憑依先は顔芸おじさん。 (恐怖こそが神なのだ)
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顔芸憑依
まあエネルは東の海じゃないんですけど。
最初、エネルとキャプテン・クロと六十皇を四皇にまで減らした最強の山賊ヒグマさんと迷ったんですけども結局エネルになりました
朝起きたらやけに耳たぶが長い子供になっていたんだがどうすればいいんだこれ。
いや、落ち着け。よく思い出してみよう。昨日、仕事の出張から家に帰った。そしたらちょっと気持ち悪かったんだよな。それで疲れが溜まってるなと思って寝たら耳たぶが長い子供の姿になってた。
意味不明すぎて整理できんぞ!! 耳たぶが長い子供に私が朝起きたらなる原因がわからん。考えられるとすれば胡蝶の夢みたいに私が寝ている間に見ている夢か、寝ている間に死んで輪廻転生したかとかかね。確かめようがないが、こんなでたらめみたいな事が起こっているのだ、そういう風に考えるしかないだろ。
しかも家の外にでてみたけど地面白いしめちゃくちゃ柔らかいし。まるで雲みたいな柔らかさだ。うーん、謎すぎる。
まあ、とりあえず自分の家らしき場所の中でも確認してみるか。色々探してみればこの体はなんて名前なのか、誰なのか。国籍とか、年齢とかなんかわかるだろう。
本棚をザッと漁ってみたが、天候に関する学術書とか私が現在いるらしいこのビルカという島? の歴史に関する学術書とかしかなかった。興味はあるが、私自身のことを確かめるのには役に立たないな。てか元々の耳たぶ長いこの体の持ち主くん勤勉すぎないか? 凄いな、この歳で学術書とか読むのか。
次に机を漁ってみたら都合よく日記があったので読んでみる。ご丁寧に「エネル」と名前も書いてある。真面目な性格だったらしいな。
………んん??? エネル?
覚えがある名前だぞ……。なんだったかな……。とりあえず日記を読み進めてみよう。
えーと、何々……遺跡にゲダツ、オーム、シュラ、サトリっていう名前の友達と冒険しに行った? 大人びていると思ったが、年相応な所もあって可愛いじゃないか。
で、そこで隠し扉を見つけて、その奥に壁画を見つけたと。月や翼の生えた人間が書かれた壁画と、かすれかけて読めないがウラヌスという文字。
うん、確信したわ。
ずっと思ってたけどこれ漫画のワンピースだな???
うろ覚えで、友達にワンピース好きがいたから考察の話とか散々されてたからエネルとビルカの話は散々聞かされてたけど……。正直話半分で聞いてたのであまり詳しくないが、ワンピースの世界にはウラヌス、ポセイドンとかいう凄い兵器があるらしいし、それにエネルとビルカと来たらワンピースしかないよなぁ。
あり得ないと思って考えてなかったけど。
うーん、エネル……エネルねぇ。えーっと、なんだったかな。確かゴロゴロの実を食べた雷人間で、めちゃくちゃ強い。あと、あれだ。神らしい。
……よし、決めた。神になって信者作って貢がせて今世は楽しよう。そうしよう。前世?は勉強も仕事も頑張ってたけど、今度はまた違う人生歩んでみたいしな。
そうと決めたなら修行かな。ワンピースは戦闘漫画だし、強くならないと神として不合格だろ?
神なら強くて圧倒的でなきゃな!
