ごーすとたうん (くにむらせいじ)
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ごーすとたうん 前編

 
 まえがき

 くにむらせいじ(別名 SEY_Y 又は SAY_Y)です。

 例によって、短編集「アイデアノート ジャパリ・フラグメンツ」に投稿予定だったものが、書いてみたら長くなったため、単品で投稿することにしました。
 このおはなしは、アニメ1期のその後ですが、2期の要素も少し入っています。
 好き勝手に書いています。小説とも台本とも違う、変な書き方をしています。
 オリフレが登場しますが、他の方が考えられたフレンズとは違う子になっています。オリキャラに近いです。公式にいるフレンズも、性格などが変わっています。

 「前編」(第1話)・「中編」(第2話)・「後編」(第3話)の3話です。
 加えて、「あとがき・設定」(第4話扱い)、「おまけ」(第5話扱い)があります。



 

 午後遅く。海岸に近い道路。

 

 ジャパリバスが、舗装された道を、ガコンガコンと音を立てて走っていた。

サーバル  「なんか音ひどくなってなーい?」

 後部座席には、サーバル、アライグマ、フェネックがいた。バスはガタガタと揺れていた。

フェネック 「がりがりいってるねー……お?」

 バスがノッキングのような音を立てて、ガクンガクンと前後に揺れた。

アライグマ 「うっぷ……」

 アライグマが吐きそうになって、手で口元を覆った。

フェネック 「もうちょっとがんばってねアライさん」

サーバル  「がりがりがひどくなったよ? 下から聞こえるね」

 サーバルが床を見た。ガコンガコンという音に加えて、金属がこすれるガリガリという音が聞こえた。*1

かばん   「ラッキーさん、せいびこうじょう? ってまだなんですか?」

 運転席にはかばんがいた。

ラッキービースト(腕時計型)「整備工場マデの時間は……ナビゲーションデータ、更新中……更新中……更新中……」*2

 かばんが、ラッキービーストの丸い画面を見た。*3

かばん   「地図が切れてるね……」

 

【挿絵表示】

 

 ラッキービーストの画面に表示された地図は、右側が階段状に欠けていた。

フェネック 「このまま進んでいいのー?」

かばん   「予定通り東へ向かいます。あれに沿っていけば、ヒトがいた場所に行けるはず」

 かばんが左を見た。モノレールの高架が、今進んでいる道路と平行して通っていた。*4

かばん   「バスを直す場所だから、大きい道のそばに……」

 突然、ガクンと車体が揺れた。

アライグマ 「うっ! おええぇ……」

サーバル  「うぎゃー!!」

かばん   「なに!?」

フェネック 「うしろは見ちゃだめだよかばんさん」

 

 

 しばらく経って。

 

 ジャパリバスは廃墟の町へ入った。低いコンクリートのビルが並んでいた。その1階には商店の跡があった。ビルは汚れて一部が崩れており、ガラスのほとんどが割れていた。一部の建物には、ツタが絡まっていた。地面の舗装も割れたり剥がれたりしていて、剥がれた所に草が茂っていた。放置された自動車は、塗装が剥がれて錆びており、タイヤが溶けたように潰れていた。

かばん   「なんだか不気味な場所だね……」

サーバル  「こういうへんなところって、ヒトがいそうじゃない?」

フェネック 「四角いおっきいのは、ヒトが作ったものだねー」

アライグマ 「もう降ろしてほしいのだぁ……」

かばん   「あれ?」

 バスの行く先の道が、瓦礫に埋もれてふさがっていた。

サーバル  「すすめないよー!」

かばん   「回り道とか……」

 ガコンと音がして、バスが停止した。

かばん   「ラッキーさん? 止まっちゃいましたよ?」

ラッキー  「ほかのラッキービーストを呼んでいるヨ。チョット待っててネ」

 

 

サーバル  「あれ? なんか聞こえるよ?」

フェネック 「がりがりって聞こえるねー」

かばん   「だれかいるのかな?」

アライグマ 「がりがり? どっちからなのだ?」

サーバル  「あっちだよ」

 サーバルが、交差点を右折した方を指差した。

アライグマ 「せいびこうなのだ! バスがなおせるのだ!」

 アライグマがバスから降りて、走って行った。

かばん   「わ! 待ってください!」

フェネック 「アライさーん、そのがりがりは違う音だよー」

 

 

 4人はコンビニのような店の前にやってきた。看板には『リカーショップつぐみ』とあった。店は薄汚れていたが、この町の建物の中では状態が良い方だった。

 

 店内。

 

???   「がりがりがり、かじかじ……」

 

アライグマ 「こんにちはなのだ! バスを……」

 開きっぱなしの自動ドアから 、アライグマが店に入ってきた。

サーバル  「だあれ?」

 追って3人が入ってきた。

 店内のレジカウンターに、緑色の髪と服の、小柄な鳥のフレンズがいて、ワインの瓶のふたを一生懸命かじっていた。鳥のフレンズは入り口に対して横を向いており、店に入って来た3人には気づいていなかった。*5

フェネック 「がりがりって、この音だったのかー」

アライグマ 「おーい!」

 アライグマが、鳥のフレンズの肩をたたいた。

 

鳥の子   「ちーっ!!」 *6

 

 鳥のフレンズが驚いて、カウンターの外に瓶を落とした。瓶が割れ、赤ワインが床に広がった。

 

かばん   「なんかこわれちゃったよ!」

 鳥のフレンズは、ぼーっとした顔で、こぼれたワインを見た。

鳥の子   「ちー…」

 鳥のフレンズがハッとなって、3人を見た。

鳥の子   「あ、えと、いらっしゃいませ!」

フェネック 「ごめんねー、おどろかせちゃって」

鳥の子   「いえ、だいじょうぶです」

 

鳥の子   「わたしはメジロっていいます。ここの、てんいん? です」

  鳥綱 スズメ目 メジロ科 メジロ属

  メジロ Japanese White-eye

  Zosterops japonicus *7

 

かばん   「てんいん?」

サーバル  「わたしはサーバル。この子がかばんちゃんで……」

アライグマ 「アライさんはアライさんなのだ」

フェネック 「わたしはフェネックだよー」

サーバル  「これはなに?」

 サーバルが、床にこぼれたワインを見た。

メジロ   「それはその……わたしもよくわからないんです……」

アライグマ 「ふんふん……」

 アライグマがしゃがんで、ワインのにおいをかいだ。

アライグマ 「刺激的なにおいなのだ」

フェネック 「くだものっぽいけど、ちがうねー」

アライグマ 「ぺろっ……」

 アライグマがワインをなめた。

かばん   「なめちゃだめですよ!」

アライグマ 「ぴ!」

 アライグマがビクッとなった。

アライグマ 「これは、とっても刺激的な……ぺろぺろぺろ……」

サーバル  「ぴちゃぴちゃぴちゃ……」

 サーバルもしゃがんで、ワインをなめ始めた。

かばん   「サーバルちゃんまでぇ……」

サーバル  「なにこれ! ピリピリする……」

 

 

 少し経って。

 

アライグマ 「ちょっと気分がよくなったのだ」

サーバル  「もっとほしーい!」

 サーバルは楽しげだった。

メジロ   「似たようなのなら、たくさんありますよ」

 メジロが店内を見渡した。棚には、ワイン、ウイスキー、日本酒などが並んでいた。缶ビールやカクテル、ソフトドリンクもあった。

かばん   「これあぶなくない? ふたりとも変だし……」

フェネック 「あぶないにおいはしないねえ。つんとくるけど、おいしいかもだよ」

メジロ   「おいしいのもあるんですが、殻がすっごく硬くて……」

 メジロは、ため息をつくように言った。

アライグマ 「今までどうやって飲んでたのだ?」

 メジロが、日本酒の瓶を手に取って、蓋をかじり始めた。

メジロ   「……かじかじ……はしっこを、かじるとっ、あくのもあるんですよっ……がりがりがり……」

かばん   「これは……」

 かばんが、オレンジジュースのペットボトル*8 を手に取り、蓋を回した。カチカチと音がして、蓋が開いた。

メジロ   「ええ!? どうやったんですか!?」

かばん   「え? これは回せば開くみたいです」

 

アライグマ 「まわせばいいのか」

 アライグマが、白ワインの瓶を手に取った。

サーバル  「どこをまわすの?」

 サーバルは『MATATABEER』*9 と書かれた缶ビールを手に取った。

 

 メジロはキラキラした目で、かばんが開けたペットボトル入りオレンジジュースを見つめた。

メジロ   「それぇ! いちばんおいしいやつですぅ!」

かばん   「どうぞ」

 かばんは、オレンジジュースをメジロに差し出した。

 

アライグマ 「あかないのだぁ!」

サーバル  「うみゃみゃみゃ……」

 ふたりは、瓶と缶をいじったり振ったりした。

フェネック 「ふたりともー、むりしないで……」

 

メジロ   「いいんですか! あなたが先に……」

かばん   「飲みたかったんですよね」

メジロ   「ほわあー……」

 メジロは、感動して目をうるませた。

メジロ   「ありがとうございますぅ! ……ごきゅ」

 メジロが、オレンジジュースを受け取って飲み始めた時だった。

 

 アライグマが、マッシュルーム型のコルク栓を乱暴にひねった。

 サーバルが、ビール缶に爪を突き刺した。

 

 ポン!!

