鉄血神話 (ゆっくり猫大佐)
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プロローグ

おはこんばんにちは!
小説家になろうの方にも投稿しているゆっくり猫大佐と申します。
よろしくお願いしますm(_ _)m


星歴2022年 6月10日 0時20分

ボンゴレ共和国上空

 

『こちらホーク3、目標地点到達まであと10分』

 

『こちらホーク1、了解。 目標地点に到着次第〝犬”を降ろせ』

 

『了解』

 

パイロットは無線を切ると俺に、

 

「おい! 降下まであと10分だ!」

 

と大声で言った。

 

「分かった」

 

俺は腰のホルダーに下げていた二丁の銃を取り出し最終確認を始めた。

隣に座っていた兵士が物珍しげに俺の銃を見ていた。

 

「これがそんなに珍しいか?」

 

そうすると兵士は

 

「いや、よくそんな二世代も前の銃を使って戦えるなと思ってな」

 

俺が持っているのはバレルが普通のハンドガンよりも長く、大きさも1.5倍ほどある銀色の銃だ。 銃にはどこか禍々しいエングレーブが刻まれている。

 

「こいつはいいぞ? 反動はデカイがその分射程は普通のハンドガンより長いし威力に関しては申し分ない。 命中率もそれなりの技術があればなかなかのものだ」

 

「へー、そりゃ凄い」

 

兵士は笑いながら言った。

丁度兵士と話し終わったタイミングでパイロットが

 

「降下1分前だ! 降下準備しとけ!」

 

兵士たちはその言葉を聞いた途端顔つきが変わった。

先ほどの兵士もさっきの笑顔は既になく、とても集中した面持ちをしてきた。

俺も降下に当たって今回の仕事内容を頭の中で整理した。

 

今回の仕事はボンゴレ共和国政府と対立している反政府勢力がこの国第二の都市『ウガンベ』へ侵攻したことにより、戦況が悪くなりこの状況を打開するために都市を解放することが目的だ。

だがこれは表向きの内容なのだ。 本当の依頼である、反政府勢力に雇われているある傭兵の抹殺という任務を秘匿するためのフェイクだ。

 

俺は降下してからの行動などを考えた。

そして降下の時を迎えた。

降下する直前にパイロットは俺に

 

「派手にぶちかましてやれっ!」

 

と言ってきた。

 

「ああ、任せとけ」

 

俺はパイロットにそう言い残し、戦場に降り立った。

 

 

 

 

降りそそぐ雨の音。

鳴り響く銃声。

容赦なく、明確な殺意をもって銃弾を放つ兵士たち。

 

戦場に着くや否や 目の前には地獄絵図が広がっていた。

俺は例の傭兵がいると思われる敵の拠点へと向かった。

周りでは多くの兵士が早速銃撃戦を繰り広げていた。

 

「さて、始めようか」

 

俺は腰にある二丁の銃を抜いて敵へと弾丸を放っていった。

まず、ビルの陰に隠れて交戦している敵にヘッドショットを。

次にジープに乗って機関銃を打っている者に。

 

俺はそのように次から次へと敵を射殺していった。

途中ビルの角で敵と鉢合わせしたが、ナイフで喉笛を掻き切って無力化した。

そして俺は敵が拠点としている自動車工場だった廃工場のおよそ500メートル前までやって来た。

 

今までの兵士たちとは装備の質が明らかに違った。

いかにもここが拠点だと言うような厳重な警備だった。

兵士の数も多くとても侵入が難しそうだ。

 

だがそれも俺じゃなかったらの話だ。

俺はその拠点に向かって走った。

 

俺の姿に気づいた兵士たちは俺に向かって一斉に発砲してきた。

が俺は銃弾をよけ二丁の銃で次々と敵を倒していった。

 

工場の中に入ると外よりも更に警備が厳しかった。

俺は持っていたグレネードなどで敵を殲滅していった。

 

工場内の敵をあらかた倒して残っている敵がいないか注意深く辺りを見回したその時、ただならぬ気配を感じた。

明らかに周囲の兵士とは異なる、何者かの気配。

 

火の手が上がる発動機の陰から一人の女が出てきた。

女は黒く長いマントを身に纏い、どんな武器を所持しているのか分からない。

 

