恋愛のブシドー (火の車)
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恋愛のブシドー 第1章 (イヴルート)
1話


 俺は八舞栄斗。高校二年だ。

俺は元々、男子校に通っていたんだが、この春からとある理由で花咲川女子学園、もとい、花咲川学園とうちの学校が合併することとなった。

そして、今日が花咲川学園への初登校日である。

が、俺はいつも道理、朝食の用意をしていた。

 

「うーん、今日も良い出来だ。」

 

 今日の朝食は純度の高い和食だ。

出汁のきいた味噌汁の香りが朝の気だるさを吹き飛ばしてくれる。

 

「いただきます。」

 

 最初に口に運ぶのは味噌汁だ。うまい。

俺はふとテレビをつけた。

 

『今話題のアイドルバンド、pastel*Palletsの皆さんにお越しいただきました~!!』

 

 と、アナウンサーが言うと5人の女の子が出てきた。

皆かわいくて話題になるのもうなずける。そして、俺の目には一人の女の子が映っていた。

 

「若宮イヴ...か。」

 

正直、かなり好みだ。こんな子が花咲川にいたらどんなに幸せだろう。

まあ、そんなことありえないな。

 

「にしても、この子はかわいいな。」

 

 若宮イヴの容姿は日本人離れしている、おそらく、日本人ではないのだろう。

だが、俺はその日本人離れした容姿に見入ってしまった。

 綺麗な白い髪、スラっとした体型、そして...画面を挟んでも伝わってくる、

明るそうな性格...

 

「いいなぁ、若宮イヴ...」

 

ふと時計を見ると、時計は7時40分を指していた。

 

「っと、そろそろ、行かねぇと。」

 

そう呟いて、俺は家を出た。

 

 

________________________________________

 

 通学路は春の陽気で満ちていた。

俺が少し早めに家を出るだけに、人は少なく、鳥の鳴き声が小気味よく聞こえてくる。

 

「いい日だ...」

 

と、俺が感傷に浸っていると

 

「わー!あぶない!」

「ぐほっ!」

 

・・・ものすごい勢いで、女の子にぶつかられました。

 

「ご、ごめんなさいっ!」

「いや、そんなに謝らなくても大丈夫だ。

って、その制服、花咲川か?」

(あれ、この子、どこかで...?)

「はい!私は花咲川の二年生、若宮イヴです!」

「若宮イヴって...ええええええ!!!!!」

 

 

 

 

________________________________________

 

主人公の設定

名前 八舞栄斗(やまい えいと)

年齢 16歳

好きなもの 料理 クッキー 紅茶

嫌いなもの 辛い物 

身長 175㎝ 

体重 60㎏

誕生日 12月24日

 

もとは男子校の生徒だったが、花咲川女子学園と合併し、通うことになる。

テレビでパスパレを初めて見てからイヴをかわいいと思っている。

とある事情からマンションで一人暮らししている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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2話

「若宮イヴって、あの、Pallet*Palletの若宮イヴか!?」

「パスパレをご存じなんですか?うれしいです!」

「知ってるって言うよりは、今朝のニュースで...」

 

 俺は困惑していた...今日の朝にニュースで見た人物が目の前にいるんだ。

感覚的にはテレビから飛び出してきたような、夢を見ているような...。

 

「って、なんでそんなに急いでたんだ?」

「あ!そうでした!今日は剣道部の朝練があるんです!」

「剣道部?」

「はい!剣道部...まさしくブシドーです!」

「で、朝練は何時からなんだ?」

「えーと...あと、20分くらいですね!」

「じゃあ、一緒に学校に行ってくれないか?花咲川について教えてほしいんだ。」

「はい!いいですよ!でも、なんで花咲川について知りたいんですか?」

「今日から花咲川に通うんだ!」

「え?花咲川は女子高ですよ?」

「この春から合併するんだが?聞いてないのか?」

「あ、そういえば!」

「だから、学校について教えてほしいんだが。」

「はい、かまいませんよ!それでは出発しましょー!」

 

 と言って、俺は若宮に学校の設備のことや、部活のこと、若宮自身のことを聞きながら学校に向かった。

 

________________________________________________

 

「ありがとう、若宮」

「いえ!私も人と話せて楽しかったです!」

「若宮は今から朝練だろ?がんばれよ。」

「はい!あ、そういえば名前を聞いていませんでした!」

「あー、そうだった、俺は八舞栄斗だ。」

「栄斗さんですね!これからよろしくです!」

「あぁ。」

 

そして、若宮は部活に俺は指定された待合室に移動した。

 

_________________________________________________

 

 俺は元の学校では友達なんて居なかったから、待合室の端で大人しくしている。

すると、教師が待合室に入ってきた。

 

「えー、これから君たちには、この学校に元からいる女子生徒と顔合わせしてもらう。」

 

正直、顔合わせなんてめんどくさい。

なんてことを考えていると。

 

「顔合わせ楽しみだな~!」

「?」

 

横にいた男子が話しかけてきた。

チャラそうなやつだ。

 

「...俺はそうでもないな。」

「そうなのか?せっかく男子校から共学に代わって女子と喋れるのに?」

「俺はそこまで興味がないんだ。(若宮を除いて)」

「でも、まぁ!やるからには楽しんでこうぜ!」

「そんなのは、人それぞれだ。」

 

そして俺たちは教師の先導のもと顔合わせの会場に向かうのだった。

 

 



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3話

今は書いてるのが楽しいので可能な限りは出したいです。


 俺たちは教師の先導のもと体育館に来た。

今回の顔合わせは特別なようで半ばパーティーのような雰囲気だった。

そんな中俺は、案の定、会場の端にいた。

 

「...こいつら、順応するの早すぎだろ。」

「いや、お前みたいなのが珍しいだけだよ!?」

 

待合室から何故か一緒にいるやつがツッコミを入れてきた。

それにしても...

 

「誰だお前?」

「え?今まで喋ってたよね?誰か知らないで喋ってたの!?」

「あぁ、俺はお前のことなんか今日初めて見た。」

「...まぁ、いいや。俺の名前は

 真波涼だ!」

「あっそ。」

「興味薄すぎ!!??」

 

うるさいやつだ。てかなんで俺に絡んでくんだよ...

 

「てか、お前の名前なんだよ?」

「俺?俺は八舞栄斗だ。」

「栄斗ね...よろしくな!」

「俺はよろしくしたくないんだが。」

「ひど!?...まぁ、いいや。

 俺と一緒に女子と喋りにいかね?」

「断る、一人で行け。」

「まあまあ、そういわずに。」

「ちょ!?」

 

そう言って真波は俺を引っ張って人が多いところに連れて行った。

が、会場の雰囲気が異様だ。

 

「おい、真波、様子がおかしくないか?」

「?言われてみれば」

 

周りを見渡していると、ある声が聞こえてきた。

 

「ねぇあれ。」

「うん。完全に触ってるよ。」

 

と、言っていた女子生徒と同じ方向を見てみると...

 

「あのー、手を放してもらえませんか...?」

「ん?何のことだい?」

 

いかにも性格の悪そうなデブ男子が若宮にセクハラを働いていた。

 

「若宮イヴだよね...?パスパレの...僕、ずっと、ファンだったんだ...」

「ひっ!」

 

 やばい助けないと...

 

「そこの男子生徒やめなさい!!」

 

 水色っぽい髪色の女子生徒が止めに入った。

 

「今すぐその手をどけなさい!」

「なんなんだお前は!僕はイヴちゃんと話してるんだ!外野は引っ込め!」

「きゃっ!」

 

デブは叫ぶのと同時に、止めに入った女子生徒を払いのけた。

 

「うっわ、最低だなあいつ...」

「...ねぇ。」

「ん?」

「その行動はいただけねぇぞ!!!」

 

俺は気づいたら叫んでいた。

それだけ、このデブの行動が許せなかった。

 

「真波...止めんなよ。」

 

と、言い残し俺は現場に歩み寄った。

 

「おい...」

「なんだ!お前も僕に邪魔をするのか!?」

「栄斗さん!?」

「若宮、もう、大丈夫だ。」

「おい!僕を無視するな!」

 

と、デブが喚いている。まったく...

 

「てめぇは発情期の豚か!?あぁ!?」

「な、なにぃ!?」

「さっきから、若宮の迷惑を考えないでセクハラして!

 止めに入った女子生徒を払いのける...?」

「だ、だから何だって言うんだ!」

「それが男のやることか!?ごらぁ!!」

 

と、言って俺はデブを殴り飛ばした。

 

「な、なに、なにするんだぁ!?」

「あぁ?クズには制裁がいるだろ?制裁だ。」

「く、くそぉぉおおお!」

 

デブが掴みかかってきた。が。

 

「ぶっ!!!!」

 

返り討ちにあった。

 

「...おい、選ばせてやる。今から大人しくるか、このまま続けるか。」

「う、うぅ...」

 

と、言ってデブは体育館から出て行った。

 

「ふぅ...疲れた...」

「栄斗さん!?」

「ぐほっ!!」

 

何故かまた若宮にぶつかられた。

 

「な、なんだ?若宮?」

「...ありがとうございました。」

「?」

 

元気なくお礼を言ってきた。

 

「いや、俺が気に入らなくてやったことだから...」

「...いえ、今回は本当にありがとうございました。」

「あ、紗夜さん...」

 

さっき、止めに入っていた女子生徒もお礼を言ってきた。

 

「い、いや、あなたは一人であいつに立ち向かったんだ、貴女のほうが立派ですよ。」

「そんなことは...っ!!」

 

紗夜さんと呼ばれていた女子生徒は苦悶の表情を浮かべている。

さっきので、足を挫いたんだろう。

 

「大丈夫ですか?」

「こ、このくらい、問題ありません...っ!!!」

「...やっぱり駄目じゃないか。」

 

俺は紗夜さんに近づいた。

 

「な、なにを...ひゃ!!」

「...すいませんが、これで保健室まで向かいます。」

 

俺は紗夜さんを抱え保健室に向かった。

 

 




感想、要望、ご指摘などありましたら是非コメントしていってください。


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4話

「失礼しまーす...?」

 

紗夜さんを抱えて保健室にやってきたが。

騒ぎに気づいて対処に行っているからか誰もいなかった。

 

「誰もいないですね。」

「え、えぇ、そうですね。」

 

俺は紗夜さんをベッドに座らせて応急処置の準備をしていた。

 

「えーと、湿布は...あった。」

「申し訳ありません...」

 

突然、紗夜さんはそう言った。

 

「どうしたんですか?急に。」

「...今回、私はあの男子を止められませんでした。」

「まぁ、そうですね。」

「...はっきり言いますね。」

 

と、紗夜さんは悔しそうな表情だ。

 

「でも、周りが見ているだけの中、あなたは一人で立ち向かったんだ。

 それは、評価されるべき勇気ある行動ですよ。」

「...ありがとうございます。」

「...正しいことを評価されない人間なんか俺だけで充分なんだ。」

「?それはどういう_」

「はい!応急処置終わり!」

「え?」

「戻りましょう。

 向こうはたぶん混乱している。」

 

と言って、俺と紗夜さんは保健室を出た。

 

「...さっきの話はどういうことですか?」

「さっきのとは?」

「だから!_っ!!」

「足、痛むでしょ。

 肩貸しますよ?」

 

という話をしていると

 

「栄斗さーん!」

 

若宮が走ってきた。

 

「どうした?若宮?」

「紗夜さんが心配だったので様子を見に!」

「そうですか、ありがとうござます。」

 それと、若宮さんさっきは止めてあげられなくて申し訳ありませんでした。」

「とんでもないです!紗夜さんの行動はまさしくブシドーでした!」

 

と言って、若宮は紗夜さんを慰めている。

 

「あー、若宮?」

「はい!なんでしょう栄斗さん!」

「この人に肩を貸してやってくれないか?」

「はい!わかりました!」

 

と言って若宮と交代した。

 

「でもなんで交代したんですか?」

「流石に体育館に戻るのに男子と肩組んでたら奇異の目で見られるからな。」

 

という、説明をしておいた。

 

「まぁ、体育館に戻るぞ。」

「「はい!(えぇ)」」

_________________________________________________

 

体育館に戻ると、顔合わせは問題なく進行していた。

 

「おーい!栄斗ー!」

「あ?真波か。」

「いやー、さっきは驚いたぜー!」

 

と、軽口を叩いてくる。

 

「...真波、あれから、問題はなかったか?」

「うーん、まぁ、進行に問題はなかったが...」

 

なんか、歯切れが悪いな

 

「おい、何かあったのか?」

「いやーそのー。」

「_あなたが八舞栄斗ね。」

「もう!千聖ちゃん!表情硬いよ!」

 

真波と話していると、ブロンドの女子生徒とピンク髪の女子生徒が話しかけてきた。

 

「...この人たちは?」

「えーと。」

「私は白鷺千聖です。

 そしてこっちが_」

「まんまるお山に彩りを!

 丸山彩で~す!」

「...で、俺に何のご用で?」

 

さっそく、本題に入ってもらうことにした。

 

「今回はイヴちゃんを助けてもらったことにお礼をしたくて。」

「そうそう!イヴちゃんを助けてくれてありがとねー!」

「いえ、俺は当たり前のことをしただけです。」

 

と、返しておいた。

あれ、この二人もどこかで...

 

「...あの、お二人はパスパレの?」

「ベースよ。」

「ボーカルでーす!」

「やっぱり。」

 

すごいなこの学校、アイドル三人もいんだけど...

ってことを考えていると

 

「栄斗さーん!」

 

若宮が走ってきた。よく、走るんだな。

 

「なんだ?」

「紗夜さんが呼んでいるので伝令に!」

「あ、あぁ。」

 

俺は紗夜さんのもとに向かった。

____________________________________________

 

会場の端に置かれている椅子に紗夜さんともう一人の黒髪の人がいた。

 

「お待たせしました。」

「いえ、大丈夫です。」

「そちらの方は?」

「あぁ、この人は_」

「白金燐子...です。

 この学校で...生徒会長を...しています。」

「生徒会長さんですか。よろしくお願いします。」

「今回は...トラブルへの対処...ありがとうございました。」

「いえ、むしろ、大事にして申し訳ないです。」

 

って、あれ、この雰囲気って...

 

「あのー、紗夜さんの上の名前は?」

「え?あ、名乗ってなかったですね、氷川です。」

「氷川さんって、三年生ですよね?」

「?はい。」

 

あぶない、同い年と思ってた。

 

「...。俺はなぜ呼ばれたんでしょう?」

「...話をそらしませんでしたか?」

「いえ。」

「で、本題は?」

「あぁ、今回は助けてくれてありがとうございました。」

「私からも...ありがとうございました。」

「いえ。」

 

よかった。怒られるわけではないみたいだ。

 

「あ、でも...」

「うん?」

「今回の件で、あなたは注目を浴びました・」

「まぁ、結構目立ちましたしね。」

「まぁ、すぐにわかります。」

「?」

 

このとき、氷川さん言うことが理解できなかった。

そして、気づいていなかった、俺を見ている視線に。

 

「栄斗さーん!」

「ん?なんだ?」

「一緒に料理をいただきましょう!」

「え、でも...」

「いいですよ行っても。 

 私には白金さんがついててくれますし。」

「あ、そうですか。では、失礼します。」

「いきましょう!栄斗さん!」

「あぁ。」

 

そこからの時間は楽しかった。と、思う。

だが、この後に起こる学園生活の苦労をこの時の俺は、知る由もなかった。




ここまでが一応プロローグみたいなものです。

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5話

今回の新規イヴちゃんがかわいすぎる...


 顔合わせの翌日の朝...

 

「...昨日の氷川さんの発言は何だったんだ?」

 

 俺は朝起きるなりそんなことを考えていた。

 

(注目を浴びた?...教師に目をつけられた?)

「...まぁ、考えても仕方ないな。」

 

 そう言って俺はいつも通り朝食を済ませ。

家を出た。

 

________________________________________

 

 今日は昨日に比べ、かなり遅く出てしまった。

 

「生活リズムが少し崩れたからか。」

「おーい!栄斗ー!」

「あ?」

 

 俺が考え事をしていると真波が後ろから走ってきた。

 

「なんだ、真波か。」

「おう!おはよ!」

「...朝から元気な奴だ。」

「おう!元気が取り柄だからな!

 てか、栄斗って家こっちなのかよー!」

「だからなんだ。」

「これから一緒に登校しような!」

「断る。」

 

 と、言い捨て俺は歩き出した。

 

「おーい!待てよ栄斗ー!」

 

__________________________________________

 

 今日はクラス替えの発表があるので、それを確認した。

 

「...E組か。」

「お、栄斗もEか!一緒だな!」

 

そんな会話をしていると...

 

「栄斗さーん!」

「若宮か。」

「おはようございます!栄斗さん!」

「あぁ、おはよう。」

「...栄斗、俺の時と対応違いすぎない?」

「若宮はうざくないからな。」

「え?俺うざいの!?」

「あぁ。」

 

 コントじみたやり取りをしてると_

 

「あのー、そちらの方は誰でしょう?」

「あぁ、こいつは馬鹿だ、覚えなくていい。」

「いやいや!俺は真波!真波涼!」

「涼さんですね?よろしくです!」

 

 と、自己紹介をしていた。

 

「お二人はどこのクラスですか?」

「俺たちはE組だ。」

「本当ですか!?

 私もE組なんです!」

「同じなんだな、改めてよろしく頼む。」

「俺もよろしく!」

「はい!よろしくお願いします!」

 

 挨拶を済ませ俺たちは下駄箱に向かった。

そして、昨日、置いておいた靴に履き替えようと、下駄箱をあけると_

 

 バサバサ!

 

 大量の紙が流れ落ちてきた。

 

「_なんだこれ...?」

「うお!これ全部ラブレターじゃね!?」

「流石栄斗さん!モテモテです!」

「...いや、なんでだよ。

 初登校は昨日だぞ?しかも、俺はほとんど若宮といただろ?」

「そういえばそうですね?」

 

 どういうことだ?なんで、ラブレター(仮)がこんな大量に?

ま、まさか...

 

「昨日の氷川さんの言ってたのはこういうことか!」

「紗夜さんがどうかしたんですか?」

「実は昨日_」

 

 俺は昨日のことを若宮に話した。

 

「...なるほど。」

 

 若宮はなるほどと言っているがわかってなさそうだ。

 

「...つまりあれだろ?

 その、氷川さんって人はこうなるのを分かっていたんだろ?」

「えぇ、その通りです。」

 

 真波が考察すると、下駄箱の陰から氷川さんが出てきた。

 

「なんで...こうなったんでしょう?」

「理由?言わなくてもわかるでしょう?」

「やっぱり、あれっすか?」

「えぇ、それで間違いないです。」

 

 いや、それにしてもおかしい。

 

「なんであれで、こんな事になるんですか?」

「あぁ、それは_」

「「「そこからは私たちが説明します!!!」」」

「!?」

 

 どこからか女子生徒の集団が現れた。

 

「え?どなたですか?」

「私たちはあなたのファンクラブです!!」

「は?ファンクラブ?なんで?」

「それは_」

 

 そこから、ファンクラブ結成までの経緯を説明された。

簡単に言うと...

デブがセクハラをしていて男子への評価は地に堕ちていた→周りの男子も止めに行かない→男子はやっぱり駄目だ!と思ってた中、俺が止めに入った

 

→その時点で評価は鰻のぼりだったが→そのあと、氷川さんを保健室に運ぶ流れが少女漫画みたいであこがれて→そこから、容姿もいいよねと誰かがいいだし

 

→賛同者が多数いてファンクラブ結成...らしい

 

「」

「...私も結成までの流れは初めて知りました。」

「ですね...でも、流石、栄斗さんです!」

「よかったじゃないかー!栄斗ー!

 羨ましいぜ!」

 

 と、みんな色々言っているが...

 

「よくねぇぇぇ!!!」

 

 俺は心から、そう思った。

________________________________________________

 

 今、俺たちは教室にいる。

ファンクラブ?泣き脅しされて許可しちまったよ!畜生!

 

「...どうして、こうなったんだ。」

 

 俺は教室に入るなり机に突っ伏していた。

 

「まぁ、いいじゃないか栄斗!」

「...なにがだ?」

「男子校から共学になって、おまけにモテるんだぜ!

 学校生活、バラ色じゃねぇか!」

「そうです!みんなに好かれるのはいいことですよ!」

「...真波、変わるか?」

「...悪い、それは勘弁。」

 

 今の状況を説明すると、教室にいる女子はもちろん、

廊下にまでギャラリーがいる...

 

「動物園の動物にでもなった気分だ...」

 

そんなことを考えていると_

 

「そこの生徒たち!一つの教室の前で留まらないでください!」

 

 氷川さんが廊下にいる生徒を注意してくれた。

 

「そして!八舞君のファンクラブについては時期に校則として

 ルールが設けられることになりました!」

 

「え?」

 

 氷川さんが教室に入ってきて...

 

「それでいいですね?八舞君?」

 

 と、威圧的な笑顔でいってきたので。

 

「はい...」

 

 俺はそう答える事しかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 




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6話

日が変わるのに間に合いませんでした...


 今は...昼休みだ。

俺は一人、屋上で一人黄昏ていた。

 

「あら、あなたは...」

 

 と、思っていた。

 

「あなたは...白鷺さん、ですよね?」

「あら、私の名前、覚えててくれたのね。」

「昨日、少しパスパレについて少し調べてみたんです。」

「学園の人気者さんに興味を持ってもらえてうれしいわ♪」

「...望んでこうなった訳ではないんですけどね。」

 

 と、自嘲気味に笑って見せた。

 

「あなたぐらいに男子なら嬉しいんじゃないのかしら?」

「...普通なら喜ぶんでしょうが、

 生憎、俺はそれを望んでないんですよ。」

「へぇ...それはあなたが『演技』をしている事と関係あるのかしら?」

「っ!...さて、何のことでしょうか?」

「あら?パスパレについて調べたんでしょう?

 私に『演技』が通用すると思って?」

「...流石、大女優様は違いますね。」

「お褒めにあずかり光栄だわ♪」

 

 流石に白鷺千聖に『演技』は通用しないか。

 

「何が望みですか?」

 

 そう問うと、白鷺さんは考えるそぶりを見せて、そして_

 

「あら?何もないわよ?」

「!!」

「私は新しい学園の人気者に挨拶をしに来ただけだもの♪」

 

 俺は呆気にとられた。

 

「じゃあ、なんで『演技』の事を看破したんですか?」

「え?面白そうだったからよ?」

「はぁ、そうですか...」

 

白鷺さんは扉のほうを向いた。

 

「そろそろ、お暇するわね♪

 また、会いましょ♪学園の人気者さん♪」

 

 と言い残し、白鷺さんは去って行った。

 

「...勘弁してほしいんですけどね。」

 

 誰に聞かれることなく、俺の言葉は春の空へ木霊した。

______________________________________

 

 放課後になった。

俺は校内放送で生徒会室に呼び出されていた。

 

 コンコン

「失礼します。」

「来ましたね、八舞君。」

 

 生徒会室に行くと、氷川さんと生徒会と思われる人たちがいた。

 

「今回、俺はなぜ呼ばれたんでしょうか?」

「それは...私のほうから...説明します。」

 

 白金さんが口を開いた。

 

「今回...八舞君のファンクラブのルールを...決めることになりました。」

「はい。」

「その事について、私が原案を作成しましたので、確認をお願いしたいのです。」

 

 白金さんの説明に氷川さんが続いた。

 

「羽沢さん、お願いします。」

「はい!」

 

 羽沢さんは俺に一枚のプリントを渡してきた。

内容はこうだ。なんで一人制服違うんだ?

 

1、見物目的で八舞栄斗がいる教室前に集まるのを禁止する。

2、家まで付いていくなどのストーキング行為を禁止する。

3、授業の妨害をしない。

4、八舞栄斗への贈り物などは生徒会を通すこと。

5、以上のことを守れない者は通常の校則に則り罰則を行うものとする...だ。

 

「...なるほど。」

「この内容で問題ないでしょうか?」

「はい、問題ありません。」

「それでは...今日中に学園長の許可を得て...明日には発布します。」

「ありがとうございます、白金さん。」

「あ...あと、生徒会のメンバーを...紹介しますね。」

「はい。」

「じゃあ、私から、書記の市ヶ谷有咲です。二年です。」

「気を使わなくてもいいぞ?市ヶ谷。」

「べ、別に!気なんか使ってねーし!...あっ。」

「やっぱり、素を隠してたか。」

「う、うぅ...」

「あはは、私は羽沢つぐみです!有咲ちゃんと同じで二年生だよ!」

「なんで羽沢だけ制服違うんだ?」

「これはね!1度、合同で文化祭をしたらしくてお互いの学校の出入りがしやすくなって、今回は紗夜さんに頼まれて、手伝いに来たんだ!」

「なるほど...。

あ、 俺は八舞栄斗だ、よろしく。」

 

 と、軽く自己紹介を済ませ俺は生徒会室を後にした。

________________________________________

 

「さて、帰るか。」

 

 と、思ったが。

 

「そういえば、食材が残り少ないんだった。」

 

 そうして俺は商店街に向かった。

________________________________________

 

 商店街にきた。この時間帯には夕飯の買い物に来ている人が多くいた。

そんな時、香ばしい香りが鼻孔をくすぐった。

 

「ここは_喫茶店か?」

 

 今日のことで疲れていた俺は吸い込まれるように、その喫茶店に入っていった。

 

「へいラッシェーイ!!なに握りやしょーか!」

「え!?」

 

 店内で俺を迎えたのは茶色のエプロンを身に着け、店を間違えてるぞ、と突っ込みたくなることを言っている、

若宮だった。

 

「あれ?栄斗さんじゃないですか!どうしたんですか?」

「いや、コーヒーを飲もうと思ったんだが、店を間違えたみたいだ。」

「え?間違ってませんよ?ここは、羽沢珈琲店です!」

「うん、そうだよな...って、羽沢?」

 

と、言っていると、一人の女の子が入ってきた。

 

「ごめーん!生徒会で長引いちゃった!」

「あれ?羽沢?」

「あ!八舞君!いらっしゃい!」

「あ、あぁ。」

「イヴちゃん!八舞君を席に案内して!

 私もすぐに準備するから!」

「はい!承知しました!」

 

 俺は若宮に席へ誘導された。

 

「栄斗さん!ご注文はなににしますか?」

「...ブレンドコーヒーを頼む。」

「はい!かしこまりました!」

 

と言って、若宮はオーダーを通すため、厨房に下がっていった。

 

「やばい、情報量が多すぎる。若宮はここでバイトをしてて、

 この店に名前は羽沢珈琲店。つまり...」

 

 などと考え事をしていると、羽沢がこっちに来た。

 

「ブレンドコーヒー、お待たせしました!」

「あ、あぁ、羽沢か。」

「イヴちゃんじゃなくて残念?」

「いや、そういう事ではない。

 羽沢はこの店の娘さんか?」

「うん、そうだよ!」

「...若宮はここがどういう店か理解しているのか?」

「...さぁ?」

 

 と、羽沢も困ったような顔をしている。

なんせ、若宮は今もさっきのすし屋の接客を続けているんだから。

 

「イヴちゃんうちカフェだから...っ。」

 

 と、ツッコミを入れられている。

大丈夫なのか?俺はただただ、そう思った。

 

_「イヴちゃんそろそろ上がりだよね?」

「はい!そうですね!」

 

 と、そんな会話が聞こえてきた。

俺が店に入って、結構な時間がたった。外はもうかなり暗い。

 

「おい、若宮。」

「はい!なんでしょう栄斗さん!」

「もう上がりなら、家まで送る、外も暗いからな。」

「」

 

 羽沢が驚きの表情を浮かべている。

 

「え?栄斗さんは大丈夫なんですか?」

「あぁ、問題ない。」

「それじゃあ!用意してきますね!」

「あぁ、焦らなくていいぞ。」

 

 若宮がバックヤードに下がっていった。

 

「...おい、羽沢、すごい顔してるぞ?」

「っは!ご、ごめん、八舞君。」

「いや、かまわないが。」

「ね、ねぇ。」

「ん?なんだ?」

「八舞君ってイヴちゃんの事、好きなの?」

「...どうした?急に?」

「いや、なんとなくーかな?」

「別に好きではないが、可愛いとは思ってるな。(なにより、俺にはその資格はない。)」

「そ、そうなんだ!あはは。

 ごめん!厨房に行くね!」

「あ、あぁ。(どうしたんだ?)」

 

 いつのまにか、若宮がバックヤードから出てきていた。

 

「意外と早かったな、あっ、すまん会計するから、少し待ってってくれ。」

「あ、あぁ!それなら私が_!」

「若宮!」

 

 俺は間一髪、こけそうになった若宮を抱きとめた。

 

「ど、どうしたの!?イヴちゃ_」

「...羽沢、会計を頼む。」

「え、え、は、はい!かしこまりました!!」

 

 俺は会計を済ませ、若宮と店を出た。

が、若宮の様子がおかしい。バックヤードから出てきたくらいからか?

 

「若宮?」

「え?は、はい!なんでしょう!」

「さっきから元気がないみたいだが、どうかしたか?」

「え、えっと、なにももんだいないですよっ!?」

 ...嘘だな、いつもなら、俺が喋らなくても会話を振ってくるが今はそれがない。

まさか...

 

「...熱でもあるんじゃないか?」

 

 俺は若宮の額に触れた。

うん、熱はないみたいだ...

 

「ど、どうした!?若宮!?」

「な、なな///」

「顔赤いぞ!?やっぱり体調が__」

「送ってもらうのはここまででいいですーーーー!!!!」

 

 と、言って若宮は走っていった。

顔も赤かったし、大丈夫なのか?

俺はそんなことを思いながら帰路につくのだった。

_____________________________________

 

”イヴSide”

 イヴは自宅まで全力疾走した。

 

「はぁはぁ...こんなに走ったのは久しぶりかもしれません...」

 

 全力疾走の後なだけあって、心拍数が上がっている。

しかし、心拍数が上がっている理由はそれだけではない。

 

「ま、まさか、栄斗さんが...私を...

『可愛いとは思ってる』なんて...」

 

イヴはベッドに飛び込んで足をバタバタさせている。

 

「し、しかも!栄斗さんに恥ずかしい姿を見せてしまって... 

 おでこに手を__!!!」

 

 イヴは自分自身の発言で悶えていた。

イヴにとってこの感情は未知のものだった。

 

「明日から、栄斗さんと、どう接すればいいんでしょう...?」

 

 こうして、イヴは一人悶々とし、眠れぬ夜を過ごすのであった。

 




今回、お二人の方に羽沢つぐみちゃんは羽丘の生徒だとご指摘を受けました。
Aftergrow ファン、並びに羽沢つぐみちゃんファンの方々、申し訳ありませんでした。
一応、編集でそれっぽい話には書き換えておきました。
今回出た合同文化祭はアニメの前にやったものです。
今後はこんなミスがないように努めます。


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7話

あと一話くらいいきたいです。


 俺は学校に来てすぐ屋上に来ていた。

 

(昨日の若宮は何だったんだ?)

「...わからん。」

「あら、何についてかしら?」 

「!!」

 

 俺の近くにいつの間にか白鷺さんがいた。

 

「なんでここに?」

「あなたが屋上に行くのを見たから追いかけてきたの♪」

「あ、はい。」

「で、何がわからないの?」

 

 と、こっちを見透かすように効いてきた。

 

「...あなたに言うことではないです。」

「今日、イヴちゃんが部活の朝練に来てないらしいの。」

「!?」

「...その反応何か知っているようね。」

「っ!!(しまった!)」

「なにか知っているようね?」

「...はい。」

 

 俺は昨日のことを白鷺さんに話した。 

 

「...なるほどね。(この子、本気で分かってないのかしら?)」

「もう、いいでしょう。

 俺は行きますよ。」

「...人気者さん。」

「その呼び方やめてくれません?」

「そんなことはいいの...イヴちゃんをよろしくね。」

「?はい。」

 

 そう言って俺は屋上を出た。

_________________________________

 

”千聖side"

 

「まさかイヴちゃんが...

 でも、いい機会なのかもしれないわね。」

 

 千聖はこの先に起こりうる事を想像し、

一人しかない屋上で向かう先を見据えるのだった__

 

_________________________________

 

 若宮はまだ来ていない。

 

「若宮ちゃん、まだ来てないんだな?」

「あぁ、そうみたいだな。」

「朝練も来てないって剣道部の子が言ってたし、

 心配だな。」

「...あぁ。」

 

 そんな会話をしてると、教室の扉が勢いよく空いた。

 

「はぁはぁ...ギリギリセーフです!」

 

 若宮が入ってきた。

若宮は席に着いた。

 

「おはよー!若宮ちゃん!」

「あ、涼さん!おはようございます!」

「若宮おはよう。」

 

 と、俺が声をかけると。

 

「あ、え、栄斗さん!?///お、おはようございマス...///」

 

 ...なんでだ?若宮の様子がおかしい。

 

「...どうした?若宮?」

「え!?な、なんでもないですっ!///」

 

 ......なんでなんだ。

 

 ”イヴside"

(うぅぅぅ、昨日から変です...!栄斗さんを思い出すと、ドキドキしてしまいます!

 なんででしょう?)

 

 イヴは自分の気持ちには鈍感らしい。

_______________________________________

 

 __昼休みなった。

1,2時間目は若宮から緯線を感じたが3時間目からはなくなっていた。

本当にどうしたんだ?

 

(私は理解しました!この気持ちの正体を!

 これは!私に与えられたブシドーの修行なんですね!)

 

 イヴは斜め上な回答をだしていた。

 

(これを乗り越えれば、私もブシに近づけるうことなんですね...!)

「栄斗さん!」

「!?なんだ若宮?」

「私、頑張りますね!」

「?お、おう、何かわからないが頑張れよ?」

「はい!ありがとうございます!」

 

 イヴが自分の気持ちを理解するのは、少し後のことだ。

_________________________________________

 

 __放課後になる頃には若宮はいつもの調子に戻っていた。

 

「栄斗さん!」

「なんだ?若宮?」

「今度、ライブハウスで私たちが主催でライブをするんです!

 それで、よろしければ、栄斗さん見に来ませんか?」

「え?いいのか?」

「はい!友達を呼んでいいとチケットも貰っています!」

「なるほど、でも、俺が行っていいのか?」

「はい!栄斗さんに私のブシドーを見てもらいたいです!」

「...そうか、じゃあ、見に行かせてもらう。」

「はい!チケットです!どうぞ!」

 

 俺は若宮からチケットを受けとった。

 

「それでは!」

 

 若宮走っていった。

 

「...CiRCLEか。」

 

 俺はチケットをしまい、家に帰るのだった。




感想やリクエストなどあればよろしくお願いします!


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8話

八話です。
話を思いっきり動かしたいですね。


”パスパレの練習場”

 

「~♪♪」

「あら?イヴちゃん、なんだかご機嫌ね?」

「あ、それ私も思った~!」

「ジブンもっす!」

「私も私も!」

 

 と、千聖の言葉に、日菜、麻弥、彩が続いた。

 

「え?そうですか?」

「そうだよ~!今のイヴちゃん、るんっ♪てしてるよ!」

「そ、そうなんですか?」

 

 という話をしていると...

 

「それでそれで!なにがあったの?」

 

 と、彩が聞いてきた。

 

「えーと_」

 

 イヴは栄斗を誘ったことをメンバーに話した。

 

「...イヴちゃん以外、集合。」

「「「うん(はい)」」」

 

 千聖が全員(イヴ以外)を集めた。

 

「これは...あれね。」

「うん、あれだね~」

「あれっすね...」

「あれ...だよね。」

 

「「「「イヴちゃん(さん)こいしてるね(ますね)」」」」

 

 四人の意見が一致した。

 

「でも、アイドルが恋愛って大丈夫なんすか?」

「あ、それ、私も思った。」

 

 麻弥と彩が質問した。 

 

「あら、知らないの?パスパレは大丈夫なのよ?」

「「「そうだったんだ(んすか)」」」

「...まぁ、いいわ。

 問題はイヴちゃんが自覚してるかどうかね。」

「じゃあ、私、聞いてくるー!」

「あ、ちょ!日菜ちゃん!?」

 

 千聖の静止を振り切り、日菜はイヴに突撃した。

 

「ねぇねぇ、イヴちゃん?」

「はい?なんでしょう日菜さん?」

「イヴちゃんって、その男子の事どう思ってるの?」

「栄斗さんの事ですかですか?大切なお友達です!」

「じゃあ、その男子と話したらドキドキしたりしない?」

「はい、しますね?」

(お!これはこれは?)

「でも、これはブシドーの修行なんです!」

「「「「え?」」」」

 

 イヴの発言にメンバーは困惑した。

 

「これを乗り越えて、私は立派なブシになるんですっ!」

(これは...)

(もしかして...)

(まさか...)

(...確定ね。)

((((イヴちゃん(さん)自分の気持ちに気づいてない!?))))

(...大変ね、人気者さん。)

 

 千聖は栄斗を憂いるのだった。

 

 __その頃の栄斗

 

「はっくしゅん!!」

 

 栄斗はいつも通りだった。

__________________________________________

 

 ライブ当日だ、初めて行くから楽しみだな。

と、列に並びながら考えていた。

 

「次の方~!」

 

 呼ばれたので受付に行った。

 

「これ、おねがいします。」

「はいは~い!ってこれ、関係者用?

 ...すいません、これをどこで?」

「若宮イヴに貰いましたが?」

「イヴちゃんが?なるほど...

 失礼しました、こちらを首からかけてあちらの扉に入ってください。」

「はい、わかりました。」

 

 俺は言われた通り、扉に入った。

 

「...これ入って大丈夫だったのか?」

 

 何てことを考えていると...

 

「あ!栄斗さん!」

 

 若宮がいた。

が、いつもと違い、アイドル衣装に身を包み、なんていうか...

 

「...かわいいな。」

「え!?///」

 

 やばい、口に出た。

 

「す、すまん!若宮!」

「い、いえ!少し、おどろいただけです!///」

 

 という、俺たちのやり取りをパスパレメンバーは陰から見ていた。

 

「...あれがイヴちゃんの彼氏?」

 

 と、日菜が聞くと。

 

「...付き合ってないのよ、あの二人。」

「イヴさん自身が気づいてないっすからね...」

「...これ、私たちが何もしなくても

 いいんじゃないの?」

 

 パスパレメンバーはイヴを応援しようと考えていた。

 

「...なんていうか、私たち入る余地、ないよね~。」

「「「そう(ね)(だよね)(すよね)」」」

 

 と、その場を離れようとすると__

 

「あれ?みなさん、こんなところでどうしたんですか?」

 

 イヴが目の前にいた

 

「どうも、白鷺さん、丸山さん。」

「えぇ、こんにちは、人気者さん。」

「こんにちは~!」

 

 と、一応、挨拶をしておいた。

すると_

 

「ねぇねぇ!君が八舞栄斗君だよね!」

 

 突然、水色の髪の人が話しかけてきた。

この人、誰かに_

 

「私は氷川日菜!ギターだよ!」

「えっと、俺は八舞栄斗です。」

「うん、知ってるよ!」

「え?」

 

 なんでだ?ってか、氷川って...

 

「すいません、あなたって氷川紗夜さんの...?」

「うん!双子の妹だよ!」

「双子!?」

 

 驚いた、まさか双子とは...

 

「えーっと、ジブンも自己紹介してもいいっすか?」

 

 と、緑のアイドル衣装を着ている人が話しかけてきた。

 

「あ、はい。」

「ジブンは大和麻弥っす!ドラムをやってます!

 よろしくっす!八舞さん!」

「はい、よろしくお願いします。」

 

 ...すっごいな、この状況。

アイドルバンドが目の前で全員揃ってる。 

てか__全員めちゃめちゃかわいいな。

白鷺さんと丸山さんは知ってたけど。ほかの二人もやべぇ__

 

「いたたたたっ!!!!」

 

 突然、若宮に二の腕を摘ままれた。

 

「むぅ~。栄斗さん!ほかの人たちを見過ぎですっ!!」

「わかった!謝る!謝るから、放して!」

 

 と、言うと若宮は放してくれた。

 

「まったく!栄斗さんはブシドーじゃないです!」

「...いや、何かわからんが、すまんかった。」

「...私の事、もっと褒めてください...」

「え?」

 

 若宮が小さい声でそう言った。

 

「...すごいかわいいぞ、若宮。

 うん、一番かわいい。」

「///そ、そうですか...!///」

 

 よくわからんが、若宮が喜んでるからいいや。

それを近くで見てたメンバーは...

 

「「「「私たち完全にダシに使われてるね(っすね)」」」」

 

 二人の世界に入ってる二人に気付かれないように、メンバーは楽屋に戻るのだった。

________________________________________

 

 一時間後にパスパレの出番が来た。

 

(ライブってすごいんだな。)

 

 ここまで、六つのバンドが演奏したがどれも盛り上がっていて

会場に一体感があった。

 そして、パスパレが出てきた。

 

(すごいな、今日一番の盛り上がりじゃねぇか!!)

 

 て、事を考えていると、

 

『みなさ~ん!!こ~ん~に~ち~わ~!!』

「「「「「こーんーにーちーわー!!!!」」」」」

 

 丸山さんが呼びかけると、観客皆が反応する。

 

『今日も~!!一曲目から!!がんばっていくよ~!!!』

「「「「「おぉぉぉぉ!!!!!」」」」」

 

 そこからの時間はすごかった、会場が、それまでの、すべての時間が

パスパレに集まっているような、そんな感覚だった。

 

(す、すごいっ!ライブってこんなに楽しいのか!!)

__________________________________________

 

『みんな~!!ありがと~!!!』

 

 ライブが終わった。なんていうか、すごかった。

 

「...すこし、若宮に声をかけにいこう。」

 

 俺は楽屋のほうに向かった。

__________________________________________

 

「お、若宮!」 

「栄斗さん!ライブはどうでしたか?」

「あぁ!すごかった!こんなに楽しかったのは久しぶりだ!」

「よかったです!」

「...若宮はこのあと予定あるか?」

「いえ、後は家に帰るだけですね?」

「なら、送っていく、夜も遅いからな。」

 

 ライブが終わったのが九時くらいだったから、

流石に危ないからな。

 

「はい!ありがとうございます! 

 少し待っていてくださいね!」

「ゆっくりでいいぞ。」

 

 と、若宮は楽屋に行った。

 

「...中々、積極的ね、人気者さん♪」

「...白鷺さん。って、積極的ってなんすか?」

「あら?夜に女の子を家まで送ろうとするなんて、 

 かなり積極的と思うのだけれど?」

「...残念ながら、そういう狙いはないんですよ。」

 

 まったく、この人は何を言い出すやら...

 

「...あなた、イヴちゃんをどう思ってるのかしら?」

「若宮を?...いい友達っすね。」

「それだけかしら?」

「...どこまでわかってるんだか、

 そうっすね、かわいいやつっすね。」

「...あなた、気付いてないの?」

「なにをっすか?」

「イヴちゃんは、あなたの事、好きよ、

 生憎、本人は自覚してないようだけど。」

 

 ガタッ!!!

 

「ん?」

 

 物音がしたが気のせいか。

 

「...何をらしくない冗談いってんすか。」

「あら?私は本気よ?」

「...そんなの、ありえないっすよ。」

「そう...でも、覚えてなさいね、

 いずれ、わかるから。」

 

 と、どこかを見ながら言ってきた。

 

「...一応、覚えときます。」

 

 それから、白鷺さんは去って行った。

 

「そういえば、若宮、結構遅いな。

 少し、楽屋に行ってみるか。」

 

 と、楽屋に向かおうとしたら、曲がり角に若宮がいた。

 

「どうしたんだ?こんなところに突っ立って?。」 

 

 と、聞いてみたら...

 

「え?え、栄斗さん!?///い、いえ、いえなんでもないですよっ!!!///」

「...そうか。」

 

 少し顔が赤いが、ライブ後で体温が上がっているんだろう。

 

「まぁ、帰るか。」

「は、はぃ///」

___________________________________________

 

 俺たちは帰路についていた。が、若宮の様子がおかしい。 

妙に静かだ。 

 

「あ、ここが私の家です...」

「お、おう、そうか。」

 

 若宮が指さしたのは結構大きな一軒家だった。

 

「じゃあ、俺はここまでだな。またな。」

 

 と、帰ろうとすると、

 

「ま、まってください!」

 

 若宮に引き留められた。

 

「ど、どうした?」

「あ、あの、その...ライブでの私はどうでしたか?」

「...なんて言っていいかわからないんだが、

 すっごい、輝いてた。そして、綺麗だった。」

「きっ!!///...そ、そうですか。

 よかったです!」

「...ありがとう、若宮。」

「...いえ、私が呼びたかったんです。」

 

 俺たちの間に沈黙が流れる。

 

「あ、あの!」

 

 若宮が沈黙を破った。

 

「よろしければ...連絡先を交換しませんか?」

「連絡先?あぁ、いいぞ。」

 

 俺たちは連絡先を交換した。

 

「...久しぶりに、連絡先、登録した。」

 

 俺は正直な感想を述べた。

 

「これでいつでも、お話しできますね!」

 

 若宮は嬉しそうだ。

 

「ははっ、そうだな。

 ...そろそろ帰るよ。」

「はい!また、学校で!」

「あぁ。」

 

 そう言って俺は家に帰るのだった。

______________________________________

 

”イヴside"

 

 栄斗が帰った後、イヴはすぐに自室に入った。

 

「えへへ~栄斗さんと連絡先を交換しちゃいました~!

 そ、それに...///」

 

『イブちゃんは、あなたの事、すきよ』

 

「...そうだったんですね。

 この、ドキドキは修行じゃなくて、恋だったんですね...///」

 

 イヴは携帯の画面にある『八舞栄斗』の字を見つめている。

 

「栄斗さんは何してるんでしょう?」

 

 イヴは気になっていた。

 ピロリン♪ 栄斗からメッセージが来た。

 

「え、栄斗さん!?

 な、なんでしょう...?」

 

 メッセージを見てみると...

 

『まだ、夜は冷えるから、温かくして寝ろよ?

 ライブ、おつかれさま。』

 

 と、いうものだった。

 

「えへへ、栄斗さんは優しいですね♪」

 

 イヴからは喜びがあふれていた。

 

「大好きです栄斗さん♥」

 

 と、本人に届くわけない言葉が部屋に木霊するのだった...

 

 そして、これが、若宮イヴの初恋の始まりだった。

 

 

 

 




 これも見方によってはイヴちゃん視点のプロローグですね。
ここから、イヴちゃんがアプローチしますが、 
 こんな話を見たい!とか、要望をくれると嬉しいです!
自分でも考えてますが、よろしければおねがいします!
感想などもおねがいします!


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9話

なんか千聖さんが万能キャラかしてるような?


 俺はいつも通り、屋上にいる。

 

「あら?今日もいるのね、人気者さん?」

「...もう、何となくわかってた。」

 

 案の定、白鷺さんが来た。

 

「あなたはなんで、いつも屋上にいるのかしら?」

「簡単なことっすよ、校則が発布されるまでは、 

 ギャラリーが集まるんで、ここにきてんすよ。」

「人気者も大変ね♪」

「...なんでちょっと嬉しそうなんすか?」

 

 白鷺さんは嬉しそうに笑っている。

 

「まぁ、それはそうとして。」

「いや、俺にとっては死活問題なんすけど。」

「...あなたは、なんで『演技』をしているのかしら?」

 

 と、真面目な顔で聞いてきた。

 

「...それを知ってどうする気で?」

「なにもないわよ? 

 ただ、単純な興味。」

 

 ...どうだかね。

 

「じゃあ、答えなくてもいいですね。」

 

 俺は突き放すように答えた。

 

「...イヴちゃんにも、そうやって隠すのかしら?」

「...えぇ、隠しますよ。

 むしろ、若宮には一番知ってほしくない。」

 

 俺は一応、本心で答えた。

 

「そんなにイヴちゃんが大事かしら?」

「...茶化さないでください。」

 

 そう言って、俺は屋上を去った。

___________________________________

 

 ”千聖Side”

 

(...彼は間違いなく、何かを抱えてる。

 けど、それが何か想像がつかない。それほどに、彼の闇は深すぎる。)

 

 千聖は少し、間を置いた。

 

(...彼にはいったい何が?)

 

 千聖は出るはずのない答えを考え続けるのだった。

____________________________________

 

「あ!栄斗ー!!」

「あ?」

 

 真波が近づいてきた。

 

「なんだ朝から、騒々しい。」

「一緒に学校行こうって言ったじゃんか!!」

「...そうだったか?」

「そうだよ!置いていきやがって!」

「アァ、ワルイワルイ、ワスレテタワー」

「嘘だよね?めっちゃ棒読みだし!?」

 

 あぁ、うるさい。だから教室は嫌なんだ。

そんなことを思ってると、若宮が来た。

 

 

「おはようございます!栄斗さん!」

「あぁ、おはよう、若宮。」

   

 普通に挨拶をした。

 体調は崩してないみたいだ。

 

「...土日はしっかり休めたか?」

「はい!栄斗さんのアドバスのおかげで、元気いっぱいです!」

「...役に立ったならよかった。」

 

 寝るときの注意をしただけなんだが。

 

「あ、あの、栄斗さん?」

「どうした?若宮?」

「えっと、お昼一緒に食べませんか?」

「え?なんで?」

「だめ...でしょうか?」

「いや、構わないが、

 俺でいいのか?」

「はい!栄斗さんがいいです!」

「...そうか。 

 じゃあ、一緒に食べるか。」

「はい!」 

 

 若宮はご機嫌なようだ。

 と、思っていると、真波がこっちを見ていた。

 

「どうした?真波?」 

「いやー、あの...」

「お前も一緒に食べたいのか?」

「...いや、それは、遠慮しとく。」

 

 なんか様子がおかしいな。

 

「...どうした真波、言いたいことがあるなら言え。」

「いやー、若宮ちゃんと仲いいんだなって」

「まぁ、友達だしな。」

 

 真波は頭お抑えて肩を落としている。 

 なんなんだ?

 

「...まぁいい。」

 

 そんなこんなで担任が来てホームルームがはじまった。

 

「えー今日は朝礼があるので、体育館に移動してください。」

 

 というわけで、体育館に移動した。

 

「なんのお話なんでしょう?」

「...さぁな。」

 

 俺は大体、想像がついていた。

 

『皆さん、おはようございます。 

 ...生徒会長の...白金燐子...です。』

 

 ...やっぱりか。

『今日は八舞栄斗君のファンクラブについてです。』

 

 会場がざわめき出した。

 氷川さんが壇上がった。

 

『静粛に。ここからは私のほうから説明します。』

 

 静かになったな。流石、風紀委員。

 

『この度、八舞栄斗君のファンクラブが、

 校則の管轄となりました。詳細については、後程、

 プリントを配布します、しっかりと確認をし、違反のないようにしてください。』

 

 以上です、と、白金さんと氷川さんは壇上を降りた。

 

「...校則になるって、 

 すっごい恥ずかしいんだけど。」

「まぁまぁ、いいじゃねぇか! 

 いいねぇ、人気者は!」

「そうです!栄斗さんは人気者です!」

「...やめてくれ。

 あと、真波は変わるか?」

「それは勘弁。」

 

 即答しやがったこいつ。

 

「まぁ、教室に戻るか。」

________________________________________

 

 __昼休みになった。

 授業?ずっと、寝てたよ。

 

「栄斗さん!お弁当を食べましょう!」

「あぁ、でも、屋上にしないか?」

「はい、構いませんが。 

 なんでですか?」

「あぁ、屋上の気分なんだ。(ほんとは周りの視線がやばいからだけど)」

「そうですか!では、行きましょう!」

 

 そうして、俺と若宮は屋上に向かった。

_________________________________________

 

 この学校の屋上は人気がないらしく、周りには誰もいなかった。

 

「うーん!春の風が気持ちいですね!」

「あぁ、そうだな。」

「では!さっそく、お弁当を食べましょう!」

「そうだな。」

 

 俺たちはて適当なところに座って、弁当を広げた。

 

「...和食なんだな。」

「はい!和食は日本人の心...

 まさしくブシドーです!」

「そ、そうか。」

「そういう栄斗さんも和食なんですね!」

「まぁ、気分だったからな。」

「...栄斗さんの肉じゃが、おいしそうです...」

 

 若宮が物欲しそうな目で見てる。

 

「...食うか?」

「え!?いいんですか!?」

「別にいいぞ?ほれっ。」

 

 俺は若宮に弁当箱を差し出した。 

 

「では...いただきます!」

 

 若宮は肉じゃがを口に運んだ。

 

「こ、これは...!!」

「ど、どうしたんだ?」

「とってもおいしいです!

 どうやって作ってるんですか?」

「まぁ、普通に。」

 

 若宮は肉じゃがをお気に召したようだ。 

 

「もうちょい食うか?」

「ほんとですか!?...いえ、貰いっぱなしは、

 ブシドーじゃありません!」

 

 と、言って若宮は弁当のおかずを差し出してきた。

 

「あーん!」

「!?ちょ、若宮!?」

「...食べて...くれないんですか?」

 

 若宮は悲しそうな顔をする。

 

「...あーん。」

 

 結局食べた、はずい。

 

「どうですか?」

「うん、うまいぞ。」

「よかったです!」

 

 若宮、料理できるんだな。

 

「あの、栄斗さん...?」

「?どうした、若宮?」

「よろしければ、私に料理を教えてもらえないでしょうか?」

 

 若宮がそんなことを聞いてきた。

 

「なんでだ?十分、うまいと思うが?」

「ダメ...でしょうか?」

「...いいぞ。」

「ほんとうですか!?」

「あぁ。」

 

 若宮よ...あの顔は反則だ。

 

「いつがいいんだ?」

「栄斗さんは、いつがあいてますか?」

「いつでもいいぞ。

 なんなら、今日にするか?」

「はい!ぜひ!」

 

 俺たちは、そんな会話をしながら、弁当を食べるのだった。

__________________________________

 

 放課後だ。

 若宮に料理を教える約束があるので、まず、商店街に向かった。

 

「そういえば、栄斗さん?」

「どうしたんだ?」

「今日はどこで、お料理をするんですか?」

「うーん、俺の家でいいだろ、近いし。」

「え!?///」

 

 若宮は驚いている。

 

「どうしたんだ?」

「い、いえ!なんでもないです!///」

「?そ、そうか。」

___________________________________

 

 なんやかんや買い物を終えて、俺の家についた。

 

「ここが俺の家だ。

 適当に座っててくれ。」

「は、はい!///]

 

...なんだか落ち着きがないな。

と、思いつつ、料理の準備をしに行った。

___________________________________

 

「じゃあ、料理をはじめるか。」

「はい!ご指導!よろしくお願いします!」

 

 若宮はいつも通りに戻っていた。

 

(栄斗さんは真面目にお料理を教えてくれるんです!

 私が心を乱してはいけません!)

「じゃあ、最初は_『ピンポーン』」

 

 インターホンが鳴った。

 

「誰だ全く__!?」

 

 来たのは俺の親だった。

 

「...若宮。」

「栄斗さん!どなただったんですか?」

「悪い、少し隠れててくれ。」

「え?は、はい。」

 

 俺は若宮を隣の部屋に隠し。

 若宮の靴を靴箱に入れ扉を開けた。

___________________________________

 

 ”イヴside"

 

イヴはリビングの隣の部屋にいた。

 

(栄斗さんなぜ私を隠したんでしょう?

 来ているのはご両親のようですし、ご挨拶したほうが...)

 

 イヴは疑問に思っていた。

  

「ここに、生活費と学費が入っている。

 これで私たちと縁を切れ、栄斗。」

「...わかった。

 それにサインすればいいんだな。」

 

__「え?」

 

 イヴが聞いたのは、紛れもない、

 自分の大好きな人物への、絶縁宣言だった。

 

 

 

 

 




感想、要望などよろしくお願いします!


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10話

やっと、二桁に到達しました!


___「え?」

 

 イヴは信じられなかった。なんで、栄斗が絶縁されているのか。

 両親から愛されているイヴにはこの状況は理解できなかった。

 

「それでは、さらばだ栄斗、もう会うことはないがな。」

「...あぁ。」 

 

 栄斗の親は帰っていった。

 

「...これで、終わりか。

 意外と呆気なかったな。」

 

 と、言っていると

 

「栄斗さん...」

「...若宮。」

 

 後ろには若宮がいた。

 

「...さぁ、料理の続きするか_」

「まってください!」

 

 若宮が怒ったように叫んだ。

 

「...どうしたんだ?若宮。」

「さっきのは、どういうことですか?」

「...聞かれてしまったか。」

 

 ...しかたないか。

 

「栄斗さん、さっきの事について説明__」

「...悪い、若宮、

 もう、お前とは一緒にいられない。」

「_え?」

___________________________________

 

 ”イヴside"

 __私は気づいたら、自分の部屋にいました...

 

『もう、お前とは一緒にいられない』

 

 栄斗さんにそう言われてしまいました...

なんでなんでしょう?なんで...こんなに、涙が...

止まらないんでしょう...?

 

「栄斗さん...」 

 

 なんで...なんでなんですか...栄斗さん...

 

 イヴの涙は一晩たっても止まることはなかった。

____________________________________

 

 あれから一週間、若宮は学校に来ていない。

 

「...なんで、こうなるんだろな。」

「__あら、それは、なんのことかしら?」

「久しぶりに来ましたね、白鷺さん。」

「えぇ、そうね。」

 

 ふぅ、と、白鷺さんは一息おき。

 

「イヴちゃんに何をしたのかしら。」

「っ!...何のことでしょう。」

「とぼけないで!!」

 

 白鷺さんが初めて大声を出した。

 

「一週間前からイヴちゃんと連絡が取れてないの!

 そして、一週間前、あなたとイヴちゃんが一緒にいたのを見た人がいたの!」

「...あんたには関係ない。」

 

 そういったとき、白鷺さんに胸倉を掴まれた。

 

「ふざけないで...!

 イヴちゃんは私たちの仲間なの、関係ないわけないわ...!」

 

 白鷺さんは明らかに怒っている。

 

「...わかりました、話します。」

 

 そういうと、白鷺さんは手を離した。

そして俺は一週間前のことと、俺の過去を話した。

 

「ひどい親ね。」

「まぁ、そうですね。」

「でも、それが何であなたがイヴちゃんと一緒にいられない理由になるのかしら。」

「...多分、若宮は優しいから、絶縁していようが友達でいてくれるでしょう。」

「...そうね。」

「でも、若宮は間違いなく、俺に同情する。

 ...俺は若宮に同情されるのが嫌だ。」

「...それは、なんでかしら?」

「若宮とは同情もなにもない、

 ただの友達でいたかったからです。

 だから俺は若宮を拒んだ。」

「...あなたは、馬鹿なのかしら?」

「え?」

「イヴちゃんが!同情だけであなたと一緒にいるような子だと思うの!?」

「っ!」

「あの子はね!パスパレのメンバーといるときも『栄斗さんは大切なお友達です!』ってずっと話してた!

 そんな子が同情だけで...友達でいると思うの...!」

「それは...」

 

 俺は後悔した、若宮は俺のことを想像以上に思っていてくれた、

 なのに俺は...その気持ちを踏みにじってしまった...

 

「...やることは決まったようね?」

「はい...!」

「だったら、いきなさい!『八舞栄斗』!」

「!...はい!」

 

 俺は若宮の家に走り出した___

_________________________________________________

 

 ”イヴside"

 

「...あれから、どの位たったんでしょう...?」

 

 イヴはこの一週間、碌な睡眠も食事もとっていなかった。

 

「...どの位たっててもいいです...

 もう、いっそのこと__「若宮ー!」っ!?」

 

 イヴの家の前に栄斗がいる。

 

「栄斗さん!?な、なんで...?」

 

 イヴは嬉しかった、でも、同時に怖かった。

 

(また、あんなことを言われたら、私は___!)

「__居留守とはご挨拶だな若宮。」

 

 目の前にいるのは、イヴが一番会いたくて、一番会いたくなかった

栄斗だった。

_______________________________

 

「え、栄斗さん!?な、なんで家に!?」

「...鍵が開いてたからな。」

「...帰ってください。」

 

 イヴは小さい声で言った。

 

「...私はもう、栄斗さんといてはいけないんです!

 もう、栄斗さんと友達でいられないんです!だから__きゃ!」 

 

 俺は気づいたら若宮を抱きしめていた。

 

「...悪かった。」

「...え?」

 

 若宮は困惑している。

 

「...俺は怖かったんだ...

 若宮に同情だけで友達でいられるのが。」

 

 俺は静かに語りだした。

 

「...俺が弱かったんだ、

 すまなかった。だから、そんなに苦しそうな顔をしないでくれ...!」

「う、うぅぅ...!!」

 

 若宮は泣きながら語った。

 

「本当は栄斗さんと友達でいたいです...!」

「あぁ。」

「一緒にいられないって言われて悲しかったです...!」

「...すまなかった。」

「でも...今は、とっても幸せです!」

 

 若宮は笑った。これまでの悲しみを清算するように、

 その笑顔をみて、俺は...

 

(なんだ、この気持ちは、今まで感じたことがない...でも、

 暖かいな...)

__________________________________

 

 それからしばらく、俺たちは抱き合ったままだった。

 

「あ、あの、栄斗さん?」

「...なんだ?」

「そろそろ、離れませんか...?」

 

 若宮は恥ずかしそうだ。

 

「...あぁ、そうだな。」

 

 そう言って、俺たちは離れた。

 

「...すまん。」

「いえ...嬉しかったので、大丈夫です!」

「...そうか。」

 

 若宮はいつもの調子に戻っていた。

 

 くぅ...

 

 かわいらしい音が部屋に響いた

 若宮の顔は真っ赤だ。

 

「えーっと、何か食うか?」

「はい...」

 

 若宮はうつ向いたまま答えた。

___________________________________

 

 俺は若宮の家にあった食材で食事を作った。

 

「おいしいです!さすがわ栄斗さん!」

 

 さっきの恥ずかしがり様はどこに行ったのやら。

 若宮は美味しそうにご飯を食べている。

 

「そうか、それはよかった。」

「あ、そういえば...」

 

 と、若宮は思い出したように言ってきた。

 

「今回、私は栄斗さんに傷つけられました...」

「うっ、す、すまん。」

「嫌です、許しません!」

「...どうやったら許してくれる?」

 

 若宮は少し間を置いて言った。

 

「...名前を...呼んでください。」

「若宮?」

「そうじゃなくて!」

 

 と、言ってから、若宮は控えめに言った。

 

「下の名前を...呼んでください...」

「...イヴ。」

「!...はい!」

 

 少し照れ臭いが、若宮がうれしそうだから、

 まぁ、いいだろう。

 

「...なぁ、若宮_「名前!」」

 

 遮られてしまった。

 

「イヴ」

「はい!」

「これからも、友達でいてくれるか?」

「...もちろんです!栄斗さん!」

「...ありがとう、イヴ。」

 

 そこから一転、イヴは真面目な顔になった。

 

「...それで、栄斗さんはご両親と何があったんですか?」

「...やっぱ、気になるか。」

「はい、栄斗さんの事は知っていたいです...!」

「...わかった、話すよ。」

_________________________________________

 

___俺は生まれた時から、両親に愛されなかった。

物心がついた頃から、何か失敗すれば「お前が悪いんだ!」とか「お前のせいで...!」

とか、色々八つ当たりをされてた。

 中学二年生になったころ、俺がいたクラスでいじめが起こっていた。

俺はそれを止めるためにいじめの主犯と喧嘩をして、勝ったんだ。

 そして、主犯にやつが学校に文句を言って、保護者を交えての話し合いになった。

その時、俺は「今回は父母も褒めてくれる!」そう思ていた。

 だが、俺の親父は相手の親の顔を見るなり俺を殴ってきた。

どうやら、相手の親は親父の会社のお得意先だったらしい。

その時に言われたよ「お前なんかのせいで私の評価が下がった!」ってな。

 流石にきつかった俺は正しいことをしたのに、それを正しく評価してくれない。

そこから、頭から出血するくらい床に頭をつけて謝らされたよ。

そして「こいつとは絶縁しますから、ここはどうか。」って必死だったよ。

 そこから俺は家を追い出されて、今の家に住むことになった。

__________________________________________

 

「っていうことだ、」

「ひ、ひどいです!栄斗さんはいじめられている人を助けたのに!」

「...親父は自分の評価が大事だったんだ。

 そこに正しい、正しくないなんか関係ないんだよ___!?」

 

 俺はイヴに抱きしめられた。

 

「無理はしないでください...!

 栄斗さんだって悲しんでもいいんです...!」

「っ!!」

「正直に...なってください。」

「...俺は...さびしかった。」

「はい。」

「両親に...評価されたかった!」

「はい。」

「でも、何より...」

「なにより?」

「...ちょっとでもいいから、両親に愛されたかった...!」

 

 俺は泣いた、今までの孤独、理不尽、悲しみを吐き出すように。

そんな俺をイヴはずっと抱きしめてくれていた。

 

「...両親がくれなかった愛は全部、私が埋めます...!

 もう、栄斗さんは一人じゃありません!」

「...ありがとう、イヴ。」

 

 しばらくして、イヴから離れた。

 

「...恥ずかしいところを見せたな。」

「いえ!栄斗さんの本音を知れてよかったです!」

 

 イヴはどこか嬉しそうだ。

 

「...イヴは、なんで、俺を受け入れてくれたんだ?」

「なんでですかー?そうですね...

 それは栄斗さんが__」

 

 一息置き、そして...

 

「栄斗さんが、大切な人だからです!」

 

 イヴは今日一番の笑顔だった。

 ドクンッ!!

 俺の心臓は飛び跳ねるように反応した。

 

(うるさいぞ、俺の心臓。)

「?どうしました?栄斗さん?」

「...何でもない。」

(くそ、ぜんぜん治まんねぇ。)

 

「...そろそろ、帰る。」

「え?そ、そうですか。」

「今日はありがとうな、イヴ。」

 

 と、言って俺はイヴの家を出た。 

 

(ほんとうに、これはなんなんだ?)

 

 俺は一つの疑問を抱え、帰路につくのだった。

_______________________________________

 

”イヴside"

 

 栄斗が帰った後、イヴは冷静になっていた。

 

「い、勢いとはいえ、栄斗さんを抱きしめてしまいました///」

「し、しかも!名前も呼んでもらって///」

 

 イヴは嬉しい反面、とても恥ずかしがっていた。

 

「仲直りしたのに!栄斗さんとの接し方が、

 わからなくなりました~!!!///」

 

(この気持ちを伝えるのは、もうちょっと、あとでいいですね///)

 

 イヴは栄斗のいなくなった家で、しばらく悶え続けるのだった。

 

 

 

 




感想、要望など、よろしくお願いいたします!


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11話

ハロハピ出してかないと。


 若宮との騒動が解決した翌日、俺はいつも通り屋上にいた。

 

「...やっぱり、ここはいいところだ。」

「__そんなに気に入ってるのかしら?」

「白鷺さん、やはり来ましたか。」

「あら?まるで分かっていた様な言い方ね。」

「まぁ、なんとなくですよ。」

「あらそう。」

 

 白鷺さんはいつも通り、何処か掴めない雰囲気だ。

 

「...昨日はありがとうございました。」

「あら?なんのことかしら?」

「...意外と意地悪なんすね。」

「冗談よ♪」

 

 白鷺さんは楽しそうだ。

 

「あなたも自分の本心を隠す、

 つまらない『演技』はやめたみたいね。」

「えぇ、これもイヴのおかげです。」

「そう、よかったわね。」

「はい。」

 

 白鷺さんは悪い笑顔を浮かべ...

 

「いつから、イヴちゃんと名前を呼び合う仲になったのかしら?」

「しつれいします。」 

 

 俺は危険を察知し逃げるように教室に走った。

__________________________________

 

「栄斗さん!おはようございます!」

「あぁ、おはよう、イヴ。」

「「「「「!?」」」」」

 

 俺たちのやり取りにクラスの奴らは驚いていた。

 

「なぁ、二人とも?」

「「なんだ?(なんでしょう?)」」

「...お前らって、付き合ってんの?」

「!い、いえ、そんなことは__」

「ありえないだろ。

 俺じゃイヴに釣り合わない。」

 

 と、俺はきっぱり答えたら...

 

「いててて!!!」

 

 イヴに二の腕を摘ままれた。

 

「むぅ~。」

「す、すまん!何かわからないけど謝るから!

 放して!」

 

 俺は朝から悲痛な叫びをあげるのだった。

___________________________________

 

「いたた。なんで俺はつねられたんだ?」

「ふん!自分で考えてみてください!」

 

 イヴはご立腹のようだ。

 

「何かわからないが、悪かった、

 許してくれ。」

「...お弁当、一緒に食べてくれたら許します。」

「そんなことでいいのか?

 そのくらいだったら全然いいぞ。」

「ほんとですか!」

 

 イヴの機嫌は治ったようだ。

 

「約束ですよ、栄斗さん!」

「あぁ。」

 

 そんな会話をしていると、市ヶ谷が教室に入ってきた。

 

「すいませーん、八舞君はいますかー?」

「市ヶ谷か何の用だ?」

「...お前への贈り物だ。

 ありがたく受けっとっときな。」

 

 市ヶ谷は急に素を出して言ってきた。

 だが...

 

「え?これ全部?」

「...あぁ、そうらしい。」

 

 俺への贈り物と言われたものは、実に大きな段ボール三つ分と大量だった。

 

「...まぁ、頑張れよ八舞。」

「...勘弁してくれ。」

 

 俺は一度、教室に段ボールを運び込んだ。

 

「栄斗さん?有咲さんは何のよう__って、

 その荷物は何ですか!?」

「...俺のファンクラブからの贈り物...らしい。」

「すごいですね!人気者です!」

「...勘弁してほしいんだがな。」

「...私も入りましょうか?ファンクラブ!」

「頼むからやめてくれ。」

 

 俺は心から思った。

_____________________________________

 

 今は授業の間の、休み時間だ。

この時間はイヴと話すか、真波が絡んでくるかだったのだが...

 

「あなたが八舞栄斗ね!」

 

 俺はなぜか金髪の女の子に話しかけられていた

 

「...はいそうですが、俺なんかに何の用で?」

「あなた!みんなに好かれてるらしいわね!」

「いや、こっちは完全に不本意なんですがね。」

「あなたはみんなを笑顔にできるわ!」

「...は?」

 

 この子はなにを言っているんだろう?

 

「__こころ!」

「あら、美咲じゃない!どうしたのかしら?」

「あんた、また人に迷惑をかけていたでしょう!」

 

 こころっと呼ばれた子の保護者みたいな子が教室に入ってきた。

 保護者みたいな子は俺のほうを向いてきて。

 

「うちのこころがすいませんでした!」

「い、いえ、大丈夫です。」

 

 うちのって、ほんとに保護者みたいだな。

 

「あれ?こころさん!美咲さん!おはようございます!」

 

 職員室に呼び出されたイヴが帰ってきた。

 

「おはよう!イヴ!」

「おはよう、若宮さん。」

 

 と、二人ともイヴに挨拶をしていた。

 

「それで、お二人は何のご用で?」

「八舞栄斗をスカウトしにきたの!」

「...え?」

 

 この子、何て言った?スカウト?俺を?

 

「だから、こころ諦めなって!」

「いやよ!みんなを笑顔にするには必要だもの!」

 

 と、駄々をこねている。

 そして、いつのまにか、後ろに黒服の人がいた。

 

「八舞栄斗さん」

「うわっ!な、なんだ!?」

「お静かに...

 大人しくこころ様にご協力してください。」

「...お断りします。」

「...あなたの事は全て調べ済みです。」

 今回の件にご協力してくだされば、あなたのお父様の地位の向上を、お約束しましょう。」

「尚更断るね、親父とはもう絶縁済みだ。」

 

 俺はきっぱり断った。

 

「なら!八舞栄斗に決めてもらいましょう!」

 

 保護者みたいな子と言い争っていた、こころという女の子は俺に矛先を向けてきた。

 

「私たちと一緒に世界を笑顔にしましょう!」

「...お断りします。」

「なんで!?」

 

 俺はきっぱり断った。

 

「なんで!?みんなを笑顔にできるのよ!?」

「俺はイヴの笑顔にしか興味がない。」

「え、栄斗さん!?///」

 

 俺はきっぱり言った。

 

「...私はあきらめないわよ!」

「ちょ、こころ!?

 あ、し、失礼しました!」

 

 と言って、二人は去って行った。

 嵐みたいだったな。

 

「あ、あの...」

「ん?」  

 

 イヴは控えめに話しかけてきた。

 

「さっきのは...どういう...?」

「ん?」

「わ、わたしの笑顔がどうとか...」

「...あぁ、イヴは俺を救ってくれたんだ。

 俺はそんなイヴが笑顔ならそれでいい、それだけだ。」

 

 俺は正直にそう言った。

 

「え、栄斗さん...///」

「なんだ?」

「私も栄斗さんを笑顔にできるように頑張りますね!///」

「...あぁ。」

 

 俺たちがそんな会話をしていると...

 

「あ、あー、ごほん!」

 

 真波がワザとらしく咳ばらいをした。

 

「なんだ?真波。」

「二人の世界に入っているとこ悪いんだが、

 チャイム...鳴ったぞ。」

「「え?」」

 

 周りを見ると、みんな席についていて、教師も来ていた。

 

「...やっちまったな。」

「うぅ...///」

 

 イヴは見るからに顔真っ赤だ。

 うん、ごめんな、イヴ。

俺たちはクラスメイトにチラチラ見られつつ、残りの午前の授業を受けた。

___________________________________

 

「うぅ、とっても恥ずかしかったです...///」

「...うん、マジですまんかった。」

 

 俺たちは屋上で弁当を食べていた。

 イヴはまだ恥ずかしそうにしてる。かわいい(確信)

 

「...栄斗さんのお弁当、今日は洋食なんですね!」

「あぁ、気分だったからな。」

 

 イヴは弁当の話題で調子を取り戻していた、

 

「...なにかいるか?」

「いいんですか!...じゃあ、ハンバーグを...あ!」

 

 イヴは何かを思いついたようだ。

 

「栄斗さん!食べさせてください!」

「え!?」

「あーん!」

 

 イヴは口を開けている。

 

「...まったく、箸借りるぞ

 ほれっ。」

 

 俺はイヴの箸で食べさせてやった。

 

「うーん!おいしいです!」

「それはよかった。」

「じゃあ、私からもお返しで...

 はい、あーん!」

 

 イヴは卵焼きを差し出してきた。

 

「いや、俺は__」

「食べてくれないんですか...?」

 

 イヴは悲しそうな顔をする。

 

「わかったわかった!

 ...あーん。」

「...どうですか?」

「うん、うまいぞ!」

「ほんとですか!

 よかったです!」 

 

 俺たちがそんな感じに弁当を食べていると...

 

「見つけたわよ!」

 

 そこには、イヴから教えてもらった

 弦巻こころがいた。

 

「__なんのようだ?」

「もちろん!スカウトよ!」

「それはさっき断っただろ。」

 

 俺はきっぱりと言った。

 

「ダメよ!」

「いや、なんでだよ。」

「あなたの事を話す女子はみんな笑顔だわ!

 だから、あなたが必要なの!」

 

 弦巻の目には確固たる決意が見られる、が

 

「何を言われても、お断りだ。」

「ダメよ!ダメ__」

「こころ!!」

「美咲!」

「もう、八舞君には何もしないって言ってたでしょう!」

「だって...諦めきれないんだもの...」

 

 弦巻は悲しそうな顔をしている。

 

「...栄斗さん。」

「どうした?イヴ?」

「こころさんに協力してあげられないでしょうか?」

「ちょ、若宮さん!?」

 

 と、保護者みたいな子が驚いた反応をしている。

 

「こころさんも悪気があってしている事ではありませんし。

 ...このままだと、かわいそうです...」

「イヴ...。」

 

 そうだ、イヴはこういうやつだったな。

 

「...わかったよ、協力してやる。」

「ほんとうに!?」

「ちょ、八舞君!?」

「ただし、一回だけだぞ。」

「わかったわ!」

 

 弦巻はうれしそうだ。

 

「...なんかごめんね、八舞君。」

「イヴの頼みだからな、仕方ないよ、えっと?」

「わたしは奥沢美咲、よろしく。」

「あぁ。」

 

 この人、苦労してるんだな。

 

「で、俺は何をするんだ?」

「あなたには、次のライブに出てもらうわ!」

「はい?ライブ?」

「そう!ハロハピのライブよ!」

「えぇぇぇぇ!!!」

 

 俺の驚きと絶望を含んだ叫びは...

 まるで、今の状況のように、空へかき消されるのだった。




感想などおねがいします!


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12話

12話になります!


昼休みの弦巻のライブに参加させる宣言から少し時間が経ち、今は、放課後だ。

 

「__さぁ栄斗!行くわよ!」

「え?何処に?」

「私の家よ!」

 

 そう言われ、俺は弦巻の家に半ば連行気味に連れていかれた。

_____________________________

 

「でっか!!!」

 

 弦巻の家はただただでかかった。

 

「...ここで、どんな生活を送ってんだ?」

「何をしているの?行くわよ!みんな待ってるわ!」

 

 俺は家の敷地に入った。

 

「内装もやっばい。 

 てか、執事とかメイドさんとかもいたし、漫画かよ。」

 

 そんなことを考えていると...

 

「さぁ!ここよ!」

「あ、はい。」

 

 弦巻が扉を開けた。

 

「あ!こころん!」

「やぁ、こころ!」

「待たせたわね!」

 

 ハロハピのメンバーらしい二人が近づいてきた。

 

「あれ?八舞君?」

「え?」

 

 青髪の人が話しかけてきた。

 

「えっと、あなたは?」

「あ!え、えっと、松原花音です。」

「よろしくお願いします。

 で、なぜ俺の事を?」

「千聖ちゃんがよく話してるんだよ~」

「...千聖って、白鷺さん!?」

 

 あの人、友達いたのか。あんな怖いのに。

 

「...えっと、ハロハピはこれで全員ですか?」

「いや?あと一人いるよ?」

 

 と、言うと。

 

「__遅れてごめん~。」

 

 あれ?この声は奥沢さん?__

 

「って、熊!?」

 

 入ってきたのは、熊の着ぐるみだった。

 

「え?熊?熊なんで!?」

「あー、私だよ八舞君。」

「...え?奥沢さん?」

「...うん、そうだよ。」

「...なぜ、熊の着ぐるみを?」

「色々あるんだよ色々。」

 

 着ぐるみで見えないが。

 遠い目をしてる気がする。

 

「やっぱり、苦労してるんだな。」

「...うん。」

 

 そうして時は流れ...

 

「と、言うわけで!今回協力してもらう、

 八舞栄斗よ!」

「八舞栄斗です。」

 

 と、自己紹介をした。

 

「あ!栄斗君だ!」

「ん?」

 

 そういえば、この子どっかで...

 

「君と同じクラスの北沢はぐみだよ!」

「あぁ、どうりで。」

「__次は私だね。」

 

 紫の髪で長身の人が話だした。

 

「私は瀬田薫だ。」

「よろしくお願いします、瀬田さん。」

「私の事は薫と呼んでくれたまえ。」

「はい、薫さん。(よかった、この人もまともそう__)」

「あぁ!花咲川の人気者との出会い...儚い...!」

「(じゃないです、はい。)」

「君の事は、千聖からよく聞いてるよ。」

「え!?(また、白鷺さん!?)」

 

 なんなんだ、今日の白鷺さんプッシュは?

 なんてことを考えてると...

 

「さぁ!最後はミッシェルね!」

「え?(奥沢じゃねぇの?)」

「こんにちは~みんな大好きミッシェルだよ~。」

「あ、あぁ...よろしく。」

 

 ミッシェルって奥沢だろ!?

 

「...なぁ、弦巻、ミッシェルの中の人って__」

「何を言ってるの?ミッシェルに中の人なんていないわ!」

 

 ...あっ(察し)

 

「...ほんとに、大変なんだな。」

「...大丈夫、もう慣れた。」

 

 ...嫌な慣れだな。

 

「自己紹介は済んだわね!

 じゃあ、今回のライブの説明をするわ!」

 

 弦巻が話題を出した。

 

「今回のライブはうちの学校の体育館でやるわよ!」

「...え?それって、つまり__」

「学校のみんなの前でやるわよ!」

「やっぱりかぁぁぁ!!」

「どうしたんだい?栄斗?」

「実は__」

 

 俺は薫さんに事情を話した。

 

「__ということなんです。」

「...」

 

 薫さんは黙っている...

 

「だから__」

「素晴らしいじゃないか!」

「え?」

「君にファンクラブがあるように私にもファンクラブがあるんだ!

 そんな二人が共演すれば、子猫ちゃんたちは幸福の渦に巻き込まれるだろう!」

「すごいよ薫君!」

「流石ね!薫!」

 

 北沢と弦巻が満足そうな反応をしている。

 てか、子猫ちゃんって...

 

「...なぁ奥沢?」

「...なに?」

「いつも、こんな調子なのか?」

「...うん。」

「た、大変そうだね、八舞君。」

「松原さん...」

 

 奥沢と松原さんは絶対に労わろう...

 

「...で、俺は何をするんだ?」

 

 このままでは、話が一向に進まないため、

 弦巻に尋ねてみた。

 

「栄斗には私と一緒に歌ってもらうわ!」

「は?」

 

 弦巻は何て言った?

 

「え?なんて?」

「歌ってもらうわ!」

 

 聞き間違いじゃないらしい。

 

「...俺は歌えんぞ。」

「大丈夫よ!」

「いや、無理だぞ。」

「大丈夫よ!」

 

 あ、聞いてないんですね。

 と、俺はあきらめた。

 

「__まぁ、歌うのはいい。

 日程は?」

「一週間後よ!」

 

 は?おい、まて、一週間後って...

 

「中間テストじゃねぇか!」

「そうだったかしら?でも、大丈夫よ!」

「やっぱり忘れてたんだ...こころちゃん...」

「大丈夫だよ!かのちゃん先輩!」

「そうさ花音。」

 

 うん、あの三人は完全にまともじゃないな。

 

「...大丈夫?八舞君。」

「...どうにかする。」

 

 これは...やばいな...

_______________________________

 

 俺の地獄の一週間が始まった。

 朝は四時に起きてテスト勉強をし、

 放課後はハロハピの練習を三時間ほどして、

 家に帰ってから、時間がないのでコンビニ総菜を食べ、

 八時から二時までテスト勉強をした。

 

「あ、あぁー、死ぬ...」

「だ、だいじょうぶですか!?栄斗さん!?」

「イヴか...」

 

 イヴは心配そうに見ている。

 

「あぁ、まだ大丈夫だ。」

「すいません...私のせいで...」

「...イヴのせいじゃない。最終的に引き受けたのは俺だ。

 それよりも、イヴは見に来るか?」

「はい!」

「そうか、なら楽しみにしててくれ。

 イヴを笑顔にして見せるから。」

「はい!栄斗さん!」

 

 これは、イヴのためにも頑張らねぇと。

________________________________

 

 そして...テストが始まった。

 

「とりあえず、詰めるだけは詰めた、

 テストは大丈夫だ...」

 

 テストはいつも通りできた...

 あとは...

 ライブを成功させるだけだ!!

________________________________

 

__テストが終わり、ライブ当日になった。

 ライブには花咲川どころか、羽丘の生徒まで来てる。

 薫さん効果やべえ。

 

「やぁ、栄斗。調子はどうだい?」

「薫さん...まぁ、歌うだけなら大丈夫ですよ。」

「そうか!期待してるよ!」

「...あまりされても困るんですが。」

 

 俺は苦笑いしながら答えた。

 

「さぁ!そろそろ行くわよ!」

 

 弦巻が声をかけた。

 

「栄斗は少し待ってって!」

「あぁ、打ち合わせ通りな。」

 

 えぇ!と言って、弦巻たちは舞台に上がっていった。

__________________________________

 

__『みんな!今日はよく来てくれたわ!』

 

 弦巻がそういうと大きな歓声が上がった。

 

『今日はスペシャルなゲストが来てるわ!

 でも、もう少し時間がかかるみたいだから、 

 最初は私たちだけでいくわ!』

 

 じゃあ__と続けて弦巻は...

 

『一曲目!えがおのオーケストラっ!』

 

 そうして、演奏が始まった。

 会場はすごい盛り上がりだ。

 

__と、思っているうちに一曲目が終わった。

そして...

 

『じゃあ、今回のゲストを呼ぶわ!

 出番よ!栄斗!』

 

 俺は弦巻に呼ばれ、舞台に上がった。

 すると...

 

「「「「「きゃーーー!!!」」」」」

 

 花咲川の女子生徒から黄色い声援がとんできた。

 

『今回は、弦巻に呼ばれ、ライブに出ることになった!

 短い時間だが楽しんでくれ!』

 

 そうして俺は、弦巻たちと演奏をした。

 会場にいたイヴもこっちに手を振っていたり楽しそうだ。

 

___『今日はありがとう!』

 

 そうしてライブが終わった。

 会場はまだ盛り上がっている。

 

___「栄斗!今日はありがとうね!」

「あぁ。」

 

 弦巻は満足そうだ。

 

「花咲川のみんなも、羽丘のみんなも、 

 全員が笑顔だったわ!!」

「あぁ、そうだな...」

 

 ライブは予想上に盛り上がった。

 あれなら頑張った甲斐もあったというものだ。

 

「これから打ち上げをするけど、栄斗は来るかしら?」

 

 と、弦巻に聞かれたが...

 

「悪いが遠慮する。

 少し寝たいからな。」

「そう?残念ね...

 じゃあ、またお礼するわ!」

「気にするな。

 そろそろ帰るよ。」

「あら?みんなに声はかけないの?」

「悪いがよろしく言っててくれ。」

「えぇ!わかったわ!」

 

 そう言って、俺は楽屋を出た。

_______________________________

 

___「栄斗さーん!」

「イヴ?帰ったんじゃないのか?」

「いえ!栄斗さんが来るのを待っていたんです!」

 

 どうやら待っていた様だった。

 

「今日のライブはどうだった?」

「はい!とっても楽しかったです!

 それに...」

「?」

「歌ってる栄斗さんはとってもかっこよかったです。///」

「そ、そうか。それはよかった。」

 

 という話をしていると...

 

「栄斗。」

「っ!?な、なんで?」

 

 そこにいたのは、つい最近絶縁したはずの 

 親父だった。

 

「...今更、なんのようだ...?」

「栄斗、私が悪かった、復縁しよう。」

「なに!?」

 

 親父の口から出たのは、俺にとっては信じられない言葉だった。

 




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13話

13話です!


「復縁?俺を捨てたやつが言うセリフには思えないな。」

「その件に関してはすまなかった。」

「...何が目的だ。」

「何のことだ?私は息子との縁を戻そうと__」

「嘘だな。」

 

 俺はそう言い放った。

 

「どうせ、弦巻に協力した俺を取り込めば、

 自分の立場が上がるとか、だろ?」

「...はて、何のことだか。

 私は息子との縁を__」

「いい加減にしてください!」

 

 突然、イヴが叫んだ。

 

「イ、イヴ!?」

「あなたたちが今まで栄斗さんにしてきたことは知ってます!」

「...だから何だというのかね?」

「もう、栄斗さんを傷つけないでください!」

 

 イヴは怒っていた。こんな俺のために...

 

「...イヴ、もういい」

「でも!」

「親父、俺に復縁の意思はない。

 あんたらなんていなくても、俺にはイヴがいる。」

「...今日のところは引き下がろう。

 だが、覚えておけ、お前は必ず私のもとに来る。」

「言ってろ。」

 

 そう言って、親父は帰っていった。

 

「ふぅ...」

「大丈夫ですか?栄斗さん?」

「あぁ、大丈夫だ。」

 

 そうだ、俺にはイヴがいる。

 だから、大丈夫だ。

 

「帰ろうか、イヴ。」

「はい!」

 

 俺たちは二人で話をしながら帰るのだった。

_______________________________

 

___ライブから三日経った。

 俺は今、この前のテストの結果を見ている。

 

「...学年2位か。よかった。」

 

 俺は勉強は苦手じゃない。授業は必要ないから聞かないだけだ。

 隣のイヴを見ると青い顔をしていた。

 

「...どうした?イヴ?」

 

「え!?なな、なんでもないですよっ!!」

 

 何かあることはわかった。

 

「...テストの結果、見せてみろ。」

「あ!」

 

 俺はイヴからテスト結果をひったくった。

 

「...あぁ。」

「み、見ないでください!」

 

 イヴは俺からテスト結果を取り戻した。

 

「...イヴ。」

「はい...」

「...世界史、苦手なんだな。」

 

 世界史だけが赤点だった。

_________________________________

 

 放課後だ。

 

「イヴ...は、補修なのか。」

「はい...」

「まぁ、一教科なんだ頑張れ。

 俺はしなくちゃいけないことが多いから先に帰るがいいか?」

「はい...」

「また明日な。」

 

 そう言って俺は教室を出た。

_________________________________

 

 ”イヴside”

 

 イヴは補修が終わり帰路についていた。

 

「はぁ...思ったより時間がかかってしまいました...」

 

 イヴは一人肩を落としていた。

 

「あのー、すいません。」

 

 一人の男が話しかけてきた。

 

「はい?なんでしょうか?」

「少し道を聞いてもいいでしょうか。」

「はい!大丈夫ですよ!」

「すいません、この道なんですが___」

「はい__」

 

 イヴが男の横についた途端、男はポケットから

 何かを取り出しイヴの首にあてた。

 

「っ!!!」

 

 そして、電気が流れ、イヴは意識を手放した。

_________________________________

 

 俺はやることを済ませ、夕飯の用意をしていると、

 急に電話がかかってきた。

 

「ん?誰だ?」

 

 俺は電話に出た。

 

『八舞君!?今、イヴちゃんは近くにいるかしら!?』

 

 かけてきたのは、白鷺さんだった。

 だが、余裕がない。

 

「いないですが、どうかしたんですか?」

『イヴちゃんと連絡が取れないの!』

「え?」

 

 俺は一瞬、自分の耳が信じられなかった。

 

「どういうことですか!?」

『さっき、イヴちゃんのマネージャーがスケジュール確認の電話かけたのだけれど、

 つながらないの!』

「!!」

(まてよ、まさか...)

『どうしたの?八舞君?』

「...白鷺さん、もしかしたら、俺のせいかもしれません。」

『え!?どういうこと!?』

「実は___」

 

 俺は三日前のことを白鷺さんに話した。

 

『そんなことが...』

「すいません、俺のせいです、俺がついていれば。」

『今は反省してる場合じゃないわ!イヴちゃんを探さないと!』

「俺も探します!」

 

 そう言って、俺は電話を切った。

 

(イヴは絶対助ける...!)

 

 そうして俺は、あるやつに電話をかけるのだった。

 

「もしもし、ーーか?頼みたいことがある。」

______________________________________

 

 ”イヴside”

 

 イヴが目を覚ました場所は知らない場所だった。

 

「ここは...?」

「__目が覚めたかね。」

「あなたは___!」

 

 イヴの目の前にいたのは、栄斗の父母だった。

 

「手荒い迎えで悪かったね...」

「何が目的ですか!」

 

 イヴが聞いた。

 

「私たちの目的は栄斗の手柄だ。」

「!!」

「私は弦巻の系列の会社に勤めててね、

 栄斗の手柄を利用すれば私の地位は上がる。」

「その通り、私たちの役に立てるの、

 あの子も喜ぶわ。」

 

 と、栄斗の両親は当たり前のように言っている。

 

「そんなわけありません!」

 

 イヴが叫んだ。

 

「栄斗さんにひどいことをしてきて、

 そのうえ利用するなんて、許されるわけありません!

 何より、栄斗さんが協力しません!」

 

 と、イヴがまくし立てた。

 

「わかっているよ、だからこその君さ。」

「え?」

「今の栄斗の心支えは君だ。」

「だから、あなたも利用する。」

「っ!!あなた達はどこまで__!!」

「もう少し、眠っていなさい。」

 

 イヴはスタンガンを当てられ意識を手放した。

________________________________

 

 俺は走っている。目的はイヴを探すためだ。

 

「ここもちがう!」

 

 俺は両親が隠れそうな場所を手当たり次第に当たっていた。

 

(どこだ!イヴ!)

 

 俺は不安な気持ちを押し殺し、走り続ける。

 

(イヴに何かあったら...俺は...!!)

 

 そんなことを考えていると。

 

「栄斗ー!」

 

 弦巻が来てくれた。

 

「イヴの居場所がわかったわ!」

「!!ほんとか!?」

「えぇ!車で送るわ!」

「ありがとう!恩に着る!」

「八舞君!」

 

 弦巻と話してるとパスパレのメンバーが来た。

 

「イヴちゃんは見つかったの!?」

「とりあえず、居場所はわかりました。」

「どこ!?」

「俺の親父の会社です...!」

 

 俺は怒気を含んでそういった。

 

「すいません。俺のせいで、イヴが...!!」

「あなたのせいじゃないわ!」

 

 白鷺さんが言った。

 

「そうだよ!栄君は悪くないよ!」

「そうっす!悪いのは...」

「八舞君の両親だよ!」

「皆さん...ありがとう!!」

 

 俺は一息飲んで...

 

「イヴは絶対に助けます!!」

 

 そうして俺たちは両親のいる場所に向かった。

______________________________

 

「__ここが...」

「すっごい大きい会社だね。」

 

 俺たちは両親のいる建物についた。

 

「行きましょう、早く...」

「えぇ。」

 

 会社には弦巻がいるおかげで楽に入れた...

 

「すいません、八舞さんがどこにいるか分かりませんか?」

「えーと、部長室にいると思いますが...」

「ありがとうございます!」

 

 俺たちは部長室に向かおうとした、しかし、

 

「くそ!!エレベーターが動かねぇ!!」

 

 多分だが...

 

「止めやがったな...くそ野郎どもが!!!」

「栄斗!こっちに階段があるわ!」

「ほんとか!」

 

 俺たちは階段を昇って行った。

 

「はぁはぁ、ここは何階だ?」

「___五階らしいわ。」

「まだそんだけかよ!?」

 

 俺たちは階段を登った。

_________________________________

 

「ここか...」

「えぇ。」

「ここに、イヴさんが...」

「鍵は...かかってるな。

 そりゃそうか。」

 

 俺は一歩下がって。

 

「ふっ!!」

 

 扉をけり破った。

 そこには...

 

「遅かったな、栄斗。」

「久しぶりね、栄斗。」

 

 見たくもないクソ両親と。

 

「!?」

 

 縛られて、転がされている、イヴがいた。

 

「くそ野郎どもが...!」

「実の親にくそとは偉くなったな栄斗。」

 

 親父は余裕そうに言う。

 

「...イヴを返せ。」

「断る。」

「だろうな、何が望みだ?」

「私たちの望みはお前の手柄だ。」

「そうよ栄斗、お母さんたちに渡しなさい。」

「こっちも断るね。

 あんたらが幸せなのは癪なんでな。」

「そうか...残念だよ栄斗。」

 

 そう言って、親父はイヴを掴んだ。

 

「ならこの子をどうとしよう。」

「!!くそが!!」

 

 イヴが近すぎて近づけねぇ!

 どうする...

 

「思ってたより、あなた達は腐っていた様ね。」

 

 白鷺さんが出てきた。

 

「なんだね君は?」

「あら?私を知らなくて?」

「...たしか、白鷺千聖...か。」

「えぇ、そうよ。」

「で、何の用かね?」

「イヴちゃんを放しなさい?」

「栄斗が手柄を渡せば、返してやろう。」

「あなた達に交渉の余地なんてないわ。」

「なに?」

「これを見てみなさい。」

 

 白鷺さんが見せたのは、さっきまでの会話の動画だった。

 流石、白鷺さんだ。隠れてるだけじゃすまないな。

 そこから、パスパレのメンバーは続々と出てきた。

 

「もう逃げられないよ!イヴちゃんを返して!」

「そうっす!」

「今回の事はるんってこないよ。」

「みなさん。」

 

 親父たちはまだまだ、余裕がありそうだ。

 

「白鷺千聖、動画を撮ったところで逃がさなければいいだけなんだよ。」

「__それはできないわよ!」

「あ、ああ、あなた様は!?」

 

 弦巻も出てきた。

 

「あなた達の会話は全て聞いたわ。

 そして...」

『さっきのはどういうことだ?八舞君?』

「!!!???」

 

 どうやら弦巻はお父さんに電話をつないだらしい。

 

「弦巻様!これは...」

『言い訳は聞かん、君の処遇は追って伝えよう』

 

 そう言い残し、電話が切れた。

 

「終わりだ、くそ野郎ども。」

「__くそが!!」

「!?」

 

 親父たちは発狂しだした。

 

「くその役にも立たんお前に役に立つ機会を与えてやったというのに!」

「そうよ!親をはめるなんて心が痛まないの!?」

 

 好き放題言ってくれる。

 

「___こうなったら!」

 

 そう言って親父は後ろの窓を開けた。

 

「お前の心の支えである、この娘を殺し!

 お前も地獄に落としてやる!」

「!!やめろ!!!」

「もう遅い!!」

 

 親父が手を放した

 

「イヴーーー!!!」

「ははは、ざまぁみろ!!」

 

 俺のせいで...俺のせいで...

 

「私たちに逆らうからこうなるんだ!」

「そうよ!この愚息!!」

 

 何も聞こえない...

 

「そ、そんな...」

「イ、イヴさんが...」

「うぅぅ。」

 

 何も聞こえない...

 

「...イヴ。」

「八舞君?」

「イヴ、どこに行った?」

 

 わからない、イヴが死んだ?

 こいつらなんかのために?いや...

 『俺のせいか』

 

「...ろす。」

「や、八舞君?」

「こいつら、殺す!!!」

 

 俺は両親を殴った。

 

「「な、なにをする(の)!?」」

 

 何も聞こえない、が、殴り続ける。

 

「や、やめ__」

「え、えい__!」

「!!八舞君!やめなさい!」

 

 白鷺さんの声が聞こえる。

 

「あなたがそいつらを殺したら、あなたが__」

「そんなのはどうでもいいんですよ!!!」

「っ!?」

「俺のせいで...イヴが死んだ。

 イヴがいない世界なんて、どっちにしても一緒だ。」

 

 だったら...

 

「こいつらを殺して!俺も死んでやる!!」

 

 俺はまた殴りかかろうとした。

 

「栄斗さん!!!」

「え?」

 

 そこにいたのは、もういないはずの、イヴだった。

 

「イヴ!?な、なんで!?」

「___私たちです栄斗様。」

「!?」

 

 黒服の人たちがいつの間にか現れた。

 

「その人たちが助けてくれたんです。」

「イヴ...ほんとにイヴか...?」

「はい!イヴです!」

 

 俺はイヴを抱きしめた。

 

「よかった、本当に良かった...!」

 

 俺は安堵した。

 

「___今回の件は、これにて解決ね。」

 

 俺たちに降りかかった、イヴ誘拐事件はこれで幕を閉じた。

_______________________________

 

 その後、俺の両親は誘拐と殺人未遂で捕まった。

 親父は前々からいい噂を聞かなかったらしく、退職となった。

 イヴはスタンガンを二回当てられたらしく、検査入院となった。

 俺は暴行で捕まりかけたが、弦巻の力でもみ消してくれた。

 そして__

 

「お邪魔するぞー。」

「はい!いらっしゃい!栄斗さん!」

 

 俺はイヴの見舞いに来ていた。

 

「調子はどうだ?イヴ?」

「もう元気です!」

 

 イヴは順調に回復していた。

 

「退院はいつできそうだ?」

「明日には!」

「そうか。」

 

 しばし、無言になる。

 

「...栄斗さん。」

「なんだ?」

「私が死んだら、死んじゃうんですか?」

「っ!!...あ、あれは...」

 

 俺は言葉に詰まる。

 

「...栄斗さんは私がいなくなっても、一人じゃないですよ...

 パスパレの皆さんもいます。ハロハピのみんなもいます。

 紗夜さんも燐子さんもほかにもいっぱい、栄斗さんの周りにはいます。」

「でも、俺はイヴが一番大事なんだ。俺を救ってくれた、

 イヴが...」

 

 俺はそう言った。

 

「...そうですか!栄斗さんとはずっと一緒にいないと 

 いけないですね!」

「あぁ、よろしく頼む。」

 

 と、いう会話をしていると。

 

「___入ってもいいかしら?」

 

 白鷺さんたちがいた。

 

「み、みなさん!?///」

「...あまりになかむつまじ過ぎて、

 声をかけられなかったわ。」

 

 白鷺さんは苦笑いをしている。

 

「イヴちゃんたち仲良しなんだねぇ~」

「そうっすね~」

「だね!」

 

 と、パスパレメンバーが、

 

「すごい笑顔だったわ!イヴ!」

「ふぇぇ。」

「コロッケ食べる?」

「儚い...!」

「あはは~」

 

 と、ハロハピも追い打ちしてきた。

 

「え、栄斗さん!///」

「...すまん、イヴ。」

 

 イヴの顔は真っ赤だ。

 

「うぅぅ、恥ずかしいです...///」

「...イヴの言ったとおりだな。」

「え?」

「俺はもう、一人じゃない。

 みんながいる、何より、イヴがいる。」

「!...はい!」

 

 まだ、俺たちの日常も...

 気づいた...俺の恋も、

 始まったばかりだ...

 

「これから楽しいことがいっぱいあるぞ!イヴ!」

「はい!栄斗さん!」

 

 俺たちはまだまだ始まったばかりだ!

 

 

 

 

 

 




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恋愛のブシドー 第2章
14話


二章です!


 あの事件から少し経ち、6月になった。

 そして、俺は今、羽沢珈琲店にいる。

 

「栄斗さん!今日はなに握りやしょうか!」

「...イヴ、ここは喫茶店だ。」

 

 イヴは相変わらずだ。

 むしろ、退院してから元気が有り余ってるみたいだ。

 

「あ!いらっしゃーい!八舞君!」

「よう、羽沢。」

「今日は何にする?」

「今日もブレンドコーヒーとケーキを頼む。」

「はい!かしこまりました!」

 

 羽沢は注文を通しに下がった。

 

「...むぅ~!なんで私に注文を言ってくれないんですか!」

「イヴはまず、この店が何の店か理解しよう。」

「う、は、はい...」

 

 俺はこの店をたいそう気に入って、

 ここ最近は常連と化した。

 

「ところで栄斗さん!」

「ん?どうしたイヴ?」

 

 イヴが気を取り直したみたいで、

 テンション高めに話しかけてきた。

 

「もう少しで体育祭ですよ!」

「え?そうだっけ?」

「聞いてなかったんですか?」

「あぁ。」

 

 俺は基本、話を聞いてない。

 

「で、体育祭がどうしたんだ?」

「とっても楽しみですね!」

「...俺はそうでもないな。」

「なんでですか!?」

「...体育祭は苦手なんだ。

 てか、なんでイヴは楽しみなんだ?」

 

 俺は異様にテンションが高いので聞いてみた。

 

「花咲川の体育祭は楽しいですし!それに...」

「それに?」

「栄斗さんと初めて一緒にする体育祭なんです!

 楽しみじゃないわけないです!」

「...そうか。」

 

 まったく、恥ずかしいことをサラッと...

 

「...栄斗さんは楽しみじゃないですか?」

「...いや、今楽しみになった。」

「ふふ、そうですか!」

 

 そんな会話をいてると...

 

「あのー、ブレンドコーヒーとケーキです。」

 

 羽沢が注文したものを持ってきた。

 

「あぁ、ありがとう。」

「つぐみさん!お疲れ様です!」

 

 羽沢はいごごちが悪そうだ。

 

「どうした?羽沢?」

「いや、二人って付き合ってるのかなって?」

「つぐみさん!///」

「いや、俺とイヴじゃ釣り合わんだろ。

 イヴに失礼だ。」

 

 そういうと俺は...

 

「痛い!痛い!イヴ!」

「むぅ~~!!」

 

 イヴに二の腕をつねられている。

 なんで?

 

「ごめん!何かわからんけど!」

「あはは。」

 

 羽沢が苦笑いしてる。

 

「栄斗さんはオトメゴコロを分かってません!」

「乙女心?」

「そうです!」

 

 イヴは機嫌が悪そうだ。

 

「...わからん。」

「八舞君...」

 

 まぁ、なんやかんや食べ終わったので、

 お会計をした。

 

「イヴ?バイトはもう上がりか?」

「はい!もう終わりです!」

「なら、俺の家に飯食いに来るか?」

「ほんとですか!?行きたいです!」

「じゃあ、少し待ってるよ。」

「はい!準備してきます!」

 

 そう言ってイヴはバックヤードに下がった。

 

「...ほんとに付き合ってないんだよね?」

「?あぁ。」

 

 羽沢の顔が引きつってるな。

 

「どうした?羽沢?」

「いやー、八舞君ってイヴちゃんとずっと一緒にいるイメージがあって。」

「...イヴが心配なんだ。」

「...やっぱりあの事?」

「...あぁ。」

 

 あの事件以来、俺とイヴはずっと一緒にいる。

 イヴは心配ないとは言ってるが。

 何があるかわからいの出で、だいたい俺が付き添っている。

 

「...もう二度とイヴをあんな危険な目に合わせない。」

 

 俺はイヴには言ってないが、そう誓っている。

 

「...あまり無理はしちゃダメだよ?」

「わかってる。」

 

 そんな話をしてると、イヴが戻ってきた。

 

「お待たせしました!」

「おう、じゃあ行くか。」

「はい!」

「じゃあな羽沢。また来るよ。」

「つぐみさん!お疲れ様です!」

「うん!またね!」

 

 そう言って店を出た。

____________________________________

 

「今日は何を食べたい?」

「うーん...和食が食べたいです!」

「和食か~じゃあ、味噌汁と今の時期だと...鮎の塩焼きか?」

「肉じゃがも食べたいです!」

「じゃあ、肉じゃが追加で...

 あとは...即席ぬか漬けとかするかな...」

「!!?」

「?どうした?」

「...栄斗さん、ぬか漬けはダメです。」

「え、なんで__」

「だめです!」

「あ、はい。」

 

 イヴが食い気味にダメだというのでぬか漬けはやめた。

 

「じゃあ、酢の物にするか。」

「はい!」

 

 俺たちの夕飯が決まった。

 

「あれ?イヴちゃんと八舞君?」

 

 突然、不自然な格好をした人に話しかけられた。

 

「...丸山さん?」

「そうだよ!」

「なんですか、その恰好?」

「ふふんっ!芸能人だからね!」

「はい、そうっすか。」

 

 これは、変装だったのか...

 

「...そういえば、イヴは変装とかしないのか?」

「うーん、私はしても気づかれてしまうので、

 しなくなりましたね?」

「うぐっ!!!」

 

 丸山さんがダメージ受けてる、もしかして...

 

「...丸山さん、気付かれたいんじゃ?」

「!?そ、ソンナコトナイヨ~」

 

 図星なんですね...

 

「丸山さん...サイン貰えますか?」

「やめて!?この流れだと気を使ってるのわかっちゃうから!」

 

 丸山さんは叫んでいた、が、気付かれることはなかった。

 

___「で、二人は何してるの?」

「イヴと夕飯の買い物ですよ。」

「そうです!栄斗さんのお家でご馳走になるんです!」

「...二人は夫婦なの?」

「彩さん!?///」

 

 丸山さんが意味の分からないことを言ってるが、

 さっきの件もあって、俺は反応しなかった。

 

「まぁ、そろそろ行こうイヴ。」

「はい!さようなら!彩さん!」

「う、うん。気を付けてね?」

「はい!」

 

 そうして俺たちは丸山さんと別れた。

_________________________________

 

 俺たちは物を済ませ家についた。

 

「おじゃましーす!」

「あぁ、どうぞ。」

 

 イヴは家に入った。

 

「さて、夕飯の用意するか。」

 

 俺はそう言って俺は台所に行った。

 

「何かお手伝いしましょうか?」

「そうだな...じゃあ、ジャガイモを切っててくれるか?」

「はい!」

 

 そう言ってイヴはジャガイモを切り出した。

 

「...俺も将来、結婚とかしたら、奥さんとこんな風に台所に立ってるんかな。」

「え!?///...いたっ!」

 

 イヴが自分の指を切ってしまった。

 

「イヴ!大丈夫か!?」

「は、はい...///」

「手当てするから、手出せ。」

 

 俺はイヴを手当てした。

 

「__どうしたんだ?指を切るなんて。」

「だって、栄斗さんが...」

「俺?」

「...結婚とかいってましたから...///」

 

 イヴの顔は真っ赤だ。

 

「?よくわからんが、準備してくるな?」

「あ、栄斗さん!...むぅ~!」

 

 俺は夕飯の用意を終わらせた。

_____________________________________

 

「じゃあ、食べようか。」

「はい!」

「「いただきます!」」

 

 俺たちは夕飯を食べ始めた。

 

「やっぱり、栄斗さんのご飯は美味しいですね!」

「そうか、よかった。」

 

 イヴはいつも美味しそうに食べてくれる。

 作ってて、これほどうれしいことはない。

 それから俺たちは今日あったことや、今後の事を話しながら夕飯を食べた。

 

__「そろそろ、帰らないとですね...」

「ん?あぁ、そうだな。送ってくよ。」

 

 俺たちは家を出た。

______________________________________

 

 六月になって夜も少しずつ暑くなってきた。

 

「この時期は夜でも熱いな。」

「はい、そうですね1」

 

 と、言いつつイヴは元気だ。

 

「...イヴは毎日楽しいか?」

「?はい!毎日新しいことばかりで楽しいです!」

「そうか...」

「どうしたんですか?」

「いや...なんでもないよ。」

 

 俺たちはイヴの家まで歩いた。

 

「つきました!」

「そうだな。」

 

 楽しい時間はすぐに過ぎるな。

 

「じゃあ、明日な。」

「はい!栄斗さん!」

 

 そう言って俺は家にむかった。

 

(イヴの幸せは、俺が守る。)

 

 俺は星の光る夜空に何度目かわからない、

 誓いを立てた。

 




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15話

お気に入り登録してくれる方が増えてくれてうれしいです!
評価をくれた方々もありがとうございます!

今回は繋回です!



 体育祭。

 それは、運動ができる男子のアピールの場である。

 俺は去年まで男子校だったからそんな話は聞かなかったが、今年は...

 

「女子にいいとこ見せるぞー!!!」

「「「「「おーーー!!!」」」」」

 

 今年はこんな感じである。

 

「おい、真波、これはどういう状況だ?」

「あれだろ、共学になったから彼女付くチャンスだ~的な?」

「動機が不純そのものだな。」

 

 彼女ほしいからがんばるって...

 

「みなさん、やる気いっぱいですね!」

「...イヴは見るな。」

 

 イヴは意味を理解してない。

 そしてなにより、イヴは人気なのだ。

 俺が守らないといけない。

 

「...はぁ、苦労しそうだ。」

「?何がですか?」

「いや、こっちの話だ。」

 

 そして、種目決めが始まった。

 

「えー、体育祭の種目決めをします。

 やりたい種目がある人は立候補して下さい!」

 

 俺はなんでもいい、問題はイヴだ。

 

「イヴは何に出るんだ?」

「私ですか?私は何でもいいです!」

 

 やばい、これが一番よめねぇ!

 こんなことをしてるうちに種目は決まって行ってる。

 

「若宮さん!俺と一緒に二人三脚でないか?」

 

 と、一人の男子がイヴに声をかけた。

 

「(やばい!どうする!?このままじゃイヴが!かくなる上は...!)」

「え__」

「イヴ、俺と二人三脚でるぞ。」

「え?栄斗さん?」

「なんだよ!八舞!」

「あ?」

「俺が先に若宮さんを誘ったんだぞ!」

「先に誘ったら組めるのか?

 それこそ、イヴの意思だろ。」

 

 俺はイヴのほうを見て。

 

「イヴどっちと組む?」

「わ、私は...」

「若宮さん!」

「(やばい、これで選ばれなきゃ終わりだ)」

「栄斗さんと組みたいです!」

 

 イヴはそう言った。

 

「そ、そんな...」

 

 男子は肩を落としている。

 なんというか、かわいそうだな

 

「委員長、俺とイヴ、二人三脚で。」

「はーい!」

 

 そう言って黒板に名前が書かれた。

 

「ふぅ、危なかった。」

「?何がですか?」

「...なんでもない。」

 

 そこからは、なんの問題もなく進行した。

__________________________________

 

__「はぁー疲れた...」

「何がつかれたのかしら?」

 

 昼休みに俺がうなだれてると、白鷺さんが来た。

 

「体育祭の競技のことですよ。」

「...あぁ、イヴちゃん人気だものね。」

「はい...」

「で、何に出るの?」

「二人三脚です。」

「...あなた、出来るの?」

「多分。」

 

 白鷺さんは素で心配してる。

 

「イヴちゃんを守るのも大変ね。」

「そうですけど、

 今はそれが生きる意味なんでね。」

「...そう。」

 

 無言になった。

 

「そろそろ、戻ります。」

「えぇ。」

 

 俺は教室に戻った。

___________________________________

 

「あ!栄斗さん!どこに行ってたんですか?」

「屋上だ。」

 

 イヴが来た。

 

「そうですか!」

 

 イヴはテンションが高い。

 

「イヴも剣道部員との昼食はどうだった?」

「はい!楽しかったです!」

 

 イヴは楽しそうだ。

 

「そういえば、栄斗さん?」

「なんだ?」

「なんで、私と二人三脚をしようと必死だったんですか?」

「...なんでもいいだろ。」

 

 俺はそそくさと去った。

 

「あ!栄斗さん!なんでなんですかー!」

_____________________________________

 

 放課後だ、イヴは今日、パスパレの練習らしい。

 

「じゃあ、栄斗さん!また明日!」

「あぁ、明日な。」

 

 そう言って、イヴは教室を出た。

 そして、俺は白鷺さんに電話をかけた。

 

「すいません、白鷺さん、おねがいします。」

『...相変わらず過保護ね。』

「そうっすか?」

『まぁいいわ、私も心配だし』

「おねがいします」

 

 電話を切った。

 

「はぁ、今日は少し早く寝るか...」

 

 そうして、俺の日常は過ぎていく。

 




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16話

16話です!



 一週間が過ぎ、6月25日、体育祭になった。

 

「...今は梅雨なのに、なんで、こんな晴れてんだよ...」

「絶好の体育会日和ですね!」

「イヴは元気だな...」

 

 イヴは元気そうだ。

 

「イヴは結局何出るんだ?」

「私は二人三脚とクラブ対抗リレーです!

 栄斗さんは?」

「俺は二人三脚と...借り物競争だったはず。」

 

 俺はうろ覚えだが、そう答えた。

____________________________

 

 学校についた。

 

「おーっす!栄斗!」

「おう、真波。」

「え!?」

「どうした?」

「俺...今初めて、お前に挨拶された...」

「そうだったか?」

「そうだよ!」

「...まぁ、お前とはよく喋るからな、

 友人と思ってもいいだろ。」

「栄斗...!」

 

 真波は感動してるようだが。

 

「イヴ、今日は弁当一緒に食べるか?」

「はい!」

 

 俺はいつも通りだ。

____________________________

 

 時は流れ、今は開会式だ。

 が、なぜ、校長の話ってこう長いんだ?

 

『~~以上です』

「...やっと終わった。」

「?栄斗さん、どうしたんですか?」

「...何でもない、てか、イヴは元気だな。」

「まだ何も始まってないですよ!」

 

 イヴはいつにもましてテンションが高めのようだ。

 

「栄斗さんは借り物競争がすぐですね!」

「あぁ、そうだな。」

「頑張ってくださいね!」

 

 俺は集合場所に向かった。

 

「あら、八舞君?」

「え?氷川さん?」

 

 集合場所に行くと、そこには、氷川さんがいた。

 

「氷川さんが借り物競争って、意外っすね。」

「そうかしら?...と言っても、今回は委員会の仕事のために、こうなったのだけれど。」

「大変そうっすね。」

 

 俺たちがそんな話をしてると、入場が始まった。

 

「もう行くのか。」

「そうみたいですね。」

 

 俺たちは入場した。

 

「「「「「八舞君が出てきやわよーー!!!」」」」」

「「「「「きゃーーーーー!!!!!」」」」」

 

 入場すると、女子からの声援が豪雨のように降り注いだ。

 

「...相変わらずの人気ですね。」

「なんで...こうなったんでしょうね...」

 

 そろそろ、落ち着いてくれ...

 

「栄斗さーん!頑張ってくださーい!」

 

 イヴも楽しそうにこっちに手を振っている。

 

「...楽しそうでよかった。」

 

 そこから、第一走者が走り出した。

 ...?なんか、様子がおかしいぞ?

 そんなことを思ってると第二走者の準備が始まった。 

 

「...じゃあ、行ってきますね。」

「...はい。」

 

 氷川さんがスタートラインについた。

 

「第一走者の様子が明らかにおかしい...なんなんだ?」

 

 そう言ってるうちに氷川さんがスタートした。

 てか、足速いな。

 

「借り物が書いてまーす!」

「えぇ、どうも...っ!!!」

 

 氷川さんが一瞬固まって、こっちに向かってきた。

 

「すいません、一緒に来ていただけないでしょうか?」

「?はい。」

 

 俺は氷川さんに連れられ、走った。

 

『ゴール!』

 

 なんやかんや、一位でゴールした。

 

「氷川さん、なんて書いてあったんですか?」

「え!?...言いません。」

「なんでっすか?」

「言いませんっ!!」

「あ、はい。」

「それでは...」

 

 そう言って氷川さんは仕事に行った。

 何だったんだ?

 

「__言えるわけないじゃないですか。///

 お題が『かっこいい人』なんて!///」

 

 ___俺の番になった。

 

「氷川さんの様子もおかしかったし、注意していかないと。」

 

 そう思っていると、スタートした。

 

「...結構長いな。」

 

 と思っているうちに、お題がもらえる場所に来た。

 

「お題でーす!」

 

 お題を渡されたので、確認すると...

 

「なに!?」

 

 そこに書かれていたのは『好きな人』だった。

 てか、さっきから、お題渡す人チラチラ見すぎだろ。

 

「...はぁ、仕方ないか。」

 

 俺はイヴのもとに向かった。

 

「おーい!イヴー!」

「はい?なんでしょう、栄斗さん?」

「少しついてきてくれ。」

「?はい!」

 

 俺はイヴを連れてゴールに向かった。

 

『ゴール!!』

 

 なんやかんや一位なのか。

 

「栄斗さん、お題って何だったんですか?」

「ん?これだ。」

 

 俺はイヴにお題が書いた紙を渡した。

 

「!?え、ええ、栄斗さん!?///」

「どうした?」

「栄斗さんは私の事が好きなんですか?///」

 

 イヴが恥ずかしそうに聞いてくる。どうした?

 

「もちろん好きだぞ。」

「え!?じゃあ__」

「友達としてな。」

「__え?」

 

 イヴは冷静になったようだ。

 

「?どうした、イヴ?」

「~!!///なんでもないです!!///」

 

 そう言ってイヴは戻っていった。

 なんだったんだ?

 そうして借り物競争が終わった。

 

「はぁ、疲れた...」

「...おかえりなさい、栄斗さん。」

「あ、あぁ。ただいま。」

 

 イヴは機嫌が悪そうだ。

 

「どうしたんだ?イヴ?」

「なんでもないですよ...」

 

 そう言って、イヴはクラブ対抗の準備を始めた。

 

「イヴはもうすぐか?」

「はい!もう少しで集合です!」

 

 イヴに元気が戻ったようだ。

 

「じゃあ!行ってきます!」

「おう。」

 

 イヴは集合場所に向かった。

_________________________________

 

 クラブ対抗でイヴが入場してきた。

 

「...剣道部ってあの格好で走るのか。」

 

 そう真波が思うのも無理はない。

 なんたって、防具着けてるんだから。

 

「...まぁ、こういう競技だからな。」

 

 そんなことを言っているうちに、スタートした。

 

「流石に運動部は早いな。」

 

 そんなことを言ってると、イヴにバトンが渡った...が、

 

「きゃあ!」

 

 盛大にこけた。

 

「(隣の...バレー部か?...足ひっかけやがった!)」

 

 イヴは立ち上がって走り出した。

 終わってみれば、剣道部は三位だった。

 

「...イヴの様子を見に行こう。」

 

 俺はイヴのもとに向かった。

___________________________________

 

「__イヴ。」

「あ、栄斗さん...」

「大丈夫か?」

「...足をひねってしまいました。」

「...あら!ずっこけた若宮さんじゃないの!」

 

 突然、バレー部のらしい女生徒が声をかけてきた。

 

「...なんだ、あんた。」

「私は西条美代。バレー部の主将よ!

 八舞君!」

「そうっすか。」

「ねぇ、そんな子ほっといて私たちといましょうよ!」

 

 そう言って、後ろからぞろぞろ部員と思わしき人たちが出てきた。

 

「栄斗さん...その人たちといてください...」

「!?」

「若宮さんもそう言ってることだし__」

 

 そう言って、俺の腕を掴もうとしてきた...が、

 

「お断りします。」

 

 俺は手を払った。

 

「栄斗さん!?」

「...あんた、イヴに足かけてただろ。」

「...何の事かしら?」

「(腐ってやがるな。)」

「若宮さんは二人三脚にも出られないでしょ?変わってあげましょうか?」

 

 なんて、的外れなことを言ってやがる。

 

「お断りだ。あんたと組むくらいなら棄権するよ。」

「なんで!?」

「俺は汚いやつが嫌いだ。

 特にあんたみたいな卑怯者は。」

「人聞きの悪いこと言わないで!!」

 

 そう言って、発狂している。

 

「__何より、イヴは出られる。」

「え!?」

 

 西条は驚いている。

 

「そして、俺たちは一位になれる。」

「へ、へぇ~。そこまで言うなら、一位じゃなかったらバレー部の奴隷だからね。」

「いいだろう。」

「栄斗さん!?」

 

 イヴが慌てている。

 

「そんな勝負受けちゃダメです!」

「...大丈夫だ。」

「でも!」

「俺はこいつらが許せない。

 こいつらの趣味の悪い顔面をさらに趣味悪くしてやる。」

「い、言ってくれるじゃない!!

 負けたら、死ぬほどこき使ってやる!」

「あっそう、言ってな。

 悪趣味女。」

 

 バレー部は去って行った。

 

「...なんで、あんなこと...」

「言っただろ?許せないからだ。」

「でも、私はもう走れないです...」

「それも大丈夫だ。

 でも、少し行ってくる。」

 

 そうして俺はある場所に向かった。

_______________________________________

 

 午後の二人三脚になった。

 

「栄斗さん?大丈夫なんですか?」

「あぁ、許可もとった...あとは。」

 

 放送が流れる。

 

『お知らせします!今回、若宮イヴさんが負傷したため、八舞、若宮ペアは抱きかかえて走ることを認めます!』

 

 と、いうものだ。

 

「えぇ!?」

「こういうことだ。」

 

 そう言って、イヴを抱えた。

 

「ひゃ!!(お、お姫様抱っこされてます!!///)」

「じゃあ、行くか。」

 

 そう言って、スタートした。

 結果だけ言おう、一位だった。

______________________________________

 

「いやー、余裕だったな。」

「__ちょっと!!」

「...なんだ。」

「あれ、反則じゃないの!?」

「なんだ、顔が悪いやつは耳も悪いのか?それとも頭か?」

 

 と、皮肉ってみた。

 

「あんなの、二人三脚じゃない!卑怯よ!」

「あんたがそれを言うか...」

 

 そろそろ、呆れてきた。

 

「___あなた達。」

 

 氷川さんと白鷺さんが来た。

 

「あなた達が若宮さんに足をかけたのは、

 今回から配置された『ビデオ判定』で確認済みです。』

「え...?」

「まぁ、そういう事っすよ。」

 

 バレー部員たちは青ざめている。

 

「バレー部はペナルティとして、部費の減額と八舞君と若宮さんへの接触を禁止します。」

 

 バレー部員は固まってる。

 

「ざまぁねぇな。」

「...少しかわいそうでは...」

「いいんだよ、このくらいやって。」

「大丈夫かしら?イヴちゃん?」

「白鷺さん、どうも。」

「えぇ、王子様。」

「やめてください。」

「ふふっ、冗談よ♪」

 

 白鷺さんは楽しそうだ。

 

 こうして、体育祭は終わりを迎えた。

___________________________________

 

「__ところで、八舞君?」

「なんですか?」

「もう少しで、イヴちゃんの誕生日なのだけれど...聞いてないかしら?」

「え?いつですか?」

「今日から二日後よ?まさか__」

「知らなかったっす...」

「あらら。」

 

 俺は疲れた体に鞭打って、イヴの誕生日の準備を始めた...

 

 




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17話

17話です!

今回はイヴちゃんの誕生日回と少しの...まぁ、はい、あれです。



 体育祭の翌日の今日は振り替え休日だ。

 だが、俺の心象はそんなに穏やかじゃない。

 

「やばい、イヴの誕生日が明日だと!?」

 

 俺は頭を悩ませていた。

 あまりに時間が足りなすぎる。

 

「そうだ!」

 

 俺は思いついた。

 

「パスパレのみんなを呼んでパーティーをしよう!」

 

 そうして俺はイヴ以外のパスパレメンバーに連絡をした。

____________________________

 

 パスパレメンバーは集まれるみたいだ。

 あとはイヴだ。

 俺はイヴに電話をかけた。

 

『はい!もしもし!』

「あぁ、イヴか?」

『はい!何のご用ですか?』

「明日、俺の家で夕飯食べないか?」

『え!?いいんですか?』

「あぁ。」

『ぜひ行きたいです!』

「じゃあ、いつも通り買い物しような。」

『はい!』

 

 そういって、電話を切った。

 

「よし、後はプレゼントだけだ。」

 

 俺はショッピングモールに向かった。

____________________________

 

__「さて、イヴへのプレゼントをどうするか...」

「あれ?栄君?」

「?」

 

 振り向くとそこには氷川姉妹がいた。

 

「どうも、こんにちは。」

「えぇ。

 八舞君はなぜここに?」

「わかった!イヴちゃんの誕生日プレセントでしょう!」

「はい、まぁ。」

 

 日菜さんは察しがいいな。

 

「でも、難しい顔をしていましたね?」

「はい...いいものが思いつかなくて。」

「じゃあ、手伝ってあげるよ!」

 

 と、日菜さんが言い出した。

 

「え?いいんですか?せっかく二人で来てたのに?」

「構いませんよ。」

「...じゃあ、お願いします。」

「「うん!(えぇ)」」

 

 __それから、俺たちはいろんな店に行ったが、

 納得のいくものは見つからなかった。

 

「...決まらねぇ。」

「うん、るんって来るのがないね...」

「えぇ、そうね。」

 

 イヴは何をあげても喜ぶと思うが、そうじゃない。

 俺はイヴに色んなもの貰った。その恩に少しでも__

 そう考えていると、俺の目に一つの店が入ってきた。

 

「?どうしました、八舞君?」

「すいません、あの店に行ってきます。」

「あ!私も行きたい!」

 

 そうして俺たちはアクセサリーショップに入った。

 

「...これは。」

「どうしました?」

「これ、綺麗だと思って。」

「うん!それ!るんっ♪ってくるよ!」

「そうですよね。」

「そちらを気に入られましたか?」

 

 店員の人が話しかけてきた。

 

「はい、とても綺麗だなと。」

「誰かへのプレゼントでしょうか?」

「はい...ですけど、なぜ分かったんですか?」

「この職が長いので見たらだいたいわかるんですよ。」

「なるほど。」

 

 これが年期ってやつか。

 

「ちなみにその石の名前は『スフェーン』

 石言葉は___です。」

「...これにしよう。」

「それはいいんですが、お金は大丈夫なんですか?」

「大丈夫です。(生活費を切り崩せば、これくらい。)」

「...そうですか。」

「いいね栄君!男らしいね!」

「...イヴのためです。」

 

 そう言って俺はそれを購入した。

 

「プレゼントが決まってよかったです。

 ありがとうございました。」

「問題ありません。」

「全然、大丈夫だよ!」

 

 氷川姉妹は笑顔で答えてくれた。

 

「そういえば栄君?」

「はい?」

「明日の誕生日会、お姉ちゃんも行っていい?」

「ちょっと日菜!そんなの迷惑でしょ!」

「構いませんよ?」

「え?いいんですか?」

「はい、今日はお世話になったのでぜひ来てください。」

「...じゃあ、私もお邪魔します。」

「はい。」

 

 そう言って俺たちは別れた。

____________________________

 

 明日はイヴの好物を作りたいな。

 白鷺さんに聞こう。

 

「もしもし、白鷺さんですか?」

『えぇ。何の用かしら?』

「イヴの好物を聞きたくて。」

『イヴちゃんの好物?確か、ジンジャークッキーよ。」

「ありがとうございます。」

『あぁ、それと、ぬか漬けは__』

「厳禁...ですよね?」

『分かってるならいいわ、それじゃあ、また明日』

「はい。」

 

 そう言って電話が切れた。

 

「ジンジャークッキーか...

 初めて作るが、出来るだろ。」

 

 レシピを調べたが意外と簡単だった。

 

「よし!やるか!」

 

 俺は明日の準備を始めた。

____________________________

 

___イヴの誕生日当日だ。

 幸いだったのは今日が土曜日で休みが続いたことだ。

 

「よし!作ってくぞ!」

 

 俺は料理を作り始めた...

 

 ピンポーン

 

「ん?誰だ?」

 

 俺は玄関に行った。

 

「はーい、どちら様でしょう?」

「おはよ!栄君!」

「おはようございます。八舞君。」

 

 氷川姉妹が来た。

 

「どうしたんですか?パーティーまでは時間がありますが?」

「少しでもお手伝いしようと日菜が。」

「え!?」

 

 手伝いに来てくれたのか。

 それより...

 

「日菜さんって、気を遣えたんだ...」

「何か言った?栄君?」

「い、いや!何でもないです。」

「そう?」

 

 日菜さんは首をかしげてる。

 

「...手伝いは助かります。

 ありがとうございます。」

「いえ、一人に押し付けるのも悪いですし。」

 

 よし!これならスムーズに進められる!

 

「じゃあ、お二人には飾りなどをお願いしてもいいですか?」

「はい。」

「うん!まかせて!」

 

 俺たちは準備を始めた。

___________________________________

 

 準備は思いのほか早く終わった。

 

「二人が来てくれて助かりました。」

「いえ、役に立ててよかったです。」

「そうだよ!」

「あ、待っててください、お茶でも出すんで。」

「お構いなく。」

「そういう訳にもいかないんで。」

 

 そんな話をしてると。

 

 ピンポーン

 

「はーい!

 ...すこし出てきます。」

「えぇ。」

「うん!」

 

 そう言って、出てみると。

 パスパレメンバーが来てた。

 

「皆さん、お早いですね。」

「えぇ、なんだか落ち着かなくて。」

「そうなんだ!だから早く行こうってなって!」

「来たわけっす!」

「なるほど。 

 あ、どうぞ上がってください、お茶でも出すんで。」

「ありがとう。」

 

 そう言って、上がった。

____________________________

 

__「あれ?紗夜ちゃんと日菜ちゃん、来てたの?」

「えぇ、すこしお手伝いに。」

「え~!私たちもくればよかった...」

「「そうね(っすね)。」」

「別にいいっすよ。

 もとは一人でやる気だったんで。」

「...あなたは、そういうところは変わらないのね。」

「?なにがっすか?」

「私たちは友達なのよ?こういう時は頼りなさい。」

「そうっすよ!頼ってほしいっす!」

「うん!」

 

 みんなが頷いている。

 

「...ありがとうございます。」

 

 照れくさいな...でも、悪くないな。

 

「...そろそろ、イヴを迎えに行ってきます。」

 

 俺は家を出て、イヴの家に向かった。

_____________________________

 

 イヴの家についた。

 

 ピンポーン

 

『はーい!!』

 

 イヴはいるみたいだ。

 

「どちらさまで__

 栄斗さん!」

「よう、イヴ。準備はできてるか?」

「はい!」

「じゃあ、行くか。」

「はい!」

 

 そうして俺たちは家に向かった。

 

「あれ?お買い物はいいんですか?」

「ん?あぁ、大丈夫だぞ。」

「そうですか!」

 

 イヴは楽しそうだ。

 

「...そんなに楽しみか?」

「はい!栄斗さんのご飯は美味しいですから!」

「...そうか。」

 

 イヴ、驚くだろうな。

 俺は白鷺さんにメッセージを送った。

____________________________

 

__「着きました!」

「あぁ、そうだな。」

 

 俺たちは家に入った。てか、靴隠したんだな。

 そしてリビングに入ると___

 

「「「「「「イヴちゃん!お誕生日おめでとう!!!」」」」」」

「え?な、なんで?」

 

 イヴは驚いているようだ。

 

「今日はイヴの誕生日だからな、

 みんなを呼んでパーティーを企画してみた。」

 

 イヴは固まっている。

 

「...どうだ?イヴ?」

「とっても、とっても、うれしいです!」

 

 イヴは笑っていた、喜んだようでよかった。

 

「みなさん!ありがとうございます!!」

 

 そうして、パーティーが始まった。

 

「さぁ、イヴ、食べてくれ。

 イヴが気に入ってたのも作ってあるぞ。」

「はい!栄斗さん!」

 

 イヴはみんなの輪に入っていった。

 

「イヴちゃ~ん!誕生日おめでと~!」

「ありがとうございます!」

 

 楽しそうだ。よかった。

 

「栄斗さんも食べましょう!」

 

 イヴがこっちを見てる。

 

「あぁ。」

 

 俺はみんなのほうに行った。

 

「これ美味しいっすね!」

「栄斗さんの料理はどれも美味しいんです!」

「...なんで、イヴが誇らしげなんだ。」

 

 楽しいなこういうのも。

 

「...あなたの心は救われたようですね。」

 

 氷川さんが言ってきた。

 

「...はい、これも皆のおかげです。」

「ふふっ、そうですか。」

「はい。」

 

 料理が粗方なくなってきたな。

 

「じゃあ、デザートにしましょうか。」

「「待ってました!」」

 

 丸山さんと日菜さんがそういった。

 俺はケーキを切り分けた。

 

「はい、皆さんどうぞ。」

「へぇ、切るの上手なのね。」

「...普通ですよ。」

 

 みんながケーキを食べ始める。

 

「あ、もう一つデザートありますよ。」

 

 俺は用意をしていたジンジャークッキーを出した。

 

「栄斗さん!これはまさか__」

「あぁ、ジンジャークッキーだ。」

「やっぱりですか!すごいです!栄斗さん!」

「...まぁ、食べてみてくれ。」

「はい!」

 

 イヴはジンジャークッキーを一枚食べた。

 

「すっごく美味しいです!」

「よかった。」

 

 イヴは気に入ったようだ。

 

「八舞君って女子力高いよね~!」

「あ、それ!私も思う~!」

「ジブンもっす!」

「...女性としては悔しくもありますけどね。」

「そうね。」

 

 みんないろいろ言ってる。

 

「...紅茶淹れますが、いる人は?」

 

 みんなが手を挙げた。

 

「...じゃあ、淹れてきます。」

 

 紅茶を淹れてきた。

 

「はい、どうぞ。」

 

 そして、配っていった。

 

「あら?この紅茶...」

「どうしました?」

「美味しいわ。」

 

 白鷺さんは驚いたように言う。

 

「私のマネージャーにほしいわ。」

「ははは、断っておきます。」

「あら、残念ね。」

 

 白鷺さんもテンションが高いようだ。

 

「そろそろ、プレゼント渡そうよ!」

 

 と、丸山さんが言った。

 

「まぁ、いい頃合いですね。」

 

 そして、各々プレゼントを取り出した。

 

「じゃあ、私から!

 はい!文房具セット!」

 

 丸山さんは文房具セット。

 

「ありがとうございます!大切に使います!」

「じゃあ、次はジブンっすね!

 自分からは時代劇のDVDっす!」

「ありがとうございます!麻弥さん!」

 

 大和さんは時代劇のDVD。

 

「私からは遊園地の招待券よ。

 好きな人でも誘って行きなさい♪」

「ち、千聖さん!?///

 あ、ありがとうございます...」

 

 白鷺さんは遊園地の招待券か、

 てか、何て言ったんだ?

 

「じゃあ、次は私たちから。」

「私たちからはお城の置物だよ!」

「わぁ!ありがとうございます!お部屋に飾ります!」

 

 氷川姉妹からは城の置物か、てか、クオリティたけぇ。

 次は...

 

「...俺か。」

「よっ!おおとり!」

「八舞君は何を送るのかしら?」

「ジブン、気になりますっ!」

「ハードル上げるのやめません?」

「...大丈夫です、八舞君。」

「氷川さん...」

「そうだよ!あんなに悩んだんだから!」

「日菜さん...」

「じゃあ__」

 

 俺は一呼吸置き。

 

「俺からはこれだ。」

 

 俺が出したのは、ネックレスだ。

 

「え!?いいんですか!?」

「構わない。」

 

 イヴは驚いたが、喜んでくれた。

 

「...イヴ。」

「はい!」

「その石の石言葉は『永久不変』なんだ、

 だから、その、これからも、一緒にいてくれ。」

 

 俺は目をそらして言った。

 

「...」

「イヴ?」

 

 イヴは泣いていた。

 

「!?どうした、イヴ!?」

「私、嬉しいんです!

 でも、涙が出ちゃうんです...!」

 

 どうやら、うれし泣きみたいだ。

 俺はそっとイヴを抱きしめた。

 

「...これからも、一緒にいてくれるか?」

「__はい!これからも、ずっと一緒にいます!」

「___あのー、私たちがいるの忘れてない?」

 

 丸山さんが声をかけてきた。

 

「!?///」

 

 イヴの顔が赤くなってる。

 

「...普通に頭から抜けてた。」

「うぅ...///」

 

 みんな苦笑いしてるし。

 

「...これは、イヴちゃんを問い詰めないとね!」

 

 また、丸山さんが言った。

 

「え!?あ、彩さん!?」

「...そうね、彩ちゃんの言う通りだわ♪」

「ジブンも気になります!」

「私も私も!」

 

 パスパレメンバーがイヴに詰め寄ってる。

 

「...まぁ、ほどほどに。」

「え、栄斗さん!!」

「悪い、それは止められん。」

「そ、そんな~!」

 

 俺は少しベランダに出た。

____________________________

 

「ふぅ、みんなが楽しそうでよかった。」

「__そうですね。」

「氷川さん。」

 

 一人でつぶやいてると氷川さんが来た。

 

「氷川さんは混ざらないんですか?」

「...私はああいうのは苦手なんです。」

「...それっぽいっすね。」

 

 しばし、無言になる。

 

「__若宮さんと仲がよろしいんですね。」

「まぁ、大切であることは間違いないです。」

「...若宮さんは幸せ者ですね。」

「そうでしょうか?」

「えぇ、思ってくれる人がいるのは幸せですよ。」

「まぁ、そうですね。」

 

 また、無言になる。

 

「八舞君は覚えてますか?初めて会った日の事を。」

「...えぇ。」

「あの時、私は自分の無力を呪いました。

 そんな時に八舞君は励ましてくれましたね。」

「...氷川さんは正しいことをしてたんだ、

 自分を呪うことなんてなかったんですよ。」

「それでも、私は嬉しかったんです、

 私は風紀委員でもやりすぎと言われてますから。」

 

 氷川さんはこっちを見ている。

 

「どうしたんですか?氷川さ__」

 「私はあなたの事が好きです。」

「__え?」

 

 氷川さんの口から信じられない言葉が出た。

 

「え?な、なんで?」

「...わかりません。私も気づいたのは最近なんですから。」

 

 氷川さんは俺をまっすぐ見ている。

 

「私と付き合ってくれますか?」

 

 氷川さんはそう言う。

 

「...少し待ってください。」

 

 俺はそう答える事しかできなかった。

 

「...あなたなら、そう言うと思いました。

 私はいつまでも待ちます。」

 

 そう言って氷川さんは戻っていった。

 

「(答えは決まっているんだ、でも、これを即答することなんて、俺にはできない。)」

 

 俺は空を見て...

 

「俺はどうすればいいんだ...」

 

 誰も答えてくれない問いを呟くのだった。

 

 

 

 




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18話

18話です!


 イヴの誕生日の日に氷川さんに告白され、一晩が過ぎ、今は日曜日の昼だ。

 

「何がどうなってんだ...」

 

 俺は理解出来ていなかった。

 

「夢......な訳ないよな。」

 

 答えなんか、もう決まってる。

 でも...

 

「......少し、外に出よう。」

 

 俺は外に出ることにした。

____________________________

 

 外は6月らしい暑さだった。

 俺は近くの公園に向かった。

 

「ふぅ、ここなら涼しいな。」

 

 俺は影がかかってるベンチに腰掛けた。

 

「(俺には覚悟がない。告白を断った後、氷川さんが離れていくのではないのかと、友達をなくしてしまうことへの......)」

 

 俺はそう考えていた。

 

「......俺は弱いな。」

「___あら?八舞君?」

「白鷺さん。こんにちは。」

「えぇ、こんにちは。」

 

 白鷺さんは近づいてきた。

 

「こんなところで何をしているのかしら?」

「......別に、何もしてないです。」

「嘘ね。何もなければ、人はそんな苦しい顔をしないわ。」

「っ!......やっぱりわかりますか。」

 

 白鷺さんは相変わらず鋭い。

 

「話してみなさい。聞くだけ聞いてあげるわ。」

「......これは、人に話すことではないんですが。」

「友達でしょう?秘密くらい喋りなさい。」

 

 威圧感のある笑顔で言う。

 

「わかりました。実は__」

 

 俺は昨日の事を話した。

 

「......まさか、そんなことが。だから、昨日の最後のほうは上の空だったのね。」

「......俺には覚悟ないんです。」

「覚悟?」

「はい。せっかくできた友達を失ってしまう、俺はそれが怖いんです。」

 

 白鷺さんはどこかを見ている。

 

「白鷺さん?」

「......あなたは馬鹿なのかしら?」

「え?」

「紗夜ちゃんはフラれたくらいで離れていくような子じゃないわ。」

 

 そもそも、と続けて。

 

「紗夜ちゃんだって覚悟があって、あなたに告白したのよ。あなたとの関係が崩れることを覚悟してたと思う。」

「!!」

「だったら、あなたは、相応の覚悟を持って紗夜ちゃんに返事をするべきよね?」

 

 そうだ、白鷺さんの言うことは最もだ。

 氷川さんだって覚悟してたに決まってる。

 なのに俺は...!!!

 

「......ありがとうございました。白鷺さん。」

「やることは決まったようね。」

「はい。この恩はいつか返します。」

「そう?なら、美味しい紅茶でも淹れてもらおうかしら。」

「了解しました。」

 

 そう言って、俺は公園を出た。

____________________________

 

「(やることは決まった。後は......)」

「俺の覚悟を見せるだけだ!」

 

 俺はそう決意した。

____________________________

 

 一日が過ぎ、月曜日だ。

 俺は学校に登校した。

 

『今日、放課後に屋上に来てください』

 

 俺は氷川さんにメッセージを送った。

 

『了解しました。』

 

 そう、返ってきた。

 

「(やることは決まってる。後は俺の覚悟だ。)」

「......さん......栄斗さん?」

「ん?あぁ、イヴか。」

「どうしたんですか?難しい顔してましたよ?」

「あぁ、少し考え事をな。てか、それ、付けてくれてるのか。」

「はい!一番のお気に入りです!」

「そうか、よかったよ。」

 

 俺も、もう一つの覚悟を決めるときかな。

 

 今日の授業などは一瞬で過ぎた。

____________________________

 

 放課後だ。

 

「栄斗さん!一緒に帰りませんか?」

「悪い、今日は行かないといけないところがあるんだ。」

「そうなんですか?残念です......」

「ごめんな。じゃあ、俺は行くよ。」

 

 俺は屋上に向かった。

____________________________

 

「お早いですね、氷川さん。」

「えぇ、好きな人を待たせるのは忍びないですから。」

「......そうですか。」

 

 氷川さんはパっと見はいつも通りだ。

 

「今日はあの時の返事と思っていいんでしょうか?」

「はい。間違いありません。」

「そうですか......」

 

 空間を静寂が支配する。

 

「......それでは教えてください。あなたの気持ちを。」

「はい......」

 

 俺は少し空気を吸って。

 

「__俺は氷川さんと付き合うことは出来ません。」

「......やっぱりですか。こうなることは何となくわかっていました。」

「氷川さん......」

 

 氷川さんは悲しそうな顔をしている。

 

「もう、私はあなたの近くにはいられませんね。」

「__そんな事はあり得ません。」

「え、な、なんで?私はあなたにフラれて__」

「フッったとしても。氷川さんは大切な友達です!」

「!!」

「俺には覚悟がなかった。断れば氷川さんが離れてしまうのではないのかと。でも、それは、間違いだった。」

「......」

 

 氷川さんは静かに聞いている。

 

「どんなことがあっても、氷川さんは大切な友達だ。だから、離れる必要なんかないんです。」

「......あなたは優しいですね。」

「そんなことは、ないです。」

「ありがとうございました。」

「......いえ。」

 

 沈黙が流れ...

