新妻・間桐桜の姦通 (七味胡椒)
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前編

HF後の桜って性欲凄そう。
という話です


「………………ふう。お掃除はこれで良いかな」

 

 爽やかな五月の午前。

 私、間桐桜はいつものように家事をこなしていた。今は広間と廊下の清掃が終わった所。雑巾で磨かれた床はぴかぴかに輝いている。この衛宮邸は私と先輩が住む家なんだから、しっかり綺麗にしておかないと。

 

 私と先輩は、今年の夏頃に結婚を控えている。気持ちとしてはもっとはやく結婚したかったし、今でも実質夫婦のようなものだけれど、色々なごたごたで後回しになってしまっていた。結婚したらここに住むことになっている。そう思うと家事にもなおさら力が入るというものだった。

 掃除がひと段落したら、次は洗濯物。洗濯機から取り出した衣類を籠に入れ、サンダルを引っ掛けて広い庭に出る。まずは庭の物干しに掛けてある洗濯物を取り込む。早朝から干し始めたそれは、春の陽気のおかげですっかり乾いていた。

 

「よいしょっ。これは先輩の服。これは私、これは藤村先生……と」

 

 呟きながら服を下ろす。後が楽になるので、取り込む時に持ち主ごとに分けるようにしているのだ。これも私が日々の家事で培った習慣である。

 ふと、その手が止まる。その中に一つ。女性用の、大人びた服があった。

 

「………………」

 

 これは、ライダーの服だ。他と同じように取り込む。けれど、その手付きは少し重くなってしまう。

 実は今、ライダーとの間にはわだかまりがあった。いや、この言い方は正確じゃない。実際には……とある事情から、ライダーに良くない感情を持たれている、と思う。

 

「……はやく済ませちゃおう」

 

 暗くなりかけた気分を振り払って、残りを籠に入れる。終わったら次は第二弾の洗濯物を干す番だ。皺を伸ばしながら手早く掛けていく。

 

 …………こうしていると、この家に初めて来た頃のことを思い出す。あの頃は今よりもずっと小柄で、上手く洗濯物を干すことだって出来なかった。私がこんなに健康的に育つことが出来たのも、この家の住人の優しさのお陰だろう。

 それだけじゃない。服の畳み方だって、料理の作り方だって、勉強だってここで教わった。この家は、今の私を育ててくれた場所なのだ。そして、先輩との想い出も。ここには、私の大切な物が詰まっている。

 

 洗濯物を全て掛け終わって、ほっと一息。汗を拭っているとふわりと桜の葉が庭に舞い込んできた。そういえば、毎年恒例になった先輩や姉さんと行く花見は今年も綺麗だった。けれど桜の季節は短い。もう花は散って、葉桜の時期だ。この庭自体にはないけれど、すぐそこの坂の上や池の土手など色々な場所に桜が植えられている。そこから風に運ばれた葉っぱだろう。

 

「そうだ、あとでお布団も干しておかなきゃ。……昨夜は汗をかいちゃったし」

 

 少し、頬が赤くなる。今では先輩の寝室が私の寝室でもある。もう身も心も結ばれてから一年以上経つというのに、未だに先輩との行為を思い出すと恥ずかしくなってしまう。たぶんそれは、先輩も同じだろうと思うけれど。

 あの戦いが終わったあと、わだかまりの無くなった私たちは毎日のように身体を求め合った。それは想いが通じた喜びからでもあったし、失った物の悲しさを和らげる為でもあった。いずれにせよ、それは幸せで、快い行為だったと思う。性交が心身の癒しになるということを私は先輩との行為で初めて知った。あれから一年経った今では流石に毎日とは言わないけれど、それでも数日に一度のペースで先輩に抱かれていた。

 

「先輩ったら、昨日はいつも以上に激しかったな。お仕事でストレス溜まってるのかも。今日はお料理に気合い入れなくちゃ」

 

 諸々が済んだら買い物に行こう、今日の夕飯は何が良いかな───────と考えていると。

 ぴんぽーん、と。玄関の呼び鈴が鳴った。

 

「なんだろう。通販かな」

 

 最近よくライダーがネットで注文していて、荷物が届くことがある。もしかしたらそれかも知れない。そう思って、一度縁側から家に上がり、玄関へ向かう。

 廊下を歩いていると急かすようにチャイムが鳴った。ぴんぽん、ぴんぽんと矢継ぎ早に押される。

 

「………………」

 

 イヤな予感がした。

 でも、もう玄関まで来てしまった。擦り硝子に相手の影が透けている。こちらもそうだろう。在宅がバレてしまったから、居留守も出来ない。

 

「……はい。どちらさまですか」

 

 恐る恐ると引き戸を開ける。

 

 心臓が凍り付く。そこにいたのは。忘れたくても忘れられない男性だった。

 年頃は私と同じか少し上。私よりずっと高い視点で、野卑な笑みが浮かんでいる。染められた髪にピアス、ラフな格好。夜中のコンビニ前にたむろする人種だ。

 反射的に閉めようとした戸に足を挟んで防ぎ、無理やり入って来る。足がもつれてうまく逃げられない。壁際まで追い込まれてしまった。

 

「なんで……家には来ないでくださいって言ったはずです……!」

 

 肩を竦めながら懸命に睨む。

 だけど彼には何の影響も与えられなかったようで。そのまま無造作に、片胸を掴まれた。

 

「ッ…………! やめてください!」

 

 相手の腕をはたき落とす。しかし彼はむしろ面白そうに、私の身体をまさぐってくる。薄いシャツを着ていたのが災いした。高校生の頃よりもさらに膨らんだ胸を、厭らしい手付きで揉み込まれる。

 

「あぅっ……やめて、触らないで……!」

 

 たぷんたぷんと掌で揺らされる。首元の匂いを嗅がれ、背筋が粟立った。胸を片手で揉みながら、もう片方は私のお尻へ。こちらもすくすくと育ってしまったせいで彼の大きな掌でも覆い隠せない。スカートの上から、執拗に掴まれた。

 

 ────この人と出会ったのは、数か月前。学校の部活の友人に誘われて行った飲み会で初めて会った。

 彼は藤村組の若衆の一人だった。いわゆるチンピラという奴。先輩が藤村先生や組長さんと仲が良いから、お祭りやイベントなんかで良く組員の人たちと顔を合わせる機会があった。

 

 私は気付かなかったけれど、その時目を付けられていたらしい。私との繋がりを作ろうとしていた彼は、上手く取り入って飲み会という名の合コンに参加した。最初は柄の悪い風貌に敬遠していたけど、隣の席に座った彼は見た目に反して紳士的に接して来て、お話も上手だった。おだてられて楽しく話し、悩みを打ち明けたりしている内に警戒心を解いてしまっていた。

 ……私もうかつだった。諸々の問題が解決して、先輩も元気になってからの初めての春。気が緩んでいたのかも知れない。許容量を超えるくらいにお酒を飲み、歩けないほどになった私は、介抱すると言って連れ込まれたホテルで襲われた。朦朧とした意識の中で犯され、はっきり目が覚めた後も朝まで身体を貪られた。

 

 抵抗は出来なかった。しよう、と思う余裕すら無かったのだ。その理由は、

 

「ひんっ……!? ちょっとっ、本当に駄目です、そこは……!」

 

 そこまで考えて、股間から全身に電流が走った。私の太ももの間に差し込まれた彼の膝に、あそこがぐりぐりと押されていた。

 

「あんっ、やめてぇ……! お願いっ、帰ってくださいっ」

 

 私の身体を知り尽くしている彼の技術になすすべがない。腰を引いて逃げようとするもすぐ後ろは壁だ。それ以上下がることも出来ず、されるがままに股間を刺激される。

 手を掴まれ、彼の股間に引き寄せられる。そこは既に、ズボンの上からでも分かるほどに勃起していた。

 

「はーっ、はぁ……! ちょっと、なんでもうおっきくしてるんですか……っ」

 

 その感触に、息が荒くなる。堅く逞しい手触り。これに絶頂に突き上げられ続けた夜のことは忘れられない。忘れようとしても身体が覚えている。コレの熱さを感じただけで、躾けられた子宮が反応してしまう。

 ……このままではまずい。なし崩しに良い様にされてしまうだろう。私は魔術を起動しようとした。もちろん相手は一般人だ、攻撃することはない。ただ意識を奪うだけ、無力化するだけでいい。そう思って精神を集中させようと─────

 

「─────ん、んむっ!? いや、やめっ……んちゅっ、むちゅうぅぅ……!」

 

 唐突に、唇を吸われた。彼の分厚い舌が侵入してくる。煙草くさい唾液が流れ込む。

 

「ぷちゅ、じゅるるるる……っ。やだ、唾液吸わないれっ……んんんん……!」

 

 顎をしっかり掴まれて、上からキスされる。私の唾液をさも美味しそうな甘露のように飲み下していく。

 

 がっちり合わされた唇の中で舌と舌が絡み合う。懸命に逃げようとしても無駄だった。肉食獣に狩られる草食動物みたいに良い様にされてしまう。私の抵抗が弱まったと見ると、彼は更にやりたい放題に口を蹂躙した。口内をねぶり、歯ぐきの隅から隅までしゃぶり尽くされる。身体から力が抜けても、膝を落とすことは許されない。そんなことをしたら股間に差し込まれた膝にあそこを体重ごと突き上げられてしまうだろう。今や私の膝はがくがくと震えていた。壁に体重を預けながら支えるのが精一杯だ。

 

 と、股の間から膝が抜かれた。溜まっていた体温が逃がされてひんやりとする。なにを、と思う暇もなく。

 

「ひ、ひゃぁああああっ!? 本当に駄目ですっ、そこ触っちゃ……!」

 

 するりと滑り込まされた指先が、私の股間──────おまんこに触れていた。もう濡れ始めていたのがバレてしまうけれど、恥ずかしがる暇もない。器用に開かれた割れ目に中指が差し込まれ、くちくちと弄られる。触れられているのは浅い所だというのに、身体が痙攣してしまいそうなくらいの快感が全身を駆け巡った。

 

「むぐっ、んむぅううう……! ぶちゅぅううう……っ」

 

 そして、またキス。指マンも更に激しくなった。上の口も下の口もやりたい放題される。酸欠になってしまいそうだ。口の中は、彼のものか私のものか分からない唾液でどろっどろ。股間の方は、もうショーツが重くなるくらいにしとどに愛液を垂れ流していた。太ももに伝った液体で足がひんやりとする。

 もう膝が立っていられず、完全に腰を突き出して彼の手におまんこを押し付ける格好になってしまっている。ごちゅごちゅと抉るような指マンが耐えがたいほど気持ち良い。ふっ、ふっと呼吸が早くなる。限界が近い。充分私が感じたのを察したか、彼が指を軽く曲げた。ああ、来る、と思う間もなく。

 

 おまんこの浅い所。女の弱点、Gスポットがこりこりと引っ掻かれて。

 

「~~~ッッ!! あうっ、あっあっ……いくぅうう…………!!」

 

 視界がチカチカと瞬くような、激しい絶頂。身体が勝手に彼の掌へ股間をぐいぐいと擦り付けてしまう。リンボーダンスしてるみたいな、無様な格好。数時間前、先輩を送り出したばかりの玄関で、私は他の男の人の指マンで簡単に絶頂へ追い込まれてしまった。

 

「あ゙あ゙あ゙あ゙っ……はぁーっ、はあ…………」

 

 完全に力が抜けて、腰が抜けてしまった。床にどすんと尻もちをつく。彼の足元で座り込み、息を整えようとする。

 けれど、彼はそんな時間を与えてはくれなかった。あっさりイキやがったな、と笑われながら二の腕を掴まれ、引き摺るように玄関の外へ連れられて行く。

 庭を突っ切る。よたよたとした足取りで彼に引き連れられた先。腕を離され、ひんやりとしたコンクリートの上にぺたんと座り込んだ。そこは、

 

「っ、もしかしてここで…………」

 

 薄暗い建物。以前はよく使われていた、衛宮邸の庭に併設してある土蔵の中だった。

 

「いっ、いや……! せめて他の場所で」

 

 ここにはたくさんの想い出がある。ここで寝落ちしてしまった先輩を毎朝のように起こしに来たこと。寒空の下、ここで先輩と語り合ったこと。

 そうじゃなくたって、ここは先輩の大切な場所だ。こんな人に汚されていい場所じゃない。このまま言いなりになっている訳にはいかないと、キッと目を尖らせ、彼を見上げると。

 

 ─────ぼろん、と。醜悪な肉塊が、私の目の前に差し出されていた。

 

「あ……え……? ちょ、ちょっと。そんなモノ、見せないで……」

 

 呟きつつも、目が離せない。お腹の奥が震える。唾液が過剰分泌されているのが分かる。

 それは、彼の男性器だった。黒々とした、明らかに女で遊んできたのだろうと分かるおちんぽ。私の身体を徹底的に叩きのめし、二度と反抗出来ないまでに躾けた肉棒。

 

「─────、─────ッ…………!!」

 

 おぞましい。厭らしい。恐ろしい。怖い。

 何が怖いって、それに魅入られたように目が離せないことが、怖い。

 

 目にしただけで、『ああ、私にぴったりだ』と分かってしまうそのかたち。ぷっくり膨れたカリは私の弱点を最適の角度で抉るだろう。太過ぎもせず細くもなく、気持ち良さだけを与える程度に膣を拡げてくれそうな幹。長さもきっと丁度よく私の子宮口をノックしそう。

 いや、しそうじゃない。実際にその全てをこの身体に教え込まれた。一晩中イキ狂わされたのだ。

 

 ……それが、彼に抵抗出来ない理由だった。聞いたことがある。まだ人間が獣だった時代の名残。人間には数万人に一人、数十万人に一人の確率でとんでもなく相性が良い異性がいるという。そういう相手に対しては体臭やフェロモンといった目に見えぬ個性だけでも惹きつけられるらしい。そして何より、性器の相性。一度ハメてしまえばもうこの相手しかいないと、この相手で子を作るべきだと本能的に感じてしまうという、運命の人。

 

 なんて不運だろう。なんで先輩じゃなかったんだろう。私にとっては、彼がまさにそれだった。別に彼の性器は並外れて大きいとか、セックスが特段上手いなんてことはない。でも、彼と私に限ってはそんなことは関係ない。そのくらい彼のモノは私の身体と余りにも相性が良かった。あの、ホテルで襲われた日。雑に挿入された睡眠姦でさえ感じまくってしまった。その後意識が戻ってからは、もはや狂乱だった。一突きごとにアクメし続け、イキ過ぎて気絶してはまた絶頂で引き戻されるという始末。ライダーとの間に壁が出来たのもその為だ。あれで中々目聡いライダーに、私たちの関係はばれてしまっていた。

 

 しかし、ライダーは彼を制裁しようとはしなかった。むしろ私を恨みがましい目で見て来る。あの視線は、私の不貞に怒っている訳でも襲われたことに憐れんでいる訳でもない。

 あれは、嫉妬だ。私に対する友情なんかを簡単に上回るほどの嫉妬。ライダーは感性や好みが私と似ている所がある。そんな彼女から見て性格の近い私が、降って湧いた特上の拾い物を手にしたことに対する妬みだ。

 

「う、ぶっ……! 匂いすご……っ」

 

 鼻先におちんぽを押し付けられ、思考が霧散する。ひどい、匂い。汗と精臭が入り交じったそれは、普通なら鼻が曲がるだろう。けれど私の嗅覚は喜んだように反応して、子宮を収縮させる。

 先走りの滲んだ亀頭から目が離せない。隆々と血管が浮き出た逞しいソレ。

 

 ───────舐めろ、と仁王立ちした彼に命じられて。誘蛾灯に引き寄せられる虫のように、舌を這わせた。さっきまでの拒んでいた心など、とっくにどこかへ行ってしまっていた。

 

「ちろっ……ぬるるる……。熱っ、それに脈打って……」

 

 眼前に迫る裏筋を下から上へ、なぞるように舐め上げる。むわっとした熱気。ただでさえ熱くなっている顔面が更に火照って、まともに考えられなくなる。

 座ったまま彼の両ひざに手を突いて、股座に潜り込むようにしてフェラをする。放っておいたら口元から溢れてしまいそうな唾液をおちんぽに押し付ける。ぴちゃ、ぴちゃ、ぺちゃ。唾液を塗りたくられ、おちんぽが嬉しそうに跳ねた。よしよし、いいぞ。俺が教えてやった通りにやれ。満足そうな声。子供がされるみたいに頭を撫でられて、振り払おうとする気も起きない。嫌なのに、嫌だと思いたいのに、どうしても嬉しい。最高のオスを自分で喜ばせているということに、抗えない幸福が沸き上がってしまう。私の女が歓喜している。

 

 それが、私の精神をガリガリと削っていく。

 どうして。どうしてこんな人のおちんぽをしゃぶっているだけで、先輩に初めて抱かれた時より興奮しているんだろう。なんで、こんなに心臓が高鳴っているんだろう。

 理性が半泣きになっている間も、本能はしきりに目の前の男性器から精を恵んで貰えと叫んでいる。おちんぽが唾液まみれになって、我慢出来ないと言うように唇を亀頭で突かれた。むっちゅり、と亀頭を頬張る。カリに溜まったチンカスを舌で丁寧にこそぎ落していく。

 

「じゅぽじゅぽっ、ずるるる……っ。ぶちゅぶちゅぶちゅっ……」

 

 頭を両手で掴まれて、ゆっくり腰を振られる。吸い付きやがってこの淫乱が、と言われて、おちんぽを咥えたまま首を振る。くちゅくちゅとしたその横運動が意外に気持ち良かったのか、顔を性具のように上下左右に向けさせられ、口内を犯された。顔を傾けると、頬が彼のおちんぽでぷっくりと膨れる。ぼたぼたとだらしなく唾液がおっぱいの服の上に零れ落ち、染みを作った。

 喉奥まで咥えろ、という彼の言葉。お願いもう許して、と涙ぐんだ目で見上げると、頬をぺちんと叩かれた。脳みそに響く。痺れに浮かされたみたいに、長い竿を呑み込んでいく。

 

「んぶっ……じゅるるるるっ。ごぶっ、ぉごおおぉっ……」

 

 喉の奥の柔らかい部分まで亀頭が入り込む。反射的に涙が滲む。ひくひくと肩が跳ねた。

 ほら、ピースしろ。と言って、彼はにやにやと笑いながらスマホを取り出し、私を撮った。薄暗い所で陰毛に鼻先がくっつくくらいまで深くチンポを呑み込んで、上目遣いでダブルピースする、もうすぐ結婚を控えた女。こんな写真や動画をもう山のように撮られてしまっている。彼は私を独占したいらしくて仲間内に見せたりはしていないようだけど、それもいつまで持つか。なによりもし先輩に見られたらと思うと、背筋が寒くなる。

 

 彼はスマホを動画モードにして脇の棚に置いた。横から見た今の私たちが映っていることだろう。

 頭を掴まれ、今までよりも激しく前後に振らせ始めた。ぼちゅ、ぶちゅと空気が攪拌される音が響く。気持ち良さそうに溜息をつきながら天を仰ぐ彼。私の方は必死だ。歯を立てたりしたらどんなお仕置きが待っているか知れない。懸命に唇だけを締めておちんぽを扱く。ずるずると唇が持って行かれてひょっとこみたいな顔になってしまっているだろう。そんな様にも興奮するらしい。私の顔を見下ろした彼は、私の頭を抱え込むように深くおちんぽを突きいれた。

 

 やがて、口内のモノが震えた。僅かも我慢するような気配はなく、存分に精液をぶちまけられる。

 

「ごぼっ、ぐぶ…………! むぐう……っ」

 

 びゅるびゅると吐き出される、粘度の高い精液。その味と匂いも、私は不味いと感じられない。ごぶごぶと溺れてしまいそうなくらい大量の精液を口に溜める。

 ずるる、とおちんぽが引き抜かれた。亀頭と唇に精液の糸が架かって、切れる。

 再度スマホを手に取った彼に向って大口を開けた。とろんと目尻が垂れさがっているだろう顔と池みたいになった口の中を、パシャパシャと撮られていく。撮影が終わると呑み込む許可が出た。こくり、こくん、と喉に流し込む。まるでアルコールを飲んだ時みたいに、胃の中が熱くなった。

 

「はあっ、はあっ、はあ……! のっ、飲みました、全部飲みましたから……」

 

 これで満足してください。帰ってください。そんな私の懇願をおとなしく受け入れる彼じゃない。

 むしろ涙ながらの願いに加虐的な興奮を覚えたのか。彼の股間は、また膨らんでいるように見えた。肩に手を回され、おっぱいを掴まれながら再び本館へと連れられる。

 

「あっ、ちょっ、待って……! お願いします、もうやめてくださいっ。誰か帰って来るかも知れないし、このままじゃ私っ」

 

 ─────本当に、おかしくなってしまうから。

 そんな私の苦悶は、彼には全く届いてはいなかった。

 




果たして桜は間男ちんぽに勝てるのか!
後編へ続く!


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後編

 あの戦いの前。

 もう1年以上前になるあの頃までは、衛宮邸の朝食は私と先輩が交代で作っていた。

 

 先輩は和食が上手だ。私はといえば、料理も最初は上手く出来なかった。けれど作って貰うばかりなのは申し訳ないし、先輩に美味しい料理を作ってあげたかったから、私なりに練習したのだ。その甲斐あって大抵の料理は作れるようになった。特に洋食は先輩以上の腕前にまで上達した。

 今では朝食は基本的に私の役目だ。今朝だってそうだった。ご飯にお味噌汁、鮭の塩焼き、納豆。愛情たっぷりに作った朝ごはんを、先輩は美味しく食べてくれた。

 

 そんな記憶の詰まった、その台所で。

 

「こっ、こんな格好で……! 変態……っ」

 

 私は彼に命じられ、破廉恥な格好で料理を作らされていた。

 服を脱ぎ去り、ブラとショーツだけの下着姿。その上にエプロンを着ている。彼は台所に向かった私を後ろの居間でふんぞり返って眺めていた。彼から見たら、背中とお尻が丸見えになってしまっているだろう。

 

「はあ、はあっ……。悪趣味な……」

 

 日常的に過ごしている場所でこんな目に遭っているということに眩暈がする。じっとりと性欲に塗れた目で見られていると思うと料理する手が覚束ない。

 息が上がってしまっているのを彼から指摘された。振り払うように反論する。

 

「し、仕方ないですっ。こんな変態みたいなことされて、普通でいられるわけが……って、きゃああ!?」

 

 ぞくり、と背筋が粟立つ。いつの間にか背後に忍び寄っていた彼に、後ろから抱きすくめられていた。

 

「ち、ちょっとっ……今そんなことされたら危ないですって……」

 

 エプロンの間から滑り込ませられた手に、すりすりと二の腕やお腹を撫でられる。くすぐったくて身を捩ってしまう。

 彼に請われて、作ったばかりの料理を手に取った。簡単な卵焼き。箸で摘まんで、あーん、とする。ぱくりと彼は口に含んで、美味しそうに呑み込んだ。それが終わると今度は彼が私に食べさせてくれる。ほつれた髪を耳に掛けてくれる。額に浮かんだ汗を拭ってくれる。口の端についた食べかすを取ってくれる。まるでラブラブな恋人みたいなことを自分を強姦した相手とやっていることに、頭がおかしくなりそう。

 

 その間も、当然の様に身体をまさぐられる。おっぱいとお尻。先輩の為に選んだはずのブラの上から我が物顔で両手で持ち上げるように揉まれた。お尻の方も、頼りない薄布を剥ぎ取ろうとするみたいに。たぷんたぷんと水毬みたいに揺らされる、大きな胸と尻。彼は飽きる素振りも見せず、私の身体に夢中になっていた。

 

「あぅ、おっぱいとお尻、好き過ぎですっ……どれだけ触るんですか……」

 

 ……いけない、なぜか声が甘くなってしまっている。気を引き締めないと。身体が負けていたって、気持ちで負けなければいいんだ。そう思ってお腹に力を込めた途端。

 耳元で、彼にとんでもないことを囁かれた。

 

「……は、はあっ……!? せ、先輩とじゃなくて、貴方と……」

 

 結婚しろよ、と。俺たち身体の相性は抜群だし、お前のこと気に入ってるんだよ。あいつとじゃなくて俺と一緒になろうぜ。そんな、信じられない妄言。

 

「ふ、ふざけないで……! こんな風に扱われて、靡くとでも思ってるんですかっ。私は先輩が好きなんです、貴方じゃない……!」

 

 キッと睨んで言う。相変わらずおっぱいを弄ばれたままで格好は付かないけど、こんな申し出は受け入れるはずがない。

 彼も分かってて言っていたのか、簡単に引き下がった。それに胸を撫で下ろすのも束の間、むしろこちらが本命とばかりにまた囁かれる。

 

 ───────なら、子供を作っちまうのはどうだ。お前を孕ませてやりたいんだよ。

 

「……は……? こ、子供? 貴方と? なっ、何を……」

 

 同じように却下しようとして。

 ぞくぞくぞくっ、と得体の知れない電流が駆け巡るのを感じた。

 

 ───────大丈夫だって、俺、あいつと血液型同じだし。そうじゃなくても、お前を疑ったりなんかしないヤツだろ。夫婦生活はそっちにまかせて、俺とは女として満たされる生活。悪くないだろ。俺としてもな、最初は一発ヤリたいだけだったんだが。お前に対しちゃ、どうも本気になっちまったみたいなんだよ。

 

 え、待って。

 そんなこと言われたら。

 やばい。本当に、まずい。

 

 ……分かってしまう。この人、本気だ。きっと私なんか以外にもいい女を沢山抱いて来ただろうに、これからだってやりたい放題出来るだろうに。人妻を孕ませるなんてバレれば代償があって面倒なこと、本来なら求める彼じゃないのに。そんなリスクを踏まえてでも、私を抱きたいんだ。堕としたいんだ。……孕ませたいんだ。

 彼の、子供。この相性抜群で、理性とかしがらみとか過去の想い出とかを完全に無視して本能だけで判断するならきっとこの世で一番、子を孕むに適している相手。そんなオスから、生殖をアプローチされて。私の子宮が、歓喜と期待に痺れてしまっていた。

 

「……だめっ、だめだめだめ……! 出来ないですっ、そんなの……」

 

 俯いて必死に首を振る。そんな私を、彼は前から抱き締めた。

 じゃらり、とチェーンやら指輪やらが擦れる金属音。日に焼けた小麦色の腕が力強く私を拘束する。

 

 相性最高のお互いの肌が吸い付く。ただ密着させているだけで私はアクメしそうなくらいに、彼は射精しそうなくらいに気持ち良い。でも駄目、忘れちゃ駄目。私、あと数か月後には人妻になるんだから。ずっと好きだった人と本当に結ばれるんだから。思い出さなきゃ、先輩と初めて会った時のこと。この家に初めて来た時のこと。そう思いながらふらふらと顔を上げると、また甘いキスを浴びせられた。玄関でされた時と違って、抵抗しようとする気さえ起きない。舌を捩じ込まれた状態で彼が止まる。何をして欲しいかなんて言われなくても分かってしまう。口が勝手に彼の厚い舌を吸った。ぶちゅるるるるる、と下品な音を立てて唾液を啜る。いつの間にか私の両手は彼の股間に伸びていて、すりすりとおちんぽを擦っている。拒むどころか、これからの性交を煽るような手付き。今から可愛がって下さい、とお願いするみたいな触り方。さっきまでの口説き文句に対する答えみたいな手コキに、彼が嬉しそうに言う。

 お前のベッドでヤろうぜ、と。

 

「っ……お、お願いします、それだけはっ……!」

 

 ……私の寝室は、つまり夫婦の寝室だ。先輩に初めて抱かれた場所。先輩と想いを通じ合わせた場所。そこを汚すことだけは、絶対に出来ない。

 もうここまで来て、抱かれずに済むとは思っていない。だけど、それとこれとは話が別。私はそこまで堕ちてない。

 

「こ、ここでどうですか。どうしてもしたいなら、ここでエッチしませんかっ。それか、また私の口で抜いても…………、あうっ!?」

 

 生意気にも口応えした私のお尻が、ぴしゃりと叩かれた。それだけで軽いアクメが子宮に来る。

 一瞬で反抗の意志が摘み取られた私を、彼は壁際まで追いやる。顔の横に手を突かれた。

 

「ひっ、ひぃぃ…………!」

 

 見下ろされた瞳から、視線を外せない。

 私を繁殖の相手として求める、純粋な欲望にたっぷり満たされた目。余計な御託はいいと、常識は要らないと。お互いの性器を擦り付け合うことだけを求める、オスの瞳。

 そして、エプロンを捲り上げられ、向かい合った私のお腹には。私が一目惚れした、彼のおちんぽがぴっとりくっ付いていた。

 

「あ゙ッ……ああああああああ……」

 

 その熱さ以外の感覚が消え去る。

 

 ぴくぴくと跳ねて自己主張するソレ。お前の胎に潜り込みたいんだと言うように、子宮の丁度真上でぺちぺちと私のお腹を打っている。腰が、抜けそう。ねちょり、ぺちょっ。先走りをお腹に塗りたくられた。これでも孕めそうなくらいに濃い。先走りでこれなら本当の精液はどれ程だろう。孕みたがりの子宮が下りて来ているのが分かる。

 これが欲しいだろ、とまた耳元で囁かれる。ぐううっと血圧が上がって、軽い頭痛がした。鼻血が出そうだ。こんなに興奮したこと、先輩とのセックスじゃ一度もない。乳首を軽く抓られて犬みたいな喘ぎ声が出た。ぷぴゅ、と股間から愛液が吹き出して床を濡らす。ねばついて白く濁った本気汁。おちんぽの抽送と中出しを助ける為の体液。もう完全に身体は堕ちてる。彼に恋しちゃってる。彼を生殖活動の相手に狙い定めている。子宮はさっきからつまらない意地を張ってる理性を罵倒しまくっている。早く屈服しろと、彼から口説かれることがどれほどの幸運か分かっていないのかと喚き散らしてる。

 

 もう、駄目。

 折れそう。折れる。

 折れちゃいたい。

 

 ───────桜。

 

 初めて彼に名前を呼ばれて、驚いて見上げる。

 

 ───────それ以上生意気言ったら、死ぬまでハメ潰すぞ。

 

「………………♥♥♥♥♥♥♥♥」

 

 気絶するかと思った。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

「ぶちゅ、ちゅっちゅっ♥ じゅるるるる……♥」

 

 引き摺られるように連れ込まれた、夫婦の寝室の布団の上で。

 私は突っ立ったまま、彼とキスしていた。お互いを貪るような、深い深いディープキス。甘い甘い彼の唾液を飲み下す。頭の芯が痺れる麻薬のよう。

 ぬぱ、と口が離され、唾液が垂れた。エプロンは既に剥ぎ取られ、部屋の隅に放り投げられている。彼は頭を下げ、私のおっぱいに吸い付く。

 

「あっ♥ 乳首、噛まないで……♥」

 

 コリッと歯を立てられる。桃色の乳首の周りに彼の歯型が軽く付いて。それに気を良くしたか、更に乳房や、首筋にも歯型やキスマークを付けて行く。

 今まで、抱かれることはあってもこんな風にマーキングされることは無かった。……この人、私に独占欲感じちゃってるんだ。さっきまでの問答で、彼も昂ってしまったようだった。

 

「駄目ぇ……こんなの、先輩に見られたら……♥」

 

 ゾクゾクッ、と快感が走る。……もう誤魔化すことは出来ない。私は、彼との不貞で快楽を覚えてしまっている。

 それが、怖い。だって、先輩との積み重ねは、私にとって何よりも大切なものだ。何よりも大切なはずだ。それを失うなんて、踏みにじるなんて、恐ろしくてできっこない。

 しかし、そんな態度が彼の不興を買ったようだった。寝室での浮気セックスを了承していながら未だに最後の一歩を踏み外そうとしない往生際の悪い私。そんな私を、彼は『お仕置き』することにしたらしい。

 

「……え? 抱いて欲しかったら誠意を見せろ、ですか……?」

 

 威圧的な言葉に戸惑う。ここまで、常に彼のペースで動き、彼にされるがままになって来た私。そこに唐突に言われて、何をすればいいのか見当が付かない。

 どうしよう。頭でも下げればいいのだろうか。エッチにおねだりでもしろということだろうか。そこまで考えてはっとする。

 

「っていうか、何言ってるんですかっ。別に私、抱いてなんか欲しいわけじゃ……、う、嘘です嘘ですっ♥ 言います、言いますからっ♥」

 

 苛立ちが灯った彼の瞳を見て竦み上がる。もうこの期に及んで下手な言い逃れは出来ない。

 

 弓道をやっていた頃を思い出しながら、すとん、と布団に膝を突く。正座をして両手を揃える。彼の怒りに対する許しを請うのと、生ハメセックスのお願い。それを同時に満たすのは、これ以外に思いつかない。

 

「……な、生意気なことを言って済みませんでした。許して下さい……」

 

 深々と、額が布団に付くまで下げる。

 夫婦の布団の上で、間男への全裸土下座。心臓が痛いくらいに跳ねていた。

 

「……それから、出来れば……ここでして下さい……。あぅ、ご、ごめんなさいごめんなさいっ! はっきり言います♥ セックス、セックスです♥ 浮気セックス、私と先輩が一緒に寝てるお布団でお願いします……っ♥」

 

 途端、堰を切ったように言葉が溢れる。

 

「さっきまで意地張っててごめんなさい……♥ 本当は私もエッチしたかったです♥ 貴方とのエッチ、最高なんです……♥ でも言えなくて♥ 素直になれなくって♥」

 

 そのお願いに、しかしまだ彼は満足しないらしい。なんでさっきまであんなに意地を張っていたのか、と問われる。

 

「……そ、それは…………」

 

 言い淀む。それを言ってしまったら、認めてしまったら、私の中の何かが決定的に変わってしまう気がして。

 でも、そんな私を彼は徹底的に追い詰めることにしたらしい。みし、と床が軋む。

 何だろう、と思う暇もなく。土下座したままの私の頭に、彼の足が置かれていた。

 

「お゙ッ……おおおおおおおおお……♥ やめ、踏まないれぇ……♥」

 

 普通の男女なら許されない酷い行為。でも私と彼は違う。屈服し切った身体は、こんなことにも快楽を得ている。

 更にぐりぐり、と体重を掛けられて。もう言い逃れは出来なかった。

 

「言います、言いますからっ♥ ─────好きになっちゃいそうだったからですっ♥ 貴方にもう一度抱かれたら、本当に惚れちゃいそうだったから……♥ 一発で身体を堕とされて……抱かれる度に心もそうなっていく気がして♥ それが怖かったんです……♥」

 

 咽ぶように言う。

 それが、理由だった。彼に堕ちるのが怖くて、今までの人生が台無しになるのが怖くて逃げていたのだった。

 

「このままじゃ、私じゃなくなっちゃう気がして……先輩の奥さんの間桐桜じゃなくなる気がして……♥ そんなの、簡単に捨て切れなくって♥ 貴方の桜になっちゃうのが怖くって……♥」

 

 言っている間も、身体は彼に屈服出来て大喜びだ。ぴゅるっ、と愛液がおまんこから吹いて、枕を濡らした。

 そんな私を見て彼が足をどける。そのまま私の後ろに回って、軽くお尻を小突かれた。

 

「ひんっ♥ ……え、お尻を? まさか……」

 

 尻を目一杯高く上げろと言われる。何をされるのか大体想像はつくけれど、拒否することが出来ない。上半身は突っ伏したまま、懸命に腰だけを上げる。

 彼の腰の下くらいに持ち上げられたおまんこに、ぴとり、と熱い感触。

 

 やっぱり。そう思うと同時。ぬるるる……、と彼のおちんぽが挿ってきた。

 

「くはあぁぁぁぁぁぁ……♥♥ やだっ、こんな体勢で……♥♥」

 

 全裸で土下座したまま尻を掲げた女に、がに股で腰を落とした男が挿入するセックス。傍から見れば余りに滑稽だろう。しかし、私の性感には直撃していた。

 彼にひれ伏すポーズでのセックス。屈服済の身体に引き摺られて、精神も負けて行くのが分かる。いや、もうとっくに負けていたのかも知れない。だとすれば、これはそれを私に認めさせる為の荒療治だった。

 

「おっ♥ おほぉおおおお……ッ♥ ゆっくりなピストンやだぁっ♥ おまんこ悦んじゃってる……っ♥」

 

 ぬっぷん、ぱちゅん。あえてゆったりした速度でのねっとりピストン。彼にぞっこんのおまんこは意外な優しさにメロメロだ。これが欲しかったんだと叫ぶ子宮は口をぱっくり開けて亀頭にちゅうちゅう吸い付いている。膣は竿に食いついて、引き抜かれる度にずるずると持って行かれてしまう。

 

 彼もとっても気持ち良さそう。どうだ桜、とお尻を叩かれて、感想がまろび出る。

 

「きッ気持ち良いですっ♥ あんっ♥ 駄目、お尻掴んでくださいっ♥ もう腰抜けちゃいそうっ、この体勢キツいぃ……♥」

 

 甘ったれるな、ともう一発お尻に平手を喰らわされた。膝ががくがくと笑う。お尻が揺れまくっているのが分かる。

 

「おっ♥ ほっ♥ おほぉぉぉ……っ♥ 膝が立ってられないぃぃ……♥」

 

 そんな私に構わず、彼は私のおまんこを堪能している。面白半分でこりこりと膣の天井を擦られアクメ。子宮を突かれてアクメ。お尻を叩かれてアクメ。最初に抱かれた時と同じかそれ以上のイキっぱなし状態だ。不貞をしている場所とシチュエーションが私の女の部分に効き過ぎている。

 

 やがて、彼のおちんぽが震えた。来る。相性最高の男性の精液が来る。中出しされる。無防備に開いた子宮の中に流し込まれる。浮気の子種が植え付けられる。ぐりゅん、と一番奥におちんぽが押し付けられた。

 だけど、射精の瞬間。

 

「───────あっ、もっもう無理っ♥ もう駄目ぇ……♥」

 

 私は、がっくりと膝を下ろしてしまった。

 当然、彼のおちんぽはずるりと抜け落ちる。彼も堪えることが出来なかったのだろう。倒れ伏した私のお尻と背中に向けて、びゅるびゅると精液をぶちまけていた。

 

「あっ、熱い……♥ はあっ♥ は…………♥」

 

