枯れた男は何を見る? (グラ〜暴食〜)
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第1話 枯れている男
大野 利文おおの としふみ
転生しだが、お爺ちゃんみたいな性格のためもはや老後の延長のような生き方。趣味は知っているアニソンを引くこと。
美竹 蘭
利文の従兄妹。利文のまえだと割と雰囲気が柔らかい。
第1話 枯れている男
自分は俗世に何を見るのだろう?少し賢そうに言っているが、俗世に興味がないわけではない。ただし、周りのように強く渇望するものがないのだ。周りに認められたいとSNSで自己顕示欲を満たしたりしないし、誰よりも上でいなくては気が済まないというナルシストでもない。人にある欲求の強さが他人と比べると明らかに少ないのだ。なので、することが家の縁側でお茶を啜りながらの日向ぼっこぐらいしかない。これを数少ない友人である従兄妹に言ったところ、
「うちのお父さんもお爺ちゃんぽいけど、あんたは本物のお爺ちゃんみたいだね」
と、言われてしまった。まぁ、自覚があるからダメージは少ない。しかし、それは仕方ないことなのかもしれない。自分は、俗に言う転生者であるが、ただの一般人に過ぎない。凄い力を持っていたわけではない、元から凄かった訳でもない、そんな人間。なんでこんなに枯れているかというのもこれが理由でもある。前世で、童貞を卒業してからというもの、人間の三大欲求の睡眠欲以外が全部削ぎ落とされたのではないかと思うくらいになってしまった。そんな自分に周りが付けた渾名は「仙人」。そんな自分でも、興味を少し引き立てられるものがあった。
音楽である。
前世で言うアニソンはこちらの世界には無いものである。この時は、少し悲しく思った。日本が世界に誇れるものであったアニメが存在していない。こちらの世界で初めて聞いていいと思った曲もあるが、前世のアニソンの曲達の方が、しっくりくるので基本的にそれを引いている。ちなみに演奏する楽器は、アコギかエレキを変わりがわり弾いている。だがどちらかといえば歌う方が好きだ。前世は音痴で声が低すぎるという最悪な声だったが、今は少し平均より高いぐらいで、色々な曲が歌えて嬉しいばかりだ。こればかりは生まれ変わらせてくれた神様に感謝する。今日は、この曲にしよう。
『僕らの合言葉』
「その小さな体で〜君は僕を励ます〜」
この曲は、地球を侵略しにきた5人の小隊のアニメのエンディングである。これを歌うと、少し絆というものが羨ましく思えてくる。
「遠く離れていても〜心はひとつ〜」
「やはりいい物だな音楽は、こんな自分でも思わず心が高鳴ってしまうな」
少しばかりではあるが。すると、
「相変わらず上手いね。で、なんで正座して縁側で日向ぼっこしながら引いてるの?」
と、声がした方を向いて、
「ここでないと落ち着かないのだよ蘭。君こそ、どうしたのだよ」
従兄妹の蘭が来るのは珍しいとまでは行かなくても、あまりなかったはずだ。数年前に、幼馴染とクラスが違かったとは泣きついてきたことがあったが、突然来たのはその時ぐらいだ。はて?何かあったのかな?
「少し様子を見てきてってお父さんに言われてさ、両親今いないんでしょ?」
たしかに今自分の両親は、結婚記念日で一ヶ月ほど溜まりに溜まった有給を使って、バカンス中だ。
「そこまで、心配するほどなのか?自賛ではないが家事はできるぞ」
「て言って、前回同じ状況でご飯を食べないで倒れかけていたのは誰だった?」
「むぅ...」
そこを突かれると痛い。自分は、睡眠欲以外はそこまでないため、食事を疎かにし過ぎたのだ。結果、縁側で倒れていた。蘭に助けられた時の状況を説明すると、
「いくらお爺ちゃんぽくても、死に方も老衰ぽくなくても」
と、言われてしまった。
「だから、一ヶ月はうちで過ごすんだってさ利文は」
「自分は何も聞いていないのだよ?」
「叔母さんが頼んできたようちに」
「はぁ〜何故そんな重要な事を自分に言わないのだよ両親は」
「お世話になります」
「遠慮はしないでくれ利文君。さ、お茶でも飲みながら将棋でも、」
「では、一局」
「なんで歳が離れてんのに息が合うの?」
自分が、年寄りくさいからさ。
あれから、蘭の家でお世話になることになり普段となんら変わりない生活をしていた。
「あれ〜、蘭の家に男の人がいる〜」
「「「え?」」」
君たちは誰だね?
はやくも、厄介ごとになったかもしれない。
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第2話 最早お爺ちゃん
第2話 最早お爺ちゃん
あの日から一週間が過ぎた。その間、蘭のお父さんである玄三さんと将棋をしたり、日向ぼっこしたりと、2人でお爺ちゃんライフを楽しんでいた。しかし、今日は華道の会合とかで1日いないらしい。そんなこの頃。
「あなた誰ですか〜、あ、私はモカちゃんって言いまーす。」
「あぁ、ご丁寧にどうもなのだよ。自分は、蘭の従兄妹の大野利文と言う。」
「「「「はぁ...ご丁寧にどうも...」」」」
?何故みなさんは困惑していらっしゃる?
