気づいたら狐の土地神でした!(仮タイトル) (カエル帽子)
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『戦』参戦!ただし一般兵士なんだけどね!
この作品覚えてる人どれくらいいるのでしょうか?
とりあえずユッキー可愛いですよね!
『うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!』
ここはフロニャルドと呼ばれ、地球とは全く違う謂わば異世界と呼ばれる世界。場所にもよるが、たくさんのヒトが住む基本的には平和なところだ。
「なめんなぁぁぁ!!!」
そして現在、ビスコッティ共和国とガレット獅子団領国の二国間で『戦』が起こっていた。
戦況はガレットに傾いている。ガレットは度々ビスコッティに戦を仕掛け、その度に勝ち続けていた。結果ビスコッティに残った拠点はフィリアンノ城のみ。つまりは後が無い状態らしい。
「ちょっと弓の人!?もっと浮島にいる間に落として!?こっちやばい!そろそろ捌くのも限界なんですけど!?」
「こちらもこれ以上は厳しいです!頑張ってください!」
「余所からの援軍は!?」
「どこも手一杯ですぅ!!!」
「ド畜生めぇ!」
ビスコッティ共和国の本拠地とも言えるフィリアンノ城、その手前に配置された『障害物』を越えてくる武装したガレットの兵士達を『カタナ』でぶった切り、兵士を獣玉に変えていく。ん?ガレットの皆さんの場合は猫玉か。
あ、遠くでまた爆発が。誰かが
フロニャルドにはフロニャ力という不思議な力がある。場所によって、この力が強い場所と弱い場所とがあるが、この力が強いところならば、武器で斬られたり潰されたり、例えビームで凪ぎ払われたりしてもケガをすることは無い。ただ戦闘不能になるだけだ。だからこそ、こんな『戦興行』なんて物ができるわけで。
あぁもちろん『戦』とは呼ばれてるけどマジ物の戦争じゃあない。どちらかと言えば国をあげたお祭り事業という方が俺的にはピッタリはまる。
というかさっきから言ってる『障害物』だって、地球風に言えば『アスレチック』だし。えっと、なんだっけか。『スポーツマンシップに則り正々堂々戦いましょう。』ってやつ。だから別に殺しあいみたいな物騒なことはまずあり得ない。
強いて言うなら、『戦』に参加するには金が必要だから、参加費だけは稼ごうとガチで戦ってくる人も時にはいるってところか。かくいう俺もこっちがわの『ヒト』だけどな。
『ウラァァァァァ!!!』
「ちょ、向こう応援来てない!?ねぇ俺の聞き間違いだよね弓の人!?」
「自分も気のせいだと思いたいでわふっ!?」ボンッ!
「あぁぁぁぁ!?弓の人落ちたぁぁぁぁ!!!???ちくしょうやってやる、やあぁってやるぞぉぉぉぉぉ!!!!!」
と、一人で叫んではみるものの、ちょっと考える。ぶっちゃけ結構ガレット兵士を倒してはいるから、それなりには稼げたと思う。ここで無理をしなくても、後は街のどこかで臨時アルバイト的なのをしてれば、旅の路銀は充分集まるだろうから頑張る理由はあんまりない。
それにあまり目立ちたくはないし。またお誘いを断るの心苦しいんだよなぁ。ごめんなさいって言う度に相手に悲しい顔されるの結構辛い。
だからここは適当にやって倒れて、救護室でのんびりしよう。そうしよう。
「...ってわけにはいかないよなー。」
戦に参加しようとビスコッティの街を歩いていたとき、とある家族の会話が聞こえてきた。
「ママーママー!僕『姫様』の歌聞きたいよー!」
「あらあら、それじゃあ頑張って騎士様達を応援しないといけないわね。」
「うんっ!」
周りのすれ違う人々も『姫様』の歌が聞きたいと口にしていた。でもその顔はどこか悲しげで、やっぱりガレットに連敗してるから今回も、って思ってるんだろうなぁ。
「...はぁ。俺は別に聖人君子じゃないんだが。」
それでもあんな顔見せられたんじゃあ、黙って見過ごすわけにもいかないわけで。しょうがない、お誘いは後で丁重にお断りしよう。仕事で鍛えられた営業スマイル力で乗りきってみせようぞ。
「輝力解放!」
妨害役の弓の人がいないので続々と障害物を抜けてくるガレットの兵士達。フィールド中央の方は放送を聞いた感じ、姫様に召喚された勇者が頑張ってるらしい。それなら尚更ここを抜けられるわけにはいかないわな。
抜いた「刀」を一度鞘に戻して紋章発動。フロニャ力と自分の生命力を紋章を通じて混ぜ合わせ輝力に変換。そしてあとはイメージ通りにぶっぱなすだけ!
