希望の象徴 (英雄願望)
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第1章 入学編
1.緑谷出久オリジン


こんにちは!
ヒロアカのSS小説を投稿します。
この物語は出久が無個性のままヒーローになる物語です。
文才がないのて、自己満要素が強いかもしれません。ですが、私は読者ではないので客観的に見る事が出来ないので、内容でも、設定でも、書き方についても、ご指導の程よろしくお願いします!


事の始まりは中国軽慶市。発光する赤子が生まれたというニュースだった。以降、各自で超常が発見され、原因が判然としないまま時は流れ、超常は日常に、夢は現実に。世界総人口の約8割が何らかの特異体質である超人社会の現在。混乱渦巻く誰もが空想し憧れたひとつの職業が脚光が浴びていた。その職業こそ『ヒーロー』である。今作の主人公緑谷出久も例外ではなかった。しかし、齢4歳で社会の理不尽さを味わった。

ヒーローに必要なあるものを出久は持っていなかった。4歳迄に発言する超常……もとい“個性”。無個性であるのと気の弱い性格でよく虐められた。出久は世界総人口の8割に入れなかった。当時は忌み嫌われていた、“個性”も今では当然のことであり、持たない者は忌み嫌われている現代。しかし出久の不幸はこれだけでは終わらなかった。

 

〜出久6歳のある日〜

 

「出久〜。出かけるわよ〜」

 

「はーい!」

 

母に呼ばれリビングに足を運んだ。

今日は父親が休みで、家族3人でヒーロー博物館という、ヒーロー達の歴史から、グッズ迄ありとあらゆる物が展示されているヒーロー好きには堪らない場所(聖地)。今日は天候にも恵まれ、出久は心を踊らせ準備を整えた。

 

「よし、出発〜」

 

母引子の掛け声に出久も

 

「進行!」

 

と、答え、父久が運転する車が前進する。

 

~ヒーロー博物館〜

 

博物館に着くと出久は、両親の手を引っ張って入口へ向かっていた。引子は危ないと注意しながら、久は喜んでいる出久を見て笑みを浮かべながら手を引っ張られ入口へ向かった。

入口をくぐるとそこは夢の世界だった。

 

「うわぁ!ヒーローのサインがこんなに!」

 

博物館を入ってすぐの所は展示されてるヒーローのサイン。その数は300を超える。ヒーローのサインを1枚1枚丁寧に見ている中出久の足は止まった

 

「……オールマイト」

 

オールマイトのサイン。出久がヒーローに憧れるきっかけで、今ではNo.1ヒーロー平和の象徴と言われ、ヒーロー界トップに立つ男。出久は目に焼きつけるように長く長く、引子に言われるまで夢中で見つめていた。それから、色々な所を巡った。ヒーローの成り立ち。各ヒーローの模型像、ヒーローのグッズ売り場まで。そして、この博物館の1番の売りは博物館の警備をヒーローが、行っているということ。勿論全員が居るわけではない。しかし、出久にとってはこれ以上ない喜びだった。そうする内に時計の針は重なり休憩を兼ねた昼食を取った。この博物館は中にフードコートがあり。出久は、オールマイトランチ〜お子様風〜を食べた。両親は出久と比べ少し疲れを見せながら、出久の笑顔に満足していた。午後に回る場所を話し合いながら昼食を終えた。……しかし、事件は起きた。

 

ガンガシャン!

 

突然、大きな物音を引き金に静寂が流れた。

その原因は出久の隣に座っていた男が目の前の机を壊したからだ。

 

「何奴も此奴もヒーローヒーロー……どこが英雄(ヒーロー)だ!俺の妹を見殺しにした、(ヒーロー)を!」

 

男は哀しみと苛立ちを混ぜたような(表情)で再び周りを“個性”で壊し始めた。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ」

「きゃぁぁぁぁ」

「逃げろぉぉーーー」

 

人々がパニックになる中、出久は1人尻もちをつき、怯えて、動けなくなった。

 

「……た……たす…けて」

 

混乱した、頭で導き出したのは“死”

殺される。死ぬ。

ズボンを濡らしながら助けを求めた。しかし、ヒーローは居ない。ヒーローも昼休憩を挟んでいる。誰もが、出久自身が死を覚悟した時、1人だけ、出久の為に動いた。久だ。自分の大切な息子を死なせるわけにはいかない。男の個性によって数メートル飛ばされ、頭から血を流しながら出久の元へと駆けた。

 

「お父さん!」

 

「出久!」

 

出久が、手を伸ばし、それを掴み引き寄せた。……がしかし、それを見逃すほど男はマヌケではなかった。

 

「なんで、妹は死んだのにお前は助かるんだよ!不公平だ。不公平だ!!」

 

出久目掛けて放たれる攻撃。久は咄嗟に出久を抱き寄せ、男に背を向けた。

 

グチャ!

 

初めて聞く肉が抉られる音。出久は久にうずくめていた顔を久に向けた。久は目を見開いて血を吐いた。

そして。背中から大量の血が流れた。

 

「……お…とう……さん」

 

言葉にならない。自分を庇った父が血を流して倒れている。

 

「母さんを……たの…ん……だ」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

感情の収拾がつかない。母も泣きながら近づくも、周りの人に止められていた。

 

そこへ、漸くヒーローが駆けつけた。ヒーローは久を見みると顔を青ざめた。ヒーローはすぐさま男の懐に入り動きを封じた。ヒーローのお掛けで被害が広がることは無かった。被害はたった1人、久の死亡ニュースでも取り上げられ、男は、過去に妹を(ヴィラン)に殺されていた。その原因は、ヒーローが個性を理由に(ヴィラン)を見逃していたためである。テレビから聞こえてくるがしかし、引子は旦那の死を受け入れられずにいた。引子は精神を病み、出久に手をあげるようになった。

 

「出久が……出久のせいで!久さんは死んだのよ!あの日、出久が博物館へ行きたいなって、言うから!」

 

「…ごめんなさい」

 

出久は泣いて謝るしかなかった。僕のせいでお父さんを失った。僕がお父さんを死なせてしまった。

 

それから毎日引子は出久に手を挙げた。

 

「出久のせい、全て出久が悪い。出久さえ、居なければ、出久が無個性だから!」

 

日に日に暴力は激しくなり、少しずつ出久が悪いのでは無く無個性の出久が悪いとなってしまった。

そんな日々が4ヶ月をすぎてから、引子は入院することとなった。近所の人が出久の傷を見て警察に通報したところ、精神状態が危ういと病院に送られた。そして、出久1人だけになった。警察には、児童相談所に行くか、親戚に引き取られるか言われ、祖母の家に引き取られた。祖母は優しく、自分の息子の死を責めず、出久が生きていたことを喜んだ。そして。

幸い久が死んで、莫大な保険金がおり、引子は家事を全くせず。部屋に閉じこもり、出てきたら、出久を殴る。それしかせず、出久は自分でするしか無くなった為生活には困らなかった。週に1度面談するが尽くものを投げたり罵倒を浴びせたり。それでも出久は毎週母の元へ尋ねた。そうして、6ヶ月が過ぎたある日いつものように病室に向かった。

 

「お母さん。今日はフルーツの盛り合わせを買ってき………た……お母さん!!!」

 

……母は死んでいた。自分で首を絞めて。そして、机には1枚の書置きが。「久さん。今から行きます。」……と。すぐに看護師さんを呼んだ。

 

「早く来てください!お母さんが!お母さんが首を!」

 

しかし助からなかった。出久はこの1年間できることが増えたが失うものも増えた。あの日、全てを狂わされた。父に「母さんを頼む」と言われていたのに父親との最後の約束を守れなかった。母を支えられなかった自分を呪った。そして、二度と同じ目に遭わないように、遭わせないように、ヒーローになることを誓う。悲劇は終わらなかった。祖母も歳を重ねる毎に体が弱っていき出久が中学2年生の時に病気で亡くなった。それを聞き付けた親戚が出久を引き取ると名乗りでた。しかし、出久は祖母の形見と両親の通帳を持ち出して家を出た。

 

狂ったあの日から出久の物語は始まった。

 




原作では、ヒーローになりたいという願望はありましたが、オールマイトに出会うまでは、言い方を悪くすれば口だけ、ならば、ヒーローになる理由を原作よりも、強く、明確にして、幼少期から鍛えさせないと行けません。両親を殺したのはやりすぎかも知れませんがこれで行きたいと思います。皆様の感想、アドバイスお待ちしております。


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2.夢への第1歩

ヒロアカ24巻読みました。今回は敵編でしたがとても面白かったです。小説書くのってむずかいてすねw誤字脱字、アドバイスよろしくお願いします!


お母さんが亡くなって1週間。祖母と二人暮しが長かったおかげで、何とか、心を壊していない。それでも、悲しみは出久にまとわりついた。そして、脳裏に映るのはお父さんの最後言葉。最後の約束を守れなかった。だから、ヒーローになって、僕と同じ目に遭わないように同じ思いをしないために強くなる。

 

「まずは、体力と筋力をあげる。そのためには筋トレ。……でも、専用の器具とかないしどうしよう。」

 

器具を使う本格的な筋トレは知識的にも体力的にも子供じゃ不可能だ。ならばどうするか?……決まっている。器具を使わないトレーニングをする。まずは腕立て、腹筋、スクワット、この3つを先ずマスターする。

 

「えっと……うでたて?は、まず四つん這いになる。そして、足を伸ばしてお尻をあげる……そして、ポンプように肘を曲げる。い〜ちっ!…うわぁ……難しいな。」

「なら、ふっきん……えっと、膝を曲げて仰向けに寝て足を固定する。そして、上半身だけ起き上がる。……いっっち! 」

「最後にすくわっとだ。立って、しゃがむ。でも、背筋は伸ばす。よし!出来そうな気がする!」

 

案の定無理でした。

1回目の挑戦では、満足に出来ない。それなのに翌日は筋肉痛になる。筋肉痛に耐えながらやる筋トレは更に苦痛だった。それでも、1ヶ月後には、回数は少ないが綺麗なフォームでできるようになった。筋力は漸くこれでなんとかなる。次に体力。この答えは極めて単純、走ることだ。毎日毎日走って行った。それも筋トレと並行させながら。1日経つ事に、距離や回数を伸ばしていった。しかし個性がないハンデを背負っている出久にとっては強くしたところで必ず限界が来る。ならばどうするか、答えは簡単。知恵を身につける。爪も牙もない人間がなぜ、生態系のトップに君臨出来たか、それは知識を身に付けたからである。ハンデがある分、他のことで補わなければ意味が無い。出久にとっての知恵とは、あらゆるヒーローの戦い方、体の使い方を徹底的に調べる。個性を使うヒーローの戦い方なんて、役に立つの?と思うかもしれない。しかし個性だけで、ヒーローになれるほど甘くない。それに増強系の個性は肉弾戦が基本。盗める技術が多い。そして、3年の月日が流れた。出久も10歳。毎日毎日、回数を増やしながら、ずっと鍛えてきた。漸く身体が夢へ追いつき始めた。

 

「行ってきます!」

 

「暗くなる前には戻るんだよ」

 

「うん!」

この日は土曜日。学校が休みで体を鍛えようと海浜公園にでトレーニング。ここは海流によって漂着物が多く、それにつけ込み不法投棄も多い。ゴミ溜めに好き好んで近づく人もいない。器具を持たない出久にとっては最高のトレーニング場だ。

 

「ゴミの大きさは様々。普段使わない筋肉を鍛えられる!」

 

まずは近くに落ちてた電子レンジ。それを手に取り廃棄された軽トラまで走って持っていった。それを繰り返すこと2時間、出久は突然足を止めた。出久の目線の先にはリストバンドが6つまとめて廃棄されていた。このリストバンドには見覚えがあった。

 

「……アース」

 

口から零れたのは1人のヒーロー。自分の体をありとあらゆる鉱石へと変えるヒーロー。あらゆる鉱石を複合させる事で。オールマイトの一撃を耐えたという逸話があるくらいの防御力を兼ね備えている。しかし、その強さと引き換えに敏捷は驚くほど失われている。そんな、岩石ヒーローアースはひとつのサポートアイテムを作って貰っていた。リストバンドだった。伸縮性抜群。衝撃にも耐えられ、洗濯可能と、サポート会社が笑いながら言っていたのをテレビで見ていた。そのリストバンドは特殊な技術で自身の肉体にかかる重力を軽減させるものだった。それが出久が見つけたリストバンドに酷似していた。出久は興奮しながら、汚れたリストバンドを腕に通した。偽物だと思ったが、違った。身体が軽くなるのではなく、重くなった。立てない程に。襲ったのは重力。恐らくこれは、サポートアイテムの試作品……失敗作である。倒れながらも、リストバンドを腕から外した。このリストバンドは負荷重力を設定できる。このアイテムが出久のヒーローへと大きく突き進ませた。

あの日から、出久はリストバンドを付けるようになり、少しずつ重力負荷を重ねていった。そして、祖母の死を乗り越え中学3年。重力負荷は12.5倍。日常生活なら難なくこなせる程になった。

 

「おばあちゃん、行ってきます。」

 

出久は親戚から逃げ、新しいアパートへ引っ越した。未成年では賃貸の契約は無理なので祖母の名前を使わせてもらった。そして、新生活を楽しむことをする暇もなく出久は学校へ足を動かした。余談だが、途中ヒーローにも会えて上機嫌だった。

 

〜学校〜

 

「よーし、お前ら席に着け〜HR始めるぞ〜」

 

先生の声が教室に響き渡りみんなが席に着いた。

 

「お前らも3年生。そろそろ進路を考える時期だ。進路希望のプリントを配るが皆んな!」

………………

「だいたい、ヒーロー志望だよね〜」

 

クラスの、大半が返事をするように個性を使った。ある者はものを浮かし、ある者は風を操り、ある者は自身の腕を岩に変えていた。

 

「うんうん。みんないい個性だ。でも、校内での個性発動は原則禁止な!」

 

みんなの声を先生は肯定しながら話を進めようとしたが

 

「せんせ〜。みんなとか一緒くたにすんなよ」

「俺はこんな“没個性”共と仲良く底辺なんざ、行かねぇよ!」

 

彼は爆豪勝己。出久とは、幼馴染で、腐れ縁。彼もヒーロー志望。先程までの空気が壊れ、周りが爆豪勝己に反論した。

 

「そりゃねぇーだろカツキ!!」

 

鳴り止まぬブーイングの中、勝己は嘲笑うように

 

「モブがモブらしくうっせー!」

 

さらにブーイングが激しくなる中、先生は勝己の志望校を見つけた。

 

「えっと……爆豪は、雄英か」

 

その発言にブーイングがやんだ。そして、クラス中がざわめき出した。

 

「え、雄英ってあの!?」

「国立の!?偏差値今年79だぞ!?」

「倍率も毎年やべぇーんだろ!??」

 

勝己は周りの反応を見て笑みを深めた。そして、机に乗った。

 

「そのざわざわが、モブたる所以だ!」

「模試ではA判定。俺は中学唯一(うちゆいいつ)の雄英圏内!」「あのオールマイトをも超えてトップヒーローとなり、必ずや高額納税者ランキングに名を刻むのだ!」

 

聞いてもないのに、自分の事を語り出した。オールマイトを超える?馬鹿じゃないの?と思うが爆豪勝己には、それを成し得る“個性”と実力をもってる。

 

「あ、緑谷も雄英志望だったな。」

 

場が凍った。ピキッと鳴りもしない音が聞こえる。

 

出久は「はぁ〜」と、面倒くさそうに頭を抱えた。

 

「雄英?無理っしょw」

「頭いいだけじやヒーロー科入れないぞw」

周りからは笑われバカにされている

 

「…………」

 

が、勿論無視して、受験勉強に励む。

しかし、邪魔された。爆豪勝己に

 

「こら、デク!!!」

 

「うわぁ!」

 

いきなりの爆発で驚きながら避ける。

 

「“没個性”どころか、“無個性”のお前がなんで、同じ土俵に立てるんだァ!」

 

「僕の進路にかっちゃんは関係ないだろ?かっちゃんの為に自分の進路変更したくないし、同じ土俵とか言うなら、ほか行けば?」

 

その発言に勝己は、手のひらから、爆竹のような音を出しこちらを睨みつけている。

 

「んだァとゴラァ!」

「無個性のてめぇがヒーロー?笑わせんな!」BOOMU!

 

再び出久へ向けての個性使用。勿論避ける。本来これは法律的にOUTなことで、発覚したら、勝己の進路にも響く。が、今はそれどころじゃない。

 

「少なくとも、模試ではかっちゃんより上だし、戦闘でも、負けるつもりはないよ」

 

確かに模試ではA判定。出久は全国模試1位に君臨し続けている。それは、紛れもない事実。誰もが認める秀才である。が、ヒーローとなれば別。

 

「よし、じゃあ、表出ろ!」

 

勝己は殺る気満々だ。出久は面倒くさそうに嫌がっている。

 

「こら、まだHRだぞ?それに、個性使うなって」

 

先生が止めに入ったおかげで戦うことはなくなった。

勝己はイライラしながら席に着いた。

そんなこんなで放課後になった。

 

「もう放課後。早く帰ってトレーニングしよう。」

 

出久は机の中にある教科書、ノートを鞄に突っ込み帰ろうとした。が、止められる爆豪勝己に

 

「おい、デク話は終わってねぇぞ!」

 

「僕の中では終わったことだから。バイバイ」

 

「一線級のトップヒーローは学生時から、逸話を残している。俺はこの平凡な中学から初めての!唯一の!「雄英進学者」っつー泊を付けてぇーわけなのよ。まぁ。完璧主義なわけ」

 

そんな話を聞き流しながら帰ろうとするが……

 

「まぁ、待てよ、雄英受けるなよナード君」

 

出久の肩に手を置き煙を出して、止められた。

 

「嫌だよ」

 

「道端の石ころの分際でぇ。ヒーローになりてぇなら、来世は“個性”が宿ると信じて屋上からワンチャンダイブ」

 

「はぁ?」

 

「何よ?」BOMB

 

突然の発言で驚きつつも勝己の方へ振り向くと手からパチパチと火花を散らせている。呆れた。冗談で言ってない。これ以上口答えしても面倒だ。逃げる方法はひとつの窓から飛び降りることだ。ここは3階。しっかり受け身を取れば大丈夫。そして、靴を履き替えて家へ帰る。

 

「……った」

 

「あん?」

 

「わかったよ。かっちゃん。飛び降りる」

 

「は?」

 

勝己が疑問を浮かべてから、一瞬窓から外に出た。

 

「はぁぁ!」

 

勝己は焦り窓の外見たすると、出久の姿はなく。一瞬だけ、黄色の鞄が下駄箱に向かっているのが見えた。

 

「あの、くそナードが!」

 

勝己は苛立ちながら帰路へ向かった。




第2話書かせてもらいました。ということでやっと原作突入ですね。次回から原作改変はじまります!


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3.敵〈ヴィラン〉

3話目突入〜この調子が続いてくれればいいのですがw,
感想ありがとうございます!お気に入り登録も少しづつ増えていきとても嬉しいです。



勝己は苛立ちながら商店街を歩いていた。道に落ちている空き缶に八つ当たりしていた。

 

「なぁ、勝己。どうしてそこまで緑谷に突っかかるんだ?」

 

「“無個性”なんだし、どーせ雄英のヒーロー科になんか受かるわけないだろ?」

 

勝己の友達AとBが勝己に疑問をぶつけていた。勝己は顔をAとBに向けながら答えた。

 

「“無個性”のクセに。なんも持ってないくせに、反吐が出る。石ころは石ころで底辺に行きゃいいんだよ」

 

「うわぁ。辛辣〜w」

 

「まぁ、緑谷だしなw」

 

勝己の回答に笑いながら、友達AとBは煙草を吸おうと箱から1本ずつ煙草を取り出したが

 

「おい!ここで、煙草吸うな!俺の内申迄火の粉飛ぶだろうが」

勝己に止められた。

 

((……みみっち〜!))

 

「あ、あぁ。わかったよ」

 

「なら、ゲーセン行こーぜ」

 

「あぁ」

 

 

……グチョ

 

ゲーセンに行くため脇道へと曲がる。すると、泥のような感触が勝己を襲う。すぐに離れて見上げると気色の悪い巨大な液状の化け物。

 

「Lサイズの隠れ蓑」

 

化け物は口のようなものをU字に曲げ、勝己を襲った。

 

「がはッ!………………」

 

「う……うわぁーーーー!」

 

「に、にげろぉぉーーー!!」

 

友達AとBは、勝己を見捨て逃げたした。

 

(やべぇ、息が出来ねぇ……)

 

「抵抗すんなってw体を乗っ取るだけさ!苦しいのは最初の45秒さ。俺の個性からは逃げられないからw」

 

(こんな所で終わる訳にはいかねぇんだよ!)BOOOOOMB

 

「いい“個性”だなぁ〜。これはアタリだ!ありがとよ。お前は俺のヒーローだwまさかあんなのがこの街に来てるなんて思わなかったぜ。」

 

(ちくしょォォォォォ!)

 

 

 

 

 

時を遡ること10分前

 

「逃げられたけど。明日また突っかかってくるよな〜。がっこう休もかな……いや。ダメだ雄英入るなら、せめて欠席ゼロにしといた方がいいだろう。」

 

勝己の事で憂鬱になっている。幼馴染で腐れ縁。別に嫌いではないが、苦手だ。異様に絡んでくる。

 

視線を携帯に目線を移しながら帰っていると……

 

ドンッ!

 

「うわっ」

 

「大丈夫かい?少年。」

 

「す、すみません。前見てなくて…………って!お、オ、オールマイト!!!!?」

 

「今は(ヴィラン)を追いかけていてね。時間が無いんだよ。サインでいいかい?」

 

(な、生で見ると……画風が全然ちがう!!)

 

「か、家宝に!家の宝に!!!」

 

ノートに書いてもらったサインを両手で持ち何度もお辞儀ををしている。

 

「HAHAHAHAHA!それじゃ、少年」

 

「まって!」

(聞きたいことがあるのに!)

 

「待たない。ヒーローは時間とも戦っているからね」

 

「なれますか!ヒーローに!」

 

「あぁ、なれ「“無個性”でも」“無個性”……」

 

「小さい頃からずっとヒーローになるのが夢で!僕も貴方みたいに笑って助ける最高のヒーローなれますか!」

 

「ヒーローは己を賭して(ヴィラン)から、災害から市民を守る。“無個性”でも成り立つとは口が裂けても言えないよ。」

 

「えっ?……」

 

「夢を見るのは悪く無い。……たが、それ相応の現実は見なくてはな少年」

 

「……はい」

 

オールマイトは今度こそ地を蹴り空へと消えた。「それ相応の現実は見なくては」その言葉が胸へと刺さる。“無個性”がヒーローになるのはNo.1ヒーローでも無理と断言した。自然と涙が零れる。

 

自分の夢は釣り合っていないのだろうか?

ああ、そうだ

ヒーローにはなれないのか?

オールマイトはそういってた。

なら。夢を諦めるのか?