「利文。それじゃ硬すぎるよ、ただでさえ顔の幼さと雰囲気あってないんだから。」
「む、失礼な。蘭より歳上なのだよ自分は」
「「「「え?」」」」
そんな!?自分はそんなに歳上に見えないのか!?
「まぁ、取り敢えずこの4人は私の友達。遊びに来たの」
「あ、上原ひまりって言います!」
「宇田川巴です。」
「あ、は、羽沢つぐみです!」
「モカちゃんでーす」
「そうだったのか、自分の家ではないがどうぞゆっくりしていってくれ。」
「利文」
「なんだい蘭?」
「私たちリビングで遊ぶけどいい?」
「構わないのだよ、リビングは基本自分は使わないからな。何か、あったらいつものとこにいるのだよ」
「わかった」
さてと、ご挨拶できたし、縁側でお茶でも飲みますかな
「ねぇ、蘭あの人って本当に従兄妹なの?」
「うん。そうだけど、どうして?」
「なんか、ものすごく歳上に感じてね...」
「お爺ちゃんみたいでしたな〜」
「モカちゃん!」
「まぁ、たしかにお爺ちゃんぽかったな」
「巴ちゃんまで!」
利文...そりゃあ、あんな自己紹介されたらお爺ちゃんに感じるよね。顔はともかく。
「自他共に認めるお爺ちゃんだからねあれ」
「どうゆうこと蘭?」
「見ればわかるよ」
私は、みんなをあそこに案内した。
「おぉー本当にお爺ちゃんみたいですなー」
「す、凄い様になってる!」
「あんなに正座とお茶が合う人っているか?」
「な、なんか凄い」
案の定みんなびっくりしてる。というか本当に似合い過ぎ。あんな感じで、本当にお爺ちゃんになったらどうなるんだろ?
なんか先程から、視線を感じると思って横目で見たら廊下の角でトーテムポールの要領で、蘭を含めた5人がこちらを見ていた。はて?見て面白いことがあるだろうか?それなら少し曲でも弾きますかね。喜んでくれると嬉しいが。今日はあの曲で、
『FIND THE WAY』
「どうして君は〜小さな手で〜」
これは、種モビルスーツのエンディングである。戦争に巻き込まれた子供たちの苦悩、主人公の戦いへの葛藤が描かれている。この曲はそんなアニメの最後のエンディングである。これは、落ち込んでいたり悩んでいる時に聞くと自然と気持ちが軽くなったりしたものだ。
「進んだ道の先〜光が見つかる〜から〜」
蘭の従兄妹の人が、急にギターを持ってきて正座で弾き始めからどうしたんだろと思っていたけど、歌を聴いていたらそんな些事なことは忘れて聴き入っていた。聴いたことない曲だったけど、悲しみや葛藤と言ったものが私自身にダイレクトに伝わってきた。自然と涙が出てきた。驚いてみんなを見渡すと、蘭ちゃん以外が涙を流していた。あのモカちゃんが泣いているのには一番びっくりした。
パチパチ
「ん?」
引き終わると角の方から拍手が聞こえてきた。そういえば、いたんだった。
「どうしたのだよ?」
一応惚けながら聞いてみる。
「気づいてた癖に、相変わらず聴き入っちゃった」
「それは嬉しいが、蘭以外の方は何故に泣いている?」
「「「「あ、」」」」
「本当だ、なんでだろ?」
「なんだか自然と出てきたな」
「モカちゃん泣いてないもん...」
「あはは...」
何故だろう、モカちゃんが拗ねてる子供のようで微笑ましく感じてしまう。もしやこれが母性ならぬ爺性か!
「ほれ、モカちゃんや拗ねてないでこっちにきなされや、飴ちゃんあげよう」
「いや、そんなん「食べる〜」んなぁ!」
するとこっちにスタスタとやってきて、となりにきて飴ちゃんあげると、軽く尻尾が見えるくらいに猫っぽかった。微笑ましいの〜
「利文のお爺ちゃん感が増してきた...」
星9☆
ブーブー さん
ありがとうございます!
口調が安定しません!何か案はありませんかメーディーク!
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第3話 お爺ちゃんはギャルと邂逅する
第3話 お爺ちゃんはギャルと邂逅する
あのモカちゃん事件(自分が命名)から一週間が経ち、学校も始まった。自分は、自宅から一駅先の男子校に通っているが、まだ美竹家に居候しているので二駅先だということを忘れていて遅れそうになった。昨日のうちに確認したはずなんだが?
