百合ゲーみたいな艦に住んでる巨根はどうすりゃいいですか? (ばばばばば)
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1話

 ガルパン×ぬきたしのクロスです。
 ドスケベあんこう音頭を見てしまったその時から、だれか二次創作してくんないかなと思い、いや多分誰も作らねぇなと諦めて作りました。
 誰か続きを書いてください
 書けよオラァ!!


 その吹き荒ぶ嵐は無数の電マだった。

 

 

 いくつもの愛液で濡れた電マがきらめき、尾を引きながら敵へと射出される。

 

 

「化け物じみた曲芸を……、しかし所詮はマッサージ器、戦車の装甲の前には……、何ッ!?」

 

 

 戦車に接触した電マはそのまま装甲に突き刺さり振動し続けて強烈な掘削音を響かせる。

 

 

「バカな戦車の装甲を削るだと!?」

 

 

 見た目には電動マッサージ機にしか見えないその正体は俺がこの世界で新たに作り出したT-A-E

 

 開発コードは電装共振破砕マシン

 

 女性器から発射され、膣のうねりと共振して振動するそれはもはや空間を掘削する兵器、戦車砲と比較してなんら遜色ない一撃であった。

 

 

「しかし浅いッ!! 生身で戦車に挑もうなどと!!」

 

 

 砲の暗い穴がこちらに向き、その形が正円となる時、その殺意が固定される。

 

 

 秘奥義である漢勃ちは使えない。

 

 

 残された選択肢は乳房(おっぱい)機動装置による回避しかありえないだろう

 

 

 だが俺はその一撃をあえて迎え撃つ

 

 

 撃てば必中 守りは固く 進む姿は乱れ無し 鉄の掟 鋼の心

 

 

 こいつを分からせるにはその凝り固まった観念を正面から打ち破るしかない

 

 

「気でも触れたか、戦車の一撃を喰らって生き残れるとでも思うのか? これは特殊カーボンなしの本物だ、この大口径の砲でお前は木っ端みじんになる」

 

 

「……そんな短小チ○ポじゃ俺の処女は貫けないぜ」

 

 

「ならば……、消し飛べェッッ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 衝撃、瞬間 轟音が世界を包んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カーテンから差し込む柔らかな光、それに照らされた俺の意識が浮かび上がる。

 

「もうこんな時間か……、んぅ……、しかし眠い……」

 

 本来ならとっくに起きるべき時間だが、今日は休日、そして何より、ここ最近はあまりにも忙しすぎた。

 

しかし文乃はきっと料理を作って待っているはず……、それに俺が起こさなければアサちゃんは丸一日寝てしまう

 

 そうなってしまえば我が妹は間違えなくもう一日、休日を要求し、学校をサボるだろう

 

 

 こうなっては取るべき行動は一つだけだ。

 

 

「朝オ〇だな」

 

 

 激しい自慰により身体の覚醒を促す。

 

 朝のまだ脳が覚醒していない状態で行うオ○ニーはとてつもない快感が駆け巡り、脳細胞を活性化させる。

 

 余りの満足感でそのまま寝落ちしてしまう危険性もあるが、俺は熟達のオ〇ニスト、そのような初歩的な失敗は犯さない

 

「すでにオ○ホは枕元に用意してある」

 

 やるからには完璧に、例え寝落ち寸前の朝オ〇といえどもおざなりな射精などは決して許されない

 

 昨日の時点で俺はこうなることを予想し、すでに布石は打ってあった。

 

「しかも今日のオ〇ホはNisizumi-Sさんの新作だ」

 

 オ〇ニスト専用SNS”onatter”で俺がフォロー、このSNSではズリ友の一人であるNisizumi-Sさんが手がけた逸品だ。

 

 手堅くも王道を踏襲したオ〇ホに定評がある。その使い込むほど洗練されていくオ〇ホは、性進的なものが多いこの界隈では逆につまらないと感じてしまう人もいるがそれは違う。

 

 人それぞれで違う性感帯にあまねく快感を与えるこの作品の完成度は高い、いや、この職人芸としか言えない作りは、変わった発想が少しだけできる俺と比べて、オ〇ホに対する造詣は一段上にあるだろう。

 

 だが、今回の作品は異端だ。Nisizumi-Sさんが投稿した今までの作品は全て基本に忠実なハンドホールだったのだがコレは違う

 

「まさか大型据え置きオ〇ホールとはな」

 

 人体を模したそれは、本物に近い挿入感と言われているが、そのあまりに強い存在感から素人には敬遠されがちなオ〇ホである。

 

「だがそんなものは俺には関係ない」

 

