドレイク級駆逐艦バーナードの撃沈報告が入る。

 

「わかったわ。急いで両軍の通信回線を開いて!」

 

「は、はい!」

 

キラを手伝うために艦橋にいるミリアリアが不慣れながらも急いで回線を繋げる。

 

「両軍の通信回線を開きました!」

 

「よし、はぁ~ふぅ~。両軍に告ぐ!戦闘を停止してほしい!こちらは地球連合軍所属艦アークエンジェル!当艦はプラント最高評議会委員長の令嬢、ラクス・クラインを保護している。当艦はラクス・クラインの身柄をザフトに返還したい。そのためにどうか戦闘を停止してほしい!」

 

「な!レオルド少尉!」

 

マリューはフィルの策がラクスを返還することだということに気づき驚いていた。

 

しかし、戦闘が止まる気配がない。

 

「やはりそうなるか。申し訳ありません、お願いします」

 

ザフトからしてみれば連合の言葉を信用できるわけがないだろう。

 

だが、彼女の言葉なら違うだろう。

 

「皆さん、私はラクス・クラインです。偶然にも私は連合の方々に救助されました。そして、連合の方々は私を丁重に扱ってくださいました。どうか戦闘を止めてください」

 

ラクスの声が聞こえた途端、ザフトの攻撃の手が止まる。

 

そうなるのも当然と言えるだろう。

 

フィルの言葉が嘘だと思っていたのが実際は真実だったのだ。

 

それに下手に攻撃してしまえば、ラクスの身が危険だと考えてるのだろう。

 

「こちらはストライクにラクス嬢を乗せて引き渡す。受け取り相手にはイージスであることが条件だ。この条件をのめない場合はラクス嬢の身の安全は保障できない」

 

そうして通信を終えたフィルはその場にへたり込んだ。

 

「はぁ~こういうのは俺に向かないな」

 

フィルとしてはこういうことには向かないというか、緊張するので向いてほしくないのである。

 

「それで、本当にラクスさんをザフトに返すの?」

 

「ん?それは当然でしょ」

 

「な!戦闘を止めるための方便ではないのか!」

 

ナタルとしては戦闘を止めるための方便だと思っていたのだろう。

 

「そんなわけないでしょう。彼女は民間人なんですからちゃんとザフトに身柄を渡すべきでしょう」

 

「しかしだな……」

 

「今は言い争っている時間はないわ。それでこの後はどうするつもり?」

 

「当然この宙域の離脱を優先すべきです。今は敵の戦力がナスカ級一隻ですが、もし増援が来ればこちらに勝ち目はありません。ですのでここからは賭けの部分が大きいです」

 

敵の増援の数やいつ到着するかによって戦況は変わる。

 

「賭けでお前はあれほどの大見得を切ったのか」

 

「ええ。賭けでもなんでも利用しなければ味方の命が危険ですからね」

 

堂々と言うフィルにナタルは頭を抱える。

 

「モントゴメリのコープマン大佐より通信です!」

 

モニターにコープマンが映し出される。

 

『第8艦隊のコープマンだ。アークエンジェル、先程の通信はどういうことだ?』

 

コープマンとしてもラクス・クラインを保護してることを知らなかったため、未だに状況が理解できないのだろう。

 

「失礼しますコープマン大佐」

 

『君は?』

 

「アークエンジェル所属のMSパイロットのフィル・レオルド少尉であります!」

 

『MSのパイロット?ということは君が例のGの?』

 

「はい、ただ一人だけ生き残ってしまったテストパイロットです」

 

『そうか…。それでこれからどうするつもりだ?』

 

コープマンの問いにフィルはマリューを見る。

 

この場合、自分が答えるべきか艦長であるマリューが答えるべきなのかわからないからだ。

 

『おい!先程の通信はどういうことだ!』

 

そう悩んでいるところに別のモニターに一人の男が映し出される。

 

無理やり先遣隊に同乗した事務次官のジョージ・アルスターだ。

 

「仰っている意味が分かりませんが?」

 

『何故彼女の身柄を返還すると言うんだ!』

 