「あ、おはよう仙人!」
「おはようなのだよ、田中」
「うん。あと俺田村な」
また間違えてしまったな。このクラスいかんせん、た行が多い。田中から始まり、田村、田辺、田原、etc...そして全員が田から始まるという異常っぷり、前世でもこんなのはなかった。
「おいおい、ちゃんと覚えてくれよ〜。あだ名が仙人からお爺ちゃんに変わっちまうぜ」
「それだけは嫌なのだよ」
誰が生意気な小僧からお爺ちゃんと言われなければならないんだ。自分をお爺ちゃんと呼んでいいのは、自分の爺性が反応した者だけだ田原よ。(違う)
「さて、今日は蘭のお父さんもいなくて将棋が指せないな。どうする...?蘭からか何かな?」
スマホを起動すると、蘭からのメールがあった。内容は
『私、今日みんなでお泊まりするからご飯食べてて、ちゃんと食べること。いいね!」
蘭よ、一食抜いたくらいで人は死なない。
「かと言って、これで食べないと蘭に怒られてしまうな、美竹家のキッチン借りて何か作ろう。筑前煮、漬物、金平ごぼうにナスの煮浸し、何を食べようか?」
取り敢えずスーパーに行き、適当に安いものを放り込む。そしてから買ったもので何を作るか考えよう。そっちの方が安上がりだ。
「ふむ、野菜が今日は安いな、やはりここは金平ごぼうときゅうりの漬物で決まりなのだよ。」
そう思い、ラスト一本の人参に手を伸ばすと
「「あ、」」
誰かと手がぶつかってしまった。
「あー、すいません。」
「こちらも申し訳なかったのだよ」
ぶつかったであろう人に目を向けると、キャピキャピしているギャルがいた。
「あのこれどうぞ、」
少し考え事をしていたせいか、こちらに人参を差し出してきた。
「いや、それには及ばないのだよ。必ず必要なものではないのだからそれはあなたが買うべきなのだよ。」
「いやいや!でも、」
「他人からの好意は素直に受け取るべきなのだよ。では」
「あ、ちょっと!」
さて、今日は金平ごぼうの人参抜きだ、ほぼごぼう炒めな気がするが、まぁ、シンプルだからそれはそれで良さそうだ。にしても、ギャルがスーパーで買い物とはものすごいギャップだな、人は見た目によらないというが、あれはそう見えても仕方ない。
「本当に行っちゃったよ、」
先の人は、私に人参を譲って行ってしまった。いやー、しかし顔は童顔なのに、雰囲気が凄い年季入っていた。喋り方は...なんだろ凄い独特だった。
「面白い人だったな〜、後ろ姿で、自分は残念ですみたいなオーラ漂ってたし」
「リサなにしてるの?」
「あ、ごめんごめん!早く行こっか友希那!」
作った人参抜き金平ごぼうは、まずまずと言ったところだった。やはり、人参がないと完成しないな。
「さて、ご飯も食べたし今日はこの曲を、」
『Naru』
「放て!胸の深くまで、」
これは、弓道を舞台にしたアニメのオープニング。ある事がトラウマになり、自分に自信が持てなくなった主人公が、仲間と成長していく物語。これを聴くと勇気付けられるのと同時に、次に進む原動力にもなってくれる
「ふさぎ込んでた僕をよそに、君は変わらず笑った〜」
「信じて〜放て〜僕であるため」
「なんで、縁側で寝てるのさ。そして寝坊して遅刻した言い訳は?」
「最近、眠気がすごくて演奏し終わったら寝てしまったのだよ。自分は悪くないのだよ。」
「もうダメだこいつ」
☆10
っとぅむさん、ぬいぬい@七大罪さん
☆9
椅子タンブールさん、シャチ大好きさん、ゴメゴメさん
☆8
岬サナさん
☆1
みねらるうぉーたーさん
評価をありがとうございます!また、感想を下さった岬サナさん、
苦労バランさんありがとうございます!
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第4話 お兄さんじゃないお爺さんだ!
第4話 お兄さんじゃないお爺さんだ!
「やはり、家の縁側の方が落ち着くのだよ」
美竹家に居候して1ヶ月が経ったので、現在自分の家に帰って来ていた。
「にしても、居候の件は自分に言って欲しかったのだよ、母よ」
「いいじゃない、あんたすぐ忘れるから蘭ちゃんに言った方が確実だったのよ」
反論しづらいな。
「まぁまぁ、利文のお爺ちゃん化は、今になって始まったことではないからいいじゃないか」
「フォローになっていないのだよ、父よ」
両親寄ってたかって息子を弄り始めるのは勘弁してほしい。
「で、お土産はなんなのだよ?」
「それがね、良いものがあったのよ利文に似合いそうなもの!はいこれ!」
そう言って取り出したのは玄三さんが着ているような着物だった。まだ自分に似合うからと選んだと買って来てくれたのはいいが、
「....旅行は海外ではなかったのか?」
「なんかそのつもりだったけど、一週間で飽きてね〜、日本に帰ってきて京都旅行してきたのよ!たのしかったわ〜」
「母さんのワガママには困ったけど確かにつまらなかったから御の字だったかな」
この両親かなりの自由人だから困る。おそらく自分の性格の形成の反面教師として活躍したと思う。
「取り敢えずありがとうなのだよ、父、母よ」
「「どういたしまして〜」」
本当にこの両親は、
「ん?蘭から連絡とは珍しい。どうかしたのか?」
メールを開いてみると、
『あんた忘れ物してるよ、しかもギター。』
あ、確かにない。
「いや、すまなかったのだよ蘭。最近物忘れがな」
「本当気をつけてよ、にしてもその着物どうしたの?お父さんのお下がり?」
「いや、旅行のお土産で貰ったのだよ」
「....海外に行ってたんじゃなかったっけ?」
「飽きて日本で旅行してたのだよ」
「本当すごいね利文の両親」
「まったくなのだよ」
確か、自分の和菓子が切れていたな、近くのコンビニで買っていくか、
「いらっしゃいませー!」
「サンシャイーン」
ん?この声は?
