模倣妖怪の世界管理 〜プロローグ〜 (春告精の田んぼ)
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プロローグ

 初めまして。ついに自分の暇潰し作品が世に出ることになりました。暖かい目で見守って下さい。

 ゆっくりしていってね!


 

 

「ん? ……どこだここ……」

 

 

 

 俺はふと意識の浮上を感じて目を開けた。

 

 上半身だけ起こすと、周りは鬱蒼と生い茂った森の中だということに気がついた。

 

 常識的に考えたら変なんだろうけど、こんなところにいるにも関わらず全然違和感がない。

 

「おっかしーな……俺何やってたんだろ……なんにも思い出せない……」

 

 本当になにも覚えてないんだよな……まさか記憶喪失? 

 

 そう思い至った俺は自分について考えることにした。

 

「ひとまず俺の名前を言ってみよう。俺は…………俺は………………誰?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────異世界翔(いせかいかける)────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 ……え? 何? なんか頭に浮かんだけど何この名前。痛々しいんだけど……。ちょっと待って、これ俺の名前? 

 

 ……いや大丈夫。名前を付けたのは俺じゃない……俺は厨二病なんかじゃないんだ。

 

 俺は……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────模倣妖怪────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうダメだ……おしまいだ……俺の頭はどうにかしてるんだ……。こんなの考え付くなんて厨二病しかないじゃんか……」

 

 異世界翔、種族模倣妖怪。なんだろこのしっくり感…………。

 

 ……もう嫌だ……。

 

 

 

 

 

 

 ……よし、とりあえず寝床作った方がいいよな……。なんかさっきから異常に感覚が研ぎ澄まされてて川の場所とかどこにどんな動物がいるとかがわかる……。いい感じの洞穴も見つかった。

 

 よし、さっさと行ってしまうか! 

 

 これは決して現実逃避なんかじゃない。そうだ俺はなにもおかしくないんだ! 

 

 

 ……俺一人で何を思ってるんだろう……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は自分で考えた事に自己嫌悪しながら、とぼとぼ歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらくして着いたところは、すぐ近くに綺麗な川の流れる小さな洞穴だった。

 

 とりあえず気に入った俺は、水を汲んでくることにした。生きるためにも洞穴の汚れを取るにも必要だ。

 

 

 

 

 

 

「……で、何で汲もうかな……」

 

 何も考えてなかった俺は少し悩んだ。

 

 そういえば俺って模倣妖怪っていうらしいけど、なにを模倣するんだろ……。物にイメージを模倣させることが出来たらいいんだけど……。

 

 

 

 

 

 

 

「……ん? なんだこれ?」

 

 ふと目の前を見るとそこにはバケツの形をしたものがあった。

 

「うわっ……欲しいと思ったものがいきなり……」

 

 触ってみると砂で出来ていたようですぐ崩れてしまったが、ここでひとつ思いついた。

 

 

 

 

 

 

 

 その思いつきの通りにやってみると、今度は木が倒れて残った切り株の上に木桶があった。

 

「……なるほど……イメージを模倣させることは出来ると……」

 

 今回俺は模倣させるものの対象のイメージもしっかりしてみた。すると木の真ん中あたりが木桶に変わった訳だ。分かりやすくていい。

 

 

 とりあえずそれで水を汲んだ。

 

 

 

 

 ついでに俺の姿を水面で見て見たら、蒼っぽい黒の髪が生えている普通の男の子が映った。

 

 服は意外と現代的なシャツとズボンに長い羽織もの。和洋が混じったみたいな奴だった。

 

「……うん、なにも思い出さないな。ならいいや」

 

 

 

 

 

 

 

 そのまま水を持って帰り、洞穴を軽く掃除した後色々実験をしてみた。

 

 その結果、イメージを現実に模倣させることが出来る他、見たものの性質を自分に当てはめることも出来るとわかった。

 

 例えば、洞穴の壁の石を自分の腕に模倣させて固くするなどだ。

 

 ただ、模倣する度に自分の中から何かが抜け落ちる感覚がした。大きいものであったり、変わる部分が大きいとより消費が早い。自分にする時はほとんど消費を感じなかったけど、恐らくこの能力を使うためのエネルギーのようなものだろう。

 

 妖怪の力なので妖力と名付けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんか腹減ったな……」

 

