Fate/Select Advance “旧題:静謐が俺の鯖の件について” (ボロ刀(改))
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始まりについて

 

 今日も朝が……月曜日が来た。

 月曜日はなんで仕事行きたくないと思うかな、てな感じで気怠さを感じながらも壁に掛けてある灰色のサラリーマンの装備一式を皺から守るハンガーから、装備を取ろうとする。

 さて、自己紹介は……30間近のおっさんの名前なんて知りたい奴はいないだろうけど、富田鉄心という。

 野郎はおっさんに興味ない筈だし覚えなくて構わない。

 だって、俺も基本的に仕事関連でもない限りは野郎の名前なんて覚える気ないし、着替えようとしながらも見るのは明るくなり始めた外のいつもの光景……あれ?

 

「何、これ……?」

 

 起きてみたら、窓から見える歩道と道路関係なく走り回る人達と、走り回る人達を追いかけている骸骨達という一見するとB級ホラーの撮影でもしているのかと思える光景。

 いきなり日常から非日常なものを見たお陰で、目がシャッキリと覚めてしまう俺は、興味深々でどこかにカメラマンがいるのかと、窓越しから確認してみたがどこにもカメラマンはおらず。

 そうして探している内に、一人が背中を剣で斬られてしまい赤い液体が道路の一部分を赤く染めていく。

 

「ず、随分とリアルだな。B級ホラーにしては」

 

 背中を斬られ倒れる人に、ボロ布を纏う骸骨が跨がると剣で何度も串刺しにし始めた。

 串刺しにされる、その度に「も、ゆるし……」と窓を開けてまで何が起きているかを見聞きする俺は。

 

「…………え?」

 

 無惨なことになった人から立ち上がると、骸骨は獲物を求めるようにノロノロとした歩きでどこかへ消えようとしていた。

 

「きゃー!?」

「だ、誰か、助けて!!」

「うわあああ!?」

「あ、あなたー!?」

 

 窓を開けていた為、外から聞こえてくるのは助けを求める声と悲鳴と断末魔らしきもの。

 これ、もしかして……

 

 1,所詮、これは只の夢や 2,新手のドッキリ番組か何か 3,ハロウィーン! 4,ところがどっこい、これが現実……!

 

 1は右頬を引っ張ってみたが普通に痛いだけなので、おそらく夢ではない。

 2はここまでやるかというレベルにしか見えないから、違うと思う。

 3は……今は1月だよ、無いわ。

 となると、脳内に浮かび上がった4の選択肢しか選べないのだが、窓から見えるものが現実離れしてるので、これも違うんじゃないかと思ってしまう。

 後、今まで気付けなかった俺がマヌケなのは認めるとして……

 

「ああ……この人は死なない。何度、私が触れても……ああ、私のマスター」

 

 なんか、めっちゃレベル高い静謐のハサンのコスプレしてる子がいつの間にか不法侵入した挙げ句に、俺の右腕を触りまくりな不審者がいました。

 てか、声がそっくりすぎなのも含めて本物が目の前にいるのではといいレベルだし、美少女だし……だけど、不審者でしかない。

 

「君、何してんの?」

「あっ、ごめんなさい」

「今から、警察に電話するね」

「…………」

 

 警察に電話する、の辺りで困り顔のコスプレ美少女は逃げる様子を見せずなことが可笑しく思えたが、今は警察に電話してみて外と美少女のことをなんとかしてもらおう。

 

「……あれ?」

 

 ……電話が、繋がらなかった。

 というより、混雑してしまっているようだった。

 

「マスター……ここも、そろそろ危険になりそうなので、離れた方がよろしいかと」

「マスター? ……お嬢ちゃん、おじさんは君のお遊びに付き合う暇はないよ?」

 

 ここでコスプレ美少女に、マスター呼びされたのには一瞬、胸が跳ねた錯覚をしてしまうが、なんとか冷静に返せたと思う。

 しかし、見た目と声、口調の完成度があまりにも高すぎる辺り、彼女はどんな苦労してその完成度を手に入れたんだ?

 いや、そんなこと考える前に今の俺の格好はシャツとトランクスだけだ。

 つまり、着替えたいから出ていってくれないかな? と、コスプレ美少女に言ってみると、彼女は意外と素直に従い玄関のドアから出ていってくれた。

 

「何なんだ、一体?」

 

 念の為にドアの鍵を閉めてやる後、サラリーマンの装備を整えた俺はドアを開け外へ出ると彼女は壁に寄りかかった状態でドア近くに立っていた。

 

「まだ、いたのか?」

「いたも何も……私は、あなたのサーヴァントです。いるのは当然です」

「まだ、その設定を引っ張るのか?」

 

 確かに超が付きそうな位の美少女なのは確かだけど、不法侵入してからのコスプレ演技に付き合わせようとするのは、美少女でも俺はご免なさい。

 つまり、付き合えませんと言いたいのだ。

 

「はいはい。お遊びなら、他の人に付き合ってもらってね?」

「あの、説明をしますから待って下さ……」

「急に黙るって、どうし……?」

 

 アパートから出て、早歩きでコスプレ美少女を置いていこうとした途中、追いかけてきた彼女は何か言いかける途中で急に口を閉じてしまう。

 閉じてしまうと、俺の前の何かを睨むようにしているので何かあるのかと視線を前へやると……

 

「マスター……離れて下さい。すぐに終わらせますので」

 

 子供の胸を槍で刺し貫いた形で運んでいる、骸骨がいた。

 それを見るなり、彼女は静謐のハサンが持つのと見た目が非常に似ている短刀を両手に持ち、まるで俺を守るように前へ出る。

 

「あ、あの子供……同じ、アパートの子? えっ、これ、マジで何なの?」

「スケルトンを始末したら、私が知る限りのことを教えますので、慌てないで下さい」

 

 スケルトンが槍に刺して運んでいるのは、俺を時々にからかうことがある同じアパートの夫妻のまだ小学生の男の子。

 男の子の目からは、怖かっただろうか涙の跡が痛々しく、槍に刺された左胸からは赤い液体が……人間の血液がポタポタと流れ出している。

 対して、静謐のハサンのコスプレをする美少女は怯えもせずに短刀を構えているのに、彼女の後ろにいる俺は目の前のものを受け入れられないのと、骸骨から発している威圧感と殺意か何かにより体が勝手に震えてしまいそうだった。

 

「はっ!」

 

 俺が棒立ちになっている間に彼女は短刀を振るい骸骨の頭を砕いてから、その後は胴体……正確には右の肋骨に触れる。

 すると、触れた部分から急に脆くなったかのように骸骨は粉々になってしまうのを見た俺は……

 

「毒による、腐食?」

「はい。その通りです、マスター」

 

 静謐のハサンは、武装を毒で腐食させることを任意で可能らしい。

 なので、生物ではないが骸骨も武装と同じような扱いをすれば、この通り骸骨は体を保てず腐食により崩れたという訳になる。

 ただ、それを認めることはつまり、このコスプレ美少女はコスプレ美少女ではなくて……

 

「ゲームのしすぎで、俺の頭が可笑しくなったか。それとも、性質の悪い夢……痛い痛い!?」

「ご、ごめんなさい。ですが、夢だと思われたくなくて……」

 

 精神科の病院へ行かなきゃならないかとも思いながら、夢なら覚めてほしいと願っていたら彼女はいきなり俺の頬を左右から引っ張り出す。

 とんでもなく痛い上、大の男がやってもここまで痛いなんてならない痛みを身を持って味わった ので、彼女は華奢な見た目だが只者ではない。

 ……って、信じられないものを見たせいで、男の子のことを忘れていた。

 男の子の元へ歩み、どうか生きててくれ、これはドッキリであってくれと、男の子が生きているかを確かめてみたが。

 

「冷たい、な……」

「はい。この子は、マスターの知り合いですか?」

「知り合いだ。同じアパートの住人、だった」

 

 一体、何が起きているのか? 彼女に返答をしながらも、信じたくない現実の……抱き上げた男の子の死体の冷たさを感じながらも、俺は落ち着かないと始まらないと何度か深呼吸をする。

 …………よし、少しは落ち着いたかな?

