ロキファミリアの雷兎 (ネヘモス)
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設定(随時更新)

設定を固めろの意見をいただいたので。


人物設定

・ベル・クラネル

種族:人間種族

年齢:14

性別:男

職業:Lv3冒険者(元傭兵)

二つ名:なし(オラリオ外:幼雷公)

実力:未知数(オラリオの基準でLv5相当)

呼吸法:全集中・雷の呼吸、神鳴の呼吸、風の呼吸、ヒノカミ神楽の呼吸

使用可能な型

雷の呼吸

零の型・雷光想起

壱の型・霹靂一閃

虚の型・天雷突閃

 

風の呼吸

秘剣・昇り飛竜

 

ヒノカミ神楽の呼吸

雷神・須佐之男剣舞

 

魔法

なし(スキル・魔術適性のデメリット)

 

魔術

・魔剣覚醒

・嵐纏刀

・エアリアル・バースト

・伊邪那美怨剣

・黄泉迦具土刃

 

スキル

・窮地英雄

・神速

・雷光想起

・全集中・神鳴の呼吸(雷の呼吸)

・全集中・風の呼吸

・全集中・ヒノカミ神楽の呼吸

・魔術適性

・魔剣寵愛

 

発展アビリティ

・幸運

・???

 

発展アビリティ

幸運

 

装備

ラストボルト

・雷属性が付与された黄色い刀身の刀。ヘファイストス作。ゼウスの雷が付与されており、現状ベルだけがその真価を発揮することが出来る。ダンまち原作における「ヘスティアナイフ」のポジション。

・超光速の霹靂一閃をこの刀で放つ事で本当の力を解放する。

 

ラグナ・ダガー

・ラストボルトの真の姿。稲妻を模した金色の刀身の短剣。

・雷が極限まで強化され、まともに斬られると即死するレベルになっている。また耐異常を無視する麻痺付与効果があり、刀身に触れるだけでその効果を受けてしまう。

 

ウィンディーネ

・ベルの身の丈ほどの長さを誇る大刀。風属性が付与されているため、見た目に反してかなり軽い。不壊属性あり。

・製作者が不明でヘファイストスでも分からないことが多い。

 

シルフィーネ

・魔剣覚醒でウィンディーネが変化した「風」そのものを具現化したような見た目の刀。リーチが短くなったが、それでも一般的な片手剣と同じくらいの長さ。

・持ち主に万物を切り裂く風、万物を拒む風を与える。

・固有魔術・エアリアル・バースト:自身の生み出す全ての風を攻撃に転換する大技。かなりの魔力を使う上に、刀そのものがウィンディーネに戻るデメリットあり。ただし、一点集中と周囲拡散が可能なので汎用性が高い。

 

黄泉の鍵

・黒焦げの魔剣の正体。固有詠唱で真の姿に変わる。不壊属性あり。

 

伊邪那美怨剣

・一般的な片手剣並みの長さの魔剣。黄泉の鍵の本当の姿。刀身に常に赤黒い炎を纏っている。

・自分の周囲の炎を操ることができる。

・固有魔術・黄泉迦具土刃:魔力が無くても使用出来る禁忌の魔術。魔力を使わない場合は自分の命を食われてしまう。認められてない者がこれを強制発動すると、その者の命を焼き尽くす。刀身の炎を凝縮する事で剣自体の攻撃力を飛躍的に上昇させる。

 

変更点及び遍歴

完全に強くてニューゲーム状態。

神鳴の呼吸の使用時に髪色が変化する(白→銀)。

物心ついたときには両親がおらず、祖父(ゼウス)と二人暮らしをしていた。

物語の英雄に憧れ、そんな英雄になりたいと思った彼は本編開始の4年前に祖父から近距離戦闘の基礎「全集中・雷の呼吸」を叩き込まれる。その代わり、基礎しか叩き込まれていない為に最初は霹靂一閃のみで戦っていた模様。

本編開始の1年前にアイズと出会う。アイズがリオレウスに襲われてるのを見て助けようとするのだが、距離的に霹靂一閃で届かないと思いつつ、自身の出せる最高速の技、敵を倒す技をイメージして霹靂一閃を放つ。その直後、リオレウスが倒れていないと本能で察した彼は「稲妻の如く上空より突き刺す技」を咄嗟にイメージし、本来存在しない虚の型・天雷突閃を思いつきで放つ。この時に神鳴の呼吸に目覚め、アイズがロキファミリアに誘おうとした時には実は木陰で万能回復薬を使い、複雑骨折した四肢の治療に専念していた。

原作とは違い、祖父からロキファミリアへの紹介状を手にオラリオを探索していたところ、ナンパされていたシルと出会う。実はこの時既に全集中・常中の状態にあり、雷の呼吸の動きでモブを倒したところをロキに見られ、勧誘される。余談だがこの時既にフレイヤに目をつけられていた模様。両親の記憶が無いが、何かしらの舞を母親らしき人物と見ているのを走馬灯で見る。

ギルドのお尋ね者の二つ名モンスター「青猛牛」ミノタウロスをの単独撃破に成功したため、一気にLv3に駆け上がる。

 

スレイ・クラネル(故人)

種族:人間種族

年齢:??

性別:男

職業:ゼウスファミリア団長

二つ名:絶対強者

呼吸法:日の呼吸及び基礎の五つの呼吸法

使用可能な型:確認されている全て

 

魔法

???

 

スキル

・神速

神代英雄(ゴッドヒーロー)

・???

・全集中・日の呼吸

・全集中・神鳴の呼吸(雷の呼吸)

・全集中・水の呼吸

・全集中・炎の呼吸

・全集中・岩の呼吸

・全集中・風の呼吸

 

発展アビリティ

・耐異常

・???

 

装備

全知全能の剣(ゼウス・セイバー)

ヘファイストス作のオーダーメイドの剣。

・???

 

詳細

現在確認されている冒険者の中で最強のLv9に到達した冒険者。アマテラスの寵愛を受けていた一族で日の呼吸の伝承者。最も得意なのは雷の呼吸。ヒノカミ神楽を使って初めてダンジョンに潜り、日の呼吸に進化するまでヒノカミ神楽を使用禁止だった過去があるらしい。

 

ロゼ・クラネル(故人)

種族:人間種族

年齢:??

性別:女

職業:ゼウスファミリア副団長

二つ名:緋色麗嵐

呼吸法:全集中・嵐の呼吸(風の呼吸から派生)

 

魔法

なし

 

魔術

・魔剣覚醒

・嵐纏刀

・???

 

スキル

・魔術適性

・魔剣寵愛

・全集中・嵐の呼吸(風の呼吸)

・???

 

発展アビリティ

・耐異常

・???

 

装備

全知全能の短剣(ゼウス・ダガー)

ヘファイストス作のオーダーメイドの短剣。

・ウィンディーネ

 

詳細

前述のスレイ・クラネルの妻。Lv6の冒険者。実はウィンディーネの前の持ち主。どういう経緯でベルの手に渡ったかは不明。

 

アマテラス(オリジナル設定)

種族:神

年齢:不詳

性別:女

 

詳細

天界の高天原の最高神。クラネルの一族に寵愛を与える代わりに神楽舞を奉納させていた。現在は下界に降りているが、他の神と違って娯楽目的で降りた訳では無い。

 

その他変更点

全集中の呼吸

・日の呼吸から全ての呼吸が派生しているため、日の呼吸を使える人物は基礎の五つの呼吸は使える(鬼滅の刃原作では違うらしいので変更)。ステイタスにはスキルとして反映される。

 

神鳴の呼吸

・雷の呼吸と同一視されるオリジナル呼吸。その速さはヘルメスを凌駕し、超神速と呼ばれるスピードを生み出す。型は雷の呼吸と同じで型を使う毎に敏捷を増していく特性がある。使用中は髪の色が銀色に染まる特徴があり、全集中・常中が未完成だと四肢を損傷する傷を負う。

 

神速

・敏捷を固定するスキル。力、耐久、器用の平均値の10倍に敏捷を固定する。

 

嵐の呼吸

・風の呼吸から派生するオリジナル呼吸。嵐纏刀を使う時に使われていたとされ、風の呼吸を上回る怒涛の連撃が特徴。

 

ヒノカミ神楽の呼吸

・伝承の神の動きを真似て、対応する神の極少量の神の力(アルカナム)を自分の身体に宿す。発動する時に鈴の音が鳴り響く。

・日の呼吸は最初はヒノカミ神楽で発現し、基礎の全ての属性の舞を1つずつ会得する事で進化する。

・舞にはそれぞれの神の逸話になぞらえた発動条件がある。

 

日の呼吸

・上記のヒノカミ神楽の呼吸が完成した姿。神の力と遜色ない力をもって敵を倒す。

 

雷神・須佐之男剣舞

・発動条件:自身より強敵であること、一撃でもいいので相手をダウンさせること。

・本来の伝承になぞらえると酒を飲ませる必要がある(舞う時は神水を飲む)ので何らかの方法で敵をダウンさせる必要がある。

・神速の8連撃の斬撃を与える。雷の呼吸と併せる事で威力上昇。

・スサノオが雷神としての側面を持ち合わせてるため(Wikipedia先生より)雷神の舞として継承されている。

 




※2019/08/19に更新


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期待新人ーベル・クラネル

何書いてんだ俺…。ダンまちにハマって書いてしまった。


「ここが、オラリオか…」

 

白髪の少年が呟いた。彼の名はベル・クラネル。今は(・・)無銘の小柄の少年だ。亡き祖父の遺言で彼はダンジョン都市「オラリオ」にやってきた。その少年の手荷物は最小限のお金と3振りの剣という異質な出で立ちであり、その紅色の双眸と小さな身体も相まってかなり目立つ存在だった。持ってる剣もそのうち2振りは腰に、1振りは背中に背負う程の長さの大刀。とりあえず、祖父が遺したメモと紹介状を持ってギルドのある場所に向かう。その途中、

 

「なー、姉ちゃん。俺と遊ばねえ?」

 

「あの、私買い出しが…」

 

古典的なナンパの現場に遭遇した。おじいちゃんでもそんな古典的な手段…、取ってたかもしれない…。被害に合ってるのはメイド姿の自分より年上の人間種族(ヒューマン)の女性。仕方ない、古典的だけどこの方法しか思いつかないから、弁明の言葉を考えておこう。

 

「あのー、僕の彼女に何かご用ですかー?」

 

「あ゛?」

 

ナンパの加害者、恐らく冒険者のごつい男がこちらを見る。被害者の女性に目配せでこちらに合わせるように促す。

 

「あ、ダーリン!」

 

被害者の女性がこちらに来たのを見計らい、自分の後ろに庇うように立ち塞がる。てか、ダーリンって呼ばないで。正直かなり恥ずかしいから。

 

「こんなチビが彼氏だぁ?冗談は、程々にしとけやガキがぁぁぁぁ!!」

 

相手の堪忍袋の緒が切れたのか懐の短剣を取り出し、僕に斬りかかってきた。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

(いけない!あの男、自分をLv3だと言っていた…。この子じゃ倒される!)

 

メイドの人間種族が自身の携帯してるナイフを抜こうとしてそれをやめる。何故なら、

 

「ゴフゥ……!?」

 

神の恩恵(ファルナ)を得てるからどれ程の実力かと思って期待した僕がバカでした」

 

見た感じLv1の冒険者の少年が消えて、相手の急所に的確に強烈なボディーブローを叩き込んでいたのだから。

レベル差2つかそれ以上の相手をのした白髪の少年は男を無造作に放り投げると何事も無かったかのように私に近づいてきて、

 

「買い出し、手伝いますよ。えーと…」

 

私は悪戯っぽくクスリと笑って、

 

「私はシル・フローヴァです、小さな冒険者さん。あなたの名前を伺っても良いですか?」

 

すると彼はとんでもない事を口にした。

 

「すみません!僕の名前はベル・クラネルと言います!オラリオに冒険者になりに来た者です!」

 

私の思考が停止した。冗談でしょ?まさか、恩恵無しでLv3の冒険者を上回る!?そんなの聞いた事たいわよ!?

 

「あのー、ベル君?嘘をつくならマシな嘘をついたほうが…」

 

「その子の言ってること、マジやで」

 

突然、第三者の声がした。私の働いてる店の、お得意様(ロキファミリア)の主神・ロキの声だった。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「ベル・クラネル…、あのジジイが言ってた期待の新入り予定の子供か」

 

場所は変わって豊饒の女主人。ロキファミリアの主神・ロキはものすごい勢いで料理にがっつく白髪の少年を見ていた。

事の始まりは数日前、使いパシリ(ヘルメス)から届いた一通の手紙。差出人は神聖文字(ヒエログリフ)の乱雑な並びから不明…と言いたかったが、ロキはその文字の配列に見覚えがあった。そして、差出人の名前を特定した。

 

手紙の差出人は、かつてオラリオ最強と呼ばれた2大ファミリアの主神・ゼウス。手紙の内容は、近々そちらに自分が鍛えた新人を預けると言うもの。目印は自ら雷を込めた金色の刃の曲刀。ゼウスが鍛えた新人が来るのかと楽しみに待っていた。そして、運命の日がやってくる。

 

その日、ロキは何となくオラリオの街中を散策していた。そしてごく僅かではあるが、ゼウスの雷の力を感知した。感知した場所に行くと、ごつい男と白髪の少年が一騎打ちをしようとしてるところだった。ロキはその戦いを見て、絶句した。男が短剣を抜き放った瞬間、白髪の少年がブレた(・・・)。そして、風のような速さで男の急所にボディーブローを決めてみせた。男はそのまま吹っ飛び、少年は被害者の女性の元に戻っていく。まだ恩恵を持ってない少年がLv3の少年を倒した。ロキは、その事実を受け入れざるを得なかった。

 

何故なら少年からは何の恩恵も感じない。素のポテンシャルでこれだと、恩恵を刻んだ瞬間に化ける。今のところ彼の実力を見たのはロキのみのようだ。

 

(こんな金の卵、絶対に取られんようにせんと!)