ジョージにとっては最高評議会委員長の娘であるラクスという存在は外交において大きな手札になる。

 

そんな手札をみすみす返すことに納得できないのだろう。

 

「ああしなければ戦闘を止めることはできませんでした。それとも貴方はこのまま撃ち落されたかったのなら構いませんでしたが?」

 

『な……!』

 

暗にこうしなければお前は死んでいたんだよというフィルの発言に艦橋の乗組員は驚いていた。

 

「こうして話す間にも敵は近づいています。話なら後でしましょう、それではラクス君こちらへ」

 

フィルはラクスの手を引いて艦橋を出る。

 

艦橋を出たフィルはラクスにパイロットロッカーに向かう。

 

「あの!」

 

呼び止められて後ろを振り向くと、そこにはサイにフレイがいた。

 

「どうしたんだい?」

 

「ほら、フレイ」

 

「う、うん」

 

サイに押されてフレイは前に出る。

 

「あの、パパを助けてくれてありがとうございます!」

 

「……その感謝はまだ早いよフレイ君」

 

「え?」

 

「私がやったことは戦闘を一時的に止めてだけだ。本当に大変なのはここからだ」

 

「そんな…」

 

フレイは悲痛そうな顔をする。

 

しかし、フィルの言う通りここからが本番だ。

 

「っとそういえば丁度よかった。フレイ君、君に頼みたいことがあるんだ」

 

「え?何ですか?」

 

この頼みを聞いてくれるわからないが、聞いてくれなければフィルが一番困るのだ。

 

「すまないけど彼女の着替えを手伝ってほしい」

 

それはラクスの船外作業服の着替えを手伝ってもらうことだ。

 

流石に女性の着替えをフィルが手伝うわけにはいかないのだ。

 

だが、問題はフレイがこのお願いを聞いてくれるかだ。

 

フレイはコーディネイターをひどく嫌っていた。

 

ラクスの着替えを手伝ってもらえるかわからないのだ。

 

「………い、いいですよ」

 

「へ?」

 

フレイが承諾したことにフィルはもちろんサイも驚いていた。

 

「だから、彼女の着替えを手伝えばいいんでしょ」

 

「そうだけど……いいのかい?」

 

酷くコーディネイターを嫌っていたため、承諾したことが信じられないという思いが強かった。

 

「だって、フィルさんが言ったじゃない。他人の言葉を鵜呑みにせず自分が知ることが大事だって」

 

フレイはあの時食堂で言われた言葉をこれまで考えていた。

 

父からはコーディネイターは危険な存在だと何度も言われていた。

 

しかし、フィルの言葉を聞いてから父の言葉が正しいのかわからなくなっていた。

 

キラとラクスを見て本当にコーディネイターが危険な存在なのかわからなくなったのだ。

 

キラは確かにMSを操縦することができるが、トールたちと気軽に話す姿はコーディネイターなど関係なく、自分たちと何処と変わらない姿だった

 

ラクスは誰かを襲う様子はなく、少しぼんやりとしたお嬢様のように感じた。

 

そんな二人を見て自分の考えが正しいのかわからなかった。

 

そして、フレイはラクスの着替えを手伝うことで本当にコーディネイターが危険なのか話して確かめるつもりなのだ。

 

「それなら助かるよ、なら急ごう」

 

4人はパイロットロッカーに到着すると、フレイとラクスは中に入る。

 

着替えを待つ間、フィルとサイは喋ることなく静かな時間が過ぎていた。

 

「あの…本当にフレイのお父さんを助けることができるんですか?」

 

「……本当のことを言えばわからないの一言だ」

 

「わからないってそんな……」

 

「だから、助けるためにできることをしないければいけないんだ」

 

その為の一つがラクスの返還だ。

 

おそらく先遣隊でも宙域を離脱する準備が進められてるはずだ。

 

「そのために君も自分ができる限りのことをするんだ」

 

「……はい!」

 

元気よく返事をしたサイは艦橋に戻ていった。

 

「はぁ~。何か色々と凄いことやってしまった気がする」

 

壁に寄りかかって溜息を吐くフィルは自分がやったことを思い返していた。

 

