赤い世界を変えるなら (創大)
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心編
1 いらない心
あと色々場面の内容を原作とは変えています。
どこかおかしな点やご指摘、ご感想などがあれば送ってくださると嬉しいです。
辺り一面真っ赤。何もない。絶望と無だけが広がっている。ここは、どこだろう。
隣をふと見ると、いつもの見慣れたあのこがいた。金髪がかった髪色で、いつも強気なあのこ。
「アスカ……」
誰もいないはずのこの場所に、なぜアスカだけが僕の隣にいるのだろう。
僕は、嫌なのに。
他人を拒絶し、他人を好きになれず、自分のためだけに人を利用してきた。僕が相手に優しくしたら、相手も僕に優しくしてくれる、愛してくれる。そう思っていた。
だけど、そんな僕の嘘など、通用しなかった。
僕は人を傷つけてきた。父さんも、母さんも、ミサトさんも、綾波も、アスカも、トウジも、ケンスケも、委員長も、みんなみんな僕に傷つけられた。
僕と関わった人は、みんな不幸になってゆくんだ。
カヲル君だってそうだった。
僕は、自分に優しくしてくれる人なら誰でも良かったんだ。そんな自分勝手で臆病者の僕を、受け入れてくれたのに。
僕は、カヲル君を壊してしまった。
他人と関わることなんて、しない方がいいんだ。
他人と分かり合うことなんて、できっこないんだ。
他人と関わったら、また傷つけ、
傷つけられるんだ。
それならもう、僕以外の人なんて、いらないんだ。
アスカをもう一度見る。
包帯だらけのその体は、見るからに痛々しい。
これも、僕のせいなんだ。
アスカは、僕のことをどう思っていたのかな。
アスカは、僕のことを見ていてくれていたのかな。
アスカは、よく分からなかった。
何を考えていたのか。僕に何を求めていたのか。
アスカは、自分からはなにも言わない。相手から行動されることを、願っている。
アスカは、僕に似ているのか。僕みたいに他人に拒絶され、自分を見失っていたのか。じゃあいつもの僕に対してのあの態度は、強がりだったのか。
やっぱり、他人とは分かり合えない。
だめだ、アスカは……。僕を傷つける。僕を傷つけた。僕はアスカを傷つけた。
怖いんだ、アスカ。
ごめん、アスカ。
アスカの体に乗り、アスカの首に手をかける。首はまるで氷のように冷たい。生きているはずなのに。
アスカが目を開く。僕に首を絞められていて、アスカは何を思っただろう。
「…っ……カハッ……」
アスカの苦しそうな声が聞こえる。
いいや、このまま死んじゃえ。
死んじゃえ。
その時、包帯に巻かれたアスカの腕が、僕の頬に触れられた。
首みたいに冷たくはなくて、ほんのりと温かかった。
何で、何で、何で、何で、何で、何で、何で……。
目から涙が溢れおちる。
だんだんと腕に力が入らなくなってくる。首を絞めることができなくなってくる。
それでも涙は止めどなく溢れ出す。
アスカの手は力なく頬をなで、だらりと地面に落ちていった。
僕は、なんて愚かなことをしたのだろう。
もう、僕はアスカの首を絞めることなど、できるはずもなかった。
「うっうぅ…うっ、ああ……」
僕の口から嗚咽が漏れ出す。
本当に最低だ、僕って。
自分のことしか考えていない。僕なんかに、人を責めることなんて、できるはずもない。傷つけて良いはずもないのに。
「気持ち悪い」
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2 自分の心
いつまでもどこまでも続く地平線。周りの景色は変わらないし、何か新しい発見があるわけでもない。
あの日以来、アスカはどこかへ行ってしまった。当たり前だ。僕はまたアスカに酷いことをしてしまったのだから。
気持ち悪いとは言われたけれど、僕はそれ以上に、アスカが頬を撫でてくれたことがとても嬉しかった。
アスカはこんな僕を、受け入れてくれたのに……。
あの日のことを思い出すと、胸が締め付けられる。息が苦しくなる。涙が溢れ出しそうになる。
僕も、皆と溶けてひとつになればよかったんだ。
僕だけが死ねばよかったんだ。
僕は、これからどうしたら良いの?