天候とか、雷の神といえば強いのが当たり前だし。ゼウスとかトールとかな。
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神の救い
考古学者たちが集う西の海にある島、オハラ。今その島には普段の落ち着きはなく、政府直属のCP9たちがその島の考古学者たちを片っ端から捕縛し、島の中心の全知の樹の外に無理やり集められていた。
「これで全員集めたか?」
「いや、まだだ。そこのお前、こっちだ!……学者は全員ここに集めろ!」
黒服に身を包んだ役人たちが次々に学者たちを集めてくる。無論、学者たちは殺人をしたわけでも、盗みをしたわけでもなく捕まる謂れはない。犯罪者ではないのだから。しかし、学者たちは政府にとって研究してはいけない空白の100年と呼ばれる政府設立前の歴史を研究していたのだ。その事を危険視されて今このような状態になっている。
そしてまた一人、連れてこられた。その学者はオリビアという女性の学者だったが、血まみれで、呼吸も荒く今にも死にそうな位弱っていた。
CP9の長官、スパンダインはその女性の髪を掴み、引きずりながら役人たちに呼びかける。
「まだポーネグリフは見つからないのかァ!? 遅いぞ、早くしろ!」
「その件ですが、たった今全知の樹地下でポーネグリフを確認したようです」
部下の返答にスパンダインは満足げに頷き、高笑いを上げた。
「ムハハハハハ!!」
その笑いは余りにも人を不快にさせる笑いだった。まるで悪魔のような、魔王のような。毒々しい笑みだ。その笑みに対しクローバー博士は悔しさに顔を歪ませる。それを見て、スパンダインはさらに笑みを深くし、ニタニタと笑い続ける。
「『オハラ』の学者達、ここに貴様らの"死罪"が確定したぞ。実に残念だなァ……今日のこの日、世界一の学者たちがここで命を無駄に散らすことになるとはな!」
スパンダインはクローバー博士の頭を踏みつけながら、処遇を決めるために五老星に連絡を取り始めた。少女ロビンはそれを陰に隠れて見ることしかできない。彼女はただの少女で、この政府の大人たちをなんとかする力はなかった。
そんな無力な少女を傍目に、事態はどんどん進んでいく。
クローバー博士は五老星に対し、彼らが導き出した空白の100年に関する仮説を伝える。
過去の人々がなぜ、硬石という砕けぬ石に歴史を刻んで世界中にばら撒き、ポーネグリフとして残して未来へ伝えようとしたのか。
それは、ポーネグリフを残した者たちの敵に紙のメッセージでは消されることを懸念したからであり、ポーネグリフを残した者達の"敵"がもし世界政府ならば、"空白の100年"とは、『世界政府』の手によってもみ消された"不都合な歴史"と考えられる。
世界政府に滅ぼされたある巨大な王国の存在は執拗に隠されており、その王国の人々が残し、思想を記したポーネグリフは世界政府にとって王国の存在とともに脅威に他ならない。
この仮説を聞いた五老星は説明途中のクローバー博士を無視し、スパンダインに指示を出す。
「消せ。オハラは知りすぎた……」
スパンダインはその指示を待ってましたとばかりにバスターコールの開始のスイッチを押し、クローバー博士を銃で撃つ。
バスターコールは無情にも発動され、原作ならばオハラの人々はここでロビン一人を残し消え去る運命であった。
しかし、今ここには神がいる。この荒れた大海賊時代に降臨せし救いの神が。
「
「グ、ギャァぁぁあああァッ!??」
スパンダイン達役人は纏めて空からの光に巻き込まれていた。ぷすぷすと煙を上げながら倒れ臥す彼ら。ロビン達は誰一人とてその状況を理解できずにいた。
呆然としているロビンの肩に手がポンッと置かれ、ロビンが振り返るとそこには耳たぶの長い男、エネルがいた。ロビンは砲撃が鳴り響くなか、あまりの驚きに逃げることもせずに思わず話しかけた。
「あ、貴方は……?」
「ヤハハハ、私か? 我は──神なり」
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神の交渉
「さて、オハラの誇り高き学者たち。助かりたいのならばあの船に乗るといい」
エネルは片手に持つ黄金で作られた長棒で人々に降り注ぐ砲弾をはじき返しながら指を指した。