 

 

 そこで俺は周りの動物を感知し、適当に捕獲した。変な小動物だった。

 

 ちなみに俺の身体能力は妖怪になってるせいか物凄くいい。逃げられるようなヘマはしなかった。

 

 

 

 

 

「さて、捕まえたはいいけど、どう調理しよう……こんなのの調理法なんか知らないぞ……」

 

 どうしよう……これも模倣できるか……。

 

 そう思ってイメージをぶつけてみると、その動物が少しずつ形を変えていった。

 

 

 

「……おー、出来たには出来たけどグロいな……血塗れじゃん……」

 

 出来上がった小動物の刺身を見て俺は食欲が少し失せたのを感じた。

 

 

 

 それでも俺は枝を集めてきて洞穴の外で火がついているイメージを模倣して火をつけた。

 

 イメージを貼り付けるっていうイメージがいるから手間がかかるけど、逆に言えばイメージさえ出来たらなんでも出来るな……。

 

 

 

 パチパチと音を出して燃える動物の肉を見ながら、俺は他にどんなことができるか調べてみた。

 

 例えば、体内で能力を使う度に減るエネルギーだ。これは意識すればすぐに動かせることに気がついた。することが無い俺は、ゆっくりとエネルギーを移動させたり、身体中に引き伸ばしたりしてみた。

 

「なんだこれ……気持ちい〜……」

 

 この時エネルギーのある部分は少し暖かく、移動させることでマッサージを受けているような感覚だと気が付き、肉が焼けたのに気が付かず、少し焦がしてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして焼けた肉を食べ、落ち着いたところで他にも色々試した。

 

「そういえば、エネルギーが操作できるならそれを体外に出してエネルギー弾に出来ないかな……」

 

 なんとなく脳内にあったイメージからそういうことも出来ると思いついた。

 

「そう……霊弾とか魔力弾とか気弾とかみたいに……」

 

 すると、体内のエネルギーはするりと手の平から出てきて球形になった。

 

「おー、意外とあっさり。そしたら空を飛んだりも……ってこの知識はどこから来てるんだよ」

 

 結局俺は記憶喪失と言っても、意味記憶は覚えてるっぽいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 色々試し終えて疲れた俺は横になった。

 

 いきなりこんな状況だったが、案外楽に生きられるかもしれない。

 

 

 そう思い至った俺はゴツゴツした岩だらけの洞穴にも関わらすぐっすりれることが出来そうだと思った。

 

 

 

 

 




 次回作……なるべく早く上げたいところですが、遅くなった時のために先に謝っておきます。

 申し訳ありません。

 これからも自分の作品をよろしくお願いします。


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初めての出会い

 一度投稿すると制作意欲が思った以上に向上してびっくりしてる春告精の田んぼです。

 サッと脳内にネタが降りてきたので上げちゃいます。


 ゆっくりしていってね!


 模倣妖怪、異世界翔であるらしい俺が生まれてからおよそ一世紀が経った。

 

 え? 早い?

 しょうがないでしょ何にも無かったんだから。

 

 強いて言うなら妖怪らしき化け物には会ったが、どいつもこいつも知能が無いただの獣だった。

 

 その間俺はずっとエネルギー操作を鍛え続けた。まあやることなんて何も無いし。

 

 結果、一度に数千もの弾幕を張れるようになった。細かい弾だけならサッと一万ぐらい出る。しかも連続でそれが出来る訳だ。毎秒数万発。どこのPhantasmだよ……。

 

 

 

 

 

 今日、俺は食料を狩るために拠点を出た。この間狩った熊擬きの肉が無くなったのだ。

「熊の気配は……あっちだな…………ん?」

 デカい熊擬きを見つけた俺は、近くで襲われそうになっている小さな気配に気が付いた。

 

 急いでそこに向かうと、赤と青の奇抜な服の女の子が熊の前で腰を抜かしているのが見つかった。

「……い……いや…………」

 

 女の子は動けないらしい。このままでは食われて終わりだろう。

 

 しょうがないな……。

「っせぇいっ!!」

 大き目の弾を顔面に叩き込んだ。案外強い攻撃力があったらしく吹っ飛んだ。

「そこの子! 掴まってろよ!」

 俺は吹っ飛んだ熊に目もくれず女の子を抱えて空に飛んだ。

 