 

「でも、残念ですね。あなたみたいな人には、滅多に出会えないでしょうに。」

「買い被りです。氷川さんにはもっと素敵な人が現れます。」

「どうでしょうね。」

「俺は少なくとも、そう願ってますよ。」

「そうですか。」

 

 氷川さんは微笑んでいる。

 

「あなたは若宮さんが好きなんですよね?」

「な、なんでそのことを?」

「......ばれていないと思っていたんですか?」

「はい......」

 

 バレバレだったのか......

 

「あなたも若宮さんに告白するんですか?」

「......まぁ、その予定です。」

「そうですか!なら、頑張りなさい!」

「氷川さん......」

 

 笑顔が歪んできてる。

 

「もう、いきなさい。」

「氷川さんは?」

「私はもう少し、風にあたっていきます。」

「......そうですか。」

 

 では、と俺は屋上を出た。

____________________________

 

 ”紗夜side”

 

「結局、フラれてしまいましたね...」

「お姉ちゃん......」

「あら?日菜?来ていたの?」

「うん......」

 

 紗夜は夕日を眺めている。

 

「やはり、私じゃダメだったわ。」

 

 紗夜は今にも泣きだしそうだ。

 

「お姉ちゃん!」

 

 日菜は紗夜を抱きしめた。

 

「......放して、苦しいわ。」

「嫌だよ、お姉ちゃん。悲しいときは泣いてもいいんだよ。」

 

 日菜の言葉に紗夜の感情は爆発した。

 

「最初から分かっていたんです!八舞君が若宮さんを好きなことは...」

「うん。」

「でも、諦められなかったんです!私を励ましてくれて、認めてくれた彼を!」

「うん。」

 

 日菜は紗夜の言葉を叫びを聞き続けた。

 

「(栄君......お姉ちゃんをふったんだからね。イヴちゃんと幸せにならないと許さないから。)」

「日菜、ごめんなさい...」

「全然大丈夫だよ!」

「仕事があって来たんでしょう?行きなさい。」

「はーい!」

 

 紗夜も吹っ切れて、いつも通りになった。

 日菜は屋上を出た。

 

「お幸せに......八舞君。」

 

 紗夜は夕日にそう願った。

_____________________________

 

 ”日菜side”

 

 お姉ちゃんがフラれた。

 

「もう、逃げないんだよね?栄君。」

 

 確信はない、だが、日菜は感じていた。

 

「(きっと、栄君の心は動き出してる。)」

 

 日菜は笑って

 

「るんっ♪ってしてきた!」

 

 日菜は一人で笑っていた。

_____________________________

 

 俺は一人、帰路についていた。

 

「(氷川さんは傷ついてた。俺にはあの傷を癒すことなんてできない。)」

「日菜さんにも『逃げたら許さない』って言われたしな。」

 

 俺は夕日を見て。

 

「(俺も覚悟を決めないとな。もう、逃げちゃいけない。氷川さんのためにも。)」

 

 俺は深呼吸をした。

 

「(俺はイヴに告白する。)}

 

 俺は輝く夕日に誓いを立てるのだった。




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19話

19話です!


 俺はイヴに告白する、が、重大な問題がある。

 

「...告白ってどうやってやるんだ?」

 

 なにせ、今まで無縁だったこと、急にできるわけもない。

 

「...いっそ、誰かに相談してみるか。」

 

 うーん、ここは、やっぱり...

 俺はある人たちに連絡をした。

_____________________________

 

 俺は羽沢珈琲店に来ていた。

 

「おまたせー!」

「来たか。」

 

 呼んだのはイヴ以外のパスパレメンバーだ。

 

「今日は集まってもらってすいません。」

「いやいや~いいよいいよ!」

「そうっすよ!」

「申し訳ないです。」

 

 皆は席に着いて、それぞれ飲み物を注文した。

 

「___それで、相談はなにかしら?わかり切っているけどね。」

 

 白鷺さんがそう言う。

 

「イヴに告白するので、助言をいただきたいんです。」

「やはりね...」

「栄君栄君!」

「はい?」

 

 日菜さんに耳打ちで...

 

「約束、守ってくれるみたいだね♪」

「...はい、氷川さんのためにも、逃げるわけにはいかなくなったので。」

「うん!るんっ♪てきた!」

 

 日菜さんは嬉しそうだ。

 

「___それで、どうすればいいでしょうか?」

「うーん、どうなんだろ?千聖ちゃんはどう思う?」

「そうね、デートなんてどうかしら?」

「ジブンもそれがいいと思います!」

「デートってどうするんですか?」

「そうだね~、ショッピングしたりとか?」

 

 なんか、アイディアがふわふわしてるな。

 

「うーん、どうしたものか...」

「あ!そういえば!」

 

 丸山さんが思い出したように言った。

 

「どうしたんですか?」

「この前、イヴちゃんが武士道展に行きたいって言ってたの思い出して!」

「武士道展?」

「そうそう!これだよ!」

「...なるほど、これならイヴは楽しめそうですね!」

「だよねだよね!」

 

 丸山さんはそう言う。

 

「でも、ここから、どう告白に繋げるんすか?」

「確かにそうね、武士道展だものね。」

「それなら、大丈夫です。場所は決めてますから。」

「え?そうなの~?どこどこ~?」

「...昔から俺の心を支えてくれた場所です。」

 

 そこから、芋ずる式に決まっていった。

_____________________________

 

 俺はイヴを誘う。

 

『俺と武士道展に行かないか?』

 

 と、送ると。

 

『はい!行きたいです!』

 

 と、ノータイムで返信が来た。

 そこから、待ち合わせの時間などを相談し、決まった。

 

「ふぅ、第一段階クリアだな。」

 

 俺はパスパレのみんなに言われた通りの準備をした。

 

「これで、大丈夫、だよな?」

 

 俺は一末の不安を残しつつ、明日に備え眠りについた。

____________________________

 

 ”イヴside”

 

「え、栄斗さんにデートに誘われました...!」

 

 イヴは喜んでいた。

 

「これは期待してもいいんでしょうか...?///」

 

 イヴは首を振り。

 

「ここは気合を入れていかないといえません!」

 

 イヴは服を選び始めた。

 

「栄斗さん...褒めてくれるでしょうか...?

 いえ、きっと、褒めてくれます!...多分。」

 

 イヴは今までの栄斗の鈍感さを思い出していた。が、

 

「明日が楽しみです!」

 

 イヴは明日に備え早く寝た。

_____________________________

 

 デート当日だ。

 俺は家にいるのが落ち着かなくて早く待ち合わせ場所に来ていた。

 

「落ち着け、いつも通りだいつも通り。」

 

 俺は自分に暗示をかけていた。

 すると...

 

「栄斗さーん!」

「よ、よう!イヴ!早いな!」

 

 イヴが来た。

 しかも、めっちゃオシャレしてる。

 

「あ、あの、栄斗さん...?」

「ん?どうした?」

「き、今日の私はどうですか...?///」

「...すっごいかわいいぞ。服もよく似合ってる。」

「そ、そうですか!///」

 

 よし、正直に言ったが正解みたいだな。

 

「少し早いが、行くか、武士道展。」

「はい!」

 

 そうして、俺たちは武士道展の会場に向かった。

_____________________________

 

「ここが武士道展ですか!」

 

 ついてからイヴのテンションが高いな。

 

「早く行きましょう!」

「あぁ。」

 

 少し入ると、武田信玄が着ていた鎧のサンプルが展示されていた。

 

「こ、これが...!毘沙門天の...!」

「...武田信玄は風林火山の人だぞ?」

「し、知ってます!///」

 

 イヴは恥ずかしそうにしている。

 

「まぁ、時間はある。ゆっくり見て回ろう。」

「はい!」

 

 そこから俺たちは色々なものを見た。

 イヴは初めて見る物が多くて目を輝かせていた。

 

「__イヴ?」

「はい?なんでしょうか?」

「そろそろ、昼食にしないか?」

「そうですね!お腹すきました!」

 

 俺たちは武士道展と提携しているファミレスに入った。

 

「すごいです!店員さんが鎧を着ています!」

「おう、そうだな。」

「羽沢珈琲店でも出来ないでしょうか?」

「...やめてやれ。」

 

 俺は切にそう思った。

 そこから、注文をして、料理が運ばれてきた。

 

「ごはんに家紋の旗が刺さっています...!」

「それ、嬉しいのか?」

「はい!とってもかっこいいです!」

「そうか。」

 

 イヴは子供みたいに喜んで食べてる。

 

「(ほんと、外見に見合わず、子供みたいだな。)」

「?どうしたんですか、栄斗さん?」

 

 やばい、見すぎたか。

 

「...何でもないぞ?それより、美味しいか?」

「はい!でも...」

「でも?」

「栄斗さんの料理の方が美味しいです!」

「...そうか。(ほんと、可愛いやつだ。)」

「はい!」

 

 俺たちは昼食を食べ終わった。

 

「じゃあ、会計してくる。」

「あ、私の分__」

 

 と、財布を出そうとしたが。

 

「待て待て、ここは俺が出すよ。」

「え?でも...」

「いいんだよ、気にしなくて。」

 

 そう言って俺は、会計をした。

 

「__じゃあ、行こうか。」

「はい!」

 

 俺たちはファミレスを出た。

_____________________________

 

「ここから、どうするんですか?」

「そうだなぁ、行きたいところはあるか?」

「うーん...あ!雑貨屋さんに行きたいです!」

「じゃあ、行くか。」

 

 雑貨屋に来た。

 

「すごいです!ブシドーな物がたくさんあります!」

「おー、そうかそうか。」

 

 イヴは色んなものを見て目を輝かせている。

 

「(ほんと、子供みたいだな。)」

 

 俺はいつにもましてそう思った。

_____________________________

 

 楽しい時間は早く過ぎ、日が傾きだしていた。

 

「(...そろそろか。)」

「栄斗さん!次はどこに行きますか?」

「あー、少し行きたいところがあるんだがいいか?」

「はい!」

 

 俺たちはある場所に向かった。

_____________________________

 

「ここだ。」

「ここは?」

 

 俺たちが来たのは、とある公園の高台だった。

 

「...ここは、子供の時、よく来ていた、心の支えだった場所だ。」

 

 そう、俺は昔、何かあったらここに来ていた。

 

「綺麗な夜景が見えるだろ?」

「はい...」

 

 イヴは夜景を眺めている。

「...とても、綺麗です...」

「あぁ、そうだな。でも、最近はここにきてなかったんだ。」

「そうなんですか?」

「あぁ、来る必要がなくなってな。」

 

 沈黙する...

 

「なぁ、イヴ。」

「はい?」

「俺とイヴが初めて会ったときは、思いっきりぶつかられたよな。」

「は、はい。」

「そこから、色々あったよな。」

「はい。」

「出会ってまだ二か月とちょっとなのにな。」

「はい。」

「イヴと喋るようになって...」

「栄斗さんが一緒にいられないとも言われましたね。」

「...あの時は悪かった。」

「いえ、気にしてませんよ!今、一緒にいますから。」

「そうか。...そういえば、イヴは世界史、赤点だったなー。」

「もう!栄斗さん!」

「ははっ。...でも、それのせいで...」

「あのことは栄斗さんは悪くありませんよ!」

「あぁ、ありがとう。」

 

 俺は一息置いて。

 

「ここまで、色々あったな。」

「いえ、これからもですよ?」

「そうかもな。」

「そうです!」

 

 覚悟は決まった。

 

「なぁ、イヴ。」

「はい?」

「俺は、イヴが好きだ...」

「!!///」

「いつも元気で、一生懸命で、優しいイヴが好きだ。」

「...」

「イヴ?って、うおっ!」

 

 急にイヴが抱きついてきた。

 

「ど、どうした?イヴ?」

「私...嬉しいんですっ!ずっと、栄斗さんは私の事をお友達としか思っていないと思ってました...」

「そうか...」

「でも、今、栄斗さんに告白されています!」

「...恥ずかしいんだが。」

 

 イヴは顔をあげて...

 

「私も栄斗さんが好きです!大好きです!」

「俺と付き合ってくれるか?」

「はい!もちろんです!」

 

 心が満たされるってこういうことなんだろう。

 この先、もう、体験することはないだろう。

 でも、イヴといる限りは、俺の心は満たされていくだろう。

 

「栄斗さん!」

「どうした?」

「フツツカモノですが、よろしくお願いします!」

「あぁ...!こちらこそ!」

 

 俺たちはこうして付き合うことになった。

 俺たちの日常は始まったばっかりだ!

 

 

 




なんか、終わりっぽいですが、全然、まだですよ!
二人の日常はまだまだ続きます!

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20話

20話になりました!


 イヴと付き合い始めて一週間が経った。

 俺は羽沢珈琲店に呼ばれ来ていた。

 

「__というわけで!」

「第一回!」

「八舞さんとイヴさんを!」

「問い詰める会を始めるわ♪」

「...はい?」

 

 俺は呆気にとられた。

 呼ばれて来てみれば、意味の分からないことを言われている。

 イヴは捕まってるし。

 

「なんですか?これは?」

「あら?聞いていなかったの?

「いや、聞いてましたよ?

 聞いたうえで理解できないんですよ。」

「じゃあ、ジブンから説明するっす!」

「大和さん...?」

「今回は晴れてお付き合いを始めたお二人に、色々な疑問をぶつけていこう!って会っす!」

「いや、なぜ、そんなことに?」

「八舞君は学園の人気者で、イヴちゃんも人気があるのよ。そんな二人の事が気になる生徒は多いの。」

「つまり?」

「色んな子たちから要望があったのよ。」

「...拒否してもいいっすか?」

「あら?イヴちゃんを見捨てるの?」

「くっ!!」

「...じゃあ、始めちゃおっか!」

 

 日菜さんの一声で開始された。

 

「栄斗さん...」

「おはよう、イヴ。」

「なんで、私は捕まったんでしょう?」

「まぁ、色々あるらしい。」

 

 説明するのも面倒なので濁すことにした。

 

「あ、これ、校内放送で放送されてるからね!」

「は!?日菜さん!?なんでっすか!?てか、どうやったんすか?」

「こころちゃんの協力だよ♪」

「弦巻ーー!!」

「るんっ♪ってくるね!」

「俺は全然来てないっすよ!」

 

 やばい、頭痛くなってきた。

 

「じゃあ!一通目!」

 

 と、丸山さんが言った。

 

「『世界を笑顔に!』さんからのお便りです!」

「なんでラジオ風!?」

「『栄斗!イヴ!今回はおめでとう!二人にはこれからも笑顔でいてほしいわ!』とのことです!」

「弦巻...」

「こころさん...」

 

 やばい、柄にもなくウルっときたぞ。

 あいつはほんといいやつだな。

 

「あれ?質問じゃないんすか?」

「うーん、どうやら、趣旨を理解してなかったみたいですね!」

「いいのか、それで?まぁ、弦巻、じゃない『世界を笑顔に!』さんありがとな。」

「はい!ありがとうございました!」

「__じゃあ、二通目よ♪『ファンクラブ会長』からのお便りよ♪」

「え?俺には地雷なんじゃ?」

「『八舞君!若宮さん!おめでとう!...八舞君に質問なんですが、これからもファンクラブを続けてもいいですか?』とのことよ?」

「あー、その事っすか。まぁ、最初はあれだったけど、人に応援される事は嬉しいので、続けるのは構いませんよ。」

「うーん、栄斗さんがみんなに好かれるのはいいことなんですが...ちょっと複雑ですね...」

「大丈夫、俺はイヴ以外に靡かない。」

「栄斗さん...///」

「えーっと、次のお便りは『儚い...』さんからっす!」

「薫さんも!?てか、花咲川の外じゃねぇか!」

「『やぁ、栄斗、イヴ、この度はおめでとう...二人の行く先が幸福であることを祈ってるよ。質問なんだが、二人はどのように運命の出会いを果たしたんだい?』っとの事っす!これは、ジブン達も知らないっすね!」

「初めて会ったのは、通学路でイヴにぶつかられたのが始まりだな。」

「お恥ずかしいです...///」

「あの時はこうなるとは思ってなかったな~」

「そうですね~」

 

 俺たちは色んなことを思い出していた。

 

「じゃあ!次行くね!『花咲川の生徒会長』さんからだよ!」

「白金さんまで!?」

「『八舞君、若宮さん、おめでとうございます。質問なんですがお二人の第一印象はどんな感じだったんですか?』とのことだよ!流石、るんっ♪ってくる質問だね!」

「第一印象か~」

「私はぶつかってしまった人でした!」

「うん、そうだろうな。俺はテレビで見たときは可愛いな~って思てたな。直接会ったときはテレビに出てた人って感じだったな。」

「そんな風に思ってたんですか?」

「あぁ、あの時は驚いたよ。」

 

 という話をしてると。

 

「少し休憩いしましょうか♪」

 

 と、白鷺さんが言った。

 

「はぁ~、疲れる。」

「私はまだ大丈夫です!」

「ここまではどうっすか?」

「まぁ、意外と平和っていうか、想像と少し違うっすね。」

「まぁ、比較的平和なのを選んでいったもの。」

「このまま終わってほしいっす。」

「ダメよ♪」

「ですよね!」

 

 そう言って、続きが始まった。

 

「じゃあ次は!『コロッケ食べる?』さんからだよ!」

「ハロハピは結構送ってきてくれるな。」

「『栄斗君!イヴちゃん!今回はおめでとう!質問は...ないよ!』とのことです!」

「いや、ないんかい!」

「『ps.うちにコロッケ買いに来てね!サービスするよ!』」

「うん!ありがとう!また、買いに行くよ!」

 

 まさか、しょっぱな変化球で来るとは。

 

「ま、まぁ、次にいくっす!『クラゲ』さんからのお便りっす!」

「クラゲ?」

「多分...花音さんです!」

「あぁ、松原さんか。」

「『八舞君、若宮さん、今回はおめでとう!私もうれしいよ。質問なんだけど、二人は手とか繋いだのかな?』との事っす!」

「これは私が答えます!栄斗さんとお付き合いすることになった日の帰りに栄斗さんから繋いでくれました!」

「わーお!やるねぇ!栄君!」

「...まぁ、はい。」

「あの時はとっても嬉しかったです!」

「...そうか。」

 

 うん、はずい!

 

「じゃあ、次行くね!『ミッシェルだよ~』さんからだよ!」

「奥沢...」

「『八舞君、若宮さん、おめでと。質問はどっちから告白したのかで』とのことだよ!」

「これは、一応俺から...なのか?」

「私は結構アピールしてましたよ!」

「え?そうだったのか?」

「栄斗さんは鈍感さんだったんです!」

「す、すまん。」

 

 なぜか、俺が攻める形になった。

 

「じゃあ、次に行きましょうか♪『ちょまま!』さんからよ♪」

「ぶふっ!」

「どうしたんですか?」

「い、いや、なんでもない...(し、白鷺さんがちょままって...)」

「『八舞、若宮さん、この度はおめでとう。質問は二人はお互いをいつ好きになったんだ?べ、別に、気になってるわけじゃねぇからな!!』とのことよ。」

「市ヶ谷、お便りまで...」

「有咲さんですね!」

「質問に答えて頂戴。私は知ってるけれど♪」

「...俺はイヴが誘拐されたときに自覚しました。」

「イヴちゃんは?」

「わ、私は...栄斗さんをライブに初めて呼んだとき...です///」

「...白鷺さん、あの時、イヴがいるの気づいていたんですね。」

「えぇ♪面白かったわ♪」

 

 相変わらず、食えない人だ。

 

「じゃあ、次行くね♪『風紀委員』さんからだよ...って、これは...」

「...」

「どうしたんですか?栄斗さん?」

「いや...なんでもない。」

「『八舞君、若宮さん、この度はおめでとうございます。質問ですが、お二人は今、幸せですか?』とのことだよ...」

「はい、俺は幸せになれました。」

「私もしあわせです!ですが、どうしたんですか?栄斗さん?」

「この人は、俺に覚悟を決めさせてくれてくれた人だ...でも、俺が傷つけてしまった。」

「...大丈夫だよ、栄君。」

「日菜さん...」

「お姉ちゃんは後悔なんかしてないよ。栄君は胸を張って幸せでいればいいんだよ!」

「...はい!」

「少し暗くなっちゃったけど!気を取り直していこう!」

「次のお便りは『栄斗の友達』さんからだよ!」

「ん?...あぁ、真波か。」

「『栄斗、若宮ちゃん!おめでとう!さっそく質問だが、二人はいつ結婚するんだ?するとしたら呼んでくれよな!』とのことだよ!」

「気が早いな。」

「は、はいぃぃ///」

「あら?八舞君はイヴちゃんと結婚したくないのかしら?」

「...まぁ、したいっすけど。今の俺じゃ、まだ、ダメなんで、時がくれば...すね。」

「え、栄斗さん...!///」

「式には呼んでね?八舞君♪」

「...白鷺さんにお時間があれば。」

「うぅぅ///」

 

 イヴの顔は真っ赤だ。

 

「__お便りも、あと一通になったね。じゃあ、最後は『パスパレ』からだよ!」

「「え?」」

「二人は...」

「これからも...」

「お互いを...」

「愛し合えるかしら?」

 

 と、言うものだ。そんなの...

 

「あたりまえです。」

「当然です!」

 

 そう答えた。

 

「これからも、よろしくな、イヴ。」

「はい!こちらこそ!」

「__これにて、第一回八舞栄斗と若宮イヴを問い詰める会を終了するわ!」

 

 白鷺さんの一声で謎の会は終わった。

 

「はぁぁぁ、やっと終わった。」

「そうですね...でも、中々楽しかったですね!」

「私たちは満足よ♪」

「だよね~!」

「そうっすね!」

「るんっ♪ってきた!」

 

 と、パスパレのみんなが言った。

 

「__そういえば、イヴ。」

「はい?どうしたんですか、栄斗さん?」

「一週間後、期末テストだが勉強はしてるか?」

「!!!」

「...していないんだな。」

「は、はい...」

 

 次の苦労は、テストみたいだな。




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21話

21話です!
今回はお泊り回です!


「イヴ。」

「はい!」

「俺はイヴに意地悪をしたいんじゃない。」

「はい!」

「イヴが色んなことをがんばってるのも知ってる。」

「はい!ありがとうございます!」

「でもな...テストからは逃げられないんだ。」

 

 俺は朝の学校でイヴにそんなことを言っていた。

 

「はい...」

「というわけで、俺はイヴを助けよう。」

「どういう事ですか?」

「パスパレの皆さんにご協力いただいて、勉強合宿をする。」

「え?何処でですか?」

「俺の家だ。」

「えぇ!?いいんですか?」

「あぁ、問題ない。」

「__まぁ、そういう事よ、イヴちゃん。」

「千聖さん!」

「どうも、白鷺さん。」

「えぇ、八舞君。」

「今回はご協力感謝します。」

「気にしなくていいわ、私たちもいるんだもの、問題の子が...」

「え?」

「彩ちゃんよ...」

「あ...(察し)」

「正直、勉強の場の提供には感謝してるのよ...」

「お互いに、大変ですね...」

「えぇ...」

 

 出会って初めて、白鷺さんの気持ちがわかった気がした。

 

「というわけで、イヴ、勉強合宿やるぞ。」

「はい!」

 

 そうして、勉強合宿の開催が決定された。

_____________________________

 

 放課後になった。

 

「じゃあ、一旦、イヴの家に行くぞ。」

「はい!ですが、なんでですか?」

「生活必需品とか、着替えとか必要だろ?」

「そういえばそうですね!」

「...そういえばって、どうやって合宿する気だったんだ。」

 

 俺たちはイヴの家に向かった。

_____________________________

 

「じゃあ、少し待っていてください!」

「あぁ、ゆっくりでいいぞ。」

 

 イヴは家に入っていった。

 

「えーと、客用の布団はなぜかあるし。食材も問題ない。シャンプーとかは白鷺さんが大和さんを矯正するって持ってくるらしいし...」

 

 俺は自分の家の状況を頭の中で確認していた。

 

「よし、問題ないな。」

「おまたせしました!」

 

 頭を整理し終わったと同時にイヴが出てきた。

 

「...荷物、多くない?」

「はい!何が起こるかわからないので!備えあれば憂いなしです!」

「キャンプにでも行くのか?」

 

 イヴの荷物は多かったが、必要なものは持ってきてるみたいだし、良しとした。

 

「じゃあ、行くか。」

「はい!」

 

 俺たちは家に歩き出した。

 

「今日から栄斗さんの料理が毎日食べられますね!」

「...メインは勉強だぞ?まぁ、作るけど。」

「とても、楽しみです!」

「そうか。」

_____________________________

 

 マンションについた。

 

「お~い!栄く~ん!」

「あれ?日菜さん?早いですね?」

「ジブン達もいますよ!」

「こんにちは!八舞君!」

「遅いわよ。」

「お待たせしてすいません。」

「ごめんなさい...」

「別にいいわよ?早く入りましょ♪」

 

 そうして俺たちは、俺の部屋に入った。

_____________________________

 

「__というわけで、これから、勉強合宿が始まるわけですが...」

 

 俺は一息置いて。

 

「皆さん、仕事は大丈夫なんですか?」

「それなら大丈夫よ。私がみんなの休みを取ってきたから♪」

「え...!?」

 

 丸山さんが反応した。

 

「...逃げようとしてたでしょ、丸山さん?」

「そ、そんなことないよ!」

「...まぁ、いいです。今回は皆さんの得点向上を目指します。なので、イヴには俺と日菜さんが、丸山さんには白鷺さんと大和さんについてもらいます。」

「えぇ!?」

 

 丸山さんが驚いている。

 

「どうしたのかしら?彩ちゃん?」

「い、いや!なんでもないです...」

 

 丸山さんは白鷺さんの圧に屈したようだ。

 

「じゃあ、今から勉強を始めてもらいます。俺は夕飯の用意をするので。」

「「「「「はーい!」」」」」

 

 そうして勉強会が始まった。

 

「__彩ちゃん?また間違えてるわよ?お仕置きが必要かしら?」

「は、はいぃぃ!ごめんなさい!」

「あ、そこも違うっすよ?」

「彩ちゃん...?」

「ひぃぃぃ!!!」

 

 なんて言うか...地獄だな。

 

「日菜さん...ここはどうすればいいんですか?」

「えっと、ここをバーン!ってして!ここをバビューン!ってするんだよ!」

「え?は、はい!」

 

 あ、俺が教えないと駄目な奴か...

 

 ピンポーン

 

「ん?誰だ?」

 

 俺は扉を開けると...

 

「こんにちは、八舞君。」

「あれ?氷川さん?」

 

 そこには氷川さんがいた。

 

「さっき、日菜に呼ばれまして、参加しないかと。」

「それは大丈夫ですが...荷物は?」

「用意してきました。」

「ならどうぞ、上がって行ってください。」

「はい、お邪魔しますね。」

 

 そうして、氷川さんの参加が決定した。

 

「__あ!お姉ちゃん!来てくれたんだ!」

「えぇ、日菜も心配だったもの。」

「あ!紗夜さん!こんにちは!」

「えぇ、こんにちは若宮さん。」

「こんにちは紗夜ちゃん。」

「こんにちはっす!氷川さん!」

「こ、こんにちは...紗夜ちゃん...」

「えぇ、白鷺さん、大和さんと...丸山さん?こんにちは。」

 

 丸山さん、なんか、見た目変わってね?

 

「__氷川さんには日菜さんと一緒にイヴについててもらえないでしょうか?」

「はい、わかりました。」

 

 そうして、氷川さんはイヴについてくれた。

 流石だ、教え方がうまいな。

 

「よし!夕飯、用意するか!」

 

 俺は夕飯の用意を始めた。

_____________________________

 

「みなさーん!夕飯の用意ができました!」

「わーい!ご飯です!」

「お腹すいた~!」

「そうね、日菜。」

「ベストタイミングっす!」

「そうね...彩ちゃん?ご飯よ?」

「は~い...」

「大丈夫ですか?丸山さん?」

「う~ん、大丈夫だよ~、ご飯楽しみだな~。」

「は、はい、たくさん食べてください。」

 

 やばい、めっちゃ虚ろな目してるぞ?

 何したんだ、白鷺さん。

 

「まぁ、召し上がってください!俺は風呂の用意してるので。」

「「「「「「いただきます!」」」」」」

 

 みんな食べ始めた。

 

「やっぱり、栄斗さんの料理は最高です!」

「うん、おいしい...おいしいよ...!」

「栄養バランスも完璧っす!」

「えぇ、八舞君は優秀ね♪」

「これ美味し~!ね!お姉ちゃん?」

「えぇ、八舞君には敵いませんね。」

 

 みんな気に入ってくれてるみたいだ。

 てか、丸山さんに関しては涙目だし。

 

「__みなさん、風呂の用意ができましたよ。」

 

 みんなが食べ終わったのを見計らって、そう言った。

 

「誰から入りますか?」

「はい!は~い!私から入りたい!」

「こら!日菜!少しは遠慮なさい!」

「別にいいですよ?日菜さんから入っても。」

「やった~!じゃあ、行ってくるね!...あ、栄君!」

「なんですか?」

「覗いちゃダメだよ?」

「覗かないっすよ...」

「へぇ~イヴちゃんも?」

「...覗かないですよ?」

「ちょっと考えなかった?」

「え、栄斗さん!///」

「日菜さん、さっさと入ってきてください。」

「はーい!」

 

 そうして、日菜さんは風呂に行った。

 

「はぁ、まったく日菜さんは...って、なんでみんな距離取ってるんですか?」

「だって、ねぇ?」

「そうっすよね...」

 

 みんな端っこに固まってるし...

 

「みんな、どうしたんですか?」

「八舞君だから気にしなかったけれど、ここって、男の子の家なのよね?」

「まぁ、そういう事になりますね。」

 

 と、白鷺さん、氷川さんが言ってる。

 

「八舞君?」

「はい?」

 

 白鷺さんが話しかけてきた。

 

「襲わないわよね?」

「しないっすよ!!!」

 

 何を聞いてくるんだ。

 

「...てか、そこで疑われるのか?軽くショックなんですけど...」

 

 俺は虚空を見て。

 

「ネットカフェ、行こうかな。」

 

 割と本気でそう思った。

_____________________________

 

「__はぁ~!さっぱりした~!ってみんな、何してるの?」

「実は__」

 

 ここまであったことを説明した。

 

「__うんうん、つまり、みんなに避けられて拗ねちゃったってこと?」

「まぁ、そういう事っすね。」

「栄斗さーん!出てきてくださーい!」

 

 返事はない。

 

「これは重症ね...」

「悪いことしちゃったかな...」

「申し訳ないっす。」

「__別にいいっすよ...」

 

 栄斗が部屋から出てきた。

 

「冷静に考えれば、そう思うのは当然ですし、落ち込むことでもないですよね。」

 

 俺は悟り的なものを開いていた。

 

「え、栄斗さんが、悲しそうです...!えいっ!」

「うおっ!な、なんだ!」

「ごめんなさい...栄斗さん。少し恥ずかしくなってしまって...」

「いや、俺が悪いから気にするな。」

「もう、仲間はずれにはしないです!」

「そうか、ありがとう。」

「そ、それと...///」

「ん?」

「気になるなら、覗きに来てもいいですよ...?///」

「な!?イ、イブ!それはダメだ!自分を大切にしてください!」

 

 驚きすぎて敬語になったよ!

 

「__あのー、解決...ってことでいいのかな?」

 

 丸山さんが声をかけてきた。

 

「イヴちゃん...不純はダメよ?」

「///」

 

 イヴの顔は真っ赤だ。

 

「...まぁ、皆さんは風呂に入ってきてください。」

「「「「はーい。」」」」

_____________________________

 

 俺は最後にシャワーを浴びた後、ベランダにいた。

 

「__楽しいな、こういうのも。」

「それはよかったです。」

 

 氷川さんが来た。

 

「こうして話すのは、二度目ですね。」

「はい、あの時は若宮さんの誕生日会でしたね。」

 

 俺はあの時の事を思い出していた。

 

「...八舞君は幸せそうでしたね。」

「はい...昔の俺じゃ考えられないですね。」

「そうですか、私もうれしいです。」

 

 沈黙が流れる。

 

「すいません、氷川さん。」

「なにがですか?」

「...俺は、氷川さんを傷つけてしまいました。日菜さんは気にするなと言っていましたが、やはり、引っかかってしまいます。」

「...確かに私は、八舞君にフラれて傷ついたんだと思います。」

「...すいません。」

 

 罪悪感が募る。

 

「ですが、私は告白したことを後悔なんてしていません。」

「氷川さん...」

「少なくとも、私の行動が今の八舞君の幸せに繋がったんです。私はそれで幸せです。何より...」

「氷川さん?」

「...今の八舞君の笑顔は、私じゃ成立させられません。」

「それは...」

「気を使わなくてもいいです。事実ですもの。」

 

 氷川さんは景色を見てる。

 

「...正直、少し悔しくもありました。私じゃ、あなたを今のように幸せにできません。」

「...」

「ですが、あなた達を見て、そんな感情はなくなりました。今は八舞君が幸せなら、それでいいです。」

「氷川さん...」

「なので、これからは、八舞君の一番の友人を目指します!」

「え?」

「なので、私の事は名前で呼んでください!」

「は、はい。ですが、急ですね、紗夜さん、一番の友人なんて。」

「まぁ、そうですね...でも私は...」

 

 紗夜さんはこっちに寄ってきて...

 

「紗夜さん?」

「私はなんでも、頂点を目指してますから!」

 

 紗夜さんは飛び切りの笑顔でそう言った。

_____________________________

 

「あ!栄斗さん!おかえりなさい!」

「あぁ、って、ベランダにいただけだけどな。」

 

 イヴはリビングで待っていた。

 

「そろそろ、寝ますか?」

 

 時刻はもうすぐ0時だ、勉強は健康も大事だ。

 

「布団、用意してきます。」

 

 俺は布団を敷いた。

 

「俺は部屋で寝てますので、困ったことがあったら言ってください。」

「「「「「「はーい!」」」」」」

 

 俺は部屋に戻った。

_____________________________

 

「はぁ、一日目なのに色々あったな。」

 

 俺は今日の事を思い出した。

 

「紗夜さんも吹っ切れてたみたいだ...ほんとによかった。」

 

 紗夜さんは次に向かってる。もう、大丈夫だ。

 コンコン

 誰か来た。

 

「はーい、どうしましたー?」

「栄斗さん...?」

「ん?イヴ?どうした?」

 

 俺はドアを開けた。

 

「あ、あの、栄斗さん...///」

「な、なんだ?」

 

 イヴは恥ずかしそうだ。

 

「あ、あの...一緒に寝ませんか?///」

「何!?」

「ダメ...ですか?」

「構わんが、ベッドだから、狭いかもしれないぞ?」

「だ、大丈夫です!///」

 

 そう言うので、一緒に寝ることにした。

 

「__暖かいです♪」

「...そうか。」

 

 俺は今、イヴの抱き枕状態だ。

 

「今日は楽しかったです!」

「それはよかった。」

「お勉強は大変でしたが、みなさんとご飯を食べたり、お話したり...」

「そうだな、俺も楽しかったよ。」

 

 沈黙が流れる。

 

「しばらくは、ずっと楽しいかもな。」

「はい!」

 

 話をしているうちにイヴは眠った。

 

「すぅー...すぅー...」

「可愛い寝顔だ。」

 

 うん、可愛い、最高。

 

「...俺も寝るか。」

 

 俺は扉の向こうにいるみんなに気付くことなく眠りにつくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




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22話

22話です!


 勉強合宿が始まって4日、勉強は順調に進みつつあった。

 

「イヴ?調子はどうだ?」

「はい!とても、順調です!」

「そうか。これも、紗夜さんのおかげです、ありがとうございます。」

「いえ、私も復習になりますし、気にしなくて構いません。」

 

 紗夜さんはあれから、目に見えて元気だ。

 友人関係も良好で信頼できる友人だ。

 

「イヴちゃんを心配している八舞君自身は大丈夫なのかしら?」

「俺は特に問題ないですね。いつも通りです。」

「まぁ、前回、学年二位だものね。」

「まぁ、そういう事です。」

 

 俺、イヴ、紗夜さん、白鷺さん、日菜さん、大和さんは順調だが...

 

「...大丈夫ですか?丸山さん?」

「だ、大丈夫だよ...」

 

 うん、大丈夫じゃないな。

 

「まぁ、今日も勉強しましょうか。」

 

 そうして、テストまで勉強をつづけた。

_____________________________

 

 テスト当日だ。

 

「やっと、テスト当日か。」

「は、はい。大丈夫でしょうか?」

「大丈夫だ。しっかり勉強したんだ、問題なんかない。」

「うぅ、でも...」

「テストでいい点を取れたら、ご褒美になんでも一つ言うことを聞こう。」

「ほんとですか?じゃあ、頑張っていい点を取ります!」

 

 そうして、テスト習慣が始まった。

 イヴは前よりも自信があるらしい。

 俺はいつも通りだ。

_____________________________

 

 テスト結果が返ってきた。

 

「イヴ、どうだった!」

「すごいです!今までで最高点数です!栄斗さんはどうでしたか?」

「ほい。」

 

 俺はテストの結果の表をイヴに渡した。

 

「が、学年一位です!流石、栄斗さんです!」

「普通だ。まぁ、イヴも頑張ったし、なんでも一つ言うこと聞いてやる。」

「ほんとですか!?それじゃあ__」

_____________________________

 

「__この時間でいいのか?」

 

 俺はイヴたちを待っていた。

 イヴの願いは、みんなで夏祭りに行きたいだったらしい。

 相変わらず可愛いやつだ。

 

「栄斗さーん!」

 

 イヴたちが来た。みんな、浴衣を着ている。

 

「よう、イヴ。」

「はい!お待たせしてすいません!」

「そんなに待っていない。」

「こんばんわ、八舞君。」

「こんばんわ、紗夜さん。」

「こんばんは~!栄君!」

「おまたせ!八舞君!」

「こんばんわっす!」

「待たせたわね。」

 

 メンバーが全員揃った。

 

「あの、栄斗さん?」

「どうした?」

「私の浴衣は...どうでしょうか...?///」

「すごい似合ってるぞ、うん、可愛いな。」

「!!そ、そうですか!///」

 

 イヴは嬉しそうだ。

 

「...どうしたんですか?皆さん?」

「相変わらず、仲はいいようね♪」

「栄君とイヴちゃん、暑いよ~!」

「仲が良いのはいいことですよ。」

「茶化すのはやめてほしいんですが?」

「て言うか、砂糖は吐きそうだよね~」

「空気が甘いっすよね!お二人は!」

「うぅぅ///」

 

 イヴ顔真っ赤だな。

 

「...まぁ、行きましょう。」

「そ、そうですね!」

 

 俺たちは祭りに行った。

 

_____________________________

 

 今回の祭りは弦巻家の協力もあるらしく、かなり大きい祭りだ。

 

「すっごいな、こんなでかい祭りは初めてだ。」

「去年もやってましたよ?」

「去年はこれなかったからな。」

 

 俺は祭りの雰囲気に圧倒されていた。

 

「あ!お姉ちゃん!あっちにポテトあるよ!」

「ちょっと!日菜!...日菜について行ってきます。」

 

 紗夜さんと日菜さんはポテトを買いに行った。

 

「千聖ちゃん!麻弥ちゃん!綿あめ食べよ!」

「ちょっ!彩さん!?」

「あまり引っ張らないで!」

 

 丸山さんたちは綿あめを買いに行った。

 

「...結局、二人になるのな。」

「そうですね!」

「なにか、したいことはあるか?」

「うーん...あ!あれがしてみたいです!」

「金魚すくいか。」

「はい!行きましょう!」

 

 俺たちは金魚すくいに行った。

 

「さぁ~!やりますよ~!」

「落ち着いてやるんだぞ?」

 

 イヴは気合が入っている、が、

 

「あ、破れちゃいました...」

「勢いがありすぎたな。」

「うぅ、悔しいです...」

「よーし、次行くぞー」

 

 このままだと金魚すくいで破産しそうなので、軌道修正した。

 

「まぁ、何か食べよう。」

「タコヤキ食べたいです!」

「じゃあ、買いに行くか。」

 

 俺たちはタコヤキを買いに行った。

 

「ん?栄斗とイヴじゃないか!」

「薫さん!こんばんわ!」

「あぁ、こんばんわ。」

「...なんで、薫さんがたこ焼き屋台を?」

「私だけじゃなく、ハロハピのみんなは祭りで何かしているよ。」

「え?なんで?」

「こころ曰く『みんなを笑顔にするわ!』らしい。」

「なるほど、言いそうですね。」

「栄斗さん栄斗さん」

 

 イヴが服を引っ張ってきた。

 

「どうしたんだ?」

「はやく、タコヤキ食べたいです!」

「おや?お腹がすいてるみたいだね!はい、私特性のたこ焼きだ。儚い味がするよ...!」

「儚い味って何すか...あ、お金っす。」

「いらないよ、私からのサービスだ!」

「いや!商売でしょ!?」

「まぁ、これからともに歩む二人へのささやかな贈り物さ...!」

「まぁ、また、お礼します。」

「そうかい?まぁ、今は祭りを楽しんでくれたまえ!」

「はい、ありがとうございます。」

「ありがとうございました!薫さん!」

「あぁ、またね。」

 

 俺たちは座れる場所を探した。

 

「ここなら大丈夫だな。」

「はい!座りましょう!」

「あ!待て。」

「はい?」

 

 俺はベンチにハンカチを敷いた。

 

「浴衣が汚れるからな、その上に座れ。」

「え、でも...」

「大丈夫だ。後三枚はある。」

「そうですか?」

 

 そう言ってイヴは座った。

 

「__タコヤキは美味しいですね!」

「そうか、よかったな。」

「はい!...っ!!」

「どうした!?」

「...舌がヒリヒリします...」

「あー、これでも飲め。」

 

 俺は飲み物を渡した。

 

「ありがとうございます...」

「ゆっくり飲むんだぞ。」

 

 イヴは飲み物を飲んでいる。

 

「ふぅ...とても熱かったです...」

「焦って食べるからだろ...」

「気をつけて食べます!」

「あぁ、そうしてくれ。」

 

 イヴはたこ焼きを食べている。

 

「へいほさん、ほほはら、ほうひまふか?(栄斗さん、ここから、どうしますか?)」

「飲み込んでから喋ろうな。」

「ここからどうしますか?」

「そうだな~みんなを探して__」

 

 誰かからメッセージが来た。

 白鷺さん?

 

『この後花火があるから、二人で見てきなさい。』

 

 とのことだ。

 

「だれからですか?」

「白鷺さんからだな、二人で花火見てこいだと。」

「そうなんですか?」

「まぁ、一応、花火見る場所は一応送ったし、合流は出来るだろ。」

「どこで花火を見るんですか?」

「ここから近いから、あそこだな。」

 

 俺たちはある場所に向かった。

_____________________________

 

「__なるほど!ここなら、見やすそうですね!」

「だろ?」

 

 俺たちが来たのは高台だ。

 

「ここなら綺麗に見えるんじゃないか?」

「はい!そうですね!」

 

 俺たちは花火を待っていた。

 

「...俺は祭りに来たのは実は初めてだったんだ。」

「そうなんですか?」

「あぁ、小さいときは親に監禁されてたし、中二からも来る気が起きなかったからな。」

「そうなんですか...」

「でも、楽しいんだな。また来たいよ。」

「これからは、毎年、来れますよ!」

「ははっ。そうかもな。」

 

 そんな話をしていると___

 

 ドーン!ドーン!

 

 花火が始まった。

 

「綺麗ですね...」

「あぁ...」

 

 花火を見ているとイヴが手を握ってきた。

 

「花火が綺麗なのも、栄斗さんとみているから、ですね!」

「...買い被りだ。」

「照れてますね?」

「...」

 

 今日のイヴは勘が冴えてるらしい。

 

「...俺はイヴの笑顔より綺麗なものは見たことがないな。」

「そうなんですか?」

「あぁ。」

 

 花火の音がよく聞こえる。

 

「来年も見たいな。」

「今度はみんなで...ですね!」

「そうだな。」

 

 そうしている内に花火は終わった。

 

「...終わったな。」

「はい。」

 

 沈黙が流れる。

 

「そろそろ、みんなと合流しないとな。」

「そうですね!」

「___おーい!」

 

 みんなが来た。

 

「二人での花火は楽しめたかしら?」

「えぇ、とても。」

「楽しかったです!」

「よかったわ♪」

「あの花火はるんっ♪ときたね!お姉ちゃん!」

「えぇ、そうね。」

「綺麗だったな~。」

「そうっすね!」

 

 各々、花火の感想を言い合い、解散するのだった。

_____________________________

 

 帰り道。

 

「今日は楽しかったですね!」

「そうだな。」

「栄斗さん?」

「どうした?」

「夏休み、海に行きたいです!」

「あぁ、いいぞ。」

「な、なので...///」

「ん?」

「一緒に水着を買いに行きませんか?///」

「え?」

「ダメですか?///」

 

 イヴは少し残念そうな顔をしている。

 

「...いいぞ。」

「ほんとですか!?楽しみです!」

「そ、そうか。」

 

 次は、海みたいだ。

 

 




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23話

23話です!


 夏祭りから少し経ち、俺たちは夏休みに入ろうとしていた。

 

「__というわけで!イヴちゃんの要望でパスパレと八舞君で海に行くわよ!」

 

 白鷺さんがそう言った。

 

「珍しく、テンション高いですね。」

「そうかしら?去年、皆で行ったのが楽しかったからかしらね!」

「なるほど。」

 

 納得した。白鷺さんはなんやかんやパスパレの事、大好きだからな。

 

「海はいいんですけど、プランはどうしますか?」

 

 と、大和さんが言った。

 

「その事なのだけれど、事務所の方が紹介してくれた旅館に行こうと思うわ。」

「へぇ~どんなとこなの?」

 

 日菜さんが聞いた。

 

「ここよ。」

「ふむふむ...うん!るんっ♪ってくるね!」

「どれどれ?...すごそう!」

 

 日菜さんと丸山さんは気に入ったようだ。

 

「泊りで行くんですか?」

「えぇ、そうなるわね。」

「俺は大丈夫なんですけど、皆さんはお仕事などは?」

「それなら大丈夫よ。夏どころか秋の終わりくらいまでの撮りだめはしてるもの。」

「それ、一般人に言っていいんですか?」

「八舞君は大丈夫でしょ?」

「まぁ、そうですね。」

 

 テレビ番組を見る目が変わりそうだ。

 

「というわけで、決定でいいわね?」

「一ついいでしょうか?」

「旅館のお金などはいつ集めますか?」

「あら?大丈夫よ?」

「え?」

「SNSでの宣伝をする代わりに事務所がお金を出してくれるから♪」

「一応聞きますけど、部屋数は...?」

「心配ないわ、二部屋頼んでおいたから♪」

「...用意周到ですね。」

「すこーし、事務所の方とお話ししたけどね♪」

「...」

 

 目が笑ってないぞ...

 これ以上の言及は危険だ。

 

「...そういう事なら、俺は大丈夫です。」

「みんなはどうかしら?」

「私は大丈夫です!」

「わたしもいいよ~!」

「ジブンも大丈夫っす!」

「私も大丈夫~!」

 

 こうして、夏休みの予定が一つ決まった。

 

「じゃあ、後は水着ね。」

「今から買いに行きます?」

「いいね!」

「るんっ♪ってきた!」

「行きましょう!」

「...じゃあ、俺はこの辺で。」

「栄君も一緒に行こうよ~!」

「え??」

 

 日菜さんがそんなことを言い出した。

 

「...皆さんで行けば__」

「栄斗さん!」

「ん?」

「約束、忘れてしまいましたか...?」

「あ、」

 

 夏祭りの時にしてたんだった...!

 

「...仕方ない、約束は破れないな。」

「じゃあ!行きましょう、栄斗さん!」

 

 俺も水着を買うのに同行することになった。

_____________________________

 

 俺は今、ショッピングモールの女性用の水着売り場にいる。

 視線が痛い。

 

「ねぇねぇ!」

「はい、何ですか日菜さん?」

「これどう?似合う?」

「...なんで、俺に聞くんすか?」

「男の子の意見が欲しくて~」

「ニアウトオモイマスヨ~」

「...なんか、適当じゃない?」

「気のせいっすよ~いやだな~」

「まぁいいや!これにしよ!」

 

 日菜さんは決定したようだ。

 

「...はぁ、どうしてこうなったんだ。」

「あら?せっかく、女の子に囲まれてるのに不服そうね?」

「白鷺さん...」

「あなたぐらいの男子なら泣いて喜ぶと思うのだけれど?」

「...俺はそういうのじゃないって分かってるでしょ?」

「まぁ、そうね。でも、少しくらい楽しそうにしたらどうかしら?イヴちゃんが不安がるわよ?」

「それもそうっすね。善処します。」

「そうすることね。」

「...ですが、白鷺さん?」

「なにかしら?」

「水着、それにするんすか?」

 

 白鷺さんは全身紫外線から守ります的なスーツ型の水着だった。

 

「...丸山さんとかに却下されそうっすね。」

「...さっき、されたわ。」

「まぁ、俺でも女子高生が着るにはどうかと思いますからね。」

「日焼け、したくないもの。」

「いい日焼け止め、知ってますよ?」

「あら?本当?」

「はい、俺は毎日使ってます。」

「そういえば、八舞君はかなり白いわね。」

「よかったら、お使いになりますか?」

「一応自分でも持っていくけれど、試させてもらうわ。」

「了解です。」

 

 そんな話をしていると...

 

「栄斗さん!」

「イヴ、どうした?」

 

 イヴがこっちに来た。

 

「イヴちゃんへの反応が尋常じゃないわね...」

「気のせいです。で、どうした?」

「水着の相談にきました!これなんて、どうでしょう?」

 

 イヴが見せてきたのは普通の水着より、布面積が少し?狭めの水着だった...

 

「Oh...」

「イヴちゃん...」

 

 空気が凍ってる。

 

「お二人ともどうしたんですか?」

「なぁ、イヴ、なんでその水着を選んだんだ...?」

「これですか?彩さんが勧めてくれました!」

「丸山さん!!」

 

 俺は丸山さんのもとに行った。

 

「栄斗さんはどうしたんでしょう?」

「...戦に行ったのよ。」

「な!これは、私も助太刀しなくては!」

「イヴちゃんは私と水着を選びなおしましょうか!」

 

 イヴと白鷺さんは水着を選びなおしに行った。

 

「__丸山さん!!」

「え!?ど、どうしたの?」

「イヴが丸山さんにとてもいい水着を薦めてもらったようで。」

「ギクっ!!!」

「あ、あの、八舞君、あれはちょっとした悪戯というか...」

「へぇ。」

「だ、だから、その、口元だけ笑ってて、目だけは笑っていない表情を収めていただけないでしょうか...?」

「理由は、なんですか?」

「八舞君が喜ぶと__」

「本音は?」

「あの水着を持って行った時の八舞君のリアクションが気になりました!!ごめんなさい!!」

「...俺は許してあげましょう。」

「え?ほんとに?」

「えぇ、でも、俺で終わってたらよかったですね...」

「それはどういう__」

「彩ちゃん?」

 

 そこには、水着を選びなおし終えた白鷺さんがいた。

 

「ち、千聖ちゃん!?」

「少し、お話ししましょうか。」

「い、いや!さっきの八舞君と同じ顔してるよ!?た、助けて!八舞君!」

「俺が言うのもあれなんですけど...頑張ってください。」

「行くわよ?彩ちゃん?」

「いやぁぁぁ!!!」

 

 丸山さんは連行されていった。

 

「栄斗さん!」

「どうした?」

「水着を選びなおしてきました!」

「そうかそうか。」

「これで、どうでしょう?」

 

 今度の水着はさっきのと打って変わって可愛い系のものだった。

 

「いいな、海で見られるのが楽しみだ。」

「そ、そうですか///...じゃあ!これにします!」

 

 そう言ってイヴは会計に行った。

 

「ふぅ、まったく丸山さんは...」

「大変そうでしたね、八舞さん。」

「大和さん。えぇ、一瞬、心臓が止まりかけましたよ。」

「あはは、そういえば、彩さんは?」

「...察した方がよろしいかと。」

「あ...(察し)」

 

 大和さんは察したようだった。

 

「...生きて、返ってこれるんでしょうか...?」

「さぁ...?あ、そういえば、大和さんは水着決まったんですか?」

「はい!決まりましたよ!」

 

 大和さんは普通の一般的なものだった。

 

「...パスパレで一番アイドルしてるんじゃないですか?」

「そ、そんなことないっすよ。」

「イヴから、大和さんの話をよく聞きます。」

「どんなことっすか?」

「大和さんは気遣いができて、機材にも詳しくて、とてもブシドーらしいです。」

「あはは、最後以外は嬉しいっすね。」

「...これからも、イヴの事、よろしくお願いします。」

「こちらこそっす!」

 

 話しているうちにみんなが戻ってきた。

 

「お会計、してきました!」

「おかえり、イヴ。」

「彩ちゃんとのお話が少し長くなってしまったわ。」

「うぅ、千聖ちゃん、怖い...」

「あはは~!今の彩ちゃんの顔おっもしろ~い!」

 

 丸山さん、かばう気はないけど、ちょっと同情した。

 

「まぁ、そろそろ、帰りましょう。」

 

 俺たちは帰ることにした。

_____________________________

 

 俺はイヴ以外と別れた。

 

「今日も楽しかったです!」

「よかったな。」

 

 イヴはとても楽しそうだ。

 

「海に行くのが楽しみです!」

「そうだな。俺は行くのは初めてだ。」

「そうなんですか?じゃあ!最高の思い出にしないと、ですね!」

 

 イヴは何やら張り切っている。

 

「あ、家につきました!」

「じゃあ、また、当日にな。」

「はい!さようなら!栄斗さん!」

「あぁ。」

 

 そう言って、俺は帰路についた。

 

「楽しみだな...」

 

 俺はそう呟いた。

 

 




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24話

24話です!


 当日になった。

 夏本番らしく、セミが鳴いていて、なにより暑い。

 

「...暑い。」

 

 俺は指定された駅前にいた。

 

「えいとさーん!!」

「よう、イヴ__ぐほっ!!」

「ハグハグ~!」

 

 イヴに抱き着かれています。

 

「...どうしたんだ?」

「楽しみで、元気が一杯なんです!」

「そ、そうか。」

 

 抱き着いてくれるのは大歓迎なんだが...

 

「イヴ?周り見てみ?」

「まわりって__あ///」

 

 周りの視線が俺たちに集まっていた。

 

「ご、ごめんなさい!///」

「構わんぞ。」

「__朝からお熱いわね。この温度はあなた達の仕業かしら?」

「そんなわけないでしょう、白鷺さん。」

「まぁ、そうよね。おはよう、八舞君。」

「おはようございます。他の皆さんは?」

「もう、来ると思うわよ。」

 

 そう言ってると、みんな来た。

 

「おはよ!八舞君!」

「おはよ~栄君~」

「おはようっす!」

「おはようございます。って、日菜さんは眠そうですね。」

「そうなんだよ~朝は苦手なんだよ~」

「そ、そうっすか。」

 

 絶対寝るな、これは。

 

「そろそろ、時間だから行きましょうか。」

 

 俺たちは駅に入った。

_____________________________

 

 俺たちは今、新幹線に乗っている。

 

「...新幹線、初めて乗った。」

「栄斗さんは初めてが一杯ですね!」

 

 俺は感動していた。

 

「到着までは、まだあるから何かしましょうか。」

「私、トランプ持ってきたよー!」

「いいっすね!トランプ!」

「彩さん、ヨウイシュウトウです!ブシドーです!」

「私は寝るよ~」

「あ、結局寝るんですね。」

「うん~。膝借りるね~栄君~」

「え!?ちょ!?」

 

 日菜さんは俺の膝を枕にして寝てしまった。

 

「まったく...」

「日菜さん、羨ましいです...!」

「イヴにはいくらでもしてやるよ。」

「ほんとですか!?じゃあ、また今度お願いします!」

「あぁ。」

「じゃあ、トランプ始めますか!」

 

 と、大和さんが言い、トランプが始まった

 最初はババ抜きだ。

 

「じゃあ、私から引いていきますね!」

「はい、どうぞ!イヴちゃん!」

 

 イヴが丸山さんの手札から一枚引いた。

 

「ひうっ!」

「?どうした?」

「なな、なんでもないですよ~」

 

 あ、引いたなジョーカー。

 

「ど、どうぞ、栄斗さん...!」

「あ、あぁ。」

 

 俺が引こうとすると...

 

「うぅ...」

 

 引くカードを変えてみると。

 

「!!」

 

 これ、ジョーカーだな、間違いない。

 

「(...はぁ、仕方ないか。)」

 

 俺はジョーカーを引いた。

 

「...なんですか?皆さん?」

「なんでもないよ!」

「そうよ、なんでもないわ。」

「なんでもないっすよ、八舞さん!」

「じゃあ、なんでニヤニヤしてるんですかね...」

「さぁ、早く進めなさい!八舞君!」

 

 白鷺さんに押し切られババ抜きを再開した__

 

「__結局、残るのは、この二人なのね。」

「そうっすね。」

「もう、ここまでくると運命だよね!」

 

 残ったのは俺とイヴだった。

 俺は結局、イヴのジョーカーを全部引いた。

 分かりやす過ぎる...

 

「さ、さぁ、引いてください!栄斗さん!」

「__これは、負けた方は罰ゲームね。」

「「え!?」」

 

 やばいぞ、負けるに負けずらくなった、でも...

 

「うぅ...」

「(ここで勝ったら、男じゃないよな。)」

 

 俺はジョーカーを引いた。

 

「さぁ、引いてみ。」

「は、はい...!」

 

 結果は...

 

「揃いましたー!」

「おーう、おめでとう、イヴ。」

「__じゃあ、罰ゲームは八舞君ね。何にしようかしら?」

 

 白鷺さんが迷っていると...

 

「__イヴちゃんの好きなとこでも言ってもらったら~?」

「ひ、日菜さん!?いつのまに起きて!?」

 

 日菜さんが俺の膝の上でそう言った。

 

「よっと。うーん!よく寝た~!」

「それで、日菜さん、さっきのは?」

「あ~、せっかくだから、栄君から聞きたいこと聞こうかなって!」

「いいわね、それ。」

「白鷺さん?」

「私もいいと思うよ!」

「ジブンもっす!」

「...イヴは?」

「え、えーと、私も気になるかも...です///」

「じゃあ、決定ね。八舞君にはイヴちゃんの好きなところを言ってもらうわ。」

「はい。」

「じゃあ、話してちょうだい。」

 

 白鷺さんがそう言って、俺は話し始めた。

 

「皆さんは俺の家庭の事はご存じでしょう。俺はそれが理由で自分が大嫌いだった。自分は誰にも受け入れてもらえない、このまま、ずっと一人だと思っていました。でも、イヴは一緒にいたいと言ってくれました。そして、俺を受け入れてくれた。その優しさは間違いなく俺の心を救ってくれた。イヴの好きなところは言ってたらキリがないんですけど、一番はイヴの優しさなんだと思います。」

 

 俺は一呼吸おいて...

 

「こんな感じで、いいですか?」

「栄斗さんっ!」

「うおっ!」

 

 イヴが抱き着いてきた。

 

「ど、どうした?」

「私は栄斗さんとずっと一緒にいますよ!」

「...ありがとう、イヴ。」

 

 俺たちがそんなやりとりをしていると

 

「__イヴちゃん、八舞君、お熱いのはいいのだけど、ここ新幹線よ?」

「「あ、」」

 

 また、このパターンか...

 

「栄君~私、柄にもなく感動しちゃったよ~!」

「ジブンも感動しました!」

「八舞君はイヴちゃんが大好きなんだね!」

「...まぁ、事実なんで、否定はしないです。」

「栄斗さん...///」

「__もうすぐ着くわよ?」

 

 どうやら、もう着くらしい。

 急いで降りる準備をした__

_____________________________

 

「着きました~!!」

「パスパレ+栄君 IN...」

「「海~!!」」

 

 イヴと日菜さんが騒いでいる。

 

「イヴちゃん、日菜ちゃん。先に旅館に荷物を預けに行くわよ。」

 

 俺たちは旅館に行った。

_____________________________

 

「...ホームページ見たけど、実物はそれ以上だな...」

「そうだね(っすね)」

「何をボーっとしているのかしら?行くわよ?」

「は、はい!」

「早く行きましょう!栄斗さん!」

「そうだよ~!栄君!」

 

 俺たちは旅館に入った。

_____________________________

 

「内装もやばい、いくらしてるんだ__考えるのはやめよう。」

 

 俺の思考は停止した。

 

「チェックインを済ませてきたわ。はい、八舞君の部屋の鍵よ。」

「あ、はい、ありがとうございます。」

 

 俺は鍵を受け取った。

 

「じゃあ、部屋に荷物置いて海行こ~!」

 

 日菜さんがそういうので、部屋に移動した...

 

「__部屋、広すぎだろ...」

 

 俺は唖然としていた。

 

「ここに一人って、俺にはかなり贅沢だな。白鷺さんに感謝しとこ。」

 

 俺は手を合わせた。

 コンコン

 

『栄斗さーん!』

「どうしたー?」

 

 俺はドアを開けた。

 

「早く海に行きましょう!」

「あぁ、そうだな。」

 

 俺たちは海に向かった。

_____________________________

 

 シーズンなだけあって、浜辺は賑わっていた。

 そんな中、俺は借りてきたパラソルの用意をしていた。

 

「ふぅ、こんなもんかな?」

 

 そうしてると、みんなが来た。

 

「お待たせしましたー!」

「よう、イ__ヴ。」

 

 俺の目の前には...天使かそういう類の存在がいます、はい。

 

「に、似合ってますか...?///」

「__っは!に、似合ってるぞ!世界一可愛いぞ!!」

 

 やっばい、一瞬、意識飛んでた。

 

「そ、そうですか...///よかったです!///」

「__私たち、出ずらいね~」

「...そうね。」

「そうだよね。」

「そうっすね~」

「あれ?皆さん、そんなところでどうしたんですか?」

「今行くわ。」

 

 全員がそろった。

 

「__ねぇねぇ!栄君!」

「はい?」

「どうどう?似合う?可愛い?」

「似合うし可愛いっすよ~」

「やっぱり適当だ~」

「イヴの手前、ほめ過ぎるのもですし。」

「まぁ、栄君はそうだよね~」

 

 なんか、呆れられてない?

 

「あ、白鷺さん、これ、前に言ってた日焼け止めです。」

「あら?これ、私のと同じよ?」

「そうなんですか?奇遇ですね。」

「これに目をつけるなんて、八舞君は見る目があるようね!」

「買い被りですよ。あ、飲み物買いに行きますけど、欲しいものなんですか?」

 

 俺はみんなに聞いて、買い出しに行った。

 

「__これで全部だな...ん?」

 

 戻ると、みんながいかにもチャラそうな人たちに絡まれていた。

 

「まったく...」

 

 ”パスパレside”

 

「__だから、話しかけないでと言ってるでしょう?」

 

 千聖は切れ気味に言った。

 

「いいじゃ~ん!俺たちと遊ぼうぜ~」

「(はぁ、日本語が通じてないのかしら?)」

 

 千聖は一息置いて。

 

「さっさと消えなさい。目障りよ。」

 

 千聖はそう言った。

 

「あ?なんだって?美人だからって調子乗りやがって。おい、お前ら。」

 

 リーダーと思わしき人物が声をかけると...

 

「俺はこの子にしよ~」

「きゃ!や、やめてください!」

 

 イヴが腕を掴まれた。

 

「放してください!!」

「おい!大人しく__」

「__おい。」

「あ?」

 

 栄斗が戻ってきた。

 

「なんだお前?ヒーロー気取りか?」

「違うな、俺はその人らの友人だ。」

「なら引っ込め、この子らは俺らと遊ぶんだ!」

「...自分らが場違いだと気付けないのか...悲しいやつらだ。」

「んだと!?」

「昼間から浜辺で盛りやがって。猿かよ、類人猿だな。」

「あ?」

「それと、人の彼女に手を出したんだから、覚悟、出来てるな?」

「あ?何言って__ぐほっ!!」

 

 栄斗は取り巻きを殴り飛ばした。

 

 ”栄斗side”

 

 とりあえず、取り巻きは殴った。

 

「いてて...おい!なにしやがる!」

「あ?なにが?」

「いきなり殴りやがって!」

「お前は、はい殴りますよって言ってから殴るのか?馬鹿だな。」

「くそ!調子乗りやがって!」

「次は殺す気で殴るからな?」

「は___へぶっ!!!」

 

 取り巻きの顔は血で真っ赤だ。

 

「おい!大丈夫か!?くそ、この野郎!」

「言っておくぞ、俺は運動は得意な方だ。」

「うるさ___ふぐっ!!!」

「はーい、二人目ー、次だー次ー」

 

 俺はもう一人の方を見た。

 

「ひっ!!!」

「今ならそこのゴミ拾っていったら見逃すけど?どうする?」

「は、はい!帰ります!__と、思たっか!馬鹿が!」

 

 リーダーっぽいやつが殴りかかってきた。

 

「__思ってないから、馬鹿はお前だな。」

「ごほっ!!!」

「逃げりゃよかったのに...馬鹿な奴だ。」

 

 とりあえず、チャラ男たちは監視委員に突き出しといた。

 俺は__まぁ、大丈夫だった。

 

「あ、飲み物、暖かくなってる、買いなおさないと...」

「栄斗さんっ!」

「どうした__!」

 

 イヴは力なく抱き着いてきた。

 

「...とても、怖かったです。」

「遅れてごめんな。」

 

 俺はイヴの頭を撫でてやった。

 

「__ありがとうね、八舞君。」

「白鷺さん?」

 

 白鷺さんも震えてる。女優と言っても高校生だからな。

 

「私じゃ抵抗しきれなかったわ...」

「珍しく、弱気なんですね?」

「らしくないかしら?」

「えぇ、いつもの唯我独尊さがないですよ?みんな守ってたんですから、誇ってください。」

 

 俺は笑顔でそう言った。

 

「えぇ。まさか、八舞君に励まされる日が来るなんてね。」

「ははっ、もうないかもですね。」

「栄君すごかったね~!」

「え?」

「うん!すごかった!なんか...こう、ね?」

「前々から思っていましたが、八舞さん、喧嘩とかお強いですね!」

「運動の延長ですよ?あんなの。」

「栄斗さんはすごいです!ミヤモトムサシの様でした!」

「いいすぎだろ。」

 

 俺は気を取り直して。

 

「__せっかく来たんですし、楽しみましょう!」

「そうですね!」

「そうね。」

「そうだね~」

「そうだね!」

「そうっすね!」

 

 俺たちは日が傾くまで遊んだ。

 海に入ったり、白鷺さんが丸山さんを埋めたり。

 イブが「ミヤモトムサシです!」って言って遊んだり。

 大和さんが日菜さんに引っ張りまわされたり。

 

「__そろそろ、旅館に戻りましょうか。」

 

 白鷺さんがそう言って、俺たちは旅館に戻った。

_____________________________

 

「__はぁ~。」

 

 俺は旅館に戻って風呂に入っていた。

 

「ここの風呂はすごいな~すっごい広い。」

 

 体を洗って、湯船につかっていると、一日の疲れが結構来る。

 

「いやー疲れたけど、楽しいな~。てか、イヴの水着似合い過ぎだし...」

 

 俺は少し思い出した。

 

「...そろそろ、上がろ。」

 

 俺は上がった。

 

 ”パスパレside”

 

「すっご~い!ひろ~い!」

「こら!日菜ちゃん!走っちゃダメよ!」

 

 日菜が走るのを千聖が止めてる。

 

「千聖ちゃんお母さんみたい。」

「そうっすね!」

「千聖さんはパスパレのお母さんですね!」

「...もう。」

「あはは、千聖ちゃんが照れてる~!」

「日菜ちゃん!!」

 

 千聖が日菜に怒っている。

 

「__それにしても、お昼の栄君はかっこよかったね~!」

「あ!わかる~!」

「ジブンも思いました!」

「栄斗さんはいつもかっこいいんですよ!」

「『人の彼女に手を出したんだ、覚悟、出来てるな?』って言ってたよね~!」

「かっこよかったすよね~!」

「私も思う!」

「......私も、少し。」

「み、みなさんも栄斗さんを!?」

「それはないわ。」

「だよね!」

「栄君のあれは、イヴちゃんだからこそだよね~」

「八舞さんはイヴさんの王子様っすね!」

「み、皆さん!!///」

 

 イヴの顔は赤い。

 

「__そろそろ、上がりましょうか。」

 

 パスパレメンバーも上がった。

_____________________________

 

 パスパレのみんなと合流した。

 

「あ、栄斗さん!」

「イヴか。どうだった、お風呂は?」

「はい!とっても気持ちよかったです!」

「そうか!よかったな。」

「そろそろ、夜ご飯ね。ご飯は私たちの方の部屋に運んでもらうから、早く戻りましょ?」

 

 俺たちはパスパレメンバーの方の部屋に行った。

 

「__んー!美味しい!」

「るんっ♪ってくるね!」

「美味しいっすね!」

「そうね。」

「美味しいです!」

「あぁ。あ、これいいな、今度、真似してみよう。」

 

 ご飯を食べていると。

 

「栄斗さん栄斗さん!」

「どうした?」

「あの、今日は助けてくれてありがとうございました!」

「いや、むしろ、遅れて悪かった、もうちょっと早くいけたら...」

「いえ!栄斗さんはとってもカッコよかったです!王子様です!」

「お、おう、そうか。」

 

 ほんと、可愛いな。

_____________________________

 

 しばらくして、パスパレのみんなは疲れからか寝ている。

 

「えへへ~栄斗しゃ~ん...」

「...何の夢、見てるんだ?」  

 

 俺はベランダに出てみることにした。

 

「__おー、海が綺麗だ。」

 

 ベランダからはちょうど海が見える。

 

「__えぇ、本当に綺麗ね...」

「白鷺さん?起きたんですか?」

「なぜか目が覚めちゃって。」

「そうなんですか。」

「...隣、いいかしら?」

「どうぞ。」

 

 白鷺さんが隣に来た。

 

「...今日は楽しかったかしら?」

「はい、初めて海に来ましたが、楽しかったですね。」

「それはよかったわ。」

 

 沈黙が流れる。

 

「...あなたは初めて会った時から変わったわね。」

「そうかもですね。」

「初めて会ったときは本心を押し殺す仮面を被っていたのに、随分、正直になったわね。」

「これも、皆のおかげですね。」

「イヴちゃんが学校に来ないようになった時の事を覚えてるかしら?」

「...はい。」

「あの時、私はあなたの事を殺してやろうとまで思ってたわ。」

「...」

「でも、イヴちゃんはそれを望んでなかった。」

「まぁ、そうかもですね。」

「絶対、よ。そして、あなたは見事にイヴちゃんを救って見せた。」

「俺もあの時、救われました。」

「そして、あの事件。」

「っ...」

「イヴちゃんがいなくなったと思ったとき、私は絶望したわ。」

「...すいません。」

「でも、あの時、それ以上に...」

「?」

「__私はあなたに恐怖したわ。」

「え?」

「あの時のあなたは、すべてを失ったような顔をしてた。そして、殺意に満ちてたわ。」

「...」

「私は足がすくんだわ、声も思うように出せなかった。初めてだったわ、あんな恐怖は。」

「...」

「そんなあなたは今ではイヴちゃんの一番大切な人になった。」

「そう...ですね。」

「あなたはイヴちゃんと関わることで大きく変化したわ。」

「イヴだけじゃないですよ。パスパレの皆さんも紗夜さんも出会ったみんなのおかげで変われました。」

「そう、なのね。」

「はい。皆には感謝してます。俺と関わってくれたことを。」

「...本当に、変わったわね。それでこそ、私が認めた男よ!」

「認めてくれてたんですね。」

「もちろんよ。認めてなかったら今頃、あなたは抹消されてるわ。」

「怖いっすね。」

「あなたなら、イヴちゃんを幸せにできるわ。」

「言われまくてもしますよ。」

「泣かせたりしたら__」

「あなたを殺してやるわ...っすか?」

「えぇ♪良く分かってるわね♪」

 

 俺は少し景色を見て。

 

「そろそろ、戻ります、明日もありますから。」

「そう?私は少しいるわ。」

「そうですか?じゃあ、おやすみなさい。」

「えぇ、おやすみなさい。」

 

 そうして、俺はもどった。

 

 ”千聖side”

 

 千聖は景色を見ている。

 

「ほんとに八舞君は成長したわ。」

 

 千聖は感傷に浸っている。

 

「...本当に、よく、ここまで来たわ、八舞君。」

 

 千聖は満天の星空に視線を移し、

 仮面を被っていた少年の成長を噛み締めるのだった...




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25話

25話です!


 旅行二日目、俺たちは今、朝食を食べている。

 

「朝は和食に限ります。」

「そうですね!」

「そうかしら?私はいつも洋食なのだけれど?」

「私も!」

「私は日によるかな~?」

「ジブンもっす!」

 

 と、他愛のない会話をしている。

 

「そういえば、白鷺さん?」

「どうしたのかしら?」

「今日の予定はどうするんですか?」

「あ、その事ね。今日はここら辺を観光しようと思うの。」

「観光ですか。ここには何があるんですか?」

「わからないわ。」

「えぇ。」

「楽しむことに意味があるのよ!」

「あ、はい。」

 

 俺たちは観光をするようだ。

_____________________________

 

 外に行くと昨日のチャラ男たちと出くわした。

 

「おー、昨日の奴らじゃないか。」

「ひ!!お、おはようございます!」

「「うっす!!」」

「そう堅苦しくするな。だが、もうナンパなんかするんじゃないぞ?」

「は、はい!肝に銘じます!!」

「「うっす!!」」

「ならいい、行ってもいいぞ。」

「「「失礼しました!!」」

 

 チャラ男たちが去って行った。

 

「いやー、我ながら怖がられてたなー」

「栄斗さーん!」

「イヴか。用意はもういいのか?」

「はい!準備完了です!」

 

 白鷺さんたちがチェックアウトを済ませて来た。

 

「みんな揃ってるわね?行くわよ!」

 

 そうして、俺たちは町へ繰り出した。

_____________________________

 

「__意外と色々あるな。」

「栄斗さん!見てください!」

「なんだ?__って、ほんとにそれなんだ!?」

 

 イヴは甲冑を身に着けていた。

 

「そこのお店で試着がありました!」

「なんで、着ようと思ったんだ?」

「ブシドーだったからです!」

 

 イヴは一点の曇りのない目で言っている。

 

「__あなたも大変そうね。」

「白鷺さん。」

「イヴちゃん?それは返してきなさいね?」

「うぅ、ナゴリオシイです...」

 

 イヴはしぶしぶ返しに行った。

 

「さっき見たんですけど、ここら辺には大きな神社があるらしいです。」

「へぇ、そうなの?」

「はい。結構、人気な観光スポットらしいです。」

「じゃあ、行ってみましょうか。」

「栄斗さん!」

 

 イヴが帰ってきた。

 

「何の話をしてたんですか?」

「あぁ、これから神社に行こうって話だ。」

「ジンジャですか!私も行ってみたいです!」

「じゃあ、イヴも行くか...って、あの三人は?」

「...日菜ちゃんに引っ張られていったわ。」

「あ...(察し)俺たち三人で行きましょう。」

「えぇ、そうね。」

「行きましょう!」

 

 俺たちは神社に向かった。

_____________________________

 

「__すごいです!」

 

 俺たちは神社についた。

 

「ほんとにすごいな。」

「えぇ、この大きさの神社は多くないわね。」

「栄斗さん!千聖さん!早く行きましょう!」

「あぁ、そうだな。でも、足元には気をつけろよ?」

「はい!」

「白鷺さんも足元にお気をつけて。」

「わかってるわ。」

 

 俺たちは本殿に向かって歩いた。

 

「__ここは...!」

「どうした、イヴ?」

「ここは、私がこの前見た映画で出てた場所です!」

「そうなのか?すごい偶然だな。」

「そうね。」

 

 イヴは嬉しそうだ。

 

「ここって、どんな神社なんでしょう?」

「確か...学業と恋愛ね。」

「なるほど、だから学生にも人気って書いてあったんですね。」

「そうね、スピリチュアルなこと、好きな子多いもの。」

「栄斗さん!千聖さん!お参りしましょう!」

「そうだな。」

「そうね。」

 

 俺たちは本殿の前に来た。

 

「えーと、たしか、五円を入れるんだっけ?」

「そのはずよ。」

「はい!」

 

 五円を投げ入れた。

 

「あとは、これを。」

 

 ガラガラ!

 手を合わせた。

 

「(イヴとずっと一緒にいたい。あと、イヴの学業の安全を...)」

「(栄斗さんとずっと一緒にいたいです!)」

「(...私にも素敵な人が現れますように。)」

「__じゃあ、お昼、食べに行きましょうか。」

「そうですね!」

「そうね。」

 

 俺たちは町に戻った。

_____________________________

 

「__あ!栄君たちだ!おーい!」

 

 日菜さんたちがいた。

 

「日菜さん、どこに行ってたんですか?」

「ずっと二人といたよ?」

「...疲れたよ。」

「疲れたっす...」

「ご愁傷さまです。」

 

 丸山さんと大和さんは疲れているようだ。

 

「これからお昼食べに行きますけど、日菜さんたちも来ますか?」

「お昼?行きたい行きたい!」

「わ、私たちも...」

「行きたいっす...」

「じゃあ、行行きましょうか。」

「あ!そういえば、さっき、るんっ♪ってくるお店見つけたんだ!」

「へぇ、どんなお店ですか?」

「えーと、蛇の__」

「やめておきましょうか。」

 

 俺は日菜さんの発言を遮った。

 

「デザートが美味しい店があるらしいので、そこにしましょう!」

「そうね、それがいいわ。」

「私もいいと思います!」

「うーん、るんっ♪ってくるのにな~」

 

 俺たちは店に入った。

_________________________

 

「__俺は決まりましたが。皆さんは何にしますか?」

「私はグラタンにします!」

「私はパスタね。」

「私はハンバーグかな~?」

「私はオムライス!」

「ジブンは和食のセットで。」

 

 注文が決まったので、注文した。

 

「お昼を食べたら新幹線の時間的に駅の行くけれど、やり残したことはないかしら?」

「俺とイヴはないですね。」

「はい!」

「私もないかな~」

「私も!」

「ジブンもっす!」

「じゃあ、食べ終わったら駅に向かいましょうか。」

「__お待たせしましたー!」

 

 料理が運ばれてきた。

 挨拶を済ませた。

 

「中々、美味しいです。」

「はい!そうですね!」

「悪くないわ。」

「おいし~!」

「うん!美味しいね!」

「はい!美味しいっす!」

 

 俺たちは旅行先最後のご飯を食べた。

 そして、食べ終えた。

 

「__すいません、少し、お手洗いに行ってきます。」

「えぇ、待ってるわね。」

「はい。」

 

 俺はお手洗いと言ったが、目的は違う。

 

「すいません、お会計、お願いします。」

「はい!」

 

 俺は全員分の会計を済ませた。

 

「__お待たせしました。」

「あら?早かったわね?」

「時間をかける事でもないですよ。」

 

 俺たちは席を立った。

 

「すいません、お会計を__」

「お会計なら、完了しておりますが?」

「え?...八舞君?」

「なんでしょう?」

「さっき、お会計をしたわね?」

「さぁ、なんのことやら。」

「...かっこつけね。」

「白鷺さんこそ。」

 

 俺たちは店を出た。

 

「じゃあ、駅に向かうわよ。」

 

 俺たちは駅に行った。

_________________________

 

 新幹線に乗ると疲れからか俺と白鷺さん以外は眠った。

 

「みんな、すぐに寝ましたね。」

「そうね。」

 

 沈黙になる。

 

「今回は楽しかったかしら?」

「はい。とても。」

「そう...」

 

 白鷺さんは窓の外を見ている。

 

「少し、話してもいいかしら?」

「はい、構いませんよ。」

「私は昔から子役として活躍いていたわ。」

「それは、存じています。」

「そういう環境にいたからか、私は普通の子が体験することがなかったの。」

「...」

「友達とも遊べないし...恋なんて雲の上だったわ。」

「それは__」

「でも、私にはどうでもよかったわ、最近までは。」

「?」

「私も紗夜ちゃんに感化されたのかしら。」

「?」

「私も八舞君が好き。」

「!?」

「イヴちゃんが誘拐された時から。」

「ちょ!横にはイヴが__」

「寝てるから大丈夫よ。で、どうするかしら?」

「申し訳ないですが、俺にはイヴがいるので、お断りします。」

「残念ね...嘘なのだけれど♪」

「......へ?」

 

 俺は唖然とした。

 

「イヴちゃんがいるのに本気なわけがないでしょう?」

「割と本気で焦ったんですけど...」

「これが女優の演技よ♪」

「活躍するのも納得いきました。」

 

 本気で焦った。

 

「うにゅ~えいとしゃ~ん...」

「...可愛い。」

「ほんとに可愛いわ。」

「ですよね。」

 

 そうしている内に着いた。

 

「__おーい、イヴー?起きろー?」

「ん...ふぁい、栄斗さん。」

「みんなも起きなさい。」

 

 みんな起きた。

_________________________

 

「__じゃあ、ここで解散ね。」

「はい。俺はイヴと帰ります。」

「帰りましょう栄斗さん!」

「じゃあ、方向的に私は彩ちゃんと麻弥ちゃんかな~」

「そうだね!」

「そうっすね!でも、千聖さんはお一人で大丈夫っすか?」

「大丈夫よ。それじゃあ、解散!」

 

 そうして解散した。

_________________________

 

 俺はイヴと帰っていた。

 

「楽しかったですね!栄斗さん!」

「そうだな。」

 

 イヴは寝ていたからか元気だ。

 

「栄斗さんとの思い出がまた一つ出来ました!」

「これからも、まだまだ出来るぞ。一緒にいる限りな。」

「そうですね!」

 

 そうしている内にイヴの家に着いた。

 

「あ、栄斗さん!」

「どうした?」

「私のお家でご飯を食べていきませんか?」

「え?いいのか?」

「はい!栄斗さんと一緒に食べたいです!」

「なら、お邪魔していこうか。」

「はい!」

「何か手伝うな。」

「お願いします!」

 

 俺たちはこの後、楽しく夕飯を食べた。

_________________________

 

 ”千聖side”

 

 千聖は一人で歩いていた。

 

「__やぁ、千聖。」

「あら?薫じゃない。」

「こんな夜に一人なんて危ないじゃないか。」

「私を見くびり過ぎじゃなくて?」

 

 そんなやり取りから、薫は一転して、真面目な顔になった。

 

「...なんで、そんなに悲しそうな顔をしてるんだい?」

「...何の事かしら?」

「とぼけても無駄さ。私にはわかるよ。」

「...全く、気に入らないわ。」

「おいで、千聖。」

 

 薫は腕を広げていた。

 

「...何の真似かしら?」

「千聖の心を癒してあげよう、おいで。」

「...今回だけよ。」

 

 千聖は薫の懐に飛び込んだ。

 

「どうしたんだい、千聖?」

「...八舞君にフラれたわ。」

「栄斗に?」

「私は嘘だという嘘をつく事しかできなかったわ。」

「栄斗には、イヴがいるはずじゃ...」

「分かってったわ。でも、言わずにはいられなかったわ。」

「千聖...」

「ほんと、私は惨めね。私は二人を応援する側だったのだけれどね...」

「...」

 

 千聖は泣いている。

 

「違うよ。千聖は惨めじゃない。」

「薫?」

「私にはわかるよ。栄斗に告白できていなかったのは、栄斗とイヴのためなんじゃないかい?」

「それは...」

「千聖は我慢のし過ぎだったんだよ。でも、今回、正直になれたんじゃないか。」

「...」

「私の前では正直になって、ちーちゃん。」

「...私はイヴちゃんのために頑張る八舞君が好きだわ。でも、悔しいわ、八舞君にはイヴちゃんしか写っていないもの...」

「...」

「私の初恋は好きな人には伝わらなかったわ...」

「まだ、終わってないよ。」

「え?どういうこと、かおちゃん?」

「ちーちゃんはもう一度伝えないといけない。」

「でも、どうやって...」

「大丈夫さ。」

「かおちゃん...?」

「ちーちゃんの気持ちは私が運ぶよ。」

 

 薫は千聖にそう言った...

 

 




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紗夜さん、千聖さんルートとか見たいですか?


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26話

26話です!


 旅行から少し経ち、夏休みは中盤になっていた。

 そんな中、俺とイヴは__

 

「うぅ、難しいです...」

「そこは、こうするといいぞ。」

「なるほど!流石、栄斗さん!」

 

 俺の家で宿題をかたずけていた。

 

「まぁ、結構かたずいたな。」

「はい!これも栄斗さんのおかげです!」

「いや、イヴの頑張りだ。俺は単なるサポートだ。」

「栄斗さんはやっぱり優しいですね♪」

「...普通だ。」

 

 そんな話をしていると...

 ピロリン♪

 誰かからメッセージが来た。

 

「あれ?薫さんから?珍しいな。」

「なんて書いてるんですか?」

「えーと__」

 

『やぁ、栄斗。儚い朝だね。今回はお願いがあるんだが、すこし、羽丘に来てもらえないかい?』

 

 とのことだ。

 

「頼み?」

「なんなんでしょうか?」

「薫さんには恩があるから行かないとな。」

「私も行っていいですか?」

「いいんじゃないか?」

 

 俺たちは家を出て、羽丘に向かった。

_________________________

 

「ここが羽丘か。」

「はい!」

「__あら?イヴちゃんに八舞君?」

「あ!千聖さん!」

「どうも、白鷺さん。」

「二人はなんでここに?」

「俺は薫さんに呼ばれてイヴは__」

「付き添いです!」

「薫に?私も薫に呼ばれたわ。」

 

 疑問が増えるばかりだ。

 

「とりあえず、入りましょうか。」

「そうですね!」

「そうしましょう。」

 

 俺たちは薫さんに指定された場所に向かった。

 

「__ここは、演劇部?」

「そうみたいね。」

「__やぁ!来てくれたんだね!二人とも!」

 

 薫さんが出てきた。

 

「薫?私たちを何の用で呼んだのかしら?」

「そのことは中で話そう。」

 

 俺たちは部室に入った。

_________________________

 

「今回、二人を呼んだのは、演劇に出てもらいたいんだ。」

「「「演劇?」」」

「あぁ、そうさ。」

「白鷺さんは分かるんですけど、なんで俺を?」

「それは今回の演劇はロミオとジュリエットだからさ!」

「え?それこそ薫さんが適任では?」

「いや、千聖のロミオに相応しいのは栄斗さ。」

「どういうことですか?」

「つまり、そういうことさ...」

「え?」

「ちょっと!薫、来なさい!」

 

 白鷺さんは薫さんを引っ張っていった。

 

「__ちょっと!どういう事よ!」

「なんのことだい?」

「なんで、八舞君が__」

「千聖。」

 

 薫が真面目な顔になった。

 

「私は言ったよ、千聖の気持ちは私が運ぶと。」

「そ、そうね。」

「君はこの演劇をきっかけに栄斗に気持ちを伝えるんだ。」

「でも...」

「大丈夫、協力はする。」

「......分かったわ。」

「じゃあ、戻ろうか。」

 

 白鷺さんと薫さんが戻ってきた。

 

「何の話をしてたんですか?」

「なに、気にすることはないさ。それで、栄斗は協力してくれるかい?」

「まぁ、俺は大丈夫です。」

「栄斗さんの演劇ですか!楽しみです!」

「感謝するよ、栄斗。これが台本だ。」

「どうも、練習時間などは?」

「だいたい、四時間ほどになるかな?」

「了解しました。」

「明日からお願いできるかい?」

「はい。」

 

 俺たちは羽丘を出た。

_________________________

 

「栄斗さんも役者ですかー!」

「八舞君は演劇の経験はあるのかしら?」

「いや、ないですけど。台本はすぐに覚えられます。」

「あら、頼もしいわね。」

「俺は一回読んだら覚えられるんで。」

「...日菜ちゃんも同じこと言ってたような...」

「言ってました!」

 

 日菜さんも出来るのか、流石だ。

 

「まぁ、白鷺さん、頑張りましょう。」

「えぇ、そうね。」

「お二人とも!頑張ってください!」

 

 そうして、白鷺さんと別れた。

_________________________

 

「イヴは明日からどうする?」

「うーん、皆さんと遊んだりします!」

「そうか。じゃあ、返ったら宿題終わらせような。」

「はい!」

 

 そこから俺たちは帰って宿題をした。

 

「__終わりましたー!!」

「おーう、お疲れ様。」

 

 俺はお茶を出しながら言った。

 

「ありがとうございました!栄斗さん!」

 

 イヴは嬉しそうだ。

 

「夕飯、食べていくか?」

「いいんですか?」

「あぁ。」

「じゃあ!いただきます!」

 

 俺はイヴと夕飯を食べ、家まで送り届けて、

 一日が終わった。

_________________________

 

「さて、今日から練習だな。」

 

 俺は初めての事にわくわくしていた。

 

「...これも、イヴの影響かもな。」

 

 俺はそんなことを思いながら、家を出た。

_________________________

 

 羽丘の演劇部に着いた。

 

「おはようございます。」

「あ!八舞さん、おはようございます!」

「え?大和さん?なんで?」

「ジブンは演劇部の裏方なんすよ!」

「へぇ、初めて知りました。」

 

 そんな話をしていると。

 

「やぁ、栄斗。早いね。」

「どうも、薫さん。薫さんこそお早いじゃないですか。」

「私はいつも通りさ。裏方の手伝いもしないといけないからね。」

「へぇ、薫さんも裏方するんですね。」

「舞台は、役者だけで出来ていないのさ。」

「なるほど。」

 

 この人、実はめっちゃ真面目なんじゃ?

 

「__来たわよ、薫。」

 

 白鷺さんが来た。

 

「おはようございます。白鷺さん。」

「おはよう、八舞君。」

「千聖さん、おはようございます!」

「麻弥ちゃんもおはよう。」

 

 挨拶を済ませて...

 

「__さっそくだが、練習を始めようか。」

 

 練習が始まった。

 

「__栄斗、そこはもっと儚くいこうか。」

「はい!あ、え?」

「栄斗さん!薫さんはもっと悲しそうにと言ってるっす!」

 

 薫さんのアドバイス?は儚いしかなくてわからん!

 大和さんがいてくれてよかった。

 それにしても__

 

「ああ、ロミオ様!__」

 

 白鷺さんの演技は流石だな。

 

「薫?ここの照明なんだけれど__」

「あぁ、そこかい?」

 

 意見も出して、流石、女優だ。

 

「俺も頑張るか。」

 

 それから、夕方まで練習は続いた。

 

__それから、本番の前日になった。

 俺は会場の設営の手伝いをしている。

 

「すまないね、栄斗。」

「なにがですか?」

「会場の準備まで手伝わせてしまって。」

「白鷺さんも手伝ってるんですから。お礼は白鷺さん言ってください。」

「そうかい?」

「はい。」

「__何の話をしているのかしら?」

「あ、白鷺さん。」

「やぁ、千聖。」

「口より手を動かしなさい。」

「「はい。」」

「まったく。」

 

 白鷺さんが去って行こうとすると。

 立てかけていた木材が倒れ掛かっていた。

 

「!?___し、白鷺さん!!!」

「え?___きゃあ!!」

 

 木材は案の定倒れた。

 

「栄斗!千聖!」

 

 薫さんが叫んでる。

 

「いつつ...大丈夫ですか?白鷺さん?」

「え、えぇ。って!八舞君!血が!」

「ん?あぁ、そうっすね。」

 

 俺は頭から出血していた。

 

「ご、ごめんなさい...私のせいで...」

 

 白鷺さんがそう言ってると...

 

「栄斗!千聖!」

「千聖さん!八舞さん!」

 

 薫さんと大和さんが来た。

 

「大丈夫かい!?」

「大丈夫__っつ!!!」

「栄斗、まさか、腕を__」

「大丈夫っす。あと、白鷺さんには内密に。」

「なんで...」

「白鷺さんには返しきれない恩義があるんです。」

 

 俺はそう言った。

 

「千聖さん、大丈夫ですか!」

「え、えぇ。八舞君が守ってくれたもの。」

「よかったです...」

 

 白鷺さんは無傷みたいだ。

 

「...麻弥。」

「薫さん?」

「少し、話が。」

「はい?」

「実は___」

 

 薫は栄斗の状況を話した。

 

「そんな!じゃあ、明日は...」

「それは、栄斗が拒否した。大丈夫だと...」

「そんなわけないっす!骨折もしてるのに!」

「栄斗の望みだ...私たちじゃ止められない。」

「そんな...」

「栄斗を信じるしかないね。」

「...はい。」

 

 栄斗の意思は固い。

 

「(何かはわからない。でも、この演劇には演劇以上の何かがある!俺のせいでは止められない!)」

 

 栄斗にはそう思う根拠があった。

 

「(今回の白鷺さんの演技は何か違う。何か、覚悟を感じるんだ。)」

 

 栄斗は深呼吸をし...

 

「(このくらい、どうにかしてやる!)」

 

 俺はそう誓った。

_________________________

 

 本番前だ...

 

「栄斗、大丈夫なのかい?」

「はい、この演劇には何かあるんです。やめられない。」

「そこまでは分かっていたのかい?」

「はい。白鷺さんの演技がどこか違いましたから。」

「...すごいね、そこまでわかってるなら、もう止めない。」

「もうすぐ出番でーす!」

「じゃあ、行ってきます。」

「行くといいよ。千聖のロミオ。」

 

 俺は舞台に向かった。

 

___観客は大勢いる。

 すごいな、でも、俺は自分にできることをするだけだ。

 

「ジュリエット!___」

 

 俺は痛みを忘れ演技に没頭した。

 

__『そうして、ジュリエットはロミオの後を追うのでした...』

 

 演劇は大盛況に終わった。

 

「ふぅ。」

「おつかれ、よくやってくれたよ、栄斗。」

「薫さん。」

「素晴らしい演技だった。私も引き込まれたよ...」

「ははは、ありがとうございます。」

「...すまないが、屋上に行ってくれないか?」

「え?何でですか?」

「君に、会いたいお姫様がいるんだ...」

「わかりました。」

 

 俺は屋上に向かった。

_________________________

 

「...ここか。」

 

 俺が扉を開けるとそこには__

 

「__来たわね、八舞君。」

 

 衣装に身を包んだままの白鷺さんがいた。

 

「どうしたんですか?白鷺さん?」

「...薫に聞いたわ。あの時、骨折していたようね...」

「っ!」

 

 やっぱり、話してしまったか。

 

「なんで、そんなに、無理を?」

「...白鷺さんの演技が違ったからです。」

「...分かってたのね。」

「はい。」

 

 沈黙になる。

 

「...今回の演技は今までで最高だったわ。」

「はい、俺もそう思います。」

「今回は観客以上に伝えたい人がいたの。」

「?」

「あなたよ、八舞君。」

「え?なんで?」

「あなたの事が八舞君が好きだからよ。」

「え?でも、この前___」

「あの時は怖くて嘘をついて誤魔化してしまった...でも、私はもう、逃げないわ!」

 

 白鷺さんは少し間を置いて...

 

「私はあなたの事が好きよ!」

 

 白鷺さんはとびきりの笑顔でそう言った。

 

「...」

「...返事を、聞かせて頂戴。」

「...すいません。」

 

 俺はそう答えた。

 

「白鷺さんの気持ちは嬉しいです。そして、今日の演技を見れば気持ちの大きさもわかります。」

 

 でも、と続け。

 

「俺にはイヴがいます。イヴを裏切ることは俺にはできないんです。」

「...やっぱり、そうなのね。」

「すいません。」

「分かってたわよ。あなたがそう答えるなんて。」

「...」

「あなたはやっぱり、イヴちゃんの王子様よ!」

 

 そうは言ってるが、悲しそうな顔をしてる。

 

「...もう、行ってもいいわよ。」

「白鷺さんは?」

「私はもう少し、この風景を眺めていくわ。」

「...はい。」

 

 俺は屋上から出た。

 

「__気持ちは通じたかい?」

「薫さん...はい。」

「ありがとう、千聖のために頑張ってくれて。」

「泣かせてしまうので、ダメですよ。」

「...そうかい。」

「後は、お願いします。」

「...あぁ。」

_________________________

 

 ”千聖side”

 

「割り切れると思ったのだけれど、やっぱり、悲しいわね...」

「__千聖?」

「...薫。」

「気持ちは運んであげられたかい?」

「...えぇ。」

 

 千聖は悲しそうだ。

 

「気持ちは晴れたかい?」

「晴れてる...のかしら?でも、悲しいわ。」

「そういうものさ...」

「...なんで、ダメだったのかしら。」

「それは...」

「いえ、分かってるわ。八舞君はイヴちゃんの王子様だもの。」

「千聖...」

「ほかの誰でもないイヴちゃんにだけ向けられる愛情...それが、八舞君だもの...」

 

 千聖は景色を眺めている。

 千聖は一筋の涙を流していた。

 

 

「...これからも、幸せじゃなきゃ、許さないんだから...」

「...あぁ、そうだね。」

 

 千聖と薫は並んで夕日を眺めた。

_________________________

 

「栄斗さん!!」

「んあ?イヴか。」

「薫さんに聞きました!無理をしすぎです!」

「白鷺さんのためだったんだ。」

「それも聞きました。千聖さんが告白すると...」

「俺はまた、傷つけた。紗夜さんに続いて、白鷺さんまで...」

「栄斗さん...」

「でも、後悔はないよ。」

「え?」

「俺はイヴを愛し続けるから...な。」

「栄斗さん!!!」

 

 俺の意識はそこで途絶えた__

 

 




感想などお願いします!

日菜と彩ちゃんもヒロイン候補にした方がいいですか?
一応、この話を書きながら、二人のルートも考えました!


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27話

27話です!




__「ん?ここは?」

 

 俺が目が覚めて見えたのは知らない天井だった。

 

「ここは...?」

「病院よ。」

「白鷺さん。」

 

 ベッドの横には白鷺さんがいた。

 

「...まさか、あんなに無理をしていたなんて、驚いたわ。」

「え?どんな状態だったんですか?」

「腕は折れてるし、脳震盪、出血多量、上げたらきりがないわ...」

「へぇ、そんな状態だったんですね。」

「...ごめんなさい。」

 

 突然、白鷺さんがそう言った。

 

「どうしたんですか?」

「あそこまで無理をしたのは、私のせいなんでしょう?」

「...違いますよ。」

「え?」

「俺がしたくて、止めてもらったのも断りましたし。白鷺さんは悪くないです。」

「...そう。」

「はい。」

 

 そんな話をしていると...

 

「あ!栄斗さん!起きたんですね!」

「あぁ、おはよ__ぐほっ!」

「うぅ~!栄斗さんは無理しすぎです!」

「悪かった!悪かったから、痛いから放して!」

「あ、すいません...」

「抱き着くなら、退院したらな?」

「はい!」

 

 イヴは元気よく返事をした。

 

「...ほんとに、仲良しね。」

 

 白鷺さんは立ち上がって。

 

「私はそろそろ行くわ。」

「え?仕事ですか?」

「いえ、学校よ?」

「えぇ?...今日って...」

「九月六日、あなた、一週間は寝てたのよ?」

「まじか...」

「イヴちゃんも行くわよ。」

「え?もう少し__」

「遅刻しちゃうから、ダメよ。」

「はい...」

「遅刻はダメだぞ?イヴ?」

「はい...」

 

 イヴも立ち上がった。

 

「じゃあね、八舞君。また来るわ。」

「絶対、来ますね!」

「はい。行ってらっしゃい。」

 

 イヴと白鷺さんは部屋からでた。

 

「てか、二人とも、朝から来てくれたのか。悪いな。」

 

 そう思っていると...

 コンコン

 誰かが来た。

 

「はーい?」

「来ちゃった♪」

「日菜さん?学校は?」

「今日は土曜だよ?羽丘は休みだよ?」

「あぁ、なるほど。」

「そういえば!栄君の演劇見たよー!」

「え?見てたんですか?」

「うん!るんっ♪ってきたよ!」

「それなら、よかったです。」

 

 最近、日菜さんの表現も理解出来てきた。

 

「...」

「どうしたんですか?」

「ううん!何でもないよ!」

 

 日菜さんはそう言って、立ち上がった。

 

「私はそろそろ帰るよ!」

「そうですか?わざわざ来てもらってありがとうございました。」

「いいよいいよ!じゃあ!また来るね!」

「はい。さようなら。」

 

 そうして日菜さんは帰っていった。

 

__それから、退院まで、さらに一週間。いろんな人たちが見舞いに来てくれた。パスパレのみんな、ハロハピ、紗夜さんと白金さん、羽沢、市ヶ谷。今までかかわったみんなが来てくれた。弦巻が見舞い品に高級そうなフルーツを持ってきたのはすごい焦った。今度またお礼しよう。

 そして、退院の日になった。

 

「いやー、長かったな。」

「栄斗さーん!」

「おう、イヴ。」

 

 イヴは胸に飛び込んできた。

 

「う~!ハグハグ~!」

「はははっ。犬みたいだな。」

 

 俺は抱き着いてきてる、イヴの頭を撫でてやった。

 

「__仲睦まじいのはいいのだけれど。ここ、病院前よ?」

 

 と、白鷺さんが言ってきた。

 

「まぁ、そうっすね...イヴ?一旦離れような?」

「もう少し、こうしてたいです...」

「家に帰ったら、いくらでもしていいから、道端ではやめような?」

「じゃあ!離れます!」

 

 イヴは離れた。

 

「相変わらず、仲がよろしそうですね。」

「あ、紗夜さん。おはようございます。」

「えぇ、おはようございます。それと、退院おめでとうございます。」

「ありがとうございます。」

 

 他のみんなも来た。

 

「やっほー!栄君!元気になったみたいだね!」

「退院できてよかったよ~!」

「もう、大丈夫なんすか?八舞さん?」

 

 見舞いに来てくれた、みんなは退院の時にも来てくれている。

 そこから、羽沢珈琲店で演劇の打ち上げと俺の退院祝いをしてくれると言われた。

_________________________

 

 打ち上げは賑わっている。

 

「ほんとにここのケーキは美味しいな。」

「そうですね!いくらでも食べられます!」

「それはやめておこうな?」

 

 イヴがそう言ったので止めておいた。

 

「ふぅ、すごい賑わいだな。」

 

 イヴは丸山さんたちに連れていかれた、

 

「八舞君?」

「あ、白鷺さん。」

「イヴちゃんはどうしたのかしら?」

「丸山さんたちに連れていかれましたよ。」

「なるほどね。隣、いいかしら?」

「はい、どうぞ。」

 

 白鷺さんは俺の隣に座った。

 

「...本当に、今回は申し訳なかったわ。」

「大丈夫ですよ?何回も言ってますけど。」

「ありがとう。」

「いえいえ。」

「...あなたの演技、見事だったわ。」

「そうですか?」

「えぇ、私に全く引けを取っていなかったわ。」

「それは、言い過ぎですよ。」

「いえ、これは本当よ。俳優になれるわよ?」

「あはは、嫌です。」

「そう言うと思ったわ。」

 

 俺たちはいろんな話をした。

 

「__そろそろ、皆のほうに戻るわね?」

「はい。」

 

 白鷺さんは戻っていった。

 

「白鷺さんは元気になったみたいだ、よか__」

「だ~れだ♪」

 

 誰かに目をふさがれた。

 

「...日菜さんでしょう?」

「あったり~♪」

「まったく...悪戯もほどほどにしてくださいよ?」

「分かってるって!」

「どうだか...」

「あ、そういえば」

 

 日菜さんがそう言った。

 

「栄君が学校に復帰すると、すぐに文化祭があるよね?」

「え?確かそうですね。」

「その文化祭はなんと、花咲川と羽丘が合同ですることになったんだよ!」

「へぇ、発案者は?」

「私だよ!」

「やっぱり。」

 

 俺は一つ疑問になった。

 

「なぜ、そのことを俺に?」

「栄君は、花咲川の代表に選ばれたんだよ!」

「...え?なんで?」

「私の推薦!」

「何やってるんですか...」

 

 俺は頭を抱えた。

 

「...迷惑だった?」

 

 日菜さんはらしくない、しおらしい態度で聞いてきた。

 

「...いや、別にいいっすよ。」

「ほんとに...?」

「えぇ、どうせ、日菜さんの仕事手伝うだけでしょう?」

「よくわかってるね!」

「なら、いいです。」

 

 そうして、俺の文化祭の役割は決まった。

_________________________

 

 今日は学校に復帰する日だ。

 

「と、言っても。何も変わらんがな。」

「よ!栄斗!久しぶりだな!」

「よう、真波。」

「聞いたぜ!合同文化祭の代表になったてな!」

「まぁ、そうらしいな。」

 

 俺たちは他愛のない話をしてい。

 

「あ!栄斗さん!おはようございます!」

「おはよう、イヴ。」

 

 イヴが来た。

 

「今日から文化祭期間ですよ!」

「そうだな。」

 

 イヴは楽しみそうにしている。

 そうしていると、担任が来た。

_________________________

 

 文化祭の出し物決めだ。

 

「意見のある人は行ってくださーい。」

「何がいいと思いますか?栄斗さん?」

「うーん。わからん。」

 

 俺は文化祭なんて去年まで無縁だったから、よくわからない。

 

「俺!メイド喫茶がいい!」

「は?」

 

 一人の男子がそう言った。

 

「じゃあ!私は執事喫茶!」

 

 女子はそう言った。

 こいつら、漫画の見すぎだろ。

 

「いいね!」

「いいのかよ!」

 

 思わず突っ込んでしまった。

 

「このクラスには八舞君がいるし、このクラスはメイド、執事喫茶にしよう!」

「まじかよ...」

 

 クラスの出し物はあっさり決まった。

 

「でも、俺は厨房がいいんだけど。」

「ダメよ!八舞君目的の女生徒が多く来そうなんだから!」

「...勘弁してくれ。」

「頑張りましょう!栄斗さん!」

 

 そうして、文化祭の準備期間が始まった。

 俺の文化祭は多難みたいだ...

 




感想などお願いします!

最後のヒロインはあの子でいきます!


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28話

28話です!


 文化祭の準備が本格的に始まった。

 俺は日菜さんの手伝いに来ていた。

 

「__書類の量、すごいですね。」

「そう?私は余裕だよ!」

「流石ですね。まぁ、取り掛かりましょう。」

「そうだね!」

 

 俺たちは仕事を始めた。

 

「__ねぇ、栄君?」

「はい?なんでしょう?」

 

 仕事をしばらくしてると、日菜さんが話しかけてきた。

 

「千聖ちゃんに告白されたって本当?」

「...どこからそのことを?」

「なんとなくだけど?」

「っ!...カマかけましたね?」

「まぁまぁ!...で、やっぱりフッちゃったの?」

「...はい。」

「まぁ、そうだよね~。栄君にはイヴちゃんがいるもんね!」

「...人を傷つけるのは、これきりにしたいです。」

「...」

 

 俺がそう言うと、日菜さんは黙った。

 

「日菜さん?」

「あ、ごめんごめん!なんでもないよ!」

 

 何もないようだ。

 

「まぁ、さっさと仕事片付けましょう。」

「うん!そうだね!」

 

 俺たちは仕事にまた取り掛かった。

_____________________________

 

 「__はぁ、疲れた。」

 

 書類仕事が片付きクラスの手伝いに来た。

 

「あ!栄斗さん!」

「よう、イヴ__って、イヴ!?」

 

 イヴはメイド服を着ていた。

 

「...なんで、イヴが着てる?」

「いやー、イヴちゃんも人気だから!」

 

 委員長がそう言った。

 

「私も栄斗さんと接客できますよ!」

「...ダメだ。」

 

 俺はそう言った。

 

「なんでですか!?」

「変な客が来たらイヴが怖い目に合うからだ。」

「大丈夫です!」

「ダメだ。俺が常に付いておけるわけじゃないんだぞ?」

 

 イヴに引く様子はない。

 

「あー。栄斗?」

「あ?なんだ、真波?」

「若宮ちゃんを信用しようぜ?な?」

「信用はしてる、心配なだけだ。」

「まったく...」

 

 真波は頭を抱えている。

 

「栄斗さん。」

「どうした?」

「私はそんなにダメ...ですか?」

 

 イヴが悲しそうな顔でそう言ってきた。

 

「っ!!(俺がイヴを傷つけるなんてあっていいわけない!)」

「栄斗さん...?」

「...仕方ない。接客、しようか。」

「いいんですか?」

「あぁ。」

 

 イヴは喜んでる。

 

「どういう、心境の変化?」

「...俺がイヴを悲しませることは許されない。」

「なるほどね。」

「だが__」

「ん?」

「イヴに手を出す奴がいたら、そいつはすぐに消す。」

「えぇ...」

 

 そうして、イヴの接客の参加が決定してしまった。

_____________________________

 

「__どうして、こうなった?」

 

 俺は今、執事服を着ている。

 

「いいね!似合うよ!八舞君!」

 

 委員長がそう言ってる。

 

「...動きずらい。」

「我慢して!」

「これじゃ、イヴに手を出した奴をすぐに消せないんだが?」

「いや!しちゃダメだからな!?」

 

 真波がそう言った。

 

「何?イヴへのセクハラを容認しろっていうのか?ありえない、容認しろというなら俺はこんなのしないぞ。」

「大丈夫だって!俺も監視はしとくからさ!」

「...確認され次第、俺に報告しろ。」

「ちなみに、報告があった場合は?」

「そのゴミを即ぶっ殺...退店させる。」

「いや!隠せてないよ!?もうちょっと平和にしような?」

「...善処しよう。」

 

 俺はそう答えた。

 

「栄斗さん栄斗さん!」

「どうしたイヴ?」

「接客を教えてもらいました!見てくれませんか?」

「あぁ、いいぞ。」

「じゃあ__」

 

 イヴは一歩下がって...

 

「おかえりなさいませ!ご主人様!」

 

 満面の笑顔でそう言った。

 

「...」

「どうでしたか?」

 

 栄斗は動かない。

 

「おーい、栄斗ー?」

「__真波よ。」

「ん?どうした?」

「...イヴ、可愛過ぎね?」

「キャラがブレてるぞ?」

「はっ!危ない危ない。」

 

 一瞬、意識飛んでた。

 

「栄斗さん?」

「あぁ、すごい可愛かったぞ。」

「そうですか!よかったです!」

「あぁ。」

「それと__」

「ん?」

「さっきのは、栄斗さんだけへのスペシャルバージョン、ですよ?///」

「!?そ、そうか。ありがとな。」

「は、はい///」

 

 イヴは着替えに行った。

 

「真波よ。」

「どうした?...何となく読めるけど。」

「イヴって天使だったんだな。」

「涙出てるぞ?」

「...大丈夫だ。うれし涙だ。」

 

 そこから、準備は進んでいった。

_____________________________

 

 少し経ち、俺は日菜さんのもとに来ていた。

 

「書類はこれで最後ですね?」

「うん!手伝ってくれてありがと!」

 

 俺たちは書類整理を終えた。

 

「いやー、大変でしたねー」

「そうだねー。これには私もるんっ♪って来ないよ。」

「そうですよねー」

「そういえば、栄君って私の表現が分かるの?」

「え?今更ですか?」

 

 日菜さんはそんな事を言ってきた。

 

「まぁ、わかりますよ。」

「...やっぱり。」

「どうしたんですか?」

 

 日菜さんは真面目な顔をしている。

 

「私ね、よく天才って言われるんだ。」

「知ってますよ?」

「そのせいで、お姉ちゃんと険悪になったり、周りの人に受け入れてもらえなかったの。」

「それは初めて知りました。」

 

 俺は少し驚いた。

 

「誰も、私と同じ世界にいる人はいなかったんだ。」

「世の天才は、みんなそうですよ。」

「そうかもね。でも、見つけた。」

「?」

「栄君は気付いてないと思うけど、栄君は私と同じ世界にいる。」

「どういうことですか?」

 

 日菜さんは俺に近づいてきて、こう言った。

 

「私のものにならない?栄君?」

「え...?」

 

 俺は混乱した。

 そして、俺の波乱に満ちた文化祭が始まる...

 

 




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29話

29話です!


 俺にはわからない。

 なぜ、日菜さんはあんなことを言ってきたのか。

 

 ”回想”

 

「私のものにならない?栄君?」

「え...?」

「あ、返事はまだしないでね!まだ、全部じゃないから!」

「全部じゃない?」

「明日の文化祭の後、羽丘の生徒会室に来て。全部、話すから。返事はその時で!」

「...はい。」

_____________________________

 

「...とりあえず、学校に行こう。」

 

 俺は学校に向かった。

 

_____________________________

 

 文化祭は羽丘でする。

 すごい賑わいだ。

 

「栄斗さーん!」

「イヴか、おはよう。」

「はい!おはようございます!」

「文化祭の賑わいはすごいな。」

「そうですね!楽しみです!」

 

 俺とイヴは教室に向かった。

_____________________________

 

 文化祭が始まった。

 

「いらっしゃいませ。お嬢様。」

 

 俺は接客をしている。

 めんどくさい。

 

「メニューはこちらになります。」

「あ、ありがとう///」

 

 意外と受けはいいらしい。

 

「...はぁ、疲れる。」

「暗い顔すんなよ!栄斗!」

「お前は元気過ぎだ、真波。」

 

 真波も接客担当だ。

 

「にしても、栄斗はすごいなー」

「なんでだ?」

「さっきから栄斗がいいって客が一杯なんだ!」

「...勘弁してくれ。」

 

 俺は天を仰いだ。

 そうしていると。

 

「八舞君!イヴちゃんが!」

「...来たか。」

「...穏便に、だぞ?」

「さぁ、態度しだいだ。」

 

 俺はイヴのもとに向かった。

 

「ねぇ、いいじゃん!」

「申し訳ありません、お断りします。」

 

 いかにも、ヤンキーな男がイヴに絡んでいる。

 

「ちょっと、お茶するだけじゃん!」

「お断りします。」

「大人しく来い__」

「お客様?」

「あぁ?」

 

 俺は声をかけた。

 

「当店はそのような行為はお断りしております。」

「あ?俺はこの子と話してるんだ!ひっこめ。」

 

 男は俺に水をかけてきた。

 

「栄斗さん!」

「あー、こいつのせいで白けたわー。なんで、この子は貰ってくわ。」

 

 男はイヴの腕を掴もうとした、が、

 

「いって!」

 

 俺は男の腕を叩き落とした。

 

「なにすんだ、てめぇ!!」

「...うるさい。」

「あぁ?」

「選べ、退店するか、俺に消されるか。」

「はぁ?...ちょっとむかついたわ~。」

 

 男は立ち上がって。

 

「消えんのは、てめぇだよ!」

 

 男は殴りかかってきた。

 

「__あっそ。」

「ぐほっ!!??」

 

 俺はとりあえず殴り飛ばした。

 

「まだまだ余裕だろ?こっから、フルコースを味合わせてやるよ。」

「え?は?え?ちょ、ま__げぶっ!!!」

 

 俺はもう一発いった。

 

「さぁ、イヴに手を出した罪は重いぜ?立てよ、さぁ!」

「あー!栄斗!ストップ!」

「あ?」

 

 真波が止めてきた。

 

「どうした?真波?」

「どうした?じゃねぇよ!穏便にって言ったよな!?」

「殺してないから、穏便だろ?」

「いやいや、殺す気だっただろ?」

「......そんなことないぞ?」

「いや!嘘だろ!もう終わっとけ!」

「仕方ない...おい、ゴミ。」

 

 俺は男の方を向いた。

 

「ひっ!!!」

「...選べ、帰る、か、俺にここで殺されるか。」

「か、帰りますっ!!」

 

 男は逃げるように帰っていった。

 

「栄斗さん...?」

「あ、イヴ。大丈夫か?」

「私は大丈夫ですが...少し、やりすぎです!」

「...そうか?」

「そうです!あれ以上したら、栄斗さんが捕まっちゃいます!」

「うーん、言われてみればそうだな。」

「栄斗さんが捕まってしまったら...私は悲しいです...」

「イヴ...わかった、これからは自重するよ。」

「はい!」

 

 そうして、解決した。

_____________________________

 

 俺たちは担当時間が終わり、自由時間になった。

 

「イヴはこれからどうするんだ?」

「私は日菜さんに催し事に誘われてます!」

「催し事?」

「はい!...確か...ミスコンです!」

「ミスコン!?」

 

 俺は驚愕した。

 

「あ、そういえば、栄斗さんも__」

「なに?」

 

 俺はイヴの言葉にまた驚いた。

_____________________________

 

『花咲川と羽丘の皆さん!こんにちは!』

 

 司会役がそう言う。

 

『今回はミス花咲川&羽丘を、決定したいと思いまーす』

 

 おぉぉ!っと男子が主に盛り上がっている。

 

『採点者のご紹介をします!』

『一人目は、なんであなたは出ないんですか?美人な花咲川の生徒会長!白金燐子さんです!』

「私は...出られないですよ...?」

『二人目のご紹介です!羽丘の王子様!儚いものを愛する役者!瀬田薫さんです!』

「儚い物語を期待するとしよう!」

『最後はこの方!花咲川の人気者!俺は、イヴがすべてだ!八舞栄斗さんです!」

「いや!間違ってないけど!ここで言うなよ!間違ってないけど!」

「やぁ、栄斗。久しいね。」

「あ、薫さん。どうも。」

「八舞君...こんにちは。」

「どうも、白金さん。」

 

 俺は挨拶を済ませた。

 

『さぁ!採点者の紹介が済んだところで!さっそく始めたいと思います!』

『エントリーナンバー1!花咲川の風紀委員!でも、鬼じゃない!氷川紗夜さんです!』

「...鬼って。私は普通ですよ?」

 

 紗夜さんが出てきた。

 

「紗夜さん!?」

「あ、どうも、八舞君。」

「...氷川さんが出るのは意外ですね。」

「......強制だったのよ。」

「あ...(察し)」

 

『ルールの説明をします!簡単です!スピーチでアピールしてください!内容は自由です!』

「...なるほど。」

『でわ!スタート!』

「...そうですね。少し前の話をしましょう。」

 

 紗夜さんは一息置いて...

 

「私はとある方に告白しました。結果はフラれましたが。その方は私を助けてくれて、そして、落ち込んだ私を励ましてくれました。フラれてしばらくは落ち込みもしましたが、私は彼の一番の友人になる、そう誓いました。今では、とても良い友人です。彼は私を傷つけたと思っていると思いますが、私は彼の優しさに救われています。今、彼は愛すべき人がいます、私は彼の幸せを心から願っています!...以上です。」

 

 紗夜さんはこういった。

 

「紗夜さん...」

「...栄斗、これを使うと良い。」

「...ありがとうございます。」

「氷川さんは...前に進んでますよ...!」

「はい...!」

『次の方はこちら!パスパレと女優の顔を持つ女王様!白鷺千聖さんです!』

「女王...お仕置きが必要かしら?」

『ス、スタートをお願いします!』

「まぁ、いいわ。私も少し前の話よ。」

 

 白鷺さんは話し始めた。

 

「私には好きな人がいたわ。告白もしたわ。その人は常にある子の事ばかり考えていて、一言で言うと、おバカさんだわ...でも、彼はナンパされた私たちを助けてくれたり、私が悲しんでると、心を痛めてくれる、とてもやさしい人よ。この前、私は演劇に出たわ、見に来た人もいるかもしれないわね。その日の前日に事故で彼は危険な状態になったわ、それでも、彼は私のために演劇に出てくれたわ。彼には愛してやまない彼女がいるわ、私は二人のためならなんでも協力するわ。今の目標は彼に名前を呼んでもらう事かしら?...以上よ。」

 

 話し終えた。

 

「千聖...君は...」

「白鷺さん...あなたも...」

「...ありがとう、白鷺さん。」

「栄斗、出来るなら、千聖も名前で呼んではくれないかい?」

「はい。」

『次の方です!ブシドー系女子!でも、彼氏大好きな乙女!若宮イヴさんです!』

「はい!若宮イヴです!」

「イヴの番か...」

『それでは、お願いします!』

「はい!私は栄斗さんが大好きです!いつも、私を気にかけてくれて、いつも私を守ってくれます!...なにより、私を好きでいてくれます!栄斗さんは私にずっと一緒にいようと言ってくれました!私もずっと一緒にいたいです!栄斗さんは人の心を理解できます、告白してくれた人を傷つけてしまったと泣いているときもありました...。私はそんな栄斗さんにずっと寄り添いたいです!私は栄斗さんを愛しています!...以上です!」

 

 イヴは話し終えた。

 

「イヴ...」

「愛されてるね、栄斗。」

「まぶしいですね...若宮さん。」

『次で最後です!』

「え?意外と少ないな。」

『我らが生徒会長!るんっ♪っときた!の天才!氷川日菜さんです!』

「どうもどうも~」

『それではお願いします!』

「はいは~い!...そうだなぁ、私はみんなに天才ってよく言われるんだ!...そのせいで、私を誰も理解してくれない。同じ世界を共有してくれる人がいないのは、とっても、寂しいんだ...。でも、私と同じ世界にいる人を見つけたんだ!私はその人が好き!でも、それが全部じゃないよ...」

「まさか...」

 

 俺は少しわかってきた。

 

「ここでは、ここまでしか話さないけど...待ってるよ♪」

 

 そうして、日菜さんは舞台を降りた。

 

「全部じゃない...か。」

 

 俺は日菜さんの言葉の意味を考えた。

 ミスコンの結果は想像に任せるよ。

_____________________________

 

 俺は生徒会室に来ていた。

 

「失礼します。」

「あ!来たね、栄君!」

 

 日菜さんがいた。

 

「聞かせてください、日菜さん。全部を。」

「...うん、そうだね。」

 

 日菜さんは一息置いて。

 

「私は栄君が好き。」

「...いつから?」

「...海、栄君が助けてくれた時。」

「あの時...?」

「私はあの時、正直怖かった。知らない人に近づかれて。」

「...」

「でも、栄君は助けてくれた。そして、その時分かったんだ、栄君は私と同じ世界にいるって。」

「日菜さんと同じ世界?」

「そうだよ、私と同じ天才って呼ばれる世界。私は嬉しかった、理解してくれる人が現れたから。」

「でも、なんでそれが、好きってなるんですか?」

「私にも分からない、もしかしたら、理解してくれる人に依存してるだけとも最初は思ったよ。」

「...」

「でも、栄君と話して、確信した、これは恋なんだって。私と世界を共有できて、助けてくれた。理由は単純だったけど、気持ちは大きくなり過ぎちゃった。」

「...」

「もう、抑えられない。私は栄君が好き。愛してる。」

「...」

「お願い、栄君。私のものになって...?」

 

 日菜さんはこっちを見つめている。

 

「...すいません。俺にはイヴがいます。なので、日菜さんのものにはなれません。」

 

 俺はそう答えた。

 

「そっか...そうだよね。」

「はい、すいません。」

「わかってたよ、全部。」

 

 日菜さんは外を見た。

 

「...最初は言うつもり、なかったんだ。でも、抑えられなかった。」

「大きくなり過ぎた...ですか?」

「うん、そうだよ。」

 

 日菜さんは悲しそうだ。

 

「...俺は、日菜さんの理解者でいられますか?」

「え...?」

「俺は皆が大好きです。俺と友達でいてくれるから。」

「栄君...?」

「俺は日菜さんと付き合えない、でも、日菜さんの理解者にはなれます。」

 

 俺は一息置いて。

 

「俺は日菜さんの理解者になれますか?」

「...うん!」

 

 日菜さんは笑顔でそう言った。

 

「__ありがとう、栄君!」

 

 日菜さんは抱き着いてきた。

 

「...はい。」

「ふふっ。照れてるね?」

「...言わなくてもいいです。」

「るんっ♪ってくるね!」

「そうっすか。」

 

 しばらくして、日菜さんは離れた。

 

「じゃ!私はもう行くよ!またね!栄君!」

「はい。」

 

 日菜さんは生徒会室を出た。

 

「__なんで、分かっちゃうんだろうな...?」

_____________________________

 

 ”日菜side”

 

「あーあ、フラれちゃった~」

「...日菜?」

「あ!お姉ちゃん!」

 

 日菜は紗夜に近づいた。

 

「あなた...八舞君に__」

「うん、そうだよ。」

「やっぱり。」

「ねぇ、お姉ちゃん?」

「どうしたの日菜?__!?」

 

 日菜は紗夜に抱き着いた。

 

「ひ、日菜!?」

「...私は好きになって、日も浅いのにね...」

「日菜...」

「なんで、なんで、こんなに、悲しいの...?」

 

 日菜は泣いていた。紗夜はそれを優しく受け入れた。

 

「それは、八舞君が好きだったからよ...あなたも私も...」

「お姉ちゃん...」

 

 二人を照らす夕日はどこか、悲しく感じた。

_____________________________

 

 俺は生徒会室を出て、公園にいた。

 

「__また、俺は...」

 

 俺は考えていた。

 

「紗夜さん、千聖さん、日菜さん、みんな、魅力的な人だった。なんで、俺なんか...」

「栄斗さん!」

「イヴ...?」

 

 イヴが来た。

 

「イヴ、なんでここが?」

「栄斗さんがここに来るのをたまたま見かけたんです。」

「そうか...」

「何が、あったんですか?」

「実はな__」

 

 俺は今日会った事を話した。

 

「...日菜さんもですか。」

「俺は分かっちゃうんだ。日菜さんは泣くのを我慢してた。多分、俺に見せないために...」

「栄斗さん...」

「俺はまた傷つけた。皆、お世話になっていて、友達だ。そんな人たちを俺は...」

 

 俺は涙を流した。

 

「栄斗さんは優しいんです。」

 

 イヴはそう言った。

 

「栄斗さんは素敵な人です。こうやって、人のために涙を流せる人です。」

「イヴ...」

「栄斗さんに告白した皆さんは誰も後悔してません!」

 

 イヴはそう言った。

 

「そして__」

 

 イヴが抱きしめてきた。

 

「栄斗さんには私がいます。栄斗さんの悲しみは私も一緒に背負います。栄斗さんは一人じゃないです!」

「あぁ...!そうだな。」

 

 そうだ、俺にはイヴがいる。大切な人が。

 

「帰りましょう!栄斗さん!」

「あぁ。」

 

 俺はイヴに手を引かれて、家に帰った...

 

 

 

 




感想などお願いします!

多分、次は季節をだいぶ飛ばして、イヴルート完結になるかもです。


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30話

30話!イヴルート最終回です!


 あの文化祭から時は流れ今日は12月23日だ。

 俺はイヴといた。

 

「栄斗さん?」

「どうした?イヴ?」

「栄斗さんのお誕生日は明日ですよね?」

「そうだが、なんで知ってるんだ?」

「こころさんが教えてくれました!」

「え?普通に怖いんだけど?」

 

 俺は悪寒が走った。

 

「そ、それでですね...///」

「どうした?」

「明日、私とデートに行きませんか...?///」

「あぁ、いいぞ?」

「ほんとですか?」

「あぁ。楽しみだ。」

「そうですか!是非、期待しててください!」

「期待?まぁ、しとくよ?」

「はい!」

 

 そうして、明日の予定が決まった。

_____________________________

 

 あの後、イヴを家に送って。

 俺はある場所に向かっていた。

 

「いらっしゃいませ!って、君は...」

「どうも。」

「何かお探しかな?」

「はい。__を買いたくて。」

「かしこまりました。」

 

 俺はあるものを買って、明日の備えた。

_____________________________

 

 デート当日だ。

 

「__時間はよし、十分前だな。」

 

 俺はいつも通り、早めに待ち合わせ場所に来ていた。

 

「栄斗さーん!」

「イヴ?早くないか?」

「落ち着かなかったので、早く来ちゃいました!」

「そうか。」

「はい!」

 

 イヴは笑顔だ。

 

「イヴ。」

「はい?」

「今日の服も、良く似合ってるぞ、可愛いな。」

「!は、はい!ありがとうございます!///」

「...じゃあ、行こうか。」

「栄斗さん、照れてますね?」

「...気のせいだ。」

「ふふっ♪可愛いですね♪」

「...行くぞ。」

「はい!」

 

 俺たちはデートを始めた。

_____________________________

 

「そういえば、今日はどこに行くんだ?」

「今日は色んな所に行って、遊びたいです!」

「おぉ、いいんじゃないか?」

「そうですか!...じゃあ、まず、あそこに行きましょう!」

 

 イヴが指をさしたのは、映画館だった。

 

「映画か、何見る?」

「これです!」

 

 イヴが指したのは恋愛映画だった。

 

「なるほど、じゃ、それにしようか。チケットとか買ってくるよ。」

「私も行きます!」

 

 俺たちはチケット飲み物を買った。

_____________________________

 

「どんな映画なのでしょうか?」

「見た感じはほのぼのしてそうだったが?」

 

 どんな感じなんだろう。

 そう思ってるうちに映画が始まった。

 

「栄斗さん!始まりましたよ!」

「そうだな。」

 

 俺たちは映画を見た。

 

__想定外だ、まさか、この映画、感動するシーンが多い。

 話の内容は病気のヒロインのために主人公が治療費を集めるため奔走する話。でも、ヒロインは最後に死んでしまった。

 

「イヴ?__!?」

 

 イヴは泣いていた。

 

「だ、大丈夫か?」

「うぅ、こんなのひどすぎます...!二人は愛し合っていたのに...!」

 

 俺はイヴの頭を撫でてやった。

 

「栄斗さん...?」

「イヴは優しいよな。映画の話に涙を流せるなんて。」

 

 俺はそう言った。

 

「俺はずっと一緒にいるぞ?」

 

 って、何言ってんだ。俺も映画の内容に当てられたな。

 

「まぁ、泣くな。イヴには笑顔が似合うからな。」

「はい!栄斗さん!」

 

 イヴはいつもの調子に戻った。

 

「気を取り直して、次に行きましょう!」

「あぁ、そうだな。」

 

 俺たちは映画館を出た。

_____________________________

 

「次はどこに行くんだ?」

「そろそろ、お昼ご飯にしたいです!」

「よし、じゃあ、行くか。」

「はい!」

 

 俺たちは近くにあった店に入った。

 

「___ここは、どういう店なんだ?」

「えーと...え!?///」

 

 イヴはメニューを見るなり赤面した。

 てか、客層がカップルに集まりすぎな気が...

 

「...イヴ、メニューを見せてくれ。」

「はい///」

 

 俺はメニューを見た。

 

「...やっぱりか。」

 

 一言でいうと、カップル用のメニューが充実した店だ。

 

「...まぁ、何か頼むか。」

「はい...///」

 

 イヴは恥ずかしそうにしてたが、とりあえず、注文をした。

 

「__おまたせしました!こちらはサービスです!」

「「え?」」

 

 定員がサービスと置いて行ったのは所謂カップルジュース。てか、その文化まだあったのか...

 俺たちはとりあえず、料理を食べ終えた。

 

「どうする?これ?」

「どうしましょう?」

 

 とりあえず、カップルジュースの処理に困る。

 サービスで出されたものを残すのは後味が悪い。

 

「栄斗さん?///」

「ん?」

「一緒に飲みませんか?///」

「!?」

 

 イヴはそう言った。

 

「...いいのか?」

「はい。栄斗さんとなら...///」

「そ、そうか。」

 

 俺たちはジュースを飲み始めた。

 

「...(これ、めっちゃ恥ずいな。)」

「...///(栄斗さんの顔が、こんなに近くに...!///)」

 

 俺たちはジュースを飲み終えた。

_____________________________

 

 その後、俺たちは店を出た。

 

「...恥ずかしいな、あれ。」

「は、はい///」

 

 イヴは顔が赤いままだ。

 

「__まぁ、気を取り直して、遊ぼう。な?イヴ。」

「はい!栄斗さん!」

 

 俺とイヴはそこから色んな所に行った。

 気が付けば、時刻は夕方、と言っても、もう、真っ暗だった。

 

「...(そろそろ、か。)」

「栄斗さん!イルミネーションが綺麗ですよ!」

「あぁ、そうだな。」

 

 世間はクリスマスなだけあり、町はイルミネーションでいっぱいだった。

 

「__なぁ、イヴ。

「?どうしました?栄斗さん?」

「少し、ついてきてくれ。」

 

 俺たちはある場所に向かった。

_____________________________

 

 俺たちが来たのは、あの高台だった。

 

「栄斗さん?なぜここに?」

「...ここが、相応しいと思ったんだ。」

「え?」

 

 俺は話しだした。

 

「イヴも知ってると思うが、俺は三人の人に告白された。」

「はい。紗夜さん、千聖さん、日菜さんですよね?」

「あぁ、そうだ。」

 

 俺は町を見渡しながら言った。

 

「俺はその三人をフッたよ。俺はイヴが好きだから。」

「は、はい///」

「でも、日菜さんに告白されたとき、俺は一つの覚悟を決めた。」

「栄斗さん...?」

 

 俺はイヴのほうに向き直した。

 

「俺と結婚してくれ、イヴ。」

「え...?///」

 

 俺はそう言った。

 

「イヴ?__!?」

 

 イヴは泣いている。

 

「だ、大丈夫か!?」

「...嬉しいです。とっても。」

 

 イヴはそう言った。

 

「でも、私でいいんですか...?///」

「俺はイヴがいい。」

 

 イヴは俺に一歩近づいて。

 

「私も栄斗さんと結婚したいです!」

「え?ということは...」

「よろこんで!...です///」

 

 イヴはそう言った。

 

「じゃあ、イヴ、左手、出してくれ。」

「はい...?」

 

 俺はイヴの薬指に指輪をつけた。

 

「栄斗さん?これは...?」

「...未来への予約、だ。」

「ふふっ///」

 

 イヴは嬉しそうに自分の指を見つめている。

 

「これで、もう、栄斗さんに捕まっちゃいましたね♪」

「...そうかもな!」

 

 イヴは笑顔でそう言った。

 

「あ、私からもあります!」

 

 イヴは何かを出した。

 

「これは?」

「私からの誕生日プレゼントです!」

「...開けてもいいか?」

「はい!」

 

 開けると、そこにはチェーンのネックレスが入っていた。

 

「...かっこいいな。」

「はい!栄斗さんに似合うと思って!業者の人に作ってもらいました!」

「え?」

 

 いや、すごすぎだろ...

 

「大切にするよ。」

「...そのネックレスには意味があるんです。」

「意味...?」

「そのネックレスには栄斗さんが私から離れないように...つまり、栄斗さんを私に縛り付けたい...そういう意味を込めました。」

「...離れねぇよ。絶対に。」

 

 イヴはこっちに近づいてきて。

 

「そして、これは__ん。」

「ん__!?」

 

 イヴが唇を重ねてきた。

 

「__私からの、クリスマスプレゼント...です///」

「じゃあ__」

「ん__!///」

 

 俺はイヴに唇を重ねる。

 

「...俺からも、あげないと、だな。」

「ありがとうございます...///」

 

 気づいたら雪が降ってきていた。

 

「...綺麗だな。」

「はい...!」

 

 雪は俺たちを祝ってくれてるかの様に降り注いでいる。

 

「イヴは今、幸せか?」

「はい!最高に幸せです!...栄斗さんは?」

「俺も最高に幸せだ。」

 

 ここまで来るまで、色んなものが生まれた。

 救われた心に、友情、報われない恋、

 何より、イヴとの...

 永久不変の愛。

 

「栄斗さん!」

「なんだ?」

「私は栄斗さんの事をずっと、ずーっと!愛してます!」

「!!__あぁ!俺も愛してる、イヴ!」

 

 俺とイヴの時間は進んでいく、だが、不安なんてない。

 なんたって、イヴといる限り、俺は幸せだから...

 

「さぁ、行こう!イヴ!」

「はい!栄斗さん!」

 

 俺とイヴの日常はこれからも続いていく...

_____________________________

 

___数年後。

 今日はイヴとの結婚式だ。

 

「...ここまで、長かったな。」

 

 俺は一人、黄昏ていた。

 コンコン

 

「はーい。」

「よぉ!栄斗!」

「こんにちは八舞君。」

「やっほ~!栄君!」

「こんにちは!八舞!」

「どうもっす!八舞さん!」

「こんにちは、八舞君。」

 

 真波にパスパレのみんな、紗夜さんが来てくれた。

 

「皆さん、来てくれたんですね。」

「来ないわけがないでしょう?せっかくの二人の晴れ舞台なのよ?」

「千聖さん、親みたいですね。」

「あながち間違ってないわよ♪」

「...そうですね。」

 

 千聖さんは嬉しそうだ。

 

「でも、栄君とイヴちゃんが結婚か~。時間が過ぎるのは早いね~」

「だよね!この前までは__」

「初々しいカップルしてたんですけどね~」

 

 と、日菜さん、丸山さん、大和さんが言った。

 

「ははは。」

「八舞君。」

「紗夜さん?」

「この度はおめでとうございます。」

「ありがとうございます。」

「八舞君が結婚ですか、私も鼻が高いですね♪」

「紗夜さんも親みたいですね。」

「私は八舞君の友人ですよ?」

「一番の...ですよね!」

「えぇ!」

 

 コンコン

 

「__皆さん!来てくれたんですね!」

 

 ウィディングドレスに身を包んだイヴが入ってきた。

 

「お!若宮ちゃんめっちゃ綺麗じゃん!羨ましいぞ~栄斗~!!」

「やめろ、つついてくるな。」

「綺麗よ、イヴちゃん。」

「ありがとうございます!千聖さん!」

「綺麗だね~栄君が羨ましいよ~!」

「ほんとに綺麗だよ!イヴちゃん!」

「イヴさん、綺麗っス!!」

「綺麗ですよ、若宮さん。」

「ありがとうございます!でも...」

「「「「「「?」」」」」」

 

 イヴは少し間を置いて...

 

「もう、若宮イヴじゃなくて、八舞イヴ、ですよ!」

 

 イヴはそう言った。

 

「くぅ~!見せつけてくれるねぇ!」

「そうね、見せつけてくれるわ。」

「あっつあつだね~!るんっ♪ってくるよ!」

「この部屋、暖房ついてない?」

「彩さん、今は春っすよ...」

「相変わらず、仲がよろしいようで、八舞君、若宮さ__いえ、八舞さん。」

「...改めて言われると、恥ずかしいな。」

 

 俺は顔をそらした。

 

「__そろそろお時間になります。」

「あ、はい。」

 

 スタッフの人が来た。

 

「じゃあ、行こうか、イヴ。」

「はい!栄斗さん!」

「...てか、いつまで、さん付けなんだ?」

「あ!それもそうですね!栄斗!」

「...それでいい。」

 

 

 後ろでみんながニヤニヤしている。

 

「...なんですか?」

「何でもないわよ?」

「そうだよ~!」

「私たちは...」

「会場で...」

「待っていますね?」

「じゃあな~!栄斗~!」

 

 皆は会場に向かった。

 

「...たく、皆は変わんないな。」

「ふふ、そうですね!」

「__まぁ、俺たちもだな。」

「はい!なんたって『永久不変』なんですから!」

「そうだな。」

 

 俺は一息置いて。

 

「じゃあ、行こう、イヴ、皆待ってる。」

「はい!栄斗!」

 

 ここがゴールじゃない。

 でも、ここも、終点。

 俺とイヴは恋愛での

 『ブシドー』を極めたんだから...

 

 イヴルートEND

 

 

 

 

 

 




これにて、イヴルート完結です!
いつかは番外編とかで空白になった時間や、二人の結婚生活とかも書きたいです!
まぁ、先に別ルートを書いていきますが!誰のルートからがいいですか?
感想などお願いします!

主人公 八舞栄斗
ヒロイン 若宮イヴ 氷川紗夜 白鷺千聖 氷川日菜
主要人物 丸山彩 大和麻弥 弦巻こころ 瀬田薫
オリキャラ 真波涼

イヴルートが完結したため、小説タイトルを変更します!


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メトロノームは乱れない(紗夜ルート)
第1話


紗夜ルート開始です!
タイトル変更して、また頑張ります!


「今日も完璧だ。」

 

 俺は八舞栄斗。この春から共学化する花咲川に通う、高校二年生だ。

 

「早く食べて、家を出るか。」

 

 俺は朝食を食べ始めた。

 

「__身支度、よし。持ち物よし。」

 

 俺は身だしなみを確認した。

 

「...よし、行くか。」

 

 俺は家を出た。

_____________________________

 

 学校に着いた。

 

「ここが、花咲川か。」

 

 とりあえず、学校に入った。

 

「...入ったはいいが、待合室ってどこだ?」

「あの、どうしましたか?」

「?」

 

 話しかけてきたのは、水色の髪の人だった。

 

「待合室に指定された場所が分からなくて。」

「良ろしければ、ご案内しましょうか?」

「ほんとですか?助かります。」

「えぇ、では、行きましょう。」

 

 俺は後ろをついていった。

_____________________________

 

「__ここですよ。」

「わざわざ、ありがとうございました。」

「いえ、問題ないですよ。」

「失礼ですが、お名前を伺っても?」

「あら?名乗っていませんでしたね。

 私は氷川紗夜、三年生です。」

「俺は八舞栄斗です。二年生です。」

「あら?年下だったのですね?」

「はい。そうですね。」

「私は仕事があるので行きますね。」

「はい、ありがとうございました。」

「えぇ。」

 

 そう言って、氷川さんはどこかに行った。

 

「さて、入るか。」

 

 俺は待合室に入った。

_____________________________

 

 俺には友達がいない。

 今までは放課後は家事のために早く帰ってたし。

 

「なぁ!そこの奴!」

「?」

 

 急にチャラめな奴が話しかけてきた。

 

「なぁ、なんでそこに一人でいるんだ?」

「お前には関係ないだろ。」

「てか、お前って八舞栄斗だろ?」

「...なぜ、知ってる?」

「なんでって、いっつも学年一位に名前があったからな。」

「なんだ、俺と同じ学校だったのか。」

「俺は真波涼!よろしくな!」

「俺はよろしくしたくない。」

「ひどい!?」

 

 真波はそう言ってる。

 

「__えぇ、これから顔合わせだ!楽しんでくれよ!」

 

 教師が入ってきてそう言った。

 俺は会場に移動した。

_____________________________

 

 俺は予定調和の如く、会場の隅っこにいた。

 顔合わせは校長などの計らいとやらでパーティーだった。

 

「...めんどくさい。」

「もうちょい楽しめねぇか?」

 

 真波がそう言ってきた。

 

「せっかく男子校から共学だぜ?楽しまねぇと!」

「...勝手に楽しんでろ。」

「そう言うなって!行こうぜ!」

「ちょ!引っ張んな!」

「__きゃ!」

 

 誰かにぶつかってしまった。

 

「す、すいません。」

「い、いえ。大丈夫です...って、八舞君?」

「氷川さん。さっきぶりです。」

「えぇ。」

「え?栄斗、この人と知り合いなん?」

「この人は三年の氷川紗夜さんだ。案内をしてもらったんだ。」

「へぇ...やるじゃん!」

「何がだ?」

「あの、そちらの方は?」

「俺は真波涼っす!二年生です!」

「真波君ですね。よろしくお願いします。」

 

 自己紹介を済ませた。

 

「氷川さんはどうしたんですか?難しい顔をしていましたが。」

「私は生徒会、風紀委員を兼ねてますので、見回りをしないといけないんです。」

「なるほど。大変ですね。」

「いえ、仕事なので。」

 

 氷川さんは真面目みたいだ。

 

「...なぁ、栄斗、氷川さん。」

「なんだ?」

「なんですか?」

「あれ...」

 

 真波が指をさした先には、ピンク髪の女生徒がセクハラを受けていて、ブロンドの人が止めてる光景だった。セクハラをしてるのはオタクっぽいやつだ。

 

「...いると思ったよ、あんな奴。」

「止めに行ってきます。」

「え?危ないですよ?」

「私の仕事です。そして、私は正しいことをします。」

「あ、ちょ...」

「八舞君たちはここにいてください。」

 

 氷川さんは走っていった。

 

「__そこの生徒!やめなさい!」

「なんだ!?」

「「紗夜ちゃん!?」」

「あなたの行いは見ていました、今すぐその手を放しなさい!」

「うるさい!僕はこの二人に用があるんだ!外野は引っ込め!」

 

 そいつは氷川さんを押し飛ばした。

 

「きゃっ!!」

「「紗夜ちゃん!」」

「僕に逆らうから、こうなるんだ!」

 

 そいつはそう言って、さっきの二人に向きなおった。

 

「ひでぇな、あれ。」

「...」

「栄斗?」

「真波、教師への報告、頼む。」

「え!?栄斗!?」

 

 俺は騒ぎの中心に向かった。

_____________________________

 

「さぁ!僕と一緒に__」

「おい。」

「もう!なんなんだ!次々と!」

 

 いらだっているようだ。

 

「八舞君!?」

「氷川さん、大人しくしててください。足と手、捻ったでしょ?」

「!?」

 

 氷川さんは驚いている。

 

「さてと...」

 

 俺は男のほうに向きなおって。

 

「おい、お前。選べ、帰るか叩き潰されるか。」

「は?」

「聞こえないのか?選べと言ったんだ。」

「なんで選ばなくちゃいけないんだ?」

「自覚しろよ、お前今、この場で最高に浮いてるんだぜ?」

「僕は僕に相応しい女の子と相応しい接触をしてただけだ!正しいのは僕だ!」

 

 開き直ってやがる。

 

「だから___ぐへっ!!??」

「お前、親に甘やかされ過ぎだ。」

 

 俺はそいつを殴った。

 

「自分の身の程を知れ。お前に人を選ぶ権利もスペックもない。」

「ぐ、な、なんなんだ...?」

「あ?」

「お前は何なんだ!?」

「俺か?俺は八舞栄斗だ。」

 

 一応、自己紹介しておいた。

 

「まぁ、帰るか続けるか選ばせてやるよ。最終だぞ?」

「く、くそ!!覚えてろ!!」

 

 そいつは外に走っていった。

 

「...」

 

 俺は氷川さんの方を向いた。

 

「大丈夫ですか?氷川さん?」

「...なんで、来たんですか?」

「危ないと思ったからです。」

「...私はそんなに、頼りないでしょうか...」

「とりあえず、保健室に行きましょう。応急処置しないと。」

「あの、話を__きゃあ!!///」

 

 俺は氷川さんを抱きかかえた。

 

「足、ひどいでしょ?お連れしますよ。」

 

 俺は保健室に向かった。

_____________________________

 

 保健室に来た。

 先生はいない。多分、騒動の始末に行ったんだろう。

 

「えーっと、包帯に湿布は...っと。」

「あの...八舞君?」

「はい?」

「なぜ、私にここまでしてくれるんでしょうか?」

「まぁ、恩がありますからね。恩返しですよ。」

 

 俺はそう答えた。

 

「...情けないですね、私は。」

「どういうことですか?」

「私じゃ男子を止められません。こんなのじゃ___」

「いや、氷川さんは立派ですよ。」

「__え?」

「あの状況で止めに入ったのは氷川さんだけです。氷川さんは正しいんです。卑下する事はないですよ。」

「...お優しいんですね。」

「いえ、当然の事です。」

 

 俺は氷川さんを応急処置した。

 

「__まぁ、こんなものでしょうか。」

「ありがとうございます。」

「さて、どうしますか?戻りますか?」

「はい。先生方に報告しなくては...っつ!!」

 

 氷川さんは立ち上がったが、まだ痛そうだ。

 

「肩くらい、貸しますよ?」

「...お願いします。」

_____________________________

 

 俺たちは会場に戻っていた。

 

「__八舞君はなんで私にここまでしてくれるんですか?あって間もないのに...」

「氷川さんが正しい人だからですよ。」

「そうなんでしょうか?」

「そう、俺なんかと違う、評価される正しさ。」

「え?どういう___」

「はい、着きましたよ。」

「え、あ、はい。」

 

 俺たちは会場に入った。

 

「__私は先生方に報告に行きます。」

「はい、お気をつけて。」

 

 氷川さんが去って行った。

 

「...やけに視線を感じるな。」

「よう!栄斗!」

「真波?」

「おう!言われた通り教師に報告しておいたぜ!」

「...悪いな。」

「いいっていいって!あ、それと__」

 

 真波がそう言うと、二人の女生徒が近づいてきた。

 

「あれ?さっきの。」

「えぇ、初めまして、白鷺千聖よ。」

「丸山彩だよ。」

「白鷺さんと丸山さんですね。俺は八舞栄斗です。」

 

 俺は頭を下げた。

 

「さっきはありがとね。」

 

 丸山さんがそう言った。

 

「大丈夫ですか?」

「う、うん!大丈夫だよ!」

「感謝するわ、八舞君。」

「いえ、俺は氷川さんにのっかっただけです。お礼は氷川さんに言ってください。」

 

 俺はそう言って、真波に聞いた。

 

「真波、あれから何もなかったか?」

「あぁ。でも...」

「なんだ?歯切れが悪いな。」

「まぁ、時期にわかるよ。」

「(なんなんだ?)」

 

 さっきから視線も感じるし、様子が変だな。

 

「まぁ、いいか。」

 

 俺は疑問を残し、残り時間を過ごした。

_____________________________

 

 ”紗夜side"

 

 紗夜は教師への報告を済ませ、椅子に座っていた。

 

「(八舞君、彼は何者なんでしょう?あの言葉も...気にかけておく必要がありますね。)」

「...なんでしょうか、放っておいたら、ダメな気がします。」

 

 紗夜はそう思うのだった...




