目の前にはゴミしか無かった。
人を殺すようなゴミ、汚いゴミ、異臭の漂うゴミ。
本当に気持ち悪いゴミしかなかった。
そしてそのゴミは自分も含まれると考えると……。
もう何も感じなくなり、ゴミであることを恥じなくなった。
ゴミならゴミらしく……そういう風に生きていこう。
そう決意した瞬間、体から蒸気のようなものが溢れ出した。
────ー
体にモヤがまとわりついてから2週間が経った。
自分と同じようなモヤを持っている人物に聞いたところ、それはオーラや念と呼ばれる類の能力だということが分かった。
しかし、その人物曰く僕は念の才能がないらしい。
纏う念の量とこれから増えるであろう見込みは、並かそれ以下。更にいえばここでのケンカで勝ったことなど一度もない。
根っからの負け犬。
だから『発』に関しては、もうどうやるかは決まっていた。
念能力には種類があるらしい、それを見分けるために水見式とう方法をとったのだが……先にコップが割れた。
これはどれにも該当しない能力、特質系と呼ばれるものらしい。
とりあえず『発』を作ることにした。
僕自身ケンカが強い訳では無い、どちらかと言えば参謀向きだろう。
だから簡単な思考回路だ。
「僕以外の力で僕以外が戦えばいい」
僕のオーラ総量ではロクなモノは生み出せない、それなら僕以外の誰かから強制的に寄生すればいい。
故に考えついた能力は……。
「《
・念能力者以外へ寄生し、無理やり念を習得させ全ての念を吸収する。寄生は原則非能力者にしか寄生できない。
・この能力は直接攻撃はできない、故に念での破壊は不可能。
・もし寄生対象が死亡し念能力がもう使えないと判断した場合に限り新たに寄生対象を選択することが出来る。
・この能力が除念された場合に限りこの能力は使用者の手元に戻り、今まで集めたオーラを糧に卵の殻を破り能力は完成し、《寄生の卵》の能力は永久に失われる。
制約
・この能力の発動中は強制的に絶状態となる。
誓約
・もし本能力が自分以外のコントロール下に置かれた場合、使用者は念能力を失い死亡する。
・発動中に使用者が死亡した場合、最後に寄生した相手又は現在寄生している対象に能力を譲渡する。
このゴミだめは思ったよりも静かに暮らせば死ぬことは無い。
たまにそういう殺し屋紛いな人もくるが、絶状態ならば見つかることは無いだろう。
ある程度リスキーな条件を持たなければ僕程度では死んでしまう。
それに潜伏する期間は長い方がオーラを集められるだろう。とその程度しか考えていなかった。
確かに考えが甘かったのかもしれない……。
まさかこの能力が、予想外の成長を遂げることになることを……。
────ー
早速能力を発動すると、掌には卵のようなものが現れた。
そしてその卵は素早く僕から離れ、寄生対象となる宿主を探すために空へと飛んで行った。
できるだけ遠くへと。
そして卵は宿主を見つける。
何の変哲もない青年だ、どこかの王族でも奴隷でも無い。本当にどこにでも居るような平々凡々な青年。
《寄生の卵》は非能力者である青年へと寄生した。
その瞬間に青年は体から蒸気が溢れ出す、精孔が無理矢理こじ開けられたのだ……。
途端に青年はのたうち回る、何が起きているのか理解が出来ずに暴れだしたのだ。青年はずっと精孔が開かれており非常に危険な状態。
しかし《寄生の卵》はそんなことをお構い無しに、体から漏れ出すオーラを捕食する。
何の変哲もない青年が無理矢理に精孔を開かれ念を習得するには些か無茶があった。本来ならただの失敗で気絶やそこそこのペナルティが求められただろうが、彼は今所謂念をかけられた状態。陰念に値する。
そしてその能力もタチが悪い。
常に使用者のオーラを捕食する。
精孔が全開で常にオーラを消費、青年はものの数分で死亡した。
が、それで終わりではない。
この能力は念能力が完全に消えなければ宿主の切り替えを可能としない。故に……
念が暴れ出す、死体となった青年からこの世のものとは思えないほどのおぞましさ、禍々しさ……。深淵のような黒に塗りつぶされた黒、全てを飲み込む絶望がそのオーラにはあった。
これは死後に強まる念。
《寄生の卵》はそれを強制的に発動させて奪うことが、隠された真の能力と言っていい。
そのおぞましいオーラをも全て捕食し、全てを飲み込んだ。
卵に変わりはない、上げるとするならば純白だった卵に少し穢れが着いたぐらいだ。
死体となった青年に《寄生の卵》は興味を無くしたかのように去っていき、新しい宿主を探し始めた。
この能力は天賦の才を持つ者以外に寄生した場合は、死後強まる念で無理矢理成長させることしかできない。