アライグマ 「あう!」

 勢いよく飛んだコルク栓が、アライグマの額に当たった。

 ぶしゅー!!

サーバル  「うみゃー!!」

 サーバルは、噴き出したビールを顔に受けた。*10

 アライグマも、噴き出したスパークリングワインを顔に受けた。

 

 

 1時間ほど経って。

 

サーバル  「ふへへぇ……うみゃーん……ぐるる、ぐるる……」*11

 サーバルが顔を赤くして、床に座っているかばんに抱き着き、ほおずりしていた。

かばん   「……サーバルちゃ……んん……」

フェネック 「こっちがはずかしくなるくらいなかよしだねぇ」

かばん   「そ、そっちも同じですよぅ」

 アライグマは、フェネックの膝を枕にして、うとうとしていた。

アライグマ 「……へねっくぅー……」

 アライグマは体勢を変えて、フェネックの腰に抱き着いた。フェネックは、アライグマの頭をやさしくなでた。

 床には、ビール缶と、中身が半分になったワインの瓶が転がっていた。

 

 メジロが顔を赤くして、いちゃついている4人から目をそらし……

メジロ   「……ごく」

 ……缶入りのカシスオレンジを飲んだ。*12

 

ラッキー  「カバン、ほかのラッキービーストが、バスに到着シタヨ」

かばん   「ラッキーさん、“せいびこうじょう”は……」

ラッキー  「整備工場の場所を教エテもらったヨ。バスを整備工場へ移動スルヨ」

 

 

 ラッキービースト(かばん達と一緒にいるラッキービーストとは別)が、バスの運転席に乗り込み、バスが動き始めた。

 

 

 4人が店を出た。

 

かばん   「おさわがせしました」

メジロ   「いえ、とーってもいいこと教えてくれて、ありがとうございましたー!」

 メジロは満面の笑みだった。

サーバル  「ふわぁ、眠くなっちゃった……」

アライグマ 「きもちわぅっ、うええぇ……」*13

フェネック 「アライさん、またやってしまったねぇ」

 

???   「ちちちちちちー!」 *14

 突然、店の前を茶色い鳥のフレンズが通り過ぎ、上昇していった。

 

????  「まてー!」

 茶色い鳥のフレンズを追って、ネコ科のフレンズが走ってきた。

 

ネコ科の子 「まちにゃさぃ……はあ、はあ……」

 ネコ科のフレンズが立ち止まった。

 

サーバル  「狩りごっこだー!」

 サーバルが急に元気になった。

 

ネコ科の子 「はっ!」

 ネコ科の子が、店の前の面々に気づいた。

 

メジロ   「またにげられたんですかー?」

 メジロは、からかうように言った。

ネコ科の子 「に、にげられたんじゃないわ! 手加減してやったのよ!」

 ネコ科の子が店へ近づいて来た。

かばん   「この子はお知り合いですか?」

メジロ   「この子は、この町に住んでるノラネコちゃんです」

 

ネコ科の子 「ノラネコじゃないわよ! イエネコよ!」

 

 

 

 中編へつづく

 

 

 

 

 

 

 

 

*1 がりがり音は、トラクターの後軸のデフあたりから出ています。軸受けや、ギア関係が壊れているようです。他にも、サスペンションなどいろいろな所にガタが来ています。

*2 ラッキーさんは、途中まではデータサーバーから地図データを取得していましたが、電波が弱く、通信が切れてしまいました。整備工場は大まかな位置だけ分かっています。他のラッキービーストから地図データを貰おうともしています。

*3 立体映像にすればよかった……と、書いてから思いました。

*4 地図の緑の線が道路で、青の破線がモノレールです。アニメ2期に出てくるモノレールの高架は、なんであんなに高く作ったのか不思議です。自然環境への影響を少なくするためかもしれません。

*5 コルク栓の上にキャップシールが被さってています。キャップシールは歯で破れるかもしれませんが、コルク栓を道具なしで抜くのは困難です。あと、サーバルとフェネックは耳が良すぎです。

*6 この「ちーっ!!」は、高音で、かわいらしい感じの声です。(元の鳥の地鳴きです)

*7 動物の分類と名前の紹介は、アニメ1期と2期で書き方が違います。(1期:目~英名、2期:綱~学名)本作では、詳しめの書き方にして、英名と学名の両方を書きます。

*8 350mlのペットボトルです。期限切れで、中身はちょっと茶色くなっています。ただ、この店の商品は、時々補充されているようです(どこから来るのかは謎)。

*9 BierとBEERで迷ったんですがBEERで。

*10 瓶と缶は常温で放置されていたため、内部の圧力が上がっていました。

*11 「ぐるる」は喉鳴らし(ごろごろ)です。原作ではサーバルが喉を鳴らすシーンはありませんが、元の動物のサーバルは喉を鳴らすようです。

*12 缶の口(タブ)は、かばんが開けました。

*13 乗り物酔いしていたところにアルコールが入ってひどいことに……。

*14 この「ちちちちちちー!」は、メジロよりも少し低い、普通の高さの声です。 かわいい悪ガキっぽい感じです。




 前編あとがき

 読んでいただきありがとうございます。

 前編の最後でやっとメインのキャラクターが登場しました。中編は狩りごっこです。


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ごーすとたうん 中編

 
 まえがき

 これは中編(第2話)です。




 

イエネコ  「ノラネコじゃないわよ! イエネコよ!」

  哺乳綱 ネコ目 ネコ科 ネコ属

  イエネコ Cat  *1

  Felis silvestris catus

 

 イエネコが、メジロ以外の面々を見た。

イエネコ  「よ、よろしく……」

 イエネコは急にしおらしくなって、うつむき加減で頬を赤くした。

アライグマ 「どうしたのだ? えと、アライさんはアライさんなのだ」

かばん   「ぼくはかばんです。はじめて会う人の前って、ドキドキしますよね」

サーバル  「わたしはサーバルだよ! ドキドキするの? よくわかんないなー」

フェネック 「まーそういう子もいるのさー。わたしはフェネックだよー、よろしくねー」

サーバル  「ねえねえ! さっき『ちちちー』って飛んでった子はだれ?」

 

メジロ   「あのかわいい子は……」

 

???   「くちゅん!」

サーバル  「ちゅん?」

フェネック 「くしゃみー?」

 サーバルとフェネックが、遠くを見た。

 追って、店の前の4人が、店から少し離れた所にある、傾いた電柱の上を見た。電柱は高く、15m近くあった。

 

 電柱のいちばん高い所にある横棒*2 に、茶色い鳥のフレンズが座っていて、店の前を見ていた。

 

メジロ   「……スズメちゃんです」

 

スズメ   「げぇ! みつかった!」

  鳥綱 スズメ目 スズメ科 スズメ属

  スズメ Tree Sparrow

  Passer montanus

 

イエネコ  「スズメ! あんなところにぃ!」

 イエネコが電柱へ向かって、ものすごい速さで走った。歩幅が大きかった。

サーバル  「わたしもっ!」

 サーバルが楽しげにイエネコを追った。こちらはもっと歩幅が大きくて速かった。

かばん   「ぇえ!?」

 

 イエネコが素早く電柱をのぼっていった。

サーバル  「うみゃっ!」

 サーバルがジャンプして、電柱に飛びついた。着地点はイエネコのすぐ下だった。

スズメ   「増えてるしー!」

 スズメが飛び立った。

 

サーバル  「みゃみゃっ!」

 サーバルはイエネコを追い越し、一瞬で電柱のてっぺんに登った。

 

サーバル  「うー」

 サーバルは、登った勢いを残しつつ、体を丸め……

サーバル  「みゃーーっ!!」

 ……体をバネのように伸ばして、同時に電柱のてっぺんを蹴って、大ジャンプした。反動で電柱が大きく揺れた。

 

イエネコ  「わぁ……」

 電柱を登りきったイエネコは、サーバルのジャンプに見とれた。

 

 サーバルの手が、スズメの足をかすった。

スズメ   「ちゅん!」

 スズメは驚いて一瞬跳ねあがった。

 

サーバル  「ふっ」

 サーバルは、ほとんど足音をたてずに着地した。

 

スズメ   「なんだよ今の! 猛獣は反則だぞー!」

 スズメが飛び去って行った。

 

サーバル  「にげられちゃったー」

 サーバルが速足で戻ってきた。彼女は笑顔で、残念そうには見えなかった。

 

イエネコ  「すごい……」

 

サーバル  「え?」

 サーバルが止まった。

イエネコ  「すごすぎるわ! えっと、サー、サー……」

 イエネコは、電柱のてっぺんに抱き着いたまま、キラキラした憧れの目でサーバルを見ていた。

サーバル  「サーバルだよ?」

 

イエネコ  「サーバルねえちゃん!」

 

かばん   「ええ!?」

サーバル  「ねえちゃん!?」

フェネック 「おー」

アライグマ 「サーバルには妹がいたのか」

サーバル  「いないよ! たぶん……」*3

イエネコ  「おーっきいジャンプ! 着地もかっこよかったわぁ!」

サーバル  「えへへー……つかまえられなかったけどね」

 サーバルが、ちょっと恥ずかしそうに笑った。

イエネコ  「でもでも、スズメが飛んだあとにジャンプしたのに手がとどいたし! のぼるのも2回手足をついただけ! けった時、はしらがゆれたわぁー! 力が強いのねー!」