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第2話

紗夜ルート2話です!


 顔合わせから翌日、俺はいつも通りの朝を過ごしていた。

 

「はぁ、昨日は大変だった。」

 

 俺はいつもの時間に家を出た。

_________________________

 

 学校に着いた。

 

「おはようございます。八舞君。」

「氷川さん?早いですね?」

「えぇ、風紀委員の仕事があるので。」

「なるほど。お忙しいんですね。」

「いえ、仕事なので。」

 

 真面目な人だ。

 

「よろしければ、一緒に行きますか?」

「え?良いんですか?」

「えぇ。」

 

 氷川さんがそういうのは意外だった。

 

「いきましょう、八舞君。」

「あ、はい。」

 

 俺たちは下駄箱に向かった。

_________________________

 

 俺は下駄箱をあけると。

 バサバサ!!

 

「...はい?」

「__どうしたんですか、八舞...君?」

「...これは、何なんでしょう?」

 

 俺はこの時点で結構泣きたかった。

 

__話を聞いてみると、俺は時の人になったようだった。

 俺は教室にいる。

 

「はぁ、なんでこうなった?」

「あ!栄斗!」

「は?真波?何で?」

「俺も同じクラスだぜ!」

 

 まじかよ...

 

「そういえば、お前、このこと知ってただろ?」

「あぁ!知ってたぞ!」

「やっぱりか...」

 

 俺は心の中で頭を抱えた。

_________________________

 

 俺は今、屋上にいる。

 春なだけあって結構快適だ。

 

「...なんで、こんなにいいところなのに人がいないんだろうな。」

「__さぁ、なんででしょうか。」

「氷川さん...?」

 

 氷川さんが来た。

 

「今からお昼ですか?」

「はい、そうです。」

「ご一緒しても?」

「はい、構いませんよ。」

「失礼します。」

 

 氷川さんは俺の近くに座った。

 

「__八舞君は手作りですか?」

「はい、一人暮らしなので。」

「そうなんですか?なぜ__」

「氷川さん、卵焼き食べてみてくれないですか?」

「え?あの...」

「意見を聞きたいので、お願いします。」

「...分かりました。」

 

 氷川さんは話しをそらされて不服そうだったが、卵焼きを食べた。

 

「__!お、美味しい...!」

「そうですか?よかったです。」

 

 反応はいい。

 

「どうしたら、ここまで?」

「うーん、慣れ、じゃないですかね?」

「慣れ、ですか。」

「氷川さんは普段、料理はしないんですか?」

「私は、普段は...」

 

 しないようだ。

 

「八舞君。」

「はい?」

「私に料理を教えてください。」

「え?」

 

 氷川さんはそんなことを言い出した。

 

「なんでですか?」

「八舞君は料理上手そうですし。私も出来るようになりたいんです。」

「...」

 

 氷川さんの目はまっすぐだ。

 ただ、目標を追いかける、まっすぐな目。

 

「いいですよ。俺の家でいいですか?」

「!はい、構いません。」

「じゃあ、時間があるときに__」

 

 持っている手帳に連絡先を書いて。

 

「こちらに連絡してください。」

「はい、わかりました。」

 

 俺は昼食を食べ終えた。

 

「__じゃあ、俺はこの辺で。」

「はい、また。」

 

 俺は屋上を出た。

_________________________

 

 放課後だ。

 俺は足早に教室を出た。

 

「__今日の夕飯はどうするか。」

 

 そんなことを考えてるとパンの匂いがしてきた。

 

「そういえば、朝食用のパンなかったな。」

 

 俺はパン屋に入った。

 

「いらっしゃいませー!って君は...」

「?」

 

 入ると、女の子がいた。俺に見覚えがあるようだ。

 

「君って、八舞栄斗、だよね?」

「そうだが、君は?」

「あれ?覚えてない?同じクラスの山吹沙綾だよ!」

「...悪いな、自己紹介は聞き流してた。」

「あー、そうゆうことね。」

「生憎、興味がなくてな。」

 

 俺はそう言った。

 

「そういえば、来るのは初めてだよね?ゆっくり見て行ってよ!」

「あぁ、そうする。」

 

 俺はパンを見ていった。

 

「ほぅ。」

 

 ここのパンは品質が言い。

 

「...いい仕事をしている。」

「そう?ありがと!」

「...聞いてたのか。」

 

 山吹は気づいたら後ろにいた。

 

「ここのパンはいいな。これからはパンを買うときはここにしよう。」

「お!常連さんになってくれるのかな?」

「まぁ、そういうことだ。」

 

 俺はいくつかパンを購入した。

 

「ありがとうございましたー!」

 

 俺は店を出た。

 

「後は食材だな。」

 

 俺は買い物を済ませ家に帰った。

_________________________

 

「__さて、夕飯の準備を__」

 

 ピロリン♪

 機械音が鳴った。

 

「氷川さんか?」

 

 案の定、氷川さんだった。

 氷川さんしか登録してないからな。

 

『氷川紗夜です。よろしくお願いします。』

 

 生真面目だな。

 

『料理を教えてもらうのは、一週間後でも、大丈夫でしょうか?』

 

 そう書いてあったので、大丈夫です、と返信した。

 

「さて、始めるか。」

 

 俺は夕飯の準備を始めた。

_________________________

 

 ”Roselia”

 

「...紗夜、手の調子は大丈夫かしら?」

「はい、問題ありません。」

「でも、珍しいね、紗夜がケガをするなんて?」

「...少し、男子に不覚を取りました。」

「え?大丈夫だったんですか!?紗夜さん!?」

「えぇ、大丈夫でしたよ。」

「確か...助けてくれた...男子がいたとか...」

「白金さん!?どこでそれを?」

「...へぇ~、気になるな~☆」

「そうね、興味があるわね。」

「氷の姫を救いし...えっと...王子様!!」

「宇田川さん!?」

「王子様か~、あこ、いい事言うじゃん!」

「だよねだよね!リサ姉!」

「...八舞君はそんなのじゃないです。」

「へぇ~、八舞君っていうのか~」

「は!しまっ__」

「あこ!抑えて!」

「うん!リサ姉!」

 

 あこは紗夜を抑えた。

 

「でさ、紗夜。その八舞君ってどんな人なの?お姉さん、気になるな~☆」

「私も少し、興味があるわ。」

「私も...」

「湊さんと白金さんまで...」

「じゃあ!話してよ!」

「仕方ないですね...一言でいうなら、陰のある人、でしょうか。」

「?前までの紗夜みたいな感じ?」

「...私なんか、比じゃありません。もっと、深く、そして暗い。」

「...少し、会ってみたいわ。」

「湊さん!?」

「もし、紗夜の話が本当なら、そいつは危険よ。だから、私が見定める。」

「私も行くよ。」

「今井さんまで!?」

「うん、友希那が心配だから。」」

「私も行きたいです!」

「私も...です。」

 

 紗夜は栄斗に『バンドメンバーも一緒にいいでしょうか?』と送り『構いませんよ。』と返ってきた。

 

「大丈夫なようです。」

「そう、じゃあ、一週間後、行くわよ。」

 

 友希那はそう言い放った。

 

「...ごめんなさい、八舞君。」

 

 こうして、栄斗と紗夜の受難は始まる...




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紗夜ルートでは主人公が結構暗くなるかもです。


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第3話

紗夜ルート3話です!


 今日は氷川さんに料理を教える日だったな。

 

「そういえば、バンドメンバーも来るって言ってたな。」

 

 氷川さんがバンドをしてるのは結構、意外だった。

 

「...まぁ、いいや。」

 

 俺は授業中なので眠りについた。

_________________________

 

 放課後だ。俺は氷川さんに校門で待っていてと言われてたので、校門に向かった。

 

「__お待たせしました。」

「あ、氷川さん。どうも。じゃあ、行きましょうか。」

「あ、すいません。もうすぐ、皆さんが___」

「__おーい!紗夜ー!!」

 

 多分、氷川さんのバンドメンバーであろう人たちが来た。

「お待たせしました!紗夜さん!」

「待たせたわね、紗夜。」

「お待たせ~、紗夜!あ、そっちの男子が?」

「はい、八舞君です。」

「そっかそっか~。君が...」

「...」

 

 なんか、品定めされてるみたいだ。

 

「あの、何か?」

「いやいや~何でもないよ~!」

「...(嘘だな。)」

 

 俺は気にせず話を進めた。

 

「そういえば、バンドメンバーは四人なんですか?」

「いえ、後一人います。」

「__お待たせ...しました。」

「来ましたか、白金さん。」

「あれ?この人って。」

「この学校の生徒会長ですよ?」

「どこかで見たことあると思った。」

「みんな揃ったし、行こうよ!」

「そうね、早く行きましょう。」

 

 そうして、俺の家に向かった。

_________________________

 

「ここです。」

「ここが。」

 

 俺の家はマンションの二階だ。

 

「まぁ、入ってください。」

 

 俺たちは家に入った。

 

「__へぇ、部屋めっちゃ綺麗じゃん!」

「そうね。」

「...まぁ、お茶でも出すので、適当に座っててください。」

 

 俺はそう言った。

 

「一応、麦茶か紅茶かコーヒーがありますが、何がいいですか?」

「私はコーヒーがいいわ。」

「私は...麦茶かな!」

「私は紅茶を。」

「私も...紅茶で。」

「私は...」

「そういえば、ジュースもあった、それにするか?」

「あ!それがいいです!」

「じゃあ、用意してきます。」

 

 俺はキッチンに行った。

 

「...今のところは...」

「問題はないよね、でも...」

「私たちを...警戒していると言うか...」

「わが邪眼を恐れ...」

「一歩引いてるよね~」

「えぇ。」

「この部屋も綺麗というより、生活感がないわ。」

「うん、なんて言うか...」

「無色...でしょうか?」

「うん!それだよ、燐子!」

 

 紗夜以外のロゼリアのメンバーは栄斗の事を疑っている。

 

「__お待たせしました。どうぞ。」

 

 俺は飲み物を出した。

 

「___それで、氷川さん。料理を教えてほしいと言ってましたが、何が知りたいんですか?」

「八舞君は何からがおすすめですか?」

「そうですね...基本的な和食でしょうか、家庭科の知識があるなら。」

「お!分かってんじゃん!」

「え?」

 

 今井さんが反応してきた。

 

「和食は基本だよね~!」

「今井さん、料理するんですか?」

「うん!結構やってるよ!」

「...なんで、俺に教わろうとしたんですか?」

「なんとなくです。」

「まぁ、いいですけど。じゃあ、始めましょう。」

「はい。」

 

 氷川さんを連れてキッチンに向かった。

 

「__じゃあ、始めましょう、最初は__」

 

 そうして、俺は氷川さんに色んなことを教えた。

 

「__まぁ、これで完成です。」

「...まさか、私がここまで手際が悪いなんて...」

「いや、慣れてないにしては上出来ですよ。」

「そうですか?」

「はい。すぐに上達します。」

 

 俺たちはリビングに戻った。

 

「あ!紗夜!終わったの?」

「はい。お待たせしました。」

「__皆さん食べていきますか?」

「え!良いの!?」

「はい、問題ないです。」

「じゃあ、いただいていくわ。あこと燐子は大丈夫かしら?」

「はい!大丈夫です!」

「私も...大丈夫...です。」

「じゃあ、用意してきます。」

 

 俺は用意しに行った。

_________________________

 

「というわけで、用意ができました。」

「ありがとう。」

「ありがと☆」

「ありがとうございます。」

「ありがとうございます!」

「ありがとう...ございます。」

 

 ロゼリアの皆は食べ始めた。

 

__ほとんど食べ終えたころだった。

 

「(焦げ臭い?)」

 

 窓の方を見ると、火種があった。

 

「皆さん!今すぐ出てください!!」

「え?どうしたの?」

「どうでもいいです!早く!!」

 

 俺は皆を追い出した。

 

「(俺は学校の用意と服と通帳あれば生きていけるな)」

 

 俺は必要なものをまとめて、家を出た。

_________________________

 

 しばらくして、俺の家は火事になった。

 

「__ふぅ、危なかった。」

「ちょ!これ、どういう事!?」

「多分、放火ですね。」

「放火ですねって、大問題じゃないですか!」

「皆さんは大丈夫でしたか?」

「私は大丈夫だったわ。」

「私も大丈夫かな。」

「私も問題ありません。」

「私も大丈夫でした...」

「私も...です。」

 

 皆は大丈夫みたいだ。

 

__消防車が来た。

 それから消化が開始され、原因と思われる火炎瓶が見つかった。

 もう少しサイズが大きければ危なかったらしい。

 

「__八舞君。」

「はい?」

「これから、どうするんですか?」

「...どうしましょう?」

 

 家がないのは割と困るな。

 

「まぁ、復旧はそこまでかからないらしいですから、大丈夫ですけどね。」

「それまで、どこで寝泊まりするんですか?」

「そうですね、ネットカフェとかですかね?」

「不健康です!」

 

 氷川さんがそう言った。

 

「と言われましても、こうするしか選択肢がないんですが。」

「__じゃあ、私の家に来るといいわ。」

「湊さん!?何言って__」

「私の家は両親が滅多に帰ってこないし、なにより...」

「なにより?」

「私は、料理ができないわ。」

 

 湊さんはそう言った。

 

「え?いつも、どうやって生活してるんですか?」

「リサが家に来てくれるわ。」

「なるほど。」

 

 今井さん、大変そうだな。

 

「リサの負担も減らせるから、家賃代わりに家事をしてくれると嬉しいのだけれど、どうかしら?」

「どうかしら言われましても、いいんですか?」

「問題ないわ。別に私をどうこうする気もないでしょう?」

「まぁ、そうですね。」

「なら、来るといいわ。」

 

 湊さんがそう言うので...

 

「じゃあ、お世話になります。」

「八舞君!?」

「いいんですか!?友希那さん!?」

「大丈夫よ、あこ。」

「まぁ~私もいるし、大丈夫じゃない?」

「今井さんが...そう言うなら。」

 

 皆がそう言ってるが。

 

「お世話になります、湊さん。」

「えぇ、八舞君。」

 

 そうして、俺の湊家への臨時移住が決まった。

 




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第4話

紗夜ルートの4話です!


「__ここが私の家よ。」

「大きいですね。」

「別に普通よ。まぁ、入りなさい。」

 

 俺は湊さんの家に入った。

_________________________

 

「...湊さん。」

「何かしら?」

「最後に掃除したのは、いつでしょう?」

「...忘れたわ。」

 

 家の状態はひどいものだった。

 お菓子のゴミ、散らばった雑誌類、あげていったらキリがない。

 

「...湊さん、この部屋か片付けてもいいでしょうか?」

「あら?いいの?疲れているでしょう?」

「流石にこれはよくないでしょう。」

 

 そう言って俺は片づけを始めた。

 

「__えっと、これはここに。ゴミはこれがこっち、これが__」

「ねぇ、八舞君?」

「はい?なんでしょう?」

 

 湊さんが話しかけてきた。

 

「あなた、家が燃えても落ち着いてたわね。」

「いや、焦ってましたよ?」

「それは、私たちが危なかったから、じゃないのかしら?」

「!...気づいてたんですか?」

「これは簡単に分かったわ。分からないのは、あなたの余裕の理由よ。」

 

 湊さんはこっちを見ている。

 

「答えてもらえるかしら?八舞君?」

「...言えません。仮にも俺と湊さんは初対面だ、話すことじゃない。」

「...まぁ、そうね。余計な詮索はやめましょう、今日はね。」

「そうしてくれると助かります。」

 

 湊さんは立ち上がった。

 

「お風呂に入ってくるわ。」

「はい。」

 

 湊さんは風呂場に行った。

 

「...あの人、ポンコツなのかそうじゃないか、分からねぇな。」

 

 俺は片づけを再開しようとした、が

 

「ん?この雑誌。」

 

 俺が拾ったのはバンド雑誌だ。

 

「__なるほど、読んでみたら面白いな。」

 

 片付けもほとんど済んで、俺はその雑誌を読んでいた。

 

「折目のあるページは技術関係、か。」

 

 雑誌の状態的にかなり読まれている。

 音楽には真剣みたいだ。

 

「...全力で取り組める事があるのは良い事だな。」

「__あら。音楽に興味があるのかしら?」

「湊さん...って、髪、乾かしてないじゃないですか。」

「面倒だもの。今日はリサも来ないし。」

「座っててください。俺がやりますので。」

「あら、悪いわね。」

「いえ。」

 

 俺はドライヤーを取りに行った。

 

「__じゃあ、始めます。」

「えぇ、いつでもいいわ。」

 

 俺は湊さんの髪を乾かした。

 

「__はい、終わりましたよ。」

「リサより上手だったわ。」

「それ、本人には絶対言わないでくださいね。多分、恨まれるので。」

「?わかったわ。」

 

 ほんとに分かってるのか?

 

「そういえば、あなたは音楽に興味があるのかしら?」

「いや、興味はないですけど。雑誌の読み込み具合で真剣さが伝わってきましてね。」

「そんなことが分かるの?」

「はい、分かりますよ。感覚ですけど。」

「...それは、音楽の良し悪しも分かるのかしら?」

「中学の時とかは分かりましたね。今は分からないですけど。」

「...試してみたいわ。」

「え?」

「明日、ロゼリアの練習に付き添いなさい。」

「え?良いんですか?」

「えぇ、あなたがどんな感想を言うのか興味が沸いたわ。」

「まぁ、湊さんがいないときは外にいるつもりでしたから、構いませんよ。」

「なら、早くお風呂に入って明日に備えなさい。」

「分かりました。あ、バンドの本とか借りられませんか?」

「構わないけど、なんでかしら?」

「どうせ感想言うなら、参考になること言いたいので。」

「いい意識の高さね。でも、一晩で大丈夫なのかしら?」

「問題ないです。」

「なら、お風呂から上がったら私の部屋に来なさい。」

「了解しました。」

 

 俺は風呂に向かった。

_________________________

 

 俺は風呂を上がって。湊さんの部屋の前にいた。

 

「湊さーん。」

 

 呼ぶと、湊さんが出てきた。

 

「来たわね、入りなさい。」

「え?いいんですか?」

「問題ないわ。見られて困るものなんて無いもの。」

「なら、失礼します。」

 

 俺は湊さんの部屋に入った。

 

「...自室は綺麗なんですね。」

「当り前よ。歌に影響が出るもの。」

「なるほど。」

 

 湊さんは本棚から三冊の本を取り出した。

 

「これを読むといいわ。初歩から専門的なことまで良く書かれてるわ。」

「ありがとうございます。読んだらすぐに返します。」

「焦らなくてもいいのよ?」

「大丈夫ですよ。リビングにいるので、何かあれば呼んでください。」

「えぇ。」

 

 俺は部屋を出た。

_________________________

 

 俺はリビングで借りた本を読んでいる。

 

「なるほどな。今まで感じた違和感はこういう事だったのか...」

 

 読んでみるとなかなか面白い。

 

「ふむ...」

 

 俺は本を読み込んだ。

 

「__八舞君?」

「湊さん?どうしました?」

「ずっと読んでいたの?もう朝よ?」

「え?...あ、ほんとだ。」

 

 朝になっていたらしい。

 

「徹夜なんてして大丈夫なのかしら?」

「大丈夫ですよ。本の内容もあらかた頭に入りました。」

「え?」

 

 湊さんは驚いている。

 

「基本、一回読めば覚えられるので。」

「...日菜みたいなことを言うのね。」

「誰ですか?」

「まぁ、いいわ。朝ごはんにしないかしら?」

「あ、はい。そうですね。」

 

 俺は朝ごはんの用意をした。

 

「__即席って言ってたのに、美味しいわ。」

「普通ですよ?」

 

 俺たちは朝食を食べ終えた。

 

「じゃあ、行きましょうか。」

「はい。」

 

 俺たちは家を出た。

 

「あ、友希那~!」

「あら、リサ、おはよう。」

「うん!おはよ☆」

 

 今井さんが家から出てきた。

 

「あれ?なんで八舞君がいるの?」

「少し、感想を聞いてみたくなったの。」

「珍しいね、友希那がそんなこと言うなんて?」

「...もしかしたら、ロゼリアが上に行くのに必要かもしれないわ。」

 

 湊さんはそう言った。

 

「行くわよ、二人とも。」

「うん!」

「はい。」

 

 俺たちはライブハウスに向かった。

_________________________

 

「ここが、ライブハウスか。」

「早く入るわよ。皆が集まってるわ。」

 

 俺たちはライブハウスに入った。

 

「皆、待たせたわね。」

「いえ、そんなに待ってな__って、八舞君?」

「どうも、氷川さん。」

 

 氷川さんは驚いた顔をしている。

 

「湊さん、なんで八舞君が?」

「彼には今日、練習を見てもらうわ。」

「でも、彼は素人なのでは?」

「そうよ。」

「じゃあ、なんで__」

「もしかしたら、ロゼリアが上に行くのに必要になるかもしれないわ。」

「?...どうゆうことですか?」

「すぐにわかるわ。」

 

 湊さんは皆に声をかけた。

 

「練習を始めるわよ!」

 

 皆、準備に入った。

 

「八舞君。」

「なんですか、湊さん?」

「あなたには私たちの演奏を聴いて感想を言ってもらうわ。気になったところがあれば言ってちょうだい。」

「はい。わかりました。」

 

 そうして、練習が始まった。

 内容は三曲の演奏。次のライブでする曲らしい。

 

__演奏が終わった。

 

「__どうだったかしら、八舞君?」

 

 湊さんがそう聞いてきた。

 氷川さんも真剣な顔をしている。

 

「そうですね。完成度は高いと思います。技術も高いですし。」

「そう。(やっぱり、私の思い過ごしだったかしら。)」

「でも。」

「!」

 

 俺は正直な感想を言った。

 

「今井さんと宇田川さん、走り気味?ってやつですね。それにみんな釣られてましたね。あと、白金さん、一回ミスタッチしましたね?」

「え?そうなの、燐子?」

「はい...すいません。」

「私も気づきませんでした...」

「私もよ。」

「八舞さんすっごーい!」

 

 好印象なようだ。

 

「白金さん、ミスタッチしたところ苦手なんじゃないですか?」

「え?なんでですか...?」

「そこの部分で指がもつれてたので、苦手なんじゃないかなと。」

「せ、正解...です。」

「うっそ!マジじゃん!?」

「...予想以上だわ。」

「八舞君、バンドの経験があるんですか?」

 

 と、氷川さんが聞いてきた。

 

「いや、ないですよ?ちょっと本を読んだだけです。」

「そんな!?本を読んだだけで!?」

「八舞さん、天才なんじゃないですか?」

「そんなものでもないと思うけど。あ、白金さん。」

「はい?」

「少し、キーボード借りますね。」

「え?」

 

 俺はキーボードの前に立った。

 

「見ててください。えっと__」

 

 俺は白金さんが苦手とする部分を弾いてみた。

 

「__こんな感じですれば指はもつれないかと。」

「あ、ありがとうございます...」

「...」

「湊さん?どうしたんですか?」

 

 湊さんは俺の方を黙ってみている。

 

「...なんで、キーボードが弾けるのかしら?」

「え?入門編で書いてあったので。」

「それだけで、あんなに弾けるの?」

「実践しないとわからないですが、多分、全部できます。」

「ベースも!?」

「ドラムも!?」

「ギターもですか。これは...」

「天才、と言う事なのかしら?」

「まさか、日菜と同じ...?」

「...もしかしたら、それ以上よ。」

「あの、皆さんどうしたんですか?」

 

 皆は驚いた顔をしながらこっちを見いる。

 

「八舞君?」

「はい、なんでしょう?」

「ロゼリアのマネージャーにならないかしら?」

「え?」

「私も異論ありません。」

「私もないかな~」

「私もないです!」

「私も...です。」

 

 なんか、すごいことになってるぞ?

 

「湊さん?」

「なにかしら?」

「俺がマネージャーをするのは決定なんですか?」

「...嫌なら、断ってもいいわ。」

「いや、別にいいんですけど。俺でいいんですか?」

「えぇ、あなたがいればロゼリアはもっと上に行けるわ。」

 

 湊さんはそう言った。

 

「そうですか。なら、しましょう、ロゼリアのマネージャー。」

「いいの?」

「いいですよ。基本、予定なんか入らないので。」

「なら、お願いするわ。」

「はい。力になれるように頑張ります。」

 

 俺はロゼリアのマネージャーになった。

 俺はロゼリアを気に入ったみたいだ。




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第5話

紗夜ルート5話です!


 湊さんの家に居候して5日が経った。

 ロゼリアのマネージャーにも慣れた。

 

「湊さん、スタジオの予約しておきましたよ。」

「あら、ありがとう。」

「八舞君、優秀だね~☆」

 

 今日は日曜日、ロゼリアも今日は休養日らしい。

 

「八舞君は今日は何か用事はあるのかしら?」

「今日は氷川さんに呼ばれてますね。」

「え!?紗夜が!?」

 

 今井さんは湊さんを連れて行った。

 

「友希那!これは...」

「話を飛躍させ過ぎよ、リサ。」

「でも、紗夜が休みの日に男子を誘うなんて!」

「それもそうだけれど。」

「これは、尾行するしかないよね!」

「え、いや__」

「友希那も行くよ!」

「ちょっと__」

 

 今井さんと湊さんが戻ってきた。

 

「ねぇねぇ、八舞君!」

「はい?」

「紗夜とは何時に待ち合わせなの?」

「そうですね、もうすぐ出ますね。」

「そっか!頑張りなよ!」

「?何をですか?」

「いいからいいから!」

 

 俺は疑問を残しながら、家を出た。

_________________________

 

「えっと、待ち合わせは...ここで合ってるな。」

「あら、八舞君?」

「あ、氷川さん。おはようございます。」

「おはようございます...って、お早いですね。」

「氷川さんこそ。」

 

 その頃のお二人...

 

「友希那!見てる!?」

「...見てるわよ。」

「紗夜、すっごく優しい顔してるよ!」

「確かにそうね。」

「これはもう、あれだよ!」

「あれって、紗夜は違うって言ってたでしょ?」

「でも、仲良さげじゃん!練習中もよく話してるし!」

「...練習の事でしょう...?」

 

 と、がっつり二人をつけていた。

 

「__それで、今日は何をするんですか?」

「今日は音楽店に行きたいのですがいいでしょうか?」

「はい。」

「じゃあ、行きましょうか。」

 

 俺たちは音楽店に向かった。

_________________________

 

「ここです。」

 

 音楽店に着いた。

 

「入りましょうか。」

「はい。」

 

 その頃の、お二人。

 

「__休みも音楽の事なんて、紗夜は真面目ね。」

「だよね~」

「あの姿勢は感心だわ。」

 

 視点は戻って...

 

「今日はここで何をするんですか?」

「ギターの弦を買ったり、メンテナンスに必要な道具を買ったりですね。」

「俺は役に立てるんですか?」

「はい。八舞君なら知識量で助けてくれると思いまして。」

「そういう事ですか。早速行きましょうか。」

「えぇ。」

 

 その頃の、お二人。

 

「そういえば八舞君、各楽器の本を読破してたわ。

 メンテナンスのやり方は頭に入ってると思うわ。」

「ほんとに優秀だよね。」

「えぇ、助かるわ。」

 

 視点は戻り...

 

「弦はいつも通りでいいのですが。

 メンテナンス道具は...」

「それを買うなら、こっちの方がいいかもです。」

「あら、なぜかしら?」

「本にそう書いてあったからです。」

「...全部覚えてるのですか?」

「はい。」

「すごいですね...」

 

 なんやかんや、買い物は終わった。

 

「買い物は終わったですけど、どうしますか?」

「そうですね...そろそろお昼にしたいです。」

 

 氷川さんはどこかを見ている。

 ファーストフード店?特にポテトを見てるな。

 

「...あの店にしましょうか。」

「え?」

「いいですか?」

「は、はい。構いません...!」

 

 氷川さんは嬉しそうだ。

_________________________

 

「注文は俺がしておくので、席を取っていてもらえないでしょうか?」

「えぇ、わかったわ。」

 

 氷川さんは席取りにいった。

 

「次の方どうぞー!」

 

 呼ばれたのでカウンターに言った。

 

「丸山さん?」

「あれ?八舞君?」

「ここでバイトしてたんですね。」

「うん!そうだよ!

 八舞君は誰かと来てるの?」

「俺は氷川さんと来てますよ。」

「紗夜ちゃんと!?意外...あ、ご注文をどうぞ!」

「えーっと、ハンバーガー二つとポテトのⅬ五つとドリンクは__」

「かしこまりました!...って、ポテトが多すぎない?」

「一応ですよ。」

 

 俺は商品を受け取って氷川さんを探した。

 

「えーっと、氷川さんは...」

「こっちです、八舞君。」

 

 氷川さんが手招きしている。

 俺は氷川さんの方に行った。

 

「お待たせしました。」

「いえ。こちらこそすいません。お金を__」

「大丈夫ですよ。困ってないので。」

「本当ですか?気を使っているんじゃなく?」

「そんなことはないですよ。さぁ、食べましょう。」

「えぇ...って、ポテト...!」

 

 氷川さんは一瞬、嬉しそうな顔をした。

 が、すぐに戻った。

 

「ポテトが多くないですか?」

「すいません、気分的に食べたくなっちゃって。」

「そういうことなら、仕方ないですね...!」

 

 誤魔化せたみたいだ。

 

「まぁ、食べましょうか。」

「えぇ。」

 

 食べ始めた。

 その頃の、お二人。

 

「__八舞君、分かってんじゃん!」

「...心でも読んでるのかしら?」

 

 友希那は疑問に思っていた。

 

「それにしても、紗夜は嬉しそうだったね~!」

「そうね。」

「これは、二人がくっつくのも時間の問題かな~。」

「それはどうかしら。」

「え?」

「リサは気づかないの?」

「え?何に?」

「八舞君は私たちに何かを隠してるわ。」

「そうなの?もう大丈夫と思ってた...」

「えぇ。それまでは分からないわ。」

 

 視点は戻って...

 

 予想外だ。

 正直、ポテト買い過ぎたと思っていたが。普通に氷川さんは食べ切った。

 

「ごちそうさまでした。」

 

 すごいな。よく食べきれるな。

 

「そろそろ出ましょうか。」

「あ、はい。」

 

 俺たちは店を出た。

_________________________

 

「今日はありがとうございました。」

「いえ、俺も中々楽しかったです。」

 

 店を出た後、俺たちは分かれることになった。

 

「それでは、また」

「はい、また学校で。」

 

 俺は帰路についた。

_________________________

 

 湊さんの家に戻ってきた。

 

「__ただいま戻りました。」

「おかえりなさい。」

「おかえり~八舞君☆」

 

 今井さんもまだいたようだ。

 

「お二人は何をしてたんですか?」

「ずっと二人でいたよ?」

 

 今井さんはそう言った。

 

「あ、今井さん。今日、夕飯食べていきませんか?」

「え?いいの!?」

「いいですよ。今日の夕飯はピーマンの肉詰めなので。」

「「え...?」」

「湊さんも好き嫌いは克服しましょうね?」

「」

「私は好きだから大丈夫だな~」

「今井さんは美容は大事と思いますか?」

「う、うん。思うけど?」

「グリーンスムージー、作りますので、飲んでくださいね?」

「え...?」

「気付いてないと思っていたんですか?」

「あの、八舞君...?」

「どうしました、湊さん?」

「私はリサに引っ張られただけだわ。」

「ちょ!?友希那!?」

「...まぁ、そんな気はしてましたけどね。」

「じゃあ__」

「それを抜きにしても、湊さんの好き嫌いは直した方がいいので。」

「」

「あと、今井さんは氷川さんの名誉のために甘んじて飲んでもらいますね?」

「...はい。」

 

 二人は観念したようだ。

 

「__そういえば、八舞君。」

「どうしました?」

 

 湊さんは真面目な顔で話しかけてきた。

 

「一つ、聞いてもいいかしら?」

「...何でしょうか。」

「あなた、私たちに何を隠しているの?」

 

 湊さんはそう聞いてきた。

 

「...言ったでしょう。話すことではないと。」

「そうね。でも、私は今日はと言ったわ。」

「...潮時か。」

「八舞君?」

「俺はここを出ていきます。お世話になりました。」

 

 俺はそう言い放った。

 

 




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第6話

紗夜ルート6話です!


 ”Roselia”

 

「...八舞君がマネージャーをやめたわ。」

 

 友希那はそう言った。

 

「どういうことですか、湊さん!?」

「八舞君が...やめるなんて...」

「何があったんですか、友希那さん!?」

「...私のせいよ。」

「いや!私も...」

 

 友希那とリサはそう言う。

 

「ど、どういう事ですか!?」

「彼の隠してる事を聞いたわ。」

「隠してる、事?」

「どういう事なんでしょうか...湊さん?」

「彼は私たちに何かを隠していたわ。」

「え、隠し事、ですか?」

「そうよ。」

 

 ロゼリアのメンバーは思い当たる部分があった。

 

「...でも、八舞君は聞いてほしくなかったんじゃないですか?」

 

 紗夜はそう言った。

 

「何か理由があって、知ってほしくなかったんじゃないでしょうか?」

「...そうね。」

 

 紗夜は...

 

「八舞君に謝ってください。私も協力します。」

 

 と、言った。

 

「そうですね...私も協力します...」

「あこも!」

「わかったわ。」

「そうだね、友希那。」

 

 ロゼリアの今後の方針が決まった。

_________________________

 

 ロゼリアのマネージャーをやめて、一週間が経った。

 家の復旧は終わっている。でも、帰る気も起きない。

 学校にも行ってない。

 

「...ほんと、俺はいつもこうだな。」

 

 俺の事は人に話すようなものじゃない。

 思い出すだけだ、あの目を...

 

「...あの5日は楽しかった思い出だな。」

「__あれ?八舞君?」

「丸山さん...?」

 

 俺が川を眺めてると、丸山さんが通りかかった。

 

「...バイト終わりですか?」

「うん!...八舞君はどうしたの?学校にも来てないって紗夜ちゃんが心配してたよ?」

 

 丸山さんはそう聞いてきた。

 

「ロゼリアの皆と会いたくないんですよ。」

「なんで?マネージャーもやめたらしいし。」

「丸山さんに話すことでもないですよ。」

 

 俺は川を眺めたままだ。

 

「...八舞君はなんで、そんなに悲しそうなの?」

「...そう見えますか?」

「うん。少なくとも笑顔ではないよ。」

 

 丸山さんは俺の横に来た。

 

「何があったの?」

「実は__」

 

 俺はあった事を話した。

 

「そんなことが...」

「はい。」

 

 丸山さんは目を見開いている。

 

「もとはと言えば、俺に隠さなきゃいけないことがあるのが悪いんですけどね。」

「そんなことないよ?」

「?」

「私にも人に言えないことの一つや二つあるし。この前もスイーツ食べに行ったの千聖ちゃんに黙ってるし!あ、これは内緒だよ?」

「はい、それはいいですけど。何が言いたいんでしょうか?」

「私は隠し事はあってもいいと思うよ!アイドルには隠し事なんて一杯あるからね!」

「そうですか。」

「でも...」

「?」

 

 丸山さんは空を見て。

 

「仲間には、あんまり隠し事はしたくないし、してほしくないな。」

「...」

「私はあんまり賢くないからうまく言えないんだけど、信頼があればあるほど本音を言い合えるんだと思うよ?私はそうだったから。」

 

 丸山さんはそう言った。

 

「八舞君が何を隠してるかは分からないけど、ロゼリアの皆を信じてみてもいいんじゃないかな?」

「丸山さん...」

 

 多分、隠し事の種類も環境も全部違う。

 でも、俺には丸山さんの言葉に説得力があるように思えた。

 

「...分かりました、話してみます。」

「うん!そうするといいよ!」

「すいませんが、丸山さんにも協力していただけないでしょうか。」

「いいけど...何をすればいいの?」

「ロゼリアのメンバーを俺の家に呼んでください。」

「うん!分かった!でも、八舞君は?」

「俺は話すまで学校に行けないので。」

「そうなの。じゃあ、みんな呼んでおくね!」

「お願いします。」

 

 その後、俺は丸山さんと分かれた。

 

「...大丈夫。ロゼリアはあんな奴らとは違う。」

 

 俺は帰路についた。

_________________________

 

 ”紗夜side”

 

「...今日も、来ていませんか。」

 

 紗夜は栄斗のクラスを見に来ていた。

 

「(彼と過ごした時間は短かったですが、楽しいものでした...。そして、彼がいなくなったらとても寂しいです...)」

 

 紗夜は悲しそうな顔をしている。

 

「八舞君...」

「__紗夜ちゃーん!!」

「丸山さん?」

 

 彩が紗夜のもとに走ってきた。

 

「どうしたのですか?」

「うん、実は__」

 

 彩は昨日の事を紗夜に話した。

 

「八舞君が!?」

「うん。そう言ってたよ!」

「ありがとうございます、丸山さん。メンバーには私から連絡しておきます。」

「うん!...八舞君、何かを決めた顔をしてたから、しっかり受け入れてあげてね。」

「...はい!」

 

 紗夜はメンバーに連絡した。

_________________________

 

 放課後になった。

 

「紗夜!」

「湊さん、お早いですね。」

「え、えぇ。朝の連絡は本当なのかしら?」

「はい。事実です。」

「...丸山さんには感謝しないといけないわね。」

「ちょ!友希那~!!」

「友希那さん、早いですよー!!」

 

 リサとあこも走ってきた。

 

「あとは__」

「はぁはぁ...お待たせ...しました...」

 

 燐子も来た。

 

「全員揃ったわね、じゃあ、行くわよ。」

 

 ロゼリアは栄斗の家に向かった。

_________________________

 

「...そろそろ、来る頃だ。」

 

 大丈夫、そう思っても俺には不安がある。

 

「ロゼリアはあいつらとは違う。あんな__」

 

 ピンポーン

 

「__来たか。」

 

 俺は玄関を出た。

 

「__こんにちは、八舞君。」

「はい。こんにちは。とりあず、入ってください。」

 

 俺は皆を招き入れた。

_________________________

 

 皆を招き入れたが、何から話していいかわからない。

 そう思っていると、湊さんが口を開いた。

 

「...八舞君、この間はごめんなさい。」

「私も、ごめん...」

 

 湊さんと今井さんが頭を下げている。

 

「お二人が謝ることじゃないですよ。頭なんて下げないでください。」

 

 二人は頭をあげた。

 

「もとはと言えば、俺が隠さなければよかっただけの事ですから...」

「そんなことはないわ!話したくないことだったのでしょう...?」

「そうです。でも、ロゼリアには話します。俺の過去を。」

「八舞君の過去、ですか?」

「はい。聞けば全部わかります。」

「八舞さんの過去って...」

「なにが、あったんでしょう...?」

 

 俺は一息置いて。

 

「では、話します。」

 

 俺はそう言って話し始めた。

 

「俺の家は一般的に裕福と言える家庭でした。ですが、俺は両親と弟に良く思われていませんでした。両親には殴られる毎日、夕飯も俺の分だけいつも用意されてませんでした。」

「ひどい...」

「腐っていますね。」

「...続けます。ある日、両親と弟は俺を置いて旅行に行きました。俺はその時、殴られない日が続くと思っていました。そんな時に来客がありました、出ていいかわからなかったですが、対応しようと俺は扉を開けました、そこにいたのは警察官と弁護士の男でした。」

「え?なんで?」

「両親と弟が土砂崩れに巻き込まれて、死んだからです。」

「「「「「!!」」」」」

 

 ロゼリアの皆は驚いた顔をしている。

 俺は話しをつづけた。

 

「俺はその時、嬉しかった。もう殴られない、もう苦しまなくてもいい...そう思いました。でも、時間が経つとそんな自分が嫌になりました。人の死を喜ぶ自分に。」

「...」

「でも、ここからが問題でした。両親の身内はすでに亡くなっていました。そのために保険金と遺産は全て俺に来ることになったんです。」

「まさか...」

「はい。俺の財力の余裕はそこからです。」

「そういう事だったのね。」

 

 湊さんは納得したようだった。

 

「続けます。お金が入った後、俺のもとに引き取りの話が来ました。俺はその人と会いました、父の知り合いだったらしいです。」

「え?今、一人暮らしだよね?」

「えぇ。俺はその引き取りの話を受けなかった。」

「え!?な、なんで!?」

「その男の目的は俺が持ってるお金だったからです。あの時の目は忘れられません、欲望しかないあの目を...そして、俺は聞いたんです。」

「な、なにを、ですか?」

「あのガキから金を奪ったら。事故に見せかけて殺す...ってね。俺は逃げました、誰にもばれないところに。そして、ここに住み始めました。」

「八舞君...」

 

 氷川さんは悲しそうな顔をしている。

 

「それから俺は今まで一人で生きてきました...って感じです。」

「そんな事が...」

「腐ってます、どうしようもないくらいに。」

「私たちには、想像がつかないよね...」

「「はい...」」

「皆さんが気にすることでもないですよ。そもそも___っ!?」

「八舞君。」

 

 氷川さんが抱きしめてきた。

 

「...なんで、抱きしめられてるんでしょうか。」

「...分からないです。でも、こうすべきと思ったんです。」

 

 氷川さんは話しだした。

 

「八舞君は私たちといる時間は苦痛でしたか?私たちもあなたの両親やその知り合いと同じと思っていたんですか?」

「......思ってませんよ。花咲川に来てから、俺は人に恵まれていると思います。」

 

 紛れもない本心だ。

 

「...なら、私たちから離れる必要なんか、なかったじゃないですか...!」

「!」

 

 氷川さんは泣いてる。

 

「私は八舞君といる時間が楽しかったです。学校の時もロゼリアの時も、だから、あなたがいない一週間は、とても寂しかったです...」

「氷川さん...」

「だから、私たちの所に戻ってきてください。そして、私たちを支えてください!私たちもあなたを支えますから...!」

 

 氷川さんがそう言うと...

 

「そうだよ!八舞君はロゼリアに必要だよ!」

「そうですよ!八舞さんはあこ達をたくさん助けてくれました!」

「そう...です。そして、これからも...」

「...そうよ、八舞君、あなたはロゼリアに必要だわ。」

 

 皆はそう言っている。

 

「皆さん...」

「ロゼリアは八舞君が信頼するには、役不足でしょうか?」

 

 氷川さんはそう聞いてきた。

 

「...そんな事、ないですよ。」

 

 俺はそう呟いた。

 

「...暖かいですね、ロゼリアは。」

「八舞君?」

「あって間もない俺にここまで言ってくれるなんてね。」

 

 俺はそう思っていた。

 

「俺の止まった心が動き出した気がします。」

 

 俺は一息置いて

 

「...俺はロゼリアに戻っていいんですか?」

 

 俺はそう聞いた。

 

「えぇ、もちろんよ!」

「こっちからお願いしたいです。」

「もちろんだよね☆」

「あこも大歓迎です!」

「私も...です...!」

 

 皆、歓迎してくれている。

 

「そうですか。なら...」

 

 俺は空気を吸って...

 

「改めて、よろしくお願いします!」

「っ!///」

「っ!///」

 

 俺は数年ぶりに心から笑顔になった。

 

「(なんなのかしら...顔が熱いわ。歌ってる時と違う、知らない感情だわ...///)」

「(八舞君、笑うとこんな顔になるのね...///)」

「二人ともどうしたの?」

「「な、なんでもないわ(です)!!」」

「う、うん?」

 

 二人の様子がおかしいな。

 

「友希那さんと紗夜さんの顔真っ赤だー!」

「あ、あこちゃん!?」

 

 そういえば、顔赤いな、風邪か?

 

「あ、そ、そういえば。」

「?」

 

 湊さんが話題を切り替えた。

 

「前の放火、八舞君の過去と関係があるのかしら?」

「そ、そういえば...」

 

 湊さんと氷川さんがそう言った。

 

「...それはないです。俺に危害を加えようとした人たちは皆捕まりました。」

「え?」

「その過程で少し調べてみたんです。その結果...」

 

 俺は一息置いて...

 

「花咲川の制服を着た男子生徒が走って行くのを見た、という人がいました。」

「まさか!?何でそんな!?」

「わかりません。でも、明らかにこちらに殺意を向けていることは確かです。」

 

 氷川さんは驚いている。

 

「でも、動機は何なのかしら?」

「それです。少なくとも、湊さんと今井さん、宇田川さんはありえない。でも、俺と氷川さんと白金さんは今は学校で目立つ存在になっています。」

「つまり、三人のうち誰かが狙われてるってこと?」

「その可能性が高いかと。」

 

 その時扉をたたく音が聞こえた。

 

「__誰だ!!」

 

 俺が廊下に出ると、誰かが走って行くのが見えた。

 

「誰だ、あいつは?__!!」

 

 俺は扉の張り紙に気付いた。

 

「「八舞君!?」」

 

 皆が出てきた。

 

「なにかあったのかしら?」

「...そうですね、あったと言うより、ある、かもです。」

「?...どういう__!?」

 

 皆も張り紙に気付いたみたいだ。

 

「な、なんなのこれは?」

「なんで、こんなことが?」

「...やばいじゃん、け、警察に...」

「あこ、怖いよ...」

「だ、大丈夫だよ...あこちゃん...」

 

 張り紙には『お前らを殺す』と読みずらい字で書いてあった。

 

「...誰が狙いか、分からなくなったわね。」

「そ、そうですね。」

「いや、警察に電話しないと...」

「りんりん...」

「あこちゃん...」

「__大丈夫ですよ。」

 

 皆はこっちを見た。

 

「俺がどうにかします。」

「八舞君、危険だわ!」

「そうです!ここは警察などに相談して...」

「警察はこれじゃ動いてくれないですよ。」

 

 俺はそう言った。

 

「心配しないでください。俺が皆を守ります。」

 

 俺はそう言った。

 

 

 




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第7話

紗夜ルート7話です!




 昨日の一件の後、ロゼリアの皆は家に帰っていった。

 俺は部屋であの張り紙を見ていた。

 

「ロゼリアの皆が来てる時に二回か。」

 

 俺は考え込んでいた。

 

「特定の誰かを狙ってるのか?それとも、全員か?」

 

 それだと、花咲川の生徒って言う目撃証言が使いずらい。

 

「...なんにしても、俺がみんなを守らないと。」

 

 俺は一旦、眠りについた。

_________________________

 

 翌日、俺はいつもより早く家を出た。

 目的は氷川さんと鉢合わせるためだ。

 

「(いた。)氷川さん!」

「あれ?八舞君?お早いですね。」

「偶々、早く起きすぎてしまって...。学校までご一緒してもいいですか?」

「はい、構いませんよ。」

 

 俺は氷川さんと学校に行った。

 登校中は特に誰かに着けられてる様子は無かった。

 

「__どうしたのですか、八舞君?」

「いや、なんでもないですよ。」

 

 俺たちは下駄箱に行った。

 

「...相変わらずですね、八舞君。」

 

 俺の下駄箱にはいくつもの手紙が入っていた。

 

「...勘弁してほしいものです。」

「少しは喜んでもいいと思うのですが...って、これは?」

「氷川さん?」

 

 氷川さんの下駄箱にも手紙が入っていた。

 でも、少し形がおかしい。

 

「珍しいですね?」

 

 氷川さんはそれを取ろうとした

 

「氷川さん、ストップ。」

 

 俺は氷川さんの腕を掴んだ。

 

「ちょっと!八舞君!?///」

「...これ、罠です。」

「え?」

 

 氷川さんは驚いている

 俺は氷川さんの下駄箱に入ってた手紙を開けた。

 

「いっつ...。やっぱりか。」

「八舞君!血が__」

「これ、開けたら手を切るようにカッターの刃が入ってましたよ。」

「だ、大丈夫なんですか!?」

「これくらい、大したことはないです。」

 

 俺は心配そうな氷川さんにそう言った。

 

「白金さんの下駄箱も確認しておきましょう。もしかしたら仕掛けてるかもしれない。」

「え、えぇ。」

 

 俺たちは白金さんの下駄箱を確認しに行った。

 が、白金さんには何もしかけられていなかった。

 

「(狙いは氷川さんと俺か?)」

「保健室に行きますよ、八舞君。」

「え?なんでですか?」

「なんでって、あなたの手当てのためですよ。」

「手当?...あ、血が出てるんだった。」

「だったって...」

「あはは、忘れてました。」

「全く...」

 

 氷川さんは呆れたように言った。

 俺は保健室で手当てをして、氷川さんについて行った。

 

「...狙われてるのは、私、なんでしょうか...?」

 

 氷川さんは不安そうに言った。

 

「...その可能性が現時点で一番高いですね。」

「やはり、そうですか...」

「でも、心配はいりません。」

「え...?」

「俺が守りますから。問題なんかないです。」

 

 俺はそう言った。

 

「八舞君、無理はいけませんよ?」

「大丈夫ですよ。あ、お昼一緒に食べませんか?」

「え!?///......構いませんよ。でもなぜ?」

「俺といてくれた方が守りやすくなるので。あと、安心なので。」

「わかりました。では、お昼休みにですね。」

「はい。俺が迎えに行きますので、出来るだけ誰かといてください。」

「はい。」

 

 俺と氷川さんは分かれた。

_____________________________

 

「よう!栄斗!久しぶりだな!」

「...真波か。」

「なんだ?難しい顔して?」

「少し、困ったことがあってな。」

「...てか、お前、少し表情が柔らかくなったか?」

「?」

 

 真波は突然そう言ってきた。

 

「何と言うか、壁がなくなって来たな!」

「...俺にはわからんな。」

「そうか?俺は少なくともそう思うぞ?いやー嬉しいな!」

「何がうれしいんだか。」

「そりゃあ、友達らしくなってきたからな!」

「...そうか。」

「え?否定しないの?」

「否定してほしいのか?」

「いや、俺としてはされなくていいが、驚いた。」

「まぁ、お前は裏なんかなさそうだからな、友達と思ってもいいと思ったんだ。」

「お、おぉう。」

「ま、よろしくな。涼。」

「!?名前を呼んだだと!?」

「...お前も呼んでるだろ。」

「あ、そっか。」

 

 そんな他愛のない話をし、朝の時間を過ごした。

_________________________

 

 昼休みになった。

 

「よし、行くか。」

「あれ?どこか行くのか?」

「あぁ。」

 

 俺はそう言って教室を出て、三年の教室に向かった。

 

「__えーっと、ここだな。」

「あら?あなたは?」

「あ!八舞君だ!」

「丸山さんと白鷺さん...ですよね?」

「えぇ、あってるわ。」

「三年の教室に何か用なの?」

 

 丸山さんが聞いてきた。

 

「はい。氷川さんとお昼を食べようと思って。」

「「!?」」

「...?」

 

 丸山さんと白鷺さんは驚いた顔をしている。

 

「どうかしましたか?」

「う、ううん!何でもないよ!」

「そうよ、なんでもないわ。紗夜ちゃんなら教室にいるわ、早く行ってあげなさい。」

「はい。ありがとうございます。」

 

 俺は教室に入った。

 

「...ねぇ、千聖ちゃん?」

「...何かしら、彩ちゃん?」

「あの二人って...」

「多分、違うわ。」

 

 二人はそんな会話をしていた。

_________________________

 

「お待たせしました、氷川さん。」

「そんなに待っていませんよ?」

「こんにちわ...八舞君。」

「白金さん、こんにちわ。」

 

 氷川さんと白金さんが一緒にいた。

 

「白金さんもお昼一緒に食べますか?」

「私は...生徒会のお仕事で、すぐにいかないと...いけないです。」

「そうですか。頑張ってください。」

「はい...」

 

 白金さんは教室を出た。

 

「じゃあ、食べましょうか。」

「えぇ。」

 

 俺たちはお昼を食べ始めた。

 

「...氷川さん?」

「はい?」

「生徒会の仕事って、こんなに長いんですか?」

「そういえば、少し長すぎるような__」

「__氷川さんはいますか!?」

 

 突然、ツインテールの女の子が入ってきた。

 

「どうしました?市ヶ谷さん?」

「白金さんが階段から落ちたんです!」

「何!?」

 

 俺は立ち上がって、その女の子に質問した。

 

「状況はどんなだ!容体は!」

「な、なんだお前!?」

「そんな事はどうでもいい。質問に答えろ。」

「...白金さんは教室に戻る途中だった、と思う。容体は手首をひねってる。あと、誰かに押されたって言ってた。」

「くそが!」

 

 完全に油断してた。狙いは氷川さんだと決めつけていた。

 

「八舞君、白金さんの所に行きましょう。」

「はい。」

 

 俺は白金さんのいる保健室に向かった。

_________________________

 

「__白金さん!大丈夫ですか!?」

「!...や、八舞君?大丈夫...です。」

「よかった...」

「よかったです、白金さん。」

「氷川さんも...ありがとうございます...」

 

 白金さんは大丈夫そうだった。

 

「...誰かに押されと言うのは、本当ですか?」

「はい...」

 

 白金さんは不安そうにしている。

 

「すいません。俺が油断したばっかりに。」

「そ、そんなことはないです!私が...しっかりしていれば...」

「二人とも、自分を責めるのはやめましょう。」

 

 氷川さんはそう言った。

 

「...あと、分かったことがありますよね?八舞君?」

「はい。犯人は確実に花咲川にいます。」

「そうですね。」

「でも、一応、湊さんと今井さん、宇田川さんとも放課後に合流しましょう。」

 

 俺はそう言って。二人を教室に送ってから、教室に戻った。

_________________________

 

 放課後だ。

 俺は三年の教室に急いで向かった。

 

「__よし、二人ともいるな。」

 

 俺は教室に入った。

 

「お待たせしました。」

「いえ、私たちもさっき終わったところです。」

「こんにちわ!八舞君!」

「こんにちわ。」

「丸山さんに白鷺さん?」

「話は聞いたわ。ロゼリアが危ないみたいね。」

「はい。」

「私たちも紗夜ちゃんと燐子ちゃんと一緒にいるようにするわ。」

「ありがとうございます。助かります。」

 

 白鷺さんたちも協力してくれるみたいだ。

 

「氷川さん、白金さん。とりあえず、ほかの三人と合流しましょう。誰が狙われるか分からいですから。」

「はい。」

「はい...」

「それじゃあ、お二人もお気をつけてください。」

「うん!頑張ってね!八舞君!」

「気を付けておくわ。」

 

 俺たちは学校を出た。

_________________________

 

 その後、皆と合流した。

 そして、俺の家に集まっていた。

 

「__今回、白金さんが被害に遭いました。俺の責任です、すいません。」

「八舞君の気に病むことじゃないわ。」

「そうだよ!」

「...でも、これで誰が狙いか分からなくなりました。」

「そうですね。」

「はい、最初は氷川さん狙いかと思っていました。でも、現にこうして白金さんが狙われてます。犯人が花咲川にいることは確実です、でも、湊さんたちが狙われないとも限らない。」

 

 俺は頭を抱えた。

 

「何が狙いだ?最初は放火、次にカッターの入った手紙、そして突き落とす?」

 

 考えれば考えるほど分からない。

 

「(どうする?犯人を捕まえるのは大事だが、一番はロゼリアへの被害を最小限にすることだ。そうするには...)」

「八舞君?どうしたんですか?」

「...これしかない。」

「え?」

 

 俺はこういった。

 

「皆さん、俺の家にしばらく泊まりませんか?」

 

 沈黙が流れる。

 

「あ、あのー八舞君?」

「なんですか?今井さん?」

「なんで、その結論に至ったのかな?」

「皆さんを守るにはこうするのが一番だと思ったからです。そして、皆さんの家族も。」

「...確かに、そうかもしれないわ。」

「確かに、被害は抑えられるかもしれないですね。ですが、大丈夫なんですか?」

「何がですか?」

「食事などは...」

「それなら大丈夫です。用意できますので。」

「白金さんと宇田川さんはどうですか?」

「私は...八舞君の言う通りにします...」

「あこもそれがいいと思います!」

「うーん、まぁ、そうだよね。私もそれがいいと思うかな!」

 

 意見が一致した。

 

「じゃあ、生活必需品など取りに行きましょう。俺もついて行きます。」

 

 一旦、家を出た。

_________________________

 

 各自、必要なものを揃え、家に戻った。

 

「とりあえず、しばらくは泊まれますね。」

 

 俺は確認を取った。

 

「こんな状況だけど、皆とお泊りってわくわくするね!」

「リサ、ふざけていては駄目よ。」

「そうです、今は危機的状況なんですよ?」

「でもさー」

「いえ、今井さんくらい心余裕があった方がいいかもしれないです。」

 

 俺はそう言った

 

「ただでさえ、心労が溜まるので、楽にしてた方がいいです。」

「そうかしら?」

「はい。」

 

 俺は夕飯の用意をした。

 

「八舞君、手伝いましょうか?」

「氷川さん?...じゃあ、野菜を切って貰えますか?」

「はい、お安い御用です。」

「...八舞君、私も手伝うわ。」

「友希那!?」

 

 今井さんが驚いてる。

 

「あの、友希那がお手伝い!?...初めて見た...」

「リサ、あなた失礼ね。私も出来るわ。」

 

 と、本人は言ってるが、俺も少し心配だ。

 

「...じゃあ、食器を出していてもらえないでしょうか。」

「そんなことでいいの?」

「はい。」

 

 湊さんは食器を出しに行った。

 

「...早く作らないと。」

 

 俺は急いで夕飯を作った。

 

「__できました。」

「美味しそうだわ。」

「うん!そうだね、友希那!」

「流石、八身君ね。」

「はい...そうですね。」

「八舞さんすごいです!」

「...まぁ、早く食べてください。」

 

 皆は食べ始めた。

 

「八舞君は食べないのかしら?」

「はい、まだすることがあって。」

「そう。」

 

 俺は自室に戻った。

 

「__今後、どう動いてくる?」

 

 俺は考えていた。

 

「しばらく、皆は大丈夫だと思う。でも、長くはもたない。早く片をつけないと。」

 

 俺は例の張り紙を見ていた。

 

「...次は、どう来る?」

 

 考えてるうちに時間が過ぎた。

 

「八舞君?」

「ん?湊さん?どうしたんですか?」

 

 俺は部屋から出た。

 

「どうしました?」

「お風呂はどうすればいいかしら?」

「あ、多分そろそろ沸くと思います。」

「そうなの?」

「はい、時間で設定しているので。」

「...八舞君はご飯とかは大丈夫なのかしら?」

「はい、大丈夫ですよ?」

「...そう。」

 

 湊さんはリビングに戻っていった。

 

「心配してくれてたのか?」

 

 俺は自室に戻った

 そして、一日が終わった。

_________________________

 

 皆が家に来て二週間ほどたった。

 皆はこっちの生活に慣れたみたいだ。

 だが、犯人は何も動いてこない。

 

「...どう言うことだ?」

「どうしました?八舞君?」

「いえ、なんでもないですよ。」

 

 俺たちは朝食をとっていた。

 

「そういえば、八舞君?」

「はい?」

「ここの所、眠っていますか?」

「...」

 

 氷川さんは鋭いな。

 

「いえ、あまり。」

「無理はいけませんよ?」

「問題ないですよ。」

 

 俺はそう答えた。

 

「今日はロゼリアの練習ですよね?」

「えぇ、その予定よ。」

「すいません、私は少し遅れます。」

「あら?そうなの?」

「風紀委員の仕事があって、少し。なので、八舞君も先に行っててください。」

「はい。」

 

 俺はそう答えた。

 

「__そろそろ時間ですね、行きましょう。」

 

 俺たちは家を出た。

_________________________

 

「おーっす!栄斗!」

「涼か。」

「今日も難しい顔してんなー!」

「安心できる立場じゃないからな。」

「例の、あれか?」

「あぁ。」

「俺も頼れよ?手伝うから。」

「もしもの時は頼む。」

 

 そういう話をした。

_________________________

 

 放課後になった。

 

「白金さんを迎えに行くか。」

 

 俺は三年の教室に向かった。

 

「__白金さん。」

「あ、八舞君。」

「あれ?氷川さんはもう行ったんですか?」

「はい...早く練習に行きたいからと。」

「なるほど。じゃあ、行きましょうか。」

「はい。」

 

 俺たちはライブハウスに向かった。

_________________________

 

「あら、八舞君、燐子、来たわね。」

「おまたせしました。」

「私たちもさっき来たところよ。早速入りましょう。」

 

 俺たちは練習を開始した。

 そして、一時間ほど経った。

 

「__紗夜、遅いわね。」

「そうですね。」

「確か...一時間以内には来れると...言ってました。」

 

 その時、終えに電話がかかってきた。

 

「涼か、どうした?」

『やばい、氷川さんって風紀委員の人だよな?』

「あぁ、そうだが。」

『早く来い!氷川さんが連れていかれた!』

「何!?誰にだ!?」

『お前が顔合わせの時に殴ったやつだ!ほかにも何人かいる!』

「まさか...あいつか!わかった、すぐ行く!絶対に一人で行くな!」

 

 俺は電話を切った。

 

「__行かないと!」

「私たちも行くわ!」

「危険です!待っててください!」

「...仲間のピンチを見逃すことは出来ないわ!」

「...わかりました。」

 

 俺たちは全員で学校に向かった。

_________________________

 

「栄斗!」

「涼!氷川さんはどこだ!」

「多分、体育館だ。」

 

 俺たちは体育館に向かった。

_________________________

 

「__氷川さん!!」

「来たか、八舞栄斗。」

「やっぱり、お前が犯人だったか。」

「あぁ、そうさ。君には火事で死んでもらいたかったけどね。」

「なんで、ロゼリアに手を出す?」

「簡単さ。君を絶望させて、ロゼリアを僕のものにする。」

 

 そいつはそう言った。

 

「僕はロゼリアのファンなんだ。」

「...ほう、顔合わせの時、氷川さんを邪険にしてたみたいだが?」

「あれは一種の気の迷いさ。」

「ものは言いようだな。」

 

 湊さんが話し出した。

 

「早く紗夜を返しなさい。」

「君が湊友希那か!大丈夫!君も僕のものになるから!」

「...不快だわ。」

 

 湊さんの顔が青くなっている。

 

「氷川さんはどこだ?」

 

 そろそろ、キレそうだ。

 

「氷川さんは...おい、連れてこい。」

 

 取り巻きみたいなやつに声をかけた。

 氷川さんは縛られている。

 

「んー!!んー!!」

「紗夜さん!!」

「紗夜!!」

「__うるさいぞ!!」

 

 そいつは氷川さんを蹴った。

 

「全く、僕に逆らうな!」

「...ありゃ、ひでぇ。」

「紗夜!」

「早く、助けないと!」

「紗夜さん!」

 

 皆が氷川さんの方に向かったが...

 

「__止まれ!!!」

 

 俺は止めた

 

「や、八舞君?」

「...あいつは俺が殺します。」

「え、ちょ!八舞君!」

 

 俺は歩き出した。

 

「なんだ、君から来てくれるのか。僕を殺すとか言ってたけど、恨みで殺したいのは僕だ!」

 

 取り巻き二人が出てきた。

 

「こいつから、お前を殺せば金が出るからな。」

「卑怯でも殺すぜぇ!!」

「僕の分も残していくんだぞ!」

 

 調子に乗ってんな。

 

「...大変だな、ゴミの協力者なんて。」

 

 俺は取り巻きの腕を折った。

 

「うごぉぉぉ!!」

「うがぁぁぁ!!!」

「...かわいそうに。」

 

 俺は歩いた。

 

「お、おい!お前ら!こいつを止めろ!!」

「無理だろ。折れてんだから。」

 

 発狂してる。

 

「ち、近づくな!!こいつを殺すぞ!!」

「んん!!」

 

 氷川さんにナイフを突きつけた。

 

「「紗夜!!」」

「「紗夜さん!!」」

「...涼、抑えてくれ。」

「何?__うわ!!」

 

 涼がいつの間にか後ろに回っててくれた。

 

「これでいいか?栄斗?」

「十分だ。皆!今のうちに氷川さんを!」

 

 皆が氷川さんに駆け寄る。

 

「__はぁはぁ、助かりました。」

「よかったぁ、紗夜!!!」

「ちょ!今井さん!?」

 

 氷川さんは解放された。

 

「...さてと、涼、下がってろ。」

 

 涼は下がった。

 

「...覚悟はできてるな?クズ野郎。」

「くそが!」

 

 また発狂しだした

 

「くそ!なんで、なんで僕ばっかり!!こいつに殴られてから学校ではごみを見る目で見られ!教師からは問題児扱い!全部、全部、お前のせいだ!八舞栄斗!詫びろよ!お前が死んで僕に詫びろ!!」

「知るか。」

 

 俺は眼鏡ごと顔面を殴った。

 

「ぎゃー!!目が、目が!!」

「もう一発...」

「ま、まて!目にガラスが__」

「うるさい」

「ぐふっ!!!」

 

 吹っ飛んでいった。

 俺は距離を詰めて殴り続けた。

 

「おら、立てよ、殺すぞ。」

「...な、なんで、僕がこん...な__ぐふっ!!!」

「なんでだと?ロゼリアに迷惑かけて、白金さんを階段から落として?氷川さん蹴ったよな?最初の放火もロゼリアごと狙ってたよな?」

「ひっ!!!」

 

 俺は殴り続けた。

 

「もうそろそろ死ねよ。」

「ヒューヒュー...」

「目障りだ、とどめを__」

「「八舞君!」」

「!?」

 

 湊さんと氷川さんに止められた。

 

「...どうしたんですか?」

「もう、いいわ。このままじゃ、あなたまで捕まるわ!」

「そうです!もう充分です!!」

 

 二人はつづけた。

 

「八舞君がいなくなったら私たちは悲しいわ...!」

「もう、私たちから離れないんでしょう!」

 

 二人はそう言った。

 

「...はぁ、仕方ないですね。」

 

 俺は殴るのをやめた。

 こうして、事件は幕を閉じた。

_________________________

 

 その後、あいつは警察に捕まった。

 状態はかなりひどかったらしい。

 氷川さんも蹴られはしたもののけがなどはなかった。

 俺は暴力と言うことで停学になった。

 だが、平和な日常は戻ったと言えるだろう。

 俺は今、ロゼリアの練習に来ている。

 

「宇田川さん、ミス一回。」

「うへー」

「今井さんは早いです。」

「あははー」

 

 俺はこんな調子だ。

 怖がられると思ったが、意外と大丈夫だった。

 

「白金さんは手首の調子は良さそうですね。」

「はい...大分、良くなりました。」

「八舞君。」

「私たちは。」

「「どうだったかしら(でしょうか)?」」

 

 変わったことをあげるとするなら、この二人だ。

 なんせ、距離が近い。

 

「お二人はいつも通り完璧です。」

「そ、そう///」

「そうですか///」

 

 俺が褒めるとこうなり...

 

「ところで、日曜日、一緒に出掛けないかしら?」

「八舞君、私と出かけませんか?」

 

 よく、出かけるのに誘われるようになった。

 

「あはは~。またやってるね☆」

「そう...ですね。」

「友希那さんも紗夜さんも八舞さんのこと好きなんですか?」

「ちょ!?あこ!シッー!」

「ちょっと、あこ!///」

「宇田川さん!!///」

「そうだぞ、宇田川さん。そんなわけないだろ?」

「...あちゃー」

「どうしたんですか今井さん?__って。痛い!」

 

 突然、二人につねられた。

 

「な、なんですか...?」

「ふん。八舞君が悪いわ。」

「そうです!」

「えぇ...」

 

 なんで?

 

「...これは。」

「先が長そうだね~☆」

「どういうこと?リサ姉?」

「う~ん、あこには分からないかな~」

 

 俺にも分からん。

 

「「八舞君!」」

「は、はい?」

「「絶対に気付かせ(るわ)(ますからね)!///」

「え?何に?」

 

 俺がこの二人の言葉の意味を理解するのは、

 そう遠くない...

 

 

 

 

 




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第8話

紗夜ルート8話です!


 俺は今、ロゼリアの練習が終わりファミレスにいる。

 

「__そういえば、もう少しでテストですね。」

「そういえば、そうですね。」

「八舞君は勉強は大丈夫ですか?よろしければ私が教えますが?」

「俺は問題ないですね。」

「そうですか...」

「?」

 

 なんか残念そうだな?

 

「八舞さん、勉強得意なんですか?」

「まぁ、苦手ではない。」

「じゃあ!あこの勉強見てくださいよ!」

「いいぞ。どこだ?」

「ここです!」

 

 宇田川さんは問題集を見せてきた。

 

「ここか。ここはまず__」

 

 俺は説明した。

 

「__って、感じだ。分かったか?」

「はい!すごく分かりやすかったです!」

「宇田川さんが理解する気があったからだ。」

「あ、そういえば!」

「?」

 

 宇田川さんが思い出したように言った。

 

「八舞さん、なんで私の事、宇田川さんって呼ぶんですか?」

「えーっと...なんでだ?」

「よければ、あこって呼んでください!」

「うん、いいぞ。あこ。」

「「!?」」

 

 俺があこと呼ぶと湊さんと氷川さんが反応した。

 

「ねぇ、八舞君?」

「はい、なんでしょう湊さん?」

「八舞君はなんで私たちを名字で呼ぶのかしら?」

「そうです!」

「そういえば、そうだね~」

「そう...ですね。」

「えーっと、皆さんは年上なので、名前呼びはちょっと...」

 

 俺はそう答えた。

 

「そんなこと気にしなくていいわ。」

「そうです。私たちは仲間じゃないですか。」

 

 二人はやけに食い気味だな。

 

「うーん...。やっぱり俺には無理ですね。」

「そう...」

「そう、ですか...」

 

 二人はへこんだみたいだ。

 

「友希那!あれだよ!八舞君は友希那を尊敬してるから呼べないんだよ!ね!そうだよね?!」

「は、はい。そうですね。」

「氷川さんも...八舞君に尊敬されてるから...ですよ?」

「...そうですか。」

「まぁ、お二人とも尊敬すべき先輩なので、呼びずらい部分もありますね。」

「そ、そういう事なら仕方ないわね...!」

「そ、そうですね...!」

 

 二人の機嫌は直ったみたいだ。

 

「__そろそろ、解散しましょう。」

「そうね。」

「もうこんな時間か~、楽しい時間は早いね☆」

「楽しかった...です。」

「集いし悪魔たちの...えーと。楽しかったです!!」

「(あこって、高校生、なんだよな?)」

 

 俺は疑問に思った。

 

「それじゃあ、解散よ。」

 

 湊さんの一声で解散した。

_____________________________

 

 そして、テスト一週間前だ。

 

「__ねぇ、八舞君?」

「なんだ、山吹?」

「八舞って勉強得意?」

「苦手じゃない。」

 

 急にどうしたんだ?

 

「いや、いつも寝てるから気になって。」

「そういえば、栄斗はいつも寝てるよなー」

「...授業は好きじゃないからな。」

 

 俺はそう答えた。

 

「もう、一週間後だからなー俺も勉強始めねぇと。」

「私もだー」

「__沙綾!」

 

 突然、誰かが入ってきた。

 

「香澄?どうしたの?」

「助けて!有咲が__」

「こらぁ!香澄!勉強するぞ!!」

「あ、そういう事か。」

「誰だ?」

「私のバンドの仲間だよ。」

「あれ!沙綾、男の子と話してる!珍しい!」

「そんなのじゃないから...」

「はぁはぁ、逃げ足速すぎだろ...って、お前は。」

「あー、どうも。」

「有咲も知り合いなの?!」

「いや、この前脅された。」

「...あの時は悪かったな。」

「え?有咲に何したの?」

「えーっと__」

 

 俺はあの時の事を話した。

 

「なんだ、そういう事だったのか。」

「すまんかったな。」

「いや、そういう事なら仕方ねぇよ。」

「有咲やっさし~!」

「香澄!そんなんじゃねぇ!」

「わー!有咲が怒った~!」

 

 戸山は走っていった。

 

「こら!...じゃあ、行くわ。」

「じゃあね~有咲~」

 

 市ヶ谷も出て行った。

 その時にチャイムもなった。

 

「騒がしい休み時間だ。」

「悪くないだろ?」

「...あぁ。」

 

 そうして、時は流れる__

_____________________________

 

 テストの初日だ

 

「はぁ、憂鬱だ~!!」

「うるさいぞ、涼。」

「だってよ~栄斗~!」

「大丈夫だ、涼。」

「栄斗...」

「お前が留年しても、たまに会いに来てやる。」

「そっち!?」

「...冗談だ。」

「え?間が気になるんだけど?」

 

 テストが始まった。

 

__テストが終わり、テストの結果が返ってきた。

 

「順位出てるから行こうぜ!」

「興味ないんだが。」

「いいから!行こうぜ!」

「ちょ!おい!」

 

 涼に連れていかれた。

 

「__えーっと、俺は...58位か!栄斗は何位だ?」

 

 俺は指をさした。

 

「1位じゃねぇか!てか、満点って、人間じゃねぇ...」

「あんなの、簡単だ。」

「__有咲ぁ!!」

「ん?」

 

 戸山の叫び声が聞こえた。

 

「有咲!大丈夫?!」

「どうした、戸山?」

「あ!八舞君、実は__」

 

 戸山に状況を説明された。

 

「...つまり、テストで1位取れなかったからへこんでるのか。」

「......そうだよ、悪いかよ。」

「いや、なんか悪いな。次からは一個くらい間違えるようにする。」

「馬鹿にすんな!」

「いや、してないぞ。俺は1位なんかに興味がないから、取りたい奴がとればいいと思ってるだけだ。」

 

 俺はそう言った。

 

「お前は間違える必要はねぇ!私も満点取ってやる!!」

「その意気だよ、有咲!」

「お前はもっとどうにかしろ!」

「わー!ごめんなさいー!」

 

 戸山と市ヶ谷は走っていた。

 

「...そういえば、氷川さんと白金さんはどうだったんだろ。」

「__私は2位でした。」

「私は...4位...です。」

「あれ?二人ともどうしたんですか?」

「私たちは八舞君の結果が気になって。」

「どう...でしたか?」

 

 俺は指をさした。

 

「...1位ですか。すごいですね。」

「あの、氷川さん...点数、見ましたか?」

「え?」

 

 氷川さんはもう一回順位表を見た。

 

「え?満点...?」

「えーっと、一応?」

「...日菜みたいですね。」

「日菜?前もそれ言われましたけど、誰なんですか?」

「私の双子の妹です。」

「へぇ、妹さんがいたんですね。双子とはまた珍しい。」

「日菜は天才です。八舞君と気が合うかもしれないですね。」

「そんなことはなさそうですが。」

 

 そんな会話をした。

_____________________________

 

 放課後だ。

 今日からライブが近いらしいので練習時間が増えるらしい。

 

「__あ、来ましたか、八舞君。」

「あれ?2人とも待ってたんですか?」

「えぇ。早く行きましょう。」

「そうですね。」

 

 俺たちはライブハウスに向かった。

 

「__来たわね、三人とも。」

「お待たせしました、湊さん。」

「別に待ってないわ。早く、練習を始めましょう。」

「そうですね__」

「__お姉ちゃん!」

 

 突然、水色の髪の人が入ってきた。

 あれ?誰かに似てるな?

 

「日菜、少し静かに入りなさい。」

「はーい!」

「あの人が氷川さんの妹か。」

「えぇ。妹の日菜です。」

「氷川日菜だよ!」

「八舞栄斗です、よろしくお願いします。」

「へぇ~、君が...」

「何か?」

「お姉ちゃんが君の事いつも話してるんだ~!」

「ちょっと!日菜!///」

 

 氷川さんが止めに入った。

 

「いっつも楽しそうに、八舞君がかっ__」

「やめて!!///」

「?」

 

 なんて言おうとしたんだ?

 

「あの、氷川さん?」

「「はい?(どうしたの?)」」

「あ、二人とも氷川さんだった。妹さんの方です。」

「私?あ、それと、私は名前でいいよ!」

「じゃあ、日菜さんって呼びます。」

 

 湊さんと氷川さんの表情が変わった気がするけど、気のせいだろう。

 

「それで、どうしたの?」

「あ、そうでした。日菜さんは何しにここに?」

「あ!お姉ちゃんにピック届けに来たんだった!」

 

 日菜さんは氷川さんにピックを渡した。

 

「ありがとう、日菜。」

「全然いいよ!じゃあ、私は帰るね!」

 

 日菜さんはライブハウスを出て行った。

 

「さて、練習を始めま...しょうか?」

 

 湊さんと氷川さんに睨まれてる。

 なんでだ?

 

「あの、どうかしました?」

「...日菜は名前で呼ぶのね。」

「え?」

「私たちは呼べないと言っていたのに...」

「あら~、二人とも拗ねちゃったね~」

「え?」

 

 言われてみればそうだな。

 

「日菜さんは年上って感じがしなかっただけですよ?」

「「...」」

「あはは~、ご立腹だね~二人とも~☆」

「え?俺はどうすれば?」

「...私たちも名前で呼びなさい。」

 

 湊さんがそう言った。

 

「いっそのこと、ロゼリア全員を下の名前で呼べばいいのでは?」

「え?」

「お!いいね~それ!」

「いい...と、思います。」

「あこもあこも!」

 

 なんか話が進んでるぞ?

 

「あの__」

「八舞君?」

「はい。」

「これからは私たち全員を名前で呼びなさい。わかったわね?」

「......はい。」

 

 こうして、全員を名前で呼ぶことになった。

 

「__じゃあ、練習をするわよ。ライブ前だからみっちり行くわよ!」

 

 練習が始まった。

 

「あこ、早いぞ。」

「すいません!」

「燐子さんはもう少し速く!」

「はい...!」

「リサさんは速いです。」

「ご、ごめ~ん!」

 

 練習は進んでいった。

 

「__少し、休憩にするわ。」

「あ~、疲れた...」

「そうだね~、かなりハードだね~」

「でも...楽しいです。」

「もっと完璧な演奏をしなくては...」

 

 各々、練習の事を口にしている。

 

「皆さん飲み物ですよ。」

 

 俺は飲み物を配った。

 

「友希那さんは、はいどうぞ。」

「これは?」

「のど飴です。切らしたって言ってたので。」

「助かるわ。」

「紗夜さんは何かいりますか?」

「私は、特にないですね。」

「必要なものは言ってくださいね。」

「はい。」

 

 それから少し休憩が続き、練習が再開された。

 

「__最後に1回通すわよ。」

 

 通しが始まった。

 演奏自体はいい感じだ。

 そうして、練習が終わった。

 

「今日はこれで終わりよ。」

「お疲れさまでした。」

「あー!疲れたー!」

「そうだね、あこちゃん。」

 

 皆が返る用意をして、帰っていった。

 俺は後始末をしていた。

 

「__あれ?リサさん残るんですか?」

「うん~。家にいても落ち着かないからね!」

「じゃあ、俺も残りますよ。手伝います。」

「マジ?助かる~!」

「じゃあ、弾いてみてください。」

「おっけ~☆」

 

 リサさんは演奏した。

 

「__どうだった?」

「そうですね、この部分が__」

 

 改善点の説明をした。

 

「なるほどね!ありがと☆」

「お役に立ててよかったです。」

「じゃあ!もう1回やってみるよ!__!?」

 

 リサさんが一歩下がるとコードに足が引っ掛かった、そして、機材が倒れてきた。

 

「リサさん!」

 

 俺はリサさんをかばった。

 結構、倒れて来たな。

 

「...大丈夫ですか?」

「う、うん。ごめん__!!」

「?」

 

 今、俺はリサさんを抱き寄せてる状態だ。

 

「(ちょっ!近いー!!///)」

「...どうしました?」

「う、ううん!何でもないよ!///

 (あれ?おかしいな...めっちゃドキドキするー!!///)」

「...とりあえず、機材を直しましょうか。」

「う、うん///」

 

 俺はリサさんと機材を直し始めた。

 

「えーっと、これはここでこれは...って、どうしました?リサさん?」

「え!?な、なんでもないよ!///」

「そうですか?」

「(おかしいよ、私はそんなにチョロくな__)」

「?」

「(ダメだよー!!これ完全にオチっちゃってるよー!!///)」

「リサさん?練習はここで切り上げましょう。」

「え?なんで?」

「体調が悪そうだからです。練習も大事ですが、リサさんの方が大事ですから、ね?」

「///(やばいよー!優しすぎでしょ!これは...仕方ないよね?///)」

 

 俺たちは片づけを終えてライブハウスを出た。

 俺はリサさんを送ることにした。

_____________________________

 

「__ねぇ、八舞君?」

「はい?」

 

 帰り道でリサさんが話しかけてきた。

 リサさんは落ち着いたようだ。

 

「ごめんね、さっきはかばってもらっちゃって...」

「いいですよ。リサさんがケガするくらいなら俺がした方がいいです。」

「そんなことないよ。」

「リサさん?」

 

 リサさんは静かにそう言った。

 

「八舞君、私さライブ前になると眠れないんだ...」

「そうなんですか?」

「うん。上手く弾けるかなとか、失敗しないかなとか、そんな事ばっかり考えちゃって...」

「......」

「ロゼリアは皆の技術が高いから、私は浮いちゃうんだよ、足を引っ張っちゃう。」

「...そんな事はないですよ。」

「え?」

「リサさんはロゼリアの精神的主柱です。技術だってリサさんは劣ってないです。」

 

 俺はそう言った。

 

「リサさんがいないとロゼリアは大変ですよ?」

 

 俺は笑いながらそう言った。

 

「そうかもね!」

 

 リサさんも笑ってくれた。

 

「...リサさんが不安なら、俺はいくらでも練習に付き合います。」

「八舞君...」

「リサさんの不安が消えるまで、ね!」

 

 俺は笑顔でそう言った。

 

「っ!///」

「あ、リサさんの家着きましたよ?」

「あ。う、うん!送ってくれてありがと!」

「はい。体調には気を付けてくださいね?」

「うん!またね☆」

 

 リサさんは家に入っていった。

 

「帰るかな。」

 

 俺は帰路についた。

_____________________________

 

 ”リサside”

 

 リサは自分の部屋に戻った。

 

「はぁ~疲れた...」

 

 リサはそう言いつつ、今日の出来事を思い出していた。

 

「八舞君...///」

 

 リサはベッドの上で悶えている。

 

「(友希那と紗夜を応援しようと思ってたのに...///)」

 

 リサは天井を見て。

 

「...あんなのされたら、完全にオチちゃうじゃん...///」

「__リサ?」

「んあっ!ゆ、友希那!?ど、どうしたの?」

 

 友希那がベランダから話しかけてきた。

 

「少し、話さないかしら?」

「うん!いいよ!」

 

 リサは窓を開けて。

 

「(負けないよ!友希那にも紗夜にも!)」

 

 そう思いつつ、友希那と話しに行くのだった。

 




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第9話

紗夜ルート9話です!


「__ねぇ、どうだった?」

「いいですよ。ミスもなかったですし。」

 

 俺は約束通り、リサさんの練習に付き合っていた。

 

「これなら明後日のライブも問題ないですよ。」

「そう?八舞君がそう言うなら安心だね!」

「俺の事信用しすぎですよ。」

 

 リサさんからの俺への評価は高いみたいだ。

 

「じゃあ!そろそろ帰ろ!」

「そうですね。今日も送りますよ。」

「ありがと☆」

 

 俺たちはライブハウスを出た。

_____________________________

 

 外はすっかり暗くなってる。

 

「暗いね~!」

「そうですね。早く帰りましょう、リサさん。」

「もうちょっとゆっくり行こうよ~」

「ダメです。リサさんに何かあったらダメなので。」

「う~ん、仕方ないか~。...何かあったら、守ってくれる...?」

「当り前です。何もしないなんて選択肢はありません。」

「そっか!(やっぱりかっこいい~!!///)」

 

 リサの内心は騒がしいようだ。

 

「__着きましたよ。」

「うん!また明日ね、八舞君!」

 

 リサさんは家に入った。

 

「__あら?八舞君?」

「友希那さん?どうしたんですか、こんな夜に?」

「少し散歩よ。八舞君は?」

「俺はリサさんの練習に付き合ってたんですよ、それで、送りに来ました。」

「...最近、リサが早く寝れてるのは八舞君のお陰だったのね。ありがとう。」

「いえ、マネージャーとして当然ですよ。」

「いい心がけね。明日の準備は出来てるかしら?」

「はい、そちらも問題ないです。」

「そう。」

「じゃあ、俺は帰りますね?」

「えぇ、さようなら。」

 

 俺は帰路についた。

_________________________

 

 今日はライブ前最後の練習だ。

 

「おはようございます。」

「おはようございます。八舞君。」

「紗夜さん、お早いですね。」

「えぇ、少し弾いておきたくて。」

「俺はほかの用意をしておきますね?」

「お願いします。」

 

 そうして、紗夜さんはギターを弾き、

 俺は機材準備を始めた。

 

「(相変わらず、正確な演奏だ。紗夜さんらしいな)」

 

 と、俺は準備をしつつ紗夜さんを見ていた。

 

「どうしましたか、八舞君?」

「いや、正確な演奏だと思って。」

「そうですか?でも、まだまだですよ。」

「まだまだ?」

 

 演奏的には熟練度は高いと思うが。

 

「...私は私の音を見つけなければいけません。」

「紗夜さんの、音?」

「はい。私だけに出せる音です。私の演奏は正確なだけですから。」

「俺は出せてると思いますけど。」

「え?」

「紗夜さんの音ですよね?正確な音、紗夜さんらしいと思いますよ?」

「でも__」

「それで納得いかないなら、もう少し優しく弾いてみてはどうでしょう?ロゼリアの皆といるときの紗夜さんみたいに。」

 

 俺はそう言った。

 

「紗夜さんの音は紗夜さんの人となりを表すものじゃないんでしょうか?」

「私の、人となり、ですか?」

「はい。厳しくもあり、優しくもある。まぁ、あって間もないですけどね。」

「意識してみましょう。」

「...そうですか。紗夜さんの音、聞けるのを楽しみにしてます。」

「その時は一番に聞かせてあげますよ!」

「それは光栄ですね。」

 

 そんな会話をしてるうちにみんなが来た。

 

「__あら、紗夜、八舞君。早いわね。」

「ごめんね~待たせちゃって!」

「ごめん...なさい。」

「すいません!」

「いえ、気にしなくてもいいですよ?ね、紗夜さん?」

「はい、気にしなくてもいいです。」

「悪いわね。」

「あ、用意はしてありますよ。微調整は各自でお願いします。」

「分かったわ。」

 

 そうして、各々準備を始めた。

 そして、練習が始まった。

 

「今日は通してやるわよ。集中しなさい!」

 

 演奏は本番前なだけあって気合が入っている。

 でも、決して走るわけでもなく、全員完璧だ。

 紗夜さんとリサさんは特に調子がいいな。

 

「__これで終りね。」

「お疲れ様です、皆さん。」

「今回の演奏はどうだったかしら?」

「全員、正確にできてました。特に紗夜さんとリサさんは調子が良かったですね。」

「八舞君が練習に付き合ってくれたおかげだよ~!」

「私も八舞君のアドバイスのお陰ですね。」

「...買い被りです。」

 

 俺はそっぽを向いた。

 

「あ!八舞さんが照れてるー!」

「あ、あこちゃん?!」

「めずらしいものが見れたわね。」

「...勘弁してください。」

 

 俺はそう言った。

 

「あ!今日はクッキー焼いてきたんだ!」

「!」

 

 湊さんが反応した。

 

「リサさんのクッキーですか。」

「今井さんのクッキーは絶品ですよ。」

「あこもリサ姉のクッキー好き!」

「私も...です...!」

「あはは~ありがとね☆」

 

 リサさんはそう言ってクッキーを出した。

 

「はい!八舞君もどーぞ!」

「はい、いただきます。__!」

「ど、どう?」

「...美味しいです。これはすごい。」

 

 俺は驚愕した。

 

「そうよ!リサのクッキーは世界一なんだから!」

「なんで、湊さんが誇らしげなんですか?」

 

 そうして、クッキーを食べた。

 が、問題が起きた。

 

「...残り、一枚ですね。」

「そうね。」

 

 友希那さんがクッキーに手を伸ばす。

 

「湊さん、一番食べてますよね?」

「っ!!」

「ここは一番食べてない八舞君が食べるべきです。」

「そう、ね...」

「ゆ、友希那~また、作ってくるから、ね?」

「__食べたかったら食べてもいいですよ、友希那さん?」

「え?」

「八舞君?もしかして口に合わなかったかな...?」

「いえ、美味しいですよ?」

「なら、なぜ、湊さんに譲ろうと?」

「友希那さんが幸せそうに食べてたので、もう少しその顔が見たいなーと。」

「///」

 

 友希那さんは赤面している。

 

「そういう事なら、食べていいよ、友希那☆」

「え、えぇ。いただくわ。」

 

 友希那さんはクッキーを口に運んだ。

 

「...美味しいわ...!」

 

 友希那さんは幸せそうだ。

 

「...よかった。」

「八舞君はお優しいですね。」

「いえ、あの顔を見たいいと思うのは誰でもですよ。」

「確かに、そうかもしれないですね。」

「友希那さんかわいい!」

「そうだね...あこちゃん。」

「作った甲斐があるね~!」

「恥ずかしいのだけれど///」

 

 そんなこんなで、解散の時間になった。

 

「__今日はこれで解散にするわ。明日に備えて体調を整えておいて。」

 

 そうして、解散となった。

_________________________

 

 今日はライブ当日だ。

 俺は準備のため、早くに来ていた。

 

「これは...よし。これも__」

「八舞君?」

「あ、友希那さん。」

「...早すぎないかしら?」

「俺はまだ慣れない部分が多いので、少し早めがいいかなって。」

「あなたは有能ね。」

「そうですか?」

「えぇ、あなたのおかげでロゼリアのレベルは上がったわ。紗夜とリサは特にね。」

「お二人の努力の結果ですよ。」

「謙虚ね、もっと誇ってもいいわよ?」

「俺はロゼリアのライブが成功するのが一番誇らしいですよ。」

「...なら、あなたはずっと誇らしいわよ。」

「すごい自信ですね。」

「当り前よ。私たちは__」

「もっと上を目指す、でしょ?」

「分かってるわね。なら、あなたは誇る用意をしておくことね。」

「楽しみにしてます。」

 

 俺は用意を再開した。

 用意が終わったころにはみんな揃っていた。

 

「あ、皆さんどうも。」

「八舞君、準備をしていたんですか?」

「はい。終わりましたよ。」

「相変わらずばっちりだね~!お姉さん感心するよ~!」

「普通ですよ。」

「八舞さんは、闇から現れし...えーっと...」

「...戦士、なんてどうかな?あこちゃん?」

「いいね!りんりん!」

「俺って闇要素ある?てか、戦士って。」

 

 俺は笑った。

 

「かっこいいな。あこ。」

「そうですよね!流石りんりん!」

「ううぅ...」

 

 皆はリラックスしてるな。

 

「__皆、そろそろ行くわよ。」

 

 友希那さんがそう言った。

 

「行きましょうか。...見ててくださいね、八舞君。」

「はい、見てますよ。」

「私も見ててね~!レベルアップした私を見せるよ~!」

「期待してます。」

 

 そうして、皆は楽屋から出て行った。

 

「俺も行こっと。」

 

 俺は会場に向かった。

_________________________

 

「よし、ここなら良く見えるな。」

 

 俺が舞台を見てるとみんなが出てきた。

 なんというか、俺も緊張してきた。

 

『ロゼリアです。』

「「「「「きゃー!!」」」」」

 

 友希那さんが喋ると、会場全体が盛り上がった。打ち合わせでもしたのか?

 

『今日はレベルアップした私たちを見せるわ。まず、一曲目__』

 

 そうして、始まった。

 演奏のレベルは知ってるが、ライブとなるとまた違う。

 周りの人がすごい!と言ってるあたり、ほんとにレベルアップしてるのだろう。

 

「......ほんとに、すごいです。皆...!」

 

 俺も感動した。

 一曲進むごとに会場のボルテージは上がり、会場がロゼリアの音楽に支配されてる。

 そして、最後の一曲が終わった。

 

『__今日はありがとう。』

 

 そうして、ライブが終わった。

_________________________

 

 ライブが終わると、俺は機材の片づけをしていた。

 

「よーし、これでいいかな?」

 

 俺はスムーズに片づけを終えた。

 

「...さて、ここからどうするか。」

 

 楽屋に戻ろうとも思ったが、着替えの途中だったりしたら大変だからやめた。

 

「少し、ここにいるか。」

 

 俺は座りながら今日のライブを思い出していた。

 

「さっきまで、ここでライブしてたんだな。」

 

 俺は感慨深かった。

 

「...俺は、役に立てただろうか。」

「__当然よ。」

「!?ゆ、友希那さん。」

 

 いつの間にか後ろに友希那さんがいた。

 

「どうしたんですか?」

「あなたを迎えに来たのよ。リサが打ち上げに行きたいらしいわ。」

「それは楽しそうですね。」

 

 俺は立ち上がった。

 

「...ねぇ、八舞君。」

「はい?」

「今日のライブはどうだったかしら?」

「素晴らしかったです。」

「誇らしいかしら?」

「はい。最高に。」

「よかったわ。」

「まぁ、皆の所に行きましょう。」

「そうね。」

 

 俺たちは皆の所に向かった。

_________________________

 

「あ!来た来た、二人とも~!」

 

 リサさんが手を振ってる。

 

「早く行こ!」

「はい。」

「そういえば、八舞君?」

「はい?」

「今日の私、どうだった?」

 

 リサさんがそう聞いてきた。

 

「いい演奏でした。昨日よりも輝いてましたよ。」

「そっか~!よかったよ☆!」

「あの、八舞君。」

 

 紗夜さんが話しかけてきた。

 

「私は、どうでしたか?」

「素晴らしかったです。紗夜さんの音に近づけた感じがしました。」

「そうですか。よかったです。」

「早く行きましょう。ライブの感想、皆さんに言いたいので。」

「そうね。早く行きましょう。」

「あこ!スイーツ食べたいです!」

「私は...温かいものを...」

「なら、いつものファミレスだね☆」

 

 俺たちはファミレスに向かった。

 

「__八舞君?」

「はい?どうしました、友希那さん?」

「今日の演奏は八舞君のお陰よ。ありがとう。」

「皆の努力の結果ですよ。俺はただの手伝いです。」

「謙遜のしすぎよ?あなたのアドバイスが生きたのは事実なんだから。」

 

 友希那さんはそう言う。

 

「これからも、お願いね。」

「...はい。任せてください。」

「おーい!二人とも、早くー!!」

「...行きましょう。」

「そうね。」

 

 俺たちは歩き出した。

 こうして、ライブの日は過ぎていった。

 

 

 




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第10話

紗夜ルート10話です!


 ライブが終わって少し経った。

 期末テストも終わり、夏休みに突入しようとしていた。

 

「もうすぐで夏休みだよ!」

 

 リサさんがそう言った。

 

「そうですね。」

「今年もプール行こうよ!」

「リサ、あんまり遊ぶのは__」

「八舞君にアピールできるよ?」

「「!!」」

 

 リサさんが何かを言うと友希那さんと紗夜さんが反応した。

 

「二人が来ないなら、私と__」

「ロゼリアは夏休みにプールに行くわ!」

「そうですね、遊ぶのも大事ですね。」

「わーい!楽しみー!」

「そうだね...あこちゃん...!」

「プールって学校にあった、あれですか?」

「...え?違うよもっと大きくて、流れるプールがあったり~」

「流れるプール?」

「知らないのかしら?」

「はい。行ったことないですね。」

「「「「「......」」」」」

「皆さん、どうしました?」

 

 皆は黙っている。

 

「今回は八舞君にプールを楽しんでもらうわ。」

「そうだね!」

「今までの分を清算してあげましょう!」

「あこの闇の力で...えっと...」

「私も...頑張ります...!」

「?」

 

 なぜか皆、気合が入っている。

 

「まず、あれだね!」

「あれ?」

 

 リサさんはこう言った。

 

「水着選びだよ!」

「水着選び?学校のあれですか?」

「違うよ!来たら分かるよ!」

「え?は、はい。」

 

 俺は水着選びに同行することになった。

_________________________

 

「__ここ、女性用の売り場じゃないんですか?」

「大丈夫大丈夫☆」

 

 大丈夫と思えないのは気のせいなのだろうか。

 

「じゃ!みんな選ぼっか!」

 

 各自、水着を選びに行った。

 

「...気まずいな。視線もやばいし。俺、ここにいていいのか?」

「あの...八舞さん?」

「なんですか燐子さ...ん!?」

「あの...これ、どう...でしょうか?」

「ど、どう?」

 

 俺は水着とは学校で着用するあれのイメージしかなかった。

 

「...燐子さんに似合うと思いますよ...?」

 

 経験不足な俺はそう答える事しかできなかった。

 

「...どういうことだ?水着ってあんなに進化してたのか...」

「あ!八舞さん!」

「ん?あこ...か!?」

「ふふーん!これどうですか?これで、あこも大人に__」

「それはやめておこうか。」

「えー!なんでですかー!」

「あこには、もっと相応しい水着がある。俺はそう思うぞ。」

「そうですか...選びなおしてきますね!」

 

 あこは選びなおしに行った。

 燐子さんのより布面積が少なすぎた。

 俺は間違ってない...はず。

 

「頭が整理できないぞ...」

「あら、疲れてるようね、八舞君。」

「友希那さん...」

「八舞君はこれ、どう思うかしら?」

 

 友希那さんが見せてきたのは、猫の柄がプリントされた水着だった。

 

「...平和だ。」

「?」

「いえ、似合うと思いますよ?」

「そう、じゃあ、これにするわ。」

 

 友希那さんはレジに向かった。

 

「あこに比べると、なんて平和だったんだろう。」

 

 俺は天を仰いだ。

 

「あ!八舞君!」

「リサさん__ふぁ!!??」

「ど~う?この水着。ちょ~っと攻めてみたんだけど☆(なにこれ!すっごい恥ずかしいんだけど?!///)」

「...に、似合うと思いますよ...?リサさんらしくて大人っぽい?ですよ。」

「え!?///じゃ、じゃ~これにしよっかな~///(何言ってんの?!私!!///)」

 

 リサさんは小走りでレジの方に行った。

 

「...多分、俺が未熟なだけだ。そうだ、俺のせいでリサさんに恥をかかせられない。堂々としよう。」

「なにがですか?八舞君?」

「...何となく、来ると思いましたよ。」

「?あの、これにしようと思うのですが、どうでしょうか?」

 

 紗夜さんが見せてきたのは、水色の清楚感が漂う水着だった。

 

「いいと思いますよ!それにしましょう!きっと紗夜さんに似合いますよ!」

「え?///そ、そうですか///」

 

 これにします、と言って。レジに向かった。

 

「...紗夜さんは安心だな。」

 

 こうして、ロゼリアの皆の水着が決まった。

 

「じゃあ、帰りましょうか。」

「いやいや!次は八舞君だよ!」

「...え?」

「じゃ!行くよ!」

「え、あの、ちょっ!!皆、助け__」

「諦めなさい、八舞君。」

「あの今井さんは止められません。」

「リサ姉、ノリノリだね!」

「が、頑張って...ください...」

 

 俺はリサさんに引っ張られていった。

 

「__つ、疲れた...」

「お、お疲れ様です、八舞君。」

「...大変だったわね。」

「いや~!いいの選べたよ~!」

「...リサさんが楽しそうなので、良しとします。」

「そうですか...」

 

 俺は疲れていたのか、帰った後すぐに眠りについた。

_________________________

 

 夏休みに入り、プールに行く日になった。

 

「待ち合わせ15分前、完璧だ。」

「あら?もう来てたのですか?」

「紗夜さん。早いですね?」

「...えぇ、待たせるのも悪いですから。」

 

 と、口ではクールっぽいが、実際は顔は緩んでる、楽しみだったんですね。

 

「八舞君は楽しみですか?」

「はい。初めて行くので、楽しみですね。」

「ふふっ、そうですか。」

「__お~い!二人とも~!」

 

 他の皆が来た。

 

「二人とも早いね~!」

「そんなに楽しみだったのかしら?」

「まぁ、俺はそうですね。」

「あこも楽しみです!」

「私も...です...!」

「私は__」

「紗夜も楽しもだよね~!」

「...はい。」

 

 あ、素直になった。

 

「じゃ!みんな揃ったし行こうか!」

 

 俺たちはプールに向かった。

_________________________

 

「__すっごいな...」

 

 学校のプールしか知らない俺にはこの光景は驚きだった。

 

「そういえば、パラソル?だっけ、やったらいいんだった。」

 

 俺は荷物を置く場所を用意したりした。

 

「__おっ待たせ~!」

「あ、皆さんきまし...たか...」

 

 選ぶ時に見たが、あの時は着てなかった。

 着ると違うみたいだ。

 

「どうどう?似合うかな~!」

「似合いますか、八舞君?」

「似合うかしら?」

「あこ、似合ってますか!」

「似合って...ますか...?」

「は、はい。全員とてもよく、似合ってますよ。」

 

 今の俺には、そう答えるのが精いっぱいだった。

 

「んふふ~!どう?八舞君?」

「ど、どうとは...?」

「私、ちょーっと攻めてみたんだけど☆(わぁ~!///恥ずかしい恥ずかしい!!!///)」

「とても似合ってますよ!リサさんらしくていいと思いますよ!(よし、堂々と言えたぞ!これなら、リサさんに恥をかかせることはない!)」

「そ、そっか~!///ありがと!///(え!?八舞って私にこんな感じのイメージなの?!///...でも、八舞君なら...///いやいや!流石に早すぎっしょ!!///)」

 

 俺の対応は間違ってなかったみたいだ。

 

「八舞君?」

「なんですか。友希那さん?」

「私は、どうかしら?」

「とっても可愛らしいですよ。それにしてよかったですね。」

「そ、そう///よかったわ。」

「あの、私はどうでしょうか?」

「紗夜さんは清楚って感じで綺麗です、紗夜さんらしさが出ていて、いいと思います。」

「そうですか///ありがとうございます///」

 

 その後、プールで遊びだした。

 

「ねぇねぇ!次はスライダー乗ろうよ!」

「嫌よ。」

「あれれ~友希那、怖いの?」

「...上等じゃない、乗ってやるわ。」

「私は__」

「紗夜もだよ?」

「...はい。」

「私、りんりんと乗りたい!」

「一緒に乗ろうね?あこちゃん...!」

「あれ、二人乗りと三人乗りがあるみたいですし、ちょうど分かれましたね。」

「何を言ってるの?八舞君も乗るのよ?」

「え?でも__」

「誰が八舞君とのるか...」

「じゃんけんで...」

「決めるよ...!」

 

 そうして、熾烈?なじゃんけんが始まった。

 

「なんで、勝った人が俺となんだ?男と乗るなんか罰ゲームだろうに?」

「「八舞さん...」」

「?」

 

 あこと燐子さんに憐れむような眼で見られた。

 

「__勝ちました...!!」

「あちゃ~」

「...悔しいわ。」

 

 勝ったのは紗夜さんみたいだ。

 

「じゃあ、俺は紗夜さんとですね。」

「はい...!」

 

 俺たちはスライダーに向かった。

 

「__結構、高いんですね。」

「え、えぇ。でも、た、大したことないわね!」

「...震えてるように見えるんですが?」

「き、気のせいです!」

「次に方どうぞー!」

 

 係の人に呼ばれた。

 

「紗夜さんは前か後ろ、どっちにしますか?」

「...後ろで、お願いします。」

「了解です。」

 

 俺たちは浮き輪に乗った。

 

「じゃあ!スタートしまーす!」

 

 そう言ってスライダーがスタートした。

 

「うお!意外と早いな__」

「きゃーー!!!」

「うぐっ!!」

 

 叫んだかと思うと、紗夜さんに首を絞められた。

 

「ちょ...紗夜さ...」

「きゃーーー!!!」

 

 俺は解放されないまま、スライダーを終えた。

 

「__川の向こうでいろんな人たちが手を振ってた...」

「す、すいません!八舞君!」

「ま、まぁ、生きてるから大丈夫ですよ。」

 

 紗夜さんは申し訳なさそうにしてる。

 

「でも__!!///」

「」

 

 俺はとっさに顔をそらした。

 

「きゃ_」

「紗夜さん!静かに!」

 

 俺は紗夜さんを止めた

 状況は水着が取れました。はい。

 

「落ち着いて。着てください。」

「は、はい///」

 

 紗夜さんは無事?水着を着た。

 

「周りに人が少なくて幸いでした。」

「そ、そうですね...///」

 

 紗夜さんはモジモジしている。

 

「どうしました?」

「み、見ましたか...?///」

「大丈夫です。何も見てません。」

「そ、そうですか///」

 

 俺も安心した。

 ナイスだ俺の反応!

 

「お~い!紗夜~八舞君~!」

「リサさん。」

「スライダーはどうだった?」

「...楽しかったですよ。」

 

 割と余裕がなかったがそう答えた。

 

「そっかそっか!そろそろ暗くなるから帰ろっか!」

「そうですね。」

 

 俺は帰る用意をした。

_________________________

 

 最初の待ち合わせ場所に帰ってきた。

 

「今日は楽しかったですね。」

「そうだね~!」

「また、いってもいいわね。」

「そうですね」

「あこもまた生きたいです!」

「私も...です。」

 

 皆、楽しめたみたいだ。

 

「じゃ!ここで解散しよっか!」

 

 俺たちは解散した。

 

「八舞君、途中までご一緒してもいいですか?」

「いいですよ。」

 

 俺たちは帰路についた。

_________________________

 

「今日は楽しかったですね。」

「はい。人生初のプールは最高でした。」

「よかったです。」

「また、皆で行きたいですね。」

「行けますよ。」

「紗夜さん。」

「皆でいれば、毎年でも。」

「そうですか...!」

「あ、私の家はここなので。」

「あ、そうですか。」

「さようなら、八舞君。また、練習で。」

「はい。また、練習で。」

 

 俺たちは分かれた。

 俺は帰路についた。

 

「皆でいれば、毎年行けるのか!」

 

 俺は今の幸福に心から喜んだ。




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第11話

紗夜ルート11話です!


「よし、終わった。」

 

 俺は夏休みの宿題を片付けた。

 俺は宿題などは早めにする方だ。

 

「さて、宿題が終わったのはいいが、何をしよう?」

 

 俺はやることを考えていた。

 

「部屋は...片付いてる。食料も十分。」

 

 やることがない。

 そう思っていると、電話がかかってきた。

 

「はい、もしもし。」

『もしもし~八舞君~?リサだよ~!』

「どうしたんですか?」

『今日さ、お祭りがあるんだけど、皆で行かない?』

「祭りですか?構いませんよ、暇ですし。」

『やった!時間になったら迎えに行くから準備しててね!』

「はい。分かりました。」

 

 そうして、電話が切れた。

 

「予定が出来たな。」

 

 俺は祭りの用意をした。

_________________________

 

 ピンポーン

 

「あ、来たか。」

 

 俺は玄関を出た。

 

「はーい。」

 

 皆は浴衣だった。

 

「やっほ~!八舞君!」

「こんばんわ、リサさん。」

「こんばんは、八舞君?」

「準備は出来てますか?」

「こんばんは、友希那さん、紗夜さん。」

「八舞さん!どうですか!似合いますか?」

「似合ってるぞ。燐子さんもお似合いです。」

「あ、ありがとう...ございます。」

 

 皆よく似合ってるな。美人だから絵になる。

 

「ねぇ、八舞君~?」

「なんですか?」

「私たちには何も言ってくれないの~?」

 

 と、リサさんが言った。

 後ろで友希那さんと紗夜さんもチラチラ見てる。

 

「似合ってますよ?すごい綺麗と思います。」

「そっか!よかったよかった!ね、友希那、!紗夜!」

「そ、そうね...///」

「そうですね...///」

 

 ご満足いただけたようだ。

 

「__じゃ!早速、行こっか!」

「そうですね。」

 

 俺たちは祭りに向かった。

_________________________

 

「__すっごーい!早く行こ!りんりん!」

「ま、待って...あこちゃん...!」

「友希那!あっちにりんご飴あるよ!行こ!」

「ちょっと!引っ張らないで...!」

 

 紗夜さん以外の四人はそれぞれの行きたい所に行った。

 

「...俺たちも行きましょうか。」

「...そうですね。」

 

 俺たちも歩き出した。

 

「__何かしたいことはありますか?」

「そうですね...あ、あれがしたいです。」

 

 紗夜さんが指を指したのは射的だった。

 

「射的ですか?紗夜さん出来るんですか?」

「いえ、初めてです。」

「え?」

「今まで、あまりお祭りに来なかったので。」

「そういう事ですか。まぁ、行きましょうか。」

 

 俺たちは射的に行った。

 

「__お願いします。」

「はいよ!これが弾だよ!」

「ありがとうございます。」

 

 紗夜さんは銃を構えた。

 

「...このあたりでしょうか?」

 

 紗夜さんが撃った球は景品に当たらなかった。

 

「な!?」

「打つ瞬間にブレてるんですよ。」

「なるほど...今度こそ!」

 

 また、当たらなかった。

 

「なんでですか!」

「...紗夜さん、失礼します。」

「え?__ひゃ!///」

 

 俺は後ろから紗夜さんと一緒に銃を握った。

 

「集中してくださいね?」

「は、はい///」

「銃口は景品の少し上の方へ、あとはこの角度のまま__」

 

 そこから放った銃弾は景品にあたった。

 

「ざっと、こんな感じでしょう。」

「...私と何が違ったんでしょう?」

「紗夜さんは景品の真ん中を狙い過ぎです。弾は下に落ちていくんですから。」

「そういうことですか。」

「兄ちゃんやるな...少し、チャレンジしてみないか?」

「チャレンジ?」

「おうよ!これだ!」

 

 おっちゃんが出したのは犬のぬいぐるみだった。

 

「これを落とせたら成功だ!」

「(これ、絶対落としずらいだろ、流石に__)」

「...可愛い...!」

「」

 

 紗夜さんがそう言ったのが聞こえてしまった。

 

「...やりましょう。」

「お!いいねぇ!何発で行く?」

「そうですね...5で充分でしょう。」

 

 俺はお金を渡した。

 

「ほんとに足りるのか?」

「...どうせ、一発で落ちないのが分かってるので。」

 

 俺はチャレンジを開始した。

 

「(まず、景品自体を下げていかないとな。)」

 

 俺は二発で景品を下げた。

 位置的には台のギリギリくらいだ。

 

「も、もう少しですよ!八舞君!」

「...三発で足りましたね。」

 

 俺は景品を落とした。

 

「いやー!参ったよ!あれを落とされるなんてな!」

「どうせ、おもり付きだったんでしょう?分かってれば簡単ですよ。」

「これが景品だ!持っていきな!」

「どうも。」

 

 俺たちは射的の屋台を離れた。

 

「__はい、どうぞ、紗夜さん。」

 

 俺は犬のぬいぐるみを差し出した。

 

「え?それは八舞君がとった物ですよ?」

「俺は持ってても仕方ないので、貰ってください。可愛いんでしょ?」

「な!?き、聞こえていたのですか?」

「まぁ、そうですね。聞こえたからしましたし。」

「...そ、そういう事なら、いただきます///」

「はい、どうぞ。」

 

 俺はぬいぐるみを手渡した。

 

「ふふっ、可愛い♪」

 

 そう聞こえたが、俺は聞かなかったことにした。

 

「...何か食べませんか?」

「そうですね。」

 

 俺は周りを見ていると、一つの屋台が目に入った。

 

「あそこにしましょう。」

「え?どこですか?」

「行けば分かります。」

 

 俺たちは屋台に向かった。

 

「__ここです。」

 

 俺たちが来たのはフライドポテトの屋台だ。

 

「ポテト...!」

「これにしましょうか。」

「え、えぇ。そうですね!」

 

 俺はポテトを購入した。

 

「はい、どうぞ。紗夜さん。」

「私の分、払います。」

「いいですよ、このくらい。」

「でも__」

「貰っててください、ね?」

「...分かりました。」

 

 紗夜さんは不服そうだったがポテトは嬉しそうだった。

 

「お~い!二人とも~!」

「あ、リサさん、友希那さん。どこに行ってたんですか?」

「友希那と色んなところ行ってたんだ~!」

「...つかれたわ。」

 

 楽しそうなリサさんとは対照的に友希那さんは疲れた表情だ。

 

「あ!みなさ~ん!」

 

 あこと燐子さんとも合流した。

 

「二人はどこに行ってたんですか?」

「私たちは...あこちゃんが...」

「いっぱいくじ引きしてきました!」

「くじ引き?」

「はい!欲しいゲームがあって!」

「...それ、当たんないだろ。」

「...はい、残念です...」

 

 くじ引きって、絶対詐欺だろ。

 

「__そういえばさ!この後、花火があるみたいだよ!」

「花火ですか。いいですね。」

「でも、見る場所がないんだよね~」

「ありますよ、いい場所。」

「え?!どこどこ?」

「ついてきてください。」

 

 俺たちはある場所に向かった。

_________________________

 

 俺たちが来たのは高台だ。

 

「ここは?」

「俺がここに来てから、よく来てた場所です。夜景も見えて、いい場所なんです。」

「へぇ~!でも、全然、人、いないね?」

「少し、距離がありますからね。」

 

 そうしてるうちに、花火が始まった。

 

「わ~!すっご~い!」

「そうだね...あこちゃん...!」

「あはは~聞こえないよ~りんりん!」

 

 二人は楽しそうだ。

 

「...綺麗だわ。」

「そうですね、湊さん。」

「二人も楽しんでるようでよかったよ☆」

「...これが、花火か。」

 

 俺は感動した。

 今まで見たことがなかったからだ。

 

「...ほんとに、綺麗だ...」

「また見たい?八舞君?」

「はい。でも__」

「ん~?」

「次も見るなら、ロゼリアの皆とがいいです。この感動は皆とだから味わえるものだと思いますし。」

「八舞君...」

「そんなの簡単よ。」

「友希那さん?」

「そうですね。簡単です。」

 

 友希那さんと紗夜さんがそう言った。

 

「どう言うことですか?」

「来年でも何年後でも、ロゼリアがある限り花火は見に来れるわ。」

「そのための条件は__」

「この先も皆でずっといる!だよ!八舞君!」

「あこも皆で花火見たいです!」

「私も...です!」

 

 皆はそう言った。

 

「皆でずっと一緒に、か。」

「どうしたの?八舞君?」

「...いいな、と思っただけです。最高の条件ですね。」

「そうでしょ!」

「この花火が始まりです。」

「?」

 

 皆が首を傾げた。

 

「花火を見に来るたびに、ロゼリアが頂点に近づいていければ、この景色はもっと綺麗になる。」

「なら、あなたはいつか、世界で一番きれいな景色を見れるわ。」

「そうですね。」

「だよね~!」

「そうですよね!」

「私たちは...ロゼリア...ですから!」

「そう、私たちはロゼリア。頂点に狂い咲くバンドよ。」

 

 友希那さんは俺の方をみて。

 

「八舞君。ロゼリアに、私たちに全てをかける覚悟はあるかしら?」

 

 そう聞いてきた。

 皆も俺の方を見ている。

 

「......ありますよ。懸けますよ、俺のすべて。」

「いい覚悟だわ。」

「世界で一番きれいな景色、楽しみにしてます。」

「そんなに時間はかけないわ。すぐに見せてあげるわ。」

 

 友希那さんは笑顔でそう言った。

 皆も笑顔だ。

 俺はこの笑顔を守っていきたい。

 そして、いつか、頂点にたどり着いて、もっと笑顔になってほしい。

 俺はそのために全てをかける。そう誓った。

 

 これが、俺の人生初めての祭りの出来事だった。

 

 

 

 

 




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第12話

紗夜ルート12話です!


 祭りの日から少し経ち、夏休みは中盤に差し掛かっていた。

 今はロゼリアの練習だ。

 

「__今日はここまでよ。」

「あれ?少し早いですね?」

「練習のやりすぎは良くないわ。」

「友希那さんも、そんなこと言うんですね。」

 

 今日は早めに練習が終わった。

 

「うーむ、どうするか...」

「あれ?どうしたの、八舞君?」

「リサさん...。今日はロゼリアの練習で一日が終わると思ってて、やることがなくて。」

「あ~なるほどね~」

 

 リサさんは考える仕草をしている。

 

「あ!そうだ!」

「?」

「私とクッキー作らない?」

「クッキーですか?」

「うん!ダメかな?」

「いや、いいですね。やりましょうか。」

「__私も行っていいでしょうか?」

「私も行きたいわ。」

「あこも!」

「わ、私も...」

 

 皆が来たいと言っていた。

 

「いいんじゃないですか?どうですか、リサさん?」

「うん!いいね!みんなでお茶会しよっか☆」

 

 こうして、皆でお茶会をすることになった。

 まずは、材料を買いに行った。

_________________________

 

「__今日は何種類くらい作るかな~?」

「ある程度あったほうがいいでしょう。チョコとか入れてみます?」

「お!いいじゃ~ん!」

「あとは__」

 

 俺たちがそんな会話をしてると...

 

「__あの二人の会話には混ざれないわ。」

「そうですね。レベルが高い会話が所々にありますし。」

「あこ、頭がぐるぐるだよ...」

「だ、大丈夫...?」

「皆さん、どうしたんですか?」

「皆もこっち来なよ~!」

「今行くわ。」

 

 そんなこんなで買い物が終わった。

_________________________

 

「さて、作りましょうか。」

「そうだね~!」

 

 俺たちは俺の家に来た。

 そして、クッキー作りを始めた。

 

「__すごい手際ね。」

「はい。二人ともすごいですね。」

「二人ともかっこいい!」

「そうだね...あこちゃん。」

 

 という、会話が聞こえた。

 

「いや~大人気だね~」

「リサさんの手際がいいからですよ。」

「そうかな~?」

「はい。」

「いつか私も結婚とかするのかな~?」

「出来ますよ。むしろ、相手が羨ましいです。」

「え?!///わ、私はそうでもないよ~///」

「リサさん、料理できて家庭的ですし、気遣いも出来るので、相手は幸せだと思いますよ。むしろ、リサさんが幸せになれるかが心配です。」

「そ、そう?///じゃ、じゃ~安心できる人に貰ってもらおっかな~?///」

「安心できる人ですか...。あ!」

「!」

 

 俺は思いついた。

 

「涼なんてどうでしょう!」

「え?」

「あいつ、普段はあれですけど真面目ですし。人の手伝いとか率先してしてるんで、いいやつですよ!__いたい!」

「はぁ~。八舞君はそうだよね~」

「え?なんで俺叩かれたんですか?」

「...もうすぐ仕上げだよ!」

「え?あ、はい。」

 

 話をそらされたが、まぁ、いいか。

 

「__と言うわけで、かんせ~い!」

「待ってたわ...!」

 

 明らかに友希那さんの目が輝いてる。

 

「紅茶、淹れたのでどうぞ。」

「いい香りですね、八舞君。」

「俺、紅茶好きなので、少しこだわりました。」

「そうですか。飲むのが楽しみです。」

「早く食べたいです!」

「あ、あこちゃん...」

「まぁ、そうだな。食べましょうか。」

 

 俺たちはお茶会を始めた。

 

「__おいしいです!」

「すごいね...あこちゃん...!」

「今日のはいつもと違うわ、もっと美味しいわ...!」

「...いつも美味しいのに、上があるなんて...」

「これはうまく作れましたね。」

「うん!最高だよ!紅茶もあってるし!」

「...この二人、料理で頂点を取れるんじゃないかしら?」

「確かに、取れそうですね。」

「いや、いいすぎですよ。」

「だよね~。もっと美味しくできそうだもん!」

「これより上も...!」

「た、食べてみたいわ...!」

「友希那さんと紗夜さんがキラキラしてる!

「美味しい...ですからね。」

「喜んでもらえてよかったですね。」

「うん!そうだね☆」

 

__お茶会も終盤に差し掛かった。

 

「__そういえば、話していなかったわ。」

「何をですか?」

「夏休み最後にライブをするわ。」

 

 友希那さんがそう言った。

 

「来ましたか...」

「楽しみだね~!」

「あこもあこも!」

「わくわく...します!」

 

 皆は気合が入ったようだ。

 

「前の調子を保って、さらに上げていくわよ!八舞君も協力、お願いね。」

「もちろんです。必ず成功させましょう。」

 

 そうして、この日は過ぎた。

_________________________

 

 ここから、一週間、ライブに備えての練習だ。

 

「__機材は、これで大丈夫。これならスムーズに練習に入れる。」

 

 俺は準備を進めていた。

 

「あら?八舞君?」

「あ、友希那さん。おはようございます。」

「えぇ、おはよう。早いわね。」

「スムーズに練習に入れるように早く準備をしようと思って。」

「ありがたいわ。」

「俺にはこれくらいしかできないので。」

「そんなことないわ。八舞君は練習以外でも私たちを支えてくれてるわ。」

「そうですかね?」

「えぇ、あなたといるのは楽しいわ。」

「そう思ってくれるのは光栄です。」

 

 俺は準備を終えた。

 

「__よし。これで完璧だ。」

「完璧な仕事ね。」

「ありがとうございます。」

「...八舞君。」

「はい?どうしました?」

 

 友希那さんは真面目な顔になった。

 

「次のライブ、私の歌をよく聞いていてほしいの。」

「?...わかりました。」

「...それだけよ。」

「?そうですか?」

 

 この時の俺には、この言葉の意味が理解できなかった。

_________________________

 

 それから一週間、ロゼリアの練習はハードだった。

 そんな中でもリサさんは自主練をして、

 皆も一層熱心に練習に取り組んでいた。

 でも、俺は友希那さんの言葉が、頭から離れなかった。

 よく聞いていてほしい?

 俺はずっと考えていた。

 

__そして、ライブの日になった。

_________________________

 

 会場にはたくさんのお客さんが詰めかけている。

 

「__いよいよね。皆、準備は出来てるかしら?」

「大丈夫だよ~!」

「問題ないです。」

「あこも準備万端です!」

「私も...大丈夫です!」

 

 友希那さんは俺の方に来た。

 

「...八舞君。」

「なんですか?」

「一週間前の事、覚えてるかしら?」

「...はい。覚えてますよ。」

「そう。」

「はい。」

 

 友希那さんは俺を見て...

 

「私の、歌に乗せた思いを、感じて。」

「歌に乗せた、思い?」

 

 友希那さんは、

 

「皆、行くわよ!」

「ちょ!友希那さ__」

 

 皆は舞台に戻った。

_________________________

 

 俺は会場に来た。

 皆が出てきた。

 

『こんにちは、ロゼリアです。』

「!」

 

 友希那さんと目が合った。

 

『さっそく一曲目、行くわ!』

 

 そうして、ライブが始まった__

 

 ”ロゼリアside”

 

「(伝える...!八舞君に...!私の、思いを!)」

「(...友希那、決めたんだね。)」

「(湊さん...あなたの覚悟は伝わりました!)」

「(今日の友希那さん、すごい!)」

「(湊さん...)」

 

 ライブは進む...

 

「(これが、最後。八舞君には伝わったのかしら...?いえ、伝わった。そう思う。)」

 

__こうして、ライブが終わった。

_________________________

 

「友希那さん...」

 

 俺はライブが終わった後、茫然としていた。

 今までと違う。

 俺に何かを伝えようとしてた。

 それが何なのかは分からない。

 でも......

 

「...覚悟は伝わりました。」

 

 俺は楽屋に向かった。

_________________________

 

「__入ってもいいですか?」

「いいわよ。」

 

 俺は楽屋に入った。

 

「あれ?友希那さんだけですか?」

「えぇ、皆はもう帰ったわ。」

「え?早くないですか?」

「そうかもしれないわね。」

 

 友希那さんは俺を見て言った。

 

「......私の伝えたい思い、感じてくれたかしら?」

「友希那さんに大きな覚悟がある、と言うことが分かりました。」

「他には、ないかしら?」

「俺には全ては分かりませんでした。」

「そう。...やっぱり、言葉じゃないと駄目ね。」

「友希那さん...?」

「少し、ついてきて。」

 

 俺たちはある場所に向かった。

_________________________

 

「__ここよ。」

「舞台、ですか?」

「えぇ、私には相応しい場所だと思うわ。」

「相応しい?」

 

 俺には分からなかった。

 

「...私は最初、あなたを疑ってたわ。」

「...そうでしたね。」

「気付いていたの?」

「はい。露骨でしたから。」

「あの時は紗夜を守るためにあなたと会ったわ。」

「そうですか。」

「そして、少しの間、あなたと暮らして、お世話になったわ。」

「俺も助かりましたよ。あの時は。」

「そして、あなたを傷つけてしまったわ......」

 

 友希那さんは泣きそうだ。

 

「私は悔やんだわ。どうして、あんなことになったのかと。」

「...」

「そして、あなたは自分から過去を話してくれたわね。」

「...そうですね。」

「私はあの時、自分を呪ったわ、あんなに悲しいことを聞き出そうとしたことを。」

「気にしなくても、いいですよ。」

「いいえ、あれは私が悪かったわ。でも、あの話を聞いて、思ったことがあったの。」

「もう一つ?」

「......あなたを支えたい。寄り添いたい。あなたの悲しみを埋められる存在になりたい。」

「友希那さん?__!!」

 

 友希那さんは抱き着いてきた。

 

「でも、何より、あなたの笑顔に惹かれたわ///」

「ゆ、友希那さん...?」

「私は、あなたが好きよ、愛してるわ///」

 

 友希那さんはそう言った。

 

「友希那さん......」

「でも、返事はまだいいわ。」

「え?」

「あなたが選ぶときは今じゃないわ。きっと、近いうちにその時が来るわ。」

 

 俺は理解できなかった。

 友希那さんは舞台の出口の方に歩いて行って......

 

「出来る事なら、答えを出すとき私のもとに来てくれることを、期待してるわ。」

「ゆ、友希那さ__」

 

 友希那さんは走り去った。

 

「__選ぶって、何なんだ......」

 

 俺は誰もいないライブ会場でつぶやいた。

 

 




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第13話

紗夜ルート13話です!


 ライブの翌日は始業式だ。

 俺は昨日の出来事を考え続けていて、遅刻しそうだった。

 

「__ギリギリ、間に合った...」

「お!栄斗!久しぶりだな!」

「よう、涼。おはよう。」

「珍しいな、栄斗が遅刻ギリギリなんて。夏休みボケか?」

「そんな事じゃない。」

 

 俺はまだ考えていた。

 

「(昨日のは、どういう事なんだ...友希那さんが俺を?そもそも、選ぶってなんだ?)」

 

 考えてるうちに、いつの間にか学校が終わっていた。

 

「__今日は帰るか。」

 

 俺は足早に家に帰った。

_________________________

 

 俺は家に帰るなり、ベッドに飛び込んだ。

 

「(......分からない。友希那さんがなんで俺なんかを好きなのかも、俺が友希那さんをどう思ってるかも、選ぶという意味も。)」

 

 そんな事を考えてると、メッセージが来た。

 

「誰だ?__リサ  さんから?」

 

 俺はメッセージを確認した。

 

『やっほ~!昨日のライブの打ち上げをするよ☆』

 

 という内容だった。あとは場所が書かれていた。

 

「......打ち上げか。」

 

 正直、今回は断りたいが、行かなければ友希那さんを避けてると思われるかもしれない。

 

「仕方ない、行くか。」

 

 俺は家を出た。

_________________________

 

「__ここか?」

 

 俺が着いたのは羽沢珈琲店と言うカフェだった。

 

「まぁ、入るか。」

 

 俺は店に入った。

 

「__あ!来た来た!八舞く~ん!」

「お待たせしました、皆さん。」

「全然いいよ!」

 

 俺が来たときには皆がそろっていた。

 

「こんにちわ、八舞君。」

「...こんにちわ、友希那さん。」

 

 友希那さんはいつも通りだった。

 

「どうしました?席に着いたらどうでしょうか?」

「はい。」

 

 俺は席に座った。

 

「ご注文をお伺いします!」

 

 店員らしき女の子が来た。

 

「お!つぐみじゃ~ん!相変わらず可愛いね☆」

「り、リサさん、またそんなこと言って......」

 

 店員の女の子が苦笑いしている。

 

「知り合いなんですか?」

「えぇ。彼女はこの店の娘さんの羽沢つぐみさんです。」

「あの、ご注文は?」

 

 俺たちは注文をした。

 

「__昨日のライブはよかったよね~!」

「そうだよね、リサ姉!特に友希那さんなんか、バーン!って感じだったし!」

「バーン......どんな感じかしら?」

「さぁ、分かりません?」

「あこちゃんは...とてもすごかった...と言っています...!」

 

 皆は昨日のライブの話に花を咲かせていた。

 そして、ある客が入ってきた。

 

「いらっしゃいませー!って蘭ちゃんたちだ!」

「来たよ!つぐ!」

「モカちゃんがいらっしゃいました~」

「よう!つぐ!今日も手伝いしてるな!」

「...お疲れ、つぐみ。」

 

 入ってきた客は羽沢の友達らしい。

 

「(仲、良さそうだな。)」

 

 俺がそんな事を考えていると、

 赤いメッシュの女の子がこっちに気付いて近づいてきた。

 

「こんにちわ、湊さん。」

「あら?美竹さんじゃない、こんにちわ。」

「昨日のライブは大成功だったみたいですね。」

「えぇ。八舞君のおかげよ。」

「八舞?」

 

 俺の方を見てきた。

 

「あ!お前が八舞栄斗か!」

「?」

「あ!お姉ちゃん!」

「よう!あこ!賢くしてるか?」

「うん!」

「そうかそうか!」

「...お前は誰だ?」

「あ、悪い悪い!私は宇田川巴だ!巴って呼んでくれ!」

「...巴、あこは俺の事をなんて言ってるんだ?」

「え~っと、確か、すごい人!ってよく言ってるな。」

「ほう。」

 

 俺はすごい人と思われてるらしい。

 

「...こいつの何がすごいわけ?」

 

 メッシュの女の子がそう言った。

 

「おい!蘭!言い方ってもんがあるだろ!」

「だって、本当の事だし。」

「だからって__」

「美竹蘭、だっけ?」

「...そうだけど。」

「俺の何がすごいか分からないと言ったな。」

「そうだけど、文句あるの?」

「いや、俺も良く分かってないんだ。」

「は?」

 

 美竹は驚いた顔をしている。

 

「お~蘭を黙らせるなんて、やりますな~」

「蘭、すっごい顔してたよ?」

「これは、栄斗の勝ちだな!」

「...」

「俺は何に勝ったんだ?」

 

 よくわからない。

 

「さっきは蘭が悪かったな!素直じゃないやつなんだ!」

「いや、見た目的に良く分かる。実際、話しかけてきた理由も友希那さんにライブの成功のお祝いを言いたいだけだったからな。」

「は?何言って__」

「バレバレだぞ。」

「...意味わかんない。」

「蘭は素直じゃないからね~おめでとうも素直に言えないんだよ~」

「えっと、お前は?」

「これはこれは~私は謎の美少女、モカちゃんですよ~」

「名乗ってる時点で、謎ではないな。」

「美少女は否定しないんだね~」

「そこはおおよそ事実だからな。」

「お~モカちゃん口説かれてる~?」

「「「八舞君......?」」」

 

 友希那さん、紗夜さん、リサさんがこっちを見ている。

 

「ど、どうしました?」

「初対面の人を口説くなんて。」

「お姉さんも庇えないかな~」

「風紀の乱れです!」

「いや、そんなつもりはなかったんですけど。」

「修羅場ですな~」

「す、すごいことになっちゃった...!」

「栄斗はモテモテだな!」

「......ロゼリアが、湊さんがこうなるなんて、確かに、すごい。」

「そ、そう言う事じゃないと思うけど...?」

「...勘弁してくれ。」

 

 しばらくして、俺たちは相席することになった。

 そして、自己紹介をしてもらった。

 

「__湊さん、ライブの成功、おめでとうございます。」

「えぇ。ありがとう。」

「蘭、昨日のライブ見に行ってたもんね~」

「ちょ!モカ!なんでそのこと知って__」

「モカちゃんも見に行ってました~」

「え?モカも?私も見に行ってたんだ~!」

「ひまりもか!私も見に行ってたぞ!」

「私は家のお手伝いで行けなかったんだ...どうだったの?」

「......なんて言うか、レベルが上がってた。」

「そうだよね!いつもと違ったよね!」

「あぁ!すっごい暑かった!」

「湊さんが~特に違いましたよね~。なんて言うか~誰かに届けようとしてたと言うか~」

 

 青葉がこっちをちらっと見た。

 

「!!」

「そう?いつもより気合が入ってるなとは思ったけど。」

「え~?モカちゃんの気のせいかな~?」

「モカは考え過ぎ。」

「そうかな~」

「......」

 

 なんだ、青葉の違和感は?

 

「ライブは好評だったみたいね。」

「そうみたいですね。」

「よかった~!」

「お姉ちゃんも褒めてくれた!」

「よかったね...あこちゃん。」

「なんで、こんな急にレベルが上がったんですか?」

 

 美竹がそう聞いてきた。

 

「言ったでしょう?八舞君のお陰よ。」

「八舞の?」

「私も気になってたんだ!」

「八舞君はどんなことをしたんですか?」

「彼はマネージャーよアドバイスもくれるわ。」

「経験者なんですか?」

「俺は素人だ。知識も本を読んだだけだ。」

「え?それだけ?」

「そうだ。」

 

 美竹は不思議そうな顔をしてる。

 

「彼の本での知識量は一冊どころじゃないわ。」

「え?」

「私の部屋にあった本は全部、暗記してるわ。」

「えぇ?!さ、流石にそれは__」

「ありえちゃうんだよね~それが。」

「日菜さんみたいだな!」

「八舞君は日菜を超えます。天才としてのレベルが違います。」

「お~それはすごいですな~」

「言い過ぎですよ。」

 

 最近思うが、俺は過大評価されすぎじゃないか?

 

「でも、期末テスト、満点だったじゃないですか。」

「いや、まぐれですよ。」

「いやいや~まぐれで満点はないっしょ~」

「しかも、あこにも教えてるから、八舞君はあまり勉強に手を付けてないわ。」

「まぁ、そうかもしれないですけど。」

「あこに勉強を教えてくれたのか!」

 

 巴が乗り出してきた。

 

「な、なんだ?」

「いや~あこが点数上がって喜んでたからな!ありがとう!」

「それぐらい、お安い御用だ。」

「すごいな~!私も八舞君に頼ろっかな!」

「別にいいが。内容、合うのか?」

 

 そんなこんなで打ち上げ兼お茶会は進んで、終盤に差し掛かった。

 

「ねぇ、八舞。」

「なんだ、美竹。」

「私たちの練習、見てくれない?」

 

 美竹はそう言った。

 

「は?なんでだ?」

「話を聞くと、ほんとにすごいらしいし。...ロゼリアに負けたくないから...!」

「俺はロゼリアのマネージャーなんだが...」

「行ってみたらいいわ。」

「友希那さん?」

「ロゼリア以外の音楽も体験してみて損はないわ。あと、アフターグロウは私たちのライバルよ、あなたにも聞いてほしいわ。」

「まぁ、そういう事なら。」

「......じゃあ、明日、練習だから。ライブハウスに来て。」

「分かった。」

 

 俺は明日、アフターグロウの練習を見ることになった。

 

「お!栄斗がくるのか!気合入るな!」

「うん!いい演奏聞かせないとね!」

「モカちゃんもやるよ~」

「私も頑張るね!」

「...つぐみはいつも通りでいいよ。」

「そうだよ~ツグり過ぎるからね~」

「そうだぞ!」

「そうだよ!」

 

 と言う、やり取りをしていた。

 

 俺のやることは増えていくみたいだ。




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第14話

紗夜ルート14話です!



 ”友希那&リサside”

 

 二人は屋上で、お昼を一緒に食べていた。

 

「そういえば、友希那って八舞君に告白したの?」

「な、なんのことかしら...?」

「とぼけても無駄だよ?」

「......したわ///」

「そっか~。」

「リサ?」

 

 リサの意味深な態度に友希那は首をかしげている。

 

「...ねぇ、友希那?」

「何?」

「私も八舞君が好きなんだ。」

「?!リ、リサまで...!?」

「うん。」

「てっきり、紗夜だけと思ってたわ。」

「私も応援するつもりだったんだけどね~。でも、好きになっちゃった。」

「そう...」

「私も告白するよ。」

「そう。」

「ごめんね、友希那。」

「?」

「友希那の初恋、応援してあげられなくて...」

「気にしなくていいわ。私たちにそんな遠慮はいらないもの。」

「そっか...そうだよね!」

「えぇ。誰が選ばれるのか、楽しみだわ。」

「負けないよ!友希那!」

「私もよ。」

 

 二人はそんな話をしていた。

 

「......」

 

 その会話が誰かに聞かれていたのを知らずに......

_________________________

 

 俺は今、学校を終え、ライブハウスにいる。

 

「来たね、八舞。」

「よう、美竹。皆はもう来てるか?」

「うん。早く行こう。」

 

 俺たちはスタジオに向かった。

 

「お~八舞君だ~」

「来たな!栄斗!」

「こんにちわ~!」

「こんにちわ!八舞君!」

「よう。」

 

 俺は挨拶を済ませた。

 

「早速だけど、次のライブの練習するよ。」

「俺はロゼリアでしてる通りでいいのか?」

「うん、いいよ。」

「よーし!やるよ皆~!えいえいおー!!」

「「「「「......」」」」」

「ちょ!なんで?!」

「いや、私はそういうのしないし。」

「定番ですからな~」

「ひまり、それはちょっと...な?」

「あはは。」

「スルーしなければいけない気がした。」

「八舞君まで!?」

「ほほ~う、やはり、やりますな~」

「...早く、練習しない?」

 

 そうして、練習が始まった。

 内容は次のライブでする曲の通し。

 俺は一通り終わってから感想を言うことになった。

 

「__ふぅ、こんな感じかな。」

「で、どうだった?栄斗?」

「そうだな、まずは__」

 

 俺は君粋な感想と技術面での改善点を話した。

 

「...なるほどね。」

「まぁ、最初に言ったが、荒い部分もあるが、それも個性として許容できる範囲だ。レベルとしては悪くない。」

「いや~モカちゃんも気づかない所があるなんて~」

「つぐまでミスがあったのに驚いたな。」

「そうだよね!」

「あはは、私もミスはするよ。」

 

 各々、休憩している。

 

「ね~八舞く~ん」

「なんだ、青葉?」

「...練習終わった後~残ってくれない~?」

「まぁ、いいが。」

「ありがと~」

 

 そう言って青葉は美竹の方に行った。

 

「なんだったんだ?」

 

 俺が考えてるうちに練習が再開された。

 俺が話した改善点も意識していた。

 修正能力が高いな。

 

__そうして、練習が終わった。

 

「__今日はここまでにしよ。」

「あ~終わった~!」

「だらけすぎだぞ、ひまり?」

「でも、疲れたよね!」

「だよね~つぐ~!」

 

 かなり疲れてるな。

 

「__モカは帰らないの?」

「うん~少し練習~」

「モカが?...まぁ、いいや。」

 

 そうして、俺と青葉以外は帰っていった。

 

「じゃあ~始めますか~」

「何をするんだ?」

「何って~練習だよ~?もしかして~モカちゃんと二人で~期待した~?」

「それはないな。」

「お~、モカちゃんショック~」

「冗談はよせ。それより、青葉は何の練習をするんだ?技術的にはアフターグロウでもダントツだと思うが。」

「まだまだだよ~モカちゃんへの期待は大きいんだよ~」

「なるほどな。青葉は皆には勉強してないと言って裏でかなり勉強してるタイプだな。」

「まぁ~そうですな~」

「美竹も素直じゃないが、一番はお前だな。」

 

 俺たちは練習を始めた。

 青葉の技術は高い。

 紗夜さんと比べると紗夜さんが上だが、それでも、アフターグロウでは群を抜いてる。

 

「どうかな~?」

「悪くない、ミスも少ないし、改善点も意識出来てる。」

「でも、もっと上手くならないとね~」

 

 口調とは裏腹に青葉は真面目な表情だ。

 

「...そんなに大きいか?お前への期待は。」

「まぁ~モカちゃんは天才ですからね~その分、期待も大きいのですよ~」

「そうか。」

 

 態度からは分からないが、青葉は苦労をしてる。

 

「そういえば、俺はもう少し、お前たちに協力することになってる。」

「?」

「その間、お前がお前への期待を超える手伝いをしよう。」

「お~それは助かりますな~」

「まかせろ、次のライブでお前の努力を証明できるようにしてやる。」

 

 俺たちはそう約束し、家に帰った。

_________________________

 

 アフターグロウに協力するようになってから、一週間が経った。

 俺は今日も青葉と練習をしている。

 

「青葉、そこはもっと__」

「なるほど~」

 

 一週間だけの練習で青葉はかなり上達していた。

 

「呑み込みが早いな。天才ってのもあながち間違ってないのかもな。」

「そうでしょ~」

「やっぱり、素直じゃないな。」

「え~?」

「お前、まだまだ練習がいると思ってるだろ?」

「お~よくわかったね~」

「目がそうだったからな。俺に気なんか使うな、少し見ればわかる、青葉がずっと気を張ってることは。俺の前ぐらいリラックスしろ。」

「それは~モカちゃんに期待してないってことかな~?」

「違うな。なんて言うのか、可愛いからだな(妹または教え子的な意味で)」

「~!!///」

「?」

 

 青葉が硬直したぞ?