故に世界の至る場所でオーラの絞りカスとなった変死体が発見された。
────ー
《寄生の卵》の発動者である【フィル】は齢4歳にして念能力として発まで覚えたのだが、天才ではない。
それはフィル自身がよく分かっている。
それはよく居る、スタートだけが早いと言うだけでいつかは抜かれるから天才ではないと判断したのだ。
更にただのガキに求めるには酷だが、戦闘を普通にできない。
それはこのゴミだめで生きていくのには適さないからだ。ここ【流星街】ではマフィアへの引き抜きも珍しい話ではない。
故に生きるためには力を……。それは鉄則と呼ばれるものでもあった。
だからフィルは念能力のない今現在、盗みをしながら生きている。
いいことに絶状態ならば、非能力者ならばそう簡単には姿すら見つけられることがない。
人の家に入り、日持ちしそうな食材を盗む。
更には殺傷能力のあるナイフや、マフィアから盗んだであろう銃もあった場合に限り盗む。
4歳からそんな生活をして、約8年。
自分の体の中にオーラが帰ってきたのが分かった。
そしてそれは、普通ではありえない程の量のオーラ。
高密度で、自分ですら目の前が真っ暗になってしまう程の黒いオーラ。
一体どれだけのことをすればこんな力になったのか……。
フィルは薄気味悪いにやけ顔をしながら、本来の能力の最終目的である卵からどれだけのモノが出てくるか楽しみになった。
「《
念能力を発動して、卵を手元に召喚する。
そして言葉を失った……。
卵が真っ黒になっていたからだ、これを見ただけでこの卵は本来フィルが思い描いていた方法以外で成長したことが分かる。
当然だ、フィルは死後強まる念の存在を未だに知らない。
フィルに念を教えた人物も、そこまで詳しく教えてはいないのだ。
真っ黒に焦げたような卵を手に取り、その卵はモゾモゾと動き始めた。
それはまるで生命の誕生のように。
そして、その最悪は世界に命を降ろした。
「……」
言葉を失うフィル。
そこから出てきたのは、人間の形をしたナニカ。
それは世界に存在してはいけないような禍々しいナニカ。
一目見ただけなら目を奪われるほどに美しい外形だろう、しかしそれは瞬時に違うと言える。
黒い髪に黒い目、真っ白な肌に服装なのか見分けのつかない黒いナニカ。
直視していれば、全てを飲み込んでしまうようなクロ。
「言葉は話せるか?」
恐る恐る問いかける。
それはもう自分の能力だということを忘れているかのように……。
「ワ……タシ……ハナ……シスル」
低音に、更に重音などの低い音の更に低い音のような声が彼女から聞こえた。
「名前は持っているか?」
「……ト……ト」
「そうか、トトこれからよろしく」
「……ヨロ、ヨヨロ……ヨロシ……ククク」
何年も掛けて成長を遂げた僕の念能力。
《
せっかくなのでトトが産まれた時に、剥がれ落ちた卵の殻を回収して
《
特質系
・前能力《寄生の卵》から誕生した念能力、強さは《寄生の卵》で摂取したオーラに比例する。人間の形をしているが、人間が宿主になることが比較的に多かったため自然とその形になっているが、本来の形態はオゾマシイ。
誓約
・対象名【トト】が死亡した場合、宿主たる【フィル】も死亡する。
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卵のタベカタ
卵の殻を食べ途端に、体からオーラが溢れる。
絞りカスとも呼べる殻だったが、トトの絞りカスならば話は違う。
全身にオーラが満ちる。
今まで感じたことの無いようなオーラの量。
自分のオーラだけで酔ってしまうのではないかと思えるほどの、力の強さ。
満たされない、まだまだ満たされない。
手元に残った卵の殻を続けて捕食して、自身のオーラ総量はトトと比べれば矮小なものの、以前の自分と比べれば数百、数千倍となっていた。
そして前とはオーラの色や質が変わり、トトと同じような禍々しいものへと変わってしまった。
そしてふと思ってしまう。
トトは……《寄生の卵》はどうやればここまで成長を繰り返せたのだろうか……と。
トトの頭に触れる。
自分でなければ、というかトトの宿主でなければ消滅してしまうのではないかと思わせるほどのプレッシャー。
額に触れ、記憶を読み取る。
元はと言えば、トトは僕の念の集合体。
僕が願い欲すれば……。
トトから記憶が流れ込んできた。
────ー
卵は死後の念をかき集めて成長を繰り返していた。
時にはマフィアの構成員、時には貴族、時には……。と言った具合に寄生した回数は数え切れなくなった時に、念能力を持った人物がトトの前に立ちはだかった。