オールマイトが無理だと言ったんだしょうがない。

自問自答を繰り返す。

 

出久は何も言えないままオールマイトがいなくなってもしばらくその場を動けなかった。

 

商店街のところが、やけに騒がしい。ヒーローが戦ってるんだろうか。

 

 

 

一方その頃オールマイトは(ヴィラン)を追っていた。

 

「見失ってしまった。長話すぎたか。」

 

あの時、少年にかけた言葉はストレートすぎた。もう少し、少年を傷つけない方法もあったかもしれない。オールマイトの発言はどこも悪くない、寧ろ正論だ。ヒーローという職業は個性社会が出来てから、“個性”を持っていない時代には存在しなかったもの。もし、あの場で少年を肯定すれば、間接的に少年を殺すようなものだ。あそこで。時間を理由に誤魔化してはいけなかった。

 

 

(活動限界が近い。急がなくては!)

 

オールマイトは更に加速し(ヴィラン)を追った。

 

 

そして、時は戻り(ヴィラン)は抵抗する勝己を半分まで取り込めた。が、意識が強いせいか、体を乗っ取る速度が遅くなっていた。そのまま商店街で暴れた。そこからはまさに地獄絵図だ。勝己は必死に“個性”を使い抵抗しているが(ヴィラン)は止まらない。商店街は数分で火の海になってしまう。ヒーローも数名駆けつけたが、流動体で子供を人質にしているということもあり中々近づけないでいた。消火したり、巻き込まれた人を助けるのが手一杯だった。

勝己が人質になっているとは知る由もなく出久も商店街に立ち寄った。人混みで見えない中人混みをかき分けて最前列まで来た。

 

「どうしたんですか?」

 

「ああ、(ヴィラン)に中学生が人質に取られてるんだよ」

 

出久は咄嗟に近くの人に聞いた。中学生、僕と同じ歳、もしくは年下が目の前で人質になってる。怖いだろう。苦しいだろう。もし、僕がヒーローならば、個性があれば……

 

そんな無意味な事を考えているとヒーローに助けられた大学生達がやってきた。

 

「ちくしょ!俺達の努力が!」

 

「あともう少しだったのに!」

 

「液体窒素もこのままじゃ気化するし。アレ高かったのに!」

 

「くそ〜!」

 

そんな事を言いながらもヒーローに助けられ安堵していた。次に野次馬の1人が今の状況に合わないハイテンションで声を発した。

 

「そーいえばさ!来てるらしいぞ!」

 

「来てるって?」

 

「オールマイトだよ!オールマイト!昼にこの辺りで見たってSNSで言われてる!」

 

「マジで!?」

 

「あぁ」

 

出久は時が止まる。

 

(オールマイト?(ヴィラン)を追ってるって言ってた……まさか!あの(ヴィラン)!?……僕のせい。僕がオールマイトを止めたから)

 

そして、中学生が抵抗するように“個性”を使った。

その“個性”は自分が知ってる“個性”。あの“個性”はよくある“個性”じゃない。僕が知っている中でただ1人が持っている“個性”

 

「……かっちゃん」

 

(僕のせいでかっちゃんが!早く助けないと!)

でも、できないだろ?

えっ?

僕は“個性”を持っていない。行くだけじゃ無駄死にだよ?

だって!かっちゃんが人質に!僕のせいで!

オールマイトだって言ってただろ?ヒーローは無理だって

嫌だ!

ならどうする?

ヒーローになる!

 

出久の腹は決まった。まずはあの流動体をどうにかしないと流動……液体…………凍らす………はっ!液体窒素!さっき大学生がそんなこと言ってた!

 

出久は急いで大学生に液体窒素の場所を聞いた。すると(ヴィラン)が暴れてる2件先の建物にあるらしい。急いで重力リストバンドのスイッチを切った。そして、人混みを抜け裏路地から回り込んで液体窒素を手に入れた。(ヴィラン)に突っ込んで液体窒素をぶっかけるだけ、だけど怖い。足がすくんだ。行かなきゃ!行かなきゃ!心の中で必死に叫んだが体が動かない。そこで、かっちゃんと目が合った

 

「ッッ!!!」

 

出久は恐怖を忘れ液体窒素を片手に(ヴィラン)へと突っ込んだ。“無個性”とは思えない速さで出久は(ヴィラン)の懐へ入り、次の瞬間液体窒素をぶっかけた。しかし、液体窒素の沸点は約-200℃火事で温度は50度を超えている中で噴射した液体窒素は直ぐに気化してしまう。それでも多少は(ヴィラン)の体を凍らす。気化したおかげで煙幕が出来き(ヴィラン)は混乱していた。その隙を突いて凍っている所を殴り勝己の学ランを掴む。そして、一気に引き剥がそうとする。

 

「かっちゃん!」

 

「てめぇ!なんで来た!」

 

「なんでって!僕はヒーローになる。理由はこれだけで十分だろ」

 

「やめ……ろ…」

 

ある程度解放されたが全然有効打にはならなかった。そして(ヴィラン)も出久に気づく。

 

「クソガキが!邪魔すんじゃねぇ!」

 

「っぶな!」

 

紙一重で躱す。しかし、結局(ヴィラン)を怒らせているだけになってしまう。次の手は……

 

「かっちゃん!君はその程度で終わるのか!雄英に行くんだろ?君のヒーローへの憧れもその程度だったのか!僕を“無個性”とバカにしているのに君は(ヴィラン)の“個性”にやられるのか!(ヴィラン)の“個性”に比べたら君の“個性”だって“没個性”じゃないか!」

 

ブチッ!!!

 

「……とぉ……」

 

「俺が“没個性”だとぉ!」

 

効果てきめんだ!出久は勝己の地雷を踏みまくった。おかげで先程まで意識を失いかけていた勝己は目を覚ましブチ切れていた。

 

「こんな、カスに俺が殺られるかぁぁぁ!!!!!」

BOOOOOOOOOOOOOOOOOOMB!!!!!!!!!!!!!!!

 

「おい!やめろ!」

(ヴィラン)も慌てて止めようとするが遅かった。凍らせた所から一気に爆発させ自力で(ヴィラン)の拘束から逃れた。

 

「デクてめぇ!誰が“没個性”だぁ!」

 

「だってそうだろ?(ヴィラン)に手も足も出ずに捕まってたじゃないか!」

 

「だから、抜けたろうが!」

 

出久と勝己が場を弁えずに言い争っている。しかし(ヴィラン)は死んだ訳でも、ましてや気絶などしているはずがなかった。

 

「クソガキがぁ!ぶっ殺してやる!」

 

(ヴィラン)が殺気を出しながら向かってくる。出久はともかく勝己は今の抵抗と先程の爆破。“個性”の使いすぎで疲れを見せていた。

 

「死ねぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

勝己を抱えて逃げようとするが間に合わない。出久は勝己を突き飛ばし、防御を試みた。が、あっけなく破れる。店へ吹き飛ばされる。攻撃を受けた腕と建物に突っ込んで背中が痛い。(ヴィラン)は勝己の事には目もくれず出久を襲った。ヒーロー達も人質が、解放されたことにより駆けつけようとするが間に合わない。出久自身も死を覚悟した。しかし、その時

 

「もう大丈夫!!!何故って?私が来た!!!!」

 

聞き覚えのある声。そう。この声は

 

「「「「オールマイトォォ!!!!!」」」」

 

誰もがオールマイトの到着に歓喜する。

 

「クソがァァ!てめぇも死ねぇ!オールマイト!」

 

「DETROITSMASH」!!!!!!!

 

オールマイトの一撃は風を生み一瞬で(ヴィラン)を倒した。そして……

 

「……雨?」

 

「まさか、今の風圧で上昇気流が発生して……!?」

 

「おいおいおいおいおいおいおい!!」

 

「右手1本で気候が変わっちまった!!!」

 

「すげぇぇぇ!これがオールマイト!!!!!!!」

 

この後。ヴィランは回収され、無事警察に引き取られた。そして出久はヒーローに怒られた。

 

「君が危険を冒す必要はなかった!」

 

「危うく君は死んでたかもしれないんだぞ!」

 

「す、すみません……」

 

 

逆に勝己は賞賛された。

 

「凄いよ!そのタフネス!それにその“個性”!」

 

「高校卒業したらぜひ事務所(うち)に来てくれよ!」

 

しかし、勝己はどこか納得していないようだった。出久も吹き飛ばされて背中に軽い擦り傷を負い。腕も骨に罅が入った。しかし、出久に後悔はなかった。寧ろ更に強く、ヒーローになろうとする気持ちが強くなった。1度折られた夢はさらに強くなって帰ってきた。




今回の事を分かりやすくすると
ヘドロ暴れる
オールマイトヘドロ追う
オールマイト出久と出会う
オールマイトヘドロ追う
勝己ヘドロに襲われる
出久現場到着
オールマイトヘドロ倒す

と、大雑把に言うとこんな感じです。このため、オールマイトは出久のヒーローの、資質を感じる暇なく敵を倒しました。よって個性は引き継がれません。というわけです。次回は入試編です。


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4.入試試験!

更新が遅れて申し訳ありません。
今回は入試編です。まぁ、この話で終わりますけど……
アドバイス、文句、アンチコメント、なんでもいいので感想お願いします。


商店街の事件……通称ヘドロ事件から7日が過ぎた。

出久は腕の罅はともかく背中の傷は殆ど治ってきた。医者曰く、出久は治りが早いとか。大怪我ならともかく、軽い擦り傷、切り傷程度なら2.3日程度あれば治るとのこと。寧ろ勝己の方が被害は大きかった。ヘドロ事件の時、(ヴィラン)に抵抗する為に“個性”の長期使用、それに出久に煽られ高火力の“個性”を使用したことによる、両腕の汗腺の破裂。後遺症は残らないが暫くは、“個性”の使用が禁止された。勝己はどこか不貞腐れてるような感じだった。そして、その日から勝己は出久に絡むことは無かった。出久も鍛錬に励み重力負荷もどんどん増やしながら、気づけば入試当日。重力負荷は15倍まで来た。

 

あの日から努力し続けた出久にとっては緊張も他者と比べて少なかった。それに、出久には今までの様々なヒーローの戦闘法が頭に入っている。出久自身、自信はある。ヒーロー科の入試方法は2つ。1つは、学科関係なく行われる筆記試験。そして、2つ目がヒーローに必要な戦闘を模した実技試験。実技試験では、個性の使用が許されている。しかし、サポートアイテムといった物は原則禁止である。発覚次第不正行為として失格となる。個性事情で、必要ならば願書提出と同時に申請しなければならない。出久は、“無個性”だが、サポートアイテムは不要だ。

 

 

そして、その当日は、朝5時に起き、日課の走り込みを終え、朝食を取って、雄英に行く準備が終わり、時間的にもそろそろ出ないと行けない。

 

「よし、忘れ物もないよね?」

 

そう、自分にいい、再度確認をする。リストバンドは置いていこうか悩んだが、ギリギリまで、自分を追い込もうと持っていく事にした。実技試験の時に、スイッチを切れば問題もない。そうして、出久は雄英に向かった。

 

 

 

雄英に着くとまずは大きな正門が建っていた。出久の中学よりも大きく、雄英の規模の大きさが分かる。緊張で足を取られることも無く試験会場へとむかった。

 

まずは、筆記試験。指示された席に着いて筆記用具を机に置き、担当の先生が問題用紙と解答用紙をくばり、チャイムがなると同時に一斉スタートではじまった。問題を見るとすぐにシャーペンを走らせ、解答欄を埋めていく。出久の成績は全国模試トップ。出久にとって筆記試験は難なく終わった。

 

 

そして、問題の実技試験。

試験について、ボイスヒーローのプレゼントマイクから説明をうける。簡単に言うとロボットの撃破。ロボは4種類いて、1P、2P、3P、0P。ロボを倒してポイントを稼ぐ。そして、0Pはお邪魔虫、妨害ロボとのこと。1人とても真面目なメガネが質問していたので間違いない。そして、動きやすいようにジャージに着替え、リストバンドのスイッチを切る。これでただの伸縮性のあるリストバンドでしかない。会場へは、専用のバスを使う。会場も複数あり、各々指定された会場へ向かう。試験会場では準備運動をして、今の重力に慣れさせる。試験本番で思い通りに体を扱えないとたとえ、強力でも意味は無い。そう慣らしていくうちにプレゼントマイクから開始の合図が下る

 

 

(そろそろかな?意識を集中させよう……)

 

出久は目を瞑り、耳を澄ませた。そして、時はやってくる。

 

「はい、スタート」

 

プレゼントマイクの軽い合図で出久は1番に飛び出した。他の受験者は覇気のない声で戸惑いつつ、プレゼントマイクの「匙は投げられてるぞ」と言うと発言で遅れながらもスタートした。出久は一番乗りでロボを見つけた。

 

「確か……1Pロボ」

 

ロボは出久を見つけると、そのままこちらに向かってくる。

 

「倒す……なら、これだ!」ドンッ!

 

出久はロボの勢いを利用しながらカウンターで反撃した。出久のはただの反撃ではない。長年のヒーロー研究で、ヒーロー達の技を真似るだけでなく、自分なりに改良していた。出久から放たれるカウンターは一撃にしてロボを破壊した。ロボは見つけ次第こちらに向かってくるのでカウンターを駆使するだけで倒せた。大半は1Pロボだが2P、3Pも倒していき、後半では40体以上を倒し、ポイントは60を上回っていた。

倒せた。大半は1Pロボだが2P、3Pも倒していき、後半では40体以上を倒し、ポイントは60を上回っていた。

そして、とある一室では……

 

「今年も例年通り凄いね!」

 

「あぁ、この実技試験はヒーローとしての基礎能力を測るためだからね」

 

「今年は豊作じゃないのか?」

 

「そうとも限らないぜ?真価が問われるのはここからさ!」ポチッ

 

 

そうして、1人の男が謎のスイッチを押した。

………………

…………

……

 

 

ガチャコン!!!

 

騒音をたてながら建物が破壊されてゆく。おかしい事に巨大なアームが建物を掴んだ為に壊れていく。その正体は0Pロボだ。

 

「…嘘だろ?」

 

よくよく考えたら、0Pは各会場に一体。他のロボと同じ大きさなら邪魔にはならない。だから、2つの可能性が考えらた。1つ、他よりも戦闘に長けている。2つ、単純に大きい。そして、答えは後者だった。会場にいる全員がパニックを起こして逃げようとしている。

 

「に、逃げろ〜!」

 

「うわぁぁぁぁ!!!」

 

「こんなの死んじまうよ!!」

 

出久も残り時間をお邪魔虫(0Pロボ)に費やす程馬鹿ではない。合格基準が分からない今、戦うより早急に立ち去り、他のロボを撃破しようと考えた。

 

 

「いったぁ〜……」

 

声が聞こえる方向へ振り返ると1人の女子生徒が0Pロボが破壊した建物の瓦礫に足が下敷きになってしまっている。

 

ヒーロー科の入試であり、彼女も死にはしないだろう。もしくは別の人が助けてくれる。自分は“持っていない”からなりふり構っていられない。

 

そう、自分の中で自己完結して、進行方向へ視線を戻そうとした。

 

しかし……

 

彼女と、目が合ってしまった。今の彼女はヒーロー志望の生徒じゃない。0Pから逃げ遅れた中学生だ。

 

今、助けなかったらヒーローになれない。

 

そんな気がした。そこからの出久の行動は早かった。名も知らない彼女の元へと向かい足の上の瓦礫を退けた。

 

「大丈夫ですか!」

 

「……アカンよ、はよ逃げて!私は大丈夫だから!」

 

しかし、怪我しており、0Pロボの速度ではすぐに追いつかれる。

 

どうしよう……彼女を背負ってここから避難する?

 

いや、ダメだ。そうすれば、彼女の足の怪我を悪化させてしまう。

 

なら、倒すか?そんなのできるのか?“無個性”なのに……

 

いや!“無個性”を理由に逃げるな緑谷出久!

 

方法はある。倒すこと自体は可能だろう。しかし、今の距離と0Pロボの移動速度から考えて、行動不能は無理だ。なら、リストバンドを0Pロボに付けて重力負荷を与える。0Pロボの質量は数十トンそれを考慮して、リストバンドのMAX負荷100倍にすれば、倒せなくとも、行動不能にはできるだろう。

 

でも、そうすると僕は不正行為で不合格は確実。

あ〜こんなことならちゃんと申請しとけば良かった。

 

……けど。泣き言言ってる暇はない。他校のヒーロー科を受けるか、最悪、来年受験し直せばいい。それよりもまず彼女を救ける。

 

出久は0Pロボに向かって走り出した。

 

そして、0Pロボにリストバンドを付ける事だが、そう簡単ではない。リストバンドは伸縮自在とは言っても、限度がある。リストバンドに1部を通さねば、意味は無い。唯でさえでかいのにリストバンドを通せる場所は限られてくる。出久が見つけたのは0Pロボの頭部。即ち、1番高い所は小さな凸があった。今の出久の身体能力では、昇るのは、簡単。出久はあっさりと、登りリストバンドのスイッチを起動させ、凸部分に装着させる。負荷をMAXに設定して。

 

次の瞬間、思惑通り0Pロボの体勢が崩れ始めた。

しかし、誤算が生じてしまう。重力負荷によるロボの崩壊で出久がたっている、0Pロボの頭部にも影響が出る。それを考慮しておらず、体勢を崩し落ちてしまった。

 

やばい……この高さから落ちたら死ぬ。どうする……

 

受け身は?

 

ダメだ。地面に叩きつけられる勢いで受け身をとっても衝撃は殺しきれない。

 

どうしよう。破壊に成功しても死んだら意味がない。

 

5点着地ならどうだ?衝撃を5つに分ける。最悪骨折はするが死にはしない。来年受けるなら十分治る時間がある。

 

出久はすぐに5点着地の姿勢を取った。あとは、足と地面との接地を待つだけ。どんどん地面との距離は近くなり、あと5秒掛からないところまで来た。

そして、3……nバチンッ!

 

え?

 

頬に強い衝撃が走った。足でなく頬。おそらく、ビンタされた。そして、3秒経っても地面との距離は縮まらない。おそらく、ビンタした彼女の“個性”だろう。ロボの残骸の上に乗りそれを浮かせて出久も浮かせたのだろう。お陰で助かった。彼女に感謝しなくては。

 

 

「か、解除。……うっ!……オロオロオロオロオ」

 

そう言いながら両手を合わせると浮力が無くなり地面との距離が一気に縮まる。彼女のお陰で簡単に着地出来た。

 

終了〜!!!!

 

そして、プレゼントマイクの合図で試験が終わる。

怪我なく無事に試験を終えることが出来たが、助けてくれた彼女はまさかのキラキラを口から出していた。これは、決して、“個性”では無いだろう。恐らく、“個性”の反動と言ったところだろう。

 

「えっと……大丈夫ですか?」

 

そう言いながら彼女の背中を摩っていた。しかし、彼女はキラキラを止めない。キラキラが収まったので、取り敢えず残骸から日陰に移動させておく。

 

暫くして、お婆さんがきて、彼女を診てもらった。負傷した足を治して、出久にハリボーを上げて他の人のところへ向かってしまった。ナルシストのような受験生が言うには、雄英の養護教諭のリカバリーガールだとか。名前は聞いた事あるが、生で見るのは初めてだった。

 

その後、彼女も目覚めて無事みんなで試験会場を後にする。

 

 

 

 

数日後、雄英の合否通知が届いた。

 

「どうせ、不合格なんだから、見る必要無いよね?態々送ってこなくてもいいのに」

 

出久は見るのを躊躇っていた。

当然だ。不正行為をして合格するはずもない。それに、不正をしたという罪悪感が半端ない。

 

「……けど、送られてきたってことは見た方がいいのかな?」

 

出久は渋々封筒の中を開ける。すると、立体映像で白い鼠?みたいなのが映し出された。雄英はプロヒーローが教鞭を取っている。映像に映るのはヒーローでは無い。それもそのはず、映し出されたのは校長先生だ。

 

「やぁ、僕は校長さ!」

 

「緑谷出久君。筆記試験は満点。凄いね。例年筆記上位でも、満点はそうそうないよ。今年も満点は君1人だ。」

 

それはよかった。しかし、問題は……

 

「実技試験のことが気になるかい?」

 

え?……これって録画映像だよな?

 

「勿論これは既に撮り終わってる映像だよ。それで実技の方だけど」

 

……え?なんで?読まれてる?嘘?

 

「まず、実技試験は2つの項目で審査している。1つ目は(ヴィラン)を倒す為に必要な基礎能力を(ヴィラン)ロボの撃破によるポイントで表わす。2つ目が人を救けるヒーローに必要な要素であるレスキューポイント。これは審査制で配点する。

改めて、緑谷出久

(ヴィラン)ポイント68

レスキューポイント60

トータル128

素晴らしい成績だよ。入試トップだ。

 

けど……君は不正行為をしたね。」

 

はい、しました。ごめんなさい。

 

「それによって、君の実技ポイントは0にする。不合格だよ。」

 

中期は何処に受けようか?士傑に行こうかな?あ、でも、中期も取ってたっけ?

 

「でも、まだ諦めるのは早いよ」

 

映像は終わりではなかった。まだ続いていた。

 

「普通科に来ないかい?」

 

え?普通科?どうして?

 

「戸惑っているね?なぜ、自分が普通科に行くのか?って」

 

え?怖い。ここまで読まれてると怖いよ。何者なの、校長って……

 

「実技試験は0点しかし、それは不正行為のせいであって君の戦闘技術は素晴らしいかった。それに、合格を天秤にかけてまで救ける自己犠牲の精神。とても“無個性”とは思えないよ」

 

でも、普通科に行ったところでヒーローに成れなきゃ意味が無い。

 

「普通科の生徒でも、成績次第でヒーロー科編入も可能なのさ!」

 

え?嘘!!!!!!

 

「本当だとも。君が良ければ普通科に来ないかい?」

 

「よし、なら、普通科に行こう!!!」

 

「送った封筒の中に書類諸々入ってるよ!では、また学校で会えるのを楽しみにしているよ!」

 

え?なんでわかんの?怖いんだけど……え?怖いよ!校長って何者だよ!

 

 

「僕は校長さ!」

 

 

そうして、本当に立体映像が終わる。ヒーロー科に落ちたが普通科に入れた。しかも、成績次第でヒーロー科に編入可能。これは大きい。そして、必ずヒーローになる!

 

こうして、出久は雄英高校普通科への編入が決まる。




次回からは普通科編。心操君やオリキャラも出す予定です。更新は遅くなると思いますがよろしくお願いします。


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5.雄英入学!

お気に入り登録数100を超えました!
ありがとうございます!
まだ5話目ですが今後ともよろしくお願いします!
今回は普通科の話です。
原作では描かれないので参考がありません。なので自分で勝手に作りました。原作見落としの可能性もありますがよろしくお願いします!


「今年、1年C組の担任をする事に──」

 

今日は入学初日。

出久は普通科のCクラスになった。流石雄英、普通科の担任までプロヒーローだ。ヒーロー科には落ちたけど雄英に通えること自体が凄いんだなと改めて思った。

 

先生が軽く自己紹介してから入学式をする為に体育館へ集合した。

 

「では、まず校長先生から──」

 

こうして入学式が始まった。予定では9時から10時半その大半が校長先生の話だった。それに、ヒーロー科A組が居なかったが、何かあったのだろうか?