 さて、さっきの骸骨と彼女の戦いを思い出してみると、明らかにそこらの一般人には不可能な何かで骸骨はやられたのは理解できる。

 更に、彼女が静謐のハサンの格好をしている為に俺は、毒による腐食と呟いたら彼女はそれを肯定した。

 後、アパートから出る前に触っても死なないとか言ってたし、凄い嬉しくしながら触りまくってたし。

 これだけで考えを纏めたら、彼女はコスプレ美少女ではなく本物の静謐のハサン、ということになるが、流石にあり得ない。

 何故なら、静謐のハサンはFate作品の……二次元にしか存在していない筈なのだから。

 

「……マスター。その子を、どうしますか?」

 

 しかし、彼女は短いながらも俺の目では動きがわからなかった骸骨と戦い勝利した。

 更に、この骸骨はFGOに出てくるスケルトンに酷似している。

 となれば、骸骨の、スケルトンの存在と、彼女……静謐のハサンの存在を現実のものとして受け入れなければならない。

 

「……この子を両親の所にやったら、説明を頼む」

「……はい」

 

 だが今は、男の子を両親の所に帰してやらなきゃな。

 話はその後でも、問題ないよな?



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静謐とスマホアプリの件について

 外へ出てからそんなに距離が離れていなかったので、引き返して4分でアパートに戻った俺と彼女は男の子の両親である夫婦の住むドアのインターホンを押したり、ドアをノックしてみるがまるで反応がない。

 次は試しにドアノブを回してみるとあっさりと開き、不法侵入になるが入って中を見てみたが誰もおらず。

 この緊急事態だから、最初は子供を連れてアパートから出てはぐれた結果が、冷たくなった男の子なのではと予想する。

 さて、夫婦の居場所がわからない今、男の子をどうするか三分は迷う後に床に寝かせて両手を腹に置いて組ませて放置をすることにする。

 すまん、今は両親の所に帰せないから、せめて住んでた部屋に帰してやることしか出来なかった。

 

「これで、よしっ」

 

 一応、男の子を見つけた部始終の内容を書いた置き手紙も置いておくことにした。

 ただし、静謐のハサンのことは正体不明の人物に助けられたと真実を書かずにだが。

 だって、真実そのままを書いてみたところで手紙の内容を信じてもらえる訳ないじゃないか。

 俺と同じように、傍に英霊を自称するとんでもない存在がいれば、もしくは知っていれば別の話になるかも知れないけど。

 

「……んで? 何で俺が君のマスターなのかについて、教えてくれないかな?」

「はい。私は静謐のハサン……それは間違いありません。正確には『Fate/Grand order』というゲームから生まれ出て、ゲームを通してあなたに育てられたサーヴァントです」

「はあ?」

 

 その後、アパートの自室へ戻り質問してみたら、俺が育てた静謐のハサンが現実に現れたと、返ってきた。

 文字にしたら単純だが、それが真実だとして何で彼女が現実世界に出てくるのかが、まるでわからない。

 過程をすっ飛ばして結果だけ出しているのだから、これは意味不明でしかなかった。

 

「……それで、何で君が現実世界に?」

 

 実は俺の妄想の中、この美少女の妄言、または俺の妄想を元にした夢ではないのかと言われた方が納得できると、頭痛がし始める頭を今は無視しながら次の質問をする。

 

「それが……それについては私もサッパリでして。私にわかることは、マスターは私のマスターであること。マスターは私の毒で死なない。私という存在はゲームから生まれた……これだけなのです」

「ゲームから……なら、FGOのアプリはどうなったんだ?」

 

 静謐が出てくるのなら他の英霊が出てきても可笑しくはなさそうだと、なんとなく俺はスマホを取り出し画面を弄ろうとした時。

 

「ん? バッテリー表示が変だぞ?」

 

 昨夜の俺は、スマホの充電を忘れていた筈なのに、バッテリー表示を見れば100%となっていた。

 いや、昨夜の俺は充電を忘れなかっただけかと思い直してからFGOのアプリを開いてみると、いつものタイトル表示どころかreadingの文字すら表示されず、妙なメニュー一覧が画面に表示されていた。

 

「…………は?」

 

 訳がわからないが、まずはメニューを見ていくことにする。

 いや、本当に何だよ、これは?

 

【メニュー】

 英霊強化

 装備

 礼装・コマンドコード購入と強化

 ドール解放

 ステータス

 現在のQP・マナプリズム・レアプリズムの所持量

 バトルサポート

 ヘルプ

 

 シンプルに、もっと詳しく言うとどこかのRPGみたいなメニュー表示にアプリの中身が変わっているし、飾り気ゼロになってるしでこんなの困るしかない。

 てか、この非常時に言うのは可笑しいが、今まで育ててきたデータどこ行った!?

 中身が変わっているということは、データも消えたのではと不安になる。

 まあ、それはある意味で杞憂に終わるのだが。

 

「まずは、ヘルプを読んでみるか」

「??」

 

 背中から覗いてくる彼女は一旦、放置しながら俺はスマホの画面を弄りヘルプの内容を読んでいく。

 

 1,英霊強化は、パートナーである英霊のステータスをある程度まで強化出来る。強化するにはQPが必要となる。

 2,装備は、英霊にコマンドコードを装備させる。装備したコマンドコードは英霊のスキル扱いとなる。また、装備できるコマンドコードは5つまで。

 3,礼装・コマンドコード購入は、文字通り概念礼装とコマンドコードの購入をQP・マナプリズム・レアプリズムで行う。また、所持している礼装とコマンドコードをQPを支払うことで効果を強化することが出来る。

 4,ドール解放は、パートナー以外の英霊を召喚できる。ただし、その英霊に自我は一切無く、召喚したマスターの命令した範囲でしか動かない。まさにドール。現在は説明表示はされるが何でか今は使用不可能。条件を満たしていないからだろうか? 補足だが、静謐とマシュを除いた育ててきた英霊の表示はちゃんとあった。