 ぬるりとした、熱い感触。背中にそれを受けて、軽い絶頂と倦怠感が沸き上がる。

 でも、はっきり言って欲求不満だ。今まさに胎内に貰えるはずだった精液をフイにしてしまったのだから当然だろう。

 

 そしてそれは、彼の方がもっと上だった。

 

「あうっ!? ご、ごめんなさいっ……! ちがっ、そんなつもりじゃ……!」

 

 ふざけやがって。まだ反抗するらしいな─────彼の怒りに満ちた声。

 力ずくで仰向けにされた。足首を掴まれ、頭の脇に来るぐらいに持ち上げられる。

 いわゆる、まんぐり返しの格好。その体勢で、狙いを定めるように、彼がおちんぽを私の膣口に添えた。

 

「はっ……ま、待ってくださっ……」

 

 さあ、と血の気が引く。

 私の言葉を聞くわけもなく。彼は体重を思いっきりかけて、腰を落とした。

 

 ───────どっっっちゅん、という、身体の芯に響く衝撃。

 

「─────────────────ごッ」

 

 意識が飛びかける。空気が全部肺から絞り出された。内臓を震わす、暴力的な挿入。

 

「あっがぁああああああ……ッッ♥ これっキツ過ぎるっ♥ 壊されちゃう……っ♥」

 

 半泣きで慄く私。

 彼は容赦なく、過重ピストンを開始した。ごちゅん、ばちゅん。普通なら痛く苦しいだけだろう。しかし、私の子宮は快楽だけを感じていた。

 

「……まっ、待っで……本当におかしくなっちゃうっ……♥」

 

 膣が、子宮が、彼の形に変えられていく。先輩を受け入れる形から、彼の好みの形になっていく。

 掘削される。

 整形される。

 それは、心の方も同じだった。堕ちかけのところに許容量を遥かに超えた激感を叩き込まれて、でも心は負けないんですなんて言い張れるわけがない。

 彼の女になる。先輩の奥さんじゃなくって。先輩のことを好きな女の子じゃなくなって。

 

 彼の子を孕む為のメスになってしまう。

 

「~~~~っっ♥♥ やだやだやだあっ♥ 孕みたくなっちゃう♥ 好きになっちゃう♥ 貴方のこと、先輩よりも好きになっちゃいますっ……♥」

 

 泣き言をいう私を、むしろ好機と見たのか。彼はただ突き込むだけじゃなく回転運動や上下運動も入れて、完全に私を射止める動きを開始した。

 

「おほおおおおおおおおっ♥ おまんこ抉らないでぇ……♥ これ以上堕とさないでっ……♥」

 

 もう限界。本当に、限界だ。

 涙が溢れる。先輩の姿が、今では遠い。よく思い出せない。

 彼が出来る限り深く、腰と腰を合わせた。凹凸が嵌るみたいに、丁度いい感じにむちゅりとくっつく亀頭と子宮口。膣がねっとりと蠕動し射精を助ける。

 目と目が合う。彼の瞳には、怯えながらも何かを期待する私が映っていた。

 

 ──────────びゅる、びゅるるるるるるるるるるるっ♥ ぶぴゅっ、どぷどぷどぷどぷ……っ♥

 

「──────────────!??!!???$$♬♂♀ッッッ♥♥♥♥♥」

 

 イキ狂う。脳髄が焼き切れてしまいそうな危険な絶頂。ぱくぱくと開いた口からは声が出ない。子宮が焼き付いてしまいそう。もう二度と他の精では満足出来ないと、孕むことなんて許されないと直感で分かる。見開かれた私の視界の中に、その快楽を齎してくれる彼がいる。

 

 彼が。彼だけが。

 

「…………ッ♥ お……♥ おおおおお…………♥♥」

 

 完全敗北アクメに酔い痴れる。

 それからたっぷり10分間。子宮がたぷたぷになるまで、彼のおちんぽに貫かれていた。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

「…………ん、ちゅ……♥ もうっ、ほんとに腰抜けちゃったじゃないですか……♥」

 

 絶頂の余韻も終わって。

 布団に寝ころんだ私たちは、ゆるいキスをしていた。掛布団の中では相変わらず彼が私の身体をまさぐっている。まあ、私も彼の半立ちになったおちんぽを弄っているんだからお互い様だろうけど。

 

「し、白目剥いてアクメしてるのが可愛かったって……。そんなこと言われても嬉しくないですっ。……ちょっと、いつの間に撮ってたんですか!? 他の人には見せちゃ駄目ですからね、それっ」

 

 女の子がしちゃいけない感じの酷い顔を見せられて真っ赤になってしまう。もう絶対に彼には歯向かえないだろう。しよう、という思いすら浮かばない。

 

「あ……♥ ちょっと、またおちんぽ硬く……♥ あれだけ私を滅茶苦茶にして、まだ子宮も一杯なのに……まだ足りないんだ……♥」

 

 それが、嬉しい。堕ちたら捨てられて終わり、じゃないんだと安心してしまう。

 

 ──────────どうだ。あいつより俺を好きになったか、と言われて。

 

「えっ……えぇぇ~~……♥ どうかなあ………♥ いい勝負かも……でもまだちょっと先輩、かな♥ うん、想い出のぶんだけ、先輩♥ 他のぶんは…………♥」

 

 くすくすと笑って答える。そう言われた彼も、にやりと笑う。

 

「へっ? じゃあさっき言った通りハメ潰す……? さっき十分潰されたんですけど……って、次は姉さんの家で!? いや、確かにあそこで先輩とエッチしたこともありますけど……ってちょっと、私と先輩の想い出、ほんとに全部塗り潰す気ですかっ!? ああっ、ちゃんと服着るまで待ってくださいっ……!」

 

 すっかりその気になってしまった彼に腕を引かれて行く。ぱたぱたと慌てて家を出る。

 

 

 ……だから早く気付いて下さい、先輩。

 このままじゃ私。

 本当に、彼の女の子になっちゃいます────────

 

 

 誰もいなくなった家が静寂に満ちる。

 窓の外で、桜の葉が散っていた。

 




ちんぽには勝てなかったよ。
Fateキャラでは桜が一番エロいと思う。
受けが良かったら孕ませデートとか書きたいです。


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sakura-matou_seihuku0808.mp4

 

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 …………………………

 

 

 

 

 ザッ、ザザザザ───────ガタン。

 

 

 

 ……その動画を再生すると、ホテルのような部屋の内装が映し出された。

 

 スマホで録画しているのだろうか。画質は良いが、手ブレのような揺れがある。仄かにピンクの室内灯に照らされて、ホテル特有の冷蔵庫や化粧台、窓に引かれた厚いカーテンが煽情的に色づいている。いわゆるラブホテルの中だろう。

 

 その中央、大人3人が寝そべれそうなベッドの上で。

 

『……あ、もう撮ってるんですか……? な、なんか緊張しますね、これ』

 

 恥ずかしそうにはにかむ、紫がかった黒髪に髪紐を添えた制服姿の美少女が座っていた。

 

 少女、とは言っても年頃は既に成人に近い。その顔にはまだ幼さが残っているものの、それを上回る女性としての魅力を湛えている。ベージュの制服にしてもそう。年齢不相応な衣装がコスプレかイメクラのような色気を放っている。大きさも学生時は適正だったのだろうが、明らかに今の身体を包むには不十分なサイズだ。膨らんだ乳房はぱつんぱつんに胸部を盛り上げて普通なら垂れ下がるはずのリボンが胸元に浮き、ボタンもはち切れそう。黒いスカートはしっかりした長さだというのに、座り込んでいても分かる安産型の臀部を到底覆い隠せていない。立ち上がれば胸と尻が突っ張って大変なことになるだろう。

 

 映像の中でこちらを見る少女がカメラに視点を合わせる。髪紐を指先で遊ばせながら微笑んだ。そこに警戒心や嫌悪感は無いものの、僅かな緊張が見て取れる。

 

 ────よし、いいぞ。

 

 録画しているらしい男がそう言うと、少女が口を開く。

 

『ええと、名前は間桐桜です。3月2日生まれ、身長は156cm。元穂群原学園の生徒でした。今は、新婚です。つい先月結婚しまして。ずっと好きだった先輩と』

 

 淡く微笑んでそっと左手の薬指に触れる。そこには銀色の指輪が光っていた。

 

 ────そうか、おめでとう。じゃあ子供も作るんだろ? ちゃんと妊娠の計画立ててるのか? 

『っ…………』

 

 にやついた声で言われて、切なそうな目で見る桜。

 口を開き、ポツリと呟いた。

 

『計画は……してます。来月の危険日に───────』

 

 ああ、それはやっぱり後にしよう、と男が遮った。キョトンとした目で見る桜に、学生時代の写真を見せろと言う。

 

『は、はい。ここに』

 

 桜は高校の学生証を取り出し、両手で胸の前に構えた。

 入学時に撮ったのだろう顔写真には、今とは違い痩せて暗い雰囲気の少女が写っている。学生証のすぐ上にある艶めかしささえ感じられる現在の容貌と見比べるととんでもないコントラストだった。

 

『う……あ、あまり比較するみたいに撮らないでください。恥ずかしい……え? スリーサイズ? ……言わなきゃダメですか?』

 

 撮っている男が頷いたようだ。桜は困ったように眉尻を下げつつも答える。

 

『えっと。バストは94、ウエストは59、ヒップは90です。学生時代と比べて? ちょっと……かなり育っちゃいました。理由は…………も、揉まれると大きくなるって聞きますし、そのせいじゃないでしょうか……』

 

 動画が桜の胸にズームする。桜がみじろぎするだけでたぷんと揺れる、柔らかそうな巨乳。もしこんな女子生徒がいたら学生どころか教員も含めて、全ての男のオナペットになるだろう。

 

 ────誰に揉まれてそこまで大きくなったんだ。

『…………。せ、先輩は、私の身体をあんまり乱暴に扱わないようにしてくれていて。強くおっぱいを揉んだり、痕が残るまで吸ったりもしなくて、だから……』

 

 ゆっくりと。目を伏せながら、人差し指でカメラの方──────正確にはそれを持っている男を指す桜。

 

 ────じゃあ、ちゃんと礼を言わないとな。胸のサイズに悩む女は沢山いるんだぜ。

『………………あ、貴方がいっぱい揉んでくださったお陰でおっぱいが大きくなりました。ありがとうございます……』

 

 桜は真っ赤な顔で、目どころか顔まで伏せてしまった。自分の身を抱くように胸の前で腕を組んで、余計に巨乳が強調される。

 満足げな男が、なぜそんな格好をしているのかと聞く。

 

『そ、その、今日は…………えっちを…………』

 

 ボソボソと呟く。しかし男がよく聞き取れないと言うと、諦めたようにはっきりと答えた。

 

『今日は、えっちを撮影……ハメ撮りをする予定で……。それで、貴方が「高校生の桜を犯したい」って言ったからです……。だ、だから、家から制服を引っ張り出して来ました』

 ────新婚ホヤホヤの人妻のくせに、旦那が働いてる昼間っからラブホでコスプレセックスか。有り得ない女だな。

『ひ、ひどい……っ! 全部貴方のせいじゃないですかっ。私だってホントはこんなことしたいわけじゃ』

 

 見苦しく言い訳する桜にカメラが近付いていく。

 そして無造作に、その巨乳を制服の上から鷲掴みにした。

 

『ん、ふ……っ♥ ちょっと、いきなり……♥』

 

 宣言もせず突然胸を触るという、夫婦や恋人でさえ憚られる暴挙。しかし桜は文句の一つも言わず、されるがままになっている。

 

 ────お前、人妻なのに間男に触られっぱなしでいいのか? 嫌なら嫌って言わねえと。

『あッ……、くふ……♥ い、イヤ…………』

 

 眉をひそめ、言葉を絞り出そうとする桜。しかしぎゅむ、とキツくおっぱいを握り締められ、

 

『…………じゃない、かも……っ♥ あんっ、おっぱい気持ち良い……♥ この前みたいに手形が付くくらい強くして欲しいです……♥』

 

 蕩けた声で、あっさりと翻した。

 

『すいません……♥ ホントは私からセッティングしました♥ それとなく今日空いてるってことも、制服が残ってるってことも伝えて♥ いつそれ着てヤるぞ、って言われるか待ってました……♥』

 

 たぷんたぷんとおっぱいを揉まれうっとりと軽く目を閉じる桜。もう制服は皺くちゃだ。

 

『で、でもでもっ。誘ったって言ってもちょっと匂わせただけだし……直接ヤるって決めたのは貴方のほうだし。私は先輩の奥さんになったんだから、自分から他の男性を誘惑するなんてことはしてな…………んむぅっ!?』

 

 未だに見苦しく言い訳を並べる桜の唇を、男が自分のそれで塞いだ。ぶちゅぶちゅと唇を合わせる二人の横顔が映し出される。

 

『んちゅ、ぷぁ……♥ だ、だから、いきなりされると驚いちゃうんですってば……♥』

 

 一瞬でメスの顔になってしまった桜に男はベロを出せと命じる。桜は拒むことなく舌を突き出した。

 とろとろの唾液が絡まった真っ赤な舌。思い切り突き出されたそれが男の舌と空中で触れ合う。

 

『んあ、んぇえええええ……っ♥ やだ、唾液垂らさないで……♥』

 

 上から差し出された男の舌から、桜へと唾液が流し込まれる。にちゃ、ねちゃという粘着音。口では嫌だと言いつつも、桜はそれを飲み下していく。それが終わるとまた深く口と口が重なった。舌と舌が行き来しているのだろう、二人の頬がもごもごとうごめく。

 

 ぎし、と男がベッドに腰かける。桜の肩を抱き寄せた。スマホには自撮り棒が付いているらしく、カメラが二人の脇に置かれる。画面からは見えにくいが、男は桜の股間も触っているようだ。ちらちらと白い下着が見え隠れした。

 

『はっ、は……♥ ぬ、濡れてるって……そんな風に言って、貴方のココだってもう凄いことになってます……♥』

 

 桜が指先でくりくりと男の股間をつつく。そこは既に勃起しているモノにもっこりと押し上げられていた。

 

『くすっ♥ いつもより早く勃っちゃいましたね……♥ ハメ撮りするの、別に初めてじゃないのに……今日は他人に見せる用だから興奮しちゃいましたか? カワイイ所あるんですね♥』

 

 からかうように言う桜へのお返しか、直接男の手が桜のショーツへ潜り込んだ。クチュクチュと掻き回される音が鳴る。桜が心地よさそうに肩を震わせた。

 

『くぅううんっ♥ やだぁ、もうビチョビチョだってバレちゃう♥ お、怒らないで♥ まだ準備があるじゃないですか、私が悪かったですから……♥』

 

 まったく、最近口応えするようになったな。とぼやきながら男が手を離す。

 呼吸を整えた桜が、ベッド横の机に置いてあった手のひら大の箱を手に取った。「極薄0.01ミリ」「Lサイズ6コ入」「フィット感抜群!」謳い文句の書いてあるカラフルな箱。封を開けると中からジャバラ状に連結された小さな袋が出て来た。その中の一つを切り取り、指先で持つ。

 

『じゃ、じゃーん♥ 今日はゴム付きえっちです……♥ おちんぽさんも私のおまんこもこれじゃ物足りないんですけど、仕方ないですよね……♥』

 ────なんでゴム付きでヤるんだ。

 

 そう言われて、桜が一瞬、逡巡する。火照った顔で口を開いた。

 

『実は今、妊娠の計画を立てていて……。ほら、やっぱり危険日の生えっちは最高ですから、せっかくならしっかり準備してシたいなって。来月貴方と旅行に行った時に狙い撃ちして……帰ってきたら先輩とも生でして♥ どっちが私の卵子、仕留めるかなって計画です……♥ ……あ、これ言わせたいからさっき遮ったんですね……』

 ────俺と旦那、両方と中出しセックスするってのに余裕じゃん。どっちの子供を孕むと思うんだ?

 

 ペリペリと袋を開けてコンドームを取り出す桜に男が言う。桜はくすくすと上品に笑った。

 

『えぇ? そんな、先輩に決まってますよう。……危険日は俺とするんだろ? そうですけど、先輩のせーしが負けるはずありませんっ。一番孕み易い数日間は貴方と中出し三昧ですけど、先輩とえっちするのはその後ですけど、それでもきっと勝ってくれます♥』

 

 言いながら、桜はコンドームをぱくりと口に咥えた。手慣れた手つきで男のズボンを下ろす。

 そして、咥えたゴムへ嵌め込むようにチンポを咥えていった。

 

『ぉごぉっ……ぐぷぷぷぷぷぷぷぷ…………♥』

 

 長く勃起したチンポが易々と呑み込まれていく。頭を軽く撫でられた桜が嬉しそうに目を細める。陰毛に唇がくっ付くまで深く呑み込んだ後、ずるりと引き抜いた。

 

『けほ、こほっ。はい、ゴム付けました。……エロい付け方しやがって、って……貴方が教えたんじゃないですかっ』

 

 むう、と膨れる桜から映像の視点が離れた。

 開始位置まで離れたカメラが正面から彼女を捉える。よし、じゃあいつものやれ。と言われ、桜が溜息をつく。

 

『もう、ホントに土下座好きですね……。まあ、別にイヤじゃないですけど』

 

 すっと制服を整え、崩していた足を正座に。背筋を伸ばして両手を揃えた。

 そのまま沈むように頭を下ろしていく。カメラに桜のつむじが見えるくらいまで深く頭を下げる。

 

『今日はお昼から会ってくださって、ありがとうございます……♥ 先月結婚したばかりの人妻と、ラブホで浮気えっち♥ 種付けする為でもない、避妊具を使った性欲解消の為だけのセックス、してください♥ 私の都合で生えっち出来なくてすいません♥ 私も来月まで子宮干乾びさせておくので……今日はゴム付きでお願いします……♥』

 

 カメラに向かって披露された土下座。桜の垂れた髪から覗く耳は真っ赤、カメラの端に映った男のチンポもぴくぴくと震えているのが見える。二人の間で、土下座が興奮を煽る為に行われるセックス前の恒例のプレイであることは明白だった。

 

 身を起こした桜へカメラが近付いて行く。肩を片手で軽く押され、ぽすんとベッドへ倒れ込んだ。滑らかな髪がふわりと散らばる。仰向けになっても桜の巨乳は存在感を失わない。どころか両脇に垂れることもなく盛り上がった膨らみはより大きさを増しているような印象さえある。ぎし、と男がそんな彼女に跨った。

 

『あ、脱ぎま……え? 自分で脱がせたい? わ、分かりました……じゃあまずはリボンを……♥ んんッ♥ つ、次は制服のボタン……♥』

 

 見下ろす画面の中で、桜の服が開かれていく。しゅるりとリボンが解かれ、制服のジャケット、カットシャツ、その下のブラウスまで。完全に脱ぎ捨てはせず、それぞれのボタンを外しはだけていく。この為に全て前開きで統一されているらしい。彼女らしい、白いブラが現れた。控えめな刺繍が施された下着は清楚さと淫靡さを同時に感じさせる。これだけは後ろのホックで繋がっているらしく、桜の背中に男が手を回し、パチンと外す。ぶるんと巨乳が拘束から解放された。

 

『っ……こ、これ、すっごく恥ずかしいんですけど……♥ やだ、顔あんまり撮らないで♥』

 

 桜が左手の掌で顔を覆い隠し、背ける。と、その拍子にきらりと光る指輪が映った。

 

 ────それ外せよ。邪魔だ。

『え……? あ、指輪ですか?』

 

 ちらりと桜が左手を見る。

 

『すみません、それは……。許して貰えませんか? ね、他のことならなんでも聞きますから』

 

 両手を合わせてお願いする桜。そんな彼女に、男が提案した。

 

 ────よし。じゃあこうしよう。我慢比べだ。一回目のセックスで、俺が先にイッたらお前の勝ち、外さない。お前が先にイッたら俺の勝ちで外す。どうだ?

『ええっ!? ちょ、ちょっと待ってください。そんなの無理ですっ』

 

 慌てた様子でふるふると首を振る桜。男が何故かと聞くと、

 

『だ、だってそんなの絶対負けちゃいます……♥ 貴方より先にアクメしちゃいけないなんて絶対ムリ♥ 出来れば5回……ううん、私が10回アクメする間に貴方を1回射精させられるか、とかならまだ出来そうですけど』

 

 始める前からの敗北宣言、更には条件を大幅に譲歩しろと言う。しかしそれが妥当だと男も分かっているのだろう。仕方ねえな、と受け入れて、桜に伸し掛かった。

 

『ん…………♥ あは、何かヘンな感じですね、目の前にカメラがあるのって』

 

 撮影者は片肘をついて身体を支え、もう片手でスマホを持っているようだ。至近距離になった為、桜のおっぱいから上あたりまでしか画面には収まっていない。その代わり汗の雫やほつれた髪、目元の潤みが微細に見て取れるようになった。元からとびきりの美少女であることを差し引いても、その淫熱に中てられた姿は見る者に性的な感情を喚起させるだろう。

 男が桜の首筋を撫でる。桜がカメラに視点を合わせ言った。

 

『それじゃあ、よく見ててくださいね……私と彼のえっち♥ きっとどれだけ気持ち良いか、しっかり伝わると思いますから……♥』

 

 しっとり濡れた微笑み。画面がブレる。男が挿入を開始したのだろう。

 その途端。

 

『───────ッお゙…………♥♥ やばっ、イっ……♥♥』

 

 桜の目の焦点が遠くなった。だらしなく半開きになった口元からは唾液が垂れていく。

 桜が絶頂したのは明らかだった。まだ挿入し始めただけだというのに、新妻はあっさりとアクメを決めてしまっていた。

 

『あ、あれ♥ おかしいなあ、おまんこに亀頭が挿っただけなのに……♥ 流石にここまで弱かったはずは…………あっ、まっ待ってっ! 今おまんこほじくっちゃ駄目ぇ♥♥』

 

 にちゅ、と画面の下方から粘ついた音。チンポの侵入が再開されたのだ。

 

『くっふぅうううう……ッ♥ あ、あっあっあっ♥ くるっ、もう2回目のアクメ……っっ♥♥ こんなっ、まだおちんぽ挿入してる途中なのにぃ……♥♥』

 

 仰け反ってシーツを握り締め、ぎゅっと目を閉じる桜。ぱちゅん、と腰と腰がぶつかるまで挿入され、子宮が突かれると『お゙ほっっ♥』と当然のように3度目のアクメ。まだチンポが一往復もしていないというのに既に息も絶え絶えだ。

 

『あっ、あの……♥ や、やっぱり20回とかにしませんか……♥ こんなの絶対勝ち目ないっていうか、始まる前から勝負ついてるって言うか……あんっ♥ あっ♥ あっ♥ あうっ♥ に、20回でも30回でもどうせ同じ? そ、そうかも知れませんけどぉ……♥ んんッ♥』

 

 映る桜の上半身が、ギシギシとベッドの軋む音とともに激しく揺らされる。ぶるんぶるんと柔らかくも形の整った巨乳が揺れた。空調が効いているというのに汗が散り、桜の首筋を伝っていく。

 

『ひんっ♥ はあっ♥ あっ♥ て、手加減してください……♥ そんなに指輪外させたいんですかっ♥』

────そうだ。お前を俺の女だって認めさせてやるよ。

『~~~っ♥♥♥ 人妻相手に独占欲強すぎです……♥♥ あ゙っ、またアクメ来ちゃったっ……♥♥』

 

 どこか嬉しそうに悶えつつ、4回目の絶頂。未だチンポは射精の兆候も見せていない。運命の人限定の敏感マンコはむしろ負けたがっているように感度を上げていく。心の壁も取り払われてしまっている人妻は、子宮から送り込まれる快感に抗うことも出来ずイキっ放し状態だ。

 

 カメラが桜の右肩あたりに置かれた。二人の姿が横から映る。両手が自由になった男は上半身を桜の身体に被せ、抱き締めるようにした。桜と男の頬がくっ付き合う。

 

 ────これでよし、と。じゃあいくぞ。

『……へ……? え、まさかっ』

 

 桜が目を見開き、慌てて身を引こうとするももう遅い。

 男が腰を勢いよく振り、本気のピストンを開始した。ベッドのスプリングを駆使したエグい抽送。密着した桜の下半身に杭打ちするような。ぱちゅん、ぶちゅんと蜜壺の愛液が溢れ返る。

 

『お゙ッ♥♥ あうっ♥♥ こっこれ無理ぃっ♥ 負けました負けましたっっ♥ 取ります、こんなの取っちゃいますからぁっ♥』

 

 速攻で白旗を振った桜に、男はあくまでも容赦しなかった。しっかり10回負けさせるまでは続けるつもりのようだ。弛緩してガニ股気味になった桜の股間を、いきり立った肉棒で貫いていく。

 

『おんッッ♥ ひっ♥ まっ、また腰抜けちゃうっ♥ 貴方と腕組んで帰らなきゃいけなくなっちゃいますっ♥♥』

 5回目。

 

『んちゅっ、ちゅっちゅっ♥ んむっ♥ んん~~♥ ぶっちゅうううう……っ♥♥』

 6回目。

 

『ふぇっ!? せ、先輩とどっちが気持ち良いか? やだぁ、分かってるのに聞かないでください♥ …………うう…………♥ あ、貴方です……♥ 先輩とのえっち1回分より、貴方のピストン1回の方が良い……♥ う、うるさいなあっ♥ 貴方のおちんぽが良すぎるのがいけないんです、私のせいじゃないもん♥』

 7回目。

 

『はい♥ もうちょっと手前……そこっ、そこ擦って♥ あっあっ♥ 貴方のカリ、ホントぴったり合っちゃう♥ 私のおまんこも良いですか……? …………♥♥♥ よかったぁ……♥』

 8回目。

 

『ぴ、ぴすぴす♥ 見てますか~っ♥ 貴女にも早く教えてあげたいです……♥ 彼とのえっち、最高ですよ♥ 私のおまんこにぴったりだから、貴女にも結構合うんじゃないかな……? んッッ♥ いっ今、子宮ぐりぐりされてます……♥ 孕ませろーっておちんぽに口説かれちゃってる……♥ あうっ♥ これやられると、腰が浮いちゃうんです♥ ヘコヘコって、無様ですけどっ♥ 気持ち良すぎてこうなっちゃうんですよ……♥』

 ─────────そして、9回目。

 

 挿入してからまだ30分も経っていないにも関わらず、あっさりと桜は境界線まで追い込まれてしまった。というのに、そこに悲壮感らしきものは全くない。むしろ積極的にセックスを楽しんでいるように見えるくらいだ。

 一方、男は勝負を忘れてはいなかった。あえてピストンを緩め、快感の量を巧みに調節する。

 

『はーっ♥ はーっ♥ はあ……♥ うう、わざとおちんぽ、ゆっくりにして……♥ 自分から負けさせるつもりですかっ……♥』

 

 すっかり蕩け切った顔で言う桜。

 これ以上アクメしたかったら、桜は指輪を外すしかない。男は桜が10回絶頂したら指輪を外すというルールを逆手にとって、桜に自分から指輪を外させるよう仕向けたのだった。

 

『さっきからもう負けでいいって言ってるのに♥ ほ、ホントに独占欲っていうか……征服欲強過ぎます……♥ わかった、わかりましたからっ♥ これでいいんですよね……♥』

 

 僅かに躊躇してから、結局桜は指輪を外した。

 するりと抜け掌に落ちた銀色のリングを、机の上に置く。カラン、と硬質な音が響いた。

 

『アイツに謝れ? ……ええと、先輩、ゴメンなさい♥ 今だけ、今だけですから、私と夫婦じゃなくなってください……♥ このホテル出て、うちの玄関を潜った後は奥さんに戻りますから……ちょっとだけ見過ごしてください……♥』

 

 謝る桜。

 男は改めてスマホを手に取り、また彼女の上半身をアップにした。さっき映っていた時以上に乱れ、火照っている身体が映される。

 そのカメラ、というより持っている男へ向かって、桜が言う。

 

『見ての通り、9回連続で負けちゃいました♥ どうせ10回やっても20回やっても負けると思うので……ここで貴方のコールド勝ち、っていうことで♥ もう貴方のおちんぽも、せーし吐き出したそうにびくびく震えてますし……♥ 身の程知らずの負けたがり人妻に……10回目のえっち、お願いします♥ 出来れば貴方と一緒にイキたいです……っ♥』

 

 ふにゃ、と笑い。降伏と、更なる敗北のおねだりをした。

 男が腰を立て、通常の正常位になった。カメラが桜の顔から汗だくの巨乳、きゅっと引き締まったくびれ、男女の結合部まではっきりと収める。

 空いた片手で腰をぎゅっと掴み。ぱんぱんっと激しく腰を打ち付け始めた。

 それはさっきまでの相手をイカせる為のピストンとは違う、自分が快楽を貪る為の動きだ。普通なら男が気持ち良いだけの律動。しかし、彼と桜だけは違った。そんな自分勝手な動きでも、桜は十分過ぎる快楽を得ている。

 

『あんっ♥ あっ♥ あっ♥ いいっ♥ すみません、ずっと我慢させちゃって♥ しかもゴム有りえっちの日に♥ せーしもイライラも溜まっちゃってますよね……♥ せめて気持ち良く私をハメ潰して、ストレス解消しちゃってください♥』

 

 その誘い受けに気を良くしたか。男のピストンはいっそう乱暴なものに変化した。

 ごちゅん、ぶちゅん。子宮を潰してやるというようなピストン。これは自分専用だと言わんばかりにやりたい放題に抉っていく。

 

『ごッッ♥ お♥ おほっ♥♥ い、今は中出ししてもゴムを膨らませるだけなのに♥ これ、完全に孕ませる為の動き……もしかして、生えっちする時の予行演習してるんですかっ……♥ 私の子宮も、こんな風に突かれたらっ♥ 勘違いしちゃう♥ ホントは来月の浮気旅行までおあずけなのに、貴方のせーし貰えるんだって勘違いしちゃいます……♥♥』

 

 嫌々をするように髪を振り乱す桜。その表情はもう甘いトロ顔。普通なら夫や彼氏にだけ見せる幸せ一杯な顔だ。

 流石に恥ずかしかったのか、桜が掌で顔を覆う。しかし男がそれを咎めた。

 

『え……顔を隠したらピストンしないっ? ほ、ホントにひどい人……♥ ああもう、分かりましたからっ♥ 貴方に逆らう気ありませんから♥ どうぞ滅茶苦茶にしてください……♥』

 

 観念したように笑い、桜が顔を露わにする。目元や首筋まで赤く染まった発情顔だ。腰の動きが更に速くなっていく。射精する為の往復運動。はあ、はあ、と息が絡み合う。二人の身体から湯気が出そうだ。ベッドが軋む音が激しくなる。スプリングが跳ねる。男が桜の腰から手を離し、彼女の掌に触れさせた。受け入れるように指が絡まる。ぶちゅぶちゅと愛液が漏れ、ベッドを濡らしていく。男は射精寸前。桜はとっくにアクメしてもおかしくなかったが、同時にイキたいが為に必死で耐えていた。

 

 お互いを絶頂へ導こうとする、パートナー同士のセックス。

 やがて、腰がぎゅっと押し付け合わされ。

 二人の動きが、ぴたりと止まった。

 

 ───────びゅる、びゅるるるるるるっ♥ ぶぴゅるるるるるる……♥

『ッッ…………♥ 出てる……っ♥ ゴム膨らんでるの分かる……♥ あっ、イク♥ 貴方の射精感じてイク♥ イクイクイク、イっ……♥♥♥』

 

 同時に迎えた、最高の絶頂。男は一回目の、桜は10回目の絶頂に酔い痴れる。桜の足は男の射精を促すように腰に巻き付き、ぐいぐいと引き寄せていた。二人がヘコヘコと腰を擦り付け合う。深く長い性感を堪能していく。

 

 男女は恋人繋ぎで、心ゆくまで絶頂を味わっていた。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

「はああああ……。やっぱり腰抜けちゃったじゃないですか。帰り頼みますからねっ」

 

 6コ目、最後のゴムを彼のおちんぽから外して。

 私は力の入らない足腰をどうにか立たせながら、たぷたぷに精液の詰まったゴムを指先で摘まんだ。……男の人って何回も射精できないって聞いたことがあるけど、彼は私とのえっちだと何回でも出せてしまう。今日も結局ゴムを全部使ってしまった。使い切るまでに私がアクメした回数は……まあ、あえて何も言うまい。

 

「今日はすっごく興奮してましたね。私も見せる用だって思うとなんか気分が盛り上がっちゃって。……そうだ、ゴメンなさい。ちょっとウワテに出れるかなと思って、途中生意気な態度取っちゃいましたね。気にしてない? ふふ、なら良かった」

 

 そう。ハメ撮りなんて何回もしている私と彼がいつも以上に高揚してしまったのは、このビデオを他人に見せる予定があるからだった。私の大切な、身近な人に。

 

「あ、おちんぽ綺麗にしますね。……え? まだ何か撮るんですか? 最後の挨拶? ああ、なるほど」

 

 彼に命じられて、スマホのカメラを見上げる。仁王立ちした彼の足元に跪き、精液まみれのおちんぽに頬ずり。顔の横にはたった今外したばかりの、精液ではち切れんばかりに膨らんだゴムの先端を摘まんで掲げる。

 顎の下にはピースサインを添えて、

 

「ライダー……もしかしたら、姉さんかな? 私のえっち、ちゃんと見てくれましたかー……♥ 実はですね、彼が二人にも興味あるって言うんです。まあ、私も二人と一緒に……ってのは吝かじゃないですし、協力して説得用のビデオを撮っちゃいました。ライダーは性格とか感性とか、男性の好みとか私とそっくりだし……姉さんとは姉妹だし♥ きっと二人も、彼と相性は抜群だと思いますよ♥」

 

 まあ、私ほどじゃないだろうけど。とは言わないでおく。

 

「ライダーは先輩のことが気に入ってるし、美綴さんが好きなんだっけ? 姉さんはロンドンで男友達でも出来ましたか? ……けど、そんなのどーでも良くなっちゃうくらい、彼とのえっちは凄いですよ♥ シたくなったらいつでも言ってください♥ 女の子の幸せ、彼に教えて貰いましょうね……♥」

 

 ピピッ。

 録画を終えたスマホが点灯する。それなりに緊張していたのか、はあ、と溜息をついた。

 

「お疲れ様でした。ちょっと緊張しちゃいました、私」

 

 返事来るかね。と彼が言う。

 私は笑って答えた。

 

「断言しますけど。ぜったい、近いうちに来ますよ。分かるんです、私。あの二人も貴方との相性最高だって。今回の録画なんか見たら、毎日貴方を想ってオナニーしまくっちゃうに決まってます♥ 痺れを切らすまで……うーん、早くて一週間、かなあ……♥」

 

 きっと間違いなく、あの二人も遠からず彼に傅くだろう。その光景が目に浮かぶようだった。

 

「……よく協力したな、って? うーん。言った通り、こんな気持ち良いこと、あの二人にも教えてあげたいなって思いましたし。それに……まあその、貴方が他の女の子に手を出したら良くないなーって。貴方、お酒を飲ませて襲うような人ですもの」

 

 それは、言い訳だ。自分でも目を逸らしているけれど。実際の所は。彼が他の女に現を抜かしたら───────

 

 ────分かってるって。お前みたいな最高の女がいて、あいつらにも手が出せそうだって言うのに、今更そこらへんの女なんて抱いてる暇ねえよ。お前用の精液が足りなくなっちまう。

「………………♥♥♥」

 

 そんな言葉に。人妻の癖して子宮をキュンと疼かせてしまう、どうしようもない私だった。




前から書きたかったハメ撮り風えっち。
このくらいの、堕ちかけ~堕ちる寸前の理性と性欲が逆転してる状態で間男とイチャつくのが好きです。


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バージンホワイト

お口オンリー
2話と3話の間の話です


 以前雑誌で読んだけど、夏に結婚式をやるカップルは他の季節より少ないらしい。

 先輩と私は、その少ないうちの一組だった。

 

「わーっ、よく似合ってるよ桜ちゃん! こっち見て、こっち!」

 

 藤村先生が目を輝かせて褒めてくれる。

 今日は結婚式当日。今は控室で着付け中だ。ヘアメイクやブライダルインナーは着け終わり、ドレスを着ている最中である。純白のスレンダーライン型。私がこのデザインが良いと言ったら、先輩は二つ返事で了承してくれた。

 

「よーし、次はポーズとってみようか、桜ちゃん!」

「ええと……こうですか?」

 

 着付けされている私を、パシャパシャと写真に撮ってくれる藤村先生。若い女性の着付け師さんが苦笑している。そういえば、以前見せて貰ったアルバムには先輩や兄さんの写真がびっしりだった。こんな感じでずっと撮っていたんだな、と思う。

 

 私と先輩の結婚で、一番喜んでいたのは藤村先生だったかも知れない。私には親族というものがほぼいないに等しいし、姉さんなんかは『まあ、そうなるでしょうね』という感じの反応だったし。

 

「────はい、こんな感じですね。少し胸やお腹がきついかも知れませんが、我慢なさってください」

「ありがとうございます」

 

 着付け師さんに言われる。長い着付けがようやく終わって肩の荷が下りた気分。

 ふと、改めて大きな姿見を見ると。

 

「……うわあ……」

 

 思わず、ため息が漏れてしまう。

 そこには、自分とは思えない姿が映っていた。真っ白な、身体のラインにフィットしたドレス。細かな刺繍やフリルが散りばめられている。カップを肩紐で吊るタイプ。肘から両手にはウェディンググローブを嵌めている。首には真珠を繋いだネックレス。化粧は派手過ぎない程度のナチュラルメイクだ。まだベールは被っていないけれど、直前になったら着ける予定。

 

 そのどれもが、私には似つかわしくないくらいに綺麗で、純白で。少し、目が眩んでしまった。

 

「……私、いいのかな。こんな……」

「大丈夫だよ、桜ちゃん」

 

 不安げに言う私に、藤村先生が後ろからそっと肩に手を置いて励ましてくれる。

 

「心配しないで。今の桜ちゃん、すごく綺麗だよ。士郎も感動して泣いちゃいそうなくらい」

「……くすっ。そんなにですか?」

「もっちろん。桜ちゃんはね、士郎にはもったいないくらい綺麗で、可愛い女の子なんだから。もっと堂々としちゃっていいんだよ」

「………………ありがとうございます、藤村先生。じゃあ私、胸を張ってバージンロードを歩いちゃいますね」

「うんうん、その意気! ライダーさんや遠坂さんにも見せ付けちゃおう! ってまあ、一番見せ付けられるのはわたしかも知れないけどね……」

「あ、あはは…………」

 

 張り切って言ったかと思えば、一瞬でガーンと落ち込む藤村先生。

 なんと言えばいいか分からず、苦笑しか出来ない私だった。

 

 

 

 

 

「あっ、もしもしー? ……え? まだかかる? もう遠坂さん、ちゃんと遅刻しないで来てよー?」

 

 着付けが終わってひと段落していると、藤村先生が招待客の人たちへ連絡を取っていた。各々の家族友人、学園関係者、職場の同僚、たくさんの人を呼んである。どうやら姉さんはちょっとごたついているらしかった。

 

「遠坂さんタクシーで来てるみたいなんだけど、道が渋滞してて遅れるって。だから前日入りした方が良いって言ったのに、意外と抜けてるわよねー」

「間に合いそうなんですか?」

「うん、それは大丈夫。まだけっこう時間あるしね。……じゃあ次はライダーさんに電話掛けてみようっと」

 

 ライダーはすぐ電話に出たようだった。藤村先生がスマホを耳に当て、窓際で話し始める。

 

「…………ふう」

 

 椅子に座って、ほっと一息つく。

 

 予想はしていたけれど、こんなに挙式に準備がかかるとは思っていなかった。お金もそうだし、時間の面でもそう。思えば数か月前から式場を探してプランを選んで、色んな人に連絡を取って……中々に労力の要る仕事だった。それに今日も。私は朝から会場入りしているし、招待客の方々だって服装など色々と準備して来てくださっているだろう。

 それに、嬉しくなる。幼い頃は、いや数年前だって自分の幸福をこんなにたくさんの人が喜んでくれる時が来るとは思っていなかった。いや、自分に幸福が訪れるとさえ思えなかったのだ。

 

「……先輩、喜んでくれるかな」

 

 不安なような、どこか後ろめたいような心持ちで呟く。

 

 藤村先生が言ったように、きっと先輩は喜んでくれる。綺麗だよ桜、と言ってくれるはず。それは分かってる。……だって、先輩は知らないから。藤村先生だって知らないから。あの人たちの中で、私はきっと言葉通り綺麗な女の子になっているだろうから。

 だけど本当は違う。私には他の誰にも隠していることがある。やってはいけなかったこと。知られたら終わってしまうようなこと。彼らを……先輩を裏切るような行為を───────

 

 

 ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ。

 

 

 机上のスマホが震える。

 私のものだ。誰かからラインが届いた。誰だろう。先輩じゃないよね。藤村先生はまだ電話してるし。姉さんだったりして。機械音痴だけど最近、どうにか使い方を覚えたみたいだし。そんな、目を逸らすようなことを思いながら画面を見る。

 

 そこには、

 

「───────────────────」

 

 ちらりと窓際を見ると、藤村先生はまた違う人に電話をかけ始めたようだった。あれは終わるまで時間がかかるだろう。

 

 少し、お手洗いに行ってきます。

 

 そんな、聞こえもしないだろう小声で、言い訳するように呟いて。

 私はドレスの裾を摘まんで、控室から出て行った。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

 廊下を歩き、階段を上り、扉を開ける。ホールの前を横切っていく。

 運良く誰とも擦れ違わなかった。こんな格好で出歩いているのを見られたら呼び止められてしまうだろう。

 

「……はっ、はっ、はあ……」

 

 カツン、カツンとヒールが床を叩く音。段々小走りになっていく。息が上がる。それは慣れないウェディングシューズで身体を動かしている為か、それとも、

 

「───────はあっ」

 

 立ち止まる。目的地についた。

 式場でも一番隅っこにある、殆ど誰も使わないお手洗い。その中でも広い多目的トイレ。

 ガララ、と引手のドアを開け、中に入る。

 キッと見上げると。───────彼が、私を待っていた。

 

 染色した髪、焼いた肌。もう見慣れた、荒々しい風貌。……私をさんざん躾けて、潰して、調教した、私の浮気相手の男性だった。

 

「……こっ、こんなの突然送ってこないでください……! 見られたらどうするんですかっ」

 

 スマホの画面を突き付ける。そこにはさっき送られて来た画像───────全裸の私の写真があった。つい先週、私の部屋でセックスした時のものだ。精液塗れで潰れたカエルみたいにひっくり返り、白目を剥いて気絶している画像。夕方から明け方までさんざん嬲られて、朝日とともにあえなく意識を飛ばしてしまったのだった。

 

 見られちまえば良かったのに、なんて彼がうそぶく。嘘なのは分かってる。私をからかっているだけだ。だって、この関係が終わることは彼も望んでいないはずだから。

 

 ────そんなことより。似合ってるじゃねえか、ドレス。俺の言った通りだったろ? 