 

出久は知らなかった。A組は軽はずみな言動で1人、既に居ない事を……

 

 

 

漸く入学式を終え再度教室に戻り、ガイダンスをするのだが、その前に生徒の自己紹介が始まった。

 

「そんじゃあ、自己紹介してもらうぞ!簡単に、出身中学、名前、好きな物、あとは嫌ならいいが“個性”とかかな?最後は雄英に入っての意気込みで行こう!よし、出席番号1番からいくぞ〜」

 

出久は15番。時間はまだある、前の人の自己紹介を参考にすれば浮くことは無いはず!

 

「えっと、神岡中学から来ました。騰理 融斗(あがり ゆうと)です。好きな物は辛いものです。“個性”は触れた物の温度を変えます。皆とは仲良くしたいです。よろしくお願いします!」

 

パチパチパチパチパチパチ〜

慣れている様に手際よく終わらせてた。

 

「んじゃ。2番よろしく〜」

 

「は、はい!えっと、絵出 有観(えだし ゆみ)です。中学は浜島中学です。えっと、好きな事は絵を描くことです。“個性”は書いたものを絵の中から出せます。よ、よろしくお願いします!」

 

パチパチパチパチパチパチ

多少詰まっていたがしっかりと自己紹介を終わらせていた。

 

「うし、よし3番行こ──」

 

……………………

 

………………

 

…………

 

……

 

 

パチパチパチパチパチパチ

 

「次は15番よろしく!」

 

遂に順番が回ってきた。“個性”とか無いし、言いたくないしけど、皆ちゃんと言ってるし……

 

出久が出した結論は

 

「寺折中学から来ました。緑谷出久です。好きな(ヒーロー)はオールマイトです。“個性”はないですがヒーローになりたいのでヒーロー科行けるよう頑張ります」

 

馬鹿正直に言う。これが結論。どうせ隠したところでバレるんだから隠すだけ労力の無駄だ。

 

「え?“無個性”?なのにヒーロー志望?」

 

「“無個性”だから普通科(ここ)に来たんだろ?」

 

「でも、カッコよくね?無個性なのにヒーローとか夢あるじゃんw」

 

「夢見過ぎだろ。“無個性”でヒーローに成れるんだったら苦労しないぞ」

 

 

拍手は来ず、疑問、戸惑いの声が浮き出ていた。

 

あ〜。浮いたな……

 

周りの反応は中学の奴らとさほど変わらない。しょうがない所もあるが彼らにとって、僕は変人扱いになっただろう。

 

そこからどんどん時間が進み全員が自己紹介が終わった。

 

「よし、全員回ったな。次は学級委員長をキメるぞやりたい奴いるか?」

 

「はい!」

 

「はい」

 

「はぁーい!」

 

「はーい!!」

 

「はぁい!」

 

どんどん手が挙がりそして、上げていない者が居なくなった。

 

「全員か……意欲的なのはいいが定員は2人だ!」

 

雄英高校に入るのは普通科ですら難しい。入れるのは中学時代トップレベルの成績を取っていた者達。必然的に真面目が集まるが、それだけでは無い。

 

雄英で学級委員長をやっていた。

 

これが欲しい者が大半だろう。

最高峰の学校でクラスの皆を纏め上げていた。こうなれば将来、就職するにせよ、大学へ進学するにせよ、自分の価値を更にあげることが出来る。生半可な気持ちで雄英に来る者が居ない為こうして全員が立候補しているということだ。

 

こうして、1年C組は怒涛のジャンケン大会が開催された。

 

……………………

 

………………

 

…………

 

……

 

 

「お〜5人も残ったか。よし、お前らジャンケンして残った2人が学級委員長な。ただし、ここは雄英。人を傷付けないなら個性使用も許可する。」

 

おぉ〜!!!

 

勿論出久も5人の中に入った。

 

やはり、中学とは全然ちがう。些細なことでも全力で取り組ませるのは雄英(ここ)ぐらいだと思う。と言っても人を傷付けない尚且つ、ジャンケンに勝てる。そんな都合がいい“個性”なんてあるわけないじゃん。

 

と思考を巡らせている間に勝負は始まっていた。

 

 

「お前らは俺に負ける」

 

「はあ?まだやってないから分からないだろ?」

 

「ここに来たからってまだやれるとは限らないぞ?」

 

「なら、白黒はっきりさせよう!」

 

「ブツブツブツブツブツブツ…………」

 

1人の発言。それに反応する3人と1人ブツブツなんか言ってる(出久)

 

もう、勝負は決まった。彼、心操 人使(しんそう ひとし)はそう確信した。

 

「お前ら、グーを出せ」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「ブツブツブツブツ……?」

 

え?グー出すの?なんで?……あ、最初はグーだもんね。壮絶な勘違いで自己完結した出久もジャンケンに参加する。

 

 

「最初はグー。ジャンケンポン」

 

先生の合図で始まった。

 

「よし……は?」パー

 

「……」グー

 

「……」グー

 

「……」グー

 

「勝った!」パー

 

勝ったのは出久ともう1人心操人使。彼の“個性”は洗脳。彼の問に答えると洗脳される。ジャンケンでは、“個性”に使用が可能な為心操の一人勝ちかとと思われたが、結果は出久と2人勝ち。心操自身も驚いた。

 

その後、軽く挨拶をした後ガイダンスが始まった。

 

 

休み時間では、皆それぞれクラスに馴染もうと、盛り上がっていた。出久も例外ではない。

 

「や、やあ、心操君。よろしくね」

 

出久の隣は幸運にも同じ学級委員長の心操だ。出久も流石に1人になるのは嫌で話しに行った。

 

「えっと、緑谷だな」

 

「うん。よろしく」

 

「あぁ。」

 

「心操君の“個性”凄いね。(ヴィラン)を無力化が出来て、戦闘になりにくい。とてもヒーロー向きの“個性”だよ」

 

「は?」

 

「え?」

 

ヒーロー好きじゃないのかな?

え、どうしよう。今考えてみれば、雄英に来たからと言って全員がヒーローになりたいとは限らないもんな。

 

「え、ごめん。気に障ったなら謝るよ」

 

「あ、あぁ、別にそういうのじゃないだ。俺の“個性”見てヒーロー向きとか言うやつが初めてでさ。俺の“個性”を見るとまず悪用を考えるからさ」

 

「“個性”にヒーローも(ヴィラン)もないよ。個性の持ち主がそれをどう使うかだよって思う。それに羨ましいよ。僕は“無個性”だからヒーロー志望だけど相変わらずみんなにバカにされそうだし」

 

この時、心操人使の中で出久の評価が上昇した。

 

「マジで“無個性”なんだな。てっきり、俺らを欺く嘘だと思ったのに。」

 

「まぁ、“無個性”ってこと自体珍しいからねしょうがないよ」

 

「って、言ってもそう割り切れるものじゃないだろ?」

 

「まぁね。だからヒーローを目指してるって部分もあるよ」

 

会話が弾み最初の不安が嘘のようになってきた。

 

「俺らも混ぜてよ」

 

そう言ってきたのは1番の騰理融斗だ。その後ろには5番の鬼島 業火(きじま ごうか)と12番の滝川 創太(たきがわ そうた)3人は同じ中学で鬼島君は委員長を決めるジャンケンに最後までのこった5人のうちの1人だ。

 

「えっと、騰理君と鬼島君と滝川君だよね?」

「お!俺達の名前もう覚えたんだな!えっと……」

 

「緑谷出久よろしくね」

 

「そうそう、緑谷出久!俺のことは業火でいいよ」

 

「それじゃ業火君で」

 

「それなら俺も創太で」

 

「俺も融斗でいいよ。よろしくね人使君に出久君」

 

「よろしく」

 

「あぁ、こちらこそ」

 

それから業火は心操にジャンケン大会の事を問いただしたり、皆、ヒーロー科落ちて普通科に来たとか色々な事を喋っていた。そんな感じで一日が終わった。




原作でも普通科の生徒を描いてるのって、心操人使だけだと思うんですよね。普通科の人クラスあたり、何人いるか知らないので25人としときます。もし、原作に定員数が判明しているならば、そこは、原作改変ってことで御容赦ください。
感想、アンチ、アドバイス、お待ちしております!


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6.模擬戦

ようやく6話を、書けました。
感想とかあるとモチベーションあがりますね!
自分でも、今後の展開考えるのが楽しいです。



「おはよう〜」

 

「あ、心操君おはよう」

 

鞄から教科書やノートを取り出し机の下に入れていると、隣の席の心操が登校してきた。

 

出久が普通科に入学して1週間が経った。クラスでは浮くと思っていたが、案外そうでもなかった。それは、融斗達による所が大きかったみたいだ。彼らは容姿通り、クラスの女子の話題になる事が度々ある位のイケメンで、彼らに慕われる出久は女子からの鋭い眼差しを受けることはあるが、変に見られてはいないようだった。

 

「そういえば、緑谷。ヒーロー科行くって言ってたけど、具体的にはどうするんだ?」

 

「えっと、まずは、体育祭でいい成績を残すとかかな?」

 

「でも、ヒーロー科相手、ましてや、緑谷以外の参加者全員が個性使ってくるんだぞ?不利にも程があるぞ」

 

「大丈夫だよ。個性はともかく単純な身体能力なら、誰にも負けないよ。それに、遠距離型の個性なら懐に入れば対処できるし、中・近距離型の個性なら普通に勝てるよ」

 

「すごい自信だな。そんなこと言っといて、足元すくわれても知らないぞ?」

 

「そんなことって、それより僕のことより心操君の方が危ないんじゃない?」

 

「理由は?」

 

心操は少し、不満そうな顔でこちらを見ていた。

 

「心操君の個性は対人戦には強いけどタネが割れれば対策はいくらでも取れる。個性に頼ってるだけじゃ、予選突破も難しいんじゃない?」

 

「確かにな。言われてみればそうだが、体育祭って、来月だろ?あと1ヶ月で体を鍛えてもあんまり意味ないだろ?」

 

「そうだね。1ヶ月のトレーニングじゃ、効果はあんまり期待できないね。だけど、身体の使い方を理解することは出来るでしょ?」

 

「身体の使い方?」

 

「簡単に言えば、技を磨くんだよ、それに──」

 

「何の話をしてんだよ!俺達も混ぜてくれよ!」

 

業火君、融斗君、創太君、が来たようだ。

彼らもヒーロー科志望であり、出久の話にも興味津々のようだ。

 

「いいよ」

 

「それで?なんの話をしてたんだい?」

 

「ヒーロー科へ編入するなら、体育祭で結果を残そうと思ってね」

 

「体育祭か〜。確かにヒーロー科を差し置いて結果を残せば編入の可能性も上がるな」

 

「でしょ?」

 

「具体的にはどうするんだ?」

 

「創太君。その対策を話してたんだ!1つは、技を磨くんだよ」

 

「「「技?」」」

 

心操の時と同じでみんなの頭には?が浮かんでいた。

 

「ヒーロー科と言っても同じ1年。個性を使う機会はヒーロー科に入っても少ないはず。だから、今年だけは条件はほぼ一緒、成績を残すなら今年で決める。その為に技を身につけるんだよ」

 

「なぁ、緑谷。技って具体的には何をするんだ?」

 

「心操君。中学の時体育で柔道とかやったことない?」

 

「あぁ。あるけど、技ってそういうことなのか?」

 

「そう。技、つまり、投げ技と受け身これが出来れば不意打ちで簡単に勝てるよ。でも、個人戦限定だけど。」

 

「個人戦って、1人1人やってたら終わらないだろ」

 

「融斗君の言うことは尤もだよ。例年の体育祭を見る限り、最初は振るいにかけると思う。そして、そこから絞って個人戦になると思う。だから、2つ目、これは身体能力に依存するけど、身のこなし……つまり、動きを良くする。」

 

「どうやって?そんなの1ヶ月で身に付くのか?」

 

「業火君の言う通り、1ヶ月では厳しい。けど不可能じゃない。」

 

「方法は?」

 

「僕が教える」

 

「「「「!!?」」」」

 

心操の疑問からの回答に4人全員が驚く。

 

「体育祭じゃ、敵も味方もないぞ!敵に塩送るとか、自分の可能性を自ら無くすようなもんだぞ?」

 

「大丈夫。その程度で僕はやられるようなヤワな人間じゃないよ?無個性だ。って、甘く見てたら足元すくわれるよ?」

 

冗談で言ってるんじゃない。4人は出久の本性が垣間見えた気がした。そんな中チャイムがなり、仕方なく皆席に着いた。

それから、授業が終わる度に話し込み、昼休みでさえ、悠長にお弁当を食べる暇がなかった。そして、放課後、先生に許可を取り5人で自主練という建前で出久VS4人での模擬戦をやることになった。

 

 

 

 

 

 

〜放課後〜

 

 

「それじゃあ、約束通り僕が勝ったら夕食奢ってね」

 

「いいぜ!でも、俺達がかったら出久が俺達の晩飯奢りだからな!」

 

出久が勝てると豪語していたので賭けをすることになった。出久VS人使&融斗&業火&創太で勝負。もし、出久が勝てたら今夜の晩御飯をみんなが奢る。逆にみんなが勝てたら出久がみんなに晩御飯を奢るということ。制限時間は30分。それ迄に行動不能にしたら勝ち。勿論出久は全員を行動不能にしなければならない。持ち込みは自由。しかし、病院送りレベルの怪我はアウト。出久は勿論リストバンドを付けている。

 

 

そして、始まった!

 

「よし、業火!創太!個性を使って出久を足止め及び迎撃!」

 

「あぁ!」

 

「おう!」

 

 

無個性と甘く見ずに、4人は、作戦を立てた。まずは業火と創太で足止め、及び迎撃。2人が敗れそうになったら融斗が参戦。そして時間を稼ぎ、心操が緑谷に洗脳を使う。しかし、心操の洗脳は対策されやすい為、3人が時間を稼いでいる間に出久を洗脳させる案を考える。

 

そして、

 

2人の個性とは……

 

鬼島業火

“個性”鬼化操火(きかそうか)

自身の身体能力を超大幅に上昇させ火を操る。体は一回り大きくなり角が生える。しかし、長時間の維持が難しい。それに、火を操るが火を出すことは出来ない。あくまでも操るだけ。

 

滝川創太

“個性”変換操水(へんかんそうすい)

自身の周りの全てを水に変えて(調整可能)、操ることが出来る。水の量が増えると操作が難しくなり、水鉄砲程の速度しか出せない。しかし、量を絞れば凄まじい速度を出せる。一度水に変えたものは戻すことが出来ない。全てを水に変えるため、不純物がない綺麗な水になるので飲水可能。

 

そして、業火は鬼化して出久に殴り掛かる。

創太も両手にハンドボール程の水塊を作り出久にぶつける。

2対1出久が業火と戦っている中、正確な操作で確実に出久に当てていく、それに怯んだ所を業火が確実に攻めていく。さらにぶつけた水塊は距離を取り再び攻めてくる。個性の負担が無く、尚且つ持続的な攻撃が可能である。厄介だが、それ程個性の使い方が上手だということ。出久もやられっぱなしじゃ終われない。業火の攻撃を流し、間合いを詰めて殴る。

……が、予想以上に硬く、差ほどダメージも入っていないようだ。再び業火に殴られつつ、持ち堪えて次は投げ飛ばす。これなら殴るよりも確実にダメージを与えられる。

 

そして、業火を投げ飛ばして、創太と1対1にすれば水塊を見切り、距離を詰められる。創太の個性は遠・中距離型。懐に入れば弱い。と考え2つの水塊を見切り迫る。そして、顎を狙い、軽い、脳震盪させようとしたが、その前に出久の頬にとてつもない衝撃が走る。

その正体は拳大の水塊。2つだけで戦っていたのは2つ以上出せないと思わせるため。それに小さくなった分勢いが増したことにより先程よりも飛ばされる。その間に業火も復帰してまた2対1となった。

 

が……

 

開始15分業火の個性が切れたことにより一気に形勢逆転となる。個性が切れた業火は疲弊しており、今度は鳩尾を殴り、行動不能に出来た。そうして、2人の連携が崩れ創太が水を操る前に倒そうと考えたが再度邪魔が入る。今度は水塊ではなく融斗だ。自身の拳の温度を変え、放たれるのは高温のパンチ。流石に火傷で済む程度だがまともに受けるのは御免だ。出久は攻撃をやめ回避に入る。間一髪で融斗の攻撃が空振った。創太の水塊攻撃も始まったが、速度が落ちていた。流石に疲れたのだろう。出久は避けずにガードした。そして、その水塊は距離を取るどころか次はずっとくっついたままだ。それに先程の攻撃とは違いとてつもなく熱い。融斗との複合技だろう。出久はまず、創太を倒すことに集中する。次の水塊は速い。ということは常温の水だろう。出久は張り付いている熱水塊で相殺。それに動揺した創太の隙を突き、顎を目掛けて軽いパンチ。創太は貧血を起こしたかのようにその場に倒れた。

 

これで半分。

 

開始20分でようやく2人を行動不能にした。しかし、出久も疲れを見せ始めている。

 

── 心操君はともかく厄介なのは融斗君だ。身のこなしだけなら先の2人よりも上だ。

 

心操は動かず、様子を窺っている。心操の個性は出久に既に対策済み。身体能力もさほど高くない。警戒すべきは融斗ただ1人。出久は融斗が仕掛ける前に距離を詰めた。融斗は敢えて距離を詰めさせたように思えたが、出久は背負い投げの様に腕を掴んだ。

 

 

その瞬間、融斗は出久の腕を掴んだ。そして、出久の体温を2℃あげた。先程までの体温が36.8℃。そして、現在38.8℃。出久はすぐに離れて距離を取ったが、体温は上がりっぱなし。持続性のようだ。

 

──思考が纏まらない……

 

──怠い

 

出久の思考速度が落ち、正しい判断が下せなくなる。そう、たった2℃体温をあげるだけで風邪の時の倦怠感に襲われる。

 

「おい。緑谷、30分経ったぞ」

 

「え?もうs…………」

 

──やってしまった…………

 

心操はここぞとばかり個性を発動させ、出久を再起不能にした。

 

決着が着いた。

 

開始、28分。業火と創太が時間を掛けて疲れさせ、融斗が思考を鈍らせて、心操が個性で再起不能にした。素晴らしい連携プレーだ。

 

10分後創太も意識を取り戻した。

 

「あ〜。負けた〜」

 

「勝った!……って言っても4対1だぜ?しかもギリギリなんて、あんま嬉しくねぇよ」

 

「そうだよ。業火の言う通り俺達はギリギリだ。寧ろ、個性も無いのにあそこまで張り合う出久が怖ぇよ」

 

融斗の意見は尤もだ。

 

「でも、重力負荷掛けてるとはいえ負けるとは思わなかったよ」

 

「「「「!!?」」」」

 

「重力負荷?つまりあれって、本気じゃないの?」

 

「え?そうだけど?」

 

聞いた融斗が1番驚いている。

 

「小さい頃から、鍛えてるからね。年季が違うよ」

 

そう、笑いながら出久は答えた。

 

「あ、約束の夕食は家でいい?」

 

「あ、あぁ。別にそれでも……って!そこじゃなくて!なんでそんな強いんだよ!出久って実は個性持ちだったりするだろ!」

 

「正真正銘の無個性だよ。毎年証視 明(あかみ あきら)先生の所へ通ってるけど相変わらず無個性だよ。」

 

証視 明とは、個性研究者の1人で、個性の発端。発動条件。種類、規則性。個性にまつわるありとあらゆる事を研究する人。その、証視明の“個性”判定。対象を判定する。彼は個性の判定ができるのだ。未発見であろうと一目見ると個性の能力を視ることが出来る。手続きをすれば自身の個性を診て貰えるのだ。

 

「なら、出久は、サ〇ヤ人だろ?絶対そうだって!」

 

「業火君それはないよ」

 

「いや、業火の言うことも一理あるな」

 

「確かに……」

 

「それなら納得だな」

 

融斗に続き、創太も心操も何故か納得してる。

出久は、出久だけは、納得してない。そのまま口論しながら出久の家に向かった。途中、スーパーへ買い物に行ったが、4人、それぞれにお菓子を奢らされたが今日ほど買い物が楽しいと思えたのは初めてだった。

 

〜自宅〜

「ただいま〜」

 

「お、お邪魔します。」

 

「お邪魔します!」

 

「お邪魔します。」

 

「お邪魔します〜」

 

「あ。そんな緊張しなくていいよ家誰もいないから」

 

「あぁ。出久の両親って、帰り遅いのか?」

 

「いいや、うちは2人とも小さい頃に亡くなってるんだ」

 

「あ。ごめん………嫌なこと聞いて」

 

「いいよ。もう昔の事だから」

 

出久のうちは2LDKのアパートだ。少し古いが広い部屋だ。出久は荷物を置いて料理を作り始めた。今日はみんなの意見を聞いてトンカツになった。30分がすぎた頃、きつね色になった衣を纏った豚肉5枚を食べやすいように5つに切り分け、キャベツと共に皿に乗せていく。最後にソースを掛けて出来上がり!幸い机を2つ合わせて5人で食べられるようになった。

 

「いただきます〜」

 

「「「「い、いただきます」」」」

 

みんな、1口食べていく。

 

「え?……美味しい!」

 

「美味っ!」

 

「美味しいな」

 

「こんな美味いトンカツ食べた事無いぞ……」

 

「大袈裟だよ」

 

出久は笑いながら言うが実際美味い。定食屋で出るトンカツよりも美味しい。

 

「出久ってさ、隠れスペック高い系男子か……」

 

「なに?隠れスペック高い系男子って」

 

確かに、出久は授業を見るからして頭がいい。雄英に受かってるから当然なんだが、身体能力も高く、一人暮らしで家事全般も出来る。嫁要らずの完璧男子だ!

 

と、融斗を含め、出久以外の全員が納得した。

そうして、晩御飯を食べ終えて出久が皿を洗っている。

 

「いや〜美味かった!また食べたいわ出久のごはん」

 

「そうだね、また勝てたらご馳走するよ」

 

「絶対だからな!」

 

「うん」

 

業火と約束をした。それからトレーニングの話になった。

 

「1ヶ月でどれだけ出久に近づけるかだな」

 

「あぁ、それならみんな戦い方に改良の余地あったよ」

 

「え?マジで!」

 

「うん。業火君はさ、全身を鬼化するけど、腕とか、足とか部分的に出来ないかな?」

 

「え?……出来るけど全身にさせるより弱いぞ?」

 

「それは、攻撃する時に全身を使ってるからで、多分能力は変わらないと思うよ。それに片腕だけに集中させたらもしかしたらさっきよりも腕だけ強くなるかもしれないよ?」

 

そう言うと、業火は腕に力を入れ個性を発動させた。すると、少し、黒みがかって、戦った時よりも一回り更に大きくなった。

 

「おぉ!さっきの時より大きくなった」

 

「多分威力も上がってると思うよ」

 

「それじゃあ俺は?」

 

次に聞いてきたのは創太だ。

 

「創太君はさ、扱う水が少なければ速度も精度も上がるんでしょ?」

 

「あぁ、そうだな」

 

「なら、水1滴だけ操るんだよ」

 

「は?そんなことしても範囲なんか針程度だろ?」

 

「けど、水って、水流圧によっては、ダイアモンド切れる程の威力があるし、創太君の操作なら急所を外す事も出来るでしょ?」

 

先の戦闘での操作を見れば一目瞭然だ。

 

「成程……次試してみるよ」

 

「うん」

 

……あれ?、これってかなり危険なんじゃ……

 

出久はそんな気がしたがそれはそれでその時の自分に任せようと思った。

 

「それじゃあ俺は?俺の個性なら朝言ったみたいに対策されるぞ?」

 

「あぁ、心操君の個性に掛かった時、体が言うこと聞かないだけで意識はあった。なら、個性に掛かったって、気づかれる前に決めるんだよ。その為に身体の使い方を理解しないとね」

 

「俺の場合は個性より、身体の方か」

 

「うん。身体の使い方を知れば必然的に個性との相性が良くなって強くなれるよ」

 

「それじゃあ、最後に俺は?」

 

「融斗君は、温度を変えられる。さっきやったみたいに体温をあげるのはいいと思うよ。逆に相手を冷やしてみたらどう?」

 

「冷やしてもせいぜい寒がらせるだけだろ?」

 

「体を冷やしたら運動機能が低下するからそれでも倒せると思うよ」

 

「成程……。それいいかもしれないね」

 

それからしばらく体育祭に向けてのトレーニングの話をしてすっかり、暗くなった。

 

「9時か、そろそろ帰らないと」

 

「もう、そんな時間か」

 

「今日は有意義な時間を過ごせた。ありがとう出久」

 

「また、遊びに来ていいか?」

 

「勿論だよ!普段1人だからね楽しかっよ!」

 

「また、話聞かせてくれよ?」

 

「うん。僕が知ってることなら何でも教えるよ!