「だけど、やるって腹括ったんだからな」

 

自分の行動がどんなことになるかわからないが、すでに覚悟を決めたのだ。

 

「フィルさん!」

 

そう思っているフィルに近づくのはパイロットスーツに着替えたキラだった。

 

「どうしたんだいキラ君?」

 

「どうして僕が引き渡し相手何ですか?」

 

自分が引き渡し相手になったことを聞きにフィルに会いに来たようだ。

 

「理由としては不甲斐ない話だけど、君のほうが俺より操縦技術が上ということかな」

 

「……ならどうして受け渡し相手をイージスに指定したんですか?」

 

「イージスを指定したのはあの機体が敵部隊の中で一番の性能を持つ機体だからだ」

 

「そうなんですか…」

 

もちろんこの2つの理由に嘘はないし本当のことであるが、もう一つの理由がある。

 

それはキラとアスランを接触させることだ。

 

キラの意志をここではっきりさせとかないと、迷っていては撃ち落される可能性があるからだ。

 

「キラ君、まだ何か悩みがあるならあとでゆっくりと聞くよ。だけど、これだけは覚えていてほしい。何が大切なのかを、君が何のために戦うことを決めたのかを忘れてはいけない」

 

「何のために戦うのか…」

 

何のために戦うことを選んだのか。

 

それを忘れなければアスランと対話も大丈夫だろう。

 

パイロットロッカーの扉が開き、中から疲れた様子のフレイと船外作業服に着替えたラクスが出てきた。

 

ポッコリと膨れたお腹を見てフレイを見ると、着替えに苦労したことがわかる。

 

「全く、大変だったわよ」

 

「申し訳ございません、フレイさん」

 

「もういいわよ」

 

「次からはもうちょっと着替えやすい服してよね」

 

「はい!」

 

着替え中に仲良くなった二人にキラとフィルは驚くが、今は驚いている時間が惜しいためフィルたちは格納庫に向かう。

 

「大丈夫かい?」

 

ストライクのコックピットにキラとラクスは二人乗りしているため、フィルは窮屈であるか尋ねる。

 

「はい、何とか大丈夫です」

 

「そうか。それではラクス君、また縁があればお会いしましょう」

 

「ええ、本当にありがとうございましたフィル様」

 

「キラ、その…この前は…ごめんね!」

 

そう言うとフレイはストライクから離れる。

 

キラはフレイの言葉に嬉しそうにしていた。

 

「よかったなキラ君」

 

「はい……!」

 

そして、ハッチを閉じたストライクはカタパルトに向かう。

 

「さて、俺も準備するか」

 

フィルも自身の乗機であるプロトストライクに向かうのであった。

 

 

 

 



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第12話

アークエンジェルから発進したストライクは、ナスカ級から発進するイージスと接触し始めた。

 

先遣隊は先程の戦闘での損傷が酷いため、アークエンジェルの後方に下がっている。

 

「大丈夫ですかね?」

 

マードックが心配そうにプロトストライクのコックピットにいるフィルに話しかけてくる。

 

「曹長、今はキラ君を信じて待つだけだ。相手の出方によっては戦闘になるぞ」

 

「そりゃそうですけど…」

 

ラクスを引き渡したストライクはイージスに背を向けると、後ろを振り向かずアークエンジェルへと帰還する。

 

そのまま敵が何もしなければ嬉しいが、そんな甘い考えを一蹴するかのようにシグーとジン三機がナスカ級から発進する。

 

「こうなったか!」

 

発進する敵部隊に対するようにアークエンジェルからはメビウス・ゼロとプロトストライクが発進する。

 

「フィル、クルーゼは俺が抑えるがそっちは大丈夫か?」

 

「ええ、早く撃退してキラ君と一緒に救援にいきますよ」

 

三機のジンを任せることに対しての問いに、フィルは笑いながら答える。

 

「へっ!そっちこそ俺が彼奴を墜として救援にいってやるよ」

 

お互いに軽口を言い合い、気を引き締める。

 

こうして戦いの火蓋が切って落とされようとした。

 

