仮面ライダーフォース (津上幻夢)
しおりを挟む

アーカイブ

今後も更新していきます。


1.登場人物アーカイブ

ジョーカー

 

黒羽風香(くろばふうか)/仮面ライダーフォース

12月21日生まれ、20歳。元々はクローバー部隊の補助隊員だったが、先輩である東薫の死によってフォース変身者へと選ばれる。彼女は他人よりも食い意地が張っている。また、家族…特に父親とは何かがあるらしい…

 

 

劔橋雪菜(つるぎばしゆきな)/仮面ライダーアーサー

10月1日生まれ、23歳。既にアーサー変身者に選ばれ戦う戦士の1人。常に完璧を目指し戦っている。常人離れした怪力の持ち主…かもしれない。男っぽい苗字にコンプレックスを感じている。

 

 

金剛寺朔弥(こんごうじさくや)/仮面ライダー火縄

2月5日生まれ、22歳。誰に対しても優しく接している為、人望も厚い。だが、火縄に変身すると一変し、荒々しい性格になる。ジョーカーの中でも随一の視力の持ち主。炎については、なんらかの因縁があるらしく…

 

 

血城壮介(けつじょうそうすけ)/仮面ライダーホープ

5月2日生まれ、25歳。横暴な性格で、あまり人からは好かれない。どんな時も我流を貫き通し、他者との連携は取らない。しかし、ハート部隊の部下にだけは優しく接している。彼は、他とは違うらしい…

 

 

その他の隊員…

 

雷田豪(らいだごう)

クローバー部隊に所属している。風香とは良き仲間であり互いに高め合うライバルでもある。時には彼女に助言する事もある。彼女とは対等な立場を望んでいる。

 

 

二葉勇治(ふたばゆうじ)

クローバー部隊に所属している新人隊員。世に言うイケメンで、社内の女子に好かれている…かもしれない。

 

 

魚津公誠(うおずこうせい)

スペード部隊に所属している。風香とは同期であり幼馴染でもある。相手が雪菜であっても恐れず物を言う。

 

 

赤石蓮(あかいしれん)

ダイヤ部隊に所属している。自己主張の少なくその場の空気に流されやすい。朔弥は彼のことを信頼している。

 

 

清野心(せいのこころ)

ハート部隊に所属している。壮介とは真反対の性格だからかより他人に好かれやすいが、当の本人としては心地よい物では無い。壮介の考えに賛同することが多い。

 

 

東薫(あずまかおる)/元仮面ライダーフォース

風香の前の仮面ライダーフォース。1話で死亡してしまう。

 

 

 

上層部

 

白夜総三

ジョーカーCEO。しかし、会社にいない時の方が多い。しかし、戦闘部隊の隊長、特に風香と壮介には目を配っている。

 

 

月隠澄子(つきがくれすみこ)

総三の秘書。常に心を揺り動かすことのないクールな人物。仕事も簡単にこなしてしまう。白いメガネをかけている。

 

 

謎の集団…

 

土野

水澤

共に正体不明の研究員、立場としては土野の方が上であり、仲間もまだいる様だ…

彼らがDCを世に放つ理由は不明…

 

 

 

 

2.ライダーアーカイブ

 

[雷鳴の切札]

①仮面ライダーフォース

クローバー部隊の隊長クラスが変身する

主な変身者ー黒羽風香

武器ークローバークローザー

必殺技ークローバークラッシュ

マシンーサンダークラウン

 

フォース2nd

フォースが100%の力を解放した姿。

武器ークローバークロッサー、ライダーバスター(クローバークロッサーとライダーバスターは合体することでスピアモードになる。)

必殺技ーバスタークローバークラッシュ

 

フォースⅢ

フォースがユナイトドライバー他のライダーと融合する事で200%の力を出せるようになる形態

 

ユニコーンフォーム

アーサーと融合した姿

武器ー大剣エクスカリバー、大盾エクスシールド

必殺技ーエクストリームクラッシュ

 

フェニックスフォーム

火縄と融合した姿

武器ー大銃ノブナガジュウ

必殺技ーアルティメットクラッシュ

 

 

[強風の英雄]

②仮面ライダーアーサー

スペード隊の隊長クラスが変身する

主な変身者ー劔橋雪菜

武器ースペードブレイド

必殺技ースペードストライク

マシンーサイクロンギガント

 

アーサー2nd

アーサーが100%の力を解放した姿。

武器ーライダーバスターソードモード、スペードブレイド(スペードブレイドとライダーバスターは合体することでバスターブレイドになる。)

必殺技ーバスタースラッシュ、バスタースペードスラッシュ

 

 

[豪火の武将]

③仮面ライダー火縄

ダイヤ部隊の隊長クラスが変身する

主な変身者ー金剛寺朔弥

武器ーダイヤリボルバー

必殺技ーダイヤダイレクト

マシンーフレイムファイター

 

火縄弍

火縄が100%の力を解放した姿。

武器ーライダーバスターガンモード、ダイヤリボルバー(ダイヤリボルバーとライダーバスターは合体することでバスターリボルバーになる。)

必殺技ーバスターシュート、バスターダイヤダイレクト

 

 

[波際の希望]

④仮面ライダーホープ

ハート部隊の隊長クラスが変身する

主な変身者ー血城壮介

武器ーハートアロー

必殺技ーハートハード

マシンーウォータースプラッシャー

 

 

3.怪人アーカイブ

DC(デュアルクリーチャー)

土野が創り出した生物。2種類の生物の力を持っている。また、不完全な状態に倒されると力の暴走をし、2種類の生物の怪物に分離する。

 

蜘蛛型飛蝗種怪人

通称12号、第1話に登場

 

 

蠍型蜂種怪人

通称13号、第1話に登場

 

 

鰐型蛇種怪人

通称14号、第2話に登場

 

 

鷲型虎種怪人

通称15号、第2話に登場

 

 

孔雀型海蛇種怪人

通称16号、第3話に登場

 

 

燕種旗魚型怪人

通称17号、第4話に登場



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

東風の章
第1話 ♣︎A:フォース、継承(新)


 

 

 

「未確認生物出現!クローバー部隊、スペード部隊は出動せよ!」

 

それが私達の出動の合図だ。未確認生物、それは人ではない、つまり怪物に対してつけられる総称。私達の仕事は、その怪物を倒す事だ。

 

「仮面ライダーフォース、出動します。」

 

 

 

ビル街…

 

そこでは、すでに未確認生物と『仮面ライダー』の戦いが始まっていた。蜘蛛と飛蝗の特徴を併せ持つ未確認生物12号は、青い仮面ライダーやライドトルーパーに向かって糸を放つ。ライドトルーパーは次々とその糸に縛られる一方、青い仮面ライダーは右手に持つ剣で斬り裂く。

 

 

「風香、現場の状況は?」その時、私の耳元に通信が入る。彼の名は東薫…戦闘部隊の一つであるクローバーを纏め上げるリーダーにして、仮面ライダーフォース。彼は私に現場説明を求めた。

「現在、スペードだけで抑えていますが、そろそろ限界です。」私はそう答えた。スペードというのはジョーカーにある戦闘部門の一つ、先陣部隊と言えばいいだろう。

「わかった。もうすぐ着く。それまで耐えてくれ。一般市民の安全を最優先しろ!」

薫さんは、私にそう指示を出す。

「分かりました!」

 

私は、命令をすぐ様行動に移す。まず、目の前にいた親子らしき人物達に声をかける。

「大丈夫ですか!」「妻が怪我を…!」男性が答える。

「これは…とりあえず、応急処置を。」

倒れ込んでいる女性は左足が真っ赤に染まっている。私はすぐさま患部に布を当てる。

「歩けますか?」

「ちょっと無理かもしれないです…」女性は痛みに耐えながらも答える。

「分かりました。」

私は、目標を対策本部に定め救援のための通信を取る。「こちらクローバー10、左脚を負傷している女性がいます。自力での移動ができないので担架をお願いします。」

「こちらハート10、了解しました。担架を向かわせます。」

クローバー10、私のこの場での名前だ…クローバー部隊のランク10だからだ。

次に私は隣にいる男の子の方を向いた。

「僕は大丈夫?」

彼は答えなかった。親が怪我をしている状況を飲み込めないのだろう…落ち着かせなきゃ。

「君、泣かなくて偉いよ。お母さんは大丈夫だから…」

そういうと男の子はうんと頷いた。

 

「大丈夫ですか!」その時、担架を持った救護班の2人がやってきた。

「この人です。」私は手際良く彼らに託す。

「了解しました。すぐに病院に搬送します。」

彼らは、手際良く彼女を担架に乗せ運び出す。父親と男の子も一緒についていく。

とりあえずこれで一安心だ。

 

「はあっ!」その時、私の後ろから火花が散る音が響く。どうやらスペードはここまで押されていたみたいだ。もう少し遅ければあの人たちは…そんなことを考えていたその時だった。

 

12号は再び蜘蛛の糸の攻撃を繰り出す。そしてその流れ弾が私の方へ向かってくる。

 

「っ!」私は左腕で顔を覆う。

 

「おらっ!!」

 

「…薫さん!」私が顔を上げると、そこには攻撃を振り払うフォース…薫さんの姿があった。身長程はある棍棒クローバークローザーを振るい蜘蛛の糸を振り解く。

 

「油断は禁物だ。気をつけろ。」彼は私を叱った。

「すいません…」

「だが、対処の手際は良くなってきたな。成長したな。」彼はそう言って戦闘の中へと入っていく。

 

「あの人が…私を褒めた…」正直ちょっと意外だった…が、それをゆっくり楽しむよりも先に私は安全な方へと足速に進む。

 

 

「クローバー、総攻撃を仕掛けるぞ!」フォースは、後方のライドトルーパー達に指示を出す。

「クローバー9、了解した。」フォースの一番近くにいたトルーパー、雷田豪がうなずく。

 

そして、スペードが苦戦している所へ向かう。

 

「遅くなった、劔橋。」フォースは、青い仮面ライダーにいう。

 

「…まずは対処の方が先です。」劔橋と呼ばれた女は剣を構えた。

 

「分かっている。行くぞ!」そう言うと、2人の仮面ライダーはトルーパーと共に12号へ突撃する。

 

12号は、飛蝗の跳躍力を生かし後方へ回避、2人の攻撃を回避するが、その先で弾丸の雨が打ち付けられた。

「2人とも、待たせたな」今度は赤い仮面ライダーが銃を構え立っていた。その後方には、銃を構えているライドトルーパーの姿もある。

 

「金剛寺…遅かったな。」フォースは言う。

「貴方が言えた義理ではないのでは?」青いライダーはフォースに言う。

 

その間にも、12号は立ち上がり逃亡を図る。

 

「そうはさせるか!」赤いライダーは、その一瞬を見逃さなかった。

即座に銃を構え弾丸を連続して撃ち込む。

 

「私が決める!」青いライダーはそう言うと剣を前に突き出した。

光の反射で剣先が光る。それを12号に次々と斬りつける。

 

連続切りが炸裂し、12号は爆散した。

 

「もう終わりか…」赤いライダーは言う。

 

「…完璧…ではないか。」青いライダーが続けて呟いた。

 

フォースは帰還の連絡をしようと通信を始めたその時、彼らの影から黒い姿が現れる。

「…これより帰還…危ない!」

 

 

 

「どうしたんですか!薫さん!!」私はあの人の最期をこうして聞いていた。次々と彼の身体に突き刺さる針の音。彼は、その場にいた隊員を守るよう仁王立ちして守っていた。

 

「ぐっ…分からな、い…新たな未確にっ!!」ただでさえ痛々しさを感じる声に苦しみがより一層増す。

 

「どうしたんですか!」私は唯一あの人と繋がっている通信を焦りながらも聞き逃さないよう聞く。

 

「まさか…あの針に毒が…」青いライダーの声が聞こえる。

 

「早く運ばないとまずいんじゃないのか!」赤いライダーが続けて言う。

 

「風香…もし、俺がダメになったら、、その時は、フォースを頼ん、だ…」ここで、あの人の声は途切れた。

 

「薫さん?薫さん!!薫さん!!」私は通信を切らずひたすら呼びかけた。

 

 

 

 

しかし、薫さんはそのまま息を引き取ってしまった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その事件から1週間後、私は新たなフォース装着者、そしてクローバー部隊隊長へと昇格したが、喜ぶことはできなかった。

 

もちろん、この地位に憧れはあったし、ここに入った理由の一つでもある。でもそれが信頼していた先輩の殉職による物だ。

 

 

「風香…?」

 

その時、私の背後から声をかけられた。

 

「…豪か…。」食事中の私に声をかけたのは雷田豪だった。彼は、私と同じ時期に入社した仲間の1人だ。

 

「…相当お疲れみたいだな。好きな唐揚げも進んでないじゃないか。」そういえば、この席についてからずっと考え事してたような気がする…道理で腹も満たされないわけだ。

 

「…あの時のこと、まだ引きずってるのか?」

 

「…」図星だった。隠そうにも言葉が出ない。

 

「…俺も同じだ。しかもあの場にいながら、あの人を助けることが出来なかった。悔しいよ。」

 

「それは私も同じだ!私もあの場にいれば、助けることだってできた筈…なのに…!」私は悔しいと言う一言で片付けようとした彼に苛立ち声を荒げて言ってしまった。

 

「…ごめん。」私はすぐに謝罪した。

 

「…気にするな。だが、そろそろ進まないとな。出なきゃ、あの人が命を張って守った意味がない。」豪はそう言って昼食の味噌汁を啜り始めた。

 

「進む…か。」

 

 

 

午後、私は身体を鍛える為、会社備え付けのジムに入った。

社員であれば、戦闘部隊であろうがなかろうがただで使える。さりげなくすごい施設だ。しかも、専属のトレーナーがおり効率よく鍛えることだってできる。

ジョーカーには他にも道場、射撃場、弓道場、模擬戦訓練場など様々な施設がある。このうち私がよく行くのは道場と模擬戦訓練場、そしてこのジムだ。

 

私はいつものメニューを淡々とこなしていく。最初は筋肉が付いていくのに少し遠慮があったが、今ではむしろ筋肉を付けることにハマっていて、なんなら筋肉が付いてないと美しくないと感じるくらいになっていることはここだけの話だ。

私はベンチプレスの前に行くと、そこには既に先約がいた。

 

「…なんだ、お前か。」彼女は、私の存在に気づくと、ベンチプレスを中断して私の方を向いた。

 

「雪菜さん…まだやってても良かったんですけど…」

彼女の名は劔橋雪菜。スペード部隊の隊長であり、青い仮面ライダー、アーサーの変身者にして剣の使い手である。彼女の腕の筋肉量は私でも及ばない。現に私が持ち上げることのできない80kgのベンチプレスをやっていたのだから。

 

「構わない、ちょうど1セット終わった所だ。」そう言って彼女は立ち上がり、スポーツドリンクを勢いよく飲み始めた。

 

私は、自分が持ち上げることのできる70kgのバーベルに変えた。

「まだ、あの時の事を引きずっているのか?」彼女もまた、豪と同じことを言う…そう思った。

 

「…この世界は、人の入れ替わりが激しい、命をかけている仕事だ。居なくなるやつが居ても当然だ。」

 

「…冷たい、ですね。」私は素直に言った。そう言うと仕事だと言っても、人が居なくなったことにもっと考えたっていいはずだ…。

 

「…合理的な考え方、と言ってもらいたいな。大体、私にとって他の戦闘員はただの同業者に過ぎない、仲間でも、ましてやそれ以上の関係ではないしそう在りたいとも思わない。」彼女はそう言い切った。確かに、そうやって考えた方が楽かもしれない…けど…

 

私は何か反論しなければと思ったが、もう言葉が思いつかなかった。

 

「…私は行く。」そう言うと彼女はこの場を去ってしまった。

 

「…どうすれば良いのよ…!」私は心の中で半分泣きながらベンチプレスを始めた。

 

 

 

 

夕方、射撃場の前を私は通りかかった。

 

その時、丁度扉が開き中から男の人が出てきた。「黒羽じゃないか…鍛錬帰りか?」

 

「朔弥さん、お疲れ様です。」

金剛寺朔弥、ダイヤ部隊隊長であり赤い仮面ライダー、火縄の変身者である。元々ここにはメカニックとして入社したが、紆余曲折あって今は火縄として戦っている。彼は雪菜さんやもう1人の隊長である人物と比べると温厚な人だ。良く言えばの話だが。それと、彼は銃を持つと性格が少々好戦的になる…車でハンドル握ると性格が変わる人みたいに。

 

「そっちもお疲れ、なんか飲み物奢ってやるよ。」私はそう言われて自販機の前まで連れて行かれた。

 

「何飲む?」「コーヒーで」私はそう答えると彼はコーヒーのボタンを押した。そして出てきた缶コーヒーを私に渡した。

 

「…最近、疲れ気味だよな。今日の昼も色々あったみたいだしな。」どうやら昼の豪との会話を見られていたみたいだ…

 

「…誰だってそういう時くらいあるさ。人を悼むことは大切なことだ。その人は2度と、帰ってこないのだから。」いつも思うのだが、朔弥さんの言うことは雪菜さんとはまた違う重さを感じる…。

朔弥はそう言って自販機でココアを買った。

 

 

 

私達はそれぞれ飲もうとしたその時、サイレンが鳴り響く。敵の出現を知らせるそれは、私達を一瞬にして緊張感へ誘う。

 

[未確認生物出現、蠍型蜂種怪人通称13号と同一と思われる。戦闘部隊は直ちに出動せよ!]

 

「行くぞ。」朔弥さんは私を見て言う。

 

「はい。」私は走り出しながら答える。

 

 

 

 

私は急いでガレージに急いだ。長い廊下を走りながら私はフォースの変身に使うライダーベルトを腰に、ライダーブレスを左腕に装着した。

ライダーへの変身にはこの2つが必要だ。

そしてライダーブレスをベルトにスキャンした。

[Check!]

中華と近未来を掛け合わせたような待機音が鳴り響く。

風香「変身!」

私はブレスに右手の人差し指をスキャンした。これにより変身シークエンスが開始される。

[Change!rider FORCE!]

 

私の身体にはまず黒い素体が装着される。そこへ、金と紫の装甲が装着されていく。頭部には、フォースに与えられる属性『雷』を操るアンテナ2本が伸び、瞳が青く輝く。全体的に薫さんと比べて女性らしい体型になった。

仮面ライダーフォース、今の私の新しい名だ。私は愛車である金色のバイク『サンダークラウン(雷雲)』に搭乗、ガレージを勢いよく飛び出した。

 

 

 

現場に到着した時には、既に一般市民の死者もあった。私は、それを横目にクローバークローザーを構え、13号の元へ走る。

サソリの尾のような刺突もできる鞭を右手に、左腕には蜂の針を再現した射出装置が付いている。奴は、その射出装置から針を連射する。私はそれをクローバークローザーで弾き返しながら避ける。

 

「この攻撃、まさか!」これは、あの時薫さんを刺した攻撃と同じ、こいつが…

 

13号は今度は鞭を振るう。私はそれも避け、雷鳴の如く力強く、そして一瞬で奴の懐へ潜り込み、膝蹴りを喰らわせる。

 

その攻撃で13号は地面に倒れた。

 

トドメだ、私は武器をベルトにスキャンした。

「雷鳴の如く、お前を倒す!」

 

 

[Check!][Clover crash!]

ベルトは、私の必殺技名を叫ぶ。

13号は再び針を連射する。私はそれらを全て武器で弾き返す。流れ弾の一つが奴の右足に着弾、これは想定外だがこのまま押し切る。

 

「薫さんの仇だ!」私は雷撃を帯びた棍棒を奴の左脇腹に叩き込む。

13号は感電し、もがき苦しむ。

脇腹のあたりが黒焦げ、とてつもない痛みが奴を襲う。

「おりゃぁ!!!!」そしてもう一撃、私は左から右へ棍棒を振り払う。

 

13号は、その攻撃で爆散してしまった。

 

 

 

 

 

「こちらフォース、これより帰還する。」私はそう告げてこの場を背に去っていく。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話 ♠︎A:完璧なる、アーサー(新)

 

 

「未確認生物、我々の世界を侵食する悪き存在。特にここ数ヶ月間多発している『2種類』の生物の力を持つ怪人を『デュアルクリーチャー』、通称『DC』と呼んでいる。」

 

「奴らの出所、そして目的は不明。ただ一つ言えること、それは人間に危害を加える悪き存在。そこで我々は『ジョーカーライドシステム』、通称『仮面ライダー』を派遣し戦闘を行なっている。そして今現在も…」

 

 

 

秋の夜、満月が夜空の頂点で太陽のように輝いていた。灯りが少ない夜の湾岸沿いの遊歩道を照らす。

私は、今ここで新たなDCの捜索を行なっていた。

「通報があったの、本当にここなんだよな?リーダー(風香)。」豪は探し疲れ、半分諦め状態になっていた。

「…確かにここのはずなんだけど…」私も日が暮れた頃から捜索している為、不安になってきた。

 

『こちらアーサー、フォース。発見できたか?』無線で私を呼ぶ声、相手は2人目の仮面ライダー、アーサーだ。彼女が率いるスペード部隊は私達より少し南の臨海公園の捜索を行なっている。

 

「こちらフォース、まだ気配も感じません。」

そう私が言った頃、背後には水の中に身体を潜めタイミングを伺っているワニのような不気味な生物がいた。しかし、私がこちらを見るタイミングで再び水の中へ潜っていった。

 

『…捜索を続ける。』そう言って彼女は無線を切った。

 

 

「豪さん…あそこ変に水紋ができてますけど…」隊員の1人が豪に向かって先程まで怪物がいたところにできた水紋を指差しながら言う。

 

「魚が跳ねでもしたんだろ?」豪はそう言って適当にあしらった。

 

「…水の中か…!」盲点だった。ここは湾岸地域だったのに水の中という可能性を完全に見落としていた。

 

「みんな、離れて。」私はそう指示を出した。

私は、クローバークローザーを手にし水の中へ少し浸けた。そして環境に害がない程度の電流を流し込む。

 

すると、最初は小魚が水の中で混乱に陥っていたが、そのすぐ後海の中からワニと、そしてヘビの力を持った鰐型蛇種怪人、14号が現れた。

 

 

「こんな所に!」

 

私はすぐ様武器を構えようとしたが、敵の方が一瞬早かった。

左腕の蛇のような鞭が私の身体に巻きつき捕らえた。そして、左腕を引き寄せ右腕の鰐の顎のような拳を、鞭ごと引き寄せられた私に炸裂させる。

 

「きゃあっ!!」私は、その衝撃で地面に転がる。

「大丈夫か!」豪が私の前に立ち銃を構えた。

そして引き金を引き14号に連射する。しかし、鰐の硬い鱗を持つ奴には効く様子がない。

14号は、再び左腕の鞭をこちらに振う。

それは、豪の右腕に巻き付く。

「ぐぁぁっ!!」縛られることによる痛みで豪は銃を落としてしまう。このままでは豪まで私の様に…機会は今しかない。

「豪!」私は立ち上がり14号へ奇襲を仕掛ける。

私は豪の横を通り過ぎ雷を纏った右拳を14号の腹部目掛け振り下ろす。

 

そこまでが私の考えたプランだ。そして私は現に奇襲を仕掛ける。しかし、14号は即座に私に気がつくと右腕で私に対して攻撃を仕掛ける。私はその策にまんまとハマってしまった。私は空へと打ち上げられ、14号と苦しむ豪の姿を上から見た。

 

その時だった。2人の間に、新たな人影が迫った。それは、14号の鞭を一瞬にして切断、豪の前に立ち14号を睨みつけている。

 

「雪菜さん…!」そう、そこにいたのは雪菜さんが変身したアーサーだった。

「話は後だ。素早く片付ける!」アーサーは、自身の持つ専用剣、スペードブレイドを敵に突きつける。

 

「黒羽、これが完璧な戦い方だ。」

彼女は剣をベルトにスキャンし、エネルギーを剣に集中させる。

[Check!][Spade Strike!]

 

アーサーは、剣を大きく振りかぶり14号へ振り下ろす。

彼女の剣の軌道が、夜の世界に映る。それと同時に14号は火花を散らしながら海へと墜落、そして5mは有に超えるほどの水柱と共に爆散、消滅した。

 

 

 

「流石、雪菜さんですね。」

後処理を終え、帰る間際。私は丁度出くわした彼女に声を掛けた。いい返事は期待できないが。

「これぐらい当然だ。ジョーカーに仕える将として。お前が未熟なだけだ。」

あの人の叱咤は相変わらず痛いところを突く…ある意味未確認生物の攻撃より痛い…。

「…未熟な事は否定しません。でも、私もジョーカーに対する忠誠心と覚悟だけは…」

それが彼女の癇に障ったのか、ただでさえ厳しい彼女の顔が更に厳しくなった。

「口でならなんとでも言える。それを証明したいのなら、完璧を求めろ。それが全ての真理だ。」そう言って雪菜さんは自身が乗ってきた輸送車へ乗車した。

「口でならなんとでも言える…か」

そんな事を考えながら、私はバイクへまたがった。

 

 

 

 

「攻防に優れるクラップスネークを破るとは、総三はここまで仮面ライダーを『進化』させたか…だが、我々もまた『進化』している。水澤、次のを用意しろ。」

 

「了解しました。」

 

光のない研究室にいる男は隣に立つ水澤と呼ばれた人物に対して指示を出す。水澤はタブレットを取り出し、コード『フライングタイガー』と書かれた生物の詳細が載せられているページを開いた。そして画面下部にある『unlock』のボタンを押した。

 

 

 

 

 

 

 

翌日、雪菜はいつもの様にトレーニングルームでメニューをこなしている。

彼女は、学生時代は水泳部で運動能力に自信があった。しかし、ジョーカーの訓練は水泳部の練習とは比にならない運動量だった。

その為、遅れを取らないために通い始めたトレーニングルーム。しかし今では、それと同時に仮面ライダーとしていつでも本気で戦える様調整する為の時間にもなっていた。

「お疲れ様です。劔橋さん。」そこへ1人の男がやってくる。彼女の部下である魚津公誠だ。彼は、風香と同期であり、尚且つ同級生でもあった。

「…魚津か、何か連絡か?」図星だったからか彼は一瞬ドキッとしたが、いつものことだからかそこまで気に留めなかった。

「はい、今日10時に予定していた会議ですが、社長の都合で15時に変更になりました。」

「…わざわざすまない。」

「いえ…それと、これは個人的な話なんですけど…」公誠が何かいつもと違う事を話すと思うと彼女の手は止まった。

「…こんな事を言うのを失礼だと思いますけど、ここ最近、風香に少し強く当たってませんか?昨日も、言い過ぎではないでしょうか?」

なんだ、そんなことかと彼女は声に出さずに言った。そして再び筋トレを始める。

「…奴は、戦士として甘すぎる。完璧を求める力が足りない。だからこそ、あれくらいの言葉は必要だ。」

「しかし…」

「…お前、黒羽とは同じ出、だったな。私情はこの戦場(世界)には必要ない。それが分かれば、二度と口にしないことだな。」

公誠は言い足りない気持ちになったが、これ以上何を言っても無駄と感じ退散した。

 

彼女は極度の完璧主義者だ。常に最高の力を発揮し、本気で物事に取り組む事こそが理想であると…。

 

 

 

昼時、いつもの様に食堂では風香が食事を摂っていた。今日のメニューは豚カツだ。いつもの様に2人前はありそうな定食を次々と頬張る。

 

「相変わらずの食べっぷりだな。」

彼女の隣に座ったのは公誠だった。

 

「…まあね。やっぱこれぐらい食べないとやっていけないから…」そう風香は返した。

 

「…お前は叱られて凹むとかないよな…」風香は突然そんな事を言い出した彼にびっくりした。

 

「…何を藪から棒に?」

 

「いや、昨日だって劔橋さんに叱られてたのに、全然弱音や文句を口にしないからさ…」

 

「…あの人が言っている事は、あながち間違いじゃないし。だからこそ、豪は右腕を怪我した。私に覚悟が足りないから…」そんな事を口にした彼女に彼は、彼女に何か言葉をかけてあげようと思考を張り巡らせる。しかし、その必要はなかった。

 

「だからこそ、私は雪菜さんみたいに強い人になりたい…」そう風香は言った。

 

 

 

 

 

その時だった。社内に鳴り響くサイレン、未確認生物の出現を知らせるものだ。

「時間か…」まだトレーニングルームにいた雪菜はそう呟くと筋トレを終わらせ、出動を急いだ。

 

 

 

その頃、出現した化学工場では、何人かの作業員が既に地面に倒れており、その先には巨大な爪を両腕に備えている未確認生物15号、鷲型虎種怪人だった。

 

「これは…!」風香はバイクで、雪菜は輸送車で到着し現場に降り立った時、凄惨な現場の様子に驚いた。

 

「…15号はこの先か…」雪菜はそう言ってベルトとブレスを構えた。

そしてブレスをベルトにスキャンする。

[Check!]

中世を彷彿とさせるファンファーレと共にブレスに指紋認証をし、ベルトが鎧を出現させる。

[Change!rider ARTHUR!]

「変身!」

彼女の身体に、重厚な鎧が装着される。左腕には小盾が装備され、右手にはスペードブレイドを手にする。彼女の身体を『風』が通り抜け、彼女の身体を青く染め上げる。橙色の複眼が現れ、彼女の変身した姿…強風の英雄王、仮面ライダーアーサーが爆誕した。

 

「スペード部隊、出撃。」その声に合わせスペード部隊は先攻部隊として出撃する。

 

「私達も…!」風香は、後方に構えている部下を促し、自身はベルトにブレスをスキャンする。

 

「変身!」[Change!rider FORCE!]

 

「クローバー部隊、出撃!」フォースはそう指示を出しスペードに続いて突撃する。

 

 

クローバーがスペード追いついた頃には、既に戦闘は始まっていた。場所を工場外から倉庫内へ移し15号とアーサーは戦っている。

 

15号とアーサーは互いに爪と剣を構える。15号は鋭い剣に怯える事なく爪を振り下ろす。しかし、アーサーの強靭な鎧はその攻撃に傷一つつかない。

彼女は剣を上から下へ振り下ろし15号の胸部から腹部へを斬り裂く。悲鳴を上げて15号は後退する。そして15号は自身が有利である空へ戦場を持ち込もうと翼を広げ飛ぶ。そして再び工場の外へ誘い込もうとクローバー部隊がいる出入り口の方向へ滑空する。

 

「今だ!」その15号を、フォースはクローバークローザーを構えながらジャンプしバレーのスパイクの様に勢いよく地面に叩きつけた。

 

「黒羽…!」アーサーは驚きの行動に出た彼女を見た。

 

「雪菜さん…私には、貴女の言うような覚悟や完璧さはない…そう思います。でも、その覚悟を決める覚悟はいつでもできています…クローバー部隊の隊長として、仮面ライダーフォースとして!」フォースはそう決意を口にし武器をベルトにスキャンした。

 

「…黒羽…」アーサーは心の中で感じた。やはり彼女は才能があると…。

 

[Check!][Clover crash!]

 

立ち上がった15号に対してフォースは雷を纏った棍棒の一撃を叩き込む。それを喰らった15号は勢いよく後方へくの字になって飛んでいく。

 

「…読めた!」アーサーは追い討ちをかけるべく武器をベルトにスキャンした。

 

[Check!][Spade Strike!]

 

アーサーは、吹き飛ばされている15号の身体に、重い一太刀を斬り込む。

 

15号は2人のライダーの必殺技を喰らい爆散した。

 

「…やりましたね!」フォースは2人で撃破したことに喜びを感じた。

 

「…まあまあだな。」アーサーもまた、彼女の成長を感じ少しくすぐったくなった。

 

しかし、そんな感情に浸っていられるのも一瞬だった。

 

その時、15号の身体が分離を始める。それらはそれぞれ巨大な物に膨れ上がり、そして巨大な鷲と虎に変異した。

 

「これは…『力の暴走』…!」

DCの身体が分裂し巨大化する。この事を力の暴走と呼ぶ…フォースは実際に見る初めての光景に息を呑んだ。

 

「…こちらアーサー、サイクロンキングは用意できているか?」

 

「もちろん、既に到着しています!」アーサーの無線に公誠が答えた。彼女が呼んだサイクロンキング、一見すると少し大きめの特殊な車にしか見えない。それにアーサーは乗り込み、運転台へブレスをスキャンした。

 

[Check!][Cyclone King!]

 

すると、その車の後方が脚部に、側面が両腕に、それは起き上がり、大きなアーサーの様なロボットへと変形を遂げる。

「モード変更、ロボモード」

力の暴走に対応すべく開発された戦闘ロボ、サイクロンキングはこの地に降り立った。

右手にアーサーブレード、左腕にキングシールドを装備し、巨大な鷲に対して剣を振り下ろす。

 

巨大な鷲は右翼を切り落とされ地面に墜落する。

 

「これで終わりよ。」アーサーはそう言うとロボのレバーを操作、右腕の剣を振り下ろし鷲を完全に撃破する。

 

 

 

 

一方、フォースは巨大な虎と交戦していた。

「こんな大きなの…!」虎はフォースへ突撃する。それを寸前で回避しフォースは棍棒を叩き込む。

 

「…仕方ない、後で倒れそうになるくらい疲れるけど、これを使う!」そう言うと、彼女はブレスの下に取り付けられたパーツを取り外した。金色の板の様なパーツでイナズマ模様が描かれているそれをベルトにスキャンした。

 

[Check!][Kicks ready!]

 

それを、右脚に装着する。すると、電撃が次々と彼女の右脚に集まっていく。

 

フォースは空へと飛ぶ。そして虎に向かって右脚を突き出す。彼女の超必殺、ライジングサンダーストライクが虎に激突、そして身体を貫き爆散させる。

 

キックを放った直後フォースは、爆炎だけが残る背後を見た。

「今度こそ、終わった。」

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 ♦︎A:火縄、出陣(新)

 

 

俺の周りは炎に囲まれていた。

「朔弥!早く逃げなさい!」「私達のことは良いから!」

「でも…」

「早く!」

 

燃える家、俺の見つめる先で炎に包まれていく家族…

 

父さんと母さんは、幼い俺を置いて先に逝ってしまった…会いたい…また…!

 

 

 

俺は目を覚ました。目の前に見えたのは『炎』ではなく、白い天井だった。ここはジョーカーの仮眠室だ。

 

またあの『夢』を見たことによって俺は不愉快な気持ちで朝を迎えた。

 

 

 

俺は朝食を済ませ、いつもの様に射撃訓練場へ向かう。

 

 

 

「おはようございます!」

俺は廊下で目の前からやってきた風香とすれ違った。

「…風香、少し雰囲気変わったな。」彼女は不意な質問にキョトンとした顔を浮かべた。

「そうですかね?」

まあ、それもそうか。少し前までただの隊員だったのが、今じゃクローバー部隊のリーダーだ。多少は逞しくなるか。

 

 

 

俺は彼女と別れダイヤ部隊の控室に入った。

ダイヤ部隊はクローバー、スペードとは役割が違う。

クローバー、スペードは『前線へ真っ先に向かい市民の安全を確保し未確認生物と戦闘する』と言うのが第一の役割なのだが、俺達ダイヤは『不審地点への偵察、前線部隊の支援』、つまりクローバーとスペードの補佐的な立場だ。だからこそ、その2つとは違いダイヤにはスナイパーライフルなど遠距離向きの武器が多く支給される。

更にジョーカーにはもう一つ部隊がある。それはハートだ。主に『一般市民、負傷兵の応急処置、病院への救急搬送』が目的であり、武器はリーダーに配られたベルトとブレスのみ。

ジョーカーはこの4種類の部隊で未確認生物との戦闘を繰り広げている。

 

 

「…朔弥さん、先程上層部から届いた新たな未確認のデータです。」

そう言って俺のデスクに来たのは部下の1人、赤石蓮だ。彼は、そう一言告げ俺に資料を手渡した。

 

「16号、か…」その資料には、孔雀型海蛇種怪人という名称が付けられている。ここ最近、北関東にある橘山付近で多く目撃されており、現在人に危害は加えていないが、要警戒。と報告書には書いてある。

 

橘山は、ここ周辺でも特に紅葉が綺麗だと言われている場所だ。見頃はもう少し先だが、それでも登山目的で向かう観光客も多い。早々に討伐すべきだが、ジョーカーの戦士は特例がない限り通報のない事件に出動はできない。

 

ジョーカーは、民間企業といえど、軍隊にも勝る戦力を持っている。国がそう易々と出撃を許せる筈がない。

個人的には、解し難いことだが。

 

 

 

俺は、気を紛らわすために射撃訓練場へ足を進めた。基本的に、出動待機中の戦士はジョーカー内で拘束されている。だが、特に不自由はない。娯楽は流石にないが、出動までの緊張感を紛らわすものは沢山ある。射撃訓練場もその一つだ。

 

 

「…ダイヤの隊長じゃないか。」

 

訓練場へ向かう俺を、別の人物が止めた。

 

「…壮介。俺に何のようだ?」

 

彼の名は、血城壮介。風香、雪菜、俺に続く4人目のリーダー格…つまりハート部隊のリーダーである。そして、俺含めるリーダー3人が最も嫌悪する問題児でもある。

 

「…いや、訓練帰りで暇だったから声をかけただけだ。用はない。」

 

「そうか…」

 

「…俺は、お前らを蹴落として戦闘部隊のリーダーになる。覚悟しておけよ…」そう言って壮介は、俺とは逆方向に歩いて行った。

 

彼が俺達に嫌悪される理由、それは簡単に言えば嫉妬だ。ハート部隊は先程言った通り戦闘には余程のことがない限り参加しない。彼はそれがどういうわけか気に食わないらしい。どの部隊にも果たすべき使命がある。それに従わない彼はなぜ仮面ライダーになれたのか…。

そもそも、彼がここに入ってきた経緯も気になる。そもそも彼は社長が連れてきた人物で、ライダーに変身する人物としては最年長だ…と言っても二十代後半だが。

 

 

 

[緊急指令、橘山付近で孔雀型海蛇種怪人16号が出現!クローバー、スペード、ダイヤ部隊は直ちに出動して下さい!]

その時、俺は怪人の出現を示すサイレンを聞いた。通報が入ったという事は誰か見知らぬ人が…そう考える余裕もなく俺は急いで輸送車にベルトとブレスを持って乗り込む。

 

 

 

 

 

橘山の麓、登山口では既にフォースとアーサーが戦闘に入っていた。

 

16号は、2人に対して猛毒を持つ触手を使って戦闘していた。

その触手はアーサーの剣に絡みつく。

 

「何…!」そして僅か数秒でボロボロにしてしまう。アーサーは触手から離れるが剣が無くなってしまった彼女に戦う術はない…

 

「黒羽!」

 

「分かってます!」アーサーは『猛毒に注意しろ』と『私はもう戦えないからお前1人で戦え』という意志を伝えようとしたが、この一連の光景を見たフォースはその事を既に感じ取っていた。

 

フォースは、棍棒を使って攻撃を仕掛ける。その突きは当たったかのように見えたが、翼を広げて後方へ回避した。

 

そして、虹色に輝く翼を再び広げフォースとアーサーに向かって羽根の様な弾丸を放つ。

 

「キャ!」「ぐっ…!」毒こそ持ってはいなかったが、鋭い一撃は2人の鎧に火花を散らす。

 

 

「…何か…打開しないと…」フォースは倒れた身体を起こしながら考え込む。しかし、戦力が実質1人で、尚且つ有効な攻撃がない…近接攻撃だと毒を食らってしまう。遠距離はそもそも攻撃手段を持っていない…ダイヤが…朔弥さんが来るまで持ち堪えないと…

 

その時だった。目の前に居座っていた16号の身体から突然火花が散る。

 

この攻撃は…そう思って後ろを振り返った。

 

そこには、銃口を16号に向けているトルーパーと朔弥の姿があった。

 

「遅くなった…後は俺達に任せろ!」朔弥はそう言ってベルトを起動した。

 

「変・身!」

[Check!]

和風な音楽と共に彼はブレスに指を置き、認証した。

[Change!rider HINAWA!]

彼の身体は炎に包まれていく。黒い素体に炎のような赤とオレンジのアーマーが装着されていく。頭部には炎を操るアンテナが日本天に向かって伸びる。炎のような顔面に白い複眼が現れ、変身を完了させる。

彼は豪火の武将、仮面ライダー火縄へと変身する。

そして『ノーマル』のバレットが装着された銃、ダイヤリボルバーを素早く構える。

そして一瞬のうちに弾丸を放った。その攻撃は、16号の胸部を貫いた。

「後はお願いします…!」フォースはそう言って彼らの前から負傷したアーサーと共に去っていく。

「お前は、俺の()の餌になってもらう…!」普段は優しい口調の彼だが、戦闘時は一変して荒々しい性格の持ち主となる。簡単に言えば、「車のハンドルを握ると性格が変わる」というのに近い…のだろうか。

火縄は16号の懐まで潜り込む。その隙にバレットを複数銃口の付いたガトリングに変え、腹部に連射する。

 

強烈な一撃に16号は、焦りと恐怖を感じ、冷静な判断を欠き自身の最大の武器である毒を忘れ羽根の攻撃を仕掛ける。

しかし、それらは全て火縄の弾丸で撃ち落とされていく。

火縄は、銃口を重い一撃を得意とするブレイズに変更する。そして、16号の本体に射撃する。16号はその攻撃に勢いよく後方に吹き飛ばされる。

「…お前は死ね…」そういうと、そのまま銃をベルトにスキャンする。

[Check!][Dia Direct!]