あ、でも、機会は譲らないよ?僕もヒーロー志望。みんなと違って可能性も低いからね」

 

「いいよ。機会(チャンス)位は自分で掴むよ」

 

「それじゃあ、駅まで送るよ」

 

そうして、出久とって、久しぶりに楽しい1日を過ごすことが出来た。




今回は、史上最長でしたね。
次回はUSJ編です。普通科なのにどんどんヒーロー科イベントに巻き込んでいきたいと思います!
次回もお楽しみに!


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第2章 USJ編
7.再会


アンケートに答えてくれた皆様ありがとうございます!
1日程しかありませんでしたが結果は出ました!



今日は入学史上、大切な日だ(自称)。

なんと、今日は!

 

ヒーロー科の授業に参加出来る!

 

事の始まりは3日前。つまり、みんなと夕食を食べた翌日に出久はある先生の元へ向かった。

 

「失礼します。1年C組緑谷です。相澤先生いますか?」

 

職員室に入ると視線が集まる。当たり前だが慣れない。呼び出してから数十秒でお目当ての先生がきた。

 

「相澤は俺だが、普通科の生徒が何の用だ?」

 

確かに、相澤先生と喋るのは初めてだ。彼は1年A組の担任で普通科目ではなく、ヒーロー科目の授業を担当している。普通科の出久とは関わる事など基本的には無いのだ。

 

「えっと、3日後のヒーロー基礎学の救助(レスキュー)訓練を見学させてください!」

 

「無理だ。」

 

キッパリと言われた。

 

「まず、参加させる理由がない。何故お前を参加させなきゃいかん」

 

「ヒーロー科へ編入したいのですが、普段ヒーロー科の生徒がどういうことを学んでいるか見学したいです!」

 

「それはお前の願望だろ?お前を連れて行くメリットが無い。」

 

救助(レスキュー)訓練。なら、救助(レスキュー)される側も居た方がより、ヒーロー科の生徒の経験として役立つと思います。」

 

「それなら、A組の中で助ける側と助けられる側をローテーションさせればなんの問題もないだろ」

 

「でも、将来ヒーローとして世に出るならば助ける側につく場合の方が多いじゃないですか。ローテーションさせるより助けられる側の人間を作った方が効率的に実習を行えます」

 

「確かに合理的だが、お前1人いた所で意味ないだろ?」

 

ああ言えばこう言う。確かにこれは自分の為であり、ヒーロー科のメリットなんて考えていなかった。もう納得させる事が思いつかない。

 

──どうしよう、どうしよう……

 

「それじゃあ、俺も参加させて貰えませんか?」

 

振り向くと、そこには心操が居た。

 

「1年C組の心操人使です。先の話、俺にも参加させてください。」

 

「どうしてそうなる。お前らを連れてっても邪魔なだけだ。」

 

「緑谷が言ったようにレスキューされる側が居ればいいんでよね?なら、2チームに分けて俺と緑谷をそれぞれ助ければいいんですよ。」

 

「それなら、効率が悪い。合理性に欠く」

 

「初めての訓練ですよね?」

 

「だからどうした?」

 

「なら、まずは様子見って事でそいつらだけでやらせて見ればいい。何も知らない状況でどうするのかを把握して、それぞれの得意、不得意がわかると思います。それを確認する為に今日の訓練を使ってもいいと思いますけど。」

 

流石の心操だ。出久が出てこないことをどんどん出してくる。個性が個性だから会話力が高い。

 

 

「はぁ。わかった。だが、当日のお前らの授業はどうする?」

 

「休みます。休んだ所で俺達に何の支障もありません。それに、話はもう付けてあります。」

 

「なら、3日後の13時、校舎前に集合してからバスへ向かう。それ迄に体操服に着替えて集合しとけ。」

 

「はい。」

 

「ありがとうございます!」

 

 

そうして、職員室を去った。

 

「心操君。話つけてたのってホント?」

 

「いいや、嘘だ。これからつけに行く」

 

「え?」

 

「だって俺、偶々職員室前を通りかかったら出久とさっきの先生が話してるの聞こえたから。」

 

「あー。確かにね」

 

「それよりお前、抜けがけするなよ」

 

「何言ってるんだよ。昨日言ったろ?機会(チャンス)は譲らないよって」

 

「確かに言ったが、それでも声ぐらいかけて欲しかったよ。それに、俺が居なきゃお前の機会(チャンス)も無駄になるところだっぞ?」

 

「それは、そうだけど……」

 

「貸ひとつな?」

 

「はぁ……わかったよ」

 

この事を先生に言うと、レポート提出を条件に承諾してくれた。

騰理達にも色々言われて夕食をご馳走する羽目になったがそれはまた別の話。

 

そして、今日に至る。

 

1年A組では、相澤先生が救助(レスキュー)訓練の事を生徒たちに説明していた。

 

「いいか、今回のヒーロー基礎学は救助(レスキュー)訓練。災害を想定して行う。そして、被災民役を普通科2人にやってもらうことになった。」

 

「どういう事ですか?」

 

相澤先生の発言に黒髪ポニーテールの女子生徒とが疑問をぶつけた。

 

「今回は普通科生徒が災害にあって救助を求めている。そして、ヒーロー科を2チームに分け、各々の判断で救助しろ。以上だ。コスチュームに着替えて集合しろ。」

 

 

現在12︰55分

 

出久と心操は言われた通り、校舎前に集まった。

すると、続々とコスチュームを纏った生徒がやってきた。

 

「あれが今年のヒーロー科」

 

「みんな凄いコスチュームだね」

 

「あぁ」

 

二人で話していると向こうもこっちに気づいたようだ。

 

「お!あれが、普通科か」

 

「挨拶しに行こーぜ!」

 

ほぼ上半身全裸の赤髪棘棘しい男と金髪に少し黒髪を残しているチャラい男が走りながらやってきた。

 

「おまえらが、相澤先生が言ってた普通科の人だよな?俺、上鳴電気よろしくな」

 

「俺は、切島鋭児郎だ!よろしく!」

 

「僕は緑谷出久。隣にいるのが」

 

「心操だ。よろしく」

 

そして、次々とヒーロー科の生徒が集まる中1人見覚えのある少女が居た。

 

「あ!あの時助けてくれた人!」

 

少女も出久達に気づいたようだ。

 

「久しぶりだね。ヒーロー科受かったんだね。おめでとう!」

 

「で、でも……」

 

申し訳なさそうにしている彼女こそ、出久が実技試験の時に助けた少女だ。出久との関係を知らない心操はこっそり出久に聞いた。

 

「おい、緑谷知り合いなのか?」

 

「うん。実技試験の時一緒の会場にいた、えっと……そういえば、名前知らない……」

 

「あ、えっと麗日お茶子です。あの時はありがとうございました。」

 

「僕は、緑谷出久よろしくね。」

 

「麗日さん。こちら心操君」

 

「心操人使だ。よろしく」

 

「よ、よろしく……って、そうじゃなくて──」

 

「クソデクー!何でてめぇがここに居るんだ!」

 

自己紹介が済んだ時。出久にとってお茶子よりもよ〜く知ってる男が叫びなから飛んできた。

 

「げぇ!かっちゃん!」

 

「何しに来たんだクソデク!」

 

爆豪勝己はヒーロー科に受かった事は知っていたが、A組とは知らなかった。

 

「聞いてない?僕被災民役で来たんだよ」

 

「ふざけんじゃねぇ!なんでてめぇを助けなきゃいけねぇんだ!」

 

「はぁ〜。2分の1を外した。僕って運がないね。」

 

「緑谷。あいつも知り合いなのか?」

 

「うん。まぁ、腐れ縁みたいな感じ、仲良くはなれないと思うし紹介するだけ無駄だよ。」

 

「てめぇ!無視すんじゃねぇ!」

 

勝己は当然のように個性を使って右の大振りをしてきた。

 

「甘いよかっちゃん」

 

出久はそう言いながら勝己の攻撃を避けつつふ所に入って投げ飛ばした。

 

「すげぇ。あの普通科爆豪を投げ飛ばした。」

 

「うるせぇ!てめぇ、無個性じゃなかったのかよ!騙してたのか!」

 

「何言ってんだよ?僕は正真正銘の無個性だよ。かっちゃんが1番よく知ってるだろ?」

 

話し声は皆には聞こえてないようだ。

勝己とは小さい頃からずっと一緒だった。義務教育期間はずっと勝己と同じクラスだった。

 

「てめぇ。今なにした。」

 

「かっちゃんの癖って、最初は右の大振りなんだよ。わかってる攻撃を避けるくらい僕でもできるし、そのまま背負い投げしただけだよ。」

 

「……ざけんな」

「ふざけんじゃねぇ!!」

「てめぇに俺が負けるわけねぇだろ!」

 

また攻撃がくる!

 

と思ったが、それはなかった。

 

「おい、爆豪。何やってるんだ」

 

おっと、相澤先生到着したみたいだ。勝己は包帯のようなもので縛られて、怒られていた。

 

そして、

 

「普通科の緑谷と心操だ。」

 

「よろしくお願いします」

 

「よろしくお願いします」

 

軽く挨拶したあとバスに乗り込んだ。

 

「あの、緑谷君」

 

「どうしたの?麗日さん」

 

偶々隣の席になったお茶子が出久に声をかけた。

 

「ごめんなさい!」

 

「え?」

 

出久自信謝られるような事はされていないと思い疑問を浮かべていた。

 

「だって、私のせいで緑谷実技試験落ちたんでしょ?」

 

「え?なんで知っるの?」

 

この事は学校側と出久しか知らない話だ。お茶子が知っているのはおかしいことだ。その答えはすぐに帰ってきた。

 

「だって、合否通知の時、オールマイトがVTRを見せながら言ってた。」

 

「え?雄英の情報管理甘すぎない?」

 

「本当は緑谷君が受かるはずだったのに、私のせいで……」

 

これは相当気にしている。どんどん空気が重く暗くなっている……

 

「気にしないで。不正行為をした僕が悪いんだし、落ちた時助けてもらわなかったら今頃病院に居るよ」

 

「でも、私を助けなかったらそんなことにはならなかった。」

 

「試験でも何でも、ヒーロー志望だよ?人1人救えない奴がヒーローになれるわけが無い。それに、麗日さんがヒーロー科に受かったなら、助けた僕も嬉しいよ」

 

「緑谷君……」

「ありがとう」

 

お茶子も納得したみたいで出久も満足していた。

空気も明るくなり、皆がワイワイ話してる中

 

「そーいえばさ、緑谷お前って中期選抜の時居なかったよな?」

 

出久のもう1人の隣の人である、心操が、意外な事を言ってきた。その時は、なんの関わりもないのに心操が自分の事を覚えてることが不思議だと思った。

 

「だって、俺緑谷と会場一緒だったし。それで?中期選抜受けてないだろ?」

 

「うん。そうだけど……」

 

「どうやって普通科に入ったんだ?」

 

「僕、筆記満点だったからヒーロー科編入出来るチャンスが普通科にあるから普通科へ来ないかって校長先生に言われた。」

 

「え?、まじ?」

 

「マジ」

 

その後、筆記満点の証明をする為になぞなぞをお茶子と3人でやっていた。

 

そして、目的地へ到着した。

 

スペースヒーロー13号の説明が終わり、ここは嘘の災害や事故ルーム(U S J)だった。

そして、相澤先生から具体的な内容が説明されようとした時、

中央にある噴水の手前から黒い霧のようなものが現れた。

 

「おまえら!一塊になって、動くな!」

「13号生徒たちを頼む」

 

突然相澤先生の態度が急変した。

 

「え?なに?もう始まってる感じ?」

 

1人の生徒がそう声を上げたがそうでは無いあれは……

 

「いいや、(ヴィラン)だ!」




ということで次回、本格的に戦います。
ヒロインはお茶子!
次の話はなるべく早く更新できるように頑張ります!
感想やアドバイス。アンチコメント何でも待ってます!
そして、次回もお楽しみに!


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8.水難ゾーン

早めにしようとか言ってたのに遅くなってすみません。
今回は原作改変要素は少ないかもしれませんがどうぞ!


「あれは、(ヴィラン)だ!」

 

相澤先生の発言で焦り、不安、恐怖、様々な感情を見せる生徒たち。そうしている内に1人、2人と次々に黒い霧から人が出てきた。

そして、黒い霧には、黄色い眼光がみえた。

 

「先日頂いた教師陣のカリキュラムでは、オールマイトも居るはずなのですが……」

 

黒い霧の発言。声音からして男性だろう。仮にコイツを黒と名付けよう。黒から発せられた内容に相澤先生は驚いた。

本来、今日ここにオールマイトがいることを知っているのは教師陣とA組生徒のみ。黒の発言通りなら教師側に内通者がいたことになる。

 

「なんで居ないんだよ……大衆引き連れて来たのに、オールマイトが居ないなんて……

………………

 

…………

 

子どもを殺せば来るのかな?」

 

それは、途方もない悪意

黒の隣に居る手を数箇所に付けてる趣味の悪い男。この時、その発言に皆恐怖を覚えた。

 

「バカだろ!?(ヴィラン)雄英に乗り込んでくるなんて!」

 

「侵入者用センサーは?」

 

「現れたのはここだけか、学校全体か……

ともかくセンサーが反応しねぇなら向こうにそういう類の個性があるって事だ。校舎と離れた隔離空間。そこにクラスが入る時間。こいつらはバカだが、アホじゃねぇ。用意周到に計画された奇襲だ。」

 

皆の反応はそれぞれ。

(ヴィラン)の侵入を否定する者も居れば、この異常事態の現状確認及び警戒をする者。更には冷静に状況を把握しようとする者まで様々だ。

 

「13号避難誘導開始!学校に電話試せ!センサーも想定した(ヴィラン)だ。個性で妨害している可能性もある!」

 

「上鳴。お前も個性で連絡試せ!」

 

相澤先生はそう告げると首元のゴーグルを掛けて数十人の(ヴィラン)に突っ込んで行った。

 

今日、出久は初めて理解する。相澤先生の正体と本物の戦闘を……

雄英は全員がプロヒーロー。しかし出久は相澤先生がどう言うヒーローかわからなかった。しかし、首元のゴーグルで判明する。ヒーロー名イレイザーヘッド。見たものの個性を消す!瞬きすると解ける!

 

そう考えている内に相澤先生はどんどん(ヴィラン)を首元にある捕縛武器を用いて蹴散らしていく。相澤先生もヒーロー。有象無象如きに遅れは取らない。それに、あらゆる(ヴィラン)との戦闘を考慮してどんな個性相手でも対応している。

 

生徒たちは相澤先生が作った時間で避難を試みている。A組の委員長がみんなを誘導している。

 

しかし……

 

「そうは、させませんよ」

 

相澤先生の隙を着いて黒が生徒の方へたどり着いた。そして……

 

「我々は(ヴィラン)連合。平和の象徴、オールマイトには息絶えて頂着たいと思いまして。ここには、オールマイトが居るはずなのですが………………

まぁ、それとは別として私の役目はこれです。」

黒は生徒全員を黒い霧で覆った。

……が、勿論最高峰の雄英ヒーロー科。黙ってやられる程腰抜けでは無い。

 

約2名、黒に向かって攻撃した。

1人は、手から爆熱を出しながらもう1人は手を硬化させながら。爆豪と切島だ。しかし、2人の攻撃は呆気なく空へ舞う。

 

「危ない、危ない。子どもと言っても(ヒーロー)の卵」

 

「あなた達!下がりなさい!」

 

「もう、遅いですよ」

 

 

黒は攻撃を避けた瞬間再度覆い辺り一面黒く染った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出久は考えていた。(ヴィラン)連合と名乗る奴ら。狙いはオールマイトを殺すこと。ヒーローのTOPを殺すなんて、発言しても行動に移そうとは先ず思わない。相澤先生でも対処出来てる(ヴィラン)が何百居ようとオールマイトには勝てない事ぐらい分かるだろう。なら、それを可能とさせる手段、(ヴィラン)が居るのだろう。

 

そう考えている内に出久も霧により飛ばされていた。

 

「うわぁぁぁぁ」

 

出久が出たのは船が1隻浮かべてある人工的な池だ。

咄嗟のことで受け身も取れず、息も吸えず、池の中へ落ちた。出久は急いでリストバンドのスイッチを切り、水面に浮上しようと試みるが、水中に有利な個性を持った(ヴィラン)達。何か言ってるようだ、水中では声が聞き取りづらく何を言っているか、わからなかった。応戦しようとするが、水中での戦闘は初めてで上手く体が動かない。

防御を試みるが(ヴィラン)の攻撃が来る前に(ヴィラン)が攻撃される。

 

「ケロッ」

 

「ぐぎゃぁ」

 

彼女が(ヴィラン)を遠ざけると口から長い舌を出して出久のお腹に巻き付ける。そのまま船の上に上陸する。

 

「ゲホッ!ゲホッ!……あり、がとう。えっと……」

 

「蛙吹梅雨よ。梅雨ちゃんと呼んで。」

 

「ありがとう、蛙吹さん。」

 

「梅雨ちゃんと呼んで。大変なことになったわね。」

 

「おい!どーすんだよ!(ヴィラン)が攻めてきたんだぞ?呑気に自己紹介してる場合かよ!」

 

もう1人、蛙吹さんが助けたA組の人が居た。身長は低く独特な髪型をしている。

 

「そうだね。それどころじゃないね。(ヴィラン)連合とか言う奴にカリキュラムが割れてた。しかも教師陣から頂いたって言ってた。もしそれが本当ならずっと練にねった計画的犯行。本気で殺しに来たんだよ」

 

「で、でもよ!オールマイトを殺すなんて不可能だろ!」

 

「峰田ちゃん。オールマイトを殺せる算段があるから連中こんな無茶してるじゃないの?」

 

彼は峰田というらいしい。今にも泣き出しそうな顔でこちらを伺っている。

 

「確かに、そんな連中に殺すって、言われたもんね。それに、オールマイトが倒せる相手だとしても、今の僕らには荷が重いだろう。オールマイトが来るとして、僕らはそれ迄持ちこたえられるかどうか………」

 

「お、おおおお、おい!」

 

「だからって、そのままやれるとは限らない。(ヴィラン)連合。聞いた事ない。なのに、これだけの人数で攻めてきた。それに、有名な(ヴィラン)なら、指名手配されてるはず。見た限りじゃそんな(ヴィラン)は1人も居なかった。恐らくどこかのゴロツキやチンピラだろう。なら、僕らの足止め及び殺害を目的としている。なら各地、散らばったみんなも大丈夫だろう。」

 

「そ、そんなこと言って!どーすりゃいいんだよ!」

 

遂に峰田がヤケクソになってキレた。

 

「そのためには先ず、お互いの個性を把握しておこう。あ、あと名前教えて」

 

──と言っても僕は無いし、水中戦も出来ないから戦力外かな

 

「オイラは峰田実。個性は超くっつく……」

 

そういい、頭の髪の毛?のような丸い塊を取って船に当てた。

 

「オイラの個性は戦闘には不向きなんだよ!だから大人しく助けを待とうぜ!」

 

「それじゃあ、次蛙吹さん。」

 

「無視かよ!」

 

「梅雨ちゃんと呼んで欲しいわ。私の個性は蛙……」

 

説明を聞く限り、蛙が出来る事は大体出来るらしい。

 

「つか、オイラはお前の名前も個性も知らねぇよ!」

 

「あ、そうだったね。僕の名前は緑谷出久。無個性だよ。」

 

「は?」

 

「え?」

 

「この状況を打破するには……」

 

「ちょ!待てよ!じょ、冗談だよな?無個性とか」

 

「そうよ。こんな時に冗談を言ってる場合じゃないわ」

 

「え?本当だよ?」

 

「どーすんだよ!俺の個性は戦闘には向かねぇーし。緑谷は無個性だし、対抗出来んの蛙吹だけじゃねぇーか!」

 

「……待てよ?……おかしい……」

 

「何がおかしいんだよ!」

 

「此処に蛙吹さんがいる事だよ。蛙吹さんがここに居るって事は相手に君達の個性が割れていないってことだよ」

 

「確かにね。個性を知ってるなら私は火災ゾーンへ飛ばされているはず」

 

「だ、だからって、俺たちに何が出来るんだよ!」

 

ドバァァァァ!!!!

 

 

「「「ッ!!?」」」

 

いきなり船が割れた。……いや、(ヴィラン)の攻撃によるものだろう。

 

「うわぁぁぁぁ!!!」

 

「ダメだ!」

 

峰田はパニクって自身の個性を使おうとするがすぐ様出久に止められる。

 

「だってぇ!」

 

「そんなことしたら個性がバレる!個性を警戒されたら僕らの勝ち筋は完全に途絶える。」

 

「どうやって勝つんだよ!」

 

「峰田ちゃん。本当にヒーロー科志望で雄英きたの?」

 

先程からの峰田の態度を見る限り蛙吹は疑問に思ったのだろう。

 

「怖くねぇ方がおかしいだろ!この前まで俺たち中学生だったんだぞ!入学して、そうそう殺されるとか誰が思うだよ!!!

あ〜こんなことなら八百万のヤオヨッパイにふれてから!」

 

「大丈夫だよ。(ヴィラン)を倒せないけど行動不能には出来る作戦がある。」

 

「なにいってんだよ!俺たちにどーしろって言うんだよ!」

 

「この作戦の要は君だよ。峰田くん。」

 

「はぁ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──この方法だけど、どう?」

「そんなことできるのかよ!もし、1つでもミスったら……」

 

「あぁ、これは時間との勝負でもあるからね迅速に決める。それに、万が一失敗しても僕が何とかするよ」

 

 

 

こうして、作戦を実行する準備が整った。

 

 

「クククッもう30秒もしない内に沈む。俺達の勝ちだ。」

 

隠れているつもりだろうが、チビ(峰田)の特徴的な頭が丸見えになっている。視認させないつもりだろうが見えてる事に笑いながら時を待っていた(ヴィラン)だったが……

 

 

ドガーンッ!!!