「モカちゃんではないか、ここでバイトしていたのか」
「おー!利文お爺ちゃんだ〜」
「ご苦労様なのだよ」
「モカの知り合い?」
「そうですよ〜利文お爺ちゃんでーす」
すると、自分の背後から声が聞こえた。振り返ると、確か、
「家庭系ギャル殿ではないか」
「あ、人参の人!」
その覚え方はどうなのだろう?
「あれー?知り合いなの?」
「あぁ、前にスーパーであって人参を譲ったのだよ」
やっぱり、人参の人だな自分。
「いや〜、この間はありがとうございました」
「気にしなくていいのだよ、それではこれでお暇するのだよ。モカちゃんバイト頑張るのだよ、そしてこれをあげるのだよ」
「わ〜い、ありがとござまーす」
レジのそばにある団子と羊羹を選んで買う。ついでにモカちゃんにパンを買ってあげた。ふっ、蘭から好きなものを既にリサーチ済みだ。孫(義理)には甘いのだよ!
「ねぇ、モカ、あの人って誰なの?」
「えぇ〜と、利文お爺ちゃんですよ〜」
「いやいや!そうじゃなくて!」
「んーと、蘭の従兄妹で童顔なのに自称お爺ちゃんですよ」
「蘭の従兄妹!?もしかして歳上!?」
「いや〜リサさんと一緒だった気がしますー」
「お兄さんじゃないんだ、」
「?お爺ちゃんですよ何言っているんですか〜?」
「私がおかしいの....?」
さて、お菓子も食べたし今日はこの曲で、
『ワンダーステラ』
「命儚い〜恋せよ少女よ〜」
このアニメのシリーズで一番好きなオープニングだ。しかし、普通の少女をいきなり戦わせるのも酷な話だが、まぁ創作物だと割り切るべきか。
「熱情を一つに〜世界を越える〜」
「ふぅ〜、.....人情はやはり素晴らしいものなのだよ、」
☆10
精霊空虚さん、無味無臭パンさん、クロロンヌさん
☆9
積怨正寶さん、漆塗りさん、ケータイさん
☆8
Siroapさん
評価ありがとうございます!
感想をくださった、ハイパー扇風機さん、幻想Dreamさん、AKUSES2511さんありがとうございます!
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第5話 無欲と強欲
第5話 無欲と強欲
『からくりピエロ』
「待ち合わせは〜2時間前で〜」
ボカロに分類されるこの曲は、前世で初めてボカロというジャンルを自分に開拓させた。ちょうど失恋した時に聞いてしまったせいか、あの時は荒れに荒れた。学校で授業も聞かずにケータイゲーム三昧。...よくあの学校自分に推薦出したな。
「もうやめだ〜ここで君を待つのは〜」
「操ってよ〜」
「この世界にはボカロもなかったな、やはり寂しいものなのだよ自分だけが残されているようなこの喪失感は」
アニソンやボカロをメインで聴いていた身としてはこの世界はつまらない。かと言って、
「自分が作ったと言って世に出すのも嫌なのだよ。」
これは、前世で作った人の想いが詰まっているものだ。いくら世界が変わったとは言え、そんな事は自分が許容出来なかった。
「王手。」
「まだなのですよ。」
「懲りたまえ」
「.........................負けました」
やはり、勝てない。玄三さんに勝てたことはないが悔しくはない。何故ならそんな欲求はないから。しかし、それは堕落を意味しない。欲求がないとは言え、それとこれとは別問題だ。
「しかし、君も強くなったものだな」
「いえいえ、まだまだです。」
「そういうことにしておこう」
「む、すまない利文君。私の代わりに差し入れを持って行ってくれないかい?」
「差し入れですか?一体誰に?」
将棋もそこそこに終わし、縁側で寛いでいたところに玄三さんはケータイを見てそう言ってきた。
「あぁ、蘭がこれからライブなんだが、あいにく急な用事ができてしまってな、頼めないかな?」
「構わないですよ。して?場所は?」
「ここから近いライブハウス『CIRCLE』というところだ」
にしても、蘭がバンドを組んでいたとは知らなかった。自分のことは話さない性格だが、これくらいは話しても良かったのではないか?