「っ…………」

 

 私をじろじろと眺めて満足そうに頷く彼。

 

 ……そう。このドレスを選んだのは、本当は私じゃない。彼が、自分の好みのドレスを指定してきたのだ。胸元が開いて身体に張り付き、スタイルが強調されるタイプの物を。

 彼がゆっくり歩いて眼前に立つ。上目づかいで見上げる私を見下ろす。

 くいっ、とドレスの胸元を指で引っ掛けられて。その中に息づく蕾を覗かれた。

 

「んっ…………あ、あんまり乱さないでください。あとで誤魔化せませんから……」

 

 いつものような口先だけの反抗もしない私を不思議に思ったのか、彼が言う。

 

 ────珍しいな。最初からその気になってるのかよ。

「だっ、だって……」

 

 ちらり、と手の中にあるスマホを見て。

 

「……ただでさえ、ウェディングドレス着て貴方と逢ってるっていうのに。あんな写真、不意打ちで見せられたら、スイッチ入っちゃいます……っ♥ 貴方にさんざん啼かされた時のことを思い出しちゃって……♥」

 

 そう。とっくに私は発情モードで、脳内はピンク色。息が上がっていたのも歩いていたからか彼との逢瀬に興奮していたからか、自分でもよく分からない。

 ニヤリと彼が笑って私の肩を掴み、引き寄せる。あ、と思う間もなく。あっさりと、唇を奪われてしまった。

 

「ぷちゅ……♥ はふ♥ ちゅるる……♥」

 

 このあと誓いのキスをするというのに。その数時間前に、他の男性との浮気キス。一瞬で目が潤み、唇が綻ぶ。

 

 ……さっき言ったように、彼との関係はスイッチのオンオフに近い。オフになっている時はいつもの私のまま。先輩や藤村先生がよく知る間桐桜のままだ。

 でも、一旦スイッチがオンになってしまったら。彼に迫られたり、性欲が溜まったりして発情してしまったら、彼に堕ちた私が顔を出す。理性や良識はどこかに行って、彼という相性最高の男性に可愛がって貰うことだけを考えるメスになってしまう。

 そのオンオフが最近緩くなっていることに、薄々気づいている。最初は家に押しかけられてレイプまがいのことをされないと発情しなかった。なのに今では、ちょっと写真を一枚見せられただけで、たまらず挙式の準備を抜け出して会いに来てしまう有様だ。

 

 このスイッチを元に戻すには。当然、その原因となった鬱憤を……性欲を晴らすしかない。そしてその相手となれるのは、この世で彼しかいないのだった。

 

「ンむっ、くちゅ♥ ひゃ……唇、そんなに吸って……♥ 口紅ぜんぶ落ちちゃうじゃないですかぁ♥」

 

 カサついた彼の唇に、柔らかめのボルドーリップを塗った唇を吸われる。覆い被せるようにキスしてきたと思ったら、唇で唇を咥えられたり。そんなことをされているうちにすっかり口紅が落ちて、彼の唇に移ってしまっていた。

 

「ぷっ♥ 唇、口紅でちょっと赤くなってますよ♥ ……え、全部舐めろ? もうっ……我儘なんだから……♥」

 

 ぐっと背伸びをして、彼の唇を舐める。ぺろぺろ、ぴちゃぴちゃ。ちょっと乾いている彼の唇へ水分を塗り込むように、舌で舐め上げていく。口紅特有の少し苦い味。彼の唾液とともに、こくんと飲み下す。

 私の唇舐めに盛り上がってしまったのか、彼にがっちりと顔を掴まれ、唇を合わせられる。大きな掌に包まれて、頬が燃えるように熱くなっていく。

 

「むちゅぅうううっ……くちゅ、んちゅっ♥ むちゅるるるるる……♥ はあっ、はあ♥ ちょっと、息継ぎさせてっ……んむ~~っ♥♥」

 

 彼も、ウェディングドレス姿の花嫁をコマしていることに興奮しているのかも。いつも以上に激しいディープキスだ。壁際まで押し付けられて、上から貪るようなキス。……私はこういうのに弱い。捕食される側だって、彼の思い通りにされてるんだって再確認させられてしまう。

 

「んく……はふん、ぶちゅるるる♥ ん、んんん……♥」

 

 思う存分口内を掻き回されたあと、彼の舌が引いて行く。そうしたら次は私の番だ。出来るだけ深く彼の口へ舌を差し込む。最初は煙草の匂いが強かった彼の口内は、最近それが薄くなっている気がする。逆に私に匂いが移っているような。あとで口臭消しをしておかなきゃ、なんて思いながら、たっぷり数分間。彼とのキスを愉しんだ。

 

「ぶはっ……はーっ、はぁーっ……! さ、酸欠になるかと思いました……。汗かいちゃいます……」

 

 空調は効いているものの、夏ということもあって室内はそれなりの温度だ。絡み合い息を荒げていたせいで、うっすら汗をかいていた。

 

 それは彼も同じだったらしい。カチャカチャ、と彼がベルトを解いてズボンを脱ぐ。それに当惑することはない。彼が何を要求しているのか、私にはもう分かっている。

 綺麗に清掃されていて良かった、と思いながら蓋をした洋式トイレに腰を下ろす。少し屈むと、彼の股間が目の前にあった。もっこりした紺色のボクサーブリーフは、中のモノが勃起していると一目でわかる。亀頭があるであろう部分は既に先走りが滲んでいて、ブリーフ全体も汗ばんでいるように見えた。

 

 それに、思いっきり。鼻っ柱を押し付け、顔面で熱を味わいながら深呼吸。

 

「すう──っ……はあああああああ…………♥ な、なんですかコレっ、ムンムンしてて♥ 先走りと汗とおちんぽの匂いが混じり合って、えっぐい匂いになってる……♥」

 

 淫熱で脳が茹だる。肺に目一杯吸い込んだ体臭が嗅覚を犯す。くいっと鼻先で裏筋を押すと、染みが大きくなった。うっとりと目を閉じて、すりすり、とパンツの上から頬ずり。私が一度も勝利したことのない肉棒。百戦百敗のおちんぽ。なんでこんなに逞しいんだろう。強くて、格好よくて、容赦なくて。私をレイプした男性器だというのに、今では尊敬の念さえ感じてしまう。

 

「こんな匂いしたおちんぽぶらさげてたら、女の子が驚いちゃいます♥ わ、私がちゃんと綺麗にしておかないと……♥♥」

 

 パンツを下げると、ぶるんとフル勃起おちんぽが顔を出す。むわり、と淫臭が解放されて更に鼻を痺れさせた。

 彼の股間は、陰毛を綺麗に剃ってある。お前のおかげでフェラし易いチンポになったろ、と言われて。思い出して赤面してしまう。

 

「うう……思い出させないでください……っ♥ は、恥ずかしかったんですから……♥」

 

 彼の陰部は、私が剃ってあげたのだ。なんでも彼曰く、剃った方がセックスのとき肌が密着して気持ち良いのだとか。

 

 ……そして当然というか何というか、私の股間は彼に剃られたのだった。もう第二次性徴前の女の子みたいにつるつるにされてしまって、先輩への言い訳には随分苦労した。勿論、剃毛の過程はばっちり録画済みである。

 

「も、もうっ……♥ そんなことより、早くフェラしますからねっ。ほら、いきますよ……♥」

 

 気を取り直して彼の股間へ顔を近付ける。もう私の愛液が染み付いていそうなおちんぽ。他の人じゃ満たされない私を満たしてくれるソレ。

 

「ん……ちゅっ♥ 今日もよろしくお願いします、おちんぽさん……♥」

 

 亀頭にキスをすると、悦ぶようにぴくんと震えた。ちょっと可愛い、と思いつつ血管の浮く竿へ。むちゅ、ぷちゅ、と唇を尖らせて押し付けていく。

 

 彼が言った通り、剃ったおかげでえっちなことがよりし易くなったと思う。もちろん一番はセックスの時、肌と肌が密着することだけど、フェラも同じくらいやり易くなった。今までは陰毛で隠れていた根本の方なんかにも奉仕することが出来る。彼も唇が触れたことのなかった場所を舐められるのは気持ちが良いみたい。

 

「ぺろ、れろぉ~っ……♥ もうっ、汗でムレちゃってますよ……♥」

 

 汗で湿っている肌へ唾液を刷り込むように舐めていく。ハーモニカを吹くみたいに、横から竿をれろれろと舌で擦る。ちらっと彼を見上げると目が合った。首元を擽られて、むず痒くなってしまう。「んふ♥」と鼻息を漏らしながら、彼のおちんぽへ舌を這わせていく。

 

 竿を舐め終わったら、金タマの方へ。ぐいっと首を傾げて、片方の睾丸を咥える。傷付けないよう気を付けながら、かぽ、かぽと口から出したり入れたり。舌でぐいっと持ち上げる。結構な重み。ここで精子が作られてるんだ。私をいつも満たしてくれる精液の中身が。きゅん、と下腹が切なくなる。一人きりの卵子が寂しがってる。早く挿れて欲しい、なんてウェディングドレスを着た花嫁が思っちゃいけないことを思ってしまう。

 

「ん……ぷは♥ じゃあ咥えま……え? そこの台に?」

 

 子ども連れの招待客を想定しているのか、このトイレには折り畳み式のベッドが備え付けられている。人ひとりが寝そべれるくらいの大きさの長方形。

 

 そこに横たわれと言われて、とりあえず寝っ転がった。仰向けに寝ると、ベッドの縁に頭だけが出るように調節される。髪が地面へ向かって垂れさがる。口と喉が一直線に繋がる格好だ。

 

 そして口元におちんぽを添えられて。ようやく何をされるか分かった。

 

「もっ、もしかして……このまま咥えさせるつもりですかっ……♥ 仕方ないですね……♥」

 

 どうぞ、と大口を開ける。

 舌をちろちろと覗かせると、それに誘われたかのようにおちんぽが挿ってきた。

 

「んぐくっ……んぐぉおおっ……♥」

 

 深く、深く挿入されるおちんぽ。喉を易々と通り抜け、食道へ届いているかもしれない。

 ぶちゅ、と私の唇と彼の腰がくっついたかと思うと。

 

「んぶっ、ぐぽっ♥ がぽっ♥ ごぶ……っ♥ ぶちゅるるるる……っ♥」

 

 彼が容赦なく、腰を振り立て始めた。強烈なイラマチオだ。太く硬い肉棒が口と喉を往復していく。

 完全に、オナホ扱い。ぺちぺちと彼の陰嚢が顔面を打つ。こんなの、自分の奥さんにだってしていいことじゃない。そんなプレイを他人の人妻に喰らわせて、さぞ気持ち良いことだろう。……とはいえ、女の方もそれで快感を得ているのだから、彼を非難することは出来ないけれど。

 

「ごぼッ♥ ごぶぅッッ♥ ぉごっ♥ んごぉおおっ♥」

 

 苦しくて辛いのが、逆に良い。喉が内側から押し広げられるのが心地よい。身体を彼の玩具のように扱われるのが気持ち良くってたまらない。歯が当たらないように口と喉を開きながら、抽送しやすいようたっぷり唾液を絡める。彼のおちんぽの形が浮き出た喉を撫でられる。ふるふると揺れるおっぱいに目を付けたか、ドレスの上から胸を揉み込まれる。あんまり乱されると後で困るなあという思いと、もっと乱暴にして欲しいというのが半々。まあ別にいいか、どうせこれからハメられるんだし。どこかで転んだとか言えば誤魔化せるよね。そういえば彼、ゴム持ってるかな。

 

 そんなことを考えながら喉を抉られていると、唐突に射精された。どぴゅる、ぶぴゅるるるるるっ。喉、というか胃へ直接流し込まれているような射精。顔面にぐりぐりと腰が押し付けられる。完全に、自分が気持ち良くなることしか考えてない自分勝手な射精、イラマチオ。それは私を虐めてやるということではなくて、これでも私は気持ち良くなってしまうと理解しているが故の荒行だった。

 

「ずるるるるるるるっ……ぐぶっ♥ ぶは、げほけほけほっ……!」

 

 おちんぽを引き抜かれて、身を起こして咳き込む。気持ち良いとか気持ち良くないというのは置いておいて、とっても苦しいフェラだった。射精の量もたっぷりで、胃がたぷたぷしている。

 

「はあ、は……♥ き、気持ち良かったですか? 良かった……♥ でも、次やるときは出すって言ってくださいねっ」

 

 彼がティッシュで口元を拭いてくれる。もう一度便座に腰かけて、お掃除フェラを始めた。

 

「ぺろ、れろっ……♥ うわ、精液と私の唾液でどろっどろじゃないですか。ちゃんと綺麗にしておかないと、暑いからまたムレちゃいます……♥ ちゅっ♥」

 

 白濁液の絡んだおちんぽを舐め上げていく。私を狂わせるカリの裏。ごつごつした幹のくぼみ。肉棒の根本。精液がこびり付いている所をぴちゃぴちゃとねぶっていると、またおちんぽが勃起した。びん、と天を突く。

 視線で彼を窺うと、こくり、と頷かれる。フェラ抜きしろの合図。あんぐりと口を開けておちんぽを呑み込む。お掃除フェラから射精へ導く為の舌技へ変更する。さっきは激しいイラマチオだったから、今度は慈しむような優しいフェラ。頬をすぼめて、柔らかい粘膜をおちんぽに張り付け、ゆるやかに扱いていく。

 

「んぐ、ぷぁ……♥ しゃ、写真撮るんですか? もう、誰にも見せちゃ駄目ですよ……♥ あーん、ぐぷぷぷぷぷぷ……♥」

 

 ウェディングドレスで公衆トイレに座り、フェラしている所を撮影される。舌を伸ばして裏筋をぺろぺろしている所。亀頭にむちゅりと唇を這わせている所。幹の途中まで口に含んで、目元をだらしなく緩ませている所。根元まで呑み込み、崩れた顔でカメラを見上げている所。もしばら撒かれたら人生終了間違いなしの写真を連写されていく。……実は絶対最高のオナネタになるから数枚私にも分けて欲しいな、と思っているのは内緒だ。

 

「くぷっ♥ くぷ♥ くぷ♥ くぷ♥ くぷ♥ こぷ……っ♥」

 

 さっきのイラマチオとの落差が効いたのか、射精直後で敏感だからか、おちんぽはすぐに次の射精へ向かい始めた。びっくんびっくん跳ね回るおちんぽを、努めて優しくフェラしていく。唾液を多めに絡ませて、汁気たっぷりのおちんぽがふやけそうな口淫。ごぷ、ぐぷ、と顔を前後させて粘膜を吸い付かせる。彼も緩く腰を振って快感に浸っている。さっきの激しく扱われるのも良かったけど、やっぱりこっちの方が好き。そしてそれはきっと彼も同じだろうと分かる。

 

 とん、と肩を叩かれた。何も言ってないけど、射精するんだと分かる。幹の半分くらいまでを頬張って。ちゅううう、とおちんぽを吸うと、精液が吹き出した。

 

 どぴゅ、どぷどぷどぷどぷっ♥ ぶぴゅぴゅぴゅぴゅ……♥

 

「ん、んん~~っ……♥ んむぅっ……♥」

 

 口の中でぶちまけられる精液を、今度はしっかり溜めていく。びゅくん、びゅくんとおちんぽが跳ねるのに合わせて吐き出される精液。射精は数十秒続き、終わる頃にはお口はパンパンになってしまった。

 

「またこんらにたくさん……♥ ほら、みえてまふかー……♥」

 

 口を開けて、彼に見せ付ける。彼が気持ち良くなった証拠。彼を気持ち良くさせられた証拠。これはお互いの満足感を満たす為の行いでもあった。

 

 ────そうだ。それでうがいしてみろよ。

 

 面白がって言われる。酷い、弄ぶようなこと。でも、私には拒むことが出来ない。拒む気にならない。言われた通り、口に息を吹き込む。

 

「がらっ……ガラガラガラガラ……♥ ぶくぶくぶく……♥」

 

 粘度の高い精液が泡立つ。独特の苦さ、生臭さが舌を刺す。こんなこと、彼以外の精液でやれって言われても絶対無理だ。それこそ先輩のだって。でも、今まさに味覚を刺激し、鼻を通り抜けるこれだけは。

 口を閉じ、ぐっちゅぐっちゅと頬を膨らませてすすぐ。歯と歯の間をねっとりした粘液が通り抜ける。そこまでやって、ようやく呑み込む許可が出た。

 

「んぐ、ごくっ、ごく……んっ……。はあっ……うぷ、やばっ……♥ 空気が溜まってっ……♥」

 

 胃から空気が昇って来る。イラマチオやガラガラうがいのせいで、空気を飲み込んでしまったのだ。ぐっ、と喉が蠕動して。抑えることが出来なかった。

 

「んっ、ぐ……ぉ……ごプッ♥ げふっ♥ ……ゴげぇええええ……ッ♥ や、やだっ♥ 精液げっぷ出ちゃったぁっ……♥」

 

 はしたなく空気を吐き出してしまい、彼にゲラゲラと笑われた。当然の如く一部始終を動画で撮られてしまっている。

 ……流石にこれは自分では見たくないかも知れない、と思った。

 

 

 

 

 

「……え? えっちは無し、ですか……? い、いえ、物足りないとかじゃないですけど。でもなんで……?」

 

 口取りが済んで、さあセックスかと思っていると彼に部屋へ戻れと言い渡された。

 

 ……実際の所、もうおまんこはびちょびちょ。フェラは存分にしたけれど、それは私の絶頂に繋がることじゃない。入ったスイッチはまだ元に戻っていない。このまま戻れと言われても、ひどい生殺しでしかなかった。

 

 ────今度、時間が出来たら旅行でも行かないか。

「……………………ッ♥♥」

 

 ぐいっと腰を引き寄せられ、囁かれて。落ち着いていた鼓動が、一気に早くなる。

 

 ────せっかくだからさ、お前の危険日に合わせて。来月か、再来月くらい。それまで生本番はおあずけだ。その代わり、旅行の間中、思う存分可愛がってやるよ。

 

 それは、つまり。私の一番孕み易い時に、気の行くまでえっちしよう、という浮気旅行のお誘いで。

 

 ばっくんばっくんと脈打つ心臓が痛い。この後すぐに結婚式が待ってる。もうほとんど手遅れかもしれないけれど、今ならまだ引き返せる。それはちょっと、と言えば彼も分かってくれると思う。彼が了承を得ようとするのはそういうこと。お前が選べよ、ということ。

 

「そっ、そんなこと言われても……♥ わ、私、今日このあと結婚するんですよっ。新妻になるんですよ……? その当日に、浮気えっちの約束なんて、出来る訳が……出来る……訳が……」

 

 子宮に甘い痺れを感じながら、ふと横を見る。

 鏡に映る、彼に抱き寄せられ、縋りつく様に胸に顔を埋めて。真っ赤にのぼせ上がった顔。

 

 それは、目の前の人の子を孕みたいと願うメスの顔でしかなくて。

 それを自覚した時点で、私の答えは決まってしまったようなものだった。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

「あ、桜ちゃん、ちょっと汗かいちゃってるよ。ほら、拭いてあげる」

「ありがとうございます、藤村先生」

 

 扉の前に立った私の額を、藤村先生が優しく拭いてくれる。……こんなことを考えるのは申し訳ないんだけど、藤村先生は十分美人だし気を配れるし、職業も安定しているのになぜ独り身なんだろう。わりと不思議である。

 

「むっ。桜ちゃん、なんか失礼なこと考えてなかった? そういうの分かるんだー、わたし」

「いっ、いえいえ! ぜんぜん考えてないですっ。その、藤村先生は優しいなーって」

「ホントかなあ? まあ今日は許しておこう、特別な日だしねー。……あ、そういえば遠坂さん間に合ったって。他の人もみんな来てるよ。そうだ、ブーケトスはわたし目がけて投げてくれると助かるかな!」

「は、はい。善処します」

 

 前を向く。目の前には分厚い扉。いわゆる、バージンロードの入り口だった。

 これから数分後には、私はここを通って先輩の所へ行く。隣の藤村先生と一緒に。普通は父親だったり親戚だったりらしいけど、まあ、私はその辺り色々あるから。

 本当にこの時が来たんだなあ、と改めて感慨深くなる。

 

 と。違和感を覚えて、とっさに口元を抑えた。

 

「…………桜ちゃん」

「あ、すいません」

「ううん、いいの。泣いちゃうのも分かるよ。人生に一度の幸せだもんね」

 

 きっと私が嬉し泣きしたと思ったのだろう。藤村先生がハンカチを手渡してくれる。

 

 

 ─────まあ実際は、胃から精液の匂いが昇って来てむせてしまったんだけれど。

 

 

 先輩と誓いのキスをするとき、息止めておかなきゃ。

 そんなことを考えながら、開式を待つ私だった。

 




どんどん酷い話になってる気がする。

そろそろ連載の方も更新したいです


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前説、あるいは新妻浮気旅行自撮り映像

『────おはようございます。えっと、今日は旅行一日目です。一応旅の記録っていうコトで……今は行きの電車に乗ってます。早朝だからかな、あんまり乗客はいませんね。あとどれくらいだろ、2時間くらい? けっこうありますね……あ、別にイヤって訳じゃ。目的地は、A県の海水浴場です。まずはホテルに寄って荷物を降ろして、ってコトになるかな。今日もすっごく暑いですし、そこの海水浴場は広くて綺麗だって評判だから楽しみですね。水着も新しいの買ってきましたよ。海なんて久し振り、早く入りたいなあ。……あっ、はい。今回の旅行は、カレ……隣にいるこの人ですね、この柄の悪いチンピラさん。きゃっ、冗談ですってば。ふふ……このヒトとの親睦を深める為の旅行になります。あ、もちろん私は既婚者ですから、おかしなコトなんてしませんよ。あくまで友人としてお互いをもっと深く知ろうってためのイベントです。意外と私たち、相手のコトよく知りませんからね……これを機にもっと仲良くなりましょう、って旅行です。あーでも、先輩に貰った指輪、忘れて来ちゃったんですよね。結婚指輪って夫婦の契りじゃないですか。あれを着けてなくてもちゃんと夫婦ですって言えるのかな? ……あ、たぶん言えない? 寂しい彼氏募集中の女ですって言ってるのと同じ? えー、だそうですので前言撤回します、独身の間桐桜です。あれれ? これまずくないですか、私いい歳して独り身で、チャラい男性と二人っきりでお泊まり旅行に来ちゃったってコトですよね……? ここだけの話、隣のカレってずいぶん女の人にだらしないヤリチンさんって耳にした覚えがあるんです。ほら、お分かりのようにさっきから私の肩を抱いてるし、さりげなく髪の匂い嗅いでるし。……いやあの、バレバレですからね? 当たり前でしょう、まったく。……ああもう、寸劇はここまででいっか。

 ええっと。見てますかー、先輩? ってまあ、コレ先輩に見せる予定はとりあえずないんですけど、その方が興奮するってカレが言うからその体で話しますね。

 私、先輩に「お友達と旅行に行く」って話しましたよね。弓道部時代の同級生です、女の子だけだから心配いりせんよー、って。ごめんなさい。あれ、真っ赤なウソです。ホントは、この人との二人っきりの旅行……はっきり言っちゃいますけど、生でヤリまくって妊娠目指そう、っていう旅行なんです。カレとの関係は、今年の……2月だったかな? 飲み会に行くって言って、翌日の夜まで帰って来なかったコトありますよね。あの日、実はたくさんお酒飲まされてホテルに連れ込まれて、朝までハメられてたんです。そう、レイプですよレイプ。この人、前から私のコト狙ってたんですって。ホントにひどい人……でもですね先輩、私、そのエッチでどうなったと思います? 怒った? 泣いた? 絶対許さない、殺してやる……って恨んだ? ……そのどれでもないんです。私ったら、酔っぱらって泥酔してるのにイキまくって……目が覚めてからは自分からも腰、振っちゃってたんです。もう気持ち良くって堪らなくって。信じられます? 私の過去を知ってる先輩ならそれがどれだけおかしなコトかって分かりますよね。でもホントなんです。おちんちんの形とセックスの相性だけで、過去のトラウマなんてどーでも良くなっちゃいました。それくらいカレと私は、男女の相性が良い運命の人だったみたいなんです。それから……次に会った日ははっきり覚えてますよ。5月9日。私がカレに堕ちちゃった、完堕ち記念日です。先輩、気付いてましたか? 2月以降、私が先輩とのエッチで全然感じてもイッてもなかったって。たぶん気付いてないですよね。あの頃私、これから一生セックスの気持ち良さを得るコトなく生きてくのかなって思ってました。先輩とのエッチじゃ到底得られなかったし、またカレと関係を結ぶ勇気はありませんでしたから。……でも、カレは来てくれたんです。私がムラムラした身体を抱えながらつまんない家事をしてる所に現れて、無理やり唇を奪っておっぱい揉みからの手マン。それだけで先輩とのセックスじゃろくに濡れもしなかった私はあっさりアクメしちゃいました。そのあとリビングでおちんちんをお腹に押し付けられて犯すって宣言された時、「あ、もう駄目だな」って悟ったんです。あーあ、もうこの人の都合の良いメス奴隷確定だなー、って。きっとあの時勝負ついてたんでしょうね。私が勝つには……まあ私自身は勝てっこないので、あそこで先輩が助けに来てくれてたりしたらどうにかなったのかも? いや、ならないかな? まあどっちにしろもう遅いんですけど……それからお布団で抱かれたのは、もう完全に負け戦でしたね。この人Sですから、どうやっても勝てないって状況で私を虐めるの大好きなんです。ホントにきつかったんですよ、あの時のエッチ。私は堕ちちゃ駄目、先輩の奥さんやめちゃ駄目って頑張ってるのに、身体はとっくにこの人にぞっこんなんですもん。私がそうやって無駄な努力をしてるからこの人も怒っちゃって、文字通りハメ潰されちゃいました。体重を掛けながらのまんぐり返しハメ、凄かったなあ……あれでトドメ刺されちゃったんですっけ。私、半分気絶してたんでよく覚えてないんですけどね。

 堕とされるまではそんな流れでした。で、そうなっちゃうと私としても、この人と赤ちゃん作りたいなーとか思ったり思わなかったりしちゃう訳でして。それでも一応先輩の奥さんですから、先輩と子どもを作るのもまあ有りじゃないですか。それでですね、今回の旅行を計画したんです。私の危険日に合わせて旅行の間中カレと生エッチしまくって、帰ったら先輩ともエッチして。どっちのせーしが勝って、私の卵子ゲットするかなっていう孕ませレースです。後からエッチする先輩の方がちょっと不利かなって思うけど、でも私たちには絆がありますもんね。雨の中、衛宮の家の玄関で待っている中学生の私を先輩が出迎えてくれた時のコト、ちゃんと覚えてますよ。普通なら二人とも助からないような戦いを乗り越えて、一緒になって……だから今回もきっと先輩が勝ってくれるって信じてます。大好きですよ先輩、信じてます……って、ひっ♥️ あの、人が旦那さんに告白してる時におっぱい掴むのやめてくれませんか……♥️ え、今は俺の彼女だろって……まあそうですけどぉ……♥️ こっちが気合い入れて先輩に想いを伝えてるっていうのに、おっぱい一揉みで腰砕けになったらみっともないじゃないですかっ。ひゃ、やだっ、首筋舐めないでっ♥️ え、えーとですね先輩……あれ、何の話だっけ。そうそう、私が先輩のコト愛してますよって話……んむぅううっ!?♥️ ちゅぷ、むちゅるるるる……っ♥️ ちゅっちゅっ♥️ ぷぁ……あーもう、こんなキスされたらどうでもよくなっちゃうじゃないですかっ……♥️ ん……もう、他にお客さんいないからって、人妻を我が物顔で抱き締めて……♥️ すんすん……あ、香水変えました? ……私が気に入りそうなヤツ? …………♥️♥️ ま、まあ悪くないんじゃないですかね……え、先輩ですか? うーん、先輩はちょっと、はっきり言っちゃうと汗臭いっていうか……いや、貴方の匂いが好きって訳じゃないですけどっ。……あぅ、おっぱいそんな揉まれると服にシワ着いちゃいます、一応今日の為に卸してきた服なんですから……この前の高校の制服なんてくしゃくしゃになっちゃって、仕方ないからアイロンかけてたら先輩に見られて言い訳大変だったんですよ? そうだ、まだ感想聞いてないんですけど。この服どうですか、貴方が白のミニワンピがいいって言うから用意したんですけど。……エロい? は、ハメたい……って。まあそんな所じゃないかと思ってました……。あ、ちょっ!? そんな胸元引っ張って中見ないでっ……♥️ うぅ……そうです、ブラも貴方が選んだヤツ……♥️ 黒くて紐みたいな、頼りないヤツです……♥️ し、下も見せろ? ……はい……♥️ これです、ブラとお揃いの……ちょっと横によじったらすぐに挿入できる、セックス用のエロ下着……♥️ もうっ、こんなの何が良いんですか……。……清楚っぽい白ワンピの下に着てるのがそそる? …………はぁぁ、私には分からないです。まあ貴方が好きならそれで良いですけど。

 ……んっ、ふ♥️ 耳ふーふーしないで、くすぐったい……あ、ピアスどうですか? 目立ちます? 先輩驚いてましたよ、桜ピアス開けたのか、って。もう大人ですしオシャレしたくなったからって言ったら似合ってるって誉めてくれましたけど。コレが浮気相手とお揃いのモノだって聞いたらひっくり返るだろうなあ……あ、おへその方は先輩の前では取ってますよ。流石におかしいって思われそうですから。あん、もう……お尻まで掴んで♥️ 私を自分色に染めてるって思ったら興奮しちゃいました? ……うわ、ズボンの前ぱんぱんになってる……♥️ 触れって…………、っ♥️ もうガチガチじゃないですか♥️ でも、人がいないって言っても流石に座席では……え、トイレに? うぅん、でも……あぅ♥️ わ、分かりました分かりました♥️ 乳首つねらないでください、貴方の言うコトなら従いますから……♥️

 ……………………………。

 ……………………………。

 ……………………………。

 ……うわ、狭っ。二人入ったらギリギリ……しょうがないですね。ええと、まずは……はい、フェラですね。言うと思ってました。チャック下ろします…………っ、やば……♥️♥️ あの、コレ……もしかしなくても溜めてましたね? どれだけ……さっ、三週間!? こんなコト言いたくないですけど……貴方、私以外にもセフレいますよね? ……誰とも会わなかった? 私の卵子に絶対命中させるために? …………♥️♥️♥️ え、えっとぉ……あの……♥️♥️ な、何て言えばいいか分からないですけど……す、素敵だと思います……♥️♥️ 女として、嬉しい、です♥️ じゃあ、私もバラしちゃいますけど。私、ここ一月くらいの先輩とのセックスの時、ちょっと細工をしてまして……。子宮口の所に、蟲さんに居て貰ったんです。それで先輩が出した精液は、子宮に入る前にぜんぶ蟲さんに食べて貰っちゃいました。ぱこぱこしてる間も先輩のおちんぽが突いてたのは蟲さんのお口ですし、まるで先輩と蟲さんがセックスしてるみたいでちょっと面白かったです♥️ 私もこの旅行はまっさらでキレイな子宮で楽しみたかったですし、貴方も私の子宮に先輩のせーしがあったらイヤかなって。……あ、やっぱりそうですよね? 良かったあ、いい方法を思いついて。それじゃ、舐めますね……ちょっと足開いてください、その間にしゃがみますから。……よいしょっと。はぁ……お久しぶりです、おちんぽさん♥️ 一ヶ月ぶりだからかな、余計に魅力的に見えちゃいます……♥️ そうだ、せっかくだし…………

 はい先輩、見えてますかー? よーく見てくださいね。私の顔の隣にあるのがカレのおちんぽです♥️ 私と相性最高のヤリチンおちんぽ♥️ コレが100点満点……ううん、120点のおちんぽです。それじゃ、先輩のと比べてみましょうか。まず大きさは、同じかちょっと大きいくらいかな? でも先輩、おちんぽって大事なのは大きさだけじゃないんです。まずココ、亀頭のカタチ。ちょっと尖って攻撃的でしょう? コレが私の子宮口にぴったりで、ぐりぐりされるとなすすべなく口を開いちゃうんです。比べて先輩のは、丸いフツーのヤツですよね。うーん、まあマイナス30点って所かな? でもまだ90点あります、これから挽回できるかも知れませんよ。次はカリですね。見てくださいコレ、えっぐい傘がぐいーって開いてます。他の女の子はちょっと痛いくらいらしいんですけど、私が一番感じる天井の方をピンポイントで抉っちゃうんですよ。ちなみに先輩のカリ首は……ありましたっけ? とりあえず先輩とのエッチで引っ掻いて貰ったコトはないですね。ここは重要なので、マイナス40点です。もう50点、単位落としちゃいますね。そうだ、ここのデコボコも大切です。幹がほら、ここはちょっとへこんで、根本のここは膨らんで。それと、全体的に右曲がりなの分かります? これぜんぶ、私の膣にぴったり嵌まっちゃうカタチなんですよねー。そうだ、この陰嚢もありました。人一倍大きくて、ぶらーんってぶら下がってるでしょう? コレがですね、バックで犯されたりイラマチオされてる時にびったんびったんぶつかってきて、女の子のプライド丸潰れって感じで最高なんですよ。この辺り総合して、マイナス50……はちょっと申し訳ないので、45点って所でしょうか。採点の結果はー…………、はいっ。先輩のおちんぽさんは5点でした♥️ でも安心してください。きっとですね、先輩以外の男の人だったら0点か、マイナスに突き抜けちゃうと思います。先輩は全然悪くないんです、ただ単にカレが……カレのこのおちんぽが凄すぎた、ってだけのお話ですから♥️ 