 

 十メートルぐらいに達したところでようやく俺は落ち着き、腕の中の子を見た。

「えっと、大丈夫か?」

 

「う、うん……」

 ……見れば見るほど不思議な格好だな……。

 

「私、八意××って言うの……さっきはありがとう」

 

「なるほど、八意××か。よろしくな」

 

「あれ? 発音できるの?」

 

「ん? ああ、言われてみると不思議な発音だな。まあ多分俺の能力のおかげだろうな」

 そういえば、俺の能力は認識が変わったことで内容も少々思っていたものと違っていた事に気がついた。イメージの模倣だと思ったが、模倣だけでは性質の反映は出来ない。貼り付けるというものが必要だ。模倣と貼り付け、つまり俺の能力はコピーアンドペーストということだ。

 

 その結論に至った瞬間、今までの能力への認識を改めてみた。コピペってことはデータ操作みたいな感じじゃないかと考えた。そしてその仮説は的中。脳内に能力表が浮かび上がった。内容はこうだ。

 

 

 

──────────

 

コピーアンドペーストする程度の能力

妖力を操る程度の能力

気力を操る程度の能力

あらゆる薬を作る程度の能力

 

──────────

 

 

 

 ここに載るのは能力のみで、裏で幾つもコピーされてる。この子の話す言語もコピーされたんだろう。

 

 気力は変に強い熊を見た時に操れるようになった。身体強化する変異種みたいな奴だったのかもしれない。恐らくさっきの熊もだと思う。

 

 あらゆる薬を作る程度の能力ってのはこの子の能力かな?

「お兄さんの能力……分かった。一応周りの人には永琳って呼ばれてるの」

 

「永琳か。そっちの方が呼びやすそうだしそっちで呼ぶ事にするよ。よろしくな」

 

「よ、よろしく……あの、お兄さんは?」

 

「ああ、俺の紹介忘れてたよ。百年近く人と話してないからな……俺は翔、異世界翔っていうんだ」

 

「かける……さん?」

 

「ああよろしくな、永琳。……でも何でこんな所にいるんだ? 危ないぞ?」

 自己紹介が終わったところで気になったことを聞いてみた。ここから数キロ離れた所に人がたくさんいる所は見つけていたが、もし退治されるなんてことになると面倒なので不干渉を決め込んでいた。この子は恐らくそこから来たんだろう。

「……私、生まれつきあらゆる薬を作る程度の能力っていうのを持ってるから薬屋をしてるの。けど材料が切れちゃって……」

 

「なるほど……」

 そういうことか。でも危機管理が成ってないな。こんな森の奥深くに来たらあんな獣どころじゃない化け物に襲われてもおかしくなかった。

「翔さんはどうしてここに?」

 

「俺はこの辺に住んでるんだ。妖怪だからな」

 

「えっ!? 妖怪!!?」

 まあびっくりするよな。多分俺みたいなのはいないんだろうし。

「ああ、つい百年ぐらい前に生まれたばっかの妖怪だよ」

 

「……翔さんは私を食べるの?」

 

「いや? 多分俺は心を食べるタイプの妖怪だから大丈夫だ。さっきの驚きを見た時少し腹が膨れたし」

 そう、俺は人喰いじゃないらしい。

 俺の断片的な記憶によれば、心を食べるタイプと体を食べるタイプがいるらしい。心の方は人を傷付けることがないから、元人(自分の性格的にそう思ってる)としては人喰いじゃなくて助かった。

 

「……さて、あっちに見える光が永琳の家がある方かな?」

 

「えっと、うん」

 

「じゃあ送っていこう。もうすぐ日が沈むから危ない」

 

「あ、ありがと」

 そして俺はそっちに飛んで行った。

 

 

「わぁ! 速い速い!」

 さっきまで落ち着いてたけど、こういう所を見ると子供っぽいなぁ。

 

 

 

 

「到ー着!」

 

「楽しかったー! ありがとう!」

 空を飛んでいる内に永琳とは仲良くなった。

 まあさすが子供と言ったところだ。

 

 

 街のようなところは既に近未来的な文化を持っているらしい。遠目にもビルとかが良く見えていた。

 

 街の入口に立っている門番っぽい人の所へ向かった。

「すみません、この子森で迷ってたので連れてきたんだけど」

 