ブレイズの名の通り、何物も焼き尽くす火球を火縄は連続して16号に撃ち込む。

16号は触手と翼ごと焼かれ、爆砕…火柱が天に向かって伸びていく。

 

「これで終わりか。」

彼が銃をしまおうとしたその時、16号の身体が変異を始める…力の暴走だ。奴は一瞬にして巨大な孔雀と海蛇に変身する。

「2回戦…その勝負、乗った!」

 

火縄がそう言った直後、前回のアーサーのようなマシンが到着する。火縄はそれに乗り込み変形させる。

[Check!][Frame Fighter!]

マシンは形状を変え、巨大な火縄のようなロボ、フレイムファイターへと変形する。

右腕の巨大な火縄銃で孔雀に攻撃を仕掛ける。孔雀は飛ぶ事で逃げようと試みるが、銃の餌食となり爆散する。

 

 

フレイムファイターは銃口を海蛇に向ける。

海蛇は水のない場所だからか、地震でも起こすかのように暴れ回っている。

 

「こいつ…!」その時、海蛇が牙を剥けこちらへ迫る!

 

しかし、それは横から激突した白い矢によって防がれ、海蛇は地面に倒れる…

 

「あの攻撃…」火縄は、その事を頭の片隅に置き、海蛇に再度銃口を向ける。そして火を吹かせ海蛇を撃退する。

 

夕焼けに、フレイムファイターが輝く中、今回の戦闘は終わりを告げた。

 

その山の中、白い仮面ライダーがフレイムファイターを見上げていた。まるで睨みつけるかのように…

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話 ♡A:孤狼、ホープ(新)

 

「…私のところに来ないか?」

 

それが、奴が俺にかけた偽善の言葉だった。俺はその甘い誘惑に乗ってしまい、結局自分の望みは果たされていない…

 

不満しかないこの立場、だがそれでも俺は耐える。『あの頃』に比べればマシだからだ。

 

俺の立場、それはハート部隊の隊長…つまり仮面ライダーである。しかし、ハート部隊は、救護班…戦闘の機会なんて殆どない…俺は悪をこの手で直接…滅ぼさなければならないのに…

 

 

今日は午前勤務で、後の時間はオフだ…。最近、やけに疲れっぽい…とっとと終わらせて帰ろう…そう思った時だった。

 

俺の目の前にいたのは、他の部隊の隊長達だった。

 

3人は揃って俺の方を見ている…

 

「金剛寺から聞いた。お前、先日の16号との戦いの時、持ち場を離れたそうじゃないか…」そう口を開いたのは劔橋だった。

 

「…そうだな」俺は否定はしない。常に強気でなくては…

 

「だが、俺が攻撃しなければ、火縄はロボットと一緒に毒に飲まれてただろ?それともあれか?お前が救護班に行った時に対応が遅れた事を根に持ってるのか?」

劔橋が救護班に駆け込んだ時、他の隊員の解毒を優先的に行っていた為彼女は後回しにされていた。

「違う、お前があの場にいればもっと的確な判断ができていたんじゃないのか?」

 

「まるでそれじゃあ、俺の『部下』が何もできない出来損ないみたいな言い方だな…?」俺は毎回彼女の「隊長がいれば…」発言は嫌いだ。

 

「…前回の戦いを助けてくれたことには礼を言う、だが、隊長が独断で持ち場を離れるのはおかしいんじゃないのか?」ようやく口を開いた金剛寺、だが話す言葉は殆ど劔橋と同じだ。

 

「劔橋、金剛寺。悪いが、お前達の部隊と俺の部隊では勝手が違うんだ。お前達のやり方はそうかもしれないが、俺は部下を信頼して任せている。」その発言で劔橋は、俺を睨む。

 

「だとしてもお前が陣頭指揮を取らないのはおかしいと私は言っている…!」

 

「その辺にしましょう…ここ、廊下ですし…。」ヒートアップする俺達を止めたのは黒羽だった。

落ち着いて周りを見渡すと、口論している俺達を眺める隊員達の姿が目に入った。

 

「…とにかく、俺は俺のやり方で戦う、覚えておけ。」そう言って俺はハート部隊の控室に向かって歩き、扉を開けて入った。

 

 

「相変わらず、気に入らん奴だ。」

彼がいなくなった後に劔橋は言い放った。

 

「…分かり合える気がしない。」

金剛寺も頭を抱えるように言った。

 

去っていく俺の様子を黒羽は不安げに見つめていたが、俺は気にも止めなかった。

 

 

 

 

 

「また、口論ですか?」部屋に入って俺にいきなりそう言ったのは、部下の1人、清野心だ。今の口論をドア越しに聞いていたようだ。

 

「…馬鹿みたいだよな…」

 

「…そんな事無いと思います。」俺に対する皮肉な発言を、彼は本気で庇った。

 

「…戦場は隊長が必ずしも指示を下すとは限らない、個々で考えて動くしか無い…そう言ったのは隊長です…僕は貴方の考えを支持します。」

コイツは、正直すぎる…正直すぎて、心配になってくる。

 

「…一つ覚えておけ。価値観を一つしか認めない感性は無くした方がいい…俺みたいに後に引けなくなる。」

そう…俺みたいに行き過ぎた考えが、正義で無くなるように…

 

「…だとしても、」

 

その時だった…

 

 

 

[緊急指令!17号が出現。クローバー、スペード部隊は出動して下さい!]

 

緊急招集の連絡が入った。また新しい敵が現れたか…

 

「いくぞ…」

 

「はい!」心達は一斉に専用の車両に乗り込み発車する。一方俺はバイクであるウォータスプラッシャーにまたがり、ここを出発する。もちろんベルトとブレスを装備して…。

 

 

 

 

現場に着いた頃、フォースとアーサーは既に戦闘を開始していた。相手している17号は、燕とカジキ…恐らく燕型旗魚種怪人…。鋭い翼と剣を持つその姿は、恐怖を相手に植え付けるような見た目だ。

 

その恐怖を増強するかのように、周りにはクローバーとスペードの隊員が倒れている。

 

「血城さん…早く助けないと!」後ろにいた心達が向かおうとする。

 

「危険だ、俺がアイツを移動させる。それからにしろ…」

俺はベルトを装着した。

「変身…」俺はそう言ってベルトにブレスをスキャンする。

[Check!][Change!rider HOPE!]

システム音声と共に俺の身体は、白銀の鎧に包まれていく。そして、水のように綺麗な青色が、鎧に着色され、頭部にもハートを模ったかのように現れる。最後に金色の複眼が姿を見せ変身を完了させる。波際の希望と称される仮面ライダーホープは今ここに降り立った。

「…いくぞ…!」俺は右手に弓を手にして走り出す。

 

フォースとアーサーは、17号のパワーに押し切られ後退した間に俺は入り込み、ゼロ距離で弓を引く。放たれた白銀の矢は奴の腹部に鋭い水圧を与え崖下へと吹き飛ばす。

 

「心、今だ!」

 

俺は心達に指示を出し、17号が落ちた崖下に飛び降りる。

 

「あの男…!」アーサーはそう呟き追いかける。

 

「あ!ちょっと!」フォースもその後を追いかけて崖下へ向かう。

 

 

 

 

崖下では、17号が右手の剣を構え俺に近づく。

「遅い!」それを既に予測していた俺は咄嗟に身体を右に寄せ回避、そして右脚で蹴りを入れる。

 

「はあっ!」そこへ大剣を17号に振り下ろすアーサーが現れた。

 

「コイツは貴様とは相性が悪い、下がっていろ!」アーサーはそう言って俺を押し倒そうと手を出したが、俺はそれを弾いた。

 

「それはどうかな?」

俺の声に合わせる様に17号は背中の翼を広げた。そして空へと飛び剣を突き出し俺とアーサーに向かって突く動作をとる。俺は再び回避したが、アーサーがそれを喰らって地面に膝をつく。

 

「空を飛ぶんなら、前みたいに…」そこへ遅れてフォースが参上、15号のようにはたき落とそうとジャンプする。しかし、17号はそれよりも高く飛びフォースを軽く蹴り飛ばし地面に打ち付ける。

 

「若い奴が無茶をしやがって…俺がやる」

 

俺は、そう言って武器である青弓ハートアローを構える。そして、その弦を放ち白銀の矢を放つ。それに17号は回避できず右翼に喰らう。

 

「これで終わりか?決めるぜ。」

そう言って俺はベルトに弓をスキャン、そして墜落している17号に目標を合わせる。

[Check!][Hurt Hard!]

 

白銀の帯の様に連なる俺の矢は17号に全て着弾、空中で大爆発を起こす。

 

 

「決まった…」

 

どうやら今回は力の暴走はないらしい…

 

 

俺がハート部隊の拠点に戻ると、心達がそれぞれ他部隊の隊員を治療している真っ最中だった。

 

「血城さん…とりあえず、負傷兵を全員救出、全員切られた傷などありますが命に別状はありません。」心が俺の側でそう報告した。

 

「…分かった。ご苦労だった。」俺はそう言って、変身を解いた。

そして、近くの治療待ちの兵の前に座り込み傷の手当てを始めた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また破られましたね…」

水澤は、あの研究室に謎の男と共にいた。

 

「…私の研究は順調だ。次を出そう…それとクラップスネークとフライングタイガーを復元させろ…」

 

「土野さん…今度は複数体で…ですか?」

 

土野と言われた男はそうだと言った。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5話 ♦︎J:復活と混乱(新)

 

今日の(風香)は、ジョーカーから少し離れた場所にあるジョーカーの研究施設に来ていた。

 

「お疲れ様です、一沙さん。」私は、その施設内にある研究室の一つに足を踏み入れ、そこに居る人物に声をかけた。

 

「風香ちゃん、予定通りフォースの修復出来たわよ。」彼女の名は谷川一沙、茶髪でショートの髪型が特徴的な、ジョーカーの総研究長…という役職を持っている。

彼女がその重要なポストにいる理由、それはジョーカーの設立当初からいるメンバーだからだ。具体的な名前は忘れてしまったが、確か現社長の『白夜総三』、現総研究長の谷川一沙、後は社長の友人のとある学者と、その部下で言い方は悪いが実験台だった男の4人から始まったそうだ。後者2人は、現在は退社しているそうだが。

 

「ありがとうございます。」私は感謝の言葉を言って受け取った。彼女が居なければ、フォースを始めとした仮面ライダーの調整には今以上の時間がかかる。とても重要な存在だ。

 

「そうだ、これ金剛寺君に渡しておいてくれない?彼今日も来なさそうだし。」

一沙さんはそう言って私に10枚くらいの写真の束を渡した。

 

「これは?」私は聞く。彼女は、よくぞ聞いたねという顔をして答える。

 

「この前、金剛寺君に仕事が山積みで自由に動けないって話したら、子どもの頃、旅行に行った時の写真を持ってきてくれたの。」その写真の一番上には、小学校低学年くらいの朔弥さんとそのご両親らしき人達が写っている写真がある。みんな笑顔で、いいな…私もこういう…そう思考しようとしたところに、外野から新たな言葉が私に対して発せられた。

 

「じゃあ、よろしくね。後、劔橋さんに、アーサーの修理も明日の午前中には終わるって伝えておいて。」

 

「はい、分かりました。伝えておきます。」私はそう言って研究室を後にした。

 

 

 

私は、サンダークラウンにまたがり昼間の街を駆け抜ける。

服の上から感じる風が気持ちいい。やはりツーリングは楽しいものだ。まるで自分が風になったみたいに…

『〜まるで自分が風になったみたいになるよな〜』

 

…兄さんも、そんな事言ってたっけ…。

 

兄さんは、私以上にバイクが好きだった。よく私をバイクの後ろに乗せていろんな所に行ったな…

優しい兄さんは、もうこの世には居ない、そう思うと、また心に悲しみが込み上げてきた…。

 

 

 

 

 

 

 

「水澤…クラップスネーク、フライングタイガー、そしてクローモール能力用意はできているか?」

 

土野は、暗い部屋でパソコンの画面を見ながら水澤に言う。

 

「はい、いつでも行けます。」

 

「そうか、準備完了次第、解き放て。」水澤はその指令で前のようにタブレットを操作し始めた。

 

「…総三、お前が作り出した仮面ライダーの本気、見させてもらう。」土野は、口元をニヤリとさせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[先程、未確認生物18号が出現したと通報がありました。]

 

「新しいDCか!」私はバイクを止め出現地点を確認する。今走っている方向とは逆にある北東京スーパースタジアム…私はバイクを急発進させ反対側の車線にUターンする。

 

「…ここから15分…」私はその間に犠牲者が増えない事を祈った。

 

 

 

 

 

 

 

今日のスタジアムでは、運悪く撮影が行われていた。

猫と土竜の能力を持つ18号は、怯えるカメラマンに向かって爪を光らせ迫る。

 

壁際に追い詰められた彼は、咄嗟に悲鳴をあげる。

18号は、恐怖の表情を浮かべるカメラマンに爪を振りかざそうとしたその時…

 

18号は横から突撃したバイクに撥ねられ、コンクリートの壁に打ち付けられた。

 

「早く逃げて!」「は、はい!」既に変身していたフォースは、カメラマンに向かって言い放った。カメラマンは自身に何が起こったのか、助かったのか混乱しながらもその場から去っていく。

 

「…猫か…生憎私は犬派だ。」フォースはそう言ってクローバークローザーを構える。

 

「悪く思わないでよ!」そして起き上がった18号に向かって振り下ろす。

 

18号は自慢の瞬発力でそれを回避、そして右手の爪でフォースの胸部アーマーを引っ掻く。金属の引っ掻かれた時の不快な音と共にフォースの装甲から火花が散る。

 

さらに18号は左手の爪で追い討ちを掛けようと迫る。

 

しかし、それは遅れてやってきた援軍によって阻止される。18号の左腕には弾丸が貫通した後が残っている…

 

「朔弥さん!!」

 

「…遅くなった。」フォースの後ろには火縄と…そしてホープの姿もある。火縄は、普段の彼とは違う暗い声で侘びる。

 

「俺もこの悦楽に混ぜてもらおうか…。」ホープが続けて言う。

 

「…ここは協力して18号を…!」フォースは協力をして倒そうと試みるが…

 

「俺は俺のやり方で倒す、お前達と協力なんてごめんだ。」ホープはそう言って弓を構え走り出す。

 

「それは俺の台詞だ…お前に奴は狩らせない!」火縄もそう言って銃を構え走り出す。

 

「2人とも!」フォースは2人の行動に戸惑いながらも走り出したその時、自身の左腕に鞭が絡みつく。この攻撃…見覚えがある!

 

フォースはすぐさま後ろを振り返る。そこには、14号の姿がある…。

「14号!一体なぜ…」アーサーに倒された筈の奴は、鞭でフォースの身体を引き寄せる。

 

 

 

「18号は俺が倒す!」ホープと火縄は2人して18号に攻撃を仕掛けようとしたその時、目の前を大きな影が過ぎ去っていく。それらは2人を妨害し、18号の目の前に降り立った。

 

「その姿、15号か!」火縄がそう言う。2人は直接戦うことはなかったが、フォースとアーサーが倒した筈の15号が2人の目の前にいた。奴は爪を光らせ、ホープに迫る。18号もそれに続いて火縄に爪を突きつける。

 

2人は、それぞれ攻撃を喰らい後方へ倒れる。

 

「コイツら、協力してるのか…!」ホープが呟く。

 

2人の後方では、鞭に引き寄せられたフォースが14号の剛腕によるアッパーを喰らい倒れてきた。

 

フォースは、この戦いはこちらが圧倒的に不利だと感じていた。スピードのある18号は同じように雷のような速さを持つ自分が、14号には固い装甲を貫くアーサーの剣がホープの矢が、飛行能力を持つ15号には火縄が有効である。それに当てはまっていない今の状況に打開策は協力のほか無い…

 

「朔弥さん、壮介さん…やはりここは協力するしか…」

 

そう言おうとした時だった。

 

敵はそれぞれ自身の右腕に力を込める。そして、それぞれの波動攻撃が3人に迫る。

 

その波動は、3人に直撃し爆発する。

 

そしてDC達はその場から離脱する…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話 ♣︎6:迷い、怒り、雷鳴(新)

 

 

 

DCが去った現場、私含めた3人のライダーは変身を解いた。

「貴様らが邪魔をしたせいでDCを逃しちまったじゃねーか!」初めに言葉を発したのは壮介さんだ。彼は朔弥さんの胸ぐらを掴み鬼の形相で睨みつける。

 

「なんだと…お前が迷惑な行動をしているから統率が取れないんじゃないのか!」朔弥さんもいつもの優しそうな雰囲気を消し壮介さんに反論する。

 

「俺は俺のやり方で倒すと言った、それを忘れたのか?」

「それが迷惑だと言っているんだ…!」

 

2人の口論はヒートアップしていく。どうにかしなければ…。

 

「2人とも、落ち着いてください…!」私は2人に言ったが、聞く耳を持っていなかった。

 

「…もういい、ここで口論しても埒があかない…」壮介さんはそう言って私達から離れバイクに向かって歩いていった。

 

「…黒羽、今は一旦帰還しよう。」朔弥さんは、怒りの残った真剣な表情で私に促した。

 

「…分かりました。」私はそう言ってバイクに跨り、ジョーカーに向かって発進する。

 

 

 

 

 

 

 

「奴らも、所詮はこの程度だったか…」

 

戦闘現場付近の監視カメラをジャックし戦いの様子を眺めていた土野はそう呟いた。

 

「…これがアンタの仲間だった人が作った仮面ライダー?弱そうだな。」そう後ろから声わ掛けたのは、白いスーツを着た男だった。

 

「…総三のことだ、これで終わりではないだろう。」土野はそう言って席を発った。

 

「…土野は、相変わらず慎重な男だ。」白スーツは彼に聞こえない程度に呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

夜、クローバー部隊の控え室には擦り傷の治療を受ける風香とそれを見守る雷田豪の姿があった。

 

「これで処置は完了しました。」

「ありがとうございます。」医師は治療を終わらせると、部屋を退出し、2人だけになっていた。

しばらく沈黙の時間が過ぎたのち、豪は口を開いた。

 

「風香、今日は大変だったな。」彼はそう言ったが、落ち込んでいた風香は答えなかった。

 

「…何かあったのか?」豪は人伝に朔弥と壮介と連携が取れず敗北したことは当然知っていた。

 

「…私、やっぱり弱いわね。雪菜さんみたいな覚悟もない、誰とも協力できない、薫さんみたいに強くもない…」彼女は、自分を嘲笑うかのように言い放った。

 

「…私、仮面ライダー失格ね…。」今日の戦闘は、彼女の心に相当な負荷が掛かったようだ。

 

風香の心の中には、弱い自分に対する怒りと悲しみが混ざっている。

 

豪は、彼女の言葉を聞き、少し驚いていた。あれだけ仮面ライダーになりたがっていた彼女の口から仮面ライダー失格だなんていう言葉が出るとは思わなかった。

 

「…もう、やめようかな…」弱っている彼女に痺れを切らした豪は、彼女に強い言葉を言い放った。

 

「何が失格だ、何が弱いだ!一回失敗しただけで嘆くなよ!」

怒りを解き放った彼に風香は驚き顔を上げ彼の顔を見た。

 

「お前は、劔橋さんでも…金剛寺さんや血城さん…ましてや東隊長でもない!違っていて…劣っていても当然だ。だが劣ってるだけじゃない、お前はあの人達には無い強さだってある。何度倒れたって立ち上がる強さがある!初めてフォースとして戦った時もそうだったじゃ無いか!」

 

「…何度倒れても…立ち上がる?」風香は豪の言葉を呟いた。

 

「そうだ。強くなりたいんなら、沢山失敗して、その分立ち上がればいい…そうすれば、自然に強くなれる!」豪は、「俺が偉そうに言えることじゃ無いけどな」と最後に鼻の下を掻きながら言う。

 

その姿を面白いと思ったのか風香は、落ち込んだ顔なんて忘れて笑った顔を見せた。

 

「そうだね…。ありがとう、豪。」

 

「礼には及ばないさ…」

「ただ、お前には俺の代わりに仮面ライダーとして戦ってほしいだけさ。」

豪は軽い言葉として言ったつもりだったその言葉、風香の心には更に響いた。

豪は、なりたくてもフォースには慣れなかった。そんな彼に辞めたいなんて弱音を吐いて…悪い事をしたなと思ってしまった。

 

「…私は最後まで戦う、仮面ライダーとして。」

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、2回戦と行こうか…」

 

 

 

 

 

 

翌朝、14号、15号、18号の出現がすぐさま報告された。場所は郊外にある採石場跡地。そこでは昨日のスタジアムの時のようにテレビの撮影が行われており、それを未確認が襲撃していた。

 

スタッフの殆どが既に現場から退避しており、未確認生物達は、まるで仮面ライダーを待っているかの如く立ち尽くしていた。

 

そこへ、バイクに乗って現れたフォースとホープ、輸送車に乗って現れた火縄、そして朝一番でベルトを車で取りに行っていたアーサーの4人が現れる。

 

「お前ら、今度こそ邪魔をするなよ…!」ホープはそう言って先陣を切って敵陣に向かう。

 

「貴様は邪魔だ…当たっても文句言うなよ…!」火縄はそう言ってホープギリギリのところに敢えて弾丸を放っていく。

 

「…完璧で無いものはここから立ち去れ…!」アーサーも剣を構え敵に迫る。

 

「皆さん…!」フォースは、互いに争う3人の姿に動揺しながらも敵目がけて走り出す。

 

14号は、フォースの振り下ろす雷の拳をボディで受け止め、右腕の攻撃で弾き返す。そして吹き飛んだ彼女の左脚に鞭を巻きつけ、地面に振り落とす。

 

 

15号と18号は火縄の弾丸の嵐を避けながらアーサーとホープの相手をする。18号は瞬発力を生かし2人よりも早い攻撃速度でアーサーの剣撃を回避、更にホープの装甲にダメージを与える。

15号は、惑わされているアーサーに向かって空から爪を振り下ろす。その流れで火縄の方向まで飛翔、急降下で火縄の鎧に爪で傷付ける。

「こいつ、早すぎる…」アーサーが、立ち上がりながら言う。

「お前が邪魔するから倒せないんだよ!」ホープはアーサーに向かって言い放つ。

「邪魔なのはお前だ!」そこへ火縄が入っていく。

 

3人は敵をそっちのけで口論を始めてしまった。

 

その光景にフォースは、昨日言えなかった事を口にする。

 

「…貴方達は、何のためにここに居るんですか!いつまで無意味な喧嘩を続けるんです!」風香は今までに出したことのない怒鳴り声で3人に向かって言った。

 

「……アンタ達、私より年上でしょ…ここに居る目的ぐらい、分かってください!」フォースはそう言うと、高速で移動し続ける18号に向かって拳を振り下ろす。それにより18号は地面に倒れ込んだ。

 

 

 

黙り込んだ3人には、14号と15号が迫っていた。

「後輩が、舐めた口聞きやがって。やってやるよ、俺が、全員倒してやる!」ホープは弓を構え14号に放つ。

「…まさか黒羽に諭されるとは、大人として、情けないな!」火縄はそう言うと、目の前の15号に向かってガトリングを連射する。

「…今回ばかりは、彼女(黒羽)の方が正しいな。」アーサーはそう言うと14号に向かって剣を突きつける。

 

14号は2人の攻撃を喰らい後方に吹き飛ばされる。

 

[Check!][Spade Strike!]

 

剣にエネルギーを溜め、アーサーは14号に向かって上から下へ斬り裂く。

14号の身体には火花が剣の軌道に沿って散り、硬い鎧に火傷のような症状をもたらした。

 

「前より硬い…!」アーサーはそう呟く。

 

「どけ、俺が仕留める!」すると後ろからホープが必殺技を放つ。アーサーは間一髪の所でそれを回避する。

 

[Check!][Hurt Hard!]

 

銀色の矢は、14号に次々と突き刺さる。そして、最後に水風船が弾けるかの如く14号は爆発四散してしまった。

 

 

 

 

一方、火縄は15号にブレイズに銃口を変更した銃で攻撃、15号の身体を炎に包んでいく。

 

「これで終わりだ…!」

 

[Check!][Dia Direct!]

 

15号は、飛んで逃げようとしたが、それよりも早く火縄の炎の大砲が激突、そして爆散する…。

 

 

 

 

 

「雷鳴の如く、お前を倒す!」

 

フォースは、18号を超えるスピードで近づき、右脚で蹴り上げる。そして、墜落してきたところを左拳で殴り飛ばす。

地面に転がった18号は既に限界に達していた。

 

[Check!][Kicks ready!]

 

フォースは右脚にライジングサンダーを装着、そして必殺キックの態勢に入る。

 

「はぁ……、おりゃぁ!!!!」

 

地面を蹴って走り、そして空中にジャンプ。雷の如く一気に距離を詰め、そして急降下で敵にキックを見舞う。

その攻撃に、18号の身体は大爆発を起こし消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話 ♡2:私が犯人…?

私は、とある場所に来た。実は久しぶりに有給を取って地元に帰ってきた。東京に出たのが高校卒業した時だからもう2年か…

たかが2年かもしれないが、私にとっては2年もここを離れていた。

私はいつも立ち寄っていた公園に着いた。しかし、そこは防音壁に囲まれていた。張り紙には[高層マンション建設]と書かれていた。

私は少々残念だった。この公園には様々な思い出がある。そんな公園がいつのまにか壊されていたなんて。

「あの…どうかしましたか?」

私がずっとここに立っていたのを道に迷ったのと勘違いした高校生が声をかけてきた。

風香「大丈夫です。それより、ここの公園っていつから工事始まったんですか?」

「確か半年前ぐらいだったと。ここ、小さい頃はよく立ち寄ってたからな…ちょっと名残惜しいです。」

風香「私もよ、久々にこっちに帰ってきて、せっかくだから寄って行こうと思ったらこうなってて…時代の流れは早いね。」

「そうですね。」

私は高校生と少し話してから乗ってきたバイクにまたがり、走らせた。

きっとさっきの人、女なのにバイクなんて…と思うだろう。実は私の兄がバイク好きでいつも乗せて貰ってるうちに私まで好きになっちゃって…だから私はバイクの免許とってバイクに乗るようになって…

おっと話が逸れたな、今日私が来たのは和解の為だ。誰とかって?それは行けば分かる。

 

 

私は久々に実家に帰って来た。駐輪場にバイクを止め、荷物を持った。玄関の前に立った時、少しインターホンを押すのをやめようと考えた。

華「風香…いつ帰ってきたの?」

その時、庭にいた私の母、黒羽華が出てきた。

風香「母さん…。やっぱり帰る。」

華「今お父さんもお義母さんも留守にしてるから入りな。」

 

 

私が和解しなければいけない人、お父さん(迅)とおばあちゃん(風美)だ。

 

風香の回想

 

迅「おい風香、お前進路届けで常盤高校を選んだってな。」

当時の風香「うん、だって私はそこへ行きたいから。」

迅「黙れ、お前の希望なんて聞いてない。俺が高見行けって何度言ったら分かるんだ。」

私のお父さんとおばあちゃんはいつも私に辛く当たってきた。お父さんは私の意見を聞かずいつも同じ事ばかり言う。

当時の風香「ただいま。」

風美「お帰り、あんたの部屋にあったマンガとか勉強に関係ないもの全部捨てたから。」

おばあちゃんはいつも私の許可なく勝手にものを捨てたり、お母さんが作ってくれた弁当を捨てて、日の丸弁当に変えたり…本当鬼畜だね。挙句の果てには家族旅行で私だけ置いていくなんて、まぁまだお母さんとお兄ちゃんが味方してくれただけ良かったけど。

あの2人が私に辛く当たるのには理由があった。元々お父さんとおばあちゃんは子ども1人しか望んでなかったから私はいらないと考えていたからだ。

 

回想終わり

華「本当大変だったでしょ…生活とか大丈夫なの?」

風香「うん、比較的稼げる仕事だし、私のしたかったことだから。」

華「そう、良かった…ごめんなさい、今まで何も出来なくて。」

風香「ううん、味方になってくれただけでも嬉しいよ。」

 

その時、電話が鳴り出した。母さんがそれを取ると驚いた顔をした。

華「お義母さんがバイクに轢かれたって、私病院行ってくるから。」

風香「うん。」

 

本当は私も病院行くべきだと思うけど、今までの仕打ちを考えると行く必要ないかな。

私はバイクに跨り、駅に向かった。

 

しばらく進むと警察官に止まれと言われた。私は何がなんだが分からず、とりあえず止まった。

警察「おい、このナンバー、さっきの交通事故を起こしたバイクじゃないか。君の服装も被害者の証言と同じだ。少し署まで来てもらってもいいかな?」

風香「いや、私そんなことやってません!ちなみにその事故は何時ごろ起きたんですか?」

警察「13時ごろだ。」

風香「13時ごろ…確かあの高校生と話してた時間だ…」

警察「とにかく来てもらう」

警察は私の左腕を乱暴に掴んだ。

風香「離してください!私はやってません!」

私は強引に引き剥がした。しかし、この騒ぎを聞きつけたのか他の警察官に捕まってしまった。

警察「公務執行妨害の容疑で逮捕する!」

 

 




遂に主役が逮捕されてしまいました。よって仮面ライダーフォース完!

んなわけないです。第8話 ♣︎8:和解


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8話 ♣︎8:和解

雪菜「ということがあり、今牢屋にいると。」

壮介「落ちるところまで落ちたな…」

朔弥「さすがにここまで来ると俺も君を庇うことはできない。」

私はアクリル板越しに3人の声を聞いた。

風香「もういいです、どうせ誰も信じないんだから…」

雪菜「私はお前がそういうことする人間とは思わない。」

風香「いいです、信じるだけ無駄ですから…」

 

 

 

雪菜「本当に彼女がやったのだろうか…」

私は接見室を出て2人に言った。

朔弥「服装、ナンバープレートという決定的な証拠がある以上彼女がやったとしか言えない。」

金剛寺は俯いて呟くように言った。

壮介「あいつだって認めてるんだからあいつがやったんだろ。これで俺はクローバーに昇格だ!」

血城は相変わらずデリカシーのない奴だ。下品な声を廊下に響かせていた。

私はどうするべきか、そう思った矢先だった。

 

警察官A「おい、この近くで怪物が出たそうだ。」

警察官B「まじか、そんなもの本当にいるのか?」

警察官A「とにかく出動だ。」

 

朔弥「今の聞いたか?」

雪菜「ああ、私達も行くぞ。」

私と金剛寺は、疾風の如く駆け出し、外に止めてあった車からベルトとブレスを取り出した。そして装着する。

私はベルトにブレスをスキャンし、ブレスに右人差し指を置いた。

金剛寺はベルトを装着した。

朔弥「変「変身」身!」雪菜

私達は仮面ライダーに変身、すぐさま現場に走って行った。

 

 

 

風香「私はこのまま牢屋の中か…」

警察官「おい、立て」

私は抗うことなく素直に立ち上がった。

警察官「お前の無実が証明された。お前と事故が起こった同じ時刻に一緒にいたと証言する高校生がいた。」

風香「えっ…(彼が…)。」

私はすぐさま牢屋から出た。

風香「これで自由だ!!」

私は警察署から軽やかな足取りで出た。その矢先だった。

凄まじいサイレンの音が鳴り響いていた。

私は急いでサイレンの後を追った。

そこでは、フォースが1人の男ー私の父に牙を向けていた。

警察官「これが最後の警告だ!これ以上抵抗すると撃つぞ!」

雪菜「黒羽!その男を離せ!」

朔弥「止めろ!」

私はとりあえず、何がなんだが分からなかった。何故私がもう1人いるのか、もう1人の私が何故私の父親を手に賭けようとしていたのか。

 

私は咄嗟に変身し、父に降りかかる刃を弾いた。

雪菜「黒羽、が2人に…」

朔弥「どういう事だ…」

風香「私の推測ですけど、多分DCが私をコピーしたんだ。そして、私の記憶を辿り、私が恨んでる人間を手に賭けようとしている。そう考えれば私が逮捕されたのにも納得がいく。」

雪菜「そうか!で、どっちが偽物なんだ?」

風香「その答えは簡単ですよ。」

私は武器を偽物のフォースのベルトに攻撃した。すると、中からカメレオンとウサギの怪物が現れた。その姿に恐れをなしたのか、警察官達が逃げ出した。

私は早く決着をつける為にキック増強パーツをベルトにスキャンした。

[check!][kicks ready!]

そして雷鳴の如く怪物めがけ蹴りを決めた。

 

迅「…なんなんだよ…」

私の父は怯えて腰を抜かしていた。

風香「雪菜さん、この人のことは私に任せて、他の所の状況確認お願いします。」

雪菜「分かった。行くぞ、金剛寺。」

朔弥「ああ。」

 

 

私は変身を解いた。本来、身内であっても正体を明かしてはならないが、私の今の姿を見てもらいたかった。

風香「大丈夫、父さん。」

私は手を差し伸べた。

迅「風香、お前こんな事していたのか。東京出たかと思ったら命を粗末にすることを…」

風香「悪いけど、私はもう子供じゃない。私のことは私が決める。私は貴方の奴隷でも、飼い犬でもない。あんたの一人娘だ。」

迅「…勝手にしろ。」

父さんは私が差し伸べた手を振り払い、立ち上がった。

 

迅「お前の兄貴に会ってやれ。ここから近くの墓地だ。」

風香「えっ」

私は以外な言葉に驚いた。

迅「俺のことは嫌いかも知れないが、兄貴のことが好きなんだろ。せっかく来たんだ、寄って帰れ。これは俺からの最後の命令だ。」

風香「…勝手にするよ。」

私はここでの事後処理をした後、墓地へとバイクを走らせた。

 

 

 

 

??「君が血城壮介かな?」

壮介「ああ、話は聞いている。」

??「どうするつもりかい?」

壮介「俺の答えはただ一つ…」




次回
第9話 ♡3:離反

そして次週、重大発表が!

都市対戦に備えろ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8.5話 決死の都市大戦

「こちらフォース、敵が感知できません。」

フォースは、霧が立ち込める森の中で迷子になって居た。辛うじて通信は届いているが、かなり危険な状態であった。

「指令?」気がつけば通信すら途絶えてしまった。本当にここはどこなのか、そう風香は考えていた。




「ここではいいデータが取れるといいな。」










 

 

「安否確認をして早々、出動できるか?」

 

社長はそう私に問いかけた。どうやら、私が帰還したのとほぼ同時刻、ジョーカーの本部のある町に次々と怪物が現れたという事らしい。

 

指令を受けた私が向かったのは病院だ。普段なら白の落ち着きある空間も今は血の色に塗られていた。生き残った医者や看護師がすぐさま患者の治療に向かっている姿も見えた。

凄惨な現場に一瞬、時が止まったかのように感じた。しかし、それをコンクリートの崩れる音が目を覚まさせた。

 

「まだ生き残りがいたか。さっさと殺せ。」

 

そこには、赤黒い…錆びた鉄のような色の戦士の姿があった。そして、そいつは無抵抗な市民達を傷つけるよう怪物に指示を出していた。

 

「そんな事させない!」

私は彼らの前に患者達を守るように立ち、武器を構えた。その姿を、相手は睨むように見た。

 

「お前も仮面ライダーか。俺の兄貴を殺した存在。消えてもらう。」

 

お前も…私以外にもあったのだろうか…しかし、彼はどう見ても仮面ライダーだ。

 

「そういうお前だって仮面ライダーだろ。」

 

そう聞いた時、あいつはフッと遇らうように笑った。

 

「仮面ライダー?違うな、俺はネガウォーズ。そして…」

 

ネガウォーズは変身を解いた。

 

「湯山白虎。俺の兄貴は仮面ライダーに消された。俺は偽善者である仮面ライダーを許さない。だからこそ、同じ力を使い復讐を果たさんって訳。」

 

「なら、なおさらこの人達は関係ない筈だ。」

 

私は、そう正論を叩きつける。しかし、彼は怯む様子を一切見せない。

 

「俺の復讐は、あいつらが守った世界を破壊する事で果たされる。その理由だけで十分さ。」

 

そういうと彼はベルトに、鍵のような物を装填した。

 

「変身。」[仮面ノ絶望…仮面ライダーネガ・ウォーズ…]

 

白虎は、その姿を再び悪魔に変えた。剣を構え、私達に迫る。

 

「仮面ライダーが迎える運命は、絶滅と絶望だ。」

 

「そんな運命、お断りよ!」

 

私も長き棒状の武器クローバークローザーを構えた。

 

この様な悪党を暴れさせない、そう決心した私は先制攻撃を仕掛ける。クローバークローザーは敵の剣を次々と弾いていく。右からやってくる剣撃を防ぎ、左足で蹴り倒した。

 

地面にうつ伏せで倒れているネガウォーズにクローバークローザーを叩きつけた。

 

「終わりよ…武器を捨てて投降しろ。」右手には、剣が握られたままだ。

 

「そうかよ…!」

 

その時、ネガウォーズは背中から昆虫の翅の様な物を開き私を振り払った。

 

「こいつ…人間じゃない!」

 

そう察知するも束の間、私は地面に倒れていた。そして、ネガウォーズが剣を胸元に当てていた。

 

「ここにいる人間を殺されたくなければ、変身を解き投降してもらおうか。」「腐っても正義のヒーローだ。どうすればいいかは分かるよな?」

 

ぐっ…ここで立ち上がれば、あいつを倒せる。だが、そうすれば人々に危害が…

 

そう考えると、私が選ぶべき選択は…

 

 

「分かった…変身を解く。だから市民には危害を出すな。」

 

そう言うと、私は変身を解いた。ネガウォーズはその姿を見るとさっきの様に笑った。

 

「こいつを連れて行け。後でたっぷり甚振ってやる。思ったより良い体してるしな。」

 

虫唾が走る…抵抗を試みない様にと、彼は怪物を2体使い私を謎の能力で転移させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、邪魔は無くなった、今度こそ…」

 

ネガウォーズは再び怯える市民達の方を向いた。しかし、それを遮る人物が現れた。

 

「よお。スレーブと共にどこか行ったかと思えば、こんなところで暴れていたとはな。」

 

彼の目の前に現れた新たな人物。それは、ジョーカーの戦士ではないが、武装をしておりいつでも戦える、そんな雰囲気だった。

 

「お前は…」ネガウォーズは彼が誰かを直ぐに思い出した。

 

「高山桐斗、仮面ライダーナキーノ。まさかもう忘れたのか?」

 

高山桐斗、それはフォース達とはまた別の世界で戦う戦士。そんな彼がなぜここにいるかって?それはまた別の機会としよう。

 

[センサー!][スナイパー!][ミリタリウムマッチ!]

 

彼は左腕のナキーノブレスに2つのボトルを装填した。

 

[Are you ready?]

 

桐斗「変身!」

 

[赤き瞳のスナイパー!センサースナイパー!イェーイ!]