 イエネコは、興奮して早口でしゃべった。

イエネコ  「体のひねりとか、手足ののばしかたがすっごくきれい! 目も耳も良くて、完璧にねらえたのね! 着地は、つま先をついて、足首、ひざ、足、腰の順で曲げて衝撃をおさえて……しかも体は全然ぶれてない!」

サーバル  「わたし、そんなすごいことしてたんだ……」

 サーバルは、純粋に驚いていた。

イエネコ  「あれだけの動きをするには、ものすごいバランス感覚が……」

 

フェネック 「あのさ、そこじゃなんだし、下でおはなししない?」

 店の前にいた面々が、電柱の下に歩いてきた。

イエネコ  「…………」

 イエネコが黙り込んで、真下を見て青ざめた。

かばん   「あの、もしかして……」

イエネコ  「おりられなくなんて、なってないわよぅ!」

サーバル  「そこからジャンプできない?」

イエネコ  「……たすけて、サーバルねえちゃん……」

 イエネコは、すがるような目でサーバルを見つめた。

 

 

 数十分後。

 

 6人が『リカーショップつぐみ』の前に座って、ジャパリまんを食べていた。

 座り順は、前から見て左から、アライグマ、フェネック、かばん、メジロ、サーバル、イエネコだった。

 

かばん   「のぼる時より、おりる時のほうが怖いですよね」

イエネコ  「……こわくなんか、ないもん……」

 イエネコは、落ち込みとふてくされが混ざった様子だった。

サーバル  「かーわいー!」

 サーバルが、イエネコを笑顔で抱きしめた。

イエネコ  「う……や……ねーちゃん…………ごろごろ……」

 イエネコは、目を閉じてサーバルに身をあずけ、喉を鳴らした。

サーバル  「へへへぇ……」

 サーバルはとても嬉しそうだった。

メジロ   「ノラネコちゃんが、こんなに懐くなんて……」

イエネコ  「ノラネコじゃないわよぅ……」

サーバル  「イエネコだよー、ねえ」

イエネコ  「ごろごろ……」

 イエネコは、喉を鳴らしながらサーバルにほおずりした。サーバルは目を閉じて、やさしい顔をした。

サーバル  「ぐるる、ぐるる……」

 

かばん   「…………」

 かばんは、サーバルとイエネコを無表情で見ていた。

 それをフェネックがちらりと見た。

 

かばん   「イエネコさん、下りられなくなるのに、なんで登ったんですか?」

イエネコ  「スズメを見てると、つかまえたくなるの」

サーバル  「すっごくつかまえたくなる子だよね!」

 

かばん   「気が合うんだね……」

 かばんは、素っ気ない感じで言って、サーバルとイエネコから顔をそらした。

フェネック 「…………」

 フェネックは少し考えこんでいるようだった。

 

メジロ   「あんなにかわいいんだから、つかまえたくもなりますよ!」

イエネコ  「そういう意味じゃないの!」

 

 フェネックが少し前かがみになって、イエネコを見た。

フェネック 「イエネコさん、メジロさんはつかまえたくならないのー?」

イエネコ  「かんたんにつかまえられるから、おもしろくないわ」

メジロ   「ひどいですー」

 

イエネコ  「サーバルねえちゃん、スズメをつかまえる方法おしえて?」

フェネック 「あー、かばんさんに考えてもらったら?」

かばん   「ぅえぇ! ぼく?」

フェネック 「サーバルはすぐつかまえちゃうから、おもしろくないでしょ?」

サーバル  「なにそれー、よろこんでいいの?」

イエネコ  「でもあたしは、サーバルねえちゃんみたいな、かっこいいやり方がいいの」

アライグマ 「かばんさんはすごいのだ! おもしろい方法を考えてくれるのだ!」

メジロ   「興味あります、それ!」

かばん   「あんまり期待しないでください……」

 

 

 『リカーショップつぐみ』に近い、住宅地の道路。

 

メジロ   「ここでよく、スズメちゃんがボスからジャパリまんをもらってるんです」

 

 かばんが、シャンパンクーラー*4 に日本酒を注ぎ、そこにジャパリまんを浸した。

メジロ   「ふしぎなことしますねぇ」

かばん   「これを置いて、向こうに隠れます」

 かばんが、酒を含んだジャパリまんを交差点の中央に置いた。

フェネック 「なるほどねー」

 

 

 しばらく経って。

 

 スズメが飛んできて、ジャパリまんから少し離れた所に着地した。

スズメ   「むう……」

 スズメは、少し警戒した様子で、両足をそろえてぴょんぴょんと飛び跳ねて歩き*5 、ジャパリまんに近づいていった。

 

 かばん、アライグマ、フェネック、メジロが、塀の陰に隠れ、小声で会話していた。

アライグマ 「へんな歩き方なのだ」

メジロ   「ふふ……かわいいですよねぇ」

 

 スズメが、ジャパリまんのにおいをかいだ。

スズメ   「くんくん……くちゅん!」

 

フェネック 「あれって、くしゃみなのー?」

メジロ   「ぷぷぷ……」

 メジロが口をおさえて笑いをこらえた。

かばん   「おおきい声出しちゃだめですよ!」

 

 スズメは、ジャパリまんを一口食べて、少し動きを止めた。そしてその場に座り込んで、ジャパリまんを食べ始めた。

 

サーバル  「いっちゃえ! イエネコ!」

 サーバルとイエネコは、民家の屋根の上にいた。

 ふたりの視線の先にはスズメがいた。

 スズメは、ジャパリまんに夢中になっている様子だった。

 

 イエネコが下を見た。

 

イエネコ  「……うぅ……」

サーバル  「だいじょうぶだよ。ネコ科はこの高さならけがしないから」*6

イエネコ  「あの子、サーバルねえちゃんでも、つかまえられなかった……」

サーバル  「イエネコは頭がいいから、ちょっと練習すれば、わたしより狩りがうまくなるよ」

イエネコ  「え?」

 イエネコは、驚いてサーバルを見た。

サーバル  「一瞬でわたしの動きがぜんぶわかっちゃうのは、頭がいいからだよ」

 サーバルが微笑んだ。

イエネコ  「…………」

サーバル  「ほら、がんばって!」

 

 イエネコが姿勢を低くして、おしりを振ってスズメに狙いを定めた。

 

イエネコ  「にゃーー!!」

 イエネコがジャンプして、スズメに襲い掛かった。

 

スズメ   「うわぁ!! あうぅっ」

 スズメは飛びたったが、ふらついた。顔が赤かった。

 

 イエネコが、スズメがいた所に両手で着地し、肘と肩を使って衝撃を吸収し、両足をついて……

イエネコ  「ふっ!」

……体の向きをスズメの方に変え、体を起こしながら数歩助走し……

 

イエネコ  「にゃあーっ!!」

……体をバネのように伸ばしてジャンプした。

 

 イエネコがスズメの背中に覆いかぶさって……

スズメ   「ぉわっ!」

……スズメの腰をつかみ、地面に押さえこんだ。

 

イエネコ  「はあ、はあ、はー……」

スズメ   「あうあう……あれぇ?」

 スズメは顔を赤くして、目をまわしていた。

 

イエネコ  「やった……」

 イエネコは、嬉しそうにスズメの腰を抱きしめた。

 

 

スズメ   「たた、た、たべないでーー!!」

イエネコ  「たべないわよ!」

 

 

 少し経って。

 

スズメ   「ずるいぞーこんなやり方!」

 スズメは、イエネコに抱きしめられて、つかまえられていた。

かばん   「あわわ……ごめんなさい……」

アライグマ 「かばんさんが助けたけど、イエネコがスズメをつかまえたのはたしかなのだ」

サーバル  「イエネコは細かい動きが得意なんだね。やっぱり狩りに向いてるよ」

イエネコ  「……あ、あたりまえよ! あたしはサーバルねえちゃんの弟子なんだから!」

かばん   「弟子!?」

サーバル  「でしってなあに?」

 

フェネック 「謎の声がくしゃみだったのか知りたいねぇ」

スズメ   「なんだそれ?」

イエネコ  「あのくしゃみに何度おちょくられたことか……」

スズメ   「おちょくってないぞ!」

アライグマ 「イエネコは、どうしてそんなにスズメをつかまえたかったのだ?」

イエネコ  「それは、えっと……」

サーバル  「つかまえたくなる子だからだよね」

メジロ   「あの、それはですね……」

 

イエネコ  「つかまえて、ごしゅじんにあげるの」

 

スズメ   「プレゼントにされるのか!? わち!?」*7

かばん   「ごしゅじん?」

メジロ   「イエネコちゃん、あなたのごしゅじんは……」

イエネコ  「ごしゅじんは、ヒトなの」

かばん   「ヒト?」

 4人がハッとなった。

イエネコ  「ヒトっていうのは、とてもへんな動物なの。おっきなみみも、羽もしっぽもなくて、ものをうまく使ったり、作ったり……そう、あなたみたいな……」

 イエネコが、かばんを見た。

かばん   「ぼくはヒトですよ。イエネコさん」

イエネコ  「やっぱり! そうじゃないかなーって思ってたの!」

サーバル  「やったねかばんちゃん! ヒトに会えるよ!」

スズメ   「わちは、“ごしゅじん”だか“ヒト”だかに何をされるんだ……」

 スズメは若干おびえていた。

イエネコ  「たべる……じゃなくて! モデルになってもらうわ。ごしゅじん、あたしばっかり撮るから、おかねがもらえないーとか……。だから、たまにはほかの子も撮ったらって」