 

「その子の言ってること、マジやで」

 

被害者の女性が自分の行きつけの料亭「豊饒の女主人」のメイドと分かるとロキは2人の買い出しに連れ添って豊饒の女主人に入ることにした。

 

「なんだい、ロキ様。今は酒は出してないよ?」

 

豊饒の女主人の女将のミアが出てきて酒を出すのを渋る。

 

「ああ、ちゃうでー。ウチはこの白髪の子に用があんねん。えっと、ベル君やったっけ?ここはウチがもつから好きなもん食べや」

 

「いや、その心配には及ばんよ。ウチのシルが助けられてんだ、今日の昼代は取らないさ」

 

「あのー、大丈夫ですか?僕、ここに来る前に何度も出禁になった店があるんですが…」

 

「坊主、アンタまさかそのなりで大食漢なのかい?別に構いやしないよ!ウチはマナーを守って金さえ払ってくれれば出禁にしたりしないから!」

 

そして、今に至るのだが…。ベルの周りに積まれる皿の山…。なんつー燃費の悪さやねん。流石にメニューに書かれてるものを上から順番に5皿ずつって言った時(ミア以外の)メンバーがドン引きしてたで!?流石に食べすぎたと思ったのかベルは担いでいた大刀を取り出すと、

 

「すみません、これを預かっててくれませんか?」

 

それをミアに差し出した。

 

「預かるとは、どういう意味だい?」

 

「もし、ロキ様のファミリアに所属したら自分で稼いで取り戻しに来る。って意味で言ったんです」

 

「つまり、これは今食った分の担保ってことか。それは別に構いやしない。面白い話も聞けたから、ウチのお得意様になってくれるなら大丈夫だよ」

 

「今日から贔屓します、よろしくお願いします」

 

すごい即答だった。さすがのウチも唖然とした。さて、ベルの食事も終わったようやし。

 

「ほなベル、ロキファミリア(ウチ)拠点(ホーム)の黄昏の館に行こか」

 

「はい!ロキ様!」

 

ジジイの育てた子供とはいえ、こそばゆいな…、と内心戸惑いを隠せないロキだった。




ベル・クラネル Lv3(ロキの推定)
人間種族
ステイタス
敏捷:???(推定S以上)
魔法:なし
スキル
魔術適性
・魔術の使用適性あり
・魔法の習得不可
・魔力の向上可能
???
・現時点で開示できない

備考
物凄い大食漢でDグレのアレン・ウォーカー並に食べる。
オラリオの外では有名人


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入団試験ーベルvs.凶狼(ベート・ローガ)

おいおい、伸びすぎでしょ(;・∀・)
流石に1話で1000UA行くとは思わんかったわ。


「大きいですねー。ここがロキ様の拠点ですか?」

 

「せや。ようこそ、ロキファミリアの拠点『黄昏の館』へ」

 

黄昏の館にやってきた1人と1柱。すると門番らしき人物が

 

「おい、そこの白髪のガキ(・・・・・)!ここはロキファミリアの拠点だ…ゴフゥ……!?」

 

ベルを引き止めようとしたが、コンマ5秒でベルの拳にノックアウトされた。どうやらベルは髪色にコンプレックスを抱いてるらしく、特に「白髪」というワードは聞くだけでプッツンしてしまう性分らしい。まあ、それ以前にベルを見た目で判断したあの門番はキツめのオシオキが必要だろうとロキは判断した。すると、

 

「ロキ。その銀髪の子供は?」

 

「いつから居たん?アイズたん」

 

倒れた門番の後ろから金髪碧眼の美女が現れた。このオラリオで知らない人はいないロキファミリアの幹部にしてロキのお気に入り、「剣姫」アイズ・ヴァレンシュタインその人だった。彼女はまじまじとベルを見ると、文字通りの核弾頭を落とした。

 

「ねえ、銀髪の子。私達オラリオの外で出会ったよね?」

 

「ベル、アイズたんと知り合いだったん!?」

 

「えっと、エルフの要人警護の時に顔見知りになりまして…」

 

神に嘘は通じない。それを分かっていたベルは事実を言うことにした。

ロキの自室に通されたベルとアイズはファミリアの幹部の目の前で事の顛末を話すことにした。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

遡ること1年前、オラリオの外にいた時にエルフの要人警護のクエストを見つけたベルは現地で彼女と初対面した。まだ齢12だった彼は綺麗な人だなぁと思いつつ、周りの気配に気を配っていた。そして、その警護が終わる最後の夜、運命の瞬間が訪れる。

 

アイズは索敵を行いながら警護対象者の見張りをしていた。すると、アイズの索敵に引っかかった何者かがこちらに来てることが分かった。少なくとも人間の気配ではないと思い、愛剣(デスペレート)に手を掛け周囲を見渡す。

 

(近くに来てるのに、いない…、まさか!?)

 

アイズは上空を見て、柄にもなく驚愕する。赤いワイバーンを想起させる魔物。少なくとも、彼女の知ってる魔物ではないことは確かなようだ。だが、

 

(何で…?身体が、動かない…)

 

身体が、本能が訴えていた。逃げろと、(Lv3)の自分では勝てないと。口から炎の塊を放とうとする飛竜。アイズは自らの死を覚悟した。そう、

 

シィィィィィィ……

 

何か、魔物の呼吸とは違う音を聞くまでは。すると、飛竜は音のした方角に鎌首を向けて火球を放つ。奇妙な音の方角には、自称傭兵の年下の少年の姿があった。

その少年の構えはかなり異質だった。姿勢はかなり低く、腰に帯刀した刀に手を掛ける、噂に聞いた抜刀術の構えをしていた。そして、不思議なことに少年の周りにバチバチと小さな雷が舞っていた。火球が少年に当たる寸前、

 

ーーー雷の呼吸、壱の型、霹靂一閃!

 

少年はそこから消えていて、気がついたら私の目の前にいた。肝心の飛竜は片翼を切り落とされても尚もがく。そして、

 

ーーー雷の呼吸、(うつろ)の型、天雷突閃!

 

件の少年が消えたと思ったら、白い落雷が飛竜を襲っていた。そして、彼が飛竜の上に立っていた。

アイズは、まるでティオナが憧れてる英雄(アルゴノゥト)を見てるのではないかという錯覚に襲われた。依頼を済ませたあと、件の少年をオラリオに誘おうと思ったら彼はそこにはいなかった。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ここまでの話を聞いたロキファミリアの団長であるLv6の冒険者のフィン・ディムナは親指がすごく疼くのを感じていた。一応の確認を取るために主神に真偽を尋ねると、

 

「二人とも嘘はついてへん。赤い飛竜の魔物、確かリオレウスとか言うたかな?そいつと遭遇した報告も受けとる。でもまさか、ベルがその飛竜を倒した傭兵とはな。もっとごついヤツと思ってたで…」

 

「フィン。ベルをファミリアに入れたい。ダメ…?」

 

「いや、彼の力は本物だ。ウチに入りたいなら僕は一向に構わない」

 

団長の一声で幹部の全員が首を縦に振った。そう、1人の狼人を除いて。

 

「俺はコイツをファミリアに入れるのは反対だ。そんなに入りたきゃ、俺に実力を示してもらう」

 

意図せずしてベルとベートの模擬戦が執り行われる事になった。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

場所変わって、ロキファミリアの訓練施設。団長のフィンと主神のロキの監視の元、入団試験が始まろうとしていた。フィンがベルに出した条件はただ一つ、「ベートを戦闘不能にする事」。周りにいたロキファミリアの団員は団長の出した無理難題をこなせる新入りがどんなものか見物していた。

 

「フィンさん。本当に相手を戦闘不能(・・・・)にするだけでいいんですね?」

 

ベルは念の為フィンに再度確認を取る。フィンとロキは頷くのを確認したベルは、背負っていた大刀と帯刀していた剣の1本を地面に置いた。彼の得物は1本の刀だけだ。

 

「おい、どういうつもりだ、白髪頭?」

 

((ベート、的確にベルの禁句(タブー)を…))

 

ロキとアイズの意見が一致した瞬間だった。

 

「始め!」

 

フィンが号令を掛けると同時にバチィと彼の身体から白い雷が纏われる。

 

「いいえ、戦闘不能にするなら、コレだけで十分なんで」

 

「舐めてんじゃねぇぞ!チビ白髪(・・・・)!!」

 

ベートがベルに容赦なく襲いかかる。ベートの爪が目の前の少年を引き裂いた、かのように見えた。

 

「なっ!?(手応えが、無ぇ!?)」

 

ーーー雷の呼吸、壱の型…

 

シィィィィ…と不自然な音がベートの背後から発せられる。

 

ーーー霹靂一閃!

 

雷の様な速度の斬撃がベートに襲いかかる。背後を取られたのは不覚だったが、幸い目で追える速度だ。だが、

 

(対応できるかは別問題だぞ!?)

 

だが、抜き放たれた刀身を見て驚愕する。その刀身は金色に輝き、刃は稲妻を形容するようにジグザグになっている。そして、長さは短剣ほどにまで短くなっていた。ベートはこれを躱そうとするが、目で追うだけでやっとの速さだ。ギリギリ急所は外したが、掠り傷を負ってしまう。

 

(チッ外したか…。)だけど、僕の勝ちですね」

 

「あぁ!?何言って…!?」

 

ベートはその場で倒れ込む。身体が思う様に動かなくなっていた。

 

(何だこれは…?まさか、麻痺…?おいおい笑えねーぞ!何だよ、まさか…)

 

「フィンさん。これでベートさんは戦闘不能ですよね?」

 

「なるほど、君の実力は本物だ。では諸君、改めて」

 

『ロキファミリアにようこそ、ベル!』

 

ベルはロキファミリアへの入団が決まった。




補足説明
・リオレウス
ワイバーン型のドラゴン。推奨Lv5。詳細はMH原作と同じ。
・全集中・雷の呼吸
ゼウスがベルに叩き込んだ近接戦闘技術。詳細は鬼滅の刃参照。
・壱の型・霹靂一閃
鬼滅の刃原作と同じ技。相違点は特になし(多分)
・虚の型・天雷突閃(てんらいとつせん)
今作オリジナルの技。上空から地面の敵に落雷の如き突きを与える。
・ベルの逆鱗
チビ、白髪と呼ばれるとキレる。
・ラストボルト
ベルの持つ魔剣の1振りでベルの持っていた魔剣で最もリーチが短い。ゼウスの雷と不壊属性(デュランダル)が付与されてる。ベルが一定条件を満たす事でその真の姿を現す。名前の意味は「最後の雷」
・ラグナ・ダガー
ラストボルトの真の姿。稲妻を象った金色の短い刀身が特徴。発現条件は超光速の霹靂一閃を放つこと。刀身が当たりさえすれば相手を戦闘不能に追い込む短剣。名前の意味は「黄昏の短剣」


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傷痕ーベル・クラネルの軌跡

ベルの髪色について意見をいただきました。完全に忘れてましたorz
どの道(無理矢理だけど)髪色についてはこの話で補完させて貰います。


ベルのロキファミリア入団が決まった直後、突然ベルが倒れ込んだ。

 

「あれ?ベル?どないしてん!?ママ、回復薬(ポーション)の手配…」

 

「待てロキ。この少年、髪の色が変わってないか?」

 

緊急事態につきツッコミを放棄したのは副団長のリヴェリア。確かに髪の色が銀色から白い髪になっている。というか今気がついたが、

 

「この子、髪の色いつの間に変わってん?」

 

最初に目撃した時は髪の色が白かった。だが、黄昏の館に着いた頃には銀色に染まってた。そして、

 

「おいロキ…。一つだけ聞いていいか?」

 

「……な、何やリヴェリア…?」

 

「この子の両腕両脚が複雑骨折してるんだが、これはどういう事だ…?」

 

「さ、流石にそこまでは…、ホンマに何も知らんねん!!」

 

リヴェリアは万能回復薬(エリクサー)をベルの四肢にかけて、空いている部屋のベッドに運んだ。容態を見ようとした彼女がベルの服を脱がせた時、絶句した。

左腕に火傷の跡、そして、何箇所もある打撲痕。

 

「ロキ、隠れてないでどういう事か説明しろ」

 

「まあ、ベルが全集中を使った時点で止めるべきやったんやろうがな…。いや、違うな」

 