「にしても、ライブか。前世でも行ったことがないな。やはり、首とか振るんだろうか?流石に偏見か?」
「さて、着いたはいいが受付に渡せばいいんだったな。ん?あれは、」
ライブハウスに入ると、近くのテラス席に5人の姿が見えた。
「蘭。差し入れなのだよ」
「うわぁ!びっくりした、って!利文!?なんでここに!」
「蘭のお父さんが、代わりに持って行ってくれないかと仰ってな、代わりに持ってきたのだよ。にしても、バンドをしていたとはな、びっくりしたのだよ」
「あれ?言ってなかったっけ?そうだよ、Afterglowって名前でやってる」
「利文お爺ちゃんは知らなかったのか〜モカちゃん悲しい...」
「モカ、そんな嘘泣きしなくても...」
「すまなかったのだよ。グッズはあるか?今すぐ有るだけ買ってくる」
「いやいや待って!利文!CDぐらいしかないから!あとそんなに買ってどうするの!?」
「あはは、なんかお爺ちゃんに強請る孫みたいな感じだね」
「利文さんもなんでそうなるんだろうな?」
「なんかもうカオスだよ...」
そんなことをしていると、
「あ!蘭ちゃん達いた!ちょっと〜!」
「どうしたんですか?まりなさん?」
「蘭ちゃん達のバンドの次が、トラブルで、遅れるらしいから伸ばしてほしいんだけど...」
「と言われても、まだできる曲が4曲しかありませんから、一曲しか伸ばせませんよ?」
「一曲か...難しいねそれは。んじゃさ!知り合いでいないかな?できる人?」
「えっと、ほかのバンドの方々に伸ばして貰えばいいんじゃ?」
「今回のイベントは、初心者ばかりが多くてさ、みんな演奏する三曲しか持ち合わせがないみたいでさ、だからAfterglowに頼みにきたんだけど、どうしよ」
何か、トラブルのようだな。しかし、ライブか...見ていくのも一興というものか、自分が自由に弾いているものとどう違うのか、勉強するのもアリだな。
「ねぇ?利文?私のギター貸すから二曲分私達の後にやってくれない?」
イベントの要項を見ていると蘭が声を掛けてきた。
「なんのことなのだよ?」
「なんか、トラブルでさ、つなぎとしてやってほしいんだ」
「しかし、このイベント女子限定ではないのか?」
参加者の覧には見事に女子の名前しかなかった。
「あー、たまたまここら辺ではガールズバンドが人気でね。その影響で、女子しかいないんだよ。」
「なるほど。してあなたは?」
「あ、私、月島まりな。ここのスタッフだよ。よろしく!」
「どうもなのだよ。」
「で、やってくれない?利文」
「しかしな、」
難色を示していると、
「モカ」
「利文お爺ちゃんおねが〜い」
「任せろ。ギターを貸すのだよ。40秒で準備する」
にしても、モカちゃんのお願いで、まさかつなぎとはいえライブに出るとはな。しかし、心配なのは
「みんなありがとう!Afterglowでした」
さて、蘭達が終わったなでは行こう。しかし、出てしまったな。
パリン
こうして利文の中で何かが弾け、目の色青から赤へと変わった。しかし、変わったのは、外見だけではなかった。
「Are you ready?」
会場にそんな声が響き渡る。
「できてるよ!」
こうして彼の演奏が幕を開ける。
『イマジネーション』
「揺れる陽炎、滑り出す汗、響き渡る声、叩き合う肩」
いいね!なってきたぜ。最近出てこれなかったからな!サイコーだぜまったくもっとだ!もっと暑く熱く熱くなっていけ!
☆10
ヨッシー☆さん、紗霧さん
☆9
パンデモニウムさん、ヤタガラスさん、にゃるさーさん
評価ありがとございます!
また、感想をくださった霧佐波提督さんありがとうございます!
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第6話 蘭は強い子優しい子
第6話 蘭は強い子優しい子
二重人格。これを自覚したのはいつだったか、あまり詳細には覚えていない。ただ、裏のアイツが出てくるのは、決まって音楽に関連している時だけ。だから自分は、いつも心を落ち着けてギターを弾いている。だからこそ、裏から出てくることは予想できた。しかし、これは...、些か度がすぎる気がしないでもないが、
「テメーら!死ぬ気で盛り上がれよ!!じゃなきゃ置いてくぞ!ヤローども!」
「「「「「「「おおぉーー!!!」」」」」」」
自分のイメージが540度ほど変わってしまうじゃないか。こうして俯瞰して見ているが、暴れに暴れる自分。ふと、舞台袖に意識を向けると、Afterglowの皆さんがあっけにとられている。もちろん蘭もだ。
しかし、コイツが出ているとロクなことがない。嫌なやつではないのだがな...いかんせん自分と違い欲にまみれ過ぎている。まるで自分の足りないところを補うかのように、
「さて、二曲だけだからな次で最後だ!」
「「「「「「「えぇ〜〜」」」」」」」
「俺も悲しいぜ!だから、サイコーに盛り上がってフィニッシュだ!」
『拝啓ドッペルゲンガー』
「どうもこんにちは、君の分身です」
「拝啓ドッペルゲンガー君は?君は誰ー!」
少し、微妙に現実にあっている曲を選曲しないで欲しいのだよ...
しかし、この曲か。PVの映像もいい物であったが、曲自体も激しい感じで好きなのだが、自分自身のテンションが追いつかないと考え歌うのを諦めていたのだが、こればかりはコイツに感謝しよう。
絶対後で文句言ってやる...!