アライグマ 「もでるってなんなのだ?」

イエネコ  「写真に撮られる子のことよ。えっと、写真っていうのは……ものを、ぺらぺらに写すっていうか……」

サーバル  「ぜんぜんわからないよ」

イエネコ  「見ればわかるわ、サーバルねえちゃん」

 

 

 

 後編へつづく

 

 

 

 

 

 

 

 

*1 この書き方だと独立種っぽいですが、イエネコはヨーロッパヤマネコの亜種、とする場合もあります。イエネコとその近縁種をどう分類するかは見解が分かれているようです。イエネコの祖先はリビアヤマネコ(ヨーロッパヤマネコの亜種?)と考えられています。

*2 この棒は、高圧線がかかっていたものです。電線は一部が残っています。形状的にここに座れるのか? 体重に耐えられるのか? という疑問が浮かびますが、電線のかけ方は様々ですし、鳥のフレンズは体重が軽い(?)ので座れました。

*3 サーバルには、兄弟姉妹(元の姿のまま)がいる可能性もあります。

*4 『リカーショップつぐみ』にあったものです。浅い形のものです。

*5 スズメのあの歩き方(ホッピング)です。フレンズの姿でこれをすると、かなり不自然です。

*6 実際には ネコは低い場所から落ちて怪我をすることもあります。

*7 「わち」については、あとがき・設定(第4話)に書いてあります。アクセントは「わし」と同じですが、「うち」みたいになる時もあります。




 中編あとがき

 読んでいただきありがとうございます。

 一行は、ごしゅじんの巣へ向かいます。



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ごーすとたうん 後編

 
 まえがき

 これは後編(第3話)です。



 

 アパートの1階の、小さな裏庭。

 

 少し日が傾いて、空がオレンジ色に変わり始めた。

 

 裏庭の地面は人工芝で、隙間から草が生えていた。部屋の裏口には縁側があった。裏口はガラスの引き戸だった。

イエネコ  「かたづけるから、ちょっとまってね」

 イエネコが戸を開けて部屋に入り、すぐに戸を閉めた。戸のガラスは曇りガラスだったため、室内は見えなかった。*1

 

 しばらく経って、引き戸が開いた。

イエネコ  「どうぞー」

かばん   「おじゃまします……」

 かばんたち一行が部屋に入った。誰もいなかった。

 部屋はワンルームタイプで、そこには、ベッドと、パソコンのある机と、A3のプリンターと、本棚と、撮影機材*2 と、テーブルなどがあった。机の上や床には書類や本などが積み重なっており、雑然としていた。壁や棚などに爪とぎの跡があった。

サーバル  「へー、ここがヒトの巣なんだね」

 

アライグマ 「せまいのだ! むりに入るななのだ!」

 部屋は狭くて物が多く、7人も入るとぎゅうぎゅうだった。

フェネック 「アライさんとわたしは向こうにいるよー」

 アライグマとフェネックは、庭から見て一番奥の、玄関の近くに立った。

スズメ   「わちは外に……」

 スズメが庭へ出ようとした。

イエネコ  「だめ! あんたはプレゼントなの!」

 イエネコは、スズメの腕をおさえていた。

メジロ   「にげないでくださいね、かわいいプレゼントさん」

 メジロは庭側の入り口にいて、スズメを通せんぼした。

スズメ   「なんか怖いぞみんな!」

 

サーバル  「でも、あげる相手がいないよ?」

かばん   「ごしゅじんさんはどこに……」

イエネコ  「ちょっと、出かけてるの……」

 イエネコがうつむいて暗い顔になった。

サーバル  「ん?」

かばん   「もどりはいつごろですが?」

イエネコ  「…………」

 イエネコは無反応だった。

 

メジロ   「えと、写真を見ましょうか!」

 イエネコが顔を上げた。

イエネコ  「かべにあるのが、ごしゅじんが撮った写真よ」

サーバル  「すっごーい! たしかに、動物がそのままぺらぺらに写っているね!」

 部屋の壁に、いくつかの写真が貼られていた。サバンナやジャングルで撮られた、フレンズではない動物の写真が多く、町にいる猫の写真もあった。

かばん   「図書館で似たようなものを見たね」

イエネコ  「あと、これも」

 イエネコは、アルバムを数冊手に取って、ちょっと自慢気に見せた。アルバムに入っていない、束になった写真もあった。

 アルバムにも動物の写真があった。フレンズや、在りし日のパークの写真もあった。

かばん   「昔のパークって、こんなだったんですね」

サーバル  「もっと見せて!」

 5人は、しばらく写真に見入った。

スズメ   「このネコ、もしかして……」

サーバル  「イエネコの元の姿だね!」

 

アライグマ 「よく見えないのだ!」

 アライグマとフェネックは、写真を見ているフレンズの輪の外にいて、そこからでは写真がよく見えなかった。

フェネック 「アライさん、あとでゆっくり見せてもらおうよー」

 

かばん   「あれ? フレンズのイエネコさんの写真、少ないですね」

イエネコ  「それはその……」

 イエネコが本棚の前に立ち、アルバムを取らせまいとした。

メジロ   「わかりやすいですねぇ」

サーバル  「見せてよー!」

イエネコ  「しょうがないわね……」

 イエネコは、棚から一冊のアルバムを素早く抜き取った。

イエネコ  「サーバルねえちゃん! こっちへ!」

 イエネコは、ベッドとクローゼットの隙間*3 で、アルバムを体で隠すようにして開いた。サーバルが、ベッドの上からそれを覗き込んだ。

サーバル  「わー! かわいー!」

 サーバルが笑顔になった。イエネコは顔を赤くしていた。

スズメ   「なにを見てるんだ?」

 サーバルが、上から手を出して、ページをめくった。

イエネコ  「わ! だめ!」

サーバル  「いいじゃない! すっごくかわいいよ! 横顔もきれいだねー」

スズメ   「すごい気になる……」

サーバル  「毛皮がないのもあるんだね!」

かばん   「ぅええ!?」

イエネコ  「わー! 言わないでー!」

スズメ   「毛皮ってなくなるのか?」

メジロ   「どういうことでしょう?」

かばん   「たしかに、それは見せられないね……」

 

スズメ   「ちょっとは見せろよ……」

 スズメが、部屋を見渡した。

スズメ   「ん?」

 床に紙切れが落ちていた。その近くの棚に、大きめの引き出しがあった。引き出しは爪とぎの跡でボロボロだった。引き出しには紙切れが挟まっていた。

 スズメが、引き出しの端を爪でカリカリと引っかいた。

スズメ   「あくのか? これ」

かばん   「それは引っ張ればあくんですけど……」

 

サーバル  「イエネコって、かわいさときれいさとかっこよさ、ぜんぶ持ってるんだね!」

イエネコ  「もうやめて……やめてよぅ……」

 イエネコは顔と耳を赤くして、顔を手で覆った。

 

 スズメが、引き出しの取っ手に手をかけた。

スズメ   「かたいな、これ……」

 スズメは引き出しを無理やり開けようと、取っ手を強く引っ張った。

かばん   「勝手にあけちゃだめですよ!」

 

イエネコ  「え?」

 イエネコがハッとして、スズメが開けようとしていた引き出しを見た。

 

 引き出しが少し開いた。引き出しの中には、紙がぎゅうぎゅうに詰め込まれていた。

 

 

イエネコ  「だめーーー!!」

 イエネコが悲鳴をあげた。

 

スズメ   「おわっ!」

 スズメが驚いて、取っ手を強く引っ張った。引き出しが外れ、たくさんの紙が飛び出した。

 

 

アライグマ 「どうしたのだ!」

 アライグマとフェネックが、写真を見る輪に無理やり入ってきた。

フェネック 「なにがあったのさ……」

 

 

 重苦しい沈黙があった。

 オレンジ色の光が、斜めに部屋へ差し込んでいた。

 

 

 床に散らばったたくさんの紙は、写真だった。紙の大きさは様々で、細かく破かれた、たくさんの紙切れもあった。

 

 イエネコは、床に落ちた大きめの写真を拾い上げ、オレンジ色の光に照らされたそれを、じっと見つめた。

 

 写真には、イエネコと、誰か分からない人物が一緒に写っていた。

 写真のイエネコの顔が、数本の線で切り裂かれていた。

 人物はイエネコの肩を抱き寄せており、笑顔だった。

 背景はこの部屋で、腰より下が写っていなかったが、ふたりはベッドに座っているようだった。

 

イエネコ  「プレゼント、もってきたわよ……ごしゅじん……」

 イエネコの声は小さく、祈るようだった。

 

 他の写真も、撮影場所は様々だったが、同じ人物が写っており、一緒に写っているイエネコの顔が切り裂かれていた。

 

 

 また沈黙があった。

 