 

黒と灰色がボディに螺旋状になっている。飾り気のない機械的な見た目の中、左眼は謳い文句の様に赤くなっている。これが異界の戦士仮面ライダーナキーノだ。

 

「お前もこの世界にいる以上、死んで貰うしかないな。」ネガウォーズは剣を向けた。

 

「迷い込んだネズミ一匹逃さない……軍の連中と変わらないな、やれる物ならそうすると良いさ。」そう言うとナキーノは銃を構えた。

 

「そうさせてもらう!」その一言を皮切りに剣を持って相手は迫る。

 

そんな状況でも冷静さを保つナキーノは銃を構えたまま微動だにしない。

 

そしていよいよネガウォーズの剣先がナキーノの目前まで迫る。彼は完全に勝てると信じていた…その一瞬だった。

 

「死ねぇ!!」そう剣を振り下ろした先に、ナキーノの姿はない。それどころか背後に居たはずの市民もいない。

 

「どこへ消えた!!」

 

「どこだろうな?」その声と共にネガウォーズの背後から銃声が鳴り響く。

 

「チッ、、卑怯な真似を!」

 

「戦場に卑怯も何も無い…持てる力は全て使う。それで初めて戦いというものは成り立つ。」再び銃声が鳴り響く。今度はネガウォーズが振り向いた方向とは逆からだ。

 

「俺とアンタとじゃ踏んだ場数が違う様だな!」

 

そう言った時とほぼ同時、ネガウォーズの目の前の小石が転がる。それを見た彼は剣をそこへ振り下ろす。

 

「そこだ!!」

 

「甘いな!」しかし、それはナキーノの罠だった。再び姿を見せた彼は剣を振り下ろした直後のネガウォーズを右脚で蹴り飛ばした。

 

「…これが力の差ってやつだ。黒羽風香を返してもらおうか。」ナキーノは倒れているネガウォーズの頭に銃口を突きつけた。

 

「…言わなかったらどうする?」

 

「そうだな…この銃が火を吹くことになる。」

 

「なら、彼女の居場所は一生分からないだろうな。」ネガウォーズは再び笑った。

 

「本当に引き金を引くぞ。」ナキーノはネガウォーズを睨みつける。

 

「それはやめて貰おうか。」その時、後ろから風香とは違うまた別の女性の声がした。

 

ナキーノが振り返ると、そこにはアーサーの姿があった。

 

「その男は今回の事件の重要参考人だ。殺されては困る。」アーサーはナキーノにそう呼びかける。

 

「だが、ここで手を下さないとコイツはまた逃げるぞ。」ナキーノはアーサーの考えには賛同しなかった。そう言った直後、ネガウォーズはナキーノの銃を剣で弾き飛ばした。

 

「またな。」そう言い残しネガウォーズは去っていった。

 

 

 

「…ほら」

 

ナキーノの変身を解いた桐斗は同じく変身を解いた雪菜に近づく。

 

「…確かに結果はそうだな。だが、この世界には法がある。そして私たちはそれに従って活動している。だからそういう事は出来ない。」

 

「…そう。」彼はまだ何か言いたがだったが抑えた。

 

 

「それにしても、見たことない装備だな。名前は?」

 

雪菜は話題を変える。彼女はまだ知らない彼の名前を聞く。

 

「高山桐斗だ。アンタは?」桐斗は聞き返す。

 

「私は劔橋雪菜だ。」

 

「……なんというか、男らしい苗字だな。」桐斗は、彼女の名前に突っ込んだ。が…

 

「とりあえず本部まで来て貰おうか。」彼女はその部分だけあえて聞き逃したかの様に移送車に案内した。

 

「…スルーかよ。」彼はそう言った時の彼女の睨みつけた目は一生忘れられないだろう…

 

 

 

 

 

「あの男は変身道具に発信機が付いているとは考えないのか?」

 

その頃、ジョーカーの社長室には白夜総三ともう1人いた。

 

「逆に誘き寄せているんじゃない?あの男は仮面ライダーに…というよりも俺達に相当の恨みを持っているしな。」

 

総三の考えに対して男はそう答えた。

 

「とりあえず、康介には風香君の救出を頼みたい。」

 

「嫌と言ってもやらせるんだろ?どちらにしろ行くが。」

 

康介は、そう言うと部屋を後にした。

 

「次はここのライダーについてだな。」総三も椅子から立ち上がり部屋を去った。

 

 

その頃、司令室には先に帰還していた金剛寺朔弥と血城壮介がいた。彼らは雪菜の帰還とともにやってきた見知らぬ男について聞いた。

 

「その男は?」朔弥が聞く。

 

「彼は…どうやら黒羽の任務中の失踪と関係がある人物だ。名前は高山桐斗だ。」雪菜は淡々と説明する。

 

「いくら関係あると言ってもここに部外者を連れてくるのはおかしいんじゃないのか?」壮介が言う。

 

「俺は情報漏洩も盗むのも趣味じゃない。信用できないのなら撃てばいい。」桐斗はそう返す。

 

「そう言うことをする奴の常套句だな。本当に撃つぞ。」壮介は朔弥に銃を貸せと言った。桐斗は面倒な奴に話しかけたとため息をついた。

 

「やめろ。今はそんな事をして居られる余裕は無いはずだ。」雪菜の制止でこの話は後回しとなった。

朔弥は蓮が情報を持ってやって来たタイミングで話を始めた。

 

「それで、現在の被害状況は?」

 

「はい、今回襲われた四ヶ所は共に被害甚大、死者も出ているそうです。」蓮は説明を始めた。

 

「それで怪我人の治療は?」

 

「本部にいる救護班が民間の病院とともに連携をとり救助活動に当たっています。現在死者は確認されて居ません。」

 

朔弥は蓮にありがとうと言い引き続き連絡を頼むと言い部屋から出した。

 

「非常事態…と言う奴だな。」雪菜が言う。

 

「ああ。これだと、次攻められると俺達では手が負えなくなるぞ。3人しか居ない中で…」

 

「4人だ。」朔弥の言葉を彼女は遮った。

 

「4人?高山さんも戦えるのか?」朔弥が聞く。

 

「ま、一応な。」そう桐斗は答えた。

 

「信用ならないな…」壮介の呟きを桐斗は睨み返した。

 

「俺は異世界とはいえ軍の兵器開発に関わって居た。性能も、アンタらの足を引っ張らない程度の自信はあるさ。」

 

「…分かった。戦力に組み込もう。」朔弥の決断を1人除き了承した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは…」

風香が再び目覚めた時、自身の身体は十字架にキリストのように縛り付けられていた。

 

「ようやく目を覚ましたか。」

 

ネガウォーズ…湯山白虎は風香の目覚めを待ち侘びたかの様に話した。

 

「…離しなさい!」

 

「ダメだ。お前はジョーカーとの交渉材料とさせてもらう。お前を解放する代わりに街を火の海に包み込ませるか。それともあんたを見捨てて街を救うか…あの男達がどう選択するのか楽しみだ。」

 

白虎は、風香の左頬を撫でながら話す。

 

「…みんなは、街を守る事を選択する。」

 

「なんでだ?その自信はどこから出ている。」

 

「私の周りの人間は優秀だ。だからこそ私の命よりも皆の命を優先する。」風香は彼に対してそう言い切った。

 

 

 

 

 

 

「ジョーカーの社長である白夜総三。あんたの所の戦士フォースを殺されたくなければ戦力を放棄しろ。だが、もし放棄しないので有ればフォースはここで死ぬ。さぁ選べ。」

 

「社長、どうするんですか?」雪菜は総三に聞く。彼はしばらく考えた後、桐斗の方を向いた。

 

「…君は確か高山桐斗君だったよな。君の世界ならこういう時はどうしているんだ?」

 

「俺の世界の軍なら恐らく彼女ごと撃つ。ヒトだった化け物を助けることなく撃つ連中だからな。」桐斗はそう答えた。

 

「…だが、俺は彼女を救えるなら救いたい。無駄な犠牲は産みたくない。」そう付け加えた。

 

「そうか…君も私と同意見の様だね。」総三は、そう言い桐斗に向かって頷いた。

 

「という訳で、これより我々ジョーカーは彼らと徹底対抗する。黒羽風香については別で動いているから心配するな。総員緊急配備位置についてくれ。」総三がそう言うと、戦闘部隊は一斉に部屋を後にした。

 

「俺はどうすればいい?」人が減っていく部屋の中、桐斗は総三に聞く。

 

「君は、黒羽君が救出された時に保護へ向かって欲しい。通信はこれを使ってくれ。」そう言ってトランシーバーを手渡した。

 

「それと…」総三は彼を引き止めた。

 

「健闘を祈る。」総三はそう言って桐斗を送り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうやらお前の言った通り交戦するみたいだな。」

 

白虎は風香に言う。

 

「そうみたいね。だから言ったでしょ?」

 

「そうだな…」この結末に彼は少々不服だった。だが彼はこの後更に気分が悪くなる。

 

その時、教会の扉がガタンと開けられた。そして男が中へと入ってきた。

 

「その顔…山田康介か…兄の仇を取らせてもらう。」

 

「確かに、湯山玄武を殺したのは俺だ。だが、あの男は世界を我が物にしようとして居た。放置しておく訳にはいかない。」康介は、彼に対して声を荒げる事なく話す。

 

「黙れ。俺は知っているんだぞ。怪物の凶行を隠す為に兄を使った事を!」

 

「やはりねじ曲がっているな…お前はアイツらに騙されている。」白虎と康介の会話に風香は全くついていけなかった。

 

「黙れ!俺と戦え!!」そう言って白虎はネガウォーズへと変身した。

 

「仕方ない…変身!」[KAMEN RIDER WAR-Z!]

 

「あれは!前に資料で見た事がある…仮面ライダーウォーズ。」風香は康介の変身した姿に驚いた。

 

「あんた、そもそもなんで俺がここに来たのか気にならないのか?」ウォーズはネガウォーズと風香に近づきながら聞く。

 

「何?」

 

「それはこう言う事だよ!」ウォーズはそう言うと風香が繋がれて居た十字架を切り倒し彼女を救出した。

 

「まさか!」

 

「そのまさかさ。」ウォーズはそのままネガウォーズを蹴り倒した。

 

「黒羽風香…ここは俺に任せて行け。」ウォーズは、周りに群がるホッパーを切り倒しながら彼女に言う。

 

「分かりました。」そう言うと風香は教会を後にした。

 

「待て!!」「お前の相手は俺だ!!」ネガウォーズが追おうとしているのをウォーズは剣で薙ぎ倒した。

 

「ぐっ…お前にはこれが対処できるのか?」そう言うとネガウォーズはスレーブを再び召喚した。

 

「なんだ?あれはスマッシュなのか?」康介はそう言っている間にもネガウォーズは風香を追うべくその場を後にした。

 

「もしスマッシュなら倒せないな…」そう言いながらスレーブに剣を振り下ろす。

 

狭い場所よりも外でとウォーズは外で戦闘を継続した。

 

ホッパーは全て撃破したが、スレーブはウォーズが倒せない事を良い事に次々と攻撃を仕掛け気がつけばウォーズは劣勢を強いられて居た。

 

「どうすれば…」

 

スレーブは、ウォーズに右腕の強力な一撃を繰り出した。

 

しかし、それは横から入ってきた新たな人物によって防がれた。

 

黄色と白色が斜めに混ざり合うその姿、ウォーズにとって見覚えがあった。

 

「…オオカミとチーターのビルド?」

 

「ビルド?なんの話だ。俺はアーキブだ。ちょっとバカない仲間とはぐれるわ、通信も使えないわで万事休すでな。で、そんな時にスレーブに苦戦しているあんたを見つけた訳だ。」アーキブはここまでの経緯を簡潔に話た。

 

「そうか…あの怪物、お前なら倒せるのか?」

 

「んー…まぁ、あれくらいなら…すぐに。」スレーブを指差しながら彼は答える。その間にもスレーブは仲間を呼びホッパーが大量に発生して居た。

 

「…雑魚の方は俺の方がよく知っている。スレーブを頼む。」ウォーズは剣を構えた。

 

「ああ、バッタの方は任せた。」そう言うと2人は敵に向かって走り出した。

 

アーキブはスレーブに対して神速の格闘攻撃を次々と繰り出す。ウォーズはそのアーキブ達に群がるホッパーを一通り切り倒していく。

 

「行けるか?」アーキブが聞く。

 

「ああ。」ウォーズが答えると2人は必殺技を発動させた。

 

[ready GO!][インスティンクフィニッシュ]

 

[Re open!][WAR-Z drop!]

 

2人は地面を蹴り上げ右脚を前に突き出した。2人のキックはスレーブ、そして周りのホッパーを次々と薙ぎ倒した。

 

2人のキックを受けたスレーブは完全に倒れ戦闘不能へと陥った。それを見たアーキブはエンプティボトルをかざした。

 

エネルギー自体は回収できたが、中から人は出てこなかった。代わりに死骸となったホッパーが姿を見せた。

 

「ありがとう…せめて名前を教えてくれないか?」ウォーズが聞く。

 

「俺は柊宗介。あんたは?」

 

「俺は山田康介、ウォーズだ。そういえば、宗介は仲間を探しているって言ってたな。もしかしたらジョーカーに行けば何か分かるかもしれない。道は今見えている大通りをそのまま東に向かえば着く。」

 

「分かった。ありがとうな!」アーキブはそう言うと大通りを走ってジョーカーに向かった。

 

「そういえば、アイツウォーズって言ってたな…あの男と関係あるのか?」そうぶつぶつと呟きながら走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風香は教会からジョーカーに向かって走って居た。

 

一本の路地が近づいた時、その隙間から誰かに手を引かれた。

 

「誰!」

 

「俺だ。桐斗だ。」彼女の手を引いたのは桐斗だった。

 

「何故ここに?」

 

「…説明は後だ。」そう言うとトランシーバーを取り出した。

 

「こちらナキーノ、先程対象を保護した。」

 

『了解した。全隊員に次ぐ、これより敵が現れ次第攻撃を開始しろ。』

 

トランシーバーから聞こえた声は総三だった。

 

「大変だったな。」

 

「まぁね。それより、もうすぐ大群が押し寄せる。それに対処しないと。」風香は路地から出ようとした。

 

「ちょっとタンマ、これを使え。」

 

そう言って彼女に渡したのは銀色のパーツだった。

 

「強化形態のプロトタイプだ。社長が『役立てろ』との事だ。」

 

「…ありがとう。」風香はそれを手に取った。

 

 

2人は、道の正面に立った。そこには大群のホッパーを連れたネガウォーズの姿があった。

 

「こうなったら、全て消し去ってやる。」

 

「やれるもんならやってみな。」桐斗がボトルを構えて言う。

 

「私たちが止めてみせる!」風香もベルトを装着する。

 

[Are you ready?]ナキーノのブレスが2人に聞く。

 

「「変身!!」」2人はそう答えた。

 

[check!][change!rider Force!]

 

[赤き瞳のスナイパー!センサースナイパー!イェーイ!]

 

フォースとナキーノ、2人の戦士はホッパーの大群に恐れもせず武器を構えた。

 

 

同刻、ジョーカー本部には既に大軍のホッパーが押し寄せて居た。アーサー、火縄、ホープはそれぞれの持ち場で迎撃している。

 

「数が多い!」黒い体液を剣で切り裂きながらアーサーが言う。

 

「一気にやれればいいんだけどな!」ホープは空から迫るホッパーの翅を弓で撃ち抜き続けている。

 

「今は耐えるしかない!」火縄が銃から弾丸を次々と放ちながら耐えて居た。

 

 

 

 

「しかしこいつら、数が多いと本当に厄介…まるで蝗害だな。」

 

ナキーノは銃で次々とホッパーの頭部を撃ち抜いていくが、倒れる数よりも現れる数の方がまだ優って居た。

 

「このままだと持久戦に…そうだ。これを!」フォースは先程受け取ったアイテムをベルトに装着した。

 

[next up!rider Second!]

 

そのアイテムと同じ銀色の装甲が胸部、肩部、頭部を覆った。銀色になったフォースというのが一番近いだろう。フォース・プロト2ndの完成だ。彼女は、大剣ライダーバスターを召喚した。

 

ライダーバスターを一振りする事でホッパーは次々と倒れていく。

 

「これなら行ける!」

 

フォースは強化された身体で徐々に押し始めた。

 

 

「チッ、こんな時にあのボトル持ってればな…」ナキーノがそう呟いているとアーキブがやってきた。

 

「…桐斗。それって、コイツらの事か?」彼が見せたのはミサイルとジェットのボトルだった。

 

「ん…完全正答、100点だ。何故これを持っているかは聞かないが、何故ここにいる?」

 

「…色々あったんだよ、カクカクシカジカってやつ。」アーキブがそう答えた。

 

「説明は0点…まあ良い、丁度望みの物だから許してやる。」そう言うとナキーノはボトルをこの2つに差し替えた。

 

[ホーミングミサイル!][ジェット!][ミリタリウムマッチ!]

 

「リトランス」桐斗がそう言うと、新たなアーマーがナキーノの身体に装着される。

 

[大空を駆けるFlight object!

      ホーミングジェット!

            イェィ…]

 

右腕には白きミサイルを装備、背中には黒色の戦闘機のようなウイングを手にしたナキーノ、ホーミングジェットフォームが完成した。

 

ナキーノは颯爽と背中のウイングで空へと飛び立った。そして右腕を構えミサイルを2発地面に放った。

 

それらの爆炎でホッパーは次々と跳ね飛び、消し炭となった。

 

「ぐっ…貴様ら!!」ネガウォーズは空を飛ぶナキーノに銃の照準を合わせ放った。

 

ナキーノはそれを交わしながら地面へと降り立った。

 

ナキーノに夢中になっているネガウォーズにフォースは重い斬撃を次々と繰り出した。

 

彼はその攻撃で後方へノックバックする。そこに追い討ちの如くナキーノのミサイルが激突する。

 

「桐斗、これで決めよう!」

 

「了解、風香!」

 

2人は、それぞれ必殺技を発動させた。

 

[Ready Go!][ミリタリウム・フィニッシュ!]

 

[check!][kicks ready!]

 

ナキーノの高速の蹴りとフォースの雷鳴の蹴りがネガウォーズの身体に激突、そのまま貫いた。最期の言葉を放つことすら出来ず。

 

 

[check!][spade strike!][dia direct!][hurt hard!]

 

アーサー、火縄、ホープも必殺技を発動させ、全てのホッパーを撃退した。

 

「任務完了。これより帰還する。」

 

 

 

 

 

ネガウォーズが撃破された場所にフォースとナキーノ、アーキブが立って居た。

 

「これから2人はどうするんですか?」フォースが聞く。

 

「…この世界も悪くないよな。軍もいないし、俺達も正義の味方を続けられる。」アーキブが答える。

 

「馬鹿言え、俺達が消えたらスレーブにされた人達はどうする…それに、そんな空想も叶わないさ、アレを見てみろ。」

 

ナキーノが指差した先には空間を割くように現れたワープホールがあった。

 

「風香、また会おう。」ナキーノはホールに入りながら言う。

 

「はい、今度は戦場でないところで会いましょう!」

 

「そうだな、出来れば戦いのない場所で。」

 

風香は2人が見えなくなるまで見送った。

 

 

 

 

こうして、ネガウォーズの凶行は幕を閉じた。被害は甚大であったが、奇跡的に死者は出なかった。

仮面ライダーナキーノ、彼や彼の装備、そして彼の住む世界…それら全て面白かった。参考にさせて貰おう。

 

 

 

 

 




「やはり、ネガウォーズの使い手はあなたしか居なくようですね。山田康介君。」


「勝手に使い回しているのはそっちだろ?」







今回コラボしていただいたマスタークさんの仮面ライダーナキーノ
https://www.pixiv.net/novel/series/1168267

マスタークさんコラボありがとうございました。こちらの改変でご迷惑をお掛けしました。




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9話 ♡3:離反

??「よう、土野。」

土野「貴様は、火賀。という事は、」

火賀「そうさ、仮面ライダーがこちらの希望になるという事だ。」

 

 

 

風香「あーー報告書ようやく終わった!!一沙さん手伝ってくれてありがとうございました!」

一沙「全然いいわよ。前回の戦いは結構被害が大きかったからね…」

風香「ええ、いつもなら2枚程度なのに今回は10枚!」

勇治「2人ともお疲れ様です。お茶どうぞ。」

風香「ありがと…本当二葉君は気が効くね…」

勇治「いえ…」

彼は二葉勇治、東さんがいなくなってから1人居なくなったクローバー班に配属された一番年下の青年だ。本当気が効くいい子でね…。

 

そんな事はどうでもいいか、私は一息つくと、社長室に向かった。

 

その社長室にて

総三「雪菜君、忙しい中悪いね。」

雪菜「いえ、それより、極秘事項とは…」

総三「…仮面ライダーホープを倒して欲しい。」

雪菜「それはどういう…」

総三「血城壮介は、最早手がつけられないほど暴れている。それに、これからも彼を雇い続ければいつか大きな被害が起きかねない。」

雪菜「つまり、私に血城壮介を殺せということですか?」

総三「いや、生死は君の判断に任せる。ただ、一番良くないのは彼に仮面ライダーの力が残る事だ。それだけは避けて欲しい。」

雪菜「分かりました。では失礼します。」

 

 

私は社長室前で雪菜さんとすれ違った。雪菜さんは何か考え込んでいるようだ。

私はレポートを整えて社長室のドアをノックした。

風香「失礼します。」

総三「どうぞ。」

私はドアを開け、中に入ってきた。

そしてレポートを社長に渡した。

社長はレポートを見ながら私に話かけた。

総三「前回の戦い、ご苦労だったね。」

風香「いえ、それが私の仕事ですから。」

総三「そうか。前回の戦闘データから本格的に強化アイテムの製作が始まることが決定した。これも君のおかげだよ。」

風香「そんな、私は一沙さんのアイテムを信じて使っただけですから。」

[曇天館工場にてDC23が出現、仮面ライダーは直ちに出動せよ。]

風香「では失礼します。」

私は社長室である事を忘れもうダッシュでガレージに向かった。そしてライダーベルトとライダーブレスを装着した。そしてベルトにブレスをスキャンした。

風香「変身!」[change!rider Force!]

私はすぐさまバイクにまたがり、出動した。

 

 

現場には既にアーサー、火縄、ホープの姿があった。

雪菜「今回現れたのは鍬形種鷹怪人、23号だ。」

朔弥「一体どこに隠れている…」

 

私とアーサー、火縄は警戒しながら歩いた。本当の敵が真後ろに居ると知らずに…

彼は弓を引いた。そして、照準をアーサーに合わせ、矢を放った。

矢は宙を舞い、アーサーの背中に直撃した。

雪菜「何?」

一瞬、敵の攻撃かと思った。火縄は矢が飛んできた方向に銃を向けた。

朔弥「貴様か?」

壮介「フッフッッ…ハッハッハ!!!!!!馬鹿め、お前ら全員死ね。俺の退職記念だ!」

雪菜「最初からそのつもりだったのか!」

朔弥「お前、自分が何やってるのか分かってるのか!」

壮介「100%分かってますよ!」

壮介は弓に取り付けられた刃を火縄に振り下ろした。そして火縄から銃を奪い、アーサーに向け放った。私は後ろから攻撃を仕掛ける。右ストレートはホープの顔向けて放たれた。しかし、それは別のものによる干渉で軌道から外れた。倒れた私が見上げると23号が居た。

風香「23号!雪菜さん、先に23号を!」

雪菜「いや、ホープの方が先だ、これは社長命令だ。」

風香「何言ってるんですか!このまま23号を放っておけば被害が拡大します!」

雪菜「それはこっちも同じだ!それに仮面ライダーを分析されたら、私達以外の仮面ライダーが生まれる事になる!その方がもっと被害が増えるだろ!」

私達が言い争っている間もホープは次の攻撃を仕掛けた。

壮介「じゃあな、火縄。」

壮介はベルトに火縄の銃をスキャンし、炎の一撃を与えた。銃を奪われ、牙を失った獣のようになった火縄に放たれた火球は一面を火の海にした。

朔弥「ぐはっ!!」

風香「朔弥さん!!」




次回
第10話 ♣︎:4希望は絶望に、迷いは決意に

重大発表!
仮面ライダーフォース特別編を投稿予定!
そしてスペシャルゲストも…[ミリタリウムマッチ!]
今月中に投稿予定!乞うご期待!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第10話 ♣︎:4希望は絶望に、迷いは決意に

壮介「じゃあな、火縄。」

 

 

 

朔弥「ぐはっ!!」

風香「朔弥さん!!」

 

 

風香「…雪菜さん、私が隙を作るので、朔弥さんの救助お願いします。」

雪菜「は?」

私は、朔弥にトドメを刺そうとしたホープを引き剥がした。

風香「今です!」

雪菜さんは、私の合図とともにサイクロンキングのビークルモードで朔弥を回収した。

 

 

 

 

 

 

 

雪菜「金剛寺は現在昏睡状態でいつ目覚めるかわからない状態です。」

[そうか…]

社長が画面越しに朔弥さんの状況を把握した。

風香「社長…何故壮介さんが裏切ると分かったんですか?」

[実はな、内部報告で裏切り者がいるとの情報を聞いてね。私は真っ先に彼を思い浮かべてね…]

風香「それが怪人を後回しにする理由にはなりません!対策ならもっと早く取れたはずです!」

[黒羽君、少し落ち着きたまえ。確かに、対策を早く取ることができなかったのは我々のミスだ。だが、彼を放っておくことは仮面ライダーを悪用される可能性がある。だからホープ奪還の方を優先する様にしたのだ。]

風香「…社長、今回の報酬は結構です。私1人で行動します。私は目先で消えかけている命を見捨てることなんてできません。」

そう言うと、風香は部屋を出た。

雪菜「社長、これでいいんですか?」

[今回は仕方ない。私としては、彼女も疑っていたんだよ。]

雪菜「何故ですか?」

[…理由は知らない方がいい。とにかく劔橋君はホープ奪還を引き続き頼む。]

雪菜「分かりました。」

 

 

 

 

私は、屋上で夜空を見上げていた。

風香「やっぱり都会じゃ星がよく見えないな…」

公誠「どうした?こんなところで悩んで。」

風香「公誠…」

私の1人の空間を引き裂いたのは公誠だった。

風香「…ほっといてよ!」

公誠「…雪菜さんから聞いたぞ。」

風香「…きっと私はクビなんだろうな…バイト探そうかな…」

しばらく静かな空間が続いた。

 

公誠「俺も、風香と同じ立場だったら同じ事してたんだろうな…」

風香「えっ?」

公誠「だって、目の前で失いかけている命を見捨てる事なんてできないだろ?それに、ホープがもし悪用されたとしてもその時はお前が倒せばいいんだ。責任を取るためにね。」

風香「責任…」

公誠「とにかく、お前はまず目先のことを考えろ。風香は強いんだから。」

風香「でも…」

公誠「なんだよ?まだ何かあるのか?」

風香「うん…」

公誠「…どんな事考えてるか分からないけど、まずは行動しろ。それから考えればいい。」

まずは行動する…私、慎重になり過ぎてたのかな…

 

風香「ありがとう!じゃ、行ってくる。」

公誠「おう、頑張ってこい。」

 

 

 

 

壮介「火賀さん、仮面ライダーをぶっ倒す仕事はまだか?」

火賀「今は待て。まだ彼らは研究に必要だ。」

壮介「そうか…なら、勝手にする。」

火賀「おい!」

 

 

土野「彼、本当に信用していいのか?」

火賀「さぁ、でもいずれ彼は必要になるだろう。」

 

水澤「大変です!鍬形種鷹怪人が脱走しました!」

土野「なんだと?」

 

 

 

 

壮介と23号は、ジョーカー社の総本部にいた。

壮介「よし、23号。ここを破壊しろ。」

壮介は23号に破壊を命じた。

??「そんな事させない!」

壮介「あ?」

彼らの前に現れたのは風香だ。

壮介「よお小娘。1人で俺達を相手できるのか?」

風香「できるから来たのよ。」

 

[check!]

風香「変身!」

[change!rider Force!]

 

壮介「面白い…変身…」

[check!][change!rider hope!]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

壮介「行くぞ…」

風香「はぁっ!!」

先制したのはフォースだ。持ち前の棒術を使いホープと23号にダメージを与えた。

ホープも負けまいと右ストレートを放つ。

右ストレートで一瞬の隙ができたフォースに23号が、猛スピードで突撃した。フォースは吹き飛ばされ、壁に激突した。

フォースはすぐさま立ち上がり、ライジングサンダーストライクを23号に放った。

さっきの攻撃で大きな隙ができていた23号は防御すら出来ずに爆散した。

ホープは必殺技を放ったばかりのフォースを狙って矢を放った。

フォースはそれをまだ力が残っている右脚を振り上げて弾いた。しかし、そのせいでバランスを崩し倒れてしまった。

ホープは必殺技を発動させた。

壮介「終わりだ…」

 

 

 

しかし、その矢はフォースに届かなかった。

フォースの目の前には炎の虎がいた。

「ダメじゃないか…壮介。今日の遊びは終わりだ。帰るぞ。」

壮介「誰だ?」

「帰ったら教えてやるよ。」

炎の虎はホープと共に霧のように消えた。

風香「…」

 

 

 

 

 

 

 

壮介「お前、誰だ。」

火賀「私だよ。」

炎の虎は火賀の姿に戻った。

壮介「なんだよそれは。」

火賀「究極生命体だ。」




次回
第11話 ♦︎8:消す事の出来ない過去


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第11話 ♦︎8:消す事の出来ない過去

その日はクリスマスだった。俺は、外で夜空に浮かぶ星を見ていた。

少年朔弥「綺麗だな…」

俺は、家の中に入ろうとドアを開けた。

その時だった。リビングの方が赤く輝いていた。

俺は恐る恐る扉を開けた。そこは別世界のようだった。

炎が部屋一面に広がって燃えていた。そしてその中に父さんと母さんがいた。

俺は2人を呼ぼうとしたが炎はそれを許さなかった。

「朔弥!早く逃げなさい!」

「私達のことは良いから!」

 

父さんと母さんの声が聞こえた。

少年朔弥「でも…」

 

「早く!」

 

俺は言われるがままに外へ出た。俺の頭は火で燃やされた紙の様に黒く、何をどうすれば良いか分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風香「朔弥さん!」

俺は目を覚ました。どうやらこの最近の疲れで車の中で居眠りしていたみたいだ。

朔弥「すまない。」

俺と黒羽が向かっている神方ファウンデーション、ここでは数日前から社員が行方不明になっていた。

風香「でも、なんで行方不明事件で私達が呼ばれるんでしょうか?」

朔弥「神方ファウンデーションは血城壮介がかつて働いていた所だ。それに、この辺りで血城が乗った怪しい車が目撃されている。そこでお呼びがかかったという事だ。」

 

 

 

 

神方ファウンデーション、未来を創る起業家を支えるをモットーに活動する投資団体だ。その社長は一代で会社を大企業にまで成長させたカリスマ、神方充だ。

 

風香と朔弥は神方ファウンデーションの会議室で神方充と対面する予定だった。しかし、実際はフロント横の待合所で対面した。

神方充の顔立ちは非常に良く、イケメン俳優と張り合えるほどだ。髪は前髪の一部が赤に染まっていた。

神方「こんなところで申し訳ないです。会議室が急用で使えなくなってしまったので。」

神方は申し訳なさそうに言った。

朔弥「いえ、お忙しい中申し訳ないです…」

朔弥らは神方に促され、椅子に座った。

神方「ジョーカー社の噂は聞いています。先日も貴社の仮面ライダーに助けられましたし、なんと御礼をすれば良いか。」

風香「いえ、それより行方不明事件について教えて貰えませんか?」

神方「…私が知っている事は襲われた人間が血城というかつてこの会社にいた男と同期の社員が襲われているとしか…」

朔弥「そうですか…何か有れば連絡下さい。本日はこれで失礼します。」

朔弥らは待合所を後にした。

出入口には沢山の男が大量の大きな箱を持ってエレベーターに乗り込んでいた。2人は初めて見る行列にしばらく立ち止まっていた。

 

神方ファウンデーション前にて…

風香「とりあえず、私はこれから強化パーツについての会議があるんでジョーカーの研究室に一旦戻ります。」

朔弥「分かった。気をつけて。」

風香は車を降り、バスに乗り換えた。

 

朔弥「とはいえ、神方充、見かけは良さそうだが、何か裏がありそうだな。調べる価値はあるかもな。」

すると、突然車の窓を叩かれた。血城壮介だ。

壮介「よお、金剛寺。」

朔弥「血城!?」

 

 

朔弥は人気の少ない公園に壮介を連れ出した。

 

朔弥「お前か?行方不明事件の犯人は。」

壮介「だからなんだ?」

朔弥「…処罰を受けろ。そして行方不明者はどうしたのか教えろ!」

壮介「…それなら全員殺したさ。研究材料としてね。」

壮介は軽々しく言い放った。

朔弥「研究材料だと、ふざけるな!」

壮介「何言ってる。俺が神方に勤めてたのは知ってるだろ?」

朔弥「それがどうした?」

壮介「同じことをしてるんだよ。俺が神方を辞めたのは、あいつらが未来ある人達を所詮研究材料としか見ていない。それはジョーカーも同じだ。」

朔弥「…研究材料かもな…」

壮介「そうさ、今なら大歓迎だぜ。」

朔弥「だが、少なくとも俺は俺の意思で戦っている。」

壮介「…自覚が無いのか…なら体で分らせてやる!変身!」

朔弥「やはり、戦うしか無いか、変身!」

[change!rider hope!]

[change!rider HINAWA!]

 

壮介「俺と戦って大丈夫なのか?」

朔弥「どういう事だ?」

壮介「俺はあんたの子どもの頃のトラウマを知ってるんだぜ。

 

 

 

 

 

 

火事で全てを失った事をな。」




次回
第12話 ♦︎9:彼の決断


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12話 ♦︎9:彼の決断

壮介「俺と戦って大丈夫なのか?」

朔弥「どういう事だ?」

壮介「俺はあんたの子どもの頃のトラウマを知ってるんだぜ。

 

 

 

 

 

 

火事で全てを失った事をな。」

 

 

朔弥「…だ、だからなんだ!!」

壮介「ほう、あくまで隠すって訳か。なら、俺が思い出すまで何回も炎を見せてやるよ!」

壮介は弓を剣がわりにし、火縄に向かった。

火縄は必死に銃で抵抗しようとした、が、動揺している火縄は全弾を外してしまった。

ホープは弓を突き刺そうとした。

 

雪菜「金剛寺、大丈夫か!」

2人の間に割って入ったのはアーサーだった。剣をホープの方に向けた。

 

壮介「チッ、邪魔が入ったな。お前との決着はまた今度だ。」

壮介は自らの身体を液状化させ、姿を消した。その時、金属の何かが落ちたような気がした。

 

 

 

 

雪菜「大丈夫か?」

2人は変身を解いた。

朔弥「…すまない、俺が弱いばかりに…」

雪菜「金剛寺、その様子、何かあったらしいな。私で良ければ話を聞くぞ。」

 

朔弥は一瞬迷った。が、ここで話すことにした。火事のこと、その悪夢を見ること、火がトラウマであることを。

 

雪菜「そうだったのか…」

朔弥「俺はただ強がっていただけだ。今までの振る舞い全て。火を纏う事は俺にとって恐怖そのものだ。正直、逃げたいと思ったことも沢山あった。でも、出来なかった。でないと、お前や風香に見せる顔がないからな…」

雪菜「…弱点は、克服するべきだろうな。」

雪菜は呟いた。

朔弥「だよな。我慢しないとな…」

雪菜「だが、金剛寺の場合は違う。」

雪菜は朔弥の言葉を遮った。

雪菜「お前はアレルギーを無理矢理克服しようとするのと同じだ。アレルギーを克服しようとすれば逆に酷くなり、下手をすれば死に至る。お前のトラウマも同じだ。無理に克服しようとするな。なんなら、逃げたっていい。私も、黒羽も、金剛寺を恨んだりはしない。」

雪菜は、朔弥にそう言い放った。

朔弥はしばらく悩んだ。

そして、立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

総三「そうか…それが君の答えか。」

俺は社長に辞表を提出した。

朔弥「これ以上、迷惑かける事なんて出来ません。受け取ってください。」

社長は俺の辞表を手に取った。そして目の前で破り捨てた。

 

総三「確かにトラウマの事を隠していた事には問題がある。もっと早く言って欲しかった。だがそんな事で私は社員をクビにはしない。」

朔弥「しかし…」

総三「君は今日から仮面ライダーのサポートに回って欲しい。」

朔弥「でも…」

総三「何か異論があるのかい?」

朔弥「…はい、分かりました。ただ、今日からではなく、明日からにしてもらえませんか?」

総三「何か問題でも?」

朔弥「一応、ある程度の決着はつけなければならないので。本当は辞めてから個人的に決着付けようと思ってましたけど、せっかくなので。」

決着、それは壮介との決戦の雌雄ではない。また別の事だ。彼の言葉が本当なのか…

総三「ならビシッと行ってこい!」

 

 

 

 

俺は再び神方の元に赴いた。

神方「どうしたんですか?」

朔弥「…率直に聞きます。神方さん、犯罪に加担して居ますよね。」

神方は一瞬動揺したが、直ぐに隠した。

神方「どういう事ですか?」

朔弥「ここの会社に以前勤めていた男はこの会社の事をこう言っていた。『俺が神方を辞めたのは、あいつらが未来ある人達を所詮研究材料としか見ていない。』と。」

神方「…証拠は!証拠はあるのか?」

その反応、図星だな。

俺は証拠になるものを取り出した。一つのボイスレコーダーだ。

これはあの時、壮介が落とした鍵で壮介のロッカーを開けた時、目の前にあったものだ。

俺はそれを再生した。

『飯塚さん、今度100万円投資しますから、このサプリ試してくださいよ…』

『も、もうやめてくれ!そんな怪しい薬、もう飲めない。』

『飲めって言ってるだろ!!』

他にもこれと似たような音声が沢山入っていた。

朔弥「これに出てきたあなた以外の人物は全員意識不明や死亡している。それはお前が新種の薬物の実験台として起業家達を利用してきた証拠だ。」

 

神方は地面に膝をついた。

神方「…だってさ、あいつら、俺が金貸してやってるのに全く返さないんだぜ。だから逆に利用してやったのさ。邪魔なんだよ、俺の思い通りにならない奴はすべて!」

朔弥「…あとは警察に…」

その時、後ろから誰かが近づいてきた。

??「ようやく白状したか…神方。」

振り向いた先には壮介が変身したホープの姿があった。

朔弥「血城!」

ホープは弓を引いた。

壮介「じゃあな、神方。」

朔弥「やめろ!」

神方「うぁぁぁ!!!!!!」

 

[待て、神方充を殺すな。]

突然、ホープから別の声が聞こえた。

壮介「なんだと!」

[今は引け。]

壮介は舌打ちをし、その場を去った。

 

 

 

 

総三「今回集まってもらったのは他でもない。ライダーシステム向上計画がもうすぐ完了を迎えるからだ。」

総三の隣にあるパネルには、2人のライダー像が映し出された。




次回
第13話 ♣︎J :フォース2nd、参上!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

狂花の章
第13話 ♣︎J :フォース2nd、参上!


朔弥さんが裏方に回ってから2週間、ある一本の電話があった。

内容は[馬が盗まれた、警察は相手してくれない。]ということらしい。

最初は断ればいいじゃないかと思った、が、盗まれた状況を考えるとどう考えても不思議だった。

その馬、ペガススは小屋で休んでいた。主人が餌を与えた後、目を離した数秒の内に消えたというものだった…

 

私と黒羽は、その牧場にいた。ここは私の思い出の場所でもある。

雪菜「馬堀さん!」

馬堀「君は…確か劔橋さんの娘さん?」

雪菜「覚えていてくれたんですね!」

風香「あの…お知り合い?」

私はこの関係を知らない黒羽に説明した。

雪菜「馬堀さんはここの主人で、私の父の古くからの友人。だからここによく来ていたのよ。」

風香「そうなんですか…それで、とりあえず事件があった小屋を見せてもらえませんか?」

馬堀「いいですよ。」

私達は馬堀さんに連れられ、現場である小屋に着いた。

 

馬堀「ここで昨日、私はペガススに餌をあげてたんだよ。」

 

昨晩…

馬堀「ペガスス、晩飯だぞ。」

馬堀はペガススに餌を与えようとしたその時、後ろで何かが動く音がした。

馬堀「誰か居るのか?」

しかし、返答はなかった。そして、馬堀がペガススの方を向いたが、その頃には…

 

雪菜「確かに不可思議だな…」

風香「勝手に脱走したというのは…?」

馬堀「それはあり得ない!あんなに落ち着いている馬が勝手に脱走するなん絶対ない!」

 

その時だった。私と黒羽の携帯からアラートが鳴った。

DCが現れたという連絡だ。

雪菜「すいません、また後で。」

私達は馬堀さんに一言告げた後、私は車に、黒羽はバイクに乗った。

 

 

 

 

現場は馬堀さんの牧場から五分程の所だ。

かつて採石場だったのか、地面を掘る道具やトロッコが残されていた。

風香「ここ…前にも戦闘で来たことあります。確か猫種土竜型の時だったと…」

雪菜「同じ所で二回もか…何かあるかもしれない。」

風香「大丈夫ですって、新装備がありますし。」

 

すると、DCが出現した。

見た目は白馬だ。しかし、それに羽が生えていてペガサスの様になっている。

雪菜「お出ましの様だ。」

風香「行きましょう!」

2人はそれぞれ構えた。

 

「「変身!!」」

 

[change!rider Force!][change!rider arthur!]

 

 

風香「じゃあ、私は右から行くので、雪菜さんは左からお願いします。」

雪菜「分かった。」

私達はそれぞれ左右に分かれて攻撃を仕掛けたが、DCはそれを見切り、左にいるアーサーを羽で振り払った。

雪菜「うっ!」

そのままDCは蹴りを発動させ、アーサーに放った。

 

風香「雪菜さん!」

私は、DCとアーサーを引き剥がした。そのままDCに連続攻撃を仕掛けたが、効く様子は全く無かった。それどころか、レイピアを取り出し、私に突き刺した。

 

雪菜「…もしかして、キツツキの能力か?」

風香「確かに、キツツキなら飛べますしね…」

 

このままだと勝ち目は無さそうだ。やはりあれを使うしかない様だ。

私は金色のパーツをベルトを覆い被せる様に装着した。

雪菜「いきなり実戦で使う気か?」

風香「訓練は何回も受けています。今なら行けます!」

私はブレスをベルトにスキャンさせた。

[next up!]

すると、ベルトから鍬形虫型の巨大なパーツが出現した。その鍬形は私を覆い被す様に装着された。

[The rider is next stage! Force 2nd!]

凹凸が殆どない頭部に鍬形の頭部の様に二本の角が現れた。肩と胸、足の装甲が強化され、身体には金色のラインが血管の様に張り巡らされた。手にあるクローバークローザーは棒の両端に刃が付いたクローバークロッサーに進化した。

フォース2ndの完成だ。

風香「一瞬で終わらせる。」

私は今までにない加速でDCの懐に入り、斬り裂いた。更に後ろ蹴りを放ち、遠くに吹き飛ばした。

[rider buster]

大剣型の武器、ライダーバスターを召喚し、半分に割った。そこにクローバークロッサーをセットし、鍬形の頭部の様に変形、スピアモードに変形させた。

私は武器をベルトにスキャンさせ、必殺技を発動させた。

[Buster!]clover crush!]