「そうか、それはありがとう」

 よし、これで大丈夫だろう。

「じゃあ俺は帰るから」

 

「え? 翔さん来ないの?」

 

「帰るとはどういうことだ?」

 永琳と門番に聞かれてしまった。

「えっと……俺妖怪だし中に入るのはまずいでしょ?」

 

「妖怪だと!?」

 

「あ、ああ、俺は敵対する気は無いんだけど信じられないだろうしな。人外は大人しく外で暮らすべきだ」

 

「あ……いや、その理屈は分かるが……本当に妖怪? 全然そうは見えないんだが……」

 

「そうか?」

 俺ってそんなに妖怪っぽくないのかな? やっぱり俺って突然変異的な存在なのか?

 

「私の知る妖怪ってのは本能的に暴れる奴だったからな。理性的なのもいるんだな。と言うか悪事する気がないなら入っても問題ないぞ。お前は人にしか見えない」

 

「へぇー……じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな」

 

「うん! 美味しい食事処知ってるの!」

 

「……俺金持ってないぞ?」

 

「命の恩人に払わせるわけがないでしょ?」

 

「むしろ俺より小さい女の子に奢ってもらう方が嫌なんだが……」

 

「文無しが何言ってるの?」

 

「反論できねぇ……」

 

 

 

 

 結局奢ってもらってしまった。もちろん今まで食べたこともないぐらい美味しかったが。と言うかまた食べたいあのオムライス擬き。

 

「……なあ、ここに住んで働くことも出来るかな?」

 

「翔さんが? 妖怪なのに?」

 

「んー……金はあって損しないし、何よりここ住みやすそうだし」

 

「なら私のところで働いてよ! やっぱり一人じゃ大変なの」

 永琳が期待の目を向けて来た。家に帰っても一人らしい永琳にとっては寂しい気持ちの方が大きいんだろう。

「……そうだな。そうさせてもらうよ。あらゆる薬を作る程度の能力もコピー済みだし」

 

「やった!」

 

 そういう訳で俺は永琳の家に来ていた。

「ここが私の家でお店なの。薬屋『八意』ね」

 

「へぇ、中々デカいな」

 お店というよりもお座敷と言った方がいいだろう。そんな豪邸が建っていた。

「薬屋って儲かるんだけど使い道が無くて……」

 

「なるほどね」

 

 家の中を案内された後、俺達は製薬室に入った。

「私はさっき取ってきた材料で薬を作ってるね」

 

「じゃあ俺も早速何か作ってみようかな?」

 

「あ、なら胃薬が切れかけてたからそれ作って。最初は簡単なのからした方がいいと思うし」

 

「わかった」

 

 三十分後には百錠分ぐらいできてしまった……。あらゆる薬を作る程度の能力の効率半端ないな……。




 この主人公はロリコンではありません。ちょうどいい就職先と住処を見つけたぐらいにしか思ってません。

 でも、出会ってすぐの美少女と同居し始める……。書いててこいつ大丈夫か心配にはなってきた。




 次回作もよろしくお願いします!


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月への遷都計画

 怖い……怖すぎる。この指の進み方はおかしい! 一体自分に何が起きてるんだ!?


 てな訳で三話目投下します。

 ゆっくりしていってね!



 永琳の家に住み込みで働き始めて数百年近く経った。妖怪の時間感覚って不思議だな……。永琳も女の子って感じからお姉さんって感じまで成長した。そんな永琳も、やっぱり寿命が無いしすぐだと思ったらしい。

 

 

 この数百年で俺達の薬屋は異常に人気が出ていた。

 

 薬屋なのに人気ってのも変な話だが、実際薬と言えば『八意』って感じだ。

 本来は豪族の人専用だったのだが、俺が一般人用の窓口をした事で広まったらしい。

 

 そして、いろんな人に会ったせいで異常な程に大量の能力を手に入れてしまった。そこでパソコンみたいに消去できないのかと思ってやってみたところ、能力の消去はできるとわかった。まあゴミ箱っていうファイルに貼り付けた感じだ。

 