全集中という聞きなれない言葉をとりあえずリヴェリアは保留する。

ロキの考えが正しければこの子は恐らく、長い間全集中の呼吸をしながら生活していた。祖父(ゼウス)亡くなった(天界に送還された)後、自分だけで生きる為に。そして、常に戦場にいた彼は普通の呼吸法を忘れてしまい、無意識の全集中の呼吸で痛みを感じなくなり、その結果高すぎる敏捷の反動をモロに食らう身体になってしまった。…あれ?それじゃあ…。

 

「この子の敏捷値に他のステイタスが着いていってへんってこと!?」

 

「はあ、しばらくこの子に全集中とやらを使わせない方法は無いのかロキ」

 

「えーと…」

 

リヴェリアの質問に手ずまりになったロキ。そこに天使が現れた。

 

「ロキ、私がこの子(ベル)の面倒を見る」

 

名乗りを上げたのは意外にもアイズだった。

アイズもダンジョンの中では常在戦場の心構えでいる。しかし、ホームにいる間は切っている状態にしている。つまり、全集中の呼吸のスイッチのオンオフを出来れば問題ない。ロキ、リヴェリア、後で話を聞いたフィンがこの意見に賛同した。

 

「それと、あの剣没収やな。とは言ってもなー、残り2振りの能力が分からん。アイズたんは剣回収したんやろ?どんなんやった?」

 

するとアイズは少し困った顔になった。普段ならからかうロキだったが、状況が状況なだけに自重した。

 

「まず大刀の方。見た目に反して軽すぎる。間違いなく魔剣。不壊属性も付いている。でも、片手剣は、分からない。そもそも、こんな物をどうして持ち歩いてたのか分からない」

 

ロキとリヴェリアがベルが床に置いた方の片手剣を抜いてみる。リヴェリアはその刀身を見て目を疑った。

その刀身は焼け焦げていた。だが、それ以上にその剣は不可解だった。

 

「妙だ。鉄が本当に焼け焦げたみたいになってる。それも中まで」

 

表面ならまだしも、その中身が焼け焦げている。最早剣の形を保ってるのが不思議だ。

 

「それにデスぺレートをぶつけて不壊属性があるのは確かめた」

 

「嘘やろ、こんな剣もどきがデスぺレートの剣戟を受けて壊れんかったんかい…」

 

「本人に聞くしかないな」

 

「リヴェリア…、ベルの左腕の火傷の跡…」

 

アイズがベルの左腕を見ると少し申し訳なさそうに呟く。ところが、リヴェリアから返ってきた返事は予想外のことだった。

 

「アイズ、これはお前を庇って出来た火傷じゃない。リオレウスの火球程度ならそもそも1年も火傷の跡が残るなんて話は聞いたことがない…!?」

 

そこでリヴェリアは「まさか…」と呟いて先程の剣を握る。

すると、焼け焦げた刀身の隙間から赤い光が放たれてることに気がついた。リヴェリアはこれを鞘に戻すと驚くべき事実を口にした。

 

「ロキ。この剣も魔剣だ。しかもかなり厄介な代物の」

 

「え?そんなにヤバい代物なん?」

 

「さっきもしやと思ってあの剣に魔力を注ぎ込んでみた。そしたらビンゴ、私の総合魔力量の半分を食らってやっと魔剣としてのの本性を現した」

 

ロキは思考を停止した。Lv6のハイエルフ、それも「九魔姫」の二つ名を持つロキファミリア副団長のリヴェリアの総魔力の半分でやっと魔剣として機能する、ここから導き出されるベルが突然倒れた理由。

1つは常在戦場の心構えで全集中の呼吸を長い間使っていた反動、そしてもう1つは精神疲労(マインドダウン)。てことは、

 

「私はレフィーヤに頼んで高等魔力治癒薬(ハイマナポーション)を持ってこさせる。ロキはこの事を幹部連中に伝えてくれ。アイズはベルが起きるまでそばに居てやれ」

 

各々リヴェリアの指示に従い持ち場を離れた。ベルと唯一の顔見知りのアイズを除いて。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

『ベル!しっかりせい!』

 

『分かってるよ、じいちゃん!!』

 

これは夢だ。ベルの祖父が生きていた10歳頃の夢。祖父から英雄の話を聞かされたベルは自分も英雄になりたいと祖父に言った。すると祖父はベルに戦いの基礎として「全集中・雷の呼吸」を教えこんだ。その修行は過酷で、何度も何度も音を上げそうになった。そして2年後、全集中・雷の呼吸が完成したのを皮切りに、祖父は亡くなった。

行く宛がないベルは、祖父の遺言を思い出す。

 

「ダンジョン都市・オラリオでハーレムを作るのじゃ、ベル。そうすれば、英雄に近づけるかもしれんぞ…」

 

ベルは正直ハーレムには微塵も興味が無い。でもオラリオには興味があった。そして、祖父が僕の為にヘファイ…誰だっけ?から預かった1振りの刀を持って傭兵紛いのことをやっていた。その結果、ベルは常に雷の呼吸を行うことで4年間食いつないで来た。ちなみにベルは(本人は知らないが)外の世界で「幼雷公(リトルライトニング)」の二つ名で呼ばれている。

そう言えば、後頭部に幸せな感覚がするなぁ。

 

……え?

 

ハッとなって目を覚ます。身体が思う様に動かないところを見るに、雷の呼吸を止めたものだと思われる。そして、ベルを見つめる碧の双眸と金色の長髪。うん、なるほど。どういう訳かアイズさんに膝枕されてるのは分かった。

 

「あのーアイズさん?何で僕はこんな事に?そして何故に頭を撫でられているんです?」

 

「綺麗な白髪で赤い目をしてるから、何だか兎みたいで可愛くて…」ナデナデ

 

「……」ショボーン

 

兎みたいで可愛い、この言葉は何故かベルの心に深く突き刺さった。しかも怠くて身体が動かない。つまり、この状況を打破する方法は(無情?にも)存在しなかった。

 

「もう少し待ってて。レフィーヤが高等魔力治癒薬を持ってくるから」

 

「アイズさん、高等魔力治癒薬を持ってきま…した…。何してるんですか?誰の差し金でこんな事してるんですか?」

 

「ロキ」

 

ずんずんと擬音がしそうな勢いでこちらに歩いてきたのはブロンド髪のエルフの少女。ベル・クラネルとレフィーヤ・ウィリディスの出会いは(ある意味)最悪の形で訪れた。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ロキは自室でベルの動きを思い出す。何も知らないエルフ族の手前、全集中の呼吸の詳細は伏せたが、それを加味してもおかしな点がある。確かにジジイがベルを鍛えて全集中の呼吸を覚えさせたのは事実だと確信した。だが、

 

(それを鑑みても、ベートはLv5の冒険者やで…。推定Lv3のベルがベートが対応できない速度で動いてたとしたら、雷の呼吸じゃありえへん…)

 

雷の呼吸、どうもこの単語に違和感を覚える。ロキは一つだけ有りうる可能性を考えていた。

 

(もし、ベルが使ってる全集中が「雷の呼吸」とは別のものだとしたら?)

 

ベルから没収した(本人の了承は得てないが)ベートとの戦いで使われた金色の魔剣を見る。刀身の根元にはオラリオ屈指の鍛冶神・ヘファイストスの名前が神聖文字で刻まれていた。

明日は忙しくなりそうだと、らしくもなくロキが溜め息をついた。




備考
ベルの持つ魔剣
・共通して不壊属性を付与してある。
・ラストボルトの刀身にはヘファイストスの神聖文字。
・物理法則をガン無視したような軽さの大刀と剣かどうかを疑うような黒焦げの刀身の片手剣。2本とも製作者は不明だが、少なくともグロッソの魔剣では無い。
・しかも黒焦げの片手剣はかなりの魔力を使わないと魔剣として機能しない。性能は不明。

ベルの雷の呼吸の弊害
・敏捷が上がりすぎたため他のステイタスが追いつかず、加速の加減を間違えると四肢の複雑骨折も有りうる。
・無意識下の発動中は髪色が銀色に変わる。

ロキの懸念
・「雷の呼吸」という単語にある違和感を覚える。そして、ベルの雷の呼吸によく似た型の技がある別の呼吸を使っているのではと疑っている。ジジイのことだから伏せてる可能性大。


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神の恩恵ーステイタスとレアスキル

ロキの嫌な予感が当たります。


ベルが倒れた次の日、ロキの自室にてベルに神の恩恵が刻まれる日がやってきた。

 

「さてベル。服脱いで。ああ、全部やあらへんよ?上半身だけ裸になってくれたらええ。どや?少し期待したか?」

 

「ホントにビックリするからやめてくださいロキ様」

 

ロキはベルという少年に関して少しずつ分かってきた。まずは、物凄く真面目で純真。これは全集中の呼吸をしてないベルを見て気がついたのだが、純白のオーラのような何かが漏れ出ていた。自分が注視しないでも分かるくらい澄んでいる清らかな魂。フレイヤ(あの女狐)に取られる前にここに置いて正解やったとつくづく思った。フレイヤに先に見つかってたら間違いなく食われていただろう、…割と冗談抜きで。

もう一つは、白髪というよりは白兎の様なその容姿がコンプレックスであること。あの門番といいベートといい、ベルの実力を容姿で判断していた。あのアイズに至っては完全に愛玩動物扱いだ(本人に悪気は無いだろうが)。

まあ、今日は色々とやる事があるからちゃっちゃと恩恵を刻むことにしよう。それにしても、

 

(なんちゅうがっしりした身体つきや…。さて、お待ちかねのステイタスはっと…)

 

ベル・クラネル 人間種族

Lv1

力:I0

耐久:I0

敏捷:X0

魔力:I0

器用:I0

 

魔法

なし

 

「ぶっ!?」

 

「どうかしましたか、ロキ様?」

 

「い、いや何でもあらへん…」

 

マジか…、敏捷の数値が分からん。Xなんてステイタス初めて見たわ。さて、肝心のスキルはーっと…。

 

スキル

窮地英雄(レイトヒーロー)

・早熟する。

・目標の高さによって効果上昇。

・逆境に立たされた時ステイタスの大幅上昇。

・守るべきものがある時にステイタスの限界突破。

 

魔術適性

・魔術の使用適性あり。

・魔法の習得不可。

・魔力の向上可能。

 

神速

・敏捷が力、耐久、器用の平均値の10倍の数値になる。

・敏捷のステイタスはXで固定される。

・レベルアップした時の敏捷のステイタスはそのまま引き継ぐ。

 

全集中・神鳴(かみなり)の呼吸

・発動時、敏捷を999に固定する。

・雷の呼吸の技の発動時に敏捷が上昇。

・レベルが上がる毎に敏捷の初期固定値上昇。

・使用継続時間が長いほど効果上昇。

 

魔剣寵愛

・あらゆる魔剣の使用条件を緩和する。

 

まず一言言いたくなった。Lv1の時点でスキルが5個も発現してるのは異常やろ…。

聞き覚えのない早熟とステイタスの限界突破の複合スキルに現在1人しか確認されてないステイタス変動スキル、そして、

 

一時的にヘルメスをも上回る超神速の敏捷を与える全集中・神鳴の呼吸。このスキルを発現したのは後にも先にも1人だけ。その名をスレイ・クラネル。故人であり、隻眼の龍の戦いで滅んだゼウスファミリアの団長にして「絶対強者(アブソルート)」の二つ名を持っていたLv9の冒険者。そう言えばベルの名前も「クラネル」やけど、偶然やろうか?共通言語に戻す時に神鳴の呼吸だけ変えるか…、いや、幹部にはこの事を伝えるべきやろ。特に団長(フィン)副団長(リヴェリア)には。とりあえずステイタスは見せておこう。敏捷をのステイタスをIにして。背中に道化の刻印が押されたのを確認して、

 

「ベル、これがお前のステイタスや。おめでとうな、晴れてこれで冒険者やで」

 

「ありがとうございます、ロキ様!」

 

「ええてええて。それとな、ベル。雷の呼吸以外にもスキルが発現してるで」

 

そして、魔術適性と魔剣寵愛のスキルのみを伝えることにした。ちなみに他にもスキルが発現してるが、分からなかったで押し通した。それでもにこやかに「それでも十分ですよ!」と言われて自分の心に何かが突き刺さる様な感じがした。

 

「さて、そんじゃレフィーヤたんに頼んでギルドに行ってきいや」

 

「レフィーヤさんって、ブロンド髪のエルフの人ですか?」

 

「せや。ママとかアイズたんでも良かったんやけど、今日は幹部会議があってなー。気ぃつけて行ってくるんやでー」

 

「はい!では行ってきます、ロキ様」

 

自室からベルが出たのを確認したロキは

 

「さて、聞いての通りやアイズたん。幹部連中を至急ここに集めてくれ」

 

気配を完全に消して自室にいたアイズに話しかけた。無論、ロキとて気づいていたが、あの戦闘能力だ。もしもの事があればと思って敢えて追い出さなかった。だが、起こって欲しくない予想ほど起こるという法則でもあるのか、嫌な予想に限ってその予想は起こってしまう。

ロキはベルが外出してる間に緊急幹部会議を開くことにした。

 




ベルに伝えたステイタス

ベル・クラネル 人間種族
Lv1
力:I0
耐久:I0
敏捷:I0
魔力:I0
器用:I0

魔法
なし

スキル
魔術適性
・魔術の使用適性あり。
・魔法の習得不可。
・魔力の向上可能。

魔剣寵愛
・あらゆる魔剣の使用条件を緩和する。

全集中・雷の呼吸
・敏捷に上方補正。
・刀使用時に効果上昇。

備考
スレイ・クラネル
今はなきゼウスファミリアの元団長。故人。「絶対強者」の二つ名を持つオラリオ最強の冒険者。最終到達レベルは9。ベルとの関連は不明。


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緊急会議ーベルの教育係は誰になる?