 

「どうした?」

「や、八舞君は~タラシみたいだね~///」

「え?なんでだ?」

「さぁ~なんででしょ~?///」

「まぁいい。それより、今日は練習を切り上げるぞ。」

「え?」

「顔が赤い。最近は根詰めてたからな、

 疲れが出てるのかもしれん。」

 

 俺たちはライブハウスを出た。

_________________________

 

「送っていく。疲れてるならおぶってやる。」

「じゃ~おんぶしてもらおっかな~な~んて___!!」

 

 俺は青葉をおぶった。

 

「お前が甘えるほどだ、よほど疲れてたんだろ?道を言ってくれ。」

「う、うん~」

 

 俺は歩きだした。

 

「__八舞君さ~」

「ん?どうした?」

「どうして、モカちゃんが疲れてると思ったのかな~?」

「紗夜さんがよく根詰めて体調を崩しそうになるからな。それの副産物だ。」

「......やっぱり、八舞君はロゼリアなんだね~(小声)」

「ん?なんか言ったか?」

「なんでもないよ~あ、家はここだよ~」

「そうか。今日は早く寝るんだぞ?」

「八舞君、お母さんみたい~」

「......お母さんはやめろ。」

「あはは~冗談だよ~。」

 

 そう言って青葉は家に入った。

_________________________

 

 ”モカside”

 

 モカはベッドに倒れ込んだ。

 

「う~ん、八舞君が頭から離れませんな~」

 

『可愛いからだな。』

 

「~///ほんと~タラシだよ~///」

 

 モカは体を起こした。

 

「明日からは~もっと甘えよ~!」

 

 モカはそう呟いた。

_________________________

 

 また一週間が経った。

 変わった事と言えば、青葉が良く甘えるようになった。

 

「八舞く~ん。」

「おっと。青葉、急に膝に飛び込んでくるな。危ないぞ。」

「大丈夫だよ~モカちゃんだもん~」

「まったく...」

 

 俺たちがそんな会話をしてると

 

「__あの二人、距離近くない?」

「そうだな、モカが甘えてるのも意外と珍しいしな?」

「うん。でも、モカちゃんリラックスしてるね!」

「こ、これは...!」

「どうした?ひまり?」

「これはラブコメの匂いがするよ!巴~!」

「ら、ラブコメ?!」

「...何それ、意味わかんない。」

「え~!分からないかな~?」

 

 と言う会話をしていた。

 

「青葉、今日の練習はどこにする?」

「今日は~あの部分ですかね~」

「昨日のあの部分か。」

「いや!以心伝心率高いよ!!」

「?...なんだ?上原?」

「なんだ?じゃなくて!なんでモカはあの部分しか言ってないのに、会話ができてるの?!」

「うーん、二週間結構、一緒にいたからじゃないか?」

「あ、なるほど~ってならないよ!」

 

 そんなこんなで練習は進んだ。

_________________________

 

 ”Roselia”

 

「最近、八舞君は来ませんね。」

「えぇ。」

 

 栄斗がいない事はロゼリアには結構なダメージらしい。

 

「このまま、アフターグロウに移りたいとか言われたりして~...」

「そ、そんな事はあり得ないわ!」

「そ、そうです!」

「そうですよね!」

「そうだよ...あこちゃん。」

 

 そうは言ってるがロゼリアには不安があった。

 

「(アフターグロウは全員、八舞君の同級生だわ...)」

「(もしかしたら...)」

「(八舞君は、あっちの方が居心地いいのかもね...)」

 

 無言になった。

 

「...私、こんなので伝えられるのかな~...」

「大丈夫よ。今日、告白するんでしょ?」

「うん、そうだけど~...」

「セリフも練習したし大丈夫よ。」

 

 ロゼリアは練習を再開した。

_________________________

 

 あれから、少し経って、アフターグロウの練習が終わった。

 俺はいつも通り青葉と練習に入ろうとしていた。

 

「さて、練習を__」

「ね~八舞君~?」

「どうした?」

「聞きたいことがあるんだ~」

「なんだ?」

「八舞君、湊さんに告白されたでしょ~?」

「?!な、なんで。」

「たまたま、湊さんとリサさんが話してるのを聞いたんだ~」

「...そうか。」

「いや~八舞君も罪な男ですな~」

「?」

「湊さんに告白されて~」

「そうかもな。」

「...そして、今度はモカちゃんに告白されるんですからね~」

「え?」

「モカちゃんは、八舞君が好きだよ~」

 

 青葉は真面目な顔でそう言った。

 

「は?え、なんでだ?」

「何と言うか~八舞君優しいし、モカちゃんを可愛いって言ってくれたからかな~」

 

 青葉はそう言った。

 

「でも、それだけじゃないよ~。モカちゃんもチョロいかなと思ったけど~真剣な気持ちなら大丈夫だよね~?」

「青葉...」

 

 口調からは伝わってこない、でも、目は本気だ。

 

「でも~まだ返事はなしだよ~」

「え?」

「八舞君はまだ、聞かないといけないからね~」

 

 そう言い残し、青葉はスタジオを出た。

 俺は一人、取り残された。

 

「......まだってなんだよ。」

 

 俺がそう呟くと、メッセージが来た。

 

「リサさん...?」

 

『少し、話したいからライブハウスの近くの公園に来てくれない?』

 

 という内容だった。

 

「...行くか。もう秋だ待たせるのも悪い。」

 

 俺は急いで公園に行った。

_________________________

 

「__リサさん。」

「お!来た来た!ごめんね~、急に呼び出しちゃって!」

「構いませんよ。それで、どうしたんですか?」

「...ちょ~っと、座らない?」

 

 俺たちはベンチに座った。

 俺はベンチに行く前に温かい飲み物を買った。

 

「どうぞ、リサさん。」

「ありがと~!いくらした?」

 

 リサさんは財布を出そうとした。

 

「いいですよ、このくらい。」

「そう?じゃあ!ありがたく貰うね!」

 

 俺たちは話し始めた。

 

「アフターグロウの練習はどう?」

「そうですね、楽しいですよ。和気あいあいとしてて。」

「そっか~」

「でも、」

「?」

「俺はロゼリアの方があってますね。」

 

 俺はそう言った。

 

「俺の協力は次のライブまで、それが終わればロゼリアにすぐ戻ります。」

「そっか...よかった!」

「よかった?」

「うん。ロゼリアで八舞君がアフターグロウに行っちゃうんじゃないかって話があってね~」

「...ありえないですよ。俺はロゼリアに全てをかけると誓ったんですから。」

「ほんとによかったよ~。八舞君がいないと寂しいから...」

「そうですか?ロゼリアは大丈夫と思いますが?」

「少なくとも...私は寂しいよ?」

「え?なんでですか?」

「......き、だから。」

「?」

「私、八舞君が好き、だから...///」

「!!」

 

 リサさんはそう言った。

 

「い、いつから、ですか?」

「八舞君が、機材から守ってくれた日からかな...」

「...あの時ですか。」

「うん。あの時の八舞君がかっこよくて、やさしくて、帰り道に私の不安が消えるまで練習に付き合うって言ってくれて...」

「...」

「もしかしたら、それだけ?って思われるかもだけど、私には大きな出来事だったんだよ!」

 

 そう言って、リサさんは立ち上がった。

 

「わ、私、帰るね!!」

「え?リサさ__」

「飲み物ありがとー!」

 

 そう言って、リサさんは走っていった。

 俺はベンチにまた座った。

 

「...湊さん、リサさん、青葉...」

 

 俺には分からない。

 なんで、俺なんかを好きになるのか。

 

「(あの三人は俺から見てもいい人だ。そんな皆がなんで...)」

 

 俺はしばらくそこにとどまり、おぼつかない足で家に帰った。

 

 家についた頃には日付が変わっていた...

_________________________

 

 ”モカside”

 

 モカは少し急ぎ足で家に帰った。

 

「モカちゃんも、告白しちゃいましたね~」

 

 モカはそう呟いた。

 

「会ってから、そんなに経ってないのにね~」

 

 モカは意外と慎重だ

 

「...でも、好きになっちゃったら仕方ないよね~///」

 

 モカはベッドに倒れ込んだ。

 

「...八舞君は、モカちゃんを選んでくれるかな~?///」

 

 モカは呟いた。

_________________________

 

 ”リサside”

 

「はぁはぁ...!」

 

 リサは家まで走っていた。

 

「__おかえり、リサ。」

「あ、友希那。」

 

 家に着くと、友希那が待ち構えていた。

 

「...思いは告げたみたいね。」

「...うん。」

「どうだったかしら?」

「練習みたいにうまくできなかったよ~!///」

「そうでしょうね。」

 

 リサは友希那の胸に飛び込んだ。

 

「...私、選ばれるかな...?」

「わからないわ。私もいるし、そして__」

「紗夜も、だよね?」

「えぇ。」

 

 リサは友希那から離れた。

 

「そろそろ帰るね?」

「えぇ。...ねぇ、リサ?」

「?どうしたの、友希那?」

「...どんな結果になっても、私たちは友達、よね?」

「友希那...うん!当り前だよ!」

「そう。ならいいわ。」

 

 二人はそうして、それぞれの家に帰った。

 

 

 

 

 




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最後のヒロインはモカにしました!


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第15話

紗夜ルート15話です!


 俺は昨日、リサさんと青葉に告白された。

 分からない、俺なんかの何がいいんだ?

 

「__取り合えず、学校行かねぇと。」

 

 俺は学校に向かった。

_________________________

 

「よう!栄斗!」

「......あぁ、涼か。」

「どうした?元気がないぞ?」

「まぁ、色々あってな。」

「そうか?あ、今日は一時間目、体育だぜ?」

「そうだったな。」

「朝から体育はきついよな~」

「そうだな。」

 

 朝はこんな話をして時間を過ごした。

 

__一時間目が始まった。

 

「__なんで走るんだよ~!な、栄斗!」

「そうだな。」

 

 俺たちは持久走をしている。

 

「(...なんだ、これは?)」

 

 さっきからおかしい。

 

「__おい、栄斗?大丈夫か?」

「あ、あぁ。大丈夫だ。(おかしいぞ、視界が......)」

「そうか?すごい苦しそうな顔してるぞ?」

「問題な__っ!__」

「おい!栄斗!!」

 

 俺は意識を手放した__

_________________________

 

 俺は今、ベッドの上にいる。

 俺の家じゃない。

 

「ここは...?」

 

 見覚えがある、ここは__

 

「__くそ!まただ!」

「っ!」

 

 俺の親父がいる。

 

「(親父!?)」

「お前が生まれてから、俺の評価は下がる一方だ!!この、厄病神が!!!」

 

 親父は俺を殴ってきた。

 それは小一時間続いた。

 

「__今日はこんなものにしてやる。」

「...」

 

 俺は頭から出血するまで殴られた。

 そして、場面が切り替わる。

 

「(ここは、リビング?)」

「__ご飯よ~!」

「?」

 

 俺は声のした方に行った。

 

「今日の飯は何だ?」

「今日はお鍋ですよ。」

「わーい!お鍋だー!」

 

 これは...

 

「...あんたの分はないわ、さっさと出ていきなさい。」

「そうだ!」

「厄病神に出す飯はない。部屋に戻れ。」

「...」

「なにかしら?その目は?」

「兄貴のくせに生意気だ!くらえ!」

「っ!!!」

 

 鍋の汁をかけてきた。

 

「ちょっと!お鍋がもったいないでしょ!」

「だって、こいつが...」

「そうだ、こいつが存在しなければ、こんなことは起きない。」

「...まぁ、そうね。さっさと消えなさい厄病神。」

「...」

 

 俺は部屋を出た。

 

「(なんで、俺がこんな目に合わないといけないんだ?厄病神?俺は何もしてない。)」

 

 疑問が募る。

 

「(死んじまえばいいんだ。両親も弟も...みんな、死んじまえば...!!)」

 

 場面が切り替わった。

 

「__次は、なんだ?」

 

 ピンポーン

 

「誰だ?」

 

 俺は対応のために出た。

 

「__君が八舞栄斗君だね?」

「?」

「私は○○警察のものです。」

「...警察?」

「私は弁護士の○○です。」

「弁護士?」

「今回は君のご家族が、亡くなってしまったことを報告に来ました。」

「(家族が死んだ?両親も?弟も?)」

「なので__」

「あはは。」

「「?!」」

「あははははっ!!!(ざまぁみろ!このクズどもが!!生き残るのは厄病神の俺だ!!!__)」

 

 場面が切り替わる。

 

「__やぁ!栄斗君!」

「...あなたは?」

「俺は君のお父さんの知り合いだよ!」

「何のご用ですか?」

「君を引き取りに来た!」

「...なぜですか?」

「...君のお父さんに頼まれたからね。愛する息子を頼む、と...!」

「(......嘘だな。)」

「__おっと、すまない。少し電話に出てくるよ!」

 

 男は廊下に出た。

 俺は聞き耳を立てた。

 

『あぁ、俺だ。__あぁ、順調だ。__金だけ手に入れば、あんなガキ。__事故にでも見せかければいいだろ?__金が入れば、お前が欲しがってたバッグ買ってやるよ。』

 

 そう聞こえた。

 俺はその瞬間、生きるのに必要なものを持って逃げた。

 

「(なんなんだ!なんなんだよ!)」

 

 俺は走った。

 

「(なんで、俺が__いや、昔から分かってる。なんたって俺は、厄病神、だから__)」

 

 場面が切り替わった。

 

「__ここは、公園?」

 

 俺はあたりを見渡した。

 

「(ここ、どこかで...)」

「__辛いか?八舞栄斗?」

「誰だ!」

「俺はお前だ。」

「知ってるか?同じ人間は存在しないんだぞ?」

「...気づいているだろ?これは夢だ。お前の逃れることのできない記憶のな。」

「......やっぱりか。」

 

 夢のなかで夢と認識する日が来るなんてな。

 

「で、どうだった?お前の夢は?」

「最悪だな。」

「ははは!そうだろうな!」

 

 俺?は笑っている。

 

「...でも、これが、お前の基盤なんだぞ?」

「...」

「お前は過去あってのお前なんだ。お前は過去からは逃れられない。」

「...そう、だな。」

「なら、なぜ、人を信用する?ロゼリアもアフターグロウもそのほかの奴らだって、お前を裏切るかもしれないんだぞ?」

「そんなことは__」

「心から、そう思うのか?」

「っ...!」

「お前の人生は人間に作られて、人間に壊されている。そんなお前が身勝手な人間を、なんで、信頼する?」

「それは...」

「そういえば、お前、三人から告白されたんだっけ?」

「......あぁ。」

「その三人だって、お前の金が目的かも__」

「そんなことない!!」

「なぜ?」

「あの3人は、皆は、あいつらと違う!」

「なぜそう言える?同じ人間だぞ?何が違う?」

「...」

「お前は甘えてるんだよ。今の楽しい時間に。」

 

 俺?はそう言う。

 

「本来のお前は、人とは線を引き、一定の距離を保つ、信頼なんてもってのほかだ。」

「俺は...」

「お前に友達なんていらない。お前は本来、それを望まない。」

「俺は......」

「元に戻れ。すべてを捨てて、本当の八舞栄斗に。」

 

 俺?の言うことは最もだ。

 でも...

 

「__お断りだ。」

「何?」

 

 俺はそう言った。

 

「俺は誓ったんだよ、ロゼリアの皆の笑顔を守って、頂点に狂い咲かせるってな。」

「そんなこと__」

「そして、俺はもう、変わったんだよ。皆と過ごして、音楽に触れて。」

「...」

「俺は裏切られることを恐れてるお前とは、もう違うんだよ!」

 

 俺はそう言い切った。

 

「...そうか。変わったんだな俺は。」

『__君__舞君!』

「なんだ、この声?」

「...時間だな。」

「?」

「八舞栄斗。見せてみろ変わったお前ってやつを!」

「...」

「隙を見せれば、俺はいつでもお前に言い寄るぞ!」

「そうか。」

「じゃあな!」

「...あぁ。」

 

 現実の栄斗が消えた。

 

「...ほんと、もう来るんじゃねぇぞ。」

 

 夢の栄斗?はそう呟いた。

_________________________

 

 俺は目を覚ました。

 

「__ここは?」

 

 学校、ではない。

 

「ここは病院よ。」

「あれ?皆?」

 

 ロゼリアとアフターグロウがいた。

 

「急に倒れたらしいですね。そして、随分、うなされていました。」

「...まぁ、そうかもですね。」

 

 皆、黙ってる。

 

「寝言が、聞こえたわ。」

「寝言?......あ。」

「私達って、八舞君の苦しみを理解してた気でいたけど...」

 

 リサさんが言い淀んでる。

 沈黙が流れてる。

 

「...ごめんなさい__」

 

 友希那さんは俺を抱きしめた。

 それに続いてリサさん、青葉、紗夜さんが抱きしめてきた。

 

「...ごめんね、気付いてあげられなくて...」

「自分自身が、恥ずかしくなりました...。八舞君があれほどの苦痛を味わっていたのを理解できてなかったことに...」

「八舞君~...多分だけどモカちゃんたちのせい、だよね...?」

 

 各々、そう言ってきた。

 

「え?なんで?」

「...多分、私たちの__」

「そんなことないですよ?」

「え?」

「俺が過去を引きずってただけですよ。」

「でも...」

「そして、俺は過去を乗り越えましたよ。」

「え?どういう事?」

 

 皆は驚いた顔をしてる。

 

「もう、俺を裏切った奴らはいないです。今の俺にいるのは信頼できる人たちだけです。」

「...八舞君。」

「なんですか?紗夜さん?」

「なんだか、すっきりした顔をしてますね。」

「そうですか?」

「えぇ。」

 

 それから、少し時間が経った。

 皆は色んな言葉をかけてくれた。

 学校が終わってからすぐに来てくれたらしい。

 

「__紗夜。」

「はい?なんですか?」

「あなたも、決めるときじゃないかしら?」

「?...どうしたんですか?2人とも?」

 

 二人が話してる。

 

「...そう、ですね。///」

「?」

「じゃあ、私たちは出ておくわ。」

 

 友希那さんはそう言うと。

 

「皆、そろそろ帰るわよ。」

「え?友希那?...ってなるほど~」

「わかりました~」

「え?モカ?...まぁいいや。じゃあね、八舞。」

「じゃあな~栄斗!」

「またね!八舞君!」

「また来るね!」

「お大事に!八舞さん!」

「お大事...に。」

「あ、はい。」

 

 みんなが出ていく寸前に...

 

「これが最後よ、八舞君。」

「え、友希那さ__」

 

 友希那さんも病室を出た。

 

「「...」」

 

 俺と紗夜さんだけが残った。

 

「...八舞君。」

「はい。」

「私が残った意味が、分かりますか?」

「分かるし、分かりません。」

「ふふ、そうですか。」

 

 紗夜さんは笑ってる。

 

「八舞君は、私たちといる時間は楽しいですか?」

「はい。楽しいです。」

「そうですか...!」

 

 紗夜さんは嬉しそうだ。

 

「...八舞君は過去を乗り越えたんですよね?」

「はい。皆との時間がなければ、不可能だったかもですね。皆との時間は想像以上に俺を強くしてました。」

「そうですか...じゃあ、もう、あなたの過去を一緒に支える必要はないんですね。」

「そうですね。」

「じゃあ__」

 

 紗夜さんは一呼吸おいて...

 

「私は八舞君と、未来を支えあいたいです!///」

「紗夜さん...」

「私は、あなたを愛しています。あなたとなら、どんな未来にでもいけます///」

 

 なので、に続いて、紗夜さんは、こう言った。

 

「私と未来を歩んでください!///音楽の頂点も、その先も...!///」

 

 紗夜さんは抱き着いた。

 そして、少しの時間が過ぎた。

 

「__これが、私の気持ちです///」

「はい。」

「八舞君は、後は選ぶだけですね。」

「もったいないですね。俺一人なんかに。」

「そんな事はないですよ?八舞君だから、私たちも告白したんです///」

「...そうですか。」

「だから、八舞君は自分の意志で選んでください。」

「はい__」

「でも。」

「?」

「...出来る事なら、私を選んでくださいね!」

 

 紗夜さんは笑顔でそう言って、病室を出て行った。

 

「......見てるか、俺。俺は素敵な人たちに好意を持たれたぞ。」

 

 俺がつぶやくと『あぁ。』と聞こえた気がした。

 

「後は俺の意思らしいな。俺が選んでいいのかわからないが、」

 

 俺は一息置いて...

 

「俺は皆の期待に応えるだけだ。」

 

 俺は覚悟を決めた。

 

「俺は、____が好きだ。」

_________________________

 

 ”ヒロインside”

 

「...緊張、しましたね。」

「そうでしょう?紗夜。」

「湊さん?今井さんに青葉さんも?」

「やっほ~☆」

「告白は出来たみたいですね~」

「...はい///」

「__これで、私たちは決断を待つだけよ。」

「そうですね。」

「負けないわよ、皆。」

「私だって!負けないよ!」

「モカちゃんも、負けませんよ~!」

「...私も、負けません!」

 

 少女たちはお互いの健闘と幸せを願う。

 後は、自分たちの思い人の決断を待つだけだ。

 

 秋の夕日は、恋する乙女たちを包み込むように照らした。

 

 

 




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誰のエンドからがいいんでしょうか?


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紗夜エンド

紗夜エンドです!


 俺は三日だけ病院にお世話になった。

 俺は今、自分の家にいる。

 

「__よし。」

 

 俺はあることを準備をしていた。

 俺は...

 

「紗夜さんが好きだ。」

 

 だが、俺は返事をするにあたって問題があった。

 

「......どうやって、すればいいんだ?」

 

 俺は頭を抱えていた。

 

「うーん...。あ、デートに誘おう。」

 

 思い立ったが吉日、俺は紗夜さんに連絡をした。

 

『おはようございます。

 よろしければ、今週末に俺と出かけてもらえないでしょうか?』

 

 と、送った。

 返事は超高速で返ってきた。

 

『おはようございます。

 はい、大丈夫ですよ。楽しみにしています。』

 

「よし。後は、準備だな。」

 

 本来、今日は学校だが、俺は休むと連絡してるので問題ない。

 

「さて、何を準備しようか。」

 

 俺はしばらく考えて...

 

「...あれだな。」

 

 俺はショッピングモールに向かった。

_________________________

 

 ショッピングモールに着いた。

 

「__さて、いい感じの店は...」

 

 俺はあたりを見回した。

 

「お、あそことかいいかも。」

 

 俺はその店に入った。

 

「__いらっしゃいませ。」

 

 店員は優しそうなおじさん一人だ。

 俺は商品を見て回った。

 

「ふーむ...」

「__誰かへの、贈り物ですかな?」

 

 店員のおじさんが話しかけてきた。

 

「はい。でも、何がいいのか分からなくて。」

「贈る相手は彼女さんかな?」

「まだ、そうではないです。」

「なるほど、まだ、か...。」

 

 おじさんは少し考えて...

 

「これなんて、いかがですか?」

「これは...時計?」

 

 おじさんが見せてきたのは、シンプルなデザインの綺麗な銀色の腕時計だった。

 

「これから、ならこれがおすすめです。」

「なんでですか?」

「異性に時計を送る意味は『あなたと同じ時間を刻みたい』。これからの二人にピッタリだと思いませんか?」

「...なるほど。じゃあ、それにします。」

「はい。かしこまりました。でも、お金は大丈夫かな?見たところ学生のようですが?」

「問題ないです。お金には困ってません。」

「ふーむ...。」

 

 おじさんは少し考えて...

 

「これは、タダでお譲りしましょう。」

「え?いや、ダメでしょう?」

「......この店は、もうすぐ閉店なんです。」

「え?」

「だから、これから幸せな時間を歩むであろう、最後のお客の君に、これを受け取ってほしいんです。」

 

 おじさんは俺を見据えてそう言った。

 

「受け取ってくれるかな?」

「......はい。」

「ありがとう。」

 

 おじさんは腕時計を綺麗な箱に入れてくれた。

 

「ありがとうございました。」

「こちらこそ。どうか、お幸せに。」

 

 俺は頭を下げて、店を出た。

 

「__君は似ている、昔の僕に。

 君の未来は愛と言う輝きで満ちているよ...」

 

 おじさんはそう呟いた。

_________________________

 

 デート当日になった。

 俺は落ち着かないので早く待ち合わせ場所に来た。

 

「ふぅ、落ち着かないと。」

 

 俺は心を落ち着かせつつ、紗夜さんを待った。

 

「__おまたせしました。」

 

 それから少しして、紗夜さんが来た。

 

「いえ、そんなに待ってないですよ。」

「...私でも20分前なんですが?」

「......まぁ、行きましょう。」

「はい__きゃっ!」

 

 紗夜さんが躓いてこけそうになった。

 

「よっと。」

 

 俺は紗夜さんを抱きとめた。

 

「大丈夫ですか?」

「え、えぇ。ごめんなさい。」

「気にしなくていいですよ。さぁ、行きましょう。」

 

 俺たちは歩きだした。

 

「あ、紗夜さん?」

「どうしました?八舞君?」

「今日、オシャレしてくれたんですね。とても可愛いですよ。」

「!!そ、そうですか///」

「はい。」

「...言うのが少し、遅くないですか?///」

「...あの場で言うのが照れくさくて。...まぁ、行きましょう。」

 

 俺たちはある場所に向かった。

_________________________

 

「__着きました、ここです。」

「ここは...水族館ですか?」

「はい。特別な水槽が追加されたらしくて。」

「そうなんですか?」

「はい。俺にはピッタリかなと。」

「?まぁ、入りましょう。」

 

 俺たちは水族館に入った。

 

「__おぉ、ここが水族館か。」

「初めて来たんですか?はい。来る機会がなくて。」

「なら、私が初めて、ですね。」

「はい。そうですね。」

「そうですか...///」

「?どうしたんですか?」

「い、いえ!なんでもないですよ。」

「?......そうですか?」

「はい。早く行きましょう。」

「はい。」

 

 俺たちは館内を歩いた。

 

「__きれいですね。」

「はい。...ここは、熱帯魚みたいですね。」

「私も来たのは子供の時以来ですが、昔とは感じるものが違います。」

 

 紗夜さんは水槽に見入っている。

 

「(人が多いな。日曜だからか?)」

「...どうしました?八舞君?」

「紗夜さん、手をつなぎませんか?」

「え?!///な、なんででしょう...?///」

「人も多いですし、はぐれたら困ります。」

「そ、そうですか...」

 

 紗夜さんはシュンとしてる。

 

「...紗夜さんとの時間が無くなるのは困るんですよ。」

 

 俺はそう言った。

 

「や、八舞君?///」

「あと、単純に繋ぎたいです。」

「そ、そうですか!///じゃあ...」

 

 俺たちは手を繋いだ。

 

「じゃあ、行きましょう、紗夜さん。」

「は、はい...///」

 

 人ごみを進んでいった。

 

「...こことか、すごいですね。」

「えぇ...。」

 

 俺たちが来たのは天井まで水槽の通路だった。

 

「水槽が割れたら面白いですね。」

「......不吉ですよ?紗夜さん?」

「冗談ですよ。」

「「あはは...!」」

 

 俺たちは笑った。

 

「紗夜さん、晴れ女ですか?」

「...雨女です。」

「実は俺も雨男なんです。」

「「......」」

「ここは離れましょう。」

「そうですね。」

 

 俺たちはその場所を離れた。

 なんか、ほんとに割れる気がした。

 

「__あ、そういえば。もうすぐでショーがあるらしいです。」

「そうなんですか?」

「行きますか?」

「行きたいです。」

「じゃあ、行きましょう。」

 

 俺たちはショーの会場に向かった。

 

「__あ、紗夜さん。この席とか良さそうですよ?」

「そうですね。そこにしましょう。」

 

 俺たちは座った。

 

「......楽しいですか?紗夜さん?」

「はい。八舞君と一緒だから余計に楽しいです。」

「それなら、よかったです。」

 

 ショーが始まるまでの待ち時間、俺たちは色々な事を話した。

 

「(ん?紗夜さん、寒そうだな。)

 紗夜さん?」

「はい?」

「これ、どうぞ。」

 

 俺は着ていた上着を差し出した。

 

「寒いでしょう?良ければ来ててください。」

「でも、八舞君が...」

「俺は大丈夫ですから、ね?」

「そ、そういう事でしたら...」

 

 紗夜さんは俺の上着を羽織った。

 

「(や、八舞君の匂いがします!安心しますね...///)」

「(よかった。ちょっといい上着、着ておいて。)」

 

 そうして、ショーが始まった。

 最初はイルカのショーだ。

 

「え?あんなに飛ぶの?」

「......私も驚きました。」

 

 次は、オットセイ?だった。

 

「ははは。上手いもんだな。」

「そうですね。すごい技術です。」

 

 最後はペンギンだった。

 

「か、可愛い......!///」

「(今の紗夜さんの方がどう考えても可愛いな。)」

「み、見てください、八舞君!ペンギン、ペンギンですよ...!」

「そうですね、可愛いですね。」

「あ、小さいペンギンが転びました...!///かわいい...」

「(可愛いもの、また調べておくか)」

 

 そうして、ショーが終わった。

 

「いやー想像より面白かったですね。」

「そ、そうですね。///」

「どうしたんですか、紗夜さん?」

「い、いえ。なんでもないです!(私としたことが、八舞君の前で恥ずかしい姿を...///)」

「そうですか?あ、そろそろ、お昼にしましょうか。」

「え?もうそんな時間なんですか?」

 

 時刻は12時過ぎ、昼食どきだ。

 俺たちは館内の飲食店に入った。

 

「__紗夜さん、注文は何にしますか?」

「そうですね...!!」

 

 紗夜さんが反応した。

 

「(多分、これだな。)」

「八舞君、私は決まりました。」

「はい。じゃあ、呼びましょう。」

 

 俺は店員を呼んだ。

 

「ご注文は何でしょうか?」

「私は、このパスタを。」

「そちらのお客様は?」

「俺はグラタンとフライドポテトで。」

「!!」

「はい!かしこまりました!」

 

 店員は注文を通しに行った。

 

「...気づいてたんですか?」

「なんのことですか?あ、ポテトは一緒に食べましょう。」

「は、はい。」

 

 しばらくして、料理が運ばれてきた。

 

「じゃあ、いただきましょう。」

「はい。」

 

 俺たちは食べ始めた。

 

「...ポテト、おいしい♪」

「...(...可愛い)」

「八舞君は食べないんですか?」

「いいですよ。全部食べてもらっても。」

「そ、そうですか...!」

 

 紗夜さんは嬉しそうに食べてる。

 

「(そろそろかな。)

 紗夜さん、少しお手洗いに行ってきます。」

「はい。」

 

 俺はシレっと伝票を持って行った。

 そして、会計を済ませた。

 

「__お待たせしました。」

「おかえりなさい、八舞君。私もちょうど食べ終わったところですよ。」

「じゃあ、そろそろ出ましょうか。」

「はい、そうですね。...あれ?伝票は...」

 

 紗夜さんが俺を見た。

 

「また、八舞君が払ったんですか?」

「......さぁ?何のことでしょうか?

 優しい妖精さんが持って行っちゃったんじゃないですか?」

「...年上としての面目が立たなくなります。」

「気にしなくてもいいんじゃないですか?

 女の人は皆そんな感じですよ(多分)」

「また、今度、お返しします。」

 

 俺たちは店を出た。

_________________________

 

「(そろそろか。)

 紗夜さん、あっちに行きませんか?」

「?わかりました。」

 

 俺たちはある場所に向かった。

 

「__ここは...!」

「この水族館で一番大きくて、一番きれいな水槽です。」

「?!い、色が変わりましたよ?!」

「...もう少し、見ててください。」

「?」

 

 紗夜さんは水槽に視線を戻した。

 

「__!」

「これです、俺が見せたかった、特別な水槽は。」

「綺麗な、青ですね。」

「泳いでる魚が花びらみたいで、色はロゼリアの色。

 俺と紗夜さんには相応しいでしょう?」

「はい...。とても、綺麗です。」

 

 心の準備ができた。

 

「紗夜さん。」

「?」

「俺はロゼリアに全てをかけると誓いました。」

「そうですね。頼もしいです。」

「でも、それだけじゃなくなりました。」

「あ?どういう__」

「俺と付き合ってください、紗夜さん。」

「!!」

「俺はロゼリアに全てをかける。でも、紗夜さんにも、全てをかけたいです。」

「...」

「紗夜さん?__!」

 

 紗夜さんが抱き着いてきた。

 

「紗夜さん?」

「嬉しいです...!」

 

 紗夜さんはそう言った。

 

「待ってましたよ...!八舞君...!///」

「......お待たせしました、紗夜さん。」

 

 俺も紗夜さんを抱きしめた。

 

「紗夜さん、俺と未来を歩んでくれますか?」

 

 俺がそう聞くと、紗夜さんは少し離れて...

 

「はい!もちろんです!」

 

 飛び切りの笑顔でそう答えた。

 

「__紗夜さん、これを受け取ってください。」

「これは?」

「開けてみればわかります。」

「はい。」

 

 紗夜さんは箱を開けた。

 

「これは、時計ですね?」

「はい。異性に時計を送る意味は『あなたと同じ時間を刻みたい』らしいです。」

「!」

「これも、相応しいでしょう?これからの俺たちには。」

「はい...!

 じゃあ、私からも___」

「!!」

 

 紗夜さんがキスをしてきた。

 

「私のファーストキス、です///」

「さ、紗夜さん///」

「離れたら嫌、ですよ...?///私は意外と寂しがり屋なんですから...!///」

「はい!分かってますよ!」

 

 俺たちはまた水槽を眺めた。

 色はゆっくりと変わり続ける。

 

「俺たちの未来の色はどんなのでしょうか?」

「分かりますよ。私たちが一緒にいるなら。ね?栄斗君?」

「!!...そうですね、紗夜。」

 

 俺たちの未来は果たして何色になるんだろう?でも、その色が明るいのは間違いない。

 なんたって、今が明るいから。音楽器具の『メトロノーム』は絶対に乱れないから。

 俺たちは乱れないように、幸せと言うリズムを刻み続けるだけだ。

 

_________________________

 

 

__少し年月が経った。今、俺は__

 

「綺麗ですよ、紗夜。」

「...敬語はもういいですよ、栄斗。」

「いやー癖がなかなか抜けなくて。」

「はぁ、名前を呼べるようになっただけでも進歩、なんでしょうか?」

「ははは__」

 

 コンコン

 ドアを開けて皆が入ってきた。

 

「やっほ~!二人とも~!」

「来たわよ。」

「お邪魔...します。」

「わー!紗夜さん綺麗ー!!」

「皆さん、おはようございます。」

 

 ロゼリアの皆が。

 

「来たよ、八舞。」

「やっほ~八舞君~」

「今日はめでたいな!栄斗!」

「おめでとう!八舞君!」

「おめでとう!」

 

 アフターグロウも、

 

「よう!栄斗!来たぞー!!」

「あれ?俺、涼に招待状送ったっけ?」

「え?!送られてきたぞ?!」

「冗談だ。俺がお前に送らないわけないだろ。」

「だ、だよな!親友だもんな!」

「あぁ、そうだな。」

 

 涼も来てくれた。

 

「それにしても、紗夜ももう結婚か~!時間が進むのは早いね~!」

「今井さん...お年寄りみたいなことを言いますね。」

「ちょっ!私まだ23だよ!」

「リサは昔から年と精神が一致してなかったわね。」

「え?」

「リサさんは~みんなのお母さんでしたね~」

「そう...ですね...!」

「え!?リサ姉はリサ姉じゃなくて、お母さんだったの?!」

「私、ずっとそう思われてたの...?」

「......冗談よ、リサ。」

「間が気になるよ?!友希那?!」

「......相変わらずだな。」

「そうですね。」

 

 俺と紗夜は笑いながらその光景を見ていた。

 

「ねぇ、八舞。」

「なんだ、美竹?」

「今、幸せ?」

「あぁ。」

「そう。」

「やっぱり、青葉の事か?」

「違う、とは言えない。」

 

 俺と紗夜が付き合った後、俺は他の三人をフッた。

 その時に青葉は泣いた。

 美竹もあんなに泣いた青葉を見たのは初めてだったらしい。

 

「モカをフッたんだから、幸せにならないと許さないから。」

「分かってるよ。」

 

 俺は真面目な顔で言った。

 

「俺には紗夜がいるんだ、幸せなのは当り前だよ、永遠にな。」

「え、栄斗ったら...///」

「うん、悪くないね...!」

 

 美竹は皆の方に行った。

 

「紗夜、八舞君。」

「やっほ~」

「友希那さんとリサさん、どうしました?」

「今日はおめでとう、二人とも。ロゼリアのリーダーとして鼻が高いわ。」

「私もだよ~!」

「「ありがとうございます。」」

「二人も分かってると思うけど__」

「すぐにあの舞台、ですよね?」

「えぇ、そうよ。」

「燃えますね...!」

「そうだね~!私たちもここまで来たか~!」

「そう...ですね!」

「あこも!燃えてきました!」

「あら、二人も来たのね。ちょうどいいわ。」

「?」

「八舞君。」

「はい?」

 

 友希那さんはおおきく息を吸って...

 

「ロゼリアと紗夜に、全てをかける覚悟があるかしら?」

 

 そう聞いてきた。

 

「当然です!誓いましたから!」

「そう、なら心配ないわね。」

 

 そろそろ時間なので皆は会場に向かった。

 

「今日は二人の幸せな姿を楽しませてもらうわ。」

「待ってるよ~☆」

 

 皆は会場に行った。

 

「__俺たちも、準備しましょうか。」

「そうですね。」

「紗夜は、幸せですか?」

「もちろんです。」

「そうですか。」

 

 俺たちは立ち上がった。

 

「じゃあ、行こう、紗夜。皆の所に。」

「!!えぇ、そうですね!」

 

 俺たちは歩きだした。

 

「ここも、頂点かもな。」

「そうですね。」

「なんたって...」

「「俺(私)達の幸せは狂い咲いてるから!」」

 

 時間は進み続ける。

 俺たちは今、幸せの頂点だ、

 次は音楽の頂点に狂い咲いてやる! 

 

 

 

 

 

 

 

  




感想などお願いします!

後は残り三人のエンドが終わったら完結です!


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友希那エンド(再投稿)

再投稿前のものが利用規約違反をしてたため再投稿しました。
LOUDERの歌詞は脳内再生でお願いします。
内容は同じなので読んだ人は読まなくてもいいと思います。


 俺が退院してから、少し経った。

 段々と寒くなってきた。

 俺は元の日常を過ごしていた。

 

「はぁ...」

「どうした?朝からため息なんてついて?」

「涼か。いや、少し悩んでてな。」

「お?どうしたんだ?」

「ある人に告白の返事をしたいんだが、どうしたらいいのか。」

「え?誰?」

「俺がマネージャーをしてるバンドの年上の人。」

「え?どの人?」

「......友希那さんだ。」

「あ!ボーカルの人か!」

「え?何で知ってる?」

「ライブを見に行ったことがあってな!すごい人だよな~!」

「すごいよ、友希那さんは。でも...」

「あ~音楽への興味が強すぎるのか。」

「そういう事だ。」

 

 俺は悩んでいた。

 

「友希那さんはデートとかそういうのは好きじゃなさそうだしな。」

「ん~」

 

 涼も何かを考えてる。

 

「あ!そうだ!」

「?」

「音楽への興味が強いなら、音楽をすればいいんじゃないか?」

「うむ。」

「ボーカルなら一緒に歌ったり、お前が楽器をしたり!」

「...ありかもしれん。」

「だろだろ!」

「後は、何がいるか...」

「プレゼントとかは?」

「プレゼント?」

「好きなんだろ?だったら、何かあげてみればいいんじゃね?」

「でも、いい店あるか?」

「俺の家に来ればいいぞ!」

「涼の家?」

「正確にはじいちゃんが装飾品を売ってるんだ!」

「いいな。放課後すぐに行こう。」

「案内するぜ!」

 

 そうして、プランが決まった。

_________________________

 

 放課後になった。

 

「いくぞ、涼!」

「おうよ!」

 

 俺たちは涼の家に向かった。

_________________________

 

「__ここだ!」

「意外とでかいな。」

「そうか?まぁ!入ってくれ!」

「おう。」

 

 俺たちは店に入った。

 

「__ただいま!」

「おかえり、涼。」

「あ!じいちゃん!」

 

 中にいたのは優しそうなおじいちゃんだった。

 

「そちらの子は?」

「こいつは俺の友達の栄斗だ!

 実は__」

 

 涼は事情を説明した。

 

「なるほど。

 ...栄斗君。」

「はい。」

「好きに見て行ってくれ、君が選んだものが、贈るものに一番ふさわしい。」

「分かりました。」

 

 俺は店内を見た。

 

「...これは。」

「ん?ネックレス?」

 

 俺が手に取ったのは青い石がはめられたネックレスだ。

 

「綺麗だな、これ。」

「__それに目を付けたかい?」

「はい。」

「その石には意味がないんだ。」

「どういうことですか?」

「石には普通、石言葉なるものがあるんだが、それには存在しないんだ。」

「存在、しない。」

「そう、だから、込める意味は君の自由だ。」

「!」

 

 決めた。

 

「...これにします。」

「お!それにするか!」

「あぁ、意味を込めてみたくなった。」

「でも、ネックレスって束縛したいって意味じゃないっけ?」

「え?そうなのか?まぁ、いい。受け取ってもらえなかったら仕方ないってことで。」

「そ、そうか?」

「これにします。お代は?」

「そうだね___くらいにしておこうかな。」

「え?」

「これからも、涼と友達でいてくれれば、それが一番の料金だよ。」

「じいちゃん...」

「そういう事なら。」

 

 俺は提示された額を出した。

 

「毎度あり。」

「ありがとうございました。涼もありがとな。」

「おうよ!頑張れよ!栄斗!」

「あぁ!」

 

 俺は店を出た。

 そして、家に帰った。

_________________________

 

 一晩明け、今日は休日だ。

 

「さて、とりあえずライブハウスに行くか。」

 

 俺はライブハウスに向かった。

_________________________

 俺はライブハウスに着くなり...

 

「よし、とりあえず、準備だ。」

 

 俺は準備を始めた。

 

「__よし、こんな感じでいいだろ。」

 

 俺は友希那さんにメッセージを送った。

 

『友希那さん、すいません。ライブハウスに来てください。問題が起きました』

 

 と、送った。

 騙したことになるが、後で謝ろう。

 

「__やばいぞ、めっちゃ緊張してきたぞ?」

 

 俺が緊張で頭を抱えていると...

 

「__どうしたの?!八舞く...ん?」

「あ、」

 

 思いっきり頭を抱えてるところを見られた。

 

「えーっと。こんにちわ。」

「......ほんとに、何をしてるのかしら?」

「聞かないでやってください。」

 

 友希那さんも座った。

 

「それで、どうしたの?」

「え?」

「問題が起きたんでしょう?」

「あー、すいません。あれは嘘なんです。」

「?」

 

 友希那さんは首をかしげている。

 

「今日は少し、お願いがあって。」

「お願い?」

「俺と音楽をしてください。」

「え?」

 

 友希那さんは驚いている。

 

「...急ね。」

「すいません。」

「別にいいわよ?練習もなくて暇だったのよ。リサも出かけてしまったし。」

「そうなんですか。」

「それで、何をしたいの?」

「ギターとベースで一曲ずつしてみたいです。」

「...楽しみね、八舞君がどんな演奏をするのか。」

「ははは。素人なので期待しないでくださいね?」

「ふふ、期待するわ。」

 

 俺たちは演奏を始めた。

 

「(この曲は...)」

「(私たちが初めて八舞君の前で演奏した曲だわ)」

「(今思えば、これが始まりだった)」

 

 二曲目。

 

「(これは...友希那さんが告白してきた日の...)」

「(あの時は八舞君に伝えるために、八舞君だけのために歌ったわ...八舞君、私の思いは届くのかしら?)」

「(俺も、友希那さんに...)」

 

 三曲目、

 

「__最後はどうしますか?」

「......この曲がいいわ。」

「LOUDERですか?」

 

 この曲は初めて見た。

 

「...この曲は元は私のお父さんの歌。

 でも、今は『思い繋ぐ、未完成な歌』よ。」

「思いを、繋ぐ...」

「八舞君?」

「友希那さん。」

「どうしたの?」

「俺の思い、感じてください。」

「!」

「歌いましょう。」

 

 俺たちは歌い始めた。

 

「裏切りは暗いまま__」

「!!(八舞君...)」

「(伝われ!友希那さんに!俺の思い!)」

 

___ 曲が終わった。

 

「友希那さん__!」

「ん......///」

 

 友希那さんがキスをしてきた。

 

「...これで、合ってるかしら...?///」

「......はい!大正解です。」

「思いは、私の思いは繋がったのね...!///」

「はい。そして、俺の思いも...」

 

 俺たちは抱き合った。

 

「友希那さん...」

「...さんはいらないわ。」

「?」

「友希那と、呼んで...」

「友希那...」

「どうしたの、栄斗。」

「俺と付き合ってください。」

「もちろんよ...!///」

 

 それから、しばらく抱き合っていた。

 

「友希那...渡したいものがあります。」

「?...何かしら?」

「これです。」

 

 俺はネックレスを出した。

 

「...綺麗だわ。」

「ネックレスには意味があるらしいです。」

「...どんなのかしら?」

「あなたを、束縛したい、らしいです」

「束縛...」

「嫌なら、受け取らなくても__」

「__なら、栄斗がつけて。」

「え?」

「私をあなたに縛り付けてほしいわ...///」

「...わかりました。」

 

 俺は友希那にネックレスをつけた。

 

「__これで、私はあなたから離れられないわね///」

「そうですね。」

「そういえば、この石の意味は何なのかしら。」

「本来はないんです、でも今決めました。」

「...なにかしら?」

「愛、です。」

「愛...」

「意味と俺の気持ち、両方を込めました。」

「...嬉しいわ///」

 

 友希那は愛おしそうにネックレスを眺めている。

 

「栄斗...」

「なんですか?」

「愛してるわ。///」

「俺も愛してます。」

「...私にも、全てをかけてくれるかしら?///」

「...当然です。全てをかけます。」

 

 俺は友希那の手を握った。

 

「この手は永遠に放したくない。」

「私もよ///」

 

 俺たちは目を合わせて...

 

「俺は...」

「私は...」

『永遠の愛をあなたに誓う』

 

 俺たちは肩を寄せ、幸せをかみしめた。

 心が繋がる感覚、これは友希那としか感じられない。

 そして、繋がりは、俺と友希那は...

 『永遠』だ。

_________________________

 

 

 

___数年後、ロゼリアは友希那の夢の舞台へのリベンジに成功した。

 そして、今日は...

 

「友希那ぁ~!!!」

「...ちょっと、リサ泣き過ぎよ。」

「だって、だって~!!友希那が~!!」

「ははは、リサさんは相変わらずですね。」

「そうですね...」

「リサ姉、お母さんみたい!」

「そう...だね。」

 

 俺たちの待合室に皆が集まっていた。

 

「湊さんも結婚ですか。おめでとうございます。あ、八舞も」

「俺はついでか。まぁ、ありがと。」

「ありがとう、美竹さん。__あと、リサはそろそろ泣き止んで...」

「決まってるじゃねぇか!栄斗!」

「巴か。お前には敵わないよ。」

「八舞君~か~っこいい~」

「そうだよ!流石、友希那さんの旦那さん!」

「かっこいいよ!」

「...そうか。」

「あれ?栄斗、照れてるな~?」

「うるさいぞ、涼。」

「...栄斗?浮気は許さないわよ?」

「しません。俺は友希那以外に靡かない。」

 

 そんな話をしてると、誰かが入ってきた。

 

「__やぁ、栄斗君。」

「あ、お義父さん。ようこそ、いらっしゃいました。」

「かしこまらなくていい。今日の主役は君たちだ。」

 

 お義父さんはそう言った。

 

「友希那。」

「お父さん。」

「この前の演奏は見事だった。お父さんの夢を果たしてくれたね。」

「栄斗のおかげよ、お父さん。ずっと私についてきてくれた。」

「そうか。...栄斗君。」

「はい。」

「ありがとう。友希那を幸せにしてくれて。」

「いえ、まだまだ、これからです。」

「八舞ぐ~ん!!」

「うわ!リ、リサさん?!」

「友希那と幸せになっでね~!!!」

「は、はい。お義母さん?」

「...私の母じゃないわ。」

 

 時間になったので、皆は会場に向かった。

 

「じゃあ、後でね、二人とも。」

「はい。お義父さん。」

「後で。」

 

 俺たち二人が残った。

 

「皆、相変わらずでしたね。」

「そうね。特にリサ。」

「あはは。あれは面白かったです。」

「あんな調子でスピーチ、出来るのかしら?」

「...さぁ?」

「さぁって...ふふ。」

「行きましょう、皆を待たせてしまします。」

「あ、」

「?」

 

 友希那はこう言った。

 

「栄斗はいつまで私に敬語なのかしら?」

「え?」

「夫婦なのよ?敬語なんていらないわ。」

「うーん...そうですね...じゃない、そうだな。」

「それでいいわ!」

「慣れない...」

「いずれ慣れるわ。」

 

 気を取り直して。

 

「__行こう、友希那。皆の所へ。」

「そうね、栄斗。」

 

 俺たちは歩きだした。

 

「友希那。」

「何かしら?」

「愛してる。」

「私もよ。ずっと、愛してるわ。」

 

これが頂点に立った俺たち。

音楽も愛も幸せも、全部、友希那とだから手に入った。

今度は頂点を超えて、その先へ友希那と向かって行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ご指摘ありがとうございました。
以後、気をつけます。


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リサエンド

リサエンドです!

リサのヒロインは苦手です、書き方が分かりませんでした。


 俺は今、ロゼリアの練習にいる。

 

「...」

 

 そんな中、俺は一人の人を見ていた。

 

「ゆーきな☆」

 

 そう、リサさんだ。

 

「(俺はリサさんが好きだ。だが、どう伝えるか。)」

「あれ?八舞君、どーしたの?」

「(やばい、見すぎた。)

 いえ、なんでもないですよ。」

「嘘だよね?お姉さんに話しってみなよ!」

「...じゃあ、話しましょう。」

「うんうん!...で、何を悩んでたの?」

「悩んではないですよ。」

「そうなの?」

「はい。」

「じゃあ、何があったのかな?」

「俺とデートに行きませんか、リサさん?」

「へ?デート?...って、デート?!///」

「はい。」

「それって所謂、男女の...?///」

「そのデートで間違ってないです。」

 

 リサさんが目に見えて焦ってるな。

 この人、ほんと免疫ないよな。

 

「それで、行きますか?」

「う、うん!行くよ!デート!」

「...大声で言われると、少し恥ずかしいんですが?」

「あ、ご、ごめん...」

「いいですよ。楽しみですね、リサさんとのデートは。」

「私も!八舞君とのデートは楽しみだよ!///」

「それじゃ、日程は明日にしましょう。練習も休みですし。」

「うん!」

 

 俺たちの会話が終わると、

 

「練習を再開するわよ!」

 

 友希那さんの一声で練習が再開された。

 

__そして、練習が終わった。

 俺は後始末を終えて、家に帰った。

_________________________

 

 ”リサside”

 

 リサは自室で明日、着ていく服を選んでいた。

 

「ど、どうしよ、服が全く決まらないよ~!!///

 八舞君はどんな服が好きかな?派手目なやつ?それとも清楚な感じの...///」

 

 リサの部屋には服が散乱している。

 

__それからしばらくして、服が決まった。

 リサはベッドに倒れ込んだ。

 

「やっと決まった~!!...八舞君は可愛いって言ってくれるかな...?///」

 

 リサは顔を枕にうずめている。

 

「早く明日になって~!!」

 

 そうして、リサは明日を待った。

_________________________

 

 今日はデート当日だ。

 俺は早めに待ち合わせ場所に来た。

 

「__よし、ここで合ってるな。」

 

 俺はベンチに座った。

 

「(今日はリサさんに楽しんでもらわないとな。)」

 

 俺は空を見上げていた。

 

「__八舞く~ん!」

「あれ?お早いですね?」

「うん!楽しみで早く来ちゃった!」

 

 リサさんは笑顔でそう言った。

 

「......」

「どうしたの?」

「いや、いつもオシャレですけど、今日は一段とオシャレだなと。」

「そうかな~?」

「可愛いですよ。リサさん。」

「!!そ、そっか~///よかったよ~///」

「(いつもより清楚な服だ。いつものギャルっぽい服もいいが、こっちも...)」

「早く行こ!八舞君!」

「そうですね。行きましょうか。」

 

 俺たちはショッピングモールに向かった。

_________________________

 

「__わー!ハロウィン一色だね~!!」

「そうですね。少し早い気もしますが。」

「でも、いいよね!こういう雰囲気!」

「そうですね。」

「あ!あっち行ってみよ!」

「ちょ!リサさん!」

 

 俺はリサさんを追った。

 来たのは衣装の貸し出しだった。

 

「衣装?」

「そう!面白そうじゃん?」

「...リサさんの仮装、見てみたいですね。」

「え?八舞君もするんだよ?」

「え?」

「じゃあ!着替え終わったら、ここに集合ね!」

 

 リサさんは女性用の更衣室に行った。

 

「......仕方ないか。」

 

 俺も着替えに行った。

 

「__それで、こうなると。」

 

 俺は吸血鬼の仮装になった。

 牙で口が不自然だ。

 

「リサさんは__」

「あ!いたいた!」

「あ、リサさ__ん?!」

「そう?似合うかにゃ?なんちゃって~!」

「...」

 

 リサさんはドレスっぽい服に猫耳だった。

 

「(やばいぞ、可愛すぎる。衣装は子供っぽい印象を受ける物のはずなんだ。でも、リサさんが着たら意味が変わるぞ?!)」

「え、え~っと、八舞く~ん?」

「...リサさん。」

「八舞君?」

「とても似合ってますよ。最高です。今なら頂点にでもなんでもなれそうです。」

「え?そ、そう、なの?」

「はい。」

 

 自分が何を言ってるか全く理解できないが、碌なこと言ってないな。

 

「八舞君は吸血鬼なんだね~!」

「はい。牙が違和感ありすぎですね。」

「似合ってるよ~!

 どう?私の血、吸ってみちゃう?...なんちゃって__」

 

 俺はリサさんの耳に口を寄せて...

 

「...本当に、貰っちゃいますよ?リサさん?」

「!///」

「...冗談ですよ。」

「も、も~!八舞君!」

「ははは!すいません、可愛くてつい。」

「そ、そっか~///」

「折角なので、写真を撮ってもらいましょうか。」

「お!いいね~!」

 

 俺たちは店の人に頼んで写真を撮ってもらった。

 

「__良く撮れてますね。」

「そうだね~!八舞君、かっこいい~!」

「リサさんは可愛いですよ。」

 

 貸出時間が来たので、衣装を返しに行った。

 俺は飲み物を買いに行った。

 

「(リサさんは何がいいだろう?)」

 

 俺はとりあえず、ジュースとお茶を買っていった。

 

「__ちょっと!放してよ!」

「そういうなよ~」

 

 リサさんが変な奴らに絡まれていた。

 

「でさ、ここだけの話、いくらでやってんの?」

「だから!そんなのやってないって!」

「いやいや~お前みたいなやつがやってないわけないだろ~?」

「だから!__」

 

 と、口論してる。

 

「やってなくてもいいから、来いって!」

「い、いや!!」

「こいつ...!!」

 

 男はリサさんを引っ張った。

 

「いったぁ...」

「さて、こいつを__」

「おい。」

「あぁ?」

 

 俺は声をかけた。

 

「なんだ?お前?」

「そうだな~その人の後輩だ。」

「そうか、なら、引っ込め。こいつは俺のだ。」

「......弁えろよ、社会不適合者。」

「あ?」

「お前みたいなクズがリサさんに手を出していいと思ってるのか?」

「そんなのは俺の自由だろ?」

「断るのはリサさんの自由だが?」

「...ちっ、お前むかつくな。ちょっと来い。」

「...いいぞ。」

 

 俺は男のほうに歩いて行った。

 

「__お前をボコって、この女を連れて行くわ!」

 

 男が殴りかかってきた。

 

「はぁ...」

「八舞君!!__え?」

「ぐふっ...て、てめぇ、何を...?」

「何をって、殴りかかってきたから、正当防衛だ。そして__」

「うぐっ!!」

「これはリサさんの精神的苦痛の分。」

「がっ!!??」

「これはリサさんへの侮辱の分。」

「ちょ、やめ...」

「あとは__」

「八舞君、ストップ!」

「?」

「もういいよ。これ以上は駄目...」

「分かりました。__おい。」

「ひぃ!」

「社会不適合者は家で親のすねでも齧ってろ、分かったな?」

「は、はいぃ!す、すいませんでしたー!!」

 

 男は走っていった。

 

「__リサさん、大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫。でも、八舞君はやりすぎだよ?」

「そうですか?」

「八舞君が捕まっちゃうと、悲しいから...」

「うーん。じゃあ、もうちょっと自重しましょう(多分)」

「ほんとにだよ?」

「はい。それより、立てますか?」

「......無理、かも...」

「足を挫きましたか。」

「...うん。ごめんね...」

「大丈夫ですよ。」

「え?」

 

 俺はリサさんの前に屈んだ。

 

「おぶっていきます、行きましょう。」

「え?どこに?」

「俺の家です。」

「え?」

 

 俺はリサさんをおぶって家に行った。

_________________________

 

「__着きました。」

「う、うん。」

 

 俺はリサさんをソファーに座らせた。

 

「え、えっと。なんで八舞君の家に?」

「ゆっくりするのもいいと思って。ロゼリアの話をしたり。」

「お!それいいね~!」

「...リサさんが一人で家に来るのは初めてですね。」

「そういえば、そうだね~。いつもは皆と一緒だったし!」

「懐かしいですね。」

「皆でお泊りしたりね~」

「お茶会もしましたね。」

「...そう言えば、あの時、八舞君に結婚どうのこうの話したよね~?」

「しましたね。叩かれましたが。」

「あれは八舞君が悪いよ。」

「まぁ、今思えばそうですね。」

 

 俺は色んなことを思い出してた。

 

「...出会って半年で色々ありましたね。」

「うん、そうだよね。」

 

 夕日が俺たちを照らしている。

 

「リサさん。」

「ん?何~?」

「俺と結婚しませんか?」

「え?...えぇぇ?!!///」

「皆から告白してもらって、色々考えました。俺が好きなのはリサさんでした。」

「///」

 

 リサさんは赤面してる。

 

「俺と結婚してください、リサさん。」

 

 俺がそう言うと。

 

「ん__」

「ん...///」

 

 リサさんがキスをした。

 長いな。

 

「...私、結構、愛が重いよ?///」

「問題ないです。俺も似たようなものです。」

「そっか...///じゃ、じゃあさ...」

「?」

 

 リサさんが言い淀んでる。

 

「...今日、泊って行ってもいい...?///」

「え?それってどうゆう__」

「...今日は大丈夫だよ...?///出来るなら、今日の思い出を永遠のものにしたいな...?///」

「えっと、まさか?」

「うん、私はオッケー、だよ?///」

 

 リサさんは消え入りそうな声で言った。

 

「ダメ、かな?八舞君はこんな女の子は嫌い...?」

「いえ。でも、俺、経験ないですよ?」

「大丈夫。私も、だから...///」

「...ご期待に副えるように頑張ります。」

「うん...!///」

 

 その先の事はご想像にお任せしましょう。

 一晩明けた。

 

「__おはよ!八舞君?」

「あれ?呼び方変わってませんか?」

「あっ///え、栄斗君...?///」

「おはようございます。リサ。」

 

 会話内容が浮かんでこない。

 

「私たち、付き合ったんだよね?///」

「はい。それは間違いないです。」

「だ、だよね~!!///」

 

 リサさんもテンパってるみたいだ。

 

「...リサさん、朝ごはんにしませんか?」

「え?」

「将来の、予行練習に。」

「!!うん!しよっか!」

 

 俺は今、幸せだ。

 恋人、と言うよりも婚約者、こうゆうのも悪くないよな。

_________________________

 

 

__数年後。

 

「__栄斗ー!起きてー!」

「...うーん?おはよう、リサ...」

「うん!おはよ!」

 

 俺は体を起こした。

 

「今日は皆が来るから、早く準備しよ!」

「あーそうだっけ?」

「そうだよ!...この子の名前を考えに...ね?」

「そうだな。」

 

 リサと俺には子供がいる。

 結婚した後にできた。

 

「...楽しみだな。」

「...そうだね~。あ!栄斗栄斗!おはようのキスを__」

「エチケットだぞ、リサ。」

「ちぇ~。栄斗ってば、昔からそうだよね~。」

「リサのためだから、仕方ない。」

「仕方ないか~...」

「歯磨き終わったら、いくらでもするよ。」

 

 俺はリサの頭を撫でた。

 

「じゃあ!早く行こう!」

「そうだな。」

 

 俺たちは歯磨きをした。

 

「じゃあ、栄斗、そろそろ__」

 

 ピンポーン

 誰かが来た。

 

「あれ?みんなが来たのか?」

「むぅ~!そうみたい!」

「リサ。」

「なに?__ん///」

 

 俺はリサにキスをした。

 

「約束は守るぞ、俺は。」

「う、うん///」

「相変わらず、リサはうぶだな~」

「もう!栄斗の馬鹿!!...出てくる。」

「俺も行く。」

 

 俺たちは玄関を出た。

 

「__遅かったわね、二人とも。」

「お取込み中でしたか?」

「リサ姉!栄斗兄!こんにちわ!」

「こんにちわ...二人とも...」

「...お待たせしてすいません。」

「ご、ごめんね~」

 

 俺たちは皆に謝った。

 

「とりあえず、入ってください。」

「えぇ、お邪魔するわ。」

「お邪魔します。」

「お邪魔しまーす!」

「お邪魔...します...」

 

 家に入った。

 

「__早速、本題に入るわ。」

 

 友希那さんがそう言った。

 

「友希那さん、ノリノリですね。」

「当り前よ。この日のために睡眠時間を削ってまで考えてきたのよ!」

「私も、よく考えてきました。」

「あこも!」

「私も...です...!」

「ありがとね~皆!...あ、お茶を__」

「用意してるよ。リサ。」

「...流石、八舞君ね。」

「それほどでも。はい、どうぞ。」

 

 俺はお茶を配った。

 

「__それで、本題よ。」

 

 友希那さんは原稿用紙を出した。

 

「「え?」」

「これが私の案よ。」

「...ピックアップしてください、友希那さん。」

「え?」

「これは、ちょっと多いかな~?」

「...」

 

 友希那さんは原稿用紙と睨めっこを始めた。

 

「紗夜さんはどうでしょう?」

「私ですか?女の子と聞いたので、沙幸がいいかと。」

「おぉ、流石、紗夜さん。」

「あこも言いたい!」

「言ってくれ。」

「あこは、栄奈がいいと思います!」

「え?!」

「ど、どうしたんですか?!」

「あこが、真面目な名前を言った事に驚いた。

 あこの事だから中二的な奴が来るものと...」

「わ、私も...!」

「二人ともひどいよー!!」

「あの...私も...言っていいでしょうか...?」

「燐子さんなら安心ですね。」

「私は...晴菜がいい...なと...」

「明るい感じでいいね~!」

「__決まったわ...!!」

 

 友希那さんが叫んだ。

 

「私は奏がいいわ!」

「お~、友希那っぽい!」

「いいと思います。」

「そう言えば、栄斗は考えてないの?」

「俺は後でいいよ。先にリサが言ってくれ。」

「うん!私は梨那がいいな~!友希那の那が入るし!」

「リサ...」

「いいと思うよ。」

「栄斗は?考えてるんでしょ?」

「もちろん。」

「じゃあ!言ってよ!」

 

 皆の視線が俺に集まる。

 

「俺は、陽和かな。」

「え?なんで?」

「リサみたいに陽だまりみたいな子になってほしいから。」

「へ、へぇ~私って陽だまりみたいなんだ~///」

「そうだよ。ロゼリアと俺を照らしてくれる、明るくて暖かい...」

 

 俺は微笑んだ。

 

「......さて、どれにしましょうか。」

「...八舞君の案で行きましょう。」

「え?」

「そうですね。二人の第一子には相応しいです。」

「あこもそう思います!」

「そう...ですね...」

「それに、名前は二人目が出来た時も決めなければいけないわ。」

「気が早いですね。」

「あら?二人目の予定はないのかしら?」

「え、えーっと...」

「ここでは、ノーコメントにしておきます。」

「あら、そう?」

 

 まったく、友希那さんは。

 

「じゃあ、この子は陽和にしましょうか。」

「そうだね☆」

「決定ね。」

「決まってよかったです。」

「いいなー。あこも結婚したいなー!」

「あ、あこちゃんが...?!」

「ちょっと?!りんりん?りんりーん!!」

「あははは!!」

 

 俺は今、幸せだ。リサがいてロゼリアの皆がいて、守るべき命が生まれてくる。

 

「リサ。」

「ん?何~?」

「愛してる。これまでも、これからも。」

「ちょ?!そんな///急に...」

 

 リサは少しうつ向いて...

 

「私もだよ、栄斗!ずっと、ずーっと、愛してる!」

 

 俺とリサはずっと変わらない。

 お互いを愛し続け、お互いを支える。

 この愛は永遠だ。




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モカエンド

モカエンドです!


 俺はライブハウスでいつも通り、ロゼリアの練習に来てた。

 

「__いた。」

「美竹?」

 

 俺が飲み物を買いに来ていると美竹に話しかけられた。

 

「どうしたんだ?」

「...この後、時間ある?」

「まぁ、あるが。どうした?」

「少し、話があるの。」

「話?...分かった。少し待っててくれ。」

「分かった。」

 

 俺は皆に事情を説明して練習を早引きさせてもらった。

 

「__悪い、待たせた。」

「別に練習、抜けてくることもなかったのに。」

「急ぎの話なんだろ?」

「...察し良すぎ。」

「お褒めにあずかり光栄だ。で、話って?」

「羽沢珈琲店に行くよ。」

「了解。」

 

 俺たちは羽沢珈琲店に向かった。

_________________________

 

「__お待たせ。」

「お!来たな!」

「いらっしゃいませ!」

「こんにちわ!八舞君!」

 

 青葉以外のアフターグロウのメンバーがいた。

 俺は羽沢に誘導され席に座った。

 

「__それで、何の用だ?」

「...最近、モカの調子が悪い。」

「え?」

「実は、最近あんまり寝れてないらしいんだ。」

「大食いのモカなのに、食事の量も減ってたし...」

「まさか。」

「そのまさか。モカは八舞が気になりすぎて、体調を崩した。」

「...やっぱりか。」

 

 俺は眉間を抑えた。

 

「それで聞きたいのが、栄斗、お前は誰を選んだんだ?」

 

 巴がそう聞いてきた。

 

「え?ここで言うのか?」

「うん。大事なことだから...」

「私も、聞きたいな。」

 

 皆の顔は真面目だ。

 

「...俺が選んだのは青葉だ。」

 

 俺は圧に屈して答えた。

 

「これは、さっきの話を聞いて同情したんじゃない。

 俺の意思だ。」

 

 誤解されかねないので説明しておいた。

 そう言うと、巴が口を開いた。

 

「__そうか!」

「よかった~!!」

「うん!よかったね!」

「...じゃあ、八舞、お願いがあるんだけど。」

「お願い?」

「うん。モカのお見舞いに行ってあげて。」

「青葉の?俺が行っても大丈夫なのか?」

「うん、八舞が行けばモカも喜ぶから。」

「そういう事なら、行こう。」

 

 俺はそう言うと立ち上がった。

 

「案内を頼めるか?」

 

 アフターグロウの皆は頷いた。

 俺たちは青葉の家に向かった。

_________________________

 

 ”モカside”

 

「__ん、ん~?ここは?」

「...よう、青葉。」

 

 モカの後ろには栄斗が立っていた。

 

「あ~、八舞君だ~」

「あぁ。俺だぞ。」

「なんでこんなところにいるの~?」

「さぁ。俺にも分からん。」

 

 沈黙が流れる。

 

「...八舞君はモカちゃんを選んでくれるのかな~?」

「...」

 

 答えは返ってこない。

 

「あ~まだ決まってな__」

「悪いな、青葉。」

「え?」

「俺はお前を選ばない。」

 

 栄斗はそう言った。

 

「...さよならだ。青葉。」

 

 栄斗が離れていく__

 

「ま、待って!」

 

 モカの声は届かない__

 

「離れないで!モカちゃんから離れないで!!」

 

 景色が暗くなる。

 

「まっ...て...よ...」

 

 モカは涙を流した。

 

「なんで...なんで...」

 

 モカは膝をついた。

 

「待って、待ってよ...」

 

 気づけば栄斗は消えていた__

 

「あ、アハハ...」

 

 モカの目に光はない。

 

「__こんな事なら、いっそ__」

 

 モカはどこから出たのか分からないナイフを構えた

 

「消えたい__」

 

 ナイフを振り下ろし____

 

 

「__夢?」

 

 モカは目が覚めたみたいだ。

 

「...最近こんな夢ばっかりだな~」

 

 モカは天井を眺めた。

 

「八舞君...」

 

 コンコン

 誰かが扉をたたいた。

 

「(蘭たちかな~?)どうぞ~」

「__邪魔するぞ、青葉。」

「え?」

 

 入ってきたのは、幼馴染たちではなく、

 栄斗だった。

_________________________

 

 ”元の視点”

 

「__え?八舞君?」

「そうだ。

「どうして、きたのかな~?」

「美竹たちに青葉が体調を崩したって聞いてな、見舞いに来た。」

「そ、そっか~」

 

 この時、さっきの夢がフラッシュバックしていた。

 

「あ、飲み物とか買ってきたぞ。水分はしっかり摂ってるか?」

「そういえば、飲んでないや~」

「早く飲め。脱水症状になるぞ。」

「は~い。」

 

 青葉は飲み物を飲んだ。

 

「__生き返りますな~」

「そうか。」

 

 青葉は無言になったかと思えば、急に口を開いた。

 

「もう、帰ったら~?時間も遅いよ~?」

「...」

 

 青葉の言葉に違和感を感じた。

 

「近くにいたら、移っちゃうかもだし__」

「何か隠してるな、青葉。」

「え?」

 

 青葉は驚いた顔をしてる。

 

「なんで、そう思うのかな~?」

「お前、嘘をつくとき、右手で左腕、掴んでるんだぞ?」

「え、嘘__」

「あぁ。嘘だ。」

「っ!」

「お前が今してる格好を言っただけだ。」

「...カマかけなんて、性格が悪いですな~」

「誤魔化すな。何を隠してる?」

「...言いたくない~」

 

 青葉は隠し通す気みたいだ。

 でも、

 

「...今のお前、悲しそうな顔をしてるな。」

「え?」

「いつもの表情が崩れてるぞ。」

「そ、そんな事__」

「ある。」

「!!」

「いつもの青葉なら、もっと柔らかい表情をしてるぞ。それで隠し事があると感じた。」

「そ、それだけで~?」

「それだけじゃない。」

「?」

「いつもの青葉なら、すぐに帰らせようとしないよな?美竹に聞いたぞ、いっつも泊っていけって言われるってな。」

 

 青葉は黙っている。

 

「幼馴染だからって言えばそれまでだが。青葉なら、俺でも、もうちょっと引き留めるよな?」

「...なんで、全部わかっちゃうかな~」

 

 青葉が口を開いた。

 

「わかった。話すよ~」

「おう、話せ話せ。」

「さっきね__」

 

 俺は青葉から夢の話を聞いた。

 

「__ってことだよ~...」

「...」

「馬鹿らしいよね~所詮、夢の__」

「心外だ。」

「え?」

 

 俺は青葉に近づいた。

 

「夢って、本人に一番、印象深いものを見るらしい。」

「...そうだね~」

「だから、心外だ。」

「どういう事~?」

「つまりだな__」

 

 俺はおおきく息を吸って__

 

「__俺が好きなのは、青葉だ!」

 

 そう言った。

 

「__え?」

 

 青葉はポカンとしてる。

 

「全く...」

「あ、あの~?八舞君?今、なんて~?」

「だから、俺は青葉が好きだ。何回も言わせるな、恥ずかしい。」

「///」

 

 青葉は赤面してる。

 

「だから、まぁ、俺と付き合ってくれ、青葉。」

「八舞君~!!__」

「うお!__危ないだろ...」

 

 青葉は抱き着いてきた。

 

「...怖かった。」

「!!」

「八舞君が離れるって、言ってたから...」

「夢の中のだろ?」

「うん。でも__」

「現実の俺は青葉と一緒にいたいって言ってるぞ?」

 

 俺は青葉の頭を撫でた。

 

「それで、青葉__」

「名前で呼んで~」

「...モカ。」

「うん~」

「俺と付き合ってくれるか?」

「...」

 

 モカは一瞬黙って。

 

「うん!もちろんだよ~!///」

 

 満面の笑顔でそう言った。

 

__それから、しばらくモカは抱き着いていた。

 

「__いつまで、抱き着いてるんだ?」

「私が満足するまでだよ~えーくん~」

「えーくんって、急に呼び方変えたな。」

「ダメ~?」

「別にいいぞ。」

「やった~。えーくん大好き~!」

「はいはい。」

 

 モカの頭を撫でた。

 

「__あ、そうだ~」

「?」

 

 モカは離れた。

 

「もういいのか?」

「うん~。あのままじゃしずらかったから~」

「何をだ?___!!」

「ん~///...」

 

 モカがキスをしてきた。

 

「__モカちゃんのふぁーすとキスだよ~?///」

「...嬉しいぞ。」

「そっか、そっか~__」

「?!__モカ?!」

 

 モカが急に倒れた。

 

「ZZZ...」

「...寝ただけか...」

 

 モカは安心した表情で寝てる。

 

「うにゅ~...えーくん~...」

「......何の夢を見てるんだか。」

 

 俺はモカをベッドに寝かせた。

 

「...これからも~...ずっと一緒...」

 

 モカは寝言でそう言った。

 

「当り前だ。」

 

 俺はモカの頬を撫でた__

_________________________

 

__数年後。

 

「__おい、モカ。起きろ。」

「うぅ~。後、5分~...」

「今日はアフターグロウの皆が来るんだろ?もう来るぞ?」

「あ~そうだった~」

 

 モカは体を起こした。

 

「おはよ~えーくん~」

「あぁ、おはよう、モカ。」

 

 モカは起きるなり俺に抱き着いてきた。

 

「えーくん分補充~」

「はいはい。」

 

 俺はいつも通り頭を撫でた。

 

「撫でるのも日に日に上手くなりますな~」

「そうか?」

 

 ピンポーン。

 

「__もう来たのか?」

「そうみたい~」

「じゃあ、モカは身支度を整えてこい。俺が対応しておくから。」

「わかった~」

 

 モカは洗面所に向かった。

 俺は玄関に行った。

 

「__いらっしゃい、皆。」

「来たよ、八舞。」

「こんにちわ~!!」

「よう!栄斗!」

「こんにちわ!八舞君!」

「とりあえず、上がってくれ。」

 

 俺は皆をあげた。

 

「__そういえば、モカは?」

「モカなら__」

「やぁ~皆~」

「モカ__って、パジャマじゃん。」

「さっき起きました~」

「モカ、早く着替えて来いよ?」

「は~い。...あ、えーくん、覗いちゃだめだよ~?」

「?覗かないが?...てか、昨日も一緒に風呂入ったのに、覗かれるのは恥ずかしいの__」

「わ~!!///えーくん!しっ!!///」

「お、おう。」

 

 モカは着替えに行った。

 

「__いやー悪いな...って、どうしたんだ?」

「...いや、その。」

「え、えーっと、巴!」

「わ、私か?!えー、つぐ!」

「えぇ?!えーっと...二人って仲がいいんだね!」

「まぁ、そうだな。仲が悪ければ結婚してないからな。」

 

 俺がそう言うとみんなが固まった。

 

「まぁ、飲み物でも用意するか。」

 

 俺は飲み物を用意した。

 

「飲み物が入ったぞ。」

「うん、ありがと。」

「おう!悪いな!」

「ありがと~!」

「ありがと!八舞君!」

 

 皆との雑談が始まった。

 

「__二人が付き合い始めた時が懐かしいね~!」

「そうだね。」

「まさかモカがあんなに甘えるなんてな~!」

「可愛かったよね!」

「元から割と甘えてたと思うが?」

「違うんだよね~!」

「うん、違うね。」

「なんて言うんだっけ?」

「依存してた、かな?」

「そう!それだ!」

「依存?してたか?」

「してたでしょ。」

「休み時間に絶対に電話して。」

「弁当は全部栄斗が作って。」

「放課後は八舞君にべったりだったよね!」

「てゆうか、付き合ってすぐにモカが八舞と暮らすって言ったときは驚いた。」

「あーあれは俺も驚いた。」

「__何の話かな~?」

「あ、モカ!」

「二人が付き合ったときの話をしてたんだよ!」

「お~モカちゃんも混ぜて~」

 

 モカも座った。

 

「それで~どのあたりの話をしてたの~?」

「モカが八舞と暮らすって言ったときの話。」

「あ~あれか~懐かしいね~」

「あの時は俺も驚いたぞ。」

「だって~少しでも多く一緒にいたかったんだもん~」

「俺は別に良かったが、美竹たちの反対がすごかったな。

「...当り前じゃん。」

 

 それから、雑談で時間が過ぎた。

 

「__そういえば、モカちゃんからじゅーだい発表がありま~す。」

 

 モカが突然そう言った。

 

「なんだ?」

「実は~えーくんとの子供が出来ました~」

「え?」

「「「「えぇ~!!!!」」」」

 

 驚きの声が上がった。

 

「え?いつからだ?」

「えーと、分かったのは一週間前だよ~」

「そうか。」

 

 俺は感慨深かった。

 

「...俺もとうとう父親か...」

 

 俺は親にいい思い出がない、だからこそ...

 

「この子は大切に育ててあげたいな。」

「八舞って、たしか...」

 

 美竹は察したようだ。

 

「大丈夫だよ~」

「モカ?」

「えーくんはえーくんだよ~」

 

 モカはそう言った。

 

「...そうだな。」

「うんうん~。」

 

 モカは頷いている。

 

「__いいなぁ、こういうの。」

 

 と、羽沢が言った。」

 

「あれ、つぐみ、彼氏いなかったっけ?」

「えぇ?!蘭ちゃんなんで...あ、」

「え?!私初耳なんだけど!」

「私もだ...」

「お~つぐも隅に置けませんな~」

「おめでとう、羽沢。」

「...も~!!///」

 

 羽沢は恥ずかしそうだ。

 

「いいなぁ。つぐも彼氏か~。私は...」

「大丈夫だぞ!ひまり!」

「巴...?」

「彼氏がいなくても、私たちがいるだろ?私たちはいつまでも一緒だ!」

「巴...!」

「お~感動~」

「...悪くないね。」

「そういえば、美竹はそういう話を聞かないな。」

「私は、家があれだから...」

「でも、この前、仲良さそうな人いなかったっけ?」

「ちょ?!つぐみ!」

「ふふん!さっきの仕返しだよ!」

「蘭まで~?!!巴~~!!!」

「おーよしよし。」

「ははは。」

 

 アフターグロウは何年たってもにぎやかだ。

 

「__変わらないな、皆は。」

「そうだね~。これがいつも通りですから~」

 

 俺たちは皆を眺めていた。

 

「なぁ、モカ。」

「なに~?」

「愛してるぞ。」

「モカちゃんも~愛してるよ~」

 

 これもいつも通りのやり取り。

 

「子供の名前、どうする?」

「そうだね~。ゆっくり考えよっか~」

「そうだな。」

 

 のんびりと会話をする。

 

「ねぇ~えーくん~」

「なんだ?」

「今、幸せだね~」

「...いつも通りだ。」

 

 そう、これがいつも通り。

 最高に幸せないつも通りの日常。

 

「モカ、これからもよろしくな。」

「ずっと、一緒だよ~えーくん♪」

 

 俺はこのいつも通りを守っていきたいな。

 

 

 




これにて、紗夜ルート完結です!

次回から、新しいタイトルで千聖ルートを始めます!

感想などお願いします!

主人公 八舞栄斗
ヒロイン 氷川紗夜 湊友希那 今井リサ 青葉モカ
主要人物 白金燐子 宇田川あこ 美竹蘭 羽沢つぐみ 宇田川巴 上原ひまり 白鷺千聖 丸山彩
オリキャラ 真波涼


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仮面の者たち(千聖ルート)
第1話


千聖ルート1話です!

タイトル変更もしたので、また頑張ります!


 俺は八舞栄斗。今日は今年から共学となった花咲川での顔合わせだ。

 

「__めんどくさい。」

 

 俺はそんな事をぼやきながら歩いていた。

 

「...ほんと、なんで共学なんてしたがるんだよ、女なんて碌な奴もいないのに。」

 

 俺は花咲川へ向かった。

_________________________

 

「__ここだな。」

 

 俺は学校に入った。

 

「えーっと、待合室は__」

「きゃ!!」

 

 誰かにぶつかった。

 

「ご、ごめんね~」

「だ、大丈夫?!」

「(どこ見て歩いてんだよボーっとしやがって、さっさと謝れよってとこだな。考えが透けて見える)」

「あ、あの~?」

「...悪かったな。」

 

 俺は待合室に向かった。

 

「(...ほんと、女なんて仮面を被ってるやつばっかだ。醜い。)」

 

 そんな事を考えてるうちに待合室に着いた。

_________________________

 

 俺には知り合いなんかいないので、部屋の端にいる。

 

「__退屈だ。」

「お!八舞栄斗じゃん!」

「...誰だ?」

「俺は真波涼!前の学校で同じクラスだったろ?」

「...忘れた。」

 

 本気で思い出せなかった。

 

「まぁ~お前はいっつも誰とも関わってなかったもんな~」

「そうだな。」

「じゃあ!俺と友達になろうぜ。」

「...断る。」

 

 俺は場所を移動した。

 

「ちょ!待てよ~!」

 

 しばらくすると教師が来た。

 

「__えー全員揃っているか~?...一人休みか。」

「(......俺も休めばよかった。)」

「まぁいい!今日は顔合わせだ!楽しもう!」

「(...ありえない。)」

 

 俺はそう思いつつ会場に向かった。

________________________

 

「__下らない。」

 

 俺はそう呟いた。

 

「(表面的な好感、薄っぺらい会話、作り笑い。)}

 

 俺は苛立った。

 

「(ほんと、くだらない。)」

「__おーい!栄斗!」

「...真波、だったか?」

「そうだ!」

「何の用だ。」

「俺たちも女子と喋りに行こうぜ!」

「嫌だ。」

「即答?!」

「当り前だ。俺は絶対に行かんぞ。」

「そう言うなって!」

「おい!」

 

 俺は真波に引っ張られた。

 

「__でさ~!」

「マジで?!」

「ヤバいじゃん!」

「(...気持ち悪い、何だよこいつらって感じか。)」

 

 俺はその場を離れようとした。

 

「栄斗?」

「俺は戻る、後は勝手にしろ。」

「ちょ!待ってて__」

「気持ち悪いんだよ!!」

「?!」

「上辺だけで会話して、内心で人をけなす女が!」

「ちょっと!」

「そんなこと__」

「気持ち悪い、何だこいつら。」

「「?!!」」

「考えが透けてんだよ。」

 

 俺は歩きだした。

 

「ちょ!待てって!」

________________________

 

 俺は会場の端に戻った。

 

「...はぁ。」

「流石に、あの言い方はなかったんじゃないか?」

「あの反応を見てなかったのか?あれが本心だ。」

「でも!__」

「何が間違ってる?いずれ分かったことだ。ちょっと早く分かっただけだ。」

 

 俺はそう言って、真波のもとを去った。

 

「(ほんとに下らない。騙す女も、騙される男も。)」

「あなた、一人かしら?」

「...なんでしょうか。」

 

 ブロンドの髪の人が話しかけてきた。

 

「一人なのかと聞いたのだけれど?」

「...一人ですが、何か。」

「さっき教師から男子と関われと言われてしまったの。来てもらえないかしら。」

「他をあたってください。俺が着いていく義務はないです。」

「あら?私には今一人なのは、あなただけに見えるのだけれど?それに、ルールで男女は交友を広げる事とあるわ、義務もあるわよ?」

「......仕方ありませんね。」

 

 俺はその人について行った。

 

「__連れて来たわよ。」

「あ!チサトさん!おかえりなさい!」

「おかえり~!千聖ちゃん!」

 

 連れていかれた場所には二人の女生徒がいた。

 

「それで、その人は?」

「そう言えば私も聞いてなかったわ。」

「...俺は八舞栄斗です。」

 

 自己紹介しなければいけない雰囲気だったので名乗った。

 

「エイトさんですか!よろしくです!」

「よろしくね!八舞君!」

「...はい。」

「どうしたのかしら?さっきから顔色が悪いわよ?」

「...別に、何もないです。」

 

 俺はそう答えた。

 

「(...なんでだ、考えが読めない。)」

 

 俺は困惑していた。

 

「(人間なら誰でも暗い部分がある。俺はそれを読み取ってるんだ。なのに...)」

 

 俺は下を向いた。

 

「(何も読み取れない。おかしい、なんでだ?)」

「__大丈夫ですか?」

「...えっと、誰だ?」

「はい!私は若宮イヴです!」

「そうか。」

「あ、私も名前言ってなかった!私は丸山彩だよ!」

「私は白鷺千聖よ。」

 

 と、名乗られた。

 

「それで、どうしたんですか?」

「別に、なんでもない。」

「そうですか?顔色が優れてないようですが?」

「...気のせいだ。」

「...」

 

 白鷺さんに見られている。

 

「...何でしょうか、白鷺さん。」

「別に何でもないわ。」

「...そうですか(どうだかな)」

 

 俺的には白鷺さんが一番読めない。

 

「(このままじゃ危ない、一刻も早く離れないと。)」

「__あれ?八舞じゃん♪」

「っ!!な、なんで!」

「え~?この学校の生徒だからだけど~?」

「...(くそ!ついてない。)」

 

 こいつは西園カナ。

 俺がこの世で一番嫌いな女だ。

 

「...帰る。」

 

 俺はその場を離れた。

 

「エイトさん?!」

「八舞君?!」

「...(様子がおかしいわね。)」

「(また会えたね、私の八舞♪)」

 

 この時の俺は、これから起こることを考えたくもなかった。

 

 

 




感想などお願いします!

千聖ルートではオリキャラが後一人くらい出ます!


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第2話

千聖ルート2話です!


 俺は今、学校にいる。

 

「よう!栄斗!」

「...真波?」

 

 こいつは昨日突き放したと思ったが。

 

「...何の用だ。」

「用がなかったら話しかけちゃダメなのか?」

「...はぁ。」

「あ、ため息!幸せが逃げるぞ!」

「...うるさい。そもそも、俺には逃げる幸せがない。」

 

 俺は席を立った。

 

「どこ行くんだ?」

「...知らん。」

 

 俺は教室を出た。

________________________

 

「__静かだな。」

 

 俺は屋上にいた。

 

「世界も、これくらい静かなら__」

「あら、八舞君。」

「...はぁ。」

「失礼ね。人を見るなりため息なんて。」

 

 白鷺さんは俺の近くに座った。

 

「...なんで、そこに座るんですか。」

「あら?私がどこに座ろうが、私の自由じゃなくて?」

「それもそうですね。」

 

 俺は立ち上がって、別の場所に移動した。

 そうすると、白鷺さんはまた俺の近くに来た。

 

「...なんなんですか。」

「少し、お話ししないかしら?」

「?」

 

 白鷺さんは、こう言った。

 

「あなた、人の考えを読めたりするのかしら?」

「!...なんでそう思ったんですか?」

「何となくよ。あなたの会話を少し聞いたの。」

「あれか...」

「それで、イヴちゃんや彩ちゃんと話したときに顔色が悪くなった、と言う事じゃないのかしら?」

「...」

 

 この人の洞察力は侮れないな。

 

「どうかしら?」

「まぁ、そうですね。でも。」

「でも、何かしら?」

「一番読めないのは白鷺さんです。全く分からない。」

「仮面のせいじゃないのかしら?」

「仮面...?それなら他の人も...」

「あら?私を素人と同じにしないでくれるかしら?」

「素人?」

「私は女優よ。演技では負けないわ。」

「女優?」

「知らないのかしら?」

「テレビを見ないんです。」

「そう。」

 

 白鷺さんは空を見ている。

 

「...あなたがイヴちゃんと彩ちゃんの考えを読めなかった理由は分かるかしら?」

「おそらく、負の感情がないからです。俺はそれしか読めませんから。」

「そうなのね。わかるわ。」

「え?」

「あの二人は人を心の中で蔑むほど暇じゃないのよ?」

「...普通の女子高生が?」

「あなた、ほんとに何も知らないのね。」

「どういうことですか?」

「これ、あげるわ。」

「?」

 

 俺が受け取ったのはライブのチケットだった。

 

「パステルパレット?」

「そうよ。あなたなら想像が付くんじゃないのかしら?」

「まさか、白鷺さんたちのバンドですか?」

「正確にはアイドルバンドね。」

「(まじかよ。)」

「それで、見に来るかしら?」

「...遠慮しておきます。人の多いところは苦手です。」

 

 俺は白鷺さんにチケットを返した。

 

「そう、残念ね。」」

「思ってないでしょう?」

「...読めないんじゃないのかしら?」

「誰でも分かりますよ。今のは。」

 

 俺は立ち上がった。

 

「俺は教室に戻ります。」

「そう。また会いましょう。」

「...機会があれば。」

 

 俺は屋上を出た。

________________________

 

 教室に戻ると。

 

「__おい!やめろって!」

「うるさい!」

 

 俺の机の周りでもめてる。

 

「...なんだ。」

「あ、栄斗...」

「いったい何が__そういう事か。」

 

 俺の机には落書きがされていた。

 

「好き放題書いてくれるな。」

 

 根暗、性悪、クズ。

 誰の事を言ってんだか。

 

「落書きはいいが、後片付けはしろよ。」

「そんなの自分でやればいいじゃん!」

「は?」

「こうなったのはあんたが悪いんだし、当り前だよね~」

「...お前、あの時いたな、そう言えば。」

 

 今、思い出した。

 

「...下らないな。こんな事のために人数揃えて、労力があってないな。」

 

 俺は呆れたように言った。

 

「そんなにかわい子ぶってる自分が大事だったか?大変だな、メンツを保つのは。」

「うっさい!この根暗男!」

「ならお前は、顔面的にも精神的にも仮面女だな。」

「なっ__!!」

「__おい!そんないい方ねぇだろ!」

「あ?」

 

 一人の男子が声を荒げた。

 

「そうだ!」

「謝れ!」

「あれはひどいだろ!」

 

 謝れだの、ひどいだの、俺の机の落書きを見てから言ってほしいものだ。

 

「...お前らはイジメの主犯に加担するんだな?」

 

 俺がそう言うと全員黙った。

 

「この机を見せれば証拠は十分だ。俺が一言イジメられたと言えば、お前らはそいつの共犯だ。」

 

 俺は携帯を出して、机の写真を撮った。

 

「これで消しても無駄だ。じゃあ、教師に報告に__」

「うわぁん!!」

 

 一人が泣き出した。ウソ泣きだが。

 

「バレバレなウソ泣きしやがって__」

「おい!何があった!!」

 

 教師が来た。

 

「これは__」

「こいつが女子を脅して泣かせました!」

「は?」

「そうです!○○は何もしてません!」

「机も全部こいつの自作です!」

「内容も恐喝まがいでした!」

 

 その場にいた真波以外の奴が加担した。

 

「(おいおい。流石に無理がありすぎ__)」

「本当か!」

「は?」

 

 教師は鵜呑みにした。

 

「いやいや、誰が自分の悪口を机に書くんですか。そもそも、俺はさっきまで__」

「言い訳するな!!!」

 

 怒鳴られた。

 

「女子を泣かせて、言い訳するなんて。それが男のすることか!!!」

「(じゃあ、イジメは人間がすることかっての。)」

 

 俺は心底呆れた。

 

「いや、俺の言い分をですね__」

「言い訳するな!!!」

 

 聞かないですよね。

 

「お前は恐喝したとして、停学だ!!!」

「(停学の基準緩すぎだろ。流石に__!!)」

 

 そう言えば、説明で言ってた、ここは停学の基準が異常に緩いから気を付けろって。

 

「もう帰れ!!!」

「(...っち、無能が。)」

 

 俺はカバンを持って教室を出た。

 出る直前、クラスの奴らが笑ってるのが見えた。

 

「(...だから、女は嫌いなんだ。)」

「おい!栄斗!」

「あ?なんだ?」

「大丈夫か...?」

「休みが増えるだけだ。」

 

 俺はそう言って歩きだした。

 

「栄斗...」

________________________

 

「八舞♪」

「...西園か。」

「どうだった?プロローグは♪」

「...やっぱり、仕組んだのはお前か。」

「私は教師を呼んだだけ♪後は勝手にだよ?」

「どうだかな。」

 

 こいつもある意味読めない。

 なんたって

 

「どう?楽しかった?」

 

 こいつの思考は負の感情で狂ってるんだから。

 

「相変わらず、悪趣味だ。」

「それも、八舞が悪いんじゃん。」

「俺の何が悪いんだか。」

 

 俺がそう言うと、西園は首を絞めてきた。

 

「!!」

「...私よりも優れてて、私をこっぴどくフッて...私に惨めな思いをさせた...!!!」

「...」

「...でも、許してあげる♪」

 

 西園は手を離した。

 

「だって、私は八舞を愛してるから♪」

「...狂ってるな。」

「狂ってもいいよ♪八舞が私のものになるなら♪」

「お断りだ。」

 

 俺はそう言って歩きだした。

 

「お前が知っての通り俺は女が嫌いだ。原因はお前らだがな。」

 

 俺はその場を離れた。

 

「__ほんとに気に入らない...でも...」

 

 西園は笑顔で

 

「さいっこうに愛おしい...」

 

 そう呟いた。

 

「八舞はきっと私のものになる...待ってるよ♪」

 

 その言葉は誰にも聞かれることはなかった。

 

 

 

 




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第3話

千聖ルート3話です!


 停学になってから、3日が経った。

 俺は食材が切れたので買い物に出かけていた。

 

「__えーっと...あ、特売だ。」

「あら?八舞君?」

「白鷺さん。こんにちわ。」

「こんなところで会うなんて奇遇ね。」

「俺は割といつも来てますよ。」

「あら?そうなの?」

「はい。」

 

 俺は商品をかごに入れた。

 

「...そう言えば、停学になったと聞いたのだけれど、どうしたのかしら?」

「さぁ、なんででしょうね。」

「私の見立てでは、あなたは面倒を嫌ってるわ。そんなあなたが問題を起こすのは考えずらいわ。」

「よくわかってますね。」

「たくさんの人と話してきたもの。このくらいわかるわ。」

 

 白鷺さんは俺の方を見ている。

 

「それで、何があったのかしら?」

「言いませんよ。言う事でもないです。」

「そう。」

「はい。...じゃあ、俺は行きます。さようなら。」

「...えぇ、さようなら。」

 

 俺は会計を済ませて店を出た。

 

「__ほんとに人間なんて碌な奴がいないな。」

 

 俺は家に帰った。

________________________

 

 ”千聖side”

 

「__彼は何を隠しているの?」

 

 千聖は考えていた。

 

「...彼が停学になってから、彼のいい噂を聞かないわ。」

 

 千聖は情報を整理していた。

 

「(噂の内容は的外れなものばかり。とにかく、八舞栄斗の評価を落としたいだけ。なにより、噂の発信源は不明...)」

「__あら、白鷺さん?」

「紗夜ちゃん?こんにちわ。」

「どうしたのですか?難しい顔をしていましたが?」

「...少し、気になることがあるの。」

「どのようなことですか?」

「二年生の八舞栄斗の停学と噂についてよ。」

「...私も聞いたことがあります。」

「紗夜ちゃんはどんなことを聞いたのかしら?」

「私は女生徒を殴っていた、と聞きました。」

「...おかしいわ。」

「え?」

「彼の停学の原因は恐喝、つまり暴力ではないわ。」

「でも、裏でしてた可能性は無いのですか?」

「ありえないわ。裏でしてたとしたら、目撃者の数がおかしいわ。しかも、目撃者は八舞君のクラスメイト全員よ。」

「!!」

「それに、どこを殴られたかと聞かれて、覚えてないなんてあるかしら?」

「まさか...」

「彼は濡れ衣を着せられてるわ。間違いなく。」

「...私の方でも少し調べてみましょう。」

「助かるわ。」

 

 そうして二人は分かれた。

________________________

 

 停学が終わり、俺は学校に来た。

 

「...」

 

 俺は周りからじろじろ見られている。

 

「うっわ、犯罪者だ。」

「危険人物。」

「...戻ってこなくても良かったのに...」

「(好き放題だな。)」

 

 俺はボーっとしていた。

 

「(...そう言えば、真波が来てないな。)」

「__おい!犯罪者!」

「...」

「おい!無視すんな!!」

 

 そいつは俺の机を蹴り飛ばした。

 

「...なんだ、お前。」

「うるせぇ!犯罪者が喋んな!」

「さっきから人を犯罪者って、なんなんだ「?」

「お前が○○を殴ってたんだろ!」

「目撃者は?」

「俺たち全員だ!俺たち全員が○○の味方だ!」

 

 クラスの奴らが○○っぽい人物を庇うように立っている。

 

「(面倒くさい。どうせここで矛盾点を言っても数の力でかき消されるな。何より、西園が仕掛けてくる可能性がある。)」

 

 俺は蹴り飛ばされた机を戻した。

 

「おいおい、言い返さないのかよ?お得意の言い訳はどうした?」

「...お前らとは喋るのも面倒だ、犯罪者扱いするのは勝手だが俺に直接言ってくるな。何より俺にかかわるな。」

 

 俺はそう言った。

 

「お前、自分の立場が分かってないな?」

「分かる分かる。今の俺はお前らの友情を深めるためのサンドバックだな。今のうちに親密になってるんだな。」

「気に入らねぇ!」

 

 そいつは殴りかかってきた。

 俺はそれをよけた。

 その結果そいつの拳は机にあたった。

 

「__いってぇ!」

「正義を振りかざすのはいいが、周りには気をつけろよ。」

「こ、こいつ...!!」

 

 そいつがまた殴ってこようとした時、

 ちょうど教師が来た。

 

「...この状況でも、俺を悪いと言えるか?」

「...ちっ!!」

 

 全員が席に着いた。

 

「えー今日はテストですので、準備しててください。

 ...あれ?真波は休みか?」

 

 結局、真波は来なかった。

 そして、テストが始まった。

________________________

 

 テストが全て終わり、放課後となった。

 

「(さて、家に帰るか)」

「あ♪いた~♪」

「...西園か。何の用だ。」

「いや~♪感想を聞きたくなって♪どうだった?朝のイベント♪」

「面倒もいいところだ。だが、今回、お前は関与してないな。」

「お前があんな小物を使うと思えん、来るなら直接お前が来るだろ。」

「よく分かったね~!そうだよ、今回、私は関与してないよ!何より__」

「__っ!」

 

 西園はカッターを投げてきた。

 

「私はもう、八舞をイジメないよ♪」

「...」

「私のものにするか~__」

 

 西園の雰囲気が変わった。

 

「__殺してあげる。」

「...面倒な奴だ。」

 

 俺は歩きだした。

 

「...お前が凶器を持ってないのはバレバレだ。」

「仕方ないか~。今日はこれで終わるよ。あ!」

「?」

「...八舞と一緒にいた彼、今頃どこにいるのかな~?」

「お前!!」

「彼なら今頃、病院じゃない~?」

「くそっ!!」

 

 俺は病院に向かった。

 

「私は八舞を自分のものにしたいよ?でも__」

 

 西園は栄斗の走って行った方を見て

 

「私は八舞を壊したい♪」

 

 西園は不気味に笑った。

________________________

 

「__真波!」

 

 俺は真波がいると思われる病院に来た。

 

「よう、栄斗!来てくれたのか!」

「それよりも、何があった。」

「...栄斗の噂の発信源を探ってたんだ。」

 

 真波は話し始めた。

 

「俺は噂のもとをたどるために色んな人に聞き込みをした。そして、発信源が分かりかけたんだ。でも、その時__」

「(まさか。)」

「俺は集団リンチに遭った。そして、その中にいた女に言われたんだ。『ショーの邪魔だよ。』ってな。」

「西園か...」

「悪いな~。お前の噂を消してやれなくて...」

「...お前は悪くない。」

「栄斗?」

「お前はもう危険なことはするな。俺は大丈夫だ。」

 

 俺はそう言って病室を出た。

________________________

 

 病院を出ると、電話がかかってきた。

 

「...誰だ。」

『やっほ~!八舞!』

「西園...!」

『友達との感動の再開はどうだったかな?感動した?怒った?それとも__』

「うるさいぞ!!」

『きゃ~!怖~い!』

「真波はもう巻き込むな。次巻き込んだら...」

『巻き込んだら~?』

「俺はお前を殺す...!」

『...嬉しいよ...八舞が私に殺意を向けてくれて♪わかったよ、真波君、だっけ?は何もなければ巻き込まないよ♪』

「ならいい。」

『じゃあ!次のショーをお楽しみに~!』

 

 そう言うと電話が切れた。

 

「......俺の事は俺だけでどうにかしてやる。」

 

 俺は家に帰った。

 




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第4話

千聖ルート4話です!


 3日経った。

 俺への風当たりは相変わらずで、真波はまだ入院中だ。

 俺は今、屋上にいる。

 

「__まったく、毎日毎日、飽きない奴らだな。」

 

 俺は半ば呆れていた。

 

「__やっぱり、ここにいたわね。」

「...白鷺さん?」

「おはよう、八舞君。」

「おはようございます。どうしたんですか?こんなところに来て。」

「あなたの噂の件について聞きたいのよ。」

「あー、俺が女生徒に暴力を振るっていたってやつですか?」

「そうよ。」

「何が聞きたいんでしょう?何処を殴ったかですか?」

 

 俺は半笑いで言った。

 

「...あなたの噂は全部嘘ね。」

「なんで、そう思うんですか?」

「あなたの噂には矛盾点が多いもの。

 特に被害者本人が殴られた場所を覚えてないなんてありえないわ。」

「まぁ、そうですね。」

「少し調べてみたのよ、あなたの現状について。」

「へぇ、お一人でご苦労様です。」

「一人じゃないわよ?」

「え?」

「__こんにちわ、八舞栄斗さん。」

 

 水色の髪の人が入ってきた。

 

「あなたは?」

「私は氷川紗夜です。生徒会兼風紀委員です。」

「そんな人が俺に何の用が?」

「あなたの事を白鷺さんに聞いてから私も調べてみました。」

「はい。」

「その結果、あなたの無実を証明できる材料が集まりました。」

「...すごいですね。」

「そうですか?簡単でしたが。」

「ですが、それを公表することはやめておいてください。」

「「なんで?!」」

 

 氷川さんどころか白鷺さんまで驚いてる。

 

「(それを公表したら西園の被害が行く、なんて言えないよな。)」

 

 俺は少し考えて

 

「...今、あのクラスは俺と言う共通の敵がいることによって上手く機能してるんです。わざわざ、それを崩してやることもないですから。」

 

 こう言った。

 

「...それは、正しく機能してると言えるのかしら?」

「そうです、そんなのは間違ってます。」

「間違ってないですよ。上手くいけば全部正解の世の中ですから。」

 

 俺は屋上を去った。

________________________

 

 ”千聖&紗夜side”

 

「...彼はおかしいのですか?」

「分からないわ。」

 

 二人は頭を抱えた。

 

「普通、イジメなんてやめてほしいはずなのに、それを拒否なんて...」

「私には理解できません。」

 

 二人は無言になった。

 

「...紗夜ちゃんは彼の目を見たかしら?」

「目、ですか?」

「えぇ。彼の目には光がないわ。」

「光?」

「人間と言うものに失望しきってるわ。だからイジメも...」

「割り切れている、ですか?」

「...そんなに優しくないわ。」

「え?」

「紗夜ちゃんは蚊にかまれた事はあるかしら?」

「えぇ、まぁ、ありますが?」

「彼にとっては、イジメなんてそんなものよ。恐らくだけれど。」

「まさか、そんなわけ__」

「あるわ。彼の言葉を思い出してみて。」

「......上手く機能する、まさか!」

「そうよ、彼にとってはイジメられるのは蚊に血を与えてる感覚、つまり、ほぼ何も感じてないわ。」

「...見方によっては、見下している、とも取れますが?」

「...間違ってないかもしれないわね。」

________________________

 

 俺は教室に戻って来るなり机で伏せていた。

 

「(...眠い。学校はどうして眠くなるんだ...)」

 

 俺がそんな事を考えていると...

 誰かが走ってきた。

 

「おい!くそ根暗野郎!!」

 

 机が蹴り飛ばされた。

 

「...机、蹴り飛ばし過ぎだぞ。机がかわいそうだ。」

「そんな事はどうでもいいんだよ!!」

「...それで、何の用だ?」

「テストの順位だ!」

「順位?...あぁ、前のか。それがどうした?」

「なんでお前が一位なんだよ!!」

「え?俺一位なのか。」

「こいつ!ふざけやがって...!」

「見てないんだから仕方ないだろ。てか、俺は上の順位をとっても文句を言われるのか?」

「当り前だ!犯罪者より下なんて、皆嫌に決まってる!!なぁ!皆!!」

 

 そう言うと、周りの奴らが「そうだ!」とか「当然だよな!」とか、色々言ってきた。

 

「...はぁ。」

「...なんだよ、そのため息。」

「俺より下が嫌なら、努力すればいいだろ。」

「なんでそんな事__」

「このままじゃお前、自分がどんなに努力しても頭じゃ俺に敵わないとクラス全員を貶すことになるぞ?」

「な...!」

 

 場の空気が凍り付いた。

 

「俺より下が嫌なら、頑張れ。俺はたぶん満点だっただろうけど。」

 

 俺は机を直そうとした

 

「調子乗んな!!」

 

 そいつは椅子で俺を殴ってきた。

 

「偶々、満点で一位だったかって調子に乗んなよ!お前なんて誰も__」

「__おい。」

「あ?」

 

 俺はそいつに詰め寄った。

 

「...お前、さっきのはもしかしたら人を殺すぞ...!」

「あぁ?!」

「犯罪者を殺しても犯罪者になるんだぞ。お前程度の力じゃ俺は死なんが、他だったらどうする?」

「__馬鹿にするな!!__っ!」

 

 俺はそいつにしりもちをつかせた。

 そして、俺はこう言った。

 

「__お前、人を殺す感触を知ってるのか...?」

「ひっ!!!」

 

 そいつは離れていった。

 

「...全く。血が出たじゃないか。」

 

 俺は保健室に手当てをしに行った。

_________________________

 

 放課後になった。

 俺はすぐに家に帰ろうとした。

 

「__八舞君?!」

 

 後ろから白鷺さんの驚いた声が聞こえた。

 

「あ、どうも。」

「どうもじゃないわ!この怪我はどうしたの?!」

「...さぁ?」

「__とぼけても無駄ですよ?」

「氷川さん...?」

「紗夜ちゃん?」

「先ほど、八舞君が椅子で頭を殴られてるのを見た、と証言した生徒がいました。」

 

 氷川さんが出てきてそう言った。

 

「これは問題行為です。八舞君へのイジメは公表します。」

「そんなことは__」

「__みーつけた♪」

「西園...!」

「誰かしら?」

「あ!どうも~西園カナで~す♪白鷺先輩と氷川先輩♪」

「!?」

「なんで私たちの名前を...?」

「やだな~有名人だからですよ__」

「嘘だな。どうせ、俺の事調べてたからだろ。」

「...分かっちゃうか~」

「どういう事かしら...?」

「分かりません...」

 

 二人は困惑してるみたいだ。

 

「それよりも、八舞かわいそ~!」

「...心にもないことを言うな。」

「本心だよ~。だって、あんなゴミにけがをさせられるなんて~。」

「ゴ、ゴミ...?」

「随分、口が悪いですね。」

 

 西園は何を考えてるか分からない顔をしている。

 

「...二人とも、気を付けてください。」

「「え?」」

「こいつは危険です。こいつの邪魔をすれば恐らく殺されるでしょう。」

「何話してるの~?」

「お前の事だ。」

「わ~!うれし~!このまま私のものになってもいいんだよ?」

「もの?!」

「ど、どういうことですか?!」

「私は、八舞を自分のものにしたいし~__殺したいだけ。」

「「??!!」」

「見ての通り、狂ってるんですよ。」

 

 二人は無言になった。

 そして、西園はこう言った。

 

「そう言えば、八舞また一位だったね~♪」

「...そうだな。」

「そのご褒美って言ったらなんだけど~...イジメは公表してもいいよ!」

「何?!」

「私も飽きて来たし~。何より、八舞を傷つけたゴミ、許せない。」

「...そう言うと思った。」

「ど、どういう事かしら?」

「...すぐに分かります。」

 

 西園は話し出した

 

「八舞を傷つけていいのも、殺していいのも私だけ。他のゴミが手を出すなんて許せない...!あいつが八舞を殺してたら、私があのゴミを処分してたよ。」

「...と言う事です。」

「狂ってるわ...」

「正気ではありませんね。」

「ひど~い!これは私から八舞への愛なんですよ~?

 ...じゃあ!今日は帰りますね♪

 あと、公表の件はお願いしますね♪」

 

 徹底的に、と言い残し西園は姿を消した。

 

「...」

「あれは、なんなの...?」

「わ、わかりません...」

「多重人格者って、知ってますか?」

 

 俺はそう聞いた

 

「え、えぇ。」

「はい。言葉だけなら。」

「あいつはそれです。もっとも人格は昔に死んでますが。」

「どういう、ことかしら?」

「あいつの元の名前は西園マナ。カナって名前はあいつの双子の姉の名前です。」

「え?どういう事かしら...?」

「理解できません。」

「...仕方ない。あいつを見られてしまったので話しましょう。過去の話を。」

 

 俺は二人に過去を明かすことにした。




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第5話

千聖ルート5話です!


 俺たちはファミレスに移動した。

 

「__それでは話しましょうか。」

「えぇ。」

「お願いします。」

「それでは...」

 

 俺は話し始めた。

________________________

 

「俺は赤子の時に孤児院の前で捨てられた孤児でした。

 勉強は小学四年生の年齢まで孤児院で学んでいました。

 ですが、小学五年生から学校に通うことになりました。

 俺は言われた通り学校に通いました、そこで出会ったのが、西園姉妹です。」

 

「「...」」

 

「西園姉妹は天才姉妹と有名でした。

 学業、運動、全てが秀でていました。

 俺が来るまでは...。」

 

「八舞君が来るまでは...?」

「はい。」

「どういう事ですか?」

「俺の基本性能が全て西園姉妹を上回っていたんです。」

「?!...でも、二人は天才なんですよね?」

「はい、間違いないです。続きを話しますね。」

「えぇ。」

「当時、妹のマナ、今の西園カナは俺に友好的でした。でも、姉の本当の西園カナはプライドがひたすら高かったんです。そんな奴が俺を見逃すわけもなく、イジメてきました。タバコの火を顔に押し付けてきたり、階段から突き落としたり、机の下敷きにしてきたり。」

「ひ、ひどいわ...」

「小学五年生でそんな事を...?」

 

 二人は驚いている。

 

「そうして時間は進み、マナとは友好的なまま、小学六年生になりました。

 そして、事件は起こった。」

「事件?」

「えぇ、あれは6年生の最初に遠足の時の事です。

 遠足は班行動での散策、その時、マナとカナは同じ班にいました。

 ...遠足が終わる頃、マナのいる班が返ってきませんでした。」

「え?なんでかしら?」

「誘拐です。」

「「っ!!」」

「その時、俺はマナを探しに走りました、そして、見つけた。

 俺はその時、誘拐犯を刺し殺しました。」

「!?」

「でも、遅かったんです。」

「遅かった、とは?」

「俺が見つけたころにはマナ以外の班員は全員、殺されていました。姉のカナも。」

 

 俺は当時の風景を思い出していた。

 

「...その時にマナは過度なストレスを味わいました。

 それからです、あいつが狂ったのは。

 そして、今の西園カナは言った...」

 

『今日からは私がカナちゃんだよ♪』

 

「...それからの行動は西園カナそのものでした。

 でも、感情は全く違った。

 あいつはイジメを『愛』と語るようになりました。」

「どういうことかしら?」

「混ざったんです。マナとカナが。」

「混ざった...?」

「マナの恋心とカナの憎しみと殺意、これが今の西園カナを作ったんです。」

「「...」」

 

 二人は何かを考えている。

 

「そんなことがあったのね...」

「普通に生きてきた私たちには想像が付きません。」

「あいつは危険です。誰も巻き込むわけにはいかない。」

「...まさか、最初に公表することを拒否したのも...」

「はい、危険だったからです。」

「そういう事だったのね。」

 

 無言になった。

 

「...あなたがそんな目をしてるのも、西園カナのせいなのかしら?」

「?」

「あなたは西園カナの脅威に誰も巻き込まないために一人に慣れた。」

「!!」

「正解みたいね。」

「まぁ、事実と言えますね。」

「...私はあなたに協力するわ。」

「え?」

「一緒に西園カナに挑むは。」

「やめておいた方がいいです。

 あいつは天才ですよ。」

「大丈夫よ。天才には慣れてるわ。」

「...そういう事なら、私も協力しましょう。」

「氷川さんまで?」

 

 収拾がつかない。

 

「...危険なら絶対に逃げてくださいね。」

「「わかったわ(わかりました)」」

 

 そうして、二人が協力することになった、

________________________

 

 ”西園カナside”

 

「__はぁ、辛いな~」

 

 カナは黄昏ていた。

 

「八舞が愛しくて、愛しくて仕方ないよ~!」

 

 カナは椅子にもたれかかった。

 

「...壊したい。八舞を壊したい...!」

 

 カナは恍惚とした表情をしている。

 

「早く、早く私の所に来て?八舞__」

 

 カナは一人で不気味に笑った。

________________________

 

 後日、緊急朝礼が開かれた。

 

「(__来たか。)」

 

 俺は体育館に来た。

 

『__今日の緊急朝礼はイジメについてです』

 

 ざわめきが起きた。

 俺のクラスの奴らは全員、俺を見ている。

 

『被害者は八舞栄斗君です。

 彼には噂がありますが__』

 

 それから氷川さんは噂が嘘と言う根拠を説明した。

 

『__と言うわけで、噂の情報は全てデマです。』

「ま、待ってください!!」

 

 クラスの奴の一人が叫んだ。

 

『なんでしょうか?』

「最初の机の落書きはこいつの自演です!!」

『そう言うと思ってましたよ』

「え...?」

『警備員に確認を取ったところ、あなたとあなた、かなりお早く学校来てたみたいですね?』

「「!!」」

『名簿を見たところ、部活動には所属していないみたいですね?なぜ、あの日だけ早く学校に?』

 

 反論はなくなったみたいだ。

 

『では、イジメに加担したメンバーは調べてあるので、全員にペナルティが課せられます。』

 

 クラスの奴らがざわめき出した。

 そして、俺に許しを請いて来た。

 

「悪かった!許してくれ!」

「ごめんね?八舞君!」

「悪気はなかったんだ!」

 

 とか、まぁ、色々だ。

 

「__お前らがやったことだ。そもそもペナルティを決めるのは俺じゃない。高校生だろ?自分のしたことには責任を持て。」

 

 俺はそう言った。

 

「この人でなし!」

「クラスメイトでしょ!?少しは軽くしてもらえるように説得しなさいよ!」

「イジメられる方にも問題あるよな!!!」

『__静粛に。」

 

 氷川さんがそう言った。

 

『ペナルティは3日の停学、そして、生活指導上の前科持ちにする事とします。それと、さっきの三人には追加のペナルティが課せられます。」

 

 氷川さんがそう言うと、男子は膝から崩れ落ち、女子は泣きだした。

 そりゃそうだ、前科持ち、つまり進路が絶たれるんだから。

 

『八舞栄斗君には今日からA組に移動してもらいます。』

「え?」

『なので、そのつもりで。』

「...まぁ、いいか。」

 

 ここから、俺の学園生活は再スタートする。




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明日は都合により一日家を空けなければならなくなってしまったので、明日は投稿ができません。すいません。

メインのオリキャラの一人は次くらいで出てくると思います。


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第6話

千聖ルート?6話です!


 俺は今日からA組に入る。

 自己紹介をするという事で教師と一緒に教室に来た。

 

「__入ってくれー。」

「はい。」

 

 俺は教室に入った。

 

「__と言うわけで、今日からこのクラスに来た八舞だ。」

「八舞栄斗です。よろしく。」

 

 俺は一礼した。

 その時、一人の生徒が入ってきた。

 

「うーっす。」

「おい、斎藤。また遅刻だぞ。」

「すいませーん。寝坊しましたー。ん?」

「?」

 

 斎藤がこっちに気付いた。

 

「...お前、誰だ?」

「俺?俺は八舞栄斗だ。」

「まぁ、どうでもいいんだがな。」

 

 そう言って斎藤は席に座った。

 

「八舞に質問があるものはいるかー?」

「はい!」

 

 変わった髪型の生徒が手を挙げた。

 

「はい、戸山。」

「八舞君はキラキラドキドキする事がありますか!」

「?(キラキラ...?何言ってるんだ?)」

 

 俺は困惑した。

 

「えっと、質問の意味が分からないんだが。」

「だから__」

 

 俺は質問の意図を説明された。

 

「その内容だと、無いな。」

「そう...?」

 

 なんか可哀そうなものを見る目で言われた。

 

「__ほかに質問がある人は...いないな。

 八舞、斎藤の隣の席に行ってくれ。」

「はい。」

 

 俺は指示された席に向かった。

________________________

 

 昼休みだ。

 

「__あの。」

「?」

「八舞君?」

「あ、俺か。」

 

 俺はツインテールの女子に話しかけられた。

 

「何の用だ?」

「生徒会からの書類を書いてほしいんですが。」

「あ、はい。(こいつ、なんか様子が変だ。まさか、こいつも仮面か?)」

「__あーりさ!」

「ちょ!香澄!くっつくな!!!」

「(うん、違うな。これはただの外ずらだ。)」

「あ、生徒会からの書類を__」

「分かった。あと、その変なキャラやめた方がいいぞ?」

「変?!」

「あはは!!」

「香澄!笑うんじゃねぇ!」

「いいじゃないか。あと、素の方がいいぞ、馴染みやすい。」

「そ、そうか?」

「あぁ。」

 

 納得したみたいだ。

 

「八舞君って面白いね~!有咲を変って言うなんて!」

「香澄!」

「まぁ、素に比べたら変だったしな。」

「...そんなに変か?」

「あぁ、ハロウィンでゴミ袋被って仮装してる子供みたいだった。」

「」

 

 ショックを受けてる。

 

「...えっと、市ヶ谷だっけ?」

「...なんだ?」

「何と言っていいか分からんが、素の方が可愛いぞ?」

「?!」

 

 市ヶ谷は驚いてる。

 

「ちょま!お前何言って!///」

「あ!有咲顔真っ赤だー!!」

「ほんとだ、風邪か?」

「///」

 

 市ヶ谷はプルプルしだして

 

「あーーー!!!」

 

 走って行った。

 

「有咲ー!あ、またね、八舞君!」

「あぁ。」

 

 戸山も走って行った。

 

「あ、書類...」

「__おい、うるせぇぞ。」

「?」

 

 横で寝てた斎藤が話しかけてきた。

 

「悪いな。」

「...」

 

 斎藤はまた寝た。

 

「よし、俺は。」

 

 書類を書き始めた。

________________________

 

 放課後になった。

 

「__さて、帰るか...あ、パンがないんだった。」

「八舞君!」

「戸山と市ヶ谷?」

 

 二人が近づいてきた。

 

「このあと予定ある?」

「俺はパンを買いに行くな。」

「パン?」

 

 戸山はにやけだした。

 

「それなら、おすすめの店があるよ!」

「おすすめの店?」

「やまぶきベーカリーだな。」

「やまぶきベーカリー?」

「あぁ、私らのバンドのメンバーの家がやってるパン屋だ。」

「(バンド?そういえば、白鷺さんもしてたな。流行ってるのか?)」

 

 俺は一つの事を思い出した。

 

「そういえば、市ヶ谷。」

「なんだ?」

「昼休みはどうしたんだ?顔も赤かったし、風邪か?」

「その話はするな...///」

「よくわからんが、分かった。」

 

 市ヶ谷は向こうを見た。

 

「それで、八舞君!」

「?」

「やまぶきベーカリー行かない?」

「興味あるから、行こう。」

「じゃあ!行こう!有咲もね!」

「ちょ!香澄!」

 

 俺たちはやまぶきベーカリーに向かった。

________________________

 

「__ここだよ!」

「ここか。」

 

 パンのいい匂いがする。

 俺たちは店に入った。

 

「いらっしゃーい!って、香澄と有咲じゃん!」

「来たよ!さーや!」

「よう、沙綾。」

 

 見たところ、あの子がバンドメンバー何だろう。

 仲がよさそうだ。

 

「あ、そっちの人は__」

「あぁ、俺は__」

「八舞栄斗君、だよね?」

「え?」

 

 何で知ってるんだろう?

 

「なんで、知ってるんだ?」

「だって、今じゃ八舞君は学校の有名人だからね~。」

「え?なんで?」

「...そりゃあ、な。なんて言うか...」

 

 市ヶ谷が言い淀んでる。

 

「あぁ、イジメのやつか。」

「...あぁ。」

 

 市ヶ谷は暗い顔をしてる。

 

「市ヶ谷は優しいやつか?」

「え?」

「他人のイジメにそこまで気を遣うなんて、俺じゃ絶対にしないぞ?」

「いや、私は__」

「分かるぞ、お前が優しいのは。お前には負の感情がないからな。」

「!」

「俺は人の負の感情が分かる。だから、読み取れない市ヶ谷は優しいってことだ、な?」

「......ばっかじゃねぇの。///」

「?」

「あのー。」

「はい。」

 

 山吹に声をかけられた。

 名前は店の名前的に推測した。

 

「皆は何で来たのかなー?」

「あ、そうだ。明日の朝食用のパンがないから買いに来たんだ。」

「そうなの?私はてっきり__」

「?」

「有咲が彼氏の紹介に来たんだと思ってたよ!」

「ちょま!沙綾?!///」

「市ヶ谷の?そんな奴がどこにいるんだ?」

 

 山吹の言葉の意味が理解できない。

 

「違ったかー。ごめんね、有咲!」

「どっちの意味だ?!」

「さぁ~どっちでしょ~♪」

「沙綾!」

「__それで、どんなパンが欲しいの?」

「そうだな。朝食用だから食パンと...おすすめのパンをくれ。」

「かしこまりました!」

 

 山吹はおすすめのパンを持ってきてくれた。

 

「おすすめはチョココロネか?」

「そうだよ!いつも売り切れるんだよ!」

「すごいな。熱狂的なファンでもいるのか?」

「あはは~まぁね!」

「あ、戸山と市ヶ谷にも頼む。」

「え!いいの?」

「あぁ。案内の礼だ。」

「やったー!」

「なんで、私まで?」

「いらないか?」

「......いる。」

「というわけで、頼む。」

「はーい!」

 

 俺はチョココロネと食パンを購入した。

 

「__じゃあ!またね、さーや!」

「またな、沙綾。」

「うん!またね!八舞君も!」

「あぁ。またな、山吹。」

 

 俺たちは店を出た。

 

「__戸山、市ヶ谷。これ。」

 

 俺は二人にチョココロネを渡した。

 

「ありがとう!__ん~!おいしい!」

「さんきゅ__相変わらず、うまい。」

「俺も食うか__!!」

 

 味は想像以上だった。

 

「うまいな。一体どんな原理でこんなに美味くなるんだ?」

「だよね!美味しいよね!」

「あぁ。不思議だ、見た目は普通のチョココロネ。でも、味の質が段違いだ。」

 

 これなら、パンはあそこで買った方がいいな。

 俺たちはしばらく歩いた。

 

「__あ、お姉ちゃん。」

「あ!あっちゃん~!」

 

 戸山は飛びつこうとした。

 が、綺麗によけられた。

 

「__いった~!」

「なにやってるの?」

「二人とやまぶきベーカリーに行ってたんだ~!」

「二人?」

 

 こっちを見た。

 

「こんにちわ、市ヶ谷先輩と...」

「俺は八舞、八舞栄斗だ。」

「よろしくお願いします。私は戸山明日香です。お姉ちゃんと判別しやすいように明日香と呼んでください。」

「分かった。よろしく明日香。」

 

 自己紹介をした

 

「それで、明日香は何してたんだ?」

「私はお姉ちゃんが忘れてると思ってお使いに。」

「え?お使い...?」

「やっぱり忘れてる...」

「戸山よ...」

「まったく、香澄は...」

「ごめんね~!あっちゃん〜!」

「別にいいよ、慣れてるから。」

「嫌な慣れだ。...おい、戸山。」

「はい...」

「もうちょっと、しっかりしろよ。」

「はい...」

 

 明日香の苦労が見えた気がした。

 

「明日香も。」

「はい?」

「お使いを忘れて怒られるのは明日香なのか?」

「いえ。」

「なら、戸山に行かせたらいい。」

「でも__」

「戸山はバンドがある、か?」

「はい。」

「だったら、バンドの日は行けばいい。でも、何もない日は戸山自身に行かせた方がいい。これは戸山のためだ。」

「...はい。」

「分かったか、戸山?」

「分かった!」

「返事はいいな。」

「それが香澄だ。」

「返事だけにならないといいんですけど。」

「ちょっと!三人とも!」

 

 俺たちは他愛のない話をした。

 

「__そろそろ、帰らねぇと。」

「え?もう__ってこんな時間?!」

「夕飯の時間だね。」

「そうか、じゃあ、解散だな。」

「じゃあな。」

「またね!」

「さようなら。」

「あ、明日香?」

「はい?なんですか?」

「...明日香はもう少し甘えていいと思うぞ。お前は年の割に落ち着き過ぎだ。」

「でも、お姉ちゃんが迷惑をかけることが多いので私は落ち着いてないと。」

「まぁ、そうかもしれないが。疲れるだろ?」

 

 俺はこう言った。

 

「あれだ、初対面だが、俺にはいくらでも迷惑をかけてもいいぞ。」

「え?」

 

 俺は紙にあることを書いた。

 

「俺の連絡先だ。」

「なんで...?」

「疲れたら、かけてきたらいい。

 話、いくらでも聞くから。」

「...ありがとう、ございます。」

 

 俺は明日香の頭を撫でた。

 

「頑張れよ、明日香。」

「!...はい。///」

「...あ、悪いな、頭撫でて。」

「い、いえ。大丈夫です。」

「そうか?」

「それでは、また。八舞先輩。」

「あぁ。」

 

 明日香は走って行った。

 

「俺も帰るか。」

 

 俺も帰路についた。

________________________

 

 ”明日香side”

 

 明日香は夕飯を済ませ、自室にいた。

 

「八舞先輩...」

 

 明日香は天井を見上げていた。

 

「...偶然かな、それとも分かってたのかな?...」

 

 明日香は呟いた。

 

「高校性になってから水泳部の勧誘で疲れてる事、分かってるのかな?」

 

 明日香は首を振った。

 

「そんなわけないよね。ありえない。でも、」

 

 明日香は連絡先が書いた紙を見て。

 

「もしも、分かってくれてるなら、

 私を、助けてくれますか?」

 

 明日香はそう呟いた。

 

 

 

 




感想などお願いします!

補足:有咲はまだ、主人公を好き、と言うわけではありません。
 明日香も同様です。候補であることは間違いないです。
女子高だったので免疫がない、位の解釈でお願いします。
 あと、今回出てきた斎藤君も重要なキャラです(多分)


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第7話

千聖ルート7話です!


 俺がA組に移動してから少し経ち、五月に入った。

 

「__おっはよー!八舞君!」

「よう、八舞。」

「おはよう、戸山、市ヶ谷。」

 

 俺はクラスではこの二人と交友を深めていた。

 

「ねぇねぇ!有咲~!」

「ダメだ。」

「まだ何も言ってないよ~!」

「...どうせ、今日の宿題を写させてって言うんだろ?戸山?」

「ギクッ!」

 

 図星みたいだ。

 

「そこを何とか~!」

「ダメだ!」

「じゃあ、八舞君!」

「...はぁ。いいぞ、写させてやっても。」

「え?ほんと?!」

「おい!八舞!」

「ただし、だ。」

「「?」」

「お前は人の宿題を写すことに慣れて自立できなくなって、明日香たちに迷惑をかけることになるんだろうな。」

「うぐっ...!」

「どうする?」

「じ、自分で頑張ります...!」

「か、香澄...!」

「私、やるよ!有咲!」

「あぁ!頑張れよ!」

 

__しばらくして...

 

「やっぱり無理だーーー!!!」

「...やっぱりか。」

「分かってたよ、でも、さっきの私の感動を返せ。」

 

 戸山の集中力は案の定切れた。

 

「まぁ、半分はやったから、及第点だろ。」

「...そうだな。」

「ほれ、戸山。」

「ほえ?」

「俺の宿題だ。半分は出来たから次は七割はしろよ。」

「!...うん!ありがとう、八舞君!」

 

 戸山は宿題を写し始めた。

 

「少し、甘くないか?」

「そうか?」

「あぁ。」

「あのな、市ヶ谷。人は簡単には変わらないんだ。

 だから、褒めて少しずつでも伸ばせばいい。」

 

 そう、人は簡単には変わらない。

 

「そんなもんか?」

「あぁ。」

 

 そうして、朝の時間が過ぎていった。

________________________

 

 昼休みだ。

 

「__そういえば、斎藤ってよく休んでるな。」

「そういえば、なんでだろうね?」

「あいつは生徒会でも危険人物扱いされてるからな。」

「え?なんでだ?」

「確か、喧嘩で何人も病院送りにしたとか、

 遅刻の理由はヤバい取引かもとか。」

「そんな悪いやつには見えなかったがな。」

「だよね~!」

「あ、そういえば。」

「ん?どうした?」

「俺、バイト探してるんだけど、良いとこないかなって。」

「八舞君、バイトするの?」

「あぁ。生活費が足りなくなってな。」

 

 俺は考え込んだ。

 

「__あるわよ、良いバイト。」

「白鷺さん?」

「白鷺先輩!こんにちわ!」

「こ、ここ、こんにちわ!」

「こんにちわ、三人とも。

 それで、バイトの話なのだけれど。」

「いいバイトがあるんですか?」

「えぇ。あるわよ。とっておきのバイトが。

 興味があるならこの住所に来てちょうだい。」

 

 白鷺さんに紙を渡された。

 

「伺います。」

「えぇ。」

「そういえば、何の用でここに?」

「あ、そうだったわ。有咲ちゃん、紗夜ちゃんが呼んでたわよ?」

「え?...あ!」

 

 市ヶ谷は何かを思い出したようだ。

 

「昼休みに生徒会の仕事があるんだった~!!」

 

 市ヶ谷は走って行った。

 

「それじゃ、用も済んだし私も戻るわ。

 待ってるわよ、八舞君。」

「はい。(ん?待ってる?)」

「さようなら!白鷺先輩!」

 

 俺は疑問を残したまま、残りの学校の時間を過ごした。

________________________

 

 放課後だ。

 俺は白鷺さんに渡された紙に書いてあった住所に来た。

 

「__ここ、か?」

 

 俺が来たのは芸能事務所だった。

 

「え?なんで?」

「あれ?八舞君?」

「あなたは、丸山さん?」

「うん!そうだよ!...どうしたのかな?こんなところで?」

「俺は白鷺さんにバイトの紹介でこの紙を貰いまして。」

「え?バイト?」

「__あら、来たわね、八舞君。」

「あ、白鷺さん。」

「準備は出来てるわ、入ってちょうだい。」

「?はい。」

 

 俺は事務所に入った。

________________________

 

「__それで、俺は何のために呼ばれたんでしょう?」

「バイトの紹介よ?」

「どういうことなの?千聖ちゃん?」

「すぐに分かるわ...ここよ、入って。」

 

 俺たちは部屋に入った。

 

「__来たわよ。皆。」

「あ!チサトさん、アヤさん!こんにちわ!」

「やっほ~!」

「こんにちわっす!二人とも!」

 

 そこには、若宮と、氷川さんに似た人、眼鏡をかけた人がいた。

 

「あれ?そっちの子はだぁれ?」

「あ!エイトさん!」

「...え?どういう状況ですか?」

「説明するわ。」

 

 そう言って白鷺さんは書類を渡してきた。

 

「えっと......はい?!」

「そういう事よ。」

「どういうことですか?」

「見ての通り、私たちのマネージャーのバイトよ?」

「それは分かってるんですが、なんで俺を?」

「...今まで碌な人が来なかったのよ。」

「あ~、そう言えばそうだったね~」

「るんってこなかったよね~」

「そういう訳で、あなたにお願いしたいのよ。

 時給は破格よ?」

「いや、バイトをするのはいいんですが。面接などは?」

「問題ないわ。事務所には私がお話ししてきたわ。」

「...それは、言葉で、でしょうか?」

「さぁ、どうかしらね?」

 

 俺の背中に悪寒が走った。

 これ以上の言及は危険だ。

 

「...分かりました。します、バイト。」

「そう言ってくれると思ってたわ!」

「やったー!マネージャー決定ー!」

「るん♪ってくるね!」

「よろしくお願いします!エイトさん!」

「よろしくっす!」

「はい。よろしくお願いします。」

 

 こうして、バイトが決まった。

 時給はほんとに破格だった。

________________________

 

 バイトをすることが決まった後、白鷺さんに帰ってもいいと言われたので帰ってる。

 

「あれ?斎藤?」

 

 商店街を歩いてると斎藤を見かけた。

 俺は後をつけてみた。

 

「__はぁ。」

「よう、斎藤。」

「!!...お前は、八舞、だったか。」

「覚えてたのか。」

「...隣だからな、耳に入ってきただけだ。」

「そうか?...それよりも何してたんだ?」

「なんで言わないといけない?」

「まぁ、どうせ、バイト帰り、だろ?」

「!!」

「カバンから見えてるぞ。」

 

 斎藤はカバンを隠した。

 

「...なぜ、俺に近づく。」

「?」

 

 斎藤が急にそんな事を聞いてきた。

 

「俺は学校じゃ危険人物だ、道であっても話しかけてくるどころか道を開ける奴がほとんどだ、でも、お前は話しかけてきた。なんでだ?」

「数週間、お前の隣の席にいて分かったんだが、お前はそこまで悪いやつじゃない。」

「ほう?なぜそう言える?」

「俺には人の負の感情が見えるからな。」

「...馬鹿馬鹿しいな。」

「そうか?じゃあ、馬鹿馬鹿しいついでに、お前、悩んでるだろ?」

「っ!!」

「言ったろ?負の感情が分かるって。」

 

 斎藤は驚いている。

 

「話してみろよ、斎藤。」

「...仕方ねぇ、場所変えるぞ。」

「分かった。」

 

 俺たちは公園のベンチに移動した。

 

「__それで、何があったんだ?」

「...俺の家は母子家庭だ。親父は俺が中三の時に死んだ。」

「...」

「親父が死んだ後、母さんが働きに出た。俺たちは四人兄弟、母さんは朝から晩まで働き詰めだった。」

「だった...?」

「あぁ、母さんは病気になった。」

「!」

「だから、俺は学校をやめて働くと言ったんだ、でも...」

「お母さんに止められた、か?」

「...その通りだ。俺に楽しい思い出を作ってほしいってな。だが、そうもいかない下の奴らももうすぐ小学生だ貯金があるとは言え、学費を稼がねぇと。」

「だから、お前はいつも遅刻したり休んだりしてたのか。」

「そういう事だ。」

 

 斎藤は遊んでる子供を見ている。

 

「...子供は自由じゃないといけねえ。下の奴らにも余計な気を使わせたくないんだ。」

「だったら、手伝ってやるよ。」

「は?」

「食費くらい払ってやるぞ?俺も食わしてもらうが。お母さん、いないんだろ?」

「だが__」

「いいっての。お前がバイトの間、下の子たちの面倒も見てやるよ。」

 

 斎藤は戸惑ってるみたいだ。

 

「根本的な解決にはならないが、お前の苦労は減るだろ?だから、手伝ってやるよ。」

 

 斎藤は考え込んでいる。

 

「...本当にいいのか?食費も馬鹿にならねぇぞ?」

「大丈夫だ。破格のバイトを見つけたんでな。」

「...なら、頼む。礼はいつか必ずする。」

 

 斎藤は頭を下げた。

 

「そういうのはいいぞ。俺がしたくてするんだ。お前のお母さんの願いも叶ってほしいからな。」

 

 俺は子供たちを見ながら言った。

 

「斎藤も学校生活、楽しもうぜ。」

「それは無理だ。」

「なんでだ?」

「言ったろ、俺は危険人物だ。」

「大丈夫だ。分かってくれる奴はいる。」

「何?」

「来れば分かる、だから、絶対に来い。」

「......その言葉、信じてやるよ。八舞栄斗。」

「おう、信じろ。えっと...斎藤...なんだ?」

「俺は斎藤雅だ。」

「じゃあ、雅だな。よろしくな、友達としてな。」

「フッ。いいだろう。」

 

 俺たちは拳を合わせた。

 

「じゃあ、早速飯つくりに行くか。」

「おい!今は客をあげられる状態じゃ__」

「ならなおさら行くぞ。片付けもついでにしよう。」

「おい!八舞!」

 

 俺たちはこうして友人となった。

________________________

 

 俺たちはあるアパートに来た。

 

「__ここが俺らが住んでるところだ。」

「そうか。いいとこじゃないか。」

「...行くぞ。」

 

 俺たちは雅の家に入った。

 

「__おーい!帰ったぞ!」

「あ!にーちゃんが帰ってきた!」

「お帰りにーちゃん!」

「おかえりなさい!お兄ちゃん!」

「おう、ただいま。」

 

 奥の居間から、男の子二人と女の子一人が出てきた。

 

「あれ?その人だれ?」

「あぁ、こいつは。」

「俺は八舞栄斗だよ。君は?」

「私!斎藤真弓!小学校2年生!」

「おー偉いな、ちゃんと自己紹介出来て。」

「えへへ~!」

「おい、お前らも挨拶しろ。」

「「はーい!」」

「俺は和!」

「俺は仁!」

「「よろしく!えいと兄ちゃん!」」

「こいつらは双子なんだ。」

「つまり、同時に小学生になるのか。」

「そうだ。」

 

 自己紹介が終わった後、俺たちは居間に行った。

 

「__そういえば、えいとお兄ちゃんはなんでお家に来たんですか?」

「今日から、真弓ちゃん達にご飯を作ってあげるんだよ。」

「ご飯、ですか?」

「うん、そうだよ。」

「そういう事だ。」

「あと、和君と仁君の迎えも行くよ。」

「ほんと?!」

「やったー!」

「...おい。」

「いいだろ?」

「...はあ、仕方ないな。」

「それにしても、皆かわいいな。」

「人懐っこいからな。」

 

 和君と仁君が膝に乗ってきた。

 

「こら!和!仁!降りなさい!」

「いいよ、真弓ちゃん。」

「え?」

 

 俺は二人の頭を撫でた。

 気持ちよさそうだ。

 

「...子供は、好きだから。」

「そうですか?じゃ、じゃあ、真弓も...」

 

 真弓ちゃんも来た。

 

「いやー、なつかれたな。」

「安心した。」

 

 俺たちは少しの間遊んでた。

 

「__さて、夕飯を作ろうか。」

「お~!何作るの!」

「作るの?」

「そうだなぁ。」

 

 俺は冷蔵庫の中を確認しに行った

 

「今日は冷蔵庫の中使うな。」

「あぁ。構わん。」

「「で、で!何作るの?」」

「そうだなー...カレーにしようか。」

「「カレー!」」

「か、カレー...!」

 

 子供たちは嬉しそうだ。

 

「さーてと、作るか。」

 

 俺はカレーを作った。

 

「__よそって、ルーをかけて、完成だ。」

「わーい!」

「カレーだ!」

「お、おいしそう、です!」

「...まじで旨そうだな。」

「普通だぞ?...さぁ、食べようか。」

 

 俺たちは夕飯を食べ始めた。

 

「__うっめー!」

「ほんとだ!うっめー!」

「おい、静かに食べろ。」

「いいじゃないか。ご飯は楽しく食べるもんだ。な?」

「「うん!」」

「まったく...」

「本当に、美味しいです...!」

「そう?良かった。」

 

 皆美味しそうに食べてくれた。

 斎藤兄弟は全員お替りした、兄弟だな。

 

「「ごちそうさまー!」」

「ごちそうさまでした!」

「ごちそうさま。」

「はいはい、お粗末様。」

 

 皆はカレーを食べ終えた。

 俺は洗い物を始めた。

 

「~♪」

「おい、手伝うぞ。」

「斎藤?いいって、下の子たちに構ってやれ。」

「いや、そういう訳には__」

「皆、お前を待ってるぞ?」

 

 下の子たちは皆こっちを見てる。

 

「...悪いな。」

「いいっていいって。」

 

 雅は皆の方に行った。

 居間に行くと皆は雅に飛びついた。

 雅は文句を言いながらも皆に構ってる。

 

「...美しいな。家族愛って。」

 

 俺は美しい家族愛を眺めながら、

 洗い物をした。

 

 

 

 

 




感想などお願いします!

斎藤君の設定をここで、

 斎藤雅(16)
 身長;180cm
 体重;75kg
 好きなもの;家族、友達、紅茶、甘いもの
 嫌いなもの;家族、友達を傷つける奴
 誕生日;11月11日

 花咲川の生徒。見た目はかっこいいヤンキー。
 家族思い。喧嘩事件の原因も家族がらみ。
 学力は普通。運動神経は抜群。
 栄斗への信頼は厚い。
 有咲と同じくツンデレ。


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第8話

千聖ルート8話です!


 雅の家に行った翌日。

 

「__よう、八舞。」

「お、来たか、雅。」

 

 雅は言った通り学校に来た。

 

「じゃあ、俺の友人と話してみようか。」

「お前の友人?」

「あぁ。」

「__おっはよー!」

「来たか。」

 

 戸山が入ってきた。

 

「おはよう、戸山。」

「どうしたのかな?早く来てなんて?」

「それは、こいつと話してほしいんだ。」

「...おはよう。」

「斎藤君?なんで?」

「斎藤が戸山と仲良くしたいらしい。」

「おい!」

「ほんとに?!」

「あぁ、ほんとだぞ。」

 

 上手く話しを運べた。

 

「私も仲良くしたかったんだ~!」

「だ、そうだぞ。雅?」

「...そういう事にしておく。」

「斎藤君だから...さい君だね!」

「え?」

「よかったな、さい君。」

「...まじかよ。」

 

 こうして、朝の時間が過ぎた。

_________________________

 

 昼休みだ。

 俺たちは4人で昼食をとっていた。

 

「__たく、驚かせやがって...」

「悪かったって、市ヶ谷。」

「そうだよ~!」

「...なんか、すまんな。」

 

 市ヶ谷は戸山が雅と話していることに驚いた。

 それで、今、ご立腹みたいだ。

 

「...もう、いい。」

 

 市ヶ谷がそう言うと

 

「__よう!栄斗!...って、雅?!」

「よう、真波、久しぶりだな。」

「なんだ、涼か。」

「「ん?」」

 

 俺は疑問に思った。

 

「真波、お前、雅と友達なのか?」

「おう!バイト仲間だぜ!」

「そうだったのか。」

 

 意外な繋がりだなと思った。

 

「それよりも、二人は仲良かったのかよ~!」

「俺が雅の家に飯つくりに行くだけだぞ。」

「へ?」

「世話になることにした。」

「え~!」

 

 真波は驚いたみたいだ。

 

「八舞君ってさい君の家にご飯作りに行ってるの?」

「あぁ。昨日からな。」

「私も食べたい!」

「おい!香澄!」

「俺はいいが。雅は?」

「...俺も構わん。」

「やった!」

「ほんとにいいのかよ。」

「いいんじゃないか?市ヶ谷も来るか?」

「私は__」

「__あ!八舞みーっけ♪」

「西園?!」

 

 俺は立ち上がった

 

「そんなに構えなくてもいいじゃん~♪」

「お前が来ると碌なことがないからな。」

「おい、誰だ、こいつは。」

「こいつは西園カナ。気をつけろ、こいつは危険だ。」

「こいつ、この前の!」

「あぁ。真波のリンチの犯人だ。」

「戸山と市ヶ谷は下がれ!」

「も~う!今日は何もしないよ~!」

「さぁ、どうだか。」

「今日はお知らせに来ただけだよ♪」

「...お知らせ?」

「そう!お知らせ♪」

 

 西園は楽しそうに笑っている。

 不気味だ。

 

「最近、新しいおもちゃが手に入ったんだ~♪」

「...おもちゃ?」

「そう♪...表現するなら、欲しがりな子たちかな~♪」

「...欲しがり?」

 

 意味が分からない。

 

「時期にわかるかもね♪」

 

 西園は去ろうとした。

 

「おい!待て!意味を説明しろ!」

「う~ん...それじゃ、ショーが盛り上がらないからな~...」

 

 西園は考えて。

 

「じゃあ!ヒントをあげる!