しかし、敵側は何故か何もせずに反転して帰投し始めた。

 

「(どうやらラクスに助けられたな)」

 

フィルは敵部隊が帰投する理由を知っているため、心の中でラクスに感謝するのであった。

 

ナスカ級が後退したことにより、先遣隊とアークエンジェルはようやく合流することができた。

 

艦橋で今後の方針が話されてる中、フィルはキラから話があると言われて自室で話を聞くことにした。

 

話の内容はイージスのパイロットが友人であるということだった。

 

「なるほど…。それは辛かったな」

 

アニメや小説で知っていたとしても、現実では友人に銃を向けるのはとても辛いはずだ。

 

「……はい。だけど、僕は皆を守るために次に会ったらアスランを……撃ちます」

 

「はぁ~キラ、あまり無理をするなよ」

 

「え?」

 

「口に出すことはできても、その時になれば撃つことなんてそう簡単にできるものじゃない」

 

何しろ民間人だった上に敵側にいる友人を撃つなんて、キラが簡単にできるとは思えない。

 

「それなら、どうすればいいんですか?」

 

「そうだな……キラ君自体はどうしたいんだ?」

 

「僕は…僕はアスランと戦いたくありませんよ」

 

キラは吐き出すように本音を言う。

 

いくら撃つと宣言しても、友人を撃つなんて誰だってしたくない。

 

「そうか。だったらもし戦うことになったら撃たずに、生き残ることを優先したらいいんじゃないか」

 

「生き残ることを優先にってどうするんですか?」

 

「コックピットを狙わずに相手の武装を狙うとか。攻撃を回避することに専念するとかかな」

 

フィルの言葉にキラは考え出す。

 

フィルの提案した方法なら確かにアスランを撃つことはないだろう。

 

しかし、今のキラにそんな芸当ができるかとは思えない。

 

「まあ、今はゆっくりするべきだよ。それに……」

 

ドアを開けると、そこにはトール、ミリアリア、サイ、カズイ、フレイの5人が聞き耳を立てていた。

 

「君を心配してくれる友人もいるんだしね」

 

「皆……」

 

聞き耳を立てていた5人にキラを呆然としていた。

 

5人は聞き耳を立てていたがバレたことにバツが悪そうにしていた。

 

「あとは若者たちでゆっくり話すといいよ」

 

キラを残して、フィルは部屋を出る。

 

部屋を出たフィルは食堂に向かう。

 

「よっ!どうしたんだフィル、悩んだ顔して?」

 

そこへ同じように食堂に向かっていたムウと遭遇する。

 

「色々とキラ君の相談を受けてたんですよ。そういえばフラガ大尉、今後の方針は決まったんですか?」

 

「そっか……坊主のこと任せっきりで悪かったな」

 

キラのことをフィルに任せたままにしたことにムウは申し訳なさそうにしていた。

 

「いいですよ。大尉だって会議やら何やらで大変だったでしょう?」

 

「まあな。そういえばコープマン大佐が、お前のお陰で先遣隊の被害を最小限にできたことに感謝してたぜ」

 

「そうですか。でも、戦闘をもう少し早く停戦することができたらバーナードは沈むことはなかったと思います。俺がラクス君の返還を話してれば……」

 

「そう気に病むなよ。過ぎたことを言っても死んだ奴は生き返るわけじゃないんだ」

 

そう言ってムウはフィルの肩をたたく。

 

「……そうですね。そういえば会議はどうなったんですか?」

 

「あ~とりあえずは第8艦隊との合流を優先するようだぜ。しかし、先遣隊の損傷は酷いようだって言ってたぜ」

 

「戦闘行為はできないほどですか?」

 

「モントゴメリは損傷はそこまで酷くないようだけど、ローのほうは無理そうだ」

 

そのため、モントゴメリとローは一足先に第8艦隊と合流するようだ。

 

「そうですか、フラガ大尉ちょっと付き合ってくれますか?」

 

「ん?ああ、いいぜ」

 

そして、フィルはムウと共に格納庫に向かった。

 

「そんで?わざわざ格納庫に連れてきた理由は何なんだ?」

 