 いい道具が、場所を取るというのならそれは必要な負担、パコラレテル・ハメージというものだろう。

 

 俺はその大きな下半身の形をしたオ〇ホへ挿入した。

 

「クッ! これは、なんて力で吸い付いてくるんだ」

 

 これは危険だ。この強力なバキュームは俺の逸物を……

 

 

「兄い、私は惰眠を貪りたいのに文乃が暖かな味噌汁の香りで無理やり起床をうながしてくるよぉ、うわ切断された下半身みたいなオ〇ホに兄が腰振ってる。サイコパスかよ」

 

 その時、突然扉が開かれる。

 

「なら普通のオ〇ホだとむき出しの膣を握りしめていることになる。そっちの方がサイコパスっぽくないか?」 

 

「妹の前でオ〇ニーしながらとっさにそんな冷静な返しができる兄はやっぱり飛び抜けているよ」

 

「しかし、濁った眼に適度にだらしない肉体と過度にだらしない精神を持った我が愛する妹である橘 麻沙音、通称アサちゃんよ、いったいどうしたんだ?」

 

「え、なんで説明口調? 貴方も橘ですよね? 本当に怖いんですけど」

 

 その時、アサちゃんの背後に影が差す

 

「淳之助さん、お疲れの所でしたので朝は控えさせていただきましたが、お昼は食べないと体に悪いです」

 

「あぁ、琴寄文乃、我が家の新たな家族、末っ子でありながら家事を取り仕切るむべむべかわいい少女よ」

 

「ぬっへっへ」

 

 俺が頭をなでようとするとまるで忠犬のように頭を差し出す。

 

 かわいい(重要)かわいい(最重要)

 

 俺がむべむべをなでなでしていると階段から誰かが上がってくる気配がする。

 

「ちょっと淳、またアンタせっかくの休みなのにこんな時間まで寝て、文乃ちゃんなんて朝ご飯作ってあるのにお昼までこしらえているじゃない」

 

「聞いた瞬間ビッチと分かるこの声は、俺の幼馴染である片桐奈々瀬! あの青藍島で伝説級のビッチと名高い片桐奈々瀬その人じゃないか!!」

 

「えっ、どうしたの、麻ちゃん……、淳になんかあったの?」

 

「そこで俺に話を聞いても無駄だという瞬時の判断、さすがNLNS、No Love No Sex(愛がないセックスなどありえない)リーダーである俺の右腕! 俺の相棒だ!!」

 

「もぉ、急に何よ淳ったら、相棒なんてそんな、でもそうねアンタは突っ走っちゃうから私がそれを手助けできたらいいなって」

 

「奈々瀬さん、騙されないでください、自分がまともじゃないと気付いているから俺はまともだと考えているヤベー奴ですよそいつは」

 

「麻ちゃん次が来ているからツッコミはほどほどにしてくれ」

 

「えぇ…」

 

 俺には分かる。次が来ている!!

 

 

「淳くん、こんにちは、前に借りていたバストアップ体操のDVDを返しに来たよ~、あっみんなもお揃いだね!」

 

「渡会ヒナミ先輩! 合法ロリ、いやほとんど違法ロリなワタちゃん先輩じゃないか」

 

「ロリじゃないですけど!」

 

「はいロリじゃない! いただきました!!!! そして俺はNLNSのリーダーであり誇り高き童貞である橘淳之介!! 青藍島のドスケベ戦役を超え、真ドスケベ条例を生み出した男だ。よろしくな!!」

 

「兄、マジでどうしたんだよ……」

 

「色んな人に同時に話しかけられたら、誰が話しているか分からなくなっちゃうだろ!! 順番にしてくれ!!!」

 

「耳と目に精子詰まってんのかコイツ?」

 

 

 

「そんなあなたに!!!! やる気! 元気! 美岬! おなじみ畔美岬です! 影が薄く周りから気づかれないことが悩みの女の子!!」

 

 

 

「アサちゃん、悪かった。俺が間違っていたよ、幾人もいる中、言葉だけで誰が喋っているか分かる奴なんて相当ヤベー奴だって」

 

「う~ん、やっぱり気づいてもらえませんね……、アナルに淳之助君のオ〇ホをぶち込んでみましょうか、私自身がオ〇ホとなる……、しりあなDXですね!!」

 

「黙れよマンコデラックスみたいな体形しやがって」

 

「月曜からケツ用に深いモノさして夜ふかししている畔美岬です!」

 

「あぁ!お前は畔美岬、以上だ」

 

「えぇ~説明が雑すぎます! 皆さん淳之助さんに紹介されたのにずるいですよ~」

 