ベルの重大事実発覚。

※ヘファイストスの口調を原作よりに修正、アマテラスの設定はオリジナルで行きたいと思います(Wikipedia先生に聞いても出てこなかったため)


「さて、これで全員揃ったな」

 

黄昏の館の会議室。ロキファミリアの幹部一同、ヘファイストスファミリアの主神・ヘファイストス、そして、

 

「ロキ。ヘファイストス様は分かるとしてそこの女の人は誰だい?」

 

謎の黒髪長髪の女性が佇んでいた。タケミカズチをどことなく彷彿とさせる出で立ちから極東の人間であるのは間違いない。

 

「知らないのは無理ないでしょう。私の名はアマテラス。一応、日輪神と呼ばれている者です」

 

『!?』

 

ロキファミリアの一部の幹部にどよめきが走る。

 

「ロキ、アマテラス様は何の説明の為に呼ばれたんだい?」

 

団長であるフィンは動じることなくロキに問う。

 

「一応紹介するとな、ファイたんはベルが持ってた魔剣の説明を、アマテラスには全集中の説明をする為に来てもらってん」

 

ロキは幹部一同にベルの初期ステイタスの書かれた紙をそのままスライディングさせて渡す。

 

「…ロキ。これは何の冗談だ?」

 

「敏捷:X。聞いたことがない」

 

先に声を上げたのはリヴェリアとアイズ。その問いに答えたのは意外にもアマテラスだった。

 

「これで2人目ね。ロキ、この子『神速』のスキルを発現したでしょ?」

 

「やっぱアマテラスにはバレるか…」

 

「まあ、私はファミリア持ってないから安心していいわよ?でもこれで、私が呼ばれた理由が分かったわ。もしかすると、『絶対強者』の再来かもね?」

 

「絶対強者」という聞き慣れない二つ名に戸惑うアイズ、ベート、ティオネ、ティオナ。

 

「アイズ辺りは知らんやろうな。『絶対強者』スレイ・クラネル。かつてオラリオ最強を誇った二大ファミリアが一角、ゼウスファミリアの元団長。最終Lv9。現在のオラリオ最強がフレイヤファミリアの『猛者』オッタルでLv7。これだけ言えばどんだけ強い冒険者か分かったはずやで」

 

「それと女神アマテラスに何の関係が?」

 

「全集中の呼吸。これについて説明してもらう為や」

 

そしてアマテラスは全集中の呼吸の説明をした(長いので割愛。詳細は鬼滅の刃原作参照)。

 

「つまり、肺に送る酸素量を多くする事で肉体性能を上げている。この認識で合ってますね?」

 

「流派で違うけどね。そして、ベルの全集中は『雷の呼吸』と本人は思ってるみたいだけど違うわよ。スレイがLv5に同じスキルを発現したしね。スレイは『日の呼吸』の使い手だったわ」

 

日の呼吸とはあらゆる全集中の呼吸の原点にして頂点とされる最強の呼吸の名称で、全ての全集中の呼吸を使えることから「絶対強者」の二つ名を与えられたらしい(ちなみにスレイは元々はアマテラスの加護を受けた一族の末裔で年初めに雪山で神楽舞を奉納していたらしい)。そして、Lv6になったある日、些細な事でそれは起きた。

ゼウスがちょっとした悪戯心で彼の妻、ロゼ・クラネルに痴漢まがいの行為をしたのが切っ掛けだった。いくら自分のファミリアの主神とはいえ、それだけは許せなかったスレイは逃げたゼウスを追い回した。その時に無意識下の雷の呼吸が派生し、別の呼吸に変わった。スキル・神速と新たなる呼吸法が合わさった彼の速度には誰も着いていくことができなかった。後に、スレイにボコボコにされたゼウスはこのような事を言い残した。

 

下手したらヘルメスよりも速い。そのスピードは最早超光速と言っても過言ではない、と。

 

「待って、もしかして…」

 

ここまで沈黙を保っていたヘファイストスがベルの刀を抜いてみる。そこにほんの少しだけ自分の血を垂らすと、神聖文字で以下の事が書かれていた。

 

『我は神鳴る呼吸と共にあり。我は雷神の寵愛と共にあり。その血筋途絶えぬ限り、我はこの者の血筋の刃とならん』

 

「ロキ…。あなたは本当に悪運だけは強いのね。新人の彼、ベル・クラネルと言ったかしら?間違いなくスレイ・クラネルの血筋を受け継ぐ者よ」

 

「え!?ファイたん、それマジで言ってんの!?」

 

と言いたいが、ヘファイストスがこんな時に冗談を言う神とは思えない。つまり、

 

(もし、ウチが保護しとらんかったら別のファミリアに行ってたってことかいな!?しかも、『絶対強者』の血を引く者を!?)

 

ロキは初めて本心から顔が青ざめていくのを感じていた。

 

「それと追い討ちかけるようで悪いけど、ロゼ・クラネル。彼女は魔法剣、グロッソの魔剣とは別口の魔剣の使い手。何が言いたいか分かるわね?」

 

つまり、ベル・クラネルは日の呼吸の継承者であると同時に神鳴の呼吸の使い手で、魔法剣の寵愛を受けた冒険者だということになる。

そして、これらの事を踏まえてベルの世話係は以下の分配にすることにした。

 

ダンジョン及び魔物の基礎知識をリヴェリア。戦闘訓練を幹部全員交代制。リヴェリアの許可を取った後、ダンジョンに潜る時のパートナーとしてレフィーヤに任せる事になった。

 

ちなみにギルドから戻ってきたベルは終始レフィーヤから無視され続け、精神的にボロボロになって帰ってきたらしい(それを見かねたアイズがベルの頭を撫でた事で余計レフィーヤの機嫌が悪くなったとかなってないとか)。

 




ベルの血族に関する詳細

スレイ・クラネル(故人)
・見た目:テイルズオブゼスティリア主人公のスレイの炎神依ver.。
・「絶対強者」の二つ名を持っていたLv9の冒険者。ゼウスファミリアの元団長。
・全集中・日の呼吸の使い手。日輪神・アマテラスの加護を受けていた一族。

ロゼ・クラネル(故人)
・見た目:テイルズオブゼスティリアのヒロインのロゼ。
・「緋色麗嵐(スカーレット・テンペスタ)」の二つ名を持っていたLv6冒険者。スレイとは夫婦関係にあり、ゼウスファミリア元副団長。
・魔法剣を使わせると右に出る物はいないと言われる程の使い手。現時点のオッタルに匹敵する実力者。

アマテラス
・見た目:魔法科高校の劣等生の司波深雪。
・クラネルの一族に加護を与えていた太陽神。アポロン(変態)と被ることを嫌がって本人(神)は日輪神を名乗っている。
・とある懸念事項を探るために14年前に下界に降りた。
・全集中の呼吸の大元、日の呼吸を下界に伝えた神。


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新人育成ー嵐を纏う白兎

次回からダンジョンに潜ります()


幹部会議があった翌日、リヴェリアはベルにダンジョンの基本構造からモンスターの分布までを叩き込んでいた。そして、抜き打ちのテストを行ったところ、なんと満点を叩き出していた。流石に偶然かと思ったリヴェリアは試しにもう一度抜き打ちのテスト、しかもまだ教えていない中層の範囲を織り交ぜて出した。

この結果も満点。リヴェリアがなぜこんなに覚えるのが早いのか、そもそも教えていない中層の事をどこで知ったのかをベルに問いただした。

 

「おじいちゃんの書斎にダンジョンの簡略テキストがあって、その本を熟読しました。確か、18階層までは覚えてます」

 

なるほど、ゼウスがただで天界に還るとは思ってなかったが、まさかダンジョンにまつわる書籍を残していたとは驚きを隠せなかった。リヴェリアがそれにざっと目を通すと、確かに18階層までの情報が簡潔に、解りやすく書いてあったため、少し落ち込んだ。

 

「でも、リヴェリアさんの説明でもっと細かにダンジョンの詳細が解りました。それでも充分ですよ」

 

この時、リヴェリアの何かが切れた。

 

「ベル、お前は自分の母を覚えてるか?」

 

「僕の両親は…僕が物心つく前に亡くなったとおじいちゃんから聞かされてます」

 

ベルが寂しそうな顔をして俯いた。そして、リヴェリアは

 

(何だろうな。この子は守ってあげたくなるような、そんな感じがする…)

 

物心つく前に両親を亡くし、唯一の肉親だった祖父も亡くしたベルには心安らぐ場所が無いのだろう。寂しげな白兎を見ている感覚に襲われたリヴェリアは初めて母性本能を擽られるという感覚に目覚めてしまった。

 

「あの、リヴェリアさん…?」

 

「ベル…。その小さな身体で、ここまでよく耐えたな。辛かったろう?私の胸を貸してやるから、存分に泣くといい」

 

エルフ族の女性は基本的に男に肌を触られることを良しとしない。エルフに不用意に触ろうものなら下手すれば殺されることすら有りうる。だからこそ、ハイエルフたるリヴェリアもこの行動に移った理由が分からなかった。気がつくとベルを抱き締めていた。だがそれは、恋人同士が行うそれではなく、母が子を抱き締めているそれに近かった。

ベルも突然抱き締められた事に戸惑いを隠せず慌てていたが、だんだんと自分の抑圧してきた感情が溢れ出てきた。

 

両親は物心つく前に亡くなった。

 

祖父も4年前に亡くした。

 

ベルに心の支えなど、有りはしなかった。そう、オラリオに、ロキファミリアに来るまでは。

 

「…お母さん…」

 

それはロキに感化されて出てきた言葉なのか、それとも無意識に出てきた言葉なのかは分からない。だが、ベル自身に決定的に足りなかった何かが満たされていった。

ロキファミリアに入団した2日目、ベルはリヴェリアの胸の中で泣きじゃくった。リヴェリアは自身の服が涙で濡れるのを厭わず、ただそっと、ベルの髪を撫でていた。

後に気配を完全に消したロキに一連の出来事を見られてた事が発覚し、以降彼女はベルの母親ポジションを確立したのは言うまでもなかった。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

翌日、ロキファミリアの訓練場。

 

「はあ!」

 

「甘い」

 

ダンジョンの基礎知識を2日で覚えたベルは戦闘訓練を行っていた。ちなみに相手はフィン。ハンデとしてフィンは槍を持ったまま定位置から動かない。リヴェリアが張っている結界の外にフィンを叩き出したら訓練は終わり、単純明解なルールであるが、これが結構難しい。

まず、フィンはロキファミリアの団長であり、「勇者(ブレイバー)」の二つ名を持つLv6の冒険者。素の能力が高いとはいえ、Lv1のベルにこれを突破するのは困難な事だった。

それに加え、ベルの得物は大刀。雷の呼吸を使うには不向きな長さの武器だ。一応魔剣ではあるのだが、不壊属性と長さに合わない軽さを踏まえたそれは、抜刀術を重きに置いた雷の呼吸には不向きのものだった。攻め方を制限され、斬撃も槍でいなされる。痺れを切らしたベルは、

 

「我此処に、汝の力を解き放つ。起きろ、シルフィーネ!」

 

(来た。さて見せてもらおうか、君の魔剣の力を)

 

フィンはこの瞬間を待ち望んでいた。ヘファイストスに聞いた話だと大刀の属性は風。風属性を宿す魔剣は素早い攻撃をする為に武器そのものが軽くなる性質があると言う。だが、ヘファイストスが言うには本人しか分からない何かがそれに潜んでいる可能性があるとの事。なので、フィンは彼の実力、否、彼の魔剣の能力を見極める為にこの条件で訓練を行った。

ベルが何かを呟いたその時、彼の周りを風が包み込む。風は徐々に強くなり、彼を中心に嵐のような暴風が吹き荒れていた。そして、大刀だった魔剣は少しだけ刀身が短くなり、鍔に当たる場所が無くなっていた。一見すると全体が鳥の翼に見えなくもないそれは、翼と言うよりも「風」を具現化した様な美しい形をしていた。

 

「行きます、フィンさん!」

 

突然、ベルが虚空を一閃する。

 

「あのチビ、何考えてやがる?」

 

ベートが聞こえないように呟くと、突然フィンがそれに合わせるように槍を薙いだ。

 

カキン!