 5,ステータスは、英霊とマスターについてのステータスを表示する。英霊の場合は筋力や幸運、俊敏といったお馴染みのもの。マスターの場合はFGOのようにコストで表示される。このコストは英霊の装備に関係していて、コストの範囲内でしかコマンドコードを装備できない。

 6,現在のQP・マナプリズム・レアプリズムの所持量は、そのままの通り。所持金みたいなもの。また、敵を倒すとQP・マナプリズム・レアプリズムを手に入れることが出来る。

 7,バトルサポートは、英霊の戦闘をスマホを通じてサポートする。Busterのコマンドを触れば筋力のステータスが上がるが俊敏が下がる。Artsは徐々に英霊の魔力が回復し耐久も上がる。Quickは俊敏重視となっていて速度で敵を翻弄したい時にちょうど良いが、筋力のステータスが下がる。

 8,バトルサポートの続きとなるが、魔術礼装と概念礼装の効果を英霊に付与することが可能。また、礼装によっては効果の内容が変化していて、礼装の効果一つの再使用に掛かる時間は24時間。

 9,英霊が死亡……霊基消滅した場合は復活するのに24時間が必要となる。また、マスターが死亡した場合は英霊も永久消滅する。スマホを破壊された場合はマスターと英霊共に死亡する。

 10,令呪は使用から24時間後に一画を回復。最大は三画まで所持可能とこれはFGO同様。

 

「何だ、これ?」

「まるで、私達英霊とこれでなんとかして欲しい。と、言っているように思えます」

 

 確かに彼女の言う通りではないかと、俺は悪戯にしてはあまりにも可笑しく、笑いすら込み上げてこない。

 まるで、こうでもしないといけない何かが起きていると告げているかのようだ。

 ドッキリなんかで、人を殺すなんてことある訳ないし、あの男の子は作り物の人形とは思えず、本当に骸骨に殺されてしまったのだろう。

 そして、これが日本中……いや、もしかしたら世界中で起きているのだとしたらと思った俺はテレビの電源をリモコンを手に付ける。

 すると……

 

《皆さん! これはCGまたは映画ではありません!? 世界中で謎の骸骨が現れては人々を殺害し回っています!!》

《見て下さい! カメラ越しから見えるものが真実。まるで現代がホラーかファンタジーに侵食されているかのようです!!》

 

 勇気があると言えば良いのか、無謀と言えば良いのか、マイクを持った女性が叫びながらも現状を俺やその他の人々に伝えようと必死になる姿があった。

 チャンネルを替えてみると、自衛隊が銃を撃ちまくってスケルトンをなんとか倒していく絵が映し出されいたので、対処は自衛隊と武装があれば可能なのだろう。

 それがわかると、少しだけ安心した気分になるが、そういえば会社の同僚と後輩、上司達は今どうしているのだろうか?

 俺みたいに英霊が近くにいたら良い……いや、そんな都合良いことがあるかもわからないな。

 それに、親父と母さん……最近、嫁はまだかと口煩い年頃だけど無事かが不安だ。

 なら、会いに行ってみるか? 無事かどうかを確かめに……けど、スケルトン一体でも俺一人でどうにかなるものではなさそうだと理解してしまっている。

 だから、彼女に頼んでみるしかない。

 

「なあ、君。頼みたいことがある」

「何でしょうか?」

 

 しかし、彼女が聞いてくれるだろうかがわからないが、言うだけなら只だと躊躇いを振り払った俺は口から……

 

「まずは会社に行ってみたい。仕事仲間が心配なんだ」

 

 会社に仕事仲間がいると確定出来ないけど、それなりに世話になったりしたのだ。

 無事かどうかを知りたくもなるが、断られるかも知れないと不安に絡まれていく中、彼女の返答は……

 

「承知しました。あなたの力となります、マスター」

 

 断るかどうかすら考える素振りを見せずに、やけにあっさりと力になってくれると返してきた。

 

「簡単に、言ってくれるなよ……外はスケルトンだらけなのに」

「スケルトン程度なら、正面から挑んでも私は勝てます。それに、マスターはこんな状況だというのに、余裕さえあれば誰かの心配が出来るのは素晴らしいと思いますから」

 

 戦力差があるらしいことはわかったが、まさか、誰かの心配をしたことを褒めにくるとは……美少女にやられると、おじさんの俺でも心震えてくるな。

 

「そ、そうか。早朝の早めに出勤する奴らなら会社にいそうだし、早速行ってみたい」

「はい。どこまでも、あなたについて行きます」

 

 彼女の、静謐の助けがあるのは心強い。

 だが、行く前に、本当に彼女は静謐のハサンなのかの確証が欲しいので、霊体化は可能かと聞いてみると彼女は頷いた後に目の前でFateのアニメのような感じで霊体化をしてみせた。

 

「おぉう……ここまで見たら、君は英霊と認めるしかないな」

「やっと、信じて頂けたことが嬉しいです」

「だって、普通は二次元から誰かが出てくるなんてあり得ないし」

「……確かに。私でも、今この世界にいられることが可笑しいと思います」

 

 だよな。流石に彼女でも訳わからんとこまるよな。

 

「ですが、理由はわかりませんがこうしてマスターと触れ合えることが……嬉しくて堪りません」

 

 そりゃあ、戸惑うわな、と頷いていたら静謐が俺の右手を両手で包むように掴み、潤ませた瞳での笑みを向けてくる。

 まあ、彼女からすれば毒にやられない人の温もりは嬉しいどころではないだろうから、その気持ちを理解するのも難しいどころではなかった。

 

「…………」

 

 綺麗、だと思った。

 歪な生き方をしてきたが故の、怪しい美しさというものを彼女は持っている。

 体そのものが毒だから人と触れ合えずに生きてしまい、儚い何かを感じさせてくる。

 

「……そうか。なら、どこかで暇があったら触れ合えることをしようか?」

「はい。暇があれば、私と触れ合いを……」

 

 いつの間にか、無意識に静謐を受け入れてしまう台詞を吐き出してしまい、耳に入れた彼女はありふれた表現だが可憐な花のような満面の笑み。

 

「準備をしなきゃな……っと、言っても会社に行くのに必要となる荷物はないな」

 

 抱きしめたくなったが、今は会社に行くのが先だと勝手に動きそうな体を理性で抑えながら、さあ行こうと外へ出ようとする。

 

「待って下さい。マスター」

 

 それを見た静謐は、待ったをかけてくる。

 何か言いたいことがあるようだ。

 

「その服装を着て動きづらいのなら、動きやすい服装に替えた方がよろしいかと。これから先は、動きやすさが重要です」

 

 と、サラリーマンの装備では危ないぞとアドバイスをしてきた。

 このサラリーマンの装備は、動きやすいとは言えないので素直に私服に替えることにしたいが、その前に……

 

「着替えるから一旦、出てってくれないか?」

 

 本日二回目の、静謐を一時的に外へ出さないとならない。

 俺に誰かに見られながら、着替える趣味と素質は皆無だからな。



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会社の生き残り、一人目の件について

 いざ、会社へ向かおうとしたが通勤に使ってる電車は止まってるし、自動車も免許もなしの俺に出来る移動手段は自転車しかなかった。

 だからか早く移動したいのなら、静謐が俺を抱えて移動しようと言い出してきた。

 