その時だった。

女はマントの中に隠していた銃を俺に発砲してきた。

俺は女が放った銃弾を躱し、女の頭部へと銃弾を放った。

 

「ズドンッ!!」

 

俺の放った弾丸は完全に側頭部を捉えていた。

しかし、女性は視界から消えていた。

 

「なにッ」

 

突然背後に気配を感じ、振り向くとそこには懐かしそうに俺を見つめる女性がいた。

 

「久し振りだな。 アレックス」

 

標的の女だ。

 

「ああ、久し振りだな。 師匠」

 

そう、この女こそ俺の師匠であり、母である伝説の傭兵。

彼女の名はヴェーラ・オブリソーコフ。

裏の社会では世界最強が師匠、その次に強いのが弟子である俺だといわれている。

 

「こうして敵同士として対峙している今、以前のように貴方と接することは出来ない。 私たち傭兵が信じていいものは、国家と任務だけ。 私情を挟むことはない」

 

「師匠、教えてくれ。 どうして別々の道を歩むことになってしまったんだ?」

 

「言ったでしょう。 『任務』だったの」

 

「一体どうして……俺は何が起こっているのか分からないまま貴方を手にかけなければいけない」

 

「任務を信じて、アレックス。 貴方は私を殺さなければならない。 私は貴方を殺さなければならない」

 

「師である貴方がそう言うなら、俺も全力で貴方の息の根を止める」

 

「そう、それが私たちの運命。 貴方には私の全てを教えた。 全力で来い」

 

彼女は、黒いマントを脱ぎ捨てた。

露わになったのは白い、全身タイツのようなスーツ。

スニーキングスーツだ。

 

彼女が使うのは、俺と二人で編み出した近接戦闘術、CQC。

ナイフと素手を使う、確実に相手を殺害、または無力化する戦闘のための技術。

 

俺は着ていた黒いコートを脱ぎ捨て、持っていた二丁の銃をホルダーに戻し胸のホルダーからナイフを引き抜く。

俺が着ているのは黒いスニーキングスーツ。 条件は同じだ。

 

俺と彼女が踏み出したのは同時だった。

お互いの手の内は知っている。

一進一退の攻防が続く。

俺の顔に向かってナイフが突かれそれをいなし、心臓に向かってナイフを突き立てたが……

 

「グハァ……!」

 

次の瞬間師匠のナイフは俺の背中に刺さっていた。

そうこれが師匠の異能、『テレポート』だ。この異能は自分が目視できる範囲内であるならどこにでも瞬間移動する事ができるという異能だ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この世界には"異能"と言う力がある。

それは、常人では決して不可能なことを可能とする能力のことだ。

 

この異能はごく稀なケースで発生する。

先天的に自然に発生することもあれば、何かをきっかけに後天的に現れることもある。

先天的に発生する者は異能者の中では多い方だが、後天的に現れる者はごく少数だ。

 

その珍しい例が俺だ。

二十年前、当時五歳だった俺は祖国の内戦により両親を失った。

 

俺の父親も母親も反政府軍の民兵であり、俺も少年兵として駆り出された。

『死の作戦』と呼ばれる攻撃作戦の中で俺の両親は死んだ。

 

その作戦にも俺は参加していたが作戦は失敗、多くの死傷者も出し、俺も重傷を負った。

作戦に参加して生き残った人は千人の中で数人ほどだった。

 

そして俺は見捨てられた。

俺はその時全身を火傷し激しい痛みに悶えていた。そんな時に当時政府軍に雇われていた師匠に拾われた。

最初師匠に出会った時は殺されると思った。だが、師匠は俺を見ると

 

「いい目をしている。どうだ? 私と一緒に来ないか?」

 

これが俺と師匠の出会いだった。

その後俺は全身の火傷の治療を行った。

 

火傷の治療の中で右腕と左目が使い物にならなくなっていた為切除し、代わりに義手と義眼をつけた。

最初は悪戦苦闘したが半年もしたら日常生活を送れるようになった。

 

そしてちょうど俺が義手と義眼になれた頃に、師匠との修行が始まった。

最初はこんな修行子供にやらせるような物じゃないと思っていたが、1年もしたら修行にも慣れた。

 

そうして師匠と出会ってから3年後俺は異能に目覚めた。

俺の異能は自身のをスピードを加速させるというものだった。

 