 

金属がぶつかり合う音が響き渡り、訓練場に大きな傷跡が。

 

「初見でよく躱せましたね?」

 

「驚いたね…。その大刀の本性は見えない斬撃、いや、風の刃と言うべきかな?」

 

実際に戦っていたフィンはベルが刀を振るった時に親指が疼くのを感じた。しかも動ける範囲が限られてる以上、それは槍で弾くしかない。そして、恐るるべきはその特性を理解した上でフィンがいる直線上を斬ったベルの技量だ。

 

「でも、次は躱せませんよ?」

 

ベルがその場から消えた。恐らく全集中は使っていない。素のスピードでこれなのだろう。フィンは難なく目で追えたが、ベルの行動に度肝を抜かれる。

なんとベルは壁を蹴り、壁から壁に飛び移るように移動していたのだ。そして、その速度が段々と速くなり、6回目に壁を蹴ったベルはフィンに斬りかかった。その速さは確かにフィンが目で追える速さだった。フィンはそのまま槍を構えて返り討ちにするはずだった(・・・・・)。そう、

 

ベルを覆っている暴風がその目論見を狂わせなければ。

 

「くっ!?」

 

フィンが珍しく防御の構えを取った。そして、

 

「エアリアル・バースト!」

 

ゴオォォォォォォ!!

 

「ぐう!?」

 

フィンが槍で魔剣から放たれた魔法に似た何かを防ごうとする。砂嵐が舞い、幹部一同が視界を奪われる。そして、

 

膝をついて肩で息をしているベル、無傷で槍を構えるフィンが現れた。

 

「はあ…!この…」

 

ベルは既に身体中がボロボロの状態であり、それでもなお大刀に戻った魔剣を構えようとする。その時、

 

「ベル。今日の訓練は終わりだ」

 

フィンが突然構えを解いた。ベルは戸惑いながらフィンの足元を見る。そう、フィンはさっきの技でリヴェリアの設定した結界の外に押し出されていた。

 

そしてその日の訓練の終わり、リヴェリアが(ハンデありではあるが)フィンに勝てたご褒美として豊饒の女主人で晩御飯をご馳走した。その物凄い食いっぷりを目の当たりにしたリヴェリアは「成長期なんだなあ」と思いながらベルの食べる姿を見ていた。ちなみにリヴェリアがそばに居たのでシルは迂闊に近づけないと内心悔しがっていたのは言うまでもなかった。

 

そして、訓練を終えたその日の内にベルのステイタスの更新が行われた。

 

ベル・クラネル 人間種族

Lv1

力:I0→I64

耐久:I0→I73

敏捷:X0→X620

魔力:I0→I76

器用:I0→I52

 

魔術

魔剣覚醒

・魔剣の秘められた能力の解放。

・使用条件は魔剣により異なる。

・起動詠唱:我此処に、汝の力を解き放つ。

 

嵐纏刀(シルフィーネ)

・使用条件:風属性を付与(エンチャント)した大刀。

・固有能力:見えざる剣戟、嵐の鎧。

 

エアリアル・バースト

・使用条件:シルフィーネの覚醒。

・自らに吹き荒れる風を全て対象にぶつける広範囲魔術。それらの風は万物を切り裂く見えざる刃。

・分散可能。範囲を狭めることで威力上昇。

・詠唱なし。

 

「ロキ様!敏捷だけ凄い伸び方してます!」

 

「せ、せやな。元々ベルはスピード特化の戦闘スタイルやから敏捷が格段に上がるんや!」

 

内心で有り得ないと思いたいが、現実は非常である。ベルの敏捷は既にCに相当するステイタスになっていた。確かにあの「神速」と呼ばれるスキルはLv1で発現するには早すぎる。

それを抜きに他のステイタスを見ても1日で平均上昇値が60後半、フィンと実践訓練していたにしても伸び方がおかしい。ベルには成長期という事で話を合わせよう。

 

(神速に窮地英雄、厄介極まりないスキルやな…)

 

「でもシルフィーネのあの技って魔術だったのか…。知らなかったなあ」

 

「なんや?自分の得物の能力知らんかったなんて言わんよな?」

 

「実はフィンさんと戦ってた時に頭の中に誰かの記憶が流れ込んできて、咄嗟にそれを使った感じです」

 

ロキはそれだけ聞くとベルを自室から出して1人頭を抱えていた。

 

(魔術適性も厄介なスキルやで。何で魔法が消えて魔術なんて得体の知れん項目が出てくんねん…)

 

ロキはそのまま睡魔に任せて眠りについた。

 

そして、ベルがファミリアに入団した1週間後、彼のダンジョン探索の許可が正式にリヴェリアから下りた。

 




ベル視点のステイタス

ベル・クラネル 人間種族
Lv1
力:I0→I64
耐久:I0→I73
敏捷:I0→C620
魔力:I0→I76
器用:I0→I52

※この小説のステイタスのランクは以下のように設定します。

S:900〜
A:800〜899
B:700〜799
C:600〜699
D:500〜599
E:400〜499
F:300〜399
G:200〜299
H:100〜199
I:0〜99


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迷宮探索ーベルとレフィーヤと緊急事態

「オッタル?首尾は上手くいったかしら?」

フレイヤファミリアホームにて、妖艶な笑みを浮かべる女神が囁く。

「あのミノタウロスなら、間違いなく」

「フフ。さあ見せて、幼雷公。あなたのその澄んだ魂の輝きを!」


「えーと。武器よし。防具よし。回復アイテムもよし、と。レフィーヤさん、お待たせしましたー」

 

「待ってないからいいわよ。では、リヴェリア様、アイズ様。行ってきます」

 

「初日から飛ばしすぎないように」

 

「アイズが言っても説得力の欠片も感じないけどな…」

 

あはは、と笑いながらリヴェリアが笑みを浮かべる。今日からベルはダンジョンの探索にデビューする。フィン、リヴェリア、ロキの判断により肩慣らしに第5階層まで探索することを許可された。ベルは初めてのダンジョンでワクワクが止まらない様子だったが、レフィーヤは物凄く嫌だった。

入団早々に憧れのアイズに膝枕をしてもらい、更にはフィンやリヴェリアまでもがベルに贔屓してるように見えたのだ。確かにベートとの試合の時も、フィンとの訓練も見ていた。あの強さはレフィーヤから見ても同等かそれ以上だろう。

 

だからこそ気に食わない。あの白兎の様な新人が。

 

(どうにか懲らしめる方法を考えなきゃ)

 

レフィーヤはこの時、自分の心に魔が差したのに気づいていなかった。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

そして今日のノルマの第5階層まで来て、レフィーヤは、

 

「ベル、そろそろ魔石が溜まってきたから一旦上がりましょう?」

 

「えっ?もうそんなに溜まったんですか?」

 

マジである。ベルは全集中を使わずに、湧いてくる魔物を一掃していた。しかも、レフィーヤと一定の距離を保つように距離を置きながら。

 

「ベルはもう少しだけ潜ってて。私が魔石を換金してくるから」

 

リヴェリア様から念のためにベルに付き合えと言われてはいたが、正直馬鹿らしい。あんなに強いんだから私が居なくても大丈夫。リヴェリア様は心配性がすぎる。一応、夕方には帰るようにベルに言ってあるから1人で荒稼ぎして帰ってくるだろう。そう思い、私はバベルの魔石換金所に来た。

 

「合計5000ヴァリスになります」

 

「半日でこれだけ稼げるのか、ウチの新人は…」

 

「凄いですね。滅多にいないと思いますよ。Lv1でそんなに稼げる冒険者は」

 

換金所にいたのはベルの担当アドバイザーのエイナ・チュール。眼鏡をかけたハーフエルフの女性である。

 

「でも油断はしないで下さい。ベル君にも言ってますが、低レベルの時は『冒険者は冒険してはならない』のが鉄則ですから」

 

「でも低レベルであの強さだから問題ないと思いますよ?」

 

「ならいいんですけどね…。妙な胸騒ぎがするんですよ…」

 

「気のせいですって。アイツに限ってそんな事ある訳ない」

 

そう、この時点ではレフィーヤの己の行為が如何に愚かな事だったのか知る由もない。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

その頃ベルはひたすらゴブリン、コボルト、ダンジョン・リザード等の上層の雑魚をひたすら狩り続けた。自分の魔石用ポーチがある程度埋まるのを確認すると、

 

「うわあああ!!」

 

男のものであろう悲鳴が響き渡る。そういえば、自分が狩ったモンスターを最後にモンスターの気配がしなくなった。すると、男がベルの横を通り過ぎ、

 

「あんた、この階層にいるってことはLv1だろ!?逃げるぞ、見たことねえミノタウロスが出やがった!」

 

「ミノタウロス!?何でこんな上層に!?」

 

「知らねえよ!とにかく、逃げろ。囮がどれだけ役立つか分からねえうちにな!」

 

そう言い残すと男は上層に走り去っていった。だが、ベルはそれよりも男性が言った囮というワードに引っ掛かりを覚える。

囮のアイテムがあるならわざわざ焦って逃げる必要はないはず。何故焦る?

 

「待って…下さい…。リリを置いて行かないで…」

 

すると、後方から息が途切れ途切れの女の子の声が聞こえた。振り向くと、身の丈の2倍近くあるバックパックを背負い、フードを被ったパゥルムがベルの元にやってくる。そして、ベルはあの男が言っていた囮の意味を理解し、そして憤慨した。

 

「さっきの奴…、命をなんだと思っているんだ…!」

 

「あの、あなたは、リリを置いて逃げるなんて、しませんよね…?」

 

「当たり前だ…」

 

ベルは静かに立ち上がる。そして、後ろを振り返ると、青黒い体毛の、見たことの無いミノタウロスがそこに立っていた。しかも、明らかに人の手で作られた(・・・・・・・・)大剣を片手に担いで。そしてベルは(ロキファミリアの支給品の)刀を抜刀する。そして、

 

ーーーグワアァァァァァ!!

 

ミノタウロスの咆哮(バインドボイス)を回避する。ダンジョンの壁を蹴り、ミノタウロスを斬り付けてヘイトを自分に集める。だが、

 

「(くそっ!思った以上に硬い!)今のうちに逃げて下さい!」

 

「けど、冒険者さんは!?」

 

「ギルドに報告に行ってください!早く!!」

 

「っ!?分かりました。持ちこたえてください!!」

 

パゥルムの女性にギルドの助けを頼んで、自分はミノタウロスに向き直る。さてと、どうしたものか。速さが足りないなら、雷の呼吸でなんとかなる。仕方ないと思ったベルは刀を収めて抜刀術の構えをとる。

 

シィィィィ…

 

これが全集中の呼吸と気がついたのか、ミノタウロスが大剣を大きく振りかぶる。だが、コンマ1秒ほどその対応は遅かった。

 

ーーー雷の呼吸、壱の型、霹靂一閃…

 

瞬時、雷を彷彿させる高速の斬撃がミノタウロスを襲うが、やはり上手いこと肉を断ち切れない。だからこそ、この技を使わざるを得なかった。

 

ーーー六連!!

 

スピードをそのままに壁から壁に、蹴りながら移動する。それを6回繰り返し、一度地面に足をつける。同じ箇所を集中的に、6回連続で斬られたのは流石に応えたらしい。ミノタウロスが一時的に蹲る。この隙に逃げようかとも考えたが、

 

(まずい!両脚と右腕の感覚が無い!?)

 

足が、腕が、言うことを聞かない。ミノタウロスもある程度時間が経つと起き上がる。ベルはオラリオに来て初めて、死の危険に晒されることになる。

 

ーーーグオォォォ…

 

立ち上がる強敵(ミノタウロス)。彼の者の大剣がベルを斬り殺さんと振り下ろされる。

 

シャン、シャン…

 

死の危険が迫ろうとしている時、ベルが耳にしたのは、極東に伝わるとされる舞の祭具の鈴の音だった。




今回のベルの武器は中級者レベルの刀だけです。理由は魔剣を使うまでもないのと、もしそれで勝てないと思ったら逃げることを覚えさせる為でした。

そして、さり気にヒロイン候補が出揃いましたね。オラリオ初のピンチに陥ったベル。一体どうなってしまうんだ…。
※ベルの壁を蹴る移動方法は中の人繋がりで一番有名な某スプリガンをイメージしてください。


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雷速白兎ー雷の呼吸・零の型

天界、高天原。1柱の男神が自分の力が微量に吸われるのを感じた。

「まさか、スレイ以外に日の呼吸を使える奴が…!?」

その男神の名をスサノオ。アマテラスの弟にして極東で有名な英雄、そして雷神である。

※戦闘シーンは完全にアニメ「鬼滅の刃」の十九話がモチーフです。


リリは冒険者が嫌いだ。いつも私のような弱者(サポーター)から搾取するクズしかいないから。

 

リリは冒険者が嫌いだ。手に負えないモンスターが出てくれば決まって囮にするようなクズしかいないから。

 

リリは、冒険者が大嫌いだ。自分を強敵(ミノタウロス)から守るような、そんなお人好しを見たことがなかったから。

 

だけど私はひたすら走る。あの白兎のような少年を助けるために。ポーチ(道化師)のエンブレムと同じ冒険者を探すために。ロキファミリアの、高レベル冒険者を探すために。

バベルのダンジョン入口に辿り着き、私は自分でも泣きそうな声で叫んだ。

 

「ロキファミリアの冒険者の方はおられますか!?」

 

「えっ?私がそうだけど、どうかしたの?」

 