 ふふっ……ごめんなさい、余計なコト喋っちゃって。じゃあ、まずはいつも子宮を潰してくれる亀頭に、三週間も我慢できて偉いねのキス……♥️ ちゅ……♥️ ぷちゅ♥️ むちゅ~~♥️ きゃ、もうびくびく跳ねて♥️ やっぱり一ヶ月近くのオナ禁は効くみたいですね♥️ それならもう咥えてあげた方がいいかな。あーーん……じゅぷっ♥️ むぐ……♥️ くぷっ♥️ くぷ♥️ ごぷ♥️ ぶちゅ~っ♥️ ぷは、先走りぴゅるぴゅる出ちゃってますよ♥️ くす、そんな顔で射精ガマンしてる所見るの初めて……♥️ 追い討ちかけちゃいます……♥️ ──じゅるっ♥️ じゅるるるるるるる♥️ ぶちゅるるるるるっ♥️ あは、もう限界ですか? じゃあこのまま……え? ハメたい? …………はい♥️ 実は私も、旅行一発目はお腹に欲しいなって思ってました……♥️

 どうします? ……バックで? 分かりました♥️ はい、どうぞ♥️ 壁に手ついて、お尻突き出して待ってますから……貴方が選んだミニスカワンピめくって、セックス用のショーツずらして♥️ もう射精寸前のおちんぽ、好きなように挿れちゃ────ッお゙♥️ んぐぉおおおッッ♥️♥️ い、一気に奥まで……っ♥️ おっ♥️ お♥️ おんッ♥️ ひぃっっ♥️ やだコレっ、もう射精寸前の動き……♥️ 溜めまくったせーし私に吐き出すコトしか考えてないんですかぁっ♥️ ひぎっ、おっぱいそんなに強く掴んだらカタチ変わっちゃいますっ……♥️ こ、声抑えろ? そんなコト言われてもっ♥️ 貴方にハメられてる私が黙って静かにいられると思ってるんですかっ♥️ いぎっ♥️ あ゙ッ♥️ あ゙ゔっ♥️ ピストン強すぎ、お尻腫れちゃいますっ♥️ こんなぺちんぺちんぶつかる音響かせてたら私が黙っててもトイレで即ハメしてるってバレバレですよぉっ♥️え、だったらピストンしなきゃいいんだろって……~~~~っっ♥️♥️ それ、やばっ……奥に押し付けてぐりぐりってっ……♥️ ぐぉおおおお……ッ♥️ あ゙ッ、子宮口開いちゃったっ……♥️ 一月ぶりに子宮に亀頭潜り込んじゃってる♥️ 先輩ごめんなさい♥️ ココまで挿れてあげられなくてごめんなさい♥️ 旦那さんなのに子宮でせーし呑んであげられなくてごめんなさい……♥️ でもでも、仕方ないんです♥️ これは仕方ない……あん♥️ あっ♥️ あっ♥️ あ♥️ あ♥️ あ♥️ せーし来るっ♥️ 中出し来るっ♥️ 貴方のせーし、子宮に直接くるっ……♥️ 欲しいです、欲しいっ♥️ お腹の奥にびゅるびゅる~~って熱くて濃いの欲しい♥️ そうです、先輩も悪いんですっ♥️ 一緒に辛いコトを乗り越えたのに、あんなに身体は鍛えてるのに、なんでそんなおちんぽなんですかっ♥️ こっちは子宮でモノ考えてんだから先輩ももっとマシなおちんぽじゃないとお話になんないですっ♥️ あんな落第おちんぽじゃ私だって孕む気なくなっちゃいます、ちょっとは貴方のおちんぽ見習って貰わないと困りますよぉっ♥️♥️ 貴方はおちんぽで子宮を説得してくれるのに先輩ったら口で好きだとか愛してるとか言うばっかり、ぜんぜん子宮に響かないんですもん♥️♥️ 私が旅行から帰るまでに少しはおちんぽ強くしといてくださいっ♥️♥️ おっ♥️ おっ♥️ おっ♥️ お゙♥️ お゙♥️ お゙♥️ お゙♥️ お゙♥️ お゙♥️ お゙♥️ お゙♥️ お゙♥️ ごめんなさい先輩、ごめ────

 ────────ッッッ♥️♥️♥️♥️♥️

 お♥️♥️ おっっふ♥️♥️ イグ♥️ イクイクイク、イッッッ♥️♥️ ぐ♥️♥️♥️ 子宮に来てるっ……♥️♥️ なにコレ、久し振り過ぎて敏感になって♥️ 精液の粘っこさ分かっちゃう……♥️♥️ 溜めてたってホントだったんだ♥️♥️ 子宮中出しアクメやっぱり凄いっ、先輩とじゃ出来ないアクメ♥️♥️ 貴方のおちんぽさんじゃないと無理なセックス……♥️♥️ 一回おちんぽ跳ねる度に先輩の射精一回ぶんくらいせーし出てます♥️ 子宮口で亀頭咥えてるから、出したぶん全部中に溜まってってる♥️ 今頃私の卵子、貴方のせーしに集団レイプされてる……♥️ せーしの海に浸かって逃げ場ないもん、溺れながら輪姦されちゃってますよぅ……♥️♥️

 ……………………………。

 ……………………………。

 ……………………………。

 ………………はぁっ、はあ、は……。お、お互い凄い汗かいちゃってますね。あっ、荷物……お財布とかも無事だ。よかった、他にお客さんがいなくって。バレてもないみたい……まあ、朝っぱらから電車のトイレでセックスしてる、なんて誰も思わないでしょうけど。

 じゃあ、とりあえず行きの電車ではこれくらいでいいかな。先輩、食材は買っておきましたからご自分で作ってください。今月のお小遣いも入ってますからご自由にどうぞ。藤村先生も来るでしょうし、寂しくありませんよね。あ、やらないと思いますけど、オナニーなんてしたら駄目ですよ。先輩のせーし薄くなったら、ただでさえ不利な先輩がますます勝ち目なくなっちゃいます。カレのせーしがたっぷり詰まったお腹で帰りますから、それに勝てるように濃厚な精液にしておいてくださいね。……ふう、こんな感じかな……あ、お腹なでなでしないで♥️ うぅ……そうです、さっきから子宮の中がごぽごぽ言ってます♥️ はしたないなって、貴方が手加減なしに出しまくるからじゃないですかっ。そんなのでこれからのぶん保つんですか? …………余裕? ふ、ふーん……♥️ まあ口ではなんとでも言えますけど。ホントかどうかはこれからしっかり確かめさせて貰いますからねっ。

 それでは、初日の電車からでした。それじゃあ旅行、楽しんできますね。────愛してます、先輩♥️』




アンケートにたくさんの投票、ありがとうございました。とりあえずまずは桜をしっかり書きたいと思います。ライダーと凛はそのあとで。
連載の方のイチャイチャばっかり書いてると感覚が麻痺してくるので、あちらの合間にNTRネタをこっちに書いてく形にしたいと思います。


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いちゃらぶ水着デート・上

「わあっ、凄い眺め……! 海岸が目の前じゃないですか!」

 

 到着したホテルのカーテンを開くと、まばゆい青色が眼前に広がった。

 ここは高級ホテルの最上階、そのスイートルームだ。一階丸々使った室内は信じられないほど広く、白で統一された調度品は高級感で溢れている。壁に掛けられた絵画は誰の作品か全く分からないけど、たぶんお高いのだろう。

 

「まだ朝なのに、泳ぎに来てる人いっぱいいますね。あっ、サーフィンやってます!」

 

 海に来るのはあまり経験がないので思わずはしゃいでしまう。一方、彼は興味なさそうにミニバーを漁っている。置いてあるお酒も高そうだ。

 眼下には既に砂浜で寝そべったり海に入って泳いでいる人たちがいた。老若男女問わず、水着で海を楽しんでいる。朝とはいえ真夏だ、とっくに日は上って肌に痛いくらいに照りつけている。いま海に飛び込めばさぞ気持ちいいだろう。

 

 立地もホテル自体も最高と来れば、当然お高くつくはずだ。はず、というのは全部彼持ちだからである。

 こういう関係になってから知ったけど、彼は土建屋の社長の一人息子、三代目だ。父からも祖父からもとっても可愛がられていてやりたい放題、将来を約束された人生イージーモードの人。女の子に手を出しまくりのチンピラなんてやってるのはお坊ちゃんの暇潰しというわけだ。間桐だって旧家だけど、それは魔術師としての話だしとっくに廃れている。少なくとも金銭面では彼の実家の足元にも及ばない。

 今回の旅行、私も払いますと言ったけど結局一銭も出させて貰えなかった。本当に、宿泊費も移動費も食費も新調したこの服代も全て彼が出した。自由に使えとカードを預けられているので、なんならお金を貰っているくらいである。それは、自分で言うのもなんだけどそれだけ私のコトを気に入ってるということでもあるし、それ以上に、『お前は俺の管理下、支配下なんだ』って思い知らせる意味もあるのだろう。

 

 ……それは大成功だ。身体面だけじゃなく、社会面でも完全に圧倒されて。ますます、この人に服従するべきだって本能が認めている。身も心も気持ち良くしてくれて、更に何不自由ない暮らしをさせてくれるなら、もうこのオスでいいじゃないかと訴えてる。

 でも、それは────

 

「…………っ、あ、ごめんなさい。ぼうっとしてました……それでどうします? さっそく海、行きますか?」

 

 呼び掛けられて思考から戻った。

 それなりに長旅だったとはいえ数時間電車に揺られていただけだ。体力は有り余ってる。すぐにでも泳げるだろう。

 首を傾げる私に彼が近付いてきた。そのまま肩を抱かれ、上からキスを落とされた。

 

「む、ふ……っ♥️ ちゅっ、ちゅ♥️」

 

 彼の唇を受け止める。

 最初は形だけでも拒んでいたキスは、今では求められるがままに合わせるものになっていた。彼の胸板に両手を当て、つま先立ちして舌を絡める。ちゅぱちゅぱとしばらく舌を吸いあってから、口を離した。

 

「ぷはっ。ん……分かりました。準備しますね」

 

 それじゃあ行こうぜ、と言われて頷く。

 水着を持ち、彼に腕を引かれて部屋を出た。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

 着替えて砂浜へ出ると、さっき上から見た以上の海水浴客が目に飛び込んできた。

 子供連れが多いのかと思いきや、若いカップルも沢山いる。数百人は下らないだろう。みんな思い思いの水着姿でボールを投げて遊んだりサーフィンしたり、普通に泳いだり。解放感に溢れた真っ青な空の下で、まさに真夏という感じの光景が広がっていた。

 

(うぅ、やっぱり見られてる……)

 

 前を往く彼の広い背中に隠れるように砂浜を歩く。

 案の定、私は視線を集めてしまっていた。我ながら、こう……性的過ぎる格好になってしまっているからだろう。

 彼が選んだ、布地の少ない紫のブラジリアンビキニ。金枠の刺繍が施されたそれはかろうじて乳首は隠しているものの、おっぱいの殆んどを覆えていない。上乳も横乳も下乳も丸見えだ。彼とのセックスで私の身体はメスとして開花してしまった結果おっぱいが育ち続け、今ではバスト97センチ。そのうち100の大台に乗りかねないそれが歩くたびにたゆんたゆんと揺れている。下もエグい角度のビキニで鼠径部が見えていた。後ろから見たらTバックさながらの状態なのではなかろうか。

 

 男性は欲望、女性は嫉妬と感嘆の眼差しを向けてくるのがよく判る。まず私が注目され、次に私を連れている男の方へ。彼を見た人たちが驚くのが判る。それも仕方ないだろう、髪を脱色しピアスや金物をジャラジャラと着け、刺青もしたチャラいチンピラ風の男。自分で言うのもなんだけど、私のパートナーとしては不釣り合いに映るはずだ。

 

「あっ、あの、すごく見られてるんですけど……。ええ!? 私が下品だからって、貴方がこの水着選んだんじゃないですかっ」

 

 胸を抱えて彼を睨むけれど、へらへらと笑われるだけで全くダメージは与えられていなさそうだ。

 砂浜には予めパラソルや日焼け用のベンチが設営されているコーナーがあった。主にカップルや一人客が肌を焼いたり、いちゃついたりしている。二人でその中のひとつの傘の元へ腰を下ろす。強烈な日差しから抜けて、ほっと一息ついた。

 ここならとりあえず注目してくる人も少なそうだ。うぅん、とひと伸びしている私の隣で、彼が日焼け止めクリームを取り出した。

 ……うーむ。展開が予想できる。

 

「あの……貴方、実は肌が弱くて自分に塗るとか……しないですよね、私に塗るんですよね分かってましたっ」

 

 いや、俺は肌焼くつもりだぞ? と言いつつ手にクリームをたっぷり塗った彼に押し倒されてしまう。

 思った通り、彼は私にクリームを塗るつもりのようだった。うつ伏せに倒され、大きく開いた背中に手のひらが押し付けられる。

 

 首回りに塗られ、肩甲骨の辺りへ。ビキニの紐を引っ張って浮かせ、その下にも。ごつごつした大きい手のひらを這わせられるとマッサージみたいでちょっと気持ち良い。

 上半身にはほぼクリームが広げられた。なら当然、次は下半身なわけで。

 

「っ…………♥️ ちょっと、手つきイヤらしいです……♥️」

 

 水着が間に挟まっただけの、ほぼ飛び出ちゃってるお尻。おっぱいと同じく90オーバーの絶賛成長中ヒップ。ビキニを揉みくちゃにされながらその尻たぶへ日焼け止めを塗られる。……あ、向こうのベンチに寝そべってるお姉さんに赤い顔で見られてる。そりゃそうだ、たまたま塗ってる最中に手が当たっちゃった、レベルの触り方じゃないもの。気恥ずかしくて顔を背けてしまう。

 

「…………ん」

 

 その背けた視線の先に、一組のカップルがいた。

 若いカップルで、あまり柄はよろしくない。まるで彼みたいなチンピラだかヤンキーだか言われるようなたぐいの男女。

 男の方はいい。私が気になったのは女の方だった。髪を派手に染め、海なのに厚い化粧。肌はこんがり焼かれ、耳だけじゃなく鼻や唇にもピアスが光っている。

 

 私の身体にクリームを塗っている彼を横目で盗み見る。と、目が合ってしまった。どうしたと言われ、口を開く。

 

「ほら、あそこのカップル。女の子の方、髪を染めたり肌を焼いたりしてるじゃないですか」

 

 彼がそちらを見て、それで? と言ってくる。

 

「いや、何て言うか……私もああした方がいいのかなって。……貴方も、ああいう感じの女の子の方が好みなんじゃないですか?」

 

 彼の外見は、思いっきりチンピラ風だ。たぶん好みだってそうだろう。だから彼も、本当は私に染髪させたり日焼けさせたりしたいんじゃないかと思った。

 けれど、そんな私の言葉を彼は笑い飛ばす。

 

 ────バカだな、お前。俺はそのまんまの桜が欲しいんだ。白い肌と紫の髪がそそるんだよ。余計な事はしなくていい。

 

「……………………はあ、そうですか」

 

 じゃ別にいいです、と傾けた顔を戻す。彼は気にした様子もなくまた好き勝手に私の身体へ手のひらを滑らせる。再びされるがままになる私。

 …………いや、別に照れてなんかないですよ? 

 

「ん、う……。もう、随分念入りに塗りますね……」

 

 彼が手のひらへクリームを補充する。ひとしきりお尻を触って満足したのか、手のひらがふくらはぎや太ももに移動した。そちらも塗って、背中側は完了だ。

 

「えっと、表は自分で…………とは行かないですよね」

 

 否定されておとなしく仰向けになる。

 ……いや、こうして見ると我ながら大迫力の胸だ。仰向けなのに型崩れしなくて、見下ろしても上乳に邪魔されて自分の身体が全然見えない。衛宮邸に通って育った私の身体だけど、以前はここまでじゃなかった。彼とのセックス漬けの日々が私の女性ホルモンを倍増させてしまったのがよく判る。

 首筋や肩に手早くクリームを塗り込まれる。上乳をぬるぬるされて、おっぱいに来る──と思ったらそこは飛ばし、お腹の方へ。ヘソらへん、腰回り、足へと塗って、彼は手を離した。

 

「え、何……終わりですか? ……周りに人が? 意外と気にするんですね、そういうの」

 

 この人らしくないな……なんて思って。ふと彼を見て気付いてしまった。

 彼の、短パン型の水着。そこはふっくらと膨らみ始めていた。彼の立派なモノのシルエットが浮かんでしまっている。

 つまりこれ以上私に、それもおっぱいなんかに触れたら本気で勃起してしまって、周囲の人の笑い者になってしまうから────という訳である。

 

「………………くす」

 

 笑みが溢れる。

 いつもは見せない彼の弱味というか、可愛らしさというか。それに少しいたずら心が浮かんでしまった。

 身を起こそうとした彼の手を引っ張る。バランスを崩した彼が、膝立ちで私の上に覆い被さった。

 

「いつも私を虐めるクセに、自分が恥をかきそうになったら逃げちゃうんですか? ヒドい人ですね……ほら。ちゃんとおっぱいも塗ってくれません?」

 

 目を細めて言ってみる。

 お前なあ、と困った顔の彼。それにまた調子に乗ってしまう。

 

「ふうん……イヤなんですね。

 どうしても駄目って言うなら……そうだ。それこそ、あそこのお兄さんに塗って貰っちゃおうかなあ?」

 

 さっきのチンピラカップルに視線を飛ばす。

 女の方は海に行ったか屋台にでも行ったか、今は男一人だった。まあ倫理観も何もなさそうな相手である、私が誘えば喜んで身体をまさぐってきそうだ。

 クリームのチューブを掴んで身を起こす。彼を押し退けるようにして、

 

「あの、退いてくれます? あの人を誘いに行きますから。『終わったら』ちゃんとホテルに戻りますから安心してください。まあ、何時間か掛かっちゃいそうですけど────」

 

 瞬間。がっちりと肩を捕まれ、砂浜に押し倒された。

 

 見上げる視界の中、彼と目が合う。じゃれ合いと分かりつつも、プライドと独占欲を刺激されたという顔。

 私からクリームを取り上げた彼が自分の手のひらへと塗る。そして遠慮なく、ビキニとおっぱいの間へ手のひらを捩じ込んだ。

 

「あッ……♥️ も、もう、いきなり……っ♥️」

 

 ぬぷり、たぷん。彼の太い指が私の乳房に触れる。手のひらを開いて絞るように揉み込まれた。ビキニがたわんで桃色の乳輪が覗いてしまう。

 まるで掌紋を刻み付けるような大胆なおっぱい揉み。日焼け止めを塗るなんて建前は放り捨てて、私のおっぱいの感触をじっくり確かめてる。

 

「くふっ♥️やだ、乳首こりこりしちゃ♥️」

 

 指先で乳首を挟み、転がされる。声が漏れてしまいそうで人差し指を噛んで耐える、と近くにいた高校生くらいのカップルが食い入るようにこっちを見ているのに気付いた。ごめんね、と笑いかけると慌てて目を逸らされる。他にもこっちを盗み見てる人──ほぼ男性だ──がちらほらといる。いやほんと、衆人環視の中でこんなコトをしてしまい誠に申し訳ない思いです。

 

 鷲掴みにされたおっぱいが日焼け止めでぬるぬるしてる。もう全面に塗り広げられただろう。ふう、ふうという荒い息が頬にかかる。彼の水着の前はぱんぱんになってしまっていた。いつもならとっくにハメられているだろうけど、流石にここでは無理だ。これでは立ち上がることも出来ないだろう。いつまでも揉んでいたら状況が変わらないので、彼がしぶしぶ手を離した。

 

「ん……ありがとうございます、塗ってくれて。ふふ、怒らないでください。さっきのは冗談ですってば……それじゃ、おちんぽちょっと休憩させなきゃいけませんね」

 

 人妻のおっぱい揉みでフル勃起してしまったおちんぽ。抜くコトも出来ない、移動するコトも出来ないのでこの場で座って萎えるまで待つしかないだろう。……少し可哀想だけど、仕方ないよね。

 

 

 

 

 

 

「あはっ、行きますよー! それっ」

 

 それから数時間後。彼と私は海へ入っていた。

 今はビーチボールをバレーのように投げている最中だ。時に海へ倒れ込み、時に水を掛け合って直射日光で暖まった身体の熱を逃がしながら遊びに興じる。疲れたらまたパラソルの下に戻って休憩。お互いのコト──好きな食べ物とか、初恋はどうだったとか、学生時代の思い出とか──を思うままに話して時間を潰したら、また海に繰り出す。

 

 それは端から見たらどこにでもいるカップルに見えただろう。親密になり、相手をもっと知るための触れ合いに映るだろう。

 でも実際は違う。私は人妻で。彼は私を襲って堕とした人でなしの間男だ。

 

 だからこれは、改めて再確認する工程と言えた。身体の相性は最高中の最高、人類で他にいないんじゃないかっていうベストパートナー。互いの出方如何では子どもも作っちゃうかも、という孕ませアリの関係。なら、心の方はどうなのか? 気は合うのか? というコトだ。

 結果は、

 

 ────桜。桜? オイ、何をボーッとしてこっちを見てんだよ。

「あ……い、いえ。何でもないです……♥️」

 

 …………結果は。率直に言えば、彼と私の相性の良さをナメていた、というコトに尽きる。

 彼の横顔から目が離せない。

 彼の学生時代の話を聞いて、同じ高校に居たかったななんて思う。

 ちょっとイケメンな海水浴客を眺めてたら怒られて、子どもじみた独占欲に胸がキュンキュンしてしまう。

 それが本当に心まで運命の相手だったのか、あるいは早々にべた惚れしていた身体に引きずられてそういう目で見てしまっているのかは分からない。確かなのは、それこそ先輩へ想っていたのと同じくらいに、彼を想ってしまっているというコトだった。

 

(まずい、まずいなあ……)

 

 彼から投げられたボールを受け取りながらため息をつく。

 甘いような、憂鬱なような感情。自分でも信じられない。あの日、帰る場所を失い雨に打たれながら公園で立ち尽くす私を、先輩が抱き締めてくれた時。永遠だと思った。永劫この人だけを愛するし、愛せないと思った、のに。

 

(まさか、おちんぽ一本で引っくり返されちゃうなんて)

 

 ちょっと相性バッチリだったペニスで膣を擦られ子宮を小突かれただけで、すっかりめろめろにされちゃうなんて。流石に自分の浅ましさに嫌悪感を抱く。

 でも同時に、それで良かったじゃない、と本音の部分が囁くのだ。経緯はどうあれ、そのおかげで彼との快楽を手にするコトが出来たんだから結果的にはそれで良かったじゃない──と。

 

(いや、良くないから。私、先輩の奥さんなんだから。……駄目駄目、先輩の顔を思い出そう)

 

 ボールを抱えながらぼうっと先輩を思い出そうとする私。

 炎天下の中、若干鈍い頭で意識を記憶に飛ばす。腰まで海に浸かり、波に揺られているせいで思考が纏まらない。……だからだろうか、彼が近付いているのに気がつかなかった。

 

(先輩、今何してるかな。そうだ、帰ったら今度先輩とプールにでも行こう。冬木にもあったよね、プールとかスポーツセンターがくっついてるレジャー施設。あそこに二人で────えっ)

 

「ん、んむぅ……っ!? ぷぁ、むちゅちゅっ……♥️ あぅ、ちょっといきなりっ……♥️」

 

 突然。目の前まで来ていた彼に顎を捕まれて、唇を奪われていた。

 他人が見ているのも構わず唇を舐められる。不意打ちに身体が固まってしまっているうえに、両手がボールで塞がっていてどうすることも出来ない。ただ立ち尽くし、ちゅぱちゅぱと口を吸われっぱなしになる。

 丁寧に舌を舐められた後、唾液の糸を引いてキスが終わった。こんな時もセクハラを忘れていない彼は、ちゃっかり水面下で私のお尻に触っていた。

 

「な、なんですかぁっ……♥️ ぼ、ボーッとしてるから? 意味分かりませんっ、ほらみんなに見られてるじゃないですか、もうっ」

 

 ぽこん、とボールをぶつける。唇を拭うと燃えるように熱くなっていた。確実にこの暑さだけのせいじゃない。

 

 彼が悪い悪いと笑う。反省してください、とそっぽを向くと腰を抱かれて小さく悲鳴をあげてしまう。頭一つ分高い視点からニヤニヤと見下ろされて、髪に鼻をうずめられて。ちょっと離れてください、と言いつつも心臓がばくんばくんと高鳴っているのを隠せない。

 

 

 

 休憩するか、と言われて、彼の腕に自分の腕を絡ませてついていく。

 思い出そうとしていた夫の顔は、いつの間にか霧散して脳裏から消えていた。

 





直接のエロも良いけど、ヒロインが間男とイチャイチャするのがNTR感あって好きです。


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いちゃらぶ水着デート・下

「一人で大丈夫ですか? ……分かりました、それじゃ私、ポカリがいいです」

 

 ひとしきり遊んで、昼過ぎ。流石に疲れてしまい、私は砂浜の隅の日陰で寝転んでいた。

 彼が海岸沿いにある海の家へ歩いていくのを見送る。二人ぶんの飲み物を買いに行ってくれたのだ。お茶と迷ったけれど、水分補給に向いていそうな清涼飲料を頼んでおいた。

 

「んーっ……今年も暑いなあ」

 

 日陰でも中々の温度で、海に入っていると気付きにくいけど汗もかなりかいてしまっているだろう。風も生暖かく体温を上げていく。あまり身体が強い訳ではない私としては彼が小まめに休憩を取らせてくれて助かったところだ。

 海の方では変わらず海水浴客たちがはしゃいでいる。そろそろお昼時だからか数は減っているように見えるけど、時間が経てばまた増えるのだろう。

 

「……ふぅ」

 

 喧騒から離れて、ため息をついた。

 そういえば、海に来るのは久々だ。こうしてしっかりと遊ぶのなんてそれこそ初めてかも知れない。男の人との、海水浴デート。その相手が先輩じゃないと知ったら、以前の私ならどう思っただろうか。

 左手をさする。そこに指輪は着いていない。彼には忘れたと言った。

 でも実は、旅行カバンのポケットに密かに忍ばせてある。それまで置いてきてしまうと、本当に先輩との繋がりが消えてしまう気がして。

 彼と肌を重ねて、先輩にも酷いコトを言ったりしているというのに完全にはどちらかに振り切れない。ただ目の前の快楽に逃避するどっちつかずの女。それが今の私だった。

 

「……でも、どうしようもないよね。彼みたいなのと出会っちゃうなんて」

 

 言い訳をさせて貰えば、あんな運命の相手と出会ったらどんな女性でもこうなってしまうんじゃないだろうか。私の場合先輩との出会いや結ばれるまでの過程が大変だったから余計こんがらがっているけれど。

 というか、出会うタイミングが最悪なのだ。新妻になりたての時にだなんて、もう色々面倒が済んではい落ち着きましょう、と一件落着したあとに待ったを掛けられた感じ。

 そう、もっと早く。もうちょっと前に現れてくれたらどうなっていただろう。間桐の家や聖杯戦争のごたごたはひとまず置いておいて、恋愛面だけで言ったら。さっき彼の学生時代の話を進んで聞いていたのはそのせいもあったかも知れない。そうつまり、

 

 ────先輩よりも先に出会っていたら、と想像して。

 それだけは考えてはいけないと、自分の思考にフタをした。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

「……遅いなあ、どうしたんだろ」

 

 彼が買い物に行って10分ほど経った。

 未だ戻ってくる気配はない。ついでにトイレでも行ったのかも。それか道に迷ってるとか。変わらず日陰で座っているけれど、ちょっと寂しい。

 まあ、時間はたっぷりある。別に何か予定がある訳でもない。こうして海を眺めながらぼうっとしているのも有りだろう。

 そう思って佇んでいると、三人の若者が近寄ってくるのが見えた。大学生くらいだろうか、軽そうな男の人たち。まあ彼ほど柄が悪くはない、女遊びしてそうな集団だ。

 

「あの……? え、私と?」

 

 俺たちと遊ばないか、と彼らは言ってくる。

 なんでもそこの砂浜で遊んでいた所、ここで座っている私を見かけたらしい。一人で暇そうだし、一緒にどう? と誘ってきた。

 

 ……つまりは、ナンパしに海に来たグループという訳だ。自分で言うのも何だけど、確かに女漁りしてる最中に私を見かけたら声を掛けるのも道理だろう。丁度彼がいないタイミングなのもまずかった。いや、連れがいるかどうかも関係ないのかも知れない。私の外見だ、彼氏がいてもおとなしめの男で無理やり奪えると思ったのかも。きっと頭の中はもう私をホテルに連れ込むコトで一杯だろう。

 

(…………どうしようかなあ)

 

 逃げ道を塞ぐように私を囲って話し掛けてくる三人を見る。

 驚くほどに心が冷えていた。自分でも少し意外だ。こっちだって浮気してる身。ちょっと他の男性も試してみようか、となりそうだけど、この人たちに抱かれる気は全く起きなかった。

 

(こんな時先輩なら、颯爽と駆け付けてくれるんだけど)

 

 彼はまだ姿を見せない。段々語気が荒くなってくる彼らに生返事しつつ、内心ため息をつく。強く出れば萎縮して言いなりになると踏んだんだろうけどそれは間違いだ。私も魔術師、戦闘に特別秀でている訳じゃないけれど、こんな一般人くらいどうとでもなる。

 

「いえ、ですから相手がいますので。すいませんが一緒には…………、っ!」

 

 すげなく断り続ける私に苛立ったのか。一人に肩を捕まれた。

 

 ぞわ、と鳥肌が立つ。おぞましい嫌悪感。蟲や義兄に虐待されていた時と同じ、興味のないモノに触れられる感触。

 ────ぶわりと魔術回路が起動した。理性が歯止めを掛けようとするけれど止まらない。本能が邪魔物を排除する快感を求めている。似ている。これは、あの戦いで闇に堕ちた時の攻撃性に近い。

 三人がたじろいだ。魔力を感知出来ずとも、私の異変に気付いたのだろう。でももう遅い。私に手を出そうとしたそちらが悪いと魔術を行使しようとして、

 

「──────あ」

 

 どうした、と。彼に肩を叩かれて、一瞬で素に戻った。

 

 彼が私の腰を引き寄せる。

 手には飲み物と軽食の入った袋を持っていた。三人は威圧するように見る彼にひるんだ様子だ。彼は大柄だし、風貌も本格的なチンピラである。遊んでるだけの大学生には相手が悪い。様子のおかしかった私への怯えもあるのだろう。三人は顔を見合わせたあと、言い訳めいたコトを言ってから退散して行った。

 

「はあ…………。もう、遅かったじゃないですか。……お財布を取りに行ってた? まったくもう……」

 

 悪い悪いと頭を撫でられて、拗ねたように彼を睨む。女の子を放っておいたクセに反省した様子はない。……でもまあ、いいタイミングで来てはくれたし。感謝するべきなのだろう。

 まあとりあえず飲めよ、とペットボトルを渡されて並んで日陰に座り込んだ。一緒に買ってきてくれた菓子パンを頬張りながら水分補給する。

 ふと肩を見た。大学生に触れられた嫌悪感は、彼の時は全くなかった。隣同士で座り、肩を触れ合わせている今もまた。

 

(それに……助けに来てくれた、のよね。先輩じゃなくて……彼が)

 

 いや、先輩はここにはいない。だから助けに来ないのは当たり前。助けに来るとしたら彼に決まっている。

 ……そんなことは当然だと頭では解っているのに、身を守ってくれた彼への感謝が止まらない。しかも、結果的に私が魔術で他人に危害を加えるのを防いでもくれたのだ。彼が来てくれなかったら、と思うとぞっとする。

 

 ────そうだ。さっきの奴等に何かされなかったか。

 

「…………うーん」

 

 彼に聞かれ、考え込む。

 されてない。まあされてないんだけど……あっさりそう言ってしまうのは、何だか癪だ。彼がふらふらしてるせいであんな人たちに目を付けられたんだし。肩、触られたし。そもそも元はと言えば彼が私を襲った時から始まってるんだし。

 

 そんな訳で、

 

「えっと。実は、ちょっと触られちゃったかもしれないです」

 

 ぴく、と彼が反応した。どこを? と聞いてくる。そんな様子をおかしく思いつつ続ける。

 

「どこって、決まってますよね? あんな人たちが真っ先に触りそうな所なんて。ここですよ、ここっ」

 

 両腕で胸を寄せる。三桁に到達しかねない巨乳をわざとらしく見せびらかす。ちょっと大きすぎる脂肪の塊がむにゅりと潰れた。

 

「ほら。ちょっと水着が乱れてます。ここに……正面に立ってた人が、がばって手を突っ込んできたんです。それから、むにゅんむにゅん、って。好き放題揉まれちゃいました。

 ……それで、って? 別にそれだけですけど。ああ……でも、貴方が来てくれてホントに良かったですよ。あのままだったらホテルにでも連れ込まれちゃってたかも。あの人けっこうイケメンでしたから、それもいいかなーって思っちゃいましたし♥️」

 

 嘘だってバレバレ、下手過ぎる挑発を仕掛けてみる。まあでもこれくらい、彼は余裕で笑い飛ばすだけだろう。ここじゃヘンなコトも出来やしないし。

 

 …………そう思った、のだけど。

 

「え……あ、あの。勿論嘘ですよ? ……えっと、目が怖いんですけど……?」

 

 据わった目で射抜かれて、冷や汗。

 ……やばい。ライオンの尻尾を踏みつけた気分。ぷっつんした猛獣が目の前にいる錯覚を感じた。

 腕を掴まれて無理やり引き立たせられる。立ち上がると、彼にむんずと尻を握られた。

 

「ひっ……♥️ ち、ちょっとっ……うわ、どこ行くんですか……!?」

 

 答えはない。

 私はそのまま彼に連れられ、砂浜を歩いていった。

 

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

 引きずられて行った先は脱衣場に併設してある男性用シャワールームだった。

 

 いくつか砂浜に点在している中で一番狭い上に隅にあるので、人気は少ない。丁度今は誰もいないようだった。

 とはいえ海水浴客なんていくらでもいる。すぐに誰か入ってきそうだったが、

 

「あの、まずいですって、こんな所に……個室に入っちゃえば大丈夫? そ、そんなコト言ってもっ」

 

 見つかるコトに何ら頓着していない彼に、シャワールームの個室へ連れ込まれる。一応ドアの高さは身長より上まであるけれど下の方は足首あたりまでしかない。もし誰かが入ってきて下を覗き込んだら二人いるとバレてしまうだろう。

 

 壁に押し付けられ、水着の上から乱暴におっぱいを揉まれる。水着が剥がれそうなほど揉みくちゃにされてしまう。コレは俺のモノだと再確認させるような手つき。

 されるがままになっていると、太ももあたりに固い感触があった。見下ろせば、やはりというかなんというか。彼の水着の前は日焼け止めを塗っていたとき以上の膨らみになっていた。

 

「もう勃っちゃってますよ……え? お昼前から我慢してた? …………あ、そっか」

 

 言われてみれば。私は胸を触られてただけだからそこまででは無かったけど、彼はあの時に一度フル勃起して、抜きもせず放置させられたんだった。あれからずっと性欲がわだかまっていて、遊んでいる最中も私に触れたりキスしたりして。その上さっきの出来事だ。安い挑発に刺激され、ついにキレてしまったという訳か。

 

「────そっか」

 

 不思議な気持ちになった。彼に申し訳ないような、ちょっとむず痒いような。

 すりすりと内腿におちんぽを擦り付け私を求める彼を微笑ましく思いつつ、耳元で囁いた。

 

「そっか…………そっかぁ。つまりずっと私でムラムラしてて、さっきので嘘だって判ってるのに独占欲を抑えきれなくなっちゃった、と。……自分は人妻を寝取ってるクセに、その私がおっぱい揉まれたかもって思っただけでおちんぽ怒らせちゃうんですか♥️ ホント、わがままっていうか……ちょっと子供っぽい所ありますよね♥️」

 

 うるせえ調子に乗るな、なんて彼が言う。眉をひそめた鬱陶しそうな表情──でも明らかに図星、苦し紛れの悪態だ。

 むぎゅっと彼に抱きつく。彼のパンツ型の水着の下で、私の下腹部に圧迫されたおちんぽが喜ぶように跳ねた。

 

「そんなコト言っていいんですか? 貴方がお願いしてくれるなら、私からご奉仕してあげてもいいんですけど。…………どうせ俺には逆らえないだろって? 勿論そうですよ。でも、命令してやらせるのと相手の意思でして貰うのって、やっぱり違うと思いません?」

 

 ぐりぐり、とヘソの辺りでおちんぽを刺激する。それだけじゃなく、胸板にはおっぱいを押し付けて、足と足を絡めて。バッチリ上目遣いで彼を覗き込む。

 ぅ、と彼が声を漏らす。パンツの前、おちんぽの亀頭が触れている所にじわりと新たな染みが生まれるのが判った。おちんぽが震えるたびに、それは面積を広げていく。

 彼が私を抱き締めた。面と向かっておねがいするのが恥ずかしいのだろう。表情を見られないようにして言う。

 

 ────桜。頼む。

 

「…………はい♥️よく言えましたね……♥️」

 

 背伸びして彼の頭を撫でる。

 不満そうな顔の彼を、可愛いと思った。

 

 

 

 

 

「よいしょ……っと。これで滑りはよくなったかな」

 

 私はボディソープを手に取っていた。

 シャワールームに備えられていたのは固形石鹸だけだったので、これは自分の持ってきていた物を使っている。低刺激性で肌に優しい、私が愛用している物だ。

 けちっても仕方ないので、惜しむことなく垂らしていく。ねばついた粘液でまみれた手のひらをくちゅくちゅと泡立てる。

 そして、ビキニを着たままの胸元にもたっぷりと。おっぱいの圧が凄くて谷間に流れ込んで行かなかったので、片手でくぱ、と谷間を開く。そこに突っ込むようにしてソープを注入した。

 

「……はい、準備出来ました。ああ、貴方はそのままでいいですよ。私に任せてください」

 

 洗面用の椅子に座った彼の足元で膝立ちになる。

 高さを調節し、おっぱいの前におちんぽが来るようにする。もう水着を脱がされ露出したおちんぽが目の前に現れた。びんびんに上を向いて、鎮められるのを待っている。

 

「それじゃ、水着ぱいずり、始めちゃいますね。

 ……そうだ。一つ言っておきますけど」

 

 ぐ、と両手で乳房を持ち上げる。

 ソープまみれのぬるぬるのおっぱい。その下乳の谷間を亀頭に宛がって。

 

「実は、ぱいずりは先輩にもしたコトないんです。だから、これがぱいずり処女なので……少し下手でも我慢してくださいね?」

 