「見た目、カッコ悪いよな?」

「急ぎならば、見た目に拘る余裕はありません」

「まあ、そうだけど……仕方ないか」

 

 仕方なく俺は静謐の背中におんぶされる形で、会社までほぼ一直線で移動するのだが、ここで見た目以外の問題が発生。

 

「あ、あば、あばば……!?」

 

 速い、移動速度が自動車より凄い速い。

 静謐の肩に強くしがみついてないと、あっという間に落ちて道路にカラダを転がしてしまい大怪我をしかねない。

 いや、大怪我ならまだマシか……死ねるかも。

 口をまともに動かし、喋る余裕はないから静謐にスピードを緩めてほしいと言えないので、必死にしがみつきつつ早く会社に着いてほしいと祈るしかなかった。

 その後、おんぶでの高速移動状態から解放された後に腕時計で確認したら、出発から30分しか立っていなかったのに驚いたりする。

 

「人一人抱えてたのに。英霊、凄いな……」

「すみませんでした……」

「いや、なんとか大丈夫だから」

 

 幸いにも、乗り物酔いみたいなことにはならなかった。

 それに、今までの通勤だと一時間弱は掛かるのに、その半分しか掛からずに着いたのは、会社の生きた誰かに会える幸運に繋がる可能性があるのだから。

 

「おじさんにはキツかったけど、急いでくれてありがとう」

「あ、いえ。私こそ、マスターが耐えていたことを察することができず、申し訳ないです」

 

 寧ろ、静謐に感謝しなきゃなと、お礼を言ったら彼女も気にしていた高速移動の件で謝罪。

 急いでほしいと言ったのは俺だから、謝らなくて良いんだけど。

 

「よし。中に入るぞ……」

「はい」

 

 遠くで人の悲鳴が聞こえる中で、互いにお礼と謝罪をした後に入ろうとしている会社のビルは、外から見た感じではあちらこちらに無惨になった方々……主にスーツ姿の男女が無造作に転がっている。

 また、ビルの外ガラスも所々が大きく割れていて、ビルのどこからか落下して亡くなったと思われる方々もいた。

 これらから読み取れる情報は……

 

「この建物の中に、敵が侵入したようですね」

「だよな。危険だよな」

 

 静謐の言うように、今日突然に現れたスケルトン達に現在はわからないが襲われたのだろう。

 中に生き残りが見つかるのかと、入る意味は今あるのかと悩むが、もうここまで来てしまったのだから入ろうと心を決める。

 しかし、外ガラスが割れまくったビルの見た目って、何か不気味な雰囲気を放つな。

 

「ここまで来たんだ。入らなきゃ意味がない」

「マスターの護衛は、任せて下さい。絶対に、あなたを死なせません」

 

 言葉にもしてから、盛大に割られて役目を果たせなくなった自動ドアを潜ると、静謐も自身の気持ちを口にして短刀を片手に真剣な表情。

 彼女の気持ちはありがたいし、頼もしいが、そこまで気合いが……入るんだよな、静謐の場合は。

 彼女の毒で何でか死なない俺の存在が、どれだけ大切なことなのかは一般人の俺では測りきれないし……そのお陰で、彼女からのボディタッチが過剰になりそうだな。

 

「中は……スケルトンが3体か」

「早速、始末してきます」

 

 そんなことを考えながら、入口から一階へ入るとお出迎えしてくれたのはいつもの受付嬢ではなく、血に濡れた剣、槍、斧を持ったスケルトン。

 その3体は、静謐にあっという間に体を崩され永久に活動不可となる。

 とりあえずの安全が生まれたので、まずはどこから人を探してみるかと考えるが……

 

「静謐。こんな異常事態の場合、どこに隠れるのが正解なんだ?」

「普通に考えれば、頑丈な扉がある部屋だと思いますが?」

「いや、そこまで逃げられるかわからんし。なら、比較的近くて鍵を閉められる会議室か、休憩室辺りかと思うけど」

「理に叶っていますね。それらを中心に探すのですか?」

「当たってると良いんだけど……」

 

 探す場所の方向性はゾンビが出るパニック系統の映画だと、どこかに閉じ籠るのは基本だとばかりに、そういったシーンが多いからという理由で決めた。

 けど、映画と非現実が起きてるけど現実に当てはまるかはわからんよな。

 

 

 ★ ★ ★

 

 

「だ、誰だ!? 誰かいるのか!!」

 

 ……と、おもってた時期が俺にありました。

 静謐にスケルトンを倒してもらいながら俺の職場がある五階に向かい、休憩室のドアを四回ノックしてみたら誰かがいるようで、中から声がしてきたのだから。

 パニックもの映画も以外と、人の行動を把握してのものなのかも知れないと俺はまた一つ経験を得た。

 

「はい、富田です。中にいるのは?」

「富田? ……物流課の富田?」

「はい。その通りです」

 

 さて、一人目の生き残りが見つかった訳なのだが、この声は俺の上司だ…………出来れば、あまり助けたくない方のだ。

 

「何故、お前がここにいる!? 家で死んだりじゃなかったのか!?」

「死んでませんよ。会社に着く時間は貴方より遅いですが、だからといって勝手に殺さないで下さい」

 

 まあ、静謐がいなかったら上司の言う通りの結果になってても可笑しくなかったから、その思い込みは酷くないと思う。

 

「もう、近くにスケルトンはいません。なので、休憩室から出ても大丈夫ですよ」

 

 さて、一番最初に見つけたのが、俺より歳上で嫌みな上司のおっさんとは今日は運が良いのか悪いのか。

 嫌みだからといって、見捨てると罪悪感あるから助けてやらないと。

 

「本当、だろうな?」

「本当じゃなかったら、俺はとっくに死んでます」

「……それも、そうか」

 

 見つけてから声をかけること、腕時計で見ると8分を使うと上司は納得してくれたようで、休憩室のドアを開けて出てきてくれた。

 

「昨日の夕方ぶりです」

「そうだな。こんな今日に、お前に会えるとは思ってなかった」

「普通に死んでても、可笑しくありませんでしたしね」

 

 互いの顔を見合わせ、再会したことは奇跡に近いと言い合う後に上司は静謐に気付くと、ギョッとした反応を見せる。

 

「お、おい、富田。何だ、あの恥女は?」

「いくらなんでも、恥女は……」

 

 静謐を、正確には静謐の服装を見るなり俺に彼女は一体何なのだと聞いてくるのは良いけど、まさかの恥女扱い。

 思わずなんてこと言うんだと言いたくなるが、よく考えてみれば静謐の格好はエロいのは事実な訳で。

 …………知らない人から見れば、この異常事態の最中に恥女の格好をした美少女がいると認識されても可笑しくないな。

 もしくは、静謐のコスプレした頭が危ない美少女扱いだ。

 

「彼女は恥女ではなくて、英霊です」

「英霊? ……何を言ってるんだ、お前は?」

「それを説明する為には、吉川部長のスマホにFGOというアプリをダウンロードしてほしいんです」

 