反応したのはブロンズ髪のエルフの女性。千の妖精(サウザンド・エルフ)の二つ名を持つレフィーヤ・ウィリディスその人だった。

 

「ミノタウロスが、上層に…。兎の様な冒険者の人が、私を庇って…」

 

「大丈夫だって、ミノタウロス程度で倒れるような奴じゃ」

 

「見たことないミノタウロスなんですよ!!」

 

喉が枯れるような大声で柄にもなく私は泣き叫ぶ。すると、

 

「まさか、亜種…?」

 

「知りませんよ!でも、青黒い体毛のミノタウロスなんて聞いたことないです!!」

 

「…そのミノタウロスが出たところまで案内…」

 

「その前に言い訳を聞こうか?レフィーヤ?」

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

レフィーヤは声がした方に恐る恐る振り向く。そこには般若の形相のリヴェリアとフィン、何か言いたげなアイズの姿があった。

 

「嫌な疼き方をしたと思って来てみれば…」

 

「レフィーヤ?私が今朝言ったことを忘れたとは言わせないぞ?」

 

「…ベルに何があったの…?」

 

そして、先程のパゥルムが事の経緯を説明する。

 

「青黒い体毛のミノタウロス。まずい、通常のミノタウロスだったら兎も角、あの個体(・・・・)はベルには早すぎる」

 

「上層にミノタウロスがいるのも考えものだが、よりにもよって二つ名個体とは…」

 

「『青猛牛(あおもうぎゅう)』ミノタウロス。確か、Lv5の私でも苦戦は強いられる相手」

 

「兎に角、団長命令だ。急いでダンジョンに急行する。ベルを助け出す…」

 

すると、

 

シャン、シャン…

 

バベルに鈴の音が鳴り響く。そして、ダンジョン入口に一筋の雷光が迸った。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

これは、夢か?いや、死にかけてるから走馬灯でも見ているのか?僕の目の前で舞を舞っている人がいる。僕は赤子の身体で、僕を抱いている赤い髪の女性が僕に話しかけた。

 

「ベル。あれはね、とある神様が八つの首の怪物を倒してるところを真似してるのよ」

 

舞を舞っている人物は片手に鈴を持ち、もう片手に七支刀のような祭具を持って八つの斬撃を繰り出すように舞を舞う。

 

突然場面が変わり、今度は祖父と雷の呼吸を修行している場面。

 

「いいか、ベル。イメージじゃ。自身を雷だとイメージするのじゃ。そうすれば、お前の霹靂一閃は、誰にも止められない超神速の一撃と化す」

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「っ!?」

 

まだだ…。まだ終わってない!集中しろ、そして、イメージしろ!!

ベルは現実世界に意識を戻し、雷の呼吸で四肢の損傷をカバーする。それにより、振り下ろされる刃は紙一重で躱すことができた。その刀身は地面に深々と大きな傷跡を残す。まともに食らったらやばかった。隙を見てベルは保険としてリヴェリアに持たされた万能回復薬を飲んで傷を治す。

振り出しに戻ったのはいいのだが、さっきの大技の疲れでまともに技を繰り出せるのはあと一回。正直逃げたいと思ったが、ここでコイツを足止めしないと他の冒険者に危害が及ぶ。

 

だからこそ、全てを出し切ろう。ベルは刀を再び鞘に戻す。構えは霹靂一閃と同じように、そして、イメージする。自分が雷そのものになりきる様子を。

 

シィィィィ…

 

まだだ。もっと集中しろ。もっと速く、もっと鋭く、もっと疾く!なりきるんだ、「雷光」そのものに!!

 

ーーー雷の呼吸、(ぜろ)の型、雷光想起(らいこうそうき)

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

『…!?』

 

第5階層に到着したフィン達一行は感じたことの無い重圧に押し潰される。

 

(何だ…!?この、疼きは…。モンスターとは違う。まるで、神の力(アルカナム)が使われたような…!?)

 

その重圧は一瞬で、動けるようになった一行はリヴェリアの持たせた道化印のポーチ(マジックアイテム)でベルの場所に到達する。そこに居たのは、

 

目撃証言通りの青黒い体毛のミノタウロス、そして、それに対峙するベル。立っているところを見ると、恐らく隙を見て万能回復薬を飲んだのだろう。だが、不可解な点がある。ベルから、神の力に似た何かが漏れだしている。何だこれは…?

長い呼吸音の末に、ベルが消えた。そして、気づいた時にはベルはミノタウロスの背後に、しかも、抜刀した構えで立っていた。

 

「ヒノカミ神楽、雷神、須佐之男剣舞(すさのおけんぶ)

 

ベルが静かに呟いた刹那、ミノタウロスの至る所から血が吹き出し、同時にベルの刀が砕け散った。ベルはその場に膝をつくが、ミノタウロスは立ち上がる。アイズがデスぺレートを手にミノタウロスを倒そうとするが、フィンはそれを制す。そして、ミノタウロスがベルに凶刃を振り下ろす。

 

だが、斬られたのはベルの残像であった。どこに消えたとフィンが探した時、アイズがミノタウロスの真上を見ていた。そして、

 

ーーー雷の呼吸、虚の型、天雷突閃

 

ミノタウロスに白銀の稲妻が走る。ベルが取り出したファミリア支給品の短剣は的確にミノタウロスの頚部を貫き、大きな魔石がその場に残っていた。そして、ベルはその場に倒れ込んでしまった。




雷の呼吸・零の型・雷光想起
・本作オリジナルの技。霹靂一閃を覚える過程で身につけた型。自身を雷そのものと認識することで霹靂一閃及び、雷の呼吸の全ての技に威力上昇補正をかける。原作における英雄願望(アルゴノゥト)ポジション。

日の呼吸・雷神・須佐之男剣舞
・ヒノカミ神楽として代々クラネルの一族に伝わる舞のひとつ。日本神話における須佐之男が八岐大蛇を倒した時のエピソードを真似ており、七支刀の祭具を超速で8回斬るように舞う。雷の呼吸と相性が良いため代々雷神の舞として継承されている。本当は酒に酔わせて首を1つずつ切り落としただけだが、スレイはこれを使う際に使用制限を設けることで倒した過程を超速の斬撃に書き換えた。

「青猛牛」ミノタウロス
・ミノタウロスの二つ名個体。ギルドのお尋ね者。推奨Lv5。
・見た目はSAOのボスキャラ「ザ・グリームアイズ」

スサノオ(オリジナル設定)
種族:神
性別:男
年齢:2000歳以上(本人談)
詳細:神々の争いに興味が無い男神。容姿はSAOのキリト。下界には八岐大蛇を倒した時しか降りていない。伝承では穀物の神・ウカノミタマの親とされており、穀物の神の親=稲の神の親=雷の神だと言われている(Wikipedia及びYahoo知恵袋より引用)


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帰還ーレフィーヤの謹慎、ベルの本心

「ああ!いい!その輝きをもっともっと私に見せて!!」

フレイヤファミリアの主神・フレイヤはベルが二つ名のミノタウロスを倒した瞬間、完全に悶絶していた。


「…ベル!」

 

先程の戦闘を魅入っていた一同だったが、ベルが倒れ込んだ瞬間に、アイズが動いていた。だが、動いた理由が本人にも分からない。

 

「酷い。ベートの時と同じ」

 

「何だと…?」

 

我に返ったリヴェリアがベルに駆け寄る。そして、例によって万能回復薬を四肢にかけてみるが、

 

「…回復しない…!?」

 

「リヴェリア。私に万能回復薬を」

 

唐突なアイズの要求に戸惑ったが、アイズのこれまでに無い剣幕に気圧され万能回復薬をアイズに手渡す。すると、アイズは万能回復薬を口に含んで、

 

『え?』

 

それをなんと、口移しでベルに飲ませていた。フィンとリヴェリアはその光景に固まり、レフィーヤは一瞬だけ気絶した。

 

「…ぐ…!?がぁぁぁぁ!?」

 

全部飲ませたのか、ベルが悲鳴をあげた。万能回復薬の回復の痛みが想像を絶するものなのだろう。ベルの四肢が戻ったのを確認すると、アイズがベルを背負ってダンジョンから脱出することにした。まだ謎の力が漂ってるのか、不思議なことにモンスターは1匹も出てこなかった。

ちなみに、アイズがさり気にベルにファーストキスをしていたことに気がついて柄にもなく慌てるのは先の話。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「さて、レフィーヤ。何故ベルを一人でダンジョンに残した?」

 

ここはリヴェリアの私室。レフィーヤが正座でリヴェリアに説教されていた。

 

「私はお前にも教えたはずだよな?ダンジョンでは何が起こるか分からないと?」

 

「でも、あれだけ強いんですから、上層くらいなら大丈夫だと思って…」

 

「それで?その判断でベルが死んでたらどう責任を取るつもりだったんだ!?」

 

「ひっ…!そ、それは…」

 

レフィーヤが今にも泣きそうになったその時、

 

「ママ、その辺にしときい。ベルにも注意はさせるんやろ?」

 

「ロキ、ノックぐらいしたらどうだ…。あとママって呼ぶな」

 

勝手にロキが割って入った。レフィーヤがこの神を初めて天使と思った瞬間だった。

 

「レフィーヤ。確かにお前はダンジョンを甘く見てた。それで眷属(こども)を1人、しかも、期待の新人を死なせるとこやったんや。本当ならここを出て行ってもらうとこやったんやが…」

 

現実はやはり非常だった。ファミリアを出ていかねばならないのかと絶望した。だが、

 

「ベルがそれを嫌がったんや」

 

「っ!?何故ですか!私は、一時的な嫉妬に呑まれて、ベルを…」

 

声を荒らげるレフィーヤを諭すようにロキは言う。

 

「理由は本人から直接聞いたらええ。何気に意識は取り戻してるからな。動くのはしばらく無理そう、いや上体は辛うじて動いとるんやが…、レフィーヤお前の処分な、フィンと相談してん。結果はベルが完治するまで謹慎処分や。リヴェリア、ちょっと来てくれへん?」

 

かくしてリヴェリアの説教は終わりを告げた。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

所変わって、会議室。

 

「さて、ガレスとベートがおらんけど、始めよか。フィン、あの時何があったんや?」

 

「ベルがお尋ね者のミノタウロスを倒した」

 

「おっ!すごーい!中々やるね、新人くん!」

 

フィンの話に食いついたティオナ。ところが、次の言葉を聞いて彼女の顔が青ざめることになる。

 

「ああ、そうだね。僕が視認すら出来ない連続攻撃で倒してるんだ。しかも貸しておいたファミリアの刀が砕け散る速度で」

 

「マジかいな。フィン具体的に説明できるか?」

 

取り敢えず、何が起きたのか洗いざらい話す。まず、彼らが見たのはミノタウロスと対峙するベル。彼から微量ではあるが、神の力に似た何かが漏れ出ていた。そして次の瞬間、ベルは姿を消していつの間にかミノタウロスの背後にいた。コンマ1秒ほど遅れて刀が砕け散ったとほぼ同時にミノタウロスに無数の切り傷があった。その後、倒しきれてないと判断したベルはまたも消え、稲妻の如き突き技でトドメを刺した。

 

「まあ、ベルから詳細は聞いとるがな。本人曰く、走馬灯を見た時に見えた舞を真似たそうや」

 

ベルが言うには、使った技の名はヒノカミ神楽・雷神・須佐之男剣舞。スサノオが八岐大蛇を倒した伝説になぞらえて8回剣を振るう舞、すなわち、フィンですら目で負えないほどの超光速で8回の斬撃を放っていたことになる。

その事実に幹部一同顔を青ざめていた。ちなみに最後の突き技をアイズが目で追えた理由は直感と最初の邂逅の時の経験らしい。

 

「それにしても、アイズたんが口移しなあ。今度ウチにもしてくれへん?」

 

「掘り返さないでロキ。斬るよ?」

 

デスぺレートを抜こうとしたアイズを宥めるティオネとティオナ。

 

「それにしても、ヒノカミ神楽かあ。今度神会の時にアマテラスに聞いとくわ」

 

「うん?アマテラス様は天界に帰られたのでは?」

 

「懸念事項があるからって下界におるで。今はタケミカヅチファミリアに居候してるらしいわ」

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ベルの部屋の前。レフィーヤはベルに自分を追い出さなかった理由を聞くためにこの場所に来た。ちなみにロキが場所を教えなかったので理由を聞くと、音でわかると言っていた。一瞬意味が分からなかったが、シィィィィ…と言う妙な音のする部屋があったのでその場所に来た。

 

「ベ、ベル?入るわよ?」

 

コンコンと4回ノックして入ると、雷の呼吸(リヴェリアから前もって聞いていた)をしながら眠っているベルの姿があった。眠っている姿を見ると、やっぱりダンジョンの時と別人であると痛感する。ギャップが激しい、というか、

 

(モフりたい…!)