「気合抜刀.一文字!!!」
刀に輝力を込めて、一気に振り抜く!輝く緑の斬撃が押し寄せるガレットの兵士達にぶつかった瞬間、大爆発。そして大量に現れる獣玉達が戦場に散らばっていく。ふむ、だいぶ数は減ったようだし、残った兵達を片付ければ少しは休憩できるだろうか。
「さぁってと、さっきまでの俺と思うなよ?」
今の紋章砲を見ても向かってくるガレット兵に半ば感心しながらも刃に緑の輝力を纏わせた刀を向ける。
「ハズキ=セミフレッド、いざ参らん!」
その後は召喚された勇者と親衛隊長が、ガレット側の姫様『閣下と呼べ!』もとい閣下を撃破し、大量のポイントがビスコッティ側に加算。これが決定打となりビスコッティの勝利で幕を閉じた。
まぁ勇者が親衛隊長にも攻撃を当てて全裸に剥いたり等あったりしたようだが、それについては一言だけ。
ナイス勇者!
今も地面に仰向けで寝ながら試合終了後のインタビューを聞いているが、やはり勇者が気になる様子。
どうにも俺の活躍は勇者の登場と被ったようで今のところ話題として触れられていない。でもま、目立ちたくないってのがあるから別に気にしちゃいないが。あれだけ切ったばったやったりはしたけどっ!紋章砲ぶっぱなしたりもしたけどっ!気にしてないからねっ!ねっ!?
話を戻すが、勇者の件については俺も気になってはいるのだが、なぜか話題を逸らしている騎士団長殿。はてさて何か問題でもあったのだろうか。
「あのー、大丈夫ですか?」
「ふぁ?...あぁ平気ですよ、ちょっと頑張り過ぎたので休憩してるだけですから。」
寝っ転がってたら救護班の人に心配されてしまった。そろそろ起きるとしますか。
お?インタビューの話題が変わったな。今回の戦の勝因について?
勇者殿の活躍も当然ではあるが皆の奮闘あってこそ。特に浮島障害物コースで一人で戦線を支えてくれた一般参加の方には相応の報酬を払わねばなりませんね。
おおぅ!?団長さん一応状況は知ってたのね。全く、わかってるなら応援寄越してくださいよ。なんで一般兵がひとかどの将並みの働きをしなきゃならなかったんですたい。
そういうわけなので、どこかで聞いているだろうハズキ=セミフレッド殿。後で報酬金の支払いと共に個人的に話がしたいので、自分の所まで来ていただきたい。
...うぇぇぇぇぇ!?騎士団長からの直々のお呼びだしじゃないさ!?あーもうこっそり一般兵に混じって報酬金もらって宿に引きこもろうと思ったのにぃ!あ、こら、実況の人も騒がなくていいから!あ、やばいカメラで探し始めようとしてやがる!くっ、せめて国民に顔が晒されるのは避けたいところ。となると方法的には。
「...あの、自分を獣玉にしてくれません?」
「それはちょっと...。」
「ですよねー。」
救護班の人に自分をノックアウトしてくださいとか職務放棄もいいとこですよね、わかってました。
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騎士へのお誘いと勇者殿との邂逅
また、更新は気まぐれマイペースとなります。
それでも良い、という方は続きをどうぞです。
インタビューのカメラから時に橋の下、時に障害物の影、時に湖の中に隠れてやり過ごし、なんとか騎士団長ロラン殿の元にたどり着いた。
騎士団長殿~来ましたよ~っと。え?なんで濡れてるかって?カメラから逃げてたら湖に落ちたんですよ。
え?なかなかに面白い御仁ですって?
いやいや、俺より面白い人なんていくらでもいるでしょうに。例えばあの親衛隊長殿とか、あと勇者殿とか。そういえば勇者殿はどうしたんです?
チラッと中継に映ったの見ましたけどなかなかにノリの良さそうな人だと思いましたが?
ん...諸事情ありと。まぁ深くは聞きますまい。
どうやら何かあったっぽい。まさかとは思うが勇者召喚されると地球に帰れないってこと知らなかったわけじゃないだろうな。
いや、地方によっては地球に帰った、という伝承もあるから百パーセント無理ってわけではなさそうだが。
さて、勇者殿の話もそこそこに騎士団長殿が本題に入った。
まぁ簡単に言ってしまえば、ビスコッティに所属してくれないか、というお誘いである。
ここ最近の『戦』でガレット国との戦力差が大きいのを実感しており、戦える人を一人でも増やしたいそうだ。
本来は後二人ほど強い人がいるらしいのだが留守にしているようで、そんな中に現れた将並みに強い一般参加者がいるとわかれば、そりゃあ声をかけられますな。
なるほど事情は把握しました。でもすいません、俺の答えはノーなのです。
理由?自分、人を探してるんですよ。自分にとって文字通りの命の恩人ってやつですね。
彼女らにどうしてもお礼を言いたくて諸国を巡ってるんです。
後どれくらいの時間がかかるかもわからないのに、一国に所属するというのは流石にどうだろう、と思いまして。なのですいません、お誘いはホントに嬉しかったです。
あぁあぁ謝らないでくださいよ、お互いそれなりの事情がある、ただそれだけのことなんですから。
あ、でも、しばらくはビスコッティの街にいますから、その間でなら『戦』には極力参加しますよ。
いえいえ、感謝なんてしないでくださいな。自分も旅の路銀が必要なだけですから。
はい、それなりに役に立てるよう頑張ります!それでは失礼しま、はいなんでしょう?