「ていうか兄はいったい何時までオ〇ホにチンコ突っ込んでいるんだよ……」

 

「よく聞いてくれた。実はな、抜けないんだ」

 

「兄は現在進行形で抜いてるよ」

 

「そうじゃない」

 

 俺は自分の逸物を咥えこんでいるオ〇ホを取ろうとするが一切動かない、俺は腰を振っているわけではない、抜こうとすればオ〇ホに吸い込まれ、動けないのだ。

 

「淳之助さん、病院に行った方がよろしいのでは……」

 

「え゛っ、マジ? アサちゃんこんな下半身に下半身を引っ付けた人と病院とか行かないといけないの」

 

「ちょっと、怖いんだな……」

 

「さすがにこれで病院にいくのはちょっとねぇ」

 

「お尻に刺したフィギュアを取ってくださった泌尿器科の先生がいるんですけど相談してみますか? こういうのは恥ずかしいと思って素人が自己判断するのが一番危険なんです」

 

「この状況でこんな説得力をもって助言ができる奴いる?」

 

「たしかに美岬の言う通りだが、もう少し粘ってみるよ」

 

 俺は引き抜こうとするが違和感に気付く

 

「勃起が収まらないだと、動いていないのに?」

 

 こんな長時間オ〇ホに突っ込んだまま動いていないというのに淳之助の淳之助は完全に自立している。

 

「いやこれは……吸い込まれているのか?」

 

 

 埒外の力に気付くと同時にオ〇ホを中心として空気がゆがむ。

 

 

「なんだこれは!? いかん!! みんな俺から離れろ!!」

 

 

「普通オ〇ニーでこんなことある?」

 

「うわわわ、淳之助君が吸い込まれていくんだな」

 

「これは!? オ〇ホールがワームホール化しています!!」

 

「淳之助さんをお助けせねば……」

 

「みんな淳をオ〇ホから引き抜くわよ!!」

 

 

 

 俺の制止を振り切り、皆が俺をオ〇ホから引き抜こうと躍起になる。

 

 

 俺の最高の仲間に不可能はない、その力は集約され、莫大な力となる。

 

 

「い゛て゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛よ゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛」

 

 

 みんなの力が俺の逸物、その一点に集中する。

 

 ぶっちゃけもげそう

 

「頑張って淳!!」

 

「負けないでください淳之助さん」

 

「がんばれ! がんばれ!」

 

「オ〇ホなんかに負けないでください淳之助くん」

 

 

「皆……、俺はオ〇ホなんかに絶対負けたりしないぞ……!」

 

 

「これ負ける奴じゃん」

 

 

 しかし、ブラックホールと化したオ〇ホールは俺の逸物を快感をもって吸い込み続ける。

 

 そしてそれはついに俺が耐えうる限界を超えた。

 

 

「イックウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 余りに強い快感で意識でチカチカと点滅する。

 

 まるで逸物が()()()()()かのような射精感、そしてその瞬間、オ〇ホールの蓋をした逸物が無効化されたことにより、その効果範囲は広がる。

 

 

 

 俺達NLNSはオ〇ホに吸い込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 感じるのは波の音、そして磯の香り、……そして頭を包む柔らかな感覚だ。

 

 

「んぅ……ふぁ……ここは……」

 

「あっ、目を覚ましましたか」

 

 目を開けると、そこには優し気な眼差しをした少女がいた。

 

 俺はあまりの状況に面食らいながらも自分の状況が、いわゆる膝枕をされた状態だと気付く

 

「あっ、すまん、今すぐどくからっ……」

 

「あっ、動かないでください、さっきまで意識を失っていたみたいだから急に動いたら危ないです」

 

 柔のように抑え込まれると、その顔がさらに近づく、控えめな化粧に整った顔立ち、もの静かな印象をうけながらも確かな芯を感じさせる彼女は、例えるならクラスでは目立たないがよく見れば美人、まさにオタク殺しのプロフェッショナル。

 

 状況を含めて、めっちゃ俺好みの人だった。

 

「ありがとう、だが、俺は仲間探さなければいけない、そして君みたいな女の子が俺みたいな奴に不用意に膝を貸すなんて不用心だよ」

 

 俺は震える声を抑えながら完璧な紳士を演じきって、少女の膝から離れる。

 

 それを聞いて少女はぷっくりと頬を膨らませた。

 

 あざとい、男の俺を簡単に膝枕するとはこの女、もしや相当の手練れなのか?