男は「ハンター」と名乗り、念による攻撃をトトに放つ。
しかしトトの卵の状態はオーラを吸い上げるという概念しかなく、トトが攻撃することも、まして他者が攻撃を当てることも叶わない。
「寄生型の疫病、いや陰念か?」
ハンターはトトに向かってそんなことを吐き、これ以上は無意味だと悟ったのかケータイを使って誰かと会話を始めた。
その間もトトは宿主からオーラを吸い上げ、更に死後強まる念の回収も完了して次の宿主を探すために移動を開始した。
次にハンターと名乗る別の人物とあった時は、民族衣装を着ているような女が傍らに立っていた。
「ひぃぃぃ!!! 私にはこんなもの除念出来ません!!」
失禁しながら女は走り逃げ出す、既にトトは人の手でどうというレベルを超越している。
たかが除念師にトトを引き剥がすのは不可能だろう。
トトは手慣れたようにオーラを搾り取り、すぐさま移動した。
トトの最後の記憶。
銀髪の子供に取り憑いた記憶。
少年は無理矢理精孔を開けられたが、暴れることなく力を沈める。
トトは初めて天賦の才とであい、死後の念以外の方法でオーラを集める可能性を見出したのだが……。
「────アイ」
トトの記憶はここで終了した。
次に映ったのは僕自身。つまり、トトは最後に除念されたのだろう。
卵のトトは移動と乗り移る以外の力はなかったため、除念がきいたが今のトトに勝てるものが現れるかと聞かれれば苦笑しかできない。そのレベルだ。
今まで発の完成、つまりトトの完成を待っていたがそれは完成した。つまり、身を隠すための流星街にこれ以上いる必要がなくなったわけだ。
「まずは金と世の中の常識に根城だな」
4歳から12歳まで、ただ時間に身を委ねていた訳では無い。
やりたいことからやらなければいけないこと、そういった計画表をフィルは既に作っていた。
不具合といえばもう二三年トトの完成は先だと思っていたことと、成長度合い位だ。
「トト、行くぞ」
「ウー……」
まずは資金の確保。
盗みや殺しで賄うことは可能だが、毎日血なまぐさい生活は面倒だ。
それならば強さによる社会的地位を手に入れ、更に拠点をつまり家を確保出来る簡単な場所。
──天空闘技場へと向かった。
────ー
天空闘技場へ行くにはかなりの距離がある。
飛行船に乗って移動しても数日はかかるだろう。
どうにか楽な移動法はないか……そう考えていると。
「……ンー……ンンー……トト……ドブ」
トトの体から黒い粒子のようなものが湧き出て背中から突き抜けるように翼が生えでる。
ゴキゴキと特殊な音を奏でながら、トトは体の形そのものを変化させてしまう。
異様な光景、しかしどこかのもう見慣れた既視覚のようなものがあった。
「トト、乗っていいか?」
トトは人の姿を変え、馬のような鳥のようなよくわからない形に収まり変化が終わったのを見計らってトトに許可を貰う。
「……ノッ……ノノ……ノテテ」
恐らく乗ってというその言葉を信頼して、フィルはトトに跨った。
先程の狂わしくも美しい幼女の見た目があったからか、跨ることに少しだけ躊躇いがあったが現在の姿を見てその思考は捨てた。
どれだけ美しくも、トトは念獣なのだと認識できた瞬間かもしれない。
トトは僕が跨ると飛翔を開始した。
翼はややぎこちなく空中で安定するのに数秒かかったが、やはりトト。本来なら体がバラけてしまう程のスピードを出すが、僕を風圧から守りながら飛翔する。
天空闘技場へはものの数分で辿り着いた。
「前に来たことでもあるのか?」
「……アアアルル、アタタ……アタ……アッタ?」
恐らく宿主の中に天空闘技場に来たことがある人物がいたのかもしれない。
「それじゃ、エントリーしてくるから……困ったな、トトは能力者しか見えないとはいえ常に傍らにいるのは目立つな……」
フィルは現時点で発はトトしかなく、トトはいわば半自立型の発でありフィルのメモリには含まれていない。
フィルのメモリを牛耳っていた《寄生の卵》も消滅したことで、フィルはメモリが余りに余っていたのだ。
しかしここで簡単に発を作っていいものなのかと考える。
フィルはトトつまり《永久代理人》だけで充分な戦力、いや過剰な戦力と考えていたので発に関しては全く決めていなかった。
「トト、お前小さくなったり俺の体の中に入ったり出来ないのか?」
「デデデ、デル……デキキ……デキ」
トトは翼を生やした時のように黒い粒子が出てくる。
その時に少しだけトトのことを理解した。
半自立型の念獣とはいいえている、恐らくトトは生まれた瞬間から発を持っていたのだろう。