鍬形のエフェクトと共にDCを両刃で挟み込み、引き裂いた。

 

 

DCは金色の光と共に爆散した…

 

 




次回
第14話 ♠︎J :力の証


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第14話 ♠︎J :力の証

フォースとアーサーは、DCの痕跡が無い事を確認する為に、爆発地点に近づいた。

「まさかこんなに早く動くとは…」

そう言い現れたのは、この前の炎の虎怪人だった。

風香「お前、何しに来た?」

火賀「お前、せめて名前で呼んで欲しいな…火賀だ。」

火賀、そう名乗った男は人間の姿に戻った。

 

雪菜「血城をどうするつもりだ。」

火賀「どおって、仲間として率いれるつもりだ。君達もそれがいいだろ?面倒方を起こす人間が居なくなったからな。」

風香「確かに、血城さんは酷い人かもしれない。でも、悪ではない。」

火賀は2人に向け何かを発しようとしたその時、別の怪物にそれを止められた。その姿は水棲生物のようだった。

火賀「お前、何しに。」

「所長はこれ以上は言うなとの事、ここは引くぞ。」

そう言うと2人は水に包まれ、消えてしまった。

 

 

 

 

本部にて…

風香「やはり、あそこの廃墟には何かあると思います。敵の本拠地とまでは言い切れませんが…」

風香と雪菜は社長室に今日の事を話した。

総三「分かった、今度調査隊を派遣しよう。」

雪菜「それと…」

雪菜が口を挟んだ。

総三「何かね?」

雪菜「…フォースだけでなく、アーサーもバージョンアップして欲しいです。これから先、より強い強敵が立ち塞がったとき、フォースだけで対処できなくなった時の為にもお願いします。」

雪菜は頭を下げた。

総三「…実はだな…本当はこのバージョンアップについてはフォースと火縄で考えられていたんだ。」

雪菜「どう言う事ですか?」

 

総三「以前、ホープと23号が攻めてきたことがあっただろう?」

雪菜「はい…」

総三「その時の23号の破片から、強化アイテムを完成させようと考えていた。フォースは鍬形と合成出来たが、鷹の力がアーサーと合成出来なかった。そこで計画を変更し、火縄の強化アイテムとしていたが、その肝心の火縄の後任者がまだ未熟だからね…」

雪菜「では、アーサーを強化する予定はないと…」

総三「そう言うわけではない。今回の24号から回収した破片がアーサーに適応できれば、アーサーをバージョンアップする予定だ。」

 

 

 

 

雪菜は、アーサーの強化が作られていると言う嬉しさとある事実を馬堀に伝えなければいけないと言う残念さの狭間にいた。

馬堀「雪菜さん、」

雪菜「馬堀さん…」

馬堀「…ペガススについてですか?」

しばらく沈黙が続いた。雪菜はこの事実を話して良いか分からなかった。

馬堀「…そうですよね。無事ではないんですよね?」

雪菜「はい…」

 

 

2人は客間で話をすることにした。

馬堀「それで、ペガススはどうなっているんですか?」

雪菜「それは…私達が見つけた頃には、もう…」

馬堀「そうですか。」

雪菜「ペガススは、心なき怪物にされました。」

馬堀「…」

雪菜「ただ、その怪物は、私達の手で止めることができました。そして、今その破片から私の強化アイテムを作られています。ただ…」

馬堀「馬は嘘をつかない。君が使ってくれるなら、ペガススも喜ぶよ。」

雪菜「…ありがとうございます。」

 

 

その時だった、新たな連絡が来た。私の強化パーツを作るために使っていた破片のうち、キツツキ側が暴走を始めたとの事だった。

 

 

 

私が現場に着くと、研究所を覆っていたコンクリート壁の一部が崩れ落ちていた。巨大なキツツキは、研究所を巣のように居座っていた。

雪菜「すぐさまそこから引き摺り下ろしてやる。変身!」

[check!][cyclone king!]

アーサーになった私はすぐさまサイクロンキングに乗り込み、キツツキを振り落とした。更に剣で攻撃を仕掛けた。

雪菜「これで終わりだ!」

しかし、巨大キツツキはそれを交わし、クチバシでサイクロンキングの右肩ごとコンクリート壁に突き刺した。

雪菜「ぐはっ!!」

そのままサイクロンキングは身動きが取れなくなった。

巨大キツツキは再びサイクロンキング目掛け突き刺そうとした。

私は咄嗟の判断でサイクロンキングから抜け出した。

そして、そのまま研究所の中に転がり込んだ。

そこには置き去りにされた器具があった。その中に、フォースが使っていたものと同じ金色のバックルパーツがあった。私はそれを手に取り、ベルトに装填した。

 

それと同時に、外にあるサイクロンキングが爆発し、その爆炎が私に降りかかった。

 

 

風香「雪菜さん!」

私ーフォースが到着したと同時に、サイクロンキングは轟音と共に炎に飲み込まれた。

風香「そんな…」

[next up!][The rider is next stage! arthur 2nd!]

その時だった。爆炎の中から馬のエフェクトと共に、アーサー2ndが飛び出した。

雪菜「これで終わりだ!」[rider bastard][bastard slash!]

アーサー2ndはライダーバスターと共に巨大キツツキに激突、爆発した。

爆炎の中からアーサー2ndが降りてきた。

 

風香「雪菜さん…」

雪菜「…黒羽、私も、ようやくお前に追いついたな。」




次回
第15話 ♦︎2:新たな火縄


緊急告知!
ウォーズが年末、帰ってくる!
decade the next world ウォーズの世界編投稿決定!
投稿日は前半が12月31日午前9時!後編は同日午後9時!
更に次のワードで更に新情報公開!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第15話 ♦︎2:新たな火縄

蓮「変身!」[change!rider HINAWA!]

[これよりシミュレーションを開始する。]

赤石蓮は、2代目火縄として、戦闘訓練を受けていた。

今行なっているのは十六方位からランダムに50発飛んでくる鉄球を撃ち落とす訓練だ。

蓮は順調に撃ち落とした。

蓮「これが最後だ!」

最後の鉄球を撃ち落とし、訓練は終わった。

[訓練終了、点数は80点。]

蓮「80…」

朔弥「お疲れ様。」

終わったのを見計らって、朔弥が飲み物を持って訓練場に入ってきた。

蓮「朔弥さん…」

蓮は飲み物を受け取ると、ガブ飲みした。

朔弥「蓮、訓練はどうだ?」

蓮「相当きついですね、それに、どれだけ頑張っても、点数取れませんし…何がダメなんでしょうか?」

朔弥「そうだな…攻撃に集中しすぎなところだな。さっきの訓練も、撃ち落とすことしかしてないからな。」

蓮「…ありがとうございます。」

蓮はその場を去った。

 

 

 

朔弥は食堂で、風香達に出会った。

風香「朔弥さん!」

風香は、大声で呼んだ。

雪菜「呼ぶ必要ないだろ…」

雪菜は小声で風香に言った。

朔弥「久しぶりだな。」

朔弥は風香の隣に座った。

風香「それで、蓮君の調子はどうですか?」

朔弥「そうだな…正直、まだ実戦は無理だな。攻撃ばかりで、防御や、特殊能力を使いこなせてない。」

雪菜「そうか、それは大きな課題だな。」

3人はコーヒーを飲んだ。朔弥はふと風香の方を見た。朔弥は驚くべき量の砂糖とミルクを見て、コーヒーを吐き出しそうになった。

雪菜「そいつは舌が馬鹿なだけだ。気にするな。」

朔弥「あ、ああ…」

風香「別にいいじゃないですか。これだけ使ったって。」

風香は、これが普通という雰囲気を出して、パンを食べた。

朔弥「とりあえず、俺はなんとか蓮を俺の代役を務めれるくらいまでには強く出来る様にやってみるよ。」

風香「ファイトです!」

 

 

 

 

それから数日後、蓮はなんとか火縄を使いこなせるほどの実力を持った。しかし、火縄の強化パーツを使うにはまだまだ未熟。

そんな時、新たなDCの出現があった。しかも、火賀もいるそうだ。

風香、雪菜、蓮はすぐさま出動した。

雪菜「私と黒羽が火賀を対処する。赤石は25号を対処しろ。」

蓮「分かりました!」

3人「「「変身!!!」」」

 

[The rider is next stage! Force 2nd!]

 

 

[The rider is next stage! arthur 2nd!]

 

 

   [change!rider HINAWA!]

 

3人はそれぞれの持ち場に別れた。

 

 

 

蓮はすぐさま25号に攻撃を仕掛けた。今回は狼型蟹種怪人、強力な脚力と、左腕のハサミを持っていた。

しかし、火縄はそれらに屈することはない。

パンチやキックを駆使し、着実にダメージを与えた。そして、銃を取り出した。フィニッシュのバレットを装着し、構えた。

蓮「これで!」[check!][dia direct!]

火球が25号を貫いた。

 

 

火縄は、銃をしまった。

 

??「お前、金剛寺じゃないな?誰だ。」

蓮「お前は!」

彼の後ろから現れたのは、ホープー血城壮介だった…




次回
第16話 ♦︎3:復活


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第16話 ♦︎3:復活

壮介「お前、金剛寺じゃないな?誰だ。」

 

蓮「お前は!」

彼の後ろから現れたのは、ホープー血城壮介だった…

壮介「そうか、あいつは逃げたか…まぁいい、生贄になってもらうぞ。」

蓮「うっ…」

 

 

 

一方、フォースとアーサーは、火賀と交戦していた。

火賀「さぁ、お前達をこんがりと焼いてやろうか?」

火賀は両腕の爪で2人を斬りつけた。更に、フォースに蹴りを入れた。

風香「フォース2ndの力は…こんなものじゃないはず!」

雪菜「まだ…使いこなせてないらしいな…」

火賀は間髪入れずに更に攻撃を仕掛けた。

火賀「焼き加減はレア?ミディアム?それともヴェルダン?」

風香「私はミディアムレアが好きかな!」

フォースは頭部から電撃を放った。

更に、アーサーが風を纏ったパンチを放った。

火賀「やるじゃん、でも、そんな攻撃じゃ俺は倒れないぜ。」

火賀はアーサーを掴み上げ、腹にパンチした。

雪菜「ぐはっ!!」

アーサーは吹き飛ばされた。更に後ろにいたフォースを巻き込み、壁に激突した。

2人はシステムを強制的にシャットダウンされ、変身を解除された。

火賀「噛みごたえないな…じゃ、もう1人の方に行くか。まぁ、もしかしたら死んでるかもしれないけどね。」

 

雪菜「まさか!血城が!」

火賀「ご名答、だが、もう遅い。」

雪菜と風香は立ち上がろうとしたが、すぐに崩れ落ちてしまった。

 

 

 

 

 

蓮「うわっ!!」

火縄は一方的にホープにやられていた。

壮介「どうした?骨のない感触だな、それとも、俺が人間だから手加減でもしてるのか?」

蓮は今にも逃げたい気分だった。怖い、朔弥さんはいつもこんな目に合っていたのか、そう思いながら自分の死を悟った。

 

 

朔弥「このままだと彼も死んでしまいます、早く撤退命令を!」

一方、彼の裏手に回っていた朔弥は本部にいる飯野賢治オペレーター部部長と会話していた。

飯野「しかしな、今撤退したらフォースとアーサーの命を危険に晒すことになる。だから彼には耐えて貰うしかない。」

朔弥「それは彼も同じだ!」

朔弥は、アタッシュケースから火縄用の強化パーツを手に取った。

飯野「お前、まさかそれを渡す気か?まだ彼は使いこなせてないどころか適応すらできてない!殺す気か?」

朔弥「そもそも、俺が変身を辞退しなければこんな事にならなかった。」

彼は昔の事を思い出した。あの火事の日、居なくなった両親、目の前で倒れた姿…

 

 

朔弥「蓮も、同じように逃げたくて仕方ない筈だ。だが、逃げずに戦っている。俺が、過去のトラウマから逃げたせいで…」

飯野「金剛寺、聞いているか!早くそれをしまえ!」

朔弥は通信機を外し、踏み潰した。そして、火縄の方へ走り出した。

 

火縄は今にもやられそうな勢いだった。

壮介「これで終わりだ…ん?」

ホープは後ろから迫ってくる朔弥に気づいた。そして弓を構えた。

蓮「させない!」

火縄は銃でホープの弓を弾き落とした。

 

それとほぼ同じタイミングで朔弥は火縄の隣に立った。

朔弥「大丈夫か?蓮。」

蓮「朔弥さん…」

朔弥「ベルトとブレスを渡してくれ。」

蓮「えっ…?」

蓮は耳を疑った。

朔弥「早く!今この状況を打開するにはそれしかない!」

蓮「でも…」

朔弥「いいから早く!」

蓮は、訳も分からず、とにかくベルトとブレスを朔弥に渡した。

朔弥はそれらを装着した。

蓮「変身して大丈夫なんですか?」

朔弥「…お前は十分怖い思いをしたからな…俺が、そもそもあんなわがまま言わなきゃ良かったんだ。これは俺に責任がある。トラウマを理由に逃げた俺に。だが、今なら、そのトラウマも克服出来るかもしれない。立場は危ないかも知れないけどな。」

蓮は、朔弥の冗談に少し笑った。

蓮「そんな冗談言ってる余裕があるなら大丈夫そうですね。分かりました、後はお願いします!」

蓮はそのまま撤退した。

 

そして朔弥はホープの方を向いた。

朔弥「1分で蹴りをつける。」

壮介「いいぜ、力の差を見せてやる。」

朔弥は金色の強化パーツをベルトにつけ、変身した。

朔弥「変・身!」

 

[The rider is next stage! Hinawa 2nd!]

 

炎の鷹と融合した火縄弐が参上した。ダイヤリボルバーとライダーバスターガンモードを構えた。

朔弥「さぁ、始めようか!」

二丁拳銃になった火縄は、ホープに向け、弾丸を放った、いつもの倍以上の数を。

ホープは再び持った弓で応戦しようとしたが、弓を引くことすら出来ない。

火縄は、ダイヤリボルバーとライダーバスターを合体させた。

[Buster!]dia direct!]

巨大な火球が5発放たれた。

ホープは最初の火球を避けたが、それ以外全ての火球を喰らった。

壮介「ぐはっ!!」

 

朔弥「お前のライダーの力を回収する!」

火縄はホープのベルトとブレスを壮介から取り外した。

壮介はそのまま炎に飲み込まれてしまった。

 

壮介「くそがぁ!!!!!」

 

それが彼の最後の一声になった。

 

 

 

 

 

朔弥「すいません、私の勝手な行動で…」

朔弥は、社長室で総三と会話していた。

総三「特に問題はない。むしろ、ホープの力を回収までするとは、今月はボーナス盛り沢山与えて上げよう、それと、今日付で君をダイヤ部隊の隊長に復帰してくれ、やはり火縄には君が適任だ。」

朔弥「えっ、は、はい。これからもよろしくお願いします。」

 

 

廊下にて

蓮「復帰、おめでとうございます。」

朔弥「色々迷惑かけたな、すまない」

蓮「いえいえ、これからもよろしくお願いします。後、これから戦う時は暴言とか厨二っぽい発言はしないようにして下さいね。」

朔弥「ははっ、それはただ強がっていただけだからな…」




次回
第17話 ♠︎3:彼女の過去


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第17話 ♠︎3:彼女の過去

総三「不知火香さん、本日は、取材ありがとうございます。」

総三は社長室に雑誌記者、不知火香を招き入れた。

不知火「こちらこそ、取材させていただきありがとうございます。本日はよろしくお願いします。」

 

 

 

一沙「今日集まって貰ったのは他でもない。何故セカンドフォームに変身した時に、全力を出せないのか?その答えはとても簡単。心に迷いがあるからよ。」

谷川一沙は、風香、雪菜、朔弥を集めて説明をしていた。

一沙「手元の資料を見て。そこにここまでの戦闘データから編み出したスペックが載ってるわ。」

その資料は左からフォース2nd、アーサー2nd、火縄弍の順でスペックが載っていた。

風香「火縄のスペックが1番高いですね。」

朔弥「アーサーも高いと思ったが、7割程度なのか。」

雪菜「フォースは5割すら到達していないのか。」

一沙「ええ、火縄が95%、アーサーが71%、フォースが48%。本来、火縄ぐらいのスペックが良いけど、アーサーもフォースもそれにはまだ程遠いわ。」

風香「その原因が心の迷い。」

一沙「火縄のスペックが高いのは、朔弥君がトラウマを乗り越えたからだと思う。だから、2人にも頑張ってという事よ。」

そう言うと一沙はサムズアップした。

 

 

雪菜「私の迷い…」

私はふと、過去のことを思い出した。中学の時だ。

 

 

私は田舎育ちの人間で、村にある小さくボロい中学校に通っていた。

私は、学級委員だったのもあり、常日頃規則には厳しく言ってきた。

 

中学生雪菜「2人とも止めなさい!」

男子生徒A「やべっ、鬼畜委員長だ!」

男子生徒B「逃げろ!!」

 

私は、特にいじめには特段厳しかった。

私はその日も1人の女子生徒をいじめていた男子2人を追っ払った。

 

中学生雪菜「大丈夫か?」

女子生徒「うん…いつもありがとう、こんな私の為に。」

中学生雪菜「気にするな、あいつらが何度も来るなら、私がその分追っ払ってやる。」

 

 

 

しかし、今では、その行為はすべきではなかったんじゃないかと思っている。そのせいで私が…

風香「雪菜さん!」

私は黒羽の声でふと我に帰った。

風香「どうかしたんですか?」

雪菜「いや、特に何も…」

 

すると、目の前に社長と女の人が出てきた。

その女は、私が知ってるやつ、それも中学の時の…

 

総三「紹介するよ。こちらは不知火香さん、今日一日風香君を取材してもらう方だ。」

風香「初めまして、黒羽風香です。よろしくお願いします。」

不知火「こちらこそよろしくお願いします。」

 

不知火香と黒羽はその場を去った。

総三「…どうかしたのか?」

社長は私にそう聞いてきた。どうやら知らない内に拳を握り締めていたようだ。

雪菜「…なんでもありません。」

 

 

 

 

 

「ごめん、こうするしかなかったのよ!」

「待て!逃げるな!」

 

私は、ずっと信じていた。彼女は裏切らない、そう思っていた。でも…

 

 

 

 

午後…

[26号が出現しました!場所は詩島噴水公園。]

緊急連絡があった。私はすぐさま準備し、車を発車させた。

 

 

現場に着くと、既に火縄が戦闘に入っていた。

雪菜「金剛寺、遅くなった!」

私は、剣を取り出し、構えた。

頭部の形と、背中のヒレを見る限り猫種鮫形怪人のようだ。

更にそこへフォースもやってきた。

風香「遅くなりました!」

雪菜「よし、私と黒羽が26号を両サイドから追い込む。金剛寺はトドメを刺してくれ。」

風香「了解です!」

朔弥「分かった」

 

私と黒羽はすぐさま敵のサイドに分かれた。私が左、黒羽が右に行き、それぞれ攻撃を仕掛けた。

 

私は、剣を振り下ろした。しかし、26号はそれを腕のヒレ状のもので防いだ。そして、反対側から攻撃を仕掛けたフォースを避けた。

風香「なっ!」

そして、クローバー部隊の輸送車に標的を変えた。

そこには、何人かの隊員と不知火香の姿があった。

26号は、隊員をボールのように放り投げた。そして、香に手を伸ばした。が、それを火縄の弾丸が妨害した。

 

朔弥「今だ!」

黒羽はキックの態勢をした。そして、宙に舞った。

[double flash strike!]

 

攻撃に気づいた26号は、香を盾にしようとした。

雪菜「待て!黒羽!」




次回
第18話 ♠︎4:決別


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第18話 ♠︎4:決別

朔弥「今だ!」

黒羽は金剛寺の合図に気づき、キックを放った。

[double flash strike!]

 

26号は近くにいた不知火香を盾にした。

雪菜「待て!黒羽!」

 

しかし、フォースのドロップキックは止まらない。

このままだと!

 

キックは26号に炸裂した。

 

雪菜「なんだと…」

朔弥「嘘だろ…」

 

フォースは後ろを向き香の状態を確認しようとした。

不知火香は無事だった。

不知火「えっ…」

不知火香を庇うように立っていたのは、白の仮面ライダー、ホープだ。

ホープ「大丈夫ですか?」

不知火「は、はい…」

 

 

 

私達は三人の元に駆け寄った。

朔弥「とりあえず、黒羽は不知火さんを頼む。」

風香「はい。」

朔弥がそう言うと風香は不知火香を輸送車に乗せた。

 

私はホープの方を向いた。

雪菜「お前は誰だ?」

ホープは、変身を解いた。

心「劔橋さん、そんな怖そうな目で見ないでください。僕ですよ。清野心ですよ。」

ホープに変身していたのは、ハート部隊のランク10の清野心だった。

朔弥「お前がホープだったのか…」

心「はい、血城さんの分を務めれるか分かりませんがよろしくお願いします!」

 

 

 

 

風香と香は…

風香「大丈夫ですか…?」

不知火「はい…それより、私こそ迷惑かけてしまって。」

風香「とんでもない…」

不知火は下を向いた。

 

風香「そんな落ち込まなくてもいいですよ。」

不知火「いえ、違うんです。」

 

しばらく沈黙が流れた。

 

不知火「実は、彼女と…劔橋雪菜と色々あったんです。過去に…」

風香「どういう事ですか…?」

 

 

不知火香は中学生の頃は勉強や運動が苦手だった。そんな彼女を、他の生徒達は玩具のようにいじめた。

そんな彼女を救ったのは劔橋雪菜だった…

生徒達はその行動をよく思わなかった…彼らは、不知火にある提案をした。

「今日の放課後、体育館倉庫に劔橋雪菜を連れてこい!もし、劔橋が来たら、お前にいじめは絶対しない。だが、もし来なかったら一生お前をいじめてやるからな。」

不知火は、その誘いに乗ってしまった。

約束通り劔橋雪菜を倉庫に連れて行った。

 

雪菜「ここに私に用がある人がいるの?」

すると、突然雪菜を狙って、石が投げつけられた。

 

その犯人は、不知火の隣に立った。

雪菜「なんのつもり…?」

不知火「ごめん、こうするしかなかったのよ!」

不知火はその場から走り去った。

雪菜「待て!逃げるな!」

雪菜は、犯人の仲間から追撃を喰らった。

 

 

 

不知火「今の私があるのは、彼女のおかげです。でも、私はその恩を仇で返してしまった…」

風香「雪菜さん、その頃から正義感の強い人だったんですね…」

不知火はえっという顔をした。

風香「雪菜さんは、鬼じゃないですから、謝りましょう、私もついて行きますから。」

不知火「はい。」

 

 

 

 

私は、不知火香を許すべきだろうか、自分の部屋で考えていた。人を裏切る、それは良くない事だ。

 

その時だった、部屋にインターホンの音が鳴り響いた。

私は、玄関のドアを開けた。そこには、黒羽と不知火香がいた。

とりあえず、2人を部屋に上げた。

 

雪菜「コーヒーでいいか?」

風香「はい。あ、砂糖とミルク忘れないでくださいね。」

 

私は2人にコーヒーを出した。黒羽には大量の砂糖とミルクを用意した。

 

雪菜「…私は、今でも、お前のことを許せない。」

私は最初にそう言った。

雪菜「…それは昔の私だ。しかし、今は、許してもいいと思ってる。だが、それでそのことが帳消しになるとは思ってない。」

 

不知火「ごめん、今まで、そのこと言えなくて。私も、これで帳消しになったつもりはないと思ってる。」

雪菜「そうか…なら」

 

ズズズ…

 

雪菜がある提案をしようとしたタイミングで風香がコーヒーを音を立てて飲んだ。

 

雪菜「お前な…」

不知火は、その光景を見てプププと笑った。

雪菜もそれに釣られて笑った。

 

 

 

 

火賀「とはいえ、ここまで来るとなんも言えないな…」

火賀は、DCのリストを見た。

火賀「全て撃破されている。それじゃ、話にならないな。」

土野「…そうだな…しかし、ここで終わりではない。いよいよ、我々人間が進化する時だ。」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第19話 ♣︎7:彼の行方

朔弥「そういえば、黒羽は知ってるか?」

風香「何がですか?」

朔弥「血城壮介の遺体が、見つかっていない事だ。」

 

それは少し前の話、ホープが火縄に敗北した時のことだ。ホープだった血城壮介は、火縄の必殺技に敗れ、死んだはずだった。しかし、現場からは遺体が見つかっていない。逃げた可能性もなくはないが、あの状況で逃げるのは不可能だ。

 

風香「どこへ消えたんでしょうか…」

朔弥「それは俺にも分からない…」

 

雪菜「お前達、少しいいか?」

私達の前に雪菜さんが現れた。

 

私達は雪菜さんに喫茶店に連れて行かれた。そこでは既に心が席を取っていた。

心「ここですよ!」

私達は席についた。

 

 

雪菜「本題に入ろう。まずはこれを見てくれ。」

雪菜は3人が見えるように写真を見せた。どうやら防犯カメラが捉えたもののようだ。そこには、不思議な形をした人みたいなものがいた。

風香「なんですか、これ?」

風香は聞いた。

雪菜「最近街で目撃されているコーカサスのような姿をしたDCだ。しかし、実害は今のところ起きていない。」

心「それがどうかしたんですか?」

雪菜「どうやら、火賀と同じ究極生命体の1人の可能性が出てきた。」

雪菜は男の顔が描かれた絵を取り出した。3人はその正体に驚愕した。

朔弥「これはどこから…?」

雪菜「この究極生命体に出くわした人の証言から描かれたそうだ。この顔、私達が知っている顔だ。」

風香「元仮面ライダーホープ、血城壮介…」

 

 

 

 

火賀「木崎、そろそろ実戦に入るか…」

そこには、木崎ー血城壮介がいた。彼の顔は青ざめていた。

水澤「土野さんが、この男の容態を気にしている。本当に大丈夫なのか?」

火賀「大丈夫だ。なんせ、死んでるんだからな。こうして叩いたり、蹴ったりしたって痛みを感じることはない。」

火賀は木崎を叩こうとした。

水澤「貴重なサンプルだ。雑に扱うなよ。」

火賀「はいはい…」

 

 

 

 

[究極生命体が出現!仮面ライダーはすぐさま現場へ急行してください!]

喫茶店から帰ってきてから早々、出動命令が入った。

 

ライダー達はすぐさま現場に向かった。

 

到着すると、青ざめた顔をした血城壮介の姿があった。

風香「壮介さん!」

風香は呼んだ。壮介はそれに答えるように怪物に変異した。頭に3本の角を生やしたコーカサスビートルの究極生命体だ。

 

 

朔弥「やるしかないぞ。」

 

フォース、アーサー、火縄はベルトに強化パーツを付けた。

 

[The rider is next stage! Force 2nd!]

 

フォース2nd、火縄弐、アーサー2nd、ホープが並び立った。

 

 

雪菜「金剛寺と清野は後ろから援護しろ。」

心「分かりました。」

火縄とホープは後ろに下がった。

フォースとアーサーは二手に分かれ、武器を構えた。

 

風香「はぁっ!」

 

フォースがクローバークロッサーを振り下ろした。

壮介は右腕で受け止めた。

 

雪菜「タァッ!」

 

アーサーが壮介の後ろから迫った。それに気づいた壮介は左脚でアーサーを蹴り飛ばした。

更にフォースにアッパーを喰らわせた。

 

壮介の背中に炎の弾丸と水の矢が放たれた。

しかし、壮介はびくともしなかった。

 

朔弥「何、効かない!」

心「もしかして、カブト虫だから背中が硬いのかも…」

 

壮介は、目標をホープに変え、突撃した。

 

心「ぐはっ!」

頭部の3本角をぶつけられ、ホープは5m以上先の壁まで吹き飛ばされた。

 

壮介は、背中の羽を広げ、腰を落とし構えた。

そして飛び上がり、火縄の胸部にパンチを叩き込んだ。

 

朔弥「うわっ!」

 

地面を凹ませる程のパンチを火縄は喰らい、変身が解除された。

 

火賀「そこまでだ。」

奥から火賀が現れた。

 

雪菜「火賀、これはどういうことだ!」

雪菜は聞いた。

火賀「簡単な話だ。これは実験だ。」

心「えっ…」

火賀「死者蘇生、そして、成功した。その代償に言葉を失ったがな。」 

風香「死者…蘇生…」

 

火賀「そうさ、彼は我々の最強の兵器としてこの世に蘇ったのさ。」

 

風香「兵器として…」

風香は立ち上がった。

火賀「いいだろ?死んだのだからな。」

 

風香「ふざけるな!死んだから何してもいいだって?もしそれを本気で言ってるなら、私は許さない!」

風香はそう言った。彼女は怒りに震え上がっていた。

 

火賀「この顔が冗談で言ってると思うか?」

火賀は風香を更に煽った。

火賀「彼女を殺せ。」

 

指示を受けた壮介は再び必殺技待機状態になった。

 

そして、パンチを繰り出した。

 

風香は避けずに受け止めようとした。

雪菜「やめろ!無茶だ!」

それに気づいた雪菜が止めようと走り出した。

朔弥「黒羽!」

心「黒羽さん!」

朔弥と心が叫んだ。

 

 

パンチは、止まる事なくフォースに激突した。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第20話 ♣︎9:真実の欠片

パンチは、止まる事なくフォースに激突した。

 

火賀「何!」

雪菜「なんだ…」

 

フォースに激突するはずの拳は水によって塞がれていた。

 

水澤「火賀、これ以上の攻撃は無用だ。」

火賀「ふざけるな、どうせお前のくだらない思い入れのせいだろ!」

火賀は炎を吐いた。

水澤はそれを水を巧みに使い防いだ。

そして水澤は火賀と壮介を連れて引いた。

 

 

 

 

「ここは…」

目を覚ますと、私は川の目の前にいた。橋の手前には、懐かしい顔があった。その顔をした男は私に言った。

 

[まだ来てはならない…風香。]

 

男ー私の兄さんはそういうと姿を消した。

「兄さん!」

 

 

 

 

風香「はっ!」

雪菜「目を覚ましたか…」

 

私は救護室で寝ていた。

雪菜「最初はただの気絶だと思っていたが、まさか半日も寝てるとはな…」

風香「はい…」

雪菜さんは私にスープを差し出した。

雪菜「何か嫌な夢でも見たのか?」

風香「…」

私は黙り込んでしまった。さっき起きたこと

 

雪菜「私で良ければ聞いてやる。」

 

 

風香「…さっき見てた夢のことじゃないですけど、少し話を聞いてもらえませんか…」

 

 

私は、ふと兄さんについての話をしたくなった。

 

〜回想〜

私の兄さん(翼)はとても優しい人だった。いつも私を笑顔にしようといろんなことやってた。兄さんは私と7歳差で今も生きていれば27歳だ。

兄さんはとにかくバイクが好きだった。暇だった私をいつもバイクに乗せてツーリングに連れて行ってもらった。

でもそんな兄さんに悲劇が襲い掛かった。

それは3年前の話だ。私と兄さんは山の中にある湖を目指してバイクを走らせていた時に起きた。

翼「もうすぐ着くぞ。」

風香「ようやくか…」

私はふと空を見上げた。青々としていてとても美しかった。が、それは悲劇に変貌した。

バイクはバランスを崩し、倒れた。

翼「風香!」

 

私と兄さんは道路に転がった。バイクのパーツや、装飾品が地面に転がった。

 

 

私が目を覚ますと、兄さんの姿はどこにもなかった。

そして、たまたまこの道を走っていた車が私に声をかけた。

「姉ちゃん!大丈夫か?」

「大丈、夫…」

私は立とうとしたが、バランスを崩し倒れた。

 

 

その後、私はこうして回復したが、兄さんはしばらく行方不明の扱いになっていた。そして、半年後に兄さんらしき人物の白骨遺体が森の中で見つかった。

 

回想終わり〜

 

風香「正直、今でも死んだとは信じられない。でも、そう思うしかないと思うと…」

雪菜「そうだったのか…お前にもそういう過去が…」

風香「…あの、このこと、ベラベラ喋らないで下さいね。」

雪菜「私が口が軽い女だと思っているのか?」

風香「…どうでしょう?」

少し、気分が晴れた気がした。

 

 

 

[大丈夫か?風香…]

あの怪人、やっぱり…




次回
第21話 ♣︎ 2:覚醒


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第21話 ♣︎ 2:フォース、覚醒

火賀「水澤、俺は決めた。やはり財団に戻ることにした。ここにいるのはやはり気分が悪い。」

水澤「そうしてくれ。」

火賀「そのかわり、仮面ライダーを倒す。」

そう言い残し、火賀は姿を消した。

 

水澤「仮面ライダーを?今のお前では無理だ。木崎、火賀を監視しろ。」

 

 

 

風香「いただきます!」

風香は昼飯を取っていた。今日は唐揚げだ。彼女はサラダにかける用のマヨネーズを唐揚げにどっぷりとかけた。

朔弥「お前、さすがにかけ過ぎじゃないか?」

心「体に悪いですよ。」

風香「大丈夫だって、今までもこうして健康でいられてるんだから。」

そういうと風香は唐揚げを頬張った。

 

 

 

雪菜「黒羽。」

風香が帰宅しようとしていたところに雪菜が声をかけた。

風香「雪菜さん、なんですか?」

 

雪菜はやはりかという顔をした。

雪菜「目が笑ってないな。」

風香「上司との会話で笑ってるなんておかしいですよ。」

 

雪菜「お前の兄さんのことか?」

風香は目を逸らした。

雪菜「まだ何かあるんじゃないか?」

風香「ほっといてください!私は大丈夫ですから!」

雪菜「待て!」

風香は雪菜から逃げるように去った。

 

 

 

 

 

風香「そんなわけない…」

風香を守った水の怪人、あの声、あの温かさはかつての黒羽翼と同じだった。

 

風香「兄さんは、死んだんだ、あの男はたまたま似てただけだ。兄さんじゃない…そんな事ない!」

 

 

 

 

 

水澤「土野さん、火賀をこのまま放っておくんですか?」

土野「構わない。あの男はいずれ死ぬ。それより彼の代わりとして金山を呼び戻すことにした。」

水澤「金山、あの癖のある男を火賀の替わりに?」

土野「ああ、何か不満かい?」

水澤「いえ、ありません…」

 

 

 

 

 

雪菜「どうすれば…」

公誠「雪菜さん、どうにかしたんですか?」

雪菜「…お前の方が適任かもな。」

公誠「何がですか?」

 

雪菜は公誠に風香について話した。彼女にどんな言葉をかければいいか聞いた。

 

雪菜「そもそも、私が言うより、魚津が言った方が効果があるのかもな。」

公誠「そんな事ないですよ。あくまで、学校が同じだっただけで全て知ってるわけじゃないですし。」

「俺からしたら雪菜さんの方がいいと思いますよ。甘えもないですし。」

雪菜「かもな…」

[究極生命体が出現!仮面ライダーはすぐさま現場へ急行してください!]

その時、緊急指令が入った。

 

 

 

火賀「さあこい仮面ライダー!」

火賀は町に炎を放っていた。

雪菜「また貴様か!」

アーサー2ndと火縄弐が現れた。

朔弥「金剛寺、俺は炎属性でうかつに手を出せない。だからなるべく…」

雪菜「分かっている。私の援護より、救助を頼む。」

朔弥「分かった。」

朔弥は他の現場へ向かった。

雪菜「今の私の出力は95%以上、お前に負けるはずもない!」

アーサーはライダーバスターとスペードスピアを取り出した。

火賀「俺も随分舐められたもんだ。だが、俺も今日は一味違うぜ!」

火賀は炎を吐き出した。

アーサーはそれを剣で防いだ。そして火賀に左腕のスペードスピアを振り落とした。

そしてライダーバスターを火賀の脇腹目掛けて刃を振りかざした。

 

しかし、火賀に効く様子はなかった。

火賀「知らなかったか?炎に風を送り込むのはNGだぜ!」

火賀はアーサーを突き飛ばした。

 

火賀「アーサー、まずはお前からだ。勝利の杯にお前の血を注いでやる!」

火賀は構えた。その時、火賀の目の前をフォースが通り過ぎた。

 

雪菜「黒羽!」

風香「雪菜さん。」

フォースはバイクから降りるのを戸惑った。

火賀「隙あり!」

火賀がフォースに攻撃を仕掛けた。

 

フォースはバイクから引き剥がされ、アーサーの目の前に倒れた。

雪菜「黒羽!しっかりしろ!」

風香「雪菜さん…」

 

雪菜「…なんでもかんでも一人で抱え込むな!なんのための仲間だ!お前は一人じゃない!仮面ライダーフォースというジョーカーの仮面ライダーの一人、黒羽風香という私達の仲間だ!」

 

風香「…私、1番大切な事を忘れてたかもしれません。仮面ライダーであるという事を。」

フォースは強化パーツをつけ、フォース2ndに変身した。

 

風香「雪菜さん、一緒に決めましょう!」

雪菜「ああ!」

フォースはクローバークロッサーにライダーバスターを、アーサーはスペードスピアにライダーバスターを装着し、ベルトにスキャンした。

[バスタークローバークラッシュ!]

[バスタースペードストライク!]