 ────たっぷん、と。一気におちんぽを挿乳した。

 

 ぬるるる、と滑る乳房は、乳圧でおちんぽを挟みながら座る彼の太ももまで落ちた。おちんぽが谷間から飛び出る、けれどおっぱいが大きすぎて彼の立派なおちんぽでさえ亀頭が辛うじて顔を覗かせるだけだった。

 彼が全身を強張らせる。一瞬失敗したかと不安になったけれど、すぐにそれも失くなる。彼の表情を見れば判る。身体に力を込めたのは、今の挿乳だけで射精してしまいそうになったからだ。

 たぷ、たぱっ、と彼の股の間に座り込みながら乳を揺らす。ビキニで支えられているコトもあって十分な締め付けがおちんぽを挟んでいる。熱を持った身体でさえなお感じるほどおちんぽは熱い。乳房の肌に火傷の跡がついてしまいそうだ。

 

「どうですか……? あっ、手伝わなくていいですよ。私が全部やりますから」

 

 手伝ってくれようとした彼を遮っておっぱいをぎゅっと締める。彼が呻きながら顎を反らす。すごく、気持ち良さそう。足を放り出して、身体を軽く仰け反らせて。私のご奉仕に夢中になってくれている。

 

 更に抽送をスムーズにする為にソープを垂らす。ひんやりとした粘液が熱された私のおっぱいと彼のおちんぽに絡んでいく。上半身を使ってより大きく身体をグラインドさせると、ぶちゅん、ぬぶちゅっ、と谷間が泡立っていく。まるで私のおっぱいをスポンジにしておちんぽを洗っているようだ。

 

「くす……丁度いいですね、これ。貴方のおちんぽ、先走りまみれになっちゃってましたし。まあこれからまた汚れちゃいそうですけど」

 

 私の言葉通り、おちんぽはもう口をくぱくぱさせて盛んにカウパーをお漏らしさせている。無理もないだろう、彼にとっては実質、昼前の乳揉みの時から焦らされていたようなもの。むしろよく暴発させていないと感心するべきだ。

 でも、だからと言って手抜きはしない。焦らすべき時とそうでない時がある。今は間違いなく後者、私の奉仕で容赦なく彼を射精へ導くべき所だ。

 

「……え? 出ちゃうからちょっとストップ? もう、何言ってるんですか♥️ 沢山溜めて来たんでしょう? だったら我慢なんて必要ありません。射精欲にお任せして、早くおちんぽさんを楽にしてあげましょう♥️」

 

 彼の制止を一蹴して、むしろ責めを強くしていく。すっかり彼の身体からは無駄な力が抜けて、ひくつくおちんぽだけが元気だ。不意打ちで谷間から飛び出た亀頭にキスしてみるとびっくんびっくんとおちんぽが跳ね回った。下から上へ、下から上へと精液を引き上げるみたいにおっぱいで扱く。ぱいずりだから、私が快楽を得るコトはない。けれど奉仕で感じてくれてる彼を見上げるだけで、心の中に充足感を覚えてしまう。

 

 ぐっと睾丸が上るのを下乳で感じる。ぱいずりの速度を上げていく。おちんぽが一際大きく跳ねた。両手で乳房を抑えて更に圧力を上げ、苦しそうな肉棒に早く楽になっちゃえとトドメを刺す────

 

「────あ、は♥️ 出た出た、おっぱいの中で射精してます……♥️」

 

 びゅる、ぶぴゅるるる──とおちんぽが精液を吐き出した。みっちり包むおっぱいさえはね除けておちんぽがしゃくり上げる。昼前から熟成されていた精液は、濃く、大量だった。泡立つソープと絡み合い、黄ばんだ白濁汁が谷間で混合液を作る。

 

「まだ出てる……♥️ いいんですよ、全部お射精してください。お昼から我慢させちゃってたお詫びです♥️」

 

 はああ、と彼が悦楽のため息を漏らす。その間もおちんぽは精液を撃ち出しっぱなし。勢いよく吹き出す牡汁は、おっぱいで受け止めていなければ壁まで飛び散るだろう。熱くねばねばの精液が谷間に溜まっていく。

 

(凄い……いつもはこんなのが子宮めがけて飛び出てるんだ……♥️)

 

 下腹が切なくなる。さっきそこでおちんぽを擦っていたこともあるのだろう。彼のモノを、そこで感じたくなってしまっていた。

 射精の勢いが弱まり、やがて止まった。おちんぽを引き抜く。

 おっぱいは支えたまま。そこに溜まったたっぷりの精液に、圧倒されてしまっていた。

 

 彼がビキニを外してくれる。はらり、と床に落ちる布を気にすることなく、おっぱいを掴んで、左右に開く。ねばぁ~っ、と太い精液の橋が両乳房の間に掛かった。ソープも混ざっているそれは、泡立ち混ざり合って大量の粘液と化していた。谷間にへばりつきながらも重力に引かれて私のお腹を流れ落ちていく。精液の青臭い匂いとソープの爽やかな匂いが重なって、嗅覚をきつく刺激した。

 

「すうっ……はぁー……♥️ 何コレ、くらくらします♥️ 脳に直接刺さるみたい……♥️」

 

 深呼吸して彼の精臭を味わう。こんな強烈な匂い、今まで嗅いだコトもないし、これからもそうだろう。お酒よりも高純度に、私の脳を酔わせていく。

 射精から一息ついた彼が私の唇を奪った。ちゅ、ちゅっという軽いバードキスだ。その合間に、悪くなかった、とぶっきらぼうに言う。

 

「ふふ……♥️ そうですか、悪くなかったですか。それならやった甲斐がありましたね♥️」

 

 勿論それは照れ隠しだと判ってる。その証拠に、彼は私を強く抱き締めて──早くもまた勃ち上がったおちんぽを、私に押し付けているのだから。

 

「おちんぽ、まだ全然行けそうですね♥️ 次は……え、ま、またぱいずり? うーん、それもいいですけど、出来れば────」

 

 子宮の切なさを抱えた私が、違う場所への挿入をお願いしようとした時。

 ────がちゃり、とシャワールームの扉が開いた。

 反射的に私も彼も固まってしまう。中に入ってくる音が聞こえた。どうやら足音と会話から 数人のグループらしい。

 静かだと不審に思われるからか、彼がシャワーを弱めで流す。それに気付いているのかいないのか、グループは向かいのシャワールームで汗を流し始めた。どうやら3人いるらしい若い男性のグループが何やら不満を話し始める。すげえ美人だったのに、おまえがヘマしたからだ、一人でいるからナンパ待ちかと思ったんだよ────そんな会話。

 

(あ……この人たち、もしかして)

 

 彼と目を合わせると、こくんと頷かれた。

 やっぱり。これ、さっき私をナンパしてきた人たちだ。この様子だと収穫はなかったらしい。彼らは見付けた獲物の中でも最も惜しまれる私に未練があるらしかった。

 一人が、滅茶苦茶美人だったし胸はデカいし、あんな女と一度やってみたい──と言って、他の二人が同意する。……恥ずかしいというか、なんと言うか。まあ、そういう目で見ているのは判っていたけれど。

 まったく、早く出ていってくれないかな、と俯く。

 と、下げた視線の先。彼のおちんぽの異変に気付いた。触れてもいないそこは、明らかにさっきよりも膨張している。

 

(…………もしかして)

 

 また悪戯を閃いてしまって、彼の耳元で囁いた。

 

「ちょっと……おちんぽ勃っちゃってますけど。もしかして、興奮しちゃってます?」

 

 ぎくり、という彼の顔。それが面白くて、攻勢を強めていく。

 

「やっぱり。見られるかも、っていう興奮からですか? ……それとも」

 

 彼らはまだ、私への未練を口にしている。

 金を積んででも一発ヤリたいとか。

 あの胸を掴みながら、バックでハメてひいひい言わせてえとか。

 ああいう女と付き合えるなんてどれだけ幸運なんだよとか。

 欲望に満ちた、私との性交を夢想する言葉。

 だから、

 

「それとも……優越感覚えちゃってます? ああやって他の男性がエッチしたくて、でもぜったいできない人妻と、自分はやりたい放題なんだ、って♥️ 桜は俺のちんぽで堕としたんだぞーって、俺のモノは強いんだぞっていうオスの優越感……♥️」

 

 びきびき──と音が鳴ったような錯覚。

 私の言葉に釣られたのか。彼のおちんぽは、ますます硬度をあげていた。もはや直立しているような角度で上向き、穴に潜り込むのを待っている。

 ぱいずりで吐精したというのに、まだ足りないどころかよりエスカレートして女体を求めている彼の怒張。

 それを慰めてあげるのは、勿論。この場に一人しかいない。

 

「いいですよ♥️ おちんぽがそんなにイライラしてるのも私のせいですし。ほら、あの人たちにバレないように……ゆっくり挿れちゃいましょう♥️」

 

 立ち上がり、壁を背にしてもたれ掛かる。

 躊躇していた彼だけど、私が腕を引くとすぐに覆い被さってきた。壁と彼の身体の間で挟まれてしまう。ちゅぱちゅぱと唇を合わせる。勃起はもう最高潮だ。

 彼が腰を落とすのに合わせてつま先立ちになり、高さを合わせる。なんの抵抗もなく、にゅるりとおちんぽが膣に挿入された。

 

「ん、む……っ♥️ むちゅっ♥️ んふっ♥️」

 

 膣肉を味わうように差し込まれたおちんぽは、肉壁を掻き分けながら子宮へと近づいていく。

 さああ、とシャワーの水滴が肌を打つ中。亀頭が子宮口をノックした。

 

「あん♥️ また届いちゃった……♥️ なんだか、いつもよりおっきくないですか♥️」

 

 3人に聞こえないよう、声をひそめて言う。

 明らかに通常時の勃起より大きくなっているおちんぽに突かれ、快感が込み上げる。どうやら彼もいつにない締め付けを感じているらしい。おまえこそいつもより濡れてるぞ、とイヤらしいコトを言われてしまう。

 

 彼がゆっくり腰を引く。膣の襞をこすりながらおちんぽが抜かれていく。あまりの快感に身体が震えてしまう。またゆっくりと挿入されるのに合わせて私の方も腰を突き出して、気持ち良いところに当たるよう調節する。それだけじゃなく、私ばかり気持ち良くなるわけには行かないとおまんこを目一杯締めて彼のおちんぽをコキ上げる。彼らに気付かれないように、いつもならぱんぱんと肉を打ち合うところを極力静かにピストンし合う。

 

 汗が吹き出しているからか、シャワーを浴びながらだというのに彼の濃厚な匂いに包まれて頭がくらくらする。逞しい腕で壁に磔にされ、彼の肉槍で貫かれていく。声が漏れそうになって、彼の胸板に顔を押し付ける。一度の往復に数十秒を掛けた低速ピストン。いつもの射精と絶頂だけを求めた激しい交わりとは違う、相手の感触を存分に確かめ合う抽送。ゆるやかで気だるささえ覚えるセックスだった。

 

 だというのに、

 

(なんで、こんな……むしろいつもより気持ち良いくらい…………♥️♥️)

 

 私のおまんこは、それこそ今までで一番という程の快楽を味わっていた。彼もそうなのだろう、表情を見れば判る。初めて見る顔でうっとりと私の膣を堪能している。

 彼が壁に当てていた手を離して、私を抱き締める。こちらもとっさに抱き返した。私を屈服させるための、彼に屈服するためのエッチじゃない、ただ相手を求めるためのセックス。

 

(そっか……♥️これまでの身体だけのエッチと違って、これは……♥️)

 

 今日のこれまでのコトを思い出す──お互いのコトを知ろうとして、一緒に時間を過ごして。独占欲を出されたり、悪戯してみたり。そんな二人の時間からの、相手を想ったスローセックス。

 

 だから、いつもより気持ち良いのはその為。これまでの身体の相性だけにかまけたエッチとは違う。お昼に確認したコトだ。身体だけでなく、心の相性はどうなのか、と。結果は心も相性抜群だった。それを自覚してから、初めて相手と心を触れ合わせた後のエッチだから、心と身体が重なりあってしまった。

 身体だけでもあの気持ち良さだったのだ。心まで紐付けされれば尚の事だろう。この他人がいる状況で、いつものような私が一方的に潰されるセックスが出来なかったのが逆に効果覿面になってしまった。今の私たちを他人が見れば、仲睦まじいカップル以外の何にも見えないだろう。そしてそれは、あながち外れでもないのだった。

 

 ────桜、桜っ。

「あッ♥️ んんっ……♥️ きゃ、首筋舐められたらくすぐったいです……♥️ ちょっと、キスマークつけちゃ駄目♥️ 私だって跡つけちゃいますよ♥️」

 

 かぷ、と彼の肩口に噛みつく。腰を卑猥にくねらせて性器を擦り付け合う。胸をたぷたぷと揺らされ、肌が水滴を弾く。

 ふと、3人の会話が聞こえた。あのとき私の正面にいた人が言う。

 

 でもさ。あの女、なんとなく人妻っぽかったよな。雰囲気とか。

 ────あんな人妻が身近にいたら、寝取っちまいたいよなあ。

 

「あは♥️ あんなコト言ってますよ、まるで貴方みた……え、ちょっとっ、いきなりっっ……!?♥️♥️」

 

 びゅる、ぶぴゅるるる、どぷどぷっ──と。

 予告もなしに、私に挿入されたおちんぽが射精していた。子宮口に熱い液体がぶちまけられる。彼に痛いくらいにお尻を掴まれて、腰と腰を密着させられた。私も彼の肩の辺りに額をくっつけて身を震わせる。声を上げて快感を逃がすコトも出来ない。私も彼も芯に直撃する絶頂感をまともに受け止めて、お互いにすがりつくコトしか出来なかった。

 

「はっ、ふうっ、ふぅー…………♥️ いっ、今のアクメ、なんだか……♥️」

 

 なんだか心に響くような、心に染み渡るような、優しく甘いアクメだった。

 彼を見上げる。……それで、びっくりした。こんな蕩けた彼の目を、初めて見たから。

 外野が寝取りたいと言った人妻をまさに寝取りながらのいちゃらぶエッチで堪え切れなかったのだろう。射精も私のアクメも手のひらの上で掌握してしまう彼が、初めて性感に翻弄されていた。

 彼が腰を離そうとしたので、ぎゅっと抱き付いた。何故かまだ離れ難かった。

 

「なにおちんぽ抜こうとしてるんですか? まだガチガチじゃないですか♥️ いっぱい溜めて来たんだから、もう一度くらいは楽勝ですよね?」

 

 彼に言うと、応じるようにおまんこの中のモノがまた勃ち上がる。

 彼も本心ではまだ私に中出ししたいのだろう。おちんぽを抜こうとしたのは、セックスをコントロール出来ない自分に戸惑ったからだ。でも逃がしてあげない。彼のおちんぽは私を求めてるし、何より、私もまだ彼が欲しい。

 

 挿入したまま彼に持ち上げられられる。膝裏から腕を回され、私は彼の首に抱き付いた駅弁の体位。背中を壁に預け、ぬぷぬぷと突き上げられる。

 流石に音がしてしまい、大丈夫かと思ったけれどいつの間にかあの3人は出ていったようだ。どうでもいいので気付きもしなかった。とはいえ、やっぱりいつもの激しいエッチとは違う。子宮口をこじ開けようというピストンじゃなく、ねっとりほぐすように押し上げる。じんわりした快感が子宮を痺れさせた。

 

 ぱちゅ、ぷちゅ、と腰を揺する。股間はハメて、唇も重ね合う。また誰か来るかも、という心配は頭の中から飛んでしまっていた。彼との甘いエッチを味わうコトしか頭にない。子宮もいつも虐められるおちんぽが優しく抱いてくるから驚いているようだ。それにも段々慣れてきて、優しく口を開き始めてる。

 

「あ……またおちんぽ膨らんできましたよ。もしかして、また出ちゃいそうですか? さっき射精してからまだ3分も経ってないのに、ずいぶん早漏さんになっちゃいましたね……♥️♥️」

 

 ぐう、と彼が歯を食い縛る────でもおまんこにぴゅるぴゅる精液が漏れちゃってるのが丸わかりだ。これ幸いと子宮口が亀頭を吸い上げる。深く相手に挿入されるこの体位で、彼の方も追い込まれていたらしい。もう切っ掛けがあれば暴発してしまいそう。

 射精を堪えようとしている彼を見て、少し笑みが零れる。なんだか子供っぽささえ感じる様子に、早く楽になっちゃえとおまんこを締め上げる。追い討ちを掛けられたおちんぽが致命的に震えた。ピストンが止まって、彼が私を壁に押し付けて身体を強ばらせる。

 

「────いいですよっ♥️ 我慢しなくて大丈夫です、私のおまんこでおまんこで精液お漏らししちゃいましょうね♥️ 心配しないでください♥️ 全部子宮で受け止めますから……♥️♥️」

 

 来る、と察知して。彼の射精を促した。

 それと同時。

 

 どぴゅ、どぷどぷどぷっ♥️♥️ びゅるびゅるびゅる~~っ……♥️♥️♥️

 

 ……また、漏れ出てしまうような射精。吐き出される一回一回が長く、大量だ。あまりおちんぽの跳ね上がりは大きくない。それこそお漏らしのような垂れ流し射精で私の子宮が満たされていく。

 

(まだ出てるっ……♥️ これ、量も今までで一番多い……♥️)

 

 溜めたぶんを全部放出しかねない射精だ。あまりに多すぎて膣口から溢れてしまっている。

 彼の荒い息を耳元で聞く。勿論私もキモチいい、いいんだけど────今回ばかりは、どうやら彼の快感の方が勝っているみたい。苦しそうにさえしながら、私へ精を注いでいく。必死でおちんぽを押し付けてくる彼に、こちらからもおまんこをぐりぐりしてあげる。

 

 長い長い射精が終わり、今度こそおちんぽが引き抜かれた。床に足をつく私へ彼が、悪い、我慢出来なかった────とちょっと恥ずかしいような、拗ねたような風に言う。

 

(うわ。そんな顔初めて見た。

 …………なんだろ、この感じ。まるで)

 

 心の柔らかい所が引っ掛かれるこの感じは。

 

(まるで────先輩に感じるみたいな)

 

「…………あ、おちんぽ綺麗にしますね。そのままでいてください、舐め取りますから」

 

 彼の足元にうずくまり、おちんぽに舌を這わせる。

 ぺろぺろと優しく舐めると、彼が耳をくすぐってくる。彼とお揃いの、銀のイヤリング。

 

 今まで彼との快楽に溺れていても、それはただ単に身体の関係だと思っていた。それが感情を上回るコトもあるかも知れないけれど、彼の情婦に堕ちてしまったけれど、愛情自体はあくまで先輩のモノだと。……けれどどうやらそうでもないらしいと、意外と落ち着いた心で受け止める。

 

 

 私はようやく、身体だけじゃなく心まで彼に奪われかけているコトを自覚した。

 




次はこの続きか連載の方か。五分五分な感じ


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浴衣青姦えっち

3章に合わせて残りを投稿しようと思っていたらいつの間にか夏になっていました


「──あ! 次あれ食べましょう、あれっ」

 

 すっかり日も暮れ、夜。私と彼は夜の海岸沿いへ繰り出していた。

 

 通りにはたくさんの人が行き交っている。まるで花火大会の夜みたい。私たちのようなリゾート客向けらしい屋台風の出店や通りに開かれたオープンテラスカフェに客がたむろっていた。

 

「あー……んむっ。う~ん、甘くて美味しいっ」

 

 たっぷりのチョコが絡められたチョコバナナをぱくりと頬張った。

 もともと食べるのが好きだった私だけど、最近体重が増えぎみだ。なんせ私がねだると彼はたいていの物は買ってくれてしまう。その傾向は最近になってより強まってきていた。

 

「あ……はい。そうですね、はぐれちゃうかも、だし。握っててくださいね」

 

 彼の手を握りなおす。

 

 私は人妻で、彼は女遊びの激しいガラの悪い男性。

 いけない事だ。分かっている、当然分かっているのに、やめられない。私は別に先輩を──夫を忘れた訳ではないし、彼も人妻相手なんて遊びならともかく深入りは禁物のはず。せめてほんの数ヵ月に一度会って欲求不満をぶつけるだけ、とかなら割り切る事も出来ただろうに。

 すっかり私と彼の関係はずぶずぶだ。

 

「む……なに笑ってるんですかっ。いや、慌ててなんかいませんから。ほら、食べないなら貴方のもください」

 

 軽く染まってしまった頬を髪で隠して、照れ隠しに彼のチョコバナナを要求した。

 

 あーん、と口を開けると彼がバナナを差し出してくれる。ぱくり、とかじって咀嚼。垂れそうなチョコを舌を伸ばして舐め上げる。

 

「ん……む、ぺろ」

 

 うん、甘くて美味しい。バナナも良いものを使っているみたいだ。細かなスプリンクルの香ばしい食感もアクセントになっている。

 

 と────

 

「れろっ。……あら? どうかしましたか……って」

 

 何だか様子のおかしい彼に釣られて周りを見てみると、かなりの数の目線を引いてしまっていた。

 その殆どが男性。……いけない、すこし無防備過ぎたかも。素でいやらしい感じの食べ方をしてしまった。

 

「す、すいません、変な食べ方して。……ああ、まあ。服装もあるかも知れませんね……」

 

 さりげなく胸元を押さえる。

 服装──というのは、私の格好の事だ。

 私は今、浴衣を着ていた。昼間の海水浴から戻ってホテルの浴場で改めて汗を流したあと着たものだ。

 普通浴衣は体型が出にくい服だと思うけれど、私は例外らしい。90を超え、そのうち三桁の大台に乗りかねないバストが大きく前に張り出ている。布が足りずどうしても谷間が覗いてしまうくらいだ。ノーブラなので歩く度にぷるんと揺れる。浴衣って下着つけなくてもいいって聞いたし、というのは建前で偏に彼が喜びそうだと思ったからだ。

 

 狙いは的中で、もうあからさまなくらいに谷間へ視線を寄越している。人目がなかったらとっくに触られてしまっているだろう。握った手がぴくぴくしているのはおっぱいの代わりに感触を求めてでもいるのだろうか。

 

 ……ちょっとイタズラしてみようかな。

 

「ふーっ……すこし暑くありません? 汗かいちゃいました、私」

 

 ぱたぱたと胸元を扇ぐ。彼にだけ、服の内側が見えてしまうように。

 効果はてきめんだ。ぐ、と手のひらに力が伝わったのが分かった。流し目で彼を見ると私のおっぱいに釘付けで、軽く覗き込んでいたりする。……まったく、さんざん揉んで摘まんで捻って開発してくれたっていうのに、こんな所はまるで思春期みたいな反応をするんだから。

 

 辛抱堪らない、といった風の彼が手をのばすのをするりと躱す。まだまだ、もっと焦らしてあげないといけない。セフレの人妻をしっかりおしおきする気になってくれるまで。

 

「くすくすっ♥️ ほら、次はあのお店に行きましょう。アクセサリー屋さんですって、何かいいのないかなぁ~」

 

 まるで恋人みたいに彼の手を引いて歩いていく。

 不倫旅行のスパイスの利いた夜デートは、先輩には悪いけど、とびっきりのドキドキだった。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

「わっ、これお部屋に飾ったら素敵かも。意外とライダーも好きそうだし。あ、でもお値段が結構するなぁ……」

 

 いくつかの店をハシゴしたあと、私たちは海外からの輸入品を扱う店に来ていた。

 ヨーロッパ風の硝子細工や南米っぽい木製の壁掛けなど、色んな国のインテリアが置かれている。

 その中のひとつ、玄関に置けそうなちんまりとした置物が目についた。猫を象ったもののようだったけど、値段が高め。ちょっと手の出しにくい数字だ。

 

「え……まけて貰えるんですか? なら買っちゃおうかな」

 

 店主らしいおじさんが安くしてあげるよと言ってくれる。

 その視線は、私の胸や太ももに注がれている。……あんまりこの身体を嬉しく思った事はなかったけれど、こういう得もたまにはいい。

 

「うーん、もうちょっとお安くなりません? ね、もう一声。お願いしますっ」

 

 前屈みになって両腕で胸を挟んでみる。むにゅん、とこぼれそうなおっぱいが深い谷間を作った。

 上目遣いで覗き込んでみるとおじさんの顔がデレデレと弛む。更に手を握って追い討ち。もう鼻の下が伸びまくりである。

 

「半額ですかっ? わあっ、有り難うございますおじさま♥️」

 

 最後ににっこり笑っておじさんに感謝を伝える。結局向こうの大損だと思うけど、『いい物を見た』って顔をしてるし、私は私で得をしたし。お互いWin-Winってことでオッケーだろう。

 

 ……と、それは良かったのだけど。

 

 

 

 

 

 

「もう、謝りますってばぁ。え、怒ってない? そうは見えないけどなぁ」

 

 店を出てまた歩き始めたけど、若干彼が不機嫌だ。

 どうやら自分の前で私が他の男性に色目を使ったのが気にくわないらしい。いや、そもそも私と彼の方こそ浮気関係なのに気にする所かしら、とも思うのだけど──

 

「私が悪かったですって。ね、何でもしますから」

 

 どうにも強く出ることが出来ない。

 何故かと言うと、たぶん私も同じだからだ。きっと私も、彼が目の前で他の女の子と仲良くしていたら胸がムカムカしてくる気がする。

 

「ああ、もう……仕方ないなあ」

 

 埒が明かないので手を取って物陰へ連れていく。

 二人きりになってようやく私の目を見てくれた。私より頭ひとつぶん高い彼と視線を合わせながら──彼の手のひらを、胸へ押し付けた。

 少し厚めの浴衣の上からでも柔らかさは明らかだ。むにぃ、と掴ませてあげる。

 

「んっ……♥️ どうですか、これで分かりますよね? さっきから他の皆さんが触りたいって眺めてた私のおっぱい、触れるのは貴方だけなんですよ……♥️」

 

 しっかりと開いた私の手を重ねて、もみ、もみと。とても浮気相手に言う台詞じゃない言葉を添えて独占欲を煽っていく。

 

 私の説得でようやく彼も機嫌を戻してくれたらしい。どん、と壁に押さえ付けられ、襟元から突っ込んだ手でおっぱいを揉みくちゃにされてしまう。

 

「んぅっ、あ♥️♥️ いきなり強すぎますって……」

 

 彼の荒い息を首筋に感じて背筋がゾクゾクする。大きく、少し荒れた手。私のおっぱいを揉んだ回数はもう先輩より彼の方が多いかも知れない。手形を付けてやると言わんばかりに搾られて腰が震えた。

 

 ぐりぐりと股間を太ももに擦り付けられる。ズボンの前は明らかに張り出していた。

 

「もう半分くらい勃起してるじゃないですか……♥️♥️ 昼間あんなに射精したのに、この底なしさん♥️♥️ すれ違う男の人たちが触りたくても触れなかった私のおっぱい揉み揉みする優越感、どうですか♥️♥️」

 

 耳元で囁きながらカリカリと裏筋のあたりを引っ掻くとズボンの奥の肉棒が跳ねた。面白くなってしまって直接パンツの下へ手のひらを差し込む。

 

 今さら見なくても細部のでこぼこから血管の通りまで分かる、お馴染みになったおちんぽをしこしこと擦ると、お返しとばかりに乳首を摘ままれる。ぎゅう、と強めに捻られて引っ張られ、柔らかな肉毬が変形する。

 

「ひうっ……♥️♥️ や、やだ♥️♥️ そんな引っ張ったらビンビンになっちゃいます♥️♥️ んんっ♥️♥️」

 

 これくらい大きいとおっぱいはかなりの重量になる。それを先っぽで吊り上げられて乳首がビンビンに勃ってしまう。ただでさえ彼と密着して上がった体温が更に熱くなっていく。軽く爪を立てながら痕をつけるように乳首を虐められて、痛いような甘いような快感が走る。

 

「っぐ、お♥️♥️ はっ、はぁ……♥️♥️ 駄目ですって、乳首弱いんです、私♥️♥️ なんでって、貴方に開発されたから……♥️♥️ こんな道端で乳首つねられて気持ち良くなるおっぱいにされちゃって……♥️♥️」

 

 ぐりぐり♥️♥️ コリコリコリッ♥️♥️ ぎゅうう~~っ♥️♥️

 

「ひっ♥️♥️ あ♥️♥️ 乳首でおっぱい持ち上げないで♥️♥️ けっこう重いんですから、っうう♥️♥️」

 

 色々と挑発したからだろうか、彼の指使いは容赦なく私を責め立てる。今では私が彼を揶揄えるくらいの関係になったといっても、やっぱりマウントを取っているのはあちらだ。生意気のおしおきとばかりに乳首を虐められ、しっかりマゾアクメに近づいてしまう。

 

「ふぐぅっ♥️♥️ おぁ♥️♥️」

 

 ぎりぎりと摘まみ上げられ爪先立ちになって腰を震わせる。彼が指を離すと、『ばるんっ』とおっぱいが跳ね落ちた。乱れた浴衣の胸元に勃起乳首が引っ掛かって納まらない。

 崩れ落ちそうになった私の股間に彼の膝が差し込まれて、ぐちゅりと湿った音が響く。上と同じくノーパンのおまんこは既に愛液を垂れ流してお昼も咥えたおちんぽを待ち望んでいる。

 

「ふぅっ、ん……♥️ も、怒っちゃイヤです……♥️♥️ 分かりました、降参しますから♥️♥️ 私が悪かったですよう♥️ え、何がって……いじわる♥️♥️」

 

 彼の首に腕を絡めて、瞳を真正面から見詰める。

 先輩とは似ても似つかない柄の悪い人。なのに、こうして身体を擦り寄せていると、何とも言えない多幸感に酔わされる。

 

「だから……貴方とのデート中に、他の人にちょっかい掛けたコトですよ♥️♥️ ……何とも思ってない? 嘘♥️♥️ 人妻を舐めちゃいけません♥️♥️ そのくらいお見通しです♥️♥️」

 

 ……昼間も思ったけど、私に独占欲を示す彼は何だか可愛らしい。最初は都合のいい人妻肉オナホに過ぎなかった女に執着するだなんて思ってもいなかっただろう。だけど奇妙な事に、お互い嫌な気分ではないのだった。

 

 浴衣を押し上げるお尻を彼の両手で掴まれる。胸だけでなくお尻も学生時代よりボリュームアップしてしまっていて、握ると指の股からお肉がはみ出るくらい。これでもまだ弓道は続けていて運動はしているのだけど、お腹や手足にはろくに筋肉も脂肪も付かないのに胸と尻だけ丸々と膨らんでしまったのだ。

 以前藤村先生には『桜ちゃんは安産型だね!!』なんて言われて隣の先輩がお茶を吹き出してた身体をしっかり彼に捕らえられ、腰を引き寄せられて下腹に彼の股間がくっつく。服の上から、おへそ辺りに触れただけでも分かる彼のおちんぽ。勃起しきったそれは、相性ぴったりのおまんこに挿りたいとぴくぴく震えていて、なんだかおかしい。

 

 ズボンに手を突っ込んでおちんぽを握ると、やっぱりバキバキに勃起してる。カリ首に指を絡めただけで先走りが溢れてくる。まるで早く私の中に入りたいってせがんでいるみたい。

 

「……はい♥️♥️ 欲しいです、貴方のおちんぽ……♥️♥️ もうおまんことろっとろで、子宮疼いてます♥️♥️ 桜のおまんこに浮気おちんぽ、ください……♥️♥️」

 

 逃がさないとお尻を掴まれて子宮がきゅんきゅん疼いてしまう。

 彼に引きずられるようにして、人気のない所へ移動した。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

「あー、んむっ……♥️ ちゅっ♥️♥️」

 

 数分後、メインストリートから外れた茂みの中で彼と唇を合わせていた。

 舌と舌を突き出して擦り合わせると、身体が更に熱を帯びる。むにむにと執拗におっぱいやお尻を揉まれて手形が付いてしまいそうだ。

 

 浅いとはいえ夏の夜の茂みの中だいうのに羽虫の類いはいないようだ。いくつかブルーライトの電灯が立っている。虫除け用だろうか。

 

「…………?」

 

 なんでこんな茂みに、と思って周囲を窺うと、どうやら他にも人影がある。目を凝らして見ると──、どうも私たちと同じ目的らしい。身体をまさぐったり、股間に顔を埋めているカップル。中には既に半裸で致している男女も。

 

「うわ、そういうコト……♥️♥️ ここ、それ用のスポットなんですね……♥️♥️」

 

 つまりここはリゾートの近くに設置された、ヤリモク用の場所なのだ。ご丁寧に誘蛾灯まで拵えてあるのもその為か。高級ホテル、その海岸道沿いに置かれた、金持ち向けの青姦場所という訳である。

 

「………………っ♥️♥️」

 

 周りは皆、自分のコトに夢中である。わざわざ私たちに注目している人はいない。

 それでも、羞恥心が顔を出してしまう。同時に、完全にエッチする為の場所に連れ込まれて他人と一緒にするという事への興奮も。

 

「んっ……♥️♥️ はい、見せます……♥️♥️ 貴方のおちんぽが欲しくて濡れてる、びっちゃびちゃの桜の浮気おまんこ……♥️♥️」

 

 ぺら、と浴衣の裾をまくる。月明かりに照らされて鈍く光る濡れそぼった股間、太もも。愛液がサンダルを履いた足のくるぶしまで垂れている。

 彼とできるだけ肌を密着させる為、毎日丁寧にお手入れしている無毛のおまんこを、両手でくぱあと広げる。『こぽっ』と空気を捩らせながら愛液の塊が溢れ出した。

 

「はい♥️♥️ どうぞおしおきしてください♥️♥️ 貴方のモノなのに他の男の人を誘惑した桜におしおき……♥️♥️ もう貴方以外に目移りしないくらい、ちゃんとおちんぽで躾けて……、お゙お゙ぉ゙んッ♥️♥️」

 

 ぬぶぶぶぶ……っ♥️♥️

 

 腰の中央に彼のおちんぽが沈んでいく。彼に開発されてから愛液の分泌が倍くらいになったおまんこからぼたぼたと汁が押し出されていく。

 

 膝が笑ってしまって背中を後ろの木に預ける。ぴっとりと腰と腰が触れあう頃には、ずりずりと背中がずり落ちてみっともなく腰を突き出す格好になっていた。

 

「あ゙っ♥️♥️ お゙ゔうッッ??♥️♥️ お゙ッ♥️♥️」

 

 いつも以上に強いピストン。それも最初っから。

 やっぱり、お店での私の態度に我慢ならなかったのだろう。おまえは俺のモノだって、俺のチンポで分からせてやるって勢いの女殺しピストン。こんな始めからがっついたら普通の女の子だったら拒否してしまうだろうに、私は快感と──それに悦びを覚えてしまう。

 

 茂みに腰を打ち付け合う甲高い音がこだまする。それにぶちゅぶちゅと体液の泡立つ音も。他の皆さんが努めて静かに行為をしている中で通り過ぎる程の騒がしさである。抑えようと思っても、抑えられない。彼の必死ささえある本気ピストンを受け止めてあげよう、ということしか頭に浮かばない。

 

 ぱんっ♥️♥️ ぱんっ♥️♥️ ぱあんっ♥️♥️

 

「あッ、はあっ♥️♥️ そ、そんなにがっつかなくても♥️♥️ 逃げませんからっ♥️♥️ あんっ、もうおちんぽ震えて♥️♥️ 出ちゃいそうなんですかっ♥️♥️ ちょっと早くないですか??♥️♥️ もう、しょうがないなあ……っ♥️♥️ じゃあどうぞ、一発目……♥️♥️」

 

 ぶびゅるっ♥️♥️ びゅるるるる♥️♥️ びゅる~~っ♥️♥️

 

 いつもの私がイカされまくってからの射精とは違う、思わず出てしまったみたいな三擦り半射精。彼がひくひくと腰を震わせてこちらに押し付けてくるのを、しっかりお腹で受け止める。

 

「くすっ♥️♥️ そんな顔しないでください♥️♥️ 早く桜に種付けしなきゃ~って、おちんぽの我慢効かなかったんですね……♥️♥️ ふふ……お漏らしする貴方の顔、可愛かったですよ……♥️♥️ ん、れろ……♥️♥️」

 

 うるさい、と唇をふさいでくる彼と舌を絡める。唾液を交換しているうちに、挿入しっぱなしのおちんぽがまた膨らんできた。

 

 一度おちんぽを抜いて後ろを向き、立ちバックの姿勢になって足を開く。浴衣を腰までまくり上げられて精液が垂れるおまんこを凝視される。

 

 そこで、周りが静まり返っているのに気付く。どうやら派手に絡んでいる私たちに気圧されてしまったみたいだ。四方八方から視線が注がれている。暗闇だから身体をしっかり見られてはいないと思うけど、それでも恥ずかしい。

 

「はっ♥️♥️ はーっ♥️♥️ ど、どうぞっ♥️♥️ おちんぽ来てください……っ♥️♥️ んんんっ♥️♥️」

 

 またおちんぽが挿って来た。なんの抵抗もなく、ぬるっと子宮口まで到達する。

 今度はバックなのでさっき以上に彼主体のエッチだ。腰をがっちり掴まれておちんぽを突き込まれる。

 

「あっ♥️♥️ あっ♥️♥️ あひっ♥️♥️ ぅあ♥️♥️」

 

 鳴かされる。一発出して余裕が出来たのか、今度は私が責め立てられる側だ。

 

「あはっ♥️♥️ す、凄いですよっ♥️♥️ はい、今度こそしっかり教えてください♥️♥️ やっぱり私は貴方のおちんぽに負けた人妻なんだ、って♥️♥️ いえいえ、さっきの早漏な貴方も可愛くてよかったですけど……♥️♥️ 次はかっこいい所、見せてください♥️♥️」

 

 バックで──動物みたいなエッチで、しかも野外で交わって。本能剥き出しのエッチで彼との交わりに酔う。

 彼をからかうのも楽しければ、彼にしっかり負かされるのも悦楽だ。そしてどちらかと言えばやっぱり、私がマウントを取られるほうがしっくり来るというもの。

 

 ぱしん♥️♥️ ぴしゃっ♥️♥️

 

「ひんっ!?♥️♥️ や、やあっ♥️♥️ お尻熱いっ……♥️♥️」

 

 これもおしおきなのだろう。丸々と膨れたお尻を張られる。きゅうっとおまんこが収縮して中のおちんぽを締め付けた。それが気持ち良かったのか、また反対側を、そのまた反対を。くっきり尻たぶに彼の手形が刻まれていく。