恐らく形態変化の類のものだ。
トトは指輪となって僕の左薬指へと収まる。
「……」
何故よりにもよってその指なのだろう。
そう思い、適当な場所に指輪を移動しようとしたが余りにも硬くハマっており抜けない。
「はぁ、まぁいいか」
そんな些細なことは気にせずに、天空闘技場のエントリー会場へと向かった。
闘技場は非常に大きく、見上げれば首が痛くなってしまいそうだ。
面倒だったが長蛇の列に並んでエントリーを済ませる。
受付の人に子供は危ないと念を押されたが……見たところ非能力者ばかりなので問題ないだろう。
何よりトトがいる、僕から贔屓なしに見ても最強だろう。
200階までは武器の使用が禁じられているのでトトには休んでもらうことにした。
「おいおい! ガキがこんな所に来てんじゃねぇよ!!!!」
初めて会った男になんでここまで言われなきゃないないのだろう……。
親切心で言っているのなら、僕のために負けて欲しい。
一々殴ったり蹴ったりと僕はそこまで近接は得意じゃないんだから……。
「さっさと落ちろガキ!!」
男の突進を受け止める。
もちろん相手は非能力、オーラを纏った……いや、トトのオーラすら纏っている僕に殴る自体が自殺行為だ……。
男の拳は僕のオーラに触れて、ナニカ薄くて硬い薄氷にでも当たったかのように弾く。
「オーラの密度が高いとこうなるのか……」
そんなどうでもいいことを思いながら、フィルは拳をつくる。
そして人差し指と親指で輪っかを作り──弾いた。
空気が摩擦して、衝撃が飛翔する。
相手選手の腹を捉え、そのまま衝撃は貫通した。
相手選手の腹に風穴を開けてしまったのだ。
「あー……加減間違えた」
そんなことを考え、尻目で相手選手だった肉塊に目をやる。
その目には謝罪の色もやってしまったという後悔もない。ただ、本当に「あーあ……」とだけいっている。
それからの試合もほとんど殺して上がっていき、200階まで殆ど不戦勝で上がることが出来た。
トト 《
・フィルの念獣、《寄生の卵》時代に触れた生物から物質に体を自在に変化させることが出来る。他にもイメージがしっかりとしていれば腕を伸ばしたり肥大化させたりと体を変化させることが出来る。
・意思疎通はできるが、流暢に話すことはまだ出来ない。
・一応雌であり今作のヒロイン(のようなもの)。
姿のイメージは亜人に出てくる黒い幽霊を常に纏った少女。黒髪黒目で肌は白い、人間以外の姿になる時は全て黒い粒子となる。
フィル
・流星街出身の特質系能力者。趣味は読書や美味しいものを食べること、娯楽全般に触れたいと【やりたいことリスト】に記載してある。殺すことや奪うことに躊躇がなく悪人面。読書は念を教えてくれた人がよく読んでいたので読ませてもらい興味を持つようになる。
・メモリが余っているのでトトの支援する能力にしようとするが、いい案が浮かばずに考え中。(案は決まっている)トトが意外と乙女な面があり、ここまで細かい能力に設定していなかったのにと困惑中。
姿のイメージは茶髪で生気のない瞳で髪はボサボサ。細身で弱っちそうだが悪人面、笑った顔は狂気そのもの。あまり笑わないので余計に怖い。
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卵のタタカイ
200階に上がった途端、どこにでも居るような新人潰しにあたる連中に絡まれた。僕としても実験台が欲しかったので、乗ったのだが……大丈夫だろうか?
やはり念能力の相性も考えた上で始めた方が良かったのかもしれない。
自室でトトと本を読みながら時間を潰す。
トトは絵本を読み、言語を覚えようと必死だ。元々出来ていると思うのだが……やはり流暢に話せるようになるのが目標だろう。
「時間だ、トト」
「ヴ──ゥ」
まるでお腹が空いていたのかと思わせほど食い付きがいい。だが、人前での捕食は勘弁してもらいたいものだ……。
そんな淡い期待を持ちながら、初の念能力での戦闘が始まった──。
────ー
試合が始まった途端に念獣トトを指輪から実物の姿へと戻した。
トトには念を抑えてもらっている、もし練でもしたら相手が直ぐに参ったと言うのでそのための処置だ。
故に今のトトは、禍々しいオーラを持った念獣程度にしか考えていられないだろう。
「トト、まずは好きにやっていいぞ」
「トト……スキ、二……ャル……」
トトは少女の姿のまま相手の念能力へとかけよる。
走るという定義に収まるのか微妙な動きだが、ワープ系の能力を使っていないので問題は無いと思いたい。