 

 スズメが沈黙を破った。

スズメ   「ごめん、ほんとにごめん……」

イエネコ  「いいのよ。悪いのはあたしなの」

 

かばん   「あの、えっと……」

メジロ   「悪いのはこのひとですよ! 勝手にいなくなって!」

 メジロが、写真に写っている人物を指差した。

サーバル  「だれも悪くないよ!」

 

イエネコ  「……いなくなって、ないもん……ちょっと出かけてるだけだもん……」

 イエネコの声は悔しげで、涙声になっていた。

 

 

 また沈黙があった。

 

 

フェネック 「みんなー、ちょっとこのお部屋から出ようか」

 

 

 

 

 アパートの小さな裏庭。

 

 空は、オレンジから赤へのグラデーションになった。雲が立体感を増した。

 

アライグマ 「なんでこんなぎゅうぎゅうに座るのだ!」

7人は、アパートの小さな庭の縁側に、隙間なく座っていた。*4 座り順は、前から見て左から、アライグマ、フェネック、かばん、メジロ、スズメ、イエネコ、サーバルだった。

アライグマ 「アライさん、はみ出してるのだ!」

 アライグマは縁側の一番端に座っていて、おしりが半分しか乗っていなかった。

メジロ   「なかよしでいいじゃないですか! あったかいし、かわいいスズメちゃんとくっつけるし!」

 メジロは笑顔で返して、スズメにもたれかかって、その肩に腕をまわした。

スズメ   「やめろ! というか挟まれて逃げられないぞ……」

 

イエネコ  「ごめん。スズメをつかまえたのは、プレゼントじゃないの。いたずらすれば、ごしゅじんに怒られるかなって、思っただけなの……」

 イエネコは、うつむいて、ぽつりぽつりと話し始めた。

イエネコ  「写真をやぶっちゃったのもそう。前に、写真をやぶって、すっごく怒られたの。また怒ってくれるかなーって……そんなことしても、ごしゅじんは帰ってこないのに……」

かばん   「だいすきなひとが帰ってこないなんて、どれだけ痛いか……想像がつかないです」

 イエネコがかばんを見た。

イエネコ  「ごめんなさいかばんさん。サーバルねえちゃん取っちゃって」

かばん   「うええ!? ぼくはそんなつもりじゃ!」

サーバル  「あー……わたしからもごめんね、かばんちゃん」

 サーバルがかばんを見て、苦笑いした。

かばん   「うう……」

 フェネックがアライグマを見た。

フェネック 「わたしは、アライさんが盗られたらー……」

フェネック 「燃えるね」

 フェネックは、ぼそっと言った。

アライグマ 「アライさんも、フェネックがいなくなったら……いな……くな…………あれれ? なみだが……」

 アライグマが目をこすった。

フェネック 「だいすきって、そういうものだねぇ」

 

サーバル  「だいじょうぶだよイエネコ! ごしゅじんのことがだいすきなら、会いたいって思ってれば、いつかまた会えるよ!」

 

イエネコ  「へ?」

 イエネコが少し驚いて、不思議そうにサーバルを見た。

イエネコ  「どうしてそんなこと言えるの?」

サーバル  「会えないなら、待てないから!」

イエネコ  「よくわからないよ……」

サーバル  「会えるのは、すっごく先かもしれないけど……」

イエネコ  「さきって、どのくらいの?」

サーバル  「わからないよ。……地面や空が、もう一回できるくらいかもね……」

イエネコ  「そんなに待てないわ! ……あたし死んじゃうよ! ぜんぶ忘れちゃうよ!」

サーバル  「それでも、ほんとうに好きなら、また会えるよ。がんばってね」

 サーバルは、イエネコの頭をぽんぽんと叩いた。

イエネコ  「にゃ……」

 イエネコは、サーバルに寄りかかり、目を閉じて、サーバルにほおずりした。

イエネコ  「……ごろごろ……」

 

サーバル  「ごろごろはもうだめっ」

 サーバルはイエネコの肩を押して、頬を離した。

 

イエネコ  「え?」

 イエネコは、信じられない、という顔でサーバルを見た。

サーバル  「それをするのは、わたしじゃないでしょ?」

 サーバルは子供に言い聞かせるように言った。イエネコがうつむいた。

 

 イエネコの肩越しに、サーバルとスズメの目が合った。

スズメ   「ん?」

 サーバルが満足げな顔をした。          *5

スズメ   「えー……」

 

かばん   「きびしいね、サーバルちゃん」

フェネック 「まー、サーバルもいろいろあったからねー」*6

かばん   「ぅえ?」

アライグマ 「師匠なのだ!」

 

イエネコ  「…………」

 イエネコは、泣くのをこらえていた。

 

サーバル  「なーんてね!」

 サーバルは、イエネコに笑顔を向けた。

 

イエネコ  「ふぇ?」

 イエネコが顔を上げた。

サーバル  「ごめんね! ずっとつらかったんだよね。いーっぱい甘えていいよ!」

 サーバルはイエネコを抱きしめようとした。

 

イエネコ  「にゃっ!」

 イエネコが飛びあがって、サーバルの腕をすり抜けた。

 イエネコは、縁側を蹴って高くジャンプした。かすかにサンドスターが飛び散った。*7 イエネコは、空中で体を丸めて前方に一回転した。そして足をのばして、木製のフェンスの上に着地した。着地の瞬間、かすかにフェンスがきしむ音がした。 *8

 フェンスはアパートの庭と隣家の敷地を仕切るもので、人の背丈より少し低い高さだった。

 

イエネコ  「あたしはっ……」

 イエネコは、声をつまらせ、縁側に背を向けたまま目をこすった。そして、片足を軸にして、くるりと向きを変え、サーバルを見た。

 

イエネコ  「あたしは、そんな子供じゃないわ! サーバルねえちゃん!」

 

 夕日が隣家の隙間を抜けて、スポットライトのようにイエネコの横顔に当たった。彼女の顔は少し大人びて見え、濡れた頬が光って見えた。*9

 

サーバル  「やるじゃない!」

かばん   「サーバルちゃんすごい……」

フェネック 「みごとだねぇ」

サーバル  「え? すごいのはイエネコだよ?」

 サーバルは本当に分かっていない様子だった。

アライグマ 「あめとむちなのだ……」*10

 

スズメ   「ふふっ……くちゅん!」

 スズメ立ち上がった。

メジロ   「スズメちゃん?」

 スズメは、イエネコが抜けたことで、目白押しから解放されていた。

 

スズメ   「イエネコッ!」

イエネコ  「ん?」

スズメ   「わちはねぐらに帰るぞー!」*11

 スズメが飛び立った。

イエネコ  「あ!」

 

スズメ   「ちちちちちちー!」

 スズメが、イエネコのすぐ上をかすめるように飛び、隣家の上へ飛び去って行った。

 

イエネコ  「まちにゃさい!」

 イエネコがジャンプして、隣家の屋根へ着地し、スズメを追って走った。

 ふたりの姿は、すぐに縁側から見えなくなった。

 

 

イエネコ  「にゃーーっ!!」

 

 薄暗くなった町に、イエネコの声が響いた。

 

 

 

 おわり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1 目隠しフィルムが貼ってあります。詳細は、あとがき・設定(第4話)に書いてあります。

*2 三脚・ストロボ・レフ板などの、簡易のスタジオのような機材です。この部屋は狭くて物が多く、撮影には向きませんが、比較的物が少ないベッドのあたりで撮影をすることもありました。

*3 ベッドとクローゼットの間には、戸を開けて出し入れするため、人が入れるくらいの隙間があります。設定の間取り参照。

*4 目白押しです。アパートに縁側があるのは珍しいと思います。一軒家に近いつくりです。本物の目白押しを見てみたいです。

*5 ( この子をよろしくね )

*6 まだ見ぬ過去も、過ぎた未来も、いろいろありました。サーバルは、自覚は無いですが経験豊富だと思います。

*7 縁側は木製で、結構しなります。ジャンプの高さは2階より高く、山なりのジャンプです。縁側の上には上の階のベランダがありますが、イエネコは、少し前方に飛ぶことでベランダを避けました。

*8 普通のヒトが飛び乗ったら、フェンスが壊れます。イエネコは、サーバルの真似をして、着地の衝撃を抑えています。体重が軽いというのもあります。体操選手っぽい動きですが、トランポリン無し助走無しで、高さ3~4m、前方に3mほどジャンプして、前転し、平均台より細くてもろいフェンスに横から飛び乗っています。人間業じゃないです。

*9 西日なので、イエネコから見て左から光が当たりました。(あとがきの間取り参照)

*10 この場合「飴と鞭」はちょっと違う気がします。あとアライさんは、フレンズにしてはちょっと難しめの言葉を知っているようです。「聡明」とか「無敵の布陣」とか。

*11 スズメは昼行性です。イエネコは薄明薄暮性です。




 後編あとがき

 読んでいただきありがとうございます。

 例によって、あとがきと設定が長くなったため、別の話(第4話)として投稿します。



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あとがき・設定

 
 これは、「ごーすとたうん」のあとがきと設定(第4話)です。

 設定には、地図や間取りの画像があります。



 

 読んでいただきありがとうございます。

 