 

 

「道の真ん中に倒れているあなたみたい美人な女の子の方が不用心です」

 

 

「なに、俺みたいな奴が道の真ん中で寝てたとしても……ん?今なんて?」

 

「不用心です!」

 

「いやその前だ、俺がなんだって?」

 

「道で倒れていた……」

 

「いや違う、今までの人生で言われたことのない言葉聞こえたんだが」

 

「美人な女の子ですか?」

 

「この強靭な胸板を見てそれを言っているのか?」

 

 俺は親指で自分の胸を指す。

 

 

 ぽよん

 

 

 ポヨン?

 

 

「そんな大きな胸なのにブラジャーをつけてない人に不用心だなんて言われるのは心外です」

 

 

 俺の胸板には大きなメロンが二つ付いていた。……そして俺は股間にとてつもない喪失感を感じる。

 

 俺は自分の体をまさぐり、一つの真実に気づくと絶叫した。

 

 

 

「なんじゃこりぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

 

 

 

 俺は女になっていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 ぬきたし2、各店舗で発売中だハメ、興味を持ったらみんな買って欲しいパコ

 『ぬきたし1』と『ぬきたし2』がパックになった抱き合わせ商品もあるハメ、二穴挿入と同じくらいのお得パコね

 あと最後に一つ言いたいハメ

 こんな文章を考えている原作ライター、頭海綿体か? たった4000文字だけでも頭が狂いそう……!
 


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2話

「俺が女だとっ……!?」

 

 

 本来あるはずのものがなく、ないものがある。

 

 顔が丸い、のどぼとけがない、胸がある。ナニがない。

 

 否定したい心とは裏腹に、体を確認するうちに自分が女であるという状況を信じなければいけないくなっていった。

 

「そういえば声も変に高い……、まさか、こんなことがあり得るのか……」

 

 童貞を捨てる前に処女になるとは一体どんな因果であろうか

 

 俺は力なく膝から崩れ、手を地面に放り投げる。

 

 

「大丈夫ですか?」

 

 

 先ほどの女の子がこちらを心配そうに見つめていた。

 

「いや、すまない、やっぱり少し寝ぼけていたようだ」

 

 落ち込むことは何時でもできる。今はもっと大事なことがあると意識を切り替える。

 

「……変なことを聞くようで悪いんだが、ここはどこか分かるか」

 

「えっ、うん、ここは左舷船首側の公園、そんなところで倒れていたからびっくりしました」

 

「ひだりげん? すまない、地名がわからないな」

 

「学園艦だけど……、しらないの?」

 

「学園姦? やはりここは青藍島なのか」

 

「せいらんとう?」

 

 

 

 話が全く通じない、俺は目の前の彼女からここがどのような場所であるか、質問を重ねる。

 

 いくつかのやり取りを交えると俺は次第に自分が置かれた状況がとんでもないことになっていることに気付く

 

 

 

 

「この場所が巨大な船だと……!?」

 

 

 

 しばらくして分かったのはこの世界は元いた世界とは違う世界、どうもこちらとは違う歴史を歩んだ日本らしい。

 

 ここは『県立大洗女子学園』

 

 茨城県大洗町の飛び地として建造された学園艦及び学園艦に所在する女子高であり、この船に3万人という途方もない人間が暮らしているのだという。

 

 

「そんなことも忘れているなんて……、もしかして頭を打ったかもしれないです。病院に行った方が……」

 

 どう考えても俺の世界でそんなものを作る技術はない、この世界が異世界だと否が応にも理解させられた。

 

「いや、大丈夫だ。 ところで確認なんだが俺が倒れていたところに他に誰かいなかったか」

 

「いえ、誰もいませんでした」 

 

「そうか……」

 

「人を探しているんですか?」

 

「俺の他にあと5人ここにきているはずなんだ」

 

「どんな方なんですか?」

 

「ビッチとロリとシスターと、あとはムベな奴とヤベー奴だ」

 

「……ちょっと分からないです」

 

「そう……か」

 

 

 クソ、なんてことだ。

 

 俺は自身が置かれている状態を必死に整理する。

 

 

 俺はオナホを用いた絶頂と同時に、異世界との繋がりが発生し、別世界の自分と入れ替わったことがある。

 

 ならば今回もその原因があのオナホールにあると考えるのは妥当だ。

 

 だが今回との違いはある。

 

 まず初めに思いつくのは俺の身体の変化、男から女への変身なんてものがなぜ起きたのか?