 その子たちを表す言葉は、

 『アモン』ってところかな!」

「アモン...?たしか強欲の悪魔...?」

「そう♪つまり、それを支配下に置く私はルシファーかな?」

「いいじゃないか、お前にピッタリだ。」

「ありがと♪」

 

 西園は屋上から去った。

 

「...ふぅ。」

「おい、さっきのはどういう事だ?」

「あいつは俺の...因縁だ。」

「因縁...?」

「あいつ、西園カナ、なのか?」

「市ヶ谷?」

「西園カナは一年の時は目立たない生徒だった。」

 

 市ヶ谷は不思議そうにしている。

 

「私は分からないな~?」

 

 戸山は西園を知らないみたいだ。

 

「聞いただろ、市ヶ谷。

 あいつの今の目的はショーを楽しむことだ。」

「つまり、そのために目立つようなことをしないって事なのか?そもそも、ショーって...?」

「あいつのショーは、俺を壊すことを目的としてる。

 つまり、事は俺の周りで起きる可能性が高い。」

 

 これは言いきれた、だが

 

「アモン、これが分からない。」

「強欲、だっけか?」

「あぁ。」

「欲しがりで強欲...?」

 

 考えれば考えるほど分からない。

 

「...とりあえず、そのアモンとやらを探さないと、危険だ。」

「...そうだな。」

 

 俺の行動は決まった。

________________________

 

 放課後、俺はバイトに行かなければならなかった。

 

「__こんにちわ。」

「来たわね、八舞君。」

「どうも、白鷺さん。

 それで、俺は何をすればいいんでしょうか?」

「これに全て書いてあるわ。

 基本的にこの業務を終わらせてくれれば自由に帰ってもいいわ。」

「...これなら、すぐに終わりますよ?」

「え?歴の長いマネージャーでも時間がかかる内容なのだけれど?」

「そうなんですか?これくらいなら、一時間くらいで終わりますよ?」

「...どうなってるのかしら?」

「__こんにちわ~!」

 

 氷川さんに似た人が入ってきた。

 

「あれ?君は昨日の__」

「八舞栄斗です。」

「私は氷川日菜だよ!」

「氷川?」

「お姉ちゃんと会った事あるんじゃないかな~?」

「...なるほど。」

 

 納得した。

 確か双子の妹がいると聞いた。

 

「私の事は日菜って呼んでね!栄君!」

「はい、わかりました。

 そういえば、日菜さんは氷川さんと別の学校なんですか?」

「うん!私は羽丘だよ!ちなみに生徒会長なんだよ~!」

「...日菜ちゃんは天才よ。何でもできるわ。」

「氷川さんとは逆って事ですね。」

「まぁ、そうなるわね。」

「まぁ、俺は仕事を片付けてきます。」

「えぇ、お願いね。」

「頑張ってね~!」

 

 俺は書かれてた仕事を終わらせた。

 かかった時間は二時間くらいだった。

 

「__終わりました。」

「...早いわね。しかも完璧よ。」

「ありがとうございます。」

「今日は帰ってもいいわ。またお願いね。」

「はい。」

 

 俺は事務所を出た。

________________________

 

 ”戸山家”

 

「......ただいま。」

「おかえり~!あっちゃん!...って、どうしたの?!」

 

 明日香はずぶ濡れだった。

 

「...プール入ってた。」

「え?でも、羽丘のプールは閉鎖中って日菜先輩が__」

「プール、入ってたの!」

「あ!あっちゃん!」

 

 明日香は怒鳴ってから、自室に閉じこもった。

 

「あっちゃん...」

『...あんまり、話しかけないで。』

 

 香澄は自室に戻った。

 

「__おかしいよ。」

 

 香澄は今までにないくらい考えた。

 

「あっちゃんに何があったの...?」

 

 香澄は分からない。

 

「あっちゃん、いっつも自分の事、話さないもん...」

 

 香澄は考えた。

 

 ”明日香”

 

 明日香は着替えて、ベッドに倒れた。

 

「...言えるわけないよ。」

 

 明日香は目に涙を浮かべている。

 

「先輩に川に落とされたなんて、言えないよ...」

 

 明日香は泣いていた。

 その時、知らないアドレスからメッセージが来た。

 

「...誰だろ__!!」

 

 メッセージには

 

『返事は一週間待ってあげる。でも、早くしないと、また川に落とすよ?』

 

 と、書かれていた。

 差出人は

 

「水泳部の、部長の人...!」

 

 明日香は携帯を投げ捨て、

 布団にくるまった

 

「なんで、こうなったんだろ...」

 

 明日香への嫌がらせは五月の終わりから始まり、次第にエスカレートしていた。

 

「あこと六花には何とか気づかれてない、けど...」

 

 明日香は小さくつぶやいた。

 

「苦しいよ...

 誰か、助けて...」

 

 明日香は気を失うように眠りについた。

 

 

 

 




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第9話

千聖ルート9話です!


 俺がアモンを探し始めて、三日。

 捜索は難航していた。

 

「__どこにいるんだ。」

 

 俺が学校の屋上で考え込んでいると。

 

「あの、八舞君...」

「ん?戸山?どうした?」

「...少し、聞いてほしいことがあって...」

「聞いてほしい事?」

「うん。実は、あっちゃんが最近、様子がおかしくて...」

「明日香が?」

「うん。最近、帰ってきたらずぶ濡れになってたり、物がなくなったってよく言うの...」

「...うむ。」

「事情を聴いても、何もないって話さないし、私、どうしたら...」

「...俺が行ってみようか。」

「え?」

「なんとか聞き出してみる。」

 

 俺は戸山にそう言った。

________________________

 

 ”明日香side”

 

「__また...」

 

 明日香の下駄箱にはゴミが入れられていた。

 明日香はそれを片付けた。

 

「...(なんで、なんで...)」

「__おはよう。明日香ちゃん。」

「ろ、六花?!お、おはよう。」

「どうしたの?こんなところで?」

「いやー、ゴミが落ちてたから、拾ってた。」

「偉いね~!」

「そ、そう?」

「うん!」

「ありがと。(よかった、ばれてない。)」

 

 明日香はそのことに安心した。

 二人は一緒に教室に向かった。

 

「__おっはよー!二人とも!」

「おはよ、あこ。」

「おはよう、あこちゃん!」

「今日も聖なる光が我の...えっと、パワーをシューンってしてるよ!」

「...今日も何言ってるか分からない...」

「私もだよ、六花。」

 

 三人は談笑していた。

 

「__そう言えば、最近、明日香ちゃん元気ないよね?」

「え?」

 

 あこが急にそんな事を言った。

 

「そ、そんな事、ないと思うけど。」

「あるよ~!なんか、疲れてるって言うか!」

「だから!そんな事__っ」

「「__明日香ちゃん!」」

 

 明日香が立ち上がろうとすると、倒れた。

________________________

 

「__ここは?」

 

 明日香は不思議な空間にいた。

 

『お願い!水泳部に入って!』

『...すいません。勉強がしたいので。」

 

「あれ?私?」

 

 明日香はその光景に見覚えがあった。

 

『お願い!戸山さんが入ってくれたら勝てるの!』

『...すいません。』

『あ!戸山さん!』

 

「(そういえば、最初はこうやって断ってったっけ?でも、急に__)」

「__水泳部に入れ。」

「?!」

 

 明日香の後ろには水泳部の部長がいた。

 

「入らなきゃイジメるよ?...入るよね?

 戸山さんが頷いてくれないと廃部になっちゃうんだよ...?」

 

 近づいてくる。

 

「入るよね?...入れ...」

「こ、来ないで...!」

「__入るって言うまで、追い込んでやる...!」

________________________

 

「__ん?夢...?」

 

 明日香は保健室で目覚めた。

 時間はもう夕方だ。

 

「...最近、ちゃんと寝れてなかったからかな?」

 

 明日香はすごい量の汗をかいていた。

 

「...(誰か、助けて...)」

「__失礼しまーす。」

「え?なんで?ここに?」

 

 入ってきたのは栄斗だった。

 

「よう、明日香。倒れたらしいじゃないか、どうしたんだ?」

「...テスト勉強で寝不足だっただけです。」

「...」

 

 明日香をじっと見る。

 

「だから__」

「嘘だな。」

「っ?!」

「負の感情が駄々洩れだぞ、明日香。」

「な、なんで?!」

「見えてるからな。」

 

 明日香は驚いている。

 

「...話してみろ、明日香。」

「...そこまで、迷惑はかけられません。」

「言っただろ?お前はもっと甘えていいんだよ。迷惑なんて思わない。」

「でも__」

「よしよし。」

 

 俺は明日香の頭を撫でた。

 

「少しは俺を頼れ、明日香。

 そんなに苦しそうな顔をするな。」

「...」

「明日香が話してくれれば、俺が絶対に助けるから」

「...八舞さん...」

 

 明日香は泣いた。

 そして、事情を話してくれた。

 

「...まさか__」

「__あっちゃん!」

「?!お、お姉ちゃん、なんで?!」

 

 戸山が入ってきた

 

「...悪い、止めれなかった。」

「雅...」

 

 雅も入ってきた

 

「なんで、お姉ちゃんに言わなかったの!

 そんなに、一人で...抱えて...!」

「お姉ちゃん...」

 

 二人は抱き合っている

 

「__俺たちは出ておくか。」

「そうだな。」

 

 俺たちは一旦、廊下に出た。

 

「...まさか、明日香がイジメられてたなんて。」

「戸山の妹、だったか。」

「あぁ。」

「どうする?教師に報告すれば解決だと思うが。」

「...それは無い。」

「何?」

「それで解決するなら、賢い明日香ならもうしてる。」

「...脅されてるか教師がグルなのか、だな。」

「その可能性が高いだろうな。」

「__あの...」

「ん?君は?」

「私は、明日香ちゃんのお友達の朝日六花です。」

「明日香の?」

「はい。...お二人は、明日香ちゃんの味方、ですか?」

 

 六花は真面目な顔で聞いてきた。

 

「そうだ。これから明日香のイジメを止める。」

「...なら、これを見てください。」

 

 六花はカメラを見せてきた。

 

「これは__っ!!」

「どうした?......これは。」

 

 カメラに映っていたのは、

 明日香へのイジメの写真だった。

 

「...明日香ちゃんの様子がおかしいと思って、後をつけた時に撮った物です。あと__」

 

 何枚かの写真を見せてきた。

 

「これは、職員室?しかも、同じ教師ばかりに呼び出されてるな。」

「...明日香ちゃんはその先生に毎日呼び出されています。」

「毎日...?」

「はい。そして、その先生は水泳部顧問です。」

「!!...つまり。」

「教師もグルって事か。」

「うっとおしいな。」

 

 俺たちが話していると。

 

「あの~戸山さんいますか?」

「いるが、何の用だ?」

 

 雅が対応した

 

「私、戸山さんの友達で、お見舞いに来たんです!」

「そうか。」

 

 その生徒は保健室に入ろうとした。

 

「__おい、待て。」

「え?」

「おい、八舞。お見舞いに来た奴だぞ?そんないい方は__」

「雅は顔をしっかり見てないのか?

 こいつは主犯の奴だ。」

「何?...すまん、もう一回見せてくれ。」

 

 雅はカメラを確認した。

 

「...マジじゃねぇか。」

「あの、何のことかな?」

「とぼけんなよ。さっきからドス黒い本性が丸見えだぞ。」

「......なんだ、気付いてたんだ。」

「...西園カナ。」

「っ!」

 

 反応した。

 間違いない。

 

「雅、六花、離れとけ。」

「え?」

「どうした、八舞?」

「こいつがアモンだ。」

「何...?!」

「西園の名前に反応した、間違いない。」

 

 俺は警戒心を強めた。

 

「おい、忠告だ。これ以上、明日香に近寄るな。」

「は?なんで、そんな事あんたなんかに言われなきゃいけないわけ?」

「明日香はお前のイジメに迷惑してる。だからもう近づくな。」

「...そもそも、いじめって人聞き悪いからやめてくれない?あれは躾だから。私たちに協力するように。」

「...弱小水泳部が躾、か。滑稽だな。」

「あ?」

「聞いたぞ、あと4日で部員を見つけないと廃部なんだろ?しかも、部員の条件は他の部活に所属してない経験者だっけか?」

「そう、だから戸山さんしかいないの。邪魔しないでくれる?」

「邪魔?おいおい、邪魔なのはお前らだぞ?」

「は?どこが?」

「明日香の邪魔をしてるじゃないか。認知しろ。」

「?戸山さんは私たちに協力できるんだよ?それは幸せでしょ?私たちは機会をあげてるんだよ?」

 

 思った以上に頭をやられてるらしい。

 

「それが、明日香の幸せと明日香が言ったのか?」

「え?言ってないけど当然だよね?」

「...」

「もういいよね。入るからね?」

「誰が入れるか、馬鹿が。」

「__もう!邪魔!」

 

 それと同時に明日香が入ってきた。

 

「あの、何が__っ!」

「あ!戸山さん!水泳部に入るよね?返事をもらいに来たよ!」

「い、いや...」

 

 明日香がふらついた。

 

「いい加減にしてください!」

「戸山?」

「明日香をこれ以上傷つけないでください!」

「お姉ちゃん...」

 

 戸山は怒りを込めてそう言った、が

 

「うるさい!!!」

 

 効果はなかった。

 

「こいつの犠牲で私たちは幸せなの!私たちのために泳げ!私たちの幸せを自分の幸せと思え!!!」

「...」

「...腐ってやがるな。」

「ひ、ひどい...」

「ひどい?何処が?!」

 

 息巻いてる。

 そして、

 

「戸山さん以外にに興味ない!殺す!!」

 

 はさみを取り出した。

 そして、戸山の方に行った。

 

「?!戸山、逃げろ!!」

「え__」

「死ね!!」

 

 はさみが刺さった。

 

「...ったく、痛いな。」

 

 戸山ではなく、雅に。

 

「さい君?!」

「こんな危険なはさみ、どこで買ったんだ。」

「雅、大丈夫か?」

「あぁ、問題ない。」

「思いっきり刺さってたが?」

「お姉ちゃん、大丈夫...?」

「うん!大丈夫だよ!あっちゃん!」

「よかった...ありがとうございます。」

「気にするな。それより」

 

 俺たちはそいつに向きなおった。

 

「邪魔しないでよ!」

「__あれ~?こんなところで何してるの~?」

「日菜さん?」

 

 日菜さんが来た。

 

「せ、生徒会長?!」

「それで、どうしたの~?」

「な、なんでもな__」

「まぁ、動画撮ってるんだけどね♪」

「?!」

「これは...るんってこないな~」

「消せ!」

「嫌だ~♪」

 

 日菜さんは逃げている。

 

「__これは没収だ氷川。」

「あ!○○先生!」

 

 例の水泳部顧問が来た。

 

「え!なんで?!」

「水泳部がなくなるのは俺が困るんだ。

 俺が楽しめる場所がなくなる。」

「楽しむ、ね。それはセクハラの事か?」

「...誰だ、お前は?」

「そんな事はいい。質問に答えろ。」

「そうだが?」

 

 そいつは呆気なくそう答えた。

 

「戸山が入ってくれれば、人形が揃うんだ。だから、戸山、入部しろ。」

「い、嫌です!」

「...」

「まぁ、返事は明日まで待ってやる。○○、今日は帰れ。」

「はーい。」

 

 二人は帰って行った。

________________________

 

 俺たちはその後、俺の家に集まった。

 

「どうする、八舞?証拠である動画は向こうに握られたぞ。」

「...六花。」

「はい。」

 

 六花はカメラを出した。

 

「これって...」

「私のカメラだよ、明日香ちゃん。」

「これには明日香へのイジメの証拠が入ってる。」

「「?!」」

「つまり、それがあれば、あいつらをぶっ潰せるってこと~?」

「日菜さん、怖いですよ。」

「だって~!あいつらのせいで携帯没収されたんだもん~!」

「でも、それだけで大丈夫なんでしょうか...?」

 

 明日香が不安そうに聞いてきた。

 

「そう言うと思って。」

 

 俺は携帯を出した。

 

「八舞先輩の携帯?」

「こういう事だ。」

 

 俺は録音しておいた音声を流した。

 

「__これで、十分だ。」

「いいね~!栄君!」

「...日菜さん、協力、お願いできますか?」

「もっちろん!るんってするね!」

「...もう大丈夫だぞ、明日香。」

「八舞、先輩...」

 

 俺は明日香の頭を撫でた。

 

「__俺が明日香の苦しみを消してやるから。」

 

 俺は優しい声音でそう言った。

 

 これが、作戦前夜だ。

 




感想などお願いします!

少し質問なんですが、イヴルートみたいなメインヒロイン一筋か紗夜ルートみたいな分岐エンド、どっちがいいですか?


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第10話

千聖ルート10話です!


 ”明日香”

 

「__おはよう!明日香ちゃん!」

「おはよ、六花。」

 

 明日香は栄斗に何も聞かされないまま、日常を過ごしていた。

 

「(何をする気なんだろ、八舞先輩。)」

 

 明日香が不安がってると、放送が流れた。

 

『今日は朝礼です。○○分までに体育館に集まってください。』

「...朝礼?」

「急だね?」

「おっはよー!二人とも!」

「おはよう、あこちゃん!」

「おはよ、あこ。」

「今日朝礼だって!行こ!」

「そうだね。」

 

 明日香たちは体育館に向かった。

________________________

 

『__おはよう!皆!』

 

 日菜が壇上に上がって、話し始めた。

 

『今日は特別ゲストが来てるから、しっかり話を聞いてあげてね!』

 

 日菜がそう言うと、スクリーンが下がってきた。

 

『それじゃ!お願い!』

「はい。」

 

 壇上に現れたのは栄斗だった。

 

「__え?」

「や、八舞先輩?」

「誰?」

「あ姉ちゃんの、友達。」

「え?じゃあ、なんで羽丘にいるの?」

「わ、わからない。」

 

 明日香と六花は混乱していた。

 

『__どうも、皆さん。花咲川から来ました、八舞栄斗です。』

 

 栄斗が話し始めた。

 

『今日は大変悲しいニュースがあって、ここに来ました。まず、こちらをご覧ください。』

 

 俺はスクリーンに六花が撮った写真を写した。

 

『__これが何かお分かりでしょうか?』

 

 ざわめきが起きた。

 

『これは俺の友人、戸山明日香さんを水泳部の部員がイジメてる写真です。』

 

 全員の視線が水泳部に集まった。

 

『これに加えて__』

「やめろ!」

 

 水泳部の顧問が止めに入ってきた。

 

『...ちょうどいい。日菜さん、お願いします。』

「おっけー!」

 

 日菜さんは俺が昨日録音しておいた音声を流した。

 音声が終わると、全員がしんとなった。

 

『__お聞きの通り、部員どころか顧問の先生までこの様です。部活動の場を己の欲求を満たすために使っています。』

 

 生徒からは「最低。」とか「廃部でしょ。」などの声が聞こえてきた。

 

「__こんなの嘘っぱちよ!!!」

 

 例の部長が声を上げた。

 

「これは全部、嘘!加工した音声!!」

 

 などと叫んでいる。

 信じるものはいないが。

 

『まぁ、そう言うと思ってましたよ。

 ...明日香、こっちにおいで。』

 

 俺は明日香を呼んだ。

 

「え...?」

「行っておいで、明日香ちゃん。」

「なんだかよく分かんないけど、行っておいで!」

「...うん。」

 

 明日香は壇上に上がってきた。

 

『それでは、顧問の先生もちょうどいる事ですし。

 何よりの証拠を提示してもらいます。

 明日香、正直に言えばいい。』

「で、でも...。」

 

 明日香が水泳部の面々を見る。

 おそらく怖いのだろう。

 

「...大丈夫、俺が守るから。」

 

 俺はそう耳打ちした。

 

「!!」

「だから、勇気を出せ、な?」

「...はい。」

 

 明日香はマイクに向かって話しだした。

 

『__私は水泳部にイジメられていました。理由は勧誘を断ったことです。

 毎朝、下駄箱にゴミを詰められたり、ノートを破られたり、殴られたり、帰り道に待ち伏せされて川に落とされたりしました...。』

 

 明日香の声は震えている。

 

『そのストレスのせいで、眠れない夜もあります。

 顧問の先生も、毎日私を呼び出して、セクハラをさせろと迫ってきて、断ったら、単位を落とすと脅されたりもしました。』

 

 そんなこともしてたのかと驚いた。

 

『なので__』

「「だまれ!!!」」

 

 水泳部員と顧問が壇上に上がった。

 

「それ以上喋るな!」

「そうよ!そんなに私たちを貶めたいの?!」

 

 と、あたかも被害者のような態度をとっている。

 

「...明日香、お前の気持ちを言え。」

「はい...!」

 

 明日香は語気を強めて言った。

 

『私は、この人たちが大っ嫌い!

 こんな強欲で自分勝手な人たちもう近づいてほしくない!!』

 

 明日香は言い切った。

 

「「この...!!!」」

 

 二人は明日香に向かって走った。

 

「__止まれ。」

「「っ?!」」

 

 俺は二人も前に立った。

 

「ついでに補足してやる。

 この場で一番の証拠はお前たちなんだぜ?」

「「え...?」」

「やってないってんなら、ここまでムキになるか?」

「あ...」

「お前たちはこの場で私たちは明日香をイジメましたって言ってるようなもんなんだよ。」

 

 これで、証拠は完璧だ。

 

「__○○先生、これはどういう事かね?」

「こ、校長、これは...」

「言い訳は聞かん!君の処分は追って伝える!」

 

 顧問の方は片付いた。

 

「__あと、水泳部は今日限りで廃部ね~」

「ちょ、ちょっと待って__」

「えーっと、部員不足だしー、あなた達の代になってから成績も落ちてるよね~?」

「...」

 

 全員黙った

 

「そんな部活、合っても仕方ないよね~

 それと、あなた。」

「な、何よ!」

「あなたの独り言聞いちゃったんだけど~

 部活があってほしい理由って、後輩を使えるからなんだよね~!」

「え?!なんでそれを...って、あ...」

「...冗談だったんだけど、ほんとなんだ。」

 

 こっちは勝手に自爆した。

 

「校則には『部活動において、後輩を使役することを禁ずる。』って書いてあるね~!」

「ま、待って__」

「こーちょーせんせー!これって、水泳部は廃部でいいですよね~?」

「問題ありません。」

 

 水泳部の廃部が決定した。

 

「__くそ!!!お前のせいで!!!」

「ひっ!!!」

 

 顧問が明日香につかみかかった。

 

「__そう来ると思った。」

「へぶっ!!!」

 

 俺は顧問を蹴り飛ばした。

 

「な、なにを__ぐへぇ!!!」

 

 水泳部員の方に蹴り飛ばした。

 

「ひぃ!!!」

「怖いか?怖いよな?さぞ、お前らにとって都合のいい大人だっただろうな。」

 

 俺は語りかけた。

 

「まぁ、お前らはどうせ西園の人心掌握にかかってるんだろうな。」

「お、お前ぇぇ!!!」

 

 顧問の奴が殴りかかってきた。

 

「__もういい。寝とけ。」

「へ?____」

 

 俺は顎を殴って顧問を気絶させた。

 

「さて、と。汚れ仕事は俺が引き受ける。

 明日香は日菜さんの近くにいてくれ。」

「は、はい。」

「日菜さん、お願いします。」

「分かったー!」

 

 俺は水泳部員に向きなおった。

 

「確か、三年は三人で二年は2人だっけか、

 三年しか来ないって、どんなに嫌われてるんだ?」

「!そういえば、あいつら...!」

 

 二年の方を見た

 

「...あんた、自分の立場分かってる?

 この場にあんたらの味方は一人もいない。」

「クソが!!!___」

 

 部長は掴みかかってきた、が。

 

「__は~い!ストップね~♪」

「?!」

 

 西園が現れた。

 それと同時に部長を壇上から突き落とした。

 頭から落ちて気絶したみたいだ。

 

「全く、八舞に触れようとするなんて。

 私はそこまで許可してないよ?」

「...何しに来た。」

「あ!八舞!おはよ~!」

「何しに来たと聞いてるんだ!」

「...もう~そんなに焦らないでよ♪」

「今回の件、お前の差し金だろ!」

「え~?私はちょーっとお話ししただけだよ~?」

 

 こう言ってるが、

 こいつがしたのは多分、人心掌握だ。

 これはカナの才能だ。

 人を洗脳し、コントロールする。

 

「明日香まで巻き込みやがって、この場で叩き潰す。」

 

 俺は構えた。

 

「ちょっと待ってよ~!今日はお祝いに来たんだから~!」

「あ?」

「私の捨て駒であるアモンたちをあっさり片付けたね~!」

 

 西園は笑いながらそう言った。

 

「まぁ、八舞なら当然だよね~!

 やっぱり、八舞を壊せるのは私だけだよね~♪」

「...」

「まぁ、それはそれとして...

 今回のショーはここまでだよ!おめでと!」

「この___」

 

 西園は歩きだした。

 

「__次は、もうちょっと楽しませてあげる♪」

「逃がすか!」

「いいの?ここで私に手を出して?」

「...」

 

 俺は一歩下がった。

 この状況で西園に手を出すのはまずい。

 

「じゃあ!またね!」

 

 西園は帰って行った。

________________________

 

 あのあと、俺たちは応接室に来た

 

「__ありがとうございました。八舞先輩。」

「気にするな。もとは俺がまいた種だ。悪いな。」

「...八舞先輩のせいじゃないです。」

「西園を放置してなければ、明日香は...」

「そんなこと、ないです。」

「明日香?」

「八舞先輩は私を助けてくれました、じゃないと、今頃...」

 

 明日香は震えている

 

「大丈夫だ、明日香。」

 

 俺は明日香を撫でた。

 

「俺は、どんな時でも明日香を守る。もう、あんな怖い思いはさせない。」

「八舞、先輩...」

「?__!!」

 

 明日香が抱き着いてきた。

 

「...まったく、やっと甘え方を覚えたな。」

「...八舞先輩のせいです。なので、責任を取ってください。」

「はいはい。」

 

 俺は明日香の言う通りにしてやった。

 そして、しばらく時間が、経ってしまっていた

 

「__しっつれいしまー...す...」

「__邪魔するぞ、八...舞?」

「「あ、」」

 

 二人が花咲川から来たらしく、

 今の状況を見られてしまった。

 

「...お前ら、話を__」

「あっちゃん...」

「お、お姉ちゃん...?」

「お母さんたちへの挨拶、ちゃんとするんだよ...?」

「なんの?!」

「八舞、幸せにしてやれよ。」

「待て、誤解が__」

「「ごゆっくり。」」

 

 二人が出ていった。

 

「...なぁ、明日香。」

「...はい。」

「これ、やばいよな。」

「はい。かなりやばいです。」

「追いかけた方がよくないか?」

 

 俺がそう言うと

 

「嫌、です。もう少し、このまま。」

 

 明日香が拒否した。

 

「いいのか?誤解されたままで?」

「...いいです。だって...いずれ、ほんとになるかも、ですし...」

「ん?今なんて__」

「なんでもないです!」

 

 明日香は俺に胸に顔をうずめた。

 

「(...安心するな。)」

 

 明日香が顔をあげた。

 

「ん?どうした?」

「...(好き。私、八舞先輩が好き。優しくて、私を守ってくれる、八舞先輩が。)」

「どうした?もしかして体調が___」

 

 明日香が急に離れた、そして

 

「...ばーか。///」

「え?なんで?」

 

 明日香がそう言った。

 

 その明日香の表情はとても、晴れやかに見えた。




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第11話

千聖ルート11話です!


 明日香の騒動から一週間が経った。

 西園は全く動かない。

 俺は今、屋上にいる。

 

「__平和だ。」

「そうかしら?」

「白鷺さん。」

「おはよう、八舞君。」

「どうしたんですか?朝からこんなところに来て。」

「あなたがいる気がしたから話に来ただけよ。」

「...友達、いないんですか?」

「いるわよ。失礼ね。」

「すいません。」

 

 俺たちは少し話をした。

 

「__あ、言い忘れてたのだけれど。」

「ん?」

「近日中にパスパレがパーティーに参加することになったの。」

「パーティー?」

 

 白鷺さんがそんな事を言った。

 

「それで、あなたにはバイトの一環としてついて来てほしいのよ。」

「それはいいんですが、服装はどうすればいいですか?」

「それについては事務所が出してくれるわ。」

「そうですか。じゃあ、日程などは?」

「日程は__」

 

 俺は白鷺さんから説明を受けた。

 

「__こんな感じよ。」

「了解しました。」

「これは本来、業務じゃないからボーナスが出るわよ。」

「いいんですか?元々、シフトもあまりないのに。」

「そういう仕事だからいいのよ。

 それに、あなたのシフトは私が管理してるわ。」

「え?初耳なんですが。」

「...まぁいいわ。それじゃ、よろしくね。」

「あ、はい。」

 

 白鷺さんは屋上を去った。

 

「...次はパーティーか。(西園は動いてくるか?)」

「__やーまい♪」

「来ると思った。どうせ、さっきの話も聞いてたんだろ?」

「お!よく分かってるね~♪」

「それで、お前は今回、何か仕掛けてくるのか?」

「今回はパスかな~。」

「...意外だな。お前なら動くと思っていたが。」

「八舞には、もっと最高の舞台を用意したいからね!」

「最高にうれしくないな。」

 

 俺はそう言った。

 

「え~!もっと喜んでよ~!

 あ!私だからかな?

 八舞って、確かマナが__」

「黙れ!...マナはもういない。」

「...まぁ、いいよ。

 後、八舞。」

「...なんだ。」

「これは助言、芸能界には面倒な人、多いよ?」

「...お前以上に、か?」

「それはないかな!」

「ならいい。」

 

 西園は屋上の出口に向かった。

 

「...私以外に負けちゃダメだよ?」

「お前にも負けねぇよ。」

「あはは!そっか!」

 

 西園はそう言って屋上を出た。

 

「__くそ...。」

 

 俺は空を見上げた。

 

「...あいつはマナじゃない。

 マナの人格はもう死んだんだ。

 あれは仮面なんだ。」

 

 俺は立ち上がって...

 

「...俺は絶対に負けない。マナのために...!」

 

 俺は昔からの誓いを呟いた。

________________________

 

 放課後になった。

 

 ピロリン♪

 

「ん?」

 

 誰かからメッセージが来た。

 

「えっと...明日香?」

 

『こんにちは、八舞先輩。

 突然で悪いのですが、今日、会えないでしょうか?

 この前のお礼をしたいです。』

 

 と、書かれてあった。

 俺はそれに『大丈夫』と返信した。

 

 ピロリン♪

 

「...早いな。」

 

 俺が返信してから、すぐに待ち合わせ場所の連絡が来た。

 

「__どこかに行くのか?」

 

 雅が話しかけてきた。

 

「あぁ、明日香がお礼をしたいらしい。」

「...お前もか。」

「お前も...?」

「さーい君!早く行こ!」

 

 戸山がこっちに来た。

 

「二人はどこかに行くのか?」

「うん!さい君にお礼がしたくって!

 ...私を、守ってくれたから。」

「...なるほどな。」

「そんなに気にしなくてもいいがな。」

「...あと、私がさい君とお出かけしたいなーとか思ってたり...?///」

 

 と、戸山がいつもじゃ考えられないくらい小さな声で言った。

 

「...まぁ、そういう事なら付き合ってやるよ。

 お礼とか気にしないでいいから、戸山が行きたいとこ行くぞ。」

「!...うん!ありがと!さい君!」

「じゃあ、行ってくる。」

「おう、楽しんで来い。」

 

 二人は教室から出ていった。

 

「俺も行くか。」

 

 俺も教室を出て、待ち合わせ場所に向かった。

________________________

 

 待ち合わせ場所に着いた。

 明日香はすでに、そこにいた。

 

「悪い、待たせた。」

「いえ、そんなに待っていませんよ。

 あと、今でも待ち合わせ十分前ですよ?」

「経験がないからわからんが、

 女子との待ち合わせは男が先に来るのが常識と聞いててな。」

 

 俺はどこで聞いたか忘れた常識を言った。

 

「そうなんですか?」

「あぁ。そうらしい。」

「まぁ、それはいいです。

 今日は八舞先輩にお礼をしたいんです。」

「気にしなくてもいいが、それに、元を辿れば俺が撒いた種だ。」

 

 明日香は首を横に振った。

 

「八舞先輩は悪くないです。」

「だが__」

「いいんです!先輩は大人しくお礼されてください。」

「...分かった。」

 

 明日香の勢いに飲まれた。

 

「これ、どうぞ。」

「これは...クッキーか。」

「...私に出来るのはこれくらいですから...。」

「嬉しいぞ?あの程度の事でならおつりが出るくらいだ。

 好きだしな、クッキー。」

「そうなんですか...?」

「あぁ。しかも、これ手作りだろ?

 明日香の手作りなら特にうれしい。」

「!...そ、そうですか...///」

「ん?」

 

 明日香がうつ向いてる。

 

「...明日香、少し、そこのベンチに座らないか?」

「え?」

 

 俺は近くにあったベンチを指さした。

 

「話でもしよう。」

「...分かりました。」

 

 俺たちはベンチに座った。

 

「__ここは、良いところだな。」

「はい。」

「子供達が楽しそうに遊んでるな。」

「子供、好きなんですか?」

「...あぁ。」

「意外ですね。」

「そうか?俺だって偶に考えるぞ?

 将来、自分に子供がいたらなーとか。」

「将来...///」

「明日香...?」

「い、いえ。なんでもないです。」

「そうか?」

「はい。」

 

 それから、俺たちはしばらく子供たちを眺めていた。

 しばらくすると、明日香はウトウトしだした。

 

「明日香?眠いのか?」

「はい...。クッキーづくりで寝るのが遅くなってしまって...。」

「なんか、悪いな。これは大切に食べるよ。」

「いえ、そんなに気にしなくてもいいです。」

 

 そう言いながらも明日香は眠たそうだ。

 

「...少し、寝てもいいぞ。」

「え?」

「肩でも膝でも、好きなところ貸してやるから、寝たらどうだ?」

「え?でも__」

「疲れてるなら、甘えた方がいいぞ。

 俺は気にしないから。」

「...そういう事なら、失礼します。」

 

 明日香が肩に寄りかかってきた。

 

「(八舞先輩、あったかい...///すごく、安心する///)」

 

 明日香の表情が緩んでる。

 

「(私の心臓の音、聞こえてたりしないよね?///

 大丈夫だよね?///)」

 

 しばらくすると、明日香は本格的に眠った。

 

「...すぅ...」

「...やっと寝たか。」

 

 俺はそっと明日香の頭を撫でた。

 

「...悪い、明日香。俺は一つ嘘をついた。」

 

 俺は独り言を言い出した。

 

「...俺は将来、子供がいたら、とかは考えられない。だって__」

 

 俺は夕日を見て。

 

「俺は、マナが好き、という呪縛に縛られてるから。」

 

 俺は遠くを見て。

 

「...だから、俺の未来は昔に...って、そんなことはいい。

 明日香を送ってくか。」

 

 俺は寝てる明日香をおぶった。

 そして、俺は歩きだした。

 

「__俺も仮面だ。」

 

 夕日に照らされてできた俺の影が、

 三つに分かれてるように見えた。

 

 

 




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第12話

千聖ルート12話です!



 今日はパーティーに行く日だ。

 俺は白鷺さんに呼ばれ、事務所に来ていた。

 

「__スーツって意外と動きやすいな。」

「あら、意外と似合っているじゃない、八舞君。」

 

 俺は用意されてたスーツを着た。

 

「あ!栄君がスーツ着てるー!るんっ♪っとくるね!」

「似合ってますよ!栄斗さん!」

「うん!かっこいいよ!」

「様になってますね~」

「...どうも。」

 

 とりあえず、不自然ではないらしい。

 

「じゃあ、行きましょうか。」

 

 俺たちはパーティー会場に向かった。

________________________

 

「__着いたわ。ここよ。」

「船?」

「えぇ、そうよ。」

「かなり大がかりですね。」

「芸能界の重鎮が多く集まるもの、こんなものよ。

 しかも、今回の会場は弦巻家が提供してるし。」

「弦巻家?...あぁ、金持ちの家か。」

「まぁ、入りましょうか。」

 

 俺たちは船に乗った。

________________________

 

「...中も豪華だな。」

「...ジブン、お腹が痛くなってきました...」

「ダイジョウブです!マヤさん!」

「私も緊張してきた...」

「彩ちゃんも~?こんなのノリでどうにかなるよ!」

「八舞君は大丈夫かしら?」

「俺は大丈夫ですね。仕事と割り切ってるので。」

「頼もしいわ。じゃあ、行きましょうか。」

「はい。」

 

 俺たちはパーティーをしてる場所に行った。

 

「__なるほど。」

 

 会場は一見、賑やかだが、

 人間同士の駆け引きは殺伐としてる。

 

「あなたには、この光景はどう映るかしら?」

「カジノ、ってところでしょうか。」

「いいわね、その例え。

 ここでは、数々の事務所が利益を得るためにアイドルと言う名の手札を切る、まさにカジノよ。」

「...それだけ聞くと、危ない以外の何物でもないですね。」

「そのためのあなたなのよ?」

「護衛、ですね。」

「重鎮じゃなくても、女好きの俳優もいたりするわ。

 あなたも目を光らせておいて。」

「分かりました。」

 

 俺は散らばったメンバーの位置を確認した。

 

「...今のところは問題ないですね。

 あくまで挨拶、言いかえれば様子見ってところでしょう。」

「そうね。私たちも飲み物、貰いに行きましょうか。」

「俺はいらないですが、お供します。」

 

 俺たちは人ごみに入った。

 

「__こんばんは、白鷺さん。」

「あら、あなたは...」

「私は○○事務所の富田と申します。」

「(○○事務所...確か、業界ナンバーワンの事務所か。)」

「__して、そちらの方は?」

 

 富田さんは俺の方を見た。

 

「申し遅れて申し訳ありません。

 ○○事務所、パステルパレットのお付きの

 八舞栄斗です。」

「○○事務所ですか、かなり遠くからいらしてるんですね、

 お疲れでしょう、これでもお飲みのなって...」

 

 飲み物が入ったグラスを渡された。

 

「ありがとうございます。」

 

 俺はグラスを口に近づけた。

 

「(...薬品のにおい。こいつ、黒だな。)」

 

 俺は飲み込まないように少量を口に含んだ。

 そして、口元を拭う振りをして吐き出した。

 

「(チープな罠だ。)」

「__それでは、私はこのあたりで。」

 

 富田は離れていった。

 

「...」

「どうしたのかしら?」

「...あいつ、黒ですね。」

「...やはり、ね。」

「えぇ、さっきの飲み物、薬品のにおいがしました。

 俺が相当邪魔なんでしょう。」

「...皆を集めましょうか。」

 

 白鷺さんは皆に連絡した。

 そして、みんな集まった。

 

「どうしたの、千聖ちゃん~?」

「ここからは皆で行動するわよ。」

「え?なんで?」

「...白鷺さんが皆と一緒にいたいらしいです。」

 

 適当に思いた理由を言った。

 

「そうなんですか?チサトさん?」

「えぇ、そうよ。」

「そういうことなら~」

「千聖ちゃんも素直になったよね!」

「少し照れるっすけど...」

「...八舞君。」

「すいません。ぱっと思いついたもので。」

「まぁいいわ。これでリスクは格段に減ったもの。」

「そうですか。」

 

 俺は周りを見回した。

 

「(...視線が集まってるな。さて、誰が動いてくるか。)」

「__やぁ!白鷺千聖!」

 

 俺が考え事をしてると、一人の男が話しかけてきた。

 

「...誰かしら?」

「この前、共演しただろ?○○事務所の早瀬さ!」

 

 白鷺さんは考え込んでいる。

 

「早瀬さんね。えぇ、覚えてるわよ。」

「「「(嘘だ。絶対に覚えてない。)」」」

 

 とりあえず、丸山さんと大和さんと考えが一致した気がした。

 

「...それで、早瀬さんは何の用で来たのかしら?」

「今日は相談に来たのさ。白鷺千聖、僕のものにならないかい?」

 

 早瀬はそんな事を言い出した。

 

「僕は__」

「お断りよ。」

「な?!」

「あなたは好みじゃないわ。

 その誘い方も好みじゃない。」

「...僕の言う通りにすればパステルパレットも...」

「必要ないわ。」

 

 白鷺さんはバッサリ切り捨てた。

 

「...」

「用は済んだかしら?」

「...くそ!。」

 

 早瀬はどこかに去って行った。

 

「千聖ちゃん、バッサリ言ったね~」

「でも、大丈夫なの?」

「大丈夫よ。どうせ三流俳優よ。」

「チサトさん、恐ろしいです...!」

「...俺もそう思うぞ、若宮。」

「ジブンもっす。」

「失礼ね。」

 

 そうして、パーティーは進行していった。

 

「__白鷺さん、人、多くなってないですか?」

「...そうね__きゃあ!」

「白鷺さん?!」

 

 白鷺さんが人ごみに引っ張られていった。

 

「皆はここにいてください!」

「う、うん。」

 

 俺は白鷺さんが引っ張られた方に走った。

 

「__どこだ。__ん?これは。」

 

 白鷺さんが付けてたネックレスが落ちてた。

 

「...方向的に...あそこか。」

 

 俺はある場所に向かった。

________________________

 

「__見つけた。」

「や、八舞君!?」

「全く、無粋な奴だ。」

「うるさい!」

 

 引っ張っていたのは早瀬だった。

 

「白鷺さんを返してくれないか?」

「なんでお前なんかに?」

「俺も仕事なんでな、白鷺さんに何かあると契約違反なんだ。」

「知ったことじゃない!庶民風情が!」

「__そうだよ、八舞君。」

「...富田か。やっぱ、あんたもグルだよな。」

「気付いていたか。」

「そりゃ、薬盛ってればな。」

「!」

「気付かないと思ったか?

 俺はあまりに分かりやす過ぎて、やる気がないと思ったぞ?」

 

 富田は驚いてる。

 

「さて、白鷺さんを返してくれないか?」

「断る!」

「...(面倒だ、このままじゃ平行線だな。)」

 

 俺は早瀬を睨んだ。

 

「なんだ、その目は?」

「...さっさと返せ、お前の相手も面倒になってきた。」

「お前ら!」

 

 早瀬がそう叫ぶと、何人かのボディガードが出てきた。

 

「__皆?!」

 

 白鷺さんがそう叫んだ。

 パスパレの皆は捕まっていた。

 

「これで手は出せまい!

 さぁ来い!白鷺千聖!」

「嫌!」

「千聖ちゃん!」

 

 白鷺さんが連れていかれそうだ。

 

「...はぁ、仕方ないか。」

 

 俺はネクタイを緩めた。

 そして、皆の方に向かった。

 

「...おい。」

「あ?」

「今から俺は何も考えず戦うぞ、

 死にたくなきゃ、どいてろ。」

「あ?寝言は__がはっ!!」

「何?!__ぐふっ!」

「な、なんだ__がっ!!??」

「え?__げふっ!!!」

「...はい。終わりな。」

 

 正直楽勝過ぎた。

 

「おい、早瀬。次はお前だ。」

「__おっと、待ってもらおうか。」

「なんだ。」

「あれでも、うちのホープなんだ。

 見逃してくれないかい?」

「なぜ?俺がお前の指図を受けないといけない?」

「金ならいくらでも払う。

 白鷺千聖を譲ってくれないかな?」

「人を金で、か。」

「まぁ、そうとも_っ!!!」

 

 俺は富田の足を踏みつけた。

 

「馬鹿にすんなよ。」

「何を...?」

「お前らにもう取引の余地なんてないだよ。」

「何?」

「あっち、見てみ?」

 

 富田は俺が指さした方を見た。

 

「な!」

「撮影されてるな。」

「な!お、お前ら!」

「はい、さようなら。」

「え?__」

 

 俺は富田の顎を殴った。

 富田は気絶した。

 

「俺からのリストラ祝いだ。」

 

 俺は早瀬の方に向かった。

 

「さーて、早瀬。お前のキャリアも終わりだ。」

「そ、そんなわけ...」

「...今です、白鷺さん。」

「!えぇ!」

 

 白鷺さんは早瀬を振り切った。

 

「な!?か、返せ!」

「返せ?日本語を忘れたか?残念な奴だ。」

 

 俺は早瀬に近づいて行った。

 

「千聖ちゃん!」

「大丈夫?!」

「チサトさん!」

「千聖さん~!!」

「ちょっと!皆?!」

 

 皆は白鷺さんに駆け寄った。

 

「__さてと...」

「なんで、なんでだ!

 白鷺千聖がいた時点で僕が優勢だったのに!!!」

「優勢?お前、勘違いしてるぞ?」

「は...?どういうことだ?」

「お前ら程度、相手に俺がいる時点で形成は常にこっち側だ。」

「ば、馬鹿にするな!!!クソが!!!」

 

 殴りかかってきた。

 

「はい、キャリア終了、おめでと。」

「がぁ!!!」

 

 顔面に真っ直ぐ、一発。

 これで充分。

 

「...はい。終わりな。」

 

 俺は携帯を確認した。

 

「救出時間、20分。かかり過ぎだ。

 あと...あった。」

 

 さっき撮ったであろう動画がSNSに上がっていた。

 

「__芸能人の消える瞬間ってとこか?

 もう少し有名なら助かってたのにな。」

 

 俺はスーツを着なおした。

________________________

 

「__八舞君!」

「あ、白鷺さん。」

「大丈夫なの?!怪我とか__」

「大丈夫ですよ。白鷺さんは?」

「私も大丈夫よ。八舞君のお陰ね。」

「ありがとう、八舞君!」

「すごかったね~!」

「エイトさん、ブシドーでした!」

「助かったっす~!」

 

 皆に感謝された。

 

「まぁ、これくらいは、ね。」

「八舞君、やっぱり。」

「西園の相手をするのに、この程度の奴らに手こずってたらダメですから。」

「そう、かもしれないわね。」

「何の話?」

「なんでも、ないですよ。丸山さん。」

 

 これにて、パーティーは終わった。

________________________

 

 ”西園side”

 

「__もう少し、もう少しで。

 八舞と踊る最高の舞台が__うっ!!」

 

 西園は頭を抱えた。

 

「...まだ、生きてるんだね『マナ』...!」

(栄斗を苦しめないで...!)

「うるさいよ。

 私は絶対に止まらない、私は八舞を手に入れる...!」

(でも、あなたにも限界があるよ。今のカナちゃん。)

「...私は、終わらない!!!

 私が本物の西園カナだから!」

 

 西園は絶叫した。

 

「__どうかしたか?西園カナ。」

「...来たの?戒田。」

「あぁ。成功の報告にな。」

「そう言えば、私の言った通り動いてくれたね。ありがと。」

「今のお前には敵わないからな。だから従う。」

「あら?あなたは私の生みの親でしょ?

 今の西園カナの、ね?誘拐犯兼殺人犯さん?」

「...」

「あなたには、もう少し働いてもらうよ。」

「...分かった。」

 

 男は去って行った。

 

「__もうちょっとで...八舞を...!」

 

 西園は月を見た。

 

 その月には雲がかかっていた。

 

 

 

 




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第13話

千聖ルート13話です!


 七月に入った。

 

「__おい!香澄ー!」

「いや~!」

 

 戸山と市ヶ谷は今日も賑やかだ。

 

「た、助けて~!さい君~!」

「...戸山、今回は市ヶ谷の言う事聞いとけ。」

「うぇ~!さい君まで~!?」

「まぁ、今回は仕方ないだろ。

 だって戸山、中間テスト、赤点いくつだっけ?」

「うっ...!」

「それで市ヶ谷に教えてもらってギリギリで追試を乗り切ってたな。」

「そういう事だ。

 な?香澄?」

「は、はぃぃ!」

 

 戸山は市ヶ谷の圧に屈したみたいだ。

 

「俺も手伝ってやろうか、市ヶ谷?」

「え?いいのか?」

「あぁ。バイトも休みだからな。

 何より、戸山を一人は大変だろ。」

「ひどい!そこまでひど__」

「あ?」

「__いです、ごめなさい。」

「...俺も行っていいか?」

「雅?」

「え!さい君、来てくれるの!」

「あぁ。俺も順位が高いとは言えないからな。」

「雅、何位だっけ?」

「前回は103位だ。」

「大体、五分の一くらいか。」

「あぁ。」

「それで、戸山は?」

「...500位、です...」

「...市ヶ谷、これは何人中だ?」

「...520人中、だな。」

「流石にやばいだろ。」

 

 俺たちは頭を抱えた。

 

 ピロリン♪

 その時、誰かからメッセージが来た。

 

「ん?」

 

 俺はメッセージを確認した。

 

「__なるほどな。」

「誰からだ?」

「...戸山には効果抜群のスペシャルゲスト、だな。」

「スペシャルゲスト?」

「じゃあ、放課後、その子も呼んで勉強するぞ。

 分かったか、戸山?」

「はい...」

 

 そうして、朝の時間が過ぎた。

________________________

 

 放課後だ。

 

「__さて、行くか。」

「どこでするんだ?」

「うーん、俺の家でいいだろ。」

「いいんじゃねぇか?...って、八舞の家?!」

「あぁ、そうだが?」

「そうだが、じゃなくて、

 男の家に行くなんて...」

「戸山は来たことあるぞ?」

「何?!」

「後、スペシャルゲストも来たことがあるからな。」

「...まぁいいや。

 それより、スペシャルゲストって誰なんだ?」

「来れば分かる。

 きっと、市ヶ谷も知ってる子だ。」

「私も?」

「まぁ、行くか。」

 

 俺たちは俺の家に向かった。

________________________

 

「__えーっと。」

「こんにちは、八舞先輩。」

「お、来てたか、明日香。」

「はい。今日は急なお願いですみません。」

「いや、大丈夫だ。

 ...ちょうど、姉の方を教える予定だったからな。」

「...本当にすいません。」

「え?!スペシャルゲストってあっちゃんの事だったの?!」

「そうだ。

 どうだ、戸山。効果抜群だろ?」

「でかした、八舞。」

「...これは、効果絶大だろうな。」

「まぁ、入ろう。」

 

 俺たちは家に入った。

________________________

 

「__さて、これから勉強を始めるわけだが。

 担当を決めるぞ。

 戸山は市ヶ谷が担当。

 あとの二人は分からないところがあったら聞いてくれ。」

「分かった。」

「分かりました。」

「さて、香澄やるぞ。」

「うん...」

 

 勉強会が始まった。

 

「__おい!香澄!ここ違う!」

「ひぃ~!ごめんなさい~!」

「お姉ちゃん...」

 

 明日香は遠い目をしてる。

 

「八舞、ここはどうするんだ?」

「あーそこは__」

「__なるほどな。」

 

 こっちはいたって順調だ。

 

「八舞先輩。」

「ん?どうした__?!」

 

 明日香が俺の近くに寄ってきた。

 

「なんか、近くないか?」

「...気のせいです///」

「そうか?まぁ、特に問題ないからいいが。

 それで、どこが分からないんだ?」

「...八舞先輩のバカ...」

「なんで...?」

「...それはいいとして。」

「あ、うん。まぁいいか。

 で、どこだ?」

「ここなんですが__」

 

 こうして、勉強会は進んでいった。

 

「__あれ?もうこんな時間か。

 夕飯作るか。」

「え?八舞先輩、料理できるんですか?」

「あぁ、一人暮らしだからな。

 なんなら皆も食べていくか?」

「...いいのか?」

「雅も皆に持って帰るだろ?

 あ、留守番してるからお菓子もつけてあげよう。」

「悪いな。」

「いいって。」

「私らもいいのか?」

「構わんぞ。」

「じゃあ!私は食べていくー!」

「私も食べたい、です。」

「じゃあ、ちょっと待っててくれ。」

 

 俺は台所に行った。

 

「__さて、始めるか。

 まぁ、出来るだけ手早く...」

「あの、お手伝いしましょうか?」

「明日香?別にいいぞ客に手伝わせるのもあれだし。」

「私が手伝いたいんです、ダメですか?」

「うーむ...じゃあ、手伝ってもらおうか。」

「はい。何をすればいいですか?」

「まずは__」

 

 俺たちは料理を始めた。

 

「__手際がいいな。」

「まぁ、お姉ちゃんがあれなので...」

「あっ...(察し)」

 

 明日香の苦労が見えた気がした。

 

「...戸山も変わる時が来る...と、思うぞ、多分、きっと、な?」

「...来るんでしょうか?」

「ま、まぁ、早く料理を作ろうか。」

「はい。」

 

 そうして、夕飯が完成した。

 

「__出来たぞ、三人とも。」

「あ!来た来た!」

「旨そうだな。」

「いつも思うが、八舞の料理センスはどこから来てるんだ?」

「普通だと思うが?

 今日は明日香も手伝ってくれたしな。」

「いえ、私は本当にちょっとだけです。

 ほとんどいつの間にか終わってました。」

「すっごーい!」

「...まぁ、食べよう。」

 

 俺たちは夕飯を食べ始めた。

 

「__美味しー!」

「これは、ばあちゃんといい勝負だ...」

「すごい...」

「...ほかの反応を見て分かるが、お前って大概、規格外だな。」

「そうか?...」

 

 俺は料理を口に運んだ。

 

「...まだまだ、だな。」

「お前の料理は何が基準なんだ?」

「...さぁな。」

 

 俺は目線をそらした。

 

「これも美味しー!」

「おい、戸山、ほっぺにご飯粒がついてるぞ、まったく...」

「!?///」

 

 雅は戸山からご飯粒を取って、それを口に運んだ。

 

「ちょ!さ、さい君?!!///」

「?...どうした?」

「いや、あの、さっきのは...///」

「...?」

「今の何がおかしかったんだ?」

「八舞先輩...」

「八舞...」

「え?なんだ?」

 

 なぜか明日香と市ヶ谷に憐れむような眼で見られた。

 そんなこんなで皆が帰る時間になった。

 

「じゃあ、帰るわ。夕飯、持ち帰りまで用意してもらって悪いな。お菓子も。」

「いいぞ。みんなによろしくな。」

「あぁ。」

「じゃあね!八舞君!」

「さようなら、八舞先輩。」

「あぁ。あと、戸山は勉強しろよ。」

「は、はい!」

「じゃあな、八舞。」

「あぁ、市ヶ谷、気をつけろよ。」

「わーってるって!」

 

 皆は帰って行った。

________________________

 

 皆が帰った後、俺はベランダにいた。

 

「__料理の基準、か。」

 

 俺は空を見上げた。

 

「イジメで弁当を捨てられる俺に、マナが作ってきてくれてた弁当。

 あれが俺の目指す料理。温度じゃない暖かさ、あれが...」

 

 俺は部屋に戻った。

________________________

 

 今日はテスト当日だ。

 

「__よう、八舞。」

「よう、市ヶ谷と...戸山か?」

「お、おはよ~...」

「...なんて言うか、やつれたな。」

「あはは~、いっぱい勉強したからね~...」

「そ、そうか。」

「__よう。」

「あ、雅。テストは大丈夫そうか?」

「あぁ。...って、そいつは戸山、か?」

「あ、さい君、おはよ~...」

「あ、あぁ。」

 

 戸山の状態が酷過ぎて雅も若干引いてる。

 

「あ、斎藤、ちょっとこい。」

「なんだ、市ヶ谷?」

「えっと、香澄に___て言ってみてくれ。」

「?分かった。

 おい、戸山。」

「うん?何~...?」

「テスト終わったら二人で遊びに行くぞ。」

「え...?ほんと、に...?」

「あ、あぁ?」

「...」

 

 戸山は下を向いたまま黙っている。

 

「...おい、あれでよかったのか?」

「あぁ、大丈夫だ。」

「__やったー!頑張るぞー!!」

「「??!!」」

 

 戸山が叫びだした。

 

「な、なんだ?!」

「ほんとに?!ほんとに一緒に遊びに行ってくれるの?!」

「まぁ、いいぞ。その代わり追試になるなよ。」

「うん!」

「__な?上手くいっただろ?」

「そうだな。」」

 

 こうして、テストが始まった。 

 

__そして、なんやかんやでテストが終わった。

 

「__さて、順位の発表だ。まずは雅から。」

「俺は51位だった。」

「お、やるじゃないか。」

「お前のお陰だ。」

「そうか。まぁ、次は戸山。」

「私は...203位だったー!!」

「お、戸山にすれば上出来だな。」

「うん!さい君のお陰でやる気が出たんだー!」

「俺?」

「うん!...一緒に遊びに行ってくれるんでしょ...?///」

「あぁ。」

「だから!頑張ったよ!」

「そうか...?」

「...私が焚きつけたとは言え、あれは...」

「うん?仲がよさそうでいいじゃないか。」

「...お前は...。てか、八舞は何位だったんだ?」

「え?満点で一位だったが?」

「...いや、すごすぎだろ。」

「普通にできるぞ?」

「...」

 

 そんなこんなでテストは無事、終わった。

________________________

 

 放課後だ。

 

「__あ、そう言えば八舞。」

「ん?なんだ?」

「今度、私らのバンドのライブあんだけど、来るか?」

「ライブ?行ってもいいのか?」

「あぁ。どうせ斎藤には香澄が渡すからな。

 お前も呼ばないとだろ?」

「なら、行くかな。」

「よし、じゃあ、これ。」

 

 市ヶ谷にチケットを渡された。

 

「じゃあ、私は練習あるから行くわー」

「おう、またな。」

 

 市ヶ谷は教室を出た。

 

「俺も帰るか。」

________________________

 

 ”雅&香澄side”

 

「__それで、どこに遊びに行く、戸山?」

「うーん、分かんない!」

「...そうか。」

「でも、少し先になっちゃうかな~」

「何かあるのか?」

「うん!私たち、もう少しでライブなんだよ!」

「ライブ?」

「うん!あ、さい君、見に来ない?」

「いいのか?」

「うん!チケットあるから!」

 

 香澄はチケットを出した。

 

「来てね!さい君!」

「あぁ。」

「じゃあ!またね!」

 

 香澄はそう言って帰って行った。

 

「...ライブか。面白そうだ。」

 

 雅はそう言って家に帰って行った。

 

 

 

 




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第14話

千聖ルート14話


 今日はライブ当日だ。

 俺は雅とライブハウスに向かっていた。

 

「__あ!八舞君とさい君!」

「よう、戸山。」

「今日は呼んでもらって悪いな。」

 

 戸山と出くわした。

 

「戸山は...準備は出来てるみたいだな。」

「うん!どう?似合うかな?」

 

 雅の方を見ながら言った。

 

「あぁ、似合ってるぞ。

 制服以外の服装も新鮮だしな。」

「そ、そっか...///」

「(うん、仲がよさそうでよろしい。)」

 

 俺たちは戸山に連れられて、ライブハウスに入った。

________________________

 

「__ここが私たちの楽屋だよ!」

「...俺たち、入っていいのか?」

「うん?大丈夫だよ!」

「ならいいか。」

 

 俺たちは楽屋に入った。

 

「__あ、おかえり、香澄。

 って、八舞君じゃん!」

「山吹か。」

「うん!いつも店に来てくれてありがとねー!」

「お前の店のパンは美味しいからな。

 当然だ。」

「ありがと!」

「あの、八舞君、だよね?」

「えっと、君は?」

「ベースの牛込りみです!」

「牛込はなんで俺の事を?」

「えーっと、私は明日香ちゃんから__」

「あー!りみりんストップ!」

「え?!さ、沙綾ちゃん?!」

「...なんで明日香から?」

「八舞君も、考えるのやめよっか!」

「?分かった。」

「ジー...」

「?なんだ?」

「君、誰?」

「俺は八舞栄斗だ。」

「そう。」

「?」

「花園たえ。」

「ん?」

「私の名前。」

「そうか。」

「よろしくね。」

「あぁ。」

 

 そうして、少し時間が経った。

 

「__そう言えば、有咲、遅いね?」

 

 戸山がそう言った。

 

「そう言えば、もう来てないと出番に間に合わないな。」

「ど、どうしたのかな...?」

「...(この状況は...。)」

 

 俺は立ち上がった。

 

「八舞君?」

「俺が探してくる。」

「...俺も__」

「雅はここにいてくれ。

 戸山はそっちの方がいいだろうからな。」

「?」

「ちょ!八舞君?!///」

「...と言うわけで、行ってくる。

 あ、市ヶ谷の通りそうな道、教えてくれ。」

「あ、うん。多分だけど__」

「__分かった。」

 

 俺はライブハウスを出た。

________________________

 

 外は夏なだけあって、まだ明るい。

 

「(どこだ、市ヶ谷。)」

 

 俺は山吹に聞いた道を片っ端から探していた。

 

「(ここも違う。次は__)」

「__や、八舞先輩...!」

「六花?どうした?」

「も、もしかして、市ヶ谷先輩を探してますか?」

「あぁ、だが、何で分かった?」

「さっき、市ヶ谷先輩が男の人に連れていかれてて...」

「なんだと?!」

「私どうしたらいいか、分からなくて...」

「六花は間違ってない。助けを呼ぶ判断は正解だ。

 それで、市ヶ谷はどこだ?」

「こっちです!」

 

 俺は六花の後を追った。

________________________

 

 ”有咲side”

 

「__んー!んー!」

「うるせぇぞ!!」

「!!」

 

 有咲は倉庫みたいな場所で縛られていた。

 周りには複数人の男がいる。

 

「(やばい、縛られて、口も塞がれて、これじゃ助けを呼べねぇ...)」

「いやーでも、こんな上物が手に入るなんてな!」

「ラッキーだったな!」

「こいつ、どうする?」

「あぁ?決まってんだろ、使うだけ使って、飽きたら売り飛ばす!」

「?!」

 

 有咲は今の状況とさっきの発言で絶望した。

 

「(私も、ここで終わりか...。)」

 

 有咲は今までの事を思い出した

 

「(香澄たちに出会ってから、柄にもない事ばっかしてたなー。

 でも、それも悪くねぇって思って、なんやかんや楽しかったなー。

 そんな香澄にも好きな奴が出来たりな。

 私も普通の青春とかしてみたり...。

 てか、私が仲いい男子って八舞くらいだったな~。)」

 

 有咲は瞳を潤ませた。

 

「(ほんと、最後に思い出すのがあいつかよ...。

 あいつ、すごいよなー。何でもできるしな。

 ...ほんと、もう少しで惚れるとこだった。

 いや、自覚がないだけで、もしかしたら、もう...。)」

 

 有咲はそんな事を考えていた。

 

「__さぁ!そろそろ始めるぞ!」

「「おー!」」

「(...終わり、か。

 心残りは、八舞に私の演奏を聞かせれなかったことかな、折角、呼んだのに。

 てか、こうなるなら、もう少し素直に...って、もう、遅いか)」

 

 有咲は諦めかけていた。

 

「(じゃあな、皆。)」

 

 ドンドンドン!

 倉庫のドアを叩く音がした。

 そして、ドアは壊れ、誰かが入ってきた。

 

「(__え?)」

「__たった5人か。」

 

 有咲が見たのは、記憶で思い描くものとは程遠い、

 怒り心頭の栄斗だった。

________________________

 

「__なんだ、てめぇ?」

「そんな事はいい。

 お前ら、ただで済むと思うなよ...!」

「(あれは、八舞、なのか?)」

 

 有咲は困惑していた。

 何せ、栄斗の雰囲気はいつものそれと全く違ったから。

 

 有咲がそんなこと思ってると、

 

「__死ね。」

「ぎゃぁぁ!!うで、うでがぁぁ!」

「?!こ、こいつ...!」

「お前もだ、ゴミ。」

「へ?...あぁぁ!目、目がぁぁ!」

「(な、なんだよ、これ...)」

「__市ヶ谷先輩。」

「ん?!(ろ、六花?!)」

「今、ほどきます、静かにしててください。」

 

 六花は有咲の縄をほどいた。

 

「__はぁ、八舞先輩が引き付けてくれて助かりました...」

「さ、さんきゅ、六花...」

 

 有咲は解放された。

 有咲は栄斗の方を見た。

 その時、有咲は戦慄した。

 さっきまで、正常に生きてた人間が、生きてるかもわからない状態になってるのだから。

 

「な、なんだよ、これ...?」

「__よう、市ヶ谷。」

「や、八舞、なのか...?」

 

 有咲には分からなかった。

 これがほんとに栄斗なのか。

 

「早く、ライブハウスに行け。

 今なら、まだ間に合う。」

「え...?」

「早く行け!市ヶ谷!」

「!!...わ、分かった!」

 

 有咲は急いでライブハウスに向かった。

 

「...よかった。」

「あ、あの、八舞先輩?」

「どうした?六花はライブに行かないのか?」

「八舞先輩は、一体、何を恐れてるんですか...?」

「...」

「八舞先輩の怒り方は異常でした。

 そこの人たちも...ひぃ!」

「...俺が怖いか、六花?」

 

 突然、栄斗がそんな事を聞いてきた。

 

「そ、それは...」

「...やっぱり答えなくてもいい。」

「え?」

 

 栄斗は立ち上がった。

 

「一つ、頼みを聞いてくれないか?」

「頼み、ですか...?」

「あぁ。」

「それは、なんなんでしょうか?」

「____。」

「え?」

 

 六花が聞いたのは、信じられない言葉だった。

________________________

 

「__わりぃ!」

「あ!有咲!」

「無事だったんだね!」

「よ、よかったよ~!」

「よかった。」

「とりあえず、準備するわ!」

 

 有咲は準備を始めた。

 雅はもう客席に行っていた。

 

「__よし!」

「じゃあ!行こ、皆!」

 

 そう言って、ポピパのライブが始まった。

________________________

 

 ”六花side”

 

「はぁ...はぁ...」

 

 六花はライブハウスに向かって走っていた。

 

「(早く、早く、皆さんに...!)」

 

 ライブハウスが見えてきた。

 六花が着くころには、ライブは終わっていた。

 

「__君、ここから先は関係者以外は__」

「どいてください!」

 

 六花は警備員を押しのけて楽屋に向かった。

 

「あれ?六花?」

「と、戸山先輩...!」

「?!ど、どうしたの?!」

「__おい、戸山どうした...って、朝日?」

 

 六花は香澄にもたれかかった。

 

「早く、早く皆さんを、集めて、ください...!」

「え?なんで__」

「分かった。すぐに集める。」

 

 雅は皆を集めた。

________________________

 

 六花がパスパレと明日香も集めてと言ったので、全員を集めた。

 

「__それで、どうしたのかしら?」

「すごく急ぎの話、なんだよね?」

「はい。」

「朝日、その話は、ここに八舞がいないのと関係するのか。」

「はい...」

「...まさか。」

「有咲?」

「お話しします。これは八舞先輩からの伝言です。」

「伝言...?」

「はい。内容は...」

 

 ”回想”

 

「__一つ、頼みを聞いてくれないか?」

「頼み、ですか...?」

「あぁ。」

「それは、なんなんでしょうか?」

「皆にさよならと、伝えておいてくれ。」

「え?」

「さっきの俺を見ただろ?」

「は、はい。」

「俺が一緒にいたんじゃ、皆に迷惑をかける。

 だから、俺は皆のもとを去る。」

「そ、そんなこと__」

「これも、本当の俺なんだ。

 俺は誰かと一緒にいるべきじゃない。」

「で、でも!」

「市ヶ谷の顔、見たか?」

「っ!」

「分かっただろ。

 なら、頼んだぞ。」

「ま、待って__」

 

 栄斗は走り去った。

 

 ”回想終了”

 

「__と、言う事なんです。」

 

 皆黙っている。

 

「あ、私のせいだ...」

「有咲...?」

「私が怖がったから。」

「...いえ、市ヶ谷先輩は悪くありません。

 あの状況を見れば、誰だって...」

「__まさか...」

「チサトさん?」

「市ヶ谷さんは誘拐されたのよね?

 そして、気付いたのはライブの集合時間過ぎ、なのよね?」

「は、はい。間違いないです。」

「...似てるわ、あの状況に。」

「あの、状況?」

 

 皆は千聖の言葉に困惑している。

 

「六花ちゃん?」

「はい。」

「八舞君を見て、何を感じたかしら?」

「...まるで、何かを怖がっているみたい、でした。」

「...やはりね。」

「あの、話がつかめないんですが?」

「恐らく、彼が恐れてるものは...

 彼の過去関係してるわ。」

「八舞先輩の過去...?」

「えぇ。」

 

 千聖は皆に事情を話し始めた。

 

 事情を聞いた皆は時間が止まったように固まっていた。

 

 

 

 

 

 




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第15話

千聖ルート15話です!


 ”明日香side”

 

「...八舞先輩...」

 

 明日香は呟いた。

 

「なんで、離れて行っちゃうんですか...?」

 

 明日香は自分の思い人の失踪に想像以上のダメージを受けていた。

 

「あれからもう、二週間。

 どこにいるんですか?八舞先輩...」

 

 明日香は消え入りそうな声でそう言った。

 

「...探しに、行かないと。」

 

 明日香は家を出た。

________________________

 

 ”有咲side”

 

「八舞...」

 

 有咲は後悔していた。

 

「(私は、八舞を怖がった...。それで、八舞は...)」

 

 有咲は頭を抱えた。

 

「...折角、助けてくれたのに...。いや__」

 

 有咲は立ち上がった。

 

「まだ、まだ間に合う。私が八舞を連れ戻す...!」

 

 有咲は家を駆けだした。

________________________

 

「...」

 

 俺は空を眺めていた。

 

「(...嫌になるな。一人になると、自分自身の空虚さが見えてきちまうな。)」

 

 俺はあの日以降、学校に行ってない、恐らく、もう夏休みに入っただろう。

 俺は家に帰るのも避けていた。

 

「(所詮、俺に残るのはマナの呪縛だけだ、

 俺にはそれしかない。俺は二度とあんな人間を増やしたくないんだ。)」

 

 俺はため息をついた。

 

「...さて、そろそろ__」

「__見つけたわよ、八舞君。」

「白鷺さん、なんで...?」

「...探してたのよ、ずっと。」

「...俺を探す必要なんかないと思いますが?」

 

 俺は突き放すように言った。

 

「...そんなに、過去が怖いのかしら?」

「っ...!」

「この前の有咲ちゃんの状況はあなたの最も恐れてる過去と酷似してたわ。」

 

「あなたは、過去を繰り返すことを恐れてるわ。

 二度と失いたくないから。」

「...よく、分かりますね。」

「ここまでは簡単よ。」

「分かってるなら__」

「__失うのは、あなただけなの?」

「っ...」

「この短期間で、あなたは私たちにとって大切な存在になったわ。

 あなたがいなくなった時の有咲ちゃんと明日香ちゃんがどんなだったか分かるかしら?」

「...分からないです。」

「二人とも、泣いてたわよ...」

「?!」

「少しくらい、待ってって、離れないでって、ずっと...」

「...」

「失うのが怖いのは分かるわ。でも、失うのはあなただけじゃないのよ。」

「...あんたに何が分かる。」

「え?」

「あんたに何が分かるって言うんだ!」

「!!」

 

 俺は叫んだ。

 

「俺は一度、マナを、好きな子を失ったんだ!

 俺はマナが大切だった、親もいない俺にとっては一番大切な人だったんだ!」

「...」

「...でも、最近、皆が俺の中で大きな存在になっていく、

 でも、それじゃ繰り返しなんだ、だから俺は仮面を被ることでそれを誤魔化したんだ。

 俺はもう、大切な人を、失いたくないんです...!」

「八舞君...」

「俺はもう、誰とも、いてはいけない。」

 

 俺はその場を去ろうとした

 

「__待ちなさい。」

「__?!」

 

 白鷺さんが後ろから抱き着いてきた。

 

「...」

「...あなたの悲しみは、痛いほど伝わってきたわ。

 一番大切な人を失って、その影響で人とのつながりが強くなるのを恐れる気持ちも...」

「白鷺さん...」

 

 白鷺さんは力を強めた。

 

「__でも、もう少し。私たちを信じてもいいじゃない...!」

「...!」

 

 白鷺さんはそう言った。

 

「少しくらい、私たちを頼っても、いいじゃない...!」

「...」

 

 白鷺さんの手に力が入る。

 

「私たちは、誰もあなたから離れたりしないわ...!

 それでも、あなたが怖いなら、私が全部受け止める...!」

「!!」

「私はいつでも、あなたの味方でいるわ。」

「白鷺さん...。」

「だから、戻ってきて!私たちのもとに!」

 

 俺は一つの記憶が蘇った。

 

 ”記憶”

 

『__...なぁ、マナ?』

『ん?どうしたの、栄斗?』

『マナはなんで、俺と一緒にいるんだ?

 皆、俺の事を嫌ってるのに...』

『なんで皆が関係あるの?』

『え...?』

『私は栄斗と一緒にいたいから一緒にいるんだよ!

 カナちゃんも皆も関係ない!』

『マナ...』

『それでも怖いなら約束しよ!』

『約束...?』

『うん!私はいつでも、栄斗の味方だよ!』

『味方...』

『うん!』

『そう、か。味方...!』

 

 ”現在”

 

「(__偶然なのか、それとも、運命の巡りあわせか。)」

「八舞君...?」

「(あの時と、同じ...)」

 

 俺は白鷺さんを見つめた

 

「...白鷺さん。」

「何かしら?」

「...俺、皆の所に戻ります。」

「!!」

「白鷺さんがいれば、大丈夫な気がしてきました。」

「...どこか、変わったかしら?」

「変わった?...まぁ、そうかもしれないですね。

なんたって、仮面が外れたんですから。」

 

 俺に気分は晴れ晴れとしていた。

 

「皆の所に行きましょう。今すぐ呼ぶわ。」

「え?そんな急に___」

________________________

 

「__八舞先輩!」

「八舞!」

「うお?!」

 

 あれからすぐに皆がそろった。

 

「あの、二人とも?なんで、そんなにくっつくんだ?」

「...すいません。でも...」

「もう少し、頼む。」

「え、えぇ?」

「__おい、八舞。」

「雅...」

「お前の事は聞いた。

 お前はもっと人を頼れ。」

「...あぁ。」

「ほれ。」

 

 雅は拳を突き出した。

 

「!あぁ。」

 

 俺たちは拳を合わせた。

 

「さい君も素直になったね~!」

「うるさい、戸山。」

「わ~!さい君が照れてる~!かわいい~!」

「こいつ...!」

 

 雅は戸山を追いかけていった。

 __それから、俺は皆から色んな言葉をかけられた。

 そんな中、二人は終始、俺にくっついていた。

 

「__あの、二人はいつまで、くっついてるんだ?」

「...頭。」

「ん?」

 

 明日香が何か言った。

 

「頭、撫でてください。」

「ん?あ、あぁ。」

「~♪」

 

 明日香は嬉しそうにしてる。

 

「...おい、八舞。」

「市ヶ谷?」

「...私も、な、撫でろ...!///」

「おう、いいぞ。」

「!...わ、わるくねぇな!///」

「そうか。」

「__楽しそうね、八舞君。」

 

 白鷺さんが近づいてきた。

 

「でも、気付いてるかしら?

 ここ、公園よ?」

「「「あ、」」」

 

 二人は静かに離れた。

 

「お、おーい、二人ともー?」

「「...///」」

 

 ふたりの顔は真っ赤だ。

 

「ふふ♪可愛いわね♪」

「...///」

「うぅ~...///」

「?」

 

 俺にはさっぱり理解できなかった。

 それから、しばらく時間が経った。

 

「__どうかしら、八舞君?」

「...いいものと思ってます。

 人を信じるのも。」

「そうでしょう。私もそうだったから。

 信じられる仲間がいるのは、良い事よ。」

「そうですね。」

「えぇ__」

 

 ガサガサ!!

 

 草むらから何者かが飛び出してきた。

 

「?!__し、白鷺さ__」

「きゃあ!__」

 

 そいつは白鷺さんにスタンガンを当てた。

 

「!!待て!」

「...」

 

 そいつが公園から出ると、一台の車が来た。

 そして、荷台に白鷺さん事飛び乗った。

 

「__クソ!」

 

 その時、電話が来た。

 

『やっほー!八舞!』

「西園...!お前...!」

『やっと、八舞と踊る最高の舞台が整ったの!』

「...」

『今、八舞を壊すのに一番効果的なのは白鷺千聖、でしょ?』

「...」

『...決着をつけよっか。長年の因縁に。』

 

 西園はそう言った。

 

「...上等だ...!!」

『私は○○の廃ビルで待ってるよ!』

 

 そう言って、電話が切れた。

 

「八舞。」

「なんだ、雅。」

「俺も行く。」

「...危険だぞ。」

「舐めんな、喧嘩は上等だ。」

「そうか。」

「私たちも行きたい...!」

「パスパレの皆?」

「千聖ちゃんが攫われたんだもん!」

「黙ってみていられません!」

「そうっす!」

「...危なかったら、逃げてくださいよ。」

 

 俺は一応、忠告しておいた。

 

「他の皆は、出来るだけ皆で安全な場所にいてくれ。」

 

 俺はそう言って。

 

「...行くぞ。」

「あぁ。」

 

 俺たちは決戦の地に向かった。

 

「__これで最後だ、西園!」

 

 




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第16話

千聖ルート16話です!


「__ここか。」

「...不気味だな。」

 

 俺たちは西園が待つ廃ビルに来た。

 

「(すぐに助けます、白鷺さん。)」

 

 俺は廃ビルに入ろうとした。

 

「__来たか、八舞栄斗。」

「?!お、お前は!」

「久しいな、五年ぶりくらいか?」

「お前はあの時、死んだはずじゃ...」

 

 俺の目の前に殺したはずの誘拐犯がいる。

 俺はひどく困惑した。

 

「...あの時は運がよかった。

 刺されたのがもう少し深ければ死んでたからな。」

「...それで、お前は何でここにいる。」

「俺は西園に服従した。」

「何?」

「今のあいつは俺の手に負えない。

 まぁ、作ったのは俺だが。」

「なぜ、ここに来た。」

「西園の命令だ。

 招かれてない客を止めて来いってな。」

「...つまり、ターゲットは俺たちか。」

「そういうことだ!」

「!」

 

 戒田はナイフを投げた。

 

「__たく、あぶねぇな。」

「お、割と本気で投げたんだがな。」

「あっそ。...八舞。」

「なんだ?」

「皆を連れて行け。」

「危険だ。俺も__」

「白鷺さんを早く助けてこい。

 大丈夫だ、俺は負けねぇ...!」

「...危なかったら逃げろよ。」

 

 雅以外の皆は走った。

 

「八舞栄斗以外は通せな__!!」

「...俺以外に意識を割くとは、余裕だな。」

「...こいつ。」

「あいつは西園カナと戦うんだ。

 お前は俺と遊ぼうぜ?」

「年期の違いを教えてやる。」

「上等。」

 

 雅と戒田は戦いを始めた。

________________________

 

「__おいてきてよかったの?」

「大丈夫ですよ、丸山さん。

 雅なら。」

 

 俺たちは廃ビルの中を進んでいた。

 

「それで、西園カナはどこにいるの~?」

「...多分ですが、このビルで一番広い空間です。」

「広い空間、ですか?」

「あぁ。西園は閉所恐怖症だからな。」

 

 そう言うと、放送が流れた。

 

『やっほー!八舞!』

「西園...!」

『お客さんを連れて来たね!

 私は三階の会議室にいるよ!

 待ってるね!』

 

 そう言って放送が切れた。

 

「三階の会議室か。」

「早く行こう!」

「はい。」

 

 俺たちは会議室に向かった。

________________________

 

 ”雅side”

 

「__おらぁ!」

「うお!アブね!」

 

 あれから10分、戦いは全く動いていない。

 

「気に入らねぇな。」

「?」

「さっきから俺のスタミナ切れでも狙ってるのか?

 かなり消極的だな。」

「気付いたか。」

「当然だ。だが、浅はかだな。」

「何?」

「俺はそう簡単には折れないぞ。」

「だよな~__」

「!」

 

 戒田はまさに突っ込んだ。

 

「っ!!」

「今からはまじでやってやるよ。」

 

 戒田はナイフを出した。

 

「...」

「刺し殺してやるよ!!」

 

 戒田は攻撃を仕掛けた。

 が、

 

「__なんで、なんで当たらない!!」

 

 雅にナイフが届くことはなかった。

 

「クソが__ぐほっ!!」

「ふん。」

 

 雅は戒田を殴り飛ばした。

 

「単調な奴だ。」

「何...?」

「今まで俺に刃物を使ってきた奴なんて腐るほどいた。

 その中で俺は共通点を見つけたんだ。」

「共通点、だと?」

「あぁ。それは、

 刃物を使うやつは刃物しか使わない。」

「っ!」

「体術で戦えば、手と足、攻撃手段が4通りだ。

 だが、刃物一本しか使わないなら、簡単だ。

 何せ、一通りになるんだからな。」

「こいつ...!」

 

 戒田はまた向かっていった。

 

「__無駄だ。」

「がふっ!!」

「年期の差、だっけか?

 残念だったな、喧嘩の年期は俺のが長いみたいだな。」

「...」

「そろそろ、終わらすか。」

「__仕方ない。...くらえ!!」

 

 戒田は何かを投げてきた。

 

「!!(手榴弾だと!?)」

「油断したな!!」

「クソ!!」

 

 雅は戒田に突っ込んだ。

 

「(逃げるのは間に合わない、なら__)

 お前も道ずれだ!」

 

 雅は戒田の顎にパンチを入れた。

「__相打ち、だ!」

「__がはっ...!」

 

 戒田はナイフが出してたナイフが雅に刺さった。

 そして、手榴弾が爆発した。

 

「ぐっ!!」

 

 爆風で吹き飛ばされた。

 

「(__クソ、これ、ガチな奴かよ...)」

 

 雅は立ち上がれない。

 

「...こいつは倒した。

 八舞、あとは頼んだ。」

 

 雅は近くの壁にもたれかかった。

________________________

 

 ”香澄side”

 

「___!!」

「どうしたの、お姉ちゃん?」

「嫌な予感がする...」

「え?__」

「さい君!」

 

 香澄は走り出した。

 

「ちょっと!お姉ちゃん!」

「香澄?!」

 

 その場にいたメンバーは香澄を追いかけた

 

「(確信はない。でも、嫌な予感がする、さい君に何かあったような、気がする...!)」

 

 香澄は廃ビルに向かった。

 

________________________

 

 ”雅side”

 

「(あークソ。体が動かねぇ。)」

 

 雅はその場を動けずにいた。

 

「(爆発をくらうのは初めてだったな、まったく、二度とくらいたくねぇ。てか、なんで今生きてんだ?)」

 

 雅はそんな事を考えていた。

 

「(てか、こんな怪我して帰ったら、下の奴らに心配されるな。

 あとは...戸山とかうるさそうだな。たとえば__)」

「__さい君??!!」

「(そう、こんな風に...って、戸山だと?!)」

「だ、大丈夫?!」

「...なんで、ここにいんだ...?」

「だって__」

「__お姉ちゃん!」

「香澄!」

 

 他のみんなも来た。

 

「...たく、八舞に怒られても知らねぇぞ...っ!!」

「さい君!」

 

 雅は痛みに悶えた。

 香澄は雅に駆け寄った。

 

「...なぜ、俺の心配をする?」

「え?」

 

 雅はそんな事を聞いた。

 

「俺の兄弟の面倒も見てくれたり、ライブに呼んでくれたり、

 なぜ、俺にそんな事をするんだ...?」

「...さい君、私が刺されそうなとき、守ってくれたよね?」

「?あ、あぁ。」

「その時、すごく怖かったんだ、刺されそうになったことじゃなくて、さい君が刺されたことが。

 でも、その後、さい君は平気そうにしてたよね?」

「あ、あぁ。」

「...でも、見ちゃったの。さい君が痛そうな顔してるの。」

「!!(見られてたのか...)」

「それで、さい君の事情を聞いた時、私はさい君を支えたいって、思ったの。」

「俺を...支える?」

「うん。...でも、これは理由の一つ。」

「一つ...?」

 

 雅は分からない、と言う顔をしている。

 

「私、さい君が、好き、大好き!」

「!!!」

「家族思いで、友達思いで、私を守ってくれて...

 そんな、誰よりも優しい、さい君が、好き...///」

 

 香澄はそう言った。

 

「だから、さい君を支えたい。

 だから__」

「__戸山。」

「さい君...?」

「...俺といると苦労するぞ?

 お前が嫌になるかもしれない。

 何より、俺はそう言うのに疎いから、そっちでも苦労するぞ。」

「さい君...」

「それでも、お前は俺が好きと言えるか?」

「当り前だよ!」

 

 雅の問いに香澄は即答した。

 

「...そうか。」

「うん!」

「(...母さん、俺は出会いに恵まれてたみたいだ...)」

 

 雅は心の中でそう呟いた。

 

「さい君__」

「俺と付き合ってくれるのか、戸山?」

「さい君?!どうしたの、急に!」

「...戸山といるの、いいなと思ってな。

 それで、どうなんだ?」

 

 雅は再度、香澄に聞いた。

 

「私でいいの...?」

「そうだな、俺は戸山がいい。」

「!...じゃ、じゃあ!付き合お!さい君!」

「あぁ。」

 

「_う、うぐ...」

 

 戒田が起きた。

 

「!!戸山、下がってろ。皆も。」

「さい君!」

 

 雅は力を振り絞って立ち上がった。

 

「これが、俺の最後の...!」

 

 戒田はリモコンのスイッチを押した。

 

「...約束は守ったぞ。西園...『マナ』!」

 

 そう言って、戒田は気絶した。

 

「...くっ!」

「さい君!」

「大丈夫だ。それよりも、さっきの聞いたか?」

「え?」

「名前だ、あいつが、叫んだ。」

「西園マナ?__?!」

「気付いたか、西園マナが生きてるなら八舞は...」

「ま、まさか!」

「あいつがもし、西園カナを倒せたら

 西園マナが復活するかもしれない。」

 

 雅は...

 

「(がんばれ、八舞!お前の手で救ってやれ!)」

 

 そう心の中で言った。

________________________

 

 ”栄斗side”

 

「__来たね、八舞♪」

「あぁ。」

「早速始めよっか、私たちの決戦を。」

「いいだろう。」

「じゃあ、この人は返すよ。」

 

 西園は白鷺さんを返した。

 

「「千聖ちゃん!」」

「チサトさん!」

「千聖さん!」

 

 パスパレの皆は白鷺さんに駆け寄った。

 白鷺さんは気絶してるみたいだ。

 

「これで、私たちはフェア。

 邪魔は何もないよ。」

「ここで、過去を全部、終わらせてやる...!」

 

 俺たちの因縁の戦いが今、始まろうとしていた。

 

 




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第17話

千聖ルート17話です!


「__っ!!」

「あはは!」

「や、八舞君!」

「...」

「どうしたの、八舞?

 力が出てないよ?」

 

 戦いは防戦一方だった。

 

「その動き、いくつの武術を学んだんだ?」

「うーん、あるもの全部、かな!」

「__あ、あるもの全部?!」

「や、やばいよ!あの子!」

「エイトさんは大丈夫なんですか?!」

「わ、分かんないっす...」

「__ねぇ、八舞?」

「...なんだ。」

「なんで、本気を出さないの?」

「...さぁな。」

「もしかして、マナがチラついてるのかな?」

「っ...」

「やっぱりね~。何度も言ったでしょ?マナは__」

「うるさい!」

「わっ!!!」

 

 俺は西園の目の前に蹴りを通過させた。

 

「...やっぱり、当てないんだね。」

「...(クソ、なんでだ。分かってるのに、なぜか体が拒否してる...)」

「うーん...これじゃ駄目だね。」

 

 西園はそう呟いた。

 

「いいこと教えてあげるよ。」

「何...?」

「私は今まで、19人殺したんだ!」

「!」

「マナの見た目で、ね。」

「西園...!!」

「その中には、八舞が大好きなマナも含まれてるよ♪」

「...」

「八舞で...20人目!!!」

「!!」

 

 西園が突っ込んできた。

 

「っ...!」

「そんなのじゃ駄目だよ!八舞!」

「クソ...!」

 

 段々と追い込まれている。

 

「__これで、終わりだよ。八舞。」

「!!しま__」

 

 ガラガラガラ!!!

 端にあった机などが崩れた。

 俺はそれの下敷きになった。

 

________________________

 

「__ここは...?」

「__久ぶりだね、栄斗。」

「!!」

 

 俺の目の前には、マナがいた。

 姿は同じ、でも、マナだと分かった。

 

「会えてうれしいよ、栄斗。」

「あ、あぁ!俺もだ!」

「何年ぶりだっけ?五年くらい?」

「あぁ。それくらいだ。」

 

 俺はマナに近づこうとした、が

 

「ダメだよ、栄斗。」

「え?」

「栄人には、しなくちゃいけない事があるでしょ?」

「しなくちゃ、いけない事...?」

「カナちゃんを止めないといけないよ。」

「!」

「栄人なら出来るよね?」

「でも、西園を倒すには...」

「私の身体に攻撃しないといけない?」

「...あぁ。」

 

 俺は頷いた。

 

「...ねぇ、栄斗?」

「どうした?」

「私がまだ生きてるって言ったら、信じる?」

「マナが?!」

「うん。今、私はカナちゃんに閉じ込められてるんだよ。」

「!」

「だから、私を助けて、栄斗。

 やり方は分かるよ、栄斗ならね!」

 

 俺の体が浮いた。

 

「__いってらっしゃい!栄斗!」

 

 マナは手を振っていた。

________________________

 

「__呆気なかったな~」

「や、八舞君!!!」

「栄君!」

「エイトさん!」

「八舞さん!」

「...うん?ここは...?」

「ち、千聖ちゃん!」

「彩ちゃん?どうしたのかしら?」

 

 彩は今にも泣きそうな顔をしている。

 

「八舞君が、八舞君が...」

「え?」

 

 千聖は彩が指さした方を見た

 

「__え?」

 

 千聖は唖然とした。

 普通の人間なら、どう考えても助からない量の机や椅子、彩はそれを指さしていたんだから。

 

「ど、どういう事、なの、彩ちゃん?」

「八舞君は、あの下に...」

「嘘...?」

 

 千聖は机や椅子の山に駆け寄った。

 

「嘘よ...八舞君は...」

「__八舞なら、死んだよ?」

 

 西園はそう言った。

 

「それの下敷きになって普通、助かるわけないでしょ?」

「あなたは...!」

「殺したのは私!西園カナだよ!

 最高の気分、私を惨めにした八舞を殺せた!やっと...!」

「!!!」

 

 千聖は西園に近づいた。

 

「何__!!」

 

 パチン!!

 千聖は西園をぶった。

 

「何するの...?」

「あなたは、分からないでしょう...!

 八舞君は変わりかけてた、あなたと言う呪縛を乗り越えようとしてた...!

 やっと、心を開きかけてた、なのに...!!__!!」

 

 西園は千聖を蹴り飛ばした。

 

「千聖ちゃん!」

「そんなに八舞と仲良くしたいなら、あなた達も殺してあげるよ。」

「!!!」

 

 西園は千聖に近づいた。

 

「まず、あなたから。」

 

 ガラガラガラ!!!

 

「...?」

「__よう、西園。」

「?!な、なんで?!」

「お前は普通の人間ならって言ってたな。

 なら、分かるだろ?俺はお前から見て普通だったか?」

 

 西園は俺がそう言うと落ち着きを取り戻した。

 

「...そうだった。八舞は普通じゃなかったね。」

「な?」

「だ、大丈夫なの?!八舞君?!」

「大丈夫ですよ、白鷺さん。」

「ほ、本当に...?」

「はい。」

「そう...」

 

 白鷺さんは安心したみたいだ。

 

「__さてと。」

 

 俺は西園に向きなおった。

 

「お前を倒す方法が分かったぞ、西園。」

「へぇ...」

「かかってこい。すぐに分からせてやる。」

 

 俺は手招きをした。

 

「ふん、先に八舞が死ぬかも、ね!!!」

 

 西園は突っ込んできた。

 

「(__今だ!)」

「!!???」

 

 俺は西園を抱きしめた。

 

「な、何を...!」

「...」

 

 俺は西園を放さない。

 

「は、放して...!」

「断る。」

「__あれは、何してるの?」

「あの子を栄君が抱きしめてる...?」

「どういう事なんでしょう...?」

「わかんないっす...」

「あれは...もしかして...」

「千聖ちゃん?」

 

 千聖は何かに気付いた。

 

「(白鷺さんは気づいたか。

 こいつを倒す方法、それはカナとマナを入れ替える事。

 そのためには、こいつのストレスを無くすことだ。

 こいつの生まれた理由は過度なストレス、つまり...)」

「__は、放し、て...」

「(ストレスを無くせばいい。)」

 

 俺は力を少し強くした。

 

「な、何、を...?」

「(そろそろだな。)」

 

 俺は西園顔を近づけた。

 

「な、何__?!///」

 

 俺は西園にキスした。

 

「んー!んー!」

「(最後はこいつの神経をコントロールすればいい。)」

「__あ、あわわ...!!///」

「栄君だいた~ん!」

「エ、エイトさん...///」

「す、すっごいっすね...///」

「...馬鹿。」

「ち、千聖ちゃん?」

「...何でもないわ。」

 

 俺は作戦を続けていた。

 

「(早く戻ってこい、マナ...!)」

「(や、やばい!このままじゃ...!)」

(__終わりだよ、カナちゃん。)

「(?!)」

(気付いたかな?カナちゃんのストレスは完全に消えたんだよ。

 これでもう、存在できないよ。)

「(ま、まだ!__!!!)」

 

 マナはカナの意識を引きはがした。

 

(私の...いや、私たちの勝ちだよ。)

(なんで、なんで!!!__)

 

 カナの意識はどこかに消えた。

 

「(栄斗栄斗。)」

「?」

 

 マナは栄斗の背中を叩いた。

 

「(まさか。)」

 

 栄斗はマナを放した。

 

「__ただいま!栄斗!」

「マナ!そうか、カナの人格は__」

「うん、消えたよ!」

「そうか、よかった...」

「__あの、八舞君?」

 

 白鷺さんが近づいてきた。

 

「どうしました?」

「その子、さっきと雰囲気が違うわ、どうして?」

「あぁ、それは__」

「私がマナだから、ですよ!」

「そう、あなたが。」

「はじめまして!白鷺千聖さん!」

「あれ?なんで私の名前を...?」

「ずっと見てましたから!」

「そう。」

「二人ともー!」

 

 他のみんなも近づいてきた。

 

「終わったの?」

「はい。もう大丈夫です。」

「そ、そっか~...」

「怖かったね...」

「はい...」

「こわかったっす...」

 

 皆は安心しきった。

 

「マナ、早くここを出よう。

 そして、皆にマナを紹介しないと。」

「...」

「マナ...?」

 

 俺が首をかしげると...

 

 ドォォオオン!

 

「なんだ!」

 

 どこかで爆発が起こった。

 

「いや、考えてる暇はない!逃げるぞ!」

「えぇ!」

 

 俺たちは出口に向かった。

 

 

________________________

 

「__多分、爆発したのは隣!もう少しでこっちも...」

「やばい!...あれは!」

 

 出口が見えてきた。

 

「__た、助かった~!」

「危なかったわ...!」

「そうだね...」

「キキイッパツ、でした...」

「そ、そう、っすね...」

 

 パスパレの皆は外に出た

 

「皆さん!」

「か、香澄ちゃん?!なんで?!」

「そんな事はいいです!早く逃げないと!」

「ま、まって!まだ中に二人が!」

「八舞先輩!」

「八舞!早く出てこい!」

 

 明日香と有咲は叫んだ。

 

「__マナ!早く出るぞ!」

「...」

「マナ!」

 

 マナはなぜか動かない。

 

「...ごめんね、栄斗。」

「え?」

「...私は罪を犯し過ぎたんだよ。

 人をたくさん殺して、栄斗を傷つけて。」

「そんなの、全部カナが...」

「一緒だよ。私たちは。」

「そんなこと__!!!」

 

 俺はマナに外に押し出された。

 

「八舞先輩!!」

「八舞!」

「__マナ!!!」

 

 俺が外に出るのと同時に扉が閉まった。

 

「マナ!出てこい!今ならまだ!!!」

『__栄斗。』

 

 マナは話し出した。

 

『最後に栄斗と話せて嬉しかった。』

「最後...そんなわけない!

 俺たちはまだ...」

『最後に栄斗に抱きしめてもらって、キスできてうれしかった...///」

 

 マナはガラスに手をついた。

 

『__何より、栄人が私を好きって事が伝わって、嬉しかった!///』

「マナ!___」

 

 ドォォオオン!!!

 

 マナのいるビルが爆発した。

 俺は爆風で吹き飛ばされた。

 

「八舞先輩!!!」

「大丈夫か!!!」

 

 明日香と市ヶ谷が近づいてきた。

 

「や、八舞先輩!ガラスが!!」

「__なんで...」

「や、八舞?」

「マナは...マナは、どこだ...」

 

 俺はビルがあった場所に近づいた

 

「マナ...マナ...」

 

 俺はがれきを漁った。

 

「や、八舞君...?」

「白鷺さんも...マナを探すの、手伝ってください...あいつなら、どこかに__あ」

「どうしたの?__!?」

 

 俺が見つけたのは、マナが履いてた靴だった。

 

「...この靴は...」

 

 ”回想”

 

『何見てるんだ?』

『この靴!かわいいなって!』

『確かにそうだな。でも、サイズが大きすぎる、大人用だぞ?』

『う~ん、そうなんだよね~』

『...』

『これは諦めるしかないかな~...』

『マナ。』

『ん~?』

『マナがこの靴、履けるようになったら、プレゼントするよ。』

『え?いいの?!』

『あぁ。いいぞ。』

『なら!楽しみにしてる!すぐに大きくなるね!』

『あぁ!』

『でも、大人用か~』

『時間がかかりそうだな。』

『そうだね。でも、時間かかってもいいかな!』

『なんでだ?』

『だって!これをプレゼントしてくれるんでしょ?

 だったら、ずっと一緒でしょ?』

『!!』

『だから、栄斗と一緒にいれるなら、時間がかかってもいいよ!』

『そうか。俺も__』

 

 ”回想終了”

 

「...」

「八舞君...?」

「なんで、なんで、言ってくれないんだよ、マナ...。」

 

 俺は泣いた。

 

「約束...したじゃないか...履けるようになったらプレゼントするって...。」

 

 俺は靴を拾った。

 

「八舞君...」

「これじゃ、これじゃ...俺は...」

 

 俺は崩れ落ちた。

 

「マナ...出てきてくれよ...。

 俺は何を失ってもいい...でも、マナは、マナだけは...!!!」

 

 大粒の涙が零れる

 

「戻って来いよ...マナ...」

 

 俺の声は力なく響いた。

 

「八舞君...」

「八舞先輩...」

「八舞...」

「...」

 

 栄斗は立ち上がった。

 そして、歩きだした

 

「八舞君...?」

「...帰ります。

 皆さんも早くこの場を離れてください。」

「八舞先輩、怪我が...」

「大丈夫だ、明日香。

 心配してくれてありがとう。」

「だ、大丈夫か?八舞...?」

「大丈夫だぞ。

 市ヶ谷も気を付けて帰れよ。」

 

 雅の方に行った。

 

「...八舞か。」

「あぁ。...悪いな、雅。」

「俺はいい。お前は__」

「大丈夫だ。全部。」

「八舞...?」

「...またな、雅。」

「おい!八舞!__」

 

 栄斗は歩きだした。

 

「八舞君...」

 

 その背中は今にも消えそうな、灯のように、弱弱しかった。

 

 その夜、吹いた風は夏に相応しくない、

 冷たい、風だった...

 

 

 

 

 




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第18話

千聖ルート18話です!


 あの出来事から、はや二週間、夏休みも中盤に差し掛かっていた。

 

「__あれから、八舞君はどうかしら...?」

「...分かりません...」

「電話をしても、メッセージを送っても全く反応がないです...」

 

 あの日から、栄斗は行方不明になっていた。

 

「そう、よね...」

「はい...」

「どこに行ったんでしょうか、八舞先輩...」

「あのバカ...」

「...探してくる。」

「斎藤先輩、私も行きます。」

「私も...」

「さい君が行くなら、私も...!」

「私も行くわ。」

 

 そうして、栄斗探しが始まった。

________________________

 

 ”栄斗side”

 

「...今、何日だ...?」

 

 俺は携帯を確認した

 

「...すごいメッセージだな。」

 

 白鷺さんに明日香、市ヶ谷、雅、戸山、パスパレにポピパ、たくさんの人からメッセージが来ていた。

 

「...外に出て、皆に会わないと。

 心配、かけてるかも。」

 

 俺は外に出た。

________________________

 

「__!」

「おい!あぶねぇよ!!」

「...なんでだ...?」

 

 外に出ると、体に異変が起きた。

 全ての音が雑音に聞こえる、目も...。

 

「...どこに、行けばいいんだ...?」

 

 俺は歩いた。

 

「...どこに__」

 

 ブー!!!

 

「__え?」

 

 車のクラクションの音がする。

 

「__危ない!!!」

「!!!」

 

 俺は誰かに押された。

 

「何やってるの!!」

「...白鷺、さん...?」

 

 俺の目の前には白鷺さんがいた。

 

「あなたまさか、自殺しようとしてたんじゃないでしょうね?!」

「...?」

「どうしたの...?」

「...白鷺さんは今、どんな顔をしてますか?」

「え...?何言って__」

「見えないんです、何も。」

 

 栄斗はそう言った。

________________________

 

「__白鷺先輩!八舞先輩が見つかったって!」

「来たわね、皆...」

「それで、八舞はどこにいるんですか?」

「八舞君は...」

 

 そう言うと診断室の扉があいた。

 

「白鷺さん、お待たせしました。」

「えぇ。」

「八舞先輩!」

「八舞!」

「その声...明日香と市ヶ谷、か?」

「「え...?」」

「...どういう事ですか、白鷺さん。」

「あれ、雅も来てるのか?怪我、大丈夫か?」

「...これは、どう考えても普通じゃないです、どういうことですか。」

「__私から説明しましょう。」

「先生?」

「彼は今、過度なストレスで脳の機能が狂ってます。」

「狂ってる...?」

「はい。目はそれによるものかと。

 何か最近、彼のストレスが強くなる出来事はありましたか?」

「それは...」

「話ずらい事なら、大丈夫です。

 今は彼と一緒にいてください。

 一応、少しだけ入院してもらいます。」

「はい。」

 

 俺は病室に入れられた、らしい。

________________________

 

「__まさか、西園マナの死がここまで傷を残すなんて...」

「ありえない話じゃない。」

「さい君?」

「あいつにとっては一番大切な人だ、特に親のいないあいつにとっては...」

「そんな人が、目の前で...。」

「八舞...」

「取り合えず、話をしてみましょうか...」

 

 皆は栄斗に近づいた。

 

「おい、八舞。」

「なんだ、雅?」

「お前、目が見えなくなったのはいつだ?」

「えーっと、白鷺さんに助けてもらって、目を開けたら見えなくなってたな。」

「あの時...?」

「...他には何かおかしいところはあったか?」

「そうだな、あ、家を出てすぐの時は全部が雑音に聞こえてた。」

「(耳もか...)」

「八舞先輩...」

「八舞...」

 

 明日香と有咲は今にも泣きそうだった。

 

「明日香?市ヶ谷もどうした?」

「...八舞、今日は帰るわ。

 また来る。」

「え?急だな。」

「悪いな。」

「まぁ、またな。」

「またね八舞君。」

 

 皆は病室を出た。

________________________

 

 ”雅たち”

 

「__皆、大丈夫か?」

「え、えぇ...」

「私も...」

「「...」」

「二人は駄目か。」

 

 明日香と有咲はうつ向いていた。

 

「...どんな、気分なんだろうな...?」

「さい君?」

「一番大切な人が目の前で死ぬって、どんなに悲しいんだろうな...?」

 

 雅はそう呟いた。

 

「...あいつにもう、生きる希望はない。」

「「「!!」」」

「そ、そんな!」

「戸山、気付いてないのか。

 あいつの変化に。」

「変化...?」

「あいつ、笑ってたんだよ。」

「そう言えば...」

「...あいつはあんなに笑うやつだったか?」

「っ...!」

「あいつは____かもしれない。」

「!__」

「あっちゃん?!」

 

 突然明日香が走り出した。

 

「(__ダメ!絶対ダメ!!そんなこと...!)」

 

 明日香は必死に走った。

 

『__あいつは死に方を探してるかもしれない。』

 

「(待って!私はまだ、何も、返せてない!)」

________________________

 

 ”栄斗”

 

「__マナ...」

 

 俺は立ち上がった。

 そして、手探りで窓近くに来た。

 ガラスの感触を感じる...

 

『__栄斗が私を好きって伝わって、嬉しかった!///』

「マナ!待ってくれ!マナ!__」

「__八舞先輩!!!」

「?...明日香?」

「...なんで、泣いてるんですか...?」

「泣いてる?俺が?」

 

 俺は自分の頬を触った。

 

「...本当だ、いつの間に...?」

 

 俺は驚いた。

 

「...八舞先輩...」

「どうした、明日香?__!?」

 

 明日香が抱き着いてきた。

 

「あ、明日香...?」

「...私じゃ、ダメなんですか...?」

「え?」

「八舞先輩の悲しみは私じゃ埋められないんですか...?」

「明日香...」

「八舞先輩は死に方を探してる...」

「?!な、なんで...?!」

「...斎藤先輩の言う通りでした。」

「気付いたのか...」

「やめて、ください...」

 

 明日香は消え入りそうな声でそう言った。

 

「私から、離れないで...」

「明日香...?」

 

 明日香の力が強くなった。

 

「好きです...」

「!」

 

 明日香はそう言った。

 

「優しい八舞先輩が好き、私を助けてくれた八舞先輩が好き。」

「明日香...」

「だから、私から、離れないで...

 私を置いて行かないで...!」

「...」

「だから__!!!」

 

 俺は明日香の頬を触った。

 

「明日香は今、泣いてるんだな。」

「八舞、先輩...?」

「俺のせいで泣いてるのか、ごめんな、明日香。」

 

 明日香の頭を撫でた。

 

「...暖かいな、明日香は。」

「私も暖かいです。」

「...もう少し、生きるのも悪くないのかもな。」

「!」

 

 俺はそう言うと、明日香は放れた。

 

「__よかった...よかったよ...!」

「明日香は今、どんな顔してる?」

「そうですね__」

 

 明日香は空気を吸って...

 

「最高の笑顔、でしょうか!」

 

 元気な声でそう言った。

 

「そうか。見てみたいな。」

「なら、早く目を治してくださいね。」

「そうだな。」

「__じゃあ、私は帰りますね。」

「あぁ。ありがとう、明日香。」

「はい。...あと...」

「?」

「返事、待ってますね?」

「...分かった。」

 

 そう言うと病室のドアが閉まった。

 俺はベッドに座った。

 

「__生きる、か...」

 

 そう呟くとドアが開いた。

 

「誰ですか?」

「...私だ。」

「市ヶ谷?明日香を迎えに来たのか?

 ならさっき帰ったぞ?」

「ちげーよ。話に来たんだよ。」

「話?」

「...お前、死にたいのか?」

 

 市ヶ谷は真面目な声でそう聞いてきた。

 

「...さっきまでそう思ってた。」

「やっぱりな...って、さっきまで?」

「あぁ。今は生きてみるのも、いいかなって思ってる。」

「そ、そっか...」

「どうした?」

「いや、私、バカみたいだなって。」

「市ヶ谷は頭いいだろ?」

「そういう事じゃなくて...って、それはいいよ!」

「?」

 

 市ヶ谷は俺に近づいてきた

 

「...ちょっとしゃがめ。」

「?分かった。」

 

 俺はしゃがんだ。

 

「...一回しか言わないから、しっかり聞けよ?」

「あぁ...?」

「ほ、ほんとのほんとに一回だからな!///」

「分かった。」

「そ、そっか...じゃあ__」

 

 市ヶ谷は深呼吸をして...

 

「私、お前が好きだ、八舞。///」

「?!」

「はい!終わり!私帰るからな!」

「ちょ!待て、いつから?!」

「...わかんね。でも、気付いてなかっただけで、結構前から...って何言わせんだ!///馬鹿!///」

 

 そう言って、病室のドアが勢いよくしまった。

 そして、すぐ開いた。

 

「__これ、本気だからな。///

 返事、ちゃんとしろよ...?///」

「あ、あぁ、分かった。」

「...じゃあな、八舞///」

 

 病室のドアが閉まった。

 

「...どうなってんだ?明日香に続いて市ヶ谷まで?」

 

 俺は不思議に思った。けど、

 

「...ありがとな、二人とも俺を好きになってくれて。

 そして、生きる意味を与えてくれて。

 そして、待っててくれ。」

 

 俺は顔を上に向けて。

 

「__俺が乗り越えるのを。」

 

 俺は一人、そう言った。

 

 

 

 

 

 




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最終回

千聖ルート最終回です!


「__ねぇ、八舞君。」

「どうしました?白鷺さん。」

 

 俺が入院してから一週間、夏休みは終盤となった。

 

「最近、明日香ちゃんと有咲ちゃんと近くないかしら?」

「そうなんですか?距離感が分かりずらいので、分からないです。」

「...何かあったのかしら?」

「ありましたよ。」

「告白でもされたの?」

「...なんで分かったんですか?」

「あの二人があなたを好きなことは分かってたもの。」

「そうなんですか?俺は分からなかったですが。」

「...そうでしょうね。」

 

 白鷺さんは呆れたような声でそう言った。

 

「それで、あなたはどうする気なの?」

「何の事ですか?」

「二人の事よ。」

「そのことですか...」

「どうかしたの?」

 

 言葉に詰まる。

 

「...俺はまだ、マナを忘れられずにいます。」

「そう、よね...」

「でも、」

「?」

「俺の心は未来に向かい始めてるんです。」

「未来に...」

「俺には、好きな人がいるんです。」

「え?」

 

 白鷺先輩は驚いたような声を出した。

 

「その人は俺の仮面を一度外してくれたんです。」

「そんな人が?」

「はい。」

「...羨ましいわ。」

「?」

「(そんな子がいるなんて...私だって、八舞君を...)」

「白鷺さん?どうしたんですか?」

「...なんでも、ないわ。」

「...」

 

 千聖は立ち上がった

 

「そろそろ、お暇するわ。また__」

「待ってください、白鷺さん。」

「...どうしたの...?」

「少し、こっちに来てくれませんか?」

「え?えぇ...」

 

 千聖は栄斗の前に立った。

 

「ほんとは後がよかったんですが、今にします。」

「何の事?」

「俺、白鷺さんが好きです。」

「...え?」

「白鷺さんがいつでも味方でいるって言ってくれた時から好きでした。」

「え、ま、待って。ほ、本当に...?」

「はい。本当ですよ。でも。」

「?」

「返事は少し待ってください。」

「...なんでかしら?」

「どうせ返事聞くなら、白鷺さんの目を見て聞きたいですから。」

「そう。でも、これだけは言わせて、私は__」

 

 白鷺さんが何かを言おうとすると電話が鳴った。

 

「「...」」

「...出てもいいわよ。」

「...本当にすいません。」

 

 俺は電話に出た。

 

「はい?」

『もしもし、○○警察のものです。』

「警察...?」

「八舞君?」

『西園カナさんのお知り合いで間違いないでしょうか?』

「...はい。」

『少し、お話ししたいことがあるので署に来てもらえないでしょうか?』

「話?」

『...遺留品の事、とだけ。』

「!...わかりました、お伺いします。」

 

 そう言って電話を切った。

 

「八舞君...?」

「白鷺さん。警察署、連れて行ってください。」

「...分かったわ。」

 

 俺たちは警察署に向かった。

________________________

 

「__着いたわよ。」

「見えないですね。」

「まぁ、そうよね。」

「__君が八舞栄斗君かな?」

「えっと、誰ですか?」

「私は連続殺人犯を追っていた、刑事の畑野です。」

「連続殺人犯...まさか。」

「その通り、西園カナを追っていたんです。」

「...」

「この間、やっと正体にたどり着いた、でも...」

 

 刑事は悔しそうな声を出してる。

 

「...まぁ、それはいい。

 ついて来てください。そちらの人も。」

「はい。」

「えぇ。」

 

 俺たちは警察署に入った。

________________________

 

「__そう言えば、八舞栄斗君。」

「はい?」

 

 畑野さんに話しかけられた。

 

「君は、目が見えないのかい?」

「...はい、一時的なもの、とは言われてますが。」

「大変だな...早く治ることを祈ってるよ。」

「ありがとうございます。」

「...それで、もう一つ聞きたいことが。」

「なんですか?」

「君は西園カナとどういう関係だ?」

「!」

 

 畑野さんの足音が止まった。

 

「この先に西園カナの遺留品がある。

 だが、質問に答えてもらわなくては。」

「ちょっと!あなた、騙して...!」

「...いいですよ、白鷺さん。」

「八舞君?」

「本気で俺を疑ってるなら、この状態の俺なんか牢に入れてますよ。

 その人は疑いきってはないです。」

「そうなの?」

 

 千聖は畑野の方を見た。

 畑野は頷いていた。

 

「私が知りたいのは、関係、それだけだ。

 なにより、単独犯とこちらもわかっている、元から疑ってはないよ。」

「ね?白鷺さん?」

「...そうね。」

「じゃあ、じゃあ、話しますよ。」

「あぁ、頼む。」

「俺は西園カナのターゲットですよ。」

「ターゲット?」

「西園の目的は俺を殺すことでしたから。」

「でも、それじゃあ、あの殺人は...」

「多分なんですけど、被害者は全員、俺と同い年、だったんじゃないですか?」

「!なんで、そのことを...?」

「共通点は小学校が同じ。」

「!!」

「目的は俺をイジメてた奴らを殺すことだったんでしょう。」

「なんで、そう言えるのかな?」

「あいつはよく、八舞を傷つけていいのは私だけ、的なことを言ってましたから。」

「そうか...あと、もう一ついいかな?」

「本物の西園カナは5年前に誘拐事件で亡くなってる、ですか?」

「あぁ。役所には西園マナの名しかなかった。」

「それは、多重人格、です。」

「そんな事がありえるのか...?」

「ありえますよ。

 気づいてるんでしょう?」

「...まさか...」

「もういいですか?」

「最後に、一つ。」

「はい。」

「西園マナはどんな人物だった?」

「!!それは__」

「マナは、優しい、俺の心の支えでした。」

「...そうか。」

 

 畑野は振り向いた。

 

「君には、見せたくないよ。」

「?」

 

 畑野は扉を開けた。

________________________

 

「こ、これは?」

「これは西園カナ...いや、西園マナさんが大切そうに持っていたものです。

 奇跡的に焼けていない。」

「?何があるんですか?」

「...四葉の、クローバー...」

「!ま、まさか!」

「押し花、だね。」

「...」

 

 ”回想”

 

『__ねぇ、見て!栄斗!』

『どうした?』

『これこれ!』

『?』

『四葉のクローバーだよ!』

『!まじか!』

『うん!すごいよね!』

『でも、摘んだら栄養不足で枯れるんじゃないか?』

『え?あ...』

 

 マナは残念そうな顔をする。

 

『どうしよ...』

『...マナ。』

『栄斗?』

『それ、貸して。』

『え?うん...』

『少し、待ってろ。』

 

 栄斗はどこかに行った。

 翌日。

 

『マナ。』

『あ!栄斗!』

『これ。』

『これは...昨日の四葉のクローバーだ!』

『それなら、結構持つと思う。』

『わぁ!栄斗すごい!』

『...普通だ。』

『大切にするね!』

 

 マナは嬉しそうに笑っている。

 

『あ、でも。』

『どうした?』

『一つしかないから、栄斗が...』

『大丈夫だ。』

『栄斗?』

『幸せなら、マナにずっと貰ってるから。

 俺はそれで十分だ。』

『栄斗...!』

『!おい!』

 

 マナは栄斗に抱き着いた

 

『幸せのおすそ分けだよ!』

『...そうか。』

『これで、栄斗はずっと幸せだよね!』

『マナもな。』

『ずっと、持ってるからね...』

『...あぁ。』

 

 ”回想終了”

 

「...それ、持ってたのか...」

「八舞君?」

「忘れてた、約束...」

「約束?」

「俺もマナもずっと、幸せ__」

「!?八舞君!」

 

 栄斗は倒れた。

________________________

 

 ”夢”

 

「__栄斗。」

「マナ。」

「また、会っちゃったね。」

「そうだな。」

 

 少しの沈黙

 

「...ねぇ、栄斗。」

「なんだ。」

「私たち、大きくなったよね。」

「...そうだな。」

「でも、栄斗は栄斗だよね!」

「そうだな。

 マナも変わってない。」

「そうだね!」

「...でも、ずっと、そうは言ってられないよな。」

「...そう、だね。」

 

 俺はマナを見た。

 

「乗り越えたんだね、栄斗!そういう目してる!」

「あぁ。」

「じゃあ、私は何の心配もないよ!」

「マナ...」

 

 マナの身体が浮いて、空に昇っていく。

 

「最後に、栄斗!」

「なんだ?」

「私、栄斗の事、好きだった!」

「!...あぁ、俺も好きだった!」

 

 そう言うとマナの姿は溶けるように消えた。

 

「...好き”だった”ぞ、マナ。」

________________________

 

「__ん...ここは...」

「ここはあなたの病室よ。」

「白鷺さん。」

 

 俺の横には白鷺さんがいた。

 

「...白鷺さん、泣いたんですか?」

「な、泣いてないわ!...って、あなた...!」

「見えてますよ、ちゃんと。」

 

 俺は白鷺さんを見た。

 

「別れも、しっかりしてきました。」

「そう...」

 

 白鷺さんは悲しそうな顔をしている。

 

「__だから、もう大丈夫です。」

「え?」

 

 俺は白鷺さんを見つめて。

 

「好きです、白鷺さん。

 俺と付き合ってください。」

「!!」

 

 白鷺さんは少し黙ってから

 

「...私も、好き。///」

 

 そう言って、抱き着いてきた。

 

「白鷺さん。」

「どうしたの?__!///」

 

 俺は白鷺さんにキスをした。

 3秒くらいして離れた。

 

「...な、何を...///」

「可愛かったので、つい。」

「~!///」

 

 白鷺さんの顔は真っ赤だ。

 

「__じゃあ___んっ...」

「!」

 

 今度は白鷺さんから来た。

 さっきより時間は長かった。

 

「__私からも、お返しよ///」

「ありがたくいただきました。」

 

 俺は微笑んだ。

 

「...好きよ、八舞君。」

「俺も、好きですよ、白鷺さ__?」

 

 白鷺さんに止められた。

 

「名前で、呼んで。」

「千聖さん。」

「えぇ、栄斗!」

 

 演技の仮面を持った千聖さんと仮面を持った俺。

 そんな二人が仮面を外した。

 そして、愛し合う。

 

「千聖さん...」

「栄人...」

 

 お互いの頬に触れた。

 

「仮面は、」

「被ってないわね!」

 

 これが俺と千聖さん。

 仮面の者たちの愛。

________________________

 

__数年後。

 

 

 

「綺麗な夜景ですね。」

「そうね...」

 

 俺たちは今、ホテルの一室にいる。

 

「それにしても、大学を卒業してから、すぐにパパラッチに追いかけられるようになるとは思いませんでしたよ。」

「そう?」

「まぁ、女優の婚約者なんて恰好のネタなんでしょうけど。」

「今じゃ栄斗も有名人ね♪」

「目立つのは好きじゃないんですけど。」

 

 俺は肩を落とした。

 

「まぁ、それはそれとして。」

「そうね。」

 

 俺たちは明日が結婚式だ。

 

「結構時間かかりましたね。」

「そうかしら?私は一瞬だったけれど?

 でも、八舞君は大変だったかもしれないわね。」

 

 大学卒業後、俺は千聖さんの強い要望でマネージャーの仕事をしている。

 その結果、俺は敏腕マネージャーとして、界隈で有名になった。

 それによって、今でもマネージャーのオファーが止まない。

 

「ほんと、誰が俺の事なんか流したんだか...」

「あら、私よ?」

「え?」

「私が他の子に自慢しすぎちゃったわ♪」

「はぁ、そうですか...」

 

 俺は千聖さんの言葉に頭を抱えた。

 

「それで、敏腕マネージャーさん?」

「やめてください。」

「女優と結婚する気分はどうかしら?」

 

 千聖さんはそう聞いてきた。

 

「...スキャンダルの炎の火種の気分です。」

「そう?じゃあ__」

「!__」

 

 俺は千聖さんにベッドに押し倒された。

 

「__もう一つ、スキャンダルね♪」

「...全く。」

「きゃ!」

 

 俺は千聖さんを逆に押し倒した。

 

「ほんと、こうなると大人しいですね。」

「...うるさいわよ...///」

「...始めるぞ、千聖。」

「!...わ、分かったわ...///」

 

 その先はご想像にお任せしよう。

 

 夜が明けた。

 

「__全く、容赦ないわね。」

「すいません。」

「でも、悪くないわ...///」

「そうですか。」

 

 千聖さんはこっちを見てる。

 

「どうしたんですか?」

「...愛してるわ、栄斗。」

「俺も愛してますよ、千聖。」

 

 これが今。

 

「栄斗。」

「千聖。」

 

 お互いの頬を触った。

 

「今日も、大丈夫ですね。」

「えぇ、そうね!」

 

 俺たちは仮面を外しあう、

 だってそれが一番の愛の確認だから。

 

 

 

 

 




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次回からは日菜ルートです!

主人公 八舞栄斗
ヒロイン 白鷺千聖 戸山明日香 市ヶ谷有咲
サブヒロイン 戸山香澄
主要人物 丸山彩 氷川日菜 大和麻弥 山吹沙綾 朝日六花
オリキャラ 斎藤雅 西園マナ 西園カナ


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天才少女との世界(日菜ルート)
第1話


日菜ルート1話です!


「__ん~、いい天気だな。」

 

 俺は今日から、共学化した羽丘に通うことになった。

 今日は顔合わせの日だ。

 

「__お、ここか。」

 

 羽丘に着いた。

 

「でかいな。まぁ、入るか。」

 

 俺は校舎に入った。

________________________

 

「__迷った。」

 

 後者に入ったのはよかったが、迷ってしまった。

 

「ここはどこだ?」

 

 俺はあたりを見回した、すると、

 

「__あれ?こんなところで何してるの~?」

「俺ですか?」

「そうそう!」

「指定された教室に行こうとしたら、迷いました。」

「迷った?...あはは!面白いね!君!」

「そうですか?」

「学校の中で迷うなんて...アハハ!」

「...そんなに面白いですか?」

「うん!...はぁ~面白かった!」

 

 その人は笑い終えた。

 

「じゃあ、案内するよ!」

「え?いいんですか?」

「うん!」

「それじゃあ、お願いします。」

「じゃあ!いこー!」

 

 俺はその人について行った。

 

「__そう言えば、君は何て名前なのー?」

「俺ですか?俺は八舞栄斗です。

 二年です。」

「八舞栄斗...じゃあ、栄君だね!」

「まぁ、そう呼んでもらってもいいですけど。

 あなたは?」

「私?私は氷川日菜!日菜って呼んで!」

「じゃあ、日菜さんで。」

「うん!るんっ♪ってくるね!」

「るんっ?...あぁ、そういう事か。

 そうですね。」

「...え?」

「え?」

 

 日菜さんは驚いたような声を上げた。

 

「どうしたんですか?」

「私の表現が分かるの?」

「え?普通に分かりますけど。

 そんなに不思議ですか?」

「...」

 

 日菜さんは黙った。

 

「__栄君って、面白い!」

「?」

「私、栄君に興味ある!」

「興味?」

「うん!」

「まぁ、悪い気はしないですね。」

 

 俺たちはしばらく歩いた。

 

「__ここだよ!」

「ありがとうございました、日菜さん。」

「いいよ!あ、もう行かなくちゃ!」

「?」

「じゃあね!栄君!また後でね!」

「後で?まぁ、はい。」

 

 そう言って日菜さんは走って行った。

 

「さて、教室入ろ。」

 

 俺は教室に入った。

________________________

 

「...」

 

 俺は友達がいない。

 

「(暇だな。)」

 

 俺がそんな事を考えてると、教師が入ってきた。

 

「__おはよう、皆!今から体育館に行くからついて来てくれ!」

 

 俺たちは体育館に向かった。

________________________

 

 顔合わせはパーティーだ。

 生徒会長のあいさつで日菜さんが出てきたときは驚いた。

 

「(...)」

 

 俺は会場の端の端にいた。

 

「__あ!いた!」

「ちょっと!日菜さん?!」

 

 日菜さんと眼鏡をかけた人が来た。

 眼鏡の人に関しては引っ張られてるけど。

 

「どうも日菜さん。」

「なんでこんなところにいるの?」

「それは、話す人がいないからですよ。」

「そうなの?栄君、こんなに面白いのに!」

「そう言うのは日菜さんだけですよ。

 それで、その人は?」

「...あ!ジブンですか?

 ジブンは大和麻弥です!」

「大和さんですね。俺は八舞栄斗です。よろしくお願いします。」

「はい!」

「ねぇねぇ!栄君栄君!」

「どうしました、日菜さん?」

「私たちと一緒に来ない?

 皆にも栄君を紹介したい!」

「皆?」

「いいからいいから!行こ!」

「まぁ、いいですよ。」

 

 俺は日菜さんについて行った。

 

「__皆、お待たせ!」

「あ!来たね、日菜~!」

「うん!お待たせ、リサちー!」

「やぁ、日菜!」

「あ!薫君もいる!」

「私もいるわ。」

「友希那ちゃん!」

 

 そこには日菜さんの友人らしき人たちがいた。

 

「で、日菜。その子は?」

「あ!この子はね!__」

 

 俺は自己紹介をした。

 

「なるほど!八舞君ね!私は今井リサ!よろしく!リサって呼んでね!」

「はい、リサさん。」

「私は湊友希那よ。」

「よろしくお願いします。湊さん。」

「私は瀬田薫だ...栄人との出会い、なんて儚いんだ...」

「はい、そうですね。瀬田さん。」

「私の事は、薫と呼んでくれ。」

「はい、薫さん。」

「...ん?待って。」

「どうしました、リサさん?」

「なんで、薫と初見で会話が成立するの?」

「え?」

「いや、儚い...とか言ってんじゃん!」

「それだよ!リサちー!」

 

 日菜さんが入ってきた。

 

「どういう事?日菜?」

「栄君はね~私の表現も理解できるんだよ!」

「日菜まで?!」

「...そんなに不思議なことなんですか?」

「...少なくとも、私たちには難しいかな~」

「そうね。」

「ジブンもです。」

「うーん、むしろ分かりやすいんですが...?」

「...天才?」

「...異次元ね。」

「...すごすぎます...」

 

 なんか引かれたみたいだ。

 

「__それでね!お姉ちゃんが犬を撫でてすっごく笑顔だったの、すっごくるんっ♪って来たんだ~!」

「厳しそうな人なのに、ギャップですね。」

「でしょ~!」

「儚い...」

「そうですね、薫さん。」

「__あれ、何の会話?」

「分からないわ。」

「常人のジブン達じゃ、感情表現が分からないですね...」

 

 俺たちは会話をしていた。

 すると、

 

「__この後カラオケ行こうよ~」

「いや、あの...」

「あの、さっきから断ってるんですが。」

「そうだよ!」

「いいじゃんか~!」

 

 絡まれてる女生徒を見つけた。

 制服を見る限り、あの三人は一年生、つまり新入生だろう。

 

「...すいません、日菜さん。

 少し、止めてきます。」

「え?私も行こうか?」

「いいですよ。」

 

 俺は近づいて行った。

 

「__おい。」

「あ?」

「その子たち、困ってるだろ?

 あんまり絡んでやるなよ。」

「そんなの俺たちの勝手じゃね?」

「断ってるよな?

 断るのはその子たちの自由じゃねぇの?」

「これからオッケーが出るんだよ、な?」

 

 男たちは三人の方を見た。

 

「嫌、です...」

「嫌だ!」

「お断りします。」

「...だ、そうだが?」

「うるせぇ!黙ってこい!」

「きゃ!」

「六花!」

「六花ちゃん!」

 

 六花、と呼ばれた少女の腕を掴んだ。

 

「...おい。」

「あ?__!」

 

 俺は男の腹を殴った。

 

「やめろ。女の子に手を出すのはいただけない。」

「う、ぐ...お前ら!やれ!」

「やめといた方がいいぞ?

 怖くなるだけだ。」

「うるせぇ調子乗んな!__??!!」

「ぶっとばして__??!!」

「は?」

 

 俺に殴りかかってきた二人は衝突した。

 

「な、なんだ!今の?!」

「こいつ、今!」

「す、すり抜けた?!」

「いや、そんなわけないだろ。

 でも、まぁ、そう見えるよな。」

 

 俺は男たちを見た。

 

「どうする?お前らの攻撃は当たらないが、続けるか?」

「うるせぇ!囲め!お前ら!」

「「おお!」」

 

 三人に囲まれた。

 

「これなら...」

「終わりだ!」

「今度こそ!」

 

 一斉に来た、が

 

「「「???!!!」」」

「...無駄だって。」

「な、なんで!今のタイミングなら...」

「絶対にあたるはずなのに!」

「なんで当たらなかった?!」

 

 男たちは困惑してる。

 俺はこう言った。

 

「続けるか?どうせ当たらないが暇つぶしくらい付き合うぞ?」

 

 俺はにやけながらそう言った。

 

「__!!こ、こいつやばい!」

「に、逃げろ!」

「お、おう!!」

 

 三人は体育館を出ていった。

 

「...お化けを見たみたいな反応しやがって。」

「あ、あの...」

「ん?」

「助けてくれて、あ、ありがとうございました。」

「うん?別にいいぞ?俺はよけただけだし。」

「__えーい君!」

「あ、日菜さん。」

「すっごいね~!あれ!」

「そうですか?」

「うん!なんかシュッ!って感じで~!」

「うーん、普通なんですが。」

「いや!あれはかっこいいです!」

「?」

「私は宇田川あこです!」

「あこ、ね。で、かっこいいのか?あれ。」

「はい!魔法みたいでした!」

「魔法か。いいな、それ。」

「でも、どうやってやったんですか?」

「えっと...」

「あ、私は戸山明日香です。さっきは六花を助けてくれてありがとうございました。」

「明日香か気にしなくてもいいぞ。

 あと、あれは、普通の動きだぞ。」

 

 俺は皆と合流した。

 

「...けほっ。」

「栄君?どうしたの?」

「...いや、なんでもないですよ。

 でも、すこし、トイレに行ってきます。」

「うん?」

 

 俺はトイレに行った。

________________________

 

「__げほっ!ゴホゴホ!」

 

 俺は激しくせき込んだ。

 

「クソ、これでも動き過ぎかよ。」

 

 口を押えてた手には血がついてる。

 

「...薬、飲まねぇと。」

 

 俺は薬を飲んだ。

 

「...戻ろ、遅いと怪しまれる。」

 

 俺は会場に向かった。

 

 これが、始まりだ。

 

 

 




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第2話

日菜ルート2話です!


 顔合わせ翌日、俺は自分の教室を確認し、教室にいる。

 

「__はぁ、眠い。」

 

 俺は大体いつも机に伏せて寝てる。

 喋る相手もいないからな。

 

「__えーい君!」

「ん?」

 

 俺は顔をあげた。

 

「おはよ!栄君!」

「日菜さん?なんで二年の教室に?」

「栄君に会いに来たんだよ!」

「俺に?なんで?」

「うーん、なんとなく?」

「そうですか。」

「というわけで、行こう!栄君!」

「どこにですか?__って、待ってください。」

 

 俺は日菜さんの後を追った。

________________________

 

「__ここだよ!」

「ここは?」

 

 俺はある教室に来た。

 

「ここは天文部だよ!」

「天文部ですか?

 なぜ、俺を?」

「栄君に天文部に入ってほしくて!」

 

 日菜さんはそう言った。

 

「俺が天文部に?」

「うん!入ってほしいな!」

 

 俺は考えた。

 

「...まぁ、いいですよ。

 放課後はすることがないので。」

「ほんと!?やったー!るんっ♪ってくるね!」

「そうですか。」

「じゃあ!今日の放課後、ここに来てね!」

「え?日菜さ__って、速いな。」

 

 日菜さんはそう言い残し走り去っていった。

 俺も教室に戻った。

________________________

 

 今日の予定はホームルームだけだ。

 今は自己紹介中だ。

 

「__次、八舞。」

「はい。」

 

 俺は席を立った。

 

「八舞栄斗です。よろしくお願いします。」

 

 俺は座った。

 

「もう少し、何か言ってくれないか?」

「何か...特に話すこともないんですが。」

 

 てか、あんまり立ってたくない。

 すごい視線感じるし。

 

__そんなこんなで、ホームルームが終わった。

 

「__今日はこれまで。」

 

 そうして放課後だ。

 

「(さて、行くか。)」

 

 俺が席を立つと、

 

「__八舞!」

「?えーっと、確か...」

「私は宇田川巴だ!」

「宇田川...」

「妹が世話になったな!」

「あこが話してた姉か。」

「あぁ!」

「__巴!何してるの?」

「おぉ!ひまり!」

「あ~ともちんが男子に絡んでる~」

「...ほんとにそう見えるからやめて。」

「あはは...」

「皆、人聞き悪いぞ!?」

「...えーっと、確か、美竹、青葉、上原、羽沢だっけ?」

「お~よく覚えてますな~」

「まぁ、自己紹介が個性的だったからな。」

「...それ、私も?」

「美竹は見た目が派手だったからな。

 メッシュだっけ?」

 

 そんな感じに少し話した。

 

「__あ、それで栄斗!」

「なんだ?巴?」

 

 この短時間で巴とは仲良くなった。

 

「改めて、あこを助けてくれてありがとな!」

「言ったろ、別にいいって。」

「この後時間あるか?何かお礼するぞ?」

「悪い、この後行くところがあるんだ。」

「そうなのか?」

「あぁ。」

「そっか、じゃあ!また今度な!

 あと、これからもよろしくな!」

「あぁ。」

 

 そう言って皆は教室を出た。

 

「さて、俺も行くか。」

 

 俺は天文部に向かった。

________________________

 

「__失礼します。」

「あ!来たね、栄君!」

「こんにちわ日菜さん。

 お待たせしてすいません。」

「全然いいよ!」

 

 俺は日菜さんに座るように言われたので椅子に座った。

 

「__それで、何をするんですか?」

「これを読んでみてほしいの!」

「ノートですか?」

 

 俺はノートを開いた。

 どうやら、前の部員が書いたものらしい。

 その内容はおおよそ天文部のものじゃなかったが。

 

「どう?面白いでしょ!」

「...確かに面白いとは思います。」

「だよね!」

「でも、天文部に何の関係が?」

「う~ん...わかんない!」

「ですよね。」

「でも、それが面白い!」

「そうかもですね。」

「じゃあ!天文部の説明をするね!」

「はい。」

 

 俺は天文部の説明を受けた。

 

「__こんな感じだよ!」

「分かりました。」

「活動は不定期だから、連絡するよ!

 連絡先教えて!」

「はい。」

 

 俺は日菜さんと連絡先を交換した。

 

「__うん!オッケーだよ!

 じゃあ!また明日ね!」

「はい。」

 

 俺は学校を出た。

________________________

 

 俺は買い物を忘れてたので、買い物に来た。

 

「__お!八舞の兄ちゃんじゃねぇか!」

「こんにちわ。」

 

 俺は八百屋に来ていた。

 

「いつものお願いします。」

「おうよ!」

 

 おじさんは野菜を袋に詰めてくれた。

 

「__ただいま。」

「ますき!帰ったか!」

「...あぁ。...って、お前は?」

「俺はいつもお世話になってる八舞栄斗です。会うのは初めてですね。」

「会うのは...?」

「いつもおじさんに話を聞いてましたから。」

「...へぇ、なんて言ってた?」

「お、おい、ますき...」

「確か、凄腕のドラマーだとか。」

「...へぇ。」

「後はおじさんの名誉のために黙秘しておきます。」

 

 俺がそう言うとますきさんはおじさんを睨んだ。

 

「何言いやがった?」

「い、いや、俺は__」

「...あとで覚えてろよ。」

「そ、そんなぁ...」

 

 おじさんは力ない声を出した。

 

「あ、これ、いつものな。」

「ありがとうございます。お代です。」

「おう!ぴったりだな!」

「それじゃまた来ます。

 ますきさんも機会があれば。」

「あぁ。」

 

 俺は帰路についた。

________________________

 

 家に着いた。

 

「...やっべ、時間だ。」

 

 俺は台所に駆け込んだ。

 そして薬を飲んだ。

 

「__ふぅ。さて、夕飯の準備だ。」

 

 俺は夕飯の準備を始めた。

 

「__よしっと。こんなもんかな。」

 

 俺は机に夕飯を並べた。

 メニューは野菜が多めだ。

 

「うん、いつも通りだな。」

 

 夕飯を食べ勧めてるうちにあることを思い出した。

 

「ますきさんってドラマーなんだよな凄腕の。

 バンドに所属してたりするのか?」

 

 少し携帯で調べてみた。

 

「...RAS?」

 

 俺はメンバーの写真を見た。

 

「あ、ますきさんだ、後は...?!」

 

 俺の目には信じられない人物が写っていた。

 

「え?六花!?なんで?!」

 

 自分の目を疑った。

 あの気弱そうな女の子がバンドをしてる事が信じられなかった。

 

「...今度、六花に聞いてみるか。」

 

 俺は夕飯を食べ終えた。

 そして、なんやかんやで寝た。

________________________

 

 俺は学校に来た。

 

「__今日も暖かいな。」

「__きゃ!」

「!」

 

 誰かにぶつかってしまった。

 

「わ、悪い!...って、六花?」

「え?や、八舞先輩!ご、ごめんなさい!」

「いや、そんなに謝らくてもいい。

 それよりも大丈夫か?」

「は、はい!」

「そうか、よかった。ほら、」

 

 俺は六花に手を差し出した。

 

「あ、ありがとう、ございます。」

「あぁ。...あ、」

「?」

 

 俺は昨日の事を思い出した。

 

「なぁ、六花。」

「はい?」

「聞きたいことがあるんだがいいか?」

「はい、なんですか?」

「六花ってバンドに所属してたりするか?」

「え?はい!RASでお世話になってます!」

「やっぱりか。」

「どうしたんですか?」

「いや、いつもお世話になってる八百屋の娘さんがな。」

「あ、もしかして、ますきさんですか?」

「あぁ。」

「知ってるのか?」

「私のバイト先なんです!」

「え?俺見たことないんだが?」

「多分、入るのが遅いので、会わないのかなと、

 偶に、ますきさんもお手伝いしてくれますし!」

「ますきさんが?意外だ。」

「そうですか?可愛いものとか好きですよ?」

「えぇ?!」

 

 驚いた。見た目はかっこいい感じだったのに可愛いもの好きとは。

 

「...RASはどんなところなんだ?」

「うーん、意識が高いバンド、でしょうか?」

「...面白そうだな。」

「気になるなら来てみますか?」

「え?いや、怒られるだろ?」

「た、多分大丈夫です?」

「疑問形だが?まぁ、行ってもいいなら行きたいな。」

「じゃあ!行きましょう!」

「よろしくな。」

 

 俺はRASに行くことになった。

 

 

 

 

 




感想などお願いします!

今回からRASのメンバーが出てきます。
時系列めちゃくちゃになりますが、多めに見てください!
ヒロイン候補の子もいますので...


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第3話

日菜ルート3話です!


「__そろそろか。」

 

 俺は校門前にいる。

 

「お待たせしました!」

「そんなに待ってないぞ、六花。」

 

 六花が走ってきた。

 

「そうですか?じゃあ、行きましょう!」

「あぁ。」

 

 俺は六花について行った。

________________________

 

「__ここです!」

「...すごいな。」

「は、はい、私もそう思います。」

 

 六花も苦笑いだ。

 

「なんでこんなでかい建物なんだ?

 あれか、資産家でもメンバーにいるのか?」

「ま、まぁ、入りましょう。」

「そうだな。」

 

 俺たちは建物に入った。

________________________

 

「__こんにちわー」

「来たわね、ロック。」

「お邪魔しまーす。」

「!?だ、誰?」

 

 俺が部屋に入ると、小さな女の子がいた。

 

「俺は八舞栄斗。六花の先輩です。」

「そ、そう...じゃなくて!」

「?」

「ロック!どうして連れてきたの?!」

「え、えっと、興味があると言っていたので...」

 

 六花が小さく見える。

 てか、シュールだな。

 

「__おーっす...って、何してんだ、チュチュ?」

「マスキング!実は__」

 

 チュチュと呼ばれた女の子は事情を説明した。

 

「...なるほどな。それで問題の奴が...って、八舞栄斗じゃねぇか。」

「こんにちわ、ますきさん。」

「おう。で、なんでここに来たんだ?」

「聞いた通りです、興味があって。」

「だがな、チュチュが__」

「__こんにちは、皆。」

 

 長い黒髪の人が入ってきた。

 

「よう、レイ。」

「Hi,レイヤ。」

「こんにちは、レイさん。」

「...えっと、あ、ボーカルの人か。」

「え?君は?...って、八舞栄斗?」

「え?」

 

 向こうは俺に心当たりがあるみたいだ。

 

「どこかで会いました?」

「覚えてない?小学校の時の音楽の時間。」

「うーん?」

 

 俺は記憶をたどった。

 

「もしかして、和奏?!」

「そうよ。」

「思い出した。音楽の時となりだった。

 あと、歌がめちゃくちゃ上手かった。」

「私はずっと体育を見学してた印象があるかな?」

「っ!...和奏、それは言わないでくれ。」

「え?」

「頼む。」

「うん、分かった。

 ...で、なんで、ここにいるの?」

「それは__」

 

 俺は事情を説明した。

 

「__なるほどね。

 ねぇチュチュ?」

「...何?」

「彼に演奏を聴いてもらうのいいかもしれないわよ?」

「why?」

「小学校の時の彼の音楽への感想は一線を隔してたの。」

「それが?」

「彼、もしかしたらチュチュの役に立つかもしれないわよ?」

「...面白そうね。...ねぇ、あんた。」

「なんだ?」

「見ていくのは許可するわ、でも、邪魔はしない事ね。」

「分かった。」

 

 なんとか説得できたみたいだ。

 

「__チュチュ様~!」

「パレオ、遅かったわね?」

「申し訳ありません~、コンビニのジャーキーが売り切れてて...」

「sit!なんで?!」

「分かりません~!」

「あ、忘れてた。」

 

 俺はカバンからあるものを出した。

 

「チュチュ、だっけ?これ。」

「ジャーキー!じゃなくて、なんで持ってるのかしら?」

「いや、手ぶらで来るのもあれと思って差し入れ的なものを。

 あ、ほかの皆にもケーキとかありますよ。後で召し上がってください。」

「ケーキ!」

「あ、ますきさんの好きなケーキはおじさんに聞いていたので買ってますよ。」

「...あの親父、何話してんだ?」

「まぁ、いいじゃない、ますき。

 ありがとうね、八舞君。」

「いえ。」

「わ、私より早くなじんでる...」

「そうでもないぞ?あ、六花も食べろよ?」

「は、はい!ありがとうございます!

 あ、お代を__」

「いいよ。差し入れだから。

 ...あ、冷蔵庫とか無い?」

「こちらにありますよ!」

「お、ありがと。」

 

 ケーキを冷蔵庫に入れた。

 

「__それじゃあ、そろそろ始めるわよ!」

 

 練習が始まった。

 

「マスキング!また入ってるわよ!」

『...わりぃ。』

「ほう...」

 

 しばらく見たが、練習のレベルがすごく高い。

 これをまとめるチュチュの腕もいい、

 いいバンドだな。

 

「...Hey、エイト。」

「ん?」

「この演奏を見てどう思うかしら?」

「いいと思うぞ、レベルも高いし。

 でも、言うとするなら。」

「?」

「パレオ、だっけ?

 キーボード、ミスってただろ?」

『気づきましたかー』

「Really?」

「あぁ。キーボードの音が良く耳に入ってな。」

「...」

 

 そんなこんなで、練習が終わった。

 

「__おやつの時間ですよ!チュチュ様!」

「パレオ!落ち着きなさい!」

「...これ、気になってたところのだ。」

「ますきが前に言ってたやつ?」

「あぁ。」

 

 皆はケーキを選んでいる。

 

「__あれ?」

「どうした?レイ?」

「ケーキ、一個足りてないわ。」

「え?本当ですか?」

「今全員で6人、一人分足りてないわ。」

「?足りてるぞ?