 

「はぁ!」

 

いきなり船が大爆発した。

3人の姿は確認されてない。ということは?

 

「アハハッ!自爆しやがった!こんな船の爆発で俺らを倒せると思って船と心中しやがった!」

 

(ヴィラン)達は馬鹿だと笑いながら沈んでいく船を見ていた。

 

すると

 

ペタッ!

 

顔に何かがくっついた。手で取ろうにも全然取れねぇ何かが……

 

 

「なんだこれ?ッチ!取れねぇ!」

 

「どーなってやがる!」

 

1人、また1人とどんどん体に付けられていく謎の球体。咄嗟に手で取ろうとして動きが封じられていき後半になると触ろうとしない者が現れるが更にくっ付けて動きを封じる。

 

そう。峰田実の個性だ。半分強引に初見殺しの作戦とは呼べないが、(ヴィラン)を文字通り行動不能にしていく。

 

「やったぜ!緑谷の言う通り上手くいった!」

 

「凄いわね緑谷ちゃん。」

 

「2人のおかげだよ作戦がうまく行ったのは」

 

作戦。それは……

 

「先ず蛙吹さんの粘液で船の精密機械の破壊。それによって生じる爆発で船を破壊(ヴィラン)を油断させる。その間に2人は(ヴィラン)が作った亀裂から水中に避難。爆発で近づけないから気づかれないと思う。そのまま爆煙に隠れて峰田君の個性を(ヴィラン)に当てる。なるべく顔周辺が望ましい。」

 

「ちょっ、ちょっと待て!それじゃあ緑谷は何するんだよ!蛙吹は2人も居ねぇよ!粘液だすのと俺と一緒に行くやつどーするんだよ!」

 

「蛙吹さんが粘液をここで出して、僕がそれを持っていく。」

 

「そんなことしたら、緑谷お前……」

 

「死なないよ。僕は」

 

「でも、危険だわ」

 

「それしかない。僕が思いつくのはこの方法だけど、どう?……」

 

 

 

 

 

 

「早く、ここから逃げようぜ!」

 

「うん」

 

すぐに水から上がろうとした時!

 

 

「まぁ、待てよ」

 

現れたのは亀の甲羅を人が背負ったような(ヴィラン)だ。

イメージとしては、若い亀〇人だ。

 

「俺以外は全員動けねぇが、俺は違う。俺は少し警戒心が強いんでね。爆発が起きた瞬間、不安になったよ。お前らがタダで死ぬわけないからな」

 

「ま、まだ残ってた……」

 

峰田が取り乱す中、蛙吹と出久は(ヴィラン)の行動を窺っている。

 

「俺の個性は亀。お前に当てられた玉は甲羅でガードして脱皮すればどーとでもなったぜ」

 

自身の個性をよく知ってる。力をひけらかしたいチンピラとは違うのだろう。

 

「てめぇらの攻撃じゃ、傷一つつけることも出来ねぇし、水中戦でも俺に部がある」

 

「それはどうかな?」

「はぁ?」

 

「だって亀でしょ?」

 

 

始まった。出久の挑発が。相手が単純なほど、馬鹿なほど怒り、周りが見えなくなる。

 

「亀って水の中でも陸の上でも速さもさほど変わらないし甲羅は硬いけどそれ以外はそうでも無い。君程度なら、個性使わなくても勝てるよ」

 

「雄英だからって、調子乗ってんじゃねぇよ!!!!!」

 

高速接近してくる(ヴィラン)、出久の背には壁がある。どう頑張っても逃げれない。峰田と蛙吹は陸に上がってるが出久だけは水中に居る。

 

「俺を甘く見たことを後悔しろ!!!」

 

「甘く見てないよ。君が弱いだけだから」

 

次の瞬間(ヴィラン)が突っ込んで来たところを捕まえて絞め技で血管を締め付け、気絶させた。タダのチンピラではないが所詮は用心深い雑魚でしかなかった。

 

「よし。」

 

「よ、よし。じゃねぇよ!どうやったらアイツを正面から倒せんだよ!」

 

「怒ったら攻撃が単調になりやすいから動きも読みやすい。だから、単調な(ザコ)相手に負ける事は無いよ」

 

「す、凄いわね緑谷ちゃん。」

 

「まだまだだよ。それに、ここをクリアしてもまだ終わってない。」

 

出久はそう言って相澤先生の所を見つめていた。

 

「ええ、そうね」

 

「も、もういいじゃねぇかよ!」

 

こうして、3人は水難ゾーンを抜け、セントラル広場へと向かった。




今回も量的にいえば多かったと思います。ですが、まとまりが無いような感じでした。補足説明が抜けてたり、分かりにくいところがあるかもしれません。そうであれば感想の方で、もしくは、誤字脱字報告で修正を入れてみてください。参考にしたいのと、皆様の意見を聞きたいのでよろしくお願いします!


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9.恐怖

お気に入り登録500を突破しました!
通算UAも10,000を突破!
ありがとうございます!これからも頑張っていきたいと思います!
そして、今回を持ちまして、更新速度が大幅に低下します。というのも、これからはリアルの予定が多くなってき、執筆する時間が短くなってきます。大変申し訳ありません。


黒が皆を飛ばしてすぐの頃

 

「残ったのは、13号先生と俺。それに、芦戸君、麗日君、砂藤君、瀬呂君、障子君。そして、普通科の君だけのようだ。障子君、皆の位置を確認できるか!」

 

メガネ委員長はそう言いながら現状の確認と敵ヴィランに警戒しているようだ。

 

「皆散り散りになっているが、施設内に居る事は確認出来た。」

 

やけにガタイのいい6本の腕を持つ男……障子は腕の先を耳や口、目に変えて皆のことを確認出来るようだ。

 

「…………………………………………………………委員長」

 

「はい!」

 

「あなたに託します。このことを学校に伝えてください。」

 

「で、ですが!」

 

「センサーも発動せず、携帯は圏外。皆離れ離れにされました。おそらく妨害系の個性を持った(ヴィラン)をすぐさま隠したのでしょう。その(ヴィラン)を見つけ出すより、あなたが助けを求めに行った方が早い!」

 

「で、ですが……」

 

「行けよ。委員長」

 

「俺たちで何とかする。お前はお前のすべきことをしろよ!」

 

男性陣が、飯田を後押しする。麗らかともう1人もすかさずフォローを入れる。

 

「皆を救うために個性を使ってください!!!」

 

「……は、はい!!!!」

 

そして、飯田は出口に向かって駆けた。心操は飯田の事を知らず、皆が頼っていた意味が分からなかった。

しかし、今漸くわかる。

 

足が速い。

単純だが強い。その速さですぐに出口まで辿り着ける。

………………

…………

……

 

が、それを見逃す程(ヴィラン)も優しくはない。

 

「策がないとはいえ、私を前に語るとは愚かですね。」

 

「知られても問題無いから語ったんでしょうが!」

 

13号は反論と同時に自身の個性。ブラックホールを発動させた。たとえ実態が無いとはいえブラックホールを前に黒も抵抗するのが誠意いっぱいのようだ。

 

「ッ!…………これは!」

 

突如、13号の後ろから、ブラックホールが出現した。そして、13号が襲われた。ブラックホールをワープで13号の後ろに持ってきたのだ。よって13号は自身の個性で自滅させられてしまった。

 

「13号。確かにブラックホールは厄介です。しかし、あなたは災害救助を主に活動しています。よって、同じヒーローでも、戦闘は他のヒーローより半歩劣ります。」

 

黒はそう言い残し飯田をターゲットにした。

 

「逃がしませんよ」

 

「行かせるか!!!」

 

「俺らで足止めする!」

 

黒の発言に対抗するべくヒーロー科皆が一丸となっていた。心操も足止めを試みようとしたが、飯田以外目もくれず、挑発しても、無視されてしまった。すると、麗日が何かに気づいたようだ。

 

「行かせるわけないでしょ!」

 

先程まで13号の所で他の生徒に足止めされていたが、一瞬で飯田の前に立ち塞がった。

 

「行けぇぇぇ!飯田ァ!!」

 

そこへ、6本腕の生徒が黒を包み込んだ。

 

「ッ!生意気な!!」

 

黒はまた、捕縛を解き飯田の前に立ち塞がる。

 

「生意気すぎるぞメガネ!………………ッ!?」

 

「こんなんしてるってことは実体があるってことよね」

 

麗日だ。黒が身に付けていた装飾品に目をつけた。そして、自身の個性で浮かした。しかしそれでも尚飯田の元へ向かおうとする黒。

 

「させねぇーよ!」

 

ヘルメットを被った少年が肘から白い布状の物をだし、麗日が触った装飾品につけ引っ張った。どうやらタダの布ではなく、粘着性があるようだ。抵抗するも浮かされているため無駄になり。最初の位置まで戻った。

 

─自動ドア!止まっている……蹴破るか?

蹴破れる厚さなのか?

 

飯田は無事に出口迄辿り着き、強引に手動で自動ドアを開けて脱出に成功した。

 

「……脱出されましたか。

応援を呼ばれますね

………………………………

 

……ゲームオーバーだ。」

 

黒はそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

〜セントラル広場〜

 

 

遡ること5分前

有象無象を粗方倒したイレイザーヘッドは主犯と思われる不気味君を捕らえようとしていた。しかし、辿り着く迄に有象無象を相手にしていたが、その間に観察され、イレイザーヘッドの個性に対策されてしまった。

 

「…………24秒

 

…………20秒

 

…………17秒。

 

 

動き回ってわかりづらいけど、髪が下がる瞬間がある。そして、その間隔はどんどん短くなってる」

 

イレイザーヘッドはすぐさま捕縛武器とそれに合わせた近接格闘術で捕らえようとするが呆気なく防がれ不気味君の個性による攻撃で肘が崩れる。

 

「ッチ!お前が本命か?」

─肘が崩れた……奴の個性か!

 

「お前の戦闘スタイルは奇襲からの短期決戦。なのに正面から突っ込んできたって事は生徒を安心させるためか?

 

かっこいいな〜

 

かっこいいな〜

 

かっこいいな〜

 

…………ところでヒーロー。本命は

 

 

 

……俺じゃない」

 

そういうと隣に気味の悪い男がイレイザーヘッドを襲う。

 

「個性を消せる。素晴らしい力だけど圧倒的な力の前には無個性だ。」

 

手を身体中につけている男…………不気味君と名付けよう。

不気味君はそう呟いた。そして、隣にでは上半身裸で脳が飛び出ている気味の悪い男がイレイザーヘッドを地面に頭を押さえつけ身動きを封じ、腕を握り潰し、本来は曲がるはずのない方向へ無理やり曲げた。

 

「ぐぁ!…………」

─小枝を折るように……!!

体の一部を見れば消せる。素の状態でこれか!

オールマイト並みじゃねぇか

 

あまりの激痛で声を発するも頭を地面に叩きつけらる

 

そこで、漸く出久達も池を伝い近くまでたどり着いた。幸いイレイザーヘッドに夢中なようで気づかれていないらしい。

 

 

 

 

 

 

「お、おい!緑谷!どーすんだよ!相澤先生もやられてるのに俺たちが行っても殺されるだけだろ!」

 

「うん。だから倒すんじゃなくて救ける。」

 

「それって、まさか相澤先生を助けるってことなの?」

 

「うん。だけど無策で飛び込んでもどうにもならない。だから僕が囮になる。その内に2人で相澤先生をみんなの所へ連れてって欲しい。」

 

「ダメよ緑谷ちゃん。危険すぎるわ。」

 

「このままだと相澤先生は間違いなく殺される。それに、あの大男はともかく手を付けた奴の個性ならおおかた掴めた。手に触れなければ脅威じゃない。」

 

「それでも危ないわ」

 

「そ、そうだよ。さっきは偶々上手くいっただけだって!」

 

「だからって、このままじっとしているだけじゃ何れ全滅だよ。応援が来るか分からない今やれる事はやらないと」

 

「わかったわ。でも、危険と感じたらすぐ逃げることを約束してちょうだい。」

 

「うん」

 

「ぜ、ぜってー死ぬなよ!」

 

「うん!」

 

2人も出久の作戦に条件付きで納得した。そして、実行させようとした時。

 

「死柄木弔」

 

「黒霧。13号は殺ったのか?」

 

「ええ、一応行動不能には出来たのですが………

 

…………

 

……生徒が1人逃げました。」

 

不気味君は死柄木弔(しがらきとむら)といい、黒は黒霧(くろぎり)と言うらしい。

 

「はぁ〜ーーーー

 

おい、黒霧。お前がワープゲートじゃなかったら粉々にしたよ。流石にプロ何十人を相手にするのは難しい。ゲームオーバーだ…………

 

()()はゲームオーバーだ。

 

 

 

……帰ろっか」

 

 

 

「か、帰る。そういったのか!?」

 

「ええ。そう聞こえたわ」

 

「やった〜!俺たち助かるんだ!」

 

泣きながら喜ぶ峰田。どさくさに紛れて蛙吹の胸を揉んでるのは言うまでもない。

 

……逆にこの状況で胸を触る峰田の変態精神の方が怖ぇーわ!

 

確かに、2人の耳はおかしくない。出久もしっかりと聞いた。しかし疑問に残る()()という単語に…………

 

「でも、気味が悪いわ」

 

「うん。このまま引き下がる様な気がしない。何だか胸騒ぎがする。」

 

隣でセクハラを受けた蛙吹が峰田に制裁を下しているがそれどころでは無い。ここまでのことをやっておいて簡単に引下がる。

 

 

「ただ。平和の象徴の矜恃を少しでも

 

 

へし折って帰ろう」

 

 

死柄木弔はすぐ出久達の方向へ殺気と共に振り向き片手を突き出してきた。

蛙吹と峰田は突然の行動と殺気に一瞬反応が遅れ、蛙吹の顔に手が触れようとしていた。出久は先程の光景を思い出しすぐ様蛙吹を守ろうとするが追いつかない。そして

 

 

ひたァ

 

 

触れるが、何も起きない。

 

 

「かっこいいぜ。イレイザーヘッド」

 

死柄木は振り向きニタァと笑みを浮かべ、その先には個性を発動させているイレイザーヘッドが居た。

すぐ様、出久は死柄木が油断している隙に肋に自身の拳を最速でメリ込ませた。

 

「離れろ!」

 

殴られた事により吹き飛んで行く死柄木に向かって言葉を発する。

 

「ガハァ!…………クソガキがぁ……痛いんだよ!ヒーロー気取りか?

 

…………殺れ脳無」

 

死柄木を数十メートル飛ばすことに成功したが、気色の悪い男……脳無と呼ばれる(ヴィラン)はイレイザーヘッドから一瞬で距離を詰め、出久より何倍もの速い拳を出久に打ち込む。

 

「ガハァ!!!」

 

出久は脳無の動きを捉えることが出来ず、勘と、防衛本能と言うべきか、急いで防御に徹した。しかし体が間に合わず、完全な防御をする事が叶わなかった。そして、拳の威力により陸の方へ、飛ばされた。幸い受身を取ることが出来たのでダメージを抑えることが出来た。

 

「脳無の一撃を受けても生きてるとは驚きだ。」

 

 

死柄木は驚きを見せた。そして、出久にとって、初めて(ヴィラン)連合に恐怖というものを感じた。

そう。本当の悪夢はこれからだ。

…………と、出久は肌で感じた。




オールマイトの登場はもう少しあとです。轟くんや爆豪、切島の登場の方が早いです。
ご感想、ご指摘、アドバイスお持ちしております!!!

次回もお楽しみに!!!!!!!!


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10.敵連合

先週のUAが1万突破!ありがとうございます!
そして、漸く2桁に行けました。


脳無…………頭部の骨や肉が無く、脳が剥き出しになっている(ヴィラン)。脳無の攻撃は出久の防御力を超える為ダメージが蓄積されていく。

ダメージが蓄積されていく。

 

「蛙吹さん!峰田君を連れて水中から逃げて!」

 

出久の発した声に蛙吹は峰田に舌を巻き付けて水中に潜る。峰田は突然水中に連れられ驚いているが、蛙吹により、あっという間に死柄木達から距離を伸ばす。出久はそれを確認して再度脳無に視線を戻す。

 

──速い上に重い…………これがオールマイトを倒す為の(ヴィラン)。さっき、相澤先生の個性を受けても変わらなかった。……って、事は個性は別であるって事。

 

出久は攻撃を受けながら脳無を分析していた。

 

しかし、案が浮かばない。敵は脳無だけじゃない。最低でも死柄木弔と黒霧が居る。3対1になったら負ける。しかし、幸いに2人は脳無の勝利を確信している為見ているだけ。

 

そうするうちにダメージが溜まる。出久は攻撃に転じながら策を練る事にした。

 

──確かに速いし、重い。だけど動きは単調、予測と勘のおかげで動きは読める。タダで殺られる訳には行かない!

 

結論が出た途端、脳無の右拳が攻撃が出久の顔面に迫る。それを出久は首を右に倒してギリギリで躱す。そこから、がら空きになった右脇腹目掛け、突きを放つ。

が、痛がるどころか微動だにしない。そのまま脳無は、左腕を後ろに回し、右腕と挟むように放物線を描きながら左腕が迫る。

 

出久は重力に逆らわず膝の力を抜き、避ける。すぐ後に脳無の両拳がぶつかり風が出来た。出久はその風の流れに従い距離を置いた。

 

「おい。脳無さっさと殺れ。」

 

 

脳無は更に速度を上げて出久に迫る。開いた距離が文字通り一瞬で縮まる。脳無はもう一度拳を作り殴りかかってくる。出久も咄嗟に左腕に右手を添える様にガードする。先程よりも完璧にガード出来たが、ダメージは先程の比ではない。ミシミシと左腕から不吉な音を出しながら後方へ飛ばされる。

 

凄まじい速度で飛ばされるがそれにより開いた距離を脳無は縮めて更に追撃。同じ攻撃を同じ場所へ再度。左腕はバキッ!と鳴り響きそのまま壁に激突。壁はクレーターの様に出久を中心に崩れた。

 

「ガハァッ!!!」

 

──痛い!左は完全に折れた!あれで素とか巫山戯るなよ!

 

「まるで、オールマイトを殺す為の(ヴィラン)だな」

 

「これは驚いた。まだ生きてるのか」

 

死柄木は目を大きく見開きそう呟いた。

 

「攻撃しても手応えがなかった。個性か?」

 

「あぁ、脳無の個性はショック吸収だ。」

 

絶望とは、こういうことを言うのだろう。打撃耐性が高く、身体能力は異常。個性がない出久にとって最悪の相手だろう。

 

「おい、脳無トドメを刺せ。」

 

脳無が再度動き出す。死柄木の命令でしか動かないようだ。出久は壁を背にしていたが玄関ルームを背にした。そして、全く同じように右拳で今度は肋に迫る。

 

──打撃が効かないなら!地面にめり込ませる!

 

出久はしゃがんで避けて、突き出された右腕を右手で掴み折れた左手を上顎に固定して地面に叩きつけた。

 

その瞬間とてつもない違和感が生まれた。叩きつけた感触が生まれた瞬間、異常なまでに脳無が深く刺さった。そして、背後から右腕と後頭部を掴まれる。手の大きさからして死柄木弔では無いことは確かだ。正体は土埃が消えてからわかった。脳無は上半身が地面に叩きつけられてる様に見えるが脳無の腰あたりから黒いモヤが出来ている。これだけヒントがあれば分かる。出久を捉えたのは脳無だ。

 

「まさかとは思いましたが脳無の動きに対応するとは。流石は雄英のヒーロー科ですね。」

 

出久の事をヒーロー科の生徒と間違えてるようだ。出久が参加することが決まったのは3日前、(ヴィラン)連合が把握していないのも無理はない。出久の戦いは既に一般人から逸脱している。

 

「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

右腕と後頭部を、掴んだ手の握力がだんだん強くなってくる。

 

ミシミシ

 

ミシミシ

 

次の瞬間出久は激痛の中冷気を感じた。そして、それ以上握力が強くならなかった。出久は左手で右腕を捉えている指を引き剥がし、右腕が解放されると後頭部も引き剥がす。その瞬間振り向きつつ距離をとると、そこには手首まで凍った脳無の姿があった。その元凶は白と赤の髪をしたヒーロー科の生徒のようだ。

 

一応更に距離をとりつつ赤白髪の少年の元へ行く出久。そして、脳無は無理に動き凍った部分が崩れた。両腕と背中を失い、かなりグロい姿になっている。出久からは安堵が生まれた。しかし、それは糠喜びになる。

 

「ッチ!邪魔が入った。どいつもこいつも俺の邪魔ばかりしやがって!」

 

死柄木は怒りながら吠える。

 

脳無の細胞は分かりやすく蠢きどんどん傷を治していく。そして、数秒で失った両腕と背中が元に戻った。

出久は回復している内に脳無を凍らせた赤白少年の元へ向かった。

 

「お前らがオールマイトを殺る実行役とだけ聞いた。」

 

颯爽と現れたイケメンの赤白少年は追撃をするように死柄木に向かって氷を出す。

 

「脳無」

 

次の瞬間の脳無は死柄木の前に立ち氷を自ら食らった。

 

「ッチ!」

 

「残念だったな」

 

死柄木は笑みを浮かべた。

そして、同時に黒霧が向かってくる。

出久は地を蹴り迎撃しようとするが……

 

「退け!邪魔だデクー!!」

 

爆発と共に発せられた声の正体はもちろんお馴染みの爆豪勝己。そして、黒霧は地に伏せられた。

「スカしてんじゃねぇよ!モヤモブが!」

 

「かっちゃん!それに切島君!」

 

「よう、緑谷!」

 

と、赤髪の少年、切島が現れた。さらに、心操が走ってきた。

 

「緑谷!大丈夫か!?」

 

「心操君!僕は大丈夫だけど危ないよ!」

 

「大丈夫じゃねぇだろそんな腕してる奴が大丈夫なわけ無いだろ」

 

「それじゃあ、聞かないでよ!」

 

「それより状況は?」

 

 

「それよりって……

状況は最悪。あの凍ってる(ヴィラン)はショック吸収と回復系個性。まだ他の個性がある可能性アリ。その後ろの男は触れた物を壊す個性。それで今押さえられてる(ヴィラン)がワープって、感じかな」

 

「個性複数所持とかヤバいな」

 

「うん。」

 

「策はあるか?」

 

「うん。あるにはある。けど、この5人でじゃないと出来ない。」

 

「てめぇの策なんか誰がのるか!」

 

「かっちゃんはワープを押さえててくれれば良いよ」

 

「てめぇに言われなくてもそうするわ!!」

 

「俺はいいぜ!緑谷の策に乗っても!」

 

「俺はいい。俺は1人で倒す。」

 

勝己は兎も角。賛成2、反対1厳しい。倒す所か殺される。でも、(ヴィラン)は待ってくれる程優しくはない。

 

「ッチ、小癪な!」

 

「おっと、動くな。怪しい動きをしたと俺が判断したら爆発する。」

 

「ヒーローらしからぬ言動だな……」

 

と言いながらパチパチパチ爆竹のような小さい爆破を出している。切島は勝己の言動にツッコンでいる。

 

「てめぇはあの時に危ないっつたんだよ。物理無効人生なら危ねぇつーう発想がねぇんだよ!」

 