一見地味に聞こえるかもしれないが高速で飛んでくる銃弾を避けることのできるほどの速度を出すことができた。

俺はそんな強力な異能があったお陰でここまで強くなれた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

師匠から刺されたナイフは引き抜かれたが、急所をギリギリ外していた。

 

「師匠、俺も強くなった……以前とは違う」

 

俺は今までのスピードと比にならないほどのスピードで師匠との間合いを詰めた。

時の流れが遅く感じる。

これは自身の脳からの命令を通常の10倍の速さで伝達し、自身のスピードを限界まで上げると言うものだ。

 

だがこれには欠点がある。

それは自身の臓器を無理やり通常よりも早く機能させることにより寿命が縮むと言うものだ。

 

以前知り合いの医者に診てもらった時に今度同じことをしたら生きている保証はないと言われた。

だが今になってはどうでも良い師匠は他の誰でもなく俺の手によって殺さなければならないのだ。

 

俺はそのスピードのままナイフを師匠へと突いたが、やはり師匠はテレポートでそれを避けた。

俺はそれでも諦めず師匠に斬り掛かって行った。

 

それからは瞬きをする事すら許されない異次元の戦いが繰り広げられた。

しかし、決着はつかなかった。

 

お互い満身創痍だった。

このまま戦っても勝てる確率はとても低かった。

 

そして俺はある作戦を思いついた。

俺は腰の銃を引き抜き工場のブレイカーを撃った。

 

すると工場の中は暗闇に包まれた。

師匠の異能には目視できる範囲という制約がある。

 

俺はその制約を利用した。

周りが暗闇ならば自分のいる場所すら把握することは難しいはず。

すなわち目視できる範囲が無くなるのだ。

 

そして俺は最後に師匠がいた場所を頼りに師匠へと飛びかかった。

そして俺は師匠を押し倒すことが出来た。

 

そして俺は手榴弾のピンを抜いた。

そしてその数秒後手榴弾は爆発、工場の重油にも引火して工場は吹き飛んだ。

 

かくして俺の人生はこれで終わる……

はずだった。



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目覚め

二話目です!


目が覚めた。

何気なく目を擦る。

 

「ん?」

 

付けていた眼帯は取れていて、両目が見えるようになっていた。

その時、記憶が一気に蘇った。

師匠を殺すための任務に赴き、師匠と死闘を繰り広げたこと。

そして、手榴弾を使って相討ちになったこと。

 

「これでよかったのか、師匠……」

 

俺は立ち上がり、周囲を見渡した。

周りは木々が生い茂る森だった。

森はジャングルの様な熱帯雨林では無く、スギの木に似た木が生えている森だった。

 

「ここはどこだ……?」

 

俺はこんな場所に見覚えはない、俺はまず身体に何か変化が起きていないか確認した。

服や装備は全て無かった。

ふと目に入って驚愕したのが、手の指が鉤爪状になっていたことだ。

次に腕だが、これは明らかにおかしかった。

普通人間は関節との間に繋ぎ目など見えない。

だが俺の腕にはその繋ぎ目がクッキリとあった。

足も人間の足というよりはロボットの様な足になっていた。

そして俺は近くにあった水溜りで自分の顔を確認した。

水溜りに映ったのは人間の顔では無くクチバシの様なものがついたフルフェイスのマスクだった。

これは何世紀も前に使われていた医師用のマスクに似ていた。

その当時はペストという病気の治療を行う際につけていたものだ。

俺はマスクが外れないか後頭部に手を回した。

しかしどれだけ探してもマスクを外すものが見つからなかった。

そんな時に

 

『マ……、マ…ター、…スター』

 

とノイズが掛かった無線で話している男の様な声が聞こえた。

俺はあたりを確認した。

しかしは辺りには誰もいなかった。

するとまた、

 

『マ…ター、マス…、マスター』

 

俺は声に

 

「おい、誰だ?」

 

問いた。

その声は少し沈黙すると

 

『初めまして、私は貴方のスキル「パルトニョール」で御座います。

これからよろしくお願いいたします。』

 

とその声は答えた。

 

「スキル?何だそれは?」

 

『スキルとはこの世界においてある一定の経験を積むなどによって獲得する力で御座います。』

 