「アスカ……」
「何よ」
後ろで声がした。僕が傷つけてしまった、あの子の声が。
僕がゆっくり振り返ると、アスカは目を細め、
「相変わらず辛気臭い顔してるわね、バカシンジ」
と言った。
こんなどうしようもない僕に、アスカはあの頃と同じように変わらない態度でいてくれた。
「うんっ……」
僕は溢れ出す涙を止めることができなかった。
「あたし、ちょっと周り見てきたのよね。誰かいないかとか、何かあるかなーって思って。それに、アンタといるの嫌だったし。話すのも無理だったから、何も言わないでここから離れたのよ」
アスカは腰に手をあてながらそう言う。
「アスカ……ごめん、本当にごめんね」
「謝って許されるなら警察は要らないわ。ま、ここにはもう警察なんていないんだけどね」
アスカは少しあきれた声でそう言い放つ。
「ごめん……」
僕は、ごめん以外のどんな言葉をかければ良いのか分からなかった。
「ねえ、バカシンジ」
アスカは僕の腕を軽く引っ張り、僕を呼んだ。
「何でアンタは、あたしを殺そうとしたのよ」
アスカはうつむきながら僕に問いかけてきた。声は小さく、少し震えている。
僕はー。
「それは……。もう一度、他人と触れあうことが怖かったから……。またアスカを傷つけたり僕が傷つけられるのは嫌だったんだ」
「僕は、本当はずっと他人を拒絶してきたんだ。昔から、ずっと。自分を取り繕って、自分がもし捨てられたら嫌だから、嫌われたら嫌だからっていう理由で、他人と接するとき、必ず距離を置いていたんだ」
僕は、なんだか急に自分が自分じゃ無いような感覚がした。なぜ僕は、こんなことをアスカに話しているのだろう。
それでも口は、止まらない。
「でも、そんな僕の自分勝手な考えは、ずっと続くようなものじゃなかった。誰かにばれないように、見られないようにってしているうちに、段々と他人が信用できなくなってくる。エヴァンゲリオンのパイロットになってから、それがもっと酷くなっていったんだ」
僕はアスカの目を見て話すのが苦痛になってきた。僕は、こんな自分の思いなんて、話す機会がなかったのだから。
アスカは僕の目をしっかり見ながら、何かを考えている様子だった。
「誰も信じられなかった。父さんもミサトさんもアスカも。まるで何を考えているのか分からなかった。綾波は突然記憶を失ってしまって、怖かった。今まで築き上げきたものが急になくなるんだ。父さんは僕に構ってくれない。僕が何をしようと、父さんは僕をエヴァンゲリオンのパイロットとしてしか接してくれなかった。」
まるで子供の駄々みたいだ。
アスカはこんな僕の勝手な気持ちにがっかりするのかな。あきれるのかな。
一旦切ります。
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3 相手の心
「みんな僕をパイロットとしてしか接しなかった。『僕』という人を必要とする人はいなかった。そんなことを考えているときに、僕はトウジを傷つけた。委員長を傷つけた」
僕は顔を歪めながらそう言う。自分が情けなかった。こんなこと、話したくないはずなのに。
「それだけで僕の心はズタボロだったのに、次に僕はアスカを助けられなかった。僕は父さんのせいで助けられなかったって言い訳してたけど、そんなことはないのに」
「ふぅん……」
アスカは軽く呟いた。
「あの時、あたしは本当に苦しかったわ。今は多分大丈夫だけどさ」
アスカはゆっくりとそう言って、僕の目を見た。
「ねえ、アンタはホントにこんな世界を望んでたの?」
全てがひとつになって溶けてゆく世界。みんなの心が混ざりあい、なにも産み出さない世界。
幸せも辛さも怖さも楽しさもない世界。
「……分からないんだ。僕は、本当にこんな世界を望んでたのかな。僕は他人が怖かったから、みんなとひとつになれば良いって思ってた。でも、今はどうなんだろう。赤い海しかないこの世界では、いてもなにも感じないんだ。辛さも苦しさもないし、きっと僕が欲しかった世界のはずなのに」
僕は目をふせる。そうだ、僕はこんな世界を望んでいた。あんな辛いことは起こらないように、苦しまなくて済むように、なにもない世界を望んだんだ。
けど、今は……?