その方向にオハラの人々が目を向けると、空から船が降ってきていた。数隻の小型の船だ。シャボンのようなもので浮かんでいるのだろうか。世にも珍しい空飛ぶ船がそこにはあった。人々は唖然としながらも助かるために学術書や研究書を持てるだけ持って船に乗り始める。
「ま、まで! 貴様らァ! 大罪を犯しておいて逃げるなど……グギャァァァ!?」
辛うじて意識を保っていたスパンダインが逃げようとする学者たちを見て妨害しようとしたがエネルに電気を流されてまた倒れた。
「ヤハハ、元気な男だ。神の裁きを受けてもなお意識があるとは」
エネルは笑いながらスパンダインが持っていた電伝虫を拾い、電話をかける。
「何だ、スパンダイン。バスターコールが終わったのか?」
五老星は再びスパンダインからあまりにも早く連絡が来たことに違和感を感じながらも電話に応じた。しかし、その質問に答えた声は聞いたこともない声だった。
「へそ! 初めまして、五老星」
「……スパンダインではないな、誰だ?」
五老星は相手がスパンダインでないことで、何か不慮の事態が起こったのだと察して警戒感を強めるが、エネルはいつも通りにこやかな表情で会話を続ける。
「ほう、私が誰かだと?まあ、初対面だから無知であるのも仕方ないか。私はこの世界唯一の神、エネルという」
「神だと?」
五老星は不敬にも唯一神を名乗るエネルに目を見開いた。この世界では天竜人が神にして頂点であるからだ。最も誇り高く気高き血族であり、800年前に世界政府を創設し、聖地マリージョアに移り住んだ20人の王たちの末裔。五老星ももちろんその一人であり、彼らに向かって神を名乗るエネルの不敬に驚愕を隠せない。
ましてやエネルはスパンダインの電伝虫から通話をかけてきている。つまり中将たちの軍艦に囲まれ、今なお砲撃に晒されているオハラにエネルはいるのだ。
その不敬さ、豪胆さに五老星たちは世間で流れている噂を思い出す。海賊王ゴール・D・ロジャーの死から始まった大海賊時代という荒れた時代に救いの神が天より舞い降りたという噂を。天上に住む唯一絶対の神が人々を救っているという噂を。
「まさか貴様は、雷神教の……!?」
「然り。雷神教徒たちは私の守るべき信者たちだとも。まさか、もう貴様らまで情報は広まっているとは。世界政府も舐めたものじゃないな。ま、そんなことはどうでもいい。交渉しようじゃないか、オハラについて」
エネルは不敵に笑いながら交渉内容を告げる。
「私が要求することは今のところ1つだ。私が助けたオハラの学者たちを追わないこと、ただそれだけ」
「そのような要求、私たちが呑むと思っているのか?」
当たり前のように要求を呑まない五老星。それもそうだ。オハラに対するバスターコールは、空白の100年を探る者への見せしめ。禁じたことを行った者たちにたいしての罰なのだ。学者たちが生きていたら意味は半減するだろう。
「いいや、貴様らたちは呑まなければならない。そうだな……これは関係のない話になるが、ウラヌスを知っているかね? 私が所有しているお気に入りのおもちゃなのだが。それを貴様らに使って遊んでやってもいい。ハッタリだと思うのならば構わないが、私はビルカの出身だ。この意味がわかるだろう?」
五老星は古代兵器の名前が出てきたことに驚きを隠せない。古代兵器プルトン、ポセイドン、そしてウラヌス。それらは強力な兵器にして禁忌の存在。世界政府もどこに存在するかなど詳細をきちんと把握できているわけではないが、ある程度情報は知っている。
空島ビルカ。ウラヌスと何らかの関係があると言われている島だ。そこの出身ならばウラヌスを持っていないとは言い切れない。しかも、ここで断れば徐々に勢力を広げている雷神教を敵に回しかねないというリスクもあるのだ。もし、雷神教まで敵に回すと革命軍や海賊たちの他にも敵を作るほどの余裕はない世界政府にとっては厳しい状況になる。
その為黙りこくる五老星たちに対してエネルは笑いながら話し続ける。
「ヤハハ、まあ島を滅ぼすことができるのだ。見せしめについては充分に見せしめになる。ゆえに問題あるまい。そして、私も彼らの研究成果について言いふらす気もない。これで問題ないだろう?」
めちゃくちゃなハッタリだぁ…