 さて、吉川部長にFGOのアプリをダウンロードしてほしいと頼むと、お前はこんな時に何を言ってるんだみたいな顔をされる。

 予想はしてたけど、吉川部長はFGOをやったことがないようだし、普通に考えれば命が危ない時にスマホのアプリがどうのとか言われても意味がわからないよな。

 

「俺の考えが正しければ、FGOのアプリが部長を守ることになる筈です」

 

 何でFGOのアプリをダウンロードさせようとしてるのかは、俺に静謐が来てくれたように、アプリをダウンロードすることによって部長のところにも英霊が来る可能性があるからだ。

 これは、俺の予想でしかないが、もし的中すれば戦力が増える筈。

 

「…………真面目に、何を言ってるんだ?」

 

 ですよねー。

 この異常事態に、意味不明としか捉えられない言葉だからなー。

 と、ここからどう説明しようかと悩みに悩もうとしたのだが。

 

「良くわからないが……意味は、あるんだな?」

 

 最初は俺の言葉で訳わからん顔をしていたが、何かを感じたのかスマホを取り出しながら言うことに意味はあるかと確認してくる。

 これは、もしかすると信じてくれたのか?

 

「お前の真偽は、後で聞く。FGOというアプリだったな?」

 

 ぎこちなくだが、部長はスマホの画面を操作してFGOのアプリをダウンロードしてくれた。

 ダウンロードした後、アイコンを触り起動させると俺の時と同じメニュー画面が表示されていた。

 

「開いたぞ。次は、何をすれば良い?」

 

 部長に次のことを教えろと言われるが、俺と部長のメニュー表示の差異があることに気付き、俺は若干困ってしまう。

 

 

【メニュー】

 ドール強化

 装備

 礼装・コマンドコード購入と強化

 ドール解放

 ステータス

 現在のQP・マナプリズム・レアプリズムの所持量

 バトルサポート

 ヘルプ

 

 英霊強化が、ドール強化になっていた。

 これが意味することは一体、何なのだろうか?

 

「次は、ヘルプを押して説明を読んで下さい」

 

 その答えは、ヘルプによる説明によって判明した。

 

 1,ドール強化は、マスターの使役するドール達のステータスをある程度まで強化出来る。強化するにはQPが必要となる。

 2,英霊を得るには、ドールの絆を10まで引き上げなければならない。

 3,FGOのマスター同士が初めて出会えた時、ドール解放の使用が可能となる。

 

 つまり、部長の場合は新規のマスターだから英霊を持てない……ということになる。

 また、FGOのマスター同士が顔を合わせることが出来たのなら、と俺もスマホを取り出してメニューを開くとドール解放の機能が使えるようになっていた。

 ……試してみたいけど今は、ドール解放を試すのは俺じゃくて部長が先で良いよな。

 

「部長。ドール解放の中にある、アイコンを押して下さい」

「レオニダス、とかいう奴しかないが」

「それを押して下さい」

 

 部長は俺の言う通りにやると、途端に部長の目の前に光が現れて、瞬きしている間に人の形となり……

 

「…………」

 

 レオニダスが召喚された。

 しかし、何も喋らず、動かず、ただ部長の前で石像のように立っているだけだった。



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新規マスターの苦労の件について

今回は説明回みたいな内容ですので短めにしました。


 部長がドールのレオニダス召喚成功後、部長に俺と静謐のこと、FGOというアプリについての説明を終えると……

 

「まるで最近のラノベか何かだな」

「部長も読んだことあるんですか?」

「まあな。若者の流行りが気になって……ストレス社会は恐ろしいと感じたよ」

 

 部長が、ラノベ読んでるとか……読んでるシーンを想像してみるが、結構シュールで反応に困る絵面が脳内で出来上がる。

 

「私からしたら、あんなものが流行ることがわからなかったよ」

「それ、最近の若者にあまり聞かせない方が良いかも知れませんよ?」

 

 まあ、俺もわからない時があるので少しは部長の気持ちはわかる気がする。

 

「…………」

「しかし、ゲームにしかいない存在が現実に出るとはね……世の中、何が起きてるんだ?」

「それは俺も知りたいですよ」

「ところで、レオニダスだったよな? 何も喋らず歩くのが不気味だ」

「仕方ないですよ。あくまで部長の指示に従うだけの人形みたいなもんなんですから」

 

 びるの中を歩く中、部長はドールのレオニダスの不気味さについて文句というか怖がっているような言葉に、俺は仕様なので我慢してくれとしか返せない。

 確かに、レオニダスが何も喋らず歩くだけなのは迫力あるけど。

 

「それに、こいつ弱いじゃないか」

「それは部長のレオニダスのレベルが低いからです」

 

 実は説明の途中でスケルトン2体に教われたことがあったのだが、その時に部長は思わずビビったのかレオニダスに「なんとかしてくれ」と叫び、それを指示と受け取ったドール・レオニダスが立ち向かったのだが。

 その結果は、一言で言うと勝利はしたがかなり苦戦した。

 何で、ドール・レオニダスがスケルトン2体に苦戦してしまったのかといえば、単純な話になるが召喚されたばかりのレベル1で戦えばそうなる。

 因みに後で、またスケルトンに見つかった際は俺がドール・レオニダスを召喚……因みに、1体しかドールを出せなかった。

 それをスケルトンと戦わせてみたが、余裕で勝利していた。

 俺はこんなことになる以前はちゃんとレオニダスを強くしていたことので、そうなったのだろう……やはり新規マスターの部長が弱いのは仕方がない。

 なので、部長のレオニダスを優先で戦わせないとレベル上げに必要なQPが手に入らない。

 先に止めを差した奴がQPを手に入れられるとなっていたので、頑張ってもらおう。

 幸いにも、中身が変わったFGOのアプリ内では霊基再臨に必要な素材を必要としなくなっていたので、ドールに関してはQPさえあればどうにでもなるのは嬉しい情報だろう。

 

「ドールの強さは、後でどうにでもなるのはわかりました。ですが、自我がないサーヴァントは私からすると仕留めるのは容易い危うさがあります」

「命令の内容によっては難しいだろうけどね」

「一つの命令にしか従えないのなら、いくらでもやりようがありますが、マスターの言うように……例えばですが、私を狙えと命令されたドールの相手は、ドールによっては苦戦は免れないでしょう」

 

 そう、ドールは一つの命令しか従ってくれないという弱点がある。

 先にした命令は次の命令で上書きされ、前の命令の内容に従わなくなるのだ。

 次に、例えば「スケルトンを倒せ」と言えばスケルトンとしか戦わない……マスターの身を守る者がいなくなる。

 それに関しては「スケルトンを倒せ」から「マスターを守れ」に変えれば、マスターへ襲ってくる敵を倒してくれるようになるので、そうすれば問題ない筈。

 また、複雑な命令をすると急に動かなくなるし、単純な命令にしか反応してくれない。

 それと静謐が言うように、狙われても何らかの方法で命令の内容を変えてしまえば、あっという間に倒せてしまうらしい。

 これは補足として、ドールにもバトルサポートの機能の範囲内にあるので、それもやっていけばレベルが低くてもやりようはある筈。

 