流石はかっちゃん。あの状況で黒霧の個性と弱点を出久よりも把握していた。これが本当の才能マンというのだろう。

 

「出口が捕まった。こりゃ、ピンチだ。」

 

焦る様子が全くなく、棒読みじみた発言。余裕が消えないって事は切り札はまだあるのだろうか。

 

「最近の子どもは凄いな。攻略された上にほぼ無傷。恥ずかしくなっちゃうよ(ヴィラン)連合は……」

 

「脳無。爆発小僧を殺れ。出口の奪還だ。」

 

脳無は先程と同じように距離を詰め右拳で殴ろうとするが、それを黙ってみる程こっちも甘くない。

 

出久は勝己より前に出て脳無のパンチを正面から受け止めた。

 

「ウッ!!!ゲホゲホ!」

 

流石に片腕折れた状態で受けても威力は殺しきれなかった。だが、勝己に当たることは無かった。出久はすぐさま足を払い脳無の体勢を崩して、今度は両腕で右腕を持ち、投げ飛ばす。

 

「ハァ、ハァハァ……同じ手を何回も食らうほど馬鹿じゃないんだよ!」

 

「……見えなかった。」

 

「あぁ、俺もだ」

 

切島と赤白少年はそう呟く。それは心操も勝己も例外ではない。出久を除いてその動きに対応出来る者は居なかった。

 

「どういうことだよ。なんでお前が脳無を投げ飛ばしてんだよ。そいつは対オールマイト用の超高性能の人間サンドバッグ。ガキ1人にやられるわけないんだよ!」

 

「簡単だよ。この程度でオールマイトを倒すのは無理ってことだよ。こんなの僕でも倒せるよ。勿論個性なんか使わなくてもね」

 

嘘は言ってはい。だって、出久は使える個性がないから。

 

「舐めるなよ!クソガキが!脳無!アイツからころせ!」

 

「心操君!手だらけの男をお願い。個性使えばなんとかなると思う。」

 

「わかった。」

 

「切島くん!僕が脳みそ(ヴィラン)の一瞬動きを止める。けど、持続時間は持って数秒、その間に君も動きを止めてくれ!」

 

「お、おう!わかったぜ!」

 

そう言っている隙に、脳無は迫ってくる。流石に何度も見てきた攻撃の速度に慣れてきた出久にとって反応するだけなら造作もない。脳無も学んだようでバカ正直に殴ってくるのではなく、両手を合わせてハンマーの様に振り下ろす、出久は右腕でハンマーの軌道を無理やり逸らし、ハンマーが空振り、地面を叩いた間に背後に回り羽交い締めをする。脳無のガタイがでかく、羽交い締めをするのはギリギリだ。脳無は抵抗するが、なんとか激痛に耐えながら切島が来て、2人で抑え、出久の指示で切島は出久と代わるように関節技を決めて両腕を押さえる。出久は折れた左腕に負荷がかからないように足元を押さえる。

そして……

 

「今だ!こいつを凍らせてくれ!」

 

出久の言葉に不満ながら個性で脳無を凍らせていく。

 

「切島君!離脱して!君まで凍る!」

 

「分かった!」

 

どんどん凍る中、両腕が凍り始めてから切島に離脱の指示をだす。そして出久も氷で動きが止まったのを見計らって離脱。そこから赤白髪の個性の出力が上がり先程と比べ物にならないほどの大きな氷塊ができた。

 

そして、

 

「対オールマイトとか聞いて呆れるな。あんなんで本当に倒せるとか思ってたのか?ヒーロー甘く見すぎだろ。」

 

「黙れぇぇぇぇぇぇぇ…………」

 

死柄木に対して、心操の挑発。死柄木は言動を見る限り、精神年齢が実年齢より幼いようだ。心操の初見殺しの個性と安っぽい挑発で動きを止める事に成功。万が一脳無が氷塊から出てきても司令塔を潰せばただの人形と化す。

 

「…………なんとか、成功したみたいだね。ありがとう切島君にえっと……」

 

「轟焦凍だ。」

 

「ありがとう轟君。」

 

「死柄木弔!返事をしなさい!死柄木弔!!」

 

黒霧は必死に訴えかけるがまるで反応がない。

そして……

 

BOOOOOOOOMB

 

「動くなぁ!」

 

勝己に個性で押さえられる。

 

「今の間に相澤先生を安全な所へ運ぼう!」

 

「あぁ。」

 

「俺も手伝うぜ!」

 

そして、相澤先生を運ぼうとした、その時……

 

「……ハハハハハ。まさか生徒にやられるとは想定外だよ」

 

不気味な笑みが聞こえた。内容からして(ヴィラン)連合の仲間だろう。

 

「凄いね。まさか脳無がこんな形でやられるとは思いもよらなかったよ。素晴らしい」

 

突如空中に黒い液体が発生した。

その中から出てきたのは趣味の悪いマスクを被ったスーツ男だ。

 

「だけどね。こんな所で捕まる訳には行かないんだよ。だから返してもらうね。」

 

次の瞬間その男の指が黒く染まり勝己目掛けて突き刺さった。

 

「がぁぁぁぁぁ!!!」

 

肩に直撃した。それも、脳無並の速さで。そのまま空中に飛ばされる。

 

黒霧が解放された。

 

「すみません。私が付いていながら」

 

「気にする事はないよ黒霧。僕たちの予想より雄英の生徒達が強かっただけだ。」

 

そういいながら、男は死柄木の元へ向かう。

 

「これは、個性か……面白い。これじゃあ弔が止められるわけだ」

 

男は死柄木を揺さぶる

 

「……!先生……」

 

「軽い衝撃で解除されるのか……オールマイトにはあまり意味がなさそうだね」

 

「先生……俺……」

 

「いいよ。弔。失敗は誰にでもある。次気をつけたらいいんだよ」

 

そして、脳無に近づく。出久はそうはさせないと突っ込む。

 

……が、しかし

 

「遅いよ。君では僕を止めることすら出来ない」

 

再度指が黒く染まり出久に迫るが、出久は間一髪かすり傷で抑え、男に突っ込む。

 

「驚いた。今のを躱すか……だけど、僕はそれだけじゃないよ。」

 

次の瞬間、殴られた。

まだ、攻撃圏内に入っていないのに腹に強い衝撃が走る。

 

「衝撃波……中々便利だね。この個性」

 

出久は為す術もなく吹き飛ばされる。出久から反応がなくなった。そして、男が氷塊に触った瞬間氷塊は砕け、脳無は無傷でそこに立っている。

 

「今、あの子たちを倒してもオールマイトには、やられるだろう。なら、暴走するかもしれないけどやってみよう。」

 

そういい、男は指を脳無の中に入れた。

 

「筋力増加」

 

そう呟いた。すると脳無のガタイが大きくなり、各部位の筋肉も大きくなった。

 

「おぉ!成功か!」

 

「先生、これでオールマイトは確実に殺れるのか!」

 

「さぁ?これからの事に確実なんて確認しようがないからね。だから、今回は退くよ、弔」

 

「はぁ?なんでだよ!あのガキどもを殺さないと気が済まない!」

 

「それはまた今度だよ」

 

黒霧がワープゲートを開き、その中に死柄木とスーツの男が入ろうとする。最後に

 

「脳無。ここにいる人間を殺せ」

 

その発言に反応した轟と切島は個性で黒霧を倒してゲートを再び閉じようと試みるが……

 

「無駄だよ」

 

そう告げると出久同様吹き飛ばされた。

そして、今度こそスーツの男は黒霧と死柄木と共に姿を消した。 心操もその強さに動けなかった。そして、全員戦闘不能になってしまった。しかし、脳無は止まらない。吹き飛ばされた出久の元へ歩き出す。先程までとは打って変わってゆっくり、一歩づつ

 

そして、辿り着く。左手で持ち上げ、上に軽く飛ばし、落ちてきた所を殴り飛ばす。ガードも受け身も取れず壁に激突、出久の反応はない。タダ血を流し続けるだけ。

 

それを玄関ホールから見ていた生徒達は悲鳴を上げ、青ざめていた。相澤先生はボロボロに倒され怪我も酷い。時間は短いけれど轟と勝己の強さはA組のトップレベル。それをみんな理解していた。なのに簡単に倒され、出久からは血が流れる。とても無惨な光景だった。ヒーローがやられ、A組のトップレベルもやられる。生徒達はどんどん恐怖に染まっていく…………

 

その時、玄関ホールの扉が派手に壊された。先程まで、殺される恐怖を抱えていた生徒達からは一気に安堵が生まれた。壊したのは知らぬ者が居ない恐らく世界有名人ランキング1位を飾る人物。それと同時にヒーロー界のトップに君臨している平和の象徴と呼ばれている男。オールマイトが立っていた。

 

「もう大丈夫。何故って?

 

 

私が来た!!!!」

 

何時もと違い、その顔は怒りに染まっていた。




オールマイト登場!!!!!
ですが、原作のように、轟や爆豪、切島が辿り着く前の雑魚処理戦を乗せた方が良かったかな?と思いつつ書きませんでした。ですので、今後、原作のここはちゃんと書いて欲しいという所がございましたらコメ欄にてお待ちしております!!!
ご指摘、ご感想、いつでもお待ちしております!!!!


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11.平和の象徴

お気に入り登録700人突破ありがとうございます!
今回でようやくUSJ編が終わります!
ご指摘、ご感想、お待ちしいますのでなんでもいいのでください!


「もう大丈夫。何故って?

 

 

 

私が来た!!!!」

 

そう、聞こえた気がした。朦朧とした意識の中で微かに捉えたオールマイトの声。幼少期から動画で何千何万と聞いてきた声。視界が赤く染まり、ボヤけている為、幻聴かどうかも区別できない。

 

唯、言えることは脳無の視線が自分ではなく、玄関ホールに向いている事。もし、アレが幻聴ならばみんなが危ない。

出久は思考を巡らせ、体を動かそうとするが動かない。体に動けと命令するが動く気配は全くない。そして、出久の視界は赤でなく黒に染められた。

 

 

 

 

──全く、己に腹が立つ……

子ども(生徒)達がどれだけ怖かったか……

 

後輩たちがどれだけ頑張ったか……

だからこそ言わねばならない…………

 

もう大丈夫!私が来た!!!

 

オールマイトの登場により、生徒達は嬉しさを通り越して泣いている者もいる。逆に、残っていたチンピラ共はオールマイトに対して構える。

 

しかし、攻撃する間もなく一瞬で見渡す限り、全ての(チンピラ)が気絶していた。そして、オールマイトは相澤先生の元へ辿り着く。

 

──すまない、相澤君……

腕に……顔も!……

 

脳無は来て早々のオールマイトをずっと見つめていた。攻撃するでもなく、逃げるでもなく。ただひたすらに見つめていた。

 

その間にオールマイトは、相澤先生と勝己、轟、切島、心操を抱えて玄関ホールの階段の傍に場所を移した。

 

「気がついてる者は早く出口へ!相澤先生や他の生徒を頼む。意識がない早く!」

 

心操と肩を負傷した勝己に衝撃が来た瞬間に硬化で体を硬め何とか意識を保った切島は何が起こったのか理解が追いついてないかった。

 

「お、オールマイト!?」

 

切島が驚きつつ指示に従おうとする。心操も勝己も今の状況ではかえって邪魔になると判断し指示に従う。

 

脳無は自分と漸く目が合い口を曲げた。声は出ていないが笑っているのだろうか。今まで感情や意思を示さなかった脳無だが、無理やり与えられた個性の影響か否か感情というには悍ましい何かを抱いていた。

 

「CAROLINASMASH!!!」

 

オールマイトからの攻撃。脳無は避ける所か碌に防御すらしようとしたない。オールマイトは確かな手応えを感じたが、脳無の体は1ミリも動いていない。

そして、脳無の反撃。筋力増加も相まってオールマイトを除いて視認できる者はプロヒーローでも僅かだろう。オールマイトも避けるのが精一杯で距離をとる。

 

「マジで、全然効かないな!」

 

「DETROIT SMASH!!!」

 

「TEXAS SMASH!!!」

 

次々に攻撃を入れるオールマイト。だが、

 

「お、オールマイト!!そいつは、“ショック吸収”と“回復系”の個性、それに多分、“筋力増加”の複数の個性を持っています!」

 

心操は、出久から教えてもらった情報と趣味の悪いマスクの男の発言から、脳無の個性を話す。

 

「ありがとう少年!ならば!」

 

オールマイトは再び脳無に迫り、殴る。当然先程と同じ様に脳無は動かない。が、反撃が来る前に再度殴る。1発1発確実に脳無の体に打ち込んでいく。脳無は本能と言うのか、はたまた勘と言うべきかすぐさま反撃に転じる。狙うはオールマイトの左胸……心臓だ。どんなに強くても人である限り心臓が潰れると死ぬ。脳無はショック吸収を利用して攻撃を無視して殴るが、当たったのは心臓ではなく、オールマイトの拳。対抗するように脳無もだんだん拳を打つのが速くなっていく。そして、拳と拳のぶつかり合い、それで出来た衝撃は出口付近にいる生徒達まで届いた。

 

その攻防が続くこと約40秒勝負が見えてきた。オールマイトの方が脳無に攻撃を当て始めた。

 

「ショック吸収……無効ではなく、吸収ならば!限度があるんじゃないのか!

 

私対策、私の100%を耐えるなら!……さらに上からねじ伏せよう!!」

 

そして、脳無は攻撃を辞めさせられた。すぐさま防御に徹しようとするが、もう遅い。オールマイトの攻撃は一撃を加える毎に威力が上がっていく。そして、オールマイトの言ったようにショック吸収の限界を迎えた。

 

(ヴィラン)よ……!こんな言葉を知ってるか!」

 

その瞬間オールマイトに殴られた脳無は真っ直ぐオールマイトに殴られた方向へ飛んでいく。

 

そして、脳無より早く脳無の進行方向に立っていた。

 

さらに向こうへ(PLUSULTRA)

 

そして、オールマイトの拳が脳無を捉えた瞬間物凄い爆風が発生し、脳無はUSJの天井を突き破り空の彼方へ飛んで行った。

 

「ショック吸収がなかったことになった……」

 

「究極の脳筋だぜ……」

 

「これが、プロの世界のTOP」

 

心操と切島に勝己はオールマイトの戦いを近くで見た。今の自分たちでは足元にも及ばないプロの世界。

 

「ハァ……ハァ……今回の(ヴィラン)は何かおかしい……」

 

オールマイトは先程倒した脳無のことについて考えていた。今思えばおかしな所がある。思考をめぐらせようとするが、まずは生徒たちの安全保障が先。そう思い行動に移そうとした。

 

 

「死ねぇ!!!オールマイト!」

 

ずっと隠れていた(チンピラ)が満を持して飛び出してきた。オールマイトも流石に先の戦いで疲弊しており、反応が遅れたが十分対処できる相手だ。オールマイトは個性を発動される前に気絶させようとするが、次の瞬間

 

「ぐぎゃぁぁぁ!!」

 

銃声が、鳴り響き(チンピラ)に直撃した。勿論急所は外してある。

 

「来たか!」

 

オールマイトは笑みを浮かべ視線を変えた。その先には……

 

「1年A組飯田天哉ただいま戻りましたぁ!!」

 

委員長が帰ってきた。その背後には教師を連れてきていた。

 

「おそくなったね。今動ける者をかき集めて来た」

 

校長の言葉も響く。それからは一瞬。各地に散らばったチンピラ共は瞬く間に拘束された。半分忘れられた出久も回収された。

 

 

 

「なんてこった……」

 

「これだけ派手に侵入されて逃げられてるなんて……」

 

「完全に虚をつかれたね。それより今は生徒たちの安否だ。」

 

──活動限界が近い……生徒達の無事を確認したらこの場を離れよう……

 

 

「大丈夫ですか!オールマイト!!!」

 

──切島少年!?なんて素晴らしい心の持ち主!

だが、今はまずい!!限界が近い、万が一戻ってしまったら……

 

「待っ……!!」

 

オールマイトが言葉を発した瞬間地面が粘土のように盛り上がった。

 

「うわぁ!?」

 

「生徒の安否を確認したいからゲート前に集まってくれ。けが人はこちらで対処する」

 

「そりゃ、そうだ!ラジャっす!」

 

「助かったよセメントス」

 

「私もあなたのファンなので。このまま姿を隠しつつ保健室に向かいましょう」

 

「あぁ。」

 

 

 

〜???〜

 

「クソ!脳無の信号が切れた。オールマイトに負けたのか、あのガキどもに負けたのか!」

 

「恐らく、オールマイトだろうね。彼らの動きを見る限り個性を追加した脳無では赤子同然だろう。」

 

「クソ!クソがァ!!」

 

「悔やんでも仕方ないよ。今回のは見通しが甘かった。次に行かせればそれでいいよ」

 

 

 

 

〜USJ〜

 

「17、18、19……うん。彼ら(爆豪と緑谷)を除いてヒーロー科共に普通科も全員無事」

 

生徒達は安堵しつつ、お互いの状況を話し合っていた。

 

 

「やはり、皆の所もチンピラ同然だったのか」

 

「餓鬼だと舐められてたんだ俺たち!」

 

そんな中、蛙吹は刑事に尋ねた。

 

「相澤先生は……」

 

「両腕粉砕骨折、顔面骨折

幸い、脳系の損傷は見受けられません

ただ……眼窩底骨折が粉々になっているため目に何らかの後遺症が残る可能性があります」

 

「だ、そうだ。」

 

刑事は携帯電話をスピーカーにして生徒たちに聞こえるようにした。

 

「ケロ……」

 

聞いた本人は絶句していた。

 

「13号の方は背中から上腕にかけて裂傷が酷いが命に別状なし。」

 

「オールマイトも負傷こそしているが保健室で間に合うそうだよ。」

 

 

「あ、あの、緑谷君は?」

 

名前の上がらない事に不安になりお茶子は問うた。

 

「緑……あぁ、彼か……」

 

刑事は今までとは違い深刻そうな顔をした。

 

「正直彼が1番酷かった。全身打撲に頭蓋骨骨折、肋骨3本。背骨にも罅が入ってた。それに、大量失血に加え、両腕骨折。特に左腕……骨が原型を留めることなく粉々になっている。治るかどうか分からない。もし治っても以前のように動かせるとも分からない。生きているのが不思議なくらいだよ。取り敢えず、リカバリーガールに診てもらい、判断を仰ごうと思う。」

 

「え?……」

 

「嘘だろ?」

 

「本当さ。助かった所で以前のように動けるとは限らない」

 

皆絶句しているなか、お茶子は悲惨な事実を叩きつけられ泣いていた。心操も出久の事をこの中では誰よりも知っている。今まで貶された個性を出久は笑ってヒーロー向きだと言ってくれた。ヒーロー科に落ちて普通科に入ったが、今思えば出久と同じクラスになれたのが良かったと思う。だからこそ悔しい。出久に助けられっぱなしでいざと言う時に体が動かなかった。

 

「アイツが……緑谷がいなかったら今頃俺たち全員死んでたんだ!俺たちを助けてくれたんだよ!」

 

「……だからといってどうすることも出来ないよ」

 

「俺たちを助けてくれたんだよ!」

 

心操は必死に訴えかける。

 

「リカバリーガールに任せるしか我々ができることは無い……」

 

そう言われ、静かになった。

 

それから、脳無を見つけたり、セキュリティーの大幅強化の話だったり(ヴィラン)側に居るのを悔いていたり先生や警察は話していた。

 

そして、警察は雄英の捜査の許可を貰っていた。

 

このことで学校は急遽1週間の臨時休校となった。

 

保健室では

 

勝己は肩に穴を空けられていたがリカバリーガールの個性により穴は塞がった。しかし、塞がっただけで治ってはないので勝己の調子を見ながら後日個性を使い治すという。流石はリカバリーガール。後遺症も残らない完璧な処置だ。

 

「彼は行きましたか?」

 

「あぁ。行ったよ」

 

布団の中から出てきたのはやせ細ったオールマイトだ。これが本当の姿らしい。普段からは想像できない骸骨のようなやせ細った体だ。

 

「事情が事情なだけに小言も言えないね」

「それで?この子は……酷いねこれは」

 

リカバリーガールも一目で状態が深刻なことがわかる。

 

「取り敢えず私の個性で……と思ったけどそうはいかないみたいだね……」

 

「どういうことです?」

 

「まだ、休む訳には行かないので。それで?その少年は?」

 

「顔見知りかい?」

 

「はい。少し」

 

「左腕の損傷が酷いね。このまま治癒を行ったら完全に左腕は使い物にならなくなるね。それに、血を流し過ぎているから、体力も殆どない。そんな状態で個性なんか使ったら間違いなく死ぬね」

 

「まずは左腕骨の摘出と輸血だね。」

 

「そんな事をしたら、左腕が!」

 

「安心しな、摘出した後に専用の糊剤を使ってくっつける。上手くいったらこの子自身の治癒力で骨が元に戻る。体力が回復したら私の個性を使って治りも早くなるよ……だけど、靭帯の劣化が激しすぎる。骨を治したところでこの子の左腕はもう使い物にならないかもしれないよ」

 

「……私がもう少し早く着いていたなら……」

 

「こればっかりはどうにもならないねぇ〜」

 

それから、警察の人がきたり、事情聴取をしている間にリカバリーガールは出久の手術に当たった。専用の機材や、薬品は近くの病院から拝借している。

雄英は市内の病院と連携することで正確な処置を学校で行えるようにしている。

代わりに、病院側の患者に異常事態が起きればリカバリーガールが診察し、個性や医術を駆使して患者を治すようにしている。そうする事でお互いがお互いを助け合える関係を築いている。

そして、個性だけでなく医者としても一流な彼女により後遺症も最低限に抑えた。

 

それから3日後……

 

「……ん……ここは?」

 

「おや?目が覚めたのかい?保健室だよ」

 

「……!?(ヴィラン)は!……ッ!!」

 

目が覚めた瞬間、意識を落とす前のことを思い出し、ベッドから起き上がろうとする出久に激痛がはしる。

 

「まだ、怪我が治ってないんだから安静にしなきゃいかんよ」

 

「で、でも……」

 

「安心しな。生徒の負傷者は君だけさね。オールマイトが(ヴィラン)を倒したから」

 

「はぁ、良かった」

 

そのことが聞けてベッドに身を任せた。

 

「目が覚めたってことはある程度体力も回復してるだろうし、個性使うよ」

 

「あ、はい、お願いします」

 

チュ〜〜〜〜〜

 

 

次の瞬間、痛みがどんどん引いていった。細胞がざわめいているような感覚に襲われ、不思議な感覚だった。

 

「凄い……治ってる!けど、なんか疲れたような……」

 

「私の個性は治癒力の活性化。治癒ってのは体力がいるんだよ」

 

「あと、あんたの左腕の事だけど」

 

「わぁ!凄い!あんなにボロボロだったのにきれいさっぱり傷が治ってる!」

 

「え?ちょ、ちょっと見せてみな!」

 

「あ、はい」

 

言われたように左腕を差し出す。リカバリーガールは驚きながら左腕を調べた。

 

「治ってる……」

 

「リカバリーガールのお陰ですね!