 

2人の斬撃が、火賀の身体を貫いた。

 

 

 

風香「やりましたね。」

雪菜「ふっ、言っておくが、私の力が96.347…%だから勝てたんだぞ!」

風香「私だって96.35%のまで覚醒したんで私の方が貢献しましたよ!」

雪菜「四捨五入すれば私も同じだぞ!」




次回、新たに現れる幹部
「俺は金山、最強の獅子だ。」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第22話 ♡9:黄金色の獅子

社長室には、総三と一沙の姿があった。

総三「今回は君に来てもらったのは他でもない。ライダーの新たな強化パーツの作成だ。」

一沙「何故ですか?今のversion2でも十分なものですが…」

総三「前回の戦いを思い出してくれ。あの火賀という男が変身した究極生命体。あれは100%の力を出していたとしても勝てない。更に上に行かなくてはならない。」

一沙「では、とりあえず出力1000%で…」

総三はえっ…となっていた。

一沙「い、今のは冗談で200%のものを作れば良いと。」

総三「そういう事だ。復旧作業で忙しいかもしれませんが、よろしく頼む。」

一沙「了解しました。」

 

 

 

 

 

金山「よお水澤。相変わらずここは薄暗くて不気味だな…掃除とかしてるのか?」

水澤達のもとに現れたのは新たな究極生命体、金山だ。

水澤「ここまで長旅ご苦労だ。それで、海外の希少な生物データを見せてもらえないか?」

金山は、2番目に究極生命体への改造手術を受けた男だ。彼は世界の様々な国々を周り、生命体のデータを収集していた。

水澤「…このデータは博士に渡しておく。」

水澤はそういうと奥に入っていった。

 

金山「さてと、とりあえず3年ぶりの日本を堪能するか…」

 

 

 

 

風香「よいしょ、これで全部かな…」

風香は資料庫の整理をしていた。

すると、1枚の写真が床に落ちていることに気がついた。

なんの写真だろうと拾い上げた。

そこには総三、一沙ともう2人ほど見知らぬ男がいた。

総三「懐かしい、ジョーカー社設立当時の写真だ。」

突然、総三が話しかけてきた。

風香「うわっ!びっくりした。」

総三「すまない…つい舞い上がってしまってね…」

風香「この写真に写っている2人は誰ですか?」

風香は総三に問いかけた。が…

総三「これは後で社長室に置いておこう。見つけてくれてありがとう。」

総三は足早にその場を後にした。まるで見られたくないものを見られたかのように…

 

 

 

金山「さてと、始めようか。」

金山はジョーカー社の目の前に居た。

 

金山は玄関を通ると、受付にいる女性にこう言った。

金山「もし総三から連絡があったらこう伝えておけ。全ては自業自得だと。」

受付「はい…?」

受付は言葉の意味を理解していなかった。

 

しかし、その後のことの方がより理解し難い事だった…

 

金山は金色の光と共に獅子の姿へと変化した。

頭部は立神のように内側から外側に広がっている。腕や脚は人間態とほとんど変わらないぐらいの太さだが、力強さを感じる。腰にはローブが巻かれた。

金山は獅子型究極生命体へ進化した。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第23話 ♡7:過去の記憶

「さぁ、掃除を始めようか。」

金山が変身した究極生命体(以下EC)は立髪を振り回し、周りにいた社員達をほうきでゴミを履くように弾き飛ばした。

更にさっきまで話していた受付の女性を掴み上げようと迫った。

 

「やめろ!」

その時、金色の刃が金山の目の前に現れた。フォースに変身した風香だ。既にフォース2ndに変身していた。

 

フォースの刃は金山の胸元を斬りつけた。

しかし、フォースがつけた傷は直ぐに修復された。

金山「そんな攻撃、痛くも痒くもない。それに、あくまでこれは宣戦布告だ。本気でやり合うつもりはない。」

 

そう言うと、金山は消えた。

総三「待て!尾頭橋!」

それと同時に後ろから社長が現れた。

風香「尾頭橋…確か…」

総三「ああ…尾頭橋、彼の」

風香「金山駅の隣の駅ですよね?」

 

総三「は?まあ、間違ってはないが。」

 

 

 

 

総三と風香は社長室にいた。

風香「さっきのは冗談で…」

総三「分かったから、とりあえず座ってくれ。」

風香は社長と対面になるように椅子に座った。

 

総三「尾頭橋勉、それが彼の名だ。」

風香「尾頭橋勉、誰なんですか?」

総三「彼は、ジョーカー社初期のメンバーの1人だ。この前君が見つけた写真があるだろう?それの一番右にいる男だ。」

そう言うと総三は風香に写真を見せた。

そこに写っていたのは総三と一沙、そして尾頭橋と呼ばれた大男と、もう1人すらっとした男がいた。

風香「このすらっとした男は誰ですか?」

総三「彼は赤空直也、仮面ライダーの開発者だ。そして尾頭橋はその仮面ライダーのスーツを着て、一沙君が分析する。しかし、2年前までの話だがな。」

風香「2年前…?」

総三「赤空は仮面ライダーでは根本的な強化はできないと人体実験を始めた。尾頭橋はその被験体となりECになった。」

 

風香「EC…火賀もその類ですか。」

総三「そうだ、人体を怪物にする事で強大な力を手に入れる、そう考えた彼は尾頭橋、火賀、などをECにした。」

 

総三「あくまで推測に過ぎないがな。赤空は尾頭橋をECにしてから行方不明になった。」

風香「…あの、ECは生死すら超越することができるんですか?」

総三「恐らくは、現に死んだはずの血城がECとして蘇生しているからな。」

 

2年前、それは風香の兄、翼が死んだ年でもある。もし、あの水のECが…風香はそう考えた。

 

 

 

 

「いよいよ、総三が真実に近づきつつあります。」

土野「そうか…君は引き続き彼の側から情報を盗んでくれ。」

「分かりました。それと…」

土野「それとなんだ?」

「黒羽風香。彼女とフォースは後々我々の障害になる可能性があります。」

土野「そうか、ようやくフォースが完成するのか…とりあえず、その件も保留と言うことで頼む。」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第24話 ♡6:正義か悪か、あるいは…

水澤「金山、次の命令だ。俺達と仮面ライダーを討伐する。」

金山「おいおい、ついさっきフォースは生かすみたいなこと言ってただろ?」

水澤「…フォースは別だ。フォース以外の3人、アーサー、火縄、ホープは我々には不要、、早いうちに蹴りをつけるべきと彼が判断しただけだ。」

金山「それと、俺達って土野も行くのか?」

水澤「いや、また別の人物だ。月の名を持つ黒兎、といえば分かるか?」

金山「彼女か…俺は嫌いなんだけどな…まあ仕方ないか、だったら早く掃除に行こうぜ。」

 

 

 

 

月隠「大変です、ECらしき怪物が複数体、廃工場に出現したそうです!」

風香と総三がいた社長室に社長秘書の月隠が飛び込んできた。

総三「なんだって、風香君、すぐに出撃だ!」

風香「了解!」

 

 

 

 

金山「さて…いつまで待たせるのか。」

水澤「落ち着け、」

その時、物音が響いた。

金山「おう、来たか?」

物陰から現れたのは、黒色の兎のような怪物だった。金色の瞳が満月のように光っていた。

「待たせたな…もう少しで彼らは来る。」

水澤「ご苦労だ。」

 

その時、バイク音と共にフォースが現れた。

風香「見つけた…覚悟!」

フォースはクローバークロッサーを取り出し、走り出した。

更に、後ろから遅れてやってきたアーサー達も武器を取り出した。

雪菜「黒羽!相手はEC三体だ!迂闊に攻めるな!」

しかし、フォースはそれを聞くことなく敵陣に入っていった。

朔弥「あいつ、何かおかしい…」

心「とにかく追いかけましょう!」

3人はフォースに続いて敵陣に潜り込んだ。

 

金山「さあこい!まとめてゴミ箱に入れてやる!」

ECは金山を先頭にライダー達に向かった。

 

 

フォースと金山の攻撃がぶつかり合った。

フォースはクローバークロッサーを両手で支え、金山の体ごと切り裂く勢いで迫った。

金山はその攻撃を両腕のクローで防いだ。

風香「お前達は、もっと心のある人間だったと思ってた!でも実際は悪魔に自分を売るほど愚かだったんだな!」

風香はいつもよりも荒い口調で叫んだ。

風香「そうやって数々の人間の命を奪ってきた!正義を裏切ったお前達に居場所はない!」

風香は怒りを爆発させていた。社長を裏切った事、その力で数々の人間を襲ってきた事、非人道的な行為を平然とした顔で行う事、それらが普段は温厚な風香の堪忍袋の緒を切った。

金山「そうか…だったらお前は矛盾してるぞ。」

感情的になっているフォースの刃を金山は避けた。

 

アーサーや水澤達は自分達の戦いを止め、2人のやりとりをじっと見つめていた。

 

金山「その非人道的な行為をしてきた男が作ったライダーシステムでお前は戦ってきている。その男が残したデータで強化フォームを作り、それを身に纏っている!」

金山はフォースを蹴り飛ばした。

風香「だからなんなんだよ!」

金山「その力にしか頼れない時点で、人間は敗北したも同然だ!やはり人間は非常に愚かだ!だから人間は進化する事ができない!そんなゴミ同然の物、この世界には必要ない!」

 

風香「…うるさい!お前に人間の何が分かる!人間を、命を捨てた奴らに語られるほど人間は弱くない!」

金山「…だったらそれを証明して見せろ!悪と同じ力しか使えない、偽善者の仮面を被った女、フォース!」

風香「…やってやるよ!人間の力、舐めるなよ…」

金山「フフフ…楽しみだ。水澤!今日はこの辺りでお開きだ。」

 

完全に2人の戦いを見ていた水澤達はふと我に帰った。そして、姿を消した。




次回…新たなフォースが誕生…
「200%のフォース!その力に恐れ慄け!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

雪解の章
第25話 ♠︎10:200%の力


風香「あんな事言わなきゃよかった!」

風香は食堂の机に溶けたように寝ていた。

雪菜「仕方ないだろ。言った以上、勝つしか私たちに道はない。」

雪菜はその隣に座った。

雪菜「で、逆襲の手立てはあるのか?」

風香「えっと…それは…」

一沙「あるわよ。」

2人が話しているところに、一沙が割り込んできた。

 

 

 

風香「これは?」

風香達に見せられたのは、金色をベースにし、赤、青、白、緑に塗られたアイテムだった。

一沙「これはユナイトドライバー、これをフォースの右腕に装着させて、使うのよ。」

風香「試しに付けてみますね。」

フォースに変身した風香は右腕にそれを装着した。

風香「…で、どうするんですか。」

 

一沙「それはね…」

 

その時だった、金山が出現したと報告が入った。

私達は急いで現場に向かった。

 

 

風香「ここね…」

フォースとアーサーは現場に着いた。

 

すると、突然何かが2人の前を通り過ぎた、それも目に見えない速度で。

雪菜「なんだ!」

 

それと同時に1枚の紙が2人の前に落ちていた。

[3日後正午、ここで決闘だ。]

風香「宣戦布告か…」

雪菜「…そうだな。」

 

 

 

 

金山と水澤は研究所にいた。

金山「誰だ?3日後に決闘をあいつらに申し込んだのは。土野か?」

水澤「俺は知らない。彼女をあたってみればいいじゃないか。」

 

金山の後ろには、兎のECがいた。

金山「月田、なんのつもりだ?」

兎のEC、月田は人間の姿に戻った。女性であるのは一目で分かったが、顔をフードで隠していた。

月田「ジョーカーは、私達を本気で滅ぼすつもりだ。新たなフォース、[フォースⅢ]が完成してしまったら、私達に後はないわ。だから先手を打ったのよ。完成する前に倒す。フォースⅢの完成には最低1週間の期間が必要よ。」

金山「月田、なぜそこまでの事を…」

月田「…あの社長、身内にはかなり甘くてね。こんな情報、少し調べればすぐ分かる。」

 

そう言うと月田は2人の横を通り過ぎて行った。

水澤「いよいよ、フォースも終わりか…」

金山「お前は、まだ未練が残ってるんじゃないか?彼女に。」

水澤は、金山から目を逸らした。

水澤「未練、俺は人間じゃない。土野さんの助手として働くだけだ。」

そう言うと土野がいる部屋に向かった。

 

金山「…俺も、鍛えるとするか…」

 

 

 

土野「後3日か…」

土野と水澤は書斎らしき部屋にいた。

水澤「しかし、フォースを倒してもいいんですか?」

水澤は聞いた。

土野「あの男は私が作ったフォースに勝てるわけがない。例え未完成だったとしても。フォースはそれだけ強い。中の人間は関係ない。」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第26話 ♠︎Q:1週間を3日で…

一沙「3日後!待って待って!そんなすぐに完成出来ないよ。」

一沙と風香は研究所にいた。

風香「でも、出来てませんでしたか?さっき私達に見せたあれ。」

一沙「あれはまだ試作品で、鎧のところしかできてないのよ。」

風香「…私にできる事が有れば手伝いますよ。」

一沙「ありがとう。とりあえず、さっき着け逃した鎧、とりあえずつけてみて。」

風香「はい。」

 

 

 

そう言うと風香はフォースに、そしてユナイトドライバーを右腕に装着した。

一沙は雪菜が使っているライダードライバーを専用の台に置いた。

風香「大変身。」

フォースは青のボタンを押し、ベルトにスキャンした。

 

すると、雪菜のドライバーからアーサーの鎧が出現し、フォースの体に装着された。

 

風香「おー!これがフォースⅢ!」

風香はとても興奮していた。

一沙「とりあえず動いてみて。」

風香「はい。」

 

しかし、それからいくら経ってもフォースの身体は動かない。

風香「あのー動かないんですが…」

一沙「おかしいな…」

一沙はしばらくフォースの体を見て回った。

 

風香「原因は…」

一沙「おそらく、アーマーの動きを補助する装着がうまく動いてないみたい。ちょっと待って、調節するから。」

 

しばらくすると、フォースの体が動くようになった。

風香「一沙さん、とりあえず、動けますが、アーマーが重いです。」

フォースは少し歩いた。

一沙「それは仕方ないかな…ライダー2人分のアーマーを纏っているのだから。でも、正規版はもう少し軽くなると思うよ。風の力でアーマーの重さを軽減させる機能を搭載するから。」

風香「と言うことは、風のフォースですか?」

 

一沙「惜しい、疾風迅雷のフォースかな。フォースの今までの電気属性にアーサーの風の能力が加わり、攻撃力が今までのライダーで1番高くなる。」

 

 

 

 

それからしばらく、様々な調節が施され、フォースⅢはほぼ戦えるところまできたが、既に3日後の午前2時だった。2人は寝ずに作業を続けていた。

一沙「もう…少しで…完成よ…」

風香「ようやく…ですか…」

2人の体力や精神は限界を迎えようとしていた。

 

研究所は総員で働いたため、1週間かかるものが3日目の朝になんとか終わるところまできた。

一沙「後は、色ね…下地の色何がいい?」

風香「そうですね…だいたいヒーローものって、最後金になるじゃないですか…でも私、元からゴールドなんで…」

一沙「じゃあ、シルバーとかどうかな…」

風香「そう、です…ね…」

 

一沙「ここまで付き合ってくれてありがとう。後は私達に任せて仮眠室で寝てるといいわ。」

風香「いえ、ではお言葉に甘えて…」

そう言うと風香は研究所を後にした。

 

一沙「みんなもここまで付き合ってくれてありがとう。もう少しで完成だから…」

そこで一沙が倒れてしまった。

「一沙さん!」「大丈夫ですか!」

 

研究員達が一沙の元に駆け寄り、医務室に運んだ。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第27話 ♠︎K:疾風迅雷のフォースⅢ

午前11時…

 

「おい、起きろ!もう11時だぞ!」

風香は雪菜の声で目覚めた。

風香「もうそんな時間ですか…」

 

雪菜「ユナイトドライバー、完成したそうだ。」

そう言うと雪菜はユナイトドライバーを渡した。

風香「一沙さんは…?」

雪菜「一沙さんは…倒れたそうだ。だが命に別状はない、今は医務室で寝ている。お前は大丈夫か?」

風香は少し驚いた顔をした。

風香「私はとりあえず大丈夫です。」

そう言うと立ち上がり、上着を着て、ベルトを手に取った。

雪菜「行くのか…食堂に?」

風香「そうですね、よく分かってるじゃないですか。」

そう言うと風香は食堂に急ぎ足で向かい、売店でカレーパンを買い、1分で食べ終わらせ、バイクに飛び乗りすぐさま約束の地に向かった。

 

 

 

 

金山「水澤、月田、この戦いに手出しは無用だ。俺1人にやらせてくれ。」

月田「そんな事分かっている。私達は外でゆっくりと見ることにするよ。」

金山はそう言うと黄金色の獅子に姿を変えた。

 

 

風香は、決闘の地に着いた。

風香はバイクを降り、金山を探した。

 

金山「時間ぴったりに来たな。早速始めようぜ。」

風香「そうだな…」

風香はフォースに変身した。

 

金山「俺は今日この日のために鍛えてきたんだぜ。」

金山の怪人態は前よりも肩がゴツくなり、爪は鋭くなり、立髪が少し長くなっている。

 

風香「奇遇だな、私も、新フォーム調整の間は少し鍛えてね。私達の新たな力、見せてやる!」

フォースは右腕にユナイトドライバーを装着した。

そして、青色のボタンを押した。

[Arthur!]

風香「大変身!」

ユナイトドライバーをベルトにスキャンした。

アーサーの鎧が出現し、フォースを守るように立った。

[Force Unite Arthur!ForceⅢ!unicorn!]

フォースにアーサーの鎧が装着された。

 

フォースの素体の色がシルバーに輝き、アーサーの青とフォースの金が混ざり合い、新たな姿を形成した。頭部は一本の角が生え、右腕には大剣エクスカリバー、左腕には大盾エクスシールドが装着された。

フォースⅢユニコーンフォームが完成した。

フォースの周りは嵐が起きていた。

風香「疾風迅雷の如くお前を倒す!」

フォースは風に乗り、一気に金山との距離を詰めた。そして、剣を突き刺した。

金山「なんだと!」

金山は右腕の爪でフォースに攻撃を与えようとしたが、それをエクスシールドが防いだ。

 

フォースは剣を引き抜き、金山を蹴り飛ばした。

風香「悪いけど、このフォースは短期決戦用、もう蹴りをつけさせて貰うわよ!」

フォースは右腕のユナイトドライバーと左腕のライダーブレスをベルトの前にクロスさせた。

[EXTREME crush!]

フォースは空高く飛び上がり、竜巻を纏った。

 

金山「こんなところで倒れて溜まるか!」

金山も金色の竜巻を発生させた。

風香「200%のフォース!その力に恐れ慄け!」

金色の竜巻はフォースにあっさりと貫かれ、身体に突き刺さった。

 

風香「はぁっ!!!!」

そのままフォースは金山の体を貫いた。

 

フォースⅢはすぐさまフォースに姿を戻した。

風香「2分半、だいぶ危なかった。」

 

 

 

 

 

風香は医務室にいる一沙のところに勝負の結果を伝えに行った。

一沙「勝ったみたいね。」

風香「はい、これも一沙さんのお陰です!ありがとうございます。」

一沙「ううん、みんなのおかげよ、もちろんあなたもね。」




次回…水澤の正体が明らかに…
「…薄々そんな気はしていたけど…」
そして、もう一つのフォースⅢが…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第28話 ♦︎10:更なる強さ

4月某日、私と朔弥さんは一沙さんに呼ばれ、研究室にいた。

 

一沙「2人とも忙しい中ごめん。」

朔弥「いえ、で、俺たちはなぜここに?」

朔弥さんが一沙さんに聞いた。

 

一沙「前回、金山の怪人態を圧倒したフォースⅢについてよ。こいつにはもう一つ隠された秘密があるの。」

そう言うと、フォースⅢユニコーンフォームが壁に映し出された。

一沙「このフォースⅢユニコーンフォーム、火力はライダーの中でも最強、恐れるものなどない!って感じのフォームなのよ。ただ一つ、問題点があるの。それは、変身時間が3分しか持たないこと。」

 

フォースⅢユニコーンフォームは攻撃にスペックを全振りしているため、スーツへの負担が大きく、3分までしか変身を維持することができない。

 

風香「確かに、それにスピードもフォース2ndとほとんど変わらない。」

一沙さんは手元のパソコンを少しいじった。すると、壁に映し出されていたユニコーンフォームの隣に、紅のフォースが並んだ。

 

朔弥「これは、火縄と融合したフォースⅢという事か?」

一沙「ええ、フォースⅢフェニックスフォーム。攻撃力が下がる変わりに戦闘時間が3分から300分に進化し、遠距離の敵にも対応できるフォースよ。」

風香「確かに、でも、300分に増えるのは私に相当な負担がかかるんじゃないですか?」

一沙「フェニックスは不死鳥。つまり、不死の能力を持つ…ってのがやりたかったけど、不死の能力がない代わりに火の力で無限回復できるシステムがあるの。これによって身体の炎を消されない限り半永久的に活動できるわ。」

 

 

その影で月隠がこの話を聞いていた。

月隠「なるほど、フォースⅢには裏の顔があるってことか…」

 

月隠はその場を離れた。

そして、フードを深く被り、土野の研究所に向かった。

研究所には水澤しか居なかった。

月隠「水澤、土野さんはどこにいる?」

水澤「月田か…土野さんは宇宙に居る同胞に会いに行ったよ。」

月隠「宇宙…あの男か…いよいよアイツも帰ってくるのか…」

水澤「そういうことだな。火賀、金山がやられた以上、人手が足りないからな。」

月隠「で、仮面ライダーについての新たな情報だ。」

水澤「フォースⅢについてか?」

月隠「ええ、フォースⅢには裏の顔がある。フェニックスフォームと呼ばれる長期戦闘用の形態だ。」

水澤「弱点は?」

月隠「弱点は、体の炎を消すことだ。」

水澤「つまり、次は俺が出たほうがいいと言うことか…」

月隠「検討を祈るわ。私はジョーカーに戻る。」

水澤「分かった。」

 

そう言うと月隠は、研究所を後にした。

 

水澤「いよいよフォースと…風香との決戦か…。」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第29話 ♦︎Q:炎と水

[緊急指令!湖南埠頭にてEC出現!ライダーは出動してください!]

 

朝から、EC出現の入電が入った。私達ライダーはすぐさま現場に出動した。

 

湖南埠頭では既に水棲生物のECしか居なかった。

風香「アイツ、水棲生物型のEC!」

フォースはバイクから降り、クローバークローザーを構えた。

水澤「水棲生物って、大雑把な言い方だな。風香らしい、俺は飛魚型のECだ。」

そう言うと水澤はフォースを飛び越え、後ろに回った。

風香「あっ、待て!」

遅れてアーサー、火縄、ホープが到着した。

朔弥「今回は一体か…」

心「早く倒しましょう!」

そう言うと3人は武器を構え、水澤に突撃した。

 

最初にホープが弓を剣のように水澤の左肩に振り下ろした。

しかし、水澤の左肩は液状化し、攻撃を凌いでいた。

心「何!」

水澤「はっ!」

水澤はホープを蹴り上げた。

 

雪菜「はぁっ!」

次にアーサーが剣を水澤の胸元に突き刺した。

しかし、先程と同様身体の一部を液状化させた。

水澤「俺の身体は液状化できる。どんな攻撃でも耐えるほどの能力を持つ…」

水澤はアーサーにアッパーを叩き込んだ。

 

朔弥「液状化…なら炎に弱いだろ!」

火縄は銃を連射し、攻撃を仕掛けた。

水澤は先程と同じ容量で身体を液状化させた。

しかし、水澤は炎に耐えきれず、ノックバックした。

水澤「流石に炎の攻撃は受け止められないか…」

朔弥「今だ!フォースⅢで決めろ!」

 

風香「はい!」

[Arthur!]

風香「大変身!」

ユナイトドライバーをベルトにスキャンした。

アーサーの鎧が雪菜の身体から解け、フォースの前に並んだ。

[Force Unite Arthur!ForceⅢ!unicorn!]

フォースにアーサーの鎧が装着され、銀と青のフォースⅢユニコーンフォームに変身した。

風香「これで終わりにする!」

[EXTREME crush!]

フォースⅢはユニコーンのエフェクトと共に走り出した。

 

水澤「ここで終わりにはならない!」

水澤は技を受け止めようとした。

風香「はぁっ!」

フォースⅢは水澤にストレートパンチを繰り出した。

しかし、水澤はそれをスルリと抜けた。

それは液状化とは違ったものだ。次の瞬間フォースⅢの後ろから大量の飛魚が襲い掛かった。

風香「何これ!」

フォースⅢは突然の攻撃に変身解除してしまった。

雪菜「飛魚の群れ…?」

水澤は飛魚の群れとなって空を飛んでいた。

飛魚の群れは雪菜やホープにも襲い掛かった。

 

朔弥「これでも喰らえ!」

[ダイヤダイレクト!]

火縄は火球を連続発射し、飛魚を次々と撃ち落とした。

水澤「ぐはっ!」

 

水澤は効力を失い、地面に倒れ、人間の姿に戻ってしまった。

水澤「ゔっ…」

火縄は銃を構えた。

 

風香「兄さん!」

 

風香の一声で、火縄の動きが止まった。

 

風香「なんで…なんで兄さんがECに!」

 

水澤「いずれ、教えてやるよ…風香…」

そう言うと水澤は液状化し、海に逃げた。

 

朔弥「あの男がお前の兄貴だと…」

雪菜「まさか、あの交通事故で死んだとされた…」

風香は何も答えようとしなかった…



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第30話 ♦︎K:電光石火のフォースⅢ

風香「兄さん!」

 

風香「なんで…なんで兄さんがECに!」

 

水澤「いずれ、教えてやるよ…風香…」

 

朔弥「あの男がお前の兄貴だと…」

雪菜「まさか、あの交通事故で死んだとされた…」

 

 

4人は本部に帰ってきた。

風香は、暗い顔をしていた。

雪菜「大丈夫か…」

風香「…薄々そんな気はしていたけど…やっぱりいざその事実を突きつけられると…」

心「とりあえず、休んでください…後は僕達に任せて。」

風香「ありがとう…」

そう言うと風香は仮眠室に入っていった。

朔弥はその様子を見ていた。

 

 

朔弥は研究所に向かった。

 

朔弥「一沙さん、フェニックスフォームの方の進捗度はどうですか?」

一沙「もう完成済みよ。後はこれをユナイトドライバーに転送すれば終わりよ。」

そう言うと、一沙はパソコンのenterキーを押し、転送を始めた。

朔弥「そうか…ユナイトドライバーはフォースにしか使えないのか?」

一沙「そうね…フォースと違ってかなりの負担がかかるけど…まさか使う気⁉︎」

一沙は立ち上がった。

朔弥「今のアイツは戦えない。仮に戦えたとしても、倒すことなどできない…なら俺がやるしかない!」

そう言うと朔弥は研究所を後にした。

一沙「待って!」

 

 

 

 

ジョーカー社本部、仮眠室。

風香「兄さん…」

風香は兄とのツーショット写真を眺めていた。

その時、朔弥が仮眠室に入ってきた。

朔弥「黒羽、居るか?」

風香「…なんですか?」

風香はベッドから顔を出した。

 

朔弥「お前…ユナイトドライバーを出せ。」

風香「なんでですか!」

朔弥は風香の装備品が置いてあるところからユナイトドライバーを取り出した。

朔弥「…お前…自分の兄貴と戦えることはできるのか…ユナイトドライバーを使って…フェニックスフォームになって戦えるのか!」

朔弥は風香の方を見た。

風香「それは…」

 

朔弥「…お前の気持ちは分からなくもない。正直、割り切れって言っても無理だろう。」

朔弥は椅子に座った。

朔弥「だが、それは戦わない理由にはならない。俺は、それを自分の体で感じた。火がトラウマで…逃げて…でも、結局は戦うしかなかった。どんな運命が立ちはだかっても、戦うしかないんだ。人を守る仮面ライダーなのだから。」

 

風香「…でも…」

朔弥「そうか、俺は失望した。お前は、どれだけ大きな壁が立ちはだかっても、決して倒れない人間だと思っていた!ユナイトドライバーは俺が使う。」

そう言うと朔弥は部屋を後にした。

 

風香「朔弥さん…」

風香は正直驚いていた。朔弥が激怒する事に…そして、朔弥を失望させてしまった事を後悔していた。

風香「私も行かないと!」

そう言うと、ライダードライバーとライダーブレスを持って風香も部屋を出た。

 

 

風香は廊下で蓮とすれ違った。

風香「蓮君!朔弥さん見なかった?」

蓮「朔弥さんなら、先程出動しましたよ、前の飛魚型ECが出たそうです。」

風香「ありがとう!」

そう言うと風香はバイクがしまってあるガレージに急いだ。

 

 

一方、夕暮れ時の湖の辺りに、水澤と朔弥の姿があった。

水澤「風香じゃないのか?」

朔弥「アイツは…来ない。代わりに俺が相手だ、変・身!」

[change!rider HINAWA!]

火縄は弾丸を放った。

水澤はそれを水に潜る事で避けた。

朔弥「何!」

そして、水の中から大量の飛魚となって飛び出した。

火縄はこの攻撃でユナイトドライバーを落としてしまった。

水澤「これは貰う!」

水澤は怪人態に戻りユナイトドライバーを手に取ろうとしたその時、風香がユナイトドライバーを手に取った。

朔弥「黒羽!」

風香「大丈夫ですか!朔弥さん!」

風香は倒れている火縄の元に駆け寄った。

朔弥「俺は大丈夫だ、行けるか?」

風香「はい!見ていてください。」

 

風香はユナイトドライバーを装着した。そして、青ではなく、橙のボタンを押した。

[hinawa!]

風香「大変身!」

そして、ライダードライバーにスキャンした。

[Force Unite Hinawa!ForceⅢ!phoenix!]

 

火縄の鎧が朔弥から風香に装着され、大きな炎の翼が生えたフォースⅢフェニックスフォームに変身した。

 

風香「電光石火の如くお前を倒す!」

身体は全身炎に包まれ、複眼が金色に光っていた。右手にはノブナガジュウと呼ばれる巨大な銃が装備された。翼は畳まれ、マントのように垂れ下がった。

水澤「さあこい!」

フォースⅢは銃から炎の弾丸を連続して放った。

水澤は先程と同じように水の中に逃げ込んだ。

風香「その手はもう喰わない!」

フォースⅢは、熱を放射し、湖の水を干上がらせた。

水澤「何!」

風香「これで終わりにしよう…」

 

フォースⅢは両手をベルトの前でクロスさせた。

[ULTIMATE crush!]

フォースⅢは翼の力で、空を舞い、水澤に炎の蹴りを与えた。

 

 

 

湖の辺りに兄妹はいた。

風香「兄さん…」

水澤「…お前にもう一度会うんだったら…人間で会いたかった…」

風香「なんで、兄さんがECに…」

水澤「…それより…日照というECには気を付けろ…」

風香「…日照…兄さん、さようなら…」

そう言うと水澤は、塵となり消えた。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第31話 ♠︎2:欠ける月

総三「今日は、大事な話があって皆を集めた。」

会議室には、ジョーカーの重役達と、風香、雪菜の姿があった。

総三「フォースⅢ、彼女はとても良い働きをした。が、その行動とは真逆の、つまり、内部の情報を意図的に漏らしている者がいる。」

 

会議室にはざわめきが起きた。皆、顔を見合わせ、私は違うという顔をしていた。

 

風香「そんな人が…?」

風香も雪菜の顔を見た。

雪菜「黒羽、まさか私と疑っているのか?」

雪菜は風香を睨みつけた。

風香「いや…。」

 

総三「そう言うのには訳がある。まず、ユニコーンフォーム初戦の時、完成までの期間を3日と定め、決闘を申し込んできた。しかし、そもそもフォースⅢを開発していることは、ここに居る人間のごく僅かだ。それに、我々が怪人の名称として使っているDC、ECの名称を相手が知っていた。これは偶然ではないだろう。」

総三は立ち上がり、スーツの裾から、USBメモリを取り出し、パソコンに装着した。

総三「そして、これが一番の証拠だ。」

総三は、USBメモリに入っていた音声データを再生した。

 

 

[仮面ライダーについての新たな情報だ。]

[フォースⅢについてか?]

[ええ、フォースⅢには裏の顔がある。フェニックスフォームと呼ばれる長期戦闘用の形態だ。]

[弱点は?]

[弱点は、体の炎を消すことだ。]

[つまり、次は俺が出たほうがいいと言うことか…]

[検討を祈るわ。私はジョーカーに戻る。]

[分かった。]

 

 

総三「皆にはすまないことをしたが、ここに居る全員を1日盗聴させてもらった。そして、この音声データはその調査した人物から得たものだ。」

風香「この声って…まさか!」

 

総三は、隣に立っていた秘書の月影を見た。

 

総三「月隠…お前が情報を流していたみたいだな。」

 

月隠は、体が震えていた。焦っている、と誰もが思った。

月隠「ふふふ…いつかはバレると思ってましたけど…まさか早く分かるとは…まぁ、もうここにいる必要はない!」

月隠は、黒兎のECに姿を変えた。

総三「…姿を現したか!」

 

月隠はテーブルの上に乗った。

月隠「さあ…終わりよ!」

 

そして、窓を突き破り、外に逃げた。

風香「待て!」

風香は、フェニックスフォームに変身し、月影を追いかけた。

 

フェニックスフォームは、すぐさま月隠に追いつき、銃でスタジアムの出入り口に墜落させた。

 

そのスタジアムでは、 eスポーツの大会が行われていた。

「ゲーマーN、まじ強かったよな!」

「俺もあんな子とゲームしたいな…」

観戦に来ていたゲーマー達が、丁度出ようとしていたその時だった。

目の前に月隠が墜落してきた。

「うわっ!!」

月隠「どけ!」

月隠は2人を押し除けた。

そこへフォースが翼を畳み降りてきた。

風香「待て!」

フォースは銃の引き金を引こうとしたが、周りには沢山の人がいた。ここで銃を使えば被害が出てしまう。

風香「ぐっ…仕方ない!大変身!」

フォースはフェニックスフォームからユニコーンフォームに姿を変え、近距離で短期決戦を仕掛けた。

しかし、動きが素早い月隠には全然追いつかなかった。

月隠「どうやら、倒すのはまだのようだな。」

月隠はそのまま空高く飛び上がり、姿を消した。

 

風香「ぐっ…」

フォースはユニコーンフォームの変身を解いた。

その目は仮面で隠されていたが、悔しがっているように見えた。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第32話 ♠︎6:黒兎の過去

風香「でも…まさか月隠さんが裏切り者で、ECだったなんて…」

風香は、雪菜と廊下で話していた。

雪菜「しかも、もう用済みということは、私達の情報がもっと多く盗まれたということだよな?」

風香「もしかして…防犯カメラの映像も盗まれてたり…」

風香は防犯カメラがある方を見た。

 

 

雪菜「まぁ、ありえるかもな。」

 

 

 

 

月隠「まさか、ここまでの力を持っていたとは…」

月隠はアジトで狼狽していた。

月隠は冷蔵庫を勢いよく開け、冷やしてあるペットボトルの水を開け、一気に飲み干した。

 

 

月隠「フォース…いつか必ず倒す。」

 

 

 

 

 

土野「この女、いい研究材料になりそうだ。」

水澤「しかし、いいんですか?死体を盗んで…」

土野「何を言う、むしろ生き返るんだ。これほど嬉しいことはないだろう。」

私は薄らとしている中、この声をはっきりと聞いていた。

「逢いたい…逢いたいよ…父さん…母さん…怖いよ…」

 

月隠「はっ!…夢か。」

月隠は、2年前に起きたことの夢を見ていた。彼女は、不慮の事故に巻き込まれ、息絶えそうになっていた。しかし、そこに現れた土野と水澤によってECとして息を吹き返した。そして、それ以降ジョーカー社長秘書という仮面を被ったスパイとして土野達に情報を与えていた。

月隠はふと自分を見つめる者に気がついた。

月隠「誰!」

 

月隠が向いた先にいたのは、木崎ー血城壮介だった。

 

月隠「なんで…動いてる?あなたの身体は拘束されているはずなのに。」

 

血城は、月隠をじっと見ていた。それは睨み付ける目ではなく、かと言って月隠の過去を蔑んで見ているわけでもなかった。悲しみの目だった。

 

木崎「…俺の、意思だ。」

 

 

 

 

 

 

風香「はあ…どうやって月隠さんを倒せばいいんだろう…」

ユニコーンフォームで戦えば、各自に倒せる。しかし、動きがとても素早い月隠はユニコーンフォームのスピードでは追いつかない。だからといって追いつくことができるフェニックスフォームだと、今度は殺傷力がない。どうすればいいか、風香は完全に迷っていた。

風香はふと、テレビをつけた。

どうやらドラマがやっているみたいだ。

[お前、おでんが好きだったんじゃないのか!]

[確かにおでんは好きだけど、春に食いたくないわ!暖かい時期には冷たい蕎麦、寒い時期はおでんって分けてるんだよ!]

 

風香「暖かい時期は蕎麦、寒い時期はおでん…分けてる…使い分け…そうか!」

 

風香は立ち上がったがその勢いで椅子がバタンと後ろに倒れた。

何事!と周りにいた人達が風香の方を見た。

風香「すいません…」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第33話 ♠︎7:再戦

風香「そうか…わざわざ一つにこだわる必要ないんだよ!なんでそれが思い浮かばなかったんだろ…でも、同じことをやってもな…そうか!」

 

風香は雪菜を問い詰めていた。

雪菜「えっ?最近使われていない地下道?そんな事聞いてどうする。」

風香「とにかく教えて下さい!」

雪菜「そうだな…ここの近くに一通りの少ない地下道があったはずだ。」

風香「本当ですか⁉︎」

 

 

 

月隠は、ジョーカー社の監視カメラを見ていた。最初は何か動きがあった時にすぐ知ることができるようにする為に見ていたが、気がつけばジョーカー社の日常を見るのがちょっとした習慣になっていた。

 

その時、一つのカメラが白に覆われた。

月隠「なんだ?」

 

月隠はそのカメラの映像をピックアップした。すると、そこには

[今日の夕方飯尾地下道で決着をつけよう、月隠さん。仮面ライダーフォース]

と書かれてあった。

 

月隠「私と決着を…いいだろう!」

 

 

 

その日の夕方。日の当たらない地下道に月隠の姿はあった。

風香「来ましたね。」

月隠「そっちから呼んでおいて遅れてくるとは、とんでもない女だ。」

風香「そうですね。前から思ってたんですけど、私とあなたってどこか似てるところがあるような気がしているんです。」

月隠「そうだな、確かに事故で死にかけ、九死に一生を得て今を生きている。似てるな。もし、お前も土野に回収されていたら、お前も私と肩を並べていたかもな。」

月隠は黒兎のECに変身した。

 

風香「大変身。」[Force Unite Hinawa!ForceⅢ!phoenix!]

風香はフォースⅢフェニックスフォームに変身した。

月隠「へぇ、ここでは不利なフェニックスフォームに変身するなんて、どういうつもりだ。」

風香「こういうことだ!」

 

フォースは炎を吹き出し、月隠に放った。

月隠は飛び上がり、避けようとしたが、ドン!!と天井に激突した。

月隠「そうか!私の跳躍力を封じる為にわざと地下道に…」

風香「そういうこと。大変身!」[Force Unite Arthur!ForceⅢ!unicorn!]

フォースはフェニックスフォームからユニコーンフォームに変身し、両手をベルトの前に構えた。

[EXTREME crush!]

風香「疾風迅雷の如くお前を倒す!」

フォースはエクスカリバーを構え、放った炎を吸収しながら月隠を切り裂いた。

炎は赤から青に変化し、地下道で熱風が起きた。その熱風と青い炎はエクスカリバーの力になり、月隠を焼き尽くした。

フォースは変身解除し、月隠の亡骸を眺めていた。




次回…遂に現れる最後の幹部、日照。
「どう?楽しいでしょ!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第34話 ♡4:最後のステージへ

土野は、アジトの研究室にいた。

土野は、木崎の身体に異常はないか調べていた。

 

土野「今日も異常なしか…」

 

??「久しぶり!土野!」

 

その時、部屋の奥から、まだ高校生ぐらいの見た目をした男が入ってきた。

土野「日照か…予定より早くないか?」

 

日照「だって暇だもん、だから久々に仮面ライダーのところへ遊びに行こうと思ってさ。」

土野「あのな…今は大人しくしていろ。いいな。」

 

そう言うと土野はその場を離れた。

土野「だから私は嫌いなんだよ…」

土野は日照に聞こえない声で言った。

 

 

日照「木崎君も、一緒に遊びに行こ!」

日照は木崎の手を握り研究室を後にした。

 

 

 

 

 

雪菜「これまで現れたECは5体。更に赤空もECと考えると、ECは全部で6体か…」

風香達は、会議室に集まり、今後の方針を固めていた。

風香「月隠さん…いや月田、火賀、水澤、木崎、金山…なんかECのコードネームって曜日が前についてるんですね。」

机には、今まで現れたECの人間態と赤空の顔写真が並べられていた。

雪菜「たまたまだろう。そんな簡単に名前決めるか?」

朔弥「いや、あり得なくはないんじゃないか。だとすれば6人じゃなくて7人になるがな…」

 

風香「どちらにしろ木崎…血城さん、赤空で2人残ってますし…」

心「とにかく、僕達にできるのは、確実に敵を撲滅する事です。」

朔弥「そうだな。」

 

その時だった。

[緊急指令!血城が変身するECが噴水公園に出現、ライダーは直ちに出動してください!]

風香「行きましょう!」

 

 

 

 

風香達が現場に着くと、木崎はカブトムシ形のECに変身し、銅像のように固まっていた。

風香「…今日で決着をつけましょう!」

風香、雪菜、心はベルトを装着。朔弥は一歩後ろに下がった。

 

「「「変身!」」」

[Force Unite Hinawa!ForceⅢ!phoenix!]

[The rider is next stage! arthur 2nd!]

[change!rider hope!]

 

フォースⅢ、アーサー2nd、ホープか並び立った。

 

朔弥「避難誘導は俺達に任せろ。」

変身を見届けた朔弥は、避難誘導をする隊員達の方へと向かった。

 

風香「電光石火の如く、あなたを倒す!」

雪菜「補佐は私達に任せろ。」

アーサーはそう言うとホープと共に木崎に向かった。

木崎は先程の硬直が嘘のようにアーサーの攻撃をスッと避けた。

そして、左腕でホープを掴み飛ばした。

更にアーサーの剣を身体を逸らして避け、アーサーを吹き飛ばした。

 

木崎は、フォースの方を見た。

風香「次は私が相手よ…」

 

木崎は構えた。

 

血城「来いよ…俺が全て叩き潰す!」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第35話 ♡8:宇宙の覇者

木崎は、フォースの方を見た。

風香「次は私が相手よ…」

 

木崎は構えた。

 

血城「来いよ…俺が全て叩き潰す!」

 

 

風香(えっ…喋った…)

 

フォースは一瞬心の中で違和感を感じたが、それを心の奥にしまい、心を鎮めた。

 

フォースは、銃から火球を放った。

木崎はそれを右手だけで振り払い、フォースに近づいた。

フォースは銃を持っていない左の拳に炎を纏い木崎に向け放った。

木崎も右手に力を溜め、フォースに向かって放った。

 

2人の拳はぶつかり合った。

押されたのは木崎だった。フォースの拳は木崎を吹き飛ばした。

 

フォースはベルトの手前で両腕をクロスさせた。

[ULTIMATE crush!]