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神の島
「ヤハハ、まさかあんなハッタリを五老星が信じるとな」
「まあ、殆ど半信半疑だろうが……今我々と直接敵対したくないという思いがあるのと、島自体は消せるならというのが本当のところだろうな。全く、守るべき民が暮らす島を消そうだなんて、なんて醜い人間だ……おれは今すぐにでも彼らも
スキンヘッドにサングラス、右腕に刺青の入った筋骨隆々の肉体にタンクトップの男、四神官の一人"スカイブリーダー"オームはシャボンのようなもので飛んでいる空飛ぶ小舟に乗ってエネルとともに空に戻りながら下で未だに砲撃を続ける海軍の軍艦を見ながら言った。
エネルはそんなオームを宥める。
「まあ、待て。オーム。今はまだ世界政府と争う時ではない。この荒れた大海賊時代……早急に救いが必要だろうが、今この程度の勢力では海賊どもを滅しながら世界政府と争うことはできないからな。故に対海軍、世界政府、海賊のための戦力の増強が早急の目的だ。信者や、救うべきものたちの為にな」
海賊王ゴール・D・ロジャーの死とともに始まった大海賊時代。世は無法者どもの天下となってしまっている。そこに救いはなく、民達は奪われ続ける。
ゴール・D・ロジャーは処刑される寸前に「おれの財宝か? 欲しけりゃくれてやるぜ…探してみろ、この世のすべてをそこに置いてきた!」とニヤリ笑いながら集まった民衆達に宣言したという。死ぬ間際に笑ったというのに、人としての格、"海賊王"と呼ばれるに相応しく、畏敬の念を覚える。
しかし、エネルは死の間際にその発言をしたゴール・D・ロジャーが嫌いだった。
その発言のせいで本来ならば海賊たちの芽を摘むための見せしめの舞台になるはずだったが、多くの観衆が湧き上がり、大海賊時代の幕開けとなった。
受け継がれる意思? 時代のうねり? 人の夢?
それがどうした。それにより普通の人が、救うべき民が苦しんでいる。許せるはずがない。
エネルは青海におりて、このワンピースの世界がいかに残酷な世界であるかを、現実を知った。常に感じるのは怒りだ。憤怒を己の内で燃やしながら、苦しむ民たちを救済するために動いている。
「それに、ビックマムやカイドウ……あの神敵の動きも警戒しなければ。勿論、革命軍や今年脱獄したという"金獅子"の動きもな。ホワイトベレー達に探らせてはいるが、特に"金獅子"あたりは何をしでかすかわからないのが危険だな」
「"金獅子のシキ"か。ロジャー、白ひげ等と争った大海賊。脱獄した後の音沙汰が全くない上に、ホワイトベレー達にも見つけられてはいない。あの狡猾にして豪胆な男だ、何を企んでいるのか。できれば何かをしでかす前に行方を捉えておきたいが……」
オームとエネルが危険分子について話していると、船は小さな空島にいつのまにか到着していた。そこは、天候を科学する小さな空島。
移動小型神島"ウェザリア"である。
エネルとオームがウェザリアに小船を付けて降り立つと、そこにはクローバー博士ら、オハラの人々が呆然と佇んでいた。
彼らは生まれ故郷を失ったのだ。助かったとはいえ呆然とするのも無理はないだろう。
エネル達がそんな彼らに近づくと、クローバー博士達もエネル達に気づいたようでエネルに近づいてくる。
「ありがとう。貴方達には感謝しかない。私たちの命が助かったのは、貴方のおかげだ…!」
「ヤハハハ、私はお前たちが理不尽にも世界政府によって殺されそうになっているのを助けただけだとも。大したことはしていない」
エネルに向かって感謝を述べながら頭を下げるクローバー博士に対して、エネルは手をひらひらとふって笑った。
そしてエネルは思いついたように言う。
「そうだ、お前たち。研究のレポートや資料や文献は全部持ってこれたのか?」
「いや、もう既にスパンダインたちに燃やされていたり、あまりにも膨大な量だったために、我ら全員でも殆ど持ってくることができなかった……」
「そうか。ならば私が全部用意してやる。燃えた研究のレポートなどは難しいが……住む場所や、研究環境、資料や道具も何もかもだ。そうだな、後でお前たちが欲しいものを紙にでも書いてオームに渡しておいてくれ」