チケット?この後のコンサートの特別招待券!?いいんです!?まじでやったひやっほーい!!!
あ、コホン。ではありがたく頂戴いたしますね。それではっ!
「行ってしまったか。」
先の戦で突然現れた、尋常じゃない強さの一般参加者。
一人で戦線を維持していると報告を聞いた時には驚いた。
すぐに彼が倒れても持ち直せるよう応援部隊を後ろに控えさせてはいたのだが、結局、最後まで彼一人で最後まで持ちこたえてみせた。
彼ほどの人材はそうはいない。今回は勇者殿のおかげで勝つことができたが、これは防衛戦。
いずれはこちらから攻めなければならない時、あのガレットの戦力が一ヶ所に集まるとなると、やはり攻め手に欠ける。
もうじきダルキアン卿とユキカゼが戻ってくる。その時に彼もいてくれれば、遠征戦であったとしても、いい勝負になると思うのだが..,ガレット側の思惑が見えない今、彼をどうにかして引き入れたいところ。
「今度会ったら、探し人について聞いてみるか。」
探し人が見つかったとなれば考えてくれるかもしれないな。
なんとか騎士団長殿との対話も終わり、今は戦勝ムードで賑わっている城下町を物色中だ。
報酬としてもらった金額が予想より遥かに多くて驚いたが、おかげさまでいろいろと食べ歩きができそうだ。
さてさてさーて、まずはどの店から行こうか...ん?
おやおやぁ?あそこにいるのは『戦』で活躍した勇者と親衛隊長であーりませんかぁ?
でもなんだか勇者様は項垂れている様子。
どうしたんでしょうかね?
や、はろはろ~。『戦』の立役者な勇者殿に親衛隊長殿。こんな所でどうしたのよ?
あぁそんな警戒しないでくれ、俺はハズキ=セミフレッド。さっきの『戦』でビスコッティの一般参加組の一人よ。
兄上に呼び出されてた人?兄上ってもしかしてロランさん?ほぇー兄妹だったのか。二人揃って騎士とか凄いな、素直に尊敬するぜ。
俺なんてあっちへこっちへ旅してばかりだからな。
それよか勇者様、大活躍した割には浮かないご様子で。
ふむ、元の世界に帰れない、ねぇ。こっちじゃ勇者は元の世界には帰れないってのが常なんだが聞いてなかったのか?
はぁ、落とし穴?おやどうしたそこのわんこ?ん、魔方陣を見ろと。どれどれ。
『ようこそフロニャルド。おいでませビスコッティ。注意、これは勇者召喚です。召喚されたら元の世界へ帰れません。心当たりの無い方は踏まないでください。』
あはは、こんな小さく書かれてるんじゃわからんよな!しかもフロニャ文字だから読めねーし!
あー沈みなさんな。勇者召喚ってのはまだまだ不明点が多いブラックボックスみたいなもんだ。
俺が旅してきたところじゃ元の世界に帰ったり封印されたりとかって聞いてるし、希望を捨てるのは早すぎると思うぜ?
こんなことで嘘なんかつかねーよ。ほら、せっかく報酬金もらってんだし、露店巡りしよーじゃん?親衛隊長殿もいいだろう?
姫様のコンサートまで時間があるからな、戦勝ムードに酔いしれようぜっ!
ところで勇者様、名前からして日本人だよな?もしかしてハーフ?歳はいくつよ?
...え、13歳!?ってことは中1!?あ、もう中2になる、と。
いやそれでも、この歳であんだけの動きできるとか、昨今の若者はすごいんだねぇ。
勇者殿、じゃなくてイズミ君達と別れた後も街巡りを続けていた俺。そろそろいい時間だし、ぼちぼちコンサート会場に向かうかぁ、と決めたときに緊急放送が入り、モニターには相手方に捕まった(抱き抱えられた)姫様と、その相手方の挑発に乗った勇者イズミ君。
んーっと。この場合、コンサートってどうなるんでしょうねぇ?
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