「命令内容は、ちゃんと考えなきゃ駄目だな。という訳です」

「弱点はありますが、戦力になりますので心強いです……私はそもそも、暗殺者なので接近戦は得意ではありませんし、それをドールにやってもらいたいです」

 

 ドール解放が使えるようになるまでは、静謐一人で頑張ってもらっていたのだ。

 本来は、接近戦は得意ではないのに仕方なくだったりだったし、これからは基本的にドールに任せて静謐は俺の傍で護衛が中心となる。

 

「それと部長。QPは今、どの位貯まっていますか?」

「……5000位だ」

「では、レオニダスの強化に使いましょう」

 

 部長にやり方を教えつつ、ドール・レオニダスの強化をさせてみたところ……

 

 レオニダス(ドール) レベル13

 筋力:D 耐久:C+ 俊敏:E+

 魔力:E 幸運:C 宝具:C

 HP:75/100→155/230

 NP:55/300

 

 こんな表示なので、上がったのはHPしか明確にわからない。

 また、本来のレオニダスのステータスより低いのはまだレベルが低いからだろうか。

 因みに、静謐の場合は……

 

 静謐のハサン(英霊) レベル100

 筋力:C+ 耐久:C+ 俊敏:A++

 魔力:C 幸運:A 宝具:B+

 HP:1100/1100

 NP:100/300

 

 本来のステータスより、筋力・耐久・宝具が1ランク以上高く、俊敏・宝具にもプラス補正が付いていた。

 また、NPの総量が100以上になっているので宝具が今すぐにでも使えるのかと静謐に聞いてみると頷いてみせた。

 

「体を構成するエーテルとは別の魔力が霊核に溜まっている感覚があります。それを消費すれば、私の宝具は使用可能です」

 

 この辺りは、今までのFGO同様のルールらしい。

 

「しかし、外見的には、この子よりレオニダスが強そうなんだが……ステータスの差が凄いな」

「コツコツとやるしかないですよ」

 

 レベルを上げさえすれば、本来のレオニダスのステータスとなり単純な攻撃力なら静謐を越えるだろう。

 ここで補足として……

 

 レオニダス

 筋力:B 耐久:A 俊敏:D

 魔力:C 幸運:C 宝具:B

 

 これがレオニダスの本来のステータス表示であることを、念の為に出しておく。

 レオニダスは壁役に適した英霊だから、運用に難があるけど耐久戦に持ち込まれたら厄介な奴なので、FGOでは星2のレアリティでも優秀である。



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短い付き合いからの別れの件について

 探索中は、時折に襲い掛かるスケルトンは部長のドール・レオニダスに戦闘を任せ、QPが貯まれば少しずつでも強化をさせるをを繰り返しつつ進んでいく。

 その最中に、他の部署の若い男2人、若い女7人の計9人が会議室に籠っていたのを発見する。

 どうやら、まだ事態に対抗する為の情報は一切ないようで、いつ来るかわからないスケルトンに怯え縮こまっていたらしい。

 なので、スマホの所持をしているかを確認してみると、女性一人は落としてそのままとのことなので落とした場所を聞き出した後。

 

「す、凄ぇっ!? サーヴァントが、本当に出てきやがった!」

「これなら、死なずに済むかもな!」

「た、頼もしいかな?」

「そうね。富田さんの説明だと、新規の人のドールは弱いらしいし……」

 

 FGOのアプリのことを説明し、1人を除いた7人はアプリのダウンロードをしたり、元々FGOをしていた1人の男は俺が静謐を絆10にしたように、英霊の絆を上げていなかった。

 それでも、充分な強さがあるので彼が中心になればこの先を生きていきやすいだろう。

 さて、俺が探してる仕事仲間は今のところ見当たっても部長を除けば無惨な方々の仲間入りをしていた。

 探索中、それを見た部長はグロテスクなことになった仕事仲間の絵のお陰で、吐きそうになっていた。

 俺も吐きそうになったが耐えて探索に集中してきたが、それもそろそろ限界が近いかも知れない。

 どこかで休憩をしておかないと、体が持たなくなりそうという訳なので、会議室の中で休息を取ることにした。

 

「サーヴァントさえいれば、もう怖くないな!」

 

 休息を取りながら、会議室に立て籠っていた社員達の会話を耳に入れてみたのだが、9人の内にいたFGOマスターがドール達のステータスを確認し、俺の説明を聞いてから天狗の鼻が伸び始めている。

 まあ、レベルだけなら充分高いので今のところ敵無しなのは間違いないだろう。

 命令内容さえ間違えなければ、楽勝なのだとわかれば天狗になるし、世界が可笑しくなったことは、日本や外国の法が意味をなさなくなったということなので、やろうと思えばやりたい放題出来るかも知れないのだ。

 精神が高揚がします、とハイテンションになるのは避けられなかったのだろう。

 こういう奴は危険人物になる可能性があるので、休息が終わったら速やかに離れた方が良いかも知れないな。

 

「なあ、富田。アイツ、マズくないか?」

 

 部長も若い男性社員の危うさを感じ取ったのだろう、長く関わるのは嫌がっている様子だった。

 

「実際はどうなるかはわかりませんけど、可能性はあります」

「そ、そうか……教えたのはマズかったのか?」

「かといって、放っとくのもマズいです。自力で生きていける力は誰にでも必要な世の中になっちゃったみたいですから」

 

 何もせずに見捨ててしまうのも気分が良くないので教えたけど、今の俺達が休息後に会議室から離れてからの人間関係がどうなるかまでは面倒見切れんよ。

 

「んじゃ、俺はそろそろ他に生き残りがいないかを探しに行きます。部長はどうしますか?」

「君に着いていこうと思っている」

「残らないんですか?」

「ああ。あれを見ていると不安しか感じなくてな」

 

 ここから、あのグループがどうなろうが知らんという訳で、生き残りを探しにいくとしっかりと伝えてから会議室から離れ、離れた後は生き残りを探し回ってみるのだが、立て籠っていたと思われる場所を見つけることが出来ても……

 

「ドアを破壊されたようだな」

「……せめて、冥福を祈りましょう」

 

 部長が呟いたように、ドアを破壊された形で侵入されての虐殺をやられた跡しかなかったというのを見ては探し、見ては探してを繰り返すばかり。

 折角休息を取ったのに、ドンドンと体力以上に精神力が削れていく感覚に俺と部長は何度か吐いてしまいながらも、探索を終わらせることが出来たが。

 

「探せる限り探したが、生き残りは若者グループが一つだけだったな」

「他に探してない所といっても、もうないですし……」

「マスターも、吉川さんも疲弊してしまっていますし、今日はここに泊まって英気を養うべきです」

 

 会社中を探索し回って疲れを隠せないのを見ている静謐の言葉に賛成しつつ、俺と部長は最後に立ち入った社長室内で一晩を過ごすことにした。

 敵が来ても命を守れるようにと、部長のドール・レオニダスと俺のドール・ランスロット(セイバー)を近くに置き、ドールと静謐に守られながら眠りに入ったのが初日の終わりであった。

 

 

 ★ ★ ★

 

 