 

 いつの間にかこの茂みでエッチしているのは私たちだけになっていた。私が人妻、というのは漏れ聞こえているだろう。清楚な──見た目だけは──人妻と、チンピラ風の男性の明らかな不倫エッチだ。しかもここまで激しいとなると、周りが見入ってしまうのも無理はない。

 

 ぱんっ♥️ ぱあんっ♥️

 

「ひぎぃ♥️♥️ ひぃああああ♥️♥️」

 

尻叩きは更に激しく、強くなっていく。一発張られるたびに勝手におまんこがおちんぽを食い締める。キツい状態で抜き差しするのが気持ちいいいいのだろう、おちんぽのピストンに合わせて左右交互に、玩具のように叩かれまくる。

 

「あ゙あ゙~~っ♥️♥️ お尻叩かれるとワケわかんなくなるぅ……♥️♥️ 負けです、私の負けぇ♥️♥️ ち、調子に乗っててごめんなさい♥️♥️ 桜はお尻叩かれただけで降伏しちゃう駄目な人妻ですぅ♥️♥️」

 

 衆人環視の中でのスパンキングは、私のマゾ性根をゴリゴリぶっ叩く鮮烈な行為だった。叩かれ充血したお尻を撫で回されるとじんじん熱くておまんこまで熱が届く。ただでさえ気持ちいいおまんこがよけい敏感になっていく。

 

 さっき挑発したおちんぽに逆襲されて子宮を突きまくられる。カリ首に膣をひっ掻かれ、子宮口を小突かれるたびに快感が押し寄せた。

 

「はあっ、は……♥️♥️ い、イキそうですか……♥️♥️ はい、私も♥️♥️ 一緒がいい♥️♥️ 一緒にイキましょう、ねっ……♥️♥️」

 

 再び、膨らみきったおちんぽが痙攣していく。射精したい、種付けしたいと精液を噴き出そうとしている。

 バックのまま彼が唇を寄せてきて、首だけ振り返るように口付ける。そのまま、深くキスしながら射精を受け止めた。

 

 びゅう~~っ♥️♥️ びゅびゅっ♥️♥️ ぶぴゅるるる~っ♥️♥️♥️

 

「ん、む────っ♥️♥️ ぷあっ♥️♥️ むちゅううぅっ……♥️♥️」

 

 激しいピストンから一転、腰をくっつけたまま静止する私と彼。

 どくん、どくんと射精の一打ちごとに精液が送り込まれてくる。子宮直撃の孕ませ精液。孕んだらどうしよう、なんて考えは私たちのどちらにもない。むしろ孕ませ上等の浮気旅行として来ているのだから。

 

「はあ……はあっ……♥️♥️ き、気持ち良かったですか……♥️♥️ はい、私も……最高でした……♥️♥️ ふふっ♥️♥️ ええ、また貴方のおちんぽの強い所、しっかり教わっちゃいました♥️♥️ お尻を叩いて力ずくで私を負かす貴方、凄く格好よくて……頼もしかったです……♥️♥️ また私が生意気なコト言ったりしたら、ちゃんとその度におしおきしてくださいね……♥️♥️」

 

 二人で息を整えながら、絶頂直後の余韻に浸る。

 

 ……そのあと、逃げる様に茂みを後にしたのだけど、たっぷり射精され過ぎてホテルへの道を歩くたびに精液が足を伝ってしまったのは内緒である。

 



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制服教室えっち

「うぅ……、胸がきつい……」

 

 胸元のボタンが今にも弾けそうだ。胸だけじゃない。他の部分、具体的に言えばお尻あたりもみっともないくらいに張り出していた。

 

 ────いや、別に太った訳ではない、と思うのだけど。

 学生服に包んだ身を捩る。もう3年……いや4年近く経つのか。控えめに言っても激動の日々を過ごした、穂群原学園の制服である。

 

 ぎしっ、と木製の床が軋んだ。

 無人の学校特有の、静まり返った教室。

 勿論、あの学園にいる訳じゃない。ここは何年も前に閉鎖され、現在は自由に出入りしていい廃校だ。いま私たちが滞在中のリゾート地からは少し離れた山のふもとで、旧式木造の建築が特徴的で観光ルートのひとつになっているんだとか。よく地域の集まりでも使われるらしいけれど、しかし今日は目立った団体もおらず閑散としていた。

 

 とは言っても今いる教室にはちゃんと机が並んでいる。学生が通う訳ではないけれど、自治体が時たま開く勉強会で使う事もあるというからその為だろう。

 

「……はあ。制服を持ってこいっていうから何かと思ったら、最初からここに来るつもりだったんですね」

 

 ため息をついて彼を流し見る。

 旅行も2日目になった。盛りだくさんだった昨日は、青姦したあと疲れ果て、ホテルに帰ったら2人して部屋に引っ込んで眠りこけた。そして今朝朝食を取った時、彼に制服に着替えるよう指示されたのだった。連れていかれるとこの廃校で、ようやく彼の意図を察したのだった。

 

「はぁ……。いえ、イヤとは言いませんけど。でも流石にこれは……」

 

 身長は特に伸びたりしていないとはいえ……、傍目に見ても私は高校生とは映らないだろう。運良くここまで来る間には誰とも擦れ違わなかったけれど、もし誰かに見られたらとハラハラしてしまう。

 

「まあでも、いい所ですね。うーん……はぁっ。なんだか学生時代を思い出します」

 

 椅子に座って深呼吸すると、女子高生に戻ったみたいだ。2階の窓からは夏の日差しに照らされたグラウンドが見える。リゾート地区から少し離れた山のふもとで木々に囲まれた古い学校は独特の雰囲気があった。夜来ると怖そうだけど、日中はお昼寝したくなるような居心地の良さだ。

 

 ざあ、と風が吹いて私の髪を揺らす。そういえば学生の頃はよく窓際の席になって、授業中にこんな感じで風を浴びていた気がする。

 そして、あの頃は……そう。よく、先輩の事を考えていたのだっけ。

 思えば、変わったものだ。色々と。

 なんせ今は念願の先輩の奥さんになって、幸せいっぱいの新婚さんで。

 

「……っ、ぅ。……あの。いきなり、なにおっぱい揉んでるんですか」

 

 ────先輩じゃない人と、浮気旅行に来ているのだから。

 

 椅子の後ろにまわった彼が、下から掬うように胸を掴んだ。

 ベージュのジャケットをずらしてブラウスを覆う手によって、ただでさえぱつぱつに張った制服がゆがむ。むち、むにゅ、と左右に開いたり、中央に寄せたり。やりたい放題、乳房の感触を確かめられる。

 

「あぅ、もう……っ。そ、そりゃこういうコト目当てだって分かってましたけど。本当に節操がないんですから」

 

 学校でついでに昔着ていた制服で、というシチュエーションに昂っているのか、彼の手付きはいつもより乱暴で、息も荒くなっている。制服でのエッチは初めてじゃないのに珍しいくらいに興奮しているみたいだった。

 

「ふぇ……、こ、高校生の私とエッチしてるみたいで興奮する? っ…………♥️ ば、馬鹿いわないでください。高校の頃ずっと、私、先輩のコトが好きだったんですから。貴方となんて……、あっ、んんん!?♥️♥️ んぶっ、れるぅ……っ♥️♥️ ちゅ、んむっ♥️♥️」

 

 上を向かされて唇を奪われ、無理やり黙らされてしまった。

 べろ、れろれろぉ、と下品に舌を絡める。レイアウトは違っても学校の教室で、制服を着込んで行為に及んでいるからか、私まで昔を思い出して興奮してきてしまう。

 

「んぶぅっ♥️♥️ ぶちゅ、んえぇ~っ♥️♥️ ぶはっ、は……♥️♥️ ……き、気にくわないからっていきなりキスで黙らせるの、反則です……♥️♥️」

 

 ねとぉ~っと架かった唾液の橋を見ながら文句を言うけれど聞いちゃいない。制服のブラウスのボタンを外され、はだけた襟元から手を入れられた。

 

「あぅ、あっ♥️♥️ も、もうっ♥️♥️ き、聞いてるんですかっ……♥️♥️ 女子高生の私は、一途に先輩しか見てなかったんですよっ? だから駄目です、その思い出まで侵しちゃ駄目……♥️♥️」

 

 そう、学生の頃はクラスでも孤独で、勉強をするか読書でもするか、もしくは先輩の事を考えるかくらいしかしていなかった。友達だってろくにいなくていつも一人だった。先輩という思い人はいたけれど、甘い学園生活なんて夢のまた夢だった。

 だからか──こんな風に教室で、制服でエッチな事をしていると。

 まるで学生に戻って、ちょっとガラの悪い男子生徒に、放課後に悪戯されているような錯覚を感じてしまうのだ。

 

「え……、えぇっ♥️♥️ む、無理です、ぜったい無理♥️♥️ そんな……貴方を……んぱい、って呼ぶなんて……♥️♥️」

 

 ────いいじゃん、頼む桜、一生のお願いだからさ。

 

 柄にもなく彼は本気でお願いしてくる。それはエッチのスパイスに、っていうだけじゃなく、もっと私の心に踏み込みたいという宣言にも思えた。

 

「……う、うぅ♥️♥️」

 

 とてもじゃないが、即答できない。っていうか、答えられない。

 むずかる私を見かねた彼が私の身体をひょい、と抱えて、入れ換わりに椅子へ座った。そして、私を向き合うように膝へ乗せる。

 

「ひぁ……♥️♥️」

 

 か細い悲鳴が漏れた。なんせ、私の股はぱっくりと開かれて、対面座位で彼の腰に足を絡めた格好にされてしまったから。

 

 彼がベルトを外し、もう勃起しきったおちんぽを晒す。

 自然、彼の胸板に手をつくかたちになった私は、逃げるように顔を背けた。それでもずっとそうしている訳にもいかなくて、じりじりと視線は戻ってしまう。

 

 下を向くと、もう何度繋がったか分からないおちんぽが聳えている。

 ……不思議なものだ。手に伝わる身体の逞しさは先輩に敵わないし、おちんぽの大きさだってせいぜい同じくらいか、もしかしたら先輩より小さいかも知れないくらいなのに。ことエッチした時の相性でいったら、先輩より彼のほうがずっと上なのだから。

 

「あん、ああっ♥️♥️ おまんこくちゅくちゅしないで♥️♥️ そんなエッチな説得も反則です……♥️♥️」

 

 ずらしたショーツの脇から亀頭で膣口を虐められる。ぬぶ、ぶちゅ──と幹の半分くらいまでは簡単に沈んでいってしまう。

 

 慣れきった身体が反射的に腰を落とそうとするのを、彼があえて止める。焦らしているんだ。私に要求を呑ませる為に。

 

「無理、無理ですってばあ♥️♥️ 言うまでは挿れてくれない? ひ、酷いですっ」

 

 ぜったい言わない、という決意は股間から脳に伝わる快感の前にあっさりふやけていく。いや、もう本気で拒んでいたのかもよく分からない。口でイヤだイヤだと言うだけで、その実エッチを盛り上げる為に言っていたのかも、なんて思えてくる。

 

「わ、分かりました……♥️♥️ 言えばいいんでしよう、言えば♥️♥️ ほんと、おちんぽ気持ちよくするコトしか頭にないんですから♥️♥️ …………セン、パイ♥️♥️♥️」

 

 そう口にしたとたん、お腹の奥が切なくなった。

 彼は私の先輩じゃないし、私が上級生を呼ぶときは名字に先輩をくっ付けて言うのが普通で、単に『先輩』と言えば──それはあの人にだけだったはずなのに。その呼び名で彼に呼び掛けるのが、なんだか凄く背徳的な気分になった。

 

「センパイ……っ♥️♥️ 挿れてください、センパイのおちんぽ♥️♥️ ああもう、焦らさないで♥️♥️ ちゃんと言う通りにしたんだから……、あんっ♥️♥️」

 

 つぷ……、と膣が押し開かれる。

 彼が、掴んだ私の腰を沈めていく。

 制服のスカートの下に潜り込んだ彼のおちんぽが、ゆっくり挿ってくる。まるで放課後みたいな、2人だけの教室で。

 やがて、とん、と私のお尻が彼の太ももに降りた。ぴくぴくと身体が震えてしまう。彼のおちんぽは、相も変わらず私の気持ちいいところ、幸せな気分にするところのスイッチ全部を的確に押し上げてくれる。

 

「んっ♥️ ……え、高校生の時ですか? は、はい、告白はたまに……されてましたけど、んんッ♥️♥️」

 

 揺する様にして腰を跳ねさせる。彼は、私の学生時代に興味があるらしかった。

 

「はい……っ、お付き合いしてくれっていう男の子は何人か……、いや何十人かな……♥️♥️ ん、はっ♥️♥️ 一年生の頃は暗かったので、余り目立たない生徒だったんですけど、その、問題が片付いてからはかなり……♥️♥️」

 

 膣内のおちんぽがみちみちと膨れていく。私にアタックして破れた男の子たちに優越感を覚えているのだろう。

 ──それなら、と彼の耳元に唇を寄せた。

 

「その、私に告白してくれる方たちはですね……間桐さん、好きだ、付き合ってくれって言うんですけど。皆さん必ず、私のおっぱいをちらちら見てるんです……♥️♥️ そう、貴方が今もみもみしてる、この制服に包まれたおっぱいですよ♥️♥️ 皆さんの目を見れば分かっちゃうんです。あの人たちは私と清い交際をしたい訳じゃないんです。ただ、間桐のデカいおっぱいを揉ませろって♥️♥️ 酷い時は一月に数センチずつ膨らんでくみっともない巨乳を握りながら一発ハメたいって、大人しそうだからもしかしたらチャンスあるかもって、そのつもりで私に言い寄ってくるんです♥️♥️」

 

 むぎゅう、と。胸を掴む握力が強くなった。片手でおっぱいを、もう片手でお尻を掴んで、彼らが触れられなかった私の柔らかいところの感触を確かめるように。とっても贅沢な、手のひらいっぱいで柔らかさを感じる掴みかた。

 

「特に2年生に上がってからは酷くて、『間桐のやつ、また胸がデカくなったな』『昨日もあいつで抜いたよ』とか廊下ですれ違い際に聞こえたコトもあったり……中にはですね、告白の最中だっていうのにズボンの前がもっこりしてる子なんかもいて……♥️♥️ あとから聞いたんですけど、私、学校中の男子からオナペット扱いされてたみたいです♥️♥️ 私でオナニーしたコトない男子はいないんじゃないか、ってくらいに……♥️♥️」

 

 彼が引きちぎるみたいにブラウスのボタンを外した。

 途端、だぷんっ、とおっぱいがバウンドしながらまろび出る。片乳1キロを超える、ずっしり中身の詰まった胸。とにかく肩が凝ってしかたないし立つと足元が見えなくなって危ない、日常生活には不便さしかない私の巨乳。

 でも、まあ……悪い事ばかりじゃないなと、乳首にむしゃぶりつく彼を見て思ってしまう。

 

「ああん♥️♥️ 乳首、ころころって舌で……♥️♥️ た、勃ってないですっ♥️♥️ 貴方が触るから……、反射です、反射♥️♥️」

 

 ビンビンに勃起した乳首は敏感になっていて、吸われるだけで甘い痺れが走る。巨乳は感度が落ちるという。私もそうで、先輩とのエッチで胸を触られてもあまり気持ちいいと感じた事はない。

 だけど、彼とのエッチは別。服の上から触れられるだけで身体が熱くなって、子宮をトントンされながら舐められるとぐっとアクメに近付いてしまう。

 

「っ、んぁっ♥️♥️ っ♥️♥️ んぅ♥️♥️ センパイ♥️♥️ センパイっ♥️♥️」

 

 彼の首に抱き着いて声を漏らす。いつもの荒々しいものとは違う、私を説得するような小刻みのピストンに揺さぶられて、自然と彼をそう呼んだ。

 

「あ、は♥️♥️ 気持ちいいです、センパイ♥️♥️ はい、『衛宮先輩』とする、よりも♥️♥️ んっ♥️♥️ ずっとずっと気持ちいいですっ♥️♥️」

 

 先輩をそんな風に呼んだこと、それこそ出会ったばかりの頃ぐらいだったはずなのに。あっさりと、私の中の『先輩』の場所を彼に明け渡してしまった。

 だって、その方が気持ちいいから。先輩をダシにして貪る浮気エッチの快感ときたら、堪らないのだ。

 

「ん゙ゔっ♥️♥️ お゙っ♥️♥️ お♥️♥️ おふッッ♥️♥️♥️」

 

 ぐりぐりとお尻を擦り付けると、子宮が丁度よく押し上げられる。上下左右にイヤらしく腰をくねらせて膣穴でおちんぽを扱いていく。

 

「れるっ♥️♥️ んむ♥️♥️ ぶちゅちゅッ♥️♥️ べろぉ~~ッ♥️♥️」

 

 突き出された舌に吸い付く。空中ではしたなく粘膜を擦り合わせて唾液を絡めていく。ぎしぎし、がたっ、という椅子が床を削る音。その音自体は、学生の頃毎日聞いていた音と変わらない。なのに、とんでもなく卑猥な音に聞こえる。

 

 上の口でも下の口でも彼と繋がって頭がぼうっとする中、お互いの体温だけが鮮明だ。私より少し熱い、男臭い彼の温かさ。

 

「あっ♥️ あ♥️ あは♥️♥️ うふふ♥️♥️ はい、衛宮先輩ともエッチしましたけど♥️♥️ 正直、あんまり気持ちよくなくてぇ♥️♥️ 最初は想いが通じてればエッチの良さなんて二の次だ、って思ってたんですけど、貴方に出会ってからは……♥️♥️ 男と女にとって、おまんことおちんぽの相性って何より大切なんだって教えられちゃったんです♥️♥️」

 

 いつの間にか躊躇いはなくなって、両足でがっちり彼の腰を挟んでいる。ごちゅん、ぶちゅっ、と接合部が泡立ちながら速度を上げていく。彼を持ち上げる言葉はおちんぽに大層効くらしく、更に角度をきつくしていく。もうお腹の上から触れてもヘソの裏あたりが膨れるのが分かりそうだ。

 

「ああでも、あんまり言い過ぎるのもよくないですね……♥️ 実は衛宮先輩、私とするのが初めてだったんです。ええ、童貞さんだったんですよ♥️ そりゃあ違いますよね、経験豊富でたくさんの女の子でおちんぽ鍛えてきた貴方に敵わなくっても仕方ないです……♥️♥️ ふふ、有り難うございます♥️♥️ 貴方がヤリチンなおかげで、私も気持ち良くさせて貰ってるんですから♥️♥️」

 

 実際には──客観的にみて、先輩と彼どっちが上手いかなんてよく分からない。力や人柄を加味すれば、先輩に軍配を上げる人は多いかも。

 だから、私に分かるのは主観的な見方だけ。

 私にとっては、彼のエッチの方がずっと気持ち良いという事だけだ。

 

 上に尻を持ち上げて、下に落とす。それだけで腰がとろける快感が走る。もちろん気持ち良くさせて貰うばっかりじゃない。ガチガチに硬くなったおちんぽを女の一番柔らかい場所であやしてあげる。頑張って硬くなったね、溜まったモノを吐き出して柔らかくなっていいよ、と膣肉で説得してあげるのだ。

 

 ぎり、と彼が思わずという風に爪を立てて私のお尻を掴む。

 ぜったいこのメスを逃がさないという捕縛。同時にぴゅる、と思わず漏れてしまった先走りお漏らし射精が子宮にかかった。

 思わず彼の腰が止まるけど、きっと半端に我慢するより一息に出してしまった方が気持ち良い。何より、精液を受けた私の子宮が持ちそうにない。

 

「もう、なに我慢してるんですか♥️♥️ 射精しちゃえ射精しちゃえ♥️♥️ 人妻JKおまんこにおもらし射精で種付け、して────♥️♥️」

 

 腰をくねらせぐりぐりとおちんぽを搾る。

 先行吐精済みのおちんぽが耐えられるはずもない。びくびくッ──とおちんぽが震えたのに合わせて、しっかりとお尻を押し付けた。

 

「ん、ふ────ッ♥️♥️ ちゅむッ♥️♥️ はぷッ♥️♥️ じゅるッ♥️♥️ ちゅ♥️♥️ っ♥️♥️」

 

 どくん、どくん、とおちんぽが精液を撃ち込むのを胎内で感じる。唇を合わせながら一滴残らずおまんこで飲み下す。何度味わっても飽きる事のない生ハメ中出しエッチ。頭の片隅ではいけない事だと理解しているのに、そんな良識どうだってよくなってしまう幸せな瞬間。

 

「んちゅ……っ♥️♥️ ぷは♥️♥️ くすっ、まだ出てる♥️♥️ どれだけ出すんですか、もう……♥️♥️ ほら、おまんこ締めて扱きますから♥️♥️ 竿に残ったぶんも絞り出しましょうね……♥️♥️」

 

 お尻を揺すると、おちんぽがびくびくと痙攣してぴゅるっと残り汁を吐き出していく。満足そうに背もたれに身体を預けて脱力する彼の代わりに、しっかり最後までおちんぽのお世話をしないと。

 

「はぁ、はあっ。……ふふ、はい。なんだか、高校生に戻ってエッチしたみたいでした。そういえば、貴方こそどんな学生だったんです? ……モテてた? うわ、ホントかなぁ────」

 

 萎えていくおちんぽが、勝手にずるりとおまんこから抜け落ちるまで。息を整えながら、彼の話を聞く。

 以前ならこんな事、興味もなかったのに──と思いながら。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

「ふ──っ。暑……」

 

 私は校庭のベンチで一息ついていた。

 自販機で買った缶コーヒーを飲みながら額を拭う。いちおう日陰にいるけど、夏真っ盛りの外はかなり暑い。

 ちなみに、服装はとっくに元通り。教室から出て改めて散策していたところお昼に差し掛かったためか人が増えて来ていて、流石にまずいと慌てて着替えたのだ。海岸線のリゾート地からそう遠く離れていないのでふらりと寄る旅行客はそれなりにいるようだった。

 

「彼に悪いコトしちゃったかな。……ううん、これくらいいいよね」

 

 彼は車に荷物や私の脱いだ制服を置きに行っている。暑い中申し訳ない気もしたけど、この程度のワガママ、今さら気にしないだろう。

 

「…………ほんと、気安くなったなあ…………」

 

 興奮が収まり、一人で冷静になると、改めて思う。

 初めからは想像出来ないくらい私と彼の関係は親密になった。それは肉体的なものだけじゃなく、精神的にも。

 さっきのエッチなんて、以前なら絶対する訳もない行為だった。特に、私が口にする内容は。

 

「──────」

 

 学校にいるからか、昔の事を思い出してしまう。

 入学式のあと先輩たちと記念撮影した事とか。たまに校舎で姉さんと擦れ違った事とか。

 それに────夕暮れの中、高跳びしている先輩をずっと見ていた事とか。

 

「……ふう」

 

 学校にいるからか、直射日光で目が眩んだのか。場違いな記憶を思い起こしてしまった。

 

「遅いなあ、どうしたんだろう」

 

 額の汗を拭う。ぼうっとしていたけれど、そういえば彼の戻りが遅い。別に駐車場はそれほど遠くもないはずだけど。

 

 と、その時。

 

「あれ。やっぱり桜じゃん、奇遇だね?」

「え……」

 

 不意に聞き覚えのある涼やかな声がして振り返る。

 そこには────

 

 



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新妻・美綴綾子の

「いやさ、うちの子も一歳になったし、記念って訳じゃないけど家族で旅行にでも行こうかって話になってね。せっかくだから初めての海に来てみたのよ」

「そっか、もう一年になるんですね。早いなあ」

 

 そう朗らかに笑う彼女────

 美綴綾子先輩は、変わらず美人のままだった。

 

 肩口までで切り揃えられた髪も、猫っぽい吊り目もあの頃のまま。いや、髪は少しロングになっただろうか。それでも、一児の母でありながら学生の頃と遜色ないスタイルを保っているのは羨ましいところだ。

 

 美綴先輩は大学で出会った男性と交際し、卒業と同時に結婚した。招待された結婚式で初めて見たのだけど、眼鏡をかけた大人びた男性だった。

 美綴先輩がお付き合いしている、というのは姉さん経由で聞いていたけど、早い結婚にはそれは驚いたものだった。特に一番驚いていた……もといショックを受けていたのはライダーだったけれど。

 

「しかし暑いねー。あ、桜は一人? な訳ないよね、衛宮と来てんの?」

「あ、いえ。えーと、お友達と来てまして、今はちょっと席を外してますけど、はい」

「ふうん?」

 

 美綴先輩が首を傾げる。たぶん脳内では『桜にそんな親しい友達いたっけ、でも直接聞くのは失礼かな』なんて思考が巡っていそうだ。

 

「あ、綾子さんのご家族はどこに?」

「今は一人だよ。旦那と子どもは宿で待ってる。ここにはちょっと散歩で来ただけ、すぐ近くなんだ」

 

 結婚を期に私は美綴先輩を名前で呼ぶようになった。最初は慣れなかったけれど、美綴先輩とは今でも数ヶ月に一度は会ってお茶をする間柄で、そのうち違和感もなくなった。

 といっても今年会うのは正月の挨拶ぶりか。美綴先輩は子育てで忙しく、私もまあ……色々あったせいであまり会えなかった。結婚式にも来てくれたけど落ち着いて話す暇はなかったし、恒例になった春の花見は欠席だったし。

 

 …………それにしても。

 ぱたぱたと手のひらで扇いでいる美綴先輩を盗み見る。

 

 美綴先輩が結婚するなんて、あの頃からは想像できなかった事だ。この人を射止める男性なんて現れるのだろうか、なんてちょっと失礼な事を思っていた。

 でも、蓋を開けてみれば先輩は仲間内の誰よりも早く結婚して、子どもも作った。それは美綴先輩本人も自分で自分が意外だと言っていた。実際、高校の頃は浮わついた噂の一つもない人だったし、姉さんは『不意打ちだ』なんて悔しがっていたっけ。

 

 だけどこうして見ると、美綴先輩はとても幸せそうで、むしろあるべき所に収まったように感じるから不思議だ。会うたびにお互いの近況報告をするけど、家族仲良くやっているみたいだし。

 

 なにより、妻になったからか母になったからか、美綴先輩はとても──有り体に言えば色っぽくなった。凛々しさの中に女性としての匂いを漂わせるようになって、私でもときどきくらっときてしまうくらい。

 今は実家の道場を師範代として切り盛りしているけれど、美綴先輩目当てに来る人もいるのだとか。それも頷ける雰囲気だ。勿論、そんな不埒な輩は全て叩き出すか、根性を鍛え直しているみたいだけど。

 

「ん。そういえば、桜はリング嵌めてないの?」

「りんぐ? ですか?」

「指輪よ、指輪」

 

 美綴先輩が左手をかざす。その薬指には銀色の輪が輝いていた。

 

「あっ、あー……その、昨日海水浴に行ったんですよ。その時なくさないようにって外して、そのままですね」

「ああ、そういうコト。ならしょうがないけど、ちゃんと着けておいた方がいいよ。変なのが寄ってこないとも限らない」

「変なの、ですか」

「そうよ。私が言うのも何だけどさ、桜は元々美人だったけど、結婚してから尚更じゃない。衛宮がついてれば大丈夫だろうけどこういう出先じゃ何が起こるか分からないし。ナンパとかされない? 旅行、女だけで来てるんでしょ」

「そんな、ナンパなんて別にっ。まあ……確かに女の子だけですけど、はい、全然問題ないです」

「? ならいいんだけど」

 

 取り繕うのも一苦労だ。美綴先輩としても目の前の後輩が浮気旅行の真っ最中だなんて夢にも思わないだろうから、流石にバレる事はない、と思うけど。

 

「はー、暑。……お、桜じゃん。なんか思い出すね」

「はい?」

「ほら、上」

 

 仰ぎ見ると、言われてみれば。名を呼ばれたのかと思いきや、私たちが日陰に使っているのは大きな桜の木だった。学校だから、そりゃあ桜ぐらい植えてあるか。

 

「ほら、桜の入学式。衛宮や藤村先生と記念撮影したよね。いやぁ感慨深いね、あの時はまさか衛宮と桜が結婚するなんて思っちゃいなかったよ」

「そう……ですね。私も──」

「そうだ、確かデータ持ってたな」

 

 美綴先輩がスマホをいじる。古風な人に見えて、しっかり電子機器にも精通しているのだ。姉さんと違って。

 

「ほらこれ。いやー、皆若いなー」

「………………」

 

 ああ、よく覚えている。

 私と先輩、それに美綴先輩や柳洞先輩、そして藤村先生が写っている。たしか、藤村先生が葛木先生にお願いして撮って貰ったのだったか。

 こんな写真を見たからか、学校に美綴先輩といるからか。当時の事がまざまざと脳裏に浮かぶ。

 

 ────少し、目眩がした。

 

 

 

 

 それから美綴先輩としばらく話し込んだ。

 近況報告だけじゃない。先輩は私の事を思ってくれているのだろう、新婚生活のアドバイスとか、子どもが出来た際の心構えとか、様々な事を教えてくれた。旅行先で開放的になっている為か、夫との出会いや、ちょっと踏み込んだ夜の営みの話まで。……子どもが出来たからか最近相手してくれないんだ、なんて言われても反応に困るのだが。

 

 それでも、やっぱり美綴先輩は今でも頼れる人で。私にとって憧れの存在の一人なのだった。

 

 

 

 

「────ん。まず、時間潰し過ぎたかな。旦那から連絡来ちゃった」

 

 不意に震えたスマホを見て美綴先輩が言った。確かに、自分も携帯を見たらかなり時間が経っている。

 

「それじゃ、そろそろ帰るとするよ。そっちはどうする?」

「私は、もうちょっと居ようかなって」

「そっか。熱中症にならないようにね、ここなら日陰だから大丈夫だと思うけど」

 

 そう言って美綴先輩は立ち上がった。

 傍らに置いていた帽子を被る。つば広の麦わら帽子で、これがまたよく似合っていた。

 

「それじゃ──あ、そうだ」

 

 美綴先輩はそれとなく周りを窺ったようだった。それから、私の耳元で囁く。

 

「気を付けなさいよ、海水浴場に近いからだと思うけど、この辺りけっこう柄の悪いのもいるみたいだからさ。さっきもチンピラっぽいのと擦れ違ったんだ」

「は、はあ」

「タトゥー貼ってピアスじゃらじゃら着けて、あからさまなヤツ。ここは人目があるから心配ないだろうけど、一人にならないよう注意しな」

「……あ、ありがとうございます~」

 

 心配して貰えるのは有難いけど、はっきり言ってこんな所にそんな人、いるとしたら一人しかいない。

 

「ま、桜も武道の心得はあるもんな、自分の身くらい守れるか。それじゃまたね。衛宮によろしく」

「はい。綾子さんも、また」

 

 からりとあの頃と変わらない笑みを浮かべて、美綴先輩は去っていった。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

「桜、何か隠してるな」

 

 桜と別れ、綾子は呟いた。

 

 綾子にとって、桜は今でも後輩というイメージが強い。どことなく世話を焼きたくなってしまうのだ。

 定期的に桜と会っている綾子だったが、今年は子育て等で忙しく、年始の挨拶以来会っていない。春の花見にも顔を出せなかった。

 

 だから半年以上振りの思いがけない再会になったのだが、桜の妙な動揺にはすぐに気が付いた。どこかよそよそしいと言うか、明らかに落ち着かない様子だったのだ。

 

「衛宮と上手くいってない……とは思えないけどな、あの二人に限って。まあ外から分かるコトじゃないけど──」

 

 他人の夫婦生活に口出しなどするものではないが、桜と士郎を他人と放っておくほど綾子は無関心ではいられない。そういう性分だった。

 

 旅行から帰ったら遠坂や藤村先生にそれとなく伝えてみようか、と綾子は思った。とはいえ綾子が気付くような異変だ、あの二人はとっくに分かっているのかも知れないが。

 

「……心配いらないとは思うけど。しっかし、また更に綺麗になってて驚いたな……」

 

 綾子も自分の容姿には自信があるが、桜と並べば見劣りするのは自覚していた。顔もそうだし、何より学生時代から豊満だった桜のスタイルは今や暴力的といってもいい程だ。先ほど心配をしたのもその為。たとえ結婚指輪をちらつかせていても言い寄られそうな外見なのに、それを身に付けてもいないとなると男なんて誘蛾灯に惹かれる羽虫のように寄ってくるのではなかろうか。

 

「いや、ぜったいナンパ野郎が寄ってくるよな。しかも女だけの旅行で。いちいち断るの鬱陶しくないのかな────」

 

 当然ながら綾子の思考に『士郎以外の男と来てるんじゃないか』なんて閃きはない。もしあれば桜の不安定な様子と併せてなにか勘づいたかも知れないが、健全で潔癖を地でいく彼女にそんな友人の貞操を疑う思考は存在しなかった。

 

「ま、今はいいか。細かいコトは帰った後だな」

 

 綾子も綾子で旅行に来ている身だ。いま桜の事を自分がいつまでも考えていたってどうにもならないと切り換える事にした。

 

 桜といたグラウンドを出て校舎の脇を通り、校門へ向かう。校門の外の道に車が見えた。夫が迎えに来てくれたのだろう。

 手のひらで庇をつくる。

 と────

 

「……うわ」

 

 来たときも擦れ違った男がいた。駐輪場の屋根の下で煙草を吸っている。

 あからさまに身体に視線を這い回されて綾子の背筋に寒気が走った。胸元や尻に視線が刺さるのがはっきりと分かる。

 

 武芸百般の心得がある綾子にとってあんなチンピラにやられるつもりはないが、女性としての嫌悪感はまた別の話だ。

 一瞬、桜を置いてきたのはまずかったかと思ったが、そのうち連れが戻ると言っていたし流石に心配し過ぎのきらいがあるかと思い直す。

 

 背中に視線を感じながら、綾子は足早に通り過ぎていった。

 

 

 



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「……はい。すいません、せっかく来たのに。はい、少し休みますね」

 

 ぱたん。

 と、ドアを閉めた。

 

 ホテルの自室で一人、ベッドに寝転がった。

 

 ──昨日、学校で美綴先輩に会ったのが二日目。

 三日間の予定の旅行は、今日で最後の日を迎えていた。

 

 今日を過ごして、明日の朝ホテルをチェックアウトしたら終わりだ。他に予定もあるし明日には帰ると先輩に言ってある。だから延長は出来ない。

 出来ない、のだけど。昨日から、私は部屋に引き込もっていた。

 

「ん────」

 

 スマホが鳴った。画面を見てみると美綴先輩からの連絡で、自分たちはもう帰るとのこと。また予定が合ったらお茶しにいこう、とある。

 

「……美綴先輩、怪しんでたな」

 

 返信しながら一人ごちる。

 今まで、もっと近しい人──藤村先生や先輩にだって私と彼の関係を怪しまれた事はなかった。

 でも、同じ人妻、それも同性の先輩後輩という事で動揺してしまったのか、昨日の美綴先輩に対しては落ち着いて対応出来なかった。深く悟られはしないだろうけど、何か隠していると思われたのは間違いないと思う。

 

「…………幸せそうだったなぁ…………」

 

 別に、今さら自分の不貞に怖じ気づいた訳じゃない。

 ただ、美綴先輩の姿を見て、自分を省みた。

 それもまた、私の見知った人の中で唯一、私と同じ人妻だからなのだろうか。とにかく、かつて同じ高校に通い同じ部活で汗を流した同年代の女性が送る結婚生活を、他人事だとは思えなかった。

 

 だから想像してしまったのだと思う。私のこの先の結婚生活を。

 美綴先輩の家族の話を聞いて、家族写真を見て、結婚式で見た美綴先輩夫婦の姿を思い出して。いずれ私も同じ様になると思った。

 それは恐らく、思い違いじゃない。私が浮気なんかやめて大人しく先輩との夫婦関係を歩んで行ったら、きっと美綴先輩のような暖かく幸せな家庭を築いていたのだろうな、と思った。きっと先輩が、藤村先生が、色んな人たちがそうしてくれるのだろう、と。

 

 でも──だからといって簡単に彼との関係を放り投げられるかと言ったら、最早それも怪しい。

 そして不倫関係を止められるか分からないという事は、つまり止められないという意味に等しい気がする。

 それくらい私と彼は深く繋がってしまった。身体だけの関係の頃だったら、どうとでもなっていたのだろう。自分で処理するなり、姉さんやライダーに力を借りるなり。それを私が望み、求めれば。

 けれど、もう今は違う。お互い、精神にも踏み込んでしまった。今の私たちを性欲解消するだけの間柄とはとても形容出来ないだろう。

 

 彼に病み付きになっている。

 有り体に言えば──

 

「……す、き……」

 

 とたん、身体がカッと熱くなった。

 きゅうっとお腹の底が絞られて、あの人の精を求め始めている。

 

「っ、ふ……♥️ もう、今はそんな気分じゃないのに……っ」

 

 少し昂っただけですぐこれだ。私の性欲と身体の直結具合といったらない。

 ……思うに、幼少の頃の経験が影響しているのだろう。心が落ち着く前に、人を好きになる前に性交と快楽だけ教えられてしまった。

 だからか、私は身体の言うことに抗えない節がある。もっと言えば、子宮の疼きに、おまんこの求める要求にひたすら従順になってしまう。

 それは時に心を通り越すほどに。いや、心を浸潤させて──侵食させて。

 これまではどうせ先輩しか見ていなかったから支障なかった。けれど、今はもう違う。

 

「はあ、もうっ────」

 

 頭をぶんぶんと振って熱を散らした。

 自分で不倫旅行に発っていて今さら何を考えているのだろうか。

 

「彼にも悪いコトしちゃったな……」

 

 昨日気分が乗らないといったら彼はあっさりと受け入れてくれた。曰く、『ヤりたくない時にヤっても疲れるだけ』との事。そしてさっき今日も休みたいとお願いした時も、渋々ながらだけど認めてくれた。

 そんな事もまた、私と彼の関係の変化を表しているのだろう。

 

 とはいえ、流石にこのまま今日もぼうっとしたまま過ごして明日になったら帰る、なんて訳にはいかない。

 彼には今夜、話をすると伝えてある。

 これからどうするのか。深入りし過ぎたこの関係を続ける事を望むのか、私の気持ちを。

 

 熱病に浮かされていたみたいな時間は終わって、現実に引き戻された。

 たぶん、決断するべきなのだろう。いきなりに思えるけれど、きっかけがあればいつかは来る事で、それが美綴先輩との再会だった。

 清算する時が来たのだ。私と彼の関係を。

 