 RASの皆は5人、足りてるだろ?」

「...おい、八舞はどうすんだ?」

「俺はいいですよ。皆で食べてください。ますきさん。」

「だがな__」

「見てみてください。」

 

 俺はチュチュとパレオの方を指さした。

 

「チュチュ様~どれがいいですか?」

「えっと...あ...ショートケーキ!」

「じゃあ、パレオもショートケーキにします~!」

「__あれを見てどう思いますか?」

「...可愛いな。」

「でしょ?俺一人でこの空気を崩すのは野暮ですよ。」

「...今度だ。」

「?」

「礼するから、連絡先教えろ。」

「?気にしなくてもいいですよ?」

「いいから渡せ。」

「あ、はい。」

「あと、同い年だ、敬語はいらねぇ。」

「え?同い年?」

「レイと同い年だろ?私も高2だ。」

「!!!」

 

 驚いた。

 かっこよすぎて年上と思ってた。

 

「まぁ、食べたらどうだ?

 これ、連絡先。」

「あ、私も。」

「和奏もか?」

「うん。話したいこともあるし。」

「話したいこと?まぁ、ますきに聞いてくれ。」

「分かった。」

 

 そうして、お茶会が始まった。

 

「__Hey、エイト?」

「ん?どうした?」

「あなた、このバンドに足りないものが分かるかしら?」

「足りないもの?メンバーの欠員はいないし、設備もいい、メンバー同士の関係も悪くない...なんだ?」

「優秀なマネージャーよ。」

「マネージャー?」

「裏方も出来るのが好ましいわ。」

「それがどうしたんだ?」

「あなたをスカウトしたいわ。」

 

 チュチュはそう言った。

 

「スカウト?俺を?」

「yes.」

「なんでだ?俺は素人だぞ?」

「洞察力が素人のそれじゃないわ。

 大丈夫よ。パソコンとかは出来るかしら?」

「出来るぞ。」

「マネージャー、しないかしら?」

「うーん、時間がある時ならいいが、来れないときもあるかもだぞ?」

「No probrem.」

「なら、いいぞ。」

「Ok。頼りにするわ。」

「おう。」

「栄斗さんがマネージャーですか~。」

「だ、大丈夫なんですか、八舞先輩?」

「大丈夫だぞ。」

「手間が省ける。よろしくな、八舞。」

「よろしくね、八舞君。」

「あぁ、よろしく。」

 

 こうして、RASのマネージャーをすることになった。

________________________

 

「__今日は解散よ。練習日はまた連絡するわ。」

 

 俺は帰る用意をしていた。

 

「ねぇ、八舞君。」

「?どうした、和奏?」

「聞きたいことがあるのだけど。」

「なんだ?」

「...さっきから顔色が悪い気がするのだけど、どうしたの?」

「...」

「昔も体育、してなかったし。」

 

 和奏がそう聞いてきた。

 

「...仕方ない。和奏には隠せなさそうだから教えてやる。」

 

 俺は和奏の耳に口元を寄せて

 

「俺は___だ。」

「!?」

「じゃあな。」

「ちょ、ちょっと待って!」

「まだ、大丈夫だ。」

 

 俺は建物を出た。

 

「__まだ、大丈夫。」

 

 俺はそう呟き、帰路についた。

 




感想などお願いします!

皆さん、RASは好きですか?
私事になりますが、自分は好きです。
特にマスキングこと、ますきさんが。


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第4話

日菜ルート4話です!


「__あれは、羽沢?」

「あ!おはよう、八舞君!」

「何してるんだ?」

「今日は生徒会のお仕事なんだ!」

「生徒会か、大変そうだな。」

「そんなことないよ!やりがいもあるし!」

「そうか、まぁ、頑張れよ。」

「うん!また後でね!」

「あぁ。」

 

 そう言って羽沢はどこかに行った。

 俺も教室に行った。

 

「...あ、今日、日直だった。

 職員室行かねぇと。」

 

 俺は職員室に向かった。

 

「__失礼します。日誌を取りに来ました。」

 

 俺は職員室に入った。

 

「失礼します!」

「...え?羽沢?」

「あ、八舞君。今日は日直なの?」

「あ、あぁ。」

 

 俺は驚いていた。

 

「(待て、さっき羽沢が向かった方向は職員室と真逆だぞ?しかも、俺はここに来るまでそんなに時間はかかってない。)」

「?どうしたの?」

「...いや、なんでもない。」

 

 俺は考えるのをやめた。

 そして、俺は職員室を出た。

 

「...てか、日菜さんは何してるんだ?」

「__あ!栄くーん!」

「日菜さん。」

 

 日菜さんが手を振りながらこっちに来た。

 

「おはよ!」

「おはようございます。

 早速ですが、一つ聞いてもいいですか?」

「ん?何々?」

「日菜さん、いつ学校に来ましたか?」

「さっきだよ!」

「生徒会の仕事、あったりしませんか?」

「仕事?......あ。」

「...忘れてたんですか?」

「...うん。」

「全く...。後で羽沢に謝ってくださいよ。」

「分かった...」

「あと、生徒会って手伝いとか募集してますか?」

「手伝い?」

「羽沢の負担があまりにも大きそうなので俺も手伝いますよ。」

「いいの?」

「はい。」

「じゃあ!つぐちゃんに聞いてみるよ!」

「お願いします。」

「じゃあ!またね、栄君!」

 

 日菜さんは走って行った。

________________________

 

「__おはよ、八舞。」

「美竹か。おはよう。」

 

 教室にいると美竹が来た。

 

「今日って何かあったっけ。」

「今日は通常授業だぞ。」

「そう。」

 

 その時、美竹のカバンからノートが落ちた。

 

「これは?」

 

 俺は好奇心でノートを開いてしまった。

 

「...」

「八舞?何見て...って、返して!」

 

 美竹はノートを取った。

 

「...見た?」

「...かっこいい文だったぞ?__痛!」

「...」

 

 美竹は無言で俺の足を踏んでる。

 

「わ、悪かった!だから、足をどけてくれ!」

「...八舞に辱められた。」

「誤解を生む言い方やめて!?」

「__おーす、二人とも...って、何やってんだ?」

「おはよ!二人とも!」

「おはよ~」

「...八舞に、辱められた。」

「「「え?」」」

「いや、だから誤解が__」

「おい、栄斗。」

「と、巴...?」

「何したかわからねぇが、男なら責任取ろうな?」

「だから、誤解だ!」

 

 俺の叫びはむなしく木霊した。

__それから、事情を説明した。

 

「__なるほど、そういう事か!」

「...やっと分かってくれたか。もう手遅れだが。」

「...ごめん。」

 

 俺はクラスで美竹を辱めた男、というイメージがついてしまった。

 

「...はぁ。」

「まぁまぁ~、そう落ち込まないで~」

「青葉...」

「モカちゃんには~とっておきの解決策があるのですよ~」

「何?それは何なんだ?」

「それは~いっその事二人が付き合っちゃえば~」

「余計にアウトだよ!美竹を見ろ...よ?」

「///」

「美竹...さん?どうして顔が赤くなってるんでしょうか?」

「蘭は超絶ピュアっ子だからね~」

「耐性がないんだよな蘭は。」

「可愛いよね!」

「...うっさい///」

「...(見た目との落差がすっごい。)」

「何見てんの?」

「...いや、なんでもない...です。」

「なんで敬語?」

 

 そうして、朝のちょっとした時間は過ぎていった。

________________________

 

 放課後だ。

 

「__今日は何もないから普通に帰ってるが。

 帰ったら何をするか。」

「八舞じゃねぇか。」

「ますき?」

「今帰りか?」

「あぁ。」

「なら。」

 

 ますきは俺に近づいてきた。

 

「ちょっと付き合えよ、八舞。」

「別にいいけど、どこに?」

「私のおすすめの店だ。」

「おすすめの店?」

「あぁ、ついてこいよ。」

「分かった。」

 

 俺はますきについて行った。

 

「__ここだ。」

「ここは...カフェ?」

「あぁ。ここのケーキが美味いんだ。」

「なるほど。えっと、店の名前は羽沢珈琲店か...って羽沢?」

「?どうした?」

「いや、クラスメイトに同じ苗字の女子が__」

「__あれ?八舞君?」

 

 噂をすればなんとやら。

 羽沢が来た。

 

「よう、また来たぞ。」

「あ!ますきさん!いらっしゃい!」

「あぁ。」

 

 俺たちは店に入った。

________________________

 

「__八舞は何にする?」

「ますきのおすすめは何だ?」

「私は...これだな。」

「じゃあそれと...紅茶あるのか?珈琲店なのに?

 まぁいいや、紅茶にしよ。」

「じゃあ、注文するぞ。」

「ご注文はお決まりですか?」

「あぁ。私が__」

 

 そうして注文が終わった。

 

「__はい!かしこまりました!

 少々お待ちください!」

 

 そう言って羽沢は厨房に行った。

 

「「...」」

 

 俺たちは無言になった。

 ますきと二人になるのが初めてだから何の話をすればいいかわからない。

 

「...なぁ。」

「?」

「八舞は、なんでRASのマネージャーになったんだ?」

「え?うーん...個人的にやってみたかったからかな。」

「そうか。」

「「...」」

 

 また無言になった。

 

「(...会話が切れた。どうしたらいいんだ?)」

「(話したいことは多いのに、八舞にどんな話題振っていいかわからねぇ...)」

「「...」」

 

 俺たちが無言でいると、羽沢が来た。

 

「お待たせしました!」

「あ、あぁ。ありがと。」

「ありがと。」

「いえいえ!ごゆっくり!」

 

 羽沢は他の仕事に行った。

 

「...まぁ、食べよう、ますき。」

「...あぁ。」

 

 俺たちはケーキを食べ始めた。

 

「美味い...♪」

「ますき?」

「!い、いや、なんでもねぇ。」

「...ますきはケーキが好きなんだな。」

「...わりぃか?」

「いや、可愛いなと思って。」

「はぁ!?」

「?」

「ちょ!お前!今!」

「?可愛いってやつか?あれは本心だぞ。

 ますきはかっこよくて可愛いなって。」

「...」

「ますき?」

 

 ますきは顔をそらしている。

 

「...調子が狂うやつだ...」

「?」

「しかも、無自覚かよ...全く。」

 

 ますきはため息をついた。

 

「なんか落ち着いた。」

「そうか?あ、食い終わったな。会計を__」

「待て」

「?」

「私が払う。」

「え?いや__」

「分かったな?」

 

 ますきから威圧感を感じる。

 

「...分かった。」

「これ、私からのマネージャーの歓迎だから。」

「!」

「...そんだけだ///」

「(...ますきって意外と素直だよな。)」

 

 俺はそんな事を思っていた

 

「(俺は少しでも報いるために、真面目に働くだけだな)」

「__おい、出るぞ。」

「分かった。」

 

 俺たちは店を出た。

________________________

 

「__あ!栄君だ!」

「日菜さん?なんでここに?」

「...確か、パステルパレットの。」

「あ!狂犬さんだ!」

「...狂犬?__って、ますき?!」

 

 ますきは急に走り出した。

 

「おい!どこ行くんだ!」

「わりぃ。」

「おい!待て__って行っちまった。」

 

 ますきの姿はすぐに見えなくなった。

 

「私、悪いこと言っちゃった...?」

「日菜さん、狂犬って何のことですか?」

「えっと__」

 

 日菜さんから狂犬についての話を聞いた。

 

「...手数を勝手に増やして、色んな所から手放された?」

「うん、そう聞いてるよ。」

「まさか。」

「栄君?」

「ますきはそれをコンプレックスと思ってるかもしれないです。」

「え?!じゃ、じゃあ、私...」

「それはもう仕方ないですよ。

 異名的なものになっていたんですから。」

「でも...」

「後は俺の方でどうにかします。」

「大丈夫なの?」

「はい。」

 

 俺のすることが決まった。

 

「(ますきを助ける。)」

 




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第5話

日菜ルート5話です!


「__来たぞ、チュチュ。」

「Hello,エイト。」

「俺はまず何からすればいい?」

「まずは__」

 

 あれから三日が経った、

 俺はRASの練習に来ていた。

 そして、チュチュに仕事の説明を受けてる。

 

「__以上よ。」

「了解。じゃあ、まずは機材の準備からな。」

「YES」

「じゃあ、行ってくる。」

 

 俺はスタジオに行った。

 

「__えっと、これはここで。

 これは...」

「あ、八舞君。」

「よう、和奏。」

「こんなに早く来て、仕事熱心なのね?」

「普通じゃないか?」

「そうかな?」

「あ!エイトさんにレイさん!」

「パレオ...って、髪の色変わってないか?」

「そこに気付きましたか!」

「いや、気付くに決まってるだろ。」

「これはですね~パスパレのライブの準備なんですよ~!」

「パスパレ?確かアイドルバンドだったか?」

「はい!皆かわいくて__」

「あー、長くなりそうだから後で聞くな。」

「そうですか?」

「...それより、六花は買い出しに行ったからわかるが、

 ますきが来てないな。」

「そういえば...どうしたのかしら?」

 

 俺たちが噂をしてると

 

「__遅れた。」

「ますき?遅かったわね?」

「わりぃな。」

「大丈夫ですよ、まっすーさん!

 練習はまだ始まってません!」

「そうか。」

「よう、ますき。」

「...八舞か。」

「あぁ。それよりも大丈夫か?」

「...大丈夫だ。」

「そうか。(この顔、大丈夫ではないな。)」

「お、お待たせしました!」

「六花。大丈夫だから落ち着け。」

「そうよ?ますきも今来たところだし。」

「そうだぞ。」

「そ、そうなんですか?よかった...」

「全員揃ってるわね?じゃあ、練習をスタートするわよ!」

 

 そうして練習が始まった...が、

 

『__マスキング!また遅れてるわよ!』

「...わりぃ。」

「(やっぱり調子が悪そうだな。いや、これは...)」

 

 俺は考えた。

 

「なぁ、チュチュ。」

「どうしたの?」

「今日の練習はここまでにしよう。

 調子が悪いときは誰にでもある。」

「...そうね。」

 

 チュチュはマイクを持って

 

『今日の練習はここまでよ。

 体調を整えて。』

 

 そう言って、練習が終わった。

 

「__ますき?どうしたの?」

「...何がだ?」

「調子、悪かったでしょ?

 ますきらしく無かったわよ?」

「らしいって、なんなんだ?」

「え?」

「...いや、なんでもねぇ。

 今日は悪かった、帰る。」

「ちょっと!ますき!」

 

 ますきは部屋を出た。

________________________

 

「_はぁ、何やってんだ、私は...」

「ますき。」

「!...八舞か、何か用か?

 言っておくが前の事は__」

「俺と遊びに行かないか?」

「は?」

 

 ますきは呆気にとられた顔をした。

________________________

 

 俺たちは今、ゲームセンターにいる。

 

「おー、うるさいなー」

「いや、なんで来たんだよ。」

「いや、気晴らしするならここって、

 近所のおばあちゃんが言ってたから。」

「...どんな、ばあちゃんだよ。」

「まぁ、遊ぼうぜ!ますき!」

「...仕方ねぇな。」

 

 俺たちは色んなもので遊んだ。

 レースゲーム、メダルゲーム、シューティングゲーム。

 

「__次、あれしないか?」

「モグラたたき?」

「あぁ。したことがなくてな。」

「言っておくが、私、結構強いぞ?」

「楽しみだ。」

 

 俺はモグラたたきを始めた。

 

「__おらぁ!」

 

 ますきが振ったハンマーはモグラに当たらない。

 挙句の果てには、

 

『ざ~んね~ん!』

 

 なんてあおりも加えてくる。

 

「くっそ!むかつくな!」

「ますき、これも使え。」

 

 俺はもう一つのハンマーを渡した。

 

「よし、これでこいつらを__」

 

 それから、モグラたたきは激しさを増した。

 

「__ふぅ。」

「おー。お見事。」

「ふん、当然だ!」

 

 ますきはご満悦みたいだ。

 

「八舞、次は何行く?」

「うーん、あ。」

「?」

「俺の頼みを聞いてくれないか?」

「頼み?」

「ついて来てくれ。」

「?あぁ?」

 

 俺たちはある場所に向かった。

________________________

 

「__ここだ。」

「ライブハウス?」

「あぁ。入ろう。」

「おい!八舞!」

 

 俺たちはライブハウスに入った。

__それから、ある部屋に入った。

 

「__これは...」

 

 入った部屋にはドラムがセットされてた。

 

「俺の頼みは、ますきの演奏を聞かせてほしいんだ。」

「...なんでだ?」

「俺が聞きたいからだ。」

「...嘘だな。」

「?」

 

 ますきはそう言った。

 

「あの時の私を見て、気を使ってんだろ?」

「あれ?ばれた?」

「いや、この状況で気付かない方がおかしいだろ。」

「そうだな。」

「悪いが、私は__」

「でも、俺が聞きたいのは本当だぞ?」

「は?」

「ますきのドラム、一回しか聞いたことないけど好きだからな。」

「...それも__」

「ますきが傷ついてるのは分かるぞ。」

「!」

「狂犬と呼ばれて、色んなバンドから手放されて、孤独を味わってきたんだろ?」

「...」

「だから、RASでは演奏を遠慮してる。」

「!!」

「所謂、入ってるってのが、ますきの純粋な演奏だろ?」

「...あぁ。」

「だから俺はそれを聞きたいんだ。」

 

 ますきはうつ向いてる。

 

「お前に何が...」

「...」

「お前に何が分かるんだよ!」

 

 ますきはそう言った。

 

「私には今まで居場所がなかった、手数が増えちまうからメンバーには煙たがられるし、それが原因で辞めさせられたりもした。」

「...」

「だから、RASが私を拾ってくれた時は嬉しかったんだ!だから、もう、同じ失敗は出来ねぇ...」

 

 ますきは目に涙を浮かべてる。

 分かりずらいが、ますきは繊細なんだろう。

 そのために自分を隠したがる。

 でも

 

「...それで、ますきは楽しいか?」

「っ...」

「周りに合わせるだけのドラム。

 それは、ますきのドラムって言えるのか?」

「...」

「純粋にドラムを楽しむ気持ちはなくなったか?

 ますきにとって、ドラムは仕事にでもなったのか?」

「そんなこと...」

「だったら、聞かせてくれよ。

 佐藤ますきの純粋なドラムってやつを。」

 

 俺はますきを見据えてそう言った。

 

「...いいぜ。やってやるよ。」

「ますき...!」

「ただし!」

「?」

「ついて来れなくなって、倒れるんじゃねぇぞ?」

「!...上等だ。」

「じゃあ、やるぞ!」

 

 そうして、ますきの演奏が始まった。

 

 その演奏はさっき練習で聞いたものとはまるっきり違う、荒々しいく暴力的、まさに狂犬だ。

 でも、この中には確固たる技術がある。理にかなった動き、音。

 何よりも、

 

「(...楽しそうに叩いてるな。)」

 

 ますきの楽しそうな笑顔が一番の違いだ。

 

__そうして、演奏が終わった。

 

「__ふぅ...」

 

 俺は拍手を送った。

 

「すごいな。最高だった。」

「八舞...」

「ますきはこれでいい。」

「!?」

「激しい演奏だった。まるで腹を殴打されてるみたいだった。」

「...」

「でも、聞いてる側には充実感がある。」

「!」

「ますきはますきだ。どこでも自分らしくだラムを叩いたらいいじゃないか。」

「八舞...」

「あと、あの笑顔、最高だったぞ!なんというか...」

「?」

「可愛かったぞ!」

「!?///」

「だから__」

「分かった!もういい!」

「そうか?」

 

 ますきは慌てて俺の発言を止めた。

 

「...ありがとな、八舞。」

「おう。」

 

 ますきは静かにそう言った。

 迷いはなくなったみたいだ。

 

「...それと。」

「?」

「可愛いってのは、本当、なのか?」

「?あぁ。」

「...そうか///」

「どうした?」

「なんでもねぇよ、バカ八舞。」

「?そうか。」

「じゃ、私は帰る。」

 

 ますきは扉の方に行った。

 

「...八舞。」

「ん?」

「次の練習から覚悟しとけよ!」

 

 ますきは飛び切りの笑顔でそう言った。

 

「あぁ...!」

「ふっ、じゃあな。」

 

 そう言って、ますきは部屋を出た。

 

「......そろそろ、いいか。」

 

 俺はせき込んだ。

 

「はぁはぁはぁ、やばい無理しすぎたか。

 動き回るのは控えないとなんだけどな...でも。」

 

 俺は天井を見上げた。

 

「...ますきを救えたから、いいや。」

 

 俺は一人でそう呟いた。

________________________

 

 ”ますきside”

 

「__たく、八舞の奴...」

 

 ますきは言葉とは裏腹にうれしそうに歩いてる。

 

『可愛かったぞ!』

「...たく///」

 

 ますきはため息をついた。

 

「...漫画でしか見たことなかったが...」

 

 ますきは空を見上げて。

 

「(恋って、こう言うもんなんだよな...)」

 

 ますきは夕日を見て。

 

「...覚悟しとけよ、八舞!」

 

 そう叫んだ。

 

 これが『狂犬』佐藤ますきの恋の始まりだ。




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第6話

日菜ルート6話です!


 羽丘に来てから少し経ち、5月に突入した。

 

「__分からん!」

「私も...」

「おー苦労してますなー」

「どうしたんだ?」

「ひーちゃんとともちんの勉強だよー」

「勉強?何のだ?」

「中間テスト、一週間後だよ。」

「まじで?忘れてた。」

「おー八舞君もそっち側ですかなー?」

「お!栄斗も私たちの仲間か!」

「こっちにおいで~!!」

「...やめとけ。」

 

 俺は疑問に思った。

 

「二人って授業は真面目て受けてたよな?

 それなのに、なんで勉強できないんだ?」

「「うっ...」」

「あれ?」

「二人はー理解してないんだよー」

「え?」

「つまり、聞いてるけど、理解はしてない。」

「あはは...」

「なんでこの高校入れたんだ?

 そこそこのレベルのはずなのに。」

「それはー皆で同じ高校に行くために猛勉強したのですよー」

「あ、そういうことか。」

「もうだめだ...このままじゃ、あこと同じ学年になっちまう...」

「私もだよ~...」

「...まぁ、頑張れ。」

 

 こうして、朝の時間を過ごした。

________________________

 

 放課後だ。

 俺はRASの練習に来ていた。

 

「__今日はここまでよ。」

 

 そして、練習が終わった。

 

「マスキング!今日は素晴らしかったわ!」

「おう。」

「なんか、変わったね、ますき。」

「はい、すごくいいドラムでした!」

「流石まっすーさんですー!」

「...そうか。」

 

 ますきは照れてるみたいだ。

 俺たちはしばらく話していた。

 

「__そう言えば、どこの高校もそろそろテストじゃないか?」

「!!」

「ますき?どうした?」

「な、なんでもねぇよ。」

「...まさか、勉強苦手なのか?」

 

 そう言うと、ますきの肩がはねた。

 

「な、なんだよ!」

「ますき、勉強、手伝おっか?」

「...頼む。」

「俺も手伝うか?」

「八舞もか?お前、勉強どうなんだ?」

「そうだなー、授業は聞いたことない。」

「は?」

「え?」

「?」

 

 和奏とますきは固まった。

 

「え?それ、大丈夫なの?」

「何がだ?」

「それで、赤点取らねぇのか?」

「うーん...ないな。」

「ちなみに学年で何位だった?」

「一位だったな、ずっと。」

「はぁ!?一位?!」

「?あぁ。

 確実に一位になる方法があるからな。」

「な、何?!そ、それは、なんなんだ...?」

「わ、私も気になる...」

「まぁ、次のテスト結果見ればわかるよ。」

 

 俺は笑いながらそう言った。

________________________

 

 テストが終わり、テスト結果が返ってきた。

 俺はRASの練習に来ていた。

 

「__ますき、テストはどうだった?」

「...なんとか、なった。」

「まぁ、教えた分には大丈夫そうだったからな。

 和奏は?」

「いつも通りだったわ。」

「9位か。いいじゃないか。」

「それで、八舞君は?」

「一位だったな。」

「一位になる方法ってやつか?」

「あぁ、そうだぞ。」

「それはなんなんだ?」

「こういう事だ。」

 

 俺は二人にテスト結果を見せた。

 

「「え?」」

「?」

「ぜ、全教科、満点...?」

「う、嘘だろ...?」

「ほんとだぞ?それよりどうだ?」

「ど、どうって?」

「それなら、確実に一位になれるだろ?」

「いや...」

「普通じゃできねぇよ!」

「そうなのか?日菜さんも満点だったけど。」

「え?!日菜さん?!」

「パレオ?どうした?」

「日菜さんて、パスパレのギターの氷川日菜さんですか?!」

「パスパレ?それは分からんが、氷川日菜で間違いはない。」

 

 さっきからパレオのテンションが高い。

 

「氷川日菜さんは天才ギタリストとして有名なんですよ!」

「日菜さんが?想像が付かないな。」

「すごいんですよ!」

「へぇ。今度聞いてみよ。」

「話したことあるんですか?」

「活動は少ないが同じ部活だからな。

 まぁ、何もしなくても向こうから近づいてくるが。」

「う、羨ましい...!サインとか貰ってきてくださいよ!」

「あ、あぁ、いいぞ。日菜さんも断りはしないだろうし。」

「やったー!栄さん大好きですー!」

「!?」

「そうかそうか。...って、どうした?ますき?」

「な、なんでもない。」

「?そうか?」

 

 ますきの様子が少しおかしかったが、

 俺たちはいつも通りの日常を過ごした。

________________________

 

 学校に来た。

 

「__栄くーん!」

「あ、日菜さん。」

「おはよ!」

「おはようございます。」

 

 今日も案の定、日菜さんが来た。

 俺は昨日の疑問をぶつけてみることにした。

 

「日菜さんってギターやってるんですか?」

「え?どうしたの、急に?」

「昨日、パスパレのファンの子に聞いたんです。」

「それでか~。うん!私はギターをしてるよ!」

「天才ギタリストでしたっけ?」

「うん!皆そう言ってるよ!

 でもね!お姉ちゃんの方がずーっとすごいんだよ!」

「よく聞く、氷川紗夜さんですか?」

「うん!」

 

 日菜さんは嬉しそうにうなずいた。

 

「いつか機会があれば聞いてみたいですね。

 ...あ、」

「ん?どうしたの?」

「サイン、貰えませんか?」

「え?」

「さっき話したファンの子が欲しいらしくて。」

「そうなの?いいよ!」

「ありがとうございます。」

 

 俺は日菜さんにサインをもらった。

________________________

 

 放課後だ。

 今日はRASの練習がないので、俺は家に帰った。

 

「__ん?日菜さんから?」

 

 気づいたら日菜さんからメッセージが来ていた。

 

『栄君!来週の日曜日、天体観測に行くよ!』

 

 という内容だった。

 多分、部活動だろう。

 俺は『わかりました。』と送った。

 

「...準備しないとな。」

 

 俺は準備を始めた。

________________________

 

 RASの練習だ。

 

「パレオ。」

「はい?」

「この前欲しいって言ってたサイン、貰っておいたぞ。」

「え?本当だったんですか?」

「あぁ。ほら。」

 

 俺はパレオにサインを渡した。

 

「ほ、本物だ...!」

 

 パレオはすごく笑顔だ。

 

「ありがとうございます!栄さん!」

「あぁ。このくらいお安い御用だ。」

 

「__なぁ、レイ。」

「どうしたの?」

「あの二人、仲いいな。」

「...もしかして、嫉妬してる?」

「そんなことねぇ!///」

「どうしたんだ?大きな声出して?」

「や、八舞!?///」

「えーっと、ますきが__」

「わー!やめろよ、レイ!///」

「発声練習ですか?」

「ちげぇよ!」

「じゃあ、どうしたんだ?」

「そ、それは、その...///」

「?」

「えっと...八舞のバカ!///」

「ちょっと!ますき?!」

「まっすーさん?!」

 

 ますきは部屋を飛び出していった。

 

「...なんで、バカって言われたんだ?」

「さぁ?何でだったんでしょうか?」

「...はぁ。」

「どうした、和奏。」

「あれよ、ますきはパレオに嫉妬してたのよ。」

「嫉妬ですか?」

「なんでだ?...って、まさか!」

「!わかったの?」

「あぁ、パレオに嫉妬した、つまり...」

「「つまり...?」」

「__ますきもパスパレのファンだったんだ!

 つまり、ますきもサインが欲しかった...そういう事だ!」

「な、なるほど...!それならつじつまが合いますね!」

「...(ますき、ごめんね...)」

「よし、ますきの分のサインも貰いに行くか!」

「そうですね!私もまっすーさんとお話してみます!」

「...大変だね、ますき...」

 

 レイは遠い目をした。

 




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第7話

日菜ルート7話です!


「__ますき?」

「...どうした?」

 

 俺はRASの練習に来るなり、ますきに話しかけた。

 

「この前は悪かった。ますきの気持ちもわからないで...」

「!?」

「確かにパレオだけじゃ嫉妬もするよな。」

「お、お前、まさか気付いて...?///」

「あぁ...だから、俺は責任を取ってきた!」

「!?///」

「これを、受け取ってくれ。」

「や、八舞!?///」

 

 俺が出したものは...サイン色紙だった。

 

「...」

「いやー、まさか、ますきもパスパレのファンと思わなくてな。

 だから、日菜さんに頼んでサイン、貰ってきたぞ!__いてぇ!」

 

 何故かますきに脛を蹴られた。

 

「...はぁ、期待した私がバカだった...」

「なんで...?」

「八舞ってそういうやつだったよな...」

「気に入らなかったのか?

 ますきのために貰って来たんだが、どうしようか。」

「待て、八舞。」

「?」

「それは、私のために貰って来たのか?」

「?あぁ。」

「...なら、貰う。」

「え?うん。」

 

 俺はますきに色紙を渡した。

 

「...♪」

「(機嫌、直ったのか?)」

 

 よく理解できなかったが、ますきの機嫌は直ったみたいだ。

 

「__あ、チュチュ。」

「どうしたの?」

「今日、予定があるから少し先に帰ってもいいか?」

「いいわよ。あなたはいつも、よく働いてくれるし。」

「さんきゅ。」

 

 そうして、時間は過ぎていった。

________________________

 

 俺はRASの練習を早引きし、駅前に来た。

 目的は...

 

「__栄くーん!」

「あ、日菜さん。お疲れ様です。」

「うん!」

 

 天体観測の待ち合わせだ。

 

「じゃあ!行こっか!」

「はい。」

 

 俺たちは電車に乗った。

________________________

 

「__そーいえばさー」

「はい?」

「最近、栄君、私に良くサイン貰いに来るよねーどうしたの?」

「あー、日菜さんの、と言うよりパスパレのファンの子がいまして。」

「へぇ~。どんな子なの?」

「うーん、髪がカラフルな子とかっこいい子ですね。」

「カラフル?...あ!」

「ん?」

「この子、いっつも最前列で見てる子だー!」

「(パレオってそんなに熱狂的なファンだったの?!)」

「ライブに合わせて髪の色変えててね~すごいな~って!」

「...そういえば、またピンクと水色になってたような...」

 

 俺はパレオの髪が少し心配になった。

 俺たちはしばらく電車に揺られながら話した。

 

「そう言えば、日菜さん?」

「ん~?」

「俺以外の部員っていないんですか?」

「いないよ~」

「え?」

 

 俺は驚いた。

 

「部活って人数いないと認められないんじゃ?」

「ふふ~ん!私、生徒会長だから!」

「あ...(察し)」

「良い事思いついた!」

「?」

「栄君も生徒会入りなよ!」

「え?いや、それは流石に無理でしょう。」

「うーん...出来ると思うんだけどな~」

「まぁ、出来るなら考えておきます。」

「そう?じゃあ、やってみるよ!」

「はい。」

 

 そうしてる内に目的地に着いた。

________________________

 

「__夜の山って不気味ですね。」

「そう?私はるん♪ってする!」

「そうですか。」

 

 俺たちは山を登っていた。

 

「そう言えば、なんで山なんですか?

 天体観測なら屋上とかでも出来たでしょうに。」

「うーん、るん♪ってきたからかな!」

「まぁ、山から見る星は綺麗と思うので、

 いいんですけどね。」

「そうだよね!」

 

 俺たちはしばらく歩いた。

 

「...日菜さん、道がなくなったんですが。

 それに、深入りしすぎな気が。」

「そう?」

「こんなに深い場所なら、シーズン的に熊がいたりして。」

「そんなまさかー__」

 

 ガサガサ!

 近くの草が揺れた。

 

「「...」」

 

 俺たちの目には、

 それは巨大なクマが写っていた。

 

「...やばくないですか?」

「うん、やばいね。」

「熊が襲ってくる理由って驚いてるかららしいです。」

「うん、知ってるよ?」

「なので、静かに離れましょう。

 出来るだけ音をたてないように。」

「う、うん...」

 

 俺たちは慎重に歩きだした。

 

「...まだ、こっちには気づいてません。

 多分、食べ物でも探してるんでしょう。」

「うん__」

 

 バキバキ!

 

 日菜さんが枝を踏んづけてしまった。

 この音は静かな山で熊に方向を伝えるのに十分すぎた。

 案の定、熊はこちらに向かってきた。

 

「!__逃げますよ!日菜さん!」

「栄君!」

 

 俺たちは走り出した。

 

「早すぎだろ!」

「お、追いつかれちゃう...!」

「クソ!どこか...あ、あれだ!」

「栄君?」

「日菜さん、何かあったらすいません!」

「え?__きゃ!」

 

 俺たちは近くにあった大きな草の中に隠れた。

 

「__え、栄君...?」

「しっ。静かに。」

「///」

 

 熊は近くにいる。

 

「(ど、どうだ...?)」

 

 熊の足音が離れた。

 

「行ってくれたか...」

「え、栄君?///」

「まだ静かにしててください。

 まだ向こうの視界の中にいるかもしれない。」

「(は、恥ずかしいよ...///)」

「(見えた。こっちには関心はないみたいだ。

 そのまま離れてくれ)」

 

 しばらくすると、熊は森の奥に行った。

 

「...ふぅ、熊はなんとかまけました。」

「う、うん...///」

「日菜さん?どうしたんですか__?!」

 

 俺は今の状況を整理した。

 まず、俺は今、日菜さんを押し倒してる、

 そして、枝か何かに引っかかったのか服が破れてる、

 そして、日菜さんは顔を赤くしてる。

 ここから導き出される答えは...

 

「す、すいませんでした!」

「う、うん///」

 

 俺たちは草から出た。

 

「__ほんとにすいませんでした...

 テンパりすぎて日菜さんへの配慮が足りてませんでした。」

「だ、大丈夫だよ!栄君のお陰で助かったんだからさ!」

「そうですか...」

「(どうしたんだろ、私?さっきからドキドキしてる...

 熊に追いかけられてたから?走ったからかな?)」

「__日菜さん、あそこに開いた場所がありますよ!」

「え?」

「行きましょう。」

 

 俺たちは開けた場所に向かった。

 

「__山頂、みたいです。」

 

 俺たちが着いたのはこの山の山頂だった。

 空には無数の星が輝いてる。

 

「登山のルートがある、よかった。正規のルートに戻れましたね。」

「うん。ごめんね...私のせいで...」

「日菜さん?」

 

 日菜さんは珍しく落ち込んでいる。

 

「...日菜さん、空を見てくださいよ。」

「空...?」

「綺麗な星空が見えるでしょう?」

「うん...」

「この景色が見れるのは誘ってくれた日菜さんのお陰ですよ。

 あのくらいのアクシデント、問題ないですよ。」

「栄君...」

「天体観測するんでしょう?

 しましょう。」

「!...うん!」

 

 俺たちは天体観測を始めた。

 

「__すっごく綺麗だねー!」

「そうですね。」

 

 日菜さんの元気が戻った。

 

「...でも、星って悲しいですよね。」

「悲しい?なんで?」

「今、見えてる星のほとんどは死んでる星ですから。

 こんなに輝いてる星が死んでるなんて、悲しいなと。」

「栄君...?」

「...ほんと、俺と似てる。」

「え?」

「いえ、なんでもないです。」

「う、うん。

 (栄君の今の顔...栄君は何を思ってたの?

 私には分からないよ、でも、今の栄君、

 なんて言うか、消えちゃいそうな、そんな風に見えた...)」

「どうしました?」

「なんでもないよ!それよりも星は綺麗だねー!」

「そうですね。」

 

 日菜さんはまた、はしゃぎだした。

 

「__ねぇ!栄君!」

「はい?__!?」

 

 俺が見た日菜さんは美しかった。

 日菜さんの笑顔はどんな星よりも輝いてる。

 

「星ってさ、どうしてこんなに綺麗なの!」

「...わかりません。」

「私は分かったよ!」

「え?なんですか?」

「それはね~__」

 

 日菜さんは飛び切りの笑顔で...

 

「__栄君と見てるからだよ!」

 

 と、言った。

 その時、俺の心臓は飛び跳ねた。

 

「(なんだ、これは...?)」

 

 動悸が激しい。でも、いつものじゃない。

 俺には理解できなかった。

 

「(私、分かった!私、栄君が好きなんだ。///

 だから、こう思うの!__)」

「日菜さん?」

「また、栄君と、星が見たいな!」

「...いいですよ。」

 

 それから、俺たちは、しばらく星を眺めた。

________________________

 

 俺たちは帰ってきた。

 時刻はもう遅い。

 

「__今日はありがとね!栄君!」

「いいですよ。」

「送ってくれありがと!」

「この時間に一人は危ないですからね。

 それじゃあ。」

「うん!バイバイ、栄君!」

 

 日菜さんは手を振っていた。

 俺は家に帰った。

 

________________________

 

 俺は家に帰ってきた。

 

「__ただいま__?!」

 

 俺は床に倒れた。

 

「う、うぅぅぅ!!!」

 

 俺は床を張って行った。

 

「(や、やばい、薬、飲まねぇと。)」

 

 視界が歪んできた。

 

「も、もう少し...」

 

 俺は何とか薬のある場所にたどり着いた。

 

「__ンぐ...ふぅ...助かった。」

 

 なんとか落ち着いた。

 

「...もう、カウントダウンは始まってるのか。」

 

 俺は椅子に座った。

 

「この心音一つ一つが__

 俺の死へのカウントダウン、か。」

 

 俺はそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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第8話

日菜ルート8話です!


 天体観測から少し経って、7月になった。

 今は昼休みだ。

 俺は三年のみんなと弁当を食べていた。

 

「__あ!栄君のお弁当、美味しそー!」

「そうですか?何か食べます?」

「え!いいの?」

「いいですよ。なにがいいですか?」

「うーん、じゃあ、卵焼きがいい!」

「はい。」

 

 俺が弁当箱を差し出すと、

 

「栄君が食べさせて!」

「え?」

「ひ、日菜?!」

「日菜さん?!」

「...?」

「儚い...」

 

 周りの皆は驚いてるみたいだ。

 

「じゃあ、箸貸してください、日菜さん。」

「うん!」

 

 日菜さんから箸を受け取った。

 

「じゃあ、どうぞ。」

「あーん!」

 

 日菜さんは卵焼きを食べた。

 

「どうですか?」

「美味しー!」

「そうですか。」

「なんて言うか、バビューンって感じ!」

「わ、私たちにはちょーっと分からないかなー?」

「そ、そうっすね...」

「?どうしたの、二人とも?」

「...ねぇ、日菜と八舞君って付き合ってるの?」

「えぇ?!///な、何言ってるの、リサちー!?///」

「だって、ねぇ?」

「お弁当、食べさせてもらってましたし...」

「何が不思議なの?私もリサに良くしてもらうわ。」

「いや、そうじゃなくてね?」

「まだ付き合ってないよー!///」

「まだ?」

「もう!リサちー!」

「あはは、ごめんごめん!」

「(...付き合うか。俺には縁のない話だな。)」

 

 そして、話が切り替わった。

 

「__そー言えばさ、夏休みとかって皆予定あるの?」

「私たちは練習でしょう?」

「私はまだ分かんなーい。」

「ジブン達はいくつか収録がありますよ!」

「そうだっけ?」

「私は、演劇部かな。」

「俺はRASの練習以外の予定はないですね。」

「え!そうなの?!」

「?はい、日菜さん。」

「じゃあ!遊びに行こうよ!」

「いいですよ。」

「ちょっと待って。」

「今井さん?」

「今、すっごい自然な流れでデートの約束しなかった?」

「デート?遊びに行くだけですよ?」

「いやいやいや!」

「リサ、様子が変よ?どうしたの?」

「え?私がおかしいの?」

「今井さん、ジブンもおかしいと思ってます。」

「儚いね...」

 

 今井さんの常識が守られたらしい。

 こうして、昼休みが終わった。

________________________

 

 少し経ち、夏休みに突入した。

 

「ねぇねぇ!栄君!」

「どうしたんですか?」

「今から遊びに行こうよ!」

「今からですか?まぁ、いいですよ。」

「じゃあ!行こ!」

「はい。」

 

 俺たちは学校を出た。

________________________

 

「__あれ?八舞?」

「あ、ますき。」

「こんにちはー!」

「お前は、氷川日菜だったか?」

「うん!そうだよ!」

「この前はサイン、ありがとな。」

「あ!パスパレのファンの子ってまっすーだったんだ!」

「あぁ。」

「栄君から聞いたんだー!」

「へぇ、八舞は何て言ってたんだ?」

「かっこいい子って言ってたよ!」

「...そうか。」

 

 俺は何の話をしてるかわからなかったが、

 仲良くなったみたいだ。

 

「それで、二人は何してたんだ?」

「今から遊びに行くの!」

「!?...二人で、か?」

「うん!」

「そうだな。」

「...」

 

 ますきは複雑な表情をしてる。

 

「まぁ、俺たちは行くよ。

 また練習でな。」

「あ、おい、八舞!」

「ばいばい!まっすー!」

「...八舞の野郎...」

 

 ますきは家に帰った。

________________________

 

 俺たちは色んな所で遊んだ。

 

「__んー!楽しかったー!」

「満足そうですね。」

「うん!いっぱい遊んだもん!」

 

 俺は日菜さんを家まで送っていた。

 

「__ん?」

 

 日菜さんの家に着くと、家の前でもめ事が起きていた。

 

「そこをなんとか!」

「日菜は今いません!」

「お姉ちゃん?」

「日菜!今は__」

「どうもこんにちは!氷川日菜さん!」

「...誰?」

「私は芸能事務所のものです。

 今回は氷川日菜さんを引き抜きしたく思いまして__」

 

 そいつは話し出した。

 内容はさっき言った通り。

 でも、意味は大きく違う。

 

「(内容は金になるから引き抜きたいってとこか。)」

「__それで、いかがでしょうか?」

「うーん...嫌かな。」

「!ど、どうして?!」

「だって、るんってこないんだもん。」

「い、いや、でも__」

「往生際が悪いぞ。」

 

 俺は話しに入った。

 

「日菜さんが断ったんだ、交渉の余地なんてないだろう。

 帰れ。」

「...また来ます。」

 

 男は帰って行った。

 

「ひっどい交渉だったな。」

「あの、あなたは...?」

「お姉ちゃん!この子が栄君だよ!」

「どうも、八舞栄斗です。」

「あなたが...」

 

 氷川さんはじっ俺を見ている。

 

「?」

「確かに日菜から聞いてた通りの人ですね。」

「そうなんですか?」

「えぇ。」

 

 それから、俺は帰った。

________________________

 

 今日はRASの練習だ。

 

「__ねぇ、八舞君?」

「どうした?和奏。」

「今日、ますきの機嫌が悪いんだけど、何か知らない?」

「うーん、分からんな。」

「そう言えば、氷川日菜ちゃんと一緒にいたって話が...」

「日菜さんと?あ、そういえば、あの時ますきと会ったな。」

「そうなの?」

「あぁ。でも、あの時は普通だったぞ?」

「うーん、あ、」

「どうした?」

「う、ううん!なんでもないよ!(多分、また嫉妬だよね、これ)」

 

 和奏がため息をついた。

 

「そう言えばなんだけど__」

 

 和奏が何かを言おうとした時、俺の携帯が鳴った。

 

「大和さん?」

『や、八舞さんっすか?!』

「どうしました?慌ててるようですが?」

 

大和さんはかなり焦ってるみたいだ。

 

『ひ、日菜さんがいなくなったっす!』

「なんですって?!」

『仕事の電話をかけても出ないんですよ!』

「ど、どういう事だ...?」

「どうしたの?八舞君?」

「日菜さんがいなくなった...」

「え?!」

 

 その時、俺の携帯に一軒のメッセージが来た。

 

「なんだ?...これは!」

『八舞さん?』

「大和さん、犯人が分かりました。」

『えぇ?!』

「多分、○○事務所にいます。」

『○○事務所って...この前、日菜さんの引き抜きに来てた...』

「そうです。...俺が行きます。」

『ちょ、ちょっと__』

 

 俺は電話を切った。

 

「どうした、八舞。」

「栄さんどうしました?」

「八舞先輩?」

「日菜さんが攫われた。助けに行ってくる。」

 

 俺は部屋を飛び出した。

________________________

 

 道に出ると、俺の身体に異変が起きた。

 

「__!!!くそ、なんでこんな時に...!」

 

 発作が起きてしまった。

 

「薬を取りに行く時間はない。

 日菜さんを!」

 

 俺はこの時自覚し、確信した。

 

「__俺は日菜さんが好きだ、そして__」

 

 俺はおおきく呼吸をして...

 

「__これが、俺の最後だ。」

 

 俺はそう覚悟し、走り出した。

 

「待っててください、日菜さん!」

 

 

 




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第9話

日菜ルート9話です!


「__ここか。」

 

 俺は事務所の前に来た。

 

「扉は...まぁ、空いてるわけないか。」

「八舞君!」

「...和奏?ますきもどうした?」

「顔色悪いよ?!大丈夫なの?!」

「...何の、事だ?」

「まさか__」

「和奏、それ異常は言うな。」

「でも、このままじゃ八舞君が...」

「何の話だ、二人とも?」

「ますきには話してもいい?」

「構わんぞ。一緒だ。」

「話すよ、ますき。」

「何をだ?」

「実は__」

 

 和奏はますきに俺の事を話した。

 

「__という訳なの...」

「そ、そんな...八舞はなんで...」

「それは...日菜さんが好きだからだ。」

「?!」

「だから、命を懸けてでも助けたいんだ。」

 

 俺は事務所に近づいた。

 

「...行ってくる。」

 

 俺は扉をこじ開けた。

________________________

 

「__どこだ、日菜さん。」

 

 俺は建物の中を探していた。

 

「それで、二人はなんでついてきた?」

「「...」」

「ここは危険だ。芸能事務所なんて多少の事はかき消せる、特に俺たちを不法侵入と言えば__」

「関係ないよ。私たちは八舞君の助けになりたい。」

「あぁ。(悔しい。八舞が氷川日菜を好きなこともだが、何より、八舞を止められない事が。)」

「ますき?」

「...八舞、頼みがある。」

「頼み?」

「出来るだけ、死なないでくれよ。」

「ますき?」

「私はまだ、お前に何も返せてないんだからな。」

「...運が良ければ。」

 

 俺たちは奥に進んだ。

 

『__やめて!』

「!日菜さんの声だ!」

「八舞君!」

「八舞!」

 

 俺は声のした方に走った。

 

「__ここだ。」

 

 たどり着いたのは、ダンスルーム的なところだ。

 俺は扉を開けた。

 

「__誰だ?!」

「よう、この間ぶりだな。」

「お、お前は!」

「え、栄君!」

「何しに来た!」

「日菜さんを助けに来た。

 大人しく返せ。」

「お断りだ。彼女はうちの社長が気に入っててね。

 このままいけば、俺の評価がうなぎのぼりなんだ!」

 

 欲望にくらんだ眼をしてる。

 日菜さんは顔色が悪い。

 

「お前、日菜さんに何をした?」

「少し...ね?」

 

 日菜さんの方をちらっと見た。

 そう言えば、服が乱れてる。

 

「抵抗されてたんだ。」

「...最低。」

「クズだな。」

「...」

 

 俺はこの時、何かが切れた。

 

「な、なんだ?__が!」

「...もう、喋らなくてもいい。」

 

 俺は男を殴り飛ばした。

 俺はさらに追撃した。

 

「ちょ__やめ__。」

「...耳障りだ。」

「!__ぎゃぁぁ!!」

 

 歯が折れたみたいだ。

 

「喋るなと言ったぞ、ゴミ。」

「お、折れ__ぎゃぁぁぁ!鼻、鼻がぁぁ!!!」

「(やばい...早く終わらせないと...)」

 

 俺は一旦距離を取った。

 

「ひぇ...?」

「これで__」

「__警察だ!」

「警察...?一体だれが?」

「八舞さん!ジブンっす!」

「大和、さん。」

「○○!お前を逮捕する!...って、これは...?」

「ひどい状態だな。」

「これを、あの少年がやったのか...?」

 

 警官は俺の方を見てる。

 

「__栄君!」

「日菜さん。」

「ありがとう...怖かった...」

「大丈夫ですよ。もう、終わりましたから。」

 

 俺は日菜さんを撫でた。

 

「...日菜さん。」

「どうしたの?」

「少し、離れて、くださ__」

「え...?」

 

 栄斗は大量の血を吐いた。

 

「はぁ...はぁ...クソ...」

「栄君!!!」

「八舞!!」

「八舞君!!」

 

 三人が栄斗に駆け寄った。。

 

「__さようなら、皆。」

 

 栄斗は意識を手放した。

________________________

 

 あの事件から2週間経った。

 

「__栄君、来たよ。」

 

 返事は返ってこない。

 

「ほんとに、寝てるみたい...」

 

 日菜は栄斗の頭を撫でた。

 

「寂しいよ...栄君...。

 なんで、こんな...」

 

 日菜は泣いてる。

 

「分かんないよ...栄君はなんで...」

 

 あれから、栄斗は目覚めていない。

 栄斗は進行度が進み過ぎたがんだった。

 ここ最近の出来事で体にかなりの負担がかかっていた。

 

「...お仕事あるから行くね?また来るからね。」

 

 日菜は病室を出た。

________________________

 

 ”日菜side”

 

「__お待たせしました。」

「日菜ちゃん?早いわね__?!」

「ヒナさん?!大丈夫ですか?!」

「うーん?だいじょーぶだよー」

「で、でも、すっごく顔色悪いよ?!」

「(日菜さんはあの出来事から、ずっと笑顔っす。

 八舞さんがいつ帰ってきてもいいように、と。

 でも...)」

 

 麻弥は日菜を見た。

 

「(日菜さん...)」

「?どうしたの、麻弥ちゃん?」

「いえ、なんでも...」

 

 麻弥は目をそらした。

 

「(日菜さん、何度泣きましたか?

 どれだけ、自分を責めたんすか?

 どれだけ...)」

________________________

 

 ”RAS”

 

「...」

 

 RASの雰囲気は殺伐としていた。

 

「...ますき、大丈夫?」

「...あぁ。」

「ますきさん...」

 

 ここ最近、ますきは口数が極端に減った。

 目の下のクマもひどい。

 

「マスキング、今日はもう終わりよ。」

「...あぁ。」

「ますき...」

「じゃあな、レイ。」

 

 ますきはスタジオを出た。

________________________

 

 ”日菜side”

 

 日菜は仕事を終えた後、すぐに栄斗の病室に来た。

 

「__よう、氷川日菜。」

「まっすー...」

「こいつは、まだ寝てるよ。」

「そう、だよね...」

 

 日菜は椅子に座った。

 

「「...」」

「...ほんと、いつまで寝てんだよ...」

「そう、だね。」

 

 二人は栄斗を見ている。

 その時、誰かが病室に入ってきた。

 

「__失礼します。」

「あ、先生。」

「どうも...」

「八舞君は...起きてないか。」

「はい...」

「まずいな...」

「え?」

「どういう事だ?」

「ここから、何もないと...」

「ないと...?」

「彼は1週間以内に、死ぬ。」

「「え...?」」

 

 二人が聞いたのは栄斗の死の宣告だった。

 




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第10話

日菜ルート10話です!


「__手術をします。」

「手術...?」

「はい。成功率は限りなく低いですが、

 最善を尽くします。」

「はい。」

「(八舞...)」

________________________

 

 ”日菜side”

 

「栄君...」

『日菜?いるの?』

「お姉ちゃん...?」

『入るわよ。』

 

 紗夜は日菜の部屋に入った。

 

「...全く、なんて顔してるの?」

「私、どんな顔してるの...?」

「そうね...ひどい顔、かしら?」

「そっか...」

「隣、座るわよ?」

「うん」

 

 紗夜は日菜の隣に座った。

 

「話は聞いたわよ、日菜。

 この前の彼、入院したらしいわね。」

「...うん。」

 

 日菜は元気がない。

 

「日菜?」

「なに?お姉ちゃん?__?!」

 

 紗夜は日菜を抱き寄せた。

 

「...悲しいのを我慢なんてしないで、

 私に話して。」

「お姉ちゃん...?」

「あなたには私がついてるわよ。」

 

 紗夜は優しくそう言った。

 

「...栄君が入院したのは私のせいなの...」

「...」

「私が攫われたとき、体は限界だったのに...助けに来てくれて...。

 他にも、いっぱい、栄君を振り回して...。」

「そんな事、彼は思ってないわよ。」

「お姉ちゃん...?」

「彼は日菜にずっとついて来てくれてたでしょう?」

「うん。」

「彼が振り回されてると思ってたら、ついて来てなんかくれないわ。」

 

 紗夜はそっと日菜の頭を撫でた。

 

「...私、栄君が好き。」

「そう。」

「だから、生きててほしい。」

「だったら、祈りなさい。

 そして、彼の近くにいてあげなさい。」

「...うん!」

「(八舞栄斗君、出来れば、日菜とこの先も...)」

 

 手術の日近づいてくる。

________________________

 

 手術の日になった。

 この日は今まで栄斗に関わった全員が来ていた。

 

「栄君...皆、来てくれたよ?」

「__そろそろ、お時間です。」

 

 栄斗の手術が始まった。

 

「栄君...」

「八舞...」

「ノープロブレム。」

「チュチュ?」

「エイトは期待に応えるわ。

 私の中では期待に応える天才よ。」

「ですよね~!チュチュ様!」

「八舞先輩はすごいんですよ!」

「そうだよ、日菜!」

「彼は日菜に並ぶ天才なのよ、大丈夫に決まってるわ。」

「儚い...」

「いや、儚かったらダメなんすよ!」

「(...神様、お願い...! 

 何でもするから、栄君を、助けて...!)」

 

 手術室のランプが点灯した。

________________________

 

 ”夢”

 

「んあ?ここは?」

「ここは夢だ。」

「あれ?俺?」

「あぁ。初めまして。」

「初めまして。それで、何の用で来たんだ?」

「お前、今、手術中だぞ?」

「え?なんで?」

「助かる可能性があるらしい。」

「え、マジか。俺めちゃくちゃかっこ悪いじゃん。」

「そうだな。喜べ。」

「まぁ、助かったら嬉しいよな。」

「氷川日菜の事か?」

「そうだ。」

「まぁ、それはいいとして。」

「?」

「お前は生きたいか?」

「生きたいよ。」

「なら、向こうに歩いていけ。」

「向こうに?」

「そっちが出口だ。

 さっさと行け。」

「そうか。じゃあ、行く。」

 

 俺は歩きだした。

 

「じゃあな、俺。」

「あぁ。」

 

 俺は光のほうに歩いた。

________________________

 

 ”日菜side”

 

 手術が始まってから、3時間が経過した。

 

「__手術が終了しました。」

「ど、どうでしたか...?」

「手術自体は成功しました。

 後は本人の気力次第です。」

「は、はい...」

「八舞君は病室に運んであります。」

 

 全員、栄斗の病室に向かった。

________________________

 

「__入ったら、分かるんだよね...?」

「あぁ...」

「お、起きてなかったりしたら...」

 

 無言になった。

 

「考えても仕方ないから、開けるよ...!」

 

 日菜は扉を開けた。

 

「__あれ?皆?どうしたんですか?」

「え、栄君...?」

「え?はい、俺ですけど?__って、うわ!」

 

 日菜は栄斗に抱き着いた。

 

「どうしたんですか?怖い夢でも見ましたか?」

「...うん。」

「そうですか。」

 

 日菜さんの頭を撫でた。

 

「どんな夢でしたか?」

「...栄君がいなくなる夢。」

「...すごい不吉な夢ですね。」

「よかった、よかったよ...」

 

 日菜は栄斗の胸に顔をうずめたままだ。

 

「俺はいなくなりませんよ、日菜さん。」

「うん、うん...!」

「だから、泣かなくてもいいですよ。

 日菜さんに涙は似合いませんよ?」

「...うん!」

 

 日菜は輝くような、笑顔になった。

 

「...」

「ますき?どこ行くの?」

「...帰る。」

「ますき...泣いてるの?」

「泣いてぇ...」

「八舞君に話しかけないの?」

「...いい。」

「なんで?」

「...あの二人の間に入る余地、ないからな。」

「まさか...」

「...八舞は氷川日菜のものだよ。」

「ますき!」

 

 ますきは出口の方に歩いて行った。

 その姿は狂犬と呼ばれたドラマーではなく、

 報われない恋をした、女の子、だった。

 

「...第二の人生、幸せにな。八舞。」

________________________

 

 少し、時が経ち、秋になった。

 

「__栄くーん!!」

「日菜さん...って、また抱き着いて来て。」

「だって...心配なんだもん。」

「はいはい。」

「安心するー...」

「あ!日菜いた!やっぱりここかー」

「あ、リサちーだ。どうしたの?」

「つぐみが探してたよー。早く行ってあげないと。」

「あ、生徒会の仕事!忘れてた!」

「早く行きなよー」

「むぅー。」

「羽沢が困りますよ?

 早く行かないと。」

「うーん、仕方ないかー。

 じゃあ、行ってくるよ!」

「はい。行ってらっしゃい。」

「また、来るからね!」

 

 日菜さんはそう言って走って行った。

 

「いやー、日菜は相変わらずだねー。」

「そうですねー。」

「そういえばさ!二人って付き合ってるの?」

「え?付き合ってませんよ?」

「へ?」

「?」

「あのやり取りしてたのに?」

「?いつも通りですよ?」

「...待って、頭痛くなってきた。」

「保健室、行きますか?

 お連れしますよ?」

「いや、いいよ。」

「そうですか。」

「(最近、日菜は八舞君に依存してるからねー。

 これからどうなるんだろ?)」

「どうしました?」

「なんでもないよ。」

 

 今井さんは頭を抱えている。

 

「じゃあ、友希那のとこ行くよ!」

「はい。」

「じゃあね!」

 

 今井さんは歩いて行った。

 

「...体軽いな。」

 

 俺はがんを乗り越えた。

 今は健康そのものだ。

 これからが俺の第二の人生だ。

 

 世の病気になった人も、最後まで自分を諦めずに戦って、打ち勝ってほしいな。

 乗り越えた先には、きっと、幸せがあるから。

 少なくとも、俺の世界は輝いてるよ。

 日菜さんって言う光があるから。

 

 

 

 

 

 

 




感想などお願いします!

この作品の本編が完結したら、メタ回的なものをしたんですが、
メタ回に使えそうな質問などないですか?
番外編のリクエストも募集しますので是非!


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第11話

日菜ルート11話です!


 季節は秋。

 秋の行事と言えば、なんだろう?

 

「__栄君!文化祭だよ!」

「文化祭、ですか?」

 

 日菜さんが突然、そう言った。

 

「うん!」

「楽しそうですね、日菜さん。」

「当り前だよ!だって__」

「?」

「今回は花咲川と合同で文化祭をするんだもん!」

「え?」

「ちなみに発案者は私だよ!」

「確か花咲川と言えば、お姉さんがいましたね。」

「うん!楽しみだなー!」

「日菜さんが楽しそうで嬉しいですよ。」

「栄君も思いっきり楽しんでね!」

「はい。」

「じゃあ!生徒会のお仕事に行ってくるねー!」

「行ってらっしゃい。」

 

 日菜さんは教室を出た。

 

「...ね、ねぇ、八舞?」

「どうした?美竹?」

「なんで、そんなに日菜先輩と仲いいの?」

「え?うーん...日菜さんだからじゃね?」

「そ、そう。」

「いやー!栄斗は大物だなー!」

「テストも満点だったしね~」

「ほんと!びっくりしたよ!」

「普通じゃないか?」

 

 そうして、ホームルームが始まった。

 

「__それでは!文化祭での出し物を決めたいと思います!」

「文化祭の出し物か、美竹は何かよさそうなのは...あるわけないか。」

「...失礼じゃない?」

「でも、ないんだろ?」

「うん。」

 

 それからしばらくして、候補が出そろった。

 候補に挙がったのは、

 おばけ屋敷、カフェ、メイド執事喫茶、だ。

 

「この中で決めていきます!」

「カフェとメイド執事喫茶、混合でよくないー?」

「あ、そうだね!」

 

 黒板を書き換えた

 

「それじゃあ!どっちがいいですか?」

「お化け屋敷は被りそうだから、メイド執事喫茶でよくね?」

 

 と、一人の男子生徒が言った。

 そして__

 

「それじゃあ!メイド執事喫茶で決定します!」

 

 俺のクラスの出し物はメイド執事喫茶になった。

________________________

 

「__ねぇねぇ!栄君!」

「どうしました?」

「栄君のクラスの出し物って何になったの?」

「俺のクラスはメイド執事喫茶になりました。」

「え?それって、栄君も執事するの?」

「そうですね。しますよ。」

「...」

「日菜さん?」

 

 日菜さんは黙り込んだ。

 

「...栄君。」

「はい?」

「絶対に栄君のクラス行くからね?」

「は、はい。」

「栄君が私の接客してね。」

「分かりました。」

「るん♪ってくるね!」

「俺もですよ。体がよくなって初めての文化祭ですから、楽しみです。」

 

 俺たちはしばらく話し込んだ。

 

「__そう言えば、栄君。」

「?」

「今回ね、私の主導で演劇をしたいの!」

「演劇ですか?」

「うん。それでね、栄君にも出てほしいの!」

「俺ですか?午後からなら自由なのでいいですよ。」

「うん!大丈夫だよ!それとね。」

「?」

「栄君の知り合いにも声かけてほしいんだー」

「俺の知り合いですか?」

「うん!」

「まぁ、少ないですが、誘ってみます。」

「お願いね!」

「はい。」

 

 その後、俺は家に帰った。

________________________

 

 今日から文化祭の準備期間だ。

 

「__さて、俺の知り合いかー...あ、あの子かな。」

 

 俺はある場所に向かった。

 

__一年の教室。

 

「__すいません、六花はいますか?」

「え?八舞先輩?」

「あ、六花。おはよう。」

「は、はい。おはようございます。

 今日は何のご用ですか?」

「実は六花に頼みがあってな。」

「頼みですか?」

「実はな___」

 

 俺は六花に事情を説明した。

 

「__という訳なんだ。」

「そういう事なら大丈夫ですよ!

 私もお昼から自由なんです!」

「そうか。ありがとな、助かるよ。

 それじゃあ、練習の事はさっきの通りだから、頼むな。

 チュチュには俺から言っとくから。」

「はい!」

「じゃあ、またな。」

 

 俺は自分のクラスに戻った。

________________________

 

「__あ!八舞君!」

「上原?なんだ?」

「八舞君の衣装だよ!早く着てみて!」

「あ、あぁ。」

 

 俺は衣装を受け取って着替えた。

 

「__良くできてるんだな。」

「うん~!似合う!」

「お!栄斗も着たのか!決まってるじゃねぇか!」

「...いや、巴には敵わん。」

「そうか?」

「あぁ。この中で一番かっこいいぞ。」

「いやー!照れるな!」

「巴はかっこいいよね~!」

「うん、悪くないね。」

「ともちん、イケメン~」

 

 巴の執事服は大人気だ。

 

 俺がそんな事を思ってると、日菜さんから連絡が来た。

 

『もしもし!栄君かな?』

「はい。どうしたんですか?」

『そろそろ練習だから、体育館に来て!』

「はい、わかりました。」

 

 電話が切れた。

 

「六花、忘れてるだろうから迎えに行くか。」

 

 俺は制服に着替えて、一年の教室に向かった。

 

「__六花。」

「八舞先輩?」

「もうすぐ時間だが、抜けられそうか?」

「はい!大丈夫です!」

「じゃあ、行こうか。」

「はい!」

 

 俺たちはある教室に向かった。

________________________

 

「__お待たせしました。」

「あ!八舞君じゃん!」

「今井さん、どうも。」

「私もいるわ。」

「湊さんまで?こういうのには参加しないイメージだったんですが?」

「...リサが来いって言うから仕方なくよ。」

「あはは~」

「なるほど。」

「やぁ、栄斗。」

「薫さんですか?」

「あぁ。お姫様に呼ばれてね。」

「薫さん、この人は?」

「あぁ、花音。この子は栄斗だ。」

「えっと、八舞栄斗です。」

「こ、こんにちわ!花咲川から来ました松原花音です!」

「松原さんですね。薫さんに呼ばれたんですか?」

「うん、そうだよ!」

「新しい出会いというのも、儚いものだね...」

 

 俺たちがそう話していると。

 

「__皆!お待たせ!」

「あ、日菜さん。」

「栄君!」

「__ま、待ってよ~日菜ちゃん~!」

「あれ?彩ちゃん?どうしたの、そんなに息切らせて?」

「日菜ちゃんが走って行くからだよ!もぉ~!」

「あはは!彩ちゃんおっもしろーい!」

「もう...って、君は、八舞栄斗君、だよね?」

「え?はい、そうです。

 なんで、ご存じなんですか?」

「それは日菜ちゃんが__」

「わー!///彩ちゃん!しっ!///」

「え?!」

「...それ以上喋ると、千聖ちゃんに隠れてケーキバイキングに行ったこと話すよ?」

「えぇ?!な、なんで知ってるの?!」

 

 何やら言い合いをしてるみたいだ。

 

「それで、演劇って何をするんですか?」

 

 俺は話しを切り出した。

 

「そうだったね。じゃあ、発表するよ!

 今回の演劇は___」

 

 日菜さんは一息置いて...

 

「私が書いた台本だよ!」

「日菜さんが?」

「うん!これだよ!」

 

 日菜さんはスクリーンに台本を写した。

 

「王子と踊りたい女の子の話、ですか?」

「うん!そうだよ!」

「内容は結構シンプルだね?」

「時間もないからね!シンプルがいいと思って!」

「配役はどうするのかしら?」

「うーん、男の子は栄君だけだし、王子は栄君かな?」

「まぁ、いいですよ。」

「問題は女の子役だよね~」

「私は花音を推すよ。」

「か、薫さん?!」

「じゃあ、私は彩かな~」

「う~ん、私は出られないからな~

 じゃあ、私は六花ちゃん!」

「えぇ?!」

 

 なんやかんやで、くじで決める事のなった。

 

「さぁ!引いて引いて!」

「さぁ、行っておいで、花音。」

「ふぇぇ!」

「彩!ここで引いたら本物だよ!」

「え?何に対して?」

「六花ちゃん!なんて言うか...頑張って!」

「は、はいぃ!」

 

 各々、くじを引いた。

 女の子役を引いたのは...

 

「__ひ、引いちゃい、ました。」

「六花か。よろしくな。」

「あちゃーやっぱり引けなかったかー」

「想定ないよ。丸山さんだもの。」

「そうだねー」

「え?どういう事?」

「つまり、そういう事さ...」

「が、頑張ってね、二人とも?」

「はい。」

「は、はい!」

 

 そうして、演劇の練習が始まった。

________________________

 

 演劇の練習が始まってから、四日。

 演劇の完成形は割と早く見えていた。

 

「__湊さんが語り手というのは正解でしたね。」

「そうかしら?」

「はい。声も綺麗ですし、耳に入りやすいです。」

「彩もいい感じだよ~!優しい友達って感じが出てて!」

「そ、そう?良かった~

 そう言えば、薫君は流石だよね!もう一人の王子役!」

「儚い...」

「うん?」

「六花も良くなったぞ。セリフも完璧だ。」

「あ、ありがとうございます!」

「機材は大和さんがしてくれて助かります。」

「いえいえ!これくらいお安い御用っすよ!」

「俺も何か手伝いますよ。」

「じゃあ、そこの__うわ!」

 

 大和さんがコードに足をひかっけた。

 そのため、ちながってた音響機材が倒れてきた。

 

「六花!」

「え?__」

 

 機材は倒れた。

 

「...大丈夫か、六花?」

「や、八舞先輩...?」

「動いたら駄目だぞ?

 __よっと。」

 

 俺は機材ごと起き上がった

 

「だ、大丈夫ですか?!二人とも?!」

「大丈夫ですよ。皆は大丈夫...そうですね。」

「す、すいません!自分の不注意で...」

「気にしないでください。誰も怪我してないですから。」

 

 俺は六花に歩み寄った。

 驚いて立ち上がれないみたいだ。

 

「ほら、六花。」

「えっと...」

「立てないんだろ?ほら、手。」

「は、はい...」

 

 六花は立ち上がった。

 

「...うん、どこも怪我してないな。」

「あ、ありがとうございました。」

「いいよ。それより、六花に何もなくてよかったよ。」

「~!///」

「?」

 

 六花の顔が急に赤くなった。

 

「どうした?」

「い、いえ、なんでも...///

 (八舞先輩の笑顔...かっこいい...///し、しかも、私を守ってくれた...///)」

「?」

「(あ~これは...)」

 

 リサは何かを察した。

 

「(罪な男だね~八舞君。)」

 

 リサはこの場に日菜がいなかったという事に感謝したのだった。

 

 そして、文化祭は始まる...

 




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第12話

日菜ルート12話です!

演劇パートがありますが、名前が思いつかなかったので、キャラの名前をカタカナにしただけになりました。
すいません。


 今日は文化祭だ。

 俺は予定通り、仕事中だ。

 

「__いらっしゃいませ。って、今井さんと湊さんと...日菜さん?なにしてるんですか?」

「え、えっと、その...///(え、栄君の執事服かっこよすぎるよーーー!!!///)」

「?」

「あのー席に案内してくれないかな?」

「そうですね。こちらの席にどうぞ。」

 

 俺は三人を席に案内した。

 

「ご注文はお決まりですか?」

「私はこのケーキとコーヒーで!」

「私は...ラテアート?」

「これはリクエストすればなんでも描きますよ。」

「じゃあ、これにするわ。」

「何を書きますか?」

「えっと、にゃーんちゃ...じゃなくて、猫をお願いするわ。」

「かしこまりました...日菜さんはどうしますか?」

「え、えーっと、私もリサちーと同じので!」

「かしこまりました。」

「あ!それと!」

「?」

「スマイル一つ!」

「ここは某ファーストフード店じゃないんですが、まぁ、いいですよ。」

 

 俺は日菜さんに微笑んだ。

 

「~~!!!///」

「満足ですか?」

「う、うん。お腹いっぱい...///」

「あはは。じゃあ、商品を用意してきます。」

 

 俺は一旦、厨房に下がった。

 

「日菜?大丈夫?」

「だ、大丈夫じゃないかも...///」

「日菜の顔、真っ赤ね。」

「日菜もこんな顔するんだね~」

「も、もう!」

 

 三人はしばらく、雑談をした。

 

「__お待たせしました。」

「お!きたきた!」

「日菜さんと今井さんのケーキとコーヒー、

 湊さんのラテアートです。」

 

 俺は注文の品をテーブルに置いた。

 

「おー!美味しそう!」

「お口に合えば幸いです。

 今回は俺が作ってみたので。」

「えぇ?!八舞君の手作り?!

 これは期待だね~!」

「栄君は何でもできるもんね!」

「それは日菜さんもでしょうに。」

「...八舞君。」

「はい?」

「これが、ラテアートなの?」

「はい。どうですか?」

「すごいわ。猫の可愛さがこれでもかと表現されていて。」

「それはよかったです。」

「...もったいなくて飲みずらいわ。」

「冷めますよ?」

 

 三人が食べ始めたので俺は次の仕事に向かった。

________________________

 

 俺は仕事を終え、体育館に来ていた。

 

「__お待たせしました。」

「あ!栄君!」

「さっきぶりですね。」

「こ、ここ、こんにちわ!八舞先輩!!」

「がちがちだな、六花。」

「き、緊張してしまって...。

 こんなに綺麗な衣装を着るのも初めてですし...」

「そんなに気負わなくてもいいぞ。

 あと、衣装、似合ってる。」

「そ、そうですか?///

 ありがとうございます...///」

「?あぁ。」

「八舞さん、着替えお願いします!」

「あ、すいません、大和さん。」

「いえ!大丈夫っす!」

 

 俺は衣装に着替えた。

 

「__ほんとに、良く出来てるな。」

「すごいよね!これ、花咲川の生徒会長ちゃんに頼んだんだよ?」

「え?」

「演劇に出るかって聞いたら、即断られちゃって、代わりにね~」

「(俺、会ったことないんだが、なんで、サイズが分かったんだ?)」

「栄君?」

「...なんでもないです。」

 

 俺は考えるのをやめた。

 

「__出番だよ!皆!頑張ってね!」

 

 俺たちの演劇が始まった。

________________________

 

 ”演劇”

 

『昔昔、ある国に絶対に結婚しない王子がいました。』

 

「__はぁ。」

「やぁ、エイト!」

「...カオルか。今日は何の用だ?」

「今日は君を舞踏会に誘いに来たのさ。」

「舞踏会?なんでだ?」

「君もそろそろ身を固めるべきだろう?

 これを期に素敵な相手を見つけてほしいのさ。」

「素敵な人、か。」

「どうしたんだい?」

「私の心はずっと、あの人のものだ。」

「確か...子供のころに見かけたという彼女かい?」

「あぁ...彼女はどこにいるんだろう...」

「君が見かけたことがあるというなら、どこかの家のものじゃないのかい?」

「そうだな。」

「だったら、今度の舞踏会に来るがいいさ!

 今回は多くの家を呼んでる!見つかるかもしれない!」

「そういうことなら...」

 

『王子は舞踏会に行くことを決めました。』

 

 場面が切り替わる。

 

『ここは遠方の小国。この国には可哀そうなお姫様がいました。』

 

「__ロッカ!」

「は、はい!リサお姉様!」

「また掃除が出来てないわ!

 やり直しなさい!」

「も、申し訳ありません...」

「まったく、だからあなたは__」

 

『ロッカは姉であるリサに働かされる毎日でした。

 そんな毎日にロッカは落ち込んでいました。』

 

「...なんで、私だけこんな目に...。

 私が何をしても、褒められるのはお姉様。

 私は怒られるだけ。...」

「ロッカ...?」

「アヤ...」

「大丈夫?また、リサに怒られてたけど?」

「だ、大丈夫。全部、私が悪いから...」

「ロッカ...」

 

『そう言うロッカを心配するアヤはとある提案を持ちかけました』

 

「ねぇ、ロッカ?」

「どうしたの?」

「今度、東の国で舞踏会があるの。」

「うん。でも、私はいけないよ。」

「大丈夫!」

「え?」

「私たちと一緒に行こ!お父様も喜んでくれるし!」

「良いの...?」

「うん!」

「じゃあ...行きたい...!」

「じゃあ!行こう!」

 

 場面が切り替わった。

 

『舞踏会の当日になりました。』

 

「__来たぞ、カオル。」

「やあ!エイト、いらっしゃい!

 歓迎するよ!」

「こちらこそ、お招き感謝する。」

「そう言うのはいいじゃないか。」

「公の場だ。俺たちはそれなりの振る舞いをする義務がある。」

「そうだな。」

「本当に、見つかるのだろうか。」

 

 場面が切り替わる。

 

「__着いたよ!」

「ここが、東の国?...この風景、どこかで...」

「__なんでロッカがいるの!」

「!リ、リサお姉様...」

「あなたなんかが来たら家の品位が疑われるでしょ!?」

「ロッカは私が呼んだんだよ!」

「アヤ...!」

「それ以上の六花への侮辱は私の家への宣戦布告と受け取るよ?」

「くっ...!あ!」

 

『言い争っていると、あいさつ回りをしていたエイトが近づいてきました。』

 

「これはこれは、エイト様!」

「あなたは遠方の...。」

「はい!リサ、と申します!」

「よろしくお願いします。

 そちらは...」

「私はアヤです。こちらが__」

「!!」

「ロッカと申します。西の王子様。」

「はい、よろしくお願いします。」

「それで、エイト様?今日のお相手はお決まりでしょうか?

 よければ私が__」

「申し訳ない。お誘いしたい相手がいるんです。」

「え?」

「ロッカ姫、私と踊ってくださらないでしょうか?」

「え?えぇ?!」

「これは王子としてでなく、私自身としての誘いです。

 嫌なら断ってくれて構いません。」

「...私なんかでよろしければ...」

「!ありがとうございます。

 それでは、行きましょう。」

 

『エイトはロッカの手を引き、ホールに行きました。』

 

 場面が切り替わった。

 

「ロッカ姫、こちらに。」

「はい__きゃ!」

 

 六花は転んでしまった。

 

「(ど、どうしよう、セリフ、なんだけ?)」

「__ロッカ姫。」

「え?」

「さぁ、手を取って。

 踊りましょう。」

「!...は、はい!」

「まったく、おっちょこちょいだな。」

「!///」

 

『エイトとロッカは踊りました。その姿は周りが見入るほどに美しいものでした。

 二人は踊り終えた後、テラスに出ました。』

 

「__ロッカ姫。」

「は、はい。」

「10年前、あなたはこの国に来たことがおありですか?」

「10年前...。確か、東の王子様のお誕生日の時に...」

「その時、私もいたのです。」

「!」

「私はあの時から、あなたを思っていた。」

「え?」

「私と結婚してください。」

「!!...よ、喜んで!」

「じゃあ___」

「きゃあ!」

「逃げましょう!」

「ど、どこにですか?!」

「そうですね、私とあなたの幸せがある場所に!」

「!...はい!」

 

『こうして二人は結ばれ、生涯、西の国で幸せに過ごしました...』

________________________

 

 演劇は大盛況に終わった。

 そして、今、

 

「文化祭お疲れ様ー!!!」

「「「わー!!!」」」

 

 演劇をしたメンバーで打ち上げをしている。

 

「いやー!リサちー、性格悪そうだったねー!」

「ちょ!やめて?!てか、台本書いたの日菜じゃん!」

「あははーそうだっけ!」

「エイト、儚い演技だったよ。」

「呼び方戻ってませんよ?」

「おっと。」

「いやーお二人とも最高の演技でした!」

 

 打ち上げは進んでいった。

 

「ん?」

 

 俺は違和感に気付いた。

 皆の様子がおかしいのだ。

 

「それもだが、六花は?」

「...八舞先輩。」

「六花?どうした?」

「少し、お手伝いをお願いできませんでしょうか?」

「?あぁ。」

 

 俺は六花について行った。

 来たのは体育倉庫だった。

 

「こんなところで何をするんだ?」

「...」

「六花?何か落としたぞ__って、酒?なんでこんなものが?」

「八舞先輩...」

「ん?__うわ!」

 

 俺は六花に押し倒された。

 

「(このにおい、アルコール?!)」

「八舞先輩。」

「はい...?」

「ぎゅー!///」

 

 と、なんとも可愛らしい声とともに抱き着いてきた。

 

「ちょ!六花?!」

「あったかいです♪」

「いや、そうじゃなくてだな__」

「八舞先輩はすごいです。///」

「え?」

「練習の時も私に完璧に合わせてくれて、本番でこけた時も助けてくれて...///」

「いや、あれくらいなんとも__」

「私、八舞先輩が好き、です///」

「?!」

「優しい八舞先輩が好きです、だから__」

 

 六花の顔が近づいてくる。

 

「ちょっと待て!それはまずい!」

「八舞先輩は、私の事、嫌いですか...?///」

「いや、それはないが__」

「なら、いいですよね!///」

「ちょ!」

 

 六花が再度、顔を近づけてきた。

 

「(やばいやばいやばい!これを受け入れると素に戻った時六花がどう思う?きっと悲しむ。なんとか__)」

 

 俺が考えてると、六花の動きが止まった。

 

「六花?」

「...すぅー...」

「寝た、のか?」

 

 俺は安堵した。

 

「...とりあえず、保健室にでも運ぶか。」

 

 俺は六花を抱えて保健室に向かった。

 

 こうして、俺の文化祭は終わった。

 

 

 




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 オリキャラの名前、容姿は浮かばないので後々あげます!


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第13話

日菜ルート13話です!


 俺が酔っ払った六花を保健室に連れてきて結構な時間が経った。

 外はもう真っ暗だ。

 

「__う、うん...ここは?」

「...起きたか、六花。」

「八舞先輩?どうして?」

「...覚えてないか?」

「え?......あ...///」

 

 六花は自分の言動を思い出したらしく、ひどく赤面している。

 

「...俺は気にしないぞ?」

「え?」

「酔ってたんだ、自分の意にそわない発言だってするだろ?だから__」

「だ、ダメ、です!」

「?!」

 

 六花は俺の言葉をさえぐるように叫んだ。

 

「ろ、六花?」

「あの言葉は確かに酔っていたから言った事です、

 でも、あの言葉に嘘はありません!///」

「そうか...」

「だからですね...その...///」

 

 六花は恥ずかしそうにしてる。

 

「わ、私とつ、付き合ってください!///」

 

 六花はそう言った。

 

「...」

「や、八舞先輩...?///」

「...六花。」

「は、はい。」

「ごめん。俺は六花と、付き合えない...」

「!」

「俺には好きな人がいるんだ。だから__」

「氷川先輩、ですよね?」

「あぁ...」

「だったら、仕方ないです!」

「六花...?」

「氷川先輩は素敵な人ですから、私なんかと比べ物にならないですよ!」

「そんなこと...」

「頑張ってくださいね!八舞先輩!」

「六花...」

 

 六花は口ではそう言ってるが、目には涙が溜まってて、今にも泣きそうだ。

 

「...悪い、俺はもう行くよ。」

「はい!さようなら!」

「あぁ。」

 

 俺は保健室を出た。

 俺が出ると、六花の泣き声が聞こえた。

________________________

 

 俺は屋上に来た。

 校舎はまだ後夜祭などで盛り上がりを見せている。

 

「__六花はどんな気持ちで俺に告白した...?

 それに俺はなんて答えた...?」

 

 俺は自分に問いかけた。

 だが、返ってくるのは、自分勝手に六花を振ったという回答だけだった。

 

「クソ!!!」

 

 俺はフェンスを殴った。

 何度も、何度も...

 

「__ここで何をして...って!八舞君?!」

「...氷川さん。」

「血が出てるじゃないですか!一体__」

「...何でもありません。」

「何でもないわけないです!」

「これくらい、六花の痛みに比べれば...」

 

 俺は拳を握った。

 

「...俺は帰ります。残ってる人に合ったらよろしく言っててください。」

「ちょっと!八舞君!」

 

 俺は屋上から出た。

________________________

 

 帰り道だ。

 風が酷く冷たい。

 

「__八舞?」

「...ますき?」

「...ひどい顔してるな、話、聞くぞ?」

「...いい。」

 

 俺は歩きだそうとした

 

「待てよ、八舞。」

「...なんだ。」

「少し付き合えよ。」

「ちょ...」

 

 俺は、ますきに引っ張られた。

________________________

 

 ますきに連れてこられたのは近くの公園だった。

 

「__ほら。」

「...さんきゅ。」

 

 ますきにコーヒーをもらった。

 

「それで、何があったんだ?」

「...さっき、六花に告白されたんだ。」

「六花が?...それで、どうなったんだ?」

「振ったよ。」

「そうか...」

「...泣きそうな顔してたよ。

 実際に泣き声も聞こえた。」

「...」

「俺が自分勝手だから、六花を傷つけた。

 俺は、最低最悪だよ。」

 

 俺はそう言った。

 

「それは違う、お前は最低じゃない。」

「ますき?」

「自分勝手がなんだってんだ、

 お前を好きなるのも六花の自分勝手だ。」

「そんなことは__」

「あるよ。私も経験があるからな。」

「ますきにも...?」

「あぁ。私もお前が好きだったからな。」

「え...?」

「ただし、それは過去の事だ。今はそんな事はないよ。__よっと。」

 

 そう言うと、ますきは立ち上がった。

 

「だからよ、お前が六花の事を思うなら、

 お前も行動して報いてやれよ。」

「行動で報いる...?」

「好きなんだろ、氷川日菜が。」

「...あぁ。」

「だったら、お前も行動しろ。

 そうすれば、六花も報われる。」

「行動...。」

「決めたか?」

「あぁ。」

「...いい目だ。」

「ますきのお陰だよ。ありがとな。」

「気にすんなよ、栄斗。」

「!名前。」

「悪いか?」

「いや、別にいいぞ。」

「そうか。...じゃあな、栄斗。」

「あぁ、またな。」

 

 俺はますきと分かれ、帰路についた。

________________________

 

 文化祭から二日、俺はいつも通りの日常を過ごしていた。

 

「(日菜さんに告白するが、どうしたらいいんだ?)」

「__えーい君!」

「うわ!...って、日菜さん。」

「うん!おはよ!栄君!」

「おはようございます。」

「どうしたの?難しい顔してたけど?」

「少し考え事を。」

「珍しいね?」

「いや、いつも割と考えてる方ですが。」

「何か困ったことがあったら相談してね!」

「...まぁ、出来たら。」

 

 日菜さんは生徒会の仕事に行った。

 

「...流石に本人に相談は出来ないよな。

 どうするか...あ。」

 

 俺はある人を思い出した。

 

「...この前あんなことがあった手前、相談しずらいが、謝るか。」

 

 俺は紗夜さんに連絡した。

________________________

 

 放課後になった。

 俺は羽沢珈琲店で紗夜さんと待ち合わせていた。

 

「__こんにちは、八舞君。」

「こんにちは、氷川さん。

 この間はすいませんでした。」

「いえ、構いません。

 ...それで、相談とは?」

「実は___」

 

 俺は氷川さんに事情を話した。

 

「__まさかとは思っていましたが...まさか本当なんて。」

「姉の氷川さんからしたら聞いてて気持ちい話じゃないと思いますが。」

「いえ、逆に嬉しいです。日菜を思ってくれる人がいることが。」

「そうなんですか?」

「えぇ、過去、色々ありまして...」

 

 氷川さんは遠い目をしている。

 何があったかは聞かないことにした。

 

「...それで、相談なんですが。」

「はい。」

「日菜さんに告白はどうしたらいいですか?」

「そうですね...

 (どう告白しようが断られることはないのですが、

 ここは日菜に素敵な思い出を作ってもらいたいわ。)」

「氷川さん?」

「そういう事なら、こういうのはどうでしょうか?」

 

 俺は氷川さんにプランの説明を受けた。

 

「__なるほど。」

「これなら、良いと思いますが?」

「そうですね。日菜さんに相応しいと思います。」

「そうでしょう?」

「はい。このプランで行きます。」

「お役に立ててよかったです。」

「ありがとうございました。」

「えぇ。」

 

 俺たちは羽沢珈琲店を出た。

 

「__それでは、また。」

「はい、氷川さん。」

「次に会うときは八舞君のお義姉さんかもですね?」

「...成功すれば。」

「大丈夫ですよ。」

「まぁ、頑張ります。

 それでは。」

「はい。」

 

 俺は氷川さんと分かれた。

 

「__全てに報いるために。」

 

 俺は覚悟を決めた。

 告白の日まであと、少し。




感想などお願いします!

 活動報告で募集もしてますのでお願いします!


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最終話

日菜ルート最終話です!

今回は休んでしまってごめんなさい。
体調を崩しまして、感想返信をするのがやっとでした。


 俺は日菜さんに連絡をした。

 

「__もしもし。日菜さんですか?」

『うん!どうしたの?』

「良ければ日曜日、俺と遊びに行きませんか?」

『え?!』

「嫌なら断ってくれて構いません。」

『い、いや!行くよ!』

「そうですか。あ、待ち合わせ場所は駅前でお願いします。」

『りょーかーい!』

 

 そうして、電話が切れた。

 

「...よし、これでいい。

 予定は考えてるし、アドバイスの聞き洩らしもない。」

 

 俺は顔をあげて

 

「後は俺の心だ。」

 

 俺はそう言った。

________________________

 

 ”日菜side”

 

「__うう~!決まらないよ~!!」

「どうしたの?日菜?」

「服が決まらないんだよ~!」

「服?何の?」

「えぇ?!えっと...それは...///」

「(あ、八舞君ね。積極的なのね。)」

 

 紗夜は全てを察した。

 

「...日菜。」

「?どうしたの、お姉ちゃん?」

「後悔しないように、頑張るのよ。」

 

 そう言って紗夜は部屋を出た。

 

「え?!なんで知ってるのー!///」

________________________

 

 当日になった。

 待ち合わせ時間は日菜さんの事を考慮して昼過ぎだ。

 

「__栄くーん!」

「こんちには、日菜さん。」

「ごめんね、仕事が入っちゃって...」

「いいですよ。むしろ丁度いいです。」

「?」

「...まぁ、行きましょうか。」

「うん!」

 

 俺たちはある場所に向かった。

 

「__ここですよ。」

「ここは?」

 

 俺たちが来たのは科学館だ。

 

「ここは科学館ですよ。」

「科学館?」

「ここのプラネタリウムが評判良いらしいです。」

「プラネタリウム!」

 

 日菜さんの目が輝いた。

 

「まぁ、入りましょう。」

「うん!」

 

 俺たちは建物に入った。

________________________

 

「すっごーい!」

 

 日菜さんは科学館のものに興味津々だ。

 

「時間もありますし、見て回りますか?」

「うん!行きたい!」

 

 俺たちは館内を歩き回った。

 

「__ねぇねぇ栄君!これ触ってみて!」

「これですか?__ってうわ!」

「あははー!!」

「全く、驚きましたよ。」

「すごかったでしょ?雷!」

「えぇ、まぁ。」

「次、あれ行こ!」

 

 俺たちは時間の許す限り館内を歩き回った。

 

「__日菜さん、そろそろ時間ですよ。」

「え?もう?」

「はい。」

「じゃあ!行こー!」

 

 俺たちはプラネタリウムに向かった。

________________________

 

「__すっごいな。」

「うん!広いね!」

 

 プラネタリウムをするホールはかなりの広さだった。

 

「あ!暗くなってきたよ!」

 

 ホール内は暗くなり、

 天井には星が映し出された。

 

「...綺麗...」

「そうですね、日菜さん。」

 

 だが、俺はあることを思っていた。

 

「...でも、あの時、栄君と見た星が一番きれいだった...」

「!...あの、日菜さん。」

「?」

「この後、星を見に行きませんか?

 あの場所に。」

「うん、行きたい!」

________________________

 

 俺たちはプラネタリウムが終わった後、ある場所に来た。

 

「__いやー!懐かしいね!」

「来たのは今年ですけどね。」

「そうだっけ?」

「えぇ、俺が日菜さんと出会ったのは今年ですからね。」

「そう言えばそうだったねー!」

 

 俺たちが来たのは山だ。

 

「前に来たときは大変だったねー」

「そうですね。遭難したり、熊に追いかけられたり。」

 

 俺は前に来た時の事を思い出していた。

 

「...あれって、私のせい、だよね...」

「気にしなくていいですよ。

 なんやかんやいい思い出ですし。」

「でも、あの時の栄君は...」

「大丈夫ですよ。」

 

 俺たちは歩いた。

 

「今の俺は日菜さんがいてこそですよ。」

「え...?」

「あ、着きましたよ。」

 

 順路に沿って来たらすぐに着いた。

 

「見てください、日菜さん。

 星が綺麗ですよ。」

「!...うん!」

 

 空は満天の星空だ。

 

「...綺麗だね。」

「はい。」

 

 俺たちは近くにあったベンチで座って星を見てる。

 

「...前にここに来た時、死んだ星の話をしましたよね。」

「...うん。それで、似てるって。

 あの時は意味が分からなかった。」

「あの時は死を待つだけの身でしたから。

 そういう意味で似てるなって。」

「栄君...」

「でも、今、俺は生きてます。」

 

 俺はそう言った。

 

「がんを乗り越えて、普通の人と同じ生活を送れるようになりました。」

「うん!」

「それで、その、日菜さん。」

 

 俺は立ち上がった。

 

「栄君?」

「俺のわがままを聞いてくれませんか?」

「わがまま...?」

「はい。」

「それって、何...?」

「それは...」

 

 俺は一呼吸した。

 

「__俺と未来を歩いてください、日菜さん。」

「え...?」

 

 日菜さんは驚いた顔をしている。

 

「そ、それって、どういうこと...」

「言い換えれば、結婚を前提に付き合ってください、ってことです。」

「...」

 

 日菜さんはうつ向いている。

 

「日菜さん?」

「栄君!」

「は、はい__?!」

 

 日菜さんが抱き着いてきた。

 

「...私、分かんないよ。」

「え?」

「だって、嬉しいのに、涙が出るの...」

「!」

「私、不安だったの。」

「不安?」

「私が攫われて、栄君が助けてくれて。

 でも、栄君は死んじゃいそうになって...

 私が栄君を殺すんじゃないかって...」

「そんな事はないですよ。」

「実は栄君に恨まれてるんじゃないかなて、

 嫌われてるんじゃないかなって...」

「でも、違ったでしょう?」

「...うん。」

「俺は日菜さんがいたから生きたいと思えたし、

 あの時だって日菜さんだから助けに行きたいと思ったんですよ。」

 

 不安そうな日菜さんに俺はそう言った。

 

「私、すっごいわがままだよ?」

「知ってます。」

「栄君を振り回すよ?」

「問題ないです。」

「付き合うとか...わからないよ...?///」

「俺もわかりませんよ?」

 

 俺は切り出した

 

「日菜さん、俺と付き合ってくれますか?」

 

 俺がそう言うと

 

「__うん!私も栄君と一緒にいたい!」

 

 そう言った日菜さんの笑顔は、空に輝く星よりも、あるかに輝いて見えた。

 

__そして、しばらく時間が経った。

 

「__この後、どうします?」

「そうだね~家来る?」

「え?いいんですか?」

「うん!お父さんとお母さんは旅行に行ってるから、お姉ちゃんしかいないよ!」

「なら、行きます。氷川さんに報告しないとですし。」

「じゃあ!行こ!栄君!」

「はい!」

 

 俺は日菜さんに手を引かれた。

 

 俺はこれからも日菜さんに手を引かれ続けるんだろう。

 でも、そういうのも良いよな。

________________________

 

 

 数年後。

 

 俺たちは羽沢珈琲店にいる。

 

「__やーっとだね!」

「そうですね。」

 

 俺たちは結婚式を二日後に控えていた。

 

「二人も結婚か~早いね~」

「そうね、リサ。」

「おめでとうございます!二人とも!」

「ありがと!」

「ありがとう、羽沢。」

「...それでなんだけどさ。」

「どうしました、今井さん?」

「紗夜はどうして、そんなに眠そうなのかなー?」

「...二人の営みの声が...」

「あ...(察し)」

「...すいません、紗夜さん。」

「ごめんね、お姉ちゃん...」

 

 俺たちは謝った。

 

「でも...」

「紗夜?」

「私の妹と義弟は...可愛いですね...!」

「紗夜ーーー!!」

 

 紗夜さんは眠りについた。

 

「まさか、そこまで声が漏れてるとは...」

「うん...言ってくれればよかったのに...」

「まぁ、それだけ二人が可愛いんだよ!ね!友希那!」

「えぇ、そうね。」

「紗夜さんには今度なにか買っていきます。」

 

 俺たちはしばらく話していた。

 

「__あ、そう言えば!」

「日菜?」

「私、栄君との子供出来たんだ!」

「「「え?」」」

「ひ、日菜?いつ分かったんですか?!」

「朝に病院行ってきたんだー!それで分かったの!」

「そ、そうですか。」

「日菜がお母さん?大丈夫?」

「大丈夫だよリサちー!」

「まぁ、八舞君がいるから、大丈夫じゃないかしら?」

「そうだね、八舞いるし、大丈夫か!」

「も~!私も大丈夫だよー!」

「日菜は相変わらずフリーダムですからね。

 心配にもなりますよ。」

「だよね~!」

「そうね。」

「栄君まで?!」

「...冗談ですよ?」

「間が気になるよ!」

「それにしても、俺が父親か。

 昔じゃ考えられないな。」

「もう!栄君!それは言わないんでしょ!」

「あ、すいません。」

「というわけで罰ゲーム♪」

「え?ここで?」

「うん!」

「いや、人前じゃ流石に__!!」

「んっ...///」

 

 日菜さんにキスをされた。

 

「え?え?2人とも?!」

「...中々、過激なのね...///」

「す、すごい...///」

 

 周りからいろいろ言われている。

 

「__反省した?」

「はい、しました。」

「もうそれ言っちゃだめだよ?」

「はい。でも...」

「?」

 

 俺は日菜の耳元でこう言った。

 

「...今夜、覚悟してろよ日菜。」

「~っ///」

「...まさか、日菜って受け?」

「...じゃあ、八舞君は...」

「狼...いえ、王様、なのかしら?」

「どうしました?三人とも?」

「「「なんでもない!!!」」」

「そ、そうですか。」

「ねぇ、栄君?」

「はい?」

 

 日菜さんに呼ばれた。

 

「どう?」

「どうとは?」

「今、幸せ?」

「はい。日菜といるから。」

「そう...」

「日菜?」

 

 日菜はこっちを見ている。

 

「私も、最高に幸せ!」

「良かったよ。」

「これからも、よろしくね?栄君。」

「はい、日菜。」

 

 俺は今言った通り幸せだ。

 

「これからは、私と栄君とこの子で三人だよ!」

「はい!日菜!」

 

 これからも、天才少女との世界を、

 謳歌することにしようとするか。




 次はメタ回になりますので。
 思いついた方は感想欄でも大丈夫ですので、書いて行ってくださいね!

主人公 八舞栄斗
ヒロイン 氷川日菜 佐藤ますき 朝日六花
主要人物 チュチュ パレオ レイヤ 美竹蘭 青葉モカ 羽沢つぐみ 宇田川巴 上原ひまり 氷川紗夜 湊友希那 今井リサ 丸山彩


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番外編
メタ回


番外編1話のメタ回です!

と言っても、お知らせがメインですが!


彩「シリーズ本編完結記念!」

麻弥「メタ回っす!」

彩「今回の司会の丸山彩だよ!」

麻弥「同じく、大和麻弥です!」

彩「じゃあ、早速だけど、皆を呼ぶよ!」

麻弥「みなさーん!出てきてください!」

 

 ”自己紹介と振り返り”

 

栄斗「どうも、イヴルートの八舞栄斗です。」

イヴ「若宮イヴです!」

 

栄斗2「紗夜ルートの八舞栄斗です。名前には2が付きます。」

紗夜「氷川紗夜です。一応メインヒロインです。」

栄斗2「いや、一応もなにもそうでしょうに。」

 

栄斗3「千聖ルートの八舞栄斗です。よろしく。」

千聖「白鷺千聖よ。今日はよろしくお願いします♪」

 

栄斗4「日菜ルートの八舞栄斗です。」

日菜「日菜だよー!よっろしく!」

 

彩「__というわけで、今回はそれぞれの主人公とヒロインの皆さんと色々していきます!」

麻弥「まずは、それぞれのルートの振り返りっす!」

栄斗「振り返りかー」

栄斗2「他の俺はどうだったのか興味があるな。」

栄斗3「じゃあ、まずはイヴルートからで。」

栄斗「え?」

栄斗4「まぁ、順番的にな。」

栄斗「...はぁ、仕方ないか。イヴ。」

イヴ「はい!エイトさん!」

栄斗「まずは俺たちからだ、いいか?」

イヴ「はい!」

 

 ”イヴルート振り返り”

 

栄斗「俺たちは初登校日の通学路だな。」

イヴ「あの時は派手にぶつかりました!」

栄斗「そして、色々なことをしたな。

   四つのルートの中で唯一、二章構成だからな。」

イヴ「体育祭や文化祭、パスパレのみんなで旅行に行ったりしました!」

栄斗「...まぁ、楽しい話だけじゃなかったがな。」

イヴ「エイトさん...」

栄斗「俺の両親はクズだった。だから、イヴは...!」

イヴ「気にしないでください、エイトさん!

   今は幸せじゃないですか!」

栄斗「...まぁ、そうだな。」

イヴ「はい!」

栄斗「まぁ、イヴルートは全てのルートの根源と言えるルートだ。

   見れば大体、この作者の作風も分かると思うぞ。」

イヴ「以上!イヴルートでした!押忍!」

 

 ”紗夜ルート振り返り”

 

栄斗2「それでは紗夜ルートです。

    紗夜ルートはロゼリアと俺がメインだな。」

紗夜「色々なトラブルやロゼリアとの日常などが内容の主ですね。」

栄斗2「そして、このシリーズには特出すべき点がありますね。」

紗夜「特出するべき点ですか?」

栄斗2「はい。このルートは唯一、複数のエンドがあったルートです。」

紗夜「そう言えばそうですね?

   でも、なんでこのルートだけ?」

栄斗2「作者曰く、流れとノリらしいです。」

紗夜「そうですか。」

栄斗2「ちなみに作者は削除した友希那さんのエンドの時は本気で焦ったらしいです。」

紗夜「利用規約はしっかり読まないとですね。」

栄斗2「はい。以上、紗夜ルートでした。」

紗夜「番外編でもよろしくお願いします。」

 

 ”千聖ルート振り返り”

 

栄斗3「じゃあ、千聖ルートの振り返りです。」

千聖「このルートは他のルートとは異色になるかもしれないわね。」

栄斗3「はい。メインは俺と千聖さん、戸山と市ヶ谷、明日香が多かったです。

    加えて、雅と...西園マナ...」

千聖「このルートは西園マナの別人格、西園カナとの因縁の戦いがキーパーソンね。」

栄斗3「はい。でも、このルートは作者的には一番難しかったらしいです。」

千聖「難しかった?」

栄斗3「はい。途中までメインヒロインが完全に明日香みたいになったみたいで、どうやったら千聖さんをメインに持ってこれるか分からなかったらしいです。」

千聖「あ、私も聞いたわ。裏設定的なものを言うと、

   西園マナが生存してるとメインヒロインが変わってたらしいわ。」

栄斗3「...今は今、です。」

千聖「そうね。ごめんね八舞君。」

栄斗3「いえ。...千聖ルートはこんな感じです。」

千聖「番外編でもよろしくね。」

栄斗3「雅たちの話もあるかもですね。」

 

 ”日菜ルート振り返り”

 

日菜「はいはーい!最後、日菜ルートだよー!」

栄斗4「このルートの唯一の点は俺の対人関係が闇じゃなく、

   まじに俺が病んでたってところでしょうか。」

日菜「確かにそれは唯一だけどーあの時、私すっごいないたんだけどー」

栄斗4「それはすいませんでした。

    あと、このルートではRASが登場してますね。ヒロインも日菜さん以外RASですし。」

日菜「そう言えばそうだね!これは何でなのかな?」

栄斗4「作者曰く、ますきと六花を出したかったらしいです。

    あと、パスパレのマネージャー的なのは書きずらかったとか。」

日菜「えー?そうかなー?」

栄斗4「まぁ、人それぞれなので何とも言えないですね。

    まぁ、ルートの説明をしましょう。」

日菜「うん!」

栄斗4「このルートのメインは日菜さんです。

    結構早い段階で両思いになったとか。」

日菜「うん!」

栄斗4「このルートは比較的イヴルートに近かったかな、

   心の揺れ幅が一番少なかったと思います。」

日菜「うん!そんな感じだね!」

栄斗4「まぁ、まとめると、前半は病気の話で後半は比較的に緩め、というところでしょうか。」

日菜「以上!日菜ルート!」

 

 ”ぶっちゃけ話”

 

彩「それぞれのルートの振り返りが終わったね!」

麻弥「見てたら思いますけど、八舞さん、碌な目に遭いませんよね。」

栄斗「多分、そう言う星のもとに生まれてるんですよ。

   でも、今幸せですからいいんじゃないでしょうか。」

イヴ「そうですよ!終わりよければすべてヨシ!です!」

彩「それじゃあ、早速だけど次の項目だよ!」

麻弥「次はぶっちゃけ話っすね!」

栄斗2「何を言うのか不安しかないですね。」

栄斗3「俺は何となく予想が付く。」

 

彩「それじゃ!一つ目!イヴルートのぶっちゃけから!

  『実は最初、イヴルートで終わると思ってた!』」

栄斗2、3、4「え?!」

彩「つづけた理由としては、ほかのルートが見たいと言ってくれた人がいたからだよ!」

麻弥「作者はすごくありがたい事と言っていました!」

 

彩「それじゃ二つ目!紗夜ルート!」

栄斗2「俺達ってそう言うのあるのか?」

彩「『途中から燐子をヒロインにしようとしてた!』」

栄斗2「あー。」

紗夜「確かに白金さんの出番は比較的に多かったですね。

   キーボードを教えたり。」

麻弥「ちなみにヒロインにしなかった理由はヒロインが多くなりすぎるかららしいです!」

 

彩「三つ目だよ!千聖ルートは振り返りで言い過ぎてるね。

  よってなし!」

麻弥「日菜ルートのぶっちゃけです!

   『途中から日菜のキャラを忘れかけてた!』」

日菜「えぇ!?なんで!?」

彩「未来編で分かるんだけど。

  このルートの日菜ちゃん、マゾなんだよ。」

麻弥「これは八舞さんがサドだかららしいですね。」

栄斗「そうですか?」

日菜「...確かに、付き合ってから主導権とられてるかも...」

彩「ちなみに余談なんだけど、八舞君の天才度は日菜ちゃんより上らしいよ。」

日菜、栄斗「えぇ?!」

麻弥「以上!ぶっちゃけ話でした!」

 

 ”お知らせ”

 

彩「次はお知らせだよ!」

栄斗「あ、ここからは俺たちも司会側に入ります。」

彩「あ!そうだった!じゃあ、私たちは一旦下がるね!」

 

栄斗「__丸山さんも下がった所で、お知らせをしますはイヴルート栄斗と」

イヴ「若宮イヴです!」

栄斗「はい、よろしくお願いします。

   それではまずは...」

イヴ「オリキャラについてです!

   この回までに頂いたオリキャラ案は4人です!」

栄斗「どれも素晴らしい案で作者は驚いていました。名前の紹介をします。

   氷川翼、戸山咲、天空時三久、丸山奏、です!」

イヴ「どのキャラも素晴らしいですので、作者はどういう話を書くか必死に考えていました!」

栄斗「その結果、氷川翼は紗夜、日菜ルート。戸山咲は千聖ルート雅&香澄編。

   丸山奏は彩が登場したルート。天空時三久は全ルート出番がある、という事になりました。」

イヴ「それでも、番外編だけで頂いたキャラを使うのはもったいないような...」

栄斗「そのことは後にしよう。

   オリキャラの案をくれた方、誠にありがとうございました!」

 

 ”お知らせ2”

 

栄斗「次のお知らせは新作についてになります。」

イヴ「新作ですか!」

栄斗「作者はリクエストは全部答える姿勢だから、新作は三つほどある。」

イヴ「三つ?!大丈夫なんですか?」

栄斗「まぁ、本人にやる気があるなら、いいんじゃないか?」

イヴ「そういうものですか?」

栄斗「あぁ。...それじゃあ、タイトルを発表しようか。

   『覚醒天才の王国(ハーレム)』

   『世話焼きりんりんと平凡男子』

   『狂犬の捕食者』

    と、なっています。」

イヴ「王国と書いてハーレムと読むんですか?」

栄斗「あぁ、そうらしい。

   他にも予定としては二個目はほのぼの多め。

   三つ目はますきがヒロインらしい。

   そして、新作を書くにあたってお願いがあるのですが、

   今回募集したオリキャラを新作でも登場させたいです。」

イヴ「え?!それは流石に勝手すぎるのではないですか?」

栄斗「あぁ。だから、オリキャラを考えてくれた方は

   感想で良いかダメか書いていってくれるとうれしいです。」

 

 ”最後に”

 

栄斗「ここまでお気に入り登録をしてくださった方々、ありがとうございました!」

イヴ「毎回、感想をくれる方もいて、作者はとても励みにしていました!」

栄斗2「最初はイヴがヒロインの小説が少ない!と思って書き始めた作品がここまで続くと思っていなかったです。」

紗夜「そもそも、見る人がいないのでは?とも思っていましたね。」

栄斗3「まぁ、ひどい物とは思うがな。

    誤字したり、おかしい点多かったり。」

千聖「それでも見てくれる人がいたのは感謝ね!」

栄斗4「これからも番外編などありますが。」

日菜「これからも私たちをよろしくね!」

 

 誠にありがとうございました!

 番外編、新作も是非見て行ってくださいね!

 これからも、よろしくお願いします!




番外編リクエストオリキャラのリクエストなどはいつでも受け付けてるのでこういうのが見たいというのがある人は是非!

新作も見てみてくださいね!
まずは『覚醒天才の王国(ハーレム)』をしていきます!
他も時間がある時に書いて行きます!


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それぞれの未来1

番外編の未来編です!



 ”イヴルート”

 

「...」

 

 俺は弦巻に雇われ、弦巻財団系列の会社で働いている。

 俺はそこですぐに出世した。

 

「...ねぇ、八舞君?」

「...奥沢か。何か用か。」

「いや、怖い顔で信じられないスピードで仕事してるから皆怖がってるよ?」

「え?」

 

 俺は周りを見回した。

 

「奥さんが心配なのは分かるけどさ、

 もう少し落ち着きなよ。」

「...そうだな。すまん、奥沢。」

「いや、いいよ。この部署が回ってるのは八舞君のお陰だし。」

「買い被りだ。みんな頑張ってるからな。」

「いやいや、今日どのくらい仕事片付けたの?

「ん?そこの山だが?」

「...やっぱり、異常だよね。」

「そうか?」

 

 栄斗の隣には山のように書類がある

 

「午前中で片付ける量じゃないよ。

 しかも、新人用のマニュアルも作って。」

「仕事だからな。」

 

 奥沢と話していると、電話が来た。

 

「はい?」

『八舞さんですか?奥さんが__』

「!!すぐに向かいます!」

 

 俺は電話を切った。

 

「奥沢!」

「はいはい。行っておいでよ。

 こころには言っておくから。」

「恩に着る!」

 

 俺は会社を飛び出した。

________________________

 

「__つ、着いた...」

「あら、八舞君じゃない。」

「し、白鷺さん。こんにちは。」

「随分急いできたのね?何できたの?」

「走ってきましたが。」

「...相変わらずね。」

「そんな事はいいんです。

 早くイヴの所に行かないと。」

「八舞君!...全く。」

 

 俺が入ったのは病院だ。

 

「__イヴ!」

「エ、エイト...」

「大丈夫か!」

「は、はい。この子が元気過ぎて...」

「大丈夫、いざとなったら俺が助けるから。」

「ふふっ。エイトなら出来そうですね!...っつ!」

「イヴ!?」

 

 イヴが苦悶の表情を浮かべた。

 

「イヴさんを運びます!」

「はい。お願いします。」

 

 イヴは運ばれていった。

 俺はイヴが入った部屋の前にいる。

 

「......」

「(...空気が重苦しいわ。)」

「__栄君!」

「八舞君!」

「八舞さん!」

「...パスパレの皆。」

「イヴちゃんは?!」

「今そこの部屋に。」

「大丈夫?すごく怖い顔してるよ?」

「大丈夫です。」

「イヴさんの状態は?」

「痛い、と思います。」

 

 俺は黙った。

 

「(...イヴ...)」

 

 それから、3時間ほど経った。

 

「!」

 

 部屋のドアが開いた。

 

「八舞さん。」

「イヴは!?」

「大丈夫です。そして、生まれましたよ!

 元気な女の子ですよ!」

「そうですか。

 よ、よかった...」

 

 全身の力が抜けた。

 

「奥さんの所に行きますか?」

「はい。」

「それでは、こちらに。」

 

 俺は案内された。

________________________

 

「__あ!エイト!」

 

 さっきまでと打って変わってイヴは元気そうだった。

 

「見てください!女の子ですよ!」

「あぁ、あぁ、見てるよ、イヴ。」

「八舞君、泣いてるの?」

「珍しいね、栄君が泣くなんて?」

「それだけ、嬉しいんだよ。」

「可愛いっすよね!」

 

 俺はイヴの方に近づいた。

 

「頑張ったな、イヴ。

 俺がせめて痛みだけでも背負えたら...」

「大丈夫です!エイトは毎日お見舞いに来てくれてました!それが一番心の支えでしたから!」

 

 イヴは笑顔でそう言った。

 

「この子には、俺と違って、

 家族の愛をめい一杯感じて育ってほしいな。」

「エイト...はい!そうですね!」

「イヴとこの子のために、俺はもっと頑張るよ。

 二人が誇れるように。」

「エイトは今でも自慢の夫です!...あ!」

「?」

「この子の名前はどうしましょう?」

「あ、少し考えてるのがあるんだ。」

「そうなんですか!どんなのですか?」

「私も気になるわ。」

「私も私も!」

「私も!」

「ジブンもっす!」

「この子の名前は___」

 

 俺は一息置いて。

 

「__イナ、がいいな。」

________________________

 

 ”紗夜ルート”

 

「__紗夜、紅茶が入ったぞ。」

「ありがとう、栄斗。」

 

 今は夜中の一時だ。

 

「ごめんなさい。栄斗を起こしてしまって。」

「気にしないでくれ。

 むしろ、紗夜だけの負担になるのは嫌だからな。」

「ふふ、お優しいですね。」

「当り前だ。俺は紗夜を愛してるからな。」

「そ、そうですか///」

 

 紗夜は赤面してる。

 結婚して2年たっても耐性は薄いらしい。

 

「そう言えば久しぶりですね、こんな風にゆっくりするのは。」

「そうだな。」

「私たちが忙しくなってしまいましたからね。」

「でも、それだけロゼリアが人気になったってことだ。

 今やガールズバンドの頂点だからな。」

「そうですね。これも栄斗のお陰ですね。」

「そんな事はない。皆の努力の成果だ。

 その証拠に__」

「ちょ、ちょっと!栄斗!?///」

「こんなに頑張った手をしてるからな。」

「...やはり、女性らしくないでしょうか...?」

「いや?」

「え?」

「紗夜らしい、美しい手だよ。」

 

 紗夜の手を撫でる。

 

「紗夜は昔から、頑張り屋だな。」

「栄斗も、でしょう?」

「俺が頑張れるのは紗夜と__のお陰だ。

 守るべき人がいるから。」

「そうですか...」

「あぁ。」

 

 時間がゆったり過ぎていく。

 

「__おぎゃあ!おぎゃあ!」

「あら?また泣き出したみたいですね?」

「行こうか。」

「はい。」

 

 俺たちは立ち上がった。

 

「今行きますよ__」

 

 「遥」

________________________

 

 ”千聖ルート”

 

「__ねぇ、栄斗。」

「千聖?どうした?」

「私はすっごく疲れてるの。」

「まぁ、今日はドラマの撮影にパスパレの仕事とか忙しかったから。」

「それでね...」

「あー。いつものあれか?」

「そうよ。」

「じゃあ、こっちにおいで。」

 

 俺がそう言うと、千聖は俺に膝枕をされる状態になった。

 

「栄斗~♪」

「全く、これの何がいいんだか。」

「栄斗のだからいいの~♪」

「全く、これじゃ__と大差ないな。」

「...失礼ね。」

「まぁ、可愛いからいいよ。」

「ふぁ...」

 

 俺は千聖の頭を撫でた。

 

「千聖はいつも頑張ってるよ。

 近くで見てる俺は一番分かってる。」

 

 俺は撫でながらそう言った。

 

「心地いいわ...」

「それならよかった。」

「...栄斗は疲れていないの?」

「俺?俺は大丈夫だよ。」

「でも、家事に仕事、育児は全部、栄斗が...」

「したくてしてるから苦にならないよ。」

「ほんと、できた夫だわ。」

「光栄だよ。...あ、そろそろ時間だ。」

「...行っちゃうの?」

「様子見ないといけないからな。」

「じゃあ、私も行くわ。」

「分かった。」

 

 立ち上がった。

 

「じゃあ行こうか、奈月の所に。」

「えぇ。」

________________________

 

 ”日菜ルート”

 

「__栄く~ん!♡」

「うわ!...って、日菜飛びつくと危ないだろ・」

「だって~、癒されたいんだもん~!」

「そうか。あ、ご飯の用意出来てるぞ。」

「わーい!」

 

 俺たちは夕飯を食べ始めた。

 

「そう言えば、紗夜さんから電話が来てたぞ。」

「え?なになに?」

「今度遊びに来るってさ。__にも会いたいらしい。」

「あ~お姉ちゃん、__ちゃん大好きだからね~」

「紗夜さんも忙しいのにな。」

「そうだよね~!ロゼリアはバンド界で有名になったからね~!」

「パスパレもだろ?今やトップアイドルになってる。」

「これも、敏腕な担当さんのお陰だよね~」

「...そんな事はない。」

「あはは!照れてる!」

 

 しばらくして、夕飯を終え、俺たちはゆっくりしていた。

 

「__あー!美味しかったー!」

「食べてすぐに寝転ぶと体に悪いぞ?」

「でも~ぐで~ってしたい気分なんだよ~」

「全く、日菜は変わらないな。」

「るん♪ってくるでしょ?」

「まぁ、そうだな。

 これが俺が愛する日菜だな。」

「///」

「?」

「栄君って、相変わらずだよね~///」

「え?何が?」

 

 何故か貶され?た。

 

「相変わらずと言うなら、日菜はずっと可愛いよ。」

「今なら、サービスしてあげるよ~?」

「ほう?」

 

 俺は立ち上がった。

 

「え、ちょ!栄君?///」

「サービス、してくれるんだろ?」

「いや、その...それは...///」

「日菜。」

「?」

「...菜々美の下の子、アリと思わないか?」

「...うん///」

「今夜も楽しもうか。」

「~っ///」

 

 




感想などお願いします!

新作も出しましたので、見てない方は見てみていただければ嬉しいです!
こういうのが見たいなどのリクエストも是非!
新作三つめは明日くらいに多い方の一話を出せれば出します!
まぁ、どっちもやりますが


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未来編 友希那&リサ

ご要望をいただいた未来編の友希那とリサです!


"友希那”

 

「...栄斗。」

 

 友希那は家で一人、ネックレスを眺めていた。

 

「寂しいわ。私を一人にするなんて...。

 帰ってきて...栄斗...」

 

 それから一時間後

 

「__ただいまー。」

「栄斗!」

「うお!...って、友希那。

 どうしたんだ?」

「寂しかったわ。帰ってくるのが遅いんだもの。」

「いや、まだ7時だからな?」

「寂しかったわ...」

「...はいはい。」

 

 俺は友希那の頭を撫でた。

 

「寂しい思いさせた悪かった。」

「ん♪」

「まぁ、夕飯にしようか。」

「あ、その事なのだけれど。」

「ん?」

「今日は私が作ってみたわ!」

「な、何?!」

 

 俺とした。

 だって、あの友希那が、

 歌以外はポンコツの友希那が!

 

「...なぜ、泣いてるの?」

「いや...感動してな...。(リサさんとお義父さんに教えてあげよう...!明日はお祝いパーティだ!)」

 

 俺のこの感動は数分後に無残に砕け散る。

 

「__あの、友希那...?」

「?」

「うん、首をかしげるのは凄くかわいい。

 じゃなくて、これは何を作ったんだ...?」

「分からないの?カレーよ!」

 

 友希那がカレーと呼ぶものは、

 野菜が切られず入っており、肉は赤みが目立つ、

 ルーも所々溶け切ってない。

 一言で言うと...やばい、だ。

 

「...食べないの...?」

 

 と、友希那が不安そうに聞いてきた。

 

「い、いや!食べるよ!楽しみだな!

 (そうだ!これは友希那が頑張って作ったんだ!肉は牛肉だからセーフだし、野菜も多分、大丈夫だ!多分!!ルーだって溶けてないのが何だ!食えば一緒だ!)」

 

 俺は自分を暗示した。

 

「いただきます。」

「えぇ。」

「それじゃあ...」

 

 俺はカレーを口に運んだ。

 

「!!!」

「栄斗?」

「(お、落ち着け。まだ、慌てる時間じゃない。)

 な、なぁ、友希那?」

「?」

「これ、隠し味とか入れた?」

「隠し味?えぇ、入れたわ!」

「そ、それは何かな?」

「私の栄斗への愛...///」

「(あ、めっちゃ可愛い。)」

「と、タバスコとスーパーに売ってた辛いソースとそこにあったぬか?ってやつね。」

「愛で止めて?!」

 

 俺は愕然とした。

 そう、俺事、八舞栄斗は辛い物が苦手だ。

 今までいう事はなかったが。

 

「食べないの...?」

「い、いや、その...」

 

 辛いに加えてカレーとぬかという奇跡の共演で俺の身体は限界だった。

 

「やっぱり、美味しくないかしら...」

「!?」

「ごめんなさい、これは__」

「い、いや!美味いぞ!」

「!!」

「いやー、美味しすぎて感動してしまった。 

 すぐに食べるよ!」

 

 俺は勢いに任せてカレーを食べ始めた。

 

「(俺の限界が何だ!友希那のためならいくらでも超える!!!)

 おかわりだ!友希那!」

 

 俺はカレーを食べ終え、意識を失った。

________________________

 

「__ん...ここは?」

「...起きたかしら?」

「あ、友希那、おはよう。」

 

 俺は友希那に膝枕をされてる。

 

「あれ?俺は何をしてたんだ?」

「夕飯を食べ終わってすぐに寝たわ。」

「そうなのか。ごめんな。」

「いいわ、私のせいだもの...」

「え?」

「私のカレー食べてみたけどひどい物だったわ...

 あんなのを栄斗に食べさせてたなんて...」

「...」

「自分が恥ずかしいわ...」

「いや、それは違うぞ。」

「え?」

「友希那が愛を込めた料理がまずいわけないだろ?」

「でも...」

「俺はいいと思ったぞ、友希那のカレー。」

「栄斗...」

「なんたって、友希那の愛が詰まってたからな!」

 

 俺は笑顔でそう言った

 

「~!♡///」

「友希那?」

「栄斗...」

「ん?__って、うわ!」

 

 俺は友希那にソファに押し倒された。

 

「あ、あのー、友希那さん?

 これはどういう状況でしょうか?」

「...そろそろ...」

「ん?」

「そろそろ、私たちも子供が欲しいわ♡」

「ふぁ?!」

「今夜は寝かせないわよ♡」

「...仕方ないか。」

 

 これが、今の俺たち。

________________________

 

 ”リサ”

 

「__ただいま。」

「あ!おかえり!栄斗!」

「あぁ、リサ。」

「ご飯にする?お風呂にする?それとも...私にしちゃう?///」

「」

 

 開いた口がふさがらず、目が飛び出しそうだ。

 たしか、あこがれのシチュエーションでこんなのあったような...

 俺がそんな事を考えてると。

 

「...///」

「あ。」

 

 リサがプルプルし始めた。

 

「...リサ?」

「な、何かな?///」

「恥ずかしいなら、無理しない方がいいぞ。」

「うん...///」

「ご飯にしようか。」

 

 俺たちはリビングに行った。

 

「__それにしても、リサの料理は美味しい。」

「ふふ、ありがと!でも、栄斗のが美味しいじゃん~」

「そうか?俺はリサの料理の方が好きだがな。」

「そ、そう?」

 

 俺たちがそんな話をしてると

 

「う~ん、あ、パパ!」

「お!陽和!起きて来たか!」

「うん~!」

 

 陽和はこっちに手を伸ばしてきた。

 

「お!だっこか?」

「うん!」

「おし!任せとけ!」

「わー!高いー!」

「ははは!そうかそうか!」

「いいね~陽和~!」

「うん!あ!ママもしてもらう?」

「う~ん、私はいいかな~...」

「あ!ママこの前またふと__」

「よ~し!陽和!お風呂入ろっか~!」

「?はーい!」

「あの、リサ?」

「ん?どうしたの~?」

「...いえ、なんでもございません。」

「そう?じゃあ!お風呂入ってくるね~☆」

「は、はい。」

 

 リサからヤバいオーラが見えた。

 そんな中、あの発言をするわが娘...。

 4歳児恐るべし。

 

 俺はそう思った。

________________________

 

 俺は風呂に入り、リビングでくつろいでいた。

 

「__栄斗。」

「あ、リサ。陽和は寝たのか?」

「うん!ぐっすりだよ!」

「そうか。」

「隣、いい?」

「もちろん。」

「じゃあ。」

 

 リサは俺の隣にかけた。

 

「今日もお疲れ、栄斗!」

「ありがと。リサもお疲れ。」

「うん!」

 

 俺はリサにお酒を注いだ。

 

「う~ん!美味しー!」

「うん、悪くない。買ってよかった。」

「栄斗は相変わらずセンスがいいねー!」

「偶然なんだがな。」

 

 俺たちはしばらく話しながらお酒を飲んでいた。

 

「ねぇねぇ~栄斗~」

「ん?」

「今日、陽和がね~弟か妹が欲しいって~」

「へぇ。陽和もそういう事言う年になったのかー」

「それでさ、明日休みじゃん?」

「そうだな?」

「だからさ、しない?」

「え?」

「しばらく、ご無沙汰じゃん?」

「いや、でも、陽和が起きたら...」

「...もう、私じゃ魅力ない...?」

 

 リサは寂しそうに言った。

 

「そんな事はありえない。...仕方ないな。」

「!ちょ!」

 

 俺はリサを抱きかかえた。

 

「お、重いでしょ?おろした方が__」

「いや?軽いぞ。」

「そ、そう?」

「あぁ。」

 

 俺は頷いた。

 

「じゃあ、行こうか。リサには魅力があふれてるって、証明してやるよ。」

「う、うん///」

 

 その先はご想像にお任せしよう。

 

 そして、陽和に妹が出来るのは、間もなくの、未来だ。

 

 




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リクエストお待ちしています!


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学生編

学生編です!


 ”イヴ”

 

 今は冬休みだ。

 俺はいつも通りの時間に目が覚めた。

 

「__んー。今は何時だ...?」

「今は6時ですよ!」

「あぁ、ありがとうイヴ......って、イヴ?!」

「おはようございます!エイトさん!」

「え?え?なんで?」

 

 俺が目覚めると、横には俺の最愛の彼女であるイヴがいた。

 そのこと自体は嬉しい、でも...

 

「なんで、俺の家にいるんだ?」

「え?この前、エイトさんに鍵をもらったのでそれで入りました。」

「え?...あ、そうだった。」

 

 俺は一週間前、イヴに家の合いかぎを渡していた。

 

「ふふ♪栄斗さんは面白いですね♪」

「寝ぼけてたみたいだ。

 ...まぁ、朝食にしようか。」

「はい!」

 

 俺は朝食の用意をした。

 

「__じゃあ、食べようか。」

「はい!いただきます!」

 

 俺たちは朝食を食べ始めた。

 

「ん~!美味しいです!」

「良かった。」

「特にお味噌汁がとてもいい香りで!」

「少し味噌を変えてみたが、気に入ってくれてよかった。」

 

 そして、俺たちは朝食を食べ終えた。

 

「__それで、イヴは何しに来たんだ?」

 

 落ち着いたので、イヴに質問を投げかけてみた。

 

「えっと、エイトさんに、会いたくて...///」

「...そうか。(可愛い。)」

「あと、アヤさんに教えてもらったことを実践したくて!」

「ん?」

 

 俺は今、嫌な予感がした。

 

「(そう言えば、イヴの荷物が多い。嫌な予感がするぞ。)」

「なので、少しお部屋で待っていてください///」

「(待って、その顔凄く不安になるんだけど。)」

 

 だが、イヴに逆らえるわけもなく、俺は自室に行った。

________________________

 

「__一体、何が起きるんだ...?」

 

 コンコン

 

『エイトさん...?』

「イヴ?」

『入りますよ...?』

「あ、あぁ。」

 

 さっきからイヴの口調がおかしい、

 嫌な予感がする。

 

 そんな事を考えてるうちにイヴが部屋に入ってきた。

 

「何をするんだイヴ__って、イヴさん?!!!」

「///」

 

 イヴは所謂、寝間着(健全ではない)を身に着け、

 ドアの前に立っている。

 

「一体、何がどうしたんでしょうか、イヴさん?」

「え、えっと、アヤさんがこの本の通りにすればエイトさんが喜ぶと...///」

「本?」

 

 俺はイヴから本を受け取った。

 

「何々......って、何??!!」

 

 所謂、官能的な本だ。

 てか、なんで丸山さんがこんなの持ってんだ?

 

「」

「あ、あの、エイトさん...?///」

「は、はい?」

「さっきからおかしくて///」

「うん、確かにおかしいよ。(この状況が)」

「あの、さっきから、体が...///」

「んー?」

「暑くて///服装は涼しいんですが...///」

「(あれれー、話の方向性がおかしいぞー?)」

「な、なので...その...///」

「イヴ...?」

「その本に書いてる事を...してみたいな、と...///」

「(OH MY GOD。)」

「エイトさん...?ダメ、ですか...?///」

 

 イヴは若干涙目でこっちを見ている。

 

「...こっち、来てみ。」

「?はい。」

 

 イヴはこっちに来た。

 そして__

 

「__きゃ!エ、エイトさん...?///」

「後悔、するなよ。」

 

 そこから先は想像で...

 

 その後、このことが白鷺さんにばれ、丸山さんは4時間、説教を受けた。

________________________

 

 ”紗夜”

 

 俺は午前中の授業を終えた。

 

「さて、弁当を__」

「おーい、栄人ー。」

「ん?どうした、涼?」

「お客さんが来てるぞ!」

「客?」

 

 俺は廊下の方を見た。

 すると...

 

「紗夜さん?」

「行って来いよ!可愛い彼女さんのとこに!」

「あぁ。」

 

 俺は廊下に出た。

 

「__どうしました?紗夜さん?」

「あ、八舞君。あの...」

「?」

「お弁当を一緒に食べませんか...?///」

「弁当ですか?いいですよ。

 待っててください。」

 

 俺は弁当を取りに行った。

 

「__それじゃあ、行きましょうか。

 どこで食べますか?」

「ついて来てください。」

「はい。」

 

 俺たちはある場所に行った。

________________________

 

 俺たちが来たのは屋上だ。

 

「この季節になると誰も来ませんね。」

「二人きりになれるので、ここがいいなと///」

「いいですね、俺も嬉しいですよ。」

 

 俺たちは弁当を食べ始めた。

 

「紗夜さん。」

「はい?」

「卵焼き、食べてくれませんか?」

「え?いいんですか?」

「いいですよ。」

「...あの、一つ、わがままを聞いていただけませんか?」

「わがままですか?いいですよ。」

「...食べさせてください///」

「え?」

「八舞君が食べさせてください///」

「(...あれ?聞き違いじゃなかった。)

 はい、どうぞ。」

 

 俺は困惑しつつ、紗夜さんに卵焼きを差し出した。

 

「__美味しいです♪」

「そうですか。」

「私からも、どうぞ。」

「ありがとうございます。」

 

 俺も紗夜さんから卵焼きをもらった。

 

「__うん、美味しいですね。」

「よかったです。」

 

 俺たちはそうして、弁当を食べ終えた。

 

「__そろそろ、昼休みも終わりですね。」

「そうですね...」

「紗夜さん?」

 

 紗夜さんは少し落ち込んだような声を出した。

 

「あの、八舞君。」

「はい?」

「わがままを、聞いてください///」

「?」

 

 紗夜さんはうつ向いてる。

 

「午後からも頑張れるように...キス、してください...///」

「(...可愛い。)」

「...だめですか?八舞君?///」

「いいですよ。__」

「んっ...///」

 

 そして、少ししてから俺たちは放れた。

 

「満足ですか?」

「...もう、少し///」」

「かしこまりました。」

 

 その後、気付いたら5時間目が終わっていた。

________________________

 

 ”千聖”

 

「...あの、千聖さん。」

「...何かしら?」

「俺はなぜ、正座させられてるんでしょうか?」

「分からないの?」

「はい。」

 

 俺は千聖さんに呼び出されるなり、正座させられていた。

 

「最近、事務所内で栄斗の人気が上がっているわ。」

「はぁ...」

「私の恋人としての自覚がないのかしら・」

「いや、ありますよ。

 むしろ、人気になった自覚の方がなかったですよ。」

 

 俺はそう答えた。

 

「と言うより、昨日も昨日で同じベッドで__」

「それ以上はよくないわ!///」

「?」

 

 千聖さんは俺の発言を慌てて止めた。

 

「まぁ、そんな俺を疑うのは不自然じゃないですか?」

「...そうかもしれないわね。」

「と、いう訳で行きましょうか。」

「え?」

「疑ってらっしゃるようですので、証明です。」

「え?あの、栄斗?」

「覚悟、してくださいね?」

 

 それから、時は過ぎ。

 

「__どうでしたか?」

「あ、あんなに...///」

「お分かりいただけましたか?」

「えぇ...///」

「俺は千聖さんをずっと愛しますよ。」

「ありがとう///」

 

 俺たちは一定条件で主従関係的なものが逆転する。

________________________

 

 ”日菜”

 

「__?これは?」

 

 朝、学校に行くと、下駄箱に手紙が入っていた。

 内容を確認してみると、ラブレターらしかった。

 

「__おはよ、八舞。」

「よう、美竹。」

「おはよー、八舞君ー」

「よう!栄斗!」

「おはよ!入舞君!」

「おはよう!八舞君!」

 

 アフターグロウのメンバーが続々と来た。

 

「で、さっきから何で悩んでるの?」

「ん?あぁ、これだ。」

 

 俺は手紙を見せた。

 

「こ、これって...」

「ラブレターじゃん!」

「流石、栄斗だな!」

「もらえるのはありがたいんだが。

 後が怖い。」

「あ...(察し)」×5

「(日菜さん、嫉妬深いんだよなー。)」

「ま、まぁ、頑張って。」

「...あぁ。」

 

 こうして、時間は過ぎていった。

________________________

 

 放課後、俺は指定された場所に来ていた。

 

「__ここか。」

「あ!八舞君!」

「俺を呼んだのは君か。」

「う、うん!来てくれてありがと!」

「手紙は読ませてもらった。」

「う、うん!だから、分かってると思うんだけど...」

「...」

「私と付き合ってください!」

 

 その女子はそう言った。

 

「...すまない。」

「!...だ、だよね...。」

「俺には付き合ってる人がいるんだ。

 すまない。」

「ううん!大丈夫だよ!今日は来てくれてありがとね!」

 

 そう言って、その女子は走って行った。

 

「__栄君?」

「!!!」

 

 俺は悪寒を感じた。

 

「日菜さん。奇遇ですね、こんなところで。」

「うん、そうだね。」

「あはは、これも運命ですかねー」

「そうだねー」

「「...」」

 

 空気が重苦しくなった。

 

「...さっきの子、可愛かったねー」

「...」

 

 日菜さんは少し拗ねたような声で言ってる。

 

「日菜さん。」

「?」

「俺には日菜さん以上に可愛いと思い人はいませんよ。」

「!!」

「だから__!」

 

 日菜さんが抱き着いてきた

 

「...全く。」

「怖かった。栄君がOkしたらって...」

「しないですよ。」

 

 俺は日菜さんを撫でた。

 

「俺が生きてる理由は日菜さんなんですから。」

「栄君...」

「これからどうしますか?

 家、来ます?」

「...うん。」

「それじゃ、行きましょうか。

 美味しい料理、作りますよ。」

「うん!」

 

 これが俺と日菜さん。

 

 




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学生編 友希那&リサ

学生編友希那とリサです


 ”友希那”

 

「__ねぇ、栄斗?」

「どうしました?」

「このあと、時間あるかしら?」

「ありますよ。」

 

 俺はロゼリアの練習の後、友希那と話していた。

 

「でも、珍しいですね。友希那が誘ってくるなんて。」

「...色々あるのよ。早く行くわよ。」

「はい。」

 

 俺たちはライブハウスをでた。

________________________

 

 外は冬なだけあって、寒い。

 

「__そう言えば、今日はどうしたんですか?」

「...デートに行きたいわ///」

「デート?」

「私も、憧れくらい少しはあるわよ///」

 

 友希那は恥ずかしそうにしてる。

 

「じゃあ、どこに行きますか?」

「それは考えてるわ。」

「え?(友希那が?)」

「...ついて来て。」

「あ、はい。」

 

 俺たちはしばらく歩いた。

 

「__ここよ。」

「?ここは?」

「カラオケよ。」

「カラオケ...あ、歌うところか。」

「入るわよ。」

 

 俺たちはカラオケに入った。

________________________

 

「__へぇ、これがカラオケ。」

「初めてかしら?」

「はい。来る機会がなかったので。」

「そう...」

「楽しみです。」

「使い方を教えてあげるわ。」

 

 カラオケが始まった。

 

「~♪」

「(相変わらず友希那は歌がうまい。

 流石ボーカルだ。)」

 

「__終わったわよ。」

「素晴らしい歌でした。」

「ありがとう。次は栄斗が歌いなさい。」

「俺ですか?うーん...」

 

 俺は色々な歌を見てみた。

 

「(あ、これ、前テレビで見たやつだ。これにしよ。)」

 

 俺は曲を入れた。

 

「これは何の曲なの?」

「えっと、テレビで見たことがある曲です。」

 

 俺は歌い始めた。

 

「~~♪」

「!///(こ、この曲!///)」

「(ん?どうしたんだろう?)」

「///(栄斗、分かってないのかしら?///)」

 

 栄斗が歌ってるのは所謂ラブソングだ。

 

「__ふぅ、こんな感じかな?

 って、友希那?」

「な、何かしら...?///」

「どうしました?顔が赤いような__」

「な、なんでもないわ!次歌うわ!」

「え?あ、はい。」

 

 そして、俺たちはカラオケを楽しんだ。

________________________

 

「__楽しかったですね。」

「えぇ、そうね。」

「でも、驚きました。友希那がパスパレの曲を歌うなんて。」

「歌ってみたかったのよ。」

「可愛かったですよ?」

「そ、そう///」

「はい。」

 

 俺たちはしばらく歩いた。

 流れで来たのは高台だった。

 

「友希那?何でここに来たんですか?」

「...渡したいものがあるわ。」

「?」

 

 友希那はカバンからあるものを出した。

 

「誕生日おめでとう。栄斗!」

「え?誕生日?...あ、そういえば今日だった。」

「これは私からの誕生日プレゼントよ。」

「開けてみてもいいですか?」

「えぇ、もちろんよ。」

 

 俺はプレゼントを開けた。

 

「__これは。」

 

 プレゼントはネックレスだった。

 俺が友希那に渡したのと形が似てる。

 

「どうかしら?」

「嬉しいです。ありがとうございます、友希那。」

「気に入ってくれてよかったわ。

 あと、これもあげるわ。」

「?__?!」

「ん...///」

 

 友希那がキスをしてきた。

 

「これも、プレゼント、よ?///」

「...最高です。友希那。」

「そう///」

 

 とても幸せな誕生日だった。

________________________

 

 ”リサ”

 

「__なんですか、これは?」

 

 俺は困惑していた。

 なんたって。

 

「誕生日プレゼント!」

「いや、それは理解しました。

 でもですね、なんでリサさんにリボンが?」

 

 そう、リサさんが自分にリボンを巻き付けてるのだ。

 

「私がプレゼントだよ!」

「え?どういう事ですか?」

「だーかーらー!私がプレゼントだよ!」

「(おかしい。状況もだが、リサさんの様子が。

 ...ん?このにおい...まさか!)」

 

 俺は聞いてみることにした。

 

「リサさん、酔ってますか?」

「え~?そんなわけないじゃん~!///

 まだ学生だよ~!///」

「(喋り方からもう酔ってるって分かった)」

「で、プレゼントだよー栄斗ー///」

「いや、あの...」

「...もしかして、嬉しくない?」

「え?」

「そうだよね...私なんて...」

 

 リサさんは泣きそうだ。

 

「あー。リサさん?」

「何...?」

「すいません。少し驚いてただけで、嬉しいですよ。」

「え?」

「プレゼントなんですよね?」

「え?__きゃ!」

 

 俺はリサさんを抱きかかえた。

 

「じゃあ、リサさんをいただきますね。」

「///...う、うん///」

 

 ここから先は想像してください。

________________________

 

「__ん?ここは...」

「...うん?あ、おはようございます。リサさん。」

「え?栄斗?なんで?」

「覚えてないんですか?」

「?何のこと__あ、///」

 

 リサさんの顔が急に赤くなった。

 

「...」

「あの、リサさん?」

「ご、ごめんね、栄斗///」

「いや、いいですよ。」

「私、またあんな...///」

 

 リサさんは布団にもぐった。

 

「可愛かったですよ。」

「うぅ...///」

「それより、よかったんですか?

 帰らなくても?」

「うん?あ。」

「...忘れてたんですね。」

「...うん。お母さんたちになんて言おう...?」

「俺も行きましょうか?」

「えぇ?!」

「いいじゃないですか。婚約者の家に泊まってたと言えば。

 あと、両親に挨拶しましょうか。」

「え、栄斗...?///」

「そうと決まればすぐ行きましょう。」

「ちょ!ちょっと待ってー!!!///」

 

 この後、リサさんの両親に挨拶した。




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リクエストも待ってます!


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学生&未来編(モカ)

モカの学生と未来編です!


 ”学生編”

 

「__さて、帰るか。」

 

 俺は紗夜さんに頼まれて生徒会の手伝いをしていた。

 

「いやー、生徒会の仕事は大変だな。」

 

 俺はそんな事を言いながら校門に向かった。

________________________

 

「__今日は帰ったら何をするか...」

「あ、えーくーん!」

「モカ?」

 

 校門に行くと、モカがいた。

 

「何してるんだ?」

「えー君を待ってたのですよー」

「全く。」

 

 俺は上着をモカにかけた。

 

「全く、来てるなら連絡しろ。

 寒かっただろうに。」

「...あったかーい。」

「ほら、行くぞ。温かいものでも買いにいくか。」

「わーい。えー君のおごりー?」

「待たせたからな。当り前だ。」

「じゃあーパンがいいー」

「いや、温かいものにしろよ。」

 

 俺たちは歩いた。

________________________

 

「__いらっしゃいませー!って、八舞君とモカじゃん!」

「どうも、リサさん。」

「お疲れ様でーす。」

「二人そろって何しに来たの?」

「モカの体が冷えてるんで、何か温かいものをと。」

「そーなのです。」

「なるほどねー...じゃ、これなんてどう?」

「なんですか?これ?」

「えっと、暖かくなる飲み物らしいよ!」

「らしいって、大丈夫なんですか?」

「多分、大丈夫だよ!」

「多分って...」

「面白そうですなー」

「え?」

「これにしまーす。」

「じゃあ、お会計するねー!」

「(本当に大丈夫なのか?)」

 

 俺は不安に思いつつも会計をした。

 

__そして、俺の家に行った。

________________________

 

「__おじゃましまーす。」

「おう、上がれあがれ。」

 

 俺たちは家に入ってソファに座った。

 

「__さーて、早速、飲んでみますかー」

「...本当に飲むのか?」

「うんー。何事もチャレンジだよー」

「(危なくないといいが)」

「じゃあ、行くよー」

 

 モカはそれを飲んだ。

 

「__うぇ~、まずいー」

「やっぱりか。待ってろ、口直し持ってくるから。」

「うんー...」

 

 俺は一度、席を外した。

 

「(...あれれー?)」

 

 モカの身体に異変が起きた

 

「(体が熱いよー///なんでー?///)」

「__お待たせ、モカ。」

「えーくーん...///」

「どうした?」

「こっちきてー?///」

「?あぁ。」

 

 俺はモカに近づいた。

 

「どうしたんだ?__って、うわ!」

「えー君...///」

「いや、何してるんだ?」

 

 俺はモカに押し倒されていた。

 

「体がおかしいのー///」

「え?」

「特にここが///」

「なんで?!」

 

 俺は周りを確認した。

 

「(ん?あの飲み物?)」

 

 俺は成分を見てみた。

 

「(__って、完全にヤバいやつじゃねぇか!