 二日目。

 社長室のソファーで目覚めたら、俺の腕の中に静謐が納まっているのを最初に見ることになる。

 

「マスター。おはようございます」

「ああ。おはよう……」

 

 ここにいるのが普通のことだと言わんばかりに挨拶を返してくるのだが、いつからそこに収まっていたのかが気になるし、静謐の体が柔らかくてそれなりにあるおっぱいと太股の感触が実に……って、俺の思考はどこへ走ろうとしてるんだよ。

 俺の葛藤による沈黙を、別の意味で受け取ったらしく静謐は腕の中にいる理由を教えてくれたけど。

 

「疑問についてですが、ドールに任せておけば、私がここにいても対処は可能と判断し、こうしています」

「本音は?」

 

 そういう建前があるのはわかった。

 なら、本音はどうなのかと聞いてみると……

 

「マスターに、くっつきたかったのです……」

「素直だね」

「はい」

 

 うん、ドールによる安全があるからそうしてきたんじゃないかと疑っていたら、当たっていました。

 可愛い。

 

「静謐可愛い」

「えっ。あの、マスター? いきなりどうしましたか? か、可愛いだなんて……」

「なんでもない。てか、こんなことしてる暇は今はまだないんだ」

 

 今はイチャついてる場合じゃないと、ソファーから起き上がってから静謐を腕の中から解放してやる。

 その後、朝飯といきたいけど肝心の朝飯となるものが手元にないので空きっ腹で、二日目を過ごさなければならなかった。

 

「そういえば部長はまだ起きない……部長、何でそこに倒れてるんですか?」

「いや、彼女が君と添い寝していたのをなんとかしようとしたら、体が痺れてしまってな。大分マシにはなったが……動けんのだ」

 

 倒れた部長に話を聞いてみると、早朝近くに早起きした部長が見たのが俺が朝一番に見たのを部長視点で見たものだった。

 見てしまった部長は、若い男女他人がいる中でそうするのははしたないからと静謐を引き剥がす為に、うっかり触ってしまってからずっと床に倒れてしまっていたとのことだった。

 

「部長。静謐のことは、しっかりと伝えたつもりなんですが?」

「すまん。そこはあまり信じていなかった」

 

 まあ、俺が部長の立場だったら信じなかったかも知れないので、そこまで強く責めたりは出来ないけど、静謐に触れてよく部長は生きてたな。

 

「てか、FGOのマスターだからって静謐に触れて大丈夫って訳じゃないのがわかっただけでも、儲けだな」

「どころで私は、いつになれば動けるようになるんだ?」

「後30分程度は、倒れているしかありません」

「だ、そうです」

 

 部長が俺の忠告を忘れて静謐に触れてから、それなりに時間が立っていたのが幸いだったし、部長が死ななかったことも幸いだった。

 というか、何で朝からこうなるのさ?

 溜め息を吐きながら、部長が動けるようになるのを待つこと37分。

 動けるようになった部長は、次からは気を付けると宣言した後に会社から出ていく。

 幸いにも、まだエレベーターは生きていたので下まで移動するのは楽だった。

 

「それで、これからどうする?」

「コンビニか、スーパーにでも行きましょうか。お腹空きましたし」

「朝食はまだ採っていなかったな。なら、それが先か」

 

 会社の外へ出て、これからどうするかを考える前に朝飯を食うのが先だということで、近くのコンビニへ向かってみる。

 肝心のコンビニは、まだ中がそんなに荒らされていなかったので、まだ人の手は入っていないようなので取り放題だ。

 その場で俺はおにぎりと爽健美茶、部長もおにぎりと緑茶を楽しんだ後、コンビニ内を漁ってみると店員の私物らしきリュックを発見し、それを勝手に使わせて貰うことにする。

 もう一つあったので、それは部長に渡すが……

 

「泥棒はしたくないんだが……」

「今はそう言ってられませんよ?」

「…………」

 

 俺の言葉により暫し無言になる後、部長は顔も知らない持ち主に謝りながらも使うことを決め、リュックの中にお茶と食べ物を詰め込み始める。

 俺も部長と同じく、カロリーメイトやゼリー飲料を先にリュックに積めてから他のを詰めていく。

 それが終われば、コンビニに用がなくなり、次は何をしようという話になる訳だが。

 

「部長は、奥さんとかを迎えに行かないんですか?」

「私は独身だ。そういう心配はしなくて良い」

「なら、ここからは俺の用事になりますが……どうします?」

「そうだな。お前に着いて行っても、ドールのことで足を引っ張りそうだし、私個人の用もある。ここで、別行動を取るとしよう」

 

 なんと、部長は明確な目的もないと思われたのに俺と別れて行動していくと言ったことに、俺は理由を聞いてみると……

 

「親戚の夫婦とその子供が気になってな。それらを探してみようと思うんだ。富田は?」

「俺も親父と母さんの住む千葉の実家へ、行ってみようと思いまして」

「千葉か。私が向かう所と方向が違うなら、ここで別れようか」

 

 互いに気になってしまう所へ、人の元へ向かうと決めたのなら、心配ではあるけれど止める訳には行かないか。

 けど、大丈夫なんだろうかという気持ちが顔に出てしまっていたらしく、部長は……

 

「私の事は気にするな。君に助けられ力を得たんだ。アプリの件について色々教えてもらえたのだから、なんとかやっていくさ」

 

 と、気にする暇があるなら家族の元へ早く行けと言ってくる。

 ……部長が親戚の人を気にするように、俺は親父と母さんのことが気になっているのなら、向かう方向が気になるのなら、この別れは正しいのだろう。

 なら、俺が部長にかけてやるべき言葉は……

 

「お言葉に甘えます、部長。知人が死ぬなんて嫌ですから、死なないで下さいよ?」

「死なない……と、言いたいが、この変わりすぎた世の中では難しいな」

「それもそうですね…………ありきたりですが、頑張って下さい」

「お前こそ、御両親に会えると良いな……それと私に、この現状を歩ける力をくれて、ありがとう」

 

 互いに生きることを諦めるなと、俺と部長は言葉を交わした後、部長は背を向けて離れていくのを、俺は視界の中で豆粒のようになるまで見つめ続けてからその場を動かずに無事を祈るのであった。

 

 



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宿泊場所の謎の件について

 部長を見送ってからは、俺は自動車が使えないかと思いあちらこちらを探し回ってみたのだが、どれも大抵が衝突事故を起こして壊れていたり、車内が血塗れになっていたり、敵にやられたのかガラスが割れボンネットやドアがベッコベコにへこんで使い物にならなかったりで見つからずのまま。

 かといってバイクでは音が大きいだろうから、この状況での使用向かないだろう。

 そんなことしたら、音で敵を呼んでしまうという自殺行為になってしまう。

 ここは自転車という移動手段に頼るしかいけど、もちろんベルは外すかしないと駄目だろう。

 何かの拍子に鳴ってしまったら、敵に居場所を知られる可能性があるからな。

 

「ホームセンターは、この近くにはないから……」

 