エネルが何でもないことのように全部用意すると言ったことにクローバー博士たちは驚愕した。彼は、エネルは膨大な量の資料、研究環境など全てを用意すると言ったのだ。
その事実にクローバー博士は感激のあまりに涙を流しながらエネルの手を両手で握った。
「おお、おお……! 本当に、本当にありがたい……! 」
「ヤハハ、ま、神にとっては造作もないことだ。それと、さっきも言ったが、この島が本島に着くまでそこそこ時間がかかる。着くまでに欲しいものをリスト化してオームに渡しておけ。ではな。私は寝る」
エネルは島の中央部に向かって歩き始める。その後ろ姿を見ながら、クローバー博士はふと大事なことを聞いてなかったということを思い出した。
「ま、待ってくだされ!恩人の名前を今更聞くのが申し訳ないが、貴方様の名前を教えてはくれぬだろうか! 」
クローバー博士の呼び止めにエネルは振り返らず、片手を上げながら宣言する。己は雷神エネルであると。
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神の島と心優しき巨人族
「ようこそ、オハラの諸君。私の島ビルカへ」
移動小型神島ウェザリアから降り立ったクローバー博士達は初めて降り立った空島が珍しいのか、キョロキョロとしている。
ロビンも同じように辺りを物珍しそうに見回していたのだが、ある人物を見つけた途端、走り出した。
「サウロ!」
そう、そこには大将青雉に氷漬けにされたはずの巨人族の元海軍中将ハグワール・D・サウロが五体満足で座っていたのだ。
「おお、ロビンか。皆んな無事だったようで何よりだで」
「サウロもエネルさんに助けて貰ったの?」
「そうらしいんだで。氷漬けにされてからは記憶がなかったんだが……再び目を覚ましたら氷が溶かされてたんでよ。有難いことだで」
氷漬けにされたサウロはバスターコールの最中のあの島、オハラに置き去りにされそのまま海の藻屑となるところだったが、エネルとオーム達の移動小型神島ウェザリアとは別に海軍の監視に動いていた移動小型神島が氷漬けになったサウロを偶然にも発見した為に助けられたのだ。
加えて、都合が良いことにその小型神島にはエネルの配下の賞金稼ぎファミリーのボス、ドン・アッチーノが乗っていたのだ。ドン・アッチーノは超人系の悪魔の実、アツアツの実の高温人間。自分の体温を操作し、体から最高一万度もの熱を発生させることができる。その発生した熱により周りの空気を温め、気温も上がり上手く青雉の氷が溶けたのだ。
大将の氷と言っても、アツアツの実の最高温度は一万度。同じ大将のマグマグの実のようにマグマを無から大量に生成したり、自然系の悪魔の実ではないので体をマグマに変えたりなどはできないが、アツアツの実は一万度が最高温度であり、温度においてはマグマグの実の上位互換と言ってもいいだろう。加えて、マグマに浸かってもなんの影響もない位の耐熱性も持つ。その力ならば芯まで冷えるような大将の氷も問題なく溶かせる。
「サウロが生きてて、良かった……!! 」
感極まってサウロに飛びつくロビンの頭をサウロはその巨人族の大きな手で優しく撫でた。
☆☆☆
「さて。今日から君たちはこの島に住んでもらうことになる。青海──地上にも住居や研究施設は用意できるが、君たちは追われる身だ。慣れない空島だろうが、そこは許してくれ」
「態々用意して頂いたのです、空島が嫌だなどとんでもないこと申しません。寧ろ、生まれて初めての空島で興奮してるくらいで……」
クローバー博士の言葉にエネルは安心したような表情を見せた。彼は命以外全て、何もかもを失ったオハラの人たちにはこれ以上不幸な思いはさせたくなかったから。
「ヤハ、それは良かった。では、オーム。クローバー博士達を研究施設や住居の方に案内してくれ」
「了解した。では、皆さま方。おれについて来てください」
クローバー博士や、オリビア、ロビン達は歩き出したオームについて行く。サウロも彼らに続こうと立ち上がろうとするが、エネルに呼び止められた。
「なんだで? エネルさん」
「君に私から頼みたいことがある」
真剣な顔をするエネルは元海軍中将サウロに己の仲間となってくれと、頼み込んだ。己の理想、弱き民を救うための戦力の一人となってくれと。