しかしトトの攻撃は相手選手には当たらず、何かが身代わりになった。
「なかなかいい念獣持ってるネ。でも、ミーのキョンキョンには勝てないネ」
相手も都合のいいことに念獣使い。
僕のようにトト一体ではなく、相手は四体五体六体とどんどん増えていく。増殖しているようだ……。
「何体まで増やせるんだ?」
「そんなことを言うわけないネ」
「そりゃそうだ」
一斉に念獣が襲いかかってくる、初めての念での攻撃に少しだけ戸惑いがあったものの……心強い味方がいるので怯むことはなかった。
「トト」
「ヴ──ゥ」
トトは華奢な手から異様な音を鳴らし、腕から腕が増殖を繰り返した。そしてその異様な剛腕で敵の念獣を嬲り潰す。
異様だ、知性も理性もない念獣が恐怖を埋めつける。
「な、なんなんだその念獣は!!!」
「……なんなんだろうな?」
そんな哲学じみな答えを求められても困る、何せ全貌は僕にですらわからないのに。作った本人がにんちしていないって……どれだけ自由なんだよ念能力は……。
だがこれで分かった、並大抵ならトトは負けることは無い。
相手が弱すぎる可能性もないことは無いが、圧倒的故にトトが破壊される可能性が見えてこない。
射撃は得意なのでそういう援護の【発】にしようとしたが……。
まずは強すぎる力を抑える発を覚えよう。
この試合は勝ち確だとフィルは考えていたので、その先のことしか頭にはなかった。
「トト、終わらせていいぞ。悪かったな」
するとトトは腕を更に肥大化させ、何千何万の腕が腕にまとわりつき、不気味で巨大な物体へと早変わりする。
そしてその凶器をリングへと叩きつけた……。
天空闘技場でいわれるKO。それは死を意味していた。
そしてトトは200階クラスでの初戦をKO勝ちで収めた。
────ー
「さて、トトの力は無駄が多すぎるのが難点だな」
知能がないからか、基本的にいい具合の加減というものができない。いや、もちろん全体の1パーセント未満で戦ってもらっているのだが、やはりそれでも過剰戦力であることは変わらない。
オーラを抑えてもらっているつもりでも、それは並の念獣を遥かに凌ぐ。トトには枷のようなものが必要と考えた。
自分を強くする【発】が普通なのだが、態々自分に枷をかけるなんて……。予定が大幅に狂う。
しかし必要経費というやつだ。
早速トトに指輪に戻ってもらい、今だけは全てのオーラを放ってもらう。
余りに攻撃的なオーラ故に宿主である僕も長時間オーラの中にいるのは危険だ、だからこそ早めに動く。
《
・宿主とオーラで繋がっている念獣トトにのみ発動できる。トトのオーラの大半を三分割して封印する。
・トトの封印は全てフィルへと流れるが、そのオーラを使用することはできない。
・封印は左手の甲に痣として浮かび上がる。
・封印されたオーラを使いそれに応じた願いを叶えることが出来る。(除念、瞬間移動などトトの能力には関係の無いものでも可能)
【制約】
・フィル以外が封印を解くことはできない。
・トトが生命の危機に侵された時以外は三つ同時に解放してはならない。
・封印を一つ解くには目的を宣言しなければならない。
【誓約】
・目的が達成できなかった場合、フィルはそれから24時間【絶】状態となる。
とりあえずはこんなものだろう。
フィルはそう考えながら、手の甲にあるアートのような痣を凝視する。残念ながらこの痣は隠によって隠せないので常に晒さなければならない。
トトは念能力者にしか見えないので非能力への配慮は問題ないが……。まぁいい、およそ他人事だ気にする必要もないだろう。
こんな能力は本来必要ないのだが……攻撃的で莫大なオーラを常に肌に受けるのは鬱陶しいし矮小なフィルの体には良くない。更にいえばトトは卵の段階で間違いなくハンター協会から目をつけられているだろう……。卵とトトが今は別物だったとしても、今目立つのは得策ではない。
天空闘技場は200階からはファイトマネーの支払いがないので、このままならいつか資金の底をつくことになるだろう。今のところ貯金は5億ジェニーあるが……。
「仕事でも探すか?」
簡単なところで殺し屋、面倒だかハンターという手もおる。
トトがいる限り、どちらでも問題ないと思うが……。
「よし、マフィアでも潰すか」
トトの試運転がまだ終了していなかったので、手頃なマフィアを潰させることを目標にしようと情報を探す。
まずはマフィアに恨みを持っている人物から当たって情報を。
マフィアは善では成り立ってはいない、ドラッグに殺人、恐喝、闇金、などなど。挙げればキリがないだろう。
別に正義の味方を気取る気は無いが……。