「……これを見てください」

 

フィルはキラによって改良されたOSをムウに見せる。

 

「これは……!?」

 

「キラ君が改良してくれたOSです。どう思いますか?」

 

「なるほど、これはほぼナチュラル用といえる代物だな」

 

ムウもプロトストライクのOSがナチュラルでも扱えるほどに改良されたことを理解したようだ。

 

「お前はこれをどうしたいんだ?」

 

「正直なことを言えば、このOSをナチュラル用のOSとして採用すべきですね。そして、Gのデータから連合がMSを量産した時に、このOSをナチュラルのパイロットが使うことになれば戦況は変わりますね」

 

「確かにな。問題は」

 

「これを月本部かアラスカのどちらかに無事送り届けれるかですよね」

 

問題はこのOSを無事にアラスカか月本部に送り届けることができるかである。

 

「ラウ・ル・クルーゼはこのまま引き下がってくれますかね?」

 

「無理だろうな。絶対に追いかけてくるぜ、あいつは本っ当にしつこいんだよな~」

 

「嫌だな。このまま何もなければいいのに」

 

そう思っていた矢先に警報が鳴り響いた。

 

「ラウ・ル・クルーゼですかね?」

 

「いや、流石に歌姫を送り届けてるはずだからこんなに早く追いつくはずはない」

 

「とりあえず出撃するしかありませんね」

 

「そうだな。気をつけろよ」

 

「大尉こそ」

 

ムウはパイロットスーツに着替えるためにパイロットロッカーに向かう。

 

フィルは着替えず制服のままハッチを閉じる。

 

艦橋(ブリッジ)、状況は?」

 

「は、はい!敵はローラシア級1!MSはデュエル、バスター、ブリッツです!」

 

「3機のGが相手か、気を引き締めないとな。バックパックはストライカーパックだ」

 

「了解!」

 

「先遣隊は第8艦隊もこちらに向かってるわ!持ちこたえて!」

 

「了解!プロトストライク、発進する!」

 

カタパルトデッキから発進したプロトストライクはフェイズシフトを起動する。

 

プロトストライクの後にストライクとメビウス。ゼロが発進する。

 

3機のGは密集編隊は突っ込んでくると、突如散開する。

 

すると散開した場所を通ってローラシア級の艦砲がアークエンジェルに着弾する。

 

「射線を隠すとはやってくれるじゃないの!」

 

ムウがガンバレルを展開して撃つも、フェイズシフト装甲では実体弾では効果がないためかバスターは回避せずメビウス・ゼロにビームを撃つ。

 

バスターはムウのメビウス・ゼロが抑え、デュエルはストライクをアークエンジェルから引き離そうとする。

 

「となると俺の相手は…ブリッツだよな!」

 

プロトストライクはアークエンジェルを護衛するために、接近するブリッツに向けてビームライフルを向けて撃つ。

 

ブリッツは回避して攻盾システム“トリケロス”を構えてビームを撃ち返してくる。

 

「何の!」

 

フィルはキラによって改良されたOSのお陰で攻撃を回避することができた。

 

もう一度ブリッツにビームを撃つが、ブリッツは回避すると陽炎のように姿が見えなくなった。

 

「ミラージュコロイド!アークエンジェル!」

 

「アンチビーム爆雷!対空榴散弾頭を!」

 

マリューの指示に従い、アークエンジェルから爆雷が打ち出されて飛散する。

 

「何処だ?」

 

フィルもビームライフルを構えて、ブリッツが姿を現すのを待つ。

 

アークエンジェルの艦尾ミサイルがブリッツがいると思われる位置に発射される。

 

ミラージュコロイドを展開している間はフェイズシフトを切っている。

 

そのため、実体弾である対空榴散弾頭を防ぐためにはフェイズシフトを起動しなければならない。

 

案の定、ブリッツはミラージュコロイドを解除し、フェイズシフトを起動して姿を現す。

 

「そこだ!」

 

姿を現したブリッツにビームを撃つも、ブリッツは対空榴散弾頭をシールドで防御しながらビームを回避する。

 