そして、右手の銃を木崎に構えた。

 

その時だった。空から何かが飛来して来た。

 

雪菜「黒羽!」

風香「えっ…ぐはっ!」

その飛来物はアーサーとホープの間をすり抜け、必殺技を発動しようとしていたフォースに激突した。

 

フォースはその衝撃で、何十メートルと吹き飛ばされ変身が解けた。

 

雪菜「誰だ貴様!」

 

日照「僕?日照、宇宙(そら)の覇者さ。」

日照と名乗った男の姿は鷲のような姿をしていた。

心「もしかして…水澤が言っていた奴って…彼のことだったんですね。」

日照「水澤君、ホントおしゃべりで未熟だな。僕のことを教えるなんて。」

アーサーは剣を構え、日照を斬ろうとした。が、日照はその口調からは信じられないほど強く、アーサーを2、3発ほど殴るだけで変身解除させた。

雪菜「なっ!…」

 

日照は標的をホープに変えた。

ホープは弓から矢を放ち倒そうとしたが、日照はそれらを何事もなかったかのように避け、ホープを掴み上げると、ホープを宙に打ち上げ、オーバーヘッドキックを放った。

 

心「ぐはっ!」

ホープは、噴水のオブジェクトにぶつかり、水の上に落ちた。そして、心の姿に戻ってしまった。

 

日照は心に向かって歩き出して。

日照「すぐ壊れちゃうなんて…つまらないな…消えろ。」

日照は心を掴み上げた。

 

風香「やめろ!」

日照の後ろからフォース2ndが迫った。フォースはクローバークロッサーを振り下ろそうとしていた。

 

日照「うるさい!」

日照はそれを翼で叩き伏せた。

 

フォースは再び風香の姿に戻ってしまった。

 

日照「さぁ、終わりにしよう。」

日照は爪を立て、心を突き刺した。

 

 

 

心はそう思っていた。が、その爪は寸前のところで止められていた。

「何俺の部下に手を出してるんだよ。」

その爪を止めていたのは木崎ー血城壮介だった。

 

日照「何!お前、自我はないはず!」

壮介「俺の自我は最初から消えてない。ずっと残っていたさ。」

 

壮介は、日照を突き飛ばした。

壮介「ここは一旦帰るとするか。」

そう言うと壮介は拳を地面に突き刺し、心、雪菜、風香と共に姿を消した。

 

日照「結局君もおもちゃじゃないんだ…」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第36話 ♡J:希望の帰還、

朔弥「何故貴様がここにいる!」

朔弥は壮介がいる部屋に入ってきた。

総三「金剛寺、落ち着きたまえ。」

朔弥「落ち着いて居られるわけないですよ。」

 

壮介「…無理もない、こうして裏切り者が目の前に居るんだからな。」

壮介は口を開いた。

 

総三「…我々は君に聞きたいことが山ほどある。まず、何故我々を裏切った?」

 

壮介「…最初は気分さ。ここに居ても、自分が成し遂げたい事なんてできないと思ったからな。」

 

朔弥「そんな事で俺達を…」

 

総三「今はこっちに戻って来たいと思っているか?」

 

壮介「それはないな、ここに戻ろうとしたところで居場所はない。作ってもすぐ崩れるさ。」

 

総三「…戻る気がないなら、それで構わない。お前の敵は誰だ?」

 

壮介「…今は、赤空だ。が、あらかじめ言っておく。俺はお前達と共闘するつもりはない。あくまで、敵の敵という関係だ。」

 

総三「…なら、一つ契約を交わしてくれないか?君の身体を調べさせてくれ、君が望むなら人間に戻れるようにもしよう。その代わり、それ以外の干渉は我々はしないと約束しよう。」

 

壮介「…俺の身体を調べてなんになる。結局はどいつもこいつも俺自身には興味ない、俺の力にしか興味ない奴ばかりだ。それが目的な奴らにそんな約束、交わす事はできない。」

壮介は立ち上がった。

 

壮介「俺がここに来るのは今日が最後だ。これでおさらばだ。」

 

壮介は朔弥を押し倒し、部屋を出た。

 

朔弥「…彼を行かしていいのですか?」

 

総三「仕方ない。彼に共闘する気がない以上。それより、金剛寺君。これからしばらくは君1人の戦いになりそうだ。知っての通り前回の戦闘で、フォース、アーサーのシステム半壊、ホープ変身者の清野心は重症。他の2人も軽症で1週間は戦闘に出られない。だから、これからしばらくの事は君に託す。」

 

朔弥「分かりました。」

 

 

 

 

 

 

雷の鳴る夜の雨の中、壮介は傘をささずに歩いて居た。

 

壮介「俺は、もう戻れないところまで来た。俺にできる事は一つ…」

 

 

 

 

土野は、アジトの研究室に居た。

土野「日照のやつ…木崎を勝手に持ち出して…」

 

日照「土野…」

 

土野「日照…お前、木崎はどうした?」

 

日照「アイツなら捨てたよ、もう使い物にならないおもちゃになったからね。」

 

土野「…やはり、自我に目覚めて居たか…まぁ、仕方ない。日照、お前はしばらく出歩くな。我々の情報がアイツらに伝わってしまった可能性がある。」

 

日照「…しょうがないか…しばらくは宇宙で遊ぶとするか…つまらないけど。」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

月明の章
第37話 ♦︎4:フォースの軌跡


今回はほぼ総集編です。気楽に読んでいただき構いません。


[未確認生物出現、蠍型蜂種怪人、13号と同一と思われる。クローバー部隊、スペード部隊は出動せよ!]

 

風香[…?なんで13号…?]

 

気がつくと、私はジョーカー社の廊下に立って居た。

風香「確か私は日照にやられて…」

 

風香「変身!」

 

[change!rider Force!]

 

風香[私がもう1人…]

 

もう1人の私は13号が視界に入るとすぐさまクローバークローザーを取り出し攻撃した。

 

13号は針攻撃をしてきた。フォースはそれを全て反応し、棒で弾き飛ばした。

風香「さて、終わりよ。」

フォースは武器をベルトにスキャンした。

[check!][clover crash!]

武器にエネルギーを貯めた。そして、13号に一瞬で近づき、叩きのめした。

 

風香[確か、これが私の初撃破だったっけな…]

 

次に私の前に現れたのは18号だった。

 

[check!][kicks ready!]

 

 

フォースはキック増強パーツを右足首に装着した。右脚の光が頂点に達した時、フォースは空へと高く飛び上がった。

そして右脚を前に出し、怪人に蹴りを入れた。

風香「すごい…」

 

風香[確かこれがキックでの初撃破の時…この時から強化計画は始まって居たのよね…]

 

 

警察「とにかく来てもらう」

警察は風香の左腕を乱暴に掴んだ。

風香「離してください!私はやってません!」

風香は強引に引き剥がした。しかし、この騒ぎを聞きつけたのか他の警察官に捕まってしまった。

警察「公務執行妨害の容疑で逮捕する!」

 

 

風香[確かこの時は、DCが私に化けて居たのよね…そのせいで私が警察送りに…でも、なんだかんだ言って父と和解的なものができたから良かったと言えば良かったのかもしれない…]

 

 

壮介「よし、23号。ここを破壊しろ。」

壮介は23号に破壊を命じた。

風香「そんな事させない!」

壮介「あ?」

壮介と23号の前に現れたのは風香だ。

壮介「よお小娘。1人で俺達を相手できるのか?」

風香「できるから来たのよ。」

 

 

風香[壮介さん…何故敵に…。でも、この戦いは私に覚悟を決めさせてくれた戦いだった…]

 

 

雪菜「いきなり実戦で使う気か?」

風香「訓練は何回も受けています。今なら行けます!」

[next up!][The rider is next stage! Force 2nd!]

頭部に鍬形の頭部の様に二本の角が現れた。肩と胸、足の装甲が強化され、身体には金色のラインが血管の様に張り巡らされた。手にあるクローバークローザーは棒の両端に刃が付いたクローバークロッサーに進化した。

フォース2ndの完成だ。

 

 

風香[確かフォースがかっこよく…じゃなくて強くなった時だったね。あの時ノリで変身したけど、失敗しなくてよかった。]

 

 

雪菜「…なんでもかんでも一人で抱え込むな!なんのための仲間だ!お前は一人じゃない!」

 

風香「…私、1番大切な事を忘れてたかもしれません。仮面ライダーであるという事を。」

フォースは強化パーツをつけ、フォース2ndに変身した。

 

風香「雪菜さん、一緒に決めましょう!」

雪菜「ああ!」

[バスタークローバークラッシュ!]

[バスタースペードストライク!]

 

2人の斬撃が、火賀の身体を貫いた。

 

風香[この時は、兄さんのことを思い出して、寂しくなったんだっけ…雪菜さんのあの熱い一言は目が覚めたな…]

 

 

[Force Unite Arthur!ForceⅢ!unicorn!]

フォースにアーサーの鎧が装着された。

フォースの素体の色がシルバーに輝き、フォースⅢユニコーンフォームが完成した。

風香「疾風迅雷の如くお前を倒す!」

 

[Force Unite Hinawa!ForceⅢ!phoenix!]

火縄の鎧が朔弥から風香に装着され、大きな炎の翼が生えたフォースⅢフェニックスフォームに変身した。

風香「電光石火の如くお前を倒す!」

 

風香[フォースⅢ、この力を得てから、EC撃破が楽になったな…。]

 

 

 

 

 

その時だった。突然私の目の前を日照が現れた。

 

風香[日照!]

 

私はベルトをつけようとしたが、その前に、他のECに押さえつけられた。

 

風香[誰!]

 

[いずれ知るだろう…仮面ライダーフォース]

 

 

 

風香「がはっ!夢…か…」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第38話 ♦︎6:再会、鍵の戦士

風香はいつもとは気分を変えて外で食事をしようと歩いて居た。

風香「はぁ…最近うまくいかないな…」

 

「えっと…社長に会いたいんだが…」

「申し訳ございません。アポ無しで社長と面会するのはご遠慮お願いします。」

 

風香はふと、フロントにいる男が目に入った。

 

風香「あれ…あの人どこかで…」

 

「ああ…そうか、名乗らないとな。山田康介、今日の午後1時から面会をする予定なんだが…」

 

「…あっ、山田様…申し訳ございません。社長は今日急用でキャンセルを申し出て居ます。また後日よろしくお願いします。」

 

「分かりました。明日の同じ時間なら会いていると伝えておいてください。」

 

その男は、フロントを後にしようとして居た。

 

風香「あっ!思い出した!康介さんだ!」

風香は大声を出してしまった。その声に康介が気づいた。

 

康介「お、風香だっけ?久しぶりじゃないか。」

 

 

 

山田康介、仮面ライダーウォーズは社長の話によるとフォースが戦っている2026年の6年前、2020年に戦った仮面ライダー。この会社に何かあった時の非番として今は戦っている。好きな物は仮面ライダー。

 

 

 

風香「はい、お久しぶりです!」

 

康介「そうだ、今から昼飯食いに行かないか?」

 

風香「はい、行きましょう!」

 

 

2人は近くのレストランに入った。

康介「今日は俺の奢りだ。」

風香「ありがとうございます。」

2人はテーブル席で向き合うように座った。

 

風香「今日はどんな用事でここに?」

康介「ああ、今後の方針を話し合うって呼ばれてね。ほら、今戦えるの、火縄の朔弥だけだろ?お前も怪我してるわけだし。」

風香「はい…」

康介「だから俺がその空いた部分に入ってしばらく戦うって訳だ。にしても、急用でキャンセルなら直接連絡寄越してくれればいいのにな。」

風香「…そうですね。康介さんって、なんで仮面ライダーになったんですか?」

康介「そうだなぁ…正直言うと成り行き?ってところよ。まぁ、強いて言うならば、守りたい物を守るため?カッコつけて言うなら。」

風香「私はかっこいいと思います、そう言うの。私なんてジョーカー社に入った理由、家族を見返す為みたいな物ですよ…」

康介「でも、今は違うだろ?」

風香「そうですね…今は、私の信じる正義の為に…ですかね。」

康介「いいじゃん。どんな理由であれ、俺は最初より、今が大事だと思う。」

 

風香「…あっ、注文してないですね…」

康介「本当だ…早く頼むか。」

 

2人は店員を呼んだ。

「ご注文は?」

康介「俺は、このハンバーグセットを一つ」

風香「私は、盛り合わせプレートにライス大盛りで。後盛り合わせパフェも」

「かしこまりました。」

 

 

康介「お前、そんなに食べれるのか?」

風香「むしろこれが普通ですよ。」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第39話 ♦︎7:消えぬ炎

2人は、食事を終え、店を出た。

風香「今日はありがとうございました。」

風香は康介に頭を下げた。

康介「いやいや、気にしないで。ほら、頭上げて。」

風香が頭を上げたその時、康介と風香の携帯からDC出現の連絡が入った。

康介「早速か、俺は先に行く。」

風香「はい、よろしくお願いします!私も後で追いかけます!」

康介は、ジョーカー社に止めてあったバイクに乗ると、フルスロットルで現場へ向かった。

 

 

 

康介「ここか…現場は。」

康介が着いた場所では、DCでもECでもない、ホッパーが発生して居た。

康介「ホッパーか…何か良からぬことの前兆じゃないと良いんだけどな。」

康介は、ベルトを取り出し、装着した。そしてウォーズキーを取り出し、手前に構えた。

康介「変身!」

ウォーズキーを太陽に向け掲げ、ドライバーにセットし、キーを回転させた。

 

[WAR-Z key!][open!]

   [Masked warrior!

       KAMEN RIDER WAR-Z!]

 

康介「仮面ライダーウォーズ、お前達の運命は俺の手の上だ。」

康介は戦乱の世を駆け抜けた鍵の戦士、ウォーズに変身した。

一般人を標的にして居たホッパーはウォーズの気配に気づくと、ウォーズの方を向き、走り出した。

ホッパーは背中の翅をバタバタと鳴らしウォーズに飛びかかった。

 

[survive swordgun!]

 

ウォーズはそれをサバイブソードガンで串刺しにした。

ホッパーを振り払うと、ウォーズは次々とホッパー達の急所を突き、倒して行った。

 

 

ウォーズが戦っている後ろで、火縄と風香が現れた。

朔弥「お手伝いします!」

火縄は銃から弾丸を放ち、ホッパーを次々と狙い撃ちした。

康介「一緒に戦おう!」

ウォーズは火縄の方を見た。

そして、ベルトの左側に霞んだ白色のキーを装填した。

[Fang key!]

すると、剣先が白に染まった。

康介「これで千切りにしてやるぜ!」

ウォーズは一斉に飛びかかって来たホッパーを剣を一振りするだけで切り刻んだ。

康介「斬った次は火にかけよう。」

[Fire key!]

ウォーズは剣にファイアーキーをセット、回転させた。

[open!][Frame slush!]

 

ウォーズの回転斬りによって周りのホッパーが全て焼き尽くされた。

 

朔弥「死滅させる!」[check!][dia direct!]

火縄の銃が火を吹き、ウォーズが対処しきれなかったホッパーを全て倒した。

 

康介「これで終わりだ!」

 

[Dummy key!][Re open!][Gemini drop!]

 

ウォーズは空中で2人に分身すると、それぞれ生き残ったホッパーの集団にキックを放った。

 

 

 

康介「よし…これで終わった。」

 

総三「どうやら、まだ心の炎は消えてなかったみたいだな。」

ウォーズの後ろから総三が現れた。

康介「父さん…」

ウォーズは変身を解いた。

康介「なんで連絡くれなかったのさ。」

総三「すまない、急用が入ってしまって。だが、もう大丈夫だ。」

康介は一瞬悲しい顔をした。

康介「もう大丈夫…見た目はそうかもな。もう限界なんだろ?無理はしないでくれ。」

総三は笑った。

総三「それはお互い様じゃないか。」

康介「かもな…」

 

 

風香「なんなんだろう…あの雰囲気…」

風香と朔弥は車に乗り込んだ。

朔弥「さあな。まぁ、俺たちが関わるようなことじゃない、それだけはわかる。」

風香の目には、夕焼けに映る2人が見えたが、やや霞んでいるように感じた。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第40話 ♡10:素顔は仮面に隠したまま

一ヶ月後…

 

ゴールデンウィークが終わり、風香と雪菜は回復し、フォース、アーサー、ホープの修理は完了した。が、心は未だに戦線復帰できる状態ではなく、今も病院で手当てを受けている。

 

そんな中で事件は起きた。

 

[何者かが重要書類の保管庫に侵入しました!]

 

風香「保管庫に…まさかEC!」

雪菜「とにかくいくぞ!」

 

2人が保管庫の扉を開けると、そこにはホープのドライバーとブレスを装着した血城壮介の姿があった。

 

風香「血城さん!」

 

雪菜は変身し、剣を血城の喉元に当てた。

 

壮介「変身…」[change!rider hope!]

壮介はホープに変身した。

ホープは弓でアーサーの剣を弾いた。

そして、アーサーを突き飛ばし、近くの大きな窓を破り、外へ出た。

 

風香「待って!」

 

風香はフォースに変身、ホープの後を追った。

 

 

 

ホープは、フォースに追いかけられながらも鉄道の高架橋下まで走った。

壮介「ここまで走れば、追いかけてこないか…」

ホープは変身を解き、壮介の姿に戻った。

 

壮介「俺にはまだこいつが必要だ。奪われる訳にはいかない。」

 

風香「何故必要なんですか?」

 

壮介「黒羽!」

壮介の後ろには風香がいた。

 

壮介「…お前が知る必要はない。」

 

風香「…ごめんなさい。」

壮介は風香がいきなり謝ったことに驚いた。

壮介「いきなりなんだ?」

 

風香「私、貴方に冷たい態度ばかり取ってしまって…」

 

壮介「そんな物、どうでもいい。俺はお前達と距離を取っていたからな。仕方ないことだ。」

 

風香「でも…」

 

壮介「一つだけ言っておく。お前達はもう俺に関わるな。赤空や日照にもだ。」

 

風香「それって、私達に指を咥えて見てろってことですよね?」

 

壮介は、風香を見た。

 

風香「そんな事、できません。私は…私達は仮面ライダーですから。自分が信じる正義の為に戦います。」

 

壮介はため息を吐き、その場を後にした。

 

 

風香はジョーカー社に戻った。

雪菜「黒羽、血城はどうした?」

帰ってきて早々雪菜に血城について聞かれた。

風香「逃げられました。一体、何が目的でこんな事を…」

風香は、血城とのことを隠した。

雪菜「…そうか…。」

 

 

 

壮介は、ホープのライダーブレスに改造を施していた。

壮介「後は、俺の戦闘データを埋め込めば…」

彼は、ジョーカー社に入った頃、メカニック専門で働いていた。そのためメカには強く、今の改造された自分の身体も全て理解していた。

 

壮介はブレスと接続し、データを移送し始めた。

 

壮介「うぐっ…ぐっ…」

 

 

 

 

 

土野「ジョーカーも終わりに近い。」

日照「今度の進軍は僕に任せてくれないかな?これなら、木崎君も始末できるし、ライダーも倒せる。」

 

土野「…分かった、今回は全てお前に任せる。」

日照「分かった。じゃあ、ECのサンプルを貸してくれない?」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第41話 ♡Q:白銀の希望

早朝、とある駅では、いつものように通勤通学で電車やバスを使う人でごった返していた。

その中に、一際目立つ人影があった。

その人は男だが、顔を赤くし、身体からは燃えるような蒸気を発していた。

 

「大丈夫ですか?」

 

1人の男の人がその男に声を変えた。

 

「逃、げ…ろ…、!」

 

その男は呻き声のような声を上げると頭を抱えた。そして、服や髪の毛、皮膚が燃え始めた。

 

「う、うわぁ!!」

 

声をかけた男は腰を抜かして倒れていた。

 

周りがそれに気づいた時には、声をかけた男は炎に包まれていた。

「うぉぉぉ!!!!」

 

炎に包まれていた男の後ろには、火の虎の姿があった。

 

 

 

 

[緊急指令、ECが出現!仮面ライダーは直ちに現場に向かってください!]

風香「ECが…早く現場に向かいましょう!」

雪菜「ああ。」

風香は急いでバイクに飛び乗り、現場へ向かった。

 

 

現場の駅では、ECが周りの木々やバスに炎を放っていた。

雪菜「黒羽!あのEC、火賀だ!」

風香「火賀…復活したのか!」

風香は既にフォースに変身していた。

風香「ユニコーンで行きます。」

雪菜「分かった。時間には気を付けろ。」

風香「はい。大変身!」

 

[Force Unite Arthur!ForceⅢ!unicorn!]

 

フォースはユニコーンフォームに変身、エクスカリバーで火賀の背中を斬りつけた。

風香「疾風迅雷でお前を倒す!」

フォースは、火賀に連続で3回ほど斬りつけ、腹に剣を刺した。

[EXTREME crush!]

フォースは火賀にタイキックし、剣を抜いた。

 

「ぐはっ!!」

火賀はそのまま大爆発した。

 

フォースはユニコーンフォームの変身を解き、通常のフォースに戻った。

 

風香「火賀が何故復活を…」

 

 

雪菜は周りに逃げ遅れて人がいないか捜索していた。

 

「うっ…」

 

雪菜「…?」

 

雪菜が後ろを見ると、顔を青くした男がいた。

 

雪菜「大丈夫か!」

 

「がはっ!ボボボ!」

 

その男の声は、溺れているような声だった。

 

雪菜「おい!しっかり!」

 

すると、その男を中心に水が大量にばらまかれた。

雪菜はその水をもろに浴びた。

 

雪菜「なんだ!」

 

すると、先程の男の姿が水の飛魚、水澤のECの姿になっていた。

 

雪菜「一般市民がECに!まさかさっきのECも…」

 

水澤は身体を飛魚の集団に変え、雪菜に飛びかかった。

 

雪菜「ぐっ!」

 

雪菜はそれらを避けたが、後ろから第二波が来ていたことに気がついていなかった。

 

それらに気づいた時には、もう数メートルのところだった。

 

雪菜「まずい!」

 

しかし、雪菜の前に1人の男が壁になった。

 

その男は血城壮介だった。

壮介「変身…!」

 

壮介は、ブレスをベルトにスキャンした。

[error!][HOPE dash!]

 

壮介の身体はホープに姿を変えた。

が、ホープの白の部分が銀色に変化していた。

 

雪菜「血城…そのホープは…?」

 

壮介「ホープダッシュ、俺の力だ…」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第42話 ♡K: 雷霆万鈞のフォース

壮介は、ブレスをベルトにスキャンした。

[error!][HOPE dash!]

 

壮介の身体はホープに姿を変えた。

そしてホープの白の部分が銀色に変化していた。

 

雪菜「血城…そのホープは…?」

 

壮介「ホープダッシュ、俺の力だ…」

 

 

ホープ’は、弓で水澤を吹き飛ばした。

 

更に、水澤の胸ぐらを掴み上げ、投げ飛ばした。

 

 

雪菜「状況は分からないが…変身!」[change!rider arthur!]

 

雪菜「はあっ!」

 

アーサーは、ホープに続き攻撃を仕掛けた。

 

壮介「裏切り者と戦っていいのか…」

 

雪菜「今だけだ。」

 

 

 

 

風香「とりあえず、この騒ぎは治ったか…」

 

風香は変身を解こうとしていた。しかし、その後ろから月の兎、月田がいることに気がついてなかった。

朔弥「黒羽!後ろだ!」

風香「えっ!」

丁度いいタイミングで火縄が現れ、フォースの後ろに迫っていた月田に火球を放った。

 

風香「すいません!」

 

朔弥「気を付けろ、それより、先程から火賀や月田と…何故ECが大量発生を…」

 

その時、2人の後ろから水澤が倒れてきた。

 

風香「えっ、水澤までも…」

 

雪菜「そいつらは、一般市民が変身したECだ。」

 

フォース、アーサー、火縄、ホープが並び立った。

 

朔弥「壮介、なんだその姿は?」

壮介「そんな物気にするな。」

雪菜「白を銀とは随分安直すぎないか?」

風香「あのー、皆さん世間話は後にしましょう。今は協力してECを倒しましょう!」

 

ECは、2人がかりでライダー達に攻撃を仕掛けた。

朔弥「これでも喰らえ!」

攻め込むECに火縄が弾丸を放った。

 

雪菜「はあっ!」

壮介「たあっ!」 

 

更に倒れたECにアーサーとホープが剣と弓で切った。

 

フォースは、2人の後ろからキックでECを吹き飛ばした。

 

雪菜「これで決めるぞ!」

4人は必殺技を発動させようとしたその時、日照が4人に突撃してきた。

風香「ぐっ…どこから…」

 

日照「はあ…やっぱお前達に数で勝負は勝てないか…こうなったら、僕が相手だ!」

 

日照は翼を広げフォースに特攻した。フォースは壁に打ち付けられた。

 

更にアーサーと火縄にも突撃した。

雪菜「ぐっ…こいつに勝つ方法は…ないのか!」

壮介「あるさ、ちょっと待ってろ!」

ホープは、弓を弾き、矢で日照の翼を撃ち抜いた。

 

日照「ぐはっ!」

 

壮介「今だ!フォースⅢに!」

 

風香「でも…誰を…」

 

壮介「ホープを使え!」

 

風香「えっ…」

 

ホープは組み込まれていないはず、フォースはそう思った。しかし、ユナイトドライバーには白のブランクボタンがあった。風香は奇跡を信じ、そのボタンを押した。

 

 

 

[DASH mode!]

 

風香「大変身!」

 

[Force Unite HOPE!ForceⅢ’!]

 

フォースの体にホープ’のパーツが装着され、更にパーツが青、銀、オレンジ、金に変化、頭部には金の羽と青、橙、銀の羽の飾りがつき、後ろには翼のようなマントが2枚装着され、全身が銀色に輝いていた。

 

風香「これが…フォースⅢ’…」

 

日照「銀色になっただけだろ!」

 

フォースは迫る日照を蹴り上げた。更に、他のECに拳を叩きつけ、撃破させた。

 

壮介「ホープ’単体でフォースⅢに匹敵する能力がある。それをフォースが身に纏ったことで、最強のフォースが完成した。もう俺に思い残すことはない、後は任せたぞ。」

 

風香「雷霆万鈞の如くお前を倒す!」

 

[Utopia crush!]

 

フォースは翼と共に飛び上がり、日照にキックした。

 

 

日照「僕が…僕が捨てられるなんて…そんな事、ありえ、ない!」

 

 

 

そのキックは、日照の身体を貫き、爆散させた。

 

 

 

 

 

風香は変身を解いた。

風香「やりましたね!壮介さん!あれ…壮介さんは?」

 

雪菜「血城…いつのまに居なくなったのか…」

 

朔弥「まさか、最期の変身だったのか…」

 

風香「…ありがとうございます…!」

 

風香は、血城壮介に向かって敬礼した。

 

 

総三「フォースⅢ’…か…」

 

一沙「一応、ホープとの融合を考えて作られていたフォーム。しかし、性能は他のフォースⅢより劣るはずなのに…これは、まさに奇跡ですね。」

 

総三「科学者が奇跡で物事をまとめていいのかい?」

 

一沙「…まあ、さすがに冗談です。おそらく、ホープにフォースⅢを強化させるものが組み込まれているんでしょう。例えばEC特攻だったり、壮介自身から取ったECのデータであったり…」

 

総三「何はともあれ、血城君は最期まで何も言わなかった…彼らしい。」

 

 

 

 

土野「日照と木崎が死んだ。が、サンプルは全て揃った。準備運動は終わりだ。フォースよ、最期の時だ。」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第43話 ♠︎8:全ての始まり

風香「なんで私がここの整理をしなくちゃいけないんです?そろそろ他の人に任せてもいいんじゃないですか?」

 

総三「別にいいじゃないか。それに、資料庫の整理は誰もやりたがらないんだ。」

 

風香と総三は、2人で資料庫の整理をしていた。

 

風香「だいたい資料庫の整理ってそういう係の人とかいるはずなのに、何故ここにはいないんですか?」

総三「それは、その整理の係を東君がしていたからだ。」

風香「東さんが?」

総三「彼は元々ここの整理を担当する係兼マシン開発部門の人間だった。」

風香「そうだったんですか。私は仮面ライダーとして戦う東さんしか観た事ないんで、少し気になります。」

 

総三「分かった、少し長いが、フォース初戦闘当たりまで話すか…」

 

 

 

〜2年前〜

 

赤空らがここを去ってから、我が社は大混乱に陥っていた。重要な研究員と被験体が居なくなってしまったのだからな。

とりあえず、赤空の埋め合わせは一沙君が引き継いでくれた事によってなんとかなったが、被験体の方はどうにもできなかった。そりゃ、自ら「実験台になります」なんて人はいないからな。そんな時、声を上げたのは東薫だった。

 

薫「社長、私を仮面ライダーの実験台にしてください!お願いします!」

 

総三「東君、本当にいいのか?それで死ぬのかもしれないのだぞ。」

 

薫「俺はそれでも構いません!世界を救う為の力の礎になるなら、命だって惜しくないです!」

 

総三「…少し考えさせてくれ。」

 

この当時、被験体として候補に上がっていたのは、後々アーサーとして戦うことになる劔橋雪菜、ホープとして戦った血城壮介、そして自ら立候補してきた東薫の3人。

 

風香[この時、朔弥さんは居なかったんですか?]

 

総三[金剛寺君は、この時は一沙君の助手だったからね。一沙君が「推薦しないでくれ」と要望があったからな。]

 

風香[この3人をどうやって決めたんですか?]

 

総三[それをこれから話そう。]

 

 

 

東君が私に直談判してから3日後、我々は選定のために3人に3つの課題を3日かけて行った。

一つ目の課題は、中学や高校で行う新体力テストと同じことをやってもらった。その時の総合結果は、一位が劔橋君、二位が血城君で東君は最下位だった。

 

二つ目の課題は、基礎学力テストだ。中学から高校までの基本的な学力を測ったものだ。結果は劔橋君と血城君が同率で満点、東君は98点だった。

 

風香[東さん、ここからどうやって被験体兼フォースに慣れたんですか?]

総三[それは、3日目の課題のことだった…]

 

 

 

総三「今日は3人にある物を作ってもらう。これが完成図だ。」

この時私が見せたのは一つのブロックでできた家の模型だった。

それも外だけでなく中も精巧に作られている物だ。

壮介「なんだこれ、俺たちを舐めてるのか?」

 

総三「君達に3時間でこれと全く同じ物を作ってもらう。素材は全て君達の作業する部屋に置いてある。それを使ってくれ。」

 

 

風香[ブロック?何故そんな物で…]

総三[気になるだろ?続きは次回。」

風香[次回?]

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第44話 ♠︎9:東フォース生誕の瞬間

総三「今日は3人にある物を作ってもらう。これが完成図だ。」

この時私が見せたのは一つのブロックでできた家の模型だった。

それも外だけでなく中も精巧に作られている物だ。

壮介「なんだこれ、俺たちを舐めてるのか?」

 

総三「君達に3時間でこれと全く同じ物を作ってもらう。素材は全て君達の作業の部屋に置いてある。それを使ってくれ。」

 

3人はそれぞれ自分の部屋に行った。

 

3人はそれぞれ自分の作業台に向き合うとブロックが入った袋を開け、一つ一つ置き始めた。

 

 

しばらく経つと、1人づつ異変に気づき始めた。

最初に気がついたのは劔橋君だ。

雪菜「ん?おかしぞ、屋根のパーツがない?まさか不良品?でもこの部屋からはお手洗い以外に外出られないな…仕方ない、屋根無しで作ろう。」

最初に屋根がないことに気がついた劔橋君は屋根無しで作り続けた。

 

次に気がついたのは血城君だ。

壮介「なんだこれ?屋根ねーじゃん!ふざけるな、外には出れないし、完全にやる気失せたわ!」

血城君はそこで作るのを放棄して黙って座り込んだ。

 

東君はそれからすぐに気がついた。

薫「おかしい…何故屋根がない…でも屋根がないと完成しない…そうだ、いいことを思いついた!」

すると東君はここまで作っていたブロックを全て壊した。

 

風香[ええ、東さん壊しちゃったんですか?]

 

総三[まあ待て、まだ続きがある。]

 

それから時間が経ち、終了時刻になった。

 

3人の作品を一つの場所に持ってきてもらった。

 

まずは劔橋君。彼女の作品は、屋根がないこと以外は全て見本と同じだった。これに屋根が有れば彼女の出来栄えは一番良かっただろう。

 

次に血城君。彼の作品は外壁のみしか完成していなかった。まあ、屋根がないことに気がついて作るのやめたのだからそこで止まってしまったのも無理ないだろう。

 

最後に東君。彼の作品は家とは全く別物だった。

総三「東君、これはなんだね?」

薫「これは、キャンプ場です。屋根がない家って寂しいですから、一から別のものを作りました。家の壁を使ってキャンピングカーとテントを、家具でキャンプ用具を作りました。」

壮介「なんだよ、そんなの無しだろ?だいたい、屋根を用意していないあんたが悪い。」

雪菜「そうね、屋根さえあれば完璧だったのに…」

 

総三「屋根を配らなかったのは、わざとだ。屋根がないことに気がついた時、君達はどうするか試したのさ。劔橋君は、屋根がなくとも家を作り続けた。言うなら、一度決めた事、始めたことは曲げないタイプ。血城君は、屋根がないことで作ることを諦めた。それは、何か壁に当たったらすぐにその壁を壊したり登ったりすることを諦め、壁のせいにするタイプ。だが、東君は家とは全く別のものを作った。それは、どんな想定外なことが起きても対応できるタイプ。確かに、家の出来栄えからしたら劔橋君が一番だか、私の考えていた答えに答えることができた東君を私は第一候補にしようと思う。」

 

薫「本当ですか!?」

 

雪菜「…敵ながら天晴れね。」

 

壮介「仕方ない…譲ってやる。」

 

 

 

 

現在

 

総三「これがフォース生誕の日だな。」

風香「言われてみれば東さん、作戦がコロコロ変わっても対応できる人でしたからね…この結果は納得です。」

総三「ああ…」

 

雪菜「黒羽!大変だ!」

その時、資料庫の扉を雪菜が勢いよく開けた。

 

風香「どうしました?」

 

雪菜「新たなECが出現したそうだ!現場に向かうぞ!」

 

風香「はい!」

 

2人は急いで出て行った。

 

総三「赤空…いよいよ現れたか…」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第45話 ♣︎5:空が赤に染まる時

雪菜「黒羽!大変だ!」

風香「どうしました?」

 

雪菜「新たなECが出現したそうだ!現場に向かうぞ!」

 

風香「はい!」

 

2人は急いで出て行った。

 

総三「赤空…いよいよ現れたか…」

 

 

 

 

 

土野「実験の最終段階は近い、これに成功すれば、人類は驚異的な力を手にできる!!」

 

土野は、自ら街に赴き、2種類のECのサンプルをそれぞれ別の人物に投与した。

 

投与された人は、それぞれ金山と日照の姿に変わった。

 

そして、自らの意思とは関係なく周りの人間を襲い始めた。

 

 

土野「さぁ、実験を始めようか…」

 

土野が何かを始めようとする前に、フォース、アーサー、火縄が現れた。

土野「どうやら実験は、まだできないようだな。」

 

風香「赤空!今日こそは、お前の悪行を止める!」

 

風香はバイクから降り、ユナイトドライバーを装着した。

 

土野「悪行?私の実験だ。素人にそんな事言われる筋合いはない。それに、赤空という名は捨てた。今の私は土野、最強のEC、ディアーECだ。」

 

土野の身体は、光に包まれ、鹿のECに姿を変えた。

 

雪菜「赤空が鹿のEC…」

 

朔弥「黒羽、お前は赤空を。周りのECは俺達に任せろ!」

 

風香「分かりました。大変身!」

 

[DASH mode!]

 

[Force Unite HOPE!ForceⅢ’!]

 

[The rider is next stage! arthur 2nd!]

 

[The rider is next stage! Hinawa 2nd!]

 

フォースⅢ’、アーサー2nd、火縄弐が並び立った。

 

風香「雷霆万鈞の如くお前を倒す!」

 

土野「やれ」

 

 

アーサーは剣を、火縄は銃を構え、土野の両サイドに立つECに攻撃を始めた。

 

フォースは、少しずつ土野に近づいた。

 

風香「今日で決着を…それもあなたが開発したフォースで!」

 

フォースは拳を土野に向け放った。

 

土野はその拳を受け止めた。

 

土野「確かに、フォースは私の傑作だった…今日まではな!」

 

土野はフォースの拳を振り払った。

 

土野「今日、私の実験の終着点にたどり着く事で、人類は革命的で驚異的な進化が可能になる!仮面ライダーという偽りの仮面をつける必要なんてなくなる!」

 

風香「私が着ける仮面は、偽りなんかじゃない!私や…東さん…みんなの力の結晶が仮面ライダーを正義の戦士である事を創り上げた。それをアンタの独りよがりな実験で壊させない!!」

 

フォースは右脚で回し蹴りを放った。更に、左脚で後ろ蹴りをした。土野はその攻撃によろめいた。

 

土野「独りよがりな実験?私だって君達と同じだ。金山や月田の力があったからこそここまで進化できた。それをただの実験と吐き捨てられるのはとても心外だ!フォースという失敗作の仮面を被った小童が!!」

 

土野は、頭の大きな角でフォースに頭突きをした。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第46話 ♠︎5:進化の終着点

土野「独りよがりな実験?私だって君達と同じだ。金山や月田の力があったからこそここまで進化できた。それをただの実験と吐き捨てられるのはとても心外だ!フォースという失敗作の仮面を被った小童が!!」

 

土野は、頭の大きな角でフォースに頭突きをした。

 

土野「私は、白夜が言っていた厄災に備える為、人類を守る為にどうすればずっと考えてきた。そしてたどり着いたのさ、その厄災に打ち勝つ力を手にできる方法に。」

 

風香「それがEC…」

 

土野「ああ、DCもその計画の一端に過ぎない。だが、その実験も終わりだ。」

 

土野は、ユナイトドライバーと同型のパーツを右腕に装着した。

 

土野「さぁ集まれ、ECの力よ!!」

 

すると、アーサーと火縄の相手をしていたEC2体が、土野に引き寄せられ、一つになった。

 

光に包まれた土野の身体は、徐々に姿を現した。胸元と左肩は鷲のEC、右腕は獅子のECが融合していた。

 

土野「…おっと、どうやら失敗のようだ。だが、融合には成功した。」

 

朔弥「あれで失敗なのか…どう見たって成功じゃないのか?」

 

火縄が言った。

 

土野「本来は、全てのECと融合するはずだった…が、まぁいい。この融合体の力を見せてあげよう!」

 

雪菜「不完全なら、こいつを倒すチャンスだ!」

 

アーサーが剣で土野に斬りかかった。

 

土野はそれを右翼で受け止めた。そして、右腕のクローでアーサーを切り飛ばした。

 

更に、翼を広げ、フォースと火縄に特攻した。

 

風香「翼には、翼で勝負!」

 

フォースは、後ろのマントを翼に変え、剣を取り飛び上がった。

 

土野「面白い。」

 

土野はクローを構え、空を飛ぶフォースに突撃した。フォースはそれを剣で抑え、弾き返した。そして、高速で飛行し、土野と距離を取った。

 

土野は、フォースに近づこうとしたその時、下からの銃撃に合った。火縄だ。

 

土野「私を堕とそうというわけか…」

 

土野は、翼から羽根の形をした矢を連続で発射し、火縄に豪雨のように降らせた。

 

朔弥「ぐはっ!!」

 

火縄はそのまま変身を強制的に解除させられた。

 

土野「邪魔はなくなった。決着をつけようか…」

 

風香「ええ、終わりにしましょう。」

 

[Utopia crush!]