本部所属の海軍中将は海軍の最高戦力である大将に次ぐ地位で、全員が「覇気」を身につけている実力者で、戦力としては申し分ない。加えて、サウロは巨人族だ。味方にできれば特大の戦力と言っても過言ではない。
それ故、来るべき時の為にエネルはサウロに味方になって欲しいのだ。
エネルは心優しい穏やかな巨人に対して、己の理想を語り出した。大航海時代の終焉と、世界の変革について。
炎熱系の悪魔の実って、マグマグの実、メラメラの実、アツアツの実、ネツネツの実、カチカチの実、グツグツの実、ネパネパの実って沢山ありますけど、いまいち実同士の優劣がわからないですよね……
マグマグの実>メラメラの実ってことしか原作では出てないですし。
まあカチカチの実とかネパネパの実は弱そう(小並感)
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神の鉄槌
有料ダウンロードコンテンツでいいからエネル実装してくれ……(懇願)
「さあさあ!今回も始まりましたァ! 皆さまお待ちかねの奴隷販売がねェ! 今回も質の良い奴隷たちを仕入れることができましたのでお楽しみくださァい!」
一人のサングラスをした男がマイクを片手に観衆へと叫ぶと、大きな歓声がホールに響いた。サングラスの男はヒューマンショップ……海軍風に言えば職業安定所のオーナーだ。
犯罪者の他にも世界政府非加盟国の住人、人攫い屋に拐われた何の罪もない人間も販売されている。世界政府はもちろん、罪のない人間を売るような闇商売を認めてはいない。しかし、それはあくまで表向きの話。
最も誇り高く気高き血族として世界の頂点に、世界政府のトップに君臨する天竜人。彼らにとって天竜人以外は人間ではなく、そこらの野生動物と同じ存在。加えて、奴隷の存在は当たり前のもの。
動物である庶民を殺すことは、天竜人にとっては人間が家畜を食べるために殺すように、朝に顔を洗うように当たり前なことであり、人間を家畜として見るのは当然のことと認識されている。
特に非のない者を虐げ、傷つけ、殺す。子を親の前で嬲り殺す。両目を抉る。焼き殺す。四肢を全て切断してわざと解放する。口を縫い付ける。口と肛門を繋げていき、俗に言うムカデ人間を作る。気まぐれに繁殖させてみる。海に重りをつけて沈める。
庶民は人間ではなく、家畜であるが故にこのようなことをしても問題はない。寧ろ積極的に虐げた方が良い。このような風潮がまかり通っている。人魚・魚人族に至っては200年前に政府が撤廃したはずの魚類という認識が未だ続いている状況である。
そのため、天竜人を頂点に据える世界政府は奴隷制度を厳しく取り締まることはできず、人間屋も横行することになってしまっている。
また、世界政府的には悪人を人件費ゼロで使い潰せるため重宝しているフシすら見受けられるのが世も末であろう。
「まずはエントリーNo.1。いきなり超レア物ォ!人魚族の女性だァ!勿論値段は7千万ベリーから!さあ、オークションスタァァト!」
「1億!」
「1億5千万!」
「1億6千万」
闇社会の有名な企業の社長や、名のある海賊。様々な人物が手を上げどんどん値段が釣り上がっていく。人魚族女性は世界一の遊泳速度を誇り、捕まえるのが至難の業。愛玩用の魚としても需要が高く、人気もあるためにとんでもない値段で取引されるのが常なのだ。
値段が跳ね上がっていく様子を、エネルはつまらなそうに見ていた。人間の浅ましい欲、同じ人間を家畜として扱う非道ぶりに心底呆れながら。
そんなエネルの持つ電電虫に連絡が来たため、エネルは応答する。
「……首尾はどうだ、サイコ・P」
「おれの任務、奴隷解放終わった。問題なし、計画通り」
サイコ・Pの短い報告を聞いたエネルはニヤリと笑って突然立ち上がる。サイコ・Pはイロイロの実を食べたカモフラージュ人間。自分を含め、様々なものを周囲の景色と同化させカモフラージュできるという能力を持つ。
見聞色でもなければ察知不能なその能力を活かしてエネルはサイコ・Pに対し奴隷たちの解放を行い、移動型の空島に乗せて秘密裏に避難させるよう命じていたのだ。
「3億!3億でどうだえ!わちきがその魚を3億で買うえ!」
3億で買うと叫んでいる天竜人のチャーミング聖。誰もそれ以上の値段を言い出さなかったため、魚を手に入れられたと騒いでいる彼の上にはバチバチと雷が集まっていた。