「うん?この世界?ここは俺が元いた世界ではないのか?」

 

『はい、マスターは別の世界からこの世界にやって来ました。この身体もこの世界に来てから構築されたものです。』

 

「と言う事は俺は異世界に転生して来たということか」

 

『左様で御座います。』

 

「因みに俺は人間なのか?もし違うなら教えてくれ」

 

『はい、マスターは人間では御座いません。気になるのでしたらご自分でお確かめになっては?』

 

「どうやって調べれば良いんだ?」

 

『目の前にスクリーンを出すイメージをして何か言ってみてください。』

 

俺は前世のコンピューターを想像した。

 

「システムコール」

 

すると目の前に

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前 アレックス=オブリソーコフ

 

種族 魔導生命体オートマタ

 

L v.1 魔素獲得量 0/1000

 

魔術適正=2000

 

スキル

〈一般〉

 

幻惑魔法

 

 

〈種族固有〉

 

剛腕 立体起動

 

〈固有〉

 

双魔銃召喚コールデュアルガンズ

 

相棒パルトニョール

 

強奪

 

〈異能〉

 

超加速アクセル

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

と出て来た。

 

「何だこれは?」

 

『これはステータス画面と言われるものです。この世界はマスターの前世にあったゲームの様にレベルやスキルがある世界です。

レベルが高ければ高いほど筋力や敏捷性などの基本的な能力や魔力量などが上昇します。』

 

「なるほど。で、今の俺の強さはどのくらいなんだ?」

 

『はい、弱いです。』

 

「弱いってそんなんで魔物とかと戦えるのか?」

 

『はい、確かに現在のマスターは弱いです。

現状のマスターは魔物としては下級ほどの強さしかありません。

しかしマスターは強力なスキルと前世での経験があります。

大した知能のない魔物相手ならそう簡単には負けないでしょう。』

 

「分かった。要は現状の俺は弱いが知能の低い魔物ならば倒せると」

 

 

 

 

その後、俺は森の探索を始めた。

どうやらこの付近一帯に人里はないようだ。

こんな容姿だし、ここがどんな世界かまだはっきりと分からない以上、人が多く住む地域に赴くのは得策ではないと思っていたので都合が良かった。

 

周囲を警戒しながら歩いていると突如、地面を突き破って巨大な蛇が現れた。

 

「キシャァァァァァァ!!」

 

でかいな……こいつ、全長20mは軽くあるぞ。

 

『マスター、「コールデュアルガンズ」と唱えてみて下さい。』

 

「わかった、『コールデュアルガンズ』」

 

すると目の前に、二丁の黒い自動拳銃が出現した。

とても銃身が長く、重厚でありながらもどこか気品を感じさせる銃だ。

 

「これでも食らいやがれ!」

 

俺は銃を手に取り、前世の傭兵としての経験を駆使して大蛇の両目を速射で撃ち抜いた。

 

「キシャァァァァァァッ!?」

 

続けて、大蛇が苦痛に悶えて大きく開いた口に、弾丸をぶち込んだ。

それが留めの一撃になったのか、蛇は地響きを起こしながら倒れて動かなくなった。

 

「まぁなんとか倒したけど地面からの攻撃は瞬発力に頼るしかないな……」

 

そんな事を考えていた時。

 

《経験値を獲得しました。アレックス=オブリソーコフのLvが2に上がりました。魔素獲得量が500に上がりました》

 

「レベルが上がったみたいだな、『システムコール』」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前 アレックス=オブリソーコフ

 

種族 魔導生命体オートマタ

 

L v.2 魔素獲得量 500/1000

 

魔術適正=2000

 

スキル

〈一般〉

 

幻惑魔法

 

 

〈種族固有〉

 

剛腕 立体起動

 

〈固有〉

 

双魔銃召喚コールデュアルガンズ

 

相棒パルトニョール

 

強奪

 

〈異能〉

 

超加速アクセル

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

レベルが上がったことで魔素量が増加したようだ。

というかスキルの効果がよく分からないし、どうやって発動すればいいかも分からない。

 