 暖かくなるってそういう事かよ!)」

「えー君ー?」

「あの、モカ?これはあれのせいでなってる。

 正気に戻った時に後悔するぞ!」

「いいよー///」

「はい?」

「どーせ、時間の問題だったしー

 何より、したいしー」

「...まじか。」

 

 そこから先はご想像を。

________________________

 

 ”未来編”

 

「__おい、モカ起きろ!」

「んー...あと、5分...」

「何回目の5分だ?」

 

 俺は布団をはぎ取った。

 

「__って、なんで服着てないんだよ!」

「もー、えー君のエッチー」

「全く狙ってねぇよ!」

 

 その後、俺はモカを着替えさせた。

 

「...はぁ、朝から疲れた。」

「すいませんねー」

「まぁいいから、食べろ。」

 

 俺は朝食を出した。

 

「__美味しー」

「そうか。よかった。」

「えー君は天才ですなー」

「普通だ。」

「モカちゃんも料理しないとですなー」

「別にどっちでもいいが、したいならいいんじゃないか?」

「今度教えてよー」

「いいぞ。」

 

 俺たちは朝食を食べ終えた。

 

「__それで、なんでこんなに早く起きたのー?」

「生活リズムを乱さないためだ。」

「折角のお休みなのにー」

「まぁ、いいじゃないか。

 ほら、クッキー」

「おー、久しぶりだー」

「リサさんとの合作だ。」

「...リサさん?」

「ん?」

 

 モカの周りの空気が冷たくなった気がした。

 

「モカ?」

「二人で会ったのー?」

「ま、まぁ。」

「モカちゃんがいるのにー?」

「いや、クッキーを作っただけでだな...」

「二人で、会ったんだよねー?」

「...はい。」

 

 モカの圧に屈した。

 

「...」

「あの、モカ?」

「これは、罰が必要ですねー」

「罰?」

「明日は腰が悲惨かもねー」

「へ?いや、あの__」

「今はちょうどモモちゃんも寝てるしー。

 いいよね?えー君?」

「...はい。」

 

 俺たちは意外とモカの立場が強い。




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雅&香澄編

雅と香澄の話です!


「__雅君!」

「戸山か。」

 

 二人が付き合い始めて2か月がたった。

 二人の仲は良好で、香澄は雅を名前で呼ぶようになった。

 

「...なぁ、戸山。」

「どうしたの?」

「ついて来てほしい場所があるんだ。」

「どこ?」

「来てくれるか?」

「うん!いいよ!」

「...じゃあ、行くか。」

 

 二人はある場所に向かった。

________________________

 

「__ここだ。」

「ここって、病院?」

「あぁ。俺の母さんがいる。」

「!確か、雅君のお母さんって...」

「...そう、だから会ってほしいんだ。」

「分かったよ。」

「じゃあ、入るか。」

 

 俺たちは病院に入った。

________________________

 

 コンコン。

 

「入るぞ。」

 

 俺は扉を開けた。

 

「__あ、雅じゃない。」

「元気か。母さん。」

「今元気になったよ。

 かわいい子を連れて来たからね。」

「こ、こんにちわ!」

「そっちの子は彼女?」

「...あぁ。」

「と、戸山香澄です!」

「香澄ちゃんか...いい名前だね。」

「はい!ありがとうございます!」

「雅とはいつから付き合ったの?」

「2か月前からです!」

「やっぱり。」

「え?」

「2か月前から雅の表情が明るくなっててね。

 なんとなく気付いてた。」

「そ、そうなんですか。」

「余計なことを言うな母さん。」

「照れてるね。」

「...ふん。」

「あ、雅。」

「なんだ?」

「飲み物を買ってきてくれない?

 のどが渇いてね。」

「分かった。行ってくる。」

 

 雅は病室を出た。

 

「...ねぇ、香澄ちゃん。」

「はい?」

「雅の事は好きかい?」

「!はい!大好きです!」

「そうかい。」

 

 雅のお母さんは微笑んだ。

 

「あの子には今まで苦労を掛けたからね、

 幸せになってほしいんだ。」

「お母さん...」

「あの子は私が倒れてから、ずっとバイトして、

 下の子たちの面倒を見て、学生で楽しめる事は何もできてなかった。」

「...」

「だから、香澄ちゃんみたいな子が現れてくれたのが嬉しい。

 だから、これからも雅と仲良くしてあげてね。」

「はい!お母さんも早く良くなってくださいね!」

「...それは、無理だよ。」

「え?」

「私はもう長くないの。」

「え?な、なんで?」

「症状を放置しすぎてね、もう手遅れなんだ。」

「そ、そんな...」

「だから、お願いがあるの。」

「お願い...?」

「雅をずっと、支えてあげてね。」

「...はい...」

 

 お母さんの笑顔は今にも消えそうな、

 そんな笑顔だった...

________________________

 

 2か月後。

 

「__うぅぅ、お母さぁん...!」

「兄ちゃん?お母さんは...?」

「なんで、あの箱の中にいるの...?」

「...」

「(雅君...)」

 

 香澄は葬式に出席していた。

 

「...悪いな、戸山。

 わざわざ来てくれて。」

「ううん。雅君のお母さんだもん。

 当り前だよ。」

 

 しばらくして、下の子たちは泣き疲れて眠ってしまった。

 雅は近くにあった公園のベンチで座っていた。

 

「...」

「雅君...」

「戸山。」

「隣、座ってもいい?」

「あぁ。」

 

 香澄は雅の隣に座った。

 

「...なぁ、香澄。」

「どうしたの?雅君?」

「ここの公園、一回来たことがあるんだよ。」

「そうなの?」

「あぁ。あの頃は父さんもいて母さんも元気でな。

 広い公園ではしゃいでずっと走り回ってた。」

「雅君にも、そんな時があったんだね。」

「あぁ。」

 

 雅は遠くを見てる。

 

「あの時は父さんも母さんもずっといると思ってたよ。」

「雅君...」

「俺はかなり可愛がられてたよ。

 父さんはいっつも土産を買ってきてくれて、

 母さんは楽しそうに俺の話を聞いてくれて。」

 

 雅の目から涙が零れた。

 

「雅君...!」

「俺はさ...一番上だから、あいつらの前で泣くわけにはいかない...

 あいつらの前では強い兄貴でいなきゃいけないんだ。

 母さんとの約束でもあるからな。__!」

「雅君...」

 

 香澄は雅を抱きしめた。

 

「と、やま...?」

「私、お母さんに頼まれたの。

 雅君をずっと支えてって。」

「母さんが...?」

「だからね、私の前では我慢しないで...

 お願い...」

「...」

 

 雅は香澄を抱きしめ返した。

 

「俺は...俺は...」

「大丈夫だよ。雅君なら。

 私もいるよ...」

「あぁ...あぁ...!」

 

 しばらくして、雅と香澄は離れた。

 

「...悪かったな。」

「大丈夫だよ!」

「これからは俺があいつらをきっちり育てて、

 母さんを安心させないとな。」

「ううん、雅君。」

「戸山?」

「私も一緒に育てるよ。

 雅君がお父さんの代わりで、

 私がお母さんの代わりになるよ!」

「...そうか。」

「だから、ね...?」

「?」

「私と大人になったら、結婚しない...?///」

「え?」

「えっと、雅君をずっと支えたいから、その...」

「...いいぞ。しようか。」

「雅君!」

「これからもよろしくな。戸山...いや、香澄。」

「!...うん!雅君!」

 

________________________

 

 数年後。

 

 今日は二人の結婚式前日だ。

 

「__とうとう、明日か。」

「そうだね!雅君!」

「でも、悪いな。今日は付き合ってもらって。」

「私もお母さんに報告したかったからいいよ!」

「そうか。母さんも喜ぶよ。」

 

 二人は墓の前に来た。

 そして、二人は手を合わせた。

 

「(母さん、俺、明日結婚するよ。俺はいい人に巡り合えて今幸せになったぞ。)」

「(お母さん。私はお願いを守れてますか?いや、まだ、これからですよね!

 私はこれからもずっと、雅君を支えます!)」

 

 二人はお参りを済ませると、山から景色を見ていた。

 

 

「__綺麗だな。」

「春だもんねー!桜もいっぱいだよー!」

「あぁ、そうだな。」

 

 雅と香澄はしばらく景色を見ていた。

 

「...なぁ、香澄。」

「?どうしたの?」

「ありがとな。香澄のお陰で今の俺があるんだ。

 俺を支えてくれてありがとう。」

「...ううん。まだまだ、これからだよ!

 だって、これからは夫婦だもん!」

「そうだな。」

「だから、これからもよろしくね!」

「あぁ。」

 

 雅は香澄を見た。

 

「雅君?」

「愛してる、香澄。」

「!///私も、愛してるよ、雅君!///」

 

 これが今の二人。

 これから門出を迎え、

 新たな幸せに向かっていく、

 二人だ。

 




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メタ回!前編

メタ回です!
今回は現状決まってる事のお知らせです!



イヴ「__第二回!メタ回!」

栄斗「今回の司会はイヴルートの俺とイヴ、そして、紗夜さんだ。」

紗夜「こんにちは。イヴルートの氷川紗夜です。」

栄斗「今回は前編と後編に分けて色々な話をしようと思う。」

イヴ「今回はゲストの方も来ていますよ!

 ご紹介します!」

 

 ”ゲスト”

 

イヴ「まずは覚醒天才の王国より、神谷蓮さんです!」

蓮「神谷蓮だ。」

栄斗「わざわざ別世界線からいらっしゃい。先輩。」

蓮「いや、年は上だが作品的にはお前が先輩だろ。」

栄斗「まぁ、ここでは年齢で判断でお願いします。

   一応。」

蓮「まぁ、どっちでもいいか。」

 

イヴ「それでは、二人目のゲストです!

   愛染アリスさんです!」

アリス「えっと、初めまして。

    愛染アリスです!」

栄斗「この子はいただいたオリキャラの中で一番出番が早い子だな。

   ちなみに、覚醒天才の王国で登場予定だ。」

アリス「申し訳ないです...私が一番なんて...」

蓮「まー、良いんじゃねぇか?

  一番のキャラには一番なりの理由があるんだ。」

栄斗「その通り。愛染は作者の一番好きなキャラだったらしい。」

アリス「えぇ?!」

蓮「ま、そーゆー事だ。」

 

イヴ「三人目は天空時三久さんです!

   この方も頂いたオリキャラですね!」

三久「こんにちは、天空時三久と申します。

   この度はお招きいただきありがとうございます。」

蓮「固いなー。」

栄斗「そうだな。」

イヴ「フレンドリーに行きましょう!ミクさん!」

三久「そうですか?ですが、これは癖なので...」

栄斗「まぁ、癖だったら仕方ないか。」

イヴ「そうですね。

   それでは、以上のメンバーで前編を進めます!」

 

 ”オリキャラについて”

 

栄斗「それじゃあ、最初の話題だが。

   折角来てもらってるから、オリキャラについてだ。」

紗夜「そうですね。」

蓮「じゃあ、行くかー」

イヴ「まずはアリスさんについてです!」

アリス「わ、私ですか。」

栄斗「愛染はイギリスと日本のハーフで、

   歌姫と音楽界では呼ばれてるらしい。」

アリス「い、いえ、私なんてそんな...」

イヴ「アリスさんの歌は聴いた事があります!

   とてもすごかったです!

   世界に引き込まれるようでした!」

栄斗「俺もイヴ勧められて聴いたが、

   驚いたな。芸術な歌とはああ言うのを言うんだろう。」

紗夜「私もあります。湊さん以上かもしれないと思いました。」

アリス「あ、ありがとうございます。」

蓮「ま、俺の方の世界でよろしく。」

アリス「よろしくお願いします、神谷さん!」

蓮「ちなみに、アリスはメインの話があるぞ。

  どういう話かは、お楽しみに。」

アリス「はい!」

栄斗「じゃあ、次は天空時についてだ。」

三久「...私で話すことなんてあるんでしょうか?」

イヴ「ありますよ!」

栄斗「天空時はお嬢様だ、アリスもだが。」

イヴ「こころさんとどっちが上なんですか?」

栄斗「そこの所はどうなんだ?」

三久「流石に豪華客船を一人娘に買うのは...」

アリス「まぁ、あまりないですよね。」

蓮「報告、こころはやっぱり規格外だった。」

栄斗「まぁ、そうだろうな。」

紗夜「弦巻さんは確かに、ですね。」

栄斗「まぁ、後は共通する点と言えば、

   二人は天才ってとこだな。」

蓮「いや、お前もだろ。」

栄斗「先輩こそ。」

三久「流石に二人には敵わないと思いますが?」

栄斗「いやいや、少なくとも天空時と俺は同じだ。」

蓮「じゃ、アリスは俺と似たようなもんか。」

アリス「そうなんですか?」

栄斗「作者曰く、天空時と俺は万能型。

   先輩と愛染が特化型らしい。」

紗夜「日菜を超える天才が四人...?」

イヴ「エイトさんはすごいですからね!」

蓮「俺は条件付きなんだがなー」

栄斗「でも、改善されたじゃないですか。

   しかも、最近新しい応用を見つけたとか。」

蓮「あー、あれか?」

アリス「何かあるんですか?」

三久「少し気になりますね。」

蓮「簡単なことだよ。

  能力の応用で相手の動きから、

  次の行動を読めるようになった。」

イヴ「イメージ的にはどんな感じなんですか?」

蓮「そーだなー。

  黒〇のバスケのエンペラーアイ。」

栄斗「あっ(目、赤...察し)」

イヴ「知ってるんですか?」

栄斗「まぁ、一応。」

紗夜「未来視に近いんでしょうか?

   すごいですね。」

アリス「本当にすごいですね!」

三久「はい。普通ではないですね。」

蓮「まー、俺は色々あって能力が制限されるからなー」

栄斗「?」

蓮「ガールズバンド。」

栄斗「はい、分かりました。」

イヴ「以上!オリキャラについてでした!」

 

 ”お話し”

 

栄斗「残りのオリキャラについてだが、

   作者の力量的に一気に出せる数に制限があるんだ。」

蓮「未熟だな。」

栄斗「先輩の世界は顕著にそれが出てますよ。」

蓮「あー、セリフが少ない子がいたりな。」

栄斗「はい。そのための個人回です。」

蓮「個人回?」

栄斗「何でもないです。それじゃあ、次に行きましょう。」

蓮「え?ちょ__」

 

 ”今後の番外編について”

 

栄斗「今後の番外編について話しましょう。」

蓮「さっきのはどういう__」

栄斗「色々なアイデアをいただき、ネタ切れが起きないですね。」

イヴ「はい!とても嬉しいです!」

アリス「それで、どのお話を書くんですか?」

栄斗「全部書くぞ。作者が見落としてなければ。」

三久「え?でも、かなり待たせてしまうんじゃ...?」

紗夜「そうですね。」

栄斗「あぁ。だから作者はパソコンをどこにでも持っていければいいのに、と言ってたな。」

蓮「本当は一日に3本くらい上げたいが一日1本が限界らしいな。」

イヴ「それで、番外編は何からになるんでしょうか?」

栄斗「あ、そうだった。発表します。

   最初はここにいる紗夜さん。」

紗夜「え?私ですか?」

栄斗「はい。イヴルートの紗夜さんに幸せになってほしいと言うお声をいただいたので、

   イヴルート紗夜さんのその後を書くことが決定しました。」

蓮「紗夜か。てか、お前のとこの紗夜はどうなったんだ?」

栄斗「...それは、ここでは...」

蓮「?」

紗夜「気にしなくもいいですよ、八舞君。

   あの事があったからこそ、今の私がありますから。」

栄斗「紗夜さん...」

アリス「あのお二人に何が...?」

三久「あまり触れない方がよさそうですね。」

 

蓮「まぁ、メタ回以降の番外編は紗夜の話だ。

  前編はここまで。後編はゲストを入れ替えていくぞ。

  後編へー続くー。」

   




後編はまた上げます!

もう少し内容をまとめてからになりそうですね。


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メタ回!後編

メタ回の後編です!


彩「メタ回後編だよ!司会の丸山彩です!」

蘭「蘭とお兄ちゃんの美竹蘭。よろしく。」

彩「えーと、別の世界の蘭ちゃんでいいんだよね?」

蘭「はい、そうですよ。」

彩「あ、ちなみに私は紗夜ルートからだよ!」

蘭「時間もないし、ゲストの紹介に行きましょう。」

彩「あ!そうだね!」

 

 ”ゲスト”

 

彩「まず一人目!オリキャラより、氷川翼さんだよ!」

翼「こんにちは、氷川翼です。」

蘭「翼さんは確か、紗夜さんと日菜さんの従妹でしたよね?」

翼「それで合ってますよ!」

彩「じゃあ!二人目に行くね!こちらもオリキャラより、

  戸山咲さんです!」

咲「...」

彩「あのー?」

咲「...戸山咲。よろしく。」

彩「あ、はい!よろしくお願いします!」

蘭「無口な人だね。」

咲「...あなたは意外と喋るんだね。」

蘭「まぁ、はい。」

彩「ま、まぁ、次のゲスト行くよ!

...あれ?この人は...?」

蘭「どうしたんですか?」

彩「蘭ちゃんが喜ぶ人だね。」

蘭「?」

裕也「どうもー、和田裕也でーす!」

蘭「お、お兄ちゃん!?」

裕也「やっほー、蘭!」

蘭「な、なんでお兄ちゃんが?」

裕也「うーん、呼ばれたから?

あ、俺は見ての通り蘭と同じ世界から来てるよ!」

彩「それではゲストは以上です!」

 

 ”ゲストについて”

 

彩「それじゃあ!ゲストについて話していこうか!」

裕也「ゲストかー。」

蘭「翼さんと咲さんについては話すことが多そうだね。」

翼「そうですね。今回が初登場ですし。」

咲「...」

彩「じゃあ!二人に自己紹介してもらおっかな!」

翼「それでは私から。

氷川翼です。紗夜、日菜とは従姉妹ですね。

学年は高校3年生です。

得意なことは料理とギターです。」

彩「へー!翼ちゃんもギター出来るんだー!

あ、ちなみに紗夜ちゃんと日菜ちゃん曰く、

面倒見がいいらしいよ!」

翼「そうなんですか?嬉しいですね。」

彩「じゃあ、次は咲ちゃんだけど...話せる?」

咲「...戸山咲。高3。剣道部。」

裕也「すっごい簡潔だな。」

咲「...あ、香澄とは従姉妹だよ。」

蘭「香澄の?全然似てないですね。」

咲「...私は私だよ。」

彩「あ!香澄ちゃん曰くとっても優しい子らしいよ!

剣道部では後輩の指導をしたり、遅くまで練習に付き合ったり!」

咲「...香澄は何を話してるの?」

裕也「まぁ、いいじゃないか!」

咲「...ま、いいか。」

彩「じゃあ!次のコーナーです!」

 

 ”オリキャラについて”

 

裕也「おー、二人についてか。」

彩「うん!どの物語、ルートで登場するとかだね!」

蘭「早く発表しましょう。」

彩「うん!まずは翼ちゃん!」

翼「私ですか。」

彩「翼ちゃんは紗夜ルート、日菜ルート、

場合によっては覚醒天才の王国で登場するよ!」

翼「まぁ、順当ですね。ですが、場合によってとは?」

彩「あ!それは作者が内容を思いついたらだよ!」

翼「そうゆう事でしたか。」

彩「じゃあ、次、咲ちゃん!」

咲「...うん。」

彩「咲ちゃんには千聖ルート、雅&香澄と

イヴルートに出てもらうよ!」

咲「...え?イヴルート?意外だね。」

彩「これには理由があるんだよ!」

蘭「あ、イヴが剣道部だからだ。」

彩「うん!正解!」

咲「...あ、イヴちゃんか。可愛い子だよね。」

彩「うん!...じゃあ、次行くね!」

 

 ”推しキャラ”

 

裕也「なんだこれ?」

彩「見ての通りだよ!」

蘭「いや、分かんない。」

彩「これはね、作者が見てくれてる人は誰推しなのかなーって気になったらしくて。」

翼「なるほど。」

咲「...」

裕也「推しキャラかー確かに気になるかもな。」

彩「ちなみに作者はイヴちゃん推しだよ!」

蘭「知ってた。」

裕也「それは想像が付くな。」

翼「そうですね。」

咲「うん。」

彩「ちなみに裕也君が推しキャラにするとしたら誰なの?」

裕也「俺か?俺は蘭だな。」

蘭「!」

裕也「あーでも、小さいとき面倒を見てた皆は好きだぞー。」

彩「それはどこのアフターグロウかな?」

裕也「でも、やっぱり蘭が一番だぞ。

一番一緒にいたからな。」

蘭「そ、そう...///」

咲「...蘭、照れてるね。」

翼「可愛らしいですね♪」

蘭「や、やめてください...///」

彩「と、言う事でよろしければ推しキャラも答えてくださいね!」

 

 ”お知らせ”

 

彩「お知らせに行きます!」

裕也「まずは、恋愛のブシドーについてだな。」

蘭「これは前回、紗夜さんの話を書くって言ってたね。」

彩「うん!それにプラスして要望があった明日香ちゃんと六花ちゃんのお話も書きます!」

咲「...明日香も幸せになれるんだ、よかった。」

翼「よかったですね、咲さん。」

彩「他にも色々、お正月編とかお花見とかデートとか、いっぱいあるね!」

蘭「他のオリキャラの話も書かないとだし。」

裕也「メタ回で登場したオリキャラは出番が近い順で決めたからな。」

彩「という事で、お知らせはヒロインのその後編追加でしたー!」

 

 ”最後に”

 

彩「メタ回で話す内容はこれでお終いだよ!」

裕也「この世界に始めてきたが楽しかったぞ!」

蘭「お兄ちゃんといたらどこでも楽しい。」

翼「私たちはすぐに登場するかもですね。」

咲「...うん。わからないけど。」

彩「今回は90話記念って形だったけど、メインはオリキャラの紹介だったね!」

裕也「次にメタ回をするとしたら100話くらいか?」

彩「うん!そのくらいになるかな!」

蘭「じゃあ、今回はここまで。」

翼「今回はありがとうございました。」

咲「...じゃあね。」

裕也「引き続きこの世界の話も、

俺たちの世界の話もよろしくお願いします。」

 

彩「それでは!ありがとうございました!」

 




 次は紗夜さんの話になると思います!


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新しい目標(イヴルート紗夜)

イヴルート紗夜の話です!
時系列的には栄斗とイヴが付き合い始めて1週間以内の話です!


 夏直前、

 ロゼリアはいつも通り、練習をしていた。

 

友希那「__紗夜、また外れてるわ。」

紗夜「ご、ごめんなさい...」

あこ「最近ずっとですけど、風邪でもひきました?」

燐子「季節の変わり目ですし...。」

紗夜「いえ、そんな事は...」

友希那「ないとしてもおかしいわ。今日は練習は終わるわ。

皆も体調管理はしっかりして。」

 

 ロゼリアの練習が終わった。

 

紗夜「(...私は何をしてるんでしょうか...)」

リサ「さーよ!」

紗夜「今井さん...」

リサ「最近元気ないけどどうしたのー?」

紗夜「いえ、なんでも__」

リサ「ないわけないよね?」

紗夜「!」

リサ「話してみなよ!楽になるかもよ!」

紗夜「でも...」

リサ「取り合えず、カフェでも行こ!」

紗夜「ちょっと、今井さん!」

 

 紗夜はリサに引っ張られていった。

________________________

 

 二人は近くのカフェに来た。

 

リサ「__それで、何がったの?」

紗夜「...あまり、人に話せるようなことでは...」

リサ「紗夜。」

紗夜「は、はい?」

リサ「紗夜はもっと周りを頼らないとだよ?

紗夜には力になってくれる仲間がいるんだから。

勿論、あたしもね☆」

紗夜「今井さん......。分かりました、お話しします。」

リサ「うん!話して話して!」

紗夜「では、お話しします。あれはおよそ二か月前の事です。」

 

 紗夜は全てを話した。

 栄斗に告白したこと、フラれたこと、

 未だに栄斗が心に引っかかってる事。

 

リサ「(__紗夜を振るなんて、どんな大物なの...?)」

紗夜「今井さん...?」

リサ「でさ、紗夜はどうしたいの?」

紗夜「どうしたい、ですか...」

リサ「?」

 

 紗夜は口ごもった。

 

紗夜「...私は彼を諦めたいです。」

リサ「!?」

紗夜「彼には好きな人がいて、その人と付き合ってます。」

リサ「え?そうなの?」

紗夜「はい。だから、彼を諦めたいんです。」

リサ「...ねぇ、紗夜?」

紗夜「はい?」

リサ「そのさ、八舞栄斗君、だっけ?会える?」

紗夜「え?な、なんでですか?」

リサ「すこーし、聞く事があってねー」

紗夜「で、でも...」

リサ「紗夜、携帯貸して。呼び出すから。」

紗夜「!だ、ダメです!」

リサ「いいから、早く。」

紗夜「......はい。」

 

 いつものリサからは考えられない圧力に、

 紗夜は負けた。

 

リサ「えっと、『少し会えないでしょうか?』っと。

こんなものかなー?」

紗夜「...」

リサ「じゃ!少しお茶してよかー☆」

紗夜「...はい。」

 

 二人はしばらくお茶をした。

 返信はだいたい20分後来た。

 

リサ「あ!きたきたー!何々?『大丈夫ですよ。いつですか?』

だってー!」

紗夜「まぁ、八舞君ならそう言うでしょうけど。」

リサ「じゃー、『今からで大丈夫ですか?』っと。」

紗夜「え?急すぎるでしょう。」

リサ「大丈夫大丈夫!...あ、来た!早いねー!」

紗夜「あの、八舞君はなんと?」

リサ「んー?大丈夫だってー!」

紗夜「そ、そうですか。」

リサ「じゃ!行ってくるー☆」

紗夜「ちょ!今井さ__行ってしまいました...」

 

 紗夜は頭を抱えた。

________________________

 

栄斗「__えーっと、待ち合わせはこの辺りだよな?」

 

 栄斗は待ち合わせ場所に来ていた。

 

リサ「君が八舞栄斗君かな?」

栄斗「?はい、そうですが。」

リサ「あたしは今井リサ!紗夜の友達だよ☆」

栄斗「氷川さんの?」

リサ「うん!そして、君を呼び出したのはあたしだよ!」

栄斗「なんで今井さんが?」

リサ「うーん、色々かな!少し話そうよ!」

栄斗「分かりました。」

 

 二人は近くのベンチに移動した。

 

栄斗「__それで、今日は何の目的で俺の所に?」

リサ「目的って...ただ話に来ただけだよ?」

栄斗「嘘ですね。」

リサ「!」

栄斗「嘘をつくとき、今井さんは髪をいじる。」

リサ「う、嘘!」

栄斗「はい、嘘ですよ。」

リサ「な!」

栄斗「まぁ、悪意はないのでいいんですがね。」

 

 俺はベンチに座った。

 

栄斗「目的は話。ただし普通ではないですよね?

聞きましょう。」

リサ「...ほんとにすごい人みたいだね。」

栄斗「普通ですよ?」

リサ「...ま、いいや。私が聞きたいことは紗夜の事だよ。」

栄斗「...やっぱり。」

リサ「紗夜は八舞君にフラれてから調子を崩してるの。」

栄斗「...」

リサ「なんで、紗夜を振ったの。」

 

 リサの面持ちは真面目だ。

 

栄斗「好き...いや、愛してる子がいるからです。」

リサ「(紗夜の言った通り。)

その時は付き合ってなかったんだよね?

なんで、紗夜じゃ駄目だったの?」

栄斗「...俺の心を救ってくれてたのが、その子、イヴだったんです。

紗夜さんがダメなんじゃなく、俺がイヴじゃないといけなかった。」

リサ「...え?ちょっと待って、イヴ?」

栄斗「?はい。」

リサ「イヴってあの、若宮イヴで間違いないよね?」

栄斗「はい、そうですが。」

リサ「(え?八舞君の彼女ってイヴだったの!?

予想外過ぎて驚いたんだけど!?)」

栄斗「どうしました?」

リサ「い、いや、なんでもないよ。」

栄斗「話は終わりですか?なら俺は失礼します。」

リサ「待って、最後に一つ。」

栄斗「...」

リサ「もう、絶対に紗夜の気持ちに答えられないの...?」

紗夜「__やめてください!今井さん!」

リサ「!さ、紗夜。」

栄斗「...氷川さん。」

紗夜「彼に、八舞君にそんな事を聞かないでください!」

リサ「でも、それじゃ紗夜が...」

紗夜「私はもういいんです!彼には若宮さんがいるんですから!

だから!__」

 

 紗夜は走って行った。

 

栄斗「......」

リサ「...私のしたことって、ただのお節介だったのかな。

紗夜にとっては余計なことだったのかな...」

 

 リサは泣いてる。

 

栄斗「...これ、どうぞ。」

リサ「え...?」

栄斗「使ってください。」

 

 栄斗はリサにハンカチを渡した。

 

栄斗「それじゃあ、俺は氷川さんの所に行ってきます。」

リサ「!なんで...?」

栄斗「...今井さんの行動がただのお節介じゃないようにするために。」

リサ「!」

栄斗「じゃあ、雨が降りそうなので早めに帰っておいてくださいね。」

 

 栄斗はそう言って公園を出た。

________________________

 

 暫くすると、雨が降ってきた。

 

栄斗「(雨が降る前に氷川さんを見つけるつもりだったのに。

どこだ、氷川さん。)」

 

 栄斗は紗夜を探し回った。

 

栄斗「(!あれは...)」

 

________________________

 

紗夜「__(まさか雨が降るなんて...)」

 

 紗夜は雨に打たれていた。

 

紗夜「(ですが、今の私にはピッタリなのかもしれませんね。

この雨はまるで、今の私を表してるようだもの...)」

 

 紗夜はそんな事を考えていた。

 

紗夜「(この悲しみは罰なのかもしれない。

フラれたのにすぐに八舞君を諦めなかった私への...罰。)」

 

 紗夜は涙を流した。

 

紗夜「(...いっそ、私もこの雨に流されたい。

そうすれば、この悲しみも消えてくれるのかしら...)」

栄斗「__何、してるんですか?」

紗夜「!や、八舞君...?」

栄斗「そんなに雨に濡れると、風邪ひきますよ。」

紗夜「...もう、私なんて放っておいてください。」

栄斗「...」

紗夜「私は、罰を受けているんです。

すぐにあなたを諦められなかったことへの。」

栄斗「...ないですよ、そんな罰は。」

紗夜「え...?」

 

 栄斗は紗夜に上着を羽織らせた。

 

栄斗「確かに、俺はイヴを愛してます。」

紗夜「...」

栄斗「でも、俺は皆も好きなんです。」

紗夜「!」

栄斗「パスパレの皆も、ハロハピの皆も。

勿論、氷川さんも。

皆が皆、俺に何かを与えてくれる。」

紗夜「何かを...与える...?」

栄斗「はい。楽しい時間や充実感、思い出。

今まで俺になかったものをたくさん与えてくれます。」

紗夜「八舞君...」

栄斗「俺は皆が好きです。だから、氷川さんが悲しんでるのが嫌なんです。」

 

 俺は氷川さんに目線を合わせた。

 

栄斗「俺は氷川さんにも幸せになってほしい。

俺にできる事ならなんだってします。だから__」

紗夜「もう、いいですよ。」

栄斗「!」

紗夜「八舞君の気持ちは分かりました。

本当にお優しいんですね。」

栄斗「普通ですよ。」

紗夜「そうですよね、八舞君はこれが普通ですよね。」

栄斗「?はい。」

 

 紗夜さんは笑っている。

 

紗夜「なんだか、気持ちが晴れた気がしますね。」

栄斗「そうですか?空はまだ雨のようですが?」

紗夜「それでは、流されたのでしょうか?」

栄斗「ははは、それはありそうですね。」

紗夜「...ありがとうございました、八舞君。」

栄斗「...いえ、俺は何もしてないですよ。

今井さんが動いてくれたから俺も動けたんです。」

紗夜「そう、ですか。なら、今井さんにもお礼を言わないとですね。」

 

 栄斗と紗夜がそんな会話をしてると。

 

日菜「お姉ちゃーん!」

イヴ「エイトさーん!」

栄斗「あれ?イヴ?」

紗夜「日菜まで、どうしたの?」

日菜「どうしたもないよー!

リサちーから電話きて二人雨なのに傘持ってないって言うから来たんだよ!」

イヴ「そうです!このままじゃ風邪をひいてしまいます!」

栄斗「まぁ、そうかもな。」

紗夜「ごめんなさい、日菜。」

日菜「ううん!別にいいよ!早く帰ろ!

はい!傘!」

イヴ「私達も帰りましょう、エイトさん!」

栄斗「あぁ。」

 

 各々、家に帰ることになった。

 

紗夜「あ、八舞君。」

栄斗「はい?」

紗夜「私はもう、次の目標を見つけました。」

栄斗「そうですか。よかったです。」

紗夜「はい!だから、覚悟しててくださいね?」

栄斗「え?」

紗夜「それでは♪」

栄斗「ちょ!氷川さん!?」

 

 紗夜は日菜と帰って行った。

 

イヴ「何の話をしていたんですか?」

栄斗「...俺にも分からん。」

 

 

紗夜「(私は八舞君の一番の友人を目指します!

だから、覚悟しててくださいね!八舞君!)」

 

 紗夜の気持ちの変化に反応するように、雨は止んだ。

 

 栄斗が紗夜の目標を知るのは、もう間もなくの事だ。

 

 

 

 

 




感想などお願いします!

覚醒天才の王国のトップバッターが意見割れしてるので、
もう少し待ちます。今のところはロゼリアの誰かか千聖ですね。


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最高の友人(千聖ルート明日香)

明日香の後日です!


香澄「__あっちゃーん、ご飯だよー...」

 

 反応はない。

 

香澄「あっちゃん...」

 

 明日香は栄斗にフラれた。

 それ以来、ひどい状態だ。

 

香澄「...私はどうしたらいいの...」

________________________

 

 学校だ。

 

栄斗「__おはよう、雅。」

雅「よう、八舞。」

栄斗「うむ、今日も良い表情だな。

彼女のお陰か?」

雅「...うるさいぞ。」

香澄「おはよー...」

雅「!?と、戸山、どうした!?」

 

 雅が香澄に駆け寄った。

 

栄斗「本当にどうした?いつもの元気がないが。」

香澄「あっちゃんが...」

栄斗「!明日香がどうした?」

香澄「あれから、元気がなくて...」

栄斗「...そうか、やっぱり...」

 

 俺はちょうど1週間前に明日香と市ヶ谷をフッた。

 

有咲「おはよー。」

栄斗「!お、おはよう。市ヶ谷。」

有咲「おーう、八舞。って、何の話してたんだ?」

栄斗「...」

雅「戸山の妹の話だ、市ヶ谷。」

有咲「!...そうか。」

 

 市ヶ谷はそう言って自分の席に座った。

 

有咲「(私はよかった。私は傷ついてどうなる性格じゃねぇ。でも、明日香は...)」

 

 有咲は目を閉じた。

 

有咲「(明日香は誰よりも八舞を思ってた。

だから、あれだけのダメージを受けるのもわかる。)」

栄斗「...市ヶ谷。」

有咲「うお!な、なんだ!?」

栄斗「少し、来てくれ。」

有咲「...あぁ。」

________________________

 

 屋上

 

有咲「__それで、何の用だ、八舞?」

栄斗「...市ヶ谷は明日香の気持ちが分かるか?」

有咲「...さぁ、分かんねぇな。」

栄斗「そうか。」

 

 俺は市ヶ谷から視線をそらした。

 

有咲「...ただ、想像は出来る。」

栄斗「!」

有咲「お前の目が見えなくなって、死のうとしてた時。」

栄斗「...」

有咲「それが分かって、誰よりも早くお前のもとに行ったのは明日香だった。」

栄斗「!明日香が...」

有咲「あぁ、だから明日香はお前の想像以上に傷ついてるんじゃねぇのか?」

栄斗「...そうか。」

有咲「八舞がここからどうするか知らねぇが、だいたい決まってるんじゃねぇのか。」

 

 市ヶ谷はそう言って、教室に戻って行った。

 

有咲「__たくよぉ、私も思い出しちまったじゃねぇか...!」

________________________

 

 教室に戻ってきた。

 

栄斗「戸山。」

香澄「どうしたの?」

栄斗「明日香はどうしてる。」

香澄「...ずっと、部屋から出ないでいるよ...」

栄斗「そうか...」

 

 俺は戸山を見た。

 

香澄「八舞君?」

栄斗「俺を家に連れて行ってくれ。」

香澄「えぇ!?」

栄斗「明日香と会わないといけない。」

雅「!そうか、八舞。」

栄斗「俺には責任があるから、果たさないといけない。」

香澄「...うん、分かった!あっちゃんをお願いね!」

栄斗「あぁ。」

 

 こうして、時間は過ぎていった。

________________________

 

栄斗「__ふぅ、落ち着け。大丈夫。」

香澄「入ろっか。」

栄斗「あ、あぁ。」

 

 戸山の家に入った。

 

香澄「ただいまー!」

栄斗「お邪魔します。」

香澄「えーっと、親はいないみたい?」

雅「って、なんで俺まで来てるんだ?」

香澄「私の彼氏だからだよ!」

雅「...そうか。」

香澄「あはは!さい君照れてるー!」

雅「...ふん。」

栄斗「...明日香の部屋はどこだ。」

香澄「えっと、上がって右側の2番目の部屋だよ!」

栄斗「そうか。」

香澄「案内しようか?」

栄斗「いや、いい。一人で行く。」

雅「...頑張れよ、八舞。」

栄斗「あぁ。」

 

 俺は階段を上って行った。

 

栄斗「...ここが、明日香の部屋か。」

 

 とりあえず、ノックした。

 

栄斗「...反応はないか。」

 

 俺はドアノブをひねってみた。

 

栄斗「!...空いてる?戸山の話じゃ空いてないんじゃ?」

 

 俺は困惑しつつも部屋に入った。

________________________

 

栄斗「__明日香?」

明日香「...すぅー...」

栄斗「寝てるのか?」

 

 明日香は眠っていた。

 

明日香「......八舞先輩。」

栄斗「!!...寝言か__!?」

 

 明日香は涙を流していた。

 

栄斗「...ごめん、明日香。」

 

 俺は明日香を撫でた。

 

栄斗「俺はこんな女の子を泣かせたのか...。

ほんとに、自分が情けないよ。」

明日香「__そんなこと、ないです。」

栄斗「!明日香、起きてたのか。」

明日香「今、起きました。」

栄斗「そうか。」

明日香「それで、なんで私の部屋に?」

栄斗「明日香が体調が悪いって聞いてな。

恐らく、俺のせいだろう。」

 

 俺は明日香に目線を合わせた。

 

明日香「...いえ、私が勝手に...」

栄斗「俺が死のうとしてた時、一番に来てくれたのが明日香だったらしいな。」

明日香「!」

栄斗「ありがとな、明日香。」

明日香「い、いえ!」

栄斗「...俺が生きようと思えたのは間違いなく明日香のお陰だった。」

明日香「...」

栄斗「明日香が告白してくれたから、生きるのも悪くないと思えたし。」

明日香「そうですか、よかったです。」

 

沈黙が流れる。

 

栄斗「だから、泣くのはやめてくれ。」

明日香「え...?」

 

 明日香は自分の頬に触れた。

 

栄斗「...ごめん、ごめんな明日香。」

明日香「...せん、ぱい...」

栄斗「俺に何ができるか分からない、だが、責任はとるよ。」

 

 俺は明日香の頭を撫でた。

 

明日香「だったら__」

栄斗「!」

 

 明日香が抱き着いてきた。

 

明日香「...少し、このままで。」

栄斗「...あぁ。」

 

 しばらく、時間が経った。

 

明日香「あ。」

栄斗「?」

明日香「さっきまで寝て汗をかいたので、汗のにおいが...///」

栄斗「?」

明日香「そろそろ、離れますね...///」

栄斗「ストップ。」

明日香「え?__きゃぁ!///」

 

 俺は明日香を抱きしめた。

 

栄斗「...ありがとな、明日香。」

明日香「...大好きでした、八舞先輩。」

栄斗「...あぁ。」

________________________

 

 リビングに降りた。

 

栄斗「二人ともー__あ。」

明日香「お姉ちゃーん__あ。」

 

 リビングに行くと

 

香澄「ん...///」

雅「...!」

 

 二人がキスしてた。

 

香澄「え?あっちゃんに八舞君!?///」

明日香「えっと...その...」

雅「おい、八舞、これはだな...」」

栄斗「なんか、すまん。」

明日香「ごめんね、お姉ちゃん。」

 

 俺たちはリビングを出た。

 

香澄「まってー!!!///」

雅「まて!八舞!誤解だー!」

 

栄斗「あはは!二人は仲良くなったな!な、明日香!」

明日香「はい!」

栄斗「これからも、よろしくな。友人として。」

明日香「はい!八舞!最高の友人でいましょう!」

 

 俺と明日香はこの日、間違いなく、

 

 最高の友人になった。

 




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大好きな先輩(日菜ルート六花)

六花です!


チュチュ「ロック?」

六花「は、はい!」

チュチュ「最近、調子が悪いみたいだけど、どうしたの?」

六花「そんなことはないと思いますが...」

チュチュ「あるわ。演奏中もあなたならありえないミスの連発、何かあったの?」

六花「えっと...あの...」

ますき「おい、チュチュ。」

チュチュ「どうしたの?マスキング?」

ますき「ちょっと来てくれ、確認したいことがある。」

チュチュ「OK...ロック、体調が悪いなら無理はしない事ね。」

六花「...はい。」

 

 チュチュはますきの方に行った。

 

レイ「...あの、六花ちゃん?」

六花「!れ、レイさん。お疲れ様です。」

レイ「うん、お疲れ様。」

六花「今日はご迷惑をお掛けしてすいませんでした...」

レイ「あのくらいなら大丈夫。それよりも大丈夫?」

六花「体調は悪くは__」

レイ「ううん、聞きたいのは八舞君の事。」

六花「!?」

レイ「六花に八舞君に告白したって聞いた時から調子が悪そうだったから、原因かなって。」

六花「...」

レイ「この後、時間ある?」

六花「え?は、はい。」

レイ「じゃ、行こ。」

 

 二人は外に出た。

________________________

 

レイ「うわ、寒いねー」

六花「はい、もう冬ですからね。」

レイ「六花は大丈夫?」

六花「私は大丈夫です、レイさんこそ...」

レイ「私も大丈夫だよー。でも、何か温かい物、飲もっかー」

六花「はい。」

 

 二人は近くの自動販売機に行った。

 

レイ「私は...これで。あ、六花はどれにする?」

六花「え!?いえ、自分の分は自分で。」

レイ「気になくてもいいよ、選んで?」

六花「じゃ、じゃあ、これでお願いします。」

レイ「おー、ほうじ茶かー。美味しいよねー」

六花「はい。」

レイ「じゃ、買ったしそこでちょっと話そうよ!」

六花「分かりました。」

 

 二人は近くのベンチに座った。

 

レイ「__うん、美味しい。」

六花「はい、ほっとします。」

 

 二人はそれぞれが買った飲み物を飲んでいる。

 

レイ「...それでさ、聞きたいことがあるんだけど、いい?」

六花「!...はい。」

レイ「六花の不調の原因は八舞君なの?」

六花「...八舞先輩のせいじゃないです。私の...」

レイ「ねぇ、六花?」

六花「はい...?」

レイ「六花はさ、遠慮しすぎだよ。」

六花「え...?」

レイ「私も一回、フラれたことがあるんだー。」

六花「え!?レイさんがですか!?」

レイ「うん。それでしばらく歌う気にもならなくなってね。」

六花「...」

レイ「それで、どうやったら気持ちが楽になるのか考えてねー」

六花「それで、どうしたんですか?」

レイ「全部、その男子のせいにしたよ!」

 

 レイは笑いながらそう言った。

 

六花「えぇ!?」

レイ「そうでもしないと楽になれなくてね、

私は悪くない、悪いのはあの男子だって、自分に言い聞かせてた。」

六花「す、すごいですね。」

レイ「だからさ、六花もそのくらいの気持ちでいれば楽だよー」

六花「でも...」

レイ「(これは、重症だねー...ん?)」

 

 レイの携帯が鳴った。

 

レイ「...ごめん、六花。仕事の電話来ちゃった。

行かないとだから、行くね?」

六花「は、はい。ありがとうございました。」

レイ「じゃあね。」

 

 そう言ってレイは去って行った。

 

六花「(...ごめんなさい。私にはやっぱり八舞先輩のせいになんて...)」

ますき「__おい、六花。」

六花「!?ま、ますきさん。なんで?」

ますき「レイから電話が来てな。

ほっといたらずっと、ベンチに座ってるかもって。」

六花「そうですか...」

ますき「...隣、座るぞ。」

 

 六花の隣に座った。

 

ますき、六花「...」

 

 沈黙だ。

 

ますき「...なぁ、六花。」

六花「...はい?」

ますき「六花は今、悲しいのか?」

六花「...多分、悲しいんだと思います。」

ますき「多分?」

六花「はい。」

ますき「どういう事だ?」

六花「...私にも分からないんです。

家に帰れば思い出して涙が出ます。

でも、そこまで行っても、自分の感情が分からないんです。」

ますき「分からない?」

六花「ぐちゃぐちゃで何が何だか分からなくて。」

ますき「...分かるぞ。六花の気持ち。」

六花「え...?」

ますき「私も八舞が好きだったからな。」

六花「!?」

ますき「まぁ、私は諦めたがな。」

六花「なんでですか...?」

ますき「氷川日菜がいたからな。

あの2人には割り込めないと思ったからな。」

六花「...」

ますき「諦めてちょっとの間は悲しかったり、どこか満足してたり、ぐちゃぐちゃだった。」

 

 ますきは六花を見た。

 

ますき「...だから、私が大丈夫だから六花も大丈夫じゃねぇの?」

六花「ますきさん...」

ますき「じゃあ、私は帰る。六花も早く帰れよ。」

六花「はい、ますきさん。」

 

 そう言って、ますきは帰って行った。

 

六花「...私も帰らないと。」

 

 六花は立ち上がった。

________________________

 

 六花は道を歩いてる。

 

六花「(うぅ、寒いな。もう少し厚着すればよかった...)」

 

 六花は急ぎ足で歩いた。

 暫くすると、雪が降ってきた。

 

六花「__もう、今日はなんなの...」

栄斗「あれ?六花?」

六花「!?や、八舞先輩!?」

栄斗「奇遇だな、こんなところで。」

六花「は、はい...」

栄斗「って、寒そうだな。」

六花「はい...服装を間違えちゃって...」

栄斗「全く。ほら、これ着とけ。」

 

 六花に上着を着せた。

 

六花「(暖かい...)」

栄斗「六花の家は近くか?」

六花「え?」

栄斗「送っていく。傘もあるし。」

 

 俺たちは六花の家に向かった。

 

六花「(き、気まずい。さっきまで、あんな話してたから...)」

栄斗「...六花、どうした?」

六花「え?」

栄斗「さっきから元気がないみたいだが。」

六花「えっと...」

 

 六花は言葉に詰まった。

 

栄斗「...悪いな。」

六花「!?」

栄斗「多分、俺のせいなんだろ。」

六花「そんな事!__」

栄斗「あるんだろ?」

 

 六花の言葉を遮った。

 

栄斗「ちょっと、ついて来てくれないか?」

六花「え?」

 

 俺たちはある場所に向かった。

________________________

 

六花「__ここは...!」

栄斗「最近、もうクリスマスブームだからな。

ここからなら、景色が綺麗に見える。」

 

 俺たちが来たのは町が一望できる場所だ。

 

六花「なんで、私をここに?」

栄斗「なんとなく、六花に見てほしかった。」

六花「?」

栄斗「星空は日菜さんとの景色だから、

六花との景色を作りたかったんだ。」

六花「私との、景色...?」

栄斗「あぁ。」

 

 2人は景色を眺めた。

 

栄斗「...ごめんな、六花。」

六花「八舞先輩...」

 

 言葉は少ない、だが、六花に意図は伝わった。

 

六花「...先輩は今、幸せですか?」

栄斗「...あぁ、最高にな。」

六花「なら、いいですよ。」

栄斗「六花...」

 

 六花は笑ってる。

 

六花「その代わり。」

栄斗「?」

六花「先輩が幸せじゃなくなったら、すっごく、怒りますからね!」

栄斗「...ははは、それは怖いな。」

六花「はい!だって、私は先輩が大好きですから!」

栄斗「そうか。」

 

 同じ言葉、だが、意味は大きく違う。

 そう言う関係だ。

________________________

 

栄斗「来たぞー」

チュチュ「Hi、栄斗!」

パレオ「こんにちはー!エイトさん!」

栄斗「よう、2人とも。」

 

 栄斗が来ると2人が栄斗のもとに行った。

 

栄斗「それにしても、2人がお出迎えとは、役得だなー」

チュチュ「はぁ!?別に栄斗の事なんか待ってないし!」

パレオ「私は待ってましたよー!」

栄斗「おー、嬉しいこと言ってくれるじゃないか。

ご褒美にお土産をやろうじゃないか。」

パレオ「やったー!」

チュチュ「わ、私は別に...」

レイ「まるで父親ね。」

ますき「全くだ。」

栄斗「よー、二人とも。あ、二人にも買ってきてるぞ。」

レイ「ありがと。後で貰うよ。」

ますき「サンキュ。」

六花「__お、遅れました!」

 

 六花が部屋に飛び込んできた。

 

栄斗「よう、六花。」

六花「こんにちは!先輩!」

 

レイ「...元気になったよね、六花。」

ますき「あぁ。いい顔だ。」

栄斗「おーい、何の話だ?」

ますき「役目は果たしたみたいだな、八舞。」

栄斗「あぁ。もう、六花は大丈夫だと思う。」

レイ「全く、ますきはすぐに八舞君に電話して...」

ますき「こいつが行くのが一番だと思ったんだよ。」

栄斗「ありがとな、ますき。」

ますき「気にすんな。」

 

六花「みなさーん!練習始まりますよー!」

ますき「あぁ、すぐ行く。」

レイ「いい笑顔だね、六花。」

栄斗「あぁ。」

 

 今日もRASの練習が始まる。




感想などお願いします!

活動報告もあげましたのでそちらも見ていただければ。


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お花見!(イヴルート)

今週は恋愛のブシドー週間にします!
メタ回で早くしたいネタがきたので。



 ”花見(イヴルート)”

 

イヴ「エイトさーん!桜がすごくきれいですよ!」

栄斗「おー、そうだな。」

千聖「ふふっ、イヴちゃんは元気ね♪」

 

 俺たちはイヴの要望で花見に来ていた。

 

彩「でも、すごい人ごみだねー」

麻弥「はい、これでもかなり早く来たんですが。」

日菜「早く場所取らないとだねー」

千聖「八舞君、Go。」

栄斗「了解しました。」

 

 俺は場所取りに行った。

________________________

 

栄斗「__この辺りかなー。」

 

 俺はシートを広げた。

 

栄斗「スペースは...よし!完璧だ!」

イヴ「エイトさん!お手伝いに来ました!」

栄斗「お、イヴか。じゃあ、弁当出しててくれ。」

イヴ「はい!」

 

 俺たちは準備を進めた。

 

栄斗「よし、終了!」

イヴ「スムーズでしたね!」

千聖「お疲れ様、二人とも。」

栄斗「あ、皆さんきましたか。用意は出来てるのでお好きなのどうぞ。」

彩「わーい!お弁当だー!」

日菜「栄君の手作りだよね?」

栄斗「はい、そうですよ?」

日菜「そっかー!るんっ♪ってくるね!」

麻弥「八舞さんの料理は美味しいですからね!」

八舞「そうですか?普通ですよ?まぁ、どうぞ。」

 

 俺たちは花見を始めた。

 

日菜「ん~!おいしー!」

彩「ほんとにすごい!こんなのどうやって作ってるの!?」

千聖「...ほんとに男子なのかしら?」

栄斗「れっきとした男ですよ。」

イヴ「そうですよ!昨夜も__」

栄斗「あー、あー!イヴ、ストップだ。」

千聖「今のは聞かなかった事にしておくわ。」

栄斗「...ありがとうございます。」

 

 俺たちはしばらく、弁当を食べた。

 

栄斗「そう言えば、白鷺さんたちは大学の方はどうですか?」

千聖「私はまぁまぁよ。」

日菜「あたしは退屈かなー」

彩「れ、レポートが...」

麻弥「ジブンは程々でしょうか?」

栄斗「取り合えず、丸山さんは頑張ってください。」

千聖「二人はどうかしら?」

栄斗「俺は問題ないですね。特に変わることもないですし。」

イヴ「私はエイトさんに教えてもらうので安心です!」

日菜「まー、栄君がいれば安心だよねー」

彩「私たちがいる間はずっと一位だったよね!」

麻弥「えぇ!?」

日菜「栄君ならあれくらい余裕だよねー」

栄斗「まぁ、そうですね。」

千聖「私から言わせてみれば、八舞君が生徒会長なのが一番心配ね♪」

栄斗「...完全に不本意なんですがね...」

彩「たしか、前の生徒会メンバーから満場一致だったんだっけ?」

栄斗「はい。驚きました。」

イヴ「エイトさん、すごい顔をしてましたね!」

栄斗「ほんとにな。」

 

 俺は3年になってから、生徒会長に指名された。

 投票?そんなの校内女子全員入れたと言えば分かるな?

 

日菜「それで、生徒会長はどうなのー?」

栄斗「普通ですよ。書類片付けたり、雑用したり。」

イヴ「私もお手伝いしてます!」

栄斗「いつもありがとな。」

千聖「二人は相変わらずね。」

栄斗「まぁ、いつも通りですから。」

日菜「それなら安心だよー!」

 

 そんなこんなで時間は過ぎていった。

 

日菜「彩ちゃーん!」

彩「ひ、日菜ちゃん!?ちょ、引っ張らないで__」

麻弥「うぅ...千聖さぁん!」

千聖「ま、麻弥ちゃん、大丈夫だから...」

栄斗「...なんだこれ。」

イヴ「さ、さぁ...?」

千聖「二人は避難しなさい。今のうちに。」

栄斗、イヴ「は、はい。」

 

 俺たちは移動した。

________________________

 

イヴ「__わぁ!とってもきれいです!」

栄斗「そうだな。」

 

 俺たちが来たのはひときわ大きな桜の下だ。

 

栄斗「すごいな、この木。」

イヴ「はい!とっても大きいです!」

栄斗「この木は多分、ずっと昔からここにあったんだろうな。」

イヴ「昔...もしかして武士も?」

栄斗「あぁ、同じように見てたかもな。」

イヴ「それでは、この桜の木もブシドーですね!」

栄斗「そうだな。」

 

 俺は木に触れた。

 

栄斗「(ほんと、何年ここにいたんだ?)」

イヴ「エイトさん?」

栄斗「この桜、またイヴと見に来たいな。」

イヴ「はい!」

栄斗「出来る事なら、この木が存在する限り、

来世でも、そのまた来世でも。」

イヴ「来世...という事は!

また栄斗さんに会えるんですね!」

栄斗「分からない、が、そうだといいな。」

イヴ「はい、そうですね!」

栄斗「あ。」

イヴ「?」

栄斗「桜の花びら、付いてるぞ。」

イヴ「えぇ!?」

栄斗「ほら。」

 

 俺はイヴに近づいた。

 

栄斗「桜の花のお姫様、ってな!」

イヴ「///もう!」

栄斗「ははは。」

イヴ「お返しです!__ん...///」

栄斗「ん...」

 

 イヴはキスしてきた。

 

イヴ「私は武士になりたいですが...///」

栄斗「?」

イヴ「エイトさんなら、お姫様もいいかも、ですね!///」

栄斗「...ほんと、可愛いな。」

イヴ「エイトさん、大好きです!///」

 

 『きっと会えるよ。来世もその先も__』

 

 そんな声が聞こえた気がした。

 




感想などお願いします!

99話までこんな感じで各ルートの話を書きます!
99話は特別編になります!
特別編の内容は決まってませんが!

メタ回のネタはまだ募集してますのでお願いします!


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ロゼリアのキャンプ!

紗夜ルートのロゼリアでキャンプです!


リサ「__ねぇ!皆でキャンプ行かない?」

栄斗「キャンプ?」

 

 リサさんが突然、そんな事を言い出した。

 

リサ「そろそろ夏だしさー、何かしたいじゃん?」

あこ「楽しそー!」

リサ「だよねー!」

友希那「...あれは止められないわね。」

紗夜「そうですね...」

栄斗「キャンプですかー。」

友希那「八舞君は受験は大丈夫なのかしら?」

栄斗「大丈夫ですよ。行くところはだいたい決まってますし。」

紗夜「まぁ、栄斗ならどこでも行けると思いますがね。」

友希那「なるほど。だから、紗夜と同じ大学に行くのね。」

栄斗「はい。変な人に捕まってないか心配で...」

紗夜「そんな理由だったんですか!?」

栄斗「まぁ、紗夜と一緒がいい半分、心配半分ってところですね。」

紗夜「...ま、まぁ、一緒がいいと言うなら///」

燐子「(なんでだろう...氷川さんにしっぽが見える...熱中症かな?)」

リサ「それでさ!キャンプにはいつ行く?」

友希那「八舞君とあこ、終業式はいつかしら?」

栄斗「俺は明後日ですね。」

あこ「あこも同じです!」

紗夜「なら、一週間後くらいですか?」

燐子「それで...いいと思います。」

リサ「オッケー☆じゃ、一週間後に出発ってことで!」

 

 この日はこれで解散した。

________________________

 

紗夜「あの、栄斗?」

栄斗「はい?」

紗夜「この後、少し付き合ってくれませんか?」

栄斗「いいですよ。どこに行くんですか?」

紗夜「今井さんに言われた用意を買いに行こうかと。」

栄斗「えーっと...って、水着じゃないですか。

去年のはだめなんですか?」

紗夜「!そ、それは...」

栄斗「?」

紗夜「...最近、少し大きくなったみたいで...///」

栄斗「早急に買いに行きましょう。さぁ、早く。」

 

 どこがと原因は名誉のために伏せることにしよう。

________________________

 

 ショッピングモールに来た。

 

紗夜「__これとこれなら、どっちがいいですか?」

栄斗「そうですね...やっぱり青の方がいいですね。」

紗夜「なら、これにしましょうか。」

栄斗「あ、それ貸してください。」

紗夜「え?...もしかして、着るんですか?」

栄斗「そんな訳ないでしょう。ここは俺が買いますって事ですよ。」

紗夜「いえ、それは悪いですから。」

栄斗「プレゼントとでも思ってください。」

紗夜「あなたはいくつ私にプレゼントをくれるのですか...?」

栄斗「うーん、そんなに渡しました?」

紗夜「アクセサリーにクッション、あげたらキリがないです。」

栄斗「まぁ、いいでしょう。買ってきます。」

紗夜「ちょっと!」

 

 俺は会計に行った。

 

栄斗「はい、どうぞ。」

紗夜「...もう、栄斗は。」

栄斗「ははは。」

紗夜「仕方ありません、またお返しをします。」

栄斗「それは楽しみですね。」

 

 俺たちはショッピングモールを出た。

________________________

 

 キャンプ出発当日になった。

 

リサ「__おっはよー!皆ー!」

あこ「おはよー!リサ姉ー!」

燐子「友希那さんも...おはようございます。」

友希那「えぇ、おはよう、燐子。」

紗夜「...栄斗、すこし持ちましょうか?」

栄斗「?大丈夫ですよ?」

リサ「いやいや、ほとんど八舞君が持ってるじゃん!?」

栄斗「余裕ですよ、このくらい。」

あこ「あれ?これって友希那さんの荷物じゃ...」

友希那「!」

リサ「友希那?」

友希那「...ごめんなさい。」

栄斗「別にいですよ。運転はリサさんな訳ですし。

これくらいしないと。」

リサ「後輩の社畜感がすっごい...」

燐子「でも、どうやって持ってるんですか?」

あこ「道具に全員分の荷物ですよね?」

紗夜「栄斗、どこに重力を置いてきたんですか?」

栄斗「いや、置いてませんよ。」

友希那「...早く行かないかしら?」

リサ「そだねー。じゃ、車に乗って!」

 

 俺たちは車に乗った。

________________________

 

あこ「__リサ姉、運転してるー!かっこいい!」

リサ「そー?」

あこ「うん!なんかね、バーン!ってかんじ!」

友希那「...事故でも起こしてそうな擬音ね。」

リサ「ちょ!事故なんかしないって!」

あこ「あこも運転したいなー!りんりんドライブ行こうね!」

燐子「うん、行こうね、あこちゃん...!」

栄斗「(なんでだろう。燐子さんが魂が抜けそうになってる未来が見える。)」

紗夜「...宇田川さんが運転...?」

栄斗「俺も同じ気持ちです。」

紗夜「白金さん、頑張ってくださいね。」

燐子「え?」

栄斗「俺たちは何があっても燐子さんの味方ですから。」

燐子「私...なにかしました...?」

 

 そんなこんなでしばらく時間がった。

 

リサ「そー言えばさー」

 

 リサさんが口を開いた。

 

リサ「八舞君と紗夜ってどんな感じなのー?」

紗夜「!ど、どんな感じとは?」

リサ「いや、二人が付き合い始めて結構経つじゃん?

どこまで進んだのかなーって。」

あこ「あこも気になる!」

燐子「わ、私も...」

友希那「私も気になるわ。」

紗夜「え?あの、その...」

栄斗「(うーん、まずいかな?)」

リサ「キスはしたんでしょ?」

紗夜「...はい///」

あこ「じゃあ、次は...ハグ?」

栄斗「したぞー。」

燐子「じゃあ、次は...!!///」

 

 燐子さんの顔が急に赤くなった。

 

栄斗「?どうしました?」

燐子「あの...その...///」

リサ「あー...」

あこ「りんりん...」

友希那「?次は何なの?」

リサ「うーん、何かなー?アハハ...」

あこ「あれですよね、所謂、いとな__」

紗夜「わーー!!!///」

栄斗「まて、あこに関してはどこでそんな言葉覚えて来た!?」

あこ「え?りんりんのベッドの下にあった本に書いてあったよ!」

燐子「」

栄斗、紗夜、友希那、リサ「あ...(察し)」

 

 俺たちは何かを察した。

 もうここからは可哀そうとしか言えなかった。

 あこによる燐子さんの趣味?の暴露。

 隠してる本の冊数などなど。

 

燐子「...もう、どこかに消えてしまいたい...」

紗夜「その...何と言っていいのか...」

リサ「ひ、人それぞれだよねー...」

栄斗「(ここは黙っておこう。)」

あこ「皆さん、どうしたんですか?」

栄斗「(天然でここまでやったのか、やばいな。)」

友希那「...燐子。」

燐子「...はい...」

友希那「燐子にそんな趣味がったのね。

し、知らなかったわ///」

燐子「」

あこ「り、りんりーん!」

栄斗「(...とどめをさされたか。ご愁傷様です。)」

 

 そうしてうちに、キャンプ場に着いた。

________________________

 

リサ「さ、さぁ!着いたよー!皆ー!」

紗夜「運転、お疲れ様です。」

あこ「わーい!キャンプだー!」

友希那「意外と涼しいのね。」

燐子「...」

栄斗「取り合えず、何しますか?」

リサ「まず遊ぶでしょ!」

あこ「だよねー!」

友希那「そんなものなの?」

紗夜「それでは、近くの川に行きましょうか。」

 

 皆は着替えに行った。

 

栄斗「俺は準備でもしようかな。」

 

 俺は準備を始めた。

 

栄斗「テントは...ここをこうして...

意外と簡単だな。」

紗夜「__栄斗。」

栄斗「もう、戻って来たんで...すか?」

紗夜「///」

 

 目の前にはこの前かった水着を着た紗夜。

 一言で言えば素晴らしい。

 

紗夜「ど、どうでしょうか?///」

栄斗「とても似合ってますよ、可愛いです、このままずっと見てられます。」

紗夜「そ、そうですか///」

リサ「あのーイチャついてるとこ悪いんだけどー」

栄斗、紗夜「!」

友希那「相変わらずね、二人は。」

あこ「仲良しですね!」

燐子「...」

栄斗「あまり、茶化さないでほしいんですが。」

友希那「あら、ごめんなさい?」

紗夜「...///」

リサ「あたし達は川行くけど、八舞君はどうするー?」

栄斗「俺は用意してるので皆さんはどうぞ。」

紗夜「私も手伝いましょうか?」

栄斗「別に大丈夫ですよ。紗夜は楽しんできてください。」

あこ「そーですよ!行きましょう!」

紗夜「ちょ!宇田川さん!?」

リサ「じゃあ、お願いねー!」

 

 そう言って皆は川に行った。

 

栄斗「さーて、用意用意。」

 

 俺は用意を始めた。

________________________

 

 ”ロゼリア”

 

あこ「つっめたーい!」

リサ「さいっこー!」

友希那「全く、二人は元気ね。」

紗夜「そうですね。」

あこ「二人も...」

リサ「くらえー☆」

 

 あことリサは二人に水をかけた。

 

友希那「ちょっと!何するの!」

リサ「まぁまぁ、友希那ー☆」

あこ「そうですよー!楽しみましょうよー!」

紗夜「それはいいのですが、白金さんはどうしました?」

リサ「そう言えば、どこ行ったのかな...って、燐子!?」

あこ「ちょ!りんりん浮いてる!?」

 

 あこは燐子の方に行った。

 

あこ「りんりーん!!!」

燐子「__っは!...あ、あこちゃん...?」

あこ「何やってたの!?」

燐子「...覚えてない...」

リサ「ま、まぁ皆で遊ぼうよ!」

紗夜「そうですね。」

 

 ロゼリアは時間の許す限り遊んだ。

________________________

 

リサ「__あー!楽しかったー!」

友希那「はしゃいだのは久しぶりだったわ。」

あこ「りんりんも元気なったし!」

燐子「私は...何をしてたの...?」

紗夜「思い出さない方がいいと思いますよ。」

燐子「え?(ほんとにどうなってたの?)」

紗夜「そう言えば栄斗は来ませんでしたね。

用意なら終わってると思うのですが。」

栄斗「__あ、お帰りなさーい。」

 

 栄斗は夕飯の用意をしていた。

 

栄斗「夕飯はカレーですよー。」

リサ「後輩が有能過ぎてやばい。」

 

 夕飯を食べ始めた。

 

あこ「おいしー!」

燐子「うん!...そうだね!」

リサ「こりゃ、あたしも勝てないなー!」

友希那「甘口なのもいいわ。」

紗夜「流石、栄斗です。」

栄斗「普通ですよ?」

リサ「でも、紗夜って栄斗と結婚すれば毎日、美味しいものが食べれるんだよね?」

紗夜「えぇ!?///」

あこ「ちょー羨ましいですよ!」

燐子「はい。」

友希那「ご飯だけ作りに来てほしい腕前だもの。」

紗夜「うぅ...///」

栄斗「結婚ですかー。いいですね。」

紗夜「栄斗!?///」

リサ「もう計画してる感じ?」

栄斗「まぁ、すぐに分かるんじゃないですか?」

 

 こうして夕飯が終わった。

 

__時間は過ぎ、夜中になった。

 

栄斗「__星がきれいだ。あのあたりじゃ見れないな。」

紗夜「__栄斗?」

栄斗「紗夜?起きてたんですか?」

紗夜「えぇ。それで、栄斗は何をしてるのかしら?」

栄斗「星を見てました。とても綺麗なので。」

 

 俺は空を指さした。

 

紗夜「...本当に、綺麗ですね。」

栄斗「まぁ、綺麗なのは間違いないんですが...」

紗夜「?どうしました?」

栄斗「...紗夜の方が何倍も綺麗なので星が霞むなと。」

紗夜「そ、そうですか...///」

 

 俺たちはしばらく星を眺めていた。

 

栄斗「さて、そろそろ寝ないとまずい時間ですね。」

紗夜「そう言えば、テントが一つ足りませんよね?」

栄斗「十中八九、リサさんの仕業ですね。」

紗夜「なるほど、私たちを。」

栄斗「まぁ、俺は椅子に座りながら寝ますよ。」

 

 俺が椅子の方に行こうとすると、

 紗夜に袖を掴まれた。

 

栄斗「どうしました?」

紗夜「あの、今井さんの策にはまるのは癪なのですが...その...///」

栄斗「?」

紗夜「一緒のテントに来ませんか...?///」

栄斗「!?」

紗夜「水着のお礼もしてませんから、その...///」

栄斗「紗夜は悪い人になりましたね。」

紗夜「...こうしたのは、栄斗でしょう?///」

栄斗「まぁ、間違いないですね。そういう事なら行きましょうか紗夜。」

紗夜「はい...///」

 

 その後はご想像に。

 ただ、翌朝、起こしに来たあこに見つかり。

 燐子さんに「燃えますよね!」と言われ、

 友希那さんとリサさんには目をそらされてた、

 とだけ言っておこう。

 

 

 

 




感想などお願いします!

次は千聖ルートで秋ネタです!
活動報告の方も見てない方は是非!


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ハロウィン!(千聖ルート)

千聖ルートでハロウィンです!


 今日は10月31日。

 世はハロウィンで盛り上がっている。

 

イヴ「__どうですか?エイトさん!」

栄斗「うん、いいんじゃないか。」

 

 ハロウィンで盛り上がるのは、パスパレも例外じゃない。

 今日はパスパレの皆とハロウィンパーティーだ。

 

彩「皆の仮装可愛いね!」

千聖「彩ちゃんも可愛いわよ?」

麻弥「そうですね!」

彩「そうかな~?えへへ!」

日菜「そう言えば、栄君は仮装しないの?」

栄斗「え?」

 

 日菜さんがそんな事を言い出した。

 

栄斗「いや、俺が仮装したところででしょう。」

日菜「え~!つまんないよー!」

栄斗「そう言われましても。」

千聖「あら?栄斗の衣装なら用意してるわよ?」

栄斗「え?」

千聖「着替えてらっしゃい。」

 

 千聖さんから圧を感じる。

 

栄斗「...はい。」

 

 俺は着替えに行った。

________________________

 

 俺は着替え終えて戻ってきた。

 

千聖「あら、意外と似合ってるわね。」

日菜「うん!るんっ♪ってくるよ!」

彩「良く似合ってるよ!」

イヴ「でも、なんで犬耳が?」

麻弥「あれは狼男の仮装らしいです。」

栄斗「...なんで耳を...」

 

 俺は頭を抱えた。

 そしてパーティーが始まった。

 

栄斗「まぁ、お菓子は作って来たのでどうぞ。

一応、カロリーなどは抑えめです。」

彩「こ、これがカロリー控えめ...?」

日菜「彩ちゃん、目が本気だね!」

イヴ「すごい気迫です!」

麻弥「甘い物好きですからねー」

千聖「カロリーまで考えるなんて、流石ね。」

栄斗「まぁ、千聖さんに食べてほしかったので。

色々研究してみました。」

日菜「へぇ~、千聖ちゃんのためね~」

千聖「...何が言いたいの、日菜ちゃん?」

日菜「いや~なんでも~?」

彩「早く食べようよ!」

栄斗「そうですね。」

 

 お菓子を食べ始めた。

 

彩「ん~!美味しい!」

イヴ「はい!すごいです!」

麻弥「どうやって作ったんでしょうか?」

日菜「これならお店出せそうだよねー!」

栄斗「うーん。もう少しうまく作れそうだな...」

千聖「...栄斗は何を目指してるの?」

栄斗「千聖さんの要望に100%答えるお菓子を作るですね。」

彩「それって出来るの?」

栄斗「多分、出来ると思います。」

麻弥「まだ上があるんですか。」

イヴ「エイトさんの向上心は衰えませんね!」

栄斗「まぁ、作るの好きだからな。」

 

 しばらくお菓子を食べたり喋ったりしていた。

 時刻は仕事が終わってから始めたのもあり、かなり遅い。

 

彩「んー...エゴサ...」

イヴ「ブシドー...」

麻弥「ふへへ...」

日菜「zzz...」

栄斗「寝言の個性がすごいな。」

千聖「そうね。」

 

 今、起きてるのは俺と千聖さんだけだ。

 

栄斗「千聖さんは疲れてないんですか?」

千聖「私は大丈夫よ。」

栄斗「そうですか。」

千聖「栄斗こそ、疲れてないの?」

栄斗「え?なんでですか?」

千聖「お菓子作りで徹夜したんじゃないのかしら?」

栄斗「!なんで、気付いたんですか?」

千聖「何となくよ。あなたならしそうだもの。」

栄斗「そうですか。あと、俺はそこまで疲れてませんよ。」

千聖「そう?」

栄斗「はい。」

 

 俺たちはしばらく話をしていた。

 

千聖「...今日は楽しかったかしら?」

栄斗「はい、楽しかったですよ。」

千聖「よかったわ。」

栄斗「まだ、マナの事を気にしてるんですか?」

千聖「...えぇ。あの時の栄斗の顔は忘れられないわ。」

栄斗「気にしなくてもいいんですよ。

今があるんですから。」

千聖「でも...」

栄斗「うーん、そんな顔をしてほしくないんですが...」

 

 俺はある事を思いついた。

 

栄斗「...良い事思いついた。」

千聖「どうしたの?」

栄斗「千聖さん、トリックオアトリート。」

千聖「え?」

栄斗「お菓子、持ってますか?」

千聖「も、持ってないけれど...」

栄斗「じゃあ、イタズラでもしましょうか。」

千聖「え?ちょっと待って__ん...///」

 

 俺は千聖さんにキスした。

 

千聖「__もう!また急に!///」

栄斗「今の俺には千聖さんがいます。」

千聖「!」

栄斗「だから、今幸せで、最高に楽しい。

だから、いいんですよ。」

千聖「栄斗...」

栄斗「千聖さ__って、うわ!」

 

 俺は千聖さんに引っ張られ、

 押し倒す形になった。

 

栄斗「あのー、何してるんですか?」

千聖「イタズラ、足りないわ///」

栄斗「え...?」

千聖「狼さんのイタズラはキスだけで終わるの...?///」

栄斗「いやいや、皆もいますし...」

千聖「大丈夫よ。皆ぐっすりだもの。///」

 

 千聖さんはこっちに手を伸ばしている。

 

千聖「きて、栄斗...///」

栄斗「はぁ...仕方ないですね。」

 

 ここから先は想像してもらって...

 

麻弥「(え?お二人は何して...ってほんとに何してるんですか!?///)」

 

 まさかの麻弥が起きていた。

 

麻弥「(この状況で起きるのはまずいっす!ここは...寝ましょうか。)」

 

 麻弥は現実から逃げるように眠りについた。

 




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クリスマス!(日菜ルート)

日菜ルートです!


日菜「栄くーん!」

栄斗「どうも、日菜さん。」

 

 今日は12月24日。

 俺は日菜さんと待ち合わせていた。

 

栄斗「それでは行きましょうか。」

日菜「うん!...って、どこに行くんだっけ?」

栄斗「俺の家」

日菜「えぇ!?」

栄斗「の前に、スーパーです。」

日菜「え?スーパー?」

栄斗「行きましょうか。」

日菜「え?うん。」

 

 俺たちはスーパーに向かった。

________________________

 

栄斗「__えーっと、これとこれ、後は...これも。」

日菜「お肉をいっぱい買ってるね?」

栄斗「野菜も買いますよ。」

 

 野菜コーナーに行った。

 

栄斗「これと...後、あった、これだ。」

日菜「キャベツ?他のもたくさん?」

栄斗「後は調味料を買ったら終わりです。」

 

 こうして買い物が終わった。

 そして、俺の家に向かった。

________________________

 

栄斗「ただいまーっと。」

日菜「おじゃましまーす!」

栄斗「さて、日菜さんはくつろいでてください。

俺は色々用意することがあるので。」

日菜「手伝おっか?」

栄斗「大丈夫ですよ。むしろ、日菜さんに秘密でしたいので。」

日菜「えー!気になるよー!」

栄斗「楽しみにしててください。」

 

 俺はキッチンに行った。

 

栄斗「__さて、始めるかな。」

________________________

 

 ”日菜”

 

日菜「__栄君、キッチンに行ったけど何してるのかな?」

 

 日菜は栄斗の部屋にいる。

 

日菜「勝手に栄君の部屋に入ったけど、大丈夫かな?

うーん...大丈夫だね!」

 

 日菜は椅子に座った。

 

日菜「そー言えば、リサちーが栄君の家に行ったらベッドの下見てみてって言ってたような?」

 

 ベッドの下を覗き込んだ。

 

日菜「うーん...何もない?あ、本棚もって言ってた!

どれどれ~」

 

 日菜は本棚の本を見た。

 

日菜「えーっと、推理小説とかばっかりだね?

後は...あれ?この本。」

 

 一冊の本を手に取った。

 

日菜「星に関する本?付箋もいっぱいついてるし。

あ、こっちはバンドの本だ!

でも、なんで栄君がこんな本を?」

栄斗「__天文部に入ったので知識もいるかなと。

バンドの本は日菜さんがしてるから興味が出ました。」

日菜「!え、栄君!?」

栄斗「やっぱりここにいましたか。」

日菜「ごめん...」

栄斗「別にいいですよ。何もないですから。」

日菜「リサちーがベッドの下とか見てみてって言ってたのは何だったのかな?」

栄斗「...さぁ、なんでしょうか。掃除が行き届いてるかじゃないですか?」

日菜「そんな事なの?」

栄斗「恐らく。」

日菜「そう言えば栄君はなんでここにきたの?」

栄斗「用意が出来たので呼びにきました。」

日菜「もうできたの?」

栄斗「はい。もう完璧ですよ。」

日菜「じゃあ!行こ!」

 

 二人はリビングに向かった。

________________________

 

日菜「__それで、今日は何するの?」

栄斗「今日は折角クリスマスなので、日菜さんに料理を食べてもらおうかと。」

日菜「栄君の料理!?やったー!」

栄斗「まぁ、座ってください。すぐに出すので。」

日菜「はーい!」

 

 日菜さんは席に着いた。

 

栄斗「じゃあ、まずこれです。」

日菜「タコと...ラスクかな?」

栄斗「はい。食べてみてください。」

日菜「うん!いただきまーす!」

 

 日菜さんは料理を口に入れた。

 

日菜「__美味しー!」

栄斗「よかった。」

日菜「これ、どこの料理なの?」

栄斗「元ネタはイタリア料理ですよ。」

日菜「へぇー、すごいね!栄君!」

栄斗「まぁ、次です。」

日菜「次はお寿司だー!」

栄斗「てまり寿司より小さくしたものです。」

日菜「ん~!これも美味しい!

こんなに小さいのにしっかり味がするー!」

栄斗「今回は職人の技を参考にしました。」

日菜「そんな事も出来るんだ。」

栄斗「じゃあ、次はスープですよ。」

日菜「コーンスープだ!」

栄斗「まぁ、それは普通のですよ。」

日菜「でも、安心する味...」

栄斗「さて、次の料理ですが...」

日菜「どうしたの?」

栄斗「少し、待っていてください。」

日菜「うん?」

 

 栄斗は一旦キッチンに下がると、

 すぐに戻ってきた。

 

栄斗「__お待たせしました。

これが俺が一番食べてほしかった料理です。」

日菜「これって...!」

栄斗「ハンバーガーです。

ジャンクフードがお好きと聞いたので。」

日菜「こんなの絶対美味しいじゃん!」

栄斗「どうぞ。」

日菜「うん...!」

 

 日菜さんはハンバーガーを食べた。

 

日菜「~!!!こ、これ!」

 

 日菜さんは目を輝かせてる。

 

日菜「こんなの初めて!お店じゃ絶対に食べられない!」

栄斗「まぁ、全部オリジナルですからね。」

日菜「すごいねー!」

栄斗「じゃ、デザートにしましょうか。

ケーキですよ。」

日菜「わーい!あ、まさかこれも?」

栄斗「はい、作ってみました。」

日菜「本当に栄君って料理上手だね!」

栄斗「普通ですよ。まぁ、食べましょうか。」

 

 俺たちはケーキを食べた。

________________________

 

日菜「__ありがとね、栄君。」

栄斗「何回目ですか。」

 

 夕飯を食べ終わってからしばらく、

 俺たちはソファでくつろいでいた。

 

日菜「だって、あんなに美味しい物、久し振りに食べたんだもん。」

栄斗「日菜さんのためならいくらでも作りますよ。」

日菜「楽しみになるね!」

 

 日菜さんは時計を見た。

 

日菜「もうこんな時間かー...」

栄斗「もうすぐで日付が変わりますね。送りますよ?」

 

 俺が立ち上がろうとすると、日菜さんに服を引っ張られた。

 

栄斗「どうしたんですか?」

日菜「...帰りたくない。」

栄斗「え?」

日菜「もっと、栄君と一緒にいたい...」

栄斗「でも、家族も心配するでしょう?」

日菜「でも...」

 

 日菜さんの電話が鳴った。

 

日菜「お姉ちゃん...?__!!」

栄斗「どうしました?」

日菜「こ、これ!」

栄斗「えーっと?」

『お母さんたちは誤魔化しておくから、今日は泊ってきなさい。』

栄斗「氷川さん、エスパー?」

日菜「で、でも、これで...!」

栄斗「そうですね。泊まれますね。」

日菜「泊ってもいいの?」

栄斗「いいですよ。」

日菜「やったー!」

 

 日菜さんは喜んでいる。

 そうしてるうちに12時。

 12月25日になった。

 

栄斗「日菜さん。」

日菜「?」

栄斗「メリークリスマス。」

 

 俺は日菜さんにプレゼントを渡した。

 

日菜「こ、これって。」

栄斗「プレゼントですよ。中身は確認してみてください。」

日菜「う、うん。__これ!」

 

 中に入ってるのは指輪だった。

 

栄斗「結婚を前提に付き合ってるわけなので、あげたいなと。」

日菜「で、でも、いいの?すっごく高そうだけど...?」

栄斗「大丈夫ですよー。気にしなくても。」

日菜「じゃあ、あたしもあげる!」

 

 日菜さんはカバンからは箱を出した。

 

日菜「時計だよ!」

栄斗「いや、日菜さんの方がすごいでしょ。」

日菜「あたしはパスパレで色々もらえるからね!」

栄斗「ありがとうございます。大切にします。」

日菜「あたしも、大切にする!」

 

 しばらく時間が経った。

 

日菜「あたしも結婚するのかー」

栄斗「もう少し先ですがね。」

日菜「ううん!すぐだよ!」

栄斗「そうですか?」

日菜「うん!だって!

栄君と一緒にいると楽しいから、時間なんて一瞬で過ぎちゃうんだもん!」

 

 日菜さんは笑顔でそう言った。

 

栄斗「そうかもですね。」

日菜「楽しい時間は一瞬で過ぎていくよ!

だから、るんっ♪っと楽しも!」

栄斗「そうですね、るんっと。」

 

 目まぐるしく時間は過ぎる。

 日菜さんと結婚してるのも、意外とすぐかもな。




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特別編 オリキャラの対談!

オリキャラ対談です!


翼「__本日は私たちの対談ですね。

こんにちは、氷川翼です。」

咲「...戸山咲。」

神月「今井神月だよー!」

風花「美竹風花だよ!」

奏「丸山奏だよ~!」

翼「というわけで、従姉妹系のオリキャラの集まりです。」

神月「あたし達は初登場だねー」

風花「機会がなかったからねー」

奏「それで、今日は何の話をするの?」

翼「本日は、それぞれの従妹の自慢、

ルートの話、私たちの出番の話、

最後の話はまた後で。

それでは、行きましょうか。」

 

 ”それぞれの従姉妹について”

 

翼「まずはこれですね。」

咲「...香澄と明日香は可愛いよ。」

神月「あ!喋ったー!」

咲「香澄は元気だし、明日香は香澄を見る目、優しいし。

二人とも可愛いよ。」

奏「いい関係だね~!」

翼「...その事がですね。」

咲「?」

 

翼「次は私から。紗夜と日菜ですね。

紗夜は前までは危うい部分もあり、心配してましたが、最近は日菜との関係も良好になりました。

日菜はもとよりの明るい性格もあり、とても可愛くて、パスパレに入ってから友達もたくさんできて__」

風花「まとめると?」

翼「二人とも可愛い妹みたいなものです。」

咲「...氷川翼の愛は深い。」

 

奏「私は彩ちゃんだね~!

彩ちゃんはね、とーっても面白いよ!

日菜ちゃんとも友達だったよね?」

翼「はい。」

奏「これからも頑張ってほしいなー」

神月「確か、アイド__」

奏「お笑い芸人!」

翼、風花、咲、神月「え?」

奏「?」

咲「...ねぇ、翼。

彩ってアイドルだったよね。」

翼「はい。間違いないです。」

奏「どーしたのー?」

翼「話を進めましょうか。」

 

風花「次は私だね!

蘭はね、幼馴染の皆でいる時の笑顔が最高だよね!

バンド初めてから前向きになったし、良い方に向かってるよ!」

神月「蘭は確かにそんな感じだよね~」

風花「...まぁ、蘭を苦しめたおじさんとクラスメイトは、ね?」

翼「あ...(察し)」

風花「私は終わりね!」

 

神月「最後はあたしかー。

リサはいい子だよー。料理できるし、優しいし。

あたし達は基本的に仲いいし、偶にバイク一緒に乗ったり!」

翼「リサさんはいつもはお姉さんですが、そのお姉さんですからね。

仲は良好でしょう。」

風花「蘭もお世話になってるしね!」

翼「それでは、この話は以上ですね。」

 

 ”それぞれのルートの話”

 

翼「それぞれのルートの話ですね。」

風花「うーん、これに関しては私はコメントしずらいねー」

奏「私もー」

神月「あー、蘭と彩はヒロインにならなかったもんねー」

翼「それでは、私から話しましょうか。

紗夜はイヴルートと紗夜ルートでヒロインで、

日菜も、イヴルートと日菜ルートでヒロインでしたね。」

咲「氷川姉妹は出番が多いね。」

翼「紗夜はイヴルートでは報われないヒロインでした。

その点、紗夜ルートではメインヒロインとして、

物語の中心として役割を果たしていました。」

風花「紗夜さんって絶対何らかに巻き込まれてたよねー。」

翼「はい。紗夜は正義感の強い子ですから。

次は日菜ですね。日菜はイヴルートでは最後のヒロインでした。

この時は報われないと分かってても告白し、八舞君がプロポーズに踏み出す決め手になってましたね。」

咲「...今思えば、紗夜も日菜もきっかけになってるんだね。」

翼「そうですね。」

神月「リサは紗夜ルートでヒロインだったねー!

分岐エンドだったから、リサも報われて、良かったと思ってるよ!」

翼「紗夜ルートは誰が好きというのは最後の最後に決まりましたからね。」

風花「アフターグロウが二番目に出番があったルートだったね!」

翼「千聖ルートですが。」

咲「香澄は斎藤と付き合ってて幸せそうだったよ。

香澄は幸せなのは良い事だね。

明日香は先輩思いな後輩って感じで、よかったよ。

ただ、フラれたのがね。」

神月「あー...」

咲「八舞がろくでもない奴なら、ぶった切ってたね。

でも、碌でもない奴じゃなかったし、

...八舞に攻撃当たるのかな?」

風花「どのルートも一貫して八舞君は何でもありだったねー。」

神月「それを言うと、どのルートでも碌な目に合ってないよねー」

翼「誰かに呪われてるかってレベルで、

親が悪人だったり、家庭内暴力に裏切り、

大切な人がなくなって、がん...前世で何をしたんでしょうか?」

咲「...でも、人格者でもあるよ。基本的には優しいし。

でも、意外とキレやすい。」

風花「全キャラでトップの暴力描写の多さだからねー」

翼「ですが、理不尽なのは強さだけで、理由は誰かのためですからね。」

咲「...一回でもいいから剣道してほしいね。」

翼「後は、彩さんの出番の多さも光りましたね。」

奏「どこでも千聖ちゃんに怒られたり、と思ったら、

シリアスにも出番あったり、よかったよ~」

翼「この話は以上ですね。」

 

 ”出番について”

 

翼「出番についてですが。」

神月「あたしはリサエンドの世界で出たいなー」

風花「私は蘭と出たいな!」

奏「私はー、彩とかなー」

翼「私は紗夜と日菜ルートでしょうか。」

咲「...私は香澄と明日香がいるとこ。

あと、八舞と戦ってみたい。」

翼「...剣道場じゃ強度が足りなそうですね。」

咲「大丈夫、軽くだから。」

神月「天才八舞vs最強剣士咲に期待?」

奏「あれ?神月ちゃんも格闘技出身じゃ?」

神月「あたしは無理だよー。流石にあのレベルはー」

風花「実際には八舞君はどの位すごいの?」

翼「そうですね、それは...」

咲、風花、奏、神月「それは...?」

 

翼「メタ回で紹介です。」

咲、風花、奏、神月「そう来たかー!」

咲「...って、私たちメタ回で出番ないよね。」

風花「今回はそれ用でもあるしね。」

神月「今回のメタ回は基本的に原作キャラと主人公と斎藤君しか出ないからねー」

奏「以上!出番についてだよ!」

 

 ”とあるお話し”

 

咲「それで、最後は何の話なの?」

翼「最後は咲さんのお話です。」

咲「え?」

神月「千聖ルートで明日香、イジメられてたよね?」

咲「...」

風花「その人たちはどうなったのかなーって」

奏「聞いてみたり?」

咲「あー...それはねー」

翼「あの、水泳部員と顧問の先生の目撃者がいないんですが、まさか...」

 

咲「知らない方がいいことも、あるよ?」

翼、風花、神月、奏「は、はい!」

 

 

 

 




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メタ回! 1

メタ回、第一回目です!



栄斗「100話記念、メタ回!」

紗夜「もう100話ですか、早いものですね。」

栄斗「はい、そうですね。」

紗夜「それでは、ゲストの紹介に行きましょうか。」

 

 ”ゲスト”

 

栄斗「一人目は蘭とお兄ちゃんより、和田裕也さんと美竹蘭だ。」

裕也「どうもー、和田裕也でーす。」

蘭「美竹蘭。」

栄斗「裕也さんと蘭は2度目の登場ですね。」

裕也「いやー、まさか一本目に呼ばれるとはねー」

蘭「驚いたね、お兄ちゃん。」

紗夜「それでは、次に行きましょう。

恋愛のブシドー、日菜ルートより、

氷川日菜。」

日菜「そんなに他人行儀にしないでよー!」

紗夜「一応、世界線が違うもの。」

日菜「えー。」

栄斗「まぁ、変な感覚になりますよね。

じゃあ、次の方です。」

紗夜「紗夜ルートより、今井リサさんと青葉モカさんです。」

リサ「どうもー☆今井リサです☆」

モカ「モカちゃんでーす。」

 

栄斗「それでは、以上のゲストとイヴルート八舞栄斗と」

紗夜「イヴルート紗夜を司会として進行していきます。」

栄斗「まずは、語る系から。」

 

 ”語る系”

 

栄斗「ここではいただいた質問に答えたり語ったりします。」

紗夜「ありがたいことに今回のメタ回はネタがたくさんありますからね。」

裕也「それで、最初は何なんだ?」

栄斗「最初は。」

 

・オリキャラはどうやって思いついたのか。 

 

栄斗「と、なっております。」

蘭「なるほど。」

リサ「オリキャラは一杯考えてくれたよねー!」

栄斗「はい。なので、1つ目については自分で考えた時の話をします。

主人公を抜くと、真波と雅と西園カナ、マナだけですね。」

紗夜「それで、この3人をどう思いついたんですか?」

栄斗「まずは真波については主人公と対象になるように、暗めの性格の主人公に対し明るいキャラを入れて物語全体に暗すぎる印象を与えないように、つまり中和を考えた感じですね。

次に雅、雅はずっと、家族思いの不良を出したかったからですね、つまり、好きなキャラを出すのもまたいいのかと。

最後に西園カナ、マナ。この二人は物語に則って考えました。内容を考えるうちに主人公の因縁の相手みたいな立ち位置のキャラがいるなと思って、生まれたのが西園カナ、マナですね。つまり、物語の内容によって考えたパターンでしょうか。」

紗夜「なるほど。」

裕也「でも、他のオリキャラは考えてもらってるから、

オリキャラが思いつかないなら募集してみるのも手かもな。

作者も募集とか見たら一応考えるし。言うかは別として。」

モカ「他の人が考えてくれたキャラを出すと、自分が書くものとはまた違う感じの話をかけるし良いのかもねー」

栄斗「あぁ、そうだな。

じゃあ、次に行こうか。」

 

・「恋愛のブシドー(その他も含む)」の小説のネタはどうやって思いついたのか。

 

栄斗「これはですね。原点を言うとイヴの話を書きたかったからですね。

内容的な点で言うと、完全な妄想と好きなシチュエーションを書いただけですね。」

紗夜「この質問をしてくれた方は実体験をもとにしてるみたいです。」

栄斗「まぁ、この作者にはできない事ですね。

この上なくつまらない話になってしまうので。」

リサ「他ってあるけど、他はどうなの?」

栄斗「他はリクエストをもらって、後はそれにちなんだ話を書くだけですね。

ネタについてはリクエストを貰うのもいいですね。

書く側は楽しいですからね。」

モカ「この作者ー、リクエストに頼り過ぎじゃないー?」

栄斗「まぁ、許してやってくれ。」

 

・小説を書こうと思ったキッカケ。

 

栄斗「これはイヴです。イヴの話がひたすら書きたかったからです。」

紗夜「ゆるぎないですね。」

栄斗「作者はイヴ推しですからね。

あ、推しという事でこの話しましょうか。」

 

 ”推しキャラの話”

 

裕也「この話の繋げ方よ。」

蘭「それで、推しキャラだよね。」

栄斗「あぁ、作者の推しはイヴだ。」

リサ「小説を書くキッカケになるくらいだもんねー」

日菜「作者の推しってイヴちゃんだったんだー。

お姉ちゃんと思ってた。」

紗夜「日菜?喋ったの久し振りじゃないかしら?」

日菜「特にいう事もなかったしー

栄斗「まぁ、推しキャラの話ですね。

なんで推しなのかの話をしましょう。」

 

「あれは今年の夏、サマー・スローサマーの話です。

作者はいつも通りガルパを開きました。

その時『あれ?新イベ?』と思いイベント画面に行くと、

次の瞬間、体に電撃が走りました。

『何だこの可愛さは!しかもこの曲も合ってるし、

やべぇ...』と。

それから『イヴのストーリーを全部見ないと(使命感)』

と思ったのがはじまりでしたね。」

 

栄斗「というわけです。」

日菜「なるほどねー」

栄斗「本当にあのイラストはよかった。

イヴのイラストの中でも1,2を争う。」

紗夜「争う、という事は複数好きなイラストがあるのでしょうか?」

栄斗「あぁ。あげると、初〇ミクコラボの時のと、最近出た、

イヴの特訓後イラストの二つだな。

モカ「あー、何となく理由分かったー」

リサ「あたしもー」

栄斗「作者曰く、コラボの時は真顔がドストライクで、

新規のイヴはタトゥーの位置が絶妙過ぎたと。」

日菜「やっぱりねー」

栄斗「まぁ、イヴが推しの理由は、もっとあって。

でも、話し出すと小説の文字数制限に引っかかるから。

『ただひたすら可愛い!!!』とだけ言っておこう。」

紗夜「以上、推しキャラの話でした」

 

 ”バントリのアニメ三期とゲームの話”

 

栄斗「今回はこれで最後だな。

作者曰く。」

 

「ゲームについては、やっぱりコラボでしょうか。

今回はロゼリアの箱イベと言う事で、嬉しい気持ちがあります。

イラスト関係については最高の一言ですね。

強いていうなら、ペルソナコラボの蘭のイラストと

友希那のイラストの雰囲気が似通ってますね。

そして、一つ言いたい。なぜ、コラボ直前に

パスパレのイベントを...。

まぁ、総括すると

コラボ楽しみですね(白目)」

 

栄斗「__との事です。」

紗夜「私はラムの衣装で登場しますね。」

日菜「とーっても可愛かったよ!お姉ちゃん!」

紗夜「あ、ありがとう///」

リサ「あたしは多分だけど、フェルトだねー。」

モカ「リサさんのあの衣装ですかー」

リサ「どうしたの?」

モカ「...ちゃんと全年齢対象ですよねー?」

リサ「ちゃんと対象だよ!?」

日菜「でも、リサちーだしー」

リサ「え?」

裕也「まー、衣装は良く似合ってるだろうし。

俺は期待してるよ。」

蘭「...お兄ちゃん?」

裕也「おーっと。俺の一番は永遠に蘭だぞー」

蘭「...そう///」

栄斗「じゃ、最後ーアニメ三期について。

作者曰く」

 

「アニメ三期は判明してるのはopですね。

イニシャルは神曲と言って差し支えないでしょう。

ですが、同時にアニメで何かシリアス展開があることも連想させますね。

それも恐らく、アニメはポピパ中心なので、ポピパ関係の何かでしょう。

ですが、二期のラストのような新曲連発、そして神曲。

これも期待できます。

ですが作者の一番の楽しみはイヴですね!」

 

栄斗「との事です。」

日菜「あたしとお姉ちゃんの会話も期待ー!」

リサ「あたしと友希那もー!」

蘭「あたし達はいつも通り。」

裕也「俺は蘭を見てるぞー」

蘭「じゃあ、いつもよりがんばる。」

モカ「あっちの蘭はお兄ちゃん子だねー」

紗夜「それでは、今回のまとめに入ります。」

 

 ”まとめ”

 

栄斗「今回はメタ回1回目でしたが。

まだネタはたくさんあるので、まだまだ続きます。」

紗夜「次回はゲストも司会も交代して、別の話をします。」

リサ「じゃあ、メタ回一本目!」

モカ「これにてー。」

日菜「終わりだよ!」

裕也「第二回も見てくれな。」

蘭「お疲れ様、お兄ちゃん。」

 

 




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メタ回! 2

メタ回2です!


イヴ「メタ回!2回目です!」

彩「今回の司会は私、丸山彩と!」

イヴ「若宮イヴです!」

彩「いやー、この作品も100話になりましたね!」

イヴ「はい!とても良い事ですね!」

彩「じゃあ、ゲストの紹介に行こっか!」

イヴ「はい!」

 

 ”ゲスト”

 

彩「まずは、世話焼きりんりんより、

小坂誠君と燐子ちゃんだよ!」

誠「こんにちは!」

燐子「こんにちは...」

イヴ「お二人には作者からメッセージが来ていますよ!」

誠、燐子「?」

『ごめんなさい。』

彩「あー。」

イヴ「理由としては覚醒天才の王国が楽しかったから、らしいです。」

誠「僕たちは落ち着いた話だからね。」

燐子「作者には...難しいですね...」

彩「だからバランスよく出すために週間制にすることも考えてるらしいよ!」

誠「え!?ここでも発表するの!?」

イヴ「まぁ、そのお話はどこかでするでしょう!」

彩「うん!じゃあ、次のゲスト!

恋愛のブシドー、紗夜ルートから

友希那ちゃんだよ!」

友希那「こんにちは。」

彩「友希那ちゃんは初登場だね!」

友希那「そうね。なぜか呼ばれなかったの。」

イヴ「ワザとじゃないですよ!」

彩「うん!そうだよ!」

友希那「別にいいのだけど。」

誠「あれ?友希那ちゃんだ!」

燐子「あれは...違う次元の...友希那さんだよ。」

誠「なるほど。」

友希那「...そこのあなた。」

誠「?僕?」

友希那「えぇ。」

誠「どうしたの?」

友希那「あなた、可愛いわね。」

誠「えぇ!?」

燐子「!!!」

彩「は、はーい!次のゲスト行くよー!」

イヴ「今回のお話に合わせてイヴルートより氷川日菜さんだよ!」

日菜「やっほー!」

彩「前は、一応日菜ルートの日菜ちゃんだから...ね?」

イヴ「それでは、ゲストは全員来たので、本題に行きましょう!」

 

 ”丸山彩について”

 

彩「って、なにこれ!?」

イヴ「アヤさんについてです!」

誠「たしか、紗夜ちゃんの次に出たのが彩ちゃんだったんじゃって位出番が多かったんだよね!」

燐子「流石...丸山さんです...」

友希那「まぁ、理由としてはメインヒロインにパスパレが多かったことじゃないかしら。」

日菜「他の世界ではあたしもメインだったしねー」

友希那「でも、まともだったのはほぼ紗夜ルートだけだったわね。」

日菜「イヴルートの時の役回りなんて...あはは!面白いよねー!」

彩「もー!」

イヴ「私はアヤさんの事大好きですよ!」

誠「うん!彩ちゃんは彩ちゃんでいいと思うよ!」

彩「うーん、なんか上手くまとまった?」

イヴ「じゃあ、次の話です!」

 

 ”氷川紗夜について”

 

イヴ「今回のメインの話ですね!」

誠「すごい人気なんだよね!」

彩「うん!」

友希那「なんであんなに人気なのかしら?」

イヴ「それについては、作者も良く分かっていませんね。」

彩「よく、かっこいいって言われてますね!」

日菜「ほんとに、お姉ちゃんが告白してから言われるけど、

今でも言われてるもんねー!」

彩「紗夜ちゃんっていつもいい役回りだよねー」

日菜「そうそう!彩ちゃんとは大違いだね!」

彩「日菜ちゃん!?」

友希那「作者は丸山さんはネタで使いやすくて、

紗夜は使いにくいと言ってたわ。」

彩「どういう事!?」

イヴ「アヤさんは人一倍愛嬌があるんですよ!」

彩「そ、そうなのかな?」

誠「うん!そうだよ!」

燐子「はい。」

彩「ならいいかなー。えへへ。」

日菜「それで、なんでお姉ちゃんは人気なの?」

誠「かっこいいからじゃないかな?」

友希那「紗夜はキッカケだもの。

フラれるのが分かってても告白するのは勇気があったわ。」

イヴ「あ!今回はサヨさんにインタビューしてきました!」

彩、友希那、誠、燐子「え?」

日菜「さっすが!」

イヴ「それでは、ドウゾ!」

 

 ”インタビュー”

 

イヴ「それでは、今日はよろしくお願いします!」

紗夜(イヴルート)「よろしくお願いします。」

イヴ「早速、質問に行きます!

1つ目!今の人気についてはどう思っていますか?」

紗夜「人気ですか。そうですね、率直に嬉しいです。

なぜ人気なのか分からないですが。」

イヴ「それはサヨさんだからですよ!

それでは、2つ目の質問です!

...あの、私はここの世界の若宮イヴではないのですが...」

紗夜「どうしましたか?」

イヴ「えっと、エイトさんに告白した時の気持ち、です。」

紗夜「なるほど...。」

イヴ「答えたくなければ、これは拒否していただいても...」

紗夜「いえ、答えますよ。」

イヴ「サヨさん?」

紗夜「告白した時はフラれると思っていましたが、

自分の気持ちに歯止めが付かなくなっていました。

もしかしたら、なんて思ってなかったです。

答えを先延ばしにした時も彼らしいと思ってました。

そして、フラれた日。本当は屋上に行きたくなかった、

でも、答えを聞かないといけないと思い、震えながら屋上に行きました。

そして、フラれて。心のどこかで満足して、でも悲しくて。

今思うと、八舞君には気づかれてたかもしれないですね。

そして、この世界の若宮さんと八舞君がお付き合いを始めて、

心から二人に幸せになってほしい、そう思いました。」

イヴ「サヨさん...」

紗夜「こんな感じです。

今では八舞君と良い友人になって、

満足していますよ?」

イヴ「ありがとうございました、サヨさん!

そして、感動したので、とある物語を作者に提案します!」

紗夜「物語?」

イヴ「恋愛のブシドー、告白回、紗夜視点です!」

紗夜「私視点ですか?」

イヴ「はい!」

紗夜「そこまで取り上げられる事なのでしょうか?」

イヴ「というわけで、告白回、紗夜視点!やります!」

 

 ”元の場所”

 

イヴ「__という事です!」

彩「待って、ほんとにあの物語するの?」

イヴ「はい!絶対にします!」

日菜「でも、その話通るのー?」

友希那「そうね。」

イヴ「とても頑張ってお願いしてきました!

そしてら、すぐに『やりましょう!』と言ってくれました。」

友希那「(これは絶対に若宮さんが好きだからだわ)」

日菜「(イヴちゃんのお願いなら何でも聞くんだろうなー)」

誠「イヴちゃんの交渉術がすごかったんだね!」

彩「それは、どうなのかな...?」

燐子「そういう事に...しておくのがいいかと。」

イヴ「それでは紗夜さんについてでした!」

 

 ”バンドリのこれから”

 

イヴ「これについては前回しようと思ってた話ですね!」

彩「それで、これはどうするの?

私達じゃわからないよ?」

友希那「あ、これを作者から預かって来たわ。」

日菜「えーっと?」

 

「バンドリのこれからは、良く出る意見に、

アニメ三期の後にRASが正式にゲームで実装されるとありますね。

ただ、心配な点は予算が大丈夫なのかという事ですね。

こう言うのも、RASの楽曲の実装はあからさまに少ないですから、

RASの中の人を集めるだけでもかなーり大変なんじゃ?と。

後、ゲーム画面で考えてもRASってどうやっていれるんだろ?

と思う事もありRASの実装は一ファンとしては期待したいですが、

あまり現実味は無いのではないかと思うのが作者の意見ですね。

まぁ、バンドリが盛り上がりを見せれば、可能性は高まるので、

皆さん、バンドリを楽しみましょう。」

 

日菜「なるほどねー。」

友希那「まぁ、ありがちな意見ね。」

彩「考え方によってはRAS実装でバンドリが盛り上がるのも、あるかもしれないね!」

イヴ「そうですよね!」

誠「まぁ、僕たちは運営の事情はよく分からないから。」

燐子「ゲームの運営は...とても大変...ですから。」

彩「特にバンドリの運営さんはどう考えても大変だから、

休んでもいいと思うな!」

燐子「そう...ですね。」

彩「じゃあ、バンドリのこれからでしたー!」

 

 ”まとめ”

 

イヴ「今回はここまでです!」

彩「最後のはこれからと言うより、RASの話だったね?」

友希那「あとは、誠と燐子に謝罪してたわね。」

誠「あはは、別に大丈夫だよ!」

燐子「はい。」

日菜「お姉ちゃんの話をするのも決定したしね!」

彩「それでは、第2回、メタ回出した!」

イヴ「お疲れ様でしたー!」

 




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メタ回を書くのは時間がかかるので、
メタ回は休日にあげます。
来週は何週間がいいのでしょうか?


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メタ回! 3

第三回メタ回です。
今回はオリキャラの話と、最近、考えたことの話をしています。


千聖「こんにちは、千聖ルートの白鷺千聖です。」

栄斗「千聖ルートの栄斗です。」

千聖「それで、今日はどんな話をするのかしら?」

栄斗「今日はゲストも交えて、オリキャラなどの話をしようかと。」

千聖「なるほどね。じゃあ、ゲストを呼びましょうか。」

 

 ”ゲスト”

 

千聖「まずは、覚醒天才の王国より、神谷蓮君と愛染アリスちゃんよ。」

蓮「久しぶりだな。」

アリス「こんにちは!」

千聖「ちなみに来週はあなた達の週間よ。」

蓮「え?そうだっけ?」

アリス「さっき言ってましたよ?」

蓮「あー...忘れてた。」

アリス「もう...」

千聖「栄斗とすごい違いね。」

アリス「すごい方ではあるんですが...」

栄斗「まぁ、次の人の紹介に行こうか。

千聖ルートより、雅と戸山香澄だ。」

雅「俺たちもゲスト枠なのか。」

香澄「だよねー。司会とかで出たかったな!」

栄斗「まぁ、どこかで司会も出来るんじゃないか?」

千聖「これで今回は全員ね。それじゃあ、話に行くわよ。」

 

 ”オリキャラについて”

 

栄斗「この話ではまだ未登場のオリキャラについて、

今のところは明石響と賀川雫の二人なんだが。」

千聖「この二人はかなり難しいわね。」

雅「そうなのか?」

蓮「そんな風には見えないが?」

栄斗「この二人は、明石響が明るい情報系ですごい人物で、

賀川雫が無口な超料理上手なんだが。」

アリス「聞いた感じでは、かなりキャラが立ってると思いますが?」

香澄「だよねー、なんで難しいの?」

栄斗「作者曰く、明石響は多くのキャラ、

賀川雫は戸山咲とかなり被るんだよ。」

蓮「なるほどな。」

栄斗「戸山咲はもう出てるからいいんだが、

賀川雫の無口度合いが分からん。」

蓮「あー。」

雅「うむ。」

香澄「咲ちゃんより無口な人って、喋るの?」

アリス「うーん...」

栄斗「あと、明石響だな。

明石響は明るい情報系、そう、明るいんだ。」

アリス「?何の問題があるんですか?」

栄斗「...バンドリに明るいキャラは何人いる?」

蓮「えーっと、リサに日菜、イヴ、そこにいる香澄、

こころに、はぐみ...多いな。」

雅「それに、全員タイプが違うな。」

栄斗「つまりそう言う事だ。

どんな明るさにすればいいのか、これが最大の問題だ。」

蓮「難しいな。」

栄斗「そう、だから、この二人に関してはかなーり調整がいるんだ。」

アリス「なるほど。」

栄斗「だから、この二人の登場に関しては、結構かかるかもしれないし、かからないかもしれない。」

雅「いや、どっちだよ。」

蓮「まぁ、案を貰ってから結構経ってるからもうちょっとって事じゃないか?」

栄斗「そういう事です。」

千聖「あと、あの話もあるわね。」

香澄「あの話?」

千聖「最近いただいた新しいキャラについてよ。」

栄斗「知っての通り、今は一応オリキャラの募集は止めてる状態だ。

理由は今いるオリキャラの話も書いてないのに増える一方になったらキャラが勿体ないから、だそう。」

千聖「それを踏まえて、今いるオリキャラの残り、賀川雫と明石響を出せたら、新しくいただいたオリキャラも導入したいと思ってるわ。」

栄斗「どれも素晴らしいキャラだからやっぱり出したいよな。」

蓮「あ、オリキャラの話は俺も聞いたぞ。」

アリス「どのような話を聞いたのですか?」

蓮「オリキャラからバンドリ系設定外せば、なんかオリジナルの話書けそうってな。」

千聖「あら?バンドリの話以外の話は書かないんじゃなかったのかしら?」

蓮「あぁ、だから、ノートにちょくちょく書いたりするくらいだぞ。」

栄斗「まぁ、一応バンドリ限定って書いてますしね。」

香澄「なんでバンドリ限定なの?」

栄斗「分からん。」

香澄「えぇ!?」

雅「単にバンドリってコンテンツが好きだからじゃないか?」

千聖「うーん、まぁ、そういう事にしておきましょう。」

栄斗「話が脱線したが、まとめると、賀川雫、明石響は調整中、

新しいオリキャラも登場予定、ってところだ。」

千聖「以上、オリキャラの話でした。」

________________________

 

 ”最近、考えたこと”

 

栄斗「えーっと、ここからはゲスト抜きで俺と千聖さんで話す。」

千聖「最近、と言ってもずっと思ってたことを言ってくれた方が現れた、というところかしらね。」

栄斗「今日、とある方から、地の文が雑で短いから内容がチープに感じる、と。」

千聖「これに関してはずっと思ってたことで反論の余地もないわね。

作者は一度誤字確認のために自分の話を読み直すのだけど、

描写が伝わってこない、と言うか、深刻な描写が深刻に感じられない、

と言うのが、あったの。」

栄斗「そもそも、地の文は会話以外の説明、叙述などを指す言葉で、チープは安っぽいという意味になる。」

千聖「間違いないわね。自分で読むうちにどこか安っぽさを感じたのは否めないもの。」

栄斗「今回の指摘は厳しい意見などではなく、出て当然の意見、これを思ってた人は多いと思う。」

千聖「最近は見てくださる方も増えて、無意識のうちにどこか天狗になってたかもしれないわ。」

栄斗「そういう意味では今回の出来事は気を引き締めるのにいい機会になったと思います。」

千聖「今後はもっと広い層の人たちに満足していただけるようにレベルアップしないといけないわ。」

栄斗「そのために、自分でも色々しますが、作者の方や知識が豊富な方にアドバイスを貰えたら嬉しいなと。

自分だけではどうしても限界があると思うので。」

千聖「今回、ご指摘をくれた方には感謝します。」

栄斗「少しでも、ド底辺から底辺になるよう努力をしようと思います。」

千聖「この話、並びに第三回メタ回を終わりにしたいと思います。

栄斗「アドバイスがある方は何でもいいので言っていただければ幸いです。」

________________________

 

千聖「最後は暗めの話になりましたが、今回もありがとうございました。」

栄斗「来週は最初通り、覚醒天才の王国週間なので、よろしくお願いします。」

千聖「それでは、これにて、第三回メタ回、終了よ!」

栄斗「お疲れ様でした!」

 

 

 

 




アドバイスがある方はお願いいたします。
少しでもマシになるように頑張ります。


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メタ回! 4

メタ回4回目です!
1回間違えました。


彩「第4回、メタ回!」

麻弥「開始っす!」

彩「いやー、久し振りの司会だねー!」

麻弥「はい!そうですね!」

彩「色々話したいこともあるけど、ゲストの紹介に行こっか!」

 

 ”ゲスト”

 

彩「一人目は、覚醒天才の王国でヒロインになりました、RASより、チュチュちゃんと六花ちゃんだよ!」

チュチュ「どうも、こんにちは。」

六花「こ、こんにちは!」

彩「RASのメタ回参戦は初めてだね!」

チュチュ「YES、今までは呼ばれなかったわ。」

六花「し、仕方ないですよ。」

彩「これからはガンガン呼んでいくからね!」

麻弥「お次のゲストっす!今回特例で呼ばれました、白金燐子さんです!」

燐子「えっと......私は2回目......ですね?」

麻弥「少し事情がありまして。」

燐子「はい......?」

彩「今回は以上のゲストをお迎えして進行するよ!」

麻弥「それでは、最初の話っす!」

________________________

 

 ”MVP”

 

彩「今回は主人公、ルート名になってるヒロインを除いた主要キャラのMVPを発表するよ!」

麻弥「これは完全に作者の独断と偏見ですので、そこの所はお許しください。」

チュチュ「MVP......私には無縁ね。」

六花「私も、ですね。」

燐子「朝日さんは......もしかしたら......。」

彩「まずは、イヴルート!」

麻弥「イヴルートのMVPは......」

 

彩「かっこいいなどの意見が多く寄せられ、バンドリゲーム内でも高い人気をほこり......」

麻弥「あまりの人気から、別ルート開設、新しい物語を書く起点となった......」

彩、麻弥『氷川紗夜さんです!』

チュチュ「納得ね。彼女の活躍には私も賛辞を贈りたいわ。」

六花「はい!とても素晴らしい活躍だったと思います!」

彩「要因はやっぱり、あの人気の理由にもなった最初の告白かな!」

麻弥「あれからの紗夜さんの人気は別次元でしたからね!」

チュチュ「おめでとう、そう言っておくわ。」

六花「おめでとうございます!」

彩「紗夜ちゃんには特別な話がでるよ!」

麻弥「じゃあ、次!紗夜ルートです!」

 

彩「紗夜ルートMVPは......」

麻弥「作者は大体ネタ枠扱いされる中、作中で八舞さんとロゼリアをつなぐ架け橋となった......」

彩「え?セリフちが__」

麻弥『丸山彩さんです!』

彩「えぇー!?」

麻弥「要因としてはやっぱり、八舞さんとロゼリアの皆さんを繋いだことです!彩さんの数少ないシリアスシーンで見事にMVPに輝きました!」

チュチュ「素晴らしい逆転劇と思うわ。イヴルートでは千聖にお説教されてばっかりでいいとこなしだったもの。」

六花「そんないい方は......」

燐子「おめでとうございます......!」

彩「皆......ありがとう!」

麻弥「それでは、次に行きましょう、彩さん!」

彩「うん!次は千聖ルートだよ!」

 

麻弥「千聖ルートMVPは......」

彩「物語中盤までは完全にメインヒロイン、なんであの子がフラれたの?勝利フラグ立ってたじゃん!」

麻弥「敗因をあげるなら、千聖ルートだったこと......」

彩、麻弥『戸山明日香さんです!』

六花「明日香ちゃんがMVPですか。」

チュチュ「これも普通に納得だわ。彼女がフラれた理由は話しを見るだけなら見当たらなかったもの。」

燐子「でも......フラれたシーンは書かれていません。」

彩「あー、えーっと、それはー......」

麻弥「話の展開的に書けなかった、というのでしょうか。」

彩「ま、まぁ、それはさておき!」

麻弥「千聖ルートMVPは戸山明日香さんでした!」

彩「次の子だよ!」

 

彩「最後の日菜ルートMVPは......」

麻弥「ヒロインではもしかしたら一番八舞さんの幸せを願ってたかもしれません......」

彩「八舞君が日菜ちゃんに告白、つまり六花ちゃんに報いるきっかけになった、悲しみの狂犬......」

彩、麻弥『佐藤ますきさんです!』

チュチュ「マスキング......!」

六花「ますきさんですか!」

彩「うん!何がよかったかって、やっぱり八舞君が目覚めたときに日菜ちゃんが抱き着いてるのを見て諦めながらも最終的は起点になった所かな。」

燐子「八舞君を動かすのに......一番効果的......でした。」

彩「ぶっきらぼうな優しさ、それがますきちゃんだね!」

麻弥「以上!各ルートMVPでした!」

________________________

 

 ”お知らせ”

 

彩「皆、MVPはどうだったかな?」

チュチュ「納得できる結果だと思うわ。」

六花「はい!皆さん素晴らしい活躍をされていて、良かったと思います!」

燐子「はい......。氷川さんも喜びます。」

麻弥「ちなみに、燐子さんは紗夜ルート、六花さんは日菜ルートの最終選考まで残っていました!」

彩「二人には特別賞が贈られるよ!」

六花「あ、ありがとうございます!」

燐子「私で、いいんでしょうか......?」

彩「いいんだよ!自信もって!」

麻弥「というわけで、ここからはお知らせをします!」

彩「今回の話は燐子ちゃんを呼んだのに関係があるんだよね。」

燐子「え?」

麻弥「まず一つ目は、世話焼きりんりんと平凡男子を閉鎖する事です......」

燐子「え......?」

彩「理由は、書いてて微妙な話しか書けないから、らしいよ。」

麻弥「でも、燐子さんの話はリクエストで頂いたもの、投げ出すわけにはいきません。」

チュチュ「そりゃそうよ。」

彩「そこで!二つ目!燐子ちゃんの新しい話を新作として開設するよ!」

麻弥「タイトルは決まってませんが、今年中には開始します!勝手で申し訳ありません。」

彩「ごめんなさい......」

 

麻弥「それでは気を取り直して次のお知らせです!」

彩「作品を週間制にすることで新作を出しやすくなったので、たびたび言っていた新作も開設します!」

チュチュ「確か、私たちのStoryね。」

六花「はい。」

彩「ずっとしようしようと思ってたんだけど、色々あってね。」

麻弥「まとまった時間が取れそうなので、こちらも開設することにしました!」

燐子「結果としては......増えるのは1つだけですね。」

彩「そうなるね!」

麻弥「それでは、お知らせは以上です!」

________________________

 

 ”まとめ”

 

彩「今回のメタ回は以上だよ!」

麻弥「今回はMVPとお知らせでしたね!」

チュチュ「今日は中々楽しかったわ。また呼んで欲しいわ。」

六花「今日はありがとうございました!」

燐子「私は...,.新作でも頑張ります......!」

彩「今回もありがとうございました!」

麻弥「ありがとうございました!」




お知らせのことは申し訳ありません。
その分新作で頑張ります。


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メタ回! 5

第5回目のメタ回です!

ゲームの話にはなりますがドリフェスは引きましたか?
私は50連しか引きませんでしたが爆死一回といい結果に終わりました!


こころ「さぁ!今日も始めるわよ!」

美咲「だ、第5回メタ回~」

こころ「いぇーい!」

美咲「こころ、テンション高すぎ。」

こころ「あら?美咲は疲れた顔をしてるわね?どうしたのかしら?」

美咲「こころが元気過ぎるからだよ......全く。」

こころ「そんなのじゃ駄目よ!美咲も笑顔でいなくちゃ!」

美咲「はいはい。まぁ、今日の司会は私、奥沢美咲と。」

こころ「あたし、弦巻こころの『ここみさ』コンビでお送りするわ!」

美咲「じゃあー、ゲストの紹介に行こっかー。」

 

 ”ゲスト”

 

こころ「今回のゲストは日菜ルートの日菜とますきよ!」

日菜「どうもどうも~!」

ますき「なんだ、今日は私もか。」

こころ「日菜は二回目になるけれど、少し今回の話に関わってるの。」

日菜「なんのこと?」

美咲「あー、先にゲストの紹介しますねー。

蘭とお兄ちゃんより、青葉モカ。」

モカ「どうもどうも~。」

日菜「あ!モカちゃん!」

モカ「日菜先輩ー。」

こころ「今日のメンバーはとても楽しそうね!」

日菜「あたし達で盛り上げていこー!」

モカ「おー。」

 

美咲「......やっばい。」

ますき「おまえ、苦労してるんだな。」

美咲「はい、すいません、うちのこころが。」

ますき「気にすんな。それよりも疲れたら言えよ。手助けはするから。」

美咲「ありがとうございます。」

こころ「何を話してるの?早速話題に行くわよ!」

美咲「はいはい。」

 

 ”裏話”

 

こころ「まずはこれ!裏話よ!」

日菜「どんなのがあるのかなー?」

モカ「きっと、わー!ってなる事ですよー」

こころ「それじゃあ、行くわよ!これは、イヴルート紗夜の話よ!」

 

美咲「裏話1『イヴルート紗夜が告白する決心をしたのは栄斗がイヴに誕生日プレゼントを渡したときだった。そして、同時に栄斗を諦めてた瞬間でもあった。』」

 

ますき「なるほどな。」

モカ「そんな時から覚悟はしてたんですねー......」

日菜「お姉ちゃんはなんで告白したのかな......?」

こころ「きっと、二人のためよ。」

美咲「こころ?」

こころ「紗夜はたしかに告白しないと言う選択肢も取れたわ。でも、あえてそれを投げ捨ててでも自分の好きな人に幸せになってもらいたかった、そのために自分を犠牲にして、起爆剤にした。」

ますき「氷川紗夜は日菜を通して八舞の過去を聞いてたはずだ。だからこその選択とも思える。まぁ、どっちにしても尊敬する。」

こころ「だから!二人を笑顔にした紗夜はあたしたちが負けないくらい笑顔にするわ!」

美咲「ま、こころはそう言うよね。」

こころ「協力、お願いするわ!美咲!」

美咲「まぁ、氷川先輩のためだし、仕方ないかー。」

モカ「おー、美咲ちんが本気出すー?」

美咲「はいはい。」

こころ「じゃあ、次の話に行くわ!」

 

美咲「裏話2『紗夜ルート栄斗の才能と過去は繋がりがある。』

 

モカ「んー?どーゆーことー?」

美咲「八舞君の過去はまぁ、ご存じの通りなんだけど。紗夜ルート八舞君の才能が目覚めたのは回想シーンの公園。才能の正体は所謂、防衛本能なんだよ。」

日菜「つまり、そこの栄君の才能は生まれつきじゃなくて、突然目覚めたんだねー。」

ますき「あいつの過去は見たが、まぁ、ひどいもんだったな。」

美咲「才能が目覚めるのが遅かったから、両親から愛されず、ぞんざいな扱いを受けて。何を呪ったのか何もなくなった時に才能が目覚めたんだよ。」

ますき「その時の喪失感、孤独感は想像できないな。」

こころ「でも、今はロゼリアと楽しい時間を過ごしてるわ!栄斗にはこれからも楽しんでもらいたいわね!」

美咲「全くもってそうだね。じゃ、次行くよ。」

こころ「えぇ!」

 

美咲「裏話3『千聖ルート栄斗の単純な戦闘能力は他の栄斗と比べて一番高い。』」

 

モカ「おー、すっごーい。」

日菜「確かに一番、戦闘偏差値?が高かったよねー。」

美咲「ちなみに、斎藤君の強さは八舞君、西園カナの三分の二くらいだよ。」

ますき「は?あの二人の三分の二!?斎藤ってやつも人間やめてるのか?」

こころ「あら?三人とも人間よ?何を言ってるの?」

ますき「......」

美咲「ま、まぁ、疑わしくなる気持ちもわかるよ。」

日菜「まー、私の世界の栄君も中々だからねー。」

モカ「日菜先輩がそれ言うー?」

日菜「どうしたの?モカちゃん?」

モカ「なんでもー。」

こころ「じゃあ、次の裏話に行きましょ!」

美咲「そうだね、次は......え?」

モカ「どうしたのー?美咲ちんー?」

美咲「い、いや、次の話がね。」

ますき「見せてみろ......あっ(察し)」

日菜「どうしたの?」

ますき「いや、な。」

美咲「ともかく、読むしかないですよね?」

ますき「......だな。」

こころ「早く読みましょ!」

 

美咲「裏話4『日菜ルート栄斗の両親は病気の栄斗の育児を放棄し、行方をくらませた。』」

 

日菜「......は?」

美咲「ひ、日菜さん......?」

日菜「美咲ちゃん、それは本当?」

美咲「は、はい。間違いありません。」

日菜「そっかー、困った親もいたもんなんだねー。」

モカ「日菜先輩、すっごく怖い顔してるー。」

日菜「そっかなー?」

ますき「お、おい。立ち上がってどうした?」

日菜「ちょーっと用事が出来たから行ってくるー。」

美咲「え?ちょっと__って、行っちゃった。」

こころ「よっぽど大事な用だったのね?送らなくてよかったかしら?」

美咲「い、いいんじゃないかな?」

ますき「あぁ。」

モカ「いやー、すっごく怖かったねー。」

美咲「えーっと、色々な問題がありましたが裏話は以上です!」

________________________

 

 ”お知らせ”

 

こころ「次はお知らせコーナーね!」

美咲「それじゃあ、届いたメモを読みます。

まず、今回の裏話で出た紗夜先輩について、紗夜先輩視点での話の題名が決定しました。」

モカ「おー、ついにー。」

美咲「紗夜編のタイトルは......」

 

 『覚悟の果てに』

 

美咲「となりました!」

こころ「紗夜に相応しいわ!」

ますき「あぁ、そうだな。」

美咲「この物語では、イヴルートの紗夜先輩視線に加え、もしも、あの時に紗夜さんが選ばれてたら......って話を追加するよ。」

モカ「それは、モカちゃん的にかなり嬉しー。」

ますき「でも、出来るのか?あの作者が若宮イヴがフラれるような話を書けるのか?」

美咲「そ、そこは世界をゆがめて、『大切だけど、それは家族的なー』みたいな感じに、ね?」

モカ「まぁ、それなら書けそうだねー。」

こころ「誰も悲しまない、優しい世界ね!」

美咲「じゃあ、後は新作についてなんだけど。

RASの話と燐子先輩の話を書くけど、まだ形が出来てないから少し待ってね。」

こころ「お知らせは以上よ!」

モカ「まとめに行こー」

________________________

 

 ”まとめ”

 

美咲「今回は裏話とおしらせだったね。」

こころ「えぇ!とても楽しかったわ!」

モカ「日菜先輩がどこかに行っちゃったけど、楽しかったねー。」

ますき「まぁ、今回は呼んでくれてありがとな。」

美咲「紗夜先輩の話などはメタ回7回目が終わり次第すぐに執筆します!」

こころ「それでじゃあ!第5回、メタ回、終了よ!」

美咲「ありがとうございました!」

 

 




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メタ回! 6

メタ回です!


たえ「どもども~、花園たえだよ~」

レイ「えっと、和奏レイです。」

たえ「今日は私達、幼馴染コンビで行くよー。」

レイ「花ちゃん、なんで私だけ司会側なのかな?」

たえ「えーっとねー。作者に相方選んでいいよーって言われたから?」

レイ「それで、私に来たんだね。」

たえ「そうそうー。」

レイ「じゃあ、頑張ろっか。まずはゲストだね。」

 

 ”ゲスト”

 

たえ「まずは、私が呼びました、千聖ルートの千聖先輩です。」

千聖「こんにちは。」

たえ「今回は私の独断と偏見が多いよー。」

レイ「そうなの?まぁ、次の人に行こっか。千聖ルートより、市ヶ谷有咲ちゃん。」

有咲「どうもー、市ヶ谷有咲でーす。」

レイ「有咲ちゃんも花ちゃんが呼んだよ。」

たえ「最後のゲストはRASより、パレオちゃんー」

レイ「え?パレオ?」

パレオ「こんにちはー!」

たえ「このままじゃ肩身が狭いと思ってねー。」

レイ「ありがとう、花ちゃん。」

たえ「いいよー。じゃー、話に行こっかー。」

 

 ”語ろう!八舞栄斗について”

 

たえ「今日は作者から渡されたこれを元に語るよー。」

千聖「今回は何があるのかしら?」

たえ「えーっとですね。まずは八舞君についてです。」

パレオ「八舞さんですか?」

レイ「うん。彼がどこまでのスペックか話すよ。」

有咲「あいつ、やばいもんなー」

たえ「はいはーい。話していくよ。」

 

たえ「八舞栄斗。175㎝、60㎏。体格は結構細身?」

レイ「そうだね。ちょっとだけ痩せてるね?」

たえ「それではここで、八舞君のスペックを書きだしまーす。」

 

・運動能力:走力は人を抱えても常人じゃどうやっても追いつかない。筋力は本気のパンチは一発で骨を粉砕、蹴りは鉄でできたドアをも破壊する。普通の状態だと何キロ走っても息切れしない。などなど。

 

・頭脳:取り合えず、全てカンストしてる。

 

・技術:描写はないが楽器は何でもできる。家事スキルもカンスト。一度見ればありとあらゆる技術を身に着ける。

 

・その他:動体視力は発砲した銃弾が見える。聴力は遠くの音が聞こえると言うよりは聞き分けが精密。ゾーンのオンオフは任意。

 

たえ「こんな感じかなー。」

レイ「なにこれ?小学生が考えた最強みたいなんだけど。」

千聖「栄斗と戦ってた西園カナって一体?」

たえ「西園カナはもう、バランスブレイカーでしたね。唯一、八舞君と対等に戦えた人類でした。」

パレオ「化け物ですねー。」

有咲「人間やってるのか、これ?」

たえ「さて、これを見て言いたいことはたくさんあると思いますが、総括しようかな。」

有咲「総括ぅ?」

たえ「八舞君のスペックを式的なものに当てはめると、こうなります。」

 

八舞=(氷川日菜+弦巻こころ)×10

 

有咲「え?弦巻さんでも三階から飛び降りても平気なほどめちゃくちゃなのに!?」

千聖「日菜ちゃんの10倍?スーパーコンピューターかしら?」

パレオ「まさしく天才ですね!」

たえ「ですがここで!」

レイ「!?」

たえ「この八舞君と戦える人類の可能性のある人物が来てます!」

レイ「え!?」

たえ「入ってきてくださーい。」

咲「__なんで、呼ばれたの?」

たえ「今回は八舞君と戦えそうな人類ということで、お呼びいたしました。」

咲「......あ、そう。」

たえ「それで、実際の所どうなんですか?」

咲「......八舞は強いよ、人間じゃない。」

レイ「ま、まぁ、そうですよね。」

咲「でも。」

レイ「?」

咲「私、負けるつもりないよ。やるからには勝ちに行く。」

たえ「いい気合いですねー。」

咲「八舞に才能があるように、私にも積み上げた時間があるから。」

千聖「なるほどね。」

パレオ「面白そうですねー!」

たえ「まー、二人の戦いはまた今度で。それじゃ、咲さんありがとー。」

咲「うん。帰るね。」

 

レイ「__見つけたんだけど。ここの主人公はバイトしたら実績だけでバイトリーダーに上り詰めるよ。」

たえ「うん、もう驚く必要もないね。」

レイ「え?驚いてたの?」

たえ「うん。背中触ってみて。」

レイ「え?__す、すっごく汗かいてるね。」

たえ「つまり、そういうことだよ。」

レイ「つ、次の行こうか?」

たえ「うん。」

 

 ”氷川紗夜について”

 

たえ「みんな大好き、紗夜先輩について。」

有咲「大人気だな。絶対に出てくるじゃねぇか。」

たえ「要望が多いんだよ。」

レイ「まぁ、彼女は妹の氷川日菜さんがコンプレックスだった印象があるね。」

千聖「えぇ。でも、今はそれも乗り越えて良好な関係になりつつあるわ。」

パレオ「日菜さんのお姉さん......!」

有咲「なんだかんだ優しい人だよな。よく相談にも乗ってくれるし。」

レイ「私が思うには彼女は努力の天才だと思う。

あれだけの練習を継続するのは普通じゃ不可能だし、ギターの技術なら日菜さんに勝ってるわけだし、努力で天才と張り合える人。つまり、努力の天才なのかなと思うな。」

千聖「紗夜ちゃんの技術は努力から生まれた確固たるもの、確かに天才かもしれないわね。」

レイ「そう思えば、もしかしたら、さっきの咲さんも八舞君に勝てるかも?」

たえ「あるかもね。」

レイ「紗夜さんの話はここまでかな?ちょっと出てき過ぎだからネタが......」

たえ「というわけで、しゅーりょー。」

________________________

 

 ”オリキャラについて”

 

たえ「第2次オリキャラ、解禁ー!」

レイ「第2次オリキャラとは、賀川雫以降のオリキャラの事を指します。」

千聖「ここからも個性の強いキャラが多いわね。」

有咲「いつか私たちの数抜いて行くじゃねぇか?」

パレオ「そうですねー。」

たえ「まぁ、まとめて出すことは少ないから、あんまり多く感じないかもね。」

レイ「メタ回おまけは、第2次オリキャラの紹介、話になると思います。」

たえ「すっごくいいキャラ達なので、楽しみだね。」

レイ「そうだね、花ちゃん。」

たえ「以上、オリキャラの話でしたー。」

________________________

 

 ”お話し”

 

たえ「ここからは、告知とかかなー。」

レイ「ご存じの通り、メタ回は次回でラストとなります。」

たえ「内容は新作と色んな物語の話と来年の話をするんだけど。」

レイ「まだ、話してないネタがあるんだよね。

そのほとんどを確認できなくなって、何をしてないか何をしたかが分からなくなてしまいまして......」

たえ「なので、今回のメタ回の内容はここまででほぼ終了となります。」

レイ「またやってほしい話があれば、またの機会に話したりします。」

たえ「それじゃあ、お知らせはここまで。」

________________________

 

 ”まとめ”

 

たえ「今回はここまでだよー。」

レイ「今回はキャラのはなしだったね。」

千聖「まぁ、八舞君がおかしかったわね。」

有咲「まぁ、楽しかったよ。」

パレオ「今度はチュチュ様と出たいです!」

たえ「じゃあ、皆さん、お疲れ様でしたー。」

レイ「お疲れ様でした。」




メタ回も次回でラストですね。
そろそろ、新作と新しい物語の準備をします。


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メタ回!ラスト!

ラストのメタ回です


栄斗「さぁ、メタ回ラストだ。」

イヴ「進行は私達、イヴルート栄斗とイヴでお送りします!」

栄斗「さぁ、第7回メタ回だが、やけに時間がかかった気がするな。」

イヴ「まぁ、これだけ休日投稿でしたからねー。」

栄斗「まぁ、何はともあれ今回が最後だ。今回はゲストと一緒に色々なお知らせをするぞ。」

イヴ「それでは、ゲストの紹介に行きましょう!」

 

 ”ゲスト”

 

栄斗「今回のゲストは今日のお知らせに関係ある人たちだ。」

イヴ「ご紹介します!サヨさん、リンコさん、マスキさんです!」

紗夜「こんにちは。」

燐子「こんにちは......」

ますき「また、私か。」

栄斗「今回は以上のゲストと進行していくぞ。」

イヴ「はい!では、行きましょう!」

________________________

 

 ”お知らせ1”

 

栄斗「まず、最初のお知らせだ。」

イヴ「最初のお知らせは新作についてですね!」

紗夜「白金さんと佐藤さんの話ですね。」

イヴ「はい!その通りです!」

ますき「私らか。」

燐子「どんな話......なんでしょうか?」

栄斗「まずは、ますきの話だ。」

ますき「私か。」

栄斗「まずは、予告的なものをどうぞ。」

 

 彼はそこそこ満足して今まで生きてきたと思う。

 家族もいて、友達もいて、大きな病気もなく、何不自由なく過ごしてきたと思う。でも__

 

『__佐藤、上だー!』

 

 彼の日常はあの時に大きな音を立て、崩れ去った。

 これは、失った少年と狂犬の少女の物語。

 

栄斗「__という感じです。」

紗夜「失った、というのは何なんでしょうか?」

イヴ「うーん、分かりませんね?」

燐子「どんな話に......なるのかな......?」

ますき「さぁ、私にも分かんね。」

栄斗「まぁ、ますきの話はこんな感じだ。

じゃあ、次に行くか。次は白金さんだ。」

燐子「はい......!」

栄斗「それでは、予告的なものをどうぞ。」

 

 彼は何もかも持っている。

 整った容姿、優れた頭脳、運動能力、人望、富でさえ。

 誰もが羨むそんな彼、だが、彼自身はこう語る__

 

『__これは全て呪いで、本当に欲しいものは何も持っていないんです。』

 

 彼が語る呪いとは、本当に欲しい物とは何なのか?

 

栄斗「__こんな感じです。」

紗夜「なるほど。」

ますき「何でも持ってる、けど、持ってない?」

イヴ「このお話に出てくるリンコさんはどのような活躍をするのか、楽しみですね!」

燐子「が、頑張ります......!」

栄斗「新作はこんな感じですね。どっちから出そうか悩んでそうですね、作者は。」

イヴ「そうですね!」

栄斗「まぁ、以上、新作のお知らせでした。」

イヴ「次は皆さんの大好きなあの方のお話ですよ!」

________________________

 

 ”お知らせ2”

 

栄斗「次のお知らせは、紗夜さんの話です。」

紗夜「私ですか。」

栄斗「これも予告的なものを、と言いたいのですが、これはこのシリーズのイヴルートの紗夜さん視点という感じですので。」

イヴ「この話はこれまでに話してますね!」

栄斗「あぁ、でも、一応まとめるか。まずはさっき言った通りイヴルートの紗夜さん視点であること。特別エンディング、紗夜さんと結ばれたら、というものがある事。くらいか。」

ますき「まぁ、そんな感じだな。」

燐子「氷川さんが......幸せになるのが......嬉しい。」

栄斗「紗夜さん視点なので、一度見た人でも別の味わい?として見てくれれば。」

紗夜「えっと、今回はロゼリアの氷川紗夜というよりは、日菜の姉の氷川紗夜というのが強くなると思います。」

イヴ「イヴルート紗夜リメイク、近日投稿予定!」

栄斗「以上、お知らせ2でした。」

________________________

 

 ”お知らせのまとめ”

 

栄斗「ここまでのお知らせをまとめます。」

イヴ「こちらです!」

 

・ますきの物語の予告。

・燐子の物語の予告。

・紗夜視点リメイク。

 

栄斗「こんな感じですね。」

イヴ「私個人としてはサヨさんの影響力に驚きを隠せませんね!」

栄斗「すごい人気だからな。バンドリで人気投票すれば一位争いに食い込んでいきそうだな。」

イヴ「ちなみに、エイトさんならだれに投票しますか?」

栄斗「イヴ一択だ。」

イヴ「ありがとうございます!」

栄斗「作者なら『100票くらい入れさせてくれぇ!』って言いそうだな。」

イヴ「そうですね!」

栄斗「まぁ、お知らせに付け加えるとすれば、新作2つは今年中にスタートするぞ。」

イヴ「もうすぐお休みになりますからね!」

栄斗「そういう事だ。まとめはこんな感じで、終わりだ。」

イヴ「次は来年のお話です!」

________________________

 

 ”来年の話”

 

栄斗「来年の話ですね。」

紗夜「と言っても、投稿は当然続けますし、頻度も変わりませんね。」

ますき「作品が実質1つ増えるが、特に何も変わらないな。」

イヴ「日ごろのスケジュール的に投稿できない日もスケジュールが空けばドンドン投稿します!」

燐子「新しい物語も......頑張りますね。」

栄斗「まぁ、こんな感じだ。今年と何変わることもなく投稿するので、まだ少し今年は日数がありますが来年もよろしくお願いします。」

イヴ「今年の残りも来年も、ブシドーの心で頑張ります!」

栄斗「以上、来年の話でした。」

________________________

 

 ”最後”

 

栄斗「それでは、メタ回7回が終了いたしました。」

イヴ「これから、このシリーズでは紗夜さんの物語がスタートします!」

栄斗「新作をどちらからするかとか、まだ考えてますが、すぐに投稿されると思います。」

イヴ「それでは、第7回メタ回!」

栄斗「終了!」

 




RASのリクエストをくれた方、待たせて大変申し訳ない。
近日中に投稿します!


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明けましておめでとうございます!

明けましておめでとうございます!


栄斗「新年、明けましておめでとうございます!」

イヴ「皆さんがこの一年幸せでいられるよう、祈っています!」

栄斗「さて、2020年となりましたが、2019年はどのような年だったでしょうか?良い年を過ごせた人、そうでもなかった人と色んな人がいるでしょう。」

イヴ「今年がどんな年でも油断せず、2020年も気を引き締めて過ごしましょう!」

栄斗「そんな2020年の最初は色々やって行こうと思います。」

イヴ「進行は私、若宮イヴと!」

栄斗「八舞栄斗でお送りしたいと思います。」

 

 ”人気キャラランキング”

 

栄斗「まずはこれだ。」

イヴ「これは全作品を通しての人気トップスリーを発表します!」

栄斗「これの基準は2019年に感想で名前が書かれた数もしくはその感想に書かれたキャラがどの位作品に影響を与えたかで決めたいと思います。」

イヴ「入賞された方はここで一言ずつコメントをいただきます!」

栄斗「それでは、第3位。同率で二人ですね。まず一人目。」

 

 蘭とお兄ちゃんで多分、一番、感想が多いキャラ。

 個性的なキャラでバンドリ自体でも高い人気を誇る、パンが大好きな女の子。

 青葉モカ!

 

モカ「どーもどーもー」

栄斗「10月に投稿を始めたにもかかわらず、感想の数でランキングに食い込むとはな。」

イヴ「とても素晴らしいですね!」

栄斗「それでは、モカに感想を貰おうか。」

 

モカ「そーだねー。皆の中でこの順位になれたのは嬉しいよー。今年も裕君にアタックしまくるから、よろしくねー。」

 

栄斗「ありがとう、モカ。」

イヴ「以上!第3位一人目の発表でした!」

栄斗「それじゃあ、二人目の発表だ。」

 

 このシリーズでの登場率は以外にも1位。

 シリアスからお説教までこなす微笑みの鉄仮面。

 一部の特殊な人に大人気?

 白鷺千聖!

 

千聖「......特殊な人?」

栄斗「それは気にしないでください。」

イヴ「という事で3位二人目はチサトさんです!」

栄斗「というわけで、コメントをいただきましょう。」

 

千聖「紹介では疑問になる部分はあったけれど。まぁ、とても嬉しいわ。

今年も活躍する部分で強烈にインパクトを残せるように頑張るわ♪」

 

イヴ「ありがとうございました!」

栄斗「というわけで3位二人目は白鷺さんでした。」

イヴ「続いて、第2位の発表です!」

栄斗「この人は結構意外かも。」

 

 感想で書かれた数は多くないものの、与えた影響は1位に引けを取らない。

 なんたって、作品が一つ増えたんだから!

 人見知り、でもやるときはやるキーボード!

 作者曰く、この子と付き合うのが幸せ度一番高そう!

 白金燐子!

 

燐子「え、えっと、こんにちは......」

栄斗「というわけで、第2位は白金さんです。」

イヴ「確かに、リンコさんの影響力には目を見張りましたね!」

栄斗「しかも、来年の活躍も期待出来て、この順位だ。来年は一位かもですね。」

燐子「そ、そんなことは......」

栄斗「まぁ、何はともあれ、コメントをお願いします。」

 

燐子「はい。あの......他の皆さんの方がずっと素敵だと思うのですが、この順位になれたのは......とても嬉しいです。新しい作品で頑張りたいと思います......!」

 

イヴ「ありがとうございました!」

栄斗「白金さんは意外って人が多いかもだけど、影響力は3位の二人以上だったからこの順位となります。」

イヴ「それでは1位の発表です!」

栄斗「と言っても、大体わかるよな?感想数、影響力、全てが圧倒的だったし。」

イヴ「そうですね!それでは、第1位!」

 

 もう皆、この人が好きすぎる!

 全感想の中でも数多くを占めてそう!

 ルートの制度、新章を作るきっかけになった人物!

 もう人気過ぎて、数える前から知ってた!

 みんな大好き!

 氷川紗夜!!!