 

すると、気がついたらベルの頭を撫でている自分がいた。何故だ?普通なら男に触られるだけでもぶん殴ってるのに、この子はそんな感じがしない。むしろ、ずっと撫でていたいと思ってしまう。だが、

 

(私に、そんな資格あるのだろうか?それとも…この子は…)

 

一瞬嫌な想像をしてしまう。もしこの子がそんな目的で私をファミリアに残しておくのだとしたら…。一抹の不安に立たされたその時、

 

「あの、レフィーヤさん?なんで僕の頭を撫でてるんですか?」

 

「え?あ、いや、これはその…」

 

当の本人が起きていた。全集中で上体を起こしたベルに驚きつつも、

 

「…どうして私を引き止めたの?」

 

レフィーヤは質問を投げかける。ファミリアから追い出されなかった以上、この少年に何を言われても文句は言えない。もう、全てを受け入れよう。

 

「えっと、笑いませんか?」

 

「笑わないわよ…」

 

もし、想像した答えだったらこっちが笑えない。覚悟を決めよう。

 

「背中を安心して預けられるかなぁって思ったからです。兄弟はいなかったけど、お姉ちゃんがいるならこんな感じなのかなぁって…」

 

その答えは、レフィーヤの予想を大きく外れたものだった。

 

「どうして?なんで私が?あなたの実力なら、リヴェリア様くらいの実力があった方が…」

 

「違いますよ。僕、ダンジョンに潜って分かったことがあるんです。まず、ダンジョンは地上と勝手が違うこと。まあ敵の強さを除けば本当に新鮮な体験でした。あのミノタウロス以外ですけど。でも、これで僕が傭兵時代に足りなかった不足していたものを見つけることが出来ました」

 

それが、背中を預けられる仲間です、と。

 

レフィーヤはベルの壮絶な過去を教えられる。両親の顔を知らず、唯一の肉親を亡くし、小さな傭兵として生きてきた過去を。そして、何度も二つ名のモンスターと戦い、その度に自らの四肢を壊していたことを。

レフィーヤがベルの肉体に触れる(ベルの顔が真っ赤になっていたが気にはしなかった)。その筋肉は引き締まっており、無駄が無かった。そして、

 

グウゥゥゥ

 

「わ!?いや、これはですね?その…」

 

ベルが顔を真っ赤にして慌てふためく。

 

「…クスッ」

 

「わ、笑わなくてもいいじゃないですか…」

 

「ごめんなさい、可愛かったからつい…」

 

「それはそうとレフィーヤさん、罰則の方は?」

 

「あなたが快復するまで謹慎処分よ」

 

「なら、次のダンジョン攻略もお供して貰っていいですか?」

 

「…そうね、ソロで上層を探索できるまでお供してあげる///それと、私のことは二人きりの時はレフィお姉ちゃんでいいわよ…」

 

「分かりました、レフィお姉ちゃん!」

 

初心なレフィーヤにはこうかはばつぐんだ!

レフィーヤは逃げるようにベルの部屋を後にした。

 

ちなみに、その後豊饒の女主人から出前(通称ベルスペシャル。10人前の料理を詰め込んだ重箱。お値段なんと8000ヴァリス)が来て未だに腕が動かないベルに誰が食べさせるかでリヴェリアとアイズの間で争いが起きようとして、その隙にティオナがベルに料理を食べさせているのを見て二人が何とも言えない表情になっていたのは別の話である(シルも参加しようとしたが、同僚のエルフのリュー・リオンに店に強制送還されたのは言うまでもない)。




「ロキ、多分いや、絶対にベルはレベルアップしてると思う」

「奇遇やなフィン。ウチも同じこと考えとった。だって…」

ーーー既にオラリオの救世主って噂が持ちきりやからな…。


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白兎昇格ーレベルアップと禁忌の魔術

先に言っておきます。やりすぎましたm(_ _)m


ベルが完治するまで5日の時間を要した。内訳は立てるまでに3日、リハビリに2日かかった(ベートが文句を言いつつリハビリを手伝っていた)。そして、運命の時がやってくる。

 

「ベル。ほなステイタスを更新するで」

 

ロキはベルの背中に神の血を垂らし、ステイタスの更新を行う。ちなみに団長のフィン、副団長のリヴェリア、ベルの世話係のアイズは特別にステイタス更新の瞬間に立ち会うことを許された。

 

ベル・クラネル 人間種族

Lv2

力:I64→S3256

耐久:I73→S3621

敏捷:X620→X32414

魔力:I76→S1286

器用:I52→S2847

 

(おい待てぇい!?ステイタス5桁がある!?しかも案の定レベルアップしとるし!)

 

ダメだ。窮地英雄と神速の恐ろしさを思い知った。流石にこれをベルに見せる訳には…、そう思ったその時、

 

更にベルのステイタスが書き変わる。思いもよらぬ出来事が起きた。

 

ベル・クラネル 人間種族

Lv2→Lv3

力:S3256→I0

耐久:S3621→I0

敏捷:X32414→X0

魔力:S1286→I0

器用:S2847→I0

 

「な、アホな…。ベル、落ち着いて聞いてな?」

 

「はい?なんでしょうロキ様」

 

「…ベル、レベルが2つ上がったで…」

 

『はぁ!?』

 

そう、アイズの最短記録を軽々と塗り替えた。ベルがLv3に急速に上がった事実を聞き、ベル、フィン、リヴェリアは驚愕し、アイズに至っては

 

「おめでとう、ベル」

 

にこやかにそれを祝福していた。そして、ロキから発展アビリティの説明がなされた。派生したアビリティは3つ。1つは、状態異常にかかりにくくなる「耐異常」、1つは同じモンスターを狩る程に報酬が良くなる「狩人」、そして前例がないアビリティの「幸運」。どれか1つを選んでと言われ、ベルは(傭兵時代に何度も悪運に助けられているから)幸運を選択した。ここまでは良かった。

 

「さてさて、スキルはーっと…え?」

 

スキル

窮地英雄

・早熟する。

・目標の高さによって効果上昇。

・逆境に立たされた時ステイタスの大幅上昇。

 

雷光想起

・雷の呼吸における溜め攻撃のチャージ権。

・自身を雷と共鳴させることで効果上昇。

・一定強度以下のの武器を壊す可能性あり。

・ステイタスの限界突破。

 

魔術適性

・魔術の使用適性あり。

・魔法の習得不可。

・魔力の向上可能。

 

神速

・敏捷が力、耐久、器用の平均値の10倍の数値になる。

・敏捷のステイタスはXで固定される。

・レベルアップした時の敏捷のステイタスはそのまま引き継ぐ。

 

全集中・神鳴の呼吸

・雷の呼吸の技の威力上昇。

・発動時、敏捷を1999に固定する。

・レベルが上がる毎に効果上昇。

・レベルが上がる毎に初期敏捷を500ずつ上昇。

・使用継続時間が長いほど効果上昇。

 

全集中・風の呼吸

・風の呼吸の技を習得可能にする。

・剣圧によって起きる風を攻撃に応用する。

 

全集中・ヒノカミ神楽の呼吸

・神の動きを真似ることで自身に神の力の欠片を宿す。

・使用後、四肢に損傷。

 

魔剣寵愛

・あらゆる魔剣の使用条件を緩和する。

 

「ベル、雷の呼吸に雷光想起って型はあるか?」

 

「…?はい。とは言っても、霹靂一閃を強化するために僕が作り出した零の型の技です」

 

これは、今度の神会は荒れるな…。何せ一気に2つもレベルが上がった冒険者はベルが初めてや。しかも、その間1週間。ベルを抜く奴は恐らくおらんやろ。

 

「ロキ、僕の推察を言っても良いかな?」

 

「頼むフィン。ウチも分からんのや、どうしたらレベルが2つも上がるのか」

 

そして、フィンが立てた仮説がこうである。まず、Lv1でミノタウロスを単独撃破した事。これだけならまだ良かった。だが問題なのは、その倒したミノタウロスが二つ名、それもギルドのお尋ね者の個体。二つ名とギルドのお尋ね者のモンスターだった事が認められて前代未聞の2レベルアップが起こったのではないかと。

 

「ベル。オラリオに来る前はどんな奴を相手にしてたんや…」

 

「そうですね…。数えたらキリがないですが、リオレイア、リオレウスの通常種、亜種。複数人で希少種、二つ名個体…」

 

「いや、大体分かった」

 

これは、他の奴と戦闘経験違うとかそんなレベルじゃないな。明らかに格が違いすぎる。リオレイアとリオレウスは推奨Lv5の飛竜モンスター。その亜種、希少種は複数人パーティでLv6が最低1人は必要と言われている。二つ名個体に至ってはロキが聞き覚えが無かったが、ベルは嘘をついてないので驚きを隠せなかった。

 

だが、問題だったのは魔術の方だった。

 

魔術

魔剣覚醒

・魔剣の秘められた能力の解放。

・使用条件は魔剣により異なる。

・起動詠唱:我此処に、汝の力を解き放つ。

 

嵐纏刀

・使用条件:風属性を付与した大刀。

・固有能力:見えざる剣戟、嵐の鎧。

 

エアリアル・バースト

・使用条件:シルフィーネの覚醒。

・自らに吹き荒れる風を全て対象にぶつける広範囲魔術。それらの風は万物を切り裂く見えざる刃。

・分散可能。範囲を狭めることで威力上昇。

・詠唱なし。

 

伊邪那美怨剣(いざなみのえんけん)

・使用条件:「黄泉の鍵」

・固有能力:自分の周りの炎を刀身に宿す。炎の大きさによって威力・範囲が上昇。

・固有詠唱:「我今ここに、黄泉比良坂の扉を開く」

 

黄泉加具土刃(よみかぐつちのやいば)

・使用条件:伊邪那美怨剣の覚醒。

・伊邪那美怨剣の炎を刀身に全部凝縮し、斬れ味を上げる。

精神疲弊(マインドダウン)を無視して行使可能。その場合は持ち主の生命力を代わりに使う。

・詠唱:「我が命を喰らえ、黄泉の女神の怨恨の焔よ」

 

(あのボロい剣、「黄泉の鍵」だったんかい!?)

 

「ベル、取り敢えずこれをギルドに提出してきい。そしてフィンとアイズは幹部招集、リヴェリアはヘファイストスとアマテラスをここに呼んでくれへん?」

 

各々がロキの部屋を後にする。ベルに「魔術って何ですか?」と聞かれて一瞬焦ったが、リヴェリアが後で教えるという形で収まった。1人になったロキは

 

「まさか、アイツが出張ってくるとはな…。いつの間にベルはイザナミと接触したんや?」

 

1人、虚空に向かって呟いた。




ベルに渡したステイタス
ベル・クラネル 人間種族
Lv3
力:I0
耐久:I0
敏捷:I0
魔力:I0
器用:I0
幸運:I0

魔法
なし

魔術
魔剣覚醒
・魔剣の秘められた能力の解放。
・使用条件は魔剣により異なる。
・起動詠唱:我此処に、汝の力を解き放つ。

嵐纏刀
・使用条件:風属性を付与した大刀。
・固有能力:見えざる剣戟、嵐の鎧。

エアリアル・バースト
・使用条件:シルフィーネの覚醒。
・自らに吹き荒れる風を全て対象にぶつける広範囲魔術。それらの風は万物を切り裂く見えざる刃。
・分散可能。範囲を狭めることで威力上昇。
・詠唱なし。

スキル
魔術適性
・魔術の使用適性あり。
・魔法の習得不可。
・魔力の向上可能。

魔剣寵愛
・あらゆる魔剣の使用条件を緩和する。

全集中・雷の呼吸
・敏捷に上方補正。
・刀使用時に効果上昇。

全集中・風の呼吸
・風の呼吸の技を習得可能にする。
・剣圧によって起きる風を攻撃に応用する。

備考
黄泉の鍵
・今回判明したベルが持っていた魔剣の最後の一振り。黄泉の管理をしているイザナミが持っていた炎の魔剣。
・ベルがイザナミといつ、どうやって接触したのか、いつの間に黄泉の鍵を入手したのかは不明。
・真の姿は伊邪那美怨剣。

伊邪那美怨剣
・固有詠唱を使って発現する黄泉の鍵の真の姿。属性は炎と闇。
・この世の総てを焼き尽くすと呼ばれている魔剣。

イザナミ
・日本神話でイザナギと共に日本を作ったとされる女神。火之迦具土神を産んだ後、その炎に焼かれて死亡し、現在は黄泉の女神として有名。一応アマテラスから見て義母にあたる。
・元々下界に降りている神であるが黄泉から離れられないので、どうやってベルと接触したのかは不明。


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白兎と妖精ーベストマッチなコンビと黄泉の女神の接触

時間を飛ばして怪物祭の前日。


怪物祭(モンスターフィリア)が翌日に迫ったある日の出来事。

 

朝の5時にアイズさんに起こされて起床。その後準備運動後に戦闘訓練。ちなみにLv3になってから連携を取ることを課題としてレフィ姉(流石にお姉ちゃんは恥ずかしいと本人が言ったので短縮)と一緒にアイズさん、リヴェリアさんのタッグを相手にする。

はっきり言って物凄くきつい。自分の得物は相変わらず制限付き(ラストボルトの使用許可が降りた。ちなみに初めて刀の名前を聞いたと言ったらリヴェリアさんが頭を抱えていた)で今は風の呼吸の練習をしている。アマテラス様から全集中・風の呼吸のコツを教わり、以下のことを念頭に置いて特訓している。

・ベルは雷の呼吸の型の使用禁止。

・アイズ、リヴェリアのどちらかに傷を負わせた時点で終了。

・朝食(7時)に間に合わなかったらベルは食事のおかわり禁止。

 

実は最後の条件はロキの提案で「絶対に100%の実力を出す」とお墨付きを貰っているからで、実際間に合わなかった時(ベート、ガレス、ヒュルテ姉妹が手加減を知らない)は大抵リヴェリア、レフィーヤが自分の分を少し恵んでいる。

 

「今日こそは!」

 

ーーー風の呼吸、秘剣…

 

アイズからある程度の距離を取り超速の動きで不規則に間合いを詰める。元々の異常な敏捷により更に目で追うのが困難なのでアイズもリヴェリアもここ最近ではこのコンビに手を抜けないという状態になっていた。

 

そして、いつの間にか間合いを詰められていたアイズ。遅れてリヴェリアが障壁を展開しようとしても、

 

「ー穿て、必中の矢。アルクス・レイ!」

 

「っ!?」

 

レフィーヤの魔法に妨害される。つまり、神速のベルの剣戟に気を取られるとレフィーヤのアルクス・レイが、逆だとベルの神速の剣戟が飛んでくる。

そう、この2人何気にロキファミリアの中級冒険者の中で群を抜いて相性が良い組み合わせなのである。

 

そして、障壁魔法を妨害したのとほぼ同時。ベルがアイズとほぼゼロ距離に来ていた。

 

(しまった!?)