 

 無理に理屈をつけ、前回の異世界転移の例に当てはめるなら俺はこの世界の女である『橘淳之介』と入れ替わったという仮説が浮かぶ。

 

 だから青藍島ではないこんな場所に俺一人飛ばされたのだと。

 

 飛ばされた俺以外の仲間はこの世界の自分かそれに近しい存在と入れ替わったからこそ、何処にも見当たらないのではないかと考えられる。

 

 そしてこの仮説が現実であった場合、俺達の置かれている状況は最悪だ。

 

 つまり全員がこの世界にバラバラに分断されたことになるからだ。

 

 未知の世界に飛ばされた仲間達だがその場所は不明、この見ず知らずの世界で俺は本当の意味で孤立している。

 

 仲間たちは? 元の世界に帰れるのか? もしかしたら本当は俺はこの世界で一人だけなのでは?

 

 俺は必死に頭を働かせるが、現状でできることの少なさに、思考は悪い方へと傾いていく。

 

 嫌な汗が、背中越しにあるシャツをじっとりと濡らした.

 

 

 

 

 

 

「あっ、あの!」

 

 

 その一言に俺の思考は中断された。

 

 

「その……、なにか寂しそうで……、ごめんなさい余計なことかもしれませんけどそう思って……」

 

 

 目の前の少女が不安そうにこちらを覗き込んでいた。

 

 それは自分が赤の他人に心配されるほど衰弱した顔をしていたのだと気付く。

 

 

 ……しまった、自分で自分が情けなくなる。組織が率いる者が一番してはいけない顔を今の俺はしていた。

 

 

「なに、勝手に迷子になったあいつ等にどんな風に叱りつけようか考えていたのさ」

 

 

 男なら、絶望的な状況になっても弱みを見せるな、将であるなら笑ってみせろ

 

 

 俺はやせ我慢で歯をむき出した。

 

 

 いや、今は女だけど……

 

 

 ……とにかく、俺にとって絶望的な状況なんてものは慣れっこだ。

 

 

 考えろ淳之介、今までの経験から現状を分析しろ。

 

 

 そうして自分の服の袖で汗をぬぐった時、俺は違和感を感じた。

 

 

 俺は何でこんな外で部屋着を着ているんだ?

 

 

 今着ていた服は良く見れば転移前と同じような服装であった。

 

 

 存在が入れ替わったのに服だけが入れ替わらない、そんなことがあり得るのだろうか

 

 たまたまこの世界の女である俺が元の世界の俺とまったく同じ趣味の部屋着で外に出かける。……ありえないことではないか……?

 

 俺はすぐさま身に着けているものを確認する。

 

 それは俺が普段身に着けていたサンマTシャツだった。

 

 このかっこよすぎるおしゃれアイテムでは、老若男女がこぞって身に着けていようと何ら不思議はない

 

 クソ! 普段の俺の圧倒的センスから身に着けている物のせいで男女の判別がつかない、ならば持ち物で何かないのか!?

 

 しかし、必死に体をまさぐるが何処にも身分を証明できるものはなかった。

 

 そう諦めかけた時、一瞬、俺の脳内に電流が走る。

 

 

 男の部屋着?

 

 

 俺はそのことに気付いた瞬間、己のズボンを勢いよく引き下ろす。

 

「……ふふ、そうか、俺たちは異世界の自分たちと入れ替わったわけじゃない」

 

 少女は顔を真っ赤にしながら驚いている。

 

「なっ、何しているんですか? ってえぇ!?」

 

 俺は己のパンツを脱ぎ棄てると、それを握りしめて目の前に掲げる。

 

「まえ! まえ! 見えてます!!」

 

 俺は不敵に笑い、下半身と突き出したパンツを見せつけながら宣言した。

 

「聞きたいのだが、俺のようなパンツをはいてる女は見た時あるか?」

 

「え……、いや……、はい?」

 

 そういうと俺は上着も勢いよく脱ぎ捨てる。

 

「こんなデカパイ女がノーブラT-シャツで外を歩くなんてエロゲ以外で見たことはあるか!!!」

 

「ひゃっ、な、ないです……」

 

 

 俺が履いていたパンツは男物のボクサーパンツ、そしてノーブラ

 

 こんなものを履いて、上がノーブラで過ごしている女などいまい、何より先ほど射精した時に飛び散った精子が少しはねてカピカピしている。 

 

 つまりこれで入れ替わり説は否定され、元の世界の『橘 淳之介』がこの世界に飛ばされたことと、女体化したことには別の理由があるのではないかと仮説が新たに立てられる。

 

 

 あのブラックホールと化したオナホが俺達を別の世界の俺達と交換させたものでなく、ただ純粋に異世界へと体ごと飛ばしたものであるとするならば

 

 

『他の仲間たちが俺の近くにいると考えてもおかしくはない』

 