 

紗夜「私ですか。」

栄斗「まぁ、そうでしょうね。」

イヴ「全員納得です!」

栄斗「まじで感想の何パーセントかは紗夜さんだからな、もうすごいの一言に尽きます。」

紗夜「ありがとうございます。」

イヴ「それでは、コメントをお願いします!」

 

紗夜「今回はこのような結果になりとても嬉しいです。私がなぜ一番人気なのかは分かりませんが、来年も変わらず頂点を目指して頑張りたいと思います。」

 

栄斗「ありがとうございます。」

イヴ「サヨさんは真面目でしたね!」

栄斗「あぁ。というわけで、ランキング一位は紗夜さんでした。紗夜さんには最後おまけに何かしてもらおうかな。」

イヴ「優勝商品ですね!」

栄斗「......罰ゲームかもな。」

 

 ”新しい主人公”

 

栄斗「よし、次のお題だな。」

イヴ「新しい主人公さんのお話ですね!」

栄斗「この二人について話すことってないんだよな。」

イヴ「そうなんですか?」

栄斗「あぁ。まだ全然話が進んでないからな。」

イヴ「確かに、まだ4話と3話ですしね?」

栄斗「というわけで、それぞれの主人公の事を知りたいならそれぞれの作品を見ていただきたく。」

 

 ”オリキャラ”

 

栄斗「さて、オリキャラの話だ。」

イヴ「オリキャラの皆さんはまだ未登場の方が多いですね?」

栄斗「あぁ。いつ出せばいいか分からなくなってるんだと。まぁ、近々、どれかの作品で出てくる。」

イヴ「そうなんですね!よかったです!」

栄斗「だから、今回は戸山咲さんについて話そう。」

イヴ「サキさんですか!」

栄斗「あぁ。俺はこの間戦ったが、強かった......」

イヴ「はい!サキさんは剣道部のエースですから!」

栄斗「あんな強い人初めて見た、二刀流になった時はマジで焦ったよ。」

イヴ「私もあんな風になれるように頑張ります!」

栄斗「作者の設定的に咲さんの強さは西園<咲さん<俺、らしい。」

イヴ「さ、流石エイトさん!」

栄斗「まぁ、咲さんはこんな感じだ。」

 

 ”語ろう”

 

栄斗「ここからは新年という事に乗じて作者の事でも話そうかな。」

イヴ「初めてですね!」

栄斗「まぁ、まずは好きなバンドリキャラ。」

 

一位、イヴ 二位、燐子 三位、友希那

 

栄斗「まぁ、イヴは知ってた。でも、白金さんと湊さんは意外かもな。」

イヴ「どうやら、リンコさんは単純に好きで、ユキナさんは愛が重い話を書けそうで好きらしいです!」

『私に全てをかける覚悟はある......?』

栄斗「というセリフを書きたいらしい。」

イヴ「わぁ......!」

栄斗「イヴは全部が好きです。はい。」

イヴ「ありがとうございます!」

栄斗「白金さんはまぁ、新作で言わせたいセリフを言わせたいな。」

イヴ「そうですね!」

 

栄斗「次、バンドリで好きな曲、カバー曲。」

 

 約束、Returns、陽だまりロードナイト

 激動、天邪鬼、stay alive

 

栄斗「ほとんどがかっこいい系だな。」

イヴ「そうですね!」

栄斗「陽だまりロードナイトを聞くと遠い記憶が蘇って涙が出てくるらしい。」

 

栄斗「次、好きな声優さん。名前を出していいか分からないからキャラを出す。」

 

 イヴ、チュチュ、モカ、こころ

 

栄斗「知ってる人は知ってるよな?」

イヴ「そうですね!」

栄斗「まぁ、こんな感じだな。」

 

 ”最後に”

 

栄斗「改めまして、あけましておめでとうございます。」

イヴ「おめでとうございます!」

栄斗「作者は2019年から投稿を始めた新参者ですので、2020年も楽しく執筆をしていこうと思います。」

イヴ「頻度も変わらないと思います!」

栄斗「なにはともあれ、皆様の2020年、良い年になることをお祈りしております。」

イヴ「今年もよろしくお願いします!」

__________________

 

 ”おまけ”

 

 紗夜と初詣。名前はご自由に。

 

紗夜「__お待たせしてしまって申し訳ありません。着付けに手間取ってしまいまして......」

 

 紗夜は申し訳なさそうにしてる。

 紗夜の格好は、綺麗な振袖に身を包んで、髪も綺麗にまとめられてる。

 いつもと雰囲気が違ってとても可愛い。

 

紗夜「え?今来たところ?そうですか、よかったです。」

 

 ほんとは30分前に来てたけど、紗夜に申し訳なさそうにしてるのはよくない。

 

紗夜「それでは、早く行きましょう。初詣に行くのでしょう?」

 

 紗夜がそう言うので、俺と紗夜は神社の方に歩いて行った。

 神社の敷地内では色々な出店が出てる、まるで祭りだ。

 

紗夜「あっ......」

 

 紗夜はある屋台を凝視してる。

 フライドポテトの屋台だ、紗夜はポテトが好きだったな。

 

紗夜「え?食べたいか、ですか?い、いえ、私は別に__って、ちょっと!」

 

 どうせ意地張っていらないって言いそうだったので俺は紗夜の手を引き屋台に行った。

 俺はそこでポテトを買った。

 

紗夜「あ、お代は......いらない、ですか?私が食べてるのを見たい......って、もう///」

 

 紗夜は頬を赤くしながらポテトを頬張った。

 いつもの雰囲気と違って子供のような雰囲気があってとても可愛らしい。

 

紗夜「って、そんなにジッと見ないでください///」

 

 おっと、紗夜に気付かれたか。

 紗夜は少しそっぽを向いて残りにポテトを食べた。

 そして、俺たちは本殿に向かった。

 

__本殿には初詣に来た客がたくさんいる。

俺たちの番になるまでに結構な時間がかかった。

 

紗夜「__やっと、私たちの番ですね。早くしましょう。」

 

 俺は紗夜の後ろについて、賽銭箱の前に立った。

 俺は数少ない記憶をたどって賽銭箱に金を入れて手を合わせた。

 目を開けると、紗夜はまだ手を合わせてた。

 一体、何をお願いしてるんだろう?

 

紗夜「な、何をこっちを見てるのですか?///」

 

 また気付かれた。

 今日の紗夜は視線に敏感だな。

 俺は話をそらすため、おみくじを引こうと言った。

 紗夜は渋々、といった感じで了承した。

 

紗夜「私はあまりおみくじの運はよくないのですが__!」

 

 紗夜の肩が跳ねた。

 

紗夜「み、見てください!大吉です!初めて見ました!」

 

 お、おう。こんなに嬉しそうな紗夜の顔は初めて見た。

 よほどうれしいんだろう。

 俺は嬉しそうな紗夜を見てつい笑ってしまった。

 

紗夜「と、取り乱しましたね///」

 

 紗夜は少し、落ち着いたようでおみくじに書いてる事の確認と始めた。

 その時、俺は少し気になってある事を聞いてみた。

 

紗夜「え?さっき何をお願いしてたか、ですか?えっと......///」

 

 紗夜はモジモジしてる。

 何をお願いしたんだ?

 

紗夜「えっと///」

 

 俺はもう少しだけ詰めてみる事にした。

 

紗夜「......です///」

 

 紗夜が何かい言ったが、聞き取れなかった。

 なんて言ったんだ?

 

紗夜「......あ、あなたと今年も恋人として仲良くしたい、です///」

 

 俺の身体に衝撃が走った。

 まさか紗夜の願いがそれだとは思わなかった。

 なんて、可愛いんだろう。

 

紗夜「え?当り前、ですか?そ、それなら、よかったです///」

 

 俺がそう答えると、紗夜は恥ずかしそうに消え入りそうな声でそう言った。

 そして、紗夜は俺の腕に抱き着いてきた。

 

紗夜「......仲良く、してくれるんでしょう?○○さん?///」

 

 そう言う紗夜を愛らしく思った。

 俺たちは腕を組んだまま歩きだした。

 

紗夜「大好きです、○○さん///」

 

 俺も、そう答えて俺たちは歩きだした。

 寒いはずなのに、その帰り道は暖かく感じた。

 これが幸せってものなんだろうな。

 

 以上、おまけでした。




皆さんが良い年を過ごせればなによりです。
自分は変わらずに投稿を続けます。

コラボ小説の予定があるか聞かれたことがあるのですが、面白そうですね!
どう思いますか?自分ができるかは分かりませんが!


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オリキャラ

今回は少し、オリキャラの設定を変更しています。

設定を先に見たい方は活動報告にあるのでそちらへ。


樹「はい!第二次オリキャラ解禁!」

イオナ「やりました!」

若葉「はい!」

龍奈「おぉ!そうだな!」

美鶴「そうですね。」

美佐「そうですね!」

椿「このオリキャラは賀川雫さんからメタ回ラストまでに頂いたオリキャラになります!」

燕「......」

カグヤ「......」

美鶴「一応、お二人もご挨拶なされては?」

燕「......こんにちは。」

カグヤ「......」

樹「自己紹介......と行きたい所なんだけどね、流石にこの数で本文に書いても見にくいだけだと思うから活動報告に投稿するよ!」

若葉「それでは、今日の何をするの?」

樹「そうだねぇ、今日はここの作者......天の声さんから貰ったお題について各自ペアになって話してもらおっかな!」

美鶴「ペア?」

樹「そそ!それじゃ!レッツゴー!」

 

 ”従姉妹の話”

 

樹「さーて、これは僕と。」

若葉「私です。」

樹「若葉ちゃんかー。」

若葉「さて、従姉妹の自慢と言う事ですが、私はこころですね。」

樹「よろしく!」

若葉「はい!こころは昔はほんとに笑わない子で私の後ろをついて来てるような子でした、しかし、あんなに明るく、騒がしくなって。」

樹「ハッピーラッキー?」

若葉「スマイル、イェーイ!」

樹「あはは、いいよねぇ、あれ。」

若葉「こころはとっても可愛くて明るくなったいい子です!それゆえに......」

樹「んー?」

若葉「こころ泣かせたら地獄に送る。」

樹「おー、こわっ」

若葉「こころをよろしくね!徳川さんなら、こころを泣かせてもスパッと一瞬で殺ってあげる♪」

樹「......遠慮しておくよ。」

若葉「次は徳川さん。」

樹「そうだなぁ、燐子はとてもいい子だよ。所属してるバンドでも衣装を作ったり。三年になって生徒会も入って成長したよねー。」

若葉「それだけ?」

樹「うーん。」

若葉「じゃあ、仮に白金さんが誰かに泣かされたら?」

樹「......絶対に許さない。」

若葉「!」

樹「なーんて、冗談だよ♪」

若葉「は、はい。(冗談に聞こえなかった。)」

樹「じゃあ、僕たちはここまでだね。次に任せよう。」

若葉「はい!」

 

 ”出番”

 

龍奈「出番はいつだー!」

椿「龍奈さんならお笑いでもなんでも行けるので案外すぐかもですよ。」

龍奈「そうかそうか!気合入れていくぜー!」

椿「今の所はたまに後書きに出てくるキャラになると思いますが、どこかで出てくると思います。」

龍奈「うおぉぉぉぉぉお!」

椿「どこに行くんですか!?__行っちゃった。まぁ、私たちの登場をお楽しみにー。」

 

 ”強さ”

 

美佐「強さー!」

美鶴「落ち着いて。じゃあ、話していきます。この作品では結構暴力描写もあり、強さは半必須ステータス化していますので、それのご紹介です。」

美佐「お姉ちゃん!私は私は!」

美鶴「美佐は普通だよ。」

美佐「えー!」

美鶴「それでは、今いる優劣です。」

 

 獅子王龍奈=徳川一樹>黒龍燕>そのほか全員

 

美鶴「多少の誤差はありますが、イメージはこんな感じです。まぁ、上のお二人でも八舞栄斗には敵わないらしいです。」

美佐「へー!」

美鶴「あの人は一種の究極だから、もう、ね?」

美佐「すごいよねー!」

美鶴「それじゃあ、私達はこの辺りで。」

美佐「じゃあね!」

__________________

 

樹「まぁ、こんな感じだよ。」

若葉「今回は私たちのイメージを軽くつかんでくれれば!」

美佐「ここの主人公さんにあってみたいなー!」

美鶴「迷惑かけたらダメだよ。」

龍奈「俺はやつと戦うぞ!」

椿「怪我しますよ?って、そう言えば、カグヤさんは?」

カグヤ「......zzz」

龍奈「起きろー!朝だぞー!」

カグヤ「......」

椿「一言位、喋りましょ?」

若葉「そうだよ!」

カグヤ「......よろしくお願いします。」

樹「うんうん!皆これで一通り喋ったね!僕たちはいつどこで登場するか分からないけど、どこかで主人公と出会うよ。その時にまた!」

 




オリキャラは後書きに出たりします。
本編はいい話があれば。


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番外編:バレンタイン

全て本編の時間軸という前提で見てください。
紗夜はイヴルート紗夜です。


 ”有咲(千聖ルート)”

 

 放課後、俺は市ヶ谷に言われた通りに教室で待っていた。

 

 今日は2月14月。

 世間はバレンタイン一色だ。

 千聖さんは夜に会いたいって言ってたし、その時に渡すんだろうな。

 

栄斗(それにしても、市ヶ谷はなんで待ってろなんて言ったんだ?)

 

 条件から考えれば、チョコを貰えると思うが、市ヶ谷ってそんな奴か?

 

 そもそも、自分を振った相手に渡すものなのか?

 

栄斗「ふーむ。」

有咲「__何うなってんだ?」

栄斗「お、市ヶ谷。」

 

 俺がうなってると市ヶ谷が教室に入ってきた。

 

栄斗「市ヶ谷は何チョコレートが一番好きだ?」

有咲「あ?私は別に何でもいいよ。」

栄斗「俺はミルクチョコが一番好きなんだ。」

有咲「あ、そう。」

 

 市ヶ谷は興味がなさそうな反応だ。

 

 いや、そりゃそうだと思うが。

 

栄斗「それで、市ヶ谷は何の用だ?もう、下校時刻も過ぎてるぞ?生徒会役員様が校則違反か?」

有咲「うっせ。生徒会だからいいんだよ。」

栄斗「何その特権。」

 

 俺と市ヶ谷は今では冗談を交えて話せる程度の友達だ。

 

 趣味も合うし、良いやつだと思ってる。

 

栄斗「それで、何の用なんだー?」

有咲「急かすな、バカ。」

栄斗「へいへい。」

 

 市ヶ谷そう言うと、カバンからあるものを取り出した。

 

有咲「ほら、やるよ。ありがたく食えよ。」

栄斗「チョコ?さんきゅー。」

 

 市ヶ谷は俺にそのチョコを放り投げて来た。

 

 丁寧にラッピングまでされてて、市ヶ谷らしからぬと思った。

 

栄斗「おー、普通の女子が作るチョコみてぇだ。」

有咲「あ?私が普通の女子じゃねぇってか?」

栄斗「いえいえ、そんな事は微塵たりとも。」

有咲「どうだかな。」

 

 市ヶ谷は疑いのまなざしを向けてる。

 

 視線が痛い。

 

有咲「一応言っとくけど、それ、義理だからな。」

栄斗「分かってるって。」

有咲「偶々、ほんとに偶々、材料が余ったから仕方なく作っただけだかんな!」

栄斗「分かったって。てか、そこまで言われると傷つくんだが。」

有咲「勝手に傷ついとけ。」

栄斗「ひどい。」

有咲「......まぁ。」

栄斗「?」

 

 市ヶ谷は扉の方に歩きながらこう言った。

 

有咲「__義理は義理でも、ちょっと特別な義理って言うのは認めてやるよっ///」

栄斗「市ヶ谷?」

有咲「うっせぇ!話しかけんな!//」

栄斗「ひどい。」

 

 市ヶ谷は乱暴にドアを閉めて教室を出て行った。

 

栄斗「全く、市ヶ谷は素直じゃないよなー。」

 

 俺は貰ったチョコを丁寧に開けて一つ、口に運んだ。

 

栄斗「......ったく、苦いチョコだな。ビターか。」

 

 ラッピングの中に紙が入ってた。

 

 それには、こう書いてた。

 

有咲『ばーか。』

 

栄斗「......ごめんな。市ヶ谷。」

 

 俺がそう呟くと、携帯が鳴った。

 

『栄斗、今から会えるかしら?』

 

栄斗「おっと、千聖さんからか。行かないとな。」

 

 俺は椅子から立ち上がった。

 

栄斗「俺も、お姫様のもとに向かいますかね。」

 

 俺は教室を出た。

__________________

 

 ”イヴ”

 

 俺はいつも通り、イヴと一緒に登校している。

 

 もう2月にもなり、気温もかなり低い。

 

イヴ「エイトさん、寒そうですね!」

栄斗「あぁ。イヴは元気だな。」

イヴ「はい!」

栄斗「俺はイヴが元気ならそれでいい。」

イヴ「私はエイトさんにも元気になってもらいたいです!」

 

 そう言うとイヴは俺の手を握ってきた。

 

イヴ「これで、手は暖かいです!」

栄斗「そうだな。」

イヴ「早く学校に行きましょう!」

栄斗「分かった。」

 

 俺たちは手を繋いだまま学校まで行った。

 

 ”学校”

 

 教室に行くと、俺の席でげんなりした顔の市ヶ谷がいた。

 

 その横には大量の段ボールがある。

 

栄斗「あ、おはよう。市ヶ谷。」

有咲「......よぉ、色男。」

栄斗「いや、なんだよそれは。」

イヴ「そうです!エイトさんは武士です!」

栄斗「いや、武士でもないぞ?......それで、市ヶ谷はなんでここに?」

有咲「見て分かるだろ?」

 

 俺は市ヶ谷の横にある段ボールを見た。

 

 出来れば、他の誰かあてであってほしかった気持ちが強い。

 

有咲「バレンタインチョコだ喜べ。」

栄斗「......わーい、嬉しいなー......」

有咲「まぁ、そうなるよな。」

 

 俺と市ヶ谷はため息をつきながら段ボールを見つめた。

 

 もう、何個入ってるんだろう?

 考えたくもない。

 

有咲「まぁ、頑張れ。」

栄斗「これ、全部食うのか......?」

有咲「ほら、これやるよ。」

栄斗「ポ〇チじゃねぇか!」

有咲「まぁ、塩味があればマシかもしれないだろ?情けだ。情け。」

栄斗「一応、感謝しとく。」

有咲「それじゃあ、私は行く。仕事あるし。」

栄斗「おー。」

イヴ「さようなら!」

 

 市ヶ谷は軽く手を振りながら教室を出て行った。

 

涼「__お!栄斗!」

栄斗「真波か。」

涼「なんだなんだ!大量にチョコ貰いやがって!」

栄斗「そんなに欲しいなら変わってほしいくらいだ。」

涼「それは嫌だ!」

栄斗「こいつ。」

 

 俺は椅子に座った。

 

涼「まぁ、栄斗がそのくらい貰うのは想像してたが。若宮ちゃんには貰ったのか?」

栄斗「え?」

イヴ「!」

涼「まぁ、学園のおしどり夫婦って言われてるくらいだし、朝のうちに貰って__」

栄斗「ない。」

涼「はぁ!?」

 

 正直、バレンタインが今日なことも今、知った。

 

栄斗「......」

涼「うわ、すごいダメージ受けてる。若宮ちゃん?なんで、栄斗にあげてないんだ?」

イヴ「そ、それは......」

涼「って、カバンの中のそれって__」

イヴ「見ないでください!」

 

 イヴは慌てたように鞄を閉めて、教室を出て行った。

 

涼「おい、栄斗。若宮ちゃんに何かしたのか?」

栄斗「......俺は、何もしてない。」

 

 ”放課後”

 

 あれから、イヴとあまり話していない。

 

 話しかけたら目をそらされるし、逃げられるしで俺のメンタルは崩壊寸前どころか崩壊した。

 

 そんな現実から逃げるために俺は寝ていた。

 

栄斗「__ん......もう、終わったのか?」

 

 教室には夕日の光が差し込んできてる。

 

栄斗「やば。早く帰らないと。」

イヴ「エイトさん?」

栄斗「イヴ?」

 

 隣の席にイヴが座っていた。

 

 気づかなかった。

 

栄斗「何してるんだ?こんな時間まで?」

イヴ「エイトさんに謝りたくて......」

栄斗「?」

イヴ「今日は逃げちゃったりして、ごめんなさい......」

 

 イヴは申し訳なさそうに謝ってきた。

 

栄斗「あー、いいよ。もう気にしてない。」

イヴ「それで、えっと、エイトさんに渡したいものがあるんです。」

栄斗「?」

イヴ「これ、です......」

 

 イヴはオズオズと言った感じでラッピングされチョコを出した。

 

 それは少し形が崩れてたりする。」

 

イヴ「実は、チョコは用意していたんですが、失敗してしまって......」

栄斗「なんだ、そんなことか。」

イヴ「え?」

栄斗「俺はてっきり、イヴに嫌われたかと思ったぞ。」

イヴ「そ、そんなことはあり得ません!」

栄斗「いやー!よかったー!」

 

 肩の力が抜けた。

 

栄斗「イヴ、食べても良いか?」

イヴ「は、はい。」

 

 俺はラッピングを丁寧に開けて、チョコを食べた。

 

栄斗「うん!美味い!」

イヴ「!」

栄斗「やっぱり、イヴから貰うチョコは一味違うな!」

イヴ「え、エイトさん......///」

 

 あれだな、特別の味ってやつだ。

 

栄斗「イヴ、俺はな、どんなにたくさんチョコを貰ってもイヴのチョコ以上に嬉しい事はないんだぞ?」

イヴ「は、はい。」

栄斗「イヴのチョコ、すごい美味いし、嬉しいよ。ありがとな!」

イヴ「エイトさん!///」

栄斗「おっと__急だな。」

イヴ「ごめんなさい///」

栄斗「いいぞいいぞ。可愛いイヴめ。」

 

 俺はイヴの頭を撫でた。

 

イヴ「エイトさん。」

栄斗「ん?」

 

 チュ。

 

 イヴはキスをしてきた。

 すごく、柔らかい。

 

イヴ「ハッピーバレンタインです、エイトさん!///」

栄斗「最高のバレンタインだよ。イヴ。」

 

 これが俺とイヴのバレンタイン。

__________________

 

 ”紗夜”

 

 あの後、俺は用事があるイヴと分かれ家に帰ってきた。

 

 ピンポーン。

 

栄斗「__ん?誰だ?」

 

 俺が夕飯を食べてると、インターフォンが鳴った。

 

 俺は対応するために、玄関の方に行った。

 

 ”玄関”

 

栄斗「はーい。どなたですかー?」

紗夜「私です。八舞君。」

 

 ドアを開けると、そこにいたのは紗夜さんだった。

 

 ロゼリアの練習帰りなのか、ギターケースを背負ってる。

 

栄斗「どうしました?立ち話もなんですし、上がって行きますか?」

紗夜「いえ、大丈夫です。すぐに帰りますので。」

 

 そう言いながら紗夜さんはカバンからあるものを取り出した。

 

紗夜「はい。学校で渡しそびれてしまったので。」

栄斗「おぉ、ありがとうございます。」

紗夜「あら?あんなにたくさん貰っても喜んでくれるのですね?」

栄斗「それはそうですよ。一番の友人からのチョコですから。」

紗夜「ふふ、そうですか。」

 

 紗夜さんは優しく微笑みながら、そう言った。

 

 俺じゃなかった惚れてるな。

 

紗夜「是非、食べてみてください。自信作ですので。」

栄斗「あ、いただきます。」

 

 俺はチョコを取り出し、口に運んだ。

 

栄斗「__おぉ、すごい美味い。」

紗夜「そうですか。よかったです。」

栄斗「紗夜さん、お菓子作りまでできたんですね。」

紗夜「はい、羽沢さんに教えてもらいました。」

栄斗「それにしても、美味いです。」

 

 俺はもう一つを口に運びながらそう言った。

 

紗夜「__それは、若宮さんのより、ですか?」

栄斗「ゴホッ!」

 

 紗夜さんの言葉で焦りすぎてむせた。

 

紗夜「冗談ですよ。」

栄斗「き、きついですよ。」

紗夜「ふふ、すみません。」

 

 紗夜さんはイタズラが成功した子供のような笑顔を浮かべてる。

 

 本当にこういうところは優しくない。

 

紗夜「いい反応を見られて満足しました。そろそろ帰ります。」

栄斗「はい。」

 

 紗夜さんは振り向いて歩きだした。

 

 すると、何か思い出したように立ち止まり、こっちを向いた。

 

紗夜「忘れていました。八舞君。」

栄斗「はい?」

紗夜「ハッピーバレンタイン、です。」

栄斗「はい。紗夜さん。」

紗夜「それと。」

栄斗「?」

紗夜「大量のチョコの消費とお返し、頑張ってくださいね。」

栄斗「あっ。」

紗夜「それでは、さようなら♪」

 

 紗夜さんはいい笑顔を見せてから帰って行った。

 

 俺はこの後待ち受けている、試練に頭を抱え、お腹を心配した。



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覚悟の果てに
運命の出会い


紗夜視点が始まりました!


 私は氷川紗夜。

 今年度からとある男子校と合併する花咲川女学園、もとい、花咲川学園で生徒会兼風紀委員を務めています。

 ここ最近は合併に伴い、顔合わせなどの見回りの打ち合わせや、色々な仕事のため春休みでも多忙な毎日を送っていました。

 

紗夜(早く行かないといけないわね。)

日菜「__おねーちゃん?もう学校行くのー?」

紗夜「日菜、おはよう。今日は学校で合併する学校との顔合わせがあるの。」

日菜「そーなんだー。頑張ってねー。」

紗夜「えぇ。じゃあ、行ってくるわね。」

日菜「いってらっしゃーい......」

 

 私は眠たそうな日菜に見送られ家を出ました。

 通学路は季節も春になったこともあり、綺麗な桜が咲いています。気温もちょうどよく、足取りも自然と軽くなります。

 私はそんな通学路を歩いて行き、学校に向かいました。

_______________________

 

 学校に着くと、前日に言われた通り生徒会室に向かいます。

 

燐子「__おはようございます、氷川さん。」

紗夜「おはようございます、白金さん。」

有咲「おはようございます、紗夜先輩。」

紗夜「市ヶ谷さんも、おはようございます。」

 

 生徒会室に行くと、すでに白金さんと市ヶ谷さんがいました。

 少し待たせてしまったでしょうか?

 私はそう思い急いで準備をしました。

 そして会場設営に向かいました。

 

男子「__これそっちかー?」

男子2「おう!さんきゅー!」

紗夜「これは。」

燐子「えっと、こっちに......」

紗夜「はい、わかりました。」

 

 会場の設営は男子の力もあってスムーズに進んでいます。

 結局会場設営は予定していた時間よりも早く終わり、他の生徒たちを待つのみという事になりました。

_______________________

 

 顔合わせが始まりました。

 今回は学校側からの計らいでパーティ形式で親睦を深めようと言う事で会場は大いに盛り上がっています。

 そんな中、私は風紀委員として、不審な行動をとる生徒がいないか見回りをしています。

 

女子「__ねぇ、あれ。」

女子「うん、完全に触ってるよ。」

 

 そんな声が聞こえてきました。

 女子たちの視線の方に目を向けてみると__

 

イヴ「あのー、手を放してもらえませんか......?」

デブ男子「ん?何のことだい?」

 

 若宮さんがいかにもな男子にセクハラを受けているのが見えました。私はそれを見て、体が勝手に動いて__

 

デブ男子「若宮イヴだよね......?パスパレの......僕ずっと、ファンだったんだ......」

イヴ「ひっ!」

紗夜「__そこの男子生徒やめなさい!」

 

 気づいた頃にはそう言って、若宮さんと男子の間に割り込んでいました。

 

紗夜「今すぐその手をどけなさい!」

デブ男子「なんなんだお前は!僕はイヴちゃんと話してるんだ!外野は引っ込め!」

紗夜「きゃっ!」

 

 私は男子に押されると、簡単に飛ばされてしまいました。

 力では全くかないません。男子がまた若宮さんに近づいて行きます、早く、止めないと__

 

紗夜「っ!」

 

 立ち上がろうとすると、足に激痛が走りました。

 恐らく挫いたのでしょう、でも、私が止めないと、若宮さんが......

 そう思っても、立ち上がることは出来ませんでした。

 

紗夜(早く、何をしているんですか!早く、若宮さんを__)

デブ男子「もう邪魔は入らないよ、イヴちゃ__」

栄斗「__おい......」

デブ男子「なんだ!お前も僕の邪魔をするのか!?」

イヴ「エイトさん!?」

栄斗「若宮、もう大丈夫だ。」

デブ男子「おい!僕を無視するな!」

栄斗「__てめぇは発情期の豚か!?あぁ!?」

 

 栄斗、そう呼ばれた男子はセクハラをしていた男子を怒鳴りつけ、圧倒的な力で場を収めてしまいました。

 

イヴ「エイトさん!」

栄斗「ぐほっ!!」

 

 若宮さんが抱き着いています。

 相当親しい間柄なのでしょう。

 抱き着いたさなか、若宮さんが何かを彼に行ったように見えましたが気のせいでしょう。

 私は何とか立ち上がり、彼にお礼を言いに行きました。

 

栄斗「__いや、俺が気に入らなくてやったことだから......」

紗夜「......いえ、今回はありがとうございました。」

イヴ「あ、紗夜さん。」

栄斗「いや、あなたは一人で立ち向かったんだ、貴女の方が立派ですよ。」

紗夜「そんなことは__っ!」

 

 痛めた方の足に体重をかけてしまいました。

 かなりキツイ挫き方をしてしまったようです。

 

栄斗「大丈夫ですか?」

紗夜「こ、このくらい、問題ありません__っ!!!」

栄斗「......やっぱり駄目じゃないか。」

 

 彼は小さくそう呟くと、私の目の前に立ちました。

 

紗夜「な、何を__ひゃ!!///」

栄斗「......すいませんが、これで保健室まで向かいます。」

 

 私はそう言われ、お姫様抱っこで保健室まで運ばれました。

 

 この時の私は、これが私の人生を変える、運命の出会いになることをまだ、知りませんでした。

 

 

 

 




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初日

紗夜さんの話の2話目です!


栄斗「__えーと、湿布は......あった。」

 

 私は彼に抱えられ、保健室に来ました。

 彼は私をベッドに座らせるなり、治療の用意をしています。

 

紗夜「申し訳ありません......」

 

 私はたまらずそう言いました。

 初対面の人に助けてもらってしまって、迷惑をかけてしまいました。

 

栄斗「どうしたんですか?急に。」

紗夜「......今回、私はあの男子を止められませんでした。」

栄斗「まぁ、そうですね。」

紗夜「......はっきり言いますね。」

 

 彼は私の言った事にあっさりと答えました。

 この時の私は恐らく、悔しい、そういう感情を表した表情をしていたでしょう。

 

栄斗「でも。」

紗夜「......?」

栄斗「あなたは周りが見ているだけの中、貴女は一人で立ち向かったんだ。

   それは、評価されるべき勇気ある行動ですよ。」

紗夜「......ありがとうございます。」

 

 彼は私を擁護しようとしたのか、私の行動を褒めてくれました。

 彼は手早く私の足の治療をしています。

 

栄斗「......正しいことを評価されない人間なんか俺だけで充分なんだ。」

紗夜「それはどういう__」

栄斗「はい!治療終わり!」

紗夜「え?」

 

 私は彼の発言が引っ掛かり質問しようとしましたが、話をそらされてしまいました。

 ですが、あの時の彼の表情はどこか悲しそうな顔をしていました。

 

栄斗「戻りましょう、多分向こうは混乱してる。」

 

 彼にそう言われ、私たちは保健室を出て、体育館に戻る事にしました。

_______________________

 

 私は体育館に戻る途中、彼に質問をぶつけてみることにしました。

 

紗夜「__さっきの話はどういう事ですか?」

栄斗「さっきの、とは?」

 

 彼は話す気がないのか、完全にとぼけています。

 ですが、私はあの表情の彼を放っておけるはずもなく、もう少し詰めてみようとしました。が

 

紗夜「だから__っ!」

 

 痛めた足に体重がかかってしまい、激しい痛みを感じました。

 彼はそんな私を見て、近づいてきました。

 

栄斗「足、痛むんでしょ?肩貸しますよ?」

イヴ「__エイトさーん!」

 

 彼がそう言うと、体育館の方から若宮さんが走ってきました。

 恐らく、彼を心配して追いかけてきたのでしょう。

 

栄斗「どうした、若宮?」

イヴ「サヨさんが心配だったので様子を見に!」

紗夜「そうですかありがとうございます。それと、若宮さん、さっきは止めてあげられなくて申し訳ありませんでした。」

 

 若宮さんが心配していたのは私だったみたいです。

 後輩に心配されるなんて、私は駄目ですね。

 

イヴ「とんでもないです!サヨさんの行動はまさしくブシドーでした!」

 

 若宮さんは私を慰めてくれてるのでしょう。

 ブシドーはよくは分かりませんが。

 

栄斗「あー、若宮?」

イヴ「はい!なんでしょう、エイトさん!」

栄斗「この人に肩を貸してやってくれないか?」

イヴ「はい!わかりました!」

 

 若宮さんがそう言うと、彼から若宮さんに交代しました。

 

イヴ「でも、なんで交代したんですか?」

栄斗「流石に体育館に戻るのに男子と肩組んでたら奇異の目で見られるからな。」

 

 彼が交代したのは、彼のためでもありますが、私への配慮の意味もあったのでしょう。

 彼は紳士なのでしょう。

 

栄斗「まぁ、体育館に戻るぞ。」

紗夜「えぇ。」

イヴ「はい!」

 

 そうして、私たちは急ぎ気味で体育館に戻りました。

__________________

 

 私たちが体育館に戻ると、顔合わせは問題なく進行されていました。

 先生方がうまく対応したのでしょう。

 

紗夜「若宮さん、すいません。もう少し肩を貸していいでしょうか?」

イヴ「はい!」

紗夜「では、白金さんの所までお願いします。」

イヴ「はい!それでは行きましょう!」

 

 体育館に着くなり、私は若宮さんに頼んで、白金さんの所に連れて行ってもらう事にしました。

 白金さんは体育館の端の方にいました。

 

紗夜「__白金さん。」

燐子「あ、氷川さん......」

紗夜「あれから大丈夫でしたか?」

燐子「はい......特に問題なく進行できました。」

紗夜「それなら、よかったです。」

イヴ「取り合えず、そこの椅子に座りますか、サヨさん?」

紗夜「すいません、お願いします。」

 

 私は会場の端に置かれていた椅子に座らせてもらいました。

 

燐子「それで......今回、氷川さんを助けた......男子は?」

紗夜「彼なら友人の人と話しているはずですか。」

燐子「一応、お話を聞かないとなので......」

紗夜「そうなのですか?」

イヴ「なら、私が呼んできます!」

紗夜「え?いいんですか?」

イヴ「はい!行ってきます!」

 

 若宮さんは彼を呼びに行きました。

 

紗夜「......はぁ。」

燐子「大丈夫ですか......?」

紗夜「はい......」

燐子「足を挫いたと聞きました......」

紗夜「はい、不覚を取りました。彼がいなければ、あの男子を止められませんでした。」

燐子「氷川さんは......すごいです。」

紗夜「え?」

燐子「私じゃ......怖くて、近づけなかったと思いますから......」

紗夜「止められなければ、同じですよ。」

燐子「氷川さん......」

 

 私たちが話していると、女子からある声が聞こえてきました。

 

女子「あー、あの止めに入った男子、かっこよかったねー!」

女子2「だよねー!セクハラの男子を見たときは男子ダメーとか思ってたけど。」

女子3「止めに入った子はほんっとかっこよかったー!」

女子4「その後、氷川さんを抱きかかえて行ったのも、王子様みたいだったよね!」

女子5「分かるー!私もあこがれるなー!」

女子6「確か、あの子は2年の八舞栄斗って名前だよ!二年だって!聞いてきた!」

女子「八舞君って言うんだー!」

女子3「2年!?やっばい、ドストライク!」

女子4「あんな子が彼氏がいいなー。」

 

 彼はかなりあの件で注目を浴びたようで、女子の話題は彼の事で持ちきりになっていました。

 

紗夜(......かなり注目されてますね。)

栄斗「__お待たせしました。」

 

 私が考えていると、彼が来ました。

 

紗夜「いえ、大丈夫です。」

栄斗「そちらの方は?」

紗夜「あぁ、この人は。」

燐子「白金燐子......です。この学校で......生徒会長を......しています。」

栄斗「生徒会長さんですか。よろしくお願いします。」

燐子「今回は......トラブルへの対処......ありがとうございました。」

栄斗「いえ、むしろ大事にして申し訳ないです。」

 

 彼は申し訳なさそうに白金さんに頭を下げました。

 本当に申し訳ないと思っているのでしょう。

 

栄斗「あのー、紗夜さんの上の名前は?」

紗夜「え?あ、名乗ってなかったですね、氷川です。」

 

 彼は突然、私の名字を聞いてきました。

 

栄斗「氷川さんって、三年生ですよね?」

紗夜「はい。」

 

 彼は私の学年を尋ねてきました。

 彼の顔には困惑の色が見えます。

 そう思っていると、すぐに彼の表情は切り替わりました。

 

栄斗「......それで、俺は何で呼ばれたのでしょうか?」

紗夜「......話をそらしませんでしたか?」

栄斗「いえ。で、本題は?」

紗夜「あぁ、今回は助けてくれてありがとうございました。」

燐子「私からも...ありがとうございました。」

栄斗「いえ。」

 

 私がお礼を言うと、白金さんも続いてお礼を言いました。

 彼はどこか安心した表情です。

 

紗夜「あ、でも。」

栄斗「うん?」

紗夜「今回の件で、あなたは注目を浴びました・」

栄斗「まぁ、結構目立ちましたしね。」

紗夜「まぁ、すぐにわかります。」

栄斗「?」

 

 私は説明するのは面白くないといたずら心が働いてしまい、言葉を濁しました。

 彼は気づいていないのでしょう、彼を見ている女子たちの視線に。

 

イヴ「栄斗さーん!」

栄斗「ん?なんだ?」

イヴ「一緒に料理をいただきましょう!」

栄斗「え、でも...」

紗夜「いいですよ行っても。 

 私には白金さんがついててくれますし。」

栄斗「あ、そうですか。では、失礼します。」

イヴ「いきましょう!栄斗さん!」

栄斗「あぁ。」

 

 そう言って、彼は若宮さんと料理を食べに行きました。

 私はそんな彼の後姿を見て、こう思いました。

 

紗夜(あなたが苦労するのはここからですよ。八舞栄斗君。)

燐子「氷川さん?何で笑って......?」

 

 私は気づかないうちに、頬を緩ませていました。

 横で白金さんが若干引き気味だったのが印象的でしたね。




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分からない気持ち

紗夜編3話です。


 顔合わせの翌日、私は生徒会の仕事があるのでいつも通りの時間に学校に向かいました。

 春らしい陽気を感じつつ登校するのはいいものですね。

 そんな風に思っている内に学校に着きました。

 

紗夜「__おはようございます。」

燐子「あ......おはようございます。」

有咲「おはようございます。」

 

 生徒会室に行くともう、白金さんと市ヶ谷さんがいました。

 

有咲「紗夜先輩、足を痛めたんじゃないですか?大丈夫なんですか?」

紗夜「大丈夫ですよ。」

燐子「今日は校内の見回りは......私達でしますので......氷川さんは、安静にしててください。」

紗夜「え?でも__」

有咲「いいと思います。いつも紗夜先輩は働き過ぎですし。」

紗夜「いえ、そんなことは。」

燐子「とにかく......氷川さんは今日は安静に......です......!」

紗夜「うっ......わ、わかりました。」

 

 私は珍しく出た白金さんの圧でそう答えることしかできませんでした。

 日ごろ怒らない人ほどああいうときの圧が強いのだと言う事を実感しました。

 

燐子「__それでは......行ってきます。」

有咲「紗夜先輩は安静にしていてくださいね。」

紗夜「はい。」

 

 しばらくすると、白金さんと市ヶ谷さんは生徒会室を出て仕事に向かいました。

 私は生徒会室に一人になりました。

 

紗夜(皆さんが仕事をしてる中、一人でここにいるのは罪悪感がありますね。......少しくらい見回りに行ってもいいでしょうか?)

 

 私はそう思い生徒会室を出ました。

__________________

 

紗夜「__あら、あれは?」

 

 少し歩いて下駄箱近くに行くと、八舞君を見かけました。

 

紗夜(少し、挨拶しておきましょうか。)

 

 そう思い、私が近づく途中、こんな声が聞こえてきました。

 

涼「...つまりあれだろ?その、氷川さんって人はこうなるのを分かっていたんだろ?」

紗夜「(私の事?なんででしょうか......って、そういう事ですか。)」

 

 私はおおよその流れを察しました。

 私は八舞君たちの方に行きました。

 

紗夜「__えぇ、その通りです。」

栄斗「なんで......こうなったんでしょう?」

紗夜「理由?言わなくても分かるでしょう?」

栄斗「やっぱり、あれっすか?」

紗夜「えぇ、間違いないです。」

 

 彼は疲れた顔をしています。

 相当嫌なのでしょう。

 

栄斗「なんであれで、こんなことになるんですか?」

紗夜「あぁ、それは__」

ファンクラブ達「そこからは私たちが説明します!」

栄斗「!?」

 

 どこで準備していたのでしょうか、女子の集団が突然、飛び出してきました。

 

栄斗「え?どなたですか?」

ファンクラブ1「私たちはあなたのファンクラブです!」

栄斗「は?ファンクラブ?なんで?」

ファンクラブ1「それは__」

 

 それから彼女たちはファンクラブが出来た経緯を八舞君に説明しました。

 私も結成までの経緯は初めてききました。驚きですね。

 ですが、それよりも。

 

栄斗「」

 

 彼の絶句している様子が印象的でした。

 本当に信じられないと言う顔です。

 

紗夜「......私も結成までの経緯は初めて聞きました。」

イヴ「ですね......でも、流石、エイトさんです!」

涼「良かったじゃないかー!栄斗ー!羨ましいぜ!」

栄斗「よくねぇぇぇ!!!」

紗夜(まぁ、そうですよね。)

 

 私からすれば八舞君の反応は納得のものです。

 おおよそ彼は所謂、モテたいとかそう言う感情はないでしょう、そんな彼にはファンクラブは邪魔でしかないのですから。

 

ファンクラブ2「あ、あの......?」

栄斗「はい?」

ファンクラブ2「ファンクラブ、だめですか......?」

栄斗「え?」

ファンクラブ3「え?ダメ、なの......?」

 

 これは所謂、泣き脅しというものですね。

 彼もそのことは理解しているでしょう、ですが......

 

栄斗「」

 

 彼には効果抜群みたいです。

 嫌がってると言っても、私を助けてくれるほど心優しいわけですから、まぁ。

 

栄斗「......せ、節度を守ってもらえるなら。」

ファンクラブ1「ほんとに!?やったー!」

紗夜「(まぁ、そうなりますよね。)」

 

 約束されたような結末ですね。

 私はチョロいと思いましたが、八舞君の優しい性格を見た気がしました。

__________________

 

 あの後、私は結局、白金さんたちに見つかり圧をかけられましたが、普通に見回りをすることになりました。

 

紗夜「__あれはなんでしょうか?」

 

 1年生のフロアに来ると、すごい人だかりを見つけました。

 クラスを見てみるとE組でした。

 

紗夜「(......何となく、わかりました。)」

 

 少し、教室の中を覗いてみると、案の定、八舞君がいました。

 遠くからでも分かるほど、彼は哀愁を漂わせています。

 

紗夜「(流石にあのままにしておくのは可哀そうですね。どうしましょうか?)」

 

 少し考え、私はある案を思いつきました。

 

紗夜「__そこの生徒たち!一つの教室の前で留まらないでください!」

 

 私は生徒会の権限を使って、ファンクラブの校則を作るという作戦を立てました。

 

紗夜「そして!八舞君のファンクラブについては時期に校則としてルールが設けられることになりました!」

 

 私がそう言うと、教室内の八舞君は目を丸くしていました。

 なので、私は教室にはいりました。

 

紗夜「__それでいいですね?八舞君?」

栄斗「はい......」

 

 哀愁を漂わせている彼に私は同情しました。

 

紗夜「(私が助けてあげないと、絶対に......って、なんでこんなことを?)」

 

 この時、私は彼を助けてあげたい、哀愁を漂わせた顔をみたくない、という気持ちに戸惑いを感じました。

 私はこの気持ちの正体を全く分かっていませんでした。




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燐子の予感?

4話目ですね

つぐみは例の如く花咲川から来たと言う事で解釈しておいていただければ。
詳細はイヴルート6話をご参照ください。


紗夜(__さて、新校則の案を早く考えないとですね。)

 

 休み時間、私は早速原案の作成に取り掛かりました。

 

紗夜(とは言っても、どうしましょうか。)

 

 校則の案を考えるなんて初めての事。

 八舞君を守るだけの校則では生徒の反感を買いますし。

 

燐子「氷川さん......?」

紗夜「白金さん?どうしました?」

燐子「あの、何をしてるんですか?」

紗夜「八舞君のファンクラブ関係での校則の案を早めに考えておこうと思いまして。」

燐子「それは......精が出ますね。」

紗夜「仕事ですので。」

 

 私は自分の言葉に引っかかりました。

 ほんとに生徒会の仕事だから、それだけなのでしょうか?

 

紗夜(......ともかく、早く案を考えないと。)

 

 私は原案作成に入りました。

__________________

 

紗夜(__ふぅ。まぁ、こんなものでしょうか。)

 

 昼休みには案をまとめる事が出来ました。

 後は八舞君に確認を取って、校長先生に見せるだけですね。

 

千聖「__あら、紗夜ちゃん。何をしているのかしら?」

紗夜「白鷺さん?」

 

 私が一息ついてると白鷺さんが話しかけてきました。

 

紗夜「これは八舞君のファンクラブに関する校則ですよ。」

千聖「あぁ、人気者さんの。」

紗夜「はい。出来るだけ早く落ち着けたいので。」

千聖「すごいものね。彼の人気。」

紗夜「はい。少し分かる気もしますが。」

千聖「紗夜ちゃん?」

紗夜「......いえ、なんでもありません。」

 

 私は何であんなことを口走ったのでしょう?

 

千聖(あらあら。紗夜ちゃんまで。中々やるわね、人気者さん。)

紗夜「あの、何か?」

千聖「何でもないわよ。それじゃあ、私は彩ちゃんのの所に戻るわね。」

紗夜「あ、はい。」

 

 そう言って白鷺さんは教室を出ていきました。

 私は白金さんもいなかったので読書をして残りの時間を過ごしました。

__________________

 

 放課後、私は生徒会室に行きました。

 もう少しであの子も来る頃です。

 

つぐみ「__失礼しまーす。」

紗夜「羽沢さん。よく来てくれました。」

つぐみ「紗夜さん!」

 

 羽沢さんはこちらに駆け寄ってきました。

 その様子が可愛らしくて、微笑ましいです。

 

燐子「こんにちは......羽沢さん。」

つぐみ「こんにちは、燐子さん!」

有咲「こんにちは。」

つぐみ「こんにちは!有咲ちゃん!」

紗夜(そろそろ、彼も来る頃ですね。)

  「羽沢さん、これが今回の資料です。」

つぐみ「はい!えーっと......ファンクラブの校則ですか?」

紗夜「はい。」

有咲「ほんとにすごい人気ですよね。クラスもその話題で持ちきりですし。」

紗夜「はい。私たちのクラスも似たようなものですね。」

燐子「はい......」

つぐみ「そ、そんな人が......?(漫画みたいだなー。)」

栄斗「__失礼します。」

 

 私たちが話してると、八舞君が入ってきました。

 

紗夜「来ましたね、八舞君。」

栄斗「今回、なんで俺は呼ばれたんでしょうか?」

燐子「それは......私の方から......説明します。」

 

 白金さんが口を開きました。

 

燐子「今回...八舞君のファンクラブのルールを...決めることになりました。」

栄斗「はい。」

紗夜「その事について、私が原案を作成しましたので、確認をお願いしたいのです。......羽沢さん、お願いします。」

つぐみ「はい!」

 

 羽沢さんは八舞君にプリントを手渡しました。

 それから彼はプリントの内容に目を通しました。

 真剣な顔でプリントを見てる彼を見ると......

 

紗夜「......///」

燐子「......?」

紗夜(って、私は何を?)

 

 本当に調子が悪いみたいです。

 今日は帰ったら休みましょう。

 

栄斗「......なるほど。」

紗夜「この内容で問題ないでしょうか?」

栄斗「はい、問題ありません。」

燐子「それでは...今日中に学園長の許可を得て...明日には発布します。」

栄斗「ありがとうございます、白金さん。」

 

 それから、八舞君に生徒会メンバーの紹介をしました。

 羽沢さんを見て不思議そうな顔をしてたのが印象的でしたね。

 紹介を終えると彼は帰って行きました。

 

紗夜「それでは、校長先生の所に行きましょうか。」

有咲「そうですね。早く終わらせましょう。」

つぐみ「そうだね!」

燐子(......氷川さんのあの顔......)

紗夜「白金さん?」

燐子「あ、は、はい。行きましょうか......」

紗夜「?」

 

 白金さんの様子がおかしいですね?

 どうしたのでしょうか?

 

燐子(そんなわけ......ないですよね。私の見間違いです......)

 

 そうして、生徒会メンバーで手続きなどを済ませ、各自下校していきました。

__________________

 

紗夜(......あれは何だったんでしょう?)

 

 私は下校中、あの時の事を考えていました。

 

紗夜(彼の顔を見てたら何も考えられなくなって、彼の事で頭がいっぱいになりました。)

 

 分かりません。

 集中することは多々ありますが、ギターとも勉強とも違う集中......

 

紗夜(......よくわかりませんね。)

 

 私は考えを振り切るように急ぎ足で家に帰りました。

 

 




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休日のデート

栄斗「どうも。ここでは主人公じゃない八舞栄斗です。」
紗夜「ここでは主人公、氷川紗夜です。」
栄斗「ここで1番人気ヒロイン、主人公に昇格とは。流石紗夜さんです。」
紗夜「そうですか?」
栄斗「はい。」
紗夜「まぁ、全ての始まりはあなたですよ、八舞君。」
栄斗「まぁ、そうかもですね。」
紗夜「この世界でも、すぐにあなたに伝えに行きます。」
栄斗「はい。お待ちしています。」
紗夜「それでは、本編開始です。」


紗夜(__朝、5時......)

 

 とある休日の早朝、私は目を覚ましました。

 目も覚めてしまったので一人でコーヒーでも淹れようと思い、リビングに行きました。

 

紗夜(最近は八舞君ファンクラブの校則の発布をしたりと、中々忙しかったですね。)

 

 本当に、意外とトラブルメーカーなんですから。

 

紗夜「......中々、上達しましたね。」

日菜「あ、お姉ちゃんがコーヒーいれてるー。」

紗夜「日菜?起きたの?」

日菜「うんー......zzz」

紗夜「寝てるじゃない。」

 

 私は日菜を支えました。

 全く、この子は。

 

日菜「お姉ちゃん、あったかーい......」

紗夜「もう、部屋に行くわよ///」

日菜「はーい。」

 

 私は日菜を日菜の部屋に連れて寝かせました。

 ......5分ほど離れませんでしたが。

 

 ですが、これで私も手持無沙汰。

 何をしましょうか?

 

紗夜(やっぱり、ギターね。気になるフレーズもあるし丁度いいわ。)

 

 私はすぐに自室に戻り、ギターの練習を始めました。

__________________

 

紗夜(もうこんな時間?)

 

 ギターの練習も一区切りつき、時計を確認するとお昼前。

 

紗夜「そろそろ、お昼に__」

日菜「おねーちゃーん!一緒にお昼ご飯食べに行こうよー!」

紗夜「日菜、部屋に入るときは......まぁ、いいわ。仕方ないわね。行きましょうか。」

日菜「ほんと!?わーい!」

紗夜「準備をするから少し待ってなさい。」

日菜「はーい!」

 

 日菜は元気に返事をすると玄関の方に走って行きました。

 全く、あの子はいくつになっても__って、それはもういいです。

 私も手早く準備を済ませ、玄関に行きました。

__________________

 

 私達は家を出て、どこで何を食べるかを相談しながら歩いています。

 

日菜「うーん、何にしよっか?」」

紗夜「日菜に任せるわ。」

日菜「じゃあねー。」

 

 日菜はムムムと見えてきそうな顔で悩んでます。

 

日菜「あっ!」

 

 何か思いついたようです。

 

日菜「ポテト食べたい!」

紗夜「ポテト?じゃあ、ファミレスかファーストフード店かしら?」

日菜「じゃあ、ファミレスに行こー!」

紗夜「そうね。」

千聖「あら、日菜ちゃんに紗夜ちゃん?」

日菜「あ!千聖ちゃんだー!」

紗夜「こんにちは、白鷺さん。」

 

 私たちが歩いてると、白鷺さんと会いました。

 

千聖「二人はお出かけかしら?」

紗夜「今からお昼ご飯を食べに行こうと思っています。」

日菜「そうだよー!」

千聖「そう。楽しそうね。」

日菜「うん!お姉ちゃんと一緒だもん!」

千聖「ふふ、それじゃあ、邪魔者はそろそろ失礼するわね♪」

紗夜「すみません。」

千聖「あら、いいのよ。二人で楽しんでらっしゃい。」

日菜「うん!」

千聖「それじゃあ、またね。二人とも。」

 

 そう言って、白鷺さんは笑顔で手を振りながら歩いて行きました。

 

日菜「行こ!お姉ちゃん!」

紗夜「はいはい。」

 

 私達はまた歩きだしました。

__________________

 

 ファミレスに着くと、私達は店員さんに案内された席に座り、メニューを開きました。

 数多くのメニューが多く目移りして今いますが、一つは決まっていたので思いのほかスムーズに決まりました。

 店員さんを呼び出しました。

 

店員「ご注文を伺います!」

紗夜「私はこのパスタと......ポテトを5人前。」

店員「へ?あ、はい!かしこまりました!」

日菜「あたしはグラタンとポテト6人前!」

店員「」

紗夜「日菜、食べ過ぎじゃないの?」

日菜「えー?」

紗夜「5人前くらいにしておきなさい。」

日菜「はーい。じゃあ、5に変更で!」

店員「はい、かしこまりました......?」

 

 私たちが注文を終えると店員さんは注文を通しに行きました。

 

店員(5人も6人も変わらないよ!?)

 

 少し時間が経つと、注文した品が運ばれてきました。

 店員さんの顔が少し引きつっていたような気がしますが、まぁ、気のせいでしょう。

 

 私達は料理を食べ始めました。

 

紗夜(ここのポテトも悪くないわね。)

日菜「ん~!るん♪っててくる!」

紗夜「そうね。」

日菜「うーん。」

紗夜「どうしたの?」

日菜「お姉ちゃん、るん♪ってしてないなー。」

紗夜「そうかしら?」

日菜「うん!どうしよかな......あ!」

 

 日菜はそう声をあげると、ポテトを一本とってこちらに差し出してきました。

 

日菜「あーん!」

紗夜「日菜?」

日菜「あーん!」

 

 日菜はこれの一点張り、もう、この子は......

 子供じゃあるまいし、そんなのこんな場所でするわけないでしょ。

 

日菜「......」

紗夜「......(うっ。)」

 

 日菜の寂しそうな顔を見ると罪悪感が......

 

紗夜「し、仕方ないわね。一回だけよ。」

日菜「やったー!あーん!」

 

 日菜はこっちにポテトを向けてる。

 いざ食べようと思ってもこれは恥ずかしい。

 

紗夜「あ、あーん......///」

 

 私はポテトを食べました。

 

日菜「うん!るん♪ってきた!」

紗夜「そ、そう。それはよかったわね。」

日菜「次はお姉ちゃんが食べさせて!」

紗夜「え?」

日菜「あーん!」

 

 日菜は大きく口を開いてます。

 私は大きなため息をつき、もう何回行ったか分からない『一回だけよ』を言ってポテトを掴みました。

 

紗夜「はい、日菜。」

日菜「__美味しー!」

 

 ポテトを食べた日菜はとても良い笑顔でそう言いました。

 

紗夜「同じでしょ。」

日菜「違うのー!お姉ちゃんが食べさせてくれたんだもんー!」

紗夜「そう。」

日菜「お姉ちゃんは同じだったのー?」

紗夜「え?」

 

 日菜はそう聞いてきました。

 そうね、たしかに......

 

紗夜「......いつもより、美味しく感じたわ。」

日菜「うん!るん♪ってくるね!」

紗夜「ふふっ、そうね。」

 

 その後、私達は店を出て家まで歩いて帰りました。

 これが、ある休日の私たちの平和な出来事でした。

 

 私達は、この後起きる悲しい物語など知らずにいました。




日菜「うーん!るん♪ってきた!」
千聖「楽しそうね日菜ちゃん。」
日菜「うん!今日はとっても楽しかったんだー!」
千聖「よかったわね♪」
日菜「そう言えば、千聖ちゃんは何してたのー?」
千聖「あの時は花音と待ち合わせてたのだけれど......」
日菜「?」
千聖「案の定、迷子になって反対方向にいたわ。」
日菜「あははー!相変わらずだねー!」
千聖「そうよね。」
日菜「ま、いいや!じゃあ、また次回ねー!」


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否定と崩壊の言葉

栄斗「最近、思うんだけどな。」
イヴ「はい?」
栄斗「俺、ここの主人公なのに最近出番ないんだ。」
イヴ「ま、まぁ、今はサヨさんのお話ですから!」
栄斗「まぁ、そうなんだけどさ。」
イヴ(エイトさんが珍しく拗ねています!可愛いです!)
栄斗「まぁ、その分イヴと時間を過ごそうか。」
イヴ「はい!そうですね!」
栄斗「何はともあれ、本編、開始だ。」
イヴ「ブシドー!」


 朝、私はいつも通り学校に来ました。

 

燐子「おはようございます......氷川さん。」

紗夜「おはようございます。白金さん。」

 

 席に着くと、いつも通り白金さんとバンドの話をしたりしてました。

 ですが、

 

紗夜「白鷺さん?」

千聖「......紗夜ちゃん。おはよう。」

紗夜「どうなさいました?」

千聖「なんでもないのよ。行くところがあるから失礼するわね。」

 

 そう言うと、白鷺さんは教室を出て行きました。

 どう考えても普通じゃない、そう思った私は白鷺さんの後を追いました。

__________________

 

紗夜(怒ってる?しかも、表情に出ていませんが、かなり剣幕です。一体何が?)

 

 私はそんな事を考えながら白鷺さんを追いかけました。

 いつもの彼女らしくない雰囲気には背筋が凍るような気がしました。

 

 彼女を追ってたどり着いたのは、屋上でした。

 なぜ屋上に、そう思いましたが。

 私は知っています、彼がこの時間に必ず屋上にいると。

 

紗夜「......でも、そんなわけ。」

 

 白鷺さんと付き合ってる、そう言う不安が出てきました。

 私は嫌な汗が溢れてきましたが、覗いてみる事にしました。

 

千聖「__ふざけないで......!」

 

紗夜「!?」

 

 私の目には白鷺さんは八舞君の胸倉を掴んでるのが見えました。

 白鷺さんは怒りに満ちた表情で殺意すら感じます。

 八舞君は胸倉を掴んでる白鷺さんを見ています。

 その目からは生気を感じられずまるで、死んでるようです。

 

千聖「イヴちゃんは私たちの仲間なの、関係ないわけないわ...!」

栄斗「......わかりました。お話しします。」

 

紗夜(一体、何を......?)

 

栄斗「......若宮が料理を俺に教わるために家に来ていた時、俺の家に親が来たんです。」

千聖「親が来た......?」

栄斗「俺は親と別居しています。それで、その時に俺は若宮を隠して対応しました。その時、親は俺にこう言いました、絶縁しろ、と。」

千聖「絶縁?なんで?」

栄斗「それは、昔、俺が同じ学校にいた父親の得意先の息子がいじめをしててそれを殴ったからですよ。それから、俺は絶縁が約束されていたんです。」

千聖「ひどい親ね。」

 

紗夜「え......?八舞君が絶縁......?」

 

 全ては聞こえませんでした、ですが、絶縁という単語ははっきり聞こえました。

 なんで、彼がそんな事に?

 私には全く、理解できません。

 一体、なんで、彼は違う、彼は優しくてそんな親に捨てられるような人じゃ......

 

紗夜(なんで、なんで......?)

 

 私は何度も誰かもわからなず問いかけ続けました。

 でも、その返事は返ってくることはありません。

 

千聖「__だったら、いきなさい!八舞栄斗!」

栄斗「__!!」

 

 八舞君が屋上から飛び出していきました。

 

紗夜「八舞君!」

 

 私はなんでか、彼を追いかけました。

 どこに行くかもわからないのに、これから授業が始まるのに。

 でも、今はそんな事どうでもよくてただただ、これを追いかけないといけない、そう直感しました。

__________________

 

 彼はとんでもない速さで住宅街を走っています。

 人間とは思えません、でも、なぜかぎりぎりで見失わずに済んでいます。

 

紗夜(どこに、どこに行くと言うんですか......!八舞君!)

 

 私がそう思いながら追いかけてると、八舞君はとある家の前で立ち止まりました。

 そして、鍵が開いているのか入って行きました。

 

紗夜「ここは......若宮?」

 

 表札には若宮と書かれています。

 つまり、ここは......

 

紗夜(若宮さんの家......)

 

 私は少しだけ、入ってみました。

__________________

 

紗夜(ここで、一体何を?)

 

栄斗『......俺が弱かったんだ、すまなかった。だから、そんなに苦しそうな顔をしないでくれ......!』

紗夜「!」

 

 上の階からそんな声が聞こえてきました。

 

イヴ『本当は栄斗さんと友達でいたいです...!』

 

紗夜「......」

 

 私はその声を聞いて、静かに若宮さんの家を出ました。

__________________

 

紗夜(おかしい。)

 

 私は帰り道、違和感を感じていました。

 若宮さんの友達でいたいという言葉。

 私は自分にそれを当てはめて違和感を感じます。

 

紗夜(......私は彼と......)

 

 友達、でいいのでしょうか。

 でも、違和感を感じます。

 彼の友達である事は喜ばしいはずなのに、そのはずなのに!

 なんで、こんなことを思うのですか!

 

紗夜(駄目、これ以上は。戻れなくなる。)

 

 そう思っても、止まれない。

 あふれた感情はもう、止まらず、言葉となって溢れてくる。

 

紗夜(私は彼と......)

 

 まるで、嵐の荒野を歩いてるよう。

 焦燥感、進むことを世界から拒絶させているような。

 でも、この言葉を言えば、全て晴れました。

 これは、今までの彼との関係をすべて否定し壊してしまう、そんな言葉でした。

 

紗夜「......私は彼と、友達でいたくない。」

 

 この言葉の指す意味はまだ、分かりません。

 でも、ただ、今までを完全に何かに投げ売ったのは間違いありません。

 でも、私は若宮さんの言葉から心底、こう思ったのです。




燐子「あの......氷川さん?」
紗夜「はい?」
燐子「今回の話を見て......思ったことがあるのですが......」
紗夜「?」
燐子「氷川さん......病んでませんでしたか......?」
紗夜「え!?いえ、そんな事はないですよ?」
燐子「でも......かなり、心に闇があった気が......」
紗夜「ないです!」
燐子「そう、ですか......?」
紗夜「はい。私は病んでないです。」
燐子「は、はい......」
紗夜「それでは、次回に続きます。」


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自覚

美咲「ツッコミって大変だよね~。」
有咲「あ~、わかる~。」
美咲「うちは三バカがいるからツッコミが追い付かないんだよね~。」
有咲「うちは沙綾も偶にボケたりするから、大変だ。」
美咲「でも、やりがいはあるよね。」
有咲「あ、わかる。香澄たちが輝くのは悪い気はしねぇな。」
美咲「皆楽しそうだから、まいっかってなる。」
有咲「分かる~。」
美咲「私達、こういうところあるよね。」
有咲「あるよな~。」
美咲「あ、そう言えばこの前こころが__」

 本編開始!


 今日1日、私はずっと考えていました。

 友達でいたくない、でも、私は彼を嫌いじゃない。

 じゃあ、私は彼の何になりたいのか。

 

紗夜(私は一体......?)

千聖「紗夜ちゃん?」

紗夜「白鷺さん?」

千聖「ずっと考え事をしていたようだけれど、どうしたのかしら?」

紗夜「少し、分からない事がありまして。」

千聖「分からない事?(紗夜ちゃんだから音楽の事かしら?)」

燐子「あの、氷川さん......?」

紗夜「どうしました?白金さん。」

燐子「悩みがあるなら......相談してください。」

千聖「そうね。私も今日は仕事がないから相談乗るわよ?」

紗夜「そうですか......」

 

 正直、一人で考えても結論は出そうにないですし二人を頼るのもいい選択かもしれないですね。

 私はそう思って、二人に話すことにしました。

 

紗夜「実は、とある男子の事で悩んでまして。」

燐子「とある......男子?」

千聖(......うん?)

紗夜「最近、とある出来事から彼とは友達のはずなのに、友達でいたくないと思ってしまって。」

千聖「......」

紗夜「それは分かったのですが、じゃあ、私は彼の何になりたいのか分からなくなってしまって......」

燐子「そうですか......」

 

 白金さんは考え込んでくれています。

 白鷺さんは複雑そうな顔をしてます。

 

燐子「氷川さんは......その男子がお嫌いですか......?」

紗夜「いえ、むしろ好感を持っています。」

燐子「そうですか......」

 

 白金さんはまた考え込みました。

 心当たりはあるのでしょうか?

 

燐子「多分、なのですが......」

紗夜「はい。」

燐子「氷川さんは......その男子が好きで......彼女になりたいんじゃないかなと......」

紗夜「え?」

燐子「そうじゃないと、説明が付きません......」

紗夜「で、でも、そんな訳......ないとは言えませんが///」

燐子「なら......そういう事なんだと思います。」

紗夜(た、確かに筋は通ってます。確かに彼は私を私を励ましてくれましたし、助けてくれたりしてくれますし......)

 

 頭の中でいくら理屈を並べても、答えは私は彼が好き。

 そう、私は彼が好きだったのですね。

 

千聖「......紗夜ちゃん、少しいいかしら?」

紗夜「はい?」

千聖「この前、覗き見していたから知っていると思うけど。彼は両親に捨てられてるわ。」

紗夜「......はい。」

千聖「そして、今の彼はこの前のハロハピのライブに参加する理由にもなった、イヴちゃんしか見えてないわ。」

紗夜「......それは、何となくわかっています。」

千聖「紗夜ちゃんには、イヴちゃんみたいに彼の過去を受け止める覚悟はあるの?」

紗夜「......」

 

 覚悟。

 私は私を励ましてくれて、認めてくれた彼が好きです。

 だから......

 

紗夜「そのくらいの覚悟、既にできています。」

千聖(真剣な目。覚悟はあるのね。)

 

 白鷺さんはため息をついて、こう言いました。

 

千聖「なら、頑張りなさい。うちのイヴちゃんは手ごわいわよ。」

紗夜「はい!」

千聖(ごめんね、イヴちゃん。覚悟のある人は止められないわ。)

燐子「それでは......氷川さんは告白をするのでしょうか......?」

紗夜「えぇ!?///」

千聖「そうね。せっかく気付いたのだから、した方がいいわよ。」

紗夜「で、でも、どうしたらいいのか......///」

燐子(可愛い。)

千聖「イヴちゃんはまだ告白できなさそうだし。もしかしたら......」

紗夜「もしかしたら......///」

 

 私の頭には、彼の事が一杯です。

 自覚してしまえば、整理しようにもできません。

 

紗夜(こ、告白。私がそんな事をすることになるなんて、でも、どうすればいいの?今までそんな経験はないし、知識もないし......///)

燐子「ひ、氷川さん......顔が真っ赤ですよ......?」

千聖「ふふふ、可愛いわね。」

 

 少し大きく呼吸して落ち着きを取り戻せました。

 ですが、告白という言葉にはまだまだ現実味がありません。

 

燐子「どうせなら......ロマンチックな感じが......」

千聖「あらあら、燐子ちゃんも乙女ね♪」

燐子「そ、そう言うのではないです......」

紗夜(どうしましょう。)

 

 放課後の教室で話していると。

 prrrr

千聖「あら?ごめんなさい、出るわね。」

紗夜「はい。」

燐子「はい......」

 

 白鷺さんは電話に出ました。

 

燐子「それでは......プランを__」

千聖「え!?」

紗夜、燐子「!?」

千聖「ど、どういう事ですか!?......はい。今日は学校でも見かけました。......はい。」

 

 白鷺さんはとても焦った様子で話してます。

 いつもの彼女らしくない落ち着きのなさです。

 そう思っていると、白鷺さんは電話を切りました。

 

紗夜「どうしました?」

燐子「かなり......焦っていたようですが......」

千聖「......イヴちゃんが、行方不明になってるの。」

紗夜、燐子「え?」

千聖「ごめんなさい。探してくるわ。」

 

 そう言って白鷺さんはカバンを持って立ち上がりました。

 

紗夜「待ってください。私も行きます。」

燐子「私も......」

千聖「二人とも?」

紗夜「一緒に探しますよ。困ったときはお互い様です。」

燐子「そうです......」

千聖「ありがとう。助かるわ!」

紗夜「それでは、行きましょう。」

燐子「はい......」

千聖「えぇ。」

 

 私達は若宮さんを探すために、校舎内を見てから、学校を出ました。

 




オーナー「......」
彩「えっとー、こんにちはー!」
オーナー「こんにちは。」
彩「ライブハウスのオーナーさんですよね?すごいですね!」
オーナー「別にすごかないよ。」
彩「え、えーっと。わ、私この前、パスパレのライブがあって!」
オーナー「そのライブ。」
彩「え?」
オーナー「やりきったかい?」
彩「え?あ、はい!全力でやり切りました!」
オーナー「そうかい......」
彩(お、怒ってるのかな?)
オーナー「いい目をしてるね。」
彩「え?」
オーナー「次回に続くよ。」
彩「えぇ!?どういう事なんですかー!?」


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消失感

”出かけるのに誘ったときの反応(ポピパ編)”

香澄「いいねー!どこ行くの?」
たえ「それってデート?」
りみ「え?い、いいよ......?」
沙綾「その日は店のお手伝いないからいいよ!」
有咲「は、はぁ!?私、外苦手なんだよ。......でも、まぁ、時間あるからどうして持ってならいいぞ......///」


 私は学校を出て若宮さんを探しています。

 白鷺さんとははぐれてしまいましたが、私は私にできる事をしましょう。

 

燐子「氷川さん......?」

紗夜「はい?」

燐子「気になることが、あるんです。」

 

 白金さんは私に問いかけてきました。

 

燐子「若宮さんは、氷川さんの恋敵......という事になります。」

紗夜「はい?」

燐子「なら、なんで、そんなに必死に探すのでしょうか......?」

紗夜「......確かに、若宮さんは恋敵です。」

 

 普通なら、必死に探すことはしないのかもしれません。

 でも、今回は訳が違います。

 

紗夜「ですが、若宮さんは彼、八舞君の心の支えなんです。」

燐子「心の、支え......ですか。」

紗夜「両親に捨てられた彼が若宮さんまで失ってしまう姿を私は見たくないんです。」

燐子「氷川さん......」

紗夜「私は八舞君を好きですが、それ以上に恩を感じています。それに報いることをしたいんです。」

 

 彼の悲しむ顔なんて見たくない。

 私の原動力なんて、それで十分なんです。

 

紗夜「話過ぎましたね。行きましょう。」

燐子「はい。」

 

 私達は若宮さん探しを再開しました。

__________________

 

 日も落ちてきて、周りもだんだんと暗くなってきました。

 まだ、白鷺さんから連絡が来ていません。

 つまり、見つかっていないと言う事です。

 私達は大通りに来ています。

 

紗夜「流石に、ここにいれば見つかりますよね。」

燐子「はい......」

紗夜「どこに......あ、八舞君?」

 

 少し周りを見回すと、八舞君とパスパレの皆さんと弦巻さんがいました。

 そして、車に乗りました。

 

紗夜「あ、待って下さ__いってしまいました。」

燐子「どうしますか......?」

紗夜「追いかけます。まだ見失っていません。」

燐子「あ、ひ、氷川さん......!」

 

 私達は八舞君たちが乗った車を追っていきました。

__________________

 

 それから、見失ったりしてかなり時間がかかってしまいましたが、なんとか車を見つけられました。

 大きな会社の前に止まっていて、ここに何の用が?

 

社員「__そう言えば、あの学生達って何だったんだろうな?」

社員2「さぁ?八舞って言ってたからあの上司の息子じゃね?」

 

紗夜「八舞君たちがここに?」

燐子「なんで、でしょう?」

紗夜「分かりませんが。入ってみましょうか。」

燐子「え?でも、怒られるんじゃ......?」

紗夜「ですが、行ってみない事には。」

 

 私はビルに近づいて行きました。

 その時、あるものが落ちてきてるのが見えました。

 それは、白くて、人のような......

 

紗夜「若宮さん!?」

燐子「お、落ちています!」

紗夜「お、落とすわけには......!」

燐子「ひ、氷川さん、危ないです!」

 

 私は落ちてくる若宮さんを見ました。

 どう考えても受け止められません。

 でも、どうにかして__

 

紗夜「!?」

 

 私が一瞬目をつむると、若宮さんは消えていました。

 私はどこに!?と焦りましたが、地面には落ちていませんでした。

 

黒服「__若宮イヴ様の救出、完了しました。」

イヴ「う、うぅ」

紗夜「若宮さん!大丈夫ですか!?」

イヴ「さ、紗夜さん......?」

紗夜「怪我などは?」

イヴ「はい、大丈夫ですが......エイトさんが!」

紗夜「!」

イヴ「今、ご両親と......早く行かなくては!」

 

 そう言うと、若宮さんは立ち上がって、ビルに入って行きました。

 

紗夜「若宮さん!」

 

 私も若宮さんを追いかけ、ビルに入りました。

__________________

 

 若宮さんを追って、かなり上の階に来ました。

 

紗夜「__はぁはぁ、ついた......?」

 

 私はかなりの疲労感を感じていましたが、若宮さんが入った部屋の方に行きました。

 私はその部屋をのぞきましたが、すぐに隠れてしまいました。

 八舞君が、若宮さんを抱きしめていました。

 

紗夜「......」

 

 何が何だか、分かるはずもなく。

 私は静かに下に降りていきました。

 

紗夜(八舞君は......やっぱり若宮さんを......)

燐子「あ、氷川さん......!」

紗夜「白金さん......」

燐子「ど、どうしましたか......?」

紗夜「なんでもないですよ。今日は付き合ってくれてありがとうございました。」

燐子「い、いえ......」

紗夜「帰りましょう。送って行きます。」

燐子「あの、八舞君は......」

紗夜「帰りましょう。」

燐子「はい......」

 

 私は喪失感を味わいながら帰りました。

 

紗夜(なんで、なんで、、なんで......!)

燐子「ひ、氷川さん......!?」

 

 とめどなく涙が溢れます。

 やっぱり、八舞君は若宮さんが好きで、私なんて......

 

紗夜「......ごめんなさい、白金さん。」

 

 そう言って私は走り出しました。

 人と人の間を通り抜けて、何も考えないように。

 

燐子「氷川さん!」

 

 後ろから聞こえた白金さんの声がより遠く聞こえました。

 私は振り返ることなく、どこに向かうわけでもなく走りました。

 

 

 

 

 




”告白した時の反応(ポピパ編)”

香澄「え!?///そ、それって、そういうこと......?///」
たえ「ふーん。じゃあ、付き合おっか。」
りみ「ふぇ!?///う、嬉しいな///」
沙綾「......あんまり優先してあげられないからね///」
有咲「はぁ!?ばっかじゃねぇの!?///目悪いのかよ、なんで私なんか......で、でも、私もお前の事好き......嫌いじゃねぇけどな!///」


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日菜と......

”出かけるのに誘ったときの反応(パスパレ編)”

彩「え!?え、えっと、どこに行くの?」

日菜「君から誘ってくるなんて、るん♪って来るね!楽しみ!」

千聖「変装しなくちゃね♪」

麻弥「じ、ジブンとですか?千聖さんや彩さんと間違えていませんか?」

イヴ「はい!ブシドーな服装で参ります!」


 あの出来事から何事にもやる気が出ません。

 まるで、何かが心から抜き取られたように、ギターにすら触る気もおきない。

 

紗夜(......こんなこと、初めてですね。)

 

 家に帰っては暗い部屋でボーっとするだけ、そして、気付いたら時間が過ぎている。

 こんな時間の使い方、いつもなら絶対にありえません。

 

紗夜(私は、何をしているのでしょう。)

 

 あの出来事から、私の中で何かが失われました。

 もう、何が何だか分かりません。

 

日菜『__お姉ちゃん?』

紗夜「......日菜?」

日菜『少し、話あるんだけどいい?」

紗夜「いいわよ。」

日菜『じゃあ、入るね。』

 

 そう言って、日菜は私の部屋に入ってきました。

 

紗夜「それで、話って何?」

日菜「お姉ちゃん、あの日から様子がおかしいよ。」

紗夜「!」

 

 日菜は口を開いたと思ったらそんな事を言い出した。

 あの日、そう言えば十分通じます。

 若宮さんが誘拐された日の事です。

 

紗夜「......そんな事ないわ。」

日菜「嘘。リサちーが調子悪そうってずっと心配してるもん。」

紗夜「今井さんが?」

日菜「あの日、家に帰ってきてからお姉ちゃんずっと苦しそうな顔してる。」

紗夜「......」

日菜「黒服さんに聞いたんだけど、お姉ちゃん達来てたんだよね?」

紗夜「っ!」

日菜「あの日、何を見たの?」

 

 日菜は私の目を見据えてそう言いました。

 

日菜「同じか分からないけど、あたしも見たんだよ。」

紗夜「見た......?」

日菜「あの日、イヴちゃんが落とされた時の栄君。」

紗夜「!」

日菜「泣かないで、ただ、目の前のお父さんとお母さんを殺そうとしてた。眼の光もなくて、怖かった。」

紗夜「......」

日菜「どうやったら、あんな風になるんだろって、あたしでも分からないのが怖いと思った。」

紗夜「日菜が?」

 

 意外でした。

 日菜が分からない事が好きな日菜が分からないものを怖いと言ったのですから。

 

日菜「でもね。」

紗夜「?」

日菜「イヴちゃんが生きてたって分かった時、栄君は泣いてた。」

紗夜「っ!」

日菜「栄君が人間に戻った、直感でそう思った。」

紗夜(人間に戻った?)

日菜「お姉ちゃんが見たのは、イヴちゃんが生きてるって分かった時の栄君だよね?」

紗夜「......えぇ。」

日菜「それを見て、栄君を諦めてるって事。」

紗夜「!?」

 

 日菜の言葉に肩が跳ねました。

 全くの図星、ですから。

 

日菜「確かに、栄君はイヴちゃんが好きだと思うよ。だって、イヴちゃんのために人間性を捨てるんだから。」

紗夜「......そう。」

日菜「でも、それでも、なんでお姉ちゃんが諦めちゃうの?」

 

 日菜は真面目な声でそう言いました。

 

紗夜「......だって、もう手遅れだもの。」

日菜「そんな事ない!」

紗夜「!」

日菜「だって、まだ、決まってないもん!まだ終わってない!」

 

 日菜は少し怒ったような声でそう言ってます。

 

紗夜「でも、もうほとんど可能性は残ってないわ。もう無駄よ。」

日菜「違う。」

紗夜「......?」

日菜「ほとんどって事はまだ残ってるの!その、例え1%でも、それより少なくても、0じゃないなら可能性はあるの!」

紗夜「日菜......」

日菜「やる前から諦めるなんてお姉ちゃんじゃない!」

紗夜「......」

 

 まさか、日菜に怒られる日が来るなんて。

 いつもはあんななのに。

 

紗夜「......そうね。」

日菜「!」

紗夜「まだ、終わってないのね。」

日菜「うん!そうだよ!」

紗夜「だったら、足掻いてみるわ。少しでも。」

 

 私は立ち上がりました。

 

紗夜「ありがとう、日菜。」

日菜「うん!」

紗夜「折角だし、少し一緒に出掛けましょうか。まだ、こんな時間だし。」

日菜「うん!行こ行こ!」

紗夜「それじゃあ、少し待ってて。準備するわ。」

日菜「うん!先に玄関、行ってるね!」

 

 日菜はそう言って、玄関の方に走って行きました。

 

紗夜「......1%、賭けてみるのも悪くないわね。」

 

 少し経てば体育祭。

 少しでも、八舞君にアピールしましょう。

 

 私はそう思いながら、日菜と出かける準備をしました。

 

 日菜とのお出かけはとても楽しい時間でした。

 

 




”告白した時の反応(パスパレ編)”

彩「え、えっと、よろしくおねがいしましゅ!///」

日菜「るん♪じゃなくて、キュンってするよ......///」

千聖「光栄に思いなさい......そして、関係は内緒にしなさいね?///」

麻弥「じ、ジブンですか!?///え、えっと、ジブンなんかでよろしければ......!///」

イヴ「え!?///え、えっと、フツツカモノですが、よろしくお願いします!///」


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体育祭

”出かけるのに誘ったときの反応(アフターグロウ編)”

蘭「別にいいよ。どこ行くの?」

モカ「デートのお誘いかなー?モカちゃん的にはそっちの方がいいなー。」

ひまり「どこ行くの!?私、ちょうどお買い物行きたくて!」

巴「お!いいな!帰りにラーメン食いに行こうぜ!」

つぐみ「はい!待ち合わせ時間はどうしますか?」


 今日は体育祭の日です。

 私はどちらかというと運営側ですので、競技は早めに終わる借り物競争です。

 それでも、色々やることがあるので、大変です。

 

燐子「あの......氷川さん......」

紗夜「はい?」

燐子「えっと、元気になりましたか......?」

紗夜「?」

燐子「いえ、あの日から元気がなかったので......」

紗夜「あぁ、なるほど。はい、私は元気ですよ。」

燐子「はい......よかったです。」

紗夜「早く仕事を終わらせてしまいましょうか。」

燐子「はい。」

 

 私達は割り振られてる仕事を片付けに行きました。

 白金さんは終始、嬉しそうに微笑んでいました。

__________________

 

 少し時間が経って、開会式も終わり競技開始時間になりました。

 私が出る借り物競争はすぐなので、集合場所に行きました。

 

紗夜「__あら、八舞君?」

栄斗「え?氷川さん?」

 

 集合場所に行くと、八舞君に会いました。

 彼も借り物競争に出るのでしょうか?

 

栄斗「氷川さんが借り物競争って、意外っすね。」

紗夜「そうかしら?...と言っても、今回は委員会の仕事のために、こうなったのだけれど。」

栄斗「大変そうっすね。」

 

 彼と少し話すと、入場が始まりました。

 

栄斗「もう行くのか。」

紗夜「そうみたいですね。」

 

 私達は流れに従って入場しました。

__________________

 

 入場すると、会場は想像以上の熱気に包まれていました。

 

女子たち「八舞君が出てきたわよーー!!!」

女子たち「きゃーーーーー!!!!!」

 

 その熱気の理由は他でもない彼なわけですが。

 それを見て、私もいい気分はしません。

 

紗夜「......相変わらずの人気ですね。」

栄斗「なんで......こうなったんでしょうね......」

 

 彼は心底疲れたような態度でそう言いました。

 彼の性格上、こういう行為は不本意なのでしょう。

 

イヴ「__エイトさーん!頑張ってくださーい!」

栄斗「......楽しそうでよかった。」

 

 彼がそう言ったのが聞こえました。

 本当に若宮さんが大切なのですね。

 

紗夜(でも、私はもう折れない。絶対に。)

 

 私がそんな事を考えてる間に第一走者がスタートしました。

 

 ですが、どこか様子がおかしいです。

 

紗夜(どうしたんでしょうか?さっきから人を連れてくるのが多いですね。)

 

 そう思ってると、第二走者の用意が始まりました。

 私の番ですね。

 

紗夜「......じゃあ、行ってきますね。」

栄斗「......はい。」

 

 彼も様子がおかしいのを感じているのか、どこか疲れたような顔をしています。

 

 そして、私はスタートしました。

 運動は苦手ではありません。

 私は一番にお題を貰える場所に来ました。

 

女子「借り物が書いてまーす!」

紗夜「えぇ、どうも......っ!!!」

 

 『かっこいい人』

 紙にはそう書かれていました。

 つまり、これは私がかっこいいと思う人を連れて来いと言う事でしょうか。

 

紗夜(そんなの一人しかいないのけれど......ここで、呼ぶのは......)

 

 私は迷いました。

 仮にお題の内容がばれた場合、かなり不本意な展開になってしまいます。

 

紗夜(......仕方ないわね。ルールは守らないと。)

 

 私は八舞君の所に向かいました。

 

紗夜「__すいません、一緒に来ていただけないでしょうか?」

栄斗「はい?」

 

 彼は不思議そうな顔をしながらついて来てくれました。

 

司会『ゴール!』

 

 その後は難なくゴールできました。

 

栄斗「__氷川さん、なんて書いてあったんですか?」

紗夜「え!?...言いません。」

栄斗「なんでっすか?」

紗夜「言いませんっ!!」

栄斗「あ、はい。」

紗夜「それでは。」

 

 私は足早にその場を去りました。

 お題がばれるのは本当によくありません。

 

紗夜「__言えるわけないじゃないですか///お題が『かっこいい人』なんて!///」

 

 私は周りに誰もいないのを確認して、そんな本音をぶちまけました。

 

 私は仕事に戻りました。

__________________

 

紗夜「__休憩ですね。」

 

 私は仕事が休憩時間になりました。

 そして、競技にふと目を向け見ました。

 

 そこでは、若宮さんがクラブ対抗リレーに出ていました。

 

紗夜(確かに、若宮さんは可愛いですね。明るいですし。男子は若宮さんみたいな子が好きなのでしょうか。)

 

 私は若宮さんを眺めていました。

 その時__

 

イヴ「__きゃあ!」

紗夜「!」

 

 若宮さんは転びました。

 私が見た限りでも、隣のバレー部に足をかけられていました。

 

紗夜(今のは、ひどいですね。__!)

 

 私は視界にあるものが写りました。

 

紗夜(八舞君、かなり怒ってるわね。)

 

 私はそう思い、あるものを見に司会席に行きました。

__________________

 

 司会席に行くと、いくつかモニターがあります。

 今回から導入されたビデオ判定用です。

 

紗夜「__やはり、そうですか。」

栄斗「あのー。」

紗夜「八舞君?」

栄斗「あ、氷川さん。」

 

 私がビデオ判定で確認が終わった直後に八舞君が来ました。

 

紗夜「どうしました?」

栄斗「お願いがあるのですが、良いでしょうか?」

紗夜「お願いですか?」

栄斗「はい。」

紗夜「それは一体?」

栄斗「二人三脚、イヴを抱えて走ってもいいですか?」

紗夜「!」

 

 彼はそう言いました。

 普通なら認められませんが、今回は事情が事情です。

 

紗夜「仕方ありませんね。」

栄斗「あれ?許可されるんですか?」

紗夜「えぇ。若宮さんが走れない理由は分かっていますから。」

栄斗「?」

紗夜「実は今回からビデオ判定が追加されていまして。」

栄斗「なるほど。」

 

 彼は納得した様子を見せて振り返りました。

 

栄斗「それでは。」

紗夜「えぇ。頑張ってくださいね。」

 

 彼はどこかに走って行きました。

 おおよそ若宮さんの所でしょうけど。

 

紗夜「二人三脚はすぐね。」

 

 私も歩き出しました。

 

紗夜(彼の役に立てそうだわ。)

__________________

 

司会『__お知らせします!今回、若宮イヴさんが負傷したため、八舞、若宮ペアは抱きかかえて走ることを認めます!』

紗夜「始まったわね。」

 

 司会の連絡の放送が終わると、第一走者、八舞君たちがスタートしました。

 

紗夜「私も急ぎましょうか。」

 

 私はゴールの方に歩いて行きました。

 

バレー部員「__あんなの、二人三脚じゃない!卑怯よ!」

紗夜(案の定、ですね。)

 

 彼女たちはいちゃもんをつけていました。

 来ておいてよかったです。

 

千聖「あら?紗夜ちゃん?」

紗夜「白鷺さん?どうしました?」

千聖「彼女たちに文句でも言ってやろうと思って。」

紗夜「奇遇ですね。私も援護に行こうかと。」

千聖「そう、助かるわ。」

紗夜「いえ。行きましょうか。」

 

 私はバレー部員たちの方に近づきました。

 

紗夜「あなた達。」

バレー部員「!?」

紗夜「あなた達が若宮さんに足をかけたのは、今回から配置された『ビデオ判定』で確認済みです。」

バレー部員「え?」

栄斗「まぁ、そういう事っすよ。」

 

 バレー部員たちは分かりやすく青ざめています。

 後悔するならやらなければいいのに。

 

紗夜「バレー部はペナルティとして、部費の減額と八舞君と若宮さんへの接触を禁止します。」

栄斗「ざまぁねぇな。」

イヴ「...少しかわいそうでは...」

栄斗「いいんだよ、このくらいやって。」

千聖「大丈夫かしら?イヴちゃん?」

栄斗「白鷺さん、どうも。」

千聖「えぇ、王子様。」

栄斗「やめてください。」

千聖「ふふっ、冗談よ♪」

 

紗夜(役に立てたようでよかったですね。)

 

 こうして、体育祭の一日が終わりました。

 

 話を聞く限り、もう少しで若宮さんの誕生日らしいですね。

 折角ですし、お祝いしましょうか。

 

 




”告白した時の反応(アフターグロウ編)”

蘭「......悪くない、じゃなくて、いいよ///」

モカ「お、おー///モカちゃんの魅力にあてられたのかなー?///」

ひまり「ふぇ!?///こ、こちらこそ、是非!///」

巴「お、おぉ///な、なんか照れちまうなー!///」

つぐみ「え、えっと///私、もっと頑張ってあなたに相応しくなりますね!///」


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告白

 朝、私はいつも通りの時間に目覚めました。

 

 今日は体育祭の振り替え休日で休みです。

 

 ですが、やることはいくらでもあります。

 

 そう思い、私は体を起こしました。

 

日菜『__おねーちゃーん。起きてるー?』

紗夜「日菜?起きてるわよ。どうしたの?」

 

 私がそう答えると、日菜が私の部屋に入ってきました。

 

日菜「イヴちゃんの誕生日プレゼント買いに行こうよ!」

紗夜「若宮さんの?」

日菜「うん!」

紗夜「そうね、明日だし急がないと。」

日菜「じゃあ!」

紗夜「えぇ。一緒に買いに行きましょうか。」

日菜「やったー!」

 

 そう言って日菜は部屋を出て行きました。

 

紗夜「私も準備しましょうか。」

 

 私も部屋を出て洗面をしたり、朝食を食べたりなどの準備をしに行きました。

__________________

 

 少し時間が経って、私と日菜は家を出ました。

 

 この辺りで買い物をするならショッピングモールと思い、私達はそこに向かいました。

 

日菜「__何にしよっかなー?」

紗夜「なにがいいかしら。」

 

 ショッピングモールの中にある一つの店で私達は考えていました。

 

 若宮さんの好きな物をプレゼントするのがいいのですが。

 

日菜「ブシドーなんだよねー。」

紗夜「そうね......」

 

 ブシドー......

 

 思い当たるもの......

 

紗夜「あっ。」

日菜「おねーちゃん?」

紗夜「あれなんて、どうかしら?」

日菜「どれどれー?」

 

 私は城の置物を指さしました。

 

 若宮さんが好きそうなデザインでいい感じのサイズだし、いいかもしれないわね。

 

日菜「うん!るんっ♪てきたよ!」

紗夜「あれにしましょうか。」

 

 私達はその城の置物を買いました。

 

 少し値が張るので、日菜と半分にして。

__________________

 

日菜「__いいものが買えたねー!」

紗夜「そうね。」

 

栄斗「__さて、イヴへのプレゼントをどうするか......」

 

紗夜(あれは、八舞君?)

 

 私達が歩いていると、頭を抱えた八舞君がいました。

 

 もう聞かなくても頭を抱えてる理由が分かります。

 

日菜「あれ?栄君?」

栄斗「?」

 

 八舞君がこちらに振り向きました。

 

栄斗「どうも、こんにちは。」

紗夜「えぇ。八舞君はなぜここに?(分かっていますが。)」

日菜「わかった!イヴちゃんの誕生日プレゼントでしょう!」

栄斗「はい、まぁ。」

 

 彼はすこし難しい顔をしています。

 

紗夜「難しい顔をしていますね?」

栄斗「はい......いいものが思いつかなくて。」

日菜「じゃあ、手伝ってあげるよ!」

 

 日菜はそう言いました。

 

 私達の買い物は終わっているし、時間もあるからいいのだけれど。

 

栄斗「え?いいんですか?せっかく二人で来てたのに?」

紗夜「構いませんよ。」

栄斗「...じゃあ、お願いします。」

日菜「うん!」

紗夜「えぇ。」

 

 それから私達は色々な店に行きましたが、あまりいい物は見つかりませんでした。

 

栄斗「......決まらねぇ。」

日菜「うん、るんって来るのがないね...」

紗夜「えぇ、そうね。」

栄斗「!」

 

 そんな話をしている途中、彼の表情が動きました。

 

紗夜「どうしました?八舞君。」

栄斗「すいません、あの店に行ってきます。」

日菜「あ!私も行きたい!」

__________________

 

 彼が入ったのはアクセサリーショップでした。

 

 彼は熱心に何かを見ています

 

栄斗「...これは。」

紗夜「どうしました?」

栄斗「これ、綺麗だと思って。」

日菜「うん!それ!るんっ♪ってくるよ!」

紗夜「そうですよね。」

店員「__そちらを気に入られましたか?」

 

 私達が話してると、ここの店員さんが話しかけてきました。

 

 かなりご年配の方です。

 

栄斗「はい、とても綺麗だなと。」

店員「誰かへのプレゼントでしょうか?」

栄斗「はい...ですけど、なぜ分かったんですか?」

店員「この職が長いので見たらだいたいわかるんですよ。」

栄斗「なるほど。」

 

 経験、という事でしょうか。

 

 すごいですね。

 

店員「ちなみにその石の名前は『スフェーン』石言葉は___です。」

栄斗「...これにしよう。」

紗夜「それはいいんですが、お金は大丈夫なんですか?」

栄斗「大丈夫です。(生活費を切り崩せば、これくらい。)」

店員「...そうですか。」

日菜「いいね栄君!男らしいね!」

栄斗「...イヴのためです。」

 

 彼はそう言うと、そのアクセサリーを購入しました。

 

栄斗「プレゼントが決まってよかったです。ありがとうございました。」

紗夜「問題ありません。」

日菜「全然、大丈夫だよ!」

 

 彼の頑張りように私と日菜は自然と笑顔になりました。

 

 私達は少し話してそれぞれの家に帰りました。

__________________

 

 翌日、私達は八舞君の家に向かっていました。

 

 理由は日菜が、

 

日菜『栄君、大変だろうから手伝いに行こ!』

 

 と言った事です。

 

 私は、いつも天真爛漫すぎる妹が心遣いを出来たことに朝から感動しました。

 

日菜「__着いたよ!」

 

 日菜はマンションの一室のインターフォンを押しました。

 

栄斗「__はーい、どちら様でしょう。」

日菜「おはよ!栄君!」

紗夜「おはようございます。八舞君。」

 

 私達は出て来た八舞君に挨拶をしました。

 

栄斗「どうしたんですか?パーティーまでは時間がありますが?」

紗夜「少しでもお手伝いしようと日菜が。」

栄斗「え!?」

 

 私がそう言うと八舞君は驚いた声を上げました。

 

栄斗「日菜さんって、気を遣えたんだ...」

日菜「何か言った?栄君?」

栄斗「い、いや!何でもないです。」

日菜「そう?」

 

 痛いほど八舞君の気持ちは分かります。

 

 日菜は聞き取れなかったのか首をかしげています。

 

栄斗「...手伝いは助かります。ありがとうございます。」

紗夜「いえ、一人に押し付けるのも悪いですし。」 

栄斗「じゃあ、お二人には飾りなどをお願いしてもいいですか?」

紗夜「はい。」

日菜「うん!まかせて!」

 

 そうして、私達は準備を始めました。

__________________

 

 準備は意外と早く終わり、私達は座ってくつろいでいました。

 

栄斗「__二人が来てくれて助かりました。」

紗夜「いえ、役に立ててよかったです。」

日菜「そうだよ!」

栄斗「あ、待っててください、お茶でも出すんで。」

紗夜「お構いなく。」

栄斗「そういう訳にもいかないんで。」

 

 そんな話をしていると、インターフォンが鳴りました。

 

栄斗「はーい!......少し出てきます。」

紗夜「えぇ。」

日菜「うん!」

 

 彼が玄関の方に行って戻って来ると、パスパレの皆さんが来ました。

 

彩「__あれ?紗夜ちゃんと日菜ちゃん、来てたの?」

紗夜「えぇ、すこしお手伝いに。」

彩「え~!私たちもくればよかった...」

千聖「そうね。」

麻弥「そうっすね。」

栄斗「別にいいっすよ。もとは一人でやる気だったんで。」

千聖「...あなたは、そういうところは変わらないのね。」

栄斗「なにがっすか?」

千聖「私たちは友達なのよ?こういう時は頼りなさい。」

麻弥「そうっすよ!頼ってほしいっす!」

彩「うん!」

 

 私も含め、皆が頷きました。

 

栄斗「...ありがとうございます。」

 

 彼は照れているのか、少し目をそらしています。

 

 可愛らしいですね。

 

栄斗「...そろそろ、イヴを迎えに行ってきます。」

 

 彼はそう言って家を出て行きました。

 

彩「それじゃあ!私達も準備しよっか!」

麻弥「ジブン、靴を隠してきます!」

千聖「じゃあ、私も。」

 

 私達も他の準備を開始しました。

__________________

 

イヴ『__着きました!』

栄斗『あぁ、そうだな。』

 

 良い感じに準備が終わったころに、二人が来ました。

 

彩「あ、来たよ来たよ!」

 

 私達はドアの方に目を向けました。

 

パスパレ「__イヴちゃん!お誕生日おめでとう!!!」

イヴ「え?な、なんで?」

栄斗「今日はイヴの誕生日だからな、みんなを呼んでパーティーを企画してみた。」

 

 若宮さんは目を見開いたまま、固まってしまいました。

 

 まぁ、驚きますよね。

 

栄斗「......どうだ?イヴ?」

イヴ「とっても、とっても、うれしいです!」

 

 若宮さんは笑顔でそう言いました。

 

イヴ「みなさん!ありがとうございます!!」

 

 若宮さんがそう言うと、パーティーが開始されました。

 

栄斗「さぁ、イヴ、食べてくれ。イヴが気に入ってたのも作ってあるぞ。」

イヴ「はい!栄斗さん!」

 

 若宮さんはすぐに皆の輪に入って行きました。

 

彩「イヴちゃ~ん!誕生日おめでと~!」

イヴ「ありがとうございます!」

 

 若宮さんはとても楽しそうに笑顔を浮かべています。

 

イヴ「栄斗さんも食べましょう!」

栄斗「あぁ。」

 

 若宮さんに呼ばれ彼も皆の方に行きました。

 

麻弥「これ美味しいっすね!」

イヴ「栄斗さんの料理はどれも美味しいんです!」

栄斗「...なんで、イヴが誇らしげなんだ。」

 

 彼はとても楽しそうです。

 

紗夜「__あなたの心は救われたようですね。」

 

 私は彼にそう話しかけました。

 

 彼は少し笑みを浮かべて答えました。

 

栄斗「...はい、これも皆のおかげです。」

紗夜「ふふっ、そうですか。」

栄斗「はい。」

 

 しばらくすると、料理が残り少なくなってきました。

 

栄斗「じゃあ、デザートにしましょうか。」

彩、日菜「待ってました!」

 

 丸山さんと日菜がそう言うと、八舞君がケーキを切り分けました。

 

栄斗「はい、皆さんどうぞ。」

千聖「へぇ、切るの上手なのね。」

栄斗「...普通ですよ。」

 

 皆がケーキを食べ始めました。

 

 このケーキ、手作りらしいですが、すごいですね。

 

栄斗「あ、もう一つデザートありますよ。」

 

 彼はそう言うと、一つの容器を取り出しました。

 

イヴ「栄斗さん!これはまさか!」

栄斗「あぁ、ジンジャークッキーだ。」

イヴ「やっぱりですか!すごいです!栄斗さん!」

栄斗「...まぁ、食べてみてくれ。」

イヴ「はい!」

 

 若宮さんはクッキーを口に入れました。

 

 表情でわかります、美味しいんですね。

 

イヴ「すっごく美味しいです!」

栄斗「よかった。」

日菜「八舞君って女子力高いよね~!」

彩「あ、それ!私も思う~!」

麻弥「ジブンもっす!」

紗夜「......女性としては悔しくもありますけどね。」

千聖「そうね。」

 

 私達は各々、感想を口にしました。

 

 正直、彼は何でもできます。

 

栄斗「......紅茶淹れますが、いる人は?」

 

 彼がそう言うと、私を含めた全員が手を挙げました。

 

栄斗「......じゃあ、淹れてきます。」

 

 彼はそう言うと、キッチンの方に行きました。

 

 そして、少しすると戻ってきました。

 

栄斗「__はい、どうぞ。」

 

 彼は淹れて来た紅茶を配って行きました

 

 私は紅茶を一口飲みました。

 

 ......美味しいです。

 

千聖「あら?この紅茶...」

栄斗「どうしました?」

千聖「美味しいわ。」

 

 白鷺さんも目を丸くしています。

 

千聖「私のマネージャーにほしいわ。」

栄斗「ははは、断っておきます。」

千聖「あら、残念ね♪」

 

 白鷺さんの雰囲気がいつもと少し違いますね。

 

 楽しいんでしょう。

 

 しばらくすると、丸山さんが口を開きました。

 

彩「__そろそろ、プレゼント渡そうよ!」

紗夜「まぁ、いい頃合いですね。」

 

 そうすると、各々プレゼントを出しました。

 

 丸山さんが文房具セット、大和さんが時代劇のDVD、白鷺さんが遊園地の招待券、私と日菜は城の置物。

 

 そして......

 

栄斗「......俺か。」

彩「よっ!おおとり!」

千聖「八舞君は何を送るのかしら?」

麻弥「ジブン、気になりますっ!」

栄斗「ハードル上げるのやめません?」

紗夜「......大丈夫です、八舞君。」

栄斗「氷川さん......」

日菜「そうだよ!あんなに悩んだんだから!」

栄斗「日菜さん......じゃあ__」

 

 彼は一度、深呼吸をして......

 

栄斗「俺からはこれだ。」

 

 彼は昨日買ったネックレスを出しました。

 

イヴ「え!?いいんですか!?」

栄斗「構わない。」

 

 彼は一見、いつもと変わらないように見えますが、かなり緊張しています。

 

栄斗「...イヴ。」

イヴ「はい!」

栄斗「その石の石言葉は『永久不変』なんだ。だから、その、これからも、一緒にいてくれ。」

 

 彼は若宮さんから少し目をそらして言いました。

 

イヴ「......」

栄斗「イヴ?」

 

 若宮さんは涙を流していました。

 

栄斗「どうした!?イヴ!?」

イヴ「私、嬉しいんです!でも、涙が出ちゃうんです...!」

紗夜(あっ......)

 

 嬉しそうな若宮さんと彼の姿が遠く見えます。

 

栄斗「...これからも、一緒にいてくれるか?」

イヴ「はい!これからも、ずっと一緒にいます!」

紗夜(......)

 

 それからの事は、よくわかりません。

 

 ただ、私は分かりました。

 

紗夜(彼の目に、私は写っていないです。)

 

 でも、何もしないで終わらないと決めました。

 

紗夜(ベランダに出た?)

 

 私は彼を追って、ベランダに行きました。

__________________

 

栄斗「ふぅ、みんなが楽しそうでよかった。」

紗夜「__そうですね。」

 

 ベランダで一息ついている彼に話しかけました。

 

 今にも心臓が爆発しそうです。

 

栄斗「氷川さん。」

 

 彼は静かに私の名前を呼びました。

 

 ......もう、これを聞けることもないのですね。

 

栄斗「氷川さんは混ざらないんですか?」

紗夜「......私はああいうのは苦手なんです。」

栄斗「......それっぽいっすね。」

 

 何を話せばいいか分かりません

 

 今、私は何の話をすることを求めているのか、それすらわかりません。

 

紗夜「__若宮さんと仲がよろしいんですね。」

 

 気づけば、そんな言葉が出ていました。

 

栄斗「まぁ、大切であることは間違いないです。」

 

 その言葉に彼は迷うことなく、そう答えました。

 

 大切、ですか......

 

紗夜「......若宮さんは幸せ者ですね。」

栄斗「そうでしょうか?」

紗夜「えぇ、思ってくれる人がいるのは幸せですよ。」

栄斗「まぁ、そうですね。」

 

 彼は自分も、と言った感じでそう答えました。

 

 彼は、確か両親が......

 

 あの時の言葉はそう言う意味だった......

 

紗夜「八舞君は覚えてますか?初めて会った日の事を。」

栄斗「......えぇ。」

紗夜「あの時、私は自分の無力を呪いました。そんな時に八舞君は励ましてくれましたね。」

栄斗「......氷川さんは正しいことをしてたんだ、自分を呪うことなんてなかったんですよ。」

紗夜「それでも、私は嬉しかったんです。私は風紀委員でもやりすぎと言われてますから。」

 

 彼はいつも優しい。

 

 あの時からずっと。

 

 彼から目が離れません。

 

 そう、私はここで......

 

栄斗「どうしたんですか?氷川さ__」

紗夜「私はあなたの事が好きです。」

栄斗「__え?」

 

 ......散っていくのですね。

 

栄斗「え?な、なんで?」

紗夜「......わかりません。私も気づいたのは最近なんですから。」

 

 私は彼をまっすぐ見ました。

 

 どんな結果も受け入れられるように。

 

紗夜「私と付き合ってくれますか?」

 

 私はそう問いかけました。

 

 彼は少しうつ向いて、苦しそうな声で

 

栄斗「...少し待ってください。」

 

 そう答えました。

 

 振るわけでも、受け入れるわけでもない。

 

 考えれば、優しい彼がすぐに振るとは考えられないですね。

 

紗夜「......あなたなら、そう言うと思いました。私はいつまでも待ちます。」

 

 そう言って、私は室内に戻りました。

 

 心臓が激しく動いています。

 

紗夜(さようなら、私の初恋の人......)

 

 私は見え透いた結果を見据え、そう心の中でつぶやきました。

 



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分岐1(TRUE END)

 八舞君に告白して、一晩が過ぎました。

 

 どんなに時間が経っても、心臓の動きが治まってくれることはなく、ずっと、激しく動き続けています。

 

紗夜(......)

 

 でも、私の気分は全く、舞い上がることはありません。

 

 だって、もう、分かっているんです。

 

 私は彼の目に写ることはないって。

 

日菜『おねーちゃん。』

紗夜「......日菜?」

日菜『少し、お話ししていい?』

紗夜「えぇ。入ってもいいわよ。」

日菜『ううん。このままでいい。』

 

 意外なことに日菜は扉越しに話すと言いました。

 

紗夜「どうしたの?日菜。」

日菜『おねーちゃん。栄君に告白したよね?』

紗夜「......えぇ。」

 

 日菜の静かな問いかけに、私は答えました。

 

日菜『そう。』

 

 日菜は意外にも淡白な返事をしました。

 

 いつもの日菜からは考えられないです。

 

日菜『おねーちゃん。』

紗夜「どうしたの?」

日菜『......最後まで諦めたらダメだよ。』

紗夜「!」

 

 日菜がそう言うと、ドアの向こうから足音が聞こえました。

 

 多分、日菜が部屋に戻ったんでしょう。

 

紗夜「......」

 

 日菜がいなくなると、室内は異様なほど静かになりました。

 

紗夜「......無理よ。」

 

 これのあの顔を見た後に、受け入れてもらえるなんて、思えないもの......

 

 こうして、私の時間はゆっくりと過ぎていきました。

__________________

 

 月曜日です。

 

 私はいつも通り、早めに学校に来ていました。

 

燐子「__おはようございます......氷川さん。」

紗夜「白金さん。おはようございます。」

 

 私が席に座っていると、白金さんが話しかけてきました。

 

 その時、私の携帯が鳴りました。

 

紗夜「!」

 

 画面にはメールを受信したという表示。

 

 そして、その内容は......

 

栄斗『今日、放課後に屋上に来てください』

 

 でした。

 

 私は携帯を握りしめました。

 

燐子「ひ、氷川さん......大丈夫ですか......?」

紗夜「え、えぇ。大丈夫ですよ。」

 

 口ではそう言うものの、実態は全く大丈夫じゃありません。

 

 治まりかけていた拍動がまた激しくなり、汗も止まりません。

 

紗夜(......最後の時、ですね。)

 

 私は大きく深呼吸をしました。

 

 フラれるのは分かってる、でも、もしかしたら......ありえないのに、そう期待してしまう。

 

 もしも、私が選ばれたら、どんなに......

 

紗夜(いえ、考えるのはやめましょう。......フラれた時、辛くなってしまうだけです。)

 

 私はそう自分に言い聞かせ、そう言う考えを振り切りました。

 

 今日の放課後までの時間は、昨日からは信じられないほどに早く過ぎていきました。

__________________

 

 放課後、私は廊下を歩き、屋上に向かっていました。

 

 今日の授業内容や会話内容なんて何一つ覚えていません。

 

 ただひたすら、彼の事で頭が一杯でした。

 

紗夜「__着いた。」

 

 着いてしまった。

 

 そうとも取れる声色で私はそう言いました。

 

紗夜(今からここで、私は......)

 

 今からでも泣いてしまいそうです。

 

 ここまできて、フラれたくない、その思いが強くなってしまいます。

 

 そう思っていると、屋上の扉が開きました。

 

栄斗「__お早いですね、氷川さん。」

紗夜「えぇ、好きな人を待たせるのは忍びないですから。」

栄斗「......そうですか。」

 

 目の前には、彼、私の好きな人がいます。

 

 本当ならさらに緊張が増すはずなのに、彼の声を聞くと逆に安心してしまいます。

 

紗夜「今日はあの時の返事と思っていいんでしょうか?」

栄斗「はい。間違いありません。」

紗夜「そうですか......」

 

 沈黙。

 

 私の口からも彼の口からも言葉が発せられることはありません。

 

 ですが、いつまでもこうしていられないので、私は意を決して話を切り出しました。

 

紗夜「......それでは教えてください。あなたの気持ちを。」

栄斗「はい......」

 

 彼は少し空気を吸って__

 

 ”分岐点"

 

栄斗「__俺は氷川さんと付き合うことは出来ません。」

紗夜「......やっぱりですか。こうなることは何となくわかっていました。」

栄斗「氷川さん......」

 

 彼は今、とても悲しそうな顔をしています。

 

 多分、私も同じような顔をしているんでしょう。

 

紗夜「もう、私はあなたの近くにはいられませんね。」

 

 もう、私は彼と若宮さんの邪魔。

 

 もう、彼の前には姿を出せません。

 

 そう、思っていました。

 

栄斗「__そんな事はあり得ません。」

 

 彼は私の考えを全否定するように力強くそう言いました。

 

紗夜「え、な、なんで?私はあなたにフラれて__」

栄斗「フッったとしても。氷川さんは大切な友達です!」

紗夜「!!」

 

 彼は大きな声でそう言いました。

 

 友達、それは......

 

栄斗「俺には覚悟がなかった。断れば氷川さんが離れてしまうのではないのかと。でも、それは、間違いだった。」

紗夜「......」

栄斗「どんなことがあっても、氷川さんは大切な友達だ。だから、離れる必要なんかないんです。」

 

 離れる必要なんかない。

 

 彼はそう言いました。

 

 私が邪魔ではない、そう言いました。

 

紗夜「......あなたは優しいですね。」

栄斗「そんなことは、ないです。」

 

 彼はそう否定しました。

 

 でも、私は彼が誰より優しい事を知っています。

 

紗夜「ありがとうございました。」

栄斗「......いえ。」

 

 彼は苦しそうな声でそう言いました。

 

紗夜「でも、残念ですね。あなたみたいな人には、滅多に出会えないでしょうに。」

栄斗「買い被りです。氷川さんにはもっと素敵な人が現れます。」

紗夜「どうでしょうね。」

栄斗「俺は少なくとも、そう願ってますよ。」

紗夜「そうですか。」

 

 私は彼に笑いかけながらそう言いました。

 

紗夜「あなたは若宮さんが好きなんですよね?」

栄斗「な、なんでそのことを?」

紗夜「......ばれていないと思っていたんですか?」

栄斗「はい......」

 

 なぜあれでばれないと思っているのかは謎でしたが、まぁ、彼らしいですね。

 

紗夜「あなたも若宮さんに告白するんですか?」

 

 私はそう尋ねました。

 

 告白すると、答えてほしくて。

 

栄斗「......まぁ、その予定です。」

 

 彼は私の期待通りの答えを出してくれました。

 

紗夜「そうですか!なら、頑張りなさい!」

栄斗「氷川さん......」

 

 笑顔を保てない。

 

 もう、限界なのね......

 

紗夜「もう、いきなさい。」

栄斗「氷川さんは?」

紗夜「私はもう少し、風にあたっていきます。」

栄斗「......そうですか。」

 

 彼は静かにそう言って、屋上から出て行きました。

 

 私は一人、屋上に残っていました。

 

紗夜「__結局、フラれてしまいましたね...」

日菜「おねーちゃん......」

紗夜「あら?日菜?来ていたの?」

日菜「うん......」

 

 私は夕日を見ながら日菜と話しました。

 

 でも、日菜の声から気まずさが伝わってきます。

 

紗夜「やはり、私じゃダメだったわ。」

 

 今にも、涙があふれてしまいそう。

 

 もう、終わったの......?

 

日菜「お姉ちゃん!」

 

 日菜が抱きしめてきました。

 

 今の私には、色んな意味で苦しいわ。

 

紗夜「......放して、苦しいわ。」

日菜「嫌だよ、お姉ちゃん。悲しいときは泣いてもいいんだよ。」

 

 もう、ダメ......

 

 抑えられない......

 

紗夜「最初から分かっていたんです!八舞君が若宮さんを好きなことは...」

日菜「うん。」

紗夜「でも、諦められなかったんです!私を励ましてくれて、認めてくれた彼を!」

日菜「......うん。」

 

 この時、何を言ったかはよく覚えていません。

 

 でも、全てを吐き出せたような、そんな気がしました。

 

日菜「(栄君......お姉ちゃんをふったんだからね。イヴちゃんと幸せにならないと許さないから。)」

紗夜「日菜、ごめんなさい...」

日菜「全然大丈夫だよ!」

紗夜「仕事があって来たんでしょう?行きなさい。」

日菜「はーい!」

 

 私は屋上から遠くの景色を見て、こう願いました。

 

紗夜「お幸せに......八舞君。」

 

 さようなら、好きな人。

 

 そして、はじめまして__

 

紗夜「私の、大切なお友達。」

 

 私は笑顔でそう呟きました。

 



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分岐2(紗夜END)

 ”分岐”

 

栄斗「__俺は、氷川さんが好きです!」

紗夜「え......?」

 

 私は耳を疑いました。

 

 彼は今、なんて言ったんですか......?

 

紗夜「い、今......」

栄斗「何度でも言います。」

 

 彼は私に近づいてきました。

 

栄斗「俺は、氷川さんが好きです。」

 

 今度はしっかり聞こえました。

 

 彼は確かに、私が好きだと言いました。

 

紗夜「な、なんで。八舞君は若宮さんが......」

 

 彼は若宮さんが好きなはずなんです。

 

 若宮さんが大切で、好きで......

 

栄斗「俺はイヴの事を大切としか言っていません。」

紗夜「!」

栄斗「確かにイヴは大切な存在です。でも、それと好きは一致しない。」

 

 確かに、彼は大切としか言っていない。

 

 でも、あの誕生日は......

 

栄斗「イヴに聞いてみてください。俺とイヴの間にあるのは家族愛です。」

紗夜「家族、愛......?」

栄斗「そうです。俺がイヴに送ったのは『スフェーン』意味はご存じの通り、永久不変。」

 

 彼は私に話し続けました。

 

栄斗「俺とイヴの関係は変わることがないんです。ずっと。」

紗夜「と、という事は......?」

栄斗「俺とイヴは家族。俺が好きなのは氷川さんです!」

 

 彼はそう言いました。

 

 その時、私の感情はあふれ出してしまいました。

 

紗夜「八舞君!」

栄斗「おっと。」

 

 私は彼に抱き着きました。

 

 突然の出来事にも関わらず、彼は私を優しく受け入れてくれました。

 

栄斗「どうしました?氷川さん。」

紗夜「嬉しいんです......。ずっと、フラれると思って、不安で......」

栄斗「氷川さん......」

 

 私がそう言うと、彼は優しく頭を撫でてくれました。

 

 言葉はない、でも、安心してと聞こえてきた気がして、とても安心できました。

 

栄斗「それで、氷川さん。」

紗夜「......紗夜、です。」

栄斗「え?」

紗夜「名前で、呼んでください。」

栄斗「......紗夜さん。」

紗夜「......仕方ないですね。」

 

 さん付けは、仕方ないですね。

 

 それから彼は気を取り直したと言う感じで、こう言いました。

 

栄斗「好きです、紗夜さん。俺と付き合ってください。」

紗夜「......はい!」

 

 私はそう答えました。

 

 この答え意外、ありえません。

 

 幸せが心に満ちて、溢れて、止まりません

 

栄斗「それじゃあ、えっと、よろしくお願いします。紗夜さん。」

紗夜「はい。これから、よろしくお願いします......栄斗君!///」

 

 私は、この日、大切な恋人が出来ました。

 

 私は今、本当に幸せです!

 

日菜「__良かったね。おねーちゃん。」

__________________

 

 数年後。

 

 私と栄斗君はたくさんの時間を過ごしました。

 

 そして、今日は__

 

栄斗「__綺麗ですよ。紗夜さん。」

紗夜「ありがとうございます。」

 

 私と栄斗君の結婚式です。

 

 彼はいつもより髪型を整えて、タキシードを着て、とてもかっこいいです。

 

 今日、結婚するんだと、実感がわいてきます。

 

イヴ「__エイトさん!サヨさん!」

日菜「やっほー!二人ともー!」

栄斗「イヴ!日菜さん!」

紗夜「いらっしゃい。」

 

 私達が話してると、日菜と若宮さんが来ました。

 

 二人とも忙しいのに。

 

栄斗「忙しいのに、わざわざありがとう。」

イヴ「いえ!エイトさんの晴れ舞台ですから!」

日菜「そうだよー!他の皆ももう来るし!」

紗夜「冷静に考えると、アイドルグループが来るのね。」

栄斗「そうですね。」

イヴ「私はアイドルである前にエイトさんの家族です!」

栄斗「ははは、そうか。」

 

 家族。

 

 若宮さんは栄斗君とずっと家族として寄り添っていました。

 

 本当に彼にとって大切な存在だったのだと思います。

 

イヴ「そして、これからはサヨさんも家族です!」

日菜「じゃあ、あたしも家族だね!」

栄斗「ははは、そうかもですね。」

紗夜「大家族ですね。」

栄斗「日菜さんの面倒を見るのが大変ですね。」

日菜「えぇ!?どういうことー!?」

紗夜「ふふっ。」

 

 しばらく談笑していると、スタッフの人が入ってきました。

 

紗夜「そろそろ、時間ですね。」

栄斗「そうですね。」

日菜「じゃあ!あたしたちも向こうに行ってるよ!」

イヴ「お二人の晴れ舞台、楽しみにしています!」

 

 二人はそう言って、会場の方に行きました。

 

栄斗「それでは、行きましょうか。」

紗夜「ねぇ、栄斗。」

栄斗「はい?」

紗夜「いつまで、敬語で話すのですか?」

栄斗「?」

 

 ほんとに、こういう時は異常に察しが悪いんですよ。

 

 まぁ、慣れましたけど。

 

紗夜「結婚するんですから、敬語はいらないでしょう?」

栄斗「あー、そうかも。」

 

 彼は納得したような表情をすると、彼はこう言いました。

 

栄斗「じゃあ、紗夜って呼ぶ。」

紗夜「それでいいんですよ。」

 

 私は彼に微笑みかけました。

 

栄斗「それじゃ、行くか。」

紗夜「えぇ。」

 

 私達は歩きだしました。

 

栄斗「__紗夜。」

紗夜「はい?」

栄斗「式の前に先に言っとく。」

紗夜「?」

栄斗「これからもよろしく。出来れば、ずっと。」

紗夜「えぇ。こちらこそ。ずっと、一緒にいましょう。」

 

 俺たちは手を繋いで、皆のもとに向かって行った。

 

 偶に二人で微笑みあいながら。




覚悟の果てが完結したので、新しいシリーズを始めます。
恋愛のブシドーは偶に投稿します。(ネタがあればメタ回。季節ネタなど。)

新作はオリジナルで恋愛メインというよりは趣を変えてバトル物(結局、恋愛要素はある)でも書こうかなと。

お暇があればバンドリではないですが見ていただければ。

似通った作品が多いので、箸休め(?)的な感じで書きたいのでご容赦を。


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番外編
戸山咲、襲来


バンドリ3周年は2バンド追加されるんですかね?

RASの追加は嬉しいです。

もう一つは、ましろが可愛い。


 夏休みも終わり、季節は秋になった。

 

明日香「__あ、八舞先輩。」

栄斗「明日香か。」

明日香「おはようございます。」

栄斗「あぁ。」

 

 3日前、俺は明日香と和解した。

 

 最高の友人、それが今の俺と明日香の関係だ。

 

栄斗「元気そうで何よりだ、明日香。」

明日香「はい。あれから調子も良くなりました。」

栄斗「そうか。」

 

 胸をなでおろすって、こういう事なんだろうな。

 

 多分、もう明日香は安心だ。

 

 そんな雰囲気がする。

 

 それから俺と明日香は途中まで一緒に学校に行くことにした。

__________________

 

栄斗「......?」

 

 少し歩いてるうちに、変な気配がした。

 

明日香「八舞先輩?」

栄斗「......明日香、ちょっとこっちに来てくれ。」

明日香「え?はい。」

 

 明日香は俺に近づいてきた。

 

 気配は段々と近づいて来てる。

 

栄斗(距離は大体15ⅿか。明らかにこっちに敵意を向けてる。)

 

 やつは少しずつ、距離を詰めてきてる。

 

明日香「どうしました?」

栄斗「避けろ!明日香!!」

明日香「え?__」

 

 __ズドン!!!

 

 俺は明日香を抱えて、攻撃を避けた。

 

 俺たちが、いや、俺がいた場所には木刀が突き刺さっていた。

 

栄斗(15ⅿを一瞬で詰めただと?なんて速さだ。)

?「......よく避けたね。完全に仕留められるタイミングだったんだけど。」

 

 木刀を振るった人物はそう言ってきた。

 

栄斗「あんたは誰だ。こんな早朝から穏やかじゃないな。」

明日香「え?咲?」

咲「......おはよ、明日香。」

 

 明日香の知り合いか?

 

 それなら、取り合えず明日香に危険は行かないか。

 

明日香「何してるの?」

咲「......そこの男を仕留める。そのためにずっと観察してた。」

栄斗「俺を仕留める、ね。」

 

 確かにすごい気配だ。

 

 もしかしたら、西園と同等、それ以上の強さ。

 

 話しながらでも、こっちに向けた殺意と隙のない構え。

 

栄斗「剣道か。しかも、かなりの熟練度だ。」

咲「へぇ、分かるんだ。」

 

 今にも攻撃を仕掛けてきそうだ。

 

 この距離で避けられるか?

 

栄斗「俺を仕留めるって。俺はあんたに何かしたか?」

咲「......何かしたか?」

栄斗「__!」

 

 目の前を木刀が通過した。

 

 空気が切り裂かれる音、当たったらただ事じゃない。

 

 しかも、この踏み込みのスピード。

 

 常人なら瞬間移動に見えるぞ。

 

咲「明日香を泣かせておいて、よくもそんな事を......!」

栄斗「っ......」

明日香「ちょ、咲、違うの!あれは!」

咲「私はお前を潰す。絶対に、何があっても。」

栄斗「......」

 

 反論の余地がない。

 

 俺が明日香を泣かせたのは紛れもない事実だ。

 

 明日香と和解したことで許されたなんて俺は全く思っていない。

 

咲「......お前が終われば、次は斎藤雅。母子家庭の男が香澄を幸せにできるはずない、潰す。」

栄斗「なに?」

咲「何?素直に潰される気になった?」

栄斗「今、なんて言った?」

咲「だから、母子家庭の男が香澄を幸せにできるわけないって言ったの。」

栄斗「......雅を馬鹿にしてんじゃねぇぞ。」

 

 幸せにできない?雅が?

 

 こいつは何を言ってる?お前は雅の何を見た?戸山の何を見た?

 

咲「何言ってるの?当然の事を言っただけなんだけど?」

栄斗「......人の幸せの定義をお前の勝手な価値観で決めるなよ。」

咲「決めてないよ。でも、普通に考えてあんな不良といたら香澄の幸せが失われちゃうでしょ?」

栄斗「あんな不良?道端で初対面の相手に木刀を振り回す常識知らずが何をほざいてる。」

咲「はぁ。こんな事普段するわけないでしょ?もういいから、斎藤雅共々さっさと潰されてよ。」

 

 正直、俺だけなら許せた。

 

 だけど、雅はあいつの侮辱は許容しない。

 

栄斗「......あんまり調子に乗ってると、あんた、殺すぞ。」

咲「__!(なんて、殺気。これは、流石にやばい。)」

 

 戸山咲が構えた。

 

 もういい、ここで戦いが始まろうが倒す。

 

明日香「やめて!二人とも!」

栄斗「悪い、明日香。俺はこいつを許すわけにはいかない。」

咲「は?許せないのは私の方なんだけど。」

 

 踏み込んで来たら、一瞬で決着をつける。

 

 2回見た動き、簡単に対応してやる。

 

栄斗、咲「......」

 

 空気が、張り詰めていく。

 

 一瞬で仕留める。

 

咲「行くよ......!」

栄斗「終わらせる......!」

?「__そこの二人!やめなさい!!」

栄斗、咲「っ!」

 

 __俺とあいつは攻撃を止めた。

 

 俺の手刀、あいつの木刀は両方とも首元で寸止めだ。

 

 タイミングはほぼ同時だった。

 

咲「......邪魔しないでよ。翼。」

翼「邪魔じゃないです!道の真ん中で何をしているのですか!」

栄斗「あの人は、氷川さん?」

 

 いや、違う。

 

 似てるけど、気配が違う。

 

翼「いつも通り家に行ったら、もう出たと言われて来てみれば。」

 

 翼、そう呼ばれた人物は俺たちの方を見た。

 

翼「朝から道で喧嘩なんてやめてください!」

咲「......ふん。」

 

 あいつは木刀を引いた。

 

 それを見て俺も手を引いた。

 

咲「......もう少しで仕留められたのに。」

栄斗「ほざくなよ。素手の分、俺の方が早かったんだぞ。」

咲「は?」

翼「だからやめなさい!」

 

 __ごつん!!!

 

 ゲンコツが落ちた。

 

 すごい音したな。

 

咲「......痛い。」

翼「やめないからです。」

咲「......八舞栄斗。」

栄斗「......なんだ。」

咲「この後、剣道場。そこで仕留める。」

栄斗「いいだろう。お前の木刀もろとも、心もへし折ってやる。」

咲「......ふん。」

 

 そう言うとあいつはどこかに走って行った。

 

栄斗「......くそっ。」

明日香「や、八舞先輩?」

栄斗「悪い、明日香。」

 

 俺はそう言って、学校の方に歩いて行った。

 

明日香「先輩!......行っちゃった。」

翼「一体、何がどうしたんですか?」

明日香「咲が、お姉ちゃんの彼氏の人を馬鹿にして、それで怒ったんだと思います......」

翼「なるほど。それは、咲が悪いですね。」

明日香「大丈夫でしょうか......」

翼「......さぁ、どうでしょうか。」

__________________

 

 剣道場に来た。

 

 俺は建物の中に入った。

 

イヴ「__あれ?エイトさん?」

栄斗「......若宮か。」

イヴ「どうしたんですか?剣道場に来て?」

栄斗「少し、用があってな。」

咲「__やっと来たんだ。」

 

 剣道場の奥にいた。

 

咲「逃げたのかと思ったよ。」

栄斗「ふん。逃げる必要がどこにある?勝てる相手なんかに。」

 

 俺は剣道場の中に入った。

 

イヴ「ど、どうしたんですか!?」

栄斗「気にしなくていい。」

咲「そうだよ、イヴ。」

 

 戸山咲はこっちに近づいてきた。

 

咲「さぁ、勝負を始めよっか。使いたいなら木刀使ってもいいけど。」

栄斗「いらん。これ以上差を広げても意味がない。」

咲「......あっそ。」

 

 俺とやつは剣道場の真ん中に行った。

 

 そして、そこでにらみ合った。

 

剣道部員「ちょ、なにこれ!?」

イヴ「エイトさんとサキさんが勝負すると......」

剣道部員「えぇ!?あの男子、大丈夫なの!?」

イヴ(エイトさんがすごいのは分かっています。でも、サキさんが相手じゃ......)

 

咲「__勝利条件は相手に負けを認めさせること。」

栄斗「いいだろう。」

咲「それじゃあ」

 

 俺と奴は構えた。

 

咲「いくよ!」

 

 奴が切り込んできた。

 

 さっきより数段速い。

 

栄斗「ふんっ。」

咲「まだまだ......!」

 

 攻撃が途切れない。

 

 物凄い速さで何回もフェイントを入れて確実に急所を狙ってきてる。

 

 でも

 

栄斗「__もう、手遅れだ。」

咲「っ!」

 

 俺はやつを突き飛ばした。

 

咲(あの速さで対応された?しかも、手遅れ?)

栄斗「もう、お前の攻撃は俺に届くことはない。」

咲「ありえない。まぐれで触れたくらいで調子に乗らないで!」

 

 また真っ直ぐ、切り込んできた。

 

 木刀は確実に俺の首を狙ってきてる。

 

 ......もう、通用しないのに。

 

咲「え......?」

 

 バキバキバキ!!!

 

 木刀は俺に届く直前に折れた。

 

咲「な、なんで......?」

栄斗「ゾーンって知ってるか?」

咲「!」

栄斗「完全に集中した状態で、その状態なったものは考えられないようなパフォーマンスを発揮するとか。」

咲「それに、何の関係が......?」

栄斗「俺のゾーンに入るか入らないかは自由。つまり、いつでも入れる。」

咲「なっ......!」

 

 この状態になれば、奴の動きもなんでも止まって見える。

 

 いくつフェイントを入れようが、どんなにスピードを上げてようが、関係ない。

 

 何を頑張っても、何を工夫しても無駄だ。

 

栄斗「さて、俺のターンだ。」

咲「!」

栄斗「完膚なきまでに叩きのめしてやるよ。雅への侮辱の分な。」

 

 俺は拳を握った。

 

栄斗「痛みを持って償え!!!」

咲「っ......!」

 

 ”咲”

 

 負けた。

 

 私は剣道しかできないから、木刀を折られた時点で負け。

 

 でも、八舞栄斗の怒りはもう治まらない。

 

 私はもう、目を閉じて耐えるだけ。

 

 そう思って、私は目を閉じた。

 

咲(......あれ?)

 

 おかしい。

 

 まだ、何も痛みが来てない。

 

 もう、10発以上撃ち込まれてても不思議じゃないのに。

 

 私は閉じてた目をゆっくり開いた。

 

咲「!」

 

 目を開けると、目の前には新しい原稿用紙があった。

 

栄斗「なーんてな。よく考えれば、俺に女を殴る趣味はなかった。」

咲「え......?」

栄斗「ま、泣いてしゃがみこんだし、俺の勝ちでいいだろ。」

 

 八舞栄斗は笑みを浮かべながら私を見てる。

 

 まるで、叱られて泣いてる子供をあやすみたいに。

 

栄斗「ちなみにこれは反省文な。道端で木刀振り回したから。期限は放課後まで。」

咲「な、なんで。」

栄斗「ん?」

咲「あんなに、怒ってたのに。なんで、こんな事......」

栄斗「聞いてなかったのか?俺に女を殴る趣味はないんだよ。あと、俺はそこまで怒ってない。いや、雅の事は本気だったけど、明日香の事は俺が悪いし、お相子だ。」

 

 八舞栄斗は出口の方に歩いて行った。

 

 もう、私に攻撃の意思がない事を分かってるんだ。

 

咲「......負けたよ。八舞栄斗。」

栄斗「最初から勝ってたよ、俺。」

咲「そう。」

栄斗「あっ。」

 

 何かお思い出したように、八舞栄斗は振り向いた。

 

栄斗「俺は何も手を出さないけど。」

咲「?」

栄斗「後ろの、翼さんは俺は知らないからな。」

咲「え?」

 

 私は後ろを振り向いた。

 

翼「派手に暴れましたね、咲。」

咲「」

翼「ゲンコツ、と言いたいところですが、今回は彼に免じてなしにしてあげましょう。」

咲「え?」

翼「その代わりに。」

 

 翼はカバンから原稿用紙を出した。

 

翼「追加の反省文。しっかり提出するんですよ?」

咲「」

翼「返事は?」

咲「......はい。」

__________________

 

栄斗「__完全勝利。でも、可哀想に。」

 

 あの人なりに戸山と明日香の事を考えた結果の行動だろう。

 

 少し周りが見えなくなっただけだ。

 

 そんなに悪意のある人物に見えなかったし、俺の負の感情のセンサー的なのにも引っかかってないし。

 

 そう思ったら、あの人、可哀そうだな。

 

雅「よぉ、八舞。」

栄斗「おっ、雅。」

 

 俺が教室に行くと、雅がいた。

 

雅「なんか剣道場の方で騒ぎがあったみたいだが、どうしたんだ?」

栄斗「さぁ?剣道部が盛り上がったんじゃないか?」

雅「そうか。って、あ。」

栄斗「うん?」

 

 雅は何かを思い出したような声を出すと、カバンから何かを取り出した。

 

雅「なんか、市ヶ谷が氷川先輩からってこれを。」

栄斗「なんだこれ?」

雅「反省文だとよ。」

栄斗「」

雅「あとこれ。」

 

 雅の持ってる手紙には、氷川さんの字でこう書かれていた。

 

紗夜『戸山咲さんは年上なので、口の利き方には一応、気をつけましょう。』

 

 ......マジかよ。

 

 あの人、年上だったのかよ。

 

雅「まぁ、何があったか分からんが。頑張れ。」

栄斗「......引き分けだな。戸山咲、さん。」

 

 俺は机に顔を伏せた。

 



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3周年の事を語ろう

栄斗「バンドリ、三周年。」

こころ「いえーい!」

モカ「いえーい」

紗夜「い、いえーい?」

 

栄斗「初っ端からグダグダ始まりました、三周年におけるメタ回。」

紗夜「ここでは、3周年を前に情報のおさらいをしたりしようという企画です。」

モカ「大体の人が分かってると思うけどー、そこはご愛嬌ー。」

こころ「それじゃあ!行くわよー!」

 

 ”アップデート”

 

栄斗「3月15日の16時から16日0時までのメンテナンスが入りますね。」

紗夜「実装されるのは、以下のものになります。」

 

・Live2Dモード

・リハーサル、デモプレイモード

・新スキル実装

          など

 

モカ「本当はもっとあるんだけど、今回はこれにライトを当てていくよー。」

こころ「まずは最初のLive2Dモードね!これは、そのままLive2Dでメンバーの掛け合いを見れるモードよ!」

栄斗「カメラワークやライティング演出、3周年に実装するのにはもってこいのシステムだな。」

紗夜「動作的にも、今回のアップデートで画面解像度の設定があるので、ある程度大丈夫だと思います。」

 

モカ「リハーサル、デモプレイモード。これは、ブーストを消費せずにプレイ出来たり、ライフがゼロになっても最後までプレイできたり、お手本プレイを見れたりするモードだねー。」

紗夜「これは後に出てくる話題にも繋がりますね。なので、ここでは割愛します。」

 

栄斗「新スキル。代表は125%アップか。」

紗夜「後は、1周目フェス限の120%へ上方修正ですね。」

栄斗「以上。」

 

 ”モルフォニカ”

 

栄斗「さぁ、ウォーミングアップは終わりだ。」

モカ「ここからが本気だよー。」

紗夜「本気って、何を語るんですか?」

こころ「すごく笑顔ね!」

栄斗「さぁさぁ、語って行きましょう。作者(天の声)が。」

紗夜、モカ、こころ「え?」

 

 モニカ来ますねー!

 RASの追加を予想してた自分は度肝を抜かれましたね

 前々から、ましろだけはストーリーに出て、透子が出て、急にCVが付き「あれ?」と思ったのも束の間、追加の発表

 上記のリハーサルやデモもモニカでキャッチできる新しい層の人が始めやすくなるようにと思ってます!

 ですが、これには、最初こそ賛否両論がありました

 引退宣言をするネット民がいたり、まぁ、かなり腹を立てた記憶があります

 でも今では肯定的な意見が増えて、嬉しい限りです

 自分は浅く見た感じはましろが好きです

 

栄斗「という事です。」

紗夜「もう天の声には突っ込みません。」

モカ「それにしても、来たねー。あたしたちの後輩がー。」

こころ「新しい仲間が増えて、また新しい笑顔が生まれるわね!」

栄斗「このバンドはドラムとバイオリンの中の人がガチだったりするリアルバンド。バイオリンの人は某動画サイトで見ましたが、すごかったです。期待ですね。」

モカ「今の所、二葉つくしちゃんの名前をよく見るねー。一番人気かなー?」

紗夜「つぐみさんに似たキャラのような気がしますし、好きな人は多いかもですね。」

こころ「瑠唯も昔の紗夜みたいで、どんな風に変わるか楽しみね!」

栄斗「それじゃあ、モニカについてはここまで。なんでかって?自己紹介ムービーしかキャラをよく見れてないからだ。」

 

 ”ガチャだぁぁぁあ!”

 

栄斗「ガチャだぁぁぁあ!」

紗夜「や、八舞君......?」

栄斗「すみません。作者に憑依されました。」

紗夜「え?」

こころ「ここからはみんな大好き、ガチャの話よ!」

モカ「種類は色々あるねー。」

 

・ドリフェス

・全メンバー集合無料ガチャ

・毎日無料ガチャ

・ミラチケガチャ

 

栄斗「さて、どれから紐解いていくか。」

紗夜「まずは、全メンバー集合ガチャじゃないでしょうか?」

栄斗「あー、一番謎が多い。」

こころ「これは、各パートでガチャを引いて全メンバーを獲得できるガチャなのね?」

モカ「これはー、作者的に結構グレーらしいんだよねー。」

栄斗「なんでかって、レアリティがな、確定じゃない。」

紗夜「これは非常に難しいですね。」

栄斗「ポシティブに考えるなら、☆2でも最低限モニカを確保できることかな。」

こころ「ポシティブに考えるのは大事ね!」

モカ「まとめー、グレー。次。」

 

栄斗「毎日無料ガチャ、よくあるやつ。次!」

紗夜「雑過ぎないですか?」

 

モカ「さぁさぁー、ドリフェスですよー。」

栄斗「安心と信頼のオアシス。何を隠そう、ここの作者はドリフェスで爆死をしたことがない。」

紗夜「今回はいつも通りの6%で新メンバーの確率は0.5%ですね。」

モカ「新メンバーは過去最大の9人、新メンバーが出る確率は高いねー。」

こころ「作者はモニカをある程度揃えたいと言ってたわ!」

栄斗(あっ、死んだな。)

 

モカ「それで最後、ミラチケー。」

栄斗「今回は一部フェス限と交換できるらしい。」

紗夜「メンバーは以下の通りです。」

 

丸山彩(ピュア)

氷川紗夜(パワフル)

青葉モカ(ハッピー)

松原花音(クール)

花園たえ(ピュア)

宇田川あこ(クール)

羽沢つぐみ(パワフル)

大和麻弥(ハッピー)

牛込りみ(クール)

瀬田薫(ピュア)

美竹蘭(ピュア)

今井リサ(ハッピー)

 

紗夜「これだけではなく、勿論、他のメンバーとの交換も可能ですが、大体の人はこのメンバーの誰かと交換するでしょう。」

栄斗「これについても言う事はない。ただな......」

紗夜、モカ、こころ「?」

栄斗「イヴと千聖さんと燐子さんを選択肢に入れてくれぇぇぇぇ!(作者の叫び)」

 

 ”最近のこと”

 

栄斗「最近、モニカの新作は出すのかと言われる事が多い。」

紗夜「そうなんですか?」

栄斗「はい。それで、今は特に書く事は決定してないので、要望次第ですね。」

モカ「モニカの扱いは難しいからねー。」

こころ「だから、作者の体勢は要望があれば書く!よ!」

栄斗「はい、以上。」

 

 ”まとめ”

 

栄斗「軽くおさらい、いや、言って行っただけだったな。」

紗夜「まぁ、作者は運営の人でもなんでもないので気になったことを語りました。」

こころ「3周年、皆で楽しみましょうね!」

モカ「おー。」

栄斗「後は、モニカで新作を書いてって人がいるならまぁ、要望いただければ。」

 

栄斗「じゃあ、それでは、0時に来る3周年に備えて、皆さんは今日という日を謳歌してください。」

モカ「作者は時間のスキップ(寝る)をしますのでー。」

こころ「それじゃあ!また会いましょう!」

紗夜「落ち疲れ様でした。」

 

 

 




ミラチケガチャを引く人は誰と交換しますか?
モニカは誰が好きですか?


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新作のご報告回

栄斗「お知らせのコーナー。」

千聖「今回は前々から要望が多かった、モルフォニカ新作の事について話します。」

栄斗「主人公の事とか、ヒロインとか、どんな趣旨の話になるかとかを話していきたいと思います。」

 

 ”主人公”

 

栄斗「それじゃあ、まずは主人公。」

千聖「プロフィールがあるので、どうぞ。」

 

 柊木司(ひいらぎ つかさ)

 

年齢:15歳(高校1年生)

誕生日:7月7日

身長:179㎝

好きなもの:金、成功

嫌いなもの:無駄、失敗、無能

 

 高校1年生にして、実業家。

 日本で回る金の36%は司の息がかかると言われており、海外にも影響力がある。

 その影響力からか、弦巻家すら司に大きな態度を取れない。

 英語、中国語、アラビア語を話せる。

 容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能と一見して理想的な男。

 だが、性格が良いとは言えず、自分の方が優れてると言う事から誰に対しても一切、高姿勢を崩さない。

 それを抜きにしてもスペックが良すぎるためか、女子から人気がある。

 裏で副業をしており、そちらでは別の名前を使っている。

 その優れ過ぎたスペックには秘密がある?

 

栄斗「おぉ。」

千聖「これは、パンチの強いキャラね。」

栄斗「高姿勢で頭脳と身体能力は俺以上らしいです。」

千聖「え?それ人間なの?」

栄斗「人間ですよ。ただ、俺とは根本的に違うだけです。」

千聖「?」

栄斗「副業が実は大事です。まぁ、主人公はこんな感じです。次はヒロイン。」

 

 ”ヒロイン”

 

栄斗「次はヒロイン。」

千聖「これは最初、倉田ましろちゃんにするはずだったのだけれど。」

栄斗「ストーリーを読んで好きになったので、このキャラにします。」

 

 広町七深

 

栄斗「作者曰く、この子以外にヒロイン向きな子が倉田ましろしか思い浮かばないらしいです。」

千聖「まぁ、ヒロインについてはストーリーを読むほうが早いわね。」

栄斗「そうですね。ぜひ、ストーリーを見てない人は見てください。」

千聖「それじゃあ、ストーリーの方に行きましょうか。」

 

 ”ストーリーとタイトル”

 

栄斗「ストーリーです。」

千聖「あ、これも届いてるのでどうぞ。」

 

 優れた人間、そう言われて自分以外を思い浮かべたことがない

 

 俺自身、一切それを疑問に思ったことはなかった

 

 なんでかって?俺は生まれた時からそれが約束されてたからだ

 

「__俺は禁忌から生まれた、人間の到達点だ。」

 

 禁忌、その言葉が指す意味とは?

 

栄斗「と言う感じです。」

千聖「禁忌、ねぇ。」

栄斗「これはなんなんですかね?(すっとぼけ)」

千聖「しかも、到達点って大きく出るわね。こっちには栄斗がいるのよ。」

栄斗「え?」

千聖「え?」

栄斗「俺なんて、まだまだ人間ですよ?」

千聖「いや、あなたも相当よ?」

栄斗「俺とはものが違いますよ。あれは。」

千聖「......そんなになの?」

栄斗「歴代最強、そう言っても差し支えないです。」

千聖「それ、やばくないかしら?ただでさえあなたでも......」

栄斗「ははは、まぁ、そのことはもういいでしょう。タイトル発表に行きましょう。」

 

千聖「タイトルは、これよ。」

 

『禁忌少年の月ノ森ライフ』

 

栄斗「タイトルを考えるのは苦手だ。」

千聖「もう、どうせシリアスになるのは分かってるもの、タイトルは緩くしましょうと言う。」

栄斗「つまり適当。」

千聖「以上よ。」

 

 ”まとめ”

 

栄斗「新作については以上です。」

千聖「深夜に投稿するので、見る人は是非見てください。」

栄斗「お疲れ様でした。」

千聖「お疲れ様。」



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