 

アイズは防御しても弾き飛ばされると思い、ベルから距離を取るが、少しだけ遅かった。

 

ーーー昇り飛竜!

 

ギリギリで直撃は避けたが、アイズの頬から極僅かに血が流れていた。

 

「あ!?すみません!アイズさん、怪我させてしまって…」

 

咄嗟にベルが謝るが、周りで訓練してる他の冒険者はこう思う。

 

逆に剣姫に一撃与えるだけでも凄えよ、と。

 

朝7時にファミリア揃って朝食。なおベルが来てから食費が心無しか3割ほど増えているが、ロキは別段心配していない。むしろ、これでも安いくらいである。何故なら、ベルは発展アビリティ「幸運」の恩恵で稼ぎが群を抜いてファミリア上位だからである。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

そして9時からダンジョンの探索。途中で豊饒の女主人によってシルさんの弁当(重箱5段)を受け取る(何故かレフィ姉が睨んできたのは何故だろう?)。Lv3になってから探索範囲が一気に広がったため、とりあえず10階層までの探索が許可された。が、その前にギルドに招集されたのでギルドへ。

実はベルがダンジョンで二つ名のミノタウロスを討伐した後、ダンジョンで青い熊型のモンスターの目撃情報が相次いだ。そこでギルドはベルを呼んで情報を入手する。

 

そのモンスターの名前はアオアシラ。推奨Lv2のモンスターで、ベル曰く「ダンジョンが読み取ったベル自身の記憶」に存在するモンスター。5階層から見つかってるが、実際はそこまで強い訳ではなく、刺激さえしなければ大人しい上に、もし見かけてもハチミツを少量置いていけばやり過ごせるので比較的危険度は低い。

だが、襲ってきたが最後、強固な前脚から繰り出される一撃はスタン付与の効果があるため直撃は避けないといけない。しかもその前脚は非常に頑丈で初心者向けの武器だと弾かれることがある。

 

「じゃあ弱点はどこ?」

 

エイナに弱点の部位を聞かれると

 

「え?前脚以外全部弱点ですよ?上手く立ち回れれば鈍器使いならLv1でも単独撃破出来ると思います」

 

あっさりと言ってのけた。

 

「ですがもしも、赤い個体(・・・・)が出たら速攻撤退するように言ってください。僕の推察通りなら今ダンジョンは」

 

ーーー僕の覚えているオラリオの外にいたモンスターをダンジョンに出している可能性があります。

 

長々と引き留められてレフィ姉とダンジョンに潜る。雑魚を蹴散らしつつ、魔石や鉱石を集めたりする。そして、7階層でそれを見つけた。光の当て方で色を変えるそれを見たレフィーヤは嬉しい悲鳴を上げた

 

「これは、緋緋色金(ヒヒイロカネ)の塊!?超レアの鉱石じゃない!ベル、ヘファイストスファミリアに売りに行く?」

 

「あれ?レフィ姉は聞いてない?緋緋色金を見つけたら報告しろってロキ様から言われてるんだけど?」

 

「…あ、そうだった…」

 

しょんぼりするレフィーヤ。すると、

 

アオォォォォン

 

「あれ?狼型のモンスターってこの階層にいたっけ?」

 

「…うん、薄々気づいてたよ…。アオアシラが5階層に出現したって報告を聞いた時点で。何でここで出会うかな…」

 

声の主は赤い体躯のエリマキトカゲの様な見た目のモンスター。そして、わらわらと小さなトカゲのモンスターがぞくぞくと現れた。

 

「ベル…。コイツら、何なの?」

 

「説明はギルドに報告する時でいい?群れると面倒だから僕が囮になって注意を引くから、合図したらアルクス・レイをでかい奴に叩き込んで」

 

「了解、行くよ!」

 

そして、ベルは取り巻きの小型モンスターを次々に薙ぎ倒す。そして、わざと隙を作る。好機と思った中型モンスターは突進しようと身構える。

それが、最悪の一手だったことに気がつくことは無い。ベルはラストボルトを水平に構える。そして、突進が当たる直前でベルはそれを斬り裂く。そして、大きくモンスターが怯んだのを見計らい、レフィーヤの得意魔法がそのモンスターの息の根を止めた(取り巻きは全てベルが倒していた)。

 

「凄いわねベル。最後の技もスキルなの?」

 

「あれは技術かな?ベートさんと戦ってた時に使えるようになって、リヴェリアさんが『鏡花の構え』って名付けたんだ」

 

鏡花の構えはモンスターの攻撃の寸前に刀を水平に構えてモンスターの力を利用して大ダメージを与えるカウンター技。高確率で怯みが発生するので上手いこと立ち回れれば咆哮すらも攻撃に変えられる。その代わりタイミングがかなりシビアでしかも複数体を相手すると体勢を崩されるリスクがある。

 

「なるほどねぇ…うん?ねえ、あそこに光ってる玉は何?」

 

「え?あ!あれは…幻鳥竜玉!レフィ姉!あれを売ろう!」

 

そして、10階層でモンスターを狩り続け(何度かお互いポーチの容量が無くなっていったギルドとダンジョンを2回ほど行き来した)なんと、1日で9万ヴァリスを稼いでいた。ちなみに、幻鳥竜玉はヘファイストスファミリアに持ち込んで1万ヴァリスで買い取ってもらった。今日の2人の稼ぎは合計10万ヴァリスになっていた。

 

夕方6時、黄昏の館に帰る。するとロキが出てきて今日の稼ぎを聞いて驚いたのは言うまでもない。そして1時間後、豊饒の女主人。

紆余曲折あってすることが出来なかったベルの歓迎会兼偉業達成の祝賀会の飲み会を催すことになっていた。

最初ベルに対して嫌悪感を抱いていた眷属達もその実力を評価しており、ベルの周りにはいつの間にか色々な人が集まっていた。

そして宴もたけなわ、今日のベルとレフィーヤの稼ぎを聞いた冒険者は負けてられないと意気込んでいるのを見てロキは満足そうに酒を煽っていた。すると、

 

「さて、お待ちかね!飲み比べ対決をやるでー!今日の商品は、リヴェリアの胸を自由にする権利やー!」

 

『うおぉぉぉぉぉ!』

 

フィン、ガレス、ベート、そしてベル以外の男性冒険者が名乗りをあげる。無論、それをさせまいと女性冒険者も名乗りをあげる。意外だったのはレフィーヤとアイズが参加していたことだった。ちなみにベートは食うだけ食うとそのまま店を後にした。その時ベートの目は闘争心に燃え、口角が上がっているのをフィンに見られていたので恐らくダンジョンに向かったと思われる。そして、

 

「ベル?お前は参加しないのか?」

 

すました顔でベルを見るリヴェリア。

 

「いや、僕はお酒は飲めないので…」

 

「そうか、私のことをお母さんと呼んでくれるベルはどこに行ってしまったんだ…」

 

この時、ロキファミリア一同がギロりと視線を向ける。ベルはこのような事態に慣れておらず、どうにか逃げる算段考えていた。その時、

 

「ベルさん。飲み物のお代わりです」

 

シルがベルに目配せで飲み物を給仕する。目配せで礼を言うとベルはそのコップの中身を飲み干す。そして、

 

その場にバタリと倒れ込んだ。ロキが中身を調べようとした時、強烈なアルコールの匂いがした。

 

「これ、龍殺しとちゃうか?えげつないもん飲ませるなあ、メイドちゃん」

 

「いえ、ベルさんはあまりお酒が強くないらしいので、ロキ様の悪ふざけを回避させるにはこうするしかないかと思いまして…」

 

ベルに向いていた視線がロキに注がれる。結局お開きになり、二次会組とホームに帰る組、そしてベルを休ませる組に別れた。

 

そして、ロキは店を出る時にローブの人物に話しかけた。

 

「そのローブ、自分の力を抑える代物やろ」

 

「すみませんね。こうでもしないとオラリオには来れませんし、このローブも長くは持ちません。今日中にはオラリオを出ていきます」

 

「で?何の用や、いやそれ以前にアッチの管理は大丈夫なんか?」

 

「あなたでしょ?クラネルの血筋を持つ者を眷属に加えているのは。アマテラスから聞いてるわ」

 

あのアマテラスにタメ口を叩ける女神、力を抑えないと地上にすら出られない神。つまり、

 

「単刀直入に聞くわ。どうやって黄泉の鍵をベルに預けたんや?イザナミ(・・・・)

 

ローブで顔が見えない女性、黄泉の女神・イザナミはこう答えた。

 

「やっぱり知らないのね。ロキ、だったかしら。あなたは何度もベルが死にかけてることは聞いてるのかしら?」

 

いや、何となく分かってはいた。高レベルの冒険者は何度も冒険する(死にかける)事でそのレベルに達していた。

 

「私は何でも知ってる。そうあの子が一体何者なのか、何故天空神(ゼウス)に会う前の、物心つく前の記憶があやふやなのかも…。これをベルに」

 

それだけ言い残すとメモをロキに渡してイザナミは消えた。恐らく黄泉に還ったのだと思われる。そして、メモには共通文字で短い文が書かれていた。

 

「何や…?ヨミカミ神楽・火之迦具土(ヒノカグツチ)!?」

 

恐らくスキルを封じ込めた紙だろうが、こんな得体の知れんもの渡せるか!ロキは捨てるか迷ったが、ロキに向けたであろう神聖文字のメッセージが書いてあった。

 

『捨てたら自動的にベルの所に行くから気をつけて』

 

他人の事言えた義理ではないが、意地の悪い女神やなと心の底で呟いた。




イザナミ
種族:神
性別:女
年齢:不明
詳細:現在の姿は不明。理由は黄泉の女神の側面が強い為に地上に出る時は常に「真言のローブ」を羽織っている。死んでから常に下界の更に下の黄泉の管理をしている。ベルの全てを知るという謎の女神。生前の地母神の時の姿は「よう実」より「櫛田桔梗(表)」の姿をイメージしてください。

真言のローブ
・イザナミの呪い「幾千の呪言」を打ち消す為にイザナギの「幾万の真言」の力を宿したローブ。イザナミを地上に出す事が可能だが、効果は持って1日。

ヨミカミ神楽・火之迦具土
・詳細不明。ベルに渡す事でスキルとして発現するらしい。

風の呼吸
・コツは掴んでいるが、型が分からないので自分の知ってる剣技で代用している。
・秘剣・昇り飛竜:GOD EATER 2のロング(モンハンの太刀みたいな物)の刀身のブラッドアーツ。3回踏み込んで4回目で斬り上げる。ベルが行う時は3回の踏み込みを不規則に、高速で行い、4回目の斬り上げで神速の斬撃を与える。
・4回目の斬撃は剣風すら斬撃になるので飛び退いて回避すると必ず当たる(その時には斬撃が速すぎて回避自体不可能の場合もあるが)。

零の型・烈風想起
・風の呼吸の技使用時のチャージ権。
・秘剣・昇り飛竜に限り3回チャージ可能(踏み込み1回がチャージ1回)。

鏡花の構え(モンハンX)
・刀を装備してる時のカウンター技。技術なので習得は誰でも可能。

アオアシラ(モンハン)
・青いプーさんでお馴染みの青熊獣。推奨Lv2。二つ名個体がいる。
・鈍器をある程度使いこなせればLv1でも単独撃破は可能。

ドスジャギィ(モンハン)
・作者曰く「ヘタレラプトル」。とにかく手下のジャギィを増やす。推奨Lv2だが、ある程度敏捷があれば上位個体だろうとLv1で倒せる事がある。稀にレアアイテムの鳥竜玉、極稀に幻鳥竜玉をドロップする。今回ベルとレフィーヤを襲ったモンスター()

緋緋色金
・レア鉱石。見つけたらロキに渡すようにファミリアに命令が行ってる。用途は不明。


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