「別に誰も困らんだろう……」
本来の力から考えれば残りカス位の力しかだせないトトを指輪から実体へと戻す。
見たところ丁度いい。
これなら人目見て「やばい!」と思わせるレベルだ、失禁や気絶に心臓麻痺と言った具合でないだけましだ。
だがそれでも僕以上のオーラ総量。軽く十倍はあるだろう。卵の殻を食べた僕の……だ。
「ここまで来ると、どうすれば倒せるのかご教授願いたいな」
下手な精神操作ならば、寧ろ逆流して相手の精神を破壊しそうだし。生半可な攻撃なら寧ろ怪我をする。下手な発ならトトに近づくだけで消滅する。
「なるほど、これがチートと呼ばれる現象か」
合ってるようで間違っている読書中にでてきた覚えたての言葉を使うフィル。
戦闘準備期間の90日まではのらりくらりと貯金を増やそう。
────ー
「助けて……助けてくれ!!!」
「雇われの身なんだ!! 本当だ!!!」
「頼む!! 頼むよ!!」
血と硝煙の匂いのする一室。
ブランド物でみを固めた男からは血が吹き出しており、その護衛だったであろう人物達は藁にもすがる思いで地面に頭を擦り付ける。
そしてその一室の上座にある机に座りながら、金庫の中身を物色する男。
フィルだ。
「あーそう」
護衛たちの命乞いなど気に求めず、中にあった札束と本来の目的だった書物を手に取る。
「ふー、これが例の本か。一応オーラを纏っているから間違いはないだろうが……もっと豪華な見た目だと思ったんだがな」
中身をパラパラと開き、千切れていたり白紙になっていたりとその可能性を思い確認する。
「よし。問題ないな」
本をパタンとしまい、札束を黒い穴のようなモノに投げ込んだ。
そしてその穴に投げこめば、途端に札束はその場から消える。護衛たちは何がどうなっているのか理解不能だ。
急に入ってきた男に銃を打てば、当たる前に弾丸が何故か止まり。ボスは首がネジ切れ、最後に誰も知らない金庫の場所を当て触らずに壊して中身を出す。
意味がわからない、本当に何が起きているのか。
護衛たちは最後の頼みで、死ぬならば認識できないほどの速さで痛みはなく……出来れば見逃して欲しい。
それくらいしか考えることはできない。
なぜなら相手は普通が通用しない相手だからだ。
怖い、怖い、怖い、怖い。
全身から血が出るほどの緊張感を秘めながら、気に触らないように動かず話さず、そしてなるべく荒い息もせず。
そんなことをしていると、フィルは声を発した。
「【
意味の分からないことを言いながらドアの方へと向かうフィル。
護衛たちにそのまま帰るのでは……という期待が芽生えた。
──しかし。
「トト、もう食べていいよ」
「ハハハハ────……ハハ……ハイ!!」
とても嬉しそうな声を出したトトは、好物である非能力者の肉を貪った。
ここで雇われたのが運の尽きだったのだろう……護衛たちには甘んじて受け止めてもらいたい。
フィルのターゲットになったという不運を呪えば、些かマシになるだろう。
と言っても今回はフィルが決めて動いた訳では無い……。
ある人物に依頼されたからだ。
さっきの部屋から少し離れた場所で電話がなる。
「ん? あー……片付いたよ、欲しいのは本だけだよね……うん、…………うん。じゃあ今回の金と宝石は僕が貰うから……。分かったよ……それじゃ天空闘技場に来てくれれば本は渡すよ」
フィルは誰かと通話をしていた。
恐らくフィルに依頼を出したクライアントだろう、フィルはいつもより少しだけ明るい口調で会話をする。
何せフィルにとってその相手は、念を教えてくれた師匠のような存在だからだ。と言っても信頼や絆がある訳では無い。
フィルが明るかったのは報酬の羽振りが良かったからだ。
別にフィルにとってその人物は恩人であっても、敬意をもって接する相手ではない。
「……うん。分かった……それじゃまた……待ってるよ──」
食べ終えたのかトトは指輪となって帰ってくる。
血を一滴も零さないほど美味しかったのか、それとも腹が減っていただけなのか……。護衛たちと身なりのいい男のいた部屋は死体はおろか血痕すら残っていなかった。
「──クロロ」
通話を切った効果音は、ビルの爆破によって掻き消された。
【
・左手の平から黒い卵のようなゲートを作る。
・念でゲートを作成して離れた場所へ繋げることが出来る。原則として視認できる場所以外は繋げることはできないが、1ヶ所だけ登録することができその1ヶ所に限り目視していなくてもゲートを繋げることができる。
【制約】
・卵のサイズが小さく手のひらサイズの物しか入れることが出来ない。また生物をゲートに通すことはできないが、念なら通すことが出来る。