いきなり利文の雰囲気が変わったと思ったら、いつもとは全く違う性格になったみたいに激しい曲を歌い、弾いていた。いや、みたいじゃない。変わってるよあれは、だってあんなに観客を煽る性格でもないし、一人称だった変わってる。でも変わらないのは、
「相変わらず上手い」
これだけは変わってなかった。
「にしても、利文さんアツいな!」
「いや〜これは全モカちゃんが度肝を抜かれましたな〜」
「いや!おかしくない!?いくらなんでもこんなに変わる!?」
「ひまりちゃん落ち着いて!」
つぐみも落ち着いた方がいいと思う。にしても、
「後で色々尋問だね」
「「「「賛成〜」」」」
いや〜、久々に出てきたからついついはしゃぎ過ぎたぜ、まぁ、後悔もないけど。
(少しは、自重を覚えるのだよ。知り合いにでもバレたらどうする?一応、髪型とか少し変えたが、少なくとも蘭には確実に勘付かれたのだよ)
んな硬いこと言うなよ〜だからジジイ呼ばわりされんだよ
(うるさいぞガキが、何がジジイだ少し意見されたからと言って反発して、だからガキなのだよ)
ッチ、あーあ、もう戻るぜ。少しは今回みたいに外に出せや。
(今回は事故のようなものなのだよ。次はない)
どーかな。
「やっと戻ったのだよ」
控え室に戻る途中で、アイツと少し言い合いになったが、問題ない。しかし、予想していたとは言えここまで暴れると思っていなかった。これから気をつけねば。
「利文」
呼ばれた方を向くと、蘭達が待ち構えていた。
「「「「「ウェルカ〜ム」」」」」
それは何故か、バカな召喚獣を思い出すような言い方だな。
「で?利文
「やはり蘭は気づいたのだな?」
「「「「?」」」」
「アイツは、自分の裏人格。そうだな...グリードと仮称しようか」
欲の塊だし。
「グリードは、自分とは真逆で欲にまみれた奴だ。普段は出てこないが、音楽に関連すると出てきそうになるのだよ」
「ほんとに利文と真逆だね。」
「驚かないのか?」
「驚いてないわけじゃないけど、それで見る目変えるほど私弱くないつもりだけど?」
あらやだ、男らしい。
「殴るよ?」
「何故なのだよ?」
心を読まないで欲しい。
「まぁ、それは置いておくとして。利文に影響はないの?」
「あぁ、特に目立つ変化はない。少しだけアイツに精神がやってしまうが直に戻るのだよ」
「あっそ。」
「ならば、もう全ての参加者も終わったから帰るのだよ。流石に少し疲れた」
「わかった。今日はありがとう」
「礼には及ばないのだよ。ではな」
((((あたしたち完全に空気))))
☆9
プロスペシャルさん
評価ありがとうございます!
また、感想をくださった っとぅむさんありがとうございます!
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第7話 散歩は散歩だが時には徘徊となりうる
いや~存在も忘れそうでしたが、バンドリの二次創作を一気見していたらなんか既視感ある小説だなって思ったら、自分のやつだと気づき爆笑していた今日この頃。
約1年ぶりの投稿ですが、私は無事に大学生となりちょっとずつですが落ち着いてきました。これからも気ままに投稿していきたいですので気長にお待ちください。
第7話 散歩は散歩だが時には徘徊となりうる
この間のライブハウスの出来事でひと悶着あったのだがそれも落ち着きのんびりと縁側でお茶を飲んでいる。
「しかし、毎日のルーティーンとはいえ少し味気ないのだよ。少し外に散歩でも行くとしよう」
思い立ったが吉日。すぐに準備をしよう。スマホは持った、元栓しまってる、電気消した、窓閉めた、よし。
春も半ば桜はすでに散り、緑が強くなってきた今日この頃。
「君の姿は~僕に似ている~…」
この間、ドッペルゲンガーを歌ったせいか何となく似た題材の曲を口ずさんでいた。
町を歩きながら歌っているの一瞬周りが自分を見るがいつものことかとまた目線を戻す。
「あ~迷子になるお兄ちゃんだ~」
「こら、指さしちゃダメでしょ」
まて、私は確かに迷子になったことはあるが、その見てはいけないものを見たみたいな反応はなぜだ?
(本人は無自覚だが割と目的なく散歩するため地域の情報網に徘徊する要注意人物に指定されている)
少し疑問を感じながら歩いていると、公園が見えてきた。
「ブランコに鉄棒、滑り台。この年だと少し小さいな…、なんだか感慨深いのだよ。」
そう思いブランコに近づき乗ってみる。座り心地は悪くない、そう思い漕いでみる。
「おー、少し楽しくなってきたな。」
段々と楽しくなってきたので、強く漕いでみる。
「おー!昔はこんな高さまで漕げなかったのだよ」
勢いがドンドンます、思えばこのぐらいで満足しておけばよかったのだろう。
急に視界が上下逆になり景色が反転する。
「あ?」
と思ったら、元に戻った。
「もしや…?」
ふと、上を見てブランコの金具を見てみると
「こんなことアニメの中だけだと思ってたのだよ…」
金具につないである鎖が支柱に絡まっていた。
「戻すのが面倒なのだよ…」
悪戦苦闘しながら、10分かけて元に戻した。
それから、公園のブランコで変なことをしていた少年がいたと噂が立つのだが彼はこれを知らない。
『夜に駆ける』
「沈むように溶けていゆくように~…」
主にTixなんちゃらの動画の曲に使われていたイメージがあるのだがこれは偏見だろうか?