「………………」

 

 といっても、急に答えなんて出ない。

 今までの私にとって、先輩との関係は何より大切なものだった。

 けれども、今や彼との関係も同じくらい、棄て難い。

 

 思い出されるのは、背反する記憶だ。

 穏やかで幸せな記憶と本能的な快楽に塗れた記憶。

 常識的に考えてどちらを選ぶべきかといえば、それは前者だろうに、私は迷ってしまっていた。

 

「……つかれた。ちょっと眠ろう」

 

 頭が痛くなりそうだ。悩み過ぎて答えの出ない袋小路に陥っている。

 両目をかたく瞑る。

 逃避するように眠りに落ちた。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 夢を見た。

 先輩と過ごす夢だ。

 

 私は主婦としてお仕事にいく先輩を見送る。毎朝お弁当と水筒を用意して渡して、行ってらっしゃいの挨拶をする。

 

 衛宮邸は広く、一人でお掃除するのはたいへんだ。でも毎日のように藤村先生や姉さんが来て散らかして、でも散らかした以上に片付けていってくれるので、意外とどうにかなっていた。

 

 先輩は必要ないと言ってくれたけれど、私も働いている。以前は週に数回はパートに行って家計の足しにしていた。でも、訳あってここしばらく行くことが出来ていない。

 

 私のお腹には赤ちゃんがいた。

 

 元気な男の子だ。時折、訴えるように私のお腹を蹴る。それを周りの人は、特に藤村先生はたいそう喜んでお腹に頬擦りなんかしたりしていた。

 

 こんなお腹で外で働けるわけがないので、今は内職をしている。パートと比べれば収入は減るけれど、何もしないよりはマシだろう。

 

 子育てについては美綴先輩がたくさんの事を教えてくれた。相談にも乗ってくれて、本当に頭が上がらない。今でも数ヵ月に一度の付き合いは途切れていなくて、最近は大きくなった美綴先輩のお子さんも一緒にいたりなんかする。

 

 家事はライダーが手伝ってくれて、相変わらず無口だけど優しく、私の身を慮ってくれている。ちょっと、先輩にちょっかいを掛けるのは見過ごせないけれど。

 

 最近は姉さんも一緒になって家事に顔を出す事がある。でも意外と不器用というか機械に弱い所があって、思わぬ失敗をしたりする。それをからかうと肩をいからせて怒ってそっぽを向かれてしまう。でもやっぱりライダーや藤村先生と同じように、いやそれ以上に、姉妹として私に親身になってくれる。

 

 そして先輩は──私の愛する旦那さまだ。

 私に笑い掛けてくれる。

 私を心配してくれる。

 私を愛してくれる。

 

 私の、私だけの正義の味方でいてくれる。

 

 もうあの戦いは終わって、後始末も済んで、劇的な事なんて何も起こらない。

 特別な出来事はなく、代わりに惨い不幸もない。

 ただ静かで穏やかなばかりの幸せな未来。

 

 そんな、優しい夢を見た。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 ヴーッ、ヴーッ。

 

「────、ぅ…………」

 

 短い眠りから覚めた。

 寝覚めは晴れやかだ。たっぷり深く眠ったあとの覚醒のように、身も心も清々しい。

 

「……今の、夢」

 

 ポツリと呟く。

 珍しく夢の内容をはっきり覚えている。これも美綴先輩と語り合ったからこそ見たのだろうか、何にも代え難い将来の夢。

 

 かつて、まだ間桐家に囚われていたころ夢見たような、しがらみから解放された日々の光景。

 そして今、私が倫理に外れた事さえしなければ、それに手が届く所まで来たのだと自覚した。

 

 そして心のどこかで、自分が何を選ぶべきなのかも、また。

 

「先輩────」

 

 あの日の光景を思い浮かべる。

 雨の中、抱き締めてくれた、あの──

 

 ヴ────ッ。

 

「あ、電話……」

 

 そうか。寝起きで気付かなかったけど、私は携帯に着信があって目が覚めたらしい。

 今掛けてくるという事は彼だろう。今日これからの予定についてか。それともやっぱりエッチしたいとかだろうか。

 

「はい、もしもし」

『あ、桜。突然わるいな』

 

 瞬間、息が詰まった。

 

「…………先、輩?」

『ああ、俺。旅行中すまない。いま大丈夫か?』

「は……い、はい。だいじょうぶ、です」

『そっか。いや、別に大したコトじゃないんだけどさ、このまえ替えの電球、買ったよな? トイレ用のヤツ。あれ、どこにしまったか覚えてないか? さっき切れちゃってさ、夜トイレが真っ暗なのはイヤだーって藤ねえがうるさいんだ』

 

 先輩は、

 私の夫は、いつもと変わらない様子で話し掛けてくる。

 出会った頃と同じ、一本まっすぐ芯の通った、私の好きな声。

 

「そう……ですね。たしか、廊下の途中にある納戸の籠のなかに入れたかなって」

『あれ? おかしいな、そこはさっき見たんだけど』

 

 がらりと戸を開けて、廊下を歩いていく音。映像を見なくても、先輩があの家のどこをどのように動いているのか、手に取るように分かる。

 

『えっと……うわ、あったあった。他の物の下敷きになってた。後でここも整理しておくか』

『士郎ー? 桜ちゃん知ってたー?』

『あー、あったよ藤ねえ! ……ん、ごめんな桜。楽しいとこ邪魔しちゃって』

「いえ、そんな。邪魔だなんて」

『あ、そうだ。いま暇なのか? 一人?』

「はい。今はちょっと、個別に休憩というコトで。部屋にいるんですけど」

『そっか。じゃあ聞いていいかな、旅行どんな感じだ? 危ないコトとかなかったか?』

「──────」

 

 …………ああ、きっとこちらが本題なのだろう。

 いくらグループでの旅行といっても、わたしが魔術に通じているといっても、数日家から離れさせるなんて先輩からしたら心配なはず。

 だけど先輩は恥ずかしがり屋な所があるから、理由をくっつけて連絡してきてくれたんだ。不器用で、ばればれだけど。私の事を思って。

 

「……はい、かまいません。今は海岸近くのホテルにいるんですけど、すごくいい眺めなんです。あ、そうだ。大ニュースがあるんですっ。私と先輩のお知り合いにばったりでくわしたんですけど、誰だと思います?」

『え……俺と桜の? ……誰だろう、高校の時の先生とか?』

「当たらずとも遠からずですね。実は昨日、美綴先輩と……」

 

 それから、私たちの会話は思いがけず弾んだ。

 旅行の話から美綴先輩の話になって、高校の思い出話になって。それから屋敷の外壁の塗り直しだとか、そろそろ車を買おうかとか、夫婦の将来の話まで。

 

 夢で見たビジョンはより鮮明になっていく。

 この人といればあの夢の通りの未来が来ると確信する。

 

 先輩とそんな話をしているうちに──いやそのずっと前から。

 とっくに、私の心は決まっていた。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 準備はできた。

 もう迷う事はない。

 

 ずっと外していた指輪を嵌めて、彼の部屋へと向かった。

 

 



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羽化

「桜です。入っても宜しいですか?」

 

 ドアをノックするとすぐに返事があった。

 

 ひとつ深呼吸してからノブを握る。声に促され、部屋に入った。

 

 おう、こっちこっち、と部屋の奥から声がする。進んでいくと、窓際に彼がいた。外を眺めている。

 

「わあ……。私の部屋もいい眺めですけど、こっちはもっと綺麗ですね。海だけじゃなく街も見えるし」

 

 大窓の正面には海岸が、角度を変えると街並みも一望出来る。きっと夜景はさぞ美しい事だろう。

 

「え? ……いえいえ、私の部屋もじゅうぶん見晴らし良いですって。これでも感謝してるんですよ? こんないいホテルに泊まらせて頂いて、他にも色々と……」

 

 話している最中、彼の視線を左手に感じた。

 そこには、この旅行中ずっと外していた指輪が光っている。

 

「あ、やっぱり美綴先輩をジロジロ見てたっていうの、貴方なんですね。よくないですよそういうの。ていうか私との旅行なのに他の女の人にちょっかい……、っと」

 

 だから手を出さなかったんだろ。と言われて、言葉が止まる。

 うん、まあ。そうだろうなとは思ってましたけど。

 

「……へぇ~? 意外といじらしいんですね貴方。他の女性をナンパしてたら私が機嫌悪くするからって我慢したんですか? ふぅん、へぇぇ」

 

 意地悪い私の笑みに、何なんだよ、と彼は眉をひそめた。

 分かっている。彼が早く私の答えを聞きたくて苛立っている事も、いつもと少し違う私の様子に不審を抱いている事も。

 でもまだだ。もうちょっとだけ先まで。

 しっかり彼の反応をみて、言葉を選ぶ。

 

「はい、あの方は私の高校の先輩です。同じ部活……弓道部の、私の前の部長さんですね。お綺麗でしょう? 今でも付き合いがあるんですけど、お子さんがこのまえ一歳になったんですって。もう私から見ても理想の家庭って感じで、憧れちゃうなあ」

 

 ふーん、と彼は生返事だ。なんで今、そんな関係ない事を? と思ってるんだろう。

 

 ──まあ、決して関係なくはないんだけど。

 

「夫婦生活とか、子育てとか。先達として色々教えてくださるんです。昨日もそうでした。実はですね、結婚式以来久しぶりに会ったんですよ。いや、正確にはお正月以来、ですね。だからほら、貴方と出会ってから初めて、しっかりお話ししたんです」

 

 部屋は涼しく保たれているけど、窓際は暑い。

 日差しが肌を照らし、体温を上げる。

 

「私が結婚して以来なので積もる話があったんです。これからの話も……それに偶々学校での再会だったから、昔の話も。それで、改めて私──凄いコトしてるなって思ったんです」

 

 興味なさげだった彼もこちらに注意を向け始める。

 そう、全く関係なくなんかない。私はとっくに本題に入っている。

 私の出した結論について。

 

「だからかな。私、夢を見たんですよ。私がこれ以上先輩を裏切らずにちゃんと奥さんとして生きる夢。夢の中で私、とっても幸せでした。波風立たなくて平凡な日々を過ごしてました。刺激はなくて退屈だけど、それが私が元々欲しかったものだったんです。

 それに──先輩から電話があったんですよ。ええ、私の旦那さんから、です。……別に特別な事なんて話してないですよ? けど、旅行楽しいかとか、何かトラブルがなかったかとか心配してくれて、……そのあと、これからについても話しました。おうちのこと、人生設計のこと」

 

 彼に言いながら思い返す事で、改めて気持ちが固まっていく。

 この道しかないって。

 これが私の本心から望む選択だと、再確認していく。

 

「先輩といたら間違いなく幸せにしてくれます。私を大切にして、私を守ってくれます」

 

 その末永い未来と貴方との関係を天秤に掛けました、と言外に伝える。

 

 彼は、何も言わない。私が出す答えを待ってくれている。

 

 それも分かっていた。彼が求めるのは、もう私の身体だけじゃなく、心も諸共だ。

 だから、この期に及んで手荒な真似には出ないだろう、と。

 

 

 それが──

 それが、嬉しい。

 だって、つまりそれは、私だけでなく、彼も。

 私のことを。

 

 

「だから、これが私の答えです。

 ……と、その前に」

 

 とん、と彼の胸元に額を当てる。

 彼が反射的に私の肩を抱く。

 

 

 

 瞬間ーーーー

 ぞぶり、と闇色が広がった。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 夏の日光が差し込んでいたはずの部屋が、一瞬にして暗くなった。

 カーテンを引いたなんて程度じゃない。コールタールのような闇が床を、壁を、天井を這っていく。ひんやりと肌が冷える。窓を隠し電灯を覆ったそれは光を吸収し、部屋は闇に包まれた。

 

 流出する黒色の中心に私は立っていた。彼に身体を預けたままの姿勢で。

 といっても、端から見れば別人に見えたかも知れない。髪は薄紫になって、片頬と太ももには血管めいた赤い葉脈が走る。

 そして服も。着ていたものは消え失せ、赤と黒を束ねた隙間だらけのタートルネックのような、淫靡で穢れた衣装に切り替わっていた。

 

 欲望を曝け出した姿。別人でも何でもない、ただ開き直っただけの、黒い私。

 もう私はマキリの杯ではない。この世全ての悪とは繋がっていないし、そもそも大聖杯は破壊されて存在しない。

 

 だからこれはあの頃の私を模した姿だ。あの埒外の力はなく、ただ私の闇は健在だと示すだけの姿。

 

 ──どきどきする。

 

 あの頃には遠く及ばないとはいえ、人をひとり殺傷するくらい訳はない。

 彼も本能で感じているはずだ。目の前の女がその気になれば、自分は一瞬で溶けて喰われると。

 

 ──心臓は早鐘を打って、テストの前みたいに緊張している。

 

「これが私の、本当の……っていうと違うかな。ひとつの……うん。私の一面です。私が魔術を使える、っていうのは御存知ですけど、こんな怪物とは思わなかったですよね? いま私がその気になれば、貴方なんて簡単に食べちゃえるんですよ」

 

 枝分かれした黒衣の裾が延伸する。補食を狙う蛸みたいに、彼の手足に絡んでいく。

 

 そうして、彼に訊いた。

 

「……それで。どう思います? こんな私を見て、どう感じました?」

 

 どくん、どくん。

 俯いて答えを待つ。

 彼の反応を今か今かと期待する。

 やがて、

 

 やがて──むにゅう、と。黒服の上から私の胸が掴まれた。

 

「ふぇ、あ、えっ?? あっあっ、あ♥️♥️」

 

 むにむに、と揉みしだかれて、ピンと勃った乳首を抓られる。

 おっぱいだけじゃない。手を回されてお尻も太ももも。コレどうなってるんだ、なんて感じでまさぐられる。

 

「ひゃっ、あっ、うぁ♥️♥️ ち、ちょっとっ、早く答えてくださいよう♥️♥️」

 

 いやまあ、もう分かりきってるけど。

 彼は興味深そうにしながら、

 

 ────いや、どうって。滅茶苦茶エロい格好になったな、と思ったけど。髪の色もこれはこれでそそるし、何よりこの服。隙間から見えまくってんじゃん。誘ってんの?

 

 ばっきばきに勃起したおちんぽを私にぐりぐり押し付けながらそう言った。

 

「ぷっ──あは。うふ、あはははははは♥️」

 

 嬉しすぎて笑ってしまった。

 だって、まさにそうだといいなぁ、と思っていた反応だったから。

 

「ああ──やっぱり。貴方、とっても素敵です」

 

 今でも覚えている。あの惨めな感情を。

 

「先輩に初めてこの姿を見せたとき、気持ちわるいモノを見るみたいに目を背けたんですよ。うわ、アレはもうどうしようもない、って。それなのに貴方は……ぷぷっ、もうおちんぽフル勃起じゃないですか……♥️♥️ そんなに欲しいですか、この私も♥️♥️♥️」

 

 先輩は私を見捨てなかった。最後には助けてくれた。

 でも、堕ちきった今の私にとって、彼の反応は余りにも甘美だ。

 私の表も裏も分け目なくただただ欲望の対象として見てくれる事が嬉し過ぎる。

 脳みその主張は封殺されて、汁を垂らして悦びアクメにイキ狂うおまんこに心が従っている。

 

 薬指のリングを外した。何より大切なはずの、先輩との結婚の証である銀色の輪。

 

 べろぉぉ、と舌を伸ばす。唾液が張り付く赤く長い舌。

 その先に指輪を乗せて。一息に、ごくん、と飲み下した。

 

「んっ──く、んふ──♥️」

 

 咽頭を過ぎて、食道を流れて、胃へ落ちていく。

 もう取り出せない。取り戻す気もない。

 小さな銀輪は私の体内を通って、知らぬ間に排泄され、汚水にまみれて、そして二度と誰の目にもつかないどこかのゴミ溜めにでも流れ着くだろう。

 

「これが私の答えです。

 ────はい。私、貴方のモノになります♥️♥️♥️」

 

 そうして私は、子宮が選んだ人に微笑んだ。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 それが私の結論だった。

 

 確信した先輩との未来、順風満帆な幸せの日々。それを私が嬉しいと思ったかというと、そんな事はない。

 

 つまらない、と思った。

 そんな刺激のない生活、今さら耐えられないと思ったのだ。

 

 別に、大した理由はない。劇的な切欠があるわけでもない。

 ただ──ただ、『これ、つまらないな』と自然と思っただけ。

 だって、そこには何もない。ただ穏やかなだけで、皆に囲まれているというだけで、私が覚えた背徳感も気持ち良さも子宮の悦びもありはしない。

 

 だから、あの夢を見た時は清々しかった。先輩との未来図があんまりにも退屈で、うんざりするくらいつまらなかったから。逆に、そちらを選ぶ理由なんて全くないと分かって。

 そうして先輩と電話で直に話す事で、この決断に確信が持てたのだった。

 

 きっと、とっくに手遅れだったのだろう。

 以前の私なら泣いて喜んで選んだだろう先輩との未来に、何の魅力も感じなくなるなんて。

 水滴が岩に少しずつ穴を空けるように、いつの間にか、じわじわと私が変質していた。

 この旅行のせいだろうか。結婚式を抜け出して不貞に及んだ時か。それとも彼が家に押し掛けて来た時、いや初めて会った時? 

 それとも、生まれつきこういうモノだったのか。

 

 もう分からない。どうでもいい。

 全てどうでもいいことだった。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

「はい、どうぞ♥️♥️ ここを開いて……ふふ、狙いを定めて……♥️♥️」

 

 ぬぷ、にゅるるっ、にゅぷぷぷぷぷ。

 

 両胸の中心におちんぽが挿っていく。

 私の黒服は、一枚の布という訳じゃない。手に触れられる影で出来ていて、それぞれの縦縞が別れた帯のようなものだ。

 だからこうして指を差し入れて『くぱっ』と開けばこの通り、おちんぽ搾精機の入り口が出来上がる。

 メートル越えも近い柔らかさと弾力を備えたおっぱい。その魅惑の谷間へおちんぽが入っていく。

 

「ほら、挿っていきますよ♥️ 貴方の素敵な亀頭でおっぱいを掻き分けて……あん♥️ ぴくぴく跳ねて中でおっぱい擦ってます♥️♥️」

 

 左右からおっぱいを掴み、彼のおちんぽを悦ばす道具としてズリ合わせる。

 私のおっぱいは柔らかめで自在に形を変える。何よりパイズリ奉仕は相手の目も楽しませなくっちゃいけない。

 なので、ぐいい、とおっぱいを縦に伸ばしておちんぽを挟む。普通のパイズリと違ってこうするとおちんぽがすっぽり隠れ、先っぽがこちらの胸板まで届く。

 

 この服だから出来る巨乳縦パイズリだ。両手でおっぱいを支えながらずり、ずりとおちんぽを扱いていく。

 

「くすっ、ぜんぶ挟んだ途端、もっとびくんびくん跳ね回ってますよ♥️♥️ でも大丈夫です……私の柔らかおっぱいがクッションになりますから♥️♥️」

 

 おちんぽのしゃくり上げを防ぐ、訳じゃない。好きなだけ暴れさせて、その度におっぱいに揉みくちゃにされる快感を味わわせて、その上でぜったい放さない。

 おちんぽが跳ねている時は私はじっとする時だ。おちんぽの自分勝手なおっぱいの味わい方が終わると、私の動く番。

 

 上体を前後させ、ずりゅ、にゅぶっ、とおちんぽをズッていく。おっぱいを支えるだけでなく胸下あたりの黒服を手で押さえると、ボンテージみたいに胸を締め付けた。ぱっつんぱっつんで手を離せば弾けそうなぐらいの肉毬でおちんぽを包む。

 

「はっ、はっ♥️♥️ ぁ、は♥️♥️ どうですか、私の縦ぱいずり……♥️♥️ ふふっ♥️♥️ この姿でこんなコトする時が来るなんて♥️♥️」

 

 彼の恍惚の顔を上目遣いで見上げる。

 正直いって、パイズリは女の方は大して気持ち良くはない。おっぱいで擦っているだけだし、敏感な乳首は放ったらかしだ。

 

 なのでこのプレイは、どちらかといえば精神的な充足が得られるもの。パートナーに快感を与えること自体に喜びを見出だすのだ。

 そういう意味で言えば、いまの私は満ち足りている。存在としては遥か格上の女を跪かせて味わうパイズリに、彼はとても悦んでくれているようだから。

 

「ほら、もっとぐりぐりしてあげます……♥️♥️ えいっ♥️♥️ えい、えい♥️♥️」

 

 単調に扱くだけじゃない。

 まずは両胸を左右に開いて、ぱん、ぷにゅん、と中央で叩く。果てしなく柔らかい肉毬でのビンタで彼のおちんぽが痺れていく。ぱつん、と両胸を閉じて開くと、柔力と弾力を感じたおちんぽがびきびきと青筋を立てる。私の肌がおちんぽに触れるのは一瞬だけであとは解放されてしまうというのに、その一瞬が病み付きになってしまうのだ。

 

 かと思えば、突然またおっぱいでキツく抱き締めてあげる。すると耐えられないというようにとろとろの先走りを吐き出した。

 それを谷間に伸ばして、次はおっぱいを上下に、互い違いに揺する。にゅるんにゅるん、と潤滑のよくなった両房を擦り合わせる。そのうちにまた前後運動も再開して、おちんぽに上下左右からパイズリ快楽を流し込んでいく。

 

「あは、おちんぽも貴方も苦しそう♥️♥️ ほらほら、搾りとってあげます♥️♥️」

 

 彼はだらしなく股を全開にして天を仰いでいる。

 そんな性感に耐えるところも愛おしい。でも手は緩めてあげない。下手に焦らすより、昂りのまま一気に射精した方が気持ち良いだろうから。

 

 最後は今までの全部を代わる代わるおちんぽに浴びせてラストスパート。おっぱいでおちんぽを徹底的に虐めて、挟んで、扱いて叩いて。柔らかい凶器で射精感を高めていく。

 そして前後に精液を引き出すみたいに縦パイズリすると、おちんぽが震えた。

 

「いいですよ、射精、中で──♥️♥️ ぜんぶおっぱいで受け止めてあげます♥️♥️ ほら、ぎゅぅぅう~~っ……♥️♥️♥️」

 

 おっぱいでおちんぽを抱きかかえるようにして、彼の腰に密着する。

 縦おっぱいの行き止まり、心臓の辺りの胸板に、亀頭がコツンと当たった。

 

 途端──弾けるように精液が吐き出される。

 びゅる、びゅるる、びゅくびゅくっ──とパイズリ中出しで射精していく。

 おちんぽが跳ね上がり、精液を打ち出す。それがまたおっぱいの柔肉の感触を味わう事になり、また跳ねる。

 人妻縦パイズリへの射精が止まらない。彼の腰が震え、くいくいっと私の方に押し付けられる。

 

 もちろん、私は逃げなんかしない。宣言の通りこの身体の全身でもって彼を受け止めてあげる。

 

「もう、出しすぎ……っ♥️♥️ 射精止まらない♥️♥️ まだ金玉の中身空っぽにしちゃ駄目ですよ♥️♥️ もっと戴きたい所があるんですから♥️♥️ これはまだ慣らしの一発目だって分かってますよねえ……♥️♥️」

 

 ──なんて言いつつも、出したいだけ出させてあげるのだけど。

 おっぱいを彼の下腹部に押し付けて、手持ち無沙汰なので彼のお腹に頬擦りする。ぴゅつ、ぶぴ、と精液が空気を押し潰す下品な音が谷間で響くのを感じながら。

 

 金玉まで引っこ抜いちゃいそうな射精が数分間続いた。にゅぶぶぶ、とおちんぽを引きずり出す。ねとぉ~っ、と亀頭と谷間に橋が架かった。

 

「ああもう、こんなに射精して……♥️♥️ おっぱい開いたら零れていっちゃいますね♥️♥️ 仕方ないなあ……♥️♥️」

 

 仕方ない。仕方ないので、おっぱいを持ち上げた。

 上から胸元を覗くとおびただしいまでの精液が溜まっている。

 それを、頭を傾け、胸元に唇を当てて。一気に啜った。

 

「じゅるっ……じゅるるるるる♥️♥️ ずるっ♥️♥️ ずず♥️♥️ ずびぃぃいい~~ッッ♥️♥️♥️」

 

 美味しい美味しい甘露のような精液を啜り飲む。

 生臭く青臭いのに、身体がかあっと熱くなっていく。

 

 彼が気持ち良く出してくれた精液だ。一滴だって無駄には出来ない。

 彼の精液は濃く、粘りっけも凄い。何回かに分けてこくこくと飲み干していく。ようやく完飲すると、お腹はたぷたぷになってしまっていた。

 

「ぶっはぁあああ……♥️♥️ 本当、たくさん出すんだから……♥️♥️」

 

 しょうがないだろ、気持ち良かったし──と彼がぶつくさ言うのを見て、また笑ってしまった。

 

 

 

 

 

「は、っ……♥️♥️」

 

 足が震えている。恐怖じゃなく、期待に。

 

 ベッドに寝そべる彼に跨がって狙いを定めた。

 屹立するおちんぽの先を、おまんこの入り口に触れ合わせる。

 

 私が上で彼が下、という体勢は昨日の対面座位と変わらない。

 違うのは、身体でなくて中味。

 一線を引いてスリルを楽しんでいた昨日とは違う、

 彼に心まで捧げる駄目押しのエッチだ。

 

「は…………っ、は♥️ は、あっ♥️ はっ♥️ はっ♥️ はっ♥️ はっ♥️ はっ♥️ はっ♥️ はっ♥️ はっ♥️ はっ♥️ はっ♥️ はっ♥️ はっ♥️ はっ♥️ はっ♥️ はっ♥️ はっ♥️ はっ♥️ はっ♥️ はっ♥️ はっ♥️ はっ♥️」

 

 犬みたいに舌を出して喘ぐ。挿れてもいないのに酷く興奮している。

 だって、ぜったい気持ち良い。

 今まで大切にしてきたものを踏みにじって楽しむこのエッチは、取り返しがつかないほどのアクメを私にくれる。

 

「ぅう、あっあぁぁあああ……♥️♥️」

 

 ぬぶ。

 亀頭が陰唇に潜り込んで、それだけで軽イキしてしまう。

 膣が蠕動しておちんぽを中へ中へと求める。子宮口は弛みきり、ぶたれるのを待っている。

 

 ──桜。

 

 彼に呼び掛けられたので視線を合わせる。

 

 ──早く。桜が欲しい。

 

 いつか、先輩にも言われた気がする言葉。

 あの時も嬉しかったけど、

 今のはそれ以上。

 

 ごっつん、と子宮と亀頭がぶつかった。

 ワザとじゃなくて、嬉しすぎて腰が抜けたのだ。

 

「──────オ゙ッッ♥️♥️♥️♥️♥️」

 

 串刺しになって、あっさりガチイキアクメした。喉を反らして、舌が勝手に飛び出て、絶頂に打ち震える。

 

 ガックンガックン仰け反りながら痙攣する。

 この一突きだけで、先輩とのエッチ何回分の快感なのだろう。

 何度目か分からない確信をしてしまう。どれだけ繰り返し確かめてもきっと答えは変わらないと分かってしまう。

 先輩との幸せじゃなく、彼との姦通を選んだ事は、まちがいじゃないって。

 

「あっ♥️♥️ ああっ♥️♥️ ふぁ♥️♥️ ああああああ~~♥️♥️♥️」

 

 彼が腰を突き上げて、お望み通りの子宮殴打エッチが始まった。

 正直もうこっちは根を上げているんだけど彼が手を緩めてくれる訳もない。ごちゅッ、ぶちゅ、と子宮口が小突かれる。

 

 薄紫の髪を振り乱して喘ぐ。以前この姿だった時は、力を振るったり相手を傷付ける度にある種の快感を得ていた気がする。

 でも、今はただガワを被って性交しているだけなのに、比べ物にならない気持ち良さ。

 相性最高のおちんぽで膣を擦られるたびに、胎を押し広げられるたびに、子宮を殴られるたびに。理性が融けそうな快楽が押し寄せる。

 

 他の人にも、こんな運命の人がいるのだろうか。私だけなのだろうか。よく分からない。

 確かなのは、私は彼に出会ってしまった、というだけ。

 過去の積み重ねなんて、想い出なんて──

 今この時、お腹に伝わるこの幸福感の前では、余りにも遠い。

 

「おうッ♥️♥️ ぅおお♥️♥️ おぐっっ♥️♥️ ひ、すごいっ、しゅごいい……♥️♥️♥️ しゅきっ♥️♥️ 好き♥️♥️ 貴方がいちばん好き、先輩より────♥️♥️♥️」

 

 いつしか恋人繋ぎで指を絡めていて、以前なら考えもしなかったような事を叫んでしまう。

 

「は……いっ、はい♥️♥️ 赤ちゃん孕みますっ♥️♥️ 先輩じゃイヤ、貴方じゃなきゃイヤです……♥️♥️ なんでって、決まってます♥️♥️ 先輩の精子で妊娠するとか、ぜったいムリ♥️♥️ 貴方の精子には負けちゃいます♥️♥️ 無理やり中出しされたってきっと私の卵子が跳ね返しちゃいます、貴方の精子じゃなきゃ駄目です~って♥️♥️ それにエッチだって、貴方に比べたら子どものおままごとみたいだし……♥️♥️ 頑張ってるのは認めますけど、はっきりいってぜんぜん足りないんです♥️♥️ 貴方との気持ち良さを知っちゃったら戻れるはずありません♥️♥️ もうどうしようもないんです♥️♥️」

 

 彼の上で跳ねながら酷い事を言う。

 心が痛む。先輩に申し訳なくなる。

 でも、そのぶん気持ち良くなる。

 

「ふふ、心配いりません──先輩、言ってくれたんです♥️♥️

 俺が桜を守るよ、って♥️♥️

 桜だけの正義の味方だよ、って♥️♥️

 だから許してくれますよう♥️♥️ だって私はこっちの方が幸せになれるんですもん♥️♥️ 気持ち良いんですもん♥️♥️♥️ そっか、桜がその方が幸せなら仕方ないな──って渋々認めちゃいますよ、きっと♥️♥️♥️」

 

 まあ──もしそうでなくても、考えがあるのだけど。

 

 今はいい。

 とりあえずは、また膨らみ始めたこのおちんぽで、トドメを刺して貰う事だ。

 

「あんっ♥️♥️ あっ♥️♥️ あは♥️♥️♥️」

 

 肉と肉が打ち合う音だけがこだまする。

 汗を散らし、黒服を波打たせ、完堕ちエッチに没頭する。

 それは、間違いなく人生でいちばん幸せな時間だった。先輩と出会った日よりも。先輩に告白された時よりも。雨の中抱き締められた事よりも、

 約束の桜よりも。

 

「はっ、あ♥️♥️ ……私、こんな身体だから♥️♥️ 中がどうなってるかも分かっちゃうんです♥️♥️」

 

 ヘソの辺りを見詰める。亀頭にぱっくり吸い付いている、子宮の真上。

 

「今……子宮降りきって……♥️♥️ 排卵、してます♥️♥️ 貴方の精子に襲われる為の卵子、準備出来ちゃってます……♥️♥️ 私にください、貴方の種♥️♥️ 人妻を完堕ちさせる、いちばん濃いの……♥️♥️

 ……はい、好きです♥️♥️♥️ 貴方のコトが好き♥️♥️♥️

 先輩よりも好き、いちばん好き……っっ♥️♥️♥️♥️

 だから……お願い、します──♥️♥️♥️♥️」

 

 おちんぽに貫かれながら、べったりと上半身を倒す。

 うなじが晒されるくらいに深く。

 身も心も明け渡す、腹上での土下座。

 

 私の最奥に、おちんぽが食い込んだ。

 

 

 びゅるううううううっ♥️♥️♥️ どぴゅどぴゅっ♥️♥️

 びゅる、びゅるるっ♥️♥️♥️ ぶびゅうう~~~♥️♥️♥️

 どぷどぴゅ、ぴゅっ♥️♥️♥️ びちびちびちっっ♥️♥️♥️

 

 

「──────♥️♥️♥️♥️♥️♥️♥️♥️♥️♥️」

 

 入ってくる。

 染み込んでいく。私の子宮に、心に。

 水に落ちた墨がもう別けられなくなるみたいに、二度と戻せない色が混ざっていく。

 

 さっきにも増して、彼の射精は長い。きっと彼も分かっているのだろう。

 これで、私が手に入ったって。自分のモノになったって。

 

 彼が優しく頭を撫でてくれて、余韻たっぷりの甘イキ。

 ぴゅる、ぴゅっ、と。最後のお漏らしみたいな射精が終わって、出しきったおちんぽが萎えて、尿道に詰まった精液もおまんこに漏れ出るまで、ずっと挿入したまま、騎乗位土下座を続けていた。

 

 

 



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約束の花。

 

 天気は快晴。風は僅か。長袖では上着を脱ぎたくなる陽気。

 今日は最高の花見日和である。

 

 

 

 

 

 

「うーん、やっぱり良い場所ね。わたしの狙いは間違ってなかったわ。朝から確保してた甲斐があったわね」

「いや、場所取りしたのは俺だけど」

「選んだのはわたしでしょ? 士郎は座ってただけじゃない」

 

 キョトンとした顔で遠坂に言われると、その通りな気がしてくるから不思議だ。

 

 地面に敷いたビニールシートの上に遠坂が荷物を置く。大きめの肩に掛けるバッグの中には、人数分の弁当が入っているのだろう。

 周りを見渡せば同じような人たちが点在している。向こうの会社の集まりらしい団体など、既にアルコールが入って盛り上がっているようだ。

 

「凛。飲み物はこちらで良いでしょうか」

「ああ、ありがとねライダー。そっちに置いといて、温くなっちゃうから全部は出さないでね」

「承知しました」

 

 どっさり、と遠坂のものより更に一回り大きい荷物をライダーが置く。こちらの中身はジュースとお酒。桜は今は控えなくちゃいけないが、遠坂やライダーはよく呑むし、こういうイベントには必要なものだろう。

 

「うっわ、またいっぱい買い込んできたわね。ビールに焼酎、ハイボール、チューハイ。……ライダー、貴女どれだけ呑む気?」

「別に予算の中で購入しただけですが。そういう凛も頬がにやけていますよ」

「いや、あっはは~……まあ買っちゃったものはしょうがないわね、私が責任持って呑みましょう!」

「いえ、私も呑みますが」

 

 何やら言い合う二人を他所に、ぼうっと見上げる。

 視界は美しい薄桃色でいっぱい。それは常にちらちらと花弁が落ち続け、しかしまだ暫く無くなる事はない。

 

 冬木の街にも桜は沢山ある。そこらの道路脇から学校の校庭まで、至るところに植えてある。

 けれど、ここはその密度が違う。

 

 この街の中心に流れる未遠川、その土手。そこには一定の距離を置きつつ、計数十本もの桜の樹が植えてある。春には桜が咲き乱れ絶好の花見スポットになる、冬木市民なら誰でも知っている自然公園だ。

 

 ──春にここで一同集まり、花見を兼ねた宴会を開く。それが俺たちの間でのお約束事だった。

 

 今年で……もう4回目、になるのか。

 この催しは、始めてから一度も欠かした事はない。俺が身体を取り戻し、日常が戻ってから、一度も。

 それは当然だ。だってこれは、桜の願いだったんだから。

 全て元通りになって、春が来たら──花を見に行きたいと。

 

「ちょっと士郎、なに惚けてんの。あんたも準備手伝いなさいよ」

「っと、わるいわるい」

 

 遠坂に背中を突っつかれてしまった。

 いかんいかん、何だか黄昏ていた。ライダーはともかく遠坂はそのあたり目敏い。お金にうるさいのと同じで、とは口が裂けても言えないが。

 

 遠坂とライダーと俺、三人で協力して荷物を広げていく。ビニールシートは数枚繋げてあって、あと二人や三人は優に乗れる広さだ。そこに腹を満たすためのもの、喉を潤すものを並べ、宴会に備える。備えるといっても元々一番食べる桜は今は抑えないといけないし、二番目に食べる藤ねえは仕事で遅れる事になっているので、例年よりは控えめなのだが。

 

「ふ……、しかし、何というか」

 

 いつも通り眼鏡に黒のサマーセーター、ジーンズ姿のライダーが笑みを零した。

 缶ビールをこつんこつんと並べながら、

 

「去年からは想像も出来ませんね。いえ、やることは同じ花見でしかないのですが。しかし……、ある意味ようやくと言った所ではありますか」

「あーそうよね。ホントようやくよ、ようやく。ぶっちゃけまだかまだかと思ってたんだから。思いきって『どうなってるの? ちゃんと計画してる?』って聞こうかと思ってたくらい」

「あのな遠坂。おまえ、デリカシーって言葉はないのか。妹にそんなコト聞くなんて」

「桜に聞く訳ないじゃない、そんな失礼なコト。あんたに決まってるでしょうが」

「なんでさ」

 

 いや、まあ。妹想いなのは美徳だと思うけど。

 

 駄弁りながら準備しているうちに、他の花見客も増えてきた。空いた隙間を埋めるように次々とシートが広がっていく。そろそろざわめきのせいで少し声を張らなくちゃ相手に伝わらなくなりそうだ。これでも今日は平日だから少なめで、多いときには足の踏み場に困るくらいだから恐ろしい。

 

 何故知っているかというと、二年目の時に大変な目に遭ったからだ。団体での花見なんて初めての経験でこんなに混むとは知らず、皆して昼過ぎに悠々と荷物を抱えて来た。当然ながらまともな場所なんてなくて端っこのそのまた角になんとかスペースを確保したのだが、そこからじゃまともに花も見えなかったのでいちいち立ち上がって見に行っては戻って弁当を摘まんで、と無駄の多過ぎる花見を過ごしたのだった。

 

 途中からはあまりの回りくどさに吠えた藤ねえが遠くでやっていた組の下っ端さんたちの場所を借りて入れさせて貰ったのだっけ。しかしぐだぐだと桜に絡む若い衆のヤツがいて、そいつを追っ払うのに気を割かないといけなかったからあんまり楽しんだ記憶はない。桜はわりと酔っていたし花見に夢中で、ちょっかいを掛けられていた事にも気付かなかったようだけど。そんな経験を活かし、それからはちゃんと場所取りするようになったのだ。

 