 イエネコとスズメを、トムジェリみたいな関係にしたら……。というアイデアを思いついたんですが、全然違う方向に行ってしまいました。

 思いつくままに書いていったため、だらだらと長くなりました。欲張って詰め込みすぎたかもしれません。もっと削れる部分があると思うのですが、全部入れたくなってしまいます。

 この前書いた「せんじょう」が、色々な意味でひどかったので、今回はまともな、ほのぼのとした話を書きたかったんです。ですが暗い話になってしまいました。私は、何かがズレたものばっかり書いています。最後に泣いちゃうのもいつものことです。

 

 

 スズメに酒入りのジャパリまんを食べさせるのは、民話をヒントにしています。

 でも、本物のスズメに酒入りの餌をあげても捕獲できないと思います。それに(多分)鳥獣保護法違反です。スズメは狩猟鳥に指定されているので、捕獲や飼育ができます(食べられます)が、捕獲方法などの規定があり、許可が必要になる場合もあります。飼いにくいとの話もあります。

 メジロは、捕獲も飼育も禁止されています(例外あり)。

 

 スズメとメジロ(スズメジロ)のフレンズは、公式にはいないようです。私が知らないだけでしょうか……。他の方がデザインしたオリフレの子を誘拐して……じゃなくてお借りして、本作に出演させようか、と思ったんですが、デザインは複数あり、性格もしゃべり方も違う子がいます。

 

 公式でも、作品によって性格などが違うフレンズが多いです。個体や世代が変われば、性格も変わるのかもしれません。それなので、性格やしゃべり方は、私好みに、物語に合わせて勝手に設定を作りました。(他の方が考えた子を私が文章で再現できなかった、というのもありますが……)ただ、他の方がデザインした子も参考にさせて頂いています。

 

 イエネコも原作とは別人です。カラカルが幼くなった感じ(ミニカラカル?)を狙っています。

 私はいつも、「物語が優先、キャラは役者」という書き方なので、“中の子”と作中に登場する子は、同一人物であり別人でもあるんです。

 

 スズメジロとイエネコは、キャラが固まっていなくて書きにくかったです。しゃべってくれない、どこかで見たようなキャラになる……。原作のキャラ付けがいかに秀逸なのかが分かります。あと、二次創作でたくさん書かれているキャラは書きやすいです。勝手にしゃべってくれます。

 

 「にゃー」とか「ちゅん」とか「ちー」とか言っていますが、原作のフレンズは、動物の鳴き声(聞きなし)を、あまり言いません(サーバルは例外)。それなので、あんまりセリフに入れたくないんですが、キャラ付け的には欲しいという矛盾……。

 

 けものフレンズのコンセプト的には「原作は動物」なんですが……難しいです。

 

 

 

 

 ―――――――― 設定 ―――――――― 

 

 本編には、設定通り書けていない部分があります。

 

 【 メジロ 】

 

・ 見た目は、他の方がデザインされたオリフレっぽい(ぼんやりとした設定)。緑色。

・ ちっこい。

・ 甘いものが大好き。特に花の蜜と、ミカンなどの甘い果物。

・ 警戒心が薄い。甘いものに夢中になっていると、近くに誰かが来ても気づかない。

・ ウグイスと間違えると怒る。

・ 仲の良い相手とはくっつきたがる。特に横に並んで座っている時。目白押し。

・ 「リカーショップつぐみ」の自称店員(勝手に居座ってるだけ)たまに勝手に商品を飲んでいる。(ジュースや甘いカクテルが好き)

・ ボトルや缶の開け方がわからない。歯で強引に開ける。

・ スズメちゃんのことがお気に入りで、スズメのことをかわいいと言う。

・ ですます調だがややくだけた感じ。

・ 一人称「わたし」、二人称「あなた」「ちゃん付け」、三人称「ちゃん付け」「あの子」

・ 「ちー、ちー」「ちー」と、ごく稀に言う。驚いて出た時は「ちーっ!!」で、声が高い。

 

 

 【 スズメ 】

 

・ 見た目は、他の方がデザインされたオリフレっぽい(ぼんやりとした設定)。茶色。

・ 臆病で、知らない誰かが自分の5m以内に近づくと飛んで逃げる。

・ 子供っぽい。気が強い面もある。気を許した相手とだけ親しく接する。

・ 食い意地が張っている。

・ 雑食だが米が好き。

・ 酒に弱い。

・ 両足をそろえて飛び跳ねて歩く(ホッピング)。普通に歩くこともある。

・ 「~だ」「~ぞ」「~だぞ」「~だろ」

・ 一人称「わち」(発音アクセントは「わし」と同じだが、「うち」のようになる時もある)、二人称「おまえ」「呼び捨て」、三人称「あいつ」「呼び捨て」

※ スズメの一人称は非常に迷いましたが、変なのにしたかったので、「わち」で。これは、「わし」「うち」「わたち」「わっち」をいじったものです。「ぼく」「おれ」「自分の名前」は避けたかったんです。他には、「あたち」「あち」「あい」「わらち」「わらし」「わたっち」「わーち」などの候補がありました。

・ 「くちゅん!」とくしゃみ(?)をする。

・ 「ちゅん!」「ちちちちちちー!」と、たまに言う。(頻度は低い)

※ スズメの鳴き方はいろんなパターンがありますが、あんまり変なの(「じゅじゅじゅん!」とか「じじじじじじ!」とか)を言わせるのもどうかと思うので抑え気味にしたいです。

 「ちちちちちちー!」も、やめたほうがいいかな(スズメはそんな鳴き方はしないはず)、と思ったんですが、物語的に必要だったんです。

 

 

 【 イエネコ 】

 

・ 見た目は公式と同じ。

・ 性格やしゃべり方は公式をベースにアレンジ。カラカルが幼くなった感じ。

・ 気が強かったり弱かったり、二面性のある性格。ちょっと人見知り。

・ スズメをつかまえたい。

・ サーバルの狩りを見てからは、サーバルをとても慕い、憧れて、「サーバルねえちゃん」と呼ぶようになった。

・ 「ごしゅじん」に対して特別な感情を抱いている。だが忠誠心はあまり無い。対等な関係。

・ 塀の上を走ることができる。

・ 「~のよ」「~なの」「~なのよ」「~わ」「~わよ」

・ いじけた感じの時に「~もん」「~だもん」になる。

・一人称「あたし」、二人称「あんた」「呼び捨て」「あなた」、三人称「呼び捨て」「あの子」

・ サーバルはイエネコを呼び捨てにする。

※ ちゃん付けするかで迷いましたが、サーバルは、かばん以外は呼び捨てにするっぽいので。あと、妹分だから、という理由もあります。

・ 「にゃー!」「にゃ」と、たまに言う。(頻度は低い)

※ 「にゃ」も、あんまりセリフに入れたくないんですが、師匠のサーバルに合わせると結構出てしまいます。

 

※ イエネコは“病んでる”キャラにするつもりでした。「ごしゅじんが書斎にいると信じている」「ごしゅじんと毎日ベッドで寝ていると思っている」「写真と会話する」「ごしゅじんと一緒に写っている、写真の自分に嫉妬する」とか……。話が複雑になるうえに暗くなるのでやめました。本編にはその名残があります。

 

 

 【 イエネコの“ごしゅじん” 】

 

・ 動物(フレンズ)写真家。

・ 多分男で独身。

・ 本名は不明。「ごしゅじん」という呼び名は、彼がふと口にしたものが、“イエネコが親しみを込めて呼ぶ名前”として定着してしまったもの。

・ 彼は「ごしゅじん」と呼ばれるのが最初はかなり恥ずかしかったらしい。

・ パークにヒトがいなくなった時に彼も町を出て、その後は消息不明。

・ すぐに町へ戻るつもりだったらしいが、いなくなってからかなりの年月が経過しており、既に死亡している可能性が高い。

・ 一人暮らし → 一人と一匹暮らし → ふたり暮らし → ? ……と生活が変化した。

・ 作品としての写真だけでなく、ジャパリパークの記録写真や、広報用写真も撮影していた。

・ ジャパリパーク内の“町”に住み込み、活動していた。

・ 彼の撮った写真の写真集が数冊出版されている。

・ 映画監督でもある(監督作品は少ない)。

・ 収入は少なかったが、本人は、好きな仕事ができて好きなひとがいて、幸せだったらしい。

 

※ 時代設定的に、写真はデータで残すのが主流のはずで、プリントした紙を大量に保存するのは不自然です。でも物語的にはどうしても必要だったんです。

 ごしゅじんは古いタイプのヒトで、作品を紙にプリントするのが好きだったようです。また、出版物の色の調整などでプリントが必要になることもあります。

 

 

 

 【 廃墟の町 】 別名 : 廃町(はいちょう)・リョウハマ・寮浜・ゴーストタウン

 

・ ↓廃墟の町、地図

 

【挿絵表示】

 

・ ジャパリパークのどこか(真ん中あたり?)にある町。

・ 町の名前は無く、範囲も曖昧。パークが正常に機能していた頃は、「リョウハマ(寮浜・りょうはま)」と呼ばれていた。リョウハマは俗称だが、モノレールの駅名になっている。