ありがとうございます!」

 

おかしい、本来どれだけ治癒力を活性化してもあくまで活性化するだけで回復するとは限らない。ましてや劣化した靭帯なんて治癒力を活性化させたところで治るもんじゃない。なのに、出久の劣化した左腕の靭帯は殆ど無傷になっている。他にも少しの治癒力を活性化しただけでほとんどの傷が治りかけている。

 

この少年がこういう系統の個性だと思い、簡易的に調べてみだが、個性因子が見当たらなかった。

 

──無個性は本当の事だろう。よく良く考えればこの子の素の治癒力が他の比べて高すぎる。個性じゃないならこれは……

 

「あ、あの……」

 

「ん?なんだい?」

 

「時間も時間ですし帰ってもよろしいでしょうか?」

 

そう言われ時計を見ると21時を過ぎていた。

 

「あ、あぁ。傷もほとんど回復してるし問題ないだろうさね。夜だから気をつけて帰るんだよ」

 

「あ、はい!ありがとうございました!」

 

出久は帰る支度をして自宅へと足を運んだ。

 

 

「え?3日も経ってる!?授業どうしよう!」

 

臨時休校のことを知らない出久は翌日雄英に足を運んだが、無駄足になることを今は、まだ知らないのである……




出久ボロボロですね……
主人公補正強い気がしますがまぁ、いっか!次回からは
いよいよ体育祭編ですね!
組み合わせとか色々考えてないので更新遅くなるかもしれませんがよろしくお願いします!!!

それではまた次回!


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雄英体育祭編
12.待ちに待った体育祭!!!


12話目ようやく書けました!
お気に入り登録800突破ありがとうございます!!
最近、感想が減った気がします……

アンチでも、文句でも何でもいいので何か、ください!!!!

ソワソワしながら待っています!!!


※2019/11/30 話の内容追加しました。
臨時休校から体育祭迄の話の追加です。


「ん〜。やっぱり3日も寝てたら体が少し鈍ってるな」

 

臨時休校になって5日、出久の体は治っていた。しかし、3日も寝ていた為か少し怠さが残っていた。

出久はそう言いながらリストバンドの重力負荷を15倍にした。

 

「うぉ…やっぱり少し鈍ってるな。」

 

普段から15倍の負荷をかけているのに体がいつもより重く感じた。

 

「取り敢えず、身体を動かそう」

 

動きやすい服に着替えて片手にスポーツドリンクを持ち、家を出た。

 

日課のランニングから、体を慣らそうと考えた。

3日のブランクなら、すぐに戻るだろう。

出久はいつものコースを変え、距離を増やした。

 

走り始めて10分。

5kmは走っただろう。体の鈍りも殆ど無くなった。体育祭まで、2週間を切った今、出久に出来ることは負荷の増加及び知識を蓄える事だけだ。伸ばす個性が無い分、この2つ時間を費やせる。

 

「取り敢えず15.5倍位かな?」

 

リストバンドを操作して負荷重力を増やした。

一気に体が重くなる。その影響でスピードが一気に落ちる。走るフォームも少し変になった。

が、無理な負荷ではない。そして、慣れるまで走り続けた。

 

そうする内に日が暮れた。15倍と15.5倍では全然違った。今思えば15倍に慣れるにも数日掛かったと思う。

 

しかし、以前の自分ではない。ちゃんと成長している。これから、体育祭まで負荷重力を増やして過ごした。

 

久しぶりに心操達に会った時にはとても驚かれた。心操から、以前の様に動くのは難しいと聞いてたらしい。現に、リカバリーガールも同じことを言っていた。

しかし、その予想は大きく外れ出久はピンピンしていた。

それから残りの臨時休校は皆で過ごし、その間に融斗達に色々教えていたのは言うまでもない。体育祭前日では4対1での勝敗は4勝1敗1分け。

制限時間30分では良くも悪くも時間が足りなくなっている。そのぐらい4人の連携や個人としても強くなってきた。

 

出久も前日ギリギリで重力負荷を17.5倍にすることが出来た。

 

〜学校〜

 

1週間の臨時休校が終わり出久は学校へと向かう。

 

「緑谷……ちょっと来なさい」

 

担任の先生に呼ばれた。

出久は頭の上に?を浮かべながら先生の後を歩く。

 

コンコン

「失礼します」

 

連れてこられたのは校長室

 

…………

……

 

(校長室!?)

 

(校長に呼ばれたって事!?)

 

呼ばれた理由が分からない出久は激しく動揺した。突然校長からの呼び出し、心当たりが無いので、その動揺が不安に変わる。

 

「やぁ、いらっしゃい」

 

そこには、校長だけでなく、他のヒーロー……教師が居た。校長だけでなく、ほかの先生まで居るって事は退学レベルのことを仕出かしてしまったのでは?

出久はそう導き出した。

 

「緑谷出久君」

 

「は、はい」

 

「君を呼び出したのは他でもない……」

 

ドクンドクン

心臓の鼓動が聞こえてくるぐらい緊張している。

漸く雄英に入学できたのに一学期で退学……考えれば考えるほど鼓動は更に大きな音を出す。

 

「USJの(ヴィラン)襲撃事件。

教師として、ヒーローとして、君を助けられなかった。そればかりか君が居なければ被害はもっと大きくなっていただろう。すまなかった…そして、ありがとう!」

 

「しかし、今回、緑谷。お前が重傷を負った。いや、負わせてしまったのは俺の責任だ。本当にすまなかった。」

 

校長の謝罪と感謝

それに続き相澤先生の謝罪

突然のことすぎて理解が追いつかなかった。

 

「さ、幸い僕も、皆も無事でした。それは、相澤先生が多数の(ヴィラン)を無力化してくれたお陰で、こうして今生きているのも、あの時オールマイトが駆けつけてくれたからです。」

 

今思えば、担任を除くこの場にいる先生はUSJに駆けつけた先生達だ。

 

「それで、君を呼び出したのは、謝罪と感謝を込めて、可能な範囲で何か、1つ君に贈ろう。」

 

「え?つまり……どういう事ですか?」

 

「つまり、USJ事件での君の活躍を称えてなんでも一つ言うことを聞くってことよ」

 

ミッドナイトの説明でようやく理解できた。

それに、先の不安のお陰で余計に嬉しい提案だ。

 

「そ、それじゃあ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「学食を無料(タダ)にしてください!」

 

「うん、分かった。後日無料券を作ろう」

 

みんな「は?」と思うかもしれない、学食は安くて美味しいが、毎日食べてるとその食費は馬鹿にならない。自炊の方が安くは済むが栄養面を考えればランチラッシュの料理を食べる方がいい。それに、両親が遺したお金も莫大ではあるが無限じゃない。何が起こるかわからない節約できるに越したことはない。

 

「失礼しました」

 

そう言って緑谷は校長室を後にした。

 

「夢は自分で掴むか……いいね!」

 

「校長?」

 

「それにしても、オールマイトが手こずった相手に無個性で立ち向かい、死んでいない。それに、あの並外れた身体能力」

 

「怪我の具合からしても今ピンピンしているのはおかしい」

 

「幾らリカバリーガールの個性があるとしてもあの怪我からの復帰が早すぎる」

 

「リカバリーガールに話を聞いたけど、どうやら、無個性だけど、その代わり、人としてのリミッターが外れているらしい。」

 

「どういう事だ?」

 

「あいつは常に自信に肉体的に異常すぎる負荷を掛けて生活している。あいつ自身気づいてはいないが、体がその負荷に耐えようと、進化しているらしい。」

 

「だからあの並外れた身体能力と自然治癒力か」

 

「ああ、今年は荒れるぞ……」

 

出久が去った後、教師たちの会話はその場の人だけしか知らない。

 

 

一方出久は

終わってから気づいた……もしかしたらヒーロー科へ編入することも可能だったのではないかと……

 

もっとちゃんとした使い道があったのではないかと後悔していた。

 

それから蛙吹さんや峰田くん会い、先生達と同じく謝罪と感謝を言われた。

 

この日、生きてきた15年間で1番嬉しかった。無力だった自分が、人を助ける事ができた。それが証明されたのだから。その日から体育祭まで最後の追い込みを、かけて体育祭に備えた。

 

〜体育祭当日〜

 

「スゥ〜」

 

出久は緊張を解すために深呼吸をした。

いよいよ待ちに待った体育祭だ。

 

「出久!」

 

「あ、融斗君。それにみんなも」

 

そこには、いつものメンバーが

 

「俺たちは今まで出久のお陰で強くなれた。だからこそ、この体育祭でお前に宣戦布告をする。いつまでもお前に頼ってばかりじゃダメだからな」

 

融斗が、みんなが、出久を見ている。その瞳からは確かな闘志が感じられた。

 

体育祭は仲良しごっこじゃない。そう再認識した。そして

 

「うん。勿論だよ。僕も本気で取りに行く。手加減なんかするつもりは無いよ」

 

「あぁ!」

 

出久の緊張は消えていた。

創太や心操。それに業火は何も言わなかったが目だけが語っていた。

 

 

 

『雄英体育祭!!ヒーローの卵達が、我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!!』

 

 

『どうせテメェらアレだろ!!?(ヴィラン)の襲撃を受けたにも拘らず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!!』

 

『ヒーロー科1年A組だろぉぉぉ!!?』

 

何故緑谷と心操の事が言われないかって?

それは簡単。相澤先生が独断で連れていったからだ。普通科2名も巻き込まれたとあれば雄英の信頼が今よりもずっと落ちていただろう。

勿論、心操の両親には謝罪と事情を説明した。

出久には、本人に説明して、両方納得してもらえたので、今回の事を知る者は少ない。

 

そして今、大袈裟な紹介をされたA組はその大半が顔を引き攣らせて緊張していた。

 

『B組に続いてC、D、E組!サポート科のF、G、H組もきたぞー!そして経営科……』

 

「俺ら完全に引き立て役だよな」

 

「だるいよね〜」

 

後ろの方で誰かがボヤいていた。同じクラスの人だろう。

 

「選手宣誓!」

 

全クラスが整列を終えると、18禁ヒーローミッドナイトが声を発した。

 

一部でミッドナイトの存在を議論していたが、ミッドナイトが自分の声で無理やりかき消した。

 

「選手代表!1年A組爆豪勝己!!!」

 

 

「あいつ一応入試1位だからな」

 

ヒーロー科の誰かが呟く。

 

「ヒーロー科のな」

 

それを普通科の人が睨みながら言ってくる。普通科のヒーロー科に対する威圧感が半端じゃない。

 

A組は肩を竦めていた。

 

そして、

 

「せんせ〜俺が1位になる」

 

「「「「絶対やると思った!!!」」」」

 

A組の人は大体察しがついてたらしい。

 

そこからはA組以外の壮絶なブーイングだ。

 

勝己は更に火に油を注ぐ様に

 

「せめて跳ねのいい踏み台になってくれ」

 

親指を首を切るように動かしながらアンチ勢に言い返す。そして更に、ブーイングが強くなったのは言うまでもあるまい。

 

次々に「潰す」とか「倒す」とか物騒な言葉後飛び交うなか出久はある変化を見つけた。

 

──いつもなら嘲笑いながら言うのに……

自分で自分を追い込んでる?

 

そう思えた。今までの勝己を見る限り常に周りを見下して笑う。しかし、今の発言の内容と勝己の態度が全然違った。勝己にも色々あったのだろう。

 

そう思う間にブーイングが止み、1回戦の競技が発表された。

 

「さーて、それじゃあ早速第1種目を始めるわよ!所謂予選よ!毎年ここで多くの者が涙を飲むわ!!」

 

「さて、その運命の第1種目!!

今年は…………

 

 

コレ!」

 

画面に映し出されたのは大きく障害物競走と書かれていた。

 

「計11クラスの総当りレースよ!

コースはこのスタジアムの外出4km!!

それにここは雄英!自由が売り文句!

コースさえ守れば()()()()()()構わないわ!

位置に着きまくりなさい!!!」

 

スタート最前は勿論A組それからB、C、Dと続いていく。

 

物凄い人口密度で人の足を踏まないように気をつけながら出久もできるだけ前に着いた。

 

「スターーート!!!!」

 

始まってから気づいた。スタートゲートが異様に小さい。つまり……

 

最初のふるいということだ。

 

それと同時に前方から僅かに冷気を感じた。その瞬間地を這うように氷が皆を襲う。しかし、出久はの反射神経と身体能力で回避した。

 

他にA組は勿論、心操達も無事回避していた。

その方法も皆それぞれ。心操は周りの人間を洗脳し騎馬の様に組ませその上に乗っていた。

融斗は氷に捕まるも自身の個性で水に変え突破

創太もやり方は違うが氷を水へと変えて突破

業火は無理やり氷を砕き堂々と突破している

 

意外にも峰田が轟に迫っており驚いたが、次の瞬間緑の物体が峰田を襲う。そう……それはヒーロー科入試を試みた人はよく知っている、実技試験で出てきた仮想(ヴィラン)だ。

 

『早くも第1関門!ロボインフェルノだ!』

 

しかし、出久にとっては取るに足らない存在。しかし、手の内を晒さない為にも最低限の動きで砕く。

しかし、この日は天気に恵まれ快晴のはずなのに数箇所だけ曇りが生じていた。空を見上げると出久にとってはあまり嬉しくない再会だろう。

入試の時に苦しめられた者も多い0Pの仮想(ヴィラン)だ。早くもトップを走っている轟の前に立ち塞がった。

 

流石にパニックにはならなかったが大半は嘆いている。他にも焦る者、尻込みする者様々だ。

 

しかし、轟は表情を一切変えず

 

「一般入試用の仮想(ヴィラン)って奴か」

 

冷静に分析した。そして、お馴染みの氷を使い0Pロボを易々と凍らせた。

 

「あいつが凍らせた間に行くぞ!」

 

ある者がそう言い、皆賛同しようとしたが……

 

「やめとけ、不安定な姿勢で凍らせたから崩れるぞ」

 

轟の忠告通りその巨体が地面に引き込まれるように倒れた。

 

足止めを兼ねているのだろう。間違いなく轟は強いそう感じた。出久も負けずとギアを上げて駆けていく。

 

そんな中……

 

「おい!誰か下敷きになったぞ?」

 

「まさか…死んだんじゃ……」

 

まさかの死者まで出るのか?この競技は!と、思っていたが

 

「死ぬかぁぁ!!つか、俺じゃなきゃ死んでたぞ!!」

 

ロボの装甲を破り出てきたのはA組切島鋭児郎だ。

個性は硬化。ロボ程度の装甲ならいとも容易く破れるようだ。

 

「うぉぉぉぉ!!!俺じゃなきゃ死んでたぞ!!」

 

切島とセリフダダ被りでまたしても出てきたのB組の鉄哲徹鐵。噛みそうな名前だが、個性はスチール。要は切島と似たような個性だ。切島は何やら泣きながら走行した。恐らく個性が被った事が原因だろう。

勝己は無駄な戦闘を省く為攻撃を躱しながらロボの頭上を抜ける。他にもそれに便乗して抜けたものもチラホラ居た。

 

融斗や創太、業火に心操もロボを迎撃及び回避ですぐさま突破していた。

 

みんなが突破していく中出久はある物を見つけた。それは先程轟が壊した0Pロボの装甲だ。縦2m横0.5mの大きな長方形。横を力づくで削り持ち易くして。怪我防止のために持ち手をタオルで巻く。そして、襲いかかってくる2Pロボをそれで叩くと呆気なく壊れた。0Pロボの装甲は軽くて丈夫な素材で作られている。これを使えば素手よりもスムーズに第1関門を突破できる。それに、この先何が起こるか分からないので、持っていくことにした。

 

それから数分後どんどんと0Pロボが攻略され、第1関門はほぼ全員が突破した。

 

その頃には出久は第2関門。

 

ザ・フォール

 

落ちたら即アウト!

等と実況しているが唯の綱渡り。常日頃から体幹を鍛えている出久にとっては地面と変わらない。そのままスピードが衰えることなく易々と突破。

 

その頃

 

融斗は地道に綱の上を這っている。

しかし、そのスピードは中々のもので易々とは行かないが突破出来た。

 

心操はやはり、人を使いながら進んでいる。心操も無事突破している。

 

業火は至ってシンプル。全身鬼化して、その以上な身体能力でひとっ飛び。辿り着くのは遅かったものの第2関門は恐らく誰よりも早く突破しただろう。

 

最後に創太だ。

彼は薄く平べったい水塊を作った。それの上に乗り向こう側へ操作して突破。しかし、予想以上に量が必要らしくスピードはイマイチのようだ。しかし、他と比べれば早い部類に入る。

 

そして、最終関門。一面地雷原だ。よく見れば地雷の位置は分かるようになっている。

 

出久がたどり着いた頃にはトップを走る轟及びそれに追いつく勝己は中盤まで進んでいた。

今の出久では追いつけても抜かすことが出来ない。そのため、出久は秘策を使う。

 

「借りるぞかっちゃん!!」

 

次の瞬間後方で数回の爆発。唯、誰かが地雷を踏んだ訳では無い。意図的に爆発された地雷。よく見ると他の人が地雷を踏んだのではなく、当てられている。まるで、勝己の攻撃を受けたような不自然な爆発。

 

「おお!?一斉に爆発してんぞ?オマエらドジすぎんだろ!!!」

 

「いいや、違うぞ」

 

マイクの実況に相澤先生が否定した。

 

「あれは!!?」

 

マイクも気づいたようで視線の先では出久が必死に地雷を投げていた。

 

「よし、道が開けた!」

 

自分の進行方向には残り轟と勝己のみ。他は全員気絶しているか、体勢を崩して二次爆発を受けている。

 

出久は両手に1つづつ地雷を持ち走り出した。

0Pロボの装甲はその場に捨てた。あまり役に立たなかった。

それに、出久は普段から重力負荷をかけている。今では17.5倍迄引き上げられている。出久の体重が60kgだとしたら単純計算で1050kg、約1t。出久はよく外に出るので人混みが多い場所も多い。そんな中他の人の足を踏めば確実に文字通り潰れる。だから、常日頃からそれに気をつけてる。よって、地雷の場所を視認で知るなどどうということは無い。

 

そして、すぐさま勝己と轟に追いつく。しかし、タダで行かせてくれる程2人も甘くない。そこで役に立つのが先の地雷だ。出久は2人が争っている間に距離を詰め、気づいた頃には地雷によって体勢を崩される。2人ならすぐ様体勢を立て直せるだろう。しかし、その一瞬があれば十分。出久は駆けた。地雷を避けつつもスピードを上げて。

 

『おいおい!この結果を誰が予想した!!?今1番にこのスタジアムに帰ってきたその男──普通科!緑谷出久の存在を!!!!!』

 

雄英史上初となる第1種目普通科が1位になった。

しかし、まだまだ終わらない。寧ろここからが始まりなのだ!

 

そして、次々とゴールインしていく。そして、順位は……

 

1.緑谷出久

2.轟焦凍

3.爆豪勝己

4.塩崎茨

5.骨抜柔造

6.飯田天哉

7.上理融斗

8.常闇踏陰

9.瀬呂範太

10.滝川創太

11.鬼島業火

12.切島鋭児郎

13.鉄哲徹鐵

14.蛙吹梅雨

15.障子目蔵

16.心操人使

17.芦戸三奈

18.泡瀬洋雪

19.砂藤力道

20.麗日お茶子

21.八百万百

22.峰田実

23.口田甲司

24.耳郎響香

25.回原旋

26.円場硬成

27.上鳴電気

28.凡戸固次郎

29.柳レイ子

30.拳藤一佳

31.宍田獣太郎

32 .黒色支配

33 .小大唯

34 .麟飛竜

35.庄田二連撃

36.小森希乃子

37.鎌切尖

38.物間寧人

39.葉隠透

40.蜥蜴切奈

41.角取ポニー

42.発目明

 

となった。上位42位が予選突破となった。ほとんどがヒーロー科で埋め尽くされる中1位、7位、10位、11位、16位に普通科が居るのは凄いことだ。そして、次は……

 

「予選通過は上位42名!残念ながら落ちちゃった人も安心なさい!まだ見せ場は残ってるわ!そして次からいよいよ本戦よ!

 

「ここからは取材陣も白熱してくるよ!気張りなさい!!!」

「さーて、次の種目は何かしら?何かしら?」

 

焦らす。焦らされることで余計に気になるが、出てくるのを待とう

 

「これよ!」

 

モニターに出てきたのは騎馬戦。つまり、チームプレーだ。

 

説明を聞くと、参加者は2〜4名のチーム順位毎にポイントが配布されるらしく、メンバーの総ポイントがチームのポイントになるらしい。与えられるポイントはしたかは5ポイント。なら、出久は210ポイン……

 

「因みに1位には1000万ポイント!!!」

 

 

 

──終わった……

 

周りの目が一気に集まったのは気の所為では無い………




いよいよ次回は騎馬戦ですね!!!

今回は、障害物競走を終えた上位42名を書くのが
1番大変でした(笑)
次回も遅くなるかもしれませんが(遅くなります)
よろしくお願いします!!!!!


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13.騎馬戦?……………………騎馬戦!!!!

更新遅れてすみませんでした。約3ヶ月も更新を止めていました。私自身、忙しいかったのと、中々良い展開が浮かばずここまで遅くなってしまいました。
そして、ご指摘頂き、12話の1部内容の追加を致しました。


これからも内容に関わらず誤字脱字などご指摘お願い致します。


1000万!!!!

 

その言葉を聞いた、選手は皆出久を見た。それは、出久にとって、とてつもないプレッシャー。それは、1位の座の重みであることを、出久はすぐ理解した。

 

ミッドナイトは出久の今の重圧なんて気にすることも無く、次の競技の説明をした。

 

 

さて!次の種目は…………………

 

 

 

騎馬戦よ!!!!!

 

 

ルールを説明するわ、制限時間は15分。振り当てられたポイントの合計は騎馬のポイントとなり、騎手はそのポイントが表示されたハチマキを装着。終了までにハチマキを奪い合い、持ちポイントを競うのよ。撮ったハチマキは首から上に巻くこと!取りまくれば取りまくる程管理が大変になるわよ!そして、重要なのはハチマキを取られても、また、騎馬が崩れてもOUTにはならないって所!!

 

今迄の騎馬戦とは違う。OUTになっても、崩れても、逆転のチャンスがあるということ。

 

そして……

 

競技中は個性発動ありの残虐ファイト、でも、あくまでも騎馬戦、崩し目的の悪質な攻撃はレッドカード!一発退場とします!!