恋の始まりから終わりまでを描いているこの曲は、まあ一般的な3か月で終わるような恋だなと当時はひねくれて聞いていたのを覚えている。この曲を恋愛アニメのオープニングにしたら、批判待ったなしだろう。だが、身近に感じる分、親しみやすさや心にじかに来る感動があった。あぁ自分もこんな感じだったなと考えた記憶がある。
「僕らはきっと分かり合えるさ、信じてるよ…」
このテンプレな2か月目な感じの表現。もうどうなるかなんて見えてる。
「君は優しく終わりへと誘う…」
ほらね。
「こんなにあらんだ気持ちで曲を歌ったのは久々なのだよ。」
そう確か高校で初めてできた彼女とABCをやり切り意見の対立が起きて別れた時だな確か。
「恋か、もう関わりはないがあそこまで自分の感情が高ぶったのは後にも先にもあれだけなのだよ」
そう考えると、少し悲しい気もする。部活で出会い、1年の時間をかけて仲良くなり、告白し、付き合う。さすがに付き合って3週間で事に及んだのが間違ったのかもしれないが、それからは3か月続き、破局。それからというもの授業はまともに受けず、机の下でゲームをし、その彼女と同じ部活だったため部活もさぼり、ゲーセンとカードショップで遊びまくり、成績は散々。ほんとよく自分に推薦出したよなしかも医療系のところ、頭沸いてるんじゃなかろうか。(ひどい言い草)
まあ、そこからゲーム友達ができ、オタク友達ができたから一概に悪かったとも言えないな。
まあ何が言いたいかというと、
「恋愛は惚れたほうが後々ダメージがでかい」
これなんてステマ?
後半ほとんど、利文の前世の語りでしたね。バンドリのメンバー一切出てきませんでした。許して。
さて皆さん、利文の前世の恋愛どうでした?別れた後のことが大半でしたが、皆さんがどんな感情を持ったか感想をくれるとうれしいです。
では、また第8話でお会いしましょう。バイチャ!
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第8話 エンカウント
連続投稿できたしゅごい。
運命、ディスティニー、フェイト、決まった道筋や衝撃的な出会いでよく使われるこの言葉。そんなわけあるかといつもなら言うだろう。しかしこの瞬間だけは運命を感じざるを得なかった。
「ねぇ美咲!今日はどんな楽しいことがあるかしら?」
「わかったから少し落ち着いてこころ。…ん?どうかしました?」
第8話 エンカウント
いい天気だと思い、隣駅のあたりまで散歩をしに来た今日この頃。だがここの地形をあまり理解していなかったため、案の定迷子になった。
「にしてもここはどこなのだよ?」
こんな時にスマホは忘れる(ただの認知症w)、幸い財布はあるから何とかなる。そのため公衆電話を探そうとするが、スマホの需要のおかげで公衆電話は死語になりつつある現代で見つけることはできなかった。
「便利な時代にはなったが、とっさの事態に弱いのが現代の悩みなのだよ」
まあ、ここは蘭の住む町。何かあったら最悪何とかなる。(その自信はどこから?)
そんなことを考えていると二人の女性の声が聞こえてきた。
そして冒頭に戻る。
「あら?あなた笑顔じゃないわね?どうしたのかしら?」
「こころ⁉初対面の人にいきなり…あれ割といつも通りな気が?最近なかったからあれだけど…はぁ」
自分は今それどころじゃない。あ、あぁほんとに。そりゃだれだってもとかのがめのまえにいたらびっくりする。びっくりする。(きょうちょう)そしてきまずい。
(似た人なので厳密には元カノではない)
「えーと、ほんとに大丈夫ですか?さっきから微動だにしていませんが?」
「美咲?これ銅像みたいね!さっきから微動だにしないわ!」
「さっきまで動いてたじゃん。てかほんとに大丈夫?」
「あ、あぁ大丈夫なのだよ少し不測の事態に見舞われて困り倒していただけだ。そうじぶんはれいせいなのだよ。」
「困り倒すって何⁉」
いかんいかん。無意識に緊張と気まずさと驚きが混在していたようだ。
「困ってる?それはいけないわ!そんな時は笑顔にしなきゃ!ハッピー~ラッキー~スマイル~イエーイ!」
全然気づかなかったがこのハッピー少女は誰なのだろう?
「私は
「そうか。私は
「えーなにこのマイペースな人たちついていけないんだけど…取り敢えず迷子ってことでいいですか?」
「そういうことだ。駅までの道を教えてはくれないか?このままだと帰れないのでな」
意識しないようにしても無理だな、口調が先程から変だ語尾のなのだよはどこに消えた。
「まぁ、それぐらいなら…」
無事教えてもらい駅に行こうと早々と立ち去りそこの角を右に曲がろうとしたら。
「違いますよ!右じゃなくて左です。」
動揺しすぎなのだよ自分。
「すまないな。案内までしてもらって。おかげで無事ついたのだよ礼を言う」
「いいですよ別に。…まさか花音さんと同じくらいだとは。」
動揺しすぎたせいなのでこんなにいつもなら地図を見たら迷わないのだが、早く離れたいと急いでもいつの間にか彼女たちの前に来てしまう。もうなんて呪い?