・ 作中の時点ではヒトがいない。たくさんの建物が廃墟と化している。廃村ならぬ廃町。

・ パークの従業員(飼育員、清掃員、車両整備員、事務員、警備員など)が住んでいた。多数の寮、アパート、ゲスト用ホテル、商店、食堂、病院、図書館 研修施設、公園などがある。

・ 「都市部(市街地・ヒトの住む町)」に暮らす動物のフレンズが生息している。

〔 カワラバト・ツバメ・ハシボソ(ハシブト)ガラス・ムクドリ・イエネズミ・イエネコ・野生化したペットなど 〕

 ただ、ヒトがいなくなってからも都市部に住み続けるメリットがあるのかは疑問。

・ この町がどのようにして作られたのかは不明。荒地にヒトが造成したという説と、気候帯と同じく「都市部」として、サンドスターの作用によって作り出されたという説がある。

・ 従業員のための町だったが、一般の客も自由に出入りできた。一般の客にとっては、都市部のフレンズとふれあえて、食事や買い物をするのに便利で、安い宿もあるため、パークの穴場的な場所だった。

・ パークの中でも物価が安かった。

・ 町の中心部にモノレールの駅がある。

・ モノレールと平行して、幹線道路が通っている。

・ 町の中心部から少し離れた北の方に、車両整備工場がある。車両整備工場は、バスやトラクター、遊具などの、メンテナンス・点検・修理を行う工場。大型車両も扱うため、幹線道路沿いにある。

 

 

 【 リカーショップつぐみ 】

 

・ ↓リカーショップつぐみ、レイアウト図

 

【挿絵表示】

 

 図を描いた意味があんまり無かったです。

・ 廃墟の町(廃町)にある酒店。小さなコンビニっぽい店で、カジュアルな感じ。

・ 所在地:ジャパリパーク-な-中央-2-3(仮設定)

・ 店長不在。

・ 商品はどこからか補充されている模様。

・ ソフトドリンクもあるが、期限切れが多い。

・ おつまみも売っているが、期限切れが多い。

・ 自動ドアは故障しており、開店時に店員が手動で開く。

・ 試飲コーナー(小さなテーブル)がある。

・ 微弱だが電源は生きている。太陽光発電所、又は地熱発電所が近くにあるらしい。電柱にかかっていた線が一部失われているため、地下に埋設された電線があるのかもしれない。

 

 

 【 イエネコの“ごしゅじん”のアパート 】 仮称:ひよどり荘

 

・ ↓“ごしゅじん”のアパート、レイアウト図

 

【挿絵表示】

 

 上の図は、キャラの立ち位置などを考えるために描いたものです。筆者は建築とかは素人なので、変な所だらけだと思います。本当は四つ角に太い柱が必要かもしれません。

 

・ 上のレイアウト図にキャラの位置を書き込むと、

 ↓こうなります。

 

【挿絵表示】

 

 本編と矛盾するかもしれません。テーブルが邪魔です。縁側に7人座るのはきついです。

 

・ 廃墟の町(廃町)にあるアパート。アパートというよりは寮に近い役割だった。

・ 名称:ジャパリパーク環境保護財団営アパート N-44号棟 ひよどり荘:(仮設定)

・ 所在地:ジャパリパーク-な-中央-1-2(仮設定)

・ 郵便物は、[ 所在地+『N-44号』又は『ひよどり荘』+部屋番号 ]で届く。

・ 鉄筋コンクリート造。3階建て。

・ 小さな裏庭があり、縁側がある。地面は、コンクリートの上に人工芝(クッションシート?)が張られたもの。コンクリートは所々割れており、そこから草が生えている。物干し竿が2本あるが、風の強い日に洗濯物を干すと、竿ごと落ちる。庭の上には、上の階のベランダがある(ベランダは小さめで、庭を覆うほど大きくは張り出していない)。

・ 表に5台分の駐車場がある。1台廃車が置かれている。

・ 裏庭側が南。

・ “ごしゅじん”の部屋は1階の端。105号室。

・ 室内は写真関係の機材や書類で雑然としている。壁や家具は爪とぎの跡だらけで、壁などに「爪とぎ板」が貼ってある。

・ ベッドのあたりは自然光とストロボが当てられる。ここをモデル(イエネコ)の撮影に使ったこともある。

・ 部屋の裏の出入口(裏庭側)には鍵がかかっていない。“ごしゅじん”が、イエネコのために開けたままにした。表の玄関のドアには鍵がかかっている。玄関の鍵は室内から開けられるが、イエネコは開けない(開け方は知っているが、ここは、“ごしゅじんが帰って来る入り口”だから、自分では開けない)。裏口の鍵がかかっていないのは、この町の治安が良かった証でもある。

・ 裏口の戸はガラスの引き戸。すりガラス風のフィルムが貼ってあるので、室内は見えない。このフィルムは、隣家から室内が見えないようにするためと、UVカット(写真の保護ため)と、割れた時の飛散防止の意味がある。

・ イエネコはここにいないことも多い。半ノラ状態。

・ このアパートとは別に、写真撮影スタジオがあった。

 

 




 この後に「おまけ」(第5話)があります。断片集です。


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ごーすとたうん おまけ

 
 「ごーすとたうん」の、おまけ文章(断片集)です。
 これは、本編を読んだ後に読むことを前提に書いており、ネタバレを含んでいます。

 内容は……
  ―― カットしたシーン・セリフ ――
  ―― NGシーン集 ――
  ―― メモ(雑記) ――
 です。

 前編~後編を少し修正しました。(2019/08/18)



 

 

 

 

 

 

 ―――――――― カットしたシーン・セリフ ―――――――― 

 

 

 削りカスです。そんなもの投稿しちゃだめなんですが、結構気に入ってるものもあるので。

 

 

 

かばん  「うーん……そうだ、イエネコさん、スズメさんがいそうな場所ってわかりますか?」

イエネコ  「え? えと、あのその……」

メジロ   「わたし、知ってます!」

 

 

 

 かばんは、サーバルとイエネコを無表情で見ていた。

 それをフェネックがちらりと見た。

フェネック 「アライさんはのぼるの得意だよねぇ」

アライグマ 「どこだってのぼれるのだ!」

フェネック 「昔、むちゃしてすっごい高いところにのぼって、落ちたけどねー」

アライグマ 「うっ!」

 *1

 

 

 

イエネコ  「また、にげられちゃうわ……」

サーバル  「そのときは、次またがんばればいいじゃない!」

 

 

 

 少し日が傾いた頃。7人が道を歩いていた。

 

 イエネコとスズメはとなり合って、くっついて歩いていた。

イエネコ  「これは特別なのよ。ほんとはモデルはあたしだけなの。でもスズメならいい……」

 イエネコがハッとして、顔を赤くした。

イエネコ  「いや、あたしスズメのことそんなに好きじゃないわよ!」

スズメ   「わちもイエネコは好きじゃないぞ! はなせっ!」

 スズメがイエネコから離れようとしたが、逃げられなかった。

 イエネコは、スズメの右腕に自分の左腕をまわして押さえていた。

イエネコ  「逃がさないわよ!」

フェネック 「たいへんだねぇ」

メジロ   「うふふ……」

 *2

 

 

 

メジロ   「深い付き合いだったんですね……」

 

 

 

サーバル  「あはは! へんなかっこー!」

イエネコ  「それはむりやりやらされたの!」

サーバル  「イエネコって、かわいさときれいさとかっこよさ、ぜんぶ持ってるんだね! でも、しゃしんより本物のほうがずっとずっとかわいいよ! それに頭もよくて、狩りもうまい! すっごい動物だね!」

イエネコ  「もうやめて……やめてよぅ……」

 

 

 

イエネコ  「ほんものは、ここにいるのよ……ごしゅじん……」*3

 

イエネコ  「……ここに、いるもん……」

 写真を持つイエネコの手に力が入り、震え始めた。*4

 

 

 

フェネック 「きびしいとは、ちょっと違うんじゃないかなー?」

かばん   「……そうですね」

 

 

 

メジロ   「ある時から、この町には、ヒトがいなくなったんです」

イエネコ  「ごしゅじんはそのとき、“ちょっと出かけてくる”って言って、それから……みじかいあいだ、ずーっと会ってないの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――― NGシーン集 ―――――――― 

 

 

 

ラッキー  「整備工場マデの時間は……ナビゲーションデータ、更新中……こう、こ、仔馬……うま、ま、マカセ、ママ、マカ、テマママ、マカセ、ママママ……」

かばん   「ラッキーさん! セリフが違いますよ!」

ラッキー  「……マママ、カセマ、ママママママママママママママママママママママママ……」

かばん   「ラッキーさん? どうしたんですか!? ラッキーさん!?」

ラッキー  「……ママママママママママママママママママママママママママママママママ……」

 

 

 

アライグマ 「おーい!」

 アライグマが、メジロの肩をたたいた。

 

メジロ   「ちーっ!!」

 メジロが驚いて、カウンターの外に瓶を投げ飛ばした。

 瓶は陳列棚に飛び、数本のワインの瓶が割れ、大量のワインが床に広がった。*5

メジロ   「……ちー……」

 

 

 

 ポン!!

アライグマ 「あう!」

 勢いよく飛んだコルク栓が、アライグマの額に当たった。

 ぶしゅー!!