 

 

雪菜「黒羽…」

 

朔弥「絶対に勝て…」

 

戦場の下では雪菜と朔弥がフォースの勝利を願った。

 

 

 

フォースは、白銀のオーラを放ち、翼を更に大きく広げた。

土野は、赤、青、金の三色の光を放った。

 

土野「はあっ!!」

 

風香「うぉー!!」

 

 

 

 

2人は、ほぼ同じタイミングで前へ進み、互いをすれ違いざまに斬り裂いた。

 

斬り裂いた衝撃で、空が波打ち、大きな爆発が起きた。

咄嗟の事態に雪菜と朔弥は顔を伏せた。

 

 

爆発が収まり、2人が顔を上げると、風香と土野の人間態が墜落しているのが見えた。

 

朔弥「黒羽!!」

雪菜「黒羽!!」

 

2人は風香の墜落地点に向かって走り出した。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第47話 ♦︎5:全知全能の進化態

風香「うっ…ここは…?」

 

風香は、目を覚ました。風香は、ジョーカーの医務室で寝ていた。

 

雪菜「起きたか…」

 

風香「雪菜さん…」

 

雪菜「…あの時、何が起きた?相討ちだったのか?」

 

風香「そう見たいですね…すいません、私の力が及ばず…」

 

総三「そんな事はない。君はよくやった。」

 

風香「社長。」

 

2人が話しているところに、総三が現れた。

 

総三「…それにしても、君に託されたフォースⅢ’…まだ我々の知らない力を秘めているとは…」

 

風香「それって…どういう事ですか?」

 

雪菜「もしかして、あの白銀の光ですか?」

 

総三「ああ、あれは一体何なんだ?」

 

風香「なんか、パワー全開で戦っていたつもりなんですけど、その光を放った時、それ以上の力を引き出された感じがしました。何かが私に力をくれた…みたいな?」

 

総三「とりあえず、それについては今研究員総出で調べている。君はとりあえず来るべき時の為に休みたまえ。」

 

総三は医務室を後にした。

 

土野との決戦…フォースが放った光。それが切り札になるとは、この時誰も知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

土野の研究所…

 

土野「ぐっ…まさか、フォースがここまでの力を身につけていたとは…だが、それも終わりだ。先程は不完全態で、変身も持たなかったが、今度こそは、成功させる。」

土野は再びユナイトドライバーと同型のパーツを装着した。

 

土野「さぁ、私の研究の成果が…私の今までの努力が報われる時が来た、ECよ…今こそ一つに!!」

 

土野は怪人態に変身、更にECのサンプル6種が、それぞれ右腕、左腕、脹脛、太腿、胸部、腰部に重なり、融合した。

 

右腕には、金山の怪人態、ライオンECのクロー

左腕には、火賀の怪人態、タイガーECの腕

脹脛には、月田の怪人態、ラビットECの脚

太腿には、木崎の怪人態、ビートルECの外骨格

胸部には、日照の怪人態、イーグルECの翼

腰部には、水澤の怪人態、フライングフィッシュECのヒレ

そして頭部の角は巨大化し、黄金に輝いた。

 

今までのECの力が一つになり、土野の力となった。

 

土野「完成だ…遂に完成した!!!!」

 

 

しかし、土野はすぐに膝をついてしまった。力が抑えきれないからだ。

 

土野「ぐっ…力が…強大すぎる…がはっ!」

 

土野の進化態は、すぐに変身が解けてしまい、人間態に戻ってしまった。

 

土野「この力になれるのにはまだ時間がかかりそうだ…」

 

 

 

ジョーカー社研究室…

 

一沙「…?これは…!?そうか、そういう事ね…」

 

研究員A「一沙さん、何か見つけたんですか?」

 

一沙「ええ、まだ確証はないけど、その可能性が大いにある。」

 

一沙ら研究員は、フォースⅢ’の白銀のオーラについて調べていた。そして、その原因に近づきつつあった。その時だった。

 

研究員B「大変だ!土野から挑戦状が届いたそうだ!」

 

研究員Bが勢いよく研究室に入ってきた。

 

研究員A「なんだって!それで、決戦はいつになるんだ?」

 

研究員B「2日後の、12時…正午だ。」

 

一沙「2日後!?これじゃ、この理由を分析する事しか出来ないじゃない!もう少し時間が有れば他のライダーにも搭載ということができたのに…」

 

研究員B「その必要はないと思います。とりあえず、その挑戦状を見てください。」

 

そういうと研究員Bはスマホで動画を再生した。

土野[仮面ライダーフォース、黒羽風香及び、ジョーカー社CEO白夜総三。2日後の正午、この私と、どちらの進化が上か勝負しよう。場所は、ジョーカー社本社ビル正門。ただし、この戦闘はフォースⅢ’との戦いだ。他のライダーや隊員達が割って入るなどしたら…無差別に人をECに変える。また、この挑戦状を放棄、不正をしても同じ事をする。逆を言えば、私もサンプルを使いECを出現させたり、誰かを人質にとったりしないと誓おう。それでは2日後、どちらが上か…最期の勝負だ。]

 

ここで動画は終わった。

一沙「…逆に考えれば、2日も猶予があるという事でしょ?なら、この謎をとことん研究してフォースを…風香さんを勝たせるぞ!」

一沙は周りの研究員達に言った。

 

 

 

 

2日後…正午…

 

 

ジョーカー社正門には風香が立っていた。周りには誰も居ない、が、植木の影で、雷田豪と二葉勇治が、カメラを構え、隠れていた。

豪「本当に、こんな作戦成功するのか?」

勇治「とにかく、一沙さん達を信用しましょう…」

 

 

すると、風香の前に土野が現れた。

風香「ようやく来たようね。赤空。」

 

土野「前にも言っただろう。その呼び方はやめろと…私は、人間だった時の事を捨てたいんだ。」

 

風香「何故、そんな事を?」

 

土野「私は、人間が嫌いだからだ。人間は醜い。欲望や悪意と言う沼に浸かり、汚れている。だから私の進化でそれを洗い流す。お前こそ、なぜ私に歯向かう?」

 

風香「それは…私の信じた正義…護りたいものの為に戦う、そう決めたから。私は、ここに来て、初めて人生が楽しいと思った。常に人を守る為に戦い、人を助ける、ただそれだけよ。」

 

風香は右腕のユナイトドライバーを、土野は右腕の装置を起動させた。

 

風香「変身…」

 

土野「変進…」

 

 

風香は銀色の仮面をつけた戦士、フォースⅢ’に、土野は生物の融合体、ディアーEC進化態へと変化した。

 

風香「雷霆万鈞の如く、お前を倒す…」

 

土野「決着をつけよう。フォース!」

 

「「はぁぁぁ!!!!」」




次回、仮面ライダーフォース…最終回

「これが、人間の力だ!!」

第48話 ♡5:風花雪月


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第48話 ♡5:風花雪月

風香「変身…」

 

土野「変進…」

 

 

風香は銀色の仮面をつけた戦士、フォースⅢ’に、土野は生物の融合体、ディアーEC進化態へと変化した。

 

風香「雷霆万鈞の如く、お前を倒す…」

 

土野「決着をつけよう。フォース!」

 

「「はぁぁぁ!!!!」」

 

 

総三「遂に始まったか…」

 

総三は、ジョーカーの社長室から二人の戦闘を心配そうに見ていた。

 

 

 

同時刻、モニタールームでは、雪菜らが風香を見ていた。

 

公誠「風香、大丈夫だろうか…」

 

蓮「今は、黒羽さんを信じましょう。」

 

朔弥「蓮の言う通りだな。」

 

雪菜「黒羽…」

 

一沙「大丈夫、必ず作戦は成功する。」

 

心「成功するといいんですけど…」

 

 

 

 

 

風香「はあっ!!」

 

フォースは、ライダーバスターの二刀流で、土野に攻撃を次から次へと繰り出した。

 

土野は、波のように押しかける攻撃を受け流し、反撃のタイミングを見計らっていた。

 

風香「これで決める!」

 

フォースは左手に持っていたライダーバスターを土野目掛けて投げた。

 

土野は、ライダーバスターを払い除けた。

 

土野が剣に意識がいってる隙をついてフォースはクローバークローザースピアモードを土野に突き刺そうとした。

 

土野「全てお見通しだ!」

 

土野はクローバークローザーを掴み、フォース共々投げ飛ばした。

 

風香「ぐはっ!」

 

土野「ここからは私の番だ!」

 

土野は左腕から炎を吐き出した。そしてその炎をフォースに浴びせた。

フォースが怯んだ隙を見て、脚の跳躍力を生かし、フォースの前まで一気に飛び跳ね、蹴り飛ばした。

 

更に、翼を広げ、矢を大量に放ち、フォースに反撃の隙を与えなかった。

 

フォースが立ち上がると、土野は右腕のクローで斬りかかった。

 

土野「死ねぇ!」

 

風香「…まだ死ぬつもりはない…。」

 

フォースはハートアーロを手に持っていた。弓でクローを押さえつけ、弦を引いた。

 

土野「なっ!」

 

フォースが矢を放つと、土野は、後ろに吹き飛ばされてしまった。

 

フォースは武器をスペードブレイドとダイヤリボルバーに持ち替え、弾丸を放ちながら斬り裂こうとした。土野は剣をクローで防ぎ、炎で弾丸をかき消した。

 

 

 

総三「そろそろ、始めようか…」

 

総三は、社長室にあったカメラの撮影ボタンを押し、カメラの前に立った。

 

街では…

「ねぇ、見て、ジョーカー社の社長が重大なお知らせで生放送だって!」

「なんだ?」

街に設置されている大型パネルや、道ゆく人のスマホには、総三の姿が写っていた。

 

総三[皆さん、ジョーカー社CEO白夜総三です。本日はこの生放送を見ている方に…この世界を生きる人たちにお願いを申し上げたい。]

 

すると、画面の映像が総三からフォースと土野の戦闘に切り替わった。

 

総三[これは今、実際に起きていることです。今、人類は危機を迎えています。このままでは人類が人類でなくなってしまう。今、我が社の仮面ライダーが、命懸けで戦っています。しかし、このままでは、負けてしまう。そこで、皆さんに、仮面ライダーを…彼女を応援して欲しいです。]

 

数時間前

一沙「あのオーラについて調べた結果です。」

 

一沙は風香と総三に資料を見せていた。

 

一沙「あのオーラは、人の想いにフォースが反応し、力が解放された時に発生するものです。」

 

総三「人の想い…」

 

一沙「あの時、オーラが発生したのはおそらく、雪菜さんと朔弥さんの想いがフォースに届き、強くしたんです。

 

風香「人の想いが、私を強く…」

 

総三「これはどこにいても同じことが起きるのか?」

 

一沙「恐らくは、フォースに想いが届けば、必ず。」

 

 

 

総三[応援如きで…そう思う方は大勢いると思います。しかし、応援は、人を強くできます!皆さんの力が必要なんです!お願いします!彼女に力を与えてください!!]

 

 

これを見て、街にいた人はどうすれば良いか、考え込んでいた。その時だった。

「頑張れ!仮面ライダー!」

一人の男の子が声を上げた。その男の子は、風香が仮面ライダーになる前に助けた男の子だった。

 

周りの大人達もその男の子の応援する姿を見て、声を上げ始めた。

 

「頑張れ!」「仮面ライダー!」「負けるな!!」

 

 

 

迅「風香…」

華「風香…頑張れ!」

 

馬堀「仮面ライダー…」

 

不知火「仮面ライダー!」

 

雪菜「黒羽!」

 

朔弥「いけ!!」

 

心「風香さん!!」

 

公誠「風香!!」

 

上川「負けるな!」

 

蓮「頑張って!」

 

一沙「フォース!!」

 

日出「仮面ライダー!」

 

飯野「押し倒せ!」

 

豪「押せ押せ!」

 

勇治「頑張れ!」

 

 

 

フォースと土野は、互いに刃を交差させ合っていた。

 

土野「まさかここまで進化していたとは…だが、私には勝らない!」

 

土野は、粒子に変化し、フォースの周りを自在に飛び回りフォースを撹乱させた。更に、人形に戻ると、炎を放ち、焼き払った。

 

土野「…終わりか。」

 

すると、炎は一瞬でかき消され、フォースは白銀のオーラに包まれていた。

 

風香「…さあ、ここからは第二回戦よ!」

 

風香は拳を前突き出し、前に飛び出した。

 

 

 

 

雪菜「応援は成功か!」

 

モニタールームは全員映像に釘付けになっていた。

 

一沙「まだよ!白銀のオーラより、上の段階があるはず。土野を倒すにはそこまでたどり着かないと…」

 

朔弥「でも、応援はそこに到達するまでの値になっているんじゃ?」

 

一沙「…まさか!最大に達するまで時間がかかるのか!」

 

上川「っでも、このままだと負けちまうぞ!」

 

上川が指差したモニターには、フォースが土野に押されていた。

 

一沙「そう言われてもどうすれば…」

 

一沙はしばらく下を向いていた。

 

一沙「今は風香が負けないように…見守る、しか…あれ?みんなは?」

 

一沙が顔を上げると、戦闘部の隊員達が全員居なくなっていた。

 

 

 

 

風香「ぐっ…おかしい…なんで力が…」

 

土野「どうした?ここで終わりか?」

 

土野は、クローを光らせ、襲い掛かろうとしたその時、弾丸が土野を襲った。

 

土野「何!」

 

土野が弾丸が飛んできた方向を見ると、アーサー、火縄、ホープ、下級兵らが立っていた。

 

雪菜「みんな、時間を稼ぐぞ。」

 

上川「あいつらECのせいで俺達は戦えなかったんだ!その恨み全部ぶつけてやれ!!」

 

上川の声に合わせて下級兵らは雄叫びと共に土野に襲いかかった。剣で斬り裂こうとするもの、槍ので突こうとするもの、銃で援護をするもの、全員が一つとなり戦っていた。

 

雪菜「黒羽、立てるか?」

 

アーサーはフォースに手を貸した。

 

風香「雪菜さん…」

 

フォースは立ち上がった。

 

雪菜「このまま何もせず見てるなんて、できないからな。」

 

アーサーは下級兵らに混じって攻撃を始めた。

 

雪菜「私達人間は自分や、仲間がいるから進化できる!お前のような与えられた進化などいらない!」

 

アーサーは剣で連続で斬り裂いた。

 

土野「うるさい!全員ここで返り討ちにしてやる!!」

 

土野は空へ飛ぶと、無数の矢を降らせた。

 

その矢に下級兵らは倒れた。

 

土野「私の進化を拒むものはここで消えろ!!」

 

土野は左腕を構え炎を放とうとしたその時、ホープの矢と火縄の弾丸が激突し、墜落した。

 

土野「…許さん…許さんぞ!!」

 

土野はアーサー、火縄、ホープに炎を放った。ホープは水の壁を作り防いだが、アーサーと火縄は弾き飛ばされてしまった。

 

土野「消えろ消えろ消えろ!!」

 

土野はホープに迫り膝蹴りをかました。

 

この攻撃にホープも倒れた。

 

土野「全員ここで消えろ!!」

 

土野が衝撃波を放とうとしたその時、フォースが土野を蹴り飛ばした。

 

そのフォースは虹色に輝いていた。

 

土野「何!!」

 

一沙「ようやくきた!」

 

総三「成功か!!」

 

風香「もう、誰も傷つけさせない…疾風迅雷、電光石火、雷霆万鈞の如く、お前を止める!」

 

[Utopia crush!]

 

フォースは飛び上がり、翼を広げた。

 

風香「はあっ!!」

 

そして、渾身の蹴りを土野に放った。

 

風香「これが、人間の力だ!!」

 

土野「私の進化が…負けるなど!」

 

フォースは土野の体を貫いた。

 

 

 

土野とフォースは人間の姿に戻った。

 

風香「赤空、あなたは人間は醜いと言った。でも、私はそうは思わない。確かに、人間は欲望に流されやすい。でも、その醜い部分含めて美しいと思う。私は、仮面ライダーとして今まで戦って、そう思った。」

 

赤空「…そうか…私の負けだ。私は、君にもっと早く会っていたら、結末も違っていただろう…」

 

赤空は、塵と化し、消えた。

 

 

 

 

 

 

数日後の夜、社長室に総三は居た。電気を消し、夜景をワイングラス片手に見ていた。

総三「あれから数日、マスコミが騒がしく、ワインもゆっくり飲めなかったからな…」

 

総三はワイングラスを机に置いた。

 

総三「そろそろ、私は一線を退く頃か…」

 

総三は座ろうした。その時、あるものが総三に襲い掛かった。

 

総三「ぐはっ!!」

総三は胸を押さえ、床に吐血した。

 

総三「ここで終わりか…!」

 

総三は倒れた。しかし、苦しみは治らない。

 

総三「康介…こうすけ…こう、す…こ…け…」

 

総三は、自身の最愛の息子の名を呼び続けながら、息を引き取った。




皆さんこんにちは、津上幻夢です。

フォースをここまで見ていただき、ありがとうございました。フォースは去年の9月から始まったストーリーですが、遂に完結です。ここまで描ききれたのも見ていてくださった皆様のおかげです。

フォースの最終回が48話で疑問を持つ人も多いかもしれませんが、それについては忘れた頃のお楽しみに。

ここで重要なお知らせです。津上幻夢はしばらくの間ハーメルン上での活動を休止します。まぁ休止といっても1、2ヶ月で戻ってくると思いますので…。次のウォーズ投稿が(多分)休止前最後の投稿になります。

今後も津上幻夢、および現在投稿中の仮面ライダーウォーズをよろしくお願いします!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

黎明の章
第49話 ♣︎3:歴史が奪われる


「儀式まで、あと少しだ…」


「赤空さん…貴方の意志は、我々が継ぎます。あの憎きフォースをこの手で始末し、地獄へと送り届けてやりますよ。」













そこでは、2人の少年少女が朗らかな陽の中で遊んでいた。

 

その笑顔は、見ているこっちも温まるほど朗らかで、幸せなものだ。

 

 

 

 

まるで夢のようなひと時だ。苦しい現実から離れ、2人でただ戯れる…その頃がどれだけ楽しかったか…

 

 

「風香さん…」

 

 

少年が少女の名を呼ぶ…

 

 

「…香さん…」

 

 

 

「…香…ん…」

 

 

その声は、徐々に離れていく…少女は、手を伸ばし、少年を掴もうとする。

 

 

 

しかし、その手が見えなくなるほどの暗闇が彼女を襲った。そして、身体を迸る激痛が彼女を悲痛な現実に呼び寄せた。

 

 

 

 

 

「大丈夫か…黒羽?」

 

彼女は、部屋の長椅子から滑り落ちていた。先程の激痛はそれだろう。その長く綺麗な髪を起こすと、先程の夢でみた少女をそのまま大人にしたような顔だった。黒羽風香、それが彼女の名だ。

 

 

「すいません…雪菜さん。」

 

 

そんな彼女に手を伸ばしたのは、劔橋雪菜。風香とは対照的に短髪で切り揃えた髪で真面目さを醸し出す彼女は、風香の上司に当たる。

 

 

「本当、こんな大変な時に寝れるとはいい度胸ね。」

 

 

そう言って彼女は真面目そうな見た目からは総三できないような大きな欠伸をした。

 

彼女達が居るのは、ジョーカーから程近い病院だ。

 

何故彼女達がここに居るのか。

 

それは、彼女の直属の上司であり、このジョーカーの社長に当たる白夜総三が、意識不明の状態で発見され、搬送されたのだ。

 

現在、医師による治療を受けているのは深夜、2人は眠気と戦いながら社長の帰還を待っている。

 

 

その時だった。目覚ましのように大きな音が病院の廊下で鳴り響いた。音源は雪菜の携帯だ。

 

 

すぐさま、通話ボタンを押し、青い携帯を耳元に当てた。

 

そして、何度か頷くと電話を切り、風香を見た。

 

 

「行くぞ、この近くで怪人が大量発生している。」

 

 

半起き状態の目がばっちりと開いた風香は、すぐさま立ち上がった。

 

 

そして2人は廊下を走り出し現場へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「変身!!」」

 

 

[check!][change!rider Force!][change!rider arthur!]

 

 

2人の戦士が現場の広場に到着した時には、一部のオブジェクトが破壊されており、人も血を流して倒れている。しかし、肝心な怪人の姿がない、

 

 

「なんてことを…」

 

 

アーサーー雪菜はこの光景を見てそう呟いた。

 

 

「一体誰が…」

 

 

フォースー風香はそう周りを見渡した。

 

その時、目の前に立ち尽くす人の姿ある事に気が付いた。

 

 

大丈夫ですか?そう言って駆け寄ろうとしたフォースをアーサーは静止させた。

 

 

「何かおかしい…」

 

 

その人影は、右手にあるものを構えた。

 

何か時計のようなものだ。

 

 

その影は少しずつ前に進んだ。そして、街灯に照らされた時、その姿が初めてはっきりと見えた。

 

どこかの民族風の衣服に身を包み、濃い顔の男が立っている。

 

 

「誰だ…貴様!」

 

 

男は口を開いた。

 

 

「我が名は、タイムジャッカーのレックス。」

 

 

そして、レックスは手に持っている時計を構えた。

 

 

「そして、フォースだ。」

 

 

[フォース…]

 

 

その時計には、禍々しい顔が描かれていた。そのスイッチを押すと、男の身体に変化が起きた。

 

 

何かどろっとした液体のようなものが徐々に身体を侵食し、そこへ風のように拘束具が装着、ボロ布のようにくたびれたその姿は、フォースであり、フォースでないもの、アナザーフォースだ。

 

 

「本来ならフォースだけの予定だったが、余計なのがいるか…」

 

そう言って彼はアーサーを見据えた。

 

 

「ホッパー、アーサーを足止めしろ。」

 

そう言うと、ホッパー達が、何体も現れ、アーサーに向かって迫った。

隣のフォースには目もくれず、一心不乱に迫る。

 

 

アーサーは、ホッパーの攻撃に剣で対抗する。

 

 

「黒羽、気をつけろ。あの男、何を考えているか分からないぞ。」

 

 

「はい、でも、今戦わないとまた被害者が出るかもしれない。だから例え罠でも戦います!」

 

 

フォースはそう言ってロッドを構えた。

 

 

「分かった。お前ならそう言うと思っていた。雑魚は任せろ!」

 

 

アーサーはそう言うと、ホッパー達を引き連れ、場所を移動する。

 

 

フォースはアナザーフォースに向かって走り出す。

 

 

ロッドの先端がアナザーフォースの左肩に振り下ろされた。

 

アナザーフォースは少し後ろに揺らぐが、殆ど支障がなく、すぐさま武器を構えた。

 

 

先端に針地獄のような鋭さと大量の棘を持つメイスを構えたアナザーフォースは、フォースの鎧のない部分を狙って振り下ろす。

 

フォースはその攻撃を寸前に避けると、その勢いを活かして再び攻撃を試みる。

ロッドはメイスと擦れ合い、火花を散らす。

 

 

2人の戦力は互角、フォースはアナザーフォースを圧倒するため、ユナイトドライバーを装着する…しかし、本来ならそこで起動する筈なのに、全くもって起動しない。

 

動揺しているところに、蹴りを入れられ、フォースは倒れてしまう。

 

「何故使えない…」

 

 

「簡単な話だ。我がフォースの歴史を徐々に吸収しているからだ。時間が経てば経つほど我の力は増し、お前の歴史は消える。」

 

 

「そんな事させない!」

 

フォースは立ち上がり、身構える。が、アナザーフォースはそれよりも早くメイスをフォースに叩きつけた。

 

 

 

フォースは、強く地面に叩きつけられてしまった。

 

 

フォースの目の前にはメイスがすぐそこまで迫っていた。

 

 

このまま殺さんとするその一撃は、フォースの脳天に雷の如く打ち付けられる…筈だった。

 

 

そのメイスは、一つの盾によって寸前のところで防がれていた。

 

 

2人のフォースは、間に入ってきた謎の仮面ライダーに驚愕を浮かべていた。

 

 

「誰!」

 

 

風香は、そう聞くのに対し、レックスは、待ってましたと言わんばかりの期待の声で言い放った。

 

 

「待っていたぞ…ワード!」

 

 

ワードは、右手の矛でアナザーフォースを振り払う。

 

 

「大丈夫ですか?」

 

 

ワードは、フォースに手を伸ばす。

 

その手をフォースは握り、立ち上がる。

 

 

「何故…ここに?」

 

「『ある人』に呼ばれて。そしたら、たまたまこの状況を見かけて…」

 

「理由はどうであれ、加勢に感謝する。」

 

 

「遊びはここまでだ…」

 

アナザーフォースは、力を込めた拳をゆっくりと開いた。

 

すると、フォース達の後ろに、空間を裂いて謎の隙間が現れた。それは徐々に広がり、フォースとワードを飲み込もうとした。

 

その力に2人の足は地面から離れ、一言も発する隙もなく空間の裂け目に消えていった…

 

 

 

「今日はとりあえずここまでだ…」

 

 

そう言うとアナザーフォースは、撤退した。それに合わせ、アーサーに群がっていたホッパー達も煙のように消えてしまった。

 

 

 

 

 

 

その頃、先程2人がいた病院に別の男がいた。

 

「親族の方ですか?」

 

1人の女性看護師が聞く。彼はうんと頷くと、父親はもう助からないことを聞かされ、最後に顔を拝むかどうか聞かれた。

 

彼は、父親が助からない事に関しては何も表情を変えなかった。そして、他にするべきことがあるので、と父親の顔を見ずにその場を後にした。

 

 

 

 

 

「ここは…」

 

風香が目を覚ますと、先程とは別の場所にいた。見覚えのない川沿いの土手だった。日は南の空に浮かんでおり、とても暖かい日だった。

 

彼女の隣には、ワードだったと思わしき青年が寝ていた。

 

「大丈夫?」

 

 

その声で青年は、顔を上げた。

 

 

その顔は、あの少年を思わせるものだった。

 

 

「初めまして…じゃないですよね…?風香さん。」

 

 

彼は彼女の名を言った。どうやら彼も気づいたようだ。

 

 

「…もしかして、ゴン君?」

 

 

風香は、彼の名を口にした。

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第50話 ♣︎10:時間の略奪者

嫌な予感がする、そう脳が私の全身に呼びかけている。

 

 

あの戦いの後、黒羽風香は戦闘に加勢した仮面ライダーワードと共に敵の力で消えてしまった。

 

 

連絡もつかず、死んだとも断定できないことは前にもあったが、今回は、その時よりも状況は最悪だ。

 

「雪菜、大丈夫だったか?」

 

 

「朔弥、私は問題ない。だが黒羽が。」

 

戻ってきた私を出迎えたのは金剛寺朔弥だ。彼は私と同期に当たる。火縄の変身者だ。昔は、互いに苗字でさん付けだったのに、今では下の名で呼び合う程になっている。まぁ、それだけ信頼できると思っているのだろう。もちろん黒羽風香も信頼している。今回も戻ってくると信じている。

 

 

「話は聞いている。とりあえず、中で作戦会議するとの事。」

 

 

私達は、すぐさま会議室へと歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても、随分大きくなったね。ゴン君。」

 

 

雪菜達が、心配しているその間、風香は1人の青年の頭を撫で回していた。

 

青年、塾屋ゴンも、彼女との再会を喜んでいる。

 

 

 

2人の関係、それは2人が共に小学生の頃まで遡る。

 

 

 

それは風香が酷く父に叱られた時だった。

 

家を飛び出し、家の近くの公園のブランコに座って泣いていた。

 

 

「お姉ちゃん、大丈夫?」

 

その時声を掛けたのは、ゴンだった。

 

2人は、その後徐々に親睦を深めていった。

 

 

 

最初は毎日のように遊んでいた。しかし、風香が中学生になった頃、彼女の門限が厳しくなり、外で遊ぶことすら許されなくなり、2人の会う回数は減っていってしまった…

 

 

「とにかく、元気そうでよかった…」

 

ゴンが呟いた。

 

 

「再会の喜びに浸るのもいいけど、そろそろここがどこなのか…それを考えないとね。」

 

風香は立ち上がった。

 

ゴンも彼女に続いて立ち上がった。

 

 

川のせせらぎが気持ちよく流れている隣を2人は歩き始めた。

 

 

 

少し歩くと、街に出た。大きなショッピングモール。両側6車線の大通り。多色に発光する広告の電光掲示板。全てが今と殆ど変わらない都会の風景だ。

 

2人は電光掲示板の広告を見ていた。そこには『A-SEC』と言うマークと、綺麗な面立ちの男が映っていた。風香はその顔に見覚えがあり、見入っていた。

 

すると、掲示板に映されていた広告が、『本日、2005年5月5日の天気。晴れ、しかし午後から一時的に雨が降る。』と映し出された。

 

「2005年…?」

 

周りの人は、午後から雨が降ることを気にしていたが、2026年から来た2人にとっては2005年と言う年に驚きを隠せなかった。

 

「一体…どう言うことなんでしょう?」

 

 

2人は顔を見合わせ、夢ではないかともう一度画面を見たが、やはり変わらない。

 

 

掲示板が再び変わった。今度は、どこかの施設の紹介動画だ。

 

 

『この都市に住む皆さんは未来を手にしています。でも、ここでは更なる未来が創り出されています。』

 

どこかで聞き覚えのある男の声と共に純白の施設とその中の様子が映し出される。実験室、様々な新技術、そこで働く白衣を着た人達。

 

『皆さんの未来は、このアトランティス科学実験場にあります。』

 

その声と共にガッツポーズをした中年の男が映し出された。

 

 

「社長!」「博士!」

 

「「ん??」」

 

 

2人は同時に声を上げた。その画面に映っていたのは、少し若いが、紛れもなく白夜総三だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「タイムジャッカーについて何か分かったか?」

 

風香達が2005年にいる頃、2026年では敵の捜索及び情報収集が行われていた。

 

雪菜は、部下の魚津に現状を聞く。

 

「えーっと…」

 

魚津は歯切れの悪い雰囲気を出していた。

 

「何か問題でも?」

 

雪菜は魚津に早く話せと言う圧力を遠回しに掛けた。

 

「あの、笑わないで聞いてくださいね…」

 

魚津は、彼女を怒らせるのではと遠慮気味に言う。

 

「この状況で笑っていられるか…とにかく話せ。」

 

「分かりました。」

 

 

魚津は調べた内容を話し始めた。

要約するとこのような感じだ。

 

タイムジャッカーとは、かつてテレビで放送されていた仮面ライダーの一つ、仮面ライダージオウに登場する敵組織の事。彼らはアナザーウォッチと呼ばれる時計型のアイテムでライダーの歴史を奪う。

実際、アナザーフォースのレックスもフォースのアナザーウォッチを手にしていた。

 

「なるほど、テレビの中の敵組織を名乗る存在か。」

 

「そして、風香達の居場所は、恐らく『別の時間』ではないでしょうか?」

 

魚津は説明の後に自身の意見を混ぜた。

 

「確かにあり得るな。それにライダーの歴史を奪うのなら、それが関係する時間かもしれないな。」

 

雪菜は、そこから更に推測する。

 

「あり得るとしたら、風香が初めてフォースに変身した日、或いはジョーカー設立日だと…」

 

雪菜は、声に出さなかったが、もっと前なのでは、と思った。

 

雪菜は知っている。私達よりも前に仮面ライダーがいた事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

「レックス、計画は順調のようだな。」

 

夜の街を見下ろす屋上に、冷たい風が過ぎていく。

 

「ああ、貴殿がアナザーウォッチをくれたおかげで。」

 

そう言ってレックスはそこにいる白いスーツの男にアナザーフォースウォッチを見せる。

 

「弟のオームもそろそろ動き出す頃だろう。」

 

「アナザーワード、でしたね。」

 

「我も、行くとしようか…」

 

そう言うとレックスは、風に乗って行ったかのように消えて行った…

 

 

 

「…」

 

白スーツ男は、後ろに人がいることに薄々気づいていた。

 

「…盗み聞きとは、よくないですね。」

 

そう言うと、後ろから男が現れた。黒の上着の内側から緑のインナーが少し見えている。

 

彼の腰には、サバイブバックルがあった。

 

「…仮面ライダーウォーズ、山田康介さん。」

 

その男、山田康介は白スーツ男を見据えていた。

 

「親父が死んだタイミングを好機と見て活動を始めたのか。」

 

「それはそうですよ。彼はタイムマシンすら作ってしまう程の超人だ。警戒に越したことはない。」

 

白スーツ男は、康介に近づく。

 

「良かったですよ。君が父親に匹敵するほどの頭脳をお持ちでないようで。」

 

康介は鼻で笑うと、右手に持っていたウォーズキーを構えた。

 

「そうだな。確かに頭の良さなら劣るが、油断しない方がいい。」

 

そう言うと、変身シークエンスを始めようとした。しかし、男の腰に巻かれているものが目についた瞬間、動きが止まった。

 

彼の腰には、アルファサバイブバックルがあった。

 

「そのベルト…お前もアイツらの仲間か…」

 

「ええ。そうですよ。」

 

[ウォーズキー…][施錠…]

 

白スーツ男は「変身」と呟き、赤黒い牢獄に施錠、そして剣で切り裂くことで異形の姿へとその身を変える。

 

[仮面ノ絶望…仮面ライダーネガ・ウォーズ…]

 

錆びたような色の体、不気味に光る黒の複眼、左胸のマーク、黒く突き出た触覚。まさにネガのウォーズだ…

 

「ネガウォーズ…なんでまた。」

 

康介は既に2回ネガウォーズと敵対し、撃破してきた。今度はもう現れない、そう思った矢先の出来事に動揺を隠せない。

 

「変身者は1人じゃないんですよ。」

 

白スーツ男は、康介に迫る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何、またアナザーフォースが現れた?」

 

連絡を受けた朔弥が声を上げた。どうやらまたアナザーフォースが現れたようだ。

 

「僕達も行きましょう。」

 

「ああ」

 

3人のライダーは、アナザーフォースが暴れている地点に急いで向かった。

 

 

 

 

 

現地では既に何人かの隊員が戦闘に入り、アナザーフォースと共に暴れるホッパーを着実に倒していた。

 

既にライダーに変身していたアーサー達は、隊員達にホッパーを任せアナザーフォースに特攻する。

 

 

前に出たアーサーは剣をアナザーフォースに突き出した。彼はそれをメイスで押さえつけ、右脚で彼女の身体を蹴り上げた。

 

アーサーは、左に転がるが、すぐに体勢を立て直し、迫る。

 

アナザーフォースは、応撃しようと構える。そこを火縄の弾丸とホープの矢が接触、火花を散らす。

 

その攻撃に一瞬揺らぎ、下がるアナザーフォースにアーサーは一太刀入れる。

 

 

「よし、いける!」

 

アーサー、火縄、ホープは必殺技を発動させようと構える。

 

 

しかし、それを後ろから迫る大量の影によって防がれてしまう。

 

 

増援のホッパーだ。

 

「どこから来たんだ…」

 

火縄が、掴みかかってきたホッパー振り払おうと弾丸を頭に撃ち込む。

 

「この数、私達だけで対応できるのか…」

 

アーサーには3体ホッパーが行動を阻止するように迫っている。

 

 

「よそ見していいのか?」

 

その声に3人が注目する。アナザーフォースは地面にメイスを突き刺した。

 

すると周りを巻き込むほどの地割れが発生、3人に絡みついていたホッパーごと吹き飛ばした。

 

 

 

 

 

 

アーサー達は地面に倒れたまま、立てずにいる。

 

「そろそろか…」

 

アナザーフォースはトドメを刺そうと構える。

 

 

その時、ドスンと何かが倒れる音がした。

 

アーサーが顔を上げると、ウォーズが倒れ込んでいた。

 

「ウォーズ…」

 

そう呟いた声が彼に聞こえたのか、反応した。

 

「大丈夫か…お前ら。」

 

更にウォーズの目の前にはかつてフォースと異界の戦士が倒したはずのネガウォーズがアナザーフォースの隣に並んでいた。

 

「こんな所で会うとは奇遇ですね、レックス。」

 

ネガウォーズは余裕そうに言う。

 

「灰田…こいつはなんだ?」

 

レックスは男の名を呼び、ウォーズについて聞く。

 

「裏でコソコソやってたんですよ…私達の計画をかぎつけて。」

 

 

ウォーズが立ち上がろうとするところをネガウォーズは見逃さなかった。銃弾を撃ち込んだ。

 

 

ウォーズが倒れ込んだのを見たアナザーフォースがネガウォーズに聞く。

 

「こいつら、殺すか?」

 

「そうですね、もういいでしょう。」

 

 

アナザーフォースはメイスを構えた。

 

今度こそ終わりだ、そう周りが覚悟した。

 

「間に合ってくれ…」

 

そう誰かが呟いたと同時に、メイスは強大なエネルギーと共に振り下ろされた。

 

 

とてつもないエネルギーを纏った攻撃は、4人のその身に迫った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時、炎の絶壁が攻撃を抑え込んだ。

 

 

最初は、火縄が行ったと思った。しかし、彼は他のライダー達と同様倒れている。

 

その主が誰かはすぐに分かった。

 

炎の絶壁を操るように巨大な斧を持った戦士が立っていた。

 

 

その炎が消えていくと、攻撃をしたアナザーフォースが驚きの表情を浮かべていた。

 

「なんだと…」

 

更に、炎の戦士の隣にいた氷の戦士が、今度は氷柱のようなものを敵に発射させ、隙を作る。

 

 

敵が迫ろうとした時には、ライダー達の姿はなかった。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第51話 ♣︎Q:もう1人のワード

「なんだかんだでここまで来てしまいましたね…」

 

先程の電光掲示板の立っていた場所から、少し離れた空き地に、2人は来ていた。

 

そこから白銀の面積の大きい建造物が見えていた。アトランティスの科学実験場、先程広告で流れていた場所だ。

 

そもそも何故2人がここまで来たのか。それを簡潔に説明すると「白夜総三の元へ行き、敵の目的を探ること」だ。

 

 

そもそもこのタイムジャッカーが介入したのは彼が死してから、それならこの事件の核には白夜総三が関わっているはず、そう考えたからだ。どちらにしろ行く当てのない彼女らがこの時代で頼れるのは彼しかいない。

 

 

しかし…

 

 

「さて、会いに行こう。」

 

風香はとりあえずその建物に入ろうと向かう。

 

「ちょっと待ってください。どうやって入るんですか?」

 

「そんなもの、『白夜総三さんの知り合いなんです。』って言って入ればいいんじゃないの?」

 

「はい分かりましたどうぞ…ってなるわけないですよ。下手すれば警察送りですよ。この時代の博士は僕たちのこと知らないんですから。」

 

「そう言われてもね…どうしようも…」

 

 

その時だった。凄まじい爆発音と共に白銀の建物の手前側から黒煙と炎が現れた。

 

「何事?」

 

風香は一瞬にして脳を切り替え、先程のふざけた雰囲気は消え、煙の立ち登る方を見た。

 

「とりあえず、行ってみましょう!」

 

 

2人は走り出した。

 

 

 

 

その黒煙が上がっているところは、実験場の敷地内にある駐車場だった。数台の車が既に黒焦げになっており、周りの常緑樹や草木にも広がっている。

 

その周りには、ホッパー達が占拠し、火事の様子を見に来た者や火を消そうとする者達に次々と襲いかかっていた。その奥で、それを傍観している男の姿もあった。その男は不気味に笑みを浮かべ、右腕に持っているアナザーウォッチを見た。

 

消火器を持った1人の男にホッパーが近づいていた。

 

ホッパーは、男に掴みかかり、黒くねっとりとした手で男の頭を持とうとしたその時、横から強い衝撃を受け、倒れ込んだ。

 

 

フォースとワードだ。2人は、それぞれ身長くらいある長い武器を構え、人を襲うホッパー達を薙ぎ倒していく。

 

 

ホッパーは無謀な戦いを彼女らに挑むが、身体に触れることすら出来ずに振り払われ、胸を突かれる。

 

又は、足を振り払われ、腹部に棒の先端を打ち付けられる。そうして徐々にホッパーも数を減らし、残ったのはアナザーウォッチを持った男だけになった。

 

「あんたもタイムジャッカーか?」

 

フォースが、男の首元にクローバークローザーを近づける。

 

「そうだ。といえば?」

 

男は余裕そうに聞く。

 

「何故このような事をした?」

 

「お前達をこうする為だよ!」

 

男は、そういうと人間とは思えないような力でフォースを右脚で蹴り上げた。

 

[ワード…]

 

そして、アナザーウォッチを起動させ、自らを怪人態へと姿を変える。

 

右腕にはクワガタムシの顎のような盾があり、胸部や脚部には焼かれた書物のようなものが散りばめられている。盾と矛の形をした眼は、ワードを見つめていた。紫色のアナザーライダー、アナザーワードだ。

 

「俺はタイムジャッカーのオーム。アナザーワードだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、2026年では…

 

 

「とりあえず、全員無事だな。」

 

赤い仮面ライダーが、ウォーズ、アーサー、火縄、ホープを見て言う。そこは先程の現場近くにある林の中だった。

 

「どうやら、間に合ったみたいだな。」

 

ウォーズがそう言い、変身を解いた。他の3人は何のことか分からない。彼らは誰なのか、敵ではないこと以外は全く。

 

「唐突に東京に来てくれって連絡寄越すなよ。」

 

赤いライダーが変身を解くと、高校生くらいの男が姿を現した。厳つい顔と、鍛えられた身体から何か運動系の部活をやっていることは容易に想像できた。

もう1人の青いライダーも変身を解いた。こちらも高校生くらいで女だった。雪のように白く美しい肌に、氷のように透き通った目が特徴的な人だ。

 

アーサー達も警戒の必要はないと変身を解いた。

 

「悪かった。でも、仲間がピンチなら手を貸してくれるだろ?」

 

康介が言う。

 

「こちら2人は、ワード、塾屋ゴンと共に戦い抜いた仮面ライダー達。男の方は片名勝治、グレン。彼女は冬川刹那、コンボだ。」

 

「初めまして。」

 

刹那は、頭を軽く下げた。勝治もよろしく、と流した。

 

「この3人はジョーカーの仮面ライダー。左から劔橋雪菜、アーサー。金剛寺朔弥、火縄。清野心、ホープだ。」

 

 

6人は顔合わせを済ませた。そして、作戦会議を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「はあっ!!」」

 

アナザーワードの右腕の刃がワードの盾に激突。ワードも反撃のために矛をアナザーワードに突き刺す。

 

その攻撃は効果があったのか、矛を無理矢理引き抜き、後ろに下がった。

 

その時、影からフォースがライダーキックを仕掛ける。

 

その稲妻は、敵の顔面に激突。轟音と共にアナザーワードが破裂…

 

「何!」

 

アナザーワードは、右腕の武器の形状を弓に変え、フォースの装甲に放つ。

 

フォースは、その衝撃で地面に倒れる。彼女が顔を上げると、アナザーワードはキックによって曲がった首を、元の位置へ乾いた音と共に治す。

 

「…不気味な奴め!」

 

フォースは立ち上がり、アナザーワードに拳を向け、電撃を纏った右ストレートをぶつける。

 

アナザーワードはそれを手のひらで受け止めた。そして、右腕の盾で彼女の顔面を殴り、回転蹴りをする。

 

「風香さん!」

 

ワードは、左手に剣を持ち、アナザーワードに攻撃を仕掛ける。

 

しかし、これも盾で防がれる。

 

「お前を倒して、力を返してもらう!」

 

剣を防ぐことに気が回っていたアナザーワードに矛を胸に突きつける。

 

しかし、ワードも攻撃する事に夢中で防御を忘れていた。アナザーワードも盾を刃に変え、左腕の盾ごとハサミで切るように剣を一刀両断した。

 

そして、その刃を、そのままワードの首元に近づける。

 

「この刃でお前の首を飛ばしてやる…」

 

その言葉とともに二股の刃が首にかかる。

 

 

その時、ワードの後方から弾丸が数発、解き放たれ、アナザーワードに激突。首にかかろうとしていた刃も外れ、ワードは一安心した。

 

 

「誰だ…」

 

「ここは人間の未来を創る場所だ。破壊が目的なら他所でやってもらう。」

 

ワードの後ろにいたのは、漆黒の戦士、プロトタイプのウォーズだった。

 

ワードはその姿に見覚えがあった。初めて白夜総三と出会った時、彼が纏っていた鎧と同じ者だった。

 

「邪魔か…まぁいい。これで目的の80%は達成した。」

 

そう捨て台詞を吐くと、アナザーワードは塵のように風にのって姿を消した。

 

 

 

プロトウォーズは、変身を解き、人間の姿を見せた。その姿は紛れもなく白夜総三だった…

 

「ありがとう、君達。義理もないここを守ってくれて。」

 

そう言ってワードに手を差し出した。

 