あと一つ能力を出したら完成。
フィル自身の能力なのでカタカナに逃げた(いいのが浮かばなかった)
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卵のキジュツ
色々と仕事を始めるようになって、人生5回位は遊んで暮らせるようになるほど資金は溜まった。だが、流星街で作った【やりたいことリスト】の全ての娯楽に触れる為にはこの程度の資金は豆粒に等しい。
クロロからの依頼で本の貸し借りをしているが、アレも本来なら飛び上がるような値段なのは間違いない。
読書は確かに面白いし、そこから得るものも沢山ある。
しかし、禁書指定の本はあるライセンスが必要だったり……やはりそれこそ金が飛び上がるほど必要になる。
「ああ、クロロ。これ、前の依頼の」
「報酬は口座に振り込んでおく」
一応念を教えて貰った恩人ではあるが、だからと言って割引で仕事を請け負うことは無い。フィルはそんな安っぽい絆のようなものが嫌いだ。それは流星街で嫌という程見てきたから。
クロロはそのまま帰ろうとはせずに、フィルの部屋にある椅子に座り込んだ。
「……まだなんか用?」
フィルは試合を控えていたので少し機嫌が悪い。
それは無視したりしたら部屋を追い出されるから致し方なく出場するだけで、もう念での戦いに興味はほとんど無い。
卵の殻を食べたことによって増えたメモリも殆ど余すことなく使ったので、これ以上に劇的な力の向上は有り得ないし……何よりトトに勝つ念使いが現れるとは到底考えにくい。
だから不機嫌だった。
娯楽に触れてある程度何かに対する喜びを覚えたのに、それが味わうことが出来ない天空闘技場へ。
「次の相手。確かヒソカという名前じゃなかった?」
クロロはそう言いながら本を読み進める。
だからどうしたんだよ。そう思ってしまうフィル。
「そうだったかもね……興味無い」
「もしかしたらお前を楽しませるかもしれないぞ……そいつ、新しいウチの4番だ」
「……へー」
だからなんだ、そう思わせる声音。
確かに旅団は世界から見ても優秀な念能力者が集まっているだろう……。
だが──
「そいつはトトに勝てるの?」
──化物には勝てない。
どれだけ人間が足掻いたとしても、種そのものを超越した化物には勝ち筋が無い。
「さぁな、だが並の能力者だと思って戦うと痛い目を見ることになる」
クロロはそう言いながら手に持つ本を読み進める。
「──それじゃ足りないんだよ……」
フィルはそう言いながら興味のなさそうに部屋から出た。
どれだけ強くても、どれだけ賢くても、どれだけ巧みだったとしても……。
トトの前では全てが無になる。
だから……。
「トト、お前今日は休みな」
「……ヴ──ゥ?」
柄に無く少しだけ期待に胸を膨らませた。
────ー
「今日はあの念獣は使わないのかい♡??」
既に試合は始まっており、ポイント制。
KOでも良かったのだが、クロロの所の団員だということなら殺すのは少しだけ不味い気がする。
良い金ズルがいなくなるのは今後面倒になる。
「ああ、お前がクモらしいからな……殺すと色々と面倒なんだよ」
「それは残念♤、それなら君が遊んでくれるのかな?」
「そういう事だな」
そう言うとフィルは左手に【卵の窓】を発動させて、右手には緑色の卵を発動させた。
「それはなんだい? 初めて見る能力だね♡」
「自分で考えな」
黒い窓がヒソカを囲む、不審にその念を見つめるが何か変わった様子はない。
(これはなんだ?)
ヒソカは怪しむが、答えなど出てこない。
【卵の窓】は元々攻撃系の念能力では無いからだ。
しかし、それは【卵の窓】一つだけの時。
そこにある能力が加わることで【卵の窓】は大きく進化する。
「【
左手の【卵の窓】と似ているが、やはり同じではない。
その得体の知れない何かにヒソカは興味が湧いた。
牽制にヒソカはカードを投げる。
フィルは当たる直前に窓を開けた。
当たる寸前に窓はカードを飲み込み、ヒソカの右斜めから別の窓が開きカードがヒソカを襲う。
「へー♡なるほどね。面白い能力じゃないか♤」
(恐らく瞬間移動の類の能力、あの小さな黒い空間と他の黒い空間は出入口として使える。面白い能力じゃないか……でも、それよりもボクは右の方が気になるな♡)
「そんなに見たいか?」
心の中を読んでいると思わせるほど的確なタイミングでフィルはヒソカに声をかける。
「是非見せてもらいたいね♡」
気味の悪いこと、そう思いながらどの道見せるであろう右の能力を使った。
卵からオーラが産まれる?