 

 推論に推論を重ねた砂上の楼閣、余りに細い糸、余りに乱暴な結論だが、俺はそれを信じた。

 

 たとえわずかな希望でも、たった一つ賭けられる可能性があるなら俺は、俺達は決して……

 

 

「俺達NLNSは決して諦めない!!」

 

 

「そこの露出狂!! 嫌がる少女にパンツを突き出していったい何をしているんだ!!」

 

 

 

 

 ポリスメンが来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今、俺はこの船の官憲に捕まり、取り調べを受けている。

 

 身分証どころか、そもそもこの世界に戸籍があるとも思えない俺は、正直に異世界から来たと言うわけにもいかず、黙秘を続けるしかなかった。

 

「……いい加減に答えてもらえるかしら、あなたはどこから来てどうやってこの船に侵入したのかしら、悪いようにはしないから」

 

「……さぁ」

 

「いつまでも黙っているのはあなたにためにならないわ、それだけで状況はあなたの不利になるの、ここに何時までもいてもらうことになってしまうだけよ」

 

 柔和な笑みを浮かべる婦警はこちらに質問を続けるが俺はのらりくらりとかわしていく

 

「かまいませんよ、ちょうど雨風をしのげる宿が欲しかったんです」

 

 俺がふざけていると、奥に控えていたもう一人のかっちりとした婦人警官がこちらにのしのしと近づいてくる。

 

「ふざけてんじゃねぇぞ!! おい!! こっちは暇じゃねぇんだ。テメェみたいガキを相手にしている時間なんざねぇんだよ!!」

 

「それが仕事なんでしょう?」

 

「こいつッ!!」

 

 つい権力に対して反抗してしまうのは癖として、実際に彼女らのやっていることは正しい

 

 傍から見れば俺は密航者にすぎない

 

 このままいけば俺はこの船が次に本島に寄港するまで留置され、強制退去させられるらしい。

 

 仲間がこの船のどこかにいる可能性を考えれば非常にまずい

 

 表面上は冷静を保ちながら俺は密かに焦っていた。

 

 時計のない部屋での取り調べは長時間続き、ようやく解放される。

 

 解放されたと言っても次の場所は留置所なのだが

 

 

 

 

 連れていかれる途中で俺は考えを巡らせる。

 

 

 このままでは仲間と集合どころではない

 

 ここが昔の青藍島ならば、全裸露出する程度は普通、むしろ着エロ派でもないのに裸にならない者は、授業中も帽子をかぶっている奴みたいに若干失礼な存在とされていたはずなのにと歯噛みする。

 

 

 俺は身長と体重を計られ、指紋とDNAを採取、危険物を所持していないかお尻の穴まで確認され、最後に貸し出されたTシャツに着替えたあとで歩かせられる。

 

 連れてこられた部屋は大部屋だった。

 

 ここに入ればもはや仲間との合流は絶望的だろう。

 

 くそ……ここまでか

 

 おれがそう思った時、部屋から騒がしい声が聞こえる。

 

 

「んほぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「わわわ、危ないんだよ美岬ちゃん」

 

「やめて美岬! アナルに布団を詰め込んで治療のために病院に行かれるところで脱獄なんて無茶よ!!」

 

「フトン程度でなんのこれしき、アナル ザ フットファッカーの実力を見せてやりますよ!!」

 

「すごい、先っぽが入りそうです」

 

「こいつなら精神鑑定で余裕の無罪じゃん……」

 

 

 なんかめっちゃ聞き覚えのある声がする……

 

 

 部屋から聞こえる狂気じみた叫び声に慌てて警官がドアを開ける。

 

 

「19番また貴様か!! 頭のおかしい真似を何度もするんじゃない!!」

 

 こんなことが何度も起きているのか……

 

「ご無体な、乱暴はいけません、人を犯して罪を犯さずですよ!!」

 

 人を犯すのは犯罪じゃないの?