 消去しなかったのは霊力、気力、魔力、法力の操作能力と、限界を引き出す程度の能力だ。

 限界を引き出す程度の能力ってのは、お客さんの中の一人が持っていた能力で、自分の持つ能力の限界を引き出せる。まあ引き出せるところなんかあんまりないし、コピーアンドペーストに追加項目としてファイル整理ができるようになったぐらいだが。ちなみにこれで消去もできるようになった。

 

 俺の能力に関する進歩はその程度だ。

 

 

 そんなある日、豪族から使者が来た。

 なんでも永琳と同じぐらいの製薬の腕を持つ俺に会ってみたいらしい。俺達は何を燃料にしてるのか全くわからない車に乗ってその人のところへ向かっていた。

 

 

「俺にねぇ……そんなにすごいもんでもないと思うんだが……」

 

「そうでも無いわ。他と比べると格段に効果も速さも価格も良いもの。私達も二人分のお金で十分だから安くて済むし」

 

「まあな。でもそれが薄利多売に繋がるんだよな」

 

「儲けたい人は値段を上げようとしたくなるものね。あ、もう着いたわ」

 

「……でか……」

 その人の住んでいる屋敷は明らかにでかかった。いろんなところに装飾が施されている。

 

「……俺場違いじゃね? 一応妖怪だよ?」

 

「あなたねぇ……」

 なんか呆れられてしまった。

 

「あら、いらっしゃい。永琳」

 そんな話をしていたら、奥から綺麗な女性が歩いてきた。

「お邪魔させて頂いております。月夜見様」

 ツクヨミ様? 月夜見だよな。男神だと思ってたけど女性だったのか。

「久しぶりね。それでそちらの方が?」

 

「えーと、異世界翔だ。よろしく」

 

「あなたが永琳の弟子ですね」

 

「いいえ、弟子では無いです。同僚ですよ」

 永琳が否定した。

 どこで弟子になったんだ俺は……。

「あら、そうなのね。私は月夜見よ。よろしくね」

 

「ああ」

 

「ところで翔さん、あなた永琳と同等のレベルで薬が作れるらしいけれど、どうやっているの? 永琳は能力もあってわかるのだけれど、あなたの方が不思議なのよ」

 単刀直入だな。永琳レベルの製薬者がそうゴロゴロいられても困るだろうし、そういうことかところは把握しておかなくてはならないのだろう。物腰は柔らかいが目がちょっと鋭い。

 

「んー、何かしたのっていうよりは勝手にどうにかなったというか……俺は視界に入った生物の能力を模倣してしまう模倣妖怪でね。気付いたら永琳並の知識が脳内にあったって感じ」

 

「……妖怪だったの!?」

 

「ああ。まあ見ての通り害を出すつもりは無いから安心してくれ」

 

「……それは永琳と仲がいい時点で疑ってはいないけど……でもその能力反則よ……」

 

「俺もそう思う……」

 良く考えれば相手の能力はこっちも使えるわけだし、戦闘になって勝てる要素ないもんな。

 

 

「まあいいわ。せっかく来てくれたのだし歓迎するわね」

 

「月夜見様……月に遷都する計画ででお忙しいのでは……」

 

「丁度一区切り付いたのよ……ってあなたは分からないわね」

 

「あー、聞いたことはあるよ。穢れがどうのこうのっていう奴でしょ?」

 人に穢れが溜まって寿命が生まれるっていうあれね。俺は妖怪だから気にしたことも無いけど。

「近隣の妖怪が原因だって言われてるのだけど……そうでも無いみたいね。翔さんからはそんな感じしないわ」

 

「いや、わからないぞ? ベースは妖怪だが会った生物の数でいえば人間が一番だからな。人間寄りになっててもおかしくない」

 

「そういう考え方もあるのね……それで翔さんはどうするの? 本来妖怪は連れていかないけどあなたなら大丈夫だと思うわよ」

 

「いや、俺は残るよ」

 

「……やっぱり……」

 永琳はため息を付いた。

 

「あのね、ここいら一帯はプランク爆弾で更地にする予定よ。あなた生きてられないわよ。知ってるでしょう?」

 プランク爆弾とは最近できた核兵器よりも更に威力が強い爆弾のことだ。その爆弾でこの周辺を全て吹き飛ばし、高度な技術を未来に残さないようにする計画があるらしい。

 俺程度の結界は全く意味をなさないだろう。

 

 でも、前もって知っていれば何も問題ない。対応ぐらいやろうと思えば簡単にできる。

 

「この間体内エネルギー量を瞬間的に莫大に増量させる薬を作ったんだ。それがあれば間違いなく助かるレベルの結界を張ることもできる」

 

「翔……いつの間に……」

 

「準備がいいのね……」

 

「いやぁ、それ程でもあるかなー」

 

「「褒めてはない」」

 

 あらー……。

 

 

 

 

 そしてあっという間に出発の日は来た。

 




 穢れっていう物について、調べても原因出てこなくて分かんなかったので妖怪が原因ってことにしました。いいよね……?