どういった表現が好ましいか分からない、卵から漏れ出す? そんな形でオーラ状の生物が卵から出てきた。
「いけ」
小鳥を模した何かがヒソカへ飛び立った。
(鳥? にしては少し遅いな。これくらいなら)
ヒソカはオーラ状の鳥に向かってカードを投げる。
カードが鳥と着弾した瞬間……鳥が爆ぜた。
「へぇ、鳥は小規模だけど爆発させることができるんだ♤でもそのスピードじゃボクに辿り着く──あぁ、なるほどね」
「まぁそういう事だ」
どれだけ遅い速度でも窓を使えば近くに、更にいえばヒソカに直接ダメージを与えられるほどの距離に移動させることも可能。
「でも、それだけじゃボクは殺れないよ」
ヒソカは撃ち合いに部が悪いとわかった上で接近を始めた。
鳥だけならまだヒソカが有利だったが、そこにワープが付いてくると考えると圧倒的に不利。
しかしフィルもそれは読めていた。
「やれ」
右の卵から先程とは違う色のした鳥が出てくる。
ヒソカもそれには気付いたが予定は変更しない、接近をすることに変わりはない。
カードを鳥へと投げて自分にダメージの負わない距離で爆発させ、そのままカードで切り裂く。
ヒソカの単純と思わせる作戦は、これ以上ないほどの最適解だったに違いないだろう。
鳥が爆発すれば。
「あれ♡?」
カードは爆発せずに、周で纏っていたカードを消滅させられた。
そして念のために隠しておいたヒソカの能力【バンジーガム】も解除させられていた。
そして鳥の姿はない。
今仕掛けるのはダメだと悟り足を止める。
「ボクのバンジーガムはボク以外に解除は出来ないはずなんだけど」
「悪いな、僕にそういうのは関係ない」
「なるほどォ♤最高じゃないか♡」
「そりゃどうも」
ヒソカは仮定する、緑色の鳥は小規模な爆発を起こすことが出来て青色の鳥はオーラを強制的に解除することが出来る能力なのだろう。
これだけでも優秀なのに、これ以上となるとメモリが、足りなくなるだろうしコレ以上は無駄となる可能性の方が高い。
「でも弱点が無いわけじゃない♤鳥は一匹につき一回しか効果が発動しないだろ? 数で押せばそれほど脅威じゃない」
「あっそ」
(でも青色の方は気を付けないと♡ボク自身に触れた場合一時的とはいえ念が封じられそうだ♤)
「よく出来た能力だね♡ここにあの念獣も増えると……いや、念獣がいない時しか使えないのかな?」
(本当によく出来た能力だ、クロロが目に掛けるだけのことはある。でもこんなに便利ならそれ相応のデメリットもあるはずなんだけど……クロロが盗まないのには理由があったのかな? ♡)
「仕切り直しだね、さぁ殺ろう」
「いけ」
ヒソカはカードを、フィルは鳥を。
ある程度引き出しを見せた二人は、もう一度火花を散らせることとなる。
──筈だった。
ヒソカの背後で爆発が起こる。
それも一度や二度では無い。
何度も、ヒソカをまるで逃がさないように。爆破の包囲で直撃させる。
大ダメージをヒソカは受ける。
そしてその表情は嬉しそうなのと反面、何が起こったのか分からないという顔だった。
口にあった血をヒソカは吐き出しフィルへと問うた。
「何をしたんだい?」
「さぁな」
感想の質問に答えようと思います。
まず態々弱体化する能力を付け加えたことについてですが、作者が能力を何段階かに分けたかったというのが一番です。
トトが初めから最終形態というのも味気ないかなと思ってやりました。気に入らなかったらゴメン。
それで次に質問の多かったメモリですが、トトを作るのに一度全てのメモリを消費しています。いまメモリを使っているのはトトのでてきた卵の殻を食べたことによって増えて変わったオーラと新規のメモリです。(原作でメルエムが食べれば王直属の能力を手に入れていたので、念による後付が出来なくはないかな?みたいな感じですけど、あれは食べる=能力増えるなのでメモリ関係ないかな?まぁ、変だったら独自設定だと思っておいてください)
今作ではこれ以上フィルに能力は増えないと思います。これ以上増えても上手く使いきれないと思うので(現時点でも怪しい)
次に強さオリキャラの強さですがまずはフィルから。
フィルは最初はポックルくらいに弱い。けどリスクの高い制約と誓約のおかげでトトを作ることに成功。
フィル自身はオーラだけならゼノくらい(円が300m)。
体術は初期のズシくらい。
心理戦とか運なら今作では最強。賭け事させたら勝てる奴はいない。
全体的にサポートメイン。作中でいえばモラウポジション。だが人望はない。
トト
オーラはメルエムと張る。
体術は必要ないと言わんばかりのパワータイプ。
イメージはアホだけどやる時はやる子。
最後に化物の枷の誓約は一見リスキーに見えますが、フィルが絶状態になるのでトトにダメージはないのでご安心を。それでも弱いと思われるので新しい能力を追加しておきました。それは、溜めたオーラで実現可能な念能力を一度だけ発動するというものです。
使い道はナニカがイルミを家に飛ばしたとか、そういう念が莫大にあれば出来そうなラインの力の行使です。
他に色々と分からないことがあればなるべく答えるのでお願いします。
原作との矛盾点や設定上の致命的なミスがあれば……その時は………うん、ゴメン。
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