 

「なにを意味の分からないことを!!」

 

 

 警官がアナルに丸めた布団を詰め込もうとする狂人を羽交い絞めにする。俺は表情筋を殺しながら関係ない人間を装った。

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ、いいか、次やったら覚悟しておけ……」

 

 

 俺を部屋に入れた後、肩で息をしながら帰っていく姿には同情を禁じ得ない

 

 

 俺の目の前で懐かしき相棒が申し訳なさそうにこちらに声をかけてきた。

 

 

「その、ごめんね、この子こんな風だけど悪気があったわけじゃなくて、ほんとに悪い子じゃないの、少し人として壊れている所があるというか……」

 

「頭と満腹中枢が崩壊しているエンゲル係数泥棒だよ」

 

「えへへぇ~、ありがとうございます」

 

「よかったね美岬ちゃん!」

 

「褒められているのでしょうか?」

 

 

 あぁ、変わらない、みんな変わらずにここにいる。

 

 俺は安心による脱力と口が緩んでいくのが止められない

 

 

「はは、安心した。……安心したよ」

 

 

「こ、こんな光景をみてそんなこと言ってくれるなんてすごい心の広さね……、えっ……」

 

「ケツの穴が大きくて広い方です、ケツマンガバガバで素敵な人ですね」

 

「それは褒め言葉にはならないかと……」

 

 

「……兄ぃ?」

 

 

 アサちゃんは俺をしばらく見つめるとそうポツリと呟いた。

 

 さすが俺の半身だ。よく俺の正体を見破ったな

 

「ッ……!!」

 

 などというカッコつけすら言えず俺の口はワナワナと震えるだけ、目頭が熱くなるのが止まらない

 

「兄なの?」

 

「アサちゃん…」

 

 

 俺は愛する妹に近づいて兄妹の抱擁を交わした。

 

「あ゛に゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ ざみ゛じがっだよ゛ぉ゛ぉ゛ぉぉ」

 

「えっ!! 淳君!?」

 

「淳之介くんが淳之介ちゃんに!?」

 

「言われてみれば顔立ちが淳に似てる……、一体どういうこと?」

 

「お待ちしておりました淳之助さん」

 

 

 俺は胸に妹を抱えながら宣言する。

 

 

「あぁ、みんな、待たせたな」

 

 

 

 しばらくは泣き続けるアサちゃんなだめたり、女体化した俺に矢継ぎ早に質問をしてくる仲間の対応でてんやわんやだった。

 

 ようやく落ち着いたころ合いを見てオレは切り出す。

 

「今は俺に起きたこの体の変化については考えても仕方がない、だから俺たちがこれからどうするかを考えることが先だ」

 

「そうね、賛成だわ、どうやって元の世界に戻るか、私じゃ見当もつかないけどね」

 

「異世界経験者として言わせてもらうが、ブラックホールと化したオナホールを通った俺たちは全く縁もゆかりもないここに出現した。そこには何か理由があるんじゃないかと思うんだ」

 

「口を開けたら異世界経験者とか素で話す兄に妹は戦慄してどうにかなりそうなのだが」

 

「ふふっ麻沙音ちゃん、なんだかラノベに実際にほんとにありそうな名前ですね」

 

「だまれよ、お前の膨大な質量で空間を歪めてブラックホールになって私たちを元の世界に帰らせろよ」

 

「相対性理論ってシックスナインみたいで興奮しますよね」 

 

 俺は無視をして話を進める。

 

「参考までに聞きたいんだがみんなはどこに飛ばされたんだ」

 

「うん! 私達はこの船のどこかの船室にとばされたんだな! すごく暗くて怖い人もいっぱいいて最初は怖かったけど文乃ちゃんとすぐ合流できてね、お姉さんががんばらなきゃって!!」

 

「はい、あそこは粗暴な輩が跋扈する魔窟、この文乃、橘家の末席に並ばせていただいている栄誉にかけて、ヒナミさんは身命をとしてお守りいたしました」

 

「先輩なんだから私が文乃ちゃんを守るんですけど!」

 

「いえ、私が皆さんを守ります」

 

「いやいや、私が後輩を守らにゃきゃって!!」

 

 え゛ぁ゛ん゛ 待って! 無理! 推しが尊すぎてしんどいのに語彙力がなさすぎてもうちょっとヤバい

 

「私も同じよ、暗い船室を歩いていたらアサちゃんを見つけてとりあえず上に向かって歩いたって感じだわ」

 

「ほんともう、顔面ピアスみたいな糞アマに絡まれて、こんなクソブサ女相手に処女を散らされるのかと覚悟したら、超絶低音イケボで『ねぇ……私の女になに手ぇ出してんのよ……』って、奈々瀬さんが颯爽と登場してジュンジュワ~、え゛ぁ゛ん゛ 待って! 無理! 推しが神すぎてしんどいのに語彙力がなさすぎてもうちょっとヤバい」

 

「落ち着けアサちゃん言葉遣いがキモイぞ」

 

 そしてあいつはエロゲの主人公か何かか?