再びミラージュコロイドで姿を消すも、手動に切り替えたイーゲルシュテルンの弾幕に再び姿を現す。

 

「逃がすか!」

 

プロトストライクはビームライフルを腰部にさげて、ビームサーベルを抜いて切りかかる。

 

ブリッツはビームサーベルを回避すると、プロトストライク同様にビームサーベルを構えて切りかかってきた。

 

「っと!」

 

シールドでビームサーベルを受け止める。

 

「まだまだ!」

 

再度切りかかろうとしたプロトストライクは、収束火線ライフルを前にガンランチャーを後に連結して超高インパルス長射程狙撃ライフルでこちらを狙うバスターに気づいた。

 

「やばい!」

 

咄嗟にシールドを構えて防ぐも、高威力の狙撃にシールドは破壊されてしまった。

 

その上、強力な衝撃がコックピットを襲い、吹き飛ばされてしまいアークエンジェルと離されてしまった。

 

ブリッツはこの機を逃さず、アークエンジェルを沈めようと攻撃を仕掛ける。

 

「沈めさせるわけには!」

 

機体の体勢を立て直して戻ろうとする前に、ストライクがありえないスピードでアークエンジェルにとりついているブリッツに接近する。

 

そして、キラはブリッツに切りかかるも、ブリッツ飛びのいて回避しようとする。

 

しかし、キラの反応速度はブリッツを上回り、ストライクはブリッツを蹴り上げた。

 

「凄い……これがSEEDなのか?」

 

そのとき追いつてきたデュエルがビームサーベルを振り下ろすも、ストライクは腰部からアーマーシュナイダーを掴むと、ビームサーベルで切り裂いた装甲部分に向けて正確にたたきつける。

 

激しいスパークがデュエルを襲うと、損傷を受けたのか動くことなく沈黙する。

 

そのまま漂うデュエルをブリッツは抱えて離脱していった。

 

ストライクは甲板に立つと、そのまま離脱するブリッツ達を見送っていた。

 

「キラ君、大丈夫かい?」

 

『あ……フィルさん』

 

「君のお陰で皆は助かったんだ。凄いじゃないか!」

 

「え?は、はい…」

 

呆然とするキラにフィルはSEEDの力に舌を巻いていた。

 

こうして3機のGの襲撃を無事に乗り越えることができた。

 

 

 

 



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第13話

キラの活躍で三機のGを退けたアークエンジェルは無事に第8艦隊と合流することができた。

 

アークエンジェルを迎えに来た数十にものぼる駆逐艦、戦艦を見たアークエンジェルのクルーたちやヘリオポリスの民間人は安堵していた。

 

これまでの激戦を乗り越え、やっと第8艦隊と合流することができたことが嬉しかったことがわかる。

 

そんな中、格納庫ではメビウス・ゼロとプロトストライクの整備と修理が進められていた。

 

「折角艦隊と合流したのに、何でこんなに急いでるんですか?」

 

キラの不満のある声に、プロトストライクのコックピットにいるフィルは仕方ないと思う。

 

何せ艦隊と合流出来て休めると思ったのに、整備に駆り出されてしまえば不満の一つは出るものだ。

 

「壊れたままじゃ不安なんだよ!」

 

「どうしてなんですか?」

 

「第8艦隊のパイロットはひよっこぞろいなんだよ!なんかあった時にゃ、やっぱ大尉と少尉が出れねえとな」

 

ムウの答えに納得いかない様子のキラにマードックの声が格納庫に響く。

 

「第8艦隊もパイロットに関しては人手不足なんだよ。それにもしもの時に備えとかないといけないからね」

 

機体から出たフィルはキラ達に近づく。

 

「まだ敵が来ると考えているんですか?」

 

「まあね、ラウ・ル・クルーゼはGの性能を知ってるからね。Gの戦闘データから連合がMSを量産すれば、ラウ・ル・クルーゼでなくてもザフトにとっては脅威になるはずだ」

 

そのため、アークエンジェルをこのまま逃がすとは思えない。

 

というより絶対に来ることを知っているフィルとしては、わかっていても来てほしくないと願うばかりだ。

 