ワードも変身を解き、その手を取った。

 

「あの、貴方が、白夜総三さん…ですよね?」

 

「ああそうだ。」

 

フォースは変身を解くと、「ようやく会えた!」と叫んで地面に寝転んだ。

 

 

 

 

「なるほど、君達は未来から来た仮面ライダーで、敵の狙いが私であると踏んだからここに来た。でも、どうやって会えばいいか分からず途方に暮れていたところで敵の幹部に出くわし、交戦していたと。」

 

白夜総三は、敵かも分からないのに、ここを守ったと言うだけで中に招き入れ、応接室に招き入れた。

 

応接室には、総三と風香、ゴンの3名で総三に向かい合うように風香達は座っていた。

 

彼女達はこの事件についてのここまでの経緯を話した。

 

 

「何か、心当たりはないんですか?」

 

総三はしばらく考え込んだのち、こう口を開いた。

 

「心当たりが多過ぎて、分からん。」

 

その回答に2人は苦笑いした。

 

「まぁ、あり得るとしたら、この武装システムか、時間移動のできるタイムマシン、或いは並行世界への移動が可能となるかもしれない時空移動装置か…でも、後者の2つは時間を移動できる彼らには不必要だろう。だとすればやはり…」

 

「仮面ライダー、ですね。」

 

ゴンは続けて言う。

 

「でも、何か引っかかるんですよね。」

 

「それ私も思った。」

 

風香も違和感は感じていた。

 

「もし、ライダーの歴史を奪うだけなら、この武装システムの歴史を奪えばいいはず。何で僕たちの歴史を予め奪っておくんですかね…」

 

3人は、しばらく考え込んだ。

 

歴史を奪う…それが彼らの目的…プロトタイプのウォーズを奪えばそれでいいのに…

 

ゴンはこの時、ある事に気がついた。

 

彼らが奪うのはライダーの歴史、そしてこのウォーズはまだ仮面ライダーじゃない。つまり…

 

「もしかして、この武装システムを、『仮面ライダー』にすることが目的なのかもしれません。」

 

その思考を口に出すと、2人は彼の方を見た。

 

「具体的に教えてくれないか?」

 

総三は聞く。

 

「彼らタイムジャッカーは、この力が何らかの理由で欲しかった。でも、この力はまだ仮面ライダーではない。だからウォッチで歴史を奪えない。だから、未来仮面ライダーとして戦う僕たちを総三さんに見せて、その武装システムを仮面ライダーと名づけさせる。」

 

「確かに、それならタイムジャッカーがここを狙うのも納得いくな。でも、それなら君達が歴史を奪われる必要はないんじゃないのか?」

 

「それは、私達の弱体化が目的なのかも。それに力も手に入るから一石二鳥…繋がったわね。」

 

総三と風香もゴンの考えに納得の表情をした。

 

「君達は頭の回転が早いね。」

 

総三はゴン達を褒めた。

 

「いや、それ程でも…」

 

風香は頭を掻きながら返答する。貴女のことじゃないよ、と心の中でゴンは呟きながらも、彼に褒められたことが嬉しかったのか少し笑った。

 

 

 

その時だった。扉をノックする音と共に所長と呼ぶ声が聞こえた。

 

「入りたまえ。」

 

そう言うと、扉を開け、研究員の1人が総三の元に駆け寄り、何かを小声で話す。話を聞いた総三の表情は険しいものになっていた。

 

「2人とも、緊急事態だ。」

 

話を聞き終えた総三が2人を見る。

 

「何か、あったんですか?」

 

風香が聞く。

 

 

「どうやら、先程の男がここに乗り込んできたらしい。」

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最終回 ♣︎K:黎明の空

その男は、大群のホッパーを引き連れ、実験場の敷地を徐々に進行していく。車や草木を消し去り、道を黒く覆っていく。

 

 

そこへ、彼を狙うように弾丸が放たれる。

 

その先にいたのは、白夜総三と黒羽風香、塾屋ゴンだった。総三は銃を構えこちらを見ている。

 

「前に言ったよな。破壊が目的なら、他所でやれって。」

 

総三はそうオームに突きつける。

 

「ここの物をいくつか破壊したことは詫びよう。でも、更に抵抗を続けるなら、更なる制裁をかける。それを忘れないでもらいたい。」

 

 

そう言って彼はアナザーワードに変身した。

 

3人も続けて鎧を身に纏った。

 

アナザーワードは、右腕を上げた。矢を放つ、そう3人は身構えた。しかし、その手にはブランクウォッチが握られていた。

 

「これを押せば、完了だ。」

 

彼はスイッチを押し込み、ウォッチを起動させた。

 

「何で…まだライダーになってないはず…」

 

風香が、そう言った。

 

「口ではそうだ。でも、彼の頭の中では、既に仮面ライダーなんだよ。そのシステムは。」

 

アナザーワードの言葉が図星だったのか、プロトウォーズは動揺する。彼は言葉を続ける。

 

「お前達仮面ライダーと出会った事で、その戦闘システムを『仮面ライダー』と名づける事を決定付けた。」

 

アナザーワードはウォッチを見た。

 

「だが、生成に少し時間がかかりそうだ。時間を稼ぐぞ。」

 

そう言うと、ホッパー達が一斉にライダー達に襲いかかる。

 

フォースとプロトウォーズは、少しずつ薄れていく力を制御しながらホッパー達を次々と抑えていく。

 

そんな中、ワードは1人ホッパーの大群をかき分け、アナザーワードに迫る。

 

アナザーワードに矛を突き刺すように構え、一瞬にして喉元に迫る。

 

「そのウォッチを渡せ!!」

 

ワードは、今までの中で一番力強く叫び、アナザーワードを突き倒す。

 

「嫌だね!」

 

アナザーワードも盾でその攻撃を防ぎ、すぐさま刃に切り替え応戦する。

 

「何故こだわる…これを奪えば、あんたは普通の高校生になり、こんな命かける必要なんてなんだよ。」

 

そう戦意を削ぐような言い方をアナザーワードはする。

 

「確かに、その方が楽だし、命を危険に晒す必要はない。」

 

ワードは、アナザーワードを払い除けた。

 

「でも、仮面ライダーワードにならなかったら…俺は、沢山の人を犠牲にする事になる。その沢山の人を守る力を、俺は手放したくない!」

 

 

ワードは、アナザーワードの目を見た。

 

「その力だけじゃない…フォースも、総三さんの武装システムも人を守るためのものだ。それを己の欲望のためだけに使わせない!」

 

その時、アナザーワードからいくつもの粒子状の光が、ワードに向かって流れ始めた。そして、ワードが持っていた他の3種類のコアの力が光輝き蘇り始めた。

 

「何…力が、奪われている…」

 

アナザーワードは立ち上がりながら狼狽する。

 

「奪われているんじゃない…元に戻ろうとしているんだ!!」

 

ワードは、光芒コアを取り出し、モードチェンジし、ベルトに装填した。

 

「光・変身!」

 

その掛け声とともに、体色が紫から金に変化し始めた。

 

[光芒の如く輝くワード、光芒!]

 

 

光輝くその身体を持つ仮面ライダーワード、光芒の形だ。

 

「はあっ!!」

 

ワードは一瞬にしてアナザーワードと距離を詰め、腹部に連続パンチを繰り出す。

 

 

その攻撃に、アナザーワードが倒れる。

 

「仮面ライダーワードの力を思い知れ!」

 

ワードは、弓を構えた。そして、跳速コアを取り付ける。

 

[放つ!撃つ!捕らえる!][百烈掃射!]

 

無数の緑の矢が、アナザーワードに次々とヒットする。

 

更に、白夜総三に修復してもらった剣を取り出し、今度は剛力コアを装填する。

 

[刻む!喰らえ!滅多斬り!][一撃斬剣!]

 

剛力コアの力で巨大な剣に変化した刃を振り下ろす。

 

 

アナザーワードは猛攻をなんとか耐え凌ぎ、ふらふらになりながらも立ち上がった。そして、ワードがいた方向を見る。

 

しかし、彼がワードを見ようとしたときには、ワードは空中に飛び上がり、最後の必殺技を発動させていた。

 

[スパーキングダイナマイト!]

 

右脚に神々しい光を纏ったワードが、アナザーワード目掛け一直線で迫る。

 

アナザーワードは、盾を覆うように出すが、本物の光の前に無力化され、砕かれた。そして蹴りは、アナザーワードの深部を破壊、爆散させた。

 

その爆発に合わせ、他の2人もホッパー達を一掃し、敵を全て討ち果たした。

 

爆炎の中から、アナザーワードウォッチが転がっていった。しかし、それは瞬く間に砕け散った。それは彼に勝利したことを示していた。

 

 

「我が弟よ、惜しかったな。」

 

その時、爆炎の中から声が聞こえた。

 

その炎が消え去っていくと、中にオームの遺体を抱えるレックスの姿があった。

 

「目的は達成できなかったか…だがいい、目的を最終段階へ移行する。」

 

 

そう言うと、彼はワープホールを生成し、その中へと入っていく。

 

「待て!」

 

フォースとワードは彼を追いかけるようにワープホールに入ろうとする。

 

「2人とも!」

 

その2人に、総三は声をかけた。その声に2人は振り向く。

 

「未来を任せた。」

 

その言葉に、2人はうんと頷き、ワープホールの中へと入っていった。

 

 

その光景を、総三は、好奇心に満ちた瞳で見届けた。

 

「未来がどうなるか、楽しみだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待て!!!!」

 

 

フォース達はレックスを追い、現代に帰還した。

 

2人がワープホールから脱出すると、ホールはすぐ何もなかったかのように消えてしまった。

 

 

2人が出た場所は、見覚えのない場所だった。教会のようなその室内にあるステンドグラスからは月光がひっそりとした光で中を照らしていた。

 

レックスは、祭壇にオームの亡骸を寝かしつけた。

 

そして、彼は右腕に何かを装着した。それは風香にとって見覚えのあるものだった。かつて土野…赤空が使っていたものと同じものだ。

 

「それを使って何をする気だ!」

 

フォースとワードはレックスを見る。

 

「…赤空直也。彼のECは、我らに夢を見せてくれた。」

 

レックスは、突然赤空直也の話を始めた。

 

「人間を進化させる。その考えに賛同した我らは実際に改造を受け、ECになった。」

 

EC、エクストリームクリーチャーの略、フォースの前に何度も立ち塞がった人を超越した生物。そして、レックスとオームもまたECであった。

 

「人間に未来をもたらす発明、しかし、それはお前たちのせいで消え失せた。だから決めたのだよ、この世界のライダーを全て消し去ると。」

 

レックスは、感情に任せた声で2人に話す。

 

そして、後ろからネガウォーズの変身者の男が現れた。

 

「我はある日協力を持ちかけた灰谷建世にウォッチと時空移動の方法を教わり、この計画を立て、実行した。」

 

灰谷は、フォースとワードの間を通り抜け、レックスの隣に立つ。

 

「あまりペラペラ喋ると、面倒な事になりますよ。」

 

そう灰谷はレックスを抑えた。

 

すると、レックスは始めようと言う言葉で、右腕の装着を起動させる。

 

「やめろ!」

 

ワードが止めようと前に出るが、ネガウォーズに変身した灰谷に押さえつけられる。

 

「…ECの力は、我々が受け継ぐ!」

 

「…変進…」

 

すると、レックスの身体に、意思を持ったかのように動き始めたオームの身体が覆い被さり、新たな『進化』を産み出した…

 

 

金と紫が、絡み合うように混ざり合い、それらが地層のように積み重なり、人型の異形の怪物へと姿を変える。

狼を思わせる双肩は、伝説の神獣、『オルトロス』を彷彿とさせるものだ。不気味に隆起する顔で、フォースを見つめている。

 

オルトロスEC、彼は、フォースに近づく。

 

「フォースよ…あの世へ行くといい!!」

 

右腕の5本の鉤爪をフォースに突き刺そうとしたその時、何かが彼の身体を突き抜ける。

 

「そのようなことはさせない。」

 

後ろには、アーサーが血振りをして立っていた。

 

その衝撃で、オルトロスECはアナザーフォースウォッチを空中に飛ばしてしまった。

 

それを火縄が放つ弾丸とホープが放つ矢が貫き、ウォッチを完膚なきまでに破壊した。

 

「なんだと…」

 

 

更に、ワードを押さえつけていたネガウォーズの後ろから、グレンとコンボがワードを助けるために押し倒した。

 

 

「雪菜さん、朔弥さん、心!」

 

「待たせた。」

 

風香の3人を呼ぶ声に朔弥が反応する。

 

「勝治、刹那!」

 

「大丈夫でしたか?」

 

倒れていたゴンに刹那が手を伸ばす。

 

「何故ここがわかった!」

 

オルトロスECは叫んだ。

 

「生憎、ジョーカーのライダーには全員GPSが付いている。だから、この時代なら、そいつが死んでない限り場所は必ず分かるんだよ。」

 

そう説明しながら入ってきたのは、康介だった。

 

「…貴様ら!!」

 

オルトロスECは、遠吠えのように叫び、戦闘態勢を取った。

 

「レックス、お前達の悪行、絶対に止める!!!!」

 

 

完全に力を取り戻したフォースはユナイトドライバーを構えた。

 

「ゴン、これを。」

 

刹那が渡したのは、天下コアと無双コアだった。

 

「ありがとう。」

 

康介達他のライダーも、強化アイテムを次々と装着する。

 

「天下「大変身!!!」」」

 

 

変身の掛け声と共に、ライダー達は次々と強化されていく。

 

アーサー2nd、火縄弐、守護の形、天下無双の形、ウォーズ・ノヴァ、フォースⅢ’。更にグレンとホープが彼らの隣に並び立つ。

 

 

今ここに、8人の仮面ライダーが集結した。

 

「こうなったら…!」

 

オルトロスECは、何かカプセルのような物を取り出し、それを地面にばら撒いた。すると、みるみると3体のECが生成される。イーグル、ライオン、ディアーの3体だ。

 

 

「全員ここで叩き潰す!!」

 

 

オルトロスECらは一斉にライダー達に迫る。ライダー達も武器を構え、攻め立てる。

 

 

 

 

 

 

崖のような場所に出た火縄とグレンは、ディアーECを炎の如き勇猛に襲いかかる。

 

火縄はライダーバスターとダイヤリボルバーの二丁をディアーの胸元に突きつけ、炎を連続発射する。

 

その炎で焼かれ、身動きが取れないディアーにグレンが斧の重い一撃を叩き込む。

 

「グレン、準備はいいか?」

 

「勿論だ、火縄!」

 

火縄は、ライダーバスターとダイヤリボルバーを合体させた。

 

[Buster!]dia direct!]

 

[バーニングアタックMAX!]

 

火縄は、炎の大砲をディアーに連続して放つ。そして、グレンはそこへ炎のライダーキックを叩き込む。

 

2人の必殺技で、ディアーは爆散した。 

 

 

 

 

 

一方、森へ出たイーグルとライオンは、アーサー、ホープ、コンボの猛撃に反撃すらできていない。

 

攻撃が止まった隙を見て、イーグルとライオンは2人の力を合わせた竜巻を起こす。

 

しかし、それはコンボの大盾で無力化される。更に、ホープが放つ矢に次々と射止められ、地面に倒れる。

 

「紛い物のECが…本物と戦った私達には勝てないのよ!」

 

アーサーは、ライダーバスターとスペードブレイドで、2体を連続で斬り裂いていく。

 

 

「これで終わりにしましょう。」

 

コンボは剣を構えた。

 

「連携していきましょう!」

 

ホープも弓を構える。

 

アーサーはライダーバスターとスペードブレイドを合体させる。

 

[hurt hard!]

 

ホープの矢の雨が、イーグル達に降り注ぐ。

 

[ガーディングストリームMAX!]

 

[Buster!]spade strike!]

 

コンボはライオン、アーサーはイーグルにそれぞれ、連続斬りをし、2体を爆散させた。

 

 

 

 

 

 

ネガウォーズは、ウォーズ・ノヴァと剣を交わらせていた。

 

「こんな所で、私は負けられない!」

 

ネガウォーズは剣を払い除けた。

 

「そんなこと、知ったこっちゃない!むしろ、今まで散々俺たちを利用してくれたな…灰谷、いや、財団X!」

 

ウォーズ・ノヴァは、ベルトのつまみを回転させた。

 

[NOVA reopen!][WAR-Z drop NOVA!]

 

「お前の運命は、俺の手の上だ!」

 

ウォーズ・ノヴァは、剣を振りかざそうとするネガウォーズに、カウンターキックを放つ。

 

ネガウォーズは大量のエネルギーによって内部から崩壊、爆散した。

 

「もう二度と、俺の前に現れるな。」

 

 

 

 

オルトロスECは、フォースとワードの攻撃を耐え抜きながら、次々と反撃する。

 

フォースとワードはその攻撃により、中々決め手となる攻撃ができない。

 

「我々が、あの人の意思を受け継ぐんだ!!」

 

オルトロスECは叫んだ。

 

「それは違う。」

 

風香は、それを否定した。

 

「彼は、道を誤った。でも、最期は私達を認めた。そのような方法もあると。今あんたがやってるのは、その意思に反している!」

 

「嘘だ…そんな話、あるわけない!!」

 

オルトロスECは、双肩の狼からエネルギー弾を出す。力を制御できないのか、半分自暴自棄になっている。

 

[大回転!][ブライティングスラッシュ!]

 

ワードは、剣を装備、必殺技を発動させ、オルトロスECの暴走を一瞬止めさせる。

 

「風香さん、決めましょう!!」

 

「ゴン、行こう!」

 

[グレイトライダーキック!]

 

[Utopia crush!]

 

2人のライダーキックは、オルトロスECの胸部に激突する。

 

「負けるのか…この力は、また…!!」

 

オルトロスECは、振り絞りながらそう呟いた。

 

 

「たとえまた蘇っても、私が…私達が絶対に倒す!!」

 

風香は、それに答える。

 

オルトロスECの叫び声は、教会中に響き渡る。

 

爆発、四散した彼は、跡形もなく消え去った。

 

 

 

 

「終わりましたね。風香さん。」

 

ゴンは変身を解き、風香を見た。

 

「そうね、ゴン君。」

 

しばらく、静寂が流れた。太陽が徐々に顔を出し、ステンドグラスを照らし始めた。

 

「あのさ、」「あの…」

 

その時、2人の言葉が重なった。

 

2人とも互いに譲り合っていたが、先に折れた風香が、「じゃあ…」と話し始めた。

 

「私ね、ゴン君に伝えれてないことがあるの。」

 

「それは…」

 

ゴンは聞く。

 

「…私、」

 

風香は力を振り絞り、覚悟を決めた。

 

「私、貴方のことが好きになってしまったの。私にあの時、他人なのに真正面から向き合ってくれた貴方が…」

 

風香は、ゴンの反応を待った。

 

ゴンは、少し気まずい顔をしてこう答えた。

 

「まさか、先を越されるなんて思ってなかったです…」

 

風香は、その答えが何を示すか、直ぐに分かった。

 

「俺も、風香さんのこと、好きです。」

 

そうゴンは言った。

 

「…ありがとう。」

 

風香は、今まで見せたことのない笑顔でその告白を受けた。

 

 

 

 

 

 

 

END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「父さんが言っていた場所はここか…」

 

白夜総三の葬儀が終わってから数日、山田康介は、彼の遺言にあった場所に着いた。そこはジョーカーの運営するマンションだった。

 

その3階にある1番奥の部屋に彼は着いた。

 

表札には、「逢坂」と書かれていた。

 

彼は、チャイムを鳴らそうとボタンを押そうとした。

 

「あの、私に何か用事ですか?」

 

その時、後ろから高校生が声をかけた。

 

その声に、康介は振り向いた。

 

 

 

 

彼らはまだ知らなかった。世界の終わりを示す時刻が、徐々に頂点に達しようとしていることを…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆さんこんにちは、津上幻夢です。

大変長らくお待たせして申し訳ないです。仮面ライダーフォース、最終回を無事、迎えることのできました。
この4話はフォースの最終章であると同時にワードの最終章でもあります。同じ時代に戦った彼女達が交わり、強大な敵を倒す。そして、最後に2人はそれぞれ想いを伝え合う。

そして、最後に康介が向かった場所、それは今並行して書いているあのライダーですね。彼女と康介はどのような関係があるのか。是非お楽しみに。

今回登場した仮面ライダーウォーズ、及びフォースの続編に当たる仮面伝説の終わりは来月以降、再び投稿再開します。

それでは皆さん、これからもよろしくお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Joker Story
Joker Story 仮面ライダー火縄


ジョーカー、それはデュアルクリーチャー(DC)など人類を脅かす敵と戦う組織。そこには4人の仮面ライダーがいる。フォース、アーサー、火縄、そしてホープ。彼女達は、それぞれの力を駆使して戦ってきた。
エクストリームクリーチャー(EC)と呼ばれる人体改造を受けた人間が変身する敵も現れ、戦いは徐々に激化していく。そんな中で起きたある事件について話をしよう。





「一沙さん、朔弥さんが来ましたよ。」

 

俺…金剛寺朔弥はこの日、谷川一沙に呼ばれ研究室に来ていた。

 

「金剛寺君、わざわざ悪いね。」

 

「いえ、構いませんが。それより、今日はどのような用件で?」

 

彼女は、俺が来たや否や別室へと案内した。

鉄製の扉を開けた先には、よく創作であるような巨大なロボットの格納庫があった。そして、そこにあったのは一台のロボット[フレイムファイター]、俺のマシンだった。しかし、左腕が外され、様々なコードがパソコンに繋がれていた。

 

「…俺のマシンが…これは?」疑問に思った俺は聞いた。

 

「この前、重役会議で巨大ロボ系統への投資を終了するってなったでしょ。でも、このまま処分するのも勿体無いから私達研究部で引き取ったのよ。そして、この強大なパワーをライダーに凝縮できないか調べているのよ。」一沙は説明を終えて、凄いでしょ?と言っているかのような顔をした。

 

「そうだったのか…」俺は、再びフレイムファイターを見上げた。

 

そもそも、フレイムファイターは変異して巨大化するDCに対抗する為に作られた物だ。

しかし、今はDCの巨大化はバージョンアップしたライダーで対応できるし、更に強力なECとの戦いも避けられなくなる。折角捨てられるならこうやって有効活用される方がコイツの為にもなるんだろうな、と心の中で思った。

 

 

 

「新たなEC?」総三は、飲んでいたコーヒーの手を止めた。

 

その頃、社長室には白夜総三と劔橋雪菜の姿があった。

 

「ええ、まずこれを見てください。」そう言って彼女が見せたのは、どこか工場の監視カメラだった。そこには、黒い翼を生やした明らかに人でないものが写っていた。

 

「これは?」「先日起きた工場火災が起きた現場で確認されたものです。」

 

それは1週間前に起きた出来事だ。東京都心から少し離れは場所に位置していた化学薬品の工場で起きた。夜中、突然火災が発生し工場の殆どを焼いた大きな事故だった。この火災は、工場内の薬品管理の不手際が原因だったとされている。

 

「これは調べる必要がありそうだな。頼めるか?」総三は、彼女を見た。

 

「はい、もちろんそのつもりです。」雪菜は強く頷いた。

 

 

 

 

夜、俺はいつものように社宅へ向かって歩いていた。

 

会社から社宅は少し離れており、歩いて20分くらいかかる。まぁ、通る道にスーパーやらコンビニやら便利な場所が多いから帰宅ついでに買い物なんて事ができるから満足だがな。

 

今日もいつも通り買い物も終えて社宅の目の前に着いた時だった。俺と同い年くらいの女の人が社宅の周りをウロウロしていた。下手すれば不審者と間違えられるくらい。

 

気になった俺は声をかけた。

 

「どうかしましたか?」

 

「あっ、朔弥君久しぶり!覚えてる?」

 

朔弥君?俺を知っているのか?顔を見ただけでは誰なのかさっぱり分からない。

 

「ほら、燈だよ。星野(ほしの)(あかり)、小学校の頃一緒だった。」

 

小学校の頃一緒だったという言葉でようやく思い出した。

 

「燈か…久しぶりだな。」

 

 

 

星野燈は、俺が小学校の頃近所に住んでいた少女だった。名前の通り明るく誰にも好かれるような子だった。人付き合いが苦手な俺にもよく話しかけてきた。

 

「どうしてこんなところに?」

 

「決まってるじゃない、朔弥君に、会いにきたんだよ。」

 

 

 

 

俺は彼女を部屋に入れた。そして、夕食の準備をした。

 

ジョーカーに入ってからは自炊をするようにしていた。と言っても1週間に2、3回程度だ。今日がその自炊の日で良かったと少し思った。

 

俺が玉ねぎを切っているところへ彼女が物珍しそうに見てきた。

 

「私も手伝おうか?」

 

「…ルーの用意をしてくれないか?買い物袋の中に入ってる。」

 

「りょーかーい!」彼女は俺の買い物袋を漁り、ハヤシライスのルーを取り出した。

 

「今日はハヤシライスなんだ。」彼女は子どものような笑顔を見せた。

 

「…そういえば、ハヤシライスが好きだったな。」

 

「覚えててくれたんだ。」

 

「たまたま思い出しただけだ。」俺は玉ねぎを切り終え、冷蔵庫の中から豚肉を取り出した。

 

 

 

こうしてハヤシライスが完成した。本来なら、明日の昼飯用に2人分作っていたのだが、仕方ない。明日の昼は近くのコンビニで買っておこう。

 

「いただきます!」

 

彼女は、スプーンでハヤシライスをすくい上げた。そして、口の中に入れた。

 

「美味しい!」今まで食べた中で1番美味しいみたいな顔を彼女はしていた。

 

「市販のルーを使ってる、そりゃ美味いだろう。」

 

「違うよ。朔弥君が作ったから美味しんだよ。」

俺が作ったからか…ちょっぴりくすぐったくなった。

 

「こんな料理上手くてイケメンなんだから誰にも渡したくないな…」

 

「…そう言うなって。俺は俺のものだ。」俺は冗談だと思ってそうあしらった。しかし、彼女はその言葉で少し不機嫌になった。

 

 

 

その日の夜、彼女は夜遅いから泊まっていくと言い出した。まぁ、流石に21時近く、女を一人で連れ出すわけにはいかないと仕方なく泊めた。明日が休みでよかった。

 

部屋が多いわけでもない為、同じ部屋に布団を二つ敷いて寝た。

 

俺はすぐにウトウトしてしまった。だからはっきり覚えていないが、彼女はすぐ部屋の扉を開けて外に出たような気がした。まぁ、トイレに入ったのだろうと思い特に気にもしなかった。

 

 

 

 

その頃、劔橋雪菜はいつものように帰路についていた。

 

「今日は遅くなってしまったな。」そう早歩きで家に向かっていた。その時だった。突然近くのアパートから炎が上がった。

 

「火事か!」彼女はすぐに携帯を取り出し消防に通報した直後だった。

 

火元の2階の部屋から、黒い鳥人間が姿を見せた。彼女はふとあの防犯カメラに写っていた怪物を思い出した。そして、その鳥人間は特徴が一致していた。

 

その鳥人間は飛び立とうとしていた。

 

「待て!何者だ!」

 

「…八咫烏…かな。もしかして、遊んでくれるの?」八咫烏と名乗った怪物はそういうと彼女の目の前に降り立った。その怪物は、右腕が変異しており、鉄砲の先端の様な筒が付いていた。

 

「ジョーカーだ。この火事は貴様の仕業か?」

 

「お姉さんジョーカーの人なんだ。噂に聞いてるよ。私みたいな怪物を倒してる仮面ライダーの。ねぇ、変身してみてよ!」

 

八咫烏は茶化すかの様に話していく。

 

「…そこまで言うなら変身してやる。そして倒されてもらう!」

 

[change!rider arthur!]

 

アーサーに変身した雪菜は剣を手にした。そして、剣を振り下ろすべく八咫烏に迫る。

 

「そんな攻撃見切れちゃうよ!」八咫烏は迫るアーサーに翼を使い風を起こし地面に倒した。そして右腕の筒から火球を放ち倒れているアーサーにぶつけた。

 

アーサーは、一瞬の出来事に対応できず変身解除してしまった。

 

「今日は疲れちゃったし帰る!」八咫烏はそう言うと夜空へ飛び立った。

 

「待て!…」雪菜は、遠くから聞こえる消防車のサイレンを薄れる意識の中聞き、気を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつけば夢を見ていた。あの日の…家が燃え、親が死んだあの火事を…

 

時々、こうしてみるんだ。あの日の火事のことを、戒めの様に。だが今日は何か違った。誰かがずっと監視している様に感じた。

 

 

それが何か探そうとした。しかし、そうしようとした時、地面が最初からなかったかの様に崩れ落ちた。

 

そうして目が覚めた。全身汗びっしょりだった。隣をふと見た。こんな姿を見られたくないと思った。その不安は、彼女の姿がないことで無くなった。

どうやら彼女は置き手紙だけ残して部屋を出ていた。置き手紙には、

 

[昨日はありがとう、また会えるといいね。]と書かれていた。

 

その置き手紙を読んだ直後、テレビをつけた。

 

[昨日夜、東京都でアパートが1棟全焼しました。火元は不明で、アパートに住む男性1人と連絡が取れていません。消防は、引き続き調査を行っています。]

 

そのアパートを俺は知っていた。この社宅より少し先の西にある小さなアパートだ。

 

すると、そのニュースを見て電話をかけてきたかの様に電話が鳴り響いた。社長からだった。

 

俺はその電話に出た。

 

「もしもし、おはようございます。社長。」

 

『おはよう朔弥君。昨日夜の火事のニュース見たかい?』社長の声は心なしか余裕がない様に感じた。

 

「はい、それが?」

 

『EC絡みの事件だ。雪菜君が負傷している。すぐに来てくれ。』

 

 

 

 

俺がジョーカーに着いた頃には、すでに赤石蓮と真田昌巳の姿があった。2人とも俺の部下だ。

 

「こっちです。」蓮が呼んだ場所はミーティングルームだった。

 

部屋の中には、社長と黒羽風香、清野心、魚津公誠の姿もあった。そして画面には昨晩のアーサーから映された怪物の映像写真があった。

 

「お待たせしました!」

 

「いや、丁度私達も来たところです。」風香が答え、心も頷いた。

 

「それで、劔橋の容体は?」

 

「今病院で治療を受けている。右腕に軽い火傷を負った。」社長はそう言うと、画面に写っている映像について話を始めた。

 

「アーサーから撮られた映像には、八咫烏と名乗るECが確認されている。右腕には、炎を放つ事ができる砲台を装備しており、背面の黒い翼で飛行や風を巻き起こす事ができる。」

 

「八咫烏って、あの神話に出てくる足が3本ある烏のことですよね。」心は自身の博識を述べた。

 

「太陽の化身とも呼ばれていますよね。」蓮が付け加えた。

 

「…名前の通り放つ炎は太陽の様に熱い。現時点で対抗できるのは同じ炎の力を持つ君だけだ、朔弥君。」社長は俺の目を見た。

 

「…やれるだけの事はします。」俺はそう言った。

 

ライダーには元となる属性が割り振られている。例えば俺が変身する火縄は炎。黒羽風香が変身するフォースは雷、劔橋雪菜が変身するアーサーは風、清野心が変身するホープは水。『風』香なのに風じゃない、『雪』菜なのに水や雪じゃないのは言わない約束だ。

そして、その能力をそれぞれの武器や装甲に生かされている。火縄の場合は、強力な火力で敵を撃ち倒す銃だ。また、火縄のスーツは他のライダーよりも耐熱温度が1000℃も高い。まさに火を持って火を制す。

 

 

 

ミーティングを終えた俺は廊下に出た。

 

「金剛寺君、丁度良かった。」その時、谷川一沙が声をかけた。

 

俺は彼女に連れられ前の格納庫まで歩いた。

 

そこには、すでにフレイムファイターの姿はなかった。

 

ちょっと待っててと言って彼女はそう言うと暗証番号で施錠してあるスーツケースを俺に渡した。

 

「これは?」

 

「開けてみて?」彼女に言われた通り『0205』と暗証番号を入力してスーツケースを開いた。

 

その中には、ライダーブレスに似た真紅のアイテムが入っていた。

 

「フレイムフォームへ変身する為のアイテム、フレイムブレスよ。」

 

「これを俺に?」俺は聞いた。てっきり風香や劔橋に渡されるとばかり思っていた。

 

「当然よ。あなたの乗っていたフレイムファイターから作ったのだから。」一沙は、頑張ってと最後に言った。

 

 

 

 

 

それから数日後、俺は帰り道を歩いていた。丁度建設中のマンションの側に差し掛かった頃、後ろから俺を呼ぶ声がした。振り返ると星野燈が立っていた。

 

「また会ったね。」彼女はいつもの笑顔で声をかけた。

 

「ああ、この近くに住んでるのか?」

 

「…うん。」返しがワンテンポ遅かった気がした。

 

「…今日は急いでるんだ。また今度ゆっくり話そうね。」彼女はそう言うとそそくさとその場を後にした。

 

俺は彼女を見送ると再び社宅に向かって歩き始めた。

 

その時だった。突然俺の周りが明るくなった。周りを囲う様に炎が上がっていた。

 

上空を見ると、資料で見たまんまの八咫烏ECの姿があった。

 

「狙い撃ちかよ、変身!」[change!rider HINAWA!]

 

俺は火縄に変身すると、炎から抜け出しダイヤリボルバーを構えた。そして引き金を何度も引き八咫烏を撃ち落とそうとする。

 

連続して放たれる球に八咫烏はバランスを崩して建設中のマンションの敷地内に落下した。俺もそれを追いかけた。

 

八咫烏は、資材置き場に墜落していた。

 

「…まさか……君がライダーだったなんて…」微かにそういった気がした。

 

「八咫烏、ここで倒す!」俺はフレイムブレスを装着した直後だった。

 

「…あなたは誰にも渡さない…何にも縛らせない。」突然訳の分からない事を言った。そして俺は『八咫烏の正体』に気づいた、気づいてしまった…

 

「待って!」俺はそう言った。しかし、八咫烏はそのまま空へと飛んでいった。それもジョーカー本部がある方向へ。

 

「まずい!」俺は全速力で八咫烏を…彼女を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

八咫烏は、ジョーカーの屋上に着陸した。

 

「……君…」

 

八咫烏が下を見上げると、火縄に変身している朔弥がこちらを見ているのに気づいた。

 

「…私を、倒すのかな?」

 

 

 

 

 

 

 

俺は、彼女が屋上にいる事を確認して急いで屋上へ上がった。

話す時間が欲しかったから変身は解いた。

 

 

 

屋上の扉を開けると、そこには彼女がいた。いつもの笑顔に一瞬見えたが、どこか寂しそうな気がした。

 

「…朔弥君。」

 

「燈…お前が八咫烏の正体だったんだな」俺は事実を突きつけた。しかし彼女は答えない。

 

「前のアパート火災も、さっきの襲撃も、たまたま居なかっただけだと思った。でも違うんだろ。どうしてこんな事を?」

 

「…私は貴方が好きだった。私の物にしたかった。だからさっきは攻撃した。ちょっと驚かした隙に攫って閉じ込めようって。仮面ライダーだったなんて予想外だけど。アパート火災は、私が外に出た時に会ったナンパしてきた男に、練習台になってもらおうと思ったの。」

やっぱり、俺が欲しいって言うのは本心だったんだな。

「…工場火災は、何故起こした。」

 

「…あの地下には、私をこの体にした機関の研究室があったの。そこで私は暴走して、あんな事に…」

 

「…なんで、俺がそんなに欲しい。」1番気になっている事を聞いた。

 

「…私が初めて貴方を見た時、一目惚れしたのと同時に、窮屈そうにしていたから。クラスにいる時、騒がしい雰囲気を苦手にしていて。何かに縛られている様な気がして。だからあの日も火を放った。」

 

待った…あの日も?まさか…

 

俺はふとこの前の夢を思い出した。あの火事の日、誰かに監視されている、それは彼女だったのか…そして、それ自体を引き起こしたのもまた…

 

「お前が…お前が犯人だったのか。」

 

「ええ…私は貴方が何かに縛られているのを見たくないから…」

 

しばらく、俺たちは黙った。何を話せばいいのか、このまま倒すのか。そう考えていた。

 

「朔弥君は、今の私をどう思ってるの?」

 

その質問に俺は少し考え、それを口に出した。

 

「…昔は、俺に良くしてくれる友達だと思ってた。でも、今は悪魔にしか見えない。」その言葉に、彼女は何か覚悟を決めたのか、八咫烏の姿に変わった。

 

「そっか…なら、私を倒して。」

 

俺は、都合の良い女だと思ってた。彼女はそう思っていないかもしれないが、勝手に見下し、勝手に欲して暴走して家族を殺した。それがバレた今は倒せだなんて…本当に都合のいい…

 

「…俺は、様々な事に縛られている。だけど、それを窮屈だとは思わない。その縛られた中でも自由に動けるからな。変身!」

 

[The rider is next stage! Hinawa 2nd!]

 

火縄弐に変身した俺は、ライダーバスターガンモードとダイヤリボルバーを手にした。

 

八咫烏ECは夜空に黒い翼を広げると空へと飛んだ。俺も翼を広げ彼女を追いかけた。

 

追いかける途中、両手の銃から次々と弾丸を放つ。しかし、安定しない攻撃を八咫烏は全て回避してこちらを向いた。そして、右腕の大砲から火球を放つ。俺はそれを回避できず、攻撃を喰らってしまった。その勢いでバランスを崩して俺は廃工場に墜落した。

 

 

 

俺が瓦礫をどかして、立ち上がったその目の前に彼女は居た。

 

「貴方の本気は、その程度なの?」

 

「そんな訳…ないだろう。『憎き敵』を前にして、本気を出さない奴なんて居ない。」俺はフレイムブレスを装着した。そして、ベルトにスキャンした。

 

[Check!][Limit Over!HINAWA・Frame Fighter!]

 

俺の周囲に、フレイムファイターを彷彿とさせる鎧が出現した。そして、それらは俺に次々と装着される。脛、脹脛、胸部、腕、肩、そして頭部には、武人の様な兜が上から被さった。兜には『炎』の飾りが施されている。背面には、収納式のキャノンが二つ、両腕にはガトリングが装備された。

これが火縄・火炎将軍( フレイムファイター)か…

 

俺はガトリングを構えた。相手も大砲を構えた。そして、それぞれ引き金を引く。互いの背後に爆発が起きる。俺たちは廃工場を走り、互いの姿が見えたらすぐに引き金を引く。

それを繰り返した。周りが炎の海になるまで。

 

先に止まったのは彼女だった。

 

「このままじゃ決着はつかない。一撃で終わりにしましょう。」

 

そう言うと、彼女は俺の方に砲台を向けエネルギーチャージを始めた。

 

俺は、背面に装着されている二つのキャノンを前に展開してエネルギーチャージを始めた。

 

[Frame direct burst!]

 

チャージし終えたキャノンから赤い閃光が放たれる。

相手の大砲からも太陽の様に輝く炎の帯が放たれる。それらは激突した。

どちらも一歩も譲らない、攻撃を緩めれば負ける。

 

俺は、100%に近い状態を維持しながら耐えた。好機が到来するその瞬間を待って。

 

「…ふっ…」突然、彼女の攻撃の手が緩んだ。

 

「今だ!」俺は俺の全力を彼女に叩き込んだ。

 

 

 

 

赤き閃光が収まったその先には、翼が焼き焦げ、砲台も破壊された八咫烏の姿があった。しかし、それでも立ち上がる力はあった。

 

「まだ、生きていたのか…」

 

「…そうね。私でも驚いてる。」彼女は、そう言うと両手を広げ大の字になった。

 

「もう、終わりだから…私を撃って。」

 

そうか…

 

「言われなくても、分かってる。」俺は、バスターリボルバーを構えた。

 

「さようなら、朔弥君…」

 

「さようなら、燈。」

 

 

 

俺は、その銃の引き金を引いた。

 

 

 

僅か一瞬だ。その弾丸は、彼女の心臓を撃ち抜き、生命活動を停止させた。

 

変わり果てた姿の彼女は、その場に倒れたまま動かなかった。

 

 

俺は彼女の亡骸に近づき、見つめた。

 

その時、本部からの無線がかかってきた。正しく言えば、さっきまで来ても無視していたから、初めて取ったと言った方がいいか。

 

『こちら本部です。先程から戦闘を行なっている様ですが、何かあったのですか?』

 

俺はありのままの事を答えた。

 

「八咫烏ECを確認した為、攻撃しました。八咫烏ECは、撃破しました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この戦いで失った物は沢山あった。俺の親友が死んだこと、数カ所が火事で焼けたこと、そして全力で使い過ぎた為フレイムブレスが破壊してしまった事。これらだけを並べれば、マイナスに思うかもしれない。だが、得た物もある。それはECに対抗するには、二つの力を一つにして戦う事が有効であると。それがのちのフォースⅢに活かされる事となる。またこの事件の後、不思議なことにあの火事の日の夢を見なくなった。全てにかたをつけたからかもしれない。

 

 

彼女はやはり悪魔だと思う。誰かの為なら平気で人の命を奪う。だが、それでも一緒に過ごした日々を忘れようとは思わない。それもまた、大切な物だから…

 

 

 






仮面伝説シリーズ、外伝補完計画…

第二弾、製作中…






目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 10~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。