 

「そうこうしている所で皆さんが私を見つけてくださったんです。……というか皆さんそんな風に楽しそうなことしてたんですね、私は一人だったのに、ははは……」

 

 若干、同情した俺は美岬に声をかける

 

「美岬も無事でよかったよ」

 

「私は一人で何もすることがなかったので偶々見つけた戦車の主砲で、こいつぁいいぜ!! と、アナニーをしようとしていたんですが」

 

 やっべぇ……、同情するんじゃなかったわ

 

「途中でその姿が見つかりましてね、何でもこの地下のカイゾクさん達を倒す秘密兵器とかでかなり怒ってました」

 

 普通の人間の感性では自分の私物を勝手にケツ穴に入れようとするやつとは仲良くなれない

 

「そこで合流した私たちは殺気立った不良たちと、その……まぁ主砲にくっついた美岬を見つけたんだけど……」

 

「お助け致すために、敵と相対することになりました」

 

「私はとりあえず目標は達して、いぇへへ、文字通りの意味で達したので、なぜか争う皆さんのために戦車を動かしたんです」

 

 うるさいよ

 

「あとはその戦車で不良からみんなで逃げたんだ。それで何とか地上に出たんだけどこの糞デブが調子乗って爆走させて、上の人たちに完全包囲されて捕まったってわけだよ兄」

 

「なんかテンションあがちゃって、いろいろ壊しちゃいましたね、あの時のヒナミさんのパイプ椅子による弾丸の装填、あれは見ものでしたね」

 

「ありがとう美岬ちゃん!! でも文乃ちゃんの射撃もすごかったなぁ!」

 

「これも迅速な位置取りをしてくださった美岬さんの手柄です」

 

「えっ!? えへへへ、奈々瀬さんの正確な指示があったからですよ」

 

「まぁ私には、状況をつぶさに教えてくれるアサちゃんがいたからね」

 

 俺が露出とかいう迷惑防止条例違反レベルに対してこいつらの罪が重すぎない?

 

「捕まった後のここの人たちは本当に許せないんです。お尻に何か隠していないか検査する時、さらっと見られただけだったんですよ! 小説だとガラス棒を突っ込まれて尻の奥まで見られるはずなのに、羞恥に顔をゆがめる主人公のシーンだけで私は70回は!!」

 

「この豚はそんなんだから一人だけ薬物検査を受けるんだよ」 

 

「ピルですか? ケツの穴では妊娠しないんですよ?」

 

 こいつヤクでも決めているのか?

 

 

「でも最後は同じ戦車を出してこられて押し負けたのは悔しかったですね」

 

 どうやら最後は同じ戦車によって鎮圧されたらしい、そんなものまであるとは、この場所に驚きを隠せない

 

「あんな、多対一で勝って嬉しそうにしているクソヌーブ共、見ているとこっちがほんと笑える。戦車1両に対して6両でいい勝負とか私だったら恥ずかしくてゲーム辞めるよ、ほんと楽しそうでうらやましいね(笑)」

 

 ほんとアサちゃんは屈伸に命をかけてるな

 

「私の力不足です……」

 

「うん…… そして捕まっちゃったんだ……、しかもその子たち、私と同じぐらいの年だったんだよ」

 

「○学生が戦車に!?」

 

「ロリじゃなんですけど!!」

 

「正直、弾丸を喰らった時は死ぬかと思ったけど、奪うときに聞いたあの話、この船にある戦車は殺傷性はないって、あれ、本当だったのね、元の世界のライオット弾みたいなものかしら」

 

 戦車砲レベルのライオット弾はただの質量兵器では?

 

 

 

「それにしても私たちどうなるんでしょうか」

 

 

 その一言にみな口をつぐむ、ここに俺たちが転移した答えに繋がるものがあるはずと言っても、このままではその船から降ろされてしまう。

 

 皆一様に顔を突き合わせていると、えらく軽薄な声がどこからか聞こえた。

 

 

 

「あるよ、君たちを特別に罪に問わない方法」

 

 

 

 現れた姿は三人、腕を組んでふんぞり返る小さな少女と、両脇を固める片眼鏡をかけた長身の女学生とおろおろとした様子の女の子

 

 

 全員を代表して俺は前に出ると声を返す。

 

「どういうことだ?」

 

 ニヤッと口の端を歪めながらあまりにゆるい話し方でこちらに告げる。

 

「君たちがある条件を飲んでくれるなら私は君たちの身元と生活を保障してもいいよ、いやーすごい好条件、これは飲むっきゃないでしょ?」

 

 目線を外さず、相手を見据える。

 

「で 条件は?」

 

 相手の目が変わる。

 

 口は笑いながら目は笑っていなかった。

 

 

 

 

 

「君たちにはわが校の生徒として戦車道を履修してもらうよ、絶対に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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