「じゃあシンジはもう、こんな世界なんて嫌なのね」
「それも分からないんだ。今だって辛いことを思い出して苦しくなる。あんなところに戻るくらいなら、今の世界でも良いじゃないかとも思うんだ。でも、ここには楽しかった思い出なんてない。ただ目の前に無がひろがっているだけだ」
どう言えば良いんだろう。僕の勝手な気持ちを、どう表せば良いんだろう。
「僕はまた、あの頃の楽しかった時に戻りたい。友達と遊んで、ミサトさんの家で過ごしたい。綾波ともっと会いたい。アスカともっと話したい」
「……アンタ、ホントに勝手。アンタのせいでみんな巻き込まれて、いなくなっちゃったのよ? アンタがエヴァに乗ることを拒んで、一人で逃げてたからなのよ。自分の意思が弱いくせに、嫌なことはしたがらないからよ」
僕は、アスカになにも言えなかった。僕は本当に勝手で自己中な奴だ。最初はこの世界を望んでいたくせに、実現したら嫌になるだなんて。
そもそも、こんな結末になったのも僕が悪いんだ。
僕が駄々をこねていたからなんだ。
「でも、全部アンタが悪いとは言わないわ。あたしだって、一人で強がって都合の悪い部分を見ようとしなかった。シンジに全部押し付けて、なのにシンジがそれを拒むと、やっきになっておかしくなっちゃってさ。素直になれなくて、自分の言いたいことも言えなくて、そんな自分が大嫌いだった。こんな世界になったのも、アンタ『だけ』のせいじゃないわ」
「アスカ……」
アスカがまさか、そんなことを考えているとは思いもしなかった。
アスカはこれまで、あまり本音をいわなかったから。
「ま、勘違いしないでよ。あたしは別に、アンタを慰めようとしてる訳じゃないわ。自分を殺そうとした相手に、もう優しい言葉なんてかけたくないしね」
「……ごめん」
「またそうやって謝って」
「……ごめん」
「ハァ、アンタのその癖は治らないわね、バカシンジ」
「……うん」
「……」
僕とアスカは砂浜に静かに座り、赤い海をじっと見つめた。
ずっと向こうを見つめても、見えるのは赤い景色ばかりで何も変わりはしなかった。
アスカと僕の手は、触れそうで触れなかった。
「ねえ、どうして?」
読んでいただきありがとうございます‼
文章がおかしい、この部分はどういう場面なのかなど、何かご意見があればお待ちしております。
感想もよろしくおねがいいたします!