 次回、億年前の舞台は最終回です。

 こんなに話の展開早くて大丈夫なのかな……。


 今後とも自分の作品をよろしくお願いします!


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翔の仕事

 今回の章は最終回。翔の謎が明らかに!

 それじゃあ今回も、ゆっくりしていってね!


「これが月行きのロケットか。でかいな」

 

「ええ、この国屈指の技術者達の結晶ね。この街全員とその荷物を一度に運ぶんだもの、そう簡単に出来るものじゃないわ」

 

 俺は出発前に、月行きロケットの見学に来ていた。乗れないから見せてって月夜見に言ったら快く許してくれたのだ。月夜見様マジ優しい。

 

 

「でも翔、本当に来ないの?」

 

「なんだ? 来て欲しいのか?」

 

「いや、そうじゃなくて……これからまた数千年以上は確実に人現れないわよ?」

 

「うーん、まあそれもありかなって。結局俺妖怪だしそういう所はすぐだからな」

 

「そう……寂しくなるわね」

 

「大丈夫だ。月に行ける能力があったら俺が遊びに行くから。この能力的に無理ってことは無さそうだし」

 

「そう。少し気が楽になったわ」

 

「ならよかったよ」

 

 

 そして、永琳や月夜見達はロケットに乗り込んで飛んでいってしまった。大量のプランク爆弾という置土産と共に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、あのエネルギー増強薬は成功っぽいな。ちゃんと無傷だ……ってここどこだ?」

 

 防御が終わり、荒れ果てたクレーターでもあるかと思っていたが、視界に入るのは上下前後左右どこがどこか分からない真っ白な空間ばかりだった。周りは果てしなく続いているようにも、案外狭そうにも見える。

 

 

「ん……夢か。寝よ」

 

「いやいやいや! 待ってくださいよ!」

 

「んだようるせ……ほぇ?」

 眠くてまた目を瞑った俺は、起こすように揺さぶってきた人を見て変な声を上げてしまった。

 

 その人は美人だった。と言うよりそれ以外の言葉が俺には思いつかなかった。妖怪になってそういう欲が異常に無くなってた俺でも緊張でおかしくなりそうだ。そんな人が目と鼻の先でいる。ちょっと意味がわからない。

 

「よかったー。起きてくれたんですね!」

 

「え、えっと。とりあえず離れて……」

 

「えっ? あ!!」

 その人は自分がしていたことに気がついて顔を赤らめてさっと離れた。そこでその人に真っ白の翼が生えていたのに気が付いた。

 

「あ、あの……誰?」

 

「し、死者を導く天使の天使アズリエルと言います。最近死を司るアズライール様の下に付いた者です」

 ……アズリエルとアズラーイールって同じじゃね? 同じ仕事してる別人だったのか……? 

「じゃあここは?」

 

「ここは死後の世界です」

 

「だよね……死を司る天使の下にいる天使が死者以外の者に会ったりしませんよね……」

 

「いえ、あなたはまだ死んでいません」

 

「……へ?」

 

「用事があってお呼びしたのです」

 

「用事……? あ、もしかして俺の能力が問題とか!?」

 普通に考えたら人に会えば会うほど強くなるからな……。

「それもありますけど……ひとまずこちらを」

 そう言いながらアズリエルは光の玉を取り出して俺の頭に抵抗する間もなく押し込んだ。その瞬間、頭の中で何かが弾けるような感覚を覚えた。

 

 

 それが終わった後、俺は全てを理解した。

「……そういうことか、アズリエル」

 

「はい! 思い出されましたか?」

 

「ああ、全部思い出した」

 

 

 つまり今までの妖生は俺の為人を調べる期間みたいなものだったらしい。

 

 