サーバル  「うみゃー!!」

 サーバルは、噴き出したビールを顔に受けた。

 アライグマも、噴き出したスパークリングワインを顔に受けた。

サーバル  「うぎゃー! 鼻に入ったー!」

アライグマ 「目がー! めがぁー!」

 

 

 

サーバル  「うー」

 サーバルは、登った勢いを残しつつ、体を丸め……

サーバル  「みゃーーっ!!」

 ……体をバネのように伸ばして、同時に電柱のてっぺんを蹴って、大ジャンプした。反動で電柱が大きく揺れた。

 

 電柱が根元あたりでバキッと折れて、バキバキと音をたてながらゆっくりと倒れていった。

 

サーバル  「イエネコッ!!」

スズメ   「やばい!!」

 

イエネコ  「きゃああ!! ねーちゃ、たすけ……」

 電柱を登りきったイエネコは、電柱に抱き着いたまま地面に倒れた。

 

 ……かに見えたが、サーバルが、倒れた電柱を両手で受け止めていた。

サーバル  「ふー、あぶなかったー」

イエネコ  「やっぱサーバルねえちゃんかっこいいわぁ……」

スズメ   「いや、倒したのサーバルだから」

 *6

 

 

 

 スズメが、ジャパリまんのにおいをかいだ。

スズメ   「くんくん……くちゅん!」

 

フェネック 「あれって、くしゃみなのー?」

メジロ   「ぷぷぷぷ……」

 メジロが口をおさえて笑いをこらえようとしたが……

メジロ   「ぶふーー!!」

 吹いた。

かばん   「おおきい声……って笑いすぎですよ!」

メジロ   「あはは……ごめん、フェネックさんがおもしろくて、ふふふっ」

フェネック 「そんな笑わせるつもりはないんだけどなー」

 *7

 

 

 

スズメ   「たた、た、たべないでーー!!」

イエネコ  「たべるわよ!」

 

監 督   「カット! セリフが違う!」

イエネコ  「へ? どこが?」

監 督   「食べちゃだめだよ!」

イエネコ  「あ! 合ってるでしょ!? スズメの焼き鳥はおいしいのよ!」*8

監 督   「骨ばっかりであんまりうまくなぃ……」

 監督とスズメの目が合った。

スズメ   「……あうううぅ……」

 スズメは青ざめ、涙ぐんで震えた。

 

 

 

スズメ   「わちはねぐらに帰るぞー!」

 スズメが飛び立った。

イエネコ  「あ!」

 

スズメ   「ちちちちちちー!」

 スズメが、イエネコのすぐ上をかすめるように……

スズメ   「しまっ」

イエネコ  「ぃやあっ!!」

スズメ   「げふっ!!」

 スズメがイエネコに衝突した。顔同士だった。ふたりは、もつれあうようにして隣家の敷地に落ちて倒れた。

 

スズメ   「ぃたた……」

イエネコ  「あんた……いまっ……」

 イエネコは顔を赤くして、ふるえる指で自分の唇をなぞった。

イエネコ  「なんとか式あいさつしようとしたでしょ!」

スズメ   「してないぞっ!」*9

 スズメが飛んで逃げて行った。

イエネコ  「まちにゃさい!」

 

 

 

イエネコ  「……いなくなって、ないもんっ!」

 イエネコは、目をぎゅっと閉じて、涙をこぼした。

イエネコ  「……ちょっどっ、ぐす、出がけてるだけだもん! うっ、ぐす……うええぇ……」

 イエネコは、ぼろぼろと涙をこぼして泣き始めた。

 

監 督   「カット! 泣きすぎ……」

 

イエネコ  「……ぐしゅ、ううっ、えぐっ、えぐっ……ぐすっ……」

 イエネコは泣き止まなかった。涙がだらだらと流れた。

 

監 督   「……ちょっと休憩にしよう」

 

サーバル  「イエネコ、だいじょうぶ?」

イエネコ  「……う……ぐしゅ……ご、ごしゅじっ……がえっできでぇ……」

 イエネコは、涙をぬぐい、目をぐしぐしとこすった。

かばん   「役に入りすぎちゃったみたいだね……」

 

監 督   「俺はここにいるぞ、イエネコ」 *10

 

 監督は、イエネコにやさしく声をかけて、抱きしめた。そして背中をぽんぽんと叩いた。

イエネコ  「ごしゅじん? うぅ……」

イエネコは監督に抱き着き、身をあずけ、胸におでこと頬をこすりつけた。監督は、イエネコの頭をくしゃくしゃとなでた。

イエネコ  「んう、ごしゅじぃーん……ごろごろ、ごろごろ……」

 泣き顔が、幸せそうな顔に変わっていった。

 

メジロ   「うらやましいですね……」

アライグマ 「うう……よかった、ほんとによかったのだぁ……」

フェネック 「なんでアライさんまで泣いてるのさ」

 

スズメ   「見せつけんなよぅ……」

 スズメは、ため息をつくように言って、イエネコと監 督(ごしゅじん)から目をそらした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――― メ モ ―――――――― 

 

 

・ 筆者は、本編よりもおまけ(NGシーン集)の方が好きです。本末転倒です。

 

・ メジロと「リカーショップつぐみ」の話は、丸々カットしても良かったかもしれません。ぶっちゃけ酒を入手させるために書いた部分なので。でもやっぱりもったいないから残しました。

 あと、削るなら、アラフェネを登場させないという手もありましたね……。

 

・ ごしゅじんの部屋にセルリウムが入ったら大変なことになるな、と書いてから思いました。それを言うなら、この町は危険なものだらけですが。

 

・ スズメとメジロ(スズメジロ)は身近にいる鳥なので、飼えないなら観察してみる(写真を撮る)のも面白いかもしれません。

 メジロは春になると梅の花に集まってきます。警戒心が薄いので写真は撮りやすいです。ただ、枝から枝へと飛び回るのでシャッターチャンスは短く、小さいので望遠レンズが必要です。ミカンをエサにして呼ぶこともできます。本物の「メジロ押し」を見てみたいです。

 スズメは警戒心が強く、ある距離(5m程度)以内に近づくと逃げますが、群れている写真は撮りやすいです。冬の、“ふくらすずめ”がかわいいです。

 

・ 「ごーすとたうん」では、スズメがホッピング(両足同時に跳ねる)をしています。メジロも同じ歩き方をするようです。ただ、筆者は“メジロは木の枝にいる”というイメージがあり、地上を跳ねて移動するイメージが無かったため、「ごーすとたうん」では、メジロはホッピングをしていません。

 

・ 地図・図面・漫画って「書く」と「描く」どっちを使うのが正しいんでしょう?

 字は「書く」、絵は「描く」が基本だと思いますが、地図や図面は「線と字の組み合わせ」なので、どっちかな? と思いました。「画く」が正しいのかもしれませんが、あまり使わない気が……。漫画も「絵と文の組み合わせ」なので、どっちを使うかで迷います。文字が無い、「サイレント漫画」もあるので、「描く」が正解でしょうか……。

 「絵と図は違う」という問題もありますね。

 「描く」は、「かく」と「えがく」の二つの読み方があり、読み方で意味が変わるので、さらにややこしいです。

 ひらがなでかくとよみにくくなるし……日本語って難しいです。

 私は、(正式な)図面は「引く」と言ってしまいます。

 

・ 小説情報のタグがやたら多いですが、「こんなタグいらないだろ」っていうタグは、あらすじに書いていない内容を匂わせるためのものです。あとこれは、作中の要素を拾って、タグの制限字数ギリギリに収める遊びみたいなものです。他の作品でも同じことをしています。

 

・ この作品の独自設定などを、ご自分の作品(SSに限らず)に使って頂いて構いません。需要は無いと思いますが……。もし、使って頂けたら、感想欄で教えて頂けると嬉しいです。これは、「アイデアノート ジャパリ・フラグメンツ」から派生した他の作品と同じです。

 

・ 「ごーすとたうん」のタイトルは当初「はいちょう」でした。廃町と拝聴と蝿帳の意味を重ねて……と考えたのですが、無理なのでやめました。

 

 

 

*1 この部分は、投稿時にはまだあったのですが、結局カットしました。アライグマが壁を登って落ちた話は実際にありましたね。

*2 このシーンは、カットするか残すかで非常に迷いました。

*3 不自然なうえに誤解を招きそうなので「プレゼント、もってきたわよ……ごしゅじん……」に差し替えました。でもこのセリフも好きです。

*4 上のセリフとセットで削除しました。

*5 メジロが落としたワインは、撮影用の偽物でしたが、棚に置いてあったのは本物でした。もったいなかったです。

*6 この後の電柱の修復は大変でしたが、良い感じに壊れたので、廃墟っぽい雰囲気が出ました。

*7 この後、メジロはハマってしまい、数テイクNGを出してしまいました。

*8 スズメの焼き鳥は本当にあります。筆者は食べたことないですが。

*9 スズメはこの後、「ちょっとコントロールを間違えただけだ」と言っていましたが、スタッフや出演者は「わざとやったんじゃないか」と疑いました。真相は不明です。

*10 “ごしゅじん”は、本業の他、映画監督もやっています。「ごーすとたうん」の監督・撮影は“ごしゅじん”で、脚本はくにむらせいじです。




 こんな所まで読んでいただいて、ありがとうございます。



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