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4 通いあわない心
「ねえ、どうして?」
「え?」
僕が突然アスカにそう話しかけたがために、アスカは少しビクッとした。
僕は、アスカに聞きたいことが一つあった。それは、『何故アスカはLCLに還元されなかったのか』ということだ。確かに僕は、綾波と一緒にいるときに他人の存在を望んだ。だけれど、ここには僕とアスカの二人しかいない。他の人がいつかこの赤い海から還元される様子もない。
別にアスカと一緒にいるのが嫌なわけではない。僕がアスカを殺そうとした時には感じなかった何かを、今僕は感じているくらいだ。
でも、理由は知りたい。
ハハッ、僕って本当に自分勝手な奴だ。この前、アスカと一緒にいるのが怖くて殺そうとしたくせに。
「アスカは、何でLCLに還元されなかったんだろうね」
アスカはそんな僕の言葉を聞いて、顔をしかめてこう言った。
「ハァ……。アンタ、覚えてないのね。ホント呆れる」
アスカは僕に、その理由を言ったのか。でも僕にそんな記憶は無かった。
「ごめん……。でも、分からないよ。だって僕達以外の人はいないんだよ」
「あたしから言わせないでよ。ハァ、あんなことアンタに言ったのが悪かったわ……。アンタ鈍感だし、バカだから」
アスカは口ではそうやって強気で言っていたけれど、表情は少し悲しげだった。
「……ごめん、アスカ」
「別に。あたしの口からあんなこと、もう言いたくないから言わないけど。……アンタはさぁ」
そう言ってアスカは口ごもり、
「やっぱり何でもないわ」
と口にした。
「そっか……」
僕とアスカには、距離がある。どう頑張っても、どう仲良くしても、埋まらない距離が。
僕がアスカの事を好きなのかは分からない。でも、あの頃アスカと一緒にいて、正直本気で嫌だと思ったことはなかった。アスカは確かに嫌な奴で、自分勝手だったけれど、僕はそれが気に触ったことはなかったと思う。アスカと一緒にいると、自分の本音が出せた気がする。
でも、僕は、自分がいるだけで人を傷つけることを知った。自分の友達を壊して、アスカの思いも汲み取れず、アスカもおかしくなっていった。
今ここにいるアスカは、今何を思っているのだろう。僕のことを恨んでいるのかな。それとも、心地いいと思ってくれているのかな。
……そんなこと、あるわけないか。僕は何を考えているんだろう。
「ねえ、バカシンジ」
アスカはスッと立ち、僕のことを見下ろしながらこう言った。
「あたし達、これからどうなるのかしらね」
アスカは包帯で巻かれた腕で、目の前の赤い海を指す。
「こんな何もない世界でアンタと二人ぼっちなんて、いや。これなら死んだ方がましよ」
僕はアスカにそう言われて、少し悲しくなった。何でだろう。僕だってこんな世界、嫌なのに。なんなら死んでも良いってのに。
「うん……。僕も、こんな世界で生きていたくないよ」
僕がアスカの方を向いてそう言った瞬間、目の前が眩しい光に包まれた。
「な、何よ!?」
アスカは手で目を覆い、うずくまった。
「うっ……」
僕もあまりの明るさに目が眩む。この世界は、太陽が出なかったからなのか、目が光に慣れない。
僕が目をギュッと瞑ると、段々と光の強さが弱くなっていった。
「なんなんだよ……」
僕がそう呟き、ふと赤い海の方を見ると、遠くに人の影があった。目を凝らさないと見えないが、確かに誰かいる。
「ねえ!アスカ、あそこに人が見えるよ!」
僕はアスカの体を揺さぶり、赤い海の方を指しながらそう言う。アスカは驚いたように顔をあげ、僕が指し示した場所を目を凝らして見た。
しばらくすると、アスカはゆっくりと
「……ホントだ……」
と呟いた。
ここからでは、遠くてよく見えないけれど、確かにいるのだ。人が。
「誰かしらね……」
なかなか話が進まなくてすみません……。これからも頑張って投稿していきたいです!