 俺が妖怪として生まれる前、つまり前世で死んだ後この死後の世界に来ていた。俺の妙に偏った知識は前世の記憶なんだろう。こりゃー前世の記憶によるチートは変なアイデアぐらいのものか……。

 目の前のアズリエルはその時の俺の担当だ。

 

 俺は天国地獄のどこへ行くべきかを調べられた。しかし、俺の魂には生前の記憶が見て取れなかったらしい。そういうのはとても珍しいことではあったが、今まで無かった訳でもない。そしてそういう人が善人の場合、類に漏れず天界の仕事をすることになるのだとか。そういう人は大抵強い素質を持っているらしい。かく言う目の前のアズリエルも最近それで選ばれたのだとか。

 

 で、その人の潜在能力を覚醒させた状態であまり歴史に問題が出ないように大昔に記憶を消して送られ、善人か悪人かを見極められる。

 俺が呼ばれたということは見極めが終わったんだろう。

「それで、俺は善人になれてるのか?」

 

「はい、勿論です」

 

「じゃあ天界の仕事を任されるのか?」

 

「……それなんですが……」

 

「ん?」

 なんだか歯切れ悪いな……。

 

 俺は不思議に思いながら続きを促した。

「……翔さんの仕事は工作員です」

 

「工作員かー」

 

「翔さんの想像しているものとはレベルが違います……翔さんの仕事は基本的に異世界へ渡ってその世界の改変をするものです」

 

「……え? スケールデカ過ぎない?」

 

「……能力が強いので難易度の高い仕事が回されることとなったのです。せっかく一緒に働ける人が増えたと思ったのに……

 

「え? なんだって?」

 

「なんでもないですー」

 なんでこいつはムスッとしてるんだ……。

 

「そこで、今回はお試しです。世界の改変というのは、つまり世界の消滅の危機のような所へ送られて、その消滅を防ぐというものです。しかし初めからそんなこと出来るわけがないので、正史が世界の消滅である世界の過去へ送ります。失敗しても正史通りなので問題はありません。天界も改変出来たらラッキーぐらいにしか考えていませんので」

 それお試しって言えんのか……? 

「心配はいりませんよ。翔さんなら出来ます。というか盛大にやらかして下さって構いません」

 

「どういうこと?」

 

「上の方がどうせ無理だなんて言うんです! 翔さん自身の素質もとても強いですし、私だって物凄く頑張って覚醒させたんですから!」

 俺はアズリエルの最高傑作だとでもいうように怒っていた。何だこの可愛い天使は。

「まあいいや。んで、アズリエル。俺はどうすれば?」

 

「あ……こ、こほん……ではこちらにゲートを開きますから……後……アズリエルって言い難いですか?」

 

「あ、バレた? あんまり名前と雰囲気が合ってない気がして……」

 前世での影響か変則的なラスボス感パないんだよな……。UNDERT……うっ……頭が……。

 

「大丈夫です。役職名みたいなものですから、好きに呼んでください」

 

「好きに…………じゃあリエルとかどうかな? シンプルだけど女の子っぽさが出て可愛いと思う」

 

「かっ!? かわっ!? ……で、では行ってらっしゃい!!」

 

「えっ!? ちょっと待って!? うわあっ!?」

 しまった……今のはセクハラだったか……。

 

 俺はリエルの真っ赤になった顔を見て謝ろうと思ったが、その前に目の前が真っ白になり、だんだんと意識が遠のくのを感じた。そこで俺の記憶は途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「可愛い……可愛いなんて……あんな急に……恥ずかしい……でも私はチョロインじゃないはず……そう、翔さんがかっこいいのが悪いんです! ……こうなったら逆に翔さんをたじろがせるぐらいに可愛いくなってやります!」

 




アズラーイール(リエルの上司)「面白いことになってるわね〜」ニヤニヤ

 ※リエルは正チョロインです。(爆)



 ※プランク爆弾って核兵器の10^21倍のエネルギー持ってるらしいことから、俺的には幻のアトランティス大陸が月人の住んでたところっていうのが裏設定です。本編には関係ないのでここでそれだけ言っておきます。


 この続きでは原作が変わるので、新しい小説にしました。続きはコチラ!
  ↓↓↓
https://syosetu.org/novel/204510/

 今後ともこのしょぼい小説をよろしくお願いします!


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