「……ふう。準備はこんなとこか」

「そうね。はー、しっかし良い眺め。毎年見てるけどやっぱり飽きないわね~」

「ええ、本当に。この光景をともに見られるというのは幸せです、士郎」

「え、なにそれライダー。まるでわたしはどうでもいいみたいに聞こえるけど?」

「そのようなコト、一言も言っていませんが。ああ士郎、助けてください。凛が言い掛かりを付けるのです」

「っと、うわ」

 

 仲がいいんだか悪いんだかよく分からない二人に左右から挟まれる。

 両肩に温かく、柔らかい感触が伝わる。いかん、心頭滅却煩悩退散ーーと心で唱えるけど少しばかり鼓動が早くなってしまう。最近こういう事がよくあって、洗面所で風呂上がりの遠坂にばったり出くわしてビンタされたり、ライダーに悪戯される夢なんかも見てしまったりする。最近は夜の営みはご無沙汰とはいえ妻を持つ身である、色欲に囚われる訳にはいかないから、鍛えた自制心で耐えているのだが。

 

「ねぇねぇ士郎~、ライダーが口答えする~。士郎からも何か言ってやって~」

「いけません、士郎。凛は妹に先を越されて内心焦っているのです。相手にしてはなりません」

「ちょっとぉ!?」

 

 いや、だから。俺の両脇でやり合うのはやめて欲しいんですが。

 

 二人は身を乗り出すようにして戯れ合いを続ける。割りを食うのは俺だ、肩身が狭いというか身動きが取れないというか。

 両側から甘い香りが漂う。桜とはまた違う、遠坂とライダーの香りだ。匂いってのは記憶を刺激するもので、思わず二人との際どい記憶を思い出してしまう。

 

 いかん、まずい。こんな所を見られたら事だ、とどきまぎしていると──

 

「お待たせ。……え、何よコレ。遠坂もライダーさんも、何で衛宮をサンドイッチしてるの」

「美綴! いい所に来たっ」

「はあ?」

 

 ひょこ、と遅い御到着の美綴綾子が顔を出した。

 

 美綴が花見に参加するようになったのは……確か二回目からだ。と言っても去年は忙しくて来られなかったから、二年ぶりになるのだが。

 美綴のところのお子さんもすくすくと育っているらしい。俺は見た事はないけど、桜はよく家にも行っているようだ。

 

「なーにやってんのかね……。つか、既婚のクセに美人二人に挟まれて鼻の下伸ばしやがって。見損なったよ衛宮」

「いや待て、どう見たって厄介なの二人に絡まれてる構図だろっ」

 

 なによそれ、失礼ですね、という左右からの声は無視しておく。

 さっさと二人を退かさないと。何しろ美綴が来たという事はつまり、

 

「だってさ桜。旦那さんが言い訳してるよー」

「──────」

 

 あ。なんか、ぞくっときた。

 

 恐る恐る振り返る。そこには、美綴に手を引かれている桜がいた。

 

「………………」

 

 にっこりと笑っている顔が、妙に怖い。

 っていうか目が笑ってない。じと目で姉と従者に挟まれる俺を見下ろしている。

 

 きぃん、と空気が凍った。いつの間にか遠坂とライダーはそそくさと離れている。俺はといえば、蛇に睨まれたなんとやら宜しく固まってしまった。

 

 やがて──ふぅ、と桜が息を吐く。

 それでようやく、場の緊張感は霧散したようだった。

 

「……まったく、先輩ったら。事情はだいたい分かりますけど、もうちょっとくらい強く突っぱねてくれたっていいじゃないですか。そんなんじゃ焼きもち妬いちゃいます、私」

「ご、ごめん桜。いや、あの二人がさ」

「ふうん? そうなんですか、姉さん、ライダー」

 

 ちろり、と桜が視線を投げる。二人は背筋を伸ばして、

 

「いっ……いやぁ桜、冗談だってば。そんな、妹の旦那にヘンなコトするわけないじゃない」

「ええ、全くですとも。士郎の思い違いでしょうね」

「おーい」

 

 あからさまに逃げやがった。でも、桜にはちゃんと伝わったようだ。

 

「はいはい、分かりました。いつも通り先輩には非はないみたいですね。まあ分かってましたけど。……さて、それじゃあ」

 

 くす、と桜が笑う。

 気を取り直して、

 

「お待たせしました、先輩。今年もこの日が迎えられて嬉しいです」

「ああ。俺もだよ、桜」

 

 桜の手を引いて、隣に座らせる。

 

 そのお腹は、はっきり分かるほどに大きくなっていた。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 宴会は、藤ねえが不在だからか例年より静かだった。

 まあ藤ねえ以外のメンバーは元々そんなに喋る方じゃない。せいぜい遠坂が口数多めといった所だ。

 

 それでも、場は自分たちなりに盛り上がっていた。人生の要所をともに過ごしてきた間柄だ。積もる話も、それぞれの現状も、これからの展望も各々にある。

 

 毎年思う。そう、ナイフを持って桜の部屋に忍び込んで、その喉を裂こうとして、それでも出来なかったあの時──

 こんな未来が来ればいいな、と思った事を。

 

 

 

 

「衛宮ぁ、盛り上がってる~?」

「うわ、酒くさいぞ美綴」

「うるさいね、ほらもっと呑みなさいっての」

 

 開始から一時間程度。

 すっかり出来上がった美綴に絡まれた。意外とこういう場ではしっかり呑んで酔うヤツなのだ。

 

「ほら、ぜんぜんビール減ってないじゃん。さっさと飲み干すっ」

「分かった分かった」

 

 こうなったら断れない。一気にコップを煽って、すぐさまお代わりを注がれてしまう。

 

 美綴の言う通り、俺はあまり手が進んでいなかった。別にお酒が嫌いとかいう訳じゃなくって。

 ただ────

 ただ、見惚れていた。

 そよ風に髪を靡かせて、春の陽気にほんのり頬を赤らめて、その名と同じ花びらを手のひらに掬って。

 花を見上げる、俺の妻に。

 

 駄目です。私といたら、きっと先輩を傷付ける。

 

 雨のなか抱き締めたとき、桜はそう言った。

 自分といたら不幸になると。この恋の終わりに、幸せは待っていないと。

 そんな事はない。愛おしげにお腹を撫でる桜を見れば、はっきりとそう断言出来る。

 

 冬が過ぎて、春になったら────

 その約束を果たすのは、これで4度目。

 そしてこれから、きっと数えきれないくらい、その回数を重ねていく。

 いや、重ねていきたいと思う。

 

「羨ましい」

「……美綴?」

 

 不意に美綴が呟いた。その視線は俺と同じく桜に向けられている。

 

「羨ましいって何が……あ、子どもか? 何言ってんだよ、そっちが先じゃないか」

「…………。いや、二人目が欲しいなってね」

 

 話を絶ち切るように、美綴はそう言った。

 

「そうだ、そんなコトより。ほら桜、こっち来て! うちの家族にも見せたいんだ、衛宮家ご夫婦の写真、撮らせてよ!」

「あら、いいわねそれ。ほら桜、行って来なさい」

「え……っと、じゃあ、はいっ」

 

 遠坂に促され桜がこちらに来る。しっかりした足取りだ。さっきは一応美綴に手を引かれていたけど、桜もそんなにヤワじゃない。お腹が膨らんだくらいでふらつくような鍛え方はしていないのだ。

 

 俺たちのシートの近くで一番立派な桜の樹の前で夫婦二人、並んで座る。桜は自然と俺の腕に自分の腕を絡め、こてん、と頭を肩に乗せる。

 美綴がスマホを持って俺たちから少し離れた所に立つ。

 

「先輩」

「うん?」

 

 美綴の隣に遠坂も立って、自分のスマホを掲げた。けどどうやら上手くいかないらしくて、あたふたと悪戦苦闘している。

 

「あの時の約束、まだ生きてますか。私だけの正義の味方になる、って」

「──────」

 

 びっくりした。お互い決して忘れる事はなくても、その話を口に出すのは初めてだったから。

 

 顔を見なくても桜の不安な気持ちが伝わってくる。

 きっと妊娠もして、心細くなっているのだろう。その様子を見抜けなかった自分を恥じながら、はっきりと答える。

 

「ああ、当然だ。忘れる訳ない。俺はずっと、何があっても桜の味方だよ」

「……そうですか。良かった──それなら、きっと全部うまくいきます」

 

 

 くすり、と桜が笑うのが聞こえた。

 

 

 遠坂は相変わらず苦戦していて、壊れたのかと半泣きで美綴にすがり付いている。それを見た美綴が大笑いして、釣られて遠坂も笑ってしまい、珍しくライダーまで口に手を当てて笑っている。

 

 

 みんな笑っている。

 誰も彼も笑っている。

 

 

 これからの未来を想いながら、俺も微笑んで、カメラのレンズを見詰めた。

 

 

 




本編は次で終わりです。


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新妻・間桐桜の姦通

 宴会は思ったより長引いて、時間だけが過ぎていく。

 空はいつしか薄暗くなっていた。

 

 

 

 

 

「ほら先輩、どうぞどうぞ。私の代わりにもっと飲んでください」

「うわ、もういいってば……っとと」

 

 先輩はそんなに呑む方じゃない。いつもはちびちびと嗜む程度だ。でも今日は例外、沢山呑んで貰って、たまにはふらつくぐらい酔ってしまうのもいいだろう。

 私もお酒は好きだけど妊娠していては呑めないし、他の人が美味しく呑んでいるのを見るだけでも楽しいものだ。姉さんやライダーはもともとけっこう呑む派なので、この日くらいは先輩の番という訳だ。

 

 周囲はこの時間になっても人が引かず、むしろ賑わいを増しているように思える。あちらこちらでお酒が呑まれ、もう花見より宴会の方がメインになってきているようだ。

 

「桜、お腹大丈夫か。冷えてないか?」

「はい、大丈夫……あ、じゃあ」

「?」

 

 確かに妊婦のお腹を冷やすのはよくない。もう春とはいえ、夜はまだ肌寒いし。

 

 という訳で、

 

「せっかくです。ほら、先輩が撫でて暖めてください」

「はは、分かったよ」

 

 先輩が私のお腹にぽん、と手のひらを当てる。

 温かい手だ。服の上からでも分かるくらい、じんわりと熱が広がる。

 

「ん……まだ動かないんだな。そろそろ動いてもいい頃合いらしいけど」

「心配しなくても、ちゃんと育ってますよ。すぐにお腹を蹴るくらい元気になってくれますって」

「ああ、そうだな」

 

 目を細めてお腹を撫でる先輩。まさに父親の表情という感じで、学生の頃からは想像も出来ない顔だ。

 

「先輩、かなり呑みましたね? 顔赤いですし、ちょっとお酒くさいですよ」

「う、すまん。調子に乗りすぎたかな、今までで一番ってくらい呑んじまったよ。ほら、桜がお酌してくれるしさ」

「くすっ、言い訳しちゃ駄目ですよ」

 

 恥ずかしそうに笑う先輩に、私も笑んでしまう。と、目敏く姉さんとライダーがこちらに寄ってきた。

 

「あっはは、士郎ったら顔真っ赤~っ。ちょっと可愛いかも~」

「ふむ。なかなかそそる表情をしますね、士郎」

「からかうなって……」

 

 こちらも酔っ払いの二人に絡まれる先輩は居心地が悪そう。でも無理やり振り払うような事は出来なくて、済まなそうに私をちらちら見ている。そんな所は、少し可愛い。

 

 美綴先輩は私たちとちょっと離れた所で電話している。遅くなるかも、なんて声が聞こえる。たぶん家に電話しているのだろう。

 

 先輩と二人の問答を聞き流していると、スマホを下ろした美綴先輩が戻ってきた。

 

「美綴、ご家族はいいのか?」

「今日は作り置きしておいたし大丈夫でしょ。あと藤村先生にも連絡してみたけど、どうも今回は来れそうにないみたい。なんか新しい書類を見付けちゃったとか」

「あー。もうすぐ新年度だからかな。藤ねえ、あれで担任持ってるし」

 

 藤村先生はまだまだ現役で教員を勤めている。たまに突拍子もない言動をする事はあるけど、皆に慕われる先生でもあるのだ。

 

「残念ですね、藤村先生。楽しみにしてたのに」

「ま、仕方ないだろ。そういうコトもあるさ」

「……でも、ちょっと可哀想。そうだ、写真送ってあげようっと」

 

 昼間に撮った明るい桜並木の写真を貼り付けて送る。お仕事で忙しく見る暇もないのだろう、すぐに既読は付かない。けどまあ、終わった後に見て貰えればそれでいい。

 

 ……それと、もうひとつ。違う相手にも返信しておく。

 

「──ねえねえ桜っ、お腹どんな感じなの!? やっぱり重い!?」

「へっ?」

「私も興味があります。妊娠するとはどういう感覚なのでしょう。『この』私は孕んだ経験はありませんから。やはり幸せなものなのですか?」

「え、ええっと」

 

 姉さんとライダーが興味津々で聞いてくる。ぐい、と乗り出してきて、気圧されてしまった。

 

「な、なんですか二人とも。そんなコト気になります?」

「あたしからも聞きたいね。桜の率直な感想」

「綾子さんまで……ていうか、綾子さんはお子さんいらっしゃるじゃないですか」

 

 後ろから美綴先輩にまで聞かれてしまう。

 私が言い逃れしようとしても三人は包囲網を緩めてくれない。正直に言ってみろ、さあ早く──と迫ってくる。

 仕方ない。仕方ないので、口を開く。

 

「まあ……幸せ、ですよ? 愛している方の赤ちゃんがいるんですから。最近はけっこう重くなってきたんですけど、その重みもこう、愛情が湧いてくる、というか。……妊娠が分かった時は、ちょっと不安にもなったんです。きっと妊婦さんは皆そうなんじゃないかと思うんですけど、ちゃんと育てられるかな、私に務まるかなって。でも私、この子のお父さんとならきっとやっていけるって感じたんです」

 

 三人は何だか神妙に私の話を聞いていて、隣では先輩も恥ずかしそうにぽりぽり頬を掻いてなんかいる。

 私も恥ずかしいんだけど、今さら話題を変えられない。一息に言ってしまおう。

 

「最初は上手く行きませんでしたし、色々と……紆余曲折あって、やっとその、結ばれたっていうか。そういう山あり谷ありな所も今からすれば必要なコトだったんだなって思います。

 ……それでさっき、先輩に聞いてみたんですよね。昔の約束のコト」

「うぇ……さ、桜っ」

「ふふっ。だけど先輩はちゃあんと言い切って下さいました。それで私、本当の意味で安心できました。

 ……はい。正直に言うと、まだ不安だったんです。先輩が約束を覚えてくれてるかどうかも、これからのコトも……。でもようやく、これで心の底から安心出来た、って気がします。この子とこの子のお父さんと目一杯幸せになるんだって、その為なら何でもしてやるって気持ちにさせてくれるんです。

 この子はただお腹を大きくするだけじゃなくて、そんな素敵な気持ちを私にくれました。

 ……あは、何だか脱線しちゃいましたね。こんな感じでいいですか? 赤ちゃん、欲しくなりました?」

「欲しいわ」

「欲しいですね」

「うん、欲しい」

 

 私の話を食い入るように聞いていた三人が口早に即答した。あまりに必死過ぎて若干先輩が引いてるくらいだ。

 

「な、なにさ皆。そんなに子どもが欲しいのか」

「ええ、欲しいわよ~? だって女の子の本懐でしょう?」

「凛のいう通りですね。愛する男性との間に子を儲ける、想像しただけでも昂ります」

「いや待て昂るなっ」

 

 妖しげにいう姉さんとライダーに、先輩が頬を赤らめてまた引く。もしかして自分が狙われているとでも思っているのかもしれない。

 

 たぶん、それは勘違いだと思うけどなあ。

 

「さて……と。ずっと座ってたからかな、私ちょっと身体が火照っちゃいました。少しお散歩して来ますね」

「あ、俺も行くよ……っとと」

 

 立ち上がる私に先輩が着いてこようとしたけど、慣れないほど飲酒したせいで足元が覚束ないようだ。くらり、とバランスを崩してしまう。

 

「ふふっ、酔っぱらいさんは座っていてください。大丈夫ですって。ちょっと静かな所で落ち着いてくるだけですから」

「う……すまん。転ばないように気を付けるんだぞ」

「手すりとかに掴まりながら歩くから大丈夫ですよ。それじゃ、少し外しますね」

 

 シートから下りて、靴を履いて。

 私は、先輩のもとを後にした。

 

 

 

 

 夜桜の間を過ぎていく。いつの間にか夜景はライトアップされていて、また昼間とは違った顔を見せている。きっと人によってはこちらの方が明るいより好きだったりするだろうし、宴会向きなのは間違いなくこちらだろう。

 ……夜の桜か。うん。これはこれで、私にはぴったりだ。

 そうだな。私も今では、綺麗なばかりの昼の桜より、影を抱いたこちらの桜の方が好きかもしれない。

 

 花見のスポットを抜けて、公園を横断していく。

 川沿いの桜は、なにもこの公園にしかない訳じゃない。密集しているのがあそこだというだけで、未遠川の川辺にはぽつぽつと桜が植えてある。勿論端から端までという訳じゃなく冬木大橋のふもとなど、人が集まって土地もしっかり整備されているところ限定ではあるけれど。

 

「ふ、ぅ……」

 

 ゆっくり、ゆっくり歩いていく。

 妊婦に激しい運動は禁物だ。ちょっと早歩きするくらいならいいけれど、それで転んだりしたら大事になりかねない。

 このお腹のなかの子は、最早なにより大切なもの。

 それを万が一にも傷付けないように、しっかり足を踏み締めて。

 

 やがて、また一つの公園に入った。さっきの下が地面だった自然公園とは違う、アスファルトで固められた小さな公園。

 冬木市、海浜公園。

 

 私の心に刻まれている。ここは、先輩が私を抱き締めてくれた場所。

 さっき忘れる訳がないと断言してくれた、あの誓いを交わした場所だ。

 

 この街でも有数のデートスポットで、際には欄干が並んでおり、その向こうは護岸工事を施された未遠川。すぐ上には冬木大橋。

 けれど、今は時間も遅く、デート目的の人は自然公園でお花見デート中なのでこちらに人はいない。寂しげに立つ街灯が、公園を照らしている。

 

 ────いや、違う。

 一人だけ、いる。川向きのベンチに座って、公園に一本だけ植えられている、桜を眺めている。

 

 胎児にわるい、なんていう建前がどうでもよくなって、小走りで向かう。

 だって、すぐにでも会いたい。隣にいきたい。

 私の、本当に愛する人のもとへ。

 

「は……っ、はっ──」

 

 ベンチはちゃんと片方が空いている。

 そこへ自然と腰掛けて、息を整えてから、彼へ笑い掛けた。

 

「お待たせしました。すいません──お花見が退屈過ぎて、お呼び立てしてしまいました♥️」

 

 別に、暇だったし──と彼が答えてくれて、一安心だった。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

「そうなんですよう。先輩さっさと酔い潰れてお開きにならないかなーってしこたま呑ませたのに、余計な所で根性見せちゃうんですから。あー、やっと解放されたぁ」

 

 むぎゅーっ、と彼に抱き付いて、頬擦り。ああ、とってもあったかい。夜道で身体が冷えたからか、身体も心も暖まる。

 

 今日は本来なら、お花見が終わった後に彼とデートする予定だった。先輩を帰し、美綴先輩とカフェに行ってきますとでも言って家を抜け出すつもりだったのだ。

 

 だっていうのに宴会は無駄に長引いた。いつもならおくびにも出さないのだが、正直今日は始まる前から彼といちゃいちゃするモードに入っていていたので理性が保てなかった。散歩に先輩が着いてくる、って言った時なんて空気読めなさ過ぎて内心プッツンしそうだった程だ。

 

 でも、それも無駄ではなかったかな。だって、こうして彼と見ている夜桜は、たった一本だけだけど、さっきまでの光景の何十倍と心が躍る。

 

「はいっ、綺麗ですね……。ええ、いいスポットでしょう? ここ昔も何回か来たコトあるんです。その時からここでデートしたいなーって思ってたんですよ」

 

 と言っても、その頃は違う人が相手だったけど。

 なんて事は、勿論言わない。彼の機嫌を損ねる事なんて言う気はない。

 

 絡めた腕を更に密着させる。

 妊娠した事で私のおっぱいは遂に大台を超えてしまった。現在103センチ。その谷間へ彼の二の腕を深く納める。

 私が何を求めているのか、彼はすぐに分かってくれる。

 

「ん──ちゅ、んむっ……♥️ ぷぁ、むちゅ……♥️」

 

 うっとり瞳を閉じると、すぐに唇が奪われた。おまちかねの彼の粘膜を味わって、味蕾が痺れる。

 太い舌を口内に引き込み、ねぶっていく。啜るようにして唾液を吸う。慣れきったオスの味にどうしようもなく安心してしまう。

 

「ちゅっちゅっ♥️ んん~~っ♥️♥️ んべぇええ……♥️♥️」

 

 一通り舐めたら、次はあちらの番。

 今度は私の赤い舌が彼に吸い付かれ、じゅずず、と音を立てて啜られる。こくん、こく、と彼の喉仏が上下するのが、嬉しくなる。

 

 とても身体が熱い。ただ口を重ねているだけだっていうのに、ひどく興奮してしまう。

 

 わたしの身体はもう彼のモノだ。そう示すように手のひらを胸に導く。服を破裂させそうなくらいに張り詰めさせるおっぱい。妊娠して以降、身体にわるいという事で先輩にも指一本触れさせてないおっぱいを、こちらから掴ませてあげる。ぐにぃ、と力を込められ、腰が跳ね上がる。おっぱいを握り潰されただけでアクメするなんてどうかしている。でもそれがとっても幸せだ。それに、今なら跡がついたって先輩には見咎められない。おっぱいに彼の手形が浮かんでいたって誰にも責められないのだ。だったら、付けて貰うしかない。

 

「ん……ふ、あん……♥️♥️」

 

 片手はそのまま。もう片方は私の背中に通して、後ろからおっぱいへ導く。

 そうして、キスしながら両手でしっかり、おっぱいを握って貰う。痛みになる寸前くらいまで強く。

 

「っぐ──ふぉ、ぉ、おおっっ♥️♥️」

 

 小鼻を膨らましたみっともない顔で喘ぐ。

 握るだけじゃない。彼は乳首もぎりっと捻ってきた。こんなのに勝てるはずもない。

 

 ぐう~っ、とベンチの上で背中が反り返る。腰がヘコヘコと前後し、つま先立ちの靴がカリカリとアスファルトを擦る。

 ビク、ビクッと断続的に身体が跳ねる。たっぷり数十秒間のアクメに浸って、脱力した。

 

「はあ……っ、は……♥️♥️ すっご……♥️♥️ ふふ……手形、くっきり付いちゃいました……♥️♥️ これしばらく落ちませんよ、もう……♥️♥️」

 

 嫌だったか? と聞かれて、笑ってしまった。

 そんな訳がないと、彼も知っているだろうから。

 

「ふーっ……♥️♥️ では、次は貴方の番ですね……私だけが絶頂してるなんて不公平ですし……♥️♥️」

 

 視線を落とす。彼の股間は、もう膨らんでいる。

 

 上半身を傾けて、顔を近付ける。

 口でジッパーを咥え、ジジジ、と落としていく。下まで下ろして唇でチャックと下着をずらすと、びぃん、とおちんぽが顔を出した。

 

「くすくすっ♥️♥️ もう元気になっちゃってますね♥️♥️ 私を何度も殺してくれる素敵なおちんぽなのに、こうして見ると可愛いかも……♥️♥️」

 

 すりすりすり、と頬擦りする。私の柔らかいほっぺと、硬い肉棒が押し合う。

 尿道が押され、先っぽから先走りが溢れてくる。勿論それも逃げずに、頬を使っておちんぽに広げていく。

 

 私の頬擦りコキで全体に粘液が広がったおちんぽは、黒光りして猛々しい。子宮がきゅっとしてうっとり見詰めてしまった。

 

「おちんぽさん、今晩は……♥️♥️ お待たせ致しました……♥️♥️ いま、お慰め致しますからね……♥️♥️」

 

 唇をむにぃ、と尖らせて。

 

「ん……ぶ、むちゅぅうう……♥️♥️」

 

 今度は亀頭に、愛情たっぷりのチンキス。むにゅむにゅ、と柔らかい唇を押し付け、快感を与えてあげる。

 

「ちゅっ、ぷちゅ♥️♥️ んふっ♥️♥️ ちゅうう~~っ♥️♥️ むちゅ♥️♥️」

 

 恋人にするみたいな甘々キスを繰り返しているとおちんぽが更に勃起し、血管を浮かせていく。それを見計らって、今度は裏筋へ。下から上までなぞるようにキスを浴びせ、吸い付く。

 まだ舌が触れてもいない、ただ唇をくっ付けただけ。でもおちんぽはだらだらと涎みたいに先走りを垂らしている。

 

「ふふ♥️♥️ それじゃあ、咥えますね──♥️♥️」

 

 また、先っぽにキスをして。今度は、口内におちんぽを沈めていく。

 軽く半開きにした唇を落とす。おちんぽが唇を押し退け、歯をこじ開けて、ぐぷぐぷと舌の上を擦っていく。

 

 喉の奥に亀頭がぷにっ、と当たる。おちんぽは、すっかり私のなかに隠れてしまった。彼の股間、ズボンをはだけた下腹部に私の顔が密着する。さら、と髪が彼の腰にかかった。

 

「んっ……ぐ、ぐぶ……っ♥️♥️ ごぼッ♥️♥️ ぐぶぷっ♥️♥️」

 

 そのままぐりぐり、と顔を揺らす。人妻の浮気フェラに包まれて、おちんぽはびくびくと喜んでくれている。

 

「じゅる……ずずっ♥️♥️ ずるるるるぅぅ……♥️♥️」

 

 おちんぽを引き抜いていく。首を仰け反らせて亀頭が唇に引っ掛かるまで。

 

「ごぉっ……んぶうううううっ♥️♥️」

 

 抜け落ちる寸前まで出たら、一気に落とす。夜風でおちんぽが寒くなっちゃ可哀想だ。私の、暖かいおくちに戻してあげる。

 

「ごぶっ♥️♥️ ぶちゅッ♥️♥️ ごッ♥️♥️ ぶぷッ♥️♥️」

 

 夜桜のもとで。髪を振り乱しての濃厚フェラ。

 もう腰に抱き付くみたいな体勢になってしまっている。彼が優しくあたまを撫でてくれる。それだけで、心がじんわりして、奉仕に熱が入ってしまう。

 

 唾を飛び散らせながらディープスロートを繰り返す。この世で一番愛しい肉棒を、口内粘膜いっぱいで愛していく。

 

 と────

 

 かつん、と。背後で、誰かの足音。

 

 かつん。

 かつん。

 かつん。

 かつん。

 

 その人は、真っ直ぐこちらに向かってくる。躊躇うでもなく、急ぐでもなく、規則正しい一定のスピード。

 

 かつん。

 

 すぐ後ろ。ベンチの背もたれの背後数センチまで来て足音は止まった。

 

 なんだ、おまえも来たの? と彼が言う。

 しばし沈黙して、

 

「……はあ。やっぱりそうじゃないかと思った」

 

 声だけで分かる。

 

 美綴先輩は呆れたようにそう言った。

 

「んぐ……ぷはっ。すみません、綾子さん。探させちゃいましたか」

「そりゃ、これだけ待っても帰って来ないもの。他はともかく衛宮は気が気じゃないに決まってる。ていうか桜、あたしだから良かったけどもし衛宮が探しに来てたらどうしてたのよ。たまたまあいつ、酔い過ぎて歩き回れないからあたしが来たけど」

「たまたまじゃないですよ。それ狙ってふらふらになるまで呑ませまくりましたから」

「うげ。……あ、じゃあ藤村先生がいつまでも残業終わらないのも?」

「うふふ」

 

 はー、と美綴先輩がため息をつく。

 先輩に呑ませたのは、早く帰りたかったから。でも途中、宴会を抜け出す方向に決めてからは、そういう狙いもある。

 藤村先生の方は、こちらはそこまで狙ってない。ただこの前藤村先生のお仕事を手伝った時、忘れられてる書類があったなーというのを、それとなく伝えただけ。藤村先生ってあれで気を配れるし、お酒は強いし、いたら私を探しに来るのはあの人だろうなあ、っていう事で。

 

「はあ。……あんたもさあ、こんな所で咥えさせてんじゃないよ。……桜から? どうだか……」

 

 そう、眉をひそめながら言って。美綴先輩は、彼と唇を合わせる。

 

「ん……む、んぅ……♡ れる……♡」

 

 彼の肩に手を添えて、ベンチの後ろから覗き込むようにして。空中で舌と舌を絡ませる。

 彼が、ぐい、と美綴先輩を引き寄せる。そうして我が物顔で胸を掴んだ。

 

「っく……♡ ふん、桜の後じゃ物足りないでしょ……♡」

 

 美綴先輩はそう言うが、大きさに貴賤はないっていうのが彼の嗜好だ。美綴先輩もそれを分かっていて言ってるんだろうけど。

 

 さて、上だけじゃ彼は満足しない。おちんぽも刺激してあげないと。

 

「ちゅっ♥️ ……そうだ綾子さん、姉さんとライダーは?」

「衛宮といるよ。本当はこっちに来たそうだったけどね。……あの二人、ちゃんと計画通りにやってるみたいね」

「ええ、それぞれ。……ぺろっ♥️ 先輩溜まってるだろうし、いっそどっちかと浮気エッチでもしてくれれば先輩が逆らえなくなる材料が手に入るんですけどね」

 

 つまりはそういう事だ。

 美綴先輩も、姉さんも、ライダーも。

 

 美綴先輩は魔術に耐性がなく、姉さんは姉妹だからか私にそっくりで、ライダーはもともと私を墜とした彼に興味津々。

 ……まあ、思ったより簡単だったとだけ言っておく。

 

「ふぅ……♡ まったく。あんたも尽くすタイプだね」

「だってとっても幸せにして貰ってますから。そのぶんお返しはしませんと」

 

 だから、別にどちらかが一方的に奉仕する、という関係な訳ではないのだ。

 力関係もそう。性交は完全に彼が上手だけど、それ以外ではわりと私がからかったりなんかする。

 持ちつ持たれつ、意外とイーブンなのだった。

 

「私がやってもいいんだけどね……、んっ♡ ……人妻だし、より武器になるでしょ」

「でも綾子さんだと先輩、責任感じすぎちゃいそうですし。姉さんとライダーの方が、丁度いい塩梅で脅せると思うんですよね」

「ま、それもそうか……う♡」

 

 と言っても、これは次善の策、あくまで万が一の為に一応弱味を握っておいた方がいいだろう、というだけ。

 実際、とりあえず別れる気はない。とりあえずは。

 だって、その方が気持ち良い。私は不貞の味を楽しめるし、彼は寝取りの優越感を得られるのだから。

 

 本当は、三人を堕とした時点で全てが決まっている。

 私があの聖杯戦争で学んだ一番大切なこと。

 つまり、『仲間は多い方がいい』。

 私にも彼を独占したい気持ちはある。そして彼も、私がイヤなら他の連中は要らないとまで言ってくれた。

 でも、数は大切なのだ。あの時だって、数と智恵によって、力で勝る私は負けたのだから。

 ……それに、それぞれと三人で楽しむエッチもあれはあれで良いものだったし。

 

 先輩がいつまでも気付かないにぶちんさんのままなら、思う存分浮気を楽しませて貰えばいい。気付いてしまっても、こちらが弱味を握っていれば黙らせられる。もしも力ずくで彼を害しようなんて思っても、姉さんとライダーがいればどうとでもなるだろう。

 それが私の計画。

 

 でも────

 でもきっと、そのどれも本当は必要ないんだ。だって、先輩は言ってくれたもの。

 

 桜だけの味方だ、って。あの誓いは生きてる、って。

 

 だったら、私の不貞も許してくれないと。

 だって、嘘になっちゃいますよ? 何があっても私の味方をしないと、あの戦争でたくさん人を見捨てて貫いた誓いを裏切っちゃいますよ? 

 

 そんなこと出来っこないですよね、先輩────♥️♥️♥️

 

「ごっぶッ♥️♥️ んぶぶぶぅっっ♥️♥️ ぶちゅぶちゅぶちっ♥️♥️ ぶぷぅぅぅッ♥️♥️♥️」

「は、んんっ、んむっ♡♡ べろぉっ♡♡ じゅるるるっ♡♡」

 

 人妻二人、先輩後輩二人。夢中で彼に奉仕する。

 私の先輩への愛情も、美綴先輩の家族に対するそれも、今では彼とのエッチを盛り立てるオカズに過ぎない。

 

「んぶッ──♥️♥️ ふふっ♥️♥️ 私は根回ししてますけど、貴方は気にしなくていいですからね♥️♥️ 何か色々言いましたけど、先輩との結婚だって貴方が別れろって言えば明日にも別れますから♥️♥️ その方がおちんぽ気持ちよくなるーって思ったら、気兼ねなく仰ってくださいね♥️♥️♥️」

「あんたさ、次は誰を孕ます気……? んぶッ♡♡ 良かったらさ、もう一回人妻行ってみない……♡♡ 二人目欲しいのよ♡♡ 馬鹿、旦那じゃなくってあんたの胤で♡♡ 後始末は遠坂とかライダーさんがやってくれるでしょ、魔術ってのがあるんでしょ? ねね、責任取らなくていいからさ♡♡ もう一つも二つも一緒でしょ♡♡ あんたのチンポでウチの家庭、ぶっ壊しちゃってよ♡♡♡」

 

 にゅる、にゅるっ。べちゃ、ぴちゃっ。

 

 三人だけのベンチに、淫靡な水音が充満する。私と美綴先輩の粘膜を堪能し、おちんぽが膨らんでいく。

 片手で美綴先輩のおっぱいを、もう片手で私のおっぱいを揉み揉みする。本当ならそれぞれの旦那さんにしか許しちゃいけない場所も、今ではまとめて彼のモノだ。

 

 酸欠になりそうなくらい激しくおちんぽを啜り立てながら、思う。本当に、良かったって。

 親に捨てられた事も。酷い虐待を受けた事も。戦争に巻き込まれた事も。

 ぜんぶ全部、この幸せに繋がっていたと思えば、愛おしくなるくらい。

 

 だから有り難うございます、先輩。

 貴方と出会ったお陰で、私。

 彼と幸せになりますね。

 

「──────♥️」

 

 びゅく、びゅるっ、どびゅぅうううう~~っ♥️♥️

 ぶびゅびゅっ♥️♥️ びちびちびちっ♥️♥️

 びゅる、びゅるるるるるるるるるるるっ♥️♥ ぶぴゅっ、どぷどぷどぷどぷ……っ♥♥️

 

「ん……ぐ、んんっ…………♥️」

 

 口のなかに、ぶちまけられる。W人妻でこってり熟成された、濃厚精液。

 

 びゅくん、びゅる、と吐き出されていく。またもやおっぱいはぎっちり掴まれている。きっと美綴先輩もそうだろう。彼の射精の快感がつたわってくるようだ。

 

「っ、ぶッ……♥️♥️ ぐぶぅ~ッ……♥️♥️」

 

 ごぼごぼと注がれる。

 あんまりに多くって、口腔には収まらない。流し込まれる側から喉に伝っていってしまう。

 それでもなんとか、出来るだけ口内に溜めていく。

 

 次第におちんぽの脈が収まり、精液も漏れ出るくらいになる。

 ぢゅるる、と啜って口を離した。零れないように、上を向いて口を開ける。

 

「んがっ……ぅえええええ……♥️♥️」

 

 お口たっぷりのザーメンプール。出してくださって有り難うございます、一滴も無駄にしません──という気持ちをしっかり伝える。

 

「桜、エッロ……。ごめん、あたしも欲しい」

「んむぁ……んん……♥️♥️」

 

 ごくり、と唾を呑んだ美綴先輩に口付けされた。

 というか、唇を唇で覆い被された。

 

「じゅずっ……ずるるるぅぅ♡♡」

「んえぇぇ~~っ……♥️♥️」

 

 ねっとり舌を絡めて、口内をなぶられる。すぐに呑んでは勿体ないと、二人してくちゃくちゃとお互いの口のなかに唾液と精液が混ざったカクテルを出し入れさせた。

 

 数分かけてお互いの舌から歯茎の裏まで隅々舐め回す。

 もうすっかりなくなって、ちゅぽ、と唇を離した。

 

 くぱぁ~っ、と人妻二人、みっともなく大口を開けて彼に綺麗になった口内粘膜をチェックして貰う。

 

「ん……はい、美味しかったです……♥️ 先輩と呑むお酒なんかより、貴方の精液の方がずーっとずぅーっと……♥️」

「うん……♡ 次はあたしの家に来てよ……♡ また三人で楽しみたいな……♡」

 

 よしよし、よく出来ました──と。

 二人揃って頭を撫でられ、目を細めた。

 

 

 

 

 ♦♦♦♦♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 美綴先輩が帰って、まだしばらく、私と彼はベンチで夜桜を見ていた。

 

 もしかしたら、違う人と見ていたはずなのかも知れない桜。

 でも、全く後悔はない。疑問にも思わない。

 だって、この選択がいちばん幸せだと確信しているから。

 いや、分かっているから。

 

 

 

 

 彼が、私のお腹を撫でた。

 

 

 

 

 今まで動かなかった赤ちゃんが、初めてお腹を蹴った。

 私は驚いて、彼にもう一度触らせる。

 またお腹が揺れて、やっぱり気のせいじゃなかったと私は喜び、彼も喜ぶ。

 お腹の子に、早く出ておいでと呼び掛ける。

 

 

 

 

 きっと、本当の父親に気が付いたのだろう。

 



















そんな感じで桜NTRでした。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。HF後の桜NTRというニッチの極みみたいな題材ですが、想像の十倍くらいの方に読んで貰えました。
第一話と最終話だけ考えて始めたのですが、一応想定通りの内容になったと思います。

終盤は色々考えましたが、自分の趣味を通しました。こういうヒロインと間男が主人公そっちのけでイチャラブしちゃうのが好きです。
型月、特にFateでは士郎と桜に思い入れがありずっと応援しているので、二人に関する話を掛けて良かったです。

沢山の感想、評価、ありがとうございました。とても励みになります。よければ、全体を通してのもの、どこが良かった・悪かったなど貰えると有難いです。今後の参考にします。
続きに関しては13~14話の間の話を書きたいなと。特に凛ちゃんはまだ書いた事ないので書きたいですね。

それではまた。


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