『スキルは〈一般〉の『幻惑魔法』は念じれば発動できます。分身体による撹乱、認識阻害、思考誘導などが使用できます。〈種族固有〉の『剛腕』は戦闘時に自動的に発動、筋力を向上させます。効果はレベルに応じて上がっていきます。『立体起動』は、身体を動かしやすいように自動調整し、アクロバットな戦闘を可能とします。これも戦闘時、自動的に発動します。〈固有〉の『双魔銃召喚』は特定の詠唱で魔導自動式拳銃を二丁召喚するものです。『相棒』は私、パルトニョールです。高速演算、思考補助、術式最適化、能力分析・最適化、物質鑑定・解析などが主な能力です。『強奪』は対象となる生物の魂を吸収、そのスキルを奪い取るものです。〈異能〉の『超加速アクセル』は詠唱により発動し、一時的に身体性能を大幅に上げ、超音速で動くことが可能となります。ただし、限界を超えた身体強化によって度重なる使用は身体に損傷を与えます。適度に使用するように心がけて下さい。以上がスキルの発動方法と効果となります。』

 

思ったより便利なスキルが多いようだ。パルトニョールなんかすごく役に立ってくれそうだ。ただ、アクセルだけは奥の手にしておく必要があるな……

 

「よし、今後何が起こるか分からないし、この調子でレベル上げしとくか……っと、この銃を仕舞うにはどうすればいいんだ?」

 

『「ストレージ」と唱えれば収納されます。』

 

随分便利なもんだな。

 

「ストレージ」

 

手に持っていた二丁の拳銃が跡形もなく消えた。

 

 

 

 

 

 

 

それから俺は、引き続き森の中を探索し、魔物に出会っては討伐する事を繰り返していた。

気が付けば木々の間から見える空は橙色の夕陽に染まっていた。

 

俺は、完全に陽が沈む前に今夜の寝床を探すために歩いた。

洞窟などがあれば良いが、最悪は木の上で眠れば良い。

暫く歩くと運良く丁度良さそうな洞窟を見つけた。

巨大な岩の割れ目になっており、多少の湿り気はあるものの快適に夜を明かせそうだ。

近くには魔物の気配もなく、今日はここを寝床にすることに決めた。

寝る前に俺は日中のレベル上げの成果を確認しておこう。

 

「システムコール」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前 アレックス=オブリソーコフ

 

種族 魔導生命体オートマタ

 

L v10 魔素獲得力 1000/1000

 

魔法適正=2000

 

スキル

〈一般〉

 

幻惑魔法 短刀術

 

〈種族固有〉

 

剛腕 立体起動

 

〈固有〉

 

双魔銃召喚コールデュアルガンズ

 

相棒パルトニョール

 

強奪

 

〈異能〉

 

超加速アクセル

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

レベルは10まで上がり、一般のスキルは『短刀術』が増えていた。

これはレベル上げの途中に倒したゴブリンたちが持っていたスキルだ。

ある程度の知性はあるようで集団で襲ってきたが、纏まりがあまりなかったために容易く一掃できた。

俺の『強奪』は殺した相手から好きなスキルを選んで取得出来るようだ。

実用性のないスキルばかりだと思ったらこの短刀術があったので有り難く頂戴したのだ。

 

また、日中にパルトニョールにこの世界の文明レベルを聞いたところ、前世の中世ほどだと言う。

しかし火薬などは発明されてないようだ。

もちろん銃は開発されておらず、銃を使う場面は選ぶ必要があるかもしれない。

人間は未知を恐れる生物だからだ。

もし、俺の正体が魔物とバレて異端審問でもかけられたらかなり面倒だ。

そのための自己防衛措置としても短刀術を選んだのだ。

そして今気づいたが魔素獲得力が最大値にまで上がっていた。

 

「おいパルトニョール、魔素獲得力が上がってるのだがこれはなんだ?」

 

『魔素獲得力とは魔物が魔物を倒した際に獲得するものです。魔素とは魔物の体内にある魔力の様なものです。

魔物はその魔素を一定量獲得すると種族進化をすることが出来ます。』

 

「という事は俺も進化するということか?何に進化するんだ?」

 

『マスターも進化すると思われます。ただしどの様に進化するのかは個体差があるため、私にも分かりません。』

 

「そうか……まぁ強くなるとするなら得したって考えればいいよな」

 

進化のことを考えて多少の期待感に身を任せ、その日は眠りについた。



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