「またね利文!もう迷子になってはだめよ?」
「気を付けるのだよこころ」
「それではこれで。気を付けてください」
「二人共ありがとうなのだよ」
こうして無事?今日の散歩は幕を閉じた。
『ブリキノダンス』
「さあ憐れんで血統書ー持ち寄って反教典」
(出てこい。そして気を紛らわせろ)
【はいはい、表に出れるなら何でもいいがお前重い男だないまだに忘れられないとか】
(黙るのだよ。重くないのだよ)
【たく、欲を抑制しようと俺を生み出したのはいいとしてこれくらいで揺らぐのはやばいだろ】
(知らないのだよお前はもともと私の中にいたのだよ)
【はいはいそうゆうことにしといてやるよ】
「さあ皆舞いな空洞でサンスクリット求道系」
「抉り抜いた鼓動咲かせ咲かせ」
「利文ご飯…って何やってんの?ギター抱きしめて?甘えたい時期かなんか?」
「珍しいねここまで感情が出てるなんて」
「少し放っておいてほしいのだよ母、父」
いや~案外書けるもんですね。これからも気楽にいきます。意見、感想どんとこいです。(感想が欲しいんじゃ)。twitterもよろしくね。
星10
くりとしさん
星9
海至さん、霞花 悠馬さん
評価ありがとうございます。
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第9話 原点
今回はバンドリのキャラが一切出てきません。許してくださいな(汗
最初は三人称視点です。
第9話 原点
まず
彼は自分の前世に失望した。いくら前世だからといってこんな愚かな物が自分などではないと。彼は思いついた。人格を分けて不必要な部分をできた人格にすべて押し付けようと。そうすれば自分は理想の自分になれると、思い立ったが吉日。彼は一年かけて人格を作り、不必要な欲、感情、記憶すべてを別人格に押し付けた。そしてできたのが【グリード】と名づけた裏人格。本来ならばもう出てくるはずのない人格だったが、作った利文はあくまで凡人なのだ。人格を作り出せたのは、もはや奇跡といえる。だからこそ前世と関連性の高いものに引き寄せられて表に浮上してくる。
これが、大野 利文の原点であり、彼にとっての汚点である。しかし前世の元カノに似た人物と接触したせいで少しだけだが、記憶が逆流し、前回のように嫌な事を全てグリードに押し付けた。そのため、次の日には嫌な記憶とともに彼女に関連する記憶はもう忘れている。これが物忘れといった症状の原因である。
またなぜ記憶を連想させるような前世の曲を歌うのかというと、彼にとって音楽とは相棒のようなものだった。聞ける時間があればいつでも聞いていたし、寝る時でさえずっとかけ続けていた。そんな心の支えがなくなるのがどんなことより辛かったからである。
前世が嫌いだと言いながら、前世の行いを忘れられずに続け。
理想の自分になるんだと言いながら、醜いと思ったものを他者に押し付ける。
彼はどうしようもなく愚かで自己中心的で
ありふれた凡人である。
~???~
「なあ、お前って来世って信じる?」
ふと、哲学的な内容を雑談で振ってきたなとは思った。
「あれか?なろう系主人公みたいになりたいかってやつか?」
「そうそう、そんな感じのやつ」
最近、ライトノベルでよく見かけるようになったその新たなるジャンルは最初こそ胸打たれたものの、さすがに慣れと飽きが来る。
「最初はいいと思ったよそりゃ、だけどよそんな簡単に敵を倒して何が楽しい?そんな簡単に女に好かれて何が楽しい?そりゃ最初に見たら爽快だよな。だけどな、もうそんな世界、俺は死んでいる世界と同じなんだと思うんだよ?そこんところどう思う?」
「いや、そんなガチな意見求めてなかったわw。ただ転生みたいなことが起こったらどうすんのっていう妄想を聞きたかった。まさか予想に反してなろう系に敵意を持っているのは分かった。なに?親でも殺された?」
「いや、殺されてねーわ。ただ詰まんないなと思ってなそんな世界。そんな自分にだけ優しい世界あってもいかんし、もしそんな世界に飛ばされたら、飛ばした神を殺しに行くわ。」
「神殺しをインフレさすな。」
確かに、そんな優しい世界は楽だろう楽しいだろう。ただそれはたまにある休日のように、辛いことの後にあるから楽しい。そうだろう一ヶ月も家で何もせずダラダラするのはつまらないだろう。それと同じことだ。
「だから、もしそんなことになったら仙人みたいなやつになりたい」
「仙人?忍術使うやつ?」
「ちげーよ」
てかそれ絶対あの漫画を想像したろ、俺あんまり知らんけど
「じゃあ、どゆこと?」
「そんなの決まってる」
「なんだよ」
何事にも動じないすべてを受け流す様な柳のような存在だよ……
いかかでしたでしょうか。ほんとにバンドリの二次創作なんか?といわれるくらいキャラが出てきませんでした。なんか意見あったらくださいな。
星9
アラーノさん
星8
Sama Lさん
評価ありがとうございます。
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