「な、なんだえ……これは……」
チャーミング聖があまりにも煩いそのバチバチとした音に気づいたがもうすでに手遅れ。彼には神の鉄槌が下される。
「"
極太の雷に貫かれ声も上げることもできず倒れるチャーミング聖の姿に、妻のチャーミング宮の悲鳴が響き渡った。
久々の投稿で申し訳ねぇ、最近ジャンプ+でONE PIECE60巻無料だったからなのかエネルがツイッターで話題になってたのを見てモチベが湧いてやっと投稿したんや。遅かったのは許して()
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神の嘲笑
エネルによる天竜人のチャーミング聖に対する攻撃で、ヒューマンショップの会場は一気にパニックになった。天竜人に対する無礼は世界政府──引いてはその軍事力たる海軍が報復に来るからだ。
この場に居ては自分も疑われる。そう考えた彼ら闇の住人や有名海賊、企業の社長、どこかの国の王族達は一目散に逃げ始めた。
この世の害でしかない天竜人が馬鹿面晒して気絶しているのはいい気味だが、海軍や世界政府に追われるのは御免だというわけだ。
「だ、誰アマス!? 私の可愛い息子に対してこんな仕打ちを……!」
息子が倒れたことに対して金切り声を上げている天竜人のチャーミング宮。彼女が護衛達に喚き散らしていると、彼女の目の前にエネルが突然現れた。突然のことに動けない護衛達。そんな護衛を尻目にエネルはチャーミング宮にゆっくりと手をかざす。
「ヒッ、な……」
「100万ボルト………"
あまりにも眩い閃光により護衛達が目を思わず瞑った瞬間、バリバリッという激しい落雷音がヒューマンショップに鳴り響いた。
悲鳴を上げることも出来ずにゆっくりと倒れ伏すチャーミング宮。倒れる前に彼女の頭をがっしりと掴みエネルは盛大に笑う。
その笑いで自分達の職務を思い出したのか、護衛達が銃や剣を向けてくるがエネルは気にもせず笑い続ける。
「ヤハハハハハハ……! やはり
チャーミング宮は意識が朦朧として返事すらできない。護衛達もチャーミング宮を奪還したいがチャーミング宮が人質に取られているも同然であるため動けない。
「おいおい……たった100万ボルトだぞ。手加減してやったというのに。世界の王を気取っている一族がたった100万ボルトも耐えられないとは。天駆ける龍という名前、今すぐ私に献上したらどうだ?……まあそんな汚名要らないがな。世界政府を設立した偉大なる先祖の王達も嘆いているだろうよ」
エネルはチャーミング宮に飽きたのか、チャーミング宮を護衛達に向かって放り投げる。護衛達はまさかチャーミング宮が放り投げられると思っていなかったからか落としそうになったものの、なんとかキャッチして床に倒れているチャーミング聖を引きずりながら脱兎の如く逃げ去った。
逃げ去る天竜人達と入れ替わりに一人の若い男がヒューマンショップに入ってくる。その若い男はヒューマンショップの惨状に愕然とする。
「な、何が起こったんだ……!? ステラは無事なのか!?」
明らかにこの惨状の犯人であろうエネルを気にも止めずに何者かの名前、恐らく奴隷として売られる女の名前を叫んでヒューマンショップを探しまわろうとするその若い男。エネルは不思議に思い声をかける。
「おい、男。ステラとやらを探しているのか?」
「ああ、そうだ!俺はステラと約束したんだ、自由にして楽しませるってな…!」
若い男の言葉に秘められた真剣な思いをエネルは感じ取ったのか、突然若い男の手を取り紙切れを一枚渡す。若い男はこの島のある場所が書かれているある紙を突然渡されたことに戸惑った。今は訳の分からない男から渡されたこんな紙よりステラだ──と思って無視して探そうとすると、エネルから予想だにしない言葉を投げかけられる。
ステラは生きている。そこに書かれた場所に今すぐ行き、そこにある船に乗れば再会できるという言葉を。
訳の分からない男からの言葉だが、実際探しても奴隷一人もいないこの状況で手掛かりはこの男の言葉だけ。
若い男は藁をもすがる気持ちでその場所目掛けて走り去っていった。
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