 

それから、15分チーム決めの時間が設けられた。

 

先ず、僕は無個性であるということ。そして騎馬戦において、遠距離もしくは中距離型の個性が有利であるということ。ポイントに関しては考えなくていい。この騎馬戦で勝ち抜くためには、中遠距離型の個性で、汎用性の高い人が欲しい。それに関しては創太君が欲しいけど、恐らく創太君は融斗君達と組むからそれは難しい。

そして、今の状況はとても絶望的だ。上位42名のうち殆どがヒーロー科である事、そして、僕は1位で皆から狙われる。そして、障害物競走の時僕は、個性がないから使っていない。無個性とは思わないだろうが、戦力としての信頼性はない。そんな人と組みたいという人は居ないだろう。残るはツテのみだが、これも難しい。ヒーロー科に知っている人はほとんど居ない。ツテと呼べるものなんか無い。

 

そう思考を巡らせていると

 

「緑谷君」

 

そう呼ばれた気がした。すぐ声のする方へ振り返っても呼んでいたそうな人は見当たらない。気のせいだろう。そう思い再び思考を巡らせる。

 

 

 

その頃……

 

「ね、ねぇ。ちょっと!」

 

「ん?。あ、ごめんね。ちょっと君に相談があって。」

 

「なんなん?私緑谷君に用があるんだけど」

 

麗日お茶子はヒーロー科B組の物間寧人に声を掛けられた。

 

「ねぇ、僕と組まない?」

 

「な、何言ってるの…私は緑谷君と……」

 

「それは、実技試験の恩返し?」

 

「えっ……」

 

これは麗日お茶子と緑谷出久しか知らないこと。何なぜ目の前にいる物間寧人が知っているのか

 

「そんなの辞めた方がいいよ?」

 

「そ、そんなじゃ……」

 

発せられた言葉のせいで考える事を辞めさせられた。

 

「それは君の自己満足で緑谷君は喜ばないと思うよ。」

 

「わ、私は緑谷君と組みたいだけでそんなんじゃ……」

 

「どうして組みたいの?普通科だよ?本気で勝ちに行くなら普通、同じクラスの人か僕達B組でしょ。ヒーロー科は普通科と比べて個性も強く、何よりヒーローとしての授業を受けてる。それに、少しでもお互いを知っている人の方がコミュニケーションや連携も取れる。無理に他学科の…ましてや皆の的になる人と組むなんて、勝率が低いのは分かってるでしょ?」

 

「な、なら!なんでうちなん!」

 

「君の個性はこの騎馬戦で勝率を大きくあげる。連携は無理かもしれないが、それを差し引いても君にはそれだけの価値がある」

 

物間寧人……彼はそんなこと微塵も思っていない。

この雄英はヒーロー科のトップであり、そのヒーロー科に所属する自分としてはヒーロー科でもない緑谷出久が1位で目立っているのが心底気に食わない。この騎馬戦は2~4人でチームを作る。ならば、チームを作れなければ出久は必然的に失格である。そう考えた。だから、緑谷出久に声をかけようとした麗日お茶子を自分のチームへ引き込んだ。

 

「で、でも……」

 

「だって、そうだろう?緑谷君誰とも組めないからあの時のお礼で私が組んであげるよって言ってるのと一緒だよ。そんなの彼が受け取ると思う?」

「それに、彼は正々堂々勝負することを望んでいる。本当に彼に恩を返したいなら本気で彼に挑むことだと思うよ。」

 

「う、うん。わかった。」

 

麗日お茶子は納得した……いいや、してしまった。物間寧人の言い分が、正しいと思えてしまった。自分ができるのは物間寧人が、言ったように彼と正々堂々勝負することだと思ってしまった。なら、彼の話を受け入れるのが良いのだとおもった。

 

そして、これは物間寧人の思う通りになってしまった。

 

それから続いてサポート科の発目明が彼に歩み寄ろうとした。しかし……

 

「ねぇ、君!良かったら組まない?」

 

「私は彼と組みたいのでお引取りを」

 

「まぁまぁ。そうかたいこと言わずにさ」

 

「私は私の作ったドッ可愛いアイテム(ベイビー)を大企業の目に留めたいんですよ!」

 

「よ、要は注目を集めるために彼を…彼の立場を利用するって訳だね?」

 

「ええ、まぁそうなりますね。」

 

「なら、彼と組むより、彼からハチマキを奪った方が注目が集まると思わない?」

 

「ッ!詳しく説明してください!」

 

完全に興味がなかった目から眩しいと思えるほどの輝きが見えた。

 

「つまり、彼が目立つのは1000万Pt持っているからそれがなくなったら次は誰に注目するか」

 

「それは……1000万Ptをとった我々という事ですね!」

 

「そういう事だよ。多分彼が恐ろしく強いから1位って訳じゃないと思う。どちらかと言うと機転を利かせて勝ち取ったって感じだ。なら、1000万を取るのはそう難しいことでは無い」

 

「成程!なら、彼と組んでいるよりあなたと組んで取った方が何倍も目立てるってことですね!」

 

「どうかな?」

 

「分かりました!私のドッ可愛いアイテム(ベイビー)を使ってください!」

 

「交渉成立だね」

 

あっち(緑谷)はまだ誰とも組めてないみたいだね。計画通り。

 

緑谷を嘲笑う物間の笑みは誰にも気づかれなかった。

 

そして、出久は残り時間を考えて、行動に移そうとした。

 

……が、尽く断られた。

 

「嫌だよ」「俺あいつと組むから」「俺狙われるの嫌だからパス」「普通科と組んでもかてるのか?」

 

等など精神的にダメージを受ける中距離にして数メートル誰とも喋らず立っているだけ……いや、待っていようにも思える彼に喋り掛けようとした。その時

 

「ねぇ、君!良かったら組まない?君の力が必要なんだ!」

 

先客が現れた。早い者勝ち、仕方がないと別の方へ探しに行く。

 

 

 

その背中を見ていたのは紛れもない物間だ。緑谷が常闇…声を掛けようとした相手に緑谷よりも早く声をかけたのだ。それから、彼の邪魔をし続けた結果、15分経った今でも緑谷出久は誰一人と組めていない。

 

さぁ!いよいよ……って、緑谷君チームは?

 

「す、すみません。組めませんでした……」

 

タダでさえ組みづらいのに物間の邪魔は痛かった。しかし、本人が気づくことは無かったが。

 

「困ったわね〜。それじゃあ単独行動できる緑谷君が、有利になるわね……」

 

ヤバイ。そう思った。このまま行くと下手したら失格で終わる。せっかく1位になったのに不戦敗なんて冗談じゃない。

 

「あ、あn「それじゃあ!緑谷君!」え、は、はい!」

 

「貴方1人での参加を許可します!但し!公平を期すために貴方にはハンデを背負ってもらいます!」

 

「は、ハンデ?」

 

「そう!あなたに限り、ハチマキの所持数がゼロになった時点で失格、退場してもらいます!そして、ハチマキを取る以外の攻撃は悪質妨害と見なし即退場してもらいます!」

 

つまり、僕は実質取るか逃げるか。そして、足止めや錯乱といった行為が悪質妨害となる……

 

と言っても、僕が取れるのは必然的に逃げの一択。不満はない。

 

「お願いします!」

 

さぁ!制限時間は15分!よーいスタート!!!!

 

ミッドナイトの声で始まった。そして、皆の攻撃対象はただ1人緑谷出久だ。出久は如何に敵の攻撃を躱しこの15分という時間を過ごすのかが重要になってくる。だから、出久は敵に背を向けて逃げる。

 

「1000万!!!!」

 

「逃げんな!!!」

 

傍から見ればいじめにも見えるこの混沌(カオス)な光景だが、実際騎馬を組むことによって小回りがあまり利かなくなっている。そんなのは個性がない限り不可能に近い。

 

そして、熱くもない展開で観客の中にもブーイングがチラホラ聞こえる。

 

 

 

 

「ねぇ。これで本当に勝てるん?」

 

「あぁ。勿論だよ」

 

「早く取らないと目立つ時間が短くなりますよ!」

 

その頃、物間チームは出久の1000万Ptを奪おうとする騎馬に混じっていた。

 

「大丈夫だよ。発目さんのアイテムと麗日さんの無重力に常闇君の黒影(ダークシャドウ)それに僕の個性(チカラ)で取れるよ」

 

そういいつつも物間の狙いは出久ではない。それに夢中になってる騎馬共だ。後ろから黒影(ダークシャドウ)()で後ろからどんどん取っていく。視野の狭くなっている奴らは気づかない。

 

そんな中

 

「待てぇ!デクゥ!!!!」

 

爆豪勝己は他の騎馬よりも出久に迫っていた。

 

「っ!かっちゃん!?」

 

「てめぇ!逃げんじゃねぇ!!」

 

無理だ。そんな怖い鬼の形相で迫られたら誰だって逃げる。

 

それに続くように、轟チームに融斗達も出久に迫る。

 

「てめぇ!?半分野郎!邪魔すんじゃねぇ!」BOM!!

 

「邪魔なのはてめぇだ」

 

まさかのトップ2と3の騎馬が対立か!と思えた直後爆豪のハチマキが爆豪から離れた。

 

どうした爆豪!?0Ptじゃねぇか!!!

 

マイクの実況通り掲示板には爆豪チームのPtは0となっていた。

 

「誰だァ!!」

 

轟から取れた方向へ振り向くとそこには物間の姿があった。

 

「てめぇ!」BOM!

 

物間はその攻撃を受け流し、直後

 

BOM!

 

爆豪と()()()()で反撃。

 

「凄いねぇ〜。いい個性だ。…けど僕の方がもっと凄いけどね」

 

すぐさま切島に()()防御の構えを取る。

 

そこへ爆豪の爆破が迫る。

 

……が、ノーダメージ。物間は()()で防いだ。

 

 

 

「爆豪お前も個性被って」

 

「ちげぇ」

「コイツ……複製(コピー)しやがった。」

 

「まぁ、馬鹿でも分かるよね?」

 

「てめぇ!」BOMB!

 

再度爆破の攻撃。しかし、それを同じ爆破で相殺した。

 

「えっと……体育祭でなって言ったけ?え〜あの恥ずかしいやつ……へっ。まぁいいや」

 

そう言い残し物間は去っていった。

明らかな挑発選手宣誓の時の発言を笑い、馬鹿にした。そうする事で爆豪はキレる

 

「はぁ〜……進め、切島ァ!俺はすこぶる冷静だァ!!!」

 

発言に合ってないようにブチ切れている事を隠せてないのを見た切島も呆れ半分で従う。

 

 

 

そして、原因の物間と言えば

「物間君良かったん?あんな挑発して。爆豪君ってA組の中じゃ上位の実力者なんよ?」

 

「いいさ、僕の方がつy「BOM!!!」」

 

咄嗟に硬化でガードする。

可笑しい。あの距離なら足音で気付くはずなのに音がしなかった。

 

爆煙が消えるとそこに居たのは爆豪ただ1人。

 

はぁ!?アリかよ!騎馬から離れてんぞぉ!

 

地面に着いてないからOKよ!

 

「常闇ィ!」

 

「御意行け黒影(ダークシャドウ)

 

「アイヨ!」

 

が、1度爆破をお見舞いし、その勢いで後退し、攻撃を躱す。

 

「今だ!」ポチッ

 

次の瞬間物間が背負ってる四角い装着から風が起き、なんと!空中を浮遊した。

よし、これで逃げられた。と思ったがそれは大きな間違いだった。

 

BOMBOMBOMBOMB!

 

両手から繰り出される爆破の連続で空を飛ぶ。

 

「ッチ!執拗いな!!」

 

攻撃される前に爆豪に触れる。次は複製(コピー)が目的ではない。爆豪から重力を()()

そして、すぐさま降下する。重力を失った爆豪は瀬呂に回収された。

 

「突然行くなよ!」

 

「うるせぇ!醤油!テープで俺を固定しろ!」

 

「なんでだよ?」

 

「いいから早くしろ!」

 

瀬呂は言われるがまま騎馬に固定した。

 

「つか、1000万に行くんだろ?」

 

「あぁ。その前にまずアイツらからだぁ!黒目!進行方向に弱め溶解液!!醤油顔テープ!!!」

 

「芦・戸・三・奈・!!!!」

 

名前で呼ばれない自分の名を叫びながら指示通り前方に弱めの溶解液を撒く。それにより、潤滑性を高め瀬呂のテープで進行方向のブレを少なくする。そして……

 

BOM!!!!!

 

全力の爆破で10数メートルあった距離を一瞬で縮め物間の首のハチマキを全て取る。

 

「次ィ!!!デクだぁ!」

 

見た先には出久と轟チームが居た。

 

 

一方その頃

 

融斗達はと言うと……

 

「出久の所に行かなくていいのか?」

 

「あぁ。戦闘ならともかく、騎馬で出久1人からハチマキ取るなんて分が悪すぎるよ。それに、ここで戦ったら、どっちか本選行けなくなるしね」

 

との事で、騰理チームは片っ端からハチマキを回収して着実にPtを貯めて行く。

 

 

 

 

そして、出久と言うと

 

「危な!?」

 

轟チームに狙われていた。




次回の更新も遅くなることを予めご報告致します。ですがなるべく早く更新できるよう頑張ります。これからもよろしくお願いします!!!!!


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14.決着!

気づけばお気に入り登録者数1000人超えました!
皆さんありがとうございます!
これからも頑張ります!!!!!!


そして、遂に騎馬戦は最後です!



開始8分出久は轟に集中攻撃を受けていた。

他の騎馬が出久を狙っていなかったのではない。チームはあくまでも騎馬の皆だけ、目的が同じでも協力できるとは限らない。轟は上鳴の個性と八百万の個性を上手に駆使して、そこから更に自分の個性()で他の騎馬からもPtを奪っていた。

それにより、出久を狙うにも轟に奪われ、次第に誰も寄り付かなくなった。

出久も保険でPtの奪取を試みたが轟チームに邪魔をされ1000万Pt1つのみである。

そして、出久は1人、騎馬戦なのに1人、騎馬にとっては低すぎて取れない。1000万を狙うにも物理的に取りづらい所にある出久を狙うのは得策ではないと出久を狙う者も少なかったのだが、轟チームは……いや、轟は違った。勝己とはまた、違った勝ちへの執着。それこそが今出久を追い詰めている。無数にあった逃げ道が今では轟の氷結により塞がれ出久の機動力が殺されていた。跳躍しようにも助走無しでは轟に捕まる。文字通り袋のネズミ状態であった。

 

(ッチ!……轟君の個性厄介すぎる……それに、他の人の個性の使い方が上手い……)

 

上手く、轟の氷結に前衛(飯田)が被るように移動し無闇な攻撃を避けさせる。それでも、今の出久では逃げるだけで精一杯だ。

 

そして現在、残り2分を切った頃爆豪チームが参戦してきた。

 

 

「クソデク!」BOM!

 

「かっちゃん!?」

 

騎馬である不利を爆豪はもろともせず、個性で突っ込んで来た。そして、個性を使いつつも地面には着地せずに出久のハチマキを狙っている。少しでも加減をミスれば地面に落ちるか別方向に飛ぶのに相変わらずその天才ぶりは凄かった。

 

が、1対1になる程周りは優しくない。

 

SHUNSHUN!!!

 

「!?」BOM

 

「!」シュタ!

 

轟の氷結により爆豪と距離を取れたが現状は変わらない。いや、寧ろ爆豪が加わった事により今の状況は絶望的でもある。

 

「邪魔すんじゃねぇ!!半分野郎!」BOM

 

「うるせぇ…邪魔なのはてめぇだ!」SHUN

 

勝己が出てきたことにより最悪と思われた事態だったが嬉しくも轟と爆豪が揉め、お互いがお互いの邪魔をしていたのだ。

 

が、思ったよりも早く勝負が決した。

 

轟の氷結により騎馬の足と騎馬と爆豪を繋ぐテープが凍らされた。ハチマキこそ奪われはしなかったが、動けなくなった今勝己は単独で行っても支援(テープ)が来ないため迂闊には行けなかった。

 

幸い芦戸がいる為数十秒あれば溶かしきれるが残り1分に迫るタイムリミットを考えればとても痛い攻撃だ。

 

 

轟が再度出久に的を絞る。上鳴の個性で感電させれば楽なのだが、先の戦闘で許容電力(キャパ)を超えアホ面晒して使えなくなった。ようやくここまで来たが1000万を奪う決め手が無いのだ。

 

出久もこのままタイムアップで終わりたいのだがそう上手くは行かない……

 

「轟君、俺に策がある。」

 

「飯田…」

 

「一か八かだがやる価値はあると思う。」

 

「分かった。」

 

「作戦は……」

 

「残り30秒!!!!!!」

 

「準備はいいかい?」

 

「あぁ!」

 

それは騎馬と言うには少し歪だった。

飯田の両手が空き、轟は飯田の両ポケットに足をかけている。後ろの2人は轟を支えつつ飯田の肩を両手で掴む。不運な事にプレゼントマイクの実況により作戦が聞き取れずただ備えることしか出来なかった。

 

 

そして遂に……

 

 

トルクオーバー。レシプロバーストォォォ!!!

 

飯田の叫び声の瞬間脹ら脛(ふくらはぎ)のエンジンから青い火が吹き溢れたと思った瞬間騎馬の輪郭が霞んだ

 

「!!!!」

 

それは、一瞬だった。

飯田の超スピードに八百万が作ったローラシューズで抵抗を少なくし出久の目を持ってしても捉えられない速度でハチマキを……1000万を奪った。

 

 

「……な、何が起きた……」

 

 

 

「「「うおぉぉぉぉ!!!!」」」

 

その光景に会場が沸いた。そして……3、2、1、

 

 

 

TIMEUP!!!!!

 

 

 

 

終わった。

 

終わってしまった。

 

ここまで来たのに……

 

やっとここまで来たのに……

 

悔しい……

 

悔しい……

 

こんな所で終わりたくなかった!!!!

 

もう少しだった……あともう少しで……

 

 

 

 

 

……と他の騎馬が騒いでいる。

 

 

あれ?出久は?

 

ハチマキがない時点で失格、持ってたのは1000万のみそれを終了間際に取られて0Ptになったのに

 

なぜ?

 

 

 

なぜ?

 

 

 

 

なぜ……4位に居るの?……

 

 

 

1位!轟チーム !!

1()0()0()0()0()0()0()0()P()t()!!

2位!爆豪チーム 1460Pt!!

3位!騰理チーム1380Pt!!

4位!みど……っておい!? 1105Pt!?マジかよ!?緑谷いつの間にハチマキ奪ってたんだよ!?

い、以上上位4チームが第3種目へ進出だ!」

 

 

これを見ればわかるだろう。確かに飯田のレシプロバーストは捉えられず見事に1000万Ptを取られてしまった。が、しかしそれと同時に出久も轟が持っているハチマキを全て奪った。しかも、ハチマキが頭から離れる寸前で奪えたため、失格にはならなかった。

 

 

 

それから昼休みを挟み無料券で昼食を済ませた出久はC組の所へ行こうとしたが……

 

「おい、緑谷」

 

「君は……」

 

目の前にいたのは轟焦凍だった。

 

「少し、話がある」

 

後を歩くように付いていくと人気がない所へ出た。

そこで再度轟の口が開く

 

「お前はあの時(USJ)爆豪に無個性だって言ってたよな?」

 

「う、うん……そ、それがどうしたの?」

 

「なら、なんで嘘を吐いた。俺たちを欺くためか?」

 

「え?何言って……」

 

「別に欺くための嘘でも何でもいい、唯、気づかなかった。取られたことさえも言われるまで気づかなかった。何をされたのか、飯田が加速して、視界がブレて、身体が空気に押されてた間に取られた。見えなかったまるで、あの時(USJ)のオールマイトみたいに……」

 

「?…言ってる意味が分からないよ、第一僕とオールマイトの関係って……「言えないのか?」」

 

「いや、僕とオールマイトとの接点なんて殆ど無いよ」

 

「その言い方だと少なくとも接点はあるんだな」

 

「いや、それは……」

(絶対に轟君が求めている事じゃないのに…)

 

「別にそこを詮索するつもりは無い。唯あの時、お前がオールマイトのように見えた。(ヴィラン)に立ち向かっていく様が、勝てるかどうかなんて考えずに真っ先に突っ込んで行くお前の無謀さがオールマイトのように見えた。だから、俺は、お前に勝つ。勝たなくちゃいけない。」

 

「え?え?」

 

「俺の親父、エンデヴァー知ってるよな?()()2位のヒーローだ。だからこそ、この体育祭で1位にならなくちゃいけない」

 

「何の話だよ?……」

 

「個性婚…知ってるよな?

超常が起きてから第2、第3世代間で問題になったやつ。自身の個性をより強化して子供に継がせるためだけに配偶者を選び、結婚を強いる。倫理観の欠落した前時代的発想。実績と金だけはある男だ。親父は母の親族を丸め込み母の個性を手に入れた。俺をオールマイト以上に育て上げることで自身の欲求を満たそうってな」

 

「!!!」

 

「鬱陶しい。そんな屑の道具にはならねぇ。記憶の中の母はいつも泣いている。お前の左側が醜いと煮え湯を浴びせた。ざっと話したが俺がお前に突っかかるのは見返すためだ。クソ親父の個性なんざなくたって……いや、使わず1番になることで奴を完全否定する」

 

重い。それに、僕には分からない。居るからこそ辛い気持ち。でも……それでも。

 

「知らないよ!……僕は両親に恵まれた。持ってない(無個性)僕は周りからは異物扱いされて来た。それでも両親は僕を大切にしてくれた。持ってる君の気持ちは分からない。でも、僕にも目指す理由も覚悟もある。だから、僕は君に宣戦布告をする。僕は君に勝つ!」

 

それから暫くして昼休みが終わり会場に戻った。

 

「さぁ〜!昼休憩も終わって!いよいよ最終種目発表〜と、その前に予選落ちした皆に朗報だ〜あくまで体育祭!みんなで参加するレクリエーションも用意してんのさ〜!」

 

なんと、本場アメリカからチアを呼んでいたのだ!

すごい!……と思ったらA組の女子も同様のチアの衣装を着ていた。これは流石に皆驚いたようだ。そして、A組の女子の反応からして誰かに騙されたようだ。

 

と、まぁ、カメラのフラッシュが強くなった気がしなくはないが無視して、最終種目の発表が始まった。

 

「トーナメント形式の1対1のガチバトルだ〜!!!」

 

 

「さぁ!クジ引きを始めるわよ!

 

っと、その前にトーナメントは16人でやる予定だったの。だから後3人足りない。だから、騎馬戦第5位!物間のチームもこのトーナメントに参加します!」

 

物間チームのメンバーは突然のどんでん返しに驚きつつも喜んでた。

 

が、トーナメントは16人。13人の所に4人加われば17人。1人余る。

 

 

「せ、先生。それなら1人余るのですが…」

 

「えぇ!だから、クジ引きをして17番の人は予戦の1回戦の勝者と戦います。だから、これは1回戦の1.2番は9回戦目があるの!だから他の人よりも大変よ!」

 

 

とクジが始まった。

 

1発目明

2物間寧人

 

3轟焦凍

4瀬呂範太

 

5緑谷出久

6八百万百

 

7常闇踏陰

8芦戸三奈

 

9心操人使

10飯田天哉

 

11上鳴電気

12滝川創太

 

13鬼島業火

14切島鋭児郎

 

15麗日お茶子

16爆豪勝己

 

17騰理融斗

 

となった。

 

 

「さぁ!レクリエーションを始めるわよ!トーナメント参加者はレクリエーションを出るか出ないか、それは各自の判断に委ねます。」

 

 

こうして、レクリエーションが始まった。借り物競争や大玉転がしと言った体育祭の王道を攻めている。それがまた楽しいのである。出久は参加しなかったが見ているだけでも充分楽しかった。

 

と、そうするうちにレクリエーションも終わりいよいよ最終種目のトーナメントが始まった。




なんというか、次のトーナメントをどう書くか不安です……

でも、まぁ、出来るだけ原作の良さを残しつつオリジナルを加えていきたいですね(←無理)

14を上手くかけてるかも不安です……

ですが!!!

これからも頑張ります!


誤字脱字、感想……待ってます!!








待ってますよ!!!!!!!


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