ちなみにアスカがLCLに還元されなかったのは『アスカはシンジと一つになるのが嫌だった』からです。アスカの「アンタがあたしのものにならないなら、あたし何もいらない」という言葉から読み取れるように、アスカはシンジの事が好きだった。だけれど、一つになればシンジとアスカの境界線はなくなってしまいます。だからアスカはシンジと一つになりたくなかったのでしょう……。(他サイトの記事も参考にしつつ、私自身で勝手に想像しました……間違っていたらすみません)
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5 通いあう心
「誰かしらね……」
「確か、母さんが『人は自ら生きようとする力があるから』って言ってたけど、皆いつかこの海から戻ってくるのかな」
「さあね……」
アスカはそう言って再び立ち上がり、赤い海の方へ歩いていく。足取りはおぼつかなかった。
僕もゆっくりと立ち上がり、赤い海の方へ向かっていった。最近歩いていることがなくなったので、少し足がふらついている。
僕がアスカの方へ行くと、アスカは
「なんか、こっちに近付いてきてるわね」
と目を凝らしながら言った。
「アスカ、やっぱり人だよね」
「ええ、でも……」
アスカはそう言うと口ごもり、何かを考えるように腰に手を当てた。その姿はアスカにあまり似合わなかった。アスカが長く考え込むことって、そういえばあまりなかった気がする。
「どうしたんだよ、アスカ」
僕がアスカに話しかけると、アスカはハッとしたように僕の方を向き、
「あの人……浮いてるわよ。それに、あれ……」
「え?」
「……ファーストみたいね」
「え!?」
アスカは僕が驚いたことに反応せず、じっと遠く先の方を見ている。
綾波……。
僕の母の分身。クローン。それなのに、僕は彼女に惹かれていた。多分、綾波が母さんみたいで、無意識に母さんと綾波を重ねていたのだろう。
あのLCLに満たされた海の中で、僕は綾波と話した気がする。それももう曖昧で、よく思い出せないけれど、確かにそうだった。綾波は、僕のことを優しく包んでくれた。それはまるで、お母さんみたいだった。
懐かしい……気がする。
「…ンジ!シンジ!」
「ハッ」
僕が物思いにふけている時に、アスカは僕を呼んでいたのだろう。
「ねえ、ファーストが消えちゃったわよ!」
アスカが海の方を指で指しながら、僕にそう話す。アスカはとても慌てているようだ。
アスカってこんなに綾波のことを気にかけていたっけ。どうしてだろう、上手く思い出せない。
「そっか……」
「何よ、意外と素っ気ないのね。アンタ、ファーストのこと好きだったんじゃあないの?」
アスカは目を丸くしながらそう言った。
「別に、そんなんじゃないよ……綾波とは」
「ふぅん……」
アスカは少し怪訝そうな顔で僕の方を向きながらそう言う。
僕は、綾波のことが好きだった。多分、今も好きなのだろう。でも、それは『母』と重ねていたからだと思う。綾波のことを意識すると、どうしても母さんのことを思い出してしまう。
それに、僕には他人を愛することができなかった。僕はただ、誰でもいいから人から愛されたかった。別に、男でも女でも、どちらでもよかった。自分を必要としてほしかった。
今の僕の願いは、そんなことではないけれど。
僕は……本当に嫌な奴だ。
「アスカ」
「何」
「僕達で、この世界を変えよう」
「はぁ?」
アスカは、急になに言い出すのよとでも言いたげな顔で僕の目を見る。
「どういうことよ」
「僕は、こんな世界にしてしまったことを、とても後悔してる。僕がサードインパクトを食い止めることが出来たなら、こんなことにはならなかった。アスカはあんただけのせいじゃないって言ってくれたけど、あの場で僕が量産型を倒していれば、こんな世界にはならなかったんだ」
僕は手を固く握る。
「だから!もし方法があるなら、もう一度あの世界を繰り返そう。そして、僕達の手で運命を変えたいんだ」
アスカは目を見開き、僕の方へ体を向ける。
「アンタ、変わったわね。前はもっとウジウジしてたけど」
「そんなことは、無いよ。僕は変わってない。でも、願いができたから」
僕は勝手な奴だ。最初からこんな世界を望まなければ良かっただけなのに。
最低だ。
「僕はズルい奴だ。皆巻き込んでまで叶えた夢なのに……」
アスカは僕のその言葉を聞き、僕の腕を掴んだ。そして、
「……ホントアンタって勝手ね。……でも、良いわよ、やったろうじゃないの、バカシンジ」
と強く言った。
「あなたたちの願い、届いたわ」
シンジって難しいキャラですね……。
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