 自転車置き場から勝手に誰かのを借りるか、どこかの大きな店にある自転車を貰うかだ。

 この場合は、手っ取り早く自転車置き場に行った方が早いので、ギア付き5段の自転車を貰っておく。

 掛けられていた鍵については静謐に毒で腐食させて壊してもらい、前の籠にリュックを入れてから、そういえば自転車に乗るのは久しぶりだったことに気付く。

 高校生の頃を最後に、自転車に乗った記憶が全然ないので大丈夫だろうかと不安になったけど案外と体は感覚などを忘れていなかったようで、高校時代と同じ感覚で乗ることが出来た。

 しかし、自転車では自動車のようにそれなりの荷物を運ぶのは出来ない弱点があるので、そこはどうしようと悩んだけど、身軽と音が小さいという条件を重視すれば自転車は悪くないんだよな。

 それに、荷台に箱か何かを用意し、載せられる荷物を中に入れて移動すれば良いので、主な移動手段は自転車に決定となった。

 

「次は少しの着替えだよな。そこはデパートで仕入れるとして……」

「あの、マスター」

「ん? 静謐、どうした?」

 

 デパートへ行き、着替えや荷台に載せられる箱になるものを探そうと移動を始めようとしていると、静謐が何かを言おうとしてくる。

 もしかすると、近くに敵か、もしくは人がいるのかと予想していたのだが、彼女の口から出てきた言葉が……

 

「今日の夜も可能ならば、添い寝の許可をお願いしたいのです」

 

 とのことだった。

 ……どうしよう、とんでもなく魅力的なお願いではあるけれど、それを今、許してしまうと歯止めが利かなくなりそうなんだよな。

 下手をしたら、精神が最高にハイになって理性崩壊じゃないか。

 静謐もそうだが、俺の歯止めが壊れちゃう。

 だから、もっともらしい理由を述べて出来ないと断ろうとしてみたんだけど。

 

「護衛のことでしたら、最適なドールに……騎士王のドールに任せてしまえば心配は無用です。最優のセイバーであるのと、彼女の直感はドールであってもスキルなので健在。ならば、彼女に任せてしまえば襲撃される前に気付けますし、されても彼女が守ってくれます」

 

 はい、論破されてしまいました。

 てか、ドールとはいえ騎士王を添い寝をしたいという欲望の為に悪い方向に利用するとかなんてあんまりなことだ。

 儚げな見た目なのに、以外と図太い神経してたよ。

 なんて恐ろしい子だと戦慄してしまう後、論破されたのと自分の欲望に膝を屈してしまった俺は添い寝の許可を許してしまい、許可を得た静謐は大感嬉と俺に飛びつくように抱きついてくる。

 ああ、俺の誘惑耐性があまりにも脆すぎて、某理性蒸発ライダー並なのではと疑いたくなりつつも、デパートの中で旅の荷物になる物を漁るのであった。

 

 

 ★ ★ ★

 

 

 デパートでの荷物の準備が終われば宿泊する場所探しになるんだけど、これに関しては何でこうなっているんだという大きな疑問が出ても当然の光景が存在していた。

 

「何で、ラブホテルだけは無傷なんだ?」

 

 そう、俺が今、呟いた言葉がその光景だ。

 単純に考えれば、初日の時に人がいなかったからではないかと思うかも知れないけど、ホテルの従業員とかはいた筈だから、外見は綺麗でも中が敵に荒らされていても不思議ではない。

 しかし、どのラブホテルも建物の外見は全くの無傷なのは流石に可笑しいにも程がある。

 しかも、試しに一つ一つラブホテルの中へ入ってみると、中にいた従業員達が全員……外に出掛けたのを除いたのが無事であり、従業員達は何で無事に済んでいるのかと質問をしても当の本人達も意味不明であったことに余計分からなくなる。

 従業員達の貴重な証言によると、スケルトン達は何でか知らないけどラブホテルだけは壊さず侵入せずを徹底して守るかのように、それ以外は好き勝手に動き回っているらしい。

 ……なんでさ?

 

「理由は全くの不明ではありますけど、安全な宿泊施設が利用可能なのですね?」

「はい……ですが、そのお陰で私達は無事に済んでいるのは気味が悪いというか、安心したような……」

 

 静謐も理由は全く分からずで、無事に生きていることは嬉しいけれども理由が分からないので不気味だと、ある意味不安を抱いている従業員の1人。

 おまけに、ここではドールを召喚することが不可能であることに俺は、なんとなく思いついたことを口にしてみる。

 

「RPGで言うところの、宿屋みたいな役割をしてるとかかな?」

「そうだとしても、それに選ばれたのが何でラブホテルなんだという疑問が出るぞ?」

 

 年若い男性従業員に突っ込みを入れられながらも、理由は分からんけど安全な場所にいられるということは体をゆっくりと休めることが出来るなら今は深く考えないでおくことにした。

 それと安心して休めるならばと、俺は宿泊したいと頼んで返してくれたのには世の中まだ捨てたものでないと感激してしまうのだった。

 宿泊の許可を貰った後、俺は借りた一室の中でベッドに寝転がりつつスマホに入れてあるFGOのアプリの内容を再確認。

 

「あったかいです……」

 

 再確認の際、静謐が俺に抱き枕のようにくっついてきて柔らかくて良い匂い……待て、落ち着くんだ俺。

 そっちの戦闘準備を万端にする必要は今はない。

 とある名言風味にすれば、集中するというのは自分との闘いだ。

 静謐の誘惑にも勝てないような奴が、どうして自分との闘いに勝てるんだ。

 集中、集中……とにかく今はアプリの中に何かないかを探すことに集中しなきゃ。

 という、変なテンションや考えに行きながらスマホを弄っていくと、ある機能が出現しているのを確認する。

 

メニュー】

 英霊強化

 装備

 礼装・コマンドコード購入と強化

 ドール解放

 ステータス

 現在のQP・マナプリズム・レアプリズムの所持量

 バトルサポート

 ガチャ(New)

 ヘルプ

 

 なんと、ガチャ機能が出ていた。

 まずはタップしてみると、一日一回は十連ガチャをすることが可能で、それ以上を回すにはQPを支払う必要があるとヘルプの説明にあった。

 十連一回につき100万QPを消費し、出てくるものはお馴染みの礼装と英霊。

 ここまではQP消費を除いて今までと変わらないが、ピックアップガチャもあった。

 ピックアップされているのなんとまだ当てたことのないマーリンであり、日替わりと表示されていた。

 つまり、次の日になれば別の英霊がピックアップされ、それを繰り返すのだろう。

 

「ガチャかぁ……」

 

 因みに俺のQPは約2700万はある。

 無料を回した後は、QPの課金をするべきかに迷いながらガチャを回してみると出てきた結果。

 

 魂喰い×2 カムランの戦い エミヤ(弓) ロビン・フッド 激辛麻婆豆腐×3 若返りの霊薬 ジャガーマン

 

 不発で終わった。

 というか、よく考えてみたら、まだ育成し終わってない英霊……今はドールがいる。

 それらの育成に使えるだけ使ってから、QPの課金をするかどうかを考えようということにした俺は、QPをドール強化に消費していく。

 これは補足だが、静謐は既に強化の限界に到達していた為、これ以上強くするのは不可能だった。 

 

 

 



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