「それでストライクはどうするんですか?本当にあのままでいいんですか?」

 

キラの言うあのままとはOSのことだろう。

 

「う~ん、わかっちゃいるんだけどさ……」

 

「わざわざ元に戻して性能を低くするのも悩むよね」

 

ストライクのOSはハッキリ言ってキラ専用といっても過言ではない。

 

あれほどピーキーなOSを乗りこなせるパイロットはこの場にはいないし、これから現れるかわからない。

 

そんなパイロットが現れるまで格納庫にしまっているのももったいない。

 

「できれば、あのままで誰かが使えてくれたらって、思っちゃいますよね?」

 

上からの声にフィルたちは視線を上に向ける。

 

「艦長!?」

 

「おやまあ…」

 

声の主はマリューでフィル達に近づく。

 

「あらら、こんなところへどうしたんです?」

 

ムウは笑いながら問いかけ、マリューはキラの顔を見る。

 

「ちょっと、キラ君と話したくて」

 

「え?」

 

いきなりのことに尻込みするキラにマリューは苦笑する。

 

「そんなに疑わないで。まあ、無理もないとは思うけど」

 

そうしてマリューとキラはストライクの前に移動する。

 

「それで?お前、もしもの時の備えって言ったけど本当はどう考えてるんだ?」

 

ムウからの真面目な問いかけに、フィルは誤魔化さず話すことにした。

 

「そうですね。……おそらくというより絶対に来ます」

 

「そうか……。お前もそう考えてるか。あ~やだやだ本当にしつこい奴だぜ」

 

ムウの言う通り本当にしつこいとフィルも同意する。

 

「そういえば、坊主はどうするのかね?」

 

「それは……わかりませんね。艦を降りるのか、それとも…」

 

「それともあのままストライクで戦うってか?」

 

「こればかりはキラ君が決めることですからね。俺達がとやかく言っていいわけないですからね」

 

「そうだよなあ……」

 

そうして急ピッチで整備作業を終え、格納庫にクルーが集まっていた。

 

そして、一艇の連絡艇(ランチ)が格納庫に着艦した。

 

「いや、ヘリオポリス崩壊の報せを聞いたときは駄目だと思ったよ!それがこうして諸君に合えるとは!」

 

中から長身の将校が気さくな様子で降りてきてマリュー達の前に出る。

 

この人物こそがデュエイン・ハルバートン提督。

 

連合軍において唯一の良心といっても過言ではない人物だ。

 

「ありがとうございます、ハルバートン閣下。お久しぶりです」

 

マリューはハルバートンへ敬礼し、ハルバートンも敬礼し返す。

 

「先も戦闘中だったと聞いて間に合わないかと冷や冷やしたぞ。大丈夫か?」

 

ハルバートンはクルーを見渡し、ナタルとムウが前に出る。

 

「ナタル・バジルールであります!」

 

「第7軌道艦隊所属、ムウ・ラ・フラガであります」

 

ナタルとムウもマリュー同様にハルバートンに敬礼して名乗る。

 

「ああ!君がいてくれて幸いだった」

 

「いえ、さして役にも立ちませんで」

 

ハルバートンの労いにムウは苦笑し、後ろに整列しているキラ達を見る。

 

「それで彼らが?」

 

「はい、彼らが艦の操艦を手伝ってくれたヘリオポリス学生たちです」

 

そして、ハルバートンは今度はキラ達に近づく。

 

「君達のご家族も消息は確認してるぞ。安心したまえ、皆さんご無事だ」

 

家族が無事であるという情報にキラ達は皆喜んでいた。

 

「こんなとんでもない状況の中、よく頑張ってくれた。私からも礼を言わせてほしい」

 

「閣下、あまりお時間が」

 

そこへ副官であるホフマンが静かに声をかける。

 

「うむ。後で君達とゆっくり話をしたいな」

 

そう言ってハルバートンはマリュー達と共に格納庫を去っていった。

 

「(さて、こっちも色々と動くとするか)」

 

去っていく後ろ姿を見るフィルもこれからの戦闘に備えて行動を開始するのであった。

 

 

 

 

 

 

 




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